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1979-04-27 第87回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年四月二十七日(金曜日)     午前十一時五十分開議  出席委員    委員長 和田 耕作君    理事 越智 通雄君 理事 川田 正則君    理事 國場 幸昌君 理事 本名  武君    理事 上原 康助君 理事 斎藤  実君       篠田 耕作君    竹中 修一君       村上 茂利君    村田敬次郎君       島田 琢郎君    市川 雄三君       玉城 栄一君    瀬長亀次郎君       甘利  正君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)         (沖繩開発庁長         官)      三原 朝雄君  出席政府委員         内閣官房内閣審         議室長内閣総         理大臣官房審議         室長      清水  汪君         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      三島  孟君         内閣総理大臣官         房総務審議官  大濱 忠志君         防衛施設庁施設         部長      多田 欣二君         沖繩開発政務次         官       坂元 親男君         沖繩開発庁総務         局長      亀谷 礼次君         沖繩開発庁振興         局長      美野輪俊三君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局審査部第         一審査長    奥村 栄一君         宮内庁長官官房         審議官     勝山  亮君         環境庁自然保護         局計画課長   土屋徳之助君         環境庁水質保全         局企画課長   原  健彦君         外務省アメリカ         局外務参事官  北村  汎君         厚生省医務局医         療システム開発         調査室長    佃  篤彦君         厚生省医務局医         事課長     内藤  洌君         厚生省医務局指         導助成課長   瀬田 公和君         社会保険庁医療         保険部健康保険         課長      北郷 勲夫君         農林水産省農蚕         園芸局果樹花き         課長      畑中 孝晴君         農林水産省食品         流通局消費経済         課長      長野不二雄君         農林水産省食品         流通局砂糖類課         長       馬場久萬男君         資源エネルギー         庁石油部石油備         蓄対策室長   森清 圀生君         資源エネルギー         庁石油部流通課         長       竹内 征司君         運輸省航空局監         理部監督課長  早川  章君         海上保安庁警備         救難部参事官  福田  稔君         建設省道路局市         町村道室長   金子  晃君         自治省財政局調         整室長     井上 孝男君         特別委員会第一         調査室長    綿貫 敏行君     ――――――――――――― 二月二十六日  北方領土復帰実現に関する請願(本名武君紹  介)(第一二六四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 二月十五日  沖繩返還協定による放棄請求権等早期補償に  関する陳情書  (第七八  号)  沖繩県市町村買収道路用地補償等に関する  陳情書外十五件  (第七九号)  北方領土返還に関する陳情書外三件  (第八〇号) 三月二十七日  沖繩県浦添市における国道五入号の交通渋滞解  消に関する陳情書(  第二二四号)  沖繩県におけるガソリン等石油製品の値下げに  関する陳情書(第  二二五号)  那覇国際空港早期建設に関する陳情書  (第二二六号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  沖繩問題に関する件      ――――◇―――――
  2. 和田耕作

    和田委員長 これより会議を開きます。  沖繩及び北方問題に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。國場幸昌君。
  3. 國場幸昌

    國場委員 沖繩振興開発計画は十カ年ということになっておりますが、余すところ三カ年にも足りない、いわば仕上げの時期に至っております。沖繩振興開発十カ年計画目標そのものは、沖繩の長年における本土との格差本土並みに持っていく。この十カ年において目標とするところは本土並み所得レベルに持っていく、人口は百三万から百五万、そういうようなことで一次、二次、三次産業とも目標が決定されておるわけでございますが、余すところ二カ年半になりましたが、現在の達成率状況はどうなっておるでありましようか。その点をお伺いいたします。
  4. 亀谷礼次

    亀谷政府委員 お答え申し上げます。  四十七年に沖繩復帰いたしましてから現在の沖繩振興開発計画に基づきます計画の執行を開発庁あるいは県当局の御協力をいただきながら遂行してまいりまして、現在七年目に入っておるわけでございます。いろいろとその間、わが国を取り巻く社会経済情勢変化等もございましたけれども復帰以来、先生から御指摘のような本土との格差是正あるいは自立的な発展の基礎条件整備するという振興計画の基本的な目標の線に沿いまして、沖繩振興開発計画に基づく諸事業達成するため、社会資本整備など各般施策を今日まで行ってきたわけでございますが、現時点におきましては、私ども理解の範囲で申し上げますと、空港、港湾、漁港、こういった各種主要公共事業中心にしてまいりました施設は大幅な改善を見ておる、こういうふうに考えるわけでございますし、その他の公共施設につきましても、計画期間中にはおおむね本土水準に達するペースで現在整備が続けられておる、こういう理解をいたしておるわけでございます。  若干具体的に補足して申し上げますならば、先生も御案内のように、道路を初め上下水道等施設につきましては、本土平均水準にすでにかなり到達をしておるのではないか、こういうふうにも思いますし、文教施設につきましては、なお若干の格差があるかと思いますが、前段に申し上げましたように、この計画期間内におおむね本土水準に達することかできよう、こういうふうに考えております。  なお、産業基盤整備の中に残された農業基盤整備の問題でありますとか、なお格差のございます医療施設等を含む県民生活環境福祉等につきましては、今後残された期間内にさらに最善の努力を払い、達成に努めなければならない、こういうふうに考えておるところでございます。
  5. 國場幸昌

    國場委員 お答えのようなことについてはやや達成されておるということを私も感ずるわけでございます。ところが所得全国平均からしますと、まだ七〇%にも達していない。それから指摘されたように医療に対する問題、あるいは農業基盤に対しての問題、あるいは水産基盤に対しての問題、それから道路市町村道路ともに、各県ごと人口に対しての保有量というのですか、こういうものに対しての立ちおくれがずいぶん見られております。ことに離島においてそのような傾向が見られるわけですが、今後、いま指摘したようなことに対しまして、ことに力を入れていくというお考えがあるのかどうか。それと一次、二次、三次産業目標に対しての格差、余りにも三次産業に偏り過ぎる。二次産業本土平均から見ますと余りにも差があり過ぎる。こういうアンバランスに対してどういうようなお考えをお持ちであるか、それをお聞かせいただきたいと思うのです。
  6. 亀谷礼次

    亀谷政府委員 お答え申し上げます。  先生から御指摘を待つまでもなく、この十カ年計画あと二年有余を残す時点でございますけれども先ほど申し上げましたように、施設面中心にしましたいわゆる資本整備と申しますか、各般社会資本整備につきましては、私どもかなりの成果を上げてきておると存じておりますし、また、御指摘のような一人当たり県民所得中心にしましたいわゆる県民経済生活という面を考えましても、復帰後順調な伸びを今日まで続けてまいりまして、一人当たり県民所得国民所得に対します格差も、復帰直後に比較をしまして七〇%を超えるところまで縮小をしてきたところでございます。ただ御案内のように、昭和五十二年には若干停滞ぎみであるという現状は、率直にそのとおりでございます。  ただ、御指摘のように、沖繩県産業構造自身が依然として第三次産業にウエートか高く、生産所得の面で七三%、就業者の面で六四%と、いずれ復帰直後からのマクロな数字としては大きな変化を来しておらないわけでございまして、したがって、第二次産業伸び悩みの傾向にあることも御指摘のとおりでございます。そういった面で、私どもも労働、雇用の問題を含めていろいろと経済的な問題を中心に真剣に検討しておるわけでございますが、御指摘のとおり、沖繩におきますこういった雇用機会の確保あるいは所得水準の向上を図るためには、第一次産業から第三次産業までの全産業の分野にわたりまして、やはり沖繩の特性を生かしました産業振興を進めていく必要があろうかと思っております。  このためにはもちろん先生の御指摘を待つまでもなく、開発庁を初め政府においては意見を尽くし、施策を進める必要があるわけでございますが、同時に、地元におかれましても県、市町村あるいは経済界皆さん方の御努力をさらにお願いをしますと同時に、国、県協力をしまして、今後は、いま私か申し上げた点に最大限対応していかなければならない、こういうふうに考えております。したかいまして、これらの問題を具体的に実現しますためにも、先ほども触れましたけれども住宅等生活環境施設整備農業基盤整備産業基盤整備はもちろん、医療福祉水資源開発等、万般の施策をさらに強力に推進してまいる必要があろう、かように考えておるところでございます。
  7. 國場幸昌

    國場委員 開発庁を初め、各関連省庁に対しましては、今日までの御尽力に対しましてその評価を高くすると同時に感謝いたすわけでございますが、きょうの新聞にもありますとおり、わが国経済の今後における国家予算に対しての問題からしまして、予算はずいぶん厳しくなってくる。おかげをもちまして、五十一年以来今日まで、沖繩予算に対しましては特別なる配慮をしていただいて、他の県よりはいつでも十何%、また事業所によっては二十何%という格上げ特別配慮によってこれだけの振興達成したわけでございますが、さて、来年からの予算考えますと、ずいぶん財源において厳しい。今日までの予算のあり方じゃなくして、今後は子算に対しても厳しく制限を加えていくというようなことが政府の方針であるということがきょうの新聞に出ていましたが、思うに、沖繩の立ちおくれ格差是正のためには、やはりかようなる状況の中にありましても、従来どおりの予算を確保すると同時に、あと三〇%にわたる格差是正しなければいけない、こういうことを考えるわけでございますが、何分あと二カ年半に迫る特別措置法、この間に目標とする本土並みにできるかということに対して、その見通しそのものに対してどうかと思うわけでございますが、その点に対しましては、開発庁といたしまして、どういうようなお考えで対処するつもりでありましょうか、お聞かせをいただきたい。
  8. 亀谷礼次

    亀谷政府委員 先ほども私一部お答えをしたところでございますが、現在、沖繩県民所得伸びが、国民所得伸びに対比しまして、五十二年度で申しましても一人当たり所得でまだかなり格差がある。こういった事態のもとに、この計画達成される時点においてその見込みがどうかという問題に合わせまして、現在の日本環境を取り巻く厳しい経済財政状況のもとで、これらの達成が図られる十分の基盤としての、いわゆる公共事業を含めた問題の対処がどうか、こういう御質問であろうかと思いますが、今後の県民所得がどのように伸びますか、計画期間内に達成できるかどうかということにつきましては、御質問にも触れられましたとおり、日本全体の経済成長、あるいは沖繩におきます経済構造、あるいは産業の今後の推移等非常にかかわるところが大きいわけでございます。当然、公共事業を初めとします振興開発事業推移を見た上で予測をする必要があろうと思いますし、率直にお答えをいたしますとすれば、必ずしも容易なことではない、こういうふうに考えるわけでございます。  ただ、これまで先生の御指摘にもありましたように、振興開発計画目標に沿いまして、毎年度かなり大幅な伸び振興開発事業中心として計上し、遂行してまいりました。御指摘を待つまでもなく、この計画に基づく格差是正は、政府といたしましても当然遂行すべき問題でございますので、困難な経済情勢の中でも、開発庁の立場といたしましては、極力計画の遂行を図るに必要にして十分な措置を今後もとる必要があろうというふうに考えております。  ただ、政府全体を含めましての経済財政の問題もございますから、その面との兼ね合いも当然あるわけでございます。そういった点も十分留意しながら、計画あと二年有余の時期にも参りましたので、冒頭から繰り返し申し上げておりますような問題の所在を十分認識した上で、今後も計画達成努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  9. 國場幸昌

    國場委員 所得伸びに対しての内容の問題でございますが、御案内のとおり、沖繩においてはまだ一千億以上の基地収入がある。それにまた一千億以上の観光収入によって経済がずいぶん伸びてきたことと相まって、公共事業に対する予算消化によって沖繩経済伸びてきたので、基盤的な面において、さてそういう諸問題、観光に対する見通し、あるいはまた公共事業がとまる、また基地は漸次縮小していくということに対しての、今後における経済維持所得維持でしょうか、県民生活の安定、その見通しに対しては、政府といたしましてもなかなか決めにくいことではありましょうが、何分にもかようなる経済構造によるいまの沖繩経済というのが、十カ年を目途とする後においてどの程度に安定するか、これはなかなかの問題でございます。特別措置はまだ二カ年半残っておるといえども、これに対して沖繩の方では、いまから特別措置はもう二カ年半しか残っていないんだ、であれば、それに対することは国に頼るほかしようがないので、その特別措置を延ばすべく、政治の場にある人はいまからよく考えて、政府の方にも理解を求めてぜひ実現させるべきである、こういうことを言っております。そのことにつきましては、いますぐそうしますという答弁を求めようとはいたしませんが、これは要望として申し上げておきます。時の事情そのものもあるとは思うんですが、庶民の方としましては、一般にこの特別措置はぜひ延ばして、またあとという――奄美大島の例をとりましても、十五カ年前にとってきまして、五カ年、五カ年というのが、いままた昨年にも延長したわけでございますので、その点に対してのお考えをひとつお聞かせいただきたい、こういうことなんです。
  10. 亀谷礼次

    亀谷政府委員 先生のただいまの御質問主要眼目考えます点は、私の判断させていただきますのに、いま特別措置と御発言がございました内容は、振興開発特別措置法の問題であろうかと存じますので……(國場委員「その他観光に対しての問題、そういう税制的な問題もあります」と呼ぶ)わかりました。  御質問特別措置という内容につきましては、ただいまお話しがございましたとおり、将来に向かっての振興開発の問題につきましては振興開発特別措置法がございますし、一面、復帰の際の各種経済制度条件本土に軟着陸させるという制度としての復帰特別措置があるわけでございますが、ただいままで、いま御質疑の過程において私のお答えしたとおりでございまして、あと二年有半残されております期間内に、私どもといたしましては当初の目標達成のために極力努力をいたすわけでございますが、この残された三カ年間の事業かどういう形で遂行されますかということも十分見きわめました上で、これらの時点におきます実績を十分考えた上で、なおかつその時点におきます沖繩経済社会情勢等を十分判断した上で考えなければならない問題であろうと思います。沖繩振興開発審議会等を通じまして、その時点における検討審議を十分お願いしますとともに、各般調査もあわせましてその時点において慎重な結論を出したい、こういうふうに考えております。  なお、復帰特別措置の問題でございますけれども、御承知のとおり、沖繩復帰に伴いますこの特別措置につきましては、沖繩県復帰後におきます経済情勢変化あるいは制度の改正が県民生活関連産業に与える影響も十分考慮いたしまして、五十二年の時点県当局ともいろいろと協議をいたしました結果、その時点におきましておおむね本土制度に移行しても差し支えないであろうというものもありましたので、それらは一応制度として本土制度に移行し、もう五年程度延ばさなければすぐに軟着陸というわけにはいかないだろうという問題につきましてはさらに五年の延長をいたしたところでございます。その上、五十二年の時点におきましては、御承知のように税制あるいは関税制度など大半の事項につきましては五十七年までにおおむね本土制度に移行し得るよう漸次スライドするという制度を使ったわけでございます。したがいまして、相当部分につきましては五十七年五月の時点本土並みに移行できるのではないかと思っております。  ただ、若干の問題につきましてはそういった漸次本土並みに移行する制度を使っておりませんので、五年目に一応廃止という制度にいまなっております。これらの問題につきましては県とも十分協議をいたしたわけでございますけれども、もともと本土制度になるべく早くなじんでいただくという趣旨でつくった暫定制度でもございますので、基本的にはあと三年たちますと本土制度に移行するのがこの制度趣旨であろうと考えておりますが、あと二年数カ月を残しておりますので、先ほど申し上げました沖繩振興開発特別措置法問題等も含めまして、これらの時間的経過の中で、その時点におきます沖繩を取り巻く社会経済情勢等推移を十分勘案した上で、なおその取り扱いについてもその時点検討をいたしたい、こういうふうに考えております。
  11. 國場幸昌

