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1978-09-19 第85回国会 参議院 災害対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年九月十九日(火曜日)    午前十時四十二分開会     —————————————    委員異動  九月十九日     辞任         補欠選任      青木 薪次君     志苫  裕君      太田 淳夫君     藤原 房雄君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         川村 清一君     理 事                 遠藤  要君                 坂元 親男君                 村沢  牧君                 太田 淳夫君                 小巻 敏雄君     委 員                 金丸 三郎君                 古賀雷四郎君                 坂野 重信君                 田原 武雄君                 戸塚 進也君                 桧垣徳太郎君                 前田 勲男君                 小山 一平君                 志苫  裕君                 松本 英一君                 原田  立君                 藤原 房雄君                 柄谷 道一君    国務大臣        建 設 大 臣        国 務 大 臣        (国土庁長官)  櫻内 義雄君    政府委員        国土政務次官   丹羽 久章君        国土庁水資源局        長        飯塚 敏夫君        国土庁大都市圏        整備局長     堺  徳吾君        国土庁地方振興        局長       佐藤 順一君    事務局        常任委員会専門        員        森  一衞君    説明員        国土庁長官官房        審議官      四柳  修君        大蔵省銀行局特        別金融課長    中田 一男君        大蔵省銀行局保        険部保険第二課        長        野村  寛君        文部省管理局私        学振興課長    齊藤 尚夫君        農林水産大臣官        房審議官     佐々木富二君        林野庁業務部業        務課長      高野 國夫君        通商産業省立地        公害局工業用水        課長       北川 幸昌君        中小企業庁小規        模企業部参事官  山口  務君        気象庁予報部長  窪田 正八君        気象庁観測部参        事官       末広 重二君        建設省計画局宅        地開発課長    渡辺  尚君        建設省都市局都        市再開発課長   小林  実君        建設省都市局街        路課長      並木 昭夫君        建設省都市局都        市防災対策室長  井上 良藏君        建設省河川局治        水課長      川本 正知君        建設省河川局開        発課長      堀  和夫君        建設省河川局防        災課長      瀬戸  充君        建設省河川局砂        防部砂防課長   小藪 隆之君        建設省河川局砂        防部傾斜地保全        課長       釣谷 義範君        建設省住宅局住        宅総務課長    川合 宏之君        自治大臣官房審        議官       石原 信雄君        自治省財政局財        政課長      矢野浩一郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○災害対策樹立に関する調査  (昭和五十三年六月の梅雨前線豪雨による被害  に関する件)  (台風第十八号による被害に関する件)  (一九七八年宮城沖地震による被害復旧対  策に関する件)  (新潟妙高高原町における土砂災害に関する  件)  (活動火山現況に関する件)  (火山周辺地域における降灰対策に関する件)  (都市防災計画及び防災対策に関する件)  (福岡県における渇水対策に関する件)  (勢田川の防災対策に関する件)     —————————————
  2. 川村清一

    委員長川村清一君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。   本日、青木薪次君が委員を辞任され、その補欠として志苫裕君が選任されました。     —————————————
  3. 川村清一

    委員長川村清一君) 災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  この際、昭和五十三年六月の梅雨前線豪雨による被害に関する件、台風第十八号による被害に関する件、一九七八年宮城沖地震による被害復旧対策に関する件、新潟妙高高原町における土砂災害に関する件及び活動火山現況に関する件について政府から報告を聴取いたします。国土庁柳審議官
  4. 四柳修

    説明員(四柳修君) 本年度発生いたしました主な災害現況とその対策概況につきまして御報告申し上げます。  まず最初に、六月十日から七月一日までの間の梅雨前線豪雨等による災害につきまして御報告申し上げます。  梅雨入り後各地災害が発生いたしまして、特に六月二十五日から二十八日にかけまして梅雨前線活動が活発になり、北陸及び東北の南部地方に雨が降り続き、新潟県を中心に大きな被害が生じました。その被害状況は、死者行方不明者十九名、負傷者四十六名、建物の全半壊七十六むね床上浸水四千七百四十五むね床下浸水二万二千七十八むね等となっており、施設関係等被害報告額は、公共土木施設関係が約千百十億円、農林水産業関係が千百六十億円、その他約五十億円、合わせて合計二千三百二十億円となっております。  また、六月中旬から下旬にかけての高温、日照不足等による異常気象によりまして、果樹の落果被害が青森県を中心に生じ、その被害額は約三百三十億円となっております。  これらの災害に対しまして天災融資法を発動するとともに、激甚災害として指定し、農地農業用施設等災害復旧事業費に対します補助率かさ上げのほか、天災融資法にかかわる貸付限度額の引き上げと償還期間延長、コイの養殖施設災害復旧事業費に対します特別補助土地改良区等の行います湛水排除事業費に対する特別補助、さらに都道府県または水防管理団体が使用いたしました水防資材費に対しまする補助率かさ上げ等措置を特例的に適用することにいたしました。なおこの災害にかかわります農地農業用施設等復旧につきましては、十月末にその査定をおおむね終える見込みでございますが、それぞれその復旧を図ることといたしております。  次に、台風第十八号による被害について御報告申し上げます。  九月十五日から十六日にわたり小型で並みの強さの台風第十八号が九州北部をかすめて下関市付近に上陸し、中国近畿地方を縦断したため、西日本各地災害が発生しました。この台風により福岡市では管区気象台開設以来の記録であります最大瞬間風速四十六メートルを記録し、各地において暴風による被害が生じました。その被害状況は、現在まで判明しているところでは死者行方不明者十名、負傷者九十八名、建物の全壊六十棟、半壊二百二十棟、床上浸水五百十二棟、床下浸水一万三千五百七十棟等となっております。  政府といたしましては、被害状況の詳細を早急に把握するとともに、各種災害復旧対策の実施に万全を期する所存でございます。  最後に、六月十二日宮城県沖において発生しました地震による災害につきましては、去る六月二十三日の当委員会におきましてその被害概況を御報告申し上げましたが、その後の状況につきまして御報告申し上げます。  被害状況としましては死者二十八名、負傷者一万一千二十八名、建物の全半壊七千四百三十棟、一部破損十二万七千六百五十五棟となっております。  施設関係被害報告額は、公共土木施設関係約三百十億円、農林水産業関係約二百億円、その他約一千四百十億円、合わせて合計千九百二十億円となっております。  この災害に対しましてこれを激甚災に指定するとともに、中小企業信用保険法による災害関係債務保証の特例、中小企業近代化資金助成法による貸付金等償還期間延長中小企業者に対する低利資金の融通のほか、被災地方公共団体建設いたします罹災者公営住宅建設事業費に対する補助率かさ上げ措置を適用することといたしました。  またこの災害にかかわります公共施設等復旧につきましては、一部を残しましてすでに査定を終わり、現在その復旧に全力を挙げているところでございます。  なお被害の著しかった緑ケ丘団地につきましては、地すべり防止工事に着手しており、集団移転等につきましても市当局において検討しているところでありますが、その結果をまって対処する所存でございます。  以上、簡単でございますが、御報告いたします。
  5. 川村清一

  6. 佐々木富二

    説明員佐々木富二君) 昭和五十三年五月十八日、妙高高原町において発生いたしました土砂災害について調査した結果について御報告申し上げます。  この調査は、昭和五十三年五月二十九日から三十一日にかけまして、土砂崩壊発生原因把握、今後の防災対策及び今年度の緊急的な復旧対策などを樹立するために、農林水産省においては林業試験場治山科長難波宣士ほか二名、建設省においては土木研究所砂防部長吉岡良朗ほか三名を現地に派遣したものであります。  調査結果の第一といたしまして、まず荒廃状況について御説明いたします。  昭和五十三年五月十八日午前六時二十分ごろ及び同日の午後一時四十分ごろの二回にわたって、新潟県中頸城郡妙高村の妙高山国有林三十一林班に小班において大規模崩壊が発生し、この崩壊土砂泥流となって白田切川の両岸の山脚部浸食しながらきわめて早い速度で流下し、下流妙高高原町の住民、家屋、道路、鉄道などに多大な被害を与えたものであります。  崩壊地面積は第一次第二次及びその後調査時までの間に徐々に拡大した分を合わせまして約三・五ヘクタールであり、その崩壊土砂量崩壊前と崩壊後の地形図の比較による概算では約二十九万立米と思われます。また崩壊地から国有林出口までの約二キロメートルにわたる両岸は崩壊地からの流出土砂によって浸食を受けており、その土量崩壊土砂量とほぼ同程度と推定されます。  第二といたしまして、崩壊発生原因について御説明いたします。  崩壊発生斜面地層構成の概要は、古い時代の溶岩の上に堆積していた新しい時代火砕岩の上に上方からの崩落によって二次的に堆積した崩積土が乗っている状態にあったと判断されます。今年は消雪がおくれており、しかも五月上旬から中旬にかけて平年より気温が高い日が続いたため融雪が著しく促進され、崩壊斜面上方の区域における融雪水が地中に浸透し、それが多量地下水となって崩壊部分に集中する状態にあったと判断されます。このようなことから、今回の崩壊原因は脆弱な部分を持った個所多量融雪水による地下水が集中し、その地下水斜面下部において被圧状態となり、それが一時に湧出したことを契機に崩壊が発生したものと考えられ、これは一ヘクタール程度以上の大崩壊発生原因として従来から言われている説と一致するものであります。  第三として、土石流について御説明いたします。  土石流による土砂のはんらんは白田切川河床勾配変化点である赤倉ゴルフ場より下流に生じ、その面積は約四十三・四ヘクタールであり、一つの渓流に生じた土石流としては非常に大きい流出土砂量と思われます。また土石流流下速度は、聞き込み調査をもとに計算いたしますと、第一波は一秒間の速度が二十メートル、第二波は同じく十七メートルと推定され、大きい流出土砂量が速い速度で流下したことは大きな破壊力であったと考えられます。  第四点といたしまして、今後の対策について御説明いたします。  まず治山関係ですが、白田切川上流の山地を安定させるための治山対策としては、今回発生した崩壊地については基礎となる渓間工事を組み合わせた山腹工事によって斜面の安定を図る必要があると考えられます。また上流温泉地すべり地に対しては渓間工事を主体とした工事によって地すべり地下端固定を図る必要があると考えられます。さらに国有林下端の数基の治山ダムは一部破損しておりますが、これらの補修及びかさ上げを行うとともに、最下端部にかなり大規模治山ダムを新設する必要があると考えられます。また今回の崩壊発生個所から国有林下端に至る区間については、今後の調査により荒廃可能性のある斜面の実態及び施工効果の大きいダムサイトの位置などを明らかにした上で、山脚固定あるいは渓床堆積土砂の安定のための渓間工事計画する必要があると考えられます。  以上のうち、今回発生した崩壊地周辺で特に不安定と考えられる部分に対する応急的防止対策国有林内最下流部治山ダムの新設は早急に実施する必要があるというふうに判断いたしております。  次に、砂防及び河川関係ですが、まず砂防ダム規模地形地盤状況に左右されますが、設計に工夫を加えれば大容量ダムも設置可能と考えられますので、大容量砂防ダム計画する必要があると考えられます。また上流渓流部において土石流浸食によって生産される土砂を抑止するための施設が必要と考えられます。下流河道は今回の土石流による堆積物を排土した後さらに必要な断面にすることになるわけですが、洪水流に対する河床安定を考慮した計画にとどまらず、土石流を考慮したのり線形及び深さであることが必要と考えられます。  以上、現地調査の結果につきまして主要な事項を中心に御説明いたしました。以上で報告を終わらせていただきます。
  7. 川村清一

    委員長川村清一君) 続いて、気象庁末広参事官
  8. 末広重二

    説明員末広重二君) ただいま活発な活動を続けております北海道有珠山及び九州桜島現況について御報告申し上げます。  有珠山火山活動は昨年八月七日噴火以来すでに一年一ヵ月を経過いたしました。火山活動度を示します地震回数は最近逐次減少しておりまして、最初噴火直後に比べますとほぼ十分の一程度となっております。これら地震の大部分火口原内で発生しておりまして、震源の深さは当初のころより浅くなっておりますし、また隆起を続けておりました火口原内の新山、オガリ山の隆起速度も一日当たり約十センチメーター以内まで低下し、また山ろくにおきます水平方向の変動も昭和新山方面では現在停止したままでございます。このように、本年三月以降火山活動に関与する基本的な地震活動及び地殻活動鈍化傾向を示しております。  このことから地下マグマの上昇は鈍化傾向を続けていると判断されますが、熱源の地表への接近によりまして五月下旬以降小規模水蒸気爆発が発生し、六月上旬から火口の一部に赤熱現象が観測され、また七月中旬以降は火口南部湿地帯に直径約三百メートルの新しい火口が形成されましたため噴火の頻度が増加し、特に八月中旬以降は噴火規模もやや増大したわけでございます。八月二十四日、九月十二日の噴火には火柱、火山雷等も観測され、山ろくでは火山礫を含む厚さ三センチメートル程度降灰をこうむったところもございました。  このように表面的な活動はなお活発な状況が継続しております。しかし地震活動及び地殻活動減衰傾向にあるという基本的な状況には変化はございませんため、現在の表面活動自体も徐々に鎮静化に向かうものと思われます。なお有珠火山に対します常時監視体制は今後とももちろん継続いたします。  次に、桜島現況について御報告させていただきます。  桜島南岳は昨年秋以来活動が活発となり、ことしに入りましてすでに爆発回数は百九十四回に達しております。このため噴石、空振——これは空気のふるえでございます。それから火山礫降灰等により農作物、自動車、建造物被害が発生し、またことしの夏は活発な噴煙活動とともに雨がきわめて少なかったこと、また東風が継続して吹いたことによりまして、鹿児島市街地はかつてない多量降灰に見舞われたわけでございます。また台風による強い風と爆発がたまたま重なりましたとき等は火口からかなりの距離まで噴出物を飛散させましたため、生活居住地における負傷事故等も発生したわけでございます。  これは昭和三十年以来二十三年間に及ぶ継続的活動の結果、マグマが容易に火道——火の道でございます——火道を通り、火口外へ放出されやすくなっているためでございまして、これを裏づけます火山性地震の頻発と地震回数の増加が観測されておりますが、それに加えて強い風による被害範囲拡大ということがあったわけでございます。ただしさらに現在以上の大規模活動に直ちに移行するという兆候は現在のところ全然認められておりません。しかしながら現在程度活動は今後も繰り返し継続されると考えられますので、山ろく部はもちろん、それ以外の地域も、風の強いとき等の場合には注意が必要であろうかと思っております。なお桜島火山に対します常時監視はさらに強化の方向で検討しておる次第でございます。  以上をもって、簡単ではございますが御報告を終らせていただきます。
  9. 川村清一

    委員長川村清一君) 以上をもちまして政府からの報告を終わります。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  10. 志苫裕

    志苫裕君 二、三お伺いいたしますが、いま報告がありました点で、私はきょう妙高土砂災害と、それから六月から七月にかけての梅雨前線豪雨についてお尋ねいたしますが、まず妙高土砂災害について復旧計画のあらましをどなたか御報告いただけますか。これは主として川ですね、治山治水砂防、こういう点に限って結構です。
  11. 佐々木富二

    説明員佐々木富二君) お答えいたします。  今回発生いたしました土砂災害において発生した土砂量は、建設省農林水産省合同調査の結果等によりますと、崩壊地から崩落した土砂量が約二十九万立米、それから渓床及び渓岸浸食されて下流に流出した土砂量が約三十三万立米合計いたしまして約六十二万立米土砂下流に流出したものというふうに考えられるわけでございます。  そこで、復旧計画でございますが、今回の災害で発生した土砂程度のものに対応し得る規模とすることを基本的な考え方といたしまして、建設省農林水産省両省間において調整を行い、国有林野内においては三十二万立米土砂の安定を図るために九基程度治山ダムを、また山腹の安定を図るために十六ヘクタールの山腹工事を実施する計画でございます。  なお今年度は国有林下端治山ダム一基を建設中でございまして、崩壊地には山腹土め工不安定土砂に対するのり切り工水路工等を実施しているところでもありますので、今年度の工事が完了することによって崩壊地からの土砂下流に流出するおそれはないというふうに考えておるわけでございます。
  12. 小藪隆之

    説明員小藪隆之君) 白田切川土石流災害につきましては、災害後直ちに建設省土木試験所中心といたしまして調査をいたしまして、流出土砂量把握に努めたわけでございます。さらに林野庁とも調整を図りまして、先ほど農林水産省説明にもありましたとおり、建設省といたしましては三十万立米土砂に対応し得る砂防施設を築造するという計画を立てたわけでございます。すなわち通常砂防事業として被災時に工事中でありました砂防ダム一基の進捗を早めまして、これを五十三年度中に完成させるとともに、砂防激特事業といたしまして砂防ダム二基と大規模な沈砂池一ヵ所を計画いたしまして、そのうち砂防ダム一基につきましてはすでに工事に着手している次第でございます。これらの砂防施設の完成を急ぎまして、再度災害防止に努めてまいる所存でございます。  以上でございます。
  13. 瀬戸充

    説明員瀬戸充君) 砂防部分下流部白田切川につきましては、関川の合流点まで約三・六キロメーターございますが、その区間につきましてはすでに災害査定を終わりまして、保留の解除もその後行いまして、災害復旧助成事業といたしまして、主として河積拡大中心といたしました抜本的改良復旧を行い、再度災害防止を図る考えでございます。  以上でございます。
  14. 志苫裕

    志苫裕君 いまのお話ですと、まず上流の方は三十二万立米ぐらいの土石に対応できる能力を、それから下流の方へ参りますと三十万立米土石流にたえるように、なお川は河積拡大改良復旧という内容になっているようですが、まずこの川の下の方から順次お伺いしますが、この流量断面というんですかね、この河積の、川の大きさ。済みませんが従来の川はどれぐらいの容量であって、今度つくり上げるものはどれぐらいの容量になりますか。
  15. 瀬戸充

    説明員瀬戸充君) 従来の川幅約十五メーターから二十メーター程度ございまして、それを二十メーターないし五十メーターといいますか、一番広いところでは五十メーターほどございますが、約倍に拡大する予定でございます。
  16. 志苫裕

    志苫裕君 いやいや、それだけじゃわからないでしょう。何か専門的に、何と言うか、流量断面と言うんですかな。素人流に言うと従来の川の倍の大きさということですか。
  17. 瀬戸充

    説明員瀬戸充君) 従来の川幅の倍ぐらいでございますので、流量といたしましてやはり倍ぐらいの流下能力を持つ川ということになります。
  18. 志苫裕

    志苫裕君 そこで、治山砂防それぞれの対策を講じておるわけですが、たとえば具体的に聞きましょう。将来今度のような土石流が出た場合に、その川は安全なんですか。
  19. 瀬戸充

    説明員瀬戸充君) 河道計画といたしましては、上流林野庁所管砂防及び建設省所管砂防計画土砂監視していただいて、その後の流量河川の水を受け入れる、こういう考えでございます。  以上でございます。
  20. 志苫裕

    志苫裕君 ですから、私は素人ですからわかりませんが、先ほどのお話聞きますと、治山で約三十万立米押さえ砂防で三十万立米押さえる、それでかれこれ六十だ。今回出た土石の量が当初は九十万トンと言っていたのが、先ほどの報告ですと三十万トン減って六十万トンぐらいだと言っていると、まあ勘定合うわけですね。三十万三十万を治山砂防で退治する。そうすると、土を取り除いた水だけが下へ流れてくるわけでありますから、その水を受け入れる川があればいいという勘定になるわけですよ。勘定になるわけですね。それはあくまでもいわゆる治山ダムあるいは砂防ダムによってその土石流が完全に押さえられるという前提に立っている。そこのところを私は問題にしたいわけですね。しかし将来を予測をすれば、普通川ですと百年確率とかなんとかいうことで一応のあれを立てることができますけれども、あの川は土石という厄介なものがいつ飛び込んでくるかわからない川であるというところに対策としてのめんどうさがあるわけで、われわれも心配をしてお尋ねしているわけですが、安全ですか。
  21. 瀬戸充

    説明員瀬戸充君) お答えいたします。  一応確率的には五十分の一といいますか、五十年に一度ぐらいの流量にたえる断面でございまして、なおいま御指摘のようなことでございまして三割程度土石が混入するということで三割増しという安全を見まして五十分の一の確率計画をいたしております。  以上でございます。
  22. 志苫裕

    志苫裕君 五十分の一の確率、三割増しにして五十分の一の確率になったという意味ですか。十分の一の確率をさらに三割アップという意味ですか。どっちですか。
  23. 瀬戸充

    説明員瀬戸充君) 五十分の一の三割アップでございます。
  24. 志苫裕

    志苫裕君 そうすると、そういう治山砂防で押さえるけれども、もしものことも考えて三割アップ、今度の土石の言うてみれば三分の一くらいのものはのみ込めるというふうに素人流考えましょう。  林野庁さん、皆さんの方はいわゆる三十二万立米を押さえ込むために九基のダムをつくったり沈砂池をつくったりするんでありますが、この報告でいろいろと指摘をしておるようですが、あなたの方からもお伺いしておきましょう。あそこは地形地形ですし土質が土質ですが、あなたの方からいまこの設計を立てる安全性のことをこの際お伺いをしておきたい。
  25. 高野國夫

    説明員(高野國夫君) 先ほど農林水産省審議官の方から御説明申し上げましたように、国有林内におきます治山事業といたしましては三十二万立方の土砂の安定を図っていきたい、こういうことで現在九基の治山ダム考えるとともに、十六ヘクタールの山腹工事をやりたい、こういうことで計画をしているところでございます。今度の六十二万立方という土砂の量はいままでの白田切流域におきます土砂量の最大というぐあいに考えておりますので、建設省の方の砂防の仕事と調整をいたしまして、治山事業といたしましては三十二万立方を負担をして安定を図る、こういうことで考えておりまして、この数字を安定させれば、先ほど申し上げましたように今度の災害が過去の最大というぐあいに見ておりますので、安全を期し得るものと、このように考えている次第でございます。
  26. 志苫裕

    志苫裕君 ここで指摘をしていますね。皆さんからいただいたこの報告書の「砂防及び河川」の三ですが、「下流河道は、今回の土石流による堆積物を排土した後、さらに必要な断面」を与えるものとなろうが、洪水に対して「河床安定を考慮した計画」であるばかりでなく、土石流対策の完成時期との関連性もあるので「土石流を考慮した法線形及び深さであることが必要」とさると。でありますので、いろいろと砂防治山の手当ては講ずるとしても、なお土石流を考慮をしたというのが先ほど言った三〇%ですね。そう理解していいですね。
  27. 瀬戸充

    説明員瀬戸充君) 御指摘のとおりでございます。  なお、まだ計画が折衝中でございますので確定いたしておりませんけれども、たとえば法線の形といいますか、屈曲等についても検討を加えまして土石流の流れをスムーズに流すというか、そういうこと等につきましても検討を加えております。  以上でございます。
  28. 志苫裕

    志苫裕君 林野庁、あの場所、あの地形、土質から見て、今度の場合に実際の崩落土量が約三十万、まあ二十九万ということですから、皆さんのこの報告でも非常にこれは大量なものだという指摘になっておるんですが、それが約六十万にふくれ上がっていっておるんですが、あそこは、皆さんがいろんな対策を講ずるけれども、河川の方ではなお心配をして三割アップをしておるという設計のようですが、私はこの三割アップというのは何となく気休めのような気がして、来るときには、もし三割だか四割だかどかっと来るというものであれば、それはとてもそんなもんじゃ足りないことになるのではないかという気もするんですが、上流部の土砂の不安定性とかそういうものから見て、崩落の危険性とか可能性とか、土砂流出の可能性とかというふうなものは皆さんがいま行っておるその対策をすればないんですか。
  29. 高野國夫

    説明員(高野國夫君) 絶対にないかということになりますと非常にむずかしい判断になろうかと思います。ただ従来のこの流域におきます流出の土砂といたしましては四十六年のものがかなり大きかったわけでございますけれども、今回のものはさらにそれを上回る規模になっておりまして、今後さらにこれ以上の崩壊が起こる可能性があるか否かということにつきましては、一〇〇%絶対安全であるというようなことを申し上げることは不可能かと思いますが、いずれにいたしましても過去におきます最大の崩落と目される今回の土砂流出に対しまして、それにたえ得るような工事砂防治山調整をいたしまして施工したい、そういうことを今回の工事の全体計画の基本にしているところでございます。
  30. 志苫裕

    志苫裕君 それは自然が相手ですから、絶対にないかといって念を押せばありませんといってなかなか胸をたたけるもんじゃない。そのことはわかりますから、そんな意地悪質問を私はしているんじゃないんですが、それぞれ三十万押さえる、三十二万押さえる、これが効果を出すことを期待をしていますが、なおかつそれが役に立たないという事態が起きないわけでもないという可能性があるとすると、建設省さん、今回六十万立米、まあ九十万がなんで六十万になったのかわからぬですけれども、いつの間にかどこで三十万値引いたのかわかりませんが、まあ六十万としておきましょう。六十万立米ぐらいのものが将来があっと来てものみ込めるような川というのはできないんですか、あそこじゃ。いろいろ段取りは上でしておきますけれども、来ないにこしたことはないんですから。それでも来たと。先ほど林野庁は、絶対かと言うと、いやそれは返事できぬというお話でしたが、その返事できぬ部分のためにせめて今回ぐらいのものがどうっと下へ来てももつぐらいの川というふうなものはあそこではだめなんですか。
  31. 瀬戸充

    説明員瀬戸充君) お答えいたします。  やはりその点は非常に断面的には無理でございまして、現在私どもが助成で計画いたしております河川流量は三百六十トン毎秒ぐらいでございまして、その川の場合幾らというのはいま正確にちょっとお答えする数字を持ち合わせておりませんので正確にはお答えできませんけれども、それだけの土石を川で受けるとするともう何倍もの川幅でもって、あるいはうんと深くするとかいうふうなことで、あそこの地域では事実上無理でございます。  以上でございます。
  32. 志苫裕

    志苫裕君 そういうことを言われると、私は素人だから、そんなでっかい川つくるとあの辺がみんな川になっちゃうということですか。村なくなって川ばかりになっちゃう、大きくなっちゃうと。
  33. 瀬戸充

    説明員瀬戸充君) 一般論でございますけれども、やはり相当、たとえばあの付近にございます市街地あるいはスキー場等を含めましてかなりのものが川になってしまいまして、それは確かに半分以上減るわけでもございませんけれども、相当の川幅になりまして、いわゆる経済効果上といいますか、河川流下能力の常識上からいきますと、非常にちょっと無理な計画と思われるものでございます。
  34. 志苫裕

