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1978-11-09 第85回国会 参議院 商工委員会資源エネルギー対策小委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年十一月九日(木曜日)    午前十時七分開会     —————————————  昭和五十三年十月十二日商工委員長において、  本小委員を左のとおり指名した。                 大谷藤之助君                 古賀雷四郎君                 下条進一郎君                 中村 啓一君                 大森  昭君                 小柳  勇君                 浜本 万三君                 馬場  富君                 安武 洋子君                 藤井 恒男君                 柿沢 弘治君  同日商工委員長は左の者を小委員長に指名し  た。                 小柳  勇君     —————————————    小委員の異動  十一月九日     辞任         補欠選任      浜本 万三君     大塚  喬君     —————————————   出席者は左のとおり。     小委員長        小柳  勇君     小委員                 大谷藤之助君                 古賀雷四郎君                 下条進一郎君                 中村 啓一君                 大森  昭君                 大塚  喬君                 馬場  富君                 安武 洋子君                 藤井 恒男君                 柿沢 弘治君    事務局側        常任委員会専門        員        町田 正利君    説明員        科学技術庁原子        力局技術振興課        長        栗原  康君        環境庁自然保護        局保護管理課長  中島 良吾君        外務省アジア局        北東アジア課長  佐藤 嘉恭君        外務省中近東ア        フリカ局外務参        事官       堤  功一君        工業技術院総務        部研究開発官   林   暉君        資源エネルギー        庁長官      天谷 直弘君        資源エネルギー        庁石油部長    神谷 和男君        資源エネルギー        庁公益事業部長  豊島  格君        資源エネルギー        庁公益事業部火        力課長      木内 貞夫君    参考人        石油公団理事   松沢  明君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○資源エネルギー対策に関する件     —————————————
  2. 小柳勇

    ○小委員長小柳勇君) ただいまから資源エネルギー対策小委員会を開会いたします。  資源エネルギー対策に関する件を議題といたします。  これより質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 大森昭

    大森昭君 第四次の中東戦争によりまして深刻な石油ショックを招きまして、エネルギー危機が叫ばれましてから五年たつわけでありますが、いずれにいたしましても、日本経済を大きく左右するエネルギー問題でありますが、どうも私の認識の不足もあるかもわかりませんが、今日までわが国対応策を見ておりますと、依然として従来の枠組みを出ておらないというふうに思いますが、石油安定確保供給確保はもうぜひともやらなきやならないわけでありますので、そういう意味合いからちょっと御質問いたしますが、わが国の現在の第一次エネルギーのうち、七四%を輸入石油で賄っておりますが、その原油輸入先国別に見ましても、サウジ、イラク、イラン、クウェートなど、中東地域だけで八〇%を占めております。御案内のように、最近のイラン政情不安などもありますし、もともとこの第四次中東戦争による深刻な石油ショックということでありますので、このような状態で考えますと、中東政治状態というのが直ちにわが国エネルギー不安、経済不安につながると思います。「二一世紀へのエネルギー戦略」という総合エネルギー調査会基本問題懇談会報告を見ましても、中東産油国に対する過度の依存から脱却する必要性を強調しておりますが、多面的原油確保の推進を今日どのように考えておるか、冒頭お伺いしたいと思います。
  4. 天谷直弘

    説明員天谷直弘君) いま先生指摘いただきましたように、わが国石油輸入のうち約八割が中東依存しておるということは、わが国石油の、わが国に対する石油安定供給という見地から見まして、改善の余地が多いものというふうに考えております。  そういうわけで、この間の二十三日の「総合エネルギー調査会石油部会とりまとめ」におきましても、昭和六十五年ごろにアジア地域よりの輸入を全体の三割程度昭和五十二年度は約二二%でございますが、これを三割程度にするという目標を掲げておりますが、この目標を十分尊重しつつ、まずはアジア地域、特に中国からの輸入の拡大に努めたい。それからまた、アラスカであるとか、メキシコであるとか、あるいはソ連であるとか、中東以外の地域からの石油輸入につきましても、それぞれの国につきまして事情がございますけれども、問題を解決しながら石油供給源多角化努力をしたいと、こういうふうに考えております。
  5. 大森昭

    大森昭君 いま抽象的に言われておるわけですけれども答申が出て間がないということもあるんでしょうけれども、しかしこれはもともと五年前から中東依存をするということを脱却をしようじゃないかということは言われておったわけですから、答申で三割程度が出ておるからそれに向けてということだけでは、これは少し問題がありまして、とりわけ私は、いま答弁の中に中国の問題も言われましたし、ソ連の問題も言われましたけれども日中条約を締結することによって日中関係改善をされましたから、その意味合いでは対中国からの石油供給というのはある程度発展をしていくというようにも見受けられますが、しかし、ソ連の対日石油供給問題というのは、いまの状態ではなかなか判断がむずかしいと思いますが、少なくとも今日の国際情勢の中から、いま長官が言われたように中国からもソ連からもというような見方については少し甘いと思うんですが、その辺のところはどのようにお考えになっていますか。
  6. 天谷直弘

    説明員天谷直弘君) ソ連につきましては、現在サハリン石油が、北サハリン海域におきまして油田開発中でございまして、これがどれくらいの産油量を見るか、商業的に開発が可能であるかどうかということは、今後調査を要する問題でございます。われわれはここからの輸入を期待をいたしておるわけでございます。  それから、それ以外のソ連地域からの油の輸入ということにつきましては、これはソ連石油事情というものがございますから、どの程度期待できるかということは不明でございます。いまのところ、ソ連石油供給力につきましては、たとえば御承知の昨年のCIAのレポートは、長期的に見て非常に悲観的な見方をしておりますし、逆にエクソン等はそれほど悲観的ではございませんけれども、しかしソ連が余り大きな石油輸出力があるというふうには考えていないようでございます。したがいまして、日本が将来にわたりましてソ連を大きな石油供給のソースとして考えるということは、御指摘のように無理があろうかと思われます。  次に、中国でございますが、中国につきましては現在主として大慶油田の油を入れておるわけでございます。これを昭和五十七年までに千五百万トン程度まで数量を拡大していきたいということにつきましては、日中間合意ができておりますので、これはもちろん可能であるというふうに考えておりますが、それを上回る中国油輸入につきましては、これはこの間の河本通産大臣の訪中の際、大幅に拡大するということで合意ができております。しかし、その大幅がどれくらいであるかということにつきましては、今後専門家レベルでよく検討するということになっておりまして、現段階ではまだ数量的にどうだということは申し上げられないわけでございます。  それから、中国石油をどれくらい入れられるかということは、今後日本中国あるいは中国欧米諸国との協力によりまして、中国石油をどの程度開発できるかということにも大きくかかっておりますので、われわれとしましては中国石油開発という面でも日中間協力を緊密にしていきたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  7. 大森昭

    大森昭君 ソビエトからも余り期待できないし、中国もまだ十分じゃないということになりますと、今日の段階では、いずれにしてもわが国石油安定供給についてはアジア段階で三〇%程度確保したいけれども、具体的なものはいまのところはないと、こういうことですか。
  8. 天谷直弘

    説明員天谷直弘君) これは中国産油量それから日本中国からの輸入量がどの程度になるかということに大きく依存をしておりまして、これはやはり掘ってみなければ何とも確信を持って言えるという種類のものではございませんが、われわれといたしましては、アジア地域から三割ということは、中国のシェアを大体一二、三%ということで考えるわけでありますが、そういう目標で大いに努力をしたいと、こういうことでございます。
  9. 大森昭

    大森昭君 いずれにしても、いまの段階では努力を重ねるということで理解をいたしますが、いずれにいたしましても、最近のイラン状況を見ましても、いろいろ楽観説もある程度ありますが、おおむね軍事政権下にということで、表面は平穏にというようなニュースも流れておりますが、なかなかむずかしい政治状態だと思うんですね。五十年度では二〇%弱、五十二年度でも一五%弱の輸出に頼っているわけですから、イランには。  そうなってきますと、備蓄の問題とかいろいろ対応策を立てておりますけれども、今日のようなイラン政情不安が続いたという状態の中で考えますと、大変わが国における石油状態というのは危機感を感じるわけでありますが、イラン供給が、たとえばですけれども、とだえたような場合は、一体どのような状態日本状態が置かれるのか分析していますか。
  10. 神谷和男

    説明員神谷和男君) 御指摘のように、イランにはわが国十数%の依存率でございまして、本年前半にはむしろこれが一九%近くに上がっておると、こういう状況でございますので、わが国石油原油供給先としてはきわめて大きなウエートを占めておる地域でございまして、その地域政情不安状況あるいは原油生産状況につきましては、あらゆるルートを通じまして現在情報を収集しておるところでございます。現在の状況では、通常五百数十万バレル・パー・デーという生産イラン一般的生産と考えられますが、これが三分の一ないしそれ以下まで減少をしておるというふうに考えられております。  状況によりましては一時的に輸出がストップするというような状況もあるかと思われますが、わが国タンカーは十月に三十七隻がイランに船積みに向かいましたが、そのうち二隻は他の港に振りかえをいたしまして、四隻が現在十月積みとしてはイランにとどまっておりますが、残りの三十一隻は一応原油積みまして日本に向かっておるという状況でございます。その後、十一月積みの船が二隻入りました。近くまた一隻入りますが、いずれにいたしましても、十一月後半から十二月前半にかけまして、イランかなりタンカーを差し向ける予定になっておりましたので、イラン政情不安あるいは原油生産が長期にわたって停滞いたしますと、これに対する対策を考えねばなりませんが、第一義的には他の産油国への振りかえの努力を最大限行うということでございます。  ただ、これにつきましては、御承知のようにOPEC値上げを控えた現状でございまして、各国の石油会社がすべての産油国石油買い付けに現在すべてのエネルギーを注入しておる状況でございますので、他への振りかえは必ずしも容易ではございませんが、サウジアラビア、その他の国の生産レベルが逐次上がっておるという情報も入手いたしておりますので、これによって各社最大限努力をするよう一義的には指導をしておるところでございます。  第二義的には、先ほど御指摘備蓄でございますが、これは民間備蓄並びに先ほど、すべてこれもイラン原油も含めてタンカー積み終わりまして、中東から日本に参っておりますタンカー備蓄五百万キロリットル、この二つを合わせますと約九十日分の備蓄がございます。キロ数にして五千二、三百万キロリットルということになりますので、昨年のイランからの輸入量が四千七百万キロリットルでございますので、われわれといたしましてはもちろんこれを全部食いつぶすわけにはいきませんが、かなり部分この備蓄によって第二義的には最悪の事態を回避し得るというふうに考えております。幸いに、備蓄かなり進展した段階に起こった状況でございますので、できるだけ早急な正常への復帰を期待しながら、これらの施策によって対処してまいりたいと考えております。
  11. 大森昭

    大森昭君 いま国会でこれ答弁して、あなたは回答しておるわけですけれども、まあわれわれが日常新聞を読んでおりますと、いまお話がありましたように一九%に最近なっているわけですか、輸入がね、イランだけで。これはもう一九%というのは大変な数字なんですよね。そのイランの国情がそういう状態でということで、一般的にはあの石油ショック狂乱物価を生んだ状態の中でいかに国民生活が混乱したかということは、これはもう私が言うまでもないわけでありますから、そうなってきますと、一般的には突如として起こったような石油ショックがまた起きるんじゃないかということを懸念する国民大衆がたくさんいると思うんです。ですから、もしかそういうような、あなたが言うような状態なら、通産省見解としてやはり新聞なら新聞報道機関を通じて、イラン政情がある程度不安な状況下に置かれても、再び石油ショックが起こるようなことはないんだという見解を表明しなけりゃ……。また、石油業界石油業界でその先を見通していろんなことをやることは、もう石油ショックのときに明らかなんですよ。ですから、もう少しあなたの言うことで、まあそういう石油ショックのような危機というのは来るものじゃないという見解があるなら、きちっとした見解報道機関を通じて国民大衆理解さしてもらわないと、大変国民全体が不安感を持っておりますから、そういう意味合い国会答弁だけじゃなくて、通産省見解をきちっとまとめてひとつ発表していただくことを要望しておきます。  次に、石油の国際的な需給見通し、いろんな形で言われておりまして、私どもも十分じゃありませんが、新聞報道なんかでいろいろ見ますと、大変悲観しているかと思うと楽観論になってみたり、まちまちの報道が非常にあるんであります。たとえば、せんだってのアメリカの中央情報局世界エネルギー需給に関する改定報告書を見ますと、少し楽観的に、今後六十年から九十年は確保されるだろうということが報告されておりますし、二十一世紀へのエネルギー戦略でいきますと、これまた多少時期がおくれるようなことは言っておりますが、しかし、一九九〇年代には石油供給は逼迫するであろうというように厳しい見方を変えておらないわけでありますが、一体石油供給見通しについて、これは大変むずかしい点もたくさんありますが、今日の段階で第二の石油危機が到来する時期が早いか遅いかでは、大分日本政治のあり方も、あるいは経済の構造の変革も、あるいは代替エネルギー開発体制についても、いろいろ影響するわけでありますから、今日の段階通産省見通し得る状態というのはどういうふうに考えられておりますか。
  12. 神谷和男

    説明員神谷和男君) 先生指摘のように、CIAで最近楽観論、いわゆる今後六十年ないし九十年、油は大丈夫であるという発表をしたという報道が行われておりますので、私どもエネルギー庁といたしましても、原文を取り寄せまして分析を行ったわけでございますが、結論的に申し上げますと、CIAが今回発表をいたしました報告は、むしろ今後の需給関係についての見通しを行ったということではございませんで、正確には埋蔵量評価を行ったと、こういうことでございます。埋蔵量評価といたしましては、究極埋蔵量ということで一定の幅をつけてはおりますが、一兆七千億バレルから二兆三千億バレル、こういうことで、この究極埋蔵量を一応現在のペースで消費していけば、割り算をすれば六十年から九十年という数字が出てくることは確かでございますが、これは要するに地球上でおよそ掘れるであろう油がこれだけ最終的にはあるだろうという推定でございまして、たとえばその大部分かなりの深海に賦存したり、あるいは北極地域、要するに極寒の現在の技術においてはきわめて困難な状況のもとでしか開発できないような地域賦存をしておると、こういう状況でございますので、これらをすべて開発して利用し尽くしていくためには、今後のやはり技術の大幅な進展というものに期待し、これをまた推進していかなければならないわけでございますし、さらには石油価格その他エネルギー価格推移等による経済性採算性といったようなものも、この開発のスピードに関連してくるものというふうに考えられるわけでございます。  他方、昨年CIA発表いたしましたいわゆる悲観論と言われておりますのは、むしろ自由世界の八五年を目標にしておりますが、これの需要見通し供給についてのある一時点での見通しの問題でございまして、これについては自由世界需要量生産量を上回るという見通しを一応立てておるわけでございます。  そのほか、エクソン見通し等々いろいろございまして、これらについては楽観論悲観論ございますが、すべて相対的なものでございます。基本的にやはり八〇年代の後半から九〇年代という幅でエネルギー、特に石油需給タイト化かなり程度に進んでくるという見方には大きな違いはございません。その前に、たとえば重質油軽質油とのアンバランス、特に軽質油需給タイトというのは恐らくその前にさらに出てくるというふうにわれわれ推定いたしておりますが、それらもろもろの推定、あるいは見通し等を勘案いたしましても、私ども総合エネルギー調査会で先般取りまとめました九〇年代に入りますと、やはり石油に関してはかなり需給逼迫度がきつくなり、それに代替するエネルギーの導入というものを本格化して取り組み、推進していかなければならないという考え方に現在CIA報告を分析した後でも変わっておりません。
  13. 小柳勇

