運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1978-11-21 第85回国会 衆議院 農林水産委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年十一月二十一日(火曜日)     午前十一時七分開議  出席委員    委員長 中尾 栄一君    理事 片岡 清一君 理事 羽田  孜君    理事 山崎平八郎君 理事 竹内  猛君    理事 馬場  昇君 理事 瀬野栄次郎君       江藤 隆美君    加藤 紘一君       金子 岩三君    熊谷 義雄君       佐藤  隆君    玉沢徳一郎君       羽田野忠文君    平泉  渉君       福島 譲二君    堀之内久男君       森   清君    森田 欽二君       小川 国彦君    角屋堅次郎君       柴田 健治君    新盛 辰雄君       野坂 浩賢君    芳賀  貢君       松沢 俊昭君    武田 一夫君       野村 光雄君    吉浦 忠治君       神田  厚君    津川 武一君       安田 純治君    菊池福治郎君  出席国務大臣         農林水産大臣  中川 一郎君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      的場 順三君         厚生省公衆衛生         局保健情報課長 長谷川慧重君         農林水産大臣官         房長      松本 作衛君         農林水産大臣官         房審議官    小島 和義君         農林水産省経済         局長      今村 宣夫君         農林水産省構造         改善局長    大場 敏彦君         農林水産省畜産         局長      杉山 克己君         食糧庁長官   澤邊  守君         林野庁長官   藍原 義邦君         水産庁長官   森  整治君         会計検査院事務         総局第四局審議         官       坂上 剛之君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 委員の異動 十月二十日  辞任         補欠選任   加藤 紘一君     斉藤滋与史君   國場 幸昌君     友納 武人君   堀之内久男君     田村  元君 同日  辞任         補欠選任   斉藤滋与史君     加藤 紘一君   田村  元君     堀之内久男君   友納 武人君     國場 幸昌君 十一月二十一日  辞任         補欠選任   津川 武一君     安田 純治君 同日  辞任         補欠選任   安田 純治君     津川 武一君     ————————————— 十月二十日  一、国が行う民有林野の分収造林に関する特別   措置法案芳賀貢君外十三名提出、第八十四   回国会衆法第三号)  二、農林水産業振興に関する件  三、農林水産物に関する件  四、農林水産業団体に関する件  五、農林水産金融に関する件  六、農林漁業災害補償制度に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件      ————◇—————
  2. 中尾栄一

    中尾委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小川国彦君。
  3. 小川国彦

    小川(国)委員 私は、きょうは米の需給関係の問題を中心にして、農林大臣に質問いたしたいと思いますが、農林大臣、あなたは毎日の食事体系はどういうふうになっているか、朝、昼、晩、三食どういうような食事体系をとっておられるか、参考にひとつお伺いさせていただきたいと思います。
  4. 中川一郎

    中川国務大臣 朝は例外なく米飯でやってございます。昼は、うどんが好きでございますから、週に一回程度はうどん、ラーメン、そばのたぐい、あとは大体米食、特にカレーライスを一番食べております。夕食は、残念ながら主食は大体食べないんじゃないか、副食物が中心であって。それでも主食を食べるときには、お茶づけなどで米をとってございます。
  5. 小川国彦

    小川(国)委員 これは農林水産委員長にも尋ねたいところですが、委員長に聞くわけにもいきませんから。  私は、いまの大臣生活というのは、これは政治家生活としては理解できるわけです。しかし、いま大変な米の余剰状況から見ると、大臣もいま一層努力をしていただかないと、米の滞貨をなくすというわけにはいかないのじゃないか、こういうふうに思うわけです。  そこで、もう一つ大臣お尋ねしたいのですが、朝食べておられるお米は、大体どんなお米を食べておられるか。
  6. 中川一郎

    中川国務大臣 私もよくわかりませんが、わりあいおいしいお米にノリをつけて食べるというのが一番好きですから、そういうものを食べていまして、何の品種で、新米であるか古米であるか、そこまで気を配ったことはございません。
  7. 小川国彦

    小川(国)委員 うまいお米を食べておられるということは大変結構なんですが、でき得べくんば、農林大臣は、うまい米が何であるか、そういうものをこれから奨励していくという考え方に立てば、毎朝食べられるお米の味というものが、うまい米か、まずい米か、その辺のところを大臣も、少し品種とか銘柄とか、そういう内容についてまでお考えいただくというところまでやはり農林大臣としては思いをいたしていただきたい、こういうふうに思います。  それで、私は千葉県でございますから、米の産地、特にコシヒカリ、こういうようなものを十分味わって食べているわけでありまして、そういう意味からコシヒカリとかササニシキとかそういうおいしい米をどんどん国民全体に普及させるような、そういううまい米に対する認識というものをやはりこれから徹底させていく必要があるのじゃないか、そういうふうに思うわけです。そういう面から進めてまいりますと、大臣は、一日茶わんで一杯、それからさじで言えば三さじくらいよけい食べてもらえないかということを言っておられるのですが、そういう米は一体どういう米だというふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  8. 中川一郎

    中川国務大臣 どういう米というわけじゃなくて、米食を一食三口よけい食べていただくと大体一日で一杯、一杯を一億一千数百万の国民で三百六十五日食べていただければ約百七十万トンくらいにはなるのではないかという計算もございまして、そのように表現しておるところであり、米の内容、質とは関係なく、量の表現だけでございます。
  9. 小川国彦

    小川(国)委員 私いま伺ったところでは、やはり農林大臣の米に対する認識というのが非常に理解が残いのじゃないかというふうに思うのです。今日、米が御承知のようにことしの分で八十四万トンもよけいとれた。四十万トン消費が減った。ことしだけで百二十四万トンも米の見込み違い生産消費の面で出ている。政府は一割減反ということをことしやったわけですが、一年たたないことしの収穫を見て、早くも収支両面で、生産の面、消費の面で見込み違いを来している。しかもまた、これから七百万トンも来年の十月には在庫を抱えなければならない。そういうよって来る原因は、食管会計の米の買い方と米の扱い方に問題があるのじゃないか。  米の内容を見ますと、先ほど、大臣が食べていらっしゃるのは、大臣は品目はわからなかったけれども、恐らくコシヒカリとかササニシキとかそういう良質米銘柄米だと思うのですね。それは全国農協なりあるいは商店が取り扱っている。そうすると、一千百万トンくらいとれたお米のうちに、まず第一段階政府買い上げる約八百三十万トンの限度数量があります。ことしはそのうちの約二百五十五万トン、これを自主流通米コシヒカリササニシキということで農協なり商社が取り扱いますと、これが一番先に売れるわけなんです。その次にもう一つ問題は、これからの論議の中で明らかになりますが、マル超米という形で政府超過米を買います。百万トンくらいお買いになる。これがその次に売れる。一番最後に残るのは、五百万トンから六百万トンのマル政と言われる政府米が残る。いまの国民の食生活の嗜好を見ると、やはり国民はうまい米を求めているわけです。おいしい米を食べたがっているわけです。ですから、自主流通米からマル超米からいって最後に残るのが政府米ということになる。そういうことで、全国倉庫政府米が一番まずいものとして残っている。それは、政府米買い上げというものは、標準米で、一番安い価格で買う、そのかわり消費も行き届かないわけです。コシヒカリとかササニシキとかそういう全国でつくっている銘柄米良質米であれば、どんどん消費が優先的にいくわけなんです。ですから、一般的な農家の米のつくり方を見ると、政府に出す供出米は、言っては悪いがまずい米なんです。自分が食べたり自主流通米なりやみ米で出る米は銘柄米のうまい米が出ているわけなんです。そういうふうに考えると、私どもがこの七百万トンも米の滞貨を抱えた、その中身は、もう非常に古い米から残っているわけですね。その中身考えてみると、これはうまい米じゃない。まずい米で悪い米だからそれが政府にどんどん滞貨として残っていくのは私は当然だと思うのですよ。ですから、政府が米の消費拡大運動をやり、もっと国民に、大田が言うように一日三さじ食べてくれと言うなら、国民の食欲をそそるようなうまい米をつくっていくという奨励策をもっと政府が積極的にとらなかったら、農林大臣が幾ら苦労して農林予算の三〇%も食管会計にかけても、米の余剰をうんと抱えて、倉庫保管料をうんと払って、食管会計赤字になって国民の批判を受けるということになるわけです。  そういう点から言うならば、米の中身を変えていくという考え方なり努力政府自身がやる考えがあるのか、この点を伺いたいのです。
  10. 澤邊守

    澤邊説明員 いま御指摘のとおり、最近の消費者の米に対する選好は非常に良質のものを好むというようになっていることはおっしゃるとおりでございます。したがいまして、私どもといたしましても、消費者のそういうような好みに合わせた良質米をつくっていくということが、今後の米の消費を維持あるいは拡大していくのに一番大事なことの一つであるというふうに考えております。  そういう意味で、自主流通米という制度を四十七年以来つくってやっておりますけれども、これは、そういう消費者品質に対する好み、それからまた農家手取りにおきましても、政府に売るよりは有利な価格マーケットメカニズムを導入することによりまして可能である、それが同時にまた食管の健全な運営にも役立つというようなことで実施をしてきておるわけでございます。  いまお尋ねの、そういうことをやっておるから政府の扱う米が品質が劣るがために在庫として残るのではないか、こういうお話ですけれども、私はいまのお尋ねについて一部そのとおりだと思います。と言いますのは、良質米はなるべく自主流通米という形で流通させるということになりますと、全体の需給がバランスしておりますれば、政府の、自主流通米に比べれば品質のやや劣るものも売れると思いますけれども、単年度需給がアンバランスの場合には、消費者好み良質米に強いがためにそちらから売れていくということになりまして、残るのは政府の持っておる普通の米といいますか、やや品質の劣る米が残る。そんな政府の米でも、銘柄米も一部買っておりますから、その中でも最近の傾向といたしましては銘柄米売れ行きはいいけれども品質の劣るものは売れ行きが悪いということで残ってくるわけでございますが、需給全体がバランスいたしますれば、政府の操作いたします米も消費者には当然必要な量の中に入るわけでございますので販売できていくということだと思いますので、私どもといたしましては、需給のバランスをとっていくということが過剰古米在庫というような形を防止するために必要なことだと考えております。
  11. 小川国彦

    小川(国)委員 食糧庁長官の、銘柄米良質米をふやしていこう、そういう考え方はわかるのですが、では具体的に、政府米自主流通米の中で、割合でいけば、政府米はことしは五百七十五万トン、自主流通米は二百五十五万トン、こういうことになっているんです。ところが、申し上げるように、この五百七十五万トンの買った中身はいわば標準米ばかりなんです。ササコシのようなうまい米は全部自主流通の中に流れている。だから、私は、言うならば、政府米の中にも銘柄米を買っていく、政府の売る米が必ずしも安かろうまずかろうじゃない、政府はうまい米も買うしうまい米も売る、こういう考え方一つ持たなければいけないし、それからもう一つは、いわば自主流通米銘柄米ですから、この銘柄米の枠もふやす。ことしの農家のつくり方を見ますと、これは大臣はよく御存じないかもしれませんが、米どころではことしは銘柄米を五倍から十倍もつくっているところがあるのですよ。ですから、現実自主流通米の買いつけの中では米が買いつけ切れないほど残っている。そういう状況を見たら、政府がこれから米の消費拡大をやり、在庫をなくそうとしていくのには、やはりうまい米をつくってもらってうまい米を食べてもらう、それには政府米の中にもうまい米を買うという考え方がなければならぬ。その点はいかがですか。
  12. 澤邊守

