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1979-04-19 第87回国会 衆議院 決算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年四月十九日(木曜日)    午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 加藤 清二君    理事 宇野  亨君 理事 國場 幸昌君    理事 原   茂君 理事 林  孝矩君    理事 塚本 三郎君       天野 光晴君    小渕 恵三君       西田  司君    野田 卯一君       増岡 博之君    楯 兼次郎君       安藤  巖君    田川 誠一君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      小坂徳三郎君  出席政府委員         経済企画政務次         官       野田  毅君         経済企画庁長官         官房長     山口 光秀君         経済企画庁長官         官房会計課長  及川 昭伍君         経済企画庁調整         局審議官    廣江 運弘君         経済企画庁国民         生活局長    井川  博君         経済企画庁物価         局長      藤井 直樹君         経済企画庁総合         計画局長    喜多村治雄君         経済企画庁調査         局長      佐々木孝男君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局取引部景         品表示指導課長 土原 陽美君         大蔵省主計局司         計課長     石井 直一君         大蔵省理財局国         債課長     北村 恭二君         厚生省環境衛生         局食品化学課長 藤井 正美君         通商産業省産業         政策局消費経済         課長      佐藤 剛男君         会計検査院事務         総局第一局長  岩井  毅君         参  考  人         (日本銀行理事中川 幸次君         決算委員会調査         室長      黒田 能行君     ————————————— 委員の異動 四月十九日  辞任         補欠選任   玉生 孝久君     増岡 博之君   早川  崇君     小渕 恵三君 同日  辞任         補欠選任   小渕 恵三君     早川  崇君   増岡 博之君     玉生 孝久君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和五十一年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十一年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十一年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十一年度政府関係機関決算書  昭和五十一年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和五十一年度国有財産無償貸付状況計算書     〔総理府所管経済企画庁)〕      ————◇—————
  2. 加藤清二

    加藤委員長 これより会議を開きます。  昭和五十一年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、総理府所管経済企画庁について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  本件審査のため、本日、参考人として日本銀行理事中川幸次君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 加藤清二

    加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 加藤清二

  5. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 昭和五十一年度における経済企画庁歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  経済企画庁歳出予算現額は八十六億九千八百九十三万円余でありまして、支出済歳出額は七十八億五百六十七万円余であります。  この支出済歳出額歳出予算現額に比べますと、八億九千三百二十六万円余の差額を生じますが、これは不用となった額であります。  歳出予算現額につきましては、当初予算額が百十四億八千八百六十九万円余でありましたが、関係各省所管へ移しかえた額十七億七千六百万円と予算補正減少額十億二千七百一万円を差し引き、関係各省所管から移しかえられた額六百四十二万円余と予算補正追加額百六十五万円余及び総理本府から移用した額五百十六万円余を加えまして、八十六億九千八百九十三万円余が歳出予算現額となっております。  支出済歳出額の主な内訳は、経済企画庁一般経費六十八億九千九百四十五万円余、経済研究所経費三億三千八百二十二万円余、政策推進調査調整費九千二百八十二万円余、国民生活安定特別対策費四億六千九百八万円余等であります。  次に、不用額は八億九千三百二十六万円余でありまして、その主なものは、国民生活安定特別対策費において、物価対策の効果の浸透等により物価が基調としては安定的に推移したことに伴うものであります。  以上、昭和五十一年度経済企画庁歳出決算概要を御説明いたしました。  何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。
  6. 加藤清二

    加藤委員長 次に、会計検査院当局から検査の概要説明を求めます。岩井会計検査院第一局長
  7. 岩井毅

    岩井会計検査院説明員 昭和五十一年度経済企画庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  8. 加藤清二

    加藤委員長 これにて説明の聴取を終わります。     —————————————
  9. 加藤清二

    加藤委員長 これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。原茂君。
  10. 原茂

    ○原(茂)委員 きょうは、経済協力の問題とそれから公定歩合引き上げについてだけお伺いいたします。  まず、経済協力の問題について基本的な考え方をお伺いしておきたいと思うのですが、長期的な国際安全保障観点からするもの、二つ目国際義務という観点三つ目経済的な観点四つ目に人道主義的な観点といいますか見地、五つ目政策的配慮というような基本的な考え方をもとにしてわが国経済協力はされる、そういう前提になっておりますが、経済企画庁設置法でも調整局において国際経済協力に関するこういった考え方を一応羅列しているわけでありますが、わが国経済協力立場は、この五つ申し上げたうちのどれを基本的な考え方として経済協力をされているのかを、まず第一に大臣からお伺いしたい。
  11. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 お答え申し上げます。  現時点におきまして、日本経済が二百兆円を超すような大規模なものになりまして、これは全世界の総生産の大体八分の一程度を占めております。こうしたような現実に立って考えますと、この際、いまお挙げになりました五つ方向、いずれも私らにとってはきわめて重要な政策課題であるというふうに考えておりまして、特にまたこのような規模になった日本経済をさらに維持していくためにも、今後の経済協力ということは各面にとって、あるいはまた人道的な面というものも忘れ去ってはならない点でございますが、各面にわたってこれを強力に推進していくことがこれからの日本にとって世界史的な意義を持つものであるというふうに考えております。
  12. 原茂

    ○原(茂)委員 一昨年の六月、わが国政府代表として当時の倉成長官国際経済協力会議出席をされました。そのときに、今後五年間に政府開発援助というものを倍増以上、倍増とはっきり言うのではなくて、倍増以上にするということを表明して、次いで昨年の五月に日米首脳会談で、三年間で倍増をするという表明に変わってきた。また六月のOECDの閣僚理事会、七月のボン・サミット、ここでも三年間倍増の実現に努力するという表明をしたわけです。最近の新聞によりますと、ODAの予算の約半分を占める海外経済協力基金融資実績予算に対して八八%に上昇したということで、企画庁においては予定より一年早く、恐らく本年じゅうに倍増計画達成できるのではないかと判断している旨が新聞にも出ておりますが、達成見通しについてはどうお考えになっていますか。
  13. 廣江運弘

    廣江政府委員 お答えいたします。  三年倍増先生承知のとおり、五十二暦年ドルベース十四億二千四百万ドルを基準にいたしまして、これを三年間で倍にするということでございますが、そのうち半分を占めます海外経済協力基金支出実績が、いまお述べになりましたように非常に良好な成績をおさめたということは事実でございます。ただ、そのほかの無償でありますとか技術協力でございますとか、いろいろのものがございまして、いまたちどころにそれがいっ達成できるかということは申し述べかねますけれども海外経済協力基金中心といたしましての予算執行進捗状況あるいは予算計上状況あるいは円レート動向等から判断いたしますと、三年間といいますと、これは年度ではなくて暦年ではございますけれども、確実に達成できるという見通しは確かにあると思いますが、いつというのはいまはっきりとは申しかねる状況でございます。
  14. 原茂

    ○原(茂)委員 総理大臣諮問機関としてあります経済審議会、これが五十年以来、毎年、政府開発援助推進について意見を出しておりますが、できるだけ早期にDAC平均水準にまで高めることを強調していることは御承知のとおり。政府開発援助GNP比ですが、予算では、四十九年度〇・三二%、五十年度〇・二八、五十一年度は〇・二七、五十二年度は〇・二八となっているのです。これに対して実績は、四十九年度が〇・二五、五十年度〇・二三、五十一年度は〇・二〇、五十二年度〇・二一と、会計年度ベース暦年ベースの違い、予算執行率関係もあると思いますが、大分開いているのです。DAC平均水準に達するのは何年ぐらい先になると見込んでおいでになるのですか。
  15. 廣江運弘

    廣江政府委員 お答えいたします。  DACの全体の平均が一九七七年で〇・三一でございまして、それに対しましてわが国は〇・二一であるわけでございますが、先ほど申し述べましたように、これは七七年の成績でございまして、七八年は予算進捗状況予算計上状況その他から勘案いたしますと、これよりも上回るのではないかと私どもは期待をいたしておるわけでございます。そして、政府といたしましても、この先進国目標あるいは先進国水準に向けてできるだけ早くこの目標達成しなければいけないということで努力をいたしておるわけでございます。  予算につきましても、先生先ほど御指摘のような、年々増加計上いたしまして努力をいたし、かつ執行率につきましてもこれを進捗させるという方向努力をいたしておるわけでございますが、何分まだ〇・二一でもございますし、いま何年でこれが達成できるかというのは、はっきりとしたことは申し上げかねるわけでございますけれども予算にいたしましても、執行率にいたしましても、先ほど申し上げましたとおりの努力をいたしておるわけで、量におきましてもなるべく早くこれを達成しなければいけないと思っておりますし、かつ質の点につきましてもグラントエレメント国際目標とされております〇・八六にまだ達していないわけでございまして、その点につきましても今後とも大いに努力をしなければいけないところだと思っております。
  16. 原茂

    ○原(茂)委員 いまおっしゃったグラントエレメント、まだ八六%ですか、これはすでに国際経済協力会議では日本は正式に受け入れているわけです。日本がこれを受けまして経済対策閣僚会議でも八六%を目指して努力するということも決定している。ただ、これもまだ達成できない、できないじゃ困るので、これに対してどんな対策をお持ちになっているのか、この対策具体化によってこの達成がいつごろということが言えるわけですから、したがって、どんな対策考えているのか。
  17. 廣江運弘

    廣江政府委員 質の面でありますグラントエレメントにつきましては、借款贈与二つに分けて考えなければいけないと思いますし、贈与比率がふえますとまたグラントエレメントは高まりますし、借款の条件のソフト化が進むとグラントエレメントが高まるというわけでございますが、最初に、経済企画庁が直接所管をいたしております借款の面につきまして申し上げますと、借款ソフト化につきましては、ここ十年ぐらいの間をとってみますと非常に伸びておりますが、ただ残念ながら先進諸国と比べますと多少見劣りがするというのは否めないところだと思います。これにつきましては、現在直接借款が大体三・三%くらい、貸付期間が二十七、八年というところだと思いますが、これも年々逐次改善をいたしておりまして、今後ともその方向で進めていかなければいけないと思っております。五十四年度につきましても、直接そういう方向努力をいたしたいと思っております。  それから次に、無償予算等につきましては、ことしの予算をごらんいただきましてもわかりますとおり、四〇%を超すというような計上をいたしておるわけでございまして、質全体といたしましても、そうしたものを含めまして国際的な水準、国際的な目標に向かって今後とも努力をしていかなければいけないところだと思っております。
  18. 原茂