    志苫裕君 いろいろわかりました。  ずいぶん皆さんも安全については気を配っていることはわかりましたが、しかしやっぱり現地でもわれわれがまた見ても場所が場所だけに絶えず心配は残っておるという懸念をいま表明をしておいて、建設省せっかく御答弁があったけれども、私はあの地形から見て、川の断面をもう少し大きくしてもいいんじゃないかなと。それがいまのいろんな制度とか金とか、そういうもので制約があるのかどうかはちょっといまつまびらかにできないけれども、そういう懸念を表明をして万全を期してもらいたいということをこの点では要望をいたしておきましょう。  それからその次は、あそこにも観光ホテルが持っておるゴルフ場があります。ゴルフ場は個人のものですから、しかも言うなら市街地ではないわけですから、あそこに土砂が流れ込んでも、いわば都市排土事業の対象にならない。これはよく承知をしております。そのことを承知していてひとつ問題点を提起しますんで、どなたか知恵のある人答えてください。  あそこのゴルフなどを相手にしてそんなにだれもそう働いているわけでもないし、もうけているわけでもないんですが、ゴルフ場は即リフトもあるんですね、スキーのリフトが。ゴルフ場全部じゃありません。ゴルフ場のところ大分通っているわけですね。このリフトは雪が降りますと、あそこは温泉地といっても雪の温泉に来るんじゃなくて、スキーのお客が来る。それを対象にしていわば町が成り立っているわけですよ。そこに直接雇用される者、そこへ来るお客を相手にする旅館、あるいはそれに品物を納める者というようなことで生活している。言うならあそこのスキー場というのは妙高高原町の冬の生命線でもある。で、ゴルフ場の排土等がうまくいかないとそいつが動かない。そいつが動かなければ町はことし火が消えちまう。こういう問題に発展をしていくわけであります。じゃ、そこの観光ホテルにリフトの周辺ぐらいでも排土せぬかと言っても、なかなか銭がないからと言って排土をしない。役場が手つけようかと言ったってそれは個人の財産のことでありますから、どうもそれに使うのも筋が違うような気もするというようなことで、いろいろ議論をしているうちにだんだん冬も迫ってくるし、ことしおたくにスキーに行きたいがと言って団体の申し込みがあっても、受けていいものやら断っていいものやら返事もできない。それから学校とかそういう公共団体の団体申し込みなどは安全性を一札もらわないと、これは予約さえも申し込んでこないというふうなことで大変問題になっておるわけであります。  さて、こういう状況についてだれか何か知恵ないですか、知恵が。こういうことしたらこういう事業が対象になるとか、ありますか。
  35. 瀬戸充

    説明員瀬戸充君) お答えいたします。  どうも知恵がないんでございますが、ちょっと前半部分をお答え申し上げたいと思いますが、スキー場の土砂排除につきましては省内及び関係各省庁ともいろいろ議論をいたしまして検討いたしましたけれども、どうも非常に知恵のないお話で恐縮なんですが、現行制度におきましては建設省の所管の事業といたしましてはもう正式には対処できないということでございます。
  36. 志苫裕

    志苫裕君 土砂の排土は都市排土が対象で、ここは都市じゃない。都市じゃないから対象にならない。  そこで、知恵のありそうな石原審議官。自治省に春以来私どもも地域の雇用創出というようなことでいろいろ意見を申し上げたり、皆さんの知恵もお願いをしたりしておるんですが、いろいろ問題点はあるにしても、結局最終責任というのは自治体、町が負う。何だかんだ言ったって町は町民のことや町のこと考えるんですから町が負う。それは個人の財産のようではあるが、ひいては町全体の問題だということになると、そういうスキーリフト周辺の土砂の排土事業、これをひとつ町がそれならやろうと、町が。やった最後は何か観光ホテルの財産になるのに町が手をつけるのは筋は通らない。筋は通らないが、そのスキーリフトの確保というのは町の生命線だということになり、地場の雇用の問題やその他に重大な影響があるということで見逃せないということで町がこれに手をつける。当然お金がかかります。その財政的なめんどうをたとえば起債なりあるいは特別交付税なりそういったもので見てくれるというのであれば、町も議会と相談をして、それならひとつやろうかというふうになる道があるのじゃないかという気がするんですが、いかがでしょう。
  37. 石原信雄

    説明員(石原信雄君) ただいま先生提起された問題は、観光地などにおいてホテルその他の業者の施設等について自治体がどの程度まで関与すべきか、地域の振興のためにどの程度まで関与が可能であるか、あるいは関与すべきであるかというような問題と共通の問題を抱えていると思います。確かに妙高高原町のスキーリフトのある場所は観光ホテルの所有地内のようでありまして、一般的に都市計画区域内であれば公共性に着目して補助制度があり、また補助制度があればそれに対して起債措置あるいは交付税措置等が続いていくわけでありますけれども、そういった適用のない地域についていきなり自治体が補助対象にもならない排土事業について町費の負担でこれを行うということが妥当かどうか、非常にこれは検討を要することであると思います。しかしさりとてそのことがこの地域の観光資源の非常に重要な役割りを果たしておるということになりますと、自治体としても何らかの手を打たなきゃいけないということにもなろうかと思います。  いずれにいたしましても、この点につきましては、問題はスキーリフトの所在する場所の排土事業を行う場合にどの程度の経費がかかるのか、その経費にもよると思います。またその経費を投入した後の利益はどういう形で帰属するのか、企業と地域にどういう形で帰属するのか、こういったこともいろいろ考えてみる必要があろうかと思います。  一般的に観光地等で自治体が果たしている役割りは個々の企業に共通する環境整備、たとえば道路の整備でありますとか、河川の整備でありますとか、砂防工事でありますとか、共通する施設の整備については当然問題はないわけでありますけれども、個別企業の地域内で個別企業の事業に直接的なかかわり合いを持つものについて直接公費でこれを支援するということは若干議論があると思います。  そこで、通常中小企業対策等で行っておりますように融資などで低利長期の融資をあっせんする、あるいはその場合の利子負担について一部自治体が援助する、こういうようなやり方をしておりますので、具体的に妙高高原町の場合にどういう方法が最も妥当なのか。これらの点については町当局及び県の御意見なども拝聴しながら私どもも知恵をしぼってまいりたい、このように考えます。
  38. 志苫裕

    志苫裕君 まあいろいろ検討の余地のある答弁ですが、いま石原審議官がお答えになった問題点、特に個人の財産に町がとにかく現象的にはめんどう見てやることになるわけですから、問題点はあることを承知で私は提起しているんですが、御多分に漏れず新潟の上越線の沿線にしてもあちこちにスキー場があります。考えてみれば本来冬は出かせぎで空々になっちまう過疎の村がスキー場のために実は働く場所を得ている。それは民宿であれ、あらゆる形態を通して本当に出かせぎせぬでも何とかやっていける。そういう状況があちこちにあります。特にあすこの場合の冬のスキーリフトの持つ意味というのは非常に大きい。先ほど来言いましたように町の生命線にもなっておる。たまたまあすこの町にはもう一つ町営のスキーリフトが反対側の方にありますけれども、しかしいま言う昔からのいいスロープを持ったスキーリフトというようなものをことしの冬動かさないというわけにはいかないというのがせっぱ詰まった事情であるわけです。  いまにわかにたとえば排土事業の枠をそこまで広げるとか何とかということにならぬので、自治省に雇用創出という視点も含めて見解をただしたわけですが、皆さんのいわゆる事務次官通達でも雇用の創出ということに着目をしていろんな工夫をして仕事をする場合には起債等についても考えようという趣旨の次官通達が出ておる。ただしその場合には適債事業についてということなんでしょうけれども、そこのところの枠を、額も私ゴルフ場全部じゃ相当なものですけれども、リフトそのものに必要な面積というのは大したものでないような気もするんですが、私もいまのところ当てずっぽうで、どれぐらいの財政負担のものかわかっていないので、この点は事情をよく理解をいただいた上で、いま審議官の答弁もありましたが、ちょっと町当局も相談に来るでしょうから、ひとついろんな工夫をしてみていただけませんか。この点はひとつきょうこれ以上ない制度をむちゃ言ってもしょうがありませんので、ぜひ要望をしておきたい。  それから同じ土砂排土ですが、これは国土庁になるんでしょうか。それからもう一つ自治省も関係があるんですが、都市排土は二分の一助成です。案外これがやっぱり金がかかるんですよ。町は二分の一しか国が金くれないといって二分の一持てと言わないで、やっぱり町が幾らかさらに住民に足し前をして助成をしてやっているんですよ。こういう経費についていろんなめんどうが見てもらえるかというのが自治省に対する質問。  それから、あれはおかしいんですね。土地に土がどうっと流れ込んだのを取り出すのには半分めんどうを見てもらえますね、国から。その土が建物の中に入りますと、これだめなんですよ。百坪の土地があって、その中に五十坪建物が建っていて、そこへどうっと土砂が入った。そしたら建物の中の五十坪分は一銭も助成がない。自分の庭先の五十坪分だけが助成があるんですよ。建物から外に出しなさい、出したら持っていってくれると、こう言っているんですね。建物から外に出すのが実は大変なんです、これは。この辺の矛盾は何とかならぬものでしょうか。
  39. 並木昭夫

    説明員(並木昭夫君) お答えいたします。  排土事業につきましては、一般的には市町村長の指定する場所に集積したものをその場所から捨て場まで排土するというものに対しまして二分の一の助成をいたしております。ただし宅地内にたまりました土砂が公益上、たとえば公衆衛生上等々、公益上非常に支障のあるという場合には直接排土するというものを助成いたしております。いま先生の御指摘のございました住宅の中に入ったものにつきましても一緒に直接排土の場合には直接助成の対象にいたしております。
  40. 志苫裕

    志苫裕君 宅地の住宅の中に入った土砂を持ち出す、外へ取り出す経費が対象になっていますか。
  41. 並木昭夫

    説明員(並木昭夫君) お答えいたします。  一般的には先ほど申し上げましたように宅地から市町村長の指定する集積場所まで運び出していただきまして、そこから先が助成の対象になっておるわけでございますが、宅地にたまりました土につきましても、公益上これが必要であると市町村長が判断した場合には、これを直接排土する場合は宅地内、建物の中に入ったものも助成の対象にいたしております。
  42. 志苫裕

    志苫裕君 わかりました。  そこのところで、市町村長が必要と認めた場合に対象にするというそこのところがなかなか建設省の方と相談がつかぬのかもしれませんね。これは市町村長だけの判断でいいですか。皆さんはそれには自動的にお金つけますか。
  43. 並木昭夫

    説明員(並木昭夫君) 市町村長の判断と、あわせて実際に査定をいたします。その査定の際の判断と両方ということになるかと思います。
  44. 志苫裕

    志苫裕君 じゃ、具体的にここの場合聞きますが、妙高のはどうしました、査定のときの判断で。だめだと言いましたか。
  45. 並木昭夫

    説明員(並木昭夫君) まだ査定を実施いたしておりませんが、現地の方では直接排土の方式でやるように指導いたしております。
  46. 志苫裕

    志苫裕君 その点はありがとうございました。そういうことでひとつ皆さんの指導どおりにやっていただくように要望しておきます。  これで妙高の方を終わりまして、次に、六月から七月にかけての梅雨前線豪雨——自治省結構であります。  梅雨前線豪雨についてお伺いをいたします。時間も余りありませんので、対策の概要はこの際省きまして、まず先ほど報告ありましたが、梅雨前線豪雨もほとんどが新潟県に集中しておりまして、どうも毎年毎年新潟災害の多いところで、政治がよくないんじゃないかなと、こう思うのでありますが、皆さんにも御心配をかけるのでありますけれども、どうでしょう。私は新潟ではいままでたとえば四十一年、俗に七・一七水害といいまして、四十二年、四十四年、いろいろと御多分に漏れずやられておるんでありますけれども、今度の災害は、いままでは必ずどこかの地域だったんですけれども、今度は新潟県全部でした。例外なしにあらゆるところ、新潟県全部まんべんなく降ったというのが一つの特徴でしたが、そういういわば気象条件を踏まえて災害の特徴があったような気がするわけです。  で、建設省の方で、どうでしょう。専門的に見られて、今度の新潟中心にした梅雨前線豪雨についての特徴、性格というようなものについて何か分析をされておりましたら所見をまず伺いたい。
  47. 川本正知

    説明員(川本正知君) お答えいたします。  いま先生おっしゃいましたように、新潟県の今回六月に起こりました豪雨によります災害というものは、まず雨の降り方でございますが、やはり全県に一様に降ったということの傾向ではございませんで、いわゆる新潟県で言いますと下越といいますか、東の方にウエートがかかった降り方をしておりまして、六月の二十五日から降り始めまして二十八日までまるまる四日間降り続いたわけでございますが、その間の総雨量が四百ミリに達したところもあるということでは、総雨量としては非常に大きな雨であったということは言えます。ただしその四日間にだらだらと降ったといいますか、まんべんなく降ったようなかっこうでございまして、たとえば一時間の最大の雨量といいますと、せいぜい二十ミリ程度であるということで、いわゆる集中豪雨といったような短時間にたくさんの雨が降るといったような状況ではございませんでした。そういった意味で水の出方というものも、河川に対する出水というものも極端に大きいというわけではございませんでした。ただし新潟県内でも河川の改修の進んでいるところ、進んでいないところ、そういったところがございましたので、そういったところで改修の進んでいないところが被害が出たというようなことはございます。
  48. 志苫裕

    志苫裕君 いまも報告ありましたが、これは大臣も聞いておいていただきたいんでありますが、確かにいまお話がありましたように、一遍にどうっと降らなかった。時間雨量はまあ普通の雨、しかし総雨量というのはずいぶんたくさん降っているという確かに性格があります。ですからかもしれませんが、私が見ますと、いまもお話ありましたように、とにかく河川改修をやったところには全然被害がなかったですよ。いままで何だかんだ言って現地もがんばり皆さんもがんばってくれて河川の改修が進んだところは幸いにして全然起きなかった。それをまた別な言い方をしますと、河川改修が比較的進んでおる大きい川、これにはほとんど被害がなくて、河川改修のまるっきり進んでいない中小の河川、こういうところに例外なしに被害が出た。これをまた別のことを言えば河川改修さえすれば水害は防げるということを実は証明をしたとも言えるわけです。  それから河川改修は従来災害地のわりあい上流部に行われた。上流部がどかっと切れるから川がどこか外へ分散しちゃって、下流がしたがって安全というようなことで、今度やられたところに予算がついて河川改修が進みますから、比較的上流部の改修が進んで中下流部が残っておるという状況を呈していますから、中下流部被害が集中をするという、そういうまた現象も呈したわけです。さらに新潟はいわばゼロメートル地帯、どこにもここにも昔の沼の跡がありますから、これが総雨量が多いものですから、いわば下の方からあふれかえってずうっと湛水をする。こういう都市災害というようなものももたらしたわけでありまして、私は今度の新潟の水害を見ていて二つの点を指摘をしたいんです。  いま都市災害といえば湛水ですね。福島潟というところに代表されるような、この湛水が昭和四十年代の初めから何回も起きているのに、またしても繰り返すというところに本当に治水対策の手ぬるさというものを感じる。しかもほかのところで証明されているように、手さえ打てば確実に水害が防げるということが証明もされておる。こういうのが実態だったような気がするのですが、大臣どうでしょう。  私は時間がありませんから、そのものずばりで申し上げますが、対策さえすれば被害は出ないということがはっきりしたんですがね。それで新潟のような湛水する都市災害というのはもう年々歳々同じことを繰り返しておる。こういう状況を見て、ひとつ何か大臣の所見がありませんか。
  49. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 志苫委員のおっしゃるように、六、七月梅雨前線の豪雨の新潟県における実態というものは私も何回か御要望を承り、被害状況報告を受けて、ただいまおっしゃることを聞いておりますと同感するところが多うございます。したがって、これらの対策を十分講じなきゃならないことでありますが、何分にも早急にやるについては相当な予算措置を伴うことでありますので、多少勘案を講じながら緊急度の高いところからやらざるを得ないというところが、これが実際は申しわけない結果をもたらす、こういうことではないかと思うのでありますが、さような事実のないように鋭意努めなければならない、こういうふうに感ずるところでございます。
  50. 志苫裕

    志苫裕君 お金をかければ直る。お金をかければ水害は出ないわけですね。雨は降るけれども水害は出ないということが証明されたので私申し上げているのですが、大臣、いま答弁のついでですが、私こういうことを考えるんですね。  いままで同じ川一本ながめていまして、あるところが水害でやられる。そうすると、そこ及びその周辺に対策を講ずると、そのまた隣がやられる。そこを直すとまたその隣がやられるという状況を繰り返している。そこでそれに対して建設省もだんだん進歩しまして、じゃ、もう関連で直接やられていないところまで手を広げるかとか、助成でさらに補強を講ずるかとか、あるいは一定区間を一定災というやり方でやっつけるかとか、あるいはもう大いに金を注ぎ込んで激特で短時間にやっつけてしまうとか、いろんな工夫をされています。そこまで年々進歩しているんですから、私は大臣に提案ですけれども、やっぱり統計的に見ますと災害頻発河川というのがありますよ。上流、中流、下流、いろいろ場所こそ違え一本の川で手に負えない頻発する河川がある。何らかの基準を設けてこの頻発河川とでもいうような川を指定しまして、この指定した川を上から下まで一遍にやっちまう。やられたところをやるんじゃなくて、やられそうなところを川一本全部やっちまう。こういう災害復旧というより対策、まあ復旧対策は一緒ですけれども、そういう頻発河川というようなものを指定をして、一気に上から下までやってしまうというような仕組みをこの機会に大臣考えませんか。  金がかかるわいと。金だってかつて高度経済成長の時代には川なんかほったらかして、道路には特定財源まで見つけて、とにかくそこらじゅう舗装したんですから。そういう特定財源がなじむかなじまぬかは、水利使用料など取ってと言えばまたどこかにしかられますから具体的な提起はできませんけれども、特定財源というようなことも考えて、かつて道路をやっつけたと同じように、川一本指定したら上から下までもう全部やってしまう。こういう発想の転換というものを、大臣、それこそ長官と大臣と兼ねているんですから、あなた二つも一緒にやっているんですから、発想もひとつ思い切ってそういうことを考えてみられてはいかがでしょう。
  51. 川本正知

    説明員(川本正知君) 私の方から事務的なことをちょっとお答えいたしたいと思います。  いま先生御指摘ございましたように、河川事業のおくれというものが災害を頻発さしておるんだというような御指摘、これも事実ございます。そういったことも踏まえまして私どもも河川事業の予算の確保といったことには全力をふるっておるわけではございますが、五十二年度から第五次の治水事業五ヵ年計画は始まっておりますが、それにおきましても特に近年におきまして災害の著しい河川、そういったものの改修といったものは重点的に事業の進捗を図っておるというところでございます。  また、いま先生おっしゃいましたような災害起こりましたときのそういった頻発する河川に対して一挙に何かできる方法はないかということでございますが、それにつきましても、先生お話ございましたように、私どもの方もこれは昭和五十一年度からでございますが、いわゆる激特事業といった制度を創設いたしまして、これはいわゆる土木施設災害がほとんどなくても、いわゆる一般災害といいますか、住宅が浸水したりといったような激甚な一般災害がありましたそういった地域、そういったものを取り出しまして、それに対して一定の計画に基づきまして大むね五年間という目標を置いておりますが、こういった期間内に必要な河川改修を行うということを計画的に推進するという制度でございまして、こういったことも今回の新潟県の災害に関連いたしましても活用いたしまして、今回新潟県でも三ヵ所ばかりこの激特事業に採択したという経緯もございます。また土木施設被災がありましたときには、先ほどおっしゃいましたようなやはり改修計画に基づいて河川改修を一気に進めるといった意味での助成事業、関連事業、そういったものの制度もございます。そういったものをいろいろ活用いたしまして、先生のおっしゃいましたそういった御趣旨に沿うような、一挙に一定区間を改修を進捗させるといったようなことを図っておる次第でございます。
  52. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) いまの答弁の中で私の感ずることは、御指摘のような頻度の高い河川にわれわれとしては鋭意努力をしておる、しかしそれが大体五年ぐらいの計画、こういうことになると、計画当初に今回のような集中豪雨があるとすると被害は当然出てくるというようなことから、それぞれ手を打ってはおるが、しかしそのそういう経過過程にある河川という場合はこれはひとつ御了承をいただかなければならない。しかし頻度が高い河川であるにもかかわらず、それらのことも何らの手順は講ぜられておらない、こういうことになれば、これは私は問題だと思うんですね。今回の災害に伴って激特事業三つを取り上げた、こういうことでございますが、私としても現実におっしゃるとおりの非常に頻度の高い河川で何らの措置も講じておらない、こういうことがありますれば、それは篤と考えたいと思います。
  53. 志苫裕

    志苫裕君 課長の答弁、大臣の答弁、全部合わせて私は不満なんですよ。  災害対策とか災害復旧という考え方というのはやっぱり災害が起きたので復旧するということです。そして金がない金がないと言っておる政府でも災害復旧費に金を惜しむことはない。やっぱり借金でも何でもして予算だけは組む。災害が起きて、そいつの手当てをする金はとにかく臨時国会開いてでも、補正予算組んででも予算ひねり出すんですから、そんならその金を起きる前に使えぬもんだろうかというのが一つの発想になっておるわけですよ。予算を普通組もうとすると、金がない金がない、こう言っているわけだ。しかし災害が起きれば金がないと言わないでしょう。ないはずの金が、何だか知らぬ、どこかから集ってきて予算組まれるでしょう。ですから私は復旧という考え方でなくて、起きないようにするという、そういうふうに思い切って転換をして、復旧にかける金があるんなら、起きないように未然の金に使えるわけですから、しょっちゅう頻発する河川というか、水系ですね。その水系は必ずまたどこかがやられるという川なんですから、いっそのこと川一本指定しちゃって、いま災害はないけれども起きるかもしらぬからずっと上から下まで改修をしてしまう。こういう制度をつくり上げ、それに必要な財源を、かつて道路にやったようにひとつ考えてみたらどうだろうと。皆さんが災害復旧から災害助成から災害関連から一定災から激特からというふうにいろいろと私がいま言っていることに沿って枠を広げておることは確かですけれども、その努力を否定しませんが、しかしそれは依然としてまだ復旧という発想だ。これをどっちみち使う金なら前に使うということで、危なっかしい川は指定してやっちまうというふうなことに思い切ってこの辺で発想を変えたらいかがですか。  私は今度の新潟の水害見て、対策さえ講ずれば水害出ないのだということを本当に感じた。激特の話がありましたけれども、それは非常に努力しておることはわかりますが、たとえばある一つの水系、福島潟周辺のことを考えればいまのところ胡桃山の排水機のことだけでしょう。もっと万全を期するには放水路も欲しいわけですよ。新発田川の放水路も、それから福島潟の放水路も、これがそろえば恐らくもうあの周辺の人が年々歳々湛水の被害に苦しむことはないでしょう。そういう点での発想の転換といいますか、もう少し一歩前へ出たことをお願いをしたい、要望したいということなんですが、いかがですか。
  54. 川本正知

    説明員(川本正知君) お答えいたします。  ただいま福島潟周辺の具体的なお話がございましたけれども、先生おっしゃいましたように、今回激特で採択いたしましたのはその一部でございます胡桃山の排水機場の事業でございます。おっしゃいましたとおり、福島潟の根本的な治水対策といたしましてはやはり福島潟から直接海へ抜きます福島潟の放水路あるいは新発田川の洪水を直接海へ抜きます新発田川の放水路、そういったものが必要でございまして、実はこれにつきましても昭和四十四年から中小河川の改修事業として取り上げてやってきておったわけではございますけれども、いろいろと放水路といったような特殊事情もございまして、地元の御理解もなかなか得られなかったという経緯もございまして、非常に進捗がおくれておったということは事実でございます。そういった災害を未然に防ぐというための事業、これは河川改修事業そのものでございまして、おっしゃるとおりわれわれも未然に災害を防ぐために改修事業を促進し、また予算も獲得していきたいと、そう思っておるわけでございます。  全国でも直轄の河川では百二十四本ございますし、補助の河川でも、中小河川で約七百本、小規模河川で約八百本、合計千五百本というような多数の河川改修をやっております。これもすべて先生のおっしゃる災害を未然に防ぐといった目的でやっておるわけでございまして、こういったもののさらに促進を図って、先生の御趣旨に沿いたいというふうに考えております。
  55. 志苫裕

    志苫裕君 大臣、御所見ありますか。
  56. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) そういうふうにお尋ね受けるとちょっとお答えがしにくいんですが、ただいま御説明申し上げたように、一定の計画のもとに改修事業を進めていく、それが御質問の御趣旨である防災のためであるということであったと思うのでありますが、その一定の計画が十分防災に対応しておるかどうか、もう一つ速度を速めてやるべきではないかとか、あるいは計画そのものに対して御不満の場合もあるかと、こう思うのでありますが、少なくとも私どもとして志苫委員がおっしゃっておることについては十分承知し理解もしておるところでございまして、御趣旨に沿ってでき得る限りのことはすると、こう申し上げたいと思います。
  57. 志苫裕

    志苫裕君 災害頻発河川というものを水系ごとにそっくり指定をしてやるという制度についてはひとつ今後もなお研究の課題に皆さんしてくださいよ。  最後ですが、いま福島潟のことをお聞きしましたが、一つは新潟市のど真ん中に鳥屋野潟という潟があります。その昔何とか金脈で騒ぎになりましたけれども、きょうは金脈のことを聞くんじゃありませんけれども、御存じのように新潟市はゼロメートル地帯ですから、あそこは遊水地になっていて、そこにたまった水を外にかい出して、低水位地帯の湛水を防ぐんでありますが、ちょっと雨が降ればもうもたないんですよ。私は、個人的なことを言って恐縮ですが鳥屋野潟の周辺に住んでいます。毎回水の御厄介になるんでありますが、鳥屋野潟の治水はどうなっておりますか。
  58. 川本正知

    説明員(川本正知君) 鳥屋野潟周辺の治水対策といたしましては、今回の水に対しましては福島潟に比べますと浸水被害も少なく、現状の鳥屋野潟にあります治水施設で大体賄い切れたと考えておりますが、おっしゃいますように、あの地域の周辺は新潟市の郊外でございまして非常に都市化が進んでおります。そういった実情がございますので、都市化に伴います浸水被害の増大といったようなことも考慮いたしまして治水計画を現在検討しております。そういった段階でございます。
  59. 志苫裕

    志苫裕君 これでやめますが、治水計画を検討しておられるということですから、私できれば建設委員会等でもお邪魔をして、この問題は昔といっても四十九年にちょっと金脈関連で建設省にお伺いをしたいきさつがありますので、どうもいまごろ検討しているというのは遅いような気がするんですが、いずれにしてもこの間の雨で大したことありませんでしたという認識は、課長、間違いです。  それは福島潟のように多かったか少なかったかということになれば、それは比較的少なかった。しかしあの周辺は住宅が密集していますのでまたそれなりの困った状況もあったわけですが、いずれにしてもいま毎秒六十トンかい出しているんですね、フルに。今度も別に操作ミスもなかったんだしわりあいにうまく連動していまして、あちこちのポンプはよく動いた。だけれども、キャパシティーも限界ですからね。あれはいまから四年前でも最低あと九十トンの容量かさ上げはしなきゃならぬとか、いまも例の環境対策という点でどろさらいをしていますが、あれを称して百年河清を待つというやつですね。もう恐らく五、六十億ぐらいかかる仕事を一年間にあれは何か五千万円ぐらいやっていますからね。百年です、百年。これはどろさらいですが、どろさらいをすれば容量は大きくなるわけです。どろさらいの問題とやっぱり容量アップを中心にした治水対策いませっかく検討中というのであれば、早目にそれまとめていただけませんか。  私実はあなたの答弁、地元の出先の人が災害の直後に鳥屋野潟は大したことなかったということを不用意に発言をしましてどなり込まれて取り消したといういきさつがあるんですよ。大したことなかった報告をあなた受けているから大したことないみたいな返事をしているんですけれども、これはひとつ、いま検討中ということですから、ひとつ地元にもいろんな要望もあるでしょうが、また金脈でよけいなことも入りますけれども、そっちはそっちの問題ですから、真っ正面、治水は治水でひとつ考えてください。私またいずれ意見を適当な機会に申し上げますから。これでよろしゅうございますね。
  60. 川本正知

    説明員(川本正知君) わかりました。
  61. 川村清一

    委員長川村清一君) 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後一時再開することとし、休憩いたします。    午後零時六分休憩      —————・—————    午後一時五分開会
  62. 川村清一