    澤邊説明員 自主流通米は二百五十五万トンを目標にしてことしやっておるわけでございますが、その中で酒米とかモチ米という特殊なものがございますので、一般食用は百七十五万トンを目標にしてやっておるわけでございます。ことし御指摘のように銘柄米良質米といいますか、それがふえましたために、特にA銘柄等につきましては全部それを自主流通ルートに流すのにかなりの努力を現在やっておるわけでございます。もちろん良質米がふえますれば私どもとしては極力自主流通ルートで流すことを優先的に考えますけれども、どうしても残るもの、売れないものが出てくるとなれば政府買い上げることは必要だと思いますが、最初政府が買うということでなしに、自主流通ルート自主流通米として流すことが、生産者手取りの面から見ましてもあるいは政府食管の健全な運営という面から言いましても望ましいことでありますので、まず極力それで販売をしていく、どうしても残るものがあればそれは政府が買わざるを得ないというようには考えております。
  13. 小川国彦

    小川(国)委員 私は自主流通米の枠の拡大ということについてはある程度理解できますが、大体、農家のつくり方でいくと、政府米として納める標準米は十アール大体十俵とれるわけですね。ところがコシヒカリは茎も腰が弱い、それから反収も八俵くらいに落ちてくる。ですから、標準米をつくらせるよりも銘柄米をつくらせた方が米の収量は減っていくわけです。一反歩十俵とるところが一反歩八俵、七俵に下がるわけですね。だから米全体も余らせないようになる。それからもう一つはうまい。だから、大臣が言っておるように二杯食べるところを三杯食べる、一口のところが三口になる、これはやはりうまい米を政府自体が買って国民に提供していくことだ。あえて私は、銘柄米自主流通米の枠だけに置くのではなくて、政府米の中にも銘柄米を据えていく、こういう考え方がこれからないと、政府米はまずいもの、残るもの、ここから脱却することができないのじゃないか。この点、大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  14. 澤邊守

    澤邊説明員 自主流通米として流通させるもののほかに、政府米においても銘柄米を極力扱うべきであるという御意見でございますが、私どもとしては、ことしの問題といたしまして、先ほど申し上げましたように、できるだけ自主流通米として流通をさせていくということを考えておりますが、もしどうしても売れないということになればそれは政府として買うということになると思いますけれども、同じものについて価格が二つできるというようなことになるわけでございます。政府の場合は、銘柄奨励金はつけておりますけれども現行制度のもとにおいては、自主流通ルート自主流通米として流れる場合のような高価格で買うというわけにはまいりません。したがいまして、卸売業者が買う場合には、自主流通米流通を阻害するような結果にもなりかねないという面がございますので、私どもといたしましては、極力自主流通米として販売をするように指導もし、生産者団体もそのような努力をしておるところでございます。  今後の問題といたしましては、政府買い入れ価格につきましては、銘柄奨励金というのを四百円と二百五十円つけておりますものはございますけれども、そのほかは、等級による格差はございますけれども品種食味に関連いたします銘柄による価格米価そのものの中ではつけておらないわけでございます。同じ価格で買っておる。それこそ北海道米から新潟米まで同じような価格で買うということをやっておりまして、そこに流通の実情からいたしますと無理がある面がございます。したがいまして、今後の検討事項といたしまして、政府買い入れ価格自体にそういう銘柄その他によります品質差等級差のほかに導入していくということがどこまで可能であるかという検討を始めておるわけでございます。これは、政府米は自由流通しておりませんので、果たしてどこまで適正な格差が設定できるかということについては技術的にいろいろ問題がございますけれども、そういう食味に基づく銘柄等による品質差というものを政府の取り扱います政府米につきましても買い入れ価格の中に導入していくということは、考え方としては望ましいことだと思いますので、研究を始めておるところでございます。
  15. 小川国彦

    小川(国)委員 ことし政府が四十万ヘクタール、百七十万トン減反をやった。しかし、現実には九十万トン近い余剰米を出した。これに対しては、政府はこれを当然買い上げ措置を講ずべきだと思いますが、その中身の問題として、いまお話があったように、一般年度の米の買い上げに当たってはA銘柄とかB銘柄とかその他とか当然格差がついているわけです。ところが、超過米の中にはそういう格差がなくて、一緒くたA銘柄B銘柄もその他も買い上げる、こういう買い方になっているわけなのですが、超過米買い上げる中にもこういう格差は当然設けていくべきじゃないか。そうじゃないと、政府限度数量買い上げる中でそういう格差を設けながら、超過米についてはそういう格差がないというのは非常に矛盾していると思うのです。そういう点はマル超米の中でどういうふうに対処される考え方を持っておるか。
  16. 澤邊守

    澤邊説明員 超過米につきましては政府買い入れをすべきだという御要望も非常に強いわけでございますけれども政府食糧供給確保上必要とするもの以上を買うということにつきましては問題がございますし、と言いながら、反面、いわゆる不正規の流通に流れるということも防止しなければいけないということで、自主流通ルートを通じて、政府の手を通ぜずに集荷団体から卸売業者に直接に流通するようにというようなことを指導しておるわけでございまして、その際に政府といたしましてもそれを奨励するための措置も講じておるわけでございます。  そこで、お尋ねのそういう超過米につきまして銘柄を導入すべきだという御意見でございますけれども、これは、集荷団体卸売業者の間の取引の場合に価格はネゴシエーションでやるわけでございますので、当然そこに品質なり銘柄によります格差というものは交渉の結果実現されるわけでございますので、御意見のようないいものをつくれば超過米といたしましても比較的有利に売れる、品質のまずい銘柄の劣るものをつくりますればそれは安くしか売れないということによりまして差が出てくるというような形で、実際に価格形成が行われて流通しておるわけでございます。
  17. 小川国彦

    小川(国)委員 それは非常におかしいことだと思うのですよ。いま、ことしの余った米の中には、生産者自体がうまい米をたくさんつくっているわけです。それを限度数量、いわゆる一年分のまず最初——予算で言えば当初予算ですね。ササコシとか越路早生とか農林二十一号とかこういうA銘柄、それからホウネンワセ、トヨニシキとかその他B銘柄というものをつくり、それからその他のフジミノリとかトドロキワセとか、A、B、Cの三段階を設けて当初予算で買うときには買っているわけです。マル超米を買うというのは、いわば追加予算なんですね。追加予算で買うときにはその段差がなくなって、一緒くたの同じ値段で買う。これはやはり矛盾していると思うのです。それは長官に言わせれば、片方政府が買うのだ、片方集荷業者が買うのだ、だから値が違ってあたりまえじゃないか、こう言うのですけれども現実に出荷する農家の立場から見れば、うまい物、値のある物は値のあるように買ってもらいたい。安い物は安いように買ってもらいたい。それこそ一物二価あってはおかしいわけなんですね。そういう点でいけば、私は、マル超米を買う中でも、格差というものは当初予算と同じように当然あってしかるべきだ、それがなければおかしいんじゃないか、そういうように思うのです。そうでないと、今度買った業者がいい米があったらそれを高い値段で売ってしまう。そうすると、業者によけい利ざやを持たせるということにもなりかねないのです。そういうところに食管行政の乱れも出てくるわけです。そういう点からいけば、私はこの段差は当然設けるべきじゃないかと思うのです。
  18. 澤邊守

    澤邊説明員 マル超米の流通は、政府の手を通さずに、直接集荷業者から卸売業者に行くわけでございますが、その際銘柄による格差というものは当然つけられるわけで、どのような銘柄であれ品質であれ、一律同じ価格流通しておるわけではございませんので、その限りで差が出ておるわけでございます。  ただ、それに対して政府銘柄についてはさらに別途銘柄奨励金を出すべきだというような御意見かと思いますけれども、その点につきましては、超過米といいますのは政府需給上必要とする米ではございませんので、自主流通米なりあるいは政府買い入れます政府米扱いを同じうすることは無理ではないかというふうに考えております。
  19. 小川国彦

    小川(国)委員 政府の米の買い方とか売り方、まあ買い方は米の検査をきちんとやって買っているから私はいいと思うのですよ。だけれども、米の売り方はいままででたらめだったと私は思うのですよ。米を売るのに、大きくは政府米があり、自主流通米と、こう二本立てであります。ところが、今度はそれが民間に流れていくときはどうなっているか。政府米の中でうまい米は、今度は格上げ米と称して、実質的に自主流通米に近い、標準米よりも高い値段業者は売っているわけですよ。それは大臣だって長官だって知っている事実だと思うのですね。そういうように、農民から買った米を業者も実質高く売っているのに、それは知らぬふりをしているわけなんです。だから、食糧庁赤字がどんどん積もっていくというのも当然の話なんですよ。そういう点について言うならば、農林省は、米を買うときの米の検査というのはものすごく厳重にやって等級格差をつけるけれども農林省が売った米が幾らで売られているのか知らないのですよ。そういうことについての検査は徹底的にやってないのです。  たとえば各県ごと全国農林省米穀流通適正化協議会というのをつくっていますね。これは消費者代表から、公取のモニターから、消費者の会から、婦人会から、食管を守る会から、卸、小売、集荷市町村代表、それから食糧事務所長から、農林部長農業会議、十七名でこういう米穀流通適正化協議会というのをつくっているのです。ここで何をやっているかというと、「食管法実施について、米穀販売業者指導及び配給業務改善現行秩序適正化を図り、米穀流通正常化並びに消費者米価の安定に寄与することを目的とする。」こういうようになっているのですね。言うならば、農林省が売ったお米が、配給秩序で、うまい物はうまい物、中級は中級、まずい物はまずい物ときちんと段差をつけて売っているか、こういうことを監視監督するのを米穀流通適正化協議会というものがやっているのですね。これの事務局は各都道府県庁の中にある。農林省は、こちらにばんとした食糧事務所があって、米の買い上げをするときはそこで厳重な検査をしているのです。ところが、こっちで消費者に売るときは、農林省は、その米が幾らで買ったものが幾らで売られているか全然知らないのですよ。ほとんどノータッチと言ってもいいぐらいなんです。そうして、こういう各府県につくらせた組織に販売ルートの監督をやれというのです。ところが、私、全国を調べてみたら、この協議会が組んでいる予算は大体五十万から百万ぐらい。この関係者が集まって、年三回会合を開いて終わりなんですよ。予算は会合費と旅費で終わりなんです。実際に米屋さんを回って、政府の米が、自主流通米がどういう他殺で適正に売られているか、そういうことの監督指導というのはゼロなんですよ。だから、うまい米、いい米だけが一般のルートでどんどん出ていってしまって、まずい米だけが政府倉庫にどんどん残っていって、来年は七百万トンもたまっちゃった、こういう事態になるわけなんで、やはり私は、農林省も戦後三十年の米の歴史の中で食管会計赤字赤字だと言う中には、こういう政府が損をして民間を太らせる、そういう中で政府が膨大な赤字を抱え込んできたという歴史があると思うのですよ。そういうことを反省することなしにこの食管会計の問題を論ずることはできないと思うのです。  農林大臣いかがですか、あなたはさっき、うまい米もまずい米も識別がわからなかったぐらいの大臣だから、政府が買った米がどう売られているかということの監督指導についての実態、ここまでわからないと思うのであります。だけれども、そういうことなしには、農林予算の三割が食管会計予算なんだから、その赤字はどこから来ているかということをもう少し勉強してもらいたいと思うのですよ。
  20. 中川一郎

    中川国務大臣 御承知のように、食管買い入れ価格と売り渡し価格は、従来はきちっと決めてやっておったわけです。ところが、昭和四十七年だったと思いますが、売り渡し価格については、卸はもちろん決まっておりますが、末端の小売価格は、競争原理を入れて商人に自由に売らせた方がいいということになって、物統令の改正だったと思いますが、改正をして、自由にしていい、そして一生懸命売りなさい、ただし標準米については、これは大衆の本当の庶民が買うものであるから、指導価格というのを決めて余り高くしてはいかぬということでやっておりまして、そういうような売り方がいかぬ、いいの議論は確かにあろうと思いますが、いきさつから言うとやはり競争原理を入れた方がいいというのでやったのであって、もし御指摘のように銘柄米をきちっと幾ら幾らということで決めて売った方がいいということであれば、研究はいたしますが、この銘柄米の値打ちというものはなかなか決まらないのです。これは食管検査員ならば、一等、二等、三等、四等というようなことは湿度だとか、傷がついているとかついていないとか、粒ぞろいとかということで出てきますが、銘柄の値打ちというものは消費者が決めるものである。消費者が値打ちがあれば高く買う。それは地域によっても違うことでありますし、人によっても違うことであるから、その辺は余り窮屈にやらぬ方がいいといういきさつがあってそういうことになったのだろうと思いますが、むしろまた逆戻りした方がいいという御意見であればまた研究はいたしてみますが、いきさつはそうなっているわけであります。
  21. 小川国彦

