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1978-11-17 第85回国会 参議院 逓信委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年十一月十七日(金曜日)    午前十時十七分開会     —————————————    委員異動  十月二十日     辞任         補欠選任      町村 金五君     前田 勲男君      坂倉 藤吾君     小谷  守君  十一月十六日     辞任         補欠選任      小谷  守君     坂倉 藤吾君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         赤桐  操君     理 事                 小澤 太郎君                 案納  勝君     委 員                 長田 裕二君                 郡  祐一君                 志村 愛子君                 高橋 圭三君                 西村 尚治君                 大木 正吾君                 坂倉 藤吾君                 中野  明君                 沓脱タケ子君                 木島 則夫君                 青島 幸男君    国務大臣        郵 政 大 臣  服部 安司君    事務局側        常任委員会専門        員        栗生澤喜典君    説明員        郵政大臣官房長  林  乙也君        郵政大臣官房電        気通信監理官   寺島 角夫君        郵政省郵務局次        長        奥田 量三君        郵政省電波監理        局長       平野 正雄君        郵政省人事局長  守住 有信君        日本電信電話公        社総裁      秋草 篤二君        日本電信電話公        社総務理事    玉野 義雄君        日本電信電話公        社営業局長    西井  昭君        日本電信電話公        社業務管理局長  浅原 巌人君        日本電信電話公        社施設局長    山口 開生君        日本電信電話公        社経理局長    小川  晃君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に  関する調査  (最近における郵便物配達業務に関する件)  (郵政省における労使関係正常化及び労務管  理に関する件)  (郵政事業の将来展望に関する件)  (特定郵便局における犯罪事件防止対策に関す  る件)  (特定郵便局及び簡易郵便局設置状況等に関  する件)  (不法電波監視体制に関する件)  (無線従事者国家試験実施状況等に関する  件)  (電話料金体系の是正及び苦情処理対策に関す  る件)  (老人福祉電話に関する件)  (離島振興法に基づく通信施設整備に関する  件)  (電話料金明細処理システム等に関する件)  (FM放送の免許に伴う諸問題に関する件)     —————————————
  2. 赤桐操

    委員長赤桐操君) ただいまから逓信委員会開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十月二十日、町村金五君が委員辞任され、その補欠として前田勲男君が選任されました。  議事の都合により再開は午前十一時とし、暫時休憩いたします。    午前十時十八分休憩      ——————————    午前十一時二分開会
  3. 赤桐操

    委員長赤桐操君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 案納勝

    案納勝君 大変大臣お忙しいところを急がしまして申しわけないと思います。  きょうは大臣、ちょっと言いにくいこともありまして、またちょっと生臭い話になるかもしれません。その点ひとつ大臣職柄としてお聞きいただきたいと思います。  まず最初に、私はお尋ねをしますのは、過般、きのうの新聞、十一月十六日の朝日新聞に、西部本社版の十五面トップに、「自民党総裁選郵便物不公平な優遇措置」ということで、大変重大な内容報道をされております。  いま、大変自民党総裁選挙はテレビ、新聞その他でさまざま反響を呼んでおります。これはいずれにしても百五十万の投票によって予備選挙が行われるとしても、一政党の、国民的、国家的行事ではないわけであります。そういう郵便物郵政当局の手によって特別な扱いにする。これはきわめて重大な郵便法違反と言っても言い過ぎではありません。郵便法には第一条とそして第六条に「何人も、郵便利用について差別されることがない。」とあります。私はこの辺について、大臣御存じだと思いますが、大臣ないしは事務当局のこれらの経過についてひとつ事実を明らかにしていただきたいと、こう思います。
  5. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 一般郵便物が大量に差し出される場合、差出人からあらかじめ差し出し日時物数種類などの連絡をしていただくよう今日までお願いしてまいったことは御案内のとおりでございます。  私は昨日の新聞、朝日の記事、本日の毎日の記事も拝見いたしましたが、ああいった誤解を受けないように、また郵便局処理がスムーズに流れるように、また御指摘の、公平を旨とするわけでありまするから、一般利用者に、一時的に大量の依頼でありまするから、混乱を生じて迷惑をかけないようにという立場から、郵政局を通じて関係郵便局連絡して受け入れ体制整備や必要な指示を行いました。今回の自民党総裁選挙関係郵便物につきましても、あらかじめ差し出し日時物数種類などの御連絡をいただいております。  御承知のとおりに、たとえば株式配当の時期とか、その他宝くじのいわゆる通信による予約というような場合とか、この種のケースは毎年ある期間にあるわけでございまして、そういった扱いと何ら変わった扱いを断じていたしておりませんということをはっきり申し上げられるわけであります。私はそういう立場で、自民党総裁選挙関係郵便物ゆえ公平取り扱い原則に反して特に優先的に取り扱うようなことはいたしておりません。特に配慮、むしろ逆の配慮をいたしまして誤解を受けないような手はずを整えたことを申し上げておきたいと存じます。
  6. 案納勝

    案納勝君 まず大臣に、それじゃ、自民党総裁選挙というのは国家的あるいは国民的行事ではない。あるいは自民党政党というのは、まあさまざまあります。手続とすれば政治団体として。そうするとこれは一団体にすぎません。そうすると、そういう団体にしても、差し出す郵便物については、これは一般国民が差し出す郵便物と同じように公平に郵便法に基づくそういう取り扱いをするということは、たとえ今回の自民党総裁選挙についても、これはもうはっきり守られているわけですね。差別は絶対に行わない、公平な取り扱いをするということはこれはもうはっきり大臣確認してよろしいですね。  それで、もう一点確認をしておきたいのは、いまの大臣答弁で、これは郵政省本省から直接郵政局を通じて指示をしたことなんですか。大量に郵便物が行くから、大臣の言うのは、逆の配慮をせいと、こういう言葉ですが、そういうことまずないと思いますが、いずれにしても、そういう取り扱い本省から各郵政局を通じてやったことなんですか。その点は事務当局どうですか。
  7. 奥田量三

    説明員奥田量三君) ただいま先生おっしゃいましたとおり、本件郵便物取り扱いについて本省として全国的に連絡指示をする必要があると思われる事項については、各郵政局連絡をいたしました。
  8. 案納勝

    案納勝君 それはどういう内容連絡しましたか。
  9. 奥田量三

    説明員奥田量三君) 若干内容は多岐にわたりますが、まず基本的には、大臣も申しましたように、これら一時に大量に差し出しの郵便物がある場合には、省側として事前に差し出しの日時、差し出し予測物数、そういったことについて極力差出人の御協力を得て情報をキャッチするようにいたしておりますので、そういった関係情報、したがって、郵便局にいつごろどの程度の差し出しがあるといったような物数関係日時関係予測と、それに関連いたしまして、一時に大量に取り扱い、しかも書留郵便物でございますので、書留郵便物の大量な差し出しがある場合に予想される混乱等を回避するため要員措置事故処理体制配送体制その他について十分留意するようにと、おおむねこういった趣旨の指導をいたしました。
  10. 案納勝

    案納勝君 それはこの自民党総裁選挙関係する郵便物指示ですか。
  11. 奥田量三

    説明員奥田量三君) おっしゃるとおりでございます。
  12. 案納勝

    案納勝君 それはいつごろ出したんですか。
  13. 奥田量三

    説明員奥田量三君) そのような指導につきましては、各種の会議の席での指導連絡あるいは担当者による電話連絡等によって随時連絡を行ったものもございますが、担当課長連絡指導の書面でそういった指導をしたこともございます。
  14. 案納勝

    案納勝君 それはいつごろですか。それからその文書は提出いただけますか。
  15. 奥田量三

    説明員奥田量三君) 担当課長の名前で九月初めに指導連絡文書を出しております。その内容につきましては後ほど御報告いたします。
  16. 案納勝

    案納勝君 もう一回お尋ねします。  一時大量の郵便物差出人大量郵便物を差し出す場合に、差出人等に要請していつごろ差し出されるのかということについて差し出しの協力を求める。これは今日までもあるでしょう。また要員措置等特別な場合についての賃金要員やその他の措置、これはなかったとは言いません。ただその場合においても、一般簡易書留ですね、この場合にこれだけ抜き出して特別に配送しなさいとか、配達しなさいとか、特別な措置をしなさいということはいまだかつてやったことないはずです。一般簡易書留郵便物が来る、到着順に差し立てをして配達をするわけです。これだけは特別にやりなさいという指導なんてやったら、これは郵便法違反です。今回についてそういう指導をやっていますかやっていませんか。
  17. 奥田量三

    説明員奥田量三君) 今回の自民党総裁選挙関係する郵便物について特別に抜き出して、あるいは他の郵便物に優先して処理をするというふうな指示はいたしておりません。
  18. 案納勝

    案納勝君 ところが現実に、たとえば新聞紙上によりますと、宮崎では福祉年金及び母子年金の切りかえのための受領証や書類等が、簡易書留が事実上とめておかれる。この一万二千通の県連から持ち込まれた自民党県連簡易書留が先に差し立てを行い配達をしている。こういうことで多くの苦情郵便局に来ている。これは報道です。こういう事態というのはあなたたちは想定をしたんですかどうなんですか。
  19. 奥田量三

    説明員奥田量三君) 先生案内のとおり、年金関係郵便物が毎年この時期に大量に差し出される時期でございます。こういう場合には、郵便局といたしましては差出人にいろいろ御相談やお願いをいたしまして、いわゆる計画配送ということで一定の期間内に順次配達をするということを例年いたしております。  御指摘宮崎市の場合、十月の初めに約九千通という年金関係簡易書留郵便物の差し出しがございましたが、これについては先ほど申し上げましたような考え方で計画的に配送処理したというふうに聞いております。
  20. 案納勝

    案納勝君 これはまた後ほど触れますが、いま一年間郵便物は百四十一億通ですね。そこで百五十万通、十一月の正常の場合の郵便物の流れは特別に多い時期じゃない。十二月に入るごろからクリスマスカードやあるいは株の切りかえ等が来ますね。いま百五十万通といっても全国的に散らばっています。九州で言うならば十五万通しかない、仮に一地方に。その場合に特別に大量郵便物として百五十万通ぐらい、果たして特別な指導をする、そういう必要がありますか。
  21. 奥田量三

    説明員奥田量三君) ちょっと正確に記憶しておりませんが、書留郵便物の平常一日当たりの全国引き受け物数がおよそ七十万通ないし八十万通であろうかと存じます。したがいまして、本件郵便物の場合には平常一日の引き受け物数の二日分あるいはそれを上回る郵便物、しかも簡易書留とは申しましても書留郵便物でございますから、普通通常郵便物に比べて取り扱いの手数は非常に大きなものになります。そういった関係から、この郵便物取り扱いについては十分な配意が必要であろうと、かように考える次第でございます。
  22. 案納勝

    案納勝君 私は、いま説明されましたが、七十万通一日当たり、これは正確じゃありません、これは正確に調査をしなくちゃなりません。しかし、各郵便局要員定数は、あなたが一般御存じのように、平常七十万通だからといって、これが年末にたとえば九州なら九州に百五十万通集中するなら別ですよ。全国で散らばって差し出しをされる。そういう場合のあなたたちがいつも要員増の場合によく言われるように、現在要員でこなせるという配置を、百五十万通全国のこの形態を見るならば、そういう要員配置をしているとあなたたちはいつも言っている。これはたとえば東京なら東京東京中央郵便局へ百五十万通がどっと来るというなら東京中央郵便局措置をしなくちゃいかぬ。百五十万通というのは、特別ないま民間の大企業その他を考えた場合に、全国郵便を各地方から差し出される場合に、特異な大口利用というように特別に配慮するものは私はないと思うのです。私はここで特別な措置郵政省指導したと、これは私はやはり自民党総裁選挙だということが頭にある。そのことによって私は意識的な指導だというふうに理解をせざるを得ないんです。どうしても。あなたは、それでしかも、これは他の郵便物と平等に取り扱う、特に大臣ば先ほど言われた気持ちはそれは気持ちにあるとして、まあ政党政治ですから大臣みずから総裁選挙の中には党員という立場では参加をする、しかし大臣という立場で法を守り、郵便事業を守るという立場で言われている逆な意味での配慮をすべきだという気持ちはそれなりにわかるとしても、実は事務当局がそれを越してそういう措置をしたことについて私は納得ができない。  もう一つは、あなたは先ほど他の郵便物と平等に扱っています。こういうふうに言われていますが、ここに一つ例がありますが、岐阜県の大垣局では不在郵便配達——簡易書留配達をして名あて人不在の場合は十日間局でとめ置きになる。これはどこでもそうです。こういう取り扱いになっておる。ところが、これに関しては自民党総裁選挙のこの書留については管理者が特別に手分けをして電話不在簡易書留者に取りにくるように催促をする。これはまさに特別な措置じゃないですか。そして、これは一般の正常な郵便物と平等な取り扱いじゃないじゃないですか。その結果、管理者が間違ってかけて取りに来た人が——間違った郵便物で、窓口に来て大問題になっている報告がきている。これは単に大垣だけじゃないんです。池田という局にもあります。そして、さらに関東郵政局は、十月の六日に郵務部長郵便課長会議演達をしております。それは表向きは正式な手続をやる、そのとおりでしょう。手続をやらなきゃ大変なことになります。しかし、従来番地が違い、配達が不可能な場合は一たん持ち戻って、その上でしかるべき措置をしています。これに関する限りは探して歩け、即刻その日にその措置をせよ、事故扱いは即日配達せよと、こう指示している。先ほどお尋ねしました宮崎市の老齢福祉年金母子年金等待ち焦がれている人に対する簡易書留の郵送についても、宮崎の場合は管理者がこの自民党総裁選挙郵便物だけは特別に差し立てをした。あるいは同じく宮崎県の山之口特定郵便局では一時間も早く出勤してこの分だけ二百通特別な措置をした。これは同じ平等な郵便物と平等に取り扱い、公平に取り扱うということになっていないじゃないですか。私はこれは同じだと思います。自民党総裁選挙だからというのではありません。社会党の委員長選挙だってあります。しかし、このようなそういう場合にやっても、不公正、不公平な取り扱いを法に違反してまでそういう措置をしなくちゃならない百五十万通なのかどうか、いずれ郵便事業の全体の中でそんな重要な役割りを持っている、重要な内容を持っている郵便物かどうか、大変疑問に思わざるを得ないのです。この辺はどう思いますか。不公正な取り扱いじゃないと思いますか。あたりまえの正規な取り扱いだとあなたは考えられますか。いまこれらの事実はきょうの時点でもっと挙がってきます。現場から。どうこれは責任をとりますか、一回答弁してください。
  23. 奥田量三

    説明員奥田量三君) ただいま御指摘のとおり、郵便物種類によって何らかの優先的なあるいは不公平な取り扱いをすることは許されないわけでございまして、今回の場合、大量に一時に郵便物が差し出されるということに伴っての技術的な配慮等以外につきましては、すべての郵便物について同様に正確、迅速な処理を図るべきものだと考えております。  なお、ただいま先生指摘になりました事実については私、内容について詳細承知をしておりませんので、ただいまお答えを申し上げかねる次第でございます。
  24. 案納勝

    案納勝君 ここにもう一つ、これは荒瀬九州郵務部長が、公用私信で各郵便局長あて出した中身です。それで、中身の中を見ても注意書きがたくさんあります。いま私が関東郵政局の例や岐阜の例を申し上げたと同じように、あて名不完全な郵便物については迅速に調査可能な限り配達をする、あるいは配達先が不明な場合はその日のうちに処理をするように行え、転送郵便物転居届が提出されている郵便物及び転送先を示されたものはその日のうちに転送処理を行え、まだあります。転居先不明の取り扱い、私先ほど言ったのと同じ。これはもうしっかりした内容になっていますね。これでもこれ知りませんとあなた言いますか。これ、特別取り扱いじゃないですか。私が現場書留郵便物を普通通常取り扱う事務の作業と比べた場合、全く特別な取り扱いですよ。
  25. 奥田量三

    説明員奥田量三君) 取り扱い郵便物についてはできるだけ迅速な処理をすべきこと、あるいはまた転送事故郵便物処理についてはその日のうちに処理することということにつきましては、私どもすべての郵便物について共通に努力すべきことと考えている次第でございまして、今回のように一時に大量に郵便物が差し出される場合、間間その辺の手違いが生じがちかと思いまして、重ねて留意を喚起した次第でございます。
  26. 案納勝

    案納勝君 いえ、そんなごまかし言っちゃだめだよ。私はあなたも知っているように長い間、三十年郵政で飯食った男ですよ。いまあんた簡易書留郵便物がどうなっていて、現場取り扱いされているのか、皆さんたちより以上に知っているかもしれませんよ。あなた、そんなきれいごと言って、しかもこの文書自民党総裁選挙のこの投票に関する郵便物に対する取り扱いということで特段注意事項ですよ。ほかの郵便物とめおいでおいで、これ、先にやっているんじゃないですか。私はそれはあなたがそういうようにきれいごと答弁をやったって、それは先ほど申し上げた池田においたって、あるいは関東郵政局郵務部長演達にしても、なぜ従来のような取り扱いを、他と公平になるならば、他の郵便物と平等に取り扱いなさいと、そして百万か百五十万通の、東京でどのくらいになりますか、九州では十五万通ぐらい、差し出しの局は大体わかる。一局で、福岡では二万九千。二万九千ぐらいだったら福岡中央郵便局だったら特別な措置をしなくてもこれは処理はできるんですよ。佐賀の郵便局は一万九千、問題になった宮崎は一万二千、これは私はそういう中でなぜ特別にこういう示達や指示や、現場にこういうことが行われているかというと、やはり特別措置郵政省自身が私は指導している、こういうふうに理解せざるを得ないのです。私はこれはきわめて、一番心配していたことなんですよ。われわれはいやこういうことにならなければいいがと、これだけ、百五十万差し出されるということになってきて、それで現場の段階で特別な措置を取り扱えなどなったら、これは大問題になるから、こう実はいままでも心配していた。自民党総裁選挙だから言うんじゃないですがね。なかんずくいまきわめてこういう意図的な恣意的な取り扱い郵政省から行われるということ、指導が、現場に至ってはこういう混乱が行われるということ、郵便法原則、しかも郵便法の一条、六条からいっても、全く郵政省自身が私はそういう違反行為を行っている。私は責任者は処分問題だと思いますよ、公務員の、違反ですよ。大臣、どのようにお考えになりますか。
  27. 服部安司

    国務大臣服部安司君) いろいろと事実の指摘を受けました。私は緊密な部内の連絡をとりつつ、誤解の起きないように特段配慮をせねばならない、誤解を受けないように、おおよそ誤解を受けやすい状態に置かれていることだからというので、いま国際会議に出て留守ですが、江上郵務局長を数回呼んで注意いたしておりました。本人も、十二分にそのことを自覚いたしておりました。正直いって、そういった私の厳しい姿勢が、いま案納先生のおっしゃるとおりな逆効果が生じたのじゃないか。決して言いわけではありません。ごらんのとおり明け透けな男ですから、ありのままを申し上げることが好きですから率直に申し上げますが、一つ理解をいただきたいと思います。  というのは、私はもう全くのずぶの素人で、ただ、案納先生は、これはもう正直いって私が質問を受けて答えること自身が、制度の上でやむを得ないけれども、実質大変理解に苦しむような、これはもう事実ですが、それだけに、私が先ほど申し上げたとおりに、絶対誤解を受けてはならないぜ、というのが逆作用になったんじゃないか、私自身がいま厳しく取り扱うように指示したことが、このように御心配をかける事態に至ったんではないかと、これは深く反省をいたしております。ただ、われわれがそういった考えに基づいて指示いたしましたが、ちょっといまお話の現場ではかなり配慮を、逆な配慮をし過ぎたんじゃなかろうか。また、そういったことによっていろいろと誤解を受けることになったことはまことに遺憾であると私は先ほどから感じている次第であります。  しかし、常識からいって、私の立場からいうと、簡易とはいえ百五十万という書留となると、これはかなりやはり混乱を招いては大変だと。たとえば、自民党総裁予備選挙であろうとなかろうと、一般郵便物であろうとも、これはわれわれの使命からいったならば、また御指摘のとおりに、郵便物取り扱いの公平からいっても、やはり、だれがやろうが、どなたがそういうことをやられようが、私はやっぱり誤配とか、または簡易書留のいわゆる重要性という立場から考えても、できるだけ早く、いわゆる事故郵便物取り扱いにいたしましても、十日以内云々という規定がありまするが、やはりこれは一刻も早く受取人に届けることが望ましいことでありまして、決して総裁公選予備選挙だから、自民党のあれだからといった配慮は全くないということをひとつ御理解いただくならば大変幸せだと存じます。
  28. 案納勝

    案納勝君 あのね、大臣、それは、大臣の大変苦しいところあれですが、私はいままで、自民党総裁選挙だからと言っているわけじゃない。これは一般的ですよ。ただ、自民党総裁選挙で今回こういう状態になったことは特別に問題があると、こう私は言うんです。それだけに問題だと。一般的には、私が言うように、一般的でも公平でなくちゃならぬ。従来そうでしょう、たとえば株が出る、その他出るときは麗々しく本省からやったことない、従来の状態でやっているわけだ、各局は。この時期には大体わかるんだから、そうすると大口差出人連絡をして、いつごろ出ますかと、そうすると要員その他の措置等についても、まあ十一月中ばまだそれほどまで全体で繁忙になってきませんから、そうすると、そういうことはふだんやっているわけです。ところが、自民党総裁選挙ということで特別な措置をする、令達をする。それで、言われるように不在の場合はどの郵便物だって一日も早く、その翌日なりに届けてやるのは、これは当然のことなんですよ。私はこれを頭から否定するものじゃありません。それはそういう措置を各郵便局国民にサービスもしてやらなければいけない。そのために要員が必要なら要員措置をしなければいけない。ところが、自民党総裁選挙郵便物については特別に本省から令達がおり、示達がおりる。各郵政局からは公用私信なるものをもって、しかも書いてあることがまさに普通の取り扱いと全く違う内容である。池田郵便局大垣郵便局じゃまた問題が起こる、関東の郵政局郵務部長郵便課長会議では演達をする、これが私は問題だと言うんです。私は、大臣ね、少なくともこういう措置が公然と行われている、国民は何と言うでしょうか。速やかに私は是正をしなくちゃならぬし、速やかな措置をとってもらいたい。まだ二十七日まであります。現実にこんなことが職場の中で、要するに現業の局で行われているとするならば、速やかな措置をとってください。そういう措置をしたことについては、やはり郵便法違反になるんですから、郵便法違反をみずから郵便局管理者がやるなんということは許せませんから、私はこれらについては明確な措置をとっていただく、態度をとっていただくということを要望しますが、大臣いかがですか。
  29. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 私が先ほど来お答え申し上げておりますとおりに、特に誤解を受けないようにという配慮を十分したつもりでありまするが、しかし、そういう事実があれば、これすべて私の責任でありまして、その実態は残念ながらまだ十分に把握いたしておりませんが、もし御指摘のことが事実であれば全く私の責任だと感じております。  そこで、昨日の衆議院の逓信委員会でもそのような御指摘がございました。私は誠心誠意事実の指示事項については率直に申し上げて御理解を得るために努力いたしましたが、昨日付をもって、各郵政局郵務部長、沖繩郵政管理事務郵政事業部長に、自民党総裁公選関係郵便物取り扱いについて、そういう誤解を招いてはならないという私の終始変わらざる気持ちでありまするから、もうきのうにもすぐに指示いたしました。桑野業務課長名で、御指摘のいわゆる新聞記事によるようなことがあってはならない、郵便局は特別にこの種の問題に優遇取り扱いを断じて行ってはならないという指示も強くいたしたような次第であります。これはまあ当然なことでありまして、今後は十分遺漏のないよう配慮せねばならない。御指摘のとおり、まだあと十日あるわけでありまするから、十分この取り扱いについては、こういった苦い経験をとうといあれにいたしまして、十分な配慮をする決意でございます。
  30. 案納勝

    案納勝君 大臣、そのいま示達を出された内容について、これは当然いままでの大臣答弁を受けての示達になると思うんです。後ほど見せていただきたいと思います。  あわせて大臣、私は国民にこういう誤解を招いた、しかも誤解じゃない、事実を私は大臣誤解——そういうことが事実としてまだ逆な意味で詳細把握はできないがあったとしたならばと、こういう言葉ですが、現実にそういう事実が私の方には報告が来ているわけですね。それで、しかも国民は何で自民党総裁だけの選挙でこんなやるのかと、こう新聞その他の報道がある。私は国民郵政省としては大臣としてこういう公正さを欠き、みずからが郵便法違反するようなことについて十分下部徹底をしなかったうらみはあるにしても誤解国民にそういう不信を与えたことについて私は大臣見解にしても明らかにやっぱり国民にすべきだと思います。単に内部の示達だけじゃない。また事実上そういうことが現場管理者郵便法のことをわかりながら、しかもこの荒瀬さんの公用私信の中でももうはっきり自民党総裁選挙について「二十七日午前九時交付まで有効であるから」と、こう書いてある。そういう示達が公用私信においても行われることは私はきわめて認めることはできません。これらについても大臣のこれは今後の措置をどういう措置をとられるか、それは大臣の見解をお聞きしなくちゃいけません。再びこういうことがないように、国民に陳謝するとともに、明らかな措置をとってもらうことを最後に強く要請をいたしたいと思います。よろしいですね。
  31. 服部安司

