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1978-11-28 第85回国会 参議院 文教委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年十一月二十八日(火曜日)    午前十時二十二分開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         望月 邦夫君     理 事                 後藤 正夫君                 世耕 政隆君                 粕谷 照美君                 小巻 敏雄君     委 員                 岩上 二郎君                 高橋 誉冨君                 内藤誉三郎君                 増田  盛君                 吉田  実君                 勝又 武一君                 松前 達郎君                 白木義一郎君                 有田 一寿君    委員以外の議員        議     員  前島英三郎君    国務大臣        文 部 大 臣  砂田 重民君    事務局側        常任委員会専門        員        瀧  嘉衛君    説明員        国税庁直税部法        人税課長     山本 昭市君        文部省初等中等        教育局長     諸澤 正道君        文部省大学局長  佐野文一郎君        文部省学術国際        局長       篠澤 公平君        文部省体育局長  柳川 覺治君        文部省管理局長  三角 哲生君        文化庁次長    吉久 勝美君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○教育文化及び学術に関する調査  (松本福岡私立歯科大学の経営に関する  件)  (私立医科歯科大学学債及び寄付金問題に  関する件)  (特殊教育に関する件)  (国際バカロレア制度問題に関する件)  (国士館大学管理運営問題に関する件)  (学級定数問題に関する件)  (著作権に関する件)  (国連大学に関する件)  (養護学校の義務化問題に関する件)  (派遣委員報告に関する件)     ―――――――――――――
  2. 望月邦夫

    委員長望月邦夫君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  教育文化及び学術に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 勝又武一

    勝又武一君 私は、先月十月十七日、松本歯科大福岡歯科大の問題につきまして、集中して御質問をいたしました。私が指摘をいたしました点で、特に実情について十分調査をしてほしいという旨を申し上げておきました。文部省側の確約もいただいておりますので、その後の両校の事情聴取経過並びに結論をできるだけ簡潔に、資料等も昨日私の手元にはいただいておりますので、御報告をいただきたいと思います。
  4. 三角哲生

    説明員三角哲生君) 松本歯科大学につきましては、その後今月の二十二日に第三回目と申しますか、いわば公式の事情聴取を行いました。その結果、前回までの事情聴取段階では、本年度入学者からの寄付金学債は十月以降に受け入れるという方針で、九月末の時点では寄付金学債を収納していないというふうに説明し、また、受け入れ額につきましても、当初予算において一応予定計上いたしました二十五億円という額を、年度途中においてこれを約半額に修正したというふうな説明であったわけでございますが、第三回目の事情聴取では、これらの従来の説明を変更いたしまして、本年二月以降九月末までの時点で、寄付金四億六千万円、学債千六百万円を収納していたということが明らかになりますとともに、十一月二十一日現在で、入学者百七十九人中百六十五人から寄付金二十四億五百八十万円、学債二千六百万円を収納したというふうな説明を受けるに至ったのでございます。  それから、前理事長矢ヶ崎氏が事実上法人運営関与をしておるということで、そして、これに対応して月額百万円の報酬を受けているということなどの事柄もわかってきたわけでございます。  私どもといたしまして、前回までの調査寄付金等収納状況が明らかにされなかったことにつきましては、きわめて遺憾に思っておるわけでございますが、やはり時間とともにだんだんに事実関係が明らかになってきてまいっておりますので、文部省といたしましては、今後、本年度入学者からの寄付金受け入れ実態につきまして、さらに理事長等から事情聴取を重ねまして、その結果に基づいて必要な指導を行ってまいりたいというように考えておる次第でございます。  次に、福岡歯科大学につきましては、文部省は九月二十八日、十月十三日の二回にわたり事情聴取を行い、その結果に基づきまして、同学園に対しまして理事体制刷新、ほか七項目と申しますか、刷新等項目について改善措置をとるように指導したところでありますが、同学園におきましては、この指導の線に沿って再建が進められつつありまして、特に理事体制刷新等につきましては、現在三宅理事長のもとで、県知事、福岡市長、それから県、市の医師歯科医師会長等の協力を求めながら、理事候補者人選が進められつつある状況でございます。  同学園では十二月上旬には新しい理事会評議員会等を発足させて、大学再建に当たりたいといたしておりまして、文部省としては、新しい体制による大学再建を見守りつつ、今後とも必要に応じて指導してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  5. 勝又武一

    勝又武一君 私が御質問申し上げましたのは十月の十七日でありまして、事情聴取が十一月の二十二日と、非常にのんびりされているというように、率直に思わざるを得ないわけですよね。受験生は不安、動揺を持っているわけですよ。しかも国・公立の共通一次の問題がああいう状況になってきていた。そういう中で、もっとやはり迅速に、的確に、文部省としては対処すべきではなかったかというように私は思いますが、その点はどうなんでしょう。三十五日ものんびりされていたんですか。
  6. 三角哲生

    説明員三角哲生君) 私、先ほども御答弁の中でちょっと公式というような言葉を申し上げたかと存じますが、それまでの間に数次にわたり事務的レベルでいろいろ事実関係調査をしておりまして、十月に入りましてから二十二日までの間に四、五回いたしておりまして、その間にいろいろ、何と申しますか、前回までの説明がだんだんに変わってくるにつきましては、やはりこれは一回では無理でございまして、そういった手順というものは非常に苦心をしながら踏みまして、そして一つの節目として、先ほど申し上げました三回目の事情聴取を行ったという、そういう事務的な段取りで対処をいたしておった次第でございます。
  7. 勝又武一

    勝又武一君 結論として、文部省としては、今度の経過ですね、特に、集めていない、いないと再三おっしゃっていたのが、正式にはいま御答弁のように、十一月二十二日に私たちが率直に指摘をしていた事実どおりになったと、こういう点についての見解はいかがですか。
  8. 三角哲生

    説明員三角哲生君) 私ども調査に対しまして、非常に何と申しますか、正直にまじめに対応してくださらなかったということは、学校法人運営の基本的なあり方として非常に遺憾であったと思っておりますし、それから内容的に申しまして、やはり昨年におきます医科歯科大学の入試の公正等に係る指導通知の上から申しましても、これの趣旨に非常に合っていないという疑義もございますので、これはぜひ今後改めていただきたいと思っておりまして、これまでの事情聴取の結果から見て、なおさらに事実関係についてより確認をしたい事柄があるわけでございますが、当面考えられますことは、やはり昨年の指導通知を遵守するということ、それから公正な入学者の選抜を行える体制教学側責任をとれるような形で確立する必要がある、入学定員の遵守、教員組織の充実、それから冒頭に申し上げました通知違反に係るこういう事実関係につきまして、十分な説明をしていただかなかったことに対しまして、何らかの意味責任を明らかにしていただきたい、それからもう一つ、正式に学校法人関係者という立場ではございません前理事長学校運営への関与は、これは排除すべきであるというような点が考えられるというように思っております。
  9. 勝又武一

    勝又武一君 何回も文部省はだまされたということなんでしょう。非常に常識的にお聞きしますよ。それについて、あとこういうことを改めればよい、改めればよいということだけで一体済むんでしょうか。少なくともこれ文部省が一番中心の学校なんかでこんなことが起きたらおさまりますか。大変申しわけありませんでした、うそを言って済みませんでした、それで済むんでしょうか。私はやっぱりそうではいけないと思うんですね。大変遺憾であった、だからあとこういうことを改めてほしいというだけでは済まない問題だ。特に受験生に対する不安、動揺ですね。しかも、文部省をだまし続けてきた。それについて文部省として何らできないということはおかしいんじゃないですか。つまり、ちょっと聞きにくかったんですが、何らかの意味責任を明らかにしてもらいたいというちょっと個所があったように聞きましたけど、その辺は一体文部省は遺憾であったというだけで済むのか、これまでこういうことをだまし続けてきているような学校当局に対して、もっと具体的な方策というのはとるお気持ちはないんですか。
  10. 三角哲生

    説明員三角哲生君) 私どもといたしましては、関係者の側において十分に反省をしていただきまして、そしてどういうふうな改善再建体制をとるかについて、真剣にみずから考えていただきたいというふうに思っておる次第でございます。
  11. 勝又武一

    勝又武一君 何回聞いても同じになっちゃいますからやむを得ませんけれども、たとえば十月十七日に私が具体的な事実を指摘をしました、全くいやなことを私は管理局長に突きつけました。あんなことやりたくありませんよ。ところが、ああいうことをこの文教委員会の席上でやったり、あるいは新聞が徹底的に報道をしなければ、文部省は動かなかったんじゃないですか。あるいは松本歯科大もそこまで文部省事情聴取に対してはっきりと言わなかったんじゃないですか。私が残念に思うのはそのことなんです。そういうことを文教委員会なり、あるいは一段新聞等が徹底してやらない限り、キャンペーンを展開しない限り、そういうことが許されている。こういうことでは本当に文教の府たるもの何をか言わんやということにお感じになりませんか。大変不満です。しかし、これは何回お聞きしても同じ答えしか管理局長からございませんし、ただいま大臣もいませんので、後でまたお聞きをいたします。  それでは、次の福岡歯科大の問題に移りますが、福岡歯科大についての御報告もありましたが、いわゆる文部省改善項目については、すべて福岡歯科大受け入れたと、こういうように受け取ってよろしゅうございますか。
  12. 三角哲生

    説明員三角哲生君) 先ほど説明申し上げましたように、ただいま福岡歯科大学におきましては、今後の再建体制の確立のためにいろいろな努力を重ねておる、そういう段階でございますから、最終結論最終の姿を見て最終的な判断はいたしたいと存じますが、方針としては、私ども要請いたしました線を極力これを十分に受けとめて、再建体制を考えるという方針にのっとって事柄が進められておるというふうに理解をしておる次第でございます。
  13. 勝又武一

    勝又武一君 福岡歯科大理事人選を終えた段階で、文部省了承を得ることを条件づけたというように聞き及んでいますが、どうでしょうか。
  14. 三角哲生

    説明員三角哲生君) 理事選任学校法人がみずから実施することでございまして、いわゆる人事権でございますので、文部省了承を得るとか、そういうことにはいたしてございませんが、これまでのいろいろな事柄との兼ね合いもございますし、それから私どもが八項目につきまして要請をいたしたという経緯もございますので、選任に当たりましては、事前に私どもの方に御連絡はいただきたいというふうにお願いをしてございます。
  15. 勝又武一

    勝又武一君 九州歯同窓会、この同窓会幹部を引き続いて理事要職につける、こういうことが文部省としてはあるというようにお考えなんでしょうか。という意味は、過去の実績から見まして、この九州歯同窓会幹部が、この理事のいわゆる要職についているという事態が、今度の問題の大変大きな原因になっているといいますか、非常に商業紙等でも指摘をされている向きがあるんですが、この辺はどうでしょうか。つまり、そういうことはぜひやめていただきたいと、こういうのが多くの世論といいましょうか、この問題を取り巻く良心的な意見としてあるというように私は思いますし、この同窓会幹部の方が入っていた過去の実績から見て、再び同じことをやりますとまた同じような結果にしかならないんじゃないか、そういう心配がありますので、特にこの点についてお聞きをするわけです。
  16. 三角哲生

    説明員三角哲生君) 勝又委員おっしゃいますように、今回のいろいろな不適正な事柄につきましては、これまでの理事会の中で九州歯科大同窓会関係の方々が関与している、そして実質的に、いまおっしゃいましたような状況があるということは、私どもも同じような意見を持っております。しかし、いま御指摘事柄については、私どもはきわめて慎重にやはり考えなきゃいけないというふうに思っておりまして、九州歯科大学同窓会というものは、九州歯科大学同窓会という一つの独立したまとまりと申しますか、団体でございまして、福岡歯科大学そのものとはまた別のものでございます。したがいまして、それから福岡歯科大学教学組織は、かなり九州歯科大学との関係が濃厚な状況にあるかと思います。そういったことを踏まえまして、私どもといたしましては、九州歯科大学同窓会関係者は、これは一切ぐあいが悪いというふうに、これを単純にやはり割り切るわけにもまいらないかと思っておりますが、しかし反面、これまでの実際の実績と申しますか、これまでの、今回の事柄てんまつにかんがみまして、また同じようなことにならないような配慮を加えていくことが非常に大事であるというふうに考えておるわけでございます。
  17. 勝又武一

    勝又武一君 御苦心答弁趣旨のようなものはよくわかるような気もしますけどね、その辺は何というんでしょうか、もっとはっきりおっしゃってくれていいんじゃないですか。確かに違う性格の団体ですから、そういう意味のこともわかりますけれどもね、私は、もっと文部省世論について耳を傾ければ、その辺については正直に自信を持ってお答えになってもらっていいというように思います。ですから、そういうような意味でいま管理局長お答えになっているというように私なりに理解をいたしますが、特にいまの問題は、そういう趣旨で、再び同じことを繰り返さない、そのためには十分な配慮をしなくちゃいかぬ、そういう意味だというように十分受け取りまして、御努力お願いをしておきます。  それから、福岡歯科大の八項目の中に関連をしまして、聴講生編入問題についてです。  いわゆる聴講生不正編入という件について、福岡歯大から教授会決定報告文部省としては受けているんですか、それともまだ受けていないんでしょうか。受けていないなら、いわゆるいま伝えられているような聴講生問題について、どの程度関知されておられますか。
  18. 佐野文一郎

    説明員佐野文一郎君) 福岡歯科大学は、五十一年度聴講生として受け入れた六名につきまして、五十二年度で五人を二年に、一人を四年に編入をしたということをいたしております。もちろん聴講生としての期間というのは、在学期間に算定をさせることはできませんし、その間に取得をした単位は、いわゆる正規卒業に必要な単位として認めることはできないものでありますし、聴講生を二年次、あるいは四年次に編入をするというようなことはいずれも法的には認められないものでございます。そういうことから大学に対しまして、教授会において編入学生の取り扱いについて検討をして、適切な措置をとりなさいということを求めてきたわけでございます。教授会側は、当初何とかこれらの学生について、勉学をしてきている実態があるわけであるから、その線に沿った救済ができないかということで検討をしていたようでございますけれども、そういった方向については、これは認めることができないということを、私の方からも重ねて指導をいたしましたし、先般教授会としては、これらの学生入学について、五十一年度聴講生としての期間というものについては、文部省指摘どおり、これは正規在学期間としては考えることができないということを判断をする、五十二年度において、大学はこれらの学生について、正規学生として受け入れる手続をとっている、入学許可が正確に行われたかどうかという点については、確かに教授会の当時の状況という点にはあいまいな点がありますけれども、諸般の、入学金であるとか、あるいは授業料等納入状況から見ても、五十二年度からは、これらの学生正規学生として受け入れているという実態があるし、また、それに基づく学習の実態もある、したがって、五十二年度から、これらの学生正規学生として認める、そして必要な卒業の要件を満たすことができるように、これからの履習の方法についても検討をする、そういう基本的な方向を示してきております。現在、それに対して私どもはどのように対応するかを部内で検討中でございますけれども、五十二年度から正規学生として受け入れるというのは、わが方の了承できる最低の限度の線でございます。したがって、この教授会の考え方に対しては、わが方は問題にならないと言って突き返してはおりません。五十二年度学生正規学生として受け入れるということを前提として、その後の六年間において、この洋生に対してどのように大学責任を持った教育を行うことができるか、そのカリキュラムのあり方等について、さらに私ども検討をしますし、大学側にも検討を求めて、早急に結論を出したいと考えております。
  19. 勝又武一

    勝又武一君 いまの局長答弁のうちで、あれでしょうか、これは二十六日の新聞ですが、二十五日に福岡歯科大学教授会を開いて「聴講生(現在三年生五人)の、不正編入問題を討議、文部省指導に沿い」云々とありまして、「五人は来年度、改めて一年生の単位履習再来年度には四年生に、進級して実質七年間の在学卒業をめざすという変則措置がとられる。」、そして、このことは「三枝学生部長が再三文部省協議した結果、二十二日文部省基本的了承を取り付け、この日の教授会で」云々と、こうある点と一致するんですか、しないんですか。
  20. 佐野文一郎

    説明員佐野文一郎君) 日時の点につきましては、最終的に大学側文部省に来て方針説明をしたのは、私は二十七日という報告を受けておりますが、基本的にいま御指摘のような、一年次の聴講生期間というものを考えないで、実質七年ということで対応をする、その五十二年以降の六年間において修めるべきものはすべて修める、そういう方向対処をしていくという大学側方針、それに対してわが方も基本的にその方向について拒否をしないで、その方向検討をしてみようという態度を示しているという点は、そのとおりでございます。
  21. 勝又武一

    勝又武一君 検討してみようと言ったんですか、あるいは了承したという新聞報道が正しいんですか、どっちなんでしょうか。
  22. 佐野文一郎

    説明員佐野文一郎君) これは六年間で必要な単位の履修を行わせるということは、それでいいわけでありますが、やはり、いわゆる准学課程単位をどのように履習をするのか、専門課程単位をどのように履習をするのかという点において検討すべき点がございます。その点について、私どもはさらに検討を必要といたしますので、具体的な内容まで含めて、今日の時点大学側に対して了承をしているわけではございません。これから検討をして早急に大学側協議をいたしたいと考えております。
  23. 勝又武一

    勝又武一君 新聞では、「二十二日文部省基本的了承を取り付け」と、こうありますが、これは、それでは局長答弁ではそこまではいっていない、検討しているだけだということでありますが、一体こういう聴講生の、これが七年でも変則的な措置卒業できるということになりますと、いわゆる福岡歯科大学学則からいきまして、こういうことは一体適法にやられることなんでしょうか。適法ではないけれども事情やむを得ず変則的にやろうとするんですか。その辺はどっちなんでしょうか。
  24. 佐野文一郎

    説明員佐野文一郎君) 聴講生制度というのは、先ほども申し上げましたように、法令に直接の根拠のない大学学則に基づいて、大学が事実上開設する授業科目の一部を聴講させる、そういう制度でございます。  したがって、それを前提として大学編入学をさせるなどということはあり得ないことでございますし、また、ほかの大学もおよそそんなことは考える大学はないはずでございます。非常に異常、異例な事態が起こっているということだと承知しております。
  25. 勝又武一

    勝又武一君 これは正直に言いまして、大臣がいませんので残念なんですが、ここに十月十七日の会議録を持ってきておりますけれども、私もこの点は特に心配して強調したわけですが、そして御質問して、大臣答弁も全く歯切れがいいんですよ、ここは。本当に断固という調子の答弁ですよ。「福岡歯大のことにつきましても、文部省要請をいたしました八項目改善について、いずれの項目についても文部省としては一切の妥協する気持ちは毛頭ございません。」、こういう大臣答弁ですよ。全く歯切れがいいんです。ですから、まさにこれはそのとおりやってくれるというように期待をしているという大臣答弁でありまして、この意味からいけば、ぜひこの点はひとつ一切の妥協をしないで貫き通してほしい。というのは、この決定がやむを得ないというようなことに仮に認められるなら、今後の私学行政に対する基本的な問題を起こす、いま大学局長答弁のとおりだと思うんです。全く一層示しもつかなくなるでしょうし、不正入学を助長することにもなるでありましょうし、そういう大変な危険性をはらむ問題でありますので、この点については、まさに大臣もいらっしゃれば同じ答弁をされると思いますけれども、再度ひとつ局長にこの点の見解を承りたいわけです。
  26. 佐野文一郎

    説明員佐野文一郎君) 五十一年に聴講生として受け入れている、これについて五十一年度からの在学というものをこの学生について認めるということになると、これは御指摘のように、全く筋の立たないことになるわけであります。したがって、処理の仕方としては、五十二年度大学正規学生として受け入れている時点というものを認める、ただし、それは二年次への編入を認めるのではない、その時点で新たに大学入学をしたという形で認めるというのが処理し得る限度でございます。  もちろん、そのように処理をいたしましても、この学生は、その後卒業するまでの間に、非常に苦心をしていろいろな単位を取らなければならないという状況が、ことに進学の課程単位について出てまいります。学生も非常な苦労をしなければなりませんし、大学側も十分な対応をしてもらわなければならないという点が出てくるわけでございますけれども法令の規定に従った措置というものをきちっととりながら、しかも、この学生というものについてのこれからの六年間の教育あり方というものを十分に考えた措置をとる、そういう方向対処をしたいと考えております。
  27. 勝又武一

