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1979-04-25 第87回国会 衆議院 運輸委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年四月二十五日(水曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 箕輪  登君    理事 佐藤 守良君 理事 関谷 勝嗣君    理事 堀内 光雄君 理事 三塚  博君    理事 佐野  進君 理事 渡辺 芳男君    理事 西中  清君 理事 山本悌二郎君      小此木彦三郎君    田澤 吉郎君       玉生 孝久君    浜田 幸一君       藤本 孝雄君    古屋  亨君       太田 一夫君    久保 三郎君       斉藤 正男君    坂本 恭一君       田畑政一郎君    有島 重武君       草野  威君    玉置 一弥君       小林 政子君    中馬 弘毅君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 森山 欽司君  出席政府委員         運輸省海運局長 真島  健君         運輸省海運局次         長       妹尾 弘人君         運輸省船舶局長 謝敷 宗登君         運輸省船員局長 向井  清君  委員外出席者         外務省中近東ア         フリカ局外務参         事官      堤  功一君         大蔵省主計局主         計官      小粥 正巳君         通商産業省貿易         局輸出課長   松田 岩夫君         資源エネルギー         庁石油部開発課         長       鈴木玄八郎君         運輸省海運局総         務課長     川口 順啓君         運輸省海運局監         督課長     大塚 秀夫君         運輸省船舶局造         船課長     間野  忠君         運輸委員会調査         室長      榎本 善臣君     ————————————— 委員の異動 四月十七日  辞任         補欠選任   石井  一君     中馬 辰猪君  小此木彦三郎君     稲垣 実男君   浜田 幸一君     増田甲子七君   河村  勝君     受田 新吉君 同日  辞任         補欠選任   稲垣 実男君    小此木彦三郎君   中馬 辰猪君     石井  一君   増田甲子七君     浜田 幸一君   受田 新吉君     河村  勝君 同月十九日  辞任         補欠選任   河村  勝君     西田 八郎君 同日  辞任         補欠選任   西田 八郎君     受田 新吉君 同月二十日  辞任         補欠選任   石井  一君     中馬 辰猪君  小此木彦三郎君     福田  一君   玉生 孝久君     増田甲子七君   受田 新吉君     河村  勝君 同日  辞任         補欠選任   中馬 辰猪君     石井  一君   福田  一君    小此木彦三郎君   増田甲子七君     玉生 孝久君 同月二十五日  辞任         補欠選任   河村  勝君     玉置 一弥君 同日  辞任         補欠選任   玉置 一弥君     小宮 武喜君 同日  辞任         補欠選任   小宮 武喜君     和田 耕作君 同日  辞任         補欠選任   和田 耕作君     河村  勝君     ————————————— 四月十一日  自動車検査登録代理士立法化反対に関する請  願(嶋崎譲君紹介)(第二九七六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を  改正する法律案内閣提出第一七号)  船員の雇用の促進に関する特別措置法の一部を  改正する法律案内閣提出第四七号)      ————◇—————
  2. 箕輪登

    箕輪委員長 これより会議を開きます。  外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐野進君。
  3. 佐野進

    佐野(進)委員 外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部の改正について、すでに何人かの方が質問されておりますので、できるだけ重複を避けて質問してみたいと思います。  私は、この法案内容をいろいろ検討いたしましたが、法案内容そのものの持つ表現はきわめて簡略なものでありますが、その背景にある情勢というものはきわめて深刻なものがあるわけであります。しかし、それをまたつぶさに検討いたしてまいりますると、いわゆるこの法案提案するに要した条件、いわゆる海造審委員会答申ないし運輸省海運局当局がこの対策に取り組んだときと現在の情勢の中に、すでに二年近い時間の経過を見ておるわけでありますから、結果的に言うならば相当情勢変化がこの中にあらわれているのではないか、そう判断をいたすわけであります。  昨年の七月に発表された運輸省の文書によりましても「要するに当面する問題としては、いわゆる円高傾向あるいは運航コストの大幅な増高をもたらしている船員費等上昇等々を初め、東欧圏海運の非商業的活動によるシェア拡大策あるいは発展途上国自国船優遇策、これらの条件の中でわが国海運界国際的競争力を失いつつある。」こういうように表現し、また海造審の小委員会におけるところの答申内容を見ましても、全くこれと同じような考え方に基づくところの答申をいたしておるわけであります。  そこで私は、まず大臣海運局長に聞いてみたいと思うのでありますけれども、この一年間、いわゆる答申ないし見解が発表されてからの一年間の経済情勢運輸省発表において明らかにされておるような情勢と現在の情勢との間にどのような違い、あるいは開きが出てきているか、こういう点について冒頭まずその見解を明らかにしていただきたい。
  4. 真島健

    真島政府委員 昨年の海造審委員会報告が出ましてから現在までの間でどのような変化が起こっておるかという御質問かと思います。  基本的には、小委員会報告等で述べられておる点、つまり日本船競争力が低下して、東欧圏海運あるいは他の外国船との競争力関係から非常に苦境が進みつつある、こういう点は余り基本的には変わっておらないと私どもは認識をしております。運賃市況につきましても、昨年末に小型タンカー部門等におきまして、イランの政情不安の問題、OPECの値上げの問題等を契機といたしましてある程度上昇を示したわけでございますけれども、今年の一月に入ってからは前と同じようにある程度横ばいになってしまったということで、外航海運が直面しております問題点、これにつきましては大きな変化はないと私どもは考えております。
  5. 佐野進

    佐野(進)委員 大臣、まだちょっと無理かな、じゃ、もう少し聞いていただいて、答弁してください。  私は、この法案の持つ問題について、冒頭申し上げておるように、表現は大したものではないか、その背景は本質的な内容を含めて非常に大きなものがある、こういう見地から質問しているわけです。したがって、いま海運局長答弁された内容で、変化がない、こう言われたとすると、一年間の、今日の経済情勢変化というものはそう簡単なものではないと思うのです。たとえば円高から円安に至る経過の動き一つとらえてみても、まさにこのことを予測し得た経済学者初め政府当局者はそういなかったのではないか。一時期においては百七十円台でありましたものが、いまは二百十七円から十八円、これは金額に換算すれば大変な金額差になるわけです。したがって、このような大きな情勢変化、これはちょうど七月から今年の四月の段階を見ても大きな変化があるわけです。しかも、海運業界そのものの持つ本質的なものは、景気、不景気の波動の中で、結果的に言えば景気、不景気が繰り返される中で、好況、不況と言う方がいいのかどうかわかりませんけれども海運業界そのものにとって結果的に蓄積された利益で不況下においてのカバーをする、こういうことがよく言われておるわけですが、そうすると、一年間の変化、特に諮問をしてからの時間的経過からするならば、相当長期にわたっているわけです。五十一年末でありますから今日に至ってはもう二年半以上たっている、こういうような時間の経過の中で起きつつある現在の情勢の把握に対して、いまの海運局長答弁では平板過ぎるのではないか。その時代時代情勢の中で的確にその情勢を把握しながらやっていく、ただ変わりがありませんじゃなくて、変わりつつある情勢はあるとしても、本質的にどうだとか、いや客観的にどうだとかという答弁があってしかるべきじゃないか、こういうふうに私は思う。そうでなければ、この海運政策というものについては、柔軟に、しかも適宜適切な措置を講ずるということがなかなかむずかしいのじゃないか、そういう点について私は質問しておるわけです。  ですから、いまお話しのようなことでなく、もう少し——これはあなたが無理なら当然大臣が政治的な見地からお答えになるべきものでありますけれども、そういう点について、これからの質問をする上に必要なことですから聞いておくわけです。
  6. 真島健

    真島政府委員 御指摘のように、海造審の小委員会報告が出ましたのは去年でございますけれども諮問をいたしましたのはさらに一年半前ということでございまして、円の問題で申し上げますと、私も正確に覚えておりませんけれども、二百六、七十円ぐらいのときから議論が始まっておるかと思います。その間、非常に円高になってまいりまして、一番円高になりました百八十円の時代、さらに現在二百十円から二十円の間で横ばいになっておる、こういう状況でございます。そういう意味では、この問題は、海運運賃その他ドル建てであるというようなことから言って、円の高下によります影響は多大なものがございます。  ただ、私ども海運業界の業績をある程度見てまいりますと、五十二年に中核六社を初めといたしまして経常収支で相当の赤字を計上するに至りました。つまり五十年に非常に悪くなりまして、五十一年にはある程度持ち直した形が出たわけでございますけれども、五十二年には再び非常な苦境に陥りまして、ついに経常収支では赤字になってきたということでございます。さらに五十三年に入りまして、これは五十四年三月、つまり最終の決算はまだはっきりわかっておりませんのですが、五十三年九月期におきましても、恐らく五十二年度と同じぐらいではないかというような赤字が出ております。これは半期でございますので、前年度百七、八十億の赤字に対しまして五十三年九月には約八十三億、これがそのまま進むと同じような赤字、こんな形でございますが、五十三年の後半がどうなってくるのか、これは確かにまだわかりませんけれども、余り急激な好転ということは考えられないのじゃないだろうか、私どもはそのように考えておりまして、定期船におきます東欧圏その他の海運の問題、さらには国内的な日本船競争力の低下の状況、これを去年と比べますと、それほど好転したということはなかなか言えないのじゃないかという状況だと思っております。
  7. 佐野進

    佐野(進)委員 大臣、もういいですか、大分疲れているようだけれども大臣に伺いますが、いまの点、原則的な問題ですから聞いているわけですけれども、要するに、海運政策がそのときどきの情勢変化に対応して柔軟性を持ちながら、しかし、基本的には一つの確たる方針に基づいて対応していかなければならない、これは当然のことだと思うのでありますが、今回の利子補給の問題は、その海運政策を展開する上に立って最も必要不可欠な要件の一つであると考えて今回提案をされておると思うのであります、先ほど来私が質問しておるように。しかし、その提案内容とともに、情勢はきわめて目まぐるしく変化しているということも、先ほど来申し上げているとおりであります。したがって、この対策がこの方向によって打ち出されて実施される段階でもはや時代おくれになるのか、あるいはいま提案されている問題の本質であるいわゆる体質改善であるとか雇用問題であるとか、さらには造船対策、この造船不況というものはいまなお続いておるわけで、海運とまた違った意味において深刻なものがあるわけでありますが、そういう面から判断して、これですべてが終わり得るという情勢ではないように考えるわけでありますけれども、この法案提案の、いわゆる表面的な文章はともかくとして、背景の深刻さと関連をしてどういまの情勢をとらえておられるのか。諮問してから二年半、答申が出てから一年、こういう情勢の中で、現段階における運輸当局考え方をひとつお聞きしておいて次の質問に入らなければなりませんので、大臣見解をひとつ聞かせていただきたい。
  8. 森山欽司

    森山国務大臣 いまのお答えに入ります前に、佐野委員のお許しを得まして、当面のストの問題について御報告をいたしたいと思います。  午前十時二十分に、国労、動労、全動労は電話によってスト中止指令を出しました。立ち上がりは十三時以降をめどといたしておりますが、夕方ラッシュ時には正常運転になるだろうという段階でございます。  なお、こちらに参ります直前、午前十時から、私鉄労使運輸省に招致いたしまして、速やかに互譲の精神をもって事態の収拾を図るように要請をいたしました。  ことしは、全委員の諸君御承知のとおり、でき得るならば、私鉄におきましても、国鉄におきましても、ストを回避しての春闘ということで微力を尽くしたわけでございますが、そして実は、昨晩以来一睡もしないで、洋服だけ着がえて、威儀を正して出席をさせていただいたわけでございますが、ストに突入をする結果と相なり、国民の皆さんに御迷惑をかけたことを深くおわび申し上げるわけであります。一刻も早く事態を収拾して、今後努力を傾倒してまいりたい、そういうことでございますので、どうかひとつ御了承のほどをお願いたします。  また、この問題につきましては、御出席委員各位から格別の御関心を賜り、御激励をいただき、御協力をいただいた点について、深く感謝を申し上げる次第であります。  本題に戻りまして、この法案につきましての運輸省における諮問から今日に至るまで情勢変化があったということでございますが、特に為替相場につきましては、諮問当初に比べますと、一時非常な円高になり、近来また円安に戻しておるという状況で、そのことはきわめて注目すべきことであります。それから低開発国あるいはソ連、東欧船等盟外船につきまして、世界の海運界がなかなかむずかしい問題に逢着しておる、このことは全体として変わりはないということであろうかと思います。これにつきましては、条約問題等がありまして、これに対する国内措置等目下検討中でありますことは、後ほど御報告を申し上げたいと思います。しかし、確かにその意味で動いておるということは事実でありまして、そういう中でこういう形の立法はそのときどきの位置づけが変わってくるであろうというふうに言われます点は、それはさもあろうかと思っております。しかし、日本海運の振興という観点から見ますと、このことは私はやはり必要である、これですべてが終わるものではない、が、やはり重要な一環をなしているものと位置づけていいのではないかというふうに考えております。  御承知のとおり、わが国外航海運政策は、貿易物資輸送を確保するという観点で、商船隊中核日本船ということに置かなければなりませんし、その日本船をいかにして維持確保していくかということが最重要問題であるということも御異存がないだろうと思います。  今回の利子補給船は、高度合理化船等を対象として、日本船国際競争力を回復することによって、日本商船の減少に歯どめをかけ、日本船維持確保を図っていく、そういうことでこの利子補給の復活は、外航海運政策の趣旨に沿ったものであり、不可欠なものだと思っております。  ただ、諸外国の中には海運助成政策として補助金を出しているところもございます。わが国は、従前ありました制度を利用いたしまして利子補給というものをやる、実質補助率は諸外国に比べて尼すしも高いとは年しかたいことは事実であります。二%程度にいたしたいということでございましたが、二・五ないし三・五ということで、利子補助という問題について必ずしも当初所期したものになりませんでしたけれどもわが国におけるこの種の利子補給としてはこれは最高のものではないかというふうに思っておりますので、百点満点を目指しますと、はなはだなお足らざる面が今日までの経過においてもあったわけでございますが、しかし、今回の施策というものは、今日段階においても大いに意味がある、必要なものである、しかし、これで十分かとおっしゃられれば、これはそういうことでそのうちの最も重要な一つであるということで御理解をいただきたい、このように考える次第であります。
  9. 佐野進

    佐野(進)委員 答申で出された問題、あるいは運輸省対策に出されている問題の内容から見れば、これが一つであるという大臣のいまの答弁は、まさにそのとおりだと思うのでありますが、しかし、そのとおりであるとするならば、いわゆる基準の問題については、前回久保委員の方から詳細にわたって追及があり、その関係が明らかにされたわけでありまするが、全体的な行政の中での一つ対策として利子補給のみであるということになると、きわめて——それから派生するいろいろな効果を求められておるわけでありまするから、これが全然無意味なものなんだとは私、決して言っておりませんし、こういうことを通じながらさらに前進、発展をさせていかなければならぬと思うのでありまするが、そうすると、このほかにさらに何がありますか。いわゆる直接的にこれだけで答申内容が事足りたということではなくて、答申内容ないし運輸省方針の中で対策として行わなければならない事項というものは相当あると思うのですが、海運局長は、この問題についてどういう点がまだ残されていると考えておられるか、この点をひとつ聞いて、先ほどの答弁に関連する問題をその次に聞いていきたいと思います。
  10. 真島健

    真島政府委員 今度のいま御審議をお願いしております利子補給関係政策と申しますと、これはいろいろとほかの機会にも御答弁申し上げておりますように、まず日本船国際競争力の強化、と申しましても、緊急整備計画ということでお願いをいたしておりますとおり、とにかくこの三カ年間に、造船対策も絡めましてこれからできてまいります日本船国際競争力を、少なくとも外国船並みあるいはそれ以上にしていきたいということでございまして、これは先ほど大臣も申し上げましたような、日本貿易物資の長期的な安定輸送という観点からすると、やはり放置しておいて外国用船比率が今後もどんどん高くなるということではならないという点に関する一つ政策でございます。  先ほど佐野先生からも御指摘がございましたように、わが国海運業運賃収益は、大ざっぱに言いまして二兆円ほどでございますけれども、そのうちの五千六百億程度定期船収入でございます。この部分、相当大きな部分になるわけでございますけれども、これにつきまして、開発途上国自国貨自国船主義といったような考え方政策によりまして、非常に定期船海運秩序混乱に陥りつつあります。それと同時に、東欧圏諸国の非商業的なベースの競争の形での定期船海運への参入、こういうようなことが次第に大きな問題となってまいっております。たとえば日米定期船航路につきまして、すでに約七%程度の量を東欧圏海運が参入して占めておる。現在七%ということは、それほどの量ではないというふうにも思えますけれども東欧圏諸国開発途上諸国商船隊の育成と申しますか建造と申しますか、そういう勢いは今後衰えることはないと見るべきでございまして、こういう状況がどんどんと進むということによりまし、定期船海運わが国シェアというものがどんどん蚕食されていくということであってはならないわけでございまして、そういう意味で、UNCTADにおきまして採択されました定期船同盟行動憲章条約、こういうものを世界的なルールということで何とか確立して、われわれも、そういう面で定期船海運秩序混乱回復ということをやっていかなければならない。非常に大きく分けますと、外航と申しますか国外的にはその問題、国内的にはいまの利子補給等によりまして、今後できてまいります日本船国際競争力を強めて、ひいては海運企業体質改善を進めていく、この二つになるかと思います。     〔委員長退席関谷委員長代理着席
  11. 佐野進

    佐野(進)委員 先ほどの答弁の中において外航海運企業の現状と今後の見通しについて若干の説明、報告があったわけですが、これは私も調査いたしておりますので、この際聞いておきたいと思っておりましたが、時間の関係もありますので省略したいと思うけれども、ただ一言だけ、各企業三月期の決算内容、これらは相当よくなっているのではないかという情勢もあるわけです。企業体質改善に伴う努力によって、他のほとんどの産業が黒字に転化している、こういうような状況の中で、海運もそれに追随する形であるかは知りませんが、よくなっているという情勢があるわけです。  造船におきましても、御承知のとおり、赤字であるとは言われながら、株式の面においては数十円の値上がりを示す会社等が出ておるわけでございまして、造船界、特に海運界においては、経済界先行き見通しの中で非常に明るい展望が開けている、一つのサイクルが陰から陽に転化しつつあるということでありますので、こういう面におけるところの段階の中で、運輸当局として果たすべき役割りと仕事というものが、単なる利子補給ということだけでなく非常に重要視されると思うので、この点については、ひとつ一層の努力をしてもらわなければならぬと思うのであります。  そこで、いまの話によるところの対外的要因——対内的要因については、いま申し上げたような利子補給その他のいろいろな情勢がありますが、対外的要因の中でいわゆる定期船同盟行動憲章問題東欧海運界あるいは低開発国等々の問題があるわけですが、これはいまの答弁の中で一層努力するということですから、その努力の柱の一つとしてひとつ一層の努力をしてもらいたいと思います。  この際、大臣にひとつ聞いておきたいのですが、先日ECの代表がおいでになったとき、大臣はこの問題について話し合われたということでございますけれども、その話し合いの結果、どのような結論が出されたのか、そのことについてこの際報告をしていただきたいと思います。
  12. 森山欽司