    委員長川村清一君) ただいまから災害対策特別委員会を再開いたします。  この際、委員異動について御報告いたします。  ただいま太田淳夫君が委員を辞任され、その補欠として藤原房雄君が選任されました。     —————————————
  63. 川村清一

    委員長川村清一君) 休憩前に引き続き、災害対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  64. 遠藤要

    ○遠藤要君 私は宮城沖地震に対して二、三お尋ねをいたしたいと思いますが、お尋ねをする前に、宮城沖地震発生に当たっては、国土庁長官を初め各省庁において現地調査をちょうだいいたして、大変住民も感謝をいたしておりますので、この席をかりて厚く御礼を申し上げておきたいと思います。  そこで、政務次官にお尋ねをしたいのですが、地震発生以来約二ヵ月有余経過をしております。さような点で、宮城沖地震に当たっていまの政府としての立法処置で政務次官としてはこれで地震対策も万全を期したと、こういうふうな感覚でおられるかどうかということについてまずお尋ねを申し上げたいと思います。
  65. 丹羽久章

    政府委員(丹羽久章君) 遠藤先生の御質問に対してお答えをいたしたいと思います。  宮城県の地震後約二ヵ月余たったのでございますが、この間災害対策特別委員の先生方、委員長初め皆さん方の大変な御協力によりまして、いろいろと今後の地震対策に対する審議をしていただきました。私はいまの質問の要点に対してお答えを申し上げますが、これで十分だとは考えておりません。さらに先生方、私ども政府要員がそれぞれ研究いたしまして、さらに一層の対策考えていかなければならないと思っております。これは政務次官の考えだけでなくて、長官もそういうお考えであることをさらにつけ加えて申し上げたいと思います。
  66. 遠藤要

    ○遠藤要君 ただいま政務次官も、まだ現在の立法ではとても本当の地震対策という救済や何かについて万全を期せないというお話でございますが、全くそのとおりだろうと思います。特に個人災害に当たっては国として何らかの援助をされておるかどうかということになりますると、なるほど融資や何かにおいて一部の人たちに対しては融資の道もあることでございますけれども、個人災害に当たっては国としての恩恵に浴することがほとんどできない。こういうふうな点で県民も非常にその不満さに大変やるせない気持ちでおるということを政務次官にも十分御理解を願いたいと思うのであります。  そこで、まず大蔵省にお尋ねしたいと思うのですが、その地震に当たって県民は災害のときの何らかの役にという気持ちで地震保険を掛けておった。ところが全壊にならなければ一銭も保険金をちょうだいすることができない。こういうふうな状態でございまして、まことに県民としてはこれまた非常な不満の声が上がっていることは政務次官もよく御承知のとおりだろうと思います。片やまた大蔵省所管でなく、農業共済保険では地震に当たって一部損壊に対しても保険金を交付している。こういうふうな面も考えていただいて、これからの地震対策の窓口、私は暫定的に窓口と申し上げたいと思うんですが、国土庁としてもそういうふうな点の均衡をひとつとっていただくように善処をお願い申し上げたい、こういうふうにお願いを申し上げておきたいと思いますが、その点について政務次官に一言ひとつお尋ねをいたしておきたいと思います。
  67. 丹羽久章

    政府委員(丹羽久章君) 遠藤先生の質問に対してお答えを申し上げたいと思います。  ただいまのお話の、農業共済保険では一部分でも補償してくれるけれども地震保険の方では全壊でなければこれに対する補償をしてくれないということはしばしば私も耳にいたしております。まだまだ勉強は十分いたしておりませんけれども、保険の契約はどうなっておるかということは、きょう担当官おいでいただいておりますので、担当官からの説明を聞いてもう一度お答えを申し上げたいと思いまするが、もしそういうことであるとするならば、保険の内容に最初からそれを了承して、全壊でなければ補償をしてもらえませんよ、補償はしませんよという契約ならやむを得ませんが、そうでない契約の保険のあり方であるとするならば一部の保険でも当然払うべきものであると私は私なりの判断としてそういうことを感ずるわけであります。もしそういうことが許されることは、善人をだますことにもなりますし、またそうした保険に加入した人たちの考え方と矛盾したことになります。この調整はやっぱりとらなければならぬと思いますから、一応説明を聞いてからお答えを申し上げたいと思います。
  68. 野村寛

    説明員(野村寛君) お答えいたします。  現在の地震保険制度では法律で全損の場合だけを対象にしておりますことは遠藤先生御指摘のとおりでございます。六月の宮城沖地震に際しまして遠藤先生初め各方面から多数有益な御意見を寄せられましたので、大蔵省といたしましてはそれに基づきまして現在の地震保険制度全般につきまして長期的な観点から再検討することを決定いたしまして、損害保険協会に対しましては七月の下旬にその旨指示いたしましたところでございます。協会は直ちに地震保険委員会を設立いたしまして、現在大蔵省と協議を重ねた上で、現在その中で審議を進めておる段階でございます。ただいま御指摘を受けました全損問題につきましては、当然その中の一つの大きな問題といたしまして取り上げておりますが、前向きな姿勢で取り組んでいきたいと考えております。  それから、ただいま政務次官の御説明にありましたPRの不足の問題でございますが、現在は契約者が契約される場合には契約のしおりとかそういったもので一応全損の場合にのみしか対象になりませんということは説明しておりますが、現地に行って調べました段階ではその契約に際しましてその趣旨の徹底が不十分であったことは二、三あったようでございますので、先月の衆議院の決算委員会におきましても村山大蔵大臣がそれにつきましても改めて指導する旨をお約束しておりますので、今後とも十分業界に対しましてその旨を指導いたす所存でございます。
  69. 丹羽久章

    政府委員(丹羽久章君) ただいま大蔵の方の保険担当官からお話がございました。契約においての説明は全壊でなければ払わないという契約になっておるということであります。しかしその全壊しなければ保険金払わないというような趣旨が徹底したら恐らく入る人はないだろうと思うんですよね。これは常識論になるわけなんです。地震というものの過去の経歴から見ていっても、まただれが想像しても全部壊れるというようなことはなかなかあり得ない。すれば六分なり七分壊れたときに補償してもらえるだろうという考え方で恐らく入ったろうと私は思っておる。そのときの説明がただいまもありましたように、保険の勧誘員と申しますか、そういう人たちが果してきめ細かく説明をしたでしょうかということが問題になってくると思っております。  たとえば一般の生命保険でもそうでありまするが、一回、二回掛けた場合にはもうその金は掛け捨てであるということがきめ細かく書いてあるというのですが、そういう説明が十分に行き届いておるかどうかというと、たまたまそういう説明を勧誘員の中にはしていない人があるわけなんであります。入ってから都合が悪くてやめようというと、もうそれは契約書に書いてありますようにあなたには一銭も返すお金はありませんということで、大変な不満を持ちます。保険証書を見ますとよくわかりますが、あの裏に全くきめの細かい字でざあっと書き並べて、だれがお入りになるときでもそうであろうと思うが、本当にそれを真剣に一つずつ読んでもらって、聞いて、納得して入る人がどれだけあるかということなんです。こういうような問題に保険協会はもうと謙虚な態度、もっと姿勢を正しくしてもらう必要があろうと私は考えております。  そういう意味において今度の問題も大蔵省はこれに対していろいろと保険協会の方の委員会等で今後の問題を検討しておるようでございますので、先生たちのいろいろの御意見を十分取り入れた問題の解決方が見出されていくだろうと思っております。そうならなければならないと思っております。そういうことをお含みいただきまして御理解いただきたいと思います。
  70. 遠藤要

    ○遠藤要君 ただいま大蔵省でもその改善に努力をされている、そして政務次官からもただいまのようなお話を聞いたので、これは何とかなるなという感じは持ったのでございますけれども、私は大蔵省に申し上げたいのですが、認可を与えたのは大蔵省でしょう。そういうふうな点を考えると、一体大蔵省は保険会社を守るのか、国民を守るのかという点に非常に疑義が出てくると思うのです。私はそういうふうな点で、ひとつ今度は国民に目を向けて、特定の会社ということでなく、もちろん会社自体を倒産させては国民全般に迷惑かけることだからそれはわかりますけれども、まず国民に目を向けて損保に対する指導をひとつお願い申し上げたいということを強く私は要請いたしておきたいと思います。  さらに住宅関係について、この地震保険についてまずお尋ねしたいのですけれども、住宅金融公庫は当然火災保険、地震保険の加入をせなければ金を貸さないということになっておるときに、この住宅の半壊なり破損なりに対して、住宅の担当者としてこの地震保険に対してどういうふうな考えを持っておるか。ただ単に役所間だけで、あれは大蔵省だということで、やはり金融関係としても住宅金融関係においてもこの地震の保険はぜひやはり払わせるべきだというお考えかどうか。ひとつお尋ねしておきたいと思います。
  71. 川合宏之

    説明員(川合宏之君) 地震保険につきましては保険の経理の問題がありますので、私専門外でありますからちょっと責任ある答弁はむずかしいのでありますが……
  72. 遠藤要

    ○遠藤要君 必要ないんなら入れない方がいいんだよ。どうなんだい、そこは。正直に言って。
  73. 川合宏之

    説明員(川合宏之君) 保険経理の許す範囲で貸し付けを受けた方の保護が図られますように今後とも財政当局と十分協議してまいりたいと思っております。
  74. 遠藤要

    ○遠藤要君 役所同士のことになるので、なかなか川合課長も答えにくいような感じの答弁ですが、結論として、住宅金融公庫で強制的に火災保険、地震保険に加入せしめるということは、もし災害等があった場合に保険金を受け取って債務の負担に充てたいというのがねらいなんでしょう。課長さん、そうでしょう。そうであるとするならば、私は損壊したときでも倒壊したときでも当然やっぱり保険金を取るように住宅金融関係自体も努力すべきだと思うんですが、いま一度ひとつ、何かのどのどこかにひっかかったような答えじゃなく、いま少し明快にお聞かせ願いたいと思うんです。さもなくんばこの保険制度というのをやめさせてもいいのかというような感も持ちますので、その点これはこれからの大切な問題でございますので、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  75. 川合宏之

    説明員(川合宏之君) 住宅金融公庫の貸し付けを受けた方にとりましては、もちろん保険金の支払いの範囲ができるだけ多い方が好ましいことは申すまでもありません。ただ地震保険の性格上、保険経理の観点から支払いの範囲を拡大することにつきましては当然限界があるとは存じますので、その辺は所管の大蔵省さんと今後よく相談してまいりたいと考えております。
  76. 遠藤要

    ○遠藤要君 どうもぼくはそこが割り切れないんですがね。金を貸す前提として保険に入れているんです。そしたら貸している方で地震によっての災害を受けたという場合にはできる限り保険金を受け取るようにしてほしいというのが私は常識だと思うんですがね。そこのところいま少し明快にひとつ答えていただきたいと思うんです。
  77. 川合宏之

    説明員(川合宏之君) 建設省といたしましては遠藤先生のおっしゃるのと同じ気持ちを持っております。ただ保険経理上の問題は別にあろうと思いますので、その点は大蔵省とさらに詰める必要があろうと考えております。
  78. 遠藤要

    ○遠藤要君 大分川合課長も役所同士のことであるので心と口とがちょっと異なっておるようでございます。大蔵省、よく御理解願ったと思うんです、いまの苦しい答弁を。ひとつ最大の努力をお願いしたいということを強く要請しておきたいと思います。  続いていまひとつ大蔵省にお尋ねしたいんですが、今度の宮城沖地震に当たって、一般国民は家は壊された、復旧したいという、その金の出どこがないんです。それでやむを得ず県なり市町村が地元の金融機関に金を預託して借り入れて、五十万なり百万なりの借り入れをしていろいろその災害復旧に充てたと、こういうふうなことでございますけれども、私はこの際国自体がただで罹災災者に金をくれろというのではないけれども、国の制度として、もしも罹災者に市町村長なりそれぞれの機関でこれは罹災者だという証明を与えた場合に、簡便に五十万円程度の貸し付けのされるような制度をつくる用意がないかどうか。すなわち国民金融公庫のような機関において貸し付けるというようなことのお考えはどうかということを私はお尋ね申し上げたいのであります。  国民金融公庫はいまあえて私より申し上げるまでもなく事業資金を貸し付ける制度になっておるわけですけれども、先般郵便局が教育資金を貸すということから、あわてて法改正して教育資金も貸し付けるというように門戸を広げた。いま一歩前進して罹災者に対して簡便な融資をするということはどうかと思うんですが、大蔵省ひとつお答え願いたいと思います。
  79. 中田一男

    説明員(中田一男君) 国民公庫の制度につきましては、いま遠藤先生から御説明があったとおりずっと事業資金を中心に中小企業向け貸し出し、災害等でも十分そういう点は配慮してやってきたわけでございますが、また一方個人でも住宅ということになりますと住宅金融公庫等で災害の場合もお貸しするというようなことでやってきたわけでございますが、そういう目的以外の一般の個人ローンというものにつきましては、進学ローン以外に国民公庫でも取り扱っておらないのが現状でございます。  で、災害の際の簡便な融資というのは一つの御提案でございますけれども、実際にはこれも金融として行う場合には返済の必要な資金というようなことでございます。したがいまして、国民公庫が出ますにしましても、政府関係機関が出ますにしましても、債権の管理ですとか確保ですとかというようなことにもいろいろむずかしい問題があろうかと思います。しかしながら、重要な問題の御指摘でございますので、われわれも十分に勉強してまいりたいと考えております。
  80. 遠藤要

    ○遠藤要君 ぜひひとつ前向きで御検討願いたいと思います。  この地震によっての罹災者は、先ほど来何度も繰り返しているように、何ら国から一般の罹災者というのは恩恵に浴すことができないんです。中小企業者は中小企業公庫の借り入れをする。それから住宅金融公庫と言うけれども、住宅金融公庫も特定の人たちになるわけです。その他の人たちで罹災に遭って五十万なり何かの金をもっていろいろ罹災の対策をしたいというような人が非常に多いんです。それで地方自治体はやむを得ず地元の金融機関に預託や何かをして貸し付けている。そういうふうなことで、弱体な市町村でさえもそういうふうなことをやっているときた、国として全然そういうふうな点を一べつも与えないということになるとちょっと問題があろうと思うので、ひとつきょうは、これは法改正までいかなくてはならない問題のようでございますので、きょうはその程度でがまんしておきますけれども、ぜひひとつ前向きで御検討願いたいと思います。政務次官、いまのお話も国土庁として全面的にひとつ御協力をお願い申し上げたいということをお願いいたしておきたいと思います。  さらに私は中小企業に関してお尋ねいたしておきたいと思うんですが、あえて私から申し上げるまでもなく、中小企業の罹災に対する貸し付けの限度というのは個人が四百万ですか、それから団体が千二百万ですか、そういうふうにいまなっておるわけですが、いま中小企業者で四百万の借り入れをして災害に対して復興しようということになるとなかなか困難です。そういうふうな点でいろいろ先般来要請いたしておるんですが、この枠の拡大について中小企業庁としてどういうふうにいま御検討されておるか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  81. 山口務

    説明員(山口務君) いま先生の方から御指摘ありました貸付限度額の四百万と申しますのは、現在の激甚法によります特利の適用限度がいまのところ四百万ということでございまして、それに加えまして災害の場合別枠で三千万まで融資できる制度になっておるわけでございます。この場合は、四百万を超える場合には通利の七・一%で融資をする、こういうことでございますので、資金の限度においては実態に応じて不足ないものと思っております。しかしながら、先般来宮城沖地震に対処して特利適用限度を四百万から引き上げるようにという強い関係者からの御要望がございますので、政府部内で検討いたしまして、これを倍額程度まで引き上げる方向で検討いたしておるところでございます。
  82. 遠藤要

    ○遠藤要君 あわせて金利の点はどういうふうになりましたか。
  83. 山口務

    説明員(山口務君) 金利につきましても現在特利が六・二%、特にまた被害の大きい場合には年三%、この二段階になっておりますが、六・二%の金利につきましてはこれを六・〇五%まで引き下げる、こういう方向政府部内で一応調整がついております。
  84. 遠藤要

    ○遠藤要君 その金利の点で六・〇五というのは運用資金を基準としたわけですね。それを私は災害という特別な状態のときに、運用資金でよその金利と、まあ住宅とか一般の金利と少しも変わりないというようなことでは、やはり中小企業庁としても何となく心苦しい感じを恐らくするだろうと思います。そういうふうな点で六・〇五をやはり災害という関係から幾らかでも引き下げるというようなことに今後努力される御意思があるかどうかということをお尋ねしておきたいと思います。
  85. 山口務

    説明員(山口務君) ただいまの金利六・二%は六・〇五ということで、これは資金コストのぎりぎりいっぱいまで、諸経費を入れない資金コストまで引き下げる、こういうことでございます。本件は従来も災害金利は低ければ低い方がいいという御意見をいただいておるんですけれども、別途特別被害者には年三・〇%という金利もございますので、過去におきましても資金運用部資金のコストが下がった場合そのぎりぎりの範囲まで下げるということでございましたので、今回も六・〇五にしたわけでございますけれども、御指摘のように金利体系その他を考えない場合、中小企業者の立場から見れば低ければ低い方がいいわけですけれども、金利というものはいろんなバランスで決定されますので、わが方としては当面これでやむを得ないと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  86. 遠藤要

    ○遠藤要君 どうも建設省といい、中小企業庁といい、どこかに大変遠慮されているような御発言なんですが、災害も一般運用資金も全く同じだということは、私はこれは改善の必要がある、こう思いますが、私はここに大蔵省からもおいで願っておるので、これはぜひ災害の場合は別個にひとつ考えていただいて、今後中小企業庁と大蔵省とで六・〇五の運用資金ということでなく、災害という場合には特殊な利率にやっぱり引き下げるべきだということで御検討願うということを要請いたしておきたいと思います。  続いて、農林水産省おいで願ってますか。——天災融資関係の問題について、いま当委員会でもいろいろ検討のさなかでございますけれども、林水産省としていかように改善される御意思があるかどうかということが一つと、それからあわせてお尋ねしておきたいと思うんですが、このたびの宮城沖地震災害に当たって、復旧または査定、そういうふうな点がいかように進捗されているか、ひとつこの際お聞かせ願いたいと思います。
  87. 佐々木富二

    説明員佐々木富二君) お答えいたします。  第一点の天災法の改正の問題でございますけれども、宮城沖地震を契機にいたしまして中小企業関係の激甚法の融資限度額を引き上げる、こういう問題がまず前面に出てまいります。その問題は先ほど中小企業庁からお答えがありましたようにほぼ倍額に引き上げる、こういうことで政府部内の調整がほぼついておる、こういうことでございます。私どもの天災融資法も、御承知のように激甚災害に指定されました場合には天災法による融資限度額がさらに上積みされる、また償還期間が一年延長される、こういう規定を激甚法の中に持っておるわけでございまして、その激甚法関係の天災法の融資限度額、これも中小企業関係の融資限度額の引き上げにバランスをとって引き上げる必要があるということでございます。  そこで、激甚法関係につきましては中小企業と横並びで融資限度額を倍額にする。それからそれに関連をいたしまして天災法本体につきましても融資限度額を倍額にする。ただ御承知のように天災法の中にはいろんな事業の態様等に応じまして融資限度に幾つかのパターンがございます。その中で一つ、これは現在はほとんど実態がございませんけれども、牛馬加算というのがございます。これはかつて役牛役馬が多数おりました時代に、その役牛役馬を所有している農家については若干の加算額を認める、こういう趣旨の制度でございましたが、いまはこれは実体がございません。そこで、この牛馬加算を除きまして、その他の融資限度は一律倍額に引き上げたい、こういうことでございます。  以上の点につきましては、中小企業関係同様にほぼ政府部内での調整を終わっておるということでございます。  それから第二点でございますが、宮城沖地震につきましては農林水産省関係では被害額が約二百二億円でございます。うち施設等について百九十七億、農作物等が五億円、こういう内訳でございますが、この施設等の被害につきましては復旧方法や応急工事の指導を行うとともに、早期査定、早期復旧という方針で努力をしてまいっておるわけでございます。九月二十二日までには現地査定は終わる予定でございます。  以上のような状況でございます。
  88. 遠藤要

    ○遠藤要君 それでは住宅関係についてひとつお尋ねしたいと思います。  災害復興住宅関係についていろいろ陳情なり要請のあった枠の拡大とか金利の引き下げとか償還期間延長、そういうふうな点についていかような状態になっておるかということをお聞かせ願いたいと思います。
  89. 川合宏之

    説明員(川合宏之君) 災害復興住宅の貸付条件の改善につきましては、本年度に入りましてから金利の引き下げ、償還期間延長、それに土地費の融資の限度額の引き上げ等におきまして大幅な改善を図ってまいったところであります。ことに建設費の限度額の引き上げにつきましてはいろいろ御指導を賜りましたが、おかげさまで去る九月一日の閣議におきまして必要な政令を改正いたしまして四十万円の引き上げをいたし、宮城沖地震にさかのぼって適用するようにいたしました。  それから宮城沖地震激甚災の指定につきましては、遠藤先生初め国会の強い御意向を背景にいたしまして、国土庁、大蔵省初め関係各省の御協力を得まして必要な政令を制定し、住宅関係の激甚災の指定をいたしたところであります。
  90. 遠藤要

    ○遠藤要君 償還期間の問題はどうなりましたか。
  91. 川合宏之

    説明員(川合宏之君) 償還期間につきましては法律事項でありますので、さきの通常国会におきまして住宅金融公庫法を改正していただきまして、木造につきましては十八年を二十五年に、それから簡易耐火構造につきましては二十五年を三十年に延長をしていただいたところであります。
  92. 遠藤要

    ○遠藤要君 後ほどもよその委員から御質問があろうと思うんですけれども、たとえば仙台市の緑ヶ丘団地、あの周辺等は課長さんも御承知だと思うけれども、もう家もなくなり土地もなくなるというような状態、そういうふうな中において残ったのは借金だけ。建築費なり土地の購入の借入金だけが残っている。家はつぶれる。土地は決壊してなくなる。そういうふうな問題がたくさん県内にあるわけです。幸い住宅金融公庫の方では火災保険と地震保険に強制的に入らなければ金を貸さないということになっているので、それで処理ができるのかなと思ったら、その処理もできないというような状態のところもあるようです。せっかく家屋ができて一週間目にこの罹災に遭っているというような状態で、新たにまた住宅を建設するということになると大変さきの借金を払っていかなくてはならない。新たなまた借り入れもしなければならぬということになるわけなんだが、一体そういうふうな場合にはどういうふうにしたらいいのか。課長さんから親切にひとつ御指導願いたいと思うんですが、まあ質屋ならば担保流れ、質流れで済むことなんだが、これも質流れのように貸し損、借り損ということにできるものかどうか、ひとつお聞かせ願いたいと思うんですが。
  93. 川合宏之

    説明員(川合宏之君) 住宅金融公庫の融資を受けた方が災害の罹災者となった場合の取り扱いにつきましては、現在住宅金融公庫法によりまして償還期間延長及び貸付利率の引き下げを行うことができることになっております。これに基づきまして住宅金融公庫といたしましては地元にチラシを配るなどの啓蒙活動をいたしておりまして、申し出を促しております。ただ現在のところ申し出はないようでありますけれども、引き続き啓蒙活動は遺憾のないように続けてまいりたいと考えております。
  94. 遠藤要

    ○遠藤要君 いや、申し出ができないんですよね。さきの借り入れは払わなければならぬ、新たにまた借り入れということになると、なかなかその申請ができないというのが現状だと思います。  まあ緑ヶ丘に関してはこれはいま集団移転をやるべきであるというような意向で、大分住民間でいろいろ国土庁なり建設省なりにも要請されておりますが、そういうふうな点でその地域が危険地域だから集団でよそに移ろうというときに、その集団で立ち退いた後の土地をだれも買う人はいないんです。そうなってくると、借金は残るわ、担保力はなくなっている。そういうふうな点で非常に悩みが多いような状態になっておりますので、この点で余りお話をしていると時間が経過しますので、そういうふうな点をひとつ川合課長は十分御認識のはずでございますので、十分ひとつ指導して、住民の納得のいくような方向に御指導願いたいということをここで要請だけいたしておきたいと思います。  さらに文部省関係についてお尋ねしたいと思うんですが、この宮城沖地震に当たって県内の教育施設の損傷と申しましょうか、それに対する復興状態、私立の大学なり一般学校なりに対する対策等について、いかように進められているかをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  95. 齊藤尚夫

    説明員(齊藤尚夫君) 私立学校の災害復旧につきましては、先生御案内のように日本私学振興財団からの長期低利の融資措置ということで対処しておるわけでございます。今回の宮城沖地震災害程度は大変甚大でございます。そういう観点から一般の災害と異なった長期かつ低利の融資の措置を講ずることといたしまして、このほどその内容を決定したわけでございます。  具体的に申しますと、一般災害の場合にありましては貸し付けの利率は年五・七五%でございますが、今回の特例措置といたしましては年五・二五%、それから貸付期間につきましては通常の災害の場合は二十年でございますが、これを二十五年というふうに有利な条件で貸し付けを行うということに決めたわけでございます。
  96. 遠藤要

    ○遠藤要君 文部省にいま一度お尋ねしたいんですが、激甚指定を受けた場合と受けない場合で大分違うんですね。それはわかっていることなんですが、そういうような点で、たとえば東北工業大学とか私立の学校等では相当の大きな被害を受けているが、融資でそれを再建していくということになると大変なんですよ。そういうような点でいろいろの方法があろうと思うんですが、それに対してもっと何かの援助方法というのがないものかどうかということについて重ねてお尋ねしておきたいと思います。
  97. 齊藤尚夫

    説明員(齊藤尚夫君) 確かに御指摘のように、今回の災害につきましては特に東北工業大学は非常に甚大な災害を受けているわけでございます。大変一般的なお答えでございますけれども、私学に対する災害復旧につきましては一般の施設整備につきましてすべて日本私学振興財団の融資の措置を講じておるわけでございまして、一般的な補助の制度がございません。そういうことで、災害の場合だけ特例的に補助の制度を設けるということもなかなか至難なことでございます。  ただ実際問題といたしましては私立大学等には経常費の補助金がいっておるわけでございまして、その経営の状況等につきましては逐一私どもの方で承知をいたしておるわけでございます。その状況によりましては、これは特例的な措置でございますが、経営費の融資であるとか、あるいは既往の債務の条件の変更であるとか、その他いろんな施策を講じて当該学校の教育が円滑にいくように対処していきたいというふうに考えておるところでございます。
  98. 遠藤要

    ○遠藤要君 ぜひそういうふうにお願い申し上げたいと思います。  続いて、建設省の防災課長さんにお尋ねしたいんですが、御承知のとおりこの宮城沖地震に当たって鉄道はストップする、縦貫自動車道はストップ、国道もストップ、こういうふうな状態で、この日本列島が全く遮断されたというようなことになったわけですが、そういうふうなことは十分建設省自体も御認識だと思うんです。これからも二度とああいうふうな地震が起きないんだということはだれしもお約束ができないと思うんです。さような点で宮城県内の今度の災害復旧に当たって、私は災害対策という点から言っても、先ほどの御質問にもあったように、単なる原形復旧じゃなく、やはり耐震性についてどのようにひとつお考えになって今度の災害復旧をやっておられるかということをお尋ねしておきたいと思います。
  99. 瀬戸充