    國場委員 では、次に市町村つぶれ地の問題でございます。  この問題はなかなか頭の痛い問題でございまして、何分戦争中から戦後にかけてのアメリカ占領下にあった時代において、強制立ち退きあるいは強制収用のもとで、強制収用に反対するなら銃剣を突きつけてでもというような強硬な態度において形の変化いたすまでにブルドーザーで引きならし、そこに自然自然に道ができましで、できた道そのものはまた欠くべからざる重要な道であるというようなことになって、いま市町村は使っておるわけでございますが、この道に対してすでに戦後三十何カ年間地主に対しての補償がなされていない。この補償問題に対しましては、制度としましては市町村に対する法制度においての政府補助しかできないというのが原則でありましょうが、再三にわたる県または市町村からの陳情内容によって知られるおり、この問題はどうしても政府の力によって解決していただきたい、こういうことで、総買い上げの場合、金額にしますと八百二十三億三千八百二十六万六千円という膨大なる額であります。政府といたしましては、今日まで県道格上げするなら格上げもしよう、それにまた一級、二級と級をつけて、それに対しては八〇%の補助をしよう、それから残る分に対しては市町村持ちだ、こういうようなことが基本的な市町村あるいは県に対しての回答であったわけでございます。御案内のとおり、この問題は、市町村におきましても都市計画とかそういうものにのっとってやったものでもないわけなんです。また市町村財政そのものによってこれが解決されるということは、いまの沖繩市町村財政ではとても対応することができないような脆弱なる市町村財政の中で、たびたび東京参りということで今日まで陳情をやっておるわけでありますが、政府のいまのお考えと大きくずれがある。そのずれに対しまして、ことしの予算において十億という予算をつけていただいておりますが、その十億という予算も基本的な問題でめどがつかぬことでは消化することもできないということで、市町村においてはそれを予算化することができないという羽目に陥っているのもまた事実でありますので、その問題に対しましていかようなお考えであるか。参考までに申し上げますと、八百二十三億三千八百二十六万六千円という中で、いまの考え方でいきますと国庫負担分は二百六十五億五千十七万八千円、これは三二・二%にしか匹敵しない。そうすると、七〇%近くを市町村負担するということはとてもできる問題じゃない。市町村側お願いといたしましては、一級、二級という格上げに対して残る分、対象にならない分が大きいのです。こういうようないまの考えにおいてはとてもこれは解決できない。せっかく予算化された予算消化に対しても、市町村では計画が立てられないということで、予算に計上することができない、こういうことでございますが、いかような考え方のもとでその後修正の考え方をいたしたのであるか。この問題は、開発庁出先機関としての沖繩総合事務局を主に窓口としてやっておりますが、しかし、開発庁建設省地方自治を担当する自治省、この三者においてこの問題について話し合いをしたことがあるのかどうか。それから基本的にどういうようなお考えでありますか。陳情たびごとに個々についての考え方は聞いておりますか、基本的にどういうことでやるんだというようなことはまだはっきり承っておりません。その点に対しまして、できますれば大臣出席でございますので、ひとつ大臣から、重要な問題でございますからお答えを承りたいと思います。
  12. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 お答えいたします。  ただいまのお尋ねの市町村のつぶれ地の問題につきましては、先生指摘のように、沖繩の戦時中あるいは戦後における特殊事情の中から出てきたものが非常に多いわけでございます。私どもといたしましても、この買収につきましては、沖繩特別措置法によりまして特例が認められております市町村道の改築の場合の補助制度にならいまして、十分の八の補助率によりこれを補助していこうということにして、五十四年度御指摘のように十億の予算国庫に計上をいたしたわけでございます。ただ、先生から御指摘もございましたように、地元負担が非常に大きくなるのではなかろうかといったことも私どもとして勘案をいたしまして、一つには、もう一度沖繩市町村道を見直してみようということで、現実に県道の基準に合致するものについては県道に上げていく。そういうことによって、市町村道に対する補助率は十分の八と置いたわけでございますか、県道につきましては十分の十で従前から買収費補助をやっておるということで、多少とも地元負担を軽くできるのではなかろうか。また御指摘のように、その他の市町村道が相当多うございます。これの見直しを行いまして、できるだけ幹線市町村道にする。これによりまして、補助対象外から補助対象格上げをするということで、地元負担を結果的にでもできるだけ軽減していこうという考え方で現在その作業を行っておるところでございます。  また、補助裏の問題につきましては、これもまた市町村に過重な負担にならないように関係省とも協議をいたしておるところでございます。関係省とどの程度に協議をしておるのか、三者集まっておるのかというような御質問がございましたが、私どもといたしましては、言うなればこの問題の直接の所管、関係省の所管部分もございます。そういったこともございまして、私どもにおきまして、まず道路行政の所管省でございます建設省あるいは地方財政の所管省でございます自治省、これらと常に密接に連絡をとりながらこの作業を進めている段階でございます。
  13. 三原朝雄

    ○三原国務大臣 つぶれ地の問題につきましては、ただいま局長お答えをいたしましたように、県道への格上げをまず考えてみる、あるいは幹線市町村道格上げできないかというようなところもひとつ見直してみよう、最後に、どうしてもそれらに入れられないものが残るのはじゃどうするのかという問題もあるわけでございます。そこで、いま御指摘のように、市町村財政の問題と関連をしてくるものでございますから、これに耐え得ない状態であるとするならばどう対処するべきかというような点につきましては、建設省自治省と十分連絡をとりまして、誠意を持って対処いたしたいと考えておるところでございます。
  14. 國場幸昌

    國場委員 県道への格上げ、あるいはまた県道格上げした後においての一級、二級への格上げとか見直しをしておると解するわけなんですが、それにその他というのが、いずれにしても一〇〇%市町村でやらなければいけないんだというものが残るはずなんです。格上げをして対処をする以外のその他ですね。それがいまは三二・二%に対して残り六十何%でしょうかね。それだけがいまは初めの計画からしますと外れておるということなんですが、そうしますと、いま格上げとか見直しをしましたときに、対象外のものは幾らぐらい残り、そのパーセンテージはどうなるのですか。
  15. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 先ほどもちょっとお答えいたしましたように、現在市町村道の見直しにつきましては、県あるいは建設省とも連絡をとりながら鋭意その作業を行っておる段階でございます。したがいまして、その他としてなお残るのがどのくらいになるかということは、私どもまだちょっとお答えできる状況になっておらないということで御了解をいただきたいと思います。いずれにいたしましても、私どもといたしましては、諸手当てを考える上におきましても、基本になるどのくらいが県道になりどのくらいが幹線になりその他としてどのくらい残るかというようなところ、これを精密に格上げ作業を終わらせるということはなかなか期間を要する問題でございますけれども、諸手当てを考える場合にやはり大まかな事業量等の見当はつけなければいかぬのじゃなかろうか。そういうことでできるだけ早期にその数字を把握したいということで、県等をも督励しておるということを御理解いただきたいと思います。
  16. 國場幸昌

    國場委員 とりあえずその十億の予算についての消化に対する措置なんですが、さっきも申し上げましたとおり、この十億つけたのはありがたいが、十億をどういうぐあいにそれじゃ対応費を、基本的に二割というものをどういうぐあいにしてやるのか、後に残るものに対してはどうなるか。市町村としましては、その基本的な目鼻がつかないうちはこれを予算化することはできない。まず最初に、これは長年かかることであるので、一級、二級に対しましても、二割の裏負担というのの予算の組み方に対しても、基本的なものが解決しないうちはこれはできない。その他の道路についても、さっきも申し上げましたとおり、戦争においてやむなくなされた、これは他の都道府県にはないような特別な事情によるものなので、いまの沖繩市町村財政ではとてもこれは負担することはできない。であれば、一応全部一律八〇%にしまして、それで残りの二〇%に対しては地方債を認めるとか、利子補給をするとか、基本的なそういうことが決まれば子算化をして、大体政府と相まって年次計画を持って支払いをする方法もあるが、予算がついたからというようなことで、十億に対する二割というのは問題じゃないが、それが全部どういうぐあいにするということが決まらぬ前にやったら、これは後に前例を残すということになるので、他の地主に対して、県道であろうが国道であろうが、地主には同じような権利があるので、そういう問題もこれありで予算化することができない。それから、市町村財政のいかんによってこれが負担する者に対しての格差があるというようなことになると、これもまた不都合だと言うんですね。だから、そういうようなことで、市町村会としてはそういう点の目鼻がつくまではその予算に手をつけることはできないから、早急に建設省開発庁自治省も合議の上で、基本的にはさっき申し上げましたとおり、一級であろうが、二級であろうが、その他の分につきましても八〇%の政府の御援助をいただきまして、残る分に対してどうするとか、願わくば一〇〇%全部買い上げていただきたいというのが前の出発点でありましたが、その二〇%に対しましての財政措置というのもまたどういうぐあいにしたらいいのか、いずれにしても政府の力をかりてこれを措置していかなければならないので、それには、長期低利でということであるが、その低利については、利子補給をしていただきたい、こういうようなことなんです。  私がざっと考えますと、これは戦後処理ということで考えて、特別なる事情においての特別措置というようなことであって、この問題を現在の法律、制度によって整理しようとしてもできる問題ではないということは重々知っております。であれば、この問題を解決するためには特別立法に持っていくか、あるいは政令でもってできる範囲内であればやっていくか、それでもって措置をしていくということでなくては、この問題は解決しないと思うのです。これが、たとえば支払い期間を十カ年間としました場合に、県道に買い上げられた後に五百億残るとした場合、十カ年間でこれの支払い計画を立てるとして、その間においてその支払いの補てんをするものは地方債をもってする。そうしますと、五十億ぐらいを年次計画予算をつけていけば、これは一回で五百億出すわけではないのですから、そう負担を重くするということにもならないじゃないか、こういうような考え方もあるのですが、かような考え方はいかがなものでしょうか。これは即答と申し上げても、建設省という横の相手もあるでありましょうが、そういうようなことでもできますれば、とても幸いだと思います。  私たくさんしゃべりましたが、その中で相入れられる点がありますかどうか。開発庁としてはいまのところどういう考え方を持っておるか。まだ建設省自治省とも合議もしてないからということもありますでしょうが、窓口である開発庁としてはどういうお考えでしょうか。それをお聞かせいただきたいと思います。
  17. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 お答えいたします。  私どもといたしましては、沖繩における市町村のつぶれ地の問題につきましては、発生の経緯の特異性、現在における種々の社会的な問題あるいは私どもの直接の所管から言いますと、公共事業の施行等の場合にも種々問題を発生させておるというような状況かございます。そういったことから、この問題はできるだけ早急に処理しなければいかぬという、基本的にはそのような考え方に立ちまして、先生案内のように、まず現行の諸制度を活用いたしましてできるだけ早期にこれを処理しようということで、すでに市町村道につきましては、改築等につきましてその補助率の特例が設けられておりますので、これにならいまして、幹線市町村道のつぶれ地につきましてはこれを十分の八の補助率をもって補助していこうということで、五十四年度の予算にまずこれを計上をいたしたわけでございます。その場合、先ほど来申しますように、市町村負担の軽減ということも考えまして、私どもとしては、市町村のものを見直しをここで行う、できるだけ補助対象をふやしていくという考え方のもとに現在作業をいたしておるところでございます。  先ほどのお尋ねで、なお残るその他のものについてどうするかというお尋ねがございました。私どもといたしましては、この幹線市町村道の処理につきましても、これは国、県道路のつぶれ地の買収等の経緯にかんがみましても、あるいはつぶれ地の処理か、権利者との調整その他市町村の執行状況等を考えましてもなかなか長期を要する問題である。私ども、基本的にはその困難な中でできるだけ早く処理したい、終わりたい、こう考えておりますけれども、やはり現実の問題としては、相当の長期間を覚悟しなければいかぬのじゃなかろうか。そういったことで、まず幹線市町村道につきましてこれをできるだけ早期に処理していく、そのことに当面全力を挙げていくという考え方でこの問題に臨んでおるわけでございます。したがいまして、先生から御提案のございました、特別立法も考えるべきではないかというような点につきましては、現在、私どもといたしましては、それを考えておらないという状況でございます。
  18. 國場幸昌

    國場委員 ここに道路維持費の資料を持っておりますが、人口割りにしましたところの市町村道保有量、これは沖繩は約三分の一から二分の一ぐらいしかないわけなんですね。でありますと、これは国民の平等という線からしましても、道が少ない、国鉄もない、鉄道軌道もないということから考えましても、市町村に対しての交付金、交付税からしましても沖繩は断絶二十七カ年間、あるいはまた道は二分の一、三分の一しかないのですから、その分に対しての今度の維持費の費用も、経過的に三十年間ほったらかされておったんだというようなことからしますと、それに対する費用というのは単なる現在における問題だけにこだわることなく、沖繩の道の少ないことに対して道をあけてやろう、また、国民としての権利からしましても、私は口幅ったく言いたくはないのですが、かつて沖繩はドルの一滴血の一滴と言われたときに、世界第三位のドルの獲得の場として貢献したんです。敗戦後におけるドルの獲得の場として貿易資金、外貨獲得、その貢献度もあるわけなんです。また基地に対する貢献度も、国家全体からしますと沖繩県民は本土における一億の中で一番よけいやったような実績があるわけです。だからそういうものも御配慮の上で、どうぞひとつこの問題は戦後処理としてその貢献度に報いるというような気持ちを持ってこれをやってもらわなければ解決のできる問題じゃないんじゃないか。何も、持っておってやらないでお願いするわけでもないのです。事実のところ県民所得にしましても七〇%にも足りない。しかも戦争中、戦後におけるところの国家に対する貢献度、それにこたえるという気持ちがあるならば、私は抜本的な対策を御配慮いただくことを希望いたします。目の前の十億に対してこれを消化するのはどういう方法だということを、これはいま先ほど申し上げましたとおり、つけたのはありがたいのだか、こういう基本的な問題が決まらないうちは予算化することのできないようないまの状況でございますので、せっかくつけた予算ですから、ひとつそれが消化できるようなことを何とか知恵を出して指示を与えていただきたい、これを希望しておきます。  大臣、いま私ずいぶん口幅ったく申し上げましたが、大臣の所見を、それに対する御意見、聞きっ放しじゃなくしてひとつ県民に対する、なるほどそう言えばそうだということのお気持がありましたら、それに対するお答えをいただきたいと思います。よろしくお願いします。
  19. 三原朝雄

    ○三原国務大臣 いま國場委員の御指摘になりますように、沖繩の置かれてまいりました戦中、戦後の御苦労なり負担というようなものにつきましては、御指摘のとおり私どもも十分沖繩県民の心と申しますかそういう気持ちで承っておるところでございます。  そこで問題は、いま振興局長が申し上げましたように、立法措置は現在の時点においては考えてはおりませんということを申し上げておるわけでございます。私もいま御指摘のありました点、道路の中で十分の二の裏負担の問題も大変な問題であるが、しかし全くそういう特別な措置を受けない最後に残る町村道をどうするかという問題、しかも他の全国の都道府県と比較すれば道路の数においても比率的には非常に低いじゃないかというような点も勘案して、新しい道を開いていくことはできないのかという御指摘でございます。十分御指摘の点を受けとめてまいりまして、建設省なり自治省また大蔵省とも関係をしているわけでございますので、関係省庁と十分ひとつ誠意を持って御相談をして対処してみたいと思いますが、いますぐ私が引き受けましたというようなことを言えないのはきわめて残念でございますけれども、誠意を持って検討してまいりたい、このことだけは申し上げて、お答えといたしたいと思います。
  20. 國場幸昌

    國場委員 では、次に移ります。  農林省にお伺いしたいんですが、沖繩のパインといいますと、これは砂糖と相まって農民の命でございます。八重山と沖繩本島北部にしかパインというのはございません。しかも平地などにおいて軍用地として接収されたとかいろんな問題がありまして、また八重山においてはそういうようなことから移住した人たちのパインづくり、立ち退きによって行くところかなくて、八重山に移住しましてパインをつくっておるというような現状なんです。あるいは沖繩本島北部においてもまたしかりなんです。そのパインのできる地域は酸性土壌でございまして、それ以外にはつくれる作物はないわけなんです。それが五十一年でしたか、沖繩のパイン生産者の方には、冷凍パインを入れるについては沖繩パインは優先消化するということで支障を来さない、こういうような固い約束の上で冷凍パインの自由化というのをやったわけなんですね。沖繩のパインに対しては市場に競合させることなくしてその販路を侵さない、その冷凍パインは形が変わって、冷凍パインの輸入業者に対しての念書では、パインの形のかん詰めにはつくらないというのが条件で、他の加工品、みつ豆とかそういういわゆる加工品の材料としての冷凍パインの輸入で、国産品である沖繩パインには全然支障を来さない、こういうようなことであったようでございますが、しかし一回はとまって正常になるかと思って生産意欲が出てきたときに、また今度これが何か話に聞きますと二万八千トン、八十万ケースがつくられまして、せっかく芽を出してきつつある沖繩のパイン生産にものすごい打撃を与えておる。この問題に対しましては私はよくわかっております。貿易立国とする沖繩として他に関連もこれありということは重々知っておりますが、しかしこれしかできない、これは生活の問題だというようなことで、これで生活を営む者、関連する者は約二万人と言われておりますが、この問題に対してどういうような措置を講じておるか、これは農林省、ひとつそれに対するお答えをいただきたいと思います。いままでの経過、それから現状です。
  21. 畑中孝晴

    ○畑中説明員 お答え申し上げます。  沖繩のパイナップル、先生指摘のように大変大事な産業であるということは私どもも同じ認識でございまして、沖繩復帰いたしましたときに、私どもの当時の本土の果実についていろいろ対策をやる基本的な方針を決めます果樹農業振興特別措置法というのがございますが、その対象にいたしまして、それ以来生産の奨励あるいは加工の開発というようなことをやってまいったわけでございますが、いま御指摘のございましたように、冷凍パインというものが四十六年の六月に自由化をいたしまして、その当時は冷凍パインはいまのようにかん詰めになるというような品質のものではございませんで、主としていわゆる冷菓といいますかお菓子の材料というようなところに使われておったわけでございます。それかもしパイナップルのかん詰めになるというようなことであれば、その旨を表示するという意味のいわゆる念書を缶詰協会から私どもはとっておりまして、その後だんだん冷凍技術も進みましてそういう事態が出てまいりましたので、その念書のとおり、現在冷凍パインからつくるかん詰めにつきましてはそういう表示をさせておるわけでございます。それをさらに今回強化をするというようなことを考えておるわけでございます。  それからまた昨年、いま御指摘がございましたように前年の倍以上の輸入量にふえる、その中でタイからの輸入が四倍という、非常に急速にふえてまいりましたこともございまして、秩序ある輸出をやるようにタイ側に政府の外交当局を通じて要請をする、あるいは国内でパインのかん詰め、冷凍パインからつくるかん詰めでございますが、それをつくっている業者に自粛を要請するというようなことも昨年の末から続けてまいっておるわけでございます。
  22. 國場幸昌