    ○小委員長小柳勇君) ちょっと小委員長からエネルギー庁長官に……。  いまの大森君の要望の点が大事ですから、長官から答弁を求めますが、このイラン政情不安で日本国民石油に対する不安、輸入に対する不安が起こってパニックなど起こるが、これに対する事前の予防措置あるいは報道措置はどういたしますかと、要望だけでありましたが、長官の決意を聞いておきたいと思う。
  14. 天谷直弘

    説明員天谷直弘君) イラン情勢につきましては、非常に情報がまだ現在混乱しておりまして、よく情勢を把握できない点もございますけれども、まあ一定状況のもとで日本石油需給は大丈夫であるということにつきまして、国民の御理解を願うようなPR措置をとりたいというふうに考えております。
  15. 大森昭

    大森昭君 次に、ことしの十二月ですか、アブダビ石油輸出国総会が持たれますね。いろいろドルの暴落などがありまして、輸出国としては値上げをしたいというような一部の国もありますし、いろいろなことが言われております。その中でいま委員長から御指摘ありましたように、イラン政情不安などもありますと、私ども素人が見ましても石油価格というのはある程度値上げをせざるを得ないというようなことで、この総会が持たれるんではないかというふうに考えられますが、一体この十二月に開催されますアブダビ総会における原油値上げなどの問題について、どのような見通しを立ててますか。
  16. 天谷直弘

    説明員天谷直弘君) 十二月十五日のアブダビ総会におきまして、値上げがどの程度行われるであろうかということを日本の政府が公式に予想するというのは、余り妥当ではないかと思われますので、そこのところは差し控えさしていただきたいと思います。  ただ、周辺の状況を申し上げますと、このアブダビ総会における値上げを予想いたしまして、一種の駆け込みの買い付けというようなことは起こっておったわけでございますが、さらにそれが、イランにおける政情不安に基づく原油輸出不安定化ということによりましてそれが加速されておる、したがいまして、原油スポット価格が上昇をしておるというような状況が見受けられます。それからまた、この産油国の方では、サウジアラビアを除きましては、ドルの減価、インフレの進行というようなことから、産油国が不当な犠牲を強いられているという意見が強うございまして、値上げを主張しておることは御承知のとおりでございます。これに対しまして、これまでサウジアラビアそれからイラン穏健派と言われる立場をとっておったのでございますが、現在の政情不安のため果たしてイランアブダビ総会においてどういう立場に出るかということは、われわれの予想の困難なところでございます。  以上のような状況でございますので、値上げがないなどと考えるのはかなり楽観的過ぎるのではなかろうか。しかし、どの程度であるかということは、冒頭申し上げましたように、公的立場としては御遠慮さしていただきたいというふうに思います。
  17. 大森昭

    大森昭君 ここで数字を言えないというんなら、それはそれでいいんです。ただ問題は、さっきのイランの問題とも関連するんですが、仮に一〇%なら一〇%値上げされたということになりますと、これまたそれに基づいて業界がいろいろ動き出すであろうし、国民全体もどういう形でこの値上げ問題が動いていくだろうかというふうにこれまた考えるわけですね。ところが、御案内のように、いま答弁ありましたように、備蓄もあるわけです。ということになれば、仮にここで、一〇%上がるのか一五%上がるのかよくわかりませんが、上がった場合には、やはり日本国内における経済影響世界経済における影響というのは非常に大きく影響するわけでありますけれども、当面この程度原油の値上がりがあっても、備蓄問題などを含め、一体日本国内における流通の関係がどうあるべきかということの心構えを持っていてもらいませんと、それは総会で決まったからすぐといってあわてるようなことがあったんではこれは大変なことになりますから、そういう意味合いで、いま長官が言うように、総会における見通しというのは言うべきじゃないという御発言ですから、私はあえてそのことを聞きませんが、むしろそれよりかも、その価格の決まったことによって日本国内のまた混乱が起きることのないように、十分いまから——十二月ですから、これはもう来月ですから、通産当局としての心構えをしっかり持っていただきたいと思います。  次に、エネルギー消費量経済成長関係でありますが、どうも従来の経過を見ておりますと、経済成長に比例をいたしましてエネルギー消費量というのは増大をするわけでありますが、どうも最近のこの傾向は、もちろん従来のような高度成長じゃありませんが、しかし、いずれにしても五十年度は三・四六、五十一年は五・七%、五十二年も五・四%ですか、いまだに福田総理は七%に固執しておりますが、それはまあ別にいたしましても、五%程度成長があればエネルギー弾性値の増加があると思うのですが、資料によりますと経済成長のわりあいに弾性値が上がってないんですが、これは一体産業構造の転換などによってアルミだとか、そういうエネルギーを多く費消する産業が今日不況というようなことでそういう結果になっているのか、それとも国民の間に省エネルギーの思想が普及をされてそういう状態になっているのか、従来の経過から見て、今日のエネルギー弾性値の変化についてどのように分析されておりますか。
  18. 天谷直弘

    説明員天谷直弘君) 御指摘のように、わが国エネルギー需要の対GNP弾性値は、石油危機前の十カ年間で一・一七でございましたが、最近の五カ年間をとってみますとこれが〇・八というふうに顕著な低下傾向を見せております。それからまた、これは日本だけの現象ではなくて、全世界的に起こっておる現象でございまして、たとえばエクソンが毎年発表しているエネルギー需給見通しにおきましても、全世界エネルギー弾性値を毎年毎年低い方に改めておるというような状況がございます。こういう状況は一体何によって起こっているのかという御質問でございますが、まずこれは、第一番目には石油価格がオイルショック以前と比べまして四倍強に引き上げられておる、この脅威的な幅の価格引き上げが根本的な原因であるということは疑問のないところであろうかと存じます。この大幅な価格引き上げの結果、いろいろな影響が出てきておるわけでございますが、このいろいろな影響が複合されて石油ショック以後の不況という状況があらわれております。この不況下におきまして特に大きなダメージを受けておりますのが鉄鋼、アルミ、石油化学、肥料、平電炉、それからフェロアロイ、苛性ソーダ、こういうようなエネルギー多消費型の産業が著しい打撃を受けておるわけでございます。これもまた、日本だけの状況ではなくて、全世界的に見られるような状況でございます。こういう産業が不振であると、当然の結果として、エネルギー多消費産業が不況でございますとエネルギー消費が落ちる、これが弾性値が落ちた非常に大きな原因であろうかと思われます。それからまた、一般民需の方におきましてもエネルギー価格が高騰した結果、若干の消費ということは進んでいると思われますが、これは産業界におけるほどは省エネルギー化というものは進んでいないというのが現状でございます。今後景気が好転いたしますと、若干弾性値が上がる局面もあろうかと思いますけれども、しかし、長期的に見ますと、大体〇・八前後というところで、日本のみならず世界的に見て弾性値はそういうところに落ち着いていくのではなかろうかというふうにわれわれは考えております。
  19. 大森昭

    大森昭君 この辺の分析をいたしますと、今日の産業構造の変化も十分分析されますし、それから国民全体のいわゆる省エネルギーの認識についても、どの程言の認識かということがよく理解できるわけでありますから、きょうはこれ以上申し上げませんが、いずれにしても、そのような状態で、今日置かれている状態について十分分析をしていただきまして、日本の産業のあり方、国民に対する省エネルギーの指導のあり方についてひとつ対応策を立てていただきたいと思います。  次に、この調査会の報告についてちょっと二、三御質問いたしますが、石油公団の機能のあり方ですね、いろいろ報告書には書かれておりますが、いずれにいたしましても、そう依存ばっかりしていられないわけでありますから、自主開発原油を二割まで引き上げたらどうかというようなことが書かれておりますが、今日の石油公団の機能の拡充についてどのような方針をお持ちになっているんですか。
  20. 神谷和男

    説明員神谷和男君) 現在、石油公団の機能といたしましては、大きく分けて二つございまして、一つが石油開発についてでございます。他の一つが石油備蓄についてでございますが、いずれもエネルギー源、特に石油供給の安定性の確保あるいはこの安定の強化といった面での、わが国エネルギー政策を推進していく上で重要な機能、役割りを期待しておるわけでございます。これらにつきましては、逐次、公団法の見直しをお願いいたしながら、現在までその機能の拡充が図られてまいっておるわけでございますが、現在問題になっております点は二つございまして、一つは民間の石油開発企業の開発という仕事、これを主体にして石油公団が全面的にバックアップをしていくと、特に、石油開発の不安定性、リスクといったようなものを国が石油公団を通じてカバーしていこうと、こういうことでございますが、この面におきまして、相手国によりまして、あるいはその地域状況によりまして、民間に任せておいたのでは開発が十分進まないようなケースが当然あり得るということが、調査会の中で議論をされたわけでございます。これにつきましては、御指摘の事実は十分考えられることでございますので、われわれとしては具体的なケースといったようなものを今後十分研究しながら、必要の際には、基本的にはやはり民間の活力を十分活用するという方向、基本方針に変わりはございませんが、必要な場合には直接開発も、探鉱もできるような措置を講ずる必要があるのではないかというふうな観点から、検討をさらに進めてまいりたいと思っております。  それから、これはやや技術的なものでございますが、探鉱は全面的に石油公団が負っておりますが、開発につきまして石油公団の負い得る役割りというのはきわめて限られておりますが、探鉱と開発の分野につきましてはなかなか載然と区別しがたいところもございます。この辺に関して探鉱、開発が一貫してスムーズに進み得るように、開発面に関しても公団が必要な場合には若干進出すること、少なくも公団がいわゆる資金的助成あるいは技術的な援助をしながら進めた探鉱については、それが少なくも商業採算ベースに乗る限りにおいては、円滑に開発まで進み得るような措置を講ずる必要があるという観点から、開発分野についての公団の役割り、これはボーダーラインのところでございますが、見直しを行ってまいりたいと、こういうふうに考えております。  そのほか、これは制度的な問題ではございませんが、先ほどの御指摘にもございましたように、緊急時の安定確保という面で備蓄事業の推進につきましては、さらにこれを拡充強化してまいりたいと考えております。
  21. 大森昭

    大森昭君 どうもすっきりしないんですが、これはなぜかといいますと、石油の問題が日本経済の基盤をなすような重要な位置づけになっているんじゃないんですか。にもかかわらず、その民間ができないところ、まあ民間の活力もあなた認めていますが、しかし民間のできないところを公団がやるようなお考えのようですが、私は先ほどから言っていますように、いかにこのエネルギー問題というのは日本の産業の中でもうまさに基盤的な役割りを持っているという状態から考えれば、民間が採算が合わないから探鉱をするとか開発の部面でも多少援助するとかというようなことじゃなくて、むしろ石油公団というものの中で、おおむね先ほどの輸入の問題からすべてエネルギー政策が、いわゆるある一定の掌握ができるしコントロールもできるしというような形にしていかなければ、民間企業に大部分、たとえば経費の問題もありますが、まあ六十七兆かかるというわけですね、十年間で。それで、公的資金は七兆だというんでしょう。こういう問題なんかも、資金面からも考えまして、むだなことはしちゃいかぬわけでありますが、むしろ世界各国の状態などを見ておりますと、もう直接、いわゆるこの石油問題といいますか、エネルギー問題というのは国の、政府の事業としてやっているところが多いわけですね。ですから、つけ足しみたいなことであってはいかぬと思うんです。そうなりますと、大胆に発想の転換をしなきゃいけませんが、もちろんこれは、民間企業は今日まで長い歴史がありますし、相当な理解も求めなきゃいけないわけでありますけども、どうかひとつ、そういう視点で今日のエネルギー問題というものについて一まあ、従来から見れば確かに石油公団も何回かの機構の拡充を行っておりますが、大きく発想の転換をして、石油公団のあり方について模索をひとつしていただくことを要望しておきます。  それからもう一つ、ちょっとお伺いいたしますが、電気料金制度のあり方でこの報告書が幾つか述べておりますが、その中で特に私は、先般の円高問題のときに、北海道電力ですね、これは石炭を使っているから円高差益なしというようなことで除外されました。それはおかしいじゃないかという話を私どもしたわけであります。石炭政策の中で、北海道は石炭を使っているだけでありますから、円高メリットは全体に返すべきじゃないかという主張をしたわけでありますが、それと同じように料金制度の問題について、今日のような価格転嫁メカニズムによってやると特定地域の電力消費者に過大な負担がかかると。したがって、全体の電力消費者に必要な負担は共通に求めるべきじゃないかという報告書が出ていますね。そういうことを読みますと、何を意図しているかわかりませんが、私どもは常識的に考えますと、現在の電力業界のあり方について、根本的にその再編成を示唆しているんじゃないかというふうに理解をいたしますが、通産当局としてはどういうふうにこの報告書を理解していますか。
  22. 豊島格

    説明員(豊島格君) 先生指摘のように、今回の基本懇では、石炭、火力それから地熱、水力など電源多様化を促進するに当たりまして、こういう資源はどちらかというと地域的に偏在いたしております。したがいまして、そのための負担を価格転嫁メカニズムによってその地域だけの消費者にかけるということは、国策上電源の多様化を推進するために協力すれば、それだけそこが高くなるということでは問題がございますので、これを全体の消費者に求めるということを少し検討すべきであろうということを指摘しておるわけでございますが、これはあくまでも、このような多様化の推進によって起きる負担を、こういうかっこうで解決するのが一つの考え方じゃないかということでございまして、決して均一料金あるいは電力再編成など、そういう問題をここで触れているものではないとわれわれは理解しております。  電力業界のあり方につきましては、御承知のように昭和二十六年再編成が行われまして、九電力会社が公益事業としてそれぞれの主体性のもとで民間企業としての合理性と効率性を発揮しながら、料金の安定化それから電源開発の積極的な推進をするということで、これまで電力の安定供給確保を図ってきたわけでございますが、今後ともこのような体制のもとで新しく出てまいります電源立地の円滑化の推進とかあるいは多様化の問題という、この社会的な要請にこたえながら健全な発達を図っていくということを考えておりまして、再編成に直接結びつくものではないというふうに考えております。
  23. 大森昭

