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1979-05-25 第87回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年五月二十五日(金曜日)    午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 和田 耕作君    理事 川田 正則君 理事 國場 幸昌君    理事 本名  武君 理事 上原 康助君    理事 美濃 政市君 理事 斎藤  実君       竹中 修一君    村田敬次郎君       河上 民雄君    島田 琢郎君       安井 吉典君    市川 雄一君       玉城 栄一君    瀬長亀次郎君       甘利  正君  出席政府委員         防衛庁参事官  岡崎 久彦君         防衛施設庁総務         部長      奥山 正也君         防衛施設庁施設         部長      多田 欣二君         沖繩開発政務次         官       坂元 親男君         沖繩開発庁総務         局長      亀谷 禮次君         沖繩開発庁振興         局長      美野輪俊三君         外務省アメリカ         局長      中島敏次郎君         外務省欧亜局長 宮澤  泰君  委員外出席者         警察庁交通局交         通規制課長   広谷 干城君         環境庁大気保全         局企画課長   藤田 恒雄君         外務省アジア局         中国課長    谷野作太郎君         厚生省医務局整         備課長     花輪 隆昭君         水産庁海洋漁業         部国際課長   中島  達君         資源エネルギー         庁石油部精製課         長       加藤 昭六君         資源エネルギー         庁石油部開発課         長       鈴木玄八郎君         運輸省港湾局開         発課長     酒見 尚雄君         運輸省航空局飛         行場部計画課長 平井磨磋夫君         特別委員会第一         調査室長    綿貫 敏行君      ――――◇――――― 五月十二日  沖繩県多良間村における石油基地設置阻止に関  する陳情書外一件  (第二六五号)  北方領土問題の解決促進に関する陳情書外四件  (第二六六号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  沖繩及び北方問題に関する件      ――――◇―――――
  2. 和田耕作

    和田委員長 これより会議を開きます。  沖繩及び北方問題に関する件について調査を進めます。  北方問題について、政府より報告を聴取いたします。宮澤欧亜局長
  3. 宮澤泰

    宮澤政府委員 本年二月二十日、同二十一日、衆参両院の本会議におきまして、北方領土問題の解決促進に関する決議が行われたわけでございます。これにつきまして、日本政府は、同二月二十六日、モスクワにおきまして魚本大使からソ連外務省フィリュービン次官に対しまして本件決議を伝達いたしたわけでございます。  魚本大使からの申し入れ要旨は次のとおりでございます。  この決議は、両方とも直接的には日本政府に対して行われたものであるが、このような決議日本国会で行われた事実、及びその内容ソ連政府にお知らせする。  次いでもう一点は、本件に関する、すなわち北方問題に関する日本政府立場は、本年二月五日の対ソ申し入れ、これは高島外務審議官から、東京におきまして駐日ソ連大使に行った申し入れでございますが、二月五日の対ソ申し入れのとおりであるが、改めてソ連政府が、ここに、このような申し入れに真剣な考慮を払うように要請する。  第三点は、今回行われた衆参両院決議は、北方領土返還要求というものが日本国民総意に基づくものであることを改めて確認するものであって、ソ連政府がこのような事実を正しく評価、認識するように期待する、このように述べたわけでございます。  これに対しまして、フィリュービン外務次官は、要旨次のごとく反論をいたしました。  このような決議が行われたということはすでに承知している。しかし、ソ連側にとっては日本側の言う北方領土問題は存在しないので、この問題について日本政府と話し合うつもりはない。  第二点は、この決議日本政府に対して行われたものであって、決議を採択するかどうかは日本の国内問題であって、ソ連政府の関知したことではない、これが第二点でございます。  第三点は、この問題をめぐる日本側の最近の動向は、日ソ両国間の友好関係発展に逆行するものである、このように述べたわけでございます。  これに対しまして、さらに魚本大使から日本立場強調説明の上、この問題が日本国民総意に基づくものであることは、この決議両院で行われたことからも明らかである旨を重ねて述べまして、ソ連政府考慮を促した、こういうことでございます。  以上、報告いたします。
  4. 和田耕作

    和田委員長 これにて政府報告は終わりました。     ―――――――――――――
  5. 和田耕作

    和田委員長 沖繩及び北方問題についての質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安井吉典君。
  6. 安井吉典

    安井委員 いま欧亜局長から、二月の北方領土返還決議ソ連での対応について御報告を受けたわけでありますが、新聞報道によっても、「宙に浮いた国会決議」という大きな見出しになっていて、ソ連次官は「魚本大使に朗読させず」というふうな記事になっています。その辺はどうなんですか。
  7. 宮澤泰

    宮澤政府委員 ただいま御指摘の記事は、毎日新聞に出ました記事と思いますが、その記事は誤報でございまして、魚本大使はこれを読み上げた次第でございます。
  8. 安井吉典

    安井委員 じゃ、一応向こうに私たち考え方というものは届いたことだけは間違いないというふうに確認したいと思います。そうですね。
  9. 宮澤泰

    宮澤政府委員 その点は間違いなく確認できることでございます。
  10. 安井吉典

    安井委員 一部の者の反ソ的な活動であるという言い方領土返還要求についてソ連側は繰り返し繰り返しいままで申していたわけでありますが、しかし国会決議という形で、決して一部の者ではないということだけは明確にすることができたと思うのです。しかし、それは向こうの受け取り方いかんによるわけですがね。その辺はどうですか。
  11. 宮澤泰

    宮澤政府委員 ソ連側も最近は、日ソ関係友好関係を望まない者の不当な要求あるいは根拠のない要求というようなことは申しておりますが、これが一部、ほんのわずかな人々の要求であるというような、そういう言い方は徐々に変えているように私ども印象されております。
  12. 安井吉典

    安井委員 領土問題については後でまた触れたいと思いますが、この間の決議の中には、領土問題のほかに、ソ連側北方諸島に軍事的な措置を進めているということに対する抗議意味も含まれていたわけであります。しかし、報道によりますと、今月の二十一日から二十七日にかけて択捉島周辺を含む北海道周辺四カ所で射撃訓練を行うという警告を出しているようでありますが、五月二十七日までですからちょうどいまやっている最中ですね。これはどういうふうに受けとめていますか。
  13. 宮澤泰

    宮澤政府委員 この北方四島周辺水域を含めまして、ソ連は過去数年にわたりまして随時射撃訓練を行っておりますので、特にこれが最近に始まった新現象ということではございませんので、本年に入りましてから、二月三日、三月二十三日、四月十七日、五月十八日、このように頻度はございますけれども別に新しい現象ではございません。   そこで、日本政府は、この危険水域がいわゆる北方四島のわが固有の領土領海等に触れます場合には、その意味で常に抗議をいたしますとともに、そのほかの水域でございましても、たとえばわが船舶、航空機あるいは漁船等の危険が常識的に考えられます場合にはこの中止を求め、さらにこれに対してソ連が強行した場合には起こり得べき危険についてあらかじめその賠償請求権利を留保する旨を明らかにいたしておりまして、ただいま仰せの演習につきましても同じような措置をとったわけでございます。  このような演習を行っております意図は、過去何年にも行っておりますので、格別に今回何か理由があってこの頻度を増しておるとは私ども考えておりませんが、あるいは防衛庁の方から格別な御意見があるかと思います。
  14. 安井吉典

    安井委員 そうすると、これにも抗議をしたわけですね。
  15. 宮澤泰

    宮澤政府委員 モスクワにおきまして、ソ連外務省に対して抗議をいたしております。
  16. 安井吉典

    安井委員 やはりこういうのでなれとでも言いますか、そういうようなことになってはこれは困るわけですから、その効果はどう出るかは別として、とにかくきちっとした対応を常にやっていくということでなければならないと思います。  次に、また領土問題については後で触れることにいたしまして、五月の十四、十五両日にわたって日ソ事務レベル協議が行われたわけでありますが、その成果について伺いたいと思います。日ソ関係が比較的硬直化しているという現状の中で、今度の協議の中でその改善の手がかりを得られたと思うか、それはまたどういうようなものだとお考えですか。
  17. 宮澤泰

    宮澤政府委員 今回行われました日ソ事務レベル協議は、昨年の一月、園田外務大臣外務大臣レベル協議で訪ソされましたときに日本側から提案されまして、ソ連側から当時原則的な同意があったものでございますが、その後国際情勢変化、主として申し上げれば日中条約締結等でございますが、そのようなことの反映であったと想像されますが、一度は昨年の秋ごろに行うようなソ連側の意向もうかがえたわけでございますが、その後そのような雰囲気でないというようなことで今日まで延び延びになっておったものでございます。五月の連休ごろからソ連側の方から日本に行って話をする用意があるというような内意がだんだんに見えまして、結局五月十四、十五に実現をいたしたわけでございます。  私どもといたしまして、今回の協議事務レベルのものであり、日本側高島外務審議官ソ連側フィリュービン外務次官、これはアジア担当外務次官でございますが、事務レベルの高い責任者の間でともかくも率直な意見交換が行われたということは、何らの接触のなかった過去一年半に比べますと、大変に積極的な進歩があったこと、このように解しております。  話の内容につきましては、また御質問がございましたらば順次御説明いたしますけれども、概括いたしましてソ連側公式論を述べ、日本側日本側立場を述べたということで、意見の一致とかそういうことはおしなべてございませんでしたけれども、私どもとして重要と考えておりますことは、ソ連側日ソ関係日中条約後非常に悪化、したと言いながら積極的にみずから責任者を派遣して日本外務省責任者意見交換を行った、こういう事実の上に将来への進歩の一つの徴候を見ておるわけでございます。
  18. 安井吉典

    安井委員 大体私ども想像をしているような経過と結果に終わったように思うわけでありますが、この協議は引き続いて行われる、次の段階へ引き継がれるということのようで、次回はモスクワというような話し合いがあったと聞いておりますが、日程は具体化しているのか。あるいはまたこれは定期的なものに定着すると見てよいのかどうか。その点どうですか。
  19. 宮澤泰

    宮澤政府委員 今回の事務レベル協議の終わりに当たりまして、両当事者の間で次回はモスクワで行おう、その時期についてはさらに外交経路で打ち合わせよう、こういう一応の合意ができましたわけでございますので、少なくとも双方当事者ともにこの会議を今後とも続けていきたい、こういう意思を通じ合ったわけでございます。
  20. 安井吉典

    安井委員 そうすると、定期的とか何とかというところまでは行っていないわけですね。
  21. 宮澤泰

    宮澤政府委員 正確に一年に一回とか二年に三回とか、そのような合意はいたしませんでしたけれども、このような協議が非常に有効であるということを双方合意いたしました以上、余り遠のいても意味がございませんし、また余り頻繁にやっても、またこれが約束が守れないというようなことでございますので、お互い胸のうちに考えておりますことは、大体一年に一回ぐらいの頻度、このように申し上げてよろしいかと思います。
  22. 安井吉典

    安井委員 そこで、その中身についても若干伺いたいと思いますが、日中平和友好条約締結、それからアメリカ中国との国交の正常化、それからまたインドシナの紛争、そして中ソ同盟条約中国の破棄通告等いろいろな問題が相次いでいるわけであります。これらの問題はいま私が挙げただけでも、これは全部中国というものを中心にして動きが今日まで来ているというわけで、それに対するソ連側懸念というようなものも想像にかたくないわけで、それが今日までの対日硬直化の原因になってきているのではないかと考えられます。日本にとって考えてみたら、中ソ同盟条約日本仮想敵国としているわけですから、それがなくなるということは、われわれとして喜ぶべきことだとは思うのですけれども、今日の中ソの関係の中で、これなども非常に大きな心理的な、これがもう物理的なものに発展するということはないにしても、心理的な政治的な混乱の要因になってくるということは間違いないように思います。  そういうふうなことで、中国日本との関係、これはあの友好条約締結する際にも私ども繰り返し繰り返し言ったことでありますが、ソ連の十分な理解を求めなければいけない。別に中国日本が結んでソ連と戦うなどというものではさらさらないし、そういうような根本的な問題を十分にソ連説明することが必要であるということを繰り返し言ったことをいま思い出すわけでありますが、今度のこの交渉の中でもそういうような点を十分に説明してソ連側理解を得る努力が行われたものだと思いますが、その点はどうか。そしてまた、その効果はどういうふうにお考えですか。
  23. 宮澤泰

    宮澤政府委員 ただいま御質問のとおり、今回の協議の主な内容は、やはりアジア情勢でございまして、双方にとって最大の関心は中国の問題、中国及びその周辺をめぐる問題でございました。日中条約締結につきましてこの直接の衝に当たりました高島外務審議官から、日本政府がこの条約締結に当たってどのような点に最大考慮を払ったか、どのように苦心をして何年かの歳月をかけてここに至ったかという点をるる説明いたしたわけでございまして、一曹で申しますれば、日本中国条約を結ぶことによって対ソ謀略を試みる、あるいは意図しているようなことは全くない、むしろその反対であるという点を強調力説をしたわけでございます。  私どもの印象でございますと、ソ連側はこのような日本側意図について実は理解はしておるけれども向こうとしては、なお公式論を述べざるを得ない、こういうことであったと思いますが、  フィリュービン外務次官は、日中条約に対するソ連側懸念というものを、やはりその場で強調いたしたわけでございます。日本側としては説明努力は十分にいたしましたが、ソ連側はなおこれに対してソ連側懸念を表明した、こういうこと  でございました。
  24. 安井吉典

    安井委員 昨日プラウダ編集長東京発言をしているところでも、日中の結びつきというも  のが、ソ連にとって一ころ考えられていたような危険な内容のものではないようなことが理解でき  たと、ちょっといまその記事がどこかに紛れてい  て正確には言えませんけれども、そういうようなことをきのう発言をしていると伝えられているようでありますが、いわゆる日中条約なり日中の新しい体制についてのソ連考え方というものは、いまのプラウダ編集長言葉のように若干の変化を見せてきているということではないのですか。
  25. 宮澤泰

    宮澤政府委員 ただいまちょっと申し上げたと思いますが、少なくとも日本側ソ連に対してそのような危険な考え方は持っていないということは、私どもは先方はわかっておると思いますが、ソ連側としては依然懸念を表明いたしましたと申しましたその懸念ということは、日本側がそういう意図があっても、不知不識、知らず知らずのうちに中国側のそのような意図に巻き込まれるのではないか、こういう懸念を依然として表明したということでございます。
  26. 安井吉典

    安井委員 ベトナムソ連軍事基地を置くという問題についても何か触れられて、これはソ越友好条約の義務であるということをソ連側発言したという。そしてその報道に対してまたソ連側は、ソ連としてはほかの国の領域内に軍事基地は持たないというような訂正をしたとかいうことが伝えられているようでありますが、この辺の事情をもう少し御説明いただきたいと思います。
  27. 宮澤泰

    宮澤政府委員 ベトナムソ連艦船航空機等が寄港し、あるいは周辺を飛行しておるという点につきまして、高島外務省審議官の方からこのような動き周辺に不安を起こしておるということを率直に述べましたのに対しまして、ソ連側から、ソ連外国基地を持つようなことはしておらないし、将来もしない、ただ、ソ連が同盛岡との合意に基づいてその艦船を寄港せしめ、あるいは飛行機を飛行せしめる等のことは、これは条約上当然の権利であって、これを第三国、はたからとやかく言われる筋のものではない、こういう反論をいたしたわけでございます。この部分新聞報道が、一部そのベトナム基地という活字で報道されましたことに対しまして、ソ連代表は、これは自分の言ったこととまさに反することであるからこれは違うということで、ソ連側意図を正確に反映してもらいたい、このような希望を表明し、外務省責任者から日本新聞に対しましてそのようなソ連側希望を伝えたことはございます。
  28. 安井吉典

    安井委員 その意味がよくわからないのですが、ソ連としてはインドシナ半島、特にベトナムという限定かもしれませんけれどもインドシナ半島に対する基地を設けるなどの意図というものはいまもないし、将来とも一切ないのだという、そういう単純な言い方なのか。しかし、そうは言うけれどもソ越友好協力条約があるのだから、その発動としての基地づくりというのは当然なんだ、そのどちらを強調する意味なんですかね。
  29. 宮澤泰

    宮澤政府委員 ソ連外交政策といたしまして、外国基地を持つということは帝国主義的な領土拡張のあらわれであるということで、基地というものは持たない、こういうことをかねて標榜しているわけでございます。ただ、国際法的に基地というきちんとした定義があるわけでございませんので、ソ連ベトナム基地を持っておるかどうかということにつきましては、確たる証拠といいますか確認の方法がないわけでございます。少なくともソ連側が申しましたことは、ベトナムソ連基地はないし、他のいかなる世界の部分にもソ連基地は置いておらない、しかし、ベトナムの港に船が出入りしておるというようなことは、これはソ連が友好国たるベトナムとの合意に基づくことであって、他人にとやかく言われることではない、こういうことを申したわけでございます。  以上がソ連側の言い分でございますので、今後ソ連がそこに大々的なベースをつくり、実際上基地と呼ばれるようなものをつくる方針であるのか、あるいはそういうことはベトナムとの間の話し合いができずに、ある程度の水、薪炭等補給程度にとまりますものか、これは私ここで軽々しく申し上げることはできないことでございます。
  30. 安井吉典

    安井委員 基地、つまりベースという言葉について私たちわりあいに厳密でないものですから、軍艦がそこにかなりの時間停泊をしているという状態でもうカムラン湾基地ができたというふうな言い方をするそういう基地と、本来の意味ベースというものとの受けとめ方の違いというようなことにも問題があると思います。いずれにしても、インドシナ半島に対してソ連が本質的な基地というようなものに至るような進出の形態を持つ意図がないというふうに私たちは受けとめたいわけでありますが、どうですか。
  31. 宮澤泰

    宮澤政府委員 これは今後のその周辺地域情勢の展開によることと思いますし、あるいはまたソ越両国関係発展によることと思いますので、前回の御質問の最後に申し上げましたように、私としてこの点は軽々に予測いたし得ない。ただソ連側は、表現といたしましては基地外国に持つことはないということを申しております。その基地ということの意味でございますけれども、とにかくそのようなことでございます。
  32. 安井吉典

    安井委員 そこでもう一つ伺いたいのは、戦略兵器制限交渉の妥結による米ソ緊張緩和というようなこともありますし、問題の中ソ間の対立の緩和可能性についてどう話し合われたか、それからまた政府としてどういう今後の見通しをお持ちなのか、それを伺います。
  33. 宮澤泰

    宮澤政府委員 今回の話し合いに当たりましてソ連側から特に、これは交渉でもないし単なる自由な意見交換であるので、話し合った内容については余り公にしてもらいたくない、こういう点がございましたので、その点ひとつ御了承をいただきまして、私どもといたしましては、大筋においてソ連が申しましたことをお伝えいたす、こういうことで御了承いただきたいわけでございます。  中ソ関係につきましては、フィリュービン次官は大変に厳しい見方をいたしておりまして、中国の現指導者が現在の考え方を改めない限り中ソ関係改善希望は大変に少ない、こういうことを述べておりました。もちろん日本政府といたしましては、国際平和の観点からいたしますと、どの国とどの国であれ険悪な関係になるということは好ましいことでございませんので、当然にそのような考えを持っておるわけでございます。
  34. 安井吉典

    安井委員 もう一つ続いて伺いたいのは、国後択捉両島軍事基地の強化の問題であります。これについて日本側としてはその協議の席上いかなる主張をされましたか。
  35. 宮澤泰

