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1979-02-14 第87回国会 衆議院 建設委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年二月十四日(水曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 伏木 和雄君    理事 小沢 一郎君 理事 登坂重次郎君    理事 中山 正暉君 理事 渡辺 栄一君    理事 井上  泉君 理事 中村  茂君    理事 北側 義一君 理事 渡辺 武三君       内海 英男君    大塚 雄司君       大坪健一郎君    谷  洋一君       谷川 寛三君    塚田  徹君       中島  衛君    中村  靖君       西田  司君    伊賀 定盛君       福岡 義登君    吉原 米治君       渡部 行雄君    瀬野栄次郎君       松本 忠助君    中井  洽君       瀬崎 博義君    川合  武君  出席国務大臣         建 設 大 臣 渡海元三郎君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 中野 四郎君  出席政府委員         国土政務次官  保岡 興治君         国土庁長官官房         長       河野 正三君         国土庁計画・調         整局長     福島 量一君         国土庁土地局長 山岡 一男君         建設政務次官  渡辺 紘三君         建設大臣官房長 粟屋 敏信君         建設省計画局長 丸山 良仁君         建設省都市局長 小林 幸雄君         建設省河川局長 稲田  裕君         建設省道路局長 山根  孟君         建設省住宅局長 救仁郷 斉君         建設省住宅局参         事官      吉田 公二君  委員外出席者         大蔵省主税局税         制第一課長   水野  勝君         大蔵省銀行局銀         行課長     平澤 貞昭君         農林水産大臣官         房参事官    松下 一弘君         通商産業省立地         公害局工業再配         置課長     宮野 素行君         自治省行政局振         興課長     矢野  始君         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     澤田  悌君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     有賀虎之進君         建設委員会調査         室長      川口 京村君     ───────────── 二月九日  奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島復  興特別措置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一〇号)  農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措  置法の一部を改正する法律案内閣提出第一四  号) 同月十四日  特定市街化区域農地固定資産税の課税の適正  化に伴う宅地化促進臨時措置法の一部を改正す  る法律案内閣提出第一五号) 同日  公営住宅法改正に関する請願(浦井洋紹介)  (第九七〇号)  同(寺前巖紹介)(第九七一号)  同(藤原ひろ子紹介)(第九七二号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ────◇─────
  2. 伏木和雄

    伏木委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両件調査のため、本日、参考人として日本住宅公団総裁澤田悌君及び日本住宅公団理事有賀虎之進君に御出席を願い、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 伏木和雄

    伏木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────
  4. 伏木和雄

    伏木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村茂君。
  5. 中村茂

    中村(茂)委員 まず最初に、既存建築物防災対策について質問いたしたいと思います。  私が申し上げるまでもなく、この既存建築物につきましては本委員会において法制化について確認してきたところでございます。今回の大臣所信表明によりますと「既存の大規模な特殊建築物防災対策につきましては、技術的基準検討及び対象建築物についての調査の結果、個々の建築物に対応し、きめ細かな行政指導を行うことにより、所期防災目的を達成することができる見通しを得ましたので、適確行政指導によりその推進に努めてまいりたいと存じます。」こういうことで、法制化についていろいろ論議してきたわけですけれども行政指導でやっていく、こういうお考えです。私は非常に残念だというふうに思うのですが、そこで御質問したいと思います。  この法制化について、ずっと対処してきたわけでありますけれども、その法制化行政指導に至るまでの経過と、こういう結果になった理由について明らかにしていただきたい、こういうふうに思うのです。
  6. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 既存建築物防災対策につきましては、五十一年の本委員会におきます附帯決議あるいは、その後の国会におきます審議を通じまして、私どもも鋭意技術基準検討を通じて対策検討してきたところでございます。また当委員会理事懇談会におきましても、いろいろ細かい御説明を申し上げた結果、とにかく技術基準を早急にまとめろということでございまして、五十二年八月以来、既存建築物避難施設整備対策懇談会という懇談会を設けまして、鋭意、技術基準検討をやってまいりました。  昨年約一年かかりまして技術基準の大体の骨子をまとめ上げましたので、昨年六月以来、対象建築物につきまして具体的にこれを適用した場合に円滑な改修が可能かどうかという検証をいたしてきたわけでございます。  その結果、私どもは、既存建築物対象とするものでございますために、今後、対象がふえることはなくて、もうすでに初めから対象がはっきりしているということ。それから実際の技術基準を当てはめた場合に、これは新しくつくる建物ではなくて、もうすでにある建物でございますから、その対症療法と申しますか、それは種々雑多でございます。したがいまして、一律の技術基準を機械的に当てはめるよりも弾力的な行政指導によった方が実際問題として効果が上がるのではないかという判断をいたしたわけでございます。また、そういった技術基準学識経験者等関係行政機関関係業界代表からなる懇談会でまとめ上げ、ての間、十分意を尽くしてコンセンサスを得ております。また、その上、必要な助成措置あるいは金融増措置も用意しておりますので、行政指導十分実効が上がると私ども考えた次第でございます。
  7. 中村茂

    中村(茂)委員 次に、経過が長いわけですけれども、いま説明ありましたように基準法改正して、それを遡及適用させるという時期と、それからその後、法的措置を行うという時期と、それから今回の行政指導で行う時期、この三つに分けて、適用個所、その三段階で、どういうふうに変わってきているか。それから、それを行った場合の金額について、どういうふうに変わってきているか。それから適用基準について、これは膨大なものですけれども特に変わっている特徴点、二点ほど挙げていただきたい。
  8. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 まず対象建築物数でございますが、これは各時点調査精度等による差がございますが、昨年夏に悉皆調査いたしたところでは二千二百六十棟でございます。なお、その時点で調べまして改修が必要だと認められましたのが、その約六割の千三百棟ということになっております。基準法改正のときに申し上げました件数が二千二百五十四棟。それから途中で特別措置法案検討いたしましたのが二千四百二十二棟でございます。これは調査精度が若干異なりますために若干の差がございますが、全体的な棟数としてはそう差はございません。ただ、先ほど申し上げましたように基準改正あるいは、その後、自主的な改修を行ったものもございますので、そういったことを考えますと実際に改修を要するものが千三百棟になったということでございます。  それから費用でございますが、当初、基準法改正のときに概算いたしておりますのが約二千六百億でございまして、その後、特別立法段階では、いろいろな基準を見直しまして八百二十億程度というように考えておりましたが、今回のケーススタディーによりますと約五百十億程度ということに相なっております。  技術基準の主な考え方内容でございますが、まず建築基準法遡及適用という段階では、建築基準法目的が、いわゆる人命財産の保護ということになっておりまして、そのために煙と火と両方を防いでいくという基本的な考え方に立って遡及適用考えていたわけでございますが、その後の検討の結果、もう財産の方はこれは仕方ないとして、とにかく人命だけに目的をしぼろうという方針を固めまして、そのために必要な技術基準検討をしたということでございます。したがいまして、非常に主な点は、人命に限ったために火よりもむしろ煙を重点に対策考えたということでございます。その一つとしまして、一番重要な問題でございましたいわゆる縦穴区画の問題でございますが、これにつきましては所定の避難可能時間内に避難ができる場合には縦穴区画については要らないというような、もう人命対策一本にしぼった結果、そういった数字になったわけでございます。
  9. 中村茂

    中村(茂)委員 そこで、法律的な裏づけなしに行政措置ということになれば、金も多くかかるし、いままでも、これでずっとやってきたから、そういう指導はあるけれども防災措置はやらない、こういう問題が起きてきたときには、法律的な裏づけなしに、どういう措置をするんでしょうか。
  10. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 私ども、そういった全般的な検討の結果、十分行政指導でいけるという確信は持っておりますが、ただ万一の場合そういった改修ができない場合に、どう措置をとるかということでございます。私どもは、そういったたとえば改修をする費用がないというような場合には・むしろ管理面で、いろいろな改善を行うというような対策も、もちろん考えますが、最悪の場合には建築基準法の第十条によります改修命令ということも発動してまいりたいというように考えております。
  11. 中村茂

    中村(茂)委員 ずっと聞いてまいりましたけれども、当初、遡及適用させるというときの対象戸数と実際に行政措置をこれからやっていくというのでは、ちょうど半分になっているわけですね。それだけ、この技術基準が下がったのではないかというふうに私は思うのです。それは金額の面については非常にはっきりしておりまして、二千六百億が五百十億ですから五分の一に下がっているわけですね。いえば安上がり防災対策、こういうかっこうになっているわけです。それと聞くところによれば、この五百十億も、すでに実施されているところがほとんどで、これから実施するというのは百六十億程度しかないという話も聞いているんです。しかも法律をつくって義務的な裏づけをしてやっていくという形の中から個所数が減り、金額ではかるのはどうかと思いますけれども、実際には二千六百億かかるというのが百六十億に下がっということになると、果たして、それで防災に役に立つだろうか。 もっとはっきり言えば、遡及適用ではやらない、立法措置も必要なかった、行政措置でやればいいんだ、それでやらないというものは建築基準法の十条というふうに言いますけれども、私はこの十条というのは特に保安上危険でありということなので、保安ということと防災ということでは若干違うんじゃないかというふうに思うのです。ですから、これは強制的にやらせるわけですから、この十条を適用してやらせるというのも拡大解釈で少し無理があるような気がするわけです。あらゆる角度から検討してみた場合に、行政指導というふうに後退したのは、果たして所期目的が達成できるのかどうか、非常に不安を持つわけであります。  なお考えてみますと、この問題が起きたのは、私が申し上げるまでもなく、いえば四十七年の大阪の千日デパートビル災害、四十八年の熊本大洋デパートの百名以上に上る死傷者を出した、このときに時の建設大臣がじきじき行きまして、現地で、基準法改正して防災人命を尊重する立場でやっていこう、また既存のものについても手をつけようという非常な決意を述べられたわけですね。その翌年の四十九年に建築審議会から答申が出たわけです。その答申はどういうふうに言っているかというと、百貨店など既存特殊建築物については新設の場合と同様な避難施設を義務づけるべきである、ここのところが大事なんです。新設のものと同じように既存のものもすべきだ、そして義務づけるべきだ。だから基準法改正されたときに既存建設物についても遡及適用をしていこう、また法律裏づけをするということで立法化をしていこう、これが原点なんですよ。  大臣にお伺いしたいのですけれども、こういうふうに後退後退を続け、安上がりになり、しかも答申から大きく外れたこの防災対策を、行政指導ということで建設省責任持てますか。
  12. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 いま昭和四十七年、八年の大きな人命を失いました経験に基づいてこの問題が起きた。実は四十七年の千日前のビルの火事のときに私、自治大臣をやっておりました。私は当日、早速現地へ乗り込みまして、まだ遺体の収容が全部終わらぬ先にビルを見てまいりまして、消防という見地から、この問題に当たらしていただいた当事者の一人でございます。その意味におきまして、この建築基準法改正ということに対しましても、その後も関心を持って見守らしていただいてきた者の一人でございます。当時、東京における雑居ビルの二、三を消防庁の案内を受けて責任大臣として見て回るということまでやらしていただいた一人でございまして、この前の法案が出ましたときに、日照問題だけで建築基準法の問題が修正になって国会で成立したという過程も私よく存じております。  その後、担当の建設大臣を拝命いたしまして、この問題に当たったのでございますが、いま申しました学識経験者あるいは行政の面における他の官公庁あるいは業界との懇談会で出された意見もつぶさに聞きました。要は私は、行政指導が先生御指摘のように適確に行われるかどうかという問題であろうと考えます。したがいまして私は、法律でこれを遡及さすことは非常に困難であるが、行政指導を見守りまして適確に行うことによって、この問題をぜひとも事実をもって解決していきたいという決心のもとに、所信表明の中にも入れさしていただいたのでございまして、行政指導に抜かりのないように、御指摘の分も含めまして今後、行ってまいりたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げたいと思っております。
  13. 中村茂

    中村(茂)委員 法律化することは無理だというふうに、いま言われましたけれども、これは無理じゃないのですよ。しかし皆さんが責任を持ってやっているんですから、いま大臣が言われたように、国民災害の際に人命が損なわれないようなことを基本にして、行政指導をきちっとやっていただきたい、こういうふうに思います。  次に、土地政策について若干お聞きいたしたいと思いますが、国土庁長官所信表明の際に、私どもに「国土行政基本施策に関する国土庁長官所信表明」という印刷物をもらったんですが、この二ページの七行目中段から「最近においては、三大都市圏住宅地について、強含み傾向があらわれてきております。」こういうふうに印刷物にはなっているんですけれども、あなたが口頭でやったときには、この「強含み」の上のところに「やや」というふうに言われたんですね。これは「やや」というふうについているのと、「やや」というのがなくて「強含み」というのでは、土地動向について大きく違うのですが、どちらが本当ですか。
  14. 中野四郎

    中野国務大臣 どうも恐縮でございました。「強含み傾向があらわれて」いると考えるというのが正しいのでありまして、「やや」というのは言葉の間違いでありましたから、改めて訂正をいたします。
  15. 中村茂

    中村(茂)委員 これは速記の方へも私、電話で聞いたんですけれども、確かに「やや」というふうに言われた。したがって、そのままにしておけば速記の方は「やや」というふうになるということですけれども、そちらの方も直すのですか。
  16. 中野四郎

    中野国務大臣 訂正するにやぶさかでありません。
  17. 中村茂

    中村(茂)委員 いまも言いましたけれども、これは微妙なことですけれども、特に、いま土地動向については私ども慎重に対処していかなければいけないと思うのです。そこで長官は最近の土地動向について、どういうふうにお考えでしょうか。
  18. 中野四郎

    中野国務大臣 いまの土地動向地価動向というものは、先ほど申し上げたように三大圏におきましては、やや──ややという言葉が悪ければ強含み傾向でありますのですが、全国的に見れば、これは五・一%という地価上昇でありまして、ただ三大圏は何と申し上げましても土地需要者が非常に多いのと供給とのバランスがとれていないところに、このような地価強含みを持ってくるものでありまするので、国土庁といたしましては、すでに御承知のように、これが調整に最善の努力を尽くすように努めております。
  19. 中村茂

    中村(茂)委員 まあ口癖かもしらぬけれども、ややなんというものじゃないのですよ。地価を取り巻く環境というのは、私は四十七、八年当時と何ら変わらない、非常に環境が悪いと思うのですね。  そこで私は、地価というものについて、どのように安定さしていくかということと、優良な宅地をどういうふうに供給させていくか、この二つの柱を同時に達成しなければならないというふうに思うのですね。ところが、どうも土地というのは、地価を安定させるために手を打てば供給がストップしたり鈍ってくる。供給を促す手段をとると地価が上がってくる。同時にそれを政策手段をもって実行するということは、なかなか並み大抵のことじゃないのですね。  そこで、まず一つの問題として、こういう時期でありますから、特に土地というものについて投機対象になる、または、するというようなこと、または国民のそういう考え方、こういうものを完全になくしていかなければいけないというふうに思うのです。ところが、この高度成長土地が暴騰してくる中で、一億総不動産屋というふうに言われるように、一勤労者でも、どうせ家を建てるなら土地をいま買っておけ、土地を買っておけば間違いないわ。また銀行でも融資する場合に土地融資する。そうすれば利息よりも高くなる。これは一般も金融業界建設業界も、そこのところを断ち切らない限り、なかなか土地というものを抑えていくわけにいかないと思うのですね。  物価がずっと上がってくる、しかも土地供給が不足している、金融は緩んでいる、こういうことでございますから、まず長官大蔵省にお聞きしたいのですけれども、特に長官からは、まず最初地価の安定に対する施策決意、これをお聞きしたいというふうに思います。  それから大蔵省からは、銀行が、これは市中銀行含めて全般ですけれども土地にどのくらい投資しているのか、その内容。それから土地投機なり、そういう動き等に対して、金融面から、どういう対策を立てていくのかということについて、お聞きしたいと思います。
  20. 中野四郎

    中野国務大臣 需要供給バランスが破れてくれば勢い地価が上がるのでありまするから、これが調整を常に心がけていかなければなりません。したがって、地価上昇を防ぐには一面においては規制というようなものを背景にむちを持ちつつ、一面においては供給しやすいような、いわゆる措置をとっていく、こういう形において地価の安定を図りつつ供給需要バランスを図っていきたい、かように考えております。
  21. 平澤貞昭

    平澤説明員 御質問にお答えいたします。  第一点の、銀行が現在、土地に対しまして、どの程度、金を出しているかということでございますが、統計的には銀行がどれだけ出しているかというのは、総体としては、なかなかつかみがたいわけでございます。一応、統計ではっきりしておりますのは、銀行がいわゆる不動産業者に対して、どれだけ融資しているかという数字は、日銀統計月報その他で明確でございますので、その数字を申し上げますと、去年の九月末で八兆六千七百四十四億円、一番新しいデータ、これは十一月末でございますけれども八兆七千六百五十二億円、こういうふうになっておるわけでございます。  それから御質問の第二の点でございますが、先ほど来ここでいろいろお話がございましたように、最近、土地の価格の上昇傾向が見られるというようなこともございまして、大蔵省といたしましては先般二月七日に各金融機関の団体の代表者を呼びまして、土地投機を助長するような融資、これは自粛してほしいということを強く申した次第でございます。昭和四十七年以来、数次にわたり自粛につきましては強く通達その他で申したわけでございますけれども、今回も先ほどのような事情もございまして、そういう措置をとったわけでございます。  以上でございます。
  22. 中村茂

    中村(茂)委員 長官は私の問いに答えていないのですよ。というのは、私は安定と供給──地価の安定と優良な宅地供給する、この二つを同時に実施してもらいたい、こう言ったわけです。いままでの形では、供給を促そうとして税制対策なり、いろいろなことをやっていくと今度は地価の方が上がってくるのです。地価を抑えようと、いろいろやっていくと供給が鈍ってくるのですよ、それは後ほどまた聞いていきますけれども。  それと大蔵省、確かに、いま言われたのは不動産業に対してのものだと思うのですけれども、そこで「国土の利用に関する年次報告」の七十一ページに「資産別所有土地業種別面積構成比」があるのです。これでいくと、販売用土地不動産業が四二%なんです。それから運輸・倉庫・通信業が二〇%、建設業が一九%、総合商社が七%なんです。これは販売用土地です。不動産業の先ほど銀行でこれだけ融資してあるというのが八兆七千億ですね。それが四二%と見ると、あと二〇%の運輸とか一九%の建設、七%の総合商社で、これは半分しか該当しないのですね。そういうことを考えていくと、これは推測ですけれども約二十兆の金が出ているのではないか。これがそこへ投資されて、しかも利息がついていて、それに見合うように土地が上がらないか、上がらないかといって、これだけの金が舞っているわけですね。ですから常に土地は値上がり、強含み傾向基本的に持っていると私は思うのです。特に土地投機というような関連を絡ませていくと、ただ不動産業ばかりではなしに、そういう広範な土地投機にわたるようなことについて厳格な指導早目にやっていただかなければ、どうしても対応できない、こういう内容を持っていると思いますので、厳重な対処を強く要望しておきたいと思います。 そこで、特に供給面について若干お聞きいたしたいと思いますが、私の承知しているところでは、宅地供給について四十七年度が最高で一万四千五百ヘクタール、五十一年は一万二百ヘクタール、あと五十二年、五十三年は不明なのですけれども、大体どういう傾向に推移してきているのでしょうか。
  23. 丸山良仁

    丸山政府委員 五十二年につきましては九千三百ヘクタールということで、五十一年度に比べまして九百ヘクタールまた落ち込んでおります。また五十三年度につきましては、まだ年度途中でございますから調査は済んでおりませんが、われわれがいろいろ聞いたところでは、やはり五十二年度並みか、あるいは、それを下回るのではないかというような感覚を持っております。
  24. 中村茂