    森山国務大臣 EC委員会のパーク・コミッショナーと会談をいたしました。その会談では、私ども立場EC立場をそれぞれ述べ、双方可能な限り協力して同条約加入方法調整を図ろうということで、この条約の線に沿って進めようという原則的な線については意見が相同じでありましたが、特にOECDの先進諸国間の問題につきましては、この条約に対する態度の面で必ずしも一致をしたわけではありません。ECの方では、先進国間においては留保したいという考え方であり、わが国においては、基本的にはこの線をのんで、それを目安として四・四・二という比率を尊重して先進国間においても今後の日本海運の進め方を考えてまいりたいということでございまして、実際問題としてどの程度の差が出るかは別でありますけれども条約に対して留保するかどうかというような条約解釈上の問題につきましては、必ずしも最終的な意見一致を見るには至りませんでした。ですから、可能な限り協力してこの定期船同盟行動憲章条約への加入方法調整を図ろうということで終わったわけであります。細部につきましては、海運局長も同席しておりましたから御報告をいたさせますが、考え方の差の細部につきましては、せっかくお見えになって、アメリカに渡って、アメリカは定期船同盟行動憲章条約に入っておりませんからアメリカの態度も打診をして、日本の態度を打診ということで、ECに戻られて、ECとしてまた改めて相談をされる、わが国においては、EC加盟諸国の大使を召集して、私と会った後、相談したようでございます。  そこで、細部については局長から差し支えないような範囲内において経過報告をいたさせます。
  13. 佐野進

    佐野(進)委員 いいです。要するに、この定期船同盟行動憲章を初め東欧海運対策の問題、低開発国問題等々は、当面する海運政策の中で非常に重要な意味を持つわけでありますから、それらの点について、利子補給問題だけでなく、その他もろもろの問題についてやってもらいたいという一つの柱でありますから、いまの大臣答弁で結構であります。  ただこの際大臣、きのうはストライキで大変御苦労だった、けさまでやったということで開会がおくれるほどお疲れのようでしたけれども、それについては先ほどの報告大臣の御苦労は御苦労としてあれでございますが、この際聞いておきたいわけでございます。  大臣は、よくあちらこちらに積極的な行動を展開されるわけですけれども、誤解される向きも若干あるわけですね。それは誤解をされてもいいのだけれども大臣というのは運輸省の責任者であるから、われわれは大いに権威を高めてもらいたいと思うのです。かつて笹川会長に辞任を要求したらこれが無視された。全日空の若狭会長に辞任を要求したらこれも無視された。無視されっぱなしだ。無視されるということになると、言わない方がいいのじゃないかという気もするのですが、その点については大臣どうお考えになっておるか。その点についてこの際、EC会長に会ったということもありますので、ひとつお伺いしておきたいと思うのです。
  14. 森山欽司

    森山国務大臣 こういう席で余りるる申し上げるのは適当じゃないと思いますが、笹川さんの任期は来年でございまして、したがって私は、笹川さんのお立場も考えて、丁重に私の考えを申し述べて、非常にぎすぎすした、すぐにどうしろというようなお話ではございませんでした。それは笹・川さんのためにも、船舶振興会のためにもしかるべしと思った発言をしたわけでございますから、それは無視するとか無視しないとかそういうことではないというふうに考えております。
  15. 佐野進

    佐野(進)委員 いずれにせよ、せっかく発言されたことについては、その発言の趣旨が貫徹されるよういろいろの面においてはっきりした御姿勢を示していただきたい、こういうことを申し上げておきたいと思うわけです。  そこで次の問題ですが、先ほど来質問申し上げておりますとおり、今回の利子補給の問題につきましては、要するに、利子補給をする形の中で国際的な競争力を高める、こういうことで今度の利子補給をするということになっておるわけでありますが、この内容を、それぞれその説明等を聞きながら、あるいはまた、この前の質問内容等を受けながら聞いておるわけでございます。しかし、この海造審の中間答申に述べられておる昭和五十五年における日本船三千四百万総トンの確保と昭和五十四年度以降三カ年で計画造船三百万総トン建造の緊急対策があるわけでありまして、それが計画造船で百万トン、自己資金船で二百万トン、こういうようなことになっていくわけでありますが、これらの点がそのとおりこの利子補給をすることによって実際上埋められていくのかどうか。いわゆる売却船を初め解撤船等々いろいろな問題があるわけでありますが、それらの点を含めてこの計画に到達するという自信が一体どこで保証されるのか、この点をひとつこの際聞いておきたいと思うのです。
  16. 真島健

    真島政府委員 海造審の中間答申で述べられております当面の日本船維持確保を図るということ、それが三千三百数十万総トン、約三千四百万総トンということかと思います。この確保が今度の計画造船、これは五十六年までということで三百万総トンを計画造船建造するということでございますが、おっしゃるとおり、古くなってまいりました船が解撤される、あるいはうまくいけば売船ができるということでなくなっていく、そういうものと新しくできてくる船とのバランスが確実にとれるかどうか、こういう御質問かと思いますが、私どもいまの日本船の船齢構成を調べてみますと、計画造船三カ年間、五十六年度までに耐用年数を過ぎると思われる船が大体二百六十万総トン程度ございます。したがいまして、この船は恐らくそういう期間の間に解撤されるか何らかの形で処分がされていくということが考えられますが、それに対して計画造船で三百万総トンということで計画をいたしておるわけでございます。四十万トンそこで差ができるわけでございますけれども、しかし、海運企業の中で本当にどうしようもなく古くなった船を処分するだけで、もう少し新しい船について全然処分しないということも、必ずしもわれわれ保証するわけにはまいりませんので、そういう意味で二百六十万トン対三百万トンということで四十万トンの余裕がありますけれども、こういうものについても何らかの形で数字が変動する可能性はあります。  しかし私ども、いまの考え方といたしましては、大体そういう船が何らかの形で処分をされていく、そのかわりに計画造船という形で百万総トンができてまいる、そのほかに自己資金船その他の問題もございましょう、これは企業がそれぞれの立場で特に耐用年数云々ということにかかわりなく商売としていろいろな売船その他をやっていく場合に、これはまた自己資金船という形での補充ということも考えられるということで、五十五年に日本船三千四百万総トン確実に一〇〇%確保できるということは、私の口からいまはっきりとは申し上げられませんけれども、私どものやれる範囲、それから耐用年数を過ぎておる船舶の量ということから考えまして、緊急整備計画としてはこの程度で何とか行けるのではないだろうか、こういう感じでございます。
  17. 佐野進

    佐野(進)委員 やれないということをいまここで答弁するわけにはいかないでしょうから、そういう答弁になろうと思うのでありますが、しかし、実際上の問題として、先ほどあなたは、既定路線の上を今走っている、こういうことでしたが、景気波動があるから若干違うのじゃないかというように私は陽の方を見ているわけで、あなたは既存路線を見ているわけだから、その見通しの違いによっていろいろな問題が出てくると思うのですが、私は、その陽の立場に立って見ても、今回のこの利子補給によるところの関連する行政指導等々をやっても、これはなかなかむずかしいのじゃないかという気がするわけです、いわゆる日本船という形においては。  この問題は、過日来議論がされておるように、外国用船、特に仕組船の問題があるわけであります。結果的に言うならば、これにどうやって歯どめをかけて、歯どめをかける中で日本船の在籍船をふやしていくかということに力点を置かなければならぬわけですが、これは議論としては存在しているわけで、いろいろありますけれども、特に海造審答申の中でも、これは必要悪というか、むしろ必要なものだという位置づけをされておるように述べられておるわけでありまするけれども、この問題をどう運輸当局としては位置づけられるのか、これをはっきりしなければ、その目標達成は至極むずかしいのではないかと私は考えるわけですが、この計画造船いわゆる三千四百万総トンの確保を目指すためにどのような対策をこの際立てられるのか、この答申との関連の中でどうしているのか。もっと端的に言えば、いわゆるいま日本の実質的な保有船舶と称する割合の中で何%程度が必要と判断されるのか、それにどう対応していかれるのか、この点をひとつ聞かしてくたさい。
  18. 真島健

    真島政府委員 おっしゃるとおり仕組船の問題、非常に重要な問題でございます。小委員会報告日本船を補完するというような表現で「認知」という言葉がよく使われるわけでございますけれども、そういうふうになっておるというふうにあの文章は読まれるわけでございますが、私どもは、いま御承知のように、世界的には船腹は決してタイトではないわけで、非常に過剰なわけでございますから、新しい船をつくるという意欲は船主にとりましては非常に乏しい、そこで今度利子補給という形をとりまして日本船をつくれる体制をとっていく、これで日本船をとにかくつくらせるということをひとつやりたいというのが利子補給でございますが、仕組船の問題につきましては、将来の外国用船日本船比率がどの程度が一体いいの、だろうか、そのいい比率に持っていくために今後仕組船というものはどういうふうに考えていったらいいのだろうかという、こういう命題かと思います。五十三年度中に、目的はやや違いますけれども、ドル減らしという緊急対策の中で、仕組船についても買い戻したらどうかという案が出まして、これが実現をいたしまして、相当数の仕組船が買い戻されたことは御承知のとおりかと思います。この制度は五十四年度にも継続していただく方向で私どもいま関係省庁といろいろ議論をしておりますけれども、そういう形での日本船化、これが一つの方向かと思います。  ただ、仕組船を買い戻そうと思いますと、やはり外国銀行から金を借りておるということで、もう一つは、仕組船というのが比較的船齢が若いということから相当の債務残が残っておるわけでございまして、これを一挙に返すと、外銀としてみれば、一挙に償還されるわけでございますけれども、一挙に償還されますと、実は今後七、八年は黙っていても相当高い金利の利息が入ってくるのが一挙にそこで返されてしまいまして、その一挙に返された金を有効に活用する当てがない場合には、逆に外国銀行はそれを拒否するという形で、実際問題としては、何百隻かあると言われております仕組船でも買い戻せるのが非常にわずかになってくる、こういう状況もございまして、なかなかむずかしいわけでございます。  しかし、そういう方向も考えながら、外国用船比率というものをもう少し少なくしていく、こういう形で、私ども、理想的に一体外国用船比率は何%がいいのか、これはなかなかむずかしい議論だと思いますけれども、十年ぐらい前には実は外国用船は三〇%足らずの比率でございます、そういうようなこともございますので、今後の情勢を見きわめながら、そういう外国用船がもう少し低い比率になっていくよう、日本船をつくらせるということとあわせまして今後考えていきたいと思っております。
  19. 佐野進

    佐野(進)委員 まだ質問する事項がたくさんあるわけですが、時間がもうあと少しになりましたので、最終的に幾つかの点をひとつ質問してみたいと思います。  まず第一の問題は、日本船国際競争力回復の問題ということになるわけですが、要するに、今度利子補給をいたしまして、資本費の軽減と高度合理化船による船員費の軽減、こういうことによって一定の競争力の回復を図ろうということにいたしておるわけでありますけれども、この内容は、その実施ということになりまするといろいろ問題が出てくるわけであります。したがって、この問題を質疑していくということになりますると、一つ一つの問題で重要な課題が出てくることになるわけでございまするから、時間の関係で、用意はしてまいりましたけれども質問ができないわけであります。  そこで、一つだけ聞いておきたいのですが、一体高度合理化船というものが、乗組員を十八人程度に減らすことによってその効果を上げ得るとか、あるいは船員についてはすべてのことがなし得る、いわゆる運転士であるとか機関士であるとかあるいは甲板士であるとか、その他いろいろな名称を一つに統合して船舶士というような名前をつけるとか、あるいはいろいろな問題が出ておるわけでありまするが、結果的にその国際競争力を回復するために、いま七三%とか言われておる船員の陸上というか余剰というか、そういうような船員に対して、これらの措置を講ずることで、いわゆる三百万トン建造、これらの中でどの程度解消する考えであるのか、この点をひとつ聞いておきたいと思うわけであります。  いわゆる予備員率の七三%を、これらの措置の中で首切り合理化によって削減するという方途を考えておるのか、あるいはどの程度吸収する形の中で、これらの問題を合理的に処理しようとされておるのか、その点についての、この高度合理化船という国際競争力回復という問題の中で、利子補給をしてその船をつくるという関連の中で、海運当局としてはどう処置をされようとしておるのか、この際聞いておきたいということです。
  20. 真島健

    真島政府委員 今回の利子補給対象船として高度合理化船とLNG船とを取り上げておるわけでございますが、この高度合理化船というのは、できるだけ船内の施設、設備を能率的な効率的なものにしまして、できるだけ少人数の乗組員で運航できる、そういう船にいたしたいということでございます。  そういうことによりまして、まあ十八人という人数が議論に出ますが、これは現在の法制の中で一番少なくしたらどのくらいの人数になるだろうかということからはじき出された十八人という数でございます。  ただ、具体的にその船舶に何人の乗組員が乗り込むかということは、これはやはり十八人で運航でき得る船ではございますけれども、実際問題として労使の話し合いによりまして、やはりそれでは困るということになれば、若干の増員が労使の間で決められてそういう方々が乗ってまいる、こういうことになるかと思います。  そうなりました場合に、一体予備員の方は現在より多くなるか少なくなるかという議論でございますが、私どもは、この利子補給をやりません場合には、日本船が恐らく五十三年度と同じ程度、計画造船で三十万トン程度しかできませんでしたけれども、その程度にしかならないのではないだろうか。しかし、利子補給ということで日本船はよりたくさんできてくる、そういう意味では、海運企業が仕組船へ逃げる道をふさいで日本船ができてくる、こういう形の中でできるだけ船員雇用の拡大を図りたい。ただ問題は、その見返りといたしまして古い船が代替で処分されていく、その辺の関係で予備員の数がむしろふえてくるのではないだろうか、こういうことも懸念をされるわけでございます。  そこで私どもは、その過剰になってまいりました予備員を首を切れとか整理しろというようなことを指導するつもりは毛頭ございません。そういう意味では、私ども利子補給に乗りまして船をつくりたいという船主に対しましては、その会社全体の中で船員の有効な活用対策といったようなものを一緒に出していただいて、それを見ながら労使の努力に期待をいたしたい、このように思っております。
  21. 佐野進

    佐野(進)委員 それでは最後に船員局長に、いまの点に関連して伺いますが、あなたは、いま質問をずっと聞いておられて、私の質問せんとする意図がわかったと思うのでありますが、どの程度この予備員率の問題あるいは船員確保の問題そして雇用問題を判断せられ、どう対策を立てられておるのか、その点をひとつ聞いて質問を終わります。
  22. 向井清

    ○向井政府委員 お答え申し上げます。  いま先生から御質問のございました予備員率の問題、これは技術的な数値でございまして、結果的に出てくるものについて理論的な説明をするということはなかなか困難なところでございますが、結果的に出ております七〇数%、やはり相当過大であるという感じは否めないところでございまして、さらに新しい海運政策に基づきますところの雇用問題というものがどうなるかということも、かなり重要な問題であるということは認識いたしております。  特に雇用問題につきましては、いまの船員行政におきまして最も重要な課題であるということでございまして、大ざっぱに申しまして、離職船員に対します緊急対策を一昨年来いろいろな手段をもって講じておる、さらにまた、過渡的な手段と申しますか、雇用船員の過剰問題につきましても、雇用安定対策等をこれから大いに推進していこうというところでございますが、やはり船員行政上の雇用問題を考えます際に一番重要なのは、かなり長期的な観点からこれに取り組んでいく、やはり雇用問題と申しますのは、目先目先の問題も重要でございますけれども、長期的な考え方の基盤というものが必要であるということはもとよりでございまして、その点につきましては、私ども、いま全力を挙げて取り組んでおりますのが、船員制度の近代化の問題でございます。  これは二つの方向がございまして、一つは、快適な労働環境のもとに新しい近代化船への乗り組み体制を確立するためのいろいろ研究をする、さらに、それが実施に移せるようないろいろな手段を講ずるということで、鋭意、労使双方の努力の上に立ちまして、役所もこれに協力し、また学識経験者の知恵も借りまして推進しているところでございます。  さらに、大きな問題といたしましては、国際的な動きがございまして、国際的にやはり船員の資質を大いに向上せにゃいかぬ、これはやはり十数年来相次いで起きましたタンカーの大事故というものを踏まえまして、船員の資質向上ということが国際的に非常に大きな要件になってきておりますので、この動きをつかまえまして、わが国における国内体制の整備を図っていく、それによりまして、結果的には日本船員の職域の確保あるいは拡大ということが世界的視野の中で図られていくという道が見出せるのではないか、われわれとしては、かなりその点では長期的ではございますけれども一つの明るい見通しを見出していこうとしているわけでございまして、そのような長期的観点の中で、いま先生いろいろ御質問になりましたような厳しい問題というものを何とか消化していきたい、その間におきまして、目先の問題としましては、先ほどちょっと触れましたような雇用安定対策というものをきめ細かく講じていきたい、このように考えておる次第でございます。
  23. 関谷勝嗣

  24. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 大臣、大分微細にわたって質問がなされておりますし、問題点も相当出ておりますので、同じことをお聞きしても、答える方もいやでしょうし、めんどうでしょうから、余り同じようなことをお聞きしようとは思わないのですけれども、私は、この問題で基本的にちょっと問題があると思うのです。基本的にあるということは、先般参考人をお呼びしたときにも、ちょっと触れましたけれども、かつて四年間、こういう利子補給をしないで船をつくらなかった、その間にいろいろな問題が起きた、たとえば仕組船だとかマルシップ船だとか念書船だとかいろいろな問題が起きてきておる、そういう問題が起きてきて、これは大変だ、いわゆる船主の方では、そういうことで、それはもういかぬじゃないか、そろそろそんなのはやめて、日本の船をつくるべきだということになるし、一方乗っている船員の方は、おまえ上がっていろやというようなことでみんな陸に上げてしまうということで、アンバランスの状態だと思うのです。  非常に平易な言い方をして大変恐縮でありますけれども、それでは運輸省として一つの指導性がないのじゃないだろうか。船をつくれと言えば、はいはいと言ってつくるし、つくるなと言うと、全然つくらないし、そうすると船主の方は困ってしまって、それじゃひとつ安い方の外国船を借りてくるかとか仕組船をつくろうかとか念書船をしようとか、日本の日の丸はつけているけれども、中身はみな黒、白、赤、だったり、いろいろなことをするわけですね。そういう意味のいわば海運行政というものが私は安定してないのじゃないかという懸念を持っているのです。  そこで、運輸大臣はどうお考えになっているのか、まず、そこからお聞きしてみたいのですが、いかがでございましょう。     〔関谷委員長代理退席、委員長着席〕 海運局長じゃだめなんで、基本のところだけちょっとお聞きしたい。大臣、どうでしょうね。私の言っていることが間違っているなら、それはそうじゃない、非常に一生懸命やっているのだけれども、結果としてそうなったというのならそれでもいいのだし、それから結果としてそうではないのだ、やはり君の言うとおりだというのならそれでもいいのです。別にそこを追及しようというのじゃないのです。私は、そう考えているのですが、大臣はいかがですかということをお聞きしているのです。
  25. 森山欽司