    宮澤政府委員 四島の問題につきましては、当然のことでございますが、二国間問題の討議に際しまして日本側最大の懸案としてこの解決方を迫ったことは御想像のとおりでございまして、そのうち四島の軍事武装化の問題につきましては本年二月に高島外務審議官在京ソ連大使に述べたところと同じ立場を今日も持っておる、ソ連がこの問題を一刻も速やかに平和的に、しかも抜本的に解決することに同意されたい、こういうことを強く力説、要請したわけでございます。
  36. 安井吉典

    安井委員 それに対する向こうの答えは従来とそう変わりないのですか。
  37. 宮澤泰

    宮澤政府委員 御説のとおり従来のソ連側の線を繰り返して、領土問題というのは非現実的な問題であるから日ソ関係をもっと現実的な基礎の上に発展させることを考えたい。このような……(安井委員基地の問題」と呼ぶ)基地の問題につきましては、内政干渉であるという言葉を繰り返して申しました。
  38. 安井吉典

    安井委員 そこで、防衛庁からもおいでいただいておるわけでありますが、かつて防衛庁が発表されたあの状況が現在どういうふうになっているのか。あのころはまだ雪が深かったわけでありますが、雪もだんだん少なくなって、まだ完全になくなったとは言えないと思いますけれども状況はもっと明らかになってきておるように思うのですが、どうですか。
  39. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 防衛庁といたしましては、一月下旬以来も両島地域におきますソ連軍あるいは輸送等活動につきまして情報の収集に努めております。ただ、いずれにいたしましても、雪も解けたばかりでございますし、現在までのところ一月の末、防衛庁が明らかにいたしました国後択捉両島地域における状況、すなわち各種の情報から判断いたしまして、昨年度以降国後択捉両島地域に戦車、火砲を含む相当規模ソ連地上軍部隊の配備及び基地の建設が行われるものと推定している、そういう内容を変更するほどの変化はなかったというふうに推定しております。
  40. 安井吉典

    安井委員 滑走路その他についてはどうですか。
  41. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 滑走路につきましては、昨年の夏以来本日に至るまでそれが延長されたという事実は確認しておりません。
  42. 安井吉典

    安井委員 アメリカ側からの情報もあるのではないかと思いますが、いまのお話の中身はそれも含めてですか。
  43. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 情報のソースにつきましては直接言及することは差し控えさせていただきたいと存じますけれども、昨年一月末の判断、それから昨年一月末以来現在に至るまでの択捉、国後島に関する軍備の状況に関する判断、両方につきましてアメリカの判断も防衛庁の判断もそう異なっておりません。
  44. 安井吉典

    安井委員 これも先ほどお話に出ました、ソ連ジャーナリスト同盟の代表団長として訪日中のV・アファナシェフ共産党機関紙プラウダ編集長、最高会議の民族会議議員でもあるわけでありますが、この人のきのうの発言がけさの新聞に出ておりますね。「千島列島の軍事施設過去十年、新設なし」、「何らかの補修作業がおこなわれていたことは暗に確認した。」とありますが、過去十年新設なしというふうな言い方強調しているようでありますけれども、これについてはどういうふうにお考えですか。
  45. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 プラウダ編集長の談話につきまして、私どもまだ新聞記事しか持っておりませんのでございますけれども、それに関する限りは、まず施設の問題だけに触れて、ソ連軍の地上軍部隊の再配備には触れていないようでございます。それでその施設の問題についても、見出しは「過去十年、新設なし」とあるんですけれども新聞によりますと、「気候的な条件が厳しい場所であり、一定の維持作業が必要だ」というふうに述べているようでございます。また「過去十年間、千島列島で新しい軍事施設の建設はおこなっていない」とも言っているそうでございます。防衛庁といたしましてはいろいろな施設、建物等の建設が行われているということは確認しております。ただその内部がどうかという話になりますと、これはあくまでも種々な情報を総合いたしましての推定でございますけれども、昨年夏以来の地上軍部隊の配備、それに関連した施設の増強であるというふうに判断しておりまして、その判断は変わっておりません。
  46. 安井吉典

    安井委員 過去十年間新設なしということは、言葉じりをとらえるようですが、十年前には何かかなりの動きがあったんだ、拡充とか何かあったんだというようなことにも裏返せばとれるわけですけれども、十年という一つの年月の区切りについて、それ以前と以後と、防衛庁として何か思い当たることがありますか。
  47. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 十年という区切りについては思い当たることが全くございません。区切りがあるとすれば十八年という区切りでございまして、六〇年まではソ連が一個軍団駐留しておりました。その後引き揚げて以来は建設の動きはなかったものというふうに了承しております。
  48. 安井吉典

    安井委員 これは新聞記事を中心にして、本人と会っての話じゃないですから話がなかなかかみ合わないわけでありますけれども、それからまた軍事施設というのと人員の配備というようなもの、これも若干の食い違いがあるのではないかと思いますから、これだけで私は議論するつもりはありませんけれども、ただ「日本を砲撃するのに日本の頭にわざわざ大砲を据えるようなことはしない」、ほんのわずか、二十キロ足らずしか距離がないわけですから、そこに強大な基地をつくって日本を攻撃しようなんでいうのは大体素人が考えてもおかしいように思うのですけれども、そういうようなことで、どうもE2Cの導入問題と軌を一にしての防衛庁の宣伝ではなかったかというような気もしてならないわけであります。昔も軍事予算を獲得するために有事をつくり事件を製造してきたという昔の軍部と同じようなやり口をいまの防衛庁もしているのではないかという批判もありますね。新聞の投稿にもそういうのが出ています。かつてもそれが戦争への道にだんだん拡大して通じていったことを私たち忘れるわけにはいかぬわけです。いずれにしても、どうも状況を十分に把握もできないのに、さもあそこに基地ができて日本が直ちに侵略されそうだというような宣伝をする材料に使うというのは少し慎重さが欠けるのではないか、そう思うわけであります。どうも様子がよくわかってないわけですね、防衛庁は。わかってないのに、しかもそれを拡大した言い方で、さも確定的な物の言い方をする、そういうような点に私はどうも疑問を感ずるわけでありますが、これはここで議論しても結論が出るという問題ではありませんから、一応この問題は、私どもがそういう印象をぬぐうわけにはいかぬということだけを申し上げておきたいと思います。  これも領土問題と絡んで基地問題の重要さが出てくるわけですが、もう一つ貝殻島周辺のコンブ漁の交渉をいまモスクワでやっているわけです。水産庁からもおいでをいただいておりますが、この五月十八日にソ連側ソ連漁業省の許可証でなければ操業できないし、操業にはソ連国内法の適用をするというような提案をしてきて、これが大変な関係漁民の動揺を引き起こしているわけであります。その点についてちょっと伺いたいわけです。  二百海里の問題が決まるときに民間同士の話し合いがストップになって、いまもう一度民間段階の話し合いにしようではないかということで話し合いが行われていて、その後のいろんな状況変化の中で何とかうまくいくんじゃないか、こう私どもは見ていたわけです。貝殻島というともう根室のすぐ鼻先にある島ですからね。ですから昔と同じように大日本水産会とソ連との間の民間協定でやればそれで済むと思うのに、ことさらにソ連漁業省の許可というようなことで、あくまでここはソ連領土なんですよということを強調しようという態度には私たち理解ができないのですが、これはその後二十一日に本格交渉が行われたということも聞いておりますけれども、その状況や今後の交渉の見通しについて伺いたいと思います。
  49. 中島敏次郎

    中島説明員 貝殻島のコンブ漁業につきましては、先生よく御承知のとおり、この二年余りまことに残念ではございますが操業が中断されておった状況にあったわけでございます。その後本年に至りましてようやく民間同士で交渉を再開するということに相なりまして、今月の十四日からモスクワにおきまして交渉が行われているわけでございます。私ども承知している限りでは、なかなか両国の基本的な立場の問題というようなこともございまして、難航しておるということでございます。  なお、その問題点の詳細につきましてはまだ双方で妥結に至っておらない状況でござ一いまして、何分にも交渉継続中ということでもございますので、その点は差し控えさせていただきたいと思いますが、私ども水産庁といたしましてもこの問題は何分にも多数の零細な漁業者にかかわる問題もございますので、及ばずながら側面からと申しますか、本年はぜひとも操業が再開されるように種々努力をしてまいっているところでございます。
  50. 安井吉典

    安井委員 次の交渉の見通しはどうなんですか。
  51. 中島敏次郎

    中島説明員 ただいまお答え申し上げたように、十四日からまた継続中ということでございますので、いつこれが妥結に至るのか、あるいはどのような場面に相なるのか、まだもう少し事態を注意深く見守ってまいりたいと思っております。
  52. 安井吉典

    安井委員 これは何しろすぐ鼻先のコンブ漁の基地なものですから、三百数十隻の本当のいそ舟で根室から行っているわけですよ。したがって、領土問題と絡んで問題を解決するというような問題ではなしに、零細漁民の生活をどうして救うのかという観点からソ連にもアプローチすべきであり、私ども社会党も飛鳥田委員長の訪ソのときもこの問題を強く取り上げて、今度は民間協定で何とかしましょう、そういうような中で始まった協定でありますだけに、ちょっとおかしいなという感じがするわけです。しかも、先ほどお話がありました事務レベル会議が終わった直後にこういうのが出てくるということもおかしいという感じを持つわけでありますが、きょうの段階ではどうもはっきりした見通しをお話しできるような状況でもないようですね、いまのあなたのお話しぶりからいいますと。いずれにしても漁期の問題もありますから、いつまでもこんな話をしているわけにいきませんから、零細漁民が助かるような方向で早急に結論を出してもらいたいということを申し上げておくよりほかないと思いますが、ひとつそれへの決意を伺います。
  53. 中島敏次郎

    中島説明員 先ほども申し上げたわけでございますが、何分にも先生御指摘のように沿岸の零細漁業者の方々にかかわる大きな問題でもございますし、また操業の時期も迫っておるということでもございますので、私どもといたしましてもできる限り早期に円満に妥結するという方向で努力をいたしてまいりたいというふうに思っております。
  54. 安井吉典

    安井委員 では防衛庁と農林水産省結構です。  宮澤局長にもう一つ伺っておきたいと思いますのは、四月七日、園田外務大臣アメリカのバンス国務長官と話し合いをされた際に、北方領土問題についてアメリカとしてできることがあれば助力したいとの申し出があった、それを間接的に断わったという報道がありました。外務大臣本人がきょうお出になっていないものですからその辺どうかと思いますけれども、しかし、担当の責任者として、このやりとりについてどういうふうにごらんになっておられますか。
  55. 宮澤泰

    宮澤政府委員 バンス長官の発言につきまして、私直接陪席しておりました係官に印象を尋ねたわけでございますが、非公式な話し合いでもございましたことと、それから先方の発言内容がまず新聞に伝えられましたニュアンスと多少違うようでございまして、いまこの問題はどうなっておるかということが主で、必要に応じ米側のできることはしたい、こういう表現であったようでございます。これにつきまして園田外務大臣は、いやこれは日ソ二国間でやっているところだからもう少し努力をする、こういうふうにお答えになり、米側の好意を謝されたようでございます。  私ども考えますのに、領土問題に関しましては、北方領土の法的地位その他につきましてかねて米国側からいろいろな法律上の解釈につきまして支援を受けたりしておりますので、米側の支持はかねて非常に評価しておるところでございます。園田大臣が言われましたことは、この問題はなお二国間で鋭意解決方努力するということでございまして、また将来必要があれば米国の何らかの協力も得ることがあるかもしれないが、当座は自分たちでいま努力をしているところだ、こういうふうにお答えになったようでございまして、この点、私ども事務当局も同様でございます。
  56. 安井吉典

    安井委員 アメリカ側として、いまのいわゆる北方領土日本側の言う北方領土の問題について基地が強化されているとか――あの北方領土における基地は大したことはないでしょうけれどもソ連の極東における軍事力の増大、これはアメリカとして非常に関心の深いところではないかと思いますが、そういうようなことから領土問題への関心を示し始めたのではないか。いままでもずいぶん話し合いの機会があったと思いますけれども、今度のような、提案とはいかないにしても話題の中に出てくるという背景にはそういうようなものがあったのではないかとも思うわけです。いまのお話ではその場限りの軽い感じで出た言葉だ、こういうことのようでもあるし、また日ソ関係アメリカが変な口出しをしてくれたらかえってできることもできなくなるというようなこともお考えになったのか、その辺の配慮はどうだったのですかね。
  57. 宮澤泰

    宮澤政府委員 この北方領土問題の解決は、私ども考えましても、よく国際世論に訴えてこの解決を求めるということを言われますし、私どももその点も考えておりますが、しょせんソ連側が納得しなければ解決しないことでございますので、一面から考えますと国際世論の圧力のもとにこれを解決せしめるという方法もございますが、また逆にそれをやり過ぎますとソ連がかえってかたくなに握り締めてしまう、こういうこともあるかもしれないということもございまして、結局日本といたしましては、ソ連に対しまして、日ソ関係を本当に安定した友好的なものにするにはこの問題を解決するしかないということを日本側から強調することによりましてソ連側と納得ずくで話をしなければならない、こういう考えを持っておりますので、園田外務大臣もそういうことを述べられたものと解釈いたしております。
  58. 安井吉典

    安井委員 私は、アメリカという国は、北方領土と称される千島諸島の返還の問題に当事国ではないけれども非常に重大な関係国だと思いますね。理由は二つあって、一つはサンフランシスコ平和条約の立て役者の一つでもあったわけですね。特に沖繩との関連において千島の帰属の問題が論ぜられたわけですから、サンフランシスコ平和条約というものの扱いの中でアメリカは非常に聖天だし、それからもう一つの重大さは、あの領土がもし返還されることになって日米安保条約がそのまま適用されれば、アメリカはその返ってくる島にアメリカ基地をつくりたいから提供してくれということを日本要求する権利があるわけですね。そうでしょう、日本領土になってしまえば。先ほど来国後、択捉にソ連軍事基地があるということを問題にいたしましたけれども、あの島を基地つきのまま日本に返して、基地がそのままの姿で返ってきて、今度は安保条約であれがアメリカ基地になるというような可能性があるわけですよ、いまの法律的ないろいろな状況の中では。だからそういう場合にアメリカはどうするのかということも、これはアメリカ側にひとつはっきり言っておいてもらわなければ大変なことになるし、したがって領土問題についての関係国としての重要な位置づけがあると私は思う。それだけに今度のバンスの園田外務大臣への協力の申し出というのは非常に意味があるのではないか、これは私なりにそう思うのですよ、彼がそこまで考えて言ったのかどうかは別として。きょうはもう時間ですから、非武装返還という問題について、自分の議論もあるし、もう少し議論をしたいとも思うのですけれども、やめますが、そういう意味合いも含めて、アメリカというものの立場をやはり考えておく必要があるのではないか、北方領土問題について。その辺はどうですか。
  59. 宮澤泰

    宮澤政府委員 そういう問題も考えておく必要があるのではないかというただいまの御指摘について、私どもそのように考えておりますが、ただいまの時点で、そういう点につきまして私から具体的に申し上げることは控えたいと考えております。私どもといたしましては、鋭意ソ連側との間にこの返還交渉を進める、その際考慮すべきことは内々いろいろ考慮すべきものであろうと考えて一おります。ただいまの御意見、大変貴重なものと承っておきます。
  60. 安井吉典

    安井委員 これは別な機会にやりたいと思います。  あと日ソ経済協力の問題やら先方から常に言ってきている善隣友好条約の問題等についてのお考えも伺いたかったわけですが、もう時間ですから、最後に日ソ外相定期協議の開催について、それからソ連首脳の訪日について、これらへどのような期待を政府としてお持ちであって、お見通しはどうなのか、その点については、これまたプラウダ編集長のけさの新聞に出ているような発言もありますが、政府としてのお見通しを伺いたいと思います。
  61. 宮澤泰

    宮澤政府委員 外相定期協議につきましては、これは大体一年に一回双方相互に開催する、こういう約束ができておるわけでございまして、昨年の一月に園田外務大臣が訪ソをされたわけでございます。したがいまして、今度は先方の外務大臣が日本に来る番である、もう実際来てもよかったくらいでございますが、この点につきましては、今回の事務レベル協議におきまして筒島外務審議官からソ連側の来訪を求めるという点を重ねて述べたわけでございます。  それからソ連首脳の訪日につきましては、これも同じく一九七三年に田中総理大臣がモスクワに訪問されたこともあり、またそのときのいわゆる共同声明の中でソ連首脳の来日を招待し、これは先方が喜んで受けたということもございますので、やはり両国の友好関係のために責任ある最高首脳の来日を求めたい、これも今回高島審議官から先方に述べたわけでございます。これに対しまして先方の答えは、ちょうどだだいま安井委員御指摘の新聞にございますとおり、やはりソ連側の申しようのとおり、要人の来訪にはそれにふさわしい雰囲気の醸成が必要である、こういう言い方をいたしまして、直接いつ来てもらえるとか、そういうことは申しませんでしたけれども、私どもといたしましては、このような事務レベル協議等を通じ、また徐々に人の往来も通じてそういうところまで持っていきたい、ソ連側にもそのような努力を引き続き求める、こういうつもりでおります。結論的に申しますと、いま、いつグロムイコ外相が来るか、あるいはコスイギン首相がいつ来るかというような具体的な話はございませんけれども、だんだんそのような方向に努力を続けていきたい、こういうふうな期待を持っておるわけでございます。
  62. 和田耕作

    和田委員長 斎藤英君。
  63. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 欧亜局長にお尋ねいたします。  日中平和条約締結あるいは中ソ同盟条約の破棄あるいは中越紛争等、ここのところ日本中国ソ連にかかわるアジア情勢が大きく変化をいたしている中で、先般、第一問日ソ事務レベル協議が開催されたわけでございますが、先ほど欧亜局長から答弁がありましたように、非常に意義深いものだと私は思うわけでございます。そこで、私は日本中国ソ連を取り巻く国際情勢について若干お伺いをしながら、日ソ平和条約に至る道標についてお尋ねをいたしたいと思います。  昨年締結されました日中平和友好条約についてコスイギン首相は、ソ連を敵視する反ソ条約だ、こういうふうに非難をされておりました。その後外務省は、日中条約は反ソ的な性格を持つものではないということをたびたびソ連側説明をされておるようでございますが、今回の会談では日中条約が話題になったのかどうか。話題になったのであれば、ソ連はどういうふうに理解を示したのか、伺いたいと思う。
  64. 宮澤泰

    宮澤政府委員 今回の事務レベル協議におきましては、日中関係日中条約、この問題はやはり大きなテーマの一つでございまして、まず日本側高島外務審議官から日中条約締結に至るまでの経緯、特に日本がどのような点でこの締結に苦労をしてここに至ったかという経緯を詳細に説明をいたし、この条約はいかなる意味でも反ソ的な性格を持ったものではない、こういう点を強調力説されたわけでございます。これに対しましてフィリュービン次官は、日本側意図のいかんにかかわらず、日本側が自然にあるいは知らず知らすのうちに中国側の反ソ的な戦略、政略の中に巻き込まれるのではないか、こういう懸念を相変わらず表明をいたしました。  私、先ほど安井委員の御質問に対して触れましたところでございますが、日本側中国と結託してソ連に当たる、そういう意図を持っていないということは、恐らくソ連側もわかっておるところでございましょうけれども、ただ、ソ連側といたしましては、日本ソ連の恐れる中国のペースに巻き込まれる、こういう懸念を相変わらず持ち続けているのではないか、このように私解釈いたしておりまして、現にそのような表現をソ連側もいたしたわけでございます。
  65. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 第一次大戦後の東西冷戦体制のアジアの一つの柱でありました中ソ同盟条約が四月三日、中国側から廃棄通告がされたわけでございます。確かに中国ソ連との関係から見まして、この中ソ条約というものは名前だけあって実がない、名存実亡とも私は言い得るとは思うわけでございます。しかし、日中条約締結に至る過程の中で、日本を敵視する条約を持つ国とどうして平和条約締結できるかという、いろいろな意見がありました。結局、中ソ条約破棄が日中条約締結の前提条件のようになっているわけでございますが、そういう意味からして中ソ条約破棄についてソ連側からどういうような説明があったのか、伺いたいと思う。
  66. 宮澤泰

