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1979-04-27 第87回国会 衆議院 運輸委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年四月二十七日(金曜日)     午前十時四分開議  出席委員   委員長 箕輪  登君    理事 佐藤 守良君 理事 関谷 勝嗣君    理事 堀内 光雄君 理事 三塚  博君    理事 佐野  進君 理事 渡辺 芳男君    理事 西中  清君 理事 山本悌二郎君       石井  一君   小此木彦三郎君       北川 石松君    玉生 孝久君       藤本 孝雄君    太田 一夫君       久保 三郎君    斉藤 正男君       田畑政一郎君    有島 重武君       草野  威君    薮仲 義彦君       小林 政子君    中馬 弘毅君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 森山 欽司君  出席政府委員         運輸大臣官房総         務審議官    杉浦 喬也君         運輸大臣官房観         光部長     山元伊佐久君         運輸省海運局長 真島  健君         運輸省鉄道監督         局長      山上 孝史君         運輸省自動車局         長       梶原  清君         運輸省航空局長 松本  操君         気象庁長官   窪田 正八君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      小粥 正巳君         大蔵省主計局主         計官      塚越 則男君         通商産業省機械         情報産業局自動         車課長     浜岡 平一君         気象庁観測部地         震課長     渡辺 偉夫君         建設省道路局路         政課長     山本 重三君         自治大臣官房地         域政策課長   末吉 興一君         日本国有鉄道総         裁       高木 文雄君         日本国有鉄道常         務理事     馬渡 一眞君         日本国有鉄道常         務理事     吉武 秀夫君         日本国有鉄道常         務理事     加賀山朝雄君         日本国有鉄道常         務理事     吉井  浩君         運輸委員会調査         室長      榎本 善臣君     ───────────── 本日の会議に付した案件  陸運に関する件(トンネル建設工事事故防止に  関する問題)  陸運海運及び航空に関する件(総合交通体系  に関する問題等)  陸運に関する件(地域交通維持整備に関する  問題等)  航空に関する件  日本国有鉄道経営に関する件  観光に関する件  気象に関する件      ────◇─────
  2. 箕輪登

    箕輪委員長 これより会議を開きます。  陸運海運航空日本国有鉄道経営観光及び気象に関する件について調査を進めます。  この際、トンネル建設工事事故防止に関する問題について森山運輸大臣から説明を求めます。森山運輸大臣
  3. 森山欽司

    森山国務大臣 去る三月二十日の上越新幹線大清水トンネル坑内における火災事故にかんがみ、日本国有鉄道総裁及び日本鉄道建設公団総裁に対し、直ちにトンネル工事安全面について総点検を実施するよう指示したところ、四月二十日、両総裁から報告書の提出がありました。  その概要につきましては、お手元の資料のとおりでございますが、国鉄については、三月二十七日から四月三日までの間に、工事中のトンネル三十カ所、鉄道建設公団においては、三月二十七日から四月七日までの間に、工事中のトンネル二十六カ所に対しそれぞれ本社課長等を派遣し、災害防止設備、機器の取り扱い点検状況及び異常時の即応体制について点検を行いました。  現在、工事中のトンネル五十六カ所の施工状況はおおむね良好でありますが、さらに安全の徹底を期するため、坑内における火気使用時の管理体制徹底消火器の型式の統一等六つ項目について、早急に改善を行うよう国鉄公団より現地機関及び事業者を指導いたしました。これにつきましては、設備改善など多少準備期間を要するものでも、五月中にはすべて完了させるつもりであります。  以上の報告を受け、早急に必要な措置を終え、この種の事故再発防止に万全を期するよう、私から両総裁へ重ねて指示したところであります。  以上、御報告申し上げます。
  4. 箕輪登

    箕輪委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。久保三郎君。
  5. 久保三郎

    久保(三)委員 一番最初に、かねて強い要請を申し上げておきました地方陸上交通維持整備に関する制度の確立というか、そういう問題についてお尋ねしたいのであります。  御承知のように、昨年の十月十八日に、当委員会全会一致決議になりました「地方陸上公共交通維持整備に関する件」がございます。これについては、その後、当委員会関係局長というか、そういう方々の実務についての詰めのぐあいをお尋ねしたわけであります。ことしに入ってからでありますが、その当時は、大変前向きで進めておりますという話あるいは進めますという約束でありましたが、もうこの国会連休明けになりますれば残り少ない時間になります。その詰めの段階に来ているのかどうか、この取り扱いについてどういうふうな手順でいま進めておられるのか、その概要について御報告を願いたいと思います。  それで、きょうは数多くの質問者もおりまして、時間も限られておりますから、なるべく簡潔に私の方も質問しますから、答弁の方も要領よくお願いしたいと思います。
  6. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 お答えいたします。  地方陸上公共交通に関する問題につきましては、その重要性につきまして十分認識をいたしておるところでございます。昨年の十月十八日に当委員会におきまして決議をいただいたわけでございます。その後、この決議の御趣旨に沿いましていろいろと努力をしてまいったわけでございますが、まず何と言いましても安定的な財源確保が重要でございまして、五十四年度の予算要求に吹きましては、地方交通を含みます陸上公共交通維持整備のために安定した財源確保を図るということで、特別会計制度の創設を要求いたしました。いろいろな問題がございまして結局見送ったわけでございますが、しかし、引き続きまして検討を進めてまいっておる次第でございます。  それからその後、国鉄地方交通線問題につきましては、本年の一月二十四日に運政審の小委員会報告がまとまりました。この報告趣旨に沿って検討いたしておるところでございますが、何分にも地元等に与える影響が非常にございますので、慎重に対処してまいりたいと考えておる次第でございます。  そのほか、法律上、制度上の問題点といたしましていろいろと検討を重ねておるところでございます。  久保先生の御提案の中で、地方陸上公共輸送について計画を持つべきではないかということに関しまして、いろいろと検討をいたしておるわけでございますが、対象交通機関をどの範囲にするか、あるいは計画策定地域をどの程度までにしたらよろしいか、あるいは計画の内容をどう考えたらいいかというような問題、それから計画策定権者、これをどう——都道府県知事という御提案でございますが、都道府県知事計画策定権限を与えますと、それと道路運送法等行政処分権限との関係は一体どうであるかというような諸問題、それから、地方陸上交通に関しましては、運輸省だけではなかなかできるものではございません、やはり関係の省庁が皆さん御協力をいただきまして、これを実施しなければできないことでございますので、そうした関係行政官庁との協力体制はどうであるかというような諸問題、あるいは国と地方の助成の問題、あるいはまた、先ほどの問題に返りますが、その財源確保の問題、こういうような諸点につきまして鋭意検討を進めておる次第でございます。今後とも、こうした点につきまして、具体的な措置がとり得るよう、なお検討を続けてまいりたいと思います。
  7. 久保三郎

    久保(三)委員 一通りのお話がありましたが、結局、いまだに何も目鼻がついていないということなんですね。いまお話がありました運政審国鉄ローカル線に関する答申が出て、その後の扱いを見ておりますと、日鉄法改正営業線譲渡、貸し付けの法律改正案を出そうとしたのでありますが、与党の方の、言うならば賛成を得られないで、これはおじゃんになったというつい最近の話です。こういうお粗末なことで、大体出すもの自身もお粗末でありまして、受ける方もその気にならぬのは当然だと思うのです。  そういうことで「国鉄再建基本方針」というのが五十二年の暮れにできているのですが、この中をもう一遍読んでみたらどうか。何一つやっていない。何一つ具体的に進めていない。  最近、政府では来年度予算編成に絡んで三K、その中の一つ国鉄であり、健保であり、米であるが、国鉄の問題がやはり大きな焦点になっている。やる方向というのは五十二年の十二月に決まっているわけなんでありますが、ちっとも手がついていない。特に、政策的には何にもついていない。ついているものがありましたらお聞かせいただきたいのでありますが、全然何もない。  そういうことでありまして、ローカル線問題も、ローカル線答申の中にもあるように、地域交通をどうするかという問題であるから、他の交通機関というか、そういうもののあり方と関連して問題を展開しなければならぬということを強調しているのです。日鉄法改正など強調していないんですよ、これははっきり言って。言うならば、日鉄法が邪魔になって、もしも貸し渡し譲渡をする場合に、そういう案が出ても直ちにできないから、その法律だけ先につくっておこうなんて、こんなばかげた話があるものか。ふまじめもはなはだしい。答申をきちんと真正に受けるならば、地域交通をどうするかという問題に帰着するのは当然なんだ。  総合交通体系というか、これは先般ここでお話を申し上げて、幸い運輸大臣は、閣議でもってこの発言をされまして、これは一歩前進だろうと私は見ているのでありますが、ところが、大臣はそのつもりになっても、裏方の方は余りそのつもりにならないのじゃないかと思っているのです。総合交通の立て方というのは二つあると思うのです。  一つは、全国ネットワークをどうすべきか。もちろんその中には、国鉄を含めてどうすべきかという問題が一つある。これは中央政府において、最近における三全総か、あるいは新しい経済計画というか、あるいは国土利用計画、そういうものとにらみ合わせて全国ネットワークをどうすべきかという問題、これが主としてやるべき問題だと思うのです。  ところが、もう一つ総合交通政策というか体系あり方は、地域における交通体系をどうするかという問題ですが、これは画一的でありません。それぞれの地域に密着した、それぞれの地域における住民要求にこたえる、そういう形でありますから、これは東京を含めてそれぞれのローカル的なものであると思う。そういうものについては、この委員会全会一致決議があったのに、いまだに手がつかぬ。大きなネックは財源ではない。  陸上特会の話も後からしますが、財源ではない。権限の問題です。運輸省認許可行政から脱皮しなければ政策的に前進しないことは、もう何回も指摘されている。ところが地方に、たとえばわれわれが言うところの地域交通計画を立てる権限知事に与えよと言ったらば、それを与えると認許可全部取られてしまうと言うんですね。ところが現実には、各地方自治体というか都道府県では、それぞれの地域におけるところの交通をどうするかという問題を真剣にやっている。その中では当然、新線建設陸運行政認許可権限を分権しろと言っていま大きなうねりになってきているのです。その前に、いやだいやだと言って後ずさりしても、これが国民要求であるからには、何ぼ運輸省役人が抵抗しても持っていかれてしまう。むしろ長い経験と伝統の上に立って、地方に移譲すべき権限は何かということをきちっと割り切って示すのが本当なんだが、全然そのつもりはない。こういうことでは話は先に進まぬし、運輸行政なんというのはないと等しいのじゃないか。  そういう意味から言って、これは大臣にお聞きしたいのですが、いまの体制では、残念ながらあなたのおっしゃるところの総合交通体系などはできない。できても、全国ネットワークでめったやたら新幹線でも引こうかという話ばかり出てくる。後は野となれ山となれ式なんです。総合交通政策上の問題ではなくなってくる。いかがでしょうか。こういう体質をそのままにしておいては、残念ながら、国会で何を決議しようが、役人の抵抗に会ってできない。これはゆゆしきことだと思うのです。いかがですか。
  8. 森山欽司

    森山国務大臣 昨年の十月十八日に地方公共輸送維持整備に関する御決議をいただきましたことは、よく承知をいたしております。この線に沿って、政府はこれを拳々服膺してその方向運輸行政を進めてまいりたい、こう考えております。  問題は二つありまして、一つは、陸上交通の中枢をなすべきはずの国鉄の現状が御承知のとおりでございますから、この国鉄の建て直し、再建ということを考えることが第一であります。  第二に、地方の実情というものをよく考えた施策を講ずるということが二つであります。  その第一の問題につきましては、一昨年の十二月に「国鉄再建基本方針」というものがすでに出ておるわけでありますから、この線に沿って関係者の総力を結集して、相互に協力をして、すなわち、国鉄内部においては国鉄経営者は決意を新たに、労働組合親方日の丸惰性に流れず、双方協力して国鉄再建を考え、政府はこれに対して行財政上の支援をしなければならぬ、そういう意味段取りをいま進め、また、その段取りの線に沿って逐次前進していることは、久保委員のお立場でも御了解を願えると思います。  そして、その目標は昭和五十四年、ことしの六月の時期までに国鉄側から案を出させ、そしてそれを、昭和五十五年度の予算概算要求に盛るということで目下進行しておることは御承知のとおりでございます。いま昭和五十四年の六月をめどにやっております作業がまだ表面化をしておりません。中間的な御報告をすることは可能でございますから、後ほど必要があれば鉄監局長の方から御説明をいたさせますが、そういう方向に向かって前進中であり、しかも、そのための基盤づくりが着々と進んでおることは御承知のとおりでございまして、久保委員にも格別その点でお世話になっておるわけでございますから、るる申し上げる必要はないと私は思います。  地方陸上公共交通維持整備の問題につきましては、一つは、地方ローカル線の問題をどうするかということで、御承知のとおり運政審の小委員会答申案が出ました。そして、それにつきましては、通常でございますと、答申を尊重して、これをあすにも実行に移すようなことを言うのが通例でございますが、これはそう簡単な問題でございませんから、答申の線に沿って検討するということで今日に至っておるわけでございます。  ただ、ここで考えなければなりませんのは、地方陸上公共交通という立場から考えましても、国鉄再建立場から考えましても、この問題の取り扱いはよほど慎重にいたしませんと、国鉄再建にはいろいろな問題がたくさんあるわけでございますから、最終的には昭和五十二年の国鉄監査委員会報告にありますように、国鉄の一人当たりの営業収益は、一般の私鉄のみならず中小私鉄よりも落ちておる、こういういわば労働生産性の低さというものを克服するというような本論にまでとにかく六月までに入りたいというふうに考えております。  したがって、いろいろな問題がありますことのワン・オブ・ゼム、その一つとして地方ローカル線の問題を考えてまいりたい、六月末までの時期におおよその輪郭を明らかにしていきたい、そういう感じでございまして、この考え方を放棄したということは全くございません。むしろかえって昨年来非常にお役所的に計画をしておりましたように、答申が出る、直ちにこれを立法化する、特にあの小委員会報告のようなものをあのまま法律の形にして、ともかく提案するだけすればいい、つるしておくということになる、あるいはきわめて簡単な条文で、無償払い下げの規則を簡単な一条か二条で立法の形にするということになりましても、地方線の問題の処理について仮に短い法案でつくりましても、頭隠してしり隠さずということになりますから、そういう問題を出して、いたずらに混乱をふやして本論に入れないということを私は恐れたのであります。  総理官邸の門のところでもってもみ合いまして中に入れない、あるいは玄関でもみ合っちゃって中に入れないということでは困りますから、六月の時期におおよその輪郭を概定してまいりたいという考え方でございまして、あの問題をあのまま全部のみ込むかどうかは別にいたしまして、ギブアップしたものではないわけであります。  そういうことになりますれば、これから建設するAB線の問題も、果たして従来のように機械的に仕事をしていっていいのかどうかという問題に当然逢着するわけでございまして、現に私のところに、昨年どおりのような案を持ってきて、予算の配分の判こをつけと言ってまいりましたから、私は、この問題についてもそのままほうっておくわけにはまいらぬということでございまして、地方交通線総合的処理観点から、従来のAB線というものを、ただ惰性に流れてやっていいのかどうか、地方状況を見ますと、道路はつくれ、特に高速道路はつくってくれ、空港はつくってくれ、鉄道はつくってくれ、そういうようなことを政府がただ地方要望のままにやっていいかどうかという問題があるわけでございますから、目下、各都道府県知事に対して、その意向をただすような書面準備中でございます。  でございますから、ああいう法案を出したところで、それでもみにもんで結局何らの前進も図れないよりは、急がば回れということがございますから、私は、決して気の長い方ではございませんけれども、やはりこれを着実に実行していくためには、その程度のお時間をひとついただきたい、こういうふうに考えておる次第でございまして、終局的には久保委員の御要望になっておられる線に近い線で現在鋭意努力中である、こういうように御理解を願いたいと思います。
  9. 久保三郎

    久保(三)委員 大臣からいろいろお話がありましたが、国鉄法改正などはおっしゃるとおりですよ。あれは一部分にすぎないのであって、いまやろうとした営業線譲渡とか貸し渡しをできるようにするなんという法律改正は、言うなら枝葉末端だと私は思うのです。貸し渡しをするのか譲渡をするのか決めるのをどうするかが先なのであって、決めたらどうするかの話を先にやっている。あなたおっしゃるとおり総理官邸の裏口の方でもみ合いをしているような話、そういうことで、言うならばごまかしだ。地方にいまそれぞれ回答を求める書面準備しているそうですが、それも結構だと思うのです。しかしながら、地方地方の責任である程度やらせるということがいま新しい時代の制度だろうと思うのです。そういう意味から言ったら、地域交通はどうすべきかということをひとつ考えて、その計画を練ってきなさい、つくりなさい、これはあたりまえの話だと思うのです。それに対して中央政府が全然ノータッチでいいということはわれわれは言っていません、やはり調整しなければなりませんから。それくらいができないのでは何をやったら一番いいのか、全然話にならぬと思うんですよ。  そういうわけで、地域におけるところの交通というものの体系をそれぞれがつくられるように——私は、制度というか法律というか、そういうものをこの際は強いて要求はしません。それじゃおやりになったらいいでしょう、どこまでできるか、全然手もつけないで、いま申し上げたような法律改正だけをして答申にこたえようなんというのは、はっきり言ってひきょうですよ。  国鉄の問題にしぼれば、国鉄は五十五年度から新しい基盤に乗せようと言うが、いま何の基盤もないんですよ。五十二年の暮れに「基本方針」ができたが、何もやってない。国鉄内部では、ダイヤ改正とか経営努力というか多少やっています。足りない面はたくさんあるが、やっていると思うのです。それじゃ政府は何をやったか。この「基本方針」の中には、政府が当然率先してやらなければならぬものがたくさんあるんですよ。たとえば先ほど言った「総合交通政策の推進」という一項目がある。これは国鉄がやるのじゃなくて政府がやるのです。しかし、何をやりましたか。それから、もう一つは「新線建設等について投資採算を考慮した基準策定する」こともやってないんですよ。はっきり言って何もないでしょう。それからもう一つは、ローカル線答申の中で、いまある在来線扱いが一応書いてある。新線建設について「新しく開業しようとする線路についても同じように扱え」こう言っている。せめてこの在来線についてむずかしかったら、これからつくろうとする新線についてどう処理するかぐらいの決めは、法律がなくてもできると思うが、何もやってないんじゃないですか。在来線をどうしようかという話で、それで国鉄法改正しようというだけの話ですね。  その国鉄法改正がむずかしい、在来線扱いがむずかしいというなら、一応それは除外してもいい。百歩譲りましょう。じゃあ、新しく開業しようとする線の扱いについて明確にどうするのか、決めているのかどうか。それと同時に、この「基本方針」の中で決めている新線建設についての投資基準を決めたのかどうか、大臣は五十四年度の予算、まだ判こを押さぬそうだが。そういうものを全然決めないで、国鉄には六月いっぱいに経営改善計画を出せという指示があるようであります。これは当然だと思うんですが、しかしながら、片方を出す前に、政策的な展開はどうするのかということを、まず隗より始めよで始めていなくちゃならぬ。五十二年からすればもう二年たっているんですよ。二年以上たっている。何やりましたか。全然やってないじゃないですか。これは鉄監局長に聞いた方がいいが、何やりましたか。
  10. 山上孝史

    山上政府委員 まず、先ほど先生指摘がありました決議地方交通線対策の関連でございますが、ちょっと補足させていただきますと、これは先生承知のとおり、一月二十四日の運輸政策審議会の小委員会最終報告の中でも、特に先生指摘のような点につきまして十分な配慮を小委員会としてはされておりまして、その最終報告の「結語」におきまして「これまでのローカル線対策国鉄経営改善に重点が置かれ、地域住民の足の確保について十分な配慮が足りなかったことに問題がある」こういう問題意識を持たれまして、今回の対策につきましては「ローカル線部門経営改善をいかにすべきかという観点とともに、国民経済的観点から地域における効率的な公共輸送サービス確保するにはどうすればよいかという広い判断に立って地域における効率的な交通体系、これを踏まえて国鉄地方ローカル線対策を講ずべきである」こういうことを強く御指摘になっているわけであります。  したがいまして、大臣が申し上げましたように、現在この小委員会最終報告趣旨に沿って検討中でございますが、この点につきましては、十二分に配慮して検討を進めたいと考えております。  それから「再建基本方針」につきまして、政府サイドではどういう手を打ったかということでございますが、これも先生にいまさら申し上げるまでもございませんが、「再建基本方針」というのは三本柱でございます。何と言いましても、当事者は国鉄自体であるということでございますので、政府施策につきましても、まず国鉄自身徹底した経営合理化をやってもなおかつ国鉄としては手が届かない、こういう点について政府から行政上、財政上の支援を求めるということを期待しているわけでございますが、従来五十二年度以降、この「再建基本方針」の趣旨にのっとって、当面、たとえば構造的欠損であるかどうかの議論はさておいて、どうしても国から財政上の支援が必要であるというものについては、その都度手を打ってきております。  たとえば、これも先生承知のとおり、地方交通対策につきましても、五十四年度の予算におきましては、すでに一千億円という大台に乗っているわけでございます。それから大都市の交通対策につきましても、五十二年度以降これは強化いたしまして、五十四年度の予算では三百五十億以上計上しております。また退職手当の急増対策といたしましても、五十四年度は百一億計上しております。さらに五十年度、赤字のたな上げの措置を行いましたが、それ以降の赤字につきましても、臨時補給金という手を打っております。  これらはその都度いわば応急対策として講じたものでございますが、大臣も申し上げましたとおり、抜本的な具体策につきまして、五十五年度以降、再建の軌道に乗っけるためのいわば最終的締めくくりといいますか、それの具体策について、まず当事者である国鉄から六月いっぱいに国鉄としての考え方をいただきまして、これを運輸省初め政府部内でもって至急調整して、五十五年度の予算要求にぜひ間に合わせたいということで、いまその準備を進めている次第でございます。
  11. 久保三郎