    大森昭君 時間がありませんから、これ以上この問題追及いたしませんが、いずれにいたしましても、もう皆さん御案内のように、電源立地問題にいたしましても、もう計画は大幅におくれております。そういう意味からいけば、一体これは普通の省庁でいけばもう責任問題ですよ、こういう状態というのは、そうでしょう。計画に対しましてあなた一六%しかこれは達成できていないわけですよ。それはもちろんそれぞれの電力会社がやっていることでと言われるかもわかりませんが、少なくとも行政指導しているのは通産当局ですからね、そうでしょう。ですから、いまの問題もそういうふうに、電気料金の視点から私がいま質問いたしましたからそういう答弁になるんでしょうけれどもエネルギー総体の対応策から見れば、多くの問題がいま緊急にそしてまた精力的に改善をしなけりゃならないという状態に置かれておると思うんです。そういう意味からいきますと、私はいま再編成の問題に理解をしてないというお話がありますけれども、もう少し根本的に今日のエネルギー問題についてのあり方について十分な対応策を立てませんと、先ほど言いますように、もう近い間に石油供給もきわめて逼迫をするということ答弁されているわけですから、やっていただきたいと思うんです。それで、いずれにしてもこの報告書全体見ましても、従来から見れば一歩進んでいるのかもわかりませんが、どうも総花的でつかまえどころがありません。しかし、まあ報告書によって日本の行政が進むということじゃありませんから、したがって、まあこの報告書の内容の中で、一体いま日本エネルギー政策が何を差しおいてもやらなきゃいけないかということについても、十分検討されていると思いますが、一体この報告書に対する総体的なまとめの作業というのは、どういう仕組みで行われているんですか。
  24. 天谷直弘

    説明員天谷直弘君) この報告書の非常に大きなポイントの一つは、資金対策ということかと思って考えております。エネルギー政策を遂行するにいたしましても、やはり最大の問題は金がなければ仕事ができない。現在エネルギー対策としての資金源は、原重油関税と石油税と合わせまして大ざっぱに言って三千億円程度でございます。これをたとえば石油にかかっているいろいろな税金二兆一千億ないし二千億程度でございますが、これと比べてみますならば、かなり少ない金額であるというふうにわれわれは感じております。こういうエネルギー財源をどういうふうにしてこれから手当てしていくかということは非常に大きな問題でございますが、現在御承知のような財政事情でございますし、財源手当てというものも非常にむずかしいものでございます。しかし、この報告書によりますと、石炭、石油財源、それから電源開発資金、原子力等に関する資金につきまして一応の目安というものが出されておるわけでございますが、われわれといたしましてはこういう方向に従いまして財源確保努力する、さらに一層の財源の充実ということを今後とも努力をしていきたいと考えております。まあそういう財源を確保とうらはらになることでございますが、積極的な施策といたしましては、まずエネルギー企業の合理化に関する法律の御審議をお願いしておるわけでございますが、これを早く成立をさしていただきまして、省エネルギー政策の推進を図りたい。第二番目には、電源立地の促進によりまして二次エネルギー安定供給確保を図りたい。三番目には、多面的な原油確保策、これは非常にむずかしい問題でございますが、石油公団の機能強化等によりまして原油確保を推進するとともに、石油備蓄の増強を図りたい。それから、原子力の開発、石炭利用の推進、液化ガスの導入の促進等々石油代替エネルギー開発、導入を促進したい、それからサンシャイン計画を今後とも一層積極的に推進をしていきたい、大体こういうふうに考えておるわけでございます。
  25. 大森昭

    大森昭君 それじゃ、いまのお話では、ちょっと私も時間がなくなりましたから個別に入れませんけれども、ただ私は最後に一つぜひ要望しておきますが、大体行政府というのは、何か問題が起きますと、何とか調査会、何とか懇談会、何とか委員会をやってますのでということが多いのであります。何とか報告会、何とか懇談会なんというのが今度答申を出しますと、なかなか今度はそれに沿って具体的にやるというのもこれまた遅いのであります。これは役所の常でありまして、これは通産だけじゃないんでありますが、しかしまあいずれにいたしましても、慎重にやらなければならない問題というのはいろいろそういう政府の機関を通して、調査会などの報告に基づいてということもありますが、冒頭から問題を提起していますように、エネルギー問題というのはそう短兵急にできるものじゃありませんので、時間をかけなければ。したがって、なるたけ速やかに取り組みをしていただくことを要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。     —————————————
  26. 小柳勇

    ○小委員長小柳勇君) 参考人出席要求についてお諮りいたします。  資源エネルギー対策に関する件の調査のため、本日、石油公団理事松沢明君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 小柳勇

    ○小委員長小柳勇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  28. 小柳勇

    ○小委員長小柳勇君) 引き続き質疑を行います。
  29. 馬場富

    馬場富君 最初に、石油安定供給立場から、先ほども質問されておりましたが、イラン政情につきまして、一応軍事政権下に入って一応安定したというように見えてますけれども、これにつきまして日本石油供給源の立場からも非常に心配な点があるわけです。そういう点について、外務省にひとつイラン情勢についての見解を質問いたします。
  30. 堤功一

    説明員(堤功一君) 二日前の軍事内閣成立以来、イラン情勢は一応平穏を保っております。小規模のデモ等は行われておるとの報道がございますけれども、一応治安状況は回復しつつあるごとくでありますが、私どもといたしましてはこれにて問題が基本的に解決されたというにはほど遠い情勢であると思っております。今後とも社会的な不安、基本的には政府に対する不満というものが続いていく。これに対して相当の対策が講ぜられない限り問題の解決はまだ遠いのではないか、そういうのが基本的な見解でございます。
  31. 馬場富

    馬場富君 それじゃ、結構です。  次に、エネルギー庁の方に、いま外務省の人からイラン情勢発表されましたけれども、非常にまだ険悪な空気の中にある、こういうのがイラン政情のようです。そういう立場から、イランサウジアラビアに次ぐ二番目の石油供給国として、やはり全輸入量の一七%を実は占めておるわけです。そういう点について、やはり今後のことが非常に心配されるわけですが、石油安定供給立場からこれに対してひとつエネルギー庁としてはイラン政情をどのように理解しておりますか。
  32. 神谷和男

    説明員神谷和男君) 政治情勢につきましての見解は、私どもとしては基本的に外務省と見解を一にするわけでございますが、エネルギー庁といたしまして特に関心がございますのは、先生指摘のとおり、それらが今後原油供給にどういう影響を与えていくことになるか、あるいは少なくもそういう関連でイラン政治情勢について、やはりわれわれなりに慎重に分析していかなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。ただいま外務省の方から説明ございましたように、軍事政権下において一時的安定がもたらされるということでございまして、この段階におきまして石油生産原油生産が私どもとしては安定的に回復していくことを望むわけでございますけれども技術的に、一度下がりました原油生産を急速に上げるということは、これはおのおのどういう油田においてそれが下がっておるかを詳細に検討いたしませんと、はっきり申し上げられませんが、一般的に古い油田から閉めたような場合には、これの回復に若干の時間を要するだろうというふうに考えておりますので、イラン政情が中期長期的に安定に向かうことを期待しておるわけでございます。  ただ、基本的にイランの民衆の中にいろいろな現在のこれまでの政治のあり方に対する不満があった、こういうことでございますので、イランの現体制もこれに真剣に取り組んでおるものと期待しておるわけでございます。ただ、原油供給に関して申し上げれば、イランという国についてやはり石油生産並びに輸出は生命でございますので、少なくもどういうような政権が出てまいりましても、やはりイラン石油生産あるいは石油輸出、いわゆるその戦術的な面において若干の変化はあるかもしれませんが、大きな流れでそれを引き上げ、あるいは輸出を安定的に拡大していくという施策は、われわれは変わらないものと考えておりますし、したがって混乱が安定すれば私どもイランからの原油が、細かい意味で技術的にどこにここにということではなくして、この地球上グローバルに供給されるものと期待をいたしておりまして、世界的な石油需給は混乱がおさまればわれわれは回復し得るものと考えております。
  33. 馬場富

    馬場富君 いまの政情分析でもわかりますように、一応やはり長期化を考えなきゃならぬ。また異常な変化等の考えを一つは持っていなけりゃいかぬ。こういう立場から、場合によってはやはり供給カットとか供給減というものが一つは考えられている。こういうものに対しまして対策をどのように考えてみえるか、説明してもらいたいと思います。
  34. 神谷和男

    説明員神谷和男君) 先ほどの御答弁と若干重複するところがあるかもしれませんけれども、現在イラン以外の主要な産油国におきましては、その生産能力フルの生産が行われておる現状には必ずしもございません。たとえば、サウジアラビアにつきましては一千万バレル・パー・デー以上の生産能力ありと言われておりますが、八月段階におきましては七百十五万バレル・パー・デーといったような生産レベルになっておるわけでございまして、そのほかクウェートあるいはユナイテッド・アラブ・エミレイツ、いわゆるアラブ首長国連邦といったような国々におきましても、われわれとしては若干の生産余力があるというふうに考えております。サウジアラビアにつきましては、非公式の情報でございますが、すでに一千万バレル・パー・デーまで生産を引き上げたという情報が各方面から入手されております。サウジアラビア政府はまだ公式には発表いたしておりませんが、そういう形で他のアラブ諸国の住産増に期待するとともに、それらの原油をできる限り努力をして調達するよう各石油会社に指導をしておるところでございます。第二義的には、私どもはやはり備蓄によって、もしただいま申し上げました措置で対処できないほどにイラン情勢が悪化し、あるいは長期化した場合には、これに対処しなければならないと考えておりますし、これによって十分対処し得ると考えております。
  35. 馬場富

    馬場富君 確かに、日本の場合はそういう立場でほかからこの一七%の補いをつければいいという、いまの答弁の中でそういう点はありましたが、やはり供給減が起こった場合、やはりイランのあれだけの産油国世界に与えておる影響力というものは大きいものです。こういうことについて、それが全体的に一つは変動が起こってきた場合に、やはり各国が他の産油国にそういう点の手を伸ばすということは日本以外にも考えられると思う。そういう点から予想される原油スポット価格の上昇ということが心配になってくるわけですけれども、この点はどうでしょうか。
  36. 神谷和男

    説明員神谷和男君) 原油スポット価格につきましては、すでにイラン政情不安あるいは石油供給減というものが起こる前から、OPECの値上げを見越しましてすでに最近に入りましてある程度の進展を見ておったわけでございますが、ここにまいりましてイラン供給が三分の一あるいはそれ以下までダウンしたことによりまして、世界的にスポット価格は上昇をしておるというふうに考えておりますし、またスポット的な手当てというのはそう容易には行えないような状況になっておるふうに考えております。ただ、わが国石油会社におきましては、他の手当ての繰り上げてのローディングその他もろもろの手段を講じておるところでございます。
  37. 馬場富

    馬場富君 それでは答弁の中から私たちは推察しますと、十二月にOPECの値上げが決定されておるわけですけれども、これにもやはり影響があると、こう見るべきだと思います。どうですか。
  38. 神谷和男

    説明員神谷和男君) 公式にエネルギー庁としての見解を申し上げるのは適当とは考えられませんが、少なくもイラン原油生産減というものが、OPEC総会まであるいはそれ近くまで続いたような場合に、当然影響が理論的にあり得ると考えるのが筋だろうと思います。
  39. 馬場富

    馬場富君 次に、先ほども出ました、これに対して一つは備蓄によって対策を考えていきたい、こういう御答弁がございましたが、現在どのくらいの備蓄がある程度まで確保されておるか、説明してもらいたいと思います。
  40. 神谷和男

    説明員神谷和男君) 九月末現在で、民間備蓄から申し上げますと、約三千二百万キロリットルが原油でございます。それから、燃料油の状況におきまして約二千七百万キロリットルの備蓄がございまして、合計五千九百万キロリットル、これを製品ベースという形で通常われわれの計算で戻しますと五千七百三十万キロリットルでございます。したがいまして、民間備蓄は五千七百三十万キロリットル、八十三・五日分に当たります。それから、公団備蓄が一口に五百万キロリットルと言われておりますが、正確に申し上げますと五百二十万キロリットル、タンカー備蓄で現在すでにタンカーに積まれております。これは日数で計算いたしますと、七・二日分になります。したがいまして、九〇・七日分というのが九月末現在におきますと言いますか、むしろ現時点においてと申した方が正確かもしれませんが、現時点におけるわが国備蓄量でございます。
  41. 馬場富

    馬場富君 そこで、民間備蓄かなり限界に来ておるような声を聞いておるわけですけれども、ここでやはり国家備蓄の問題が出てくるわけですけれども、政府は黒字減らしの対策として、一つは国家備蓄目標を五十七年度までには一千万キロリットルと、こういう十日分という目標でございましたが、これを三千万キロリットルに方針を変更された、こういうふうに発表されておるわけですが、この点の実現は可能かどうか。
  42. 神谷和男

    説明員神谷和男君) 御指摘のように、現在石油公団は一千万キロリットルの陸上備蓄というものを早急に実現すべく候補地点の調査等を鋭意行っておるところでございます。タンカー備蓄はそれまでのつなぎという意味、それと外貨減らしという観点を含めまして、その繰り上げといいますか、あるいはその内数として現在、先ほど申し上げましたように、五百万キロリットル強すでに実現をしておると、こういう状況でございますが、先ほど来、当委員会で話題になっております総合エネルギー調査会石油部会の答申におきまして、先生指摘のとおり、将来はやはり公団備蓄、いわゆる国家備蓄は三千万キロリットルの規模にまで引き上げるべきである、少なくも当面二千万キロリットルの規模に拡大すべきであるという報告答申の中に盛られておるわけでございます。われわれこれを受けまして、少なくも明年度におきましては二千万キロリットルの備蓄を公団が行い得るような財政的裏づけを行うべく、現在財政当局と折衝を行っておるところでございます。
  43. 馬場富

    馬場富君 ここで、特にこれから石油安定供給立場とあわせまして、いまの産油国政情等もあわせまして非常に不安定なものができてきておるわけだし、また備蓄におきましてもかなりやはり場所や資材等、あらゆる面におきまして非常に困難なものがつきまとってきておると、こういう状況下にありまして、やはりこれからの安定供給備蓄のために一番やっぱりポイントになってくるのは近距離の中国原油の問題が大きくこれは考えなきゃいかぬと、こういうふうに思うわけです。そういう点で、先般も河本通産大臣の訪中によりまして中国原油輸入の拡大が一つは考えられてきたわけですけれども、この中で特に価格と品質の問題が挙げられておるわけでございますけれども、この点についてはどのように解決されていくのか説明していただきたいと思います。
  44. 神谷和男

    説明員神谷和男君) 御指摘のように、現在中国から輸入されております大慶原油は、いわゆる一言で申し上げますと重質油でございます。硫黄分は少ないという利点を他方持っておりますが、今日の原油需給関係から見ますと、むしろ重質であるか軽質であるかということが重油の価格を決定する重要な要素になっておる。あるいはその原油に対して非常な関心を持ち、要するに購入意欲が強くなるか弱くなるかという面をそれらの要素が左右しておるわけでございまして、そういう面から中国の大慶原油が少なくもわが国の現在の需要あるいは将来の需要動向に必ずしも適合しているとは申し上げられません。もちろん、その低硫黄原油であるというようなメリットも十分ございます。  それで、これらの原油の将来の輸入拡大策についてどう考えるか、あるいはそれに対してどう対処するかということでございますが、先ほど長官から御説明いたしましたように、昭和五十七年まで千五百万トン導入する、これにつきましては、いわゆる原油の発電所における生だきあるいはその他それを精製いたしました製品のお引き取りについて、いわゆる電力業界、鉄鋼業界、その他ユーザー関係協力も得まして一応のめどをつけております。その後これを大幅に拡大していくということにつきましては、関連業界の一層の協力をさらに期待するほかに、やはり基本的にはそれらの重質油であるというデメリットを解決するために、重質油分解技術開発あるいはそれらの装置の導入ということで、基本的な問題を解決してまいりたいと思っております。原油の重質化という傾向は、中国原油だけの問題ではございませんで、わが国輸入原油あるいは世界的な原油需給共通の問題でもございますので、われわれとしてはそういう基本的な問題解決という態度でこれに取り組み、中国原油の将来の拡大を実現してまいりたいと考えております。
  45. 馬場富

