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1978-11-07 第85回国会 参議院 公害対策及び環境保全特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年十一月七日(火曜日)    午前十時四十五分開会     —————————————    委員異動  十月二十一日     辞任         補欠選任      増岡 康治君     三善 信二君      竹内  潔君     原 文兵衛君      熊谷  弘君     藤井 丙午君  十一月七日     辞任         補欠選任      三善 信二君     成相 善十君      藤井 丙午君     金井 元彦君      林  寛子君     増岡 康治君      佐々木 満君     竹内  潔君     久次米健太郎君     伊江 朝雄君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         田中寿美子君     理 事                 秦野  章君                 森下  泰君                 坂倉 藤吾君                 馬場  富君     委 員                 伊江 朝雄君                 金井 元彦君                 竹内  潔君                 成相 善十君                 増岡 康治君                 山内 一郎君                 粕谷 照美君                 矢田部 理君                 小平 芳平君                 中野  明君                 沓脱タケ子君                 柳澤 錬造君    国務大臣        国 務 大 臣        (環境庁長官)  山田 久就君    事務局側        常任委員会専門        員        今藤 省三君    説明員        警察庁交通局高        速道路管理官   矢部 昭治君        警察庁警備局警        備課長      依田 智治君        環境庁企画調整        局長       上村  一君        環境庁自然保護        局長       金子 太郎君        環境庁大気保全        局長       山本 宜正君        環境庁水質保全        局長       馬場 道夫君        文部省大学局技        術教育課長    福田 昭昌君        厚生省環境衛生        局乳肉衛生課長  岡部 祥治君        農林水産省構造        改善局計画部長  島崎 一男君        水産庁次長    恩田 幸雄君        通商産業省立地        公害局公害防止        企画課長     佐藤 素祥君        建設省都市局下        水道部流域下水        道課長      玉木  勉君        建設省道路局高        速国道課長    佐藤 秀一君    参考人        日本道路公団理        事        持田 三郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○公害及び環境保全対策樹立に関する調査  (水質汚濁に関する件)  (二酸化窒素に係る環境基準に関する件)  (流域下水道問題に関する件)  (養殖魚における残存抗生物質の人体に与える  影響に関する件)  (高速道路の低周波騒音公害に関する件)     —————————————
  2. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) ただいまから公害対策及び環境保全特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十月二十一日、増岡康治君、竹内潔君及び熊谷弘君が委員辞任され、その補欠として三善信二君、原文兵衛君及び藤井丙午君が選任されました。  また、本日、三善信二君、藤井丙午君、林寛子君及び佐々木満君が委員辞任され、その補欠として成相善十君、金井元彦君、増岡康治君及び竹内潔君が選任されました。     —————————————
  3. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  公害及び環境保全対策樹立に関する調査のため、本日の委員会日本道路公団理事持田三郎君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 公害及び環境保全対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 森下泰

    森下泰君 まず、自然保護の問題につきまして長官にお尋ねをさしていただきたいと思います。  これは実はけさの読売新聞でございますが、この読売の記事富士山空きかんの問題が出ておりまして、年間に九十五万個、現在四百五十万個、百八十トンの空きかん富士山にたまっておる、こういう記事でございました。  実は、私はこの夏、IPUの会議に参議院の団長ということでヨーロッパを視察いたしてまいりましたが、ヨーロッパ各地観光地状況につきましては長官もよく御存じのとおりでございます。それに比べまして、わが日本観光地状況はきわめて望ましくない状態にある、かように認識をいたしております。  特に富士山日本の代表的な観光地でございまして、実はその後ドイツから友人が参りまして、富士山にぜひ登りたいと、こう言ってきましたのですが、私は、それは望ましくないことである、あれはながめるものであって登るものではない、かような説明をいたしまして、それでていよく登らさないで済ましたのでございますが、さようなまことに不十分な状況にあると私ども認識をいたしております。  ついては、先般大臣におかれましてはことしの富士山清掃登山でございますかに御参加をいただきまして、みずから現地について御調査をいただいたように承っておりますが、その御熱心な大臣におかれましては、どのような対策をお持ちでございますか、まずそれをお伺いいたしたいと思います。
  7. 山田久就

    国務大臣山田久就君) ただいま森下委員から御指摘がございましたとおり、富士山というのはいわば日本シンボルである、こういうふうに言われておるにかかわらず、実際問題といたしまして、頂上と言わず山腹と言わず、おびただしいごみで埋め尽くされていると言っても過言でないような状態であるのは私は大変遺憾なことであると存じております。  外国事例等いま御指摘がございましたけれども、こういうようなことは、実は日本人というのは元来清潔好きなんだ、こう言われている過去のイメージというものと全く反したような状況が随所に起こっておる、ことにわがシンボル富士山において起こっておるということは、実に私は残念なことであると考えております。  そういうような点から、私実はいま森下委員の御指摘のとおりに富士山へ参りまして、現実にその状態を見てまいりました。その結果によっても、ひとつどうしてもこのごみの問題ということについてはこれは座視することができないという観点関係方面にも呼びかけまして、この点についての環境浄化ということを、ひとつそのための一つの大きなシンボルの第一歩としてそしてやっていきたい、こう考えたわけでございます。無論この国立公園というものの管理の原点の一つは、大きな一つはこれはごみ退治ということであることは当然だという、こういう信念にも立ちまして、関係方面協力も得ましてごみ一掃ということにつきましてひとつ積極的に取り組んでいきたい、こう考えている次第でございます。  なお、いま触れましたように、さらに進んで国立公園など自然環境浄化保全というようなことにつきましては、海外の事例に徴しましてもはなはだこの点おくれておるというような点にもかんがみまして、今後根本的な管理体制というか、態度というようなものについての根本方針をつくり出していくということを考え、ひとつ努力してみたいということで、この問題にそういう姿勢で臨んでまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  8. 森下泰

    森下泰君 ただいま長官の御決意のほどはよく了解をいたしましたが、重ねてお伺いをいたしたいんですが、富士山ごみ一掃は単に環境庁だけのお仕事ではなくて、地元地方公共団体あるいは地域住民関係事業者などが一体になって推進をしていただいて初めて効果がある、かように考えるものでありますが、この点につきましてもいささか御所見のほどをお伺いさしていただきたい。  それからまた、単にいままでは持ち込まれたごみを処理する、つまりごみを処理する、これを掃除をする、ごみが捨てられる、また掃除をする、こういうイタチごっこの繰り返しでありまして、果たしてこれで抜本的に解決ができるのかどうか、私は大変に疑問を持っております。  実は前の本委員会におきまして私は長官に御質問をいたしまして、発想転換が必要ではないかと。つまりたとえばでございますが、瀬戸内海閉鎖水域である、あるいは伊勢湾がそうである、東京湾がそうであるという事実そのものから、観点をそこから発していただきまして、閉鎖水域そのものを取り除くというような発想があっていいのではないかという御質問を申し上げました。  具体的には鳴門海峡をダイナマイトで爆破すればよろしい、こういう御意見でございましたが、そのことにつきましてはあちこちで大変物議をかもしまして御批判があるようでございますが、これは一つ考え方の例でありまして、そうせよ、それがいいと言っておるんではないのでございますけれども、しかし現実にいま関西の経済界ではそういう発想が必要ではないかという議論がすでに誕生をいたしておりまして、検討をされておりまして一というのは、一説には四国の底を穴を掘りましてトンネルを通して、太平洋の水と瀬戸内海の水とを交流する、そういう案もこれはたしかどこかで御検討になっているはずでございますが、そのことから思いますれば、鳴門海峡を広くした方がはるかに効果はある、経済的にもやりやすいということもございました。  まあこれは一つの例でございますけれども、そういうごみが出た、それを処理する、また出た、処理するというようなイタチごっこではなくて、基本的に抜本的な考え方あるいは対策というものにつきまして、長官はどのようなお考えでございますかお伺いをいたします。
  9. 山田久就

    国務大臣山田久就君) ただいま御指摘の点はまことにごもっともだと、こう考えております。  私富士を親しく視察いたしましたのも、つまりいろんな面について根本的な対策を立てる、それも関係方面との協力また関係方面の呼応ということを期待してやったようなわけでございまして、われわれとしてはひとつ関係機関との十分な協力を得てやりたい、こう考えております。現に山梨静岡両県ともまず連絡をとりまして、私どものいわば呼びかけに呼応しての積極的な動きも出ておりまするので、その協力を得ながらひとつこの清掃問題についてのさらに具体的な策をとるということで鋭意ともに研究をしているところでございます。  さらに環境庁といたしましては従来行ってまいりました清掃活動ごみ持ち帰り運動の一層の強化ということはもとより、たとえばかん類持ち込み制限あるいは焼却可能な紙容器というものに代替させていくというような方法とか、あるいは交通規制を強化していくというような方法のほか、自然保護のために費用の分担と申しますか、しょせんよき環境保全ということはやはり国民の積極的な理解協力ということをまたなければできない。これは諸外国の例を見てもそういうことでございまするので、そういう費用負担という観点からも国民のコンセンサスが得られる範囲でひとつ公園利用者から何らかの負担協力を求める点につきましてもひとつ検討を進めているような段階でございます。  もとよりこれらの実施につきましては、国、県だけでなし得るものではない。地元市町村等への協力要請関係事業者への強力な指導とともに広く国民各位理解を得て、さらにこの根本的な環境浄化指針確立というものに向かって努力してまいりたい、こう考えているような次第でございまして、関係県もこれに呼応して進んで具体策検討しておることは非常に喜んでおります。  まず、ひとつ富士山を真っ先に非常にきれいにして、それからその保全を進めていくというようなことで、自衛隊等のこの点についての協力ということも呼びかけておるようでございまするけれども、われわれもこの点を呼びかけて、まずひとつきれいな富士山確立というところを関係方面とともに実現したい、そこを出発点として大いにがんばっていきたい、こう考えております。
  10. 秦野章

    秦野章君 ちょっと関連で。  登山者年齢別みたいなものわかりますか。たとえば若者であるならば、それは恐らく学生、生徒でありましょうし、言うならばその対象別対策年齢層によってやっぱり対策が違ってくるかもしれない。何かそういうのは調査ありますか。
  11. 金子太郎

    説明員金子太郎君) 現在までのところそのような統計は持っておりません。
  12. 秦野章

    秦野章君 やっぱり対象がどういうものかを一遍見当つけて、そして学校というものは教育の場だし、教育ではそういうものを含めての一種の社会教育と言うのか、そういうことは私はやってもらえる問題ではなかろうか、文部省になってくるんだろうと思いますけれども、やっぱり総合的な政府の全体の機構の中で問題を消化するという発想が必要だろうと私いまちょっと感じましたので、そんな年寄りは少ないと思うんですよ。かん詰めほうったりなんかするのは若い者の方が多いと思うから、そういうところをひとつ検討してもらったらどうか。これは私の注文です。結構です。答弁は。
  13. 山田久就

    国務大臣山田久就君) 先ほども触れましたように、やはり環境問題というのは国民の非常な理解協力というものをまたなきゃいかぬという点から、そういう点についてもでき得ればきめの細かい対策関係方面ともよく相談していろいろ質のいい対策を講ずるようなことを考えてみたいと思います。
  14. 秦野章

    秦野章君 ついでに、年齢別の問題といま一つは、登る人は日本じゅうから平均的に登っているのか、わりあい近くの人が多いのか、ある程度わからぬかなという気もするが、そういう対象というものを少しきめ細かく具体的に浮き彫りにして、その対象に目がけて具体的な対策をぶつけるというようなことを、環境庁の所管でなければほかの役所に頼むとか、そういうことが必要だと思うんですよ。答弁は結構ですけれども具体性が必要だと。
  15. 森下泰

    森下泰君 長官、ありがとうございました。大変御所信のほどを私ども理解をいたしておりますので、ぜひ一層そういう御方針で御促進をいただきたい。  特にお願いをいたしたいんですが、加えまして私は再度申し上げますが、日本環境行政にはやはり日本の国土にふさわしい行政が必要でございまして、ドイツの場合、平地面積が八〇%でございます。日本の場合、逆に平地面積は二十数%であるということでございまして、その日本ドイツアメリカと同じような環境行政をやっておったんではとても解決をしないはずでございまして、その基本的な実情から物を考えるという私は発想転換が必要ではないか、水平思考ではなくて垂直思考をしていただいて、山があること自体がむしろ公害であるというぐらいの発想解決に当たらないと本当の解決はないんではないかと痛切に感じております。そうした点につきましても一層御検討いただきたい、お願いをいたしておきます。ありがとうございました。  続きまして、次にいま非常に大きな問題でございます現下の環境行政上の重要問題につきまして、これも長官に二、三御質問いたしたいのでありますが、まずその第一に、環境影響評価、すなわち環境アセスメントの問題でございます。この問題は現在の環境問題、環境行政をどう認識するかという基本的なことにかかわっておりますので、実は私ごとで恐縮でありますが、私はいま党の環境部会長をやらしていただいておりますので、そうした責任から申しましても少しく私見のほどを申し上げまして、それにつきまして長官からお考えを、御批判なり御主張なり御意見を賜りたい、お許しをいただきたい次第でございます。  まず、申し上げたいことは、現在の環境問題についてはその多様化複雑化指摘されます。昭和五十三年版の環境白書においても「民間のみならず国あるいは地方公共団体実施する大規模地域開発に伴う生活環境及び自然環境破壊の問題、」等に触れて、環境問題の多様化複雑化指摘されておりますが、このほか国民生活水準向上などにより国や地方公共団体及び企業に対する環境保全に関する要望もまた大変に多様化をいたしておるようでございます。たとえば昨年七月に総理府から発表された「公共事業に関する世論調査」の結果におきましても、公共事業実施すると生活にいろいろな弊害が出てくるとした者が三四%、またその弊害の内容として五三%の方が騒音排気ガス等公害が発生することを挙げておられます。また四八%の方が自然環境が破壊される、かように心配をしておられるようでございます。  他方、国際的に見ましても、先ほど長官もちょっと言及されましたが、昨年のOECD環境委員会によって行われた日本環境政策評価におきましても次のように指摘がされております。「日本環境政策は、日本の特殊な事情」、たとえば高い人口密度——先ほど私申し上げたところでありますが——「下での急速な工業化の結果として、一九六〇年代に起こった危機的な状況に対応しつつ、急速に進展し、総じてその目的を達成したといえる。」と、かように評価しておりながら、他方におきましては「日本政策は広範に生活の質を目標とするよりむしろ健康目標に重点を置いてきた。」としており、「今後は、日本政策汚染防止のみならず、より広く一般的な福祉の向上、合理的な土地利用、自然的及び文化的遺産保護をも対象とした広範囲な基礎をもつ環境政策へと進展していくこと」を期待すると、かように言われておるところであります。  以上述べましたことからも、現在の環境問題に対応して環境行政はいままさに一つの大きな転換期に差しかかっておるのではないか、かように私ども認識をいたすものでございます。したがって今後の環境行政を推進するに当たりましては、これまでの公害の防除についての諸施策を積極的に推進することは言うまでもありませんが、それに加えて環境問題の複雑化、あるいは先ほど申し上げました多様化十分照準に入れながら、未然防止を図るための諸施策を講ずることが必要になってきたのではないかと、かように考えるものでございます。  そして、その未然防止を図るために開発事業実施に当たっての環境影響評価を行うことについて、これに対する国民の期待と関心には多大のものがあると思うのでございます。昨年十一月、閣議決定された第三次全国総合開発計画、三全総におきましても、「この計画に基づき実施される事業については、その具体化に当たって、住民の意向を反映するとともに、適切な環境影響評価等実施することとし、環境影響評価技術手法開発を促進するとともに、効果的な環境影響評価実施するための制度等体制整備を図る必要がある。」、かように述べられておるところでございます。  今日、相当規模開発事業実施に当たって環境影響評価を行うことの必要性はだれしもが認めておるところでありますが、国におきましても昭和四十七年の閣議了解に基づき、各種公共事業実施に伴う環境保全上の問題を惹起することがないよう国の行政機関はその所掌する公共事業について事業実施主体に対して所要の措置をとるよう指導を行うこととされているほか、昭和四十八年の第七十一回国会においては公有水面埋立法港湾法及び工場立地法の一部改正等各種法令関係規定整備が図られたのも御存じのとおりでありまして、また他方地方公共団体においても北海道、川崎市において条例が制定されているのを初め、宮城県、神戸市等においては要綱等を定めており、このほか多くの地方公共団体において制度化の機運が高まっておるようでございます。  このような中にあって、歴代の環境庁長官環境影響評価法案国会提出をしばしば述べられているにもかかわらず、さき通常国会における提出も種々の議論があるため時期尚早との理由で取りやめられたと私は承知いたしております。  そこで、わが国における環境影響評価制度化について今後どのように取り組まれようとしておられるのでありますか。特に長官の基本的なお考え方について、この際お伺いをいたしたいと思います。
  16. 山田久就

    国務大臣山田久就君) ただいま森下委員からも御指摘がございましたように、わが国では可住面積のパーセンテージというものが非常に限られておる、大部分が山であるという中においてかなり密度の高い人口をわれわれが擁しておる。しかもかつわれわれは先進工業国といたしましてわれわれの生活を支えていかなければならない。いろいろなわれわれは考慮の中に立たされているわけでございまするだけに、この環境問題というものは特に日本の場合においては重要な大きな課題になっていることは御承知のとおりでございます。  にもかかわらず健康はあくまで維持してこれを公害から守っていくというこの要請のためには、これは依然として最も重要なわれわれの環境行政の大きな課題でございまするけれども、これについてはやはり公害というものを防除するという諸施策から、つまり後追いから事前にこれを予防するという方面に特にわれわれが進んでいかなきゃならぬ、その施策を講ずる必要があるという点は御指摘のとおりじゃないかと思います。で、環境汚染未然防止を図っていくためには、開発事業などの実施に当たりまして環境影響評価ということを十分に行っていくというその必要性につきましては、先生指摘のようにもうすでにだれもがこれを認めておるところであると確信いたします。  このために環境庁といたしましてはこれまでこの法案というものの実現について検討してまいったところでございまするけれども、御指摘のようにわが国に適した制度はいかにあるべきかというような点についてなお議論がありまして、さき通常国会にはそういう意味で法案提出に至らなかったということははなはだ遺憾に存じておる次第でございます。  現在環境庁におきましては、本年八月に設置いたしました環境影響評価技術会議というものをつくりまして、この技術問題の検討を進めておりますほか、地方公共団体との意見交換というものも随時実施しております。またこの件については外国のいろいろな経験というものの実績なども十分参酌することが適当であるという考えで、これらも十分勉強さしていただいているところでございまして、今後はこれらの検討を踏まえてさらに関係各省との十分連絡調整というものも図りながら、わが国に適した環境評価制度確立のためにひとつ精力的に努力してまいりたいと、こう考えているような次第でございます。森下先生にもひとつこの点で格別の御指導、御鞭撻がいただければ非常にありがたいと、こう考えております。
  17. 森下泰

    森下泰君 次に、われわれにとりましては環境行政について先進国と申しますか、先にかなり経験を積んでおりますアメリカにおける環境影響評価制度につきまして、特に、長官にお伺いいたしたいと思います。  環境影響評価につきましては、国際的にも一九七四年のOECD理事会において、環境の質に大きな影響を与えると思われる重要な公共及び民間事業環境に対する影響を予測し明確にするための手続及び方法確立することを加盟各国に勧告をしておるところでございます。御存じのとおりであります。そしてすでにアメリカ、スウェーデン、オーストラリア等においては環境影響評価が法制度として確立していると聞いております。  とりわけアメリカにおきましては国家環境政策法——NEPAの制定及び施行以来環境影響評価についてはすでに七、八年の実績の積み重ねがあり、制度として定着しているもののように思われます。したがって環境影響評価制度として機能していく上での問題点につきましても、その豊富な経験のもとに幅広く検討が行われており、私の入手いたしました資料によりますれば、カーター大統領の指摘に基づき現在さらに適切な制度運営を目指すための環境影響評価制度の見直しが行われておると私どもは聞いております。  すなわちアメリカ環境影響評価制度は、国家環境政策法——NEPAに基づいて、連邦政府のすべての機関の活動についてそれが環境影響を及ぼす可能性のある場合に当該活動を担当する連邦政府機関において環境影響の予測及び代替案についての検討等を行い、その結果を取りまとめたものを作成し、これを関係行政機関及び住民等に公表するというシステムがとられておるようであります。  カーター大統領も一九七七年、昨年の環境教書において、国家環境政策法lNEPAは成立以来七年を経過して連邦政府の新規プロジェクトに対する取り組み方に劇的とも言える有益な影響を及ぼしてきたと評価しておりますが、実施方法については問題もあるところから、さらに環境影響評価の報告書——EISと呼ばれておりますが、EISを公衆や連邦政府機関の政策決定者にもっと役立つようにするには、その報告書はもっと簡潔で読みやすく、しかも適切な専門分野に立脚しておらなければならない、環境影響評価の報告書は量的な関心よりも質的な関心にこたえるものでなければならない旨の指摘も行っておるはずでございます。現在このカーター大統領の指摘に基づいて、環境問題諮問委員会——CEQにおいて環境影響評価実施に関し、すべての連邦政府機関が従うべき新たな規則の制定の作業が進められておると聞いております。  私といたしましては、先ほども申し上げましたように、わが国の風土に適した環境影響評価制度確立するために、このような海外における環境影響評価制度の動向を調査し研究していくことは申すまでもなくきわめて重要なことであると考えます。  そこで、海外の環境行政の事情にも詳しく、また本年九月に開催されました第三回日米合同企画調整委員会でありますか、この委員会にも出席をされました環境庁長官にお聞きしたいのでありますが、いま私が申し述べましたアメリカにおける昨今の環境影響評価制度の動向につきまして、その具体的内容はいかなるものでありますか、またこのような動きについてどのようにお考えでありますか、御見解をお伺いいたしたいと思います。
  18. 山田久就

    国務大臣山田久就君) 環境アセスメントの問題は、無論わが国だけではなくて国際的にも広く認識されておる課題である、こう考えております。  諸外国におきましては、ただいま森下委員の御質問にもございましたけれどもアメリカにおきましては一九六九年の国家環境政策法、いわゆるNEPA、そしてまたスウェーデンにおきましては一九六九年の環境保護法、またオーストラリアにおきましては一九七四年の環境保護法というように、幾つかの国におきましてすでに環境影響評価制度というものが順次確立を見るに至っているところでございます。このような国際的にも環境影響評価制度の推進が図られているわけでございまするけれども、その実績の豊富さというような点から考えてみまするというと、やはりアメリカ制度が大いに参考になるのじゃないかと、こういうふうに考えております。  森下委員の御指摘のとおり、アメリカにおきましては、これまではこのNEPAに基づいて実際の実施方法等につきましてはガイドラインというものをつくりまして、つまり法律というような形ではなくして行政の措置によるガイドラインというものをつくりまして、それによっていろいろな経験を重ねてまいっているようなことでございましたけれども、それを踏まえまして今度はガイドラインにかわりまして規則制定という方に進む方がいいというところでこれに着手するに至ったように了解いたしております。  この作業の具体的な内容についてでございまするけれども、ことしの九月に開催されました第三回の日米環境合同企画調整委員会に私出席いたしましたその際に、環境諮問委員会——CEQのウォーレン委員長を初めアメリカの代表に対しまして、この点についてのアメリカの情勢、動きというものをただしたところによりまするというと、環境影響評価の報告書そのものをなるべく短くそして一般関係者にもわかりやすいようにするということ、そして第二に、環境影響評価に要する時間がどうも長過ぎるということでタイムリミットを設けまして無用な計画の遅延をなくするということ、そして第三には、環境影響評価の報告書は専門分析に基づくこと等によりましてよりよい政策決定を与えるような条件を整えるようにすること、この三点が従来のガイドラインというものの経験から特に主要な検討の要点として進められているというふうに了解いたしております。  わが国におきまする環境影響評価制度考えるに当たりましては、アメリカにおきます長年の経験、実績等も踏まえまして、このような動向をも十分検討し、また制度化を図っていく場合の参考にして、ひとつできるだけわが国になじむ有効な制度というものをつくり上げるために大いに努力してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  19. 森下泰

    森下泰君 大変結構でありまして、実は御存じのとおり、わが党の政務調査会におきましても去る五月十八日に今後は党及び政府が一体となりわが国の風土に適した実効ある環境影響評価制度確立のためにさらに精力的に検討を進めていくことという方針を決めておる次第でございまして、さようにぜひこの方針を受けて一層御努力をいただきたい。  また、いま御指摘がございましたように、アメリカの実際の経験を大いに参考にしていただいて、私どもはやはりその評価制度そのものに権威があるということは非常に必要であると考えます。それが決まった上で、あちこちからガタガタ言われたらまた変わるんだというのでは、これはとてもなじんではまいりません。それからいまお話しのように、アメリカで問題になっておりますように、迅速かつ簡単であるということがこれまた大きな要素でありまして、それが日本の社会あるいは経済の進展を阻害するようなものでなくてプラスになるという方向で、こうしたことにつきましてはお取り組みをいただきたい、かように考えておりますので、最後にお願いをいたしておきます。  それでは、時間がございませんので、次に水質汚濁の問題につきましてお伺いをいたしたい。これは担当局長から御答弁をいただきたいと思います。  まず、いわゆる閉鎖性水域における水質汚濁防止を図るための水質総量規制についてお尋ねをいたしたいと思います。  本年六月に瀬戸内海環境保全臨時措置法及び水質汚濁防止法の一部改正法が公布をされました。この改正法は公布後一年以内に施行されることになっております。この改正法の法案審議の際には、改正法による水質の総量規制は瀬戸内海のほか伊勢湾、東京湾についても施行と同時に指定水域として制度実施したいと説明をされておりますが、これら三水域について当初予定どおり直ちに実施できる見込みがあるのかどうか、これは他府県との関係もたくさんあると思いますので、その点について局長の御意見をお伺いしたいと思います。
  20. 馬場道夫

    説明員馬場道夫君) お答え申し上げます。  瀬戸内海環境保全臨時措置法及び水質汚濁防止法の一部を改正する法律、目下施行の準備を進めているところでございますが、ただいま御指摘のございました総量規制でございますが、広域的な閉鎖水域につきまして新たに総量規制の制度ができたわけでございます。私ども現在のところ瀬戸内海、それから東京湾、伊勢湾の三水域につきまして総量規制を実施したいということで所要の準備を進めているところでございます。  その中で、まず第一に、指定水域、指定地域の具体的の範囲をどうするかという問題の検討がございます。  第二に、国が総量規制の削減方針を決めるわけでございますが、それを受けまして、知事が総量規制の削減計画を作成する、それの調査検討をいたしているわけでございます。  三番目に、総量規制基準と負荷量の測定の検討等を関係省庁なりあるいは関係都府県と連絡をとりながら進めておるわけでございます。  そこで、具体的な水域及び地域につきましては、瀬戸内海につきましては法律上指定水域となっているわけでございまして、これにかかる地域につきましては、現行の地域に加えまして京都府と奈良県の関連地域を指定をしたいという方針でございます。また東京湾及び伊勢湾の二水域はこれは政令で指定をすることになるわけでございますが、それにかかる地域といたしましては、臨海の千葉県、東京都、神奈川県のほかに埼玉県もあわせて指定をしたい、伊勢湾につきましては愛知県と三重県の臨海のほかに岐阜県もあわせて指定をしたいというような方針で、目下関係の都府県と連絡をとりながら検討を進めているところでございます。  このような現在の作業の進捗状況から見まして、これらの三水域につきまして総量規制制度を法施行の時期にあわせまして実施することは可能であろうというふうに考えているわけでございます。
  21. 森下泰

    森下泰君 わかりました。  次に、水質総量規制の実施に向けて、環境庁は去る九月二十一日に中央公害対策審議会に「水質の総量規制に係る総量規制基準の設定方法及び汚濁負荷量の測定方法等を定めるに当たっての基本的考え方について」との諮問を行ったと聞いておりますが、制度実施にはさらに詳細な詰めが必要ではないかと考えます。水質総量規制実施のための準備の状況はどのようになっておりますか、次に御質問をいたします。
  22. 馬場道夫

