○小倉参考人
一般消費税の導入につきまして、他の税との関係の御質問でございますが、一番問題は、既存の物品税とどう調整をとっていくか、物品税のほかにたばこの問題もございますし、あるいは酒税の問題もございますし、あるいはまた地方税の問題もございます。そういう問題をどうするかということがございますが、これについてのおおよその考え方は、国税の物品税につきましては、長期的な
観点ではあるけれども、できるだけ
一般消費税の中に吸収してまいりたい。ただし、たとえば俗にぜいたく品と言いますか、税率も相当高いというようなものは特別の税として残すというふうな考え方はどうだろうかというふうなこと、それからまた、ガソリン税その他は特別の税目でございますから、また税率も相当高いですから、こういうものを吸収するというわけにはまいらぬだろうけれども、それにまた
一般消費税も重ねて併課するのかどうか、そういった問題、そういうたぐいのことは十分審議をいたしております。
それからもう一つ、
お話のような
消費税あるいは間接税そのものではなくて、所得税との関係でございますが、意見としては確かに、
一般消費税を仮に導入するならば、低所得層の所得税、あるいは住民税の方がむしろ重要かもしれませんけれども、それを軽減するようなことを考えたらどうかという意見の方もございます。また他方、しかし今日所得税というのは、むしろできれば増税をしたらどうかというような議論もございます。
一般消費税を導入するよりは、どちらかというと、低所得者も含めまして所得税の負担はむしろ軽いのだからという意見もございまして、その際に
一般消費税を導入するからといって、その税率が特に高ければ別でしょうけれども、税率との関係を見れば、その関係で所得税を軽減する必要はなかろう、こういう御議論もございまして、税調の中でもまだこうという結論は出ておりませんが、いまのところ所得税の減税というのは、
一般消費税との関係のみならず、こういう
財政の時期でもありますので、できるだけ原則的には考えたくないというような気持ちの
委員の方が多いのではないかというような
感じがいたしております。しかし、それが絶対の原則というわけでもございませんので、なお今後審議を進めていく過程で、
お話しのようなことがさらに討議されるかと思います。
それから
物価との関係でございますが、これは導入の必要な時期ということも無論ありましょうが、導入時期の
経済状況、
財政状況というふうなことも重要なことになるわけですが、特に
物価だけに限りますれば、そのときの
経済状況、
物価の様子というようなことが非常に考慮を要するかと思います。これについては、これはどちらかというと私見みたいになって恐縮ですが、いまのような時期がむしろ
物価に対する悪
影響は余り考えにくいという時期じゃないかという気がいたします。先がどうなるか無論わかりませんが、
お話のように過剰流動性の問題というものがそろそろ心配になってくるというような意見の方もございまして、
国債の
消化の
状況なりあるいはマネーサプライの
状況なりから見て、少し要注意ではないかという御意見の方もおられるようですが、
物価自体の
状況から申しますと、どちらかというと安定をしている
状況でもございますし、
一般消費税を導入して、それでそのときに便乗値上げが直ちに起こる、それによって便乗値上げが促進されるというような
状況ではないというように考えられるのではないかと思っております。無論、導入そのものによって直接
消費者に転嫁されてしかるべき部分が
物価上昇となってあらわれるというのは、これまたやむを得ないというような考え方をしております。