    ○原(茂)委員 次いで、経済企画庁としての基本的な取り組み、考え方の問題について聞くのですが、この経済協力計画的増大については、イギリス、西ドイツが中期財政計画に沿った援助計画というものをつくっています。フランスなども経済社会計画に沿った予算計画的拡大に相当の配慮をしておるわけです。国際経済協力会議報告書においても一、多年度計画策定必要性のこれが理由であることが指摘されまして、対外経済協力審議会においても計画性について意見を提出いたしてもおります。  なお、外務省においては五十三年一月の経済協力白書で、政府開発援助について中期計画策定必要性を述べまして、年度ごとの試算をつくって検討しておりますが、通産省もまた本年三月の白書計画的拡充をうたっていることは御承知のとおりです。  こういうことを考えましたときに、量の拡大なりあるいは質の改善を織り込んだ中期または長期計画をつくる、あるいは経済協力推進するという役目を中心的に経企庁が果たすべき任務を本来持っているわけですから、どうも外務省がこうやっている、通産省がこうやっております、国際的には約束をいたしました、年次計画はいつまでに出しますということを各省ばらばら態度表明しているのですが、これらをまとめて経済企画庁中心的にこういった問題には取り組んで、中期または長期計画をつくったり、あるいは経済協力推進する中心的な役割りも果たすべきだというふうに思うのです。いわゆる一元化ということは必要ではないかと思いますが、大臣の見解はどうでしょうか。
  19. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 相手国それぞれがきわめていろいろな要求を出してまいりますし、また、その内容等につきましてはきわめて多岐にわたっております。現在までのわが国経済協力あるいは援助というものが先方からの申し出を待って行うというやや待ちの姿勢であったと思いますが、しかしそれだけではどうにもならないというふうになってきておりますので、いま長期的な展望とおっしゃいましたが、これをだんだん切りかえていく場合にはやはりそれなりの準備が必要であろうと思います。それでさしあたり、三年倍増という大枠の中でまず努力をしていく、今年、来年度にかかってはこの三年倍増を確実にやってしまうということを一番基本的な方針といたしておりまして、これが言うなれば中期的な展望だとわれわれは考えております。  なお、先方との、特に政府借款等につきましては、全く相手方の申し出を待ってから行動しなければなりませんから、あらかじめこれをどのようにしていくかというようなことについてはきわめて計画が立てにくいという実情もございます。  それからもう一つは、多少計画的になし得るとするならば、財政の範囲内で、いわゆる世界機関に対しての出資年度的に考えていくということも、これは非常に他の外国に対してはわかりやすい表示ではないかと思っておりますが、こうした問題について、経済企画庁といたしましても関係各省とよく連絡をとりながら、ただいま仰せになりましたような方向というものをやはり出しておく方が、日本の国際的な環境の中では説得力のあるものになるのではないかというふうにも考えております。  いずれにいたしましても、多少時間を賜りまして、検討さしていただきたいというふうに思います。
  20. 原茂

    ○原(茂)委員 同じ海外に対する経済協力の問題の最近の問題として、イラン石油化学の問題に対して、これは特に国の立場考えてやる必要があると思うのですが、長官のこれに対する考え方をお伺いしたい、こう思うのです。  御承知のように、イラン石油産業国有化をこの間打ち出して、大きなショックを与えられたことは事実であります。三井物産などすなわち三井グループは、少なくとも完成までの国有化はあり得ない、こう一応決めて工事再開準備中ということになったわけですが、しかし、当面の国有化はないとしても、五年あるいは何年か先の国有化という可能性はあるんじゃないだろうかという意味の不安は完全に払拭できない状態にあると思います。  そこで、イラン石油化学プロジェクト日本側出資会社イラン化学開発ICDC、これは新聞によると、十七日、三井物産など出資会社五社のいわゆる担当者のやる常務会というのか、そういうものを開きまして、これまで三井グループだけで進めてきたこのプロジェクトに対して他企業出資を要請いたしまして、名実とも国家事業化という形をとりたい、常務会で正式にこういうことを決めたようです。そこで、政府もこれに対して、海外経済協力基金からの出資などで全面的に支援する方針だ、新聞にはそう書いてあります。政府とは企画庁中心のお考えだと思うのですが、このためには、形式的にも他の業種にわたる幅広い企業の参加が必要だ、そうじゃないとどうも出しにくいということがあるのだと思いますが、一体経企庁としてはどんな構想でおやりになろうとしているのか、それから出資額見通しはどうなのか。現在、御存じのように、日本側出資会社イラン化学開発資本金というのはたしか五百億円、三井物産が四五、三井東圧が二二、東洋曹達が一五、三井石油化学が二、日本合成ゴムが五%という比率で五百億円の出資あるいは保障をしているわけですが、これにだけ任すわけにはいかない事態になろうと思いますし、やりかけたことが大きな不安に包まれているわけですから、まさに国という立場である程度の手をかしてやるという意味では経済協力というのは非常に必要だと思うのです。その意思のあることだけは新聞に伝わっておりますが、一体どんな構想あるいは出資額の見込みなどを持っておいでになるか、これもお伺いしておきたい。
  21. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 イラン石油化学プラントの問題でございますが、現段階では、具体的にこれを幾らどうするか、あるいはまた、国が全面的な援助に乗り出すのかどうかということはまだ決定はされておりません。ただ、希望といたしまして、そのような意見新聞紙上に報道されておりますが、事実まだそうした合意というものがなされておりませんので、現段階では具体的なことを申し上げることはいかがかと思っております。  ただ、先般、実は余り知られてなかったと思うのでありますが、イランの前の国王が、日本に対する石油供給の見返りとして、石油化学プラントをつくれというような一種のバーター的な話があって、それがスタートであったということもございますが、しかし、政情が全く一変いたしておりますし、果たしてその後の石油供給がどのようになっているかということについても、多少われわれとしては疑念をまだ深く持っておるわけでございますので、基本的に態度を固めるまでには多少時間をいただいた方がいいのではないかというふうに考えます。  ただ、八五%まで完成しているということでございますから、そのあとの一五%をどうやってやっていくかということについての具体的な方法についてもまだわれわれは聞いておりません。こうしたような状態でございますので、重ねて申し上げますが、具体的なプログラムというものもまだないというふうに御了解賜りたいと思います。
  22. 原茂

    ○原(茂)委員 新聞にも、きのうだかコラムに出ておりましたが、最近は公共事業の面で、あるいは社会保障の面でも、受益者負担というものをいままでになくどんどん強化してきている。わが国の場合でも、経済協力全体を考えたときには、資源のない日本なんですから、国としてやはり受益者負担という考え方に立つのは当然だろうというような声がありますが、私も同感なんです。経済協力全体の立場もそういった観点から、もっと大胆に、できる限りのことを、国際的にまあまあこれならという水準まで早く行くように努力してもらいたいのと、それから、いまのイラン石油化学の問題に関しても、少なくとも経企庁中心にして、この問題には国としてある程度の手をかしてやるという方針だけはぴしっと意思表示をしてもらって、決めてもらって、そうして、その具体的な内容がどうなっているのか、また提起もしてもらうし、企画庁の方でも、その内容を早くつかんでこれに協力をしていくという態度が基本的に示されるし、そういう意思をお持ちいただくことが必要だろう、こう思いますが、重ねてこの二つの問題を、もう一遍大臣からお答えをいただきたい。
  23. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 原委員のただいまの御主張は、私もよく理解できるところでございます。ただ、いま具体的にというようなことは、もう少し様子を見さしていただきたい。基本的には、当然わが国として、石油資源というものに対して、われわれもただ後ろ向きにだけ立ち回っては大変なことになるということはよく承知をしております。
  24. 原茂

    ○原(茂)委員 きょう日銀から中川さんがおいでいただいたようですが、公定歩合引き上げについて二、三お伺いいたします。  いまになって、前例がないほど非常に急ピッチに、大急ぎでというのか、あっという間に〇・七五%の公定歩合引き上げをされたわけであります。このねらいというものは幾つもあるのでしょうが、端的に言って、一つ円安に対する対策、もう一つは現在のインフレ対策、それからもう一つは国債の暴落に対する対策という三つが主なねらいで、いまここで急に〇・七五の公定歩合引き上げをやったというふうに解されますが、そう理解してよろしゅうございますか。
  25. 中川幸次

    中川参考人 日本銀行中川であります。  ただいまのお尋ねでございますが、私ども、いまお話しのように、公定歩合を〇・七五%引き上げまして、この十七日から実施して、これまでは警戒的中立姿勢と言っておりましたが、それを一歩進めまして予防的引き締めというふうに政策を転換したわけであります。その背景といたしまして、いま三つ理由ではないかという御指摘でございますが、最大の理由は何と申しましても、最近におきます卸売物価上昇がきわめて急ピッチであるということに対してであります。御承知のように、卸売物価は昨年の十一月、アメリカがドル防衛策を発表しまして以来、円高から円安になったということも影響いたしまして、十一月は〇・二%、十二、一月は〇・六%、それから後二カ月は〇・九%ずつ上昇いたしました。この五カ月間で合わせまして三・一%という非常に高い上昇になっているわけであります。四月の上旬につきましては、昨日発表いたしましたが、旬だけで〇・八%という非常な上昇でございます。四月月中としてはまだどうなるか見当がつきませんが、このままいきますと一%を超える上昇率になりそうだということであります。  いま申し上げましたように、ここのところ卸売物価が月を追ってその上昇が加速しているという点が私ども一番心配したところでございまして、その要因を少し見てまいりますと、三・一%のうち大体三分の一ずつでございますが、一つは、その三分の一は、円安による卸売物価上昇、これはたとえば石油のようにドル建ての価格で輸入を契約いたしておりますものは、ドルが強くなりますとそれだけ円の値段が上がるという関係で、円安になりますと直接すぐ卸売物価に響く部分でございますが、それが約三分の一ございます。それから、海外でたとえば木材とか非鉄とかそういったものの値段が上がりまして、それが国内の卸売物価に響いてくる、こういうものが約三分の一ございます。それから、国内要因で上がりましたものが約三分の一、三分の一ずつになっておるわけでありますが、この五カ月間の動きを見ておりますと、海外要因が強かったのが次第に国内要因のウエートが高くなりつつあるということでございました。  ただ、国内要因と申しましても、まだいまの段階は生産財といいますか、まだ加工段階としては低い方の段階の値上がりが中心でございます。消費財あるいは投資財といった最終財の値上がりはまだ余り目立っておりません。そういう意味で、国内への波及は一応まだ低次の段階だと思いますが、そういうことから推しても、これから卸売物価上昇はこのまま放置するとかなりのものになりかねないという心配を持ったわけであります。  幸い景気の方はいままでのところ昨年来の公共投資増大の効果がずっと浸透してまいりまして、それに加えまして、最近は個人消費あるいは企業の設備投資、こういったものがだんだん出てまいりまして、緩やかではございますが、わりに力強い上昇に転じております。民間の自律回復力もある程度ついてきたという感じがいたします。企業収益の方も生産財を中心にいたしまして特に最近は好転いたしておりまして、それを背景に企業マインドもここへ来てかなり明るくなってきておるというふうに思われます。  こういう物価、景気の状況に照らしますと、いまの金融情勢は、ずっと昨年まで緩和を進めてまいったわけでありますが、景気が非常に不振なときにはそういう状態も適当であったと判断しておったわけでありますが、こういう情勢になりますと、やや緩和が行き過ぎている状態に転じてきたのではないかというふうな判断であります。  マネーサプライは、今度の場合私どもわりに用心してまいりまして、前回四十七、八年のときには二七、八%までピークでは前年比増加したわけでありますが、最近でもまだ大体一二%増の下の方でございます。しかし、金融緩和政策を進める過程で銀行の貸出意欲もだんだん強くなってまいりまして、貸出競争はかなり激しいものがございます。そういうことを背景に市中の貸出金利はだんだん下がってまいりまして、現にまだ三月も下がってきておりまして、銀行の短期の貸出金利は四%ちょっとという非常に低い水準になっております。  したがいまして、こういう金融緩和情勢でいまの物価ということから考えますと、海外要因からではあっても、それが安易に国内に転嫁される、そういう可能性もある、あるいはまたそれが行き過ぎますと、インフレマインドを一層刺激するというおそれもあり得るというふうなことを考えたわけであります。  私どもといたしましては、予防的な金融引き締めに転じたといっても、これで決して景気の芽を摘むつもりはございません。それほど強い引き締めをする意図ではないわけであります。  先ほど急に上げたとのお尋ねでございますが、やはりこれだけ国債を大量に抱えた経済ということを考えますと、予防的にできるだけ早くそういう危険な芽を摘むということをしないと、後で非常にぎくしゃくすることになりかねないというところから、まだいまの物価上昇は、卸売物価が相当急騰し始めたという段階ではございましても、消費者物価にはまだ波及しているわけではございませんで、三月の東京都の前年比は二・五と、非常にこれまでにない低い上昇率にとどまっているわけでございますが、いずれ卸売物価がこれだけの勢いで上がってまいりますと消費者物価には波及する。私ども過去の事例で見てまいりますと、大体一・四半期とか二・四半期後にはだんだん波及してくることもございますので、ここで用心して、海外要因からではあっても、国内物価に、特に消費者物価に安易にそれが反映されるのをできるだけ予防しよう、そういうことで決めたわけであります。  何と申しましても、私ども基本的にはインフレになったら元も子もなくなるということでございまして、むしろいまのように初めから用心してかかるということになりますと、たとえばこのまま物価が急騰いたしますと、財政にいたしましても、もう名目で支出額は決まっておりますから、実質購買力が相対的に下がってまいります。あるいは個人消費にいたしましても、物価が急騰するとやっぱり消費が萎縮するというふうなこともございまして、物価が安定しておるからこそ昨年来の個人消費の着実な上昇があったのだというふうなことから言いまして、むしろいま用心してかかることが景気を息長く上昇させる最大の要因ではないかというふうに考えておるわけであります。  為替面につきましては、これは内外金利差がそれだけ縮小するわけでございますので、若干資本の流出が抑制されまして、それで最近の円安傾向に歯どめがかかるという意味で、プラスの効果があるというふうに判断しているわけでございます。もっとも、公定歩合を上げました後まだ円安が続いておりますが、やがてはそういう傾向が出てくることを私ども期待しているわけでありまして、基本は何と申しましても卸売物価がこれだけ急騰しておるということに対処してとられたものでございます。
  26. 原茂