    馬場富君 価格の問題はどうですか。
  46. 神谷和男

    説明員神谷和男君) 価格の問題につきまして、政府が余り具体的なところまで物を言うのは適当とは考えられませんが、私どもが見ますに、現在の価格で少なくも現在八百万キロリットル相当のものは入っておるわけでございまして、これはもちろん関係業界協力努力はありますけれども、一応そういう形で入っておるという以上、現時点で現在の数量のものは一応の競争力はあると、こういうふうに考えられます。ただ、これらの原油につきましては、量が増大するに従いましてやはりこなし方がむずかしくなる。そうなりますとコストも余分にかかるということで、価格についての注文がいろいろついてくるというふうに考えられますが、基本的には、将来の問題でございますが、中国原油を拡大していきます場合には、世界的な標準油種、あるいは軽質油中国のような重質油価格差がどれだけになってくるかということが問題でございまして、価格レベルというよりも価格差の問題であろう、こういうふうに考えております。中国は国際価格での供給ということを言っておりますし、私どもの大臣も、そういう国際的に競争力のある価格で引き取るという基本方針を中国側にも表明いたしておりますので、問題は、国際的に重質油軽質油価格差がどれだけ将来開いていくか。私は現時点よりも将来は逐次開いていくと考えておりますが、これが中国原油をこのままの状態で十分輸入拡大し得るまでに拡大していくかどうかは、現時点では何とも申し上げられません。逐次、いい方向に進んでいくものと考えており、期待しております。
  47. 馬場富

    馬場富君 そこで、もちろんそういう品質と価格の問題は重要でございますけれども、先ほど来も質問いたしましたように、やはり世界における産油国政情の問題やら、将来のやはり長期安定の関係を考えて、やはり隣国でもあるし、それからまた、そういう点でよきまたそういう点では備蓄の保たれる関係にもあるわけです。そういう立場から、ひとつは大いに国としても考えていかなきゃならぬということですが、まあこの重質油の受け入れ体制につきましても、民間レベルではこれは非常にいいことだけれども、非常に実現がむずかしい説もずいぶん出てきておるわけですし、また活用面についても、やはりこれは国としてある程度まで助成もし、相当本腰を入れてこれは取り組むべきだと、そしてやはりこの問題については解決をしていくべきだとわれわれは考えるわけですけれども、この点はどうでしょうか。
  48. 神谷和男

    説明員神谷和男君) 御指摘のとおりでございまして、われわれとしてはただいま御指摘のような観点、さらにはエネルギー問題を超えまして、日本中国との経済関係の拡大という意味でも重要な意義を持っておりますので、それらの観点を総合的に含めて、本格的にこれに取り組み、国として所要の支援を行っていくべきだろうと考えております。
  49. 馬場富

    馬場富君 そういう重質油の受け入れ体制の整備等については、国の助成等もひとつは考えていくという方向はどうでしょうか。
  50. 神谷和男

    説明員神谷和男君) 当面は、わが国に最も適した重質油分解技術開発というところから入らなければならないわけでございますが、それにつきましては、明年度以降本格的に官民合同でこれに取り組むべく、私どもといたしましては重質油分解技術開発研究のための予算を実現すべく、現在財政当局と折衝中でございます。
  51. 馬場富

    馬場富君 河本通産大臣に続いて第二次訪中として石油公団が訪中されたわけです。ここで、海底油田の共同開発についての詰めが行われたようでございますが、これにつきまして訪中に参加された石油公団の関係にひとつその詰めの内容について説明していただきたいと思います。
  52. 松沢明

    参考人(松沢明君) 約二週間訪中いたしまして交渉してまいりましたけれども、まあ新聞報道されているものそのものはほぼ正確に報道されておりますけれども、中には若干その新聞報道と違った面もございます。特に違っているという面は、いかにも何か中国日本の間で合意が行われたというような記事になっておりますけれども、一切まだ書面による合意その他は行われておりません。今回の訪中はプレリミナリー、いわゆる前段階の話し合いであって、中国日本がどういう合作ができるかという模索をしている交渉でございます。そのためにいろいろな意味で、大体こういう方法なら合作ができるんじゃないかというような感触を得たにすぎませんで、中国日本の間で一切合意が行われたような事実はございませんので、その点新聞報道とは若干ニュアンスが違っていると思います。以上でございます。
  53. 馬場富

    馬場富君 そこで、違っておる点は違っておるという点でまた説明していただきたいと思いますが、日本が参加する、一つはこの詰めの中で、開発区域というのは渤海湾油田の南鉱区の二万平方キロということでございますが、すでに近くにやはり試掘に成功しておるということ等も挙げられておりますが、その成果の見通しと予定埋蔵量等あるいは油質等については、どのように理解されてきたか説明していただきたい。
  54. 松沢明

    参考人(松沢明君) 御質問の地域は隣に、いわゆる南部の隣には勝利油田という油田がございます。そういう意味で、一つの盆地の中でいわゆる勝利油田というような油田に隣接した地域であるということから、かなり石油の埋蔵の可能性は高いと思いますけれども、ここの埋蔵量が幾らということは、埋蔵量というのはこれは探鉱を行った後で決めることでありまして、まだほとんど探鉱が行われていない段階埋蔵量が幾らということはわかりません。  それから、いわゆる渤海の南部地域というのをいま交渉の対象にしておりますけれども、その南部だけを日中の合作の対象にしているという意味ではございませんで、今後逐次ほかの地域も交渉をするかもしれませんし、南部だけで打ち切る場合もあり得るかもしれませんけれども、そういう点ではまだ日本側も中国側も一切決めておりません。そういうことでございます。
  55. 馬場富

    馬場富君 一応は、地域発表のような南鉱区の二万平方キロの地域ということで話が進められたと理解していいかどうかという点と、それから油質はやはり中国油の中で問題にされておる重質油の系統と見ておられるか。それから、いま埋蔵量については、一つは入ってみなけりゃわからぬということですけれども、一応予想として中国側との折衝の中で出た数字等があれば説明していただきたいと思います。
  56. 松沢明

    参考人(松沢明君) いま交渉している地域は、主に二万平方キロの南部であるということはそのとおりでございます。  それから、油の質につきましては、これはやはり陸成のものでございますのでパラフィンが多いことは事実でございますし、かなり重質であることもこれも事実でございます。ただ、まだ開発が行われておりませんので、実際に渤海の南部からどんな油が出るかという細かい点は、これはやってみないとわからないことじゃないかと思います。  埋蔵量につきましては、これは数字を申し上げても、これは全くの紙にただ書いたものでございまして、それが事実であるという証拠は何もない。全くこれはまだ調査、未探鉱のところでございますし、南部というのは渤海の中でも調査がほとんど行われてないところでございますので、ちょっと埋蔵量が幾らという判断はつきかねる。ただ、まあ渤海のそばにいろいろな油田がございますから、そういう油田に似たものが南部にあるかと言われると、そういうものはあるとも言えるし、またそういうものが見つからないケースだってあるんじゃないかということぐらいしか言えないんで、ただ、周りにそういう油田があるということから、地域的には非常に有望性があるのではないかということは考えられると思います。
  57. 馬場富

    馬場富君 じゃ、その関係で、やはり探鉱、開発生産のすべてを日本側が請け負い管理するというような話の中で、日本側は石油開発あるいは石油精製会社からの参加によって新会社をつくってやるという、そういう発表もなされておりましたが、この新会社の性格というのはどのようなものを考えてみえるか。新会社はまた、一社でやるのか、それとも区域を決めて複数の考えもあるのかどうか。その点についてひとつ説明していただきたいと思います。
  58. 松沢明

    参考人(松沢明君) 新会社というのは、いままだ相談をしている最中でございまして、また民間側から一切まだ意思表示がございませんので、どういう会社がこの新会社の中に入ってくるかということもまだよくわかりません。新聞などには石油連盟各社にも公団が話をしたというような記事もありますけれども、実際にはまだ一切話はしておりません。話をしたのは、石油鉱業連盟各社にお話をしただけでございます。そういうことで、今後これからその新会社については、どういう会社をつくっていくかということはこれから決められていく問題でありまして、現在でははっきり定かにそういうことをお答えする段階には来ていないと思います。  まあそういうことで、今後検討をしながらこの新会社は進めていきたいと、こういうふうに思っているわけでございまして、いまのところどういう性格とかいうようなこともまだ決めておりません。
  59. 馬場富

    馬場富君 この点については、相手方の関係会社等のこともございますが、石油公団としての中国との話の中で、一つ持ってこられたものがあって、それに対するやはり新会社という構想もその一つだろうと思いますが、そこらあたりのところを説明してもらいたいと思います。
  60. 松沢明

    参考人(松沢明君) 現在、検討中でございますけれども、なるべく日中合作ということで、まあ日本の全体のプロジェクトとして進めていきたいと公団では考えておりますので、広範囲な層から株主を募っていくのがいいのではないかということを思っております。  ただ、これは相手がありますし、まだ検討中でございますので、今後いろいろ検討をしたいと思いますが、そういうふうに考えております。
  61. 馬場富

    馬場富君 その場合の中で、一つは技術者等は日本から派遣するというような構想が出ておったようですけれども、機材や人員等については日中いずれが主になっていくものなのか。そこらあたり、どうでしょうか。
  62. 松沢明

    参考人(松沢明君) 合作になりますと、いわゆる新聞報道にありますように、探鉱から開発生産に至る段階すべてに対して日本協力をするために、これはもちろん技術をもって協力するわけで、技術者というものも中国へ行って活躍をしなきゃならないはずでございます。  それから、資材というものは、これはやはり中国日本から必要とする物、こういうものは日本が供与をする予定になっております。
  63. 馬場富

    馬場富君 生産段階から、いろいろな施設等の問題等についても、やはり大体同じようなケースで進められるというふうに理解してよろしゅうございますか。
  64. 松沢明

    参考人(松沢明君) 生産段階の設備につきましても、日本から輸出をすることになるだろうと思います。
  65. 馬場富

    馬場富君 次に、開発から生産までの必要な費用は、日本側が中国に融資し、生産された原油で返済されるというパターンになっておると、こういうふうに発表されておりますが、中国の融資に対する共同開発中国側はどのような形の窓口をもって日本との折衝に当たられるかということですね。この点、説明していただきたいと思います。
  66. 松沢明

    参考人(松沢明君) いま、窓口というお話ですけれども、いまわれわれが交渉をしている相手は中国石油工業部の下部組織である中国石油天然ガス勘探開発公司という名前の企業になっております。それで、これがいまのわれわれの当面の交渉相手でございますけれども、金融の問題とかいろいろな問題が出てまいりますと、これは恐らく人民銀行とか、そういう銀行、あるいは対外貿易部というようなものが将来は交渉にかんでくる可能性はあるかと思いますけれども、現在のところ窓口としては石油工業部一本になっております。
  67. 馬場富

    馬場富君 その中で、原油で返済されるという形をとるわけですが、先ほどの質問の中にいたしましたけれども、特にユーザーである日本石油業界価格と品質についての異議がかなりあるようですが、ここらあたりの調整はどのようにされるか、ひとつ公団とあわせてエネルギー庁からも御答弁願いたいと思います。
  68. 松沢明

    参考人(松沢明君) いわゆる石油開発をするために使ったお金ですね、特に外貨を必要とする分は日本供給しますが、この分はは油で返済されるということでございます。この量は、原油の量としては一般に考えておられるような大きな量ではございませんで、これは計算していただくといいんですけれども、たとえば一億ドルぐらいを供与しても、原油の量としては、十数ドルで割っていただければバレルが出るわけですけれども、大した量にはならないわけでございます。ただ、中国にこういう協力をしたことによって、中国から原油供給を受けるというその話は、まだ一切中国日本の間でやっておりません。こういうものは、将来はこういう話が持ち上がるかもしれませんけれども、いまのところはいわゆる出したお金の返済が原油であるということだけでございます。
  69. 神谷和男

    説明員神谷和男君) 一般的に申し上げまして、海外で開発をいたしました油の引き取りにつきましては、通常、開発に従事いたしました会社が油で支払われるものは引き取りまして、それを国内の精製会社その他に自己の販売活動を通じて販売していくと、こういうのが一般的なパターンでございます。  それで、中国の場合にこれを将来どのように持っていくのかということは、先ほど松沢理事から御説明ございましたように、この会社をどういう形のものに構成していくか、どういう構成メンバーで構成していくか、それに対して政府としてどういうふうに支援していくかという問題がすべて絡んでおります。したがいまして、今後公団とよく相談をしながら、基本的には通常の開発のパターンをベースにいたしながら、やはりできるだけ引き取りが円滑に進むような方向で進めるような仕組みに持っていきたいと考えます。
  70. 馬場富

    馬場富君 公団は直接訪中の場合、中国と折衝されたわけですけれども、いろんな点でまだはっきり発表のようにしてない点もあるようですが、その接触の度合いからいたしまして、これはやはり第二次訪中団に中国側との折衝の基準が一つ基準になって、そしてやがてこれが両国間の合意になるというような発展性をわれわれも期待するわけですけれども、その点はどうでしょうか。
  71. 松沢明

    参考人(松沢明君) 御説のとおりだと思います。第二次訪中団でいわゆるプレリミナリーな話し合いをいたしまして、かなり両者の考えていることがわかってまいりましたので、本格的な交渉はこれから進めたいというふうに思っております。
  72. 馬場富

    馬場富君 その訪中の話の中で、この渤海湾の話とあわせまして、黄海の石油開発の話が中国側からあったというようなことも発表されておりますけれども、これはどのようでしょうか。
  73. 松沢明

    参考人(松沢明君) 黄海の話は、御説のように、今回訪中した際に中国側から提示されたものでございます。ただ、これについてはただ提示を受けただけで、中国日本の間でこの黄海の鉱区の開発についての話し合いというものは一切やってきておりません。今後日本としても、この黄海に日本の企業として進出していくかどうかということもまだ決めておりません。これからこれは検討をしていきたいと思っております。
  74. 馬場富

    馬場富君 エネルギー庁に、これは通産大臣が行かれたときの話の中での、もう一点珠江の下流のいわゆる日中米三国の共同開発の話が報道されておりますけれども、この点はどうでしょうか。
  75. 神谷和男