    説明員馬場道夫君) ただいまお話し申し上げましたように、この制度実施に当たりましては、指定水域と指定地域の範囲あるいは総量の削減基本計画あるいはその総量規制の基準、負荷量の測定等につきまして具体的な定めをする必要がございます。そのための政令、府令等の内容について現在検討を進めておるわけでございますが、とりわけ総量規制基準及び汚濁負荷量の測定につきましては、専門的な立場から慎重な検討が必要でございます。  そういう意味で、本年九月二十一日に環境庁長官から中央公害対策審議会に対しまして「水質の総量規制に係る総量規制基準の設定方法及び汚濁負荷量の測定方法等を定めるに当たっての基本的考え方」、これを諮問を申し上げたわけでございます。審議会におかれまして、おおむね来年の一月ごろをめどに答申を行うというようなことで鋭意御検討お願いをしているところでございます。  一方、その総量削減基本方針等の作成につきましては関係地域に係ります人口、産業等の現状、あるいは将来のフレーム、下水道等の整備状況等の所要の事項を検討する必要があるわけでございまして、関係の都府県等に意見を求める、あるいは関係省庁と協議をするというような検討を進めているわけでございます。  こういうようなことで、私ども法の施行の準備に万全を期してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  23. 森下泰

    森下泰君 改正法の審査に際しましては、当委員会におきまして総量規制の実施についての附帯決議を行っておりますが、それらに対して庁としてはどのような対策考えておられるか、簡単にお話しをいただきたい。
  24. 馬場道夫

    説明員馬場道夫君) 改正法につきまして附帯決議をいただいているわけでございますが、その中で総量規制の実施に関しまして、一つは、総量削減基本方針の策定の際の環境上の目標がございます。二番目に、COD等の指定項目の範囲の問題、三番目に、水域等の早期指定等につきまして附帯決議をいただいているわけでございますが、その決議に対しましては長官からその意を体して十分に尊重してまいりたいという旨申し上げているところでございます。  で、総量削減基本方針の策定に当たりましては、関係都道府県知事の意見を十分尊重するということにいたしておるわけでございます。  また汚濁負荷量の削減につきましては、当該指定水域の水質汚濁の現状から、まずその水質環境基準の達成ということをめどに、着実に一歩一歩水質改善を図ってまいりたいという基本的な考え方でおるわけでございます。  それから、総量規制に係る指定項目につきましては、当面CODを考えておるわけでございますが、その他の項目につきましては、今後の知見の集積等によりまして、必要があれば追加指定をするということを検討しておるわけでございますが、当面はCODだけにしたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、総量規制の指定水域につきましては、先ほど申し上げましたように三水域をやることになっておるわけでございますが、早急に指定をするということで準備を進めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。  なお、琵琶湖等につきましても総量規制につきまして御意見があるわけでございますが、関係の県の意見等も十分尊重しながら、今後なお検討してまいりたいというふうに考えるわけでございます。
  25. 森下泰

    森下泰君 次に、いまの閉鎖性水域の内容として深刻な問題であります赤潮についてお伺いをいたします。  本年は瀬戸内海のみならず伊勢湾、琵琶湖などにおいても大規模な赤潮が発生し、漁業等に多大な被害をもたらしておるようでありますが、その発生状況及び被害状況はどのようですか、簡単に御説明いただきたい。
  26. 馬場道夫

    説明員馬場道夫君) 今年度も昨年に引き続きまして各地に赤潮の発生を見たわけでございますが、全国的な発生の状況、あるいは被害の状況につきましては、まあ年度途中でございますので公式にまだ集計はされていないわけでございますが、その中で一番大きな影響を与えました瀬戸内海におきましては、発生件数は昨年よりも減少をしておるわけでございますが、五十三年、本年の六月から七月に発生をいたしました赤潮の被害は、養殖ハマチで約二百九十五万匹、金額にいたしまして約三十三億円というように、ほぼ昨年に匹敵するような大量斃死、あるいは被害の発生状況を見ておるわけでございます。  伊勢湾におきましても、本年は例年になく長期間にわたりまして赤潮が見られたわけでございます。特に五月下旬から赤潮が発生いたしまして、六月中旬には河口域で魚介類が斃死するというような被害が一部発生をいたしたわけでございます。  それから、内陸部の湖沼の方でございますが、琵琶湖におきまして本年も昨年と同様に黄藻類を中心にいたしました淡水赤潮が発生をいたしまして、魚類の一部斃死あるいは水道水への着臭等、そういう問題が見られたわけでございます。
  27. 森下泰

    森下泰君 非常に重大な状況あるいは問題が所在しておると思いますが、それに対してどのような対策を講じられてきたか、そしてそれは水産庁、県等で行うことになっておると思いますが、環境庁としては実情の把握を行うなど、今後の赤潮対策検討すべきである、環境庁におきましても重要事項として対策検討すべきである、かように考えるものでありますが、それについての環境庁の対応をお話しをいただきたい。
  28. 馬場道夫

    説明員馬場道夫君) 赤潮の発生あるいはその対策につきましては、特に発生につきましては水産庁あるいは関係県から赤潮の発生状況なり、あるいは被害状況に関します情報の入手に努めておるところでございまして、水産庁等とは緊密な連絡をとっておるわけでございます。特に本年七月に播磨灘で発生いたしました赤潮に対しましては非常に事態が重大であるというようなことにかんがみまして、早速係官を現地に派遣をして実態の把握に努めたところでございます。  なお、私もその後、瀬戸内海なり琵琶湖の実情を見て、現地の皆様方の御説明を受ける等の実情把握に努めたところでございますが、このような実態を把握することと同時に、赤潮の発生機構の解明の問題、これがまだ必ずしも十分ではございません。今後さらにいろいろな検討にまたなきゃならぬわけでございますが、そのような調査研究をさらに積極的に推進することによりまして総合的な赤潮対策を樹立をしたいというように考えているわけでございます。
  29. 森下泰

    森下泰君 御指摘のとおり大変に重要な問題であり、またこれからの対応、対策が必要な課題であります。長官以下環境庁におかれまして一層積極的に対策を講じ、措置をしていただきたいとお願いをいたしておきます。  それでは最後に、新環境基準におきます健康保護の問題につきましてお伺いをいたしたいと思います。  七月に改定された二酸化窒素——NO2の環境基準についてでありますが、窒素酸化物対策は人の健康にかかわる問題であり、人の健康の保護環境行政の原点であると私も考えるものでございます。このような意味から、この機会に二酸化窒素環境基準について数点お尋ねをしておきたいと思います。  環境基準は長期的な行政目標であり、直ちに規制に結びつくものではありませんが、行政目標とされる以上、最善最新の科学的根拠に裏づけられたものでなければなりません。公害対策基本法第九条第三項の環境「基準については、常に適切な科学的判断が加えられ、必要な改定がなされなければならない。」という規定にのっとって行われました今回のNO2環境基準の改定は、科学に基づいて環境行政の推進を図るという意味におきまして評価されるべきものであると私ども考えます。しかし環境行政の原点は国民の健康の保護にあり、環境基準がいささかも国民の健康保護に不安の残るようなものであってはなりません。この点、いまなお一部の方々から、新環境基準では健康が守れないとか、公害患者がふえるというような御批判があるのは、きわめて一部でありますが大変に残念でありまして、そこでまず長官から、新しいNO2環境基準国民の健康保護にいささかも心配がないと私は考えるものでありますが、この点について明確にお答えをいただきたいと思います。
  30. 山田久就

    国務大臣山田久就君) 新しい環境基準は、中央公害対策審議会に設けられました専門委員会が約一年にわたりまして、旧環境基準設定後この数年間に格段に豊かになってまいりました内外の科学的な知見に基づきまして、NO2の人の健康影響について純粋な学問的な立場からの検討を加えてまいっておったことは御承知のとおりでございます。その結果、専門委員会全員の一致の合意で提案された指針、これに基づきまして定めたものでございます。  ここで提案された指針は、その専門委員会の記述によりますと、地域の人口集団に疾病やその前兆と見られる影響が見出されないだけでなく、さらにそれ以前の段階である健康からの隔たりが見出されない状態を守るという観点から提案されておりまして、それ自体すでに高い安全度が見込まれているということでございます。したがって、この指針を最大限度に尊重いたしまして定めた新環境基準国民の健康を十分に保護することができるものであると確信いたしておる次第でございます。  また、今回環境基準の改定を見ましたけれども、大都市の地域では新環境基準すら大幅に上回っている汚染状態でございまして、環境基準の達成に向けてさらに規制を強化してまいる方針で臨んでおりまするので、今回の基準改定によって公害患者がふえるというような懸念はない、こう考えておる次第であります。
  31. 森下泰

    森下泰君 大変よくわかりました。ぜひひとつ長官におかれましてはただいま御言明になりました信念と確信を持って力強く新環境基準による行政を御促進をいただきたいとお願いをいたしておきます。  次に、担当局長にお伺いいたしますが、新聞報道によりますと、山本大気保全局長は去る十月十九日の全国公害患者の会連絡会との交渉席上において、NO2環境基準の改定の科学的根拠を説明できないとの文書に署名したと言われております。仮に環境庁が今回のNO2環境基準改定について科学的に自信が持てないというのであれば、ただいまの環境庁長官の見解とまさに食い違うわけでありまして、まことにこれは遺憾でありまして、大気保全局長はなぜこのような文書に署名されたのか御説明をいただきたい。  いま一つは、これに関連して大気保全局長は、その後十月二十一日に公害被害者の代表に対し、局長が地方に出向いて患者さんの疑問に答えるというかねてからの約束を一方的に破棄したと伝えられております。患者さんが環境庁に対していろいろ意見を言いたい、あるいは疑問に答えてほしいというときには環境庁はこれに積極的に答えてやるという姿勢が必要だと私も思いますが、今後患者さんとは一切会わないという方針であるのかどうか、その点についてお答えをいただきたいと思います。
  32. 山本宜正

    説明員(山本宜正君) ただいま先生指摘いただきました十月十九日の日の患者との交渉でございますけれども、当日の議論の内容といたしましては、いわゆる中央公害対策審議会の専門委員会が注目した試験のうちで、日本の四つの疫学的な調査の解折ということの内容が議論となったわけでございます。私といたしましては議論の内容がきわめて専門的でございますし、お集りの患者さん方にかみ砕いて説明するということが困難であると思いまして、突っ込んだ説明を実はできなかったわけでございます。  これに対しまして陳情団から、科学的な根拠を説明できないという文書に署名をするように強く求められまして、素人の方にわかりやすく説明するという点については準備が不行き届きだった、こういうことを思いまして不用意に署名した、こういう状況でございます。このことによりまして、患者さん方あるいは各方面の方に指針の科学的な根拠について誤解を招くというようなことを言ったことは大変私としては遺憾に思っているわけでございます。  しかし、専門委員会が提案しました指針値というものを見てまいりますと、それは疫学的な研究だけではなしに、動物実験であるとか、あるいは人の志願者に対する研究であるとか、こういったような最新の知見を約百七十編近い学問的な論文から検討をされまして総合的に判断して得られたものでございますし、いまの時点における最善の判断だと、こういうぐあいに考えられるわけでございます。したがいまして、この指針を最大限に尊重して新環境基準が定められたものでありまして、国民の健康は十分に保護できるものと私は確信しているところでございます。  なおまた、十分に説明ができなかったという点につきましては、三十一日の日の日付で文書で回答をさせていただきました。地方に出向いていって説明をするというようなことも私一たん申したわけでございますけれども、これはきわめて専門的な事項でございますし、大ぜいの方々に口頭で説明するというよりも、ちょうど五月十日の日の参考人意見陳述の中で鈴木武夫先生が専門委員会検討の経緯をその疫学的調査の問題につきまして話しておられるわけでございます。そういった文書並びに専門委員会全体の検討の経緯の抜き書きをしたものを本委員会にも提出してございましたが、それをあわせてつけまして、これを読んでいただいて御理解を賜る、その方が全国的にも斉一な御理解が賜れる、こういうつもりで文書回答しておるわけでございます。  患者さんの団体に対しまして今後とも誠意を持って対応していくという気持ちは従来とも変わっておらぬわけでございますけれども、今回の問題につきましては、事柄の性質から考えまして中央で話し合いを続けるというようなことで応じるという方向で、文書回答で、今後地方へ出向いていくということについては取りやめたい、かように思っているわけでございます。
  33. 森下泰

    森下泰君 ただいまの御説明では、要するに誠意を尽くしたけれども誤解があった、かような内容のように理解をいたしますが、環境行政は特にその点におきましては、一方において患者さん、国民に対する誠意を尽くすということは絶対に必要であろうかと思いまして、十分にその点については御努力をいただきたい。  いま一つは、やはり権威というものが必要でありまして、大気保全局長は一人でありますので、その一人の局長が全国の患者さんを訪問するなんということは無意味なことでありますし、またやるべきことではない。組織の上から考えられることじゃございません。したがって環境庁という組織の上で、中央レベルの問題は中央レベルで局長が担当するということで、それぞれ適切な権威における処置が必要であろうかと、かように考えます。特にその点につきましては誤解のないように、誠意を尽くして、しかし権威を持って処理をしていただきたいとお願いをいたしておきます。  同じく局長にお伺いいたしますが、今回のNO2の環境基準改定の科学的根拠となったものは専門委員会の報告でありますが、専門委員会わが国の四つの疫学調査を重要視したと聞いております。しかし疫学は元来伝染病流行の原因究明に使われてきたものであって、これを大気汚染の健康影響などに使うには多くの原因が複合をして影響していると推定されますため十分な注意が必要である、疫学の限界をよく心得なければならないと思います。当然のことであります。  最近公表されたWHOのNO2専門家会議報告におきましても、疫学研究の結果それ自体ではNO2の暴露と健康影響等定量的に評価することはできないとして、ガイドラインを導くのに疫学データを採用しておりません。現在のところ国際的に通用する大気汚染に関する疫学研究はないということであろうと私は思います。  わが国の疫学調査も、面接による聞き取り調査である点や、汚染物質の測定データに不備がある点などいろいろ問題があると聞いていますが、今回の基準改定を批判する一部の方々はこれらの疫学研究の限界を捨象して、疫学研究には限界があるということを捨象して、そして高度な統計学を利用し、その疫学データを細かく分析した数値をもって環境基準が不当であると批判をしておられるように私には思えますが、この批判は妥当ではない、かように私は考えますが、その点についての局長の所見を伺いたい。
  34. 山本宜正

    説明員(山本宜正君) 疫学的な研究と申しますのは、先生も御承知のように、人口集団の中における疾病並びに健康といったものがどういったようなことで起こっているかというようなことを集団的な観察によってなすというのがこの手法でございます。  ただ、大気汚染による疫学調査と申しますのは日本で幾つか行われておるわけでございますけれども、手法的に幾つかの問題点なり何なりを持っているわけでございます。したがいまして昨年開かれましたWHOのNO2に関する専門委員会におきましても疫学的なデータというのは特に取り上げずに、いわゆる動物実験から出されました数値に安全率というものを掛けて、それで一つの数値を提案している、こういうような経緯でございます。  ただ、わが国の場合、専門委員会の場におきましては疫学的な調査というものは直接的に因果関係というものを示すものではないけれども、いわゆる健康影響の関連性というものがそこからある程度読みとれる、こういう考え方で臨まれたというぐあいに聞いているわけでございます。いわゆるNO2の濃度レベルとの関連性ということを見ることができる。それにつきましては統計的な手法を使いまして関連性の有無というものを検討しているわけでございます。  専門委員会というのは、長期暴露の人口集団に対する健康作用を見るためには疫学的な研究はいわゆる有効な研究であるということで採用はしているわけでございますが、その指針値を導くに当たりましては、四つの疫学的な調査というものから〇・〇二及び〇・〇三を導くというだけではなしに、そのほかの動物実験あるいは人の志願者における研究、そういったものの成果を踏まえまして、いわゆる疫学的なデータにつきましても総合的な判断をし、かつ指針値を導くにつきましてもその疫学データも使い、かつそのほかの動物実験、人の志願者によるデータというものを使いまして、総合的に判断して指針値を出している、かように承知しているわけでございます。
  35. 森下泰

    森下泰君 ただいまの説明ではちょっと私もまだ納得がいかないところがありますが、時間の関係もありますので、ひとつ先ほど申したように疫学データには限界があるということがはっきりしておるならば、そういうことが一般の国民にも十分に御理解をいただけるように、平易にまた科学的に一層御説明をいただきたいとお願いをいたしておきます。  次に、同じく局長伺いますが、いまの答弁の中にも触れておられた安全率を掛けるという問題でありますが、環境基準の論議を見てみますと、一部の論者から専門委員会が提案した指針にはさらに安全率を掛けるべきであり、NO2環境基準は改定する必要がないという主張がなされておるようでございます。私は、安全率は医学ばかりでなく工学等のさまざまの分野で利用されておりますが、これは元来私たちが知り得た知見が不完全な場合、あるいは未知の要素がある場合にこれを利用するものと理解をいたしております。  大気、汚染については、私が承知いたしております範囲では、WHOのNO2専門家会議が動物実験の結果から人の健康を保護するためのガイドラインを導く際に安全率を利用していますが、これは一つ考え方として理解し得るところでありますが、しかし中公審の専門委員会報告を読めば、その指針はその濃度レベル以下では高い確率で人の健康への好ましくない影響を避けることができると判断されるものであると記されており、また健康からの偏りが見出されない状態という世界にも類を見ないきわめて高いレベルの健康保護を念頭に置いておるものであります。さらに旧基準設定当時懸念されたNO2の発がん性も解消されたと聞いており、安全性を見込むべき未知のリスクはないと私には考えられるのであります。  こうした意味で専門委員会が提案した指針について、健康保護観点からさらに安全率を掛けるべき理由はないとかように私は考えるのでありますが、保全局長の見解はいかがでありますか。
  36. 山本宜正

    説明員(山本宜正君) WHOが昨年のNO2の専門家会議におきましてはいわゆる先ほど申し上げましたように動物実験のデータの結果を採用して、疫学的なデータを採用せずに〇・五PPmというのを悪影響の出るレベルだと、こういうぐあいに考えまして、それに安全係数の三分の一あるいは五分の一というのを掛けるということによって、ガイドラインとしての〇・一ないし〇・一七PPmというものを導いておるわけでございまして、これはあくまでも動物実験の知見を人に応用するために安全率を利用した、こういうことであります。まあ大気汚染の分野でこういった安全率というものを利用したのは実はこれが初めだと私は思うわけであります。WHOの専門家会議でもどのような安全率、安全係数というのも恣意的なものである、こういうようなことも明記しているわけでありまして、国際的に合意された安全率あるいは安全係数というものは、現在のところ存在しないわけでございます。  その答申されました指針が仮に疾病を起こさないぎりぎりのレベルだ、こういうようなことで提案されているということならば、これは私どもとしても人の健康を保護するという観点からいたしまして安全率を掛けるべきだ、こういうぐあいに考えなければならないというぐあいに考えるわけでございますけれども、専門委員会の指針は御承知のように動物の実験、人の志願者における研究、さらには疫学的調査の成果、こういったものを基礎に、なお残されておりますところの未分明の要素も考慮に入れまして、より安全サイドに立って総合的に判断しているわけでございます。健康からの偏りも防ぐというきわめて新しい高度な概念を盛り込んで、それを指針値として出しておられるわけでございます。したがいましてこの指針自身は国民の健康が十分保護されるものだ、さらに安全率を見込むべきような理由はない、こういうように考えまして、この指針値に即しまして環境基準値を改定した、こういう経緯でございます。
  37. 森下泰

    森下泰君 ただいま局長の御答弁は私が申し上げた意見と同意見であると、かように了解をいたしました。したがってそれを十分に国民の皆様にわかりやすく理解をしていただきますように、科学的にまた理論的にさらに一層御説明をいただきたいとお願いをいたしておきます。  時間が参りましたので、最後にいま一つだけ同じく局長にお伺いいたしたい。それは新基準のもとで公害病患者が増加する、こういう御意見があるように聞いておりますので、私はさようなことはない、かように確信するのでありますが、それについてお伺いをいたしたい。  今回の環境基準改定に関連して公害患者のある団体は、いまでも患者がふえ続けているのはNO2の影響考えられるので、基準緩和によって今後ますます患者がふえることになると言っておられるようでありますが、専門委員会の報告の指針は、いまお話がありましたように健康の偏りをも防ぐという国際的にも例を見ない高度な健康保護の概念から出されたものであり、この考えを受け入れた環境基準であるので患者がふえることはあり得ない、かように私は考えます。また国際的に見てもWHOが提案しているガイドラインともほぼ同程度であり、アメリカ環境基準わが国の約二倍程度高く、これで十分な安全性を持っていると言っています。西独も同じであり、外国の基準は日本よりも緩い数値となっている。日本人が特別体が弱いということであれば別でありますが、そういうことはない、かように私は確信いたします。  今度の基準で病気が悪化したり患者がふえるなどということは私はあり得ない、かように考えますが、この点について局長の明快な御答弁を願いたいと思います。
  38. 山本宜正

    説明員(山本宜正君) 専門委員会の判定条件というのを見てまいりますと、NO2の濃度が年平均値〇・一PPmを超えると疾病の発生を考慮しなければならない、それ以下ならばNO2だけで患者が発生するということはデータからは考えられない、こういうぐあいに言っておるわけです。この点から言いましても、新環境基準というのは十分な安全性を有するものだと考えられるわけであります。  また、最近公害病の認定患者が逐次ふえている、こういうような実情がございます。これは御承知のように新しい健康被害補償制度が発足いたしましたのが四十九年でございまして、本年におきましても二地域の新指定あるいは一地域の拡大というようなことで、ここ数年地域拡大をしておるわけでございますので、そういう意味では補償法の指定地域の包括人口がふえてまいります。したがいまして当然のことながら全体の患者として見た場合には、これは当然ふえるわけでございますが、これにつきましていささか分析的なデータを見てまいりますと、たとえば四日市であるとか、四十九年以前に指定された地域あるいは四十九年当時指定された地域、こういうぐあいにその指定地域がその後拡大されなかったところにおきまして新しい患者発生がふえているか減っているか、こういうのを見てまいりますと、新患者発生は次第に減ってきているということから見ますと、汚染の改善に伴った患者の低減というのは一つ言えると思いますが、これは特に注目すべきデータではないか、かように見るわけでございまして、そういう意味でも、新環境基準というのは国民の健康を十分保護することのできる基準値と、こういうぐあいに考えておるわけでございます。
  39. 森下泰

    森下泰君 終わります。
  40. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 以上で午前の質疑を終了いたします。  午後零時四十五分まで休憩いたします。    午後零時五分休憩      ————◇—————    午後零時五十一分開会
  41. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) ただいまから公害対策及び環境保全特別委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、久次米健太郎君が委員辞任され、その補欠として伊江朝雄君が選任されました。     —————————————
  42. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 午前に引き続き、公害及び環境保全対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  43. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 私は、きょうは山田長官最後の環境庁長官としての委員会になるんじゃないかというふうに考えながら実はおったわけでありますが、午前中の森下委員からの質問を聞かしていただいておりますと、まさに息がぴったり合っておりまして、今日までの当委員会における山田長官の態度その他から判断をしまして、大変頼もしくきょうは思えたわけです。  まさにそういう意味で環境庁の今日までの行政の姿勢に対して、言うならば水を向けるといいますか、そういう形での質問が続けられたというふうに思っているわけでありますが、たびたび指摘をしてまいりましたように、基本的な姿勢あるいは環境庁内のがんばろうとしている若手に期待を持ち得るような環境行政、あるいは本当に環境庁が発生をした歴史的な経過から、人の健康あるいは生命を守る、こういう立場からいままで指摘をしてまいりました際に、よく長官が胸を張ってという立場では御答弁をいただいてきたわけでありますね。ただ、その胸を張ったのを今日までずっと検討さしていただきますと、胸を張ってきた方向というのが私は少し誤っておったんじゃないんだろうか、率直に申し上げてそういう気がするわけです。  きょうの森下委員質問に対する御答弁の中でも、これからの環境庁の姿勢の問題として、いわゆる公害の予防をどう力点を置いて進めていくのかという立場の御答弁があったわけでありますが、   〔委員長退席、理事森下泰君着席〕 私は今日までの経過は、残念ながら、たとえば今日公害のために被害を受けておる患者の立場あるいは環境行政が人の健康と生命を守る、こういう立場で期待されるべき環境庁、まさに地域住民のあるいは国民の立場に立った環境行政、こういう観点からいくと、山田長官長官になられてから残念ながら後退をしてきたということを、幾つかの事象の中で具体的に指摘をせざるを得ない。残念ながらそういう結論にしかなりません。  これは先ほどの午前中の質問の中にもありましたように、たとえば大気保全局の山本局長が、いろんな事情はあったにしろ、患者代表と約束をした、現地に出かけてそして責任者が実態を把握をする、いろいろと患者の意見を聞く、このことは森下委員質問をしているように患者の個々を一人一人全部歩けということじゃないんです。少なくとも局長が出かけていくということになれば、患者が代表を送ったりあるいは全体が集まってきてむしろ一軒一軒歩くということじゃなくて実態を聞いてもらいたい、これがいわゆる彼らの希望であって、そのことを踏まえて現地に出かけていこうということを一たんは約束をされている。ところが約束をされておるのに、その約束がどこかからの判断でしょうが少なくとも約束をしたことがほごにされる。こういう状況は明らかに私は官庁としての、さらにまた環境庁の性格から言ってとるべき姿でない、こういうふうに考えるわけですが、きょうは本論ではありませんから、そうした一たん約束をしたことがほごになるような形、あるいは国民の期待をする環境行政というものについて、私は長官が仮にかわられるにしても、次期長官にきちっと引き継いでいただくことをひとつ前提として本日要請をしていきたいというふうに思います。  そこで、そういう期待を込めながら、せめて一つだけでも環境庁長官としてこれはという立場で期待をしつつ、二、三質問をしてまいりたいと思いますが、本日は私は下水道の関係について、特に今日問題になっております非常に広域化をしたいわゆる流域下水道計画、これに中心を置きながら質問を行っていきたいというふうに思います。  まず第一に、下水道法の第二条第四号でありますが、これに定める流域下水道について、特に終末処理場が問題になるわけでありますが、この終末処理場の建設予定地域において、いわゆる地域住民との間に、これは県が事業主体でありますが大変トラブルが発生をしていることが目につくわけであります。しかもそのトラブルに警察あるいは機動隊、こういう立場で警察権力が出動をしたり介入をしたり、そういう立場での異常な状態というものが幾つか散見をされるわけですね。これは大変私は憂慮すべきことだというふうにとらえておるわけでありますし、この流域下水道は建設省が具体的に指導をして、そして都道府県がいわゆる事業主体になる。こういう流域下水道計画、これに関していわゆる環境庁環境保全の立場あるいは公害防止する立場、こういう立場からどの程度この計画にかかわっておるのか、あるいはまたどの程度これらの事業計画そのものについて掌握をしておるのか、現状を含めてどうなっておるのか。さらにまた環境庁としてのこうした広域化をしたいわゆる流域下水道に対して基本的にどういう方針で対処をしようとしておるのか。この辺は事務的部分もありますけれども、まず基本的な立場から長官としての説明をいただきたい。   〔理事森下泰君退席、委員長着席〕
  44. 山田久就