    国務大臣服部安司君) いかなる事由によるとも国民の信頼を得て郵務行政というものの発展が堅実な運営が期されるわけでありまするから、誤解を与えたことはまことに遺憾に存じております。また、御指摘の問題についても私は十二分に急ぎ調査をいたします。すべての郵政省関係責任が私にあるわけでありまするから、とらねばならない責任は、これはもうだれにも負けないつもりでおります。したがって、私はこういった御指摘を受けたことは先ほど申し上げたとおり遺憾であるとともに、また広く国民にこのような誤解を与えたとなるならば、当然私は調査の結果とるべき措置等は、信頼の回復のために当然いろんな措置を講ぜねばならない。とにもかくにも急ぎ御指摘郵便局取り扱いの御指摘は、不手際という御指摘でありまするか、実態を調査をいたしたいと、しかる後に私は先ほど来申し上げているところのはっきりした態度で責任をとりたいと、かように考えておる次第であります。
  32. 案納勝

    案納勝君 大臣ね、調査というよりか、もう事実全国そうなっているわけですよね。誤解じゃなくて事実なんです。ある意味では。だから速やかに私はこれに対してまずそういう不公平な郵便法違反するような行為が行われているという事実があるわけですから、当然それはもう是正をする。その上で二度とこんなことが繰り返されない措置、それについて、そして国民に大変な不信を与えたことについて大臣として措置をしてもらうということにならなくちゃいけないと思うんです。私はそのことをまず強く要望して見守っていきたいと、こう思っています。速やかな措置をとられることを要望しておきます。  それで、次に入りたいと思います。先ほど冒頭私は少し生臭い話出るかもしれないと、こうまあ申し上げましたが、いまから少し時間の関係もありますが、私は四年間議席をお預かりをしまして今日までこの種の生臭い話を余りしたことないですけれども、一緒になって郵便事業国民のためにどうするかという努力をしてきた。そこで私はいまから幾つか質問をするわけです。  まず大臣の御見解を承りたいと思いますが、それは郵政事業、なかんずく郵便、貯金、保険所管にかかる郵政事業の中における労使の関係であります。大臣もかつて所信表明の際に、郵便事業、貯金、保険事業は、郵便事業はいずれにしても人的な人の手によって労働密度のきわめて高い、そういう事業であるだけに健全な労使関係、そういう立場に立って円滑な労使の関係に努力をしていく、こういう所信表明がなされて、健全な労使関係ということについて強く強調されております。十一月の十日にも、大臣も御存じのように、公式にわが党の逓信部会として五十四年度の予算編成についての御要望を申し上げた際にもこれらについての大臣の御見解を伺いました。大臣のおっしゃるとおり、事業は労働集約度の高い事業であるだけに郵政事業国民の期待にこたえていく安定した事業を確立をする、こういうことば健全な労使関係が成り立ってこそ初めてできることであります。私は感心をといいますか、それなりに感銘を持って聞いたんですが、せんだっての第二十五回電気通信記念日の電通の総裁の式辞の中でも電電事業の今後の将来のためにもまず人の和だと、これがかなめだと、こう言う。いま郵政事業電気通信事業、電電公社の事業と比べたら余りにも実はその辺の違いがあり過ぎる、こう感じてならないんです。  そこで大臣にお尋ねをするのは、最近、特に年末にかけて労使の関係がきわめて憂慮すべき事態にあると私は理解をします。それだけに、しかも郵政事業の三分の二、二十万を組織する全逓との間の深刻な事態が想定をされるだけに、そういう事態についての抜本的な解決を早期に私は図らなくちゃならぬだろうと思う。こういう感じにまず立っております。今回しかも問題になっている中心課題は、賃金を引き上げるとか、あるいはその労働条件の一、二の単純な問題でないだけに深刻だと思うんです。したがって、そういう立場大臣は労使の問題についてもう一回ここで繰り返しお聞きしたいのは、労使の問題どういうふうにお考えになっているのか、健全な労使関係というのはどのような関係だというふうにお考えになっているのか、全逓という組織、これは敵視、敵対すべき労働組合というふうにお考えになっているのか、これらについての大臣の本当の、三十万以上の職員を抱え、そして国民の委託を受けた郵政事業を動かしていく大臣としてどのようにお考えになっているのか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  33. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 多くの職員を抱え、また労働集約性の高い郵政事業にとりまして労使関係正常化、安定化を図ることはきわめて重要であることにつきましては十分理解しているところであり、そのことを念頭に置いて事業の方針を定め、また職員あるいは組合幹部の皆さんに接してきたところであります。就任以来、労使間の諸問題に身をもって接し、また郵政事業の長い歴史を振り返って見てまいりました。そうした中で最近の労使関係を見ていますと、多様な課題を抱え、また容易には理解を得られなかった問題もありましたが、大きな流れといたしましては、徐々にではあっても先人の努力の上に立って改善の方向にあるとの認識を得たところであります。  ぜひ今後ともこの方向を定着させなければならないと考えている次第であります。したがいまして、労使関係においてまだまだ多くの課題はありますが、労使お互いに余りあわて過ぎないで、事業を大切にして国民の批判に耐え得る労使関係を築くとの観点に立って、着実に努力を重ねて一つ一つの改善の実を上げ、この大きな改善の方向を逆転させることにならないように、冷静に、また現実的に対処していくこと、これが今後さらに労使関係を健全ならしめるために特に大切ではないかと考えている次第でございます。したがって、私はこういう基本的な立場に立って、今後はお互いの立場理解しながら、お互いの立場を尊重しながら十二分に話し合いの場を持って、よりよい労使関係の確立を図っていきたい一心でございます。御指摘のように全逓を敵視したり、敵対したり、もうとんでもないことでありまして、劈頭に申し上げたとおりに、健全な労使関係をつくり上げたいと考えている私に、そういうことはとうてい考えられないことであるということも付言いたしまして答弁といたします。
  34. 案納勝

    案納勝君 大臣の言われた点はこの間も御見解を承りました。私は健全な労使関係というのは、いま大臣が言われたように、労働組合は労働組合の立場、あるいは管理、経営をやる方々にはその立場、お互いにその立場を認め合って、その上に立ってお互いの信頼関係が——問題のそれぞれの意見の違いは当然であります。その意見の違いは当然として、片方がオール・オア・ナッシング、すべての要求が通るなんて両方ともあり得ない。しょせん妥協の産物である。そういう中でお互いに事業全体を国民の事業として発展をさせていく役割り責任がある。それはお互いに尊敬、信頼をすることが、それぞれの立場があるにしても相通ずるものがなくちゃならない。こういう労使関係というものが実は基盤として広がっていくことが私は労使の安定化につながると、私はそういうふうに理解をしますが、よろしゅうございますね。  そこで、私は大臣にお尋ねしますが、大臣のおっしゃるとおりだと思いますが、いま私がこう現実にながめてみて、三公社四現業と比較をした場合に、労働条件の違い、特に労働条件の中に幾つかの、たとえば時短やその他の問題もありますが、違いはかなり私は目につくわけであります。それだけでなくして、他に見られない労使関係というのが、ほかに見られない状態が、それは三公社四現業と比較してあるわけであります。現実の課題として。私に言わせると、たとえばこれは仮定の問題として大臣にお伺いします。  労使の間で問答無用の抑圧的な態度が仮にあるとするならば、労働組合にとってこれは労働者の地位、労働条件の向上、維持改善を図るという本来の趣旨から言ってそういうことを認めることはできません。これによってトラブルが起こるのは当然であります。それから、不当労働行為が仮にあるとします。おまえは全逓を脱退しなさい、でなきゃ転勤さしてやらぬ、全逓におる限り昇任昇格はできない、こういうことがある。不当労働行為もしくは類似行為が行われる、あるいは人事差別がそこで行われる。訓練のときにそのことが、おまえは全逓に入ったら出世できないぞと、こう言って、そういう措置が行われるとしたら、大臣、私はそこには不信感とトラブルが起こってくる要因しかない。ここには健全な労使の関係というのは生まれない、こう思いますが、大臣、どう思いますか。これは想定、仮定として。
  35. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 生意気な口をきくようですが、私は抑圧的ないわゆる不当労働行為は厳に戒めてきておりますのでそういうことはあり得ることでないとかたく信じておりまするが、仮定として答えろとおっしゃいますると、これはやっぱりなかなか責任がありまして、私はないと信じているのにこういうことがあるならばどうだと言われると、ちょっとまことに恐縮ですが、なかなか答えにくいんです。昔の吉田さんは仮定には答えられませんと言ったことも、いろんなことありまするが、そういう生意気なことは申しませんけれども、こういうことがあると仮定してとおっしゃると、案納先生、なかなかむずかしいんです。
  36. 案納勝

    案納勝君 大臣が言われるように、そうあってはならないと大臣はまあ、私はそれなりに——。私が言っているのは、健全な労使関係、労使の安定というものの中にいま言ったようなことが起こっている。たとえば民間企業だって同じです。そういうものが起こっていることはその企業の、あるいはその組合と企業との関係において、あるいは仮に私ら全郵政事業として労使の間で健全だとは言えないんじゃないんですかと、こういうことがあるならば。そういうものがなくて信頼がつながれて共通の土俵の中で双方の立場を認め合っていくという、そのことは成り立つのであって、いま言ったようなことが行われている限り健全な労使関係、労使の安定なんてとてもできないんじゃないですかと、こういうふうにお尋ねをしているんです。一般的で結構なんです。
  37. 服部安司

    国務大臣服部安司君) たとえば、いまのような御質問であれば、私はそういうことは断じて許されるべき行為でないけれども、万が一あれば大変遺憾に存じます。私がかねがね申し上げているとおりに健全な労使関係の確立を図ろうという基本的な姿勢からいきますると、絶対許されるべき行為ではない、かように考える次第であります。
  38. 案納勝

    案納勝君 私も大臣の言うようにいずれの社会の中でも、特に自由と民主主義、それを貫いていくわれわれの責任があります。そういう中で、特に政治家という政治の舞台では、不公正を是正をして国民立場に立つ社会正義というのをどう貫けるかが政治の課題だと思う。私はそういういま申し上げた、大臣が言われたように、いま幾つか例を挙げましたようなことが行われるということになると職場の荒廃を招く以外にはない。だからそういうものについては両者の本当に労使の信頼関係、健全な労使関係、労使の安定というものを考える場合に、あってならない。こういうふうに理解をするわけであります。大臣もそのとおりだと思います。  そこで次に入りますが、時間の関係で休憩をしてもらいたい。次、昼からやります。
  39. 赤桐操

    委員長赤桐操君) それでは、午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時に再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時一分休憩      ——————————    午後一時三分開会
  40. 赤桐操

    委員長赤桐操君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  41. 案納勝

    案納勝君 それでは午前中に引き続きまして質疑を続けたいと思います。大臣の御見解を承りましたので、事務当局に以下二、三質問をしていきます。  最近よく事業の進展とともに歩く職員層の拡大、こういうことが言われている。これはどういうことを指して言っているのか、いつからそういう施策が打ち出されたのか、その辺を。
  42. 守住有信

    説明員守住有信君) 御指摘のように、最近事業の進展とともに歩む職員と申しますか、こういう言葉を使っております。最近の事業を取り巻く厳しい環境条件、経済条件、社会条件、民間等の問題も含めまして、その中で国民から負託された郵政事業を発展させ、よりよいサービスを提供していくためには、やはり事業の近代化、合理化を意欲的に進めて、あわせてこれを担い得る職員を育て、生き生きした明るい職場を築いていくことが最近の情勢の中で非常に潔緊の課題ではないか、こういうふうな問題意識を持っておるわけでございます。そういう観点から、従来からも良識ある職員あるいはまた事業の進展とともに歩む職員というような言葉を用いておるところではございますけれども、まあ尽きますところは、一人でも多くの職員が事業の置かれておる現状を十分認識して事業の発展を願い、旺盛な企業意識と順法精神のもとに日常の職務に当たることを強く期待いたしておりまして、この点について指導、啓蒙を行っていきたいと考えておる次第でございまして、最近のわが郵政事業——基本問題会議にもございますような、経営的、能率的、効率的合理化、こういう情勢の中でこのような言葉も使っておる次第でございます。
  43. 案納勝

    案納勝君 良識者職員の育成、良識者づくり、これは同意語ですか。
  44. 守住有信

    説明員守住有信君) この点は、過去の一二・一四確認の中にもございますとおり、いわばかつてストライキ等が多発しました時代に、職員の企業意識を高めるとともに順法精神の涵養という面から、より強く職員の良識を喚起した時期から用い出したのがこの言葉でございます。もちろんその確認の中ではこれはグループ化を進めるとか、いろいろ不当労働行為にわたることは厳に戒めるようにとか、いろいろな点のことがございますが、そのころから良識ある職員という言葉が使われておる、このように理解をいたしております。
  45. 案納勝

    案納勝君 まず最初に、それは守住さんからいま答弁いただきましたが、これは要するに個別管理の方式を進める、こういうことなんですね。要するに、いま守住さんが言ったように、私はこの間大臣とお会いをしたときにも、今日の低成長下における構造変化に郵政事業はどう対置するのか、その中で貯金、保険事業はどうあるべきなのか、将来展望、青写真というものをお互いに明らかにしながら、そして三十万の郵政事業の中に労使というものが存在をするわけで、それはお互いに人格を持ったものですから、全体にそのことを協力を求め合いながら、そしてそれぞれの合理化問題や効率化問題と対処していくという姿がなければ、今日のように、単年度でございます。先行き雇用不安の問題等解消されないままに、事業展望が明らかにされないままにいっている場合には、雇用不安やその他の問題でなかなか全体の円滑な運営が困難だろうということを指摘をいたしました。速やかにそういう展望を明らかにすべきだ、そして全体が協力のできるという、協力していくという姿勢をつくるべきじゃないか、こういうふうに申し上げました。  私はこのことに触れようと思いませんが、いま郵政省が言っている事業の進展とともに歩く職員層の拡大というのは、一二・一四——これはもういまさら私が申すまでもなく、今日まで郵政の労使の関係のいびつな関係といいますか、今日きわめて問題だと指摘をされた労使の労務政策がらみの問題は十四、五年になります。先ほど大臣が先人の努力を無にしないでと、その間で一二・一四という問題がありました。あるいはその前には、当時の大臣の井出郵政大臣は、親の心子知らずとというような言葉も出てきたこともありました。あるいは労使の問題の正常化、大変不健全な状態を改善をするために、ある重要な局長は、郵政省の中で、あるいは三十万の職場の中で管理者層に徹底するには時間がかかる、端的な言い方をすれば、郵政省本省指導が素直に入る層、裏はないかと見る層、いままでやってきたから変わりないと思っている層、三つの層がある、それだけに時間がかかるという言葉を吐かれた方もおられました。そういう方で、一二・一四と四・二と四十五年に年二回にわたって労使の正常化問題、先ほど言った良識者の問題、その言葉を使って全逓というものに対置をして、そこで労使の紛争、労使の職場でのさまざまな不正常な状態というものをつくる根幹、原因になっているということが指摘をされている。良識者問題というのは言葉ではりっぱなことだ、これは全逓敵視のあらわれだということで改善の措置がとられたことが今日までの経過なんです。いま私がここで聞いているのは、事業の進展ととも一に歩く職員層の拡大というのは全く同意語というふうに理解せざるを得ない。私が一番大事なのは、今日の近代的な日本の社会の中でいまどんなに否定をしようとしても大衆民主主義の場である労働組合を否定することはできないはずです。それが双方の関係で健全な関係を保つというのは、その組織をお互いに組織組織が理解をし合って、その上で共通の土俵を広げていく信頼関係をつくること以外に私は労使の安定はないと思う。ところが、今日まで郵政省がやってきているやり方は個別管理方式、労使の段階に直接個人個人についての管理をするということでなりふり構わないやり方が実はさまざま職場の中では出てきている。これが実は一二・一四の問題であり、今日の良識者育成と全く同意語で、事業進展とともに歩く職員層の拡大というのは私はそれに同じ意味だというふうに理解をせざるを得ませんが、守住さん、この辺はそういうふうな私の理解というのは間違いでしょうか。私は事業の進展と歩く職員層の拡大というのは従来の良識者づくりと同意語で全逓と対置をした上での労務管理、こういうものでありませんか。その辺をはっきりひとつ答弁してください。
  46. 守住有信

    説明員守住有信君) 私ども現場段階の現場管理者に対しましてまあいろんなポイントと申しますか、側面と申しますか、そういうことについての指導を行っておるわけでございます。その中では、管理機能の充実だとか、法秩序、職場規律の維持だとか、事業の合理化、近代化の推進だとか、職員管理の充実だとか、労使関係の安定だとか、そういう非常に基本的なものを多面的なものの中で労務管理を進めていく、こういうことでございますが、たまたまその中の一つといたしまして、いま御指摘に相なっております事業の進展とともに歩む職員、もちろんその中では当初申し上げましたような面のほかにその自分の部下である職員に対しまして一面的、固定的な見方をもって接するなとか、そういう点では人材を発掘する上での大きな障害になるよとか、職員自身も意欲を失うよ、あるいはまた職員との間にかきねを設けることとなるので厳しさとともに教育的配慮も兼ね備えた目で職員に接することが必要ではないかとか、あるいはまたこれはいろいろこの中でさらに職員との対話と申しますか、そういう点、あるいはまた事業への参画意欲を引き出しましてよりよき職場づくりに必要な管理者と職員との一体感と申しますか、こういうことを内容的には念頭に置いてやっておるわけでございまして、何もその労使関係のとかいうふうなことではございませんので、よりよき事業人、よりよき国家公務員という、ただそれを最近の近代化、合理化施策という角度からそういう事業とともに歩いていく、近代化、合理化に進んでいく事業とともに歩いていく職員に向かっての管理者の努力、こういう点でこれまとめておる次第でございます。
  47. 案納勝

    案納勝君 それじゃお尋ねしますが、大多数の人たちは事業の進展とともに歩いてない職員が多いんですか、いま郵政省には。これは、層の拡大という一定の個別的に、個人的にとらえていくということにつながるわけですね、個別的。層の拡大ということは私は大多数の人たちは、実は歩かない人はいかぬのだと、だから拡大しなければいかぬのだと、こういうことにつながるんじゃないですか、良識者づくりも同じ。要するに職場に厳然と立っている、いずれのどのような労働組合でもいいです。組合なら。従来の四・二や一二・一四のように、その組合に批判を持ち、あるいは反対をする、あるいはそういうものは良識者と規定をする。ところが、これについてはさまざまな事例が出てきて引っ込めた。今度は事業の進展とともに歩く職員層の拡大とは、これはまた同じように、それで個別的に大部分の郵便郵政労働者というのは、働いているのは歩いていない職員だから、個別につかんでそれを拡大していかなくちゃならぬ、こういうことになるんじゃないですか。というのは、私はここにも一つ文章がありますがね、事業の進展とともに、歩く職員層の拡大の成果を十二分に機能させるというような言葉が郵政省の中に文言として出ている。  私はこれはまさに本当に省の考えている労務というか、合理化問題、あるいは効率化問題についてそういうやり方をしていって果たして全体の協力が得られると思いますか、三十万の人たち協力が得られると思いますか。いまから重大な郵政事業の、だれだって自分の働いている職場、その事業について希望を持ちたい、こう思っているんですよ。私だって、私の兄貴も、兄嫁も、おやじも郵政職員なんです。息子もそうです。いまはそれこそ先輩各位の下で政治家としてその端くれにいますけれども、本当に郵政事業というものを真剣になってどうしたらいいかとみんな考えている。労働組合でも提起をしているじゃないですか。ところが、それをそういうものでなくて、個別に層を拡大をしていく。大部分の人たちはじゃ歩かない人だという対象者、どうなんです。守住さん。
  48. 守住有信

    説明員守住有信君) いえ決してそういうことではございません。最近の近代化、合理化施策についての指導、啓蒙ということに力を入れておるわけでございますので、合理化施策と申しましてもまだだんだんと面が広くなってくるということでございますので、そういう意味合いも含めまして、これ申しておるだけのことでございます。むしろ、かえってどちらかと申しますと、私多少私見にわたるかもしれませんけれども、良識ある職員という言葉の方がいろいろ手あかもついておりますし、いろんな御批判も受けておりますので、かえって最近の近代化、合理化、こういう角度からの、簡単に言えばそれは企業帰属意識というのはそのとおりでございますけれども、郵政事業考えていく職員、こういうこと、特にまた、近代化、合理化施策についての理解を求めていきたいということで管理者を通じてそういう問題意識を持つように、しかも、その中身のやり方は、もっと教育的な配慮だとか、人間的な血の通ったものという気持ちをこの中へ含めておる、本当にそういうつもりでございます。
  49. 案納勝

    案納勝君 守住さんあなたはまじめにそういうふうにお考えになってされています。確かに良識者づくり、育成というのは手あかがついている、これはもうおっしゃるとおり、それ以上言いませんがね。だから私は同意語じゃないかと、同じことだと先ほどから言っているように、どんなに説明を聞いても。  そこで拡大ということは、要するに、一つのものがあってそれを全体に広げていくというよりか、一つずつ広げていくということなんでしょう。全体の中に一つの何か核みたいなものをつくってそれの同調者をこう拾っていくということなんです。ということは、全体というものは事業の進展とともに歩く職員層ではないんだと。私はそれはもう本末転倒だと、全体に対してそれを対象にしてあるいは労働組合に対しても今後の郵便事業や貯金、保険事業にかく協力してくれ、意見があるだろう。世の中でいまの時代に反対の意見やさまざまの意見をどうやって中和し、どうやって受け入れていくのかというのがいま一番大事なときだ。これでいくと意見のあるのは全部だめです。あるいはもう完全にこう協力するやつだけ拾っていく、こういう思想ではないんかと思いますよ。もっとやっぱりオーソドックスな全体が協力してもらわにゃ郵政事業どうなるんですか、一部の人がやって。大多数の人と格差ができてそこで混乱が起こる。片方は理解ができてない、いや理解させようとしない。私はそういう意味ではかっての良識者育成、全く手あかのついたのと同じだ。この辺は、私はそういう意味では基本的に考え直してもらわなくちゃいけないと思う。特に新任特定局長研修会資料というのが九月に出されている、ある郵政局で。この中身を見ますと、これは局長会顧問がここにおられるから……。これはまさに労働組合と対置をして、労働組合を批判し、労働組合に対して反対をするのが良識者である。そういう良識者を積極的につくっていかなくちゃならぬ。これは局舎問題からもう全部です。いまや特定局長会は特推連と表裏一体であり、そうなってきたと、実現をした。それは全くいまの特定局長会はそういうことになっておりますが、もうこれ読んだらいまの特定局長会の実態というのはすぐわかる。こういうものがもう九月に麗々しく出ている。私はここに今日手あかのついたのと同じような手あかをつけて、言葉を変えただけで全逓と対峙をして、そういうどうも姿勢、施策というものが今日の問題をつくり上げてきた一つの要因であることを私は指摘せざるを得ない。守住さんが何と言われようと、相手の人格を認めないんですから。個別的な個別管理の筋道をとろうとする限りこの問題解決しないですよ。一体このあなたも知っていると思うが、新任特定局長会の研修会、この中に書かれているこういうやり方についてどういうように考えますか、守住さんどうお考えになりますか。いま見せなくてもあなたはわかっていると思う。某郵政局の管内です。
  50. 守住有信

    説明員守住有信君) 新任の特定局長のその具体的なことはつまびらかにいたしませんが、ちょっと先生申しわけございませんけれども、先ほどのあれに基本的なあれでございますので戻らせていただきたいと思うわけでございますけれども、私は、要は職員全体の心の中にこういうふうな事業の進展とともに歩く気持ちをさらに——現在ございますございますけれども、さらにそういうものを育てていくという、ともに歩んでいくという一体感と申しますか、管理者と職員がかきねを隔ててだとか、固定的な見方じゃなくてだよとか、いろんなことを中で言っておりますけれども、そういう気持ちでこれを私どもの部下と一緒に物したわけでございますけれども、多少拡大という言葉が、おっしゃいますここだけが拡大と、こうあるわけです。そこが先生の受けとめ方の中でかつてのいろいろなイメージもあったと思いますが、私どもいろんな歴史的な仲をある程度承知いたしておりますので、そこで拡大という言葉は確かにおっしゃいますような点で非常に誤解を招きやすいというふうな意味で、この点は私どもは考えさせていただきたいと思いますけれども、この事業とともに歩く職員を全体の中の心の中につくっていきたい、より深めていきたい、こういう気持ちでこれを物した——全体の中のこれは一部分でございますけれども、そのほかに重要なテーマいろいろあるよと、労使関係の問題いろいろあるよと、こう言っておるわけでございますので、この点はひとつ十分御理解いただきたいと思うわけでございます。
  51. 案納勝