    ○原(茂)委員 私などは専門家ではありませんからよくわかりませんが、現在のいろいろな情勢を考えてみて、現状で言えば、いまおっしゃったような卸売物価はやがて消費者物価に波及することは必至だと思いますが、こういう物価上昇への歯どめという効果がこの〇・七五をここで上げたことであるだろうか、どうもそうはいきそうもない、これが適切に物価に対する歯どめにはなりそうもないのじゃないかという感じがします。これは感じですから科学的ではありませんが、余り狂っていない。いままでも私は私なりにいろいろな感じで経済情勢を見てきました。どうもこれが適切な歯どめになるとは思わない。それから、いまお話があったように、せっかく引き上げを行ってもなおかつ円安、といってもきのうあたり二百十七円に少し落ちついた感じがちょっとしますけれども円安も他の要因によってまだこれでとまるとは思えないような気がする。  こういうことを考えますと、ここで二つお伺いしたいのですが、一つは、他の要因としてやはり公共料金の引き上げの抑制、これもいま相当慎重に考えないと、公共料金は財政困難を理由にしてどんどん上げていきます。そうして、いま言った公定歩合引き上げによってこれもあれも期待をする、こう言っていても公共料金の作用というものは非常に大きく影響してきますから、公共料金の引き上げというものに対してもひとつ目を向けなければいけないのじゃないかという感じがします。  これは大臣からもお伺いしたいし、中川さんからも伺いたいことなのですが、公共料金の引き上げに対する抑制を行うことも一つ加えて、公定歩合引き上げの効果をより一層いいものにしていくという考えが必要じゃないかという点に対して見解があればお伺いしたいのと、国債のいまの状況からいいまして、長期にわたる国債管理というものを別途に考えていって、なおかつきちっと、いまならいま、ある時期を決めて国債を減らしていくという基本的な国家的な方針というものが決められて、早期にそれが示されて国民全体の理解するところとなるという前提をつくること。ただつくったのではいけない。事実それをやらなければいけませんが、国債に対する長期的な見通しによる管理というものをぴしっといまお考えになって、そして今後国債の漸減計画をぴしっと示していくというくらいのことをしないと、どうもいま〇・七五引き上げたその目的を達成するためには、この二つの問題はやはり加えていかないといけないように思いますが、この二つともに、大臣も何といっても経済閣僚ですからお考えを聞かしていただくし、中川さんからもこの二つの問題に対してお考えを聞いた上で、私の質問を終わります。
  27. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 ただいまの原委員の御指摘は、非常に重要な御指摘だと私は思っております。ただ、五十四年度におきます公共料金につきましては、一つには国鉄がございます。もう一つは健康保険の改正による負担増がございます。またたばこの値上げ、この三つでございまして、これはいずれも予算の中に織り込んで御審議を賜って一応通ってしまっておりますから、これは大体〇・八くらいの影響というふうに考えております。それからもう一つは、電力、ガス料金が、先般の円高によりまして、その後相当勉強してもらって、その割り引き料率がこの三月で終わりましたので、三月に終わった分だけ四月からはもとに戻るわけでございますから、これが〇・一程度というふうに考えております。これで〇・九でございますが、あと、地方自治体あるいはその他のもろもろの一般的な公共料金的なものの引き上げが大体前年並みというふうに考えて、もちろんこれは抑制をしなければなりませんが、〇・六くらいの影響、全体で一・五%くらいの物価押し上げ要因というふうに計算をしておるわけでございます。  こうしたことの中で、すでに決まってしまったものは別といたしましても、一般的な公共料金的なものの引き上げについては特に政府、各省庁挙げて努力をしてもらうことや、あるいは地方自治体においてのそうした料金改定等につきましても特に配慮してもらうことを、先般来物価担当官会議等でも要請しておるわけでございまして、これ以上の公共料金の引き上げというものはできるだけ抑えたい。社会党の方で先般予算委員会のときに御提示になりました引き上げ額総額は一兆七千億ということでございます。われわれの方は大体一兆円ぐらいのところでとめるということでございますが、先般来のいろいろな御議論を伺っておりまして、われわれの方の計画そのものもさらに引き下げたいというような意欲で、いまそれぞれの方向努力をしておるわけでございます。  ただ、先ほどの金利の引き上げでございますが、われわれといたしましては、やはりインフレ心理、それから卸売物価上昇、これはいささか警戒を要するわけでございますので、インフレ心理を遮断しようということで適正な公定歩合引き上げ率を日銀で決めてもらったわけでございます。これは影響としましては、あの程度でございますればそれほど景気の上昇の足を引っ張るものではなかろうというふうにも考えております。  むしろ問題は、これから六月以降にあるOPECの石油の問題ではないかと思いまして、この辺につきましては、これは日本の自主性ではなくて対外的な関係で決定されてくるものでございますので、これをなるべく低く抑えていきたい。いずれにいたしましても、六月までは石油は大体量は安定的に入るということを通産省から聞いておりますし、また先般の値上げにいたしましても、大体一ドルくらいのサーチャージと申しますか、それが上乗せになる程度でございますので、これの影響もそう重視をしなくてもいいから、六月までは一応このまま滑っていける。六月以降の問題としまして、それぞれいろいろな問題を十分検討しながら対策を早目早目に打ちたいという考えで私は対処してまいりたいと思います。  なお、国債の問題でございますが、国債が大量に出されているということは、現時点におきましては、日本経済の成長が定着して、さらにそれが発展していくという見通しが立てば、当然国債の量そのものについても十分検討し得る時期になるだろうというふうに期待はいたしております。ただ、国債の量がいかにも多いということ、これによる市場の金融緩和ということでございましょう、こうした面については大蔵当局並びに日銀あたりでも十分配慮してもらって、六月以降の事態に対しては特にその辺についての十分な配慮を求めたいというふうに私は考えております。
  28. 中川幸次

    中川参考人 今度の措置では物価抑制効果は余りないのじゃないかというお尋ねでございます。たとえば円安でございますが、公定歩合引き上げまして、アメリカでも一%公定歩合が上がるのじゃないかという観測がございまして、われわれが企図いたしましたような内外金利差の若干の縮小というのにやや水をかけたかっこうになっておったわけでございます。その後、それは当分現状維持で上がらないのじゃないかという市場の観測がまた流れまして、昨日の欧米市場で、あるいはけさの東京市場でもそうでございますが、若干円高の方に戻しておりまして、二百十五円台で推移いたしております。短期的にはいろいろな事情で動くわけでございますが、少し長い目で見て、私どもはやはりそういう内外金利差の縮小から資本流出がある程度抑えられて、それが円の安定に役立つ効果があるのじゃないかというふうに期待しておるわけでございます。  それで具体的に二つの点、第一、公共料金の引き上げ抑制でございますが、一般論として申しますと、私どもとしてはぜひ公共料金をできるだけ抑えていただくということが大切だと思っております。ただ、具体的な問題になりますと私ども事情もよくわかりませんし、それにはいろいろな要因もあるようでございますから、何が何でも抑えるという、場合によってはそれで財政負担をまたふやして、それがかえってマイナスになるということもあり得るかと思いますので、具体的にどうこうということは私ども立場では言うことを差し控えさせていただきたいと思います。  第二の、国債につきまして長期的に漸減計画を出すべきじゃないか、確かに非常にごもっともだ点で、将来にわたってインフレの芽を摘むという点ではその点が一番大事な点ではないかと思います。何と申しましても最近国債が暴落をいたしております背景は、市場の規模に対して国債の発行額が非常に大きい、しかもそれが長期にわたって続くという見通しが背景にあるように思います。一方、財政の赤字あるいは国債の発行計画は、いろいろな歳出、歳入の全般のシリーズでもございますので、これは私どもからとやかく言うべき筋合いにございませんが、インフレの抑制という立場から言えば長期的にはぜひ国債の発行を漸減するという方針が望ましいことであるというふうに考えております。
  29. 原茂

    ○原(茂)委員 わかりました。  終わります。
  30. 加藤清二

    加藤委員長 林孝矩君。
  31. 林孝矩

    ○林(孝)委員 日米経済専門家会議が六月上旬にワシントンで開かれることが伝えられておりますが、その際長官は、日米経済関係調整についてアメリカ側の首脳とサミットを前提にした最終的な地ならしの機会になる、そういうことで特にどのような点を中心に折衝されるかお伺いしたいと思います。
  32. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 専門家会議は例年開かれておるものでございまして、今回はたまたまワシントンで開かれるのでございます。ちょうど私就任いたしまして、この機会に専門家会議出席をした方がいいではないかということでございますので、そうした意味で私は出席いたします。  サミットに関連したことは、前回の園田外相の訪米、それから今回これから行われるであろう総理の訪米でもって大体基本的なことは一応決定されると期待いたしておりますので、私はきわめて技術的な問題に関連して先方の諮問委員会の方々とお目にかかるというふうに考えております。もちろんいろいろ問題が残されるといたしますれば、それらについての情報交換等はするというふうに考えております。
  33. 林孝矩

    ○林(孝)委員 積み残された問題についてのどういう内容のものがそれに該当するかという点についての予測がもし長官の側で考えられておればお答え願いたいと思いますが、なければ結構です。  保護主義的傾向を強めていると言われている米議会との対話で、特にアメリカ議会との対話の中で長官が力点を置きたいと考えておられるのはどういう点なのか。その点はいかがですか。
  34. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 私が経済企画庁長官になりましてから、まだ先方の議員とはほとんど接触をしておりません。先般来私のお目にかかった方々は、大体において政府関係の人なものですから、そうして議会の様子というものについては外務大臣の会われた感触等から推測する程度でございます。  ただ問題は、日米関係の中での日本の対米輸出の大幅な黒字と申しましょうか、アメリカにとっては赤字でございますが、これがきわめて大きいということ。したがって、アメリカ側にとりましては日本との貿易は非常に損だという印象を持つ。そしてまたある場合には日本の輸出態度そのものをチェックする必要がある、そのためにある場合には課徴金等も考えなくてはならぬだろうということを非常に強い意思表示をする方もおられると聞いておりますが、そうしたような問題が果たして自由貿易体制そのものにどのような影響を持つのか、そしてまたそうしたことが将来の世界経済の発展のためにどのような影響を持つであろうか等々については、もしもそういう御意見があれば私としても自分の見解を述べて、さらに先方考え方についての詳しい内容等も知りたいというふうにも思っております。
  35. 林孝矩

