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1979-02-15 第87回国会 衆議院 運輸委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年二月十五日(木曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 箕輪  登君    理事 佐藤 守良君 理事 関谷 勝嗣君    理事 堀内 光雄君 理事 三塚  博君    理事 佐野  進君 理事 渡辺 芳男君    理事 西中  清君 理事 山本悌二郎君       石井  一君    北川 石松君       田澤 吉郎君    西村 英一君       古屋  亨君    増岡 博之君       太田 一夫君    久保 三郎君       斉藤 正男君    坂本 恭一君       田畑政一郎君    有島 重武君       草野  威君    薮仲 義彦君       小林 政子君    中馬 弘毅君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 森山 欽司君  出席政府委員         経済企画庁総合         計画局長    喜多村治雄君         運輸大臣官房長 中村 四郎君         運輸大臣官房審         議官      杉浦 喬也君         運輸大臣官房観         光部長     山元伊佐久君         運輸省海運局長 真島  健君         運輸省船舶局長 謝敷 宗登君         運輸省船員局長 向井  清君         運輸省港湾局長 鮫島 泰佑君         運輸省鉄道監督         局長      山上 孝史君         運輸省自動車局         長       梶原  清君         運輸省航空局長 松本  操君         海上保安庁長官 高橋 壽夫君  委員外出席者         国税庁調査査察         部調査課長   五味 雄治君         日本国有鉄道総         裁       高木 文雄君         日本国有鉄道常         務理事     山口 茂夫君         日本国有鉄道常         務理事     高橋 浩二君         日本国有鉄道常         務理事     馬渡 一眞君         日本国有鉄道常         務理事     橘高 弘昌君         日本国有鉄道常         務理事     吉武 秀夫君         日本国有鉄道常         務理事     加賀山朝雄君         運輸委員会調査         室長      榎本 善臣君     ───────────── 委員の異動 二月十四日  辞任         補欠選任   坂本 恭一君     石橋 政嗣君   中馬 弘毅君     永原  稔君 同日  辞任         補欠選任   石橋 政嗣君     坂本 恭一君   永原  稔君     中馬 弘毅君     ───────────── 二月十四日  自動車検査登録代理士立法化反対に関する請  願(平石磨作太郎君紹介)(第一〇一二号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  国際観光振興会法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一三号)  陸運海運航空及び日本国有鉄道経営に関  する件等運輸行政基本施策)      ────◇─────
  2. 箕輪登

    箕輪委員長 これより会議を開きます。  陸運海運航空及び日本国有鉄道経営に関する件等について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三塚博君。
  3. 三塚博

    三塚委員 先般行われました大臣所信表明について若干のお尋ねをしておきたいと思います。 私は、主として国鉄再建問題についてお伺いを申し上げたいと思います。  すでに御案内のように、国鉄の今日の現況がきわめて厳しい状況にありますことは御案内のとおりでございます。しかしながら省エネルギー、これからの公共輸送、こういうものを考えてみますと、さらにエネルギー事情等々の中で国鉄が果たしていかなければならない役割りというものは、依然としてきわめて強いものであると思います。そういう意味で、陸上交通の大宗を占めるのが国有鉄道である、そう言わなければなりませんし、特に三十年たちますと油がなくなるというような話などもされておる今日からいたしますと、長期のビジョンに立って、この財政再建中心として国鉄のあるべき姿をつくり上げていかなければならぬというのが、国民多くの方の合意でもあろうかというふうに思います。  すでに御案内のように、昭和五十二年十二月二十九日の閣議了解事項たる「日本国有鉄道再建基本方針」、この中におきまして、所信表明にもありましたとおり、五十四年度中に所要対策を確立したい、五十五年度以降健全経営を目指す、こういうことに相なっておるわけでございます。 これを受けられての表明ではございますが、運輸大臣として、今日の国鉄現況、さらに今後この国鉄を、「基本方針」にのっとられるわけではございますが、どんな見通しと抱負を持たれて臨まれようといたしておりますのか、お伺いをいたします。
  4. 森山欽司

    森山国務大臣 一昨年の暮れの「国鉄再建基本方針」は、この委員会におきましての、一昨年の十月二十八日の「国鉄再建基本方向」というものの上に立って策定された閣議了解であろうと思っております。ですから基本的な方向は、おおむね各党の合意の上にこれでやろうじゃないかということになったわけでございまして、それによりますれば、昭和五十年代中に収支相償うような方向に持っていくという目標で昭和五十五年度から本格的に実現していこう、五十三年、五十四年中にその基本的な方向を決めていくのだということになっております。いままでも国鉄再建にはいろいろな計画があったようでありますが、何回かそのまま計画倒れに終わってしまったという結果もございますから、今回こそはそういうことのないようにいたしたい。五十五年の予算から五十年代に収支相償うようなことでやっていかなければならぬということになりますれば、どうしても六月ごろまでには基本的な方向を決めて、そして五十五年度の予算のいろいろな作業にそれを反映さしていかなければならぬということでございますから、私どもは、本年の六月ごろまでにあの「基本方針」に基づいて再建方向を明確にしてまいりたい、そういう心づもりで臨んでおる次第であります。
  5. 三塚博

    三塚委員 今日の国鉄財政状況を見てみますと、御案内のように、五十二年度で八千三百三十九億円の赤字、五十三年度でまだ決算が出ておりませんが、約九千億円になろうとしております。その内訳を見てみますと、貨物部門が約六〇%の赤字を占めておるわけでございます。さらに地方ローカル線における赤字昭和五十二年度で見ますと、二千三百六十四億円、こんな感じに相なっておるのであります。赤字主要部分を占める国鉄貨物、この問題は当局も鋭意努力をされておるようでありますが、なかなか地域との意見調整などに時間をとりまして遅々としておるようでございますが、貨物の六〇%というのは、旅客輸送中心としております国鉄の実態から申し上げますとバランスがいかにも悪い。何としても国鉄貨物赤字解消ということを前面に押し出していかなければならぬ状態にあろうというふうに思うのであります。  特に十二月一日の道交法改正に伴いまして、過積みの問題が法的規制を受けるように相なりました。この結果、非常に流通という問題に大きな影を投げかけておるようでもあります。こういう過積み対策というものは、道交法上また交通安全、こういう点からいってやらざるを得ないことでありますから、この点はいろいろな御意見もあるわけでありますが、軽々にこれをすぐに朝令暮改というような形ではいかぬだろう、こう思います。 御案内のとおり、トラック適正積載からは普通一・五、大体二倍、ひどいのになりますと三倍積んで走るわけでございまして、これが適正積載ということになります結果、言うなれば二倍のトラック輸送が必要になってくる、こういうことになるわけでございまして、これは道路建設等々、また交通安全等の観点から物を考えてみましても、なかなか一朝にこれが解決できる問題ではありません。  幸いに国鉄貨物部門を主要な機関として今日まで果たしてきておるわけでございますから、こういう時期に貨物部門というものが大いに活用されてしかるべきでありますし、そういう点で、この辺が進められていくことも大事なことだというふうに思っております。  そういう意味で申し上げるのでありますが、五十年十月に実施をされましたダイヤ改正、その効果がどのようにあらわれておりますか。また第二点といたしまして、今後この赤字解消対策として五十五年十月にはもう一度改正していきたいというようなことも承っておるのでありますが、そういうことの見通し等について、これは総裁からひとつお聞かせをいただきたい、こう思うのであります。
  6. 高木文雄

    高木説明員 第一の道路交通法改正によりまして、私ども貨物輸送がどういう状況になっておるかということでございますが、確かに十二月から私ども扱い貨物量がふえておることは事実でございます。その前の八月ごろからだんだん景気が上向いてまいりましたことと関連いたしまして、輸送量が毎月毎月減るというような状態から脱しておったわけでございますが、十一月、十二月から少しお客さんがふえてきておるという状態でございます。しかし、もともと私ども貨物輸送が全貨物輸送の中で受け持つフィールドは一一%ぐらいでございまして、トラック輸送に比べれば現状においては扱い量は少ないわけでございます。そのわれわれよりも扱い量の多いトラックの方が逼迫をしてきたというのに比べますと、それほどびっくりするほど私どもの荷物がふえておるわけではないわけでございまして、まあ十一月なり十二月なりの大体の状況は、多いところでも五%から一〇%ぐらいの程度でございまして、そう著しくふえているということではないわけでございます。  今後これがどういうふうに推移いたしますかわかりませんが、私どもといたしましては、ある意味においてお客様がふえるということは大変ありがたいことでございますので、いろいろむずかしい点もございますけれども、御注文に応じて車両を回しましたり、いろいろなことを工夫いたしまして、何とかこれを利用していただくきっかけにしたいというふうに考えておるわけでございます。いまのところ、ごく一部にこちらの方が間に合わなかったということもないわけではございませんが、何とか需要に応じてやってまいっております。  それから、貨物合理化全体計画は、御存じのように、五十五年の十月までにいたすつもりでございます。輸送やり方を変えるとか、あるいは取り扱い駅を変えるとか、ヤードを組み直すとかいうことを内容とするものでございまして、大体その全体計画の半分近くは、先般の五十三年十月の改正でやらしていただきましたが、まだ半分残っておるわけでございまして、しかも、その残っておりますのは、いろいろな意味でどちらかというとむずかしい方が残っておるわけでございます。しかし、これを何とか打開して解決していかなければ、御指摘のように、貨物赤字を減らすことはできないと思っております。  確かに過積み規制等によりまして、いささか傾向は変わってまいりましたけれども、やはり基本的に四十五年、四十六年に比べまして、六割強ぐらいに取り扱い量が減っておりますのに比べまして輸送力は五%ぐらいしか落ちてなかったわけでございますので、最近の傾向をよく見ながらやらなければいけませんけれども、大体既定方針通り貨物合理化計画は五十五年までに完成すべく取り組んでまいりたいと思っております。
  7. 三塚博

    三塚委員 将来に向けて合理化というものは果敢に進められなければならぬ、こういうふうに思いますし、今後の一層の努力を期待申し上げるものであります。  次に、国鉄赤字の原因である地方交通線、この問題につきましても、いろいろ議論がなされてまいりました。道路建設は進む、AB線C線はつくってほしい、地域要望政治がどこで接点をつくっていくか、こういう問題などもあるわけでございます。しかしながら、乗らない汽車をつくっても、これは国家的に大変な損失に相なるわけでございまして、また、すでにその使命を達したであろうというローカル線のありますことも、これまた事実であります。  一々ここでその線を申し上げませんけれども、やはり将来に向けて総合交通、こういう感じの中で思い切ったことがなされなければならぬことは、これはどなたも賛成であります。しかし、おれの方の線を外すということになると反対各論におきますといろいろと意見が出るわけでございますが、やはり政治は、総論で賛成各論反対という時期は過ぎたわけでございまして、原理原則が決まりましたならば、思い切ってこれをやり抜いていくということが、きわめて大事なこれからの問題であろう、こう思います。  そういう意味で、本年一月二十四日には運輸政策審議会国鉄地方交通線問題小委員会答申が出されております。私も、これを読ましていただいたわけでございますが、この答申を踏まえまして運輸省は具体的にどのようにこれから措置し、進めようといたしておりますのか、その辺のところをお聞かせいただきたいと思います。
  8. 山上孝史

    山上政府委員 ただいま御指摘国鉄地方交通線問題、これはお話のとおり「国鉄再建基本方針」の中でもうたわれております構造的欠損の代表的なものでございます。これにつきましては、ただいまもお話にありましたとおり、昭和五十一年の秋以降、運輸政策審議会国鉄地方交通線問題小委員会を設けまして、いろいろ御検討を煩わしておったわけでありますが、去る一月二十四日に同小委員会から「国鉄ローカル線問題について」という最終報告が出されたわけでございます。  この報告書は、冒頭申し上げましたように、閣議了解による「国鉄再建基本方針」に基づきまして、効率性が低く、国鉄自立経営上の負担となっております地方交通線について、地域における公共輸送サービス確保に配慮しながら、地元の協力を得て、その経営合理化のための適切な措置を講ずることをその内容としております。したがいまして、運輸省といたしましては、その報告の趣旨に沿いまして目下所要措置につきまして検討しているところでございます。
  9. 三塚博

    三塚委員 アウトラインだけのお話で、それを詰めていく時間がございませんから、またその都度、当委員会審議を通じまして進めさしていただくことにいたしますが、どうぞ鉄道の果たす役割り、先ほど前段で申し上げましたとおり、決して今後軽くなるということはないだろう、そういう意味で、余り功を焦りますといかぬわけですから、その具体的構想が定まりましたら、必ずそれは実現をしていくのだ、こういうことでやられてほしいというふうに思うのであります。  そこで、次にお伺いを申し上げますが、この所信表明の中で具体的な国鉄再建施策として大臣は「退職者の後補充を極力抑制するよう徹底した経営改善を行うために国鉄当局を指導しておる」というふうに述べられております。これはやめられていく人の補充はしない、こういうことかなともとれるわけですが、具体的にはどういうことなのか、この辺ひとつお聞かせをいただきたいと思いますし、また総裁からも、これを受けられて国鉄当局としてどのように対応しようとしておるのか、お伺いさしていただきます。
  10. 高木文雄

    高木説明員 これまでも、どうやって少しでも少ない職員で同じだけの仕事をしていくかということについては努力を重ねてまいったわけでございます。たとえば、かつて大変お騒がせしました乗務員の削減というようなことをいろいろやっておるわけでございますけれども、そのやり方はどちらかといいますと仕事やり方をいろいろと切りかえる、たとえば、人力でやっていたものを機械に置きかえるとか、その例としては切符を売る場合の自動販売機の設置というようなことを通じてやってきたわけでございますけれども、どうもそれだけでは再建めどを立てるに足るだけの思い切った措置がなかなかできかねるわけでございまして、いま御指摘になりましたようなちょうど退職者が非常に多い時期でございますので、その後補充を抑制するという方式を通じて何とかできないものかということを模索いたしておるわけでございます。  ただ鉄道の場合には、製造業と違いまして生産を落とせば直ちにそれだけ人が減らせるということではございませんし、いまの国鉄のシステムは率直に申しまして余りにも分業が進んでおりますので、どこかのセクションで人が欠けると全体が動かなくなってしまうというようなことがありまして、後補充を全く認めないというわけにもいかないわけでございまして、なかなかその辺は困難でございますが、いままで余りそういう考え方での取り組みが進んでおりませんので、運輸省の御指導も得まして、そういう考え方をいままでよりは一歩進めましてやっていきたい。ちょうどこの十年間に退職する諸君が大体二十万人という大変大きな数でございます。いわゆる出血をしないで能率化を図るということは非常に都合のいいことでございますので、この機会にそういう方向で取り組んでまいりたい。ただ、具体的に何年にはどういうふうにとか年割りを決めるとかあるいはもう少し具体的な内容を決めるとかいうことについて、いまきわめて精力的に内部のそれぞれの担当部門において研究をいたしておるところでございまして、再建基本方針についての概案をつくりますときまでには何とかその見当をつけていかなければならぬというふうに考えております。
  11. 三塚博

    三塚委員 余り時間がありませんから、通告を申し上げておきました国鉄運賃法改正においていろいろ審議をされてまいりました公共負担の問題、あるいは国鉄関連事業現況、また国鉄労働組合、最近全逓があのようなことで逆に国鉄が大変よくやっておるじゃないかという意見もあるようでありますが、こういう労働問題につきましてもお伺いしたいと思っておりましたし、退職金共済年金、これも大変重大な問題化しつつあるわけでありますが、これは後の機会にさしていただきまして、特に新幹線建設の問題に絡み、東北新幹線盛岡-東京間、暫定的に上野と、こういうことで決めたわけでございますが、五十五年度開業を目指してただいま一生懸命やられておるわけでございますが、総裁は、年頭の記者会見その他における会談等において、大宮以南の問題に触れられ、なかなかその見通しが困難であるというような向きのことも言われ、そのことが東北各県の地方市におきまして、大宮以南はとてもいかぬというようなふうにとられ、大宮始発ということもあり得るという意味のようなことにとられまして、非常に問題を投げかけておるわけでございます。  かねがね御論議をいただいておりますとおり、この計画は五十五年度開業という大前提に向けて、当委員会もまた政府国鉄当局もやられてきたわけでございますが、この点についての総裁決意をひとつ改めてお伺いいたしたいと思います。
  12. 高木文雄

    高木説明員 私どもといたしましては、あくまで五十五年度開業ということを目指して取り組んでおります。やはりいま御指摘のように、最大の難関は大宮以南の用地問題でございます。まあ一時に比べますれば大分いろいろお話し合いもできる状態になってきておりますけれども、これに反対される住民の方々の数からいいましても、また、その反対熱意度といいますかそういう面におきましても、まだなかなか見通しが立っておらないわけでございまして、私どもといたしましては、不特定多数の方々とのお話し合いというのは非常に困難でございますので、やはり関係県なりあるいは関係市町村なりを通じてのお話し合い中心に進めているところでございます。漸次関係県、市町村のお考えも私どもにとってはありがたい方向に向いておるわけでございますが、やはりそれぞれの御事情からまだなかなか踏み切れないということでございまして、私どもといたしましては、何とかこの夏ぐらいまでにめどがつきませんと工期的に間に合わなくなりますものですから、いろいろとお願いをしているところでございまして、正直に言って非常に苦慮いたしておりますが、しかし、気持ちといたしましては、何とか解決いたすべく取り組んでおるわけでございまして、決して途中からスタートする、大宮駅からスタートするということで断念するといいますかそういうことではございませんので、ちょうどいま担当の者は一生懸命それと取り組んでおるという現状でございます。
  13. 三塚博

    三塚委員 これはそのとおりお進めをいただきたいわけで、大宮で終わっちゃうというのでありますと乗りかえなくちゃいけないわけですね、そうしますと、新幹線の持つ機能というものは、これはもう半減をされてしまう話に相なります。やはり東北新幹線が、本当は東京駅乗り入れということでスタートをいたしたことは御案内のとおりで、いろいろな事情から、これを五十五年度開業を目指すという意味からやむを得ず上野地下駅をつくりまして、これにコネクションをする、こういうことに相なっておるわけでございまして、どうぞ全力を尽くしていただきたいと思いますし、東海道新幹線の際も大変その竣工が危ぶまれたのでありますが、最後の一年であのとおりみごとに開通した経過もございますので、そういう点で強く要望をさせていただきます。  最後に、高橋常務理事も来ておられるわけですが、東北新幹線の工程、現在これがどのように相なっておりますか、それをひとつお知らせいただきます。
  14. 高橋壽夫

    高橋説明員 五十二年度までに予算措置として六四%ほどの予算をいただいております。六四%といいますとほぼ三分の二がこの五十三年度末ででき上がる予定になっております。五十四年度の予算についても、ただいま十分手当てをしていただける予定になっておりますので、用地買収その他にいま全力を挙げておりますが、私の方は、必ず五十五年度いっぱいに完成できるという見通しで、ただいま鋭意努力をいたしております。
  15. 三塚博

    三塚委員 終わります。
  16. 箕輪登

  17. 堀内光雄

    堀内委員 私は、大臣の二月十三日の所信表明に対しまして若干の質疑をさせていただきます。  森山大臣所信表明を拝聴いたしまして、大臣の、運輸行政の中で国民生活に非常に密着をしている面あるいは国民の足とも言うべき面の公共輸送に最も重点を置いて施策を進めていかれるという基本姿勢を承りまして、まことに心強く感じた次第でございます。また、将来展望といたしまして、特に運輸関係施設長期的整備につきましても、国民生活の充実と経済発展の基盤となる運輸関係施設整備を、各種の制約はあるけれども、その中で前向きに推進をされていかれるという御決意がうかがわれまして、これまた心強く感じたような次第でございます。  そこで、大臣のこの所信表明に関しまして、新幹線の問題について一、二お伺いをいたしたいと存じます。  大臣所信表明の中では、東北新幹線また上越新幹線建設推進というものにつきましては、はっきりとうたわれているわけでございます。また、整備新幹線につきましても、五十四年度に本格的な環境影響評価を実施するということを初めといたしまして、工事着工に向けての前向きの御決意がうかがわれるわけでございます。非常に結構なことでございまして、この点につきましても、ぜひ積極的にお取り組みをいただきたいということをお願い申し上げるわけでございますが、ただ、中央新幹線の問題につきましては、一言半句も触れていないわけでございます。  中央新幹線につきましては、申し上げるまでもなく大臣はもうよく御存じのことでございますし、釈迦に説法のようなことになりかねませんが、沿線の地域開発の問題に資することは言うまでもございませんが、それだけではなくて、一方では、十年後には必ずやってくる東海道新幹線輸送需要の面におけるネックあるいは安全輸送確保という面からの問題点、この両方からの輸送力の限界が十年先にはやってくるだろうということになっているわけでございます。その内容については時間がないのでこれは別にいたしまして、新幹線の総合調査委員会報告書を見ますと、それがはっきりうたわれているわけでございます。この東海道新幹線輸送面、安全面からの限界というものを考えますときには、もうすぐにでも中央新幹線というものに取り組まなければならない時期になっているというふうに私は考えるわけでございます。  昨年の六月に当委員会におきまして、当時の福永運輸大臣に対しまして質疑をいたしました際にも、福永大臣から必要性について非常に御理解ある御返事をいただき、また、今後の方針として非常に前向きに取り組んでいかれるという御答弁をちょうだいをいたしたわけでございます。恐らく森山運輸大臣も御理解のある方向で対処していただける御決意を持っていらっしゃると思うわけでございますが、所信表明で全く触れられてなかったという点、これは恐らく整備新幹線やその他に対する配慮をされてのことだろうというふうに思うわけでございますが、この点、中央新幹線の関係者の方は、全く触れられていないということで御当局の方は大分後退をしたのではないかというような要らざる心配もするわけでございます。そういう意味で、森山大臣中央新幹線に対するお考えや御方針、こういうものはもちろん従来どおりであろうと思いますし、それ以上の前向きのものだろうというふうに思いますが、基本姿勢につきまして大臣の所信をちょっとお伺いいたしたいと思うわけでございます。
  18. 森山欽司

    森山国務大臣 中央新幹線につきましては、国土開発という見地から、また、ただいまお話がありました東海道新幹線のキャパシティーとの関係から今後十分配慮していかなければならぬ問題だと思っておりますし、そういうことで現在調査中であります。この調査現況につきましては、鉄監局長の方から御報告いたさせます。
  19. 山上孝史

    山上政府委員 中央新幹線につきましては、先生も御承知のとおり、四十八年の十一月に基本計画として決定されております。現在、四十九年七月以来、運輸大臣が指示をいたしまして、調査長期間を要する甲府市付近、名古屋市付近間の山岳部に関しまして毎年二億円ずつ調査費を計上して、国鉄において調査を行っているところでございます。  御承知のとおり、昨年十月にそれまでの調査成果を一応集約いたしまして、国鉄から中間報告運輸大臣にたいしまして行われております。しかし、工費なり工期等の算定には、さらに詳細な調査検討が必要でございますので、五十四年度におきましては、弾性波の探査なりボーリング等によりまして、山岳部の地質調査の深度化を図りたいということで二億円の予算を計上しておるところでございます。
  20. 堀内光雄

    堀内委員 森山大臣から、従来どおり非常に重要性についての認識をお持ちになっていらっしゃるという御答弁をちょうだいいたしましたし、今後においても前向きにお取り組みいただけるというふうに解釈いたしまして非常にありがたいと思いますが、ただいまの五十四年度の調査についての鉄監局長お話、これはいままでよりも山岳地帯、地域は同じ地域の中でもさらに精度の高い検討調査を行っていくというふうなお話でございました。実は昨年の六月の質疑の際に、やはり福永大臣の御答弁の中で、山岳調査に引き続いて次は全線調査ということになるのかもしれないが、それだけではなくて、まず大都市にどう入るかというような問題点が非常に長期間の調査を要するようなことであるので、こういう面に突っ込んだ調査が必要だから、このあたりから手がけたらどうだろうかというような御答弁もあったわけでございます。一方、整備新幹線につきましては、ことしの一月二十三日に環境アセスメントについての運輸大臣の指令が流されて出たわけでございます。  そういう意味で、中央新幹線につきましても、この地域を限定したいまの山岳地域の精査ということだけではなく、もう一歩突っ込んだ、非常に時間のかかる大都市に入るにはどうしたらいいかというような、そういう調査のような問題にも取り組めることはできないものかどうか、そういう点についてのお考えを承りたいと思います。
  21. 山上孝史

    山上政府委員 中央新幹線につきましての調査は、ただいまもお答え申し上げましたとおり、中央山岳部について五十四年度もその深度化を図りたいということでございますが、この中央山岳部につきましても、なお技術的に少なくとも一両年はかかるというように聞いております。したがいまして、それが完了した時点におきまして、今後その調査の対象をどうするかということについて検討いたしたいと思います。
  22. 堀内光雄

    堀内委員 この中央新幹線が、最初も申し上げましたように、沿線の地域の開発という問題に資する点、これはもちろんでございますが、同時に、東海道新幹線の代替線としての役割りという点でも、まことに重要性を持っているわけでございますので、決して整備五線と問題を張り合うのではなくて、中央新幹線というまた別の違った意味での重要性というものをひとつさらに御認識いただいて、運輸省当局の格別の御配意をお願いしたいということを特に御要望申し上げておく次第でございます。  続きまして、リニアモーターのことにつきましてお考えを承りたいと思うわけであります。これは昨年の六月のこの委員会におきまして、やはりリニアモーターカーの開発について質問をいたしたわけでございますが、これにつきましても、当時の大臣から新技術の開発という問題について非常に意欲的なお答えをちょうだいいたしたわけでございます。これまた森山大臣は、科学技術庁の長官も歴任なさっていらっしゃるわけでございまして、こういう問題について非常な御理解と知識をお持ちになっていらっしゃるわけでございますが、五十四年度の予算案にも、このリニアモーターについての前向きのお取り組み方向というものがうかがわれまして、非常に心強く感じておるわけでございますし、新大臣におなりになられました現在におきましても、国家的な事業というような意味合いで、さらに今後におきましても、積極的に推進をしていただけるのではないかというふうに私ども理解をいたしておりますが、この方針についての大臣のお考えはお変わりないかどうか、そういうこともちょっとお伺いをいたしたいと存じます。
  23. 森山欽司

    森山国務大臣 リニアモーターカーは国鉄で目下試験中でありますし、また、やや似たような型式のものを日本航空でやっているわけであります。いずれも昭和五十四年度の予算では六億円程度の予算をつけて、さらに研究開発を進めるということであります。  まあ、将来の方向づけをするものであろうと思いますから、今後ともこの研究開発には力こぶを入れていかなければならぬ、そのように考えております。
  24. 堀内光雄

    堀内委員 このリニアモーターの開発関係の予算を拝見しますと、国の予算として六億円をつけていただき、五十四年度の総額で三十六億円を国鉄として計上しているわけでございます。そういう意味で、今年度の三十六億円の予算についての実験の方向、特に国庫補助の六億円が新しくついたということは非常に画期的なことだと思いますので、そういう問題も含めまして、どういうぐあいにこれにお取り組みになっていかれるか、国鉄の方のお考えを承りたいと思います。
  25. 高橋壽夫

    高橋説明員 ただいま宮崎の実験線で、昨年来約三百キロの安定走行速度ということで試験を繰り返しておりますが、一応私の方の目的といたしましては、もう少し高い速度領域においてどういう安定性が得られるか、あるいは曲線部分を高速で走った場合にどういう影響が出るかというようなことを、さらに突っ込んだ実験をいたしたいというふうに考えておりますので、ただいまのところ実験線の長さが四・七キロしかございませんが、引き続いて五十四年度において七キロまでこの走行路を延ばしたいというふうに考えております。七キロに延ばしますと、その中に曲線部分も含まれますし、長くなることによりましてもう少し三百キロ以上の高速領域の試験ができるのじゃないかというふうに考えて、それを引き続き実はやってまいりたいと考えております。  なお今回、国から助成がいただける予定になっております六億のお金につきましては、従来やっております実験からもう一歩進めまして、ただいままでやっておりますのは、先生御承知のように逆T型という型式でやっておりますけれども、これをもう少し実際のお客様を輸送するに都合のいいかっこうの、いわゆる私どもはU型と申しておりますけれども、そういう型式のものにこれを改造いたしまして、そして助成をいただく予定になっておりますお金を投じまして、もう一歩進んだ実験を宮崎でやってまいりたいというふうに考えております。
  26. 堀内光雄

    堀内委員 国鉄のリニアモーターにつきましても、あらゆる階層に非常に関心を持たれております。PRが非常によかった面もあると思うのですが、国民は非常に明るい話題として、この結果に対しても関心を持っているわけでございます。それだけに、ひとつこの実験線における実験を一日も早く完了していただいて、次の段階に移っていただきたいというのがわれわれの希望でございますが、この実験線における一応の目標の五百キロのテスト、そういうものの完成というのは、今度の七キロメートルの延長といういまのお話の実験で可能なものか、同時に、そういう速度における実験はこの宮崎で完了できるものなのかどうか、そういうことをちょっとお伺いしたいと思います。
  27. 高橋壽夫

    高橋説明員 ただいまお答え申しましたように、七キロの延長で高速で走らせますと、一応瞬間的には五百キロの速度が出るのではないかというふうに私の方は予測をいたしておりますが、安定的な走行をさせるためにはもう少し長い実験線で、五百キロでたとえば数十秒あるいは一分ぐらいの距離を走らせて、そこで繰り返し繰り返しの安定走行というものを確認しなければならないわけでございますが、ただいまの宮崎実験線では、瞬間的に五百キロが出し得るということでございます。しかし、私の方の将来の目標は、必ずしも五百キロということを目標にしておるわけではございませんで、三百キロ以上の速度においてどういう安定走行のものがどういうエネルギーが要るのか、あるいはどういう影響が出るのかというようなことを繰り返し試験してまいりたいと思っておりますので、とりあえず宮崎で瞬間的には五百キロ近い速度が出ることを目標に置いて進めておる次第でございます。
  28. 堀内光雄

    堀内委員 このリニアモーターにつきまして、国家的な意味でも、将来の技術輸出というような問題も含めて、私は、非常に重要性を持つものだというふうに思います。こういう科学技術の面においても御理解のある森山大臣におかれましては、ひとつこのリニアモーターに対して積極的なお取り組みをいただきまして、日本の技術を世界に示す大変いい機会になるのではないかと思いますので、御理解と積極的なお取り組みをいただくことをこれまたお願い申し上げまして、時間でございますから終了いたします。ありがとうございました。
  29. 箕輪登