    勝又武一君 それでは次に、特に私立医科歯科大寄付金学債等の問題についてお聞きをしたいわけです。  昨年の九月の文部省通達、そしてまた私立医科歯科大協議会の申し合わせ、これを大学が守っているというように聞き及んでおります。私も、特に松本福岡歯科大等について、前回にも集中してお聞きをいたしましたが、たしかこれは十一月二十六日の新聞によりますと、私立一医大協の寄付金なり、あるいは学債というのは、大変残念なことですけれども、依然として昨年と同様な状況があると、非常にショッキングな報道がされているわけです。しかも、これは私立医大協ですか、これの実態調査だというように報道されておりまして、この点については文部省としては、この資料等は全然知っていらっしゃらなかったのか、あるいは知られたというのはいつごろなのか、どうなんでしょうか。
  28. 三角哲生

    説明員三角哲生君) 新聞報道されました資料は、医科大学協会がいろいろな意味での審議、協議の材料にするために、今年度の学年が始まりましてしばらくたった六月ごろの時点調査を、この夏にまとめたものであるというふうに聞いた次第でございまして、この調査につきましては、私どもはそういったものがあるということを知りませんでしたが、新聞報道されましたので、どういうものかということはその後見せてもらっております。
  29. 勝又武一

    勝又武一君 それでは、特に大臣がおりませんので、知ったのはつい最近という管理局長の御答弁ですが、これについてひとつ管理局長大学局長の御見解を承りたい。
  30. 三角哲生

    説明員三角哲生君) 勝又委員おっしゃいましたように、昨年九月の両局長連名の指導通知がございまして、私どもは、その指導通知の示しております基本的な方向というものは守っていただかなければならないというふうに考えておるわけでございます。  それから一方、医科大学というものがいろいろな意味で非常に経費がかかるといいますか、多額の経費を必要とするという事実は事実としてあるわけでございます。この調査につきましても、私どもなおよく中身を分析検討いたしたいと思っておりますが、昨年の指導通達の申しておりますことは、やはり毎年経常的に教育研究のために必要となる経費につきましては、原則として学生納付金、いわゆる正規学生納付金、それから国からの補助金、そういった収入を中心として予算を組んでほしいということでございまして、そうして大型の設備でございますとか、施設の改修、増築等については、真の意味の任意の寄付、ないしは学債というようなものも活用して、負担が一部の、一時期の学生に集中しないようにというような線を示しているわけでございます。  そういった点にかんがみまして、今回の調査で見ますと、これはあくまでも六月の時点の中間段階の結果でございますので、これについて余り立ち入った意見を申し上げるのもどうかと存じますが、金額の総体の上から見ますと、昨年度状況に比べまして若干と申しますか、ある程度抑制の方向が示されているというふうに見るわけでございますが、しかしながら、ここで集められました寄付や学債が、どういった意味合いになるかという点につきましては、なお私どもとしてはよく検討してみる必要があると思っております。で、その検討でございますが、私どもとしては医科大学協会、歯科大学協会に対しまして、この六月の資料は知っておらなかったわけでございますが、各大学におけるこういった寄付金学校債の収納状況についてやはり承知をしたいということから、十月一日現在における実情の調査と、その調査結果の資料の提供について、実は九月の中旬に両協会に対して協力の要請を行った次第でございます。私どもが聞いておりますところでは、この十月一日付の新しい調査が近くまとめられるはずでございますので、今年度におきます寄付金等状況が、昨年度指導通達の趣旨に照らして問題がないかどうか等につきまして、その結果を見まして寄付金学債の募集の方法でございますとか、時期でございますとか、あるいは個別の学校ごとの金額等について、両方の協会から必要な説明もいただいて、その上でしかるべく判断をいたしたい、判断の上で必要があれば、さらに指導の徹底を図ってまいりたいというように考えておる次第でございます。
  31. 佐野文一郎

    説明員佐野文一郎君) 管理局と十分に相談をいたしまして、入学時の奇付金等が、入学試験の公正というものを損なうことのないように十分配意をしていかなきゃならぬと思っております。  今般の改善措置によって、少なくとも従来とはかなり医科歯科大学の入試のあり方というのは改善されたと考えておりますけれども、それがなお十分に進みますように、留意をしていかなければならないと考えております。
  32. 勝又武一

    勝又武一君 この学債の発行ですけれど、本来考えれば、学債ですから当然証書は本人が持っているというように思うんですけど、その辺については本人に渡してあるのか、あるいは学校が保管しているのか、その辺はどっちなんでしょう。
  33. 三角哲生

    説明員三角哲生君) 通常、学債でございますから、申し込みがありますれば一応申し込みを受け付けたそれなりの、そのことを証明する受取証のようなものが発行され、そうして遅滞なく正式の債券とその申し込みの受け取りとを引きかえに本人にその債券をお渡しするというのが通常の姿であろうかと存じますが、まあ状況によりまして、一種の保護預かり的なシステムを考えることも絶対にあり得ないことではないのではないか。これは一々全部にわたって調べたわけではございませんが、そういうふうに考えます。
  34. 勝又武一

    勝又武一君 学債ですから私も当然本人に帰属する債券だというふうに、局長の言うとおりと思いますが、ひとつ証書のサンプルですね、どこのでも結構ですから、ひとつ次の機会に資料としてお出しいただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  35. 三角哲生

    説明員三角哲生君) いずれかの学校の協力を求めまして、モデルと申しますか、として提出さしていただきます。
  36. 勝又武一

    勝又武一君 これ五十三年度の六月時点調査新聞報道をされたと、それでまだ中間なので十分でないという話もありましたが、実はこの五十三年度私立医科大学新聞報道以外の個別の最高、最低額、一人当たりの平均額、こういうものも全部私の手元にもちろんいまありますけれども、これを一々言うつもりはありません。ただ、大変な何と言うんですか格差ですね。すごい額――五千万から何十万というような、平均にすれば二千何百万にしましても、大変大きな最高、最低の差がある。ということは何を物語るのか。これはよく御承知と思いますけれども、そういう実態ですね。それで、そういうことがありますけれども、それは一応別にいたしましても、実は私の手元に五十四年度の同じような寄付金学債等の何と言うんでしょうか、これは、計画表と言いますか、寄付金の募集、学債の募集、これがあるわけですよ。一体この点について、文部省としてはどのようにお考えになるんでしょうか。もっと端的に言えば、私はこの状況から見ますと、寄付金学債状況は大同小異だ。局長はやや何か金額では抑制の方向にあるというように答弁されましたけれども、確かにそれは寄付金は減るでしょう。しかしその分学債がふえる。こういう寄付金が減っても、学債が増加をするという傾向にある。つまり学債というのは、本当の意味の債券ではなくて、返すお金ではなくて、寄付金のカムフラージュだというように、私はもう極言せざるを得ないような状況にあるのではないのか。本当に学債というのはまさに他の債券どうりすべて返す、こういうことになっていかないのではないかという危惧を持つわけです。この点についての御見解を承りたい。
  37. 三角哲生

    説明員三角哲生君) 学償と申しますのは、あくまでもこれは一種の借り入れでございますから、償還の期限が参りましたときにこれを、元本を返還するのが当然のものでございます。その間、しかし学校法人としては通常無利子といったような条件で一定の金額の運用ができるわけでございます。それから、場合によりましては、返済期限時に当該の返済の権利を有する方が、その返済の権利を放棄するという形でその金額を学校に寄付するということもこれは可能でございますし、事実上そういう事例もあるかと存じますが、そもそも初めからそういったようなある時期にこれを寄付に転換をするというようなことを前提としたような学債がもしあるとすれば、それは本当の学債ではございませんので、一種の帯付金の変形というふうに見られないでもないわけでございますが、そのあたりにつきましては、やはりそこの区別なり、そこの姿勢の持ち方なりを適正にしていただかなければいけないであろうというふうに考えておる次第でございます。
  38. 勝又武一

    勝又武一君 いまのお考えわかりましたが、具体的に私立の医大協や私立の歯大協と、文部省としてはこの問題で協議をされるという予定と言いましょうか、お考えはどうでしょうか。
  39. 三角哲生

    説明員三角哲生君) 昨年の際には、医科歯科大学入学選技の問題とあわせて、こういった入学時の寄付金の問題があれだけ大きく国会を中心として問題になりましたそういう経緯にかんがみまして、私どもといたしましては医科大学協会、歯科大学協会の両協会を通じて、個々の学校の翌年度学生納付金のあり方、あるいは寄付、学債等の計画、あるいは私大奨学事業等の奨学制度の採用の予定、計画、そういったものについて、各大学の計画について聞かせていただき、必要があればこちら側の御意見も言わせていただくという場を設けたわけでございます。  今回、明年度に臨んでどうするかということでございますが、私どもとしてはやはり両協会を通じまして、何らかの形で状況を把握すると同時に、必要な最低限の指導は行えるように、そういう、何と申しますか、対応をとりたいということで、目下両協会と協議中でございます。
  40. 勝又武一

    勝又武一君 これで最後になりますからお聞きをいたしますが、何か文部省が私大協なり、医大協なりを呼んで話をするという程度ではだめじゃないんですか。やっぱり文部省が思い切って金出さないといけないんじゃないんですか。要はいまお話しのように、入学寄付金でやってきた、今度は学債だと、学債は返す金だ、これはもうあたりまえの話なんですけれども、一体そういうことで済むんでしょうか。私はこの問題は根本的に文部省がもう思い切って私立の医科歯科大に対する当然やるべきこと、つまり国庫補助金を抜本的にふやすということをもう検討する以外に問題を解決する道はない。入学寄付金学債に頼らざるを得ないような経営構造を改めるべきだ、それに値しないような大学がもし仮にあるとするならば、これこそ文部省が今度こそいわゆる私学法の第五条、大学の閉鎖権、文部省としては伝家の宝刀とも言わるべきこの問題についてもう思い切って考える、どっちかだと思う。お金を出して、まさに先進国と比べても医師なり、歯科医師の養成ということの重要性はわかるわけですから、それに値する大学文部省が考えるなら、これはもう当然大幅な国庫補助金の増額をしていく。もし値することのないような仮に大学があるとするならば、つまりもうくどくなりますけれども、何回も指摘しております入学寄付金や、受験に伴う不正入学等が許されるようなそういうものについては、もう思い切っていわゆる大学の閉鎖権を使うか、このどちらかにしていかない限り、いつまで聞いても何かナマズの何とかの議論になりまして、要領を得ていかない、同じことを毎年毎年繰り返しているだけだ、こういうように思いますけれども、この点について率直な御見解をお聞きしたいわけです。
  41. 三角哲生

    説明員三角哲生君) 私立学校はずいぶんたくさんあるわけでございまして、あまたの学校は年々姿勢を正した状況運営をしてくださっていると思いますが、一部、今回取り上げられましたような状況学校が出ておりますことは本当に遺憾なことだと思っております。  それで、補助の関連でございますが、すでに私ども医科歯科大学につきましては、これは先ほど申し上げましたように、非常に多額の運営費を必要とするということもございますので、経常費の補助金につきましても、昭和五十三年度は前年度予算に対しまして、増額のうちで歯学部について非常にウエートを置きまして、百八十億円の増額を図った次第でございまして、この結果として、たとえば医学部につきましては、経常経費の四四%余りの額にまで及んでおるわけで、全体を、今年度正規学生納付金を昨年の状況にかんがみまして各大学とも増額したわけでございますが、その増額した学生納付金の一人当たりと比べましても、補助金の方が一人当たりの額は上回っておるという状況までやってまいったわけでございますが、なお今後ともさらにこれの充実には努めなければならないというふうに思っております。  一方、反面やはりこれだけ多額の国費を投入されるわけでございますので、医科歯科大学それぞれがその運営につきましてはきちんとやっていただくということは当然のことでございまして、もし万一法令違反その他補助条件に著しく合致しないような事例がございました場合には、この返還をお願いするというようなことでございまして、たとえば先ほど先般この福岡歯科大学につきましても、昨年度、一昨年度に交付いたしました補助金約三億円につきまして、その返還命令の措置をとったという次第でございますし、それから交付の方法につきましても、これまでのいわゆる傾斜配分に対しまして、さらにやはり学校の財政状況というものを十分に勘案できるようなシステムにつきまして、私学振興町団にも十分調益、検討をしていただこうというふうに考えている次第でございます。
  42. 勝又武一

    勝又武一君 最後に大臣にお伺いいたしますが、いまと同じ趣旨なんです。まさに受験期を控えて受験生の不安、動揺というのは非常に強いと思いますね。ですから、私は文部省責任というのは重大だと思うんです。大臣きょうはいまいらっしゃったわけですが、私は最初から再三このことを指摘をしてまいりました。非常に文部省対処の仕方もややスローモーション、非常に敏速に、的確に応じていないということも指摘をいたしましたが、時間もありませんので、最終的にそういう文部省責任として、やはり私立の医科歯科大に対する抜本的な改善案、私はいまも最後に言いましたように、もう入学寄付金を減らして学債にするというような話ではない。もう思い切って抜本的に国庫補助金の増額、このことに踏み切るか、もうそれに値しない大学については大学の閉鎖権を行使するというぐらいのお考えを持つか、この点についてひとつ大臣としての御見解を承りたいと思います。
  43. 砂田重民

    ○国務大臣(砂田重民君) 管理局長からもただいまお答えをいたしましたけれども、特に医科歯科系の私学に対しましては、私学助成の傾斜配分をすでにしているわけでございます。このこともなお検討の余地がまだあろうかとも思います。私学助成そのものの充実に引き続いて文部省努力をしなければなりませんことは、もう当然のことでございます。そして私学助成の財政的な措置が充実されることによって、私立の医科歯科系の大学で勉学をする学生たちの負担ができるだけ低くなるように、その努力は当然文部省責任としてしなければならないことであると認識をしております。同時に大学当局におきましても、やはり大学の本当の自治、学問の自由、このようなことを十分再認識をしていただいて、大学の側も学問の府としての経営をしていくその責任を厳しく持っていただかなければなりません。文部省としての責任を果たしつつ、大学協会、両協会とも十分の懇談を重ねまして、最近特にあえて頻発と申しますか、頻発しておりますような遺憾な事態の根絶を期してまいりたいと、かように考えております。
  44. 勝又武一

    勝又武一君 それでは特にいまお話がありました点で、この私大協、あるいは私立の医科歯科大協、こういう方々について、もう再三のことでありますので、いま大臣の表明されました文部省努力をされまして、なおそういう事態について巷聞伝えられているような状況がまだ頻発するようでありましたら、私はやはり出然そういう関係者についてもぜひ本委員会においでをいただいて、十分な解明をさしていただきたい、こういうように思いますので、そのことを最後に御要望申し上げまして、質問を終わります。
  45. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 最初に、勝又委員の質問に関連してお伺いをいたします。  私は文部省の、このような悪徳歯科大学経営者、あるいは医科大学経営陣に対する事情聴取、あるいは指導というものは非常に弱腰ではないのだろうかという危惧を持ちます。たとえば、昨日いただきました「松木歯科大学事情聴取について」、「五十三年度入学者からの寄附金及び学債の受入れ状況について」という文についても、野本事務部長の判断でその金を預かって――十三人分ですね。長野朝鮮信用組合に口座を設けて振り込んでいた。そのことは理事が知らないでいたということが本当に事実なのかどうなのという確かめがないように思います。理事が関知しないと、こう言っていたのであれば、野本事務部長を呼んで、本当になぜ理事に知らせなかったのか、なぜそのようなことをしたのかということを、理事の言うことが事実であるのか、野本さんがなぜそのようなことをしたのかという点についても調べるべきであったと思います。  それから、「寄附金等の依頼」についても、「合格発表前に大学側から一部の受験者の父兄に電話をかけたことはあっても、奇附金を強要するものではない。」という、このようなことをわざわざ書いて私のところに持ってくること自体がおかしいと思うんです。合格発表前にそのような電話をすれば、当然父母にしてみれば入れなければ入れないと思うわけですから、これは強要ではないということ自体を黙って受けとるということがおかしいという気持ちがいたします。  それから、「従来の説明との相違点」についても、ア、イ、ウと三項目ほど書いてありますけれども、その説明のなぜ違っていたのかという点についての掘り下げが足りません。その他たくさんあるんですけれども、関連質問ですから、時間が足りませんので簡単に言いますけれども、たとえば「入学時寄附金各月別受入れ状況」という資料も文部省からいただきました。二月に一億六千七百万円、三月千三百万円、四月が八千六百万円、五月が一億一千六百八十万円、十月になって大きくなって十五億七千三百万、十一月が三億五千四百万、計二十四億五百八十万円になっています。これもたとえば、各月別受け入れが本当に向こうの言うとおり正しいのかどうなのかということを疑わないで、言われるとおりにああそうですかと聞いたのではないかという気持ちがするわけです。それは九月の二十日、九月の二十九日の事情聴取とがらっと変わって、十一月の二十一日の報告では非常に大きく、唖然とするような事実が報告されている点から見ても、もう少し確証を持ってお伺いをするような態度で接していただきたい、こういうふうに考えたものでありますが、これは意見です。  それで、関連の質問というのは、福岡歯科大学編入の問題についての大学局長答弁は私はどうしても納得がいきません。法的に正しいのかどうなのか、文部大臣がおっしゃった一切の妥協を排してやりますとおっしゃったことと、その処置というものはぴたっと一致するのかどうなのか、この辺についての文部省の態度をお伺いします。  もしそのようなことが許されるのであれば、今後高等学校の先生は危ないなと思うような子供たちは聴講生に入りなさい、そしてこのようなことをやって入学した方が、ゼミナール、受験学校なんかへ行って、塾へ行って勉強するよりは安上がりですよというような前例になりはしないだろうか、こういう気持ちがあるわけです。六人の子供たちの人生について考えれば、それは胸の痛むことがありますけれども、今後起きるであろうことを考えてみれば、私はその辺はきちんとしていただきたいという気持ちがします。ですから、その態度についてお伺いします。  第二番目に学債の問題ですけれども、この学債は法的に言えば印紙法だとか、所得税法だとか、あるいは出資法だとか、このようなものに関連してつくられるのではないだろうかと思いますが、学債というのは一体法的にきちんとしているものなのかどうなのか。もし法的にきちっとしているものであるとするならば、それは非常に厳しい規定を持った証書、領収書あるいは返還についてのきめ細かな手続などというものが記入されていなければならないと思うのですが、各大学で出されている学債は、そのようなきちんとしたものであるのかどうなのか。それから、もしきちんとしたものでないとするならば、あるいはあるとするならば、それらについてのそれぞれの問題点はどのようなことがあるのかということについてお伺いいたします。
  46. 三角哲生

    説明員三角哲生君) まず、私ども学校法人に対する調査は、やはり本質的にあくまでも任意の調査でございますので、調査の内容につきましては、私どもやはり非常に厳正な、厳しい内容を中心として調査をいたしておるわけでございますが、調査の方法につきましては、これは限界があるわけでございまして、たとえばいろいろなことをお聞きいたしましても、途中で相手の方が黙ってしまわれればそこでつっかえてしまうわけでございます。したがいまして、いろいろと解きほぐしながら事実関係の確認に努めてまいっておるわけでございますが、先ほど指摘ありましたような事項につきましても、なお回を改めて、さらに事実の正確な確認の方向努力をいたしたいというふうに考えておる次第でございます。  それから、学債につきましては、これはやはり学校法人という公の機関――公と申しますか、公共性ある機関のいたします借り入れでございますから、手続ないしはその様式等につきましては、きちんといたさなければならないのは必然でございまして、昭和二十九年におきまして、出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律が施行されまして、学校債につきましても、出資金の受け入れの制限でございますとか、預かり金の禁止等の規定に触れることのないように注意するような通達もいたしておりまして、手続、その他につきましては当然適正に行うべきものでございます。
  47. 佐野文一郎

    説明員佐野文一郎君) 福岡歯科大学聴講生の問題でございますが、大学側は当初五十一年度聴講生期間についても、これを在学期間として取り扱うことはできないかということを考えたわけでございます。これに対してわが方は、それは法令の認めるところでないからだめだということを強く指導をいたしまして再検討を求め、それによって大学側は五十一年の聴講生期間というのは在学期間に算入をしない、その間に与えた単位についてはこれは認めない、そして五十二年度から正規学生としてやり直すということを方針として決めているわけでございます。その限りにおいては、この問題について、当初の考え方のように法令上とうてい容認できないというようなことではなくて、対応し得る最低限度の線を大学側は出してきたということは判断できると思います。先ほどから申し上げておりますように、問題は、五十二年度から以後六年間におけるこの学生教育というものについて、大学側が十分な責任を持って対応できるかどうかということに係るわけでございます。今回の事態は非常に異常な事態のもとで起こっていることでございますし、およそこのようなことが今後他の大学において生ずるというようなことは考えられないことでございます。そういう意味では、これが他の大学における入学状況に悪例を及ぼすというふうなことは考えられないと思いますけれども、なお私の方は十分留意をして、そのような乙との起こらないように、機会をとらえて指導はいたすつもりでございます。
  48. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 大変くどいようですけれども、他の大学にそのようなことが起きないように考えるとしても、福岡歯科大学に前例としてあったではないかということが起きないという保障がどこに出てくるのかという問題があります。その辺の御指導をきちんとしていただきたい。これは意見を申し上げます。  それから、学債についての管理局長の御答弁、私非常に不満であります。それでは学校債券についてきちんと領収書を出している学校は幾つぐらいあるのか。それから返済についても、きちんと返済計画などが記入されているということを事実上出されていることは、昭和二十九年に文部省が出されたその通達の精神をきちんと守っているという事実を確かめていらっしゃるかどうか、それについてお伺いします。
  49. 三角哲生