    國場委員 それはとめたときもそうであったのです。あのときは税制とそれから、もちろん行政指導もあったかしれませんが、何かそれに歯どめをかけるものがあったんですよ。今度はその歯どめがないんです。あのときは、二〇%税金を上げましょう、それからJASマークをつける反対の方の、これは冷凍パインでありますというマークをつけてやればというようなことでやったものですし、それにあのときはドルが一番高いときでした。ところが今度は、よくお考えになっていただきたいことは、税金が二〇%、三〇%上がったからといっても、これはみんな円高によって帳消しになったんです。そういうようなことであれば、国内における保護せなければいけないような基幹農産物に対しては事前においての策が必要だと思うのです。いまみたいに混乱させてしまって、それでどうであります、こうであります、そういう後手後手のことは行政を担当する者としてまことに遺憾だと私は思うのです。もっと先見の明を持って、国際的な経済、ことに為替相場が変動するときにおいてはこういうことに対してはもっと早く手を打っていただきたい、どうなればどうなるということはわかるんですから。  沖繩県振興計画にもあるとおり十万トンまではつくっていい、それから、余るものに対しては十億をやるからジュースをつくりなさい。ところが、この前局長が、私に言わせればとても非常識なことをおっしゃった。ジュースに対して金を出したんだからジュースをつくればいいじゃないか、そう簡単に言ったんですね。皆さん、パインというのは、三等品というのは一キロ二十六円ですよ。かん詰めにつくるものは一キロ五十二円ですよ。ジュースは一キロ二十六円のものでつくっておるからいま何とかやっておるのであって、五十二円の原料を持ってきて同じジュースをつくれと言ったらこれはたまったものじゃない。会社はたちまち破産ですよ。農業協同組合、経済団体も困る。だからそういうことはもう少し理解のもとに、こういう混乱のないようにあらゆる手段を尽くして――沖繩の農業団体に言わせれば、だまされた、こう言うのですよ。そうでしょうよ。皆さんのものには支障を来さないから輸入を認めてくれ、ああそうですか、それで正直者がばかを見るということですね。そういうことですから、言うだけのことは言っておきますから、ぜひひとつ意欲をもっと燃やさせるようにやっていただきたい。  それから、七つの問題について質問する予定でしたが、まだ四つしかやっていないのに時間が来ているので急ぎますが、七・三〇の交通方法変更に際しての暫定的な特別融資制度、いわゆる恩恵あるところの特別融資制度をもってやったのですが、しかしそれが去る三月ですかで打ち切られました。それに対する希望者は、この融資制度があるということさえもまだわからないうちにとうとう打ち切られてしまった。でありますから、それに対する融資の制度あと三年ぐらい延ばしておいていただきたい、こういうことなのですが、いかがですか。これは開発金融公庫の問題ですが
  23. 三原朝雄

    ○三原国務大臣 御質問の特別融資は去る三月三十一日で一応期限が来たわけでございます。取り扱いは満了したというような御通知を差し上げたわけでございます。しかし先般の委員会におきましても、いままで周知徹底等の時間的な余裕もなかったような事態もあるので、沖繩県知事初め関係各位からも何とかひとつ期間の延期を希望するという強い御要請があっておったわけでございます。私ども国会においてもその事情は十分勘案をせなければならぬということを考えておりますということを御答弁申し上げておりましたが、この際はっきりここでお答えをいたします。  諸般の事情を勘案をいたしまして、交通方法の変更実施後一年目に当たります七月三十日まで取り扱い期間を延長することといたしたい、そう皆さん方にこの席から御回答申し上げるところでございます。  なお、金利等融資条件につきましては、他の融資に比べ特に有利な条件の設定をいたしているところでありますし、また御高承のとおり、金利か引き上げ機運にある等の事情にかんがみまして、条件緩和は現在のところきわめて困難な事情にございますので、御理解を願いたいと思うのでございます。
  24. 國場幸昌

    國場委員 含みつ糖の問題とテレビ問題、健康保険問題がございます。ずいぶん詳しく勉強もしまして資料も持っておりますが、時間がございませんので簡潔に伺います。  テレビ診療によっていまの沖繩医療不足を解消していくという問題、琉球大学のその衝に当たる保健学部の先生方のNHKのテレビによる試験も済んだようです。言うまでもなく、半分までも達しないような沖繩医療不足、医療設備あるいは医療技術者、離島区に対しての問題をこれでもって解消するには六千一百三十万でもって――といいますのは沖繩からの健康保険の余剰金が毎年二十億余り吸い上げられておるのです。きょうも健康保険法の保険料の値上げの法律案に反対だ、賛成だとやっておりますが、沖繩医療の設備もそれだけないのに保険は義務保険で、強制保険でばんばん払う。毎年毎年二十億以上が沖繩のあの所得の低いところから中央の方に余剰金、余っておるのですよ、吸い上げられております。一方、保険料を払うというのはその恩恵に浴するためのなにであるにもかかわらず、設備もない、医者の配置もない、それでもって二十億も吸い上げられておって、それでもっていま苦しんでおるのですから、テレビ診療というものはまことに――必要があるのであれば琉球大学保健学部にひとつ回してください。沖繩は五百メートル以上の山はありませんで、離島が多い、その離島に対しての電波距離というのが、障害がなくして、ずいぶん鮮明で、うまくいくようです。であると、一基六千万で、十三つくれば、大体いまの離島区のテレビ診断ですか、診療もできるようですから、どうぞひとつ厚生省は、どの人が係であるか知りませんが、みんなこっちへ御出席でしょうから、ひとつ琉球大学の保健学部、そこにひとついまの苦しい医療に対しての施設をぜひ、これは永久的なものではなくしてでもいいですから、間に合わせでもいいですから、保険財源とそれとは全然別個だ、それもよくわかっております。ところが、沖繩か一方的に貧しい中から保険料を払わされて、それに対するところの恩恵は受けない。しかもそれが毎年二十億も沖繩だけから吸い上げて、ほかの県は赤字だ赤字だ、こういうことで、健康保険法の改正をしてまでもやっておるさなかにおいて、沖繩ではこういう事情があるということをよく御理解いただきまして、今後、無医村それから離島、それに対するところの何分の施設をしていただきたい、これを希望しておきます。  もう一点は、含みつ糖ですが、農林省おられますか。――含みつ糖というのは沖繩でも、いまさっきのパインと一緒で、これはサトウキビをもってつくる。しかも離島において分みつ糖が工場が成り立たない地域において、しかもキビをつくらにゃ生活ができないというような重要な基幹作物であります。それがつくっても売れないということで、昨年粉状糖にして、輸入粉状糖であると十六円だが、三円にしてやるからというようなことで実現したわけです。実は税制調査会の党としての方針はゼロであった。これは私が折衝をしたのですから。いまの大蔵大臣が一番よく知っております。あの人が税制調査会長だった。その金子一平さんと話し合ってゼロにしよう、形が変わるだけで売りやすいことだから、粉状糖にして税金はつけないでおこうという約束であったのです。それがいつの間にか三円はつけましたがね。一万トンの大体の予想のものが一万三千トンぐらいになった。といいますのは、昨年からの持ち越しが、ストックが八千トンぐらい、ずっとやっておるというのですね。それでもって粉状糖にすれば売れやすいからということであった。その粉状糖にするという約束では、何トンを粉状糖にしなさいという条件はなかったのです。ところが、千三百トン以上は粉状糖にしてはいけない、こういうことで、それじゃ、固形糖としてのいま持っておる含みつ糖ですね、これが売れないから粉状糖というのに、粉状糖もやめなさいというのであれば、もう八方ふさがりで、買い上げの対象にもなっていないような黒砂糖、さりとて分みつ糖をつくればいいじゃないかというと、分みつ糖につくれるような量産のないような島においてやむなくつくっておるわけでありますから、その点、何とか粉状糖でもって売りさばくからということで粉状糖制度を特別にお計らいいただきました。またこれも制限して千トン。一万三千トンのうち千トンぐらいの粉状糖にしたからといって、これはスズメの涙、ストックして、これが管理費とかその代金を支払った後――離島のパッカーとまた農民は、パッカーと生産は表裏一体ですから、そういう苦しい中でありますので、その分は、もう時間がありませんが、ひとつ粉状糖にしてでも売れ行きのできるような道を講じていただきたい。  それと分みつ糖に可能なる島々が九つのうちであと三つあります。与那国、伊是名、それからどこでしたかね、三つありますよ。その三つで大体いまの十万トンぐらいの離島の含みつ糖に上げる原料、それが三万五千トン、四万トン以上になれば分みつ糖工場は成り立つ、こういうようなことの条件でありますから、しかし分みつ糖に変えようということで工場を改善せんとするのであれば、十億以上もかかるので、これではとても離島のいまの財政では、また市町村ではできないのだから、何とかそれに対して含みつ糖に、たとえばいま伊是名が二万三千トンやって四億余りの補助を受けておるのですね。一年に四億余りの補助であれば、これは三カ年でもって補助しないようなことになるから、そういうようなことからすると、分みつ糖工場に切りかえるための設備に対して、何とか補助のできる制度に持っていっていただけませんかと、たってのお願いなんです。何回も申し上げますとおり、いまのような状況の中で、どうぞひとつ、沖繩には特殊事情がありまして、こういうような他の都道府県に共通しない問題が余りにも多い。よって私は、こういうぐあいにして、まことに失礼とは思いますか、背に腹はかえられないという沖繩の立場において、その人々に、国民としての同じような恩恵を享受できるように特段の配慮をしていただきたい、これをお願い申し上げまして、陳情者の方からはその返事だけはぜひもらってくれということですが、時間がないから、やめろやめろといまも盛んに言われておりますから、やめます。  以上をもちまして私の質問を終わります。ありがとうございました。
  25. 和田耕作

    和田委員長 この際暫時休憩いたします。     午後一時六分休憩      ――――◇―――――     午後三時四十九分開議
  26. 和田耕作

    和田委員長 休憩前に引き続いて会議を開きます。  質疑を続行いたします。上原康助君。
  27. 上原康助

    ○上原委員 今国会、かなり終盤近くなっているのですが、その間、沖繩問題については審査をする機会がなかなかなくて、きょうが本委員会で初めて沖繩の当面しているあるいは懸案事項について審査をする機会になったのですが、そこで、そういう機会でありますので、せっかく開発庁長官である三原大臣がおいでですからいろいろお尋ねをさせていただきたいのですが、もう四月もきょうは二十七日ですので、あと二週間ちょっとしますと沖繩の施政権が返還されてちょうど満七年、いよいよ八年目に入ることになるわけです。そういうことも念頭に置きながらいろいろ考えてみますと、復帰処理として残されたものがまだなかなか解決を見ない現状にあるということを大変遺憾に思うと同時に、私どももなお努力していかなければいけないという気持ちになるわけです。  そこで、ちょっと調べてみますと、復帰から三原長官まで九名の開発庁長官か就任されておりますね。それぞれ各長官とも、沖繩の問題については御熱心に、誠意を持ってその都度その都度努力をしてきたと思うのですが、しかし、満七年で九名の方が総務長官、開発庁長官をお務めになったわけですから、平均しますと一年足らずということになります。そうしますと、開発庁長官として御就任なされた大臣として、沖繩振興開発計画というか、沖繩の戦後処理の問題、いろいろな政治課題についてそれなりの足跡を残していただかなければいかぬと私は思うのですね。そういう意味で、三原開発庁長官は一体何を重点にやろうとしておられるのか。これだけは私の開発庁長官時代にぜひ解決したい、あるいは沖繩の懸案事項について方向づけをしたいという御所見なり御決意が当然おありだと私は思うし、また、そういう方向で御努力いただいていると思うのですね。その点について、ひとつ率直な御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  28. 三原朝雄

    ○三原国務大臣 お答えをいたします。  私を除いて八人の方々がすでに長官としての重責につかれたわけでございまして、それぞれ有能な方で、在職中に何か一つ喜んでいただけるような足跡というか事績を沖繩県のために残したい、また残されてこられたと思うのでございます。私自身そうした口幅ったいことを申し上げるほどのことはできぬかもしれませんけれども、いずれにいたしましても、私自身沖繩の問題というのは非常に切実に受けとめていかねばならぬ、国全体を考えた中で特別な県として私は受けとめておるわけでございまして、特に戦前、戦中、戦後から今日に至りますまでの沖繩県民の置かれておる地位というようなもの、実に過重な国民としての負担をかけてきたし、御心労を煩わしたことを承知いたしておるから、私そういう心境になるわけでございます。  そういう点で、何といっても精神的に有形無形の点で他の府県と格差があってはならない、また行政水準も、個人の生活におきましても、一日も早く他の府県同等以上の体制まで持っていかねばならぬということを私は考えておるわけでございます。  いま、復帰後の状態等を見てまいりましても、本土と比較いたしますれば、総合するにまだ六〇%か七〇%の状態にあるというようなことでございますから、微力でございまするけれども、私か在職をいたしておる間にぜひその格差を詰めてまいりたい、これか私の切実な気持ちでございます。したがって、その間に政策、施策としてはいろいろな問題があろうと思いますが、そういう点について最大の努力をいたしたいと思うし、精神的には、私ども自身か償い得るものがあれば、そういう点についても十分な配慮をいたさねばならぬということで、日夜と言えば少し言い過ぎかもしれませんけれども沖繩の問題を私は職掌柄考え続けておるというような心境ではおるわけでございます。しかし、力足らず御期待に沿い得ないことを残念に思っておるところでございます。
  29. 上原康助

    ○上原委員 お気持ちはわかりますが、余り精神訓話的なことを言い合っても始まりません。要するに、格差是正について積極的に御努力をなさるということだと思うのですが、その格差是正するには、格差を生じた要因というものを一つ一つ取り除いていかなければいかぬわけですね。しかし、残念ながらこれまでの政府沖繩施策あるいは沖繩復帰以後とってこられた制度の一体化あるいは行政措置というものは、ある面ではむしろ格差を拡大することをやってこられた面もなきにしもあらずなので、そこいらをしっかり踏まえて復帰処理、戦後処理の問題をやっていただきたいということを強く要望しておきたいと思うのです。  そこで、きょうはできるだけ短く質問をしてくれという依頼もありますのでそうしたいのですが、幾つかの問題を準備してありますので、順次お尋ねをしてまいります。  最初に、昨年の七月三十日に実施された交通方法変更の問題なんですが、このことについては取り上げるのもはばかるほど私も何度か委員会でも取り上げましたし、また要望もしてまいりました。しかし、交通方法変更に伴う事前の対策もさることながら、変更後の処理については県民の期待に沿ってこなかった。これは私は大変残念に思うのですこういう問題をうやむやにするわけにはまいらぬ。そこで、午前の御質問にもあったのですが、もう一遍確認をさせていただきたいと思います。  まず、企業、個人、団体を問わず、変更に伴っていろいろと支障を来した方々に対する融資制度の問題については三月三十一日で融資の期限が切れるということで、私はこの問題はそう早々に打ち切られては困るということで、三月二十七日、三原長官それから関係者に例の三味線に使うヘビ皮輸入の規制対策等を含めて要望をいたしました。そのときには、私の感触では、確かに三月三十一日で打ち切るのはいろいろ問題があろう、だから大蔵との関係もあるけれどもできるだけ要望に沿いたいという長官それから亀谷局長の御答弁でした。私はてっきり延長していただくであろうということを期待しておったのですが、政府がとった措置というのは、やはり三月三十一日で打ち切るということに相なったわけです。これはある面では、私は大変期待をし、信頼をしておったわけですか、そういう結果になって、申し入れというものが拒否されたということに受け取られてしまったのです。きょうの先ほどのやりとりを見ていますと、七月三十日までは延長するということになったということですが、結果的にそうなったことは結構だと思うのですが、こういう野党であろうが一つのルールを通して強く申し入れたことに対しては、それなりの答弁もあってしかるべきだと思うのです。何でもかんでも与党の手柄だけにされることは御免だ。なぜそういうことをやるのか。改めてその経過と、今日までなぜ延長せざるを得なかったのか、また社会党が申し入れたことに対して政府はどういうふうな措置をとってこられたか、この場で明確にしておいていただきたいと思うのです。
  30. 三原朝雄

    ○三原国務大臣 お答えいたします。  私、与野党の差別をもって御質問に答弁をすることはいまだかつてございません。特にいま御指摘されましたこの特別融資の延長につきましては、土原議員の御質問に対してお答えをいたしましたように、御要望の線に沿うために努力をいたしますということを申し上げました。私も鋭意努力して大蔵と折衝をしてまいったのでございますが、明確な大蔵との折衝か成り立ちませず、しかしこれは私どもとしては議会の場においてお約束をするところ――確約をしたわけでありませんけれども、その方向で努力すると言ってまいりましたので、その点については鋭意努力を続けてまいったところでございます。きょうこの委員会においてそれに対する御質問があるということで、特に担当者に対してこの問題について明確な返答のできる態勢をはっきり関係省庁と決めてくるようにということを命じまして、きょうの特別委員会には与党の方がやられましょうと野党の方かやられましょうとも、それにはお答えし得る準備をしてまいったところであります。その点については御了承、御理解を願いたいと思う吟でございます。
  31. 上原康助

    ○上原委員 そうしますと、今後のこの取り扱いですが、たしか県の調査によりますと、損失ありと申し出た事業所といいますか、恐らく個人も含むと思うのですが、百三十一件、間違いないですか。それから、そのうちの損失を認められたもの百二十二件というふうに、私がいただいた資料によるとなっているのですが、その件はどうなのかということが一つ。  それと、今後この融資を受ける場合の手続面なりあるいは利息等の緩和ということももっとやってもらいたいということも強く要求をいたしましたが、これについてはなかなかむずかしい面があったということですか、その点を含めて、じゃ今後七月三十日まで――私らはまだ短いと思いますか、七月三十日までどういうふうにこの該当者あるいは対象者に対して政府としては受付を拡大をしていって、実質的な損失をなくしていく努力をなさるのか。その点を含めてひとつ明確にしておいていただきたいと思うのです。
  32. 三島孟

    ○三島政府委員 最初の御質問につきまして私からお答えさせていただきます。  県かおやりになりましたいわゆるその影響調査の結果につきましてはまだ政府の方に御提出なさっておられません。ただ、ほぼ調査結果はまとまったということはお聞きしておりますし、それから非公式には、その中で特別融資制度を御希望されている方が八十数件あるということはお聞きしております。
  33. 亀谷礼次