    箕輪委員長 久保三郎君。
  30. 久保三郎

    ○久保(三)委員 十三日の運輸大臣所信表明に対して若干の御質問を申し上げるわけですが、後ほど同僚の佐野議員からもお尋ねがありますので、ダブらないようにお尋ねしたいと思うのです。  その前に、経済企画庁来ておりますね。──それでは、せっかくおいででありますから、先に経済企画庁に関係することについてお尋ねしておきましょう。その方が御都合がいいだろうと思うのです。  先般の総理の施政方針演説に対するわが党の児玉議員の代表質問の中で、交通問題にも触れているわけであります。それで、児玉議員の交通に関する一つの問題は、総合的な交通体系の早期確立を図るべきである、いかがですかというような意味が一つあるわけです。これに対して総理の答弁は、本来ならこれは総理が答弁したのですから、総理にもう一遍お尋ねしなければならぬのでありますが、まあ総理の答弁の要旨をおつくりになったのは、総合交通体系ならば経済企画庁が担当だろうから、経済企画庁の考えを先に聞いた方がいいと思うのでお答えをいただきたいのですが、これに対して本会議での総理の答弁は「総合交通体系は昭和四十六年の十二月に、臨時総合交通問題閣僚協で基本的な方向はできております。」そこまではそのとおりです。ただ、四十六年十二月にこれができましたが、当時の交通を取り巻く環境というか条件というのは、いまとは大分変わっていると思うのです。言い方をかえれば、いまは四十六年の十二月に比べてずいぶん変わってきていると思うのです。それにもかかわらず、ここで述べられているのは「各交通機関の競争原理を活用いたしまして」云々、こういうことです。競争原理を非常に強調した言い方をしているわけです。当時の言うならば総合交通体系、これにはなるほどそういう意味のことも書いてあります。しかしそれは、もはやわれわれの考え方からすれば、競争の原理を活用するという余地は、いまや実はなくなっているのではないか。むしろ政策的な介入──介入と言うと語弊がありますので、導入というか誘導が必要な時代になってきている。それがこの間の運輸大臣所信表明演説の中でも「公共交通についてやはり重点的に整備していく方針である」というふうに全体的には述べておられるわけでありまして、そうなりますと、これはずいぶん場違いな答弁をさせたものだなという感じがするわけであります。もっとも政府全体としての総合交通体系についての御方針というかそういう構想は、答弁にあった四十六年十二月に決めたもの以外はいまだないと思うのです。ないからそう答弁したのだろうと思うのですが、それでは通用しないのではないかというふうに思うのです。  それからもう一つは、四十六年の「総合交通体系について」の中でも、いま当面する課題は何だろうかというと、やはり「現段階における総合交通体系は、現在の交通部門を改善し、その上に立ってこれからの交通を効率的に、安全かつ便利に運用していくための諸方策を総合化、体系化していくことに重点を置かなければならない。」こう書いてあるわけですね。総合交通体系というものの重点はここにあるということを言っておるわけです。「競争の原理を活用して」なんというのは、この中にはあるけれども、これは物の考えで、先ほど申し上げたように、余り通用しないのではないか。いずれにしましても、どうも本会議での総理に答弁させた要旨は少しく時代おくれだし、総合交通体系について、あるいは総合交通政策について、政府はいつの日に筆硯を改める、改めて書き直すつもりがあるのか、それともこれはもうこれで終わりなのか、こういう方針で全体を貫いていくのかどうか、これをお聞きしたい。  それから、もう一つ疑問に思うのは、昭和五十二年十二月二十九日のいわゆる閣議了解事項として「日本国有鉄道再建基本方針」というものができているわけですが、その中には「総合交通政策の推進」ということで一項目設けて「総合運賃政策の導入、トラック対策の強化など総合交通政策上の具体的な施策を講ずる。」というふうになっているわけです。児玉議員が質問したのは、実際言うとこのことなんです。どういうふうに具体的に考えておりますかということなのです。昭和四十六年十二月のいわゆる「総合交通体系」について聞いているわけではなかったのだと思うのです。  そこで、改めて詰めたお尋ねをすれば、総合交通政策というかそういうものについて総理の答弁が全然間違っている──あなたらは間違っているとはいまさら言えないと思うのですが、しかしながら、いまや四十六年と今日では環境が違う、幾つかの制約条件が大きくなってきているということ、たとえば省エネルギーの問題が新しい課題になってきている。もちろん、日本における交通運輸の部門におけるところのたとえば油の消費、そういうものは比重としては非常に少ないかもしれません。しかしながら、省エネルギーというのは、やはり大きな制約条件になってきていると思うのです。それから最も大事なのは環境の問題、公害ですね、これは当時も述べておりますが、それほど痛切には感じてはいない。それから安全の問題はもちろんでありますが、もう一つは、やはり資源、空間の問題だと思うのです。そういう幾つかの制約条件を改めて交通政策の中では枠組みとしてとらえなければならぬ時代になってきている。その中でどうやっていくか。いわゆる公共交通を中心にして整備していく。それには交通体系にも書いてあるように、現在ある施設についてやはり優先的にこれを活用していくということがとられなければならぬと思うのです。  だから、そういう意味からいって、総合交通体系について経済企画庁というか政府はどういうふうに思っておられるのか。いま私が挙げたたとえば五十二年十二月の閣議了解事項の「国鉄再建基本方針」、なるほど「国鉄再建基本方針」ではあるが、中には総合交通政策について言及している。これとどうも離れた答弁というか考え方ではないのか。ですから、そういうことについての所見をひとつ経済企画庁から先にいただきたいと思うのですが、いかがですか。
  31. 喜多村治雄

    ○喜多村政府委員 総合交通体系につきましては、いま御指摘のように、昭和四十六年十二月、自動車重量税を導入されました際に、政府総合交通考え方を、私どもが取りまとめの役を仰せつかりましてやったということでございますが、当然これは政府部内で、特に運輸省建設省あたりでのお考え方を、調整役として私どもが取りまとめたものでございます。  そこで、総合交通体系におきましてはどういうことが書いてあるかと申しますと「交通問題の考え方として、各交通機関の競争と個々の利用者の自由な選好を反映して交通体系を考えていくことが望ましいのだ」ということをまず原則にいたしております。しかしながら、そこにも述べられておるわけでございますけれども、たとえば大都市のように交通空間の確保のむずかしさ、あるいはいろいろな社会的な要請に基づきます政策的な要請があること、そういったことがありましたり、あるいはいま御指摘の安全性、無公害性を確保する必要性があるというような事柄から、この原則というものを貫いていくということだけではなかなかむずかしいということが書かれてございまして、そういう場合が幾つか交通問題にはありますために、その中にも書かれておりますように「そういう場合には競争原理を活用しつつ、同時に、あらかじめ各交通機関の機能に従っておおよその分担関係をつくっておく」……。     〔委員長退席、三塚委員長代理着席〕 これはそこにもありますけれども、必ずしも固定的なものではございませんで、そういったものを長中期的に考えておいて、「これをガイドポストとして交通事情を調整し、誘導していくことが必要となる」、こういうふうに述べられておるわけでございます。この考え方は、先ほどお話がございましたように、ただ自由な競争にゆだねているだけではございませんで、そういうこれをゆだねるわけにいかない場合には、分担関係もあらかじめ想定して誘導していくのだという考え方で貫いております。  この考え方は、多少総理の御答弁の中で十分に意を尽くしてなかったことは申しわけないことでございますけれども、今日におきましても引き続きこの考え方は尊重されるべきものだと考えております。したがって、この考え方でもって当面はわれわれの考え方といたしたいわけでございますが、確かに先生仰せのとおり、エネルギー問題もございますし、また、土地の制約も一段と強まっております中で、この経済情勢の変化を踏まえて適切な政策を、この枠組みの中で関係各省がおとりくださるということを期待しておるものでございます。したがいまして、私どもは、関係各省の方から特別な御要請もいまございませんし、また、われわれとしても、この原則で貫いていけると思っておりますので、当面はこの考え方でまいりたいと思います。  それから、五十二年の問題をおっしゃいましたが、この国鉄の問題につきましても、総合交通政策の推進の一環として当然取り上げられたものと考えておりまして、私どもは、国鉄ないし運輸省のお考え方がこれに沿っているものと考えておる次第でございます。
  32. 久保三郎

    ○久保(三)委員 企画庁は取りまとめでありますから、いろいろな運輸省とか建設省とかそういうところの意見を取りまとめてきたのであると言うが、そういう取りまとめだけでいいのかという問題だな。いま一番問題になっているのは、総合交通体系なり政策というものを具体的にどういうふうに展開すべきかということ。そういうさなかにあって、四十六年十二月にできたものが、そのままわれわれはいまの現代で適用できるとは考えていない。いまお挙げになった、利用者の選好に任せる、そして競争の原理でやってもらうということだが、交通には公共交通と個別の交通というかそういうものがございまして、それが混合しております。お互いにその中で公私ともに混合しているわけです。その中で、これから限られた条件の中で、枠組みの中でやる場合にどれをやるかと言ったら、運輸大臣の演説のように、公共交通を中心にやるということだろうと思うのです。もちろん個別的な交通を否定するようなことを考えることも行き過ぎではありますけれども、政策としてやはり重点を置くのは、いまは何と言っても公共交通です。  ところが、この公共交通は、軒並みと言っては語弊がありますが、飛行機は別にして、陸上なり海上の交通というのは、みんな経営がうまくいっていない。経営がうまくいっていないということは、言うなら輸送力がダブついて輸送量が減っているということ。それだけに個別輸送交通の方に実は流れていっている。自動車、モータリゼーションの影響というのが大変大きくなってきた。そういうことで、これを修正しないまま選好に任せて市場を形成していくということになりますと、これは野方図なかっこうになりはしないか、みんなが心配している点はそれなんです。そのために言うなら政策をどうやって展開するかというのが、いまの至上命令だというふうに私どもは思っている。  そういう意味で、四十六年十二月のものとは、あえて申し上げますが、これはちょっと条件が違っているのじゃないか。だから、もう一遍これは直して、書き改める必要がある。これもなるほど見ようによっては、この条件もあの条件もみんな入っているかもしれません。しかし、それではもうやっていけない、容易ならぬ事態になっている、改めて総合交通体系なり政策というものをこの際はきちんと整理すべき段階に来ているとわれわれは思っているのです。だから、四十六年の十二月に一遍つくったから、これを金科玉条のごとく言うならひけらかして、これで各省とも何も言ってこないからやっていくのだというふうにとっていいのかどうか、これは大変疑問があると思うのです。  そこで、運輸大臣にお尋ねするのですが、これは四十六年十二月にできたもので、実際お読みになっていないと思うのですが、私どもも、これはずっと古いものですから、一遍読んだきりで実は忘れていたのです。そうしたら本会議で四十六年十二月と出てきたから、あれと思って、ああそんなものがあったなということできょう引っ張り出してきたのです。そういうことなんで、時代は変わってくるし、これからの政策の展開も変わってきているのに、こういうものをいつまでも、古いと言ったら語弊がありますが、ほこりをつけておく必要はもはやない、これはほこりを払って別なものをつくったらどうかというふうに考えるのですが、運輸大臣としてはいかがでしょうか。
  33. 森山欽司

    森山国務大臣 久保先生のお考えは私はよくわかります。事務方から、あなたの質問に対してはこう答えたらどうかという案は、そういう答え方もできないことはないと思うのです。すなわち「総合的な交通政策を推進していく上で基本的な原理は、利用者の選好を反映するという競争原理を活用しつつ、同時に、あらかじめ各交通機関の特性に応じた望ましい分担関係を想定し、これをガイドポストとして調整、誘導していくことの諸施策を実施することであると考える。これにより交通機関の安全性、効率性と利用者の利便を確保し、全体としての整合性と調和のとれた政策を実施してまいる所存であります。」と言えば、一通りの答えにはなると私は思いますが、しかし、あなたのおっしゃるとおり、この昭和四十六年の十二月にできた方針というのは、その後石油ショックが昭和四十八年でしたが、その後のエネルギー問題というものは非常に違うわけです。省エネルギーという観点から根本的にこれを考え直さなければならない時期だと思います。  政府は経済企画庁長官を総合交通担当大臣として指名しており、総合的な交通政策を推進するのだということになっております。私が成田問題の担当大臣なんです。閣僚の辞令をもらうときにもう一枚紙をもらうのですが、経済企画庁長官は総合交通担当大臣というのでまた紙をもらうことになっているのです。そういう意味で申しますと、やはりあなたがモータリゼーションとおっしゃり、また、役所の仕事のなわ張りで申せば、やはり道路というものをどうしていくか、交通関係、運輸省というような名前で世界じゅうにこういう仕事をやる役所があるようでありますが、そういう場合は大体道路が入っているのだそうですが、日本の場合は入っていない、こういうことで、どうもそういう意味での総合性に、実際問題としてはやはりそれぞれ役所のなわ張り問題があって十分な調整が現段階において最も好ましい形でついているかどうかというと、やはりそれは一つの問題だと思います。だけれども、それを経済企画庁長官のところで総合的にやっていくのだということになっておるわけですね。  それで、その基本的な方針が昭和四十六年十二月というのは、その後事情が大いに変わっておるではないか、安全とか環境とか空間利用の効率化とか、それから特にエネルギー問題とか、そういう問題を入れて、これを、一通りの答弁はいままでの方針でも先ほど申しましたようにできますが、やはり時代が変わってきたのであるから、もう少し考えるべきではないかという意味においてはあなたの意見に同感でありまして、せっかく経済企画庁長官がそういうお立場にもあるのでありますから、私は、いままでの方針で一通りの説明はできないことはないが、あなたのおっしゃるように、この時期に合ったような考え方で進んでいかなければならぬということについては、それは同感です。  ですから今度、経済企画庁長官にお会いしたときに、ベテラン久保先生がそういう御質疑をされたということを、よく一回またそういう意味で相談してみたいと思いますし、きょう経済企画庁から出てきた総合計画局長も、こういう答弁を私がしたということをきっと伝えるでしょうから、あなたの御質疑の御趣旨を生かすようにしてまいりたい、そういうように考えます。
  34. 久保三郎

    ○久保(三)委員 大臣から事務的な答弁じゃないお話がありまして、経済企画庁の総合計画局長もお聞きのとおりでありますが、もっともあなたのお立場では、さっきお話があったように、どこの省からも何も言ってこぬからというお話でありまして、まことにつつましやかなお話ではありますが、大体運輸省自身も何も物を言っていかないというのは、これもどうかしているんじゃないかというふうに私は最近思っているわけなんで、そういう答弁を書くときにも合議にもあずからぬという運輸省では、ちょっとお粗末ではないかというふうに私は思っているわけなんです。ひとつせいぜい意見があったら運輸大臣の御意思に従って出していただくことを切望しておきます。  経済企画庁の局長さん、もう一言ありますから、そこでお聞きになっていただいて、その後は必要がなければ御退席をいただいて結構です。  いま森山運輸大臣からお話があったように、道路が入っていない、おかしいじゃないかというお話、私も常々そういうふうに思っているのです。われわれの方としては、道路も入れた陸海空の立場で物事を考えてもらわなければならぬというふうにかねがね思っているわけです。     〔三塚委員長代理退席、委員長着席〕  そこで、この間の大臣所信表明、これは事務方でお書きになったのであろうとは思うのでありますが、先ほどのお話とは大分事違って、運輸関係施設長期的整備について言及されております。この中では、いわゆる鉄道、港湾、空港等の運輸関係の施設の整備は三全総、さらには近くできるであろう新経済社会七カ年計画との整合性を保ちつつ計画的に推進していきたい、こういうふうなお話でありますが、例を別に遠いところから引く必要はないのでありまして、いま審議中の予算をつくるに際して、運輸省は陸上特会という構想を大体出してきた。これは自動車から新税を取って、いま申し上げた特に鉄道あるいはバス、そういうものについて整備をしていこうという構想でありました。これはある見方をすれば、進歩した考え方かもしれませんけれども大臣がおっしゃるように、道路を取り込まぬでやってみたところで、これはどうにもならぬ。  最近では道路は財政的にも問題がありはしないか。というのは、道路の整備についてはなるほど必要な部分もあるだろうと思うのです。特に都市内部におけるところの道路の整備については、なかなかむずかしい問題もありまして、予算をつけても動かぬものもあります。そういうものもありますから、一概に道路の整備はもう完了したとばかりは言えません。しかしながら、膨大ないわゆる特定財源と称する目的税を中心にした特定財源を持って、膨大な計画でやっていくということになると、全体的な財政は窮屈の中でも、特定財源に囲われてその部門だけ一人歩きをどんどんしていくというかっこうになる。これは財政の硬直化の典型的なものになってきつつありますね。  そればかりではなくて、総合交通政策の体系から言っても、道路だけは金がふんだんにある。御承知かもしれませんが、田舎の道路でもガードレールがついているのがあります。そしてガードレールをふく自動車が走っているのです。おわかりですか。ガードレールをふいているのです。ふくというのは、きれいにするんですよ。きれいにすることはないのです、これは白い鉄板ですから。人の通る方ではなくて、車の通る方をふいて歩いている。そうかと思うと、片方を走っている鉄道線路は、犬くぎの頭を持てばすっと抜けてくるような鉄道線路がある。極端な例かもしれませんが、たとえてみればそういうことがある。これは道路がけしからぬという意味じゃないのです。総合交通体系と言っても、言うなら選好に任せるとか競争に任せるとかいうことで果たして解決がつくのかどうかということなんです。  そこで申し上げたいのは、鉄道、港湾、空港の整備をもしやろうとするならば、特定財源をお互いにみんなやめておく、ひもつきの目的税はやめろ、道路も取り込まなければならぬ。道路を取り込んで、総合的ないわゆる総合交通の特別会計とでも言うか、そういうものをつくることが先決ではないのか。道路にも手を出さぬで、陸上特会ということで新しい税金を取って、それで鉄道や過疎バスや都市交通の問題を片づけていこうとしても、これは無理ではないのかということなんです。  そういう意味で、いかがでしょう、運輸大臣、先ほどあなたがおっしゃったことを私が申し上げているわけなんで、道路を取り込むことを先にしなければ問題は片づかぬと私は思いますが、いかがでしょう。
  35. 森山欽司

    森山国務大臣 道路のことを取り入れて交通政策を考えていかなければならぬことは事実でありますが、これは現実には建設省がやっていますから、建設省のやっている仕事、なわ張りをこっちへよこせと言うと、これは大変な騒ぎになります。だから、そういうなわ張り争いみたいなことは、少なくとも現段階においては私はいささかも考えていない。ただ、現段階において総合交通担当大臣ということに経済企画庁長官はなっておるのでありますから、そういう意味では、いままでのそういう仕事は、特に国務大臣の辞令と一緒にそういう辞令も一本もらうわけでありますから、おざなりではなくて、そういう立場で現段階にふさわしいような物の考え方をやってもらう必要があるのではないか。特にエネルギーの節約という面から見れば、私的費用と社会的費用という観点から見たら、エネルギーの節約という観点から見たら、どういうふうに考えていくかということはよくわかるはずなんで、どうもいままでの、昭和四十六年ごろの物の考え方で割り切れるのかどうか、その辺はやはり政府としても考え直していかなければならぬのじゃないかと思います。だから、その意味で、あなたのおっしゃることについて賛意は表するわけでありますが、どうでしょうね、これはこの程度にしておかないとね。まあ、この程度でいいんじゃないですか。これだけあなたに賛成すれば、ひとつそれで……。経済企画庁のお役所の人も聞いているわけですし、まあ、ほっておけないのじゃないですかね。
  36. 久保三郎

    ○久保(三)委員 時間の関係もありますが、経済企画庁の喜多村さんお聞きのとおり、というよりも、あなたは十分御承知なんで、言うなら陸海空、すべての総合交通体系の中からやはり見直しをしていく、そのためには財源についても物を言うという立場にひとつ積極的に、いま運輸大臣はそういう意味で御答弁なさっていると思うので、ぜひそういう方向で話を詰めてもらいたいし、運輸省の幹部もいらっしゃるけれども、だめだだめだと言うのじゃなくて、もう少し物を言うべきときにはやはり言って、積極的に先へ進む工夫をしてもらいたい、こういうふうに思います。  時間がありませんのでそれだけにしますから、経済企画庁の局長さん、ほかに御要求がなければ御退席をして結構であります。  次には、運輸大臣からお話がありました日米航空協定の問題であります。これは当委員会でもこれまでもかなり問題になりました。それから昭和四十年五月の第四十八国会では、本会議の決議として、いわゆる現協定破棄をも辞せずというような強硬な決議をいたしました。そういうものがあったにもかかわらず、御案内のとおり、沖繩返還に伴って御承知のような五年後までには利益の総合的均衡について再検討する、日本とアメリカの間の不平等是正ということで五年の間にひとつやろう、こういう協定ができているわけなんです。ところが、この協定に基づいて改定交渉が進められているようでありますが、さっぱり進まぬ。進まぬどころか、最近はアメリカ大統領カーター氏の航空の自由化政策というか、そういうものがかなり強力に表に出てきて、言うならばIATAの存在さえ無視していこうという気構えもあるわけなんです。  この際申し上げておきたいのは、国内におけるところの地方の国際空港を増設しようという考えを持っておられるようでありますが、その前に日米間の航空協定を平等に、均衡あるものに置きかえるということが先決ではないのか。このままでいくならば、言うなら日米間の航空関係は非常に混乱をしてくると思うのです。  ついては、現航空協定は一応破棄の通告をした上で交渉に入ったらどうだろうかというふうに改めてわれわれは思うわけであります。こういう協定をそのままにしておいてやること自体にやはり問題があるのでありまして、もちろん航空協定を破棄しても一年間はそのままでありますから、そういう猶予期間もあることでありますから、この際はやっぱり日本国の政府の意思として、現協定は不平等であるからわれわれは破棄する、改めて交渉に入りましょうと言うのが筋だろうと思うし、しかも、いままで努力したにもかかわらず、めどがついてないということは、これは五年過ぎておるわけですから、五年過ぎても結論を得ないような覚書というか了解事項というのはおかしいと思うのです。  運輸大臣どうですか、現協定を破棄するという前提に立って交渉を再開するならなさったらどうかというふうに思うのですが、大臣はいかがお考えですか。
  37. 森山欽司

    森山国務大臣 久保さんからそういう御趣旨の御質疑があると思ったのでありますが、豚もおだてりゃ木に登るというようなことで、勢いのいい返事にさっと乗ってくるということを御期待されても困ると思いまして、少し準備して紙に書いて慎重に御答弁申し上げたいと思います。  現行日米航空協定によりますと、日米間の航空権益に不平等があることは事実であり、政府としては、この是正のためにここ数年来努力を重ねている次第であります。  ところで、最近カーター大統領は極端な航空の自由化を柱とする新航空政策を打ち出しております。これは米国の強大な航空企業力を背景とした、いわば強者の論理とも言うべきものであり、かつ従来のわが国の航空政策とは質的に異なる面を含んでいることから、これに対応すべきわが方の考え方についてはなお検討を要する面も残されておると思われます。  したがって、昨年三月以来中断されている日米航空交渉を再開するに当たっては、以上申し述べた点を踏まえ、真の国益を守ることを基本としてそれに当たりたい所存であります。  協定の破棄について御質疑がございましたが、協定の破棄が当方の主張の実現のために最も有効な手段であるというならば考慮すべきであろうと思いますが、いずれにせよ、最も賢明かつ確実な道を選ぶべく今後とも強い態度で最大の努力を払いたいと存じております。  現段階は、この程度の御答弁にさしていただきたい、こういうことであります。
  38. 久保三郎

    ○久保(三)委員 別に運輸大臣おだてるわけじゃないが、せめて森山運輸大臣の時代くらいにはけりをつけたらどうかという期待を持っておるわけです。おだてるわけではありませんよ。  一九七一年六月十七日の沖繩の施政権の日本国への返還後の「日米民間航空運送業務に関する了解覚書」というのがあるのですが、この四項の末尾の方に「その五年の期間の満了の時における利益の総合的均衡によって正当化される追加の運輸権を日本国政府に許与するものを決定するため、その五年の期間の満了前に協議する。」、わが国にいわゆる不平等であるから、その不平等の面は日本国にひとつ与えましょう、その交渉は五年間にやりましょうということなんですよ。その実現が全然ないということはどういうことか。むしろ向こうは、このことはもう忘れちゃって、自分の権益、そういうものだけを前面に出してきているんでしょう。だから、もはや誠意がないものと認めていいと思うのです。もっとも日米間の友好関係を損うというような心配が政府の一部にあるかもしれませんが、友好というのは、やっぱり対等平等の立場が友好の基礎だと思うのです。こんな得手勝手な話は、この際はやめてもらったらいい。  運輸大臣というか政府ができなければ委員長……。これはこの委員会でもすでに二回ほど決議をしているのです。こういう沖繩返還に伴う了解事項がない前からこの委員会では問題になって、二回ほど決議をしているのです。先ほど言ったように、四十年の五月には本会議の決議に運輸委員会から持ち込んでいるわけです。ですからこの際は、沖繩の一九七一年六月の了解覚書に基づいても、これは当然重大な決意を国会がまず第一にすべきじゃないかというふうに思うので、これは後で理事会その他各党にも御相談いただいてやっていただきたいと思うのです。飛行機などばかり売りつけられて、それで黒い霧が巻いてきて、航空協定の万は全然不平等で縮こまっているというのでは、話がどうも小さくなってしまうじゃないですか。これはもう少し徹底的に糾明をしていくべきです。必要があれば、これは国会としても行動をすべきだと私は思うのです。以上、いかがですか、委員長……。
  39. 箕輪登

    箕輪委員長 後刻、理事会で相談をいたします。
  40. 森山欽司

    森山国務大臣 あなたの御質疑に対して、先ほど非常に慎重なお答えをしたわけでありますが、現状に対する認識は余り差がないのじゃないですか。ですから、そういう点で……。私自身ももう少し情勢の推移を慎重に見守りたいと思っているものですからね。  なお、いま沖繩の問題がございましたが、これは航空局長からこの問題どう考えているかということを答えさせます。
  41. 松本操

    ○松本(操)政府委員 沖繩の返還のときに、そういったような了解覚書があったのは先生御指摘のとおりでございまして、それを五年たちました時点において実は私ども協議を始めておるわけでございます。  了解覚書の理解について、ちょっと先生のおっしゃったのと多少違うかもしれませんが、沖繩の権益をそのまま凍結をしたわけでございますので、そのことによっていかなる権益の不均衡が生じたかというふうな点についてのやりとりをしましょうというのが、米側の基本的な考えであったわけでございます。それに対してわが方が、それは区々片々たる議論なんで、そんなことは別にして基本的な問題をしようではないかと、むしろこちらから切り込んでいる状態でございますので、その点について結論を得ていないという点は遺憾でございますが、私どもの方が強い態度で踏み込んでいるという点については、ぜひ御了承いただきたいと思います。
  42. 久保三郎

    ○久保(三)委員 それにしても現行の協定は屈辱的なものがありますし、いわゆる戦後を引き受けたままで来ているのでありますから、これは航空局長も十分考えて、やはりあなたの時代に森山大臣を先頭にして改定をしなければだめです。こんなことじゃ困るのでお願いをしておきます。  時間がありませんから先に行きましょう。  次には、トラックの積載規制というかそういうものについて、十二月の一日から道路交通法改正でやっと過積みの規制ができた。残念ながら運輸省の力では、過積みによる運賃のダンピング、過労運転それから安全確保なんということが全然できない。そこで警察の力で──警察の力でと言うのは語弊があるが、ほかの方の法律で取り締まりが強化されたために、やっとこの過積みがなくなってきた。ところが、過積みがなくなってきたらいろんなところから問題が出てきたと言うのですが、出てくるのがあたりまえなんで、いままでは過積みで運賃のダンピングをやる、あるいは過労運転をやって、それでいわゆる物流を支えてきたのでありますから、これをやめさせるのですから、そっちこっちに当たりがくるのはあたりまえなんです。そのあたりまえなのを、こういうことをやるから中小企業が困るとかあるいはトラック屋も困る、だから、もとどおりにしてくれと言わぬばかりのいろんな陳情や意見が出てくる。国会の中でも出てきているようであります。私は本末転倒もはなはだしいと思う。やっと物流の中で、トラック中心とする物流の輸送秩序というものの窓口がちょっとあいてきた、だから、これを軌道に乗せるというのが、これからの務めだろうと思うのです。ところが、車両制限令を緩和しろの、いわゆる保安基準をひとつ緩和しろのというようなことも出てくるし、トラック協会などは、これは頭がどうかしているんじゃないかというふうに思うような陳情を最近してくる。これはトラック協会そのものがおかしいんじゃないかと思うのです、車の大きさをもっと大きくしてくれなんて言うのだから。大きくして、トレーラーは二つに切れないんだから、一つなんだから、もっと長いままでめんどう見てくれなんという陳情をよこす。そうでなくてもトラックの大きなもの、いわゆる大型のトラックは、死角によって交通の安全上からも問題があると言われている。それをさらに長くしようというのでしょう、そういう陳情をやってくること自体に問題がある。  それから、軸重の、いわゆる受け方のそれもひとつふやしてくれ、こう言う。結局大きな荷物をたくさん無理してやろうということでしょう。幸い、この間の予算委員会での運輸大臣の答弁は、おかしな陳情に対しては拒否されたようでありますが、そのとおりで結構だと思う。建設大臣も同じようです。ところが運輸省は、最近新聞を見ると、新聞だからあるいは全部じゃないかもしれませんが、調査を始めたというんだな。何の調査をいまごろ始めているのかね。私に言わせれば、もともとこれは影響が出ることはあたりまえだ。それに対する対応策を考えることが先なんだ。対応策を考えないで、どういう実態があるのか実態調査を始めた、これもばかばかしい話です。ところが、その実態調査の中でも、これはきのう私が入手したばかりの資料でありますが、直江津港を中心にしたいわゆる木材の輸送、きょうは写真を持ってくるのを忘れましたが、これは十二月に道交法の制限をやってからですが、十二月十三日から十四日にかけて調査したものがあるのです。これはどういうことになっているかというと、やっぱり従来どおり過積みです。過積みのものが大半なんですね。いまだに過積みがある、材木、原木です。いまわれわれが調べているのではセメントがあります。鉄鋼もそのうち調べます。いずれにしても、そういうものがある。しかも、これは原因は何かというと、運賃は車建てなんだな、ところが、いわゆる原木の場合は石建て、それから骨材の方は言うなら容積建て、同じようなものですが、容積建てですね。結局、もともと運賃はダンピングする前提に立って実際は設定されているわけですね。車建て運賃というのは守られないようなかっこうになっているんですよ。だから、過積みを規制すれば、それだけ運賃は下げられる。いわゆるダンピングさせられちゃう。それで今度は大きい運送屋は傭車をする、傭車をするというと、傭車の料金の頭をはねていかなければならぬ。結局問題は、産業資本に従属した輸送産業ということの主従の関係というか、そういうものから全然一歩も出られない形でいまいるわけだ。それを対等の立場に置きかえてやるということが運輸省仕事なんです。特に自動車局の仕事だと私は思うのです。ところが、それについての工夫が全然ない。  国鉄はどうかと言ったら、国鉄は昨年ですか、総裁から物流に対しての意見が関係方面に出された。その中の大きな項目は何かと言ったら、トラックの過積み規制をしてくれというわけだ。ところが、今度はトラックの過積みを規制して荷物が流れたと思ったら、貨車がありませんとかコンテナがないという騒ぎをしているそうです。ダイヤも不適当なものがあるというのに、この次のダイヤ改正まで待ってほしいというような話も出てきておる。そういう対応の仕方で国鉄再建ができるのかどうか。この点については高木総裁からなり担当常務からお聞きしますが、いまや道交法改正輸送秩序が維持されようとかかっているのだが、このままでいけば維持されない。道交法は強行されても、流通の中身が全然改善されないままでは、残念ながら目的は達しられないだろうと思うのです。これは一番いい機会だから、この際対応する対策を確実に持っていくということが必要なんで、それをやらぬでは困るが、これに対してはどう思いますか。  それから、いま申し上げたように荷主産業からも陳情がある。極端なことを言うならば、過積みをいままでどおり多少なり許してほしいということでしょう。トラック協会は、さっき申し上げたような陳情をしている。はっきり言って場違いの注文です。これに対してどういうふうに思いますか、運輸大臣からお願いします。
  43. 森山欽司