    説明員三角哲生君) 学校債は、通常その当該学校卒業生でございますとか、父兄でございますとか、そういう一応限られた対象範囲に行われる一種の借入金でございまして、一般に世上で公募するといったようなたぐいではございませんので、そういう意味合いから申しますと、法的規制というものは、先ほど申しました法律は別として、格別の、それ以上の制限はないわけでございますが、しかしこれは借り入れでございますから、借り入れた者と資金を提供した者との間柄の法律関係が十分明確になるように、証書その他の様式なり、記載事項が定められておるべきことは当然のことでございまして、私どもはいわばこれはあたりまえのことでございますので、それが一々守られているかいないかという観点からの調査はいたしてないのでございます。
  50. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 では、私は後ほど各学校学校債券がどのような形で発行されているかということについても調査をし、さらに文部省にお伺いをしたいと思いますが、具体的な問題点として、学校債券を求められた方、つまり父親が死亡したときに、その学校債券は息子あるいは娘になりますか、あるいは奥様になりますか、そういう方々のところに行かないという点もあって大変不安だという声なども聞かれておりますが、その点などについてもいろいろと御検討をいただきたいという要望をいたしまして私自身の質問に入ります。  最初に、文部大臣にお伺いいたしますけれども、十一月の十六日、これは特殊教育の百年を迎える記念式典がありました。関係者の大変な御努力、特に障害児を持った御家族の方々の血のにじむような努力で、この障害を持った子供たちの教育が非常に大きな前進をしたという点については、私も高く評価をし、心から喜んでいる一人なのでありますが、来年この養護学校の義務化を迎えまして、新たな段階を迎えたと思わざるを得ません。そういう意味で文部大臣にお伺いをしたいのですが、これはどこになるんでしょうか、文部省からいただいたのでしょうか、「一〇〇年迎えた特殊教育 充実した指導で障害を克服」というパンフレットがあります。それで、私はこの「特殊教育」という言葉に非常な抵抗を持つんですけれども、国立特殊教育総合研究所が出しております「研究紀要」の第一巻に「学級の中には背の高い子もいれば、低い子もいる、乱暴な子もいれば、おとなしい子もいる。算数は得意でも音楽は苦手という子もいる。ひとりひとりがみなちがった能力と個性をもっている。教育というものは本来そのような個人差に応じ得るものでなければならない。目が見えない、耳が聞こえない、あるいは手足が不自由であるということも、その個人差の中に入るのである。」と、こう書いております。さらに前文部大臣でありました永井さんが、これは何号になりますか、こういうことをおっしゃっているわけですね。「心身障害者の教育特殊教育といい、そうでない人の教育を普通教育といっていますが、おそらく、普通教育を受けている人の多くは、自分のことを普通だと思っていることでしょう。しかし、私に言わせれば、自分は心身に何の障害もないと思いこんで、障害のある人のことに思い及ばない人こそ、本当に決定的な障害者です。」と、こうおっしゃつているわけですね。私は教育そのものが、子供たちの持っている能力、これを最大限に伸ばすのが仕事だと、こう思っているものです。したがって、障害に応じた教育というのは、特殊だというふうに考えていいのかどうなのか、ここのところが一つの問題点であります。  さらに、最近人権意識の高揚に伴って、大変この特殊というのは差別の響きが大きいわけですね。きのうも三省堂の辞書をちょっと引いてみました。特殊という言葉について、一には一般的でないもの、普通でないものというようなことがありましたけれども、二のところにこういう解釈が載っているんですね。心身が不完全なもの、特殊というのは、心身が不完全なものという、その解釈を読みまして非常に大きなショックを受けているわけです。そして、その次に、この特殊学級という言葉だとか、あるいは特殊鋼という言葉の説明が出ていましたけれども、それほどこの特殊というのは障害を持った子供、人その者に当てはまるような言葉になっておりますので、この障害児の教育に対する文部大臣の考え方、それと同時に、この特殊教育の言葉をやっぱり変えていくということが必要なのではないだろうか、こういう気持ちを持ちまして質問をするわけです。  特に、それは今回諸澤初中局長名で出されました十月六日のこの通達につきましても、「教育上特別な取扱いを要する児童・生徒の教育措置について」というふうに書いてありまして、何かこういう特別の言葉をやっぱりつくり上げていくというのが、この百年を迎えた第一歩の仕事ではないだろうかと、こう思うものですからお伺いいたします。
  51. 砂田重民

    ○国務大臣(砂田重民君) 特殊教育という言葉の意味、それが差別を意味するものではないか、私はそうは考えておりません。制度特殊教育という言葉は使われておりますけれども、その三省堂の字引でお調べになったようでございますが、二番目に書いてありますような問題は、特殊教育という言葉が心として差別するようなものがあっては絶体ならない、こういうことを私は考えているわけでございまして、心身に障害を持っておられるお子さんに、一般的な普通学校教育指導をする指導方法と異なるやはり指導方法があることは現実の事実でございまして、心身に障害を持っておられる子供さんでも、それぞれやはり異なった能力を持っておられるわけでございますから、それぞれ持っておられる能力を最大限伸ばしてあげる、そのことが必要なことである。それぞれのお子様が持っておられる能力を、それぞれ最大限伸ばすための創意工夫またあってしかるべきでありまして、そのことが特別の教育方法があり、特別の機材があり、特別の教材があり、そういう意味であって、心とするところに差別というものがあっては絶対にならないことだ、かように考えております。
  52. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 そこのところがやっぱり違うんですね。だんだん物の考え方が変わってまいりましたので、大臣は差別を意味するものではないとこうおっしゃいますけれども、受ける立場にとってみれば大変な痛手を持つものがあるのではないだろうか、こういう感じを私は障害者の方々とお会いして思うわけです。現に小学校、中学校私はずっと歩いていますけれども、このごろ特殊学級という掛け札が教室の前に立たなくなりました。先生の名前を入れまして何々学級だとか、あるいは大変かわいらしい、あるいは美しい名前を入れまして、みどり学級だとかというような言葉で、特殊学級という言葉が入っていません。昔はそういうのがあたりまえだったわけなんですね、私が現場におりましたころは。そういう意味で、意味するものでないと大臣がおっしゃっても、やっぱり意味していると受け取っている人たちがいる以上は、新しい、いい言葉というものを文部省としては研究することが非常に重要なのではないのだろうか、こういう感じがするわけです。  最近の新聞などを見ましても、あるいはニュースなど見ましても、社説だとか、論説だとかを見ましても、やっぱり障害児教育という言葉が出ていますね。日教組なんかもつい先年まではこの特殊という言葉を使っておりましたけれども、特殊学校部などというのがありましたけれども、最近は障害児学校部というような形で名前が変わっております。それは、いまこうしなさいという意見ではないのですが、考えていただきたいということを私は意見として申し上げたいと思います。  それで、今年の予算委員会のときに私は、全盲の少女が仙台の小学校卒業し、普通の中学校卒業し、そして県立の高等学校入学をした、この事実を報告を申し上げまして、そして文部省自体の出している「特殊教育執務ハンドブック」の内容についての見直しも要望いたしました、大臣のお考えもお伺いしました。そのときに大臣は、ケース・バイ・ケースである、こうお答えになりまして、さすがにやっぱり障害児の教育については先進的な条件と内容を持っていらっしゃる兵庫出身の大臣である、こう思いましたし、神戸市あたりでは、そういう障害を持った人たちを、準市の職員というような形で職業につけていらっしゃるというような、非常にすばらしいこの実践を持っていらっしゃるからこそ、大臣のお考えもそのような御答弁になるのかな、こう感心をしておりましたが、この十月六日の文部省の出しました通達をめぐりまして、その大臣の御答弁が実は逆の方向に行っているんではないだろうかなという感じがしてなりません。  それで、初中局長にお伺いしますけれども、十月六日のこの通達というものは、いままでのものよりは非常によくなったのか、あるいは制度というものをうんと厳しくしているというように考えていらっしゃるのか、その辺のところはいかがなものでしょうか。
  53. 諸澤正道

    説明員(諸澤正道君) いままでのものと言いますか、三十八年、九年ごろ出しました通知は、養護学校義務制というものを前提としているわけではないわけでございます。そこで、養護学校教育の普及、趣旨の徹底ということを主眼にして通達を出しましたが、十月六日の通知は、明年四月から義務制が施行になる、その義務制施行を前提として、それに対応する教育上特別な扱いを必要とする児童、生徒の教育措置について必要な留意事項を通達したものでございますから、そこで、従来の通知の中で必要なものは取り込みましたけれども、通知そのものの性格は変わっているというふうに御理解いただいていいかと思います。
  54. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 私は障害者の子供を持つ、障害を持っている子供たちの親たちが、あの通達によって非常に差別、選別というものが厳しくなって、いままで地域の学校受け入れてもらっていた者が、どうしても養護学校に入らなければならないような、非常に重苦しい雰囲気というものが地域に出ている、それからいままでいた学校を出されて、ぜひ養護学校に行きなさいという指導が行われているということについての不安を持っている事例を御報告申し上げまして、あの通達の真の考え方というものをお伺いしたいわけです。  まず最初に、朝日新聞に載っていますが、九月の二十三日の長崎における県会でこういう質問があるわけです。西岡公夫委員(清風会)が、「本来ならば普通学校に通える子供が県立養護学校に入っている。こんな現状では障害児の入学先を振り分ける適切な判定はできないのではないか」と、こう言われているわけです。私もこの養護学校の子供たちの障害の程度についての資料をいただきました。上肢はどのようであるか、下肢、言語はどの程度であるかという、この資料を見ますとね、非常に軽い子供たちが大ぜい養護学校に入っているのですね。普通学校でもいいと思われるような子供たちが養護学校に入っている。この辺のところが非常に問題だという指摘を大ぜいの方々がしていらっしゃいます。さらにやっぱり同じ長崎ですけれども、九月の十三日、まだ文部省からの指導が行われない九月の十三日の日に、県の教育委員会が説明をしているわけですね、養護学校義務制についての説明をしております。その中で大変問題だなあと思う点は、たとえば養護学校対象の学齢児というものが、施設から養護学校へ通学する子供たちが減って――説明の数ですよ、施設から養護学校へ入る子供が減って、そして訪問教育をやる子供たちの数がふえているわけですね。そして、その子供たちは養護学校に籍を持つわけですから、この辺も一つ問題があるなあ、やっぱり後退をしているのではないかなあという気持ちがいたします。  二番目に、基本的には学校教育法施行令第二十二条の二の該当児は養護学校へ入っていただきますと、新通達の出される前にもうこのようなことを言っておられました。  それから、養護学校該当児の就学については次の四項の中から選んでもらうとして、一つは自宅から通学する、施設に入所してここから通学する、訪問教育を受ける、就学猶予をすると、こういう中で、特に自宅からの通学については、スクールバスの用意はないので、保護者が責任を持って通学させること、こういう説明しているのですね。そうしますと、保護者がとても責任を持てない、たとえば共働きのようなあれだとか、お母さんが病気がちだとか、そういう条件の整わない家では、施設に入れるか、とてもではありませんけれども家に置くかしかない、こういう意味では私はやっぱり教育委員会のやる仕事は、条件整備をするということが先でなければならないのに、こういう非常に冷たいことを言っておられるわけですね。さらに、就学猶予をする場合についてはいろいろなことを言っているわけですが、現在特殊学級に重度の子が入級している、これは法令で示されているものではなく、特殊学級の本来の姿を失っている、重い子が入っていると集団教育が不可能で、特殊学級に暗いイメージがある、そこで、本来のクリーン特殊学級にしたい、IQで示すと云々と、こう言っているわけですね。この言葉でわかるように、障害を持った子供たちというのは、非常に邪魔者扱いをしているという実例が出されております。  さらに、先日私は滋賀県へ行きました。滋賀は、びわこ学園どもあったりして、大変これは取り組みに熱心なところでありますけれども、O市においては、もしこのことに違反をして普通学級に入れたいなんと言うと、罰金は三万円出してもらうということを教育委員会が指導しているんですね。罰金三万円というのは、一体どこからこのような言葉が出てくるのか、非常にみんなは恐ろしく思ったというのです。それからH市においては、特殊学級は落ちこぼれをとる、だから、落ちこぼれということは促進学級みたいなものですね。だから、その他の者は養護学校へ行きなさいという指導をしているわけです。このような実態文部省としては把握をしておられますでしょうか。
  55. 諸澤正道

    説明員(諸澤正道君) いまおっしゃったような点、一々具体的には承知をいたしておるわけではございませんけれども、何分にも新たに義務制を施行するわけであり、その趣旨とするところは、あくまでも学校教育法施行令の二十二条の二にあるような障害の方は、養護学校へ行っていただいて、十分適切な教育を受けてもらうように指導してもらいたいということでやっておるわけでございまして、その趣旨があるいは十分徹底せず、御指摘のような事柄において、父兄や関係者に不安の念を抱かせるとすれば、それは本来の趣旨でございませんので、一層注意して指導するようにいたしたいと思います。
  56. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 罰金三万円なんというのは論外だというようにお考えになりませんか。
  57. 諸澤正道

    説明員(諸澤正道君) ちょっと、どういう趣旨でそういうことを言われたのか、あるいは、本来養護学校へ行くべき方が普通の小・中学校へ行くことになれば、それは就学の義務を履行したことにならないから学校教育法違反だと、こういうような趣旨を端的に罰金というふうにあるいは言ったのかもしれませんけれども、まあそういうような説明は私は余り適切なものではないというふうに思います。
  58. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 いまの初中局長説明、やっぱり問題があるんですね。養護学校に行かなければならない子供が行かなかったとすればというところがやっぱり問題なんで、大臣のケース・バイ・ケースとは違うじゃないですか。ことしの予算委員会における私の質問も、全盲の子供が小学校卒業したわけですよね。証書をもらってるんでしょう。文部省の執務ハンドブックで言えば卒業させられないわけですね、義務教育を修了したことにならないんですから。中学も卒業して、卒業証書をもらっているわけですから、文部省の執務ハンドブックで言えばこれは卒業したことにはならない、したがって、卒業証書を出した校長先生は違法を犯したということになるわけじゃないか、法律に違反したことになるではありませんか。そして、さらに普通の高校へ入ってるわけですから、やっぱり能力があり、行く気持ちがあり、受け入れる条件があれば、そのようなことはやっぱりいいことなんだと、できることなんだというようにお考えになりませんでしょうか。どうでしょうか。
  59. 諸澤正道

    説明員(諸澤正道君) この前の予算委員会のときの議論をもう一回復習さしていただきますけれども、発端はいままさに先生がおっしゃった、普通の学校へ行った場合に、義務教育を果たしたことにならないというふうに特殊教育執務ハンドブックに書いてある、それを取り上げられて、それはおかしいじゃないかと言われまして、私もそれはごもっともだと思いまして、これは担当者に言って、その部分は訂正するようにしております。ただ、そのとき私が御説明申し上げましたことは、そういうような全盲の方が普通の学校へずっと出られるということについては、そのケースが教育上の必要からして合理的な理由があると考えられれば、そういう例外的な就学も直ちに学校教育法違反にはならないと考えます。というふうに私は申し上げたはずでございます。したがって、しかしそのことはあくまできわめて例外的なケースでありますよということを申し上げたんで、そのことは、大臣がケース・バイ・ケースとおっしゃるのも、言われるように、きわめてレアケースであると、こういう趣旨でございますから、原則はやはり障害のある方は養護学校へと、こういうことでございます。
  60. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 諸澤さんも大変りっぱな御答弁をしていらっしゃったわけですね。私は、大変失礼いたしました。いまのお考えのとおりだと思うんです。  私も文部省のそういう態度について、では一体文部省の管轄下にあります教育研究所はどのような考え方をしてるのかと、こう思って、いろいろな資料を見てみました。やっぱり文部省の直轄の教育研究所であるだけに、態度はきちんとしてるわけですね。けれども、態度がきちんとしてるということと、研究の結果とはやっぱり相反するものがあるのではないかという例を一つ報告をします。  一九七五年というのは、全国的にそういう全盲の子供たちも普通の学校に行きましょうというような運動が起きて、具体的に言えば五名の子供が普通の小学校に入ったわけです。一九七五年の四月には。特に、その中の一人、浅井一美ちゃんという全盲児、これは浦和の市立の別所小学校に入ったわけですけれども、こういう子供たちを追跡をして研究をしていらっしゃる方に山梨正雄、山県浩、千田さんという方が「新時代」という冊子に「一般学級で盲児を教育するにあたっての配慮」というものを発表しております。そして、ほとんどこれと内容を同じくするものに、さっきの三人のほかに、小柳恭治さんという方が加わって「公立小学校における五人の盲児の教育に関する実験的研究」というものが出されているわけです。これは国立特殊教育総合研究所の「研究紀要」の中に入っております。まあこの論文自体は、「現在のところ法的には盲児はすべて盲学校に就学させることになっている」と、「盲児を一般学級に就学させる教育措置は、あくまでも例外なもの」と、このように書いておりますけれども、その内容において、先ほど出しました、特に山梨、山県、干田、三名の方が出されたその内容には、こういうことがあるんです。「点字による学習はもとより、触察能力や歩行能力、あるいは社会適応、性格形成等々の面において、一般学級に在学するがゆえに、盲児に必要な教育要素が欠けるという心配はまったくないというのが、この一年間の実践的・実証的研究を通してのわれわれの現在の結論である」と、こう出していらっしゃるわけですね。非常にこのことは私はすばらしいことだと思ってるんです。  特に、最近の新聞で拝見いたしますと、この研究所でもって盲児が機械を使って普通の宇を読み取ることができる、書くことができるというようなことも開発されたような記事を伺いまして、ぜひ一度そこへ行って、具体的に教育を見てみたいと、こういうふうに思っているんですが、研究所の紀要そのものが、盲児が普通学校に入っても何ら差し支えないということを、心配は全くないと、こう言っているのに、そのことを重要視しないで、やっぱりそういう子供たちは養護学校、盲学校、聾学校へ入るのがいいんですよという指導をされているのかというところがわからないのですが、どうでしょう。
  61. 諸澤正道

    説明員(諸澤正道君) まあ、だんだんこの教育、あるいは医学、心理学等の研究を重ねて、そういう障害のあるお子さんに対しましても相当適切な教育の方法が開発されていくという、そのこと自体は時代の進歩とともに大いにあり得ることだと思いますけれども、ただいまおっしゃったようなことを踏まえて、直ちにそれならすべての盲者も同じように普通の学校へ行ってよろしいかというと、私はやはりそうはいかない。これは本人自身の問題もあろうし、父母の意欲の問題もあろうし、第一に受け入れ学校側自体の条件整備がなければできないことでございますから、繰り返して申しますけれども、そういう点について大いに研究をし、いろいろとその方法を考えていただくことは結構でございますけれども、現時点におきましては、やはりその特殊教育あり方というものは、基本において今回文部省が示した考え方によるのが現実的であり、妥当であるというふうに私は考えるわけでございます。
  62. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 先日、長崎大学の薬学部の教授をしていらっしゃる河原一男さんからわが党の宮之原委員が陳情を受けました。  それで、八月の二十七日の毎日新聞にこのような記事が載っているのですが、河原さんのお子さん、特に双子のうちの男のお子さんは非常に運動能力がすぐれている。ところが、女のお子さんは脳性麻痺なんですね。暁子ちゃんとおっしゃるんですが、この脳性麻痺のお子さんをぜひ普通の小学校に入れたいと御両親そろって大変な努力をしていらっしゃるわけですね。温水プールで水泳の訓練をしていらっしゃる。つまり、着物を着ていると体が動かないんですけれども、おふろに入ったりプールに入ったりしますと非常によく体が動くというので、脳性麻痺の方々を、一緒に相談をいたしまして、水泳で訓練をしていらっしゃるわけですね。それで現にもう二メートル変則クロールで泳いだという記事が載っていました。その河原さんが、この子供が普通の学校に入れられないとしたならば非常に大変だ、私は普通の学校の中で教育をさせたいと思っている。それで、もし就学指導委員会が、あなたはだめですよ、ここの子供は養護学校ですよと言ったら、私はその養護学校にこの子を入れないと、こういう強い決意を語っていらっしゃるわけですね。文部省にもいろいろと相談に行ったけれども、非常に厳しい態度で御返事があったというのですが、文部省は、その子供さんを養護学校に入れないで、普通の小学校に入れなさいと私はいま言ってくださいというんじゃないんですよ。その就学指導委員会は、そういう親の願いだとか、本人の意気込みだとかを十分考慮して、小学校に入れられるという条件があるならば、行ってもいいんだということを諸灘局長やっぱりお考えですか。先ほどの御答弁から言えば私は当然そのようになると思いますが、どうでしょう。
  63. 諸澤正道