    説明員神谷和男君) 珠江の問題につきましては、松沢理事が訪中いたしました際にも当然話題になったというふうに聞いておりますが、渤海湾南部からまず固めると、こういうことでございますので、まだ具体的な話まで入っていないと了解いたしております。  御指摘の日中米三国共同の開発の問題につきましては、特に日本側から正式に提案を行ったという事実はございませんが、アメリカ等、やはり中国石油開発の面で種々アメリカの会社が接触しておるという事実は事実でございますし、それらが南部の地域についていろいろ話をしておるという情報も聞いておりますので、通常、油が出るか出ないかがはっきりしないようなある程度の危険度の高い地域で、相当量の資金を必要とするような開発については世界的に、危険分散の意味も含めまして、複数国が合同して開発に関与するということがほぼ慣例に近いことになっておりますので、中国側の意向いかんによってはそういう可能性が絶無とは申し上げられませんが、現時点で少なくも政府段階で正式にそのような話は行っておりません。
  76. 馬場富

    馬場富君 最後に長官に、中国原油輸入についてのエネルギー庁としての今後の取り組み方について説明していただきたい。  あわせまして、中国の十カ年計画を見ますと、やはり大型油田開発が大量に計画されてきております。そして、七八年には一億トン、八五年までには二・三億トンというような多量の生産中国が計画して進めておるようでございますけれども、やはり日本もこの中国との原油の取引を考えていく場合に、日本日本なりに、輸入にしても共同開発にしましても、これに対しての一つは日本の需要計画ともにらみ合わせまして、やはり本腰を入れて長期計画を立てて取り組んでいくべきだと、こういうようにわれわれは考えるわけですが、この点どうでしょうか。
  77. 天谷直弘

    説明員天谷直弘君) 中国石油輸入ということは、エネルギー庁といたしましては、基本的にこれを積極的にやるべきであると、こういうふうに考えているわけでございます。その理由は、わが国石油供給ソースが現在中近東に偏り過ぎておるというその脆弱性がございますので、石油供給ソースを多様化したい、多元化したい、その多元化する候補地といたしましては、中国に大量の石油が産出されるのであれば、中国から非常に近距離でもございますし、きわめて望ましいことでございますので、中国からの石油を大幅に拡大したいと、こういうふうに基本的に考えておるわけでございます。  それから、これはエネルギー庁立場、直接エネルギー庁関係しているわけではございませんが、やはり基本的に日本といたしましては、中国経済の発展に協力しなければならない、協力することが必要であると、こういうふうに思いますが、中国経済の発展に協力するということは、中国のいろいろな近代化、工業化に協力することである。そういたしますと、中国に機械、技術等を輸出しなければなりませんが、中国日本あるいは欧米から輸入するところのそういう機械や技術を、一体どうやって支払うのかという問題が当然出てきまして、その支払い決済資金のソースといたしまして、石油がきわめて重要な位置を占めているということは明瞭でございます。  そういうわけで、石油日本が大量に中国から輸入できますならば、これは日本エネルギー供給構造の安定化にも資することでございますし、中国経済の発展にも資することでございますし、それからまた、日本の産業の高度化ということにも資することでございますし、いずれの方向から見ても望ましいことでございますから、基本方向は大いに拡大をしたい。しかし、それじゃどれだけ拡大をできるかということになりますと、これは中国側ともよく相談をしなければならないことでございまして、この間、通産大臣が訪中された折にも、五十七年以降大幅に拡大をするけれども、具体的な数字については専門家レベルでよく検討をいたしましょうと。その際、基本的な方針といたしまして、その価格というものは国際的に競争力のあるものでなければならない。こういうふうに合意をいたしておるわけでございまして、われわれはこういう合意に従って進んでいきたい。なお、これからの中国石油が十カ年計画の線に沿ってどんどん産出量が増大するということが基本でございますから、この面でも大いにこの開発協力をしていきたいというふうに考えておるわけであります。
  78. 馬場富

    馬場富君 一つ落ちておりますが、それに対してやはり中国事情はそういう状況ですけれども、やはり日本の需要ということがあるわけです。それについて、やはり中国との結局生産とあわせて、日本がこれについてやはり場当たり的なことではなく、やはり長期的に本腰を入れて取り組むべき性格のものである、われわれはそういうふうに思うわけですが、その点どうでしょう。
  79. 天谷直弘

    説明員天谷直弘君) もちろん、本腰を入れて取り組むべき大きな問題であると考えております。日本の需要構造と中国から産出されるであろう油の性質とが必ずしもマッチしてない面があるということがございますので、これにつきましては、まず重質油分解技術開発ということを官民協力いたしまして、これから四年間かけて積極的にやっていこう、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから先、重質油分解設備をどの程度建設すべきであるかというようなことは、これからさらに技術開発の進みぐあい、それから中国からどれくらい引き取るのかということの進みぐあい等々をよく見ながら検討すべきものであるというふうに考えております。
  80. 小柳勇

    ○小委員長小柳勇君) 松沢参考人には御多用のところありがとうございました。御退席願って結構でございます。
  81. 安武洋子

    安武洋子君 私は、電源立地の問題をお尋ねしたいと思います。  初めに発電用ダムの貯水池における土砂の堆積問題をお伺いいたしますが、資源エネルギー庁でおまとめになった昭和五十一年度の堆砂状況、これを拝見いたしますと、約半数が一〇%以上の堆砂率、こういうふうになっております。半分以上砂に埋まっているのが三十六地点ありまして一二・五%。八〇%以上九〇%以上というふうなほとんど砂に埋まってしまっているのが十一地点もございまして、三・八%と大変深刻な状況でなおざりにできない状態だと思います。貯水池の大半が土砂で埋まってしまうというふうな事態というのは、建設当初の堆砂の見通しから見ますと、大変大きな誤算ではないかというふうに思いますけれども、一体その原因はどういうふうにお考えでございましょうか。  それからまた、堆積土砂の除去というのをお考えになっていらっしゃるのでしょうか。どのように対応策をお考えでございましょうか、その点をお伺いいたします。
  82. 豊島格

    説明員(豊島格君) まず、ダムの堆砂が当初の計画に比べて相当想定以上に進んでいるんじゃないかということでございますが、これはいろいろ理由があると思いますが、集中豪雨等によって上部の山岳部が崩壊して、当初予想したものを上回ったというような場合が一番多いというふうに考えております。  それから、第二のこういう事態に対してどういうふうに考えておるかという御質問でございますが、ダムの土砂堆積につきましては、先ほど先生が引用なさいましたように、私どもといたしましては電気事業者に対して電気関係報告規則に基づいて毎年その状況調査報告さしておりまして、この堆砂によりまして発電機の発電機能が著しく下がったり、あるいは河床が上昇するということになりますと、これが洪水の被害が出るというおそれもございますので、そういうものにつきましては土砂のしゅんせつ等所要の対策を講ずるよう、かねてから電気事業者を指導しておるところでございます。  今後の問題といたしましては、ダム堆砂の進行に伴いまして堆砂問題がさらに重要な問題となるというふうに考えられますので、建設省とも連携を保ちつつ堆砂対策を確立するということで、五十三年度からダムの機能の回復あるいは堆砂骨材の活用等、総合的な堆砂対策を確立するためダム堆砂対策調査委員会というものを設けて、ここで、建設省がお設けいただいているんですが、私どももこれに参加して、一体どうしたらさらにうまい方法があるかということを研究し、進めていきたいと、このように考えています。   〔小委員長退席、大森昭君着席〕
  83. 安武洋子

    安武洋子君 堆砂問題というのは、私はなかなかこれ大変な問題だと思います。こういう問題一つをとってみましても、いま御答弁ございましたように当初の予測を大変上回ったという御答弁ございましたが、電源立地に際しましては環境評価を厳重にやっぱり行うということが、このことからもきわめて重要だということは言えると思います。  通産省の五十四年度の政策の重点、これを拝見してみましても、立地環境対策の推進と、こういうことで電源立地等に関するアセスメントの強化と、こういうことがうたわれております。国としての統一的な評価基準や予測手法を確立していく方針だというふうに思われますけれども、一体どのような方針で臨んでおいでなんでしょうか、その点をお伺いいたします。
  84. 豊島格

    説明員(豊島格君) 電源立地の円滑な推進を図るためには、当然の問題としまして地元の住民の方々の理解ということが必要でございます。  それから、いま先生が御指摘になりましたように、そういう堆砂問題というよりも環境問題がいろいろとあるわけでございまして、こういう問題を解決するために、環境の保全に万全を期すということは当然でございますが、通産省といたしましては昨年省議決定で、電気事業者が行った環境調査結果について、環境審査顧問の意見を聞いて十分その審査をするという、独自の審査をさらに強化していくということを考えておるわけでございまして、いろいろと対策ございますが、電源開発調整審議会にかける前に、相当綿密な環境調査をやっておるということが事実でございます。
  85. 安武洋子

    安武洋子君 さらに重ねてお伺いいたしますけれども、アセスメントの強化が出されたという背景でございますけれど、厳しいアセスメントが電源立地上の障害になるというふうな見地に立って、とりわけ環境アセスメントの法制化に対抗するものとして考えられたのではないかという懸念もございますけれども、いずれにしても電源立地の際に環境評価を厳格に行うと、それで保安とか環境保全とか、さらには周辺の生活に対してどういうふうな影響が出るのかというふうなことを十分環境評価いたしまして、禍根を残さないような十分な対策を講じていくということは、これはもうなおざりにできないきわめて重要なことだというふうに思うんです。その点について長官の御見解を一度お伺いいたします。
  86. 天谷直弘

    説明員天谷直弘君) 御指摘のとおりでございまして、電源開発をするに当たりましては事前に周到な環境アセスメントを行いまして、将来に向かって禍根を残さないというような注意がきわめて必要であると考えております。
  87. 安武洋子

    安武洋子君 ところで、ことしの三月の二十三日に電源立地推進特別会議で五十三年度に六十地点、約二千万キロワットの立地案、これは電調審に諮って着工承認を取りつけるという方針のもとで、電源立地対策室の設置とか電源立地対策交付金の引き上げと倍額上乗せの措置、こういう方針を決めて二十二地点の主要電源の指定、これや七月の十四日には電調審で千七百五十万キロワットの目標設定、こういうものを行うというふうなことで、電源立地を急速に進めようとなさっていらっしゃいます。  そこで、今年度に入りまして現在電調審を通過したのは何地点で、何万キロワット分なのかということをまずお伺いいたします。
  88. 豊島格

    説明員(豊島格君) 本年に入りましてから二回の電調審をいたしておりまして、七十五回、七十六回でございますが、新規地点名といたしまして三十カ地点、この中には火力の非常に小さいものが入っておりますので数は多うございますが、キロワットにいたしまして五百九十五万キロワットが電調審で予定されておったわけでございます。
  89. 安武洋子

    安武洋子君 何地点ですか。
  90. 豊島格

    説明員(豊島格君) 三十カ地点でございます。
  91. 安武洋子

    安武洋子君 重要電源対策として電源立地対策室の設置とか、それから企画官の新設とか、こういうことを行っていらしゃいますけれども、こういうものを行って一体どのような対応をなさっていこうというふうにお考えになっていらっしゃるんでしょうか。その点をお伺いいたします。
  92. 豊島格

    説明員(豊島格君) いま御指摘のございました電源開発対策室あるいは企画官の設置でございますが、これまでどちらかといいますと、電源開発につきましては国の役割りというのは中央で資金の手当てとか、あるいはいろいろと総括的なことを中心にいたしておりまして、具体的な地点につきましては、地元の県、市町村あるいは電力会社というのが主として推進しておったわけでございますが、そういうことでは今日の段階でいろいろと環境問題、安全問題、いろいろと問題ございますときに十分進められないということで、専任の企画官あるいは連絡調整官等を置きまして、各地点ごとにいろいろの問題を解決するような対策を考える、あるいは現地に飛んでいっていろいろと説明をし、あるいは問題を解決するということで、いわば地点ごとにきめの細かい電源立地の促進を進めるということをいたしておるわけでございます。
  93. 安武洋子

    安武洋子君 ことしから発電用施設周辺地域整備法、この政令を改正して電源立地交付金の基準単価の引き上げ、これを行っておられますが、それとともに特別上乗せとして五十三年度内着工及び五十三年度末までに電調審を通過して五十四年度中に着工する、こういう電源に対しまして、交付金を倍額にするという特例を設けておられますけれども、このような特例を設けられた目的というのは一体どういうことなんでしょうか。
  94. 豊島格

    説明員(豊島格君) 今後、電源開発を進あていくに当たりまして、昭和六十年度あるいは先までの需給計画を見ましていろいろと策を練っておるわけでございますが、その場合に五十三年度において電調審を非常に早く通しておかないと、その後のいろいろな具体化のために時間がかかりますので、そういう、ことし電調審を非常に多く通すということが、六十年あるいはさらに先、その途中の段階で五十六年ごろにもいろいろと問題がございますが、そういう先々を見まして、どうしても必要だということで、五十三年度の特別な措置としてこのようなことを考えたわけでございます。
  95. 安武洋子

    安武洋子君 では需給確保するということで、こういう今年度に限って交付金を倍額にするという特例を設けていらっしゃるわけですね。もう一度念のために聞きますが。
  96. 豊島格

    説明員(豊島格君) そのとおりでございます。
  97. 安武洋子

    安武洋子君 では通産大臣が再三にわたって、これは民間投資の刺激、それから景気浮揚の牽引車にしたいというふうなことを発言なさっていらっしゃいますが、エネルギー庁としてはこの六十年の需給計画を見通して、今年度中に電調審を通していくんだということで、この交付金を倍額にしたと、こういうことでございますね。間違いございませんね。お答えいただけるのですか。
  98. 豊島格

    説明員(豊島格君) 電調審を通すに当たりましては、いま先生の申されたように、今後の需給状況を見込んで、いろいろな手を打つ方法として、いま申し上げたような特別措置を講じたわけでございますが、これは同時に民間の設備投資不振の折から、非常に景気の振興といいますか、浮揚に役立つということでございまして、それからなお電源開発の促進ないしは電源投資の促進ということにつきましては、すでに臨調審を通って着工し、あるいは着工準備を進めているものについてもいろいろと手を打っていくということで、これが直接、いまございました電調審のほかにも電力投資促進策として必要なわけでございます。
  99. 安武洋子

    安武洋子君 では、電調審の通過というのが今年度の目標に達しない場合、来年度も引き続き特別の上乗せを実施していくというお考えをお持ちかどうかという点をお伺いいたします。
  100. 豊島格

    説明員(豊島格君) 私ども現在千七百五十万キロワットという五十三年度の目標を何とか達成すべく努力しているわけでございますが、結果は来年の三月にならないとわからないわけでございますが、いまのところ非常に来年もこの措置を継続しなければいけないほど、ことしの電調審が通らないかどうか。若干でも落ちたらやるべきであるということではなくて、大体目的が達成できればこの措置は打ち切ってもいいんじゃないかと、現在のところ考えております。
  101. 安武洋子

    安武洋子君 では目標に達しなかったら引き続きおやりになると。いまの御答弁を裏返しにとればそういうことなんですか。
  102. 豊島格

    説明員(豊島格君) この措置がねらいました数字が一〇〇%達成しなければ続けるという必要はないんじゃないかと思います。この目的が達成できる、この措置を設けましたその意図か大体満足できるところまでいければ、この措置はやめてもいいんじゃないかと思っておりますが、それをどの程度と考えるかということにつきましては、今後また検討していくことになろうかと思いますが、いまのところこの措置を自動的ないしは少しでも落ちたら直ちに継続するというところまでは考えておりません。
  103. 安武洋子