    ○林(孝)委員 今回の公定歩合引き上げについても、この措置に対してこれまで諸外国からわが国に対し成長率の引き上げ要求していたことから見まして、アメリカの反応、アメリカの評価というものが注目されるわけですけれども公定歩合のことについては後でまたお伺いしますが、この点についてはどのようにお考えになっておりますか。
  36. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 私が長官に就任以来アメリカ側の方々といろいろお話をしているわけでありますが、その中で七%成長が達成できなかったということは率直に説明をしております。その原因は、やはり異常な円高による貿易の輸出の減少と輸入の増大、これがGNPに対してはマイナスに働いた、したがって結論としてそれが六%台にようやくなるということを話をしておりますが、一方その間におきまして内需は八%近い拡大を示している。したがって、全体としてのGNPの成長は六%そこそこであるけれども、いうところの政策目標としての内需の拡大は五十三年度はきわめて大幅にできたのだ、したがって、その影響としての製品輸入等も非常に大幅にふえておるのだから、日本政策努力というものは評価してもらいたいというような話をいたしておりまして、この点につきましては内需の拡大が成功しているということについての認識は、アメリカ並びにヨーロッパ諸国の人々は大体認識をしていると私はいま思っておるわけです。
  37. 林孝矩

    ○林(孝)委員 オイルショック以降の長い不況が続く中で、ようやく明るさが最近一部では持たれてきた、こういう時期、これから日本経済を安定軌道に乗せる。この安定軌道に乗せるということが非常にむずかしい経済運営になると思うわけですけれども、まず基本的に、長官経済運営に当たって安定軌道に乗せるための姿勢としてどのような姿勢を持たれておるか。これは長官の先ほどの御答弁によると少し違うわけですけれども、たとえば公定歩合引き上げに対しては長官はちょっと消極的であられたというような一部報道もございましたし、基本的な姿勢について伺っておきたいと思います。
  38. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 一言で申し上げれば、私の現時点に対する経済運営の基本方針は、やはり内需拡大に基づく景気の回復、これを非常に重要な課題と考えております。このことは同時に先般来国会においても皆様方から非常に強く御指摘の雇用問題の改善ということにつながるわけでございまして、この問題についてはやはり第一義的に重要な問題だと考えております。  それから第二番目には、やはりそれと同じような意味で、この成長を余り急激な拡大に持っていくよりも、むしろ息の長い、緩やかであるけれども確実な経済成長を達成するためには、ことさらに現時点において重要なことは物価の安定であるということで、物価の安定と景気の回復ということについては両方二つを並べて十分見ながら、非常に幅の狭い選択であっても、その間を現実の状態をよく見ながら、ある場合にはやや物価に重点、ある場合には景気回復に重点ということで、そのときどきに機動的に対処してまいりたいということを基本的に考えておることが一つでございます。  それからもう一つは、こうした国内的な問題と同時にきわめて重要なのは対外経済調整でございまして、これが御承知のような状態で、日米関係あるいは日本と欧州の関係等を見ても非常にデリケートな問題を多々含んでおりますので、こうしたいわゆる貿易の日本の黒字というものに対しての処置をどうするかということ、同時にまたそのためにはやはり内需を拡大することによって輸入をふやしていくというような方針の中で経済運営をするべきであるというふうに考えておりまして、言うなれば対外的な問題が一点と、同時に、国内的ないま申し上げました景気と雇用というものと物価というものの三つをきわめて重要な指針として、適宜適切にこれを運用してまいりたいというふうに考えております。
  39. 林孝矩

    ○林(孝)委員 日銀にお伺いいたしますけれども、先ほど来の答弁にもありましたけれども、今回の引き上げに対しての考え方、よくわかりましたが、その公定歩合引き上げによって物価抑制の効果をねらっている、これはもうそのとおりだと思いますけれども、その効果というものを具体的にどのようにごらんになっておりますか。
  40. 中川幸次

    中川参考人 物価情勢、特に卸売物価の情勢につきましては、先ほど来申し上げておりますように、このところかなりの勢いで伸びておるわけであります。これがどういうふうに抑制効果があるかという点につきましては、まだ具体的にいつになったらどれくらいということはなかなか私どももわからない、これからの動きを慎重に見守る以外にないというふうに思います。  ただ、私どもがねらっております物価抑制効果は、最近卸売物価上昇の原因は、先ほども申し上げましたように一つ円安一つ海外物価高ということで、やや輸入インフレ的に触発されたわけでありますが、仮にこれが国内に転嫁される、ある程度コストが上がる、国内物価に転嫁するのはやむを得ないところかと思いますが、いまのような金融緩和の状態が続いておりますとそれが非常に転嫁されやすい状況になるように思います。  最近私ども卸売物価を調査するに当たりまして、千幾つの企業から報告してもらっていますが、そういうリポーターの感触をまとめてみますと、海外高からコストが上がってくるという要因が非常に大きいわけでありますが、同時に需給がタイトになってきているということから値上げが通りやすい環境だという報告もかなりございます。あるいは金融が非常に緩んでおりますと、そういうコストアップを非常に安易に、あるいはコストアップ以上に国内物価に転嫁される可能性もかなりありますので、金融面から緩和の行き過ぎを是正いたしまして、それがやむを得ざるものにとどまるというふうになれば、物価上昇の勢いが相当そがれるのではないかということを期待しているわけであります。  したがいまして、今度の措置で全部一〇〇%物価抑制効果が上がるとは期待できない、もちろん政府におかれていろいろな対策をとられるということが必要で、総合的に見て初めて全体としての物価抑制効果が上がるのではないかというふうに思います。
  41. 林孝矩

    ○林(孝)委員 いまおっしゃったように、昨年以来五カ月連続して卸売物価上昇しているわけですね。この三月の上昇幅を年率に換算しますと一一・四%、こういう大きなものになるわけです。さらに四月十八日、上旬の指数、これでは年率にして二〇%を超えそうな勢い。卸売物価がそのような勢いで上昇しておる。その原因について、非鉄金属、木材、こういうものの国際商品市況の値上がり、円安などの国際的要因、公共投資の伸びに支えられての製品在庫などの需給関係の引き締まり、こういった国内的な要因などが指摘されているわけですけれども、このほか原油価格の値上げなどを考えますと、卸売物価に対しては警戒し過ぎても過ぎることはない、こういうことだと思うのです。  長官にお伺いいたしますが、この卸売物価についての認識、先ほど来日銀の御意見、御答弁がございましたけれども、この意見長官意見は同じでございましょうか。またその動向、対策についての見解、これもお伺いしたいと思います。それと、原油価格の上昇物価に与える影響をどのように受けとめられておるか、この三点をお伺いしたいと思います。
  42. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 今回の公定歩合引き上げにつきましては、われわれの試算で卸売物価に対して〇・〇三程度の引き下げ効果があるが、一方消費者物価にはほとんど影響がないということと、それから〇・七五程度の歩合の引き上げ経済成長に対しては影響するところがきわめて小さいという判断等々から見まして、一般的な金融の緩和がいささか過度であるという考え方から、予防的な措置としての卸売物価をにらんだ政策として、われわれとしましては、全般の経済計画考え直すほどの重大なことではない、要するに予防的インフレ心理のチェックという程度のことに評価をいたしておるわけであります。この点につきましては別に日銀当局との考え方の基本的な差異はございません。  それから、原油価格でございますが、原油の数量が一応六月までは昨年並みあるいはややそれ以上の入荷が可能であるという、これはわれわれにとりましては非常にありがたいことでございますが、このことを踏まえてこれが第一点でございまして、また今回の追加的な値上げによる影響を考えましても、卸売物価、消費者物価ともに〇・一程度上昇の影響を与える程度、またプレミアムを大変心配しておりましたが、われわれの方で計算いたしまして平均大体一ドル程度の上乗せでございますから、この一ドルの上乗せによりますと卸売物価に対して〇・四、消費者物価に対して〇・二程度上昇要因になっておりまして、原油価格はこれがこのまま、いずれにいたしましても六月まではこの原油価格で進むわけでございますので、こうした影響が物価に対して非常に強烈な影響を与えるということはまずあるまいというふうに考えております。六月以降さらにOPECの閣僚会議があって、その時点でさらにプレミアムがどれくらいになるかということはわれわれにはわかりませんが、恐らく現在世界的に進んでおります石油の五%の消費規制の方向がさらに具体的に着実に進んでおるならば、私はOPECといえどもこのプレミアムをさらにこれ以上大きくするということは、いたす場合にも相当な配慮をして行うであろうという予測を持っております。要するに、消費国全体がやっております五%の石油節約、これは決め手になるのではないか。むしろわが国としてはさらにそれ以上の節約が可能ではないかということで、現在政府内部ではいろいろと検討しておるところでございますが、こうした五%節約ができればOPECの次のプレミアムについてもそれほど大幅な申し出はチェックできるのではないかというふうに考えております。  いずれにいたしましても、この公定歩合引き上げによりまして、われわれといたしましては現時点の認識、特に卸売物価上昇というものが政府の認識としてはややインフレ的である、したがってそれを警戒しているんだということを明確に表示したものとして私は評価いたしております。  なお、この物価全般につきましてはすでに二月の初めにおいて閣議で決めまして、二月の二十六日に物価政策に対する総合的推進ということを決め、さらにこれの物価担当官会議を開きました。四月の五日にはさらにそれを重ねて開いております。こうした物価担当官会議政府挙げて開催したのは、前回ではオイルショック後のいわゆる狂乱物価のとき以来初めてでございます。現時点はそれほど、消費者物価などは非常に上がりが少ないのでございますが、しかしわれわれとしましては、物価対策は早目早目に手を打つべきであるという考え方の中で、こうした物価担当官会議を二度にわたって開き、さらに現状においてはこの三月時点の卸売物価動向等に関しましても、さらに重ねて厳重な監視とそしてまたその動向等の調査を引き続き実施しておるところでございまして、物価の抑制ということはむしろ公定歩合引き上げよりも、われわれといたしましてはこうした政府全体の総力を挙げての物価対策の具体的な監視と、その対策を早目に打つというところに重点を置いて運営してまいりたいというふうに思っております。
  43. 林孝矩

    ○林(孝)委員 まず、いまの御答弁の中で原油の問題で六月まで昨年並み入荷ということでございますが、これを今度は流通問題と関係して現実の問題を指摘してみますと、たとえば現場では灯油が非常に品不足であるという問題、それからポリエチレンだとかポリプロピレンだとかの原料になるナフサの不足ですね、こうしたことが随所で話題になっております。こういうことで本当に油の入荷は大丈夫なのかという、こういう疑問がちまたにあふれておるわけですね。  そうすると、経済企画庁としてはそういうことは心配ない、六月まで昨年並み入荷ができる、こういうことをもってそうした不安を解消するに足る見通しを持っておられる、こういうように理解してよろしいでしょうか。
  44. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 ただいまナフサの御指摘がございましたが、このナフサはやはりスポット物が大変な高値が出ておることは知っております。しかし、通産当局のお話を聞きましても、こうしたとっぴ高の値段の物に飛びつくメーカーに対してはきわめて厳重にその処置について警告を発してもらっておると聞いておりますし、また灯油等は現時点では不需要期でございますが、この灯油が下半期の需要期のとぎに足りなくなるのではないかという危惧の念を業界では表明しているようでございますけれども、そのようなことがいわゆる心理的に多少灯油の問題に火がつくということもあり得るのではないか等々は十分踏まえまして、先般来物価中心に、また各省とも十分連絡をとりながら、この対策には努力をいたしておるところでございます。  詳しいことは、物価局長からお答えいたします。
  45. 藤井直樹