    宮澤政府委員 中ソ条約の問題につきましては、ソ連側は実は中国がこの条約の破棄を声明いたしましたときに、ソ連政府は公式にタスを通じてその立場を表明したわけでございますが、今回のフィリュービン次官も大体そのような趣旨でこれを論評したわけでございます。  ちなみに、中国が破棄いたしましたときのソ連のタスの論調の一、二行を読みますと、北京の今回の一方的行為は、ソ連邦と正常な国家関係を維持する用意があるという繰り返し行われた中国の声明とは全く一致しないものである云々とございまして、さらに、中国首脳部の他の措置とあわせ考えた場合、これらすべてのことは中国の指導部がソ中関係を一属複雑化させ破壊させる方針をとっていることを明白に物語っておる、このようなことでございまして、フィリュービン次官がどのような表現を使いましたかはここで差し控えさせていただきますけれども、このようなソ連の公式な立場を大体においてまた繰り返し述べた、こういうことでございます。
  67. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 中ソ条約は確かに名存実亡と言われておるわけでございますが、この中ソ条約中国ソ連との両国の全面衝突を防止する上の安全弁であったということは私は言い得ると思うのですが、この条約が失効すれば中国ソ連との対立を阻止する歯どめがなくなると私は心配している一人でございますが、国際緊張が複雑に激化をすることも予想されるわけでございまして、むしろアジアの安定より不安定をもたらすおそれさえあると私は思うわけでございます。中ソ条約の破棄によりまして、現在のソ連中国との間が無条約状態という事態に対して外務省はどういう認識を持っていらっしゃるか伺いたいと思います。
  68. 宮澤泰

    宮澤政府委員 中ソ条約ができました当時、一九五〇年二月でございますが、このころはちょうど対日理事会におきまして、日本及び極東の情勢につきまして米ソの二大国の方針に大きく食い違いが出始めてきた時期でございます。したがいまして、当時はソ連は、アメリカ日本軍事基地化しようとしているという非難を開始いたし、米国の方は、極東地方における共産主義の浸透を防がなければならない、こういう意見の対立が出てきた当時でございましたので、その当時は日本及び米国を仮想敵国とするようなこのような条約が中ソ間にできましたことは、これは国際情勢のしからしめるところであった、格別に驚くことではなかったかと思いますが、ただ斎藤委員も御指摘のとおり、この条約は前文及び第一条におきまして「日本国又は直接に若しくは間接に侵略行為について日本国と連合する他の国の侵略」云々、こういうようなことを書いてある条約でございますので、日本といたしましては三十年も経過いたしまして国際情勢も変わった今日、そして平和国家として再生した日本から見まして、隣国たる中国と、平和的な関係を結びますためにはこのような条約はどうしてもそぐわない、こういうことからこの条約の廃棄を望んだわけでございます。  ソ中の間にこの条約が少なくとも平和的な関係を維持する意味があったのではないかという御指摘につきましては、この条約の第五条で、「両締約国は、友好と協力との精神をもつて、また、平等、互恵、」云々、「相互尊重の原則、」こういうことを述べておりますので、確かにそのような条項も入っておったわけでございますが、この条約が結ばれました五〇年から数年いたしまして五六年にはソ連の第二十回党大会が行われましたそのころに、すでに中ソ間の関係が革命の方法論につきましてそろそろ食い違いを見せてきたわけでございますので、この三十年のうちその後の大部分というものは中ソ関係はきわめて悪化する一方でございまして、斎藤委員も御記憶のとおり中ソ国境でダマンスキー事件あるいはゴルジンスキー島事件、実際小規模ではございましたが戦闘も行われたようなわけでございます。したがいましてこの条約が実際上存在はいたしましたけれども、ソ中の関係はそれにもかかわらず悪化していった、こういうことでございます。  そこで、今回条約が期限満ちて廃棄されて無条約の状態になったことについて、ソ中間がもっと険悪になるのではないか、こういう御指摘でございます。確かにただいま申しました第五条のような規定がなくなったという点についてはそのように申せるかと思いますが、実際の両国間の関係から見ますと、このような条約は実際上空文に等しかった、これは中ソ双方ともに実は認めておったことでございます。しかし条約を廃棄する、その後何もないという事態はお互いに気まずいことでございましょうし、したがいまして、ソ連の方もこの条約の廃棄にかえて何かまた新しい協定に至ろうではないか、そして中国の方もそれについて何か話し合う用意があるということを、どれほどの真意がございますかわかりませんけれども双方で言い合っておるところでございますので、私どもといたしましては、この隣国たる二つの大きな国が今後ともできるだけ平和的な関係に至ってくれることが望ましいと考える気持ちには全く変わりはございません。
  69. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 確かに欧亜局長がおっしゃったように、この中国ソ連との関係というものはわが国にとっては大きな問題でもあるし、無関心ではいられない問題でございますのでお伺いしているわけでございますが、先般行われた協議会で中ソ関係の修復についてソ連側から何か話があったのか、どういう説明があったのか、もしあれば伺いたいと思います。
  70. 宮澤泰

    宮澤政府委員 ソ中関係につきましては、ソ連側の代表者から中国の現在の指導者が現在のような物の考え方を改めない限り中ソ改善の望みは少ない、こういう言い方をいたしまして、概して中ソ関係につきましては大変に厳しい見方を表明いたしておりました。
  71. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 ソ連ベトナムカムラン湾、ハイブォン、ダナン両港を太平洋艦隊の基地として使用しているというふうに報道されているわけでございます。なおまた空母ミンスクを投入、さらに水陸両用強襲輸送艦イワンロゴフを配備し、超音速戦闘爆撃機バックファイアも配備される、こういうような報道もされておりまして、最近の極東におけるソ連軍の増強が続けられるのではないかというふうに心配をする向きがあるわけでございます。そこで、外務省はこの事実関係をどのように掌握をしているのか伺いたいと思います。
  72. 宮澤泰

    宮澤政府委員 過去約十年来ソ連の極東空軍、それから海軍、それからいわゆる極東陸軍でございますか、これは中ソ国境地帯が主でございますが、急速な勢いで増強されておるということは防衛庁等からもしばしば伺っておるわけでございます。これはソ連がこの極東地方の国際情勢変化にかんがみて世界戦略的な一環として大幅に兵力を増強しておるものと思っておりますが、私どもといたしましては、こういうふうにいずれの国であれ軍隊を大幅に増強するというようなことは平和の見地からは好ましいこととは考えておりません。
  73. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 ソ連軍の極東の増強について、先般日ソの協議会のときにこの問題についてソ連側から説明がございましたか。
  74. 宮澤泰

    宮澤政府委員 極東ソ連軍の全般的問題については話し合いがございませんでしたけれどもベトナムソ連艦船等が頻繁に出入りをしているという事項につきまして、日本側から懸念を表明いたしましたのに対しまして、ソ連側から友好国との合意に基づいて艦船がそこに出入りすることに何ら驚くには当たらない、こういうことで、むしろそれについてとやかく言う方がおかしい、このような表現をいたしておりました。
  75. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 ソ連の極東における軍事情勢変化あるいは軍隊の増強、こういう問題については、わが国にとっては極東の安全という意味から非常に大きな問題だろうと私は思うのです。したがって、平和外交を旨とする外務省としては一体どうすべきだというふうに考えていらっしゃいますか伺いたいと思います。
  76. 宮澤泰

    宮澤政府委員 ただいま前回の御質問にお答え申し上げましたが、確かに平和に徹する国家といたしましては兵器であれ艦船であれ航空機であれ、軍用に供されるものが非常にふえて、それが東西両勢力の間でエスカレートしていくという現象は決して好ましいこととは思っておりませんが、また他面、実際の今日の世界の現実を見ますと、米ソ二大国が大変に強大な軍備を持って、そのある程度の均衡の上に平和が保たれているという一面があることも現実問題として認識せざるを得ないことでございますので、このようなバランスが急激に崩れることは世界平和の見地から余り安全なことではないのかもしれない、このように考えております。戦略的な面につきましては、私ども外務省として詳しくはございませんけれども、大体そのように考えております。
  77. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 先般、山下防衛庁長官がソ連艦隊の増強に備えてアメリカの空母二隻の常駐を求める旨の申し入れをしたというふうに私どもは聞いているわけですが、もしこれが事実とすれば日ソ関係の修復に水を差すことになるのではないか、私はこう思うわけですが、外務省としてはどうお考えですか。
  78. 宮澤泰

    宮澤政府委員 ただいまの御質問の前段の点につきまして、山下防衛庁長官が米側に増派を求められたという事実を私わきまえておりませんので、よろしければいまこちらに防衛庁の代表が来ておりますので、そちらからお答えをいただいてよろしゅうございましょうか。
  79. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 山下防衛庁長官が、ソ連の極東軍事力の増強に対抗するために空母二隻の常時配備を米側に要請したあるいはこれから要請するというような報道がございますが、これは事実ではございません。
  80. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 北方領土の問題について、私は、この北方領土の不法占拠を凍結したままの善隣友好条約には反対するものでございますが、外務省としての基本方針は変わらないだろうと私は思っているわけです。しかし相手のあることですから、友好関係を深めながらソ連の納得を得なければいかぬわけです。いまの状態ではこれはもう平行線、一歩も前進していないわけです。そこで、日ソ平和条約締結交渉の過程で一歩でも二歩でも前進させるための対応策をお考えなのかどうなのか伺いたいと思います。
  81. 宮澤泰

    宮澤政府委員 率直に申しまして日ソ間にございます大きな問題は実は領土問題一つでございまして、その他の点を考えますと、国交ももう二十年以上にわたって回復されておりまして、貿易量も往復四十億ドルに上るような量に達しております。それから人の往来、経済協力というようなことも行われておりまして、日ソの間に望むべきものは、まずこの領土問題の返還による平和条約のみ、こういうことでございます。したがいまして、私どもといたしましてはこの点について全力を挙げておるわけでございますが、その間、ただいま御指摘のとおり、その他の面における実務的な関係はできるだけ促進して、できればいい雰囲気をつくっていきたいと考えておるわけでございまして、この点は隣国たるソ連が非常に強大な軍事大国であるという点からも安全保障の点からも当然のことでございます。  そこで、なかなか決め手がないということで私どもといたしましても率直に申して大変に苦心をしておるわけでございますが、結局これはソ連側領土を不法に占拠しておるということでございます。それに尽きるわけでございますから、ソ連側がかねて申しますように、もし本当に日ソ間の安定した善隣関係を求め、それが極東の平和に資するということであるならば、まずソ連側が四島を返還することによって平和条約を結ぶ、もう平和条約即四島返還ということで申して差し支えないことでございます。残すところはこの問題のみ、こういうことでございますので、これはソ連側のその点に対する決断を求めるばかりでございまして、私どもといたしましてはこの点に全力を注ぐよりほかにないと考えております。
  82. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 ソ日善隣友好条約ソ連側から公表されているわけでございます。しかし、日本側から提出をしております日ソ平和条約案は公表されていないわけでございます。この際、私は公表すべきではないかと思うのです。それは交渉事ですからいろいろ内密な交渉もあるかもしれませんが、ソビエト側が公表しているわけですから、この日ソ平和条約については国民がきわめて大きな関心を持っているわけでして、公表して国民に内容を明らかにすべきだと私は思うわけですが、公表するお考えはありませんか。
  83. 宮澤泰

    宮澤政府委員 昨年の一月に園田外務大臣ソ連側に渡されましたものは日ソ平和条約のもととなる一つの案でございまして、それをもとにして日本側はいつでもソ連政府交渉を開始する用意がある、こういうものでございまして、これから交渉すべきものを公表するということは国際慣例上もございませんし、私ども賢明なことと考えておりません。私どもといたしましては、ソ連側が一方的にその善隣協力条約を発表いたしましたが、これもソ連側がまじめに交渉するものであるならば、常識的に国際慣例から申しまして、それをもとにして交渉の開始に努むべきものであって、一方的に公表するということはきわめて異例なことと考えております。私どもといたしましては、最初に申しましたような理由でその条約にかけております私どものまじめさという点から申しましても、これを相打ちのような形で公表する、こういうことはすべきではない、こういう考えを持っております。
  84. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 北方領土問題については特段の御努力をお願いして、私の質問を終わります。
  85. 和田耕作

  86. 國場幸昌

    國場委員 去る五月二日、金武村の伊芸の沖繩自動車道サービスエリアの伊芸レストランの駐車場に爆弾の破片が、それからまた、十五日には同村内のゴルフ場に照明弾が落下しておる。この問題につきましては、地元ももちろんのこと、県会においてもいろいろと論じられ、御案内のとおり沖繩における基地問題、安保問題、自衛隊問題、いろいろ論調はあるわけでありますが、まず、いまの県政の与党といたしましては、やはり基地があるからには演習もあるのが自然であるということを認めながらも、しかし、演習あるいはまた実弾射撃のために生命、財産を脅かすようなことがあったならば、これに対しては毅然として抗議もするし、またとこのような問題が出ないように再警告もするという姿勢でありますが、しかし、かようなる問題が再三にわたって繰り返されることに対し、この際ひとつ、政府当局として、日米安保協議会の中で解決して、またとこのような問題が起きないようにしてもらいたい、こういう強い要請があるということは御案内のとおりでございます。  そこで、お伺いいたしますが、五月二日でございますので、あれからもう二十日余りもたっております。承りますと、この事故の問題に対しまして、目下調査中であるので、調査の結果を見て、それに対する措置を講ずるというようなことでございましたが、その結果はいかがなっておりますでしょうか、防衛庁の方にお尋ねしたいと存じます。
  87. 奥山正也

    ○奥山政府委員 事故の対策につきましては、ただいま先生からもお話がございましたように、現地段階、あるいは防衛施設庁、防衛庁の段階、あるいは日米合同委員会の段階におきまして、それぞれ米側に対しまして抗議なり原因究明、あるいは安全対策の確保等につきましてその都度申し入れをしてまいっておるわけでございます。  ただいまお尋ねの五月二日の事故につきましての調査結果につきましては、まず当庁といたしましては、砲弾の破片の弾種が何であったかということにつきまして米軍とも綿密なる調査をいたしましたところ、これは八インチりゅう弾砲の破片であるということが判明いたしたわけでございます。そのほか、ただいま私どもが実施しておりますのは発射時間帯でございますが、これは米側の発表もございましたので、その発射時間帯の確認をいたしております。それから、砲弾の破裂いたしましたその痕跡でございますが、これを調査いたしております。さらに、破片の痕跡につきましても調査をいたしまして、現地沖繩の那覇防衛施設局におきまして現地調査並びに空中航空写真等によりまして鋭意その原因の究明に努めておるところでございまして、まだ結論を得たというところまではいっておりませんけれども、那覇の局からもその調査結果を持って上京いたしまして、ただいま陸幕とか防衛技術研究所等の専門家と合同でその原因につきまして究明をしておるところでございまして、近くその結論を得られるであろうというふうに考えております。
  88. 國場幸昌

    國場委員 照明弾の問題ですが、照明弾は戦争中においてよくこれが落ちて火事を起こしたということも言っておりましたが、専門的な話を聞きますと、照明のために打ち上げたものが地上に落下するときには何も被害はないんだ、燃えかすが落ちるというようなことであるので、直撃とかそういうものの何ら被害もないということでありますが、照明弾がもし民家に落ちたときに、果たして火災とかやけどとか、こういう被害がどのようなものであるか、その点ちょっと専門的なことでございますので御説明いただきたい。と申しますのは、これがあたかも爆弾と同じような効果をもたらし、それが人命に対して危険があるんだとか、あるいはまた焼夷弾みたいに火災を起こすんだというようなことが現地では盛んに言われておりますので、専門的面から、落下した場合にはいかなることになるのか、これを明らかにしていただきたい。
  89. 奥山正也

    ○奥山政府委員 伊芸地区に降下いたしました照明弾は、六十ミリの迫撃砲による照明弾の燃えがらでございまして、この照明弾は、打ち上げ後一定の時間で中にございます照明筒が弾底から放出点火されまして、それがパラシュートによりまして緩やかに落ちてくるということでございます。その燃える時間は三十秒ぐらいで燃え尽きるわけでございます。したがいまして、その燃えておるのは演習場内で燃えておるという状態であるわけでございます。そこで、それが今回の場合は風がございまして、その風に流されて外へ落ちたんであろうということでございますが、その落ちたもの自体はパラシュートがつきまして、その下にひもがついておりまして、その先に薄い、燃えます本体を支えております二・五ミリぐらいのものでございまして、したがいまして、火災の危険でございますとか、それからそれが当たりましても被害があるというふうなものではないというふうに私ども調査の結果、そういうことに理解しております。
  90. 國場幸昌