    案納勝君 そこで、時間もあれですから先へ行きますが、私はいま守住さん言われた、それは郵政事業の今後の将来を考えた場合容易でない、それだけにお互いに協力、努力をしなくちゃならない。電電公社ではないけど、先ほど私が冒頭言ったように、総裁みずからがかなめは人の和だ、そして全体で、こういう立場を私は他の三公社五現業と比較して郵政の場合に他に例を見ない今日の事態だから言うんですよ。なぜみんながひとつそういうふうに協力できるという呼びかけや体制をつくれないのか、ここに私はもっと考えてもらいたいところがある。この間から大臣にも直接申し上げましたが、長期展望問題についての提示の仕方、合理化問題いまのままいくと雇用も不安がある、全体にあるわけですから、おれの雇用どうなるだろうと、そうなる。単年度ぐらいしか出さないから、甲府貯金局はどうなるだろうと、こうなる。十月のダイヤ改正に伴う輸送合理化問題では大臣に大変御苦労いただいた。そういう場合でも本当にどうなるだろうと心配する。そこで、おれたちに言うとおりついて来いと言ったって、それは意見が出ますよ。そうすると、良識者づくりだ、いや拡大だと。そうじゃなくて、もっとそういうものを、こういう状態はわれわれは考える、それにはときどきの経済の変動というのはあるでしょう、政治の変動もあるでしょう、そのときにはそれなりにまたそのときに郵政事業の将来展望という中から完全に実行できないもの、あるいはさらに加えるものについては端的に示していって協力を求めていくという姿勢が全職員にあってしかるべきじゃないですか。私はそういうことを検討いただきたいと思いますが、私は郵政省が全逓と、先ほど大臣のお言葉をいただきましたが、一体全逓ないしいろいろ組合ありますが、労働組合というのは大体どう考えているのか、それに対してよくわかりませんが、大臣のお答えはお答えとして理解をしますが、守住さん、事務当局として私は本当にどう考えているのか、ここのところはさっきもひやかし半分で申し上げましたが、それは政治家というのは大臣はときどき痛切にお考えになると思いますが、ときどき事務当局に浮かされる、官僚政治になる、一番痛切にお考えになっていると思いますが、それで井出さんも親の心子知らずなんて言って、下の方は全然言っていることとやっていることは違う、こういう言葉がある、名言があります。私は一体事務当局が本気になってこの問題解決をしょう、あるいはこの問題の労使の将来、事業の将来にかかわるだけに真剣に取り組んでいるのか、きわめて疑問を持たざるを得ない。労働組合をどういうふうに、全逓をどういうふうにお考えになっているのか、まずはっきりお答えいただきたい、簡単でいいですから。
  52. 守住有信

    説明員守住有信君) 抽象的に申し上げなくて、私の気持ちと申しますか、なるべく具体的なような気持ちで申し上げたいと思いますが、全逓というものはわが郵便局郵政省における一番大きな存在でございます。大きな歴史的なものである。しかもこのわが方、人手によるマンパワーを中心とした場合の事業を進めていく場合あるいはサービスの向上をしていく場合に、この労働組合との関係が最大の大きなテーマである、こう思っております。したがいまして、全逓との関係ももちろん何と申しますか、お互いの共通の理解、お互いの立場の違いはございますけれども、その中での共通の理解というものを少しでも広げていかにゃいかぬ、こういう気持ちで絶えず組合幹部の諸君とも接しておる次第でございます。
  53. 案納勝

    案納勝君 ここに、ある特定局の部会長が各郵便局長に出した文書、全逓に対して。全逓は——ひどいこと書いてあります。マルクス主義に立脚し階級闘争を激化し、絶対対立の世界観に立っていると。そして、マルクス主義は本来これは政治的闘争、議会を尊重しない、認めない。全逓は労働組合の直行的な政治目的によるストなどによって、社会的混乱を拡大しと、階級的利己主義をもって人間性を否定し、民族や社会の利益を無視、その上で経済闘争よりも政治闘争が重要であるとの認識に立っている。それから、私はこれ全部読むと全く革マルやあれよりもっとひどい内容なんです。こんなのが実は管理者と言われる——勉強不足もはなはだしいと思いますよ。全逓には綱領があります。三十年の間。全逓労働者の、職員の大部分を組織をしてきて、歴史を持っている。ときには、一部のはね上がりやその他についてみずからそれらを排除しながらも、今日の事業を守ってきたと自負しています。戦後の混乱の中で。そういう中で、こういう認識を持って全逓マルクス主義で、資本主義、いまの今日の社会体制を認めないで、そして革命一本やり、こういうことが実は管理者層の中の政治的な文書、労務レポートとして各局に配られる。こういうことがしかも野放しに行われているというのは、私はあなたたち責任だと思いますよ。それで、ここから出てくるのは何ですか、そうすると、職場の中で。こういうむちゃくちゃなことを——それでこの中から出てくるのは、一生懸命まじめに仕事をしている諸君でも、おまえらは全逓に入っていれば、こういう革命分子であり、こういう分子なんだから、排除の論理にしかつながらない。ここに人事差別やその他が出るところにきわめて大きな問題があるんですよ。これを放置をして、こういうものが出されて黙っているというのは、いや放置されているという一つの事実ですら、先ほど特定局長会の訓令の中にもありますが、全く許されない私は今日の当局の姿勢だと思いますよ。この辺は、本日については特段の御意見を求めません。しかし、こういうことが私は郵政省の中の三十万——いままでも私はたくさんあるんだから、二万二千局ある郵便局の中の管理者層だから時間もかかろう。お互いに信頼関係をつくるためには、それなりのことをのみ込まなければいかぬだろうと思ってきたことがあります。しかし、こういうことが今日の職場の労務の、労使の関係で現に出てくるということを私は見逃すことはできない、こういうふうに考えます。  そこでもう一点次に入りますが、労使関係の改善については、先ほど私冒頭申し上げましたように、大変長い歴史があります。大臣も先人の努力を、こう評価をされています。そして、一二・一四、四十五年、四十七年、そして四十八年、他公社、現業並みの労務政策、こういうところへ一歩お互いに踏み出し、労使の信頼関係を広げていこうという時代もありました、四十九年、五十年、五十一年。双方が正常化について努力をしてきたことを私も一点認めます。この中に、全逓という労働組合も矛軟な姿勢をもって当局と事業の問題やその他について対峙をしてきたことも私は事実だと思います。これらの経過について、そういう努力をしてきた、こういうことがあったということについて、そういう経過について人事局長どう思いますか。その事実を認められますか。
  54. 守住有信

    説明員守住有信君) 私どももその経過というものを十分踏まえなければならない。しかもその中での労使の改善のいろいろな確認につきまして、現場管理者に対しますところの労務管理上の指導上の指針等の中で、必ずこの歴史的な関係というものを入れまして、まあ管理者も、新しい管理者も出てまいりますものですから、そういうときにも絶えず温故知新と申しますか、そういう経緯を踏まえてということで指導をいたしておるところでございます。
  55. 案納勝

    案納勝君 いやぼくは、大臣も冒頭私の質問にそういう経過を踏まえて逆行さしちゃならぬと、こういうふうに言われました。そういう立場に立って、しかしそういってきて、このことしの年末に実はきわめて憂慮すべき事態に入ろうとしている。大臣、年末できわめて郵便物その他について国民に多くの負担をかけたりなんかすることについては、この五、六年なかったんです。お互いのそういう努力によって。四十八年四十九年、五十年、五十一年、五十二年とないんです。もう早目に、お互いに歩み寄ってきた。ことしの場合は、実は私どもが憂慮しているのは、どこまでいくかわからぬという情勢、それが心配になるんです。なぜこういうふうに労務政策の転換というものがまた改めて四十五年、四十七年出てきているのか。郵政省はこの辺について、背景をどういうふうに認識をされているか。守住さんどういうふうにお考えになっているのか、まずお伺いをしておきます。
  56. 守住有信

    説明員守住有信君) ただいま先生が御指摘のとおり、ここ数年間、非常に労使の間が安定化の兆しを見せまして、特に私がその責任者であったわけでございますが、昨年労働組合の方も事業を考える組合だとか、サボることと労働運動は別だぞとか、そういういろいろな言葉の端々もございましたけれども、現実的な方向が非常に色濃く出てまいりまして、しかも具体的には昨年年末、特にこれ支部段階長い間の紛争の大きな問題でございますし、特に現場での労使関係、出会いを通じての信頼関係ということでも重大なかかわりのある支部段階でのあるいは団体交渉あるいは意思疎通その他のコミュニケーションルール、これが非常に早期に締結できまして、年末非常に早期解決ができて、昨年の年末年始の業務非常に円滑にいったわけでございます。私どもは、そういういろいろな具体的なものを通しながら、非常によりよい方向が非常に色濃く出てきたということで、非常に期待をしておったわけでございますが、まあ何と申しますか、昨年の春闘の問題、その後のいろいろな大会の中での問題等々の中で、非常にこれが、何と申しますか、振り子がこう逆にぶれるみたいな感じが出てまいりまして、私としましては非常に戸惑いと申しますか、このままいくと非常に残念なことになると、こういう気持ちを持って現在憂慮をいたしておるところでございます。
  57. 案納勝

    案納勝君 私はそこにね、守住さん、そこに認識の違いがあるのです。認識を変えなきゃいかぬと思う。守住さんも言われたけれども、ぼくは十月の六日に、これは名前言いませんが、某郵政局郵務部長演達の中で、今度の年末の問題については、全逓の場合反合闘争は年末闘争の瀬踏みというか、一つのステップであったとも言われる、これは十月に、大臣が大変御苦労願ったんですが、そういう前提に立って春闘の経過から本部も闘わざるを得ない立場に立たされている云々という、これはいま守住さんの言われていること。私はこの認識なら大変な違い。このことを改めてもらわなきゃいかぬ。というのは、これは郵政省自身の見方は、今回の今日の段階における事態の本質を私は隠すものだと思うんです。そういう見方をするならば。先ほど言われたように私もよかったと、郵政労使関係正常化に一歩、大変長い間苦労したが進んできた。こういう認識を持ちながらも郵政事業全体の将来の展望のために、あるいは今日の問題について精いっぱい努力をしてきたつもりです。ところが、全体はもちろんでありますが、全逓もそういうふうに踏み出し、暫定ルールも発足をした。そういう中で柔軟な姿勢を双方とり合いながら、あるいは先ほど申し上げた他公社並み、現業並みの、それ以上のものをよこせと言っているんじゃない。労使関係の確立や労働条件の確立というものを通じて話し合いの支部段階のパイプの拡充や差別人事の救済や、そういうものが進んできたわけですね。これをそういう柔軟な取り組みをしてきたにかかわらず、実は従来と変わらない、依然として現場だけはかっての五、六年前の状態が依然として出てくる。これが今日の段階でまさに、構造的なものが積み上がって職場に何かやるというのが先ほど言った特定局長会議あるいは現場段階に後ほど少し触れますが、人事差別の問題、uターン人事の問題、昇任昇格の問題、こういう問題が引きも切らずに出てくるということになりますと、これは本質的に構造的な面として座してというよりも、郵政省に転換を求めざるを得ないという、立ち上がらざるを得なくなったというふうに私は理解をするんです。この認識をまずきちんとしてもらって、それで取り組んでいくという姿勢がこの年末にかけてやることが私は問題解決を速やかにし、国民の期待にこたえる道だと思っています。だからこの辺をいかにいままで、労使の間で一番強いのはやっぱり権力を持っている側なんですよ。ILOのドライヤー委員会が来たときに、八十七号条約批准のときドライヤー委員会来てもらいました。そのときにも権力を持っている側、強い側が一歩前に出て、そしてそれについて全体を受けて立っていくということがなければ調和ある労使関係は生まれぬということを指摘している。労働者というのは権力も力もないわけですから、いまの近代的日本の時代の中では、私はそういう姿勢というのがいま一番必要になってきている。ところがさっぱり解決しないというので、これではもうこのままではということになるんです。  たとえば、言われるところの暫定ルールの問題、従来の折衝ルールというのが暫定ルールに変わりましたね。暫定ルールは六・三判決というか、最高裁判決に基づいて服務表等の労働条件は団体交渉事項だと、こう言う。それまでは三六、二四協定問題しかないと言う。そんなばかなことはないんですが。その線上の中で暫定ルールということになって、形式は不十分だが先行き正式に支部団交の将来の団交というルールを確立をしようということでスタートをしたわけです。試行を。ところが、これが事実上形骸化されてしまって話し合いがほとんど職場の中に行われないという状態なんです。依然として人事差別も絶えないということになると、それはいままで柔軟なお互いに共通の土俵を広げようと努力をしてきたのは全く何だということになるのです。私は、そういう意味での今回の年末というのはもっと深くきわめてそういう視点で物を見ていかないと、人事局長、大変間違いを犯すと思います。この辺だけは明確に申し上げておきたい。
  58. 守住有信

    説明員守住有信君) いま先生の御指摘の点、私どもも謙虚に踏まえて対処してまいりたい。このように考えます。
  59. 案納勝

    案納勝君 それで、私は少し生臭くなりますが、いま私がいろいろ申し上げた中で、たとえば黄犬契約、これは労働組合の中では最も労使の関係で恥ずべき不当労働行為。不当労働行為的な人事差別の幾つか例を挙げたいと思います。  しかし、これは私はいまここで人事局長答弁を求める気はありません。いまここでやりとりしても……。ただ例として申し上げておきたいと思うのです。  たとえば、新規採用者が入る。新規採用者が入ると、局長、庶務課長が某局に新規採用者を呼んで五日間昼飯食べさして、それで、全逓に入るなよ、入ったら出世しないぞ。こういうことをやる。これは東京のある某局であります。  それから、訓練で、同じように訓練に行ってきますと、たとえば全逓のバッジ等をはめていると、そのバッジをなぜはめている。全逓におる限り主事、主任にはなれないぞと言うのです。  Uターン人事の中で、全逓を脱退しなければ郷里へのUターンを認めない。宮崎局の一局の例ではありませんが、いままでのUターン人事の中で、そういうことが条件でUターンをしてきた、ほとんどが全逓を脱退をしてUターンをする。その人の証言は皆同じです。  人事差別についても、五年も十年も先に勤務をしている人、そういう人たちを飛び越して昇任昇格が行われる。人事について私はここで申しますと時間長くなりますから、人事について守住さんね、これは郵政省の中央は上の方だって下の方だって同じだと思うのです。職場に働いている人たちはお互いに日常顔を合わしているわけですから、だれが、その次はだれが優秀で、だれがその次は主任になり、主事になり、課長になるか。そういうのは大体おのずとわかっているものです。私は、人事というのは、その人事は一〇〇%みんなが納得する人事はないと思います。少なくとも六割か七割の人たちはまあまあだろう。三割ぐらいの人たちは反対、そんな人事はないと、こういう反対の意見のある人がある。私はこの程度で人事というのはベターな人事だと思う。六、七割の人たちがまあまあだろうという人事が、全体が見ているのです。ところが逆に二、三割しかまあまあ言わない。あと六、七割の人たちが職場の中でこれはおかしいということになれば、この人事はきわめて不自然な人事になります。人事行政というのはそういうものだと思います。特に高級官僚の皆さんだってそうだと思うのです。そういうことになると、人事上のいろいろな意味での私は単純先任権を言っているのじゃないのです。三十年も勤めていて主任にもなれない。全逓に入っているがゆえになれない。飛び越していって、全逓脱退すると十年も二十年も若い連中が飛び越して主事になる。じゃ、その人があるいは体に欠陥がある、そういう者であるとするなら別でありますが、そういう状態ではない。そういう昇任昇格の人事、あるいは職制の穴埋めのために、その職場には適当な人がいないということを理由に六年も七年も、北海道にあっては九年間も実はあきっ放しで、全逓を脱退すれば主事、主任にしてやるという。私はこういうことが、先ほど大臣に不当労働行為やその他の問題があるとしたらそれは健全なお互いの労使の関係ではないだろうと、こう聞きました。私はいまみたいなことが、引用しろと言えば幾らでも引用します。ここに資料ありますから。行われているとしたら、守住さん、労使の間で柔軟に、労使が共通の土俵で郵政事業の将来を考えながらそれぞれの立場や意見を出し合っていくという、そういうことが実際に生まれてきますか。私がいままで指摘をしたことはちょうど四十五年のときも全く同じです。ここにも委員長おられますが、委員長も経験をされた。守住さん、どういうふうにお考えになりますか。私はこういうものを是正をして、そういうものが起こらない職場の雰囲気、そういうものが私は郵政省の労使の関係で確立をしたときこそ本当に郵政事業というものはあすがあると思うんです。私はこれが今度かかっていると思うんです。もう一回考え、原点に返ってみて、私はこれらの問題の根絶というものをいまこそ権力を持っている側、管理をする側が一歩前に出て解決をすべきだ、こういうふうに思いますが、守住さん、どうお考えになりますか。
  60. 守住有信

    説明員守住有信君) いろいろな点で御指摘、お話がございましたけれども、その中で特に昇任の問題、私、実は、先生がおっしゃるような職場でありたいと思っておりますけれども、一方、私ども初め郵便局職員、国家公務員でございますし、やはり懲戒処分を受けておる一もちろん懲戒処分を受けたからといってそれが永久に続くということではございません。労使の確認においてもきめ細かく弾力的に運用するということになっておりますけれども、しかし同じ職員がいて、同じ経験年数程度で同じ勤務ぶり、技能の中であったときに、片や違法ストに参加して懲戒処分を受けておる、片やそうでないという場合に、どのように人事の公正の中で、公務員法の成績主義の中でやっていくかということに相なりますと、やはりそこに多少の違いが出てくる、そういう積み上げがそういう結果になっておるんではないか。したがいまして、私どもも職場の労使関係、労使の安定というのを絶えず念頭に置いておりますけれども、一方では法を守り、そういう人事の本当の意味での公正を期していく、こういうことも考えなきゃいかぬ、そういう調和の中で、いままでも労使の間でいろいろ、たとえて申しますと、きめ細かく弾力的にという言葉にあらわれておりますような労使の努力をやってきた次第でございます。そこの点だけを一言申し添えさせていただきたいと思います。
  61. 案納勝

    案納勝君 守住さん、人事の関係、いまおっしゃるように、私は他の省、他の三公社四現業よりよけいにりっぱにやれと言っているんじゃないんです。並みにやったらどうかと、こう言っているんです。ほかのところはそんなのないんです。いわゆる欠格条項というのを私は知っています。それを当てはめてみても考えられない事態が起こるから問題になるんです。二十年も十五年も違う人が、その人が良識者であるあなたの言う事業の進歩に協力する職員であるがゆえにということで昇格される。たとえば、これは東北——岩手の北の方の福岡支部の主任、主事の発令をしなくちゃならぬ。ところが先任順位が全逓の組合員であった。ところが、たとえばほかの全逓以外の、あるいは全逓を脱退をした人が、なかなかそこの本局には来られない。そのために九年間放置をされた。全逓を脱退すれば主任、主事にしてやる、公然とこれ行われているのです。たとえば牛込。配置転換を、健康上の理由から官執勤務への配置転換を希望した。これは木村という郵便課長が牛込郵便局の貯金課へ配転さしてやるけれども、全逓を脱退することが条件ですよ、と。ところが、全逓を脱退しないと言ったので白紙になったという。三十年も勤めても主任にもなれない。  私はそういうことが、私が先ほど言った四十五年から四十六年、四十七年、四十八年、四十九年と、大臣が言うように、先人の方が努力をされてきた。共通の土俵を広げながら柔軟な姿勢でお互いに話し合ってきた。それは事業を考え、調和ある労使関係、健全な労使関係考えるがゆえに。ところが、それをとってきたが、依然として本質は一つも変わらないというのです。あけてみたら。こうなってきておるのが今日ではないのか。私は、どの組合にあっても、労使の関係を今日否定をすることはできない、このように思います。わが国の民主主義の国体の中で、国の中で。そういう中でこういった点について私は本気に踏み込んで解決をするという形をとらなければならない点をきょうは強調しているんです。  もう一回お尋ねします。十二・一四で六人委員会というものを出されましたが、この位置づけについて。六人委員会、どういう役割りをするのか、この位置づけについて、ひとつ守住さん。
  62. 守住有信

    説明員守住有信君) 御指摘の十二・一四確認における六人委員会の位置づけと申しますか、これについての私どもの認識でございますけれども、当時のいろんな労変闘争と申しますか、そういうものの中で労使双方がお互いの認識をし合いまして、不信感を除去して労使関係の改善を図るという意味での十二・一四の中での六人委員会でございます。  これは、特に、何と申しますか、職員の昇任だとか、配置がえなどの個別的な人事にわたるもの、これはなかなか労使でのあるいは生々しい現場での問題になじまないし、また非常に公開と申すと変でございますけれども、そういうものもはばかるようなもの、そういうことにつきまして、それぞれ労使の代表が三人ずつ出まして、そうして相互に自由率直な意見交換を行うことを通じましてその自主的な解決を図る。その過程でまたいろんなこれは相関関係あるいは背景関係、いろいろ出るわけでございまして、その過程の中で得た教訓を生かしまして、将来への安定した信頼関係の回復に労使双方が参考にしていくというものがこの制度の趣旨である、こういうふうに考えておる次第でございます。今日、組合の一部では、必ずしもこれに満足のいくものじゃないんじゃないかという意見も一部にあるようでございますけれども、やはりプロセスの中で生まれた、労使の知恵の中で生まれたこのルールでございますので、今後ともその趣旨を生かせるように適切な運用を図っていきたいし、われわれもまたそういう角度でさらに努力をしていきたい、このように考えておる次第でございます。
  63. 案納勝

    案納勝君 端的に言うと、これは私がみずから経験した六人委員会ですからわかるんですが、不当労働行為等は基本的にやらせない、こういう前提に立って、それで職場が二万二千局もあるわけですから、その中に出てきている不十分な点についてはチェックをするというのがスタートでした。ところが、現実にいま運営をされている中で、先ほどから私がさまざま言ってまいりました、まあ生臭いものも申し上げましたが、やりたいほうだいやって、職場では。それでぽつんと出てくると問題があると、これらを二、三拾ってきて、見つかったらチェックをしていこう、何ら問題は解決をしない、こういう場になっているんじゃないですか。形だけはつくりましたよと。私は、そういうことがやっぱり不信感が生まれ、信頼関係の欠如になってくる最大のものだと思うんですよ。暫定ルールだってそうなんですよ。私はこのことをもう一回本当に考えてもらいたいと思いますね。六人委員会が本当にいいのかどうかもう一回考えてもらいたい。もっとこの問題が解決がしやすいというよりかも、現業局等でそういうものが起こらない体制をどうするのかというのとあわせて、やっぱり指揮命令系統、管理機能を持っている当局が一歩前に出て、その体制をつくり上げ、そしてその上に立って、こういったルールが、果たしていまのルールがいいのかどうか、もう二度とこういうことが国会の場で論議されたり、繰り返しにならぬように私はやってもらいたいんです。  私は、最後ですから、大臣、先ほどいろいろお聞きいただきました。私はきょうはこれで終わらしますが、再び十四日委員会が開かれることになっている。そのときには、もう二度と出ないようにしていただきたい。私たちがたとえ労働組合に対してこうあるべきじゃないかという意見があるなら、私らも率直に言います。OBとして。全逓は、近代的な労使関係を、不当労働行為のない職場に打ち立てて、明るい職場づくりの中で、その上で事業というものに本当に一緒になって取り組もうという姿勢なんですよ。だから、よく長期展望はやりなさいと、よく電電との、電通との関係でもそうです。そういう中で、しかもいまの近代的な日本の政治の制度の中では、官僚機構のチェックやあるいは民主化というものがきわめて大きな必要な課題なんです。そういう役割りも果たしながらいきましょうと、特定局長会で流しているような、とんでもない実は問題なんです。私は大臣ね、そういう中で多くの不満もあるでしょうが、今日までの長い間の関係から、もう二度とこのことを繰り返さない、大臣のおられるときに、私は今日までもいろいろ大臣大臣という立場があるので、ときには注文もつけてきました。しかし、大臣をやられ、長い間まだ日本の政治をしょっていかれる大臣ですから、仮に大臣やめられたにしても、政治家として重要な役割りを果たされていかれる方であります。私は、大臣のおられるときにこれらの問題について整理をしていただきたいのです。私は大臣ならできる、こう思います。浮かされる大臣じゃないから。それで私の言うのは、他の公社、現業並みの労使関係、そうして意見のあるときは意見で対立していいじゃないですか。おれのところは一〇〇%勝たなくちゃなんて一つ考えていません。妥協もしなくちゃならぬと思うのです。お互い妥協し合うこともあるでしょう。あるいは、それなりに双方の意見が正しければ、お互いに受け入れ合って、がまんをしていかなくちゃならないことだってあるでしょう。私はそういうルールが、少なくとも郵政労働者三分の二を構成をしてきて、長い歴史の中で今日きました。他の公社、現業並み、そういう労使のあり方というものをひとつつくっていただきたいのです。何もそれ以上にはみ出せとか言っていません。大臣責任をそれ以上かぶりなさいと言っているのではない。だれが見ても正常で、ある程度うまくいっているじゃないか、こういう状態をつくっていただきたい。大臣、いかがでしょうか。最後にそのことを心からひとつ大臣にお願いし、今後労使のいろいろな関係もあるでしょうが、その中でおくみ取りいただきまして御努力をいただきたいと思ってお尋ねするわけでありますが、いかがでしょうか。
  64. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 長時間にわたって大変貴重な御意見を拝聴いたしました。壁頭にも申し上げたとおりに、私は就任以来労使の正常な関係を保つために努力いたしますというお誓いもいたしましたし、また、その考え方に基づいて今日まで組合の幹部の方々とも接してまいったつもりであります。したがって、余すところ幾ばくか、私の寿命ももう限られておりまするけれども、懸命の努力を払って、私の念願とするところの正常な姿にお互いが話し合って、また、お互いの立場理解しながら進めてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  65. 案納勝