    中村(茂)委員 そういたしますと三全総では計画上、年平均一万二千八百ヘクタール必要だ、こういうふうになっておりますし、第三次住宅建設五カ年計画では年平均約一万三千ヘクタール。こう見ていきますと、五十二年、五十三年も五十一年の傾向またはそれ以下だということになると約一万ヘクタール、そうすると年に三千ヘクタールというものが供給不足ということですね。ですから先ほどの長官のお話ではございませんけれども需要供給の関係で、こういう状態が続けば地価は順に上がってくる。不足ですから、そういう傾向にあるということは、土台がそうなっているわけですね。それからミニ開発などというものについても、こういう供給不足の中ですから、どうしても小さなところに取りついていくという傾向が出てくる。また、先ほど大臣も言われましたが、特に三大都市圏に、そういう不足の傾向が強い。したがって三大都市圏を中心にして宅地の値上がりも他のところより強含みだ、こういうことだと思うのですね。  そこで、こういう土地供給不足の状態に対して優良な宅地供給を、どういう政策手段で賄っていくかということについて明らかにしていただきたいと思うのです。
  25. 丸山良仁

    丸山政府委員 先生がおっしゃいますように、大体年間三千ヘクタール余り足りない、こういう実情にあるわけでございます。このまま推移しますと大変な問題になるわけでございますから、われわれといたしましては何とか優良な宅地開発を促進してまいりたい、このように苦慮しているわけでございます。  その政策といたしましては、まず第一には関連公共公益施設に集中的に投資する。これは幸い本年度三百億の別枠を設けていただいたわけでございますが、来年度は、これを倍額の六百億にしたい、こういうことでございます。そのほか、建設省が所管しております一般の公共事業につきましても、これを宅地開発の可能性のある地域に集中的に投資することによりまして、宅地供給の促進を図ってまいりたい、これが第一点でございます。  それから第二点といたしましては、宅開公団、住宅公団あるいは地方住宅供給公社等の公的宅地開発を積極的に進めてまいりたいということでございます。  それから第三点といたしましては、いわゆる線引きの見直しでございまして、現在、建設省といたしましては線引きの見直しを進めているところでございますが、これを積極的に行いまして──線引きをいたしましてから、もう数年たっているわけでございますから、その間には鉄道その他の関係も変わってまいりまして、調整区域であっても開発許可ができる、あるいは開発可能性がある、こういうような地点も出てきているわけでございますから、こういうところを積極的に市街化区域に線引きを変えるとか、あるいは都市計画法に基づきまして開発許可を行う、こういうような施策を進めてまいりたいと思うわけでございます。  それから第四番目の方策といたしましては、先ほどからお話の出ておりますように、土地の売買が思うように行われない。この原因は何かと考えますと、やはり非常に高額な税金がかかっておるというところに問題があると私は考えているわけでございます。したがいまして、優良な宅地につきましては、この取引につきまして個人の長期譲渡所得税を軽減する、この方策によって優良な宅地が出てまいるような方策を講じてまいりたい。  以上が主なる点でございますが、これらの施策を総合的に強力に推進してまいる考えでございます。
  26. 中村茂

    中村(茂)委員 いま四点にわたって説明を聞いたわけですけれども、私は、公共関連投資三百億が六百億になった、結構なことだと思うのです。もっと増してもらいたいというような気持ちを持っております。しかし、それが、現実に地価が安くなるとか、または供給を促すというところに、どういうふうにつながってきているのか。現実に、こういうものを投資したところについては安く土地供給されているのかどうかということが一つ。  それから線引き、これは見直しというけれども、特に見直ししようとする調整区域については企業が持っている土地が多いですね。そうして今度、次の税対策の中で譲渡所得税を少し緩和する、こうなっていくと、確かに土地を多く抱えた、いわゆる買い占めした大企業、不動産業、ここのところのためにはなるけれども、実際に、そのことによって地価が下がるだろうか。もう一度整理しますと、これだけの手を打って、三千ヘクタール不足しているけれども、どのくらい供給できるのか、そして土地が確かに下がるのか、この点をひとつ、はっきりさせていただきたいと思います。
  27. 丸山良仁

    丸山政府委員 まず御質問の第一点の公共関連施設に金を投入することによって、どの程度土地価格が下がるか、こういうことでございますが、これは非常にむずかしい問題でございますけれども、われわれの試算によりますと、平均五、六%の引き下げ効果がある、このように試算しているわけでございます。しかしながら、本年度から始めた制度でございまして、まだ宅地は一坪も出てきていないわけでございますから、現実に幾ら下がったということは証明いたしかねます。  それから、線引きの見直しをやることによって、企業が抱えている土地が有利になるのではないか、こういう御質問でございますが、われわれが線引きの見直しをやる場合には、公的機関が抱えている土地について優先的にやってまいりたいというのが一つ考え方でございますし、また民間が持っておりますものにつきましても、交通の便その他で宅地として優良な宅地が出てくるものについてやるわけでございまして、どこでも線引きを見直ししても、これは宅地として出てこないわけでございますから、そういう点は十分見きわめた上でやりたい、このように考えているわけでございます。  これらの施策をすることによって、どれだけ土地の価格が引き下がるか、こういうことは非常にむずかしい御質問でございまして、それはそのときの金融情勢あるいは経済情勢その他と絡む問題でございますから、一概に幾ら下がるということは数量的には申しかねるわけでございますが、われわれは基本的には、需給のギャップによって、いまの土地の値が上がっているので、過剰流動性その他の仮需要によって上がっているとは考えておらないわけでございますから、この点を是正することによりまして宅地供給を促進することによりまして、地価の値上がりがとまるとは申しかねますが、いまよりは、はるかに低い値上がり率でおさまるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  28. 中村茂

    中村(茂)委員 一つ落ちているのですが、これだけの手を打って、三千ヘクタールという不足分が本当に出てくるのかという点、後ほど、また答えていただきたいと思います。  いろいろな角度から検討してみますと、今度、行われるのについては限定的な土地取引に適用するわけですよね。幾つかの項目、五項目ほどに分かれていますけれども、特に国なり地方公共なり、または収用土地の関係なり、ただ国土計画法に基づく一千平米以上の土地造成、ここのところへ適用されるというのは非常に私はいいと思うのです。ミニ開発というものを防止していきますから。しかし範囲がもう決まっているということですね、一般のところはだめなんですから。そういういろんな角度から考えていくと、先ほどちょっと言いましたように非常に不安だというふうに思いますのは、こういう制度は、どうしても土地を多く持っている企業そこのところが、税が安くなるわけですから土地を出す、当然その安くなった分だけ安く土地を出してくれればいいわけですけれども、これは需要供給の関係で、もうからなければ出さないで土地を持っている。税金をまけてもらって少しでももうかるようになるから土地が出てくるわけですから、そこのところをもう少し検討していただかなければ、なかなかいろんな問題が出てくるのです。  いまダグラス、グラマンで土地転がしの千歳のことが問題になっていますけれども、一千六百万で土地を買って半年くらいの間に六千万もうけたというわけですよね。しかし、その六千万もうけた方は、収用の土地のところですから税金はかかっていないわけですよね。ところが一千六百万で買った方は個人のところで買ったわけですから税金がかかっているのですよ。それで、いま現地では、新聞を見て、ああ、おれの土地を買って売ったら税金かからないで、うんともうけたそうだ、おれが売ったときは税金がかかって大変だということで問題になっているのですよね。これはそういうことがそこらじゅうにあるわけですよ。確かに土地を抱えてしまって、この法律を適用することによって四千万以上のものについてはいいわけですから、税金はかからない。しかし、その人に売った者については税金を払っていますから、もう方々で、そういう問題が起きておる。ですから私は、こういう手段というものは土地を抱えてしまった企業がまるもうけ、もうかるだけで、土地が安くなる方へもいかない、そういうことを指摘しているのですよ。  ですから、さっき言ったように土地供給についていい面もありますから、そういう点は伸ばしていただくとして、特に、そういう土地投機とか買い占めとか、そして、こういう手段を行うことによって、たんまりもうけようという者については、何らかの方法で、きちっと規制してやってもらわなければ、回り回って、やはり土地に金を投資しておけば、もうかるものだなという国民的な感情が、そういう中から生まれてしまうということですね。  先ほどの供給ができるかということと、そこのところをひとつ。
  29. 丸山良仁

    丸山政府委員 三千ヘクタール出るかどうかという御質問でございますが、これは大変むずかしい御質問でございまして、なかなか試算はむずかしいわけでございますけれども、われわれは公共関連を集中的につぎ込む、線引きの見直しをする、それから土地税制を改善する、この三つの施策で、ぜひ三千を出したい。これは外に出せるほどの試算では、なかなかむずかしい問題でございますが、われわれの試算では大体三千ぐらいは出てくるであろうという計算を持っているわけでございます。  それから先ほどの、企業がもうかるではないかというお話でございますが、今回の税制改正は、昭和四十四年一月一日以前に購入したいわゆる長期に持っておられる方の土地につきまして、それを優良なものにお売りになる場合に税金をまけようとすることでございまして、われわれの調査によりますと、その大部分は農地でございまして、企業は、いわゆる土地ブームの昭和四十七、八年ごろに買ったものが大部分でございますから、したがって企業をもうけさせるということにはならないわけでございます。  もう一点、企業が持っております土地は、市街化区域等にはほとんど持っていないわけでございまして、これはほとんどが農地でございます。われわれがこれから出してもらいたいと希望しておりますものは主として市街化区域でございますから、これは農地でございますから企業が持っている土地ではございません。ですから、いまの先生のせっかくの御質問でございますが、どうもわれわれは、これは企業をもうけさせるために、こういうことをやっているということには納得いたしかねるわけでございます。
  30. 中村茂

    中村(茂)委員 もうけさせるために、そういうようにやっているというふうに私は言っているんじゃないですよ。そういう要素もあるから、きちっと気をつけてやりなさい、こういうふうに言っているわけです。  そこで若干、提言しておきたいというふうに思うのですが、いろいろなこういう手だてをしているけれども、ちょうど火事になったから、そこにあったバケツで水をかけるというようなもので、長期にわたっての地価の安定と宅地供給体制にはなっていないと思うのですよ。確かに税対策によって土地を誘導するというのも一つの方法かもしれません。そういうものをしていく中で、私は宅地、その中でも特に個人の宅地、これは低廉に安定して供給していくという体制をつくってもらいたいというふうに思うのです。それには土地というのは国民の共有財産ですから、ある程度、公的介入が必要だというふうに思うのです。ただ普通の品物のように自由市場に任せておけばいい、需給関係だわい、こういうことではなしに、特に個人の宅地については相当な公的介入をして、いま申し上げたように土地の安定と長期にわたっての供給体制をつくっていく、この点をひとつ研究し対処してもらいたいというふうに思うのです。これは事務当局と、最後に大臣決意をひとつお聞かせ願いたいというふうに思います。
  31. 山岡一男

    ○山岡政府委員 現在、土地の取引に対します公的介入といたしまして、国土法によります届け出制度等の運用を行っております。その他、個人の住宅地についての取引につきましては、これは不動産業者について、宅地建物取引業法によりまして建設省の方で厳重に監督が行われておるところでございます。  御提言のように、これらの業務に公的機関が大いに介入すべきだという点について、今後の検討はすべきだろうと思いますけれども、現在のところ、住宅宅地の仲介、供給につきましては、その大宗を占めておりますのが民間部門でございまして、その役割りを直ちに無視するということも妥当ではないと考えております。当面、宅地建物取引業法の厳正な執行、国土利用計画法の適確な運用等が中心になろうかと思いますけれども、今後におきましても、公的機関が供給の確保等につきまして大いに努力するのはもちろん、先生の御提言の趣旨も今後検討してまいりたいと考えております。
  32. 中野四郎

    中野国務大臣 規制措置というのは、これはいわゆる伝家の宝刀でして、むやみにこれを用いるということよりも、いま局長が御説明申し上げましたように、でき得る限り先生の御趣旨も入れまして、供給需要バランスがきわめてとれ、その目的が達成するような措置を今後とも研究、講じてまいりたいと思っております。
  33. 中村茂

    中村(茂)委員 不満ですが、次に移ります。  次に、住宅問題で若干お聞きしたいというふうに思いますが、この国会に提案予定として住宅基本法案、これはいつの国会でも、ここのところ三、四年、検討法案の中に必ず入っている法案ですが、これはもうつくりなさい、こういうふうに答申をされている問題でもありますしは、私、地価の問題と住宅問題を含めて、日本の場合に戦後、基本的な政策と計画がなかったために土地がこういうふうに紊乱し、また住宅についてもスムーズに供給できない、こういうかっこうになってきていると思うのです。ですから、いろいろ隘路はあると思いますけれども、その基本になるこの住宅基本法については、国会のたびに検討ということではなしに、そろそろ国会に出すめどを明らかにしていただきたいというふうに思うのですが……。
  34. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 住宅基本法案につきましては、私ども法案内容について鋭意検討を続けておるところでございます。しかし、住宅基本法の中で重要な位置を占めますいわゆる家賃問題につきまして、昭和五十一年五月に建設大臣から住宅宅地審議会に現行家賃制度をいかに改善すべきかという諮問をいたしておりまして、審議会でも鋭意この検討を続けてもらっておりまして、最近でも月に大体二回ぐらい小委員会を開いていただいております。しかし、これは非常にむずかしい問題でございまして、また欧米諸国におきましても数年来こういった問題についていろいろな試行錯誤を繰り返しているというような状況もございます。また、私ども昨年十月行いました住宅統計調査あるいは十二月の住宅需要実態調査、これも近く、その概報が出る時期になっております。そういった結果を見ながら、内容について検討させていただきたいというように考えておりますが、私どもそういった全般的なものを考えますと、新しい住宅政策の転換というものは、やはり第四期五カ年計画というような時期になるのではないかというように考えている次第でございます。
  35. 中村茂

    中村(茂)委員 もう時間がございませんから、少し予定よりも省かしていただいて、日本住宅公団の家賃問題について、ちょっと聞いておきたいと思いますが、私のいただいている資料では、家賃の値上げ分について不払いになっているものが、九月、十月、十一月、十二月とこういうふうに来て、十二月には十五万五千二百八十七、パーセンテージにして四四・八%。これは間違いないと思うのですが、まあ五〇%は切ったけれども四四%、この人たちがまだ家賃の値上げについて不満だということで不払いの状態が続いているわけですね。昨年の秋の臨時国会で私は、こういう状態は好ましくないので、十分話し合って一日も早く円満な解決をするようにということを時間をかけて強く要望しておいたわけです。  その後いろいろお聞きしますと、澤田総裁と自治協で、相当いろいろ困難な事情があるけれども、特に総裁は誠意と勇気と愛情を持って当事者間でよく話し合えば、この問題は解決するはずだということで、総裁みずから、いろいろ話されたということも聞いております。その後、事務当局を含めて双方で話し合ってきたと思うのですけれども、そういう話し合いを通じて実りがあったのですか。
  36. 澤田悌

    澤田参考人 お答えを申し上げます。  いまお話しのように、昨年暮れから自治協といろいろ話し合っておりますが、これは従来、公団では、家賃改定につきまして理解を深めますために、あらゆる機会に居住者の皆さん、その団体等の方々から御意見を聞き、会合を持っておる、その一環ではございますが、五回にわたりまして懇談をいたした次第でございます。  その際に自治協から十項目ほどの要望が提出されましたが、何分にも、その内容は従来から何回もの懇談の場でお聞きし、その趣旨に沿いかねるというような公団の考え方説明し尽くしているような事項が多うございまして、特に家賃改定との関係におきましては、九月以来すでに実施されておりまする内容については一切変更することはできないということ、また自治協という一つの任意団体がいろいろな形で公団の業務、運営、経営について介入をするというような余地はないということ、こういう二つのことは特に公団の立場、公団の筋といたしまして繰り返し御説明申し上げているところでございまして、自治協の御要望がその基本的な考え方と食い違っておるというものになっておりますので、一月二十五日に公団といたしまして最終的と申しますか、公団の考え方をお話しいたしまして、十分に説明し尽くしたというふうに考えておる次第でございます。  したがいまして、すでに実施済みの家賃改定につきましては、新たに特別の決定をいたすとか内容変更をするとかいうことは考えていないのでございますが、ただ私といたしましては、かねてから公団の業務運営に関係いたします重要事項につきまして広く学識経験者等の意見を自由に聞くという場といたしまして、まだ成案ができたというわけではありませんけれども、たとえば総裁の私的諮問機関のようなものを設けまして広い範囲で意見を聞いて今後の円滑な業務運営に資してまいりたいというふうな考えを持っておる次第でございまして、今回は、先ほど申しましたような公団としては、すでに最終的な考え方をお話しし尽くしたものと考えておりますので、改定家賃を支払われていない方々に対しましては今後とも支払いの督促などいろいろな努力をいたしますけれども、すでに家賃改定の実施後六カ月、半年経過いたしております。大臣の承認を得てから一年になるわけでございます。いつまでも、こういう状態で放置いたしておくことは、まことに適当でございませんので、かねがね公団として申しておりますとおり、やむを得ず裁判による判断を求めますために訴訟を提起することとなるものと考えておる次第でございまして、公団といたしましては誠意を尽くしてお話し合いをしたけれども公団の考え方説明し尽した、このように考えておる次第でございますので、御理解を賜りたいと存じます。
  37. 中村茂

    中村(茂)委員 長い説明を聞いたのですけれども、諮問機関をつくるということについては一歩前進だというふうに思うのですね。  それともう一つは、もう説明し尽した、こういうことでございますが、最後にひとつ大臣に、この問題について二点ほど決意を聞きたいというふうに思うのですが、一点は、いま家賃の問題について、公団とすれば総裁として、まあ私的諮問機関のようなものをつくって家賃の値上げの問題それから公団運営の問題、幅広く意見を聞いたり検討していきたい、こういうことです。これは公団の問題です。また建設省としては、やはり私は、今度の家賃値上げについても三十八万戸、そこに住んでいる人たちは百万人に上る、こういう非常に大幅な家賃改定ですね。このことは即入っている人たちは直接響きますし、これだけの大きな家賃について手をつけるということになれば、日本の家賃問題について必ず影響は大きいものがあるというふうに思うのですね。ですから、大臣が公団から出てきたこれを検討して認可すればいい、こういうものではなしに、もっと民主的に幅広い意見を聞いて対処する必要があるのではないか、こういうふうに私は思うのです。一つの例ですけれども、いま設置されております住宅宅地審議会に諮問するなり、または意見を求めるというようなことをするとか何か手段はあると思うのです。ですから幅広く、建設省としても家賃についてはそういう対応が望ましいではないか、こういうふうに私は一点思うのです。  二点目は、もう最終段階に来ているようでございますから、これは総裁が先ほど、ちょっと終わりの方で言いましたけれども、誠意を尽くして話すだけ話して説明を終わった、最終段階に来ている、これでいけば訴訟という問題にもなりかねないという意味のことを言いましたけれども、私は、ここまで来ているとしても、やはり裁判ということにならないように、こういう問題は解決すべきだというふうに思うのですよ。ですから、やはり建設大臣としての、その点についてのお考え方、どんなふうに考えているのか、二点について最終的に聞きたいというふうに思うのです。
  38. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 最初の一点でございますが、旧来からも家賃改定に当たりましては住宅宅地審議会等に総括的な意見をいただいて進めてまいりました。個別に意見を聴取するというやり方でなしに進んでおります。いま中村先生御提案の向きは、住宅宅地審議会に総括的な意見だけ聞くのではなしに、個別に上げるときに個別に意見を聞くということは、これは大変必要なことでないか、こう考えますので、御提言、十分前向きに検討させていただきたい、このように考えます。  第二点でございますが、私、大臣に就任いたしまして、この問題が大きな問題になっておるということを聞かせていただきました。臨時国会の際に当委員会におきましても、この問題についての建設省としてのあり方、十分御審議を願い、また御意見も承り、建設省といたしましても、そのような方向で進ませていただいておるということを聞きましたのですが、いまの法的の措置に及ぶかどうかということに対する答えを私に対して各方面から聞かれましたときに、私は、法的手段に訴えるということはあくまでも最後の段階で行うべきものであって、誠意を持って話し合いをする、この方針でいきたいという方向で住宅公団総裁とも話し合いまして、幸いにいたしまして、この話し合いが数回にわたって行われてまいりましたことは、中村先生よく御承知のとおりでございます。その成果も上がり、一部の地区におきましては、その話し合いのもとにお支払いを願うというふうな姿にまで進んできておるところもございます。しかしながら、まだ全部にわたって、そこまで至っていないというのが今日の段階でございます。  しかし、いつまでもこれを放置することはできません。最後まで私は、いま中村先生御指摘のように、裁判というふうな最終の段階に至ることを避けながら話を進めてまいりたいと思っておりますが、住宅公団総裁から最後の状況をよく承知いたしまして、やむを得ないというときには法的措置にも訴えなければならぬ、こういう段階を迎える時期もあるのではなかろうかということを危惧いたしておりますが、まだ最後の努力をいたしておりますので、いま中村委員指摘のように最後の最後まで努力をさせていただきます。しかしながら、その努力が実らないときは、あくまでも法治国家の立場におきまして法的処置もやむを得ない、その決心をすべき時期も近づいておるのじゃないかという感じをいたしておりますのが今日現在の私の心情でございますので、御了承賜りたいと思っております。
  39. 中村茂

