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国務大臣(
瀬戸山三男君) 現行制度の各
給与法の
関係はかようになっておりますが、
先ほど臨時司法制度
調査会のお話が出ました。実は私もその臨時司法制度
調査会の
委員で参画しておったわけでございます。その際に議論になりましたのは、
裁判官というものはいわゆる
一般公務員と全然質の違う職柄であると、御承知のように裁判というものは非常な特殊といいましょうか、特異な仕事といいますか、役職であると。そういう意味で高い見識と人格を持ち、しかも相当の経験を積んでこの社会の各種の問題に審判を下す、こういう人がふさわしいと、前提として。そういう意味で
一般公務員とは全然
裁判官という者の立場は違うんだから、そういう前提に立って
給与体系をつくるべきである、こういう意見が相当多かったのでございます。それは一つには、日本の
裁判官制度は御承知のようなかっこうで任用しておりますが、その当時、いまもその議論が続いておるわけでございますけれども、いわゆる法制一元化という問題があります。アメリカ等みたいに長らく在野におって相当年齢にたち、キャリアもあり、しかも社会といいますか
世間の信頼も高い、そういう人を
裁判官に任命するという制度があるわけでございますが、そういう考え方も入りまして、この
裁判官というのはいま申し上げましたような職責であるから、そういうかっこうで
裁判官を任命すべきであるという考え方に立てば全然
一般公務員と違った
報酬体系をつくるべきである。法制一元化といってもなかなか、たとえば在野の弁護士さん等から裁判所に入ってもらった時期もある、いまでもありますけれども、それに、お互いに交流をしてそして
裁判官のあり方を定める方がよろしいという考え方に立ちますと、いま申し上げましたような
報酬体系と全然別個の立場で考えなきゃならぬのじゃないか。しかし、なかなかそうは言いましても日本では法曹人口が少ないとか、あるいは現在のこの
給与体系の中では、こう言っちゃ失礼ではありますけれども、弁護士さんの
収入に応ずるような、対応するような
裁判官の
俸給が定められておらない、そういうこともありましてなかなか法制一元化と抽象的に言っても具体的には進みかねる、一挙にできないが漸次そういうことに向かうように
給与体系も弁護士さんの、優秀な弁護士さんが直ちにまた
裁判官に変わる、こういう
状況をつくる必要があると、こういう議論があったんでございますが、いま申し上げましたが、すぐにはいかない。しかし漸次そういう姿につくる必要がある。で、
給与体系も一挙には改善は、改めることはできなくとも漸次そういう方向に向こうべきであると、こういう大体方向でありました。それに基づいて年月、私は詳細知りませんけれども、その後
裁判官というものの特殊性にかんがみて他の
一般公務員とは違った
給与体系をつくろうと、こういうふうに
政府部内で努力したのでありますけれども、そこが日本のこの
公務員制度の中で
裁判官だけ特別な高い
給与を与えるということはなかなかそうはいかないと、財政当局なんか当然そういう立場でありますが、そこである程度の改善をし、
先ほどお話になりました、
裁判官は
職務の性質上非常に長期にわたって高年齢までやる
公務員でありますから特号というようなものまでつくって現行の
給与体系に至っておる、こういう
状況であると私は認識しておりますが、いまおっしゃることよくわかるのでありますが、それはほかの行政官と、大学を卒業して全然違う
給与体系というのはなかなか実際問題としてはできかねる。しかし、
裁判官の
職務柄他と同じようにはいかないと、こういうことで現在も差がついておるわけでございますが、宮崎さんのお話よくわかるのでありますけれども、実際問題としては理想的にはなかなかいっておらない。しかし、そういうことはやはり常に頭に置いて私はこの問題考えるべき問題だと、かように考えております。