    森山国務大臣 昨年の十二月から酔っぱらい運転と並んで過積みの規制を始めたわけであります。十二月、一月、二月とまだ三カ月たっていない、二カ月ちょっとですが、それで早くもいろいろな声があることは事実であります。しかし、このいろいろな問題について適切に対処していかなければならぬことはもとよりでありますが、そうは言いながら、道交法を守るという基本線を曲げるわけにはいきません。ですから、そのことにつきましては、久保先生御指摘のとおり、予算委員会ではっきりした答弁はいたしました。しかし、事態につきまして、特に中小トラック業者の立場というものも考え得る、いわゆる経営基盤を確立するようにわれわれの立場でなし得ることがあるとするならば、これはできるだけのことは考えてやらなければなりませんから、そういう意味で、いま事務当局に何か考える余地はないか、これは道交法の適用をいいかげんにしろと言うのじゃありませんよ、それはきちんとやるが、経営上何かわれわれが役所の立場で助けてやる立場はないだろうかということをいま話しておるということであります。  ちょっと局長の方からいま考えておることを、まだ最終的なものではありませんが、そういう問題について答弁をいたさせます。
  44. 梶原清

    ○梶原政府委員 この過積み規制につきましては、先ほど来御指摘のとおり、昨年の十二月一日から強化されておるわけでございまして、特にトラック業界において自粛効果があらわれておりますが、その反面、いろいろの面において問題が提起されてまいっておるわけでございます。  その一つに、先生御指摘のような車両総重量の引き上げを検討してもらってはどうかという御指摘があるわけでございます。これにつきましては、従来、道路運送法に基づきます運輸省令である道路運送車両の保安基準というのがございまして、車両の安全性を確保する見地から車両総重量二十トン、こういう規制を設けてまいっておるわけでございます。別途、道路の側からも舗装、橋梁等の保全をいたしますために、車両制限令につきましても、同じ車両総重量二十トンということに決められておるわけでございます。この総重量の限度値を引き上げますことは、いろいろな点において、たとえばブレーキ距離の増長とか走行安全性の悪化とか、こういうことを損なう危険性がございますので、これをいま直ちに引き上げるということは非常に困難でございまして、この点につきましては、時間をかけまして検討をせざるを得ない、しなければいけない、こういうことでございます。  いま御指摘のような過積み規制に伴います種々の問題につきましては、荷主側におきましても、トラック業界におきましても、この問題に真剣に取り組んでおるわけでございまして、たとえば荷主側におきましては、酒の輸送は荷姿を変える、いままでのびん詰めのものをアルミパックにするとか、そういう動きもございますし、輸送やり方等につきましても考えていかなければいけません。また、とりわけ輸送の効率化、実車率の向上を図るという意味におきまして、トラック業界全体として輸送の効率を高めていく努力もいたさなければいけないわけでございまして、私ども、そうしたいろいろの情勢を十分把握しながら、過積み防止ということ、それから、かねて問題でございました運賃ダンピングの防止、輸送秩序の確立ということに運輸省としましては全力を傾けていきたい、かように考えておる次第でございます。
  45. 久保三郎

    ○久保(三)委員 局長に申し上げておきますが、いまお話しのようなこと、別に異論はありませんが、言うなら取引の正常化をこの際きちんと整理することが先決だということを、トラック協会にもあなたから注意してください。車を大きくしろなんというのはその次の話です。トラック協会がそんなことを言っている場合じゃない。取引を正常化する努力をもっとしなさいと言ってくださいよ。  それから、国民生活というか物価に大変影響すると言う。物価に影響するというのは、もともとトラックの運転手や零細な企業に圧力をかけて、それで物価の安定をしてきたというのなら、これは筋違いでありますから、そういう殺し文句に驚くことなく、ちゃんときちんと、どこでもうけてどこで損をしているか、この際はっきり解明をすべき時期に来ていると思うので、しっかりやってもらいたいと思うが、国鉄はどうですか、高木総裁……。
  46. 高木文雄

    高木説明員 昨年の十二月に、御指摘のように、いささか御要望に応じ得ないという事態が起こりました。それは一つは、御存じのように、十二月は年間の中でも一番繁忙期でございまして、私どもの方も貨車に本来余裕がない時期でございました関係もございました。しかし、新聞に伝えられるほどにそう私どもへの需要が強くなっておるわけでもないわけでございまして、御注文の貨車のタイプと私どもで余裕を持っております貨車のタイプとがうまく適合しなかったとか地域別にいささか問題があった、御要望地域に貨車がなくてその他の地域の方に貨車がいわば余っておるというような状態がありました。また、微妙にいろいろ輸送の形が変わってまいりましたので、地域地域に応じてフリクションが起こったことは事実でございますが、それに対してはそれなりに相当神経を使って対応してまいったつもりでございます。現在はやや閑散期でございますから、そういう問題が起こっておりませんが、三月の末からまたある種の繁忙期に入るわけでございますので、この時期にうまく対応してまいりたいと考えております。必要があれば臨時に編成を起こしまして臨時の編成で輸送するということも、ごく一部ではございますが、やっておるわけでございまして、この機会こそ貨物の立て直しの機会であるという気持ちは関係職場にはみなぎっておりますので、決して従来のように貨車がございませんからということでそっけなくお断りするというようなことにはなっていないと思っております。  しかし、いずれにしましても、非常に大きな変化でございまして、地域地域によってはまだまだダイヤその他を含めて手直しをする部分もあるかと思います。私自身いろいろな苦情を承っておりますので、その都度それを材料にして対応をとっておるつもりでございます。
  47. 久保三郎

    ○久保(三)委員 時間がもうなくなりましたが、これで最後であります。  昨年の十月十八日に、当委員会では全会一致で地方陸上公共交通維持整備に関する決議というのを可決しております。これは全党というか全会派全部一緒でありまして、しかも政府を代表しての見解表明は「決議に沿って速やかに立法、行財政措置を講ずる」という運輸大臣の答弁がありましたが、森山運輸大臣の先般の所信表明の中にはそのことには直接触れておりません。「地域住民の生活に不可欠な公共輸送機関の維持のための施策推進に努めてきたところでありますが、今後とも、なお一層公共輸送の充実強化を図ってまいる所存であります。」、こういうだけで、簡単にさらっとお述べになっておりますが、地域におけるところの交通というのは非常に深刻なんでありまして、国鉄ローカル線というのは、すでに運政審の小委員会で出しております答申のように、国鉄ローカル線だけを切り離してどうするこうするという問題よりは、地域交通全体をどうするかということで問題を展開していかなければ、地域の住民に密接な交通施設というのは確保できないだろうというのが当委員会の決議の趣旨であります。これはどういうふうに展開するおつもりなのか。これは本会議でも児玉議員の質問に対して、総理は銭の方は何とかやりましたと、こういうだけの話で、制度的なものは何もやっていない。これはいかがなんですか。どういうふうに扱うか。  それからもう一つ、続けてお答えいただきたいのは、国鉄再建問題であります。お述べになったのでは「五十四年度早々に確立しなければなりません。」、本当なんですか、これは。五十三年に大体何をやっていたのだろうかというふうにさえ思うのでありまして、われわれから見れば、「国鉄再建基本方針」というものができて、そこでいろいろ問題を提起しているわけでありますから、これを五十四年度早々じゃなくて五十三年いっぱいにはやれるものと思っていたのですが、何もさっぱりやっていない。運政審のローカル線の言うなら処分の答申が出ただけの話なんです。「構造的欠損」についての云々、この中では公共交通の、いわゆるさっき言ったローカル線云々の話だけ出ていますが、構造的欠損というのはそれ以外にもあるわけなんです。さっぱり詰まっちゃいないですね。  それからもう一つは、運賃の公共割引の問題もある。これは前大臣は、この「基本方針」ができるに際して、閣僚協でやっていきたいと言って二回ほど閣僚協議会をやったのだが、それで終わり。何ら前進がない。こういうものはどうするのか。五十四年度早々にと言うが、すでに五十三年度でけりをつけるものがつけられていない。そういうことについてどういうふうにお考えになるのか。  これは運輸大臣は大体お時間のようだから、担当局長なり審議官からお話をいただいておきましょう。
  48. 森山欽司

    森山国務大臣 これは「国鉄再建基本方針」でそういう問題について一つのめどをつけたということになっておるわけですね。すなわち、五十年代に収支相償う、五十五年からそういうのではっきりやっていく、その問題を五十三年度、五十四年度ではっきりした方針を決めてやる、そういうことの中身として、いわゆる構造的欠損なる問題があって、国鉄だけではどうにもならないような問題についてはっきりしていくということだと思うのですが、それがまだ決まってないじゃないか、ちっとも進んでないじゃないか、一月の幾日かに地方ローカル線についての答申はあったが、その答申をどうするかというようなこともはっきりしないし、えらいおくれているではないか、全く私はあなたと同感なんですよ。要するに国鉄だけではどうにもならないいわゆる構造的欠損なるものを、それは何が構造的欠損で、その構造的欠損は幾らであるかということばかり議論しておって、国鉄経営努力によって、国鉄の労使の血のにじむような努力によって解決しなければならないという本来の問題にちっとも入らない。これは私は大変残念だと思っておるのです。これは早くやらにゃいけません。  ですから私は、ことしの六月ごろまでには国鉄再建めどを決めて、ただいま久保委員からお話がありましたいろんな問題につきまして、当面の考え方をはっきりさして、再建めどを立てたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  49. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 昨年の十月十八日の当委員会の決議のその後の対応策につきましてお答え申し上げます。  この決議にも盛られておりますように、安定的な財源を確保するということが非常に重要な問題であるというふうに私ども認識をいたしまして、すでに御承知のように、五十四年度の予算編成時におきまして、地方交通問題を含む交通の安定的な財源の確保のための特別会計制度につきまして非常なる努力を払ったわけでございます。残念ながら成果が実らなかったわけでございますが、今後引き続き検討を続けてまいりまして、ぜひともそういう方向を実現してまいりたいというふうに考えております。  それから、国鉄ローカル線問題につきましては、先ほど大臣も触れましたように、運政審の答申が出た段階でございますが、問題の詰めばこれからであろうかと思います。  そのほか制度的な問題といたしまして、地方交通問題のいわゆる地方公共団体のかかわり方いかんという問題につきまして、たとえば県知事の地方交通についての総合的な計画権限というようなものを付与したらどうかというような御提案につきまして、いろいろな角度から検討を続けております。ただ、こうした知事の計画権限と現実の道路運送法等の許認可権限との関係がどうあったらいいのかというような問題等も非常にむずかしい対象の問題でございますので、こうした点も引き続き検討を進めまして、何とかこの地方交通問題についての障害になるようなものを速やかに除去いたしまして、りっぱな地方交通対策が可能になるように今後も努力をしてまいるつもりでございます。
  50. 久保三郎

    ○久保(三)委員 時間でありますから以上で終わりますが、海運局長には済みませんでした。いずれ法案が出ますからその際に譲るとして、きょうはこれで終わります。
  51. 箕輪登

    箕輪委員長 この際、暫時休憩いたします。  なお、本会議散会後直ちに再開いたします。     午前十一時五十四分休憩      ────◇─────     午後二時三十一分開議
  52. 箕輪登

    箕輪委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。佐野進君。
  53. 佐野進

    ○佐野(進)委員 私は、過日行われた大臣所信表明に関連した事項について質問をしてみたいと思います。  まず第一に、運輸行政の基本の問題について質問してみたいと思います。  大臣は、就任以来大変張り切って仕事をやっているという評判であります。また、それが評判なのか実際なのかは、これからいろいろ質問してみたいと思うわけでありますが、その張り切っていることが、とかくいい方にもとられるし、悪い方にもとられるわけですが、その点について、要するに大臣は福田内閣の前大臣から大平内閣の大臣にかわったわけですから、その行政に対する姿勢あるいは政治的な姿勢、それぞれ異なることは当然だと思うのでありますが、とかくうわさによりますと、大臣はタカ派の大臣だとか、あるいはまた庁内、いわゆる運輸省内においてはそういう面からするところの独断専行が多いとか、あるいは官僚がついていけなくておたおたしているとか、こういうようなことをいろいろ聞くわけでありまするが、大臣は、大臣就任に当たって、運輸行政に対してどのような基本的な姿勢をもって臨まれようとしておるのか。いままでの運輸行政はたるんでおるし、官僚はやることをやっておらぬから、おれがひとつ行って大掃除をして、精神はつらつたる運輸行政を展開してみるのだ、こういうお考えで来られたのか。いままで運輸行政には余り御経験がなかったというようなことも聞いておるわけでございますが、それらの点を含めての御所見をまず最初に承っておきたいと思います。
  54. 森山欽司

    森山国務大臣 大平内閣成立に際しましては、はからずも運輸大臣を拝命いたしたわけでありますが、いままで余り運輸行政に深入りしたことはありません。また、運輸省の建物にも余り行ったことはないのですから、その意味では、非常に物をよけい、よく知っていることもいいことでありますが、余りとらわれないということもまた半面の長所にもなろうかと思っております。  それで、運輸行政、陸海空にわたっての仕事というのは、いずれも国民生活に関係の深い、あるいは国民経済活動というものに非常に関係の深い大事な仕事でありますから、やはり国民とかあるいは国という立場からのそういうニーズにこたえてやっていくということが一番大事ではないかというふうに考えております。運輸行政というのは、陸海空縦割りの許認可事項を中心にした仕事の成り行きでありますから、ほうっておきますと、何と言っても相手方の業界とのやりとりの奔命に疲れて、それで片がつけばほっとしたという感じに、へたするとそういうこともあり得るわけであります。しかし、いずれの行政といえども、本来国家、国民のためにあるものでありますから、そういう本旨を忘れないでやらないといかぬというふうに私は考えておるわけであります。  そういうことでありましたから、たとえば運輸審議会で長い間いろいろ御苦労をなさって私鉄の運賃をお決めになった、ちょうど私どもの新内閣発足の日にその答申があったわけでございますが、やはり十二月二十日からこれを実施するということを聞けば、私の初仕事であるばかりでなく新内閣の初仕事ですから、値上げというのはないに越したことはないと私は思ったわけです。しかしまた、できるだけ安く交通機関を利用できたらいいことでありますが、交通機関の仕事というのは別に慈善事業でやっているわけではありません、商売でやっておるわけでございますから、やはりそういう意味では採算がとれなければいかぬ、私は、値上げもやむを得ないというふうに、そういう意味では思いますが、それを利用する国民の立場というものも常に考えるということになれば、年末年始は国民の半分以上が動く時期でありますから、そういう時期に、年末年始に値上げを見送るというのも、やはりささやかなる配慮ということになるだろうと私は思っておるわけでありまして、そういうことで、それは役所の人が一生懸命法規典礼に基づいてやっているわけでありますが、政治的にそれに一応そういう配慮を加えてやっていくのは私ども役割りであろう、こういうように考えております。  自来、いろいろなことがたくさんありました。一々ここで申し上げるまでもないと思いますが、そういう心づもりで仕事をしております。
  55. 佐野進

    ○佐野(進)委員 新大臣、大いなる抱負を持って臨まれて国家、国民のために行政を担当せられる、はなはだ結構だと思うのでありますが、とかくそれが勇み足や一時的な人気取りに終わり、大臣の評価を高からしめるために運輸行政なり国民に混乱を起こすことがあってはならない、こう思いますので、それらの点については、大臣、もし所信を持ってそれに臨まれるのならば、その臨まれるということについて十分なる根回しと、決断した上にはそれを断固守り抜く、そういう政治姿勢をもってこれからも臨んでいただきたいと、あなたの所信を聞いた上で、まず最初に、そのことをひとつ要望申し上げて、次の質問に入っていきたいと思います。  第二の質問は、いま大臣が言われたように、所信表明の中にも「国民が真に必要とする良質な輸送サービスを行う」こうおっしゃっておられまするが、端的に一言で申し上げると、その中で、これはずっと書いてあるのですが、それを読めばわかるじゃないか、こうおっしゃるかもしれませんが、あなたが運輸行政の真髄とは何かと言えば、良質の輸送サービスであると言われるならば、それを行わんとする心構えは何なのか、それをひとつ聞いておきたいと思うのです。要するに、この方針の真髄とは何なのか、心構えとして何と判断せられておるか、それを……。
  56. 森山欽司

    森山国務大臣 いろいろ御心配いただいて感謝にたえないわけでありますが、政治家の立場からすれば自分の所信に邁進をするということであって、いろいろ人に言われたり見られたりしますが、気にしないでいくということもどうかと思いますが、余り気にし過ぎてもいけませんで、できれば佐野委員におかれましては、私の真意を十分にひとつ理解をしていただきたい、こういうように思っておるわけであります。  それから、良質なサービスですか、需要にこたえるということは何か、こうおっしゃるのですが、今度の所信表明の中では、公共輸送というものを重んじていかなければならぬ、こういうことを主眼点にお話を申し上げたわけであります。
  57. 佐野進

    ○佐野(進)委員 それでは、禅問答みたいなことばかりやっても仕方ありませんから、具体的な質問に入ります。ただ、私のいま質問した真意は理解して、これからひとつ大いにがんばっていただきたいと思います。  そこで、所信表明には触れておりませんけれども、この際運輸委員会としてはどうしても触れておかなければならぬ問題があると思うのであります。それは、いまいわゆる大問題になっておる航空機の問題であります。運輸省では幾つかの関連する航空会社から、それぞれ飛行機を購入いたしております。したがいまして、それぞれ購入しておる飛行機の問題につきまして、大臣も非常に大きな関心をお持ちになって、それぞれ処置をなさっておられるようであります。私はそこで、その内容の具体的な問題に入る前に、これまた大臣政治姿勢として、このようなことはいかなる判断を持っておやりになり、その結果として大臣はどう御理解になっておられるか、この点をひとつ聞いてみたいと思うのです。  それは一昨日かの新聞で、大臣記者会見をいたしましたが、その際「運輸省が購入したグラマン社の高高度飛行検査用機ガルフストリームⅡを仲介した住友商事が手数料を二重取りした疑惑が持たれている問題に触れ、運輸省がすでに購入した航空機を扱っている三井物産、伊藤忠それぞれの両社長を呼ぶことにしておる。すでに住友商事の植村光雄社長を呼び、どうであったかということを尋ねておる。」、このようなことを大臣記者会見において発表したと報ぜられておるわけです。そして「その結果は会計検査院、防衛庁にも知らせ、今後の政府の商社を通した航空機購入のあり方を検討したい。」、こう言っておるわけであります。  この問題は、重要問題でありまするから、当然大臣が非常に大きな関心をお持ちになり、その関心のもとに所要措置を講ぜられることは必要なことであろうと思うのでありまするが、いまたまたま予算委員会において、大平内閣全体に対して厳しいその問題に対する責任の追及と証人喚問等所要審議が行われたところであります。この際、大平内閣の一閣僚である森山運輸大臣がその措置を講ぜられたということは、政治的責任においても、実際的な行政上の責任においても、きわめて重大なる決意のもとに事に臨まれておるように私ども判断せざるを得ないわけであります。いわゆる予算委員会という場におけるところの処置と違った、しかも防衛庁という、いま行われておる質問の矢面に立っているその立場と軌を一にしたような形の中においてその処置をされておるということは、一定の目的があり、その目的に基づくところの一定の結論が、住友商事の社長をお呼びになった上に出された結果としてのこのような措置をおとりになったのであろうと判断するわけでありますが、その事を行った立場と、それに対するところの結論と、新聞記者会見において発表せられたことの内容を、この公開の委員会である運輸委員会において明らかにしていただきたい。できるだけ簡潔でよろしゅうございますから、ひとつ……。
  58. 森山欽司

    森山国務大臣 航空局の買っております高高度航空検査機ガルフストリームの売買に関して、アメリカのSECの報告によれば住友商事が三十万ドルの金をグラマン社からもらった、そのことは政府が知らないようだ、こういう記事が出ておったわけであります。予算委員会では、これはE2Cとかいう軍用機の方が問題になっておりまして、民間航空機というのですか軍用機ではないこのガルフストリームのことはほとんど問題になりませんでした。ずっと委員会に私は呼び出されはしたのでありますが、質疑はほとんどないということでございましたが、予算委員会質疑があろうとなかろうと、実情だけは調査しておかなければいけませんからね、したがって、住友商事の社長さんにも来てもらいまして、この問題はどういうことになっているかという実情を聞いたわけであります。聞きましたところ、確かにこのガルフストリームという飛行機の購入について運輸省の方から七百万円の手数料はいっておるが、そのほかにアメリカの方のグラマン社の代理店契約に基づいて三十万ドルの金が渡っておる、そのうち、前払い金の金利等を住友商事が負担をしておったという金利代分が三十万ドルのうち十七万ドルぐらいあって、十三万ドルぐらいが住友商事に入金されて、それをすでにアメリカ住友商事とそれから住友商事本社で二つに分けて配分した、そのことについてはガルフストリーム機を日本に輸入するときに輸入申告で税関にも話をしてあるし、税金の方は国税庁の方に申告もしてある、ただ、運輸省の方にだけは話をしてありませんでした、こういう実相がわかったわけでございます。  それで、それがいわば商慣習のようなもので、一台の飛行機を中心にして考えますと、それを日本政府が買う場合に、買う運輸省の方からも手数料をとるし、また売る方のグラマン社からもエージェント契約に基づいてコミッションをとる、こういうことが一つの商習慣になっているのだ、こういうことでありますから、そういう商習慣であるならば、これは二重取りという言葉が適当かどうか、そうなるとわかりませんし、また町の不動産屋さんみたいなことを大商社がやるというような言い方をすることが適当かどうかということもございますから、商習慣は商習慣で結構だが、そうなればやはり運輸省の方でこれを買う場合に、航空製造業者の方から代理店契約に基づいて何がしかの金を受け取っているというなら、そのことはこちらの方が契約するとき承知しておくべきではないか、そういう何がしかのものが代理店契約に基づいて出てくることによって、航空機取引でときどきこれが問題になっているのだから、そういうことは知らしていただいた方がよろしゅうございますねという話もいたしましたし、住友の方でも、それじゃひとつ、グラマン社ともよく相談しまして、そういうときの契約のことなどを、これからは知らしてくれと言ったものですから、相談の上そういうように努力してみましょうということであったわけです。  このことはこのことで一区切りはついておるわけでございますけれども運輸省の方は御承知のとおり、ヘリコプターも海上保安庁で買っておりますし、また海上保安庁の方で小型機とかでビーチクラフトがある、それらの購入については、三井物産からもそれから伊藤忠アビエーションからもそういうようなことがある、これからもあるものですから、それが本当に商習慣なら商習慣でよろしい、だけれども、これから買う際には、こちらから契約をしてお金を払う前に、それぞれの製造業者からそういう代理店契約に基づいてコミッションをもらっているならもらっているということをはっきりしてもらう必要がある、だから、そういうようにしてもらいたいということを要望したのです。それは当然のことだ、こう思っております。
  59. 佐野進

    ○佐野(進)委員 時間が余りないので、ひとつこれからの答弁は皆さんも簡潔にお願いしたいと思います。  そこで、大臣に質問をしてみたいと思うのですが、要するにいままでの大臣が、この問題について非常に深い関心をお持ちになり、特に運輸行政に関係する航空機の購入については関心を持ってそれぞれ対応しておられる。この間において運輸当局は、それぞれ精密なる調査をされておると思うのでありますが、簡潔に一言だけでよろしゅうございますから、いままでの行為の中に、いわゆるSECの報告に盛られておる条項の中で運輸省関係の航空機購入に関して不正があったと判断しておられるかどうか、イエスかノーかで結構でございますから答弁してください。
  60. 森山欽司

    森山国務大臣 私がいままで調べたところでは、不正はないというふうに考えております。
  61. 佐野進

    ○佐野(進)委員 この問題は大問題でございますから、ここで短い時間でやっておるわけにいきませんが、運輸当局がいままで調べた段階の中で不正がない、こういうことでございますから、その答弁を信用します。しかし、私どもは私どもでまたそれぞれ調査をした上で、改めて別の機会を得たときにさらに質問を続けてみたいと思います。
  62. 森山欽司

    森山国務大臣 ちょっと一言。いろいろ航空機の問題が起きます際に、政府側でお金を払ったときにコミッションを取られる、航空機製造会社から代理店契約に基づいてお金をもらう、それを、特に航空機製造会社から出たお金が何分の一だれかに渡ったとか、そのうち何々に渡ったとかいうことで新聞でおもしろおかしく取り扱っておるが、実際の契約の上においてそれを生かしていかなければいかぬという意味で、そういう事実があるということを承知しておかなければいかぬ、ところが、運輸省は実際知らなかったのです。それで、そのことははっきりしなければいかぬが、その点は防衛庁の方はグラマン以降少し早く気がついておったようです。そういう形跡がある。そういうことが、要するに知らなかったということがわかってきただけ進歩があった、こう思っていただきたいですな。
  63. 佐野進

    ○佐野(進)委員 大臣がいろいろ苦心をしながら対応しておられるということはわかります。しかし、関係する運輸行政として、とかく飛行機の問題については一つの疑惑の中に包まれるようでありまするから、大臣はその点についてはしっかり監督指導し、それぞれの衝に当たっていただきたいと思います。  次に私は、国鉄の問題について御質問をしてみたいと思います。  これもまた大臣に関係するのですが、大臣就任直後、国鉄赤字で困っておる、困っておるのに役員が賞与をもらうのはどうも不都合じゃないか、これを減らしたらどうか、こういう話をしたところ、高木総裁はよろしゅうございますと言って減らしたと言われておるのですが、これは事実であるか、高木総裁に聞いてみたい。
  64. 高木文雄

    高木説明員 私どもは、いま大変経営成績が悪いわけでございまして、昭和五十一年から給与の一割とボーナスの一割を御辞退申し上げておったわけでございますが、大臣御就任早々、ボーナスはおかしいのではないか、しかし、俸給はちゃんともらったらよかろうということでありましたので、それはそういう方がより筋が通るかもしれませんということで、給与は全額いただく、しかし、ボーナスは半分にしていただくということで、この四月から変更することに決めております。
  65. 佐野進

    ○佐野(進)委員 大臣、おかしいとお考えになった基礎はどこですか。
  66. 森山欽司

    森山国務大臣 帳づけの仕方が民間と公共企業体は違いますけれども、要するに重役賞与というものは、民間では出てきた利益の中から払うということになっておるわけです。したがって、利益がなければ、赤字であればボーナスはもらえないというのがもう民間の常識でございますね。そういう意味で、帳面づらの立て方は公共企業体とは違うわけでありますけれども、しかし、国鉄が民間で申せば赤字赤字、とつくの昔に破産している状態の企業体であることは間違いありません。そういうところの経営者の立場にある理事という名前がついていれば、それは単なるサラリーマンであると私は思っていないのです。やはり経営者としての立場、使用者としての立場にある方々だと思っておりますから、これだけ、一兆二千億、五十四年度の予算で補助金だとか入れればそのくらいになるのですから、そういう企業体の役員としては、本来ならばボーナス一文もやる必要ないと思いますけれども、公共企業体というわけで、公共というのはこれは親方日の丸だから、企業体という意味ではそういう民間のことも考えなければいかぬわいということで、その点になると余り論理的ではありませんが、半分だけ辞退してもらったらよろしい、こういうことです。しかし給料の方は、これは理事仕事をする以上は、まるまるもらったらよろしいではないかという理屈でそういうことをしたわけで、総裁もそれはひとつそういうふうにいたしましょう、こういうことであります。
  67. 佐野進

    ○佐野(進)委員 私がこんな細かなことを聞くのは、国鉄再建というのは容易ならざる事業です。総裁以下心血を注いで御努力をなさっても、なおかつ構造的な問題がありますから、そこへ到達するということについては、国が総力を挙げて取り組まなければ解決する問題ではないと思います。もちろん、その直接の衝に当たる人たちが最も骨身を削って苦労しておることは、いかなる企業、いかなる集団といえども、これは当然のことであります。むしろ国鉄総裁を初め、いまだれが好んでなるかと言われるようなその役についておる人たちが、みずからの収入を減らす中で、単なる行政上の選挙に選ばれたとかあるいはそれぞれ特定の段階をもう経、歩いた上に到達した地位として、また、いわゆる渡り鳥の中で一つの段階になった、そして安楽な状況生活をしておる人たちがということになれば、これは別だと思うのでありますが、これがむしろ逆効果になる可能性──大臣の発想はわかるんですよ。あなたの発想を私は否定しているのじゃないのです。しかし、ここいらの点、それをまた唯々諾々とお受けになったと言われる国鉄総裁も、私どもとしては大変意気地がないなという感じがするのです。あなたは名総裁と言われておるのに、こう言っては悪いけれども、一事が万事そういう発想に基づく指導ないし行政ないし運営を行ったならば、それによって国鉄職員全体に与える士気、幹部職員はもちろん、そういうものについての影響は非常に大きい。むしろ、そういうことはおもしろくないなと思ったら、ああ、そんなことを言って、大臣がそれなら私やめますよと言うぐらいの気構えを示して国鉄再建に当たってもらわなければならぬ。事は給料の問題だけじゃないということで私は申し上げておる。大臣の発想はわかるんですよ。それを唯々諾々と聞かれた国鉄総裁は、私はちょっと不満だ。あなたの人格を否定しているのじゃない、りっぱな総裁だということを前提にしながらも、ただ大臣が言われたのだから、ああ、そうですがと言ったということだけじゃ、しかも、五分か十分の間で話が終わったというのじゃ、これはちょっとおかしいのじゃないかという気がするのです。これは私の考えが間違っているかもわかりませんが、あなたの立場で、簡単でいいですから一言言ってください。
  68. 高木文雄

    高木説明員 私ども、いま非常に厳しい心境でおります。職員諸君にもずいぶんいろいろと無理なことも言っております。したがいまして、役員といたしまして私ども自身も一つの姿勢を示すということが必要であろうかと思いまして、そういう意味で、従来からある程度の御辞退を申し上げておったわけでございまして、それを大臣大臣なりのお考えで給料はもらってボーナスは返せ、こういうことで、それも一つの考え方、従来の考え方も一つの考え方と思いましたが、確かにボーナスというのは、普通の民間のボーナスとは違いますけれども、やはり利益報酬的においが多少ともあるものでございますから、そちらの方をお返しする方がより筋ではないかという程度に比較的軽く考えて従来のやり方を変えたという程度に私どもは受け取っております。
  69. 佐野進