    安武洋子君 意図が満足し得る程度ということは、ちょっともうひとつ意味がよくわかりませんです。一〇〇%でなければ達成したことにならないと。一〇〇%になったら打ち切るんだけれどもと。それに近い数字なら、どこら辺ぐらいまでいったら打ち切るんだというのはよくわからないのですね、いまの御答弁では。  それで聞きますけれども、この来年度の重点施策の中で、やっぱりここの中には電源立地促進対策交付金制度の効果的活用ということもうたわれておりますのです。これはどういうことなんでしょうか。これを設けた意図がほぼ達成されるというふうにお考えというのは、大体どれぐらいなんでしょうか。そこのところもう少し明確にしてください。
  104. 豊島格

    説明員(豊島格君) どのくらいかということ、私どもここで特に腹案は持っておりませんが、この制度そのものが五十三年度でできるだけ多くの発電所が電調審を通るということを目標としておりますので、これが延長するというようなことが軽々に論ぜられる場合には、その目的にもいささか問題が出てくるんじゃないかという気がいたしております。それから今後の、五十年代後半あるいは六十年にかけましての発電所の建設につきまして、五十三年度に電調審を幾ら通るか、通った結果を見て五十四年度にどのくらい通りそうかということを見てまた判断すべきでございまして、非常にまあ不明確なお答えで申しわけございませんが、必ずしも何%達成したかということではなくて、その結果今後どうなるかということも含めて考えなくちゃいけない問題でございます。  くどいようでございますが、まあインセンティブというのは、やっぱりことしの特例ということで一生懸命やっているわけでございまして、軽々にはなかなか延ばせないということが基本的な考え方でございます。
  105. 安武洋子

    安武洋子君 来年度の重点施策の中での、電源立地交付金制度の効果的活用についてお伺いしておりますが、それはどういうことかという御答弁、いただいてないんです。   〔小委員長代理大森昭君退席、小委員長着席〕
  106. 豊島格

    説明員(豊島格君) 交付金の中には、必ずしもこの措置だけではございませんで、いろいろな制限がついておるわけでございますが、たとえば補助金がどのくらい出ているのはいけないとか、あるいは対象がどうだとか、あるいは頭打ちがキロワットによってあるとか、財源上あるいは税との絡みでいろいろとございまして、そういうものにつきましてさらに弾力的にこの交付金が使えることを考えていくということが一番大きな問題だと思います。
  107. 安武洋子

    安武洋子君 何が何でも今年度じゅうに目標に近づけるために電力投資を急がせる、そのために期限を限った交付金の特別の上乗せをするというふうなやり方というのは、本来の電源立地の推進のあり方から見て私は正常な姿ではないと思います。やはり、異質なやり方ではなかろうか。といいますのは、電源立地に際しては、先ほども私は長官に確認いたしましたように、保安上の問題とか環境への影響とか地域産業への影響とかというものは慎重に検討されなければならないという、こういう御答弁です。その一方で、やっぱりこの目的に近づけるために何が何でもことしじゅうにこういう電力投資を急がせて、ほぼ一〇〇%に持っていきたいんだというふうなことは、私は矛盾すると思うんです。現にいままでこういうふうな問題をめぐりまして各地でたくさんのトラブルが起きているわけですね。それにもかかわらず期限を切って、期限に間に合えばお金を倍出してやろうというふうなやり方というのは、慎重でなければならないアセスメント、こういうものがたな上げになりまして見切り発車されるとか打ち切られるとかいう事態を招きかねないわけなんです。こういうふうな、アセスメントは慎重でなければいけないと一方で言いながら、それで一方では期限を切って金を倍額出すというふうな保安、環境保全、こういうことをなおざりにするというおそれのある矛盾したやり方というのは現場に大変混乱を招くということで、私は電源立地に直面している地域住民に混乱を招くようなこういう行政のあり方というのは、これはおかしいと思うんです。こういう点に関して一体どういうふうにお考えなのかということをお伺いしとうございます。  それで、重要電源に指定されている二十二地点のうちの、ただ一つの水力発電所であります関電の大河内揚水発電所ダム計画について、この概要もちょっとお聞かせ願いたいんです。
  108. 豊島格

    説明員(豊島格君) 先生御質問の第一の点でございますが、私どもといたしましては安全問題あるいは環境問題については万全を期し、あるいは地元の住民の方々の意見を十分聞いて進めるということには全く変わりありません。その中にも能率よくできるだけ早くということを考えておるわけでございます。具体的に申しますと、環境調査をいたしますにしてもいろいろと手順もあり、目標が設定されないとまあ役所がやる場合でもおくれがちでございますが、やはり一つの目標を持ってなるべく早く上げるためにそういう調査もやるということでございまして、そのためには地元にも御協力をいただく場合もあろうかと思いますが、そういう具体的な作業も一つ一つ手際よくやるということで、環境問題あるいは安全問題に万全を期すことと矛盾のない範囲で、基本的には環境、安全問題を第一としてやるということには方針として変わりはございません。  それから、第二の御質問でございますが、大河内発電所でございますが、これは関西電力が昭和五十年代末のピーク対応供給電源として兵庫県神崎郡大河内町に建設を計画しておる、最大出力百二十八万キロワットの純揚水発電所でございまして、これまで関西電力は、五十二年六月から調査を中止いたしておりますが、今後地元の御理解を得て進めるよう現在関西電力の方で折衝を続けているということでございます。
  109. 安武洋子

    安武洋子君 いまの御答弁自身が私は矛盾していると思うんです。安全、環境が第一だとこうおっしゃりながら、やはり能率よく早くやってほしいということなんですけれども、こういう揚水ダム、まあここ一つ例に挙げますけれども、大河内の揚水ダムということ、これができますと日本一の大きな揚水ダムになるわけです。こういうものは一たんつくりますと、百年の大計でしょう。で、先ほどの一番最初に申し上げました土砂の推積の問題だって、予測を超えたとおっしゃるわけなんです。そういうことがあるからこそこれは慎重にやらなければならない。そういう慎重にやらなければならないというふうなところに、能率よく早くとおっしゃいますけれども、わずかのことを急いでそして千載に悔いを残すようなことをしてはいけないということをおっしゃりながら、そして期限を切ってことしじゅうに電調審を通らなければ交付金が倍額にならないんだというふうな制度をぶっけなさるからおかしいわけなんです。  いまの御答弁というのは私は納得できませんので、一つ現状を申し上げますけれども、大河内町で、いまお話ございましたけれども、ここで関西電力のクロスチェックとして、現在町当局、それから議会の二つのダム対策協議会の四者で国土問題研究所にアセスメントを依頼しております。これは五十四年三月完了に向けて現在調査中です。先月の八日に中間報告が出されております。これには上部ダムの地質に対する対策とか、あるいは漏水による割れ目やパイピング現象の防止とか、それから冷気とか冷水の問題、魚類とか植物の生態系に対する影響とか、地域産業に対するあり方など、さまざまな問題が指摘されているわけなんです。それで引き続いて調査が続行されているわけなんです。私はこういう調査は、やはり地域住民の方がなるほどそうだと最後まで納得なさるように、継続されてこういうふうな調査が行われるべきだというふうに思われるんですね。この調査が行われている間は関西電力の調査工事というのが中止されております。しかし、最近交付金の特例という関係で町当局は、やはり財政力は弱いですから、今年度中に電調審にかけることを強く望むというふうな面が出てきております。それで関電も調査の再開というのを強く求めてきているわけです。  一方、調査工事に反対している人たちがおられますけれども、この人たちはダムの建設そのものに絶対反対ということではないわけですね。ですから、アセスメントは完全にやって、環境とか保安とか地域問題などを解決してから、このダムをつくるならつくるべきだという立場に立っていらっしゃるわけです。ですから、この日本一の先ほど申し上げたように揚水ダムをつくるという大事業に対して、私は当然のことを要求しておられるというふうに思うわけなんです。ですから、この当然の要求を聞きながら十分にアセスメントをやって、そして話し合いを続けていくなら円満にこの決着はつくと思われるわけなんですね。それなのに国の方で期限を切って交付金倍額上乗せというふうなやり方をなさるからこそ、この円満解決に私は混乱を持ち込んでいる、このことは明白なんです。長官にお伺いいたしますけれども、私は、この混乱は国の責任で地元民の十分納得するやり方、こういうことで収拾されなければならないというふうに考えますが、長官いかがお考えかということをお伺いさせていただきます。
  110. 天谷直弘

    説明員天谷直弘君) 先ほど申し上げましたように、環境の評価はきわめて周到に行わなければならない、これは明瞭であろうと思います。他方、わが国エネルギー情勢を考えてみますと、電源開発ということを敏速にやらなければならないというのも、国民的な要請であるというふうに存じております。したがいまして、拙速ではなくて周到敏速にやらなければならない。そして、敏速にやるためにはこの交付金制度も必要である。しかしながら、交付金制度によりまして、他方の環境評価がいいかげんにされるというようなことはもちろんあってはならない、非常にむずかしいことではございますけれども、この両者を両立させるような方向で政策を進めていきたいと考えております。
  111. 安武洋子

    安武洋子君 お答えはなるほどそのとおりでございますけれども、ここはクロスチェックとして国土研に依頼しているアセスメントの完了が三月完了をめどとしているわけなんです。しかし、これでは国の交付金倍額の上乗せ期間に間に合わないというふうになってしまうわけです。しかし、やっぱり三月の完了を待って、地元の住民の方と十分話し合いをするなら円満に解決するという中に、こういう混乱を私は持ち込んでおられるということは、大変遺憾だというふうに思うわけなんです。私は、また事業者である関西電力にいたしましても、ただ急ぐということではだめだと思うんです。地元住民の意向を十分尊重して、対策を講じて納得を得て工事が進められるように、こういうふうにエネルギー庁としても指導なさるべきだというふうに思いますが、この点いかがでしょうか。
  112. 豊島格

    説明員(豊島格君) あくまでも環境問題について地元の住民が納得するということが、この問題を進める上に大前提でございまして、当然のことでございますが、関西電力に対しても地元とよく話し合って納得のいくようにしてやるように指導するということは、従来と変わりがございませんし、今後もその方向で進めたいと思います。
  113. 安武洋子

    安武洋子君 それで先ほどの、私は長官にいまお答えいただけるかと思って先ほどの問題をそのままにしたんですけれども長官もう一度お考えいただきたいんですけれども、例はおかしいですけれども、ちょうど国がバーゲンセールみたいなものを開くというふうな形で交付金の上乗せをやっているわけなんです。そうすると、やっぱりそこに行っていい物を、安い物を買いたいという気持ちがありますから、家計のことなんか顧みないでアセスメントをなおざりにしてサラ金ででもお金借りてバーゲンセールに駆け込もうかというふうなことで、後々に悔いが残るというふうなことになったら大変だ、そういう混乱したやり方を国は持ち込んでいらっしゃるんですよと、こういうふうな、私いま大河内の例を挙げました。三月末になれば十分に国土研のアセスメントの完了も済むでしょうし、それから住民との間のいろんな話し合いも始まり、納得した形でこういうふうになっていくのに、なぜこういうやり方をなさるんですかということを私は申し上げているんです。私どもは、こういう地元住民に混乱を持ち込むようなやり方は国の責任で収拾されなければならない、どういうふうに収拾なさるんですかということを聞いておりますので、もう一度御答弁いただきます。
  114. 天谷直弘

    説明員天谷直弘君) その交付金の上乗せということを、別に地元に強制しているわけではございませんので、もし来年になりまして交付金の倍額制度がなくなる、要するにバーゲンセールがなくなっても、十分慎重に徹底的に調査をするという方がいいということであれば、それも一つの選択であろうと思います。  他方、今年この交付金制度の上積み制度があるうちにやると、そのためには環境調査等をなるべく周到にはやるけれども急いでやるということで、上積み制度があるうちにスピードアップしてやるというのも一つの選択であろうと存じます。どちらでなければいけないということを通産省の方から強制しているわけではなくて、それは地元の選択の問題であるというふうに思っております。
  115. 安武洋子

    安武洋子君 それはそうなんです。何も強制なさっているというふうに私どもは言っておりません。しかし、地方は財政力が弱いわけですからね、だれだって交付金がたくさんくれば、そちらの方が欲しいと思うのはあたりまえで、町当局がそう思われるのはあたりまえなんです。そういうことで、アセスメントが見切り発車になったら大変ですよと、なる可能性がありますよと、そういう混乱をお持ち込みなんですよということを、私は口を酸っぱくして申し上げておりますので、いまの御答弁は納得できません、そういうおっしゃり方では。ですから、スピードアップして必ずアセスメントは完全に行えるものかどうかというふうなことは保証がないわけなんでしょう。いまこんな時点で、これに乗りたいからもう打ち切って関電の方では工事の再開を強く望んでいるというふうな状態が出ているわけなんです。ですから、お金のない貧乏人に向けてバーゲンセール開いて、バーゲンセールに来るのも来ぬのもあなたの勝手次第だと言っているようなそんな感じで、だれだって安い物は欲しいということになるわけなんです。その点をもっと踏まえて御答弁いただきとうございます。
  116. 天谷直弘

    説明員天谷直弘君) やはり、この世の中にバーゲンセールというのはあるのはそれなりの存在理由があることかと存じます。バーゲンセールを政府がやめさせてしまうという必要はないのではないか。それはやはり消費者の選択の問題であろうかと存じます。環境の評価につきましては、うんと時間をかければかけるほどりっぱなものができるというふうに決まったものでもないはずでございまして、時間は短くてもそれは非常に詰めた徹底した調査をする、審査をするということで、そういうことでこの交付金の上積みがある期間内に仕事を進めるというのも一つの行き方でございましょうが、そういう行き方では余りにもなおざりになってしまうということであればそれはまた問題であろうと、その辺のことは関係者がよく相談をして決めることではなかろうかというふうに存じます。
  117. 安武洋子

    安武洋子君 大変無責任な御答弁だと思うんです。国がそういう交付金の上乗せという制度をなさっていらっしゃるわけでしょう。それなのにそういういまのようなおっしゃり方というのは、私は実に無責任で、好きなようにせよとおっしゃいますけれども、できないような混乱を持ち込んでいると、一定の地元民に混乱を持ち込んでいるという行政のあり方を私は申し上げているわけです。  時間がありませんので次の問題をお聞きいたしますけれども、周辺地域の整備に当たっても、国はもとより県とか町とか当局者が周辺地域の整備振興を図るための方策、これはやっぱり住民に歓迎されるようなものにするという努力が私は必要だと思いますけれども、こういう点についてはいかがでしょうか。
  118. 豊島格

    説明員(豊島格君) 御指摘のとおりでございます。
  119. 安武洋子

    安武洋子君 いまの長官の御答弁は不満でございますが、次にちょっと移らしていただきます。  日韓大陸だなの共同開発の問題なんですけれども、この共同開発区域の一と九の小鉱区の特定鉱業権の申請がまだ出ていないというふうに聞いておりますけれども、まだ申請が出ていない理由は何なんでしょうか。
  120. 神谷和男