    小川(国)委員 私は何も物価統制令を復元しろと言っているわけじゃないのですよ。政府が米を取り扱っていく限りにおいては、政府買い入れたお米が消費者に渡るときにどういう形で渡っていくか、そういう販売の仕方、秩序、そういうものをきちんと掌握していなければだめなんじゃないかということなんですよ。毎年政府が取り扱って売るお米だけでも、去年は六百二十万トン、ことしは五百七十五万トンあるわけですよ。ところが政府米のこの五百七十五万トンが民間に流れていくとき、本当に標準米として売られるのは実質的に二割か三割ぐらいになっているのですよ。七、八割は、自主流通米の次の準自主流通米、一番うまい米のその次のうまい米という値段で売られているわけなんです。そうして一般の生協団体なり標準米を食べようという運動をしている人には一番まずい米が行くようになっているわけです。政府が買った政府米をそのまま出せば準Aクラスがあるわけなんです。ところが、政府は、Aクラスは農業団体、集荷団体にやらせる。それからその次の政府が買った中の準Aクラスは、政府が買った米の中から実質的には抜かれてしまっているのですよ。抜かれて流通しているわけなんです。だから消費者が、逆ざやで六十キロ当たり三千円も政府が損をしてくれている米を食べようと思うと、一番かすに残った米しか来ないのですよ。それじゃ消費がどんどん落ちていくのは決まり切っているじゃないかと言うのですよ。政府政府米として買ったものの中に七、八割うまい物が入っているのなら、それはそのまま消費者に行くようにするのが農政じゃないですか。農林大臣、そこを考えなければならないと思うのですよ、流通の実態はそうなっているのですから。それが、自主流通米の次は準自主流通米みたいにみんな業者の手に行ってしまって、政府が売るのは安いけれども一番まずい米なんだ。それでは、消費拡大を幾ら政府が叫んだってできっこないのですよ。その点をやはり大臣がもう少し思いをいたして、買った米がどう売られているかという実態を農林省がもっと把握するようにしなければ、政府倉庫にどんどん米を積んでいくばかりですよ。仮に七百万トン来年の十月にたまった米は、これを処理するとすると、二十万損して払い下げたら一兆四千億ですか、来年には、農林大臣そこを考えなければならないわけでしょう。七百万トンの在庫の処理を考えなければならないでしょう。残念ながら残っているのは大半がまずい米なんですよ。いま古米を整理して、食管会計正常化していくというのには、いままでのようなやり方ではだめだということなんですよ。買うことをきちんと秩序正しく買うならば、売ることも秩序正しくきちんと売る、農林省にこういう構えがなかったら、まずい米は政府が引き受けて、残って、どんどん倉敷料を払って、食管会計の中は赤字だけがふえていくことになりはしないか、なっていくんだ、こういうことなんです。
  22. 中川一郎

    中川国務大臣 米の販売について競争原理がない、これは確かにありまして、あぐらをかいて前かけを締めていない。やはりいいものを安くたくさん売るという努力が必要だというので、一つは、私としては新米の混入率を技術的にあとう限り入れる。同時に、店舗ももうちょっと広げられる仕組みがないかということでお願いしているわけなんです。そのことによって消費拡大されるようにすべきだということではありますが、さて、それじゃ売り方が、現在の親方日の丸的な統制的な配給をするんだというような消費拡大といいますか、販売拡大努力がない仕組みを変えると同時に、もう一つは、いま御指摘のように悪い米だけが残っていい米がどうのこうのという議論がありますが、なかなかこれはむずかしいので、混米というのを非常に技術的に巧みにやって、うまくない米といい米とをまぜたらもっとうまくなった、うまい米よりいい米になったとか、それぞれ複雑な努力をしながらやっているようで、その仕組みを一つ一つ改善したらどうかという意見です。これは私もひとつ研究はしてみますが、米屋さんもそれなりに販売方法についてはいろいろな技術を導入して努力しているのではないか。ということではありますが、私としてもその点は大いに耳を傾けて、販売について努力をし、古米が残らない仕組みというものについては最善の努力をしたいと思います。  具体的なことはまた事務当局から答弁させます。
  23. 澤邊守

    澤邊説明員 先ほど大臣がお答えいたしましたように、標準価格米と徳用上米、ごくわずかでございますがございます。これは価格指導しております。行政指導でございます。それから最高限は、これも地域ごとに若干の差を設けて、知事の判断でお願いをしておりますけれども、これ以上にならないようにという目標を決めて行政指導をしております。その途中に、等級で言えば何十種類の米がそれぞれあるわけでございまして、それぞれ米屋さんは、卸の場合も小売の場合も精米する場合混米をするわけでございますが、混米自体によって品質をならすという効果もございますし、一種のノーハウのようなものになっておるわけでございます。ある意味では店ごとに全部違うというようなものでございますので、私どもは混米自体は悪だというようなことには考えておらないわけでございますが、ただ中身が、先生の御指摘になるのは恐らく格上げ混米ということで、標準価格米の原料を中米にまぜてしかも比較的高い金で売るというような、原料と価格が整合しておらないというような動きが一部にあるということは否定できないと思います。それをどのようにして監督するかということになりますと、たとえば最近普及しております袋詰めの米を精米したものを検査いたしますとき、専門家が見ましてもこれはどういう銘柄のものが何割入っているのかということを、二、三種類もまぜられますとまず見分けがつかないというのが実態でございます。工業製品と違いますので、その辺が非常にむずかしいわけでございます。したがいまして、私どもといたしましてはなるべく大型精米で——大型精米ならばある程度監督ができますので、そこで袋詰めした米を販売されるように誘導していくことが一つだと思います。  もう一つは、消費者価格は法律上は自由にしておるわけでございますので、これをとことん行政監督だけで取り締まっていくということは非常にむずかしいと思います。限界があると思いますので、そこは業者間の販売競争というものを現行制度のもとにおいていま以上に入れていくことによりまして、競争すれば消費者の選択もおのずから可能になりますし、中身と違った価格をつけておれば消費者の選択によってだんだん売れなくなるというような、市場原則といいますか、そういうものによっていま言いましたような弊害が除かれていくということも一つの方法ではないかということで、流通機構の中にもう少し競争条件を入れていくということについて現在検討しておるところでございます。
  24. 小川国彦

    小川(国)委員 私、質問時間が参りましたので、これで終わりたいと思いますけれども、米をブレンドしてまぜていくということを大臣も言っておられる。大臣は北海道の御出身ですから、本当のうまい米の味がわからないのじゃないかと思うのです。そのうちおいしい銘柄米、上質米をお届けしますので、ぜひうまい米を味わってもらって、こういううまい米はうまい米で食べてほしいなと、そういうようにこれから販売の面についても大臣にひとつ留意をしていただいて、十分これから御指導願えるような方向を最後に質問をして終わりたいと思います。
  25. 中川一郎

    中川国務大臣 米の消費拡大は本当に大事なことでございますので、あらゆる提案を受けまして、あらゆる工夫をして努力してまいりたいと存じます。
  26. 小川国彦

    小川(国)委員 終わります。
  27. 中尾栄一

  28. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 きょうは久方ぶりに委員会が開かれました機会に、中川農林水産大臣に、当面非常に国民の注目を引きました東京都の池之端文化センターのいわゆるコレラ問題、さらに国際的には、日ソ漁業交渉が始まっておりますし、日米の漁業交渉の問題もありますし、十二月になれば日中の漁業交渉その他いろいろ国際漁業の交渉が始まっていくという中で、日ソの漁業交渉問題について若干お尋ねしたいというのと、今村経済局長お帰りでございますが、東京ラウンド、これが大詰めに来ておりまして、日米の農産物交渉というものの決着がどうつくのかといったような問題もございますし、さらに最近伊勢湾の地元の関係で、四日市で原油の流出事故ということで漁業等に非常に大きな被害を与えた問題等についても、三十七分の持ち時間ということですから、なかなかさばきにくいわけでございますけれども、ひとつ大臣の協力も得ながら、そういったポイントの問題についてお尋ねをいたしたいと思います。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕  最初に、厚生省からもおいでを願っておりますので、コレラ対策の問題から入りたいと思います。  十一月の四日に都内の池之端文化センターでの結婚式及び披露宴に端を発しました集団コレラの問題、現在は感染源、感染経路の究明というふうなことでいろいろ厚生省あるいは東京都、関係県、努力をしておりますけれども、直に感染源は何である、あるいは感染経路はかくかくしかじかであるというふうに断定できる段階までいっておりませんが、まず厚生省の方から、この池之端文化センターをめぐるコレラ患者発生の問題についての従来の対応、それからこれからの対策という点についてひとつ簡潔にお答えを願っておきたいと思います。
  29. 長谷川慧重

    ○長谷川説明員 ただいま先生から御指摘ございました池之端文化センターをめぐるコレラの集団発生の件でございますが、先年のお話にございましたように、十一月の四日に、千葉県に住んでおられます方が真性のコレラ患者ということが確認されたことに始まりまして、池之端文化センターにおきます結婚披露宴等をめぐっての集団発生でございますが、四日以降十四日までの間に十都県にわたりまして患者十七名、保菌者三十一名、計四十八名という患者が見出されておるわけでございます。その後十五日以降新たな患者の発生が見られてない状況でございます。  今回のコレラの集団発生に対処しますために、直ちにその披露宴等に供されました食品あるいはここに供されました折り詰め等の引き出物の検索、それから池之端文化センターにおきます職員全員でございますが、主として調理の従業員並びに使用されております水につきまして検査実施しているわけでございます。それ以外に、関係都道府県との緊密な連携のもとに、十月の二十八日から十一月六日までの間の披露宴などの出席者あるいは折り詰め等の引き出物の喫食者につきまして、検病、検便等の検査実施しておるところでございます。  患者の発見、治療とあわせまして、先生御指摘の感染源、感染経路の究明に努めておるところでございますが、現在のところ池之端文化センターにかかわる人あるいは物あるいは水の検査におきましても、いずれもコレラ菌は検出されておらない状況でございまして、感染源、感染経路とも現時点におきましては特定できない状況でございます。  厚生省といたしましても、厚生省内に事務次官を本部長としますコレラの対策本部を設けまして、総合的な防疫対策を推進しておるところでございますが、また、患者の発見、治療ということにつきましては、日本医師会の協力も得て対処しておるところでございます。  先ほど申し上げましたように、感染源、感染経路というものはなお特定できない状態でございますが、生鮮魚介類によります感染も否定できないというようなことから、国民の不安を除くために、当分の閥、WHOで決めますコレラの汚染地域を国内に持つ国からの輸入生鮮魚介類につきましては、その検査を強化するということをやってまいりたい、かように考えておりますし、またあわせまして、感染源、感染経路の究明につきましては、疫学調査等につきましてさらに努力いたしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  30. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 つい一両日来の報道で、問題の池之端文化センターは十二月一日から営業再開というふうに言われておるわけですが、これは営業再開しても再びそういう問題を発生しないという確認ができたということでこれが再開をされることになるのかどうか。  もう一つは、御承知のコレラ汚染地域から輸入される生鮮食品の取り扱いについては、昭和四十一年一月二十六日の環食第五千十八号だと思いますが、厚生省の環境衛生局長通知でもって、これはいままで方針になっておりまして、第一項では、特に問題のない場合はコレラ汚染地域から輸入する生鮮食料品といえども証明書が添付されていれば大体オーケー、問題がある場合には調査検査実施して、食品衛生法の第四条第三号に該当すると認められる場合には輸入を禁止をするといったような方針で従来やられてきた。今回こういう大きな問題を発生したということですが、こういった四十一年一月二十六日以来とっておる方針の再検討あるいはまたこれからの防疫体制の整備といったような点についてはどういうふうに厚生省として考えておられるのか、もう一度お答えを願いたいと思います。
  31. 長谷川慧重

