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小林(進)
委員 これは捜査当局と朝日新聞の
対立でありまするが、われわれ立法府といたしましては、その真偽はどうでもいいのだ。やはりこれほど三大紙がこの問題について許さぬぞ、この真剣な取り組み方を高く評価しなくてはいけない。それを
国民の目を覆い、済んだなどという外務官僚のこの恐るべき姿勢は、怒りをもってわれわれは了承することができない。
この問題について私はお尋ねいたしますが、いわゆる金大中氏が拉致されたその直後、警察庁が、いまも
お話がありました、いわゆる金東雲の指紋をつかんだ。このつかんだときに対して外務省がどういう態度をしたか。これをつかんだということに対して、警察庁当局、警察
庁長官が外務省に対して、四十七歳の在日
韓国大使館一等書記官金東雲に対し外務省を通じて出頭を要請した。これは指紋をつかんだのだ。金東雲を出頭させよという要請をした。それが四十八年の九月五日だ。しかるに外務省は、この警察庁の出頭要請したことに対して何をやったか。外務省はこの要請を受け―――――――
―――――――――――そして警視庁が金東雲の出頭を要請するということがあるから、
韓国側はこの
情報に対して速やかに処置をしなさい、それを打ち消すような処置をしなさいという
事前通告をしている。その当時の駐韓大使であった後宮虎郎だ。虎郎はいわく、電報で、大使館員が関与しているという有力な資料をつかんだということを警察から得て、その要請があるから早急に善処をされたい、善処をしなさいという申し入れをした。申し入れのいわく、本省からその訓令が来ているから、その前に
韓国側では自主的にひとつ善処をするように手を打ちなさい、そういう使いを持って、外務省本省の訓令を持って
韓国へ行っている。これに対して一体
韓国はどういう態度に出たかも当時の後宮大使は語っている。これに対して当時の
韓国の
外務大臣は、金溶植という
外務大臣、これに会っていまの外務省の訓令を言うと、この
韓国の外相は何と言ったかといいますと、善処せよというのは何事だ、善処せよと言うならせめて二、三日ぐらいは考慮する時間を与えて忠告してくれるのが
外交の常道だ、たった一日ぐらい前にそれを善処せよなんと言ったところで間に合わないじゃないか、こういうことを言われて、この問題で日韓の間に大変感情のもつれができたという記憶がありますと彼は語っている。いいですか。こういう事実が一体あったかないか。私は、時間がないから言えないで残念ですが、これが
一つ。
まだいわく、当時の外務省の
外務次官法眼晋作だが、彼は何と言ったか。この指紋問題について法眼晋作は、指紋が出たということは、個人の犯罪ならば指紋が出ただけでもうかぶとを脱ぐ、犯罪はクロと決定される、しかし、国家と国家とのやりとりというものは常識ではいかぬからね、
日本の捜査当局が出頭を要請するのは当然かもしれないが、しかし、命令を出してもすぐ出てくるものとはだれも思っていないよと彼は語っている。
これが外務省を代表する姿勢なんです。いいですか。こういうことをやられていたのでは、
国民がどう騒いでも金大中事件が解決するわけがない。早く問題を打ち切ってくれというのが外務省の本音だ。公式には言っていないけれども、早くこの問題を打ち切ってくれ。警察として要請すべきことは、これはいまの山本長官が言っているのですが、外務省の態度に対しで、警察としては要請すべきことはきちんと外務省に要請するが、それを相手にどの程度の強さでぶつけるか、それはもう国と国との
関係で、
外交的な配慮もありますから、最終的には
外交的判断に任せる以外にはない、警察庁としてはどうにもならないということを言っているわけです。問題の本質を明らかにしてくれたのです。金大中を隠したのは外務省なんです。こういうあきれた存在、―――――――――
―――――――――――国民の目を奪っているという証拠が幾つも出ている。
なお、