    中村(茂)委員 終わります。
  40. 伏木和雄

    伏木委員長 吉原米治君。
  41. 吉原米治

    ○吉原委員 私は最初に田園都市構想と定住圏について関連をして質問をいたします。  政府はさきに田園都市構想と定住圏構想とは矛盾しないという統一見解を表明されているようでございますが、もしそうだとするなら、同一な構想に対して、時の権力者によって、そのときどきの指導層によって、呼び名が変わってくるのか、こう疑問を抱くのですが、その点について長官の見解をまずただしておきたい。
  42. 中野四郎

    中野国務大臣 お答えを申し上げます。  定住構想は田園都市構想の目指す地域づくりに当たって、その基盤を計画的に整備する役割りを担うものでありまして、田園都市構想の示唆にきめ細かく対応しながら、定住圏の整備を促進することによって同構想の具体化に大きく貢献し得ると考えておるものであります。したがって、定住構想と田園都市構想は矛盾するものではないと考えております。  さらに、田園都市構想は幅広い立場から展開された次元の高い政策理念でありまして、第三次全国総合開発計画の定住構想は、計画目的である国土の均衡ある発展を実現するための基本戦略でありまして、両者はその性格を異にするものの、人間味あふるる地域社会づくりの点では、それぞれの目指す基本方向は一致していると考えております。
  43. 吉原米治

    ○吉原委員 そうしますと、田園都市構想というのは一つ基本的な戦略あるいは幅広い理念だ、こういうふうに長官おっしゃるわけですが、少なくとも理念があってこそ初めて政策が打ち出せるんじゃないか。定住構想というのが、新全総から、さきの三全総の中に出ておりますように、すでに政策が先に走っておる、理念が後から追っかけてきたような感じが、いまの長官説明ではするわけです。これは全く逆だと思いますし、定住構想が完成した暁の一つの理想郷のようなものを、われわれ連想するわけでございますけれども、一月二十二日のNHKの「総理にきく」というテレビでちょっと拝見したのですが、田園都市構想というのは北斗七星のようなものだというふうな表現を使っていらっしゃる。だとするなら、北斗七星だって位置が決まっておるし形もある。ですから、田園都市構想が形のないものはあり得ないんじゃないか。何かの形があるから、それに向かって定住構想を進めていくんだ、そこがまさに理想郷なんだ、こう言われる限り、私は形があるべきだと思うのですが、その具体的な形を、実像をひとつ説明してもらいたい。
  44. 中野四郎

    中野国務大臣 大平総理は、予算委員会におきましても本会議におきましても、しばしばこの点に言及されております。具体的なものは、いまあるのではないのだ。私の考えておる政治的理念であって、都会と農村との調整のとれた人間味のあふるるような一つの構想を、これから計画し、推進してもらいたい。そういう見地から、われわれは三全総に言う定住構想そのものの一段と彫りを深くしたものと受けとめまして、それぞれの所管庁との連絡を緊密にとりながら計画を今後進めていく考え方でおるわけでございます。
  45. 吉原米治

    ○吉原委員 そうすると長官、ずばり言って具体的なものは文章にもできぬし、形にもあらわせない、こういうことですな。
  46. 中野四郎

    中野国務大臣 文章は、いま申し上げるように、いろいろな言葉であらわれておりまするが、具体的な形というものは、いま改めて固まっていないのであります。したがって、いま申し上げたように定住構想の言ういわゆる定住圏の彫りを一段と深めたものと受けとめまして、その方向に向かって今後、計画を推し進めていきたい、かように申し上げた次第でございます。
  47. 吉原米治

    ○吉原委員 そうしますと全く形のない、いまの三全総で打ち出した定住構想を推し進めていくことが、総理が言っておる田園都市構想の理念といいますか、基本戦略とでもいいますか、そういうものに近づくのだと長官は信じていらっしゃるのですね。つまり形のない、目標のないものに向かって、いまの定住構想を進めていく、こういうことでございますね。
  48. 中野四郎

    中野国務大臣 いま申し上げるように定住構想そのものが、ただいま企画を大いに推し進めておるときでありますから、いま言う田園都市構想というものは、その彫りを一段と深めたものだと受けとめて、定住構想の推進に当たっては住民の創意と努力を基盤として、地域の特性を生かしつつ、地方公共団体が主体的に取り組むことが基本であると思っております。国としましても関係各省庁が諸施策の充実、強化を図りつつ、国土の均衡ある発展の基礎条件の整備を推進するとともに、地方公共団体の目指す地域社会づくりを支援していく必要があるというふうに考えております。  このような見地から今般、関係十六省庁から成る定住構想推進連絡会議をば設置いたしまして、政府としての推進体制を整えるとともに、来年度から新たにモデル定住圏を取り上げて政府一体となって、その整備を推進することにした次第でございます。国土庁としては、今後とも関係省庁間の緊密な連絡、調整を図りながら、定住構想の具体化に鋭意取り組んでまいる所存でございます。
  49. 吉原米治

    ○吉原委員 定住構想の彫りを深めるという表現でございますけれども、これは言いかえますと、定住構想の具体化をさらに進める、そういうことになると思うのです。つまり長官のいままでの説明、御答弁を聞いておりましても、田園都市構想なるものはもう幻にすぎない、こういう認識を私は持たざるを得ません。これ以上、田園都市構想は何なのかということをお聞きしましても、どうも形のないものだ、見えないのだ、こういうことでございますので、納得のいく答弁が得られませんから先に進みます。  この際、国土庁長官並びに、あと関係各省にお尋ねをするわけですが、定住構想を国土庁が今回打ち出された。それに先立って自治省はかねてかり、もう十年この方になると思いますが、広域市町村圏構想を進めて今日まで来ております。あるいは建設省は地方生活圏構想を進めております。さらに農林省サイドでは、規模が非常に狭い範囲のものでございますが、農村地域定住促進構想というものがございます。これらの四つの省から、それぞれ定住構想並びにそれに準ずる政策が打ち出されておるわけでございますけれども、それぞれの圏域が皆違うんですね。  御案内のように広域市町村圏は昨年の三月現在で全国で三百二十九カ所、あるいは建設省の地方生活圏に至っては百六十八カ所、国土庁は定住構想を二百ないし三百つくりたい、農林省の農村地域定住促進構想も、数はちょっと把握しておりませんけれども全国でたくさんあるようでございます。各省それぞれの定住構想を、基本的には定住構想に基づいて施策を進めていこうとされておるわけでございますが、地方においては、こういうばらばらの定住構想を進めていく段階で、一つの事業を進めていこうにも各省を飛び回らなければならぬ、そういういわば混乱をした状況なんです。しかも、それぞれの四つの省のいいとこ食いをしていこうというようなこともできない。一つの事業を入れたら、こっちの事業をやりたいと思ってもできないという矛盾もある。  田園都市構想なんという幻の構想が時の総理によって打ち出されたわけでございますが、この際ひとつ、これを機会に一本化できないものか。つまり同じ一つの土俵をつくって、その土俵の中で建設省建設省サイドで道路網をどうするのか、あるいは自治省は消防業務をどうするのか、救急業務をどうするのか、屎尿収集、じんあい処理はどうするのかという、同じ圏域で各省サイドが定住構想を進めていくということになって初めて合理的な施策が進められていくと私は思うのです。いまのような形は何としても混乱をしますし、効率的な事業が推進できないんじゃないか、こう思いますので、この際ひとつ国土庁はリーダーシップをとってやるべきだと私は思うのです。各省にお伺いを立てて云々なんというようなへっぴり腰でなしに、もっと強い姿勢で国土庁は四省一本化をする方向で調整をすべきだと私は思いますが、まず国土庁長官から逐次、自治省、建設省、農林省それぞれ、きょうはお越しいただいておるはずでございますから、各省それぞれ四省四生活圏ですね、定住構想について一本化する方向について、どういうお考えを持っていらっしゃるのか、それぞれ所信を承りたい。
  50. 福島量一

    ○福島政府委員 お答え申し上げます。  先生御案内のように、いまの広域市町村圏それから地方生活圏というのは、十年前の新全総のときに当時のモータリゼーションの進展等に伴いますところの生活領域の広域化ということを踏まえまして広域生活圏ということが提唱されまして、それに基づきまして自治省あるいは建設省で取り上げた施策であるわけでございます。  広域市町村圏は御案内のように、当時は関係の市町村の事務の共同処理、共同管理の体制として生まれた機構でございますし、それから建設省の地方生活圏は道路整備等、建設省の所管の施策、業務を実施する上での計画圏域という形ででき上がっておるわけでございます。農林水産省等におきましても、いま御指摘のものも含め、たとえば広域営農団地といったような市町村の区域を越えるような広域の圏域も想定して施策をやっておられますし、たとえば厚生省の保健所の設置基準というのも、これは聞いただけでございますから正確な点はなにでございますけれども、たとえば十万人という人口単位のもとに一つを設置をするというような基準施策を展開しておられるというふうに聞いております。保健所でございますから、まあ人間の頭数でいくわけでございますが、それは地域に戻せば、それ相応な広域な地域を前提にして保健所の設置を推進するということになろうかと思いますが、まあそういったことでございまして、それが各省におきましても、一昨年の三全総の策定以来、定住構想に沿って既存施策の見直しなり充実を図るということで対処されておるようでございまして、私どもとしては全体としては、それは定住構想の推進という見地から評価できるものであるというふうに思っておるわけでございます。  そこで定住圏でございますが、新全総以降の社会経済の情勢の推移あるいは国民の価値観の変化といったようなことを踏まえまして、幅広い立場での総合的居住環境の整備を担当する仕組みとして、三全総では定住圏を提唱しておるわけでございます。したがいまして、その定住圏という場では各般の施策、これは国、地方の施策も含めまして各般の施策が相互に調整され、連携のとれた形で効率的に実施されるのが望ましいという立場で提唱しておるものでございます。そういった見地からいたしますと、先生御指摘のように圏域というものは共通の一つのものであることが望ましいというふうにわれわれも実は考えるものでございます。ただ、この際その圏域の問題に関連して考えていることを申し述べさせていただきますと、圏域という場合に二つ問題の側面があろうかと思うのです。  これは相互に関連するのでございますが、一つは地域の自然的条件あるいは社会的、経済的条件というものに基づいた一つのまとまりというのが、やはりあると思うのです。そのまとまりのもとに地域が一緒になって活動する、行動する、こういうことになると思いますので、そういった一体的な行動を担保するようなまとまりというものを、やっぱり考えなければならぬということが一つと、それから同時に一方で、いま、ばらばらという御指摘がございましたが、それぞれの施策なり事業の仕組む目的に応じた圏域の広がりというのが、やはりどうしてもあるわけでございまして、それで、いま御指摘がございましたように、広域市町村圏が三百二十九でございますか、地方生活圏は大体百六十何ぼだと私ども思いますが、そこで圏域の広さが違っておるわけです。全く同じのものもございますが、同じでないところを見ますと、大体一地方生活圏に二ないし三の広域市町村圏が含まれておるということになっておるわけでございます。  これは先ほどのお話にございましたように、市町村事務の共同処理という面からすると、広がりにある程度の限定が出てくるということも一つある。一方、地方生活圏の場合は道路あるいは河川といったような長いものを中心に考えますから、かなりその広がりを広くとらないと計画の策定なり推進に問題もある、こういうことでございまして、一概に機械的に一つの圏域の中に押し込めるということが結果として真に正しいものかどうかという点についても、また別に問題があるわけでございます。繰り返しになりますけれども、定住圏という考え方は、一体的な共通した圏域ということを考えているわけでございますが、およそあらゆる施策なり事業の展開の受けざらと申しますか場として必要かつ十分な圏域というのはないので、それぞれの展開の仕方によって、ある程度の幅を持つということは避けられないのではないかという気持ちがいたすわけでございます。  いずれにいたしましても、先ほど大臣の答弁にございましたように、国土庁といたしましても来年度から先導的な役割りを果たすと思われる地域につきましてモデル定住圏というものを設定しまして、定住圏整備のあり方等を探求するとともに整備を促進するというふうなことを考えておりまして、これにつきましては先ほどの十六省庁、自治省、建設省、農林水産省、通産省等々各省とも積極的な御協力をいただくということになっておりますので、そのモデル定住圏の整備の過程で、いま申し上げた圏域の共通化、一体化と申しますか、そういったものも、それぞれの地域の事情に合わして検討してまいりたい。実態的な現地の諸事情等を踏まえた上で、どの程度まで、その辺の調整がつくかということもひとつ考えてまいりたい、かように思っておるわけでございます。
  51. 丸山良仁

    丸山政府委員 ただいま国土庁から御答弁のあったとおりでございますが、私の方の地方生活圏は道路であるとか河川であるとか下水道であるとか、こういうような建設省所管の施設を広域的な見地に立ちまして整備する必要がある、こういうことから都市、農村を一体として圏域を決めたわけでございます。  ただいま御説明にございましたように三全総の定住圏におきましても都市と農山漁村を一体として整備するという考え方をとっておるわけでございますから、われわれの考えといたしましては、地方生活圏の圏域と先ほどお話がありましたようにモデル定住圏をこれから定める場合におきましても大体圏域は一致するのではないか、このように考えておるわけでございますが、冒頭に申しましたように地方生活圏の圏域は建設省所管事業だけのものを決めたわけでございますから、全省庁を挙げて、いろいろの公共施設の整備をするとか、その他の社会資本の整備をするというようなことになりますと、必ずしも地方生活圏の圏域と定住圏の圏域は一致しない場合もあり得ると思います。その場合には国土庁を中心として関係各省庁で十分相談をいたしまして、なるべく一本になるようにしていきたい、このように考えておるわけでございます。
  52. 矢野始

    ○矢野説明員 ただいま国土庁それから建設省からお答えがございましたけれども、自治省で所管しております広域市町村圏の施策は、地域社会の都市化と広域化に対応して住みよい生活環境づくりを目指す、市町村を中心として地域の総合的な居住環境の形成を図る、そういうような形で圏域のいろいろな地域課題に対応することを目指しているものでございます。この発展を図ることは、ただいま御説明のありましたような三全総の定住構想の実現にも資するものだ、こういうふうに考えておるわけでございます。  そこで、その圏域でございますが、これは地方公共団体の事業が中心でございますので、市町村が合意して形づくって過去十年間続けてまいったものでございます。そこで、いま御説明のありました建設省の所管事業の関係の地方生活圏あるいは国土庁から申し上げましたような定住圏の考え方でございますが、したがって、その形として圏域が異なることがあり得ると考えているわけでございます。結果として圏域の大きさが違うということは当然あり得ることでございますが、ただいま御説明のありましたように私どもとしても一本化は困難だろうと思いますけれども、できるだけ調整に努力してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  53. 松下一弘

    ○松下説明員 定住圏は都市と農山漁村を一体的に整備する圏域でございまして、農林水産省といたしましても重大な関心を持っているわけでございます。圏域が各省ばらばらであるという印象を与えることは、先生御指摘のとおり好ましいことではございませんので、モデル定住圏の整備につきましては、国土庁を中心に各省庁が相協力していくことが必要だと考えております。農林水産省としましても積極的に協力してまいりたいと考えております。
  54. 吉原米治

    ○吉原委員 農林水産省の方は、むしろ積極的に国土庁の定住構想に沿っていきたいということですが、ちょっと聞いておりますと問題は自治省側の広域市町村圏構想の方でございます。国土庁が今度出しました定住構想の圏域づくりについても、どういう構想にしたのがいいのか、地元地方公共団体へ、今回はきわめて民主的に、おろされておるようでございますが、どうしても圏域づくりというのは市町村単位にならざるを得ぬのじゃないか。同じ一つの村を半分に割って途中までで道路を切るということにもなりませんし、どうしても行政単位に圏域づくりはなされていくのだと私は思う。そうなれば、いま国土庁が言っております定住構想の圏域と基本的には同じ圏域にしていくということが、私は定住構想に基づくいろいろな施策を進めていく上にも必要なことじゃないかと思うのです。  そこで、もう一回自治省側に、一本化についてはできる限り努力をしてもらえるのですか。いや一本化はとても無理だ、十年この方やってきた広域市町村圏構想は、おれのところは崩すわけにいかぬというお考えがあるのかどうか、ちょっと念を押しておきたい。
  55. 矢野始

    ○矢野説明員 ただいま申し上げましたように、広域市町村圏は市町村が集まって地元のいろいろな問題、日常生活的な関係のものを中心として地域一体としてのいろいろな施策を行う、こういう形になっております。そこで今度の新しい、先ほど御説明のありましたモデル定住圏につきましては、十六省庁が集まって、国としていろいろな、言葉はあれですが応援して一緒にやっていこう、こういう形のものでございますので、事業の中身として私どもは多少違う面があるのではなかろうかという感じを持っておるわけです。と申し上げますのは、広域市町村圏は事業としては市町村の事業を中心にしていく、それからモデル定住圏につきましては国の各省の施策がそこに入り込んでくるという形で、おのずから仕事の中身といいますか大きさというものが違うのではなかろうかというふうに想定しているわけでございます。  なお、その中身につきましては、いずれ十六省庁で御相談がある、自治省も一員として御相談してまいる、こういう形になっているわけでございます。したがって、その目的と申しますか仕事のやり方と申しますか、それがある程度違うのではなかろうかというふうな認識をただいま持っているわけでございます。そこで広域市町村圏の性格、目的、大きさからして、今後相談されるモデル定住圏と圏域が直ちに一致するかどうかということについては多少疑問なしとしないわけでございます。そこで、せっかくの御提案でございます。私どもも十六省庁の一員といたしまして、この計画の策定にタッチする場合については、非常にむずかしいと思いますが一本化という御提案がございますので、そういう方向の検討もしてまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  56. 吉原米治