    森山国務大臣 きわめて広範かつ茫漠たる範囲のお話でございますから、どういうようにお答えしていいか……。  先ほど来お話がありましたことは、計画造船とか利子補給とかという問題いかんにかかわらず、国際的な海運不況というものが反映いたしまして、船腹過剰というような結果いろいろな問題が起きておるということですね。日本海運業というもの、また海運の労使関係というものが、そういう時代変化になかなか弾力的に対応し得ないという面がいろいろあるわけですね。船主側としても、ここでそういう時勢の変化に応じて海運不況に対応するような弾力性を維持しようとやりましても、いろいろ雇用関係その他がございますからなかなか思うようにいかぬ。それが仕組船とか外国籍船がふえて当面を糊塗するというようなことで、海運不況というむずかしい問題にぶつかった際に、真っ正面からそれにぶつかって労使双方が血のにじむような努力をするよりは、問題を避けて、安易に外国籍の船を使って外国船員によって自己の海運業を営む、労使双方で不況に際会すれば、片づけなければならぬその問題を避けて通って、そうして労使間の問題よりは、これを外国船外国船員というような形によって切り抜けてきたというような問題が、やはり最も大きな点ではなかろうかというふうに私は考えるのでございます。  そうして船価の問題その他から申しまして、船腹過剰ですから新しい船はなかなかつくりませんね。したがって、日本船の近代化という面についておくれをとるというような面もある。そこで、このままにほうっておくと、日本商船隊中核たるべき日本船というもののウエートがだんだん小さくなる、そういう動向は困るからということで、日本船国際競争力の著しい低下に伴って海運企業日本船建造の意欲が乏しくなる、運航コストの低廉な外国用船に依存する度合いがだんだん高まってくるという実情に対応して、その中核としてきた日本船維持確保というものはますますむずかしくなるので、この日本船維持確保のためにこういう利子補給制度というものに入っていく、そういう事の成り行きじゃないかというふうに私は考えておるわけであります。
  26. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 名答弁とは思いませんけれども、納得いたしておきます。  そこで、海運局長にお尋ねをしましょう。いま大臣がそういうことで迷答弁をされたと思いますけれども、私は、その中でそれでは一つ一つ突いてみましょう。  たとえば、この利子補給によって高度合理化船あるいはLNG船をつくろう、こういうことになるわけですが、ところが、いま大臣のお話にありましたように、船腹がいままで過剰であったから、これを外航船に依頼していこうということであったけれども、それでは国際競争に勝っていけない、ここらで利子補給をして日本の船をつくるべきだ、こうなるわけですね。そうなりますと、いわゆる造船の基本でありますスクラップ・アンド・ビルドの方はどうなるのか。そのことを避けては通れないと思うんですよ。あなたの答弁の中でも、その話は出てはいますけれども、余りはっきりしていない。いわゆる解撤ということは全然避けてしまって、造船の方にだけ話が進んでおる。さっきの佐野先生質問答弁の中にも出ておる、だけれども、私は納得できないのです。たとえば二百六十万トンが処分されるであろう、あなたはこう答弁をしておる。何らかの方法で解撤されていくであろうと言うんですね。そして新たに三百万トンはつくられるし四十万トンは余るであろう、こう説明しているのです。じゃ何らかの方法というのはどんな方法ですか、まず、そこであります、第一点は。  それから第二点は、解撤協会というのがあるのですけれども、その運用というものはどうなっているのか、どういうふうにしているのか、そこはどうなんでしょうか。外航船というものは全然そんなことは度外視して、そして船だけをつくっていけばいいということなんでしょうか。
  27. 真島健

    真島政府委員 何らかの方法と申し上げましたのは、船によっては売船ということも可能な船があるかと思いましたので、そう申し上げたわけでございます。  なお、解撤の問題でございますが、これは利子補給の予算を要求いたします段階で、全体的に船腹過剰ぎみであるという中で、造船対策ということはあるにいたしましても、船をつくっていくというためには解撤というものが何らかの形で伴わなければ、実際問題としてむずかしいのではないだろうか、こういうことで解撤の……。
  28. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 いや、その何らかの形というのは何ですか、どういう方法ですか。そこが問題なんです。何らかの形で解撤されていくであろうと言うのだけれども造船と解撤とどうすればそのバランスがとれていくかということを聞いているのです。ひとりでほっておいて、余れば売ってしまえばいい、だめならつぶせばいいと言うのなら、それは全く自然の原理であって、それでは指導も何もあったものじゃない。運輸省なんだから、運輸省としてこれだけのものがあるのだ、二百六十万トンは解撤されなければいけないのだと言うのならば、その二百六十万トンはどうすればいいのかということがあるはずでしょう。そしてそのためにこの解撤協会というのがあるのでしょう。
  29. 真島健

    真島政府委員 それでは、解撤協会の方のお話を申し上げます。  この解撤協会は、これは五十三年度の補正予算で、船舶局サイドでございましたけれども、解撤のための二十億の助成予算がついたことは御承知と思います。私どもは、今度の外航船舶建造緊急整備計画に関連いたしまして、当時の二十億円と  いうものは、三百万トンを造船所で解撤をいたしますそのための助成金という形でございましたけれども、これではなかなか十分に解撤船が出てこないのではないだろうか、こういうことで、さらに一年間延長いたしまして、もう百万トン解撤ということをする、そうしてその四百万総トンに対しまして二〇%程度の単価アップをした予算をいただいたわけでございます。したがいまして、三十一億六千万円、これに民間から同額の出損がございますので、六十三億円の予算をもちまして船舶局サイドでつくりました解撤協会、これが各船主からスクラップ船を買ってきて解撤をしていく、こういう計画になっておるわけでございます。  こういうことで、この解撤も、造船所でのわずかな仕事量らしゅうございますけれども造船所の助けになる、そういう意味では、この四百万トンというものは、必ずしも日本船だけを対象とする必要はないということで、世界的な船腹過剰の中で日本船をやることも非常にいいことでありますけれども外国船でも解撤をすることは世界的な船腹過剰にも貢献するということにもなりますので、そういうことで現在、この解撤協会で四年間で四百万トンという計画で解撤を進めておるというのが現状でございます。
  30. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 わかりました。これはもうこの程度にしておきます。  そこで二番目に、これも大分御質問が出ておりますから、私の疑問のところだけをお尋ねしますけれども、仕組船の話がしばしば出てまいりまして、これが実は後ほど御質問申し上げる船員の予備員率にも大変影響してきているわけでありますが、仕組船の買い上げというものに対してはどんなふうな状況であるのか、お聞きしたいと思います。
  31. 真島健

    真島政府委員 仕組船の買い戻し制度、先ほどちょっと申し上げましたが、外貨減らし対策の一環ということで五十三年度に実施をされました。五十三年度中の実績で申し上げますと、買い戻された仕組船が三十六隻、六億ドルでございます。
  32. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 それでは私、さっきもちょっと話をしましたけれども、マルシップ船とか念書船というのを御存じですか。それはどういうふうな対策を講じているか、おわかりですか。
  33. 真島健

    真島政府委員 マルシップ船は、御承知のように日本船を裸貸し渡しをいたしまして、貸し渡し先で外国船員を主として乗せまして、さらにこれを日本側で用船し直して使っておるという形の船でございます。これも決して望ましい姿であるということは私ども考えておりませんけれども、なかなか法制的に完全排除ということはむずかしいわけでございます。しかしながら、便宜置籍船その他の船と同じように、国際海運界におきましても、そういういわば質の悪いと申しますか、技能の劣った船員を乗せておる船に対する批判というものも次第に高まってきておりますし、船主におきましても、そういう空気は十分はだで感じておるようでございまして、少なくともマルシップといえども日本船員を少しずつでも乗せていく、こういう方向に進みつつあります。根絶は望ましいことでございますけれども、当面私どもは、そういう形での指導というものをいたしまして、日本船員の職場の確保に資するとともに、国際海運界における批判をこういう形で受けとめてまいりたいと思っております。  また、念書船でございますが、これはつくられますときに、日本海運とは競争関係に立たない、つまり日本にはやってこないという念書を入れてつくられました輸出船でございまして、近海船、特に南洋材等の運搬の分野で多いわけでございます。そういう形でつくられた船でございますから、私どもも、日本の港には来ないということをさらに担保いたしますために、荷主であるとか船舶運航事業者に対してきつくそういう趣旨を要請いたしておるわけでございます。しかし残念ながら、わが国の港湾には念書船が若干でございますけれども入っております。全体のわが国関係の航路に就航する近海船の統計の中で、約延べ五千隻程度でございますけれども、このうち二%程度念書船が入ってきておるということでございます。しかし、これは決して望ましいことではございませんので、今後とも関係の荷主、船舶事業者に対しまして、そういう趣旨を徹底して、できるだけ念書船が本邦の港に入港しないように指導を強めてまいりたいと思っております。
  34. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 局長の決意もよくわかりました。先ほど申し上げましたように、仕組船にしましても、マルシップ船、念書船にしましても、いろいろな形態の船の利用があるのですけれども、結局は船員の雇用に大きな影響を与えているんですね。そこで私は、マルシップ船、念書船はやめてもらいたい、ぜひそういう指導をしていただきたいということをお願いしておきます。  また、仕組船については、買い上げは三十六隻、六億ドルと言うのですが、円高の中で、やや円安になってはきましたけれども見通しとしてはまだ買い上げていく見通しがあるのですか、ないのですか。
  35. 真島健

    真島政府委員 先ほど佐野先生にもお答えいたしましたが、一応この買い戻し制度自体が五十三年度ということで発足いたしました。しかし、昨年の十二月にさらに五十四年度もこれを続けていこうということで、経済対策閣僚会議でも決定がございます。ただ、現在の制度のままでいいのか、少し手直しをする必要があるのかということで、新聞等でも御承知と思いますけれども、たとえば航空機リースといったようなものについてはやめたらどうかとかいろいろな議論が行われておりまして、現在まだ結論がついておりませんが、私どもは、五十四年度もこの制度を継続していってもらいたいと思っております。  ただ、先ほど申し上げましたような非常にむずかしい状況がございますので、五十三年度に三十六隻買い戻しができたわけでございますけれども、五十四年度にさらにこれを継続いたしましても、同じ程度に買い戻せるかどうかということは非常にむずかしいのじゃないか、全然ゼロとは考えておりませんけれども、それほど大きな隻数が実現できるとはどうも思えないというのが現状でございます。
  36. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 それでは、先ほども質問がありましたけれども、七三%の予備員率の問題ですが、これは合理化船になればなるほど予備員率が高くなるのじゃないか、雇用の確保ができないのじゃないか、私はそんなふうに判断するのですけれども、この点は船員局長、いかがでございますか。
  37. 向井清

    ○向井政府委員 お答え申し上げます。  予備員率につきましては、理論値として出てまいります数値というのが、労働協約に基づきます休暇の付与というのを主体にしまして計算されるわけでございまして、五十三年度の労働協約に基づきますと約五〇%、実際上の経験則も入れまして五〇%ぐらいということが言われております。  ただ、予備員率につきましては、そこにあらわれております予備員、これは陸上勤務という状態の者も間々含まれておりますので、企業の経営上実際どの辺が適正なものであるかということは、個々の企業の判断ということで差があるわけでございまして、船員養成上の問題点としては、先ほど申した労働協約との関係というところにあるだけの話でございます。しかし、七〇%を超えておるということにつきましては、これは相当大きな数字だということは当然言えるかと思います。  それで、いまお尋ねのように、今後いわゆる近代化船がふえてくるのに伴いまして新しい乗り組み体制が整備されてくるということになりますと、さらに予備員率が上がるのではないかということでございますが、さっき申しましたようなことで、各企業のいろいろな要素を判断した上の結果的な予備員率というものがどう動くかという予想は、非常にむずかしいところでございますが、先生御心配のような要素も確かにあろうということでございまして、われわれとしては、いわゆる陸上に上がっております予備船員の問題につきましては、雇用安定ということを主眼といたしまして、再訓練によって企業内の雇用の確保ができるように何らかの手段を講じておくというふうなことを中心にいろいろな安定対策を講じていきたい。  しかし、長い目で見ますと、問題になりますのは、船員制度の近代化対策を大いに推進いたしまして、世界的に見て、日本船員の雇用の場の確保、拡大が図られるように持っていきたいということでございまして、先生御承知のように、すでにIMCOの場においても、長年討議の結果、新しい国際条約も締結されたということでございますので、ここ数年のうちに精力的にこれの対応体制を整えまして、船員の雇用の場の長期的安定ということが図られるように努力していきたい。それによりまして、いま御質問の予備員率の問題も何らか解決の道がつくような方向に持っていきたいと考えておる次第でございます。
  38. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 合理化船をつくってかえって予備員がいっぱいふえてしまって困るということでは全く意味がないし、この辺は海員組合との話を十分煮詰めていただきたいし、雇用問題としてわれわれも非常に頭の痛いところでありますので、ぜひ強力に進めていただきたい、こういうふうにお願いをいたしておきます。  それでは、次の質問に移ります。  合理化船ともう一つつくるLNG船であります。まず、このLNG船をつくろうということになった経緯、それから見通しというものを、おわかりでしたら簡単にお聞かせ願いたいと思うのです。
  39. 真島健

    真島政府委員 LNG船の問題は、これは私どもから申し上げるのはあれかもしれませんが、わが国の総合的なエネルギー対策の一環といたしまして、無公害その他の利点があるということで、LNGを相当大きなわが国のエネルギー源として活用すべきであるという観点からこの輸入が計画されまして、具体的には、私ども利子補給対象といたしました直接の問題は、イランにおきますカリンガス・プロジェクト、これが相当進行しておるというのが昨年の予算要求ごろの状況でございまして、これに対しまして、どうしてもLNG船を日本船社でつくって運航していく必要があるということになりました。そういう意味で、LNG船の計画というものを、計画造船さらには利子補給の対象として取り上げたというのが従来の経緯でございます。
  40. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 外務省に伺いますが、いま海運局長から説明のあったような状態でこのLNG船をつくろう、こうなったわけですね。非常に適切だと思うのでありますけれども、さて、その海の向こうのイランの方はどうなっているのか。  外務省に、まず中東情勢とイランの国際情勢についてお聞きしたい。そこから話を進めていきたいと思います。
  41. 堤功一

    ○堤説明員 中東情勢は、ただいまイラン革命あるいは中東和平の進展等できわめて流動的でございますが、イランの革命は、ことしの二月に起こったばかりでありまして、当面すぐには落ちつくとは思われません。一応事態は平静化しておりまして、宗教勢力のもとに臨時政府、暫定政府ができておりまして、諸々の政策を発表し、特に石油の輸出の再開等は順調にやっておるようでございますけれども、行政機構の回復も完全ではありませんし、特に経済関係の活動が回復しておりません。ということで、しばらくの間はある程度の不安定要因をはらみつつ、一応平静裏に推移する。当面のイラン政府の最大の問題は失業でございまして、失業者を救済するということから雇用機会がぜひ欲しい、そういう要望がございますので、現在着工できるプロジェクトがあればすぐにもやりたい、そういう基本姿勢はございますので、経済の回復等も軌道に乗れば、相当に順調にはいくと思います。しかし、いままでのところは、革命後まだ日も浅いという状態で、軌道に乗っているといいますか、回復基調にあるとは申せない現状であります。
  42. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 参事官さんで大変恐縮なので、本当は大臣にでもお聞きしたら一番いいところなんですけれども見通しとしてはどうなんですか。このイランのホメイニ事件というもの、いまの政府ができる前から中近東というのは非常に不安な状態を持っておる。特にイランについては、かなり前から問題があったところであります。結果としてああなってしまってから大変だ大変だということになっているんですけれども、石油の話は後で通産省にお聞きしますけれども、外務省としては一体どういう見通しを立てているのか。ということは、外務省も通産省も、この見通しが立たないと、仮の話が、五隻のLNG船をつくっても意味ないじゃないですか。どうするんですか。船だけつくってほっとくんですか。外務省さん、どうですか。
  43. 堤功一

    ○堤説明員 革命後の事態という特殊な状況でございますから、ある程度の中長期的な見通しということを申し上げるのは困難でございますけれども、いまのところ、事態が平静化しておるということと、かつホメイニを中心とする宗教勢力が、革命をやり遂げたという指導力と申しますか、それで事態を十分に把握していると思われますので、ここ当分は大きなことは起こらないで推移するであろうと思います。
  44. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 それでは、通産省さんにお尋ねします。鈴木開発課長さん、まずガスのお尋ねをする前に、三井の方の石油はどんなになっておりますか、まず、それからお尋ねしましょう。
  45. 鈴木玄八郎

    ○鈴木説明員 イランからの石油の輸入につきましては、三井を初めといたしまして各社いろいろ努力をいたしているところでございまして、イランからの輸入はだんだん増加しているという状況でございます。
  46. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 そうしますと、私のお尋ねしたいのは、パルスガス田という、いわばペルシャ湾の中にあるガス油田、ここを開発しよう、こういうことですが、その状況はどうなっておるのですか。これはホメイニ政権とそれから今日の政治状況等、どういう推移をしているのかお尋ねしたい。
  47. 鈴木玄八郎

    ○鈴木説明員 イランからのLNGの開発輸入計画は、昭和五十七年の九月から二百六十万トンを輸入するということでイラン側と交渉してまいっておりまして、昨年の六月には基本的な契約が締結され、その後、細かい点につきまして話し合いを続けているところでございます。ただ、イランの情勢が急変いたしましたので、交渉は必ずしも順調に進んでおりません。今月に入りましてから、石油公団の関係者、それから、この関係の取りまとめをいたしております日本カリンガスの専務を現地に派遣いたしまして、イラン政府あるいはガス公社と交渉をさせたところでございますけれども、基本的には、前向きに進めたいという希望は持っているようでございますけれども、長期計画全体につきましてイラン政府が検討中であるので、細かい点について前向きの話し合いをいますぐすることはできないというふうに言われているところでございます。
  48. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 さて、そうなりますると、相手のあることでありますけれども、三井の石油開発プロジェクトについても問題が残っておるところへ持ってきまして、このペルシャ湾のパルスガス、いわゆるカリンガスでありますけれども、このカリンガスも可能性が薄くなってきているのじゃないか、端的なことを言うと。薄くなっているという状況の中で、それでもこのLNG船を、どうしてもつくらなければならないのでしょうけれども、つくるとすれば、その船はどこへガスを買いに行くのか。これは特殊船なんですよ。普通のタンカーじゃないんですよ。タンカーならそのまま石油を運んでこようと思えば運んでこられるのですが、これはチュメニというわけにもいかず、それからまた、いま東京ガスが買っているのですか、インドネシアですね、そっちの方に利用するのか、その辺のところは通産省はどう考えておられるか、まず通産省からお尋ねします。
  49. 鈴木玄八郎

    ○鈴木説明員 LNGの輸入に使用いたしますLNG船につきましては、通常の場合、LNGを積むところから国内の受け入れまでしかるべき装置をそろえた上で船を発注し、それに合わせて設備もつくった上で導入いたしているところでございますので、簡単にこの船をあちらにというふうに移すわけにはいかないと考えております。したがいまして、通常の場合は、基本的にはプロジェクトがまとまるのを待ちまして、そのプロジェクトに合わせた形で船を建造するというのが通常の形ではないかと考えております。  それからカリンガス、そして先ほど先生御指摘のありましたインドネシアの増量につきましても、通産省といたしましては、できる限り今後は日本の船で運んでいただくことが好ましい方向ではないかというふうに考えております。
  50. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 それでは、海運局長にここらからそろっとお尋ねを申し上げますが、いまのそういう外務省あるいは通産省の見通し、あるいは考え方でありまして、そこで先般私は、参考人としておいでになられた永井さんだったかにお尋ねしたときも、このLNG船について大分お尋ねしたのだけれども、たとえば四十八年にいわゆる川重がアメリカの会社と契約をした船二隻のうち一隻はだめになっているわけですね。そういうふうないきさつもありまして、あと一隻については、五十五年までこれは引き渡しが延期になっているのです、船だけは一応つくっているんだけれども。そんなように、いわゆるわりあいと見通しがつかないんですね。しかも、いま通産省の鈴木さんも言っておられますけれども、備蓄タンク、基地がちゃんとないとだめなんですよ。非常に冷やして、そしてまた持ってきて温めて、ガスを沸かしてエネルギーにするわけでありますから。そういう過程を経ていく特殊船でありますが、この特殊船をつくるにどんなふうな見通しでまず運輸省はかかったのか。いま外務省と通産省はそういう見通しだけれども運輸省としてはどうなのか。当然ガスを持ってこなければならない船をつくるわけですから、先ほどの高度船なんかとちょっとわけが違うんですね。それはどういうお考えでございますか。
  51. 真島健