    ○佐野(進)委員 これは一つの要望ですが、一期、二期辞退をしたから片がつくような状態ではないわけですから、ここいらの点については、やはり得るものは得る、与えるものは与える、働くときは一生懸命働く、こういう姿勢、しかも運輸大臣の行政監督権と国鉄総裁の持つ責任というものを十分判断された上に、円満なる対処の上にお互いに力を合わせて国鉄再建に臨んでもらいたいと思います。  さらに、それに関連して、余り財政が困るから給料も減らす、ボーナスも要らないなんということをやっていて、しかも何でもいいからもうかるものなら手を出してしまえということになっていろいろお考えになっておられる。国鉄が苦しくなってきておるから、法律まで改正してこうやってもいいよ、ああやってもいいよといういろいろな仕事をやる道も開いた。  時間がないから、私は、これは次の一般質問のときにじっくりやってみようと思うのですが、きょうは単なる表面的な問題だけを聞いてみたいと思うのですが、いろいろなことをやっている。今度の場合も、予算を出して盛岡、長岡など新たに五駅に物を貸してやるのだということです。ところが、その物を貸してやることで、その地域にとっては甚大なる悪い影響を受ける場合もある。喜ばれるところもあるけれども、悪い影響を受けるところもある。ただ、これが法律で認められて、金がもうかって、そこへまたやめた人が行ければいいんじゃないかというような簡単なお気持ちやなんかでおやりになっている場合もある。だから、結果的に赤字でどうにもならなくなってくる場合もあるわけです。そういうようなことを考えたとき、国鉄が単に新しい事業をおやりになるからといって、ただやみくもにおやりになるということは、あながち好ましいことじゃないような気がするわけです。  このたび、錦糸町北口の国鉄用地に新しいオレンジマート等が開設されて、今度また新しくこの中へ店を出されるということですが、そのために付近の八百屋さんを初め数店舗が、店舗を閉めざるを得なくなったということで、やめて、私の方へ泣きを入れてきている業者があるわけです。そういうような事情、いわゆる国鉄そのものもそう大してもうからない、しかも、その付近には悪い影響を与える、特定の人には利益を与えるというようなこともあるわけです。  私は、こういう面で一つだけ聞いておきたいのですが、この新しい事業をお始めになって、国鉄は年間どれだけの利益を得ておられるか、特に今年度、五十四年度幾らの利益をこの事業の中から計上しておられるか、その点をひとつ、ここでは四億円と書いてありまするが、このことを、いいかげんな答弁されますと、後で十分調べてから私はまた再質問をいたしまするから、その点をひとつここで御発表していただきたい。
  70. 高木文雄

    高木説明員 手元に錦糸町の関係の資料だけを切り離したものを持っておりませんのですけれども、現在、五十三年度でいわゆる鉄道外の収入といいますか、たとえば構内で売店にお貸しをしておるとか広告料金であるとかそういうもの全部ひっくるめまして大体四百七十億ぐらいが五十三年度の見込みでございます。これは最近と申しましても、かなり前からいろいろなことをやっております関係で、それがだんだん実ってきておりまして、ここ数年の傾向としては、毎年五十億円ぐらいずつ増額、収入増加になっております。
  71. 佐野進

    ○佐野(進)委員 私の質問申し上げておるのは、この法律が改正された後におけるところの処置ですね。その結果、どれだけ利益を得られておるかということを聞いておるわけです。この駅ビル、特に盛岡、長岡などに関係する事業でございまするから、これはきょうお答えになられなければ後でよろしゅうございますけれども、この点についてひとつ聞いておきたいと思います、後の関連がありますから。
  72. 高木文雄

    高木説明員 数字はございますが、手元に持ってきておりませんので、資料を提出してお答えをいたします。
  73. 佐野進

    ○佐野(進)委員 国鉄にもう一回だけ御質問をしてみたいと思います。  大臣所信表明の中で「この基本方針によれば、」云々ということがありまするが、結果的に料金の値上げを含むということでございまするが、料金の値上げとはどのように判断し、いつ実施されるお見込みなのか。
  74. 高木文雄

    高木説明員 現在御審議いただいております五十四年度の予算におきまして計上しております運賃収入の中で、運賃の改定によって増収をお願いいたしたいという金額が千六百五十億円でございます。これはただいまのところ、五月二十日から改定をさしていただきたいというふうに考えております。そのためには、それまでの前手続が必要でございますので、月末もしくは来月の初めごろまでには成案を得まして、運輸省にお願いに出たいというふうに考えております。
  75. 佐野進

    ○佐野(進)委員 この問題は、また改めてそのときいたしたいと思います。  次に私は、空港問題について質問をしてみたいと思います。大臣所信表明の中に、空港問題については次のように記してあるわけであります。「五月二十日の開港以来順調に運用されておる、今後は周辺対策中心として所要措置を講ずるとともに、第二期工事に着手する所存であります。」、こういうぐあいに記してあるわけでございまするが、「順調に」ということが適切かどうかはわかりませんが、しかし、私どもが当初懸念していた状態に比較いたしますれば、比較的順調に運航されておることはそのとおりであります。しかもアクセスその他の問題につきましては、当初予想した以上に順調に推移しつつあることは、これはまた私どもがあれほど心配したことに比較いたしますれば、まさに僥幸という名に値するかと思うのであります。  しかし私は、福永前運輸大臣が私どもと何回も何回も討議した中で常に第一に考えます、われわれもそうしなさいと言ったことの配慮がここに欠けておるように感ずるわけです。要するに、周辺地域対策、地元対策等においても、地元民と十分話し合った上に、その了解を得た上で物事を進めるように努力いたしますという言葉がないように感ずるわけでありますが、大臣、時間がないので、大臣のお答えはこれからは原則的で結構ですから、そういうようないわゆる去年の開港に当たってわれわれが取り組んだあの必死な気持ち、その気持ちの中で統一的に、集約的に出されたのが、地元民の意向も十分尊重しながら国家的目的である開港をやりましょうということ、それについての考えは、大臣はどうお持ちになっておられるか、その点をひとつお聞かせいただきたい。
  76. 森山欽司

    森山国務大臣 地元民の意向を十分に尊重して、いわゆる対話路線でやろう、ですから私も、何も問題はありませんでしたけれども、すでに成田、現地に参りまして、千葉市におきましては千葉県知事、千葉市長、それから成田においては成田市長、それから芝山町長等と会っております。そしていままで約束したことの基本線は、これを十分尊重して進めるということでやっておるわけでございます。  それから、ちょっと先ほどお話しの国鉄の問題でございますが、ボーナスを半分にしたというのは、国鉄経営者として単なる勤め人ではないのであるぞということをしっかり腹に置いてやってもらわなければ、この重大な時期を乗り切れませんから、ですから、そういう気構えを持ってもらうということでやっているわけでございますから、どうかその点について御理解を得たいと思います。  それから、先ほどいろいろな仕事をすると──法律が変わってできるようになりましたね。とにかくやはり商売気を持って一生懸命やろうということで進んでおるわけでございますから、ぜひひとつ応援してやっていただきたいと思います。
  77. 佐野進

    ○佐野(進)委員 次は、これは航空局長に聞いた方がいいのか、あるいは大臣が判断されておるのかわかりませんが、この中で最も重要な表現は「空港機能の整備拡充を図るため適当な時期に第二期工事に着手する所存であります。」、こういうことになっております。そのための所要予算も計上されたようであります。しかし情勢は、いま大臣お話しになられたような状況でございまするから、きわめてむずかしい政治的な判断が必要になってくると思います。これについて航空局長は「適当」という字をいつごろと判断しておるか、簡単でいいですから、判断の基準を示してもらいたい。
  78. 松本操

    ○松本(操)政府委員 大臣が先ほどお答えいたしましたように、成田空港が運営されていくためには、地元がやはり空港があってよかったという形にならなければなりません。そのためにいままで約束してまいりました数十項目、そのうちし残しが幾つかございますので、これをいま鋭意やっておる。それから民家の防音工事につきましても、全国に先駆けていわゆる全室防音に取り組みましたし、さらに昨年の十二月閣議報告いたしました農業振興策につきましても、これは近く国会の方に自治省の方から出てまいると思いますが、いわゆるかさ上げ法の延伸といったような問題をも絡めて、いま県と協調しながらいろいろと地元の方とお話し合いを進めております。  このようにして、やるべきことを全部やってまいりまして、少なくとも地元周辺の方々がやはり約束は約束としてやっておるわい、こういうふうに御理解を示していただける時期というのが、私どもとしては、適当な時期、こういうふうに理解しておるわけでございますが、しからばそれがいつなのかわからないという先の先の話という意味ではございません。予算を計上したと大臣が申し述べておりますのは、やはり五十四年度ということが念頭にはございますけれども、しかし、年度が変わったからすぐにもとか、あるいは何月何日を目途にとかいうふうな性急なことではございません。あくまでベースは、大臣が先ほどお答えいたしましたような対話路線を基調に、約束は約束として守り、その成果が上がったことを御認識いただけるということを踏まえて、情勢が熟したならばというのをめどに考えております。
  79. 佐野進

    ○佐野(進)委員 私の気持ちとしては、何月何日を目途にしているのだということを聞きたかったのですが、あなたの答弁の方が現実的かもわかりませんから、つまらないところでヘビを出さないようにして、この程度で質問を終わっておきます。  そこで私は、アクセス問題に関連して鉄監局長に聞きたいのですが、先ほど言ったとおり、私ども当初心配したよりも大変情勢がいいということで喜んでおるわけです。しかし、大臣がかわるたびに方針が変わるということであってはいかぬと思うのです。  最後に、これは森山大臣に聞きますけれども昭和五十二年の末に、福田第二次内閣が発足するに際して田村運輸大臣がやめました。そのやめる二日か三日か、あるいはやめる日だったかわかりませんが、田村構想による新線構想が発表されたわけですね。いずれにせよ、やめるほんのそばだったのです。しかし、これは前大臣に私が聞いたところが、それも一つの方針でつながっております、あなただったか、前の鉄監局長に聞いたときも、それもつながっておりますというような答弁だったわけです。答弁がつながっておっても、いまの第二期工事はやってもいい、やらなくてもいい、それはまた後、情勢が熟したときです、これでは地元に対して大変問題があると思うのです。しかも、新幹線構想はそのまま生きているわけですね。成田新幹線構想は生きて、今度予算に盛られているわけです。しかも、田村構想も生きておるわけです。これも地元ではどうなったのだ、どうなったのだということになっておる。ということになると、運輸行政は、このアクセス問題に関連する田村構想による新線構想というものがかえって一つの混乱を引き起こしただけではないのかという気がするわけです。この情勢、わかっているわけだから、簡単でいいですから、あなたのこの予算編成とこの時期におけるところの考え方を、どうなのかちょっと聞いておきたい。
  80. 山上孝史

    山上政府委員 先生御指摘のいわゆる田村構想、成田新高速鉄道構想、これにつきましては、昨年四月以来例の協議会、これも御承知のとおりですから構成メンバー等申し上げませんが、これにおきまして、輸送需要、採算性、それから建設の、あるいは運営の主体、具体的な計画路線等につきまして、具体的に検討をずっと行っております。しかし、この構想につきましては、御承知のように、関係者もいろいろな立場から多いわけです。それぞれ御意見があり、立場の相違もあります。ということでありますけれども、この協議会を中心にそのような調整をやりまして、今後とも、運輸省といたしましては、関係者の意見を十分に聞きながら、また、その意見の間の調整を図りながら、この構想を実現の方向努力していきたい、かように考えております。
  81. 佐野進

    ○佐野(進)委員 あなたが実現しない方向努力しますなんということは言えるわけはないからね。しかし、あなたも専門家だから、いかにこれが至難の事業であるかということは、もうお気づきになっておられると思うのです。協議会を開いたって、線路の幅が違うとか、あるいはニュータウンの中に入る路線の経路の問題であるとか、あるいは成田の空港からの問題であるとか、大変だろうと思うのです。  ただ私は、いまそのことをやりなさいとかどうとかと言って質問しているのではないのです。構想が出たときが、思いつきのような形における構想じゃなかったかなと思う。その後始末にあなた方が苦労していつまでもこだわっていることは、行政能率の上からいって大変困るのじゃないかなという気がするのです。  むしろ地元の人たちが求めているのは、そういうことよりも──いまたとえば上野から出ているスカイライナーという電車は、あれだけのりっぱな電車をつくっておりながらほとんどがらがらだ。もう採算も何もあったものじゃないんだ。そういうようなものがもう一つできたって、あの線ができればそれよりもはるかに時間がかかるのです。それよりも、要するに八号線なら八号線という地下鉄が必要であるということであの線を出したのならば、その線をひとつ早くつくったらどうだ、こういう意見があなたも御承知のとおり強いわけですね。  だから私は、むしろそういう面からするならば、きょうここへ営団総裁を呼んで営団総裁のその決意を聞きたいくらいに思っておるのですが、この問題についていつまでもこだわらないで、現実可能なところから着手していく、特に都内においてはそのような措置を講ずる、田村構想というものについて責任を持つという形の中での処理の仕方はもはやナンセンスじゃないか、こんなような気がするのですが、その点私は、局長には八号線の早期着工についての考え方大臣には田村構想についてどう考えるかということについて、ひとつお答えをいただきたい。
  82. 山上孝史

    山上政府委員 この成田新高速鉄道構想の中におきましては、これも先生御承知だと思いますが、千葉のニュータウン関係につきましては、宅開公団が現在、鉄道建設するということでいろいろ計画を進めておるわけです。それから北総鉄道、これが来月もう開業するということであります。問題は成田空港と印旛松虫、この間の路線の問題なんです。これにつきましては、やはり具体的に経営主体をどうするか、あるいは資金の確保をどうするか、こういう非常に大きな問題があります。これについてこの協議会を中心に詰めていきたい、そう考えております。  なお、先生御指摘の八号線の問題、これは高砂-東京間の輸送系絡、輸送力の問題でありますが、これにつきましても、実は東京都を初めいろいろの立場からの調整をさらに要するという問題がたくさんございます。ということで、私どもといたしましては、一般論としては、成田空港とのアクセスにつきましては、輸送力は十分にあります、特に急ぐ必要はないと考えておりますが、千葉県を中心にやはり成田新高速鉄道についての御要望が非常に強いということにつきましては、運輸省全省的にこれに対応する必要はあるか、こう考えております。
  83. 佐野進

    ○佐野(進)委員 大臣は後でいいです。大臣最後にその点まとめて答弁してください。  そこで、時間が余りなくなりましたから、私は、まとめて質問をいたしますので、それぞれの局長から御答弁をいただきたいと思います。  まず第一に、運輸関係の問題について、施設の問題については、それぞれ長期的整備との関連で大臣からお話がございました。私は、これを見ながらしみじみと感じておるのですが、きょう午前中久保委員からも質問がありましたように、いわゆるこの委員会における決議に基づく措置が、ことしは予算上の問題としてそう大きく取り上げられなかったし、特に法制的な形の中でどう処理をしていくかということについては十分なる措置がなされなかった。いわゆる前運輸大臣の発言も生かされていないということに対して、きわめて遺憾であるという意をこの場所において表明せざるを得ないわけであります。  しかし、それはそれといたしまして、次の点についてどう判断されるかということをお聞きしておきたいと思うわけであります。  この八十五国会決議の取り扱いについては、先ほど久保委員の質問に際して大臣が見解を明らかにされたのでお答えはよろしいと思いまするが、自動車局長にこの際聞いておきたいと思うわけでございます。要するに、これに関連をいたしまして、これと直接的ではないにいたしましても、陸上公共輸送整備特別会計、いわゆる特会の問題につきまして、それぞれ昨年度運輸省でも処置を決められて、予算要求をされました。結果的に大蔵省で認められなかったわけですが、大臣を初めとする運輸当局努力によって予算上においてはある程度の伸びを示した、このように了解をしておるわけであります。  しかし、この特会の内容を見ますると、整備新幹線の問題を初め国鉄に偏重せられておる。しかも、この国鉄赤字であり、この赤字である国鉄のそれぞれの新幹線は、たとえば東北新幹線であろうとその他の新幹線であろうと、在来線と競合しておるわけです。したがって、新幹線ができると在来線の収入が全く落ちてしまうのではないか、赤字を上塗りするのではないかということが心配されるわけでありまするが、そういうような心配の方にこの特別会計が重点を指向して、自動車交通を初めとする地域一般交通に対するところの取り組みが、都市交通対策という名をとっていながらきわめて弱い。これは自動車局当局を初め運輸省の中におけるところの取り組みが、一般的な陸上公共輸送という名のもとにおいて国鉄新幹線等に偏重し過ぎているのではないか。むしろこの際、抜本的な対策をとる形の中で、全体的な陸上公通を拡充する上において役割りを果たさなければならぬ。それについては自動車局長、態度がきわめて弱いのじゃないか、こういうように感じて、わざわざあなたにきょう来てもらったのは、もう少ししっかりやってもらいたいという激励の意味を含めて来てもらっておるということですから、大臣の話じゃないけれども、ふろしきをでっかく広げて答弁をしてもらいたいと思うのです。  それから最後に、時間がないから船舶局長に一つ質問をしてみたいと思うのです。  過日の新聞紙上に、私どもが読んでなるほどなと思ったことがあるわけです。これは新聞紙上で読んでなるほどなと思ったのじゃなくて、私どもが、いま造船、海運の大不況の中に対して、非常にいろいろな課題が出てきておりますが、その中で、要するに大手に対する救済が非常に手厚くもてなされて、中小に対してきわめて冷遇しておるのではないか、しかも、むしろこの際は中小切り捨て大手糾合、その中において造船、海運の再編成を図ろうとする悪質な意図が動いておるきらいがあり、それが運輸当局において後押しされておるんじゃないかと、これはひがみということを言っておいた方が適切だと思うのですが、そう感ぜられるような動きも一部にある。特に労務対策を含めてそれらの措置が行われておるというようなことであるとすると、これは全くもって国家の金で大企業優遇、大企業優先、それらに対する再編成を促進するためにわれわれがやっておるのだと言われかねないことになるわけであります。  したがって、そういうことがないようにわれわれも十分配慮していかなければなりませんが、船舶当局としては、そのような問題に対してどのように対処し対応せられておるか、この点をお聞きしておきたいと思うのであります。大臣以下答弁者が多くて大変でございますが、それを聞いて私の質問を終わりたいと思います。
  84. 梶原清

    ○梶原政府委員 国民の足でございますバスが都市と言わず地方と言わず、縮小路線をたどっておりますことは非常に残念なことでございますが、幸いにしまして、五十四年度の政府予算におきましては、地方バスの運行確保対策につきまして約十億円の増額を計上していただいておりますと同時に、都市バス対策といたしまして、従来の新住宅地バス路線開設運行補助金のほか、パス・ロケーション・システム、それからバス乗り継ぎターミナルの整備につきましての補助制度の新設を認めていただきまして、都市におけるバス整備につきまして非常に大きく一歩前進できたということを非常に喜んでおるわけでございますが、この予算につきまして認めていただきますようにぜひお願いを申し上げたいと考えるわけでございます。今後におきましては、バスをめぐります交通環境の維持改善のために努力をいたしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  85. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 御質問の造船対策実施の上で大手、中手についてどういう考え方でやっているかお答え申し上げます。  基本的に前の国会でも御説明を申し上げ、お答えを申し上げましたように、日本の造船業の能力九百八十万トンに対して少なくとも三百四十万トンの設備処理をせざるを得ない状況にございます。この際に、ほうっておきますと、恐らくは大手の技術力なり総合的な力から言いまして、大手に偏るおそれがあるということで、設備処理の際に大手よりは中手以下に差をつけてそれをやっている。それからもう一つは、それにもかかわらず、五十四年度と五十五年度につきましては、それを下回る需要予測でございますので、一つは、政府予算等によりまして需要の喚起をする。その際に、政府関係で、技術的に可能なものはできるだけ下に落とすということで対応するという考え方でございます。それから、操業短縮におきましても、したがって、大手の方を厳しく中手以下を緩やかに操業調整の線をかけております。  おっしゃるようないろいろな問題がいま出てきておりますが、これはほうっておきますと、基本的には大手偏重になるわけでございますので、いまやっているのは、むしろ中手以下を、どうやって競争力をつけながら育成していくかということに心をいたしておるということでございます。
  86. 森山欽司

    森山国務大臣 自動車局長は自動車行政にきわめて熱心でありまして、あなたの御激励によってますます張り切って仕事をすると思います。  造船工業につきましては、いま船舶局長から話がありましたように、中小造船業の立場というものに特に留意して仕事をしております。私も、事の成り行きの進む状態を見ておりますが、まさにそのとおりでございます。しかし、せっかくのお話でございますから、その点、十分に留意をして仕事を進めてまいりたい、そう考えております。
  87. 佐野進

    ○佐野(進)委員 田村構想は……。
  88. 森山欽司

    森山国務大臣 これはもう部分的にある程度進んでおることは皆様御承知のとおりで、あと成田空港のそばのところをどうするかという問題が残っておると申して過言でないと思います。これは成田空港のこれからの仕事の進捗と関連しまして考えていきたい。まあすぐというわけにはいかぬでしょうし、また、すぐという必要があるかどうか。あなたの先ほどのお話ですと、アクセスはうまくいっているじゃないか、こういうお話でございますからね。しかし、あれをぜひやってくれという地元有力者もございますものですから──有力者という意味はおわかりでございましょうけれども、地元の最有力者もおいでになりますから、やっぱりそういう方のお考えもできるだけ生かしてやっていかなければいかぬということであります。全体の中で総合的にひとつこれからの進め方を考えていきたい、そう思います。
  89. 佐野進

    ○佐野(進)委員 終わります。
  90. 箕輪登

    箕輪委員長 西中清君。
  91. 西中清

    ○西中委員 最初に、運輸省の行政のあり方、行政の姿勢、こういう点についてお話をお伺いしたいと思います。  ただいまもお話が出ましたけれども、さきの予算委員会でわが党の矢野委員から、グラマン社のガルフストリームⅡ型機の購入に関しての質疑がございました。そのときのやりとり、いろいろと受け取り方はあろうかと存じますが、少なくとも運輸省が住友商事に手数料として七百万円支払った、住友商事は一方でグラマン社から三十万ドルの手数料を受け取った、しかも、この三十万ドルは、運輸省がグラマン社に支払った五百三十七万ドルの航空機代金に含まれておる、このときの答弁の中で、運輸省は、この三十万ドルの件については当時は知らなかった、さらにまた、当時工場渡し価格の構成要素を細かく議論すれば知ることができたと、こういうような御答弁もあったわけであります。  きょうは私、この点について、少なくとも商社が一枚かんでの売買の中で運輸省がこういう事実をつかみ切れなかった、これはそれなりの事情もあるし、理解すべき点もあるしというような気持ちで私はおるわけですけれども、しかし一面、やはり三十万ドルというこのお金は国民の血税である、結果的にこれは支払う必要があったのかなかったのか、これが非常な疑問でありまして、少なくとも国民の間では、いまだに疑問が残っておると思う。これから運輸省としては、この問題についてどう対処されるのか。  先ほど商社をお呼びになった、こういうお話も出ておりましたけれども、どういう結論をおつけになるのか。巡視艇だヘリコプターだというようにいろいろと購入される機器も非常に多い運輸省のことでございますから、まず基本姿勢として、こういった問題を通してどういうお考え、対処をなさるお気持ちか、お伺いをしておきたいと思います。
  92. 森山欽司

    森山国務大臣 先ほどもこのことに言及した答弁をいたしましたが、七百万円の手数料の支払いをし、他方、中間にあった住友商事はグラマン社から三十万ドル受け取った、その三十万ドルの中身はどういうふうに使ったかということはほぼ判明をしておる、そしてそれらの点は税関にも申告をし、それから国税庁にも届け出ているということであります。知らぬは運輸省ばかりなりという結果でありまして、そのことは、私は、運輸省としてはなはだ遺憾である、こういうふうに思っております。  その点は、ロッキード事件以来、防衛庁の方がややそういう点に留意して契約をしておる形跡があります。しかし、防衛庁の方にそういう変化があったということは、運輸省の方は実はほとんど気がつかなかった。今回、私が調査しまして、ようやくそういうことのようだというのが現況であります。  したがって私は、今後の措置といたしましては、そういう一つの商慣習だということでありますから、こちらの方で契約をして手数料を算出する際に、航空製造業者のエージェントとしてどういうコミッションをもらうような約定になっているかということを承知の上で契約を結ぶべきだ、こういうふうに考えておるわけであります。それを全然知らないで、大体そういう契約関係があることを知らないで後になって承知したということでは困る、私は、こういうふうに思っておるわけであります。
  93. 西中清

    ○西中委員 私は、基本姿勢だけをお聞きしようときょうは思っておったのでございますが、先ほどの同僚委員に対する御答弁の中で、そしていまの御答弁の中で非常に不満な点があるわけです。ということは、まず、この問題の提起として、こうした外国の飛行機の輸入に関する問題について構造的ないろいろな問題があるのじゃないか、こういう矢野委員の問題提起がありました。ところが先ほど、大した質問もなかったというような御答弁があった、予算委員会で。そういうふうに軽々しく受けとめておられるのかどうか、まずお聞きしたいと思います。
  94. 森山欽司

    森山国務大臣 衆議院における今回のグラマン問題についての質問に立たれた方は、ほとんど大部分の政党の方、各政党から何人かずつお話がありました。しかし、私にガルフストリームについて質問がありましたのは公明党の方お一人です。あとの方々は、ずっと私は座っておりましたけれども、全然質問もありませんでしたから、非常に御関心が薄いというふうな印象を受けたわけであります。  ただし、御関心が全体として薄いけれども、重要な問題じゃないというふうに考えたわけではありませんから、私が別途、住友商事の最高責任者も呼び、また、今後購買することがあるべきことを考えて、三井物産あるいは伊藤忠航空機会社の最高幹部も呼んで検討している、きわめて重要な問題であるということを考えればこそ、私自身が出張ってこの問題の検討に当たっておるということです。しかし、十名以上の方が御質疑になられた中で、この問題について私に質問していただいた方はわずかに一つの政党のお一人であった。だから私は、御関心が薄いのではないかという表現を用いたということであります。
  95. 西中清

    ○西中委員 質問の数が多いのが重要なことであって、そうでないものは軽いのだ、こういう御答弁のようですね。
  96. 森山欽司

    森山国務大臣 そういうことは申し上げておらないでしょう。きわめて重要だから私自身がだれにも言われないけれども最高責任者から聞いたではないか。あるいは三井物産、伊藤忠会社から呼んで調べておった。重要性とは別ですよということを私は申し上げたわけですからね。御理解ください。
  97. 西中清

    ○西中委員 先ほど住友商事から事情を聞いたとおっしゃっておりますが、この中身は御報告だけなのか。契約書は資料請求を政府にいたして提出の約束をいたしておるようでありますけれども、ガルフストリームⅡ型機の米国住友商事とグラマン社の契約、米国住商と住商の契約、運輸省と住商の契約、こういうものをごらんになった上での御判断、結論としていまの御報告であったのかどうか、その点はどうでしょうか。
  98. 森山欽司

    森山国務大臣 いまの問題につきまして私と同席してこのやりとりを航空局長聞いておりましたし、また相手方の専務から航空局長の方に文書を出して、メモも出ておりますので、そういうものに基づきまして航空局長の方から答弁をいたさせます。
  99. 松本操

    ○松本(操)政府委員 お答え申し上げます。  大臣が住友商事の社長を呼びましたときに私は同席をいたしました。その段階において大臣から先ほどお答え申し上げましたようなことの、逐一住友商事の方から説明があったわけでございますが、大臣は疑問の点は疑問としてただしながら、結論的に私どもが払った輸入業務に関連します手数料というものと住友商事が別途グラマン社から受け取っておりますいわゆるコミッションと呼ばれるものと二通りのものがあったということ、そしてそのコミッションについて実は私どもがうかつにも知らなかったということ、また住友も積極的にそれを知らせようとすることはしなかったこと、ただし、それは秘密の経理ということではなくて、税務処理と申しますか、会計処理と申しますか、その上ではきちっと帳簿の上に載せてしかるべき税金も払っておるということ、こういったような大筋については確認をいたしました。  次に私は、主管の専務に来てもらいまして、口頭をもって種々の説明を聞いたわけでありますが、さらに、それに付加する意味をもちまして、現在までに住友商事が調査いたしました範囲、実はこれではっきりと私ども納得したわけではございませんで、まだ不明の点が残っておりますが、そういう点については、先ほど大臣が申し述べましたように、私あてに文書をもって出してもらいました。  それから、御指摘のございました住友商事アメリカとグラマン社との契約につきましては、これは私どもは住友商事に対して、きちっとした形でわが方に提出するようにということを要求し、住友商事も趣旨は了解をいたしまして、現在グラマン社に対してしかるべき手続をとっておる、こういう段階でございます。
  100. 西中清

    ○西中委員 そうすると、いまの段階では、説明を聴取した、しかし、疑いは残っておる、その点では契約書もはっきりと確認をしなければならないし、提出を求めなければならぬ、こういう段階でしょう。ですから、まだまだ疑いはそのまま残っているということじゃないですか。
  101. 松本操

    ○松本(操)政府委員 私が完全に納得し切れていないと申し上げましたのは、三十万ドルについての問題ではございません。SECの報告書をごらんいただきますと、三十万ドルの金の額のほかに「日本政府に秘匿されたと思われる状況のもとで」云々というふうな言い方がなされております。なぜそういうふうな表現が行われているのかという点については、住友商事の説明としては、税務署にも報告がしてあるし、通関のときにしかるべき額の申告もしてあるし、何ら秘匿した覚えはない、ただ、あえて言うならば運輸省に対して、つまり注文主である運輸省に対しては、こういうことになっておりますという事情を打ち明けなかったということは正直に申しておるわけでございますが、そのことが何ゆえにSECの報告の中で日本政府に云々ということになったのかどうかという点については、実は私ども、いまの時点で完全な理解と納得を得るに至っていない、こういうふうな点が一、二あるということを申し上げたにすぎません。
  102. 西中清

    ○西中委員 問題は、三十万ドルのその内容について、いまの御説明のように申告をしておるからそれでいいんだということにはならぬ。そういう点がまだこちらとしては疑問が残っておる。いまのお話では、要するに資料の提出を検討しておるというか相談をしておる段階であって、こちらに出るか出ないかまだ明快でないわけですから、その内容を見なければやはり断定的なものは出てこないのじゃないか、われわれはそういうふうに考えておる。  そこで、こればかりやっておるのは大変ですけれども、三十万ドルの手数料と運輸省が払った七百万円の手数料、この問題、手数料としては多過ぎるのではないかというふうに思いますが、どういう判断か。それから三十万ドルというこのことを知らなかった、運輸省はわからなかった、これについての責任はどうお考えになっているのか、大臣からお伺いしたい。
  103. 松本操

    ○松本(操)政府委員 まず、三十万ドルの内容がどうなっているのかという点につきましては、私どもは承知をいたしております。それは承知をいたしております。それから三十万ドル云々の点について知らなかった点、これは大臣が先ほど申し上げておりますように、私ども知らなかったことは事実でございますが、ただ、商社というものを通じて輸入をいたします場合に、商社とメーカーとの間にそのようなことが行われるのが確立した商慣習である、そういうことについて実は私どもが十分の認識を持っていなかった、こういうことであったと思うわけでございます。
  104. 西中清

    ○西中委員 手数料として多いのか少ないのか、この一点。それから三十万ドル、この問題について知らなかった責任はどう感じているかということを大臣から聞きたい。
  105. 松本操

    ○松本(操)政府委員 まず最初に、三十万ドルの内容を申し上げませんと大臣のお答えもしにくいかと存じますので、お許しを得て内容を申し上げたいと思いますが、三十万ドルといいますのは、三十万八百五十三ドル十三セントでございます。その中の十六万九千百二十三ドル八十五セント、これはわれわれが三分の一の頭金を払ったのに対し、住商は九割の前払い金を払っております、その差額を立てかえております分の金利を還付してもらった、この部分でございます。したがいまして、残った十三万一千七百二十九ドル二十八セント、これがいわゆるコミッションに該当する部分でございまして、この飛行機の価格自体が約五百万ドルでございますので、五百万ドルに対する十三万ドルというコミッションについては、いろいろと御議論もあろうかと思いますし、私ども、最終的に結論をここで申し上げるわけではございませんが、必ずしも多額であるというふうには考えておりません。また、私どもが払った七百万円というものは、別途手数料として払ったのではございませんので、私どもが契約をいたしますときに、工場渡し価格に通関料なりあるいは輸送料なり実費として明確に勘定できますものを上乗せし、さらに、そのほか諸雑費的なものとして、工場渡し価格の一定の比率を乗じたものを乗せた、これが七百万円でございます。したがいまして、この七百万円という額も、十五億前後の額でございますので、それに対する七百万は御案内のように〇・四幾つというパーセントでございますので、非常に多額の手数料を払っているということではなくて、むしろ諸雑費をカバーする程度というふうに私どもは理解をしております。
  106. 西中清