    ○吉原委員 まだまだ圏域を一つにするまでには各省の調整に時間がかかるようでございます。いま自治省側は市町村の事業という点を力説されておりますけれども、たとえば市町村で行う消防業務にいたしましても、じんかいの収集にしても、屎尿の収集にいたしましても、それなりに国の補助金がついて回るわけでございますから、そういう意味では自治省、建設省、農林水産省さらに、それを総括するような立場の国土庁の構想というものが同じ圏域でやらない限り、圏域が交錯したりするようなことでは事業の推進がうまくいかぬ、こう思いまして、あえて四省で持っておる定住構想なり、あるいはそれに準ずる事業を推進していくために一本化を強く要請をしておきたいと存じます。 そこで、これはまた大平総理の発想の中に出てまいっております田園都市構想に付随をして、地方に一定の行政機能を配分、移譲するという表現があるのですね。私どもは俗に一口で地方分権、こう言っておりますが、この税なりあるいは財源、あるいは雇用問題、教育、文化、福祉等の行政機能を地方に配分、移譲するという大平総理の発想というのは、それを受けた建設省なり国土庁は、この行政機能を地方へ配分なり移譲するということは具体的にはどういうことをお考えになっていらっしゃるのですか、お尋ねをします。
  57. 福島量一

    ○福島政府委員 田園都市構想の中で、いまお話しの地方分権の問題が検討課題の一つになっておるという御指摘、私どももさよう受けとめておりますが、三全総におきましても、これからの地域づくりは地方自治体の主体的な取り組みが必要であるという観点から、御指摘行政事務の再配分等あるいは財源の強化等についても触れておるところでございます。ただ何分にも、この問題は大変幅広いと申しますか、奥深いと申しますか、大きな問題でございまして、軽々に結論の出し切れない問題であろうかと思います。  いま内閣の方でも、総理のもとで、いろいろ勉強も重ねておられるということでもございますし、それから自民党の方でも特別の委員会ができて勉強されておられるということのようにも聞いております。国土庁としても、政府の一員として三全総の推進という職責を負っている立場から、ひとつ国土庁なりの勉強も重ね、意見を提出してまいりたい、かように思っておるわけでございます。
  58. 吉原米治

    ○吉原委員 ちょっと、わからぬ答弁でございますが、具体的にどの部分を地方へ権限移譲するのか、まだ決まっていないのだという前提でのお答えでしょうが、たとえば各地方公共団体が、道路にしても学校にいたしましても住宅問題にいたしましても、それぞれの事業計画を立てておるわけですが、一つ一つの事業に幾ら幾ら補助金を出す、補助率を決めて出すというやり方ではなしに、各関係自治体が事業計画を立てる、その事業計画に一括して交付税をおろしていくというふうなやり方も、ある意味では分権の一つにつながるのじゃないか。あるいは各自治体が雇用創出の特殊の事業を起こそうという場合にも同じことが言えるのじゃないか。ですから、私は今度の定住構想の基礎づくりは、県から市町村段階へおろしていらっしゃる国土庁のやり方は、きわめて民主的で結構だと思いますよ。計画だけは地方で立てさせるけれども権限も財源も全部中央が握っておるというようなやり方では、この定住構想は前へ進んでいかない。だから何もかも、財源も権限も、すべて地方へ移譲しろとは、いますぐは申しませんけれども、そのうちの一定部分だけは、ひとつ地方へ分権していくということであるべきだと私は思うわけでございます。時間が足らなくなりますから、その意見だけを申し上げて、具体的な地方へ行政機能の一部を配分、移譲するのだという総理の施政方針、それをひとつ早急に具体化をしていただきたい、このことを要請しておきます。  そこで、これは建設大臣にお尋ねをするわけでございますが、大臣この間の施政方針で、あなたのおっしゃっておる言葉の中に将来──将来といいますか近々、まあ近い将来ですね、全人口の七割が都市に集中、定住をするだろう、こういうことが予測される、全人口の七割が都市部に定住するんだということを半ば是認していらっしゃる。そうすると都市部に七割、あと地方農村地帯に三割という人口の配分になると思いますが、こういう形が本当に均衡のとれた国土の開発であるだろうか。私は五、五とは言いませんけれども、少なくとも四分六くらいの人口の配分があってしかるべきだ。この施政方針を見てみましても何か都市部中心の定住構想ではないか、つまり都市に偏重した定住構想を建設大臣は持っていらっしゃるのではないかと疑問を持たざるを得ないような施政方針なんです。  そこで、その考え方を進めていきますと現状を固定する、つまり都市部は人口が集まるのはやむを得ぬ、農村部は人口は過疎でよろしい、何か現状を固定するような考え方にも受け取るのですが、少なくとも大臣自治大臣も御経験なさっていらっしゃるし、政治の道には長いわけでございますから、よもや、そんな現状を固定するようなお考え方は持っていらっしゃらないだろうと思いますが、少なくとも、この所信表明を読ましていただく限り、地方の本当の農村づくりといいますか農漁村対策というものが軽視してあるように私は思うのですが、いかがでございましょうか。
  59. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 七割と言いましたのは現在を肯定したんじゃないか。まあ現在の市と呼ばれます自治体の規模、果たして、それでよいのであるかどうか。人口二万少々の市もありますし、あるいは二十万の市もあり、あるいは百万を超す十一の政令都市もある。東京都のように二十三区というものを抱えた都政を持っておるものもある。そういう意味における市という名前の制度がよいのであるかどうかということについては私も疑問を持ったんでございますが、少なくとも現在いわゆる市と呼ばれるところに住んでおられる人口がもう七割になっておるという前提に立ちまして、その七割を、ぐるりの農村と一体化して、地方生活圏構想によりまして活力ある均衡のとれた国土にしたいというのが私の真意でございまして、都市というものだけを偏重しておるという意味ではございませんので、この点御了解を賜りたいと存じます。私は都市に偏重したものを考えるのではなくして、中核になる都市と付近の農村、これが一体となった姿で潤いのある生活圏をつくっていきたい、こういう構想を述べたのでございまして、この点は御了解を賜りたいと思います。
  60. 吉原米治

    ○吉原委員 そうしますと大臣、後で通産省にも、これは聞きたいと思っておるのですが、都市部、少なくとも大都市からは、人口も企業も、あるいは筑波学園のように学校施設のようなものも地方へ分散するという、均衡のとれた国土の開発という基本構想からいきますと、そういう発想が出ておるのですね。ところが大臣は、いま都市部には七割も集まる、三割の農村、漁村地帯と連携を密にしてなんということをおっしゃるのは、これはあくまでも現状固定をする考え方のように私は受けとめるわけでございまして、この問題は、いずれ建設大臣とは、これからまた長いつき合いをさせてもらわなければいけませんが、ちょっと、きょうは時間が足りませんので、何かございましたら、ひとつ。
  61. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 大都市圏ですね、これを都市と考えて受けとめていただいたから、そういうふうに感じられたんじゃないかと思います。一月一日で全国に六百四十六、市がございます。私は、それらの市のことを言っておるのでございまして、できるだけ大都市圏の人口をこれ以上にふやさないように、できれば出ていっていただきたい。その都市を中心として、ぐるりの農村を入れて、ゆとりのある都市にしたいというのが私の真意でございますので、この点御了解をいただきたい。
  62. 吉原米治

    ○吉原委員 そこで定住構想の一つの目玉でございます工業導入特別地域が、昨年でございましたか十二道県指定をされております。出ていく企業にも、あるいは受け入れる自治体にも、それなりにかなり補助金がついております。昭和五十四年度の予算書の中にも、その補助金がまたかさ上げをされておりますが、一体、昨年一年──昨年一年という短い期間では、どうも統計上ぐあいが悪いとおっしゃるのなら、この制度は昭和四十七年度からできておるのですが、過去この指定をされました十二道県に企業が一体何社進出をし、あるいは誘導したのか、また、そのために、どのくらいの雇用創出ができたのか。これはひとつ通産省に、経過と、いろいろ努力されておるだろうと思いますが、その努力と現状等についてお答えを願いたい。
  63. 宮野素行

    ○宮野説明員 御質問にお答え申し上げます。  御指摘のように遠隔十二道県につきまして特別誘導地域という制度が本年度からつくられたわけでございますが、その制度によります工場の移転の状況、それから地方のその十二道県の雇用の増加の現状についてでございますが、まず工場の数につきましては、これも先生お尋ねの中でございましたが、五十三年度、本年度の数字はまだ年度が終わっておりませんので判明いたしておりませんが、五十一年度、五十二年度について申し上げますと、五十一年度、これら遠隔十二道県で百六十八の工場が工業再配置補助金の交付の対象になって新しく新増設されております。それから五十二年度には、工場の数で申し上げますと若干上向いておりまして、二百六十六の工場が対象になっております。  このような工場の遠隔十二道県におきます新増設によりまして、それならば雇用がどれだけ増加したかということでございますが、私どもが把握し得るのは工業再配置促進補助金の申請書に記入されました数字でございますが、この数字によりますと、五十一年度の雇用の増加は四千四百人余りでございます。また五十二年度には、これは工場数と同様にやや上向いておりまして八千八百人余りでございます。  簡単でございますが以上でございます。
  64. 吉原米治

    ○吉原委員 もっと通産省に、これから五十三年度の見通し、五十四年度の見通し等についてもお尋ねしたいのですが、残念ながら次の機会に譲りますので、ただいまのお答えで企業の誘導、進出それから新増設によって、それぞれ雇用が地方へ増大されておるという過去の経過についてだけお聞かせを願って、さらに一層今後、地方への誘導なり進出について御努力を願いたい。このことを強く要請をして次に進みたいと思います。  次は、これは河川局長にお尋ねをするものでございますが、特に定住構想とのかかわり合いで、国土庁は流域別に定住構想を打ち立てようとされております。そこで建設省所管の一級河川、全国で百九の水系がございますが、この一級河川の流水を利用して農業用水とか、あるいは工業用水あるいは飲料用水、たくさん利用されておるわけでございますが、どうもデータを見ますと農業用水が八一・三%、圧倒的に利用されております。私はもっと工業用水が多く利用されておると思いますが、出されました資料によりますと九・九%、非常に意外に少ない数字で、私ちょっといま、びっくりしておるのですが、少なくとも農業用水、工業用水に流水が利用される、それはまことに結構なことでございますけれども、そのことによって生活用水つまり飲料水に支障を来しては大変だと思います。少なくとも、みんな日本海なり太平洋側に一級河川は注いでおるわけでございますが、塩水の遡上による農被害あるいはその他の被害、たとえば岐阜県の長良川におけるウ飼いに支障を来しておるという長良川の河口ぜきの建設の問題も、その一つでございます。少なくとも塩水遡上によるいろいろな被害といいますか、というのが私はたくさん出ておると思います。もし、これは河川局の方で一級河川の中で、そういう塩水遡上による被害が把握されておったら、ひとつ実情を聞かしていただきたいし、もし把握されてないとするなら、一つの例を挙げて私はお尋ねしたいと思いますので、まず最初に、一級河川のそういった意味の現状把握はどの程度なさっていらっしゃるのかお尋ねしたい。
  65. 稲田裕

    ○稲田(裕)政府委員 お尋ねの水利用の状況でございますけれども、農業用水につきましては、いま先生お手元の資料、水利権の総計で確かに約八〇%ということでございます。が、これは取水の状況というのは農業用水と上工水というのは違いまして、農業用水につきましては灌漑期だけ取っておるというような状況でございますので、確かに、おっしゃるように水利権の数量から申し上げますと相当農業用水が多うございますが、年間の取水量ということで全国河川の概数を集計いたしますと、大体農業用水につきまして六八%程度、工業用水につきましては一八%程度、それから上水道につきましては一四%程度というふうな概数を得ております。それにしましても大体、河川での水使用の主体というのは農業用水であるわけであります。 それから第二点の塩害の状況でございますが、全国的な塩水の遡上問題に対する資料をただいま手元には持っておりませんけれども、おっしゃるように渇水時には若干、塩水遡上の問題を起こしている河川がございまして、たとえば利根川等につきましても過去に、やはり下流の大利根用水等の用水につきましては塩水遡上の実態等もございました。これらにつきましては、その後、利根の河口ぜきをつくる等の対応をした例もございます。現に長良川等につきましては現在、治水工事のためのしゅんせつ工事を計画しておるわけでございますが、これらに絡みまして塩水遡上の問題が危惧されるわけでございます。これらの河川につきましては今後、長良川等につきましても河口ぜき等で対応しながら、治水効果を上げるとともに、塩水遡上についての防止策を講じたいというふうなことを考えておるわけでございます。
  66. 吉原米治

    ○吉原委員 そこで河川局長にお尋ねをしたいのですが、これは中国地方の広島県が水源地になるわけでございますが、島根側、日本海に注いでおります江川の件でお尋ねしたい。  この江川は水量豊富でございますが、昭和四十四年十一月に、実はいろいろな条件がついて広島県側に日量三十万トンを分水をした経過がございます。工業用水で二十三万トン、飲料用水で七万トン、合計三十万トン広島県へ分水をした。そのことは事実でございますが、最近といいますか、昨年八月になりまして、この江川から飲料水の取水をしておるわけでございますが、大量の塩水が入った。塩素イオンが約四〇〇PPmという大変な塩水でございますが、この事件が起きましてから、地元でも、どういうわけだろうかということで、それなりにいろいろ調査を進めておるようでございますが、原因がつかめない。  私は、それなりに調査を今日まで進めてきましたけれども、その江川の上流にある土師ダム、このダムの操作でございます。特定多目的ダム法四条による基本計画が立てられて、その中のダムの操作規則、さらにその中の細則というところを見てみますと、流水といいますか、流入する量と放流をする量とのバランスが決めてある。しかも五月は幾ら、六月は幾らということで、恐らく四半期ぐらいに期間が区切ってあると思いますが、そういうダム操作規則の中の細則に見られるように、流入する量が多ければ多いほど放流をする量が少なくしてある。結果的には土師ダムの管理所が出しておりますデータを見ましても、広島県側に三十万トン分水すればいいわけですが、このダムの操作方法によって逆に島根側の方へ放流する量が三十万トン以下に抑えてある。  私どもは十年前に江川の分水問題で大変関心を持った一人でございますが、広島県側に三十万トン工業用水と飲料用水を上流で分水をしたという経過は承知をいたしておりますが、データからいきますと、分水したはずの島根側の方が逆に広島県から三十万トン分水してもらっておる、そういうデータになっております。これはつくった資料ではございませんから、資料を見ていただければすぐおわかりだと思います。少なくとも分水によって起こる被害は、建設省責任を持って対処されなければならぬ課題だと私は思っておるのです。  これは塩水が河口から十数キロの地点まで遡上しておるのでございますが、恐らく、あそこにございます山陽パルプの工業用水も、そういう意味では塩素イオンが高くなって、工業用水としての価値がだんだん落ちてきておる。そういう意味では地元では大変悩んでおるわけでございますが、早速、建設省責任調査をしてもらう。もし分水による被害だとするなら、私は建設省責任で飲料水の取水施設、そういうものも早速つくってもらわなければならない、こう思いまして、一級河川の水の利用について関連をして、ひとつ河川局長にしかと決意のほどを承っておきたいと思うのです。
  67. 稲田裕

    ○稲田(裕)政府委員 ただいまの土師ダムによる分水でございますけれども、先生御指摘のように、このダムにつきましては五十年から操作に入っております。基本的な考え方と申しますのは、一応下流の水利権につきましては、在来の水利に支障を与えないという限度内において、土師ダムを利用しまして高水なり豊水の水をためておく、しかる上に広島側に必要なときに流しておる。それにいたしましても、やはり下流の既得の水利がございますので現在、操作規則で定めておりますのは、広島県と島根県の境に都賀という観測所がございますけれども、この都賀という観測所の渇水流量が在来平均いたしますと約二十六トンぐらいになるわけでございますけれども、都賀の観測所におきまして約三十トンの流量を切るときには、そのダムに対する貯留並びに広島に対する自流からの分水は行わないということで、土師ダムに入ってくる水はそのまま下流に流すというふうなルールになっておりまして、これらのルール等につきましては当然、操作規則を定めるときに、県知事等の意見もお聞きして決めておるというふうな状況でございます。  それから、御指摘の去年の八月時点の状況でございますけれども、この時点には、都賀の地点の流量というのは、特に七月の下旬から八月、九月の上旬につきまして、全国的な非常な渇水の状況等から見てもおわかりと思いますけれども、非常に渇水になっておりまして二十トンを切っておる。その場合には、土師ダムにつきましては当然入ってくる水につきましては全部下流に落としておるわけでございまして、むしろ土師ダムにつきましては約百三十万トンという容量を持っておりまして、この容量でダム下流の灌漑用水等の不足には若干の補給をしておるというふうな実態の操作をいたしておるわけでございます。  いまおっしゃるように、下流の上水取水等において塩分の混入があったという事実は私どももお聞きしております。これらの下流の塩分の関係につきましても、私どもなりに四十八年からは、一応河川の水につきましては調査をいたしておるわけでございますが、この上水の取水につきましては、先生御案内のように、例の高水敷の方に十五メーター程度の井戸を掘って取っておるやに聞いておるわけでございますけれども、それに対して河川流量の塩分との関係がいかがなったかということにつきましては、私どもの方ではまだ調査はいたしておりません。河川の流量の塩分濃度に関する限りにおきましては、去年は若干は上がっておりますが、過去の例から見ましても、そんなに大きな数字はございませんし、また放流につきましても、自流につきましては、この当時のダムの操作につきましては下流に全部流しておるというような状況を現在、把握しておるところでございます。
  68. 吉原米治

    ○吉原委員 局長、土師ダムの管理所の月別の流入量、分水量、放流量、これは五十年からのデータがございますが、それを見ましても結果的には島根、広島の両県で約束した三十万トンの分水という性格が崩れておって、俗っぽい表現ですが、三十万トン売ったつもりのものが逆に三十万トンだけ島根側が買わされておる、広島県から島根が分水を受けておるというデータになっておる。これは必要なら差し上げてもいいですが、あなたのところにもあると思うのだけれども、少なくとも分水の結果によるダム操作、このことによって流量が減ってくる。減ってくるから勢い日本海の海水が十数キロの地点まで遡上してくる。これはもう素人判断でも明らかなことなのでございまして、時間が参りましたから、少なくとも建設省責任で、ひとつ調査をしていただきたい、このことをお約束していただけますか。
  69. 稲田裕

    ○稲田(裕)政府委員 土師ダムの操作につきましては先生お手持ちの資料を私ども、いま、ここに持っておりますけれども、操作につきましては、いま申し上げました操作規則の範囲内で操作しているということを確認しておるわけでございますけれども、下流の塩分の関係につきましては、在来から私ども調査いたしておりますけれども、今後とも、これの調査につきましては継続してやっていきたい、かように思っております。
  70. 吉原米治

    ○吉原委員 建設省責任で、ぜひひとつ調査をしていただいて対策を講じていただきたい。局長もそのことについては否定をされませんので、ひとつ建設省河川局の努力に期待をして、時間が参りましたから質問を終わります。
  71. 伏木和雄

    伏木委員長 午後一時三十分に再開することといたし、この際、休憩いたします。     午後零時四十二分休憩      ────◇─────     午後一時三十六分開議
  72. 伏木和雄