    真島政府委員 私ども利子補給の予算を要求する段階では、先ほど申し上げましたようなことで緊急三カ年計画の中でLNG船という日本船の新しい進出分野ということで、非常に有力な一つ海運の振興策であろうということで計画をいたしたわけでございます。しかし、いま外務省あるいは通産省の方から御説明がございましたように、イランのああいうような政情変化ということになりますと、これは情勢待ちというか、ある程度確実な保証ができてこない限りは手をつけるわけにはいかないというふうに考えております。  ただ、今後わが国としてどうしてもLNGというものの輸入、これがエネルギー政策観点から必要であろうということでありますれば、今後もイランがどうしてもむずかしいということになれば、どこかの地点から輸入してくるというプロジェエクトが出てまいる、現に通産省のお話のように、インドネシアの増量の問題というようなことがございます。  ただ確かに、両端の基地の整備の問題、受け入れ施設の問題、さらにはどのくらいのガスを何年間輸入するか、そういうようなプロジェクトのある程度の確定がない限りは、LNG船の建造というものにそう軽々に手をつけるわけにはいかないということでございまして、私ども、できるだけ早くそういうプロジェクトが固まってLNG船の建造に手がつけられるようになる状態を期待しておるというのが現状でございます。
  52. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 通産省さんにもう一遍お尋ねします。  それでは、イランのいわゆるカリンガスがだめな場合、その代案としてインドネシアという芽があるわけですけれども、インドネシアについてはどのくらいの量で、どんな状況なんですか。
  53. 鈴木玄八郎

    ○鈴木説明員 私どもは、イランのカリンガスがまだだめだとは考えておりませんが、いずれにいたしましても、LNGの輸入は今後とも大幅に増大するということで考えておりまして、現在、昨年度の輸入が千百六十万トンでございますが、昭和六十年度には三千万トン、六十五年度には四千四百万トンというような形でLNGの輸入が増加していくというふうに考えておるところでございます。  したがいまして、インドネシアの増量問題も、そのふえていく中での一つの問題というふうに考えているところでございますが、現在は、インドネシアと日本の各社とがすでに七百五十万トンにつきまして契約を結んで、実際に輸入が始まっておりますが、これはCIFで輸入しておりまして、日本の船は使っておりません。  新しい増量につきましては、三百万トン前後につきまして日本のユーザーがプルタミナといま交渉しているところでございます。これは三百万トン前後というふうに考えております。話がまとまりますと、契約ができましてから三年あるいはもう少し短い期間の間に輸入が始まるというふうに期待しているところでございます。
  54. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 そうすると、プルタミナの三百万トンが仮に——いま私の地元であります日本海エル・エヌ・ジーが準備をしているわけですね。これはもともとはイランを対象にしていたわけだが、イランがこんな状況で、石油だって、一七%いままで補給していたのが、一七%ないでしょう。七、八%くらいしか入ってないわけでしょう。にもかかわらず、新しくいまホメイニのそういう政権の中でガスを掘らしてくれるのかどうか。そういう見通しが全くない。私はそこを心配するんですよ。船をつくることでこれに利子補給のあれをするのですけれども、つくるのはいいけれども、運んでくるガスがないということになれば、これは困ってしまうのじゃないか。そのときにはその船はどうするのか。三百万トン運んでくるからいいと言えばいいようなものですけれども、インドネシアに大きな期待をかけているけれども、それほどの期待ができるかどうかということを私はさらに心配するわけです。もしインドネシアのいわゆるプルタミナがだめな場合には、それじゃ後はどこへ求めるのか。それは通産省として何か見通しを立てておりますか。
  55. 鈴木玄八郎

    ○鈴木説明員 先ほど申し上げましたように、いずれにしてもLNGは今後大幅に増加させたいと考えておりますので、インドネシアのほかにも交渉が進みつつあるもの、あるいはその前段階にあるものといたしましてはサラワク、オーストラリア、あるいは少し先になるかと思いますけれどもシベリア、それからアブダビの陸上、カタールといったようなプロジェクトが、いま検討されているか、あるいはされる前の段階である、こういう感じで考えております。
  56. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 わかりました。いずれにしても、大変重要な問題でございますので、海運局長さん、それから船舶局長さん、これは港湾施設をつくらなければいかぬので港湾も入るのです、その辺はひとつ慎重に進めていただきたいし、エネルギー問題として非常に重要でございます。これを無視して通ることができないと私は思うのです。石油も重要ですけれども、ガスも非常に重要な問題なんですね。日本にはないんですよ。何か問題が起きますと、すぐ阿賀沖のガスが噴き出してみたり、今度はちょっと南の方に行ってまた海から海底油田が出たり、ガスが出たりするので不思議でしようがないのです。問題がちょっと複雑になってくるとガスが噴き出すのだけれども、大したガスじゃないんですね。無論、日本を賄えるようなガスの量ではないということは皆よく承知しているのです。そうすると、いま話がありましたように、サラワクとかアブダビとかあるいはブルネイとか、いろいろな外国の領地、外国から買ってこなければならぬという悩みがあるわけでありまして、どうかひとつ慎重に事を運んでいただきたいと思います。  もう一つお尋ね申し上げますが、これも大変いろいろなことに波及をしておりますけれども、航海上の問題でありますが、ソ連船ですね。海運局長、これは大変困っているようですね。ソ連の場合は国営の海運事業なものですから、ダンピングしようと何しようと、兵隊さんを乗せていようと一向構わないんですね。日本海運界も非常に困っていると思うのです。この点、御承知だと思いますけれども、どういうお考えでいるのか、あるいはまた対策をとっておられるのか、まずお聞きしたいと思うのです。
  57. 真島健

    真島政府委員 ソ連中心の東欧圏海運の問題だと思いますが、御指摘のように全くの国営でございます。したがいまして、商業的なベースで船がつくられるわけでもございませんし、船員さんの給料も先進国などで必要な社会保険料とかそういうようなものも全く要らないというようないろいろなことから非常に安くやれる。そういう点で商業的な競争のベースになじまない競争をいどんでくる、こういう状況でありまして、先ほど日米航路についてちょっと申し上げましたが、七%程度、ソ連船がすでに参入をして積み取っておるわけでございます。さらにアフリカその他の航路につきまして、これは西独その他が非常な脅威を受けておるわけでございまして、先進の海運国の共通の問題としてOECDの場でいろいろな議論がなされるわけでございますけれども、なかなか名案が出てこないというのが現状かと思います。  私どもも、ソ連の方が来られるようなときに、そういう問題を指摘いたしましては善処を求めておるわけでございますけれども、何しろソ連の国策という観点から、外貨獲得の観点でなかなか簡単に先進国側の言うような体制にはならない。  そこで私どもこれから、先ほどちょっと申し上げました定期船同盟行動憲章条約、これはソ連船の介入が定期船分野で非常に著しいということから、定期船同盟行動憲章条約、これが世界的なルールとして確立され、その中でソ連もそのほかの東欧圏の諸国も、定期船に関する限りそのルールに従うという方向が最終的に一番望ましいのではないだろうかということで、条約採択時にも、途上国の問題も含めまして日本は賛成をいたしておるわけでございます。  ただ、現在のところ、開発途上国の批准、加入は非常にたくさんあるわけでございますけれども先進国の中で途上国との絡みでまたいろいろな紛争、議論がございまして、なかなか加入、批准ができていないという状況でございます。  私どもは、今度の五月からUNCTADの総会でも、当然議論になりますこの同盟憲章条約、この批准をできるだけ早くやっていく。その条約の附帯決議の中に、条約自体は定期船同盟についていろいろな規定を置いて規制をしておるわけでございますが、同盟自身についてそういうような妥当な規制をするということと絡みまして、同盟に入らない盟外活動をする船についても非商業的な競争というものはすべきではないという附帯決議が一緒についておるわけでございます。  したがいまして、同盟憲章条約が世界的なルールとして発効をいたしますと、私どもは、その附帯決議の線、これは現在のソ連並びに東欧圏海運諸国がやっております盟外的な活動、これをその附帯決議の線に沿って何とか正常な姿に戻していくための措置これは場合によっては法制的ないろいろな制度も含めまして検討をいたしてまいりたい、このように考えております。
  58. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 ソ連は入っていないのでしょう、同盟憲章条約には。
  59. 真島健

    真島政府委員 ソ連は入っておりません。  ただ私どもは、大体世界の主要な国が賛成し、各国がそれぞれに対応する、国内体制を整えるという中で、その国内体制の中で何らかの措置を考えてみたい、このように思っております。
  60. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 それが問題なんですよ。彼らは全く無謀というか、発展途上国の救援、救済だというようなことで、そしてそろばんを無視してやるわけですね。いま言う定期船同盟の憲章条約には無論入らないし、全然無視しているし、それに仮に附帯決議をつけても、そんなものは無視だ、やるならおれの方は用船の制限やあるいは協定の破棄もやるぞと横やりを入れる、こういう状態なんです。私は非常に困ったことだと思っている。わが仲間からも、これはぜひ日本国として運輸省何とかならぬのか、何もできないというのは、もう本当に情けない、こういうことなんですね。これは労使合わせての気持ちだと思うのです。  そこで、いまここでどうにかしろと言ったって、できるわけもございませんから、もう時間もございませんから、私は、これも要望を添えて何か対策を考えるべきだ、こう思いますが、その一つは、用船の制限をするというような生意気なことを言っているのだから、用船の制限をするならしてみろというぐらいな、附帯決議をするときに、その会議で厳しく言った方が私はいいと思うのです。こういういわゆる世界の公海を自由闊歩して好き勝手なことをするやり方は絶対許せないというふうに思います。  以上御要望申し上げて私の質問を終わりますけれども一つ抜かしましたので、ちょっと局長さんにお聞きしてお願いしておきますが、最初の質問の中で、解撤委員会というのがありましたね。この中に労働組合も入れたらどうか、入れてもらいたいという話もあるのですが、これは可能性がありますかないですか。ある意味で要望にしておきますけれども……。
  61. 真島健

    真島政府委員 私、先ほど申し上げましたのは、船舶局で設立いたしました公益法人の解撤協会でございまして、委員会ではございませんので、その解撤協会に労使の代表が入るというようなそういうような性質の協会ではないと思います。
  62. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 以上で質問を終わります。
  63. 箕輪登

    箕輪委員長 午後一時から再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時二十五分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  64. 佐藤守良

    ○佐藤(守)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小林政子君。
  65. 小林政子

    ○小林(政)委員 外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部改正法案について、今回の法律の改正は一つには、計画造船利子補給というものを三年ぶりで復活する、しかも、その利子補給率の引き上げも行っているわけでございます。さらにまた、財政融資の比率も五%アップをいたしておりますし、償還の返済期間の条件についても、これまでの八年間半年賦均等償還から、今後は三年据え置きで十年の半年賦均等償還ということでいま法律がかかっているわけでございますけれども、私は、この中で何点かについてお伺いをいたしたいと思います。  一つは、この計画を達成することによって、雇用の問題というのが具体的に果たして解決をしていくものだろうか。午前中からの論議を聞いておりましても、どうも何かはっきりとした計画策定と、それからまた、その中に雇用問題の正しい解決の方向といいますか、こういうものが各委員の質疑の中でも明確に示されておらなかったように思うのでございます。  具体的には新しい計画造船、これはことしから三年間で三百万総トン、そしてそのうち利子補給の対象になるのは約二百十万総トン、あとの分は計画造船ではあるけれども利子補給の対象にはしていない、こういう内容でございます。  果たしてこの計画を達成することで、いま深刻な船員の雇用問題をどのように位置づけたらいいのか。確かに、利子補給を受ける船主、しかも計画造船をやる大きな船会社、あるいはまた船主団体とか造船とか、こういうところは一応のメリットといいますか、そういうものが当然組み込まれているわけでございますけれども、雇用の問題という点になると、一体どういう基本的なお考えをお持ちでこの計画を推進されようとしているのか、まず冒頭に、この問題についてお伺いをいたしたいと思います。
  66. 真島健

    真島政府委員 雇用の問題という御指摘でございますが、私どもの出しております三カ年の外航船舶の緊急整備計画、この背景には、先生御承知と思いますが、放置しておきますと、今後ますます船員の雇用あるいは職場の縮小が高進するのではないだろうか、つまり船腹過剰の中で老齢船が退場をしてまいりますが、新船をつくる意欲は船主にはない、こういう状況の中でつぶれた船の船員の方々がそのまま予備員になっていくという状況、この不況の中では今後二、三年間どうしてもそんなふうな懸念が大きいわけでございます。  したがいまして、私ども、船主に建造意欲はない、ただ在来船の老齢船が解撤され、あるいは売船されて、船員の職場がなくなっていく、これではいけないという立場から、船主に建造意欲は余りないけれども利子補給というような差し水をすることによって、船主が何とか船をつくっていく、そのつくった分だけは、少なくとも放置していた場合に比較いたしまして船員の職場の拡大につながるのではないだろうか、そういう観点でこの緊急三カ年整備計画の審議をお願いしておるわけでございます。  確かに、合理化船というようなことでの乗り組み定員数の問題そういうような問題がございますけれども、仮にこの政策を打ち出さない場合には、その乗組員ですら、外人船員と申しますか仕組船的な形の外国人の船員に奪われるという形でございます。私どもは、そういう意味で雇用対策といたしまして何とか日本船をつくる、黙っていれば日本船ができない、この状態を打開したい、こういう観点のもとに出してまいっております。  ただ、三千数百万トンの日本船の中での三カ年間で三百万トンという数、非常に少のうございます。現在、不況下にある海運企業の構造といたしまして全体の予備員の問題がどうなるかという問題については、私ども船員局とも御相談をいたしまして、雇用機会ができるだけ確保されるような措置を考えてまいりたい、このように思っております。
  67. 小林政子

    ○小林(政)委員 日本船をできるだけふやしていきたいこういうことで間接的なといいますか努力を続けていくのだ、このようにお伺いをいたしました。  では、具体的にちょっとお伺いをいたしたいと思いますけれども、一体今回の新造船のこの計画で利子の補給のために必要な財源というのは、大体見通しとしてどの程度三カ年で予定をしているのか、まず、その点をひとつお伺いしたいと思います。
  68. 真島健

    真島政府委員 予算書に書いてございます数字、五十四年度分、これは約三分の一とお考えいただいてよろしいかと思いますが、歳出が七億一千万余、しかし、利子補給でございますので、それにしっぽがつくわけでございます。これが七億を含めまして大体二百三十億ということでございます。したがいまして、三カ年間の二百十万トンに対する利子補給金額は、大体その三倍ということでございます。
  69. 小林政子

    ○小林(政)委員 今回のこの利子補給の財源というのは年間二百三十億、それの三倍と言いますと七百億ですね。
  70. 真島健

    真島政府委員 年間と申しますと、たとえば五十四年度は七億でございます。五十五年度はさらにそれが、契約の状況その他によりましてふえてくる。十年間で二百三十億でございます。
  71. 小林政子

    ○小林(政)委員 十年間の利子補給額、それが今年度の場合には三分の一程度の七億ぐらいですけれども、七百億と言いますと、これは相当大きな額だというふうに言わざるを得ないと私は思います。こうした七百億もの国の財源を利子補給という形で使いながら、実際問題として四百万トンのスクラップ、それから新しい計画造船の合理化船だとか、あるいはまたLNG船だとか、こういった合理化を図っていく、しかも船員の定数もできるだけ低く抑えていくというようなことで、七百億からのお金をつぎ込んで、こういうことをやるという点については、これはちょっと問題があるのじゃないか。具体的にこの計画を実施することによって、それでは船員の予備員率が具体的にどうなるかという計画もお立てになっていないのですか、そこをひとつお聞かせください。
  72. 真島健

    真島政府委員 予備員率全体がどうなるか、予備員率自体は御承知のように、労働協約で毎年議論をしながら決まっていく性格のものであります。したがいまして、予備員率自体が今後どういうふうな推移をたどっていくか、これは労働協約の改定時、現在春闘ということで船主、労働組合両方が、これについて真剣な議論を闘わしておる状況と思いますけれども、政府という立場から、大体何%がいいとか、どのぐらいが多過ぎるとか、そういうことを言う性質のものではないと私は考えております。
  73. 小林政子

    ○小林(政)委員 これだけの国の資金を使って、国際競争力を強めていくということで利子補給をやるわけですね。そういう中で、いま深刻になっている船員の問題というもの、海運政策の一環としても、これについての解決方法というか、この計画の中に盛り込んでいくべき内容というか、そういうものは当然必要じゃなかろうか。  私自身、これを計画造船でやる場合、三百万総トンでどのぐらいの船員が具体的に船に乗れるようになるのか、こういう点をちょっと試算をしてみました。結局、これはあくまで推定の数字でございますので、機械的な数字になると思いますけれども、一隻平均四万総トンとして七十五隻、そしてそれを結局、二十六人乗りと仮定して、予備員を五〇%とした場合には、これは十三人になるわけですけれども、これで計算しますと、七十五隻で二千九百二十五人ふえるわけです。ところが、義務づけこそはしていませんけれども、具体的に今度はスクラップをやるわけですね。不経済船をスクラップしていくということで、これも四百万総トンですから、一隻当たり平均四万総トンとして百隻になるわけですけれども、二十六人に対する予備員を十三人ということで計算してみますと、スクラップですから、三千九百人これは逆に減ってしまうわけです。そうしますと、合理化船の問題もあるし、いろいろありますけれども、具体的にはこの数字を全部足してみますと、結局千四百八十人の船員が余ってしまう。これはあくまで一つの試算にすぎません、現実には労使の間の話し合いとかいろいろな形が行われるわけですし、また、この数字も仮定の問題でございますけれども、しかし少なくとも、千四百八十人の船員が、具体的にこの計画をやることによってはみ出してしまう、こういうことははっきりしているのじゃないか、したがって、予備員率は上がっていくと言わざるを得ないのではないだろうか、こういうふうに思いますけれども、この点についてどうお考えでしょうか。
  74. 真島健