    ○長谷川説明員 文化センターの営業に関しましては、現在までの時点におきまして、文化センターで使われておりますもの百三十一件の検査におきまして、全部コレラ菌が陰性であるということと、それから調理従業員及びその他の職員につきましては、二回ないし三回にわたる検便の結果陰性であるということ、それからそこに使われております水につきましてはコレラ菌は検出されないというようなことを踏まえまして、現時点においてはその中におけるコレラの再感染はあり得ないだろうという判断をしているわけでありまして、感染源、感染経路の究明の問題とは別個に営業再開の問題を考えておるわけでございます。営業再開の問題につきましては、東京都の方で直接指導しているわけでございますので、厚生省としましてはそういう考え方で東京都と協議を進めておる段階でございます。  それから、第二番目の問題といたしまして、御指摘の四十一年の環境衛生局長通知でございますが、この局長通知の中にも、先生のお話のとおりコレラ汚染地域を国内に持つ国からの政府機関の発行する証明書をもって云々するというのがあるわけでございますが、今回私どもの厚生省の方でとりました措置につきましては、そういう証明書についてはさらに厳正な確認を行ってまいりたい、それにプラスいたしまして、こういう事態でございますのでさらに安全を確認するという意味で、そういう国々から輸入する生鮮魚介類については抜き取り、抽出によります検査を強化してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  32. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 いまの答弁を受けて農林大臣お尋ねをしたいのでありますが、こういう問題が出てまいりますと、たとえばマスコミ等を通じて輸入イセエビがどうも感染源らしいといったようなことが出てまいりますと、私は三重でありますからイセエビの本場ですが、何もイセエビと名がついておるからといって三重県だけでなしに全国的あるいは国際的にもイセエビはとれているわけでありますし、またそういうことで輸入も最近は非常にふえておりまして、一九七六年に二千六百六十三トンから一九七七年には三千五百二トン、一九七八年には一−九月だけでも四千六百七十トン、この中にいわゆるコレラ汚染地域というのがアジアで十五カ国、アフリカで十一カ国といった形の中にイセエビを入れておるインドネシア等が入っておるわけであります。  私は、日本の今日の食生活の中で歴年輸入水産物の量が拡大をしてまいっておりまして、エビが去年の五十二年で言えば一−十二月で総輸入量全体の中で三三・四%を占める、それに次いでおるのがカツオ、マグロ、カジキの一〇・四%というふうなことで、輸入が年々増大をいたしまして、今日では百万トン台に上ってきておるということかと思うのでありますけれども、そういう中で、こういう輸入の魚介類というところに疑問符が付せられるということになりますと、国内で全然問題のないイセエビだとかタイだとかイカだとかいろいろなものが場合によっては問題があるのじゃないか、そういう疑念から消費が非常に落ちる、そういうことで、正月を控えてこれからシーズンに入るときに相当な打撃を受けるというふうな問題も出てきておるわけであります。  したがって、私は、国務大臣でもあられますから、農林水産大臣としての立場と同時に国務大臣の立場において、輸入食品のコレラ汚染地域からの輸入問題、あるいはまたこういった防疫対策上の問題というものについては、厚生省自身の体制の不備がいろいろ私は今回のこういう教訓を通じて出てきておると思うのでありますけれども、そういうことを含めて直接生産業者に被害を与えないような万全の体制をとる必要があるというふうに考えておるわけでありますので、これらに対する農林大臣の御見解を承りたいと思います。
  33. 中川一郎

    中川国務大臣 今回のコレラ事件の原因というのは全くわからないということのようで、けさも閣議で報告がありましたが、幸い十五日以降患者が発生しておらない、二十四日ごろまで新しい患者が出なければ今回のコレラ問題は終結であるという報告がございました。私どもも二十四日まで出ないで終結することを期待いたしておりますが、さてそれが原因は何であるかということになると本当にわからない。汚染地域の魚介類ではなかろうかということであって、いろいろ検査をしてみるけれどもそれが究明されない。そのことによって魚介類の値が下がり、消費が減退をして、国内の生産者に影響を与えるということになればこれは大変でございますが、幸いにしていま値段が下がっておらないようでございまして、今後の動向を見ながら対処したいと思いますが、まずまずそういうことはないのではないか、こういうふうに見ておるわけでございまして、万々一出ました際にはまた十分対応したい、こう思っておる次第であります。
  34. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 今村経済局長がきのうジュネーブから帰ってこられて、今日まで東京ラウンドの農林関係、特に日米の農産物交渉ということでいろいろ御苦労、努力をされてきておるわけでありますが、そのお帰りになったきのうの夕刻の記者会見を見ますと、農産物の日米の交渉は政治決着待ちである、あるいは同時にお帰りになられた牛場さんも、東京ラウンドの条約の仮調印は、これは来月二十日にもできることになるだろうといったようなことを記者会見で見解を発表しておるわけでありますが、申し上げるまでもなく東京ラウンド問題では、特に日米の農産物交渉では、アメリカ側は牛肉、オレンジの自由化というものを強く求めてきておる。わが方とすれば、私どもも含めて、それは絶対日本の農業の立場からのむわけにはいかない、あるいは輸入枠の拡大といえども、日本の実態から見ればアメリカの要請においそれと応ずるわけにはいかない、あるいは関税の引き下げ等の問題についても幾つかの問題について強く要請が出ておりますけれども、こういった問題についても日本農業の立場から対応しなきゃならぬといったような状況を踏まえて交渉がなされてきたと思うのでありますけれども、この際、今村経済局長の方から、いろいろ今日までの交渉の経過について詳しくお伺いをすれば一番いいのでありますけれども、まず大臣の答弁の前に、きのうお帰りになった状況の中で政治決着問題に残っておるのはどういう問題であるか、大体おおむね大臣の双方で話をすればオーケーになる問題はどういう問題であるかというふうな感触について、若干今村経済局長からまず御報告を願っておきたいと思います。
  35. 今村宣夫

    ○今村説明員 日米農産物交渉につきましては、先般九月にワシントンにおきまして中川大臣とストラウス大臣との間で会談が持たれまして、非常に熱心な御討議が行われたわけでありますが、その際残念ながら妥結に至りませんで、交渉は継続されることになったわけでございます。これを受けまして、それぞれの大臣が指名する代理者会議におきまして引き続き交渉するということに相なりまして、十月以降約三回にわたりまして、代理者会議で、まあ当方としましては私でございますが、先方としてはマクドナルド大使、これはジュネーブ駐在大使でございますが、それとの間に交渉が持たれたわけでございます。  農産物交渉は御高承のとおり非常にむずかしい問題を多々抱えておるわけでございますが、私たちとしましては九月におきます中川・ストラウス会談を踏まえまして、その上に立って問題点を究明し、これに対してでき得ればその解決策を見出すということで努力いたしたわけでございます。  そのテーマとなりますのは、オレンジ関係、それから牛肉関係、それからアメリカから出ております。プライオリティーリストと言っておりますが、約三十品目に及びますアメリカの関心品目の関税引き下げの問題と三つでございます。これらにつきましていろいろ検討いたしました結果、その一致点を見出し得たものもあり、必ずしも一致点を見出しておりませんが、その距離はきわめて狭まっておるという問題もございます。  しかし、私たちの行っておりますのは、それら三品目について一つの。パッケージをつくりまして、これについての政治的判断を求めるということでございます。だんだん時期も切迫をいたしてまいりましたので、この辺で政治的判断を求めるべきではないかという段階に立ち至っておる現状でございます。  なお、ガット全体の進展につきましては、ECとアメリカで相殺関税問題で非常にもめておったわけでございますが、これにつきましては、アメリカは年明け早々の国会に相殺関税ウエーバー法案を提出するということでECを説得いたしましたので、急転直下話が進みまして、十二月二十日までには大体合意に達する、そういうスケジュールで協議を行っていくということに今回の三閣僚会議で合意を見た次第でございます。
  36. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 いまの今村経済局長の報告を受けて中川農林水産大臣にお伺いしたいのでありますが、これはいまもお話しのように九月の五日から八日まで中川大臣中川・ストラウス会談というのをワシントンでやって、その後に今村さんがジュネーブで二度にわたっていろいろ交渉してきておるわけであります。そこで十一月七日の閣議後、日米農産物交渉についての関係閣僚会議というのを福田首相、中川農林大臣、牛場対外経済相、それから安倍官房長官と、こういうところで集まったときにも、牛場さんの方から、結局牛肉とかあるいはオレンジの自由化の問題といったような重要な問題はストラウスさん自身も中川農林大臣との話し合いで政治決着をしたいということを言っておるという報道がなされておるわけでありますし、今村さんのけさの記者会見の報道によりますれば、農産物交渉は政治決着待ちということで、やはり中川農林大臣がストラウス米国通商交渉特別代表、これと政治決着をつけることが必要だというふうに言っておるわけでありますが、自民党総裁選挙その他があって、十一月中ならば大臣の在任ということになりますけれども、十二月になりますとどうなるかということがありますけれども、まあ農林水産大臣が決着をつけるという全体的な立場で、この日米農産物交渉の決着は大臣自身ストラウスとの直接交渉で懸案の問題については政治決着をつけるという考え方だと思うのですけれども、これらの点について大臣からお答えを願いたいと思う。
  37. 中川一郎

    中川国務大臣 御指摘のとおりでございまして、私とストラウスさんとの間で政治決着をつける、こういうことの基本方針になってございます。時期、場所等どうするかということをいま具体的に向こうと打ち合わせ中でございます。ただ、こちらの方もまた向こうの方の都合も十二月に入ってからでいいのではないか、十二月二十日までの決着ですから十二月に入ってからでもいいだろうというので、どういう段取りで話し合いをするか、いまアメリカ側と話をいたしてございます。十二月に入りましても、私とストラウスさんとの間の話、こういうことになるだろうと思います。十一月ならば私で、十二月なら別の人、こういうことにはならぬのではなかろうかなと思っておりますが、政治の動きですからどうかわかりませんが、私としては決まったスケジュールに乗って、私自身がこの問題を解決したい、こう思っております。
  38. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 最終的な日米農産物交渉については、中川大臣自身がストラウスとの会談を通じて政治決着をつける。時期についてはいまお話がございましたが、その場合の基本姿勢としては、いままでの交渉の経緯というのがあると思いますけれども、日本農業の立場に立って牛肉、オレンジの自由化、これは絶対受けるわけにはいかない、あるいは例のわが国の残存輸入制限品目が二十二品目ございますけれども、こういった問題についても、日本農業の立場で厳しい姿勢で対応する、関税の引き下げについても同様であるといったことで、これが最終的な政治決着をつける基本的な姿勢だと思いますが、一言大臣から御答弁を願いたいと思う。
  39. 中川一郎