    國場委員 私ども兵隊でありました関係で、そういうものはよく知っておるつもりなんですが、射撃するとかあるいは敵情を知るとか、測定をするときによく使ったものなんですが、照明弾があたかも焼夷弾とかほかの爆弾みたいにして、あれがばあっと照らしてくると、これが爆弾と一緒のような効果をもたらすんだという錯覚がありますので、その点に対しての誤解を解くべく、これは危険がありませんよということを何かによって知らしめるべく――というのは、沖繩みたいに基地の多いところでこういうものが上がると、またやつたということで、われわれ与党としましてはたまったものではないんです。その点もまたひとつはっきりと、これは危険はありませんというようなことを理解せしめるようにPRしていただきたい。  それから、爆弾の破片の問題は、かようなことの再発を防止するためには、これは何にしましてもやってはいけないこととやっていいこと、これだけははっきりとさせておかなければいけないという問題なんですが、再三にわたってかようなる問題が起きるということはまことに残念であるし、いままでの表から見ますと、一九三一年からですか、沖繩に基地が設定されましてからの事故をずっと見ますと、十四回にわたる事故が起きておるんです。十四回のうちで二回の人身事故が起きておる。それは御承知でしょう。三歳の子供が大腿部をやられてかたわになるとか、あるいは十九歳の娘が化粧中にやはり爆弾の破片に遭って重傷を負っておるとか、こういうことの実例があるし、かつてはまた石川において、宮森小学校ですか、何十名という死傷者も出したというような、基地があるゆえにかようなことが再々起きるということになると、これは幾ら国防のため、また安保条約というものを支持する立場から、できるだけのいわゆる国策に沿った義務を果たしていく、こういうようなことではございますが、しかし、こういうことが再々起きてきたのではたまったものではない。現地におきましては、大会を持って、聞き入れられないということであれば基地撤去の運動もというようなことまでも言っておるような現状なんです。  そこで、いま射爆場の民間との距離の問題、安全範囲について、これで果たして安全範囲として十分であるかどうかという問題ですね。それから、いやしくも一歩誤れば生命に関する問題なので、アメリカさんの実弾射撃に対しての姿勢の問題ですよね。指揮官あるいはまた実際にそれを扱う射手の姿勢の問題です。こういうことに対して目下調査中である。調査というのは、恐らく安全区域で、距離的なものは大丈夫だ、こういうようなことでくるかもしれません。しかし、破片が射撃によって飛来してきたものであるならば、果たして距離は大丈夫なんだろうか、科学的にも安全なんだろうか。射爆場の地形的な問題、砲座の角度をちょっと誤まれば、一キロに対して幾らという角度による距離、こういうことから考えますと、射手にいいかげんにやらしたら、いつしかとんでもない事故が起きるということにもなりかねないと思います。その点に対しての指揮官の指揮系統に問題がないかどうか、軍規というものが厳重に守られておるかどうか、この問題も問いたいわけでございます。  と申しますのは、われわれ戦前の軍人ですからよくわかるのですが、曲射砲にしましても、あるいはまた戦車砲にしましても、目標そのものに対してのずれは幾らも出てこないのですよ。そういう地形であって雨が降ったとか、いろいろなことで地形の角度が狂っておったとか、あるいは前向きになる、縦になる、横になる、その向かう方向によっての誤差がこういう問題を起こすのじゃなか。  また、こういうことも考えられるわけなんですね。再三にわたるこういうような機銃弾の乱射事件とかということから考えますと、やはりこれはアメリカの方の軍規そのものが、沖繩の人はどうでもいいんだ、沖繩県人は何でもいいんだというようなことで、軽視されたところのいわゆる差別的なものから来ておるのではないか。これは命に二つはありませんよ。命は地球よりも重いということも福田総理は言われたのですが、こういうような問題でございますので、日米協議においても、それからいまの西銘県知事は、施設庁を代表する  一人、アメリカ現地を代表する一人、それから沖繩県を代表する一人、この三番によって基地使用に対するところの協議会をつくるということで、現地軍司令官の方はそれを快く受けまして、それで来月からでも第一問目の協議会をしようじゃないかという積極的な姿勢をもってやっておるということを聞いて喜んでおりますが、施設庁といたしまして、これについての連絡があったのかどうか。  それから、七・一五メモというのですか、そのメモに関連したところでどういう問題があるのか、それをちょっと回していただけませんか。
  91. 多田欣二

    ○多田政府委員 お答えを申し上げます。  先生先ほど例に挙げられました砲座の変更とか、もろもろの問題でございますが、従前もいろいろ事故がございまして、事故の原因を究明した結果、射場規則と申しますか、たとえば昨年数久田で戦車砲弾の事故がございましたが、その前には使用する弾種を変えるというような対策がとられた実例もございますし、それからあるいは戦車の機関鋭の事故がことし起こりましたけれども、その事故に関連をしましては、使用する射場を変えるというような対策もとられたということで、そういう現地の段階におきまして、両者協議によって、より安全な演習をやるという工夫は常々行われているわけでございます。そういう工夫は今後も当然続けていくべきであろうとわれわれは考えております。  それから、先生おっしゃいました三者協議会でございますが、これは最近、知事さんがそういう強い希望をお持ちになって、現地の県、那覇の防衛施設局、現地の米軍、三者が協議をしながら演習場の使用にまつわるいろいろな問題を解決していこう、こういう強いお気持ちを持っておるということはよく承知をしております。私どもといたしましても現地においてそういう協議が行われるということは、県民の意向を把握したり演習の安全を確保したり、ひいては演習場の安定的な使用にもつながるということで、大変結構なことだと思います。できるだけ協力をしていきたいというふうに考えております。現在現地の段階におきまして、その協議会のあり方、構成メンバーというような問題についていろいろ打ち合わせを行っているようでございます。今後とも私どもこの協議会には全面的に協力をしていきたいと思っております。  ただ先生ちょっと五・一五メモということについて触れられましたけれども、これはいわゆる演習場の使用条件と称するものでございます。これは性格上、政府間の協議に基づきまして決められておる演習場の使用条件でございまして、現地段階でなかなか変更するというような性格のものではございません。こういう問題につきましても西銘知事さん大変その演習場の使用条件の見直しというようなことについて強い御要望をお持ちであるということは私どもよく承知をしておりますけれども、何分にも政府間協定ということでございますのでいろいろ問題がございます。現地段階におきましていろいろ具体的な問題点が詰められる、それに基づいて使用条件を検討しなければならないというような事態になりますれば、日米安保の目的を阻害しない範囲内で当庁といたしましても研究をしていきたい、このように考えております。
  92. 國場幸昌

    國場委員 時間がありませんので、ただ要望だけしておきます。その事故とかあるいは爆撃といいましょうか、実弾射撃の振動によって伊芸という部落においていろいろの弊害が出てきておる。それで向こうから四つの要望がありますが、読み上げますので、これに対して善処していただきたいと思います。  それは廃弾処理場を安全地帯に移してもらいたいとか、伊芸区の水源地域は着弾地帯としては使ってくれるなとか、あるいはまた過去に起きた家屋等の被害補償は調査の結果適正なる補償をしていただきたいとか、それから夜間演習については日米合同委で協議をしてもらいたいというような要望であります。最後の問題は基地ある上においては演習がある、こういうことは理解しつつも、騒音または安眠妨害のないようにやっていただきたい、できるだけ部落を避けていただきたいということであります。私は、この四つの条件というのは全くそのとおりであって、被害を受けて、家が振動によって、あるいは爆風によってひびが入ったのであればそれを補償するのは当然でありましょう。そういうようなことについての要望でございますので、それを調査されて適正なる補償をやっていただきたい、これを希望いたしまして次に移りたいと思います。  尖閣列島に対するヘリポートの建設に対しての新聞を見まして、それできのうですかきょうですか、これを沖繩開発庁は発表した、こういうことでございますが、このヘリポートを建設したというのは運輸省からの発表を私は新聞で見て記憶しておりますが、これはどうなっておりますか、ひとつ開発庁の方でそれの詳しい事情をお知りでしたら御説明をお願いします。
  93. 亀谷禮次

    ○亀谷政府委員 お答え申し上げます。  先般運輸省筋から、尖閣諸島の調査に関連いたしましてヘリコプターの施設の設置について新聞報道されたところでございますが、本日開発庁長官からも記者会見の席上で、いわゆる調査の全体について発表を申し上げたところでございます。  御案内のように尖閣諸島のいわゆる開発利用の可能性調査につきましては、五十四年度の予算に約三千万円がすでに計上され、予算が成立を見たところでございます。開発庁といたしましては自来この調査の準備に関係省庁とも協議をし、施行者とも詰めてきたわけでございますが、この尖閣諸島の調査につきましては、先生も御案内のように尖閣諸島が石垣島から約百五十キロメートルの東シナ海にある孤島でございまして、気象条件あるいは海流その他海象の条件、きわめて厳しいわけでございますし、また海岸線の地形が船舶によりますところの上陸を著しく阻害しておる、こういう経緯もございまして、しかも今回の調査内容が、あそこの周辺諸島の五千分の一の地図の作製のための観測機材あるいは地質調査のためのボーリング機材あるいはその他学術調査に伴います人員が合計三十一名、精密機械を含む機材が約十トンという量にも達しますので、これらの事情から人員、資材等の安全かつ円滑な輸送を図るために海上保安庁の巡視船並びにヘリコプターの協力を得る必要があると判断いたしまして、協力体制に入ることをお願いしたわけでございます。  そういう準備をいたしました上で、この二十八日から本格的な調査に入るわけでございますが、すでに揚陸をいたしまして、風あるいは雨、そういった風向、風速、雨量等の一年間にわたる長期の観測調査に含めまして、学術調査団による約十日間前後にわたりますが、主要三島におきます地上のいわゆる植生あるいは地質、水関係、あるいは周辺海域の水深、海流等、総合的に調査をいたしました上で、これらの地域の開発、利用の可能性について結論を出したい、こういうことでございます。
  94. 國場幸昌

    國場委員 まことに思い切って懸案であった尖閣列島がわが国の実効支配権というものに対しての動きをしてきたというのはこれを高く評価いたします。  そこで問題は、日中平和友好条約、このときにも、その領有権の所在に対してのはっきりしためどをつけた上でということをわれわれは強く要望してきたわけでございますが、しかし鄧小平の発言はわが国においての考え方と大きなずれがある。この問題に対しましては鄧小平の至るところにおいての発言からしますと、後世にこの問題は引き継いで五十年でも百年でも後において問題解決を期待する、こういうことを言っておるのです。そうしますと、これはわが国の実効支配権に対して領土としての、御承知のとおりあそこは石油資源があるということからしまして、領有権に対しての物言いが出てきたわけなのです。いや五十年も待つのは向こうはもともとでしょう。ところがわが国はそんなことになったらたまったものじゃない。あそこの地形とか潮流とか、あるいは植物の繁茂する繁殖関係とか魚群に対しての調査が行われるということでありますが、海洋資源にしましても、年間八万トンぐらいに上る漁獲をなしておる地域でございますので、それは問題ないと思うのです。ところが、埋蔵されたところの石油資源の開発、これが一番問題なのですね。だから、これはいままでずいぶん論じてきたわけなのですが、これを採掘するということになって、いざ着工するということになると、相当の資産の設備投資をやらなければいけない。しかし、民間にしても請願をしておる人たちにしましても、これを思い切って国が保障して安心して投資をして採掘することができないのがいまの立場なんです。  だから、この問題は外務省にお聞きしたいのですが、アメリカ局長、この問題はただ避けて通るわけにはいかないわけなんです。そういうような行為に出たときに、実効支配権を行使した場合に、外務省としては絶対に保障しますというような保障を確言することができるかどうか、この問題をひとつ。これは開発するに一番の条件なんですよ。
  95. 谷野作太郎

    ○谷野説明員 お答えいたします。  ただいまの先生の御提起になりましたあの周辺の石油資源の開発の問題にしぼってお答えしたいと思いますが、尖閣諸島は申すまでもなくわが国の固有の領土である。また、これに対してわが国として実効的な支配を及ぼしておる、この点は疑問の余地のないところであろうかと思います。  ただいま先生から御提起のありました石油資源の開発の問題でございますが、先生のおっしゃることがわが国のいわゆる領海以遠の大陸だなの開発の問題ということでございますと、これはやはり物事の手順といたしましては、この尖閣諸島の周辺を含む日中間の大陸だなの境界線をどこに定めるか、これを策定する作業が日中間でまず必要ではなかろうかと思います。  そこで、この問題につきまして、かねてから中国側に対しまして、日本側といたしましてはいつでもこの境界線の確定の交渉に応ずる用意があるという私ども考え方を先方に提示しております。  いずれにいたしましてもわが国といたしましては、まずこの境界線を中国側と円満に策定いたしまして物事を進める、これが私どもの進めるべき手順ではなかろうか、こういうふうに考えております。
  96. 國場幸昌

    國場委員 時間が五分ぐらい過ぎますが、どうも済みません。最後に一点だけ。  これは、石油採掘の申請に対しての資料を通産省からいただきましたが、通産省といたしましては、とても前向きで資源開発に対しては熱心にやっておられるということをよく承っております。そこで、先願権ということから見ますと、やはりここを開発するということになると採掘権の申請がたくさん出ておると思うのですが、何社ぐらい出ておりますか、それはそれで許可しておるのであるかどうであるか、通産省エネルギー庁からお答えをいただきたい。
  97. 鈴木玄八郎

    ○鈴木説明員 お答えいたします。  通産省といたしましては、尖閣諸島は当然日本のものであるという前提に立ちまして中国との間の中間線を考慮し、そこまでにつきましては鉱業法に基づく出願を受け付けるという形でわが国の考え方を明らかにしておるわけでございます。  この地域に申請をいたしております会社は西社でございます。
  98. 國場幸昌

    國場委員 時間がありません。これで質問は終わります。ありがとうございました。
  99. 和田耕作

    和田委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十五分休憩      ――――◇―――――     午後二時五分開議
  100. 和田耕作

    和田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。上原康助君。
  101. 上原康助

    ○上原委員 実はきょうは離島問題と厚生省関係のことについてちょっとお尋ねをしてみたいと思っておったのですが、けさほどのやりとりを聞いて、どうしても防衛施設庁に確かめておかなければいかぬ気になりましたので、冒頭、基地被害問題をちょっと取り上げておきたいと思うのです。  五月二日の金武村伊芸の伊芸レストランの駐車場に落下した砲弾破片の件については、私は沖特でもあるいは内閣委員会でもしばしば取り上げてきましたので、まだその結論がまとまっていないようですから、いずれ明らかになると思うのですが、それとの関連において、一体施設庁は、こういう破片落下事件とかあるいは照明弾が基地の外に落ちてきたということなどは県民に被害を与えていないととらえているのか、不安や危険性がないと本当に思っているのか、その点改めて政府の見解を明らかにしておいていただきたいと思うのです。
  102. 奥山正也

    ○奥山政府委員 ただいまの上原先生の御質問でございますが、破片の事故でございますが、これにつきましては調査中ということでございまして、その他もろもろの事故がございます。それから照明弾の落下もございます。これらにつきましては、地元の方々に対しましては非常に危険感を与えておるということは事実でございますので、遺憾なことだというふうに考えております。  ただ、照明弾につきましては、午前中も國場先生の御質問に答えましたように、照明弾が火災の原因になるというふうなことはないものというふうに考えておるわけでございます。
  103. 上原康助

    ○上原委員 そういう認識が問題だというのです。皆さんは与党とのやりとりだからということで安易にお答えになっているかもしれませんが、あなたのけさの御答弁は聞き捨てなりませんよ。そういう姿勢だから困るのだ。けさの、まあ質問している方も失礼ですが、五・一五メモを七・一五と言ってみたり、余りにもどうかと思うのですが、本当に照明弾の落下というのは危険がないのですか。燃えているのは演習場内で燃えている、燃えかすが基地の外に落ちた、火災の件、当たっても被害がないと思う一あの照明弾の破片とかああいうものが落ちてきて当たっても被害がないですか、本当に。あなたの上に落ちてきて、被害がないとあなたはここで証言できますか。冗談じゃないですよ。そういう認識だから困るのだ。だから皆さんは、破片が落っこちてきても、照明弾が落ちても、民家に弾がとんできても、安全対策をやりますと言って、次から次へと起こっている。本当に照明弾は火災のおそれもなければ人畜無害ですか。改めてあなたの見解をはっきりさせておいてください。こういう公式の場でそういう答弁では承服できない。冗談じゃない。
  104. 奥山正也

    ○奥山政府委員 今回伊芸地区に降下いたしました照明弾の燃えかすでございますが、これは直径約一メーターの落下傘がついております。それからまた長さ六十センチのひもがついております。それからその下に約五十センチ強のつり下げのワイヤがつきまして、その下に照明剤が入っておりました上のふたのような金属の円盤でございますが、これは直径約五・五センチ、厚さが二・五ミリということでございますので、このようなものが演習場内で燃えまして、それが風に流されて伊芸の現場に落ちたわけでございますが、その燃える期間は約三十秒ということでございます。それで、燃えかすの、パラシュートのついたごく小さな金属盤でございますので、これはそれほど危険なものではないという趣旨でお答えを申し上げたわけでございます。
  105. 上原康助

    ○上原委員 あなた、そんないいかげんなことを言っちゃ困りますよ。そもそも、照明弾であろうが何であろうが、演習にかかわるものの物体が基地の外に、民家の近くに落っこちること自体が問題なんでしょう。照明弾は三十秒の期間しか燃えないとか、そんなことでごまかす。そういうのが人の上に落ちるか人家の上に落ちたら火災になりますよ。そうなるおそれはないとあなたは言い張るのですか。それを確かめておきたいのだよ。これから内閣委員会もあるから幾らでもぼくはチャンスがある。はっきりと、いろいろなことを外務大臣とも、防衛庁長官にもおいでいただいてでもやる。しかし、事務当局が政治家並みの発言をして、照明弾の燃えかすというのだけれども、照明弾の一部が落ちてきた、そういうことによって、民家の近くに落ちてくることによって県民に大きな不安と被害とを与えておきながら、与党とのやりとりということで安易に考えておるかしらぬが、火災のおそれもない、当たっても被害も起きない、そんなばかなことが一体ありますか。ここではっきりしなさい。冗談じゃないですよ、そういう認識は。
  106. 奥山正也

    ○奥山政府委員 ただいま先生のおっしゃいますように、そういう燃えかすであるにしろ、そういうものが場外に落ちるということは、これは非常に遺憾なことだということでございまして、その点につきましては米軍に対しましても申し入れをいたしたわけでございます。その燃えかす自体につきましてそれほどの危険物ではなかったということを申し上げたわけでございますので、そういう場外に落ちるということ自体は、これは非常に遺憾なことであるというふうに考えておる次第でございます。御了解いただきたいと思います。
  107. 上原康助

    ○上原委員 あなたのいまの答弁にはぼくは納得しませんが、これ以上この問題は……。それは明らかに危険性がある。火災のおそれがあるから山が焼けているんだよ、あなた。あの演習場の周辺全部焼け野原じゃないですか。それは砲弾であると同時に、照明弾による火災でしょう。あなた、そういうのがどんどん民家に落ちていけば、火災にならないなんてあれがありますか。きょうの御答弁はきわめて重要視をしているということだけ指摘をして、さらに、この間内閣委員会で取り上げたときにも、外務省と防衛施設庁の見解は違っていますな。協議会設置の問題、あるいは基地の使用協定というんだが、最近は使用協定という言葉は消えている。協議会はできるでしょう。集まってコーヒー飲みながら、いつ演習しましょう、こうしましょうと、それはいままでだってやろうと思えばできたことであって、何も新しいことではない。そういうことについては防衛施設庁のきょうの御発言あるいはこれまでとってきた処置については納得できないということを強く指摘をしておきたいと思います。防衛施設庁はもういいですからお帰りください、皆さんを見ているとこっちの方がしゃくにさわる。  そこで、きょうは離島関係の問題についてちょっとお尋ねをさしていただきたいと思うのですが、御承知のように沖繩県で五十一年度から六十年度までの沖繩県離島振興計画というものが策定をされておって、もちろんそれ以前からもいろいろ離島振興は、沖繩県自体も、また開発庁あるいは関係省庁の御協力、御理解も得ながら進めてきたわけですが、特にこの十年計画との関係もありますが、それに基づいて若干お尋ねをさしていただきたいわけですが、指摘をするまでもありませんが、沖繩そのものが離島であるということと、さらに沖繩本島あるいは宮古、八重山、石垣、久米島と、一応独立といいますか、独自に経済圏というか生活圏の確保ができるところはまだしも、その周辺に大変離島が多いわけです。有人島が三十九島ありまして、その陸域面積は県土の四五・七%を占めている。人口は県人口の一二・四%、五十四年度予算沖繩開発庁一括計上分が御承知のように二千七十八億円で、その一三割強が離島振興に振り向けられているということになっておろうかと思うのです。  この点政府の御努力も評価をしているわけですが、まずお尋ねしたいことは、一つは離島の道路関係の整備の問題です。復帰記念事業として、さつき言いました久米島、石垣、宮古、沖繩本島などの一周道路のうち、西表もたしか入っていますね、五十三年度までに大体完成をする予定という計画だったかと思うのですが、この事業は五十三年度中に完成を見るのかどうか、また現在はどういうふうになっているのか、お答えをいただきたいと思います。
  108. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 お答えいたします。  離島における復帰記念道路の整備の状況でございますが、この点につきましては、着手は先生御承知のように復帰前から着手されたわけでございます。現在若干おくれがございますけれども着々と整備を進めておりまして、まず宮古の一周線につきましては五十二年度において完成をさせております。それから、五十三年度には久米島の改良工事を完了させております。なお、そのほか五十四年度、今年度におきましては、石垣、西表、久米島三島の事業費といたしまして、全体総額十八億円を予定しておりまして、これによりまして石垣一周道路のうち石垣港と伊原間間線の改良工事、それから橋梁工事を完成させ、さらに五十五年度には石垣は舗装工事も完成させる、これを目途にいま進めておるところでございます。  また、久米島一周線と西表一周線につきましては、これは本年度以降鋭意舗装工事を進めてまいりたい、こういう状況になってございます。
  109. 上原康助