    亀谷政府委員 今回県の知事さんの方からも正式に御要請もあり、かたがた、先ほど大臣から御答弁ございましたように、上原委員を初め国会の方からも、三月三十一日で打ち切られる交変の特別融資の延長方の御要請もお受け申し上げておった経緯もございまして、今回、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、大蔵関係筋とも協議の上で延長方を決めたわけでございます。延長の幅につきましては、これも県知事とも御相談をしまして、今後の予想される案件等も勘案の上、七月三十日まで、交通変更後一年間をめどに四カ月の延長をすれば、おおむねと申しますか、十二分に処理できるであろうということを、御相談申し上げた上で決定をさせていただいたわけであります。  先ほど交付室長からもお話がありましたように、私どもとしても今後出ます件数を正確には予測しかねておりますか、三月三十一日までに案件といたしましては七十三件の御相談を受けておるわけでございます。その中ですでに二十件近く融資を決定いたしておりますし、現在お申し込みの中身についての審査を公庫にお願いしているものが十数件ございます。  したがいまして、私どもといたしましては、過ぐる国会における大臣の御答弁にもございましたように、できる限り実情をお聞きいたしまして、手続もなるべく簡便にいたし、融資の手順も円滑に進むよう振興開発金融公庫にも指導いたしておるところでございますが、現地における交対室の出先窓口等も通じまして、これらの融資が円滑に受けられるようあっせん、推薦等も円滑に行うようお願いをしておるところでございますので、私どもといたしましては、おおむね私どもの予想いたしております期間に処理できるものと思っております。  なお、条件等につきましてもいろいろと御要望も承っておるところでございましたけれども、これまた大臣から先ほど御答弁申し上げましたように、融資の現在の条件及び最近における金利改定等の趨勢から見まして、さらにこの条件を拡大、緩和するということは非常にむずかしいわけでございますので、できるだけそういった融資の実行面において個人個人の方々、企業の方々の御意向を尊重しながら、円滑な処理ができる方向で努力をする所存でございます。
  34. 上原康助

    ○上原委員 そうしますと、一点確かめておきたいのですが、融資の件については確かに二月段階で県からも要請書が出ているというのは、私もそれもよく見てこの間も要請しましたので、わかるわけですが、交通方法変更に伴う営業損失補償調査結果については、沖繩県からまだ政府の方にその結果とかあるいは損失補償についてどうしてもらいたいという正式な要請なり御相談はないわけですね。
  35. 三島孟

    ○三島政府委員 先ほど申し上げましたように、現在まだちょうだいしておりません。
  36. 上原康助

    ○上原委員 開発庁はどうですか。
  37. 亀谷礼次

    亀谷政府委員 私の方も正式文書をいただいておりません。
  38. 上原康助

    ○上原委員 そこで、交通方法変更というのは、これは大臣も絶えず言ってこられたことだし、また前任者もそういうことを強調してこられたのだが、要するに、国策によってやったわけですね。沖繩県民が求めて右から左に変えたわけじゃないのです。だから、国策によってやることなら、国策で押しつけるのだから――法律をつくって強制的にやったわけです。そうであるなら、当然それから生ずるすべての損失、有形、無形のとまでは言わないまでも、損失に対しては補償すべきだという要求を強く主張してまいりまして、いまでもそう思っている。だが、融資制度でいま切られているわけですよ。融資制度で、個人個人の補償はできない。この問題についてはどうなさるのですか。改めてぼくは聞いておきたいのです。個々の営業補償とか、あるいは個人個人が現に受けた損失補償についてはもううやむやにするのか。これははっきりさしておかなければいけない。そういうことをやるから、私が冒頭お尋ねしたように、沖繩復帰につながる格差というものが是正されないし、気持ちの上での不信感というもの、違和感というものが埋まらない。それが要因なんですよ、大臣。だから私は、きょうはこの問題は、ほかの課題を中心に取り上げたいという気がありますから、その点だけはきょうの段階でもはっきりさしておきたい。沖繩県庁もまだやっていないという、これも重大問題です。同時に、政府はこれに対してどうするのか。
  39. 三原朝雄

    ○三原国務大臣 交通方法の変更が国の施策としてやったものであるから、一切のそれから受ける損失は国で支払えという、まあ一つの見識であると思うのでございますが、しかし、国がいろいろな負担についてすべてを持てということは、現在の法規なりあるいは条例、規約等によりましてなかなか困難であるということは、いままで申し上げてきておりますけれども、その中でまず県民全体の負担につきましては、特別事業を起こしておる。四年間で国が六十億の投資をする。私は相当高額の投資だと思うのでございます。  なおまた、いま言われた、個人なり団体が受けた負担というものがあるではないか。これを補償制度に基づく補償としてやることは、いろいろ検討をしてまいっておりますが困難でございます。しかし、実際にこの問題につきましては特別融資という線で努力をいたしておりますが、そのほか、それだけで賄えないものがあるぞというような御意見でございます。それにつきましては、沖繩県においておまとめを願いますその調査結果に基づいて、具体的な個々の問題にもなるわけでございますから、その個々の問題をひとつつぶさに、県はもちろんでございますが、その他の関係省庁とも十分連絡をして検討いたしたいということだけは、ここでお約束をできると思うわけでございます。ただ、補償だけは補償せよというその点については、私も何とかそういう道は開けぬかということは、この前も率直にお答えしたくらいでございますが、なかなか補償という線をここで出すことは困難でございますから、その他の道が開ければという最大の努力はいたしたいということでおるわけでございます。
  40. 上原康助

    ○上原委員 従来御答弁があったのとさほどかわりばえいたしませんか、要は、新しい沖繩県政がどういう対策をとるのか。これまでの県庁はずっとこの点要求して、実際に前県政がそういった調査もやって結果も出ているわけですよ。これをうやむやにするのなら、これはどっちもどっちですね。われわれはそういうことを注目しておきたいと思う、政府の態度を込めて。  加えて、元号法案審査のときには、総務長官は盛んに地方議会の議決を大変尊重なさる、結構なこと。しかし、沖繩県の議会においてはすでに三回全会一致でやられている。この補償を、営業補償を含めてやれということは、与野党を問わずやっている。こういう事実もあることを踏まえて――御自分の都合のいい決議は尊重するけれども、都合が悪いものは尊重しないというのは、これは行政の不公平ですね。まさに差別なんです。そういうことのないように、これも政府にも行っていると思いますから読み上げるまでもないと思うが、十分そういった面も踏まえて、この損失補償の問題については――私はこれはあきらめません。こういうことを政府はいつまでもうやむやにするから困る。やったことに対しては、ちゃんと責任を持ってもらいたい。だから沖繩差別と言うのです。冗談じゃないですよ。  次は、ガソリン問題についてきょうはお尋ねしてみたいと思うのです。いまの件とも関連があると言えばあるわけですが、最初に開発庁にお尋ねしたいことは、たしか一九七二年だったと思うのですが、沖繩の物価対策について閣議決定したことがございますね。沖繩の物価安定緊急対策、これは当時の海洋博が控えている、あるいは石油情勢がそのころから少し緊迫するというか、悪い方向に向かいつつあったという全国的な物価問題があった時期なんで、特に安定緊急対策ということをやらざるを得ない面があって出てきた問題ではあったと記憶はしているのですか、この緊急対策の要綱というか指針というのは、いまでも尊重なさるのかどうか。これの効力というのか取り扱いはどういうふうにお考えなのか、まずその点からお聞かせください。
  41. 亀谷礼次

    亀谷政府委員 お答え申し上げます。  復帰の際におきまして沖繩経済社会の本土復帰に伴う各般の激変緩和措置の一環としまして、御案内のように特別措置がとられてきたわけでございますが、その際、特に物価の上昇ということに関連をいたしましてただいま先生が申し述べられましたような政府における方針の決定があったことは事実でございますし、この精神をもとに、午前中も御質疑かあったところでございますが、この特別措置に係る各般制度の中に、物価の問題に着意をいたしました制度が五年間とられてきたわけでございますが、なおかつその一環として、ただいま本題として御質疑中心になっております石油価格等につきましても、これらの物価に及ぼす影響等にかんがみまして、さらに五年間の延長措置がとられたという事例にもかんがみまして、その当時の精神はなお実質的に生きておる、こういうふうに理解をしております。
  42. 上原康助

    ○上原委員 確かに相当の変化がありますから、そのものずばりとはいかないかもしれませんが、精神か生きているとすると、政府の政策として沖繩の物価安定というか物価問題については絶えず行政指導なりいろいろな対策を講じなければいかぬということになりますね。
  43. 亀谷礼次

    亀谷政府委員 ただいま先生も御質疑の中で御指摘がありましたように、この七年間で沖繩経済社会の変動の中身もかなり変わってきております。したがって、午前中の御質疑でも御答弁申し上げましたように、経済制度の激変に伴うかなりの緩和のための制度を五年間やってまいりましたが、五十二年の時点で中はいろいろと取捨選択が行われまして、特別に必要がないと思われるものは本土並みにいたしましたけれども、現在残っておるような特別措置ということに着目いたしますならば、なおしばらくの間、そういう点については注意深く施策を進めていく必要があるという観点に立っておることは御指摘のとおりであります。
  44. 上原康助

    ○上原委員 そこで、それでは具体的にどういう対策をとってきたかということを含めてお尋ねしてみたいと思うのです。私は何もすべて政府が悪いと言っているわけじゃないですから、そこは一応御理解の上でお聞き取りいただきたいのですが、沖繩の揮発油、ガソリン価格の問題なんですが、現状はどういうふうになっているのか、その御認識を含めて説明をいただきたいと思います。
  45. 竹内征司

    ○竹内説明員 御説明いたします。  沖繩のガソリン価格につきましては、五十三年の当初から比べまして、本年二月におきましてはかなり低下してきておる、大体低下の傾向にあると言、えるかと思います。総理府統計局の小売物価報告によりますと、五十三年一月那覇市におきます数字でございますが、百十八でありましたのか、五十四年一月には百四に下がってございます。なお、二月にはさらに九十というふうに下がっておるわけでございます。これを全国各都市の平均と比べてみますと、大体八十九円から百三円ということでございますので、那覇市の九十円というのはおおむね本土より安くなっておるのではなかろうか。これは二月の数字でございます。二月の数字においてはおおむね安くなっておるのではなかろうか、こういうことでございます。
  46. 上原康助

    ○上原委員 そうしますと、本土より沖繩は安いということですか。もう少し数字をはっきり言ってごらんよ。冗談じゃないよ。
  47. 竹内征司

    ○竹内説明員 本土の値段と沖繩の値段でございますが、昨年度に関して言いますと、過当競争、特に関西方面を中心にしました過当競争の結果、本土の価格の方が非常に低落した。こういう事実がございまして、その結果非常に下がったわけでございますが、その当時におきましては、沖繩の価格というのは全国平均と比べまして高かったというのが事実でございます。それが最近に至りまして二月の数字を見ますと安くなっておる、こういう事実を申し上げたわけでございます。
  48. 上原康助

    ○上原委員 いまの御答弁、ちょっと納得しがたいのですがね、後でまた数字的にそれを説明申し上げますが……。  本来沖繩のガソリンというものは一リットルどのくらい安くなければいけないのですか。復帰特別措置で減免措置がとられているでしょう。それは復帰時点は幾らで、現在は幾らで、そういう面から推して沖繩の一リットルのガソリンはどのくらいの価格でなければいけないと政府は推定しておられるのですか、その減免措置が十分実行されているとすると。
  49. 竹内征司

    ○竹内説明員 ガソリンの小売価格がいかなる価格であるかということは非常にむずかしい問題でございまして、これはそのときどきの原油の価格あるいは個別の取引の数量あるいは取引形態等々によって異なるものでございますから、一律にこの価格が適正であるということは非常にむずかしいわけでございますが、総じて言えば市場の需要と供給によって決まる、こういうことが言えるかと思うわけでございます。  ただ、沖繩に関しまして税の面から申し上げますと、これは復帰特別措置がございまして、現在におきましては本土よりもリットル当たり九円七十銭税金に関しましては安くなっておる、こういう事実がございますので、その辺のところは、他の条件が同じならばそれだけ安くなってしかるべきではないかということが言えるかと思います。
  50. 上原康助

    ○上原委員 そうしますと、リットル当たり九円七十銭の減免措置が現在されているわけですね。なぜそれが小売価格に反映しないのか。どこかでだれかがもうかっているわけなんだ。ぼろもうけとまで言わぬでいいかもしらぬけれども、相当得をしておる人がおるから小売価格に反していないという結論になるわけでしょう。その犯人はだれかということをどういうふうに皆さんはこれまで究明する努力をしてこられたのですか。
  51. 竹内征司

    ○竹内説明員 小売価格の面につきましての本土価格との開きが少ないではないかという御指摘かと思うのでございますが、小売価格が実際に幾らになるかということは個々の取引形態によっても異なりますし、あるいはサービスステーションにおきますところのサービスの種類等によってもいろいろ異なってくるかと思うわけでございます。  御承知のように、沖繩におきましては無料洗車という習慣がある、あるいは一回当たりの給油量が少ないとか、そういうふうに本土におきますSSのサービスとは若干異なった点があるわけでございまして、そういう点等も値段の点に影響しておるのではないか、こういうふうに考えられるわけでございます。
  52. 上原康助

    ○上原委員 盛んに条件が異なっているとかいろいろ言いますが、そうじゃないのです。  それじゃお尋ねしますが、たとえばガソリンスタンドの一店当たりといいますか、一つのガソリンスタンドで本土は大体どのくらいの売り上げになっておるのですか。沖繩はどうなっているか。また従業員一人当たりの売上高というのはどういうふうになっているのか。そういう統計資料はありますか。  それと一番問題は、揮発油、ガソリンの元売価格が幾らかということなんだ。いわゆる精製所から小売に流すそのもとの値は幾らか。一キロリットル幾らぐらいのコストで出しているのか。そういうことはメスを入れぬで、店の構えがどうのとか条件がどうのとかいうのは枝葉末節。そこはどうなんですか。沖繩県民がいま抱いているのは、九円七十銭の減免措置がとられているのに、なぜ本土よりもむしろ高いのかという素朴な疑問なんですよ、私がいろいろ調べてみても。そのことにはどこが責任を持ってやるのか。通産省、エネルギー庁ですか、それとも――公取ではないでしょうね。どこがやるのですか。それは開発庁ですか。物価対策のあの精神が生きているとすると、そういう不公正がある。現にガソリンの価格は本土よりむしろ高い。しかも税金の方では免税されている。九円七十銭格差がついている。そうであると、だれかがもうかっていなければそういうことにならぬわけでしょう。それをぜひここで答えを出してくださいよ。だれか責任を持ってこれをやるのか。いまの点に答えてください。
  53. 竹内征司

    ○竹内説明員 本土との経営格差につきまして、これはいま手元に数字がございませんのではっきりしたことは申し上げられませんが、沖繩県におきましては一件当たり大体百二、三十リットルではないかと思います。本土は大体五十リットルぐらいでございます。ただ、本土の価格につきましては昨年来非常に暴落しておった、こういうふうな事実がございまして、本土の昨年度の価格が適正価格であるかどうかというところは非常に問題のある点かと思います。  それから、御指摘のございました元売価格に反映させろという点につきましては、私どもの方といたしましてもかねがね沖繩総合事務局等とも連絡をとり、元売会社に対しまして復帰特別措置趣旨を生かすようにということで指導してまいっておるわけでございますが、今後ともその指導を続けてまいりたいと思っておる次第でございます。
  54. 上原康助

    ○上原委員 これは沖繩県か平良県政時代に調査したものですが、五十二年三月に沖繩県生活福祉部が「石油製品の価格需給動向調査」という実態調査をやった。これによりますと、一月の給油所当たりの販売量は、九州各県平均が三十七キロリッター、沖繩県平均が百八十八キロリッターですよ。約五・一倍。いかに沖繩ではガソリンが消費されているかというのがわかる。スタンドもそれだけ需要があるわけなんですよね。確かにあなたがおっしゃるように、給油所で働いているのは本土平均は大体七人、一つの店というかスタンド、ガソリン営業所ですね、沖繩平均で十七人いる。営業時間も長い。しかし、七人と十七人は約二・四倍でしょう。売り上げは五・一倍だ。だから、これを考えても、人数が多いからコストか高くなるという根拠にならぬでしょう、少しぐらい算術計算がわかる人ならば。そんなごまかしの答弁ではだめだよ、あなた。通産省は石油会社から何かもらっているの。そうじゃないんでしょう、行政指導をやる立場にある皆さんは、もう少しまじめに答弁したらどうか。こっちだって調べて問題は提起をしているのですよ。こういう実態の中で、何か沖繩の方か百三円で本土が百五円という、冗談じゃないですよ、あなた。昨年一年の統計はどうなっているの、一リッターの小売りは。五十三年一月から十二月まで、東京、大阪、福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖繩に分けて言ってみてくださいよ、どういう値段になっているのか。あるいは五十四年、今年はまだ一月しか出ていない。小売値段はどういう状況になっているかお答え願いたい。
  55. 竹内征司

    ○竹内説明員 ただいま各都市の数字はちょっと手元に持ち合わせかございませんので、全国平均で申し上げさせていただきますと、五十三年一月か全国平均リッター百十四円でございました、これは私どもが総理府物価統計局の小売物価統計報告をもとに試算したものでございますが、一月が百十四円ということでございます。それが五十四年二月には九十五円、五十四年一月か九十四円、こういうことでございます。  それに対しまして、那覇市の平均でございますが、五十三年一月か百十八円でございます。それから、五十四年一月が百四円、五十四年二月は九十円ということでございます。  大体以上の数字でございます。
  56. 上原康助