    中川国務大臣 MTNの交渉は、日米間のみならず国際的な取り決めであり、わが国はわが国なりの対応を示さなければならぬということは事実でございます。そして、何とか合意を見なければならぬという至上使命がございます。しかし、その中にあって農産物が、自由化あるいは量、関税の問題等によって日本の農村に影響を与えるというようなことは避けなければならないということで、二十二品目の自由化はこの際は一切応ぜられないという態度でございます。それから、輸入数量については、消費の動向等を勘案しながら、あるいは国内の生産状況等を勘案しながら、農家や農村に影響を与えない範囲内での調整を図ってまいりたい、関税につきましてもそういった基本的な態度で取り組みたい、こう思ってございますし、いままでもそうやってまいりましたが、最終決着もそういう方向で解決したい、これを基本方針といたしております。
  40. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 国際漁業関係の問題では、当面日米の漁業交渉があったり、あるいは十八日から日ソの漁業交渉が開会をされておる、あるいは十二月に入りますと、協定の切れの問題もございまして、日中の漁業交渉もやらなければならぬ、その他来年の第三次国連海洋法会議の三、四月までの間、陸続として二国間あるいは国際会議というようなものが展開されていくわけでありますけれども、きょうは時間の関係もありまして、日ソの漁業交渉問題について若干お尋ねをしておきたいと思います。  これは私、一月にもソ連に参りまして、漁業省との話し合いをやりましたし、また九月には日本の衆参同院の超党派の国会親善議員団の副団長としてソ連に参りまして、そしてコスイギン首相と六日に会う、その前日にはイシコフ漁業相と相当時間をかけて、いわば大臣のお手伝いみたいなものでありますけれども、白浜団長以下国会議員全員で、漁業問題について、これからの日ソの長期安定的な漁業の確立問題、あるいは懸案になっております貝殻島のコンブ操業の問題とか、あるいは日ソの共同事業のペンディングになっておる問題とか、あるいはこれは自民党の村上議員の方から、北海道の実態がそうだということでお話が出たのだと思いますけれども、いわゆる荒天候のときの取り締まり船のいろいろな違反のときの処理といったようなものが、海の上でなかなかむずかしいという場合は、相互主義で日ソの間でひとつ話し合いをしてやったらどうかというふうな提案等も含めて、午前いっぱいいろいろ話し合ったわけでございます。  病気を伝えられておりましたイシコフ漁業相も、当日は大変元気で、四月に中川さんと会われた後、とにかく秋にはひとつ両大臣で会おうということになっておったわけでありまして、もし来られないとすれば非常に残念なことだというふうに思うのです。ただ、健康上の理由でありますけれども、大詰めの段階でイシコフさんがおいでになる可能性があるかどうかということは私どもにはわからないことでありますけれども、とにかく本年四月の中川・イシコフ会談の際には、秋に東京で開催をする場合に、私も出かけて、漁業担当大臣間の協議をやろうということに相なっておったわけでありますが、この際、日ソ漁業交渉の問題については、それぞれ報道もされておりますように、日ソ、ソ日の両漁業暫定協定に基づいての話し合い、それから十二月の二十三日でこの協定が期限切れになりますから、それの延長、これについては日本側は、単年度でなしに三ないし五年の長期協定にしたい。きのうの交渉の中では、それはソ連としては受け入れられないといったような報道も伝えられておるわけでありますが、そういった協定期間の問題、あるいは漁獲量が一昨年ベースに一挙にいけなくても、ことしの八十五万トンをさらに拡大をしていく問題、あるいは操業水域についても非常に狭められてきているのを、さらに資源の関係等も好転をしておりますから、それを拡大をする問題、さらに、実際には日ソの漁業協力協定に基づく委員会の開催、それによるサケ・マス交渉というのをいつやるかという問題等も含めて、来春にかけて日ソの漁業交渉は、重要な段階に入っていくわけでありますけれども、これらの問題について、農林大臣としてどういう考え方でこの交渉に臨んでおるのかという点について御答弁を願いたいと思います。
  41. 中川一郎

    中川国務大臣 角屋議員御指摘のように、ことし五月に私が参りましたときには、イシコフ漁業相が、ぜひ秋に日本に行きたい、そしてあなたとの間で日ソ、ソ日漁業協定の問題等を十分話し合っていきたいということで、私も非常に期待をいたしておったのでございますが、残念ながら御病気で、できたら会談の最終だけでもというようなこともあったようですが、医師が許すところとならないで、残念ながら訪日できないという結果でございましたが、クドリャフツェフという次官は、前回イシコフさんと一緒に私どもと交渉された責任者でございまして、この次官がおいでになりまして、先週の土曜日から会談に入り、本日からいよいよまた中身に入る議論になっていくわけでございます。  わが方の態度としては、日ソ、ソ日については、できるならば毎年毎年の仕組みではなくて、もっと長い間の話し合いができないかという希望も持っております。あるいは水域の問題、漁獲量等の問題についても、われわれもわれわれの意見を持っておりますが、いまこの段階で、どこをどうする、何トンにするというようなことは申し上げる段階にありませんが、十分話し合って実りあるものにいたしたい、こう思っておるわけであります。  また、サケ・マス関係につきましては、今回は話し合いができないのではないか。そういう使命は持ってきておらないようでございますから、いずれまた機会を改めて来年に対処する場を持つような、そういうスケジュール等については話し合いはいたしたいと思いますが、今回はその話し合いをつけるというまでには至らないと思います。  以上の経緯であり、いずれにしても厳しい交渉でございますから、私どもとしては、イシコフさんおいでになりませんけれども、今度の代表団と真剣に話し合って決着をつけたいと思っております。
  42. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 もう一点大臣にお伺いをしておきたいのでありますが、今度の交渉の場合、公式、非公式という形式は別として、先ほどちょっと私、イシコフ漁業相と会ったときに話題にした点について申し上げましたが、貝殻局のコンブ漁の再開問題とか、あるいは例の、結局実施にまで至りませんでことしの相談に延びました漁業共同事業の問題、これは一つのペンディングになっておる問題も含めて、イシコフ漁業相は、この点については今度十一月に行ったら中川農林大臣政府間協定の目鼻がついた段階で話し合いたい、こういうふうに言っておって期待をしておったわけですけれども、こういった問題については今回は農林省側としてはどういう考え方でいかれるのか、御答弁を願いたいと思います。
  43. 中川一郎

    中川国務大臣 ソ連二百海里内における共同開発事業並びに貝殻島のコンブ採取につきまして、民間同士の話し合いでやることに私とイシコフさんと同意をし、前向きで対応しようということになり、それを受けまして民間代表の大日本水産会の亀長代表を中心として話し合いが進められ、非常にうまくいっておったのですが、最終段階でどうしたことかソ連側の対応がなかったというままになっております。この問題についてはわが国も関心がございますし、向こうも関心を持っておるようでございますから、今回の交渉においても、機会があれば大日本水産会の意見も聞きながら今後のあり方について話し合いをしてみたい、こう思っております。
  44. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 時間も数分に近づいておりますので、最後に、三重県の四日市の昭和四日市石油四日市製油所というのがあるのですが、そこの方にタンカーによる油の給油段階で、十一月の八日の早朝ですけれども、ドラムかん二百五十ぐらいの油流出というのですが、その油の流出によりまして、四日市から鈴鹿にかけてのノリは壊滅状態。さらに、私は伊勢の方の海岸地帯のいわゆる湾内漁業の出身地ですけれども、そういう伊勢湾のノリというので非常に全国的にもう指折りの漁場の関係に大きな被害を与えてきておる。さらに中和剤等の関係によって二次公害というふうなものが発生をしてまいっておりまして、私の郷里などは小型機船底びきの漁船漁業をやっておりますけれども、ちょうどスズキの時期にこういうものが出てきて、そして漁獲は半減以下になるし、市場ではたたかれるしといったような問題も含めて深刻な事態が来ておるわけであります。御承知のように、昨年の年内はノリはほとんどだめで、年明けてからことしの一−三月の中である程度持ち直したということで不作だったわけですが、ことしは出だしがわりあいによくて、ことしはいいのではないかという期待のもとにノリがそれぞれ採取期に入った段階で、北西部は壊滅的な打撃を受ける、南の方にもその影響がある程度出てきておる、漁船漁業その他バカ貝その他にも二次公害が大きく出てきておるといったような事態があるわけであります。  細かいことをいろいろ申し上げることは時間の関係上カットいたしますけれども、こういった問題は三重県に限らずコンビナート地帯その他至るところで、瀬戸内海でも三菱の関係で大被害を瀬戸内海の関係県に与えましたが、そういう問題に対しては、単にこれは運輸省とか通産省とかいうことに任しておくのではなしに、農林水産省自身も、問題が出たときには直ちに現地に本省から担当が飛んでいって、そしてそういうところから教訓を学び、一方では救済対策の問題ももちろんやってまいらなければなりませんが、同時に再度そういうものの災害が起こらないような対策というものについて、漁業者を守る立場から真剣にやらないと、いや海上保安庁の関係だとか、あるいは通産省の関係だとかいうことに任しておくところにこういう問題が出てきて大被害を受けるということになるわけです。恐らくこの伊勢湾の四日市の原油流出の問題については、農林省からだれも行っていないのじゃないか。行かれておれば、だれが行ったということをお話し願いたいと思いますが、こういう大きな水産関係の問題が出たときには、直ちに飛んでいって実態を見る、漁業者の立場から関係省に言きべきことについてはきちっとする、こういう姿勢が基本的に必要だと思うわけでありますけれども大臣の御答弁をひとつお願いしたいと思います。
  45. 中川一郎

    中川国務大臣 四日前の原油流出の問題は、本当に、漁業者に被害を与え、申しわけない結果だと思いますが、御承知のように汚染者がこれを補償するというたてまえになっております。そこで、それを原則としていま衆当局が前面に立ってこの問題の処理に当たっていただいております。農林省としても県当局を指導して、現地には残念ながら行っておりませんけれども、実態が明らかでありますし、県当局を指導し、近々解決するという報告を受け、喜んでおるようなところでございます。  なお、今後そういったことができないようにということにつきましては関係各省庁とも十分連絡をとって最善を尽くしてまいりたい、こう思います。
  46. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 終わりますが、いわゆるタンカーの方は、船会社は大洋商船、それから油を受ける方が昭和四日市石油の四日市製油所という関係であることを申し添えておきますが、いずれにしても大臣、いまお話がございましたようにこういう問題の出たところは農林水産省自身も担当者が出かけていって、そういうところから再度災害がないような対応をしていくという機敏な対応を強く要請をし、問題の処理についてもバックアップの態勢をとっていただくようにお願いをいたしまして私の質問を終わります。
  47. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 この際、午後零時四十分より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時二十八分休憩      ————◇—————     午後零時四十五分開議
  48. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。竹内猛君。
  49. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私は、米の生産調整に関する問題をめぐって、あるいはまた、日本の農政の基調に関する問題等に触れながら質問をしていきたいと思います。  日本の農業は、高度経済成長のもとで、特に工業が発展をする中で、三十年代から四十年代にかけて土地と水と労働力が抜き取られた。そして工業が成長してそれの輸出の結果黒字になってきている。しかし、農業の中ではだんだん老齢化が進み兼業が進んでおります。したがって、国内の農産物は何をとっても外国の農産物と比べてみるとその価格が三倍あるいは四倍という形になっている。にもかかわらず、先般のこの委員会で社会党の松沢委員が質問をした中で、もし一たん問題が起こったときには一体どういうように食糧の事情はなるのかというようなことについての防衛庁並びに農林省の官房長の答弁もございましたが、そういう中で、非常に大事な問題ですけれども、国内における食糧の自給率というものを一定の段階に確保しながら、なおかつ貿易との調和をとるためにどの程度の問題が考えられておるのかということについては、確かに六十年の展望というものがありますけれども、これは、すでにことしの米の生産でもわかるように、米は六十年で千二百十万トンというそういう見通しの中で、ことしはすでに千二百六十万トンの生産があるということで、大変狂っているわけですね。しばしば大臣もこれについては、長期見通しの見直しをする、こういうふうに言われておるけれども農林省として、こういう相矛盾する問題、しかも国内においてはどうしても一定の自給度を保たなければならないというような問題についてどういうように考えられているのか、こういうことについてお尋ねしたいと思います。
  50. 松本作衛