    久保(三)委員 鉄監局長、いまあなたの御説明になったのは、これまでの政策の転がしなんです。別に新しいことじゃありませんよ。あたりまえの話です。そういうものがいいか悪いかも含めて政策的に検討するために「基本方針」というのはできているので、私が質問したことに何も答えていないんじゃないですか。新線建設投資基準はつくったのか、つくってはいないでしょう。まあいいです。「総合交通政策の推進」で「総合運賃政策の導入、トラック対策の強化など総合交通政策上の具体的な施策を講ずる。」とあるが、講じたのは、警察庁で過積みの規制を道交法の改正でやったぐらいでしょう。あなたの方に関係ない、はっきり言って。あとは国鉄経営の主体である、あたりまえですよ。経営の主体だから経営改善計画政府に言われなくたってこういうふうに改善しますと言って出すのはあたりまえなんです。いずれにしても、いまお話しのとおり、全然政策的には前進してないですよ。  そこで、時間もありませんから、国鉄総裁にお尋ねします。経営改善計画というのは、いままでは言うなら作文だ。何で作文になるかというと、何年後には帳じりを合わせなさい、こういうのがいままでの再建計画というか、政府の方針なんですね。何回もやってきた。五十二年の十二月の「閣議了解事項」では、残念ながらこれまた一番終わりの条項にそれが書いてある。五十年代に言うなら収支均衡を図れ、そういう目標だと。こういうのを私は蛇足だと思っているんです。一年後に収支均衡を図れるなら一年後でいいんです。ただ十年とか五年とか三年とかやってきたが、いずれも帳じり合わせではだめだというので「基本方針」が出てきたと思うんですよ。またそうだと言う。「基本方針」というのは、言うならば五十三、五十四両年度でいろんな政策を検討しながら経営基盤をつくれ、五十五年からそういう基盤に乗せよ、それがこの「基本方針」の中心的な目標なんですよ。収支の均衡はどうでもいいということじゃなくて、収支の均衡を図るためには、そういう基盤に乗せることが先だというのでこれはできているわけです。  だから、今度の経営改善計画は、収支の均衡はどうでもいいということではありませんけれども、少なくともどうすべきかという具体的な対策を盛り込む必要があると思う。それが一つ。いままでともすれば作文的なものだった。もはや作文は要らない。具体的にどうするかということ。もう一つは、先ほど私が鉄監局長にもお尋ねしたように、政府が当然責任を持って展開すべき政策の要求について明確にこういう要求を出すということ、これが経営改善計画の二つの柱だと私は思うんですよ。そういうふうにお出しになるのかどうなのか、それをお聞きしたい。  時間がありませんから幾つかお尋ねします。  それからもう一つは、これは大蔵省にお尋ねしますが、大蔵省は五十年代に収支の均衡を図れということで、これは裏話でありますが、大蔵省の立場からはこれが必要であるということなんですね。しかし、先ほど来私が申し上げたとおりなんでありますから、余り五十年度に帳じり合わせを固執すればするほど作文に終わるきらいがあると思う。その辺についてはどういう見解を持っておられるか。  それからもう一つは、この「基本方針」にもありますが、国鉄の割引制度について見直しを図れというのがある。前の運輸大臣時代この「基本方針」ができまして、その当時、たとえば公共割引については、関係閣僚協議会で消化をするということを国会で言明した。ところが、これは一回か二回やって終わりになっている。結局、公共割引まで国鉄経営努力の足りなさということで、これは赤字に計上される運命にあるわけです。これは明確に責任を分担すべき時期に来ていると思うんですね。  いま片方では、運賃値上げの話があります。運賃というのは、言うならばそういうものも込みで入れて、その結果として運賃値上げに持っていくというのは、これは責任のあり個所を不明確にして、国鉄再建をあいまいにする原因だと私は思っているのです。これはどういうふうに思われるか。公共割引はもっと明確に、政策的に負担すべきあり個所をちゃんと、きちんと決めることが私は先決だと思うのですが、いかがですか。これはあわせて運輸大臣からもお聞きします。あなたはどういうふうに進めようとするのか。前の大臣から引き継ぎがなかったかどうかわかりませんけれども、関係閣僚協議会でこの問題はけりをつけるという話を両三回しているわけです。あなたはどういうふうにお考えになっているのか。  それからもう一つ陸上特会というか、五十四年度予算要求に絡んで陸上特会要求をしたが、これはあえなくつぶれた。そのつぶれた原因は何であったか。これは言うならば、一つ総合交通体系というか政策、そういうものの下敷きの上に乗った特別会計でなかったということなんですね。言うなら御都合主義。われわれが年来唱えているのは、総合交通体系の上に立ったいわゆる整備計画を立てて、その財源総合交通整備特別会計というか、そういうものによって投資配分をしていくべきだ。当然、いまの道路整備五カ年計画あるいは港湾、空港、それぞれの五カ年計画がありまして、特定財源を中心にしたそれぞれのものがあるけれども、もはや特定財源とそういう整備計画は硬直的なものになってきた。不均衡な発展さえ、いま道路とその他を考えればこれも顕著になってきておるわけですから、財政的にも硬直化の原因になっている。その問題は一歩譲っても、総合交通体系を立てようと思っても、それぞれが五カ年計画を特定財源を土台にしてやっている限りは、総合的なものはできかねると思うのです。ますます国鉄は赤字で、その上に新線建設が強要されてくる。そういうものを考えれば、もはやこの特会制度は、言うなら御都合主義でやろうとしたのであって、しかももう一つは、税金を取るのに自家用車から取って公共輸送に誘導しようというねらいがあったそうでありますが、これは恐ろしくそういうものが明確な政策として展開されていない。自家用車を抑えるという目的ならば、目的のような税金の取り方をしなければなりません。公共輸送に誘導するというなら、これは公共輸送を利用しやすいものに改良するということが先なんでありまして、税金で左右できるはずのものではありません、これははっきり言って。そういうものを考えれば、陸上特会というのは、もはやこれは再びこの世の中に出る運命にあるものではないと思うのです。少なくとも道路財源というか、道路の改良計画、港湾、空港、そういうものを全体として包み込んだ特別会計というか、そういうものを考える必要がある。総合交通体系を土台にすればするほど必要があると思うのだが、これはどういうふうに思うか。  以上で一通り終わります。大体時間もないようでありますから、ここまでにしますが、どうもいま申し上げたように、陸上特会をつくるにしても、言うなら国鉄の赤字埋めだという批判もあった、なるほどそうなんです。しかし、赤字は特会で埋めるのじゃなくて、これは政策的に埋めるものであって、何か特定の税金で穴埋めするなんというのは、これは筋が通らぬと思うのです。  そういう意味から言っても、この国鉄あるいは総合交通体系というものを、もう一遍現実に即してやるべきだと思うのです。それには、くどいようでありますが、道路財源等にも手を触れないで、わきの方から何かしようと言っても、これは無理な話だというふうに、手前どもは思うのであります。  それから最後の質問、これは運輸大臣にお尋ねした方がいいと思うのですが、いずれにしても、交通運輸に関する行政は、中心はなるほど運輸省にある。ところが運輸省の中でも、これはみんな縦割り、陸海空全部縦割りです。実際を言うと、おのおの連携があるようで、ない。そのほかに建設省あり、その他の各省があるわけであります。残念ながら交通運輸の行政というのは一貫性を欠いておる。少なくともこれを一元的にどこかの省でまとめるということが理想的かもしれませんが、これは言うべくしてできない。だから少なくとも、一元的に運営できるような機構、そういうものをいま考えるべきではないかというふうに思うわけです。運輸大臣のお考えをお聞きしましょう。  順次お答えください。     〔委員長退席、三塚委員長代理着席〕
  12. 森山欽司

    森山国務大臣 大変広範な問題を盛りたくさんに御質疑がございましたから、総括的にまず私からお答えいたします。  何もやってないじゃないか、こうおっしゃられると、私も何もやってないことはないではないかと、まあ申し上げたいのであります。先ほど来るるおっしゃったことは、運輸省はひとつ全体としてしっかりやれというお激励の言葉と、こういうふうに善意に解釈してお答えをいたしたいと思います。  第一番に、総合的な交通計画、特に陸上公共輸送の問題という点につきましては、私は、すでに現在できている計画というのは、昭和四十六年ごろできて石油ショック前のことであり、いささか。ペーパープランの傾向が強いわけでございますから、これを見直すということについては、先に閣議においてそのことも発言いたしましたし、省内におきましても、新しく官房に総務審議官制度というものも設けられましたから、これについて十分検討しておくようにということでございます。大体、制度といたしましては、総合交通体系は経済企画庁長官がその役割りということになっております。国務大臣に任命されます際に、私は運輸大臣の任命と一緒に成田空港担当という命令を受けております。経済企画庁長官は経済企画庁長官の任命とともに、総合交通政策担当ということになっておるわけでありますから、現在の機構を尊重いたしまして、経済企画庁の方にイニシアチブをとってもらい、実際問題としては運輸省がやられなければならない仕事の分野がきわめて広いわけでありますから、したがって、経済企画庁長官の方から、こちらにどうしたらいいかという具体的な相談がかかります前に、こちら側としての体制を整備しなければならないということで、目下鋭意検討中であります。  しかし、久保委員も御承知のとおり、わが国の行政官庁における役所の所管事項と申しますか、なわ張りというもの等が現実にあることは事実でございますから、やはりそういうなわ張り問題にかかずらいますと、本来のことがもう外にほうりっ放しで、そのなわ張り問題だけで問題が進展しなくなるという点もございますから、そういうことのないようにこれは考えていかなければならない。  したがって私は、今回の総合交通体系の見直しというものにつきましては、今後の、たとえば先ほどお話しいたしましたような陸上特会というような当面の問題のための仕事ということではなくて、そういう役所のなわ張りを離れた事柄として、この問題自体に取り組んでまいらなければならない。そうでありませんと、いろいろな役所がございますから、それぞれのなわ張りがございまして、なかなか十分な協力を得られないという面がありますので、そういう点を現実的に配慮しながら、すでにもう第一歩は踏み出しておるわけでありまして、経済企画庁の方から声がかかる前にこちらである程度体制を整備しておかなければならないということで、目下体制整備中でございまして、私も、部内にそのことを会合のたびごとに要望しておりますし、久保委員の発言というのは、その意味で、私も、応援団ということで大変ありがたく思っておる次第でございます。  いろいろな問題がたくさんありましたが、そのうちの一つとして割引制度の問題がございました。この割引制度の問題につきましては、これを構造的欠損というふうに見るかどうかというのはいろいろ問題があるだろう、こういうふうに私は思うのであります。その理由は、国鉄だけではどうにもならぬ問題と見るかどうかは、かつては高い割引率を国鉄経理の中で十分消化してきた、現に同じような高い割引率を私鉄においては消化しておるという事実もあるわけでありますが、国鉄がこういう財政状態になりましたから、これは国鉄だけではやり切れぬぞという考え方が一方にはありますけれども、かつては国鉄自身国鉄財政の中で消化し、現に私鉄において消化しているような問題を、これを直ちにもって国鉄だけでどうにもならぬ問題と言い切れるかどうかということについては両論があり得る。私どもといたしましても、その問題は、現段階においては構造的欠損と見るかどうかということについての一つ検討事項になっているわけです。国鉄運賃法によれば、学生通学パスで申しますれば一カ月の定期は五割引き、三カ月以上の定期は六割引き、しかし現実には、大体八割ぐらいの割引率になっておる。その差額だけで昭和五十四年度約六百六億円ぐらいになると予定されておりますから、この問題をどう処理するかというのが一つ問題点であることは間違いない。しかし、これを構造的欠損と直ちに言えるかどうかということは、これか円の再建策を立てる上においての事項だというふうに考えておるわけでございます。  このほか、たとえば年金問題の処理の問題というようなものも大きな問題でございますし、地方交通線の問題、先ほど来お話がありますような問題があります。  最後に、とにかく国鉄の運営の能率向上という観点からやらなければならぬこと、労使とも心がけなければならぬこと、その本陣に入って、すべての問題を総合的に六月末におよその輪郭を明らかにして、昭和五十五年度の概算要求に対処したい、こういうことでございますから、どうかはしご段も一度に上に上ってないからといって、しかし一段、二段上りつつあるという点は、久保委員も十分おわかりだと思いますので、そういう努力を目下鋭意重ねておる、また、やるにつきましても、はしご段がぐらぐらしていてはいけませんから、はしご段からそもそも直していかなければならないという意味で、いま体制を整備しながら進んでおるわけでございます。  どうも表にそういう点がはっきり出ないじゃないかとおっしゃいますが、私は、昨年の十一月八日に着任して、今日までまだ五カ月しかたっておりませんが、この間にこれらの仕事に鋭意挺身をいたしまして、微力を尽くして今日に至っておる。まず六月の時期を一つのめどといたしまして、目下せっかく努力中でございますので、どうかひとつ、うんと長い目とは申しませんが、少し長い目でごらんいただいて、私どもが努力している面は久保委員はおおよそ御存じのはずでございますから、先ほど来の御質疑は私に対する叱咤激励というふうに理解をいたしたいと思いますが、どうか今後とも、格別の御支援をお願いする次第でございます。
  13. 高木文雄

    ○高木説明員 再建基本方針を具体的にどう立てようとしているかというお尋ねでございますが、二つお尋ねがございましたが、いまのうまくいきません要因はやはり二つあると思います。  一つは、外的条件の整備とでも申しましょうか、他の輸送機関との関係で、置かれておる環境が非常に変わってきたということでございます。このことについて、再建基本方針の中で、どういうことをやっていただきたいということをはっきり出せということでございましたが、その点につきましては、再建基本方針の中でそういうことをお願いすることになるか、それとは別の問題として個々具体的な場合についてお願いすることになるか、そこまでは決めておりませんけれども、折に触れて、機会あるごとに、その外的条件について私どものお願い、主張を展開してまいりたいと思います。  第二の問題は、内部要因でございます。国鉄自体の問題でございますが、今回の再建基本方針の中では、どちらかというと、そちらの方に主体を置いて案をまとめたいというふうに考えております。そのときに、過去の例にありますように、とかく全体としての経営収支、財政収支をうまく取りつくろうということになりがちであったことは否定できないわけでございまして、そういうことを繰り返しましても意味がないので、もう少し具体的に、どういうふうにしてコストを下げるか、どういうふうにして増収を図るか、それでどこまで赤字を詰めることができるかということを具体的にいたしたいと思っております。  それを具体的に積み上げる作業をいたしますがために大変時間がかかっておる、手間取っておるわけでございますが、内部では実はかなり激しい議論を各担当ごとにいたしておるところでございまして、従来にはなかった内容のある再建の方策というものを立ててみたいと思います。  昨年の十月に貨物のダイヤ改正をやらせていただきましたが、あの作業はかなり具体的に各方面にわたる大作業であったわけでございますが、いわばああした考え方で、個別具体的にそれぞれのセクションについてどうするのかということを盛り込んだものにいたしたいというふうに考えております。
  14. 小粥正巳

    ○小粥説明員 大蔵省に対しましてお尋ねを三点いただいたように思いますが、最初は国鉄再建に関しまして五十年代収支均衡という問題でございますが、申すまでもなく、ただいまの国の財政は非常に危機的な状況でございます。その中で最大限の努力を払いまして、必要な国鉄助成を果たしているつもりでございますが、その意味でも、一日も早く国鉄財政が再建の軌道に乗り、収支均衡を果たしていただきたい、これは財政当局からも切なる希望でございます。  その意味で「基本方針」にもございます五十年代の収支均衡はぜひ達成していただきたいと強く要望するわけでございますけれども、ただ先生指摘のように、その収支均衡が単なる帳じり合わせということであってはいけない、これはそのとおりでございます。単なる帳じり合わせでは、そのとがめがまた必ず出てまいろうかと思います。そういう意味で、実質的な健全経営の回復をぜひしていただきたい、これが財政当局の強いお願いでございます。  それから二番目は、割引制度の問題のお尋ねをいただきましたが、これは先ほど運輸大臣から詳細にお答えをいただいたとおりでございまして「再建基本方針」の中でも、割引制度につきまして、国鉄再建問題の一環として見直しを行うというふうに述べられております。これは財政当局といたしましても、運輸省国鉄の間でただいま御相談が進んでおります今後の経営改善計画の見直しの中で、私どもも一緒に御相談にあずかってまいりたい、慎重に検討さしていただきたいと思っております。  三番目でございますが、先生指摘総合交通体系の確立、そのためのまた財政的な仕組みといたしましてどのようなものが考えられるか、これはまず所管省の運輸省のお考えを私ども真剣に伺ってまいりたいと思いますが、その背景になります財政上の仕組み、手段のあり方、これは私どもとしまして、今後とも一生懸命に勉強していかなければいけないと思います。  ただ、先生先ほどお話の、既存の交通手段に関連いたします種々の特別会計、これを総合すべきではないかという御提案でございますが、これは私どもの非常にむずかしい研究の対象ということで承らしていただきますが、財政技術的に申しますと、歳出の範囲を合理的にどうやって特定していくか、あるいはすでにそれぞれの目的に応じて区分経理されております現在の特別会計、特に主として受益者あるいは原因者負担の考え方から、たとえば目的税が徴収されまして特定の歳出に充てられておりますが、それぞれのつながりを総合的な会計に取り込んだ場合にどう説明をするかというようないろいろ財政法上のむずかしい問題もあろうかと存じます。いずれにいたしましても、運輸省と今後十分御相談をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  15. 久保三郎

    久保(三)委員 時間がすでに過ぎましたので、以上できょうは終わりますが、大臣に最後にちょっと申し上げておいた方がいいと思うのですが、激励されたと言うが、激励もしているのです、しかし、大臣もずいぶん気の長い話をされる人だなという感じを受けまして奇異に感じております。というのは、階段一歩ぐらい上がっているのを認めろと言うが、余り表に出ないからというだけじゃなくて、何か古い型から一歩も出ようという気力が余りないのじゃないかという見方をわれわれはしているんですよ。そういう意味で、もどかしさを感ずる。それでは運輸省も成り立たぬではないかというふうに思うので、申し上げているわけです。  それからもう一つは、公共割引の問題を構造的欠損だとはわれわれは言っていないのです。責任のあり個所は明確にしたらいいじゃないか。内部補助方式で私鉄は十分やっていると言うが、私鉄だってやっていられないのもあるんですよ。ローカルを持っていないで中央の大変輸送量の多いところだけ持っていれば、内部補助方式ということでそういう割引制度も生きてくる。ところが、もはや国鉄全国ネットワークでやっている場合に、すでに御案内のとおりの実態でありますから、これは内部補助方式でやれるかどうか。内部補助方式というとだれかが負担するわけですね、よそのものを。そういう方式がいまいいのかどうか。国鉄政府の直轄で、政府が直接経営に当たっているのなら、政府の政策実行の手段としていま申し上げたように公共割引などをやることも当然かもしれませんが、いまや国鉄は一企業体ということで処遇されつつありますから、そういうことになると、いささか大臣お話は古い話じゃないかというふうに思うのです。別に頭が古いと言うのじゃなくて話が古いのじゃないかというふうに考えますので、一層の御検討をいただきたいというふうに思います。  冒頭申し上げたように、地域交通について手をつけられないようでは、残念ながら運輸省の存在は余りないのじゃないかと思うのです。新幹線をどこへ引っ張るかなどという話ばかりしていても、国鉄再建はできないし、全国的なネットワークもそれじゃちょっとできないのじゃないかと思う。そういう意味でぜひ努力をしてもらいたいと思います。  以上で終わります。
  16. 森山欽司

    森山国務大臣 久保先生から大変気が長いではないか、こういうお話で、私は気が短いので有名なんですけれども、やはりはしご段を上まで上ろうとするときに、はしご段がぐらぐらしていてはしようがないですから、したがってまず、はしご段の補強からやりませんとなかなか目的を達成しがたいということであります。  それから、まず当面のめどを、六月という月を挙げて申し上げておるわけでございますから、決してそういうものをいつまでも長くほっとこうということではございません。  それから、昭和五十年代に収支相償うということがめどであり、「国鉄再建基本方針」になっておりますが、これは私、弾力的に考えているのです。実際的にただつじつま合わせを形だけやるというようなことでは困るわけでありますから、そういう点については弾力的に考えておりますが、それだけにやはりきちんとした事の進め方をしていかなければいかぬ、そういうことでございますので、御発言の趣旨というものを、あなたが口で言われることと反対のことを考えておられる場合もございましょうし、いろいろ格別の御交誼をいただいておりますから、御趣旨の線を体しまして今後全力を尽くしてまいりたいと考えております。
  17. 三塚博

    ○三塚委員長代理 田畑政一郎君。
  18. 田畑政一郎

    ○田畑委員 いまほど久保先生の方から総括的な御質問がございました。同じような質問になるわけでございますが、私は、少し中身に入って御質問させていただきたい、こういうふうに思います。  まず、ただいま国鉄の方から運輸大臣に対しまして運賃値上げの申請が出ておるわけでございます。五月二十日実施ということになっておりますが、これは期日的には間違いございませんか。
  19. 森山欽司

    森山国務大臣 予定どおり実施に移す方針でございます。
  20. 田畑政一郎

    ○田畑委員 この運賃値上げの問題でございますが、もともとはこれは国会の審議事項でございました。ところが、この前の運賃値上げのときから運輸大臣のいわゆる決定事項となりまして、前運輸大臣は、国鉄の申請に対しまして三段階に分けて運値賃上げを実施されておるわけでございます。そのときもちょっと議論したわけでございますが、国会の審議がなされるということによって、運賃値上げの時期を失して、それが国鉄財政に影響を及ぼすということで、国会の審議権を運輸大臣に移したわけでございますけれども、運輸大臣は、さらにそれを三段階に分けられておるわけでございます。  私は、今回の問題については、現運輸大臣はそういうことなく、これは一段階実施といいますか、即刻実施といいますか、五月二十日即刻実施の線で進まれるのかどうかということでございますが、いかがでございましょうか。
  21. 森山欽司

    森山国務大臣 当初の案は四月一日から実施をするということでございましたが、時期的問題を五月二十日にずらしました。これは諸般の観点からであり、特に私の気持ちとしては、五月の連休は避けたいというような気持ちで五月二十日の実施に同意をいたしました。したがって、当初の四月実施が五月三十日実施ということに繰り下がっておるということでございまして、目下、この運賃値上げの案につきましては、運輸審議会で検討中でございますから、最終的にどういう形になって出てくるかわかりませんが、審議の経過を事務当局から聞きますと、実施は五月二十日からということで、昨年のような三段階に分けるということはない、こういうふうに聞いております。
  22. 田畑政一郎

    ○田畑委員 この問題について、すでにいろいろな問題点指摘されておるわけでございますが、御案内のとおり、国鉄の乗客は例の五〇%値上げ以来どんどんと減っておる、こういう状況でございます。そういう中で、この運賃値上げを実施いたしますれば、これは当然、乗客がさらに減るということも考えられるのじゃないかと思うのです。しかも、この運賃値上げによって得るところの収入は、旅客運賃において千六百五十億、貨物において二百四十五億の増収を期待しておるわけでございますが、これだけの値上げのために乗客をさらに失うということは、その点一体どうかというふうに思うわけでございます。  それから第二の点は、御案内のように都市近郊におきまして、私鉄の運賃との関係を見ましても国鉄は相当高くなっておる、こういう状況ですね。だからこれ以上、運賃値上げをここで認めていくということは、国鉄再建というよりは国鉄にとっては多少の増収はただいま期待できたとしましても、印象的に、効果的には国鉄離れを非常に促進するところのマイナス面が大きいのではないかというように私は考えるわけでございますが、この点について運輸省あるいは国鉄当局としてはどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  23. 高木文雄

    ○高木説明員 いまお触れになりましたように、五〇%値上げの後いわゆる国鉄離れがかなりの程度に進行しておることは事実でございますけれども、これをしさいに見てみますと、必ずしも五割値上げの後に国鉄離れが進んだということでなしに、ちょうど五十年の年からそういう現象が起こってきておりまして、しかも、それは私どもだけでなくて、他の輸送機関においても、従来に比べますと、輸送量が停滞ぎみになっておるわけでございまして、これは経済全体の姿を反映しておる、決して運賃の影響がないとは申せませんけれども、しかし、それだけではないということをひとつ御理解いただきたいと思います。  それから、今回の改定に当たりましては、その点を非常に気をつけたわけでございまして、何か非常に取りやすいところから取る案になっておるのではないかという御指摘を受けるわけでございますが、それは必ずしもそういうことに正面からそういう気持ちで取り組んだわけではないわけでございますけれども、やはり私どもとしましては、現在の財政状況から考えますと、いわゆる実効のある改定でなければ意味がないわけでございますので、何とかいまのいわゆる国鉄離れ傾向を促進することのないような配慮を加えながら、どうやって上げさせていただくかということを相当詰めたつもりでございまして、遠距離逓減の制度などにつきましても、従来の二段階を三段階に変えるということにいたしましたのも、そういう趣旨でございまして、かなり顕著に出ておりますところの新幹線を初めとした遠距離客の減少傾向に何とか歯どめをかけたいということにウエートを置いて考えております。その結果、どうしても全体としてある程度の収入をいただきたい、しかも遠距離は余り多くを期待できないという結果として近距離にウエートがかかったことは事実でございます。そういうお客様に大変御迷惑と思いますけれども、現状においては、やはりそうした傾向を織り込んで案を立てざるを得ないということでございます。  それらを総合して結局、意味のないものになりはしないかということでございますけれども、そういうことはないのでございまして、しばしば御非難は受けますけれども、五割値上げのときも、あるいは五十三年値上げのときも、やはり値上げをさせていただいて、それなりに相当の増収をいただいたわけでございます。総合してみまして、結局、経営の面だけから見ますと、やはり非常に大きな効果があったわけでございますので、そのことのためにかえってマイナスになる、全体としてイメージダウンになるということについては心配はいたしておりますけれども、しかし現状においては、背に腹はかえられないと申しますか、そういう立場をとらざるを得ないわけでございます。そのことについて、ぜひひとつ御理解をいただきたいと思っております。
  24. 山上孝史

    山上政府委員 先生も御承知のとおり「再建基本方針」の中で、三本柱で国鉄再建を図ろうということになっておりますが、その中の一つといたしまして「今後の運賃改定については、国鉄の主体的な経営判断のもとに、輸送需要の動向、他の交通機関との関係等を考慮しつつ、適時適切に実施することとし、これにより国鉄の収支が少なくとも現在以上に悪化することを防止する。」こういうことで、今回の運賃改定の申請が出されたものと考えております。  なお、先生の御指摘なり御心配の点でございますが、特に大都市において他の交通機関私鉄等に比べて格差が非常に出てきておる、この点についてどうなんだという御指摘でございますが、御指摘のとおり、大都市圏の並行の民鉄と国鉄との間には、一部の区間におきまして、すでに国鉄運賃が高く、運賃格差が生じていることは事実でございますが、ただ、同じ大都市圏を営業範囲としている公営地下鉄などにおきましては、かえって国鉄運賃よりも高くなっているところが非常に多いわけであります。また逆にローカル交通におきまして、類似のサービスを提供しております中小民鉄や中小のバスと国鉄とを比較いたしますと、国鉄運賃の方が一般的には安くなっております。たとえば通学定期等を見ますと、国鉄に比べて中小民鉄の方は、やはり二倍、三倍のところが相当にございます。こういうことは、国鉄が現在、全国一律の運賃制度を採用しているということに対しまして、民鉄とかバス等におきましては、それぞれの事業の経営状況を反映いたしまして、企業ごとに運賃が設定されているということに起因しているわけでございます。したがいまして、国鉄が全国一律運賃制度というものを採用している以上は、ある程度の格差が生ずるのはやむを得ないことかと考えております。  いずれにいたしましても、先ほど大臣がお答え申し上げましたとおり、今度の認可申請の案につきましては、現在、運輸審議会において御審議をお願いしておりますので、その御審議の結果の答申を得ましたら、物価問題の関係閣僚会議に付議をいたしまして、適切な結論を得たい、かように存じております。
  25. 田畑政一郎

    ○田畑委員 わかりました。  結局、経費の値上がり分についていわゆる運賃改定を行うということでございますから、これは国鉄総裁はことしの運賃値上げも当然でございますけれども、来年またやる、再来年も運賃値上げをやるということになるかと思うのでございます。また運輸大臣はそれを毎年承認をされていくということになるかと思うわけでございます。  私は、国鉄の今日の不評判というのは、かなり大幅の運賃値上げが引き続いて行われるということにあると思うのでございますが、こういうことを単純に繰り返していかれるのかどうかですね。これは非常に問題があるのじゃないか。  たとえば、ことしの例でございますが、いまほど久保先生からもお話がございましたように、地方交通線対策というのは、これはしばらくの間結論が延期になっている。その延期になっておる最大の理由は、国鉄経営を含むところの再建策の目途を立てるのにまだ時間を要するからだ、こういうことになっている。この地方交通線の欠損というのは、年間、五十二年度で約二千六百億台でございます。国鉄の運賃の引き上げの方は約千九百億ほどということになっておる。同じような、これは金額は多少まだ地方交通線の方が高いわけですが、地方交通線の方は抑えるけれども、運賃値上げだけは毎年決まってやる、こういうやり方は、私、運輸行政として国民が見た場合に、果たして納得ができるものであるかどうかというふうに思うと考えるのです、直感的に。地方ローカル線は赤字だ、それはしかし結論を引き延ばす、一方において運賃値上げだけは毎年決まって定期的にやっていくということだけで、これは納得できるかどうかということでございますね。  だから私は、今年度の運賃値上げについても、大臣はやはりしかるべき裁量を発揮しなければならぬと思うのです。少なくとも地方ローカル線並みに扱うならば、国鉄の今後の基本方針が決まるまでは、千八百億台ぐらいの運賃値上げについては、これは一時たな上げをするというくらいの方法をとってもいいのじゃないかと私は思うのでございますが、この点いかがでしょう、大臣
  26. 森山欽司