    ○上原委員 だから、昨年百斗四円で、沖繩の那覇市が百十八円だと四円高いのでしょう、九円七十銭安くなければいけないところか百十八円、四円高いんだよ、あなた。全国平均か百十四円だったら、それから九円七十銭引いた額というのか大体の一般相場なんだよ、常識的に考えると。もちろんそれはそのものぴったりとはいかないでしょう。問題はここにあるんですよ。だから、幾ら自由経済であるとか企業秘密だということが成り立つにしても、いまのやり方というのは余りにもひどいんだよ。これを政府はどうするつもりです。  開発庁特別措置を皆さんがいろいろ御苦労なさってやった趣旨は何ですか、まずそれも聞いておこう。
  57. 亀谷礼次

    亀谷政府委員 特別措置の問題につきましては、ひとり石油価格の問題に関連しましたガソリン税だけではないことは御案内のとおりでございますが、ガソリン税関係について申しますならば、先ほどお答えしましたように、沖繩復帰の際における沖繩における石油消費に係る税制の経緯にかんがみ、激変緩和措置を現在までとっていることは御案内のとおりでございます。  なお、この価格の指導につきましては開発庁が直接所管でございませんので有権的にお答えをするわけにはまいりませんが、総合事務局を抱えております開発庁といたしましてもこの問題を避けておるわけではございませんで、蛇足にわたるかと思いますが、すでに御案内のように、本年の五月十四日をもって、先般も申し上げましたような税制の改正によりまして、本土に合わせて上昇の予定になっておりましたところ、各般の情勢にかんがみこれを一年間繰り延べをするということで本年の三月三十日の閣議決定を見ておるところでございまして、これは先生も御案内のところであろうと思います。そういったことの趣旨も、先生が御指摘のように、沖繩における石油価格の上昇を極力合理的にセーブするということにほかならないわけでございまして、通産省からも再々先ほど来御答弁がありますように、総合事務局における通産部を通じてできる限りこれらの制度が反映するような指導をお願いしておるところでございますし、いま申し上げました三月三十日付の閣議決定による一年間繰り延べの決定の際にも、通産省ともどもどもは総合事務局を通じて業界の方にもこれらについてのいわゆる便乗値上げや不当な取引制限の行為のないようお願いをしていることは当然のところでございます。
  58. 上原康助

    ○上原委員 ですから、そういう趣旨が生かされていないというところに問題がある。  そこで、小売価格がこれだけ減免措置をとられていながらも本土よりも割り高になっている。  もう一つの疑問は、ほとんど沖繩で精製しているわけですね。沖繩に精製所がありますよね。輸送コストもかかっていないわけですよ。離島県と言われてみたって、なお問題がある。こういう二とについては通産も開発庁も公取ももっと真剣に努力してもらわなければ困るのです。確かにいま御答弁かありましたように、ことし六月からまた揮発油税上かるのでしょう、地方道路税もたしか二五%引き上げになりますね。そうなりますと、けさの毎日新聞でしたか、日石がすでに一キロリッター千七百円前後五月一日から上げるということをやっている、一方では、イラン情勢、OPEC全体の石油価格引き上げの問題が出てきている。これは何も沖繩だけのことにはならない、日本全体の物価値上げの大きな誘発要因になると私は思うのです。六月から上がる。さらに一年間延長されると言ったって、これも九円七十銭よりは割り高になっていくわけですね。そうしますと五月ないし六月から小売価格は、いまの百十円か百十八円、それ以上になることは火を見るよりも明らかなんです、いまの時点で手を打たなければ、加えて、さっきも言いましたように、九州各県の一つのスタンド、給油所当たりの比較で五・一倍も需要があるということは、好きん行かれておわかりのよりに、沖繩には鉄軌道かないでしょう、みんな自家用を持たないと仕事、営業かできないんです。いま農民だってみんな津でお仕事をなさっている。田舎へ行ったってみんな車がある。ほかの重油の問題も出てくる。これも多く報道されているように、漁船の問題も出てくる。そういう立場からすると、いま沖繩県民生活あるいはそういった物価対策をやるという一番根本の一つは、このガソリン価格の問題を復帰特別措置でなされているようにどう行政指導をし、もうかっている犯人を通常の方向に持っていくように努力をしていくかということでないと、これは大きな問題になりますよ。大臣、こういう問題はどうなさるのですか。
  59. 三原朝雄

    ○三原国務大臣 私の所管ではありませんけれども国務大臣として、沖繩において、精製工場を持ちながら、しかも特別措置をして値段を下げる努力をいたしておる、それにもかかわりませず県民は他の府県よりも高価な油を入手しなければならぬというところに問題があるではないか、その点につきましては私自身も、これに対処すべきであるという考え方には立っておるわけでございます、しかしこれ自体、やはり政府施策とともに業界なりあるいは県等におきましても十分な御努力を願うということが必要であろうと思いますので、今後の対策といたしましては、関係省庁並びに県、それから業界等とも十分な連絡をとって、特に油の値段というものは世界全体、上昇か余儀なくされるのではないかという情勢下にもあるわけでございまするので、積極的に対処すべきである、そういう考え方で承っておるわけでございます。
  60. 上原康助

    ○上原委員 これはぜひそうしていただかないと困ります。  そこで、公取に来ていただきましたのでちょっと御意見を承っておきたいのです。  昨年の六月に独禁法違反の疑いがあるということで調査をたしかなさいましたね。そして十一月に勧告書といいますか、警告書が出されているそれはなぜそういう措置を公取としてやられたのか、またこの警告書を出した結果は効果かあったとお考えなのかどうか、いま私が若干指摘した問題等については、公取は違反行為かある場合しかいろいろ調査をしたり警告、勧告できないということでしょうが、公取にも責任の一端はあると私は思うのです。この問題についてどういうお考えをもってどう対処なされるのか、ちょっと御見解を聞かせておいていただきたいと思います。
  61. 奥村栄一

    ○奥村説明員 御説明申し上げます。  ただいま先生の方から御質問のございました沖繩県石油商業組合に対する事件につきましては、御案内のとおり昨年、五十三年六月二十二日に立入検査を行いました。  その被疑事実の概要を申しますと、沖繩県の石油商業組合は組合員のガソリン販売価格の引き上げを決定し、これを組合員に実施させている疑いがある、こういうものでございます。  この件につきまして、その後慎重に調査を進めました結果、沖繩県石油商業組合の行為は独占禁止法八条の規定に違反するおそれがあるというふうに考えまして、昨年、五十三年十一月四日に、今後かかる行為を再び行うことがないようにということで厳重に警告をいたしたわけでございます。  そこで、その効果と申しますか、御質問のお話でございますか、公正取引委員会の立入検査、それから警告というものの効果と申し上げてよいかどうかは別といたしまして、当委員会の方で立入検査を行いましたその後、沖繩県内のガソリン価格はリッター当たり十円程度ずっと値下がりしたというふうに承知いたしているわけでございます。
  62. 上原康助

    ○上原委員 それがまた最近上がってきた。  そこで、いまある程度の内容を申し上げたのですが、さっき私がちょっと数字を申し上げましたが、昨年一年を見ても、東京の平均が大体五十三年は年間通してリッター百九円ですよ、沖繩は百十二円。ここでも三円高い。大阪百一円、福岡百一円、佐賀百四円、長崎百七円、熊本百六円、大分百九円、宮崎百二円、鹿児島百七円、沖繩百十二円、年間通してずっと高いのですよ。これがだんだん問題になって、いまさっきの公取のそういう調査なり警告などもあって、一時は実際スタンドは九十円以下になった。今年の一月、二月ごろまでです。しかし最近また百十円まで上がって、すでに百十二円、十三円というのか出てきていますよ。そうしますと、さっきの御答弁からすると、東京あたりは四月はまだ百四円、そうでしたね、東京は現在幾らですか。
  63. 竹内征司

    ○竹内説明員 最近の値段、これは各所まちまちでございますが、大体百五円から百十円ぐらいかと思います。正確ではございません。
  64. 上原康助

    ○上原委員 百五円一そんなに違わぬ。百四円と一円しか変わらぬじゃないか。大げさに立ってくる必要はないじゃないか。百五円から百十円。それにしても沖繩はもうすでに百十円になっているのです。一時的には九十円以下、八十七円まで、競争して、ダンピングをやったのかどうか知りませんか下がった。それだけでも経営が成り立つのに、また何で価格操作をやっているかという疑問を持つでしょう。これは大幅値上げへの布石だと見ていいと思うのです。これでは県民生活に及ぼす影響が非常に大きいので、私はここで一つの提案ですが、開発庁長官、さっき御答弁かありましたが、復帰特別措置で減免措置をやったのは、その恩恵は業者だけを保護するためじゃなかったのでしょう。やはり末端の小売価格に反映をさせていかなければいかぬと思う。私は、元売業者が大きな利益を必要以上に取っていると思うのですね。基準価格も明らかにしない、元売の卸値も明らかにしない、これじゃよくないのですよ。一つは、そういうことを明確にすること。  同時に、エネルギー庁、開発庁、通産省、それと物価対策だから経済企画、そういうことで三者で速やかに協議会を持って、相談をして、沖繩のガソリン価格のいまのあり方について調査をし、公平な価格に持っていく。九円七十銭の差額というものが十分生かされるように、しかもそれが消費に反映できるように、その措置を速やかにとるべきだと思うのですね。この対策を講じていただけますね。これはまとめて開発庁長官の方からお答えをいただきたいと思うのです。
  65. 三原朝雄

    ○三原国務大臣 国務大臣としてお答えをいたしますか、自由経済の中で政府か価格をこういう程度まで持っていけというような権力的な指導をすることは適当ではないと思いますけれども、しかしどうしても、私自身いま御指摘の点については納得いかない点もあるわけでございます。そこで、御要請の実態の把握に努めて、関係省庁と連絡を緊密にしまして、価格対策についてひとつ対処してまいりたいと思います。これはとりあえずの処置として実態の把握に努めてまいりたいと思っております。今後の推移によって、また御連絡を申し上げたいと思います。
  66. 上原康助

    ○上原委員 ぜひひとつ経企庁長官、通産大臣とも御相談をしていただいて、この問題に誠意を持って、改善するように努力していただきたいと思います。  この件のあれで申し上げておきますか、七九年三月二十七日に沖繩県議会で全会一致で決議されています意見書――私はいまから開発庁長官には全部意見書を読む、しょっちゅう決議文のことを言われたから。この中身は、  一 本県のガソリン等石油製品の流通の実態を調査し公表すること。  二 復帰特別措置により国税の軽減された趣旨県民生活に反映されるよう元売りをはじめ関係事業者を指導すること。  三 現存する石油基地及び精製所の有利性をガソリンや他の石油製品の価格に反映させるよう元売りをはじめ関係事業者を指導すること。  四 原油値上げや揮発油税等の改正に伴う便乗値上げをさせないよう厳重に監視すること。以上地方自治法第九十九条第二項の規定により意見書を提出する。      一九七九年三月二十七日             沖縄県議会 ちゃんとここでこういうように全会一致で決議をされて、これは政府にも開発庁長官にも、通産大臣にも経企庁長官にもすでに送付されていると思うのですね。この趣旨はぜひ入れていただきたいと思うのですが、よろしいですね。
  67. 三原朝雄

    ○三原国務大臣 県議会の御意思は尊重いたしたいと思いますが、県自体においてもやはり県政の一環でもございますし、われわれの方におきましても、県とも十分連絡をしながら対処してまいりたいと思います。
  68. 上原康助

    ○上原委員 これは物価問題で非常に重要な比重を占めているだけに、私、このことを強く申し上げております。鉄軌道かないということと、しかも国際的な関連からしても油が全般的に値上がり傾向にあるということを考えますと、沖繩にとっては生活面で大変な影響がありますので、誠意を持ってお答えいただきたいと思うのですね。いま農村にしてもみんな車ですよ、農業をなさるにも、漁業の皆さんだって。特にこの点は長官の御努力お願いしておきたいと思うのです。  そこで、この油との関係でさらにお尋ねをしておきたいのですが、最近どうもガソリンの販売価格は、特別措置がとられていながらも、いま申し上げたように割り高である。本土よりもむしろ高い。しかし、反面、沖繩に石油備蓄基地だけはたくさん設けようという動きが出てきているわけですね。  そこで、エネルギー庁にお尋ねしたいのですが、現在の沖繩の石油備蓄量はどのくらいになっているのか。沖繩石油基地株式会社、沖繩ターミナル、南西石油、日本石油精製、沖繩石油精製、たしか五つあると思いますが、それぞれ現在の備蓄量は幾らで、目下計画されているのがどのくらいで、将来計画はどうなるのか、そして締めてどのくらいになるのか、お答えいただきたいと思うのです。
  69. 森清圀生

    森清説明員 御説明申し上げます。  各社別と申しますか、各基地別に数字を追って申し上げますと、現時点におきます備蓄タンクの容量ベースで申し上げますと、沖繩ターミナルが百十四万五千、沖繩石油精製が四万八千、南西石油が五十六万五千、日本石油精製が十四万一千、現時点と申し上げましたのは、五十四年三月末でございます。以上、トータルしますと百八十九万九千になります。  このほかに、上原先生から御指摘のありました工事中あるいは計画中のものでございますが、工事中のものといたしまして、沖繩石油基地二百九万、沖繩ターミナルが四十五万八千、南西石油が三十九万八千、以上の三つの計画の合計が二百九十四万六千でございます。  あと計画中、具体的にはすでに増設の申請を出しておりますのが沖繩石油精製の三十九万八千がございます。  なお、以上トータルしますと、三月末現在ですでに現存しておりますもの及び現在工事中のものを含めますと四百八十四万五千、さらに計画中の一件を加えますと五百二十四万三千ということでございます。
  70. 上原康助

    ○上原委員 現存するもの、計画中のもの、いわゆる実施中のもの、それから計画のものを含めると、すでに五百万キロリットル余るわけですね。ほかにも今後の計画かありますか。
  71. 森清圀生

    森清説明員 計画か具体化されておりまして、消防法等の申請が具体的に出ておりますのは、先ほど沖繩石油精製の三十九万八千だけでございます。
  72. 上原康助

    ○上原委員 そこで、これもまた問題なんですが、一九七七年の十一月の十二日に、沖繩県知事平良幸市氏から、沖繩における石油備蓄量についての要請が、通産大臣開発庁長官、もちろん総理大臣にも出ていると思うのですが、出されましたね。自治大臣にも、経企庁長官にも出ている。この取り扱いは、皆さんどうなさいました。開発庁も通産省もお答えいただきたいと思うのです。
  73. 森清圀生

    森清説明員 沖繩における石油の備蓄量のトータルの枠と申しますか、その点に関しまして、当時の平良県知事から私どもの方に、沖繩県としての考え方を正式に御提示された事実はございます。
  74. 上原康助

    ○上原委員 事実はあると言って、それに対しては何かコメントを今日までなさいましたか、それともなさっていないのか。あるいはまた通産省としては、当時の沖繩県知事の考え方に対してどういうふうにお考えなのかを聞いているのです。
  75. 森清圀生

    森清説明員 私ども、特定の県なり地域におきまして、具体的に石油の基地を建てるか、あるいはその基地の建設に伴って、トータルとしての備蓄量をどのくらいにするかということにつきましては、基本的に基地計画立案者と地元の県あるいは自治体の御意向を第一義的に尊重して進められるべきものだというふうに考えておりまするので、私どもとして、これは沖繩に限りませず、特定の県は幾ら幾らまでか適当であるとか、そういうような考え方は、通産省として特に持っておりません。
  76. 上原康助

    ○上原委員 要するに、沖繩県知事からかつて出された要請書あるいは意見書に対して、通産省はコメントできないということですね。
  77. 森清圀生

    森清説明員 ただいま申し上げましたように、あくまでも地元の自治体の意向を尊重して、私どもとしては備蓄の計画か進められるべきであるということを申し上げたわけでございまして、したがいまして、沖繩県といたしまして、備蓄量はあくまでもトータル五百万キロリッター以下に抑えるべきであるという御意向を引き続き持っておられるということでございましたら、私ども通産省としても、そういう御意向は十分尊重すべきである、かように考えております。
  78. 上原康助

    ○上原委員 そうしますと、はっきりさしていただきたいのですか、あなたか自治体と言う場合は沖繩県ですか、それとも石油基地を立地させようという市町村、自治体を言っているのか、それもはっきりさしてください。
  79. 森清圀生