    伏木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。北川義一君。
  73. 北側義一

    ○北側委員 けさほどの質問で、既存建築物避難施設の整備、この問題につきまして、いろいろ論議がなされておったわけでありますが、ちょうど五十一年十一月に建築基準法の一部改正案が成立いたしました際に、遡及適用部分これにつきましては削除されたわけです。今日まで、この建設委員会でいろいろと論議をしてまいったわけでありますが、先ほどの答弁をお聞きしておりますと、いろいろ雑多な既存建築物がありますので、一律化したそういう法制よりも多角的に行政指導をやっていった方がいい、こういうお話がなされたわけでありますが、本来この問題につきましては住宅局長も御存じのとおり、中馬建設大臣の発言もありますし、また長谷川建設大臣の答弁、また附帯決議、このように法制化するということで一貫してやってまいったわけです。この問題は私、思いますのに、金がかかるから、また反対が非常に強いから行政指導にしたんだというのであるならば、これは非常に大きな問題があると思うのです。そうではなくして、答弁にありますように、やはりこういうやり方でも十分人命尊重の上に立ってやっていける、そういう御確信があるならば、これはやむ得ないことではないか、こう考えております。その点について、どうでしょうか。
  74. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 先ほども御答弁申し上げましたように、今回の問題は一年半かけまして十分討議いたしましてまとめ上げた技術基準でございます。したがいまして、全体的なコンセンサスを得ておりますので、これを反対があるから法制化しないのだとかいうような角度でなくて、本当にどちらの方が実効が上がるかという観点に立って、従来のいきさつも当然踏まえた上で判断したわけでございまして、私ども、これでもってむしろ十分実効が上がるというように確信しております。
  75. 北側義一

    ○北側委員 では具体的にちょっと詰めて聞いていきたいのですが、法律案の提出から行政指導にやり方が変わったわけですね。そこで、法律案として提出された場合と行政指導でやる場合の大きな相違点というのはどこにあるのですか。
  76. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 大きな相違点としまして、まず先ほどもお答え申し上げましたように、法律にいたしますと、どうしても技術基準が政令ということになりまして、もちろん、そういった弾力条項的なただし書きというものはつけるわけでございますが、実際の建物は、それにも増して非常に複雑でございます。たとえば大きな物販店があったといたしますと、その最上階に特売場を設けるのと、最上階を客が非常に少ない家具売り場にするのとでは、これは安全対策として非常に違います。そういった管理面の問題も含めて、きめ細かい対策ができるということが、行政指導の方がむしろいいというような感じを持ったわけでございます。  ただ行政指導法律と違いまして最終的な法的な担保ということに欠けるうらみがございます。この点につきましては私ども十分行政指導を強化し、最後の手段として建築基準法に基づきます十条の命令を発動して完璧を期したいというように考えております。
  77. 北側義一

    ○北側委員 今回、建設省から出されております「建築物防災対策要綱」これはずっと読ましていただいておりますが、要綱と技術的基準、これが書いてあるわけです。技術的基準は、これは読んでもわかりにくい、むずかしい問題が書かれてあるわけでありますが、たとえば、この要綱によりますと「改修期限等」について「対象建築物については、三年以内(病院、診療所、ホテル及び旅館については五年以内)に所要の措置を講じさせる」このように書いてあるわけです。一体、対象建築物というのは前の法制化の場合も今回も、そう大きな差はないように思うのですが、どれくらいの建築物の数があるのか。それとまた改修総額はどれほどになるか。それをまずお伺いいたしたいと思います。
  78. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 今回、対象にして悉皆調査いたしました件数が二千二百六十棟でございます。そのうち基準に合致しているもの、あるいは過去において合致していなかったわけでございますが、スプリンクラーの工事等とあわせて、もうすでに手直しが済んだもの、そういうようなものがございまして、実際に、これから手直しをしなければならないものは約千三百件というように私ども考えております。  その金額でございますが、特別措置法案を御検討いただいたころの金額は八百二十億でございましたが、それに対応する金額としては五百十億ということになっております。ただ先ほども中村先生にお話し申し上げましたように、すでに、そういったスプリンクラーの工事等とあわせて改修工事が進んでおります。したがいまして、今後やらなければならない工事というのは約百六十億というように踏んでおります。
  79. 北側義一

    ○北側委員 まあ二千二百六十棟、そのうち千三百棟ですか。たとえば、やはり技術基準によりまして、先ほど言われたとおり本来ならば法制化された場合には、やらなきゃならない、そういうものであっても、いわゆる物は焼いてもいいが人間の生命のとうとさ、それで人間だけを退避さす、そういうことで全然いらないでもいいような、そういう建築物も出てくるわけですね。それは何棟くらいあるのですか。
  80. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 二千二百六十棟のうち改修を要するものが千三百棟でございますから、約九百数十棟は改修が要らないというようなことに相なります。
  81. 北側義一

    ○北側委員 そこら今度の行政指導によって、この九百棟は全然いらわないでもいい、こうなっておるわけですね。先ほど私お話し申し上げましたとおり、やはり何といいましょうか法案提出を行政指導にした。これがお金のためであるならば、あくまでもやはり人命尊重の上から大変これはけしからぬ行為である。こう私たちは思っておるわけなんです。そういう点で相当やはりこの問題については、これは行政指導についても慎重にやらなければいけないのじゃないか、こういう考えを私持っておるわけです。  また、そういう何といいましょうか行政指導──行政指導というのはどういうものか。これは各論まちまちで、一般的には行政機関が相手方の同調協力を求め誘導することによって、その意図するものを実現していこうとする作用である、こう言われておるらしいのですね。先ほどの話によりますと相当期間が経過しても所用の措置が講じられない場合には建築基準法の十条の規定を活用してやっていく、こういうお話なんです。  そこで、この「改修期限等」によりますと一応、三年で大体これをやっていこうとするわけですね。実は昭和四十九年六月に消防法の一部が改正されたわけですが、それでスプリンクラー、自動火災報知機、誘導灯などの設置が義務づけられたわけです。このうちスプリンクラーの設置状況、これを消防庁からの資料で見ますと、五十三年十月一日現在で百貨店で設置済みは九六・五%、工事中、計画中を含めると九八・九%、特定複合用途いわゆる雑居ビルですか、これは設置済みが八五・八%、工事中、計画中を含めると九六・五%、地下街は設置済みが九二・七%、工事中、計画中を含めますと一〇〇%、こうなっておるわけですね。これは、いままで、すでに相当の年月を要して法律で締めて、これだけ、わりかたいい数字で出ておりますが、法律でやって、こういう状況なんですね。果たして三年で行政指導をやって、そのような改修ができるのかどうか、こういう疑問を私は持っておるのですが、その点はどうでしょうか。
  82. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 今回の技術指針につきましては、一年半にわたりまして十分こちらの防災に対する考え方も理解してもらい、そしてまとめられた案でございます。したがいまして、私ども法律と同じように十分協力してもらえるというように考えております。
  83. 北側義一

    ○北側委員 では次に、今度、新しく中小雑居ビルに対する措置も出ておるわけです。これは非常にいいことであると私は考えておるわけです。しかし、この要綱を見ますと雑居ビルなどが相当入ってくるのじゃないか。「三階以上の階におけるその用途に供する部分の床面積の合計が百平方メートル」ですから、相当の数になるのじゃないか、こういう見方をしておるのですが、一体どれくらいになるのですか。
  84. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 雑居ビルにつきましては的確な資料がございません。しかし、いろんな統計等から判断いたしまして、私どもは約三万の数に上るというように考えております。したがいまして、この点につきましては消防庁と緊密な協力をとりまして、そして共同して、その指導に当たりたいというように考えております。
  85. 北側義一

    ○北側委員 これは相当数に上るように思うのですね。三階以上が百平米以上ということになりますと、少し大きなビルは全部これにひっかかると思うのです。 そこで、この要綱によりますと「随時防災査察を行い必要な措置を講じさせる」と書いてありますね。それと「中小雑居ビルの特性に対応し得る弾力的な指導指針を作成して」云々とありますが、この指導指針というのはどういうものなんですか。
  86. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 特殊建築物も複雑でございますが、中小雑居ビルの場合にはもっと多種多様でございます。したがいまして、一律の技術基準というものがなかなかつくりにくいという問題がございます。したがいまして私ども、そこに書いてございますのは、いろんな事例研究的なものをたくさんやりまして、その事例研究をいろいろ公共団体に流すことによりまして、そういったいろんなケースの判断をしてもらうというように考えております。
  87. 北側義一

    ○北側委員 では、この問題はこの程度にしまして、次に進んでまいりたいと思います。ひとつこれからも、この防災の問題につきましては、いろいろと成り行き等をお聞きしたりして、こちらも勉強してまいりたい、かように考えております。  次は、国土庁にお伺いするのですが、去る一月三十日に五十四年公示地価動向の速報、これが発表されたわけです。全国平均の地価五・一%、三大都市圏住宅地の値上がり八%、こういう非常に急激な値上がりを示しておるわけです。いままで、たびたび予算委員会等でも長官お答えになっておられるわけですが、これらの地価上昇の原因と今後の地価動向をどうお考えになっておられるのか、それをまずお伺いしたいと思うのです。
  88. 山岡一男

    ○山岡政府委員 地価の値上がりの要因といたしましては、大まかに分けまして三つくらいあると思います。一つは、当該土地の効用の増によるものでございます。たとえば素地が造成されたとか近くに駅ができたとか、そういう効用増によるものでございます。それから一つは、需要に対して供給が少ない、いわゆる需給がギャップに基づくものでございます。もう一つは、転々売買を行いますような投機的な土地取引による値上がりでございます。大まかに分けますと、その三つが土地値上がりの原因の主因であろうかと考えております。  そのうち、今回の東京都を中心といたします大都市近郊の土地の値上がりの中で原因と目されますものは効用増によるものと需給ギャップによるものでございます。  今後の見通しということでございますけれども、今後、諸般の対策を講じて安定化対策私進めていくわけでございますけれども、大体、景気も緩やかながら回復をいたしておりますが、その他、住宅建設の状況それから設備投資の状況、公共事業の用地の取得状況等々から見ましても直ちに急激な増加はない。ことに安定化対策の一環といたしまして国土法の運用なり税制によります抑制効果なり相当働くと思いますので、かつてのような暴騰はないというふうに考えております。
  89. 北側義一

    ○北側委員 かつてのような騰貴はない、あったら困るのですね。あれはむちゃくちゃですよ。地価公示価格が年間三〇%も三二%近くも上がるなんというのは、これはもう異常なんです。そんな騰貴はない、それはもう当然のことなんです。  しかし、私ずっといろいろ調べておるのですが、少なくとも去年の後半からかなり上がっておることは事実なんです。地価公示を見ましても、去年の前半と後半では全然上がり方が違うのですね。その上がる原因、これはいま言われたような二つの問題、開発利益の問題と需給ギャップの問題、こうおっしゃっておられるわけですが、それは後からお聞きをすることにしまして、いま申し上げましたとおり、去年一年間の地価上昇の状況を見ておりますと、やはり後半からずっと上がってきておるということが言えるのですね。  私は、今回の値上がりの大きな原因というのは、やはり需給ギャップにあると思うのです。開発利益もあるでしょう、あるけれども需給ギャップの方が大きいと思うのです。国土庁長官も名古屋圏にお住まいですから御存じのとおり、最近、私の知っている範囲で見ておりますと、マンションの建設用地それから建て売りの住宅の用地、そういういわゆる建て売りが建ったりマンション建設が進んでおる地域、こういう地域においては非常に宅地供給が少ないので、業者間では取り合いみたいになっているのですね。価格はぐんぐんつり上げられている、これが実態なんです。  そういう状況の中で、御存じのとおり大都市近辺の土地所有者というのは非常にお金を持っているわけです。相当な金持ちばかりですよ。だから金があるわけですから、別にあわてて売らぬでもいいわけです。たとえば何か事業をしようとか、お嬢さんがお嫁にいくとか息子が嫁をもらうとか、そういう場合には売るようなこともあるでしょうが、それ以外は余り土地を売らないのです。だから少ないから、そこで業者で非常に値がつく、競り合ってつり上がっていく、こういう状況が一番ひどいのじゃないかと私は思うのです。  今回見ておりますと土地税制、これは緩和のあめの方だけ通ったのですね。通るか通らぬかわからぬけれども、一応本会議で、そういうあめの方だけが出ておるわけです。このあめ法だけで果たして東京や大阪なんというところで土地が出てくるだろうかという疑問を持っておるのですよ。長官、これはどうお思いになりますか。
  90. 山岡一男

    ○山岡政府委員 土地税制で今回改正いたしますのは、需給ギャップを解消するということを目標といたしまして、宅地供給促進ということにしぼって改正が行われるわけでございます。その場合に、税制だけで宅地供給を促進しようということではございませんで、他に建設省等でいろいろ講ぜられます財政上、金融上の措置、それから関公に対する措置、再開発によります住宅建設の促進、線引きの見直し等々の他の施策の一環といたしまして、この税制の改正を行うということでございます。従来の税制でございますと、たとえば公的なものが用地を買いにいきましても四分の三の総合課税でございました。公共的なものでもそうでございますし、一般にも四分の三の総合課税という、きつい税制でございました。そういうものに対しまして、今回いいものに対しては穴をあけるということでございますので、私ども大いに供給効果が上がるというふうに確信をいたしております。もちろん他の施策と合わせて、この税制を活用してまいりたいと考えておる次第でございます。
  91. 北側義一

    ○北側委員 第三次全国総合開発計画、これは国土庁の試案によりますと、昭和五十一年から六十年までに住宅の建設が大体千六百八十一万戸となっておるのですね。それで、この住宅建設に伴う新規宅地開発面積、これはもちろん街路とか学校とか公園、こういう環境スペースの新規土地、これを含めて五十一年から六十年までに約二十九万ヘクタールから三十五万ヘクタール要ると言っているのですよ。そこに基準を置いて物を言ってもらわぬと困るんです。これはやはり国土庁が出した試算ですからね。これを基礎にして、一体どれくらい宅地供給されるか、私はそういう見方で物を言っているのですから。それは幾分か出ますよ。幾分か出ると思うのですけれども、それ以外にどういう宅地供給のやり方を考えておられるのですか。
  92. 山岡一男

    ○山岡政府委員 現在、第三期住宅建設五ヵ年計画では五十一年から五十五年までに六万六千ヘクタール、それから三全総では五十一年から六十年までに十二万八千ヘクタール、当面の目標といたしまして年平均で一万三千ヘクタールくらいの宅地供給が必要だと考えておるわけでございます。従来は一番多かった昭和四十六、七年には一万四千ヘクタールの供給がございました。現在それが約一万ヘクタールの供給に減っておる。したがいまして、その三千ヘクタールの需給ギャップにつきまして、先ほどのような税制その他、建設省等で講ぜられます諸施策をかみ合わせまして、総合的に宅地供給を促進してまいりたいと考えておる次第でございます。
  93. 北側義一

    ○北側委員 長官が五日の衆議院の予算委員会で、現在の国土利用計画法や土地税制、または市街化調整区域の見直し等やって宅地供給を、こういう発言をなさっておられるわけですね。これらについて私いろいろ考えておるわけですが、たとえば一つの例が市街化調整区域の線引きの見直し、やはりこれはやらぬといかぬと思うのですが、しかし、これとて、そう大きな土地が出てくるわけじゃないと思うのですよ。たとえば三大都市圏で今度の十一月一日までに見直しをやって、そして完了した地区が百四地区、そのうちで三大都市圏では二千五百五ヘクタール、全般の二・一%しかふえてないのですよね。線引きの見直しをやっても、そんな大きなあれは出てこないんじゃないか、こういう考え方をしておるのです。  というのはなぜかといいますと、線引きの見直しをしますと市街化区域に編入される。ところが、その受け皿となる地方自治体では、都市整備のための財政負担が非常にふえてくる、そういうことで線引きの見直しに消極的になっていく。それと、いま一つ心配なことは、列島改造で企業等が買い込んだ土地が二万ヘクタール以上あるというのですね。そういうところへ線引きの見直しをやると、また非常に困るのです。いろいろな問題が国民的に出てくると思うのです。  そういうことで、大臣が言っておられたやり方も、なるほど、あるでしょう。ありますが、とてもじゃないが、いま土地局長がおっしゃったような宅地供給というのは非常にむずかしいんじゃないか、もっと抜本的なものを考えなければいけないんじゃないか、こういう考えを私は持っておるわけなんです。  これは一つの資料です。何も私、地価公示が正しくないとは言っていませんよ。言っていませんが、実はこれは住宅新報なんです。昭和五十二年十二月十五日現在の地価が書いてあるのです。こちらは五十三年十二月十五日、五十二年と五十三年の地価動向が書いてあるわけです。それを抜き出したのがこれなんです。この住宅新報の地価調査、どういう方法でやっているかといいますと「各沿線に調査員を派遣して、沿線の各駅から徒歩で十分ないし十五分の住宅地(分譲地、宅地見込み地も含めて)を対象に、複数の不動産業者から取引事例に基づいて、面接によって調査したものです。」こういうことなんです。面接によって調査したものなんです。いまお渡ししました表を見ますと、比較的高いところを抜き出してみたのですが、沿線別にずっと見ますと、大体二〇%以上ほとんど上がっているのですよね。だから需要が強いところは平均二〇%ないし三〇%、間違いなく上がっているということです。  たとえば、いろいろな業者とか土地関係の学者とか、いろいろな人の話を聞きますと、地価公示で三大都市圏で八%、平均ですから八%になるのか知らぬが、実際、庶民が最も必要な土地というのは二〇%か三〇%上がっていると言うのですよ。実は、この前の昨年でしたか、委員会で私がお話し申し上げたとおりなんですよ。  こういう状況の中で私、思うのですが、宅地供給に対する考え方、これがいまのような考え方では恐らく出てこないのじゃないか、地価の値上がりというのを抑えることもできないのじゃないか、そういう心配を私はしておるわけです。これについて、どうですか。できたら国土庁長官考えも一遍聞きたいのですがね。
  94. 山岡一男

    ○山岡政府委員 いまの資料、拝見いたしました。特に取引事例によるということでございます。こういうふうな値上がりが全然なかったとは言い切れないと思います。私ども現在、昭和五十四年一月一日に公示をいたします地価公示の中身について検討いたしておりますけれども、特に、あの資料でも値上がりしております田園都市線等につきましては相当な値上がりを見ておると、まだ最終的な数字は固めておりませんが、考えております。  ただ地価公示の点につきましては地価公示法二条に定めておりまして、正常な価格について公示をするという立場でございます。これは第二条二項に定めておりますとおり「自由な取引が行なわれるとした場合におけるその取引において通常成立すると認められる価格」ということでございまして、実際のこういう取引事例の中には、いわゆるミニ開発の敷地でございまして、敷地だけでは売買できないので小価格の建て売り住宅として売るというふうな底地も入っておるだろうと思いますし、特に効用増の激しかった田園都市線沿線の開発利益等も含めた値段が入っておるというようなことであろうかと思います。  いずれにいたしましても地価の値上がりの要因が需給ギャップということでございますので、今後、地価の安定化のための対策ということにつきましては、需給ギャップに対しては宅地供給の促進に努めるしかないということでございます。そのための対策は、先ほど来申し上げておりますように、建設省におかれましても相当な予算、相当な前向きな姿勢で、いろいろなものに取り組んでいただいております。  さらに投機的な土地取引が今後、一番心配でございます。したがいまして、地価の安定化のためには国土法の適確な運用というのが一つございます。二千平米以上の範囲でございますが、国土法によります適正価格の運用は今後も厳正に行ってまいりたい。  もう一つは税制による抑制でございます。これにつきましては、短期の譲渡に対する重課制度、それから法人の重課制度、特別土地保有税の制度、それから優良な宅地以外の長期保有に対します四分の三の総合課税、あらゆる面で投機的な土地取引を抑えるという意味の税制は完備しておるわけでございます。  さらに最近も、そういうふうな土地投機にならないように大蔵省にもいろいろお願いいたしまして、融資の規制等につきましても、不要不急なものについては土地投資についてはこれを差し控えるということについて厳しく指導していただいております。  それらの点を総合的にやりまして、土地投機を何とか防ぎながら今後は供給に一生懸命努めるということで、こういう対策に万全を期していかなければならぬのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  95. 北側義一