    森山国務大臣 まず、ことしの運賃値上げは四月から実施すれば千九百億ということであり、五月二十日から実施をすれば千六百五十億という予定であります。ですから、先ほどお話のありました数字は平年度の運賃収入、こういうふうに理解を願いたいと思います。  しかし、今度の運賃値上げにぶつかりまして、私自身は、これからの値上げがあなたのおっしゃるように毎年毎年やれるような状況ではないのではないか、非常にむずかしくなってきた、こういうふうに思っております。法律上は一定の制約のもとに国会の御審議を経ずして運賃値上げができるようにはなりましたけれども、この段階においてこれから毎年毎年というようなわけにはいかない、非常にむずかしくなってきた、こういうふうに考えております。  先のことでございますから、何とも申しがたいわけでございますが、しかし他方において、たとえば人件費のアップというものは、これは毎年あるわけでございますから、大体運輸収入と人件費の比率は、運輸収入がわずかに人件費を上回っているという程度でございますから、いままでの既成概念で言えば、非常に相矛盾したファクターが、運賃改正をめぐって今後もあり得ると思うのです。それだけに、本格的に国鉄再建のめどをつけていかなければならないというふうに考えておりまして、運賃値上げよりは国鉄再建策ということで考えていかなきゃならぬというふうに思っております。  そういう状況を、やはり国鉄内部を外から見ておりまして、仮に理事者、管理者の立場の方々は、本気でわかるといたしましても——こういう仮定論は大変失礼な話でございますが、理屈ではわかっておるんですね、しかし、これは大変だということで本当にわかったといたしましても、国鉄内部において従業員の側あるいは労働組合の側に、やはり十分そういうことを理解してもらわなくてはいけませんから、先般私は、国鉄役員の一人に労組側の代表を任命する用意があるということを申し上げたわけでございまして、国鉄役員の一人に労組側の代表が入るわけでございますから、いわば一種の経営参加ということになるわけでございます。今後、これがどういう形で進展していくかということが考えられるわけでございますが、ともかく一緒にやろうやということで仕事が進んでいけば、そういう体制は進んでいくだろうと思います。  そういう中で、先ほど来の構造的欠損と考えられるような事項、あるいは構造的欠損とまではいかなくても何とかしなければならない問題の処理もやらなければなりませんし、それから従業員一人当たりの営業収益を上げるというために——それは私、運輸大臣でございますから鉄道関係だけではございません。海運とか造船とか、わが国において最もむずかしい不況産業が私の管轄下にございますが、これは大変気の毒でございますね。たとえば造船のごときは、注文が最盛期の十分の一になっておりまして、つい先ごろまでは、三年分ぐらいの仕事を抱えて、フル操業でやっても間に合わなかったのが、いまや一年の三分の一ぐらいの仕事量しか抱えていない、とてもやっていけぬということでありますから、遺憾ながら中小の造船所では倒産というような状態になったものもあります。しかし、生き残った造船所にいたしましても、いままでのようにたくさんの人を抱えているわけにいきませんから人員整理もやる、しかもペースアップなどやるわけにまいらぬ、ベースダウンでとにかくこの急場をしのぐというような大勢にもなっておりまして、今度の造船の春闘における態度も、もう定期昇給だけでもやらしてもらえればありがたい、こういうような状況でございますから、一方において、そういうむずかしい産業を抱えているだけに、国鉄を中心にした再建問題というものはなかなか容易ではない。しかし、ある程度の時間をかげながら、できるだけこの再建にいく方法といたしまして、国鉄は現在の人員構成上年配者の方が非常に多いわけでございますから、それらの方々がやめられた後の補充というものについて、これを厳しく抑制するという形で、最小限度の犠牲をもって最大の効果を上げるようにこれから鋭意努力をしてまいりたい。要するに運賃値上げだけで事が片づくような時代ではなくなったということであります。  小田原まで行くのに、小田急で行けば八百何十円で行けるわけですが、国鉄の新幹線で小田原まで行きますと二千四、五百円取りますからね。そういう状況になっておりますので、運賃値上げによって、これからの国鉄の健全な経営改善を図るということはまずできないと私は考えております。運賃値上げは容易ではないと思っておりますだけに、今後、国鉄再建ということにみんなで力を合わせて、国鉄内部における労使も力を合わせ、政府もそれに対してできるだけの力添えをするという形で、やや長期で、再建策によれば五十年代に収支償うようにということでありますが、先ほど申しましたように、その点は弾力的に考えて、余りだらだらになるようでは困るわけでありますが、おのずからなる常識の範囲内においてこの再建策を進めるべくいま鋭意努力中でございまして、この点は先ほど久保委員に申し上げたとおりでございます。
  27. 田畑政一郎

    ○田畑委員 いまの大臣の御答弁で、いわば去年ことしと繰り返してまいりました運賃値上げのこういうやり方というのは、必ずしも継続するものじゃないというふうに理解をいたします。そうですね、運賃値上げはなかなかむずかしくなってきた、そういうふうに理解してよろしゅうございますね。
  28. 森山欽司

    森山国務大臣 先のことですから、はっきり私は申し上げるわけにはまいりませんが、運賃値上げはなかなかむずかしくなったというのが私の印象である、こういうことです。
  29. 田畑政一郎

    ○田畑委員 これは実際ことしも本当は上げられないと私は思うのです。だからその辺は、私からの要望といたしまして、昨年は一応そういう三段階という方式をとられましたが、やはり大臣はある程度国鉄に対する国民の風当たりといいますか、あるいは関心というものを十分見ていただいて決断をしていただくようにお願いをしたいと思う。  さて、この問題と関連をいたしまして大臣にお伺いしたいと思うのですが、御案内のとおり、一般消費税という問題が国民の問に非常に大きな問題になっておりまして、これはまた大蔵省の方からも、来年度から一般消費税導入という方向が出ておるわけでございますが、そこで、いまでさえこういう運賃に対する国民の関心が高いわけでございますが、一般消費税が導入された場合において、運賃に対してはこの消費税はかかるのかどうか、あるいは大臣はどういう立場でこれに対処しようとされておるのか、これはもうこの次の国会では遅うございますので、ここでお聞きしておきたいと思います。
  30. 森山欽司

    森山国務大臣 一般消費税を導入するかどうかというのは、わが国全体のこれからの財政の上での大きな問題点でございまして、どういう方向に最終的に相なるか、これはまだめどを得てないというふうに考えます。私どもとしては、仮にそういう制度が導入された場合、料金の上にどういう影響があるかということをいま事務当局で詰めさしておる、そういうところでございます。
  31. 田畑政一郎

    ○田畑委員 これはいかがでございましょう、たとえば食料品等には一般消費税はかけない、やはり食料品は国民の生活にとっていわゆる最高に寄与しておりますし、関心の深いものでございますから、そういう形になっておりますが、運賃に対して消費税が導入されるということになりますると、これは大変なことになると思うのです。しかも、これは国鉄経営だけに限って言えば、国鉄経営にも大きい影響を及ぼすと思うのでございますが、これについて大臣は、やはり運賃等に対してはひとつ消費税の対象にしないという不退転の決意を持って当たっていただかなければならぬ、こう思うのです。食料品と比べても決してまさるとも劣らない国民の必需品でありまして、そういう意味においては、私は、担当大臣としてはその辺はがんばっていただかなければならぬのじゃないかと思うのですが、ちょっと研究している程度では答弁として私は納得できませんので、ひとつその点いかがか、再度お伺いいたします。
  32. 森山欽司

    森山国務大臣 どうも天下の大問題当面の財政上の大問題を一つ出されましたので、いまの私の立場で明確な答弁をするだけの用意はないのでありますが、事務方の方で目下内々に検討している段階では、国鉄運賃にも一般消費税はかかるというような考え方だそうであります。したがって、それに対して事務方としては、それは好ましくないという形でいま考えておるというところでありまして、私も、もう少し全体を把握いたしまして考えを固めてまいりたいと思いますし、ただいま御指摘のありました点を十分留意して今後進んでまいりたいと思います。
  33. 田畑政一郎

    ○田畑委員 一般消費税が導入されますと、運賃全体に対して、あるいは国鉄の収入全体に対しても、これはもう大きな影響を及ぼすと思いますので、ひとつ研究と言わないで、大臣としては、少なくとも交通費といいますか、いわゆる交通機関を利用いたしました交通費ですね、しかも、ぜいたくにわたらないものに対しては税金をかけない、昔からぜいたくにわたるような、たとえば飛行機とかあるいはグリーンとかというようなものに対しては、そういう交通費にはかかったことがございますけれども、普通のお客に対して税金がかかったことはないわけでございますので、この点はいわゆる伝統を重んじて、非常にきょう今日まで、いろいろなことについて決断のいい大臣がと言われておるのでございますから、がんばっていただきたいというふうに考えております。  もうこんなことで時間が参りましたので、あと一、二点だけお伺いいたしておきますが、一つは、これはやはり税金の問題でございますが、国鉄は市町村に対して納付金を納入いたしておるわけでございます。これもいつも問題になっておるわけですが、道路に対しては税金はかからない、しかし、何で国鉄だけ税金を納めなければならないのか。これも非常に余裕がある時代ならば別でございますが、きょう今日は国鉄も余裕がなくなってきておるわけですね。そして見てみますと、このごろは高速自動車道路なんというのができまして、高速自動車道路は料金のいわゆる納入所などが、国鉄で言うと駅ができておるのですが、そういう有料でやっておりましても、そういうところでも、いわば税金の対象にならないのに、国鉄のレールその他については、これは全部税金の対象になっておる、これは私、非常に矛盾だと思うのでございますが、これについて大臣はひとつがんばる気があるのかどうかということをお伺いいたしたいと思います。
  34. 山上孝史

    山上政府委員 先生指摘のように、高速道路には税金はかかっていないようでございます。公社等が持っております資産につきまして所在の市町村への納付金、これは地方税法におきまして、これも先生承知のことでございますが、固定資産が非課税とされているわけでございまして、このような固定資産につきまして、いわば固定資産税にかわるべき制度としてこの納付金が設けられておる、このように承知しております。しかし、これも先生いま御指摘でありましたが、国鉄経営の危機的な現状から言いまして、運輸省といたしましては、国鉄の業務の実施上特に必要なものを中心にその減免に努めておりまして、一部軽減については実現を見ておりますが、まだ遺憾ながら全面的な減免にはなっておりません。この点につきましては、国鉄再建のための具体策の一環といたしまして、さらに関係の向きと協議をいたしまして、経営負担の軽減の具体的な策の一環としてその実現を期してまいりたい、かように存じております。
  35. 田畑政一郎

    ○田畑委員 これは料金を取っておる自動車の道路については税金は免除になっており、同じように運賃を取っておる国鉄については税金を納める。大臣、やはりこの辺はがんばっていただかなければならぬのじゃないかというふうに思います。だから、ぜひ次の予算編成までには大臣自身ががんばっていただくことを私は要望しておきますが、いかがでございますか。
  36. 森山欽司

    森山国務大臣 ただいま鉄監局長から御答弁いたしました線で努力いたします。
  37. 田畑政一郎

    ○田畑委員 終わります。
  38. 三塚博

    ○三塚委員長代理 太田一夫君。
  39. 太田一夫

    ○太田委員 私から運輸省にお尋ねをいたしますのは、このごろ自動車の登録の数、これが非常に目覚ましくふえ続けておりまして、とどまるところがないという状態であると思うのです。  それで、先ほど大臣もお答えになりましたが、わが国の交通政策というのは、国鉄私鉄があり、幹線と支線があり、それから鉄道と飛行機、鉄道とそれから自動車、自動車の中では自家用車とバス、タクシーという営業車、こういう問題がいろいろありまして、旅客輸送に限って自動車のことを考えてみても、いろいろそれぞれの分野において競い合っていることは現実でございます。  そこで、登録という面から見ますると、特に自動車の競争というのは、他の交通機関に対しても、あるいは道路の実情というものも全然視野の外に置いておいて、幾らでも持ってくれば登録を認める、こういう構えにいま運輸省はなっておるわけですね。私は、自動車の登録というのは、新時代に即すれば登録についての何か方針がなくちゃならない、単にこれを財産権として登録するとか安全のために型式さえ合っていればよろしいとかいうことでなくて、政策的に何か登録というものが動いていかなければならぬと思うが、これにはノーブレーキなんですね。このノーブレーキというのは私は危ないと思うが、大臣はいかがですか。
  40. 森山欽司

    森山国務大臣 最初はバスの話でございますが、バスは、地方においては過疎、それから都市においては渋滞ということで、ほとんどその数がふえておらない。昭和四十三年ごろでしょうかがピークで、その数がふえていないということは事実でございます。したがいまして、公共輸送機関のバスというものの利用を促進するというために、いろんなことをこれから考えていかなければならぬというふうに考えております。  いろんなことと申しますことは、バス輸送人員の減少に対処するために関係省庁と密接な連絡をとりつつ、バス専用レーンの拡大、バス優先信号の設置、駐車規制の強化等交通規制を推進する、あるいは乗り継ぎバスターミナル及びバス・ロケーション・システムの整備に対する補助、新住宅地バスの運行に対する補助等サービスの改善を図る、今後ともバス利用の促進に努めるというようなことが現に行われ、これからもそういう点を推進していかなければならない。過疎バスにつきましては、必要がございますから、これはバスの補助を現在やっていることは御承知のとおりでございます。  それから、自動車の登録というものの目的は、財産権と申しますか、自動車の取引の安全を確保するために第三者に対する対抗要件、対抗力を付与するという民事上の必要に基づく制度で、自家用車の抑制の手段として登録制度を利用するというふうに直ちに持っていくことは適当かどうか、その点は問題ではないかと思います。運輸省としましては、関係省庁の協力を得て、バス等の公共輸送機関への需要の誘導を図ってまいるために、先ほど来申し上げました各施策を総合的に推進する。しかし、乗用車の場合についてそこまでやれるかということは、現段階いろいろ問題があるのではないか。特に省エネルギーの面から言えば、そういうことも考えなければならぬような先行きに相なるかどうかということは一つの大きな問題点でございますが、現段階において、そういう観点から現在の民事上の必要以上の意味で登録をやることは適当であるかどうか、これはいかがでございましょうかな。
  41. 太田一夫

    ○太田委員 私の方に聞かれても、ちょっと答弁ができぬわけですけれども、運輸省はこの登録というのは、いま地方陸運局、陸運事務所において非常に大事な仕事になっておるわけですね。それは登録の条件というのは道路運送法にあるわけですから、これを拒否する条件というのは、形式的な条件だけでありまして、政策的な拒否の条件はありません。したがいまして、登録という問題は、車を買った方にある、その方が所要の書類を整備して行けば必ずナンバーがもらえるという仕組みになっておるわけです。どんどんウナギ登りに登ってきますこの自動車というのは、やがて道路を埋め尽くし、交通渋滞を起こし、場合によっては、それが鉄道あるいは公共交通機関であるバス、タクシー等を脅かして、せっかくの系統的な交通網というのが機能を失うようなことになっていくわけです。  そこで、いま大臣おっしゃったように、いま自動車というのをむやみやたらに使っているのは目に余るが、そうかと言って強力にばっさりと、もう登録しないぞと言うのも暴論だろうと思いますがね。ではあるけれども、たとえば人口が百万人ふえるとする、大体このごろ百十万人ぐらい一年にふえますね、だから、百十万人ぐらいふえたら百十万台は新しく登録を許すけれども、あとそれを超えたものは、古いナンバーを持ってきたいわゆる交換、登録がえである、古い自動車は廃棄して新しい自動車にかえますという継続の登録ならばこれは認めていく、こういうように少しずつ何か政策的にセーブしていく必要があると思うんですよ。     〔三塚委員長代理退席、佐藤(守)委員長     代理着席〕  これは、いまあなたの方の仕事ですからね、あなたの方は、どういう方針で、昔つくった道路運送法の規定をそのままにしておいて、そしていま困り切っておる道路交通難、ラッシュというものにそのまま目をつぶり、公共交通機関のバスが動けない、タクシーが動けないというのに目をつぶっていらっしゃるのか。ここのところに何か政策がそろそろ出てきてもいいじゃないかと思うんですよ。これはもう一遍大臣、所感を述べてください。
  42. 森山欽司

    森山国務大臣 まあ答弁というよりは感想を申し上げる程度のことでお許しを願えれば、確かに、現在の大問題をきわめてはっきりと御質疑があったわけでございますが、油の事情というもの、それから道路の事情というもの、いずれも制約があるわけでございますから、個人の選好にのみ任しておいて果たしていいのかという問題はございます。これは自家用車だけに限らないと思うので、交通政策全般にそういう意味では考えていかなければならぬことでございますが、私どもの経済の運営のたてまえから申し上げまして、余り直接法でそういうことをやっていくことが、本当に効果を上げ得るかどうかということも、これは考えていかなければなりませんから、現在における問題点を非常に率直にお話があったというふうに私は伺って、この場は感想を述べろということで、答弁じゃない感想でございますから、どうかひとつそういうふうに御了解願いたいと思います。
  43. 太田一夫

    ○太田委員 自動車局長にお尋ねをいたしますが、局長、あなたは主管の責任者といたしまして、この登録の問題が昔のままに、言うならどんどんと流れ作業で登録されておる、自動車はどんどん毎年ふえ続けておるということについて、何か反省されていらっしやる点はないのですか。
  44. 梶原清

    ○梶原政府委員 先生指摘のとおり、最近、自家用自動車を主軸に自動車が伸びておるわけでございまして、昨年末に、わが国の自動車の保有台数は三千五百万台に達しました。そのうち自家用車が九七・三%でございまして、営業車は残りのわずか二・七%という状況にございます。しかしながら、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、自動車の登録制度の面で抑制するということは困難であろう、こういうふうに考えるわけでございます。ただ、公共輸送、とりわけ効率的な公共輸送を育成強化していかなければいけないことはもう事実でございまして、先生承知のとおり、昭和四十年代に入りまして以降、地方バスに対する国と地方公共団体における助成とか、あるいはバスの優先レーン、専用レーンの設定等を主軸といたします交通環境の整備、こういうことに力を入れてまいっておるわけでございまして、今後ともこれらの拡充強化に努めてまいりたい、かように考える次第でございます。
  45. 太田一夫

    ○太田委員 登録という制度において抑制することは困難と思うとおっしゃいましたけれども、これは局長、いまのままなら困難であるが、これは運輸省のみでない、経済企画庁にも関係あるでしょうし、通産省、大蔵省、みんな関係がありますが、総合的な交通政策の中において登録をいかにするかというのは重大問題です。いまのままにどんどん無制限に登録を許可していくということは、わが国に自動車がはんらんするということは目に見えておるし、それが交通安全の問題に響き、あるいは交通の渋滞とか交通の秩序の非常な混乱という問題になっておるわけですから、これは困難な登録の抑制ということではありましょうが、何か問題を提起されるときがもう来ておる、そう私は思うわけです。  そこで通産省、自動車をつくる方の機械情報産業局としては、自動車をつくる方をあなたの方は行政的に見ていらっしゃるわけですが、これは自動車の型式承認は運輸省であるし、具体的に登録も運輸省でありますから、あなたの直接的な責任はないが、二次的な責任というのですか、自動車産業の主管省としてお尋ねしますが、一体道路交通の渋滞というのは、人間が多く歩くのじゃなくて、車のはんらんによって車の流れが阻害されて渋滞を来し、そのために一般的に全国の公共交通機関である乗り合いバスというのは、同じように渦の中に巻き込まれて動けなくなっておる、定時に着かない、そういう点から、バスなどに乗ったって意味ないというので、裏回りするとか遠回りするなりして自家用車、自家用車へと車の需要がふえていってしまっておるわけですね。  そこで、そのことが無限大に続いておりまして、この登録というのは、五十二年度新規に登録の台数は四百四十八万台です。これは継続の分も含んでおりますからでございますけれども、こういう時代に自動車産業育成だけでは、わが国の経済政策としてはいささか問題があるのではないか。もうちょっと自動車も総合交通政策観点に従って位置づけられていくべきだと思うが、通産省はどう考えられるか。
  46. 浜岡平一

    ○浜岡説明員 自動車産業は非常に社会性と国際性の高い産業だと考えております。自動車の供給のあり方は、やはり社会的ニーズにマッチして行われるべきものだと存じております。先生お話のマイカーを持つ意味につきまして、やはり地域地域によってずいぶん違いがあるのではないかというぐあいに存じております。地方では生活必需品的なところもあるのじゃないかと思いますが、確かに、巨大都市では相当マイカーのはんらんという印象があることは否めないというぐあいに存じておりますし、また省エネルギーというような観点からマイカー利用の自粛ということが実施されておることも御承知のとおりでございます。ただ、さまざまの事情で車が保有されておりますものですから、ダイレクトにだれが車を持つべきだというコントロールを政府がやるよりも、いま自動車局長からもお話ございましたように、マイカーの使い方を規制することによって、間接的に車の保有を誘導していくというようなアプローチは非常に必要なことだと存じておりますし、そういう総合的な社会システムの中で自動車産業のあり方というものも決定されるべきものではないかと存じております。
  47. 太田一夫

    ○太田委員 いまの課長のお話は、じゃんじゃん使えというお話じゃないし、よくわかった話だと思いますが、当該通産省、産業の元締めとしては、それぐらいしか言えないときでしょうね。だから、いまのように通産省の考え方を聞いてみても、これは運輸省、もうちょっと一歩進まなければいかぬですね。精神運動に終わらしてはいかぬと思うのです。車の使用の仕方、車の位置づけを精神運動で解決しようというのは、これはとてものこと千日手でありまして、解決したようで解決しない、詰まらないと私は思う。  大蔵省にお尋ねをいたしますが、大蔵省は自動車がふえれば税金がふえるから大変ありがたいと思っていらっしゃるか、それとも税金がふえる以上に公共投資がふえて、大蔵省として考えてみれば、この辺で自動車のはんらんについては何らかひとつ再考を要すると考えていらっしゃるのか、その辺ちょっとお答えをいただきたい。
  48. 塚越則男

    ○塚越説明員 自動車の数はこのところ大変ふえておりますが、一方、わが国の道路整備の状況から見まして、今後とも道路の整備を計画的に推進していく必要があるというふうに考えております。このために五十三年度を初年度といたしまして、五カ年問に総額二十八兆五千億の道路投資を行う計画の第八次道路整備五カ年計画策定いたしまして、計画的な道路整備に努めておるわけでございますが、道路整備の財源につきましては、その道路利用者という受益者があるわけでございますから、その便益に応じた負担をしていただくということには、それなりの理由があることと思っておりまして、第八次五カ年計画財源確保等を図るために、昭和五十四年度から揮発油税等の増収措置を講ずることにいたしたわけでございます。このような形で、その受益に応じた負担というようなことを求めてまいるという考え方をとっているわけでございます。
  49. 太田一夫

    ○太田委員 道路整備を中心としたお考えということが大蔵省から出るとすれば、これは建設省としては大変やりいいお話で、建設省の道路計画をますます拡大することになるでしょうが、いまの自動車のふえぐあいと、それから道路の建設と、それではテンポは合っているのですか。どちらが早くてどちらが遅いのですか。これは大蔵省にちょっともう一回お尋ねします。
  50. 塚越則男

    ○塚越説明員 これは大変むずかしい御質問だと思いますけれども、確かに、現在の道路状況から見まして、自動車の増加に対しまして道路整備は、それほど十分に対応し切れていないという面はあろうかと思っております。
  51. 太田一夫

    ○太田委員 そうすると、もっともっと応益負担ということになれば、利益に応じて負担をすべしだということになると、自動車のユーザーには相当今後も大きな負担がかかるものと考えられる。それは余りユーザーを甘やかしていくということは間違いだと思いますから、それでよろしいと思いますが、しかし、車がふえるのが余り政策的にとめられない、そうして道路の拡大は、さらに何次何次と回数を重ねて整備を進める、道路網を拡大するということを続けていくということは、やがて日本じゅう道路だらけになるわけですね。人間の住むところがなくなるわけですね。食糧をつくるところもなくなるような感じがする。  それじゃ、ちょっと伺いますが、これは通産省と大蔵省と建設省の三省からお答えをいただきたいのですが、日本の人口は一体どれぐらいまでふえていくつもりでいらっしゃるか。
  52. 浜岡平一

    ○浜岡説明員 私からお答え申し上げるのが適当かどうかでございますが、国土庁へ出向しておりましたときの知識でございますが、第三次全国総合開発計画策定いたします際のフレームといたしましては、やはり紀元二〇四〇年前後まで日本の人口がふえ続けて、そのころから静止状態にたるであろう、それで、その時期の日本の人口は、一億四千五百万前後というような数字で、現在と比べますと、約三千万人増加するというようなことが、基本的フレームとして想定されておったように記憶いたしております。
  53. 山本重三

    山本説明員 日本の人口の将来像につきましては、昨年策定いたしました全国総合開発計画、いわゆる第三次全国総合開発計画の中でフレームが決められておりますが、これによりますと、昭和六十年に約一億二千四百万人、六十五年に一億二千八百万人、七十五年に一億三千七百万人、二十一世紀には一億四千万人というような想定が出ておりますが、私どもも、この人口フレームに対応した施策を進めていきたい、かように考えております。
  54. 塚越則男