    説明員神谷和男君) 御指摘のように、第一及び第九小区域につきましては、現時点において出願が行われておりません。御承知のように、これらの区域は西日本石油開発株式会社が特別措置法上の優先出願権を持っていたわけでございますが、同社は申請を行わなかったわけでございまして、その後も他の社からの申請が行われてないという状況でございます。  その理由につきまして、西日本石油開発につきましては同社が出願しております対馬鉱区の第一小区域は最南端に位置いたしておるわけでございますが、その鉱区、対馬鉱区全体からとらえますと、最南端のところで相対的に開発のプライオリティーが低かったために申請を行わなかったというふうに、私どもとしては了解しております。  第九小区域につきましては、海域の水深が相対的に深いために経済的なプライオリティーが低かったため申請しなかったというふうに了解をいたしております。他の社がその後なぜ申請しなかったかということについては、これは推察する以上のことはできませんが、現段階において投資効率が必ずしもよくないと、一般的にと申しますか、少なくも関心を持った社が判断したのではないかというふうに考えられます。
  121. 安武洋子

    安武洋子君 この日韓大陸だな協定といいますのは、あくまでも共同で開発する、こういうことが前提になっております。ところが、一と九はいま御答弁ございましたように韓国側の開発権者しか認可されていないということになりますと、韓国が単独で開発を強行するというふうな事態ということも考えられるかと思うのですけれども、もし韓国が単独開発を主張したら政府はどういうふうな態度でお臨みになりますか。
  122. 佐藤嘉恭

    説明員(佐藤嘉恭君) 韓国側が単独開発をする危険性があるのではないかという御質問と理解いたしますが、先生承知のとおり、共同開発区域における開発というのは、南部の開発協定でございますが、協定の第五条によりまして共同の開発事業契約による、こういうことになっておるわけでございます。第一及び第九の小区域についても、当然のことながら、韓国側の開発権者が単独で開発することは協定上はなし得ないということになっておるわけでございます。したがいまして、韓国側がそのように主張することはないものと私どもは考えておりますが、万が一瞬国側がそのような主張を行う場合には、わが方としては当然これに対してわが方の所見を強く述べる所存でございます。
  123. 安武洋子

    安武洋子君 協定の第四条によりますと、協定発効後三カ月以内に開発権者を認可し、日韓両国で相互に通知するということになっております。したがって三カ月以内に日本側の申請者がいないということは、韓国の単独開発はいま認めないという、もちろん共同開発が前提でございますからそういうことになると思いますが、じゃ申請のない一と九という鉱区につきましては開発権者が存在しない、すなわち今後は開発されない、こういうふうに考えていいわけですか。
  124. 佐藤嘉恭

    説明員(佐藤嘉恭君) ただいま冒頭に御説明申し上げましたように、協定第五条によって共同の事業契約がまず存在しなければならないわけでございますし、そのためには双方から開発権者の申請があり認可がなされるということが当然前提になるわけでございます。したがいまして、一方の締約国の側より開発権者が出てこない場合には、当然そこの区域につきましては開発は進まない、こういうことになろうかと思います。単独に開発されることもない、こういうことでございます。
  125. 安武洋子

    安武洋子君 いえ、今後もやはり、じゃ開発は一切あり得ないということでございますね。そう解釈していいんですか。
  126. 神谷和男

    説明員神谷和男君) 特別措置法の規定によりますれば、現在開発権者がおりませんので告示は有効に生きております。したがいまして、その後申請がございましたならば、私どもといたしましては法律の規定に基づきまして開発権者を認可するということはあり得るということでございまして、その段階から韓国側との協議が行われる、こういうことは可能性として存在いたしますので、永久に開発があり得ないということにはならないと了解しております。
  127. 安武洋子

    安武洋子君 ここのところに「三箇月以内」とわざわざうたってあるわけですね。そして第五条に、ここのところには「両締約国の開発権者が認可された後六箇月以内に事業契約が効力を生ずることを確保するよう努力する。」とさらに強い規定が置かれております。しかし、こういうふうな規定、九カ月の間には事業契約が効力を生ずることを確保するように努力するというふうになっているにもかかわらず、こういう事態を招いているというのは、私は、あの日韓大陸だなの関連法の中で再々私ども指摘いたしましたように、日石とか帝石とか西日本石油などの先願権者とそれからテキサコ、シェブロン、コアムなどの韓国側のメジャーの鉱区、これが重なり合った部分をそのまま追認するというふうな、非常にだれが見ても不合理な鉱区の分割方法、こういうことをおやりになるからこういう結果を私は招いたと思うのです。  そこでお伺いいたしますけれども、この十六日、十七日、日韓共同委員会、これが開かれると聞いておりますけれども、一体この中でどのようなことをお話し合いになるのでしょうか。
  128. 佐藤嘉恭

    説明員(佐藤嘉恭君) ただいま協定第四条の件について御指摘がございましたけれども、この第四条の一項で「各締約国は、この協定の効力発生の日の後三箇月以内に、各小区域について」「開発権者を認可する。」と、こう定めておるわけでございます。この項は、協定を円滑にかつ早期に実施するため同期間内に申請があれば各小区域について開発権者を認可する、そういう義務を締約国に課したものでございます。したがいまして、この規定は企業の申請があったことを前提とするのでございまして、企業の自主的な判断に基づく申請がない場合に、政府が開発権者の認可を行わないことは同規定との関連でもこれは別に違反にはならないわけでございます。いずれにいたしましても、この協定第四条の趣旨は協定を円滑かつ早期に実施に移すための趣旨がその背後にあろうかと思うのでございます。  それから十六、十七日に予定されております共同委員会において何を議論するかという御指摘でございますが、共同委員会の趣旨につきましては、協定の第二十四条に定めておるとおり、「協定の実施に関する事項について協議するための機関」ということで定められておるわけでございます。私どもとしては、国会の御審議の過程におきましていろいろ御指摘のあった問題点を承知しておりますので、そういうことも念頭に置きながら議題を決めていきたいと思っておりますけれども、まだ具体的な韓国側との調整がついているというわけではございません。
  129. 安武洋子

    安武洋子君 では、この大陸だなの審議の過程の中で一番、まあ一番ではないですけれどもいろいろ問題になった中で、衆議院で私どもの共産党・革新共同の安田議員が指摘いたしておりますけれども、韓国側の企業が操業管理者になった場合に、ファッショ的な韓国の法令が日本人に適用されるというふうなことで、日本人労働者が非常に不利益をこうむるというふうなこともあり得るわけなんです。そういう不利益をこうむらないように、それからまた、漁場の問題がこの場でも論戦されましたけれども、漁場が汚染されることがないようにというふうなことを私は共同委員会で強く主張して歯どめをかける必要があると思いますが、こういう点はいかがでございましょうか。  このことをお聞きして質問を終わらせていただきます。
  130. 佐藤嘉恭

    説明員(佐藤嘉恭君) 具体的にまだ議論を決めておるわけではございませんけれども、ただいま安武先生指摘になりましたいわゆる協定の第十九条関係、法令の適用という問題でございますとか、あるいは漁業補償の問題、これは協定でも非常に詳しく定めておるわけですけれども、そのようなことがたとえば議題の一つになろうかと思います。いずれ、最終的にまだ結論は出ておりませんけれども、私どもとしてはその御指摘になりましたようなことを念頭に置きまして議題を定めるよう努力しているわけでございます。
  131. 柿澤弘治

    柿沢弘治君 イラン政情不安がもう一度わが国エネルギー問題に対する関心を高めております。ともすれば一過性になってしまう日本のどうも国民性といいますか、そういうものにとって最近のエネルギー問題に対する楽観論日本経済安全保障といいますか、相互安全保障の面から大変危険な状態だというふうに思っておりましたところでございますので、こうした状態はもう一度世論形成のために大変いい機会だというふうに私は思っているわけです。イラン問題につきましてはもうすでに他の委員から御質問が出ておりますので、私も予定をしておりましたが省略をいたしますが、一つやはり石油供給源の多様化という問題についていろいろ言われながら、具体的な成果がなかなか上がっていない、中国原油の重質油についても対策についていろいろ検討されながら、なかなか民間の石油会社との合意が得られないというふうな状態でございます。その点についてはエネルギー庁として一層の御努力をお願いしたいというふうに思うわけですが、特に来週末からちょっとアフリカへ行ってまいりますので、北アフリカ原油日本としての購入、引き取りというものを従来からアルジェリア、それからリビア、話題になっていながら進まないんですけれども、これは一体どういう原因なんでしょうか。それに対する何らかの打開策といいますか、エネルギー庁としての何らかの促進策というものは考えられぬでしょうか。
  132. 神谷和男

    説明員神谷和男君) 御指摘のようにアフリカ地域からの石油輸入状況、五十二年度の実績で申し上げましても二億七千七百万キロリットルのうち百四十万キロリットルということでございますので、一%にも満ちません。強いて計算すれば〇・五%ということでございます。これにつきましては、油の性状につきましてはいろいろいま御指摘になりましたような地域の油は、必ずしも悪い油とは限らないわけでございますが、御承知のように、やはりスエズ運河を通るということでございますので、フレートの面で圧倒的な不利がございます。はっきり申し上げまして北アフリカの油というものはむしろヨーロッパに向かう油、こういうふうに考えられておりますし、現実にそのような流れが行われております。したがいまして、私どもといたしましていろいろ検討はいたしておりますが、通常のコマーシャルベースの流れではこれはむずかしいんではないかと思います。ただ、一般的にわが国では自主開発原油開発あるいはそれの拡大という努力をいたしておりますが、アフリカ地域におきましても十分とは申せませんけれどもいろいろ探鉱も行っております。まだ十分の成果も得られておりませんが、やはりそういう形で開発したものにつきましてはまた別の形で入り得ることもあろうかと思います。したがいまして、基本的にやはり地理的条件から大きく依存することは困難と思いますが、われわれなりの努力を続けてまいりたいと考えております。
  133. 柿澤弘治

    柿沢弘治君 石油供給源の多様化ということもぜひ必要だと思いますが、同時にやはり新しいエネルギー源のこれからの上研究開発といいますか、そういうものがどうしても必要になってくると思います。その意味で核融合とかサンシャイン計画、さらにはその他のさまざまなエネルギー源の開発というものについて一層の促進が図られなければいけないわけですが、一つ最近話題になっております問題の中で地熱発電についてお伺いをしておきたいと思うんです。  阿蘇の地熱発電計画について環境庁がノーだという形で拒否をしたということが報ぜられているわけですけれども、その阿蘇の地熱発電計画に対する環境庁の考え方、新聞報道のとおりであるのかどうか、お伺いをしたいと思うんです。
  134. 中島良吾

    説明員(中島良吾君) お答えいたします。  報道されました地熱発電計画というのは、資源エネルギー庁が行います大規模深部地熱発電所環境保全実証調査のことだと思いますが、これにつきまして環境庁が待ったをかけたという事実はございません。
  135. 柿澤弘治

    柿沢弘治君 この計画については、もうすでに通産省エネルギー庁から申請は出ているわけですか。
  136. 中島良吾

    説明員(中島良吾君) この調査につきましては、ことしの八月ごろ資源エネルギー庁の方からお話がございまして、そこでお互いに相談した結果は、当該地域につきましては阿蘇国立公園とそれから耶馬日田英彦山国定公園というのがございます。その特別地域が若干調査地域にかかってまいりますもんですから、この特別地域と言いますのは、国立公園なり国定公園の景観のすぐれた場所でございます。そういう意味におきまして、できる限りその特別地域内では調査を避けてほしいという要望をいたしてございます。これにつきまして資源エネルギー庁の方も原則的に了解ということで、仮に特別地域にどうしても調査を進めなくちゃならない事態が参った場合には、当然のことながら自然公園法上の協議が必要でございます。その協議を提出することになってございます。しかしながら、現在まだその協議は参っておりません。
  137. 柿澤弘治

    柿沢弘治君 石油部長は結構でございます。  資源エネルギー庁としては、この問題についてどういう方針でお臨みになる予定ですか。
  138. 木内貞夫

    説明員(木内貞夫君) 大規模深部地熱発電所環境保全実証調査につきまして、環境庁の中島課長が御答弁いただいたとおりで、通産省と環境庁とで十分いままで話し合い、基本的に合意に達している事項でございます。  なお、今後、大規模深部地熱発電所環境保全実証調査につきまして、この実態が明らかになった段階で十分協議してまいりたいと思います。その際におきましては、極力特別地域を避けるという方向で計画を立てていきたいと、努力をしてみたいと、こう考えてございます。
  139. 柿澤弘治

    柿沢弘治君 ちょっと御答弁がよくわからないんですが、実態が明らかになった段階でとおっしゃいますけども、実態といったってそれはエネルギー庁の方の計画ですから、その点は明らかになるというのは、何が明らかになった段階で相談するということですか。
  140. 木内貞夫

    説明員(木内貞夫君) 非常に説明の仕方が不十分で申しわけございません。  この調査は、地上調査及び地下調査それから周辺の環境監視の調査それからトータルシステムの調査、このようなものから成っておるわけでございます。そして、計画としましては、まず地上調査として、空中からの磁気探査それから地震探査等々、ボーリングを行わない地上の調査がございます。それと同時に、地温調査として八十メートルのボーリングを八十本程度掘り、温度を測定し、地下の状況を把握し、さらに地下の構造を調査するために千五百メートルのボーリングを行うということで、地下のエネルギーがどこに詰まっているか探すわけでございます。さらに、次年度は千五百メートルのボーリング、ひいては三千メートル、最終的には四千メートルのボーリングを行う、こういう形になるわけでございます。それによって地下のどの位置にエネルギーが存在しているか明確にいたして、それから発電所の計画に移るわけでございます。現段階でまだ調査が行われていない時期におきましては、そのエネルギー源の場所が明確に把握できないという段階なので、その明確になった段階でいろいろお話をしたい、かように考えているわけでございます。
  141. 柿澤弘治

    柿沢弘治君 そうしますと、明確にするためには地上調査やら何やら必要なわけですね。その調査そのものについて協議はやっぱり必要なわけですね。ですから、明確になってから協議をするとかというわけにもいかないんじゃないでしょうか。その意味で何らかの形でやっぱりスタートをさせるか、させないかという判断が必要だと思うんですけれども、そうじゃないんでしょうか。
  142. 木内貞夫

    説明員(木内貞夫君) 先生の御指摘のとおり、調査のために諸種の事項をやらなければなりませんが、それにつきまして環境庁と基本的には話し合えることになっており、具体的な問題につきましては今後協議をしていくと、こういうことでございます。
  143. 柿澤弘治

    柿沢弘治君 その場合は当然協議地域も外してということじゃなくて、入ってくるわけですね。
  144. 木内貞夫

    説明員(木内貞夫君) 先生の御指摘のとおり、自然公園内の特別地域及び普通地域、それ以外、あわせまして調査をする。したがいまして、公園内でのボーリングもあり得るということで協議をしてまいるつもりでございます。
  145. 柿澤弘治

    柿沢弘治君 そういう意企では、環境庁はその公園内でのボーリンター協議があれば、もちろん全面的に拒否するということでなくて、環境の破壊につながらない方法で何らかのエネルギー庁との合意が成り立つといいますか、そういうふうに考えてよろしいわけでしょうか。どういう基準で認可をしようとしているのか、その辺を伺います。
  146. 中島良吾