    ○上原委員 私も、十分じゃありませんが時折足を運んでおりますので、いま御答弁があったことについてはある程度知っているつもりです。もう一つは国頭周辺北部一帯ですね。これも目下非常に活発にといいますか、積極的に推進されているみたいですが、これの完成めどはいつごろかということと、もう一つは、たしか五十四年度から石垣島を縦貫する大浜-富野線ですか、約十一キロの工事も着工することになっておったと思うのですが、この完成はいつごろになるのか、その点もう少し明らかにしていただきたいと思うのです。
  110. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 お答えいたします。  本島の北部一周線につきましては、国道五十八号の部分と名護-国頭線とがございます。これにつきましては、本年度事業費といたしまして、合わせまして約四十億入れてございます。これによりまして、改良、橋梁等の工事を行う。今後の予定といたしましては、五十八号部分につきましては五十五年度に改良を終わらせまして、五十六年度には舗装も完了させたい、このように考えております。  それから名護-国頭線でございますが、この部分につきましては五十四年度中に改良と橋梁の工事を完了させたい、このような予定で現在工事を進めておるところでございます。  それから石垣島におきます富野線の問題でございますが、これは先生も御案内のとおり、いわゆる復帰記念道路というわけではございませんが、地元からの要請を受けまして本年度から工事に着手する、こういうことで準備を進めておるところでございます。
  111. 上原康助

    ○上原委員 特別措置法との関係もありますし、またいろいろ地元の強い要望、離島振興、経済活動の推進といいますか、そういった面から特に道路網の整備というのは急を要することですし、先ほど申し上げましたように、計面的に推進されているということについては私たちも評価をすることにやぶさかではありませんが、環境保全の問題なども十分配慮しつつ、この計画されたものが計画どおりに実現するように特段の御努力を要望しておきたいと思います。  次に、これとのかかわりで空港問題についてお尋ねをしておきたいと思うのですが、きのう運輸省の方にもちょっとお願いをして、離島空港の現状についてお聞きをいたしましたが、何といったって大どころは、石垣にしてもこの間五月十五日からたしかジェット機になっておりますし、宮古はそれ以前から、また久米島にしてもYS11が飛んでいる。こういうところはさほど支障は来していないと思うのです、臨時便なども需要のいかんによっては時折あるようですから。だが問題は、南大東、北大東、宮古の多良間とか、八重山の波照間、与那国、こういうところは御承知のように何回も取り上げられているのですが、復帰前はYS11が北大東以外は、波照間は別ですが、飛んでおったわけです。しかし航空法との関係滑走路の整備状況、距離の問題等があって現在はダッシュ6が就航している。ある面では不便を地域住民に与えているわけです。ですから、十九人乗りの小型では地域住民なり観光で島に行ってみたいという方々にも御不便を与えているということがあって、もう少し大型化といいますか、三十人あるいは四十人程度のYS11とダッシュ6の中間ぐらいの飛行機の購入、開発が必要じゃないかということで、関係者から強い要望が出されているわけです。通産省の管轄かもしれませんが、今後の過疎化対策というか、あるいは地方時代とかいろいろなことが言われている状況の中で、どうしてもその地域の住民のニーズにこたえていくには、足の確保、飛行便の確保が絶対条件だと思うのです。すぐはなかなか容易じゃないと思うのですが、早急に検討して今後やらなければいけない問題だと思うのですが、この件について開発庁はどうお考えなのか。また運輸省はどういうような計画なりお考えを持っておられるか。まず総論的な面からお聞かせいただきたいと思うのです。
  112. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 離島の空港の整備につきましては、先生からもただいま御指摘のあったように、私どもといたしましては、やはり離島苦の一つの大きな原因が地域の中心地との交通的な隔絶性といいますか、そういうことから来るという考え方を持っておるわけでありまして、そういうことで空港も含めまして、港湾あるいは本島周辺でございますと、架橋の可能なところには架橋をする。そういうことで隔絶性の解消に努めてきておるわけでございます。そういったことで北大東、そのほか粟国駐につきましても、最近飛行場を設置したわけでございます。  先生御指摘の問題、いわゆる中間的な飛行機あるいはYS機の後継機という問題につきましては、関係機関におきまして種々検討いたしておりますけれども、なかなかこれといったものがまだ定まらないというお話も聞いておるわけでございまして、そういう情勢を踏まえながらも、できるだけ可能な整備を図っていきたいということでこれまでもやってきたわけでございますし、また今後とも進めていきたい、このように考えておるわけでございます。
  113. 平井磨磋夫

    ○平井説明員 先生御指摘のとおり、離島におきます空港の重要性は非常に大きいものがあると考えております。したがって、沖繩県の離島におきましても、復帰以来、空港の新設とか改良に非常に力を入れてまいったわけでございまして、すでに十カ所が現准建設され、運用されておるわけでございますが、今後、航空需要の動向を見ながらこれらの拡張を計画いたしていきたいと思うわけでございます。中には先生御指摘のとおり、地形的に非常にむずかしいところがございますので、十分この辺を検討いたしまして、できるだけの整備を図っていきたい、基本的にはこのように考えております。
  114. 上原康助

    ○上原委員 政務次官、きょう話してすぐ解決できるというようなものではないと思うのですが、いずれ、もう少しどこか、通産省なりいろいろなところでお尋ねしてみたいのですが、要するにYSの後続機、ポストYSです。飛行機も耐用年数もあるでしょう。そういう、面からすると、今後これは、沖繩の離島にかかわる問題だけではないと思うのです。日本全体のYSの後をどうするのかということと、いまSTOLしか飛ばしていないところ、あるいはダッシュ6とか二十人以下の飛行機の地域においては、そういった中間輸送ができる飛行機の開発というのは、必然的な問題だと思う。これを中期的に政府全体としていまから検封していろいろやっていただかないと、離島振興といってもなかなかできませんよ、過疎化対策といっても。その点についての見解をお聞かせいただきたいと思うのです。
  115. 坂元親男

    ○坂元政府委員 お答えいたしますが、上原委員のおっしゃるとおりの感じを私ども持っておるわけであります。  特に離島におきましては、そのおくれというものをやはりレベルアップしなければいかぬという点でも、産業を開発するについても、あるいは生活の面につきましても、そういうことは非常に必要だということを感じておりまして、関係省庁とも十分御意見の点を協議をいたしまして、沖繩開発の面から御意見のような点の話を進めていってみたい。この前沖繩に参りましたときに、南西航空の社長ともいろいろ離島の飛行機の問題について話をしました。われわれも、未知の問題がたくさんありますから、そういう点を十分勉強もし、検討もし、また、関係方面の意見等も聴取いたしまして進めていくことに決してやぶさかではない、そういう考えを持っております。
  116. 上原康助

    ○上原委員 これは、すぐというわけにはいかないかもしれませんが、ダッシュ7の購入も一応検討してみたいという御発言が運輸省からありましたね。いま政務次官おっしゃったように、ぜひ政府全体の問題として御検討いただきたいと思います。  そこで、時間が余りありませんので、空港整備の問題についてもう一、二点お尋ねしておきたいのですが、伊平屋、伊是名の両島に空港を新設してほしいと地元から強い要望が出されていると思うのです。伊是名の空港新設については調査をしておられるということも聞いているのですが、現段階においてどういう状況になっているのか、可能性の問題を含めてお答えをいただきたいし、地元からそういう要求が出た場合には、政府としては対応していくのか、あるいは、伊江島空港との関係、また、米軍の演習問題とのかかわりで、伊是名、伊平屋の空港新設というものは不可能なのかどうか、現段階でおわかりの程度でよろしいかと思うのですが、お答えいただきたいと思います。
  117. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 お答えいたします。  伊是名、伊平屋に空港を設置してほしい、これは地元の村、あるいは住民の方から御要請を私ども聞いて承知しております。これにつきましては、現在沖繩県におきまして、関係機関とも密接に連絡をとりながら、設置の場所その他につきまして慎重に検討しておるというふうに聞いております。  いま先生御指摘の、伊江の訓練空域との関連等も一つの問題として検討の中に入っておるというふうに私ども承知しております。そういったことで、この検討結果が出てまいりました段階におきまして、私どもとしては関係省とも密接に連絡をとりながら、基本的には沖繩振興開発計画を私ども推進していくという立場を踏まえて十分慎重に検討をしていきたい、このように考えております。
  118. 上原康助

    ○上原委員 運輸省はこれについてどういうふうに御検討いただいていますか。
  119. 平井磨磋夫

    ○平井説明員 ただいま開発庁の方からお答えがございましたとおりでございまして、空港設置の御希望が非常に強く出ておると承っておりまして、県の方で調査中と聞いておるわけでございますが、その検討結果を待ちまして、慎重に進めてまいりたいと考えております。
  120. 上原康助

    ○上原委員 可能性はあると見ていいわけですね。県が調査をするのか国がやるのか、両方だと思うのですが、可能性はどうなんですか。大体いつごろまでにやるのか。着工するのかしないのかの結論は出るのですか。いまの皆さんのお考えでは、どういうふうにお見通しなさっていらっしゃるのですか。
  121. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 お尋ねの件につきましては、立地の条件とか、あるいはその効果の問題であるとか、あるいは先ほどもちょっと申し上げました訓練空域との関連、当然航空管制との問題といったようなものも生じてくるかと思います。その点につきましては、県におきましていま関係機関とも協議をしながら鋭意検討を進めておるというふうに承知しております。したがいまして、私どもとしては、県の具体的な考え方をお聞きしながら、できるだけ前向きに検討をしていきたい、このように考えておるところでございまして、ただいまの段階で、いつから着工できるかというお尋ねでございますけれども、ちょっとお答えいたしかねるという状況にございます。
  122. 上原康助

    ○上原委員 そこで問題は、きのうもある程度説明を受けましたので、わからないわけじゃないのですが、現在伊江島の飛行場は運航中止になっていますね。これは、きょう余り時間がありませんが、伊江島の空港整備には幾らぐらいかかったのですか。
  123. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 ただいま手元に資料がございませんで、そのデータはちょっとお答えいたしかねますので、御了解いただきたいと思います。
  124. 上原康助

    ○上原委員 ぼくもはっきりした記憶でないが、たしか海洋博との関係で十五、六億くらいかかったと思うのです。数字が間違っているかもしれません。ぼくの記憶は、前にそういう何かやりとりをした記憶があるので、あるいはもっとかもしれません。これだけ多額の金をかけてやったにもかかわらず運休になっている。これは使用していない理由は何ですか。
  125. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 これは私ども現地の方から非公式に聞いた話でございますので、あるいはお答えするのはどうかと思うのでございますけれども、直接的には旅客の減少、そのために定期便としてこれを廃止した、このように聞いております。
  126. 上原康助

    ○上原委員 それもあるでしょうが、やはり米軍の演習空域の問題だと思うのです、大きな原因は。時間を限ってしか運航できないという条件が  ついておったわけですからね。したがって、伊平屋、伊是名に空港を新設をするという場合には、どうしてもその問題を解決しなければいかぬわけです。  きょうは外務省を呼んでありませんが、そこもぜひ運輸省、開発庁、早目に協議をしていただかないと、飛行機を飛ばすにも人が住むにも道を歩くにも、やはり基地の災いというのがあるわけなんだ、冒頭の話と同じように。そういうことを抜きにして沖繩の振興問題というのは、空の問題を含めてできないということを御理解いただいて、その障害となっているものをどう取り除いていくかということにも、あわせて計画の推進、いろいろ方途というものを講じていただきたい、このことを強く要望しておきたいと思うのです。  次は、港湾関係についてちょっとお尋ねをしたいのですが、先ほどこの十カ年計画を私も大急ぎで目を通してみたのですが、これに各離島の港湾整備計画について出されております。現在の主に離島の港湾整備計画はどうなって、今後はどういうふうな見通しになるのか、まずその面から御説明をいただきたいと思います。
  127. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 沖繩における港湾の整備につきましては、基本的には振興開発計画にのっとりまして、個別の具体的なものといたしましては港湾整備の五カ年計画、これに沿って整備を進めておるわけでございます。整備の状況でございますが、特に離島につきましては、先生御承知のように宮古それから石垣にそれぞれ軍、要港湾が二港ございます。それから地方港湾といたしまして三十六港、合わせますと三十八港が本島以外にあるわけでございますが、これにつきましては、本年度そのうちの二十五港につきまして約百億の事業費をもって整備を進めるということにいたしておるわけでございます。  いずれにいたしましても、今後とも離島の港湾につきましては係留施設あるいは外郭施設等の整備拡充に積極的に取り組んでいきたい、このように考えておるところでございます。
  128. 上原康助

    ○上原委員 これも運輸省から資料もいただいて説明を受けたのですが、相当粘力的に進められてはいるようですね。いま二十五港というのは、これはどこどこですか。後で地域名、資料として御提出いただきたいと思うのですが、よろしいですね。  それと、私がちょっとお尋ねしたいのは、沖繩県がまとめた離島振興計画というのがありますね。これの二十一ページに空港、港湾の島別計画ということが載って、一番伊、平屋島から三十九番与那国島まで、大体こういう計画でやっていきたい、この規模の港湾に持っていきたいということでいろいろ計画が書いてありますが、全部言うのは時間がありませんから、伊平屋の場合、たとえば前泊港五百トン級の船が出入港できるような港に持っていきたい。与那国島の場合は、これは祖納港と言うのですかね、五百トンというふうになって、たとえばこれに列挙されているこの計画のとおり、もちろん計画ですから希望がそのままにはいかないかもしれませんが、こういう目標で三十九港、三十九の人の住んでいる有人島の港を整備するという場合に、あと何年ぐらいかかるのですか。現去進めているのはそういう方向で進んでいると理解していいのかどうか、これとの関係はどのようにリンクさせてやっていらっしゃるのか、その点を御説明いただきたいと思います。
  129. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、基本的には振興開発計画、それからいわゆる港湾整備の全国的な五カ年計画でございますが、この計画にのっとって事業を進めていくということでございます。それらの五カ年計画の中に、私どもとしていわゆる沖繩の振興開発にかかわる部分についてどういう形で織り込むかとかあるいは毎年度の事業をどう進めていくかというような点につきましては、県等とも十分協議をしながら進めてまいっておるところでございます。そういった協議の段階におきまして県といたしましては、ただいま先生御指摘の県の計画等々を下敷きにいたしまして私ども協議をしながら進めておるというふうに申し上げた方がよろしいのかと思います。そういったことで、私どもとしましては港湾整備につきましては現在の段階ではかなり進捗をいたしておる、このように考えております。
  130. 上原康助

    ○上原委員 一応県のこの計画も参考にはしているということですね。振興開発計画が主体ではあるけれども、これも参考になさってやっていらっしゃるというふうに理解していいですね。  それとさつきの二十五港が第五次港湾整備計画で進められているということは私もある程度知っているわけですが、これは振興開発計画の最終年度、いま五十四年度ですからあと三年ありますが、五十六年度までには完成しますか。またその後はどうなるのかを含めてちょっと御計画なりお考え、これは開発庁と運輸省もお聞かせください。
  131. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 ただいま振興開発計画を五十六年度までに達成できるのかというお尋ねでございます。振興開発計画は先生御承知のとおり、いわゆる整備計画というような形にはなってございません。基本的にそれを受けまして、各長期計画の中に沖繩の関係が盛り込まれる、こういうような形で具体化されるわけでございまして、そういった意味での港湾整備五カ年計画、これは五十四年度までの計画になっておると承知しております。その五カ年計画の進捗につきましては、全国レベルよりも沖繩関係はかなり早く進捗をいたしておるということでございますので、少なくも現在ベースになっております五カ年計画は、来年度において十分達成できるものというふうに私ども考えておるところでございます。
  132. 酒見尚雄

    ○酒見説明員 基本的にはただいま沖繩開発庁の方からお答えいただいたと同じことでございますが、若干補足して御説明させていただきたきますと、現在、五十五年度までの港湾整備五カ年計画に基づいて実施をいたしておりまして、全国平均での進捗率が六四%程度であるのに対しまして、沖繩関係につきましては約八〇%という進捗率になっておりますので、非常に進展いたしておるというふうに御理解いただいてよろしいかと思います。  それから五十六年までの振興計画との関連でございますが、これは現在五十五年度からの五カ年計画というものを検討する予定にいたしておりますので、そういった中に沖繩県あるいは平良市等の要するに港湾管理者からの計画として上がってまいりますれば十分検討いたしまして、沖繩開発庁とも御協議の上進めてまいりたいというふうに考えております。
  133. 上原康助

    ○上原委員 五十五年度から、また新しい港湾整備五カ年計画が立案される。その中にも継続して、その間にできなかったもの、あるいはやるべきところ、特に、県が具体的な一応の計画をつくってありますから、これも参考にしていただいて、十分関係市町村あるいは県とも御相談をして、推進をしていただきたいと思います。その点よろしいですね、両方とも。  それから、これとの関係で本部町の浜崎と瀬底島の間の架橋問題、これは決定を見ているようですが、これの調査は完了したのですか。着工はいつからなのか。たしか、今年着工の運びになっておったんじゃないかという感じもするのですが、完成まではどの程度見込まれるのか。完成までに要する予算はおよそどのくらいかかるのか。  もう一つ、架橋に際して注文をつけておきたいのです。私は、実は海洋博を誘致する段階からいろいろ問題を指摘しておるのですが、新港じゃなくて木部町の渡久地漁港ですね。あの海は橋がかかってしまって死んじゃったのです。あれをもっと高くというか、スロープをつけるとかの工夫をすれば、伊平屋、伊是名、伊江島への船も、旧渡久地漁港を利用できたものを、今度、浜崎へ持っていったために本部の町は死んじゃったのですよ。橋をつくるとかでそういう二の舞をやっちゃいかぬと思うのです。自然保護の問題とあわせて、この点はぜひ十分配慮をしていただきたい。環境というものが、条件というものが死んじゃ困る、生かされなくなっちゃ困るということ。もう一つは、地元、本部町の関係者から、架橋の段階において水道の送水管も併置をしてもらいたいという要求があるのです。当然そのくらいのことはおやりになると思うのですが、こういうこと等についての計画なり、皆さんのお考えはどういうふうになっているのか、まとめてお答えをいただきたいと思います。
  134. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 お答えいたします。  本部から瀬底への架橋につきましては、先生御案内のとおり、昨年度までで調査を終わりました。これは技術的にも地形的にも、なかなかいろいろ問題のあるところでございまして、調査期間が大分長くかかったのでありますけれども、一応見通しを得ることができましたので、本年度より下部工の本工事に着工するという予定にいたしております。いつまでにというお尋ねでございますが、何分にも七百メートルの海峡に橋をかけるという工事でございます。それからまた、逆説的でございますけれども調査に非常に長期間を要した。その裏には地形、地質その他の問題等もいろいろございます。そういったこともございまして、いつまでにこれができるかということをただいまの段階で必ずしもはっきり申し上げられる状況にございません。ただ、地元の期待も非常に大きいということは私ども承知をいたしておりますので、できるだけ早期に完成させるように努力してまいりたい、このように考えております。  それから、環境あるいは公害等に対する配慮でございますが、この点につきましては当然私どもといたしましても、施工の際十分留意させるように指導してまいりたい、このように考えております。なお、跨海橋でございまして、かなり大型の船が現在通っておりますし、また将来も使用されるという見込みになっております。そういった点、十分に勘案しながらこの橋を設計し、後の使用に支障のないように私どもとしては考えていきたい、このように考えておるところでございます。  送水管につきましては、現在、この橋が架橋されましたときには、それにあわせて送水管を瀬底まで送っていくということを、私どもとしては計画の中に含めて考えております。
  135. 上原康助