    ○北側委員 土地投機は当然抑えなければいけないと思うのですが、私は法律をずっと見ておりまして、たとえば国土法とか、土地税制とか、地方自治体の開発指導要綱とか、皆一致してないんですね。ばらばらなんですよ。整合性がないんです。たとえばミニ開発はいかぬなんて言ったって、国土法では二千平米以上は規制をされます。知事が公示価格を目安に不当に高いと判断した場合は取引価格の値下げ勧告をすることができる、こうなっておるのですね。だから当然二王平米以下にする。地方自治体の方では開発指導は千平米以上、以下については要らない場所もあるのですね、低く三百平米ぐらいになっているところもありますが。ですから結局ミニ化したら、もうかるのですね。それと自分の得ておる所得、それから住宅価格、これを考えたらミニ開発しか買えないのです。また売れないのです。そういう根本的なことをそのまま野放しにしておいて──やはり根本的なところから問題を詰めていかなければいけないのじゃないか、私はこういう考えを持っておるわけなんです。  実は私、昨年の二月十日でしたね、建設委員会土地の公示価格と市場での取引価格の格差について論議したわけです。法律ではいま山岡さんが言われたようなことが書いてあるわけです。しかし最近こういうことを言われておるのです。公示価格何万円ですから、その二割アップが大体売買相場ですよというような話はどこへ行ったってされていますよ。  それだけじゃないのです。御存じのとおり昨年の七月に、財政難で苦しんでいる東京都が、早稲田の都有地九百二十平米ですか、それを坪百四十万四千二百十九円で売ったというのですね。この土地の都の規準価格は坪七十五万八千四百四十二円。大田区の石川町というところがあるのですが、ここでは都有地を二百六十七平方メートル、これも処分したらしいのです。坪九十万九百四十六円、公示価格は四十五万二千八百九十二円、倍にはいかぬけれども約倍ですね。そのほか三点ほど都の方が処分しておるのです。都民の財産であるから高く売りたい、これは私よくわかるのです。また、そうしなければいけないと思うのです。しかし、そうなった場合に地価公示というものは一体何だろうか、地価公示の精神というのはどういうものなんだろうか、こういう疑問を私自身が持たざるを得ないのですよ。それについてはどうなんですか。
  96. 山岡一男

    ○山岡政府委員 公示価格は先ほど申し上げましたとおり正常な価格を公示をするというたてまえになっております。ところが、巷間やはり公示価格はマル公であるというふうな誤った観念がございます。公示価格はマル公ではないのでございまして、実際には、その公示価格は一つ基準地の正常な価格でございます。そして、それに規準というふうに規の字を使っておりまして、公共団体等では、のり準価格と称しておりますが、たとえば基準地の値段が十万円であるという場合に、それと比べてさらに品質、品位、品等の高いところにつきましては二十万円でも三十万円でも規準をした価格であれば、それが公示価格を規準とした価格というわけでございます。したがいまして、そういうふうな規準をした結果を比べて割り高だというふうなことをおっしゃる方もございます。  それからもう一つには、やはり国土法の運用の中で著しく高いものについてはいろいろと御注意申し上げるというふうな制度になっております。元来、自由な契約に公的に介入するわけでございますから、その著しいという判断がございます。その著しいの判断の中で上限的に二割程度認めておるというところも地方公共団体にはございます。そういう意味のことも半面伝えられている点があろうかと思います。  ただし最近におきまして、たとえば建設省の、これは他省の資料で申しわけないのですけれども、直轄が購入しておりますいろいろな件数一万件の中で大体、公示価格の一〇%を超すというものは八十件にすぎなかったという実例もございます。最近そういう話がございますので、東京都内におきまして近郊のいろいろな土地を実際に公的団体が買ったもの二十二件を取り出しまして調べてみました。半数以上、六割が大体一〇%以内のオーバーというところでございまして、それ以上オーバーしているもので二〇%以下にあるものもございましたけれども、いろいろ特殊な事情があったということでございます。  それから東京都の土地売買でございますが、やはり公的団体が土地を売ります場合には地価公示法、国土法におけるいろいろな規制の枠外でございます。したがいまして、東京都等が土地を売ります場合も公示法の精神にのっとっておやりになるだろうというのが法のたてまえでございますけれども、先生おっしゃいますとおり都民の財産でございますので、できるだけ高く売りたいということで競売を行ったということでございます。競売の場合に生じます値段は、いわゆる買い進みという値段でございます。先ほど申し上げましたような正常な価格の範囲を逸脱するものでございます。したがいまして、その売買実例はいわゆる地価公示の際の売買実例にはならぬものでございますけれども、片一方におきまして公示価格による適正価格を強要しながら、片一方におきまして、そういうふうなものを公的団体が行うということは、いかにもけしからぬということでございまして、これについては東京都にも十分いろいろなお話をしてございます。東京都も、地価公示価格等の規準をした価格を中心といたしまして、今後、土地の売り払いについては十分考慮するということを申しておるのが現状でございます。なお、これにつきましては法令上の問題も若干残っておると思います。そういう点につきまして関係省とも十分詰めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  97. 北側義一

    ○北側委員 地価公示価格といわゆる市場価格の売買価格と同じような価格だと一番いいわけです。しかし実際はそうじゃないというのが一般的な見方でありますし、また事実、東京都の例を引きましたが、やはり必要な人は非常に高い価格で買っておるということです。  そこで私は思うのですが、たとえば、この地価上昇の原因に先ほどお話しになりましたとおり開発利益というのが含まれておる、こういうことなんですね。ちょうど地価公示法が昭和四十四年四月から建設委員会審議されたわけですね。私も質疑を行った一人ですが、その当時の議事録を見ますと、こういうことが言われておるわけです。坪川建設大臣地価抑制、地価安定のために次のように答えておられます。「いわゆる開発税の問題、これもやはり土地税制に関連する重要な問題でもありますが、これらにつきましても、やはり空閑地税とともに私は前向きの姿勢で検討を加えつつあるということで、建設省の方針を御理解願いたいと思うのでございます。」こういうことを言っておられるわけです。  それとあわせて、地価公示法の議決の際、四党で附帯決議がつけられました。その二つ目にこう書いてあります。「一般の土地取引においては、公示価格を一定限度以上越える譲渡差益に対する課税の強化、同区域内の」同区域内というのは市街化区域のことですが「未利用地の利用促進を図るための空閑地税の創設等土地税制の積極的な改善を推進すること。」こう言われておるわけです。  いつも委員会で論議して大臣がいろいろなことをお答えになり、附帯決議がつけられる。しかし余り実行されておらぬのですね。たとえば、ここにある開発税の問題とか、未利用地の利用促進を図るための空閑地税の創設とか、そんなこと検討なさったことがあるのですか。
  98. 山岡一男

    ○山岡政府委員 地価公示法案が成立いたします際に附帯決議がついておりました。第二の中にいま先生のおっしゃったとおり載っておるわけでございます。この件につきまして、まず「公示価格を一定限度以上越える譲渡差益に対する課税」を強化しろというのがございます。これはできたわけでございます。それから法人譲渡益重課制度につきましては、国土利用計画法等による適正価格の審査を実施いたしておりまして、全くそういう制度に乗ったということでございます。それから空閑地税でございますけれども、空閑地税につきましては、実は私が申し上げるのがいいかどうかわかりませんが、政府税調等におかれましてもたびたび論議をされたところでございます。しかし、空閑地の定義とか徴税技術の問題等がございまして、なかなかむずかしいということでございまして、現在、特別土地保有税というのは空閑地税に準ずるものと申しますか、空閑地税に類似の意味を持っておるものということで現在行われておるとわれわれ考えておる次第でございます。なお固定資産税とか都市計画税につきましても三年ずつの見直しというのは厳正に励行されておるところでございます。
  99. 北側義一

    ○北側委員 たとえば開発利益が地価を押し上げておる、先ほどこう言われたのですが、そっちの方はどうなっていますか。
  100. 山岡一男

    ○山岡政府委員 開発利益の吸収につきましても、現行税制はいろいろ多目的でございますけれども、長期譲渡所得に対しまして総合課税を行う、それから短期譲渡所得に対しては四〇%以上の分離重課を行う、それから四十四年以降取得土地の法人の土地譲渡につきましては一般の法人税のほかに二〇%の重課を行う等々の税制によります開発利益の吸収が十分行われておるというふうに考えております。
  101. 北側義一

    ○北側委員 私は余りそう思わぬのですがね。たとえば鉄道が通ったり高速道路のインターチェンジができたりすると一遍に地価が上がっていますね。税金で取っておると言ったって、その上がり方はひどいですよ。これは幾つもそういう例はありますよ。だから、そういういろいろな形でやっておられるようなんですが、何というか核をつかんでいない、私はそう思うのです。  そこで、これは両大臣、一遍私がいまから言うことを聞いておいてください。それでお答えいただきたいのです、局長にばかり言わさないで。今回の宅地供給の促進には、初め建設省国土庁の案では、あめの土地税制の緩和と、むちの農地の宅地並み課税の強化、これから成っておった、私はこう聞いておるのです。それで、むちの分がなくなって、あめのみが残った。むちが除外されたわけですね。除外されるには除外される原因があったと思うのです。  たとえば、農地として利用しているので農業採算に見合った課税にするのが当然だ、こういうふうな農民の意見もありますし、また先祖伝来の農地に愛情を持っておるので農業をあくまでも続けたい、こういう意見もありますし、また都市に緑を残す意味からも農地をつぶせない、こういう意見もあります。また、都市計画がきちんと定まっておらないのに、いたずらに農地を減らすべきではない、こういう意見を言う人もあるのです。また、都市に対しての新鮮な野菜の供給源である、こういういろいろな意見が言われておるわけです。  そこで実は、ある経済評論家が次のようなことを言っておるのです。すなわち選択的宅地並み課税を取り入れたらどうか、こういうことを言っておるのです。どういうことかといいますと、農業を続けたいかどうか農民に選択してもらうということです。農業継続の意思のある人には初めから税金を農地評価とする。A、B農地などつくらぬで農地評価としてしまう。かわりに、その土地は少なくとも二十年間ぐらいは農地以外に使用できない。これに該当しない農地については一〇〇%宅地並み課税、宅地としての取り扱いをする。こういう意見を言っておる人がおるのですよ。  私、先ほどからお話ししておりますとおり、これから特に住宅の一番問題なのはやはり東京と大阪なんです。ここが解決しますと住宅問題は解決したと言われるんじゃないかと思うのです。幾ら宅地供給したって、人の寄らぬような宅地供給したって仕方がないですから、一番人が寄って、一番宅地に困っておる、そういうところに宅地供給しなければならないわけです。ということになりますと、やはりこれは三大都市圏地価の値上がりの一番激しいところ、こうなるのじゃないかと思うのです、物の道理としては。こういう意見があるのですが、宅地供給という面から、この三全総で言われた、これだけの宅地供給が六十年までにできるのかどうか、そういう点をにらみ合わせて、こういう考え方を言っておる学者があるので、これに対してどういう意見を持っておられるか、私それをお聞きしたいと思うのです。
  102. 中野四郎

    中野国務大臣 見識ある意見だと私は高く評価をします。ただ問題は、三大圏という言葉を、そのまんまにどうも受け取りにくい面が私らの胸にはあるのです。それは東京圏とかあるいは近畿圏、端的に中部圏と言いますけれども、現在、地価の値上がりするところを見ておりましたり、供給需要バランスが崩れておるところを見ますのは名古屋なら名古屋の周辺だけでありまして、たとえば中部圏の中に属する大部分のところが営農を継続したいという考えの農民の非常に多いところでありますから、一律に考えていいかどうか、それぞれ検討してみる必要があると私は考えますが、非常に尊重すべき御意見と思います。
  103. 北側義一

    ○北側委員 尊重すべき意見と言われても実際、動かなかったらどうしようもないわけですよね。やはり大阪、東京というこういう大都会ですね、本当に住宅実態というのは物すごく悪いのです。というのは、ぼくはまだ質問の時間があるから、あとまだ、ずっとその実態がどういう実態かというのを続けていきますがね、それを聞いていただいたらわかると思うのです。  大蔵省お見えになっていますか、ちょっとお聞きしたいのですが、今度の土地税制の緩和で一つ、千平米以上の一団の住宅地造成の用に供するための土地譲渡があります。千平米以下は結局、今度のあめには入らないわけですね。そこでお伺いするのですが、土地税制も一律でやっていいのかという疑問が実は私はあるのです。一つは、東京や大阪みたいな、ああいうところで千平米の土地というのはなかなかないということです。いま一つは、坪三十万も四十万もするから莫大な金が要るということ。だから何かしら考えてみると本当に住宅地が欲しいところ、そういうところには余り供給されぬような感じが、私はこれを見ておって、するのです。そういう感じがするのですがね。  それといま一つは、たとえば、その次にこう書いていますね。「都市計画区域内において行う五十戸以上の一団の住宅又は三十戸以上の中高層耐火共同住宅」これ以下だったらいかぬというわけです。ところが地方自治体の開発指導要綱を見てください。二月のときは負担金は少ないのです。十戸、二十戸、三十戸になったら、たくさん建てば建つほど負担金が要るのです。これは地方自治体としてもやむを得ないと思うのです、財政負担が非常に大きくなるから。だから国でやっている措置というものと地方自治体の開発指導要綱と比べると、これは全然違うことをやっているのだ。なるほど私は決して、これは悪いと思いませんよ。それは優良な宅地供給するためには、この程度はやむを得ぬかなという考え方も幾分かはするのです。しかし、それだったら地方自治体の開発指導要綱というものをもう一遍よくここらで調整する必要があるのじゃないか、私はそういう気がしておるのですよ。その点はどうですか。その調整をなさったことはあるのですか。
  104. 水野勝

    ○水野説明員 お答え申し上げます。  確かに今回の改正につきましては一千平米という一つ基準なり五十戸あるいは三十戸という基準を置いておるわけでございます。この点につきましては、一戸一戸なりがいかに優良なものでございましても、やはりその地域全体といたしまして適切な公共施設が配置されておる団地でございますとか、一定の空間が確保されております優良な住環境、こういったものの開発と申しますか、そういう宅地の開発が促進されることをねらいとしております観点からいたしまして、千平米等そういった戸数の枠を置いておるわけでございます。  確かに先生のお話のように、開発指導要綱の基準とは若干ずつ違う面もあろうかと思いますが、やはり私ども必ずしも専門でございませんので十分承知はいたしておりませんが、開発指導要綱の面につきましては、それぞれ必要ないろいろな観点からの規制もあろうかと思います。私ども税制といたしましては、やはり税制、特に今回の改正のように税負担を軽減する改正でございますので、土地というものにつきましての、いろいろな国民の皆さんの感情がございますので、その負担を軽減するという観点からいたしますと、やはり一定の規模以上の一定の質の確保された住環境に結びつくようなものにつきまして改正をさせていただいたという税制の観点からの枠でございまして、ほかの観点からの枠とは調整をされたかというお話でございますが、そうしたことは必ずしも十分はいたしておるとはお答えはできませんが、やはりそれぞれの観点からの枠なり規制なり制限があっても私どもとしては差し支えないのじゃないか、こんなふうに考えておるわけでございます。
  105. 北側義一

    ○北側委員 時間がないので余り深くずっといけませんが、しかし本当におかしいのじゃないかと思うのです。たとえば千平米という宅地、これはちょっと、やはり全国一律にするところに非常に問題があるのじゃないかと思うのですよ。片一方では坪五万円から十万円というところがあるでしょうし、片一方では坪六十万円もするところがいっぱいあるのです。そういう坪六十万も五十万もするところが実際、住宅に困っているのですよ。そこで、こういう千平米を決められてしまうと結局また土地が出てこないですよ。ちょっと探してもないのじゃないかという感じを受けますね。  私は大阪市内の平野区という一番端の方ですが、八尾、松原、あの辺はずっと猛烈に家が建っていますよ。あそこはどっち見たって千平米なんてないですよ。そのように住宅地の一番必要なところが住宅が建たないと思うのですよ、宅地供給ができないと思うのですよ。将来的には、宅地供給できないで超過密を防ぐのがいいのかどうかわかりませんよ。しかし、少なくとも一般の庶民の人が住宅を求めておる、そういう地域では非常に少ないのじゃないか、こういう枠をはめるから。こういう感じを受けるのです。  それで指導要綱の方は、二月建ての方は負担金が安いけれども、数がふえればふえるほど負担金が一戸二百五十万もついてくる。だれが負担するかと言えば全部、入居者が負担する。やはりそこら辺を考えてもらわなければいかぬと思うのですよ。そうしなければ、結局だれが全部そういう負担をして困るのか、結局入居者が困るのです、住宅難で苦しんでいる人が困るのです。そこらはやはり配慮して、この法律をつくったかどうか、私はこれを読んだとき、こういう疑問を持ったのです。なかなか買えといったって買えないだろうけどね。だからやはり、いま言われたように、もうミニ開発をやる以外にないのですよ、いかぬなんて言ったって、やる以外に手がないのです。それへ何らかの手を打てないのですから。手を打とうとしても実際打つような手が、いまないのですよ。だから私は、先ほどの経済評論家のああいう意見も一遍言ってみたのです。  それと、先ほどお見せしましたとおり、大体二〇%近く上がっているというのは事実なのですよ。これは間違いないのです、大都市周辺の地価というのは。だから、たとえばいま住宅金融公庫で融資枠を拡大したり返済期間を延長するというような、こういうことでは、とてもじゃないが持ち家の取得というのは容易ではないと思うのです。というのは、住宅金融公庫の利用者の調査報告書というのがあるのです。これを見ますと、借りる人がだんだん所得がずっと減ってきておるのです。この報告書を見ますと低所得の人が借りるようになっているのです。だから、もうこれについても持ち家は困難だというような考え方ができるのじゃないかと思うのです。  たとえば建設省の資料に基づいた標準宅地二百平米、住宅百平米、東京都区部で三千九百十七万、三鷹市で三千百十七万、大阪市で二千九百二十一万、京都市で二千六百二十五万、こうなっております。これはまだ二年か三年前の価格ですから安いのです。いまは、もっと地価も上がっているし建設資材も上がっているから、もっと高くなっていますよ。ということになりますと、普通の一般の方ではもう家を持つことはできない、こういう事情が出てきているのじゃないかと思うのです。そうしますと大都市周辺の低所得者が頼るのは結局賃貸住宅以外にないなということなのです。それ以外にないわけです。  そこで公団住宅や公営住宅を見てみますと、これも非常に問題があるのです。公団住宅も、たとえば高いとか遠いとか狭い、こういう三条件で非常に不人気である。空き家がうんと出ておる。これは公営住宅についても、建設する地方自治体や住宅公団ができるだけ安い地価のところをねらって建設しようとするのです。だから当然これは遠くなるのです。安い家賃のコストで上げようとするから狭くなるのです。それでも、なお高家賃ということで、住宅で困窮する人々も、いま自分が少々不満がある住宅でも、しんぼうして、ずっとおろうか、こういうのがいまの実態ではないかと思うのです。  このような実態から、公共賃貸住宅の建設について、やはり見直しをやるべきときが来たのじゃないかと私は思うのです。それは何も全国的でなく、たとえば住宅難の激しい地域、そういうところだけでも、この公的賃貸住宅の建設に対する見直しをやらなければいけないのじゃないか、こういう考えを持っているのです。  たとえば、一つの例を挙げますと、公共賃貸住宅では立地条件、家賃問題がネックになっておりますので、公営、公社、公団の家賃体系をリンクさせて家賃補助制度を導入する、そして解決していく、こういう一つの方法がある。いわゆる公営住宅でも非常に家賃が高くなっております、いま三DKになっておりますから。これはもう居住標準を上げようということで、いま政府がやっておられますね。だから三DKが主体になっておりますので当然、家賃が上がってきておる。だから家賃補助制度というのを考えたらどうかということですね。いまも少しはやっておられるようなのですが、その事業はまた後でお聞きしたいと思うのです。  公営住宅のネックとなっている用地取得難に対処するため用地取得に対する国庫補助制度の復活。これは昔、国庫補助をやっていましたね、いまは起債でやってますが。たとえば家賃を下げるために公営住宅なんかは一種の二分の一を三分の二にするとか二種の三分の二を四分の三にするとか、そうすれば家賃は下がりますからね。何かそういう方法を講じなければいけないのじゃないか、私はこういう考えを持っておるわけです。これについてどうですか。
  106. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 まず、公営住宅の建設費が高騰して家賃が上がる傾向があるので、補助率のアップを行うべきじゃないかというような御質問でございますが、私ども基本的に、公営住宅一種の二分の一、二種の三分の二の補助というものは相当な国費を突っ込んでいるというように考えております。  なお私ども、そういった公営住宅の直接の補助方式と、それから個別の家賃補助方式の組み合わせ、これが今後どうなっていくかというような問題について勉強は進めておりますが、いま直ちに、この公営住宅の補助率を改定するというような考えは持っておりません。と申しますのも、確かに高くはなっておりますが、一種の公営住宅で、たとえば東京でございますと現在三万円程度、大阪で三万二、三千円というようなことでございます。したがいまして、現在の公営住宅の収入階層から見て、そう高いというようには考えていないわけでございます。
  107. 北側義一