    説明員瀬戸充君) いまの御質問でございますが、非常に大きなマグニチュードのものが参りまして各種の構造物が壊れまして、特に私ども所管のものにいたしましては橋梁がその被害の大半を占めたわけであります。もちろん河川の堤防等の個所も多かったわけでありますが、橋梁が非常に大きな被害の数を占めたわけであります。橋梁につきましては専門家であります土木研究所等の力もおかりしまして、いろいろ視察してもらいまして、計算、検討等も加えていただきまして、それでこの程度のものであればいけるというような結論、及びまだそういう検討が進行中のものもございますが、そういうもので橋梁につきましては一応結論を出したわけであります。  なお河川の構造物とかあるいは堤防等につきましては、原形復旧のままでいきますと非常に貧弱な堤防のままの復旧というようなことにもなりますので、鋼矢板等を下に打ちまして、それからブロックの護岸、それから堤防につきましては亀裂等が入りましたのをまた切りかえいたしましてつき直すというようなことを含めまして、一応現状で考えられますような程度地震でありますと対策できるというような意味で、いわゆる再度災害防止できるという形で、原形復旧のままですと、国庫負担法そのままでいきますと壊れやすいものもあるいはできる場合もありますが、再度災害防止ということを非常に念頭に置きまして災害復旧をいたしたわけでございます。
  100. 遠藤要

    ○遠藤要君 耐震性が幾らぐらいまで耐えられるのかとか、いろいろの点についてお尋ねしたいのですが、きょうは余り時間もないのでその程度にしておきたいと思います。  自治省にお尋ねいたしたいのですが、先ほど劈頭政務次官もいまの制度で満足すべきものではない、こういうふうなお話があったとおり、全く地震に対する対策というのは私から率直に批判させてもらうとほとんどゼロに近い。災害や何かの救助法や何かにおいても、床下浸水とか床上浸水とか書いてあるけれども地震に対しては一言一句も明記されておらぬ。そういうふうな点もあるのですが、いろいろそういうふうな点で、たとえば激甚指定問題であるとかいろいろの問題から県内にでこぼこが出ている。さような点で自治体自身がいろいろの点において補てんしていかなければならないということがたくさんあることは自治省は御承知のとおりだろうと思います。  そういうふうな点で、たとえば利子の補給をするとか、いろいろ災害に当たって住宅資金のあれの場合にはこうしようとか、また零細の企業者に対してはこうするとか、いろいろ仙台市はもちろんのこと、塩釜、石巻、各町村は出費が多い。そういうふうな点をやっておりますけれども、それに対して、このようにざるならいいんですけれども、かご以上に大きな中においての抜けている面を自治体が弱体ながらもやっている。そういうような面に対して自治省として、国として、めんどうを見る御意思があるか。  それからまた起債も自治体からいろいろ要請があると思います。その災害に当たっては余りしみったれないで一〇〇%の起債を御承認願うことができるかどうかということ。私は宮城県の地震のみを言っておるのではありませんで、これからもいろいろ問題があろうと思います。まあ充実した立法措置をとっておればこのようなお話もいたしませんが、そういうような点で自治省の御見解をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  101. 矢野浩一郎

    説明員矢野浩一郎君) お答えを申し上げます。  先ほど来先生御指摘のように、こういった地震という特殊な災害に関しまして現在の制度面でいろいろ十分でない点があるということはわれわれもよくわかるわけでございます。こういった被害に対しまして国の各般の制度、いろいろな局面にわたります制度をそれぞれ適用してまいりまして措置を講ずるわけでございますが、そういったことによりましてもなお十分でない、地域の実情によりましてさらに必要があるというような点につきまして都道府県なりあるいは市町村がそれぞれの状況に応じて対策を打っておるということもまた御指摘のとおりであろうかと思います。  私ども自治省の立場といたしましてはもとより地方団体のいろいろめんどうを見て差し上げる立場でございますので、そういった状況は十分地方団体側の意見も聞いてまいりたいと存じますが、ただ基本的にはやはり現在のこういった地震というようなものに対する国の制度というものをより充実していかなければならない問題であろうかと思います。私どもの方の財政措置にいたしましても地方債なりあるいは特別交付税、こういったものにつきまして一定のルールによって計算をして財源措置をしてまいるわけでございますが、目下県当局なりあるいは市町村の被害状況調査いたしまして、御承知のように特別交付税が災害関係は十二月に算定いたしますのでその時期に間に合うように調査中でございますが、そういった一定のルールがあるわけでございますが、そういったルールで措置をしてまいります場合に、地方団体当局の意見を十分聞きまして適切に措置を講じてまいりたい、こういう考え方でございます。
  102. 遠藤要

    ○遠藤要君 特によろしくお願い申し上げておきたいと思います。  後ほど金丸先生からも関連で御質問ございますが、最後に政務次官にお尋ねといいましょうか、要請したいと申しましょうか、このたびの宮城沖地震に当たって私しみじみと感じられたことは、各役所の窓口が全く迷路であること、そういうふうな点で国土庁中心になっていろいろやっていただいたということに対して県自体も感謝はしておるけれども、私は一つの例を申し上げると、先ほど建設省の防災課長に申し上げたように、日本列島というのは細くて長いんです。鉄道が遮断され国道が遮断され高速道が遮断される、そうなると全く日本というのは麻痺するのです。そういうふうな問題もございますが、それが建設省建設省、国鉄は国鉄としてばらばらで設計していくということになるといろいろ問題がある。そういうふうな問題もございます。いろいろやっぱり罹災された住民の声なども一つの窓口に私は集中させるべきだ。そういうふうな点で私はこの地震にかんがみてしみじみと感じたのは、国土庁内に災害対策局を設置すべきだ、私はそういうふうな考えを持っておるわけですが、これに対して政務次官としてはどうですか。私は強く要請しておきたいと思います。
  103. 丹羽久章

    政府委員(丹羽久章君) 大変ありがたいお言葉をいただきまして、まことにそのとおりだと思っております。五十四年度の通常国会に予算とし災害対策局を設けたいという意思はすでに申し出がしてあり、そのようにいま検討をせられておることでございまして、宮城沖地震ももちろんでございますが、伊豆大島の地震におきましても妙高高原災害におきましても今後大いに検討もしなければならないのに、いろいろと今日までの体制は国土庁が皆さんの御協力を得まして努めてスムーズには来たと思っておりますが、いまだいろいろと復興資金に対する利息の問題あるいは災害に対するその一つの事業を行なっていく問題等についてまだまだ解決をせなければならぬ問題があるわけであります。そういう意味におきましてはやっぱり特殊的な災害対策局といったようなものでそれらを窓口一本にしまして、そして運用していくことができるなら、それが一番いいことだと思っております。  そういう意味で先ほどから申しましたように局を一つ増設と申しますか、つくってもらいたいということが皆さんの声でもありますし、全体から考えても当然そうあるべきだというような災害の多いこの日本でありますので、遅きに失するという感でいま折衝をいたしておりますが、御承知のとおりに、何と申しますか、荒舩行政長官のもとでいろいろと審議をせられ、多いのは崩していけ、必要のないのはとっていけというようなことで、ふやすということには賛成ということにならないような情勢にあるようでございますが、特に災害対策局というのだけはこの際ほかの局と違いますのでお認めをいただきたいという考え方で進めております。そして万全を期していきたい。先ほども申しましたように、これで満足すべきものではございませんので、さらに研究を進める局とし、対策をする局としていきたいと思っております。どうぞ先生方にも御協力賜りますことを心からお願いいたします。
  104. 遠藤要

    ○遠藤要君 それじゃ私は以上で、あとはこの問題についてはいずれ各委員の皆さん方にも御相談申し上げて御協力を願いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  105. 川村清一

    委員長川村清一君) それでは関連質疑を許します。金丸君。
  106. 金丸三郎

    ○金丸三郎君 二点ほど政務次官や気象庁の方にお願いをいたしたいと思います。  一つは、桜島災害対策につきまして、本年度はもとよりでございますけれども、明年度につきましても十分に配慮していただきたいということが第一点。  それから第二は、桜島活動が私は異常だと思っております。先ほどお聞きしておりまして、観察は続けておられるようでございますけれども、気象庁それから関係の大学、動員して桜島火山活動を厳重にひとつ観測をしていっていただきたい、こういうことでございます。  御承知のように桜島の大爆発は大正三年でございました。私も小学校の五、六年のころ登山をしたことがございます。大正の末期、十年ぐらいたってもうすでに休火山になっておりました。戦後、ことに昭和三十年前後から活動が漸次活発になりまして、もう二十年ぐらい前から北岳と申します一番北の方は登山禁止になっておりましたのが、十数年前からもう七合目までも一般の人は登らせないようになっておったのでございます。以前は南の一番活発な峰の八合目か九合目まで灌木がございましたのが、現在はすでに全部焼けてしまっております。しからずんば灰をかぶっております。七合目ぐらいまでもう灌木も全然ないという状況でございます。  それからことしはまた著しくひどうございまして、ことしになって四月、五月ぐらいから男も女もかさを差して歩いておる。暑いからかさを差しておるのじゃありませんで、実は桜島の灰が降りますので鹿児島市内でもかさを差して歩いておる。こう申し上げても政務次官にもぴんとこられないかもわかりませんが、自動車のフロントガラスが桜島の落ちてまいります石で割れております。これは写真は後ほどごらんをいただきます。  錦江湾が約四キロございます。桜島のてっぺんから鹿児島の方まで吹いてくるわけでございますから、恐らく六、七キロ離れたところまでございます。みぞはもうこんなみぞが灰でいっぱいでございます。下水道の中にまでしたがって灰がたまっておる。これは今度皆さん方の御努力やら御協力で桜島火山立法の改正ができました関係から非常に助かって私どもも感謝いたしております。  くどくどは申し上げませんけれども、災害対策について今後も十分な御配慮をいただきたいということと、いま申し上げましたように大正三年の大爆発から十年ぐらいたったころには休火山で、私どもがてっぺんまで登れましたのが、最近は六合目までももう登山禁止になっておる。観光バスが六合目まで行っておりましたのが現在は全然参れません。そしてことしのようにそういうような灰のすごい状況でございます。自動車のフロントガラスのワイパーがございます。あれが動かなくなるんです。こんなことを申しましても本当だろうかと思われると思いますが、そういうことが以前は二年に一回ぐらいでしたのが最近は一年に何回もございます。したがいまして、桜島の様子を見ておりますと灰が積もりに積もってきまして、異常な様相を呈しておる。  桜島のこの活動状況が本当にどういうものなのか。大正三年の爆発のあります前には何千回という地震があったようでございますので、大爆発の場合には予兆がございましょう。その点は私どももそう急には起こらないのではないかというふうに思っておりますけれども、観測についてひとつ気象庁なりあるいは国土庁中心になっていただきますが、観測をしっかりしていただきまして、桜島の現在の異常な活動状況がどういう性格のものか、今後どういうふうになっていくものか、予知ができるようにしていただきたい、このようにお願いを申し上げます。
  107. 川村清一

    委員長川村清一君) 関連で田原君、簡明に願います。また一括して答弁いただきます。
  108. 田原武雄

    ○田原武雄君 関連がございますが、桜島の噴煙降灰は目を覆うべきものがございますが、金丸先生のおっしゃったとおりでございます。つきましては、八月の十九、二十日、中川農林水産大臣に桜島現地調査を願いました。そのときもこれは聞きしにまさる被害だ、よう来てよかった、大変な被害だねと嘆息を漏らされました。ミカンも六百ヘクタール、ビワ、野菜全滅でございます。一個もミカンがついていません。  それで、過去におきましても農林水産委員会でるる救済の方法はないかということで御検討願いましたが、現在の共済制度ではとうてい救われない、したがって災特の方で救済してもらうようにしなければ方法はなかろう、知恵をしぼってかしてくれということで農林大臣もおっしゃっていました。ぜひ現場を見てもらって、災害特別委員会の名において現地を見てもらって今後の配慮、御対応をお願い申し上げます。  回答は要りませんので、ぜひひとつ現場を見てもらいたい、その後にひとつ対応してもらいたい。よろしくお願い申し上げます。  以上。
  109. 丹羽久章

    政府委員(丹羽久章君) 金丸、田原両先生、いまのお話で答弁は要らぬけれどもというお話でございますが、ちょっとだけ申し上げておきたいと思います。  桜島活動につきましては、きょう午前中に気象庁参りましてきめ細かく申し上げたはずでございます。大変心配いたしておりますので、国土庁としてもこの桜島に対しては重大関心を払って、先生の御指摘のとおりの状態であるような報告を聞いております。そういう点でさらに一層先生の言葉を十分に取り入れ、そして一番先生がよく知っていらっしゃるし、また先生方の意見を尊重いたしまして、さらに一層の注意をしながら、そして予知のできるようにいたしてその体制を固めていきたいと思いますので、どうぞひとつ御理解をいただきたいと思っております。   〔委員長退席、理事村沢牧君着席〕  さらに政府としましても、もし私に時間が許されるなら一応現地を見さしていただきまして長官にも御報告を申し上げたいと思っております。まあフロントガラスやワイパーが動かないというような状態は非常に大変な灰が落ちてくるということであり、さらに六合目以上はもう上がれないというような、かって昔は上まで上がれたが、爆発というか活動をしかけてから何年かの今日、だんだんとそれがおさまっていくというのならともかくも、やや上りつつで何年かの経過をしてきている。いまでは非常に活発な動きをしているような御指摘のようでございますが、十分警戒をするように、きょうのお話を私も心にとめて、そして報告をしておきたいと思います。
  110. 柄谷道一

    柄谷道一君 活動火山周辺地域における降灰被害妙高高原町における土砂災害宮城沖地震災害等に関しましては私がすでにこの委員会で質問をしたところでもあり、かついままで四人の委員の方々から御指摘もあったところでございます。時間の関係からこれらに関する質問は省略いたしたいと存じますけれども、本日政府より御報告のありました六月の新潟県下を中心とし六県にまたがった梅雨前線豪雨による被害対策及び十八号台風による被害対策とあわせまして、政府は責任を持って速やかにその復旧と恒久対策を推進し万全を期すことを冒頭強く求めておきたいと存じます。  本日は時間の関係もありますので、防災型都市づくりの問題にしぼって質問をいたしたいと存じます。  次官も御承知のように、わが国は国土全体が常に災害の危険にさらされているわけでございますけれども、特にわが国の大都市災害に対してきわめて脆弱な構造になっております。たとえば同じ規模地震が発生したといたしましても、無人の原野と過密大都市とではその受ける被害は大変な差が生ずることはこれ当然でございます。もちろんこの地震に対しましては予知体制、警報発令体制や災害に対する応急措置あるいは復旧体制を整備することが必要であり、このために大規模地震の特別法が成立を見たわけでございますけれども、もちろんこれらの問題は重要でございますけれども、しかし、より大切なことは災害が発生した場合に大きな被害の予想されている大都市を根本的に改造し、防災型都市建設を進めることではなかろうかと、こう思うのであります。  そこで、まず政府は防災型の都市建設都市改造という問題についてどのような基本認識を持っておられるのか、冒頭お伺いをいたします。
  111. 丹羽久章

    政府委員(丹羽久章君) しばしば先生から大都市に対する対策はどうするんだという御指摘いただいております。私はその都度いつも先生の御意見に賛成をしながら、先生の御意見がまことに私どもの考えているのと一致する、どうしても大都市改造、防災をした都市づくりを今後は考えていかなければならぬということを感じておりますので、この際質問に対する防災型都市建設の重要性についての基本的認識を御説明申し上げたいと思います。  大都市震災対策については、昭和四十六年に中央防災会議が策定した大都市震災対策推進要綱に基づき緊急対策が進められておりますが、基本的には大震災等の災害に対して安全性の高い都市構造の形成を図ることが一番重要な課題と考えておるわけでございます。このため人口、産業の適正配置を図らなければなりませんし、地震等の災害に対して安全性の高い市街地形成の誘導、既成市街地におけるところの体系的な空地の確保、そして都市再開発による地域の防災性能の向上、建築物の不燃化の促進、こうしたことを図るとともに、交通、通信、水道、エネルギー等の大都市機能を支えるところの骨格的施設の防災性の強化を推進してまいりたいと考えておるわけでございます。また災害等の情報伝達、収集、救援活動等応急災害活動の拠点となる広域防災基地の検討を進めるとともに、地区防災基地の積極的整備を図ってまいりたい。  これは答弁でございまするが、しばしば先生はこれに対して促進的に考えていけという常に御指導いただいております。私も四十六年の中央防災会議が策定しました大都市震災対策推進要綱に基づいて全部をすぐというわけにはいきませんでしょうけれども、いつ何どき襲うかわからないこの災害に対して努めてできる点から早く一つ一つを片づけて、一つ一つを推進していきたいという考え方を持っておりますので、どうぞひとつ御了承をしていただきたいと思います。
  112. 柄谷道一

    柄谷道一君 ただいまの次官答弁、まことに答弁としてはりっぱなんでございますけれども、これ後ほど指摘していきたいと思いますけれども、その次官の理念が果たしてどこまで具体的に実行に移されつつあるか、まことにはだ寒い思いがするわけでございます。しかも宮城沖地震都市災害に対する重大な教訓を残しました。  そこで、いま次官が言われましたように、防災型の都市づくりというものにつきましては膨大な費用と労力及び長い時間を要する、これは私は十分認識いたしております。しかしこういう障害があっても政府はこれについて具体的なマスタープランをつくりまして、年次計画的にこの整備を図るという中期計画が必要な時期にいま至っているのではないか。そこで、遠藤委員の方から国土庁内に新たに災害対策局を設けろという提言を含めての質問があったわけでございますが、現在の縦割り行政というものを考えますと、より強力な一元的対策局というものの設置は私はきわめて必要な緊急の課題であろう、こういう対策局を通じましてのマスタープランづくり、これが急がれなければならないと思うのであります。  そこで、そういう局の新設とあわせまして、現在恒常的な機関がないんでございますけれども、政府関係省庁、それから地方自治体、学識経験者などを含めました防災都市整備に関する協議機関を、これ常設的な機関として設けまして、国民のコンセンサスづくりを行いながら総合的な都市災害対策というものを確立する、それがせめてもの私はスタートではなかろうか。いまスタートがなかなか切れないんですね。そこで次官の御答弁のようにりっぱな御答弁はいただけるんでありますけれども、後ほど指摘いたしますように、その事業は遅々として進まず、こういう結果に終わっているんではないか、こう思うんですが、いかがでありましょう。
  113. 丹羽久章

    政府委員(丹羽久章君) マスタープランはできたけれども遅々として進んでいないじゃないかという御指摘いただきましたが、私も政務次官にしていただきましてから十ヵ月になるわけでございます。まだ一年たっておりません。私自身としてはもう先生からしばしば御指摘いただいておりますので、宮城沖地震にいたしましても伊豆沖地震にしても、これが一つの勉強課程になるんだというようなことから、自分自身としては一生懸命に勉強してきたつもりでありますし、私の出身地が、先生にも申し上げましたように、内容はともかくとして三大都市の一つであると言われた名古屋であります。名古屋は非常に地下街も多いし道路こそ広いけれども、その建物に対する考え方というのは、震災が起きたときいろいろとこれに対して果たして現在のままでいいだろうかということを自分の足元で考えてみますときに、やっぱり大変な心配を持つわけでございます。まして国会議員として東京駅へおりますと、東京に大きな地震が起きた、大きな災害が起きたときに果たしてこのままでいいだろうかということも考えるし、先日も先生の御指摘のとおりに、爆弾事件にわずかな人がけがをしたにかかわらず右往左往したじゃないか、これが何万人かの人が、そうした死傷者が出たときに一体どういう処置をするんだという御指摘をいただいたことはいまだ私の脳裏に刻み込まれておるわけであります。そういうような点から考えまして、一日も速やかにこうしたことに対する対策を立ててもらわなければならぬということは片時も忘れたことはございません。そういう点等かみ合わせまして、今度は災害対策というのを局を一つつくって、そして縦割りも横割りもない全体的なことがそこですべてが解決できていく機能を動かすことが必要であろうというようなことから、私ども国土庁挙げてこれをつくるべく努力をいたしておるわけであります。  いま御指摘いただきました大都市の震災対策について、おまえがしゃべったことはまことにきれいであるが実際はどうだという御指摘でございますと、何とも言葉の申し上げようがございません。これから一つ一つをやってもらうべく大臣にもお願いし、皆さん方にも御協力をいただき、総理にも認識をしていただいてどんどん進めていこうということを私は心に期しておりますので、いましばらく、一つ一つをやっていきますから、どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。
  114. 柄谷道一

    柄谷道一君 次官の気魄をまことに評価いたしますし、そうあってもらいたいと思うんですが、それでは具体的に質問を進めます。  建設省都市局からの予算総括をいただいているわけでございますが、それによりますと、五十三年度の建設省都市局関係予算は一般会計分の国費で五千八百七十六億円でございます。これは建設省予算の三兆八千二百二十四億円に比べましてわずか一五%を占めているにすぎません。街路等整備関係予算を含めましても九千六百八十五億円程度でございます。しかもこのうち直接都市防災にかかわる分ということになりますと、きわめてこれが少額になってくる。私は住宅建設等につきましては相当額の民間資金の活用もこれ可能であろうと思うんでありますけれども、しかし都市の防災改造に関しましては国及び地方自治体が主導的に取り組む以外にその進展は不可能であろうと、こう思うのであります。にもかかわらず、この予算規模は、いま次官の意欲に比べまして余りにも少ない。しかも都市局関係の予算の増加率は五十三年度、前年度と比較いたしまして補正後一・三七倍でございます。本当にこの五十四年度から予算が飛躍的にそれでは増大していくんであろうかどうか、この危惧を持つわけでございますが、五十四年ふえますね、これは。
  115. 井上良藏

    説明員(井上良藏君) お答えいたします。  非常に都市防災対策に対する予算が少ないではないかというおしかりの言葉をいただいたわけでございますが、都市局の街路、公園等の事業、これすべて通ずるところ都市防災対策にきわめて役立つ仕事であろうというふうに考えておるわけでございます。中でも直接関連がございます避難地の整備あるいは避難路の整備につきましては、また江東地区の防災拠点の整備等もあわせますと、五十四年度におきましては八百六十六億円余りの事業費で、国費四百八十一億円をもちましてやりたいという予算要求をやっておりまして、要求の伸び率から見ますと四五%程度の伸びになっておる次第でございます。またそのほか特に避難地、避難路の安全性を確保しますために、新しい制度といたしまして避難地、避難路の周辺地域の不燃化の促進、あるいは火災の延焼を遮断するための火災遮断帯の整備に必要な民間の耐火建築を促進するために補助金、融資、税制等の新しい防災建築促進制度等も要求いたしておる次第でございまして、建設省といたしましても力を大いに入れてやっていきたいと考えている次第でございます。
  116. 柄谷道一

    柄谷道一君 これ、次官、もとが小さいんですからね。パーセンテージでこれだけふえたと言ったって、それで飛躍的な都市災害対策が進められるというものじゃこれないんですね。概算要求はもうしちゃったわけですから、いまさらそれをまた増額ということもなかなかむずかしいのかもしれませんけれども、いつまで次官をしておられるか私はわかりませんけれども、少なくとも五十五年予算はわれわれ災害対策委員のメンバーから見ても政府が本当に本腰を入れ出したなということが実感としてわかるような体制づくりを長官及び次官在任中にぜひこれ固めていただきたいと思います。  私は、もっと具体的にそれじゃ進めてみましょう。  都市計画地域、地区内における混在の問題でございます。都市計画法の第八条と第九条では、都市計画区域内において用途地域や特別用途地域等を定めまして、これが決定されますと、それぞれの地域、区域内での建物の建築等に対して制限が加えられることになっております。しかし実際の現状を見ますと、工場と住宅が隣接をしておったり、住宅街の真ん中に危険物取扱業者が存在していたりする場合が多いわけでございます。地震や火災の発生時に大きな被害を招く危険な土地利用が現状放置されたままになっております。したがってこの都市計画法による地域指定は現状は新設の建物に対する規制が中心になっておるわけです。しかし現状それまでにあるものはしようがないというたてまえになっておるわけですね。そのことがいまのこの混在の状態を招いているのではないか。私は、新築の場合の規制はこれ当然のことでございますけれども、各地域、地区内をこの際もう一度細かくチェックいたしまして、その地域にそぐわない危険なものにつきましては政府がこれに対する助成等を行いながら移転その他の措置を強力に進めまして、地域、地区内の利用混在を速やかに解消する、そういう施策を講じていかなければ、単に計画法をつくったというだけで現状の改革は全く前へ進まないのではないか、こう思うんですが、いかにお考えでございますか。
  117. 丹羽久章

    政府委員(丹羽久章君) ただいま先生の御指摘は全くそのとおりであります。新しい建物に対しては地域差ができて、地域規制によって文教地区だとか商業地区だとかいろいろの規制にはめなければ建築を認めない、しかし古い建物がそこの中にある場合にそれを立ち退けということには法律上なっておるようでありまするが、さて立ち退かせようと思うと、そのまず第一に土地をどこに求めるのかということであります。なかなかその土地が求められない。同時にそれの移転費用をどうするかということになると、政府考えている、あるいは建設省考えているという土地代というのが現実と沿わないというようなことから、危険物であるから至急速やかに移転してもらいたい、あるいは危険物であるからその危険物取り扱いに対する手当てをきちっとしてもらいたいといって法律上の制限的なことを厳しく言うんですけれども、さて、金がどこから出るかということになると、金融機関におきましても、国においても、こう話してくれるときは非常にわかりやすく言うけれども、事実になってくるとなかなか金が出てこない。そういうことで、これは私は現実論を言うんですから、少々おしかりいただくようなことがあるかもしれませんが、全くそういうことで行き詰まっている面が非常に多いと私は思うんです。どうかして、これをもっと英断を持って政府、自治体が先生のおっしゃるとおりなような状態に持っていくという強いひとつ制度、考え方ができるなら、こういうような問題は私は解決していくと思うんです。たとえば私の方の一つのものを片づけるのにももう四年越しで三人か五人の人が反対しておるとちっとも動いていかないという実情もあるわけであります。  そういう点から考えますと、新築する、新しく建てるものに対してはそう問題ないと思いますが、前からある既存のものに対しての考え方というのをいま一度新しい一つの考え方をつくっていただくか、現在のままで強硬にやっていただく方針をひとつみんなで考えていただかないと、私はこの問題の解決方というものは大変困難だと思っておるわけでございます。しかし私には長官がおりますので、長官によくまた相談を申し上げまして、きょうは御指摘いただいて大分しかられたからひとつ考えてくださいと、十分に話しかけをいたすつもりでございます。
  118. 柄谷道一

    柄谷道一君 これ、次官、都市災害防止するためには混在を速やかに解消していかなければならぬ、これは一つの大義名分があるんですね。ところが、その地域内におる既存の中小企業はそれで生活しているわけです。これは法律で追っ払えといって追っ払えるもんではないわけですね。したがって、その地域外に移転をする、そのことに対するやはり政府の政策の不十分さというものが遅々として混在の解消が進まない、こういう最大の原因であろうと、こう思うわけです。せっかくのこの都市計画法をつくったわけでございますから、やはりその混在というものを速やかに解消するために、現実にその地域内で暮らしている人の不安というものを除去する、その見返りの政策というものを、これぜひ関係各省庁ともお話しを願いまして、政策的に拡充をしていただきたい。このことをお願いいたしておきます。  私は、それと関連しまして都市再開発の問題でございます。これは現在都市再開発法、大都市地域特別措置法、住宅地区改良法など都市再開発に関する多くの法律が施行されております。法制的には都市再開発に関するメニューは一応そろっておると言うべきでございましょう。しかしこの再開発法が施行されて以来、昭和四十四年から五十二年まで、これも建設省の資料でございますけれども、着工されましたのが九十九地区三百八十三・七ヘクタール。これ九年近くかかってこれだけの都市改良しか進んでないわけですね、これ着工でございます。このうち完了されました地区は、公共団体などの施工によるのが七地区十三・一ヘクタール、組合等の施工によるものが十二地区十一・六ヘクタール、合わせて十九地区二十四・七ヘクタールにしかすぎないんですね。これは法は整備した、しかし都市開発事業がいかに遅々として進んでいないかということをこの建設省の統計自体が認めていると思うのでございます。今後この再開発というものについて具体的にどのような施策を講じていかれようとするのか。この現実を踏まえた上での御答弁を賜りたい。
  119. 小林実