    案納勝君 ありがとうございます。  ただ、もう一回、守住さんね、私の言っていることをわかっていただけると思うのですがね。大臣も言われたように、守住さんも具体的に、たとえば三公社四現業並みの労使の関係というやつを私はよく考えていただきたいのです。それ以上のものを私が求めているわけじゃない。だからそういう理解をきちんとしてもらって、それで今後の取り組みをしてもらうように、いま大臣からお答えをいただきましたが、最後に私、重ねて申し上げますが、しつこいようですけれども、私も一緒に心配をして、それで郵政事業をあずかっている皆さんと一緒に、逓信委員会としてその責任は免れないと思いますので、実は申し上げているのです。大変失礼をいたしましたが、ひとつぜひそのことをくみ取っていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  66. 中野明

    ○中野明君 私、三点御質問したいと思いますが、まず最初は郵便局の設置の問題でございますが、それに入ります前に、先般来当委員会でも問題にたびたびなりました相模大野の局を一つの契機にして、特定局の事故が非常に頻発しておる、こういう状況の中で郵政省は、特定局長は商品取引に手を出さないようにというきわめて異例の指示を出されたことが報道されております。それほどどう言ったらよろしいですか、特定局長状態といいますか、特定局の状態が変になっておるのかどうか、なぜこういうことを言わなきゃならなくなったかというその背景と趣旨を最初に御説明いただきたいと思います。
  67. 守住有信

    説明員守住有信君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、相模大野郵便局事件を契機といたしましていろんな事故、犯罪の防止について努力をいたしたわけでございますが、残念ながら、その後公金横領の事件が発生いたしました。それを監察その他からいろいろ情報を得まして考えてみますと、過度なギャンブルという問題もございましたけれども、商品取引というものが非常に直接の起因である。さらにその後情報を集めましてまいりますと、公金横領とは直接関係ありませんけれども、職員の問題を含めまして非常にまあ、これ、被害者の会というのがございまして、そちらからもいろんなコミュニケーションをやっておるわけでございますが、そういう面もいろいろある、こういうことを感じた次第でございます。  そこで私どもといたしましては、特に特定郵便局長初め公金取扱者のこの問題ということを非常に注目いたしまして、関係官庁や業界ともいろいろ連絡をいたしまして勉強してみました。その結果、商品取引というのは投機であってきわめて危険なものである。商品取引業界自体もその公金取扱者を商品取引の不適格者として位置づけておる。また、商品取引でもうけるためには常時相場変動に注目して適時に売買する必要があり、これを国家公務員法上見ました場合に、その職務専念義務に直接には触れませんけれども、非常にこれをおろそかにするおそれが非常に強い。それにもかかわらず、特定郵便局長初め公金取り扱いに対し、かなり執拗に、実態的には執拗な商品取引の勧誘をしておると、こういう事実がいろいろわかってきたわけでございます。したがいまして、このような事情を背景に商品取引に起因して公金横領という重大犯罪が発生しました事実を素直にと申しますか、真摯に受けとめまして、防犯及び綱紀粛正の措置について検討し、この際、職員、特に特定郵便局長などのいわゆる公金取扱者——職員を含みますわけでございますが——には、商品取引を禁止する意味で自粛するよう指導する必要がある、このように考えて今回の措置をとったわけでございます。さらに、この趣旨の徹底を図るために、業界においても特定郵便局長などの公金取り扱いに対し商品取引の勧誘をしないという指導をさらに徹底してもらうために、全国商品取引所連合会に対しましてこの点についての指導も申し入れ、各農林、通産省のところへもいろいろ連絡をしておるところでございます。この措置は私どものこういう点に対する反省を示しますとともに、同時に特定局長初め公金取扱者が執拗な勧誘に対して断りやすいという、断れるという環境もあわせてつくってこれを守ってやりたい、こういう気持ちもあわせて持っておる次第でございます。
  68. 中野明

    ○中野明君 結局、国家公務員である人にそういう異例の指示を出さなきゃならぬという、非常に残念なことなんですが、果たしてそういう一片の指示指導監督、これが行き届くかどうかということ、前々から当委員会でも議論になっておりますが、やはり郵政省の近代化といいますか、そういう点からいきまして、特定局の指導監督体制というものは地方郵政局がなさっているようですけれども、非常に広範で、しかも局数は多いところになるともう二千局を優に超えております。こういう状態の中で果たして、事が起こったから通達を出した、指示をした、それだけで徹底するものかどうか。非常に私、けさほど来議論がありますように、労使の関係はもうもちろんのことですけれども、やはり近代化というものは、組織のあり方そのものも近代化していかないと、これほど二千局からの局を地方郵政局指導監督するということは、これは言うべくして事実目が届かぬということは、もうだれが考えても事実であります。  そういう点で、過日、郵政大臣郵政省の中で総合的に検討をしたいというようなことをおっしゃっておりましたが、私どもは少なくとも県単位ぐらいにはこの指導監督の権限といいますか、それを県単位に置くべきではないか、こういう考え方を持っております。そうしないと実情がわからぬのじゃないだろうか。後ほど郵便局の設置の問題に関連をするわけですけれども、実情を地方郵政局ではどこまで目が届くか、こういうことでございまして、その辺の考え方、どの程度まで積極的にこの体制をつくりかえようとなさっておるのか、御返事いただきたいんです。
  69. 林乙也

    説明員(林乙也君) ただいま御質問いただきましたように、確かに一つ郵政局において監督管理いたしております郵便局数は千局あるいは二千局を超えるような特定局の数に上っておりますことは事実でございます。昨今のように社会経済情勢が大きく変わっております情勢のもとにおきましては、極力地域の実情というものをよく把握いたしまして監督いたし、管理いたさなければならぬという先生の御指摘もまことにそのとおりかというように考えておるわけでございます。ただ、現在の郵便局の所掌は現業事務を行うという形になっておりまして、ある局に対して別の郵便局が管理監督するという任務、所掌事務の配分にはなっておりませんで、管理事務はすべて地方郵政局において行うという形になっておるわけでございます。しかしながら地方の実情なり、あるいは郵政局指示指導というものを的確に実現していくためには、それなりの補強措置といいますか、必要でございまして、地方郵政監察局におきましてはその支局を各県単位に配置いたしておりますし、また労務関係等につきましても労務連絡官というようなことで連絡等を密にする措置を講じたりいたしておるところでございます。また、特に小規模な郵便局でございます特定局につきましては、郵政局の行います管理につきまして、それを補助的な形で行う措置といたしまして特定郵便局長業務推進連絡会というような措置を講じまして、施策を講じまして、指導の徹底を図っておるところでございます。地域の実情を的確に把握し、業務運行を行ってまいるべきことは先生指摘のとおりでございまして、このために県別に管理機構を設けてはどうかということも、また大変貴重な御意見でございまして、私どもも十分検討しなければならぬ課題だというふうには考えておりますけれども、やはりその措置をとりました場合には、一つには管理事務の、管理機構の分散配置ということにもなりますわけでございますし、またさらには郵政局と県単位に配置いたします管理機構とのある意味では重畳的な配置というようなことにもつながるわけでございまして、そういった点から管理要員というものもさらに増員していかなければならぬのではなかろうかというような懸念もないわけではございません。したがいまして、それらの点をいろいろ考慮しながら検討していかなければならないのではなかろうかというように考えておりまして、現時点におきましては、やはり現在の組織機構というものの運営のよろしきを得ることによって、またその運営の改善を図ることによって、地域の実情を十分掌握すると同時に管理の徹底を図っていくべきものというように考えておる次第でございます。
  70. 中野明

    ○中野明君 いまいろいろお答えがありましたけれども、私ども、近代化するということ、これは確かに管理を分散させるとかいろいろいまおっしゃいましたけれども、現実の問題として、一つ郵政局で二千局に及ぶような、また今度は局数の少ないところは地域が非常に広範で不便です。そういうようなところで、果たして指導監督が行き届いてないそういうところからやはりいま言ったような情けない通達も指示も出さなきゃならぬ、そしてまたあといろいろ社会的に批判をされるような事故が相次いでいると、それはひいては郵政事業不信に通じてくるわけです。ですから、現状を最低県単位にすることが私は郵政の近代化につながるんじゃないか、これは国民の皆さん方とも密着した仕事をしているだけに、これの指導監督が行き届かないために起こってくる犯罪とか事故とか、そこからくる不信というものはこれは大きな社会問題にもなるわけです。この点非常にいま消極的なお話なんですが、もっと積極的に、これ確かに省令とかいろいろ変えなきゃならぬところがあるかもしれませんが、変えて新しい時代に対応してやはり国民の信頼を得るような、そういう体制をつくっていくということの方が大切じゃないだろうか。それは長い間の歴史とそしていままでの状況というもの、これを上手に運営したらといまお話しでございましたが、この運営が恐らくだれがやってもできぬのじゃないだろうか。二千局からのものを上手に運営しろと言ったっておのずと限界があるわけですから、やはりそういう点では組織を少し分散をさせて、そして管理、指導監督体制を充実することによって地域の実情というものをより的確につかめるんじゃないか。情報も早く入るんじゃないか。私がたまたま高知に住んでおりますので、そして当委員会にお世話になっておる関係で、いろいろのことがあって、つい私も世間の常識で高知の郵便局長にちょこちょこ尋ねるんですけれども、これ全然わかりません。知らないと、松山へ聞いてくれと、こういうことですから、これは一般の人ならびっくりすると思うんです。やはりりっぱな郵便局が県庁所在地にあって、恐らく普通の一般の常識では、そこが高知県の郵便局のことなら何でも知っているだろうという考えを持つのが今日の社会の通念だろう。ところが、郵政局の場合、郵政省の場合は、もう全部松山に聞かないとわからぬ、こういう現状、これをぜひ直されるべきだと、私は強くそういう考えを持っております。そうしないと幾ら通達をお出しになっても無理じゃないだろうか、ただ単に通り一遍の注意だけで終わってしまうんじゃないか、こう思いますので、いまのお話ではせっかく御検討なさっているようですので、より積極的に現実に沿うた検討をしていただきたい。これはお願いしておきます。いまここですぐにと言っても始まる問題じゃないでしょうから。  それで、そういう実情を一番やはりわかるという上からは地元が一番よくわかるわけですが、郵便局の設置について、私この前も郵政大臣に申し上げましたが、非常に郵政省考え方、これが地域の住民の皆さん方の要望にこたえようという姿勢じゃなしに、郵政省の都合で郵便局をこしらえる、こういうふうに思えてならぬわけです。これでは郵政事業に対して理解をしろと言ってもこれは無理じゃないかと、こういうことがたびたび起こるわけです。  前提としてお聞きしますが、現在の特定局、まあ無集配ですね、特定局なり簡易局の設置の要望というのは大体年間どの程度あるんですか。その数字をちょっと教えてください。
  71. 奥田量三

    説明員奥田量三君) 昭和五十二年度の数字について申し上げますと、特定郵便局の設置要望が約六百六十件、簡易郵便局につきましては約二百十件の設置の要望がございました。ただし、同一の場所につきましてたとえば市町村と団地の自治会というふうな形で複数の申請が、要望がある場合もございますので正確にはつかみかねておりますが、これらを整理いたしますと、それぞれ個所数としては一割程度少ない数ではなかろうかと思っております。
  72. 中野明

    ○中野明君 それで、地域から要請があって郵便局が設置されるに大体どれぐらい時間がかかっているんですか、おわかりでしたら。
  73. 奥田量三

    説明員奥田量三君) 地元から置局の御要望がありまして現実に設置に至るまでの所要日数については非常に長短の差がございまして、一口にはちょっと御説明申し上げかねる実情でございます。
  74. 中野明

    ○中野明君 一番早いのはどれぐらいでできた例がありますか。
  75. 奥田量三

    説明員奥田量三君) 申しわけございません。ただいま正確なそういう実例についてのあれを持ち合わせておりませんが、たとえばビル等で局舎の提供があって非常に速やかに取り運ばれるというふうな場合には、あるいは数カ月、半年というようなことで開局に至るケースもないことはないというふうに考えます。
  76. 中野明

    ○中野明君 それで、もう一点お聞きしますが、簡易局と特定局ですが、年当初にこれの大体目標といいますか設置目標を設定されて、そして年度末に大体その目標に対してどの程度設置ができたかということになると思いますが、これで特定局と簡易局の大体の実績ですか、年当初にたとえば二百局なら二百局を目標にしたけれども実際は百しかできなかったとか、こういう特定局と簡易局の実績の数字はどのようになっておりますか、これをちょっと。
  77. 奥田量三

    説明員奥田量三君) 五十二年度の数字について申し上げますと、特定局につきましては、予算で百五十局を予定いたしましたところ、実際の開局は百二十一局、簡易局につきましては、同じく予算で二百五十局予定いたしましたところ、開局は百十局と、こういう状況になっております。
  78. 中野明

    ○中野明君 そうすると、非常に簡易局の方が設置の率が悪かったんですが、これは何か特別に理由があるんですか。
  79. 奥田量三

    説明員奥田量三君) 設置の御要望がありまして、設置に至らない簡易局につきましては、主として御要望の地域が設置標準に達しないもの、あるいは適当な受託者の確保が困難であるもの等が主な理由でございます。
  80. 中野明

    ○中野明君 設置の申請をするのに、条件に合わなかったら受け付けてくれません、まず。ですから、その条件に合わないということはあられぬと思うんですけれども、普通に考えますと、特定局は、やはり局舎の関係から、まあ借地とか借家とか、いろいろのことで、どちらかというと、特定局より簡易局の方が実際は設置しやすいんじゃないだろうかと、私ども素人なりにそう考えておるわけなんですが、ところが、特定局は大方八〇%、八一%近くも設置ができて、簡易局はもう半分以下、四〇%そこそこというような現状、この辺がちょっと私理解しにくいんですが、いまお話しの、そういう適格者がおらぬ、こういうことが主な理由なんですか。
  81. 奥田量三

    説明員奥田量三君) ただいま申し上げましたとおり、適格な受託者の確保困難あるいは適切な施設が確保が困難であるというふうな事情が主要なものでございますが、そのほかに、その御要望のあった地域につきまして、すでに無集配特定局の設置を決定をしたものとか、あるいはその幾つかの場所につきまして、無集配特定局の設置を検討しているもの、そういったものも若干ございます。
  82. 中野明

    ○中野明君 いまお答えになりましたが、その点が非常に私疑問を持つところなんですがね、地域の人にとりましては郵便局を早くつくってほしいというのが一番の要望です。これはちょうどこの間ですか、高知の市長選挙が終わったわけなんですが、そのときに高知市−県庁所在地というのは大体そうなっているのじゃないかと思うんですが、毎年大体七千人から八千人人口がふえています。ずうっとです。そういうことで、もういままで山だったところへ家ができたりして、大変に様相が変わってきておるわけなんですが、その市長選挙が終わった後で、新しい市長に何を望みますかというテレビ局の各社全部、アンケートというんですか、街頭でとりましたところが、私も驚いたんですが、高知は災害の多いところですから、防災というのはよく何人か出てきました。防災をちゃんとしてくれとか、あるいは学校を直してくれとか、その中に郵便局をつくってほしいと、これは一般の市民の方々はそういうむずかしいことを知りませんから、市長に言えば何でもできると思っているわけですが、郵便局を早くつくってほしいという声が三人から出たわけです。私、テレビを見よって驚いたんです。それほど非常に郵便局に対して、防災とか学校の改築と同様に郵便局をつくってほしいという一般市民の声が出てきたわけですね。だから、これは大変そういう点について郵政省の物の考え方を私聞きたいわけは、先日も申し上げたと思いますが、その地域が無集配の特定局をつくりたいんですと、こういう郵政省考え方なんです。そこで、簡易局を設置したいという人の要望が私の知ってる範囲でいま三カ所出てきたわけです。ところが、全部そういう地域でございますということで断られて、長いのはもう六年になります。大臣、よろしいですか、六年になるんですよ。だから、そういう声が出てくるのは、私は当然だろうと思うんです。それで、郵政省の財政事情と言えば大げさですけれども、やはり国営といっても独立採算ですから、なるたけ経費を安く、そして将来郵便料金だって値上げの時期もまた来るでしょうが、そのときにもやはり部内でこれだけ節約し、努力をしておるという姿勢も大事だと思うんです。特定局と簡易局の経費を考えると、簡易局の方が非常に安いはずです。恐らく特定局一つつくる間には簡易局は幾つも設置できる、予算上ではそうなると思います。そうすると、経費は安い、地域の住民の人たちには早く要望にこたえて、そして一局つくるところを二局でも三局でもつくってあげれば非常に助かる。しかも、新しく開発される地域というのは、山の上だとか、もうとにかく山を削って、谷の間と両方でもう大変な——同じ市内でも僻地というようなかっこうになっています。そういうところに、どうして無集配の特定局をつくると言ってから六年もほっておくんだろうか。この前、郵政大臣はそういう実情を考えて、将来特定局長になれる、どう言うんですか、有資格者、その人に簡易局を請け負わす方法も一つの方法じゃないかと、自分の考えだけれどもということをおっしゃいましたが、そういうことを含めて、これを早くとにかくやってあげないと、こればせっかく住民の人たちが要望しても、五年たっても六年たってもしてくれない、これではどうしようもないわけです。そういう実情をこう見ますと、予算要求ではいまおっしゃったように百五十ですか、百五十あったけれども、百二十しかできなかったとか、去年は百五十で八十六しかできてないとか、地域の住民の実情と合わぬわけです。ですから、地方郵政局で、机の上で地図を広げて、ここは無集配をつくるところだ、ここは簡易局だ、その程度では、地図の上ではわかりませんよ、これ。実際、私どもも市長選とか市会議員の選挙というのは四年に一遍ですから、四年に一遍、山のすみずみまで行くわけですけれども、いままで山で終点だったところが、それから奥の方へすごく団地ができているというのが実情なんです。こういう実情をやはりつかもうと思ったら、先ほど申し上げているように、指導監督体制、そして責任体制がはっきりしておれば、やはりここは簡易局でいけるとか、ここは特定局でないといかぬとかいう判断は、より的確に出てくると思うんですけれども、責任がないものですから、郵政局から聞かれたらこんな状態ですと言うて、ただ義務的に報告をしているだけじゃないだろうか、こういう気がするんですが、この辺もう少し、そういう点を検討していただいて、早く住民の要望を満たして、そして郵政省の姿勢というものをちゃんとしていくことが大切じゃないかと思うんですが、その辺も含めて、大臣、この前からのこともありますが、どの程度省内で話が煮詰まってるんですか、大臣からお聞きしたいと思います。
  83. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 御指摘の問題は、たしか本年の四月ごろだと記憶いたしまするが、いろいろととうとい御意見を御提示されて、その後数回にわたっていろいろと——私もいろいろと多忙のために、政務次官に幸い中野先生の御質問の機会におりましたので、関係局と緊密な連携をとりながら、ちょっと回数を、私直接処置いたしましたのでなかったので、記憶ありませんが、数回御協議いただいたようなわけであります。  簡易郵便局は、主として都市部以外の、ただいまの御意見のとおりに、業務量の比較的少ない地域を対象としてまいりました。都市近郊の業務量の多い地域には大体無集配特定局という一応の方針があるわけですが、一般的には両者はそれぞれ対象地域取り扱い業務量、取り扱い業務の範囲などを異にいたしておりますが、郵便局を設けることは、受託者が設置されるような地域に簡易郵便局を設けることは、受託者が取り扱い業務量に対応できないことになったり、無集配特定局が設置された場合には簡易郵便局の廃止などの種々の問題が生ずることが予想されて、慎重に検討してきたという態度をとっているわけであります。  私は、中野先生指摘のとおりに、現代は、置局に相当するいわゆる享便人口とか、いろんな条件がそろわない場合には、ともかく地域社会、特にそういった不便を感じられている方々の立場に立って簡易郵便局を設置し、それがその地域開発または人口増、いろんな状況の変化に応じて特定局昇格ということも考えられるというふうに申し上げたことも確かに責任を感じております。  したがって、この問題についてはいろいろと今日まで関係機関とも相談をいたしております。また、早く結論を出す、いわゆる方針を固めていかねばならない。ところが私も取り組んでみて、ずいぶん厄介な問題がいろいろと法的に制約されている分があるものでありまするから、たとえばこういうことになるんです。簡易局をつくろうと思えば、その土地の農協の意見を聞くとか、また市町村の自治体の意見を聞いて、自治体にも設置の意思はない、農協にもその設置の意思はないと、初めて個人が置局申請ができるというような、きわめて繁雑な、いわゆる戦時の時代につくった法律がそのまま生きているわけでして、しかしなかなか法律改正ということもむずかしいわけでありまするから、端的に申し上げて、私は、行政指導でこういった国民の要望にこたえられるような体制で進むべきであるということを指導してまいっておりますので、ずいぶん長くかかりましたが、われわれも国民本位のサービス業務を遂行しますと大みえ切っている以上は、当然そういった地域の方々の立場に立って、いわゆる国民の利便に供する仕事をやらなければならないことも十分認識いたしておりますので、今後の運営については、法的な規制はありまするけれども、行政執行の上で十二分に配慮いたしまして、御期待にこたえるような措置を講じたい、かように考えている次第であります。
  84. 中野明

    ○中野明君 私は、別に特定局とか簡易局、それにこだわって申し上げているわけじゃありません。住民が郵便局をつくってくれと言うてから六年、その理由が、ここへ特定局をつくるから簡易局はだめなんですと。簡易局の適任者は何人かおるんですけれども、そんなんで申請も受け付けてもらえない。ですから、確かに地図の上で見たら特定局の方がぼくはいいと思うんですけれども、現場へ行ってみると、谷を、ずっと奥まで行っているんですから、一遍出てきてまた奥へ入らなきゃならぬものですから、ただ地図の上で線を引いて、この範囲というわけにはいかぬのが実情だと思います。その辺も含めて、それほど時間がかかっては困ると、こういうことでございますので、よろしくお願いをしておきます。  それから第二点目は電波の問題ですが、新聞報道によりますと、この十三日ですか、無免許で電波をグアム島ですか、そこへ出して、企業通信を行っていた会社が摘発された、こういうことが報じられておるんですが、もう少し摘発に至る経緯について説明をお願いしたいと思います。
  85. 平野正雄

    説明員(平野正雄君) お答え申し上げます。  例年八月に行っております不法電波一掃月間というのがございまして、ことしの八月にも実施をしたわけでございますが、その期間中に、関東電波監理局におきまして不法電波を捕捉したわけでございます。港区西新橋付近から発射されていると思われる、周波数が二十七・二四五メガヘルツの不法市民ラジオらしい電波を捕捉いたしました。その後確認を急いでおったわけでございますけれども、やっと確認ができまして、九月十二日に、警視庁愛宕警察署に対しまして、電波法第四条違反の容疑で告発を行ったわけでございます。同警察署は、この告発に基づきまして、無免許でグアム島等と通信を行っておりました会社の社長等五名を、十一月十三日までに東京地方検察庁に書類送致をしたという経緯でございます。
  86. 中野明