    ○松本説明員 ただいま御質問がございましたように、わが国の農業の将来を考えていきます際に、一方におきましては国民食糧の安定的確保という見地から、できるだけ国内での自給度を高めていかなければならないという要請があります反面、一方におきましてはできるだけ安価な食糧国民に供給していかなければならないという面からいたしますと、広く農産物の門戸を国外にも開放いたしまして、できるだけ安い農産物を入れていかなければならぬという矛盾した要請があるわけでございます。しかし、われわれ農政の立場といたしましては、そのような両者の関係をいろいろ考えました結果、すでに作成しております六十年の長期見通しにおきましても、国内で生産可能な農産物につきましてはできるだけ国内で供給をしていく、どうしても輸入に依存せざるを得ないような農産物については輸入に依存をしていくというようなことで、それぞれの品目につきまして合理的な線というものを検討いたしました結果、全体といたしまして国内自給率を七五%という線を目標にいたしておるわけでございます。  今後、このような六十年の目標につきましては、やはりその後の需給の実態というようなものもいろいろと変化がございますので、将来の国民経済の動向ないしは農業の動向というようなものも展望し直さなければならないというふうに考えておりますので、この六十年目標につきましての見直しについて検討をいたしておるところでございます。  この検討に当たりましても、いま御指摘がありました両者の問題をどのように調和させていくかということは大きな課題になるわけでございますが、やはり基本的な考え方といたしましては、従来どおり、国内で供給可能な農産物につきましては、できるだけ生産性を高めることによって価格の安定を図りながら供給を確保していく。どうしても国外に依存せざるを得ないような農産物につきましては、海外からの安定的な輸入というものを確保していくということによりまして、できるだけ高い国内自給度を確保してまいりたいという考え方に立っておるわけでございます。
  51. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 それで、本委員会でもしばしば、この六十年見通しというものに対して検討を加えるという形ですけれども、それはいつごろまでに仕上げるのかということが大事だ。これはどうですか。
  52. 松本作衛

    ○松本説明員 六十年の見通しにつきましては、検討いたします際に、国内の経済全体がどのように動いていくかというようなことにつきまして、すでに経済企画庁におきまして新しい経済計画の策定をいたしておるわけでございまして、これによりまして、食糧の需要ないしはその需要を規定いたします消費水準というようなものの見通しが立ってまいると思うわけでございますが、農業の生産面につきましてもいろいろと検討すべき内容が多くあるわけでございますので、それらを勘案いたしまして、来年の夏ごろをめどにして作業を進めてまいりたいということで検討をいたしておるところでございます。
  53. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私は、きょうは時間がないから余り申し上げられませんが、いずれ別な機会に申し上げたいと思うのですけれども、米の生産過剰という問題を軸にして、今後日本の農業を、いまの食糧の自給度を高めていきながら、地域的な振興を含めながらやっていくためには、どうしても六十年見通しというものをもっと早くできるだけスピードを上げて整理をしていく必要がある。そのやり方について、実は農林省なり関係各省庁がデッサンをすることは当然必要であるけれども、その中に中身を入れるのに、一遍上でつくったから後はもう直すことができないんだということでなくて、やはり地域の声というものを十分に盛り込む必要があるのではないかと思うのですね。今度の生産調整の問題で、過剰米が常に生じているということは、やはりいままでの、誤りと言うことについては問題があるかもしれませんが、ともかく今日までの生産調整は成果を上げていないというところからすると、そこに何らかの問題がある、こう考えるわけです。ですから、このやり方についての手法というものを考慮する余地があるけれども、これはどうですか。
  54. 松本作衛

    ○松本説明員 御指摘のように、全体的な生産目標をつくりましただけでは、具体的な農業生産の実態に必ずしも適合することは困難でございますから、六十年の目標につきましても、すでに地域分担ということで、十三地域についてのガイドラインとしての目標を示しておるわけでございますが、このように国の段階から地域に応じた具体化を図っていきますとともに、ただいま御指摘がございましたように、それぞれの地域からの農業生産の方向づけというものをつくってまいることが非常に大事であると考えております。このような国からの方向と、それから地域ごとのそれぞれの目標というようなものをいかにして調整をしながら国全体としての農産物の供給を円滑に進めるかということが重要であると考えております。そのために、すでに昨年から地域農政という形で市町村ごとに地域における農業生産の方向というようなものについての計画をつくっていただくようなお願いをし、事業として進めておるわけでございますが、今後さらにこの地域農政の考え方を拡充いたしまして、地域の条件に合った農業生産の方向づけというようなものをそれぞれの地域の自主性に即して、ただいま御指摘がありましたような農民の自主性というようなものを尊重しながらつくってまいり、全体としての農業の方向づけをいたしていくということが重要であると考えております。
  55. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 これはぜひ農民の声というものが反映できるようなそういうやり方をしていって、お互いにそれぞれの場所で責任を持っていくということが大事だと思うのですね。  そこで、もう一つお伺いしますが、十一月八日に日経調が新聞発表しておりますが、農産物に関する輸入規制や価格の問題についての一定の討論をした中で、近く食品工業振興法制定あるいは食料総合政策審議会というものをつくるということを提案をしている。審議会をつくることはこれは勝手だけれども、法をつくるということについては、少なくともそういうものをつくるからには、農林省なり何なりに下相談があってそういうことになっていると思うのですが、この辺のことについてのさわりはどういうことになっておりますか。
  56. 松本作衛

    ○松本説明員 実は私どもも、あの新聞を見まして初めてこのような提言が出たということを承知したような次第でございまして、事前にこれについての連絡は受けておらないわけでございます。その内容につきましても、いわゆる食品加工業につきましてその体質の改善を図っていくというような点については、もっともな面が多いと思うわけでございますが、そのことのために、できるだけ安い原料を確保するということで、輸入原料にのみ依存するというふうな方向を強くとるということについては、問題があろうかと思うわけでございます。  今後の食糧消費食糧需要の形は、ただ単に素材のまま食べるというよりも、加工を通じて消費するという形がますます多くなっている実態でございますし、この加工面の需要というものと国内の農業生産を結びつけていくということが非常に重要であると考えておりますので、農林省といたしましても、食品産業の振興というようなことを進めていく過程におきまして、国内農産物の需要の拡大ということと結びつけて考えていきたいというふうに思っておるわけでございます。
  57. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 いまのところは直接にはまだ相談はないということですね。  それでは、会計検査院が来ていると思いますので、ちょっとお尋ねしますが、米の問題で、昭和四十六年から五十年まで、五十年から五十二年まで、名称はいろいろありますけれども、稲転といい、総合利用といい、やってきた。この間に、目標としてはやはり調整をうまくしよう、需給関係をうまくしようということできたわけだけれども、費やした費用は、本委員会でもしばしば指摘をしたわけだが、一兆二千億くらいの金が使われていると思うのですけれども、これは私の計算で、誤りがあってはならないから、正確にひとつ報告してもらいたい。そして、当時ねらったところの目標というものと費やした費用というものはどういうことになっているのだという報告をここでしていただきたい。
  58. 坂上剛之

    ○坂上会計検査院説明員 お答えいたします。  四十六年から五十二年までに交付されました奨励補助金、交付金の合計額は、先ほど先生は一兆二千億と申されましたが、奨励補助金交付額の計では九千四十四億円に相なっております。  それから、その調整の効果と調整実績の比率との関係でございますが、その達成率というものは、一〇〇%に達した年もございますし、五十一年、五十二年はちょっと基調が異なりますので、九一、九八%に相なっておるというような状況でございます。
  59. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 四十六年から五十三年までかかって約一兆の金を費やして、目的は必ずしも十分に達していない。そこで五十三年を起点として向こう十年間、三年を一区切りにして水田利用再編対策というものを打ち出した。ことしはその初年度でありますが、四十万ヘクタール——三十九万一千ですが、これと百七十万トンを目標に出発をし、二千百十二億の当初予算で出発をしたけれども、結果的に今月の段階で一千二百六十万トン、四十三万ヘクタールという形で、なお六百六十億、二百九十億という追加予算を組まなければならないという段階になった。これはどう見ても成功であったとは言えない。その原因についてはどこに問題があったと思われるか。
  60. 松本作衛

    ○松本説明員 今年度の水田利用再編対策につきましては、ただいま御指摘がございましたように、当初の計画以上に大幅な結果を見まして、一一一%というような成果をおさめたわけでございますので、この対策が目標といたしました米の生産を調整し、できるだけ転作を促進していくという水田利用再編対策という方向は、決して失敗ではなかったというふうに考えておるわけでございます。  ただ、ただいま御指摘がございましたように、このような農民の協力、関係者の御努力によりまして予期以上の成果をおさめたにもかかわらず、米の需給関係が一層厳しくなってきたということにつきましては、むしろ今年度自体といたしましては、予想以上の大豊作というようなことで供給が大幅に伸びたことが一番大きな原因であると考えておりますし、かたがた米の消費につきましても、予定に比べますと伸び悩んでおるというようなことが原因でございまして、必ずしも生産調整、今年度の水田利用再編対策が失敗であったためにこのような米の需給関係になったというふうには考えておらないわけでございます。
  61. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私は、去年この問題が起きたころからこの委員会で議論をして、そしてちょうど十一月の十九日に次官通達が出る前、十七日に野党五党が福田総理大臣に六項目の申し入れをした。その六項目の申し入れというのは、きわめて重要なこの生産調整に関して生産農民の合意というものがどうも十分になされていない、与野党の意見も一致をしていない、国会においても総理大臣を前にして議論をしようとしたけれども、これは本会議における質疑もさせられないというような状態、だから必ず将来に問題が起こるであろうということをあらかじめ予言をした形で来た。その結果は私が心配したような形になった。  それで、この中で達せられたという形のものの中には、農家の方では、ペナルティーではないと言うけれども、もしそれに従わなければ来年はさらに追加をされるとか、あるいは補助とか認可とか、そういうものが取り消されるとか、融資に対して何というか一定の考慮を払われるというようなことなど、あるいはまた食管法を守りたいというようなことがあって、今日確かに減反は一割以上したけれども生産は非常に伸びた、こういうことになったのだと思う。  そこで、来年は同じような手法で同じようなことをやるのかやらないのか、この点が非常に大事なことだと思うのです。この点についてはどうですか。
  62. 松本作衛

    ○松本説明員 先ほど申しましたように本年度の水田利用再編対策は、農民の御理解と関係者の御努力によりまして計画以上の目標を達成することができたわけでございますが、今年この水田利用再編対策を実施するにあたりましては、三年間は水田利用再編対策の基本的枠組みを原則として維持するということを申しておりまして、こういうふうな考え方にも御理解を得て農民の方々の御協力を得たものと考えておりますので、この基本的な枠組みにつきましては来年も変えないで進みたいというふうに思っておるわけでございます。  ただ、ただいまも御指摘がありましたように米の需給関係というものは、将来を考えますとますます厳しいものが考えられますので、来年の水田利用再編対策につきましても、今年以上の農民の方々の御理解と御協力を得たいというふうに思っておるわけでございます。  そのためには、政府といたしましても、まずこのような事業が推進できますための基盤整備等の条件の整備を特に進めていかなければならないというようなことで、農業基盤整備事業の中におきまして新たに緊急排水事業の予算要求をしておるというようなこともございますが、一方におきまして、この水田利用再編対策はただ単に米を減らすということだけではなくて、それぞれの地域における農業生産の方向を需要に応じて変えていく、ないしはその変化を通じて農業の体質を強化していくというような目的を持っておるわけでございますから、そのことは、先ほども指摘がありましたそれぞれの地域における農民の自主的な考え方を織り込んだ地域農業の再編成を進めていくという課題と一致するものと考えておるわけでございまして、来年度におきましては、この地域農業の再編成という立場から水田利用再編対策と転作の促進というものを強力に進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  63. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 大蔵省からも来ていただいておりますので、大臣が来たら大臣の答えと一緒にと思いましたが、話がちょっと長くなるようですから、この辺で大蔵省の方からもお答えをいただきたいわけですが、実は余剰米の問題については、来年の十月までには六百五十万トンぐらい超過米になるであろうという予測がされますね。これの処置の問題が当然あると思う。  それで、私たちは去年、六項目の申し入れをして、そして多角的な処理の方法というものについて提案もしてきた。その一つとして、外国に対する援助というようなものについても考えたらどうかということがあった。たまたまことしの状況を見ると、中国は建国以来の干ばつであると言われております。中国にも大変な食糧問題が出てくるのではないか。それからベトナムを中心としたあの方面においては、洪水でベトナムだけでも二百万トンぐらいの食糧が足りない。すでに各国から援助がいっておるわけですけれども、そういうときに、わが国では一億円の金は出した、出したけれども物によるところの援助はされていない。なるほど米の援助ということになると、これは最終的には大蔵省の裁断を仰がなければならないだろう。国際価格によって米の価格が決められて、農林省買い入れ価格でやると大変な赤字になるということで、恐らく農林省はたじろいでいるのではないかと思う。国内においては補助金を出してまで米をつくらせない、あるいはまた一トン二万円くらいで払い下げをしようというような計画を立てているときに、少なくとも困っている国があるのにそこに何らかの方法で物を援助するということは、人道的にもこれは正しいことだと思うのですね。外国から原料を輸入してきて加工しているわが国とすれば、それぐらいの犠牲は払ってもいいのではないか、こういうふうに考えるわけですが、この点について食糧庁と大蔵省の方からお答えをいただきたいと思います。
  64. 澤邊守