    国務大臣山田久就君) このわれわれのよき環境保全ということは、これは今日日本国民のすべての念願であるのみならず、今日においては全地球的あるいは全人類的な共通の課題であろうと考えております。そういうような意味から、ことに日本の置かれている立場というものは、食生活の関係その他の点から考えまして、このよき水質の保全、汚濁防止ということは、われわれの非常に大きな努力目標でなければならないというふうに考えております。  その第一歩といたしましては、現在の日本水質汚濁という面におきまして家庭用排水というものがこれに対してあずかっている分野というものは非常に大きくなっておるという点から考えまして、どうしてもこの下水道の整備ということには、これは一段と大きな努力をしなければならないし、及ばずながらそういう面について私も声を大にしながら一生懸命になって努力をしてまいったつもりでございますし、今後においてもこれはわが国にとっての大きな一つ課題として取り組む必要がある、こう考えております。  したがいまして、この問題については予算を通じ、当面の建設省、その他につきましてもひとつ環境庁としての立場からできるだけその促進についていろいろ申し入れを行い、協議して、いま先生の御指摘のごときようにこの問題の円滑なる実現ということを考えているわけでございまして、下水道の設置について、今後たとえばヨーロッパ並みにということでございまして、いまの努力を続けていって十年後ぐらいにようやくその域に達してくるんじゃないかと。これに要する経費が非常にかかるという点はございまするけれども、しかしこれはぜひ実行していかなきゃなりませんし、そのためにはこういう大きな建設事業でございますので、やはり関係地域民の理解協力というものをまっていくことは、これは私は非常に重要な点であろうかと思います。  御指摘のようなこれについてのトラブル、これについてはいろいろな説明不足あるいは準備不足、いろんな点があろうかと思いまするけれども、しかしながら、にもかかわらずひとつこの点についての円満な協力を得ながらでなければとうていその実現というものが促進し得ないという点から、このことは非常に重要な点だと考えております。  これらの実現等の点につきまして、関係省の方といろいろ今日まで協議をいたしてまいってきておりまするけれども、その一般方針にのっとりまして、そうしてひとつ円滑なる、そしてできるだけ早い実現を期しているような次第でございまして、細部の点につきましては関係局長からひとつお聞き取りいただければ非常に幸せだと思っております。
  45. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 これから具体的にお聞きをしていくことになりますが、前もって申し上げておきたいことは、私が質問をすることについて、時間の関係がありますから、繰り返してその問題を説明をいただかなくても、それは十分承知をした上でお聞きをしているわけでありますから、質問をしました要点について簡潔にひとつ答弁をいただくように前もってお願いをしておきたいと思います。  そこで、現在流域下水道問題につきましては、細部的にこれは建設の工場のシステムその他を含めまして幾多の問題が存在をしておるわけであります。そしてそれはぜひ公害防止の立場も含めて解明をされなければならぬ、こういう課題に立つものですが、各地の計画の中で、一応共通的に問題点を明らかにしてまいりますと、まず大筋にとらえて、第一は計画規模が非常に巨大化をしているということであります。二つ目の問題は、工場排水が家庭排水と混合処理をされるというのが計画の前提になっていることであります。三つ目には、汚泥の処理方法というものが幾つか話し合いがあっても明快な回答が出てこない。これが共通して言える三つ目の課題です。四つ目の問題は、事前の環境影響評価というものが明確にされていない。これも午前の質問の中にありましたように、いわゆるアセスメント法が今日いまなお具体的に法案として成立をしない、提案すらもなされてこない、こういう状況でありまして、この点が関連をしているわけであります。したがって、五点目の問題もいわゆる地元住民並びに買収をしようとしておる土地の所有者、いわゆる地権者、こうした間の中に計画決定に至るまでのいわゆる協力を得るための手続あるいは手法、こうしたものがほとんど尽くされていないわけであります。  これらが共通的に言えるところでありますが、環境庁としてこれらの点を含めて、現在進められようとしておるところの流域下水道計画に対して、先ほどの質問とも重なりますが、今度は事務的な観点から基本的にどのように考え方を樹立をしておるのか、説明をいただきたい。
  46. 馬場道夫

    説明員馬場道夫君) 流域下水道計画の問題でございますが、環境庁としての立場につきましては、先ほど先生指摘がございましたように、流域別下水道整備総合計画いわゆる流総の問題でございますが、それにつきまして建設大臣が承認をする場合に環境庁長官に協議をするということで私ども協議にあずかっておるわけでございます。  そこで、ただいま先生指摘のございました件につきまして、特に規模が大規模化している問題、あるいは工業用水といいますか産業排水の受け入れの問題等いろいろ問題はあるわけでございますが、私ども流域別下水道整備総合計画の協議に当たりまして、こういう問題につきましても環境保全の立場からいろいろ御意見を申し上げているわけでございますが、計画につきましてはそれぞれやはり地元の事情に応じまして計画を樹立されておるわけでございまして、私どもも必ずしも規模が大きいことがいいことであるというふうには考えていないわけでございますが、やはり計画樹立までの間にいろいろ地勢地形なり、土地利用状況なりあるいは市街地の状況なり、将来の見通しなり、終末処理場の規模なり、位置あるいはそれが放流先の公共用水域に及ぼす影響等諸般の事情を考慮されて決定をされているというふうに私ども理解をいたしておるわけでございます。  また産業排水の受け入れの問題につきましても、下水道の終末処理場で処理し得ないものにつきましては、やはり一定の基準、これは先生御承知のように水質汚濁防止法と同じ基準を適用いたしまして規制をいたしておるわけでございます。そういう意味におきまして、私どもやはりこれが水質の環境保全に十分資するような形で建設をされる、あるいは処理をされるということがもちろんでございますし、またそうあらねばならぬというように考えておるわけでございます。  また、汚泥の問題等につきましても、いろいろむずかしい問題がございますが、たとえばこれを農地なりその他に還元する問題等につきましても、いろいろまた検討、研究を各省におかれましても、また環境庁におきましても検討をいたしておるわけでございます。  なお、その他手続の問題等ございますが、私ども現在、これを決定するまでには非常に慎重に各自治体等とも協議を重ね、また御意見伺いながらこれが決定されているというように承知をいたしているわけでございます。
  47. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 建設省と環境庁が協議をするといいましても、協議をする時期の問題が大変これは重要なところになると思うんですね。いつの時期に協議を行うか、ここがポイントなんです。  そこで、具体的にお尋ねをいたしますけど、群馬県の県央流域下水道計画がございますね。それが一つ。それから愛知県の矢作川、境川流域下水道計画、これがございますね。これが二つの問題。それから岐阜県木曽川流域下水道、これは長良川も含まって総合計画は出ておると思うんですが、これについて建設省と具体的に協議というのはどういう形で行われたんでしょうか。  たとえば下水道法の第四条の2によりますと、厚生大臣に対しての協議はこの法律の中で義務づけをされているわけですね。ところが環境庁と協議をするなんていうのは全然ないんです。それは具体的にはこれは環境行政の立場からむしろ進んで環境庁が建設省にそういう計画については知らせろということで出しておるんだろうというふうに私は環境庁の性格から見て思うんですが、いまも申し上げましたように、計画をどういうふうに実現をしていくか、その辺の時期の問題というのはきわめて微妙ですから、ひとつその辺に焦点を当てて御答弁をしてくれますか。
  48. 馬場道夫

    説明員馬場道夫君) ただいま御指摘のございました協議の時期の問題でございますが、群馬県の利根川それから愛知県の矢作川につきましては、建設省の段階なり、そういう中でいろいろ御検討中というふうに聞いておるわけでございまして、私どもまだ正式の協議を受けてない段階でございます。  なお、岐阜県の木曽川につきましては五十一年の十月に協議を受けまして、十月二十日付で環境庁長官から同意を建設大臣にいたしたわけでございます。——失礼しました。協議を受けましたのは五十一年の十月でございまして、回答したのが五十二年の一月でございます。
  49. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 そうすると、群馬県の県央流域下水道、それから愛知県の境川、矢作川、これについてはまだ協議を受けてない、こういうことですね。
  50. 馬場道夫

    説明員馬場道夫君) そのとおりでございます。
  51. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 愛知県の境川の計画というのは、すでに建設省は当初計画は縦覧を終えまして、具体的工事をしようということで住民との間にトラブルが発生をしている。三回までいわゆる実力行使あるいはそれを阻止をするという、そういう状況が今日まで長い間続けられている。そして今日改めて計画を縮小しまして、そしてこの十一月一日から改めた計画についての縦覧開始になっている。さらに群馬県の県央流域下水道にいたしましてもすでにもう用地買収をどんどん進めている。こういう状況なんですね。  そうしますと、環境庁は建設省と協議を受けていると言うが、一体どういうことになっているんですかね。全然計画の進行——縦覧までさしているんですよ。下水道法からいって縦覧開始ということになれば、これはもう計画が完了している時点じゃないんでしょうか。それでなおかつまだ環境庁が建設省と協議をしてない。こんなことで環境保全あるいは公害防止ができますか。
  52. 馬場道夫

    説明員馬場道夫君) ただいまの点につきまして、諸般の事情で関係省におきます審査なりがおくれているんではなかろうかというふうに思っているわけでございますが、私どもも建設省に対しましては極力早く協議をしていただくというようなことで、いろんな機会に申し上げているとおりでございます。やはり一般的に申し上げましていろいろおくれていることも事実でございますので、私どもこれが促進されるように今後とも連絡を密にしてまいりたいというふうに思うわけでございます。
  53. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 長官、どうですか。いまの事務当局の答弁ですが、私が具体的に指摘をしていますように、計画はどんどんどんどん先へ進んじゃっている。環境庁はこれ先ほども言いますように、下水道法の中には確かに義務規定はないんです。協議をするというのは。ないんですが、実際にここで被害が出てきたり、具体的に公害がばらまかれて問題が出たときは、第一に環境庁が一番中心になるんじゃないんですか。  その環境庁が、法律に規定されているかどうかということは別にしまして、流域下水道計画そのものは早くから閣議で決定をされて、そうして国の方針としてそれぞれの地方自治体に指導されているんでしょう。それらの問題で環境庁から建設省に対してこうした計画を具体的に説明をして、環境庁意見も聞けという話ができないんでしょうか。
  54. 山田久就

    国務大臣山田久就君) いま御指摘のところでございまするけれども環境影響評価というものはいろんな段階においてこれを実施していく必要がある、ことに問題は計画そのもののできれば段階でいろいろ協議を受けていくことが望ましいということは、原則的に私はそういうことが言えるんじゃないかと思うんです。  いま御指摘の点、どのような事情でそうなっているのか、私も一遍よく調査いたしまして、ひとつ直ちに調査いたしまして適切なる処置を講じたいと思います。
  55. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 では、それはきちっと調査をして——私いま言えと言えば言うんですよ。いつこの計画が始まって、いつ現地で公開をされて、いつどうなっているのか、各議会の動きから何から全部持っていますよ、これ。これはしかし調べてください。  ところで、それはさておいて、建設省と協議をする際に、環境庁環境庁としてのその計画がいいかどうか、いわゆる公害防止観点から見て危険性がないのかどうか、こうしたところはきちっとやはり持っていわゆる協議に携わるというふうに思うんですが、その判断基準というものは一体何に置いているのか。それから、その判断基準から見て、今日進められようとしている各流域下水道について環境庁環境保全並びに公害防止観点から責任が負い得るのかどうか。これひとつ明確に答弁してください。
  56. 馬場道夫

    説明員馬場道夫君) 先ほど申し上げましたように環境庁が協議を受けますのは流域別下水道整備総合計画、これの段階でございまして、そこの協議を受けました際に、私どもやはり水質環境基準が定められておる公共用水域でございますので、その環境基準が達成されるような観点から特に終末処理場等の問題につきまして判断をいたしているわけでございまして、一般的にはそういうことでございまして、あとはそれぞれの具体的な個別事案に即しまして十分説明を聞き判断をいたしているわけでございます。
  57. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 もう一点だけ聞きますが、建設省から協議の話があって協議をしまして、そうして計画環境庁考え方で変更したケースというものがありますか、ありませんか。あるかないかだけを教えてください。
  58. 馬場道夫

    説明員馬場道夫君) こちらが協議を受けました場合に、いろいろ意見をつけて回答するわけでございますが、現在までのところ、これによりまして計画自体が変更されたというものはないというふうに承知しております。
  59. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 建設省。  昭和三十八年の第一次下水道五カ年計画、これ以来下水道事業というのは大変精力的に進められてきている。これはよく承知をしておるわけであります。特に昭和五十一年度から第四次五カ年計画が始まっておるわけですね。これは公共下水道を含めて大むね七兆余の予算も大体見ながら進められておると思うのですが、この第四次五カ年計画の概要と構想について建設省の立場からひとつ説明を願いたいと思います。なるべく簡潔に。
  60. 玉木勉

    説明員(玉木勉君) 第四次下水道整備五カ年計画の内容でございますが、先生指摘のように、投資規模は予備費四千億円を加えまして七兆五千億円でございます。で、昭和五十五年度末の処理人口普及率、これは総人口に対する処理人口の割合でございますが、これを昭和五十五年度末に四〇%に引き上げる予定でございます。現在五十二年度の処理人口普及率は約二六%でございます。  で、この五カ年計画では、特に公害対策基本法に基づく公害防止計画及び水質汚濁にかかわる環境基準の達成のための下水道事業に重点を置きますほか、農山漁村の主要な集落及び湖沼周辺等におきます特定環境保全公共下水道の整備等の促進を図ることにいたしております。  なお、昭和五十三年度当初予算までの五カ年計画の進捗状況でございますが、四五・三%でございまして、今回の補正予算を加えますと四七・三%になる見込みでございます。
  61. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 それでは具体的に聞きますが、第四次、すなわち五十一年度以前のものも含めまして第四次に引き継がれてきておる計画進行中のもの、それを含めて建設省で事業認可をした件数はどれだけあるのか。そのうち公共下水道とそれから流域下水道の二つに分けまして、その件数を示してもらいたい。
  62. 玉木勉

    説明員(玉木勉君) 五十一年以降現在までに認可したものは十八件でございます。で、現在事業実施しておりますのが五十三年度までに六十二カ所、七十六処理区でございます。この六十二カ所と申しますのは、五十三年度までに事業を採択したものでございまして、このうちまだ認可を出していないのが三つございますので、認可をおろしておりますのが五十九カ所でございます。  公共下水道でございますが、公共下水道につきましては、現在事業実施しておりますのが五百七十九市町村でございます。
  63. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 流域下水道の中で認可したもののうち、現在その認可をした計画どおり完了したものの件数、それから未完了のもので当初計画完了期限がきておるのに実際にはまだ完了してない、こういうところのものの件数、これは何件になりますか。
  64. 玉木勉

    説明員(玉木勉君) 下水道事業は非常に長期間を要しますので、現在までに完了しておるところはまだございません。したがいまして現在までに完了予定というのもまだございません。
  65. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 よくわからぬ。完了予定がないというのはどういうことですか。
  66. 玉木勉

    説明員(玉木勉君) 先生の御質問は、現在までに、五十三年度までに完了を予定したところは何カ所かという御質問だろうと思いますが、それに対しましては、五十三年度までに完了を予定しているところはまだございません。
  67. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 そうすると、現在建設省が認可をした流域下水道関係については一つも完成をしていなくても、総体から見れば計画どおり進んでいる、こういうふうに受けとめてよろしいですか。
  68. 玉木勉

    説明員(玉木勉君) 完了したところはございませんが、一部供用を開始しているところがございます。  それについて申し上げますと、昭和五十年までに十二カ所、十六処理区が一部供用を開始しております。これは完成ではございません。それから五十一年度以降現在までに供用を開始をしたところが四カ所、六処理区でございます。したがいまして合わせまして五十三年度までに供用開始を一部したところが十六カ所、二十二処理区ということでございます。
  69. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 そうしますと、供用開始を始めたところというのは全体計画があって、総合計画があって、その一部分だけ使用開始をした、こういうことでいいわけですね。
  70. 玉木勉

    説明員(玉木勉君) そのとおりでございます。
  71. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 そうしますと、一部を供用開始する場合に、流域下水道全体のいわゆる包含区域——計画区域ですね。計画区域と一部作業を開始する場合のいわゆる区域とは当然違ってくると思うのですが、その辺はどういうふうに指導されておりますか。
  72. 玉木勉

    説明員(玉木勉君) 流域下水道を実施いたします場合は、先生御承知のように下水道法の認可を受けるわけでございますが、その認可計画事業実施の見通しのある期間に限りまして全体が完成するまでの一部を認可いたすわけでございます。
  73. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 そうすると、たとえば例を挙げますが、三つの市、七つの町村、こういうふうにありまして、ずっとつないできて終末処理場ができないと流域下水道になりませんね。流域下水道というのは終末処理場が必要なんですね。そうしますと、そのうちの一部を稼働することになる。一部を稼働する場合に、三つの市、七つの町村があったときに、全部加盟していますからね。そうしますと、公共下水道をこの流域に管をつないでいく。こういうテンポになろうと思うんですね。  そうすると、一部を動かしているということについては全部の町村が必ずしもつながらないということになりますね、市町村が。それらのいわゆる処理場の建設と、つないでいく計画というのはどういうことに具体的になるんですか。
  74. 玉木勉

    説明員(玉木勉君) 下水道の処理場は全体計画のうちそれを段階的に施行してまいります。その段階的と申しますのは関連する公共下水道の整備状況に見合って施設を段階的に拡張していくわけでございます。したがいまして一遍に処理場をつくるわけではございません。したがって関係市町村が七つありまして、当面供用開始した時点ではそのうちの三つの市町村の一部が処理開始になるということになろうかと思います。
  75. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 その辺の問題はまた相当問題のあとるころなんでして、また時間をみてやることにします。余りきょうは触れないでいきますが、問題は、計画が認可をされて、そうして必ずしも計画どおり進んでない現状が幾つかあるわけですね。これらの現状に対していわゆる遅延の理由について建設省としては一体何があるのかということについての要約をされたことがありますか。
  76. 玉木勉

    説明員(玉木勉君) 流域下水道の終末処理場の建設に当たりまして先生指摘のように一部の反対が見られるわけでございますが、その反対の理由といたしましては、終末処理場の設置によって悪臭や大気汚染等の公害が生ずるおそれがあるんではないか、特に流域下水道の場合は終末処理場に幾つもの市町村の汚水が入るわけでございますので、地元住民の反発が一層強いということがあるわけでございます。  もう一つは、終末処理場へ、ただいま先生から御指摘がありましたように、工場排水の流入によって水処理が阻害され、放流用水の水質が悪化して、放流先の公共用水域の汚濁の原因となって下流の汚水処理場も支障があるのではないかというような危惧の念でございます。あるいはまた汚泥焼却の際に重金属類が大気中に放出されて大気汚染の原因になるのではないか、こういったことが主な反対の理由でございます。
  77. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 いまあなたの方でそういうふうに計画計画どおりいかないケースについての大体の問題点を把握をされておる。先ほど私が環境庁に対して質問をいたしました中にも、巨大化の問題について必ずしも大きいことがよいことではない、大きくするばかりが能じゃない、こういう意味の回答もあるわけですね。  そうしますと、そういうような具体的に地域での反対があり、あるいは政府間におきましても広域化をし、巨大化をすることが余りそれが全能じゃないという考え方があって、そしてこの計画をあなた方は許認可をするわけですね。そうなりますと、そうした問題点とあるいは必ずしも全体の合意が得られてないという前提に立って、具体的には指導はどういう立場をとられるんですか。
  78. 玉木勉

    説明員(玉木勉君) 流域下水道の巨大化ということが言われておるわけでございますが、これはただいまの環境庁の方からの御答弁にもありましたように、われわれは流域下水道を必ずしも巨大化しているというわけではございませんで、下水道計画に当たりましてはある地域を公共下水道で実施するか、あるいは流域下水道で実施するかという判断は、その地域の地形的な条件、あるいは市街地の配置の状況、そういったことを勘案して決定されるものでございまして、一つの都市の市街地が他の都市から離れているような場合、あるいは地形的に独立しているというような場合には単独の公共下水道として計画されるわけでございますし、また二つ以上の市町村が近接している場合は一体的に計画するというようなことで、必ずしも何でもかんでもまとめて規模を大きくしているということではございません。
  79. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 表向きの答弁はまさにそのとおりだろうと思います。これは法律の解釈ですから。ところが具体的指導になると大分違っていますね。そうしてその辺を具体的に指摘をしますと、それは事業主体が県ですから、県の計画でございますと、こうなっちゃうんですね。  しかし、中身は建設省がやはり具体的に指導しているわけですから、そこでお聞きをしたいのは、事業計画のいわゆる許認可に当たって審査をするわけですね。ところが内容的には審査をするというのは、もうそれまでに該当する都道府県とたとえば建設省の出先機関とが十分に打ち合わせをしてきて、書類が上がってくれば、言うならばもう盲判でもいい状態になっている。これが行政の姿だろう。そのために出先がおるんですからね。そのことはとやかく言いませんが、内容的にそうなってくるにしても、いわゆる事業計画の認可、あるいは事業計画変更の認可に当たって建設省としての審査のいわゆる各骨組みがあるはずですね。  これは下水道法の第六条の認可基準、これはもちろん法律で定められたことですからあたりまえの話なんですが、それ以外に、いまあなたが少し触れられたように、たとえば計画人口について何年先をどの程度の率で見るのか、物差しの問題もあるだろう。同時に今日工場排水がきわめて大きな問題になっていますから、該当する地域における産業構造というのは将来どういうことになっているんだろう、その将来とは一体人口の伸び率等との関係から言っても何年くらいの先をどういうふうな形で見通しをするんだろう、言うなら都市計画全体の問題とかかわってくるわけですが、その辺の判断基準というものは建設省として全体のそこの都市、都市全体の構想、たとえば住宅建設がどういうふうになってくるんだろう、産業構造はどうなってくるんだろうかと総合的にながめなければならぬわけですが、そのために各省と私は協議をしているんだろうと思うんですが、省はきちっと責任持って許認可できますか。
  80. 玉木勉

    説明員(玉木勉君) ただいま先生の御指摘の中に盲判ということがございましたが、そういうことは決してございませんで、足りない技術者の中で事業の内容については徹底的に審査をいたしております。  事業計画の内容で決めることにつきましては法律で定めてございますので省略をいたしますが、この計画を定める場合の勘案事項のまず先生指摘計画人口、それから工場の発展の状況等でございますが、下水道は非常に長い先の見通しを立てないと困りますので、計画人口、工場の発展の状況等はおおむね二十年先を見越して計画を策定いたします。それが基本になりまして、それに基づいて発生いたします汚濁負荷量あるいは下水量を推定をいたしまして、それをどういう計画で、どういう下水道計画を立てるのが最も経済的で、水質環境基準を達成する上にも効率的であるかということを考えまして事業計画を立てるわけでございますが、つまり下水道の整備に要する費用あるいは終末処理場の場所が一番問題になるわけでございますので、場所の決定、それから事業効果のあらわれる速度、それから既設の下水道計画との関係、それから河川等に及ぼす影響、それから将来の問題として下水処理水の再利用の見通しとか、あるいは下水汚泥の処分の問題とか、それにさらに関係市町村の意見等を考慮いたしまして計画を策定するわけでございます。
  81. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 御答弁を聞いているときわめてりっぱなんですが、じゃ、具体的にこれは私が予備的に聞くぞと言ってなかったから準備してないかもわかりませんが、担当の方がもし承知なら、わかっておりましたら答えてもらいたいんですが、神奈川県の相模川流域下水道というのがありますね。それから奈良県の大和川流域下水道というのがありますね。これはもう相当以前に稼働しているはずです。  たとえば神奈川県の相模川の流域下水道については、当初工場排水は大体あそこの処理水のうち三十万トン近く計画を見ておったはずなんですね。ところが今日の不況の問題が出てまいりまして、工事をそれぞれ独自に公害防除をやった方がむしろ割り安になる、結果から見て。こういう立場でこの流域下水道へつなぐことを徐々に遠慮していった。結果的に大体三十万トンの計画が八万トン程度に落ちちゃっているんですね。落ちてしまいますと、これは経費的にも大変な問題が発生してくる。結果的にその地方自治体は赤字をそこに抱えることになりますから、一般財源でめんどうを見なきゃならない、こういう事態が発生していますね。  奈良県の場合にも大和川流域下水道では将来おおむね百万トンの汚水を処理をしよう、こういう計画でいきましたところが、具体的には三割にも満たない汚水の処理。言うなら六割、七割のむだな施設をつくっちゃって、その分がこれまた地方自治体の大きな負担になっているんです。こういう現実がありますね。  これはもう明らかに建設省がこれ事業認可しているわけですからね。している段階でその計画自体にきわめて問題がありという指摘にならないと私は総合的な判断をして建設省が大鼓判を押して認可をするという形にならぬと思うんですよ。しかし現にこういうふうなあなた方が認可をした流域下水道の中で幾つかの問題点が出ているんじゃないんでしょうか。この辺は御答弁できますか。
  82. 玉木勉

    説明員(玉木勉君) ただいま計画の立て方の際に申し上げましたように、下水道は非常に恒久的な施設でございまして、非常に長期間の見通しに立って計画を立てるわけでございます。したがいまして一時的に工場が独自に施設をつくって個別に流すというケースも出てまいりましょうが、将来その工場が永久に個別で処理するかどうかも将来の問題でございますし、あるいはまたその工場のところに住宅ができてくるというような非常に遠い将来の状況もその可能性があるわけでございますので、そういった遠い将来のことを見越して計画をだんだん立てておりますので、現時点で非常に余裕のある施設であっても、それは必ずしも将来ともそういう状態になるかということは非常に不確定な問題でございますので、われわれとしては余裕を見て計画を立てておるということでございます。
  83. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 だから、そういうふうなきわめて流動的な形の中で、今日むしろ公共下水道よりも流域下水道に焦点を当てて、しかも冒頭私環境庁にも質問をしましたように、その計画の遂行に当たって幾つか警察まで介入をして問題が提起されているのですよ。そこまで強行しなければならぬようなものなのかどうか。問題じゃないですか、それは。  先行きの展望だからゆとりあるようにつくります。それは結構ですよ。ゆとりあるようにつくったものが、そこに満杯になるまでの期間が、たとえば二十年間の見通しをして、この二十年間でも二十年間待つまでの間はそれが完全に一〇〇%処理能力を発揮するまでには二十年間かかる計画になるのですから、計画どおり進んで。その間はそこの設備に対して必要のない部分を設備しているわけですから金がかかっている。それだけでも大変なのに、なおかつその二十年間が実は誤差でございました。実はそこまでいくのには三十年間かかります。経済変動の問題ですから。こうなってきて、施設の大きいものをつくればつくるほどその誤差というものは大変になる。誤差を建設省が国の予算とは別にどこかから取ってきて使っているならいいですよ。建設省が使う金だって県が使う金だって全部国の資金じゃありませんか。今日の段階でそういうむだを大きく固めることによってなぜしなきゃならぬか。そうした観点をきちっと建設省は見るべきじゃないんでしょうか。  しかも地域住民は、先ほども言いますように、巨大化をしてきて、よその市町村、自治体が、実は汚物を吐き出して、終末処理場の担当のところへ行けば何でおれのところが引き受けなきゃならぬのかと。これが反対運動の一番大きな問題じゃないんですか。  むしろそれぞれの自治体が責任を持ってそこの地方自治をやっているとするならば、自分のところで出した汚物は自分のところで処理をしましょうや、公共下水道でいいじゃないかと。ところが公共下水道の計画をしているところすらも、いや流域下水道計画を今度策定したから、あんたのところはそれじゃなしにこっちへやってくれという話で、反発のできないような体制になっている。  そうした事情をあなた方は御承知の上で事業を許可しているのでしょう。認可をしているんじゃないですか。その問題について一体どういうふうに考えますか。
  84. 玉木勉