    ○上原委員 地元の長い間の願望でしたし、私の方にも、いろいろ関係者からも何回か御要望を受けておりますので、ぜひひとつ強力に推進をしていただいて、早目に完成できるように、なお御努力を賜りたいと思います。  もう一点、橋との関係でお考えだけお聞きしておきたいんですが、平良市の池間島への架橋問題も、おととしでしたか、沖特が調査に行ったときも強い陳情を受けたんですね。その後、計画を調査をし、推進をするという話もありましたが、台風常襲地帯ということと、台風がある場合に、非常に強い暴風雨、台風になる危険があるというようなこともあって、なかなか容易でないというお話も仄聞をいたしておりますが、現在どういうふうにお考えになって、どういう調査ども県などとお話し合いでやっているのか、お考えがあれば聞かしておいていただきたいと思います。
  136. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 池間への架橋の問題につきましては、先生からただいまも御指摘がございましたように、秒速七十メートルという風の襲った地域でございます。そういったことで、まず技術的に非常に問題があるということがございます。そのほか、橋をかけるにつきましては、やはりそれによりますいろいろな効果、影響、こういったものを考えなければいけないわけでございます。その辺につきまして、県の方がいろいろ検討をされておるというふうに、私ども聞いております。その辺の検討を私どもとして待たなければならないというふうに考えておりますが、冒頭に申し上げました技術的な問題、これが大変大きい障害になるのではないかというふうに考えております。
  137. 上原康助

    ○上原委員 それはいろいろ専門家の方々の御判断を待たにゃいけないと思いますが、いまの日本の工学といいますか技術、そういう面からすると、風速七、八十メーターに耐える架橋が全然できないということにはならないと思うんですね、素人が考えて。もちろんそれは財政の問題なり、どれだけの波及効果があるとかいうようなことが当然議論されるでしょうが、ぜひこれも前向きに御検討をいただきたいと思います。  時間がありませんので、最後になりますが、厚生省関係で医療問題をちょっと聞いておきたいんですが、この県立八重山病院の移転改築は、たしかこれも五十四年度で完成をする運びになろうと思うんですが、どうなっているのかということと、八重山地区の石垣市救急診療所の整備問題がどうなっているのか。もう一つは離島の無医村対策ですね。この件について、政府としてはどういうお立場でいま進めておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  138. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 離島の医療施設の問題でございますが、いまお尋ねの八重山の県立病院につきましては、五十四年度においてこれを完成させるという予定のもとに、所要の予算を計上いたし、施工いたしておるわけでございます。先生御案内のように、離島におきます診療施設といたしましては、まず県立病院を中核病院といたしまして、宮古につきましてはすでに完成させております。八重山は、ただいま申し上げたとおり、本年度中に完成させたい。それにあわせまして、それとの連携をとりながら離島の診療所等の整備を進めてきておるところでございまして、私どもといたしましては、ただいま先生から御指摘のありました救急診療所あるいは石垣の県立病院に付属します精神病棟あるいは隔離病舎、こういったものもあわせまして大体本年度中にはこれを完成させたい、こういう予定にいたしております。  また、離島の診療所につきましては、これまで県立及び町村立を合わせまして十三カ所の整備を終えておりまして、さらに本年度中には一カ所これに追加して整備をするということにいたしております。  今後とも、沖繩県に対し離島医療の充実を図るように督励をしながら、私どももそれに対して必要な助成を行っていきたい、このように考えておるところでございます。
  139. 上原康助

    ○上原委員 そういう医療施設といいますか、県民生活にかかわる重要な環境整備、特に厚生医療の問題についてもぜひ格差が早急に改善されるように、格差を単に埋めるということではなくして、積極的に進めていただきたいと思います。  最後に、ハンセン氏病の問題についてお尋ねしたいのですが、私は一九七七年の五月二十日の内閣委員会でも取り上げて、当時の渡辺厚生大臣に対して、沖繩の愛楽園、それから南静園の主に本土との格差の問題、あるいは医師確保の問題、護婦の不足ぎみであるものの充当、増員計画、また入園者の皆さんの家屋といいますか住居の充実化、できるだけ個人で入居できるような住宅施設といいますか、入居施設を整備をしてもらいたいというようなこと等を強く取り上げて、その後、早速厚生省の方からも現地の調査どもやっていただいて、五十三年、五十四年度とかなり前向きに御配慮いただきましたことに敬意を表しますが、最近いろいろ調べてみますと、皆さんの方にもこの国立療養所沖繩愛楽園患者自治会の皆さん、あるいはまた国立療養所宮古南静園患者自治会の皆さんから、五月十五日付の沖繩における両園の本土施設との格差の早急是正に関する陳情書というのがいっていると思います。  そういう意味で、まだ医師確保が不十分であるということ、あるいは看護婦が手不足であるということ、さらにその他の人員についても、これは沖繩の両園だけではないかもしれませんが、いろいろ格差がある、特に入居施設、そういう面についてはもっと早急に改善をする必要があると思うのですが、こういうこと等についてどのように進めておられるのか、厚生省の方からひとつ現在までの整備状況なり今後の予算措置、対策といいますか、そういうことについてお答えをいただきたいと思います。
  140. 花輪隆昭

    ○花輪説明員 お答えを申し上げます。  沖繩のらいの施設整備の要望につきましては、私どもも同様の御陳情を受けております。  ここ数年来、施設整備費につきましてはかなりの増額を見ておりまして、いま先生御指摘のとおり、予算額にいたしましても相当大幅な増額を見ているところでございまして、患者の住居等を中心に相当新しい施設整備が行われてきておるというように承知をいたしております。今後とも、患者等の御要望も十分承りまして所要の施設整備を進めてまいりたいと考えております。
  141. 上原康助

    ○上原委員 もう時間のようですから、具体的にはいろいろ取り上げたいものもございますが、きょうのところは終えざるを得ませんが、そうしますと、さっき私が引用しました今年五月十五日の両自治会からの五十五年度予算に向けて、あるいは現年度の予算措置等についての陳情書の内容については、十分配慮をして、格差の是正はもとよりですが、特にこの施設内の環境整備の問題とか入居者を個人居住にしていく、そういう施設改善は積極的に優先的にやっていくお考えであるというふうに受けとめてよろしいですね。それはやりますね。
  142. 花輪隆昭

    ○花輪説明員 お答え申し上げます。  沖繩の二施設に対しましては、昭和五十一年度に一億六千万円施設整備費を投入したわけでございますが、五十三年度には四億という金額を投入いたしまして、毎年相当大幅な増加を図っておるというふうに考えております。今後も、全国的なバランスを配慮しながら施設整備を進めていく考えでございますが、施設の方からも残りを三カ年ぐらいで何とかできないかというような御要望をいただいておるわけでございまして、そういう計画を踏まえながら今後も施設整備に努めてまいりたいと考えております。
  143. 上原康助

    ○上原委員 これで終えますが、きょうはもう一つガソリン価格の問題についても取り上げたかったのですが、もう時間のようですから、後の方に御迷惑をかけてはいけませんので、ただ要望だけ申し上げておきます。  私がせんだって沖特で取り上げて、総務長官は各省庁との連携を持って十分対処するというお答えがありますので、これは内閣委員会で開発庁のあり方について少し議論をしましたが、いまの沖繩開発庁設置法の中でも十分権限があるわけだから、そういう面を特にやっていただきたいということを強く要望をして、質問を終えたいと思います。  ありがとうございました。
  144. 和田耕作

    和田委員長 玉城栄一君。
  145. 玉城栄一

    ○玉城委員 早速外務省の方にお伺いしたいのですが、午前、午後にわたりまして沖繩の米軍基地の被害の問題等について質疑が交わされたわけでありますが、その問題と関連をいたしましてアメリカ局長にお伺いしたいのです。  一般的な概念として、軍隊の行う軍事演習という概念は、国際法的にどういう概念であるのか。大変とっぴなことで申しわけございませんが、御専門でいらっしゃいますので、軍事演習という概念が国際法的に見てどういう概念であるのか、その点を最初にちょっとお伺いしたいのです。
  146. 中島敏次郎

    中島(敏)政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、私の知る限り、軍事演習というものが国際法上何か特定のステータスを与えられておる、概念規定があるというようなことはないのではないかと理解いたします。ただ、ある国が外国の施設、領土なり領域を使用するということについては、国際法上その当該国の同意を要する。そしてどのような条件でその使用を行うか、その態様その他は当該国との合意によって決定していく、そういうことは国際法上あるだろうと思います。その使用の一つの具体的な形態として演習が行われていくということではなかろうか、とりあえず私はそのように理解いたしております。
  147. 玉城栄一

    ○玉城委員 そこで、沖繩の米軍基地の問題に関係してお伺いしたいわけでありますが、日米安保条約に基づく地位協定上米軍が軍事演習ができるということは、その地位協定上のどういう根拠に基づいてできるということになっているのか、その点をお伺いいたします。
  148. 中島敏次郎

    中島(敏)政府委員 先ほども申し上げましたように、わが国の場合におきましても軍事演習ということを特に取り上げて、その細かな使用形態を条約上規定するというようなアプローチはとっていないと思います。ただ、先生御承知のように、日米安保条約は第六条によりまして、「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合象国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。」という大前提を置きまし、すなわちアメリカ軍が日本基地を使用することができる、その使用の具体的な形態につきましては、いまの安保条約第六条によりまして、その施設、区域の使用並びに合衆国軍隊の地位はいわゆる地位協定その他の関連取り決めによって規律されるという形になっておるわけでございます。その地位協定におきましては、基地内で米軍がいかなる権限を持つかということを各条でいろいろ定めておりますし、また地位協定の第五条におきましては、施設、区域の閥または日本の港湾と施設、区域との間の移動を米軍が行い得るというような定めもございますし、その他もろもろの関連規定が関係してくると思います。ただ、いま先生の御質問にありましたように、軍事演習を単一に一カ条で取り扱って何かを定めておる、そういう形にはなっておらないのでございます。
  149. 玉城栄一

    ○玉城委員 そこでお伺いしたいわけでありますが、地位協定に基づいて米軍が沖繩の基地使用、当然軍事演習も行っている、いろいろな関連規定が地位協定の中にある、こういうことでございますが、今度はわが国が米軍に提供しております施設及び区域外、いわゆる基地以外のところでの米軍の軍事演習が地位協定上できるのかどうか。もしできるとするならば、それは地位協定何条のどの部分によってそういうことができるのかをお伺いしたいと思います。
  150. 中島敏次郎

    中島(敏)政府委員 先ほども申しましたように、その地位協定は米軍の軍事演習について一条を設けてそのあらゆる態様をそこに書き込むというアプローチをしておらないわけでございます。わが安保条約及び地位協定のとっておりますアプローチは、米軍の施設、区域を米軍が使用することが許される、その場合にいかなる権限を持つかということを定めておりまして、たとえば第三条におきましては、その施設、区域内で合衆国がその運営、警護、管理等のために必要なすべての措置をとる権限がある、それからそれに対するアクセスを認められるということも定めておりますし、第五条におきましては、アメリカ合衆国の航空機、車両、構成員、軍属、家族、そういうものが施設、区域に出入し、それらのものの間を移動することができるということを定めておるわけでございます。  さて、そこで、軍事演習と先生がおっしゃられる場合の軍事演習なるものの意味が必ずしもそれ自体では明確ではないのではないかという感じがいたします。軍隊でございますから常住座臥、そのみずからの行動は広い意味で言えばすべて訓練になるわけで、そういう意味からいけば軍事演習というものは常に行われておるというようなことも考えられなくはないわけでございます。しかし、いわゆる狭義の軍事演習をやるということであれば、これは施設、区域の使用の形態として施設、区域の中でまたは施設、区域への出入という形で行われることになろうかと思いますし、また狭い意味の軍事演習を施設、区域の中で行うためにその施設、区域に軍隊が移動していく必要があれば、それはまさにいま申し上げました第五条の規定に従って軍隊が移動していくということに相なるだろうと思います。その軍隊が移動していくこと自身も、当該軍隊の方の距離演習上の目的から見れば演習をやるために特定のところへ行くわけでございますから、彼らの内部の取り扱いが演習として取り扱われることはないわけではなかろうかと思いますが、それは地位協定に照らしてみれば、あくまでも第五条に基づく施設の間の移動ということに相なると私は理解いたしております。
  151. 玉城栄一

    ○玉城委員 そこで、私が先ほどお伺いしましたのは、基地以外の、いわゆる提供施設、区域以外のところで米軍の軍事演習ができるのかということをお伺いしたわけでありますが、冒頭に申し上げましたように、軍事演習という概念、広義、狭義、いまいろいろおっしゃられたわけですが、本来米軍は、地域協定に基づいて提供された施設、区域あるいはおっしゃいました五条、その間の移動も含めて当然軍事的な演習が、軍隊としての組織的なあるいはその構成員である軍人それぞれ個々完全武装の状態で行われる。しかし、いまの御答弁をお伺いしまして、そういう施設、基地以外のところでの軍事演習は、この基地協定の五条の二項によって出入あるいは移動というところまでというふうに承ったわけであります。したがって、もし仮にアメリカの軍隊がそういう基地以外のところで軍事演習を行っているということになりますと、地位協定上はどういうことになるのか、その辺をお伺いしたいわけであります。
  152. 中島敏次郎

    中島(敏)政府委員 たびたびお言葉を返すようで恐縮でございますが、御議論になる場合の軍事演習ということの意味がどういう意味で使われているかが大変大事だろうと思います。たとえば極端な例をとりまして、いわゆる基地と言われるところの外で実弾の演習をやるとか射撃演習を始めるというようなことになれば、これは地位協定に反することは明らかでございます。ただ、基地の中で厳密な意味演習をやるために軍隊はそこへ行かなければならないわけでございますから、それが米軍の航空機に乗り、または車両に乗っかって行くか、または歩いてそこに行くか、これは移動の形態の違いでしかないのであろうと思います。したがいまして、地位協定に従って移動していくという広い概念の中におさまるものであれば、地位協定上非合法ということはないということになるのではなかろうかと思いますし、他方、いま申しましたように基地の外で射撃の訓練を始めるというようなことがあれば、これは当然に地位協定に違反するということになるのではないかと考えます。
  153. 玉城栄一

    ○玉城委員 そうしますと、局長さんがお考えになっていらっしゃる軍事演習は軍隊が実弾射撃をするということであり、そうでないものは軍事演習でないというお考え方ですか。基地内において実弾で射撃訓練をやる、これは用事演習だから地位協定上は認められる、しかし、基地以外の地域において実弾演習をした場合は地位協定上は違反であるということになるわけですね。そうしますと、実弾射撃をするかしないかが軍事演習の一つのポイントになるというお考えになるわけですか。
  154. 中島敏次郎

    中島(敏)政府委員 私は、実はいま概念を少しでもはっきりさせるためにということで、いわば基地使用の一番典型的な例として実弾演習ということを申し上げたわけでございます。他方、地位協定に沿う最も明快な意味で、普通に、ある基地から別の基地に移っていくということを申し上げたわけで、その間にあって、米側が基地の外で行った具体的行動が地位協定上許されるかどうかということは、具体的態様を地位協定の各条に照らして判断する以外にないのではなかろうかという気がいたしまして、軍事演習とは実弾射撃なりというような狭い意味でとるのは誤りであろう、私は、最も典型的なわかりいい例として、私の頭の中で整理をした最もはっきりした例としていまの実弾射撃ということを引用させていただいたわけで、観念的にはそういうことであろう。あとそれでは具体的に何か問題になるようなことがあれば、その具体的な行動が地位協定の各条に照らして許されるかどうか、こういうことになるのではないかと考えます。
  155. 玉城栄一

    ○玉城委員 非常に大事な、微妙なところなので、地位協定の各条に照らして違反であるかどうかはその具体的な行為の状態によっていろいろ判定をするということであるわけですが、実弾射撃は別にしましても、基地以外において五条で言うところの移動という概念に当てはまらない米軍の軍事演習の行為が行われている場合は、地位協定上は明らかに違反と見るべきじゃないでしょうか。
  156. 中島敏次郎

    中島(敏)政府委員 先生が御疑問としておられる具体的な行動がどういうことなのか必ずしも明確でありませんので、私も明確な御答弁ができない点、大変恐縮に存ずるわけでございますけれども、たとえば軍が一つの基地から、自分たちのバラックスから演習場と称する基地に移動する、そこに赴くということは、基本的に赴くためにまさに移動していくということであれば、それは地位協定五条に基づいて許されるわけでございまして、それじゃ赴くときに立ちどまって休息してはいけないかということになれば、これは構わないのだろうと思いますし、まさに具体的にそこでどういうことをあれしたのか、その移動の趣旨を逸脱するような行為でもあればまた問題になし縛るかと思いますが、地位協定はあくまでも移動ということでとらえておりまして、その移動が具体的にどういうことであるかということは地位協定が定めているところではないわけでございます。要は、全体の趣旨がいかなる目的、態様で特定の軍事行動がとられたかということになるのだろうと思います。  他方、一つお断りしておきたいのは、先ほど申し上げましたように、地位協定は演習という概念で問題をとらえておりませんので、演習はどこで行われるべし、どこで行われてはいけないというような明確な規定はないわけでございます。したがいまして、演習基地の外でやってはいけないというような明示の規定があるわけでは実はないわけでございます。先ほど来申し上げておりますように、米軍は施設、区域を使って軍隊を駐留させることができるということを定めてあって、それに伴う権利義務関係を地位協定各条に定めておる、それらの各条項に照らして具体的な問題を判断していくべきである、こういうことかと思います。
  157. 玉城栄一

    ○玉城委員 地位協定は演習という具体的なものをとらえて規定はしていないということですけれども、その辺があいまいのままになりますと、沖繩のような小さい地域では全島いわゆる軍事演習が可能であるということにもなりかねないわけですね。先ほど一つのわかりやすい例として、射撃を基地外においてやればそれは地位協定上違反であるとおっしゃっておられたわけですけれども、その辺の考え方をはっきりさせておかないと、基地外に米軍隊が出ていって組織的に、軍隊ですからもちろん組織的ですね、軍事演習が行われておってもこれは地位協定上は違反にはならない、もしもこういう考え方が成り立つならば大変なことになると思うのですね。  ですから、さっきおっしゃいました五条、A基地からB基地への移動、その出入り、これは地位協定上認められておりますね。しかしそれ以外に、そういう移動とか出入りとか普通考えられる以外の行為がアメリカの軍隊においてもし基地外で行われた場合は、これは地位協定上は違反である、違法である、そのように考えていいのかどうか、その点をもう一回確認しておきたいのです。
  158. 中島敏次郎