    藤井(直)政府委員 石油製品の最近の入着状況ですけれども、一−三月については七千三百万キロリットル、昨年の同期に比べて百万キロリットルほど増加しております。それから四−六については、見通しとしては六千五百万キロリットル程度、昨年は六千三百万キロリットルでございますから、これについてもふえているということで、当面こういう状況の中では石油製品についての量の不足ということは出ないのではないか、こういうように考えております。  そこで、その石油製品についての価格でございますけれども、これは総合対策でも取り上げまして石油製品の価格の監視ということを非常に強く打ち出しているわけですが、その線に沿って通産省においても、石油製品価格の値上げが実際に打ち出されたときに主要企業から十分事情を聞く、そして内容、値上げ時期等をチェックするということをしておりますし、また地方において小売段階の価格を毎週調査するということにもしております。それからまた同時に、先般通産省の方から、石油精製団体それから流通団体に対して、便乗値上げということを行うことのないようにということで、文書で通達を出しております。  そういうような措置をこれからも続けまして、石油製品全般についての価格の安定を図っていきたいと考えておるわけでございます。
  46. 林孝矩

    ○林(孝)委員 五十四年度政府経済見通しを見ますと、卸売物価一・八%の上昇となっておるわけです。ところが、民間機関の発表では、公定歩合引き上げない場合でも五・七%、公定歩合引き上げた場合は五・八%、こういう見方をしておるところもあるわけですけれども、最近の実勢を考えてみますと一・八%におさまる見込みがあるのかどうか、こういう疑問が出てくるわけです。それについての答弁を求めます。  それから、公定歩合引き上げ、先ほど来何回も御答弁がございましたように、物価対策重視の観点から行うということでございますが、その物価抑制効果を計数的に経済企画庁として把握しているかどうか。  それから、これも民間機関の試算ですけれども公定歩合引き上げは当面物価抑制にはほとんど効果がない、こういう指摘もあります。経企庁の試算の報告にも、効果については非常に弱い状況の見方をしているとなっておるわけでありますが、インフレ心理を冷やすということとそれから物価を抑制するということ、これは全然関係ないことはありませんけれども、効果的にどちらに重点が置かれたものなのか、この点もう一度明確にしていただきたいと思うのです。  それから、金融政策以外の効果的な措置、こういうものもとられる必要があると思うのですけれども、その点についてはどのように考えられておりますか。
  47. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 詳細にわたってのデータにつきましては担当官から御答弁させますが、基本的に申し上げますと、今回の〇・七五程度公定歩合引き上げ経済成長率に対する影響は〇・〇一程度でございますから、これはほとんど影響はないと思うわけでございます。問題は、結局公定歩合引き上げによって、先ほど来申し上げているような一種のインフレマインドが現在においてはやや卸売物価の面にあらわれておると思うので、こうしたものを予防的に遮断をしていくことに一番大きなウエートを置いて考えているわけでございます。したがいまして、今回の公定歩合引き上げそのものの持つ卸売物価に対する引き下げ効果というものは、これは試算でございますが〇・ ○三ぐらいの引き下げということで、余り大きな効果はない、しかし、心理的な面できわめて効果的な影響を持つであろうことをわれわれは期待しておるわけでございます。  それ以上にさらに、物価政策そのものといたしましては、先ほど来申し上げておりまする物価担当官会議、全省庁を挙げての共同動作によって、特に便乗値上げ等につきましては厳格に監視をし、またもしもそうした事態があればこれに対しての行政的な発動さえ辞さないということでいまがんばっておるわけでございまして、むしろ直接的な効果は、政府といたしましては物価政策の総合的な推進ということをすでに発足しておることでございまして、これをさらに忠実に着実に前進させて、物価の安定に努力してまいりたいという基本的な方針を持っております。
  48. 藤井直樹

    藤井(直)政府委員 卸売物価の最近の動向との関連で五十四年度見通しがどうかという御指摘でございますが、ことしの物価見通しに際して前提といたしました円レートにつきましては、現在かなり円安になっております。それから、OPECについても追加値上げがあったというようなことでございまして、そういう点から見てかなり厳しい状況にありますし、非常にむずかしい面もあるわけでございますけれども、現時点で見ますと、まだ五十四年度の初めでございます、これからの円レートの動向、さらに先般から実施しております物価対策の総合的な推進等につきましての効果、そういうものを見定めてまいらなければなりませんので、五十四年度見通しの数字がどうかということについてのお答えはいまいたしかねるわけでございます。  いずれにいたしましても、そういう状況でございますので、なお一層努力を重ねていきたいと考えております。
  49. 林孝矩

    ○林(孝)委員 非常に抽象的な答弁で、正直言って計数的に抑えられるかどうかということに対して自信がないような印象を受けたわけですけれども、私の質問の中の金融政策以外の効果的な措置がとられる必要性の問題ですけれども、この点についてはどうでしょうか。
  50. 藤井直樹

    藤井(直)政府委員 この点につきましては、すでに大臣から御答弁もございましたように、二月の末に政府の各省物価担当官会議を開きまして、最近の卸売物価の情勢の背景にあります円レートの動き、さらに海外物価の動き、また一部商品に見られる需給の改善状況等、そういうものに対応してこれからの物価の安定を図っていくためには、政府の現在考えておりますいろいろな対策について早目に手を打っていく、そしてそれを総合的に実施していくということが特に肝要であるという考え方で、八項目の対策を決めたわけでございまして、この対策につきましては……(林(孝)委員「それはいいです」と呼ぶ)そういう八項目の対策に盛られた項目が非常に具体的な問題であるわけでございまして、これを現在関係各省において実行しているということでございまして、金融政策以外の対策として見ますと、こういう個別的な予防対策をしっかりやっていくことに非常に意味があると考えております。
  51. 林孝矩

    ○林(孝)委員 日銀にお伺いしますけれども、今回の措置で十分効果があらわれなかった場合、公定歩合の再引き上げということを近いうちにやるというような考え方をお持ちでしょうか。
  52. 中川幸次

    中川参考人 金融政策は、そのときどきの状態に対しまして機動的、弾力的に運営するということが基本でございまして、特に物価あるいはマネーサプライの動向、金融政策関係の深いものの動きをよく見ながら、弾力的に予防的に運営していきたいと考えております。  それは一般論でありますが、この十七日から〇・七五%引き上げたということは、いまのようにまだCPIがきわめて——これまでの動きからいえばきわめて安定しておる段階でそれだけ予防的に引き上げたということでございますので、私どもとしては当面、その状況がどういうふうに浸透していくだろうかということを注意深く見守ってまいりたいと思います。物価上昇について比較的早い段階で用心しながら、特に今度の場合には、私どもあるいは政府も全体として非常に用心してかかっているわけでございますので、効果は十分に上がるものではないかというふうな期待をしておるわけであります。引き上げ幅が〇・七五%ということはいまの情勢からいたしますと相当思い切ったものでございまして、これだけで十分効果が上がることを私どもとしては期待いたしております。
  53. 林孝矩

    ○林(孝)委員 次に、景気回復に関連してでございますけれども、景気回復が確実に本物であるならば、これは長官にお伺いしますが、財政収入の自然増収が見込まれる、その分財源的に国債の削減に回されるということは当然のことだと思いますけれども、五十三年度、五十四年度はどの程度の自然増収が見込まれているか、お伺いします。
  54. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 まだ五十二年度についても実績が把握されておりません。また、五十四年度につきましては、大体六・三%程度経済成長を達成できる見通しがさらに確実になっていかないと予測も立たないわけでございまして、現時点では確かに景気は着実に拡大しているし、また企業の収益面もやや改善しておる方向にございますので、われわれとしましては自然増収が多少増加していくということを非常に深く期待しているところでございます。
  55. 林孝矩

    ○林(孝)委員 経企庁の資料で、五十三年度五千億円もしくは八千億円、五十四年度二兆円、こうした自然増収が見込まれるというような考え方は、部内では話題になっていませんでしょうか。
  56. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 私は、まだそういう報告を聞いておりません。
  57. 林孝矩

    ○林(孝)委員 あとの方はどうでしょうか。
  58. 廣江運弘

    廣江政府委員 いま大臣がお答えいたしましたとおりで、私どももその辺のはっきりした数字の見通しというようなものにつきましては、関係当局から聞いておりませんし、議論にもいたしておりません。
  59. 林孝矩

    ○林(孝)委員 日銀総裁が、国債消化のため公定歩合を上げるべきだというのは本末転倒だ、こういう発言をされておりましたが、実態的には国債流通価格の暴落、四月発行中止という異常事態に追い詰められたかっこうなんですね。金利体系の見直しを迫られたものではないか、こう考えるわけですが、国債の大量発行は金融政策を揺さぶる結果になったことは否定できないと思いますが、その点についてどういうお考えか、お伺いしたい。  政府が野方図な国債管理を続けていた場合、国債が売れ残る一方で、設備投資が沈滞して景気が落ち込んでしまうという事態になりかねない、このようにも思うわけです。それだけに、今後の国債政策は一層重要になってくるわけですが、今回の公定歩合引き上げによる金利体系の見直しで国債の円滑な消化が図られることになる、このように理財当局は自信を持っているのかどうか、この点はいかがですか。
  60. 北村恭二

    ○北村説明員 五十四年度におきまして、十五兆円を超えます大量の国債の発行が予定されておりますことは御承知のとおりでございますが、この大量の国債の消化策といたしまして、資金運用部での引き受けを復活いたしますとか、あるいは公募入札方式で中期の利付国債を発行する、種類を多様化し、しかも発行額を拡大するといったようないろいろな措置を考えているわけでございます。また、具体的な国債発行に当たりましても、そのときどきの金融情勢とか資金需給といったことを十分勘案いたしまして、何とか円滑な消化を図ってまいるための工夫と努力をいたしたいというふうに考えているわけでございます。  先生ただいま御指摘ございましたように、国債の市況というのは、最近非常に流通利回りが上昇しておりまして、発行条件と流通利回りの乖離というものが非常に拡大しているわけでございます。今回の公定歩合引き上げといったようなことの結果といたしまして、市場にそれなりの落ちつきというものが出てくるということでございましたならば、今後の国債の円滑な消化にも資する面があるのじゃないかというようなことを期待しているわけでございます。
  61. 林孝矩

    ○林(孝)委員 前半の日銀の意見をお伺いしたいのですけれども
  62. 中川幸次

    中川参考人 ただいま大蔵省の方から御答弁がありました。私も同様に考えております。  総裁が申しておりますように、私どもといたしましては、国債のために公定歩合を上げたという気持ちは全くございません。公定歩合引き上げは、理屈の上では国債の円滑な消化とは余り関係がないように思います。ただ、これまで市場におきまして金利の先高感と申しますか、金利が先行きどのくらい上がるのだろうかという非常に不透明感があったように思います。それで、どちらかといいますと、買い方が全く引っ込んでしまいまして、売りが非常に強くなって国債が暴落するという傾向がございました。そこで、今回思い切って〇・七五%引き上げまして、金利の不透明感というのは、私どもとしては払拭されたというふうに思っております。そこで、国債の条件がいまの市場実勢にマッチしたように改められますと、国債の消化促進には、その面からは役立つんではないかというふうに考えております。
  63. 林孝矩