    ○中野明君 今回のは一掃月間でもあったし、あるいは常時通信を行っておったと、そういうことでそれだけの効果があらわれてきたと、こういうふうに私どもも思うわけですが、電波の特殊性から考えまして、過日のNHKの妨害電波もあったように、不法電波の発見、摘発というのはなかなか困難をきわめておると私は思います。  私の国元の例で申し上げれば、県内で市民ラジオに混信があって、不法電波が発射されているんじゃないだろうかと、こういうことが市民の間から出てきて、その申告で監視が動くわけですが、その時点では、これまた愛媛の松山から移動監視車にはるばる山を越して来てもらわなきゃなりません。そしてこの不法無線局、不法電波の探索に向かうんですが、今度は逆に向こう側が、移動監視車の動向をまた探っている不法の無線局もあるようです。ですから、監視車が来たと言ったらすっとやめてしまうというような現状、これも私どもしばしば耳にするわけです。非常にこれ厄介な問題で、災害のときなんかには、アマチュア無線で人命が助かったと、非常にありがたい話もあるわけですが、さっきの例じゃありませんけれども、とんでもない電波を出して、今回のこの例では、SOSの無線に混信を起こすおそれもあったと、こう出ております。こういうことになりますと、これはもう大変な問題でございます。  そういうことで、この間山陰のことも申し上げましたが、電波監視の体制というのが現状では私はこれ十分とはとうてい思えないんですが、いままさに電波の時代と言われておりますが、この電波の監視の体制をもっと整備する、こういうお考えがあるのかどうか、ここをちょっと……。
  87. 平野正雄

    説明員(平野正雄君) 現在、実は全国十三カ所に電波監視施設を設置いたしまして、一般的な監視を実施しておるわけでございます。御承知のように、短波帯等は相当遠方に飛びますので、全国十三カ所のうちの四つの局を基盤にいたしまして、そこで方探も同時に運用していくというような体制になっておるわけでございます。また、超短波以上の周波数につきましては、山でございますとか、いわゆる遮蔽物によりまして遠距離の伝搬が不可能になるということ等の点を考慮いたしまして、それぞれ短波と同じ場所、あるいは若干異なります場所におきまして固定的な監視を行いますと同時に、必要な場合には移動いたしまして監視をするということをいたしておるわけでございます。  そのような一般的な監視の手段の中で、不法発射が認められたというような場合には特別に探査のための車両を出動させると、そして発信源を確認をすると、こういうふうな実は体制になって現在動いておるわけでございますが、御案内のとおり、電波利用の多様化が進むにつれまして無線局数も年々著しい増加状況を示しておる、それに伴いましていわゆる法令の周知というようなことをかねまして、先ほど申し上げましたように、八月には不法電波一掃月間、これは新聞あるいは放送その他の御協力も得まして、法令周知を行いながらいわゆる探査も行っていくというようなことをやっておるわけでございますけれども、依然として不法に無線局を開設する者も増加しつつあるという状況でございますので、先ほど御指摘がございましたように、高性能の電波監視用の機器の導入を図りまして、さらに機動力を強化していくということによりまして電波監視体制の拡充強化に努めてまいりたいと、こういうふうに思いまして現在努力をいたしておるという状況でございます。  で、なお、先ほど御指摘がございましたNHKのいわゆる電波ジャックでございますけれども、これの対応策につきましては、電波研究所の方でほぼその目的に近い装置の開発が可能になってきたということでございまして、来年度予算でもってこれを現場試験してまいりたいというふうに考えております。  なお、成田問題その他、あるいは山陰地方における怪電波問題、いろいろ先生方に御心配をおかけしておるわけでございますけれども、そういった問題に対しましても鋭意できるだけスピードアップをいたしましてフォローしてまいりたいというふうに考えております。  将来のこの監視体制の姿ということにつきましては、これまたいろいろお金のかかる、あるいは要員の必要な点が非常に多いわけでございますけれども、まず現在の技術でフォローできるだけフォローしていく、そして、要員、組織につきましても将来に向けて発想をある程度転換してでもフォローしてまいりたい、努力を続けていきたいということを考えております。
  88. 中野明

    ○中野明君 これから郵政省の事業の中で非常に大きな比重を占めてくるのがこれは電波、放送関係だと思います。ですから、それだけにやはりその時代に対応した監視体制なりあるいは陣容の配置というものは、これはもう当然必要だろうと思います。一たび間違えばこれは大変な影響が出る電波のことですので、その点は十二分に配意をしていただきたいと思います。  それから、もう一点お尋ねをしたいのは、無線従事者の国家試験の問題なんですが、この試験も一人でも多く受けさせることによってやはり電波に対する認識、そしてまたルール、常識そういうことを本人に教え込む上では非常に大事なことです。そういうことで、この国家試験が行われて年年歳々受験者がふえてきておるのですが、非常に試験場から遠隔地におる人たち、この人たちが地元で試験をしてほしいという声は年とともに大きくなっているように思います。一例を挙げますと、四国の例で恐縮ですが、私、四国のことが一番よくわかりますので具体的に申し上げますと、高知県の宿毛市、ここに高等学校がありまして無線科があるわけです。やれそれ陳情して、二年に一回ぐらい何とか地元で試験をしてもらうことになっているようですが、それを何とか毎年してもらえないかということで、いろいろ聞いてみると、やはり松山の方でも人員が不足、それでとても現在の人員ではそこまで手が回らない。ところが、現地の方では松山まで試験を受けに行こうとすれば最低二泊三日かかります。経費は二万円はもうどんなに安く見てもかかります。それが百五十人の人がそれだけ松山まで試験を受けに行く、そうすると経費の都合とかいろいろの都合で行けない人ができてくる、こういう実情もあります。こういうところは私はかなり全国でもあるんじゃないか、こう思うんです。そういう点について、やはりどの程度人員がまとまって要望があれば現地で試験をしてもらえるのか。何かこれは基準でもお決めになっているのかどうか、その辺どうでしょうか。
  89. 平野正雄

    説明員(平野正雄君) お答え申し上げます。  御承知のように電波法四十七条によりまして、「無線従事者国家試験は、第四十条の資格別に、毎年少くとも一回郵政大臣が行う。」ということになっております。一回以上、できるだけ多い方が、先生がおっしゃいますように国家試験の受験者に便宜を与える、行政サービスが行き届く、こういうことは十分に承知をいたしておるわけでございます。  で、この四十条の資格と申しますのは、第一級無線通信士以下十七の実は資格がございまして、その中でも第一級、第二級、第三級無線通信士あるいは第一級、第二級無線技術士の試験は予備試験と本試験に分かれておりまして、どうしても年に少なくとも二回はそれぞれ実施する必要があるということに相なるわけでございまして、年間を通じて毎月相当数の試験が実施されることになるわけでございます。これらの試験場は、先ほども申しましたように、原則的には各地方電波監理局の所在地——これは沖繩を含めまして十一カ所でございますけれども、この地方電波監理局の所在地で行うことにしておるわけでございますけれども、ただいま宿毛のお話ございましたが、地元等から要望がございました場合などにおきましては、その必要性でございますとかあるいは受験者の数あるいは分布状況、他の試験場との距離あるいは会場施設の有無等々の条件のほかに、先生指摘のように、要員配置の可能性でございますとか、事務上の支障の有無、そういったものを勘案をいたしまして、全国的に見ましてできるだけ公平を失しないように、地方電波監理局所在地外でも試験を実施するということにいたしておるわけでございます。  四国につきましては、そういった意味におきまして松山に電波監理局がございますけれども、高知あるいは高松におきましても、そういう強い要請もございますし、やはり試験をしていく、さらには宿毛からの要望に応じまして、先ほど御指摘のように一年置きには実施をするというような努力をしてまいっておるわけでございますけれども、何分にもわれわれのできるだけ行政サービスを広めていくという努力に対しましていろいろな問題点があると。たとえば全国的に見た不公正があっては困る、あるいは人員につきましても非常に受験者が多い場合には、ほかの仕事をしておる方たちに応援をしていただかないとなかなか対応できないとか、あるいは先生おっしゃいました宿毛市のように、学校もあるし、あるいは漁業の基地局になっておるというような場合の取り上げ方とか、いろいろございまして、できるだけ努力をしておるわけでございますけれども、また今後とも努力をするわけでございますけれども、現在直ちにということが非常に困難な状況にあるという点につきましてひとつ御理解を賜ればありがたいと思います。
  90. 中野明

    ○中野明君 ですから、先ほど申し上げましたように電波監視体制の充実、これができればその方面もまた自動的に解消してくることも考えられるわけでして、ぜひとも新しい時代に対応した電波の監視、監理の体制というものに力を入れて確立をしていただきたい、要望を含めて申し上げておきます。  それでは、公社の方、大変朝からおいでいただいておったようで恐縮です。大変お待たせをいたしました。  公社の方、五十二年の決算で四千三百九十億円という収益が出たということを発表されておりますが、五十三年度の収支の見通しは大体どの程度になるのか、最初にそれを。
  91. 小川晃

    説明員(小川晃君) お答えいたします。  本年度の収支の見通しでございますが、予算上は先般国会を通過いたしました補正予算、これを含めまして補正後事業収入で三兆五千五百七十億円、また事業支出で三兆二千七十億円ということでございまして、収支差額が三千五百億円という予定になってございます。  収入の動向でございますが、これまで四月から九月までの半年間、上半期の収入で見てまいりますというと、私ども公社として上半期におおむね一兆七千八百億程度の収入を期待してまいっておりますが、約十九億円の増収ということで〇・一%、わずかでございますが増収ということになっておりまして、今後もできるだけ、かなり収入がすれすれになってきておりますので、増収努力をしていきますと同時に、また支出につきましてもよく節約に努めるということを努力いたしまして、本年度の収支状況としては、予想としましてはおおむね予定した線で進めるのではないかというふうに考えております。
  92. 中野明

    ○中野明君 かなり収益が上がっておるということで、いろいろこれ両論ございますが、いずれにしましてもこういう現状になってまいりまして、過日来非常に問題になっております料金明細書の問題と並んで通話料金体系の見直しということが当面の大きな課題になってきたように私も受け取っておりますが、通話料金体系の見直しについて公社としてはどの程度作業が進んでおるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  93. 西井昭

    説明員(西井昭君) お答えいたします。  先生のおっしゃいますとおりに、わが国におきます電話料金の料金体系についてはわれわれもいろいろと問題点を持っておりますところでございますが、その中で特に問題と思っておりますのが大都市近郊におきます通話料の格差の問題と、遠距離、近距離間の料金格差の問題でございます。公社といたしましては、この点につきましては、戦後ずっとこの格差是正に努力をしてまいってきておるわけでございますが、諸外国等の例に比べましてまだ格差が大きいといういろいろな問題がございます。  具体的にどのような内容の検討を行っておるかというお話でございますが、公社といたしましては、遠近格差是正等を行いますときに、それに伴いまして著しい料金減収ということになってまいりますと、これは公社の経営上問題がございますので、いまの考え方といたしましては、全体といたしましての料金収入額が減収とならない範囲内でこの料金体系の是正を実施したい、このように考えているところでございます。  なお、具体的内容について申し上げますと、現在のわが国の通話料金の距離別の収入分布と通話の回数等を比較いたしますと、通話の回数は近距離に多くございまして、収入は逆に遠距離の方でたくさん収入をかせいでおる、こういう関係にございまして、この遠近格差の是正を行いますといたしますと、どうしても近距離通話料をかなり大幅に値上げをしないと遠距離通話料が下げられないと、こういう点がございまして、いま申しました通話回数分布等の関係もございまして、加入者の利害が非常に相反する面が多いところでございまして、そういう点につきまして関係各方面の御理解と御協力を得るのが真っ先であるということで、そういう面を中心といたしまして、またこの是正時期とか具体的な是正の方法等についてはいろいろ検討を進めておると、こういう状態でございます。
  94. 中野明

    ○中野明君 非常にむずかしい問題がひそんでおると思いますけれども、技術革新といいますか、技術が革新されて非常に遠距離は当初考えておられたよりも安く実際はいけていると、こういうことになっております。それで諮問委員会の答申でも合理的な根拠を持たない不当な価格差別は避けるべきだと、こういうようなことも言われておるようですが、これ余り長く時間をかけられるとますます答申の精神からずれていくようにも思いますし、そうかといっていつも私申し上げるように、遠距離を下げてくれと言ったら必ず近距離を上げてくれと、こういうことではね返ってきますので、それじゃいつまでたってもこれ話が前に進まぬと、それじゃ技術革新をされたこの努力というのは一体どこに消えていったんだろうと。もちろんサービスの向上とか、設備の充実とかいろいろそういう方面に向けておられるのはわかるわけですが、せっかく技術革新をされて遠距離が安くなるはずなのに、いつまでたっても遠距離におんぶされて、そして公社の運営がなされておるということはちょっと諮問委員会がおっしゃっている合理的な根拠に乏しいんじゃないか。ですから余り長く何年も何年もこのままで甘んじてほっておかれるということはどうかと、こういうふうにも思いますし、そうかといって極端に近距離が三倍も五倍も上がったらこれは大問題ですし、その辺私も非常に、どの程度まで作業を進めておられるのかと思っていまお尋ねをしているわけですが、大体この料金体系の見直しをいつごろを目途にきちんとなさろうとしているのか、これは総裁でないとはっきりおっしゃれないのかもしれませんが、その辺どうでしょうか。
  95. 秋草篤二

    説明員(秋草篤二君) 現在電電公社の料金体系につきましては、もう皆様御案内のように遠距離の格差ということ、それからまた大都市の近郊と市内との均衡、大きく言えば遠距離の割り高というのが皆さん周知の事実になっておりまして、大変私申しわけないと思っております。この改正は、ぜひ次の機会に断じてこれはやらなきゃならないという気持ちでおります。先般も、いつでしたか、この委員会におきまして中野先生、木島先生からも、近距離はそのままにしておいて、遠距離の安いのだけでも安くして薄利多売ということでやればいまの収益が出るんじゃないかという御高説を承ったわけでございますが、この数カ月前に関係局長に作業を命じまして一応そういう試算もしてみました。しかし、何としましても、それだけだと下がる影響というものは、利用者もふえますけれどもやっぱり値段が非常にわずかしかふえてこない。要は、その次には料金のベースを、いま黒字でございますから特に上げるというのではなくて、この姿のままで、全体の財政の基盤はそのままにしておいてそして料金のバランスをとってみるということが一つあるわけでございます。これはやりますと一つの試算が出ますけれども、どうしても市内というか、この近距離の十円の方を上げないと、これは遠距離だけ安くするということはとてもこれは算術的にできません。そこで、それがいつごろそういうものを実行するかといいますと、私の見通しでは、定かではありませんけれども、いつも国会で私が決意を表明しておりましたように、料金値上げをつい先般、五十一年の十一月、ちょうどいまから二年前になりますか、料金値上げをしていただきまして、まだちょっと料金値上げをするという時期ではございませんし、そのときに言明したことは、五十一年度を含めて四年間は料金は上げませんと米澤総裁時代に何回か申し上げております。私としましたら、一年でも半年でも長くこれを持ちこたえるということがやはり私たち責任ではなかろうか。どんなサービスをよくしましても、料金というものは全加入者が負担されることでございますから、料金を上げないということは最大の私はサービスだと思っております。それにできるだけ目標を置きまして、四年間と申しますと五十四年度の末までですけれども、約束の日が来たからもう料金値上げはできるんだという気持ちではなくて、五十五年度も、できたら五十六年度もがんばるという気持ちを持っておきたいんでございますが、六次計画、これは五十七年度まででございますが、六次計画も一この六次計画の末期になりますると収支の問題がかなり苦しくなるであろうということをうたっております。その時期をいつに定めるかということは、ただいまのところはこれだけの増収が出ておりまして、本年度も三千数十億の増収が出てまいります。来年度の予算もかなりのまだ増収が出てきます。再来年度、これもまだ黒は続くんではなかろうかと思っておりますが、やはり五十六、七年ごろになると、どうしてみても料金値上げの用意をしなきゃならない。そのときに一挙にこの年来の懸案であった長距離の問題を解決する、これはやっぱり料金の全体の赤字を解消して同時に料金格差を直していくということ以外にはないんじゃなかろうか。その前に料金の値上げをしないで格差だけを直すということは、市内を上げましてもやがて一年か二年たってすぐ赤字の問題が出てくるんではなかろうか。そういうことで、二回も国会に御承認を仰ぐということはなかなか過去の歴史から見まして大変なことでございますので、やはり一応いまの料金体系でがんばって、できるだけ黒字を延ばして次の機会にやるということが一番いまのところ穏当な考え方ではなかろうかというふうに私個人では考えております。先生からもこの前遠距離だけをひとつ下げて近距離は下げないで薄利多売でやってみたらどのぐらいでやれるか、やはりそう増収だけは出てこないのであります。
  96. 中野明

    ○中野明君 いまのお話では次の料金値上げとでもいいますか、そのときに一緒にというようなお話なんですが、ちょっと私それではせっかくのこの諮問委員会の答申の精神からは少しずれているんじゃないかなという感じがするんです。だけど、いまのお話のように、やはり法案を出すということになると、これは大変な大問題ですので、総裁のおっしゃる意味はわからぬでもございませんが、しかし、この料金体系の合理的根拠を持たない不当な価格差別とまでこの委員会では指摘をしているわけですので、これは何とか、そうかといって先ほど来私どもの気持ちはよく御理解いただいていると思いますが、この非常に広範に使用されている市内料金を値上げすると遠距離を下げたからといって、もう一般の受け取り方は値上げだとしか受け取らぬわけです。そこら辺に私どもも非常にむずかしいなと思うところはございますけれども、しかし現実の問題としてプラス・マイナス・ゼロということであれば公社のPRいかんによっては納得いただけるんじゃないだろうかという気もしないでもありません。しかし一般の受け取り方は、市内を上げたら、もうたちまち値上げをしたということで大騒ぎになるでしょうから、その辺で考えておられるんだろうと思います。それで、いずれこれは鋭意検討をいただいて、そしてだれもが納得できる合理的な料金体系に持っていっていただかなきやならぬことは事実でありますので、その辺はひとつ検討を急いでいただきたいと思います。  それから次の問題ですが、この間、少し私時間がございませんで中途半端で終わってしまいましたが、老人福祉電話の問題でございます。これは、これまた次の、いまのお話ではございませんけれども、次の法律改正までと言われるとこれまた四年も五年もこのままで放置される、こういうことにも相なると思いますので、営業局長にお尋ねをしますが、現在老人福祉電話というのは全国で何台ございまして、そして厚生省が通達を出してそれによって名義変更したのは何台ぐらいになっていますか。最初にそれを伺います。
  97. 西井昭

    説明員(西井昭君) 現在国及び市町村等がいわゆる社会福祉の一環といたしまして、ひとり暮らしの老人宅に設置しておりますいわゆる老人福祉電話と言っております電話の数は、この五十二年度末現在におきまして二万五千五百四十三台設置をされております。それで、それに対しまして、ただいま先生からお話のございましたとおり、昨年の十一月、厚生省の方から御指導をされまして、個々の電話の名義を個人名義に切りかえることによりまして住宅用の基本料が適用できるようにという通達を厚生省を中心としてお出しになりましたところでございまして、その結果、これもちょっとまだ通達が出てから四カ月ぐらい先のことしかわかっておりませんが、昭和五十二年度末におきましてこの二万五千五百四十三の福祉電話のうちに一万五百九十五加入が個人名義に変更をされております。
  98. 中野明

    ○中野明君 そうしますと、まだこれは非常に徹底しておらぬのですが、二万五千のうち一万ですから、これは通達は行っていると思うんですが、そこで私どうして変更しないんだろうかと、これは各地方自治体も財政が非常にいま窮屈なときですから喜んでやるだろうと私どもも理解をしたんですが、実際は、いま言われたように、二万五千のうち一万ですから、これはパーセントでどうなりますか、四〇%ほどですか。そうなりますと、あとの六〇%どうしたのかと思って調べてみますと、やはり事務量が非常にふえて、そして一々全部了解をとって名義変更しなきゃならぬ、またそれに原簿をつくって、担当者一人置かなきゃならぬと、こういうことになると、人件費の方で、事務費と人件費の方が高くなってしまうというきらいと、それからもう一つは、名義を変えても、親権者といいますか、本人の子供さんとかそういう親権者が文句を言うたらやっぱりそこに問題が起こるという心配をしてよう変えないところもあるんです。  ちょっと調べてみますと、高知市の例でとりますと、現在二百台福祉電話があります。それで、この基本料が事務用でしたら二千三百円、住宅用で千六百円の地域でございますので七百円違います。そうすると、これ二百台ですから月に十四万で、一年で百六十八万円違うわけです。それで、現在実情どうかと調べてみますと、あといまたちまち申し込まれているのが五十台から六十台の申し込みがあるんですけど、これ以上の財政負担はいまの財政ではもう無理だということで待ってもらっていると、こういうことなんです。これを住宅用になるならば、優にこの申し込みはすぐつけられる、こういうことで非常に待ち望んでいる人たちに、財政の事情が悪いためにちょっと待ってくれと言って福祉電話がつけられないというのが実情であります。だから、それだったら切りかえろと言ったら、切りかえるのにまたそれ以上の金がかかりますということで進んでおりません。こういう点については実際に、それは確かに市役所の名義には違いないんですが、設置されている場所は個人の住宅ですので、この辺はこの前便法的にやられたように、郵政大臣の認可で、今度このあれができるまで、公衆法の改正ができるまで特例で住宅用にできないものかどうか、これは非常に現場におる地方自治体の職員の人たちも、この辺は何とかならぬものかという疑問はどの市に行っても持っているようです。ですから、法律の上では確かに市役所の名義になっておりますから、これは事務用ということになりますけれども、現に総裁の通達と言いますか、郵政大臣の認可で家庭用として半年ほど取り扱った経緯があるものですから、それをどうして継続してくれないだろうか、名義を変えろと言われても、もう一々了解をとって書類をつくって、それ二百台からありますと、それは事務量大変なものだと思います。そういう点改めて、再度大臣、これできないもあだろうかということなんです。
  99. 秋草篤二

    説明員(秋草篤二君) このいきさつは、私衆議院の公明党の田中先生から、いま債券の免除はしております。しかし、せめてこの老人福祉の電話は、実際寝ているのは住宅でございますから、それを事務用として取るのはおかしいじゃないか。確かにこれはがっときたわけですよ、もっともだなと、しかし、何とかできそうだというので、それはやりますと、何とか措置をしますと。ところがなかなか、私法律に弱いものですからいろいろ専門家が調べますと、なかなか公衆電気通信法の料金規定にひっかかって、本来ならば公衆法を改正しなきゃならぬということで、そこで厚生省にもお願いして、非常にむずかしい手続でなっているわけでございますが、私、実際最初このぐらいはやってみますと言って衆議院で田中先生に言明したんでございます。いま大臣からも何かできるんじゃないかというあれでございますので、監理官ともよく相談しまして可能な方法をひとつ講じてみたいと思っておりますが、監理官いかがですか。
  100. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 御指摘の問題、いま総裁とも打ち合わせしながら答弁してもらったんですが、まあ法律ではそうなっていても、事実家庭用なんで、実際は家庭用なんで事務用じゃないわけですから、十分ひとつ、過去の経緯もありますし、いまお話では、私は初めて聞くんですが、そういった一時期切りかえたときがあると、それはどういう方法でやったのか、やったことは事実でありまするから、なるべくそういった方法を活用いたしまして御期待にこたえる措置を講じたい。はなはだ、ぼくもちょっと乱暴な答弁ですけれども、このくらいの度胸でやらないと仕事は向こうを向いて進まないと思いますので、あえて発言を求めて答弁に立ちました。
  101. 中野明