    中島(敏)政府委員 ただいま申しましたように、たびたび申し上げて恐縮ですが、地位協定は演習という概念を取り上げていないわけでございます。概念構成がちょっと違ってできておる。したがいまして、具体的に問題になるようなことがあれば地位協定の各条に照らして判断するよりいたし方ないということを申し上げざるを得ないわけでございます。先ほど申しましたように、実弾の訓練を施設の外でやるなどということは地位協定そのものがそもそも予想をしていない事態でございますから、当然にこれは問題になるわけでございます。あと具体的に、それじゃこれはどうだあれはどうだというようなことは、その具体的な行動を地位協定の各条に照らして判断していくということで考えざるを得ないのではないかと思います。
  159. 玉城栄一

    ○玉城委員 具体的な話を申し上げなくて大変おわかりにくかったと思いますが、実は沖繩の米軍で最近こういう例が非常に頻繁に行われているわけです。  確かに地位協定の五条においてはいまおっしゃいました移動、出入り、そういうことは許されておりますけれども、そういうことではなくて、国道あるいは県道の両サイドを軍隊がそれぞれ完全武装のまま行って折り返してくる、これは移動じゃないわけですね。これは明らかに軍事演習と見るべきですし、われわれはそのように見ております。非常に具体的な例ですが、地位協定上そういうことはどうなりますか。それはどのように判断されるか。
  160. 中島敏次郎

    中島(敏)政府委員 まさに地位協定は、いまお話がありましたように五条で施設、区域間の移動を認め、また施設、区域への出入を認めておるわけでございますから、その範囲におさまるものである限りは許容すべきものだというふうに考えます。
  161. 玉城栄一

    ○玉城委員 ですから、その範囲から逸脱していると明らかに見られるもの、この五条の移動とかそういうものからそういう行為は明らかに逸脱し、ていると見られた場合は、地位協定上は許容できない、このようにお考えになるわけですね。
  162. 中島敏次郎

    中島(敏)政府委員 その逸脱しておるとみなされるというものが具体的にどのようなことであるのか、もう少しお恭しいただけると考えいいかもしれません。軍隊でございますから、当然に指揮、官の指揮監督のもとに特定の行動をとりながら軍隊は動いていくものでございますし、そのようなものであればこれは当然に容認せざるを得ないことであろうというふうに考えます。
  163. 玉城栄一

    ○玉城委員 はっきりとおっしゃっていただきたいわけです。  いまの具体的な例ですが、これは今月の十八日、名護市辺野古在のキャンプ・シュワブの完全武装したアメリカ海兵隊員が、夜間行軍を午前二時半、真夜中にやっているわけです。参加部隊も同じキャンプ・シュワブの第九連隊第三大隊、五百名から六百名、この部隊が、キャンプ・シュワブから国道三百二十九号線を通って、そして県道百八号線を通って、また国道五十八号線を経て、この許田部落の野原緑化園前を折り返して、そして四十キロ、二十五マイルの夜間行軍を行っておるわけです。そして、道路の両サイドでカービン銃を持って、そして行軍の前後にはジープを従えて、そういう軍事演習を行っているわけです。これは明らかに移動というものではないわけです。A基地からB基地への軍隊の移動ということではないわけですね。ですから、こういうことは明らかに地位協定上から言っても許容できない、このように思うのです。その点、いかがでしょうか。
  164. 中島敏次郎

    中島(敏)政府委員 ただいまの特定の問題につきましては、いろいろ付近の住民の方々に心理的な御迷惑を及ぼすとか、夜中のことで騒音があるとかというような問題があり得るかという気はいたします。ただ、その特定の行動に関しましては、施設庁を通じまして事実関係の把握をまずさせて  いただきたいということを申し上げさせていただきます。
  165. 玉城栄一

    ○玉城委員 そこで、その事実関係の実態調査をされて、これは地位協定上で言うところの五条に一は当てはまらないということが明らかになれば、外務省とされては、米軍当局に対して、そういう一軍事演習は中止しろ、やめなさいということは当然話はされるわけですね。
  166. 中島敏次郎

    中島(敏)政府委員 ただいま申しましたように、事実の確認ということがまず先決であろうと思います。その結果をあらかじめ予断いたしまして云々するということは避けさせていただきたいと思います。いずれにしろ、米軍の行動を律するものは安保条約、地位協定でございます。したがいまして、安保条約、地位協定の許諾する範囲内の行動であれば問題がないし、その枠を超えるものであればこれは容認し得るものではないということになるわけで、果たして実態がどうであるかという点につきましては、まず事実の確認を行わさしていただきたい、こういうふうに考えるわけでございます。
  167. 玉城栄一

    ○玉城委員 私たち、これまでも基地被害のあるたびに厳重に抗議申し入れてきたわけです。去る二月二十一日の予算委員会の一般質問におきまして、例の昨年暮れの名護市許田における機関銃の乱射事件の問題を取り上げまして、その基地の状態がこれは欠陥基地である、また日米安保条約とかそういうもの以前の人道問題である、演習の仕方も非常にずさんである、そういうことを申し上げて大臣の御所見もいただいたわけであります。しかしその後も一向に、午前午後の質疑の中にも出ました砲弾破片の落下事件であるとか照明弾の落下事件であるとか、まだそういうものが後を絶たないわけですね。  御存じのとおり、沖繩が本土復帰する前は直接県民サイドで米軍に対してもいろいろな抗議申し入れ、そういう運動もしてきたわけです。復帰後はそれができなくなったわけですね。一応外務省を通してやらざるを得ない。その外務省がなかなか本当に国民の生命、財産を守るという立場からの、そういうことが実効の上がるようなことをしていただけない。ですから、御存じのとおりきのうも知事がお見えになって、三者協議会の問題もお話があったようでありますけれども外務省を抜きに、もう直接米軍当局とそういう話し合いをする必要があるのじゃないか。それぐらいしないと、外務省はもう役に立たない、そういう意見が非常に強くなっておるわけですね。ですから、皆さん本当に米軍との交渉という――これは外交交渉ですか、それとも普通の国内交渉と見るべきですか。  もう一点は、在日米軍基地の五三%が沖繩に集中している。そこで外務省の職員の方は一人も沖繩にいないですね。施設庁が調査をしてどうのこうのという非常に間接的、実感として基地の被害の状況というものを把握しておられないわけですね。そういうことでは、私は非常に外務省の智さんの外交交渉能力といいますか――安全の問題にしましても、いろいろ米軍に申し入れると言っても、こういう状態であるし、なおかつこういう状態はこれからも続きます。ですから、あれだけの外国軍隊を、五三%の基地を抱えて生の軍隊が存在して演習しているわけですから、そこで外務省アメリカ局のどなたかでも常駐して、あるいは出向するなりして、沖繩に常駐させていろいろなことをやるというお考えは出てこないのか。あくまでも霞が関にいらっしゃって、報道あるいは施設庁の報告に基づいてアメリカ当局にはやるのだという姿勢で今後もされるのか、いかがですか、その今後の沖繩に外務省のどなたか派遣をして常駐させていくという問題。
  168. 中島敏次郎

    中島(敏)政府委員 外務省が地元の方々のお気持ちを十分にくみ取って事務処理に当たっていないのではないかというような御批判と承ります。皆様方からごらんになっていろいろの御意見はあり得るかとも思いますけれども、私どもとしては、あるいは施設庁を通じ、それから米軍との連絡を通じて地元の問題が何であるかということは常に頭の中に置いて事務処理に当たっているつもりでございます。と申しますのは、基地の問題というのは、これはもういまさら先生に釈迦に説法でございますけれども、安保条約の目的を達成するという大きな目的と、そしてことに基地周辺の方々の御協力を得て米軍による基地の使用が安定的かつ円滑に行われるという目的もあるわけでございまして、それがなければ、安保条約の目的も十全を期し得ないということでございます。私どもは少しでも現地の周辺の方々の御協力が得られるような基地の使用を確保していく、安定的使用を確保していくということに常々心を用いているつもりでございます。  その具体的な方法として、現地にわれわれの人間を特に張りつけるかどうかという点は、これはいわばその具体的な方法論の問題でございまして、私どもは、常に施設庁を通じてお話を伺い、また米側と交渉することによって、私どもなりの役割りは果たしているというふうに考えておりますし、また、その点で御叱正があればまた個々に承りたいというふうに考えております。当面特に私どもの人間を施設庁の施設局に加えて、その上に屋上屋を重ねて張りつけなければいけないというふうには私ども考えておらないわけでございます。
  169. 玉城栄一

    ○玉城委員 去る二月二十一日の予算委員会における園田外務大臣の例の機関銃乱射事件についての、「外務大臣の所見を求められれば、」というお答えなんですが、「問題は、その事故の原因がどうであったか、どういう事故であったかということよりも、米国国土内でこういうことをやったかどうかということが私は問題だと思います。」というようなことが一点、それから「基地地域並びに住民に対する米軍の基本姿勢が一番大きな問題であると考えております」という点、それから「その基地で地域住民に不安を与えないように、飛行訓練を含む射撃訓練等はもう一遍両方でよく検討し合う必要があるのではなかろうか、」これが三点、もうずっとあります。  そこで、けさの沖繩現地の新聞でわかったわけですが、なお外務省は、いわゆる基地使用協定と言われております五・一五合意メモは公表できない、それは外交秘密文書であるから、そしてその基地使用協定の見直しもできないということをおっしゃっておられます。そして、現地において米軍と県と現地の防衛施設局との三者協議会をつくることは大いにいいことではないか、前提としてそういう安保行政を阻害しない範囲でということをおっしゃっているわけです。  そこで、この基地使用協定の見面しをされる意思はないかどうか、その点お伺いいたします。
  170. 中島敏次郎

    中島(敏)政府委員 先ほど、けさほどの御論議で防衛施設庁の方からも御答弁がありましたけれども、私どもは、飛地の使用に伴うもろもろの現地における具体的な問題について、現地の方々の御意見を伺って処理に当たるということ自身は、いわば当然のことでございまして、従来もそういうことはやっているわけでございます。そのような米軍と当該官庁である施設庁と県当局の方々がお互いの意思疎通や連絡を図るための場をつくるということ自身はそれなりの意味があるのじゃないかというふうに考えております。  そこで、ただ問題は、五・一五メモの御質問でございますけれども、その合同委員会の記録なるものはたてまえとして不公表ということが基本になっております。ただ、昨年現地からのいろいろな御意見もあり、国会での御論議もありましたので、国民の生活に関係あるものは現地の方々にもこれをお知らせするということで、いわゆるメモ  と称するものを発表したわけでございます。これによりまして、基地の具体的な使用条件というも  のはおわかりいただける形になっていると思います。   そこで、いまのメモの見直しをするかどうかと  いうことでございますが、私ども基地についての個々の具体的な問題について、住民の方々の御協力を得て基地の安定的使用を行うためによりよ  い知恵があれば、これを改善していくこと自身に何ら反対があろうはずがないわけでございます。要は、個々の問題についての具体的な改善が図れるかどうかということであって、メモ全体を見直すというような問題とは違うのではなかろうか。したがいまして、その協議会なるものを通じようと通じまいと、個々の問題について、これをこういうふうに直すと、この辺が住民の方々の御協力を得てもっとスムーズに基地の運営がいくのじゃないかという問題があれば、それはそれなりに改善を図っていかなければいかぬ問題ではないかというふうに考えているわけでございます。
  171. 玉城栄一

    ○玉城委員 時間がございませんので、いまの点ですが、三者協議会なるものが設置されまして、これは当然外交交渉はできないわけですから、そこで基地の使用の問題についていろいろ具体的な問題が出てきて外務省に上がってきましたら、それは当然外交交渉に乗せて使用協定の見直しをする面についてはされるというふうに受け取っていいわけですね。
  172. 中島敏次郎

    中島(敏)政府委員 ただいま申しましたように、個々の具体的な問題について、県当局、住民の方々の御意向と米側の要請というものがうまく話がついてこういうふうにやっていこうじゃないかということになれば、その限りで、そのこと自身は大変結構なことでございまして、それが合同委員会のかつて決めたことのとおりでないということになれば、それはそれなりの手直しをするとかいうような、個々の問題についての具体的な処理を行えばいいことでございまして、私どもとして、合同委員会の記録は一たんできたら未来永劫変わらないというふうに考えていることは毛頭ないということだけは御理解いただきたいというふうに考えるわけでございます。
  173. 玉城栄一

    ○玉城委員 ここでちょっと申し上げておきたいのですが、そういう皆さん方が決められた基地使用協定に基づいて、現地沖繩の米軍は基地使用をし、実弾演習等もして大変な被害、迷惑を地域住民に与えているわけです。どういう内容になっておるかということは全然知らされていない。こういう非常に不合理な話というのはないわけですね。ですから、それを皆さんはがんとして公にできない、こういう点非常に不満があるのですけれども、これは米側とも話し合いをして、沖繩県民にとってはどういう状態でこれが使用されるような話し合いがされているのか、それが知りたいわけですから、そういう方向で方途を講じていただきたいと思います。  最後に一点、通産省の方にお伺いしたいのですが、例の五%石油節約という通産省の方針、呼びかけ、運動に関連をいたしまして、最近沖繩で石油の供給削減といいますか規制がされるのではないかという不安が出ております。具体的な例としては、現地の南西航空、これはもう沖繩は離島県でありますから、生活路線ともいうべき交通手段ですが、削減あるいは規制されると一カ月に一週間ぐらいは運航停止をせざるを得ないのではないかというようなこともあって、大変また不安に輪をかけたような状況になっております。そこで、通産省としては、沖繩のそういう石油の需給状況の実態をどのように把握されているのか伺っておきたい。  それから、政務次官にお伺いしたいのですが、これは最近の新聞に一部報道されていたわけですが、エネルギー問題は今後非常に厳しいということで、今後公共投資の繰り延べというようなことも予想されるというような報道がされておったわけです。こういうことになりますと、沖繩振興開発計画は十カ年でまだ少し残っておりますが、目標達成もまだまだ、第二次計画もどうしてもしなくちゃならぬ。本土との格差がまだまだなくならないし、非常に社会資本のおくれ等があるわけですね。そこで今後の問題として、政務次官よく御存じのとおり、やはりまだまだやらなくちゃならない。そこで、公共投資の繰り延べというような事態が沖繩に一律にされてくるようになると、非常に打撃も大きいというような感じがするわけですね。それで、通帳省からの答弁とあわせて、沖繩のそういう特殊性というものを常に念頭に置かれてこの石油問題については配慮をされるというような考え方があるかどうか、最後にお伺いしたいと思います。
  174. 加藤昭六

    ○加藤説明員 お答え申し上げます。  まず第一点の石油製品の需給の今後の見通しでございます。これにつきましては、昨年来の中東の、石油産油国におきます生産削減等を背景といたしまして、国際的な石油情勢は相当な緊迫化を呈しておるわけでございます。わが国の原油事情も必ずしも潤沢ではございません。ごく最近の四―六月の原油輸入は約六千五百万キロリットルでございまして、これは前年同期をかなり上回ってございまして、当面は石油製品の生産に支障を来すということはないと考えております。しかし、全般といたしましては需給はかなりタイトぎみに推移しているというのが現状でございます。  少し細かくなりますが、こうした石油製品、製品別に見ますと、かなり輸入原油が重質化、重い方にシフトしておりまして、国内の需要は一方軽い方にシフトしておりまして、ジェット燃料とかA重油とか、沖繩でいろいろ問題になっておりますようなものの需要がかなり伸びております。したがいまして、われわれ中間製品と呼んでおりますが、そうしたものがかなりタイトぎみに推移しているというのが一般的な状況ではございます。しかし、私どもといたしましては、こうしたものにつきましても、需給の逼迫が起こり経済活動に悪影響を来さないように極力配慮をして運営を行っているわけでございます。  一方、五%削減というふうなエネルギー節約の国際的なものがございますので、こうした面について十分われわれとしても進めていく必要があるというふうには考えております。とりあえず、では五十四年の上期ではどうかということになりますと、いま問題になっております中間留分の中でも燃料油全体の生産というふうなことを見ますと、四・五%伸びを見ております。それから下期は燃料油三・八%増というふうな伸びを見ておりまして、そういう状況の中で沖繩はどうかということでございますが、沖繩のA重油それからジェット燃料、この二つについて申し上げますと、A重油につきましては、ことしの一-三月が三万七千キロリットル、去年の一-三月が三万キロリットル、これは二三%の伸びでございます。これは沖繩地区でございます。全国では同じ一-三月四・三%の伸びでございまして、ここの数字でもおわかりのようにA重油にきましての販売でございますが、かなりの配慮が加えられているというふうなことがおわかりかと思います。また航空機用のジェット燃料につきましては、五十三年が百九十四万七千キロリットルの実績でございました。これは全国の数字でございますが、五十四年が二百十”万四千キロリットル、一〇・六%、全体の石油製品の中でもかなりの高い伸びを配慮しております。個別的にいろいろ問題が生ずるような場合は、個々に実情を十分聴取いたしまして供給が円滑に行われるよう私どもとしては元売りを指導しておるわけでございまして、御指摘の件につきましても十分話し合いをするよう指導しておりまして、円滑に進んでいくようになっていると聞いております。  御質問の要点はそのようなことに尽きるかと思います。
  175. 坂元親男

    ○坂元政府委員 私にお尋ねの点についてお答えをいたしますが、御指摘のことにつきましては、現段階では石油事情により御質問の事態が生ずることは想定をいたしておりません。仮に今後そのような事態があるとすれば、全国的な問題でもありますし、沖繩は全くそのらち外に置くということは非常に困難と思われますので、そのときの状況に応じて当庁といたしましては関係省庁と十分協議をしてできるだけの対応をしてまいりたい、こう思っておる次第でございます。
  176. 玉城栄一