    説明員(中島良吾君) お答えいたします。  調査の中には、先ほど木内課長からお話がありましたように地上調査というものもございます。この調査につきましては自然公園法上規制行為とされていない部分があるかと思います。そういう意味におきましては、特別地域の中におきましても協議なしで行える行為があろうかと思います。  それから、ボーリング等の行為につきましては規制されておりますので、それは協議が必要と。この協議が必要な行為につきましては補完的な調査、つまり主力調査じゃなくて、たとえば公園の外で主力の調査をしております。それが公園の特別地域の若干の部分調査をしなければ、その主力の地域調査が完全にならないといったような場合には、わが方としましては協議に応じてもいいんじゃないかといった考え方を持っております。
  147. 柿澤弘治

    柿沢弘治君 まあ地熱発電所というのは、地熱発電の可能性のあるところというのはどうしても国立公園なり、自然景観を保護しなければならない地域になってくるわけですね。その意味で、当然自然保護なり環境保護なりの立場から十分環境庁として御審議をいただく、これ自身私も反対ではありませんし、賛成ですけれども、しかしやはりエネルギー問題との両立という点はどうしても考えていく必要があるんじゃないだろうか。その点で従来いろいろの話を聞いておりますと、たとえば公共事業に関しては今度の本四架橋等で環境庁はかなり寛大ですね、はっきり言いましてね。私は鳴門の架橋などはもうまことにおかしいと、あの世界的な景観である渦潮というものを破壊しながら、あれが明石の方がつながるんならいいですけれども、淡路島と四国とをつなげるだけのためにあの自然景観を破壊することは果たして有益なんだろうかというふうに、いつも疑問に感ずるわけですけれども、公共事業の方ですと地元の圧力団体なり何なり、政治家もそちらの方に絡むんでしょうが、どうしても審査が甘くなる。こうしたエネルギー問題のようなむしろ重要な国民経済として必要な問題については、ある意味では相手が少ないですから厳しくなる。そういうアンバランスというのがあるんじゃないか。それでは本当の意味で中立で公正な自然保護行政と言えないというのが私の感覚でございますが、その点について環境庁としてどう考えていらっしゃるのか。少なくとも各車業間の公平というものは確保されなきゃいけないと思いますが、どうでしょう。
  148. 中島良吾

    説明員(中島良吾君) 本四架橋の部分と、それから地熱開発が行われるであろう地域につきましての相対的な自然景観の価値といった問題を論じますと、なかなかむずかしゅうございますんですけれども、まず環境庁としまして、そういった公益性の強い事業を仮に公園の中で行いたいという話が出てまいりましたときには、その行為の行為地、それの選択の言ってみれば代替性がかなう地域があるかどうかというのが一つ大きな判断の基準になろうかと思っております。本四につきましては、代替地域がまず発見できなかったと、つまり地域経済なりナショナルプロジェクトなりを遂行しようとするときに、橋をかける部分につきまして鳴門部分をまたがなければどうしてもほかに橋をかけられる場所がなかったということで、環境庁としましてはこれに同意をいたしたわけでございます。地熱発電につきましても、御指摘のように自然景観地、特に火山地形の上に実はわが国の傑出した風景地が非常に多く存在してございます。地熱もまたそういった場所にあるということで、そういう意味では非常に競合する場所に開発が行われるであろうということが想像されるわけでございまして、しかしながら地熱発電の場合には若干なりとも代替地が確保できる可能性があろうかと思います。そういう意味で、その可能性を追求しながら資源エネルギー庁と今後調整をしてまいりたいと、こんなふうに思っております。
  149. 柿澤弘治

    柿沢弘治君 代替地の可能性というものもあるというお話ですけれども、これもやはりかなり制約があると思うんです。その点も念頭に置いてぜひ環境庁としてお考えをいただきたい。  それから、鳴門について言えば、あそこに橋をかけると決めればあの部分しかなかったでしょう。しかし、本州側から淡路島をつなぐということの経済価値と、それから四国と淡路島をつなぐということの経済価値、それと景観とのバランスということから考えて、ああいう結論でよかったかどうか、私はもちろん地元地域住民の願望というものはあったにしても、国民経済的、国家的な立場でああいう結論でよかったかどうかというのは、私は依然として疑問だと思っております。その点だけつけ加えておきたいと思います。  その点についてはもう結構です。  それから、そのほかの新エネルギーとしていろいろ話題になっている問題がありますが、一つは石炭の液化技術という問題があります。石炭の液化技術についてのわが国の取り組み方について、それからさらにあわせてこの問題については日米のエネルギー技術開発協力という問題の中にも含まれているようですけれども、国際協力のあり方、現状、その辺について御説明いただきたいと思います。
  150. 林暉

    説明員(林暉君) 石炭のガス化、液化技術の進捗状況について御説明いたします。  石炭のガス化及び液化技術の研究開発はサンシャイン計画の一環といたしまして四十九年度から研究を進めております。  研究の進捗状況につきましては、ガス化につきまして大きく分けて二つの方法をやっておりまして、一つは、都市ガスに使われる高カロリーガス化という技術でございますが、このガス化技術につきましては四つの方法をやっておりまして、このうちの石炭と重質油を使いましたガス化プラントは研究が順調に進んでおりまして、五十二年度から一日ガス量七千立方メートルの。パイロットプラントの設計をやっております。この設計を五十三年度も継続いたしまして、今後建設に進めたいと考えております。  それから、もう一つのガス化でございますが、発電用に使います低カロリーガス化発電というものの技術につきましては、四十九年度から一日石炭量五トンのプラントをいま運転中でございまして、その研究は順調に進んでおりまして、本年度は一日四十トン原料処理のプラントの建設に着手しております。  それから、石炭の液化技術でございますが、石炭の液化技術といたしましては工業技術院では三つの方法を取り上げております。その方法は、ちょっと若干技術的になりますが、直接水素添加——直接水添液化という方法でございまして、この方法に関しましては一日石炭処理二・四トンのプラントの設計をしております。また、二つ目の溶剤処理液化という、これは溶剤を使いまして石炭を溶かし出す技術でございますが、この方法につきましては、一日石炭一トン処理のプラントの設計中でございます。また、第三番目の方法でございます石油の重質油を使いまして石炭を溶かしますソルボリシス液化法というものにつきましては、すでに一日一トン処理のプラントが運転中でございます。現在のところの石炭のガス化、液化につきましての研究状況について御説明いたしました。
  151. 柿澤弘治

    柿沢弘治君 国際協力
  152. 林暉

    説明員(林暉君) 石炭ガス化、液化の国際協力につきまして御説明いたします。  新エネルギー技術についてはその早期の開発必要性というものが必要でございまして、このためには国際協力というものを積極的に進めなければならないと考えております。石炭のガス化、液化につきましては、多国間の協力といたしましては国際エネルギー機関IEAというのがございますが、IEAのやっております石炭技術協力のうち、石炭技術情報交換というプログラムに参加しております。これは石炭の技術のパブリッシュされた、発表されました文献の何といいますか整理をいたしまして送る、あるいは特別なトピックスについてまとめた本を送ってくるというような形の多国間の協力プログラムでございます。また、二国間の協力といたしましては、日米、日独、日豪におきまして技術情報交換、研究者の派遣等をすでに始めておりまして、さらにこのうち日米協力につきましては、両国首脳の合意によりまして協力関係を一層緊密化するということが合意されております。政府といたしましては、日米の協力の進展を図るなど、今後も引き続き積極的に国際協力を進めていきたいと考えております。
  153. 柿澤弘治

    柿沢弘治君 石炭の再利用というものは、原子力エネルギーの利用というものがいろいろな意味で抵抗を受けている段階で、一つの大きなエネルギー源ではないかということで国際的にも注目をされているわけでございますから、わが国としてもそれなりに技術開発のための努力積み重ねていただきたいと思います。日米の二国間協力については政府側もやっていると言いますけれども、それの進展について、最近これは核融合の技術協力についてもアメリカ側の大きな期待、それから福田総理大臣が日米首脳会談で約束してきた、そして、戻ってきて国会でも高らかにうたい上げた、そうしたスタートにしては、非常にその後の進捗ぶりが中途半端なんではないか、まあ財政的な制約もあり、なかなか期待どおり進んでいないという話も聞くわけですけれども、液化については今後とも努力をしていただきたいということでお願いをすると同時に、核融合についていまどのような進捗状況になっているのか、その辺をお伺いをしたいと思います。時間の制約もありますので、できるだけ簡単に。
  154. 栗原康

    説明員(栗原康君) 福田総理の提案に基づきまして私ども検討をいたしまして、核融合の日米の協力につきましては、これは若干長くなる——短くということでございますけれども、これだけは申し上げておきたいんでございますけれども、核融合の実用化までには今後巨額の経費とそれから多数の人材が必要でございます。したがいまして、国際間の協力というのは不可欠であろうと考えております。その中でも特に日米間については、その重要性ということを痛感しておりまして、これについては私ども科学技術庁といたしまして鋭意その推進をしたいと、そういう考えでございます。  なお、進捗状況でございますが、これらにつきましては研究内容を十分詰めた上で、完全を両者の合意のもとに実施したいということから、若干技術的な詰めが残っておりまして、芳しくない点、御指摘の点があるかと思いますけれども、今月中旬に予定しております第二回の会合でさらに一層その内容を詰めてまいりたいと、そう考えております。     —————————————
  155. 小柳勇

    ○小委員長小柳勇君) 小委員の異動について御報告いたします。  本日、浜本万三君が小委員を辞任され、補欠として大塚喬君が選任されました。     —————————————
  156. 柿澤弘治

    柿沢弘治君 時間が参りましたので、また改めてこの問題をお伺いをしたいと思いますけれども、日米の首脳で高らかにうたい上げる、そして持って帰ってくるといろいろな制約でだんだんしりつぼみになってしまう、これは日本の従来の外交の中で間々あることなわけですね。技術協力だけでなくて経済協力についてもそうした意味で日本外交が不信を買っているという点は、私は大変残念なことだと思うんです。私自身大蔵省におりましたのでその責任の一半があるのかもしれませんけれども、従来のやはり増分主義といいますか、前年対比何%増というようなことではこうした大きなプロジェクトはのみ込めるはずがない、その意味ではやはり重要性を関係者が十分認識して特別の配慮というのをしなければいけないんじゃないかというふうに考えているわけです。まあきょうの新聞を見ますと、自民党の総裁選に絡んで福田さんが日米核融合の技術協力をうたい上げた、またそれで復活するんじゃないかというような非常に政治的に生臭い話になっておりますけれども、そういうことでなくて、純粋にやはり行政ベースに立ってもその重要性というものをもっともっと関係者に認識をしてもらう、そのための十分な努力というものを関係——科学技術庁なり資源エネルギー庁なりお願いをしたいというふうに思うわけです。まあエネルギー庁長官は直接のこの問題、技術研究開発については御担当ではありませんけれどもエネルギー確保、それが日本経済的な安全保障に大きな意味を持つんだという点からぜひその辺についても積極的な貢献をお願いしたいわけですけれどもエネルギー庁長官のこうした問題についての御見解を伺って私の質問を終わらしていただきます。
  157. 天谷直弘

    説明員天谷直弘君) 先日シュレジンジャー長官が通産大臣に会いに来られたわけでございますが、そのとき通産大臣とシュレジンジャー長官との間で意見の一致を見たことでありますが、それは、石油の増産限界が今世紀内に来る、一九九〇年代には石油の増産限界が来るであろうというような基本的な見方について意見の一致があったわけでございます。ということは、二十一世紀になりますと石油はますます供給が減っていく、したがいましてそこでは核融合その他の新しいエネルギー開発をしない限り、人間の文明生活を支えていくことが困難になってくる。それから、二十世紀におきましてもだんだん石油供給不安というものが増大するわけでございますから、この二十世紀内においても石油のこの将来性の不安に対する何らかの補完措置というものをとらなければ、経済の運営あるいは人類文明がおかしくなってくる、そこで何をやるべきかということでございますが、一つは石炭である。石炭は御承知のとおり究極埋蔵量としては十一兆トンで、可採埋蔵量として六千九百億トンございまして、無尽蔵と言うと大げさでございますが、資源としては非常に大量に賦存する資源でございます。これの、ただこのまま生だきをいたすということにいたしますと輸送に大きな問題がございますし、それから公害問題も非常に石油と比べましてはるかに公害が多いという問題がございますので、これを石炭を大量に利用いたしまして石油に次第に代替さしていくということでありますならば、石炭の液化技術開発するということがきわめて重要だということで、そこでアメリカはいま石炭液化の技術を大々的にやろうとしておる、ドイツがこれに参加しようとしている、日本も参加してくれないかと、こういうことを福田総理ともお話しになった問題でありますが、そういうことがございましたので、通産大臣もそれはまことに結構な話であって、われわれとしても石炭液化は大々的にやらなければならない、基本的な合意に達したわけでございます。そのほか、原子力であるとか、あるいはLNGであるとか、それから地熱であるとか、こういう新しい資源のソースを開発していきませんと、いま申し上げましたような一九九〇年代に石油が増産限界に達してしまうということに対処することはできないんではなかろうか。  私、思うんでございますが、資源は地面の中にあると考えるのは必ずしも真実ではないと思っております。資源はどこにあるのかと言えば、やはり人間の頭の中にあると考えるべきだ、人間の知恵によっていままで石ころであったものが石炭になるわけでございますし、いままで黒い水にすぎなかったものが石油になると、エネルギーになるということでありますから、やはりわれわれは資源の不足、エネルギーの不足という問題に対処するためには、人間の頭を開発しなければならない。幸いにしまして日本には一億一千万の優秀な頭脳があるわけでございますから、これに金を投入いたしまして大々的に開発をいたしますならば、資源小国、エネルギー小国といって心配することもないのではなかろうか。そういう意味で、われわれはここの基本問題懇談会の資金対策にもございますが、できるだけ資金対策を強化し、人間の頭脳、知恵を開発することによりましてエネルギーの問題資源の問題を開発していくということが大切ではないかと考えている次第でございます。
  158. 小柳勇

    ○小委員長小柳勇君) これは質問通告しておりませんし、四人の委員も触れなかった問題でありますが、エネルギー庁に資料要求しておきます。  それはタンカー石油備蓄の問題であります。西日本でいまタンカー備蓄の寄港地の問題が数カ所話題になっておりますが、その件について強い反対意見が西日本の非常に大きな新聞に載っております。この答弁者が長崎総合科学大学の教授山川新二郎君でございますが、もっと綿密な調査を必要とするというタンカー備蓄に反対の強硬な意見です。したがって、きょうここで論争しましても平行になりますから、直接山川新二郎君に意見を聞いていただきまして、協議してもらって、その結果を委員長の手元に資料として提出を願います。もし、議論が発展をすればこの山川君をこの委員会に参考として呼んで意見を聞きたいと思いますので、前段としてエネルギー庁からこの人に質問をしてもらいまして、協議してその結果を私の方に御提出願いたいと思います。
  159. 天谷直弘

    説明員天谷直弘君) 承知いたしました。
  160. 小柳勇

    ○小委員長小柳勇君) 本件の質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後一時四分散会