    ○中野明君 ぜひ善処方お願いしておきたいと思います。  じゃ、時間がありませんので、最後にもう一点だけ。これは離島の電話の問題でございます。これは非常に、私も公社にこれを望むのはこれはちょっと現状からいってむずかしいと思っております。それで、ぜひこれは郵政当局で、離島振興法という法律がありますので、その離島振興法の中で、やはりこの通信施設整備というものをうたっております。他の運輸省とかそういうところではかなり予算を割いて、そしてこの離島の振興に努力をしていることが見受けられるわけですが、この離島における無電話——無電話と言うと言い過ぎになるわけですが、非常に電話が離島では大変な役を持っておりまして、これまた一つの例を申し上げますと、宿毛市の沖に鵜来島という島があるのですが、この島は戦争中に陸軍の監視塔がありまして、そのために細い海底ケーブルを一本引いてやったようですが、現在家が六十四戸あって一般加入電話が二台なんです。公衆電話が二台。それでもう線いっぱいなんです。で、六十四戸でほとんどの家庭が全部遠洋漁業に従事をしております。あの辺はちょっと台風が来ると家から外へ出られぬ言うぐらい島全体あらしに包まれるところなんです。そこで、ようやく公社にお願いをして、あと線が全然ないんですかと言ったら、緊急用か何かで一本か二本かあったように思います。そこで公衆電話をつけていただいたわけですが、さあ、この公衆電話をつける場所でけんかになりまして、せっかく公社はつけようというのに、この家へつけろ、あの家へつけろ、結局、わずかの山のへきに家が並んでおりまして、夜中ででも電話かかってきたら、呼び出しやいうて、とてもよう行かない、風の日なんかはお年寄りばっかり残っている、ということで、そういう地域、ぜひ電話を欲しいというのが切なる要望です。こういうところへ海底ケーブルを引いて、公社は区域外ですから、何億円も投資をしろというたってこれは無理な話なんですが、こういう地域が全国、瀬戸内海を含め九州周辺、かなりあるんじゃないかと思います。これは郵政省の方で調査に入ったということですから、いずれその調査をしていただくといたしまして、そういう地域、こういう離島振興ということでそういう地域と、それから今回五キロから七キロまで加入区域を延ばしていただきましたが、それに外れる地域、そういうところ辺に対して、やはり離島、僻地の振興策として、郵政省として何か考えるべきときが来ているんではないだろうかと、こう思うわけです。これはもう海底ケーブルを公社が引いて、五十台ほどの電話をつけろと言う方が無茶ですので、その辺最後に、将来の課題として大臣の決意をお伺いして終わりたいと思います。
  102. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 区域外電話、特に離島において非常に不便をかけていることは、かねがね私も指摘されて非常にお気の毒だという気持ちで、何か救済する方法はないものだろうかという検討を進めてまいりました。実は、私は、昭和三十何年でしたか、無電灯地域、いわゆる莫大な経費がかかってどうしても文明のあれに浴せない地域に、国が補助金を出して日本全国すべての地域に電灯がつくという施策をやったことを思い起こします。この御指摘の島が私の考えているものに該当するかどうかは別にいたしまして、全体的に考えて、電電公社にできる限りの区域外拡大を図らせて、なお手の届かない地域には、やはりもうこの段階においては国が何かの援助策を講じて、そういった地域の方々にも喜びを分かつべきであるという考え方は確かに持っているわけであります。江上監理官時代にも十分検討するようにという指示もいたしましたし、かなり勉強もしたように、検討を加えたように私は聞いておりますし、新しく選ばれた寺島監理官、技術監理官の神保監理官も大変この問題に関心を持っておりまするし、省議でも何回か議題といたしましたので、いまここでそういったことを約束はなかなかいたしかねまするが、もう御指摘どおりそういう時代が来た、だから公社のいわゆる電気通信業務の責任の範囲で十二分に手を打っていただき、国も政府もこれに相呼応して、できるだけのよい結果を出すように努力を続けたい、かように考えている次第であります。
  103. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでは、電話料金についてお伺いをしたいんですが、電話料金が不明朗だという国民の声というのは年々大きくなっておりますし、料金に対する苦情も年々ふえてきております。公社の資料等を拝見いたしましても、昨年二十四万七千件、加入電話台数比がそれでも〇・七%というところだそうですね。で、まあそこ一、二年と見ますと、大分急速にふえてきております。七五年では十三万一千件であったのが二十四万七千件になっているということで、約二倍近く。もちろん電話加入台数がふえているから、パーセントとしたら大してふえていないということですね。で、これらの解決についても、公社の資料等を拝見していってみますと、二十四万件の苦情件数のうち、九五%までは大体電話で説明をされて渋々引き下がると、利用者の側は引き下がるわけですね。そして、公社のミスとか機械のミスというのがそのうちで千七百件だと。で、それでもどうしても話にならぬと、がまんがならぬということで、結局、過去三カ月分の平均をとったり、いろいろ金額についての一定の操作をしたという件数というのは数百件だというふうに言われておりますが、そういうことですか。
  104. 浅原巌人

    説明員(浅原巌人君) おおむねそういうことでございます。
  105. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 で、これではまあ国民の納得のいく電話料金という姿にはなりにくい、なっているとは言いにくいと思うわけですね。で、私どもこれはいつも考えるのは、電力だって水道だって、やっぱり独占企業なんですよ。電話もやはり独占企業なんですね。ところが、電力だとかガスだとか水道に対して感じる感じよりも、電話料金に対して感じる国民の不満という方が大きいという点がやはりきわめて重要な問題だと思っているわけです。で、サービスの改善というふうな点は、そういった国民の要求や不満というものにどうこたえていくかというのが一番大事な点ではなかろうかと思うわけでございます。そういった点がいろいろと報道機関——国民の声の高まりが報道関係でもずいぶん報道されましたし、この種の問題については衆参両院のそれぞれの委員会等でも論議がなされてまいっております。  で、私はちょっとお伺いをしておきたいと思っておりますのは、そういった国民的世論の高まりの中で、五十三年の八月に行政管理庁から勧告が出されたということなんですね。これでは、電話料金の明細書の発行を検討するようにということが求められたというふうに記載されておりますが、これに対応して公社は、九月に、電話料金詳細記録システムの設置ですか、と、明細書の発行の方針というのを発表されたですね。で、これをやるのにはやっぱり、これは総裁がテレビ、雑誌その他でも発表しておられますように、一兆円の経費がかかるということを言っておられましたが、そういう一兆円の経費を投じて、そして電話料金詳細記録システムを設置して明細書を発行するという、まあ一口に言うたらそういうことのようですが、概要はどういうことになるのか、簡単にお伺いをしたい。   〔委員長退席、理事案納勝君着席〕
  106. 玉野義雄

    説明員(玉野義雄君) 料金につきましては、お尋ねが、いつ、どこで、だれからあるかわかりませんので、すべての方から質問その他お尋ねがあったときにお答えできるようにするということになってまいりますので、設備はすべての方にできるように設備すると、こういうことが必要だろうと思いますが、それから、そのほかに、あらかじめ契約をいたしまして、料金内訳を毎月欲しいという方には、別に料金をいただきまして、それで差し上げるというふうにしたらどうかと、まあこういうようなことで考えておるわけでございます。それで、中身をどういうふうにするか、こういうような点もございますし、それから、いわゆるそれの通信の秘密といいますか、この保持の問題もございますので、なおいろいろ関係方面の御意見を伺いながら検討しておるという段階でございます。
  107. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 ちょっと、ようわからぬのですがね。一兆円をかけてそういうやり方をするということが、総裁も公表しておられるわけだから、その概要というのは中身はどういうふうにするのかということが非常に大事な問題になってくるのでお聞きをしているわけですが、これ技術的な問題が若干絡むと思いますので、もう少し御報告をいただきたい。
  108. 山口開生

    説明員(山口開生君) お答えいたします。  ただいま先生御質問ございました詳細記録のシステムの内容につきまして少し説明さしていただきますが、御承知のように、私どもがただいま電話サービスしております交換機にはステップ・バイ・ステップ方式とか、あるいはクロスバー方式とか、最近に新技術として導入しております電子交換方式とか、こういった大まかに言いまして三種類のシステムがございますが、五十二年度末で全国で加入数が約三千四百を超してございます。この全加入者の方々にいまの交換機のシステムの中で直ちにこの詳細記録をとるシステムをつくるとしますと約一兆円現在かかる、こういう計算をしてございます。  これでは、一兆円というのは非常に膨大な投資でございますので、この投資をいかにしてもう少し低減をしていくかということをいろいろ考えておるわけでございますが、一つには、長期間かけて、長い年月をかけてやっていきますと各年度ごとの投資額は少なくて済むであろうということが一つと、もう一つは、長年月かけますと、ただいま申しましたような新しい電子交換機がだんだん導入されていきまして、この電子交換機を用いて詳細記録システムをつくりますと、その他の、たとえばクロスバーとか、あるいはステップ・バイ・ステップ方式でやる場合に比べまして大体七割ぐらいの投資でできるんではないか、こういうふうに大まかに推定をしてございます。  長年月かけていきますと、いまのステップ・バイ・ステップ方式とか、あるいはクロスバー方式が耐用年数もございますし、やがてはそういった交換機が電子交換機に変わっていく時期が十年なり二十年の間に来るということも想定しております。したがいまして、こういうものを電子交換機の導入を主体としてやっていけば一兆円も要らないだろう、ただいま言いましたように約七割ぐらいでできるんではないか、こういうふうに思っております。  なお、これは一般的な話でございますが、わが国の電気通信の技術というのは非常に進んでおりまして、特にコンピューター関係とか電子部品につきましては従来も非常にコストダウンが図られてきておりますし、今後も長年月を見通しますとこういったもののコストダウンというのは十分に予想できることでございますので、そういうものをあわせ考えまして、できるだけコストダウンを図りつつ交換機の更改も兼ね合わせて、こういった先生のおっしゃったシステムをつくっていきたい、こういうことでございます。
  109. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 ちょっと、なかなか私が思うような説明がいただけないんですが、私ども素人にわかる方法として、今度公社がおとりになろうとして発表されたやり方というのは、素人わかりのいいように私が理解していることを言いますから、大体そうやったらそうやと答えてください。  全加入者を対象にして、通話ごとに発信者それから着信の相手の電話番号、それから通話時間、この情報をキャッチしてこれを取り出す、この情報電話料金明細処理センターに送られる、これは全国に何カ所かのセンターがあってそこへ送られる、これが送られてコンピューターに入れられるわけですが、その入れられたものを局別、月別、加入者別に分けて、そうして磁気テープに記憶させる、これを何カ月か保存する、そうして得られた度数情報は料金局に送られて従来どおり請求される、そのうち明細要求のあった利用者に対しては磁気テープからその部分を取り出して印刷をして、そうしてその明細書を発行する、こういうシステムになるということをちょっと理解をしたわけですが、そういうことですか。
  110. 山口開生

    説明員(山口開生君) 先生がおっしゃいました大体そのとおりでございますが、内容の、たとえば時刻とかあるいは番号とか、そういった点につきましては、要するに取り出す情報内容につきましては今後検討すべき問題であろう、こういうふうに考えておりますが、システムの内容はそのとおりでございます。
  111. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そんなことはいいんだよ。やり方というのはそういうことになるんですね。
  112. 山口開生

    説明員(山口開生君) さようでございます。
  113. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで何というか、明細書を出すようにする、すると言うけど、実際にどういう管理をしてどういうやり方でやるのかということがちょっと私どもわからないから、それで素人だからわかるようにと思っていろいろ工夫をして勉強をしたわけですけど、ほぼそういうことなんですね。  そこでちょっと具体的にお聞きをしておきたいんですが、そうしますと、いまのやり方でいきますと明細処理センターというものが要るわけですね、全国に、全加入者対象なんですから。どのくらいつくる御予定ですか。
  114. 山口開生

    説明員(山口開生君) 現在まだその処理センターを全国に何カ所つくるかということについては決めておりませんが、やはりある程度まとまって電話局の相当数を一カ所で処理できるような形に持っていきたい、このように思っています。
  115. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 何カ所というのはまだ決まっていないんですか。
  116. 山口開生

    説明員(山口開生君) はい。
  117. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで、この記録をやるわけでしょう。処理センターでコンピューターに入れて、それで磁気テープに記憶させるわけでしょう。これは記録方式というのもいろいろあるらしいですね。どういうテープ、いわゆる磁気テープと言われているやり方をするのか、どういうやり方をするのか、これはどうですか。いや、ちょっと後の質問に関係があるんで聞いておきたいんです。
  118. 山口開生

    説明員(山口開生君) 記録する方法にはいろいろと、ドラムだとかテープだとかございますけれども、現在まだどちらでやるとも最終的に決めておりませんが、恐らく大量のデータをとっておくとなりますとテープになろうかと思っております。
  119. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで、さっきのやり方でいきますと、磁気テープに記録さしてそれで一定期間保管するわけでしょう。どのくらいの期間保管する御予定ですか。
  120. 玉野義雄

    説明員(玉野義雄君) 保管の時期については、いわゆる苦情の関連等ももう少し調べたいと思っておりますが、アメリカ等でやっておりますのは大体六カ月程度保管しておりますので、その辺を参考にいたしたいと考えております。
  121. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうすると、六カ月記録さして磁気テープで保管しておく、その後利用者から明細書の要求があった場合には取り出して明細書を上げる、それは有料サービスですか、無料サービスですか。
  122. 玉野義雄

    説明員(玉野義雄君) そういう明細書を毎月欲しいという契約をなさる方につきましては、有料で差し上げるというふうに考えております。
  123. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうすると、料金の明細書をもらおうと思ったら、料金の上に手数料を何ぽかつけてお金を出さないと明細書がいただけないというやり方になる、こうなるんですな。そうすると、そういう毎月欲しいという御希望というのは大体どのくらい要望されるというふうにお考えになっていますか。
  124. 浅原巌人

    説明員(浅原巌人君) お答えをいたします。  まだすべてそういう問題これから検討しなければわかりませんし、実際に実行してみなければ、料金を幾らにするか、あるいは内容をどういうふうにするかということによっても違おうと思いますけれども、いままでいろいろアンケート調査等をやってみました経験から押しますと、料金にもよりますけれども、数%から一割ぐらいじゃないかという感じだけは持っております。
  125. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうすると、これはまあ時間の関係があるから余りゆっくりしていられないんだけれども、数%から一割近くと、まあほぼ五%ということになったら一日当たり各センターが、センター幾つ置くか決まってないというからちょっとわかりにくいけれども、もし五%ということになれば百七十万台ですか、百七十万台ですね、五%で。これ十カ所にもしセンター置くということになると、百七十万人の人に明細書を出すということになれば一日大体四千件、四千件になりますね、十カ所のセンターでやるとしたら。これ相当な事務量になりそうですね。そんなことはどういうふうに考えておられるか。  ちょっと続けて言いますわね。まとめて。それで先ほどもお話があったけど、一挙にやれば一兆円と、漸次やればというふうなことですが、公社の方でおっしゃっておられるのは大体十年以上かけてというふうなことをおっしゃっておられるようですから、どのくらいの年限の導入期間を目途としてお考えになっているか。
  126. 浅原巌人

    説明員(浅原巌人君) 先ほどからちょっといろいろ申し上げておりますのは全部検討中のプロセスの議論でございますので、変わり得るという点もあり得るということで御理解をいただきたいと思いますが、最初の事務量の問題も同じでございまして、私ども実は先生がおっしゃいますほどの計算をまだいたしておりません。したがいまして、申しわけありませんけれども、そこまで詰めた御回答を申し上げるだけの資料を持っておりませんのでお許しを願いたいと思います。しかし、いずれにいたしましてもそれなりの事務量はあろうということは当然だろうと思います。  それからどれぐらいの期間ということでございますが、これも十年あるいはそれ以上の期間を相当にかけてやっていかなきゃならないということは、やはり先ほどから施設局長お答えいたしましたような交換機の取りかえの計画などもよく見ましてやっていかなければなりませんので、いまのところまだはっきりしためどを持っているわけではございません。
  127. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 大体まあ余り細かいところは詰めてないというふうに理解をいたします。  そこでもう一つだけ聞いておきたいと思いますのは、さっきもお聞きをしたら、全加入者を対象にしてやるんだとおっしゃったですね。で、利用者の側が磁気テープなどに自分の発信は記録してほしくないという利用者も出てこようと思うんですね。で、こういう利用者の記録を、そういう御希望の利用者に対しては記録はとらないというやり方をおやりになりますか。
  128. 浅原巌人

    説明員(浅原巌人君) 私ども最初に申し上げたかと思いますけれども、この問題を詰めていく観点でいろいろ御意見を承りながらやっていきたいと思いますので、いまのような点につきましても十分に参考にさせていただきまして検討させていただきたいというふうに思っております。
  129. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうすると、それも決まってない。
  130. 浅原巌人

    説明員(浅原巌人君) はい。
  131. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 決まってない。これは当然利用者の権利ですから、とってほしくないという人の権利というのは保障されるべきだと思うんですけどね。これは追ってまたそういう論議も出てこようかと思いますが、そういうものは当然保障しなきゃならないというふうに思います。  で、料金の明朗化を要求するというのですか、そういう国民の声が非常に高かったわけですが、公社が今回の明細書の様式を発表されましてからは、一方で非常に重大な問題があるというふうに世論も言われ出しております。その一つはプライバシーの侵害、通信秘密の漏洩のおそれがある。もう一つは膨大な財政投資という問題でございます。特にさっきちょっとお聞きして思ったんですが、一兆円かけて全加入者にその金を負担させるわけでしょう。で、希望者にだけ有料で明細書を渡すと、こんなのはちっとも加入者にとってはサービスの向上になれへんわけですよね。だって、請求書の明細くれ言うたら、そんなら金出しなさいいうて金取られると。で、その明細書をつくる装置は全加入者に負担をしてください、そんなあほな話ね、加入者に対するサービス一つもなくて、文句がきたら、何を文句を言うかと、こういうようにちゃんとなっとるんやいうてやね、公社が開き直って苦情に明確に物を言えるというためにだけやないですか、これやったら。ちょっと不細工な話やなあと思うんですよ。いやいや、ちょっと待ってください。そういうことですがな。しかも、世論でも問題になっておりますように、重大なプライバシーの侵害のおそれ、通信秘密の漏洩のおそれ、そういう問題があるということが非常に声が大きくなってきています。さっき私何でどういうやり方するかいうて聞いたかといいますと、その通話の詳細記録ですね、磁気テープにちゃんと皆記録させるわけですから、それが万一漏れて交友関係や商店のセールスマンのお得意先の調べだとか、特だねのニュースソースの解明などに使われたら大変やということが、これは報道関係者の中でも大変問題になっている。そこでちょっと具体的に聞いておきたいんです。そないなったらどうなるんやという数点を聞いてみたい。  一つは、まず私どもが仕事をしております国会ですよ。議員会館の各室の明細は一体どこへ行くんか、一括して国会へ行くんか、どないなるんやと、まずそれですわ、どないなります。
  132. 浅原巌人

    説明員(浅原巌人君) どうも大変個別的なお話で、ちょっと議員会館の電話の加入名義その他がどういうふうになっているか私把握をいたしておりませんけれども、私どもの常識として考えておりますことは、先ほどから申し上げておりますように、明細書を料金をいただきましてお送りするのは、これはあらかじめ御希望がある方でございます。それで全加入者に設備をするということは、やはりどなたからお問い合わせがありましても御返事ができるようにしておくということが一つございます。それからその場合に、確かにお問い合わせがあった場合に、もうこれがだれでも聞いてきた場合にだれにでも返事をしてしまうというようなことになれば、いま先生が御指摘のような問題があろうかと思いますけれども、そのお問い合わせがあった場合にはやはり……
  133. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 あれこれ言わぬでいいですわ、あれこれ言わぬで、一つずつ聞くから。
  134. 浅原巌人

    説明員(浅原巌人君) はい、ちょっと済みません。  しかるべき加入者であるということを確認する方法を講じまして、で、お返事をするようにするのが当然であろうというふうに思います。いまの議員会館の場合でも同じであろうというふうに思います。
  135. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 だから、議員会館の各室の電話というのは加入者は国会でしょう。そうでしょう。だから、明細書を出すということになったら、国会へ一括して行くということになるわけですね、ちょっと考えたら。そうでしょう。  そんならもう一つ聞きますがね、本人以外の者が明細書を請求した場合ですね、その本人かどうかという本人性の確認というのはどないしますねん。
  136. 玉野義雄

    説明員(玉野義雄君) 大変具体的な御質問でございますが、プライバシー関係につきましては、そういう具体的な場合も想定しながら関係当局とも打ち合わせしてまだ検討中でございまして、なかなか明確にお答えできないと思います。
  137. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いや、違うがな。そういう場合はどうなるかいうて聞いとるんです。
  138. 玉野義雄

    説明員(玉野義雄君) ですから、これは本人以外の人には渡せないと思います。常識的にはそういうことになると思います。
  139. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そんなのんびりしたことでこんな重大問題やられたらたまったもんじゃないです。本人以外の者が請求に行った場合に、   〔理事案納勝君退席、委員長着席〕 それが本人なのか本人でないのかという本人性ですね、どないして確認しますか。できるか、できないかというんだよ。
  140. 玉野義雄

    説明員(玉野義雄君) これはいろんなやり方がございまして、たとえば印鑑証明なんかをもらいにいく場合には身分証明書を持っていくとか、こういうこともございますし、それから運転免許証を持っていくとか、こういうこともございますし、いろんなやり方が私はあると思っております。
  141. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうすると、請求書を請求する場合には印鑑証明を持って、そのうちに戸籍謄本を持っていかんならぬようになるかもわからぬ。そないしちめんどうくさいことをやって、金を出してまで請求書をもらうんやったらやめやということになりまっせ。  まあその話は別として、もし間違って他人に明細請求書を渡した、その誤りがあった場合の責任はどうします。
  142. 玉野義雄

    説明員(玉野義雄君) 個々の問題については先ほども申し上げましたように検討中でございまして、この場合にどうとかというところまでまだいっておりませんので……。
  143. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 検討中って、あんた……。
  144. 玉野義雄

    説明員(玉野義雄君) その辺は検討の上で決めていきたい、こういうふうに思っております。
  145. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いや、それは責任問題を伴いますからね、そういう点ははっきりしてもらわにゃいかぬのですよ。だからまだいま答えられないというんだったら、それは重大な検討課題にしておいてもらわにゃいかぬのです。  それから、さっきもちょっと触れましたが、事業所や団体の場合に明細書は責任者のところに行くのですね、加入者である団体や事業所の責任者のところへ。そしたら、これは新聞社その他マスコミ関係だったら、大体全部会社の責任者のところへ一括して明細書が行ったら、その気になって調べりゃ取材源の秘密保持というのはこれは保障できませんわ。もっと卑近な例で言うたら社宅だとか寮だとかいうところも、あるいはアパートで一台しかないというようなところ、そんなもの、明細書を請求しててみんな事業所や団体責任者のところに行くということになったら、これらの個人生活の秘密の保持というのですかね、そういう基本的人権にかかわる部分はどういうふうに保障するか。もしそのことによって何らかの事故が起これば、その責任はどのようにとるのか、そこら辺もはっきりしておかなきゃいかぬ点ですが、どうですか。
  146. 玉野義雄

    説明員(玉野義雄君) その辺も含めまして検討させていただきたいと思います。
  147. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 えっ。
  148. 玉野義雄

    説明員(玉野義雄君) そういういろんな問題を含めまして検討させていただきたいと思います。
  149. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 何にもまだやってないというわけですな。しかし、そういう危険が起こりますよ。重要な問題点として検討課題に加えてください。  それからもう一つ聞きますが、たとえば磁気テープの盗難、それから磁気テープをコピーするというようなとの防止、盗難の保障とかコピーをされるというようなことを防げるという保証はありますか。
  150. 玉野義雄

    説明員(玉野義雄君) その辺につきましてもまだただいま具体的にいろんな方法を検討しておる段階で、まだお答えできる段階ではございません。
  151. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 問題になるようなところ、皆言うておきますわね、何にも検討してないというんだから。  もう一つは、コンピューターを導入するということになるでしょう。コンピューターの違法な利用のチェックですよ。これができるかどうか、これは非常に問題なんですね。まず、簡単にできませんわ。世界的に見ると、コンピューターの——これはコンピューターの違法な利用というのは外の人間はできないんですね。操作員ですよ。中で仕事をしている人の故意による違法な利用になるんですから、外からあれ、簡単に入れるようになっていないですからね。世界的に起こっている事故というのは九〇%までは組織内、中で仕事をしている人の事故ですよ、故意による事故ですよ。これがチェックできるかという問題です。たとえば、国際的な違法な利用のいろいろな犯罪事例を見てみますと、操作員がコンピューターを操作して、金融機関なんかやったらうまいこと幾つかのやつが自分のあれですか、キャッシュカードに入るように操作しておいたら、そのコンピューターの操作で、すうっと自然に入っていくわけです。うまいことなっているわけですけれどね。そういうことだって現にあっているわけですね。あるいは特定の人のやつを全部キャッチしょうと思ったら、中の操作員が一つのナンバーを他人にはわからないように全部集められるように操作をしておいて、集めようと思ったら全部集められる、こういう事故も起こっているわけです。これ、防ぎようないんですよ。こういうことの操作員、特にコンピューターの違法な利用によって起こる事故についての責任はどのようにおとりになるのか、これも重大な問題点なんですが、これはどうですか。
  152. 玉野義雄

    説明員(玉野義雄君) その辺も重大な問題でございますので、私たちもまだ検討中でございまして、まだいまお答えできる段階ではございません。
  153. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 何にも調査してないですな、検討してない。  それでそういう状況なのに——私、そうするとちょっと不思議に思うんですよ。たとえば「エコノミスト」の十月の三十一日号ですか、あれで秋草総裁の対談が記載されておりますが、あれ拝見するとこういうことが言われているんですね。「家庭の問題もそうですけれど、警察の捜査に利用され、それが必要以上に人権を侵すことになる。」という場合どうだと、秋草総裁は、「警察の捜査令状がでれば、われわれとしては、これを拒みにくい。」と、こういう発言をしておられる。きわめて重大だと思うんですね。何にも——いまちょっと私、まあ幾つか、ほんの幾つかの疑問点、これをただそうとしたら検討してないと皆言われたでしょう。にもかかわらず、警察を初め、公権力の介入の問題については「警察の捜査令状がでれば、われわれとしては、これを拒みにくい。」と、こんなことを言われるというのは、私、大分総裁だけぽんと何歩も飛び上がって物を言っているような気がしてしようがないですね。何を根拠にしてこういう発言されました。
  154. 秋草篤二