    澤邊説明員 十月末で古米の持ち越し量が、計画量二百万トンに比べまして五百七十万トン前後に達しておるのではないかという推定をしておるわけでございます。来年はことしの豊作によりましてさらにそれに上乗せになる、このまま推移いたしますと上乗せになるということが想定されるわけでございます。したがいまして、主食用として売却できない、できる見込みのないものにつきましては、保管経費等の節減の意味から言いましても、あるいはできるだけ有効に利用するという意味から言いましても、計画的な過剰処理に着手しなければならないのではないかということで検討いたしております。  その方法といたしまして、数量をどれだけのものを計画的な処理の対象にするか、あるいはいつから着手するかとか、何年間で処分するのかとか、あるいはその損失をどのように処理するのかという、幾多の問題がございます。さらに、申し落としましたが、用途にどういうふうに振り向けていくかというようなこと、受け入れ可能性も考えまして種々検討しておるわけでございます。  それからまた、大事な問題を言い忘れましたけれども、当然財政負担になるわけでございますので、その辺の兼ね合いも児ながら計画的な処理に着手しなければいけない時期に来ておるのではないかということで、検討を進めておるわけでございます。来年度予算編成までの間には何らかの結論を得なければいけないのではないかということで、鋭意検討を急いでおるわけでございます。  その際、御指摘がございました中国とかあるいはベトナム等海外への援助輸出の問題でございますが、私どもといたしましては、財政負担の問題もございますが、前側もかなり大口に処理の対象になったわけでございますので、できるものならば前向きに処理すべきものであるというふうに考えておるわけでございます。  中国の問題につきましては、私ども種々情報をいま集めておる段階でございますが、必ずしも明確にわかりません。相当な干ばつによる被害が発生しておるというような風聞は聞きますけれども、正確にはなかなか把握できないところでございますが、鋭意できる限りのことをしてまず情報を把握するという努力をしておるところでございます。  ベトナムにつきましては、御指摘がございましたように、今年度メコン川下流地域のまれに見る大水害のために、精米ベースで二百万トンの不足が発生をするというふうな話を聞いております。したがいまして、いまベトナム政府に外務省を通じまして、どの程度の量がいつどのような方法で援助なり輸出を期待するのかということについて問い合わせをしておるところでございまして、それらの結果を待ちまして、また相手とももちろん折衝を要する問題でございますけれども、何らかの方法で処理できればということで検討を進めておるわけでございます。一般的に言うと、延べ払い法に基づきます延べ払い条件による輸出の問題あるいは無償援助という方法もございますが、これは大量にはなかなか期待しにくい、あるいはまた前回一部で行いましたような現物貸し付けとかいろいろな方法がございますが、それぞれ一長一短がございまして、また相手の希望ということが大事でございますので、それらの問題を含めて現在前向きに検討をしておるところでございます。
  65. 的場順三

    ○的場説明員 外国援助に過剰米を使ってはどうかというお尋ねでございます。  前回の過剰米処分のときにも、外国に対する援助ないしは輸出ということを一つの柱にいたしておりまして、実行いたしたところでございます。ただ、今回、過剰米の全体計画として、どういう処分の仕方をするかということは、今後、現在のような大量の赤字公債に依存している財政状況でございますし、また、農林水産予算枠がどうなるか、前向きの農林関係予算をつけないで過剰米処分にだけ財政負担をしておっていいものかどうか、そういう全体の話がございます。また、税収がほとんど伸びないというふうな状況もございますが、具体的に農林水産省の方から御提案がございましたら、方法を、処分の方法、財政処理の方法等も含めまして、十分検討いたしたいと思っております。
  66. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 あと野坂君にあれしますけれども最後にちょっと私の方からお願いをしておくのですが、それは米の消費拡大の問題についても、いま言ったのは一つの問題であって、緊急な問題だと思うのですね。もうすでに私の茨城県やあるいは岩手県では、農家が自分の保有米を出し合って、ベトナムに一定の物を、米を援助しようという動きがある。こういうふうに、一般の中にそういう動きがあるのですから、それはたとえば貸し付けという制度でもいいのでしょう、恐らく韓国にはそういうことをやったことがあるでしょうからね。だから、韓国にはできてベトナムにはできないという道はない。だから、財政上の問題があるなら、二十年でもいいから貸し付けをして、物で返してもらう。方法は幾らでもあると思うのですね。だから、そういうヒューマニズムの上に立って問題を処理をするということが考えられないかどうかということを含めると同時に、大蔵省に対しては、来年度農林予算の骨格、枠組みあるいは農林予算というものは安全保障というものを含めてどの程度のものが妥当なのかということについて実は聞きたかったのですけれども、それを聞く時間がございませんので、大変恐縮でございましたが、これで私は終わります。
  67. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 野坂浩賢君。
  68. 野坂浩賢

    ○野坂委員 わずかな時間でありますから、ごく簡潔にお尋ねをいたします。  構造改善局長にお願いをしたいと思うのでありますが、農林省予算要求、概括的な要求は提出をされております。いよいよ各農政局はその大綱に基づきまして各町村なり各県からヒヤリングを始める、そういう時期に来ております。そういう意味で、たとえば、ここに、時間がありませんから、多くの資料を持ってきておりませんが、「昭和五十四年度 農村総合整備モデル事業実施計画希望地域ヒヤリング資料」、こういうものが各県、各町村に農政局から流されております。御承知のとおりであります。  その提出の資料としては、実施計画の希望地域一覧表、地域概要書、計画地域参考資料、関連計画書、実施計画地域の指標、計画部ヒヤリング資料、農政部ヒヤリング資料、その他資料を提出を求めております。  その資料の内容については、農政局から、このように書けというふうにちゃんと一つの図例がしてあります。その図例をよく読んでみますと、最後のところには事業推進者氏名と書いてあります。おまけに、この事業推進者の氏名というのは一体どういうことかということは、あなたの方の作成要領として、「事業推進者名」とは、例、衆議院だれだれ、参議院地方区か全国区の区別を明確にして、それらの氏名を明記せよと書いてあります。これは一体どういう意味なのか。なぜ事業推進者名に衆議院議員の名前を書いたり、参議院は地方区か全国区か、そういうことを区別してちゃんと資料として出しなさい、それを見て農政局なり構造改善局はチェックをするのじゃないか、こういう疑いが持たれて、いま町村等ではいろいろ問題を醸し出しておるというのが現状です。  これは、どういう意味でそういう指示をされておるのか。全く選挙対策かどうかということさえ疑われるというのが今日実情でありますが、どのような意図なのか、またどういう文書を出しておるのか、これを明らかにしてもらいたい。
  69. 大場敏彦

    ○大場説明員 いま御指摘のありましたモデル事業は、市町村から計画を立てて、それを県経由で地方農政局がヒヤリングして、そこで地方農政局長が認定する。認定に当たって本省が協議を受ける、こういう段取りになっております。  そこで、いま御指摘になりましたのは、私確認しておりませんが、恐らく地方農政局から県あるいは市町村等に出している書類の中にそういう部分が入っているという御指摘だったと思いますが、これは私いま初耳でございましたので、確認させていただきます。  ただ、私ども考え方といたしましては、本省から地方農政局に出す場合には、連絡文書は出しておりますが、衆議院とかあるいは参議院全国区、地方区の別とかそういった国会の諸先生のお名前を書くような指示は一切いたしておりません。地方農政局に対して本省からの指導といたしましては、確かにその事業実施地区のいろいろな推進に熱心な方々の名前は連絡してほしいということは連絡してありますけれども、その趣旨は、この事業のやはり地域的な一体性という意味から、市町村長だけじゃなしに部落の長の名前だとか、あるいは土地改良区の理事長の名前だとか、農協の組合長とかそういった方々のお名前を参考までに知っておきたいという程度の範囲にとどまるものでありまして、それ以上の域を越えた意図は毛頭ございません。  いま御指摘のありました件につきましては、私初耳でありますので、よく調べた上で善処いたしたいと思います。
  70. 野坂浩賢

    ○野坂委員 事業推進者名というのは、たとえば市町村が希望して出すわけですから、それを県が適当かどうかということを具申をつけて出すわけです。だから、事業推進者がだれだからやってやろうとか、だれがこの中に入っておるからこれはだめだ、こういうことさえ疑われるわけですから、適当ではありません。したがって、こういうものは削除して指導するのが私はやはり構造改善局長としての当然の任務だと考えております。直ちにやめますか、そういう指示をしますか、どうです。
  71. 大場敏彦

    ○大場説明員 確かめてみますが、地方農政局長から、あるいは県知事、市町村長に行っている正式の文書の中で、国会議員の諸先生の名前を書け、書いて持ってこい、こういうことがありましたら、それはやめさせます。
  72. 野坂浩賢

    ○野坂委員 県の方に出すと、県は書いて出せとまた言うのですからね。だから、きょうお話しになったように、そのような事業推進者名は町村名が書いてあれば十分だ。だから、そういうことは今後やめるように指示をされたい、よろしゅうございますか。
  73. 大場敏彦

    ○大場説明員 そういうことはやめるように指示をいたします。
  74. 野坂浩賢

    ○野坂委員 終わります。
  75. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 柴田健治君。
  76. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 農林大臣に今年産米の政府買い入れに関する件についてお尋ねをしたいと思います。  自主流通米を通じて政府買い入れ限度数量八百三十万トン、これは既定の事実でありますが、それをオーバーする、要するに超過米の数字が相当出てくるだろうと予測されておるわけですが、八十万トンとも言われ、九十万トンとも言われ、百万トンとも言われておるわけですけれども、われわれは何十万トンであれ全量買い入れをすべきだという前提に立ってお尋ねを申し上げてみたい、こう思うのであります。  この点について、農林大臣は全量買い入れをするお気持ちがあるのかないのか、まずこれからお尋ねしたい。
  77. 中川一郎