    説明員(諸澤正道君) いまおっしゃったお子さんは脳性麻痺ということですから、その障害の程度を判断するのは、肢体不自由者として養護学校教育の対象となるかどうかという判断になろうかと思うんですけれども、施行令の二十二条の二では、その部分について、たとえば「体幹の機能の障害が体幹を支持することが不可能又は困難な程度のもの」というふうになっておるわけでございまして、私ども養護学校へ参りまして、脳性小児麻痺にかかったお子さんが、体のバランスも十分とれないで、いすに座ったきりというような方も見るわけでございますが、いま御指摘のお子さんが、第一にはやはりその障害の程度というものがどの程度であり、あるいはその回復の見通し等がどうであろうかというようなことを十分判断して決めるべきことであり、その点につきましては、十月の通知におきましても、医学的に詳細な検討をするようにというふうに述べてあるわけでございますので、それらの結果を総合して私はやはり就学指導委員会で十分検討をしていただく、その際において、その子供さんの病歴なり、生育歴なり、あるいは親としての希望なりも十分述べる機会を持たれるというようなことで判断してもらうのが適当かと考えるわけでございます。
  64. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 その判断資料ですね、なかなかよくなったと、こういうように考えていらっしゃる方もありますけれども、臨床心理学、日本児童精神医学会、こういう学会そのものでも、診断表による判定は非人間性を拡大する、こう声明をしていらっしゃるところもあるくらい大変問題のあるところであるわけです。したがって、親の希望、本人の能力、学校受け入れ体制などについても私基本がやっぱり大事だと思うんですね。もう分けてやるのが一番いい教育なんだと、それだけが絶対なんだという考え方はやっぱりやめた方がいいのではないか、こう思いますが、もっと文部省の態度について、私は非常に不思議でしょうがないのは、厚生省との方針の違いというのがあるように思われます。厚生省が中度の心身障害児も保育所に受け入れたいと、このように通達を出すということを伺っているんですが、文部省はその辺はどのように承知しておられますでしょうか。
  65. 諸澤正道

    説明員(諸澤正道君) 担当課長に聞きますと、障害児の受け入れということについては、厚生省も十分考えておるようであるけれども、具体的に中度の障害児についてもという話は聞いていないということでございます。  ただ、私のこれは推測もありますけれども、やはり児童福祉施設と学校では、その機能も目的も異にしますから、厚生省の方で、児童福祉施設の入所者の取り扱いの方針と、学校教育の場における方針というのは違う場合もあり得るだろうというふうに考えるわけでございます。
  66. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 それでは、就学前教育ですね、九割が何らかの形で就学前の教育を受けているというあの統計は、それでは今後は保育所は除いて幼稚園だけで判断してよろしいのですか。いまの御答弁を伺えばそのように判断せざるを得ませんが、どうでしょうか。
  67. 諸澤正道

    説明員(諸澤正道君) 大ざっぱに就学前教育というふうに幼稚園と保育所を言っておりますけれども、やはり厳格に言えば、幼稚園は学校としての学校教育の機能を持つものであり、保育所は保育に欠ける幼児を保育する施設でございますから、そこでやはりおのずから違う面も制度上はあり得るというふうに考えてよろしいんではないかと思います。
  68. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 制度上はあり得るとしても、保育というものは即私は教育だと、こう思っているんですよね。保育というものは教育がもうそのまま入っていくものですから、やっぱり就学前の教育をやっていく保育所と、文部省というものはある程度同じ歩調で動いていかなければならない、こう思うのです。  厚生省はいままでどのようなことをやってきたかといいますと、四十八年の中央児童福祉審議会の答申を受けて試行しているわけですね。「軽度の心身障害児は、保育所で正常児と混合保育することによって心身の発達が期待できる。正常児にとっても福祉の精神を養うよい機会になる」、このように判断しているんですよ。非常にりっぱだと思うんですね。この四十九年度からの試行は軽度の心身障害児です。今度はそれに対して中度の心身障害児も保育所で受け入れたい、こういうことを言っているわけですから、さらに大きく前進をしているわけです。そうして予算をいたしまして、そのような施設も改善をする、あるいは保母さんも特配をしていく。さらには、いままでそういう教育をしたことがないわけですから、受け入れる側の保母さんの不安を解消するために、いままで主任保母さんだけを障害児研究をやらせていたけれども、みんなに当てはめさせるということをやっているわけなんですね。このような考え方が私は文部省にないということ自体がおかしいと思うのですが、文部大臣どうでしょう。  もし障害児を受け入れるというような学校があったとしたならば、特別の配慮をするというような予算を、いますぐにはできないかもしれないけれども、やっていくというのが文部省の仕事ではないだろうか、任務ではない、だろうかと思います。私の考え方に対して大臣のお考えをお伺いいたします。
  69. 砂田重民

    ○国務大臣(砂田重民君) 御意見を承っておりましたが、基本的には心身障害児に対しましては、その障害の種類、程度に応じまして、小・中学校の通常の学級へ進む種類、程度、もしくは特殊学級に進まれる道、そしてまた盲・聾・養護学校において適切な教育を行う、そういう道に進まれる障害を持っているお子様、比較的心身の障害の程度の重いお子さんたちが、法令の定める手続によって養護学校に進まれる、そういうふうに道はそれぞれ原則的に決まっているわけでございます。原則が決まっていると申し上げるわけでございますが、この原則の趣旨に沿って、市町村教育委員会で保護者から子供の生育歴や、あるいは現在の心身の状態など実態を聞きますとともに、医師教育職員等各方面の専門家からなります就学指導委員会に諮問をして、適切な教育措置、就学進路というものを決めていこうというわけでありますから、先ほどから粕谷委員が御指摘になりますような非常にレアなケース、たとえば仙台の尾形君の場合のような、そういう方の場合も当然考慮していかなきゃなりませんだけに、養護学校義務制への変化の時期でもありますし、すでに普通学校在学をしている心身に障害を持っているお子様についての措置につきましても、八月にすでに政令改正をして、第二の尾形君がまた出てこられることもあり得るとしているわけでございます。初中局長先ほどからお答えをしておりますのも、その原則についてお答えをしているわけでございます。粕谷委員のおっしゃる大変そういうレアケースがあることは予測はされることでございますから、私どもが願っておりますことは、各般の条件整備に努めて、就学指導委員会の考え方がきわめて適切に行われることを期待もし、指導もしていかなきゃならない、かように考えておるものでございます。
  70. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 私も、障害を持った子供たちの教育条件というのは全く保障されていなかったときには、養護学校を建てて、ぜひそのような子供たちを教育をしてもらいたいという運動に取り組んでまいりました。しかし、現にその運動に取り組んでくると、やっぱり矛盾というものが出てくるわけです。したがって、教育というものはどんどん変わっていく条件というものが出てくると思うんです。養護学校の義務化がこのように大きく叫ばれてきて、ああうちの子供も今度教育がされるようになってうれしいと思う親が出る反面、やっぱり養護学校教育だけ受けていたんでは、そこの学校卒業したときにうちの子供はひとりぼっちになってしまうという心配を持っていらっしゃる親もいっぱいあって、どうぞその養護学校は、二時間もかかって、そしてようやくたどりついて、ちょっと授業を受けてまた二時間もかかってうちへ帰ってくるような、そんな不便なところにある養護学校だけでいいなんていう、そういう考え方を持たないで、ぜひ各地域に通学ができるようなところに養護学校をつくってくださいという、そういう親もいらっしゃるわけです。普通の小学校にうちのお兄ちゃんやお姉ちゃんたちと一緒に通えるような、そういう養護学校といいますか、養護学級を、地域の子供は地域の学校教育を受けるような条件を整備してもらいたいと、こう願っている親もだんだんふえてきているわけですから、そのような親の願いにこたえるためには、私はこれは今度の原則がいつまでも正しいんだという態度ではなくて、大きく変化をする、障害を持った子供たちに対する正しい教育が発足をしていく新しい年の第一年であるというような考え方を私自身も持っていきたいし、文部省の皆さんもまた持っていただきたいと、こういう気持ちでいっぱいでございます。  最後に、福岡の高等学校の教員組合が、そういう養護学校に通う子供たちがスクールバスがなくて大変苦労をしておるというので、スクールバスを二台寄付をしたいということを申し入れて、そこでも大変喜ばれたんですけれども、急に県教委の方から、そんなものはもらっちゃいけないと、こういうふうに言われましてね、それで急遽――急遽というよりも突如として県の予算にスクールバスを二台計上して、それはそれでいいわけですけれども、通学に充てるということが決まったというのがありますけれども大臣、このことを内容御存じですか。
  71. 砂田重民

    ○国務大臣(砂田重民君) 聞いておりません。
  72. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 諸澤さん御存じですか。
  73. 諸澤正道

    説明員(諸澤正道君) スクールバスの話は聞いておりません。
  74. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 これは、問題は、それはもらっちゃいけないという圧力がかかったのは、先生方のところに出てきた主任手当を返上して、お金がたまってて、そこから何とか教育条件をよくするために、そういう子供たちのためにスクールバスを出したいと、こういう善意から出された行動なんですね。そのようなことに対して文部省は、もらうなというような指導をされているのですか。
  75. 諸澤正道

    説明員(諸澤正道君) 一般的にその学校教育振興あるいは充実のために、お金を寄付してくださるというような場合には、これはありがたくちょうだいするのが普通だろうと思うわけでございます。ただ、その主任手当の返上ということが、いわば計画的、継続的に一定の額を拠出して、これを積み立て、寄付をするということになりますと、そもそも主任手当の支給ということが、教員の処遇改善ということでなされたものでありますから、その趣旨からしてそういうお金を寄付をし、それを受け入れるというのは、どうも趣旨に合うものではないということで私ども指導いたしております。
  76. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 指導されても、これは一たん先生方はもらったわけですね。もらったものを出した。自分たちで出したんですから、もらったわけですから、文部省としては何も文句を言う筋合いはないと思いますけれども、それぞれ受け入れたって構わないわけですね。お考えはそのように指導されても、受け入れる方が自主的に、うちではそのようなスクールバスをぜひもらいたいと、こう思って受け入れたって構わないわけですね。
  77. 諸澤正道

    説明員(諸澤正道君) 手当をそれぞれの先生がもらわれて、それをまた拠出をするということは、その御本人の自由ですから、これは何ら干渉すべきことではございませんけれども、寄付を受ける教育委員会側で、その寄付を受けたものだろうかどうかという御相談がありましたので、それは寄付を受けずに自分の力でひとつ条件整備はすべきではないかと、こういうふうに申し上げているわけでございます。
  78. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 たまたま福岡では自分の力で条件整備をされました。このあれを見ましても、りっぱなスクールバスがあって、子供たちが喜んでいるという報告があったわけですが、そのスクールバスがない市町村、ないところにおいてそのような行為が具体的にあったとしたならば、そしてそこの場所が自分たちの力でスクールバスなどを整備できないとしたならば、これは当然受け入れたってしかるべきだと思いますけれども、どうでしょうか。
  79. 諸澤正道

    説明員(諸澤正道君) 先生のお話は、いろいろ前提条件があってのことでございますので、それに対してお答えする判断の資料もございませんけれども、繰り返しますけれども、私はやはり学校の条件整備は、それぞれの市町村、あるいは県においてできるだけ努力をしてやるべきものであって、本来教員の処遇改善に使われたその経費を、継続的、組織的に積み立てて番付をするというようなのは、趣旨に反するのではないかというふうに考えるわけでございます。
  80. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 大変頭がかたいと思うのですよ。たとえば松本歯科大学の創立者の方が引退をされたわけでしょう、事実文部省からの御指導があって。そしてその方に対して毎月百万円のお手当が出ているということも、文部省としては現実に認めていらっしゃる。これは文部省からの報告なんですから事実だと思います。「矢ヶ崎前理事長大学運営への関与」ということで、理事長やめたのに、その大学の中に部屋を持って「理事長要請理事会に出席したり、規定をおくことなく創立者として毎月一〇〇万円を受け取っている事実が明らかとなった。」と、こうありますから、それなんかなんか大学寄付金でしょう。しかもそれは表からの寄付金じゃなくて裏からの寄付金です。そんなのをもらっていることに対しても、厳しい指導なんというのは余りされないでいて、規定置けばいいですよと言わぬばかりの指導をされているわけですよね。そんなようなことから考えてみたら、まさに教育条件を整備しましょうという先生方の正義の行為に対して、あなたの方で、それはおかしい、おかしいなんということ自体がおかしいと思うのです。  私は意見を申し上げまして、御答弁は要りませんから、文部大臣に対しては最後にそのことに触れないで、こういう障害を持った教育条件の整備について、今後も御努力をくださるということの決意の表明をいただきまして、質問を終わりたいと思います。
  81. 砂田重民

    ○国務大臣(砂田重民君) もうよけいなことを申し上げませんが、特殊・養護学校義務化が長年の間の関係者、いろいろな方々の御苦労が実りまして、来年から義務制に移行するわけでございます。医学の進歩、あるいは児童心理学の非常に詳細な検討等、あるいは教育器材等の開発等、将来のことはいろいろな夢もあるわけでございますから、そういうことを踏まえながら、現実的な養護学校義務化への条件整備に努めてまいる責務が文部省にあると考えております。
  82. 望月邦夫

    委員長望月邦夫君) 本調査に対する午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後は一時三十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時二十三分休憩      ―――――・―――――    午後一時四十一分開会
  83. 望月邦夫

    委員長望月邦夫君) ただいまから文教委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、教育文化及び学術に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  84. 白木義一郎

    白木義一郎君 初めに、前回に引き続いて、インターナショナル・バカロレアの現況、あるいは今後の進みぐあいについてお尋ねをしておきたいと思います。  先般のとおり、文部省大学教育の国際交流を進めるために、このIB制度を来年度からわが国でも公認する方針を固めて、準備を始められましたが、このことは各国の受け入れ状況から、大筋では問題がないと判断されたように伺っております。したがいまして、わが国の大学が、国際的に開かれてきたという大きな希望をもたらされている問題であります。  文部省は、詳細な内容については前回委員会におきまして、その後十月の中旬、外務省を通じてIB本部のあるジュネーブのわが国の代表部に、正式に調査を、また情報収集を依頼されたと伺っておりますが、その内容、報告等をもし現時点でございましたらお願いをしたいと思います。
  85. 砂田重民

    ○国務大臣(砂田重民君) 前回委員会でも白木さんからお尋ねのあったことでございますが、かねてからIB試験の活用につきまして、前向きに検討をしてまいりました。現在参加国際学校実態、IBのカリキュラム、試験、IB事務局の組織運営の実情等につきまして調査を進めてまいりまして、先般IBを大学入学資格として認めることにつきまして、大学設置審議会の基準分科会に経過報告をいたしました。大学設置審議会の基準分科会の皆さんは、大方の方向としては賛同をしてくださったわけでございます。今後調査中の情報をさらに整備をいたしました上で、改めて正式に大学設置審議会に諮って、大学関係者理解を求めた上で、できるだけ早い機会にIBを大学入学資格として認定するように取り進めてまいりたいと考えております。そこで資金の参加もしなければなりませんので、五十四年度概算、要求では、これの資金参加に必要とする資金の要求も出しておるところでございます。
  86. 白木義一郎

    白木義一郎君 新聞報道によりますと、大学局長はIBに対して五十四年度から資金拠出の形で国際参加をするようになるので、同時期に公認をすることが望ましいと、このように発言をされているようでありますが、IBの公認は明確に来年四月に行われると判断をしてよろしいでしょうかどうでしょうか。一つの区切りとしてお伺いをしておきたいと思います。
  87. 佐野文一郎

    説明員佐野文一郎君) 大学設置審議会の基準分科会にお諮りをしなければならないことでございますけれも、私どもとすれば明年一月、あるいは二月ごろの時点には資料を整備をして、基準分科会にお諮りをしたいと、それによって、できれば明年度から大学入学資格として認定できるような運びにいたしたいと考えているわけでございます。
  88. 白木義一郎

    白木義一郎君 それでは次に、先般文部大臣はパリで開かれたユネスコ総会出席などのために、フランス、英国両国を訪れて帰国をされましたが、その際に話題となった、特にわが国の文部行政に影響のあるような、あるいは関係のあるような会談が行われたと思いますが、その内容を御報告を願いたいと思います。
  89. 砂田重民

    ○国務大臣(砂田重民君) まずユネスコ総会のことでありますけれども、ユネスコ総会のことしの一つの重要な問題は、マスメディア宣言の問題がございます。当初委員会に提出をされたものではありませんけれども、事務局長案として私どもが承知をいたしましたマスメディアに関する宣言の文言の中には、わが国の言論・表現の自由、このことを明確に書きました憲法に抵触するおそれのある文言がございました。私の代表演説の中でもわが国の立場というものを明確にいたしまして、それぞれ政治的な社会的な背景の異なる各国が、なかなかコンセンサスを求めにくいこの問題については、慎重に対処をするべきだということを述べたわけでございますが、その後ムボウ事務局長と単独に会いましたときも、重ねてそのことを要望いたしておきましたところ、加盟参加各国の大変な御努力によりまして、言論の自由、表現の自由に抵触されるような文言が全部除かれまして、日本のマスコミ界の代表者の方々にも、これで結構と言っていただける決議案に変わったわけであります。そういう形で、当初心配をいたしましたマスメディア宣言については、無事に参加加盟国全会一致で委員会の表決が終わりました。恐らく向こうの時間でもきょう本会議で可決される運びになることであろうと思います。  国連大学のことについても、代表演説の中で、国連大学への各国の協力を訴えておきましたけれども、国連大学に対するユネスコとしてのこの協力、これを強めていこうという趣旨の決議案を委員会で採決をしてもらうことができました。ユネスコの委員会決議でございますから、国連の場にこのことが移っていってくれることを期待をいたすものでございます。ユネスコの総会を終わって帰途、英国でウイリアムズ教育科学大臣、それからゴロンウィーロバーツ外務担当閣外大臣と、教育学術文化交流のことで懇談をいたしました節に、両大臣から一つの提案と申しますか、協力方依頼と申しますかございました。それは英国のオックスフォード大学に日本研究センター、これはまだ仮称のようでございます。日本研究センターといったものを設置をして、英国でも日本研究を進めたい、日本に関する知識を広く英国内に普及させたい、これは英国の各大学への予算配分をいたします委員会も、すでに承知をしているところだという説明がございまして、その設置に協力願いたい旨の要請がございました。この構想は、私といたしましても、願ってもないありがたい構想でございますので、できるだけの協力をしたいという気持ちになりまして、ただ英国の政府と日本の政府と、政府だけで余りにもおぜん立てをとんとんと進めてしまうことはいかがであろうかと、そういう感じを私は持ちます。やはりこれは当然オックスフォード大学に、日本からの学者の派遣等も伴うことでありますから、ある段階からは学界も入れて検討を進めていくのが適切ではないかと思います。そういう意味で、ひとつできるだけの御協力をいたしましょうと答えて帰ったわけでございますが、これは日本の政府としては外務省マターになることであります。現在外務省でその後検討中でございますけれども、この構想の意義が非常に重要なことでございますので、文部省としても関係方面と相談しながら、必要に応じて可能な範囲のできるだけの協力をしていこう、そういう決意を文部省としてもいたしておるわけでございまして、御承知のように、学術審議会が、学術の国際交流について、すでに政府に建議を、五十二年でございますか、なさっておられるわけでありますから、学術審議会の国際交流特別委員会にもこの話をお伝えをしてあるわけでございます。これから外務省と協力をして、この英国の構想にできるだけの協力をして、これが実現に向かって進みたい、そういう気持ちを持っております。
  90. 白木義一郎