    ○塚越説明員 ただいま通産省、建設省からお答えしたとおりでございます。
  55. 太田一夫

    ○太田委員 さすがに大蔵省の塚越主計官ですか、専門に仕事をやっていらっしゃったらしくて、大体、的に当たった数字のようでございますね。私も、先のことはだれにもまだ確かめておりませんからわからないが、一応一億四千四、五百万人で静止状態になるということは、たしか人口学の結論でございましょう。だが、そこまでいくということは、いまから三千万ふえるんですからね。それまでは無制限に自動車をつくらせ、売らせ、登録させ、無放任だということは、いまから三千万台ふえるということですね。人間一人ふえるごとに一台ずつ買っていくということになれば三千万台ふえる。いまの自動車プラス三千万台、これでは東京は歩くことも動くこともできないで、自動車を並べておいて、屋根の上をみんな歩いていくというような話になるわけでございますが、それだけにこの辺でそろそろ登録というものの持つ性格をよくお考えいただきまして、考え直していただいて、将来誤りなき総合交通政策の一助とされることを望みます。  この問題を長くやっておると次の問題に入れませんから、それは一応打ち切りまして、建設省にお尋ねをいたします。  建設省の道路局の方で、いま日本の道路というものの使用についていろいろ厳しいことを言っていらっしゃいますね。道路をバスが走る、バスレーンというのは、警察との話があればある程度つくることをオーケーされるようでありますが、そのバスの停留所には標識を置くこと、これも余り大きな標識はいけない、それからさらにバス停留所に相当のお客様が集まるところがあったといたしましても、そこに待合室をつくることを余り承知されない、この待合室というのは家のような待合室じゃなくて、いまの待合室というのは屋根があるだけの非常にスマートなものになってきておりますが、そういうものさえもつくることをがえんじられない、承諾されない、非常にむずかしいことをおっしゃるそうですが、基本方針はどうなっておりますか。
  56. 山本重三

    山本説明員 私どもは、道路を使用するバス輸送につきましては、かなり側面から御協力申し上げまして、バスレーンの設置であるとかあるいはバス停の設置等につきましては、できるだけの御協力を申し上げておるのが実情でございます。  いま先生の御指摘になりましたのは、バス停留所の上屋の問題であろうかと思いますが、上屋の問題につきましては、実際に道路の路外に設置される場合については問題はないのですが、やはりバスの停留所というものはほとんど歩道を使っております。そういう意味で、歩行者の交通の安全あるいは円滑という面から、いろいろな管理上の理由から抑制されている面はあったと思います。そういう意味で、この問題につきましては、各道路管理者が実情に応じていろいろ取り扱ってきたのですが、統一的な扱い方がなされておらない、そういう面から、バスの上屋の設置について、もう少し何か促進してもらえる措置はないだろうかというような要請が、一昨年の十一月、運輸省自動車局長の方から私どもにありまして、私どもも、その点を受け入れまして、同年の十二月に、バスの上屋の設置基準を定めまして、これを各道路管理者に示してございます。これによって私どもは、統一的な形でこういった適正なバス停留所の上屋の設置がその後進められてきておる、かように考えております。決して抑制しているということじゃなくて、道路に設置するものとして適切なものをむしろ側面から促進するという形で指導しているわけでございます。
  57. 太田一夫

    ○太田委員 自動車局長、いま、あなたとの御協議の結果、建設省が出しました通達というのは、側面から協力する立場にあるとおっしゃったが、何か内容が厳しいのじゃありませんか。あなたの方はどう考えていらっしゃいますか。
  58. 梶原清

    ○梶原政府委員 建設省からお答えがございましたように、最近基準改正していただきまして、御協力をいただいておるわけでございます。私どもも、その内容を十分承知いたしておるところでございまして、今後とも都市バス、地方バスを通じまして、バスが大衆から愛されるような、利用されるような機関にするために、なお一層の努力をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  59. 太田一夫

    ○太田委員 建設省の課長さん、そのいまの内容について、何か道幅がどうだとか何だとか非常に厳しいことが決まっておるのじゃありませんか。地方の方で上屋をつくることを地方建設局はなかなか承認しないようですね。基準、骨子はどんな内容なんですか。
  60. 山本重三

    山本説明員 五十二年の十二月に、私どもが通達いたしました上屋の設置基準の中身は、設置場所、構造、それから占用主体、管理、こういったものを主たる内容にしておりますが、たとえば設置位置につきましては、歩車道の区別のある道路については、幅員が原則として三メートル以上、それから歩車道の区別のない道路では、道路ののりじりを使いなさい、それから構造の面では、これは地震、風圧、雪の荷重、こういったものに十分耐え得られる安全な構造にしなさい、それから上屋の幅は原則として二メートル、それから上屋の長さは原則として十二メートル、歩道が大部分でございますから、歩道の歩行者のできるだけ支障のないような形で、バス停でバスに乗るのをお待ちになっている方だけの本来の施設でございませんので、あくまでも歩道の機能を損なわない形での基準ということで、それほど厳しい基準を決めているつもりはございません。
  61. 太田一夫

    ○太田委員 自治省の官房の方に聞きますが、地方道におきましても同じことですか。
  62. 末吉興一

    ○末吉説明員 お答えします。  地方道につきましても、道路管理者である地方公共団体としましての立場であろうと思いますけれども、いま監督官庁でございます建設省の通達に従いまして、統一的にとり行われた方がよかろうと思っておりますし、そうお願いをいたしたいし、その旨私の方も協力してまいりたい、こういうふうに思っております。
  63. 太田一夫

    ○太田委員 自動車局長どうなんですか、地方からそういう問題について、現在までにいろいろ苦情か何か来ているのは御承知ないのでございましょうか。
  64. 梶原清

    ○梶原政府委員 バス協会、とりわけ個々の業者の方からはお話があることは承知をいたしております。しかしながら、いま建設省からお答えのありましたように、道路の、特に歩道の円滑な通行確保という見地からああいう基準が定められておるわけでございますが、今後とも、いろいろ趣旨に沿うように努力をしてまいらなければいけない、かように考える次第でございます。  従来、運輸事業振興助成交付金をもちまして、約七億円余で千何カ所でしたでしょうか、屋根づきの停留所を整備していったわけでございます。従来、十年一日のごときポール一本という状態でございましたが、これを屋根づき、ときには腰かけづきの停留所に整備するように努力いたしておりまして、関係省庁に御理解と御協力をいただいておるところでございます。
  65. 太田一夫

    ○太田委員 建設省にお尋ねしますが、いまの三メートル以上という基準の原則ですね、これは歩車道がある場合の車道を三メートルということですか。それから待合室ですか上屋と申しますか、日陰をつくる、雨をよける、こういうものですが、これは一つのモデルというものが示されておるのですか。たとえば横に壁があるとか後ろに壁があるとか、ただ上だけではいかぬで横もつくらなければいけないとか、このポールはこれぐらいの強さがなければいけないとか、何か具体的な基準というものは示されておるのですか。
  66. 山本重三

    山本説明員 お尋ねの第一点の三メートルといいますのは歩道の幅です。歩道三メートル以上のところでないと実際に歩行者が通れなくなりますので、三メートルのところで二メートルの幅ということですから、一メートルだけは歩行者に確保されている、それが最低限度だろうということで、三メートル以上の歩道の幅がある道路について設置を認めるという考え方です。  それから、いまの構造については、基本的な構造については考えておりまして、たとえばいまの壁の問題ですが、実際に壁面を持ちますと、歩行者側からも自動車側からも視野が妨げられます。そういう意味で、見通しがきかないという面からは壁がないことが望ましいわけです。そういうことで、原則として壁は有しないものである、壁を持たない構造のものであるということを指導しておりますが、しかしながら、こういった状況は、地方の風雪の厳しいところには非常にマッチいたしません。そういう意味で、例外的な措置として風雪等のために特に壁面を設ける必要があるところについて、なおかつ、いま申しましたように、視野を妨げることによる交通安全上の問題がないところ、こういったところについては壁面を有しても構わない、こういう考え方をとっております。  なお、標準的な図面、姿図については指示してございます。姿図を書いて、こういう形のものを設置しなさいという指示はしております。
  67. 太田一夫

    ○太田委員 歩道三メートルというのは、日本全国で地方におきましてどれくらいあるのですか。それはもうだめだということじゃないですか。しかも課長、その三メートルで自転車専用のラインというのは、これは警察庁と話し合って一メートル車道寄りにつくるということになっておるでしょう。仮に三メートル最小であっても二メートルで待合室的な構造物をつくり、一メートル車道をとったら人間が通るところはないじゃないですか。だから、それは三メートルなくちゃならぬというのも、私は一つの空論だと思うのです。それぐらいあればいいだろうということですが、三メートルという道路が元来ない。せいぜい二メートルですよ。二メートルで一メートルの幅のものをつくればいいじゃありませんか。
  68. 山本重三

    山本説明員 歩道の幅につきましては、結局、そこの交通量、歩行者を含めた交通量に応じて整備しておるわけで、実際に待合室を設置する形でバスの利用者が非常に多いところにつきましては、かなり幅員の広い歩道があるわけでございます。  いま申しましたのは、歩道に設置する場合の基準は、三メートル以上ある歩道に二メートル幅の上屋をつくってよろしいという考え方でして、歩道がない道路については、のりじりを使いなさい、この場合には設置についての規制はございません。したがいまして、その道路状況に応じて設置場所を考える、歩道が整備されておれば、三メートル以上の歩道が設置されれば歩道上に設置しなさい、三メートル幅がなければ実際にはのりじりに設置していただくということになろうかと思います。これはあくまでも本来歩行者、自転車も含めて、最近は自転車の通行を交通規制上許している道路が幾らでもございますが、歩行者、自転車も含めてその通行に支障のない形で上屋を設置するというのが基本原則としてあり得ると思います。
  69. 太田一夫

    ○太田委員 それはそれでいいのです。歩行者、自転車の通行を阻害するようなものを歩道につくるべしだとは、バスの利用者は言いません。けれども、雨が降ったとき雨がかからないような屋根、これは逆Lですね。逆L字型の構造であれば、何もそんなに歩道を使わなくたって、阻害しなくたってできますね。だから、二メートルの道路では、何もできないのじゃなくて、二メートルの道路ならば、のりを活用することによって、一メートルぐらいの幅は通行者に残しておきなさいという解釈の方が常識じゃありませんか。なるべくそのことについては実情に応じて認めていくという弾力的な運用があってもいいと私は思う。三メートルなければ歩道にはできませんなどと言って、そこのところがかたくなに解釈されますと、地方ではほとんど拒否されますよ。
  70. 山本重三

    山本説明員 いま申し上げましたのは、歩道に設置する場合には、歩道の幅員が三メートル、こう言っておるわけですが、その場合に、歩車道の区別のない道路につきましては、のりじり等に設置しなさい、それ以外にもう一つセービングクローズを持っておりまして、道路管理上支障のない場所であれば個々具体に応じて設置を認める、それでもなおかつ道路に設けられなければ、路外に設置していただくほかない、やはり道路交通機能なり安全確保の面から問題のない場所に設置していただくというのが基本原則でございまして、いま申し上げましたのは、歩道に設置する場合、歩道がない場合、それ以外については現場に応じて道路管理上支障がない場所、こういうところに設置しなさいということで、現場に応じて取り扱いを考えることでございまして、決してこれに当てはまらないものは全部——先ほど申しました歩道が三メートルなければ設置しないというのは、歩道には設置させられないけれども、のりじりを使えばできるとか、その点は現場に応じて対応できると思います。
  71. 太田一夫

    ○太田委員 課長、都市におきましては自転車道、自転車通行許可のライン、自転車帯というのがありますね。自転車が大体一メートルとりますから、そうすると歩道上の上屋の設置、二メートル幅を占有されると、歩道と自転車道が一緒になるところが場合によって出てくるわけですね。それは御承知の上で三メートルの幅であり、二メートルまで構築物を認めるということになったのですか。
  72. 山本重三

    山本説明員 先ほども申し上げましたように、そういった事情も考えて、実際には壁面を有しない構造にする、なおかつ屋根の高さも二・五メートル、通常自転車、歩行者の通行に支障のないクリアランスを持つという形をとっておりますので、できれば本来の歩道の機能をある程度確保しながら、その上でこの上屋の設置を認めていく、しかし、上屋のないところは少なくとも一メートルぐらいは確保しておく必要があるだろう、そういう考え方でこの基準を考えておるわけでございます。
  73. 太田一夫

    ○太田委員 電話ボックスがありますね、あれこそ完全に通行を遮断しますね。広告塔も、あなたの方は場合によってはいいということになる。特にその中で、電話ボックスが歩道上に設置されておりますが、これは三メートルなくても設置しているじゃありませんか。なぜ電話ボックスは三メートルなくても設置できて、バス停の上屋は三メートルなければならぬのか。その差別される理由は何ですか。
  74. 山本重三

    山本説明員 電話ボックスの設置につきましても、現場、現場に応じて適切な位置に設置してあると私どもは思います。その場合に何メートルあるかというよりも、電話ボックスによって妨げられない歩道の幅を考えて許可をしておると思います。この上屋の設置基準を定めましたときに、でさるだけ統一的な基準を定めてもらわないと、各道路管理者が個々に判断して、その促進が非常に妨げられる、そういう意味で、基準を示してくわということで、少なくとも雨風あるいは日射を防ぐ上屋として二メートル幅ぐらいの停留所の上屋が欲しいというお話がございましたので、私どもとしては、上屋のない部分が少なくとも一メートル確保される必要があるだろうということで、歩道にのみ設置する場合には、やはり三メートル幅以上の歩道が必要だ、こういう考え方でございます。歩道上に設置することが望ましくなければのりじり等も使えますし、場所によりましては、緑地帯もございますし、そういったところは適宜、現場の状況に応じて本来の交通機能、特に歩行者の通行に支障のない形でこういったものの設置を認めていく形をとりたいと思っております。
  75. 太田一夫

    ○太田委員 あなたの気持ちはよくわかるのです。決して非協力であるというふうに理解しないのです。基準が要るのだから、一つ基準として、三メートルの歩道幅を基準として、その中に二メートルぐらいの幅を使ったそういう上屋をつくってもよかろうというのは、一つの理屈でありまして、そうすれば実際上、自転車も歩行者も困らないことは事実ですね。だが、いまの構造の仕方というのは、必ずしも昔の待合室的なものでなくて、電話機を置く台のような形で、後ろにはポールが建つけれども、横には建たなくて前だけにひさしを出すという簡便なものもできておるわけです。  ですから自動車局長鉄道の方は旅客の待合室等の設置、上屋の設置等には、開銀の融資等の制度を設けながら、バスの方は建設省様のおっしゃるとおりでいいなんというようなことで、別にそれを推進する特別な体制もいま見せていらっしやらないように思うが、もうちょっと普及するように、多く設置されますように建設省ともよくお話してくださることを、また、そのように行政上配慮されることを望みたいと思いますが、いかがですか。
  76. 梶原清

    ○梶原政府委員 バスがより多くの方に利用されるようにバス停の施設整備を進めなければいかぬわけでございますので、先生の御趣旨を体しまして、建設省その他の役所と十分協議をして前向きに対処してまいりたい、かように考える次第でございます。
  77. 太田一夫

    ○太田委員 ありがとうございました。終わります。
  78. 佐藤守良

    ○佐藤(守)委員長代理 有島重武君。
  79. 有島重武

    ○有島委員 観光の問題と国鉄の方の問題、この二つ質問をさせていただきたいと存じております。  大臣承知のように、二十五日、一昨日ワシントンで行われました東郷駐米大使とストラウス米大統領通商交渉特別代表の会談がうまくいかなかった、交渉が決裂したということがありまして、これについて田中官房長官が、日本の立場がアメリカによく理解してもらえなかった、残念なことであるというような御感想を漏らしておられました。  そこで、国際協調の重要性、それと相関連して国際観光事業というものが新しく見直されなくてはならないのじゃないかというような問題意識を持って承りたい。大臣は、外務省におられたことでもございますし、この問題につきまして総括的にどんな所感を持っていらっしゃるか、最初に承ります。
  80. 森山欽司

    森山国務大臣 当面の政府調達の問題でございますか。
  81. 有島重武

    ○有島委員 いや、日本の立場を理解してもらえなかったという点ですね……。
  82. 森山欽司

    森山国務大臣 田中官房長官がどういう意味で言われたか私はわかりませんが、政府調達は、私どもの所管では、国鉄の物資についてやはりその問題がございました。運輸省といたしましては、国鉄の物資五億二千万ドル程度をその対象とするということにいたしまして、日米の政府調達の問題ではさしたる問題が現在のところないというふうに考えておりますが、政府調達全体が総理訪米前に決着がつかなかったということは、私は残念に思っております。いずれにいたしましても、先に持ち越された問題であるというふうに考えておりまして、これで政府調達問題がデッドロックに乗り上げてどうにもならぬ状態とは私は思っておりません。
  83. 有島重武

    ○有島委員 やや聞き方が悪かったかもしれないけれども、相互理解ということが、これからもますます重要になってくるということがあろうかと思うのです。そういうことについては、森山さんもずいぶんいままでも御苦労されていらっしゃったのじゃないかと思うわけであります。たまたまいま運輸大臣として、そういう問題とそれから観光対策といいますか、そういったものと関連性があろうかと思うわけです。そしてこの相互理解というのは、別にその場というわけにはいかないので、相当根が深くなければならないじゃないかと思うのです。  そこで、せんだっても「最近における情勢の変化に対応し当面講すべき国際観光対策について」という意見具申書が出ております。これは観光政策審議会会長村田五郎さんから内閣総理大臣あてに出ておりますけれども、こういうことについて、これは総理大臣あてだけれども、運輸大臣としてはどのようにお考えになっていらっしゃるか。
  84. 森山欽司

    森山国務大臣 当面の政府調達問題で口火を切られたものですから、その問題についての所見がどうだということでお話があったと思いましたが、田中官房長官の十分な相互理解がなかったというような節の御発言はともかくといたしまして、観光というものを考えます際に、相互理解というのが大事なことはもとよりでありまして、特に百聞は一見にしかずということがありますから、この言葉で、お互いに日本から外国へ、外国から日本へたくさんのお客さんが来ることは望ましいことでございますが、近年御承知のとおり、円高等の問題がありまして、日本から海外へ行く人数はふえましたが、海外から日本に来る人数は必ずしも同じような歩調にまいらぬというところに今日の問題がありますが、相互理解の基礎といたしまして、百聞は一見にしかず、ぜひひとつ、日本にもたくさんのお客さんが来てもらえるようにする必要があろう、そういうふうに考えております。
  85. 有島重武

    ○有島委員 実態的に、こちらから向こうに観光でもって日本人が外国に行く、これは年間三百万人ほど行っておる、外国から来るお客さん、これは三分の一程度であるという状況でございますね。イギリスなんかでも一千万人くらいですね。イタリーだと三千万人以上であろうかと思いますね。しかも日本に来る外国人の中で、年齢的に申しまして年齢がわりと高いですね。若い人たちが来ておらない、そういった現象もあります。  観光部長さん来ていらっしゃるからなんだけれども、これでは余り少な過ぎるのじゃなかろうか。もう少し本当に腰を入れて日本を理解さしていく、そういう一つの目標をお持ちになるかどらか。これは自然に任しておくか、大体の目標をお持ちになるかどうかですが、その辺大臣としてはどうですか。
  86. 山元伊佐久

    ○山元政府委員 お答え申し上げます。  大臣から御答弁いただく前に、私から事務的な経過を申し述べさせていただきたいと存じます。  先ほど先生から御指摘がございましたように、昨年末、観光政策審議会から総理大臣あて提出まれました意見具申におきまして、特に昨今の円高状況におきまして、外客の訪日、在日を促進する必要があるということを述べておられます。その具体的な方策につきまして、その御提言の中で方向を示しておられるわけでございますが、私どもとして特に重点を置いておる問題は幾つかございます。  一つは、外国から日本に来る場合の航空運賃の問題がございます。これは私の直接の所管ではございませんが、団体割引等を導入することによりまして、できる限り訪日来客が促進される方向に進むことが望ましいと考えております。そういうことで現在、航空局で具体的な低廉化の方策を進めております。  それから第二番目は、宿泊の問題でございます。この点につきましては、日本はホテル代が高いと言われておりまして、中クラスのホテル、旅館、民宿、こういうものの整備を促進する必要がございます。そこで、たとえば民宿協会におきましては、洋式便所あるいはシャワーを設けたような民宿のリストをつくりまして、すでに特殊法人の国際観光振興会の海外宣伝事務所に配付いたしまして、外客の方々の利便に供しております。また日本観光旅館連盟では、現在、国際観光振興会とどのような旅館を紹介すればいいかということについて協議もいたしております。また受け入れの問題といたしまして、中クラスないしはそれ以下の宿泊施設につきましては語学の問題がございます。この点につきましても、五十四年度におきましては、国際観光振興会で従業員の研修に対してお手伝いをするという予定でおります。また、すでに本年の二月にガイドブックというものを、国際観光振興会で作成いたしまして、関係の向きに配付しております。このガイドブックと申しますのは、日本語と英語とを、問いと答えと両方に併記いたしまして、多少語学が通じなくても、それを活用すれば意思が通じ合うという措置をとっております。  それから第三の問題は、食事の問題でございます。これも日本は高いと言われておりますので、国際観光レストランの中で運輸省が推薦する店が現在百六十ばかりございますが、この運輸省推薦のレストラントには必ずツーリストメニューというものを備えつけさせまして、それをさらに広めていこうということにいたしております。  それからもう一つは、交通機関の問題でございます。この点につきましても、欧州で行われておりますユーレイルパスに近いような何らかの外人向けの割引運賃制度が設定できないかということにつきましても、私ども国鉄に対しまして検討を依頼いたしている、こういう現状でございます。
  87. 有島重武

    ○有島委員 大臣に伺いますけれども、いま部長の方からそういった報告がありましたけれども、採算に合う合わないということよりも、どのくらいのけたの人数の方々にどのくらい好意を与えさせ得るかというような一つの目標を大体お考えになっておられるかどうか、そしてそれに対しては相当な予算を割く御用意がおありになるのかどうか。特にいまのユーロレイルの通し切符のことについて、具体的な問題ですから聞いておきたいと思います。
  88. 森山欽司

    森山国務大臣 海外に行く日本人が大体三百万くらい、海外から日本を訪れる外人客が百万くらいというのが現状でございまして、もっと日本に来てもらって日本の実情を見てもらう、相互理解を深め、百聞は一見にしかずというための施策をもっと強くする必要があるのじゃないかというお話であり、どのくらいのめどを立てておるかということでございますが、外客誘致のための特別のめどというものは、現在のところ私ども持っておりません。  何しろ円高、物価高ですから、前はアジア、極東地域に旅行いたしますと、まず日本に来るということでありましたが、近来はそれが香港に行く、あるいは台湾に行く、あるいは最近の外交情勢から中国の方へ行くというようなことで、日本に来る人も日本にわずか滞在して他の地域に行く、あるいは日本をバイパスして他の地域に行くというような傾向があることは、もう争われざる事実であろうと思います。  したがいまして、外国から来る人たちのために、交通費あるいは滞在費、先ほど観光部長から話がありましたような面につきまして、格別の措置を講ずる必要があるのではないか。単にそろばんが合うとか合わないというだけでやっちゃいかぬのじゃないかという御質問の御趣旨であろうと思いますが、ユーレイルパスですか、そういうシステムも私どもも一考に値する考え方だと思っております、交通費の節約というような意味で。  そういう点につきまして、先ほど観光部長から御答弁いたしましたとおり、私どもも、そういう考え方検討しなければならぬと思っておりますが、具体的にはひとつ国鉄総裁の方からお答えをしていただく、そういうようにいたしたいと思います。
  89. 馬渡一眞

    ○馬渡説明員 ユーレイルパスと同じような考え方で日本の国内を利用できるようなパスをということで、これは何回か検討し、そしてその結果を得ないうちに実は中断をしておったというのが、これまでのところでございますが、私どもとしても、いまおっしゃるような趣旨に沿いまして、ぜひその具体化をしてまいりたいという気持ちで検討をさせていただきます。  実は海外に国鉄の事務所がございまして、その事務所でそういうような役割りを果たすようなものを売れないかということから、これまで実は何回かの検討をいたしたとさっき申し上げたわけでございますが、事務所で直接売るということは、今度はかえって別の問題が出てまいりまして、一とんざしたというのが実績でございますが、先生の御趣旨に沿いまして、今後具体的に検討してまいりたいというふうに思います。
  90. 有島重武

    ○有島委員 国鉄の方からいまお話がありましたけれども、大体これがペイするかどうかという問題が一つ、それから、いままであった周遊券、そういったものとの関係がどうなるかとか、それから、どういう人たちを対象としてこれをやるかというような問題だとか、発売方法だとか、そういったことが問題になっておるようであります。  それで、これはさっき大臣にお伺いしましたように、大体いま百万人である、ただ通過していってしまうお客さんというのは、いま一七%程度だというふうに承っておりますけれども、そういった方も含めて、通過客もこれはばかにならぬわけでありまして、一つの印象を得ていく、そういったものも含めて大体どのくらいのけたまでやっていこう、それももう少し分析していただくと、今後十年、二十年の間に、こういった若い層をどのくらいやった方がいい、あるいは一応老後の楽しみに来るようなお客さんたち、そういったものの配分、大体一つのねらいをおつけになって、そしてこうした方向に進んでいきたいというようなことが、もうそろそろおありになってよろしいかと思うわけであります。  また、そういったことと相関連して、こうした全国に通用するパス、具体問題の一つでございますけれども、ほかにも若向きのホテルの問題であるとか、あるいは博物館やその他のそういった公共的なものに対して割引をしてあげるというような制度であるとか、これも若い人たちに対して、あるいは学生に対して、それから一般の方に対しては、どういうふうにしていくのかとかそういうことも、もっと突っ込んでひとつ検討していたがきたいわけです。外務省あるいは文部省の方との関連もあろうかと思いますけれども、そういったことについて進めていただきたい。  特にいまのユーロレイルの問題は、いま赤字を抱えている国鉄が考えることというのは、大概非常にこじんまりしたことしか考えられないと思うのですが、そういった点は運輸省の方でもって大丈夫だと言って進めていかなければ、国鉄に任したら、また大概先細りでもってだめになってしまう問題ではないかというような危惧があるわけです。一言、大臣からお話を聞きたい。
  91. 森山欽司

