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賀陽政府委員 二十条と第四条との
関連の御
質問でございますが、二十条につきましては、午前中御
答弁申し上げた点が若干舌足らずであったかと思いますので、補足させていただきますが、第二項の「差別、敵意又は暴力の扇動となる国民的、人種的又は宗教的憎悪の唱道は、法律で禁止する。」
日本の
国内法では、
先生も御承知と存じまするが、若干の
手当てが刑法その他でなされておるわけでございまして、こういった点が
一つございます。
それから、表現の自由との
関連性、そういったものも考慮しなければならない。現実にはこういった
国内法と、それから侵害されておる法益が実際に存するかどうかという点をあわせて
考えますると、現在では法律で禁止するというほどの事態になっていないという
判断のもとに留保をいたさなかったということでございます。
午前中申し上げましたときに
国内法の御
説明につきまして若干十分でなかったという点がございましたので、補足させていただきます。
第四条につきましては、緊急事態の場合にいわば
人権の保護を制限できるということでございまして、これは
考え方としては新しい
考え方ということを
指摘する向きがあるわけでございますが、同時に、第二項をお読みいただきますと、第一項の
規定は、以下の
規定に違反することを許すものでないという
規定がございますことにお気づきと思います。したがいまして、緊急事態がございましたときに
人権の制限ができる場合も、こういったような制約をこうむりながらこれを行わざるを得ないということでございまして、その中には、生命に対する
権利でございますとか、拷問、非人道的な取り扱いの禁止でございますとか、あるいは遡及処罰の禁止でございますとか、もろもろの制約要件がかぶっておるわけでございます。
もう
一つは、かかる
人権の制限をいたすという
権利はこの
条約において与えられておるわけでございますが、果たしてそういう
人権制限をするかどうかということは
締約国の意思の問題でございまして、制限をしなければならないということではないことは、これは自明のことであると思いますので、この点は
わが国にはそういった
国内法も現在ございませんし、
人権の制限を可能ならしめるような
国内法もございませんし、憲法の精神もあるわけでございまして、この点につきましては、第四条を
日本が直ちにこれを行うということを想定することはきわめてむずかしいことではないかと
考えておるわけでございます。