    説明員(秋草篤二君) この内訳書の問題は、国会の世論それから世間の世論、いろいろこう考えまして、私たちやりたいと踏み切ったわけでございますが、いまいろいろ先生から御指摘のようなプライバシー問題につきましては検討しなくちゃならぬ問題あります。電電公社の事業というものはどだい、日夜、通信の秘密の中で全職員が生活しているようなものでございまして、したがって、いろいろな厳正な法律の規定も、お医者さん、銀行屋さん、通信屋というものは特別な処罰を受ける規定になっております。日夜、人の話だって——これは通話の度数じゃなくて、人の話でも聞ける仕事をしておるわけでございます。したがいまして、もしそういうものに触れた場合には、これはもう容赦なく私どもはいままで処罰しております。したがって、新しい私は通信の秘密の問題が従業員に降りかかってくるとは思っておりません。ただ一層この問題につきまして、いろいろな取り扱いにつきまして厳正にしなきゃなりませんけれども、ひとつ御了解いただきたいことは、こればあくまで苦情からきた問題でございまして、全部の加入者に紙を配るわけではございません。恐らく私は電電公社は信頼する、しかし内訳書は欲しいという人もこれは中にはあるのです。経理のいろいろな分計などのために。しかしいまの問題はやはり苦情処理を究極までいきますとどうしてもここに……
  155. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 その話、聞いてないからそれは後でまた聞かしてもらいますから……。
  156. 秋草篤二

    説明員(秋草篤二君) それで先生がおっしゃった——じゃ、はしょって申しますけれども、いまでも電電公社に対しましては、人から頼まれてもこの電話おかしいからひとつ探ってくれとか逆探知してくれとか、だれからかかったのか教えてくれと——断じて教えません。これはもう大変なことでございます。ただ警察が来て、捜査令状を持ってきて、どうしてもこの人は捜査上必要なんだから電話局長協力せい、と言われれば、これはいままでの法制局の法的見解からいってこれには従わざるを得ない、そういうことになっております。それ以外には絶対に公社で自主的には判断はできません。ですから、捜査令状——国の公権力でわれわれに命令をされれば、これには従わなくちゃならぬということは、もう私は従業員にもよく言っております。それ以外には絶対秘密というものは守らなきゃならぬということでございます。
  157. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それはわかっとるんですわ。それを何を根拠にしておっしゃいましたかいうて聞いとる。
  158. 秋草篤二

    説明員(秋草篤二君) これはいまから十数年前に吉展ちゃん誘拐事件がございました。そのときに、警察から捜査に協力してくれと、社会問題で日夜市民を非常に心配させた、そのときに、法制局の見解が出まして、いま残しておりますけれども、必要があれば後で担当の者が御説明申し上げますけれども、それから私たちはそういうことを決めております。それ以外は絶対にわれわれは、どんなに個人から依頼されても、偉い人から頼まれても、絶対にそういうことはいたしません。
  159. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それは、頼まれても言わぬというのはあたりまえでっせ。言うてはいかぬということは、憲法でも法律でも決めてあるんですから、それはあなた、その法律を守って事業を運営しなきゃならないんですから、絶対言うちゃいかぬですよ、それは。私はそんなことはもう理の当然だから聞いてない。ただ、「エコノミスト」でおっしゃったように、捜査令状が出ればわれわれとしてはこれを拒否しにくい、こういう発言をしておられるのは重要だと私は思っておるんです。だから、法的には何を根拠にしてそうおっしゃったかということをちょっと聞きたいと思ったんです。というのは、郵便法九条ではちゃんと例外規定というのがあって、いわゆる刑事訴訟法が出ておるわけですね。で、公衆電気通信法の第五条の「秘密の確保」というところでは、これは何でか知りませんが、ないんですね、これ、刑訴法は。これはあんたのとこの郵政省官房文書課監修の郵政六法だから間違いないやろう思うんですけれどもね、ないんですわ。だから、秋草総裁は公衆電気通信法に基づいて仕事をお進めになっておられると思うんですよね。ところが、ああいうお話をなさっておられるので、何を根拠にしてああいうことをおっしゃったんですか、といってちょっと聞いているわけですわ。
  160. 西井昭

    説明員(西井昭君) ただいま先生がおっしゃいましたとおり、公衆電気通信法におきましては、公社の「取扱中に係る通信の秘密は、侵してはならない」ということと、それから、一方、いわゆるそれに伴いますいろいろな規定がございますが、総裁が申し上げましたのは、御存じのとおり、刑事訴訟法の百条によりまして、いわゆる被告人に関する郵便物とか通信関係の書類は、裁判所がこれを差し押さえることができるという旨の規定がございます。したがいまして、そういう意味で、裁判所のそういう令状が参りましたときには、刑訴法に基づいて公社はそれを受けざるを得ないのではないかと、こういう趣旨の発言でございます。
  161. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 法律的には、郵便法にはそういうふうになっているんですよ。公衆電気通信法では例外規定という形になっていないので、私は恐らく、刑訴法百条ですね、郵便法で例外規定として、通信の秘密保持の例外規定として刑訴法の百条というものがあるので、だから公衆電気通信法もそれを準用してああいうふうにおっしゃったのかと思ったんですが、そういうことですか。何か私が説明せぬなら一つもわからへんような話ばかりで困るんですがな。そういうことですな。郵便法やったら余り気にならへんわけ。電気通信法には、さっきも言うたようにこの郵政六法には書いておらへんですよ、例外規定。
  162. 寺島角夫

    説明員(寺島角夫君) 郵便法は所管外でございますが、私どもちょっといま手元の郵政六法で郵便法のところを見ておるわけでございますが、第九条にはそういうことはこれには書いてないわけでございます。念のために読み上げますと、第九条「郵政省の取扱中に係る信書の秘密は、これを侵してはならない。」、「郵便の業務に従事する者は、在職中郵便物に関して知り得た他人の秘密を守らなければならない。その職を退いた後においても、同様とする。」、以上でございまして、これは公衆電気通信法の規定とほぼ同様でございます。
  163. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それはあんた何年のを持っておるんでしょうか。
  164. 寺島角夫

    説明員(寺島角夫君) 五十三年度版でございます。
  165. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これは五十二年度版か。そんなら変わったんかい。では毎年変えてるのか。そんなはずはない。いや、そこが重要ではないんですがね。私はやっぱり憲法二十一条の二項を受けて制定されている郵便法の九条、公衆電気通信法の五条というのは、きわめて重要だと思っているわけですよ。そういう点で例外規定の扱いという問題も重視しなければならないと考えています。  で、いまお話に出たように刑訴法百条について、いわゆる「郵便物の押収」のところで「裁判所」——これはあんた、一般国民違いまっせ、「裁判所は、被告人から発し、又は被告人に対して発した郵便物又は電信に関する書類で通信事務を取り扱う官署その他の者が保管し、又は所持するものを差し押え、又は提出させることができる。」と、これは被疑者、被告人ですよ。被疑者であり被告人の場合でもこういうふうに、その「被告人から発し、又は被告人に対して発した郵便物又は電信に関する書類」、これは電報ですわな、そういうふうになっておるわけですが、この「電信に関する書類」という中では磁気テープのようなものも書類として考えられるのかどうか、含まれていると理解するのかどうかという問題かかってくるんですよ。それで私、秋草総裁ね、余り飛躍したことを言うと憲法違反になりますぞ、と言いたくなるんだな。検討されてないんだから、そういうさっきの話全部聞いたら。私、総裁は大きいことを言えないと思うよ。一つずつお聞きしたら、まだ検討していませんと言っているんでしょう。これ、もし電信に関する書類というその書類、従来ですと電報ですよ。あるいは、従来電話の中では市外電話を手動でやっているときの交換手が書いたその書類ですね。これに決めたときの時代から言うたらそうですかな。そういうものを含めて書類と言うていたわけですよ、法律解釈見たら。そうでしょう。だから、磁気テープのようなものも書類というふうに理解をしてそういうふうに総裁はおっしゃっておられるのかどうかと、厳密に言うたらそこになるんですよ。どうなんですか。
  166. 西井昭

    説明員(西井昭君) ただいま先生のおっしゃいましたとおり、この刑訴法の百条の解釈というのが具体的にどういう範囲でどこまで及ぶかといいますのは、いわゆる通信の秘密等との関連で非常にむずかしい問題がたくさんございまして、公社だけの判断ではとてもできない問題でございますので、郵政省を初めその他関係のしかるべきところと御相談をさしていただきまして、どういうふうに対処するかということを、まあこの料金内訳サービスについてはこれからそういう方向で対処してまいりたいと、このように考えているところでございます。
  167. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 あなたのところ、しかるべきところというのは、私、委員会で他の委員の御質問のときに聞いておるのでは、法制局と御相談を申し上げてと言うていたんで、法制局にどない相談してどない指導したいうて聞きましたがな。そんなら今週の月曜日に郵政省電気通信参事官が法制局へ来たと、内閣法制局の郵政担当の方がおっしゃっているんですよね。それでプライバシーの問題が国会で問題になっているからどうだろうかというような相談に来たと。で、法制局は具体的にどのような制度になるのかということがまず前提だと。で、そのこともはっきりせぬと、そない通信の秘密やプライバシーに触れない運用をするといったってどないしていいやわからぬと。やり方では触れる場合も出てくるから具体的にしないと詰めた話にはならぬという段階なんですね。それで私はもうこういうことで、あんたのところ余り熱心に関係方面とも詰めているというふうにも思えない、詰めようがないわな、一つずつが何にも具体的に部内で検討されてないんだから。で、そういう段階だから特に言っておきますが、刑訴法の百条、これにつきましては法律学者の中で、特に刑訴法の大家でありますいまの最高裁判事の團藤重光さん、この人の見解では、被告人でさえも百条によっては、被疑者発着の郵便物を無条件に差し押さえの対象とするのは、憲法二十一条の通信の秘密の保障に反する、疑義を生ずる、疑いがあると。というのは、被疑者のところから出す手紙あるいはそこへ来る手紙、まあ電話なら特にそうですよね。それはあんたその事件に無関係の人たちの多数がおるわけですから、その人たちの人権を侵害するということになるおそれがあるというふうに言われておりますし、京都大学のやはり刑訴法の大家である平場教授もそういった観点からこれは違憲だという論も立てておられるといほど問題の多い法律でございます。ですから、特に私はこの際申し上げておきたいと思いますのは、来年度の予算の都合もあるので、この方法を採用するということについて十一月中に決定をするというふうに見解を表明されておるようですけれども、そういうことをどうします。このままで十一月にやるというようなことを決めるんですか。
  168. 玉野義雄

    説明員(玉野義雄君) 私の方は先ほども申し上げましたようにいろいろ問題が多岐にわたりますので、検討事項が多くていろいろ検討しておる段階でございまして、まだいろいろな問題結論が出ておりませんし、十一月中にそれができるというふうにまだ決めておりません。
  169. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで、利用者の要求というものを逆手にとって、いや間違っておると、ちゃんとこないなっていますぜと言えるというためだけのような印象を持てるようなやり方を、これは私絶対いかぬときょう言うているんじゃないですよ。しかし、そういう苦情に対処するということを前提にしながらも、きわめて重大な憲法の通信の秘密あるいは関係法令でも基本的人権が侵されるというような重大な問題の中に飛び込むようなやり方というのは、これは拙速にやるべきではないと思うんですよ。十分これは慎重に検討し、国民の皆さん方の御検討をいただくという課題を持っておると思うんですが、そういう点で九月の六日でしたか、郵政大臣と総裁とがお話になって早うやろうということになったようですけれども、ひとつ大臣と総裁の御見解をこの際お伺いをしておきたい。
  170. 秋草篤二

    説明員(秋草篤二君) 加入者からのいろいろな苦情処理に対処するためにはどうしても内訳書というようなものを出さなくちゃならぬ、その明細の中身をどうするかという点はまだまだいろんなやり方がございます。これも通信中身はもちろんわかりませんけれども、相手の局番まで全部出るということまでこちらでするかどうかというようなこと、たとえば対地だけにするか、ここまでぐらいしなければどうしてもこの問題は解決ができない。まあそういういま先生からいろいろと貴重な御所見なり御質問をいただきました。これなども十分参考にしまして、要はやっぱり通信の秘密というか、プライバシーに関係しないような、できるだけそういう問題に触れられないようにやっていくというにはどこまででいいかとか、それから法制上の問題もございます。そういうものも十分検討をして、私たちはやっぱりこれだけ世間でいろいろと苦情も多うございますから、これからきめの細かいサービスとして苦情にたえていくにはどうしても設備だけはそういうものをつくって、そして電電公社に苦情を言うわけじゃないと、中身をレギュラーに毎月報告を送ってくれという人は、これはもう余り心配要らないと思いますけれども、いろいろの点がまだございます。そういう点を慎重に配慮してやはり静かに進めていきたいというのが私どもの決意でございます。これは来年度予算にもちょっと間に合わないと思いますから、実行するならば五十五年度から、設備の設計等もやっぱり一年ぐらいかかりますから、そのぐらいで長い期間をかけてやれば経済的な負担も非常に少なくて済むだろう。なかなかこの点は一年来ずっといろいろ世論あるいは国会でもそれぞれ御質問を受けまして非常に気が重かったんですけれども、やはり大きな金がかかるということとプライバシーの問題があるということで非常に気が重かったんですけれども、やっぱり大臣からも何も一急いで一年や二年でやらなくても、十年、二十年かけてゆっくりやって、片方の電子交換機も進めるということでやればいいということで私は非常に感銘を受けたわけですので、ひとつやらしていただきたいと思います。  それから、またいろいろ実行の上におきましては、国会等でもいろいろの御所見をまたいろいろ承りながらやって、慎重を期していきたいと考えております。
  171. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 公衆電気通信サービスの提供に際しましては、通信の秘密保護及び通信に関するプライバシーの保護につきましては慎重かつ厳正な配慮が必要なことは申すまでもございません。料金明細サービスの実施に当たりまして、料金明細書にどのような事項を明細するかの問題はありますが、どのような事項を明細するにいたしましても通信の秘密確保につきましては、関係法の規定するところに従い万遺漏なきを期するとともに、プライバシーの保護に努めねばならない。御指摘の問題でありまするが、九月に総裁といろいろと事務打ち合わせの際に、国会を通じて、まるでお茶屋の請求書のようなことは、いやしくも公共企業体の電電公社の請求は許しがたい、実情がわかるかという意見が続出したことも御承知のとおりでございまして、私はどうだと、もうそろそろ、やはりこういった苦情がどんどん続出すると公社の信用にも影響することであるから、急激な投資は一般電気通信サービスの低下につながると大変なことであるから、長期的計画で考えてみたらどうですかと、そこでお聞き願いたいことは、先ほど申し上げているとおりに、通信の秘密、プライバシーの保護、これは絶対守らねばならないことであるから、十二分に検討を加えて、関係機関並びに関係者の意見を十分に聞いて、そういう問題が起こらないように万全の措置を講じながらこの問題に取り組んでもらいたいということを強く要請いたしましたので、ただいまの玉野総務理事が検討中です。検討中ですと言うのもこれは無理はないんです。それほど厳しくプライバシーの保護、秘密の漏洩で私が強く指示した結果でありますので、どうぞこの点は、いまここでどうします。こうします。基本的に通信の秘密とプライバシーの保護は絶対いたしますと、これはもちろんこれを破ってはいけません。だから、その点は十二分に御理解を賜りたい、かように存ずる次第でございます。
  172. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それはもう非常に重要な問題ですので、絶対慎重にやりますと、絶対守りますという言葉は、それはそう言うてもろうてあたりまえなんで、その保障の問題ですね、その保障の問題をどうするんだということを先ほど私はお聞きしたんで、そういった点について幾つかの事例を挙げただけでございますから、全面的にひとつ検討いただきたい。  それから、関係者とも十分相談をしてというが、関係者というのは三千五百万台の加入者が最も大事な関係者なんですよ。だから、関係者の意見を十分聞くというのは、そういった点をやっぱり考えていただくということを特に御要請申し上げたい。そして、やっぱり利用者の苦情について対処していくサービスの態度というものについて、何か独占企業やから自分のところ決めたらとにかくそれで突っ走るんやということでなしに、私はやっぱりいろいろ考えるべきだと思うんです。で、利用者の側での不満というのは、あなたのところの調査を見ても、やっぱり文句というのは料金がわからぬというて、この電話かけたけれども何ぼやわからぬと、地方へかけてもね。そういうすぐにわからぬという問題が、何しろわからぬというのが一番——料金がわからぬというのと、料金の内容がわからぬということが常に不満としてあるわけですよね。そういう点で、おたくのデータのあれでも、やっぱりその辺の料金即知というんですか、そういう御要望というのは非常に高いですね。そういうことがたまりたまって明細書をきちんと出せと、こうなってくるんですよ。あたりまえですわな。加入電話の一〇〇番の利用も大変多いですね。それのあなたのところの調査でも六七%は料金を知りたいからかけていると、こういうことがあるわけなんで、私は国民が明朗な電話料金にしてほしいと、料金の苦情のないような明朗な、納得のいく解決方法というものについては、いまお考えになっている明細書、全加入者対象でやるというふうなことだけで、膨大な金かけてやるというだけではなくて、たとえば電気やガスや水道のように、加入者自身が、利用自身が目で見られるように、度数計というようなものというのですか、メーターを自分の目で見られるような装置もつけていくというようなことも考えるべきだと。現に民間ではすでにやられているし、そして諸外国でもイギリスとフランス、西ドイツ、スイス、スウェーデン等は十年以上も前からやっているというのはもう御承知のとおりだ。もっと大事なことは、あんたのところの研究所でももう十年近く前にちゃんと開発をされている。商品化する一歩手前まできている。商品化したらええというところまできているんです。こんなもの、その資料くれと言ったらそのせっかくの論文をよこさぬのですな。その大事な自分たちが研究したりっぱな成果、こんなものを国会議員が要求してもどうして出さぬのか、もうわけわからぬのですけれどもね。大事な成果ですよ。そういうものも十分活用して、これはいろんな形で利用者の不満に対処していくということがきわめて大事だというふうに思うんです。一つだけにこだわるというやり方ではなくて、そういうやり方というのをひとつ考えていくと。これは、私どもの調査ではすでに公社はりっぱに開発をしておられる。これを商品化して大量化すれば、何もいま民間で言うているように四万五千円も五万円もせぬでも電話機ぐらいの値段でやれるんだと、五、六千か一万足らずでやれると言っているんですよ。全加入者にそれをつけさしたって三千五百億ですよ。一兆もかからへんのやからね。希望者だけ実際つけたらよろしいがな。いろんな方法があると思うので、利用者の御要望に従ってやれるように、公社としては国民の期待にこたえられるように、そして最も危険な通信の秘密やプライバシーの侵害というようなところに突っ込まなくてもやれる方法もあるわけだから、宅内メーターのやり方だったらその心配は全然ないんだからね。いろんな方法をもっと検討し、国民の前に公表し、国民的な検討の上に立ってやはり国民の期待にこたえる形で対処するべきだと思いますが、その点についての御見解を伺いたい。言いわけせぬと、そいういろんなことの結論だけでいいですよ。
  173. 山口開生

    説明員(山口開生君) お答えいたします。  ただいま先生がおっしゃいました宅内関係の度数計につきましては、こういった委員会でも御質問をいただいておりまして、そのときにも申し上げておりますが、現在各家庭において、家庭の中では、いろいろ環境が厳しい条件の中で、たとえば電話局のように恒温、恒湿とか、そういったことになっておりませんので、その辺まで精度を高めることが非常に困難でございますので、現在宅内の度数計を設置するところまで私どもは考えておらないところでして、諸外国の例もお出しになりましたんですが、私どもで諸外国の例をやはり調べましたところ、宅内度数計については種々問題があるというふうにも聞いておりますので、そういった点踏まえて、現在では宅内度数計で御納得をいただくようなところまで技術的な検討ができていない、そういうふうに御了承をいただきたいと思います。
  174. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いや、それはちょっと了承しにくいんですよ。そんなこと言うたらあんた、宅内のは環境が悪いとかヘチマとか、そんなに言えというてあんたのとこの応待等の手引にも書いてある。だからそうではなくて、ほんならあれですがな、公衆電話、赤電話はあれはもうええかげんかと言うんです。そんなことないでしょう。やり方一緒ですよ、あんた。あの公衆電話が明確に、正確にやられているんだったら、宅内メーターが何でおかしいことになりますか。技術論争はやる気がないので、そういう点がいま不十分だというふうに言うんだったらそれはそれとして、そういうものも検討課題として国民の期待にこたえる立場をとるかどうか、その点だけ総裁ひとつ……。それで終わらしてもらいますから……。
  175. 秋草篤二

    説明員(秋草篤二君) 宅内メーターはもうすでに自営で、電電公社の認定機種としていろんな方がお使いになっている例もございます。それから広域時分制を始めたときも宅内メーターを使ってみたらどうかということで、そういう要望もあったので、非常に精度としてはいまから見ればちゃちなものでございますが、七千円ぐらいの機器をつくりましたけれども、ほとんど利用する人はなかったということで、私、技術者ではございませんけれども、やはり外国でも一遍使ったけれども、やはりこれを全加入者に制度としてやるということはなかなかいろいろの不便な点もあるし、電気やガスのようなわけにはいかないということでやっぱし中央の、セントラルの交換局に設置して集合装置をつくって度数計をつくるということが一番経済的でもあり、また正確でもあるというのが結論であるということをわれわれは承知しております。しかし、先生の御説もございますから、またその点ももう一遍私もひとつ関係の向きに検討さしてみます。
  176. 木島則夫

    ○木島則夫君 先ほどからの委員会の大臣の御発言を伺っておりますと、ひょっとするときょうの委員会があるいは大臣としての最後の場になるかもしれないというような御発言がございました。そういうことから考えますと、きょうの御発言はなかなか積極的で私も頼もしく思う一人でございまして、これからいたします私の質問に対しましても、ひとつ積極的に大臣の胸のうちを明かしていただきたいと、こういうふうに思うわけでございます。  早速です。郵政省は民放FM局の免許問題について与党との調整を終えられて近々開かれる——本当はきょうであったはずでございますけれど、開かれる電波監理審議会にそのチャンネルプランを諮問して、早ければ年内にも予備免許が与えられるのではないかという取りざたがもっぱらでございます。そこで、郵政大臣が多年懸案とされてまいりました民放FM局の早期免許に踏み切った理由と、民放のFM拡大についての構想を承りたい。できればFMのチャンネルプランの候補地区があちこちの新聞にも載っております。差し支えない範囲で候補地区とその選定理由を聞かしていただければ、電波行政に大きな関心を持っている私どもとしては大変幸いでございます。ひとつ率直に伺いたい。
  177. 服部安司

    国務大臣服部安司君) FM放送につきましては、現在御承知のとおりにNHKは全国的に実施しておりますが、民放は昭和四十四年以来、東京、名古屋、大阪、福岡の四地区においてのみ実施されている状況でありまして、私はかねてから御承知のとおりに、一刻も早くこの魅力ある放送媒体の持つ利益を国民に還元したいとの考え方のもとに努力してまいりましたが、今般中波放送の国際調整の帰趨がほぼ明らかになりましたので、中波混信対策を要しないと認められる地域から、できるだけ早期に民放FM放送全国に普及せしめることを目途に現在鋭意検討中であります。  チャンネルプランの点についていろいろと御質問がありましたが、御承知のとおりに、テレビジョン放送につきましては日本放送協会が全国あまねく二系統の放送を、また民放については北海道、東京、大阪、愛知等の各地方の中心となる都道府県については四以上、これに次ぐ経済力、人口等を有する静岡、長野、新潟の各県については三、その他の地域については原則として二つの放送を可能ならしめてきました。その後、放送事業者の存立の基盤をなす各地域の経済力は着実に向上しており、加えてこれら地域住民の放送番組の多様化に対する要望は一段と高まっていることは御案内のとおりでございまして、このような要望にこたえるために、民放テレビの格差を逐次是正する見地から、現在周波数割り当て計画の修正について検討中であります。そのうち例外地域といたしまして島根、鳥取については相互乗り入れによる三つの放送が行われているわけでありまするが、とにかくやはり御承知のとおりに、テレビ、ラジオともにこれは免許でありまして、しかも免許の時点で決算の報告を義務づけているということは御承知のとおりであります。私はこういった許認可でなくて免許、しかも、ちょっと私はいまでも理解できない、その会社の決算の報告を義務づけるということは、裏を返せば育てなければならない義務も、責任も国も考えねばならないと思うのでありまして、これからチャンネルプラン、特にFMなどは今日まで長きにわたって中波の放送を実施いたしておりましたが、こういった既存の中波放送事業者にも先ほど申し上げたような理由で、著しく経営に脅威を与えるようなことは極力避けねばならない。前回に申し上げたとおりに私はいわゆるFMは一県一波、一県一局、しかし原則であって、どうしても経営困難とみなされるところは話し合いでその近県と組んでいただいてぜひひとつ渡したい、波もあることでありますから。このすばらしい品質のよい放送媒体をこういう意味において僻地の方にも喜んでいただきたい。また今度のいよいよ二十三日の九時一分から周波数の改定がありまするが、この場合の起きた混信対策についても十二分な手当てをしたいと、かように考えていま進めているところでございます。
  178. 木島則夫