    ○西中委員 いまの御説明でも納得できない点が非常に多い。これはまた別途委員会をかえて論議をしなければならぬ、こう思いますが、大臣の先ほどの御答弁ですと、商習慣だからというお話があった。一概には悪くない、そういう商習慣というのは確かにあると思いますけれども、少なくとも国民の税金を使っての取引でございますから、こういう点をやはり明快にしていくということは非常に大事な問題です。先ほどのニュアンスでいきますと、どうも商習慣だからしようがない、こういう感じを受けるんですが、今後ともこういう形の、双方からの手数料、マージンといいますか、そういうものを取る商習慣を認めた上でこれからの取引もなさるのかどうか、その点をはっきりしていただきたいと思います。
  107. 森山欽司

    森山国務大臣 私は、ロッキード事件以降のいろいろの動きを見ておりますと、こちら側の手数料、ロッキードの場合は民間航空機でありますが、防衛庁の買う飛行機の場合、こちら側の手数料とそれから商社が向こう側のエージェントとして受けるコミッションとこの両者があって、それらを総合的に航空機取引としてわれわれは見ていくべきものである、そういう教訓のもとに事を処理するのがまず第一でなければならないと考えております。  ところが実際は、その製造業者のコミッションのうちどのぐらいがだれだれに渡ったというようなことが、それ自体も一つの問題が起こり得るわけでございますけれども、それにとどまる場合が多いのでありまして、私は、やはりロッキード事件にしましても、今度のグラマンの事件にいたしましても、これから受ける教訓は、この両者、手数料とコミッションと両方があったという事実であって、そういうのが一つの商習慣で存在するならば、それを承知の上でこれからの仕事をするということが教訓ではなかろうか。  そこで私は、先ほども申し上げましたけれども、池田三井物産社長、これは二月十三日、田村伊藤忠アビエーション社長、二月十四日、それぞれに会いまして、私から、航空機の売買に関し商社が双方から手数料またはコミッションを取ることが商習慣のようであると言われておるが、この事実は運輸省関係では発注者たる役所側に知らされてなかった、航空機取引の明朗化を期するために、企業秘密ということにかかわらず、発注者たる役所側にこの間の事情を明らかにして事を進めてもらいたいという提案をいたしました。そしてこれに対して両社長から、これはヘリコプターの場合ベル、ビーチクラフトの場合はビーチクラフト社、それぞれの会社の了解を得るということを前提に大臣の提案を了承するが、その内容は企業秘密というか商売に関することであるので、ひとつ慎重に取り扱ってほしいという回答がございまして、まだその返事はございません。  しかし私どもは、これから契約をしていく場合につきまして、こういうことでいま進めておりますということを会計検査院とも十分協議して、今後に誤りなきを期したいということであります。 きょう、こういう形で皆様方からこの問題の御論議があるということは、私は別に予想はいたしておりませんでしたが、少なくともその程度のことを準備しておくことは私どもの責任である、責任とはそういうことであるというふうに私は考えております。
  108. 西中清

    ○西中委員 私も、きょうは質問するつもりはなかったのです。だが、先ほどの御返事が余りにも不遜に聞こえたので、やらざるを得なくなったんですよ。  それで、いまのお話ですと、運輸省からの手数料はお出しになるのかならないのかという点がもう一つよくわからないのですが、商社側に対して知らせよ、こういうことですね。こちらからの手数料はまたお出しになるのですか、ならないのですか、その点はどうでしょうか。
  109. 松本操

    ○松本(操)政府委員 大臣がお答えしましたように、今後まだ未解決の問題を残しながらも、方針としては今後商社を通じて飛行機を購入いたします場合に、いわゆる商社のコミッションというものについて明確に把握をして、その上で手続を進めるようにしたいというのが大臣の意向でございます。その場合に、私どもが払っておりました手数料といいますものは、当該商社の利潤、もうけということではむしろございませんで、人が来たり行ったりする、書類をつくる、テレックスを打つ云々といったような目に見えない諸雑費的なもの、これはやはり商社といえども商売でございますので、全部どこからか出してこいというわけにもまいりません。したがって、そういうふうなものを〇・何%とか一%とかいったような、価格に応じていろいろな段階を設けておるわけでございますが、そういう形のいわゆる手数料というものにつきましては、もちろん今後、いわゆるコミッションというものといわゆる手数料というものとをどういうふうに絡めて理解し、把握するかという点を会計検査院等ともじっくり御相談をして詰めていくべきかとは存じますけれども、ここで直ちにこっちをやめてあっちだけとかいうふうなことにはならないのではないかと考えております。
  110. 西中清

    ○西中委員 それはやはり早急に詰めていただきたい問題です。マージン、いわゆるもうけとしての部分はどれくらいか、または手数料はどれ、この辺をはっきりしなければいけない。それが非常にあいまいです。  それから、商社から報告を聞いてこれから取引をするということですが、それは過大なマージンの場合はどうされるのですか。要するに何らかの一つのガイドラインといいますか、適正なる利潤としての指針というようなものがやはり必要になってくるのじゃないか。その点はどうでしょうか。
  111. 松本操

    ○松本(操)政府委員 いま飛行機の購入で非常に問題になっておりますが、通常の物品等を買います場合にも、メーカーなりなんなりは幾らかのマージンがあるわけでございまして、これが過大であるかないかというのをどこに目安を置くかというのは、私どもが一方的に決めるというわけにはいかない問題であるかと思いますので、そこで、先ほど来御説明申し上げておりますように、検査院等と篤と相談をした上で、そこら辺のところをはっきりさしてまいりたい、このように考えております。
  112. 西中清

    ○西中委員 会計検査院と協議をして妥当な線をお出しになるということでございますから、きょうはこれぐらいでおいておきたいと思います。  次に、尖閣列島の問題で御質問をいたしたいと思います。  大臣は、一月十六日の記者会見で、尖閣諸島にヘリポートを開設する、こういうようなお話をされたようでございまして、同時に、沖繩開発庁としては調査費三千万円が五十四年度の予算に計上されておる、こういうニュースでございますが、この事実はあったのか。事実そのように大臣はおっしゃったのか。    〔委員長退席、佐藤(守)委員長代理着席〕  それから、それであるならば、造成に踏み切った理由並びに造成の計画、こういうものをお話しいただきたいと思います。私は、元来この尖閣列島はわが国の固有の領土である、こういう立場をとっております。したがって、これについて善悪を論じるつもりは全くございません。そういう前提の上でひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  113. 森山欽司

    森山国務大臣 周りが運輸大臣のやっておることに格別御配慮、御関心を持っていただいて感謝にたえないわけであります。御承知のとおり、昭和五十四年度予算の沖繩開発庁の関係の予算でございますが、尖閣列島の調査を実施するということで三千万円計上してございます。それで、これの調査をするということに相なれば、当然、海上保安庁が何らかの意味でお助けをしなければならないわけでありますが、何しろあの島はそう簡単に大きな船が接岸ができませんからボートで行くわけですし、それから飛行機で行こうにも大型機はもちろん普通の飛行機は着陸できません。ヘリコプターで着陸しなければならぬが、このヘリコプターも着陸できないような情勢にありまして、調査をしようとする際に、海上保安庁の方に協力を求められましてもなかなか協力しづらい状態にある。そこで、場外離着陸場、正式に言う飛行場ではないでしょう、飛行場ではないが、離着陸する場所を仮設ヘリポートという形でとにかくつくっておこう、そしてそういう沖繩開発庁関係の調査活動に協力をしようではないかということで、このたびそれをやることになったわけであります。  それで、これは海がしばらく落ちついてからということでありますから、実際実施ができるのは、もう少し海が静かになった五月ごろからではなかろうかと思います。そしてとりあえず簡単な離着陸場、仮設ヘリポートをつくって、そこに、石垣島が近いですからそこから人員等を送る、若干の機材等も送るというようなことで調査活動をするようにすることが一番いいのではないかということが私ども考え方であります。  しかしこれは、やはり御承知のような国際関係等がありますからね、それで私も、閣議が終わりましたときに園田外務大臣に、いろいろな見方があってもこの程度のことはわれわれはやらにゃいかぬと思う、どうだろう、結構です、こういうあっさりした返事でありますから、それではひとつやろうということでやったわけです。しかし、官房長官ちょっと心配しまして、後で改めてそれはどういうことだと、多分記者会見か何かで官房長官に聞いたので、官房長官に話してなかったものですから、そういう問い合わせがありました。しかし、外務大臣は結構です、こういうことでございますから、そういうことで今度のことは始まったわけであります。
  114. 西中清

    ○西中委員 この領有権の問題、かねてからずっと問題になっておるし、それから日中国交回復の際も、平和条約の締結の際もたな上げというか、高度な政治判断のもとに双方が余り触れない、そういう形で来ております。ですから、それはそれとして若干中国側の認識が変わってきたから大臣こういうことをされる気持ちになられたのか、それとも変化はないのか、その辺のところを外務省筋から何らかの接触を受けておられるのか、この辺どうでしょうか。
  115. 森山欽司

    森山国務大臣 この段階においてこういう措置をとることについては、私なりに慎重なる配慮のもとにやったということは御理解願えると思います。ともかく、これは日本領土ですから、やはり領土であるということはわれわれははっきりしていくべきだと思いますし、どうも尖閣列島には政府の方は拱手傍観をしておって、若干の人たちが不規則発言ではないが不規則上陸などしているような形が見られることは必ずしも私は好ましいことじゃないと思います。そういう意味で、政府がきちっとした態度でもって臨むべし、こういうふうに私は考えております。
  116. 西中清

    ○西中委員 いずれにしても慎重にお願いをいたしたいと存じます。  次に、各種の交通料金の値上げ、この問題についてお伺いをしたいわけでありますが、まず国鉄の運賃、昭和五十四年度予算においては運賃改定において千六百五十億円の増収、これを見込んでおられるわけでございますが、五月から実施をしたいというようなことも聞いております。国鉄としては申請はいつごろされるのか。それから貨物運賃、旅客運賃、こういう点について現在どういう御検討をされておるか。また、ほぼでき上がっておるならば、内容について御説明をお願いいたしたいと思います。また、国鉄離れなどということが言われておりますので、運賃の改定ということになりますと、なお一層その傾向は強まる懸念もあるわけでございまして、千六百五十億の増収ということは十分見込める額なのか、危険なのか、この辺のところを私は非常に危惧をいたしておりますが、その辺の問題についての御見解をお伺いしたい。
  117. 高木文雄

    高木説明員 先ほども御答弁申し上げましたように、いまの予算が組まれます際には五月二十日から値上げをする、大体八%強、千六百五十億円という数字が出ておるわけでございます。これはもともと私ども予算要求でも、時期がちょっとずれましたけれども、そういう案になっておったわけでございまして、私どもは私どもなりにそういうふうにさせていただきたいというふうに考えておるわけでございます。申請の時期は今月下旬ないし来月上旬、なるべく準備が整い次第というふうに考えております。具体的な値上げの仕方等につきましては、まだ事務方の方で鋭意あっちから見たりこっちから見たりしていろいろな案をつくっておるところでございまして、私自身も、まだ最終的に見ておりませんので、内容については御勘弁願いたいと思います。  それから、旅客、貨物の関係につきましては、やはり旅客も貨物も余り大きな差なく、ほぼ同じくらいの水準で考えてはいかがかなというぐらいのところまでは考えております。  それから、国鉄離れの問題は、これはまあ国鉄に限りませず、運賃を改定いたしましたときには、多少ともお客さんが減ることは仕方がないのでございますが、昭和五十一年の十一月に大変大きな幅で改定をお認めいただきましたとき、それから五十三年の七月に改定させていただきましたときには、率直に申し上げまして、私どもの予測をいささか上回る乗車人員あるいは輸送トン数の減少を招いたわけでございますけれども、それは一つには経済情勢によるところも大きいわけでございます。最近、私どもの旅客、貨物いずれもやや調子を戻しつつあるところでございますので、五月までどういう経済情勢の変化があるかわかりませんが、また今回の値上げは過去二回に比べますれば、上昇率も低いということもありまして、そうびっくりするような、経営に影響するような国鉄離れを起こすという心配はないと思っております。ただ、航空機あるいは私鉄、海上運送運賃といったものとの関係でいろいろ事情が違ってまいるかと思いますので、その点はきめ細かに配慮してまいりたいと思います。
  118. 西中清

    ○西中委員 次に、タクシーの運賃についてお伺いをしたいと思います。  さきの委員会で、大臣からこのタクシー運賃の値上げについての御答弁があったわけでございますが、そのときに若干言葉の行きがかりがあったのじゃないかと思いますので、この際、一般に言われているように五月になったら上げるのかどうか、まず明快にお伺いをしたいと思います。
  119. 森山欽司

    森山国務大臣 六大都市のタクシー運賃と申しますか、六大都市とか六大都市以外とか全国で広範に一度じゃなくて、何回か分けてやっておりますが、当面の問題としまして六大都市のタクシー運賃について申し上げます。  六大都市のタクシー運賃というのは、本来は陸運局で決めるべきことなのでありますが、きわめて重要でありますから、これは経済関係閣僚会議の相談事項になっております。したがって、運輸大臣仕事にもなっておるということであります。  それで実は、この経過を申し上げますと、一月の某日、朝日をさまして新聞を読んでおりましたら、二割値上げをする、五月から実施だと書いてある。申請と小さく書いてはあるのでありますけれども、まるで半分ぐらい決まったように書いてあるので、いままでそういうタクシー料金の決め方をしているのかなと思いましたが、はたと気がついたのは、これはだれが決めるのか、やはり認可権者は運輸大臣ですからね、私が知らない間に突如としてある朝そういう新聞記事が出ましたものですから、それで非常に強く印象づけられたということが事の始まりです。  それから二、三日しましてタクシー業界のリーダーの方がお見えになられて、そういう話がございましたから、私はそのときに、二年ごとにこれをチェックすることになっておるということであるが──二年ごとと言っても、その前の前から比べると二年半ぐらいたっている。最近の二年間じやなくて、その前の二年ないし二年半を見ますと、物価でも賃金でも上がり方は、問題にならないほど最近の二年間は低いわけでございます。皆さん御承知のとおりであります。でありますから、二年たったらチェックすると言っても、今回は二年半前のように火のついたような騒ぎにはもうならない、こういうように私は確信をしておりましたし、いまもしておるわけでございます。その前はたしか一年でもなくて十カ月間ぐらい、あれは石油ショックの後であったと思いますが、これはまたすさまじい狂乱物価のときでございますから、そのときは二年なくても値上げをしたという経過もあります。だから、二年をめどにチェックするのはわかりますけれども、実際上げるか上げないかは、一年足らずのこともあれば二年半のこともある。今回二年たったということでチェックするのは結構だが、大分違うぞということでおったところへ、だあっと出してくる、新聞によれば、もういかにも決まったような記事の出方です。これは新聞の書き方が悪いと言えば言えるかもしれませんが、私は違った印象を受けたわけであります。だから、二〇%五月実施なんということはさらさら考えていないということを私は申し上げたわけであります。  元来、タクシー業界というのは慈善事業でやっているのじゃありませんから、商売でやっているのでございますから、そろばんが合わなければならないということは私はよくわかっております。しかし同時に、業者のそろばんだけでもってタクシー料金を決めていいかどうか、乗る人の立場だって考えなければいかぬだろうと思うのです。運転者の立場だって考える必要があるでしょう。法人タクシーと個人タクシーだって違うじゃないですか。いま法人タクシーはわっと出していますけれども、個人タクシーはただの一件も出していませんからね、これはいろいろな事情もあるのでしょうけれども。だから、そういう意味では、五月になったら二〇%、私から見れば、非常な大幅な値上げなどを要求してきても、そんなことは考えてないよ、まことにつれない返事をしたということです。当然のことじゃないかと思うんですね、これは。業界から言われたら、はいさようでございますかというようなことを言っているのが政治家の姿勢だと思ったら大きな間違いで、やはり見識を持ってこたえるべきものだと私は考えています。ですから、業界の新聞なんかを見ますと、私が相当つれないことを言ったものですから、余り私にいいことを書いていませんね。  しかし一方、実は先般予算委員会がございまして、同じ選挙区の社会党の政審会長の武藤君からどうするんだと言ってきた、やちないならやらないとはっきりしろと。しかし、これもまた、やらないならやらないで、まあ大臣は一年間ぐらい務めるというのが通常だが、おれの在任中全然やらないよと言い切っちゃうのも、これはもう少し調べてみなければならぬわけでございますから、そこまでは私も言っていない。しかし前回、前々回の値上げのような必要性はないわけでありますから、慎重に臨みたいというのが私の心境です。
  120. 西中清

    ○西中委員 慎重に臨みたい、非常に結構ですが、やはりようわからぬけれども五月中は考えない、そのように私は受け取るわけですが、年内ということになりますとどうでしょうかね。年内にはやる、値上げ幅についてはこれは若干考えるにしても、そういうお考えはありますか。少なくとも若干申請も出ておるし、予算委員会から日にちもたっておるわけですから、ある種の一つの方向性が出ておるのじゃないかと思うのですが、どうですか局長
  121. 梶原清

    ○梶原政府委員 先ほども大臣からお答えがございましたように、現在申請が出つつある段階でございまして、今後十分慎重に検討しなければいけないわけでございますが、タクシー事業が、先ほどもおっしゃいましたように私企業であるので、その健全な経営が維持される必要がある点に配意しつつ、物価や賃金の動向、利用者に与える影響等を総合的に勘案しまして、慎重に対処してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  122. 西中清

    ○西中委員 まあ、局長としてはその程度かと思いますけれども大臣、この前もお正月いろいろお考えになった、ですから、五月はやらぬけれども、若干ずらしてでもと、こういうお考えはあるのじゃないですか、どうですか。
  123. 森山欽司

    森山国務大臣 まあ、先ほど成田の第二期工事は適当なる時期ということで航空局長が御説明いたしましたし、慎重にということをいま自動車局長が話しましたが、大体われわれの仕事というのはその程度でいいんじゃないですか、この段階では。ひとつどうか御了解願います。
  124. 西中清

    ○西中委員 これ以上言っても同じだろうと思いますから……。  そのほか、地方の中小私鉄、バス、国内航空運賃、それからトラック運賃、この辺も燃料税の税率の大幅引き上げ、そのほか過積み規制強化、いろいろなものが関係いたしておりますが、こういったものはおいおい申請が出てくると思いますけれども、現在こういった問題についてはどういう姿勢でおるか、御答弁いただきたいと思います。
  125. 松本操

    ○松本(操)政府委員 いろいろ御指摘の中に航空運賃も入っておりましたので、まずお答えいたしますが、現在五十三年度上期の定期航空のうち、国内線に従事しております五社の収支状況を見ますと、これもすでに御案内のように順調と申してよろしいかと思います。しかし、昨年の九月には一部空港使用料の値上げもいたしました。この四月からは航空燃料税の倍額引き上げというふうなこともお願いしておるわけでございますが、いま燃料税ということをたまたまおっしゃいましたので、これを例にとって申し上げますと、燃料税が航空会社の中の経費の中に占めるパーセントは五%ばかりでございます。したがいまして、これを倍額に引き上げたといたしましても、やはりその影響度は五%足らず、こういうことでございますので、これだけで直ちに値上げしなければならぬ、こんな議論にはならないと私どもは考えております。ただ、OPECが油を上げるとかいろいろそういったこともございますので、先のことをいまから予測してとやかく申し上げるのは非常に冒険だと思いますが、少なくとも現状においては、燃料税を上げるから直ちにどうこうというふうには私どもは考えていない、このようにお答え申し上げます。
  126. 山上孝史

    山上政府委員 これは官房の方からお答えすべきかと存じますけれども、運輸事業の運賃につきましては、先生も御承知のように、能率的な経営のもとに適正な原価、適正な利潤、これを確保できるような運賃水準に維持すべきであるという考え方のもとに対処しているわけでございます。  私ども鉄道監督局の関係といたしましては、現在西鉄から運賃改定の申請が出ておりまして、これは一月の三十一日に出ておりますが、二月の十五日に運輸審議会に諮問をしたところでございます。今後、これにつきましては、冒頭申し上げましたような方針のもとに運輸審議会の答申を待ちまして適切な処理を図る所存でございます。  なお、中小私鉄につきましても一、二件申請が出ているようでございます。これにつきましても、適正利潤、適正原価ということに見合う運賃水準を維持するように処置したい、かように存じております。
  127. 梶原清

    ○梶原政府委員 バスにつきましてでございますが、タクシー運賃と同様に従来二年ローテーションという考え方によってやっておるわけでございます。これは先ほども大臣からお答えされましたように、おおむね二年ごとに改定の要否を検討するという考え方のものでございまして、バスは全国を三十五のブロックに分けましてやっておるわけでございます。ただ、最近は余りバス運賃が上がりますとバス離れということになる現象を招来する可能性もございますので、慎重に配慮してまいらなければいけない、かように考えておる次第でございます。
  128. 西中清

    ○西中委員 ついでに、トラックの過積み規制と運賃のダンピングの問題、これについてお伺いをしておきたいわけでございますが、すでにもう時間もありませんし、同僚議員からも御質問がございましたから、影響等については御質問いたしませんが、いずれにしても、その過積載の取り締まり強化、その起こってきたそもそもの原因というものは、適正運賃の正しい収受が行われない、こういうところにある。要するに力で運賃というものが決められるという現実があるわけでございますね。ですから、いろいろ取り締まりは取り締まりとしてしっかりしなければならない、これはもう当然のことでございますが、やはり運輸省としては、この運賃のダンピング防止、これについての特別というか強力な措置がなければ次から次へと問題を生んでくるということは当然のことだと思うのです。ですから、これに対してどういう手をこれから打っていこうとしているのか、この辺のはっきりしたものがなければならぬと私は思っております。  先ほどのトラック運賃の値上げの質問とあわせて考えていっても、非常に問題はあるわけですけれども、何とかこの適正な運賃の収受、これが行われるような施策をいま考えておるかどうか、その辺のところをひとつお伺いしたいと思います。
  129. 梶原清

    ○梶原政府委員 昨年の十二月から過積載の取り締まり強化が行われまして、荷主側、トラック運送事業者に対しましても相当の影響が起きておるわけでございます。運輸省におきましては、従来、トラック事業者に対しまして過積載の防止、適正運賃収受などの輸送秩序の改善につきまして強く行政指導をしてまいりました。また、トラック事業者、全国で三万二千業者ございますが、その九五%までが中小零細企業者でございまして、荷主に対して経済的な弱者といいましょうか弱い立場にあるわけでございまして、これが先ほど申します過積載とか運賃ダンピングというような現象を招来する状態になっておるわけでございますので、トラック事業者の経営基盤強化ということを、私ども施策といたしまして強力に推進してまいったところでございます。  今回の道交法改正を契機といたしまして、トラック業界は過積載の自粛をいたしておるわけでございますが、私どもとしましては、今後、荷主団体の理解と協力を得まして、過積載の防止と適正運賃収受の一層の徹底を図りますために渾身の努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  130. 西中清

    ○西中委員 もう時間もありませんから論議はいたしませんが、これはやはり何らか有効な手を打たないと、中小零細の業者にとっては非常な問題である。さらにまた、今度は高速道路料金も上がる。公害があるから高速道路に上がれなどというような指導もしておるわけでございますが、そういった面も含めてしっかりと対策を立てていただきたいと思います。  次は、航空騒音についてお伺いをしておきます。  昭和五十四年度は航空機騒音に係る環境基準の五十八年に向けてのスタートの年である、こういうことでございまして、大阪、羽田等の十五空港を対象とする第一種騒音区域内の民家防音工事の対象室数の拡大を図るようでございますけれども、まずお伺いしたいのは、この十五空港ということですが、航空機が大型化してくる、こういうためにまた空港も非常に拡張していかなければならぬ、いろいろな新しい事態が生じておるわけでございますし、今年度の予算にも数々の施策が施されておるようでございます。  そこで、第一種の騒音区域、こういうものの対象区域を見直すつもりかどうか。同時にまた、こういう事業を進めてまいりますと、その予算も非常に巨大になってくるわけでございますが、今後の財源としてどういうものを考えておるのか。  時間がありませんから一気に参ります。  それから、空港周辺整備機構、これは発足をしたわけでございますが、どうもいまのところ、余り実効が上がっていないようなことも聞いております。今日までの実績をお伺いしておきたいと思います。  それから、新東京国際空港の周辺につきましては、空港公団が全室防音工事を進めておられるようでございますが、その現状。それから一種、二種、こういった騒音区域の線引きは今年見直しをされるかどうか。さらに、一般の声としては、一種、二種には手当ての上で格差があるが、その手直しをされるかどうか。さらにはまた、皆さん方こういう工事をしてもらって、将来の心配をぼちぼち始めておられるようでございまして、防音施設の耐用年数がどれくらいあるのか、老朽化したら一体だれがこれの修繕、改修等をやるのか、その負担は公団の方でやってくれるのか、自己負担になるのかという御心配も将来の問題としてあるわけでございます。そういった問題を含めて御答弁をお願いいたしたいと思います。
  131. 松本操

    ○松本(操)政府委員 航空機騒音対策について非常に広範に御質問いただきましたので、あるいは漏れがございましたら、また御叱正いただきたいと思いますが、まず特定飛行場の十五という数字がございます。五十四年度からは名古屋空港を新たにこの中に入れたい、十六という数にいたしたいというふうに考えております。  それから、現在まで私どもがやってきておりますのは、環境庁が四十八年の暮れに出しました環境基準の最初の五年目標、これは実は昨年の十二月に終わったわけでございますが、WECPNLといううるささ指数を使って八五という線引きがこれはしてあるわけでございますが、その区域の中について民家防音工事を行う、ずっと中側の三種区域の中の方は移転補償を行う、このような措置をしてきたわけでございます。八五のところが完全に目標を達したかどうかという点については、いま評価を私どもは自分自身でしておるわけでございますが、残念ながらきれいにやってのけましたと言えるほどのところまでは実は至っていないのが実情でございます。しかし、幾つかの空港についてはかなりの高い程度に目標を達したと考えております。  そこで、次の段階としては五十八年の目標が出てまいります。五十八年の目標は実は七五WECPNLになるわけでございますが、一挙に八五から七五まで一〇W下げるということを目標に掲げましても、いささか目標が定まらないきらいがございますので、むしろ中間的な目標をはっきりさせ、全体の作業を保進させるという意味で、五十四年度早々に八〇Wというところで一応の線を引きまして、これは見直しというよりは引き直しというふうに私ども考えておるわけでございます。将来七五までおろしますと、全国的に見ました場合に約十一万世帯、これに要する経費は三千億というふうに概算されておるわけでございますが、まず、その第一歩といたしまして、五十四年度には五百六億という、いままでの民家防音工事に対応いたします予算の三・四倍を投入してその第一歩に取りかかろう、こういうことを考えておるわけでございます。  将来のその三千億の財源をどこにどう求めてくるかということにつきましては、現在第四次の空港整備五カ年計画ということで航空審議会にいろいろと御審議を願っておりますので、その審議の過程の中でお知恵を拝借しながら適切な財源問題等も詰めてまいりたい、このように考えております。  それから、整備機構の点について御指摘がございましたが、大阪と福岡に整備機構がございます。これらの整備機構のうち受託事業と申しますか、国の仕事を請け負っております民家防音工事の実施につきましては、私は、それ相応の成果を上げてきておるのではないか、このように考えておりますけれども、機構を設置いたしました真の目的であります固有事業については、残念ながら先生御指摘のように、これもまた余り胸を張るような成果が上がってきておりません。それはどこに理由があるかと申しますと、移転補償をいたしまして空港直近の家屋をどいていただく、その跡地を使いまして周辺の開発をする、あるいは緩衝緑地帯をつくるというのが固有事業になるわけでございますけれども、その部分についてなかなか移転作業が進まない。進まない理由が、目いっぱいの評価をしているつもりではございますけれども、私どもの補償価格とそこにお住まいの方がどこかに移転なさろうとする、そのときに払うべき価格との間に差が出てくるというふうな点もございます。そこで、機構としては何とか代替地を入手する、安い代替地を提供するということでせっかく苦心をしてまいりまして、予算上もいろいろ手当てをしながらコストのかからない方策ということで代替地の提供と共同住宅の提供ということに取り組んでおるわけでございまして、急に目に見えた成果が上がるかどうかについては、私も余り大きなことが言えないのでございます。しかし、その方向でせっかく努力をしていきたいと思っております。  成田につきましては、一般的には五十四年度から全室防音ということでございますが、成田はすでに五十三年度の予算の中で全室防音をしたい。三百戸を超える件数についてすでにお申し越しをいただきまして、逐一いま設計に入っております。実際の作業に入りましたのは、まだ数件と聞いておりますが、年度内には少なくとも百件を目標にこの全室防音の工事をいたしたい、このような考えでございます。  それで、御指摘のずっと先になっていろいろと改修しなければならなくなった場合にどうするのだということでございますが、防音工事の耐用年数が一体どの程度のところでどの程度の問題が具体的に起きてくるのかというふうな点については、実は私ども余り詰め切れておりません。したがって、その点について不安があるということも、あるいはそのような問題があろうかとも思いますが、いまのところ一番力を入れておりますのは、従来の防音工事というものは、どちらかといいますと規格品でやっておったわけでございますが、それを初めから一軒一軒の方の御注文を十分に承って、その方の家族生活、家庭生活にマッチした形で防音工事をするということを心がけていきたい、こう思っておりますので、まず当面の御不満は解消していく、先の問題については、また皆さん方と十分に御相談をしながら方策を見つけていきたい、このように考えております。
  132. 西中清

    ○西中委員 終わります。
  133. 佐藤守良

    ○佐藤(守)委員長代理 山本悌二郎君。
  134. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 大臣の御説明を賜って、なかなか多岐にわたる陸海空の運輸行政でありますので、大変なことだと思います。  そこで私は、個々の問題を少し端的に御質問をして御答弁をいただきたいと思っておるのですけれども、その前に、初めてでもありますし、大臣にちょっとちまたの声というものをお聞かせして、大臣のお考えあるいは決意みたいなものをお伺いしたいと思うのであります。  私は、いままで地方行政の委員でございましたけれども、今度運輸に回ったのであります。そうしますと、ちまたの人が運輸族か、こう言うのであります。族になったのであります。どうして言葉がそんなことになっておるのか、これは私もよくわかりませんけれども、ここに問題が幾つかあります。その一つは、いわば戦後の大汚職、大疑獄というものが、運輸にかかわるものがほとんどであります。造船疑獄から始まりまして、LP、日通、ロッキード、ダグラス、ほとんど運輸にかかわらぬものはないですね。それは省がどこになろうと、ともかく陸海空のどれかにかかわっておる。だから、運輸族というものは、何か相当の利益を求めておるのではないかというようなことを考えておられるのかと、そういう発言をよく受けます。大臣はそんなことをお聞きになったことはございませんか。また、ロッキードのときには、かつての運輸大臣もひっかかっておるような状態であります。  そういう意味で、森山大臣はそんなことは絶対ないと思いますけれども、私は、これは質問などしようとは思わなかったけれども、先ほどのガルフストリームのグラマン社との問題も決しておかしいと思いません、おかしいとは思いませんけれども、そういうことがあってはいけない。しかしまた同時に、いろいろな機材を購入する、先ほども手数料なのかあるいはまたコミッションなのか、いろいろ問題があったようでありますけれども、そういうことで大臣の姿勢と考えをまずお聞きいたしておきたいと思うのであります。
  135. 森山欽司