    ○林(孝)委員 公定歩合に関する質問はこれで終わりまして、次に問題を変えてお伺いいたします。  今日、生活様式の多様化に伴って、商品の多様化、複雑化、こういうものが進んでいるわけですが、さらに消費者の意識の高まりとともに、消費者の商品に対する苦情、相談、こういうものが次第にふえてきているわけです。昭和四十三年に消費者保護基本法が制定されて、毎年消費者保護会議推進の具体的方策を検討してきているわけですが、五十四年度の消費者保護対策の重点、これはどこにあるのか、お伺いしたいと思います。
  64. 井川博

    ○井川政府委員 御案内のように、消費者保護の政策ということになりますと、非常に広い、しかも長年かかる問題でございます。したがいまして、五十四年度の重点と申しましても、毎年続けている中で、五十四年度として特色がどこにあるかというようなことになろうかと思います。  昨年の十一月十四日に、第十一回の消費者保護会議で、これから一年間実施されます消費者保護施策について決定をいたしたわけでございますが、これは三つの分野に分けて重点事項を述べておりまして、一つは「消費者安全の徹底」、それから第二番目は「消費者選択の適正化」、第三番目は「消費者指向の強化及び消費者啓発」ということになっております。  「消費者安全の徹底」につきましても、中身はいろいろございますけれども、その特色といたしましては、現在国会に厚生省から提案いたしておりますような薬事法の改正であるとか、あるいは医薬品副作用被害救済基金法であるとかいったような、そうした医薬関係の消費者救済問題を大きく前進させるとともに、従来わが国では危害情報が非常に少なかったというふうなことでございまして、この危害情報システムというものを拡充していこうということを、この一、二年、特に国民生活センターを中心推進をいたしているわけでございますけれども、これをやはり拡充強化をしていきたい。  第二番目の「消費者選択の適正化」というのも、非常に広い分野がございますけれども、特に五十四年度の特色といたしましては、省エネルギー、省資源関係の機器というふうなも一のについて、その基準の設定とか、あるいはまた表示というものを徹底させたい。このために、省エネルギー法案等を国会に御提案いたしているわけでございますが、それを進めますと同時に、もう一つ、従来、商品に関しましてはある意味で消費者保護が充実してまいっておりますけれども、商品以外のサービスとかあるいは信用問題というふうな問題の保護の徹底がおくれているという面がございます。こういう面について、逐次各面でいろいろな施策を進めてまいりたい。第三番目の「消費者啓発」等の問題でございますけれども、これはだんだんそういうふうな体制になりつつございますが、地方の消費生活センターを充実をし、そしてその中核となる中央の国民生活センターを強化する、このことによって消費者に対する啓発あるいは苦情の処理といったようなものの全国的なネットワークを一日も早く完成させたいというふうなことで、国民生活センターにおきましてもそうした研修、テスト施設というふうなものの完成を急いでいるわけでございます。こうしたネットワークを早く完成するための施策を進めていくということでございまして、大体これが五十四年度における特色のある施策かと存じます。
  65. 林孝矩

    ○林(孝)委員 その中で農林物資の規格化及び品質表示制度による表示の適正化、これが項目に挙げられているわけですが、食品の表示についての実態、これに関する問題が非常に多いわけです。たとえば、今年製造年月日の先付表示、こういうことで摘発された事件がありました。これと反対に、製造年月日と賞味期間の両方を明記して実施したメーカーもありました。WHO、FAOの合同表示部会ではすでに賞味期間の表示を呼びかけているわけですが、表示の適正化についての公取としての指導、こういうものは一体どうなっているか、また今後の方針についてお伺いしたいと思います。  さらに、消費者の声を具体的にどう規格表不の適正化に反映させるようにすればいいのか。これは経企庁意見も公取の意見もあわせてお伺いしたいと思います。
  66. 土原陽美

    ○土原説明員 公正取引委員会は、景品表示法に基づいて不当表示を規制しております。食品の表示は、特に国民の健康とも密接な関係がございますので、従来から私ども特に力を入れてやってまいりましたけれども、今後とも消費者を誤認させるような不当表示がないかどうか、厳格に監視をしてまいりたいと思っております。また、必要な表示が適正に行われますように公正競争規約というものを積極的に業界でつくるように指導していきたいと思っておりますし、また古い、これまであります公正競争規約につきましてはその見直しということも考えていきたいと思っております。  それから、消費者の意見をどのように取り入れていくのかというお話でございますが、従来、私どもの方で新しい基準を設定する、あるいは公正競争規約を認定するという場合には、表示連絡会とか公聴会を開きまして、そこで消費者の意見を十分聞くように努めております。今後とも消費者の意見を十分聞いて、できるだけ取り入れていくように努めるつもりでございます。
  67. 林孝矩

    ○林(孝)委員 賞味期間の表示はどういうふうに指導するのですか。
  68. 土原陽美

    ○土原説明員 日付の表示は、従来は製造年月日が中心でございました。これは消費者に非常に役立つ表示であると思いますけれども、消費者の方から言いますれば、やはりいつまでに食べるのが一番いいのかということを知ることが重要だと思いますので、まだ賞味期間を表示しているものはそんなに多いわけではございませんけれども、公正競争規約をつくる際などにはできるだけ賞味期間を表示するように私どもとして指導していきたいと思っております。
  69. 林孝矩

    ○林(孝)委員 次に、ポリエチレンなどの包装から中身の菓子などに有害のおそれのある酸化防止剤、BHT、これが移行していることが報道されているわけでありますが、BHTの用途、毒性、安全基準、人体への影響について説明を願いたいと思います。
  70. 藤井正美

    藤井説明員 御指摘のように、BHTは食品添加物として現在世界各国で使われております。約三十年の歴史を持っておりまして、このものの毒性については十分な検討が何回も行われております。急性毒性につきましては、大体キログラム当たり二ないし三グラムと、一般の有機薬品の毒性とほぼ同等というような関係でございます。問題は慢性毒性でございますけれども、この件につきましては非常に大量を投与した場合には肝臓の肥大あるいは体重の増加抑制、こういった形が出てまいりますが、臓器的な方面に関する重篤な影響というものは現在認められておりません。とりわけ催奇形性であるとか、あるいはまた発がん性であるとか、こういった関係につきましても現在のところ長期の動物実験等からは認められておりません。御指摘のように、WHO並びにFAOにおきまして合同専門家委員会でこの安全性につきましては数回の評価が行われているわけでございますけれども、一日の摂取量がいわゆるキログラムあたり五十ミリグラム以下であるならば安全であるというような評価になっております。したがいまして、一日の摂取量がその百分の一、〇・五ミリグラムを超えないように私どもは食品添加物に対する使用基準を設定いたしております。
  71. 林孝矩

    ○林(孝)委員 包装容器などのポリエチレンの酸化防止剤について調査したことがありますか。
  72. 藤井正美

    藤井説明員 包装材料から食品の方にある種の化学薬品が流れ出していくという点につきましては、近年分析技術が非常に進歩いたしておりまして、こうした方面の調査というのは私どもやっております。この調査はいわゆる包装材料の安全性を確保するために各種の基準を昭和三十四年以来作成してきているところでございますが、御指摘のポリプロピレン、またポリエチレン等につきましては、個別の規格基準を作成いたしまして、近々告示いたす予定でございます。  酸化防止剤の溶出につきましては、現在新聞報道等で指摘されておりますので、国の方では国立衛生試験所の方において材料を収去して現在分析中でございます。また、業界の方につきましても、中立分析機関に材料を持ち込んで溶出のレベルというものを確認中でございます。
  73. 林孝矩

    ○林(孝)委員 合成樹脂の高熱処理の酸化防止剤にBHTが使われている点で、菓子などの包装材から移行する可能性はあるのか、ないのか。この点が一点。  それから、この点の危険性についてどのような対応策をとるつもりかということ。  それから、一九五九年、ブラウン氏データというものがありまして、これは毒性を意味しているわけですが、ことし阪大の植村氏が示したデータが別途あるわけです。厚生省のデータというものは一体いつの時点で明示したものでしょうか。その点を明確にしてもらいたいと思います。
  74. 藤井正美

    藤井説明員 プラスチック製の包装容器からBHTの酸化防止剤、こうしたものが溶出することにつきましては、私どもこうしたものの規格基準をつくるときにすでに把握いたしておるわけでございます。そこで、ポリプロピレン、ポリエチレン等の材質別の規格基準という作業を進めてきたわけでございますが、こうしたプラスチックの中に入っております一つの物質に注目せずに、いわゆる蒸発残留物あるいはまた酸化剤等が引っかかってまいります過マンガン酸カリの消費量、また揮発性物質、こういった形全体としての安全性、全体としての規格という立場でこの問題をとらえている次第でございます。  また、BHTの安全性に関しますいろいろなデータにつきましては、最近の最も大きな報告では、約七年間をかけた東京都の実験がございます。
  75. 林孝矩

    ○林(孝)委員 私が質問しておるのは、合成樹脂の高熱処理の酸化防止剤にBHTが使われている点で、菓子などの包装材から移行する可能性があるのかないのか、こういう点と、この点の危険性についてのどのような考え方、対応策を持っておるかということ。  それから、これは一九五九年ですが、ブラウン氏データ、あるいはことしの大阪大学の植村氏のデータ、こういうものと比較して、厚生省のデータというのは、ではいま答弁があった東京都のデータが厚生省のデータになっておるのかどうか、この点ですよ。
  76. 藤井正美

    藤井説明員 合成樹脂中の酸化防止剤が一部食品の方に溶け込んでくるということは否定できないと思います。ただし、私どもといたしましては、この溶け込んだ量がどのレベルであるか、公衆衛生上の見地からこの量というものを評価いたしております。一日の人間の摂取量が〇・五ミリグラムを超えないように食品添加物にこの添加を許可いたしているわけでございますけれども、フィルム等から、包装材料から食品の方に入ってまいります量でございますが、はるかに少ない量でございます。したがいまして、食品に移行する可能性というものは当然あり得るわけでございますが、現在発見されている程度のレベルであるならば問題はないと判断いたしております。  また、私どもが食品を収去いたしまして、現在これは実験中でございますけれども、このデータは近々に報告があると考えております。
  77. 林孝矩

    ○林(孝)委員 時間が参りましたので、あと一点を質問して、この問題に関しましては別の機会にまた消費者保護の問題として取り上げたいと思います。  その一点の質問は、菓子などの袋や容器に酸化防止剤や安定剤としてどのような食品添加物が使われているのか、表示が各社全くばらばらな状態が現実です。こういう実態に対して、表示を統一すべきではないか、こういう意見があるわけですが、この点に関して答弁を伺って、終わりたいと思います。
  78. 井川博

    ○井川政府委員 いまの先生のお話は、特定の包装についての表示ということに伺ったわけでございますが、われわれといたしましては、各種商品の各種の表示全般について検討をいたしてございます。御案内のように、表示につきましてはいろいろな面で進んではまいったけれども、それが大変複雑化している面がある、あるいはまたそのために混乱を招く面がある、そしてまた一部では必要な表示がないという面がある。そういうふうな大変進んできた表示についてこの段階で見直すべきではないかということで、国民生活審議会消費者部会では、これからの表示の問題を原点に立ち返って検討しようということでいま検討をいたしてもらっているわけでございます。この点に関しましては、各種消費者団体のいろいろな御意見を伺うと同時に、それについて関係各省とともに、どういうかっこうでこれからの表示に対応していくか現在検討中でございまして、これを鋭意進めてまいりたいと考えておるわけでございます。
  79. 林孝矩