    説明員(玉木勉君) 最初にも申し上げましたように、それは終末処理場の場合でございますと、全体の計画のうち汚水量の増加あるいは関係公共団体の下水道整備状況に見合って段階的に施工いたしますので、施設にできるだけむだのないように、施設の能力に見合って関係公共団体の下水道整備に見合って整備するわけでございます。で、流域下水道にするか公共下水道にするかという問題は、その地域の河川の水質環境基準をどうすれば一番効果的に達成できるかという観点から考えておるわけでございます。
  85. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 まあ問題点私が指摘していることをきちっと受けとめておいてくださいね。  次に、工場排水にいきますが、工場排水の問題について、たとえば先ほど例に挙げました群馬県の県央流域下水道、それから岐阜県の各務原の木曽川右岸の流域下水道、それから最近愛知県の刈谷の境川の流域下水道、ここでも同じことが言えるんですが、大体工場排水について、一つは日量一千トン以下に工場排水は限定をするというのがまず第一。一千トン。当初は工場排水はもう少し計画提示の段階では大きいんです。日量五千トン、六千トンという一つの基準で受け入れる。反対運動があると、その反対運動の要望を入れたようなかっこうでどんどん落としていくんです。六千トンが五千トンになり、五千トンが三千トンになる。ところが一千トンのところで全部とまっているんですよ。これは建設省が大体一千トン、それ以下に下げてはぐあいが悪いという一つの内部指導が行われているんではなかろうかというふうに私は思っているんですけれども、まず第一が日量一千トン以下に限定をするということ。  二つ目には、有害物質、重金属を含むものは受け入れない。あたりまえの話ですね。これが二つ目。  三つ目には、工場排水の流入率というのは全汚水水量の三〇%以下とする。ところが計画を見てみますと、工場排水が七〇%を超すような計画がざらにある。これは先ほど言うように住民の反対にこたえたというようなかっこうでだんだんだんだん落としていくんですが、三〇%以下。ゼロというのは出てこない。  四つ目は、著しく着色をしたものはこれは受け入れをしない。  五つ目には、廃油については廃油収集装置等をつける。  大体工場排水については以上のようないわゆる問題というのが提起をされている。代表的にこのことがきちっと文章で証明をされておるのは木曽川右岸流域下水道、この条件なんですね。しかしこの条件は建設省の先ほども言いますように指導基準なのかどうなのか、これをひとつ教えてくれませんか。
  86. 玉木勉

    説明員(玉木勉君) ただいま先生がおっしゃいました工場排水一千トン以下とか、あるいは工場排水が全体の三〇%とか、着色したものは入れないとか、そういった一般的な基準を建設省でつくっているわけではございません。その地域の状況に応じて原則的に工場排水を受け入れるという指導方針をとっております。  それから、有害物質を受け入れない、これは当然でございまして、これは有害物質を含む工場排水は除害施設の基準に従って基準以下に落として入れてもらうということ、これは法律できちっと定められているところでございます。  それから、焼却をした場合の灰あるいは大気中に出ます煙の処理についても、公害の発生しないような処理施設を設けるという指導はいたしております。
  87. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 具体的にひとつお聞きをしますが、境川の流域下水道、ここにおける条件というのはどうなっておりますか、工場排水について。
  88. 玉木勉

    説明員(玉木勉君) 境川についても同様でございまして、国の指導方針はただいま申し上げました三〇%とか千トン以上とか、そういうことは全然聞いておりません。  それから、先生おっしゃいました工場排水をだんだん減らしているというふうにおっしゃいましたが、現在のところ正式にまだそういう工場排水の汚水量の変更等は行っておりません。
  89. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 群馬県の県央流域下水道の条件も同じですか。
  90. 玉木勉

    説明員(玉木勉君) はい、同様でございます。
  91. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 そうしますと、それぞれの工場排水の受け入れ計画、いわゆる全体の汚水量をどういうふうに抑えるかという問題が計画の中心でなきやならぬわけですね。  そうしますと、工場排水を日量一千トンを境にして受け入れるか受け入れないか大変大きな課題、全体の計画汚水に対して占める率というのは大変なことでしょう。これは基本計画にかかわる分野になるんじゃないですか。それらは一体認可との関係はどうなりますか。
  92. 玉木勉

    説明員(玉木勉君) 工場排水につきましては一千トン以上というようなことではなくて、その下水道計画区域内の工場は原則として下水道で、工場排水の中には下水道で処理する方がいい工場排水もたくさんあるわけでございます。したがって工場排水についての受け入れば個別に判断して決めるわけでございます。
  93. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 個別に判断をすると言いますが、現実問題として一千トンを基準にして、そして工場排水は何トン出るのか、それを何トン受け入れるのか、こういう形で計画具体化をしているんですよ。いま具体的にされておるのはその一千トンなんですよ。これは先ほど言いましたように、群馬県の県央流域下水道でも木曽川右岸でもそうなんです。  今度愛知県の刈谷の境川流域下水道等についても、先ほども触れましたようにこの十一月一日から計画変更した分の縦覧開始になっている。これでも当初計画から見ますと変化してきているわけです。変化というのはどこに基準を当てるかによって受け入れる量が違ってくるから当然計画変更になってくるんでしょう、境川の場合は。国の方は基準を示していませんからと言いながら、じゃ計画が適当であるかどうかというのは一体どこをもって押さえるんですか。物指しなしにあなたのところは押さえているわけですか。
  94. 玉木勉

    説明員(玉木勉君) ただいま申し上げましたように、千トンというような一律の基準を設けているわけではございませんで、その地域の実情に応じて工場排水の受け入れは決めておるわけでございます。
  95. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 どうもすれ違いの答弁を戦術的に行使をされているように思えてならぬのですけれども、まあそれはともかくとして、たとえば境川流域下水道の場合には刈谷市に限って一つ例を挙げますと、愛知製鋼という工場がある。それから豊田紡織。この二つの工場というのは相当大規模工場なんです。そして市の対策委員会の中でも幾つか問題が提起をされまして、ともかく地元の方々の満足のいくようにという立場で、いま例に挙げましたような企業については大企業だからひとつこれは除いてもらおうと。  実は日量排水量が二百トンなんです。二百トン前後なんです。この二つの工場が。ところが流域下水道でしょう。刈谷市だけじゃない。ところがこうやって除くのは、じゃほかのところの刈谷市以外の行政区の大企業も除くのかと、こう言ったら、ほかのところは行政が違いますから刈谷市だけしかそれは言えませんと、こういうことなんですよ。これが流域下水道の一つの問題点ですね。  そうしますと、たとえばあなた方が流域下水道計画についての申請を受け付けて、そして認可をするに当たって、下水道計画に携わる各市町村のそれぞれの行政のやろうとしていること、どこに基準を当ててどうするかというような問題について、この調整が必要なんじゃありませんか、本来。そしてその調整をする物差しをもってこの計画が妥当であるかどうかということが判断できなければ本来は許認可ができないはずです。計画が合致をしているのかどうかということを見るのに全然物差しなしで、いやそんな千トンなんて基準決めていませんよと、こういう形で果たして受け入れる汚水の流量なんというのは決められるものでしょうか。もう一遍そこの点をはっきりしていただきたい。
  96. 玉木勉

    説明員(玉木勉君) そういう量を幾ら以下は入れない、幾ら以上は入れるという基準はございません。下水道法にもございますように、下水道整備がされた後で下水道管理者の許可を得て下水道に入れないことができるという規定があるわけでございます。  したがって、いま計画上は特別の理由がない限り原則的に計画に、たとえば工場地帯、まとまった工場地帯とか、そういったものについてはその区域自体を外すことはできるわけでございますが、計画上は計画区域内の汚水は工場排水であろうが家庭下水であろうが原則として下水道に入れるという法律の体系になっているわけでございます。したがって工場排水は下水道が整備された段階でその工場が下水道によって処理されると同等以上の水質まで処理するという条件で、下水道につながないで公共用水に直接許可を受けて出すという仕組みになっておるわけでございます。
  97. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 あのね、物事というのは、百というのは一が百集まるから百になるんですね。一が十集まれば十なんです。そういうふうに計画汚水の受け入れる数量というものが公示されるんですからね。いいですか。この計画は公示されるんでしょう。公示をされる、公のものにされる計画の汚水を受けとめる数量というものは、あなたのいまの話ですと何の根拠もなくなっちゃう。何の根拠も。  しかも流域下水道の特徴というのは幾つかの行政が集まっているわけですね。法律で言えば二つ以上のものが集まっている。実際には三、四、十何兆というような大規模なものですね。それぞれのこの流域に集まっているそれぞれの行政行政区内のいわゆる指導、下水道の管理、こうしたものはそれぞれの自治体がやるわけですね。幾ら流域下水道だからといって、県が直接おまえのところのあれはどうのこうのと言う権限は法律的に何もありませんね。事業主体は県であるけれども、それをどういうふうに生かしていくかは全部それぞれの地方自治体になっている。これが法律の仕組みでしょう、現実問題として。建設省も、建設省は指導をしているけれども事業実施責任者じゃない。ただ補助金をその計画については出し得るか出し得ないかという判断の問題なんですね、法律的に。  ところが、実際にはいまの話で日量の問題、あなたは否定をするけれども、各流域下水道のそれぞれのところでは、期せずして工場の受け入れを行う基準というのは九百九十九トン、いわゆる一千トン以下。一千トン以上は、これは残念ながら受け入れたいけれども受け入れをしない、これは反対が強いからだ、こうなっている。ここが今日の問題点なんです。この辺はあなた方の方に具体的な意図的なものがないとするならば、もう少しきちっと耳を傾けて、その辺に区切りを置いていることが是か非か、これはひとつ明らかにしてもらいたい。  私は、きょう通産省の方から、大体日排水量一千トンで、たとえばどれぐらいの人を雇っている工場なのかという、たとえば鋳物、繊維、機械、製紙、化学、鉄鋼、窯業、こうした関係の書類を参考資料としていただいたわけですが、具体的に進める方の建設省で、たとえば県央流域下水道の場合に、具体的にいわゆる日量排水が一千トンというふうに工場排水が規制をされたときに、県央流域下水道の地域ははっきりしているわけですから、そうしますと建設省は当然一千トンで線を引っ張ったときに、ここでは除外される工場が大体工場分の何%になる、いわゆるつなげる工場というものは全体のうちの何%になって、その規模は大体どれぐらいのものになるか、地域によって特性がありますからね。そういう試算が当然行われなければならぬわけです。そうじゃないですか。そういう検討をされたことありますか。  たとえば木曽川右岸について、その事業計画に参加をするいわゆる行政というものは明確になっている。そうでしょう。岐阜県のあの羽島なんかは当初計画の中に入っていたけれども、いやわしのところは公共下水道でやりますから流域下水道の計画の中には入りませんと言って脱退をした。だからあそこは除外されているんですね。そういういきさつの中で明確に参加をする行政というのはきちっとでき上がっているわけです。そうすればその地域の中でどういう産業が中心になって構成をされているのか、どういう産業と産業が分布をしているのか、これはわかっているはずです。そうでしょう。しかも規模もわかっている。  そうすると、日量大体一千トンに区切ったときにどの産業のどういう程度のものが実は存続をするのか、あなた方は当然試算をして、この計画について許認可に当たっての検討をすべきじゃないですか。どうなんですか。
  98. 玉木勉

    説明員(玉木勉君) 下水道の計画区域内の工場については全部計画を立てる前に調査するわけでございます。しかしながら、その工場の中に一千トン以下は下水道に入れないというような指導はどこもいたしていません。
  99. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 意識的に外しているというふうに受け取らざるを得ませんね、あなたの答弁というのは。  冒頭も要求をしましたように、わからないということの方が不思議だと思うんですよ。これは議事録に残りますから、あなたが戦術的に質問を回避をしているなら回避をしている、こうなりますから、きちっとまた後で具体的に質問をしますから。  次に、通産省お見えになっていますね。——いま論議をしてまいりましたように、工場排水というのがきわめて大きな問題点になっておりましてね、現実問題。しかもその工場排水がいわゆる家庭汚水と一緒になって混合処理をされるというところに、住民としては、特に終末処理場が建設をされる予定地域の住民というのは不安が増大をしているわけですね。そこで一番不安を増大をさしております工場排水、技術的な問題はさておきまして、きょうは端的にお聞きをするわけですが、この問題が解消されるということが下水道事業を促進をしていく上にとってきわめて重要なポイントになるわけです。  下水道事業は、午前の討論にもありましたように、公共水域の水質をいかにきれいにしていくのか、水をいかに有効にしていくのか、同時にそのことによって人の命、健康を保全をしていくのかということとかかわりまして促進をしなきゃならぬ。促進をする立場に立って、一番問題のところは何とか対策を講じなきゃならぬということに相なろうと思う。そういう意味からいきまして、特に市街地域——市街というのは都市内ですが、都市内の地域に存在をいたします中小工場、ここの公害処理については大変大きな問題を抱えているというふうに私は思います。  通産省はそうした中小の公害処理に対しまして指導並びに助成等の課題があると思うんですが、PPPの原則を貫徹をしていくんだという立場に立ちまして、その辺の通産省としての考え方といいますか、対策方針といいますか、こうしたものを簡単に説明をいただきたいと思います。
  100. 佐藤素祥

    説明員佐藤素祥君) 先生の御質問でございますが、御高承のとおり流域下水道に対する工場排水の排出につきましては、下水道法に基づきまして排出基準が定められておりまして、この基準違反については罰則の規定もあるわけでございます。  通産省といたしましては、中小企業における公害防止対策実施については特段の配慮をする必要があると考えておりまして、一つは、商工会議所に設置しております産業公害相談室というのがございますが、そういうものを中心といたしまして、技術的な問題や法令の内容等について、中小企業に対しての指導を行っております。それからまた中小企業者というものの経済的な地位を考えまして、公害防止設備の設置については財政投融資の問題あるいは税制上の助成措置を用意して、中小企業者に対する基導遵守に問題がないように施策を進めてきておるところでございまして、今後ともこういう助成指導を継続して、中小企業における公害防止対策が実効ある形で実施されるようにしてまいりたいというふうに思っております。
  101. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 そこで、いま基本的なお考えを聞きましたが、たとえば先ほどから私しきりに出しておりますように、刈谷市、いわゆる境川流域下水道ですね。この地域のいわゆる中小企業等の実態を分析をしていきますと、名前を挙げて大変失礼なんですが、トヨタ関係のいわゆる系列に入る産業が圧倒的に多いんですね。おおむね八割がこの境川流域の産業構造をなしている。こういう特異な地域であるわけです。  そこで、それらの下請、孫請の企業の実態からいきますと、正直申し上げて、単独で公害防除施設をつくっていく、これはPPPの原則にのっとるわけですが、大変現、実問題としてはむずかしい。それだけ工賃というのが間を置いて下にいけばいくほど苦しい実態になっていることは、これは私が言うまでもないところなんですね。非常に安い工賃で買いたたかれている。しかし仕事がなかったんでは食えないからといって系列の中にしがみついちゃっている。これがあの地域の産業構造の特徴です。そこでそれらの工場が公害防除施設をきちっと設置をしていくという、こういう体制を社会的に考え出さなければならない。これは大変重大な課題だと思うんですよね。  問題は、その個人個人の中小の企業が防除施設を持ち合わすだけの資金的能力がない。したがって通産省としてはなるべくそれが充実するように助成措置等も考えられている、資金を運転をさせることも考えている、こういうふうな形になっているんですが、それだけではやはりまだまだきわめて不十分。実際最小のところではほとんど施設がつくれないというかっこうになっている。そうしますと、その施設をつくらしていくのに一体どこからその資金というものを捻出をするかというのは、社会的な問題として総合的に検討しなければならぬ課題なんですね。  そこで、私自身は一つの案として提起をしてみるわけですが、具体的に大企業の系列化が地域の全体をなしているということになって、しかも大企業の仕事を一〇〇%受けながらやっている実態からいきますと、大きな企業が仕事をやらせている、こういう観点に立つとするならば、大企業がむしろその防除施設について、きちっとめんどうを見ていくという、こういうことを検討する余地というのは非常に高いのじゃないだろうか。むしろPPPの原則を追求をしていくという観点からいくと、まさにそこのところも観点としてとらえていく必要があるだろう。もしその原則がきちっと追求されて確立をするとするならば、私は方法、手段というものは、たとえば工賃を比較的安いものを少し引き上げて、全体が防除施設に回るぐらいの、あるいは維持費に回っていくぐらいの採算のとり得るものにしていくのか。あるいは大企業みずからがそこの施設についてはおれのところでつくろう、おれのところで維持をしよう、こういうふうに出てくるのか。大筋言って、そういうふうな方法、手段というものは、また考案をされるだろうと思う。  今日まで余りそうした観点についての指摘、追求というのはされてないように私は判断をするものですから、ぜひ通産省の立場からも公害防除という社会的な要請にこたえて、その辺の検討、あるいは将来そうした立場で一遍指導してみる、相談をしてみるという余地があるのかどうか。もうそういう考え方は一切それは今日の社会に通用しないというふうになるのか。その辺について、ひとつ見解をお聞きをしたい。
  102. 佐藤素祥

    説明員佐藤素祥君) 先生もよく御存じのとおり、下請問題というのは非常に複雑でございまして、いまの例でもお話ございましたように、一次下請、二次下請、三次下請という形で、非常に複雑な構造になっております。その製品の納入価格とか支払い条件の問題、いろいろ非常に絡んでくる問題でございまして、そういう点からいたしますと、この問題は中小企業の、あるいは中小下請企業の全体を把握した上で総合的に物を考えていかなくちゃいかぬだろうというふうに考えます。したがいまして、いまのような下請企業の公害問題についても、そういう複雑な非常に困難な状況考えながら対処していく必要があるかと思います。  先ほど申し上げましたけれども、通産省といたしましては、そういう困難な状況下にある中小企業、あるいは中小下請企業について、いろんな施策をやってきておるわけでございますけれども先生の基本的な御趣旨等も踏まえまして、今後とも十分対策を進めていきたい、かように考えます。
  103. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 どうも通産省、ありがとうございました。  次に警察。  小矢部川流域下水道の終末処理場をめぐって、これは富山県なんですが、富山県の高岡市というところです。五十三年の二月十五日、いわゆる強行しようとすることに対して抗議行動がありまして、住民意見無視じゃないか、もう少し住民の言うことを真剣になって聞けと、こういう立場で抗議行動がありました。これに警察が実は介入をしている。  それから、江戸川左岸流域下水道、これは千葉県の市川市です。ここでも機動隊が介入しまして、ピケ隊が解散をしているという事態がある。  それから、先ほども提起をいたしました群馬県の県央流域下水道、ここも残念ながら地権者に対する買収工作ですね、県の職員との間のトラブルが原因になって、そうして逮捕者まで出す、こういう事件が発生をしております。これは五十三年十月三日ですかね。  それから、愛知県刈谷の境川流域下水道、ここの抗議行動に対しても機動隊が待機をする。  さらにまた、木曽川右岸のいわゆる各務原の抗議行動に対しても、つい最近県が調査ボーリングをするということに対しまして、これは地元に全然連絡がなしに全くの不意打ちでやろうとする、それに対して発見をして警報を鳴らして全体が集まる、機動隊が警報が鳴ってからどれだけの時間で現地にどれだけの人数が集まったか統計までとっている。こういうような形が出ています。  さらに幾つかこの流域下水道計画のあるところについて警察権力の、いわゆる事件になっているかなっていないかは別にいたしまして、多くの介入が見られるわけであります。群馬県の玉村町もそうでありましたが、あるいはまた最近の刈谷あるいは木曽川右岸各務原、こうしたところの、たとえば市会が始まりますと、あるいは町会が始まりますと、その町会の中に警察官がやっぱり入り込んでくる、こういうところまで実はきているわけであります。  私はきょうずっといま論議をしてまいりましたように、きわめて流域下水道の計画自体が大変問題であるし、特に終末処理場を抱える地域住民の立場に立ちますと、きわめて民主主義の問題としても大きな課題を意味している。そういうところに警察権力がだれかの要請を受けてということになるのか、独自判断ということになるのか、ほとんどの地域に介入をしている。しかも逮捕者まで出る。こういうような形になってまいりますと、一体日本の民主主義というのはどうなっているんだろうか。警察というのは正当な立場に立つ人々の権利を擁護する立場にあるのか、むしろ人々の主張を受け入れない、言うことを聞かない、権力でそれを押しつぶそうとする側に立つのか、大変基本的な問題だというふうに考えるわけでございます。  警察としてこの流域下水道問題について今日までとられてきた幾つかの態度があるわけでありますから、考え方を聞いておきたい、こういうふうに思っておいでをいただいたわけですが。
  104. 依田智治

    説明員(依田智治君) 警察としましては、こういう流域下水道問題、その他いろいろいま住民運動等ございます。こういう場合の基本的態度としましては、やはり反対運動がどういう形で起ころうが、これが平穏に秩序ある中で行われる限りは警察はこれに関与しないということは、これは基本原則でございます。  ただしいろいろ集団行動等ある場合には、往々にしてそこに違法な事態が発生する場合がありますし、また発生するおそれがあるというような状況がございます。こういう状況がある場合にこれを放置するということは警察法二条で警察に課せられた責務を果たすということになりません。そういう場合には国民の生命、身体、財産を守り、公共の秩序を維持するという立場から警察としては所要の措置をとり、秩序を維持するということを基本方針としてまいっておるわけでございまして、この下水道問題にしましても同様でございます。  たとえば先ほど御指摘ありました江戸川左岸流域下水道終末処理場、この関係でも七月一日に事案があったわけでございますが、千葉県庁内に反対派等が十一時ごろ二十人くらい押しかけてきまして都市部長と面談していろいろ話し合ったけれども、工事を中止せよということで話し合ったようですが、なかなか解決しない。夜にわたってくるというようなことで、打ち切って退去してくれと言ったが退去しないという状況がございまして、県知事の方から警察の署長に対して出動要請があったということで、警察が九時過ぎに出動しました。しかしこの出動する場合でも、できるだけ反対派住民の自主的な退去を期待するということで、中には入りませんで、入り口まで行って警告して、この場合は警告したら自主的に出たということで、警察としては中に入らず一応入り口まで行ったけれども住民の自主的な行為によって解決しておるという状況がございます。  また、たとえば岐阜県の関係でございますが、この場合は一応木曽川の右岸流域下水道終末処理場の関係ですが、十月十六日に県当局が地質調査再開をするということに対して反対派が二百七十人くらい押しかけてきたという状況がございました。警察としてはもし不測の事態になってはということで、一応所轄の近い警察署までは警察官を百八十名程度前進させましたが、事態の推移を見守っておったところ、結局県の方が工事を中止したということで事案が何も起こっていないということでやっておりません。出動していないという状況です。  あと、先ほど玉村町の下水道処理場の関係がございましたが、これは県当局の職員が意向調査をしていたところ、反対派に暴行を加えられて傷害を負ったということで、あと被害者の方から届け出があって、被害申告があって、四人を逮捕、一人を任意で調べた、こういうような事案がございます。  そういうことでございまして、警察としましてはこれまで先ほど申し述べた基本方針にのっとりまして、警察力の出るのをできるだけセーブしながら、しかし違法事態があったときにはこれをできるだけ大きくならぬうちに摘み取るというか、そういうことを基本に考えておるわけでございます。
  105. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 権力と言うと言い過ぎかもしれませんが、これは地方権力に間違いないのでして、往々にして警察を利用するといいますか、そういう立場で住民の自主的な運動を抑圧しようとする、抑えようとする、こういうことが相当いろんなケースの中で展開をされるわけであります。特に私はきょうは深くは追及をしませんですけれども、私自身も今日までの私自身の歴史の中で、幾たびか、その問題は経験をしてきておるわけです。こういうことからいきましても、警察が特に行き過ぎを起こさぬようにしてもらいたい。  とりわけ流域下水道問題について、いま端的に申し上げておきますと、先ほど挙げました例のほかに、三重県の川越町ですが、北勢沿岸流域下水道計画がある。それから福島県の阿武隈、これは県の北流域下水道、同じく県の中流域下水道、それから静岡県の西遠流域下水道、それから滋賀県の琵琶湖湖南流域下水道、岡山県の児島湖流域下水道、島根県の宍道湖流域下水道、幾つかの計画があるわけですが、いま申し上げましたような名前のところは、おおよそ私の感じからいきましても、県が強硬手段に出る限りまた住民との間のトラブルが発生しかねない、こういうところでございまして、したがってそれらに対する警察の対処の仕方について、ひとつ住民の権利が損なわれないように、いま御答弁のありましたきちっと公正な立場に立ちながら対処をされることを私は要望をしておきたいというふうに思います。もし何か具体的な問題等が出てまいりましたら、これはもう一遍また私はおいでをいただかなければならぬだろうと、こういうふうに考えますから御承知おきいただきたいと思います。  次に、少し建設省に具体的な形でお尋ねをしていきますが、環境庁もときどき質問が入りますから、いいですかな、長官。——玉村ですね。先ほどから出ています群馬県の関係ですが、ここの終未処理場の予定地の決定に当たりまして、決定した場所というのは、土地改良それから構造改善、パイロット事業ですね——これ農林省。それから維持管理事業、県の圃場整備事業、こうした事業が次々に行われていった地域でありまして、したがってその投資効果がようやく発揮をされる時代を迎えましたいわば優良な農地なんですね、候補地が。こういう観点から、ここを選定をしました理由について、農林省に後でまた質問いたしますが、建設省として、省は違いましても国の資金というかっこうで、あるいは県の公の資金というかっこうで優良な農地にしようということで努力をしてきた、ようやくその効果がこれから出始めようとしているときに、そこを建設予定地にするということについてどういう検討が加えられたのか、あるいはそこによろしいという認可をした決定的な理由というもの、根拠というものはどこにあるのか、これを具体的にひとつ説明してください。
  106. 玉木勉

    説明員(玉木勉君) 利根川の県央の終末処理場の位置の決定でございますが、一般に終末処理場の位置の選定に当たりましては、自然的、社会的な地域の特性を考慮して、建設維持管理上最適な位置とする必要があるわけでございます。この地域につきましては、特に三点ばかりを主要な検討事項として検討したわけでございます。  まず第一は、利根川の水質環境基準を達成するためには低水流量の比較的大きい利根川本川に放流することがまず適当であるということが一つございます。それから二番目は、できるだけ自然流下により下水を集め、しかも河川に自然流下で放流することが可能な地盤の中である。それから三番目が、周辺の人家が少ない。こういった観点から詳細に検討を加えました結果、現在の位置が決定されたということでございます。
  107. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 どうもあなたは質問に対してまともな答弁をしないで困るんですが、もう少しきちっと質問聞いてくださいよ。  聞き方を変えますが、予定する建設の地がありますね。それ以外にその周辺にいわゆる下水道法第三十六条に該当する地帯というものが私は存在するというふうに見てきたんですが、いかがですか。
  108. 玉木勉

    説明員(玉木勉君) 先生の御指摘は、恐らく河川敷の利用ができないかということだろうと思いますが、この河川敷につきましては実は河川の合流するところでございまして、出水時に洪水を流すということになるわけでございまして、ここに終末処理場を築造することは治水上いろいろ問題があるという河川管理者の意見もございます。また下水の処理施設が洪水時に浸水をするおそれがございますので、下水は二十四時間間断なく流れ出てくるわけでございますので、このような場所に処理場を設けることは適当でないと考えたわけでございます。
  109. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 河川管理者はだれですか。
  110. 玉木勉

    説明員(玉木勉君) 国でございます。
  111. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 国はどこの省が。
  112. 玉木勉

    説明員(玉木勉君) 河川局でございます。
  113. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 河川局というのは建設省じゃないんですか。
  114. 玉木勉

    説明員(玉木勉君) そうでございます。
  115. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 それから、その河川管理者が河川敷は治水上問題がある、こういう話だった。あなたは歴史的に治水的にその河川敷が浸水をしたその経過調べましたか。
  116. 玉木勉

    説明員(玉木勉君) 私自身は直接調べておりません。
  117. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 じゃ、その記録は見ましたか。
  118. 玉木勉

    説明員(玉木勉君) 見ておりません。
  119. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 あなたの先ほどの答弁というのは、河川管理者が治水上ここは必要だと言ったことを調査もしないで間違いなしと、こういうふうに認定したということですか。
  120. 玉木勉