    森山国務大臣 大変大事な御提言でございますから、十分御趣旨を尊重して、そういう方向検討を進めてみるようにいたしたいと思います。  ユーレイルパスというような考え方につきましても、先ほど国鉄当局から話がありましたように、確かに検討はしたようであるが、そのままになっておるということでございますから、国鉄の財政事情を初めいろいろな問題もございますが、さらに中途でさたやみにならないようにひとつ検討してもらうようにしようと思います。国鉄だけではなくて私鉄の問題もありますし、その場合の取り扱いを一体どうしていくかというようなことなど詰めて考えてまいりたいと思います。
  92. 有島重武

    ○有島委員 では、また機会がありましたら、そのことを中間報告として伺いたいと思いますから進めてください。  それとちょっと関連しますけれども、今度東京サミットのときに、フランスの大統領がコンコルドでもって来るというようなことを承っております。それで、コンコルドは騒音がきついということで、わが方の騒音規定以上であろうと思うわけでありますけれども、これを迎え入れないというわけにもいかないのじゃないかと思うのです。こういった処置はどういうふうになさるわけですか。
  93. 森山欽司

    森山国務大臣 フランスの元首がコンコルドで来日するという連絡は、政府の方に参り、運輸省の方にも参っております。したがって、これは国賓でございますから、臨時的な一時的な飛来でありますから、それを受け入れるという基本方針のもとに対処してまいりたいと思っておりますが、現行法の上でいろいろ問題がございますから、それらの問題は、現在航空当局で詰めておりますから航空局長の方から答弁いたさせます。
  94. 松本操

    ○松本(操)政府委員 具体的な面についてお答え申し上げます。  まず、コンコルドで参ります人がフランスの大統領でございますので、したがって、恐らくこれはエール・フランスの飛行機を使うのであろうと思いますけれども、扱いとしては外国公用機という形になるのではないか、こう考えられます。したがいまして、外国公用機のわが国に対する乗り入れにつきましては、航空法にその定めがございますので、正式にお申し越しがあれば、外交文書なり何なりをもって適切なお申し込みをいただき、これに対して航空法上のしかるべき手続を踏む、こういうふうなのがまず段取り一つとして必要であろうかと思います。  次に、コンコルドという航空機の騒音の高さでございますが、これはいま大臣もお答え申し上げましたように、航空法によります騒音の基準に比べますとかなり高うございます。したがって、このように騒音基準に適合しない航空機につきましては、これはわが国の国内においての運航が実は原則的には禁止されるわけでございますけれども、しかし、これも同じく航空法の規定の中に「試験飛行等を行うため運輸大臣の許可を受けた場合は、この限りでない。」こういう規定がございます。したがいまして、試験飛行とは申せませんけれども、一時的、臨時的なものであるし、かつ特殊な用務に従事するということを考えますと、この航空法の規定をそのまま適用して処置をするということが可能ではないか、このように考えておるわけでございます。  ただ、そうは申しましても、任意に飛ぶということになりますと、いろいろと問題も多うございますので、まず現用のコンコルドの飛行性能というような点について十分に確認をいたし、飛行コース等についても可能な限りの注文をつける、それによってなおかつ起こるであろう騒音問題について、関係地元等に対する手当てがあれば、それは事前に十分にしなければならないと思います。  最終的には、当該航空機の音そのものを低くすることはできませんので、その部分については、いま申し上げましたような航空法上の手続によって、運輸大臣が特別の措置をとるという形でその乗り入れを認めていくというふうな手順になろうかと思います。
  95. 有島重武

    ○有島委員 局長に重ねて伺いますけれども、騒音の基準を超えておるのは、コンコルドに限らずDC8だとかあるいはボーイングの707ですとかああいう機種も実は騒音基準をオーバーしておるのじゃないのでしょうか。あれはどうして許されておるわけですか。
  96. 松本操

    ○松本(操)政府委員 ただいまお話ございましたように、ボーイングの707でございますとかダグラスのDC8でございますとか、やや古い世代に属します航空機につきましては、現在の私どもが決めております騒音基準航空法に基づく騒音基準には適合いたしておりません。  これらの騒音基準に適合いたしておりません航空機に対して、航空法上は二通りの手当ての仕方をしておるわけでございます。  一つは、期限を限って、それまでに基準に適合するように改造すること、これに該当いたしましたものがボーイングの727とか737とか、こういう飛行機でございます。これらはすでに改造を終わりました。  もう一つの種類が、改造困難として認定をする、たとえば日本航空の持っておりますDC8につきましては、この航空法が施行になりました時点においては、適当な代替用のエンジンもございませんし、エンジンの改造のための目途もついておりませんでした。したがって、これらにつきましては、改造困難という運輸大臣の認定をいたしまして、当分の間そのまま運航することを認める、こういう形になっております。  コンコルドの場合も、これが定期便として就航するというふうなことでありまするならば、この措置にのっとるということも、議論はございましょうから少し詰めなければいけませんが、手続的にはこういう考え方を適用するということは一応考えられますが、たまたまフランスの大統領が乗って一回飛んできてそのまま帰っていくというだけのことでございまして、他国の国籍に属する飛行機でございますので、これに対して改造困難の日本国運輸大臣の認定というふうな措置ではなくて、先ほど申し上げましたように「試験飛行等」というその「等」の中に特殊、特段の任務というものを入れて読み込むということは、従前類似の例がないわけではございませんので、そういう形の処理をした方がよろしいのではないか、このように考えているわけであります。
  97. 有島重武

    ○有島委員 いまの松本局長のお答えの中で、コンコルドの場合にも、もしそれが定期便として就航するような場合には、ある場合にはそういった措置が起こるかもしれないというようなことを言われたように思うのですけれども、これは大変重要なことであろうかと思いますが、この問題はこれで終わりにしておきます。  もう時間になりましたから、あと国鉄の問題運賃値上げの問題、時間のある限り少しだけ……。  このたびの国鉄ストに対しまして、大臣は異例の発言をしていらっしゃったわけですね。にもかかわらず、時間切れで突入ということになりました。これについても大臣から総括的な所感を承っておきたい。
  98. 森山欽司

    森山国務大臣 御承知のように、国鉄の財政の現状は、もう倒産以前のような状態にありまして、昭和五十三年度は一兆円の実質赤字、それから昭和五十四年度は一兆二千億円の赤字ということであり、国民一人当たり一万円の負担を背負っておる。ことしの累積赤字は六兆二千億円、利子だけで五千五百億円、一日十五億円の利子の支払いをしなければならないという状況でありますから、この立て直しに本格的に取り組まなければならぬ。国鉄財政再建につきましては、すでに三回にわたって計画を立てておったが、その都度計画倒れに終わっておるわけでありますから、今度こそ本気でそれをやらなければならない、そういうふうに考えております。  それにつきましては、先ほど久保委員からも御質疑がございましたように、一昨年十二月にございました「国鉄再建基本方針」にのっとって再建を進めてまいりたいということでありますが、しかし、それを実現する大前提となるものは、すず国鉄に現に勤務しておられる方々が本気になって取り組むということでなければならない、それには理事者、管理者もしっかりしてもらわなければならないし、労働組合親方日の丸と言われるようなそういう惰性を吹っ切って一致してやってもらわなければならない、そういうことを考えて、今回の春闘の問題になるわけでありますが、国鉄は御承知のとおり、公労法十七条によって一切の争議行為が禁止されておる、最高裁の判例等も最終的にそのことを是認いたしておるわけでありますし、また公共企業体等基本問題調査会において、この問題をそれでひとまずけりをつけるという段階になっておるわけであります。     〔佐藤(守)委員長代理退席、委員長着席〕  しかし、ストライキ権とかいうことを、私も、、長らくそういう問題に関与をいたしておりましたが、運輸大臣としてこの国鉄の財政の現状をつぶさに見た場合に、仮にストライキ権が与えられておっても、ストライキなどやっておられる状態にないというふうに私は考えているわけでありますが、ともかく、そのためには財政再建をまず実現していかなければならない、そういう点を考えますと、どうしても国鉄内部における労使の一致協力ということが何より大事でございますから、たとえば今度のベースアップの問題にいたしましても、支払い能力があるかないかと言えば、これは支払い能力がないと断じて差し支えないような状態ではございまするが、やはり他の二公社五現業並みのベースアップをとにかく実現して、組合の協力を要請するというふうに考え、また、これから一緒にやろうということを、ただ口先だけで、リップサービスに終わらないために、国鉄の役員である監査委員の一人に労組側の代表に入ってもらう、また私自身も、これは運輸大臣の任命でありますから、そういう体制が現段階においてできておるわけでありますから、ストライキはぜひやめてもらいたいというふうに思いました。そして国鉄を中心とする公共企業体等のベースアップの要求という問題に対しまして、ことしはひとつストライキなしで何とかおさめられないものかということを念願といたしたのであります。  しかし、組合運動というのは、一筋なわにいかぬと申しますか、幹部の人はわかっておっても、やはり組合員、大衆というところまで全体がそこまで認識するには時間もかかりましょう、また従来の春闘のスケジュール闘争方式というものには私はいろいろ意見があります、ありますが、現にあるのですから、したがって、民間賃金に準拠するということ、特に私鉄の賃金問題と従来準拠して考えられておったわけでありますから、私どもの希望にもかかわらず、これはなかなか一筋なわにいかないという結果は、実情はよくわかっておりましたが、一縷の望みは、ストライキなしでことしのベースアップ問題を処理したいものだ、特に国鉄の場合は、五月二十日から、いろいろと問題の多い、御批判のある、われわれは背に腹はかえられないということでやらなければならない運賃値上げ問題を控えておりますから、やはり国民感情を逆なでにしないようにということで、このストライキをやらないようにということで、私は最善の——後から考えますと、いろいろ悔いは残りますけれども、しかし、最善の努力をいたしたのでありますが、不幸にして半日ストライキに突入したということは、私は、残念至極でございますし、多数の利用者である国民に対しては、まことに申しわけない結果だと私自身は考えております。  一般には、去年の例その他、前々からの例から言えば、早くおさまってよかった、ほっとしたという気持ちがありますが、ほっとしたというよりはがっかりしたという気持ちの方が強かったのが、率直な私の気持ちでございまして、これからの特に国鉄を中心とする労使関係をさらに一歩前進されるようにというふうに考えておる次第でございます。
  99. 有島重武

    ○有島委員 先ほど久保委員の方から整然たる御議論もあったわけでございますから、もう時間もございませんし、その点について立ち至った議論はできませんけれども、私たちも、国民感情、素朴な庶民感情からいたしますと、大臣がいまおっしゃったのとちょっと角度は違うけれども、交通ストが行われますと、民間の方々はみんな事前にいろいろ用意しなければならぬことがある、布団をどうするかとか車の手配をどうするかとか、あるいは宿泊はどうするかとか、それから前の晩から詰める、あるいは午前中は仕事にならなかった、そういうことを損害と言っては言い過ぎかもしれぬけれども、そういうものを値段に換算すると、これは相当な額になるのじゃないかと思います。大体一人五千円ぐらいだとしても、一千万からの人が迷惑するとすれば、これは五百億を過ぎるような損害額になるのじゃなかろうかと思うわけですね。  こういった国民にかけた損害につきまして、これをどうしてくれるのだ、そういうような気持ちが相当あるわけですが、こういうことについて大臣、どうお思いになりますか。
  100. 森山欽司

    森山国務大臣 今回のストによる旅客への影響は、国鉄関係で通常一日の輸送人員が約千九百万人のうち八百万人ぐらいが影響を受けておるわけであります。ちなみに民鉄関係では通常一日の輸送人員が二千九百万人に対して千百万人、バス、航空等を合わせますと三千万人を超えるという状況でありますし、国鉄の貨物輸送には、通常一日の輸送トン数は約四十万トン、そのうち二十万トンに影響があった。  これは直接的な問題でありますが、いまお話のように、ストがあるということで前の晩から泊まり込むとかいろいろな出費を考えますと、これはこういう数字にあらわれないはかり知れざる大きな影響、損害を与えていることは間違いございません。そういうことがあればこそ、私は、スト回避のために全力を尽くしたのでございますが、遺憾ながら突入する結果になったということでございまして、政府の一員といたしまして、私は、国民に深くおわびを申し上げなければならぬ、有島さんから見れば、おわびするだけでは相済まぬぞ、こう言われることはまことにごもっともでございますし、現に損害額を確定し得る立場の方々は、いままでもそういうことについての損害賠償の請求等は出ておるわけでございますし、今回はどういう結果になるかわかりませんが、やはりそういう声が国民の中にあるということは、われわれ十分痛いほど承知をしておるわけでございまして、また、そういうことがありますればこそ、私どもといたしましても、確かに今回は、組合幹部の方々が何とか回避したいという努力はございましたが、一方において組合幹部だけで動く、組合運動というものは大衆運動でございますから、そこにいろいろなむずかしさがあり、あるいは春闘というスケジュール闘争で、他の組合等とのお互いのもたれ合い関係というようなものもございまして、こういう結果になったわけでございます。善意の努力があったということは私も認めます。しかし、現に入ったわけでございますから、その入った結果に対しては、私、目をつぶっているわけにはまいらぬというのが私の率直な気持ちでございます。
  101. 有島重武

    ○有島委員 そういった中でまた値上げ申請ということでありまして、国民的な感情といいますか、何のために値上げをするのかよくわからぬということですね。根拠がはっきりしない。確かに物価スライドということは一つあるだろうが、本当のところ、今度の値上げがどういう効果があるのか、それを聞きたい、そういうことが私たちの身近でずいぶんささやかれている、あるいは叫ばれている。本当のところ、今度の平均一二%の値上げ、これは一体どういう効果をねらい、どういう根拠なのか、どういうことなんでしょうか。
  102. 森山欽司

    森山国務大臣 一昨年十二月の「国鉄再建方針」にもありますように、国鉄徹底した企業努力、それは単に理事者、管理者だけではございません、労使を含めての再建のための努力、それを前提にした上で、赤字を少しでも少なくするための運賃の値上げも、今度は法律によってある程度認められておりますわけですから、それもやるだけはやる、足らざる面は国が行財政上の措置を講ずるというたてまえになっておるわけであります。  そういうことで運賃値上げを考えたわけでございますが、別の角度から見ますれば、今回のベースアップによって、定期昇給合わせると一千億円近い出費になるわけですから、今度の運賃値上げが千六百五十億円、したがって、その半分以上が賃上げで食われるわけでございますから、それだけに私は声をからして組合側の諸君にもお話をいたしました。当面のストについて、将来の国鉄再建について、そういう目先及び長期の展望に立って、私としては、ストライキをやらないで今回の事態に対処したいということを呼びかけたわけでございますが、不幸にしてそういう結果にならなかった。しかし私は、今回の闘争の中に将来への芽というものだけはつかむことができたのではないかというふうに考えておる。というのは、これから一緒にやろうではないかというこちらの呼びかけに対して、一緒にやろうかなというふうな姿勢がほの見えるという点は、私は評価はいたしておるのでありますが、しかし、現実にやってはならない、また何のためにやったかとただいま御疑念を呈されたようなストライキというものを阻止し得なかったというのは、私として責任を感じておるわけでございまして、まことに申しわけないことでございましたが、これを一つの踏み石にいたしまして、何とか国鉄再建への努力を進めてまいりたい。  ただ、現にストライキが行われたわけでありますから、これを、私の従来からの考え方から申しましても、また今回の事態に対処して前もって申し上げましたように、不本意なことも半日ではありましたけれども、そして幹部の方々はその回避のために努力はされましたけれども、そういう措置をしないで目をつぶるというわけにはまいらぬというのが率直な心境です。
  103. 有島重武

    ○有島委員 時間をオーバーして申しわけありません。もうこれで終わりますから……。  ただ、結果として値上げ申請ということが、まるでベースアップのガイドラインにされてしまったような結果になっておるというようなこともあろうかと思います。今度の値上げの中で特に通学定期の三七%、これはひど過ぎると私は思います。これは反対です。それで、公聴会におきまして、いろいろな議論があった、これは賛否両論とは言っても、全部条件つきであったわけでございますね。これを、公聴会を単なるセレモニーに終わらしてしまうか、いま大臣にいろいろ誠意あるお答えをしていただいたわけですが、公聴会でいろいろな言われた条件、このことを本当に尊重してもらえるかどうか。  それで、特に通学定期券、これだけはぜひとも考え直していただきたいということを最後に申し上げて、私の質問は終わります。
  104. 森山欽司

    森山国務大臣 運賃値上げの問題は、目下、運輸審議会において審議中であることは御承知のとおりであります。公聴会等において有島委員お話しのようなことが十分述べられたことも事実でございます。私も、あなたのおっしゃる点をわからぬことはございませんし、恐らく運輸審議会における審議も、そういう御意見というものが反映されるものではないかというふうに考えておるわけでございますが、まだ正式に表に出てまいっているわけではございませんし、まだ時間もございますから、そういう御趣旨の線は、私自身答申の結果を見て考えてまいりたい、そのように考えております。
  105. 箕輪登

    箕輪委員長 この際、暫時休憩いたします。  なお、本会議散会後直ちに再開いたします。     午後一時十六分休憩      ────◇─────     午後三時四十四分開議
  106. 佐藤守良

    ○佐藤(守)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。山本悌二郎君。
  107. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 午前中というか本会議前も、いろいろ私がお聞きを申し上げたい交通体系あるいは国鉄再建の問題なんか大分話が出ました。いろいろの見方あるいは見解、それから方法論、その他たくさんあると思いますが、その前に一つ大臣にお聞きを申し上げたいのは、この問行われましたストであります。  これは半日で終わってしまいましたけれども、違法ストだと思いますが、四月三日でしたか、地方線の廃止の合理化に反対するというので、一部これも動労のストがありましたけれども、こういう一連の違法ストに対して、大臣もコミュニケを出しておりますが、基本的にどんなふうに考えていられるのか、まず、そこからお尋ねを申し上げたいと思います。
  108. 森山欽司

    森山国務大臣 御承知のとおり、国鉄の財政状態は、まさにピンチあるいはピンチ以上の状態であります。昭和五十四年度の赤字は実質一兆二千億円、累積赤字は六兆二千億円、今年度の利払いは五千五百億円、したがって、実質赤字は国民一人当たり一万円の負担になり、国鉄は毎日十五億円の利子を払っているというような状態にあるわけであります。  一日も早くこういう状態を立て直すことが、国民に対する義務であると私は考えておりますし、また国鉄全体といたしまして、あるいは理事者、管理者の立場にある方々はもとより、組合側もその現実を直視して、この際一緒になって再建する体制をつくってもらいたいというふうに考えております。  そういうことでございますから、ストライキというのは、ストライキ権があるかどうかいろいろ議論が行われておりましたけれども、これは公労法十七条によって一切の争議行為が禁止されておることは、すでに最高裁判所の判例も確定をいたしておりますし、また、かねてからの公務員制度審議会以来の議論というのは、先般の公共企業体基本問題調査会の意見書によってひとまずピリオドが打たれた、ストライキが違法であるということははっきりはいたしておりますが、そういう議論より先に、今日の国鉄の現状というものは、ストライキなど許されるような状況にない、私自身も、長らくストライキとかストライキ権の問題等に関心を持ってまいりましたが、運輸大臣になりまして、経営の実態に触れるにつけて、それどころの状態でないということを、私は痛感いたしておるわけであります。仮にストライキ権があるとしてもストライキができる状態ではない。特に国鉄は、来る五月二十日から必ずしも国民の問で評判のよくない運賃の値上げに取り組まなければならないわけでありますから、国民感情が敏感でありますだけに、それを逆なでするようなことはしたくない、そういう意味で、今次春闘におきましても、ことしこそはストなしということで済ましたい、そういうことを考えましたから、国鉄の財政から申しますれば、いわゆる有額回答など行うことは、そういう余力はないわけでありますが、あえて有額回答、しかも早期回答に踏み切ったことは御承知のとおりでありますし、また協力してくれ、協力してくれと口先だけで言うことではいかがかと思いますから、わが国の労働法の観点から見ますれば、ある意味において一時期を画するような、国鉄役員である監査委員の一人として労組側の代表も入れるようにしよう、現にあすにでも必要があれば発令できるという体制をもって、誠心誠意このたびの春闘が平穏裏にストなしで終わることを私は期待いたしておりました。  しかし、労働運動というのは、なかなか一筋なわではまいりません。組合幹部と組合員大衆との間に、必ずしもそう大回転ができるわけではないという面もございますし、春闘のようなスケジュール闘争というやり方をいたしますと、国鉄関係の組合だけで動くというわけにはまいらない、特に賃金の決め方が民間準拠、特に私鉄の賃金を重く見て決めるという従来のようなパターン等がありますから、したがいまして、今回私が所期したような結果にならなかったことはまことに残念であります。  半日で終わったからいいじゃないか、ほっとしたろうと言う人が多いことは事実でございますが、私の心境としては、がっかりしたという気持ちの方が強かったというのが率直な気持ちであります。
  109. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 大臣もがっかりしたようでありますが、われわれもがっかりしたわけでありすす。本来ならば、国民に迷惑をかけるようなストライキはしてもらいたくないというのが国民の切なる願いであります。まして許されていないわけでありますし、いま大臣から話があったように、仮に許されておっても、できることなら避けてもらいたいということだと思います。  そこで、春闘の問題については、いま御答弁がありましたが、たとえば半日ストライキをやられますと、どのくらいの損害が起きるのか、仮に一日であったらどうなのか。それから過ぐる四月三日と先ほど申しましたが六日ですか、地方線の廃止あるいは合理化に対する部分的なストライキをやっておりますけれども、こういう問題のときにはどのくらいの損害を受けるのか、その点をおわかりになったら教えてもらいたいと思います。  それから、続けて申し上げますが、これは国鉄当局も頭の痛いところでありましょうけれども、同じ部分ストの一部でありますけれども、千葉地本の動労の分裂というかいわゆる組合内部のいざこざというか、労働組合の対立でストをしておる、争議に持ち込んでおる、そのために乗客が迷惑をこうむっている、こういうことに対してどういう手を打っておるのか、また、どういう見方をしているのか。いや、それは組合同士の話あるいはイデオロギーの対立だと言って片づけて傍観をしているということならば、これはまたちょっと論外だと思います。やっている行為そのもの、あるいは論理そのものも、わりあいと不明確でございますけれども、国鉄側の対処の仕方も、やや明確性を欠いているのではないかというふうに見ているのでありますが、この点をお尋ね申し上げたいと思います。
  110. 高木文雄