    ○木島則夫君 テレビの追加プラン、いわゆるテレビの追加プランまでおっしゃっていただいたわけですけれど、もうちょっと具体的にお答えをきょういただきたいと思うのは、もう業界紙にもそうですし、そのほかの新聞にもどういう対象にどのくらいの局をという対象地区が出ているわけですね。たとえば十一月十六日の毎日には、神奈川、埼玉など六道府県にあるいは電波タイムスあたりでは十数地区を対象にして推測をしているということでございます。電波監理審議会に予備説明をする前でおっしゃりにくい点はわかるんでございますけれど、どうですか、やっぱり電波行政にいたく関心を持ち、その推進に私どもあずかっている者といたしまして、もうちょっと具体的にチャンネルプランを伺えませんでしょうか。そうしますと日本全体の電波行政の中で果たすFMの役割り、そしてその性格を今後どうしていかなきゃならないかという問題もここで当然出てまいります。後ほどテレビの追加プランについても私はぜひお尋ねをしたいんでございますけれど、いかがですか大臣、きょうはひとつ具体的にお示しをいただきたい。
  179. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 木島先生、正直申し上げてね、事務当局とぼくとの調整が、時間的な制約もあってまだ十分じゃないわけなんです。本来ならばきょうの諮問にするはずだったんで、これはもう早い時期におたくの方から十時に参議院の逓信委員会をやるぞという予告を受けたものでありまするから、これはとても監理審議会を延ばしてもらわなきゃ仕方がない。しかも電波監理局長が出席要求があったものですから、急ぎ日延べしてもらったわけでして、だからその間に私たちはまだ正直言って詰めができてないんです。決して隠すわけじゃありません。新聞にも出ているじゃないかとおっしゃいますが、おおよそ私はどこからこういう取材をされたのかなと思う程度のものであって、決して私たち考えているような内容のものではないと言ってもはばからないと思うわけでありまして、したがってきょうこれでやっと衆参の逓信委員会を終わらしていただいて、まああす土曜あさって日曜で、月曜日ごろに夜を徹してもひとつ関係者が集まって長年、長い間きわめて正しい姿で事務当局と私が大変密接をいたしておりまするから、大きな意見の差は出ないと思いますし、またそうあってはならないわけでありまするが、まあ現在のところ、先ほど申し上げたような、言い過ぎじゃないかとおっしゃっていただくほど正直にもう何もかも言うほどの男ですから、決して隠し立てをしているわけではありません。まあ結論的に言って、できる限りどの地域の方々にもこのすばらしいFM、超短波のいわゆる魅力ある放送をお聞き願いたいというのが私どもの基本的な姿勢で、そのために最善の最後の努力を払いたい、かように考えているわけであります。
  180. 木島則夫

    ○木島則夫君 お立場はよく私もわかります。数だけぐらいちょっと教えていただけますか、つまり対象地区。片や六道県というふうにおっしゃっている新聞もあるし、片や十数地区を対象にしているところもございます。そしてその調整がつかない点というのは、具体的にどんなことでございますか。
  181. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 調整のつかない地域というのは、FMに限って現在のところまだそこまで話が進んでいないわけなんです。私は一つでもいわゆる混信の危険のある地域、まあ正直言って私は、混信は今度のCCIRの会議で、いやしくも各国の代表が集まって混信の起きないようなチャンネルプランの調整はされたわけですから、ないと思うんですが、しかし、一応確実を期する意味において、その地域は今度のFMの割り当て対象にならないわけです。ただそれ以外のところで、別段調整を図らねばならないというような問題のあるところはありません。ただ、開局しても経済的に維持運営が危ぶまれるところは何県かございます。それ以外のところ、私は全部還元したいというのが私の気持ちなんでして、私は結局還元は、そういう危険、おそれのないところはばあっと早くやってもらいたいというのが私の心境なんです。こちらの方はどう考えているかこれは別問題ですが、しかし、私が平素から行政の長としていろんな省議に、または電波監理局とのいろんな会合においても、こういった意思表示をしているわけですから、十二分に理解しつつ事務的に進めていてくれるものと思いまするが、ただ私の知識では及ばないような問題のところもあるかもしれません。これは私は素直に聞かねばならないと思うわけでありまして、幸い局長は技術屋で、きわめて有能な方ですから、そういう意見も聞かねばならないと思っておりますけれども、だからいまどの程度なんだと、大体どうなんだとおっしゃっても、私は一県一局は原則ですと、問題の地域以外は全部一県一局渡したいが、ただ経済的な問題のところはちょっとペンディングになるでしょうと、しかし、私がそう考えていても、事務当局でいま構想を練っている中では、どういう隘路をまた持っているかもしれないので、調整がついていないから、いま正直に申し上げられないという心境を御理解願いたいと思うのでございます。
  182. 木島則夫

    ○木島則夫君 まあこれを長く続けると、とても私、持ち時間をオーバーしてしまいます。一県一局には全部これを渡したいけれど、つくってもなかなか経済的に受け入れ体制ができないような場合は、これはやはりよく配慮しなければならないというお話でございましたけれど、電波監理局長ね、もう少しその辺具体的に教えてくれませんか。
  183. 平野正雄

    説明員(平野正雄君) まあ先ほど来、大臣からもお話ございましたように、いわゆるこのFM放送につきましては、御承知かと思いますが、去る昭和四十三年に周波数割り当て方針が策定されまして、そしてNHKは全国、民放は四地区ということで現在に至っておるわけでございます。すでに十年たっておるわけでございまして、このいわゆるFM放送をできるだけ早く全国に普及させようというのが郵政省といたしましての基本的な方針でございます。ただし、国際的あるいは国内的ないろんな制約があることも先生承知のとおりでございまして、来る十一月の二十三日には中波の周波数移行、これが現実に行われるわけでございます。私どもといたしましては、十一月二十三日以降におきましてもこの協定は十一年間保持されるわけでございますけれども、中波混信対策を要しないという地域をまず全国の中から選び出すという作業を従来詰めてまいったわけでございます。大臣おっしゃいましたように、その後の監視結果その他によりまして、ほぼその見通しがっきつつあると、ついてきたという段階になりましたので、十一月二十三日以降におきましても中波の混信対策としてFMを対処する必要のない地区、これをまず取り出した上で、それでは何が何でも全部それに割り当てていいものかどうかという検討になるわけでございますが、まず第一番には先ほど来お話のございますような、いわゆる経営基盤として十分やっていけるものかどうかという点を重要視する必要があるであろうと、これは従来から先生承知のように、中波の局につきましてもあるいはテレビの局につきましても、非常にその点に注目をいたしまして、やはり番組内容との関連もございますし、やはりその地域−県域であればその県の総意がその局に集中されておると、したがって番組内容といたしましてもその地域の地域性というものをやはり尊重していただくというような観点から、やはり経営基盤というものを重要視せざるを得ないであろうと、そういった経営基盤を土台にいたしまして、やはりその地域の聴取者、国民がFMをどうしても持ちたいという希望があり、そしてその周波数がある場合には考えていく必要があるであろうという、従来の中波、テレビと同じような考慮をまず考えていく必要があるでしょう。しかしながら、やはり既設の局が大抵の県にはあるわけでございます。中波もございますしあるいはテレビもあるわけでございます。新しい局のチャンネルプランが出たからといって既設の局のことを全く忘れ去るわけにはまいらない。やはりそれぞれがそれぞれのいわゆる特殊性と申しますか、持ち場において地域住民に還元されていくということが望ましいわけでございますので、そういった点も考慮する必要があるでしょうと、さらには電波法第一条でも言っておりますように、周波数の効率的な利用というような面もやはり考えていく必要がないわけではないというようなことを考慮いたしまして、まず十一月二十三日以降においても混信がないという地区を選び出しまして、そしてその経営的な、経済的な基盤の問題あるいは既設局との関連の問題あるいは地域住民の要望あるいは周波数の最も効率的な利用に適せしめるためにはどのような考慮を払えばよろしいかというようなことを考慮しながら、いわゆる詰めを現在行っておるという状況でございます。したがいまして、先ほど先生がおっしゃいました、数ヵ月前からいろいろ推定された記事等が出ておりまして、私どもも非常に貴重な御意見だというふうに考えまして、いろいろ勉強してまいっておるわけでございますけれども、やはりいま申し上げましたような詰めを十分にいたしておきませんと、一たん出してしまいますと後へはもう戻れないわけでございますので、現在大臣のお時間をちょうだいしながら、先ほどおっしゃいましたように、できるだけ早い時期にひとつ大臣の御裁断を得たいということで努力をしておるわけでございます。
  184. 木島則夫

    ○木島則夫君 これ以上伺ってもなかなかお聞きすることはむずかしいと思いますけれど、それじゃ次回の二十一日の電波監理審議会のときに予備説明が一体できるのかどうかということと——数ぐらいわかるでしょう、電監局長。大体どのぐらいの地区をいま対象にしているのか、それはもうまとまってきているんじゃないですか。本当だったらきょうですよ、予備説明をおやりになる予定だったんじゃありませんか。大臣も、自分に気がねしないで率直に話しなさいと、それが逓信委員会だと、こうおっしゃっていますから、遠慮なく話されたらいかがですか。
  185. 平野正雄

    説明員(平野正雄君) 先ほど申し上げましたように、できるだけ早く結論を出しまして、最近の電波監理審議会に予備説明をさしていただきたいということでございます。  なお、数の問題でございますけれども、全国的に見まして、やはり中波の伝搬あるいは相手のあることでございますので電力指向性等から考えますと、やはり日本海側でございますとか、あるいは内陸部でございましても電波の伝わり方次第では混信のおそれのある地域がなしとしない。したがいまして、原則として県別、県域ということを考慮いたしました場合にも数十局がその中から、いわゆる十一月二十三日以降も混信のおそれがないであろうという県が選び出せるわけでございます。したがいまして、これはもう全部対象になるわけでございますが、先ほど来申し上げましたような、必ずすべてについて結構であるということができるような地域はそうたくさんあるわけではないわけでございまして、したがいまして俗な言葉で言いますれば……
  186. 木島則夫

    ○木島則夫君 しぼって。
  187. 平野正雄

    説明員(平野正雄君) やはり、どこでバランスをとるかというところに……
  188. 木島則夫

    ○木島則夫君 中途説明はいいから、しぼって。
  189. 平野正雄

    説明員(平野正雄君) はい。  かかってくるわけでございますので、数は現在のところはまだ推定の域を出ない、こういうことでございます。
  190. 木島則夫

    ○木島則夫君 後でいいですから、その推定の域だけ教えてください、もう一回。
  191. 平野正雄

    説明員(平野正雄君) やはり、どの程度のところでしぼっていくかによりまして、五の場合もあるでしょうし、十の場合もあるでしょうし、ということかと思っております。
  192. 木島則夫

    ○木島則夫君 何か当て物クイズやっているようで、本当にこれは——しかし悪く思わないでくださいよ、やっぱりこういう問題、日本の電波行政を進めていく上で非常に大事ですから、私きょうしつこく伺っているんです。知る人ぞ知るとか、いろいろいろいろ情報は私も持っているけれど、それはあくまで推測ですから、ここではそういうものは申し上げないようにしたいと思います。  さっき——FMのチャンネルプランがわからない前にこういうことを伺うのは何でありますけれど、どういう性格の局にしていこうかということも、これも経済性とかその地域の特性それから聴取者の要望などによって決まってくると思いますけれど、この辺は電監局長いかがですか。どういう内容、たとえば音楽専門局でいくのか、あるいは総合番組局としていった方がいいのか、この辺いかがですか。
  193. 平野正雄

    説明員(平野正雄君) 現在のFM放送局でございますけれども、先ほども大臣からも御説明いたしました、NHKは全国でやっておりますし、民放は四地区で実施をしておりますが、いわゆる昭和四十三年の十一月に決定されましたチャンネルプランにも記載してございますように、FM放送の特質を生かした放送を行うものということになっておりまして、しかも中波の局が現在十キロヘルツであるに対しまして、FM局は御承知のように二百キロヘルツ、非常に広いバンドを持っておるわけでございます。で、しかも、変調の方式を見ましても、中波の局がAMであるに対しまして、超短波放送局は言葉どおりFMと、こういう形になっておるわけでございまして、非常に音楽に適しておるということが言えるわけでございます。音楽にですね。したがいまして、免許の条件といたしましても、ステレオフォニック放送の放送番組を一定比率以上確保をするということを義務づけておるわけでございます。これはNHKにも民放にも義務づけをいたしております。しかしながら、放送番組につきましては、音楽に適するとは申しましても、やはり音楽は音楽なりに、教育、教養あるいは娯楽、そのほかに報道というような、大きく分けまして四つの分類がそれぞれバランスをとって放送されておるという状況でございます。これを言いかえますと、いわゆるただいま先生指摘のございました音楽専門局ではございません。今後ともそのような方向で考えてまいりたいと、そういうふうに考えておるわけでございます。
  194. 木島則夫

    ○木島則夫君 ああそうですか。そうすると、総合番組局としていくということですか。
  195. 平野正雄

    説明員(平野正雄君) 音楽主体の総合番組局と、こういうことになるわけでございます。
  196. 木島則夫

    ○木島則夫君 ああそうですか。  テレビチャンネルのプランの追加について先ほど大臣が言及をされておりました。この問題についても、やはり伺っておかなきゃいけないと思います。つくづく、地方に旅行などをした場合に、東京と大阪——大都市ではテレビの多様化に接する機会が非常に多くて、しかもテレビ文化の恩恵を受けやすいという状況を、これはもう日常あたりまえのこととして受け取っている私でございますけれど、地方へ参りますと、ああ、わずかこういうものしか見られないのかな、ということで、これはやはり電波の有限性ということを考えても、また電波を公平に、あまねく皆さんに享受をしていただく、テレビ番組を見ていただくという意味からすれば、私はやっぱり格差の是正が行われなければならないと、この基本方針については全く郵政大臣がおっしゃったことと私も同感でございます。で、現在基幹地区には四ないし五チャンネルですね、それから準基幹地区には三チャンネル、その他の地区は二チャンネルということでございますけれど、今後番組の多様化における格差是正は、二チャンネル地区を優先をさしていくのか、それともその経済基盤の強弱などを基準にするのか。私ば、私見を申し上げますと、やはり番組が多様化してまいりますと、テレビ文化の恩恵をあまねく全国の方々が受けなければならない、そのためには、まず二チャンネルのところをやっぱり三チャンネルにする、そういう外堀を埋めていくということが大事なようにも私は考えるわけでございます。しかし、どうも巷間言われているような問題点をつぶさに見ますと、必ずしもそうじゃない。三局あるところで、まだ調整がついていないようなところに何か局がもう一つできるんじゃないかとか、あるいはついこの間発足したばかりの地区に四局目ができるんじゃないかなどということがございましてね、一体郵政当局としてはどういう基本構想をお持ちなのかということをまず伺いたいと思います。
  197. 平野正雄

    説明員(平野正雄君) お答え申し上げます。  現在チャンネルプランは、御承知のように基幹的地域と準基幹地域とその他と三種類になっておるわけでございますが、基幹的地域につきましては、御承知のように現在すでに四以上のテレビジョン放送の受信が可能になるように措置されておるわけでございます。で、番組の多様化につきましても、そういった意味でほぼ満足できる状態になっておるんではないかというふうに考えられるわけでございますので、今後の、先ほど先生がおっしゃいました番組の多様化につきましては、主として準基幹的地域を含むその他の地域につきまして全国的な、これもさっき先生指摘になりました全国的な格差是正を図る見地から措置してまいることが妥当であろうというふうに考えるわけでございます。
  198. 木島則夫

    ○木島則夫君 ちょっと確認さしてください。準基幹的な地区を中心にしてそのほかの地区の格差是正というふうに理解をいたしましたが、そうでしょうか。
  199. 平野正雄

    説明員(平野正雄君) そのとおりでございまして、基幹局はほぼ満足されておるであろうからして、これにどんどん手をつけていくことは、先生がおっしゃるように格差がだんだん広がっていくことになるであろう。したがいまして、準基幹局とその他——三種類あるわけでございますが、第二番目の準基幹局とその他——言いかえますと、準基幹局は三つしかないわけですね。それからその他は原則として二でございます。先ほど大臣がおっしゃいました一部の地域では、二つの県を合わせまして三という例外がございますけれども、二でございますので、この三の場所と二の場所についてこれから格差是正の見地から主として考えていく必要があるであろう、こういうことを申し上げたわけでございます。
  200. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 電波監理局長が御答弁申し上げたのは、われわれ今日までの意見の一致を見ているところであります。ただ、割り当てたチャンネルプランを立てているのに実施をしてくれない県も何県かあるわけでございます。これがわれわれの最も大きな悩みでありまして、特に及ぼす影響が大であるだけに、われわれはなぜ経済基盤の確立ということ、あえてこういう言葉を使うかと申しますると、やはり経営が行き詰まるとどうしてもいろいろ批判を受ける番組内容になることを恐れるわけでありまして、われわれはこういったことも民放連の方とも話し合いまして、もう少し広告宣伝費を取るために、いまの大企業相手じゃなくって、もう少し落としてくださいよ、数を多くいわゆるスポンサーを求めてもらって地方文化を、それなりの地方の文化があるわけですから、こういったものも大切にしたいということを要請いたしておりまするが、正直申し上げて、格差の是正はわれわれに課せられた使命だ。木島先生おっしゃるとおりに、この地域は四つも五つも六つも見えるところがある、ひどいのは八つもある、この地域に行けば一つか二つだという、これは許せぬことでありまするけれども、といって国から金を持っていってこうやってくれとも言うわけにまいらぬものですから非常に苦慮している。そうしたい気持ちはいっぱいであるが、なかなかここに踏み切れない問題のあることもひとつ御理解を願っておきたいと思います。しかし基本的にそうやりたいという意欲に燃えていることもあわわせて申し上げておきます。
  201. 木島則夫

    ○木島則夫君 これは十一月十日の電波タイムスに、電監局長の直接の話としてではございませんけれども、意向として載っている内容を見ますと、現在プランが割り当てられていながら、まだ免許申請者の一本化調整がつかず放送が開始されていない地域についても、プランが消化されないうちに新たなプランを出してはいけないというものではない、それぞれの県民が要望し、経営基盤も十分あるならば、むしろ積極的にプランを出していくべきではないかと思うという、これはこういうふうに直接おっしゃったかどうかは別として、このような御意向が伝えられております。これが事実といたしますと、やっぱりチャンネルの少ない地域の方々は、何だあっちばかり優先していって、どうしてこっちへ来ないんだ、おれの方はまだやらないのかという不公平感をやっぱり持つだろうと思いますね。だからその辺を私はやはり基本的な政策としてきちっと伺っておきたい。  あるいは郵政大臣の頭の中に、いや準基幹地区も三つある、それをいま四つにしてしまっても、将来まだまだ四チャンネル化するという前提があるんだから、この辺は大丈夫なんだという頭、いわゆる胸のうちがあるのか。それは要するに、テレビ電波のV−U移行問題の撤回によりまして、使用を保留されております二十チャンネルの活用ですね、これは重要無線通信に使うというふうにおっしゃっているけれども、私は必ずしもそれに使わなくたっていいようにも思うし、こういうものの活用が背後にあれば、準基幹地区の三が未調整でも、もう一つ飛び越えて四。この間、具体的に申し上げれば、県民放送ですか、静岡県民放送、七月に発足をしてもう一つできるような話も伝わってくるところをみると、何か大臣の胸のうちに四チャンネル大丈夫なんじゃないかなんという手持ちがおありになってのことじゃないかと推測をするのが、これはあながち私は邪推じゃないと思うのでございますが、いかがでございますか。
  202. 平野正雄

    説明員(平野正雄君) 先ほど来格差是正の問題があったわけでございますが、一方、これも先ほど御答弁申し上げましたように、経済基盤の問題もございますけれども、その土地の国民聴取者の声と申しますか、番組多様化を求める声というものはやはり相当重要だと思います。そういった声がある以上、郵政省といたしましては、国民の周波数をできるだけ有効に使って、そして福祉向上に向けていくという基本的な立場にある以上、これは先ほど来先生がおっしゃっておりますように、準基幹局にまず三を割り当てたと、こういう形になるわけでございます。しかしながら、その三が全部消化されないからといって、二を三にしたいという地元の要求もあり、周波数もある、ましてや基盤もしっかりしておるということになりますれば、これは大臣が常々おっしゃっておりますように、国民電波でございますから、私どもといたしましては、積極的に電波監理審議会に諮っていくということはやるべきではないかというふうに考えるわけでございます。しかしながら、その未調整であるところにつきましては、これはその出しただけの理由があって出したわけでございますので、できるだけひとつ早く一本化なり調整をお願いをいたしまして、そしてその電波国民に早く還元していくという道をとっていただきたい。どちらも重要なことではないかというふうに考えておるわけでございます。
  203. 木島則夫

    ○木島則夫君 それじゃ、郵政省の民放テレビの将来構想ともつながる問題として、さっき私がちょっと触れました、手持ちの、つまり使用を保留されております二十チャンネルの活用というものと、現在準基幹地区未調整なところでも三から四になり得るのだというはみ出しがあるとするならば、現在そのほかの地区は、どうしておれのところは、私のところはという不満が、これは続出してくると思いますよ。それをどう説明するかということと、手持ちの二十チャンネルとが何か私はつながるのじゃないだろうと憶測をするものですから、民放テレビの将来構想についてこれは郵政大臣からじかにお伺いをしたいと、こういうことです。
  204. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 私が先ほど来申し上げておりますとおりに、いまここで手持ちがどうのこうのという前に、いわゆる準基幹その他に私はやはり力を注いでいきたいというのが、先ほどからくどく申し上げているとおりでありまするが、こういう地域がどのような方法で等しく恩恵を受けていただくようにするかということはむしろ一番大きな問題であります。現代ではかなり事務当局の検討内容においてもいまチャンネルプランを立てても無理だと、とても無理だということは先生も、たとえば私の郷里のことを、これは例に挙げてもこれは何でもないから挙げますと、大騒ぎやって奈良テレビというのはつくられました。これははっきり言って私の大先輩の肝いりでできたと思うんですが、それがさっぱり、何というか経営が立たないで、県が三億ばかり毎年支出せねばならないという羽目に陥っているわけなんです。これは私はここでとかくの批判はできませんが、これ、おれならもうちょっとまともな経営内容に変える自信があるがなと思っても、やっぱり経営者じゃないんだからそこまでわれわれは干渉できない、まあそういった悩みがあるわけなんです。現実に、私から本当に言わせるならば、一つの機関からもうほとんどの経費が出るということは、このテレビ局の社会性、公共性から考えても許されることじゃないと、はっきり言って。おおよそ、そこの方向ばかり向くということは一体県民にどういう影響を与えるか、テレビ文化の目的に合致したことになるかどうかと、こういっていまさらおまえとこやめてけといってこれはばっとつぶすわけにもまいりません。しからば免許の更新でそういう権限はあるけれども、切ればやっぱりそこに失業者も出るし、大変な騒ぎが起きるという、こういった悩みの解決が先行するわけであります。私は正直言って準基幹局、またその他の二局を三局、四局にしたい心でいっぱいで、近く、いや将来においてこれを実行せねばならない、また、その段階においてはチャンネルプランも立つことは私は間違いないと思うわけでありまするが、ただ、そういった悩みをどのように克服するかということがわれわれに課せられた一つの大きな課題であるという点の御理解を願いたいと思います。
  205. 木島則夫

    ○木島則夫君 最後に結びだけ言わしていただきます。きょうは私時間がなくて、もう少し詰めをしたかったんですけれど、最後に要望を申し上げたいと思います。  私は本来から言えば、それは基幹地区、準基幹地区、そうしてそのほかという、そのほかのところにこそ私はテレビ番組の多様化における格差是正を積極的に行ってもらいたい、これが私の基本的な考え方です。しかし、経済的そのほかの事情でその枠外に出るものもあるだろう、出るものについては不純な利害関係とかそのほかの政治的な駆け引きなどによって未調整の上に調整がとられたりということのないように、これはもう電波を預かる郵政当局としては本当に遺憾のないようにしていただきたい。そうしませんと国民のための電波だとか、限られた電波は資源であるなんてこの委員会で偉そうなことを言ったってそういうことは通用しないと私は思います。その辺を再度もう一回大臣の口から決意と信念を語っていただいて私の質問を終わりたいと思います。
  206. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 全く同感であります。そのような考え方で今後の電波行政を進めていかねばならない、いくことは当然である、私はお誓いをしてもはばからない、かように考えております。
  207. 木島則夫

    ○木島則夫君 結構です。
  208. 赤桐操

    委員長赤桐操君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時二十四分散会