    真島政府委員 いまの先生の御試算でございますが、四百万トンの解撤ということで、つぶれる方の船の試算をいろいろしておられると思いますが、私ども今度の予算で五十七年度までかかって四百万トン、つまり毎年百万トンずつということで、これは実は整備計画とは確実にラップしていないわけです。仮にこれはラップすると考えましても、五十七年度の分は三カ年の外でございますので、やはりつぶれると申しますか処分をされる船とでき上がってくる船、これはトン数としては余り差はないのではないか、このようにまず前提を考えたいと思います。  それから、御参考まででございますけれども、解撤計画の方は、日本船を解撤することを義務づけている解撤制度ではございません。先ほども答弁の中でちょっと申し上げましたが、世界的な船腹過剰に貢献するという趣旨もございますので、必ずしも日本船でなくても、この解撤の制度に乗って解撤してよろしいということになっておりますので、仮にあの協会が三年間で三百万総トンを達成するといたしましても、そのすべてが日本船がそこで解撤されるかどうかは、非常に不確かな部分があるということだけ御参考までに申し上げておきます。  そこで、私どももある意味で先生と同じでございまして、非常に機械的な試算でございますが、今後処分をされてまいります船、これはトン数としては比較的大きいものがつぶれていくのではないだろうか。それから今後、計画造船でできてまいります船、これは現在ある程度計画が出ておりますように、コンテナ船あるいは総トン数で申しますと三、四万総トンから五万総トン足らずのタンカー、こういうようなものが出てまいりまして、一方、要らない船はVLCCと申しますか、非常に大きな船でどうにもならぬ船が多い。そういうことから申しまして、恐らくつぶれる船の隻数よりも、トン数は同じでも、計画造船で出てまいります船の方が隻数は多いのではないか、こういう推定が一応できるのではないか。  そういう考え方で、たとえば現在、高度合理化船の建造を促進するという場合に、処分する船、これをたとえば百万トンと仮定いたしまして、この乗組員を二十五人程度と考えまして、それから建造される船を十八人と考えまして計算をいたしてみたわけでございますが、これは同じ三万総トンの船がつぶれる、あるいはできるという計算でございますが、そうなりますと、当然のことでございますけれども、処分する船舶の方からは八百三十人の人間がおりてくる、建造する船舶について五百六十人、こういう計算になるわけでございまして、その場合、確かに予備員率の計算から申しますと七五・四ぐらいになりまして、五十二年十月の七三・四より二%程度は高まるのではないか、このように考えておりますが、先ほどもお話を申し上げましたように、十八人と申しますけれども、これは実際に乗り組む場合に、労使の話し合いで必ずしも十八人になるかならないかわからないという点がございます。  さらに、いま申し上げましたのは、つぶれる船とできる船と全く同じ隻数であると仮定した場合の数字でございますけれども、先ほど私申し上げましたように、今度できてくる船の方が同じトン数でも隻数が多いのではないか、こういう推定で、たとえば処分する船舶の平均トン数を五万トン、それから、できてまいります船のトン数を三万トンというふうに考えますと、ここで隻数の差が出てまいります。大体一隻当たりの平均乗組員の数をやはり二十五人と十八人というふうにいたしますと、処分する船舶は、百万トンを五万で割りまして二十隻、できてまいります船は、百万トンを三万トンで割りますので三十三隻、こういう結果になるといたしますとこれは逆に、おりてまいります船員が五百人、乗り込んでいくのは五百六十人、こういうことになりまして、これもパーセンテージとしてはわずかでございますけれども、五十四年度中の予備員率というものが、七三・四に対しまして、わずかでございますけれども、七二・九という数字になる。  これも先生のおっしゃるとおり、非常に機械的な試算でございますので、必ずこうなるというふうに断言はできません。確かに、労使の間でのいろいろな交渉の中で具体的な数字は固まってまいるものと思いますけれども、そういうような感じで、予備員の姿というものが、五十二年十月の七三・四という姿と、今度の計画造船、それと大体同トン数の船がつぶれる場合の試算というものについて非常に大きな差が出てくるとは私ども考えておらないわけでございます。
  75. 小林政子

    ○小林(政)委員 少なくとも私が言っているのは、今度の計画を達成することによって、いま労使の間で話し合いがされている予備員率、普通五〇%で、いま七三%ですね、こういうものが具体的にどういう方向に動いていくのかということを、この計画を達成するについて、船主だけを対象にしているのだとか造船だけを対象にしているということじゃなくて、いま深刻な船員問題をどうするのかという点が、この中ではっきりと位置づけられ、そしていろいろな試算もした上で行政指導の面でどういうことがやられようとしているのかということが、具体的には労使の間の話し合いということになっても、こういう計画を立てる場合には私は少なくともそれが必要じゃないかと思うのです。  この間あたりから委員会での御答弁を聞いておりますと、非常に国際競争力が落ちてきている、その主たる原因が日本船員費の高騰にあるのだという意味の受けとめ方を私はさせられましたけれども、しかし、これについても具体的に、韓国だとか台湾だとかあるいは東南アジアの日本船員の三分の一の人たちを対象にして、国際競争力の点からも日本船員の経費というものが高過ぎる、こういうことを頭に入れて具体的には組んだ計画ではないか、このようにも思われるわけです。  それで私、一つには、発展途上国だけではなくて、先進国と言われているところの船員との対比と、それから日本船員との対比という問題について具体的にどのような調査をされていらっしゃるのか、その点についてお伺いをいたしたいと思います。
  76. 向井清

    ○向井政府委員 お答え申し上げます。  先生いまお尋ねの点は、賃金比較の問題が主であると理解するわけでございますが、賃金水準の比較を国際的に行う場合に非常にむずかしいということは御案内のとおりでございまして、一般的に申しましても、生活の態様の問題とか雇用の形態の問題とかで異なるものを直ちには比較できないということで、いろいろ比較には苦心のあるところなのでございます。  特に船員関係につきましては、雇用形態がわが国と一般諸外国においてはかなり違う。わが国においては御承知のように終身雇用制というものが基本になっており、外国においては期間雇用というものが主体になっておるという違いがある。これに伴いまして手当の関係、それに伴う諸経費の関係というようなものもかなり立て方が違っておるわけでございます。それからもう一つは、これは当然のことでございますが、為替レートの問題というものもございまして、どうもなかなか比較が困難であるということなのでございますが、あえて比較するとすれば、たとえば基本給の国際比較というようなものがあろうかと思います。  これは、さっき申しましたように、雇用形態の違いに基づきます諸手当、諸経費などというものを全部捨象してしまうわけでございますけれども、基本給で比較した場合には、これまたいわゆる士官と称せられます職員と、それから、それ以外の部員といわれます一般船員、これとに分けて見なければいけませんが、分けた場合に、職員の場合、そのうち士官の場合には世界的な水準、先進国の水準とそう差がないところで、むしろ先進国の方がやや高いかなという感じの数値がございます。一方部員、すなわち士官以外の一般船員でございますが、これにつきましては、やはり世界のレベルに比較してもちょっと高いかな、ことに先生お話しございました発展途上国との比較におきましては、いろいろな数値があるようでございますけれども、やはり三割くらいは違うのかなという数字が出ております。  しかし、繰り返して申し上げますが、これはあくまでも基本給の比較でございまして、国際競争力に直接結びつくような船員費が直ちに算定できるようなものではないということで、一つの目安のような数値としてお話いたした次第でございます。
  77. 小林政子

    ○小林(政)委員 いまのお話を聞いておりますと、これは基本給についてはということでございますけれども、やはり日本船がこのところ非常に国際競争力が落ちている。これにはもちろん給料だけではないと思います、いろいろな要素があると思います。しかし、それにしても常に引き合いに出されるのが、あるいは船主が、これは何とかいまの時点を乗り切っていくというのか、そういう立場から便宜置籍船に対して、これをどんどんふやしていく、活用していく。それは安い賃金で船員が働いてくれる、こういうことで、もちろんそれだけが理由とは思いませんけれども、しかし、主たる理由は、人件費問題を中心とする船員ストがきわめて低い便宜置籍船に対して、これを活用してふやしてきていた、こういうことが言えるのじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
  78. 真島健

    真島政府委員 いま御指摘の仕組船の問題あるいは便宜置籍船、同じようなことになるかと思いますけれども海運企業がここ数年来そういう形での外国用船をふやしていったという一つの大きな理由のものは、確かに、全体の一船一船のコスト比較ということにおいて日本船がどうしても使い切れない、日本船を持っていったのでは荷主が使ってくれない、こういう形の中で、ある意味ではやむを得ずそういう形になっていったという状況であったかと思います。
  79. 小林政子

    ○小林(政)委員 国際競争力の拡充強化といいますか、運輸省は、いままでの説明の中では、常に国際競争力を強化していかなければならない、そのために今回の利子補給をやったのだ、しかも国際競争力を喪失している主たる内容は、船員費のコスト増である、こういうことを一方で言いながら、国際競争力を強化していく、こういうことは、結局はそこで働いていた船員について今後一体どうしようとするのか、受けざらをどうつくっていくのかということも何も考えないで、実際にこういう政策を進めていくという点は、全く一方的であって片手落ちではないか、このように言わざるを得ないと思います。  次に伺いたいのは、深刻ないまの雇用不安にさらされている船員労働者は、仕組船などの便宜置籍船やマルシップを本当の意味で規制をしていかなければ雇用の安定はあり得ない、私は、このように考えておりますけれども、これに対する基本的なお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  80. 真島健

    真島政府委員 仕組船の問題については、たびたびお答えをいたしておりますけれども、石油ショック以来の不況の中で、特にこの数年来そういうものがふえてまいっております。私どもは、これは決して望ましい方向ではない、日本商船隊全体の姿というものを、そういう形から日本船中核とした構成に改めていく必要がある、そういう意味で、仕組船については、これはたまたま目的がドル減らしというふうな目的のもとに政策が出てまいったわけでございますけれども、買い戻していく、買い戻すということは日本船にすることでございますし、仕組船というのは日本人の乗っておるものもありますけれども、外人の乗っておるものでありますれば、それは日本人の船員に乗りかわっていく、そういう形でこの仕組船というものを、少なくとも今後ふえる方向を抑えていく、あるいは現在あるものを買い戻しというような形で減らしていく、こういう形で考えてまいりたいと思っております。  チャーターバック船についても、全く同じようなことでございますし、マルシップにつきましても、先ほども若干お答えをいたしたわけでございますけれども、なかなか法制的に根絶ということはむずかしいわけでございますので、少なくともそういう船に日本人の船員が乗り込んでいけるという状況を今後つくりながら、基本的にはこういうものがなくなるような方向で指導してまいりたい、このように思っております。
  81. 小林政子

    ○小林(政)委員 確かに、仕組船の買い戻し、これは三十六隻ですか五十三年度に実施をいたしておりますけれども、しかし、これも私は内容をいろいろと調べてみますと、全体では三十六隻でございましたけれども、三光汽船だとかジャパンライン、こういう二社だけで占める割合が船の数では二五%、それから金額にしては三六%と非常に大きな率を占めているわけです。とかくいままでも、この三光汽船やジャパンラインについては、一時期、仕組船などを使って外国用船で大変もうけを上げてきたと言われておるような、そういうことが新聞に載っておりましたけれども、今回対象にしたこの仕組船というのは、一体どういう船なのか、その内容をまずお伺いしたいと思います。
  82. 真島健

    真島政府委員 仕組船というのは、実は非常にいろいろな定義がございまして、必ずしもこれが決定版だというのがないわけでございますけれども、大体わが国の船社が、海外等に子会社をつくりまして、そこへ外人から金を借りまして、船は日本造船所でつくって外国の子会社の所有船という形にいたしまして、これを日本の船社が用船をして実際に運航支配をする、こういうの、が仕組船でございます。今回の三十六隻というものも、大体そういうような船が買い戻されたわけでございます。
  83. 小林政子

    ○小林(政)委員 結局、こういう仕組船というのは、日本が支配をする船といいますか、ペーパーカンパニーのような形で子会社なり外国の船主から、いま説明があったように、造船日本でやるにしても外国から金を集めてやる、こういうようなことで、結局、海運市況が非常に盛況のときは、それなりにある程度かせぎまくれるわけですけれども、今日のように非常に不況になってまいりますと、やはり運賃との関係もいろいろあったりして、結局、資金繰りが急速に苦しくなってくるというようなことも一つはあると思うのです。  もちろん今回の場合は、外貨減らしといいますか、それとの関係もあって買い戻しをするということになったということですけれども、この輸銀の貸し付けの条件などというのは、では具体的にはどういう条件で貸し付けを行っていくのか、お答えをいただきたいと思います。
  84. 真島健

    真島政府委員 五十三年度に実施いたしました仕組船の買い戻しの条件等でございますが、金利につきましては、長期と中期とに分かれておりまして、長期外貨貸し、これは三年を超えて十年以内については六%ということになっております。中期と申しますのは三年以内ということで、これは貸し付けの相手方の選択によりまして二つの方法がございまして、一つは年四・七五%、それから輸出入銀行の外国為替資金特別会計からの外貨借入金利、これは現在三・六二五%でございますが、これに〇・一二五を加えた利率ということで、どちらかの選択が許されているわけでございます。融資の金額は、原則として当該船舶の買い戻し価格ということでございます。償還は十三年から当該船舶の船齢に当たる年数を引いたもの、ただし十年限度という形でございます。その他外国への譲渡につきましては、買い戻し後三年間はこれを許可しない、こういう条件でございます。
  85. 小林政子

    ○小林(政)委員 いまの輸銀で肩がわりをしてともかく買い戻したそういう船については、この海外売船の期限というのは、三年というふうにおっしゃいましたけれども、これは三年たてば海外売船が自由にできるということなんですか。
  86. 真島健

    真島政府委員 売船制限三年にしてあるわけでございますけれども、三年を経過したら当然に売ってもよろしいということではございませんで、やはり一船ごとにやむを得ない合理的な理由があるかどうか、これを審査して決めてまいることになっております。
  87. 小林政子

    ○小林(政)委員 しかし、いまの三年というのは、どういうところから三年というふうに決まったのかはよくわかりませんけれども、その根拠をまずひとつお示しいただきたいと思うのです。  そして私どもが心配するのは、やはり私、これも一つ調べてみましたけれども、これは三光汽船の一番大きな今度の買い戻しの船でございまして、タンカーで、三千八百五十六万ドルの購入価格で買い戻したわけですけれども、それを一ドル二百円で日本円に換算しますと、三千八百五十六万ドルというのは七十七億一千二百万円になる。そうすると、外国の銀行からお金を借りているわけですから、これは海運局の人に聞きますと、ユーロダラーというものを活用して、そしてそのお金を借りているのだけれども、金利は一〇%から一一%だ、こういうふうに言われておりますし、結局、買い戻しは輸銀融資でやるわけです。輸銀融資でもってこれをやりますと一まあ長期ですから金利が六%ということで、七十七億の六%ということになりますと、これは四億六千万円ということになります。したがって本来、年間に七億七千万円外国の銀行に金利を払わなければならないのが四億六千万円で済むわけです。したがって、その差は年間三億一千万円、これだけ金利差というものが出てくるわけですね。  こういうことまでして、そして日本の輸銀のお金を使って買い戻したものが、三年間たてば、これはまた海外売船をやってもいい、あるいはその他の活用をやってもいい、こういうことになぜなるのでしょうか。私は、ここら辺大変疑問だと思うのです。この点について、これだけの大きな日本の輸銀の金を使って買い戻したものが、三年たてばもうそれで期限が切れたということは、何らかの見直しが必要なのではないか、このように思いますけれども、いかがでしょうか。
  88. 真島健

    真島政府委員 御指摘のような問題は確かにあると思います。船は、やはりある年数たちますと、売船するというような手法でいろいろと海運企業も経営することがあるわけでございますが、仕組船は船齢が相当新しい船が多いわけでございまして、五十三年度中に買い戻しました三十六隻も、これを平均してみますと大体三年くらいになっておるわけです。そうしますと、つくりました時点から見ますと、大体六年ないしそれ以上の期間を、はっきりした売船制限という形で押さえるという形と似ておるかと思います。このことと計画造船でつくられました船につきまして売船まかりならぬという期間が五年間であるということとのバランスがここに働いたのではないか、私ども、というよりはむしろこれは金融当局で最終的にはお決めになった数字でございますが、その裏には、そういうような形があったのではないだろうか。ただ、これは計画造船の場合五年、買い戻しの場合買い戻し後三年間というものが決まっておりますけれども、その後といえども、私ども、売船についてはよほどしっかりした理由がない限りこれを許さないという運用をいたしておるわけでございます。
  89. 小林政子

    ○小林(政)委員 これは私、やはり非常に疑問を持ちました。海運政策上も、どういうところから三年というのが出てきたのか。この点については、輸銀の資金を活用して、そして買い戻すわけですね、そのために、いま私が申し上げたのは大きなタンカーですけれども、この一つの船だけでも年間で金利負担が非常に軽くなる、こういうすごく有利な条件ですね。私は、こういうことまでやって、そしてその買い戻した船が、三年たったら今度はもう法律の方ではどうなっても構わないみたいなことであってはならないと思うのです。この点については、時間の関係もありますので、強く要望をいたしておきたいというふうに思います。  もう一つお伺いしたい点は、ここに運輸省からいただいた資料で「計画造船の海外売船の実績表」というのをいただいております。これによりますと、具体的には海外売船の実績というのは、四十九年から五十三年の間に、中核六社では百七十隻、その他では六十七隻、合計で二百三十七隻というふうになっておりますけれども、この中にいわゆる海外売船をやってまた日本がチャーターバック、再雇用と言うのですか、再用船をしているというものが含まれているのかいないのか、その点わかったら数字を挙げて教えてもらいたい。
  90. 真島健

    真島政府委員 ちょっといま数字を持ち合わせておりませんので、調べさせていただきたいと思いますが、このチャーターバックと申しますのは、要するに売船をしてしまって、それを今度再度日本の船社が用船する形、これがチャーターバックでございまして、いまの私どもの制度の中では、海外売船とかあるいは海外に用船貸し渡し、こういうものは、海上運送法上の手続に従いまして許可なり何なりということで押さえる方法がございまして、ある程度の実態がつかめておるわけでございますけれども、用船をわが国の船社がする場合、いわゆるチャーターインの場合には、OECDに加盟いたしますときに、そういう問題について政府が手を触れてはならぬということで、そういうことが条件になってわが国がOECDに入ったという経緯もございまして、制度的にこれを政府として押さえる手段がない。そういう意味では、全然別途の調査をしないと、ある程度責任を持った数字のお答えができないというのが実は現状でございます。
  91. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は、いま幾つかの例を挙げて、海外売船は輸銀で買い戻した船が三年、あるいは計画造船が五年で、数字をきちっとここに運輸省から出してもらって——そういうものがどうなっているかということ、ひいてはこれが雇用対策に重大な影響があるからなんです。せっかくつくった船が結局は海外で便宜置籍船や仕組船みたいな形で、そして賃金の安い乗組員を乗せて日本の市場を奪っていくというようなことに対する歯どめをどうかけていくのかという点がお考えの中にきちっと入っていれば、当然こういう問題についても何らかの対策を立てるということが必要なことではないだろうか、こういう点からお伺いをしたわけです。  結局、国際競争力国際競争力ということを言われているわけですけれども、便宜置籍船に対して、今度は船をつくる段階で輸銀の融資をやっていますね、便宜置籍船に対して輸銀の融資を行っていますね、その中に仕組船というのは、前はあったけれども、いまはないのかどうなのか、その点もひとつお答えをいただきたいというふうに思います。
  92. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 一般的に便宜置籍国と言われております国はかなりございますが、私どもで特に大口でございますリベリアとかパナマ、こういった国向けの輸出船につきましては、先生おっしゃるとおり輸銀で融資をしております。ただ、この中で仕組船がどうかという点につきましては、輸銀の段階ではその実態はつかんでおりません。
  93. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は、最近は仕組船について、便宜置籍船、リベリアとかパナマの船については、融資は輸銀からはしていないというふうに海運局から聞いていますけれども、前に新聞か何かで、前はやっていたという記事を読んだことがありましたので、これはいままで全然ありませんでしたか、その点が一つと、それからもう一つは、時間が参りましたので、国際競争力ということを重視されていらっしゃるんですから、そうだとすれば、私は、むしろ日本の市場に非常に安い船員を乗せて入ってくる便宜置籍船に対して輸銀融資の援助ということになりますと、これは日本海運のやっていることが、結局は国際競争力を高めていくと言いながら、逆行するようなことをやっているのじゃないだろうか、こういう疑問を持つわけですけれども、この二点についてお答えをいただきたいと思います。
  94. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 輸銀の融資は、先生御案内のように、延べ払いの船に対して輸銀の融資をするわけでございます。したがいまして、輸出船の中で延べ払いで輸出をするか、あるいはキャッシュベースで輸出するかということにつきましては、いろんな傾向がございまして、最近で言いますと、昨今のような円のレートが安定していない状況では、なかなか延べ払いというものがふえませんで、むしろ減少している傾向にございます。たとえば五十三年度で申しますと、便宜置籍国でありますリベリア、パナマ向け九十万トン、六十六隻輸出をしておりますが、そのうち輸銀融資にかかわっておるものは、わずか七隻ということで減っております。したがいまして、輸銀の融資が即便宜置籍国向けに増加したりということじゃなくて、むしろレートなりそのときの受注あるいは発注の条件でかなり変わってくるということが第一点でございます。  それから、仕組船が入っていたかどうかという点につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、いわゆる便宜置籍国向けの船籍の所有まではわかりますが、それが果たしてチャーターバックされるかどうかという点につきましては、輸銀融資の段階ではわからないわけでございます。したがいまして、あったかどうかという点について、かなりのものが仕組船として使われておりますので、あったのではないかと考えますが、量については明確にできないわけでございます。  それから、日本が船を輸出することによって、日本船と競合関係に立つのではなかろうか、こういう点でございます。これは一般的に申しますと、確かに輸出をしなければいいわけでございますが、片や外貨を獲得するなり、あるいは日本の産業の規模の拡大といいますか、そういった意味で、輸出ということについては日本の各産業ともやらざるを得ない、こう考えております。     〔佐藤(守)委員長代理退席、委員長着席〕 その際に、果たして輸出船に対して条件がほかの国より有利であるかどうか、あるいは国内船に比べて有利であるかどうかという点が判断の基準になろうかと思いますが、船舶の輸出につきましては、先生御案内のように、OECDで統一の条件をつくっております。したがいまして、各国とも特に有利な条件で輸出船を出すということにはなっておりません。それから一般的に申し上げまして、国内船に対するいわゆる優遇措置の方が輸出船に対する優遇措置よりも有利であるというふうに考えておりますし、ほかの国でも同様な制度で国内船については輸出船よりやや有利な条件で出しておるところが多いというふうに承知しております。
  95. 小林政子