    ○高木説明員 今般のいわゆる春闘におきまして、半日余りの期間、残念ながらストが行われたわけでございますけれども、それによる影響は、お客さんの関係では大体八百万人くらいの方に御迷惑をかけることになりましたけれども、それによりますところの損害の額というのは、なかなか算定がしにくいわけでございますけれども、減収額ということで計算をいたしますと、大体三十億円ぐらいではないかというふうに見ております。それから貨物で減送、輸送量の減少になりましたものが、概算でいま報告を受けておりますのが二十万トン、それを金額に直してみますと、五億円ぐらいになるかと思うわけでございます。まことに各方面に御迷惑をおかけいたしまして申しわけないと思っております。  それから、二番目にお触れになりました千葉の問題は、非常にむずかしい問題でございまして、これは大変激しい状態で対立関係になってまいりましたのは、新聞等で大いに報道されるようになってまいりましたのはごく最近の問題でございますけれども、かなり古くからの問題でございました。全国いろいろなところでいろいろ具体的な、ある意味では細々した問題があちこちにございますけれども、千葉の中の問題というのは、全国的に見ましても、最近私どもにとりまして、まことに扱いにくいといいますか、困った問題の顕著な問題であります。これに対しましては、現段階では何分組合の中におきますところのいろいろな意味での紛争でございますので、経営者側といいますか、当局側として、いずれかに裁きをつけるということは、現段階では適当でないというふうに考えておるわけでございますけれども、しかし、どうも結果としてそれが列車、電車の運行に差し支えてくる、あるいはまた職場の秩序混乱というようなことになってまいります以上、私どもとして傍観をするということは許されないわけでございまして、昨年の初めぐらいから、御存じのように千葉では成田空港の燃料輸送問題という大変むずかしい問題がございまして、そのころからも、しばしば組合といいますか、職員諸君に現状をよく説明して国鉄としての本来の使命を果たすべきことを強調し、また単に千葉だけの問題としてではなしに、他の地区から動力車乗務員の派遣応援をするというようなことを通じて、どうにか今日まで乗り切ってきたわけでございますけれども、最近に至りまして、組合の内部での紛争が激しくなってまいりました。昨日もひょっとするとというような大変心配した事態になったわけでございます。私どもといたしましては、どのような事情があるにもせよ、とにかく列車の運行を確保する、内部の争いがお客様の迷惑につながるということにならないということを最大の眼目として、関係の諸君との間で事実上の話し合いを続けておるわけでございます。  ただ、それぞれのいずれかに片寄るということがあってはいけないわけでございますので、管理者側として厳然たる姿勢をとり続けてまいりますけれども、しかし、それだけで最後まで事態の解決ができるかどうか危惧をいたしておるところでございまして、今後とも両方に向かって説得といいますか話し合いといいますか、そういう形で事態を何とか円満に切り抜けていきたいと思っておりますが、なお予断を許さない状況にあるわけでございまして、毎日非常に苦慮いたしております。何とか御迷惑をかけずに済ませたいものと思っておる次第でございます。
  111. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 できることならストをしないで早期に解決をする、早く有額回答を出すというようなことで労使の関係を正常化させた方がいいと思うわけであります。  先ほど国鉄総裁が、いわゆる国鉄再建の問題の中で二つの要因がある、一つは、外的整備の条件を整えなければならないし、もう一つは、国鉄自体内部問題もあるのだ、こう言っていたわけでありますが、そうだと思います。その中の特に外的整備の条件は、後ほどまたお尋ねしますけれども、国鉄自体の問題の一つ、いわゆる組合の問題、ストライキの問題、そしてまたストによってこうむっていく損害、一生懸命努力をしていながら片一方では首つりの足を引っ張るようなかっこうだということは、国民承知しないし、納得できないのじゃないだろうか。  余り質問したくなかったのでありますが、きのう週刊誌を見ましたところ、大臣もお読みになったでしょうか、週刊新潮の今週号に「運賃値上げもストもあるものか 国鉄労使二つの秘密宴会」というのがあるのです。これを読みまして、週刊誌ですからおもしろおかしく書いてあります、しかし、見逃せない問題があるんですね。御存じのように、この記事によると、四月十三日だかに会合して、しかも、もうストを通告しているにもかかわらず、何かお集りになってやられた。それも総評の大幹部、国労の大幹部とというような話が書いてあるのです。私が一々申し上げなくても、雑誌を買っている皆さんは、何万人という人が読んでいるのでありますから、間違いないことだと思うのであります。  国鉄というのはよく血祭りに上げられるのです。運転士さんが居眠りをして電車が走ったとか、常にいろいろ血祭りに上げられるので、それは当然なんですけれども、しかし、余り気持ちのよい記事、読み物ではないのじゃないか。もう一つあるんですね、その二つの秘密、しかし、この後の方は後ほどまた聞きます。  そこで、再建を抱えておりながらストライキをやるという中で、何か裏の話を進めておる。おまえのところは一日やれるかやれないか、やれなきゃ半日でおけよ、三時間ぐらいでいいだろう、いや、そうではないのだろうというような話じゃないかなと、何か勘ぐりたくもなるような気がするわけであります。  そんなことがなされたのではいけないと私は思いますし、ここのところは非常に重要なところでありまして、こんなものが世間に回りますと、国鉄に対する信用がだんだん失われていくと思うのであります。  そこで、大臣にも総裁にもお聞きしたいのですけれども、無論お読みになっていると思います、何十万部と出ているのですから、買い占めない限りは皆さんお読みになっているわけですね、一体どんなふうにお考えかをお聞きしてみたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  112. 高木文雄

    ○高木説明員 早速事情を調べておるわけでございますけれども、会合が開かれておるということは否定いたしません。ただしかし、そこで何か一種の取引が行われているというようなことは、そういうことをにおわすような記事になっておりますが、私ども事情を聞いてみました限りにおいてもそういうことはない、これは常識的にもそう考えられるわけでありますが、そういうことはない。ごくたまにいろいろな形でいわゆる親睦的な集まりがあることはあるようでございますけれども、たまたまこの三月の段階で相当大規模な異動が行われまして、東京にいた者が地方に行くとか、地方にいた者が東京へ来るとかいうことがいろいろございましたので、その意味での懇親の会合があったようでございます。  それにいたしましても、そういうふうに外から見られるということは、よほどわれわれとしてふだんから心がけておかなければいけないわけでございまして、そういう一種の勘ぐりを受けるようなことがあったということだけでも大変申しわけないと思っておる次第でございます。ただし、そこで何か取引みたいなことがあったということだけは、絶対にないということだけ申し添えておきたいと思います。
  113. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 無論そういうことがあったのでは大変でありますし、あってはならないことだと思います。     〔佐藤(守)委員長代理退席、委員長着席〕  それはそれでやめておきますけれども、そこで、もう一つの方の会合という問題があるのです。いわゆるマルタイ、マルチプルタイタンパーですね、これもやり玉に上がっているんですよ。これもおもしろおかしく書いてあるのです。だがしかし、総裁、この部分はおもしろおかしくだけでは済まない問題ではないでしょうか。  ということは、とかくこのタイタンパーというのが問題になるのです。私鉄との比較もありますし、価格の上でも一億するようなものが非常に稼働率が悪くて、一台で年間二十キロのところ十一キロぐらいしか走らない。それは国鉄というのは昼夜を分かたず汽車が走っていて、とてもそんな保線なんかできないのだ、だったら機械でなくて保線夫の方がいいではないか、何で一億も二億もするようなものを買って、そんなところにとめておかなくてはならないのだ、こういうことになるのです。  マルチプルタイタンパーというのは、総裁十分存じていると思いますけれども、先ほど御指摘申し上げましたいわゆる再建問題の中の内部の節約、合理化のところに大きな焦点があるのじゃないか、その焦点があるにもかかわらず、まだこれをこれから先二年間で百台も買い込むというふうな計画がありまして、四十八年、五十二年に会計検査院からも指摘をされておるとかいろいろ書かれているんですね。  本当ですか、週刊誌にはちゃんと出ているのです。私は、確かめてはみなかったのですが、大先輩であります河村先輩にお聞きしました。  私は、新聞記事や雑誌を種にして国会で質問するのは本当は気が重い、しかし、投書も来ておりますし、電話も来ておるのでどうしたらいいだろう、率直に申し上げますけれども、そうしたら、いや、ぼくが言うのはどうもあれだけれども、君、やってみろ、大衆の意見というのは非常に率直だし、皆が読んでいることだから、そのこと自身を隠しておくことはよくない、だれかがやらなければいけないし、国鉄にもその使命と責任があるわけだから聞け、こういうことでありますので、あえてこれをお聞きするのです。  これはマルタイだけではございません。タイタンパーについては、私どもよく耳にすることですし、河村先輩も、これはぜひ改めさせなければいかぬ、ぼくもよく言っているが、片一方で運賃値上げをしながら、片一方で合理化もしない、節約もしない、いいかげんなことをしているのは許されない、こういう意見でありますが、この辺のところを総裁——私は大臣にもお聞きしたいと思います。これは非常に重要なところなのです。
  114. 高木文雄

    ○高木説明員 国鉄として能率化を図らねばならない問題は、実は各分野にいろいろございます。その中で十年以上にまたがりまして問題がありますのが、施設、保線の職場でございます。施設、保線の職場にどうして問題があるかと言いますと、昔は、一番古くは、つるはしを持って線路のつき固めをやっておりましたが、それが機械を使ってつき固めをやるようになり、昭和二十年代の終わり、三十年代の初めから、ただいまのようなマルチプルタイタンパーの時代に移ってきたわけでございますが、その移り変わりの過程が、率直に言って、必ずしも十分にいっていないということでございまして、マルチプルタイタンパーの稼働率の問題を中心にして、そこに問題があるということで、本社の中においてその事実を考え、これに取り組まなければならないと言い出してから、ざっと十年近い日が経過をいたしております。昨年の夏前後に、長年の懸案がやっと解決をいたしました。保線関係の職場と当局側との間でほぼ話し合いがまとまりまして、去年の秋から急速に事態は改善されつつあるわけでございますけれども、まだまだ不十分な点がいろいろございます。  最大の原因は、やはり十分な準備が行われないままで機械が入れられて、そして職員も機械になれませんし、特に中間管理者層と申しますか、保線区の現場の責任者が機械を十分扱い切れないために部下の指導ができないというような形になって、うまく移行ができなかったということが最大の原因であろうかと思います。  それからもう一つは、機械が入りました場合には、非常に重い機械が車両の上を走っていって現場に参りまして、現場で作業して戻ってくるわけでございますけれども、列車と列車の間にその作業をしなければなりませんので、むしろそういう作業時間をとれるように列車設定をする必要があったわけでございますけれども、そのように列車問合いに合うようにダイヤの設定をいたしましたのは、西日本では五十年三月のダイヤ改正時でございました。東日本でそういう保守に合ったような列車設定にいたしましたのは五十三年の十月からでございまして、言ってみれば、運転系統の物の考え方と施設系統の物の考え方が必ずしもうまくマッチしていなかったということのために、全体としては実は施設の方に少し負担をかけ過ぎておったというか、全体として施設への理解が十分でなかったというようなことがあったわけでございまして、私も、ここ三年の間に大分これとは取り組んだわけでございますが、ただいま申しましたように、昨年の夏前後にほぼ見当がついてまいりました。最近のマルタイの稼働率も徐々にではありますが、向上をいたしております。  先ほど、これからもそういう役に立たないものをまた買うのかというお話でございますが、現在のところは新しく増備するということはいたしておらないわけでございまして、すでに十五年ないし十年前というような非常に古い時代に入りました機械で耐用命数の過ぎたものがございますので、その古くなってしまったものの取りかえを今後続けてやっていかなければなりませんけれども、大規模に増備をするということは、いまのところは考えていないわけでございます。昨年も大体四十台くらい購入をいたしましたが、そのうち三十台が取りかえ用でございまして、教育用に数台、あるいは新しく線路ができてまいりましたのに応じて保線区も置かれますし、機械も置かなければならぬというものとして数台、合わせて十台は新規に購入しておりますが、それ以外のものは増備したわけではなくて更新用でございます。今後とも、更新については続けてやらしていただきたいと思いますけれども、増備を広くやるという考えは持っておりません。
  115. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 タイタンパー、よくわかりました。  しかし、むだが多いんですね。総裁指摘されておりますけれども、むだというのは、時間の調整ができないものだからむだが多い。私鉄は夜中は走らないというのですけれども、そういう点のむだがありまして、一時間に五百メーターくらいはやれるのに年間を通してほとんど十一キロぐらいしかできない。しかも、一億もする機械をそんなにしてぶらぶら遊ばせておくというのも変な話ですし、しかも、会計検査院に三十六億もむだがあるじゃないかといって指摘されても、まだそのままほうってあるというのも変な話なんで、やはりそういうところも直していかなければいけないのじゃないでしょうか。総裁のいまの御答弁でわかりましたけれども、どうかひとつ、改善をしていくように要望を申し上げておきます。  そういうことが、何か小さな問題のようでありますけれども、一つ一つこういう刷り物になって出ますと、みんなはよく読んでいるんですよ。そして国鉄って何だ、片方で賃金上げろと言ってストライキをやる、片方で運賃はじゃんじゃん上げていく、一体どういうことなんだ、そしてよく見ればかなりむだがあるじゃないか。  もっと端的なことを私は自分の地元や何かで聞くのですけれども、国鉄というのはたくさん用地を持っているんですね。国の用地だから当然なんだけれども、どうしてあんなところ遊んでいるのでしょう。もちろん必要だと思ってそこを買ってあったのでしょうけれども、遊んでいるんですね。そういうことなんかも、一般の人はちゃんと見るところは見ておるのです。要らなくなったような土地は何とか処分するとかすべきです。  最近は、商売の一つとしてビルを建てたり、商売をやったり、あるいは観光をやったり、いろいろして、とにかく穴埋めをしようしようと努力をされておることはよくわかりますけれども、やはり大衆の乗り物だけに相当気を使う、目を配るということが必要だと思うのです。無論サービスも十分しなければならないと思いますけれども、それによって愛される国鉄が生きていくのであって、国鉄マンと言われる四十一万数千の皆さん方が生活ができるのだと私は思うのであります。困ったときには国に泣きつく、赤字だってどうせつぶれやしない、親方日の丸だ、だけれども、やっていることは何をやっているかさっぱりわからないというのでは、それはやはり承知しません。承知しないからと言ったって、これはつぶれるわけでもないし、そうすると、先ほども話がありましたけれども、こういう車時代ですから、やはり手っ取り早いものにだんだんかわっていくという方向に進んでいくのじゃないか。そのことは十分おわかりになっておられると思いますけれども、今後もひとつ、総裁大臣も腹に据えてかかっていただきたい、こう思います。  地元の問題で大変恐縮でありますけれども、私、先般も御質問申し上げましたが、上越新幹線がよく話題になるのであります。不幸でございましたけれども、先般大清水トンネルの災害がありまして、ああいう災害がありますと、もうトンネルは崩れたのじゃありませんかとか、あのトンネルはいわゆる谷川岳の土手っ腹に穴をあけてあるのですが、谷川岳を過ぎたところには何にも線路がないじやありませんか、新潟側の方はかなり線路ができておるのだけれども、あれから向こうは汽車はとまってしまうのですかとか、よく素朴な質問を受けます。いやいやそうではないのだ、新潟は九〇%以上本年はでき上がるが、群馬、埼玉もぼちぼちやっておるのだ、こう言っておるのでありますが、総裁がここで御答弁なされました五十六年に一体開通ができるのかどうか。いわゆる群馬、埼玉側の工事というのはどのくらい進展をしているのか。ちょうどあれは山陰になって見えないんですね。いまの在来線で見えるところは新潟側の方がよく見えて、群馬、埼玉側というのはわりあいと見えないのです。見えないところに工事をしているらしいのですけれども、それにしても工事量は非常に少ない。  それから今度は、大宮以南が大問題であります。大宮戦争と言っているのでありまして、今度の地方選挙でも大変問題になった。いまの市長がかわるかかわらないか、いわゆる浦和の市長が選挙で保守系が当選すればどう、革新系が当選すればどうというので大戦争をやったんですね。結果としては、何か保守・中道が勝ったとか勝たないとかいうのでありますが、さてそこで、これも通勤線を併用してなんとかという話も出ておるのでありますけれども、その辺のところはどうなんでしょうか、わかっていたら教えていただきたい。何か鉄道公団を呼んでくれということでありましたが、時間がなくて参考人としてお呼びすることができませんでしたので、鉄監局長、おわかりでしたら、ひとつ説明していただきたいと思います。
  116. 山上孝史

    山上政府委員 上越新幹線の建設につきましては、先生も御承知のように、四十六年十二月九日に工事に着手をいたしまして、五十五年度完成を目途に現在鋭意工事を行っている次第でございます。  この四月一日現在の工事の発注率で申し上げますと、延長にして九四%の進捗率でございます。  県別にちょっと申し上げますと、工事の発注率で申し上げますと、四月一日現在で埼玉県が八二%、群馬県が九五%、新潟県が九九%ということでございまして、これの総計で九四%。それから用地の買収で申し上げますと、埼玉県が八五%、群馬県が九〇%、新潟県が九五%ということで総計で九一%でございます。
  117. 高木文雄

    ○高木説明員 お尋ねの埼玉県の問題は、鉄建公団でなしに、主として東北新幹線の関係で私ども国鉄の問題でございます。  まず、大宮のちょうど真北のところで伊奈町というところがございますけれども、そこで町が三つに分断されるということで、まだ用地買収ができないという問題がございまして、これにつきましては、昨年県知事運輸省と私どもの間で、こういうふうに取り進めるということで了解事項をつくっておるわけでございまして、三つに町が分かれてしまって将来の発展が阻害されるということから、新交通システムを大宮との間でつくるということが、もう十年来の町からの御要請でございましたので、いろいろ検討いたしまして、だんだん準備が相整いつつあるところでございまして、その新交通システムのための会社をつくって、そして具体的には私どもと県ないし関係市町村の間でお話し合いをして、そういう会社をつくって、新交通システムをそこに導入しますということになっておりまして、間もなく会社設立にもこぎつけましょうから、そうなれば、その用地の取得に関係市町村でも応じていただけるということで、こちらの方はほぼ明るい見通しが立っております。  問題は、大宮から南側でございまして、いまお触れになりましたように、率直に言って、私どもも、地方選挙が終わりますのを心待ちにいたしておったところでございまして、それぞれの重要な方々が選挙でいろいろそちらの方に一生懸命やっていらっしゃる最中に、なかなかこの問題を持ち込めませんものでしたから、しばらく様子を見ておったわけでございますが、選挙も終わりましたので、精力的にこれからお願いに出なければいけないと思っております。  それに関連して、赤羽と大宮の間に、現在の東北線とは別にもう一つ新幹線に沿いまして通勤線をつくるということで運輸省の御了解も得て、その準備を進めておるところでございますが、この通勤線をつくりますということで、ただ新幹線が通るだけで自分らには全く何のメリットもないのだということで賛成できないと言っておられた方々が、そういうことであればということで賛成の方に回っていただけるという方と、いや、そういうものができたからと言って、振動とか騒音の問題があるのでわれわれとしてはどうしても反対だと言っておられるグループと、まだ二つに分かれておるわけでございますが、通勤線の様相ががんだんはっきりしますにつれまして、だんだん御了解を得られるのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  118. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 もう時間でありますが、せっかくお呼びしてお願いしておりますから、航空局に一つだけお尋ねして、おしまいにしたいと思いすす。  新潟空港の拡張問題と、それから仙台線の延期になっている理由、また、いつごろ開通するのか、一言で結構でございますから御説明いただいて終わりたいと思います。
  119. 松本操

    ○松本(操)政府委員 新潟空港につきましては、第三次空整五カ年計画で、現在千九百メートルでございますので二千メートルへ延ばす、五十一年度一億七千万程度の金を投入しましたのを皮切りにいたしまして、五十四年度二十五億程度を入れよう、五十五年度いっぱいで完成させようということで、いま鋭意工事を進めているわけでございます。したがいまして、残念ながら現時点におきましては、この四月から六月いっぱいぐらいのところは、金曜日を除きますとほとんど毎日のように相当シビアな時間制限をしなければならない、そのために、たとえば新潟−ハバロフスク線のごときは、運休をしてしまっているという非常に窮屈な状態にございます。  別途、この二月の中ごろでございましたか、仙台−新潟線というものについての新しい路線開設の免許の申請がございました。私の方で事前の一応の調査をいたしまして、これから運審にかけようかというような段階にだんだんと及ぶころ、この工事のめどがだんだんとはっきりしてまいりましたが、ちょっといまの時点では、早急な処分をいたしましても、実際に飛行機の飛びようがない、新潟の方が非常に窮屈でどうにもならぬ、こういうことでございますので、そこら辺のできぐあい等も横目で見ながら、しかるべき時期には手続に乗せられるようにしたい、このようには考えておりますが、現時点では、そういうことでちょっと保留という形になっております。
  120. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 終わります。
  121. 箕輪登

    箕輪委員長 薮仲義彦君。
  122. 薮仲義彦

    薮仲委員 気象庁お見えになっていますね。——私は、地震の問題でちょっとお伺いいたします。  東海地震説が言われましてから、国会でも大震法も制定されましたし、東海沖地震に対する予知、これが着々と講ぜられておるわけでございますが、これに関連して二、三お伺いしたいと思います。  東海地方と言っても、特に中心になりますのが静岡でございますが、現在、東海地方、特に静岡にはひずみ計が七カ所、五十四年度で追加が七カ所、合計十四カ所設置されるように聞き及んでいるわけでございますけれども、十四カ所で十分かどうか。  これは私どもも定かではございませんが、なぜこういうことを最初にお伺いしたかと言いますと、お隣の中国では、地震予知に当たって井戸水の水位の変化が非常に大きなデータになっておったように聞き及んでおります。そうしますと、静岡県内に現在七カ所しかない。これが多いとか少ないとかいう問題は、私は、現時点においてはまだ試行錯誤の段階じゃなかろうかと思うわけです。いわゆる埋設の間隔あるいは地殻に対する深さ、こういうものは、これからいろいろと試行錯誤しながら好ましい結論が出ると思うのですが、その段階においても果たして十四カ所で十分なのかどうか、その辺の気象庁の見解をまず伺っておきたいのです。
  123. 窪田正八

    ○窪田政府委員 四月一日から気象庁長官を拝命しました窪田です。よろしくお願いします。  ただいまの先生の御質問にお答えいたします。  確かに、十四カ所にひずみ計が倍増したり、あるいは海底地震計そのほかで、現在のところは私たちとしても、大規模地震対策特別措置法に対応できるというふうに考えておりますが、技術というのは進んでいく段階でいろいろな問題が起こってまいりますし、それから新しい業務の中で新方向が見つかるということもございますので、これをしばらくやってみて、また問題点があったり、あるいはもっと観測点をふやした方がいいというふうに判断するようなときには、前向きでこの問題に取り組んでいきたいというふうに考えております。現在のところは一応われわれとしてベストの展開をしたというふうに考えております。  それから、先ほど中国の例がございましたけれども、そのほかラドンとかそういうような問題は、実は気象庁でないところの資料などをいただいて、一応総合的に扱うというふうには考えております。
  124. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは、もう一点お伺いしますけれども、現在、静岡には静岡の地方気象台を含めて地震計が八カ所ございますが、ここに置かれた地震計は、通常気象用語で百倍から三千倍の電磁地震計が設置されておる、こうわれわれ聞き及んでおります。  そこで私は、なぜこれを問題にしたいかと言いますと、特にいま長官からも御前崎の地震計の話がございましたが、御前崎に埋設された地震計というのは、三千倍から一万倍の非常に高性能の地震計でございます。われわれがいろいろな専門家の方の御意見を聞いておりますと、地震を観測するときに震央といいますか震源地からの観測は包み込むような形で観測するということが非常に好ましい条件の一つである、いろいろな学説がありますから、必ずしもそうではないかもしれませんけれども。少なくとも震源地に対して包み込むような形で計測できることがいいのだ、こう言われております。そうなりますと、いま御前崎には高性能の、三千倍から一万倍の地震計が埋設されておる、ところが、反対側の石廊崎の方にある地震計は一体何倍かと言いますと、地震計というよりは強震計に近い一倍だと思うのです。一倍の強震計が埋設されておる。あれだけのことをおやりになったならば、反対側の石廊崎の方にも高性能の地震計があってもいいんじゃないか。一番突端にある地震計がむしろ一番性能が悪いとは言いませんけれども、高性能ではない、そういう意味で、石廊崎にも、このような高性能の地震計を置く必要をありとするかないとするか、気象庁の考えをお伺いしたいのです。
  125. 渡辺偉夫

    渡辺説明員 先生の御質問が技術的なことでございますので、私、地震課長でございますが、お答えいたします。  確かに、石廊崎には一倍強震計だけでございますが、その付近には鎌田に一万倍がございますし、その周りを取り巻いてかなり高性能の地震計がございますので、これで全体的に東海沖の震央はこの石廊崎になくてもカバーできると私たちは判断し、特に海底地震計の先端その他から考えますと、石廊崎に高性能の地震計がなければならない、それが重要な意味を持つとは思われませんで、現在の配置で必要な震央については把握できると私たちは考えているわけでございます。  以上でございます。
  126. 薮仲義彦

    薮仲委員 同じようなことでもう一点伺います。  いま、いわゆる気象庁の持っている地震計だけじゃなくて、各大学で観測しておる地震計等も、テレメーターで気象庁と同時に記録できるというような形をとったというように聞いておりますが、私は本来、大学、東大とか名古屋大学が地震について観測するということは、おおむね学術的な意味があると思うのです。そうしますと、たとえば地震を計測するときに、これは専門家から聞いた話ですが、たとえば地震計で倍率が五百倍なら五百倍、千倍なら千倍というその地震の波動を常時ずっと観測してもらうことに非常に意味合いがある。ところが、学術研究の場合は、その波動についてあるときには一万倍で計測してみたり、あるときには三千倍であるとか五百倍であるとか変化を求めて計測しなければならないのは、私は、学術研究上やむを得ないことだと思うのです。もしもそういういま大学が設置している場所に、気象庁として必要であるならば、将来にわたってこの必要な個所には設置すべきではないかと思うのでございますが、その辺のお考えはいかがでございますか。
  127. 渡辺偉夫

    渡辺説明員 お答えいたします。  地震予知の計画は、これはナショナルプロジェクトとしまして第一次から第四次まで測地学審議会の建議にのっとって行われておるわけでございます。この中で、それぞれが大学は大学の分担、それから気象庁は気象庁の分担、他の機関は他の機関の分担として行われているわけでございまして、その間はお互いに地震予知連絡会あるいはその他の判定会その他を通じて調整、あるいはそういうデータの持ち寄りをすることになっております。それぞれのデータが、たとえば倍率が非常に違うというようなことがありましても、そのそれぞれが補正をしてデータを提供するということになっておりますので、そういうナショナルプロジエクトという中での一環として気象庁、大学のそれぞれの位置が私はあるのじゃないかと思っております。ですからもちろん、大学は大学の独自の研究その他がございますけれども、やはり国の大きなナショナルプロジェクトの一環としては協力していただけるものと私たちは思っております。  以上でございます。
  128. 薮仲義彦

    薮仲委員 ではもう一つ、いま申し上げましたように、いろいろ静岡県でも地震の観測、測量をしておるわけでございますが、いま現在、気象庁中が気象観測、中でも特に地震について専門官として静岡県に派遣しておるのは何名でございますか。
  129. 渡辺偉夫

    渡辺説明員 静岡気象台に一名でございます。それから御前崎測候所に一名、これは専任としてでございます。そのほかに静岡の、これは複合勤務として、地上勤務あるいは通信とか予報とかそういう複合勤務を行っておられるところの職員が計三十一名ございまして、静岡の地方気象台に六名、浜松に五名、御前崎測候所に八名、三島四名、網代、これも測候所でございますが、四名、石廊崎四名、計三十一名でございます。先ほどの専任者が二人ということで単純に合計しますと三十三名ということになっております。以上でございます。
  130. 薮仲義彦