    森山国務大臣 私は、先ほど申し上げましたように、運輸行政というのにいままで余り首を突っ込んだことはありません。また、運輸省がいまの場所にあるということも定かではなかった。多分、国鉄と一緒に東京駅の前ぐらいにあるのだろうと実は思っておったのでございまして、したがって、運輸族というような名称があるかどうか、それも存じません。しかし、専門的な知識というものを、政治家が平素から十分練摩しておくということは必要だと私は思っておりますから、もしそういうことがありとすれば、それはそういう専門的知識の練摩の象徴としてそういうことがあってしかるべし、しかし、余り深入りし過ぎて、とかくのことを言われるのもまた問題がありましょう。したがって、物を知らぬということもまたメリットにもなるのではないか、私はそういうふうに思っております。  特に、私自身が運輸行政にそんなに深い造詣を持ち、経験を持ってこの問題に対処しているわけではございませんから、あなた同様、大臣席に座ったからといって、格別のことをお話しすることにはならぬと思っております。ただ常識でやっていく、そのことが一番大事じゃないか。  そういう意味から運輸行政を見ますと、何と言っても陸海空にわたって非常に広範でありまして、仕事の性質上、国民生活国民経済活動に非常に深い関係がある仕事で、そしてそれは許可認可というのがたくさんあるのでございます。     〔佐藤(守)委員長代理退席、委員長着席〕 許可認可ということをやるのは、みんな業界の方々を相手にしてやり合っていくわけでありますから、それでその決着をつけるのでなかなか大変なのじゃないでしょうか。それだけで精いっぱいというふうに、ほっておくとなりがちでありますから、そこにはやはり政治的良識を持って問題の処理をしていかなければならないのではないか。業界の仕事はやはり商売でやっておるわけでありますから、商売が成り立たなければ困るわけですから、そういうことは十分考えなければならぬと思いますが、それだけではいけないのではないか。やはり行政の基本は、国民のため、国の経済活動のためという角度からそういう問題を考えていく必要があるのではないか。私はそういう意味で、国の立場、国民の立場を重視した行政をやっていく必要がある、そういうふうに素人考えながら考えておるわけであります。
  136. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 まあ清く正しく明るく、しかも潔癖にやっていこうという大臣の姿勢を伺いまして、安心しておつき合いをできるのではないかという気がいたしますが、よろしくひとつやっていっていただきたいと思います。しかも、先ほども申し上げましたように、運輸に関する問題というのは、常に国を揺るがすほどの大きな問題になるものですから、十分ひとつ心がけていただきたいと思うのであります。  そこで、多岐にわたりますけれども、時間が制約されておりますから、何点かにわたってお尋ねをいたしたいと思います。  まず第一に、国鉄再建問題であります。きょうは総裁もおいでになっておりますので、平たいことをちょっとお聞かせいただきたいと思うのであります。  「国鉄再建基本方針」というのは、「まず責任ある経営体制の確立であり、二番目が労使関係の正常化であり、三番目が利用者、国民の理解と協力であります。」、こういうことになっておりますね。そこで、こういう基本的な方針のもとに今度のローカル線対策についての答申が出ているわけでありますが、その中で、国鉄自身の徹底した経営努力、これもやっておられる。適時適切な運賃の改定、まあ運賃を上げたから必ずしもいいというわけではございませんが、まあいいでしょう。三番目の国の財政上の支援、これもまた当然のことだと思うのですが、こういうことで一生懸命努力して、約九千キロにわたって何とか処置をしていきたいということであります。  そこで、これもこれから物が実際に出てきたときに大変な議論になるところだと思いますけれども、その前に、心配をしている方もたくさんおりますので、ちょっとお聞きを申し上げるのですけれども、たとえばまず住民の反発はないのか。片一方で赤字路線を廃止しながら、片一方で赤字路線をつくっているではないか、これに対してどう答えていくのかというのが第一点。  それから第二点は、地方自治体の負担はどんなふうにしておるのか。そうでなくても三千三百有余の地方自治体は赤字を抱えて大変であります。超過負担でさえやめろやめろと言っているぐらいでありますから、これをどうするのか。  第三番目は、労働組合です。もうすでに国労は、こことこことここは撤廃されるだろうということで、ちゃんと反対というか、おかしいというものを出しておる。五十一年度の決算書に公表された全国の各線区のこの表から見ていっても、約八十線区くらいローカル線の範囲があるのではないかとわれわれは思っておるのですけれども、そこに働くいわゆる組合員は、首を切られるのじゃないだろうかとみんな心配するわけであります。しかも、一挙にやれば必ずこれはもうストライキをするであろう。そうでなくても赤字で困っているのに、一回ストライキをするたびに二百億も三百億も損をしてばかばかしい、こういうことはどういうことなんだろう。  この三つのことを含めて、私は、ひとつ納得いくまでお話をまず聞かしていただきたいと思うのであります。これは国民の切なる声であります。
  137. 山上孝史

    山上政府委員 ただいま御指摘国鉄地方交通線問題につきましては、もう先生も御承知のとおり、五十一年秋以降、運輸政策審議会国鉄地方交通線問題小委員会、ここでいろいろ御審議を願いまして、去る一月二十四日に最終報告運輸大臣あてに出していただいたわけであります。  この中身については、もう御承知のとおりでありますが、これにつきましては、目下、その報告書の趣旨に沿いまして、具体的対策につきまして検討中でございます。  まず、最初に御指摘の、片や赤字の路線の建設を同時にすることについての国民的感情についての御指摘でございますが、これにつきましても、報告書の中で「現在国鉄が営業中のいわゆる赤字ローカル線に対する取り扱いに準じて措置すべきである」というのが報告書の中身でございます。したがいまして、この問題につきましても、たとえば現在建設中のAB線につきましても、この報告書の趣旨に沿ってどうするか目下検討中でございます。  それから、その次に御指摘地方公共団体の赤字負担の問題でありますが、これにつきましても、この報告書の趣旨に沿って目下検討中でございますが、その過程におきまして、自治省初め関係各省とよく相談をして具体的な結論を出したい、こう考えておりますが、なお、現在御審議をいただいております五十四年度の予算案の中に、国鉄に対する助成金六千百億強の金額が計上されておりますが、その中に一千億円、この地方交通線に対する助成が計上されておりまして、その中に、たとえば転換補助金という金額がありますので、たとえば、このようなものを積極的に活用する等の知恵を出していったらどうかということも一つの考え方にあるわけでございます。  それから、最後に御指摘の労働組合との関係でございますが、これは後ほど国鉄総裁からお答えがあるかと思いますが、これも報告書の趣旨に沿った検討の結果によって国鉄の内部において適当な処理をお願いしたい、かように考えております。
  138. 高木文雄

    高木説明員 ローカル線の問題に取り組みましてからもう十年以上経過しておりますが、どうもはかばかしい成果が上がっていないということでございます。その間におきましても、組合側からは絶えず反対の具体的行動がとられておるわけでございます。しかしながら、今度運輸政策審議会から御答申をいただきましたものによって今後行われるであろう進め方というものを予測してみますと、従来とは全く趣を異にして、皆さんの御協力を得て、また財政援助等についても従来とは異なった形で相当積極的に政府で取り組んでいただけると思っておりますので、いままでとは大いに事情が違うということをまず頭に置いていかなければならないと思います。もしやそのことによって直ちに職場を失う人が大ぜい出てくる、国鉄をやめなければならない人が大ぜい出てくるというような事情でございますと、これはなかなか容易ならぬことになってくるかもしれませんが、現在、たまたま国鉄全体といたしましては大変老齢化をいたしておりまして、毎年相当数の退職者が全体としては出ておるわけで、それを補うためにまた新規採用の人を相当採用いたしておるわけでございますので、今後ローカル線の整理といいますか、廃止といいますか、そういうことが行われるといたしましても、それによって影響を受ける職員の数はそう多くはございませんし、仮にあるといたしましても、いまの全体の職員構成との関係で、配置転換等は伴う場合がありましょうけれども、職を失うということはまずあり得ないわけでございますので、その辺の事情も前提といたしまするならば、現在の段階ではもちろん反対という旗印を掲げておりますけれども、私どもも、よくその事情を職員諸君に納得をしてもらって取り進めることができるに違いないと確信をいたしております。  ただ、いずれにいたしましても、まだ御答申をいただいただけでございまして、現在政府において具体案を立てておられるところでございますから、具体的にどこの線についてどういうふうにするかということはまだ何も具体化していないわけでございますので、住民の方々に対しましても、また、私どもの内部の職員に対しましても篤と時間をかけて話し合いをしながら事を進めていくならば、いままでうまくいきませんでしたからといってこれからもうまくいかないということではないというふうに考えております。
  139. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 総裁は自信を持っておられるようでございますが、しかし安心はできません。この対策国鉄赤字が一千億ぐらい減るだろう、人員は一万五千から二万ぐらいは整理できるだろう、整理できなくても、年をとってどうせやめていくのだから、停年でその分だけ減るだろうというような調子だろうと思うのでありますけれども、そんな調子で解決するようなことではないと思います。しかし、これもまだこれからの議論の途上であると思いますので、追い詰めた話はしないでおきたいと思います。  そこで、一つだけ大臣にお伺いしておきますけれども、これだけ大きなことをしようとしますと、国鉄自身だけではできないのじゃないか、もっと運輸省が大所高所からめんどうを見てやらなければいけないのじゃないか、こう思いますが、いかがでございますか。
  140. 森山欽司

    森山国務大臣 この国鉄地方ローカル線の処理については、長年研究の結果の今回の答申であります。できるならば、そのとおりですというのですぐにでもそのまま採用したい、こういうように思ったのでありますけれども、中身をよく考えてみますと、これは総論賛成各論何とやらということがもうはっきり目に見えておりますし、それから組合なども、今日の国鉄経営状況から言えば、こういう問題に真剣に取り組まなければならぬということであれば、もっと違った言い方があると思っておりましても、ああいうふうに、少なくとも第三者的に見ると、一部に頭から余り賛成じゃないようなことをはっきり言うグループもありますしね、しかし、先ほど国鉄総裁は、真剣にこの問題に取り組んでおられるので、私は、やはりこの問題は運輸省だけではなくて、政府全体としてこの問題に真剣に応援する体制をつくらなければ、答申は出たけれども実行するのがなかなかむずかしいというようなことになっては大変だと思います。ですから、あの答申が出ましたときに、事務方の方から、答申を尊重しという文書が出てきたわけです。大体、答申が出れば尊重するというようなことになっておるが、私は、答申を尊重しということを明言することをあえて避けた。答申の線に沿って検討していきましょうという現段階にとどめてあるわけであります。そしてやはりこれを本当に進めようと思ったら、何と言っても国鉄が第一であります。国鉄理事者がしっかり考えてもらう、政府が応援をする、御説のとおりでありまして、そういう体制を着々とつくってまいりたい、こう思っております。
  141. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 大臣、大変な決意であられますので結構だと思いますが、これはなかなか大きな問題になると思いますよ。十年かかってもできなかった、ところが、あの答申でまいりますと、五月までには地方協議会を設置して、大体一年ぐらいで何とか国鉄から分離するものはするし、対象をちゃんとはっきりさせるとか、あるいは三年間程度でローカル線対策を全部終えてしまうのだとかいろいろあるんですね。大変な事業なんですね。五月までに地方協議会をつくるなんて言ったって、いま二月が間もなく終わりじゃありませんか。なかなか大変なことだと思うのです。ですから、その時点でまた御議論をさせていただきます。  当初に質問がありましたように、総論賛成各論反対で結局うやむや、組合も反対するし住民もだめだし、やってみたけれどやめとくかというようなことなら、初めからやらなければいいではないかというふうに私どもは思います。しかし、やらないでおいたのでは、この「基本方針」に背くし、国鉄そのものは赤字でどうにもならない。忠ならんと欲すれば孝ならず、孝ならんと欲すれば忠ならずで困るという結果になるだろう、こう思います。ですから、腹を据えて大臣総裁にやっていただきたいことを申し上げておきます。  今度は海へまいります。  計画造船の利子補給の復活というのがあります。五十年度でしばらくさたやみになっておりまして、ことしからまた復活をするということになりました。計画造船で何とか息を吹き返していこうということだと思います。ところが、これには運輸省の方は条件をつけております。船員費用の合理化中心とする国際競争力の改善計画の提出を義務づけておきたい、こういうことであります。そうすると、造船の利子補給をして大いにやらせようというふうにしておきながら、片っ方では逆に船員の費用の合理化を進めなければならないのではないか、進めろと言うのでしょう。  まず、ここからお聞きしたいと思うのですが、片一方ではあめをくれて船をつくらせる、片一方では船員の首を切っていこうということでは、実は納得できないのであります。  まず、海の問題からお伺いを申し上げます。
  142. 真島健

    ○真島政府委員 先生のおっしゃるのは、片側であめをくれて、片側では合理化を迫るということはおかしいじゃないかという御趣旨かと思いますが、わが国の外航海運は、現在非常な不況の中にございまして、私ども海運造船合理化審議会でも、今後の長期の展望に立った日本海運のあり方について御諮問を申し上げまして、小委員会報告が出ております。その中でやはり一番問題になるのは、日本船の国際競争力が低下をしてきておる、この事実であるという指摘がございます。しかも、その一番主要な問題として船員費の諸外国に比べての非常な高さということが指摘をされておりまして、この問題を労使双方が真剣な討議をしながらどうすべきかということを詰めていけ、こういう報告でございます。今度の利子補給の問題も、そういうような労使の真剣な話し合い、これがある程度前提となって、海運労使のすっきりした結論が出るということを待ってからやるべきだったのかもしれません。  しかし、現実の問題といたしましては、外航海運の日本船の外国用船との比率、これは御承知のように五、六年前に比べますと、外国用船が二五%程度でございましたのが、すでに日本船と同じくらいの比率にまで高まってまいっております。日本船が少なくなる。恐らくこのままに放置しておきますと、ますます外国用船、よく言われます仕組船という形での外国用船がふえてまいります。外国用船あるいは仕組船というものは、原則として日本人船員は乗らないわけでございます。外国人船員が乗る、そういたしますと、日本船員の職場はますます減る一方である、こういう事情がございます。したがいまして、私どもは、利子補給という制度の復活によりまして、とにかく政府としても日本船の確保を図らなければならない、しかし、図るにいたしましても、これはやはり国際競争力のある日本船でなければならないわけでございますので、そこである程度思い切った利子補給をするとともに、その利子補給を受けてつくられる船については、国際競争力がある、つまり相当高度に合理化された船舶でなければならない、こういう考え方で今度の予算を組んでおるわけでございます。私ども合理化について利子補給を受ける各船社について資本費、船員費両方の面にわたって今後どういう計画でいくのか、真剣に合理化計画を立ててもらいたいというのは、その辺にあるわけでございます。
  143. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 船員局長にもお尋ねしたいと思いますけれども、いま海運局長からの話で理解はしますけれども運輸省の船員局の中であるいは海運局の中で船乗りの問題をいろいろ議論をする、いわゆる雇用の問題を議論するというのは、私は、ある意味では筋違いではないだろうかというような気がするので、そういうことはむしろ労働省──森山大臣は労働大臣としてなかなからつ腕家であったのですけれども、労働省ともよく連絡をして話し合っていただかなければいけないのじゃないかということなんです。  確かにいま話があったように、仕組船は安いし、それからまた外国船員も安い金で雇えるから日本人の船員は乗れない、ですから、これをふやせば日本の船は減るに決まっているわけですね。これは当然です。ですから、それに対して何とか船をふやしていく方法のために利子補給ということを考えるのもいいですよ、当然あたりまえのことなんですけれども、だからと言って、それだけの分のこの船乗りの、船員のあり方というものを制限していく、あるいは雇用問題についていろいろ問題を提起していくということは、ちょっと筋違いではないかと思うのですが、船員局長はどう思いますか。
  144. 向井清

    ○向井政府委員 お答え申し上げます。  船員問題全般について御意見があったのでございますが、船員の問題というのは、やはり非常に特殊な問題を含んでおりまして、一例を挙げますと、国際機関でございますILOにおきましても、海事総会というのが別機関になっている、また諸外国、ことに先進国におきましては、海事関係の機関の中に船員関係の機関というものが独立してあるという例も多いわけでございまして、やはり船舶航行の安全を図るという非常に大きな前提、これは労働の安全の前提になるわけでございます。そういう問題でありますとか、また、いま出てきております船員雇用の問題につきましても、広く国際的視野に立ちましてこれを考えていかなければならぬ、単に国内的な労働政策というような問題を超えました大きな問題があるわけでございまして、この辺のところを総括いたしまして、船員の問題を総合的に、しかも、一つの業種をとらえたきめ細かい配慮というものがどうしても必要であろうかと思います。  聞くところによりますと、労働政策におきましても、最近におきましては、やはり業種別にその実態をよくとらえて、きめ細かい対策を立てなければ雇用政策の実効は上がらないというような御配慮もあるやに聞いておりますので、そういう面につきましては、私ども運輸省の中におきまして船員行政を担当いたしている者としまして、海運行政とよく連携をとりまして実効を上げてまいりたい、このように考えておるわけでございまして、今回の海運の新しい合理化政策に伴います雇用問題につきましても、大筋といたしましては、やはり海運についての国際競争力の維持ということが重要でございまして、それによりましてこそ初めて船員雇用の長期安定ということができるわけでございます。ここが大きな眼目になるわけでございまして、そのためにはまず労使の努力ということ、大臣も再々申されておりますが、労使の自主的努力というものを具体的に進めることが大いに期待される、それが肝心であるということでございます。  長期的に見ますと、そういうようなことで船員の長期的な雇用の安定が図れるという一つの筋に乗っていることは明らかであろうと思います。しかしながら、また短期的あるいはきめ細かく見てまいりますと、このような政策から生じてまいります余剰船員問題というものもあることは確かでございますので、この辺も労使の理解と協力を得つつ対策の樹立を図ってまいりたい。船員行政といたしましても、従来から厳しい雇用情勢に対応いたしまして、離職船員の生活の安定を図るとともに、職域の拡大、確保、そのための必要な再訓練、教育あるいは資格の取得ということにつきましていろいろな施策を進めておりますが、先ほどから申し上げておりますように、船員独自の問題を踏まえまして総合的かつ具体的に検討を進め、きめ細かい対策を講じてまいりたい、それによって対処いたしてまいりたい、このように考えている次第でございます。
  145. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 一応了解をいたしますが、先ほども申し上げましたように、十分組合とも話をしていただきたいと思います。  それから、もう一つ海の方でありますけれども、二百海里の問題というのが大変大きな問題になっております。これは雇用の問題にも直接影響するのでありますけれども、昨年だけでも千二百隻近く減船をしております。一万五千人離職をしているのです。ところが、この漁船員さんの再就職というのは絶望に近い状態であります。  まず、そこからお尋ねしますが、どんなふうにされておりますか。どんな指導をしてきましたか。
  146. 向井清

    ○向井政府委員 お答え申し上げます。  いま先生おっしゃいました二百海里問題に伴います漁業離職者の問題、これは量的に見ましても確かに非常に大きな問題になっておりまして、漁船乗組員、これは船員の中に入るわけでございまして、これをどういうふうに生活の安定を図り、先生のおっしゃる再就職の道をつけていくかということが非常に困難かつ重要な問題なのでございますが、御承知のように現在、国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法、俗に漁臨法と申しておりますが、これに基づきまして生活の安定を図るための特別措置、給付金の支給等でございますが、これを講じているということが一つございます。これはかなり大きな予算額になっておりまして、五十四年度予算案におきましては、この漁臨関係で約二十八億程度の計上がなされておるということでございます。しかし、これだけでは十分でない、やはり前向きに再就職の促進を図っていかなければならぬということは御指摘のとおりでございます。  そこで、実情を見ますと、離職者の希望といたしましては、当初の予想以上に海上職場への就職を非常に熱望しておるというのが実情でございます。ちなみにちょっと数字を申し上げますと、昨年この法律が発足いたしまして以来、十一月末までに約三千六百人の方々が再就職しております。これは臨時雇用のかっこうが大部分でございますが、やはり海上の漁船関係の就職ということになっておるわけでございます。そのような実情が一つある。したがいまして、私どもといたしましては、海上職場の拡大という点につきましては、水産庁と十分連絡をとらなければいかぬということでございまして、水産庁におかれましても、沿岸漁場の整備開発、それから栽培漁業の推進というようなことに努力されておりますので、その辺の実情も十分把握し、連絡をとり合う。それから、さらに直接的な再就職先の開拓という点につきましては、今回の予算案にも盛り込んでございますが、水産庁サイドとの十分な連携をとりまして、全国的規模での広域職業紹介業務というものに力を入れていくという体制を整えることにいたしておりますので、これからの問題ではございますが、先生御指摘のような具体的な問題につきまして、きめ細かく再就職への道をそれぞれ開いていきたい、このように考えている次第でございます。
  147. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 もうそのことはよくわかっております。ですが、ここに一つの問題があります。それはどういうことかと申し上げますと、いま局長からお話がありましたように、十一月現在で三千六百人就職しているけれども、それは漁船関係だ、こういうのですが、ところが、かっぱがおかに上がったようなもので、船に乗っている人がおかに上がってもおかの仕事がなかなかできない。どうしても自分が長いことやっていた仕事につきたい、こうなるのです。  昨年の春でありますけれども、私の地元で起きた問題の一つの例を申し上げます。恐らくこれからも大きな問題になってくると思います。どこかで必ず出る問題だと思いますので申し上げておくのです。それはどういうことかと申し上げますと、局長もよく御存じだと思いますけれども、地元を離れて北海道、二百海里で働いておった人たちが、家は地元にある、新潟県にある、そこでまた戻ってきた。そうすると新潟県では、漁業組合なりそういう関係ですが、漁業権を与えてくれない。さあ仕事がない。おかに上がったってとても仕事にならないから海へ出たい、小舟一そうでもいいから海に出たい、漁業権は与えられない、あるいはまた入漁料も全然問題にされない、そうなると全く困った問題で、一騒動が起きそうになったのであります。  幸い私のところの地域の問題は解決しました。解決しましたけれども、この問題は、先ほど申し上げましたように、一万五千人も二万人も出るであろう、しかもそれは、いま現在は北方のソ連圏におけるいわば二百海里問題から締め出されてきている人たちだが、しかし、この後はパプア・ニューギニアやあるいは豪州、そういうところからまだまだこの問題が出てくる可能性がある。そこで、とてもさばき切れるものではないが、もし籍を置いたまま出ておられる者が戻ってきて、そしてこの漁業権を主張したときにどうしてやるのか、そういうことをお考えになったことがあるかどうか、ちょっとお聞きしてみたいと思うのです。これは非常に重要な問題なんですよ。
  148. 向井清

    ○向井政府委員 お答えいたします。  いま非常に具体的な事例についての御指摘があったわけでございますが、先ほども申し上げましたように、漁臨法が実施されましてからまだそう日がたってないわけでございまして、その間における離職者の動向、それから水産庁との連携体制、その予算措置というようなものが漸次明らかになり、かつその整備をされてきたわけでございます。いま非常に具体的な御指摘を受けましたそういう問題につきましても、早急にそれぞれきめ細かく検討いたしまして、対策をどうするか、ことにその県との関係もございましょうから、それぞれ具体的に考えさせていただきたい、このように考えております。
  149. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 そういうふうにして、県との間で話をされていかれた方がいいと思います。相当多くの方がこの漁業に携わっておるわけですから、非常に重要な問題になってくると思います。  それでは、もう一つ船の問題でちょっとお尋ねを申し上げますが、LNG船ですね、LNG、ガスであります。  そこで、これは導入することになっておりますし、まず大臣にちょっとお尋ねしますが、これは外務大臣に聞けば一番いいのでしょうけれども、イランからLNGを買うことになっております。まあ、なっておりますと言ったって、いまイランがあんな状況でありますので、まず、イランの状況についてどんなふうに考えておられるか、運輸大臣としての見通しをちょっとお聞かせ願いたいと思うのであります。
  150. 森山欽司

    森山国務大臣 液化天然ガスの輸入ということでLNG船の建造が問題になっている、これはイラン関係のプロジェクトに関係しておるわけであります。イランの政情というのは、そんなに簡単に片づくようなものではないとかねがね思っておりましたが、どうも最近の様相を見ると、簡単に考えないで臨んだ方がいい、こういうふうに考えておるわけでありますから、イラン関係のプロジェクトに関連して現在五隻の建造を検討しているけれども、このプロジェクトについては、イランの政情不安ということでありますから、おくれることは必至だ、こういうふうに考えるわけです。しかし、仮に大幅なおくれが生じた場合であっても、日本船によるLNG輸送の機運が高まっておりますから、現在検討されている幾つかのLNG輸入のプロジェクトにおいて日本船が活用されることはまた可能ではないかというふうな見方でございます。
  151. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 そういう見方なんでしょう、しかし、イランという国際状況の中でいま非常に厳しい状況を迎えておりますが、これはイランばかりではないのですね。ここで議論をすることではないかもわかりませんけれども、中近東の状況というのは必ずしも安定をしているとは見られないのであります。いずれどこかで大議論をしたいと思いますけれども……。そこで、そういう状況運輸大臣はお聞きになっておりますか、情報をお集めになっておりますか、まず、そこをお尋ねしたいと思います。
  152. 森山欽司

    森山国務大臣 当面LNG船五隻というのは、イランからのLNGの輸送ということで考え、また、それを新潟の港に入れるということで手配をしというのがいままでの状況でした。しかし、これはそう簡単にいかないというめどになってまいりましたから、じゃ、さて次はどうするかということについては、私としては、まだ確固たる先の見通しを持っているわけではございません。現段階はこの激動する情勢を注視している、そういう状況でございます。
  153. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 それしか方法はないと思いますが、そこで港湾局長さん、おいででございますので、この建設についてはどんなふうに御準備をされておるか、ちょっとお尋ねを申し上げたいと思います。
  154. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 お答えいたします。  イランの情勢につきましては、いま大臣が申しましたとおりでございまして、当面見守っていくという以外に方法はないと思いますが、現在までの状況では、日本海LNG株式会社というものが昨年の八月に設立されておりまして、この予定では昭和五十七年の九月からイランから石油を入れたいというような考えを持ってきたところでございます。  港湾関係につきましては、これに伴いまして荷揚げのための施設及び船を入れるための泊地というようなものが当然確保されなければいけないわけでございますが、そういうような面につきましては、新潟の東港全体の問題でございますので、港湾管理者である新潟県が、特に安全面を中心といたしましてただいま検討しているところでございます。その検討が済みました段階で、県が港湾計画を立て、それを運輸大臣に提出するというようなことになるわけでございます。  それから、ちょっと別のことでございますけれども、LNGも含めまして東港全体の問題といたしまして、ただいま西防波堤という防波堤を延ばしているところでございます。これはこのプロジェクトにかかわらず新潟東港のために非常に必要な施設でございますので、現在の五カ年計画に沿いまして逐次整備を進めていきたいと考えておるところでございます。
  155. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 固執はいたしませんけれども、実はLNG船はつくったわ、イランはだめだ、イランがだめだったらどこから買うつもりですか。船五隻つくって、それでやめておくわけですか。これは大変な金ですよ。私がお聞きしたいのはそういうことなんです。船はつくる、もしイランは売ってくれないということになったら──これは通産省かもわかりません。ですから、わからなければわからないで結構ですけれども、いわばLNG船の建造と港湾整備計画とエネルギー政策というものの整合性があるのかないのか、ここのところをきちっとお聞かせ願いたいと思うのです。改めてまた問題があればいずれお聞きしますけれども……。
  156. 真島健

    ○真島政府委員 先ほど大臣から御答弁いたしましたLNG船の五隻の計画、これはイランの関係のプロジェクトに必要な五隻ということでございますけれども、当然のことでございますが、現在のような状況の中では、五隻つくりたいという希望はございますけれども、これを具体的に設計して注文するという段階には当然至っておりません。私ども計画でも、五十四年度の終わりにそういう計画が出てくれば、これは利子補給対象船として考えてもいいのじゃないかという程度の入れ方をいたしております。したがいまして、これからすぐ五隻ができてくるという状況ではございません。
  157. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 もっともだと思います。ですから、十分に把握をしてやっていただきたいと思います。私は、会社の名前など特別挙げたわけではございません。局長がよく御存じで挙げたのですからあれですけれども、五隻船をつくって仮にガスが入らないとすると──このガスの供給というのは、いわば電力のもとになるわけですよね。油のかわりに使うわけでしょう。ですから、イランから仮にガスが入ってこないということになったら、それじゃインドネシアから買うのかどうか、そういうことも含めてお考えいただきたい。これはガスそのものは通産省の問題でありますけれども、運ぶ方、つくる方は運輸省でありますから、ガスは全然どこからも買わないわ、船はつくったわなんということでは全く意味ないことだし、また大いに持ってきてもらわなければ、買っていただかなければ困ることなんでございますので、ひとつ十分考慮していただきたいと思います。  最後に、先ほど西中さんが御質問しましたから、私はもうこれでやめておきますけれども、タクシーの運賃。本当に大臣もびっくりしているようですけれども、実際びっくりするような記事が出ているので、先ほどから話になっておりますが、何か三百三十円のところが三百八十円、三百九十円、四百円と上がるのではないか、すでに申請されているのは百二十二社有余に及んでいるのではないかというんですね。  大臣は、一月二十六日の閣議で当分の間は上げないということですが、当分の間というのはいつでありますか、お聞かせください。
  158. 森山欽司

    森山国務大臣 私が申し上げたのは、二割の値上げ案を五月から実施するというようなことは私は考えてないということを申し上げたのであって、あといつにするかというようなことについては、先ほど自動車局長が話しましたようないろいろなことを考えて適当なる時期にこの問題を検討しなければいかぬ、こう思っております。そうかといって、ことしじゅうやらぬぞとか今年度じゅうやらぬぞとか、そういうことまで言うべき問題でもないというふうに考えておりますから、その点はひとつ、先ほど申しましたような線で慎重に取り扱ってまいりますから、お任せを願いたい、こう思います。
  159. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 運輸大臣はおやめになるとき、料金の値上げをして必ずおやめになる、これが常例になっておるんですね。前回の大臣もおやめのときには、私鉄運賃の値上げをちゃんと許可してやめておられる。そんなことのないように、上げるのなら堂々と上げたらいいし、上げないのなら上げないということでちゃんと出したらいいし、何か後でおれは知らぬわ、勝手に上がったのだみたいな話はやめていただきたいということを御要望しておきます。  最後に、もう一遍国鉄に戻りますけれども総裁に、上越新幹線見通しをちょっと聞かしていただいて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  160. 高木文雄

    高木説明員 以前から五十五年度には何とか工事を完成しますということをお約束いたしておるわけでございまして、いまもその気持ちは変わっておりません。  ただ、大宮と赤羽の間の用地問題が残っておるわけでございまして、昨年の春以来必死にお願いをしておるところでございますけれども、なかなか反対方々の態度といいますか姿勢が揺るがないということで、いまもっていつあの地区において着工できるという見通しが立っていないわけございます。ことしに入りましてからも鋭意いろいろな角度からお願いをいたしておるところでございますし、一部には御賛成の方、やむなしといいますか、そういう方も出ているやに承っておりますけれども、まだまだ大勢としてはなかなか御同意いただけないということで弱っているわけでございます。ことしの夏ぐらいまでに見当がつきませんと目的が達せられないわけでございまして、その辺までに、春から夏にかけて何とか解決に持っていきたいというふうに考えております。
  161. 山本悌二郎