    説明員(小林実君) 御質問がございました都市再開発事業でございますが、特に大都市におきましては都市構造のひずみという問題がございます。また居住環境が悪化しているという点もございます。しかし、さらに防災拠点、防災地域の確保という観点から再開発事業の促進が要請をされておるわけでございます。この再開発事業につきましては、現に住んでいる方々につきましてある程度どいていただく、あるいは居住環境が大幅に変わるという点がございまして、進捗状況が必ずしも十分ではないわけでございますが、私どもといたしましては、この点につきましては国の方の助成措置を十分に充実する方向で努力してまいっておるつもりでございます。従来はこの再開発事業を行う場合におきましては道路特別会計から補助金が出るというだけであったわけでございますが、昭和四十八年度から、この再開発をいたしましてビルをつくる場合に、設計計画費あるいはその土地の整備費、共同施設に対する補助制度も新設したわけでございます。特に防災の点から、江東防災拠点等につきましては基礎工事とかあるいはドレンチャー設備が必要でございますので、そういう防災性の強化費につきましてもこの補助の対象にしたわけでございます。また公園につきましても、本年度から防災的役割りを持ちます都市公園の補助対象率を引き上げる、こういう措置を講じたわけでございます。  この都市再開発につきましては御指摘の点もあるわけでございますが、今後とも国の助成措置等を充実いたしまして、促進をしてまいりたいというふうに考えております。
  120. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は都市再開発が遅々として進んでいないという原因はいろいろあると思うんですが、大きく言って二つだと思うんですね。一つは、地方自治体が複雑な権利関係の調整、これに逡巡をいたしまして、この調整そのものに時間がかかっている、これが一つの原因でございます。それからもう一つの原因は、いま御答弁ございましだけれども、国の助成措置が果たして十分かどうかという問題だろうと思うんです。  私はこの委員会の一員として白髪の防災拠点も視察いたしましたけれども、あれは都市再開発事業の補助金の率と全く同じですね、防災拠点づくりも。対象はちょっとふえておりますけれども、同じ率なんですね。ところが、あれを見まして地下には膨大な飲料水の貯水装置も要る。防火壁もつくらなければならない。さらに食糧備蓄、医療施設等もその中に配置していかなければならない。また建物そのものも、防災拠点が崩れては意味がないわけですから、相当堅牢な建築物構造をとらなければならない。散水の設備もつくらなければならない。普通の都市開発の事業と比べましてきわめて巨額の経費を要するわけでございます。しかしこの防災拠点づくりというものに対する国の助成は、範囲というものをこの程度まで入れていきましょう入れていきましょうという措置は確かにとられてきましたけれども、補助率そのものについて別途の配慮をするということはないわけです。これで果たして本当にこの江東のデルタ地帯における防災拠点づくりが進むのであろうか。年度計画ではいまごろもうほとんど五つ六つの拠点がつくられていなければならないわけですけれども、いま白髪一つがまだ未完成の状態ですね。次官、この点に対してどうお考えになりますか。
  121. 丹羽久章

    政府委員(丹羽久章君) 先生いろいろと御指摘いただきましたが、全くおくれていることに間違いございません。そういう点から都市再開発なんかでは三百七十七ヘクタールを地域指定しておるけれども、いままで完成してきたのは大体二十四ヘクタールだというようなことは、もう十年の年月をかけながらそういうことができ得ないということは、これはやはり地方自治体の方も何かそのままぐずぐずぐずぐずしておればいいというような形もないとは私は言えないと思うんです。もう少しどこかに強力なくさびを打ち込んで指導していくところがないと、補助金出しちゃうからやればいいじゃないか、もらえばそれでぼつぼつやっておればいいじゃないかでは、物は私は進んでいかないということになると思うんです。  これはもう別に建設省が悪いとは思っておりませんが、また自分のところのことを申し上げて恐縮でございますが、都市改造なんかでももう十何年たっておって、もういまごろはりっぱな町づくりになっておらなければならぬのがまだ三分の一程度より進んでいない。一体何やっているんだと行ってみると、権利を主張する住民たちの意見、それを根気よく説き伏せるということがなかなかできないというようなことで長引いてきておるという、そういうことを一つ一つ取り上げてまいりますと、もう一遍こういうものに対して本当に何年間の計画を立てたらどんな犠牲を払ってでもそれを推進していくんだ、片をつけるんだという一つの方針を私はびしっと立てないと、このままで行ったら私どもの考えているいまの事業の中で生きているうちに完成見ることができないだろうというようなのがたくさんあるわけであります。  この際一遍こういうことに対する建設省にもひとつ見直しをしていただくというか、強力なひとつ方法を考えていただく。受け取る方も、これを遂行していく側においても真剣に考えてもらう。それのできないところは後回しにするとか、あるいは新しいところに再開発をする。それはもう何もないところの周辺を土地を持っておる人たちに供給をしてもらう。そこにそういうものを建てて、そして古いところを壊してやるなんということになりますと、買収的にも何年間の年月がかかってしまうというような足踏みをしなければならない。そういう点についてのもう一度検討する必要があるようなことを私は考えておるわけであります。  いつの機会かにこれを建設大臣にも申し上げたり、私どもの国土庁の内部でも話を申し上げたり、それぞれの関係省庁の皆さん方にもお話を申し上げる機会を持ちたいと思っておりますが、全くいまの防災拠点でもいま一つがまだ完成できていないじゃないかという御指摘に対してはただそのとおりでございます、何とか早くやらなければなりませんと、こう申し上げる以外に言葉はございません。非常に恐縮でございますが、これを御指摘いただいたことを肝に銘じながら今後の対策考えていきたいと思いますので、どうぞひとつよろしくお願いいたしたいと思います。
  122. 柄谷道一

    柄谷道一君 次官、私遅々としてであっても前へ進んでおればまだ救いはあるんですね。ところが、現在の都市構造を見ておりますと前へ進むどころかむしろバックしているんではないか、こう思われる向きがあるわけです。それはなかなか都市開発事業が進んでいないと同時に、問題にすべきなのはミニ開発の問題でございます。  東京都は一九七四年から土地白書というのをつくって発表いたしております。これによりますと東京都の総面積はいわゆる島を除きますと千七百四十三平方キロメートルでございますけれども、千七百四十三のうち民有地は三十八年一月で千六十二、それが五十一年一月には九百九十七と減少しているわけですね。逆に宅地の所有者の数は三十八年一月の六十八万六千人に対しまして五十一年一月現在では百二十三万六千人、約倍近く土地所有者はふえているわけでございます。こういう結果、東京都における百平方メートル未満のミニ地主の比率は中央部で七一%、二十三区内で四一%、市部で一九%、そしてこのようなミニ開発の状態は年とともに進展するであろう、こう土地白書は指摘いたしているわけでございます。  よく新聞に折り込み広告あるんですけれども、きょう私一枚だけ持ってきました。これは会社の名前言うと問題がありますので言いませんけれども。代田橋駅より歩いて四分、千九百五十万円から二千三百八十万円、この土地は四十八・三八平方メートル、建てております建物は四十七・一七から五十六・五五平方メートル。これは庶民としてなかなかこれでも手の出ない金なんですね。これだけの金を出しても手に入る土地はわずか十五坪ないし二十坪、そこに土地いっぱいに建物を建てる。こういうミニ開発がどんどんと進展している。これが都市の現状ではなかろうかと、こう思うんです。  で、私はこのことは都市防災という立場からいたしますときわめて重要なこれ問題点を提起しつつあると言わなければなりません。ミニ開発に対してどのような対策を今日まで防災上の視点からとってこられたのか、今後この問題に対してどのような対策をとろうとしておられるのか。ひとつ防災的視点に立って、全般的な都市政策、住宅政策はこれまた別の機会に質問するとして、防災的視点からの政府の見解をお伺いいたしたい。
  123. 渡辺尚

    説明員(渡辺尚君) ただいま先生から防災的な観点からという御指摘がございましたんですが、とりあえず宅地開発の立場からごく簡単に申し上げてみたいと思います。  御指摘のようにミニ開発の問題につきましては、都市あるいは住宅、そういった総合的な対策というのが必要だというふうに考えられるわけでございますけれども、当面の措置といたしましては、たとえば都市計画法の開発許可の規制規模の引き下げでありますとか、あるいは基準法によります建築協定の活用、こういったことも考えられるわけでございます。ただ、たとえば規制規模の引き下げ等につきましては、これは都道府県の事務になるわけでございますが、執行になるわけでございますが、そういった執行体制の強化を必要とするといったような問題もあるわけでございます。で、私どもといたしましては基本的にはやはり計画的な宅地開発というものを推進しまして、そちらの方に需要者を誘導していくのが一つの現実的な方向ではないかということで、従来もあるいは今後も計画的な宅地開発の推進ということでやってまいっておるわけでございます。  なお、一言付言いたしますと、五十三年度の予算で災害のモデルプランというものを策定しようというふうに考えております。これはミニ開発が行われるおそれのあるような地域につきまして一定のあらかじめ市町村あるいは県側、つまり地方公共団体で、ある程度望ましいプランというものをつくって、それに誘導していくという考え方でございます。今後ともこういったような施策を総合的に展開しながら対応していきたいというふうに考えております。
  124. 柄谷道一

    柄谷道一君 これはもう建設省では十分お調べになっていると思うんですけれども、アメリカなどではサブディビジョン・コントロールということでいわゆる宅地の細分化に対する規制というものを設けております。ヨーロッパの諸国でも似たような制度があると聞いております。私の手元にも欧米諸国による住宅政策の資料をここに持っておりますけれども、時間の関係でこれは省略いたしますけれども、それが世界の大勢ではないか。確かに庶民の住宅事情は窮迫いたしておりますけれども、しかし都市災害対策という視点を織り込んでいかなければ、それでなくてもいま脆弱な基盤の上にある大都市は一たん災害が起きればこれは本当に阿鼻叫喚の状態になることが容易に予測されるわけでございます。  きょうは質問の形で取り上げようと思っておりましたけれども、これは単に住宅関係のみではございません。都市の中小河川の整備の問題についてもそうでございます。第五次治水事業五ヵ年計画を拝見しますと、現在二五%程度と言われる都市河川の整備率を引き上げよう、こういうことでございますけれども、年次計画的にどの程度これを改修していくのかというまだ中期プランは明確ではございませんし、五ヵ年計画の総事業費七兆六千三百億円のうち、このうちどの程度都市河川の改修に充てていくかということもまだ私は十分承知いたしておりません。さらに長良川決壊のときに指摘を受けたわけでございますけれども、上流地域における遊水機能を高めるために上流地域における乱開発を規制を進める、さらに人工的な遊水の装置というものをつくっていく、これらもまだおくれているわけでございます。さらに都市公園及び避難所の整備につきましても、わが国の人口一人当たりの公園面積は三・五平方メートルでございますけれども、東京はわずか一・六平方メートル、大阪は二・一平方メートルにしかすぎない。これは建設省の資料が指摘いたしておるところでございます。また専門家の中には、たとえば関東大震災クラスの大火が起きた場合に、その火から避難するためには少なくても十ヘクタール程度面積を持つ公園が必要である、こう指摘をされておりますけれども、東京、大阪、名古屋等にそういう大きな巨大な公園というのが一体幾つ存在するのか。町で小公園的なものは漸次ふえつつございますけれども、防災的視点に立つ公園の整備もおくれております。  このように挙げてみますと、私も、次官、本当に実感として前に進んでいるという感じが起きないんですよ。何かその手の打ち方が遅いために土地の脆弱な都市構造というものは前進よりもむしろ後退を続けているんではなかろうか、この際思い切って私がさきに指摘いたしましたように専門の局を設け、そして大都市対策のための協議機関を設け、これらの問題に対するやはり明確なマスタープラン、そして中期計画というものを設置しなければ、地震は百年待ってくれないわけでございますから、本当に私ははだ寒き思いがいたします。  個別の答弁受けておりますと時間がなくなりますので、これらの問題、私の指摘した問題について、本当に国土庁が本腰を入れてこれからやっていく、あらゆる面の洗い直しとともに施策を拡充していく、こういうぜひ御答弁が願いたいと思うんですが、いかがですか。
  125. 丹羽久章

    政府委員(丹羽久章君) 先生の御指摘で、私の率直な意見を申し上げますと、一面にはおくれている面があるかもしれませんが、こういうような計画が立てられてから少しづつでも進歩したような感じを持っておるわけでございます。   〔理事村沢牧君退席、委員長着席〕  しかし全くいま一つ一つを御指摘いただきまして、そういう点から言えば遅々として進まない点は、これはもう十分認められるのでございますが、私は先日政府要員として皆さんのおかげでイギリス、フランス、イタリア、さらにドイツ、オーストリア等々を地震災害、いろいろの関係で、水資源等の問題はどうするか、開発にはどのような考え方で開発しておるかという点を調査してまいったわけでありまするが、領土も広く緑もあり、そして日本と違った人口でそうした災害も受けたことがない。イタリアでは一部あったけれども、イギリスなんかはいつあったか覚えがないと言っておりますし、ドイツでもそういうことを言っており、フランスでもそういうことを言っておるわけであります。文化都市を検討してみますと、やはりこの国は幸せな国だなという感じを深く持ちましたが、日本はそうでなくて、狭い中に一億一千万の人が住み、そして特に東京なんというのは世界一のマンモス都市であるというようなことを考えて、さらに大阪にいたしましても、神戸、横浜、名古屋にしても大変な都市へ集中してきた。そして地震経歴からいっても、災害経歴からいっても、世界のうちで一番多くの被害をこうむり、一番多く年々歳々災害がくるのは日本であるというようなことを考えてきたときに、日本はもっともっと考え、力を合わせてこれを克服せなければならぬという考え方を持ったのは私一人でなくて、同行した人もそういう感じを持ったことだと思っております。  ただいまの御指摘いただきました国土庁としての全体はどう考えておるかということでありますが、きょうは四柳審議官、さらに局長、それぞれみんな真剣にこの場に来ておりました。全く先生の御指摘に対してわれわれは一人としてこれを粗末にすることなく、机上のデスクプランとしてだけの考え方だけでなく、どう実行に移していくかということは各省の皆さん方の御協力をいただき、国土庁中心になって災害に対しての使命感を全うしていかなければならぬという強い決意を皆さん持っておっていただけますので、この気持ちは一日として変わったことはございません。いろいろむずかしい壁があろうと思いまするが、今後この壁を打ち破りながら、そして御期待に沿う国土庁としていきたいと考えておりますので、どうか御期待をしていただくことを心からお願いいたしまして私の答弁を終わります。
  126. 柄谷道一

    柄谷道一君 時間がありませんので、私は提言的なものを三つ含めまして最後に次官の御見解をお伺いしたいと思います。  一つは、わが国の日本住宅公団でございますけれども、安易な戸数拡大主義に走りまして、全国に三万戸を超える大量の空き家を発生させております。しかし大都市に対する公営住宅の施策というものはまだまだ不十分であり、木賃アパートや、いま言ったミニ開発等が進んでおります。こうして考えてみますと、私はこの際住宅公団と宅地開発公団というものを改組合併いたしまして、土地政策、住宅政策というものを一元化した都市再開発というものを強力に推進していく必要があるのではないか。現状のままでは災害的視点を踏まえた住宅政策が生まれない。こう思うことが一つでございます。  それから第二は、三全総の中でこの東京圏の人口は昭和七十五年には昭和五十年に比べまして八百万人の増加が予測されまして、巨大都市の限界性が一層厳しくなり、二十一世紀に入ってこれ以上の負担を受け入れることは困難である、こう三全総は指摘いたしておるわけでございます。となりますと、この三全総の指摘の中にも、直接及びサービス人口を加えますと「約五十万人前後が移転の対象になり得る」ということを指摘して、首都移転論というものが指摘されております。この点につきましては私はいろいろ問題があることは承知いたしておりますけれども、ひとつ東京都という巨大都市のあり方についてこの三全総の提言というものを踏まえた抜本的なメスを入れる必要にいま迫られているのではないか。これが第二でございます。  最後に、もしそのような首都移転というものは直ちに進めることが困難であっても、宮城沖地震で福島県庁が揺すぶられましてコンピューターが全部ぶっ倒れたために、年金の支給事務から生活保護世帯に対する補助金支給の事務が停止をした。これいま中央の官庁街が大震災による火災を受けまして公的資料を滅失いたしましたならば、これはその被害は東京都民ではなくて全国民に及ぶ問題でございます。果たして現在の官庁の公的資料の保管が大震災に対応できる万全の体制がとられているのかどうか。もしとられていないとすれば、私は安全な地域への公的資料の分散ということも検討に入るべきではなかろうか。  以上三つの点、これはまさに提言的な問題でございますが、また改めての機会にそれらの問題の細部を質問することとし、これらに対する総括的な次官の御見解をお伺いいたしまして私の質問を終わります。
  127. 丹羽久章

    政府委員(丹羽久章君) 第一問の日本住宅公団の空き家が三万戸からあるとおっしゃいましたが、それはもう事実だと私も思います。減ったかはしれませんが、まだ多数の空き家がある。こういうような住宅公団一生懸命にやっていただいておりますが、過渡期的にこういうものができ上がりまして、いまだ入ってもらえないということは認めざるを得ません。宅地開発公団とこれを一緒にしてみたらどうだということでありますが、これは非常にむずかしい問題であろうと思いますけれども、スムーズに話が進んでいくとするならば当然そういうようなことで簡素化をし、すばらしいものをつくり上げていくというたてまえからも考えてみる必要があろうと思いますので、また長官にもよく報告しますし、それぞれの各省とも御相談を申し上げることにいたしたいと思っております。  二番目の、三全総の今後の進め方について首都圏である東京都は大変な人口増になりつつまだ減にはなっていない、七十年になればその限度が大変なことになって、包容し得る力がなくなるような麻痺状態になるんではないかという御指摘であります。そういう意味から首都圏移転ということを三全総の中にひとつ出そうということで、先日私はたまたま諸外国を回っておるときに庁内でまとまったように聞いておりますので、先生の御意見がすでにいま御指摘いただいたように進められておるようでございます。  もう一つは、福島県のコンピューターが壊れたがために大変な資料を喪失する結果になった、東京都におけるところの公的資料がもしものとき、震災、天災すなわち災害をこうむったときに、そうしたものがどこかにすでにしまわれておるのか、そういうような事態が起きても心配することなく資料は安全性が保たれておるかということでございますが、これは私としてまだ聞いておりませんので、もしそういう安全性が保たれていないということだったら、今後一日も早く安全性を保つような処置をとる必要があろうということを皆さん方と相談を申し上げて、そしてその線に沿って考えてみたいと思いますので、以上、御了承をいただきたいと思います。
  128. 柄谷道一

    柄谷道一君 終わります。
  129. 藤原房雄

    藤原房雄君 限られた時間ですので、端的にいろいろお聞きしたいんでありますが、先ほど同僚の遠藤委員からもいろいろ指摘がございましたが、今回の数々の被害、これは風水害による被害、そしてまた農業被害、閉会中およそ三ヵ月の時間が経過しておりますのでいろいろな問題があるわけですが、余り間口を広げてもしようがありませんので、私は宮城沖地震にしぼりまして何点かお聞きしたいと思います。  当特別委員会は、国土庁中心になるんだろうと思いますけれども国土庁中心にしまして建設省、それから農林省、文部から各省庁にわたっておるわけですね。先ほどもお話ございましたが、災害対策局ですか、やっぱり一元的な行政が必要であるということをいろいろ同僚委員からも発言ございましたが、災害の起きるたびにいろんな問題にぶつかって、そして各省にまたがっているだけになかなか問題解決が図られないという、こういうことを痛感するわけであります。私は本当は各省庁の方々においでいただいて一つ一つただせばいいのかもしれませんが、まずは一元的には国土庁がその調整役といいますか中心になって、かなめになっているわけでありますから、そういう点でまず国土庁がしっかり諸問題について把握していただいて各省庁をしっかり督励していただく、こういうことで問題の解決をさらに促進するような形にせにゃいかぬ。機構の問題についてはいろんなことがございますから、早急にできるわけじゃないだろうと思いますけれども、そういう点で政務次官にはこの地震の直後現地にも視察いただいてつぶさに認識をしていただいておるわけでありますから、その点私どもも非常にスピーディーな対策ができるのではないかということで期待をいたしておるわけであります。  先ほど地震以来二ヵ月なんという話ですが、もう三ヵ月でありまして、すでに三ヵ月たって今日この三ヵ月の間にどういう対応をしたかという個々の問題について本当はお聞きしなきゃならぬわけですが、それほど時間的な余裕もございませんし、またそんなに一つ一つ申し上げてもなにでありますから、何点かにしぼらざるを得ないと思いますが、この三ヵ月の間国土庁としていろんな角度から検討し、そしてまた各省庁の中心となって対策を講じてこられたと思うんですけれども、私はその中で先ほどもいろいろお話ございましたが、すぐ解決のできることとできない問題と二つあるわけですが、遠藤委員が言葉控え目に申し上げたのはこれは非常に重大な問題であって、先ほどのお言葉に出なかった点についてもまだまだ進んでない点がたくさんあるということで、これは地元からの要望もたくさん出ていることだろうと思います。  たとえば先ほどちょっと言葉の中に農林水産関係のこともお話がありましたが、漁港のことにいたしましても、また塩釜等の漁港の復旧や、それから魚市場の復旧工事とか、それから上水道もあそこは相当やられているわけですけれども、財政力のないところですとそういう対応ができないということで、起債等についてはひとつ枠を大きく広げるとか、またいろんな施策をしていただきたい、こういう要望がいまだに出ているということでありまして、上水道はこれは私どもの生活になくてはならぬものでありますから、この問題についてはもうとっくに解決できているかというと、実際は復旧に当たる地方自治体としては金のかかることでありますから、また自分のところの財政等にらみ合わせてやらなきゃならぬということで非常に苦慮しておる。こういう問題についてはぜひ早急にひとつ地元から上がってきた問題、相談のあった問題については適切なひとつ早急な処置をしていただきたい。もう来年度の予算を云々する段階にもきておるわけでありますから、本年度のできることはひとつ早急にしていただく。  また補正予算の審議にこれから入るわけでありますが、それら等も考え合わせて、三ヵ月経過した今日、全体的に大変な御努力いただいたことは私ども認めますけれども、しかしそれがまだまだ大きな問題をはらんでおるという、こういう厳しい現実の上に立って対処をしていただきたいと、こう思うのですが、政務次官、ちょっと抽象的な話で申しわけないのですけれども、決意のほどを最初にちょっと伺っておきたいと思います。
  130. 丹羽久章

    政府委員(丹羽久章君) 先生の御質問に対しましてお答えを申し上げますが、私どもとしては、あのような大きな災害でありますので、先生御指摘いただきましたように私ども現地を見せていただきました。想像より以上に大変な災害でありましたし、また漁業関係の漁港も見せていただきました。大きなトラックが入っておって根本的にやり直さなければならぬということも感じてきたわけでございます。これは長官にも逐一報告を申し上げまして、それに対する対症的な問題点については努めて御要望にこたえられるようにということを皆さんとも協議いたしたわけでございますし、各省ともその打ち合わせを再三にわたっていたしたわけでございます。また長官としましても、こういう際であるからできるだけ許す限り起債にしても補助金にいたしても何でも御期待に沿うようにしろということを強く言っておられました。  まだまだ御不満な点はもちろんあろうと思いますが、今後も気がついたことがございましたら、またどうしてもこれは認めてもらわなければ困るというような点がございましたら、御遠慮なく市町村のそれぞれの関係者に申し出ていただき、あるいは先生方が御連絡していただけば国土庁としてもこれを十分取り上げて研究いたしていきたいと思いますので、御了承をお願いしたいと存じます。
  131. 藤原房雄

    藤原房雄君 今度のこの貴重な経験を生かしまして、個々の災害のあり方について国土庁、まあ建設省になりますか、いろいろ検討なさっておると思いますが、建築基準法につきましてもこれは過去の経緯もこれあり、これは鋭意このたびの災害を教訓としてやはり基準というものは考えなきゃならないんじゃないか、こういうことも時折御発言なさっているようでありますが、さらに学校のこともちょっとお話ありましたが、学校というのは各地域におきましては避難場所になっておるわけですが、この避難場所の学校が非常に弱いということで、これもぜひひとつ御検討いただいて、避難場所にふさわしい強固なものにしていただかにゃいかぬ。これは文部省だから私の方はというのじゃなくて、これはぜひひとつ国土庁としても今後の地域コミュニティのあり方としまして、学校の存在というのはただ教育の場というだけではなくして、公的に非常に大きなウエートが占められておるのじゃないか。今後の土地の開発についてどうするかということについては先ほどいろいろお話ございましたが、こういう何点かぜひ検討していただかにゃならぬ。  ただ検討するというよりも、ぜひそれをこのたびこういう大きな被害を受けた中で二度と再び同じことを繰り返さないということで、これは制度的にも今後のあり方としてきちっと基準を高めるなり何なり生かしていかなきゃならぬと私は思うのですが、これは二つ三つ申し上げたんですが、そのほかはブロックべいのことについても建設省からいろいろ地方自治体に対しての指示があったようでありますが、何点かこういう教訓的な問題があって、今後の真剣に取り組むべき問題があったと思うのですが、こういうことについて御協議なさって決定したもの、また今後検討なさって決めようとなさっていること、こういう点いろいろあろうかと思いますが、一つ一つお話しするのは大変だろうと思うのですけれども、現在政務次官の頭の中にある問題、私申し上げました学校のこととか、ブロックのこととか、それから建築基準法のこととか、こういうようなことについてどういうように現在なっておるか、一つ一つお話をいただきたいと思いますが、政務次官でなければ説明員の方でも結構です。
  132. 四柳修