    白木義一郎君 ただいま大臣から御説明をいただきました、オックスフォード大学が提唱した仮称日本研究センターを設けたいから協力をしてくれと、それについて大臣は積極的に協力すべきであると、こういうお考えを述べられているわけですが、もう少しその日本研究センターなるものの構想を、具体的に御説明願えませんでしょうか。
  91. 砂田重民

    ○国務大臣(砂田重民君) まだ英国の方でも具体的な細かい構想を立てておられるようではないように私は伺ってまいりました。ウイリアムズさんのお話と、ロバーツさんのお話とちょっと違うお話もございました。英国でもやはり日本研究をやりたいという意思は非常に強いものがあるようでありますけれども、非常に高度な、それを研究センターにするか、オックスフォード大学学生に広く開かれた講座のようなものにするか、そこのところはまだ英国政府内部でも、また英国の大学の中においても、最終的に結論を得ておられないように伺ってまいりました。そこで、そういうことの英国側の準備の進み方と、在ロンドン日本大使館が窓口になりまして、できるだけの密接な連絡をとりながら進めてまいりましょうということで、先方も私の発言を了承をなさいまして帰ってきたわけでございます。ですから、具体の英国の構想をまだ御説明する段階ではないと考えております。
  92. 白木義一郎

    白木義一郎君 一ころわが国ではエコノミックアニマルというような批判を受けましたけれども、高度成長の経済大国などと自負した時代もありましたが、しかし、諸外国に与えた影響、印象等は決して好ましいものであったとは思いません。そこで、そういういま大臣からお話がありましたような趨勢になった現在、わが国政府並びに教育文化を担当する文部省としては、ますますわが国の紹介及び理解を諸外国に適切に繰り返し、繰り返し続けていかなければならない、このように思うわけですが、その今後の施策といいますか、方針といいますか、御説明をいただけたらと思いますが。
  93. 砂田重民

    ○国務大臣(砂田重民君) 従来ともわが国の紹介や、諸外国からわが国を理解をしてもらうことの仕事を進めてまいっておりますので、詳細を担当局長から御答弁をいたしますが、その前に申し上げておきたいと思いますのは、やはりロンドンで体験をしてきたことでありますが、いま白木議員が御指摘になったエコノミックアニマル、経済を支えるものがやっぱりその国の文化であるという認識を改めて持たなければならぬと思うのです。それは経済を軽んじるということではないんで、たとえば英国の日本大使館にあります広報センターの仕事のいまや六割から七割が教育関係の仕事に忙殺をされておりまして、それは英国の中学校、高等学校の先生が、現代日本の文化についての質問を、問い合わせを盛んにしてこられる。どういうことかと言うと、英国の中学校、高等学校の生徒が、非常に日本に対する関心を深めてきている。英国の中、高校生が日本に対する関心を深めた理由はどこかと言えば、オーディオ機器であり、オートバイから始まっているようであります。あのようなオートバイをつくる日本という国の、その背景にある現代の日本の文化というものはどういうものなのか、あんなすばらしいオーディオ機器をつくる日本人、いまの日本の文化というものはどういうものなのかという質問が英国の中学校、高等学校の教室で盛んに先生に対してある。先生が日本を承知をしておられない。そこで、日本大使館に日本のことについての問い合わせが非常にふえてきているわけでありまして、広報センターはいろんなスライド等を用意して、幸いバスを持っておりますから巡回をして歩いて、英国の中学校、高等学校の先生を三、四十人集まってもらっては、日本紹介の仕事をやっているような状態でございます。まさに経済を支える文化、経済によって日本に対する関心を高める、お互いにこれは絡み合っていることだという印象を深めてまいりました。そういう意味で、英国でもよその国でも、古い日本の文化というものを非常に専門的に深く研究なさった方は、大分たくさんあるわけでありますけれども、日本の現代文化というものを勉強をしていただいていない、そういう機会をできるだけ海外でふやすことをこれから心がけて、文部省も外務省もこの問題と取り組まなければならないということを肝に銘じさせられて帰ってまいりました。従来やってまいりました文部省のこういった関係の仕事を担当局長から御説明をいたします。
  94. 篠澤公平

    説明員篠澤公平君) ただいまの先生の御質問にお答え申し上げるわけでございますが、すでに先生も御案内のとおり、日本の事情を海外に紹介する、あるいは理解させるための諸方策ということにつきましては、第一義的には、実は外務省が国際交流基金を通じていろいろな活動をやっておるわけでございます。文部省の立場で考えますならば、文部省は教員の交流とか、研究者の交流とか、いろんな各種の国際交流事業をやっておりますが、日本の紹介、あるいは理解ということは、それのうらはらの関係で進められておるというように認識しておるわけでございますので、直接的なお答えになりませんけれども、一、二具体的な理由がありますので御説明させていただきたいと思います。  その一つは、実はユネスコにおきますユネスコ活動の一環としてやっております国際理解教育についての指導者研修というのを、この夏にも上野の社会教育研修所で、七、八十名集まっていたしました。これは学校教育における国際理解教育をどう進めるかというテーマでございまして、文部省主催でございますが、韓国、フィリピン、あるいはタイの三カ国からもその関係指導者が来て協議をしたということであります。  それから、同じくユネスコの事業でございますが、国際共同学校というものが十数校あるわけでございます。ここでは特に学校における国際理解教育を推進するという形での、具体的なカリキュラムに基づいてやっておるわけでございます。国際理解という観点からは、学校教育におけるそういったアプローチの仕方があるわけで、幅広くとりますれば、先ほど申し上げました教員の海外研修といいますか、あるいは研究者の交流、留学生の交流、すべて国際理解なり、あるいは日本の紹介ということにもつながろうかと思います。全般について申し上げますとはなはだ時間がかかりますので、特に直接それを意識した事業といたしまして、ユネスコの活動を二、三述べさせていただいたわけでございます。
  95. 白木義一郎

    白木義一郎君 そういうような国際的な風潮の中で、もう広く支持をされております日中協会第二次学術訪中団が、中国科学院と合意をした日中学術交流センター構想、あるいはまた福田総理の提唱されてきたASEAN大学構想などが目まぐるしく行われておりますが、国際的な学術交流が今後一層強まってくると思いますが、いま大臣からお話があったように、積極的にわが国の政府がこれに取り組んでいかれるということは大変望ましいことであります。  そこで、当然国際的な問題として、単に欧米諸国に偏るのでなく、東南アジア諸国に対しても、教育面の交流を通して、現代日本の理解をさらに深める努力をわが国は大いにしていかなければならないと思います。  そこで、昨年福田総理が東南アジア諸国を歴訪した際、設立協力を約束したASEAN大学構想は、その後どのような進展、発展を見ているのかということを御説明を願いたいと思います。
  96. 砂田重民

    ○国務大臣(砂田重民君) 一つ誤解があると思うんです。昨年、総理がクアラルンプールにASEANプラス日本会議に出かけられましたときに、実は私もお供をいたしました。文部大臣就任前でございます。あのASEANプラス日本会議の福田総理のスピーチの中で、また発表されました共同声明の中で、福田総理が言われましたのは、ASEAN大学に絡むところですね、ASEAN域内における五カ国の文化の交流をどうぞ活発になさってください、具体的な構想がASEAN五カ国でおまとまりになりましたならば、このASEANの域内の文化交流に日本が支援、援助いたしますことを考慮をいたします。こういうスピーチがあったわけでありまして、私、すぐ後ろで聞いておりました。その場で総理が、ASEAN大学は――ASEAN大学という言葉を使って提唱はしておられません。しかし、これは白木議員御承知だと思いますが、ASCOJAと申しまして、元日本留学生評議会――日本に留学して、それぞれ国へ帰っているASEAN五カ国の留学生の諸君が、ASEAN大学というものをASEANの中につくりたい、それの援助方を総理に陳情されたことはございました。ですから福田総理は、ASEAN域内のASEAN五カ国の文化交流という言葉を使われて、あるいはその中に、ASEAN五カ国がASEAN大学とお考えになっておられれば、福田総理のASEAN域内における文化交流の中にASEAN大学のことが、ASEANの側で議題になってもちっとも不思議ではないと私は考えている。ただ、福田総理から、ASEAN大学をという言葉は使われたことはございません。そして、インドネシアへ福田総理が回られましたときの記者会見で、ASEAN大学の質問が新聞社の側からありましたときにも、ASEAN域内での構想がまとまれば――しかし、大学をつくるということは容易なことではないという答弁が記者団の質問に対して総理から回答されております。私どもが外務省を通じた情報として聞きますところでは、去る十二月二十八日から三十日まで、マレーシアにおきまして、各国の大学関係者等が集まって、ASEAN大学設置に関する会議が開かれた、ASEAN諸国等の大学関係者約七十名が出席されて討議が行われたが、合意に達するには至らなかった、こういうことを外務省から聞いているわけでございます。ASEAN大学構想というものは、ASEAN諸国自身が域内の文化交流、学術水準の向上のため、自主的に検討を行っているものと承知をいたしております。  また、先ほど私がお答えいたしましたASCOJAから私も面接、ASEAN大学についての陳情と申しますよりは、相談を受けたことはございます。それは、ことしの七月にASCOJAの総会にジャカルタへ参りましたときに、ASCOJAの各国の会長が私を訪ねてこられまして、ASEAN大学の設立をどう自分たちは進めていったらいいだろうかという質問でございました。私は、大学というものは、元日本に留学をなさった方々のASCOJAという団体で取り上げるのには問題が大き過ぎる問題ですよ、やはり各国の政府マターでしょう、だからASCOJAの各国の方々が、それぞれの御自分の国の政府に、ASEAN大学のことについて、やはり前向きに取り組むべきだという運動を各国でなさるのが筋ではないだろうか、そうお答えをいたしたわけでございます。あるいはそういうふうなことがだんだん進んでまいりまして、外務省から情報として聞いておりますような、十月の末のマレーシアでの会議になったのではないかと考えております。ASEAN各国の中のこの問題についての協議がどう進んでまいりますか、見守っていかなければならないのがいまの文部省だと考えております。
  97. 白木義一郎

    白木義一郎君 実は大臣は、このASEAN大学について、巷間報道されているのは、総理があちらへ行かれて、ASEAN総合大学方式に協力をするというような意見を述べられて、その後いろいろと経過があって、文部大臣はちょっとそういう方向には無理であろうということから、国連大学方式に移行すべきであると、あるいはせざるを得ないとかというような御意見を当委員会でも伺ったように記憶しているんですが、そうしますと、いまの御説明によりますと、当時総理の東南アジア訪問の一員としてその場に立ち会われて、その後文部大臣に就任され、当時を回顧されて、そしていまお述べになったようなことですと、何といいますか、ASEAN大学というのは、まだまだ蜃気楼みたいなものであるという感じを実は持ったわけでございますが、報道によりますと、一国の総理が、東南アジアの心のつながりを深めるという意味のもとに、大いにASEAN大学の設立に協力するという方向へ当時はいっていたわけですが、いまの御説明だと、ちょっとそれが大幅に後退したわけじゃなくて、むしろ報道の方が先走って、われわれ東南アジアのいろいろな学術交流、友好関係の促進には大変有効なものであるというように受けとめていたことが、ちょっといまの御説明ですと希薄になってきた、こういうように伺ったんですが、大臣としてぜひともそういう方向へいくべきである、あるいはいきたいというようなお考えをお持ちなのかどうなのかお伺いをしたい。
  98. 砂田重民

    ○国務大臣(砂田重民君) 福田総理が提唱をしたASEAN大学という白木議員のお話でございましたから、ASEAN大学というものそのものを総理がおつくりになったらいかがですかという提唱をしたものではないことを御説明をしたわけでございます。ASEAN域内の文化交流という、非常に大づかみの言葉を総理は使われましたから、ASEAN各国がその中の一つとしてASEAN大学をお考えになることは不思議なことではありません。  そこで、いま文部大臣としてと御質問になりましたけれども、どうも個人的見解を申し述べる時期ではないような気もちょっとするのです。私どもはASEAN大学というものを、ASEANに大学一つつくるということの容易ではないことを承知をいたしておりますから、やはりASEAN各国との学術交流を進めていきたいという思いから、できることからと思って手をつけたのが、学術振興会にお願いしてやっていただいております拠点大学方式による学術交流であります。ですから、タイのチュラルンコン大学等、あるいはインドネシアのインドネシア大学等、二カ国についての拠点大学方式を学術振興会で覚書を取り交わして進めてもらっているわけでありますが、こういうことが実っていくのを見ておられるASCOJAのメンバーの中には、あの方式でもASEAN大学というものが考えられるんではないかという意見をお持ちの方がおられることも承知をしております。先ほどお答えいたしました、外務省から情報として伺っております。クアラルンプールで行われた十月の末のASEAN大学についてのASEAN各国の会議の席でも、そういった御議論があったように承っております。総理が提唱されましたASEAN域内の五カ国の文化交流の一つの柱として、ASEANの五カ国の中で、ASEAN大学というものがどういうふうに進んでいくか、これを見守っている段階であるとお答えをしているわけであります。
  99. 白木義一郎

    白木義一郎君 そうしますと、わが国の代表である総理が外国へ行かれて、そして約束をしてきたこのASEAN大学構想に、設立に協力をするというような約束がほごになったわけではないということを心配してお尋ねするわけですが、一時、先ほども申し上げたように、ASEAN大学というのがもういまにもできそうなような報道がされた時期がありました。いま伺ってみますと、これからいろいろと検討していくと。その段階で、将来福田総理の日本の代表としての約束が必ず生かされていく、また生かされねばならないということから、現時点の御説明を伺って、その点ちょっと心配な気がするのですが、どういうふうにお考えになりますか。   〔委員長退席、理事世耕政隆君着席〕
  100. 砂田重民

    ○国務大臣(砂田重民君) たびたび申し上げますように、また白木委員もたびたびおっしゃるのですが、ASEAN大学を総理が約束をしてきたと言われますが、ASEAN大学という名前を使って総理が約束をしてきたことはございません。ASEAN域内におけるASEAN五カ国の文化交流、そのことをASEAN五カ国で御相談になって、御意見がまとまってきますれば、日本としても協力をいたしましょうという言葉で総理はスピーチをされているわけであります。いろいろなことが煮詰まってきたことについては、園田外務大臣がバンコク会議でジャパンファンデーションを、お金の用意をいたしますということを明確にしたのも、協議が五カ国の中で整えば協力をいたしますということを、その約束を守った一つの証左でございます。ASEAN域内における文化交流という大変大づかみな言葉遣いでありますから、その中の一つとしてASEAN五カ国でASEAN大学構想をお持ちになっても不思議ではないと私はお答えをしているわけでございますから、ASEAN五カ国の中の御意見のまとまりがまずそこにあって、日本がどの段階から協力をするかということはその次の段階から行われるべきものだと思います。  それから、白木委員が御心配のASEAN域内のASEAN五カ国の間での文化交流というもの、それに対する日本の協力というものが、約束がほごにされたようなことは一つもないわけでございます。
  101. 白木義一郎

    白木義一郎君 最後に、やはり大臣が英国へ行かれて、英国における日本人学校を視察されたと伺っておりますが、文部大臣として視察し、見学された外国における日本人学校の現況、あるいは将来に対する見通し等について簡潔にお話しいただければと思います。
  102. 砂田重民

    ○国務大臣(砂田重民君) パリとロンドンで日本人学校を視察をしてまいりました。実は私は一つの迷いを改めて持って帰ってまいりました。日本人学校のことを論議いたしますときに、それぞれ日本人学校があります国々、それぞれの国の事情が異なるものでありますから、御要望が非常に多種多様にわたるわけであります。海外にある日本人学校を十把一からげにひっくるめて、それの充実のために何をなすべきか。どの日本人学校にも当てはまることもありますけれども、全く事情の異なる正反対の事情もある。個々の日本人学校が、それぞれの国のその持っている特別の事情を悩みとして、違う悩みを抱えているわけでありますから、きめ細かに対処をしていかなければいけないということが一つ。  それは、申し上げますならば、全部の日本人学校に当てはまることは、やっぱり施設の改善をもう少し進めなければならない、あるいは教室の増設をしなければならないということが一つございます。これは外務省マターでございまして、外務省の方にも私の方からお願いをしていることであります。  それから教材が不足ぎみである。これはことしから内地の学校におきまして教材の十カ年計画をスタートをしたわけでありますが、一年おくれで来年からは海外の日本人学校に対する教材の充実の長期計画を持っていかなければならない、こう考えているわけでございます。  教員の問題については、いままで国庫と地方公共団体の折半のような負担でありましたために、派遣教員の身分の取り扱いが異なっておりましたけれども、ことしから全額国庫の負担ということにいたしましたので、この心配がなくなりましたことは、海外の日本人学校の先生方に非常に大きな安堵感を与えてよかったと思うわけであります。  もう一つ私が実は迷いますことは、せっかく海外に両親に連れられて行かれた、何か海外の社会と隔絶した感じの日本人学校であっていいだろうかということでございます。帰ってきたときの日本の学校へ入りやすいようにという願いばかりで、海外の日本人学校運営されていって果たしていいだろうか、せっかく海外生活をする子供たちが、日本にいるのと同じ教育をしか与えられない、これは少し残念なことじゃないだろうか。実は、英国で英国の立教英国学院を見てまいりました。小学校、中学校、高等学校が全寮制でこれは開設をされております。ロンドンの都心を離れた非常に閑静なところで、全寮制でまさに全人教育が行われておりました。ロンドンの日本人学校の生徒のお行儀と、立教英国学院の生徒のお行儀を比べてみましても、ロンドンの日本人学校の生徒に何か文部大臣話をせいというときに、もっとお行儀をよくしなければあなたたちも日本人を代表するんですよと話をしなければならなかったことと比べますと、私は、せっかく海外に両親に連れられて行かれたチャンスに、いまのカリキュラムでは余り日本語もマスターできずに帰ってくる日本人の子弟、これでいいだろうか、文部大臣をしていようがやめようが、このことは大切なこれからの検討課題だという気持ちで帰ってまいりました。
  103. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 文部大臣にお伺いをいたします。  国士舘大学についてこの夏以来この本委員会でも取り上げられてきたわけであります。文部大臣、この国士舘の問題について文部省では八項目の正常化の要項を示して、指導助言をなされ、正常化が図られてきたのでありますが、今日なおめどがつかないと申しますか、私どもとしてはそういうふうに考えておるわけですが、文部大臣、今日の状況をどうお考えになっておるのか。また、これは文部大臣在任中であろうが、それは別の立場に立たれようが、大臣としては必ず解決されなければならぬ問題と考えられておられるかどうかについてお伺いをするわけです。  一つつけ加えますが、最近に、この国士舘大学の教授、国際政治学をやっておられるんでしょうかね、同時に世界平和教授アカデミーと書いてありますから、統一協会のメンバーでしょうか、こういう方の著書が頒布されておるわけでありますが、これを見ますと、まず冒頭に、砂田文部大臣は、教育勅語を「立憲君主時代のもので、民主国家になった現在の日本にそぐわないことは明確です。」と言ったと、そんなことを言うくらいなら初めから黙っていたらよかろう。「攻められてあたふたと糊塗する無様はご遠慮ねがいたい」などと書いてありまして、当学においては全部が全部ではないと思われるわけですけれども、学長とともに民主教育に対してかなり敵がい心を示しておられるわけですね、こういう状況が正常化されるためにはどれだけのことが必要か、所見をお伺いしたいと思います。
  104. 砂田重民

    ○国務大臣(砂田重民君) 文部大臣が物をしゃべるのに、しゃべる内容が問題であって、初めから黙っていればいいではないかという言論弾圧的な思想には私は反発を覚えます。国士舘大学の内容につきましては、要請をいたしております各項目の内容について、政府委員からお答えをいたします。
  105. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 国士舘大学に対して、毎年国庫補助金が支出をされておると思うわけです。昭和五十二年度には、私学の研究助成に対する国の補助金、あるいは私学振興助成法に基づく経常費補助、これらはどのように支出をされたのでありますか。それが五十三年度ではどういうふうになっておりますか、その点をお伺いしたいと思います。
  106. 三角哲生

    説明員三角哲生君) 学校法人国士舘に対します私立大学等経常費補助金の交付状況でございますが、昭和五十年度におきまして、国士舘大学に対しまして七億四千八百十一万四千円、国士舘短期大学に対しまして千三百七十四万一千円、両方合計いたしまして七億六千百八十五万五千円の経常費補助金を交付いたしております。  五十三年度につきましては、これは私立大学等経常費補助金の配分の例年の方式といたしまして、十二月に一部分交付をし、翌年三月にその残額を交付するということでございまして、まだこれからのことでございますが、ただいま日本私学振興財団において検討中でございます。
  107. 篠澤公平