    説明員(玉木勉君) 河川管理者の考え方をそのまま……
  121. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 いいです。  明治四十三年、昭和十年、あの地域が一応大きな浸水に見舞われた災害の年です。その年にもいまあなたが言おうとして説明をしようとしている鳥川河川敷五十七万八千八百六十七・五平米ですか、ここは全然浸水も何もしていないんですよ。いいですか。浸水を受けてません、過去の歴史の中で。それが治水上その河川敷がなぜ必要なんですか。  そういうことも調査をしないで、下水道法に基づく国の土地があって、終末処理場を建設をするのならそういう地域をむしろ提供すべきである、そこを使うべきである。下水道法はまさにそのことを指摘をしているんでしょう。つい目と鼻の先にそういうのがありながら、なぜ優良農地をつぶさなければならぬのですか。一遍きちっとした答弁してください。
  122. 玉木勉

    説明員(玉木勉君) われわれといたしましては治水の問題については直接タッチをしておりませんので、治水を担当しているところの意見を聞いて決めたということでございます。
  123. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 答弁にならない。いまのような形じゃ、これは答弁になりません、正直言いまして。同じ省内でしょう。省が違うというんでも私は国の政治の問題として問題がある。  同じ省でありながら、しかも川と関連をした事業をやるのに、あなた方はそのことについて何も調査もしていない。そんなばかな話でよく認可ができますね。そういう姿勢で認可をしているんだったらこれは大問題じゃないですか。しかもそのことによって、あなた方が認可をしたことによって、地域住民と地方自治体がとんでもない対立をしているじゃありませんか。紛争の種をあなた方の認可によってばらまいているんですよ。あなた、それは責任を感じませんか。
  124. 玉木勉

    説明員(玉木勉君) われわれといたしましては常に河川管理者と連携をとりながらやっておるわけでございます。
  125. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 連携とってないじゃないか。
  126. 玉木勉

    説明員(玉木勉君) したがいまして、この場合にも直接調査はいたしませんでしたが、河川管理者の意見を聞いて判断したということでございます。
  127. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 仮に同じ農地を求めるにしても、農林省が、県がりっぱな農地にしようということで大変金をかけた地域を設定をしなくても、それ以外の農地だってあるんじゃないですか。そこよりも落ちるところがその近辺に幾らでもあるんじゃないですか、河川敷まで仮にいかなくてもですよ。ましてや河川敷があって、現在これは県に貸しているんじゃありませんか、県営のゴルフ場に。しかも昭和五十五年でそのゴルフ場の契約は切れるんでしょう、占有権というのは。そういうところまであなた調べましたか。とんでもないことですよ。そういうような計画を提起をしてきて、場所の選定は一体どうなるんですか、これは。  さらに矢作川、境川の流域下水道計画、これにつきましても、この矢作川、境川の流域下水道計画について、実は計画自体を策定をしました大学の偉い先生、これは国全体でやったわけでしょう。それの大将をしておりました京都大学工学部の教授の高松武一郎先生、それから助教授のこれは「そうみや」と言うんですか、宗宮功助教授、内藤正明助教授、この三名の計画を担当しました先生方が愛知県に対しましてこう言っているんですよ。工場排水の受け入れ、二次公害の発生、汚泥処理、海洋汚染の問題に関しては、この報告をするときに検討が欠如していると言わざるを得ないので、実施計画遂行の前提として、工場排水と都市下水と切り離して別途処理することの検討を十分行うようという意見書を持ちまして、そうして愛知県庁を訪ねて、それを担当の部長に渡しまして、そしてその計画を実行するのはその当時検討がしてないから危険ですよと、こういうふうに言われているんです。私ここに文書の写しも持っていますがね。こうしたことをあなた方は御存じですか。  また、玉村町の先ほどの終末処理場の予定地の決定にいたしましても、先ほど申し上げたような形のものがある。  木曽川右岸の方へ行きますと、これまたあなたが先ほど言いました自然流下とは全く縁のない、各務原というのは流域計画の中の中心部でありまして、しかもここは川上のずっと上の部分ですから、地域の勾配というのは非常に厳しいところです。そこで上流部分と下流部分と明確に部落が分かれているんです。該当の行政が。その真ん中に各務原がある。しかも上流部分と各務原のところへ来るまでの間は相当何にもない、いわゆる沿道ですね、形になっている。ところが各務原からなおかっ今度は下の部分があります。大体各務原まで上げてくるのには三十メーターないし四十メーターの地域の土地の高さの差がある、こういうふうに言われている。自然流下から見たらほど遠い。逆に下流部分をポンプアップをしまして、三十メーター、四十メーター引っ張ってこなきゃ ならぬ。こういう計画がこれ木曽川右岸の問題でしょう。しかもこの木曽川に放渡する沿線の関係だけじゃなくて、違う方の長良川のいわゆる沿線の部分の汚水が各務原の場合には半分以上入ってくるんですよ。しかもそれを各務原で処理をして、処理を終わった今度は放流を、長良川の分をもう一遍長良川へ戻す。こういうばかげた計画がまかり通るんですか。一体どういう考え方なんでしょうかね。  いま三つ挙げていますが、私この三つとも全部歩いてきました。現地も見てまいりました。いろんな人々の話も聞いてきました。一体国が計画するということはどうなっているんだろうか。県の方へ言えば建設省の指導がありましてと、こう言っている。一体これはどういうことなんでしょうかね。全体的に計画を見直し、具体的にもっと実情に合った指導ができるようにあなた方はやろうとしないんですか。
  128. 玉木勉

    説明員(玉木勉君) 矢作川、境川の流域下水道の計画につきましては、京都大学の先生の件につきましては承知しております。しかし私どもとしてはこの計画が最も適当であると考えております。  それから、木曽川右岸でございますが、先生指摘の長良川の流域の一部をポンプアップしてまた返している、非常にむだではないかという御指摘でございます。木曽川の場合は現在処理場を予定しております地点の用地買収が、まあ河川敷の一部を利用するということもございまして、用地費が非常に少なくて済むということでございますので、長良川の流域の水を別に処理しますと別に処理場の用地を設けなきゃいかぬということでございまして、仮にポンプで持ってきても全体の費用は安くて済むということから本計画を策定した次第でございます。
  129. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 あなたの答弁聞いていますと、そのときそのときの都合のいい答弁だけしているんでありまして、ちっとも質問の要点に答えてないんです。しかも答弁の内容そのものはチャランポランです。そんなことじゃ通りませんよ。  農林省、どうですか。いまの私のやりとりをお聞きになりまして、境川の場合も農地が絡んでいるんです。しかもその農地の前の河川に対する堤防は農林省が責任持って工事やってるんですね、いわゆる防潮を含めまして。そういうところ。玉村のところは同じ農地にしましても、優良農地を選定をしましてね。もう少し質の悪いところは方々にあるんです。あるんですが、そこは除外をして、しかも肝心の下水道法によって国の土地が有効に使えるのならそこを提供しろという方向が出ておるのに、そこはもう全然検討対象になってない。  こんなことで進められるということになって、どうですか。農林水産省は農地の問題からいきまして、もちろん都市計画法が決定をしますと農地法の関係だとか農地法の関係というのは二の次にされてしまう。こういう形に今日の政治ではいびつになっています。そのことは承知をしているんです。これは私はいま農林水産の常任委員会をやらしてもらっていますが、農林省にとっても私は大変なことだと思うんですよ。一遍見解を明確にひとつしてくれませんか。
  130. 島崎一男

    説明員(島崎一男君) 農林水産省の基本的な考え方といたしましては、食糧自給率の向上とか、あるいは食糧の安定的供給というような観点から、各種の事業の用地にどうしても農用地を使わざるを得ないというような場合におきましても、生産力の高い農地であるとか、あるいは公共投資をした農地であるとか、あるいは集団的な農地等、いわゆる優良農用地につきましてはできるだけ避けるようにということは、個別事業に限らずいわゆる都市計画の線引き等におきましても基本的な姿勢として考えておるところでございますが、今回のたとえば玉村の用地の選定等につきましては、基本的には流域下水道の位置の選定という技術的な問題が非常に大きな要因を占めておるというふうに聞いております。  そういう観点から玉村町が選ばれたということでございますが、その際に農林水産省としましては、制度的に先生先ほどおっしゃいましたようにタッチをする仕組みになっておりませんで、都道府県知事が事業主体になります場合には農地転用の許可も除外になっているということで、なかなか自分で許可の審査をするような深く立ち入った立場ではございませんけれども、この種の問題につきましては地方農政局長が都市計画地方審議会のメンバーになっておりまして、そういう立場から用地選定等につきましても各種の調整をいたしているわけでございますが、今回の問題になっております河川敷地の問題につきましても、農政局から一応問題の提起はいたしております。しかし河川管理上の問題ということで、やはり建設省側の話がございましたので、農林水産省の立場としましては、それ以上河川敷という問題の出し方が非常にいたしにくい立場でございましたので、役所の専門的な技術判断、それから県からの説明ということを一応信用して、その上に立って農用地が対象になる場合でもできるだけつぶれ地の少ない団地構成等に考えまして、何か八候補地ぐらいの選定をやりました結果、面積の一番少ないところという経過を経て了解したわけでございます。
  131. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 余りもう時間ありませんから詰めませんけれども、農林省の言う八地域の選定なんというのは、無理やりそこに押しつけなければならぬという前提の上に立って、あえて八地域に割っているだけの話なんです。もともとそんな地域なんというのはないんです。その周辺全体をながめ渡してみて、一体適地であるのかどうなのか。農林水産省として今日までの経過から見てそこがいいのかどうなのかという形に入ってあたりまえのことでありまして、地権者との関係でことさらにそれを割って比較的分散をしているという、そういう率を出してみたってそれは計画の足しにはならないということだけ申し上げておきます。  明らかに同じ国の立場で資金を片方はつぎ込む、つぎ込んだ効果がこれから出ようとしているときに目的外のところにつぎ充ててしまう。国民の立場から言ったら全くむだ遣いもいいところなんです。こんな話は許しておけません。そういうような観点からいきましても私は大いに問題がある。  そこで、山田長官。私ずっとこの下水道問題で建設省を中心にしまして論議してまいりました。一体どういうふうにあなたはこの計画についてお聞きになりますか。先ほど私は建設省に対して認可の手続なんというのはまるっきりもう盲判だという話をしましたら、いや盲判と言われたら困るという意味で、えらい開き直りましたけれども、結果は、同じ建設省内の中でも河川管理者の言うことは調べもしないでそれでよろしいと。全くこれは盲判じゃないんですか。そのこと自体を証明しているんですよ、彼の答弁。しかもそういう盲判で幾つかの問題が具体的に提起をされている。しかも一番肝心な同じ日本の国の中で住民の立場に立って政治が行われていくべき地方自治体が、残念ながら計画認可によって対立をさせられている。こういうことは私はとても許せることじゃない、こういうふうに思います。  ひとつ山田長官、いままでの論議のおさらい、同時に、最後に、私は一番最初に申し上げましたように、環境庁として胸を張って、そして環境庁の生き生きとしたことがきちっと伝わっていくような態度を含めて、長官の明確なひとつ答弁をいただいて終わりにしたいと思います。
  132. 山田久就

    国務大臣山田久就君) 環境問題についてわれわれが非常な熱意と責任を持って、いわばその評価計画の段階において、これについて十分意見の言えるような立場を維持しなければならないというような点については、われわれはもっとこういう面について注意しなければならないというふうに考えております。  ただいま建設省等との内部のお話がございました。私これについては直接環境問題というわけじゃございません。したがってそれぞれの専門の責任をどう判断するかというような問題については、その問題について私が直接介入するがいいかどうか、この点は多少疑問に思いまするけれども、しかしながら直接国民に関係のある問題については、みんなが熱意と責任を持ってもっと取り組むような態度、こういうことでいかなければならないという点については、ただいま坂倉委員の御指摘の点は同感でございます。
  133. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 いまの御答弁聞きますと、時間来ていますけれども終わりにならないんですよ。環境庁の問題じゃないという受けとめ方は、私は先ほどから言っていますようにきわめて問題ありますよ。  きょう私時間の関係もあるし、技術論議は余りしたくないから汚泥処理に伴って出てくるスラッジケーキの問題等は一言も触れませんでした。いいですか。汚泥処理の問題等をめぐりまして、いま地域の中でどういう問題が起こっているか御存じですか。たとえば汚泥処理に問題があるんじゃないか、ここには焼却をすれば空気中に有害物質をまき散らすんじゃないのか、こうした問題等の疑念もある。また仮に燃やさないとすれば、一体それをどう処分するんだという問題もある。それらについて行政の立場は一言も答弁ができないのですよ。しかも処理をした汚泥に絶対重金属が含まれない、汚染物質はないんだと言い切れますか、今日の抜術で。そうした問題がありながら、この計画に対して環境庁が関係がないというのは一体どういうことなんですか。私はそういう姿勢こそきわめて問題だと思うんだ。もう一遍答弁してください。(「環境問題じゃないという環境庁長官答弁は穏やかじゃない。」と呼ぶ者あり)
  134. 山田久就

    国務大臣山田久就君) 環境問題に関係がないと、私いまのことをそう申し上げているわけじゃございません。われわれは環境に関係のあるそういう部面のことについては、利害関係者並びにわれわれの健康影響というようなことに関する部分は、十分突っ込んでこの問題について検討しなければならない、こういう立場については無論私ども同感であると申し上げております。  ただ、建設省の内部の中の審議の点を信用するがいいかどうかというような問題になりまするというと、これはわれわれの方でその部分まではちょっと介入しにくいけれども、基本問題についてわれわれがこれに関心を持たなければならぬという点については、私は全く委員とその所感を一にする、こう申し上げたつもりでございます。
  135. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 長官、私は質問の初めころに、流域下水道計画については法律的に建設省は厚生大臣とは協議をしなきゃならぬことになっている、これは法律のたてまえ。ところが環境庁は残念ながらその下水道法によって協議の対象になってない。そこは一つの盲点でしょう。盲点ではあるけれども、問題が発生をしたときに環境庁は前面に立たなきやならぬ。そういう立場から言って、建設省と環境庁が協議をする時期というのは計画に伴ってきわめて重要だということを指摘をしている。  現に、私が三つ提起をした中で、いまから約十年も前に計画が提起をされまして、しかも当初計画の縦覧を終わって強行しようとした、それがストップをして、今度は修正されようとする境川の問題等について、いまだに環境庁が建設省と協議対象になっていない。こんなばかげた話では私は環境行政の立場からいっても困るじゃないかということを先ほども主張した。いまのあなたの御答弁からいきますと、環境庁として関係がないから、だからそういう協議についても向こうから言ってくるのを待っていて、いつでもいいから受ければいいんだ、なけりゃなしでいいんだ、こういうことが証明されているんじゃありませんか。  環境庁長官の立場から言ったら、環境にかかわりのある問題は法律に規定をされておろうといまいと当然どうなっているかというふうにあなたの方から詰め寄っていって計画について見直しをさせるならさせるべきそこまでの権限というのはあなたの方にあるんじゃありませんか。それが住民の命、健康を守っていく上で環境行政の基本にならなきゃならぬ。私はそういうふうに思いますよ。そうした態度の欠如が産業との調和だというような話で、産業の側から圧力がかけられるとだらだらと後退をしている。私どもはいつも気にしながらそのことを指摘をし、そうならないようにがんばってくれという話をしてきたこと、この場だけ済めばいいという話のものじゃありませんですよ。  もう少しきちっとして答弁してください、再度。
  136. 山田久就

    国務大臣山田久就君) 環境問題に対するわれわれの基本的な関心、したがってこれの評価等について、計画の段階から十分にこれについての協議を受けるということについてわれわれが積極的な努力をしなきゃならぬという点については、私は全く同感であるということを申し上げているわけです。そういう点で御理解いただきたいと思います。  ただ先ほど細かい議論があった、そういう点は別としてという意味であったわけでして、その点はひとつ御理解いただきたいと思います。
  137. 小平芳平

    ○小平芳平君 私は、午前中に問題提起されておりました二酸化窒素環境基準の緩和を環境庁が押し切ってやったということに関連して、初めに若干質問をいたします。  この二酸化窒素環境基準を大幅緩和するということについては一部反対をというふうな発言が午前中ありましたが、一部どころではなくて、当委員会でも田中委員長初め各党も野党はこぞってあの七月十一日の告示は反対するということは繰り返し述べていたことは御承知と思うんです。あるいは参考人の御意見も、出席された参考人の方はこの段階で環境基準の変更をすべきではないということを皆さんが述べておられたことも御承知のとおりなんです。  ですから、山田環境庁長官としまして御意見伺いたいことは、やがて一年でしょうか、この一年を振り返ってこの二酸化窒素環境基準の変えたこと、新しい告示をしたことは環境行政に大きなマイナスだったということ。それはいろいろ政治家の立場、いろんな産業の立場、いろんなことがありましょうけれども、少なくとも環境行政のプラスにはならなかった。そうは思いませんか、長官
  138. 山田久就

    国務大臣山田久就君) 小平委員のただいまのお話、いろいろ従来から御説明申し上げておるところでございまするけれども、私といたしましては、繰り返しになって大変恐縮でございまするけれども公害対策基本法の第九条第三項に基づきまして「第一項の基準については、常に適切な科学的判断が加えられ、必要な改定がなされなければならない。」、こういう規定になっております。最初に決められた環境基準は皆様がいろいろ考えて決定されたその基準であることはむろんでございまするけれども、その後の五年間の間に新しい知見がいろいろと内外においてあらわれてまいってきております。したがって、われわれとしてはこの中の「適切な」最近の「科学的判断」というその部分にこたえての新判断条件、指針というもの、その科学的な部分につい諮問を申し上げて、その諮問の結果によってそうして判断を下して改定を加えたというわけでございまして、その点はひとつ、十分御理解いただけないのは非常に残念だと思いますけれども、御理解賜りたいと思うのであります。
  139. 小平芳平

    ○小平芳平君 私が伺っておりますことは、環境行政にとりまして山田環境庁長官のおやりになったことが環境行政の前進であったかあるいはマイナスであったか、それを伺っているわけです。  したがって公害対策基本法どおり科学的な新しい知見で新しい告示をしたということが環境行政の前進であったというふうにおっしゃるのか。私はそうは考えておらないわけです。この「科学的」ということについても若干後また質問をいたしますけれども、きわめていろんな問題があるわけです。それから大気汚染による健康被害は医学的にすっかり究明し終わったみたいなことも午前中お話に出ておりましたが、そうは考えておりません、素人ながら。  したがって、そういう点、環境行政にプラスだったか、あるいは大きなマイナスだったか、あるいはマイナスとまでいかないまでも、そのことがもとになっていまなおいろいろな困難な事態が発生し、あるいは将来発生するであろうということを考えられますか、いかがですか。
  140. 山田久就

    国務大臣山田久就君) ただいま申し上げましたように、この基準というもの、それについての科学的判断が加えられましたら、われわれとしてはやはり行政目標として私はこれに従って実施に移さなければならない目標というものを変えるということ、しかもあくまでも健康を守るという立場に立って、そうしてその目標を立てるという判断に基づいてその目標というものを変えるということは、私は行政の面においての前進である、こういうふうに考えております。
  141. 小平芳平

    ○小平芳平君 それでは、東京都民が環境庁長官を相手取って基準緩和の告示を取り消せという行政訴訟を起こしたというような点ですね。これは行政のやり方としまして、行政訴訟が起きたということ、それに対しては当然環境庁は受けて立つということでしょうけれども、そういうことですか。受けて立つというだけですか。それとももう少し何かやりようがあったんじゃないかということは考えませんか。
  142. 山田久就

    国務大臣山田久就君) 改定告示に係りまする取り消し訴訟ということにつきましては、まだ裁判所から訴状の送付を受けておらない段階でございます。  果たしてどのような結果になるかは別問題といたしまして、この原告らが取り消しを求めている主な理由というような点につきましては、これも繰り返しになって大変恐縮でございまするけれども、新環境基準では国民の健康が保護されないではないか、また環境基準について中公審の諮問の答申を経てないではないかという点、これが主な内容になっておるようでございまするけれども、第一の理由につきましては、新しい環境基準は中公審の専門委員会の指針に基づいて定めたものでございまして、この指針は「地域の人口集団に疾病やその前兆とみなされる影響が見い出されないだけではなく、更にそれ以前の段階である健康な状態からの偏りが見い出されない状態」をも守るという観念から提案されているようでございます。その意味での高い安全性が見込まれているという判断によっていると認められまするので、これに従ってその指針を最大限に尊重して定めた新環境基準国民の健康を十分保護できる部分がある、こういうふうに確信している次第でございます。  また第二の理由につきましては、環境基準を改定する根拠は、環境基準については「常に適切な科学的判断が加えられ、必要な改定がなされなければならない。」と規定した公害対策基本法第九条三項がございます。この法律に従いまして健康保護観点から定められている大気汚染環境基準についての改定の基礎は健康影響についての「科学的判断」である、したがって、この「科学的判断」の部分について中公審に対してその「科学的判断」を、すなわち判定条件と指針についてわれわれは諮問しているわけでございまして、その答申にのっとって環境基準を改定した今日の告示というものについては、手続上にもまた改定の根拠の上でも問題がない適正なものだとわれわれは考えている次第でございます。
  143. 小平芳平

    ○小平芳平君 そういうふうに山田長官説明されることは、これは前の委員会もそういうような説明をしておられるわけですが、納得してないわけですね、大多数の者が。  第一、午前中のお話にもありましたが、大気保全局長は何がわからないと言ったわけですか。不勉強で告示のもとになった数値の根拠の説明ができないということを文書に署名して渡したわけですか。そのことは、人によれば大変山本さんという人は正直な人だ、こんなことが説明できるわけがないということも言われているんですけれども、いかがですか。
  144. 山本宜正

    説明員(山本宜正君) 当日の状況は、患者の方々がお見えになりまして患者の苦衷を訴えた後、指針値の〇・〇三というのがどういうぐあいに導かれたのか、こういう専門委員会の中での導かれ方につきましてのお尋ねがあったわけでございます。それを私が非常に平たくわかりやすく患者さんに御説明をすることができなかったということでございまして、それならばおまえは不勉強なのかということで署名を求められた、こういうことでございます。  御承知のように、それに対しまして私どもは翌々日の十月二十一日付をもちまして文書をもって環境境準の決められました経緯、それから特にその日の議論になりました四つの疫学的データという問題につきまして、五月十日の鈴木委員長参考人として呼ばれましたときに委員会委員長として委員会議論をされた経緯につきましてその疫学的データのことを触れておられますので、その文書並びに参議院の前国会の審議の終わりのころに大気保全局といたしまして専門委員会検討経緯というものの趣旨を資料としてお出ししたわけでございますが、それをあわせてお送りいたしまして、それで回答は尽きている、こういうぐあいに見ておるわけでございます。
  145. 小平芳平

    ○小平芳平君 それで一件落着というふうにお考えでしょうが、そうなってないわけですね、実際には。  したがいまして、いま伺いたいことは、この全国公害患者の会連絡会の方々と話し合いを地方において、東京、大阪、北九州など全国七カ所で話し合いをするという約束をしたが、それはいま説明のあった文書を送ったことでもう終った、一切話し合いはもうしない、こういうふうに報導されておりますが、そういうことですか。
  146. 山本宜正

    説明員(山本宜正君) 先ほど申しましたように、当日の議論というのは専門委員会の中での問題でございますし、全国各地に出向きましてお話しするというよりもむしろ文書で斉一な回答を各地域に送付申しましたので、それをいたしました上で、この問題につきましては中央レベルの問題でございますので、今後そういったレベルでのお話し合いには応じてまいりたい、かように考えているわけでございます。
  147. 小平芳平

    ○小平芳平君 別に中央レベルとか地方レベルという区別はなくていいんじゃないですか。  要するに、環境庁長官伺いますけれども、この点についても先ほど来お話がありましたが、環境庁の基本姿勢としまして、そうした環境基準を変えるということは地域住民にとっては大問題なわけです。健康とのかかわりの問題ですから。とても第三者的な聞き流しにはできない問題があるわけです。したがいまして環境庁としては局長あるいは長官が全被害者を何万人回って歩けなんて言っているわけじゃもちろんないわけですから、とにかく中央で、東京なら東京、大阪なら大阪で十分話し合いをします。説明しますという、このくらいの姿勢が必要じゃないですか。
  148. 山田久就

    国務大臣山田久就君) この問題についての国民理解、そういうものを促進するための努力、これはぜひいろんな意味においてやらなければならない。それはもう今後においてもその方針は無論変わりがないわけでございまして、その点はそのことを申し上げておきたいと思います。  ただ、いまちょうど御指摘になりました点は、これはNO2を今度の答申によって変えたという、いわば基本的なその部分についてという問題になってまいりまするというと、それはやや根本的な問題に類するものでございまして、その専門的な、ことに疫学についての議論ということに端を発しておりまして、その部分について素人的な説明がなかなかしにくかったというようなことに関連しているようでございます。そういう専門的な基本的な問題という部分については、これは統一的によく説明する方がいいという局長考えのようでございまするが、その点については私はそうであろうかと、こう考えておるような次第でございます。
  149. 小平芳平

    ○小平芳平君 ちょっとこのはっきりした日付はいま思い出しませんが、この委員会参考人の方から御意見を伺ったことがこの問題についてあります。そのときに意見を述べられた参考人の方は専門家でしょう。それは認められるでしょう。素人的な人じゃなくて、専門的な人ですよ。その専門的な専門家の方々がここで環境基準を二倍、三倍に緩める必要はありませんと口をそろえておっしゃっていたわけです。  したがって、何か説明を聞いていると素人だけが反対する、専門家は当然科学的に承認をしている、そしてその専門家が素人的な説明ができないだけだみたいに聞こえるんですが、それは間違いですよ。長官、どうですか。
  150. 山本宜正

    説明員(山本宜正君) 内容的には非常に統計学のむずかしい言葉が出てまいります。御承知のように、当時の専門委員会の中の疫学データを使ったことについての説明につきましては、鈴木委員長が五月十日の参考人のときに述べておられるわけです。そういったことで、かなりむずかしい内容のことを言っておられたように私も当時聞いているわけでございます。  それを平たくかみ砕いて話すということにつきまして、私が当時不勉強であったということでございますが、内容的には御承知のように疫学的な三つの調査から、どの程度から上のところで濃度が増すと疫学的な有意の差が出るかということを求め、さらにそれを複合大気汚染調査の結果からあわせて見て。総合的に考えて〇・〇二から〇・〇三という指針を導いた、こういうことを言っておられるわけでございまして、それをそっくり移してお答えすることでお答えになっている、こういうぐあいに思うわけでございます。
  151. 小平芳平

    ○小平芳平君 それでは、私がこの委員会で、七月二十七日の委員会でしたか、環境基準として〇・〇四から〇・〇六のゾーンにおさめるという、そういう環境基準というのはきわめて異例でもあり、また行政の運営にもいろんなやりにくい点があるし、どうしても納得しがたいというような質問をしたのに対して、環境庁からいろいろ説明がありました。  そこで、改めて全然別の立場で伺いますと、環境庁としてはこういうことがあったんですか。最終目標としては〇・〇四PPmにしたい、しかし中間目標としては〇・〇六PPmを目標としようという環境庁が主張をした、通産省は〇・〇六PPmに緩和すべきだという主張をしていたと。こういう事実があったんですか。
  152. 山本宜正

    説明員(山本宜正君) ある新聞によりましてそのような内容が報道されたことがございました。しかし今回の環境基準の改定におきまして〇・〇四から〇・〇六、日平均のゾーンあるいはそれ以下ということを決めまして、それを各省の折衝に持ち込んだ中でいろいろな御意見はあったやに聞いておりますが、あくまでも環境庁自身といたしまして最終的に結審をし告示をした、こういうぐあいに御理解いただきたいと思います。
  153. 小平芳平