    説明員(四柳修君) 今回の宮城沖地震のいわば教訓について関係省庁どういう見直しをしているかと、こういう総括的なお尋ねと思いますが、今回の宮城沖地震につきまして各省庁ともいろいろ受けとめ方はあろうかと思いますけれども、先ほど来の遠藤先生の御質問等にも出てございましたように、一つはやはり現在の災害対策というのが風水害中心という形でいろいろ物事を考えてきた。そういう中でいままでのいろいろの営造物等の構造基準というものが、どちらかというと使いやすいもの、あるいは効率的に安く上がるもの、こういう観点で、何といいますか、経過してきたものを、そういうことを見直しをしまして、やはり安全第一に、特にそれぞれの土地の地盤なり自然条件に合ったような構造基準ですとか、あるいは建て方の見直しですとか、そういったことが、ブロックべいにしましても、学校にしましても、あるいは東北石油のタンク等にしましても、新幹線にしましても、各施設についての御指摘があり、それぞれ関係省庁、従来の構造基準につきましてそれぞれの試験研究機関等の御調査もございますし、何らかそういった点にそれぞれの縦割り系と言っては語弊がございますけれども、それぞれの責任において検討を加えている点が第一点でございます。  第二点としまして、先ほど来御議論ございましたが、これは地震に限らず最近の災害一般について言えることでございますが、やはり個人の被災者に対します救済の問題ということが、とりわけ今回は保険等の問題の形で非常に出てきた。あるいは住宅ローンのローンだけが残って実は家がなくなってしまったという方々の問題が出てきた。そういう形の中でやはり個人災害のあり方につきまして、先ほど来大蔵省の方からも御答弁ございましたが、地震保険の見直しばかりでなくて、従来の各種融資制度の限度枠の引き上げですとか、利率の引き下げですとか、幾つかは近い期日におきまして法律改正等によりまして措置はとられると思いますけれども、そういう中でもなおやはり基本的にそういった融資制度あるいは共済制度について見てどうあるべきだろうかということが私どもも課題として残され、それが当委員会におきましても小委員会の課題として残されていると理解しておりまして、私どもの方も各省庁ともども小委員会の場でそれぞれの御疑問にお答えしながらその方向を見つけてまいりたいと考えております。  第三点は、やはり今回の宮城沖地震というものが、六十万ではございましたけれども、東北の雄都におきますいわゆる都市災害という形で、いろいろな形での都市の機能障害というものが瞬間的に発生し、そのためにいろいろな問題が起きた。これは仙台の場合には何らか解決できた問題がございましたけれども、より大きな地域、あるいは首都等で起こった場合には、文字どおり大混乱が起きるのではないだろうか。水道にしましても、電気にしましても、ガスにしましても、なかんずく交通の麻痺という問題につきましては非常に大きな課題を投げかけられたのだろうと私どもも理解しております。  そういう問題につきまして、先ほど大都市問題として見て、柄谷委員の御発言の中に、民間等も含めて恒常的な研究機関で云々という御提言がございましたけれども、私どもの方も直接この問題ではございませんが、先般成立しました大規模地震対策特別措置法の各種の計画をつくります場合に、それぞれの計画の基本的な問題点、特に国がつくります地震防災基本計画の物の考え方につきまして学識経験の方々、各方面の方々の御参加を得まして、そういった点をやはりより広い目で見まして、それぞれの地域におきますあるいは各省におきます現在の防災計画を最小限度地震防災強化地域として指定された地域についてまず見直し、それをより大きな地域なり他の地域に全般的な政策として拡大できるような方向で検討してまいらなくちゃならないと考えております。  以上、三つの点で私ども受けとめております今回の地震の教訓ということをまとめてみましたが、各省庁ともどもそれの点につきまして寄り寄り協議している段階でございます。
  133. 藤原房雄

    藤原房雄君 審議官のおっしゃることはよくわかるんですが、私どもがこの委員会開きますと、ここにいらっしゃるのはほかの各省庁に関しましては大体課長さんがいらっしゃって説明があるということでございまして、やっぱりここでいろんな論議されたことをそれは各省庁に持ち帰っていろいろ検討なさるんだろうと思いますけれども、やっぱり責任ある立場としてそれを政治的にまた受けとめていただくのは政務次官であり大臣である。こういうことでやっぱり中心の省庁というのは各省庁で研究しているんじゃないかというんじゃなくて、やっぱり強いリーダーシップを握っていただかなきゃいかぬということを私は申し上げているのでありまして、各省庁でそれこそそれぞれの立場でやっていらっしゃるんでしょうけれども、とかく月日のたつうちにあれは特別なことだったということじゃなくて、やっぱり何らかの結論をきちっと出していただく。  きょういただいた資料も宮城沖地震の九月十一日現在の被害状況をいただきましたが、過日の委員会で本当に午後六時か七時ごろまで委員会開かれていろんな論議をし、そしてその中でいろんな問題の提起があったわけですけれども、そういうことに対してどういう対策を講じてきたかということ等つぶさにこの委員会への報告や何かできるかできないかわかりませんけれども、被害報告はあってもその後の対策についてはなかなか報告がないという。こちらから一々それをお聞きするには時間がかかり過ぎる。こういうことでやっぱり国土庁がまずは第一義的にひとつ強いリーダーシップを握っていただいて、これこれこれらの問題についてひとつ各省庁を督励して、いままでもやっていると思うけれどももっとさらにひとつ強力に推し進めていただきたいということを私は先ほどから申し上げているわけですけれども、時間もそうございませんからどうしても一つ二つのことにしぼらざるを得ないんですが、そういう姿勢でひとつ今日まで論議されたことについてはきちっと結論を出すように御努力をいただきたいということをひとつ申し上げておきまして、まあそれぞれの立場で地方自治体、そしてまた国の施策によりまして三カ月の時間の経過とともにそれぞれの対策が立てられ、復旧のつち音高く進められていることはまことに喜ばしいことだと思うんですが、そういうことの反面ではまだ一向に進んでいないこういう面もあるわけです。  特に、事業者の方々については、それぞれ事業をなさるということで先ほどいろいろ御説明ありましたけれども、融資の制度とかいろいろなことがあって、それなりの営業活動というのが進められておりますが、やはり一番問題なのは住宅地の被害を受けたところ、しかも過日の委員会でもいろいろ問題になりました危険区域に指定になっている地域につきましては調査の結果をということ等もございまして、まだ調査段階であって何をどうするかという結論はまだ出ていない。それから、高層マンションということで、これは今後こういう問題に対してどうするかということで非常にいま注目を浴びておりますこの高層マンションの問題につきましても、過日の議事録によりますと、いろいろな立場、皆さん役所の立場からすると、こうするああすると、いろいろなことを言っておりますけれども、これも全然進んでいない。一生自分の住まうべきところとして居を定めた、そこが定まっていないということで、これは一番住民にとりましては不安な問題、こういう問題がまだ残っているわけですね。  あと東北石油についても、そのほかの問題についても大分方向性が定まったようでありますし、今後こういうことのないように、上水道、下水道、それらの強化対策、信号機が不能になって非常に混乱しましたけれども、これに対しては自家発のような設備をするようなことで進めなければならないんじゃないかとか、こういうことについてはいろいろな対策が講じられているようですけれども、進んでいないのは何点かにだんだんしぼられてきたようですね。  こういうことで私は何点かお聞きしたいと思うのですが、それぞれの立場立場によっていろいろなことを言われますが、地震による被害というのはやはり土地の地盤の強弱、または地盤による被害ということに通ずる。過日も報道機関によっていろいろなことが言われております。また私も筑波学園の実験の設備等を見せていただいていろいろな実験をしているところ等を見ましたが、最近の著しい宅地開発に伴いましてどんどん宅地化して、そしてこれを住宅を建てるということに重きが置かれて、その土地の地盤に対する考慮、配慮というものがどちらかというと今日まで置き去りになってきたのではないか、こういうように感ずるわけです。国の政策としても宅地をこれからまた大規模に造成をして、そして住宅政策を進めようと、こういう計画が発表にもなっているわけでありますが、こういうことで今回のこの宮城沖地震のいろいろな教訓の中から、地盤の問題等についてはこれはやはり非常に考えなければならぬことだろうと思うのですね。  こういうことについてちょっと二、三お伺いしたいと思うのですが、まず一番問題になります宅地造成についての宅地造成等規制法、これは三十六年にできたわけですけれども、種々規制が初めてなされたわけですけれども、この法律は特にどういうことを想定してつくられたのか。ここらあたりちょっとお伺いしたいと思うのですが、これは建設省ですね。
  134. 渡辺尚

    説明員(渡辺尚君) 御存じのように、宅地開発を行います際、傾斜地等におきまして行われますと防災上非常に危険がある。そういう観点から御存じのようにこの法律がつくられまして、規制区域をかけてその中で行われる宅地造成に関する工事については許可を要するということになったわけでございます。その際に擁壁等の基準等があるわけでございますけれども、そういったものの決め方の考え方といたしましては、こういった擁壁等をつくる場合に、これはすべて開発事業者、これは結局は宅地開発の場合は最終的にお買いになる方になるわけでございますけれども、開発事業者に負担していただくということになるわけでございまして、そういったことから非常に重い経済的な負担をかけるのは必ずしも好ましくない、それから一定の強さを保っておけば一応ある程度災害というものを防止できる、そういったような観点から現在の基準というものがつくられておるわけでございます。  今度の宮城沖地震におきましても、報告によりますと大変不幸なことに規制区域がかかる前に造成された宅地があったわけでございますけれども、崩壊しました擁壁等を調べてみますと、現在法律にあります基準に従ってつくられているものの崩壊の率はきわめて少ない。〇・一%以下だと思いますが、そういったような状況にあるわけでございます。
  135. 藤原房雄

    藤原房雄君 いま説明がありましたように、擁壁等は危険な傾斜地等でどうあるべきか、そういう危険な区域等で宅地化というものがだんだん進んでくる中でどうあるべきかということからいろんな角度から検討なさったんだろうと思いますけれども、これができてからはある程度の歯どめはかかったんでしょうけれども、それ以前の宅地になっているところがあるわけですね。この法ができる前に相当できているわけですね。駆け込みみたいなものもありますし、こういうところについてはその法の網はかぶらないとしましても危険の度合いはあるわけですね。その地域によっては憂えのないものもあるのかもしれませんけれども、とにかくこの規制法のできる以前のところについては心配は残る。  こういうところについてはどのような対策といいますか、建設省としてはどういうふうに考えていますか。何らかの処置をしなきゃならないのか。しかしそれは非常にむずかしいということなのか。また今後に対してはいろんな角度から検討しようという、そういう余地はあるのかどうか。どうですか。
  136. 渡辺尚

    説明員(渡辺尚君) 先ほど先生から御指摘のございました地盤あるいはその地域といいますか、それが危険な場合、これは現在でありますと開発許可−いろいろ造成等につきましては開発許可が要るわけでございますけれども、その基準の中に災害危険区域でありますとか、あるいは地すべり防止区域でありますとか、そういったものが入っている場合には原則として許可できないというようなことになっておりまして、災害を未然に防止しているわけでございます。  御指摘のありました宅地造成等規制法の規制前の宅地はどうなのかということでございますけれども、この法律は規制前後にかかわらず危険と思われる擁壁等につきましては勧告、あるいはさらに進みましては改善命令等を発しまして危険な状態を是正するということができる体系になっております。で、私どもといたしましては、こういった危険な擁壁等につきましては毎年通達を出しまして、そういったものをパトロール等によって早期に発見し必要な勧告等をするようにという指導をしてまいっておるところでございます。  で、そういう場合に当然、残念なことでありますが、現在におきましてはそういった何といいますか改善の費用というものはその所有者なり管理者なりにお願いしなければならないわけでございますが、これに対しましては金融公庫で宅地防災工事という融資項目がございます。最近におきましてはほとんど例年貸付限度額を上げてきていただいておりますが、今後とも私どもといたしましては財政の許す範囲でそういった条件の緩和を図るように努めてまいりたいというふうに考えております。
  137. 藤原房雄

    藤原房雄君 宅地防災の融資の限度額、これはやっぱり場所にもよりますけれども、最近は相当工事費が高いので現実に合わないことを私どもも非常に聞いておるんですけれども、これはぜひひとつ積極的に検討いただきたいと思うんです。  それから、現在仙台の緑ヶ丘で三ヵ月経過して、現在観測してこの危険地域から外れていないところがまだ相当数あるわけですが、この観測の結果が建設省国土庁の方にも出て来ていると思うんですが、盛り土だけでなくて岩盤にも異状があるということが観測の結果わかったということで、今月の初めですか、地元では非常に大きなことだということで受けとめておるわけですが、当初この地域の問題については当委員会でもいろいろな議論がございました。  こういう宅地全体のいろいろな問題について、現在の法律ですと先ほど来問題になっております集団移転のような形、それから地すべり防止法とかがけ地隣接等のこういう法律等が現在現行法としてはあるわけですけれども、集団移転の事業にしましてもこれは現行法では僻地のための対策であって、こういう都市の中の問題については現行法ではなかなか実施できない。しかし現在二十戸近くはどうしても移転しなければならないところが出ているわけですけれども、これらの方々に対しましても自分たちの建てるべき土地を取得するだけでも大変だというので、これは全部で五百三十万ですか、こういう枠内で全部の事業をしなければならないということですから、これも建設省国土庁いろいろ検討なさって、こういう都市化の中でのこういう問題については何とか対処していかなきゃならぬということは報道機関を通じてわれわれは聞いておるんですけれども、これはぜひ現状に即した形に、しかもこのたびの宮城沖地震被害を受けた方々に適用できるような形でぜひひとつ進めてもらわなければいかぬ。  現実にもう集団移転しなければならない何十世帯かの方々がいらっしゃるわけで、これが今後どういう形になるかということはまだ未知数だという。さっき遠藤先生からもお話しございましたけれども、地価の評価等はいろいろ問題があるわけで、時間がございませんから詳しいことは申し述べられませんが、これはぜひひとつ政務次官、大臣とよく御協議いただいてやっていただきたいということと、もう一つは、この地すべり防止法とかがけ地隣接とか、こういう現在ありますいろいろな法律によってそこに住まうことのできる住宅については最大限やることも大事なことだろうと思うんですが、こういう地盤が動いているということになりますと、ただ盛り土だけではなくて岩盤に移動があるということになりますと、これはやっぱり緊急地すべり対策の事業として進められなければならないことになるのではないか、この法の適用も考えなきゃならないじゃないか、このように私ども理解をしておるんですけれども、国土庁建設省、いろいろ御検討なさっていることだろうと思うんですが、この問題についてはどうでしょうか。
  138. 釣谷義範

    説明委員釣谷義範君) 建設省の傾斜地保全課長でございます。  ただいま先生おっしゃいましたように、緑ヶ丘地区の一丁目ないし三丁目につきましては、宮城県の万の現地調査の結果及び先ほど先生おっしゃいました仙台市の宅地保全審議会等におきまして、いろいろ現地調査しました結果、地盤の基部においても基盤に変動といいますか将来地すべり発生の懸念が見られますので、これにつきましては地すべり対策事業費として取り上げまして、本年度五十三年度から工事の実施に移りたいと思っております。なお本年度は地すべりの調査並びにくい打ち工を主体にしました地すべり対策事業を実施する予定でおります。  以上でございます。
  139. 藤原房雄

    藤原房雄君 時間もございませんからこれで終わりますが、これ六月の二十三日ですか、あの地震がありましてから委員会が開かれて、大臣が何か忙しくて来れなくて、政務次官が中心になっていろいろございましたですね。そのときに現行法で最大限の努力をするというお話がございました。いま御答弁ありましたけれども、観測の結果からいろんなことが出ております。そういう中で、やはり全財産を投じて家を建てた方々がそこに何らかの対策を講じて住まうことができるならばそれが最上の道であり、それが危険でどうしても移転しなきゃならないというものについてはそれなりの対策を講じなきゃならないことは当然だと思います。  いろんなデータをもとにして、さっきお話ありましたように、この現在の緑ヶ丘の一丁目、三丁目というのは緊急地すべり対策事業、そのほか災害復旧工事、こういうようなことで対処し、そしてまたこれも台風シーズンを迎えましてもう年度予算も限られた中でのことですから、早急にといってもなかなか全部が全部すぐいくわけにはいかないだろうと思いますし、依然としてまだ観測を継続しておるという、こういう段階ですから、それを待たなきゃならないこともこれはあろうかと思います。いずれにしましても、わかった時点から現行法の中で最大限法の許される範囲内で、大いにまた現地の現状によってはこれを大きく拡大解釈といいますか、現状に合ったような立場でぜひひとつ対策を講じていただきたい。やっぱりこれ住宅ということになりますと、ただどこか仮設住宅を建てたから、そこに移っているからいいじゃないかということじゃ済まされません。これからだんだん寒くなりますし、そしてまた三ヵ月たってもまだその現状をどうするかということも定まらないということでは、まあいろんな事情があるということはわかりますけれども、できることはひとつ早急に対策を講じて、住民の不安を一日も早く取り除くという、こういう最大の努力を払っていただきたい。  それからまた集団移転の方々につきましても、先ほど来お話ありましたように災害地の評価の問題とか、移る先の土地の価格とか、まあいろんなことが出てくる。ただでさえ災害を受けて精神的にもまた経済的にも大きな被害を受けておるわけでありますから、これに対してやっぱり行政がもっと法をたてまえにして、冷たい仕打ちじゃなくて、この宮城沖地震政府としてはこういう対策を講じてこういうふうにしましたというひとつぜひ大きな業績を残していただきたい。政務次官になって十ヵ月だなんというけど、就任の長い短いじゃなくして、やっぱり業績の高きことを私は心から願うものであって、ぜひひとつ政務次官に御努力をいただきたい。こう思いますが、どうでしょう。
  140. 丹羽久章

    政府委員(丹羽久章君) ただいま先生から御指摘いただきましたように緑ヶ丘地区、さらにあの地域にお住みになっていらっしゃられる方々はこれが最上の地としてあそこに住宅を求められ、それもお金のある方はとにかくとして、ローンでお買いになった方々はその負債が、まだローンが済まないうちにあのようなことになりました。この問題については私ども参りましたときに市の方にもよくお話をし、その地盤的なものに対しても御検討を十分していただくように、あそこで住居をそのままに修理しながら構えることのできる方はおっていただき、これが地盤がやわらかくそしてさらに危険性があるという方々に対しては市として十分な御検討をしていただき、その答えを待って国もどんなことでも御協力を申し上げましょうということで私ども帰ってきたわけでございます。その後いろいろと御返事をいただきましたので、努めて国土庁としても建設省としてもそれぞれ関係省はそれに対する検討をしながら御協力を申し上げ、援助を努めて幅広く考えてきたわけでありますが、ただいまのお話のように温かい行政をすべきであるということでございます。もっともなことだと私も感じておりますので、今後またどんな御相談にも応じながらさらに一層テンポを早く進めていきたいと思っておりますので、御了承を願いたいと思います。
  141. 原田立

    ○原田立君 水の問題について、雨の問題について若干御質問をしたいと思うのでありますが、今回の十八号台風についてまあ雨台風というふうに前もっては予報されておったのがどうやら福岡県にとっては風台風というような結果になって、いろいろな被害が生じて大変困惑した、困ったというのが現状であります。  それで天気予報でテレビなりラジオなりいろいろ状況を聞いておったわけでありますが、一体じゃなぜ福岡県下で余り雨が降らないのかというようなことが、予報官の方では、天気予報では余り説明がなかった。正直言って長崎県あるいは佐賀県等におきましては非常に雨量が多い。それが福岡県に入ってくると、ぐっと少なくなってくるというようなことで、非常に聞いておった多くの人たちの素朴な感情として、一体どうしてこんなに雨が降らないんだろうかというような感じで、まだその点が解明されておりません。この点についてはひとつ気象庁、技術的な問題になるであろうと思うのでありますけれども、お答え願いたいと思うのであります。
  142. 川村清一

    委員長川村清一君) 気象庁ですか。
  143. 原田立

    ○原田立君 気象庁か、またはわかるところで結構です。——じゃ、まだ来ていないようですから後回しにします。  じゃ、次に進みますが、北部九州を中心に全国的規模で水不足が続いておるわけでありますが、特に北部九州は昨年の秋以来少雨傾向であります。で、長期見通しから判断してどの程度の降雨量が必要なのか、そういう点については国土庁あるいは建設省の方でいろいろ水対策ということで御研究なさっておられるだろうと思いますので、御答弁いただきたいと思います。
  144. 飯塚敏夫

    政府委員(飯塚敏夫君) お答えいたします。  ただいま御指摘のように北部九州につきましては非常に雨量が春以来少なくて、最近も平年の三分の一程度ということで、非常に渇水に見舞われております。この原因については気象的ないろいろな条件もあろうかと思いますが、私どもといたしましてはこれらの状況につきまして長期的な観点から長期水需給計画というものを立てて、その中で北部九州のいろいろな水問題に対処する指針も考えておるところでございます。それによりますと、私ども昭和六十年並びに六十五年の長期的な展望を持っておりますが、いずれにいたしましても北部九州におきましては需要に追いつくための供給施設がなかなか思うように進まないということで、当分の間今後とも引き続き水需給のギャップ、いわゆる水不足が生ずるということが予想されておるわけでございます。私どもはこれらに対処するために水資源開発を中心とする水源対策、あるいはまた市民一人一人が水が有限である、貴重なものであるというような認識を深めていただきまして、節水、水使用の合理化を推進してこれらに対処してまいりたい、かように存じております。
  145. 原田立

    ○原田立君 あなた建設省ですか。
  146. 飯塚敏夫

    政府委員(飯塚敏夫君) 国土庁でございます。
  147. 原田立

    ○原田立君 先ほど一番最初に質問した問題について答えられますか。
  148. 飯塚敏夫

    政府委員(飯塚敏夫君) 気象の問題については専門でございますので、ちょっと答えかねます。
  149. 原田立

    ○原田立君 福岡市の給水制限は御承知のとおりに五月二十日の第一次給水制限以来すでに百日を超えており、その渇水状況はますます深刻化し、現在では六時間給水、十八時間断水というような状態がずっと続いております。この前の十八号台風は百日ぶりにやっと降ったということなんでありますが、思うような雨がなかった、恵みの雨とは言えなかったというような現状でありますが、ところで地元の福岡市当局はあらゆる対策を講じて九月いっぱいの六時間給水を維持するのにもう必死に対策、努力をしているわけでありますが、その対策も今月中に百五十ミリ以上の雨を見込んでいるものであると、こう聞いております。このまま期待どおりの雨がもし降らない場合においては、今月末から来月にかけての給水事情は市としては全く見通しが立たない状態となり、その対策に苦慮しておるようでございます。こういうふうな問題について国としてはどのような指導、また対策考えておられますか。
  150. 飯塚敏夫

    政府委員(飯塚敏夫君) ただいま御指摘のように福岡市の水源につきましては非常に見通しが暗いような状況でございます。最近多少の雨がございましたが、それとても補給に追いつかないような状態でございまして、平均年の九月、十月、十一月というような雨量から見ましても、なかなか貯水池を満杯にするには至らない。非常に先細りといいますか、よほどの給水制限を持続しない限りダムの水位を回復することは非常に困難だということで憂慮しておるところでございます。私どもこれに対しましては建設省中心といたしまして既設ダムの弾力的な運用等も考えまして水利調整等を行うとともに、給水制限等の措置によりまして節水を進めなくてはならないかと思っておりますが、まず何といいましても基本的には長期的に立って総合的な水資源の開発と保全、あるいはまた雑用水その他を含めましての水利用の合理化、こういう問題を強化していく必要があろうかと思います。  北部九州につきましては筑後川水系を中心といたしました水利用の基本計画がございますが、この計画も現在私ども検討を終えまして関係者と協議を重ねておるところでございますが、この計画昭和六十年を目途としていろいろな策を掲げております。ぜひともこれらの計画が早く決定をいたしまして、長期的な観点に立ったいわゆるフルプラン、基本計画というものが一日も早く推進されるように努力してまいりたいと思っております。
  151. 原田立

    ○原田立君 いま答弁の中に筑後大堰の話もちらっと出ましたけれども、御承知のように筑後大堰についてはまだ地元の反対が非常に強くて難航しているのが現状であります。だからこれについてはまだまだそんなに明るい見通しとは言えない。それ以外に何らかの方策はお考えですか。
  152. 飯塚敏夫

    政府委員(飯塚敏夫君) 筑後大堰の問題につきましては、すでに私ども先ほど申し上げました改定すべき計画以前の現行生きております昭和五十年目標の計画の中にすでに織り込まれている事業でございまして、その事業の一刻も早く推進できますことを祈っているわけでございますが、その計画を含めまして今回新しい基本計画の改定作業を進めているところでございます。  前回の計画にございます筑後大堰の問題につきましては、先ほど御指摘のように下流漁民との関連におきまして福岡県当局その他の説得にもなかなか意見が分かれておりまして、全面的な賛成ということになっておりませんが、私どもは福岡県あるいは関係行政機関と協力いたしまして、そういう方たちの理解を得るようにさらに努力してまいりたいと思っております。  それから、先ほど当面具体的にどういう施策があるかということでございますが、水資源につきましては既設のダムその他にございます貯流水、それから今後予見される雨量、それ以外には水源がございませんので、それらを予測しつつ合理的に使う以外に道はないかと思っております。  当面の対策はそういうことでございますが、雑用水という考え方がございますが、福岡市もこの雑用水の必要性にかんがみまして、すでに最近でございますが、雑用水利用協議会というような協議会をつくりまして、政令指定都市等を中心とするいわば水需給が逼迫する地域の地方公共団体が中心となりましたそういう協議会をつくって、雑用水利用の促進を図ろうということを考えておりますが、国土庁といたしましてもそれらを全面的にバックアップいたしまして、水資源の不足に対しまして当面の対策としてそういう一回使った水をなお再利用するという方策についても研究を重ねたい、そして具体的な計画を来年度から実施してまいりたい、かように存じております。
  153. 原田立

    ○原田立君 当面のことについても余り具体的にないような印象で答弁をお伺いしておりますが、もう少し強力にしていただきたいと思うんであります。よく言うんですよね、市の責任者は一つ雨が降らなきゃどうしようもないと。それはそうかもしれないけれども、雨が多少降らなくたっても、それをどういうふうにするかということをやるのが行政の責任なんですから、その面での怠慢のそしりを免れないんじゃないか、こういうふうに思うんであります。もう少しその点厳重に自己反省してもらって、手を打っていただきたいと思うんです。  それから、福岡市の水事情はますます悪化しておるんでありますが、寺内ダムのデッドウォーター取水という異例の措置を実施することにしておりますが、農民の間ではデッドウォーター取水を前に水不足の慢性化から今後の貯水量回復が可能かどうか、来年の田植えに支障を来しかなりの減反を強いられるのではないかというような不安の声もあるわけでありますが、利水用にもあるいは河川維持用にも使わないのがたてまえとなっているデッドウォーターの取水に対しどのような見解を持っておられるか。  いまお聞きしたのは、デッドウォーターの問題と減反の問題、農林水産省国土庁の両方に御答弁をいただきたいと思います。
  154. 堀和夫

    説明員(堀和夫君) 寺内ダムの問題についてお答えいたします。  寺内ダムにつきましては、福岡渇水対策といたしまして緊急時の利用ということで対応しております。それで六月一日から福岡に対して応援給水をしておるわけでございますが、先生御指摘のように利水のための容量を使い果たしまして、利用水位以下の量、いわゆるデッドウォーターを九月十日から主として農業用水補給のために使っております。今後は農業用水の方が非灌漑期に入りつつあることでございますので、福岡水道に重点を置きまして大体十月上旬ぐらいまで現在のデッドウォーターでもっていける見通しでございます。それで今後の回復でございますが、通年の雨ですとこれは問題なく回復いたしますし、かなり少ない雨を想定いたしましても、これから来年の春までは非灌漑期でございますのでかなりため込みができるというふうに見られますので、来年の灌漑期前には満水状態に復するというふうな予測を立てております。  以上でございます。
  155. 原田立

    ○原田立君 農林水産省
  156. 佐々木富二

    説明員佐々木富二君) はなはだ申しわけございませんが、私ただいまデッドウォーターの取水の話を初めて伺いましたので実情を十分把握しておりませんけれども、寺内ダムの管理につきましては水資源公団の方で各種の要素を勘案しながら行われておるというふうに存じますので、さらに水資源公団の方とも連絡をとりましていろいろ事情を調査してみたいというふうに思います。
  157. 原田立

    ○原田立君 要するに水資源公団の方かもしれないけれども、私が聞いているのは来年の田植えに支障を来しはしないか、かなりの減反を強いられるんじゃないかと、こういう心配をしていると言うんですよ。だから減反はしないと言えばぼくはそれで答弁としては満足なんですよ。どうですか。
  158. 佐々木富二