    森清説明員 具体的な基地予定地点の市なり町村のみならず、その当該県両方でございます。
  80. 上原康助

    ○上原委員 私がなぜこの問題を改めて出したかといいますと、これにはいろいろな経過があるわけですよ。沖繩県が、屋良さん、平良さんの時代に、なぜ石油備蓄は五百万キロリッターで抑えたいという方針をお出しになったかというと、何も根拠がないことじゃないのですよ。単なる革新だからこうしたわけじゃない。振興開発計画とも関連がある。同時に復帰前から、通産省産業構造審議産業立地部会沖繩コンビナート研究委員会からも、CTSについては大体五百万キロリッターの線かよかろうというのが、かつて打ち出されたことがあるのです。同時に、沖繩臨海工業基地開発に関する調査報告書の中でも、沖繩振興開発計画とも関連をさした場合は、大体五百万キロリッターがよかろう。そういうのを踏まえて、沖繩県の場合は、公害問題、自然環境保護というようなことも考えて、五百万キロリッター以上にはしたくないという方針を持ったわけですね。政府はこれを忘れては困ると思うのです。  同時に、開発庁長官はかつて防衛庁長官もなさったんで、さっきも、午前中の委員会が済んでからお話もあった。沖繩にはあれたけの軍事基地が横たわっている、その点は本当に同情、という言葉は使いませんでしたが、県民のお気持ちはわかるというようなことをおっしゃっておる。私は、それは長官の本当のお気持ちだと思いますよ。その基地からの実弾演習はやるわ、戦車道はどんどんあるわ、北部、中部一帯は全部公害ですね。あの海のどろ水が流れていて、もう海草なんて生えっこないんですよ。おまけにこの金武湾、与那城村一帯はああいう沖繩石油ターミナルが立地をして、いまでも非常な公害問題が出てきているわけですね。だから、その五百万キロリッター以上にしては困るというのか県民の偽らざる心情なんだ。しかし、行政が変わったからといって、何かCTS基地沖繩列島全部につくろうという構想みたいなことがいま言われている。じゃ、これは政府とは無関係で進められていると言っていいわけですか、あなたのいままでの答弁からすると。政府は関知していますか。  具体的に挙げましょうか。さっき宮古で多良間島の石油基地の問題か出ましたね、これは地元からも関係者からも猛反対か出て、いまはさたやみになっている。最近はまた最南端というか、最西南端というのか、与那国島に建設計画というものが発表されている。これは本土の大手の清水建設と五洋建設がすでに、まあ秘密裏にじゃないでしょうね、表に出てしまったんだから。完成時には三百万キロリッターくらいの規模で与那国島に石油基地を立地させよう、あるいはそのほかにも八重山あたりにもやろうとか、さらに伊平屋にもそういう立地ができるんだというようなことが出ておるわけですが、私は、沖繩振興開発計画問題等とも関連さした場合に、やはり限度というもの、限界というものはやるべきだと思うんですね。これに対して通産省はどうお考えなのか、開発庁長官としてはどういうお考えを持っておるのか。  じゃ、仮にその自治体から、幾らでもいいから要請をされた、認めたいということであれば、法律上、手続上に瑕疵がないという場合はどんどん拡大をしていくのかどうか。このことについての見解をはっきりさしておいていただきたいし、かつて沖繩平良県知事が出したこの意見書、要請書、同時にいま引用したように、沖繩のこういった石油立地の限界、あるいは臨海工業をつくる場合の将来展望、振興開発計画というもの、また、あれだけの軍事基地か横たわっているというようなことを総合した場合には、やはり五百万キロリッターというこの基本数値といいますか、基礎というものはしっかり踏まえた上で、関係市町村とも、関係者とも意見調整をしていただかないと、もう軍事基地と石油基地沖繩になってしまう危険性。それから、将来どういう結果になっていくのか、いまの動きというものを大変憂慮している。このことに対して、開発庁長官あるいは通産省としては、はっきりしたお答えを出していただきたい。
  81. 森清圀生

    森清説明員 先ほど来申し上げましたように、私どもとしましては、これは沖繩に限りませずほかの県あるいは市町村におきましても石油の備蓄基地か立地される場合には、あくまでも地元の県及び市町村の十分な御理解、御協力を得てこれを進めるべきであるという基本認識は全く変わっておりません。いま沖繩県に関しまして多良間村及び与那国町という具体的なお話が御提起されましたか、これら二つの地区における備蓄基地の構想につきましては、私どもも関係者から一応聞いてはおりますけれども計画自体が煮詰まって正式に私どもの方に提案されておるわけではございません。私どもとしては、仮に本件をどう扱うかという場合には、あくまでも地元沖繩県及び関係の市町村の御意向に沿って処理するつもりでございまして、よしんば政府備蓄基地の構想ということになりましても、自治体の御意向を閑却にしてこれを進めるつもりはございません。
  82. 上原康助

    ○上原委員 長官からの御答弁をいただく前に、いま関係者からそういう計画があるということは話はあった、これはいつごろどういう関係者からあったのか、その計画内容はどうだったのか明らかにしてください。
  83. 森清圀生

    森清説明員 手元に具体的に何用何日という数字を持ち合わせていないのですが、多良間村につきましては昨年の秋ぐらいだったと思います。それから与那国町の方につきましてはたしか本年に入ってからと思いますが、特段具体的な概略設計とかそういうものもなく政府備蓄の基地として果たして可能性があり得るのかどうかという点を非公式にサウンドしに見えた、こういう感じでございます。
  84. 上原康助

    ○上原委員 そうしますと、そういった石油備蓄基地を立地させるかどうかはあくまで市町村あるいは県の意見というか計画に沿ってしかやらないということですね。
  85. 森清圀生

    森清説明員 先生もう十分御高承かと思いますが、私ども政府備蓄、俗に、国家備蓄と称しておりますが、そういうものを進めなければいかぬということで五十三年度から調査に着手したわけでございますが、御案内のとおり現在ほぼ調査を了しまして、具体的な候補地点として検討されておりますのはむつ小川原及び福井、それに一応調査をやりましたのは上五島と広島でございますが、これら四地点はいずれ地元の県及び市町村から正式な要請をいただいてそれに基づいて調査を始めたという経緯がございます。
  86. 上原康助

    ○上原委員 そこで、もう時間ですから、開発庁長官、これは沖繩振興計画とも十分密接な関係があるわけです。まさか開発庁長官だって沖繩が石油公害で汚れることを願っているわけじゃないでしょう、あれだけの軍地基地もあるし。だから私たちは県民協力というかコンセンサスを、今日のエネルギー問題等々を考えても、これは既存の立地しているものあるいは現在計画中のもの、さらに土地造成ができてどうしても認可せざるを得ないと市町村なり行政当局が判断をすることについては、これはわれわれの立場から言うとにわかに賛成と言うわけにはいかないが、やむを得ない面もあろうと思うのです。与那国も宮古も八重山も、あるいは沖繩の離島周辺に多くの石油基地をつくるということは、いかに安全確保をやるとか対策をやると言ってみたって、これはどうしても好ましい沖繩振興開発なり沖繩産業振興になりません。したがって、いまの件につきましてはどういうお考えを持っておられるのか。このことについては政府としてはごり押ししない、いま九十日分の備蓄とかいろいろ言われておりますが、私は、開発庁長官はそういうお立場に立っていただけると期待をするのですが、これまで通産省とやりとりしたことを含めて最後に長官の所見を伺っておきたいと思うのです。
  87. 三原朝雄

    ○三原国務大臣 お答えをいたします。  最近、沖繩県の離島等において石油備蓄の動きがあるということは地元新聞等で承知いたしております。しかし、実際上は県からも何らの御報告にも接しておりません。  そこで、将来問題としてのお尋ねでございますが、先ほど通産省からもお答えをいたしましたように、国家が石油備蓄について国の施策として進めておることは承知いたしておるわけでありますが、それは沖繩特殊事情、特に現地県、市町村、住民の御納得を得ること、それから安全環境整備、いま環境を汚さないということでございましたが、そういう点が整備されなければやるべきでない、そういう点はいま上原委員の御指摘のような考え方は全く同感でございますから、そういう点、十分沖繩特殊事情なり現地の御了承、そして安全環境整備等の確立が前提条件であると考えておるところでございます。
  88. 上原康助

    ○上原委員 これで終えます。
  89. 和田耕作

    和田委員長 玉城栄一君。
  90. 玉城栄一

    ○玉城委員 まず最初に環境庁の方にお伺いをいたします。  沖繩県わが国唯一の貴重な亜熱帯自然環境を有する地域でありますが、わが国の自然環境を保全されようとする環境庁のお立場から、この沖繩の亜熱帯自然環境をどのように評価をされ、また保護されようとされるのかお伺いをいたします。
  91. 土屋徳之助

    ○土屋説明員 一口に申し上げますと、亜熱帯性の自然というものはわが国では数少のうございますので、非常に貴重なものであるどいうふうに考えておりますが、この辺について少し申し上げさせていただきます。  わが国は、北海道から沖繩まで南北にわたりまして非常に長い三千キロにも及ぶ間に国土が点在いたしておるわけでございます。この間における緯度の変化、緯度は順々に変わってまいりますが、この変化というものは自然状態に大変影響を与えているわけでございます。特に、沖繩の場合は、わが国では最も南に位置しておりますので、たとえば、気温的に申し上げましても、那覇におきまして平均気温二十二・三度、これを根室地方に比べますと、根室においては五・七度といったぐあいに、変化は当然でございます。降雨量も多く、また、島々の海岸部について見ましても、南方特有のサンゴ石灰岩の地形が見られます。私ども常には見られない地形でございますが、こういった特徴もあるわけでございます。  このような条件のもとに生育いたします植物相というものを見ますと、通常わが国の植生というものは、北の方から亜寒帯性、温帯性、一暖帯性、亜熱帯性の植物群落というふうに順次変わってまいりますし、大別されるわけでございますが、中でも温帯性と暖帯性の植物群落というのがわが国では多いわけでございます。このうち沖繩地方、特に沖繩本島の一部、あるいは八重山地方におきましては、残された自然というものは亜熱帯性の植生を示しているわけでございます。特に山地の森林帯におきましては、ウラジロガシあるいはスダジイ、イスノキといったような照葉樹林帯で覆われている地帯があるわけでございます。また、海岸部について見ますと、ソテツとかアダン、ビロウ、ヒルギ等の亜熱帯性の多数の固有種が存在いたしております。こういったふうに沖繩の特徴のある植生状態を示しているわけでございます。  同様に、動物相につきましても、固有な状態を有しておるわけでございます。  私ども環境庁において、昭和四十八年に初めてわが国の自然環境がどのように保全されているかという調査をいたしたことがございます。その結果、自然が非常によく保たれておる地域というのが沖繩県全土の三五・八%、約三六%に達しておりました。これは全国平均が二二・八%でございますので、相当大きく上回っているということが言えるわけでございます。  また、海岸線の自然状況というのも調査をいたしたわけでございますが、自然のままの海岸線というものが県土におきます全延長の約八〇%に達しておりまして、これも全国平均の六〇%を大きく上回るものでございます。     〔委員長退席、國場委員長代理着席〕  さらに、慶良間諸島とかあるいは八重山諸島の海域には大規模なサンゴ礁がございまして、また色とりどりの熱帯魚群もおりまして、海中景観が非常にすぐれているという亜熱帯性の海洋性の自然景観もまたあるわけでございます。  このような沖繩の自然というものは、わが国におきましても特異性がありまして、かつ非常に貴重なものであるというふうに私ども理解しておる次第でございます。
  92. 玉城栄一

    ○玉城委員 いま環境庁の方から沖繩の亜熱帯自然環境につきまして御説明いただいたわけでございますが、わが国における数少ない貴重な特徴のある自然環境であるということであります。  そこで、重ねて環境庁の方にお伺いいたしたいのですが、海上も含めた西表国立公園のわが国における位置づけ、それから国立公園に設定された理由等についてお伺いをいたします。
  93. 土屋徳之助

    ○土屋説明員 西表国立公園と申しますのは、西表島と、それから石垣島と西表島の間にあります石西礁湖と申しますサンゴ礁の一帯から成り立っておりますが、西表島につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたオキナワウラジロガシ、スダジイなどの照葉樹林というものがきわめて原生林に近い形で広く残されているという特徴がございます。また、メヒルギとかオヒルギのマングローブ林、これも私ども通常見ることができないわけでございますが、そういったマングローブ林などの特異な植物が生育いたしておるわけでございます。また、この中には動物として、イリオモテヤマネコ、セマルハコガメ、カンムリワシといったような貴重な野生動物も生息しているわけでございます。周辺の海域につきましてはわが国最大のサンゴ礁と言われているものが存在いたしております。きわめてすぐれた海中の景観も呈しておりまして、これは小笠原諸島とともにわが国の自然景観としては希有な地域の一つであるというふうに考えております。  このために、昭和四十五年でございますが、沖繩本土復帰に際しまして、当時すでにこの地域は琉球政府立公園として成立いたしておりましたが、その区域をそのままわが国の誇るべき世界的な国立公園ということで引き継いだ経緯を持っております。     〔國場委員長代理退席、委員長着席〕  その後、昭和五十二年に海中公園地区と申します地域を新たに指定いたしまして、今日に至っておるわけでございますか、わが国におきます亜熱帯地域に位置します非常に特性のある貴重な国立公園でございますので、今後地元の方々と互いに協力をしながら公園の運営に努めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  94. 玉城栄一

    ○玉城委員 そこで、重ねて環境庁の方にお伺いをいたします。  はなはだ残念なことですが、あの地域の島々の海岸、それから砂浜等がタンカー船からと思われる廃油ボールによって汚染され、海洋資源、海洋生物等が冒されているという事実がございますが、環境庁としては御存じであるのか、その点をお伺いいたします。
  95. 原健彦

    ○原説明員 お答えいたします。  廃油ボールの漂流とか漂着状況につきましては、海上保安庁の方で調査をしておられるところでございますが、先生指摘のございました地域におきましては廃油ボールの漂着が後を絶たない現状でございまして、私どもまことに残念に思っておるところでございます。その廃油ボールにつきましては、その漂着状況とか成分分析等から見まして、先生指摘のように、外航タンカーによりましてタンククリーニング水でございますとかバラスト水でございますとかそういったものが排出され、そういったものが漂着することによって生ずるものと思われておりまして、油による汚染につきましては、船舶からの油の排出等についての規制か十分に行われることが必要であるというふうに考えておるわけでございます。
  96. 玉城栄一

    ○玉城委員 次に、海上保安庁の方にお伺いをいたします。  ただいまの廃油ボールの件ですが、海上保安庁とされてもそういう実態を御存じであると思うわけですが、どういうふうに把握しておられるのか、またどういう監視、取り締まり体制をとってこられたのか、効果が実際にあったのか、そういう状況を御説明いただきたいと思います。
  97. 福田稔

    ○福田説明員 先生承知のとおり、海洋におきます船舶からの油の排出につきましては、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律というのがございまして、これによりまして厳しく規制されているところでございます。私ども海上保安庁では、この法律の励行を図るため、航空機及び巡視船艇によりまして監視、取り締まりを行っているところでございます。違反船舶につきましては、日本船舶でございますとこの法律によりまして処罰されるわけでございますが、外国船舶につきましては若干事情が異なりまして、領海内で油の排出がございました場合にはただいまも申し上げました法律で処置いたしますが、領海外で排出がございましたときには、その外国船舶の属する国に違反事実を通報いたしまして、その国の国内法によって処置していただく、こういうことをやっているわけでございます。  それで、御指摘の八重山群島等を含みます南西諸島周辺海域でございますけれども先生指摘のとおり非常に問題の多いところでございますので、私どもも従来から海洋汚染防止のための特別監視海域ということで非常に重視している地域でございますが、本年度からは新たにあの海域を所管しております第十一管区に航空機が増強されましたので、これらを活用いたしましてさらに取り締まりの強化を図りたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  98. 玉城栄一

    ○玉城委員 これからも監視、取り締まりを強化されようということですが、いまもってあの八重山群島の各島々、あるいは宮古の方もそうですが、そういう廃油ボール等によって砂浜等が汚染されているわけですから、そういうことがされないように取り締まり体制を強化をしていただきたいと思うわけであります。  そこでちょっと戻りまして、環境庁の方にお伺いいたしたいのですが、先ほどるる沖繩の亜熱帯自然、わが国においては非常に貴重な自然環境であるという御説明があったわけでありまして、いま廃油ボール等が流れて砂浜あるいま海上が汚染されているということであります。環境庁とされて、沖繩の自然環境が破壊されていくことは好ましくない、先ほどの貴重な自然環境であるということからするとそういうふうに考えるわけでありますけれども沖繩の自然環境の破壊についてどのようにお考えになるのかお伺いしたいのであります。
  99. 土屋徳之助

    ○土屋説明員 廃油ボールによります自然環境の汚染ということ……(玉城委員「沖繩全体を含めて、一緒に」と呼ぶ)全体でございますか。  先生承知のように、沖繩本島の南の部分は比較的開発が進んでおります。残されたところは、八重山地方とかあるいは本島の北の方ということになるわけでございます。非常に数も少のうございますし、やはり現状のままぜひ保存をしておきたいと考えております。そのために現在御承知のように、本島につきましては国定公園ではございますが沖繩海岸国定公園、そういった地域にも指定をしているような状態でございます。西表につきましては、先ほど申し上げましたような国立公園の区域、こういうことになっております。
  100. 玉城栄一

    ○玉城委員 沖繩の所管大臣であります長官にお伺いしたいのですが、ただいま環境庁の方から、沖繩の自然環境はできるだけいまのような形で残していった方が望ましい、あるいはああいう廃油ボール等が流れ込んできて砂浜だとか海岸を汚染している状態も好ましくないという御説明があったわけであります。この廃油ボールの件につきましても、やはり大臣とされましても関心を持たれて関係省庁に――これは海上保安庁だけでない、いろいろな外国のタンカー船等にも関係してくる問題でありますので、そういう立場からどういうふうにこの沖繩の自然の問題、環境破壊の問題廃油ボールによる海上汚染の問題等についてお考えになっておられるのか、お伺いしたいと思います。
  101. 三原朝雄

    ○三原国務大臣 ただいま環境庁から沖繩の自然環境の美ということについて御意見があり、ぜひそういうような自然環境の美は保存していきたいという御意見等も承ったわけでございます。開発庁長官といたしましても、日本に残されたきわめて大切な沖繩県の自然環境であると思いまするし、ぜひ玉城委員の御指摘のように自然環境整備については関係省庁とも十分連絡をとりながらこれが保存に努めてまいりたいと考えるところでございます。
  102. 玉城栄一

    ○玉城委員 次は、通産省の方にお伺いをいたしたいのです。  一般的に石油、原油の備蓄ということについては、先ほど上原先生との質疑応答も大体伺っておったわけでありますが、その地元の県あるいは市町村の申請に応じて通産省としては設置するかどうかを決めていくのだ、このように私聞いておったわけであります。その場合に、申請が出てくると、石油備蓄、原油備蓄、CTS基地の設置について通産省に計画と――その間の詳しいことは私はわかりませんが、要するに石油を備蓄したいとされる場合には、通産省はただ申請が来たからオーケーという形でするのか、その辺はどういうふうな検討がなされてそういうものがされていくのか、その辺を詳しくお聞かせいただきたいわけです。
  103. 森清圀生