    説明員篠澤公平君) ただいまの経常費補助金との関連もございますが、私立大学研究設備整備費等補助金というのを私の局で所管いたしております。五十二年度におきましては、電算機のレンタル、これはレンタルでございまして、その借入金一千百十八万円、それから図書の購入費につきましては八十四万円、合わせまして一千三百二万円を交付いたしました。  五十三年度につきましては、レンタルの継続があるわけでございますが、その金額は、現在申請では三千二百三十七万円となっておりますが、現時点では保留をいたしております。
  108. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 国庫補助金の支出に当たっては、受け取る側で補助金を定めた趣旨が生かされて、そうして使用されていくということが必要だと、異例ではありましたけれども文部省、いまの大学局長佐野さんになってから、昨年でありましたか、医科大学関係で、入試等に不正があったときは補助金をとめるのだというような通達も出されてきたわけであります。正当な状況が保持されなくて、不正常だという状況の場合には、支出というものは検討を考慮されなければならぬと思うのですけれども、それは大学入試にかかわる場合にのみに限られておるわけですか、局長いかがですか。
  109. 三角哲生

    説明員三角哲生君) 私立大学等経常費補助金につきましては、これはやはり補助対象事業と申しますか、補助の目的と申しますか、それが私立大学等における教育研究の充実のために、教育研究にかかる経常的経費に対して補助するものでございます。したがいまして、ただいま御指摘がありましたように、この補助金に関しまして、特定の条件に合わなかった場合に減額をいたしましたり、あるいは補助金の不交付という措置をとるということがあるわけでございますが、私ども基本的なあり方と申しますか、私どもの事務執行の立場といたしましては、それぞれの大学等におきまして教育研究が実施をされております以上は、当該教育研究に従事いたしております教員、学生等の活動を考慮いたしまして、さきに申しました減額とか不交付とかということにつきましては、慎重に対処する必要があるというふうに考えておるわけでございます。ただ「学校法人國士舘」につきましては、先ほど私学振興財団において十二月のいわゆる前払い交付につきまして検討中と申し上げましたが、これまで種々の問題が提起されてきた状況にかんがみまして、これまた慎重に判断をする必要があると存じまして、財団におきましては十二月段階の配分を保留するという方向を含めて検討中でございます。
  110. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 大学局長にお伺いをするわけですが、正常化のために八つの項目について大学要請をされた。それ以外にも学位問題というようなものが世の中を驚かしたわけでありますが、これらの問題について現時点ではどうなっておるのか、この参議院の文教委員会では再三にわたって柴田梵天学長に対して参考人出頭をお願いをしたわけでありますが、本日伺ったところでは、学校内が安定した状況にないから出席しないというような答弁でもあったようであります。こういう状況について時間もございませんので、簡潔に現状答弁してもらいたいと思います。
  111. 佐野文一郎

    説明員佐野文一郎君) 六月七日に、柴田学長に対しまして政経学部の教授会の正常化等六項目について改善方を要望いたしたわけでございます。その後の進捗状況について逐次常任理事等から報告を得ておりますが、これまでの間、政経学部と法学部における新しい学部長の選出、発令、さらに教授会の正常化、来年度の入試のあり方についてのいわゆる特別合格の廃止等の改善措置、あるいは中学校、高等学校運営に関する改善措置、そういった点については一応の成果が認められるところではございますけれども、一方非常勤扱いとされた三人の教官の身分回復の問題、あるいはいま御指摘の学長の学位論文の問題等大学当局の対応がいまもって不十分な点がございます。これらについては繰り返し早急に大学側に適切な措置をとるように強く要請をしているところでございます。また全学的な改善の態勢をとるために委員会が発足をいたしまして、改善策の検討が行われております。これはまだ最終的な結論に到達しているわけではございませんし、試案が発表され、さらにその試案について修正が加えられて決定案の試案が出てくるというような段階になっているわけでございますが、これについても理事会側は、なお教授会関係部局で検討中であるから、その結論が出るのを待って理事会としての対応を決めたいということで、理事会側の意見をなお明らかにしていないという状況にございます。これも理解できないことではございませんけれども、事の性質上、やはりこういった全学的な委員会における検討の進行に対応して、理事会側もやはり積極的に検討することが望ましいと考えておりますし、そのような方向大学側要請をしていくということでございます。
  112. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 一事が万事とは言わないのでありますけれども、現地で調査をして見ますと、学位問題について言えば、これを再審査なり調査すべき場所において、そういう報告要請などは受けていないというようなことで放置をされておるかに聞くわけです。この学位問題を審査すべき場所と、その責任者は一体だれですか。
  113. 佐野文一郎

    説明員佐野文一郎君) この学位問題について責任を負うのは経済学の研究科委員会でございます。この委員会は七月十一日開催をいたしておりますけれども、学位を授与した当時の研究科委員会が正規の手続によって慎重に審査をした結果採択をしたものであるから、改めて議題にすることを要しないということを決めております。これに対しては、文部省としては、そういうことでは世の中の疑惑に対して十分に大学として責任を持って答えることにならない。さらにこの件について研究科委員会において検討を進める必要があるということを指導をいたしております。この点については研究科委員会がその後さらに再検討をしていないとすれば、それはきわめて遺憾なことであり、私の方からもさらに重ねて研究科委員会が責任を持ってこの問題について対応するように要請をしてまいりたいと考えております。
  114. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 私はいま言われました大学の経済学研究科委員会、責任者は大西信隆という方だと思うのでありますけれども、この方自身が文部省から何らそういう指導を受けたこともないし、聞いてもいないというふうに放言されている模様でもあります。もし大西教授を文部省が直接接触をされてお進めになったのなら、これは驚くべきことですが、もしそうでなかったとするなら、理事を通じて御指導になっておるなら、全く経済学の研究科まで、文部省の意のあるところは通じていないということにもなろうかと思うわけです。直接に大西教授と接触をして解決のために御指導なさるというようなおつもりはありますか。
  115. 佐野文一郎

    説明員佐野文一郎君) 大学の研究科委員会に対して文部省が直接に物を言うというのは、これはよほどのことがない限り私たちは差し控えなければならないと思います。重ねて大学当局に対して善処方を要請してまいります。
  116. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 やり方はルールに従ってやっていただいたらよろしいと思うのですけれども、時が過ぎれば事なく済むというような態度で、現地で受けとめておられるとするなら、私どもは好むところではありませんけれども、解決するところまでこの文教委員会責任を持って見届けねばならぬというふうに思うわけであります。よほどのことがなければというのはどれほどのことを言うのか、社会的にも非常に大きな責任のある大学の総長が、しかも自分の学位を代作をせしめて、これが社会的に公然化しても平然としており、側近の者はこれを防衛するところで恥じるところがないというような状況の中で、学問も真実も成立するものではないというのがこれは国民一般の考えであろうと思います。しっかりとやっていただきたいと思うんです。  あと幾つも問題がございますけれども、本日のところは置いて進みたいと思いますが、国税庁の方に一つお伺いをするわけであります。  すでに八月二十九日の文教委員会、十月十八日の衆議院文教委員会でも、国士舘大学における法人経費が、理事者、職員に法人税の免除の対象となる以外の支出方法で渡されたんではなかろうかという問題について鋭意調査をしておるという報告があったわけですけれども、今日の進捗状況はどうなっておりますか。
  117. 山本昭市

    説明員(山本昭市君) ただいまのお尋ねにつきまして、私ども国税当局が税務調査をいたしております趣旨は、学校法人は公益法人でございます。したがいまして、寄付等の収入がありましても、収益事業を営まない限りは非課税でございます。したがいまして、調査の重点はそういった学校の収入が理事者、あるいは関係者の方々に渡っている場合に、源泉徴収等の税法に沿った処理が行われているかどうかというのが中心でございます。先般来たびたび御説明申し上げましたけれども、現時点におきましてもなお調査は継続中でございます。具体的に申しますと、学校に参りまして、私どもの職員がいろいろお伺いをするという調査、あるいは逆にまた税務署の方においでをいただく、あるいは関係先の調査もするというようなことによりまして、非常に対象が多うございますので、現時点でなお継続中でございます。
  118. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 まあ国税庁の方でなかなか内容はお言いにならぬけれども調査を継続されているという点は、現地の方からも、所轄の世田谷の税務署から不明な手当の再調査について報告を求められておる等で、進捗状況はうかがい知るわけであります。すでに一般新聞にも何回かにわたって、国士舘大学の会計、いわば乱脈会計について掲載されるところがあるわけです。文部省としては、これらの問題についても国税庁は、これは税金を取るためにやられるわけですから、文部省としては会計の厳正のために調査をされるべきでありましょうし、その点についてはどうなっておりますか。
  119. 三角哲生

    説明員三角哲生君) ただいま小巻委員からの御指摘のように、国士舘大学教員組合等の代理人から、国税庁長官に対して脱税ということに関連して、告発がなされているわけでございますが、これが脱税行為という観点から国税庁長官に対してなされているということでございますので、その観点の事実調査、ないしはその結果に基づく措置については、これはまあ税務当局の御判断するところでございますから、私どもとしてはそちらの方にゆだねたいということでございます。ただ、学校法人の所轄庁である文部省といたしましても、この告発の事実関係については、関係者から説明を求めて調査はいたしております。その調査に基づきまして、事務処理上必ずしも適正と申しますか、適当でないというような点については改善するよう指導をいたしたりしている事例もございますが、全般的に申しまして、学校法人の会計経理の処理ということで申しますと、特にこれがいわゆる乱脈経理というようなものに当たるというふうには認めておらない次第でございます。
  120. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 まあ当事者に説明を求めた範囲内で真実が判明するなどとだれも思う人はいないと思うんです。この点につきましても、すでに医科大系の関連問題での通達でも、会計は厳正に行って、いやしくも教授会を初めとする内部の関係者に対してはつまびらかにしなければならぬとか、さまざまな原則的な通達が出されておると。さらに、ここでは学長の子息の留学費の公費支出問題その他、公刊された新聞にもかなりの記述があるわけです。これらの問題について、まあこれは直接的に問題が明らかにされるのでなければ、問題の解決に向かって前進することはできないんじゃなかろうかと、その点はまあ非常に手ぬるい感じを免れないわけです。こういう状況下で、事の発端である暴力的体質の問題はどうなっておるのか。先ほど局長は、教授会の正常化、教授会の機能回復というのは基本的に行われたというふうにも言われるわけですが、この四月二十九日事件、その後の新宿事件等を通じて、大学当局の責任を果たす意味合いにおいて、文学部の教授会では該当学生に対して学校学則、校則に照らした処分を行っておるわけですね。しかし、これは学長の意に合わないというところで、公布宣明されないというところから、ほとんど学校運営の実を上げていないというふうなことも聞き及ぶわけです。暴力問題についての解決こそ――前年にも衆議院に参考人出頭されて確約をされ、今回においても事柄の発端であるわけです。この問題が解決しなければ、社会的信用の回復というのはとうていできないと思いますが、この点については局長は承知しておられますか。どのように指導をしておられますか。
  121. 佐野文一郎

    説明員佐野文一郎君) 御指摘のような事実があることを承知しております。  私どもが重要だと考えておりますのは、そのうちのいわゆる小田急線の車内の暴力事件についての問題でございます。これはすでに加害学生の方は無期停学処分になっておりますが、そのときに暴行を受けた下級生四名について、文学部はこれらについてもやはり共同の責任を問うべきであるということで、その後停学処分を決議をしておられるわけですが、これに対して学長は、むしろ被害者的な立場にあったことを考えて、停学処分というのは重過ぎるのではないかというようなことから、学長がこれを採択しないという状況にございます。どうも実態は、そういう状況のもとで、事実上これらの学生についての停学措置はとられているようでございます。掌内で教授会の意向と学長の意向とが対立をするというような状況が、もちろん好ましくないことは当然でございますけれども、そういう状況のもとで、実際に学生が停学の状況にあるということもまた重視しなければならないことであり、いずれにしても、教授会が一応機能的に正常なものになったとしても、大学全体としてなお改善を進めなければならない点があることを痛感をしているわけでございます。
  122. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 大学の教授を初め、有識者、関係者が懸命に努力しておるにもかかわらず、教授会が形態的機能回復しても、大学全体の中で低い位置に置かれて、それが教学上の効果が発揮しにくいというような状況が存する限りは、これは正常化したと言うことはとうていできない。三教官の問題もこれは単なる不当労働行為の問題として、労働省の所管というようなことでは済まされない問題であろうと、大学体質に基本的にかかわる問題だと思うわけであります。  先ほどの補助金関係の御答弁で、現在のところ、昨年から継続の施設関係のものも留保されておるというような御答弁をいただきましたが、さしあたって問題になるのは経常費であります。かなり多額の、七億六千万何がしと、これが通常のように、クリスマス前後にはボーナスも払うことだから、大学の方に落としてあげましょうということで、いまから配分になるわけです。そして残額はわずかなものが年度末にいくというふうに承知をしておりますが、これがそのままずっと落ちていくというようなことになれば、現状のままで運営して、推移して、時のたつのを待ち、世論の鎮静化を待つというようなことになってしまうと思うわけです。まあ慎重という点はそうでなければならぬと思いますが、特にこれを安易にその学校に交付すると、補助金交付をするということについては、十分その意味から慎重に計らってもらいたいと思うわけですが、文部大臣どうでしょう、その辺のところは。
  123. 砂田重民

    ○国務大臣(砂田重民君) これが交付に当たりましては、国士舘大学の実情にかんがみまして、きわめて慎重に考えなければならないと思います。
  124. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 学級定数、定員の問題に移りたいと思うわけです。  今日落ちこぼれの救済、一人一人に対する行き届いた教育と、こういう教育上の観点から、どうしても学級編制基準の縮小は、避けて通れない日本の文教行政の課題だというふうになっておると思いますし、文部大臣もこの春の意見の中では、財政上の問題を克服しながら、これらの問題に少なくともこの五カ年計画切れ目なく前進をしていくように措置したいと先般答えてこられたところでございます。これは異論がありますかな。しかし新聞報道を見ますと、十一月二十四日には、大臣も記者会見をされておるわけでありますけれども、この第四次まで続いてきた定員計画ですね、これが一年空きが出そうな感じになっておりますし、それから、教育効果を上げていく上で、学級定数の縮小というのが十分な効果について疑問があるような文相発言も報道されているわけです。これは一体どういうことなんでしょうね。
  125. 砂田重民

    ○国務大臣(砂田重民君) 十分な教育指導を行いますために、一学級の児童、生徒数を一定数に押さえるということが必要であると考えられることは私も承知をいたしております。また、衆、参の文教委員会の決議にも示されたところであることもよく理解をしているところでございます。しかし、一方教育効果を上げますことは、教育方法とか、教員の指導能力にもまたかかわる問題であると、学級編制だけが教育効果向上の唯一のもの、であるとは私は考えません。  そこで、定数改善、学級編制基準の問題も絡めての問題になってまいりますと、その背景にありますものは、現実的には地方財政の問題が現実問題としてあるわけでもあり、また、優秀な資質のいい教員をどれだけ確保できるかという問題もあり、これからの年次的な児童、生徒の増、減の見通しの問題もあり、過密、過疎の現状もあり、これはもう御承知のように、過密、過疎の現状が、今日では主として過密県においては四十五人学級編制でありますけれども、過疎県におきましては小学校の七五%は三十五名ないし四十名、中学校の教室で言いますと五〇%が三十五名ないし四十名。そういう過疎、過密の場のこともあり、また、雇用の造出という問題が今日の重要な社会問題ではありますけれども、教員の定数増はすべてこれ公的雇用であって、やっぱりタックスペイヤーである国民の全部その負担によらなければならない問題もあり、背景には各種各様のいろんな問題があって、克服しなければならない困難な問題がたくさんあるわけでありますから、こういうことを踏まえながら、本年の五月一日現在でやっております悉皆調査というものの明確な把握、その把握の上に立っていま申し上げましたような背景に横たわる各様の問題を克服する手段等を、十分検討をして取り組むべきだと。そういうこともあるものでありますから、来月の八日に予定されております衆議院文教委員会の定数に関する小委員会のお出しいただきます結論的な御意見等も踏まえて、検討をしていくべきものと考えております。
  126. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 すでに三月三十日のわが参議院の文教委員会で、この点について大臣にお伺いした際には、悉皆調査の結果を見て、施設の問題と学級編制の問題、特に過密九県の問題を勘案しながら決断しなければなるまいと。しかしながら、それで五十四年はあくのかと言われるなら、五十四年をあけるというようなことは許されるべきことでないと、こういうふうに言われたわけであります。五十三年に第四次計画が終われば、密接して当然五十四年から第五次の計画がこれに続くというふうに私は聞いておったわけであります。  ここで局長にお伺いをするわけです。  これについて、問題は人を得るということと、採用の問題ですね。もう一つは、入れ物をつくるということと二つあり、そのバックには財政の問題があるのは自明の理であって、これは昨今問題化したことではないのであります。数年前から当然わかっていることである。これについて局長は、昨年の三月の私の質問の際にも、この三月にも、有資格者で教員をそろえることはあの時点で四万三千人の増員と、こう押さえておりましたが、四十人学級にした場合。これはできる見通しがあると。しかしながら、過密九県における教室の問題が、地方財政の立場から、設置者である自治体が困難を感じておるのだというふうに説明をされてきたわけですが、その点に変わりはありませんか。
  127. 諸澤正道

    説明員(諸澤正道君) 四十人にした場合にどのくらい先生が増員になるかという問題は、正確にはいまの五月一日の実態調査を待たなければ申し上げられないわけでありますが、たしかあの時点でも申し上げましたように、概算すれば三万四千学級、人間にして四万三千人ぐらいというめどをいまでも持っております。  そして、教員の採用については、数だけから言えば、現在も小学校の先生に採用されますのは一万から一万二、三千人程度でありますが、免許状を取って出てこられる人は二万数千人ございますから、質の問題はともかくとして、数の上では確保できると。中学校に至ってはなおさら免許状を取ってくる数が非常に多うございますから確保できる。したがって、すぐこの問題をやるとすれば、過密府県を中心とした校舎あるいは校地の拡充の問題であろうと。ただ、その場合にそれがどのくらいになるかということは、いまの実態調査の結果を見ませぬと正確には申し上げられない。こういうことでございます。
  128. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 概略はわかっておるけれども、実際計画を立てるためには積算の正確な数字が必要だから、何よりも先に悉皆調査の結果が待たれると、こういうことになるかと思いますが、年度内に悉皆調査の結果を出して、これを評価をして、そうして計画の立案を行うということは、見通しとしてはついておるのですか、どうですか。何か調査のミスがあって現地に返しているとか、いろいろ問題ある状況を聞くわけですが、どうですか、その点は。
  129. 諸澤正道

    説明員(諸澤正道君) いま御指摘のように、調査の集計をやりましたけれども、やはり非常に細かい実態調査でございますので、個票に当たりますと記載に間違いがあるというようなこともあって、一部は県まで返して書き直しを願う。文部省で直せるものは訂正してやるということで、単純なる集計を急いでおるわけでございます。年度内にどこまでいくかということでございますが、年度内ということは来年の三月までということであれば、そのくらいまでにはかなり計画の検討は進むようにしたいというふうには考えておりますが、いずれにしましても、五十四年度の予算には要求をいたしておりませんので、五十四年度に引き続き計画を実現するということはできないであろう、こういうふうに思っているわけでございます。
  130. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 非常に懸念されておるのは、大蔵省の方で第四次五カ年計画を一年繰り延べろと、こういうふうにあったのを、大臣以下努力をされまして、年度内に四次五カ年計画は終了することができた。しかし、その後が大蔵省が言っておったのを、そういう路線で一年間空白をあけて、定員の取り組みが先へなし崩しに延ばされるのではなかろうか。これは非常に国民的な懸念であると思うのですね。ところが、こういう状況下で、たまたままた集計ミスというようなことで悉皆調査の期限がずっとおくれてくるというのは大問題だと思うのですね。こういうものを見ましても、それぞれの記入場所のほかにトータルをして、キーワードになる部分の記述を一割近いものが間違ったとか、こういうような報告も聞くわけであります。こんな状況を聞いておると、今度共通一次試験で同じことをやれば一体どういうことになるんだ。これは本人に知らされないままやみからやみに葬られるのじゃなかろうかと、波及して心配も出てくるわけであります。私が考えるところでは、概数は政策立案に関するめどというのは、人口動態その他で明らかなのでありますから、細部を入れる点については十分に今後の調査を待って行われるにしても、大筋は、速やかに五十四年度以降の状況を明白にするのは、すでに予算の査定期に入ってくるわけでありますから、今日の時点責任を持って明らかにされる必要があると思うんです。  私は、いまの大臣答弁で、新聞記事に出ておるように学級縮小しても、それがダイレクトに教育効果につながるものでないというようなことを必ずしも言われたものでないようでありますから、その点については了解するものでありますが、学級縮小と、それからいわばマン・ツー・マンの教育の成果というものに対する関係は、直接密接なものであって、学界に異論を持つ人はないと思うわけであります。その証拠には、同和教育というような特別の配慮を要するものには加配を行うのであります。障害児教育のように、四十五人一式にして画一教育では、学力の伸長が望みがたいと思うものに対しては加配を行うわけであります。定数減を行うわけであります。今日の四十五名は、それが絶対的によい数だから置いておるものではなくて、やっぱり財政的な観点から、財政の充実を待って四十人学級へと措置をしていこうというのが、これは国民の合意した、官・民、専門家の合意をした私は一つの道程になっておる、障害はただ一つ、財政問題だと理解しておるのに対して、大臣の発言の新聞記事報道はかなりにそれに対して別途の説を立てられたかのような感じがするわけであります。その点については、他の要素を抜きにすれば、大学級と適正な四十人以下の学級との関係では、教育効果は四十人の方がよろしいということは、疑う余地がないと大臣お考えになっておるのではありませんか。
  131. 砂田重民