    説明員佐々木富二君) 私先ほども申し上げましたようにただいまお伺いしたわけでございまして、そこまで詳しく事情を存じておりませんけれども、私が申し上げましたのは、寺内ダムの管理を水資源公団の方で各種の事情を考慮しながら支障のないように行われておるのであろうと思いますので、さらに水資源公団とも連絡をとりまして事情をお聞きした上、その後の対策考えたいということでございます。
  159. 原田立

    ○原田立君 建設省の方はもう十分デッドウォーターを取っても水の点については心配をかけないようにすると先ほど断言なさったんだから、だから減反はないと、こういうふうに安心させるように言ってもらいたいと思うんです。あなた初めて聞いてよくわからないというからこれ以上答弁を求めるのも無理でしょう。また御研究いただいて御返事いただければ結構です。  それから、生活用水の不足はもとより農作物についても灌漑用水の不足から農家はかなりの痛手を受けているわけでありますが、福岡県の小郡市花立地区などは江川ダムからの補給がゼロに等しい状態、このため自衛手段として一部残っていた井戸や排水の反復利用を図るためポンプでたんぼへ流している状態であります。かなりの自己出費で苦しんでいるのが現状でありますが、農家の方々は今回の異常渇水の教訓から国の圃場整備の中に灌排水の反復利用施設をつくってほしいとの強い要望を持っているわけでありますが、農業用水合理化の上から水需給の逼迫している地域にあってはこのような施設も当然必要であると思いますけれども、いかがですか。
  160. 佐々木富二

    説明員佐々木富二君) 御指摘のとおりだろうと存じます。農林水産省といたしましては十年に一回程度発生する異常渇水に対応した農業用水が確保できるように従来から灌漑排水事業を進めておるわけでございますけれども、その場合農業用水を確保しますにはダムの設置、それから河川から取水する頭首工、揚水機の設置による新規水源の確保といったようなことだけではなくて、農業用水の有効利用の観点からただいま御指摘がございましたように地形の条件等が許すものであれば用水の反復利用を行うということもまた必要であるというふうに思います。現実にまたそういった場合に必要となります揚水機でありますとか、それから送水施設等の設置につきましても、採択基準に合致するものについては助成の対象としておるわけでございます。これは決して特殊な事例ではございませんで、全国的に見ればかなりあるというふうに私は承知しております。
  161. 原田立

    ○原田立君 要するに私がいま質問をしているのは、こういう小郡ばかりじゃなくて要するに灌排水の反復利用、このための施設を今後の圃場整備の中に入れるべきである、こういうふうに申し上げているわけですけれども、そのとおりだというふうに御返事承ってよろしいですか。
  162. 佐々木富二

    説明員佐々木富二君) 先ほどお答えいたしましたように、従来から地形等の条件が許す場合におきましてはそういったものも灌漑排水事業の助成の対象としておるわけでございます。
  163. 原田立

    ○原田立君 ここの小郡の場合には五十二年度で稲作、野菜の作付を中心とした圃場整備事業が終わったばかりなんです。それで全然そういう施設がないんですよ。それで自分たちで急遽手段を講じてやっているわけなんです。だからあえて入れるべきだ、こういうふうに申し上げているわけなんです。時間が余りありませんので、いまの答弁の中で十分そのことも考慮のうちに入っているというその答弁で一応結構です。  それから気象庁来ていただきましたか。——冒頭にお伺いしたんですけれども、今回の十八号台風は佐賀、長崎には非常に降雨量が多かった。また中国方面に行っても非常に多かった。ところが福岡県下は余りなかったわけなんです。それで雨台風だろうと思っていたら風台風ということでちょっとこれ非常に失望したというのが福岡市民の端的な見方なんです。それでこれは技術的な問題になるだろうと思いますが、一体どうしてあそこいら辺あたりが雨台風じゃなくて風台風変化するのか、そこいら辺もしおわかりであったらばお知らせ願います。
  164. 窪田正八

    説明員(窪田正八君) 風台風になるか雨台風になるかというのは大変予測がむずかしゅうございまして、私たち予報の段階ではそれは余り申し上げておらないのでございます。先ほど長崎で非常に雨が降ったというふうにおっしゃいましたけれども、恐らく五島列島の方で大変降っておりますが、同じ長崎県でも長崎の町の方は余り降っておりません。そういうふうに非常に局地性がございますので、理由はいまのところはっきりはわかりません。
  165. 原田立

    ○原田立君 はっきりはわからないだなんてそんな突き放したような物の言い方じゃなしに、それみんな福岡市民の人たちは、はてなどうしてなんだろうと首をかしげて知りたがっている一番の大きな問題点なんですよ。それで、どうしてもわからないと言うんなら結構ですけれども、そこいら辺もある程度のやっぱり納得いくような説明がされるべきではないでしょうか。
  166. 窪田正八

    説明員(窪田正八君) 多少想像を申し上げますと、福岡の場合には南に山がございますので、ああいうふうに福岡の海寄りのところを通りますと空気が駆けおりるような形になるわけです。そういう効果が一つあったかというふうに想像はされます。  それからもう一つは、ことしの台風は非常に異常でございまして、例年よりも北の方で発生して、そして今度の場合でも長崎に近づいたときに発達するという、普通の場合ですともっと南で発達するわけでございますけれども、そういうような異常でございまして、恐らくあの辺で衰え始めたのが福岡状態ではないか。これはしかしあくまで想像でございますので、その辺の情報をもう少し技術的に詰めていきたいというふうに考えておりまして、ことしはその予算措置もとることになっております。
  167. 原田立

    ○原田立君 急な質問で大変恐縮なんですけれども、現在六時間給水、十八時間断水というのが福岡市周辺の実態です、飲料水の。これを九月いっぱい継続するにしても九月中に百五十ミリ以上の雨が降らないとそれが継続できないんだ、こういうふうなことが新聞報道されているわけなんですけれども、これも先々のことですからあれですけれども、いままでの経験から言って今後の降雨、これはいままでの過去の経験から言って大体そういうようなことは心配ないんでしょうか、百五十ミリぐらい降らなければという前提があるそのことについては。
  168. 窪田正八

    説明員(窪田正八君) 百五十ミリの雨と申しますと、これは普通の雨ではとてもそういうふうになりませんので、まず北の方から前線が何回かおりてまいりましても一回で十ミリから二十ミリということですから、三回おりてきたとしても四、五十ミリということ。そうすると、あと残りますのは台風だけでございます。台風はあと一個ないし二個日本に影響があるというふうに考えておりますから、その影響がもし福岡に非常に幸いをもたらせば可能性はあるというふうに考えられます。
  169. 原田立

    ○原田立君 これは本当にどうしようもない答弁で、福岡市民の一人としては大変心配な問題でありますが、それはそれとして、先ほど国土庁説明の中に水の利用の問題についてもっと研究しなきゃいけない、節水しなきゃいけないというような話もありました。その中で国土庁は来年度から福岡市を舞台に中水道モデル調査を実施するよう計画しているようでございますけれども、中水道導入の実用化に対しどのような見解を持っているのか。またいままではどのような調査研究を実施し、どの程度の成果があったのか。中水道導入の具体的事例はあるのかどうか。その点をお伺いしたい。
  170. 飯塚敏夫

    政府委員(飯塚敏夫君) 先生先ほど中水道と申されましたが、私どもは利用の立場から雑用水という言葉を使っておりますので御了解賜りたいと思います。  雑用水の問題につきましては、超長期の展望に立って考えますときに、首都圏南部、あるいは京阪神、北部九州のこのわが国日本の三地域におきましては将来必ず水不足が予見される。この水不足といいますのは、いかにダムを開発してもその表流水の利用率そのものがだんだん高まってまいりまして、私どもがダムでとらえる限界に到達するだろうということが超長期的展望に立ちますと予見されるわけでございます。したがいまして、一回使った水を再度利用すべきいわば雑用水利用計画につきましていまから研究をして、それらの方策を考えておかなくちゃならないというのが私どもの見解でございます。  すでに水資源の節約ということが直接のきっかけではございませんが、雑用水の利用につきましては全国で約四十近い実施例がございます。地盤沈下等に対処するために地下水を転換するための雑用水利用、あるいはまた下水道設備が急激に伸びない、その下水道設備の負担を軽減するために、たとえば最近できました池袋のサンシャイン60とか、そのほかの高層ビル、そういうもので下水道の負担も軽減するというような目的のために雑用水利用がすでに実施されております。私どもとしましては、もっと長期的な展望に立って水資源そのものの資源上の立場から雑用水利用を考えなければならないということで研究を進めておるところでございます。  国土庁といたしましては部内に水資源局といたしまして、学者、先生方にそういう研究を進めていただいておりますが、それらの成果も一応先生方から得られましたので、具体的には来年度の予算要求に当たりましては、雑用水の利用計画に対しまして実際の計画をモデル的に立ててみよう、先ほど申し上げました首都圏、近畿圏、福岡地区につきましてモデル計画を立ててみようということの予算要求をしております。そのほか雑用水利用の促進を図るために税制上の措置、あるいはそれらの設備に対する金融上の措置、そういうものも来年度の要求として考えておるところでございます。
  171. 原田立

    ○原田立君 五十年五月の水資源の利用に関する行政監察の中で、通産省に対して工業用水の利用合理化についての勧告があるわけでありますが、当局はみずからの回答に沿ってどの程度の実績を上げてこられたのか、その点についてお伺いしたい。
  172. 北川幸昌

    説明員(北川幸昌君) 北川でございます。  先ほど御質問がございました工業用水の使用合理化の促進につきましては、今後の水需給の逼迫傾向に対処するために工業用水の使用合理化を地域、業種に応じまして体系的に推進する必要があると私ども考えておりますところでございますし、先ほどリファーされました文書でもその必要性が書かれているところでございます。  こういった必要性にかんがみまして、産業構造審議会という審議会が通産省にございますけれども、ここから五十年の十二月に工業用水使用合理化のあり方についてという答申をいただいております。通産省といたしましては、これにのっとりまして昭和五十一年度から地域別工業用水使用合理化指導調査というのを実施いたしまして、地域別水使用準則というのを通産省の手で策定いたしております。さらにこれをもとにいたしましてきめ細かい指導を行っておりますが、具体的には企業サイドでその実施計画をつくる、さらにその実施計画に基づきまして水使用合理化、節水のための設備の導入を図るというような対応を行っているところでございますが、今後ともこの調査拡大いたしまして水使用の合理化を促進してまいりたいと考えております。  なお具体的に申し上げますと、先ほど昭和五十一年度からこの調査を実施いたしておりますと御説明申し上げましたけれども、五十一年度は所沢地域、名古屋西隣——西の隣の地域、五十二年度は川越地域、尾西、一宮地域、福井地域、今五十三年度は朝霞、和光地域、名古屋北部地域、佐賀地域といったような地域を逐次実施してまいっておりまして、累計八地域に及んでいるところでございます。
  173. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 国土庁建設省宮城地震について簡単に御質問をしたいと思うのです。  大蔵省の方はお願いしておりましたけれども、遠藤委員からの質問もあって答えられておりますから、お帰りいただいて結構です。  個人災害救済という観点からこの宮城地震に関して防災集団移転事業の問題が当初から大きく言われてきたわけですけれども、実際上これの法の適用というのは農村向きのものであって、仙台のような都市災害の場合になかなか実態に合わないというような声も聞いているわけです。この点について補助限度額の問題なんかも低きに失するという住民の声もあります。どうした改善を考えられておるのかというのが一つ。  それから、移転を行う場合に被災地の跡地の買い上げの問題について現行では非常に低い評価になって困る、実際に災害発生前のそれを購入したのに見合うような価格で買い上げてもらいたいというのも現実の要求になっております。この問題について国土庁にお伺いをしておきます。  さらに移転先の用地、この問題も聞くところでは法務省少年院の跡地とかいろいろの声を聞くのですけれども、具体的な進行中の話はどこまで進んでいるのか、この点についてお伺いをしておきます。
  174. 佐藤順一

    政府委員(佐藤順一君) お答え申し上げます。  まず第一点でございますが、防災集団移転促進事業費補助金の単価、すなわち補助限度額の問題でございますけれども、これは従来からも年々その引き上げを図って今日に至っているわけでございますけれども、最近におきます災害の発生状況にかんがみまして、さらに一段とその充実強化を図るべく昭和五十四年度予算の概算要求に当たりましては都市地域につきましても実情に合いますように要求を行っているところでございます。  それから第二点でございますが、移転促進区域内の土地の買い取りに係る補助対象経費の問題でございますけれども、これにつきましては実は現在施行規則におきまして移転促進区域が災害の発生するおそれがある危険区域であることを勘案して算定した価額とされているわけでございます。土地の買い取りは移転者にとりましては移転資金の一部になるということは十分承知しているわけでございますけれども、しかし他面地方公共団体にとりましては公費で土地を取得するという行為にほかなりませんので、どういたしましても被災による減価とか、あるいは今後土地利用の規制が行われるなどによる減価が考慮されるのはこれはやむを得ないことではないかというふうに考えておるところでございます。  それから第三点の移転先の問題でございますけれども、現在仙台市におきましては宅地保全審議会の技術専門委員会というところにお願いをされまして種々検討をしていただいておられるところでございます。その報告に基づきまして緑ヶ丘地区につきまして集団移転を含めまして防災対策を検討するという段階と伺っているわけでございます。お話しございましたようにいろいろな候補地が挙げられまして現在検討中と承っておりますけれども、私どもまだ詳細については確定的に伺っていない状況でございます。
  175. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 来年度予算の中で防災集団移転事業について都市型というようなパターンを設けて単価改定をされるというような点は前進をした取り扱いになろうかと思うんですが、それにしても二月当たりの補助限度額が改定されたにしても実際の時価なり新しい購入とは見合わないような実態があろうかと思いますし、一層工夫をこらしていただきたいというに思うわけです。  跡地買い上げの問題についても、現地では仙台市長など非常に苦心をして災害前の実勢価格で買い取りたいというふうな意向も持っておられる。それに対して減額をして単価評価をやるということになれば、市が一生懸命やろうとすることが非常に大きな持ち出しになっていくというような状況もございますから、そのままの答弁では非常に不十分だと思うわけであります。この点についてもさまざま集団移転については大臣みずからも調査をされ、総理大臣もこれらについてはなかなかその時点で前向きの答弁もされてきておるわけであります。現在の到達点では不十分かと思うわけでありますし、また移転先の問題も現地任せというような消極的な態度にも聞こえるわけでありますが、大臣に一言考えをお伺いをしておきたいと思います。
  176. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) この防災集団移転の促進事業費補助ですが、これはいま局長の方からお答えをいたしましたように、私どもとしては極力この充実強化をいたしたい。五十三年度におきましては一律五百三十万円のことでありますが、先ほどの答弁で御承知いただいたかと思うんですが、都市型の甲地域と一般の乙地域に分けてそして極力これが増額に努めたい、こういうことで明年度予算については相当われわれとしてはがんばって何とか相当引き上げたいとこういう心づもりでおるわけでございますが、現在概算要求の段階でございますから、この程度にいけるということまで申し上げることはどうもいささか軽率でございますが、事業費補助の単価引き上げについては努力をしてまいりたい。  それから、移転地の問題については仙台市においていろいろお考えがある。小巻さん御質問の中で言われたような場所もそれは一つの候補であろうと思いますが、すでに小巻委員御承知であろうと思うんですが、その該当地につきましては過去において亜炭を採掘しておったというようなこともありますから、われわれとしてはさらに細心の注意を払い検討をいたしたい。そういうことでありますが、すでに緑ヶ丘の一丁目、三丁目の大体この程度の戸数が最も危険であるとか、避難すべき、また避難しておる戸数は何戸とか、現在百二十八戸ぐらい避難しておると思うんでありますが、その中で一番危険なものは何戸というようなことも十分その調査もしており、それらの集団移転について住居されている方のお気持ちも体しながら実施をいたしたい。こういうわけで一生懸命やっておるところでございます。
  177. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 建設省にお伺いをするわけですが、先ほどの質問の中で緑ヶ丘に住めるようにするために砂防や地すべり対策工事をしてほしいという要望には積極的にこたえていくような御答弁だったと思うんです。  この点に加えてもう一つお伺いをしておきたいと思うんですが、宅地の安全対策の一環として仙台市でボーリング調査をやっておるわけですね。これは一メートルについて四万円かかる、一個所二十メートルはやりますから一本八十万円だと。で、数十本必要だというようなことで、やることは必要でありやる気になっているけれども、全部自治体負担ということになれば非常に高額なものにつく。泉市ではこのためにはやりたくてもやれないというような話も聞くわけです。これについて国が補助するというような手だてはないものか。こういったふうな点でひとつ状況を聞かしていただきたいと思います。
  178. 瀬戸充

    説明員瀬戸充君) お答え申し上げます。  ただ適切なお答えになるかどうかちょっと前もってお断わり申し上げてお答え申し上げますが、私ども災害担当の課でございますので災害に関係ございます設備についてのボーリング等は、災害復旧費の中のたとえば測量試験費等の中に組み込まれますので見れるわけでございます。ただ、いま先生のお話によりますと、市が独自で対策をされるボーリングの調査でございますようですので、その点につきましては災害工事費の中ではちょっと見れませんし、あるいは地すべり対策は私どもの所管ではございませんが、そちらの方もその調査費の中に入っていなければ見れないということと思われますので、一応さしあたりは見れないんではなかろうかと思うわけでございます。
  179. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 地すべりの答弁は先ほどのが聞き損ないでなければ今度の答弁が後退しているように思うわけです。  これも先ほど気象庁にやってくるのは雨か風かという話がありましたけれども、こういう実際に災害のやってきたところで具体的な調査を現にやるというのは雨か風かよりははるかに対象が限定をされており、やればやるだけの効果のある問題、自治体の方から相談もあろうかと思うわけですし、現行ではいろいろな壁もあるだろうと思うわけですけれども、こうして具体的に対策は進んでおるのでありますから、大臣、これもひとつ腹におさめて、こういう問題についてもよく現地の相談に乗っていただきたいと思うわけです。いかがでしょう。簡潔に。
  180. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) いま具体的にボーリング一メートル四万円だから二十メートル八十万円、それで何本で幾らということを前提での御質問でございますから、それに直接お答えするについては、ただいま担当の方から申し上げたようなことになりますが、小巻委員御承知のように、宮城沖地震に伴って市がいろんな財政負担が講じられたということになってまいりますと、私から申し上げるのはいかがかと思いますけれども、そういう場合の自治省との間の御承知の特別交付税の算定などで勘案できるものはしていけるんじゃないか、こういうふうに思うんで、全然負担しっ放しだということじゃない、こう思いますので、私としてもそういうふうに災害による臨時の支出、財政負担についてお世話ができるものについては助言をしてみたいと思います。
  181. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 最善を尽くしてお願いをしたいと思うわけであります。  続いて、私は、すでに四年前になりますけれども、昭和四十九年の七月七日、東海地方のいわゆる七夕豪雨、三重県の伊勢市では勢田川はんらんという災害があったわけでありますけれども、この問題についてお伺いをしたいと思うわけであります。  あの災害はちょうど参議院の選挙の当日であって、その地域においては投票が延期されるというような、非常に例の少ない大災害であったわけです。具体的には日雨量五百四十ミリというようなことであって、私の承知しておるところでは全半壊が十八戸であったけれども浸水は一万三千六十戸に及んだ、そのうちで床上浸水のために家財を失い非常に大きな被害を受けた方々が三千戸を超えてあらわれてきた、こういうことでした。しかも堤防は壊れない、橋は流れない、災害事業の対象にはならない、雨が過ぎ去って水が引いてしまえば公共施設には具体的には大きな被害は残っていない。こういうふうな災害であった。これに対してその後激特の事業が適用されて進行しておるわけだと思うわけであります。この事業計画と実施状況、また今日からながめて当時のああいう大災禍がもたらされた具体的な原因等はどういう状況であったのかということを担当の方から御説明をいただきたい。
  182. 川本正知

    説明員(川本正知君) 先生いま御指摘がございました勢田川の四十九年の災害でございますが、いま先生がおっしゃいましたような非常な災害の事実があるわけでございます。  まず第一に災害原因でございますけれども、いろいろの原因考えられると思います。まず第一に四十九年の雨量というものが非常に既往最大の雨量であった、非常に大きかったということが一つございます。いま先生がおっしゃいましたけれども、私どものデータでは二十四時間雨量で四百九十五・六ミリといったような既往最大の雨量であったということがございます。それからまた勢田川の流下能力が非常に小さかったといったこともございますし、また地盤が低いために潮位の影響を強く受けまして、たまたまその時点での潮位が高くて、それに出水が重なったために排水能力がオーバーした、それに都市下水道といったような、そういった都市排水の施設等も小さかった。あるいは上流の流域の開発の状況も進んでおりまして、そういったことでの流水量の増加というふうなこともあった。いろんなことが原因として考えられますが、そういったものがそれぞれ複合して出たものだろうと、そういうふうに思っております。  それから激特事業の内容でございますが、激特事業といたしましてはこの四十九年の災害にかんがみましてその四十九年の出水いたしました流量に応じまして河道を改修していこう、その順序とした幅百メートルの水門を設置いたしまして、いわゆる災害原因になりました潮位の逆流といったようなものを防ごうということでございます。それと同時に、水門閉鎖時の排水のための排水機、これは全体計画では六十トンでございますが、この激特事業としては四十五トン毎秒を計画しております。それを設けまして、さらに河道部分につきましてはいわゆる川の断面積が狭うございます。そういった狭小部の拡幅、広げることを行います。そういったことで堤防、護岸等もさらに設けまして河道改修を実施するといった内容で、現在のところ先ほど申し上げた水門の事業にかかっておりまして、そういったことを含めまして進捗率といたしましては全体の三三%になっておる、そういう現況でございます。
  183. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 河道改修と防潮水門と排水機場をいま激特でやっておる、進捗率は三三%というふうに言われるわけですけれども、それぞれ河道改修、これも大臣の直轄になっておる河口から六キロ地点ですか、あそこまでは直轄の事業になっておるわけですけれども、これの中を、特にあの古い伊勢市の町の中を堤防とか堤防の上の道路とかないままで、セーヌ川とか、大阪であれば道頓堀川とか、あるいは京都の鴨川のように町の中を流れておるわけですね。この正味の川の中の問題の進捗率、立ち退きもかなりにあるやに聞いておりますけれども、計画の概要はどのぐらいの立ち退きを要して、そしてどういう事業を河道改修ではやられるのか、あるいは防潮水門、ポンプ場は具体的にはいつを目安にして、どういう進行状況になっておるのか、もう少し具体的に言ってもらいたいと思います。
  184. 川本正知

    説明員(川本正知君) まず、いま先生おっしゃいました市街地の中の河道の改修の方でございますが、これは現在のところのいわゆる流下能力というものは、川の中流部でございますが、中流部では大体毎秒四十トンから八十トンくらいでございます。それから上流——上流部といいますのはいま先生おっしゃいました直轄区域の上流端付近でございますが、これが大体二十五トンぐらいの……
  185. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 中流は何トンですか。
  186. 川本正知

    説明員(川本正知君) 中流部が四十トンないし八十トンぐらいでございます、断面によって異なりますが。  そういう現状でございますし、四十九年の七月、先ほど申し上げた出水に対応する流量というものが中流部では百三十五トン、それから上流部では百トンぐらいと推定されております。そういった流量が流下できますように河道の改修をしていきたい、そういうことでございまして、現在のところ河道部分の進捗は地元の問題もございましてほとんど進んでおりません。用地買収が五十二年度に一戸進んだという状況でございます。  それからポンプと先ほどの防潮水門でございますが、これは工事を進めておりまして五十五年の四月までには完成させたい、そういうふうに思っております。
  187. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 激特事業というのは特に一般の災害復旧事業では及ばない一般災害に対してこれが再び起こらないようにするために大体五年程度をめどにして速やかにやっていくというのが私は趣旨になっていると心得ておるわけですが、五十一年からすでに着手されて、ポンプ、水門の方はいまの状況をお伺いすれば大体五年というような限度でりっぱに完成をするだろう、確かに潮位が高くなってきますとあの川はもろに影響を受けますから、これが上ってくるのを水門とそしてポンプ排水でこれを解決していくという点は状況にこたえる激特の趣旨が生かされるものだと思うわけですね。  ところが、いまお伺いをしても市街地を流れて特に集中して被害が出た地域ですね。この周辺が一戸だけ買収に応じたけれども、まだ買収事業が五年間の半ばに達する今日においていわば手つかずであると言っていい状況に置かれている。これは一体どういうわけなんですか。これで大体五年見当の中で激特の趣旨にかなうこの事業の完遂が期せられるのか、そういうような点もお伺いをしたいと思います。
  188. 川本正知

    説明員(川本正知君) 激特事業は先生おっしゃいましたように大体目標をおおむね五年間というふうなかっこうで進めていきたいということでやっております。五十一年にこの制度ができましてからすでに全国で直轄でも十七河川、補助で五十一河川ぐらいだったと思いますが、そのぐらいの数を激特事業としてやっておりまして、大体この勢田川を除きましてほとんどの河川は順調に激特事業は進ましていただいております。  この勢田川につきましてはいろいろと人家の密集地の川を広げるといったようなことで買収家屋が二百四十数戸に上ります。そういう計画でございます。非常に大変な大ぜいの方の移転を伴うということでございまして、そういった意味では大変地元の方にも御理解をいただかなきゃいかぬという事業でございます。そういう特異性もございまして、私どもの方で現地工事事務所を通じましていろいろと地元の皆さん方に御理解をいただくように努めてはおるわけでございますが、いまだにいま現実としては先ほど申し上げたように用地買収は進んでいないという現況でございます。そういったことを踏まえまして、私どもといたしましても今後さらに根気よく御理解を得るようにいろいろと御説明をし、また御協力を得るような体制に持っていきたい、さらにさらに努力を重ねたいと、そう思っております。
  189. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 二百四十戸という計画を持たれて、二年間かかって二月買収しておったら四百八十年ばかりかかることになるのじゃないかというような算術計算もできるわけですけれども、どうして現地の住民はあれだけ痛い目に遭って、そしてそういう災害が再び起こらないために行われるはずの工事に対して用地買収等でそれだけ難航をするのか。私はその点については、それは住民に対して既設の計画をPRをされて理解を求めるという点もあるでしょうけれども、計画自身の中に住民の側から受け入れがたいものとか納得できないようなものがあるのではなかろうかというようなことも感じざるを得ないわけであります。  私もあの水害の直後には自分自身が選挙の当事者でしたからあそこへ行っていろいろ状況も見ましたし、その後も何度か行ってみるわけなんですね。確かにあのときの災害というのは大きな被害をもたらしましたけれども、堤防はやられたわけじゃないのですね。橋も流れてないわけですね。そして人家に被害がきたというわけなんです。水が去ってしまえば公共施設は何にもやられてないから、それだから通常堤防決壊があればこれは公共事業等の損害として災害復旧事業でやれるのに対象にならなかった。橋も堤防もやられずに低いところがやられた。実際にどうしてなったのかというと、私の聞いたところでは、六割の被害は大体市街地に降った雨水その他の溢水が下水に処理能力がないためにそのまま浸水してきた、またポンプでいま解決しようとしておるこの川口の方で岸と水面との間が一メートル五十センチぐらいまだ余裕のある時期から床下浸水が始まっておるわけですね。それで高潮のやってきた午後十時とかそういう時期になってもまだ水面と岸との間には十数センチぐらいの余裕があるわけで、そのときに床上浸水をしておるわけなんですね。  だから御当地の当時の実力も持っておられたのでしょう。あの衆議院の議員さんは、これは公共の施設は何にもやられていないし、水が去った後は何にも跡形を残してないのだから下水の問題が第一だ、それからもう一つは上流の鉄砲水の問題だ、残りの四割はあの大体今度の事業対象になる六キロ地点より上からやってきた鉄砲水でやられておる、このくらいの水は、何しろ三百何十年も前にこの町というのは造営された町ですから、このくらいの雨が来ることはあっても、いままではやられなかった状況が今日の状況からやられたのだ、こういうふうに言っておるわけです。  今度の計画を聞いてみますと、だれでも考える方の、それで建設省でも原因として挙げられた都市下水路のつけかえというような問題とかあるいは上流の遊水地とダムというような点には何の手もつけないで、そしてむしろ余りやられなかった自分でかさ上げをして堤防のそばにあるところが立ち退きをかまされ、そしてこれがもめておって、そのために全体の計画が進まないというふうになっておると思うのですが、どうしてこの下水の問題とそれから遊水地ダムの問題等には手をつけないわけなんですか。その点はどうなっておるのでしょう、計画としては。
  190. 川本正知