    森清説明員 御説明申し上げます。  石油の備蓄につきましては、御案内のとおり民間精製会社等が中心になってやっておりますいわゆる九十日備蓄のための備蓄と、それからそれに上乗せしました政府がみずから非常時に備えて石油を備蓄するという政府備蓄と二通りあるわけでございますが、政府備蓄につきましては、文字どおり私どもが、私ども計画に沿ってみずからの基地として建設するわけでございまして、民間の備蓄基地の場合と取り進め方につきましてもおのずと取り扱いを異にすると思います。  政府備蓄について御説明申し上げますと、政府備蓄の実際の建設あるいは維持管理等は、特殊法人の石油公団に全面的に委嘱する形になっております。  それで、五十三年度から調査を進めてまいっております政府備蓄の具体的な候補地点に沿ってちょっと御説明しますと、昨年六月十六日に石油開発公団法等の一部を改正する法律案が成立いたしまして、その後、私ども直ちに政府備蓄の準備に取りかかったわけであります。まず、全国各地から政府備蓄の候補地点として公式、非公式に話の出ておりました地点、三十数カ所に上ったわけでありますが、それらにつきましていわゆる概査、既存のデータ等に基づいて非常にプレリミナリーなサーベイを行いまして、それでもってまず幾つかの地点にしぼられるわけでございます。その次に、地元の県から県の意向を聞くと申しますか、これまた非公式に県との意見調整をいたしまして、その結果、県の開発計画の一環としてぜひ政府備蓄基地を誘致、建設してほしいという要請書を出されたところがございまして、その中から私どもとしましては、北から順に申し上げますと、青森県のむつ小川原、福井県の福井臨海工業地帯、福岡県の白島地区、それから長崎県の上五島地区、この四地点を有力な検討対象候補地点ということにいたしまして、詳細なフィージビリティースタディーを実施することにいたしたわけであります。フィージビリティースタディーの実施は昨年の十月末から始まったわけでありますが、実際にスタディーを通産省みずからあるいは石油公団みずからやるというわけにもまいりませんので、外部の中立的な専門機関に必要な調査作業を委託いたしました。四つの機関に委託いたしましたが、いずれも中立的な機関であるということ、それから十分な経験あるいは専門的能力を有しておるということ、そういった点から四つの機関を選んで調査お願いしまして、三月末に一応のレポートが提出されました。現在、それに基づきまして石油公団の中により広い分野の専門の方に御参加いただいた委員会を組織いたしまして、その委員会でさらに専門機関から出された調査結果のレビューをする、そういう段取りになっております。具体的なあるいは最終的な地点の決定は、この石油公団の中に設けられますレビュー委員会の結論を得てからしたい、かように考えております。
  104. 玉城栄一

    ○玉城委員 いろいろ要請が出てきた、通産省としてはそのままされるということでなくしていろいろな手続的なものがあるわけですね。そこで私かお伺いしたいのは、先ほど環境庁の方からもるる伺ったわけですが、先ほどの上原先生の御質疑の中にもあったわけですが、特に沖繩のこういう自然環境という問題は、石油公団の中にいろいろな機関があるようですが、そういうところではどういうふうに検討対象になってくるのですか、こないわけですか。ただ要請が来たらいろいろな手続をしてやるというのではなくして、やはり私としては、こういう沖繩の亜熱帯自然環境というものは破壊されては困る、また、先ほど長官からもそういうお話かあったわけですが、そういうことは非常に重要な検討対象になり得ると思うのですが、その点いかがでしょうか。
  105. 森清圀生

    森清説明員 先ほど申し上げました四地点につきましては、外部の専門機関によるフィージビリティースタディーの段階である程度の環境影響に関するレビューを行いましたが、具体的に特定の地点を決定いたしまして、そこについて具体的にタンク基地の建設にかかるという段階に至りました場合には、地元の自治体とも十分調整、協議しながら環境影響について突っ込んだ調査をする予定にしております。
  106. 玉城栄一

    ○玉城委員 沖繩の石油基地の問題につきましては、私もこれまでずっと商工委員会並びに本委員会でも基本的な考え方については述べてきたわけでありますが、きょうは時間がございませんので、この問題はこれで終わりまして次に移りたいと思います。  次に、運輸省の方にお伺いをいたしたいのですが、沖繩の方で地元の航空路線を沖繩と九州主要都市間で定期就航にすべきではないかという意見があるわけですが、そのことについて運輸省の考え方をお伺いいたします。
  107. 早川章

    ○早川説明員 お答え申し上げます。  県の出資いたしております南西航空が広く九州方面まで路線を開きたいという御希望があることはかねがね会社側からも伺っております。ただ、現状ではこの航空会社はやはり主体として県内輸送を重点的に行うべき会社としてわれわれは一応位置づけているつもりでございまして、現時点で直ちに九州方面に路線を開くということについてはなお幾つか検討すべき問題があると考えております。
  108. 玉城栄一

    ○玉城委員 では、その九州主要都市からちょっと下がりまして鹿児島県の奄美諸島なんですが、御存じのとおりその奄美諸島は沖繩と文化圏を同一にしておりまして、また沖繩県に奄美関係の御出身の方がたくさんいらっしゃいます。交流も非常に頻繁に行われておるわけです。したがいまして、確かに与論島までは東亜国内航空が島伝いに来ておるわけです。沖繩本島から奄美の名瀬あるいは沖永良部、そして与論、この与論島までは南西航空が行っておりますか、やはりその次の沖永良部までこの沖繩の方から飛ぶ飛行機をぜひ何とかしてもらいたいということで関係者からずっと前からそういう要請が非常にあって、何か伺いますところによりますと、最近そのことが実現しそうなところまで来たやに関係者の方々はおっしゃっておるわけですが、運輸省の方がどういうお考えであるのかその点がはっきりしない、こういうことをおっしゃっておるわけです。私もできるならば奄美の名瀬ぐらいまで沖繩地元の航空会社が、北の方からずっとおりていくのでなくして沖繩本島から奄美の名瀬程度までは行っていいのではないかという感じがするわけですが、その辺の事情を、運輸省の考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  109. 早川章

    ○早川説明員 先生いま御指摘がございましたように那覇-与論間につきましては、昨年の八月から南西航空が一日一便、これは当時週に三便、この四月からは四便になっておりますが、四日間運航が行われております。そこで現時点で沖永良部につきまして南西航空の運航をしてもらいたいという地元の強い御希望があるということをわれわれは拝聴いたしております。それからまた、会社側もこれを運航することで現在検討を進めているというふうに聞いております。ただ、具体的に申請が出てきたわけではございませんので、現時点でその申請があった場合の取り扱いと申しますか、それを認める、認めないという形についてはちょっと運輸省としてまだ申し述べる段階ではございませんか、申請が出されました段階で十分検討させていただきたい、こう思っております。
  110. 玉城栄一

    ○玉城委員 開発庁、いまの地元の、地元というのは沖繩の南西航空の沖永良部までの乗り入れの件については、開発庁とされましては望ましいのかあるいは好ましくないのか、その辺、簡単でいいですからおっしゃっていただきたいのです。
  111. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 ただいま先生から御質問のございました那覇と沖永良部間の航空路を開設したいという地元からの要望につきましては、私どもも聞いておりますけれども、本路線の開設につきましては、先生も御指摘のように沖繩観光開発、広く大きくとらまえますと沖繩振興開発という観点から考えてまいりますと、やはり航路の開設というのは望ましいのではなかろうか、このように考えております。ただ、ただいまも運輸省から答弁ございましたように、航空事業としての適格性とか航空政策にも種々関連する問題でもございますので、私どもとしましては先ほど申し上げたような立場から運輸省と密接に連絡をしてまいりたい、このように考えております。
  112. 早川章

    ○早川説明員 ちょっと先ほど御答弁申し上げるところか抜けておりましたが、沖永良部からさらに先の問題につきましてはまだ南西航空の方からも具体的な展開の計画は出ておりませんし、あそこには御承知のように東亜国内航空という奄美の方を主体に運転している航空会社もございます。与論、沖永良部とまいりますと次は徳之島ということになるのかと存じますが、その後の取り扱いにつきましてはもう少し関係航空会社間でいろいろ相談するなりわれわれとも議論をすり合わせていく必要があると思います。
  113. 玉城栄一

    ○玉城委員 ただいまの件につきまして、名瀬、徳之島の問題も含めてですけれども、とりあえず沖永良部までそういう空路申請が出てきたときには運輸省としては十分前向きに検討されるのかどうか、ちょっとお答えをいただきたいと思います。
  114. 早川章

    ○早川説明員 御指摘のように十分前向きに検討さしていただきたいと思います。
  115. 玉城栄一

    ○玉城委員 もう一点運輸省にお伺いしたいのですが、御存じのとおり沖繩県は離島を抱えておりまして、非常にローカル線が飛んでいるわけですが、南大東あるいは北大東、与那国、波照間、離島の中でもまた離島ということで、小型のSTOL機が飛んでいるわけです。地元の島の方々の強い要望は――沖繩県本土復帰する前はいわゆるYSが飛んでいたころもあるわけですね、与那国にしてもあるいは南大東にしても。これが復帰後はいろいろ国内法との関係でそれができなくなって、そういう小型機に現在変わって、地元の方々にとって非常に不便を来しているわけです。特に南大東の方々なんかは、那覇から自分の島に帰るときに二日も三日も徹夜でターミナルで航空券を確保するのに泊まり込む、これは人道的な問題で、非常に不便していらっしゃるわけです。  そこで、できたらYSが飛べないものかどうか。それがどうしても無理であれば、いまの飛行機よりももう少し人が乗れる飛行機に変えることができないのかどうか、それがどうしてもやむを得ないのであれば現在のSTOL6型機を何とか増便できないのかどうかというような要望があるわけですが、その点運輸省としてどのように考えていらっしゃるか、お伺いいたします。
  116. 早川章

    ○早川説明員 現在南大東、北大東等に飛んでおりますのはダッシュ6といいますSTOL機でございまして、十九人乗りの航空機が運航されております。十九人乗りでございますが、これの年間のロードファクターと申しますか利用率は大体七四ないし五ぐらいまで上がってまいりまして、時期によりましては非常に御不便をおかけしている例があるということはわれわれもよく承知いたしております。現在のところは、ダッシュ6による以外には飛行場等の条件から非常にむずかしい問題がございます。  それからまたSTOL機のダッシュ6に続く航空機に具体的に使用できるものかあるかどうかという点につきましては、たとえばダッシュ7というような航空機も現在カナダの方からいろいろ提示がある段階でございますが、いろいろ運航採算なり何なり、あるいは滑走路の長さ等について検討しなければいけない要素かございまして、まだ具体的にすぐにとかそういう段階までの検討が進んでいるわけではございません、したがいまして、現時点では、これ以上の供給を図るためには、ダッシュ6という現在使っております十九人乗りの飛行機の増便という形しか考えられないのではないか。具体的に現在南西航空の方に購入計画があるというふうには聞いておりませんが、先生指摘のようにいろいろ利用者の方々に御不便をおかけしているという事情もよくわかりますので、今後航空会社等とも十分相談をして指導してまいりたいと思います。
  117. 玉城栄一

    ○玉城委員 ただいま申し上げました件につきましては、地元の方々の不便が解消できるようにしっかりと航空会社を運輸省として指導していただきたい、このことを強く要望いたしまして、時間かございませんので、最後に一点、施設庁の方にお伺いをいたしたいのです。  防衛施設庁関係の沖繩における地籍明確化作業は当初の計画どおり五年というめどづけで進んでいるのかどうか、その点をお伺いをいたします。
  118. 多田欣二

    ○多田政府委員 お答えを申し上げます。  地籍法では五年以内に作業を完了するようにということが定められております。私どもは地籍法ができました時点で、当時の大臣でございました三原大臣でございますが、五年と言わす実質的に三年ぐらいで作業をするように計画を立てて実施をせよという厳命をいただいたという実情でございます。  現在の作業の実態を申し上げますと、防衛施設庁が担当する調査区域と申しますのは約百十七平方キロメートルございます。施設の数にいたしまして三十六の施設にわたっております。そのうちすでに八つの施設が作業を完了いたしまして内閣総大臣の認証手続まで完全に終わったという状況でございます。これは最初の完了施設か昨年の十二月、奥間レストセンター、屋嘉レストセンターということで認証をいただきまして以来すでに八つの施設が完了という状況になっております。その面積は三十一・四平方キロメートルということでございます。それから現場の作業その他が一切完了いたしまして現在総理大臣に対する認証の手続を準備中であるという施設が九つございます。面積的には十一・三平方キロメートルでございます。それから現場の作業が一切終わりまして、最終的に関係者にその地図等御閲覧いただく、御異議がないというのを確認して申請準備にかかるわけでございますが、そういう閲覧準備を現在やっておる施設というのか三施設ございます。面積的には一・二平方キロメートルぐらいでございます。したがいまして、いままで申し上げた施設はすべて実質的にもう作業が済んだ、後は本当に手続的な面を残しておるということでございまして、全体の先ほど申し上げました百十七平方キロメートルのうちの大体三七・六%が実質的に済んだという状況になっております。  残ります七十二・九平方キロメートルにつきまして、これは施設にしまして、一部取り組み施設を含めまして二十二ございますけれども、現在各段階の作業をやっておるというところでございまして、この部分につきましては、私どもとしては五十四年度内に作業を完了したいという目標で実は拍車をかけているわけでございます。あるいは若干五十五年度に延びるというものも出てくるかもわかりませんけれども、現在そういう段階でございますので、法律に定められました五年の期間内には大体完了できるというふうに私どもでは考えております。
  119. 玉城栄一

    ○玉城委員 以上で終わります。
  120. 和田耕作

  121. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 現在沖繩では、複雑で実に深刻な問題がたくさん出ています。その一つは、海兵隊のキャンプ・ハンセンにおける演習が夜、昼激化して人民の不安をかき立てている問題、さらに嘉手納基地における演習の激化によって、爆音か百二十ホンなどといったような戦場さながらの演習が展開されておるという問題、さらに嘉手納基地内の弾薬庫付近の黙認耕作地、これが取り上げられて、せっかく植えつけをするサトウキビの問題、さらに、いまいろいろ質問がありました石油備蓄関係、CTS問題などいろいろありますが、時間か制約されておりますので、これはそういった問題ともかかわりますか、特に、四分の一世紀以上にわたる沖繩の軍事占領支配、これか、復帰したとはいえ基本的にはまだ全然変わっていない。アメリカの軍事占領支配による沖繩県民の民族的屈辱、その中での想像に絶する苦しみの原因、こういったものの根源をなしておるのが天皇のアメリカGHQに対する申し出にあるということか最近明らかになった。この点についてちょっとお伺いします。  外務省、柴田さんが要求されて外務省から出されたシーボルトやケナンのこの原分、これを出したかどうか、その確認だけでいいです。
  122. 北村汎

    ○北村説明員 ただいま先生の御指摘になりましたシーボルトから国務省の当時の国務長官にあてた書簡及びその別添は、衆議院の内閣委員会に提出いたしました。
  123. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 長官その他関係者に資料を配っていただきたいのです。
  124. 和田耕作

    和田委員長 どうぞ。
  125. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いまのシーボルトのこの資料は外務省から出されたものの翻訳ですが、これは日本共産党が責任を持って翻訳したものであります。それからケナンから出された問題、この二つであります。  それで、第一に伺いたいのはこのシーボルトの書簡、これは「合衆国対日政治顧問 代表部顧問」というふうになっていて、そのシーボルトから国務長官あての書簡であります。これに大変なことが書かれているのですね。「天皇のアドバイザーの寺崎英成氏が同氏自身の要請で当事務所を訪れたさいの同氏との会話の要旨を内容とする一九四七年九月二十日付のマッカーサー元帥あての自明の覚え書のコピーを同封する光栄を有します。」ということを書いて、次に「米国か沖繩その他の琉球諸島の軍事占領を続けるよう日本の天皇か希望していること、疑いもなく私利に大きくもとづいている希望が注目されましよう。また天皇は、長期租借による、これら諸島の米国軍事占領の継続をめざしています。その見解によれば、日本国民はそれによって米国に下心がないことを納得し、軍事目的のための米国による占領を歓迎するだろうということです。」こう書いてあるのですね。  それから「資料・(2)」の「マッカーサー元帥のための覚え書」、二ページの初めごろから読みますと、「さらに天皇は、沖繩(および必要とされる他の島々)にたいする米国の軍事占領は、日本に主権を残したままでの長期租借――二十五年ないし五十年あるいはそれ以上――の擬制にもとづくべきであると考えている、天皇によると、このような占領方法は、米国が琉球諸島にたいして永続的野心をもたないことを日本国民に納得させ、また、これにより他の諸国、とくにソ連と中国が同様の権利を要求するのを阻止するだろう。」云々と書かれております。  これは憲法とのかかわりもありますので言いますが、五一年にいわゆる対日平和条約が提起された時点で、ダレスとイギリス代表なんかが言った残存主権または潜在主権、こういった問題が、四七年五月三日、現在の憲法か施行された以後このような天皇の行為が行われている。これに対して最初に、総理府総務長官でもあり沖繩開発庁長官でもある三原長官の御見解、さらにその当時の政治的状況、どういった状況のもとで出されたか、こういった問題について釈明してほしいと思います。
  126. 三原朝雄