    ○北側委員 なるほど、いま言われた価格ぐらいで、そんなものだろうと思うのですが、公営住宅はなかなか建たないのですよ。地方自治体が余り建てないのですよ。これは補助率をアップしたら大分変わってくると思うのです。そういう点にも、やはり目を向けなければいけないのじゃないかと思うのですね。というのは、公営住宅の建設については現に地方自治体が大分持ち出しております。  それから時間がありませんので最後に、もう一問だけ。  総理府の大都市地域における住宅、地価に関する世論調査、これは五十二年の十月に発表されたのですが、これによりますと、大都市地域の居住世帯の四四%が住宅の広さや設備などに不満を持っているというのです。同じく、これもやはり総理府の国民生活に関する世論調査、これは五十二年の五月です。これによりますと今後、生活のどのような面に一番力を入れるか、こういう問いに対して、住生活、こう答えたのが二五%、一番多いらしいのです。だから住生活の改善というのは、やはり国民にとりまして一つの生活の目標になっておるわけです。  たとえば妊娠中絶の理由として住宅事情が悪いから、このように答えた人が東京都区部で一五・五%あるというのです。六大都市でも一四・三%、こうなっておるのです。また、たとえば子供を産むとアパートから退去を求められるというようなこともあるというのです。こういう実態なんですよ。これは東京や大阪は大体同じように私は思うのです。そういう面で、いま私がずっと初めから論議してきたというのは、そういう面を解消するためには、どうしてもやらなければいけないだろうというような問題を、ずっと私いま質問をしてまいったわけなんです。  建設白書、これは五十三年ですが、これによりますと五十二年度の計画分を含めて、この第三期住宅建設五ヵ年計画、これは五十三年がちょうど三年目ですが、公営住宅の進渉率は四七・一%、公団住宅は四〇・三%、なるほど住宅金融公庫は公的資金になっているから、うんとふえております。しかし実際は公営や公団はこういう実情なんです。こういう点もひとつ考慮して、私、国のいまの住宅金融公庫による公的住宅の建設、一戸建ち、これなんかやはり地価を引き上げる原因にもなっているんじゃないか、こういう心配もしておるわけです。実際に必要な賃貸住宅がずっと減っていっておる。だから国民の目から見たら、やり方が少し間違っているんじゃないか、こういう目でいまの住宅政策というのは見られるのではないかと私は思うのです。先ほど来ずっと申しておりますとおり、住宅金融公庫の貸し付けにしましても、わずか九百五十万ぐらい借りて、一千万円借りたって、これから、そんなものでは家は建たぬですよ。ミニ開発の方は大蔵省がやって、あの人の言い分もわかるけれども、千平米以下はあめはしゃぶらさぬというわけでしょう。何かやっていることが全部ちぐはぐな感じが、私は見ておりまして受けます。  最後に一間だけ。たとえば、いままで建てました公営住宅、一DKとか二DK、もう二DKがほとんどです。これは公団も同じじゃないかと思うのです。ところが子供が小さいときに入居した公営住宅が、いま子供さんが大きくなって、二DKで非常に家庭生活にまで影響しているような生活をなさっている家庭がたくさんあるのです。そこで公営住宅改善促進事業というのですか、これが行われておるわけですが、これを相当大幅に取り入れていかなきゃいけないんじゃないか。聞くところによりますと、一種、二種ともに、これは二分の一の国庫補助ですね。たとえば、そういう問題を推進するために新築並みと同じような補助ができぬのかということです。これはどうでしょうか。
  108. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 既存ストックの活用という面で、既設の公営住宅の改善ということは、これはもう当然大きな課題になってまいります。四十九年度より始めたわけでございますが、四十九年度から五十二年度まで三千二百十五戸の改善を行っております。ところが五十三年度は一年だけで約三千戸の増築を行っております。こういうことで、来年はこれを一挙に一万戸の改善を行うような予算案を現在計上しているところでございます。  私どもは、これにつきましては今後大きな施策一つとして十分力を入れてまいりたいというように考えておりますが、ただ補助率の点につきましては、すでに用地あるいは建設費とも過去の安いときのものでございます。したがいまして、それを増築したからといって、現在の公営住宅階層の収入から見まして、そう不当な家賃にならないということで、現在両方とも二分の一ということにいたしているわけでございまして、これがもっと家賃負担率がおかしなかっこうになるという時代には当然見直すべきものと考えております。
  109. 北側義一

    ○北側委員 時間が参りましたので、これで終わりますが、まだ大分残っておるわけです。今回はこれで終わって、次にまたやらせていただきたい、こう考えております。どうもありがとうございました。
  110. 伏木和雄

    伏木委員長 渡辺武三君。
  111. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 きょうは余り時間もございませんから、主として建設行政の将来の方向について少し議論をしてみたいと思います。  まず第一に、去る九日本委員会におきまして建設大臣所信表明がございました。その基本施策の方針の中で「私は、特に人間中心の考え方基本に置き」いろいろな諸施策を進めてまいります、こうおっしゃったわけでございます。  そこでお尋ねをしたいわけですが、従来の建設行政の中で、どのような点が人間的でなかったので今後このような人間的な方向に改めていくのだ、こういうことがあろうかと思いますが、その辺をひとつ具体的にお聞かせを願いたいと存じます。
  112. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 いままでの建設行政が人間的でなかったか、こう言われますと決してそうでない。建設行政というものは道路、治水あるいは下水道、公園と、すべて生活に密着したものでございます。私は常々人間本位の政治姿勢ということを述べておったものでございますから、このような建設行政の持つ意義を踏まえて、特に生活に密着した建設行政をできるだけ公共事業の中でも進めていく、こういう意味を強調したいという意味で述べさせていただいたのでございますので、御了承賜りたいと思います。
  113. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 従来、行われてきた建設行政も、つまりは住みよい国土建設するために、あるいは快適な生活を享受するために、人間的な生活設計のための施策であって、決して人間中心の考え方をとってこなかったということではない、こういうふうにおっしゃっているわけでございます。そのとおりだと思いますが、私は、わざわざ建設大臣が特にこの点を強調されておりますので、何か変わったことをお考えになっておるのか、お尋ねをしたわけでございますが、従来とほとんど変わらない、こういうことのようでございます。  そこで、次に住宅宅地問題について御質問を申し上げたいと存じますが、いま冒頭に申し上げましたように、私は将来方向の基本的な事項にのみついて御質問をいたしますので、そのような方向でお答えを願いたいと思います。  現在、住宅公団のいろいろな賃貸、分譲等の住宅がございますが、中でも公団が分譲いたしております中高層住宅、これが現在は建てられましてから、まだ年数も浅いわけでございますから、そのような問題は起こっておりませんが、将来もしも、これらの住宅が大修理あるいは建てかえ等々の問題が起こってきた場合には、一体どのような方向で、そういう問題に対処しようとしておられるのかどうか。  私が心配をいたしておりますのは、たとえば中高層住宅を分譲いたします。多くの方々がここにお入りになる。そうしますと、その敷地が細分化をされまして、一人の共有分、専有分は十坪だとか九坪だとか、こういうふうに分けられておると思います。いまのうちは、それでもよろしゅうございますけれども、やがては、それが大修理あるいは建てかえというような時期に、そのこと自身が非常に大きな障害にならないかどうか、この辺を実はお伺いしたいために、こういう質問をするわけでございますから、その辺を踏まえて、ひとつお答えを願いたいと思います。
  114. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 これは住宅公団の中高層の分譲住宅も、それから民間のマンション分譲も同じでございますが、土地はこれは一応共有になっております。先生御指摘のように当然、共有でございますから持ち分というのはございますが、これは一応共有になっておりますので共有の形の管理をするということになっております。ただ先生御指摘のように私どもも、現在の区分所有法だけで、将来の大修理あるいは建てかえが必要になったときに対処できるかどうかということにつきましては、私どもも今後これは十分研究していかなければならない問題だろうというように考えております。
  115. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 問題はお認めになっておるようでございますが、将来の問題点として研究をしたいということのようでございますけれども、私はむしろ、いまから明確に将来方向の問題点を摘出をして、それに対処することが必要ではなかろうか。と申し上げますのは、そのような方向で、すでに分譲がされてしまっておるわけですから、それによって起こり得る問題を将来考えていくということでは、もうすでに手おくれになってしまうのではないか。むしろ分譲より前に、そういう対策を打ち立てられて、そのような方向でやっていかなければならぬ。  たとえば私この間、夏にシンガポールへ行ってまいりましたが、シンガポールの住宅政策いろいろ調査をしてまいりますと、確かに、あそこも公共賃貸住宅あるいは分譲住宅等ございますが、高層住宅ではほとんどいわば有限ですね、有限分譲なんですよ。だから八十年なら八十年、九十年なら九十年来たら全部そこで権利が消滅するんですよという売り方、そういうことをなさっておる。なぜ、そういうことが必要なんですかという私の問いに対しては、いまのようないろいろ問題になる。建てかえ施工のときに、まだおれはここに住むんだ、おれは金が足りないから、ここに居座るんだ、こういうような問題が当然起きてまいります。そこで、やはり一定の年限を区切った有限的な分譲を行っておるんです、こういうことをおっしゃっておったのですが、私ども、それは一つの方法ではないだろうかと思う。しからば、わが国の住宅政策も当然やはり五十年後、八十年後を考えて、いまから、その対策を立てておかなければならぬではないか、こう考えるものですから、その辺をひとつもう一回。将来考えるのでは、これは本当のところ大変ですよ。だから、これから分譲を開始していく、それには一体どうしていくかということが、いまの時点で確立をされていかなければいかぬのではないか。いかがでしょうか。
  116. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 ちょっと言葉が足らずに申しわけございませんでしたが、将来という意味ではございませんで、これは住宅局と計画局の両方の問題でございますので、両局ですでに二、三年前から検討を続けております。これは恐らく、いまの区分所有法だけでなくて、何かそういった共同住宅の管理に関する一つのルールづくりが必要だろう、これはできるだけ早急に結論を出したいと考えております。
  117. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 それでは宅地対策に移りたいと思いますが、所信表明の中では良好な宅地供給されるためのいろいろな施策考えられておるようでございますけれども、実はここでも強調されておりますことは「土地税制の改善を図ってまいりたい」ということだけでございまして、果たして従来、問題になっておりますような宅地供給というものに対して、それらの良好な宅地を十分に供給するために現状の土地税制さえ改善をしていけば、それで満足だろうか、こういう疑問がわいてくるわけでございます。その辺はいかがでございましょうか。
  118. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 所信表明演説で税制のことを強調したために、そういうふうな読み方をされたと思いますが、私は宅地対策といたしましては税制だけが万能でないということはかねがね申しておりまして、あらゆる施策の一項目として税制も考えるということも常々申しております。五十四年度の予算におきましても、五十三年度から始めました住宅宅地関連公共施設整備促進事業、これを三百億に対して倍額にさしていただきました。またそれだけでなく、モデル地区と申しますか総合的な大都市圏におけるところの住宅宅地をあわせての開発の地区の制度というものも打ち立てさせていただきました。また住宅金融公庫の引き下げ等を通じまして、これらにも寄与していきたい。こういうふうないろいろな施策を合わせまして、その中の一環として税制もする。すべての施策を総合して宅地供給を図っていきたいということを考えておりましたので、所信表明におきましても、そのように御理解賜りたいと思います。  なお、細かい施策につきましては、事務当局から答弁させます。
  119. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 大臣、ちょっと考え方がおかしいわけでして、関連公共施設の補助金をふやすから優良な宅地ができるんだとか、あるいは金融を緩和するから、どうとかこうとか、おっしゃっておりますけれども、それは全然別な話だと思いますよ。むしろ、これは優良な宅地供給するということですよ。その面については、ここにおっしゃっておりましたのは税制の改善に努めてまいりたいと書いてあるだけだから、これはちょっとおかしいではないか、こういうことを実は御質問申し上げたわけですが、確かに税制改正だけではなくて、いろいろなことが従来もやられております。おりますが、しかし、そのようなことがやられておる上に、いわば現状の宅地供給難というものが出ておるんだということですね。さらに土地そのものの価格というものは、先ほどの北川君の御指摘のように、実際に国土庁等が平均値で見ておられるよりも局部的には相当な値上がりをしてしまっておる、こういう問題があるわけですよ。したがって私は、従来の施策のようなもろもろの小手先的なことではもうだめではないだろうか、もっと抜本的な方向を考える時期が来ておるんだ、こう考えるから実は大臣にお尋ねをしておるわけでございます。  たとえば私どもは、土地というものはやはり天与のものであって万人が等しくその恩恵に浴するものだ。したがって土地の私的所有というものは許されるけれども、その利用については、やはり国民生活の安定と社会福祉の増進のために社会田、公共的な制約を受けてしかるべきだ、こういり基本的な考え方が実はあるわけでございます。したがって、そういうような基本的な考え方の上に立ちまして一体わが国の土地政策はどうであろうか、こう考えてみる必要があるのではなかろうかと考えるわけですが、いかがでしょうか。
  120. 中野四郎

    中野国務大臣 総合的な土地対策について意見を問われました。お答えをしたいと思うのですが、当面の土地対策の課題は、引き続いて投機的な土地取引の抑制とともに、地価の安定を図りながら優良な住宅地供給をまず促していかなければならない。そこで今回の税制改正は、優良な住宅地供給と公的な土地取得を促進するために、これらに資する長期保有の土地の譲渡に限って部分的に軽減をしたものであり臨場ます。  国土庁としましては、土地税制の改正とともに、国土利用計画法の適確な運用などを図ることとしておりますが、さらに計画的な宅地開発についての財政上あるいは金融上の措置、それから都市計画法の線引きの見直しなどのいろいろな施策をやるようになっておりまするので、これらを総合的に推進するとともに諸般の土地問題に対処をしていきたい、このように考えておる次第でございます。
  121. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 私は、従来とられてきているいろいろな施策では、もうだめではないだろうかと言っている。国土利用計画法そのものも、われわれ一緒になって一生懸命になってつくりました。しかし御答弁の中には、先ほどの建設大臣の御答弁の中にも、国土庁長官の御答弁の中にも、国土利用計画法を厳格に適用し、こうおっしゃいますが、一体いままで適用したのですか。一つも適用しておりませんよ、土地価格規制の場合は。革新知事である埼玉県知事も、やるやると宣伝はしたけれども、ついにやらなかった。一件もないのですよ。一件もなければ、一体どうしたらいいだろうかということだ。  だから従来ある施策では、このまま放置しておけば実際には、もう先ほどの資料を見ましても二〇%、三〇%上がっている。われわれの地方でもありますよ。ところによっては三〇%、四〇%上がっているところがある。国土庁発表では〇・三とか四%しか上がっていないから大丈夫だ、こうおっしゃいますけれども、実はそうではない。そういう状態が続いておる。そこで公共住宅の家賃すら大変高くなってきて、いま家賃補助をどうとかいう話も出ました。現状でもそうなんですよ。このまま続けておるならば、まだまだ土地というものは上がっていってしまうのではないだろうか。このまま市場メカニズムの中に土地取引というものを組み込んでおけば、果たしていまの施策だけでいいだろうか、こういう疑問は当然わいてくるのですよ。 だから将来方向として、いままであるいろいろな手法を厳格にやっていきますとおっしゃいますが、いままでだってやってきたのですよ。やってきたけれども、やはりその結果はうまくないのだ。うまくないから一体今後はどうしていったらいいだろうか。そこに発想の転換がなされてこなければならぬではないか。少なくとも大臣はリーダーシップ性を発揮せらるべき地位にあるのではなかろうか、こう思いますから、もう一回ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  122. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 あるいは御質問の要旨を取り違えておるかもわかりませんが、私は、渡辺委員のおっしゃることは要するに私権の公有化と申しますか、私権の制限を加えて公的なものとしてとらえる、こういう抜本的なものがない限りにおいては土地対策はだめだ、その抜本策に手を入れろ、こういうお気持ちであろうと思います。  私も、そういう時期に来ておるのじゃないかということに対しては考えておりますけれども、現在まだ、そこに踏み切るというところにまではよう至っておりません。十分検討をさしていただきたいと思います。 ただ、たとえば東京におきましても大阪におきましても、本来、居住すべき地域内に雑然たる工場もそのまま置いておる。少なくとも二十三区以内からは工場は外部に出ていただく、その跡の土地を貴重なる空間として利用させていただくというふうな都市再開発の手法によりまして行うような道を考えていく必要があるのではなかろうか、こういった方面で考えるべき手段もあるのじゃなかろうか、こう私は思いますので、御趣旨のある点は十分理解をすることもできますので、検討をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  123. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 大臣、わが国の土地の価格というものが国際的に比較してどの程度か、おわかりですね。認識をしていらっしゃいますね。──わかりませんか。わが国の土地価格は世界一ですよ。したがって、いままでのこの上がり方を抑制するというような程度では、もう追っつかないようになっているのですよ。たとえば日本で一千万円で家をつくったとすれば、アメリカへ行けば三倍の土地が買え、家が建てられるという話ですよ。所得だけアメリカ並みになったといったって、日本人の生活なんというのは非常に困難に次ぐ困難が重ねられておる。それが結局は、よくよく考えていくと為政者の責任に帰するところが非常に多い。たとえば日本の国を飛行機に乗って上から見てごらんなさい。七五%はわが国は緑に覆われておりますよ。ところが、われわれの生活空間の中に緑が少ないという国民の認識を払拭することができないのは、これは完全に為政者の責任なんですよ。土地政策が悪いからなんです。  そういうふうに考えていくならば、従来の建設行政を根本的に転換をしなければならぬという時期が来ておるのではないか、こういうとらえ方をすべきではないか、こう申し上げておるのです。ところがお答えは、従来こういうことがありますから、こうこう、こういう問題もありまして、こういうやり方もあります、これを厳格に守っていきます、相も変わらぬ同じ答弁でございますから、それでは大変なことになってしまいますよ、こういうふうに実は申し上げておるわけでございます。  たとえばミニ開発の問題も、いろいろ問題がこの委員会でしょっちゅう出ます。ミニ開発を本当に防止しようとするならば、たとえば宅地については分筆の細分化というものを禁止すればいいじゃないか。宅地については五十坪以下はもう分筆させないのだ、こういうようなことを考えていった方がむしろ、いいのではないか。ミニ開発はどうとかこうとか、規制をしようとかなんとかしておりましても、基本的に一坪でも分筆ができるような制度があるならば幾らでも分筆しますよ。だから宅地は少なくとも東京都内においては、もう三十坪以下はだめだとか、あるいは五十坪以下はだめだとか、こういう禁止法をつくってしまったらどうですか。そうすれば、おのずからできないようになってくるのですよ。だから、いまの現状をそのままにしておいて、いろいろ規制を考えても、なかなかそのようになってこない。しからば一体どうすべきかということが、この辺で発想が転換されていかなければいけないのではないか。  たとえば所有権と利用権を分離したらどうだろうかという御意見も前々からあります。あるいは売買というものを、いまのような自由な市場メカニズムの中に任しておいていいかどうか。私、ちょっと先ほど、公的な機関が公示価格の倍で売っておるという話を聞きまして大変失望いたしましたけれども、本来もっと行政介入か公的なものが介入する必要があるのではないかと考えておったのですが、東京都のように公的な機関が公示価格の倍で売られたのでは国民はたまったものじゃありません。そこにはやはり何らかの制度の欠陥があるはずなんです。だから、一般自由市場の中でそういうふうにやられておるから、公共団体といえども、それらになれてしまって、やはり売買で売るときには少しでも高い方がいいぞ、これは都民の財産だからというような考え方が出てくれば、実際は大変なことです。公共団体みずからが地価をつり上げていると言うことすらできるのですよ。国土庁建設省が一生懸命公示価格の少なくとも一〇%以内におさめようと努力をなさっておるにかかわらず、公共団体たるものが公示価格の倍で売ってしまった。そうすれば当然その付近の地価は自然につり上げられていくわけですから、これは大変なことですよ。制度に欠陥がありまして申しわけありませんと言っておられるような状態ではないのですよ。建設国土行政を地方公共団体みずからが崩してしまっている。本当に高い土地をどうして抑制しようかと一生懸命になっておるにかかわらず、公共団体がそれを崩していく、こういう状態では話にならぬ。だから、この辺で従来の制度そのものを、この際、発想の転換をもって一大変革をひとつ考えていただきたいと私は要望をいたしておきます。  続きまして、次の関連公共公益施設の整備促進策について若干お尋ねをしたいと思いますが、これは増額をして「その促進を図ってまいりたい」こうおっしゃっておるわけですが、確かに予算書を拝見いたしますと、昨年度三百億円の計上がことしは六百億円に増額をされております。しかし私ども考えでは、昨年の三百億計上されましたときにも、これは一けたか二けた違うのではないだろうかとさえ思ったくらい実は微々たる予算額であったわけです。それが、ことしの予算で、全体の予算枠の関係もあるでしょうが、一応倍額に増額をされたというものの昨年度は一体どの程度であっただろうか。三百億という関連公共公益施設の整備促進のために予算をお組みになりましたが、その三百億の使途は一体どうなっているだろうか。あらゆる地方自治体から、わあっと申請が出たはずですね。そのうちのどの程度を満足せしめ得たのか。大部分がまだ不満足のまま残されておるのではないかというふうに私は思いますが、どの程度、一体その結果は地方自治団体を満足せしめたか、この辺について、ひとつお尋ねいたします。
  124. 丸山良仁