    薮仲委員 私が申し上げたいのは、複合勤務ということに問題があるわけです。今度気象業務法を変えましたですね、地震について初めて気象庁に気象業務が含まれてきたわけでございますが、先ほども地震課長が言われたように、地震についてはナショナルプロジェクトですよ、国を挙げてやるんです。ところが静岡というのは、三百四十万県民が、いずれは被害に遭わなければならないだろうという覚悟のもとに取り組んでいる、これは大きな問題です。県民にとっても大きな県民のプロジェクトです。県民がそれだけ真剣になっているのに、気象庁は本当の専門官はどうかと言いますと、いま申し上げたのは、気象台に一名いる方が本当の専門官なんですよ。御前崎にいる方は、どちらかと言えば複合業務に近いような形になっておることは、私も現場に行っておりますからわかっているわけです。そうすると、本当のところ、たとえば優秀な、高性能の機械を入れましても、データの処理能力あるいは特に静岡等におきましては、地域との密着した関係の中で地震対策がどうあるべきか、特に今度は警戒宣言が長官のあれによって発令されるわけです、そうすると、機械はできているけれども、そのデータを解析したり対応するのに、地元の住民との連携の中で気象業務というのはあってほしいなというのが、われわれとしても当然考えるわけです。  まあ皆さん方は、こういうことは余り言いにくいことかもしれませんけれども、私は、こういう問題を含めて、これは大臣にちょっと結論的にお伺いしたいのですが、いま私が何点か指摘したのは、地元でも多少懸念されている問題を含めて申し上げました。まあ万全とおっしゃる気象庁のお気持ちもわかりますが、われわれは、やはり将来にわたって考えたときに、大臣立法も制定し、新たに気象庁のこの気象業務の中に、地震についても重要な部分を占めてきた、いま気象庁にありますのは地震課ですが、将来は私は、これは地震とか火山とか、そういうものを含めた機構の拡大といいますか充実、これだけの大きな問題を取り扱うのですから、ナショナルプロジェクトを取り扱うにふさわしい地震火山の、課を昇格させるのかどうかわかりませんが、部なり何なり、ある程度の機構とスタッフをそろえてしかるべく対応をしていくということが将来にわたって必要ではないか、私は、こう考えるのですが、大臣はいかがでしょう。
  131. 森山欽司

    森山国務大臣 私は、地震の問題の専門家ではございませんが、先般気象庁を視察いたしました。そして地震予知の観測体制というものが、私の想像するよりはるかに進んでおり、三月の終わりでありますから、まさにこれからの新しいシステムでやろうという直前でございました。昭和五十四年度は、海底地震の常時観測システムの正式運用開始、静岡地区で世界的にも恐らくその例がないようなシステムが始まる、ひずみ計の設置点を倍増する、観測施設の整備拡充等とともに、常時監視体制を強化していく、いま要員の問題がございましたが、従前よりははるかに要員もふやし、関係各省との連絡も密にして、気象庁に全部観測データが一挙に入るようになっておりまして、大規模地震対策特別措置法によって課せられた責任を果たすことができるというふうに私は考えておるわけであります。  御指摘の点につきましては、いろいろ御意見もあろうと思いますが、特に昭和五十四年度は、そういう意味で大いに前進をして成果を上げようというときでございますから、ただいまるるお話がございましたが、そういう点も留意しつつ、この新しいシステムが十全の機能を発揮するように期待をいたしたい、そういうふうに考えております。
  132. 薮仲義彦

    薮仲委員 きょうは私、時間がありませんから、いま大臣がおっしゃったことについて具体的に申し上げませんけれども、私は、静岡県の気象観測の地点は、ラドンの地点から、いまおっしゃった御前崎の地震計から全部見て回って、この目で確めてあります。ですから、少なくともいまおっしゃったことはすべて知った上で御質問申し上げました。その上で、静岡県が不安に感じていることを申し上げたのであって、そういうことを十分承知の上でお話したつもりでございますが、私は、やはり機械というものは幾ら高性能であっても、それを取り扱う人の人材育成ということが非常に大事であるということを痛切に感じているわけです。このことは、この次の機会に具体的に指摘をさしていただきますので、きょうは時間がありませんから、この問題はこれだけにしておきます。この次の機会にじっくりと御質問さしていただきたいと思います。  それでは次に、自動車局関係の問題について二、三お伺いいたしておきます。これは運輸行政上の基本的な問題について行政当局がどうお考えになっておるか、その行政のあり方について確認をする意味で質問をさせていただきますので、そういう意味合いにおいて御答弁をいただければありがたいと思います。  まず私は、最近、乗用車の登録の際に、いわゆる車庫証明の手続について、行政書士会とディーラーとの間で、新車を販売するときにトラブルがあるように聞き及んでおりますけれども、運輸省としては、これに対してどのように対応するのか、その辺をちょっとお伺いしたいと思います。
  133. 梶原清

    ○梶原政府委員 自動車の検査登録関係の申請手続につきましては、ユーザーみずからが行っていただくことが原則でございますけれども、年間約三千七百万件に上る申請件数の大部分は、ディーラーとか整備事業者がユーザーの委任を受けて当該手続の代行をやっていただいておるというのが実情でございます。この申請手続の代行事務のうち、申請書の作成事務につきましては、かねてから行政書士法との関連で調整が必要とされておりまして、運輸省におきましては、代行業務の円滑な実施の確保を図るため、先般来、関係者、これは行政書士会側と自動車販売その他の関係団体でございますが、この両者に対しまして指導等を行ってきたところでございます。  今後とも、運輸省におきましては、関係当事者問の円満提携のもとに当該業務が確実に的確に行われることを強く期待しておるところでございます。
  134. 薮仲義彦

    薮仲委員 いま局長が申された、いわゆる行政書士会とディーラーとの間で話し合いをして得た結論というものがはっきりしておるのでございますれば、この際、ここで御答弁いただきたいのですが……。
  135. 梶原清

    ○梶原政府委員 自治省と私ども運輸省とが関係団体を指導いたしまして、五十二年十月に合意確認書というのを交換していただいております。その内容によりますと、先ほど御指摘のございました車庫証明の仕事につきまして、両者が合意点に達する方法によって、できるだけ両者が円満に仕事をやっていく、かいつまんで申しますと、そういう内容になっておるわけでございまして、今後、両団体の間で話し合いを詰めていく、全国団体のレベル、それから各地のレベルにおきまして話し合いを進めていく、こういう形になっておるわけでございます。
  136. 薮仲義彦

    薮仲委員 合意書の内容は、いまお持ちじゃないのですか。
  137. 梶原清

    ○梶原政府委員 合意確認書の基本に盛られております車庫証明の申請に関する基本方針でございますが、まず第一点は、セールスマン等はユーザーに対し自動車保管場所証明書、いわゆる車庫証明書でございますが、それの交付申請は必ずユーザー自身が記入作成するように勧めるものとする、第二番目といたしまして、ユーザーがみずから交付申請書を作成しない場合には、セールスマン等はユーザー自身が行政書士に直接依頼するよう勧めるものとする、こういう内容になっておりまして、先ほど申しましたような自販連と行政書士会の間におきまして協議を進めていく、こういう内容になっておるわけでございます。
  138. 薮仲義彦

    薮仲委員 よくわかりました。どうか行政指導によりまして、業者間あるいは行政書士会と好ましい円滑な運営が図れるようによろしくお願いをいたしておきます。  次の問題でお伺いしたいのでございますが、自動車の分解整備事業を始めるいわゆる認証を受ける、これに当たっては、私の理解するところでは、道路運送車両法の第七十九条の手続によって申請し、その基準が満たされれば運輸省としては認証しなければならない、私は、こう思うのでございますけれども、この基本的な見解に間違いございませんか。
  139. 梶原清

    ○梶原政府委員 先生指摘のとおりでございます。
  140. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは、もう一点お伺いしたいのは、同法の九十五条は自動車整備振興会について定めておりますが、この自動車整備振興会というのは何のためにあるのかと言えば「自動車の整備に関する設備の改善及び技術の向上を促進するため」ということで、四つのことがここに出ております。時間の関係でこれは読み上げませんけれども、これらについて行うのが自動車整備振興会であって、いわゆる業会として設備、技術を改善、向上させて、ユーザーに好ましい分解整備事業を行うということが九十五条の精神であって、自動車整備振興会の行う業務というのは、ここに書かれている以上のことでもなければ以下のことでもない、これに沿ったこと以外はやるべきじゃない、これによって業会が好ましい発展を遂げるべきが法の精神だと思うのですが、その点いかがですか。
  141. 梶原清

    ○梶原政府委員 道路運送車両法の九十五条に自動車整備振興会に関する規定がございまして、先生指摘の条文があるわけでございます。ただ、この整備振興会は、先ほども先生指摘のとおり、自動車の整備に関する設備の改善とか技術の向上、サービスの改善ということに努力する団体でございまして、ここに列記されております事項のみしか行わない、こういうことではなく、自動車整備振興会の使命としまして、この目的を達成するために必要な業務は行える、こういうふうに考えておる次第でございます。
  142. 薮仲義彦

    薮仲委員 そこで、お伺いしますが、私は最初、自動車の分解整備事業の認証を受ける際には、七十九条の手続によって、その基準が満たされればいいだろうということを確認しました。私がここでお伺いしておきたいのは、自動車の分解整備事業を始めようとするとき、運輸省の認証さえあれば、また七十九条の法律の手続が満たされればそれで構わない、他のいろいろな団体であるとか業会であるとか、そういう人がいろいろな形でそれに干渉したり、あるいはそれに権限をあたかも持っているような形で介入することは、行政にとって好ましいことではない、本来、行政というのが国民から信託を受けている一番の問題は、法律を正しく公平に、だれもが納得できるように行って、初めて行政が成り立っていると私は思うのです。それが紛らわしい団体とか業会等によって、行政の純粋性、公平さ、国民の信託、納得が受けられなければ好ましいことではないという意味合いで、これは申し上げておるわけでございまして、分解整備事業を行う認証を受けるためには、七十九条の法律どおりの条件を満たして、出先ならば陸運事務所長あるいは陸運局の局長の認証さえきちっと受けられれば、一切その他の紛らわしい問題について左右される必要はないと私は思うのですが、いかがでしょう。     〔委員長退席、三塚委員長代理着席〕
  143. 梶原清

    ○梶原政府委員 認証工場の認証につきましては、運輸省の出先でございます陸運事務所が処理をいたしておるわけでございまして、陸運事務所が責任を持って対応すべきものでございます。ただ、整備振興会が、その持っております技術等につきましての知識を、十分にそうした申請者に対してサービスを提供する、こういうことも現実に行っておるわけでございますが、先ほど申されましたように、行き過ぎた行為ということは絶対に許されるべきでない、かように考えておりまして、いま御指摘のような行為につきましては、その適正化を図るように強く行政指導してまいりたい、かように考える次第でございます。
  144. 薮仲義彦

    薮仲委員 では、重ねて一つだけ伺っておきますけれども、これは巷間聞き及んでおりますので、そういうことがあってはまずいという意味で申し上げますけれども、いろいろな業会、団体が同意しない限り認証するのは困難であるということを、ちょっと私は聞いたことがございますが、それは妥当ではない、そういうことがあってはならない、そんなことを運輸省がやるわけはない、この法律に書かれたとおりやって、ただ、いま局長がおっしゃったように、技術のサービスであるとか、あるいは新しい技術の自動車が入ってくる、型式も変わってくる、そのために業会としてはこういうことは教えてあげる、あるいは新しく入ってくる人のために、こういうことは必要ですよ、そういう建設的な助言は当然必要だと思うのですけれども、認証についてそれを左右するような同意であるとかなんとかいうのは越権行為であって、私は、どこまでも運輸行政が確立されているのですから、その運輸行政の責任において認証すべきだと思うのです。その点いかがでしょう。
  145. 梶原清

    ○梶原政府委員 御指摘のとおりでございまして、認証は道路運送車両法、関連の法規に定められております基準を充足すれば認証しなければいけないということになっておるわけでございまして、今後、認証事務の取り扱いにつきまして厳正に処理をしてまいりたい、かように考える次第でございます。
  146. 薮仲義彦

    薮仲委員 よろしくお願いいたします。  それでは、時間がありませんので、次の問題をごく簡単にお伺いします。  今度は道路運送法になるわけですが、道路運送法の第五条に従って、いわゆる貨物自動車運送事業の免許を取得しようとする場合、たとえば私が貨物自動車運送事業を行おうと思って、この書類に必要事項を記入して申請をする、私は、過去において自動車運送事業をやった経験がないわけです、過去における運送実績がない、こういう者でも、この要件を満たせば貨物自動車運送事業をできるかどうか、この点が一つ。  それから、この申請書類の中に、事業の収支見積書を添付しなさいというのが書いてございますが、この事業の収支見積書というのは、これから開拓するであろうお得意先に、これぐらいの荷物を輸送させていただけますかというような、相手先からの確認をとっておけば、それでよろしいのかどうか。過去に何ら私は実績がないわけです。実績ゼロで、これからこのような荷物を運送できますよという収支の見積書を出せば、それでこの要件は十分満たすのか、この点でございます。  それから、これは法律に書かれておりますから、いかんともなしがたい問題ですが、普通聴聞というのがございます。この事業免許を受けるに際して聴聞会があるわけでございますが、聴聞というと、通常認識するのは、交通違反をやったときに、警察に出ていらっしゃい、聴聞会がありますよということで、聴聞というと悪いイメージがあるわけで、この場合も、事業を行うときに聴聞会に出ていかなければならない、そこで、とかくの問題があるわけでございます。私は、そういうことは決して局長の望んでいる行政ではないと思ってお伺いするわけでございますが、聴聞のあり方は、これから事業を開設しようとする人が、いろいろな意味で好ましい事業ができるような形で指導を受けるというような聴聞であってほしいと思うんですね。ですから、それが何となくおっかなびっくり行くような聴聞ではなくて、自信を持ってその聴聞会に行く、そういう思いやりのあるというか、親切な聴聞会であってほしいという点を要望いたすわけでございます。  以上、三点についてお伺いしたいと思います。
  147. 梶原清

    ○梶原政府委員 三点にわたります御質問に対して順序を追ってお答えをさしていただきます。  まず第一番は、免許基準に関連するものでございますが、トラックの免許申請につきましては、先生御案内の道路運送法第六条に免許基準が掲げられておりますが、具体的には各陸運局で具体的な処理方針というものを、免許基準というものを公示いたしております。事業区域、最低車両数、営業所、車庫、休息仮眠施設等、各事項にわたりまして具体的な基準を定めておりますので、これが充足されれば免許をすることになるわけでございます。  第二点でございますが、実績がなくとも免許になるのかどうかという点でございますが、実は、実績を持って免許申請をしていただくということは、どちらかと言えば、免許を受けないでトラック運送事業をやっておるわけでございますので、これは道路運送法第四条違反という違反行為をして免許申請をするということになりますので、私どもの法律を守らなければいけない立場から言いますと、それはまずいわけでございます。申請に当たりましては、道路運送法施行規則第四条、先生承知のとおりでございますが、「推定による一年間の取扱貨物の種類及び運輸数量並びにその算出の基礎を記載した書面」を添付書類として御提出をいただくことになっておりまして、それを十分吟味いたしまして、適切であれば、需給関係、今後事業を適切にやっていくための荷物が確保できるということを確認いたしまして免許するわけでございます。どちらかと言いますれば、冒頭に申しましたように、実績があって免許申請をしていただくということは本則でない、私どもから言えば困るということが言えるかと思います。  それから第三点で、聴聞のことについて御指摘があったわけでございますが、聴聞に当たりましていろいろなことをお聞かせいただくわけでございますが、その際に、語弊があるかもしれませんが、被疑者扱いにするような言語というのは厳に慎まなければいけないと思うわけでございますし、違法行為を自認すれば免許をしてあげます、こうした利益誘導による、申請者に違法営業の自認を強制するというようなことも厳に慎まなければならないと思うわけでございまして、今後陸運局を十分指導してまいりたい、かように考える次第でございます。
  148. 薮仲義彦

    薮仲委員 終わります。
  149. 三塚博

    ○三塚委員長代理 小林政子君。
  150. 小林政子

    ○小林(政)委員 私はきょうは、時間の関係もありますので、身体障害者の割引問題ということについてのみ御質問をいたしたいというふうに思います。  昨年の十二月に、障害者の団体でございます障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会、ここから運輸省に対しまして、いろいろと運輸関係に関連する要請行動がございました。内容を見てみますと、いずれも非常に切実な問題で運輸省交渉が行われているわけでございますけれども、私はきょう、その中で身障者の割引乗車券の購入についての簡素化の問題と料金割引の適用の問題、この二つの問題について質問をいたしたいと思います。  まず最初に、身体障害者が国鉄を利用しようとする場合に、その割引乗車券を購入するについて、かつてはその割引証を所管しております福祉事務所へ一々証明を取りに行ったわけでございますけれども、今日では簡素化の一環でもあるのでしょう、十枚つづりのこういうものが事前に障害者の手帳を持っている人に交付をされております。必要に応じてこれを持って駅へ出かけていって割引切符を購入するわけですけれども、ただ、この場合に、身体障害者の中には目の悪い人もおりますし、手が不自由で窓口で書き込むということが大変困難だという人もいますし、また車いすを利用していてなかなか不自由で、そこで割引証の中に記載をいたします、たとえば行き先だとかあるいはまた片道とか往復だとか、そういうものをずっと書き込むところがこの中に印刷をされておりますけれども、それが非常に困難といいますか、並んで、しかも、その切符を出して、そこに行き先を書いたり乗車券の種類をいろいろ記入をするという、普通の人であればこんなことは窓口でさっさと書けるもので何でもないわけですけれども、こういう点で非常に困難を来している、したがって、身体障害者の手帳を見せて、その手帳で、あと駅の窓口でその切符に何らかのしるしをつけるなり、あるいはどういうことになりますのか、もっと利用しやすいような措置がとれないのかという交渉がされております。  私も、直接矢島さんなどにもお話を伺いまして、具体的に何とかもう少し利用しやすい方法、いままでは一枚一枚福祉事務所に切符を取りに行ったのが、今度は十枚一括でということも大変前進でもあり、努力をされていることは私も認めるわけでございますけれども、こういった事態を解決するために何かもっとよい、利用しやすい方法、こういう問題について措置をすることができないのかどうなのか、こういう点についてまずお伺いをいたしたいと思います。
  151. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 ただいまお話がありましたように、福祉事務所から十枚つづりの紙をもらってきまして、それで御購入いただいておるわけですが、これは乗車券の購入あるいは急行券の購入ということで現金の出し入れが伴いますので、どうしてもその証拠になるものが必要であるということで、これは各種の割引の場合にはそういうふうなことで処理をしております。ただ、昔は一枚一枚ということで非常に繁雑であるというような御要望もありまして、四十八年だったと思いますが、そのころから十枚つづりで一年間の通用ということにして、中身もなるべくならば丸をつけるとか、そういうことで字を書かなくても済むような簡素化をとりまして現在施行しております。  それで、これはただいま申しましたような金銭関係の問題、あるいは統計上必要でございますので、もし窓口でそういった不自由な方がおられる場合には、うちの職員がかわりに書いて差し上げるとかなんとかというような手だても講じておりますし、廃止するということはできませんので、なるべく簡単な方法でということで心がけておりますので、ぜひそういうことで御協力をいただきたいと思っております。
  152. 小林政子

    ○小林(政)委員 私も最初は、そんなに不自由で困難だと言っても、この程度であれば書けるのじゃないか、そういう気持ちも持ったわけですけれども、実際に聞いてみますと、目の悪い人は本当に近づいて書いているというんですね。それで、これは何らかの形でもっと利用できるような、それが大変困るというようなことで、自分は出かけたいと思うところがあっても、親戚に不幸があったとか、あるいはお祝いがあったとか、こういうときも、いろいろとそういうことを考えますと、つい三度に一度は出そびれてしまうというような事態も起こっておるようでございますので、この問題については何らかもっとできるだけ利用がしやすいような、そういう点を前向きに一層検討をしてもらいたいというふうに思うのです。  私は、やはり切符を購入する場合に、そこに何か半券に判を押すとか何らかの形で何かここにこういう五割引きであるというような点が残れば、それは駅としても、いわゆる局としても処理がでさるのじゃないだろうか、こういうふうにも思いますので、この点については積極的に前向きにひとつ検討をしていただくというようなことについて要望をいたしたいと思いますけれども、総裁いかがでございましょうか。
  153. 高木文雄

    ○高木説明員 私、事情をつまびらかにまだ聞いておりませんので、よく御要望の筋を承りまして、検討させていただきたいと思います。
  154. 小林政子

    ○小林(政)委員 次に、私がお伺いをいたしたい問題は料金です。いま身体障害者の場合には、五割引きという運賃の制度ができておりますけれども、現在は料金の問題についてはその適用がされていないわけです。  それで私、その料金問題の割引ということについて大変強い要求が出ておりますので、その背景の問題について、まずいろいろとお伺いをいたしたいと思っておりますが、東京−名古屋間の列車のダイヤということで三十一年当時の普通の列車というのがどうなっていたのか、急行や準急あるいは特急などもその当時はどうなっていたのか、あるいはまた三十六年当時と現在とでは具体的にどうなっているのかという点について、この実態をお知らせをいただきたいと思います。
  155. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 三十一年には上下で特急が八本、急行が三十四本、準急が二本、普通が二十一本ということで六十五本であったわけです。それから三十六年になりまして特急が二十八本、急行が五十五本、準急が十六本、普通が十本ということで百九本というふうにふえております。ただいまは、その後新幹線が開通しておりますので、その中で特急、急行、準急というようなものにつきましては、ほとんど新幹線に移しておりますので、東京と名古屋の間と言われますと、昼間は全然ございませんで、夜行便が特急で九本、それから普通が一本、急行が二本、そういうふうなかっこうになっております。
  156. 小林政子

    ○小林(政)委員 やはりこの数字を見てみますと、当初三十一年当時は、結局普通の列車が下り上り両方合わせて二十一本もあったわけです。しかし現在では、名古屋まで行こうと思いましても、普通の列車というものは、もちろん乗りかえ乗りかえを積み重ねれば行けるかもしれませんけれども、なかなか直通で走っている列車は現在ないわけでございますし、また三十六年のころを見ましても、これは結局下り上りで十本の列車が走っておりましたけれども、しかし、実際問題としては、それを利用しようとすれば、身体障害者の場合に、普通列車を利用するということは、当時は可能であったということが言えると思いますけれども、現在は列車の選択の余地というものが、これはやむを得ず全部特急で名古屋まで乗らざるを得ない、こういう改正が行われているわけですし、私は、やはりこの点についても何らかの検討が必要ではないだろうか、このように思っております。  次に伺いたいのは、それでは料金の点については一体どうなっているのかということです。三十一年、三十六年、現在ということでお聞かせをいただきたいと思います。
  157. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 三十一年は運賃、料金込みでございますが、特急で千二百三十円、急行で九百三十円、準急で七百八十円ということであります。  それから、三十六年は特急で千五百二十円、急行で千二百二十円、準急で千二十円であります。ただいま現在では、新幹線で行きますと六千六百円、運賃、料金込みでそういうことになっております。
  158. 小林政子

    ○小林(政)委員 やはり当時は運賃の五割引きという場合に、これはちょっと私、その数字と少し違うかもしれませんけれども、三十一年当時は運賃が東京−名古屋の間で六百三十円、三十一年の初めのころですけれども、そして割引で五割引ですからこれは三百二十円、それにどうしても急行に乗っても料金が三百円でございますので、結局六百二十円で東京から名古屋へ行くことができたわけです。ところが現在は、そういう制度が利用したくてもできませんので、やむを得ず運賃三千五百円の新幹線に乗った場合には、割引として半額で千七百五十円、それに三千百円の料金というものが取られますので、五割引をされたとしても四千八百五十円、こういうことになるわけで、私は、やはりこういう事態、問題が起こっている現状の中では、何らかの形で急行や特急、こういうものの料金についても、当初の趣旨を生かしていくという点から考えれば、当然、これは割引の制度というものが適用されてしかるべきじゃないだろうかな、このように思うわけでございますけれども、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  159. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 確かに、東海道の東京−名古屋という区間で見ますと、新幹線ができましてだんだんその間の急行や特急が少なくなってきたということで、新幹線を利用しないと名古屋まで行くのに行きにくいというような実態はございます。全国的にそうだというわけではありませんが、東京−名古屋とかあるいは大阪とかというようなところにつきましては御利用しにくいということは確かです。ただ、これはすでに過去においても国会でも議論されておりますように、この割引制度にはいろいろ沿革的な問題もございまして、それをどういうふうに整理をし、今後どういうふうに扱っていくかということは、ただいまいろいろ問題がございまして、そういう勉強をいたしておりますが、しかし、公共負担率の点につきましては、政策実施官庁の方で御負担いただくという形で処理したいということでわれわれもお願いをしておりますので、ただいま現在ある特定の区間だけについて国鉄の負担でやるということはいかがかと思いますので、おっしゃることは確かにこの区間については言えますが、全体との絡みの中で解決をしていくということでないと、ここだけの特例というわけにはいかないのじゃないかというふうに考えております。
  160. 小林政子