    ○三原国務大臣 お答えをいたします。  先般の内閣委員会でも大体同様な質問がございましたのでお答えをいたしたのでございますか、米占領時代のシーボルト氏のメモはいま見せていただきました。ところが、この問題につきましては、事実関係の有無についてつまびらかではございません。そういうことで、私自身がシーボルト氏のメモ等についてここで御意見を申し上げることは慎みたいと思いますので、御理解を願いたいと思います。
  127. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 長官は、すでに内閣委員会で柴田議員が出されたときにも同じことを言っておる。しかし、この天皇の申し出という問題は、これはいわゆる国事ではなくて国政の問題なんですよね。しかも、憲法はもうすでに施行されている段階における天皇の行為である。しかも、この英文では「セルフインタレスト」と書いてありますが、辞典を引きますと、私利私欲、身勝手、こういった意味です。この文書はトップシークレットなんです、天皇は卑屈だったのでしょうな。「私利」、いわゆるセルフインタレストというふうな――これははっきり書いてあるのです、シーボルトか。そういったようなものが現実に外務省から出されておる。しかもアメリカが出している。きのう国会図書館の係員にも聞きましたが、約三十年たてばすべてではないかもしれぬが公表することになっている。国会図書館にはまだ来ておらないか、いわゆる調査するということを言っておりましたが、これを内閣、総理府総務長官ともあろうものが十一日間たった現時点で、わかりませんとか、これはまだはっきりしたことは言えませんというようなことを言うのは無責任じゃないのですか。どうなんですか。
  128. 三原朝雄

    ○三原国務大臣 重ねて申し上げますが、私自身事実関係の有無についてつまびらかにいたしておりません。特に一シーボルト氏のメモによって、責任ある国務大臣として御回答申し上げることは慎んでまいりたいと思っております。
  129. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 さらに、ケナンのあれについてきわめて重要なのかあるのですけれども、これは「資料・(3)」です。「北緯二十九度以南の琉球諸島の最終処理のための米国の政策決定」、「当部は、」、これは沖繩の政策企画部のことなんですが、「当部は、戦略信託統治があらゆる点で、米国支配のもっとも満足しうる形態であるとする納得のいく証拠を見たことはない。」とはっきり言っておるんだな、ところが、「政策企画部は、米国が沖繩ならびにその他の必要な島々に対する軍事占領を、主権は日本が保持したままで、長期の租借――二十五年ないし五十年あるいはそれ以上――に基づいて継続すべきであると、日本の天皇が提案していると伝えられていることに留意する。」まさに天皇の意見がそういった潜在主権、残存主権なども関連してアメリカの戦略的占領支配、この大きいてこになったということ、これは明らかなんです。これでもなおそのシーボルトとかケナンとかいうふうな者との事実関係はわかりませんから返事できませんということを、大臣、言えるのですか、ここまで来て。これはもう明らかにされているのですよ、どうなんですか。
  130. 三原朝雄

    ○三原国務大臣 重ねて申し上げますが、私自身その事実の有無についてつまびらかにいたしておりませんので、責任ある答弁をすることは差し控えたいと思っております。
  131. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 事実が明らかになっていないので答弁を控える、事実が明らかになれば責任ある答弁ができますか。
  132. 三原朝雄

    ○三原国務大臣 その時点に立って御回答いたしたいと思います。
  133. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 では、事実関係をつまびらかにする努力は払われますか、どうか。
  134. 三原朝雄

    ○三原国務大臣 関係――宮内庁であろうと思いますので、宮内庁あたりにもよくひとつ実態についてなお照会をしてみたいと思います。
  135. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 たとえばいまこれに書いてある寺崎英成さん、この人は故人になっておるそうです。おりませんそうです。ですから、この人にちょっと聞くわけにいかぬですね。ところが、シーボルト、ケナン、こういう人々はまだ生きているわけだ。それから宮内庁関係でもその当時の事実を、いわゆる政治背景は、なぜ天皇か――あれは記録にもよると、吉田茂その当時の外務大臣のあっせんで三回マッカーサーに会っていますね。そうなりますと、これは、しかもいまここで申し上げましたのは、憲法が施行されてからの話なんです。ですから天皇の責任は、後で申し上げますが、これは宮内庁、来ておられますか。それから外務省と関係があるのですね。宮内庁にはそういったあれがありますか。簡潔に答えてください、あるのならある、ないのならないと。
  136. 勝山亮

    ○勝山説明員 お答え申し上げます。  ただいまの御質問で、憲法施行後に天皇が吉田茂の仲介で三回会ったという御質問だったと思いますが、それにつきまして事実関係でございますが、昭和二十二年の五月三日が憲法のたしか施行だったと思いますか、それでその二十二年の五月六日に会っておりますが……(瀬長委員「その前に二回会っておる」と呼ぶ)はい。二十一年の五月三十一日と二十一年の十月十六日と、三回会っております。
  137. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 長官、いまお聞きになったように、ちゃんと宮内庁にもそういったのがあるのですね、事実は。外務省もこれを出された以上――これはトップシークレットですからね、御承知のように外務省は。ですから当然その当時の背景ということはわからなくちゃいかぬわけだな。その当時はすでに憲法が施行されておるのですよ。それで憲法は、これは何もこっちで述べる必要もないが、天皇の国事行為と内閣の責任、三条、四条。これで国事の件については内閣の助言と承認か要る。それで十項目書かれている。しかし、国政に関する行為――国事に関する行為のみを行い、国政に関する権能は有しないとはっきり憲法に書かれていますね。この問題は国事に関する問題ではなしに、明らかに国政に関する問題、国家主権と国民主権の問題なんです。しかも百万人、日本国民なんです。そのときは言いならわしで、朕、汝臣民だった。汝臣民か沖繩にいた。この苦しみの根源を、セルフインタレスト、私利、私欲、身勝手、こういったものに基づいて――実に売国行為である。これをはっきりさせないと大変なことになる。これなんです、問題は。長官、あなたはこの問題を釈明しないと逃げて通れないような段階にいま来ていることを私は十分知ってほしいと思いますね。いかかですか。
  138. 三原朝雄

    ○三原国務大臣 前言を繰り返すようですが、いま瀬長委員の御指摘等にも多少の思い違いがあるようです。天皇が憲法施行後三回も会われたというようなお話でございましたが、お会いになったのは、いま承りますと、憲法施行前に二回、施行日に一回ということのようでございます。そういうようなことのようです。したがって、私ども自身、実際問題として私がこの問題について事実の有無を確認をいたしておりません。私は重大なことでございますので、国務大臣として責任のある発言はやはり慎んでまいるべきものだと考えております。お許しを願いたい。
  139. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これはいまはっきり釈明しないと、あした、四・二八という例の民族屈辱の日として、沖繩では多いときは十万人の大衆が集まって、沖繩返せをやった、四月二十八日対日平和条約が発効して、その三条によって断ち切られた日が四・二八なんです。あしたなんです。その苦しみの根源というのが事実ここにあった。私はこの点をぜひ真剣に取り組んでもらいたいのは、実は恐れ入りますが、これは沖繩県民がどのような基地構築のための土地の強奪――まさに武力をもって強奪です。さらに搾取と圧政、この中でどのように復帰の闘いをやって、天皇が言う五十年あるいはそれ以上でなくて、みずからの力で闘い取ったかといったようなことをこの「民族の悲劇」に書いてあるのです。ぜひこれをお読みになっていただきたいと思いますが、委員長、これ、上げていいですか。
  140. 和田耕作

    和田委員長 どうぞ。
  141. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 さて、これは沖繩の琉球新報、タイムスにも堂々トップ抜きで書かれておって、もう県民知らぬのはいないのです。へえ、天皇がこんなことをやったのか、これなんですね。あのときは軍人勅諭とかあるいは教育勅語、これに基づいて、なんじ臣民だったわけですから、こういったようなお人か沖繩を占領支配させてもいいというふうなことを言ったということについては、これは内閣は責任を持っていなくちゃいかぬと思うのです。その責任は天皇にあるのかどうか。天皇はいまの憲法によって刑事責任も民事責任もないでしょう。だれが持つのか、内閣でありませんか。天皇のこういったような行動、これを憲法九十九条には天皇が真っ先に書いてあるのですね、天皇及び摂取、国務大臣云々と。これは現在のこの憲法を尊重し、擁護する義務を負わされているわけです。ところが、この義務を負わされておる憲法の九十九条、天皇に関してはどういう保障もないのです。ありますか。長官、どうですか。
  142. 三原朝雄

    ○三原国務大臣 保障はありません。  なお、私自身も沖繩復帰の際は官房副長官としてこれに従事をした関係もあるわけでございまして、私ども自身、先ほども申しておりまするように、沖繩復帰につきましては、一民族の悲願として皆努力をしてまいったところでございます。その点はひとつ御理解を願いたいと思うのでございます。
  143. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いま長官がおっしゃったように、それは了としますが、この問題を解明しないと、責任は天皇にあるか、内閣にあるか、どっちかですよ。だから、天皇に聞くということもできるでしょう。まさか天皇を証人喚問するわけにもいかぬでしょうし、そうなると、天皇に聞くとかいうふうなことは何らかの方法でできるわけだ。寺崎さんはいないわけだから、ケナン、シーボルト、いろいろな手だてはあるのです、もしその腹になれば。ところが、そこまで明らかにされて、しかも外交文書ではそんなことを言わぬはずだが、セルフインタレストといったような私利私欲、身勝手というふうなつばを吐きかけたいような言葉まで使っておる。いわゆるそのときの背景などについては、長官言われませんときは、私の方で簡潔に申し上げますと、こうなんです。「八月六日のあけがた、原爆第一号をつみ、広島上空をめざしてB29「エノーラ・ゲイ」かテニアン島をとびたつとき、その原爆の横腹に、アメリカの兵士らによって「天皇を葬れ」という文字が書きつけられていたということである。」さらに続けて、「天皇に対して否定的な米国民の感情は、戦後になっても変らなかった。すなわち、敗戦直後、四五年秋、アメリカのギャラップ世論調査によれば、天皇の処刑(死刑)を要求するもの三三%、戦犯として裁判にかける一八%、終身禁錮を要求するもの一一%、日本からの追放を支持するもの九%、合計七一%が否定的」なんだな、天皇制護持については。それでようやく「天皇を利用することを認めるものは、わずか三%の少数でしがなかった。」これがその当時の政治的背景なんです。しかも国際的なオーストラリア、ソ連、これまた戦犯にかけるべきだという意見を持っている。この点は長官おわかりだと思うのです。だからそういったような背景の中で、天皇自身が動いているのか、天皇の命を受けて、その側近のグループの政治的なグループがあってやったのか、こういったことを明らかにすれば、おのずからこの問題は明確になってくると私は考えるのです。これは事実を明らかにしないと天皇に責任があるというふうにはお考えにならぬでしょう。この行為をやった天皇に責任があるということになりますか。
  144. 三原朝雄

    ○三原国務大臣 新憲法下におきましては、天皇は国並びに国民の総意に基づいて、象徴として憲法に明定されておるわけでございます。いま戦争当時アメリカのいろいろな兵士の発言等を述べられましたけれども、それに私か批判をしたり云々することは差し控えてまいりたいと思うのでございます。御理解を願いたいと思います。
  145. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いま一点お伺いしたいのは、いろいろ宮内庁、外務省、関係省庁のその当時の文書、それからアメリカの当時の文書、事実関係を突き合わせて調べるとこれがはっきりすると思うのだな。天皇は事実こういったような側近を使って、これはシーボルトか呼んだのじゃなしに、事実はいつ会いたい、場所もどこで会いたいということを言ったので、シーボルトはいらっしゃいということで言わせた。言わせたら、こういうことを言ったということがトップシークレットとしていま解明されているわけなんです。だから、そうなりますと、当然のことながらいま憲法によると、私もそのとおり考えております。明治憲法に「天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス」というのだったが、いま「神聖」はないのですね。しかし不可侵は間違いない。民事、刑事、どういうふうな行為をやろうが、これを処罰したり何かするといったような責任は天皇にないということも明確なんですね。そうなると解釈としてどうなるかという問題なんです。問題は、たとえば国事の問題、国事に関する行為を委任することはできるわけだが、この七条によると、「天皇は、内閣の助言と承認により、國民のために、左の國事に關する行爲を行ふ。」、国政じゃないんですね、国事。十項目挙げてある。これは内閣の助言と承認ですよ。あくまでもこれは内閣に責任があると解釈しなければ、天皇の免責の問題は出てきませんね。内閣に責任がないということになると天皇が責任を持たぬといかぬ。じゃ天皇はどう責任を持つのか。事実上、参考人とか証人として国会に呼べない状態にあるわけですよ。だから、憲法の解釈から言ってもどうしても助言者であり、そして承認をするというふうな内閣、これがやはり責任を持たないといけないんじゃないですか。  その観点からこの問題は、明確に事実関係を調査された上で内閣の責任として――しかも三原長官は総理府総務長官でもある。あの元号法制化の問題の担当大臣でもある。こういった大臣に対して、私いま憲法の問題を言いましたね。次は今日的課題なんですよ。もしこれが明らかにならない場合には、主権在民の民主主義は否定されて、主権在君への道が開かれぬとも限らぬ。天皇がどういう行動をとっているのかわけかわからぬ、またわかろうともしないということになると、天皇に対する助言や承認はどうしてやるのか、この問題が起こるんですよ。天皇は何をやってもいいのか。シーボルトやケナン、こういったようなあのときの政策立案者の最高首脳かもうはっきり――解明された文書の中にある。私はその意味でもよほど力を込めてこの事実関係の調査、これは調査がはっきりしてこういったのが事実あったとするならば、内閣の責任において沖繩県民、全国民に釈明する必要がある。しかもいま百万沖繩県民はいる。いまさっき言ったように、同僚議員からはCTSの問題なども突つかれた。演習はもう激化する一方だ、名護市議会などは超党派的に基地の撤去を決議するというところまできている。こういったようなのが、復帰後七年になるが相変わらず一貫して占領支配の実態は変わらない。そういった苦しみ。これにこたえるためにも憲法九十九条を尊重し、擁護するという、大臣、われわれももちろんそうであります、ちゃんと書かれているんだから。そういった意味からもこれは関連させる必要がある。私非常に心配なのは、そういった今日の課題がある。いま元号法制化法案は参議院で審議中であるが、これがわれわれはいわゆる主権在民を主権在君の方向へ――さらに国歌君が代の押しつけ、教育勅語の礼賛、軍人勅諭まで出てきた、その段階でいまの天皇の行為、しかも九月二十二日というのは五月三日の憲法施行後四カ月経過している、そのときに天皇自体が違憲の行為をやっているということが明らかになった場合には、内閣はどう措置するのか、長官ひとつ最後に……。これはもう明らかになるんですよ、はっきり。トップシークレットなんだ、これは明らかにされておる。
  146. 三原朝雄

    ○三原国務大臣 お答えいたしますが、きわめて重大な発言をされるようでございますが、私は終始一貫申しておりますように、この問題につきましては事実の有無が明確でございません。私がつまびらかにいたしておりませんので、責任ある答弁は慎むべきだと考えておりますことを再度申し上げて、御理解を願いたいと思います。
  147. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 最後にもう一つお約束していただきたいのだが、私は、この問題は重大な問題だということは承知されていると思います。そうでしょう大臣。そんな重大な問題じゃないと思うのですか。
  148. 三原朝雄

    ○三原国務大臣 重ねて申すようでございますが、重大であるか何であるかということよりも、事実の有無を明確にした上でないとこの問題を御回答申し上げることはお許しを願いたい、こう申し上げているところでございます。
  149. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 時間が参りましたのでやめますが、これは長官、逃げて通れない問題なんですよ。事実はアメリカ側からやってきたわけなんです。だから事実関係を調査された上で、それに対する国民の疑惑がいまあるわけだ、この疑惑に対する釈明をしてほしいと私は国民の一人として、また沖繩百万県民の――いまの「民族の悲劇」にも書いてありますが、こういったことに答える意味でもぜひ責任ある姿勢で事実関係の調査をやってほしい、それで結論が出るわけですかち。いかがですか。
  150. 三原朝雄

    ○三原国務大臣 本日は御意見として承っておきます。
  151. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 御意見として承るのじゃなしに、私の言うのは意見じゃなしに、この事実関係を知らないからいま差し控えるとあなたは繰り返し言っている。事実関係を知るように努力を払うということが内閣の一員として長官のとるべき道じゃないんですか。これは国民の要望なんですよ。この事実関係を明らかにしてほしいという県民の要望なんです。ですから、事実関係を明らかにするために努力するのかしないのか、これだけを明らかにしてください。事実関係を明らかにせぬでもいいと言うんだったらそれでもいい。明らかにしたい、努力するということならそれでもいい。判断は国民がします。いずれですか。
  152. 三原朝雄

    ○三原国務大臣 再三申し上げておるように、この問題については事実の有無がつまびらかでない問題でございます。したがいまして、いま瀬長委員の御意見のあったことだけは十分承知をいたしました。このことだけ申し上げておきます。
  153. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 そうすると、事実関係を明らかにする努力はしないのかするのか、これだけ答えてください。
  154. 三原朝雄

    ○三原国務大臣 何回も申すようでございますが、事実の有無が明確でないということを率直に申し上げました。また、瀬長委員からこれを調査するかせぬかというようなことでございますが、その点につきましては十分御意見を拝聴いたしましたので、あとは私、国務大臣としてのみずからの姿勢なり意思はどうするかということはひとつよく考えて処置いたしたい、こう考えておるところでございます。
  155. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 歯切れが非常によくないですね。ときどき非常に勇ましいことを言われるのですが、いまこの段階になって非常に歯切れが悪いな。私の意見は承っておく、その行動については考えるということなんですね。考えるのであれば、事実関係を明らかにするように努力しますくらいは一歩前進できませんか。どうですか。
  156. 三原朝雄

    ○三原国務大臣 新憲法下の象徴天皇についてのことでございますし、私自身は慎重な処置に出てまいりたい、そう思いますがゆえに、いろいろな御意見はございましたか、先ほどからるる申し上げておるとおりでございます。御意見として十分拝聴いたしましたということでお許しを願いたいと思うのでございます。
  157. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 もう時間が来ましたので、これで閉じます。
  158. 和田耕作

    和田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時四十分散会