    ○玉城委員 以上です。
  177. 和田耕作

  178. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私この前、五月の十五日にちょうど復帰七周年記念に当たっていたんで帰りましたが、いままさに沖繩は祖国復帰八年目を迎えて、まるで逆に占領状態に入っているのじゃないかというふうに私はこの目で見てきました。現地の新聞その他報道機関も毎日それを伝えている。たとえば海兵隊、これの実弾射撃は昼夜連続して行われておる。砲弾の破片が住民区域に落下するという問題、さらに照明弾も落下する。     〔委員長退席、川田委員長代理着席〕 非常に演習が激しく、まるで戦争になるのじゃないかといったような不安を起こさせる。それだけではなくて、基地からはみ出して海兵隊が十四日にキャンプ・ハンセン、シュワブの間の国道を完全武装して行軍する。十八日には名護でまた国道五十八号線まで及ぶ六百人の海兵隊が堂々と行軍するという問題、さらに嘉手納基地の騒音はまさに音の暴力、こういったものがある。  私、最初に騒音の問題から触れます。  去る三日、私は北谷村に行き、さらに嘉手納に行きました。北谷村ではいま非常に問題になっている砂辺、これは六百世帯ぐらいありますが、公会堂で約三十名余りの区長外代表者が集まっておりました。一時間二十分で六回にわたり私は話ができなくなりましたが、異様なことを感じたのは、その部落の人々はそういった音の暴力の中でも堂々と発言している。これは非常に大きい問題だと思うのです。いわゆるつんぼの大声、もう病気にかかってしまっている。これ自体どうなるか。向こうのある青年は言いました。われわれはいま騒音を何とかしてほしいと言っておりますが、騒音がうるさくないということになったら最後である、これまで言っておりました。深夜、赤ちゃんが飛び起きてお母ちゃんに泣きつくということはもう普通だ。こういった騒音の問題について、去る十五日、根本那覇防衛施設局長に、その部落民の砂辺区民、嘉手納の人々の意見をまとめて言いました。一つは、これはできるんじゃないかなということなんです。基地撤去を要求すればこれはできないことだろう。これはできることだと思う。NHKが半額になっておる。これは映像は見えるが音はほとんど聞こえぬ、あるいは映像が波打って聞こえぬということでいま半額になっている。電話料金は、半額はアメリカが持つか政府が持ってくれぬかなということが一つ。もう一つは、防音装置。テレビがあるところでは防音装置をやって完全にいけるようにしてほしいという問題。もう一つは、防音装置を徹底的にやってもらいたいんだが、それとあわせて、夏になると冷房施設をやる場合には、われわれの生活の実態から三万、四万出せない、このぐらいできるのではないか、この要求。それから、区長さんが言っておりましたが、一番爆音のひどいのは、嘉手納であれ、いま申し上げました北谷であれ、低空飛行が百ホン以上になる。だから、向こうで低空飛行することをやめてほしい。一番ひどいのは、いまスパイ機のSR74機が二機ずつ一緒に飛んでいる。あれが一番爆音を出すのですよね。降りるとき大体七十ホンぐらいらしいのだが、上がるときは百以上になってくる。これはもう実感ですから、調査の結果も後で出ておりますが、そのためにぜひ低空の旋回飛行をやめてほしい。最低ぎりぎりこのくらいはできるのではないかなということなんです。  根本さんに会いました。そうしたら、電話については、騒音防止電話というのですか、そういったのがあるから、国の費用でつけてあげる、それで、氏名と電話番号を早めに持ってきてほしい。この点は、いま嘉手納でも始まっていることをおととい聞きました。さらに、いま申し上げました防音装置の問題ですね。それから、暑くてたまらないので、部屋に何とか冷房装置をしてもらいたい。それから、低空飛行をやめさせるように努力します、こういうことを根本さんは私に約束をしておりますが、施設庁でも、そういった報告、来ておりますか。
  179. 多田欣二

    ○多田政府委員 嘉手納飛行場の砂辺地区につきましては、私ども実態をよく承知をいたしております。  御承知のように、滑走路の真正面でございまして、昨年十二月、私どもが騒音測定をした結果、嘉手納飛行場について騒音測定、騒音コンターというのを告示をいたしておりますけれども、その騒音コンターから申しますと、いわゆる生活環境整備法で言う第二種区域あるいは第三種区域というのに入る地域でございます。(瀬長委員「私が言っているのは根本局長から来ているかということです」と呼ぶ)よく承知しております。特に、私も前に沖繩におりましたので、その辺の実態はよく承知をしておりますし、局からもそのような報告を受けております。
  180. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 それでは、特に低空飛行ですね。いま四つの問題を申し上げましたが、これは外務省として、最低の要求でしょう。いま北谷村の問題を言いましたね。低空飛行もこの前まではなかったらしいのです。これをやり出したものだから、もうたまらぬ。根本局長は二回か申し入れた。それを申し入れてから三日ぐらいは海外の方でやるんだが、またまたもとに戻る、三日坊主だなという笑い話をしたのですが、こういった点、対米折衝で外務省として何か申し入れる気持ちはないのですか。ひどい爆音ですからね。
  181. 中島敏次郎

    中島(敏)政府委員 ただいまのような騒音防止の問題につきましては、私どもといたしましては、施設庁からのお話を伺い、また、施設庁を通じまして現地の当局に必要な申し入れをするとか、それから合同委員会で、場合によれば航空機の騒音対策の分科会もあるわけでございますし、そこでお取り上げいただくというようなこともあり得るわけでございますが、基本的には、少しでも近辺の住民の方々のそういう生活上の不安が少なくて基地の使用が行われるようにということでやるわけでございまして、ただいまの具体的な問題につきましては、私特にいま承知をいたしているわけではございません。  しかし、従来とも騒音対策の問題は一般的に米側にもたびたび申し入れをしておりますし、いま申しました合同委員会の分科会でもお取り上げになっておるわけでございまして、そういう方法を通じながら、少しでも事態の改善努力していきたいということになろうかと思います。
  182. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 われわれはそうは思っていませんが、たてまえは安保条約で、本音はアメリカの危険な基地を温存して、いわゆる侵略戦争の拠点にするというふうなことからいっても、安保条約を認めるとか認めぬということはあるにしても、日本国民が安全、平和に幕らしていけるというようなことは、最低ぎりぎり一致点を見出せるんじゃないかと思うんだが、局長、どうですか。そういった点からいませっかく防衛庁でも施設庁でも、那覇局長は自身アメリカに言ったことが二回ぐらいあるということを言っているんだから、そこら辺は何とかたてまえと本音が一致するんじゃないですか。どうですか。     〔川田委員長代理退席、委員長着席〕
  183. 中島敏次郎

    中島(敏)政府委員 私どもは、別にたてまえと本音というような、使い分けて言うつもりは毛頭ないわけでございます。問題は、いまのお話は、現地におきますところの具体的な問題でございます。したがいまして、その具体的な問題を直接お取り扱いいただいておる施設庁の方々からお話をいただくことが最も適切であるというふうに米側に対して考えているわけでございます。それをしもなお片づかないということで中央で取り上げなければいかぬというようなことになれば、これは当然に私どもとしても取り上げるわけで、先ほど来申し上げておりますように、基地周辺の住民の方々のそういう御不便が少しでも軽くなるということ自身はわれわれが平生心がけるべきことなので、沖繩の基地に限らず、一般的に基地の使用についてはできる限り周辺の住民の稠密地帯を通らないようにとか、いろいろの時間的な規制を行うとかいうようなことで常々対処はしているわけでございます。  ただ、ただいま先生のお取り上げになられた北谷村の問題について、特にいま具体的な事情を私心得ておりませんので、一般的なことを申し上げさせていただいているわけでございます。
  184. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この問題は、機会を改めて外務大臣に直接伺うことにして、これは環境庁と防衛施設庁に伺いますが、公害対策基本法に基づいて、これは昭和四十八年十二月に環境庁告示「航空機騒音に係る環境基準について」というのが出ていますね。この中に「第三種空港及びこれに準ずるもの」、「第二種空港」、「第一種空港」とありますね。最初にお伺いしたいのは、那覇空港は何種ですか、種類だけ言ってください。
  185. 藤田恒雄

    ○藤田説明員 那覇空港は二種ということになっております。
  186. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 Aですか、Bですか。二種空港にはAとBがあるでしょう。――御存じなければいいです。  それでは嘉手納基地、あれは何種ですか。
  187. 藤田恒雄

    ○藤田説明員 那覇空港は二種のBでございます。それから嘉手納の方は一種でございます。
  188. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 それでは、その環境の安全を保つためにどのような努力をされたか。第一種空港は「十年をこえる期間内に可及的速やかに」というのがありますね。これは一と二があって、一は「五年以内に、八十五WECPNL未満とすることは又は八十五WECPNL以上の地域において屋内で六十五WECPNL以下とすること。」、これは五年以内にやろう。二は「十年以内に、七十五WECPNL未満とすること」云々というのがあります。これはむずかしいあらわし方で、WECPNLというのは普通わからぬですが、いろいろ調べた結果、加重等価平均騒音レベル、うるささ指数というのでしょう、嘉手納基地はこのうるささ指数を上回っているのか上回っていないのか調査したことがありますか。
  189. 多田欣二

    ○多田政府委員 防衛施設庁の方で調査をいたしております。その調査の結果に基づきまして昨年の十二月、第一種区域、第二種区域、第三種区域について、嘉手納の周辺につきましてはすでに告示をしております。
  190. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 どんな告示ですか、内容をちょっと簡単に言ってください。
  191. 多田欣二

    ○多田政府委員 一応現在の基準で申し上げますと、第三種区域、これは飛行場の周辺で最もうるさい地域でございまして、現在WECPNL九十五以上の地域ということでございますが、これは地番で北谷村砂辺地区などはその相当の部分が第三種区域の中に入っております。これは現在の基準でいいますと積極的に緩衝地帯化するのが望ましい地域、こういうふうに言われております。それから第二種区域と申しますのは、WECPNLの九十以上の地域でございまして、ここは人がお住みになるのは余り適当ではない。御本人が希望するならば補償をいたしまして移転措置を進めていこうという地域でございます。これも砂辺地区の一部などはこの地域に含まれております。これも告示では具体的に地番を示しまして、砂辺の何番地がこの二種区域に入るということを指定してございます。それから第一種区域と申しますのは、人がお住みになるためには防音装置、住宅防音のようなものをやっていかなければならない地域ということで、現在はWECPNLの八十五以上の地域ということでございまして、一、二、三種とも具体的に何町の何番地から何番地というようなふうに告示において明瞭にしてございます。昨年の十二月でございます。
  192. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この告示は県民が知るような方法で告示されたのか、いかがですか。
  193. 多田欣二

    ○多田政府委員 私ども具体的な調査をいたしました結果、騒音コンターと言っておりますが、その騒音コンター図を作成いたしまして、県を通じまして関係の市町村とも、こういう指定をいたしたいということで協議をいたしました。その協議が調いましたので、これは官報に告示をしてございます。
  194. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 実は二十三日に、防衛庁側の証言で横田基地の騒音規制、これがわかったのですね。航空機騒音の環境基準は公害対策基本法に基づいて云々と書かれて、横田基地が第一種になっておるということが初めて明らかにされた、裁判所でいま初めてわかったという問題なんだな。いまの問題も、これは余り知られていないのですね。そうなると、いま申し上げました北谷村の人々はどこかに移らなくちゃいかぬ。  これは沖繩県の公害対策課で調査したものがここに載っておりますが、これは有効測定日数が三百五十日、そのうちいま申し上げましたWECPNL八十五を超えた日数が二百九十八日、それから同じく九十を超えた日数が二百二十五日、それが九十五を超えた日数が六十二日。そうなりますと、五十二日間は大体八十五以下であるが、そのほかは全部八十五を超える、すなわち人間が住むに耐えざる区域であるということは明らかなんですね。これは公害対策課で今度の四月に調査して、いまはっきり発表されたものですが、このような形がそのまま残されるということは一体どうなるかという問題。移るにしても、すぐ移るわけにいかぬでしょう。ですから、この騒音の問題は、いま基地を撤去させるのが最も根本的な対策なんですよ。基地が撤去できないとすれば、じゃあどういうふうにして音の暴力から住民を守るかという問題、これはやはり真剣に考えなくちゃいけない。この点は安保条約を認める認めぬ、これと関係ないですよ。安保条約を認めて軍事基地を認めた人でも国民の安全が保障されない、子供は深夜起きて泣き出す、それで小学校は防音装置をされた部屋から一歩も出られぬという状態。しかも、向こうへ行くと、われわれは対話もできないが、向こうの人は対話できるのですね。そこまでならされてしまっている。これが子供に引き継がれ、孫に引き継がれる。まだはっきりしたことはわからないが、胎児に影響を及ぼす状態が必ず来るということをいま検討中なんです。したがって、この音の暴力からどういうふうにすれば国民が平和で安定した生活ができるかということは根本的な問題だと思うのです。この点につきましては、これは特にいま低空飛行の問題を言いましたね、これを早目にやめさせる問題、深夜飛行をやめさせる問題、これは交渉すればすぐできる問題なんです。これから手をつけてもらいたい。根本さんがこれはできるということをはっきり約束しましたから、三日坊主にならぬように、言った、これはもう三日、四日したらまたまた戻ってまたやってくるということにならぬようにやってほしい、この点は要望にとどめ、さらにアメリカ局長もこの点は真剣に防衛施設庁あたりと連絡をとられて、音の暴力から県民生活を守るという立場からやってほしい、こう思います。  それから次は黙認耕作地の問題ですが、時間がありませんのでゆっくり言えませんが、嘉手納に弾薬庫がありますね、元陸軍、いまは空軍の管理になっておりますが、サトウキビをつくる人々、これは黙認耕作をやっておる。五十三年度から五十四年度千九百八十トンくらいのサトウキビを上げています。これをキビをつくらないで野菜をつくれというふうな方向にいっておりますが、一部聞きますと、地代ももらって耕作もするんだからというふうなことを言っておるようですが、それを明確にするために、あの黙認耕作地を含めていまの嘉手納基地周辺の地代は現在耕作しているのが取っているのか別の人が取っているのか、これは防衛施設庁、明らかにしてください、だれが取っているのか。
  195. 多田欣二

    ○多田政府委員 この黙認耕作地と申しますのは、復帰前に米軍が市町村長に許可証を発行いたしまして、市町村長が具体的に住民を割り当てて耕作をさせた。条件としては米軍が必要な場合にはいっでも明け渡す、明け渡しの際には一切補償を請求しない、こういう条件でやったのが復帰後も……(瀬長委員「時間がないから。それを質問しているんじゃないのです。だれが地代を取っておるかという問題です。」と呼ぶ)現在、米軍と耕作者との直接の関係でございまして、実は私ども具体的な資料というのを掌握しておりません。そういうことではいかぬということで現在黙認耕作地につきましてはできるだけ調査をしたいと思っておりますが、現時点では私ども具体的な資料を持っておりませんが、伺うところによりますと、場所によりましては地主さんが耕されておるところもあるし、地主さんとは全く関係のない第三者の方が耕作をしておる事実もある。その辺は地区それぞれ区々であるというふうに承知をいたしております。
  196. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 不勉強というのか何か知りませんが、地代払っておるんでしょう、だれに払っているくらいはわかるでしょう。あの地代は元沖繩製糖でやったんですが、いまは名前を変えて沖繩土地住宅、こうなっている。この会社が地代を取っているんですよ。だからいま黙認耕作をやっておる耕作者四十六世帯は一文も取っていないんですよ。非常に違うんですよ、嘉手納は。そういう面で、時間がないんで進め方が徹底しないと思いますので要望を申し上げておきますが、あれはいま命令としてサトウキビはつくらないで芋とか野菜をつくれと言われているそうだが、これは芋や野菜をつくれるところじゃないということ、さらに、もし万一それを強制されるのであれば生活が非常に苦しくなってくる。だから、そういう変化する場合には、政府が確実に向こうの農民の生活が安定性を欠かないように補償するようにということを私は強く要望したいのですが、この点について努力するという約束はできますか。
  197. 多田欣二

    ○多田政府委員 本来、正式に言えば他人の土地を耕作する場合には耕作料を払わなければいかぬ、こういう問題があるわけですが、黙認耕作地の場合にはそういう実態はございません。ただ、現在嘉手納で起こっている事件につきましては私どもも詳細承知をいたしておりまして、できるだけ農民の生活というものと、米軍は米軍で基地の管理、火災の防止その他の面で要求を出しておるわけでございまして、そういう両者の調和が図れるように両者の間に立って調整していきたいということで、現在那覇局で努力しておるわけでございます。ただ最終的にこれは恐らく耕作禁止ということには――、ごく一部の地域を除きまして、米軍の許可なしに不法に開墾したという地域を除きましては大部分は耕作を認められる形にはいくのじゃないか、作目の転換ということはあり得ると思いますけれども。離作というようなことになった場合に補償ということについて考えるかという御質問ですけれども、この点につきましては私ども何分にもこれは米軍と耕作者の関係でございまして、直接国との関係ではございません。非常にむずかしい問題がいろいろございますので、今後検討させていただきたいと思います。
  198. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これは米軍と耕作者の関係じゃないんだよ、問題は。あなた方が、施設局が介在しておることは知っておるのです。いずれにしても、どういう事態になっても耕作者の生活がいままで以下にならないように努力することは政府の責任ですよ。これを強く要望しておきます。  それから国道、公道における軍隊の演習について具体的にお伺いします。これはいま十四日にやり、十八日にはまた名護でやったと申し上げましたが、田辺八州雄県警交通部長の話が五月二十三日の琉球新報夕刊に「米軍演習に伴う基地外行軍の規制は国内に例がなく、したがって本庁とも協議しながら慎重に作業をすすめている。行軍をする場合は許可の対象なので近くの警察署長へ申請するよう正式に申し入れるが、もちろん違反については特別扱いはしない。」米軍だろうが何だろうが特別扱いはしない。「違反があればもちろん検挙するが、第一次裁判権は米軍側にあるので、そのつど責任者への申し入れを行い国内法を順守させたい。」というふうなことが交通部長の責任ある答弁に出ております。  さらにこの点につきましてはさすがのロビンソン司令官も、「遺憾である」とはっきり言っているのですよ。これは二十二日、同じく琉球新報、あるいはタイムスに出ております。比嘉副知事が「行軍は無神経である」と指摘したことに対して、同司令官は「遺憾である」と表明しつつ何と言ったか。「若い隊長が歩行訓練とエネルギー節約のためにやったこと」と説明しておる。実にはっきりしていますね。まさに訓練なんですよ。若い隊長が訓練している。もちろん司令がなくちゃ若い隊長は動かぬですね。さらにエネルギー節約のため。その前には司令部の方では車の手配ができないのでと言ったが、今度はもう司令官がエネルギー、ガソリンですよ、この節約のためにやったと言っている。これは遺憾である点についてはアメリカは認めているのです。警察側も認めているのです。警察庁、だれか来ておりますか。-いま田辺さんの言われたことは本庁とも連絡をとってこうすると言っております。これは事実ですか。
  199. 広谷干城

    ○広谷説明員 米軍の道路上の行軍の問題でございますけれども、米軍の行動につきましては国際条約のたてまえから十分に尊重すべきものでございますけれども、一方、道路交通の立場から考えますと、道路交通に著しい影響があるものにつきましては、交通の安全と円滑の面にそごが生じないようにする必要がありますことはもちろんでございます。したがいまして、われわれといたしましては、沖繩県警察に対しましてはこの観点から、そういうふうな行動についての連絡その他につきましての手続の細部につきまして、米軍と十分話し合いをするように指導をいたしておるところでございます。
  200. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 確かめたいと思う。いま田辺さんの見解は断固たる見解を示しているのですよ。そうであるべきだと思う。警察というのは普通、国民の安全あるいは財産、これを守ることが警察でしょう。それからいくとこれは当然な話ですよ。これが当然でないことが逆立ちだ。  そこで、時間が参りますので締めますが、いま申し上げましたように、アメリカ局長は防衛施設庁から聞くとか何とか、聞いて事実に基づいて判断する、非常に回りくどいことを言う。現地の警察自体がこの国道における武装行軍を――これはロビンソンが、若い隊長の指揮で訓練を行ったとはっきり言っておるのですよ。しかもあなたの言うように車両で行くわけじゃない。ガソリンを節約するために車両で行かないのだ。ちゃんと完全武装して、しかも名護あたりでも六百人の海兵隊が深夜、傍若無人ですよ。占領時のとき私いましたからわかります。占領のときは那覇あたり、行軍どころかうろついて大変だったのです。まさにいまそれになっておるのです。私は、外務大臣が出られる機会があるようですから改めて聞きますが、この点はアメリカ局長アメリカの平和、安定ということではなくて、沖繩県民の立場日本国民立場になって、安全で平和な暮らしが保障される道を追求していくのが政府の基本的姿勢でなければならぬと思うのです。むしろ国民の生活を楽にしていくような、国民生活の安定の問題、平和な暮らしが保障され、そして危険でない、いつもびくびくして暮らすような事態ではなくて、安全が保障されるような状態をつくり出すことが政治の根本であり基本である。私は環境庁、あるいは施設庁、外務省防衛庁あたりの話も聞きましたが、この点を特に要望して私の質問を終わりたいと思います。
  201. 和田耕作

    和田委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十五分散会