    ○小林(政)委員 きょうは本当は討論をやろうと思ったのですけれども、できないことになりましたので、最後に大臣に私はお伺いをいたしたいと思います。  大臣、いまお聞きのように、今回の利子補給ということは三年間で七百億からの資金を要する、こういう非常な援助を船主に計画造船で行うわけです。片や造船も実際には仕事がない、こういう中で今回の措置で、中核六社の船主から注文が来ると見られます大手造船は非常に希望に燃えているようでございますけれども、参考人の方からも、中造工のあの方が委員会で、やはり仕事の面で計画造船を私たちの方にも回してもらいたい、こういう意見も出ておりました。そうしていま深刻になっているこの船員の問題について今度の計画の中には具体的に何一つ盛り込まれていない、こういう考え方の上でこの問題について一方的にこういうものを実施していくということは、私は、日本海運政策の上からも、いろいろ輸銀の問題あるいは海外売船の問題、こういう点からもやはり大きな問題が残されていると言わざるを得ないと思います。結局は、いままでの計画造船そのものは、やはり大きな船会社に集中していく、こういう力の集中といいますか、こういうものにすぎないのじゃないか、そして一番深刻な立場に置かれているこの船員の問題は何一つ具体的に取り上げられていない、このようなことは、日本海運政策上きわめて問題ではないか、このように思っておりますけれども大臣見解をお伺いして私の質問を終わりたいと思います。
  96. 森山欽司

    森山国務大臣 御承知のような海運不況の中で日本商船隊というものをこれから確保しなければならない、そういう中の一つの方策としてこのたびの法案が用意された、しかし、それだけですべてが片づく問題ではない、そういうふうに考えます。したがって、いまいろいろ述べられた御意見等につきましては、現在の海運不況の中で政府としてもできるだけの措置を講ずる必要もございますが、同時に、船主側におきましても、やはりそれぞれの立場で最善の努力を尽くしてもらわなければならぬ。特に海運労使間において、今日の不況に直面をしておって、それだけのやはり血のにじみ出るような努力が欠くことのできないような様相になっているという現況は、どうかひとつ御理解をお願いしたいと思います。  過剰船員に対する問題でございますが、緊急措置として船員の雇用の促進に関する特別措置法等の不況対策法令の整備、これに伴う予算措置、業務体制の整備などがありまして、それぞれ所要の方策を現に進めておるところでありますが、必ずしもそれは十分じゃないかもしれません。しかし、安定した船員の職場の確保のために長期的視野に立った施策が必要でありまして、国際的な海運業情勢を踏まえて、これら急速な近代化の方向に対処して船員の職場の長期安定を図る必要があると考えております。  特に、新しい船員制度の確立につきましては、船員の資質の向上についての国際的な動きが強まっていること、船舶の技術革新がさらに進展する見通しがあること等に十分着目いたしまして、優秀な技術を持つ日本船員の職域の確保に関する施策を講ずる必要があると考えておりますが、いずれにいたしましても、今日の海運不況ということ、したがって、過剰船員対策というものは、これは一つには、海運労使の間で血のにじみ出るような御努力を願い、同時に、政府としてもそれを支援するような対策を講じていかなければならない、そういう方向で努力をいたしてまいりたい、そういうことでひとつ御了承をお願いいたします。なお、この機会にちょっと御報告申し上げておきたいと思います。  午前中、国労、動労、全動労は、本日十時二十かにスト中止指令を出したと御報告いたしましたか、これは事務上の連絡のミスでありまして、正式のスト中止は十二時三十分に出されたとのことであります。訂正をさせていただきます。なお、十二時二十分に出されたものは、スト中止の準備指令ということであります。  私鉄につきましては、午後二時十五分から少数の中央集団交渉に入る予定でありまして、まだ解決をいたしておりません。中間的に御報告申し上げます。
  97. 小林政子

    ○小林(政)委員 終わります。
  98. 箕輪登

    箕輪委員長 中馬弘毅君。
  99. 中馬弘毅

    中馬(弘)委員 他の委員の方々からほとんど問題は出し尽くされましたので、少し基本的なことで、御答弁を聞いておりましても、この外航船舶の緊急整備の目的というのが何であるのかがまだ少し明確ではないので、その点について質問をさしていただきます。  二十八年にできました利子補給法制定の趣旨は、これは戦災による日本商船隊の壊滅的な打撃、これを再建するということでございました。そしてこれは、その努力がありまして、便宜置籍国のリベリアを除けば世界一の船舶保有国になっておるわけでございます。したがって、これが五十年三月末で利子補給を打ち切ったということは、その趣旨が達成されたということかと思いますが、今回の緊急整備計画は少し目的が違うのではなかろうか。それであれば、その目的は何なのかという点でございます。  これは先ほどから聞いておりますと、大体船員雇用対策の方にどうも重点があるようでございますが、一方で造船不況対策でもあるし、また、そのスクラップ・アンド・ビルドによる高度合理化船の整備だとかというようなことにもつながっておろうかと思いますが、実際この法案の目的というのは何と考えておられますか。
  100. 真島健

    真島政府委員 確かに、御答弁してまいります間に、いろいろな効果と申しますか、そういうことに関連して話が及びますので、この今度の三百万総トンの建造は一体何が目的なのかということで御疑問が出たかと存じますが、まあ外航海運、これは申すまでもなくわが国に対する貿易物資安定輸送ということをその使命としておるわけでございます。貿易物資の輸出入に非常に多くを依存しておりますわが国にとって、この使命は非常に重要なものがあるわけでございます。  そういう観点で、先ほどもお触れになりましたように、戦後わが国外航海運企業、これが外航船舶の整備増強ということで、ある意味では拡大強化という路線を定めまして、それに乗って計画造船制度あるいは利子補給の制度というものがこれを助けて、日本外航海運を世界的なものに育て上げたわけでございますが、石油ショック以来の不況に直面いたしまして、現在まですでに数年間の不況の中で出てまいりました問題といたしまして、これは従来のようなとにかく拡大強化ということではなくて、まず現在保有されておる日本商船隊の中の日本船、これを維持する、少なくとも維持するということで当面進むべきではないか。ある意味では、そういう拡大強化に対比いたしますと、まあ守りというか維持、とにかく維持していくという方向に基本的に海運政策の方向も変わってきたという点が一つございます。  維持確保と申しましても、現在のような状況の中では、船腹過剰の中で処分、解撤される船が出こそすれ、新しく日本船をつくるという意欲は出てこない、そういうことが船員雇用の問題にも非常に悪影響を及ぼしますし、日本商船隊の構成のひずみをますます増大させる、そういうことになるわけでございます。     〔委員長退席、堀内委員長代理着席〕  したがいまして、今回の利子補給ということは、今後つくられる日本船国際競争力、これを維持強化いたしまして、日本船建造体制が今後充実強化される、これによりまして必要な規模の日本船維持確保を図る、これが主たる目標、目的でございます。
  101. 中馬弘毅

    中馬(弘)委員 いろいろ挙げられますが、その効果とかあるいは目的にそれぞれ何か矛盾するようなところが出てくることを私は危惧しているわけでございます。  まず、その日本商船隊の世界一の座を確保しなければならないといいますか維持するということが、果たして今後の国際情勢の中で日本のためにとっていいことかどうなのか、非常に摩擦が多くなりはしないかという疑問も逆に出てくるかもしれません。一〇%でなければならないということが理由としてはどういうことなのか、まず、その辺からお願いします。
  102. 真島健

    真島政府委員 現在の日本商船隊の規模を維持すること、あるいは日本船の現在の規模を維持することが、国際的な摩擦を起こすおそれがあるというふうな御懸念かと思いますけれども、しかし、日本船の保有量、これは実質的に各国別に言えば、確かに世界第一位で三千数百万トンという数字は相当大きな数字でございますけれども、世界全体の海上荷動き量、これの中で日本を中心とする動きというものが全体の二割でございます。ところが、日本船は世界船腹の二割などにはとてもいっておらないわけでございまして、そういう意味で、日本商船隊全体としてもさらにその倍程度でございますけれども、全体としての積み取り比率の面から言えば、当然のことでございますけれども日本商船隊全部含めても一〇〇%はおろか大分下の方でございます。全体の貿易量のうちの二割という非常に大きな貿易量、海上荷動き量、これを、日本の必要な物資を輸入する、あるいは輸出していく、日本商船隊がどの程度を確保するかということが問題かと思いますけれども、私は、現状のそういう中で現在の日本船の量あるいは日本商船隊の規模、こういうものが決して過大なものであるというふうには考えておらないわけでございます。  それじゃたとえば、もっと減ったら困るのか、あるいは非常に致命的かという問題は、これはまた、そのときそのときの世界の経済状況なり荷動き量との関連で考えなければならないことかと思いますけれども、当面しばらくの状況をながめますと、決して現在の規模が過大に過ぎるということで国際的に摩擦が起きてくるというふうなことは余りないのではないかというふうに考えております。
  103. 中馬弘毅

    中馬(弘)委員 そこを少し明確にしておく必要がございますが、いまの御答弁ですと、何か特定の基本的な戦略なり目標があるようには伺えないわけでございますけれども、そこをはっきりしておかなければいけないのではないかということなのでございまして、私は、いまのが多過ぎるとか少な過ぎるとか言っているのじゃなくて、今後の問題としていまの規模を維持することが、日本の国策として得策なのか、あるいはもう少し下げてもいいのか、いや、国防あるいは安全保障上からももう少し多い方がいいのか、その辺のことが少し明確でないのじゃないかという気がいたしますが、そのあたりはどうでございましょうか。
  104. 真島健

    真島政府委員 安全保障と言いましても、私どもが考える安全保障と申しますのは、エコノミックセキュリティーと申しますか、経済的な安全保障ということでございますが、そういう観点からの海造審での議論というものもございまして、そういう観点から、たとえば日本船は一体最低限度どのくらいを考えたらいいのだろうかという議論、それから当然のことでございますけれども船員の雇用対策というような面からの日本船の必要な規模、あるいは現在、外貨減らしというようなことで国際収支の問題は逆に黒字が多過ぎるということでございますけれども、非常に長期的に見れば、国際海運収支という面から海運収支の中の赤字というものの幅を余り大きくしないで、少なくとも一定の幅にとどめる必要があるのじゃないだろうか、あるいは安全面その他の観点も含めまして、今後の便宜置籍船等に対する国際的な批判の高まり、そういうようなことも総合的に考えて、あの小委員会報告は、当面五十二年度程度日本船の維持というものがまず目標になるのではないか、こういうふうに述べておるわけでございまして、私どもも、その基本的な考え方を踏襲いたしておるところでございます。
  105. 中馬弘毅

    中馬(弘)委員 このことはあえて要望しておきます。今後の海運政策上、どの程度の割合を日本船が負担するか、分担するかといったようなことをもう少し明確にしておいていただきたいと思います。それから、高度合理化船の整備という大義名分でございますけれども、これはどうしても必要なことではあると思うのですが、いまの船腹過剰の甲にあってそれをやることが船員雇用対策とどう結びついてくるのか。逆に、解撤も含めてスクラップ・アンド・ビルドしていきますと、しかも、それが高度合理化船ということでありますと、これは船員雇用対策に対してはマイナスになってきているわけでございますが、その辺はどうでございますか。
  106. 真島健

    真島政府委員 高度合理化船の問題、これは先ほども質問がございまして、若干同じような趣旨のことを申し上げたと思いますけれども、現状を放置しておく、何らの策を打たないという状況の中では、これはある意味では一方的に船員雇用の場が縮小するだけの姿になりかねない、これを私ども一番懸念いたしたわけでございます。つまり日本船をつくるという意欲がない、一方、ある程度古くなり老朽になりました船は売船なり解撤ということで船員の職場はマイナス一方である、そういう形は船員対策上も非常に問題であるということで、私どもは、利子補給という形での日本船建造意欲というものを船主に起こしてもらうためにこの制度を考えたわけでございますが、ただ、つくってまいります場合に、やはり荷主がそれを使ってくれるということでなければ全く意味かないわけでございまして、荷主が使ってくれるだけのコストの船という観点から高度合理化船という構想が出てまいったわけでございまして、そういう意味で、乗組員数を従来の船よりもできるだけ少なくできないかということで高度合理化船が構想されておるわけでございます。  そういう意味では、非常に極端に申しますと、これ以上ほうっておくとますますマイナスになるものを、高度合理化船の建造によって少しでも職場の開拓を図りたい、私ども考え方はそういうことでございますが、先ほどもいろいろ御質問がございましたように、船員全体の雇用の問題をその場合に一体どう考えていくのかということは、当然私どもも考えなければならない問題でございまして、船員局等とも御相談しながら今後の措置を考えてまいりたいと思います。
  107. 中馬弘毅

    中馬(弘)委員 船舶局長にお尋ねしますけれども、これは造船不況対策としての効果はどうお考えでございますか。
  108. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 今回の外航船舶の緊急整備計画によりまして、計画造船で今後三年間に百万トンずつつくるということでございます。従来の計画造船によります建造量が三十万トン程度でございますので、これによる増加分七十万トンというふうに見込みますと、これは標準貨物船に直しまして、平均しまして年間約六十万トン程度になります。この量は、私どもとしましては、五十四、五十五、五十六の間で、さきの海運造船合理化審議会の答申の基礎となりました需要見通しですと、標準貨物船換算で年間約三百二十万トンというふうに考えておりますので、これに対して一九%の需要増ということでございます。このほか官公庁船その他の需要増をいろいろ見込んでおりますが、いわゆる需要創出の柱のうちでは一番大きいものだというふうに考えております。  ちなみに、これだけの量がふえますと、雇用効果としては年間約一万人分の仕事量に相当する、これは直接でございまして、間接に造船の雇用増が他の雇用増に及ぼす影響が一・一七というような数字を入れますと二万人以上というふうに考えております。
  109. 中馬弘毅

    中馬(弘)委員 いまの御答弁のように、造船不況対策としては非常に大きな効果をもたらすものだと思っているのですが、それと同時に、日本造船業ないしはまた海運業として高度合理化船がどうしても必要だということ、これも本来の目的だと思うのでございますけれども船員雇用対策を余り表面に出されると非常におかしい感じがするのですが、そこはどうですか。もちろん、別の方法も少し考えておられましょうけれども、これに余りウエートを置いたら目的としておかしいことになりはせぬかということです。
  110. 真島健

    真島政府委員 今回の政策は、もちろん本筋といたしまして、海運国際競争力の回復、そのとりあえずの差し水と申しますか核をつくる、そういう意味で、日本船をできるだけつくれるような状況に持っていきたい、これが一番大きな目的でございます。もちろんその背景に、いま船舶局長からお話申し上げましたような造船の問題もございます。ただ私ども、この政策全体の中での柱と申しますか、国際競争力回復という柱が大きな柱でございますけれども、しかし、海運造船合理化審議会でいろいろと御議論をなさいましたその中で、国際競争力の強化がなぜ必要かということ、この背景には、やはり経済的なセキュリティーの問題もございますし、船員の有効活用の問題もございます。あるいは便宜置籍船等に対する国際的な批判の高まりというようなことから、日本船をできるだけ中核として余計にしていかなければならない、こういうようなこともございます。あるいは先ほどお話しましたような長期的に見た海運国際収支というような観点もございまして、これらが総合された形で今回の利子補給政策提案というところになったと思っておりまして、どれが前面でどれが主でないかというようなことを、私ども実は考えておりません。しかし一番問題は、日本船国際競争力の強化ということにすべてが集中されるかと思います。
  111. 中馬弘毅

    中馬(弘)委員 先ほどもお話が出ておりまして、若干企業の方に建造意欲がいまのところないとおっしゃっておりましたが、最近は政府の建造予定を大幅に下回っておりますし、そういう状況のもとで制度をつくっても、意欲がなければなかなか実現するものではないと思っております。しかし、私企業の経営マインドを無視して行政指導で実施しても、その結果は余り思わしくないでしょうし、しりぬぐいをまた行政がしなければならないようなことになってまいります。いろいろな補助金行政へのそういった悪例を挙げれば枚挙にいとまがないわけでございますが、そのあたりはどうお考えでありましょうか。
  112. 真島健

    真島政府委員 確かに、現在の状況の中で普通に考えますとなかなか新しい船をつくろうという意欲が出てこないということは確かでございます。ただ私ども、昨年来予算要求を通じ、あるいはこの国会の始まりますころから、各海運企業の意欲が一体どうであるかということを見ておったわけでございますけれども、今回の利子補給の復活ということによりまして、これは船社にとりましても相当の意欲が起こってきておると私どもは見ております。もちろん、この法案が御審議をいただきまして成立しなければ、実際に利子補給制度を実施に移すわけにはまいりませんけれども、現在、計画造船という形ですでに相当数の船舶の建造の予定がなされておりまして、これは利子補給制度が現実のものとなりますことを予想いたしまして、四月から六月ぐらいまでの間に何とか着手をしたいということで相当量の計画が出てきてまいっておりますので、案外私どもが考えたよりも船社の意欲はある程度出てきておるのじゃないか、このように考えております。
  113. 中馬弘毅

    中馬(弘)委員 船員余剰の問題、あるいは船員ストが非常に高くなってきて国際競争上思わしくない、これに対する対策をということで、ここに余りにウエートを置きますと、問題は少しおかしくなってくるような気がいたしまして、このような質問をしているわけでございます。この計画旧船の復活は、同時に、これは解撤もすることになっておりますから、しかも、合理化船ということになりますと、船員余剰に逆に拍車をかけるということになるというようなことでございます。また、幾ら高度合理化船をつくっても、一方で船見費の高騰傾向、賃金アップはもちろんでございますが、週休二日制あるいは予備員率の上昇といったことをストップさせる制度を確立しなければ、これは悪循環といいますか、イタチごっこのようなことになってくるわけでございます。そういうことになっておりますと、海運企業日本船よりも仕組船に、あるいは荷主は安い外国船舶にということになってまいりまして、本当の根本的は解決にならないのじゃないかと思いますが、その点はどうなんでございますか。
  114. 真島健

    真島政府委員 私どもの今度の利子補給制度の復活、これは全体の海運体質強化なり競争力の強化のうちのある一部について政府ができる限りのことをしたということでございまして、やはり海造審の小委員会報告のように、労使の間での非常な努力ということによって船員費の問題に真剣にアプローチする、こういうことがもう一つの要件でございましょう。そういう意味で私ども、現在、春闘という形で労使が真剣な討議をしておると思いますけれども、その中から今後の海運労使の行くべき基本的な方向というものが模索されて出てまいる、そういうものをながめながら、私ども、今回打ち出しましたこういう利子補給制度というある意味での助成政策を、さらにそれを基盤にいたしまして検討し、実りのあるものに育て上げていかなければならない、このように考えております。
  115. 中馬弘毅