    ○小平芳平君 もちろんそうだと思いますよ。それは環境庁自身が結審をし告示をしたに違いありませんが、その中間の段階で、私が質問したようなことが環境庁の方は最終目標〇・〇四PPm、中間目標として〇・〇六PPm、それに対し通産省は〇・〇六PPmを環境基準にすべきだ、こういう主張をしていたんですかということを伺っているわけです。
  154. 山本宜正

    説明員(山本宜正君) 私といたしましてはその辺の事情は聞いておりませんが、環境庁といたしましては健康を保護する上で維持することが望ましい基準としては〇・〇四から〇・〇六ということでありまして、決して〇・〇六が中間目標という意味ではございません。
  155. 小平芳平

    ○小平芳平君 そう、それは現在はそうですけれども、途中でそういうことが議論になりましたかと伺っているんです。
  156. 山本宜正

    説明員(山本宜正君) 私は聞いておりません。
  157. 小平芳平

    ○小平芳平君 それはその後かわったにしても、あなた前環境保健部長だから先ほどの被害者団体の方に説明できないからなんて、そんなことは理由にならないですよね。  それで、それではその環境基準に幅を持たせた背景としては科学的な知見である指針が現在のレベルでは幅をもってしか示し得なかった、こういうことがあるんですか。
  158. 山本宜正

    説明員(山本宜正君) 専門委員会には判断条件と指針を御諮問申し上げたわけですが、その中で出てまいりました指針値が年平均で〇・〇二から〇・〇三という形で出ておりましたので、それに基づきまして環境基準値を一日平均で〇・〇四から〇・〇六に決めた、こういう経緯でございます。
  159. 小平芳平

    ○小平芳平君 別にそんなわざとむずかしく言わないで、素人わかりするように答弁してくださるとよろしいんですが、要するに科学的な知見である指針というものは現段階では幅をもって示す、要するにぴったり〇・〇四とか〇・〇二とか、そういう示し方には無理があるんだということが、まあ科学的、科学的、学問的と盛んに言われますから、そういう科学者に私は伺っているわけですよ。
  160. 山本宜正

    説明員(山本宜正君) 今回の指針値が出されましたのは、御承知のようにいわゆる健康からの偏りを防ぐということで、専門委員会の報告書の中にもございますように「地域の人口集団に疾病やその前兆とみなされる影響が見い出されないだけでは十分ではないと考え、更にそれ以前の段階である健康な状態からの偏りについても留意した。指針はこうした健康影響に関する条件に対応するものであり、」、こういうことを言っておられますし、また「地域の人口集団の健康を適切に保護することを考慮」して指針値を提案した、こういうぐあいに言われているわけでございますので、そういう意味では〇・〇六PPmにおきましても健康は守れる、こういうぐあいに理解しておるわけでございます。
  161. 小平芳平

    ○小平芳平君 それはそれで〇・〇四か〇・〇六かということは先ほど質問したんですが、はっきりした答弁をされませんが、いま私が伺っていることは幅でないとその指針というものは入らないのかどうかということを伺っているわけです。
  162. 山本宜正

    説明員(山本宜正君) 先生方いろいろ御議論した中で全体の合意として幅が決められた、それは科学的にその幅の中では健康に対しての有意の差はない、こういうぐあいに言っておられるわけです。
  163. 小平芳平

    ○小平芳平君 それじゃ、逆に伺いますと、幅でなくても示すことができるんですか、指針は。
  164. 山本宜正

    説明員(山本宜正君) 従来決められております環境基準、たとえばSO2あるいは前のNO2等につきましては環境濃度という言葉を使っておりますが、一つの値で答申がされておる、こういうことはございます。
  165. 小平芳平

    ○小平芳平君 科学的知見である指針ということはずいぶん使っている言葉ですよ、いままで環境庁がね。科学的知見である指針、その科学的知見である指針は、それは幅を持って示すのか、あるいは幅でなくて〇・〇四なら〇・〇四というふうにぴったり示すことができるのかどうか、それを科学的にはどうかと伺っているわけです。
  166. 山本宜正

    説明員(山本宜正君) 専門委員会の答申を読みますと、いわゆるいろいろ科学的に詰めた結果といたしまして、この幅の中では有意の差がない、こういうぐあいにお考えになって答申がされた、こういうぐあいに言っております。
  167. 小平芳平

    ○小平芳平君 それじゃ、科学的知見である指針が現在のレベルでは幅を持ってしか示し得なかったということは間違いですね。私がいま言った表現は間違いですか。
  168. 山本宜正

    説明員(山本宜正君) ちょっとお尋ねの趣旨がよくわかりかねますが。
  169. 小平芳平

    ○小平芳平君 さっきから同じことを言っているように、科学的知見である指針は現在のレベルでは幅を持ってしか示し得なかったという、現在のレベルでは指針は〇・〇四から〇・〇六ということを意味するでしょう、恐らく。幅を持ってしか示し得なかったという表現は間違いですかと聞いているんです。
  170. 山本宜正

    説明員(山本宜正君) 幅を持ってしか示し得なかったということとほぼ同義と思いますが、要するに〇・〇二から〇・〇三の間は有意の差がない、健康の上で有意の差がない、こういうぐあいに言っておられます。
  171. 小平芳平

    ○小平芳平君 そうすると「環境庁の内部資料」として新聞にも出ましたし、皆さんもそれを見てますます納得いかないというふうに言っておられることは事実なんですか。それは間違いなんですか。
  172. 山本宜正

    説明員(山本宜正君) 「内部資料」ということで十月十二日の日経新聞の朝刊に載っておった問題がございますが、これはあくまでも私ども内部でいろいろ資料を検討する段階におきまして何人かの人にメモを出させて、それでディスカッションの材料にした、そのものがたまたま出たということでございまして、それが直ちに私ども大気保全局の内部の統一的な考え方ではないわけでございます。その辺はひとつそういった資料であるという点を御理解いただきたいと思います。
  173. 小平芳平

    ○小平芳平君 そうすると、私が読み上げている辺が間違っているというわけですか。要するに基準決定の際の事情、環境庁の主張があって通産省の主張があってというふうに言っているその辺、あるいは幅を持たせた、幅を持ってしか示し得なかったというそこだけが間違っていると言うんですか。
  174. 山本宜正

    説明員(山本宜正君) 幅を持って決めたのは環境庁独自で考えたわけでございまして、その間に各省折衝でいろいろと私どもの方の考えを申し述べ、それに対してのいろいろ議論なり反論なりあったようでございますけれども、あくまでも環境庁の自主的な考え方で決めたということが事柄の内容でございますので、その辺はよく御理解いただきまして、その辺につきましては、この新聞の報道につきましては若干一個人が書いたメモということを中心に書いてみえるようでございますが、私ども考え方はいま申し述べたようなことでございますので、それには相違はございません。
  175. 小平芳平

    ○小平芳平君 結局そのメモはどこが間違っているということはないじゃないですか。個人が環境庁の主張は最終目標、中間目標という主張があったということ、あるいは通産省が〇・〇六PPmという主張をしたということ、これは環境基準に幅を持たした背景と理由はそういう背景と理由があるんだ、あるいは現在のレベルでは幅を持ってしか示し得なかったとして結局幅を持って示しているんですから、現在。このとおりでしょう。
  176. 山本宜正

    説明員(山本宜正君) 環境庁として〇・〇六を中間目標という形での各省折衝をしていない、こういうぐあいに私は聞いております。  〇・〇六を中間目標としての意味で各省折衝はしていない、要するに〇・〇六から〇・〇四という幅ないしそのゾーン内あるいはそれ以下ということで各省折衝している、こういうぐあいに私は聞いております。
  177. 小平芳平

    ○小平芳平君 〇・〇六が中間目標だという表現だけが間違っていて、あとはこのとおりですね。
  178. 山本宜正

    説明員(山本宜正君) あとはこのとおりというよりも、私がいま御説明申し上げている……(「ようわからぬな」と呼ぶ者あり)
  179. 小平芳平

    ○小平芳平君 何もそうもったいぶった答弁しなくて、ちゃんと環境庁考えはこれこれしかじかですと言えばそれで済むことでしょう。あるいは別にそんな内部資料といっても秘密にする何もないわけでしょう。  いま私がこう言えば別にそこが違っているというところはない、ただ〇・〇六PPmが中間目標という表現をしながら各省との折衝をしたことはなかったというところだけが違うという。この内部資料も〇・〇六PPmを中間目標として各省に折衝したとも書いてないじゃないですか。ただ環境庁としての考え方として、最終目標と中間目標考えとしてはあったというふうな、それは事実でしょうが。
  180. 山本宜正

    説明員(山本宜正君) あくまでもこれは環境庁内部の一個人が書いたメモでございまして、これを材料にいろいろとディスカッションがなされた、こういうことでございまして、環境庁といたしましては〇・〇六を中間目標という考え方ではなしに、先ほどから申しているようなゾーン内あるいはそれ以下ということを環境基準としたいということで折衝している、こういうぐあいに御理解願います。
  181. 小平芳平

    ○小平芳平君 これ、時間がもうこれでなくなりますので長官伺いますけれども環境庁長官環境行政にマイナスだったということはそれは相当数の人の評価ですよ、それは。  ということは、野党各党の反対の意見、各参考人の反対の意見、それから先ほど来お話がありますように行政訴訟が起きている、あるいは大気保全局長が不勉強で説明はできないという文書をわざわざ署名して渡すようなことが起きる、これからまた各地で話し合いをしましょうと言いながら、いやそれは取りやめだというふうに一方的に通告してしまったというようなことですね。まだまだいろんな問題がこれから起きてくるわけでしょう。決してこの七月十一日の告示が環境行政にプラスだったというようなことは、どうひいき目に見て考えられませんが、いかがですか。
  182. 山田久就

    国務大臣山田久就君) 繰り返し申し上げて大変恐縮でございまするけれども、科学的な判定条件という点で〇・〇四と〇・〇六という問題はわれわれが専門委員会の答申をそのまま受け入れてやって、これで健康守れるということであれば、これに従ってこれを行政目標にすべきである、またそれが法律の要求される点であると考えて実行したことについてはるる申し上げたような次第でございまして、無論この点について反対論があるわけでございまするけれども、全般として考えて私はこの行政の合理化という、科学化、合理化と申しまするが、そういう面では私は合理的な前進である、こう考えているような次第でございまして、ひとつ御理解をいただきたいと思います。
  183. 小平芳平

    ○小平芳平君 じゃ、環境庁長官、こういう考えはどう思いますか。環境基準を告示した、そしたら測定地点の九四%がもう合格していた。それよりも環境基準を定める、一応中間目標を設定して努力をしていく、最終的にはもっと努力を積み重ねていく。考え方としてはこの方がいいと思いませんか。
  184. 山田久就

    国務大臣山田久就君) 当面科学的な指針が与えられたこの時点においては、法の命ずるところに従いましてこの「科学的判断」というものを基礎にいたしまして、そして法の命ずるように環境基準を見直すということでいくのがわれわれの行政上の責任であると考えておるのでございまして、今後さらに五年、いろいろその時点においてさらに新しい科学的な判定条件ということが出ますれば、また素直にこの点については見直しを行って、その結果というものはどうなるかわかりませんけれども、しかしながら法の命ずるところはそのようにして行われるべきもの、それに従ってわれわれは処置した、こういうふうに考えている次第でございます。
  185. 小平芳平

    ○小平芳平君 山田長官考え方としましてこの内部メモ、個人メモと言われるその中にあるように、中間目標を決める、努力を積み重ねていく、最終的にはより高い目標に近づいていく、そういう考えはいい考えだと。少なくともゾーンに入れろというよりも、あるいは告示した、九四%もうでき上がっていたというよりも、中間目標を決める、より前進をしていく、環境行政に取り組む姿勢としてはいい考えだと、こういうことは言えませんか。
  186. 山田久就

    国務大臣山田久就君) われわれはこの場合においては素直に諮問の答申というものを受け入れてやる方が行政の処置としては正しい、こう考えてやったわけでございまして、その点についてはいろいろ考えを異にするというのは残念でございまするけれども、それがわれわれの法の命ずる責任である、こう考えてやった次第でございまして、御理解いただきたいと思います。
  187. 小平芳平

    ○小平芳平君 山本局長はどう思いますか。そういう中間目標なんていい考えじゃないですか。それから、いままでずいぶんあなたも長年公害問題に取り組んできて、中間目標というのをずいぶんやったんじゃないですか。
  188. 山本宜正

    説明員(山本宜正君) 私いままで公害問題やった中で中間目標というのは実はやった覚えはございませんが、今回の環境基準を見ましても、一般測定局におきましては先生指摘のように〇〇六PPmという環境基準値で一般大気局の測定局としては九四%が満たされるわけでございますけれども、自動車の排気ガスによる測定局で見てまいりますと五八%ということで、四一%が不合格というようなことでございます。  これはやはり自動車の沿道における問題ということを今後大きに手がけなきゃならぬということを意味しているわけですし、私ども環境基準におきましても、東京そのほかの数都市におきましては現在でも〇・〇九、〇・〇八というような数値であるわけでありまして、そういう意味では〇・〇六に押し込めるということも大変むずかしいわけでありますが、また一方で〇・〇六以下のところにつきまして〇・〇六一本で決めるということにいたしますならば、そういった悪化ということが起こるということが考えられますので、〇・〇四というのもいわゆる環境基準値として示し、その中におきましては非悪化という方向で指導していこうと、こういう考え方でありまして、この方針は大変結構なことだと私は思っております。
  189. 小平芳平

    ○小平芳平君 この方針というのはゾーンが結構だというんですね。そうするとゾーンが結構だというんですが、それじゃ科学的にゾーンで表現する以外にないのかというと、これははっきり返事しないんですね。  ですから、NO2の場合はゾーンで決めたと。じゃさしあたってSO2はどうなるんですか。COはどうなるんですか。科学的にどうなんですか。
  190. 山本宜正

    説明員(山本宜正君) SO2につきましては前回の改定のときに一つの数値として出てまいりまして、現在の汚染状況並びに健康保護という状況から考えまして現在のままでよろしいと考えておりますし、その目標を立てることによって行政施策が進み、SO2につきましては環境基準到達が間近になってきた、こういうぐあいに考えられますので、それについてはそれでよろしいと、こういうぐあいに考えております。
  191. 小平芳平

    ○小平芳平君 はっきり返事してください。  要するにゾーンでなければ表現できないというふうなことをさっきから私言っているわけでしょう。いわゆる内部資料がそう書いてあるじゃないですか。それじゃ現在の科学的知見ではゾーンでなければ表現できないというなら、じゃSO2なりCOなり、それはやっぱりゾーンでなくてはならないのか、あるいはそちらの方はゾーンでなくてちゃんと設定できる、二酸化窒素だけがゾーンでなければ表現できないんだという理由があるのかどうかですね。何一つ納得できないじゃないですか。
  192. 山本宜正

    説明員(山本宜正君) 今度の専門委員会の報告というのは、御承知のように前回以降の科学的知見が大変に進んだわけであります。そういう意味でいろいろのデータを考えていった場合に、疫学的データからも、かつまたほかの動物実験等から考えても、いろいろ進めてみて、科学者の議論として一つの幅の中では有意差がないということがわかったということでありますから、そういう意味でそれにのっとって環境基準も幅で決めた、こういうお答えをするわけであります。
  193. 小平芳平

    ○小平芳平君 したがって、幅の中で有意差がないわけです。したがってSO2なりCOはやっぱり同じように幅の中で有意差がないということが言える可能性があるのかないのか。
  194. 山本宜正

    説明員(山本宜正君) 現在までのデータからそれが言えるかどうかということにつきましては、いままでの環境基準を決めた判断の中ではできなかった、こういうことに解しております。
  195. 小平芳平

    ○小平芳平君 そこで、NO2だけがなぜゾーンでなくちゃならないのか。違いはどういう違いがあるんですか。
  196. 山本宜正

    説明員(山本宜正君) その辺がいわゆるこの専門委員会の報告書にも書いてございますように、科学的な不確定さというものを議論の中に入れて詰めていったところ、この幅の中では問題がない、こういう考え方でありますので、〇・〇三でも〇・〇二でも、これは数値としては違うけれども健康を保護する上での意味は同じだ、こういうぐあいに先生方が出された、こういうぐあいに理解しております。
  197. 小平芳平

    ○小平芳平君 ですから、わからないわけでしょう、結局その辺は。ときたまたまNO2についてはそのゾーンの中で有意差がないという結論が出たというふうに、皆さんはそう言うんですが、そう言われても納得できませんという方もたくさんいらっしゃる。それはわれわれ素人の中にも納得できない人がいるし、専門家の中にも納得できない人がいらっしゃるわけでしょう。  そこで、あくまでもNO2の場合はゾーンで有意差がないと言うなら、じゃSO2はどうだ、COはどうだということに当然なるじゃないですか。その辺はまだわからない、これからの課題です。あるいは複合した場合どういうふうになるか、これはこれからの課題ですということでしょう。したがって健康については一〇〇%保証しますとか、大気汚染による健康被害については全部究明しましたとか、間違いでしょう。とんでもない間違いでしょう、そんなことは。
  198. 山本宜正

    説明員(山本宜正君) 有意差がないということと、わからないということとは私は違うと思いまして、その範囲内では健康の上で差は起きない、こういうぐあいなことでありまして、そういうぐあいに御理解いただきたいと思います。  それから、SO2、CO等についての今後の問題でございますが、これはやはりいろいろの科学的な知見が今後積み重なるということにおきまして、やはり検討されるべき問題じゃないだろうか、こういうように思っているわけであります。
  199. 小平芳平

    ○小平芳平君 SO2等については今後の検討課題だと。じゃ、NO2については検討課題はなくなったんですか。
  200. 山本宜正

    説明員(山本宜正君) 専門委員会の報告の末尾のところにもございますように、やはり学問的な科学的な知見の進展ということは今後もあるであろうから、そういった場合には法の定めるところでもありますし、知見が積み重なった段階でまた評価すべきだというふうなことも書いてございます。私どもそれは謙虚に受けとめなければならぬ、かように考えております。
  201. 小平芳平

    ○小平芳平君 山田長官、要するに健康の問題をこれでもう全部わかったと言うこと自体が間違いでしょう、人間の健康の問題を。なお少なくとも環境行政の上から言って念を入れてやっていくというのは当然の姿勢でしょう。このゾーンでいいんだと言い張る皆さんと、いや間違いだという意見とあるわけですよ。それがすっかり話がついた、もうよくわかりきったなんてことになってないわけです。  ただ一つだけ、じゃ、山田長官に今度は別の問題で伺って私は終わりにしたいんですが、これも先ほどお話があったアセスメントについて、環境事前評価について、山田長官は北海道の条例が成立したことは御承知でしょう。東京都で案が議会に提案されたことも御承知でしょうが、何か東京都の案は激しいとか、そういうような批評をされたんですか。そういうアセスメントについてのお考えはどうなんでしょう。
  202. 山田久就

    国務大臣山田久就君) 東京都では独自のいろんな案を実施に移すようなことで進めておるようでございます。  まあ環境問題はその波及するところいろんな関係を持ちます。したがって東京都もやっぱりいわゆるガイダンスといいますか、行政的な手法というものを重ねられて、その経験を積んだ結果でいい条例というものを考えていくということが一般的には私は望ましいものだろうと、こう思います。その点、まあいきなりかなり独自の考え方一つの条例をつくろうという点は時期が尚早じゃないか、こういう感じを私は述べたわけでございまして、今日においてもそういう点は変わりがございません。まあわれわれともよく相談をしながらこういう問題についてはやっていくのが望ましいと、こういうふうに考えております。
  203. 小平芳平

    ○小平芳平君 そうしますと、川崎市あるいは北海道の案は独自の案じゃないんですか。各地方団体で条例をつくるということは独自の案をつくるに決まっているんじゃないですか。
  204. 山田久就

    国務大臣山田久就君) アセスメントというものはいずれにしてもこれは重要なことでございますから、そのこと自身というものはそれがいい悪いという問題でない、私はこれには十分な理由があろうと思います。  ただ、それを実行に移す場合の一つの態度としては、かなり内容いかんにも関することでございまして、従来からいろんな法律によって一つのアセスメントというものを行政的に取っ組んできた、そういうようなラインにいくもの、あるいはかなりそれから独創的なものにいく、まあ余り未経験な問題に取っ組んでいくことのよしあしというものは、これは程度の問題もあろうかと思いまするけれども、私は慎重であるのが望ましい、こう考えている次第でございます。
  205. 小平芳平

    ○小平芳平君 ちょっと逆じゃないですか。むしろ条例で先行していただくことは結構なことだということが従来の発言だったんじゃないかと思うんですが、それが先行することは好ましくないということだと。  ですから、ちょっと先ほどの点だけ明らかにしてください。川崎市と北海道、これは成立したわけでしょう。それと東京都の案、その手続上のということは環境庁との話し合いの違いがあったのかどうか。それから内容的に東京都の案だけがなぜそんなに激しい、独断だというふうな言い方をなさるのか。
  206. 上村一

    説明員(上村一君) ことしの七月、北海道が条例を制定いたしまして、川崎はそれ以前からあったわけでございます。で、こういう条例をつくられます場合に、一々相談があるわけじゃございません。東京都の場合も同様でございます。  それで、いま大臣申し上げましたのは条例先行云々ということではなしに、環境影響評価をするということはだれもが必要であることは認めておる、しかしこれは相当経験を積んで、しかる後に条例をつくるべきではなかろうかと。先行しておる北海道なり川崎についてはある程度要綱等経験を積みながらその経験を踏まえて条例化されておる。東京都の場合にまだ都議会で経続審議になっておると承っておりますので、私からとやかく申し上げるべき筋合いではございませんけれども、ほかの二つの条例に比べますと、よく言えば精緻、悪く言えば繁雑ではなかろうかというふうに思うわけでございます。
  207. 小平芳平

    ○小平芳平君 その繁雑ということは、住民意見をどう聞くかというその辺でしょう、一番の問題点は。
  208. 上村一

    説明員(上村一君) 都議会で審議をされることになっております条例につきまして私の方からとやかく申し上げるのもちょっと筋違いじゃなかろうかというふうに思うわけでございますが、私自身条例案を見せていただきましたときに感じましたことは、いま御指摘になった問題もございますけれども、いろんな組織をつくったりするようなことも含めまして、少し手続が込み入り過ぎているんじゃなかろうか。そして先ほど大臣が申し上げましたように、こういったものをつくられる場合にはまず行政上の経験をある程度積まれる方がよりいいんじゃないか。朝、大臣申し上げましたように、この問題について先駆的な役割りを果たしておりますアメリカでも七年たった今日相当問題があるということでいろいろ検討中でございますので、こういった新しい制度というのはある程度経験を踏まえながら、それからだんだんと精緻なものにしていくというのが進め方としていいんじゃなかろうかというふうな感想を述べられたものであるというふうに私ども理解しておるわけでございます。
  209. 小平芳平

    ○小平芳平君 それは当然各都道府県の条例案ができるたびに局長大臣にけちつけられたんじゃ何のための自治か本当にわからないですよ、そういうことじゃ。ですからそういうことはけしからぬことだと私は思うんです。だが、こういうふうに大きく新聞にも環境庁長官がアセスメント条例についての批判をしているという、しかもそういう激しいやり方というふうな表現になっておりますから、どこが激しいのかと私はいま伺ったわけです。  ですから、経験を積んでいくということはもちろん大事です。大事ですからこそ、じゃ、国の方こそさっさと経験を積まなくちゃならないじゃないですか。国の方がやるぞやるぞと言ってさっぱりやらないでいて、環境庁長官がそれこそ毎年毎年所信表明の第一項目にやりますなんて言ってやらないでいて、そうして地方でやろうという案ができたというと、それは激し過ぎると批判するなんてもってのほかだという考え、それに対して環境庁長官どう思いますか。——環境長官答えてくださればそれで終わりますから。それでそのほかのいろいろ質問通告しておきましたが、大変申しわけありませんが、時間がなくなりましたので、これで終わります。
  210. 山田久就

    国務大臣山田久就君) われわれとしては閣議了解その他で行政的にはその点についていろいろと実は経験を積みながら、またそれぞれの法律にも示されておるそれによってまた環境基準がつくられるというようなことで経験を積みながらやっているわけですけれども、どうしてもこの際やっぱり統一した一つ法案が必要だという認識に立って、ぜひひとつ意欲的にこれに取り組みたいということでがんばろうとしておるわけでございまして、ひとつ御理解いただきたいと思います。   〔委員長退席、理事坂倉藤吾君着席〕
  211. 馬場富

    馬場富君 最初に、赤潮の養殖ハマチ等の被害について先ほども質問が出ましたが、五十二年から五十三年につきまして二年間連続の瀬戸内海沿岸の赤潮被害というのは養殖業に大きい打撃を与えておるわけですが、この被害状況等については先ほど質問されましたので、この因果関係について説明していただきたいと思います。
  212. 馬場道夫

    説明員馬場道夫君) 赤潮の被害の問題でございますが、被害額等につきましては午前中申し上げたとおりでございますが、赤潮につきましては前からあるわけでございまして、昨年、ことしと二年続けて、特に瀬戸内海の播磨灘を中心にかなり広範に発生したわけでございます。  赤潮の原因等につきましては私ども赤潮の発生機構の解明ということで鋭意取り組んでおるわけでございますが、発生機構大変複雑でございまして、燐、窒素等の栄養塩類の問題、あるいはその他気象あるいは海況、塩類濃度とか、いろんな要因があるわけでございまして、定性的な要因につきましてはある程度の見当がついているわけでございますが、それが定量的にどう関係をしているか、あるいはそれが相互にどういうふうに組み合わさって赤潮の被害が出るかというような問題がなかなかむずかしいわけでございます。  そういう意味で、私ども水産庁と共同で五十二年の九月に赤潮研究会をつくりまして、赤潮に関係いたします全国の研究機関あるいは大学その他の関係の学者先生等にお集まりをいただきまして鋭意検討を重ねておるわけでございます。そういう意味で赤潮の発生につきましては非常に複雑でございますが、何とか早く解明をしたいということで私ども検討を進めている段階でございます。
  213. 馬場富

    馬場富君 特に大量のハマチが実は死亡したわけですが、これについての直接の、原因というか、状況について。
  214. 恩田幸雄

    説明員(恩田幸雄君) 赤潮によります魚数の死亡の原因につきましてはそれぞれプランクトンの種類によりましてあるいは魚の種類によりまして違うわけでございますが、今回播磨灘で起きましたホルネリアによりますハマチの死亡につきましては、ホルネリアが持っております粘液、これがちょうどハマチのえらにかかりまして、それで窒息状態を起こして死んだ、このように私どもとしては考えております。
  215. 馬場富

    馬場富君 最近赤潮の原因の中の一つに、これは環境庁の方で答弁願いたいんです。が、やはり養殖等の汚染一つ指摘されておりますが、この点についての水質調査は養殖水域についてどのようになされておるか、説明していただきたいと思います。
  216. 馬場道夫

    説明員馬場道夫君) ハマチの養殖が赤潮の一つの原因ではないかということが言われておるわけでございますが、ハマチの養殖漁場におきまして大量のえさを与えるとか、あるいは密殖による水質汚濁ということが一部問題になっているわけでございますが、その汚濁の形成機構につきましても必ずしもまだ十分解明されていない、むしろ不明な点が多いというのが実態でございます。  このために環境庁といたしましては五十二年度から養殖漁場、これは主としてハマチ、カキを対象にしておりますが、   〔理事坂倉藤吾君退席、委員長着席〕 養殖漁場におきます水質汚濁の実態を把握するための調査実施いたしておるわけでございます。この結果を踏まえて、適切な対策がとられるように関係省庁に要請したいと思っておるわけでございますが、この調査につきましては五十二年度から実施をしておるわけでございまして、ハマチにつきましては三重県の尾鷲を対象にし、カキにつきましては宮城県の気仙沼湾を対象に県に委託をいたしまして、養殖漁場の周辺の水質あるいは底質の調査、それから生物相の調査、あるいはそのバックグラウンドでありますえさの投入量であるとか、あるいは流入の負荷量であるとか、そういうものの実態の把握に努めておるわけでございます。
  217. 馬場富