    ○山本(悌)委員 総裁は、弱った話ばかりで大変お気の毒だと思うのです。国鉄再建についても弱っておるし、この新幹線についても弱っておるし、弱った総裁さんだと思って同情申し上げます。しかし、上野駅の地下駅の工事を見ましても、あるいはまた埼玉県、いわゆる大宮以南の問題を見ましても、五十五年というともう来年でしょう、ことし五十四年でございますから、できるのですか、私は、非常に疑問に思います。できることを期待申し上げて、また別の機会に御質問を申し上げ、促進方をお願いして、私の質問を終わりたいと思います。
  162. 箕輪登

    箕輪委員長 これにて山本悌二郎君の質疑は終了いたしました。  小林政子君。
  163. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は、最初に運輸大臣基本姿勢についてお伺いをいたしたいと思います。  今日の運輸行政の使命というのは、大臣表明をされておりますように「やはり陸上交通、そして空の交通、また海上交通全般にわたっての安全性と、そしてまた輸送のサービスを行うということ、これに行政が非常な対応を求められている」、このように述べられておりますけれども、私は、まず最初に、その中でも空の問題、航空機の購入をめぐるこの問題についてお伺いをいたしたいと思います。  御承知のとおり、ロッキード事件に続いてグラマン、ダグラス社の軍用機、民間機及びガルフストリームあるいはまた政府が出資をいたしております日本航空、アメリカの航空機メーカーから直接購入したり、あるいはまた契約をいたしておりまして、商社の介入する余地がないと言われておりましたこの日本航空に至るまで、数々の疑惑が現在出されております。国民はその解明を待ち望んでおりますけれども運輸大臣は、この問題について、所信表明ではお触れになりませんでした。私は、運輸行政の中での大事な飛行機をめぐる問題でもございますので、この問題について、こういった事態をどのように認識され、そしてまた、その疑惑の解明という問題に対してどのような対策をおとりになろうとしているのか、その方針について、まず大臣の基本的な姿勢をお伺いいたしたいと思います。
  164. 森山欽司

    森山国務大臣 さきにロッキード問題があり、いまグラマンの問題が論議されておる現状は、まことに遺憾にたえないわけであります。  運輸省の立場から申しますと、運輸省は民間航空機を所掌いたしておりまして、防衛関係の飛行機は、これは防衛庁の方の仕事でありますから、これはいまは別にいたしますが、この民間における飛行機の選択というのは、それぞれの航空会社の商売そのものでありますから、いい飛行機を採用すれば、その会社の商売は大いに伸びます、それからまた、適当ならざる機種を選べば、その会社の業績は下がるわけでありますから、したがって、航空事業あるいは航空の商売というものに関係したことについては、運輸省は関与しないという大原則をもって終始臨んでおるわけであります。  ただ、直接軍用でない飛行機を、運輸省は、航空局関係、たとえば先ほどの高高度の飛行試験のためのガルフストリーム機あるいは海上保安庁におけるヘリコプターとかビーチクラフトとか、そういう飛行機の購入問題、これは運輸省がそれぞれの必要性に応じて慎重に検討して決めておるわけでありまして、その問題につきましては、先ほど来申し上げましたとおり、これらの問題について、その真相を、これは私、運輸省に関係したことについていままでおかしなことが、先ほど申し上げましたように、ないというふうに思っておりますけれども、しかし、今回のグラマンの軍用機の問題と並んでガルフストリーム機についても一緒に事件が起きたようなかっこうになっている、あるいはSECの報告に一緒に出ているというようなことで、何かおかしなことがあったのではないかというふうに見られることは残念なことでありますから、私が先頭に立ちまして、このガルフストリームの問題については真相を究明し、また、航空機取引の実態を調査いたしたわけであります。  そういう結果、先ほど申し上げましたように、一つの商慣習として、購買者である国の方から手数料を収受し、他方、航空機製造会社の代理店契約に基づいて代理店業務の代償としてコミッションを取っているという事実が判明したわけでありますから、商社を利用するという意味において、商社と契約する際に、代理店契約としてどういう程度のことになっておるかということは十分承知の上で契約をして、慎重に臨んでいったらよろしい、いまこういう結論に達しておる。しかし、私の方だけでなくて会計検査院とも相談してやりましょう、こういうのが現状でございます。  ただ、商社を使うな、こういう御趣旨かどうかは存じませんけれども、商社というのは、そういうことの専門家でございますから、余り妙なことが起きないように、十分その点は注意してやっていくということが肝要ではないかと思いますが、FMSとかいうことで、フォーリン・ミリタリー・セールスというのですか、商社抜きでやったらいかにも公正そうなふうな意見もあるようでございますが、果たしてそうかということは、私は、必ずしもそうではないのじゃないか、かえって高くつく場合もあるのではないかというような心配も実は持っておるわけでございまして、そういうやり方もあるということについては、さらに実態を検討してみたいと思っておりますが、少なくも現状は、商社を利用して航空機の購買をやっておるわけでございますから、運輸省の問題としては、その間に国民の疑惑を受けないように、真相を十分つかんで、これに対して強い姿勢を持って対処していきたい、先ほど申し上げましたようなやり方で当面やっていきたいということであります。  航空機会社との取引につきましては、当初は商社を利用したようでありますけれども昭和三十年ごろから、日本航空などの例を見ますと、自分で航空機会社と相談をして、航空機会社と直接取引をしているということのようであります。しかし、これは純然たる民間取引でございますから、民間会社の責任においてこれを進めてもらう、こういうふうにして、ただ、この前のロッキード事件等についていろいろ問題がございましたから、ああいうことが起きないようにということでありまして、これは実は、民間航空機ではございまするけれども、どうも先ほど来申しましたように、どの飛行機を使えというようなことは、商売の勘どころに関することでありますから、一々私どもは関与いたしませんし、そして今度は、そういうことで関与しなかった取引の過程でロッキード事件みたいな問題が起きてまいるといたしますと、これはもう私ども運輸省仕事というよりは、まさに法務省その他の仕事の分野になってくるのではないかと思っておるわけであります。     〔委員長退席、佐藤(守)委員長代理着席〕
  165. 小林政子

    ○小林(政)委員 日本航空というのは、一般の民間航空とは異なって、結局政府が出資を行っている航空会社でございますし、したがって債務保証とか、あるいはまた政府の保有株だとか、そういった点などによって一般では半官半民というような言葉で言われておりますけれども、この日本航空が、結局メーカーと直接契約、そして取引をするようになった理由というのは、どういうことなのか、また、その時期はいつであったのか、この点についてまずお伺いをいたしたいと思います。
  166. 松本操

    ○松本(操)政府委員 日本航空としましては、二十七、八年ごろから四発の大型機を購入し始めたわけでございますが、当初DC4型あるいはDC6型、こういったようなものを購入したわけでございます。その時点は、日本航空ができて間もないころでもございますし、そういったような能力も全くない、それから、これらの飛行機は、いずれも中古機であったというふうなことから、商社を通してこれらの飛行機を購入し続けた時期がしばらくございます。三十年ごろから──ごろと私が申し上げますのは、明確に何年からと言い切れないわけです。つまり、DC4なりDC6なりというものは中古機として商社を通じて入ってくる、それからDC7型、これは新品でございまして、このDC7型を三十二年に買っておりますが、そのときには、日本航空も発足以来もう五年もたって、どうやら自分で直接話し合いができるような能力を持ってきたということで、その時点から商社を中継ぎにするということをやめ始めたようでございますので、何年何月からぴたりとやめたという御返事ができないのは申しわけございませんけれども、三十年代の当初のころから日本航空自身がメーカーと直接取引をするに必要な人員なり、あるいはノーハウなりというふうなものを持ってまいりましたので、その時点から商社を中継ぎにするということをやめまして、やがて間もなくDC4もDC6もなくなってしまいましたので、それ以後は全く商社抜きのメーカーとの直接取引で航空機の購入を行っておる、こういうふうに聞いております。
  167. 小林政子

    ○小林(政)委員 私がやはり日本航空に聞いたところによりますと、日本航空は、航空機の購入に関してはメーカーと直接交渉、取引をする方式をとっており、商社は一切介在していないと、こういうことをはっきりと言っておりますし、また、日本航空が一般の民間会社と異なるということで日本航空株式会社法、このような法律で、政府が出資をしているという点での監督責任、このようなものについても非常に厳しいといいますか、監督を行っていくということが法律によって明記をされているわけです。それは確かに全日空に対しても、あるいは東亜国内航空に対しても、行政指導という面については運輸省はいろいろと行っていると思いますけれども、しかし、それよりも、法律に基づいて監督をし、監査を行っているという性格というのは、結局、やはり政府が出資をしている、あるいはまた債務保証も政府が行う、こういうたてまえをとっているところから、街の中でも一般的には半官半民のと言われるような、そういう根拠があるのだというふうに私は理解をいたしております。この点について、現在政府の出資額はどの程度になっているのか、もしわかればお伺いをいたしたいと思います。
  168. 松本操

    ○松本(操)政府委員 私、手元に正確な数字を持っておりませんが、四三%が政府出資であったと記憶しております。正確な額が幾らであるかについては、追って調べて御報告いたします。
  169. 小林政子

    ○小林(政)委員 先ほども申し上げましたように、日本航空の場合には、このような約半分近くの出資を政府が行っている、こういう点から日本航空株式会社法という法律に基づいてこの指導監督という点では非常に強化を受け、一般の民間の航空会社と違った意味を持っているのだというふうに解釈をいたしておりますが、日本航空が一九七三年から一九七四年の間に購入をいたしましたB747SR、この七機分については、御承知のとおり国会の中でも予算委員会で論議がされましたが、これはボーイング社から日商岩井に百五万ドルが支払われていた、これを運輸省はコミッションというふうに受け取っているのか、それとも手数料なのか、あるいはどういう性格の支払いであったとごらんになっているのか、お伺いをいたしたいと思います。
  170. 松本操

    ○松本(操)政府委員 御指摘のございました百五万ドルにつきましては、ボーイング社からそのようなものが支払われたということを、私どもも最近になって承知したわけでございます。したがって、先ほど御説明申し上げましたように、日本航空としてはボーイングとの直接契約によって航空機を購入しておるわけでございまして、契約上も実務上も、間に全く商社というものは介入いたしておりません。したがって、ボーイングと日商岩井との間にどのような取り決めがあったのかどうかということにつきましては、少なくとも日航を監督いたします範囲内に出てこない問題でございますので、日商が間にいささかなりとも介在しておれば、先ほど先生の強い御指摘もございましたように、日本航空という特殊性にかんがみ、私どもも何がしかの、目を光らせると申しますか、ということが必要であったかと思いますけれども、全く介在をしていないわけでございますので、この問題について遺憾ながら私ども関与のしようがないというようなお答えしかできない次第でございます。
  171. 小林政子

    ○小林(政)委員 少なくともこの百五万ドル、いわゆる日航が購入をいたしましたB747SR七機、この分としてあれだけ大きく国会でも問題になり、それが監督指導下にある日本航空の飛行機である、したがって、ボーイング社と日商岩井との関係等についてどうなっているのか、こういった問題について何らかの形で調査をされたことがありますか。また、調査をしようとされていますか。
  172. 松本操

    ○松本(操)政府委員 先ほど来お答え申し上げておりますように、私ども管理監督するといたしますれば、日航を監督するわけでございますが、日航自身が商社というものを全く介入させない形で仕事をしておるわけでございまして、これは私ども確認をいたしましたが、事実でございますので、したがって、ボーイング社と日商との間に取引があったと言われるこの百五万ドルにつきましては、私どもは、日航を通して、日航の監督をするということを通してという形では把握のしようのない問題でございます。あえてやろうとすれば、直接日商に対して、あれは何だ、こういうことになろうかと思いますけれども、私ども航空行政の範疇の中では、日商に対して直接そこまで私ども調査の手を伸べるということが可能なのかどうかという点について、いささか疑問なしとしないと私は思っております。  したがって、先生の御指摘ではございますけれども、この百五万ドルにつきましては、いろいろと各関係の方面において御調査に相なっておることでもございますし、それが結果論的に、御調査の結果、日航の行為について何らか責めらるべき問題がそこにあるということが明らかになってくれば、それは御指摘のとおり、日航に対する私どもの監督権の範囲内においてしかるべき措置をとるべきかとも存じますけれども、現時点において百五万ドルのみを取り出して、直接的に私どもの方から委細の調査をするということにつきましては、きわめて困難、あるいは実行が、まあできないとは申しませんけれども、きわめて困難な問題であるというふうに御理解いただきたいと思います。
  173. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は、いまの御答弁ちょっと納得できません。少なくとも日本航空の立場から見れば、何ら契約や取引に直接手続的なものをとったとかそういうことのないこういう第三者である日商岩井が、しかも、日航が取引をいたしましたボーイング社からコミッションだか手数料だかその性格のわからないお金が入っていたという事実だけは、これはやはり明らかになったわけですから、こういった点は国民の立場から見てもおかしいじゃないか。それは何か代理店だからというふうに言われるのかもしれませんけれども、しかし、少なくとも日本航空の立場から、買う立場から具体的な手続も何もとってもらっていないのに、自分たちが直接交渉したボーイング社、そこから実は日航も知らない間に、運輸省も知らない間に百五万ドル、日本円に直して三億一千五百万円が、具体的にどういう性格だかわからないけれども、支払われていた。これは事実なんですね。この問題について直ちに調査をされるということは当然のことではないだろうか、このように私は考えております。  日本航空の場合は、ボーイング社から747SRだけではなくして、一九七〇年から一九七五年にはボーイング747LR二十一機を購入しております。また、さらに一九六五年から一九六六年にボーイング社の727十二機を購入いたしております。私は、これについても代理店として同様のコミッションなり、あるいは何らかの形でのものが入っていたのではないか、このように見ておりますけれども運輸省は、いままで何ら一回も調査をされたことはないのですか、本当に知らなかったのですか。
  174. 松本操

    ○松本(操)政府委員 まず、前段の百五万ドルの件につきましては、私どもは、日航に対してはきつく調査をいたしました。日航が商社を介在さしていた事実があるのかないのか、この百五万ドルについて承知をしていたのかどうかという点についてはきつく究明をいたしました。その結果が、冒頭お答え申し上げましたように、日航は商社を全く介在さしていませんということと、日航自身は承知をいたしておりません、こういうことであったわけでございます。  そこで、先生もおっしゃいましたが、日商岩井は現在なおボーイング社の代理店でございますので、したがって、代理店という資格においてボーイング社との間に何らかの取り決めがあるいはあるのかもしれませんけれども、この点につきましては、直接日商を究明しないことには実はよくわからない問題になってくるかと思いますので、商社を管理監督する立場の官庁も別途ございますし、犯罪のにおいがあるとすれば、また、それなりに司直の手がここに伸びるわけでもございますし、私どもとしては、日航を監督する立場において、日航に対する究明は十分にいたしたつもりでございます。  それから、後段の御質問の727云々の問題につきましては、これは全く表に出ていない、だれもよく知らない数字でございますので、あるいはあるのではないかというお疑いを持たれるのも、このいまの百五万ドルの例があるわけでございますから理由のあることと私自身は存じますけれども、これも、もちろん御指摘でございますので、日航を呼んで十分に究明はいたします。しかし、恐らく日航としては、727の購入についても直接取引でありますので、商社に対する一切のかかわりは持っておりません、こういうことを申すのではないかと思いますが、それ以上の点につきましては、繰り返しのようで大変恐縮でございますけれども、いまの時点で私どもが直接的に究明をする手だてを持ちにくいということをぜひ御理解いただきたいと思います。
  175. 小林政子

    ○小林(政)委員 森山運輸大臣も、新聞の報道によりますと、航空機についてメーカーから代理店へのコミッションの部分に疑惑の根源があると認めていらっしゃいます。そしてそこにやはり何らかの解決策を求めなければならないという意味のことを発言されていらっしゃるわけですけれども、やはりこの額というのは安い額ではないのです。大臣は、運輸大臣の立場から、一機幾らぐらい飛行機がするかということはもう十分よく御存じでございましょうけれども、これはともかく大きな額が動くわけでございますから、そのコミッションということになりますと、これはちょっと一万円や二万円のそういうお金と違いまして、相当な額になるわけです。  たとえば、いま問題になっておりますボーイングの747SR、この七機についても、いまわかっている範囲だけでも、結局コミッションが三億一千五百万円であった、こういうことが言われておりますけれども運輸省から提出をしてもらいました資料によると、この七機分の取得価格というのは、一機六十八億円から八十億円いたしておりますので、この七機分の合計は五百十八億円、したがってコミッション料は、それを機械的に割りますと、これ自体は〇・六%というパーセントが出ますけれども、しかし私は、これは七機分の全部ではないであろうというふうに見ておるのです。恐らく一部であって、さらにもっとあるのではないだろうか、このように考えております。 そこで国税庁は、この百五万ドルが、日本航空がボーイング社より購入したB747SR七機分の手数料、またはコミッションの名目でボーイング社から日商岩井に支払われていたことを認めていらっしゃいますけれども、日本航空のボーイング747SRの七機購入に関する日商岩井への何らかの支払いが百五万ドル以外にもあるものと思いますけれども、国税庁に対して、それについては正しくきちっと申告がされているのでしょうか、御答弁をお願いいたします。
  176. 五味雄治

    ○五味説明員 お答えいたします。  ボーイング747SRにかかる受け取り手数料が、その百五万ドル以外にあったかどうかについての御質問でございますが、国税庁がこの点に関しまして具体的にお答えをするということは差し控えさせていただきたいわけでございますが、いずれにいたしましても、この航空機に関しまして、その他の手数料も含めてその総額が適正に税務申告されているというふうに考えていただいて差し支えないと思います。
  177. 小林政子

    ○小林(政)委員 その上積み分があったかどうかということは別にして、現在適正にそういったものについては手続が済んでいる、こういうことでございますけれども、そうすると、日本航空のボボーイング747LR二十一機分につきましても、あるいはまたボーイングの727十二機分についても、恐らくこれと同じような性格の手数料が入っていたものと思いますけれども、日商岩井はボーイングの代理店であるから、何らかの支払いというのがあったのは当然ではないかというふうに思いますけれども、この点についても正しく申告をされているというふうに確認をしてよろしゅうございますか。
  178. 五味雄治

    ○五味説明員 お答えいたします。  繰り返しになって恐縮でございますけれども、具体的にその手数料があったかどうかということに関しましては、お答えすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、そういった手数料については適正に税務申告されているというふうに御理解いただきたいと思います。
  179. 小林政子

    ○小林(政)委員 いまの答弁は何か額も、あるいはまた中身の問題についてもお触れにならないので、私としては大変不満ですけれども、しかしいまの御答弁、やはり適正な申告がされているものと思う、こういう答弁でございますので、この点については私自身が、さらにまだ上積みがされていたというふうに理解をいたしてまいりたいというふうに思っております。  私自身この問題についていろいろと運輸省からも資料をちょうだいいたしまして検討をいたしました。そうしますと、たとえば一例を挙げますと、747LRについては、運輸省から一機の価格が幾らであるかというような資料はちょうだいできなかったので大変残念でございますけれども、しかし、747SRの運輸省から提出をしていただきました資料を参考にいたしまして、これでたとえば一機七十億から八十億するわけですけれども……。     〔佐藤(守)委員長代理退席、堀内委員長代     理着席〕 この七十億円を一つの基準にして、さらに、もっと大型機ですから、七十億というふうに私は踏んで逆に低めて計算してみたのですけれども、七十億円の二十一機、これは千四百七十億円です。先ほど〇・六%に相当したということを申し上げましたけれども、このコミッション料〇・六%で機械的にこれを掛けてみますと約九億円になります。〇・六%のコミッションとしても、一機当たりで四千二百万円までものコミッションがボーイング社から日商岩井に入っていたということが推定されるのです。もしパーセントが〇・一上がったということになれば、さらに一千万近くの動きがすぐに出る。非常に大きな額が動くわけです。  このように巨額の資金が、コミッションという形で、代理店であるからということで、具体的には日本航空と直接取引の中で、あるいは契約の中で、手続もとられていないのに、こういう中でこんな巨額な金が入っているということは、大臣、これで公正だということが言えるのでしょうか。私は、大臣の忌憚のない率直な御意見を聞かせていただきたいと思います。
  180. 森山欽司

    森山国務大臣 先ほど航空局長から御答弁がありましたように、日本航空の方に聞いたそうでありますが、私の方はまだ一切そういうことがわからぬ、知らぬ、こういう返事であった、こういうことです。それで運輸省としては、日商岩井の方に調査するわけにいかぬから、これ以上のことはできぬというのが航空局長の話の趣意でありました。私も、あなたのお話を聞いておりますと、ちょっと変だというような感じもしないことはありませんが、ときどき共産党の方は、われわれのまたわからない、端倪すべからざるいろいろなお考えを持っておられることもあるので、さて、どう返事したらいいかと考えましたが、とにかく後でおまえどうだったということをお聞きになるということではなくて、とにかく私も、どういうことだったか検討してみようかな、そういうことではありますが、そうは思っていますが、それじゃこの委員会で、この間そう言ったから、あれどうだったと言って返事を求められても、御返事できるようなふうに私自身が調べることができるかどうか、その辺のところはわかりませんが、私なりにひとつ検討してみたい、こう思っております。
  181. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は、やはり大臣も、くしくも新聞に報道されておりますように、メーカーから代理店へのコミッションの部分、ここに疑惑の根源が生まれてくるのだ、こういうことをおっしゃっていらっしゃいますけれども、一機売るごとに黙っていても、あるいは何か少しは日商岩井がボーイング社と情報提供とかそういうことがあるかもしれないけれども、四千二百万円ものコミッションが代理店契約をしているということで一機について入ってくる、こういうことになりますと、これは一機でもよけい売ろう、何とか売り込もうと、もうあらゆる手段を講じてでも、直接介入はしなくてもいろいろな形で政治家との接触も出てくるでしょう。あるいはまた、いろいろと黒い金が動く、こういうロッキードのときと同じようなことが出てくるでしょうし、あるいはまた、運輸行政そのものがそれによってゆがめられていく、こういう動きの出てくるのも当然のことだというふうに思うのです。  代理店であるのだからある程度の、というようなことを、先ほどからおっしゃっていらっしゃいますけれども、一機売れば四千二百万円、二十一機分で九億円、こういうお金がぬれ手でアワのような形で動くということになりますと、これは大きなゆがみの原因をつくっていくものではないだろうか、このように私は考えます。  したがって、この問題については、大臣がこれに対しての調査を直ちに行ったり、あるいはまたそれに対する対策をおとりになる、先ほど検討するという御答弁をいただきましたけれども、そのように直ちに手をつけるべきであるというふうに私は思います。  また、いまダグラス社についてのいわゆるSEC報告によれば、百八十万ドルの不正支払い問題、この不正支払いの中に日航が契約をしたと言われるDC10が六機含まれていた、しかも、それについては九十万ドルの手数料が入っていた、こういうことも言われているわけです。この問題についても、こういった外国からの日本航空が購入をしている機種に対しては、この際思い切って徹底的な調査をなさるということが必要じゃないか、このように私自身思いますけれども大臣の御返事をお伺いいたしたいと思います。
  182. 森山欽司

    森山国務大臣 小林さん、先ほど申し上げましたように、役所の役人という立場、運輸大臣という立場からいたしますれば、先ほど航空局長が御返事したところで必要にして十分な答弁かもしれません。しかし、政治家の立場で、あなたが大変御熱心に御質疑になっておられるわけでありますから私も検討してみましょう、こういうふうに御返事をしたわけです。だからといって、それじゃこの間ひとつ検討してみようと言ったが、検討の結果どうだった、こういうふうにまた言ってこられましても、私も困るので、とにかくできるだけ検討してみましょう、こういうことできょうはひとつお許しを願いたいと思います。あれは後どうなったと言われて、私が責任を持ってひっ担いでも──私も、いろいろなことをやらなければなりませんから、あなたの御趣旨のことをよく頭の中に入れて検討してみましょう、こういうことを政治家として申し上げたいと思います。
  183. 小林政子

    ○小林(政)委員 大臣、おっしゃろうとしているお気持ちは非常にわかりますけれども、少なくとも公の委員会の席です。私も政党に所属をしている議員です。     〔堀内委員長代理退席、委員長着席〕 大臣運輸大臣という責任のある立場だと思います。これだけの問題が提起されていて、それに対して後で聞かれたのじゃ困るのだとかなんとかということになると、これは一体どういうことになるのですか。私、お気持ちはわかりますよ、お気持ちはわかるけれども、しかし、公の席で幾ら婦人だからといって、そういう発言はちょっと問題じゃありませんか。
  184. 森山欽司

    森山国務大臣 私は、フェミニストでありまして、あなたに婦人だからいいかげんな返事をしたなどと言われることははなはだ心外至極であります。ただ、先ほども申し上げましたように、運輸大臣としましては、先ほど航空局長がお返事した程度で必要かつ十分という見解もあるわけでありますが、あなたが非常に御熱心にこの問題を取り上げられ、御主張になられるわけでありますから、私は、政治家の立場で検討してみましょう、こう申し上げておる。しかし、それじゃ検討したから検討の結果はどうだというふうにそこまで後からいろいろおっしゃられても、私の場合は困りますよ。なぜかと言うと、私の方で別に調べる権限はないのですからね。日商岩井と私どもの方は直接関係がございませんし、それから強制捜査権はございませんし、おのずからなる限界があるわけでございます。しかし、政治家の立場で、そういうことで疑惑を持たれてはいかぬわけでありますから、検討してみましょう、こう申し上げておる。それ以上のことで、その結果、またどうだと言われますと──私は、あなたに敬意を表して、御質問されたことにきわめて率直に申し上げたら、女だと思ってこうだとかなんだとかいうようなことまでおっしゃられると、これは私も困ります。これは私も、あなたがそういうふうに御熱心におっしゃられるのにこたえて検討しようと言って一歩引いたわけですから、またそれを押して、そういうことで女の人をばかにしているとか何のかんのと言われたのじゃ、あなたといろいろなことのやりとりができないじゃないですか。あなたの御熱心なお気持ちに誠心誠意お答えしたいと思うから、先ほど来申し上げているように、局長の方はきわめて事務的な返事をしておるが、私は花も実もあるお答えをしているのですから、気持ちはよくわかっていただかぬと困りますな。
  185. 小林政子

    ○小林(政)委員 時間がなくなってまいりますので、私は、この問題についてはひとつ責任を持って調査をしてもらいたい、このことについて大臣のお約束をぜひもらいたいというふうに思います。私、当然だと思うのです。徹底的に調査して、そしてそれを委員会報告してもらいたいと思うのです。
  186. 森山欽司

    森山国務大臣 先ほどお答えしたとおりであります。
  187. 小林政子

    ○小林(政)委員 国鉄総裁がお見えでございますので、時間が大変なくなってしまいましたので、私は、幾つか用意をしてまいりましたけれども、一、二点だけちょっとお伺いをいたしたいというふうに思います。  国鉄再建の中での一つの柱として運賃値上げの問題がございますけれども、これについては、予算の中でも千六百五十億円を平年度に直して千九百億円ということで組まれておるわけでございますが、一月二十九日に総裁記者会見をされて、予定する運賃値上げの内容というものについてこの記者会見で発表をされているわけです。この問題について本当は総裁からお答えをいただきたいと思ったのですけれども、時間の関係で私どもでいろいろと計算をしてみました。それで、とりわけ初乗り運賃、それから学割りの問題、こういった問題がどうなるのかという点について、総裁から直接お答えをいただきたいというふうに思います。
  188. 高木文雄

    高木説明員 先ほど他の委員のお尋ねにもお答えいたしましたように、まだ事務的に整理をいたしております、計算をいたしておりますというところでございまして、どういう案にするかまだ決めておりませんのでございますが、初乗りにつきましては、最近のコストを計算してみますと、現在いただいております八十円では、ちょっとコスト割れになるということでございますので、やはり今回の改定の際の検討項目にしたいと思っております。  それから、学割りの問題につきましては、これは私どもとしても、教育上の問題なりあるいは学生さんを大ぜいお持ちの家計への問題ということを考えますと、なかなか軽々に判断しにくい問題ではございますが、私ども経営全体の立場から申しますと、いわゆる構造的赤字の相当部分を占めるわけでございますし、かねがね衆参の各委員会におきましても、公共負担の問題は御指摘を受けておるわけでございまして、これを政策官庁に負担してもらいたいという気持ちを持ちながら、同時に、現在の割引率は余りにも少し高過ぎるのではないかということで、一挙にということではございませんけれども、徐々に直していかざるを得ないというふうに考えているわけでございます。  いずれにつきましても、いろいろと利用者には御迷惑をかけるのでございますけれども、二つの問題についてやはり今回の改定の際の検討項目として現在考えておる次第でございます。
  189. 小林政子

    ○小林(政)委員 これはいろいろと新聞などに出ている値上げの予想と申しますか、そういう立場からの記事だとは思いますけれども、しかし、少なくとも学割りの問題については、昨年来三%の引き下げを国鉄が要求していた、ところが実際には、あれは運輸大臣やあるいは審議会の中で一%ということになったわけですね。それが一月の一日に実施をされた。こういう状況の中で、いまここでまた再び大幅に割引率を引き下げるということは、前回のあの審議会での立場などをどう本当に受けとめていらっしゃるのかという点を、この際お伺いしておきたいわけです。
  190. 高木文雄

    高木説明員 前回学割りにつきましては、割引率を三%是正をさせていただきたいとお願いをしたわけでございますが、やはり運輸審議会の中におけるもろもろの御意見等がございまして一%になったわけでございます。しかし必ずしも、その三%はこういうわけで一%であるべきだという理論的な御説明があってのことではなくて、急激な負担を避けるべしということであったわけでございます。先ほども申しましたように、父兄の御負担の問題はありますけれども、一方、私ども赤字としては非常に大きな部分を占めておりますので、やはり急激な御負担の増加ということを避けながら、少しずつは直させていただきたい、それをお認めいただきたいという気持ちはいまでもそのように考えております。
  191. 小林政子

    ○小林(政)委員 最後に一点、運輸大臣にお伺いをいたします。  公共負担の学割りの割引率の問題をめぐって、昨年来この委員会でも何回か質疑があり、先ほど来の国鉄総裁お話にも出ておりましたけれども、ぜひ関係閣僚との間での話し合いを行って、そしてその負担割合という問題について、赤字を出している国鉄だけに全部かぶせてしまうというような行き方を避けてほしい、このように私も思いますけれども、実際問題としてはなかなかそれが進展をしなかった、これが事実でございますが、最後に、大臣のこの問題に対する対処の方向というものをお聞かせいただきたいと思います。
  192. 森山欽司

    森山国務大臣 「国鉄再建基本方針」によれば、五十年代に収支の均衡を図る、五十五年からは本格的に取り組むということで、昭和五十四年度には再建基本方針を立てなければならぬ。大体実際問題としては、予算等の関係がございますから、六月ごろまでには基本的な方向を決めなければならないわけであります。そういうことの一環としまして、公共負担の問題も、いままでお話がありました経過がございますから、そういう経過を十分踏まえまして、そのうちの一つとして処理していきたい。  いずれにしろ、大きく言えば国鉄だけでは片づかない問題と、それから国鉄が企業努力により、あるいは国鉄労使間の良識によって片づけていくという問題と二つに分かれるわけでありますから、そういう角度から、国鉄再建の問題の一環として総合的に処理してまいるつもりでおります。
  193. 小林政子