韓国問題を解決するために、外務省は金山政英元大使を使ってもみ消し運動をやらせた。この金山政英氏がいわゆる
韓国の当時の金鍾泌国務
総理と会見した会見の内容も一部出ている。その内容には何と書いてあるか。問題は、金東雲がクロだということを一言認めてくれれば問題が解決するからこれを言ってください、こういうことを言ったのに対して金鍾泌
総理は、金東雲はあくまでもシロだと言う。そこで金山元大使は、ともかく過剰忠誠で、彼がやったのだということをうそでもいいから認めてくれ、こう金鍾泌に言った。これに対して、いや、絶対にそんなことはないと金鍾泌は否定している。それについて当時の金鍾泌国務
総理が、しかし、
日本政府に迷惑をかけたのだから、自分が
日本に行って
田中総理に会って遺憾の意を表したい、一国の
総理が国を代表して遺憾の意を表するということになれば、これが最高の解決の方法ではないか、こういうことを言われている。この問題を中心に
日本と
韓国とその後二、三のやりとりがあったその結果、ついに十一月の二日に金鍾泌氏が来日をして
田中総理に面会をしている。そこで金大中事件の第一回目の幕引きが行われた、こういうインチキが行われて一体いいのですか。時間がないから残念だけれども、本当に私は徹底的にこの問題をやりたい。
なお、この問題に入っているのは後宮大使だけではない。金山元大使だけではない。われわれの先輩国
会議員の岸信介議員、矢次氏も入っている。この問題のさなかに、九月二十七日には日韓
協力委員会の第十回常任
委員会というものが
韓国で開催せられて、岸さんが団長になって、石井顧問あるいは事務総長に
田中龍夫、常任
理事に矢次氏等十二名の国
会議員、それに八人の随員を連れてソウルに乗り込んでいって、そのときに行われた会談の内容は何だ。これは刑事事件と
外交交渉とは別個に切り離して、金大中は別にして日韓の定期閣僚
会議を早く開いて、
日本から借金をさせる、金を貸す話を早くやろうではないか。この話を決めてきて岸さんは、十日の日に当時の
総理大臣の
田中さんに会って、十月の十二日に
田中さんが、刑事事件と
外交問題は切り離して解決するということを山形において発表せられている。いいですか、これはみんなつくられた証拠じゃないですか。この問題に対して、岸さんについていった財界の巨頭の矢次氏が何と言っているか。そのときの
言葉なんか暴言もはなはだしい。金大中拉致事件の本質は大した問題ではない、
韓国人が
韓国人によってちょっと持っていかれた、それだけの話ではないか、こういうような
発言をしている。いまの話をずっと継続的に持ってきても、その中に、
日本の主権が侵された、金大中という人間のいわゆる人権が失われているという
言葉が、この外務省の
外交の中に一言でも出ておりますか。
宮澤さん、あなたはいま腕を組んでいるけれども、何ですか、あなたは、五十年の七月には
韓国に行って、
韓国といわゆる外相
会議をやっている。その外相
会議の中でだれが聞いても一言も、金大中を釈放してくれ、
日本に返してくれという
言葉は、
韓国側さえあなたの中から出てくるかと思って期待したけれども、一言もなかった。金大中は
韓国の国内法の選挙違反で縛られているのだからという、そういう恬然たる姿勢である。これが
外務大臣を中心にする外務官僚だ。
日本の主権が侵されたのだが、こういう問題に
一つも触れていない。
韓国人が
韓国人をちょっと持っていったんだというくらいの認識しかない。これで一体、国家の独立が保たれるのでありまするか。
私は、この問題を含めて、予算
委員長に聞きまするけれども、こういう問題をこのままにしておくことは了承できません。すなわち後宮、金山、それから岸さん、矢次、これをわが予算
委員会に参考人としてひとつ招致をすることを御承諾いただきたい。私どもは、この問題の真相をどうしても
国民の前に明らかに聞かなければならない。よろしゅうございますか。これを私はお願いいたしたい、よろしゅうございますか。