    ○国務大臣(砂田重民君) 国民が期待しておられるのは、教育効果を上げるということだと思います。四十五人編制の学級、四十人編制の学級、算術的に考えれば小巻委員の御指摘のとおりであろうと思います。しかし国民の期待しておられること、また私どもがこたえなければならないことは教育効果を上げるということですね。いますでに多数全国にあります三十五人で編制されている学級、四十人で編制されている学級、そしてまた四十五人で編制されている学級、その間にどれだけの教育効果の水準について異なりがあるか、そういうことはやっぱり検討しなければなりませんでしょう。国民が期待しておられるのは教育効果を上げるということなんであって、私どもがこたえなければならない責務を有するのも、教育効果を上げるということですから、ですから、いわば教員資質、教育効果を上げてくださる教員の指導能力ということもあわせて考えなければ、四十五人を四十人に変えてみたけれども教育効果は上がらなかったということであれば、その経費負担が国民負担であるだけに、無責任と言われても仕方がない結果をもたらすおそれがございます。ですから先ほど申し上げておりますように、教員定数の問題、学級編制基準のこれが改善も絡めて、慎重に検討するべき幾多の問題がありますから、そういうことを十分踏まえて、いまやっております悉皆調査結果等も十分にこれを踏まえた上で取り組んでいきたい、これが次の第五次長期計画をつくるしっかりした基礎になる、このように考えているわけであります。
  132. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 資質の問題と、それから定数の問題という、次元が違うと申しますか、別な柱の問題を、まるで一方を立てれば一方が立たないように言われるのは、私は詭弁としか聞くことができない。それは、条件をよくしておいて、その上に教員資質の問題が別途、それは自主研修なり、しかるべきシステムによって図られるべきなのであって、その資質というようなのを主観的にとらえたら、行政というのは打つ手を失ってしまうわけであります。精神主義になりまして。この点できょうのところでは問題を残したままで進まなければならぬと思いますが、定数の問題は資質の問題と混同されるべきではないということを重ねて申し上げておきます。  時間も終わりましたのは、実は、プールの問題とそれから体力づくりのための屋内体育館の問題について質問をする予定をしておりましたが、これは別途質問を、後に文書でも差し上げて、御回答いただきたいと思うのですが、ただ一つ、屋内体育館については次第に設置が上がって、小、中平均しても八六%ぐらいまで来ておる。ところが、プールについては五六・七%にとどまっておる。それはちょうど補助金の厚いか薄いかに見合っておると私は考えるわけであります。屋内体育館については、従来に加えて人口急増地域については今度三分の二補助にと要求を上げられておるかに聞いておりますが、その点は間違いないのか。  それから、さらに屋内体育館、従来は校舎と別建てでありまして、体育館だけ後に残して非常に苦労をしたが、一緒に建てるときには今度は一緒に補助をする、一括で。こういうようなシステムをとられるかに聞いておるのですけれども、その点は間違いございませんか。  プールについて見ますと、依然として、実勢単価と補助単価の差は、屋内体育館に比べても非常に格差が開いておる。補助単価の実勢単価に対する割合は、屋内体育館の場合には九四%までいっておるのに、プールの場合には七二・四%だ。しかも補助率は三分の一。三分の一のまた七掛けというようなことでは、プール建設がおくれるのは当然なことではなかろうか。人口急増地域に対する三分の二もしくは半額というような追加措置、あるいは体育館にあってどうしてもうまいこといかぬのなら、これは公立文教施設に移行させて、飛躍的な設備率の増を図るというような考えはありませんか。この点についてだけお伺いして、終わります。
  133. 三角哲生

    説明員三角哲生君) 屋内運動場につきまして、人口急増地域の場合に、補助率を二分の一から三分の二に上げてほしいという概算要求はいたしております。  それから、第二点の校舎と屋内運動場の建設の仕組みでございますが、いずれも、学校教育上重要な施設でございまして、これがすべての小・中学校に完備することが望ましいわけでございますが、大都市並びにその周辺市町村におきましては、急増する児童、生徒を収容するために、どうしてもまず校舎を先に整備するということが必要になってきているのが実情でございます。このために、国といたしましては新設校については校舎の方を二年ぐらいで整備いたしまして、最終年次に屋内運動場を整備するというような段取りでやっていくように指導をしておるところでございます。  なお、校舎の方の整備面積が比較的わずかであります場合には、それと屋内運動場との同時整備を認めておりますし、また、すでに開校済みの学校等につきまして、校舎の第二期工事とあわせて屋内運動場を整備するといったようなものについても 同時整備を認めてしるのでございまして、現状ではそういうことでございます。  いずれにしても、問題は予算のやりくりの話でございますので、本年度のように非常に大型の補正予算が計上されて、予算に余裕があります場合には、校舎と屋内運動場の同時整備も、状況に応じて実行上認めておるというのが実情でございます。
  134. 柳川覺治

    説明員(柳川覺治君) 学校水泳プールの整備につきましては、御案内のとおり、スポーツ振興法に基づきまして、三分の一の補助を行うことといたしております。その上に立ちまして年々補助単価の増大、あるいは事業量の拡充等に努めているところでございます。ちなみに、五十三年度も補助個所数六百カ所を八百五十カ所にふやすということを実現し、また補助単価のアップを行っておるところでございます。  御指摘のとおり、水泳プールの建設に対する要望が各地から高まってまいっております。私ども、未保有校の早期解消を図っていくということに重点を置いた施策を進めるということをいま考えておるところでございまして、たまたま法律に基づく補助でもございますので、補助率の引き上げにつきまして、当面、その早急な実現を図ることは困難な状況と考えております。ただ、御指摘のとおり、従来体育施設整備補助金の中で、社会体育施設等との関連も見ながら、この学校水泳プールの補助を行ってまいりましたが、五十三年度からは学校水泳プールにつきましても、学校施設の一部として、これの積極的な整備を進めるという観点に立ちまして、予算上、公立文教施設の範囲に入れて補助を行うというように、今年度からそういう計上をいたしておりまして、今後水泳プールの一層の充実を期待してまいりたいというように考えておるところでございます。   〔理事世耕政隆君退席、委員長着席〕
  135. 有田一寿

    ○有田一寿君 きょうは二点お伺いしたいと思いますが、一つ著作権の問題、それからいま一つは定数の問題、以上二つでございます。  第一の著作権のことからお伺いいたしますが、  一昨日、総理府が一つのアンケート調査の結果を発表しております。個人の録音、録画に関する五千人の一般消費者について調査したその結果の発表、それによりますと、課徴金といいますか、音楽著作権侵害に対して何らかの補償措置を講ずるということについては、必要でないという結論が出ているようでございます。それについて、これは文化庁が総理府に委託して調査したというもののように聞いておりますが、そういうことでしょうか、文化庁にお伺いいたします。
  136. 吉久勝美

    説明員(吉久勝美君) ただいまの世論調査につきましては、文化庁がちょうど現在第五小委員会を著作権審議会に設置をいたしまして、昨年から審議をいたしますその資料の一環といたしまして、総理府に依頼をして実施をしたものでございます。御指摘のとおりでございます。
  137. 有田一寿

    ○有田一寿君 これについてどういうふうにこの結果を文化庁がお考えになり、これをどういうふうに処理なさるか。第五小委員会が審議中であるようでありますから、まだ最終的な態度決定はなされていないと思いますが、これについて、本委員会でも審議されたことでありますので、もう一度その点について私見を申し述べて、それに対しての見解をお伺いしておきたいと思います。  これは個人の録音、録画について、レコード、それからテープレコーダー、あるいはビデオ等、ハードを使ってテープにとる。とること自身は法律で認められておるけれども、それを他に販売するとか、有料でこれを他に渡すというようなことは、違法行為としてカセットの上にも表示されておるようなものであります。現実にそういう著作権侵害が行われておるかどうか、それからまた、それによって損害が起こっておるかどうかということは、この委員会でずいぶん議論されたことでありますし、いまさらここで重ねては申しませんが、結論は、侵害されておるということはもうはっきりしております。ただ、これをどういう形で補償するかということであります。違法行為をとめられるものならばこれはとめるべきだけれども、その違法行為は対象が多過ぎるので、これを調査したり、あるいは個人を違法行為だということでとがめるということもできない。しかし、現実ははっきりしている。だからこれを西ドイツ方式のような、あるいはハードメーカー、あるいはソフトメーカー等で何%かを上限として、そして、そこで何がしのお金を出して、これを著作権者に分けるということによって補償するということも一つの方法であろう。しかし、それが最善の方法とは考えられない、その方法は考えてみましょうというようなことであったかと思います。それについて今度この調査をなさった、私はこれは意味がないと思うのですよ。その著作権だとか、まだ十二分には日本になじんでいないし、定着していないようなものを、何千人の個人の消費者に、しかも若い消費者に課徴金のようなものを払うべきと思うか、払うべきでないと思うかという調査をすれば、そんなもの払う必要はないでしょうという答えが出るのは私は当然だと思うのです。消費者はそうだと思うのですね。だから昨年の三月に、いわゆる芸団協、あるいはJASRAC、あるいはレコード音楽著作権協会等三団体から文化庁に陳情があって、それで第五小委員会で調査を始められたと思うのですけれども、総理府に委託して調査した。しかも、この見出しが、これは毎日新聞に昨日ですか、「レコードなどの著作権補償「課徴金不要」が大勢」という見出しでこれを出しているけれども、大体そういうものじゃないかと思うのですよ。文化的な水準が高いか低いかは、目に見えないものについてそれを正しく評価し、その権利を守るということが必要だということは、もうお互いに同じ考えだと思うのです。だからこれを前向きに対処して持っていくということが必要じゃないかと思うのですけれども結論最終的にはあるいは出ておられないかもしれませんから、次長もお答えがしにくいと思いますが、これをどういうふうにお考えになるか、あるいはいま申し上げたそういう姿勢について、文化庁としてどうお考えでしょうか、それだけお伺いしたいと思います。
  138. 吉久勝美

    説明員(吉久勝美君) いわゆる録音、録画機器の問題につきましては、当文教委員会でもいろいろ御審議を煩わし、いろいろ附帯決議等も去るレコード保護条約の締結に伴う著作権法の改正の御審議の際にいただいておるわけです。私どもといたしましては、すでに昭和四十六年からいろいろこの問題について御審議を煩わしておるわけでありまして、特に録音、録画機器そのものにつきましては、昨年から著作権審議会に第五小委員会を設け、現在まで、実は本日も現在ただいま十一回目の第五小委員会を実施しておるわけでございまして、その中で、音楽著作権団体からの御陳情もございましたいわゆる西ドイツ方式の採用ということにつきまして、積極的にこの小委員会において御審議を煩わしておるところでございます。これにつきましては、まだ結論も得られてないわけでありますが、西ドイツに小委員会の先生方調査に行っていただきまして、つぶさにこれを御報告いただく、あるいはそのほか関係のいろいろの諸外国における諸法制の検討状況等も調査をし、この小委員会で御検討を煩わしておるわけでありまして、私どもとしましては、西ドイツ方式というものについての積極的な御検討を煩わし、その中で、わが国情に向いたこの問題の適切なる処理を早急に御結論をいただきたいという趣旨で、大体、小委員会につきましては毎回一カ月に一回ぐらいの頻度で実施をしてまいっておるわけであります。もちろん、この小委員会の御結論著作権審議会の御結論を得てから私ども対処いたしたいと思いますが、この問題につきましては避けて通れない問題でございます。  ただいま御指摘のありましたように、わが国は文化国家でございますが、いまだ著作権に対する意識は低調であるというようなことにつきましては、当然調査の結果そのものをどう理解するかの前提として、十分小委員会でも御審議を煩わしたいということでございまして、調査結果の数字そのものをストレートに考えて、早急なる結論をとらないで、こういうような問題につきましては、世界の諸情勢等も十分考慮しながら、またわが国の現状等も御考慮いただきながら、関係者の方々の熱心な御討議によって、適切なる方向への御結論を得たいということで、積極的な御審議を煩わしておるわけでございます。その点、御理解をいただきたいと思いますし、今回の調査はそのための一つの資料ということで、実は著作権団体が実施しました一昨年の調査も補償に関する調査はございました。これは補償に関する一つ調査結果ですが、これはもう東京都内だけでございまして、そういうことだけでいろいろ御審議を煩わすのもどうかということで、今回全国的な調査お願いして、一つの審議資料としたいというわけでございます。私どもの態度につきましては、今後さらに小委員会でそういう点を十分詰めていただきたいと思いますので、御理解を賜りたいと思います。
  139. 有田一寿

    ○有田一寿君 いまの文化庁のお考えで私の方は結構であります。  次に、定数の問題についてお伺いをいたします。  先ほどから定数の問題、それぞれ議論が出ておりました。これについて文部大臣先ほど答弁になっておられましたが、私もそういうことを考えております。この学級定員の縮小ということにつきましては、私も資料は何回もいただいておりますので、もう数字については述べません。これは私も白紙で言えば、四十五名よりも上限を四十人に抑えるということがベターであるということはもう十分理解するものであります。ただ、現在の四十五人定数、いわゆる上限四十五人という数ですけれども、これはまあまあのところまでいっておるんじゃないかというふうに考えております。中学校は平均で三十七人、小学校が三十三名、これが全国平均でありますけれども、この一学級当たりの児童、生徒数、それから一教員当たりの児童、生徒数、それから一学級当たりの教員数というこの表をずうっとしさいに見てみますと、イギリス、フランス、西ドイツ、アメリカ等と日本を比較してみた場合に、ちょうど同じ水準だと私は思うんです。学級定員だけで言いますと、日本の小学校三十三人平均についてイギリスは三十人、あるいはフランスが二十二・五、西ドイツ三十・六人というような数字が出てまいりますけれども、その次の一教員当たりの児童、生徒数ということでいけば、小学校二十六人、イギリスが二十六・一、あるいはフランスは二十一・二というようなことで、日本の方がフランスよりもはるかに多い。中学も同様でありますし、特に一学級当たりの教員数ということで言えば、小学校、日本で一・二七人に対してイギリスは一・一五人、フランスは一・〇人、西ドイツが一・〇七人ということから見ますと、私は充足している。したがって、以上三つのことを総合して比較してみると、最初申しましたように、さらにこれよりも低い方がいいことはわかっているけれども、まあまあのところまでいっておる。ただ、まあまあのところまでいっていない面がありはしないか、教育効果を上げる上に。それは採用の問題が一つあると思いますね。だから、採用と、教員研修と、それから定数の縮小と給与、こういう四つ五つの問題をやっぱり込みで考えて、教育効果を上げるということでなければならないと思うわけです。  それで、採用の問題についてちょっとお伺いをしたいんです。これは採用のときに筆記試験と面接とを行っておりますが、面接というのがなかなかむずかしいということを文部省からいつも伺います。ということは、思想的な差別になっては憲法違反になるというようなこと、これはもう当然のことです。ところが、やはり面接を重視しなければならないと私は思うわけです。そういう思想的な差別ということでなく、面接ということによって、教員に向いた、あるいは教育的な情熱を持った人材を確保していくということはできると思うんです。しかし現実は余りやっていないんじゃないかと思いますが、そこについて、これは局長からでも結構ですが、お伺いをしたいと思います。
  140. 諸澤正道

    説明員(諸澤正道君) 公立学校の教員の採用につきましては、御承知のように、次の年度に教員の免許状を取る見込みのある者、あるいはすでに取っておる者のうちから、当該府県に採用を希望する者について筆記試験をまずやって、そのうちから成績の水準以上の者を簡抜し、さらにそれらの者について面接をして、適当と認めた者を採用候補者の名簿に登載するという方式をとるところが通常でございますが、正確な数字を覚えておりませんが、一昨年でしたか、それらの実態について調査をいたしましたところでは、いま申しましたような二段階の選抜をしておるところが相当ございまして、文部省としては個々の都道府県がどういう採用の方式をとるかという点について、直接こうしなさいということは言いませんけれども、いま言ったような調査の結果を各府県に送りまして、これを参考にして適切な方法で教員の採用を考えてくださいと、こういうふうな指導をしてまいっておるわけでございます。
  141. 有田一寿

    ○有田一寿君 教員希望者は小、中、高とも大変多い。ここ数年来だんだん多くなってきているという数字を承知しております。その中からよりよい人材を選ぶということでありますが、点数が一つあると。ところが、面接は筆記試験とまた別に私は重要だと思うんですけれども、この面接をどういうふうにして、どういうふうの時間をかけて、どういうふうのことを心して面接をやっているのか。あるいは面接というのが案外名ばかりで、現実には点数でランキングができたら、結果はまあまあ、それで線引きをしているということではなかろうかということを考えるわけですが、その点はいかがでしょうか。
  142. 諸澤正道

    説明員(諸澤正道君) いまおっしゃいましたように、最近は小学校の先生などは採用予定者の十倍くらいあるということになりますと、なかなか細かい選抜ができないというんで、一次で筆記のテストをして、残った水準に達した者を面接すると。それで、先生がおっしゃいましたように、率直に言って、いまその面接の仕方によっては、個人の思想調査にわたると、それは人権の侵害だというようなこともあって、実は文部省でも新しく職員を採用するとき、われわれもかなりそういう点は配慮しながらやっておるというのが実情でございます。ただ私、教育長なんかに聞きますと、やっぱり何と言ってもいまの教員になろうとする人は、学校で一定の単位さえ取れば免許状が取れると、したがって勉強はある程度できるかもしらぬけれども教育実習なども十分やってないし、本当に先生としての仕事をよく認識し、また使命を自覚しているかどうかというのは、やっぱりよく話しをすれば、ある程度わかるんだというようなことを言っておられまして、時間をかけてやっておるところもあるようでございますけれども、一方ではやはり数が多うございますし、その担当の人もたくさん要るというようなことで、どうしても十分時間をかけて、本当に適格の人を選び出すというところまでいかないというケースもあるように私は思うわけでございますが、詳細については、細かくは県ごとにお聞きしたものは持っておりません。
  143. 有田一寿

    ○有田一寿君 やはり第四次までの計画で今日まできた、まだまだ将来学級定数は減らしていくべきだと思いますけれども、しかし、まあまあのところまで諸外国と比べてみるときだと、それから人材確保法によって給与面においても相当なところまできたと思います。これは早く言えば物量主義というか、物に物差しを当てて、物も大事だからここまで持ってきたということですけれども先ほど精神主義という話が出ておりました。ちょっと足らないのは精神主義じゃないかと、これを充足する、言いかえれば画竜点睛を欠くということがございますが、せっかくこれだけの予算を使って、教育効果を上げるためにここまで関係者みんな努力して持ってきた。だから、これはさらに努力し続けるとしても、まだまだ画竜点睛、そこに目玉を入れていくとしたら、やはり私は採用、研修、そういうことによって教員の資質を向上させて、やはり国民の信頼にこたえること、これが残された道ではないかと、そうしてさらに次のステップにかかっていくというのが、教育行政の現状ではなかろうかという感じがしてならないんです。ですから、望むことは、各都道府県の教育委員会で思想調査等はこれは私はいけないと思います。何も憲法論を振りかざすまでもなくいけないことだと思うんです。思想、信条によって区別するということはいけない。しかしながら、それは別にしても、やはり残された部面、教育に向いているとか向いていないとか、あるいは人間的な非常に魅力があるとか、そういうことは面接でわかると思うんです。やる気だったら。それがだんだん教育を向上させていく大きなもとになるんではないかという気がしてなりませんので、こういう精神的なことは余りくどく言っても誤解を生むだけですから、もうくどくは申しませんけれども、最後にいまのそのことについて、大臣から、先ほど引いても将来というお話ありましたが、どこにおられようと政治家の一員として、私はどうしても気をつけてもらいたいという気があるものですから、大臣の所見をまずお伺いしたいと思います。
  144. 砂田重民