    丸山政府委員 去年の当初三百億の予算を組んでいただいたわけでございますが、これを事業費に直しますと大体五百億くらいになります。これに対しまして、公共団体からの要望がございましたのが大体六百億程度でございまして、ほとんど満足する形でついております。ただし、これで十分だということではございませんで、これは数年を要する事業費でございますから、ことしは、去年につけた分のことし分と申しますか、来年度分でございますが、それと、来年度の新規分と両方合わせて六百億、こういう計算になっておるわけでございます。  なお、このほかに建設省についております本来の予算、これを集中的に投資する考えでございまして、現在のところ、まだ予算配分作業中でございまして、結論は出ておらないわけでございますけれども、去年よりは三割ないし四割、一般の事業費につきましても公共関連の方に回してまいりたい、こういう考え方を持っておるわけでございます。
  125. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 大部分が満足しておるはずだというお答えでございましたが、私は大変残念なお答えだと思います。それは三百億という枠を頭に描いて、ことしは、この事業とこの事業とこの事業は何とか見てあげますよという、その枠の中で計画を出しなさい、申請を出しなさい、こうおっしゃっておるから、あらかじめ限られた枠の中では、あるいは満足されたかもしれぬ。しかし、枠の設定の中身は実際はすでに大きなものが外されておるはずなんです。関連公共施設の全部を出していらっしゃい、こういうことであるならば、大部分が非常に不満足な結果になっただろう、こう思うわけですが、そうじゃないですか、おやりになったのは。
  126. 丸山良仁

    丸山政府委員 開発業者にとりましては先生のおっしゃるとおりだと思います。ところが、これは公共団体のスクリーンを通って出てこなければならぬ問題でございまして、公共団体には当然、裏負担があるわけでございます。したがいまして開発業者が欲しておりましても公共団体のスクリーンを通れない、こういうことで開発業者の方にはいささか不満が残っているだろうと存じますが、われわれといたしましては、なるべく、そういうことのないように公共団体にも積極的に協力してもらうように、いろいろとお願いをしているところでございます。
  127. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 それから、こんなことがあってはならないと思いますが、実は、この三百億の配分について一応、地方公共団体が何ぼかの配分をいただいた、したがって居住者あるいは開発者は当然その分だけ開発費が安くなるであろうと考えておったが、実際は地方公共団体が収入してしまって相も変わらず超過負担あるいは開発負担はさせられた、こういう不満を実は私一、二聞いたことがあるのです。それは実際調べてみなければわかりませんが、そういう事実は建設省の方としてはお調べになっておられますか、どうですか。
  128. 丸山良仁

    丸山政府委員 具体的に、そういう話は聞いておりませんが、私の想像では、裏負担分につきまして本来であれば公共団体が持つべきところでございますが、これを開発者に負担させるという例は多々あるわけでございまして、国から参りました補助金を自分の方で別の方に使って開発者に全額負担させる、こういうことは適正化法違反にもなるわけでございますから、そういうことはないと思います。
  129. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 表面的にはそうなっておるでございましょうが、確かに国から補助金をいただいた、これだけ安くなったよ、そのかわり、こちらの分をちょっと持ってくれよ、このために十億いただいたから、こちらの裏負担を十億頼むぞよ、こういうことがどうも現実にちょこちょこと行われておるようなんです。結果的に見ると、それは実際は何にもならないことになってしまっておるのですよ。そうすると、実際の居住者は開発費負担をもろにまた、その購入価格にかぶせられてくるという結果に終わるわけでございますから、その辺を厳重にチェックをしていただきたいと存じます。  次は、道路問題についてお尋ねをしたいと思います。  最近におきますところの道路交通の現状を、ひとつ、おわかりの範囲内でお答えを願いたいのと、道路交通そのものが、いわゆる国民生活に果たしている役割りについては、建設省としてはどのような御認識をお持ちなのか、お答えを願いたいと思います。
  130. 山根孟

    ○山根政府委員 お答え申し上げます。  まず第一点の道路交通の状況でございますが、昭和五十二年度に実施をいたしました道路交通情勢調査によりますと、一般国道及び都道府県道が全国の道路交通の約七割を受け持っておるということ、さらに一般国道、都道府県道のうち交通渋滞を起こしておる区間が調査対象区間の二八%に当たります約四万五千キロに達しておる。したがいまして、国県道を利用しております交通量の約四四%が混雑区間を走行しているということが情勢調査一つの結果として出てきたわけでございます。バイパス等の建設がおくれております関係上、混雑を激化し、また沿道環境を悪化しているという状況が把握できたのでございます。  それから次に、道路が生活に一体どういう役割りを果たしていると考えているか、こういう御質問でございます。やはり道路は日常生活の基盤となります施設でありまして、徒歩交通、自転車交通も一方では処理する。通勤、通学等、日常生活を支えると同時に、また生活を支えます生産活動にも寄与してまいらねばならぬというように理解をいたしておるわけでございます。
  131. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 地方の交通需要というものがつまり年々増加をしておりまして、地方にとりましての道路整備というものは実は切実に望まれておるのが実態ではないかと思います。これは過日、総理府が世論調査を行いました各地方自治団体のアンケートにも、道路の整備ということが相当きつく要望されておるわけでございます。そこで地方圏におきますところの交通の需要と、それに対応した道路整備の伸びにつきまして一体どの程度になっておるのか、お伺いをしたいと思います。
  132. 山根孟

    ○山根政府委員 お答え申し上げます。  道路交通の主役を占めております自動車交通の問題に関連いたしまして、現在、三大都市圏等の利用状況は、かいつまんで申し上げますと自動車の保有レベルで千人当たり二百五十台程度のレベルでありますが、これが地方圏に参りますと三百五十台程度のレベルになっておるわけでございます。と申しますことは、全体として地方におきます生活の足あるいは生産の足として道路が活用されるということを物語っていると考えるわけでありますが、これに対しまして地方におきます道路の整備状況をかいつまんで申し上げますと、バス路線約十三万数千キロの中で、その約半分が実はバスが満足にすれ違えないといった状況にありますし、また一般国道及び都道府県道十六万九千キロの約半分が、これまた車のすれ違いができないという状況にあるわけでございます。また、もぐり橋、老朽橋等かけかえを要するという橋梁が四万基を超えておるというのが実態でございまして、私ども道路整備五ヵ年計画におきまして、本年度から発足いたしました計画に基づきまして鋭意その整備を進めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  133. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 昭和五十二年度の全国道路交通情勢の調査報告、これは道路局の道路経済調査室がお出しになったと思いますが、この資料によりますと、都道府県道では四十九年度から年率四%程度の交通量が増加をしておる。一方、道路の容量はどうかといいますと、道路容量は年率一・六%程度しか伸びていない、こういう結果になっておりますが、これは事実でございますか。
  134. 山根孟

    ○山根政府委員 そのとおりでございます。
  135. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 そこで、お尋ねをしたいわけでございますが、最近、予算編成をめぐり、いろいろなところで、道路自身の予算等々が相当なシェアを占めておって、すでに道路というものは完全に整備し尽くされておるのではないか。むしろ、ほかの方に予算を回すべきだ、こういう議論も予算委員会では一部行われておったようでございますが、私はやはり、とんでもない認識違いではないであろうかと思う。道路自身をよくよく分析をしていきますれば、まだまだ日本の道路というものは大変におくれておる。  いまも局長がおっしゃいましたように、道路の整備率そのものを見ましても国、県道合わせまして約五二%程度だ。あるいは、われわれが目にいたしております交通混雑というものが、ますます増大をしておるのではないであろうか。さらには沿道の環境が大変悪化をしておるのではないであろうか。さらには交通事故そのものは死者こそ減ってはおりますが、相当な人命がまだまだ交通事故によって失われておる。それは一体なぜであろうか。歩車道分離というものがほとんどできていない現状ではないであろうか。あるいは危険個所というものがございますね。私どもが道路を車で通っておりますと、落石注意という看板がある。これは非常にナンセンスだと思いますよ。車で走っていて落石注意と言われたってどうしろと言われるのか。注意をして走行はしますけれども、頭の上から落ちてくるものはどうにもならぬ。そういう個所が実は五万八千カ所もあるということなんですよ。そうしますと、道路の整備というものは大変におくれておると言わざるを得ないわけでございます。  そこで中期経済計画を、いま政府が策定なさっておるわけですね。そういう中におけるいわば道路の位置づけというものはどういうふうになっておりますか。
  136. 山根孟

    ○山根政府委員 お答え申し上げます。  中期経済計画、五十四年度からの七カ年の計画の中で公共投資に二百四十兆円が予定されておりますが、この中で道路投資といたしまして四十六兆円が見込まれております。
  137. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 道路投資四十六兆円が確かに計画をされておりますね。しかしこの四十六兆円という額だけでは、ああそんなに計画されておるのかというふうに考える方もあるかと思いますが、実はこの四十六兆円というものは総需要抑制政策で道路投資が非常に圧縮をされました前回計画、つまり昭和五十年代前期経済計画と比べますと一体どのようになっておるであろうか。もちろんこの五十年価格と現在の五十四年価格というものには開きがございますから、その辺を勘案しながら調べなければなりませんが、私の調査によりますと、少なくとも総需要抑制政策で非常に圧縮をした前回計画を、いまの価格ベースに直しますと、ほぼ変わっていない、前のままだ、こういうふうに思いますが、その辺はいかがでございましょうか。
  138. 山根孟

    ○山根政府委員 全体に対するシェアで申し上げますと、前期経済計画におきましては道路が一九・五%のシェアに対しまして、新経済計画におきましては一九・一七%ということになっております。私ども計画策定過程において投資額の中身を詰めてまいりますと、おおむね、ただいま先生の御指摘のとおりの実質的な投資ではなかろうか、かように考えております。
  139. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 シェアでいきますならば、国民所得倍増計画昭和三十六年から四十五年が二一・七四%、中期経済計画、三十九年から四十三年が二三・〇三%、経済社会発展計画では二二・三六%、新経済社会発展計画では二一・二七%、経済社会基本計画では二一・二%、そこで総需要圧縮のために組まれました五十年代前期経済計画では一九・五%になっておるのですよ。それが今度の七カ年計画では、ほぼ横ばいではないであろうかという指摘を私はしたわけです。つまり総需要抑制政策がとられておった前期経済計画よりもシェアはさらに若干低下をしておるような状態ではないであろうか、こう御指摘を申し上げておるわけです。  その前段でお聞きしましたのは、わが国の道路整備は一体どの程度であろうか、こういう御質問をいたしまして、大変に悪い状態だ、こうおっしゃるから、しからば経済七カ年計画では一体どういう状態になっておりますか、こう聞きますと、実はだんだんと低下をしておるのですと言う。低下というのは、逆に言うと整備をおくらしておるのですということなんですよ。間違いありませんか。
  140. 山根孟

    ○山根政府委員 お答えを申し上げます。  前期経済計画に比しまして実質的には一・三倍ということでございます。
  141. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 私が言いますと、いろいろ答えがシェアになったり倍率になったり、何かわけのわからぬような議論になってきますが、要するに、わが国の道路整備というのは非常におくれておるんだ。おくれておるけれども、では、その位置づけが新経済七カ年計画の中ではどうなっておるだろうかと見ていきますと、若干問題があるのではないかということを実は指摘しておるのですよ。大臣、よく聞いておってください。それが従来の経過からずっと調べていって、いま私が申し上げましたようにシェアから見ましても、だんだんへこんできておりますよ、予算額から見ましても実は総需要圧縮政策のときと同じ額なんですよ、こう言っておるわけなんです。もっともっと大きな目を見開いてしっかりやってください、これが実は真意でございまして、大臣にもそういう状態だということを、ひとつ御認識を願いたいと思うわけでございます。よろしゅうございますか。──それでは次に移ります。  時間がございませんから、もうあと一、二点のみにいたしますが、所信表明の中に建設業者の振興についてお述べになっております。その中で特に「中小建設業者の受注機会の確保にも十分配慮して」いくというふうにおっしゃっているわけでございますが、具体的には、どのような施策を講ぜられるのか、お聞かせを願いたいと思います。
  142. 丸山良仁

    丸山政府委員 公共事業の発注につきましては、中小企業の受注の確保を図るために最大限の努力をしておるわけでございます。  具体的に申しますと、まず発注標準で大手業者が中小のやるような仕事を取らないようにすること。それからジョイントベンチャー等を行いまして、中小と大手あるいは中小同士で組ませまして、相当大規模な工事までもやれるようにすること。その他いろいろと、そういうふうなことをやっておるわけでございますが、その結果といたしまして、五十年度には大体資本金一億円以下の業者のシェアが公共工事では四六・九%でございましたものが五十三年の四月から十一月までの実績について見ますと五一・九%ということで、約五%くらいの増加を見ております。  われわれといたしましては、これをなお上げたいわけでございますが、工事の種類によりまして中小ではなかなかできないというものがございます。たとえば都道府県の建設省の補助事業について見ますと、中小のシェアは五十二年度で六九・八%というように高くなっておりますが、公団等の事業は非常に規模が大きいために中小が入りにくいというような形で、約二〇%というような形になっております。
  143. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 表面だけ言うと、そういうことでございましょう。  そこで確かに中小建設業者は直接やはり受注することがむずかしい。たとえば施設の問題あるいは、いろいろ機械の問題で、工事を直接受注することがむずかしい。そこで大手とのジョイントベンチャーが行われるわけでございますが、しかし、その場合、非常に中小建設業者というものが各面にわたって苦しめられているといいますか、こういうことがあるのではなかろうか。  その中の一つとして私が想像いたしますのは、建設省が工事発注する前の段階として、いろいろな単価の設定をされると思います。事実、建設省の出先が直接の作業場へ行ってジョイントベンチャーをしている下請の働く人たちに、君たちは一体幾ら賃金をもらっておるか、こういうような質問をしておられるところもあるやに承っております。そこで、そういう調査の上に立って人件費が大体設定をされるようでございますが、しかし、そこだけで人件費が設定をされておるのではないかというおそれが実はある、こういうことでございまして、それまでには管理をしなければならない管理費だとか、人件費の中でもいろいろ分かれておる問題が実はございます。直接工事に投入される労力、それのみで人件費を判定しているということはないかどうか。  さらには最近のように、これは道路交通法の改正によりまして、特に輸送業者は過積みを厳重にチェックをされております。したがって、そのために実は輸送コストというものが大変にアップをしてきている。のみならず骨材等あるいは基礎資材等の運搬に車を確保すること自身が大変にむずかしくなってきておる、こういうふうに言われております。ところが建設省がいろいろ工事の全体の量を把握するのに、そういう輸送コストというものが過積みをしなければやれないような輸送単価、こういうものが積算されておるのではなかろうか、こういう疑いも実はあるわけでございます。したがって、そうだとすれば、これは大変なことでございまして、本来、正常な積載によって正常に運営できるような単価というものが設定されなければならぬ。お役所みずからが、過積違反をしなければつり合わないような単価を決めておいて、片方のお役所で違反をしたら取り締まるぞ、これでは大変なことでございまして、そういう問題はないかどうか、具体的にひとつお答えを願いたいと思います。
  144. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 労務単価の問題でございますけれども、これは公共事業関係省で毎年二回調査をいたしまして労務単価を決定をいたしております。それに基づきまして積算をいたしておるわけでございます。  それから二番目の過積みによる問題でございますけれども、確かに過積載の取り締まりが非常にやかましくなりまして、最近、資材価格にその影響があらわれておると思います。積算の問題といたしましては、建設省としては実勢の価格を積算に反映をするというたてまえをとっておるわけでございます。その実勢の価格は毎月、公益法人でございます建設物価調査会等が発行します物価版によってやるのがたてまえでございますけれども、最近の資材価格の変動が激しいことにかんがみまして、地方建設局におきまして各県ごとに毎週一回調査を実施しておりますので、その調査を積算に反映するようにして実勢価格に適合するようにしておるわけでございます。
  145. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 私は仕組みについて文句を言っているわけじゃありませんので、その仕組みの中で、その運営についていろいろな問題があるのではないだろうか、こういうことを耳にいたしますから、その辺のところをやはり配慮をいたさないと、むしろ中小建設業者の育成だと言いながらも大変困らしておる問題をお役所みずからがやるということになるわけですから、仕組みはこうなってこうなって、こう決めておるから間違いありません、こうおっしゃいますが、実はその内容には、いろいろな問題が確かにあるということでございますから、そういう仕組みを使って、これらの問題を結論を出されるときには十分ひとつ御配慮を願いたい、こう思うわけでございます。  以上で質問を終わります。
  146. 伏木和雄

    伏木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十八分散会