    中馬(弘)委員 仕組船の買い戻しの話なども先ほど出ておりましたが、これに対しましても、相当な企業に対しましての補助といいますか、別の利子負担の形での軽減策をとっていくわけでございまして、先ほどから何度も言いますように、これを船員雇用対策として考えるならば、こういった回りくどいことをしなくても、もう少し船員の離職者対策あたりに大きな金をつぎ込む方が、また逆に、船員をどこか外国の方に技術援助的な形で派遣したりすることの方が、むしろ短絡的で、非常に効果があるのじゃなかろうかという気もするのですが、それはいかがでしょうか。
  116. 向井清

    ○向井政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のように、確かに、海運不況の問題と船員雇用の問題とが悪循環を起こすということは非常にまずいことでございまして、それをどこかで断ち切りましていい方向に向かわせなければいかぬということはおっしゃるとおりだと思います。船員政策の中で雇用対策が非常に大きな重点事項になっていることはもちろんでございますが、さしあたりましていま一生懸命やっておりますのが、緊急対策としての離職船員対策ということでございまして、かなりの予算もつぎ込みまして、先生さっきおっしゃいました外国船への配乗というようなことも手がけているわけでございます。  そこで、やはり雇用対策ということは、長期的観点から一つの大きなところを押さえてかかりませんと、さっきおっしゃいましたような悪循環を断ち切るということにならないということをわれわれも理解いたしておりまして、われわれとしてこれから全力を挙げて取り組んでまいろうとしておるのが、船員制度の近代化の問題でございます。これは近代化船への新しい乗り組み体制、良好な労働環境のもとという条件つきでございますが、そういう新しい乗り組み体制の確立、それから国際的に出ております船員の資質向上、これは相次ぎます世界的なタンカーの大事故というものを受けまして、国際会議でも新しい大きな条約が採択されまして、今後は質の低い、悪い船員を乗せて世界の海を歩くということはなかなかできなくなる、船員というものは非常にしっかりした基準のもとに働かなければならぬという大きな潮流が出てまいりました。このあたりが悪循環を断ち切る一つの大きなポイントであろうとわれわれも考えておりますので、そのような国際的な船員制度近代化の大きな流れをつかまえまして、日本船員、これは非常に優秀な資質を持っておりますから、その日本船員の雇用の確保、拡大というものを図ってまいりたい、そのような方向が、ただいまとられようとしております海運政策にも、大筋において、長期的観点に立てば表裏一体の関係を持ちながら一致するものであろうと考えておる次第であります。
  117. 中馬弘毅

    中馬(弘)委員 予定いたしましたところは、ほとんどさっきから他の委員の方々が質問されましたので、あえて、この法案の目的をもう少しはっきりさせると同時に、日本海運政策をもう少し基本的なところで明確にして、船員雇用対策は雇用対策日本競争力の強化は強化ということでの施策をお願いする次第でございます。  以上を申し述べまして、質問を終わらせていただきます。
  118. 堀内光雄

    ○堀内委員長代理 太田一夫君。     〔堀内委員長代理退席、委員長着席〕
  119. 太田一夫

    ○太田委員 大分質問が進んでまいりまして、もう最後になったのでありますが、この際、若干重複するようですが、利子補給の臨時措置法について改めてお尋ねをいたします。  まず第一に、どうもわからないことがあります。それは私ども久保先生からも最初にお尋ねをされましたが、「わが国外航海運は、貿易物資安定輸送をその使命としており、貿易物資の輸出入に多くを依存しているわが国経済にとって、きわめて重要な役割りを担っております。」こう  いう提案の趣旨、考え方から「このまま推移した場合、外航海運がこれまでその中核としてきた日本船維持確保はますます困難となり、貿易物資安定輸送を確保する上で、憂慮すべき事態に直面することが予想されるのであります。」こうありまして、とれが提案の趣旨ですから、貿易物資安定輸送を確保するというためにこの法案ができたということになりますね。目的はそれだけですか。
  120. 真島健

    真島政府委員 先ほども若干触れましたけれども、先生もお述べになりました提案理由、これはもちろんそれが一つ——一つのと申しますか、この法案提案の目的の背景としてそういう状況があるということでございます。したがいまして、そういう状況を回避せねばならないということで、一つは、まず日本船建造体制を充実強化する、これがこの法案のねらいでございまして、そのための利子補給制度の復活、こういう筋になるかと存じます。
  121. 太田一夫

    ○太田委員 だから、貿易物資安定輸送を確保することが目的ですかと言っている。そういうのが目的なのか。いまの話だと、建造体制を確保するというなら造船じゃないですか。船をつくることが目的だ、それは安定輸送を確保することが目的なのか、船がなくては困るから船さえつくればいいということなのか、何ですか。
  122. 真島健

    真島政府委員 もちろん、目的といたしましては、海外物資に非常に多くを依存しておりますわが国にとりまして、貿易物資安定輸送が一番上にあると申しますか、最高の目的でございます。
  123. 太田一夫

    ○太田委員 大臣、あなたに聞きますが、いま日本の貿易業者は船をつくってもらわなければ安定輸送ができぬと思っておるとお考えですか。
  124. 森山欽司

    森山国務大臣 外航海運というものは、貿易物資安定輸送というものを、わが国においては使命としておりまして、これは物資の輸出入に依存しておるわが国経済にきわめて重要な役割りを果たしておる。この使命を果たすためにわが国外航海運外航船舶の整備に努めてきたが、最近、国際競争が著しく落ちてきて、運航コストが高くつくというようなこと、がありますから、外国用船に依存する度合いが年々高くなっておる。このままに推移した場合、わが国外航海運が、これまで中核としてきた日本船維持確保がますます困難になって、貿易物資安定輸送を確保する上で憂慮すべき事態に直面することが予想される。したがって、わが国外航海運が、これまで中核としてきた日本船維持確保を主たる目的として今回の法案は制定されておる。あわせて、そのことが長期的に見て、雇用の確保につながり、あるいはわが国の今日の造船業に寄与する、こういうふうに私は理解をいたしております。
  125. 太田一夫

    ○太田委員 外国用船輸送量がふえてきたから、日本船輸送量が減ってきたから、そこで、日本船輸送量の割合を上げるために今度この利子補給制度をやるのだ、これがその中心だと考えていいわけですか。
  126. 森山欽司

    森山国務大臣 国際競争力のある日本商船隊を維持するということに主たる眼目があるわけであります。そのことが、ひいては長期的に雇用にも絡まり、あるいはまた日本造船業の今日の状況にも寄与する、こういうふうに考えております。
  127. 太田一夫

    ○太田委員 これは局長でよろしいが、国際競争力のある日本商船隊とは、いまの日本商船隊でははるかに及ばぬ線でありますか。
  128. 真島健

    真島政府委員 「はるかに」という表現が適切かどうかは、私もちょっとあれでございますけれども、現在の日本船競争力は、外国船に比べて大分落ちてきておることは確かでございます。
  129. 太田一夫

    ○太田委員 競争力が落ちてきておるというのは、どういうことを指すのですか。具体的に何を指しているのですか。
  130. 真島健

    真島政府委員 具体的には、結局、荷主が船を必要とする場合に、一体幾らの運賃で運ぶかということが取引の重要なポイントになるわけでございますけれども日本船を使用しようといたしますと、外国船よりもどうしても運賃競争で劣ってくる、こういう状況が最近に出てきておる、こういうことでございます。
  131. 太田一夫

    ○太田委員 それは運賃同盟の同士の間でそういうことが起きているのですか。どことの間で起きたのですか、運賃の格差が日本の方が高いというのは。
  132. 真島健

    真島政府委員 定期船海運の場合は、同盟の中で同盟と荷主との話し合いということもございます。さらに同盟と逆にいわゆる盟外船との間での争いにもなります。不定期船の場合は、直接に荷主と船主との話し合いの中でそういう結果が出てまいるものと思っております。
  133. 太田一夫

    ○太田委員 もっと詳しく聞きたいのですが、あなたの方の考えていらっしゃるのは、日本船というのは必ずしも現状において劣ってはいないが、外国用船に少しずつ奪われておるから何となく気に入らぬ、だから、自国の貨物は自国の船で輸送したい、自国貨物自国船主義というものを今後一層発展させるつもりでこういう造船に踏み切ったと考えるべきだと思うが、そうじゃありませんか。
  134. 真島健

    真島政府委員 外航海運の場合、わが国も含めましていわゆるOEC先進諸国の間でそういうような取引と申しますか、荷主との折衝その他具体的な海運活動、営業活動、これは海運事業者の自由な活動、つまり自国船であるから自国貨というようなことでなくて、どこの国でも、どこの国に行っても、自由に取引をして運ぶ、いわゆる海運自由の原則というものの中で現在もわが国は動いておるわけでございます。  わが国には、経済協力開発機構、いわゆるOECDに加盟する際に、海運取引について政府が自国貨物自国船主義というような主義を採用しないという約束をいたしましてOECDに入っておるという経緯もございまして、政府が民間の当事者間の取引に干渉して積み取り比率を自国貨について高めよう、そういうようなことは今後もしない考え方であります。
  135. 太田一夫

    ○太田委員 海洋自由の原則、自国貨物自国船主義を主張するのじゃないということならば、なぜ日本商船隊があれだから日本商船隊を拡大せなければならぬという思想が出てくるのですか。よその船が幾らでもあって、わが国の貨物はそのよその外国船によってでもいま十分需要供給の関係はバランスをとれる状態にあるのに、わが中古船を解撤いたしましてスクラップにして、それでさらに新鋭船をつくるというのは、それは海洋自由の原則というのじゃなくて、若干自国船主義というのが表面に出てきておるじゃありませんか。そうじゃないのですか。
  136. 真島健

    真島政府委員 確かに現在、世界的に船腹過剰でございます。そういう意味で、海運自由と申しますか、取引自由ということで、安い外国船がたくさんあるので、それを使えば日本船などなくてもいい、こういう考え方に立てば、私どもの今度のような政策は出てまいらないわけでございます。私どもは、日本船をこれからどしどし増強しようというようなことは考えておりませんで、海造審報告にもございますように、現在ある程度日本船をとにかく維持していく必要があるのじゃないだろうか。それは経済的な安全保障の観点あるいは船員の雇用対策観点あるいは安全公害的な面からの便宜置籍船に対する国際的な世論の方向、さらには全体としてのわが国海運国際収支の観点、そういうような観点を総合いたしまして、今後の日本商船隊の中の日本船比率というものを、少なくとも現在以上に悪くしない、これが海運政策の基本的な考え方ではないか、こういうことでございます。
  137. 太田一夫

    ○太田委員 現在よりも悪くしなければいいのですか。現在よりも悪くしないなどと言ったら、この趣旨と大分離れておるじゃないですか。現在よりも悪くならなければよろしいなんて、そんななまぬるいものじゃないでしょう。それは積み取り比率で言うなら、輸出が日本の船によるものが二一%、輸入が四四%と下がって、戦前から考えてみたらば、何とも情けないありさまになっておることはみんな知っておる。現在よりも悪くしないなんて、あなた、そんな消極的なものですか。
  138. 真島健

    真島政府委員 現在よりも悪くしないという意味は、海造審報告を読んでいただくとわかると思いますけれども、当面、五十五年ぐらいまでを見通し対策と申しますか、考え方でございます。その後、六十年というような時点を見通した場合には、日本商船隊全体の規模も、これは世界貿易量の見通しということと関連いたしますので、数字的にはっきり予想をすることはむずかしいわけでございますけれども、ある程度の増勢が当然考えられる。その場合に、日本船比率といったようなものをこれから高めていくという方向で、いまほうっておけばどんどん落ち込んでいく、これをとにかく歯どめをかけるというのが今回の三カ年計画でございまして、その後、世界貿易情勢その他を見ながら、当然、必要とあれば増強に転じていくということも考えなければならないとは思っております。
  139. 太田一夫

    ○太田委員 いまのこういう現状は、日本外国船の大きな大きなマーケットになってしまったのだ、悲憤やる方ないというものがどこからか出てきて、そこで日本商船隊がんばれということになるが、商船会社は余りもうかっておらないから力を入れておらない。要領よくそろばんを合わせなければなりませんから、外国用船に逃げ込みますよ。だから、計画利子補給船三百万トン、解撤四百万トンなんですよ。これはあなたの方の出された数字を差し引きずると百万トン減るわけだ。それは新しい船ができたと言えばそれだけのことでありますけれども、大体日本の荷物を外国船によって余りかき回されたくないというのはだれでも思っておることであるし、なぜ日本の船会社がいまのようなていたらくになったかということを考えてみるならば、よほどの助成措置を講じませんと立ち直らない。積み取り比率のことを先ほどちょっと申し上げましたからそれに触れませんが、わが国の船による荷物の輸送というのはどんどん落ち込んでおるわけですね。五十一年度、五十二年度とも自国船の輸出は二一%、輸入の方は五十一年度瀞四七%が五十二年度四四%と下がってしまった。情けないじゃありませんか。それは何だと言えば、荷主から考えてみてわが国の船に積む方がそろばんに合わないのです。なぜ合わないのか、それは船会社の経理が悪いからということに帰すると思うのです。自己資本の比率も少な過ぎる。借金でもうけようなんてことを考えておるのは不動産屋ぐらいでいいのだ。船会社までそんなことを考えさせておる政府の方がどうかしておると思う。  自己資本の比率が非常に低いということについて局長はどうお考えですか。
  140. 真島健

    真島政府委員 確かに、海運会社の自己資本比率は非常に低い、わが国の産業の中でも低い方かと思います。これは昭和二十八年以来、利子補給制度あるいは計画造船制度というような開銀融資、これに頼ると申しますか、これを一番のてことして日本商船隊がここまで増強されてきたということが、やはり一つの大きな原因かと思いますが、御承知のように、海運企業は非常に運賃、市況に敏感に反応をしてもうかり、あるいは非常な不況に陥るという状況がございまして、なかなか内部蓄積というものがむずかしかった。そういう点で、海造審の小委員会報告でも内部留保のやり方と申しますか、企業体力の涵養ということについても、税制面その他を含めて今後検討する必要がある、こういうことで私どもも、当然そういう問題についてもこれから検討をしていきたいと思っておりますが、現状は不況というようなことで、これは多少の税制上の手直しをいたしましても、利益が出ないという形の中ではその恩典が受けられないというようなこともありまして、とりあえずは、日本船の増強のために利子補給ということでここ二、三年を乗り切ってまいりたい、このような考え方で今回の御審議をお願いしておるわけでございます。
  141. 太田一夫

    ○太田委員 大臣、私は、もう一回大臣の所見を聞きたいのですが、二、三年これで乗り切ろうというのですが、二、三年乗り切れないと思われて仕方がない。それは荷主が余り日本船を喜んでいませんよ、お気づきかどうか知りませんが。これで二、三年乗り切れますか、いまのいい方向に向かって。大臣、あなたの信念はどうですか。
  142. 森山欽司

    森山国務大臣 日本船を使いたがらないという理由は、日本船が高くつくということだと思います。運航コストが高くつく。運航コストというのは、一つは船価であり、一つ船員費ですね。そして船価が高くつくということは、それだけ能率的な船がだんだん少なくなっていくということであろうと思うのです。どこの国でも、と申しますか海運国と言われる国では、できるだけ安くつくような船をつくるように奨励して、船価の何%を補助するというやり方もありますし、わが国のように利子補給というやり方でやるやり方もある。まあ二%ぐらいの限度で考えますれば、二〇%を超えるような補助もできたかもしれませんが、わが国の金利体系で一番低くしても二・五ということでありますから、補助率は一〇何%というようなことになっておると思います。しかしそれは、能率的な船を安くつくっていく、少しでも安くつくっていくという、船価を低からしめるという努力をするということであります。そしてそれはできるだけ人数も少なくて運営できるように、船員費の高さをカバーできるようにということで合理化を考えた船を、今回の利子補給の対象としてやっていこう、こういうことでありまして、方向としてはそれはそういう方向で当面やっていく。何もしないでそのままほうっておいたら船価は高くつく、船員費は高くつく、そして船員費の問題でいろいろ労使間の交渉をやれば、これはもうなかなか片づきませんから、そういうことを議論してる間に外国用船をした方が安くつきますから、それはもうむずかしい問題は避けて外国用船がだんだんふえてきたというのが、わが国の実情であろうと私は思いますから、そういう事態に対処して、能率的な船をつくって、そしてそれを少しでも安くつくってというために今度の法律ができたものだと私は思います。  それで大丈夫か、いつまでもつかという話ではございますけれどもわが国のように海外から貿易物資を運び、また送り出すということをやっていかなければ立たない国においては、外航海運というのはそういうところに一番大事な眼目があるわけでございますし、そういう際に、やはりわが国においては、国際競争力のある商船隊を維持するということを中心にして考えていくべきである。こういう外航海運について、自分の国で日本船を、たとえばわが国において日本船をつくらなければならぬという法律をつくることは、これは許されませんが、しかし、国際競争力ある船を持っておれば、そういう法律がなくても日本の船を使って外航海運の主力を運営していくことができるわけでありますから、そういう方向に持っていかなければならぬということでありまして、自国船主義と言うと、それはわが国においては日本の船を使わなければいかぬ、そういうことは今日の国際的な約束で許されてない。しかし、日本の船を使った方が有利だから日本の船を使うということは一向差し支えないわけでありますから、そういう有利な状況をつくり出すように、今回の法律も船価低下という観点から考えている、あるいはその合理化によって船員費の低減ということも考えているというふうに考えております。そういうことにしてわが国商船隊を維持しなければ、これは船員の職場というのは大局的にどんどん減っていくということになるわけでありますから、長期的にはわが国船員の雇用対策というものにつながっていくというふうにわれわれは考えておるわけでありますし、また、今日の造船不況という観点から見ましても、そういう船をつくっていくということが、今日の時勢にかなっておるというふうに、これはまあ副次的かもしれませんけれどこも……。  今回の立法の中心というのは、あくまでも国際競争力ある日本商船隊の維持ということであります。法律でもって、能率が悪くても高くても日本船を使えなんという、そういうようなことは許されないのでありまして、それは経済法則に従って自由にやっていくというのが今日のたてまえであります。しかし、そういう自由競争の中において日本船を使った方が有利であるという情勢をつくるための政策をわれわれは推進していきたい、そういうふうに考えております。
  143. 太田一夫

    ○太田委員 荷主というものは賢いものでしてね、大臣。単にイデオロギーでは荷物は来ないですよ。だから五〇、五〇になるように、せめてわが国の輸出入貨物の半分はわが国の船で運ぶことができるほどの信用と実力といいますか、サービスと申しますか、よさをわが国商船隊は持つべきですね。イデオロギーでやるというなら楽な話だが、そうはいかぬ。だから、なぜソ連船がわが国の貿易界をかき回そうとしておるのですか。だから、いまあなたのおっしゃったことは、それでよろしいですよ、自由貿易ですからね、それはいいでしょう、そのことは別に反対しません。反対しないけれども、自然にそうなるように持っていくというために、よほどいま政府の政策も商船会社の経営方針も変わってこなければいけないと思いますね。  そのためには、先ほど申し上げたように、いまの商船会社の持っておるところの営業方針というのは、どうも自国船主義ではない用船主義になっておることは間違いないわけなんだ、それで私はそう申し上げるわけです。  この際、通産省にお尋ねをいたしますが、あなたの方は、どういう考えで日本の海外貿易を見ていらっしゃるか。わが国の船が高ければ外国の船に行っても、荷物が動いても仕方がないというのか、これは成り行き任せでございますか、その辺のところをちょっとお聞かせいただきたい。
  144. 松田岩夫