    馬場富君 そこで、次に水産関係を中心に質問をいたしますが、特に養殖魚の魚病対策についてこれから何点か質問していきたいと思います。  今年の三月の予算委員会で私は養殖魚の魚病に対して投薬の方法が非常にずさんで、いわゆる薬づけ養殖魚の問題点を何点か指摘いたしました。それにつきまして関係大臣長官もそれをお認めになりまして、そして適切な法改正あるいは制度の見直し、指導の強化を約束されましたが、この点について現在いかに進行しておりますか、御説明いただきたいと思います。
  218. 恩田幸雄

    説明員(恩田幸雄君) 先生指摘のございました投薬の仕方についていろいろ各問題があるということでございまして、私どもその際にもお話が出たわけでございますが、一部薬品会社の薬品に添付しております投餌の方法等について不十分な点があるということでございまして、私どもといたしましては早速薬品メーカーを集めまして適正な薬剤の使用基準に改めるよういろいろ指導をいたしまして、休薬期間につきまして若干の改善を見ております。  なお、全体の魚病に対する問題につきましては先生指摘のいろいろな問題がございましたわけでございまして、これにつきましては本年の六月から学識経験者あるいは業界代表等の方々からなります魚病対策総合検討会を開催いたしまして、鋭意現在検討を進めている段階でございまして、近く中間報告書が出るような事態になっております。  なお、その検討会において進めております議論の項目といたしましては、養殖技術のあり方、魚病に関する指導者及び魚病専門技術者の育成、それから水産用医薬品の使用方法等防疫問題、それから魚病に関します試験研究の方向づけ、こういうような主に五項目に分けまして現在審査をいたしている段階でございます。
  219. 馬場富

    馬場富君 特に二百海里時代を迎えまして、遠洋漁業の制限によってやはり沿岸漁業あるいは近海漁業、あわせて養殖漁業の必要性が増大しておるわけです。そういう点で特に養殖業者においては中小零細企業経営の方々が非常に多い。  そういう中で私が三月に指摘いたしましたように、やはり病気となった場合に適切な一つは薬品がない。そのために非常に法的な制約を受ける抗生物質や抗菌剤等を指導のないままに使用したり、あるいは水産試験場等のノーチェックのままにいわゆる薬品会社から業者が買って適当に投薬するとか、あるいはそのために大量にそういう抗生物質等が使用されたという事実を私ども調査の上でつかんだわけですが、そういう状況で現場の養殖業者としては、現在水産庁も一生懸命お考えでしょうけれども、実際どうやったらいいか法的に根拠もない、その薬を使うについても医者もないし診断してくれる人もない、技術者もない、またそれから起こってくる被害についてはどうしたらいいかということなんかについては、もう業者のいま悩みの種になっておるわけです。そういう点で、これについては早く適切に進めて対策を上げていかなければ、やはりこの被害はどんどんと増大するばかりではないか。  そういう点で法改正や制度の見直し等についても対策を立てると答えていらっしゃったんですが、どのような角度でいま検討をされておるか、いま現在の検討段階で結構ですから説明していただきたいと思います。
  220. 恩田幸雄

    説明員(恩田幸雄君) 主要項目につきましては先ほど申し上げたわけでございますが、さらに現在検討中の問題につきましてそのあらましを申し上げたいと思います。  まず、養殖技術のあり方でございますが、これはやはり先生指摘のように適正な密度で養殖を行う必要がある。それからさらに従来過当な投餌がなされておる。こういう点の是正につきまして、私どもといたしましては本年の十月に養殖に対します指導要領なるものを長官通達で現地に出しまして、その水域におきます適正な養殖規模に改めるように、そのほかいろいろえさ等の問題につきましても細かい指示を与えておる次第でございます。  そのほか、漁病に関します御指摘のございました指導者とかあるいは専門技術者の問題でございますが、これにつきましては、私どもといたしましてはやはり相当高度な知識を持ったいわゆる名医とでも申しましょうか、そのような技術者が必要であると同時に、やはり民間の養殖団体に直接指導を行う、そういう指導の段階の必要な知識を持った者と、その両方に分けまして、いかにしてそれを養成するかということで現在検討が進められておるわけでございます。  それから、さらに水産用医薬品の問題でございます。これの使用体制につきましてもいろいろ御指摘のありました問題につきまして現在検討中でございまして、医薬品の正しい使用方法についての指導、それから販売業者のモラルの向上、そのほか次の段階では有資格者による一元的な使用体制をどうつくっていくかというような問題につきまして、現在検討を進めておる段階でございます。  そのほか防疫問題につきましても、無病証明の添付とか、あるいはその予防等につきましていろいろ検討を進めている段階でございます。  さらに、試験研究につきましても、試験研究のための協議会をつくりまして、そこで大学、水産研究所、水産試験場、これらのそれぞれの果たします役割り、あるいはその研究の方向等について議論をいたすように現在検討いたしております。
  221. 馬場富

    馬場富君 検討は結構ですが、法改正を約束されて、魚病に対する診断というのは法的にひとつも根拠がないということでしょう。それから病気に対してそういう抗生物質等を使う場合についての投薬についての指導経路もない。そういうことあたりからして、長官も、また大臣も、法改正をしてこの問題については臨まなきゃならぬということでした。  だから、いま具体的な問題があるのを述べられましたが、根本的にはそこらあたりの法改正の問題については兆しが出ておるかどうかということを御答弁願いたいと思います。
  222. 恩田幸雄

    説明員(恩田幸雄君) ただいまいろいろ検討しておる問題が多うございまして、それを申し上げたわけでございますが、それらの検討を通じましてやはり法的な制度をつくるべきではないかということで、現在それについてもいろいろ諸外国状況その他を調査するなど、さらにそのいろいろな基礎になりますそれぞれの問題点について現在詰めている段階でございます。
  223. 馬場富

    馬場富君 それでは、もう時間もありませんのでどんどん質問を進めていきますが、確かに養殖魚の需要がふえてきておる。そういう点では現実に養殖のハマチあたりが刺身になって市販されて出ておるわけですよ。  このように直接実は食用に出ておるわけでございますが、そういう状況で私どもはこの調査したときでも各県の水産試験場が養殖魚の魚病に対しては抗生物質や抗菌剤を使うということについての危険性を全部訴えておったということと、それからもう一つはそれに対する特に残留検査等が実は皆無で、こういう点について非常に問題のあることが報告されておるわけでございますが、この残留検査についてその後どのようになされたか説明してもらいたい。
  224. 恩田幸雄

    説明員(恩田幸雄君) 医薬品の残留検査につきましては、各県の試験場を通しましてそれぞれの段階で現在可能なものから残留検査をいたすようにしておりますし、なお明年度におきましては全国的な規模で残留の実態調査を行うことにいたしております。なお五十三年度におきまして輸入ウナギにつきましては国といたしまして現在検査を実施いたしております。
  225. 馬場富

    馬場富君 今後のことは別として、現在まであれからはや半年にもなるわけですから検査の結果どうですか、その結果は。
  226. 恩田幸雄

    説明員(恩田幸雄君) 一部県と民間でやったものがあるやに聞いておりますが、この結果については残留薬品は出てないというふうに聞いておりますが、私どもが直接やっております輸入ウナギにつきましては現在第一回目の分析を実施中でございまして、まだこの結果は出ておりません。
  227. 馬場富

    馬場富君 厚生省来ていただいたと思いますが、食品衛生の立場からこのようなやはり一つ養殖魚が市販に出回ったときにこれは問題になると思うのですね。そういう点で厚生省の環境衛生局においてはこのいわゆる残留等の問題についてはどのように事前調査をなされておりますか、御答弁願いたいと思います。
  228. 岡部祥治

    説明員(岡部祥治君) 先生指摘のとおりこの抗生物質につきましては、食品衛生法に基づきまして食品中に抗生物質を含有してはならないという規定になっておりまして、これは抗生物質を含有する食品が市場に流通することがないように随時各都道府県におきまして収去検査を実施することになっております。  それで、先ほど先生指摘のございました特に畜産物あるいは水産物中の残留につきましては昨年の九月に一応検査方法を集大成いたしまして、三十一品目につきまして検査方法を統一したわけでございます。さらに先生指摘の本年の八月には七品目を検査方法を設定いたしまして、七月から八月にかけまして各ブロックで開かれましたブロック会議等におきましてこの検査の強化につきまして指導をしたところでございます。  さらに今後、いま水産庁からお答えのように、さらに水産庁とも十分連絡を密にいたしながら対処してまいりたいと考えております。
  229. 馬場富

    馬場富君 これからやるということですか。まだその検査は実施されていないのですか、どうですか。
  230. 岡部祥治

    説明員(岡部祥治君) この食品の検査はそれぞれ都道府県が必要に応じて収去検査をするわけでございまして、現在までも一部魚介類の残留検査につきまして各都道府県でやっておるところでございますが、現在まで特に残留が問題になったという報告は受けておりません。
  231. 馬場富

    馬場富君 それじゃ、次に、先ほど水産庁の答弁の中にありました魚病については、やはり診断が一つは基準となると思うのです。そういう点で、先回も私は指摘しましたが、やはりこの魚病に対する診断すべき人、いわゆる魚のお医者さんというか、そういうことについてこれが一番やはり大切だし、早く進めていかなければならぬ問題ですが、との点についてはどのように進められていますか。
  232. 恩田幸雄

    説明員(恩田幸雄君) 水産サイドで申し上げますと、私どもといたしましては四十九年度から魚病に関します研修会を催しまして、それぞれ水産試験場で養殖関係をやっておった人、あるいは当然のことながら大学、旧制の専門学校等で養殖の勉強をいたしまして、さらにいま申し上げたような研究をやっておった人たち及びそれに近い資格を持ちます普及員、こういう者に対して研修を行ってきたわけでございまして、本年度からもさらにその内容の充実を図りつつある現状でございます。  なお、これではとても足りないと思いまして、私どもとしてはさらに獣医師の方々もその対象考えておりますが、さらに水産増殖技術を持った人たちにも魚病の十分な研修を行わせまして、その必要な魚医師とでも申すような人たちを多数緊急に養成いたしたいということで、来年度予算につきましても多額の研修費用を組んでいるわけでございます。
  233. 馬場富

    馬場富君 文部省来ていらっしゃいますか。——特にこの魚病関係のことについて先ほど来医者の問題が出ておりますが、昨年の獣医師法の改正によりまして一つ四年制が六年制に改革になったという、そういう中で特に魚病関係に対する科目の考え文部省の中にある、こういうふうに聞いておりますが、その点について御説明いただきたいと思います。
  234. 福田昭昌

    説明員(福田昭昌君) 魚病学につきましては、先ほど来御説明ありましたように、その教育研究につきまして養殖漁業の発達あるいは公衆衛生との関連で重要性が出てきておるわけでございますが、大学の水産関係の学科におきましてもこの分野の教育研究が行われておるわけでございます。  いま御指摘の獣医師の関係でございますが、昨年五十二年に獣医師法の改正が行われまして、教育の年限が学部と修士合わせて六年、獣医師の資格が「修士の課程を修了した者」という改正が行われたわけでございます。その際学部とそれから新しい修士課程をつないだ教育カリキュラムと申しますか、その点について、これは基本的には各大学が自身で決めることではございますが、新しい制度を発足するということで、文部省におきましてこの学部、修士課程を通じました授業科目の例を示しまして、その中で修士課程におきましての段階で応用獣医学の分野におきまして魚病学等やはり現在の獣医師の皆さんの現に果たしておられる役割りにかんがみましてそういう授業科目というものも重視していくべきであるということで、文部省として大学への通知として示したわけでございます。
  235. 馬場富

    馬場富君 わかりました。  それじゃ、水産庁へ方も先ほどいろいろな技術者を訓練すると言ってみえたが、やっぱり抗生物質、抗菌剤等の使用については、診断と投薬については資格が問題となってくるわけですよ。現在は医師とか獣医さんしかその診断と指示ができないわけです。それを幾ら技術者をつくったところで、そういう資格やるものがしっかりとしてないようなものをつくったってどうしようもならぬじゃないですか。そういう点、どのような一つは資格を持つものをつくってみえるか。
  236. 恩田幸雄

    説明員(恩田幸雄君) 私どもといたしましては先ほど申し上げました魚病対策総合検討会、この中で教育及び資格制度分科会というものを今後つくりまして、この中で検討いたしていくことになっております。  その際に、やはり御指摘のような問題については私どもとして何とかそういうかっこうに持っていきたいというように考えておりますが、今後この検討会の分科会、特に検討会の資格制度分科会の検討を待ちまして結論を得たいというふうに考えております。
  237. 馬場富

    馬場富君 水産の方についても、厚生省の方の獣医師の関係とも連携の上、逃げ文句でなしに、実質現場では養殖業者たちが困り果てておるわけですから、そういう点について適切な、早く合法的に投薬もでき採算がとれるという関係をつくってもらいたい、こう思います。  それから次に、この魚病対策の中で最近非常にクローズアップされてきたのに、抗生物質、抗菌剤等については非常に危険性があるけれども、そういう害も少なくて効果が非常に多いワクチンの効果というのがひとつ挙げられておりますが、この点について水産当局はどのように検討されていますか。
  238. 恩田幸雄

    説明員(恩田幸雄君) 先生指摘のようにワクチンは耐性菌を生ぜしめることが少ないし、また副作用も少ない。こういう観点から私ども大いに注目いたしている次第でございまして、国の淡水区水産研究所では五十一年からマスのせっそう病につきましてのワクチンの開発研究を実施しておりますし、また宮崎大学に委託いたしまして、ハマチのノカルディアあるいは類結節症等についても現在研究開発を進めている段階でございます。さらに都道府県の水産試験場においてもそれぞれの地域の特性に応じましてそれぞれの魚種の病気につきまして開発を進めております。さらに高知大学、北大、北里大、その他各大学で自主的な基礎研究が進められているのが現在の状況でございます。
  239. 馬場富

    馬場富君 特に日本の研究の中でも高知大学の楠田教授がアユに対するいわゆるビブリオ菌のワクチンについては完全に実験段階では成功しておる発表もなされております。それからアメリカについては実際ワクチンがいわゆるサケ・マス等に実質使用されて効果を上げておるという事実がございます。この点について水産の方はどのように理解してみえますか。
  240. 恩田幸雄

    説明員(恩田幸雄君) ただいま御指摘のアユのビブリオその他の問題につきましてでございますが、私どもといたしましてもアユのビブリオ及びマスのせっそう病のワクチンの実用化研究につきましては本年度から特に不活化ワクチンの製剤化ということで、動物用生物学的製剤協会に現在委託をして、検定方法確立、それから安全性の試験等につきまして順次実施することにいたしております。  なお高知大学の楠田教授の成果によりますものにつきましても近いうちに実用化されるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  241. 馬場富

    馬場富君 それから、実はアメリカ等の実験等については稚魚にワクチンを使用して放流する、そして結果としてははっきりと回帰率がぐんと高くなってこれが回収されてきておるという事実まで実ははっきりしていますし、それから現在の魚病の中で抗生物質等ではどうしようもないような結局いわゆるビールスによる被害、たとえば病気でいけばIPMだとかあるいはIHN、こういう一つは問題のある魚病に対してもこのワクチンは効果を上げておる、こういうように実は言われておるわけです。  で、もうアメリカでこれほど実験で効果を上げておるし、実質使っておるというところまできて、日本についてはまだそれが研究段階でなかなか資料も十分にないというような状況で、かなり結局業界なんかでもこの点についてはどうしておるかという声が出されておるわけですけれども、実は五十三年の日本水産学会の秋季大会で、このビブリオワクチンの血清について日本のワクチンとアメリカのワクチンとが同タイプのものであるという発表がなされ、非常に反響を呼んでおりますが、この点について水産庁は理解していますか。
  242. 恩田幸雄

    説明員(恩田幸雄君) 輸入ワクチンにつきましては、これはアメリカにおります菌と日本との菌とが果たして同じであるかどうかという問題が一番基本にございますわけでございますが、最近の水産学会で発表されましたビブリオに対するワクチンにつきましては、日本のビブリオ病原菌株が大体三タイプございます。このうちニタイプについてはアメリカにある菌株と同じであるということが判明いたしておるというふうに聞いております。このワクチンにつきましては、この有効性等がさらに明らかにされれば輸入について前向きに検討いたしてまいりたいと考えております。  なお、私ども水産用ワクチンの実用化につきましては、昨年十一月に水産庁長官通達でこういう資料をつけてくれというふうに申し上げておりますし、その資料をつけていただいて承認申請があった場合には中央薬事審議会に置かれております動物用医薬品等特別部会の審議の結果を待ちまして、承認となればこれらの輸入について踏み切ることにやぶさかではございません。
  243. 馬場富

    馬場富君 最後に、魚病はどんどんとそういうことで進行していくわけです。先ほども対策検討中とか考え中とかいう水産庁の答弁ばかりですが、こういうふうにやりましたというものを早く出さなければ対策としてはこれはもう効果がないわけです。そういう点でいまのワクチンの使用等についてもかなり安全性の効果が上がっているものがある、そういうものからやはりどんどん取り入れて、これを対策に生かしていくという姿勢が私は必要だと思います。  それから、つけ加えまして、この魚病につきましての流行の一つは、伝染状況等につきましても養殖場の環境一つ影響しておる点が実は大きく挙げられておるわけです。  その点について先ほどの高知大の楠田教授あたりの実験においても、五十二年に高知県の須崎市でやはり百万匹のアユがこの病気に感染した、そのときの対策を通しながら教授が発表しておるのは、きれいな水では一日も生きておることのできないようなそういう病原菌が、結局狭いところで、過密の状況で、そこでいわゆる投薬だとかあるいは飼料の状況や、あるいはふん等の状況汚染されてくることになるとその菌が九十日間もここに繁殖をしておるという事実が出ておるわけです。そういうようなことや、またその死んだ魚が、そのためにその魚を媒体としてそこにまた特殊な菌が威力を発揮して発生しておる。こういうような状況がはっきりと出ておるわけです。  そういう点で、先ほども申しましたように、養殖業者というのは非常に零細企業の方々が多い。どうかそういう点について水産庁としてはこの養殖業について、いわゆる養殖業とあわせてその環境整備等にもう一遍指導を与え、そして業者等についてそういうずさんな問題等があればこれについて補助育成を行っていくという考え方を私は当然持つべきだと、こう思いますが、その点についてお答えをいただきたい。
  244. 恩田幸雄

    説明員(恩田幸雄君) 御指摘のように、養殖によりまして水質が悪化するという問題は、やはり基本的にはその水域における適正放養尾数を上回る魚をその中で飼っているということと、それからさらにもう一つは必要以上のえさを与えて、いわゆる過当投餌とでも申しますか、そういうものがやはり水質悪化の原因だと思いますので、そこらについて、私どもといたしましては、先ほども申し上げましたとおり、十月に特に長官通達を出しまして指導を申し上げておる段階でございますし、さらにその中で養殖漁場の監視体制確立につきまして、県として水質、底質等につきまして定期的に調査を行う、あるいはそれぞれの養殖業者に対しまして必要なえさの適正な量等を指導するというようなかっこうで現在進んでいる段階でございますが、さらにこれを趣旨を徹底させると同時に、さらに効用の低下いたしました漁場につきましては、しゅんせつ、作澪等の漁場保全事業、こういうことも実施いたして、養殖場の浄化に努めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  245. 馬場富

    馬場富君 その中で、先般農林大臣は、施設等の不十分やあるいは問題点があれば、そういうことについての補助育成等についても考える、こういう答弁がありましたが、その点はどうでしょうか。
  246. 恩田幸雄

    説明員(恩田幸雄君) やはり私どもといたしましては、養殖場の施設そのものにつきまして直接これを補助するということはいろいろ問題がございますが、私どもは沿岸漁業構造改善の中でさらによりよい養殖漁家をつくり出すためのいろいろな施設補助等もございますので、こういうものの活用によりましてやってまいりたいというふうに考えております。
  247. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 限られた時間でございますので、本題に入る前に若干NO2に関連をしてお聞きをしておきたいと思います。  端的にお聞きをしておきたいんですが、朝からこれはずっと問題になっておりますので、ちょっと記憶をたどってみますと、七月十一日、いわゆる数々の疑惑に包まれたままで、しかも疑惑が未解明のままで、厳しい国民的な批判を浴びながらNO2の基準緩和というのが強行をされたわけです。告示直後に患者会との話し合いの中で、これは前橋本大気保全局長が四項目の確認事項をお約束されたんですね。その一項目に、NO2の基準緩和をめぐって明るみに出た数々の疑惑については納得のいく説明をするということ、それからもう一つは、地方へ行って局長説明会をするときには患者の同席を認めますということを約束をされたわけです。  そういう結果、去る十月十一日に患者会が十七万の請願署名簿を持ってやってきて山本大気保全局長と具体的に話し合いをした。その席上で、局長は、疑惑解明については納得のいく説明をいたします。それから説明するために一週間勉強する期間をということで、一週間の期間をということになった。私が地方に直接行って説明をしますということもお話をされた。  一週間ということなので、十月十九日、約束をしたことについて再度説明を求めに患者会は来たんですね。そのときにNO2の基準の年平均値〇・〇二PPmの科学的根拠は説明をされて患者会はおおむね了解をされた。しかし〇・〇三PPmについての説明ができなかった。そういう結果、私は不勉強でありますので現在の時点ではNO2年平均値〇・〇三PPmについては患者の皆さんに対して説明できませんということに署名をされた。先ほど小平先生もいみじくもおっしゃいましたけれども、まさに正面だというふうに私も思うわけです。あれは説明できぬはずですよね。私どももあの点についてはずいぶん長い審議の経過を通じましたけれども、いまだにまだ理解することができない。  そこで、しかしその十九日に山本局長は全国を七ブロックに分けて説明に行きますということになったわけですね。ところが先ほどからの経過のように、同じく十月二十一日には患者会に対しては文書で回答した、それから地方への局長の出張の説明はやらないと言うて電話で回答した。そして二十一日は土曜日であったにもかかわらず緊急に記者会見をやったということになっているわけですね。  こういうふうな経過を見てまいりますと、前局長が七月十一日に患者会に対して約束をされてきて、ずっとしかも山本局長も実践をしてきておられる。ところが急遽二十一日に態度変わった。一体何で変わったのか。私は不勉強で説明できませんということの覚書が問題になったから変わったんですか。おかしいじゃないですか。この方針が二十一日に変わったというのはこれは局長が変えたんですか。その点はっきりしてください。
  248. 山本宜正

    説明員(山本宜正君) 先生のいまのお尋ねでございますけれども、十九日の日の議論は、〇・〇二についての説明は橋本保全局長からも聞いたのでわれわれはわかっている、〇・〇三についての説明をしてくれと。これはあくまでも専門委員会の中で疫学的なデータを議論をしたその部分についての説明ということで、ある書類を指さしながらその話に入ったわけでございます。私〇・〇三という指針値の導かれ方につきまして平たいわかりやすい説明ができないということから、不勉強で説明ができない旨の書面を書かれまして、それに署名せいという態度に出てきたわけでございます。  まあ私といたしまして平たい説明ができないというのも一つのあれでございますが、内容といたしまして専門委員会議論の中で疫学的データがどう扱われるかということでございますし、それにつきましては五月十日の日の参考人の陳述の中で鈴木先生委員長として委員会の中でのディスカッションについての内容の説明をしておられるわけでございます。それを文書で回答することによって各地域にお送りいたしましたら斉一なお答えができる、かっまた内容的にも正確なお答えができる、こういうことで回答いたしました。  当日の陳情交渉の状況から判断いたしまして、議論のポイントとなった点についての回答はそれに尽きているということで、私ども地方に出向いていってこの問題についてのお話し合いをするということについてのお断りをした、こういう経緯でございます。
  249. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうすると、局長方針方針変えたんですな。
  250. 山本宜正

    説明員(山本宜正君) そのとおりでございます。
  251. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これは時間がきょうはないので別の機会に譲りたいと思いますけれども、〇・〇三の問題、これは説明しにくいの当然ですよ。あの専門委員会の報告書を見ましても、あれに使われている疫学調査の解析をいたしましても、〇・〇三というのはわずかに、先ほども説明になった四十九年度一年のときの大牟田のあの分だけが〇・〇二九PPmというのが出ているだけなんですよ。それは疫学データを使うのにその他はみんな〇・〇一六か〇・〇一四か〇・〇二なんですよね。そういう幾つかのデータの中で一つだけあるのをつかまえて〇・〇三というふうになってきているわけですから、だからなかなか説明をしても理解しにくい。これは当然のことですよ。これはもうきょうは私論議いたしません。  それから、もう一つ重要だと思ったのは、朝の論議の中で安全率、安全係数を掛けるという問題について、質問者は安全係数を掛ける必要がないと思うがということに対して、同調する同意見の回答をされております。これについてもきわめて重要だと思うんです。  これは五月十日の本委員会での参考人質疑で鈴木武夫専門委員長自身がちゃんとおっしゃっている。幅のある〇・二ないし〇・三PPmという指針値を出した場合には、公衆衛生学上の立場で行政的には下限値をとるのが妥当だ、これに安全係数を掛けるべきものだということを明確に言うておられるわけですよ。それらの専門学者、しかもあなたのところが委託した専門委員長自身がおっしゃっていることさえもやられていないということで、国民が疑問を持つのは当然であり、これに対して解明をしていくということは当然のこれは環境庁の義務です。それを一片の紙切れで、この紙切れを私見せてもらいましたけれども、やっぱりわからぬですよ。  そこで、時間がありませんので、大臣、それらの問題についての疑惑や、あるいはまだ理解のできない部分というのはありますよ。しかし少なくとも局長国民大衆に、国民の皆さん方に対してお約束をして、それを一方的にほごにするというふうな環境庁の態度というのは、これは政府として許されないと思うんですけれども、その点はどうですか。
  252. 山田久就

    国務大臣山田久就君) われわれの立場というものをよくわかるように説明するように努力する、これは一般的なわれわれの方針でございます。繰り返し申し上げているとおりでございます。  ただ、いまの局長の点ですけれども局長からの説明で、その点については事が非常に専門的な部分についての説明ということに限定しての点について、むしろこういう措置でやった方がいいという、自分の考えで措置するんだという説明がございました。私は素直にその説明を了承したわけでございます。
  253. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いや、素直に了承したんじゃないですよ。国民の皆さんに約束をしたことを、それを一方的にほごにする。  前の橋本局長は全国五つのブロックに分けて自分で行くという話だった。で、山本局長は今度は自分で七つのブロックに分けて行きます。説明に行きますと言ったんでしょう。それを一方的にもう行きません、こう言うているんですから、そういうことをやったり、あるいは一片の紙切れで国民に御理解をいただくというようなことはできないわけですね。国民の健康を守るということの本旨を持っての仕事を中心にやっておられる環境庁として、そういう了解なしに好き勝手なやり方というのはこれは非常に行政の横暴ですよ。そういうことはやめるべきだということを私申し上げているんだけれども、それについて御見解はどうですかというんですよ。
  254. 山田久就

    国務大臣山田久就君) いまお話しの点でございまするが、一般的によく国民の声を聞くということでやっていくということは、繰り返し申しておりまするように私ども方針で、その点は今日においても全く変わりはございません。  ただ、山本局長説明は、先ほど申し上げたような点についてのことでの約束という点では、こういう措置をとることが適当だという説明でございましたので、その部分について私はなるほどそうするのがいいということを素直に受け入れた、こういうことを申し上げているような次第でございます。
  255. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私は不勉強で患者の皆さんには説明できませんと言うといて、あと地方へも行きません、文書で送りつけますということになったら、これはやっぱり説明でけへんのやなということになるんですよ。  国民の中に疑惑を一層広げる、だから堂々とこれは環境庁の信ずるところを説明に出向いていく、みずから国民大衆、素人にわかるように説明をする、そのことが責任を持つ態度だと思うんですけれども、どうですか。あんた、行かぬかったら、ああやっぱりよう説明せぬのやな、説明でけへんようなものを環境基準に決めたんだなということになるんですよ。いいんですか。
  256. 山本宜正