    ○林(孝)委員 終わります。
  80. 加藤清二

    加藤委員長 安藤巖君。
  81. 安藤巖

    ○安藤委員 私は、訪問販売の問題に一ついてお尋ねをいたします。  訪問販売等に関する法律というのが五十一年の六月にできまして、同年十二月から施行されて、これまでにもう二年半近くになっております。消費者行政の一角を担当しておられる経済企画庁として、どういうようにこの法律の運用に当たって対応してこられておるのか、まず最初にお伺いします。
  82. 井川博

    ○井川政府委員 この法律は通産省所管でございますけれども、新しい販売方法について、しかもそれを消費者のために規制するという意味では大変画期的な法律でございます。  この法律が、いまおっしゃいましたように二年半ばかり前に成立をしたわけでございますが、この成立以降非常に大きい成果を上げてきたのではないかとわれわれは判断をいたしているわけでございます。  他面、しかし私たち消費者教育というものに携わっております経済企画庁立場からいたしますと、問題は、そういう法律ができていること及び法律ができましても、基本的に消費者がそういう内容を十分知悉をする、十分な知識を持って、一般の商品もそうでございますが、訪問販売等について対処することが必要であるというふうなことから、知識の普及という意味でいろいろな啓発をやってまいりました。これは府県の担当課長会議等の開催あるいはまた国民生活センターを通じて地方の生活センターへ流すというふうないろいろの手段を用いながら、訪問販売法の内容であるとか訪問販売についての消費者の心組みといったようなものをPRしてきたということでございます。
  83. 安藤巖

    ○安藤委員 消費者の心構えということに重点を置いてきておられるようですが、この法律ができる前に経済企画庁の方で調査をされた実態調査、これは取引上発生した被害件数六百八件のうち四百八件、六七・一%がこの訪問販売による被害者の数だ、これは千世帯当たりにすると十一・二件というような数になっている、こういうようなことを踏まえてこの法律ができたんだろうと思うのです。  そこで、この法律ができて運用されて、いまおっしゃったようなことをやってきておられるのだろうと思うのですが、これは全国的でもこういう状況ではないかと私も思うのですが、愛知県で消費者センターに持ち込まれた件数なんかを見ますと、五十一年にいろいろな商品の売買についての苦情が持ち込まれたうち、訪問販売が二百三十三件、それが五十二年になると四百四十六件とふえているわけです。五十三年は、四月から十一月までの八カ月間だけで四百三十一件とこういうふうにふえてきているわけです。こういうような実態からすると、この法律ができたことによって苦情なりあるいは被害なりというのが減っているというわけにはまいらぬじゃないかというふうに思うのです。  だから、この法律を運用してみて、いまおっしゃったような消費者に対する教育ということも含めてやってごらんになって、もう十分だと思っておられるのかどうか、まだここのところが足らないのではないかというようなところもあるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  84. 井川博

    ○井川政府委員 一つには、新しいやり方、商法というふうなことで訪問販売というふうな形がいろんな形でふえているという面があるだろうと思います。一面、そういうものについてセンターを通じ市町村を通じ、PRが徹底することのために、そのことによって苦情が多くなるという面もこれはあるのは御承知のとおりでございます。この両面があろうかと思います。私たちの国民生活センターなりあるいは全国の地方消費生活センターの数字で見ましても、訪問販売だけではございません、これはそのほかの契約条項、サービスを含めてでございますが、毎年上がっているという面がございます。  したがいまして、私たちとしては、これで十分というよりはやはりもう少しあらゆる媒体を通じて訪問販売に関する消費者の心組みというふうな点はこれからもPRをしていきたいというふうに考えているわけでございます。
  85. 安藤巖

    ○安藤委員 実際のというか実質的なこの法律の運用にあずかっておられるのは通産省、それからこの法律を立案されたのも通産省でございますので、通産省からも一来ていただいておりますので通産省の方にちょっとお尋ねをしたいと思うのですが、通産省の方でも、いま経済企画庁の方からお答えいただいたようなことで、この法律の運用に当たっては、消費者に対する教育、PR、啓蒙というのを重点にしてやってきておられるのか、あるいはそのほかに訪問販売を業としている人たちに対する指導ということもやってきておられるのかどうか、お尋ねいたします。
  86. 佐藤剛男

    ○佐藤説明員 お答えさせていただきます。  通産省といたしましてこの法律の施行を行っているわけでございますが、根底にありますのは訪問販売の健全なる発展といわば消費者保護、こういうバランスの上に立った形で施行を行っております。  先生指摘のように、苦情につきましては決して減っておりません。私ども通産省の中に消費者相談室というものもございますし、通産局にそういう相談室もございますが、件数で見る限り、訪問販売だけじゃございませんが、先ほど国民生活局長が御答弁されましたように、契約関係のトラブルが多うございます。そういうものにつきましては、迅速なる対応を行っているつもりでございます。  それから同時に、私どもの面といたしましては健全なる訪問販売の発展ということが必要と考えておりまして、これは訪問販売を行う事業者に対する一つの指導でございます。これにつきましては、つい先月でございますが、訪問販売事業者の協議会というのを、これは訪問販売を行っている業界、たとえば化粧品であるとかラテックス製品であるとか消火器であるとか、こういう十二団体と約五十社の企業を集結いたしまして、非常に優秀なといいますか、いわばエリート的な業者でございます、そこを中核体にいたしましてセールスマン教育というものを集中的に行おうという形で結成いたしております。  それからもう一つは、こういう問題が起きましたものにつきましての取り締まりというものは、やはり警察庁の御協力を得なければならないわけでございまして、こういう三つの面で私ども通産省としましては施行に臨んでいるわけでございます。
  87. 安藤巖

    ○安藤委員 いま訪問販売事業者の協議会のお話が出ましたが、十二団体、五十社というふうにおっしゃったのですが、これはおっしゃるようにエリート的な訪問販売業者だというふうに私も思うのです。そうしますと、この協議会に入っていない訪問販売業者というのはもっともっとたくさんあるんではないかと思うのですが、たまたま、これは四月十八日、NHKのスタジオ102、この番組を聞いておりましたら、この協議会の小林という副会長さんなんかも出ておられて、それからセールスを実際にやっておったセールスマンの人たちも出ておったのですが、この協議会に加盟していない販売業者、訪問販売をやっている業者が六百業者もまだあるという話が出ておりました。それは事実かどうか。  そしてそうなるとすると、この協議会を通じていろいろ業者に対する指導あるいはセールスマン教育等々をやっておられるにしても、この六百業者の人たちに対してはこういう指導はどういうふうに行き渡っているのか、全く野放しになっているのではないかという気がするのですが、いかがでしょうか。
  88. 佐藤剛男

    ○佐藤説明員 先生指摘のように、約六百ぐらいあるんじゃないかと思います。訪販セールスマンといいますのは、推定では百六十万人ぐらいおると言われておるわけでございますから、日本の雇用人口の中で相当大きな割合を占めておるわけでございます。それなりに一つのまた重要なるウエートを持っているものと理解いたしております。  このアウトサイダーといいますか、訪販事業者協議会の外にある者たちにどういうふうに取り組むか、こういう問題だろうと思いますが、これにつきましては、いわゆる訪販事業に入っているメリットをできるだけつけるようにいたしまして、そういう形によって非常にアウトサイダーの中から事業者協議会の中に入っていくのが好ましい雰囲気づくりを行ってまいりたいと思っております。私はこれはすぐにはできる問題ではないと思いますが、やはりかなり長い期間をかけまして、全体としまして訪問販売の悪質な業者というのがあることは事実でございますが、これは警察という形での御協力といいますか、警察の方面での取り締まりというものも随時私ども連絡いたしましてやっておりますけれども、これだけではなくて、やはりアウトサイダーの質がよくなる形を、そういう面で一つの導火線といいますか、ダイナモみたいな形でそこを中核に持っていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  89. 安藤巖

    ○安藤委員 そういうふうに御努力を願うことは結構なことだと思うのですが、実際問題としてこの協議会に入っている訪問販売業者は、先ほどのお話でエリートだということになると、さしてそう問題が起こらない訪問販売業をやっておられる、あるいはそういう商品を消費者に提供しておられるところじゃないかと思うのです。  だからそうなりますと、そういう大手といいますか、エリートといいますか、そういう人たちの意見だけを聞いてこの法律が運用されていくということになると、この法律が制定されるときの議論でも、消費者の保護と同時に取引の安定性というのがいろいろ言われまして、意見が出されたというふうに聞いております。となりますと、この協議会ではエリートばかり集めて取引の安定性ということの方が大事だ、消費者の保護というよりもまずこちらの方の保護をしっかり考えてほしいんだというようなことでもって運営をされて、そういうような意見のみを通産当局はお聞きになって、そしてこの法律を運用されておって、別にそう問題はないんだ、問題は消費者の方がしっかりしていなければいかぬのじゃないかというようなことになっていってしまうのではないかという危惧を感ずるわけなんですよ。だから、その辺のところの懸念は全くないのかどうかということはどうなんでしょうか。
  90. 佐藤剛男

    ○佐藤説明員 お答え申し上げます。  私は先ほど申し上げましたように、訪販の健全なる発展と消費者保護というのはやはり三位一体、一つは消費者、主婦が多いわけでございますが、その啓発ということ、たとえば訪問販売法という法律がありますよ、これを知らない人というのは相当あるわけでございます。それからその中においていろいろな条項がありますよということも知らない方々が相当ございます。これは苦情相談等の状況から私ども把握している限り、残念ながらそういうのが実態でございます。  それで私どもとしましては、パンフレットであるとかあるいは生活センターを通じます方法であるとかあるいは都道府県の課長会議あるいは生活センターとの定期的な懇談会、ラジオあるいはテレビ、そういうふうな形で消費者啓発ということを非常に重視しまして行っていく。それから、繰り返すようでございますが、それについては、やはりセールスマン全体の問題でございますが、セールスマン全体の質をいかに上げるかという一つの方法としまして、試行錯誤になるかもしれませんけれども、セールスマンの質を上げるという形を協議会という場をもちまして行ってまいりたい。  それから第三は、私はやはり取り締まりという面ではないかと思います。  この三位一体で訪問販売におけるトラブルを、これは急激に解消するものではないと思いますけれども、苦情がありましてもできるだけその質、内容が変わるような方向で持っていくのが私どもの責務かと思っておりますので、そのような方向で進めてまいりたいと思っております。
  91. 安藤巖