    ○松田説明員 私どもといたしましても、日本の国は、申し上げるまでもなく貿易立国で成り立っておるわけでございまして、貿易の健全な発展はまさに日本海運の健全な発展がなければ全うできないと思っております。先ほど来運輸大臣の方から御答弁がありましたように、そうは申しましても、先生御案内のように、今日のわが国のたとえば輸出面を見ますと、大変な円高の中で多くの零細中小企業、輸出業者の方では輸出ができないというような状況にまで立ち至っておるわけでございまして、したがいまして、荷主側といたしましても、必然的にできるだけいいサービス、いい値段のところに運輸を求めるというのもやむを得ない点でございます。したがいまして、私どもとしては、当然、日本海運の健全な発達を祈っておるわけでございますが、まさにそういったことがなりますように、日本海運が本当にいいサービスをいい値段でしていただけるように希望しておるというところでございます。
  145. 太田一夫

    ○太田委員 通産省のいまのお答えというのは、一つの平均点的なお答えだと思いますが、大体日本の品物を輸出輸入する人たちは、何も日の丸の旗で運んでもらわないと品物が悪くなったりどうとかなったりすると思っておりませんね。やはりそろばんでございます。それで、日本船というものを押しつけることなんか決して喜んでおらないと思うんですね。それは一つは、いままでの円高というものが左右しておったと思う。  で、どうですか、いまのような為替レートに相なってきまして、将来の見通しから、円が安くなったというその見通しから言えば、通産省の方では日本の船に相当程度戻ってくると見通されますか。荷主の気持ちをどういうように見ていらっしゃいますか。
  146. 松田岩夫

    ○松田説明員 大変むずかしい御質問で、正直申しまして、先行きの円高そのもの、あるいは円安になるのか円の先行きも、実は私ども、非常に見通しに苦慮しておる状況でございます。いずれの方向に向かいましても、国際的な競争関係と申しますのは、円高円安だけの要因でございませんで、先生御案内のように、発展途上国の方からも大変な、輸出面で申しますれば追い上げがございます。したがいまして、いずれにしても、私どもといたしましては、できるだけ先ほど来申し上げておりますように健全な、いい海運業になっていただければ自然に日本の荷主さん——御案内のように日本の荷主さんと日本海運界は、現在まことにいい関係にあると私、思っております。そういう意味で、十分条件は整っておるわけでございますから、海運界の方でりっぱなサービスをしていただけるような体制になれば、当然、日本の荷主は日本海運にもっともっと依存したいと思っておるものと思っております。
  147. 太田一夫

    ○太田委員 大蔵省にちょっとお尋ねいたしますが、わが国の貿易上の収支が、国際収支が大幅な黒字になっており、黒字を減らせと強大国やその他の国々から言われて四苦八苦しておるわけですね。そこで、そのもし黒字減らしのためならば、自国船、自国船と言うのは、いささか方角が反対じゃありませんか。いま運輸省が考えております自国船拡大強化策というのは、利子補給までして、そして強大な優秀な商船隊をつくって、わが国の輸出入の荷物をさらに多くわが国の船で運ぼうという政策は、少なくとも国際収支の黒字に悩んでおる——悩まされておるわけですね、わが国は。その悩まされておるわが国として、当面ちょっと矛盾した政策ではないか、その辺をどうお考えになりますか。
  148. 小粥正巳

    ○小粥説明員 お答え申し上げます。  今回の利子補給措置につきましては、先ほど来お話がございましたように、直接的には国際収支問題が目的ではございませんで、貿易物資の安定的な輸送を担う日本船の船腹量を維持する、そのための国際競争力の強化ということでございますし、あわせて深刻な不況に悩んでおります造船業への需要喚起ということが目的であろうかと私ども考えております。したがいまして、こういう目的に対しましては、今回の措置はまことに必要適切な効果的なものであろう、こんなふうに考えておるわけでございます。この措置の結果、日本船の船腹量が増大いたしまして、外国船への依存度が減ることになりますと、これは先生御指摘のように、国際収支の一部門でございます海運収支につきましては赤字改善する要因になることはそのとおりでございます。ただ、これは今回の措置によってつくられました船が就航してからの話でございますから、いわば中期的な効果でございます。  一方、これも先生御指摘のように、ただいまのところわが国経常収支の大幅黒字という現象が積もっておりまして、これが海外からいろいろと注文をつけられている現状でございます。ただ、現在の国際経済環境を考えますと、このような大幅な経常収支の黒字でいつまでも対応しているというわけには当然まいりません。一方、国内の状況を見ますと、幸い政策努力も実ってまいりまして、最近では御案内のように、国内景気が着実に回復をしてきております。したがいまして、最近の経常収支、特に貿易収支につきましては、黒字幅がかなりはっきりと減少傾向にございます。すなわち輸出の伸びが鈍り、輸入がかなり急ピッチでふえてきております。  今後の状況を考えますと、最近でこそ若干の円安現象がございますけれども、ここ数年来の円レートの上昇効果も含めましてこれまでのような大幅な経常収支、特に貿易収支の黒字が蓄積をしていく、そういう状況は次第に解消されていくのではないか、こんなふうに私ども考えておるわけでございます。  貿易外収支の重要な部門でございます海運収支につきましては、海運造船合理化審議会の御議論などでは、将来は海運収支につきましてやはりバランスをすることが必要ではないか、こういう御意見もあるようでございますけれども、私ども、将来の日本の国際収支を考えてまいりますと、わが国は、やはり対外援助、経済協力あるいは長期的な資本投資、これは相応にいたしていかなければなりませんので、これを賄いますためには経常収支では、国際的にある程度許容される規模の経常収支の黒字は多分必要であろう、その辺を考えますと、経常収支の一部門でございます海運収支につきましては、海運造船合理化審議会の御意見までまいりませずとも、この赤字が今後さらにふえていくということではなくて、海運収支の赤字をある程度の規模にとどめることがむしろ望ましいのではないか。  そんなことを長期的に考えてみますと、先生の御指摘もございますけれども、今回の措置は別の政策目的のためには必要でございますし、今後、中長期的に日本の国際収支の状況はこれまでとはかなり変わってまいる、そんなことでこの政策は受け入れられるべきもの、こう考えている次第でございます。
  149. 太田一夫

    ○太田委員 この海運の大手六社の最近の株価の動きを見てまいりますると、二カ月ほどの間にかなり変化が出てまいりまして強くなってまいりましたね。特に山下汽船それからジャパンライン等の不定期船関係が強くなってまいりましたのですが、これはどういうことに原因しておると御判断ですか。だれでもいいから答えてください。
  150. 真島健

    真島政府委員 中核六社の経営状況が、株価の動きと関連してどういうふうに見られるかということだと思いますが、私ども実は、具体的にはどうしてそういうふうに強くなっておるのかあれでございますけれども、やはり最近非常に局地的と申しますか、ある特定の航路なり荷動きなりがミニブーム的に動く状況が世界各所で見られるようでございまして、そういう航路なり荷動きに関連の深い営業活動をしておる船社が、ほかの船社に比べてやや強気になる、そういうような形が出てきておるのではないか、このように想像いたしますが、具体的に何が山下新日本をある程度強くしておるかということについては、確実には情報を得ておりません。
  151. 太田一夫

    ○太田委員 造船利子補給ですから、余りいいイメージはないけれども、新時代海運政策としては私はやはり評価してよろしいと思うのです。ただ、ここでは条件がついておりますから、条件がついておるというのは、高能率船ならいいということだろうと思いますが、定期船を主力としたところの大手には余り大きな変化がないですね。そこに独特のものがあるでしょう。大阪商船、三井船舶、日本郵船だとかはそう大きく変わっておりませんよ。川崎汽船も主力が定期船でしょう。主力が定期船のところは変わらなくて、ジャパンラインとか山下新日本汽船とか昭和海運とか、そういう不定期船を中心としたところが強くなったというのは何かという一つ考え方があると思う。  これは私、不思議に思っておるのですが、解明してくださる方はいませんか、なぜそうなったのか。不定期船の方がいいというのは、何か不定期船に妙味があるということだと思いますが、非常に問題のある赤字会社などに至っても必ずしもそんなに悪くない。そう利益を上げていないところでも株価が上がっております。ジャパンラインなどは余りもうかっておらないけれども、株価としては二カ月前よりは二十五円上がっている。これは私、やはり何か原因があると思うが、そのことがおわかりなら知らしてもらいたい。まじめにやっておる定期航路を持っておるところは上がらない。このことをわが国海運政策のトップである皆さんの方から聞いておきたいと思ったが、時間がありません。きょうはこれで終わりますけれども、少なくともつくるべくしてつくられ、強大になるべくして強大になっていくように指導されることを私は望んでやまないわけです。  時間が参りましたので私の質問を終わりますが、いまの質問意見に何か御見解がありましたら聞かしてください。
  152. 森山欽司

    森山国務大臣 日本船外国船のコスト比較をいたしますと、船員費が日本外国船より非常に高いのです。コスト外国船より非常に高いという一番の根源は船員費が高いということであります。ですから船価の方は、補助をしなくても補助をしたヨーロッパの船価と比べてほぼ横並びというのが現状なんです。それで船価に対して利子補給をするということは、金利負担をうんと減らすということでありまして、その金利負担をうんと減らした分を船員費の高い分で埋め合わせて、そして船員の方も、たとえば日本定期船が乗組員二十四人でやっているものを十八名、予備員率が七三%いっているのを五〇%というような線が出れば、要するに利子補給によるところの金利負担の低下ということといまのようなことを合わせるとようやく国際競争力が出てくる、こういうことでありまして、いま日本の場合は格別な利子補給をしなくてもヨーロッパの利子補給をしたのとほぼ横並びの船価なんです。高いのは船員費なんですから、その高い船員費を穴埋めするために、一つは金利を下げてということであります。それが今回の利子補給です。もう一つは、いままで定期船で二十四人乗り組んでいたものを十八人にする、予備員率七三%のものを五〇%程度にするというような形で船員費を下げるように努力をすれば、国際競争力は出てくるということなんです。だから、船価を低減するということでありますが、運航コストというのは大きなものでありますから、運航コストの中の船価というもの、それは皆利子がつくわけでございますから、その利子負担というものを今回下げることによって総合的な船価の低減を図り、一方において高い船員費の穴埋めをしてもなお足りない分は、ひとついまのように乗組員の数を減らすとか予備員率を下げるとか、そういうことで国際競争力を増しましょうということでやっているわけでございます。  こういう数字を私ども見ますと、今日の日本海運対策として、国際競争力のなくなっている今日の船員費というもの、あるいは船員の賃金というもの、あるいは予備員率の異常な高さというもの、そういうものを今度の利子補給で穴埋めするということによって国際競争力をつけよう、そういうことでございますから、先ほど来何か会社の自己資本が足りないとかなんとかおっしゃいますけれども外国船との対比調査に関する限り、これは大分御認識が違うのではないかと私は思っております。  私どもに資料がございますから、一度御検討願いたいと思うのです。やはり本当の事実を見て、ひとつ国際競争力を持つようなことでみんなで努力しなければ、これはとてもやれませんですよ。国もこうやって金利を下げる、そして先ほど来何回も申しますように、こういう措置を講じなくても、日本船の船価は向こうで補助金をもらったヨーロッパの船価と大体似たようなものなんですから、これは。だけれども利子補給をして船価を下げて、利子負担を少なくして、その分でいままでの異常に高い船員費を一方において穴埋めすると同時に、この船員費の構成も、人数を減らすとか、あるいは予備員率を低下させるとか、そういう努力をすることによって国際競争力ができるわけでありまして、そういう努力をしなければ、日本の商船塚というものは、これは壊滅に瀕するのでございますから、黙って見ているわけにいかぬから、国としてはこういう施策を講じておるというのが率直な内輪の話でございますから、どうかひとつ、ここに資料がございますから、後ほど差し上げますから、ぜひ御検討願いたい。
  153. 太田一夫

    ○太田委員 終わりますけれども大臣、それはそれでわかりますよ。そのとおりで、そういう議論の立て方はわかりますが、ただ、日本の船会社というのは、いま大手六社を見ましても、自己資本の比率というのは、日本郵船が一二・八でありますけれども、あとは皆、最低ジャパンラインの五・九に至るまで全く資本は借入金依存ですね。今度の場合のように、それは安い金利には間違いはない、借金として見りゃね。これは市中銀行だろうが、開発銀行だろうが、金利は安い。金利は安いが、果たしてその金利でどれだけのメリットがあるのか。私は、やはり自己資本というものの充実をもうちょっと求めていかれなければ堅実な海運は育たぬと思うのです。  大臣、この自己資本の比率が低いという点については、ちょっと時間がオーバーして悪いですが、もう一遍一言答えてください。
  154. 森山欽司

    森山国務大臣 自己資本を充実することが好ましいことは、何も海運企業に限ったことはない。どんな仕事だって、借金経営だけでやっているよりは、自己資本を充実してやっていった方がいいことには、もう間違いはございません。  それから、いま海運会社が景気いい、何か株が上がっているということ、私、株に興味ありませんから存じませんけれども、しかしながら、いま大手の船会社がみんな外国用船で、もうとにかくこういう高い船員費とまともにぶつかるのはいやだ、そこで、とにかく外国用船外国船員を使って、それで問題を避けて通っておるわけですが、それは収益が上がるのでございますよ、しかし、それでは困るのではないか、やはり日本船でやってもらいたい、そういう考え方のもとに、国際競争力がある日本商船隊の維持というのが、この法律案の基本的な考え方でございますから、こちらに資料が十分ございますから、役所の連中は遠慮して申しませんが、どうかひとつ、この辺の実相をごらんいただきまして御理解をぜひお願いいたしたい、こう思う次第でございます。
  155. 太田一夫

    ○太田委員 これは議論しておったら始まらぬことですけれども、私は、いまの不定期船あるいは専用船会社の株の高いのは、大臣、これは思惑買いだと思うんですよ。スエズの戦争再発を考えておるのじゃないか。いまのエジプトとサウジあたりの争い、これがいかに相なるかという問題がありましょう。ですから私は、簡単に船会社というものが見直されてきたというのは、中東に戦争でも勃発してスエズが再封鎖されたらなんというようなつまらぬ、とんでもない危険な思想が入っておるような気がしてしようがない。これは私ども、平和政策をもって海運立国とする日本国の国会においては、単に戦争待望論というようなものを喜ぶわけにいかぬわけですから、まあ大臣の御意見はよくわかりますが、ひとついい資料がありましたら資料を見せていただきまして、納得のいくようにその資料で御説明いただくことを希望しておきます。ありがとうございました。
  156. 森山欽司

    森山国務大臣 急なことで十分御答弁できませんで、まことに恐縮でございました。
  157. 箕輪登

    箕輪委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  158. 箕輪登

    箕輪委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  159. 箕輪登

    箕輪委員長 起立多数。よって、本案は、原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  160. 箕輪登

    箕輪委員長 この際、本案に対し、関谷勝嗣君外四名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党及び新自由クラブの五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されおります。  提出者から趣旨の説明を求めます。関谷勝嗣君
  161. 関谷勝嗣

    関谷委員 ただいま議題となりました本案に対し、附帯決議を付すべしとの動議につきまして、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党及び新自由クラブの五党を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。  附帯決議の案文は、お手元に配付してありますので、その朗読を省略させていただきます。  御承知のように、わが国外航海運は、多年にわたり、わが国貿易物資の低廉かつ安定的な輸送に寄与し、日本の経済社会の発展に重要な役割りを果たしてきたのでありますが、最近に至り、日本船運航コストの増大により、その国際競争力が急速に失われ、外国用船への依存度を年々高め、それにつれて日本船員の職域は次第に狭まり、その結果、過大な予備船員を抱える状態に立ち至っております。  また一方、発展途上国及び東欧圏海運の進出等による国際環境の変化により、国際海運秩序が不安定な状態に置かれております。  かかる情勢にかんがみまして、政府は次の事項につき適切な措置を講ずべきであるということでのります。  その一は、わが国外航海運企業がその経営体質改善強化し、国際競争にたえ得るよう当事者自身が自主的努力を行うことはもとよりのこと、政府は適切な助成、指導を行うべきであるということであります。また、伝統的に優秀な日本船員の雇用の拡大に努め、政府は、貿易物資安定輸送にきわめて重要な意義を有する日本船中核とする商船隊の整備を行うよう諸般の措置を講ずべきであるということであります。  その二は、わが国海運の健全な振興を図るため、定期船同盟行動憲章条約の批准の促進及び東欧圏海運に対する適切な措置等、国際海運秩序の維持に必要な諸施策を積極的に推進すべきであるということであります。  その三は、今後の新船建造に当たっては、大手造船業に偏することなく、中小造船業の需要の確保に十分配慮を行うべきであるということであります。  これが本附帯決議案の内容であります。  何とぞ御賛成を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)     —————————————     外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   我が国外航海運の重要性にかんがみ、政府は次の事項につき、適切な措置を講ずべきである。  一 我が国海運企業国際競争力の強化を図るとともに日本船員の雇用の拡大に努め、日本船中核とする商船隊の整備を行うこと。  二 国際海運秩序の維持に必要な諸施策を積極的に推進すること。  三 今後の新船建造に当たっては、中小造船業の需要の確保を十分配慮すること。   右決議する。     —————————————
  162. 箕輪登

    箕輪委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  本動議について、別に御発言もありませんので、直ちに採決いたします。  関谷勝嗣君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  163. 箕輪登

    箕輪委員長 起立多数。よって、本案に対し、附帯決議を付することに決しました。     —————————————
  164. 箕輪登

    箕輪委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     (「異議なし」と呼ぶ者あり)
  165. 箕輪登

    箕輪委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  166. 箕輪登

    箕輪委員長 この際、森山運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。森山運輸大臣
  167. 森山欽司

    森山国務大臣 外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして慎重御審議の結果御可決をいただき、まことにありがとうございました。  なお、ただいま御決議のありました各事項につきましては、政府といたしましても御趣旨に沿って十分配慮してまいりたいと存じます。      ————◇—————
  168. 箕輪登

    箕輪委員長 次に、船員の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。   趣旨の説明を聴取いたします。森山運輸大臣
  169. 森山欽司

    森山国務大臣 ただいま議題となりました船員の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案提案理由につきまして御説明申し上げます。  船員の雇用の促進に関する特別措置法は、海上企業をめぐる経済事情及び国際環境の変化等により離職を余儀なくされる船員の数が増大していること等の状況にかんがみ、船員の雇用の促進に関して必要な措置を講ずることにより、船員の職業及び生活の安定を図るため、昭和五十二年十二月に制定されたものであります。  現在、この法律の附則第二項の規定に基づいて、事業規模の縮小等に伴い相当数の離職者が発生している近海海運業、内航海運業、はしけ運送業、船舶製造修理業の四業種に係る離職船員の再就職を促進するため、昭和五十五年一月一日までに離職する者に対し、就職促進給付金を支給する特別措置を講じております。  しかし、これら近海海運業等は、石油危機後の世界的な輸送需要の停滞、日本船国際競争力の低下等の事情に加え、国内産業の一部の業種の構造的な不況の影響も受け、今後も引き続き事業規模の縮小等がなされ、これに伴って離職船員が相当数発生すると予想される状況にあります。したがいまして、この就職促進給付金の支給に関する特別措置の対象となる者の離職日に関する期限を特定不況産業安定臨時措置法等の他の不況対策立法の期限に合わせ昭和五十八年六月三十日まで延長する必要があります。  以上がこの法律案提案する理由であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
  170. 箕輪登

    箕輪委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、来たる二十七日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十一分散会      ————◇—————