    ○小林(政)委員 終わります。
  194. 箕輪登

    箕輪委員長 これにて小林政子君の質疑は終了いたしました。  中馬弘毅君。
  195. 中馬弘毅

    中馬(弘)委員 大分時間もおそくなりましてお疲れでしょうが、最後でございますので、おつき合い願いたいと思います。  先ほどから、先般の運輸大臣所信表明に対する質疑ということで、ほとんど細かい問題は先に委員方々が御質問なりましたので、ひとつ大臣としてのビジョンあたりを聞かせていただきたい、このように思っております。  一般に、役所の機構だとかなわ張りとかいったようなことを御存じでない一般の国民は、最近いろいろな交通機関が非常に発達しているけれども、何かお互いばらばらじゃないかということを感じていると思うのです。たとえば飛行機で一時間で東京から大阪に来ても、自分の家に帰るには一時間半も二時間もかかるとか、あるいは終電車が終わっておりてみたらもうバスは出てしまった後だとか、こういったことに対する不満が非常に多いかと思っております。  先ほどから総合交通体系に関することについては久保委員あたりのお話がございましたが、そのお答えにしましても、日本の今後の交通がどのようになるのだろうということがどうもはっきりしないわけでございます。それぞれ四十六年に出た例の利用者の選好を反映して、といったようなこともございますけれども、それから相当に時代が変わってきていることは先ほどの御答弁のとおりでございます。人の流れにしましても、大都市集中ということはほとんどなくなってきております。いやむしろ大都市から出ていっているような状況でございまして、京阪神大都市圏では四十八年から、あるいは中京都市圏では五十年ぐらいから減り始めているわけですね。東京、首都圏にしましても大体集中はとまった。そして日本人はそれぞれの地域において定住していく形になってくるかと思うのです。  その中にあって大平さんも、都市中心の時代から地方の時代だというようなことをおっしゃっているわけでございますが、総合交通体系といったことを考えたときに、大臣はどうお考えなのか。やはり明治以来続いている東京東京へとすべての交通機関の道をつけるということなのか、あるいは地方を重視していくといういままでとは違った立場に立たれるのか。またエネルギーの問題にしましても、それこそいまイランの問題が発生しておりますけれども、これもことしじゅうに場合によっては石油の値段が倍になるかもしれない。いやことしだけじゃなくて、二十年、三十年を考えた場合には、これは何倍かになることはほぼはっきりわかっているようなことでございます。  その中にあって、いまの総合交通体系をどうしていくかということを、ただ、いままでの形式張った御答弁じゃなくて、大臣のビジョンでも夢でも結構でございます、行政の長としてのお答えじゃなくて、政治家としてのビジョンをお気軽にお答え願ったらいいと思うのですが、お聞かせ願いたいと思います。
  196. 森山欽司

    森山国務大臣 先ほども申し上げましたけれども運輸行政というのは、いままで余りやったことがありませんで、余り関係が深くないのです。ですから、余り大きなことも言えませんし、ビジョンなどというふうに言われますと、ちょっとおこがましいような感じがするのです。  しかし、先ほど来の各委員の御質疑の中で、総合交通政策という角度で、これは経済企画庁長官が取り扱っているのですが、昭和四十六年のころの考え方といまどきの考え方が違ってもいいのじゃないか、そういう意味で──なぜ経済企画庁長官が出てくるかというと、それは総合交通政策担当、私は成田問題担当、閣僚の任命状と一緒にそういうのがついてくるわけでありますが、それは恐らく道路行政というものが建設省にありまして、そしてそれ以外の陸海空の交通が運輸省にあるという意味で、やはりこれをまとめるのは経済企画庁と、こういう考え方総合交通政策担当が経済企画庁長官になっていると思うのです。だから、やはりそういう制度をつくった以上、その制度の初心に返って、それを実効あらしめるふうにやっていかなければいかぬ。だから、自動車あるいは道路という問題を十分に総合的に考えるようなことで、これは建設省のなわ張りにある道路をよこせと言ったら大騒動になりますから、私は、そんなことは現実的には申しませんよ、だけれども、有限の国費を配分するに当たっては、やはり省エネルギーとかそういういろいろ広範な現時点における、そして現時点から考えてある程度将来を見通し考え方で経済企画庁長官に総合交通担当の実績を上げてもらいたいなというようなことを先ほど申し上げたわけであります。  それからまた、運輸省の中だけで申しましても、陸海空、これはずいぶん広い範囲でございます。運輸省でよく言われるのは、縦割り行政でそれぞれ皆独立国になってばらばらにやっておるというようなことでありますから、そういうことを言われないようにする必要があるというふうに私は考えておるわけであります。  いずれにしましても、運輸という仕事国民経済活動、国民生活に非常に深い関係のある仕事でありますから、したがって、そういう面を本当に総合的に考え、総合的にこれを運営していく、ばらばらにならないようにしていく必要があるというふうに考えておるわけであります。ビジョンと言ったらいいのですかどうですか、十年も前からこの方の専門家みたいな顔をして物を言っているようでありますが、新参者で、とにかく去年の終わりからここ二、三カ月やって、やっといろいろこういう問題に取り組んで、交通関係を担当する閣僚としてそういうことを感じたという程度で、ビジョンなんという次元の高いことじゃありません。しかし、せっかくお求めでございますから、ただいまのように申し上げたわけであります。
  197. 中馬弘毅

    中馬(弘)委員 総合交通体系、これのまとまったものが出てくるのを待っても、いつのことかわかりませんので、個々にちょっと聞かしていただきたいと思います。  確かに先ほど言いましたように、すべての交通機関を東京に集中させるといういままでの方式、それがいいとか悪いとかいうようなことじゃなくて、それも一つの考え方であると思うのですが、これに対する一つの反省の時期に来ているというのか、あるいはやはりそれが日本全体の交通体系を考えるときに非常に効率がいいとお考えなのか、どちらかちょっとお答え願いたいと思います。
  198. 森山欽司

    森山国務大臣 いままでの中央集権的な、東京とか大阪とかそういう中心的なやり方でいくのかどうか、こういうことですか。
  199. 中馬弘毅

    中馬(弘)委員 いや、航空路線もあるいは新幹線網にしましても、全部東京から放射線状に延びているという形でございますね……。
  200. 森山欽司

    森山国務大臣 日本の国の実情から言いまして、これは頭から全部間違いだとは思いませんけれども、しかし、地域格差を是正するというような角度で、全国的に余り集中的でない、余り偏らないようなことは基本的に考えていかなければならぬのじゃないか、そういうふうに思っています。
  201. 中馬弘毅

    中馬(弘)委員 エネルギー効率なんかの点から考えて、自動車が非常にはんらんしているわけでございますけれども、この自動車の現状について大臣どうお考えでございますか。
  202. 森山欽司

    森山国務大臣 自動車は多過ぎるのじゃないですかね。
  203. 中馬弘毅

    中馬(弘)委員 そういった交通体系と関連するのですが、整備新幹線について所信表明の中でも財源のめどが立てば具体化するといったようなことになっておりますけれども、この財源のめどをどうお考えなのか。  それから、これが完成したときの予想コストといいますか、これは整備新幹線だけではなくて、現在の上越・東北についても大体どの程度の、運賃はそれなりに政策的にお決めになるでしょうけれども、これを通常の原価計算の形で計算した場合に、その起点から起点まで大体どの程度のものになるのか、お答え願いたいと思います。
  204. 森山欽司

    森山国務大臣 整備五線の問題が確かに大きな問題になっていることは承知しております。しかし、それは現在の財源問題で万事を律して考えていいのかどうかは、私は疑問だと思っております。確かに財源問題は、当面やろうと思えば財源がなければできません。だから、財源を見つけて、そして何とか手をつけるようにしようじゃないか、こういうように言っておるのですけれども、それがいま直ちに全部が仮にできなくても、それじゃ整備五線が将来問題として必要ないかと言えば、これは私、当然やらなければならないことにならないか、こう思うのです。  たとえば、青函トンネルができれば、委員長の地元の北海道の札幌から新幹線を通して青森、盛岡までつなぐことは、結局、将来それをやらないというわけにいかぬのじゃないですか。表日本だけというわけにいきませんから、やはり裏日本も、あなたが言うそろばん玉から言えば、借金で立てると利子払ったりなんかするからなかなか容易じゃないですけれども、国費でやれば裏日本の方に通すということも、これはそろばんが合うのじゃないか、こういうことになりますね。先ほどお話があった中央新幹線だってそれならどうだ、これもいずれ東海道はパンクするぞ、こっちの方を回ってこなければならぬということになれば、またそういうことになるかもしれませんね。そうなるとどうでしょう、九州だけは新幹線は福岡まででいいので、あとはいいんだというわけにいかなくなってくるのじゃないか、何年か後には。これもある程度考えていかなきゃならない。そうなったら四国どうしてくれると、こういうわけですね。そうでしょう。やはり鳴門の橋は新幹線併用というので余地だけは残しておかなければいかぬ。これが政治じゃないですかね。  ただ、行政的に今年度中にこなしていくということになってくると、これは財源問題が非常に問題でございますし、その財源問題にわれわれは真剣に取り組まなければならぬというふうに思っておるのですが、いずれにしましても、とても借金ではやっていけない、財投等の借金で後で利子を返すどいうようなことではやっていけないということははっきりしていますから、国費でやる、国費でやるとなれば財源はどうするのだ、仮に財源の手当てがついても、そろばんはどうだというのがあなたの御質問でございますから、これは私よりも鉄監局長の方がよく知っておりますから、鉄監局長が御報告いたします。
  205. 山上孝史

    山上政府委員 東北・上越新幹線についてまずお答え申し上げます。  この収支につきましては、今後の経済情勢の変化とか輸送需要の動向等から見まして、まだ的確な予測はいろいろ問題がございますが、一日の断面交通量はおおむね五、六万人という見当で長期的には収支が相償う、このように予想しております。  しかし、整備新幹線につきましては、いま大臣からもお答え申し上げましたとおり、断面交通量が一日でせいぜい二万人というところでありますので、しかも、並行在来線からお客さんがいわば平行移動する、並行の在来線自体がすでに赤字でありますが、その赤字の上乗せということもあります。そういうことでありまして、整備新幹線につきましては、いわゆるインフラ部分につきましては、どうしても借金等の、後に負担になるような金では困る、やはり負担にならないような金で措置するということがぜひとも必要だと思います。  そういうことはなくて、それでは運賃で幾らで賄い切れるかということにつきましては、これは運賃で賄い切れるような収支ではないだろう、このようにお答え申し上げたいと思います。
  206. 中馬弘毅

    中馬(弘)委員 いま鉄監局長からも御答弁がありましたように、通常の原価計算でのコストには全く乗らないものをつくろうとするわけでございまして、先国会での高木国鉄総裁の御答弁でも、要するに国鉄としてはつくりたくないのだというようなお話もございました。そして一万、飛行機を考えてみますと、いま東海道におきましても、飛行機と国鉄がほぼ同じ値段になってきております。そして日本の国土全体を考えたときに、果たして新幹線がいいのか飛行機がいいのかという議論にもなってこようかと思うのです。今後の地価の値上がりだとかあるいは資材の値上がり等を考えた場合に、あの長距離をずっと買収してやっていく、これは非常に金がかかるわけでございますが、飛行場の場合ですと、一カ所を整備すれば済むことになります。  そういったもろもろのことを考えたときに、いまの新幹線網をああいう形で延ばすのがいいのかどうかという点なのでございまして、これは大臣からお答え願いたいと思いますが、それでは地方の方が困るじゃないかということでございますけれども、先ほど言いましたように、東京へあるいは大阪へどんどん人が集中するという時代はもう過ぎ去っております。そうしますと、むしろ地方において新種の交通機関、いままでの国鉄の在来線を利用してもいいと思いますが、新幹線というのは、それこそ大都市間の大量、高速輸送に適した交通機関でございますね、そうではなくて、今度は、片っ方が過疎地でありますと、いま言ったようなことでとうてい採算に乗るような形にならないわけでございますから、そうすると地方の方をどうするかという問題なんですけれども地方の方は中速でいいと思うのです。高速である必要はないと思うのです。中速、少量を運べるような新種の交通システム、たとえばサンフランシスコのBARTといったようなものを開発して、そしてそれを整備することの方がむしろその地域の人たちの利便にもかなうのじゃなかろうか。日本全体の国土の有効利用を考えた場合に、新幹線を引っ張るよりも、本当に急ぐ用事といった場合には、飛行機を利用して、地域のことは、いま言った新種交通機関でやっていくといった形の方がいいのじゃないかという気がいたしておりますが、その点について大臣……。
  207. 山上孝史

    山上政府委員 先生御指摘のとおり、航空は長距離の高速輸送機関としまして全国的な交通体系において必要であることは当然と思います。しかし新幹線鉄道も、先ほど来御意見のありましたとおり大量、高速の輸送機関でありまして、全国新幹線整備法の第一条の目的にも指摘されておりますとおり、全国の中核都市を有機的かつ効率的に連結することによりまして、国民生活領域の拡大等に効果的な機能を果たすということは争えない事実だと思います。したがいまして、ただいまのところ、先生ちょっと御指摘のように、新幹線鉄道整備にかえまして新しいローカルの交通システムの開発に取り組むというようなことにつきましては、現段階では考えておりません。しかし、御指摘のような新交通システム一般につきましては、これも先生御承知だと思いますが、四十六年に運輸技術審議会にも諮問をし、一応の結論も得ておりますように、今後それの具体化、実用化につきましては、私どもといたしましても、前向きに取り組んでいきたいと思っております。  現に、これも御承知だと思いますが、大阪南港なりあるいは神戸のポートアイランド、あるいはユーカリが丘等につきまして、すでに免許を与え、実用化の段階に入ろうとしているわけでございます。
  208. 中馬弘毅

    中馬(弘)委員 一歩譲って新幹線をそうして引いた場合においても、やはりこれを機構として国鉄全体の中に位置づけるのか、あるいは別企業として考えていくのか。また、いまの東海道は黒字でございますけれども、そういった非常に大幅な赤字のものが出てくるわけでございまして、従来の国鉄考え方とは相当違ったものになってくると思うのです。独立採算で何とかやっていくという形ではなくなってまいります。そうすると、これを別企業にして一つのことをやっていかなければ、またどんぶり勘定のしわ寄せが全部の運賃にかかってくるというようなことになってまいりますが、そういうことはお考えじゃございませんか。
  209. 山上孝史

    山上政府委員 先生も御承知のように、国鉄地方交通線問題につきまして、去る一月の二十四日に運輸政策審議会の小委員会から最終報告というものが出たわけでございます。いま先生御指摘のローカルの交通手段として新しい交通システムを考えたときに、その企業体をどうするかという問題だと思いますが、これにつきましては、やはりいまの国鉄地方交通線問題の最終報告、これが相当に参考になるのではないかと存じております。いずれにいたしても、この小委員会報告につきましては、その趣旨に沿って目下検討中でございますので、それの過程におきましてさらに研究をさしていただきたいと思います。
  210. 中馬弘毅

    中馬(弘)委員 ちょっと答弁が先走っておられるようですが、私が言っておりますのは、整備新幹線についてでございます。やはり国鉄の中でやっていくのか、別組織にするのかということであります。
  211. 山上孝史

    山上政府委員 整備新幹線経営主体につきましては、これは全国新幹線整備法によりましても、国鉄が運営するということが法律上明定されておりますので、目下のところ、国鉄以外の企業体にそれをゆだねるという考えは持っておりません。
  212. 中馬弘毅

    中馬(弘)委員 そういう形ですと、やはりいままでと同じようなどんぶり勘定にして、全体に国鉄赤字の補助といったようなことに結局はならざるを得ないのじゃないかという気がいたしております。  国鉄再建の問題なのでございますけれども、いま運政審から出ております答申で、一つの、民間払い下げとかあるいは第三セクターへの払い下げの道を開くおつもりでございましょうが、逆に国鉄当局として自分のテリトリーを削られるのはといったようなことはないわけですね、国鉄の方も、もちろんそういうことで、場合によって払い下げもやりたいという御意向なんでございますか。
  213. 高木文雄

    高木説明員 何分にもまだ御答申をいただいただけでございまして、これからいろいろ具体的な手続あるいはあり方といったような問題についての政府のお考えがまとめられることと思いますし、その際、私どもも、積極的に意見を申し述べて案をまとめていかなければならぬと思っております。また、その上で国会の御審議があろうかと思いますので、確定的なことをいま申し上げるのは差し控えたいと思います。  率直に申しまして、いまのいわゆるローカル線と言われるものにつきましては、その地域地域によって非常に事情が違うわけでございまして、その地域にとってはきわめて重要な交通手段である、しかし、全国的に見るとどうも赤字で困る、こういうことになっているわけでございますが、その地域事情に応じた運営をすればうまくいき得るという場合が大いにあり得るわけでございます。そうした場合には、なかなか私どものような全国組織でやっておりましたのでは目が届かないといいますか、かゆいところに手が届かぬといいますか、そういう感じになっておりますものですから、その方がよりよい場合がしばしばあり得るのではなかろうかというふうな感じを、漠然といまのところは持っております。
  214. 中馬弘毅

    中馬(弘)委員 国鉄再建で、ことしの予算では五千人の人員削減を予定しておられますけれども、いままで何度かそういった計画を出されて、これが実現してこなかったわけでございますが、具体的にこの五千人は可能なのかどうか、総裁にお願いします。
  215. 高木文雄

    高木説明員 昨年の十月一日のダイヤ改正中心にいたしまして、かなり貨物輸送方等を変更いたしましたし、その際、他にもいろいろ、いわゆる作業能率の向上を図る手を打っておりますので、五十四年度予算案で決められております五千人の削減は確実にできると思います。
  216. 中馬弘毅

    中馬(弘)委員 それから、貨物の集約を進めておられますけれども、これが実際計画どおりに進んでいるかどうか、また、いろいろな地域でそれぞれ反対があったと思いますが、実施してみてそう大きなトラブルはなかったのか、いやトラブルがあるから計画を少し削減しようかということなのか、この辺の実情をちょっとお知らせいただきたいと思います。
  217. 高木文雄

    高木説明員 五十一年の春に決められました経営改善計画によりまして大体二五%強、貨物の列車本数にしましても、取扱駅にしましても、ヤードにしましても減らすことに方針を決めまして作業に入ったわけでございますが、昨年の十月に、約その半分ほどを達成いたしたわけでございます。あと半分を来年の十月、五十五年十月までに達成をいたすことにしておるわけでございます。  いろいろトラブルもございましたし、地域方々の御協力を得るにつきまして、いろいろ時間もかかったりいたしまして、多少当初計画よりおくれた部分もありますけれども、逆に、当初計画より進んだ部分もありまして、大体初期の目的を達しましたが、あと半分を来年の十月までにいたしたいと思っております。  これは決してサービスがダウンするわけではないわけでございまして、取扱駅を減らしますと、いままで貨物扱いをしておりました当該駅のごく周辺の方々にとってはサービスダウンになりますけれども、今度は隣の駅の方にとりましてはむしろサービスアップになるわけです。どうしてかと申しますと、駅の数が減りますれば列車が速く走るようになりますから、そういう意味で、遠い地点では目的地に貨物の届くのが早くなりますから、むしろサービスが上がってくるわけでございまして、全体としてサービスの向上ができますれば、貨物のお客さんがふえてくるということで、大変不安の念を持って見られておりましたけれども、実施した結果は、大体私ども考えておりました線に沿っていっております。それらについての御理解をよほどよく進めていかなければなりませんけれども、決して今回の措置で、全体として御迷惑になるばかりであったということではないと思いますので、これで五十五年十月の改正を、ぜひ計画どおり実現したい、また、できるというふうに考えております。
  218. 中馬弘毅

    中馬(弘)委員 国鉄総裁にお聞きしますが、そういった人員の削減だとかあるいは貨物集約、それぞれをやってはおられますけれども、なかなか遅々として進まないのが現状でございます。また、今後の地方ローカル線をそれぞれの地域に持ち返って、そうして場合によっては第三セクターにといったようなこと、あるいは自動車道路にといったようなことも、それぞれの地域のエゴなんかも含めまして、進みにくいというのが現状ではないかと思うのです。しかも、大幅な赤字が予想される整備新幹線も含めて新線をつくっていかなければならない。国鉄という企業体をどういう形にするのが望ましいのか、二十年後の国鉄をどういう姿に持っていきたいのか、総裁、ひとつお答え願いたいと思います。
  219. 高木文雄

    高木説明員 大変な赤字を生むようになりましたのは、一つには、やはり石油ショックが起こりました後、人件費が非常に日本じゅう高くなったわけでございまして、その際、労働集約型の産業である私どものところの対策がややおくれたということもあります。でありますから、先ほど来御指摘整備五線の問題その他新しい問題をどう考えたらいいか、また次々とむずかしい問題がございますけれども現状をまず石油ショック以前のところの状態くらいまでには大至急体質を改善しなければいけないと思っておるわけでございまして、また、民間企業ではそれをおやりになってきておるわけでございますから、私どもとしても、そこまでは早く持っていかなければならぬというふうに思っております。  整備五線の問題につきましては、先ほど来運輸大臣運輸省の方からお答えがございましたように、建設費について利子がかからないようにしていただければ何とかやっていけるというのがいまでも、昨年御答弁申し上げましたと同じ考え方でございまして、国土計画の観点から整備五線をどうしても進めるというのであれば、それは国の方針としてそういうことであれば、私の方は利子のかからない金で建設されたものを使って運用していくという形であればどうにかやっていかれるだろうと思っております。  いずれにいたしましても、まず、その基礎体力を備えることに専念をいたさなければならないわけでございます。その意味におきまして、よく御存じの「基本方針」に基づいた具体案を緊急にまとめ上げたい、いままだ表には出ておりませんが、内部では相当作業をいたしておるところでございまして、緊急にこれをまとめ上げてごらんいただきたい、御批判いただきたいというふうに考えております。
  220. 中馬弘毅

    中馬(弘)委員 整備新幹線の問題にも関連するのですが、空港の整備について大臣のお考えを少しお聞きしておきたいと思います。  成田があのような状況でございまして、まず第一期だけで、第二期工事は用地買収あるいは過激派の動向、それからパイプラインあるいはアクセスといった問題等多々あろうかと思いますが、第二期工事の完成のめどをどの辺に置いておられるのか、また、日本の一つの玄関口といったことを考えたときの関西新空港、これについて、完成目標をどの辺に置いておられるのか、これは日本全体の交通体系を考えていくときに非常に大事な問題だと思うのです。  それから、国際空港というものも、ただ成田と新関西だけなのか、あるいはもう少し九州に北海道にあのような空港を持った方がいいのか、いや当面二つの方だけでいいというのか、また、それぞれの、先ほど言いましたような意味地方の空港をどうお考えになっておるか、日本全体の交通体系との関係でお答え願いたいと思います。
  221. 松本操

    ○松本(操)政府委員 非常に広範な空港体系の点についての御質問でございますが、従来とかく空港の設置の場合に二眼レフレックスということが言われておりました。つまり東京、大阪を中心にいたしまして、そこから放射状に路線が引かれるように空港をつくるのだという考え方が非常に強かったわけです。ところが、最近の旅客需要の動向を見てみますと、幹線の需要の伸びよりもむしろローカルの伸びが多い。そのローカルの伸びというのも、亜幹線と申しましょうか、依然として東京、大阪を中心として地方都市に延びていく路線の伸びが大きい。ローカル・ツー・ローカルと申しますか、地方の中小都市と中小都市を結ぶ路線についての伸びは従前よりは伸びてきておりますけれども、まだいま一歩というのが実情であるようでございます。一方、政府としては三全総、これに基づき、あるいは最近言われておりますような定住圏構想とかそういったような問題もあるわけでございますので、やはり分散型の形に航空輸送のネットワークというものもできていかなければならないのではないだろうか、このようにまず考えております。  そこで、まず国際線の方から申し上げますと、日本というものが極東に占める市場性という点から言いまして、やはりゲートウエーとしての価値を持っているところというものは、相当の設備を行って、その価値を十分に維持していかなければいけないだろう、そういう意味において、現在の成田空港というものは、御案内のような状態でございますので、決してゲートウエーとして世界に売りに出るほどのものではございません。でございますから、午前中にもお答えしたわけでございますけれども、いろいろと周辺対策その他の問題も多うございますが、これらを一歩一歩片づけまして、十分に近辺周囲の地域方々の御納得が得られた時点で最終的な目標に向かっての取り組みをしていかなければならないだろう、このように考えます。  関西空港も同じく日本の大きなゲートウエーとして売りに出していかなければならぬと思うわけでございますけれども、あるいはまた関西地区の空港としても、現在の大阪空港ではいささか力量が足りないように思うわけでございます。そうは言いながらも、私ども成田の経験を十分に生かすべきであるというふうに考えておりますので、五十四年度の予算では、さらに二十三億の調査費をお願いしておるわけでございますが、これによってあらかたの調査はまずめどがつくのではないか、このように私ども考えております。したがって、将来の予測でございますので多少不確かな面もございますけれども、こういった調査が終わりますれば、それを踏まえて地元の方々とのお話し合いに入る。全国的なと言うと大げさでございますが、大方のコンセンサスを得て空港の建設にかかるというのが、両三年以内ぐらいにめどがつけられればいいのではないかというふうに、これは私どもの心づもりというふうにお受け取りいただきたいと思います。そんなようなつもりで仕事に励んでいきたい、こう考えております。  一方、もう一つ、国際線の場合に地方空港をどうするかという問題がございます。いまおっしゃいましたように、九州あたりには国際空港化の意気込みが非常に強い空港があるわけでございますが、これを分けて考えまして、地域的な国際空港、たとえばチャーター便が出入りするような国際空港というふうなものを考えました場合に、これは将来やはり地域的に相当海外旅行の需要というものが出てまいりましょうから、これが国内線を使って一々東京または大阪に来てから出かけるという必要はなかろうかと思います。したがって、私どものほかにいわゆるCIQと呼ばれております出入国関係の事務がございますが、そういうふうなものとの調整をとりながら、そういった地域空港というものについて、需要の動向を見て必要な整備をしていかなければならないだろう、その中でも特に外国との関係で、二国間の航空協定の中でどうしてもここは日本のポイントとして欲しいというふうに相手国が要求をしてくる、そういう空港が育ってまいりますれば、そこは将来の第三、第四の補助的な定期航空のための国際空港という形で整備をしていくということも当然考えていいかと思います。  したがって、今度は国内の部分になってまいりました場合に、一つの空港が国内線の起点であり、かつまた、いま申し上げましたような地域的なチャーター便等の国際線の起点にもなるというふうなことも考えられますし、さらにまた、前段にいろいろお話のございました新幹線のネットワーク等もおいおい整備されるといたしますならば、地域に空港の一つの勢力圏というものを考えまして、その勢力圏の中においてどれだけの需要が発生するのか、その空港に着きました旅客が逆にまたどういうふうな陸上交通手段でそれぞれの目的地に散っていけるのか、従来、空港というものがとかく空港と空港との間のトラフィックということだけ考えてつくられてきたうらみがあるわけでございますけれども、成田の例でつくづく私ども痛感いたしましたのは、やはりトラフィックというものは、あくまで出発地から目的地までがトラフィックでございますので、空港を中心とした地上のネットワークをも考えながら、地方空港のジェット化とか改良とかいうことに進んでいかなければならないだろうと考えるわけでございます。  大変大ざっぱな説明で恐縮でございますが、今後の考え方としてはそんなような方向でやってまいりたい、このように考えております。
  222. 中馬弘毅

    中馬(弘)委員 船舶局長がせっかくお見えでございますので、先ほどありました特定船舶製造業安定事業協会ですか、これの実際の業務の開始時期、それから現在の申し込み状況、特にまた函館ドックあたりの再建の問題、これについて一つの、後ろ向きの対策じゃなくて、日本の造船業あるいは産業構造をどうするかというような前向きのことにもなってこようかと思いますので、そのことを少しお聞かせ願いたいと思います。
  223. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 先生御指摘の特定船舶製造業安定事業協会でございますが、昨年の十二月十二日に設立の登記をいたしまして、その後、内部機構の整備それから内部規定の整備等をやってまいりまして、この十九日に海運造船合理化審議会を開きまして、納付金率を法律に基づいて諮問して答申をいただくことにしております。それと業務実施計画あるいは業務方法書の認可の問題がありますので、これを合わせまして来月早々にでもそれの認可にこぎつけたいという気持ちでいまやっております。  同時に、買い上げの希望をいたしております造船会社あるいは買い上げについて関心を持っておる造船会社がありますので、これが現在安定事業協会の方にいろいろ問い合わせをしております。したがって、安定事業協会としましては、これらの申請が正式に出てきます段階からなるべく早急に事務が取り運べるように事前の調査をしているという段階でございます。
  224. 中馬弘毅

    中馬(弘)委員 もう終わりますが、船舶局は船舶局、航空局は航空局、自動車局は自動車局といったような形で、それぞれの局はそれぞれのビジョンをお持ちになり、また一生懸命やっておられるようでございますけれども、どうも運輸省というのは局があって省がないというような感じでございます。やはりそれを、全体をまとめてやっていかれるのがそれこそ大臣のお仕事のはずでございますから、ひとつ全体をまとめる、場合によっては機構が必要であればそういうものをつくってでも、全体の総合交通体系というものをはっきり踏まえた上での運輸行政を進めていただきたいことを念願いたしまして、質問を終わらしていただきます。
  225. 箕輪登

    箕輪委員長 これにて中馬弘毅君の質疑は終了いたしました。      ────◇─────
  226. 箕輪登

    箕輪委員長 この際、国際観光振興会法の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。森山運輸大臣。     ─────────────
  227. 森山欽司

    森山国務大臣 ただいま議題となりました国際観光振興会法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  国際観光振興会は、過去二十年間にわたって、外国人観光旅客の来訪を促進するための海外宣伝活動等を通じまして、国際観光の振興に大きな役割りを果たしてまいりました。  一方、わが国国民の海外旅行者数は、近年、急激に増加いたしておりまして、昭和五十三年には三百五十二万人に達し、さらに今後も相当の増加を続けることが予想されるところであります。  しかしながら、これら日本人海外旅行者につきましては、現地において旅行に関する情報に不足し、また、現地の旅行事情につき不案内のため、とかくの問題が生じているところでありまして、このような事態を改善することは、きわめて重要な課題となっております。  このため、政府といたしましては、国際観光に関し長年の知識経験を有し、かつ、十六事務所に及ぶ海外組織を有する国際観光振興会を活用し、同会をして現地における日本人海外旅行者対策を実施させることが最も適切な施策であると考える次第であります。  以上がこのたびこの法律案を提案することといたしました趣旨でありますが、これにより、日本人海外旅行者の旅行の円滑化が図られ、国際観光の振興に資することとなると信ずるものであります。  次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。  第一に、国際観光振興会の目的として、日本人海外観光旅客の旅行の円滑化に必要な業務を効率的に行うことにより、国際観光の振興を図ることを加えることといたしております。  第二に、国際観光振興会の業務として、日本人海外観光旅客に対し、旅行に関する情報の提供を行い、及び相談に応じて旅行事情につき案内を行うことを加えることといたしております。  以上がこの法律案を提案する理由であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
  228. 箕輪登

    箕輪委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時二分散会      ────◇─────