    ○安藤委員 もう少し具体的にお尋ねしたいと思うのですが、この訪問販売等に関する法律の六条に、いわゆるクーリングオフの規定がございます。これは企画庁の方にも通産省の方にも両方お尋ねしたいと思うのですが、この法律ができましてからいろいろなところで議論がなされておるのですけれども、先ほどセールスマンの教育ということもお触れになったのですが、経済企画庁の、先ほどちょっと申し上げました「わが国における消費者被害の実態」という調査があるのです。この中でもこういう指摘があるのです。セールスマンの強引な売り方、これによる被害というのが二百五十八件。先ほど実態調査四百八件というふうに申し上げたのですが、そのうちの二百五十八件は強引な売り方にある。それから虚偽または不法な説明しかしなかったというのが百一件あるというようなことですね。  それから、これは東京都の消費者センターの相談所長をやっておられる人の「ジュリスト」の座談会での御意見なんですが、こういう訪問販売のときに、セールスマンと消費者が家庭で話し合いをすると、どうしても消費者の方は、能弁にキャッチフレーズの並べ立てでまくし立てられるというのかどうか知りませんが、受け身の立場になってしまう、結局、買いましょうということになる、後から品物を送ってくる、品物が届いたころには、この法律の六条に規定されている四日間というクーリングオフの期間がもう過ぎてしまっている、あるいはその前に到着したとしても、あれこれ思い迷っているうちにセールスマンが帰ってしまって、受け身の立場からいろいろ思い悩んでどうかいなと言っているうちに、あるいはあれこれ相談しているうちに四日間たってしまうというので、この四日という期間は短過ぎる、だからこれをもっと延ばしてほしいのだという意見が出ておるということは御承知だろうと思うのです。  これはこの法案の審議の際にも、日本消費者連盟の代表委員の竹内さんという方が参考人として意見を述べておられるのですが、最小限八日は欲しいという意見を述べておられるという事実もあるわけですね。この四日をもっと、どこにするかというのがまた一つ問題でしょうが、さしあたって、この竹内さんの御意見のように八日くらいに延ばすということによって一いろいろな苦情を相談所の窓口あるいは消費者センターの窓口へ相談しに行ったところが、いやもうちょっと早く来てもらえたら間に合ったかもしれぬのに、もう四日過ぎておりますよというようなことで間に合わなかったというようなことも多いと私は聞いておるのです。だからそういう点で、この四日をもっと延ばしたら被害が少なくなる、こういうような点についてお考えになっておられることはないのでしょうか。まず企画庁の方、それから通産省の方からお尋ねしたいと思います。
  92. 井川博

    ○井川政府委員 恐らくいろいろなケースがあるのだろうと思います。しかし、そういう問題の基本は、大体クーリングオフなんということを全然知らなかったという場合に起こる問題、クーリングオフは四日だけれども、六日だったら考えてできたが四日でできなかったというよりは、クーリングオフなんということを全然知らなかった、知らなかったために問題が起こって、一カ月後その問題を公的機関、センター等へ持ち込んでいったら、四日はあったんですよというようなことを知らされて、なるほどと、こういうケースが大変多いのだろうと思います。四日がいいのか、五日がいいのか、六日がいいのかという議論がございますけれども、私たちの立場からすれば、訪問販売において消費者保護のために四日というクーリングオフの制度がありますよ、われわれのPRもそれを主体にやっておるわけでございますが、これをとにかく徹底をしていくということが先決であろう。法律ができてまだ二年余り、先ほど通産省課長さんがお答えになりましたように、消費者側からしますとこういう法律がある、クーリングオフという制度があるということも知らないというのが実態でございますので、私たちといたしましては、むしろそういう制度内容を広く消費者の間に徹底をさせていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  93. 安藤巖

    ○安藤委員 通産省の方にもと申し上げたのですが、大体同じような御意見じゃなかろうかと思いますので、あとまだ二つほどありますので……。  もう一つは、金を払ってしまった、品物を受け取った、いわゆる契約の履行後には、履行されてしまっておるのですから契約の撤回というようなことあるいは解消ということは別の理由がなければできない。この法律でもそれはできないことになっているのですね。しかし、先ほど言いましたような相当強引な売り方、あるいは受け身に立つというようなこと、それから即金払いがやはり多いというのは、先ほどの企画庁の実態調査の中にも即金払いは訪問販売の七一%を占めているという数字もあるわけです。それで、この履行後にもクーリングオフを認めてほしいというような苦情が出ている、あるいは意見が出ているということも御承知だろうと思うのです。  たとえば東京都の消費者被害救済委員会の報告書、これにもあるのですが、結局履行されてしまうと、どうも気乗りがしなかったところへ品物を受け取って、後でやはりこれは調子が悪い、うまく乗せられてしまったというのがあっても、結局はもう四日間経過しているのだから、あるいは品物をもう渡してお金も受け取って済んでしまっているのだからということで、かえって販売業者の方に免罪符を与える、こういうようなことになって、消費者の保護になっていないのじゃないか、消費者の保護を趣旨とした法律なのにこれは逆になっているのじゃないか、こういうような意見もあるわけなんです。この東京都の救済委員会もそういうような趣旨のことを意見として述べておるのですが、契約履行後もクーリングオフを認めるというようなことは考えられないのでしょうか。今度は通産省にお答えいただきます。
  94. 佐藤剛男

    ○佐藤説明員 お答えさせていただきます。  ただいま先生の御質問は、履行後にクーリングオフが認められないかということでございます。こういう意見は、私ども消費生活センターとの話なりあるいは都道府県との話なりに出てまいる案件でもあります。そういうときに私お答え申し上げているのは、こういうことで申し上げております。  まず第一に、履行というものが瑕疵がなく行われている場合、これをひっくり返すということは、やはり基本的な民法原則の相当なる転換になるわけでございまして、これをいかにするかというのは重大なる影響を与えるのではないか。  それから第二に、悪質なセールスマンというのもございますが、また、りっぱといいますか良質なるセールスマンというのはおるわけでございまして、それを前提に訪問販売というのが伸びていることも実態でございます。したがいまして、そういうふうな良質なセールスマンに対しましてそういう履行行為というもののひっくり返しを行うということは、これまた取引の安全を非常に阻害する要因になるのじゃないか。  それから第三に、たとえば履行したときに、後で隠れたる瑕疵が発見されたとかあるいは思ってなかった品物が届いた、こういうふうな場合には、クーリングオフというものでなくて、民法の、先生承知の債務不履行、債務の本旨に従って行わない場合でございますれば債務不履行という原則もございますし、あるいは隠れたる瑕疵でございますれば瑕疵担保責任に伴いますいわゆる契約の解除というものもできるわけでございまして、こういうふうな形で道というものがあるのではないだろうか、かように考えているわけでございまして、この履行後にクーリングオフを与えるかどうかということは立法政策の問題でございますが、いろいろな面で非常に十分慎重に対処しなければならないのではないか。  私どもの指導としましては、パンフレット等におきます指導としましては、できるだけ高価な物を買う場合には一遍にお金を払わないで、もう一度品物を持ってきたときに払うとか、そういうふうなやり方を行うべきだというふうな形で指導してまいっているわけでございます。
  95. 安藤巖

    ○安藤委員 もっといろいろお尋ねしたいのですが、だんだん時間がなくなってくるので……。  いまの契約履行後の問題ですが、いま取引の安定ということもおっしゃったのですが、現在の六条の規定の四日間というのを契約の履行後四日間ということにしても、取引の安定性はそうたいしたことはないのじゃないか、わずか四日間ですから、と思うのです。  それとあわせて、品物を、先ほどから申し上げておるように、攻撃的に、強引にうまく、それで、セールスマンの人たち——別に悪い意味で言っているのじゃないのですが、消費者の方は受け身だという立場、オーケーを言ってしまって品物が届いた、どうも乗せられてしまって、この品物を一遍約束したから使ってみようか、使ってみたところがやはりだめだったということもよくあると思うのですね。だから、一定の商品、すべての商品というわけにいきませんが、それから、消耗していくものはいかぬと思うのですが、一定の商品について一定の期間、試用期間を設ける。それが、たとえば一日でも二日でもいいと思うのですが、あるいは先ほど言いましたように、四日ということでもいいと思うのですが、そういう試用期間を設けるということも考えていただきたいという要望も出ておるというふうに思うのです。私の方の質問の結論を急ぐわけではありませんが、企画庁長官にも、これはいままでの私の質問の内容を踏まえて大いに関心を持っていただきたいと思うのですが、これは通産省企画庁と両方にそれぞれ出されているものなんです。  一つは、「「訪問販売等に関する法律」の一部改正について要望」というのが十大都市消費者行政担当部課長連絡会議、これは昨年の十月二十二日から二十五日にかけて行われて、十二月に経済企画庁通産省にそれぞれ出されているのですが、やはりこの法律の改正の問題について、クーリングオフの期間について現行の四日をさらに延長してほしい。それから、先ほどから私がお尋ねしておるように、クーリングオフ期間計算の始期を商品到着後にしてほしい、こういう趣旨ですね。それから「商品により試用制度を設けること」というのが要望の中に入っているわけなんですよ。  それから、これは東京都前知事美濃部さんの名前でさきの宮澤経済企画庁長官あてに昨年の七月にこれを出されておるのですが、やはり同じ趣旨の要望書が出されております。  それから、これは関東地方の行政連絡会議、いわゆる関地連、これも昨年の七月に企画庁通産省に出されているのですが、これも同じ趣旨ですね。商品を受領し代金の全部を支払った場合でも、クーリングオフ規定を適用できるようにしてほしい。それから期間の延長、こういうのが出されているわけなんです。  これは、実際にこの法律を施行して、運用して、そして消費者の保護に当たるということでやってみたのだけれども、どうしてもこの辺のところを改正してもらわないといけないというのが、実際の担当してきた部局あるいは地方公共団体等からそういうような結論となって要望が出ていると思うのです。だから、そういう点から、これは経済企画庁としても消費者行政の重要な一角を担ってやっておられるところですから、企画庁長官としてもこれに対してしかるべき対応をやっぱりしていただきたい。それで、いかがですかというのが質問です。  それから、時間がありませんからもう一つお願いしたいのは、怪しい訪問販売というのがやはり最近出回っておりまして、これは、ことしの一月二十五日の中日新聞の記事なんですが、福祉団体の名をかたって救急ばんそうこうとかお茶とかを売り歩く団体がある。これは、私どもはいわゆる勝共連合、統一教会、幸世商事等々の人たちだというふうに思っているのですが、こういうようなのも消費者に対して大きな被害を与える。この記事によりますと、かなり組織的な活動を行っていると見られる。だから、これは東海地方ばかりではなくして、全国的にも行われているのではないかと思うのです。だから、これに対しても、先ほどおっしゃったような消費者に対する注意喚起でも結構ですけれども、そういうことも含めてしかるべき措置をとっていただきたいということ、この二点を最後に長官にお尋ねをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  96. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 ただいま委員から種々の点につきまして御指摘いただいたことは、大変、われわれ十分拝聴いたしたつもりでございます。  なお、現場の方々からのこの法律の問題についての御提案も知っておりますが、これに関連しましては、先ほど来事務当局からもお答え申し上げているとおり、なおもう一度われわれとして努力すべきことは、さらに消費者に訪問販売なるものの実態を、そしてまた、それについてのこの法律をさらによく周知徹底させることを第一義といたしまして、従来よりも大いに力を入れて、その点についての認識の高まりをもたらすような努力をいたすということをさしあたりやらせていただきたいと思っております。  なお、その他のたとえばクーリングオフの期間等につきましては、なお政府内部においても十分詰めなくてはならぬ問題であると思いますので、いますぐそれを実施するということはお答えいたしかねますけれども、種々御提案ございました点について十分今後配慮して、消費者の保護という問題についての遺漏なきを期してまいりたい、そのように考えております。
  97. 安藤巖

    ○安藤委員 もう一つの方について、これは長官でなくてもいいですが、二つ目のやつですね。
  98. 井川博

    ○井川政府委員 具体的な点につきましては、私の方に情報が入っておりません。しかしながら、訪問販売ということによって消費者が被害を受けるということになりますと、先ほどから申し上げました一般的な事項として、われわれとしては、消費者がよりそれについての知識を深めてもらうための処置を講じてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  99. 安藤巖

    ○安藤委員 終わります。
  100. 加藤清二

    加藤委員長 次回は、来る二十五日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十九分散会