    ○国務大臣(砂田重民君) 全く有田議員の御発言、私は同感でございます。やはり国民の皆さんが期待しておられるのは教育効果を上げるということなのであって、学級の定員数が四十五名よりも四十名の方が先生の目が行き届きやすいということは、私もそのとおりであろうと思います。やはりそこに合わせて考えるべきものだと思うんです。決して次元の異なるものではない。教育効果を上げるためには、先生が教育活動がしやすい条件整備をする、そしてその先生が子供たちを指導するその効果を引き出してくださるだけの能力を持っていてくださらなければ、四十五人を四十人にしてみてもそれは効果のないことになってしまう。やはり合わせて当然検討するべきものだと考えますだけに、これは文部省教育委員会に指図することではないとは思いますけれども、採用のときの面接については、教育についてのどれだけの情熱を持っておられる教員志望者であるのか、どれだけの使命感を持っておられる教員志望者であるのか、面接のやり方でそういうふうなこともわかることであろうと思いますので、教育委員会がそういうところにも十分の意を尽くして、教員採用をしていただきたい、このように私は念顔をするものでございます。
  145. 有田一寿

    ○有田一寿君 定数の問題終わりまして、これは予告しておりませんけれども、もう予告なしでも大臣よくおわかりのことですから、最後に念押しの意味で国連大学のことについて、一つだけお尋ねとお願いを申し上げておきたいと思いますが、五十三年度の国連大学への拠出金の一千万ドルは、あれは早急に支出するということに前国会でなっておりますが、あれは出ましたでしょうか、いつ出すんでしょうか、おわかりでしょうか。おわかりでなければ、別に予告しておりませんから。出ていないとすれば、あれは例年二月か三月に出るんですね。だから、あのとき申し上げたのは、二、三カ月でも早く出せば、あの金利によって運営するのが国連大学だから、金利が三千万ぐらい違いますよ、三カ月早く出すのと出さないのでは。だから早く出してもらいたいということをお願いをしたわけで、それでこれは政府が了承されたことなんです。ですから、だんだんたっていきますので、それがまた二月、三月になってしまったんではどうにもならぬ。これひとつお願いです。  それと、五十四年度の分については措置するということになっておりましたが、どうでしょうか。措置するということは大臣はどうお考えですか。ずっといままで二千万ドルずつ出し、最後に五十二年度、五十三年度は一千万ドルずつ出して合計八千万ドル。そうすると、五十四年度措置するということは、一千万ドルは出すということだと私は思うんですけれども大臣どういうふうにあの経緯から見てお考えになっておられましょうか。
  146. 砂田重民

    ○国務大臣(砂田重民君) 五十三年度の一千ドルがまだ支出されてないと思うんです。外務省にもお願いをしていることでございますけれども、まだ支出がされていないと思います。そして、五十四年度の外務省の概算要求の中に、国連大学への日本政府の拠出金が概算要求されていないということを私聞きました。外務大臣にそれは困ると言ってお願いをしていることでございます。五十三年度計上されております一千万ドルの拠出と、五十四年度に概算要求されていないそうでございますけれども、いま有田委員おっしゃった何らかの措置をしてくださるように、余りあと白がありませんけれども、外務大臣お願いし続けてまいりたい、かように考えます。
  147. 有田一寿

    ○有田一寿君 五十三年度のはそれで早急に出していただけばいいわけですけれども、五十四年度の国連大学拠出金については、措置をするということが、えてして政党同士のやりとりの場合に、措置だから、まあゼロでは困ろうけれども一から百まで幅があるというようなことが大体玉虫色というか逃げ通なんですね。これはやっぱり政治不信のもとにそういうことはなると私は思っていますので、その措置するということも含めて。もっと言えば、新自由クラブは今度の補正予算案にあのときは賛成をしたわけですね。そうしておいて、これは措置するだから、もうわずかで五十万ドルでも百万ドルでも措置措置だと言われると、今後ちょっとそういう予算折衝のときは、もう明確なる数字を入れなければ、われわれは信頼できないということになるわけですが、どうでしょうか、そこら辺。
  148. 砂田重民

    ○国務大臣(砂田重民君) ちょっと先ほど答弁訂正さしていただきます。  五十三年度の一千万ドルについては、今月二十四日に支出をされたそうでございます。これは実現を見ました。  来年度の問題につきましては、外務省の概算要求の中にはないようでございます。しかし、公党間のこれは約束事でございますから、次期内閣首班は公党間の約束をつくられた方でありますから、措置されることを希望、期待を私はいたしております。
  149. 有田一寿

    ○有田一寿君 申し継ぎをぜひともしておいてください、もし引かれる場合は。それを最後にお願いをして終わります。
  150. 望月邦夫

    委員長望月邦夫君) この際、お諮りいたします。  委員以外の議員前島英三郎君から発言を求められておりますので、これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  151. 望月邦夫

    委員長望月邦夫君) 御異議ないと認めます。前島君。
  152. 前島英三郎

    委員以外の議員(前島英三郎君) どうも委員外発言、お許しいただきましてありがとうございます。  まず大臣にお伺いしたいわけでありますが、来年度はいよいよ養護学校の義務化ということになるわけでありますけれども、重複、重度の子供たちに教育の場が与えられるという点は、面大変ありがたいことだというふうに思うわけであります。養護学校の義務化に関しましては、さきの国会でも、またこの文教委員会でも、大臣触れられておりましたけれども特殊教育あるいは障害児教育につきまして、いま一たび基本姿勢というものを大臣からお伺いしたいと思います。
  153. 砂田重民

    ○国務大臣(砂田重民君) まず原則をお答えしておきたいと思います。  御承知のように、養護教育義務化、日本で特殊教育が始まりましてから百一年目の来年度やっと実現をするわけであります。これはやはり体に障害を持っておられる方にも教育の機会均等の場を与えていく、こういうことがやっと実現をされるわけでございます。そして、心身障害児に対しましては、その障害に応じた適切な教育を行うべきでございます。養護学校教育の対象となりますのは、比較的心身の障害の程度が重い精神薄弱者、肢体不自由者及び病弱者について、法令に定める手続によって養護学校に就学させることに相なるわけでございます。また、心身の障害の程度のさほど重くないお子さんについては、従来どおり普通学校に、あるいは普通学校の特殊学級に進む道も残されていくわけでございます。
  154. 前島英三郎

    委員以外の議員(前島英三郎君) いまのお言葉は、大臣初め文部行政に携わる人たちすべての共通認識と受け取ってよろしいわけですね。  そこで、ちょっと大臣に、障害者になったつもりで、また障害児を抱えたお父さんのお気持ちで、ちょっと私が読み上げるものを聞いていただきたいと思います。   「肢体不自由者の性格特性一般に、肢体不自由児は、わがままである、依頼心が強い、主体性がない、ひがみっぽい、落ち着きがない、注意散漫である、引っ込み思案である、人まえでおどおどするなどの性格特性が指摘されているが、これらはすべて肢体不自由者の情緒的・社会的適応がどうであるかという問題につながっている。   肢体不自由者の情緒的・社会的適応性   肢体不自由者の適応をおうおうにして阻害するように働く一般的条件には、どのようなものがあるだろうか。それには、次のようなものがあると考えられる。   (ア) 身体の行動が思うようにならないこと。   (イ) 身体の姿や歩行、表情などの動作が異常であったり、みにくいこと。   (ウ) 整形外科手術など医療に対する恐怖。   (エ) 特に脳性マヒの場合、知能障害や言語障害や感覚上の欠陥があること。   このような悪条件をもっている肢体不自由者は、人間関係や社会関係において、うまく効果的に対処していくことが困難となり、また情緒的にも安定した生活ができにくく、問題行動をひき起こしやすいことは、容易に想像することができる。たとえば、かん黙、孤立、集団への参加拒否、不協力、不親切、反抗などの不適応行動を起こしやすいし、また、依頼心も強く、不平不満が多いばかりでなく、自己の欲求が阻止された場合、我慢強く忍耐できる度合いも正常者より低いといわれ、感情的にすぐその妨害者(妨害物)に非難と敵意を爆発させやすく、情緒的にも社会的にも不適応になり、誰からも受け入れられなくなりやすいといえる。」  大臣が障害者として、障害児を抱えるお父さんとして、こういうとられ方をもししているという言葉を聞いたときに、どういう感想を持たれますか、まず伺いたいと思います。
  155. 砂田重民

    ○国務大臣(砂田重民君) 文部大臣として、いま委員が御朗読になりました文章から私が受けます感想は、そういったことが事実であろう、そういう傾向があるであろう、まずそういうふうに私は受けとめます。しかし、そのことに打ちかってもらわなければならない、打ちかってほしい、養護教育というものが、そういったことに打ちかつための教育でなければならない、そういう教育の内容、条件整備に努めていかなければならない、そういう感想を受けます。
  156. 前島英三郎

    委員以外の議員(前島英三郎君) これは、つまり、「肢不自由者の性格特性」の項という、来年度実施される養護学校義務化の就学指導委員のためのハンドブックの中の一節でございます。つまり、これは各都道府県、あるいは市町村の十人以上、十五人以上の就学指導委員が構成されます。その人たちが一般学級に入れるか、あるいは養護学校に入れるか、あるいは就学免除をさせるかという、非常にわからない状態の中で、いま不安な状態の中に文部省がその指導委員に対する指導のハンドブックなんです。その中にこんな文章が何で記載されなければならないんですか。私はこれは撤回すべきだと思いますし、こんな形の教育のハンドブックが、これから就学を受けようとする子供たちの父兄の前で、子供たちの前で就学指導委員たちの心の中に焼きついたとしたら、私はますます障害者に対する偏見、差別というものは助長されるでしょうし、この一項、一項は何ゆえに彼らが緘黙し、集団への拒否状態を起こし、そしてまた歩行が困難であるかということは、周囲の過去の原因というものがあるんです。たとえば引用いたしました「整形外科手術など医療に対する恐怖」がなぜあるか、ある養護学校にいたしましても、療育園にいたしましても、手術をオーケーという一札まで入れているんです。一つの医学の実験材料に使われている形跡があったわけです。あるいは周囲や社会の好奇心や無理解さに対して非常に反発的である、それは養護学校という一つの形の中、過去のそうした教育の欠陥において、大変障害児者自身が非常に閉鎖的になり、孤独感になり、そしてまた社会に対する反発心というものが原因としてあったわけなんです。それが「身体の姿や歩行、表情などの動作が異常であったり、みにくいこと。」、こんな表現を使うなんていうのは私は言語道断ですよ。それは文部大臣、これは即時撤回させるべきです。
  157. 砂田重民

    ○国務大臣(砂田重民君) 担当課長にいま聞いてみましたけれども文部省でそういうハンドブックをつくった記憶はございません。文部省がつくったものではないんではないかと申しておりますが。
  158. 前島英三郎

    委員以外の議員(前島英三郎君) いや、文部省のこれは推薦の言葉です。この「特殊教育執務ハンドブック」が特殊教育にたずさわる方の実務に役立つものであることはもちろん、特殊教育に関心のある方々にとってもご参考になることを念願し、執務の手引として、利用されることをお奨めいたします。文部省初等中等教育局長 君間英太郎」。
  159. 砂田重民

    ○国務大臣(砂田重民君) どうも文部省で製作したものであるかどうかが明白でないとお答えをいたしましたけれども、もしも文部省の製作にかかわって、いまのようなことで就学指導委員の方々にそういうものが渡っているとすれば、これは非常に重要な問題であると思います。早速調査検討させていただきまして、そういうところに配布されているような事実があれば、是正をするなり、撤回をするなり、措置をとらしていただきます。
  160. 前島英三郎

    委員以外の議員(前島英三郎君) これはやはり私は削除すべきだと思いますし、やはり健康な子供たちと同じように、障害を持った子供たちも、人間として教育存受けさせたいと私は思うんです。にもかかわらず、就学指導委員会の人たちが、こうしたものの形の中で、障害児たちを判別されてしまうということは、私は大変な誤りがあるだろうと思うわけです。  そういう意味では、ことし二月から予算委員会、あるいは文教委員会で、大臣答弁はそれなりに私も聞いておりまして、議事録など拝見いたしますと一貫性もありますし、非常に弾力的な形で、障害児がどこに就学するかは一定の原則、尺度はあるものの、ケース・バイ・ケースでやり、その子供にとって最もよい教育の場を選択する。それが、就学指導委員会がよく判断することとあるその就学指導委員会の指導書が、こうした形でなされるということは、大変残念だというふうに思うわけです。  そういう意味におきましても、いろいろな過去の委員会、あるいは国会での答弁の中で、弾力的な判断がなされるということを再三おっしゃっておりますので、やっぱり就学指導委員会がイニシアチブをとるんじゃなくて、むしろその親たちの意見を重視して、弾力的に、その子にとってどこの学校で学ぶことが一番幸せかということは、親の意見というものを尊重してほしいというふうに私は思うわけです。そういう意味で、弾力な運用を今後図るということを、改めて大臣からお伺いをしたいと思います。
  161. 砂田重民

    ○国務大臣(砂田重民君) 先ほど冒頭に私が申しました原則は原則として、これはやはり貫いていかなければならない問題だと思います。  原則的には養護教育の義務化ということは、やはり市町村に養護学校を設置する義務があり、そして示度の障害を持っておられるお子さんの保護者には、養護学校に就学させる義務がある。この原則は原則として打ち立ててまいらなければなりません。しかし、国会でいろいろ先生方が御議論の中に、レアなケースの事態を明確にお示しになりまして御質問がございました。先ほども仙台の全盲のお子さんの方の件がございました。そして、ちゃんとみごとに勉強ができているのに、義務教育を修了したと認めないのか、そのように受け取られかねない三十八年通達などがあったものでございますから、そういう通達の改正をいたしまして改めたわけでございます。レアケースについての弾力的な取り扱いができるように、政令の上でも通達の上でも明確にいたしましたし、ちょうど来年から義務化ということに変わってくる変わり目でありますから、現に普通学校に通っておられる、体に障害を持っておられるお子様の取り扱いについても、政令の改正も八月に終えまして、周囲の条件が許す場合、御両親もそのことを希望される、学校の側でも受け入れられる条件がある、他の父兄の方々の意見も同じ御意見だと、こういう合理的な条件が整った場合には、いままでどおり普通学校に続けてお通いになることも可能である、こういうふうな政令改正も八月にやったわけでございます。国会で答弁をいたしました私の考え方は、文部省は今後も貫いてまいるであろうことを明確に申し上げておきたいと思います。
  162. 前島英三郎

    委員以外の議員(前島英三郎君) 私は、教育というものが障害のみに着目してはいけないと思います。やはりそのハンディキャップに対する配慮をしながら、子供のあらゆる可能性を引き出すというものが真の教育であろうというように思うわけです。  私は、養護学校義務化ということで、障害児の教育というものが終息を迎えるようなことがあってはいけない、これはやっぱり一段階にすぎない。やはりやがては統合教育という形の中で、健康な子供が一番近い学校に行ける、何でハンディキャップを持った子供が、二時間も三時間も遠いところへ通わなければいけないのか。ましてや入寮制というようなことになりましても、七歳、八歳のいたいけな子供を、その寮に入れてしまうなんていうことを親の愛情でできるものではない。送迎だってこれは大変なことです。そうした形で、いまあるその養護学校というものも、非常に各都道府県満足な形で設置されている状況じゃないわけです。空室の問題はどうなっているのか、いろいろな問題点があると思うんですけれども、とにかく私は、ほかの一般の子供と一緒に障害児が席を同じゅうするということが、特に肢体不自由の場合には、重い子供にとっては、それなりの保護教育ということも必要でありますけれども、でき得る限りその子供の状況に合った学校の施設改善ということに着目していただきたいと思うんです。その意味では、養護学校のこの義務化が、障害児教育の終息ではなくて、一段階だ、やがては統合教育という形の中で、みんながお互いに支え合う心の中で障害児たちも勉強をしていく、そうして大学にも進んでいく、そういうやはり今後の文部行政というものを手がけていただきたいと思うんですけれども、将来の統合教育についてのもし方針というものがございましたならば、見解を伺いたいと思います。
  163. 砂田重民

    ○国務大臣(砂田重民君) 養護教育の義務化がやっと五十四年度から実現するときでありますから、それから先のことを方針という形でいま私が述べるのは少し行き過ぎであろうと思うんです。しかし、養護教育の義務化が来年から実施されるからと言って、私は、義務教育が養護を必要とするお子様たちのために実現したことをもって、すべての養護教育がこれで終わったとは毛頭考えておりません。まだまだ、施設の点、あるいは教育方法についての改善、研究も続けなければなりませんし、いま前島議員御指摘の各様の問題が残っております。さらにはその次の段階では、早期教育の問題もありますでしょう。そうして義務教育の後の問題もありますでしょう。そうしてまた、これは文部省だけで解決できる問題ではないかもしれませんが、社会へ出ていく体に障害を持ったお子様たちの問題もありましょう。そうしてまた、これは施設だけの問題ではないかもしれませんが、私も幾つかの養護学校を見、障害を持っているお子様と一緒にその場で遊んだり、両親や教師の話を聞いてみても、やはりこれは家庭にとって、特にお母様にとって相当な負担になっているわけでございます。お母さんが学校に送り迎えをする、学校につきっきりの状態にならざるを得ない障害程度のお子様もある。その場合の家庭の問題も、またこれから、私ども文部省だけで解決できる問題ではありませんけれども、当然やはり考えていかなければならない問題であります。各様の問題がまだ残されていて、来年義務化にスタートしたからと言って、養護教育がこれで終結したとは毛頭考えてはならない、かように考えております。
  164. 前島英三郎

    委員以外の議員(前島英三郎君) 時間もありませんので、最後にお伺いしておきたいということと、たださしていただきたいということがございます。  就学義務の法的解釈についてであります。お母さん、お父さんにとっては、一番近い学校の中でこの子が教育を受けた方がいいという場合には、やはり弾力的なレアケースという形の中において私は学ばせてほしいというように思うんです。そういうことをしたことによって、学校教育法施行令二十二条二の表で定める程度の障害児が、学校でなく、小学校、中学校に通学した場合でも、就学義務を果たしたことになると解釈してもよろしいかということであります。いままでいろいろな形の、お父さん、お母さん方が、やはり一札を入れて、一切送迎は親が責任を持ちますという形をして、車いすの子も一般就学をしているケースが幾つもあります。そうしたときに、やはり一番その一緒に学んだ子供たちが結果として報告されることは、何よりも義務教育の中で車いすの何々君と一緒に勉強できたことだったということをよく聞くわけであります。ということは、なるべくなら健康な子供とやはり障害を持った子供が大人以上に融和感がある。  先般も光明養護学校の生徒さん、車いすの子供十人とアメリカへ行ってまいりました。そのアメリカへ行って帰ってきて、印象は何だったと聞きましたら、アメリカ人が私たちと視線が合ったときに、目と目が合ったときににっこりほほ笑んでくれた、わらってくれた、背中をたたいてくれた、それがアメリカの印象として子供たちが私に言ったわけであります。やはり醜いとか、適応性がないとか、手術をきらうだとか、団体行動ができないとかというような偏見に満ちた形の中でいままで教育が行われてきてしまったのではないか。日本で周りの人たちが、あるいは学校へ行っても周囲の人たちが、視線を見合わせてにっこり笑えるようなそうした環境であったら、子供たちはこんな印象をアメリカでは持たなかっただろうと私は思うんです。そういう意味でも、できる限り親の意見を尊示して、小学校、中学校の中に就学できるように、弾力的なひとつ行政というものをぜひ大臣お願いをしたいということを最後に申し上げまして、私のきょうの質問を終わらせていただきます。
  165. 望月邦夫

    委員長望月邦夫君) 本調査に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。     ―――――――――――――
  166. 望月邦夫

    委員長望月邦夫君) この際、派遣委員報告に関する件についてお諮りいたします。  先般、当委員会が行いました三重、和歌山両県への委員派遣について、世耕君から委員長の手元に報告需が提出されておりますので、これを本日の会議録の末尾に掲載することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  167. 望月邦夫

    委員長望月邦夫君) 御異議ないと認めます。さよう取り計らいたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二分散会      ―――――・―――――