    説明員(川本正知君) 先生ただいまおっしゃいました下水とそれからダムの方の話でございます。下水道の方の計画といたしましては、私も担当ではございませんけれども、現実に都市計画を決定いたしましたのは吹上の下水道というのと南部の下水道という二ヵ所ございまして、現在建設中あるいは計画中というものでございます。将来二十五トンないし二十六トンといった下水排水施設で事業を進めていく、現に進めておられるというふうに聞いております。また上流ダムも必要じゃないかとおっしゃるのは当然考えなきゃいかぬことだと思っております。  ただいま先ほど申し上げましたような河道計画流量と言いますものは、当然ではございますけれども、上流のお山に降った雨、流域に降った四十九年の雨から計算で出したものでございまして、そういったものを対象にしてどうしてこの勢田川全体の治水を考えたらいいかということは過去にも十分いろいろと検討しておりまして、河道の改修とかあるいは遊水地とかあるいはダムとか先ほど申し上げた水門とか、そういったものをいろいろ組み合わせをいたしまして、十通りぐらいと聞いておりますが、そういったいろいろな組み合わせによりまして改修方式を検討いたしまして、そしてその技術的なあるいは経済的ないろんな面からの検討を加えまして、将来の構想といたしましてはいま申し上げたような河道改修も必要ですし、遊水地ダム等も必要ですし、それから水門、排水機場あるいは都市下水の完備、そういったものすべてを含めたものが必要だというふうに考えております。  その中から実は先生おっしゃいましたように激特事業というものを土木施設災害があれば災害復旧の助成とか関連とかいろんな事業でできるわけでございますが、この勢田川の場合にはそういうものがございませんでした。全国的にもそういった土木施設災害がなくて一般災害がある、甚大な災害があるというケースがふえております。それがとりもなおさず激特事業の採択の目的でございまして、そういったことから、いま申し上げたいろんな各種の対策が将来構想としては必要ではございますが、その中から激特事業として河道改修と防潮水門、排水機場、そういったものの組み合わせをまず取り出して激特としてやっていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  191. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 まずと言われるのなら、その後に上流の遊水地ダム計画はそれじゃ五十五年以降予算計上して実施していくとか、そういうふうに具体化された総合プランがあるのかないのか。あった方がいい、しかしいま計画でやるのはこの河道改修とそれから水門、そしてポンプだけだと、こういうことではないのか。具体的に計画上流において存在しておるのか。下水の問題もいま言われたような程度ではとうてい現地の住民が考えておるところとは見合わないと思うわけですが、その点どうですか。
  192. 川本正知

    説明員(川本正知君) ダムの問題等も当然必要であろうということは私どもとしても、繰り返しになりますけれども将来構想としてはそういうものは必要だということを考えております。ただ四十九年の災害の実態を見まして、現在の河道能力が先ほど申し上げたように非常に足らない、それを三倍ないし四倍に激特事業で流下能力をふやすといったこと、これがダム建設によります効果、そういうものに対しましても効果が大きいというふうな判断から激特事業としていま申し上げたような事業を採択してやっておるという状況でございます。  それから下水道の方は私どもといたしましても地元公共団体といろいろ打ち合わせをいたしまして、整合性を持つように協議をしながらこの改修計画も立てておるわけでございますが、そういった中でいろいろと考えていただいておるものだと思っております。
  193. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 必要ではあっても優先順位があるから河道が最優先だというふうにお聞きしておるわけですが、それでは河道においてはこれは台風でやられずに結局事業で立ち退かされるわけですから、台風被害を受けずに事業で被害を受けるという住民がかなりおるわけなんですね。この点で人家密集地帯ですね。特にこれ古い倉屋敷の家が立ち並んでおりますが、その地域においてはいままでの川幅は大体二十メートルぐらい現在あると思うんですが、これが何メートルに拡幅されるわけですか。
  194. 川本正知

    説明員(川本正知君) 川幅といたしましては私ども計画しておりますのは堤防から堤防の間が二十七・五メートルという計画でございます。これは河口より三・四キロから上流の区域について申し上げます。その中でも実際に水が流れる主要な断面となります区域の幅は二十メートルという計画でございます。それに対しまして現況川幅は、先生おっしゃいました現に二十メートルあるじゃないかというところももちろん確かにあるわけでございますけれども、大体私どもの方で調べております範囲では一番狭いところでは十二メートル、平均して四キロから上流ぐらいにつきましては十五メートルないし十七メートルぐらいだというふうに聞いておりますし、そういう状況でございます。
  195. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 私も現地でいろいろ聞いておるのですけれども、確かに上流部分では十五メートル程度のところが二十メートルに実際の川幅が拡幅されるというような点はあっても、一番問題の立ち退きの密集しておる地域はこれは現在も二十メートル相当と大差ない状況で、主として家を取り壊しをした上で堤防面積が広がるのは管理道路が両側につけられることによって立ち退きを余儀なくされる。これは一方では不況防止としての需要創出効果などはあるわけでしょうけれども、生身の家を追い出してこれは事業をやるというわけのものではなかろうと思う。この点では必ずしも今度の立ち退きと流水量の増加とは見合っておるとは現地の人たちは感じていないわけであります。  これらについては、もし管理道路が何がしかの方法で技術的に解決をされていくなら立ち退きなき河道改修、あわせてこれは流域下水、あるいは昔から支流のようにそのわきにいっぱい流れておった川を幾つかの川はいま埋めてしまっておりますから、こういったふうなものにパイプ排水等を行っていけば由緒ある町並みを壊滅的に立ち退きをさせる必要はないんだというような訴えも受けておるわけであります。その点ではいま言われるところを聞いても部分的には十七、八メートルもしくは底の方でつぼんでおるために少しなにしておるものを二十メートルにすると言うんですから、川幅自身は変わらないというのがいまの御答弁でも出てきておると思うんですね。流量についてはこれは一定の改善措置が行われるでしょう。しかしこれも計画次第ではこの流量を少しくカットをして他の方法で海へ運ぶことも方法はないとは言えないし、何よりも優先をして上流のもとは水田であったり木が生えておった地域ですね。この鉄砲水をいろいろ始末することが必要だと思う。むしろ建設省の出されたさまざまなこの計画案等を見ると多目的遊水ダムとかその他でなかなか書かれておるわけですね。こういったことをきっちりと実施されていくべきではなかろうかと思うんです。  私はいまの状況では激特法の趣旨にかなう一つの事業効果は上げにくいと思いますね。何しろ現在一戸しか買収していないのに二百四十戸、さらに橋のつけかえがあってかさ上げになれば、その影響での立ち退きは、あるいはこの家に対する影響はさらに百戸、二百戸とふえるというようなことも現地で言われておるし、これも否定できない問題ではなかろうか。この点やっぱり事業の前後が原点からいろいろ反省をされるべきではなかろうかというふうに思うわけです。  ここでお伺いをするわけですが、建設省計画の実施に当たって、最初に中部地建ではたしか民間に委嘱をして調査をやられたですね。設計会社の八千代エンジニアリング、こういう会社に勢田川改修計画を依頼されたはずであります。この点については課長わかりますか。それが大体どういう答申を出し、建設省ではそれを受けてそもそも一番初めに出した原案はどういうものであったのか、わかりますか。
  196. 川本正知

    説明員(川本正知君) ただいまの御質問に対しましては先ほど内容を御説明したものでございますが、もう一度繰り返して御説明いたしますと、勢田川の四十九年の災害にかんがみまして、その勢田川の治水計画をどういうふうに立てたらいいかということをいろいろの面から検討しました。それにつきましてはいま先生おっしゃった民間のコンサルタントを利用してやったというふうに聞いておりますが、その場合の検討といたしましては、やはり川を広げる河道の改修、それから防潮水門の設置、あるいはそれに伴うポンプは当然のことでございますが、そういったものを設置、あるいは放水路をつくれないか、あるいはダム、遊水地、そういったものの可能性があるかどうか、そういったものをいろいろの組み合わせを考えまして、これはケースが十通りぐらいございました。そういった十通りぐらいのケースでそれぞれの効果、それから経済性、技術的な検討、そういったものを含めましていろいろと検討いたしました。その中から河道改修とそれから遊水地ダム、それから水門、それから都市下水のつけかえ、こういったものの組み合わせのものが一番いいんじゃないかというようなことを検討いたしました。それが将来構想として先ほど来お話ししておる内容でございました。
  197. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 確かにいまお認めになったように当初の計画は四本柱ですね。上流遊水地ダムと、それから特に内水排除のための都市下水路、そして河道改修と防潮水門、ポンプ場。四本柱のうちで激特で予算要求をされたのは、どういうわけか、河道改修と防潮水門、ポンプ場だけなんですね。そして二つの重要なものはこれはたな上げになったままであって、いつから実施されるのか目安がついていない。しかも上流地域なんというのは虫食い状に住宅開発をされつつあり、いま現状変更の過程にある場所なんですね。こういった点は非常に現地として納得のいかないところでありますし、私自身としてみても激特の趣旨にもかなわないのじゃなかろうか。堤防がやられ橋が流れたときには、これは一般災害復旧事業でやるわけなんですよ。ところが、この場合には橋梁は大丈夫であっても民家が浸水したんですからね。特にむしろ優先して考えられるべきは遊水地ダム都市下水路の問題である。そしてその中で当然この河道改修については住民との対話を持って、あなた方の方でもいろいろ文書で住民との対話の問題出しておられるわけですから、よく話し合って総合計画の中で協力を得て進められるべきだ。  ところが、これはどういうわけか予算要求で二つだけになって、これが最終案だ、これだけ流量を流せばがたがた上流のことや下水のことを言わなくても目鼻がつくんだということで実際現実には進んでおる。ところがそういう状況になりますと、まあ住民の方でもこれは補償費の問題もあるでしょうけれども、買収に応じない。こういう状況があって五年間という激特の趣旨が、他の地域ではかなり順調に進んでおるのにここでは行き詰まっておるという現実になっておるのだ、そう思うわけです。  ぼくはここで大臣にお伺いをするわけですけれども、激特の置かれた趣旨というものは一体どういうことなのか。まあ大臣から聞く前にこれについて建設省みずから五十一年当時に出された解説があるわけですから、私はそれに従ってお伺いをしておきたいと思うわけです。  激特の趣旨について、河川局の矢野洋一郎という当時の課長代理ですか、当時の「河川」という月刊雑誌にこの立法の趣旨を書かれておるわけですが、これはぼくは非常にこの法律の趣旨をよく書かれてあると思うんです。まず目的は何か、災害復旧事業やそれからその関連の法律の対象にならない対象外に対して再度災害が起こるのを防止するためにそれを目的としてつくる。まあ二千戸というような指定基準がありますが、その事業採択をするに当たっては基準として再発防止に必要な一定計画に基づいて、工事施行個所上流下流の均衡のとれた一定計画を出して、その中で進めろと書いてある。大臣、そうでしょう。いかがですか。
  198. 川本正知

    説明員(川本正知君) ただいまの御質問にお答えする前に、ちょっと先ほど先生がおっしゃいました激特の中にダムや遊水地が入ってない、そういったことでおかしいじゃないかという御指摘に対しまして一言だけお答えさしていただきたいと思います。  それにつきましては、先ほど来申し上げておりますように上流の遊水地、ダム等も含めまして将来の構想としては勢田川の治水計画があるべきであるというふうなことを考えておるわけでございますが、ただ激特事業といいますのはいろいろと採択の基準もございますし、効果ができるだけ早く上がる方を取り上げるということがまあ通常でございます。そういったことで、私どもが現在までに検討いたしました段階では、ダムや遊水地によります洪水量の調節、いわゆる洪水量をカットする量というのは大体三十トンぐらいじゃないかというふうに調査の結果出ております。そういったことで、まだまだこの辺につきましては現地のいろんな状況調査地形、地質、そういったものを含めて調査を進めなければ数字は固まらないわけでございますが、現段階ではそういうふうに考えております。それに対しまして河道を広げる現在の激特事業で採択しております河道にいたしますれば、この河道の改修で大体八十トン前後、八十トンから百トン近くはその河道の改修でかせげるんだというふうなことが出ております。そういった意味からも河道の改修の方が効果が大きいんじゃないかということから、激特事業の中にはその先ほど申し上げた将来構想の中からいろいろと有効なものをピックアップして取り上げた、そういうふうな考えでございます。  で、激特事業そのものの問題でございますが、それは先ほど先生おっしゃいましたとおりでございまして、その激特が災害の再発防止に必要な一定の計画に基づく工事であるといったこと、あるいは工事の施行個所上流部、下流部と均衡のとれたものでやるのが本来的なやり方であるということではございます。ただし、また全体の事業費が十億円以上で、しかもそのときの被害の総額までが限度であるといったような上限の制約もございます。そういったことから、遊水地、ダムもすべて含んだ激特事業というのはちょっと不可能でございまして、その中から優先度の高いものということで幾つかの工事を取り上げた、そういうかっこうになっておるわけでございます。
  199. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 いまの答弁ではなかなかりっぱな建設省の持っておられる激特の趣旨、たてまえが実りあるものとして生きていることにならぬと思うんです。もしいま言われるように上流調査も行った、これの水をため置くのか流すのか、一定の際にはため置かなければならぬということもありますし、これの効果については計算もして調査もやったと言うんなら、それじゃその問題をひとつ住民と話しするときにはその上下流の問題から全体計画ですね。上下流をやらない犠牲として川幅拡大させられて、しかももともと法律の趣旨でなかった堤防の改修に伴って家が立ち退かされるというふうに強く思っておる現地の住民に対して総合的な意味合いでの必要を話しされますか。しかも現地では地建には相手にしてもらえない、対話も途絶しているというふうな強い不満を持っておるわけです。この点についてはそれらの上流遊水地の問題を含める構想について話をされるか、どうか。これをお伺いしておきましょう。
  200. 川本正知

    説明員(川本正知君) 現地での対話がとぎれておるというふうなお話でございますけれども、私どもの事務所の出先といたしましては、できるだけ現地の地元の方々とお話し合いをしたいという気持ちはもちろん人一倍強く持っておるはずでございます。そういった点で私工事事務所の方から会わないとかいったようなことがあれば、これはもう非常に遺憾なことでございますし、いろいろとこの説明を十分させていただきたいと、そういうふうに思っております。
  201. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 じゃ、時間も迫っておりますから大臣にお伺いをするわけです。  伊勢市といえばそばに伊勢の皇大神宮があるばかりでなく、中世以降非常に歴史的な背景を持った町なんですね。特にこの川沿いの町並みというのは、これは十五世紀末からの伝統があり、これはいまから見直されるならまだりっぱな木造建築ですから、もしこれを町並み保存でもして手を入れていけば恐らく郷土の誇りになるようなものであろうと思うわけなんですね。これが川幅の拡幅ではなくて管理道路のために立ち退かされる、水につかったわけではなくて後の工事で立ち退かされるという非常に強い不満がある。こういう状況下で、現在先行きについても土地買収では非常に見通しの暗いような状況になっておるものですから、ひとつ大臣に、あわせて特に総合的な河川計画について、その法の目的どおりにひとつ上流部分についても速やかに具体的計画を立てる点についてお伺いをしたいわけです。やる方法は私はあると思うんです。大臣の管理区間、これが六キロ地点までですけれども、それを少し上まで延長してそして直轄事業でダムをやっていくべきだ、遊水地をつくるべきだと思うんです。  河川審議会では昭和五十二年の六月に総合治水対策推進の中間答申というのを出しておりますが、河川の持つべき保水遊水機能というものを非常に強調しておって、都市域での治水問題については流すかためるかだけれども、ためる方に重点があるというふうに言っておりますし、それに見合って河川局でも多目的遊水事業というものを五十二年から創設をされておるわけですね。これは一体こういう場所に適用されるためにあるのではないのか、こういうことをお伺いしたいわけです。この制度を見ればいまの課長の答弁とはやっぱり問題の見方を異にしていると思うわけですね。  この遊水地問題で予算獲得のために出された文書を見れば、これは何と言っていますか。多目的遊水事業、五十二年から創設をされておるわけですが、都市密集市街地における河道拡幅工事は用地取得難のためにかなり困難だ、そして莫大な費用と長い工期を要してかえって長期にわたって放置されては安全性が確保されない、都市河川河道だけで洪水を処理することは一般河川に比較して異常出水時の被害拡大させることになる、それだから下水道とかあるいは上流対策とあわせてやらなくちゃならぬということをみごとに言っており、その制度もつくられたわけですね。河川改修を行うのと遊水地をつくるのは同一の効果を発揮するものであり、中小河川改修費の補助と同率の補助を行うというので三分の二の予算措置もついておるわけです。どうしてこういうものを同時並行をして出されてこないのか。いかがですか。大臣にこれはお伺いしたいと思いますが。
  202. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 小巻委員の御質問は具体的に非常に詳細に御承知の上で私に対する御質問であるわけです。私には十分な予備知識はございません。ですから軽率な御答弁をするおそれがあってなかなかお答えしにくいんですけれども、一応の私の知識でいきますと、小巻委員は激特事業に伴うこの計画について河道の拡幅のところを一つの問題点に取り上げられておる。特にその提防の改修によって立ち退きをさせられるその地域について御疑問を投げかけておるようですね。それには法律等から見て上流部のダム建設とか、それから遊水地を考えろ、それは法律上できるのじゃないかという御指摘のように受けとめておるわけです。  そうすると、私から言うと現在七夕豪雨と言われたあれだけの災害の起きた地域に対して、ひとまず激特事業によって仕事ができるというので、先ほどからお答えを申し上げておるような防潮水門とかポンプとか、そして河道の問題とかを取り上げた一応の計画があるわけですね。しかしその計画が住民の御満足を得ておらないというふうに私は一応受けとめたわけです。しかし激特事業で五ヵ年の間で成果を上げよう、こういうことでひとまず立てられた計画計画として私は間違ってはおらないというふうに見るんですよ。ただ住民の納得、協力が得られないために河道の改修というものができないというところにひっかかりがあって、それで一戸しかまだ買収ができていない、それでいきゃ大変な年月がかかるじゃないかというところでつっかえておると思うので、その上流の方のこともおっしゃるようなことから検討をすべきだと思います。これは振り出しに戻していろいろやるということではなく、いま現に一応の激特事業で成果も上げつつある、しかしひっかかっておる問題がある、こういうことで私からよく担当者に検討を命じます。
  203. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 それでは最後に、大臣も現実をよく承知していないで余り具体的な答えはしにくいというのは、これは良心的な私は大臣の態度のあらわれだと思うんです。担当者にもよく調査を命じて関心も持とうという答弁だと思いますから、きょうはこれでおくわけでありますが、ぜひひとつ白紙還元はできないとか、それから成田のようになってもおもしろくないですから、この点についてはこの事情について私の方もわかったことがあったら資料も差し上げたいと思いますし、実情をよく把握をして、同時に原点に立って上流から下流まで、私は水門とポンプの問題は大きい評価が与えられていいと思っているんです。そこで問題があるわけじゃありませんから、やっぱり河道の問題のところにかなりよくお調べになったらまたひとつ検討しようかというような課題も出るかもしれぬ。こういう点も含めて御検討いただきたい。それについては前向きの姿勢を示されたわけでございますから、今後ともひとつ積極的に対処をしていただきたいということで、この質問を終わります。
  204. 川村清一

    委員長川村清一君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  205. 川村清一

    委員長川村清一君) 速記起こして。
  206. 藤原房雄

    藤原房雄君 もう大分遅くなりまして、貴重な時間を委員長からお許しいただきましたので、一言だけ。長い先ほど来のお話しはぜひ関係の方からお聞きいただくとして、地震のことをお話ししておったので、最初に、報ずるところによりますとイランの北東部タバス、ここで現在三千名ですか、推定では一万一千から一万八千かという大変な地震によります死者が出て、被害が出ております。これに対しまして、きょう地震のことをいろいろお聞きしたものですから、大臣にこういう他国のことではございますけれども、大きな被害が起きておるという現状から、国務大臣としてどういう形で政府としてはお見舞いまた調査、これに取り組みになられるのか、まずこの点についてお聞きしておきたいと思います。  それから、先ほど来お話しいたしておったんでございますが、宮城沖地震のことにつきまして要約して三点。  一つは地震保険のことでございますが、これもいろいろ論議がございました。現行の中ではなかなかむずかしいということはわかりますが、国の住宅政策で住宅がどんどん急増しておる。人の一生にとりまして家を建てるということはこれは大変なことでして、現在のように融資制度だけでいいのかどうか。これはぜひ地震保険の内容の改正とともに、もしこれが非常にむずかしいということであれば別のこういう個人災害に対してのあり方というものについては御検討いただかなきゃならないんじゃないか。別の制度にするのか、地震保険をもっといろんな論議のあったような形にできるのかどうか。これについては政策マンの大臣にぜひひとつ御検討いただきたいものだと思うんです。  それからもう一つは、地方自治体の財政力のないところでは上水道とか、先ほども申し上げたんですが、市町村で起債とかまた補助とか、こういうことについて激甚災並みの、激甚災に準ずるようなぜひひとつ適用の範囲の拡大を願いたいということが上水道や漁港整備とか、いろんな問題についてございます。これはぜひひとつ地元のいろんな現状に即した形で進めていただきたいものだと思います。  それから、大臣初め皆さん方の御努力によりまして宮城沖地震対策いろいろ講じられました。いまやっぱり残っておるのは住宅地として緑ヶ丘を中心とする団地、それから高層マンション、こういう住宅地に問題が残っておるわけでありまして、この高層マンションのサニーハイツ等につきましては現在測定すらしていないということでございます。緑ヶ丘等につきましては緊急地すべり対策事業や災害復旧事業、こういう問題について取り組まなければならないという先ほど御答弁があったわけでございますが、住宅地ということで、住宅がいまだに定まらないという住民の不安というものに対しまして、これはいろんな測定結果とかが出なければそれに対して国の対応というのはないのかもしれませんが、定まりました以上はひとつ早急にこの事業を興こし、そして住民の不安解消のために国の積極的な対処をお願いしたい、こういうことでございますが、これらの点について大臣の御答弁をいただいて終わりたいと思います。
  207. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) イランにおける大地震につきましては総理がイラン国を訪問直後のことでございまして、私も大きな関心とそれから心からそのお見舞いを申し上げる気持ちでいろいろ詳細な情報を取りつつあるところでございますが、政府はとりあえずこの大被害に対するお見舞いの意をイラン政府に表しておる段階でございます。  こういう災害に対して積極的な援助姿勢をとることの必要性は当然だと思いますが、イラン国の立場を考え、どのようなイラン国としてこの大地震に対し海外からの支援を必要とするか、そういうことを十分見きわめて対応しなければならないのではないか。もちろんいかなることでも必要のあることはするという、そういう原則的な立場は当然のことでございます。しかし相手国は相手国においてこういう点についてひとつ援助を求めたいということがいずれ早急に表明されてくるものと思いますので、その際にわれわれとしてのでき得ることをいたしたい、こういう心構えでおりますが、どういう復旧考えを持っておられるのか、いろんな点でまだ十分な詳細な情報が入っておりませんので、われわれとして本当に大きな被害で憂慮にたえない、いつでもでき得ることをする、こういう原則的なことでまことに恐縮でありますが、そういう姿勢を示しておきたいと、こう思うのであります。  それから、宮城沖の地震にかんがみて、被災をせられた場合にただ低利融資が受けられるということでどうであろうか、一方において地震保険があってこれが不十分である、こういう御見解から御意見を述べられたものと思いますが、その点は私どもとしてもこの機会によく検討しなければならない、こういうことで保険協会もまたそういう被災者の声にこたえて検討しつつあるところでございますし、またこういう地震保険の場合に最終的には政府の再保険と申しましょうか、それが必要だと思うのですね、一遍に大きな被害を受けるのでありますから。どこまで見るかというようなことで、限度額も設けられておりますから、それらの点について政府としてもよく考えるべき点があると思うのであります。そういう点から、もっと国民のまた現実に被災を受けている方にこたえるすべがありますれば、現在保険協会中心で御検討願っておりますから、それに政府としてもまたわれわれ担当者としておこたえをしていきたいと、こういうふうに思います。  それから、災害復旧に対しての財政措置につきまして、従来その対象になっておらないものについて配意をせよと、こういう御意向であったと思うのでありますが、これについては実は財政上どこまで見ていくのか、これは自治省の関係が中心になりますので、私十分いまここでこれこれということを承知をしておりません。また先生の方からこれこれを見ろということについて、いまの御質問では上水道、漁港などについても考えるようにということでございましたが、どの範囲がたとえば特別交付税の対象になり、どの分が外れておるのか、その点はよく検討をいたしまして、御指摘の点が外れておりそれを取り上げて財政措置ができるというようなことであれば、そういう点については自治省の方とよく協議をしてみたいと、こう思います。  住宅の方の緑ヶ丘の関係はすでに御承知であろうと思いますが、この危険地域と申しましょうか、集団移転の対象と申すべきでございましょうか、大体緑ヶ丘一丁目、三丁目については考えなければならない、こういうことで、また居住されておる方のお考えなどを徴しながら集団移転の先についても具体的に検討をされており、また特にその地域の中でも最も危険性があるのは私の承知しているのでは十七戸と聞いておりますが、それらにつきましては具体的に御相談申し上げておるように承知をしておるわけでございます。  なお現実に避難をされておられるのは大体百三十戸見当ではないかと思うのでございますが、被災者の方はできれば従来居住しておったところで再建をしたいという強い御意向があられるようでありますが、この緑ヶ丘の一丁目と三丁目だと私は承知しておりますが、その地域については集団移転をされるよう市が中心で配慮しておると思います。  それから、高層マンションの場合につきまして、これは低利融資に基づいて手入れをすることによって居住の方々もそういう措置でお進みになるお考えじゃないか、私の承知しておるのでは、このサニーハイツはあの建物全体が非常に危険なもので全部移転しなければならないというふうには聞いておりませんので、これは低利融資によっての復旧をすることが好ましいんではないか、こういうふうに承知をしておるわけでありますが、これはきょう実は藤原委員からそういう御質問をちょうだいするとかということで十分検討してきたことではございませんが、いままでの経緯からそういうふうに私は承知しております。もし私の承知しておることが間違っておればいつでも訂正もし、また措置もしたいと、こう思います。
  208. 藤原房雄

    藤原房雄君 具体的なことを聞いてもあれですから、先ほど来いろいろお話ししておりますので、よくひとつお聞きいただいて、住居という大事なことでもございますし、また季節柄早急にひとつ決まったことについては御処置いただきたいということでございまして、そういうことで、大臣お忙しいですから、何も忘れているわけじゃないだろうと思うんですけれども、ひとつだんだん寒くもなってまいりましたし、結果もだんだんわかりつつあるということで、積極的にひとつお取り組みいただきたいという、こういうことでよろしくお願いします。
  209. 川村清一

    委員長川村清一君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時三十六分散会