    説明員(山本宜正君) 先生がおっしゃるような受け取り方もあろうかと思いますけれども、事の内容が専門委員会の中で御議論された疫学的なデータの取り扱いの問題でございます。それで出てくる数字でございますので、文書をもって回答することが各地域に斉一な同一なお答えができる、かつまたそれに加えまして専門委員会検討いただいた経緯の抜き書きを、当委員会にも提出さしていただきましたものをさらに添えましてお送りしているわけでございまして、そういったことが回答であるということでございますので、今回の件に関しましてのお答えは十分している、かように思っているわけであります。
  257. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これに時間とっていられないので私はこれ保留しておきますけれども、少なくともあなたの方で説明をする機会を拒否するということになれば、これは説明のできないような環境基準を強行したんだという印象を国民に与える、そのことだけは間違いのない事実です。その点はっきりしておきましょう。  それから、専門委員会の中の具体的な問題が出て専門的な問題が出ていると言うけれども、その問題が国会で論じられているんですよ。国会で論じられている内容については国民はつぶさに研究していますよ。そう国民をばかにしちゃならぬですよ。その点は大いに検討して、少なくとも私が説明のできないような環境基準をやったんじゃないという態度だけは示してもらいたい。最後にそれだけ。
  258. 山本宜正

    説明員(山本宜正君) もう十分疫学的な資料の検討、さらにその資料の検討の中でも総合的な判断が加えられている、さらにまた動物実験、人の志願者に対するデータ、こういうものもあわせ総合的に考えて指針値を出していく、こういうことでございますし、私もその点につきましての説明は十分させていただける自信はございます。
  259. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それじゃ、十分説明はさせていただくんですな。
  260. 山本宜正

    説明員(山本宜正君) はい。
  261. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それじゃ、本題に入りますが、あと奈良県の香芝町という町です。  ここは西名阪高速道路が通っているわけですが、その香芝町の地域に非常に住民の健康被害が出ています。私も現地に行ってまいりましたが、たとえば具体的に言いますと、大隅ミヨさんという四十歳の奥さんですが、七十三キロの体重があったのが十四キロもやせた、ここ数年の間に。頭が痛い、吐き気がある、動悸がする、それから去年の十一月には失神をした、そうして約五十日間車いすで生活をしなければならないような事態が起こった、やっと最近は歩いておられますが。それから中川とし子さんという方、この方は寝たり起きたりだと。食欲がなくて、頭痛が激しく、吐き気がひどい。山本さんという薬局の奥さんは、これは非常に道路に近いところですが、頭痛、吐き気でほとんど寝たり起きたりが多い、子供さんは鼻血がよく出る、こういう症状が起こっているんですね。  私は二十人余りの方々から一人ずつ症状を聞いてみた。そうしますと、まとめてみますと、頭痛、目まい、肩こり、圧迫感、眠れない、いらいら、動悸、吐き気、ときどき失神状態、それから鼻出血、それから考えがまとまらないというのもあるんですね。で、近くにあります出庫病院というところの先生にも聞きましたけれども、不安性神経症というのかな。こんなの見たことないですけれどもという症状ですわ。そういうのが出ておる。しかしこういう症状が起こるのはということで、そこの先生がおっしゃっておられたのは、精神圧迫によるもので睡眠が十分とれない、だから十分眠れるような環境が何よりも治療には必要だ、こういうふうに言っておられましてね。こういう状況が多数出ているわけです。  私はその中で特に胸を打たれたと思いますのは、大人の人たちの症状というのはいろいろありますけれども、四歳、五歳の子供さんが家におるとしんどい、それからお父ちゃん家かわろう、こう言うて盛んに訴えると。それから小学校五年の子供さん、五年生といったら大きいですね。十歳、十一歳でしょう。夜こわいと言って寝ない、一人でなかなか寝ない。特に子供さんたちがかぜを引いて熱を出したり、あるいは少々骨折をしたりけがをしたりしても、家で寝ている方がつらいから学校へ行きたい、学校へ行ってしまうというんですね。そういう何の他意もない子供さんたちがそういう形で苦情を訴えておられる。  これは環境庁にお伺いをしたいと思いますが、この健康被害の原因というのは一体何だと思いますか。
  262. 山本宜正

    説明員(山本宜正君) その地域につきましては、本年の一月に係官を派遣いたしまして調査をさせました。  その西名阪高速道路というところに近いところの家族の方々のようでございますが、やはりその道路交通というもの、特に西名阪の一日三万台というような交通量があるそうでございますが、それの騒音あるいは振動というようなことが原因ではないだろうかということは推定されます。
  263. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで、一般的に言われる騒音、振動による被害というのは、私どもも大都会で長い間生活をしておりますので、いわゆる騒音振動公害というのはどのような状態が起こるか、人体被害が起こるかというのはそれなりに承知していたつもりなんですね。  ところが、西名阪の香芝町の現地へ参りまして、従来の私ども認識では考えられない症状というのが幾つか出てきている。特に吐き気だとかあるいは目まいだとか失神するというようなこと、こういうようなのはちょっと考えられないですね。いわゆる不定愁訴とよく言われますが、中年婦人の更年期障害のときあたりに出てくる不定愁訴とよく言われておりますが、そういうものに非常によく似ているけれども、それだけでは律し切れない。そういう症状が出ているわけですね。  これは私どもも非常に初めての経験で、どういうことかということで御研究になっておられる汐見先生などの御意見伺いまして超低周波による公害ではなかろうか、自分はそういうふうに思うということで、東大の先生方の御協力ども得ながら検討をしてみたけれども、どうもそうだということをおっしゃっておられますし、論文等も報告をされておられます。  で、そういうことを伺いますと、これは私ども医者の立場でもそういうことがあるとすれば理解ができるなというふうになるわけです。ですから人体被害の状況というのは、従来の騒音、振動というものだけでは律し切れないプラスアルファの障害が出てきている。  しかもいま局長おっしゃったように道路交通による影響だろうということを認識しておられるそうですか、これはたまたま奈良県と香芝町との合同調査で、道路のわきをゼロといたしまして二十メートル間隔で、そこにお住まいの皆さん方三百五十五人の距離区分別のそれらの症状の状況調査をしておられるんですね。これを見てみますと道路わき両側二十メートルのところでは圧倒的に被害が多い。ところが八十メートルを過ぎますと、すとんと症状のある方がなくなるということ、ひとつこの調査結果だけを見ましても、もう明らかに西名阪の道路交通による被害だということだけはこれは明らかです。  で、その点は環境庁間違いなくそういうふうに御理解になっておられるんですね。超低周波かどうかは別として道路交通による被害だということについてはお認めになっておられるんですね。
  264. 山本宜正

    説明員(山本宜正君) その地域が大変迷惑をこうむっておられるということは私どもよく存じておりまするし、そういう意味で道路交通の影響ではないかということは大きく推定できると思います。
  265. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 「ないか」ということですか。道路交通の影響だというふうにお認めになっておるんですか。
  266. 山本宜正

    説明員(山本宜正君) それらの被害という言葉で直接言えるかどうか存じませんが、大変迷惑をこうむっておられる、それからいま言ったような症状を出す方が道路に近いというようなことなどから考えまして、道路交通が一つの大きい振動あるいは低周波振動というようなことでの影響を及ぼしているのでないだろうかということは言えると思います。
  267. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そこで、環境庁に先に聞いておきたいんですが、明らかに超低周波による被害と低周波による被害、影響ということが考えられるわけですが、環境庁はこの道路公害対策をどうなさいますか、どういうふうに対処されますか。
  268. 山本宜正

    説明員(山本宜正君) 御承知のように現在振動規制法というのがあるわけでございますけれども、この振動の問題につきましていろいろな人体の影響の問題、その影響のことが究明できれば、どのくらいの閾値から問題があるのかどうかというようなことにつきましては、いろいろな研究がまだ進められてない段階でございます。文献的にも非常に少ないようでございます。  したがいまして、環境庁といたしましては今後私どもの内部の研究費等を使いまして、現在までも昭和五十一年から五十二年にかけまして代表的な問題地区十地区においての実態の把握というようなこともいたしております。内外のこういった低周波振動あるいは騒音に関係する文献の収集というようなこともしております。また低周波振動の場合には耳では聞こえないけれども体に感じる、また家屋が振動するということでその振動の音が聞こえるというようなことがあるわけですが、こういった家屋いわゆる建物への影響、どのくらいの音圧レベルから影響があるか、そのがたつきの状況、こういったものについての実験的な研究、こういったこともしてまいりたい。  それから、さらには被験者いわゆる人の志願者による実験ということになりますけれども、どのくらいのレベルから感覚が出てくるか、いわゆる感覚閾値、それから生体反応、こういったことにも研究をいま進めている段階でございまして、そういった学問的な原因の究明とそれに基づく対応の仕方、こういうことをオーソドックスな方式と考えているわけでございますが、いま一方では具体的にこういった振動問題というケースがあちこちにございます。それをたとえば工場の振動の場合にはどう対応したらそれがおさまって近所からの苦情もなくなったか、あるいはそういうような事例を求めることによりましてのとりあえずの対応の方式を考えていく。こういったこともいまやりつつある段階でございます。
  269. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで、いま局長が言われたことをちょっと聞いてみたら、五十三年度は予算措置では物的影響を開べる、五十四年度は睡眠への影響を調べて、五十五年で住民健康影響調査、五十六年で住民反応調査ということになっているようなんですよね。  そうすると、これが全部できて、環境基準をつくるというのは、大体まともにいって五十七年になりますな。そういうことですか。
  270. 山本宜正

    説明員(山本宜正君) この低周波振動一つとりましても、なかなかいままで文献的なデータも少のうございます。したがいまして私どもといたしましてはステップを踏んだ研究調査を進めて、それによって将来環境基準ができるものならばはっきりつくっていくということを考えているわけでございまして、しかしながら個人差が大きいというようなこともございますし、そういった点についてのやはりデータを集めませんとなかなかできないということでございまして、いま先生おっしゃいましたのも、私ども内部的にそのような計画スケジュールを立てておるわけでございますが、これはやはり問題の性質からなるべく早くそういった方向をとりたい、こう思っておるわけでございます。
  271. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうしますと、なるべく早くつくっても、この細査検討のテンポから言うと五十七年以降でないと環境基準は作成できないわけですね。  で、道路公団どない言うているかと言うたら、住民の被害者に基準がないから対処しないと言っているんですよ。騒音要請基準超えてない、だから被害に対する手は打てない、こう言うているんですよ。  環境庁、これ非常に重大問題です。加害者としての西名阪という道路が供用されて、そして被害が出ているということは環境庁も認めている。ところが環境庁検討がまだうまくいってないので、これからぼつぼつやらんならぬという段階なので、基準ができていない。それで道路公団は基準がないのでどないもできませんと、こう言うとるわけですね。で、環境庁は基準ができるまで被害者をほっときますか。やっぱりちょっと環境庁の任にあらずだと思うんですよ、ほっといたら。どうですか。
  272. 山本宜正

    説明員(山本宜正君) 環境基準値というようなものをつくるにつきましてはやはりそれなりの科学的なデータというものが必要なわけでございますが、いま先生おっしゃるように、ある研究のステップを踏みませんと、調査のステップを踏みませんと、それはなかなかできないだろうと思います。  しかしながら、公害の問題というのは基準があるなしにかかわらず、やはり迷惑をこうむっている人たちに対する対応というのは何らかの形でしなければならないわけでございますし、それは先ほども申しましたように、過去におけるいろんな事例からこういった対応をしたらそれがうまく解決したというようなこともあるわけでありますから、そういったようないわゆる対応策についてのいろいろな調査並びにデータ、こういったものをもちまして対応策をするということはできるわけでありますし、まあこの問題につきましては関係の向きがこの方々の声をよく聞いて誠意のある対応をしていただくというようなことを私ども思っておりますし、関係の道路公団とも私ども調査員を派遣した後にも数回話し合いはしてそれらの意向は伝えてあるところでございます。
  273. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 環境庁、それはしっかりせんとあかぬと思うんですよ。自分とこ基準つくってないから言うて道路公団みんな環境庁の責任にしてますで。  ちょっと道路公団に聞きたいですけど、この西名阪というのは四十三年に供用を開始したんですね。さらに拡幅をして四十七年の十二月から四車線の供用を開始した。その後沿道住民、特に香芝町からの被害の訴えというのは、町当局に訴えられたのは四十九年の十二月ごろです。その後まる四年経過しているんですよ。ところがいまだに未解決なんです。住民が毎日毎日苦労しておる。苦しめられておる。  特に私は道路公団に申し上げたいですけれども、道路公団の態度きわめて無責任ですね。というのは、あなたのところから香芝町の町議会の議長あての回答だとかあるいは香芝町の西名阪公害問題特別委員会委員長に対する御回答だとかいうのを拝見をいたしますと、たとえば町議会に対してはこんなことを言うとるんですよ。「道路に起因する低周波空気振動と健康被害との因果関係の究明につきましては、高度の医学的専門知識が必要とされるものであり、道路以外の他の発生源も含めて総合的に判定できる公的機関(環境庁)で解明されるのが適当であると考えております。」、それから被害者の補償については「医療補償等につきましては、道路に起因する低周波空気振動と健康被害との因果関係が究明された段階で検討いたしたいと考えております。」、「当公団としては、環境庁において実施される健康被害調査等については、ご協力申し上げ、」云々ですわ。  それから、片方の特別委員長あてでは、こんなことを言うとんのやなあ。試験家屋についての体験調査もしてくれという要求なんですよ。これに対して「公団において体験調査実施する考えはありません。」、四番目の補償交渉の窓口について、道路公団は「因果関係が究明された段階で検討いたしたいと考えておりますが、それまでの間における補償交渉等の窓口が何処であるかについては、当公団では回答いたしかねます。」と、苦情の窓口もつくりません、こういう態度ですわ。原因の究明は環境庁、被害者に対して苦情の窓口も当公団は「回答いたしかねます。」と、こんな不誠意きわまりない加害者おりますか。  今日、日本の社会で公害の加害者がこんな態度をとったら、ほんとにあんたたち夜も寝られぬほど責め立てられるのが普通なんですよ。何という無責任な態度です。少なくともこんな態度じゃなくて、原因者として——原因者だということは環境庁お認めなんですよ、あんたとこいやだったって。原因者として当然住民に対する被害、この被害をかけている住民の皆さん方に謝罪をして、緊急対策を立てるべきです。どうなんです。
  274. 持田三郎

    参考人持田三郎君) お答え申し上げます。  ただいま先生のおっしゃいました香芝町の低周波空気振動による被害でございますが、昭和五十二年の十二月に香芝町の地区の総代の方から、振動による建具の振動とかあるいは心身に非常に異常を来しているというような住民の声がありまして、公団の方にそういった申し入れがございました。  そこで私の方の公団といたしましていろいろ対策を練りましたが、やはり原因がはっきりつかめないということで奈良県御当局並びに環境庁協力を得まして、空気振動の測定を行った結果、低周波空気振動であるということが判明いたしたわけでございまして、その発生の機構の究明に努めて、発生源対策にまず力をいたそうということで今日に至っております。その結果、発生源は主として橋染のジョイン卜部分の車が乗り越しする場合の衝撃、これが非常に大きい、それからけた自体の振動に起因することが判明いたしましたので、これらの対応策を実施してきておるわけでございます。  本件の問題が発生いたしましてから、公団は現地でいろいろの対策を練って実施いたしましたが、まず一番低周波の起こりやすいジョイン卜部分の補修あるいはジョイントカバーの設置、それからジョイン卜部の下に遮蔽箱を設置いたしまして、これは昨年約六カ所設置いたしております。そのほかまた……
  275. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それはもうわかっているんやな、そういうことだけでしょう。しかし未解決でしょうがな。
  276. 持田三郎

    参考人持田三郎君) はい。  ただ、ジョイン卜部の遮蔽の設置をやった後、一応測定をいたしました結果、ある程度効果が上がっているということで、引き続きこの十月の十九、二十日に奈良県と公団で共同測定いたしまして、この結果をまちまして、本年度内もいい結果が出れば遮蔽箱を設置するということでございます。  それからまた、路面の平たん性を確保しないとやはりインパクトが起きすまので、現在オーバーレイ工事を実施しておりますし、またジョイントの取りかえ工事を実施いたしております。  そのほかに試験家屋を設置いたしまして、その試験家屋内で各種の試験研究を年度内に……
  277. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それは方針変更したんですな。
  278. 持田三郎

    参考人持田三郎君) はい。  やります。  それから、建具の防振材の取りつけでございますけれども、これは地元の方とまだ合意が得られておりませんが、合意が得られたら早く工事にかかりたいというふうに考えておりまして、先ほど先生がおっしゃいました皆さん方の御迷惑に対して、私の方としましては早く発生源の対策をしようということで現在努力いたしております。
  279. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 あのね、被害の訴えが出てからまるまる四年過ぎていますねんで、いま。四年でっせ。いまからこんなに一生懸命やってます。試験家屋はこれから建てますって。  私この間の日曜日行って来た、試験家屋つくるように方針変わったいうからもうできたんか思うて。どこへできたんや言うたら、ここへつくるて言うてましたというて地元の人に聞きました。まるまる四年たっとる。いまごろジョイントに何やら張るとか遮蔽箱をぶら下げる方がええとか悪いとか、そんなことを言うてるというのは被害者を、周囲の住民の被害を何とも考えてないからそういう態度とれるんですよ。四年も五年もようほっときますな、あんた、何という態度ですか。  それで、環境庁にちょっと言うておきたいんですが、あんたとこ環境庁調査しているこの委託調査ですが、これ見たら、超低周波の影響というのは、同じ被害であっても、住民の中で同じように音圧レベルがかかっても、普通の人が百デシベル以上でないと変化が出ないけれども、敏感な人たちというグループでは七十五デシベルぐらいから変化が起こるというあれがあるんですよね、あんたとこのこれは実験データの結果ですわな。それでしかも長年暴露をされておると、敏感でない人も敏感な人の段階と同じように被害を受ける、毎日毎日何年も同じことの被害を受けていると、初めはどうもなかった人も全部ひどうなるといってちゃんと調査の結果出とる。四年も五年もほっといたというのは全員が悪うなっていくということなんですよ、被害を受けるということなんですよ。  それで、だからこういう状況というのは非常に大事だと思うんですよ、敏感な人と敏感でない人と。早いこと言うたら、三日ほど旅行でどっかへ行ったら、気分の悪いの取れるんですわ。だから、あんたとこ本当に発生源対策ちゃんとでけへんのやったら、住民の皆さんはもうとにかく車とめてくれ、もうこんなんかなわぬと、こう言うてんですよ。知ってますか。人のしんぼうは三年でも五年でも楽やけど、毎日昼も夜も苦しめられている者にとってみなさいな。あんなもん、道路ないときはそんなことはなかったんだから、あの静かな平和な村は。村ですがな。  だから、これは環境庁、敏感な人に最初にたくさん被害が出てくる、長期暴露、連続暴露をされているとみんながその被害に敏感になる、こういう種類のもんだというあんたとこの調査、これきわめて重要だと思うんです。これを追跡せなきゃならぬと思うんですが、こういう点について、これは環境庁にも言うておきたいと思うんですが、少なくともこういう調査、で、道路公団もそうですわ。大体たまたまあそこは高架橋になっておるということで、その部分だけ出ているんですよね、土盛りだったら出ない。しかし道路公団の仕事といったら、日本全国もうそんなとこばっかり網の目のように道路つくっているんでしょう。ひとつ徹底的にこれは時間をかけて調査もしたらよろしい。それは環境庁だって三年も四年もかかると言うておるのやからね。もう徹底的に調査をして基準値は出すべきだと思いますが、これは徹底的にやっておかぬと、あっちでもこっちでも起こってきますで。そのとき一々また困るというようなことでは困るので、因果関係の究明には時間をかけて、しかも科学的に徹底的にやる。  しかし、被害者はほっておけない。この被害者に対しての緊急対策というのは、これはやるべきだ。いろいろ緊急対策はあろうと思います。これは発生源に対して、いろいろ御検討になっている分についても当然やってみなきやならぬ。しかし何というても四年も五年もほっといて、人のしんどいのは三年でも五年でも待つようなかっこうでほっといてきたということは、しかも文句を言いに行きたいと言うても、窓口もつくらぬというふうな態度では、あんた、道路公団と住民との信頼関係なんてあらへんのでっせ。そこが大事なんです。  まず、御迷惑をかけて申しわけありません、長いことほっておきまして、だから道路についてはこういうふうにしてみたい、病人についてはこういうふうに医療費の一部でも何とかお手伝いをさしてもらいたい、原因がはっきりしたらそれなりの対策を立てます。補償もいたしますというて言うたらいいんですよ。そうしたら住民の皆さん、もっとちゃんとしてくれますわ。こんなこと、できないできない言いますけど、いま公共事業がどんどんやられている中では、いろんなことを工夫してやられているんです。道路公団、頭かた過ぎるんですよ。  たとえば地下鉄を建設するいうたら、大都会の中ならこれは夜も昼も工事するんですよ。病人、寝てられへん。そういう病人については全部たとえばその地方自治体が責任を持って病院に入院させて医療費も負担をする。受験勉強の子供たちが勉強できないと言えば、勉強のできる地域で部屋を借りてちゃんと勉強の環境を保障するというようなことは、十年も前からもうやってまっせ、ほんとに。私はちゃんと知っておる、そうやっていることを。  道路公団、あんた、原因究明まで四年か五年かかるんやったら、一遍それまでちゃんとそういうふうに責任持ちなさいよ。地下鉄やから、半年か一年やからそれやられているけれども、何年でも連続して走らせるんやからできまへんねんというような、そんなこと通りませんで、加害者として。どうですか、検討しますか。
  280. 持田三郎

    参考人持田三郎君) ただいまの先生の御指摘のとおりでございまして、私ども反省しておりますし、やはり先ほど申しましたように、健康被害と低周波振動との解明というものは非常にむずかしいというようなことがございまして、その解明が早くできますと、われわれの方でもそれに対応した処置をしていきたいというふうに思っております。  また御指摘ございました道路公団は何もやってないんじゃないかということでございますが、実はこういつた低周波問題というのは非常に最近急激に起こってまいりまして、現在、中央道の長野県に阿知川橋という橋がございます。それからまた甲府の手前の大月に葛野川橋という橋がございまして、これもやはり建設した後二年ぐらいたちまして低周波による家屋あるいは建具の振動とかいろいろございまして、こういつた問題につきましても先ほど申しましたような発生源対策をやりまして、それから基本的に、いま先生がおっしゃいましたような将来公団はどんどん仕事をやっていきますので、阿知川橋におきましてもやはり試験家屋を設置いたしまして、いろいろな調査検討をやっております。今後とも十分……
  281. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いや、検討をするかせぬかという話を聞いとるねん。緊急対策として住民に対する医療費補償でも検討するかどうかって聞いとるねん。
  282. 持田三郎

    参考人持田三郎君) 私どもではやはり発生源対策をまずやって、それによって御迷惑をかけている皆さんに対して御迷惑をかけないようにしたいということが私ども考えでございます。
  283. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 長官、聞いていたでしょう。基準ちゃんと決めへんから私の方ではと、こうなる。因果関係が云々というのは、基準が決まらへんのでと、こうなんでしょう。環境庁はっきりせにやならぬと思うのですよ。  時間も超過しているんで、せっかく来ていただいているので、私公安委員会にちょっとお伺いをしたいのですが、道路公団が御研究になっておられるこの調査の結果を見ましても、ああいう超低周波あるいは低周波の起こるというのは橋の剛度の問題、それから車は重量とスピードの影響というものが非常に強いということをあなたの方の御研究になった結果が報告されている。  そこで、公安委員会にお聞きをしたいんだが、あそこは八十キロなんですね。県の公安委員会はこんなこと言うとるんやなあ。公害の被害を認識してない、認識するに至ってない、公害発生しているという実態認識になってない、したがって速度制限も考えておりませんと、県会でこう言うてる。ところが、これはあんた、さっきも言いましたけれども騒音要請基準は確かに満たしているのですわ。低周波というのは騒音と違うんです。耳に聞こえへんのですわ。また非科学的な話なんですなあ。環境庁も低周波やいうことは認めとるんやから。公安委員会は耳に聞こえない低周波や超低周波のことを耳に聞こえる騒音要請基準満たしているからというような、大体非科学的ち言うてもええとこやと思うのですけれども、そんなことを言うてて被害者は苦しめられている。  それで、夜、私真夜中までおった。それはたまらぬわ、あれでは。八十キロやと、制限八十キロと言うたら大体百キロはオーバーしてますわ。そんなもんじゃあないですよ、そうなっとるんや。夜は過積みみたいな大きなトラックばっかりですわ、ドーン、ドーンと。わかりますからね。せめて六十キロにでもスピードを制限したら、まあこれは八十キロでとまるんと違うかと思うのですが。いや、大体きょう日そうなんですよ。  そういうことをひとつ御検討をするように奈良県の公安委員会指導になってもらわぬと、いや、公害認識がないさかいとか、騒音要請基準を満たしてますからなんて、あほみたいに、耳に聞こえへん公害が問題になっているのに、騒音の基準というようなあほな話ね。もうこんなんですがな。時代錯誤もはなはだしいと思うので、その点どうですか。
  284. 矢部昭治

    説明員(矢部昭治君) ただいまの御質問にお答えいたしますが、この問題につきましては、警察といたしましても地元を含めまして大変関心を持ってまいりまして、関係筋にもいろいろ話をしてまいっているわけでございます。  いまお話ございました速度規制の問題でございますが、この速度規制につきましては速度規制の必要性と申しますか、やはり要件がございますので、こういったものが認められるならば、これは速度規制は当然やるべきだろう、検討してまいりたいと思っております。そのために県なり町御当局、あるいはその他関係筋に対しまして、本件の騒音等の実態等につきまして明確に把握していただくように、そしてまたわれわれといたしましても、地元警察といたしましても、これと緊密に連携をとってやってまいりたいと、かように思っております。  なお、ただいまお話がありましたが、現在のところいわゆる積載重量オーバーの車、あるいは最高速度を超えております車、これはかなり走っておりますが、こういうものにつきましては高速道路交通警察隊、あるいは交通機動隊、こういった機動力をフルに使いまして、特に夜間重点的に取り締まりを、これは従来もやってまいりましたが、今後さらに強力に進めてまいりたい、かように思っております。
  285. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 建設省、最後に建設省に。  こんなあほみたいなことがやられている。ちと道路公団ちゃんと監督して、あんたとこ指導監督の責任あるんでしょう、ちゃんとやらしなさい。こんなぶさいくなこと。加害者ですよ。ぬけぬけしているんですから、ちゃんと被害者に被害を償えるように。で、基本的な償いは時間がかかってもよろしい。緊急対策だけはきちんととらせるということを指導するように特に要請をしたい。
  286. 佐藤秀一

    説明員佐藤秀一君) ただいまの先生の御指摘ございましたように、大変この低周波振動による被害という問題はむずかしゅうございまして、最近特にこういう問題がクローズアップされてまいったわけでございまして、環境庁におきましても特に低周波の振動と健康被害の問題につきましては五十二年から委員会をつくっていろいろ調査研究しておりますということを伺っておりますが、今後この問題につきましては環境庁の御指導を得ながら、さらに環境庁も含め公的機関で実態の調査十分してまいりたいと思っております。学術的にも十分解明していただきましてこれに対応するような処置をとってまいりたいと思っている次第でございます。  なお、それ以外のと申しますか発生源、それから実際に振動を受けている受音点の問題につきましては、今後環境庁の御指導もいただきまして関係自治体とも十分相談した上で、今後こういうことのないように十分道路公団を指導してまいる所存でございます。  簡単でございますが、一応御返事を申し上げたいと思います。
  287. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時三十七分散会