    ○小林(政)委員 私、全国的な問題もいろいろと資料をいただいて調べておりますけれども、いずれにしても、現在は普通列車といいますか、そういうものがだんだん本数が少なくなってきて、そして特急だとかあるいは急行だとか、こういうものがふえていることは、これはもう事実です。ですから、何の時間の制約もなく、私なども時たま鈍行にでも乗ってなんという気持ちになるときもありますけれども、しかし一般には、そういうことはよほどお暇の方でもなければ、もうすぐに特急に乗る、準急に乗る、急行に乗るというような、こういういま時代の情勢もずっと変わってきております。  こういう中で具体的に身体障害者の人たちが、運賃の半額だけは適用されるけれども、特急だとかあるいは料金の適用ということが全然されていないということについて、この問題はやはり検討をしていく必要があるのじゃないだろうか、このように考えております。具体的には、列車選択の自由という問題も非常に制限をされてきておりますし、また列車の運行体系も変わり、運賃料金の体系も変わっている、当然、当初身体障害者の割引制度というものをつくられた趣旨等から考えますと、それが現在はなかなか生かされていない、これをもっとやはり割引制度についても何らかの適用をしていくような、そういうものに変えていくということが必要ではないだろうか、このように思いますけれども、ひとつこの点について総裁かあるいは大臣から御答弁をいただきたいと思います。
  161. 高木文雄

    ○高木説明員 ただいま担当理事から申し上げましたとおり、身障者割引問題については、私どもの方は私どもの方でいろいろお願いをいたしたいことがあるわけでございますし、それから身障者の方からごらんになりますと、時代の変化にもろもろの制度がついていっていないということで、もう少し拡大をすべしという御議論があるわけでございます。     〔三塚委員長代理退席、佐藤(守)委員長代理着席〕 たとえば駅、車両等の設備の問題等についても、いろいろいま問題が起こっておるところであります。何か適当な機会に適当な方法で皆さんの御意見も承り、また、われわれの申し上げたいことも聞いていただくような機会をつくって、そして総合的に判断することにしてはどうかなということを、いまお尋ねを承りながら感じておる次第でございまして、いまこの場で直ちにどうこうというのはなかなか申し上げられませんけれども、研究課題の一つにさせていただきたいと思います。
  162. 小林政子

    ○小林(政)委員 総裁から非常に前向きに、検討もしたいとおっしゃる御意見を伺いました。  私は、ひとつ大臣からも、この料金割引の問題についての御見解を伺いたいと思います。
  163. 森山欽司

    森山国務大臣 国鉄の財政状況の関連のことはもう申しません。ただ、各種の割引制度のうちには、種々の性格のものが含まれておりますから、その割引の性格を十分検討の上、文教政策とか社会福祉政策等の公共的な見地から、実際運用につきましては、第七十八国会におきまする衆参両院の附帯決議趣旨にかんがみまして、引き続き関係各省と協議してその軽減を図るように努力してまいりたいと考えております。
  164. 小林政子

    ○小林(政)委員 大臣、そういうことを私はお聞きしたのではなかったのです。いま時代の趨勢といいますか、非常に時代の変化が——大臣、そこにいらっしやらなかったのですか。
  165. 森山欽司

    森山国務大臣 基本的には、先ほど申しましたようなことでございますが、特急料金の割引制度のことを御主張になっておられると思い、ますが、やはりそういうふうな点も考えまして、先ほど申しましたような御院議の中に含ませていただきたい、そういうことであります。
  166. 小林政子

    ○小林(政)委員 終わります。
  167. 佐藤守良

    ○佐藤(守)委員長代理 中馬弘毅君。
  168. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 イランの政変あるいはスリーマイル島の原子力の問題等で、またぞろエネルギーの問題が非常に国民の関心を得てきております。四十八年の石油ショックのときには、それこそ深夜テレビを禁止したり、あるいはネオンを制限したりということで相当な対策を打ったかに見えましたが、その後はのど元過ぎればということでほとんど何もなされておりません。そういうことと、交通体系関係で、その後省エネルギーの観点からどういう施策を打たれたか、これについて少し具体的な例も挙げながら御質問申し上げたいと思います。  まず、マイカーのことでございますが、マイカーの増大あるいはトラックの問題、それから新幹線や交通の問題、いろいろございますが、まず最初に、省エネルギーの観点から石油ショック以降この五年間にどういう対策を運輸面で打たれたか、打たれてないのか、その辺のことをまずは御答弁をお願いしたいと思います。
  169. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 お答えいたします。  運輸部門におきまして、エネルギーの現在の情勢に対応いたしまして、いままでもやっておりますが、今後も講じなければならないと考えられる幾つかの点がございます。将来を考えますと、エネルギー情勢というのは、やはりその全体の供給量あるいは価格の面で大変な問題を生じるであろうというふうに考えているわけでございまして、その総エネルギーのうちで一七%のシェアを占める輸送部門につきましては、長期的な観点に立って省エネルギー対策を推進していく必要がございます。従来にも増してこういうことが必要でございますが、第一番目の問題といたしましては、エネルギー効率のいい輸送機関、こういうものに誘導をしていく必要があろうという点が第一点でございます。たとえば地下鉄なり高速鉄道というようなものの建設あるいは相互乗り入れというようなことによります都市高速鉄道の促進、それから、これに関連をいたしまして、バスの有機的な連携というようなことによりまして、私的な交通手段というものを一層公的な交通手段の方へ誘導していくということが第一番目の問題でございます。従来も運輸省といたしましては、特に大都市におきまして地下鉄の建設等こうした方向努力をしたところでございます。  それから、第二番目の方向といたしましては、そうした具体的な建設でなしに、いわゆるソフトの面でございますか、たとえば貨物の共同一貫輸送体制あるいは共同配送というようなことによりまして、各輸送機関の効率化を図るということが第二点でございます。  それから第三番目は、技術的な問題でございまして、技術的に自動車の燃費を向上させるというような向上対策、あるいはエンジンそのものの改良ということで熱効率のいいスターリング・エンジンというようなものの研究というような技術的な面での省エネルギー対策、これをいままでもやっておりますが、今後も引き続き検討をしてまいりたいというふうに思うわけでございます。  以上がいままでの経過と今後の方向でございます。
  170. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 今後の方向はわかりますが、いままでこの五年間にほとんどやられなかったのじゃないか、そしてまた、こういうエネルギー問題が起こってくるとあわててやっておられる、こういう姿勢じゃ困るじゃないかということでございます。  そのマイカーの問題でもございますが、これはマイカーよりも営業用の乗用車あるいはバスの方がいいことは、いまお話しのとおりでございますけれども、現実には自家乗用車は四十八年末千百三十六万台が五十三年では千八百三十七万台、六二%もふえているわけですね。一方、じゃ営業の方はどうかと言いますと、営業用の乗用車、バス合わせまして、これはごくわずかでございますし、伸び率にしましても、この五年間で五%ぐらいしかふえていないんですね。年率一%ぐらいしかふえていない。ということは、営業用への誘導ということは何もなされなかったと考えてもいいのじゃないか。またトラックについても同様でございまして、自家用よりも営業の方が効率がいいことは当然のことでございます。往復とも貨物が積載できるとか、あるいは小さなスペースにでも余分の荷物を積むといったようなことで効率がいいはずでございますけれども、同様に四十八年から五十三年の五年間で自家用トラックは二四%、一・二四倍にふえておるのに、営業用トラックは一五%しかふえていない。誘導はほとんどなされていなかったという気がいたしておりますが、この点に関してはどうでございますか。
  171. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 過去におきましていろいろと努力をいたしましたが、結果的な数字といたしましては、いま先生指摘のように、自家用自動車の輸送のシェアがだんだんふえてきておる、こういうことは事実でございます。何と言いましても、自家用自動車というものは、その機動性なり、自分自身で自由自在に使えるという利便性という点がございますので、やはり所得水準の向上とともに自分の足のかわりというような形で日常生活に定着をしてまいってきておるわけでございまして、世帯当たりの所有台数が次第に伸びてきておるということは事実でございます。  ただ、これでいいかという点は、先生指摘のように問題がいろいろとあり、省エネルギーの問題あるいは安全、環境、空間の有効利用、こうした点でいきまして、いろいろな面で考えまして問題のある交通機関であるということは言えるわけでございます。  したがいまして、そうした点も十分考えて、今後とも、なかなか個人個人ではマイカー、マイトラックというものの増加をみずから抑えることはできないと思いますが、いろいろな意味での政策手段によりまして、公共輸送の方へ漸次誘導をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  172. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 個人個人の利便性はよくわかっておるわけでございますが、国土が広くて、あるいは石油が豊富だというのであれば、それでもいいでしょうけれども、こういうような状況の中でそれを考えなければ、騒音やエアポリューション、いわゆる公害の問題、それから交通渋滞、交通事故、と同時に国鉄も含めた公共交通の財政悪化という形にもつながってきておるわけでございます。それと先ほど言いましたエネルギーのむだ遣いになっておるということでございますので、この辺のことをお考えいただきたいということでございます。  一方、トラックの過積み規制ということを実施したことによっていろいろな影響が出てきております。これは輸送コストがアップするということを理由に、建設資材だとかそういったものの値上がり、いまでも影響が出てきておりますけれども、国鉄貨物がいままで停滞しておったのが少しはふえた。  その影響かどうかわかりませんが、その点について国鉄貨物が前年同期に比べてどのぐらいふえたか、そしてそのうちにトラックの過積み規制の影響がどの程度だとお考えか、お答え願いたいと思います。
  173. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 国鉄の貨物は、過去においてずっと下がってまいりまして、昨年まではそういった状態にあったわけですが、ここのところちょっと上向きかげんになっております。昨年の第二・四半期までをとってみますと、やはり一昨年と比べて若干落ちておりまして、九八%ぐらいであったものが、第三・四半期ぐらいから上がってまいりまして、下期になりまして大体数%ぐらい、対前年上がってきておるというような形をとっておりますので、以前から見ますと、かなり上向きかげんであるということは言えるかと思います。  ただ、これが全部過積みであるかということになりますと、いろいろな原因がございまして、たとえば景気の上昇であるとか、あるいはわりに大きいのは安定輸送という要素が大きくて、荷主さんなんかに聞きますと、そういった声が非常にはね返ってくるということもございます。それから、過積みの問題であるとか、いろいろ営業努力もいたしましたしということで、それらの点が複合しておるように思いますので、この中で過積みがどれだけであるかということは計量が非常に困難でございます。大体の品目でそれに関係のあるような品目もございますけれども、そればかりじゃなくて、ほかの品目も伸びておるというような実態にありますので、これがどれだけがそうかということは、ちょっと計量化が困難であるというふうに申し上げざるを得ないわけでございます。
  174. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 国鉄同様に内航海運も最近はふえておるやに聞いておりますが、それも同様に、前年同期に比べてどういうような状況になっておるのか、あるいはトラックの過積み規制の影響があるのかないのか、あればどの程度なのかをお答え願いたいと思います。
  175. 真島健

    ○真島政府委員 内航海運につきましては、昨年の秋以降、十月以降、小型船の分野で鋼材などを中心に非常に堅調な動き、つまり前年同期に比較しまして輸送量が相当ふえておるという状況がございまして、したがいまして、過積み規制が行われました十二月にも当然前年同期比ふえております。これはトータルで前年同期比九・六%程度の輸送量の伸びがございます。さらに、品目別に見ますと、鉄鋼、砂利、それからいわゆる大宗貨物でないその他品目というものについて、十二月にはそれぞれ二〇%あるいは三〇%近い伸びを示しておる品目がございますが、しかし、この品目も十一月の前年同期比の伸びと比べまして余り変わっておりません。そういう意味では、小型の鋼材を運ぶような船が、一月に入りまして、これはまだ数字がはっきりまとまっておりませんけれども、例年なら閑散期であるにもかかわらず、ある程度まだ堅調を続けておる、そういう点から一部トラックの過積み規制によるものであるという推定はできるのでございますけれども、果たして全体の内航の輸送需要の五十三年暮れ以降の伸びの中でどの程度かと言いますと、これはちょっと分析がむずかしいのではないかということで、ちょっとお答えに適切な数字を申し上げられない状況でございます。
  176. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 大臣にお尋ねしますが、いま言ったようなトラックの過積み規制の影響あるいはそういった営業用のバスだとかトラックに対する施策、そちらに移していくというような施策、あるいはまた公共輸送に対してどうシフトさせていくかといったことについて、大臣はどういうようなお考えでございましょうか。
  177. 森山欽司

    森山国務大臣 従来の総合交通体系におきまして、省エネルギーという観点から見ますと、全然ふえていないことはありませんが、石油ショック以後の情勢——これのできましたのが昭和四十六年ですから、石油ショック以後の情勢、特に最近のイランの事件に発端した石油情勢の先行き、そういう深刻な事情は、むしろそういうものは入っておらない、従来からの個人の選好、好みというものに任した、そういう交通機関の利用ということに主力は任されておりますから、ほっておきますと、時代の流れに合致しないような、国の将来の先行きの見通しから見まして、これではいかがかと思われるような事態が出ておることは、先ほど来の御指摘のとおりであろうと思っております。  したがいまして、私どもといたしましては、総合交通体系全体といたしましても、総合的に各交通機関の役割り、あり方というようなものを考えまして、これを考え方の指針として、そして実際の行政の上に反映するように速やかな措置をとってまいりたい、そういうふうに考えております。確かに、問題はお話のとおりであろうと考えております。
  178. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 いまのトラックの過積み規制の影響なんでございますが、計量的にはそうはっきりしないが、何かあるようでもあるというようなお答えでございましたが、トラックの需要がふえていることはこれまた事実なんですね。いままで一・五トンの荷物があったとして、それを二トン車に二つ積んでおった、それが規制がかかりますと、それを一台一つずつ積まなければならぬということは、二台要ることでございます。したがって最近、例の交通渋帯も起こっておりますし、またトラックメーカーは秋口まで受注残を抱えてフル操業をやっておるような状況ですね。これは省エネルギーに逆行することになりはしないか、一方の考え方ではそう言えるかと思うのですが、そこはどうでございましょう。
  179. 梶原清

    ○梶原政府委員 トラックの過積み規制によりましてトラックの台数が幾らかふえておるということは否定できないと思います。ただ、五十三年末、それから年度末、そして最近、景気が若干浮揚しつつあるというような状況でございまして、これを一概にどのような影響があり、過積み規制によってどのように車がふえたかということは、はっきり言えないかと思います。  ただ、営業トラックについて申し上げますと、先生御案内のとおり、トラックは労働集約産業でございまして、人件費が約六〇%を占めております。したがいまして、台数をふやすということにつきましては非常に抵抗があるわけでございます。一般的な傾向といたしまして、ことしに入りましてからの傾向でございますが、普通車につきましては対前年五%から六%ふえております。ところが、小型車はかえって減っておるわけでございまして、対前年九九・四%、こういうようなことでございます。それから、トレーラーが二%から一二%ふえておる。と言いますことは、小型車から大型車への代替という傾向が進んでおるわけでございます。こういうことによりまして、この過積み規制と言いましょうか、それに対応して定量積載の努力をしつつある、そして同時に、効率的な輸送、こういう努力のあらわれであろうかと思うわけでございます。これをもちまして一概に、いま先生指摘のような御趣旨が果たして言えるかどうか、非常に疑問ではないだろうか、こういうふうに考える次第でございます。
  180. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 こちらが言いたいのは、単に過積み規制をするだけではなくて、エネルギー効率の点から考えた場合に、いまおっしゃったようなことと同時に、トラックボデーやタイヤ等を強化する、もちろん安全性の許容の範囲内の話でございますが、積載キャパシティーを上げるといったようなことも考えられるのじゃなかろうか、それについては自動車局長、どうお考えでございますか。
  181. 梶原清

    ○梶原政府委員 過積載の規制強化に伴いまして、車両総重量の見直しをすべきであるという論議が一部において盛んになっております。しかしながら、この車両の総重量につきましては、車両の安全性という見地から保安基準で一両当たり総重量二十トンというふうに決められておりますし、道路の事情からしましても、橋梁なり舗装なりの保安という面から、車両制限令をもちまして総重量二十トンというふうに決められております。これの見直しをしまして、たとえば二十トンのものを二十五トンにするということは、安全という見地から絶対に許されないことでございます。過積みをいたしますと、走行安全性を損なうことにもなりますし、ブレーキをかけましたときに、所定の距離でとまらないというようなことで事故につながるわけでございまして、私どもとしましては、車両総重量の見直しをするということは、今日の段階におきまして不可能である、きわめて困難である、かように考えておる次第でございます。
  182. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 私が言っていますのは、現行のままで余分に積ませろということじゃなくて、技術的な指導までも含めて先ほど言いましたような大型化にしていくだとか、あるいは技術的な面での安全性の指導をして、一台当たりにたくさん積めるといいますか、こういうことにした方がエネルギー効率になるんじゃないかという意味で言っているわけでございます。
  183. 梶原清

    ○梶原政府委員 御趣旨を取り違えて御答弁申し上げたかと思いますが、車両総重量二十トンという前提で車の自重をできるだけ小さくする、積載量を多くする努力は大いに今後やらなければいけない、こういうふうに考えます。また帰り荷のあっせん等によりまして、現在恐らく六〇%程度にとどまっております実車率を高めることによりまして効率的な輸送を図る、こうしたじみちな努力を続けていかなければいけない、かように考える次第でございます。
  184. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 次に、新幹線の建設が進んでおりますが、これは同時に、ほかの交通機関との国民経済的、総合的体系を考慮する必要があるのではないかと思っております。現在運行しているところを見ましても、東海道東京−名古屋間あるいは東京−大阪間というところに航空路線があるわけでございますね。これは場合によっては非常にむだなことかもしれないと思っております。時間的に言いまして若干差があることは事実です。私も大阪で、東京−大阪は飛行機に乗ったり新幹線に乗ったりしておりますので、所要時間を少し当たってみますと、都心から都心、東京都庁から大阪市役所でもいいです。     〔佐藤(守)委員長代理退席、委員長着席〕 これを計算してみますと、東京駅から「ひかり」三時間十分、それから新大阪から地下鉄淀屋橋、それから市役所といったことでとってみますと、大体三時間五十分ぐらいで行くわけでございますね。一方飛行機の方は、都庁から東京駅に行って、それから浜松町に国電で行って、それからモノレールで羽田に行き、そして飛行機のカウンターに二十分前までに到着しなければ乗せてくれませんから、それも入れますと、また伊丹からリムジンバスで梅田、それから地下鉄で淀屋橋、市役所ということになりますと、大体三時間強、三時間五分ぐらいになります。その差は四十五分ぐらいです。現実に四十五分差があることは事実でございますけれども、金額の方は、これは一万五百円と九千三百円でしたか、ほとんど変わらない状況です。  そうすると、現実には確かにこの四十五分あるいは三十分ないし一時間、その間の時間でしょうけれども、それの利便性を求めてあれだけ航空需要に殺到するわけですね。いまなかなか切符は入手できません。ほとんど満杯でございます。しかし、果たしてこれがいいのかどうかということなんです。  国鉄の方としては、その対応として「ひかり」をもう少し早く走らせる方法は考えておられないのか、技術的に無理なのか。たとえばいま大阪—東京間「ひかり」が六十一本走っておりますけれども、六十一本のうちの——一方、飛行機の場合は全日空と日航合わせて十四便ですか、そうしますと、その本数だけでも、ということは四分の一、十五本ぐらいでも名古屋と京都にとまらないノンストップをつくったら、飛行機とほぼ変わらなくなるのじゃなかろうか、そういうことは国鉄側としてはどうお考えでございますか。
  185. 高木文雄

    ○高木説明員 三時間十分という時間にこだわることはないではないかということでございますけれども、どうもレールというのは大変不便なものでございまして、追い越し、追い抜きということができるようになっておりますれば、そういうことも考えられるかと思うのでございますけれども、大体平行ダイヤと申しますか、同じ時間で同じようにして走るということが一番能率的でございまして、現在でも「こだま」というシステムと「ひかり」というシステムと二本立てになっていることによる「こだま」の方の時間ロスというものもあることで御想像いただけますように、三時間十分よりも速いものを走らせるということを考えました場合に、現在の三時間十分の方が今度は三時間十分ではなかなか走らなくなるというような関係にあるようでございます。  それと、現在でも騒音の問題に関連いたしまして、むしろ三時間十分をダウンしないかということを中心とする御存じの名古屋地区におきます新幹線訴訟というものも起こっているわけでございまして、私どもも折に触れて、もう少し万事弾力的に考えられないかということを考えることもあるわけでございますけれども、どうもそこがうまくいかない。特に東京と大阪の間は、十年以上前につくりましたときに、非常に無理をして、とにかく少しでも安い建設費でつくろうということに専念いたしました結果、設備的に非常に無理がありますので、私ども最近の飛行機との競争の関係から言いますと、おっしゃるようなことができればいいがなとは思いますけれども、どうも現実的には、そういう案はいままでの私どもの研究では成り立たないということになっておるわけでございます。  しかし現在、新幹線の運行全体のシステムというもの、あるいはダイヤの構成というものについて、十何年たって今日のままでもよろしいとは思っていないわけでございまして、たとえば一つ考え方としてはアコモデーションをもう少し変えるというようなことを考えながら、飛行機との関係において新幹線をお客様にもう少し利用していただくというか、かわいがっていただくとか、そういうことの工夫をあれやこれやいまやっているところでございます。お気持ちのように、何とかもう少し飛行機でなしに鉄道を利用していただける方に誘導できないかということは工夫をいたしておりますが、具体的な御提案として三時間十分を短くするということは、いろいろやってみましたが、いまのところではどうもいい案が出ておりませんという現状でございます。
  186. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 これはエネルギー的な面で言いましても、相当な差があるんですね。航空機の東京−大阪間、747で五百人乗りですか、四百九十八人乗りですか、これで石油消費が十四キロリッターです。これはジェット燃料ですから、石油に換算しますと十四・八キロリッターになります。一方、新幹線「ひかり」の使用電力を燃料に換算いたしますと、五・二キロリッターということなんですね。そして新幹線「ひかり」は千三百四十二人ですから、一人当たりにしますと、航空機の場合には二十九・六リッター、「ひかり」の場合には三・九リッター。そうしますと、大体「ひかり」一に対して航空機の場合には七・五、約八倍近い燃料を消費するわけです。こういう国民経済的なことで考えたときに——しかし、現実の問題として三、四十分に対してあれだけの需要があるということなんですから、それにどうしても国鉄が対応していかなければ国民経済的にもマイナスでございますし、国鉄の赤字解消にも寄与しないのじゃないかという気がするのです。  いま羽田でも伊丹でも便数が非常に制限されております。したがってこの十四便を、何らかの方法で、あるいは短距離の航空というものには少し通行税を高くして、国鉄との競争関係を逆にして四十五分の差を金額面でなくしてしまうということもあわせて考えた場合の話でございますが、そうすると、この十四便があく。いま大阪から四国だとか大阪から九州、大阪から山陰、あるいは東京から中国筋であったり東北であったり、こういうところの需要が非常に高いんですね、しかし実際には、東京も大阪も発着便数が制限されておって、したがって、一日に一便か二便しかもう入れない、それで切符はほとんど手に入らない、これは少しおかしいのではなかろうかとこちらは考えるわけですね。東京と大阪は新幹線「ひかり」でやっていただいて、それ以外のところは、むしろ地方のローカルとローカル、あるいは大阪と九州、東京と北陸といった形の便数をふやした方が、それこそ最近言われております地方の時代にもかなうのじゃないかと思うのです。その辺はどうでございましょうか。
  187. 松本操

    ○松本(操)政府委員 エネルギー的な面からいろいろと御指摘がございましたが、航空機の場合には、何せ重力に逆らうだけのよけいな力を出さなければなりませんので、おっしゃるような数字になろうかと思います。  そこで、東京−大阪のような、かつて三十九年でございますか、新幹線ができて、その後どういうふうな変遷をとってきたかということでございますが、大体四十年代の終わりごろから、東京—大阪間の提供座席数というものは実はほとんどふえておりません。便数的にも実は下がってきておるのが事実でございます。それが逆に一般の旅客にとって、四十五分という先生の仰せでございましたが、利用する場所によってはもっとその差は広がるかもしれませんが、そういうこともあってロードファクターの方は、提供座席数をほとんど変えてないということもあるのかと思いますけれども、ここ三年、四年ぐらいの間にロードファクターの方は、実は上がってきておるという現象が起こっております。  そこで、一つの示唆としてお示しいただいたものと私、受け取ったわけでございますけれども、東京−大阪間のような場合に、便数をどういうふうにするかというよりも、むしろ提供座席数を今後どのように配慮していくのか、それからいま、通行税のお話がございましたけれども、いずれ運賃の改定等を行いますような場合に、国鉄の運賃は近く値上げになることもはっきりしておるわけでございますから、そういうふうな面をも考慮に入れまして、単に省エネルギー的な面のみならず、大臣も先ほどお答え申し上げましたが、全体的な総合交通体系的な枠組みの中で、そういったようなかなり競合に近い状態で行われる場合の鉄道航空輸送をどのようにとらえていくかというふうな点については、ひとつ積極的に取り組んでいくようにしたい、こう考えております。  現時点で急速にその便数を減らすとか、あるいはその減らした便数を他の路線に振り分けるとかいうことは、現実に現在の枠組みの中で八〇%を超えるロードファクターを示しておるという一般公衆のそういった選択性向というものも、あながち無視できないというふうにも思いますので、ひとつ今後の問題として十分研究させていただきたい、このように思います。
  188. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 自由経済でございますから、強制的にそうしろといった意味じゃなくて、国鉄の方にむしろその努力をしてもらいたいということなんです。今後、札幌にも福岡以遠にも延ばすというような場合に、航空機との競合にすら負けてしまうということは、はっきり言いまして、これは国民経済的にもエネルギー的に言っても非常にマイナスでもございます。と同時に、先ほど言いましたような地方の方の立場というものをもう少し配慮して、そちらの利便がもっとふえるようなことも総合交通体系の中で考えていただかなければならないのじゃないかということでございます。  時間も来ましたので、その点を指摘して私の質問を終わらしていただきます。
  189. 箕輪登

    箕輪委員長 次回は、来たる五月八日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時五分散会