    中川国務大臣 食管制度の仕組みは配給するに必要なお米を買い入れるということでありまして、限度数量はまさに配給するに必要な数量でございます。したがいまして、それをオーバーして生産したものは政府買い上げない。ただし、自主流通ルートに乗せて出荷販売することに対しては政府が助成する。したがって、その分だけ食管の米が売れなくなりますから、余った米の処理は政府がしなければならない、こういうことであります。
  78. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 いまの大臣の答弁から言うと、結果的には自主流通米に回す。回して売れればそれで結構だし、売れなければ農家在庫だ、こういうことになるわけです。  そうすると、政府在庫農家在庫がふえてくるという可能性がある。これはどう考えても第三の道を選ばなければならぬ。第三の道を選ぶということは消費拡大だと私は思う。この消費拡大政府は本気でやっておるのかどうか。質問するたびに、本気でやっております。一生懸命創意工夫で努力しておりますという繰り返しの答弁を今日まで聞いてまいりましたが、一つ消費拡大はなされていないじゃないですか。  大臣もこの数字を見られておると思うのですが、たとえば昨年の十一月から今年の八月まで、毎月減っているのですね。前年比から言うと、たとえば昨年の十一月が三万九千トン減っておる。十二月が六万二千トン減っている。一月が二万トン、二月が四万七千トン、三月が三万九千トン、四月が二万一千トン、五月が三万八千トン、六月が四万九千トン、七月が十一万トンも減っている。今年買い入れ限度数、百七十万トンの生産調整、三十九万一千ヘクタールの減反面積、それで需給均衡化を図ると言うて、そうして政府在庫見通し五百三十万トンという数字を確認しながら、なぜ消費拡大をしないのか。前年比から言うとこうして毎月消費が減っておる。どこに消費拡大しておるのだろうか。流通改善、何か米屋さんを今度はふやすようなことをけさニュースで言うておりましたけれども、それだけでふえるとはわれわれは思えない。学校給食も米食に切りかえる。酒のアルコール添加をやめる。たとえば官公庁の食堂、各企業、工場の給食施設を持っておるところには、米を食べてもらうように値引きをしてやるとか、もっと創意工夫があって、消費拡大の政策が進められるはずだと私は思うのですが、大臣どうですか。  消費拡大しない限りは、この全量買い入れ問題も政府在庫米も——農家のいま安い、たとえば自主流通米でも、銘柄米は各都道府県の農業団体が集荷の一元化を図るとともに最高一万五千円で農家に前払いをする。それがよしんば市場で取引の段階で一万三千五百円で売れたら農業団体は一俵に千五百円の損をしなければならぬという思惑買いをしてまで農家の救済措置考えておる。それは銘柄米ですよ。今度は銘柄米でない米は一万三千二百円で一応買う。それで、それが一万一千円で売れても一万円で売れても農業団体は全部かぶらなければならぬという悲壮な立場にいま追い込まれておる。そして消費者の方については、これは一万円の米でありますよ、これは二万円の米でありますと差をつけて売るはずはない。こういうもう明らかに矛盾だらけな米の価格、そういう混乱がいま起きておるのを、われ関せず、農林省は、在庫米がふえる、食管会計赤字が出る、こういうことだけの言葉で繰り返して国民をだまそうとしておる。本当の消費拡大を言うなら、具体的にやっています。具体的には何月にやっている——予算はとっている、消費拡大に関する経費をとっている。なぜこの具体的な消費拡大がなされないのだろうか。意図的に食管制度を骨抜きにして、空洞化して、事実上この食管というものはもう運用できないように追い込んでいくのではなかろうか。これは悪質な意図的な発想ではなかろうか、こういう気がするのですが、大臣の答弁をお願いしたい。
  79. 中川一郎

    中川国務大臣 過剰米といいますか豊作米の値段が安いということで政府けしからぬというのですが、私は決してそんなことを思ったことはないのですね。過剰生産のときには価格というものは暴落するものなんです。工業製品ならもちろんのことですが、農業製品だって、ミカンなどが過剰生産になったときには、豊作貧乏というくらい莫大な損をする仕組みになっているのです。食管値段をきちっと決めて買い上げてあげるから豊作になっても基本米価は下がらない、しかも、予定して生産されたものはきちっとした値段で買われる、こういう温かい仕組みはほかに一つもない。これくらい温かい仕組みは本当にないと思うのです。しかも、過剰豊作米と言われる、まあボーナスというのですか別枠のものも、千円とか、千五百円安くなるだけでこれまた売れる、それに政府が助成をして優先的に出荷ルートに乗せる。これくらいの温かい制度をやっておるところはないのであって、怒られる仕組みは全くないと思うのです。過剰生産というものはどんなに厳しいものであるかということを御認識いただければ御理解いただけると存じます。  それから、消費拡大について政府としても学校給食にお願いをする。学校給食に行きますと、これまた学校給食会が、何でも余れば学校に持ってくる、オレンジが余ったからミカン食え、マグロを買え、何だかんだ、おれのところは残飯整理所ではないぞというので、給食会に押しつけるわけにはいかないのです。やはり理解と協力なくしてはできないのです。それから、新規製品をつくれば、これがまた米価が商いためうどん値段等でなかなか売れない。要は、国民の皆さんが理解、納得、協力して食っていただく以外に道がないのです。政府が行って無理やり口の中に押し込むわけにいきませんで、政府としても消費拡大には最大の努力はいたしますが、私は、農協みずからもどうか、大会でラーメン食いながら、パン食いながらというようなことじゃなくて、米の販売についてやっていただきたい。農業団体もそういうことに取り組むべきである。あるいは配給ルートも、いままでの昔の統制で親方日の丸的な販売方法である。これはいかぬというので、備蓄米の問題もあったが、新米混入率を技術的に最高に入れるようにし、そして消費拡大されるように、また配給についても弾力的に営業所がつくられるように、そしてほかの商品が前かけ締めて物を売り込んでいるのと同じように努力すべきだ。あらゆることを通じ、あるいはいい米に対しては奨励金をたくさん差し上げていい米をつくってもらう、あらゆる努力をしているつもりであって、もしかこういう点にこういう方法をといういい知恵がありましたら、ぜひとも前向きな具体的な方法をお知らせいただければありがたい。ただ、たとえば生活保護法とかなんかでただで食わしたらどうだというお話でありますが、ただの米は消化されますが、有料の米が消化されない。値段の違った米が処理できるだけであって、全量としてふえる見通しのものでもない。非常に悩みながら最善の努力をしていることをひとつぜひ御理解いただきたいと思うわけでございます。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
  80. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 大臣は、消費拡大をいろいろ考えてやっておりますと言って、具体的な問題を言うとささやかな抵抗論を出すのですね。どこかがどうも納得してくれないとか言う。私は、大臣がそういう勇気のない大臣とは思ってない。青嵐会の親分として青嵐会農政でいばるくらいなら、もう少し勇気ある決断があってほしい。大臣、たとえばこの米の配給の許認可事項は都道府県知事が持っているのですよ。都道府県知事がどれだけ消費拡大をやっておるか、各都道府県別に消費拡大の数字を毎月報告さしたらいいと思うのですよ。それくらい具体的な調査ができないのかと私は思う。どこの県が本気で消費拡大をやっておるか。知事に小売の米の販売の許可権限を持たしておる。それだけ消費拡大に都道府県知事の責任がある。それを一遍でも各都道府県で調査をしたことがありますか。たとえば今月は何県は消費の減少がもうおさまったとか、少し上向きになったとか、そういう調査、確認ができるはずだと私は思う。なぜそういうことができないのですか。
  81. 澤邊守

    澤邊説明員 各都道府県におかれましても、種々に工夫をこらして消費拡大につきまして御努力をされておるわけでございます。私の方からもいろいろ援助もいたしておりますけれども、米祭りだとか講習会だとか、いろいろそれぞれ工夫をこらしてやっていただいておるわけでございます。  いまの、各県から米の消費量についての報告をなぜとらないのか、こういうお尋ねでございますが、私ども、県を通じて直接とってはおりませんけれども政府の売却量を通じまして大体県ごとの売却の動きはわかりますので、それらを通じて消費動向がどのようになっておるかということは概要は把握できるわけでございます。
  82. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 長官、これは農林省だけがハッパをかけたってなかなかうまくいかないから、もう少し本気で各都道府県にもっと熱心に米の消費拡大をやってもらうべく創意工夫してやれば、それぞれ府県別に知恵が出てくると私は思う。  それから、先ほどの構造改善意味で国会議員の名前を書き、推進者を挙げて、そのぐらいの熱心なものができるなら、熱心に消費拡大をやっている都道府県に対しては農林省は思い切ってどういう奨励政策をとるとかなんとか、方法がとれるはずだと私は思う。それを一つもやらない。それで、ただ国会の委員会の答弁では一生懸命やっております。具体的に提案すると、いやいや抵抗があります。そんなことで米の消費拡大というものは成功するものではない。やる方法ならもっと幾らでもある。ところが、われわれが提案してもやる意思がない。やる意思がないということは、だんだんと食管制度を破壊するためには米の消費はもう伸びない方がいい、減った方がいい、こんなめんどうな制度は廃止した方がいい、これは農林大臣の表情から見てもそうではなかろうかという気がする。とにかくわれわれは、いまのやり方からいくと、食管制度は空洞化して完全に守られない、これは廃止の運命をたどるのではなかろうか、こういう気がするのですが、大臣、いまのような状態でいても食管制度は守れるのか、その点の見解をひとつ聞きたいのです。
  83. 中川一郎

    中川国務大臣 消費拡大については一生懸命やってはおるのです。しかし、実効が上がらないのは、国民の皆さんが嗜好がないといいますか、食べてくれないわけですね。食べてくれない原因はいっぱいあると思うのです。私ども地方に行きましても、いまやお米は主食じゃなくなっておかずになってしまっている。おかず代の方に米が入っているといってもいいくらい。昔の私どもの子供のころの弁当を考えてみれば、小さかったおかず代が大きくなってしまって、おかず代のところにお米が入っているというぐらいの食生活の変化ですから、相当努力しても減退していくことはやむを得ないのではないか。  そこで生産調整、消費に見合った生産をするということで去年来、国会でああいったことで怒られながら生産調整をお願いした。しかも、麦とか大豆とかいうような作物は非常に自給率が悪いものですから、そういう方面に政府も思い切り金を入れて転換をする、これは一時的なものではなくして、長期的に農業の体質を変えていかなければならぬ、これを実効あらしめて食管制度を守りたい、こういうことでお願いしたわけでございます。ことしは初年度、残念ながら天候がいままでにない異例の天候でもって八、九十万トンよけいとれましたが、農業団体におかれましても理解を示し、これは政府だけに任しておけない、われわれ自体の問題だということになって、過剰米ができないような出産、消費拡大についても努力するが、生産調整についてもやらなければいかぬ、こういう空気が盛り上がってきております。こういった農家の空気とわれわれの食管を守っていきたいという気持ちが一体となって今後米の問題を取り扱っていきたい。私としては、これを空洞化して、消費を減退させるとまでいかない、拡大をしないでどんどん米は余らして食管をなくそうなんていう悪意はみじんもございませんで、食管制度を守るために政府が最善の努力をし、また農家の協力あるいは関係団体の御理解、御協力をお願いしておる、こういうわけでございます。
  84. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 大臣、守れる、守る、こういう御発言だから信じておきますが、われわれは、どうもその点は、自主流通米制度をつくった時点から食管制度の空洞化ということが図られるだろうという予見をしてきた。われわれの判断では現実はやはりそういう方向に歩んでおるような気がするのです。たとえば、自主流通米制度を伸ばすために、政府が、どういうわけか知らないが、古い米を出して政府米を売れないように、自主流通米がどんどん売れるようにして自主流通米の枠をどんどん拡大した。いまや結局自主流通米の方が本体のようになってきた。そういうことを考えると、自主流通米のこのやり方を見ると、食管制度というものはもう守られない、また、堅持をするといったってこれは堅持できない道を歩むだろうと思うので、大臣がどんなに力んで言われても、必然的にそういう方向に行くのではなかろうか。われわれはそういう心配をしておるから重ねてお尋ねをしておるわけです。  大臣、あなたも筋を通す人だから私はお尋ねしたいのだが、減反、数字も百七十万トンの生産調整を農民にいやいやながら押さえつけて、後は運否天賦でしっかりつくってやりなさい、三十九万一千ヘクタールは特定品目で転作奨励金を出しましょう、こういうことで今年度やった。たまたま気象条件がよかったと言うが、農民の罪ではない。営農もあるだろう、営農の力もあるが、何としても米がとれた。とれて政府の八百三十万トンの限度数量以外でも法律の精神から言うと買い入れをしなければならぬということ。もう政府は買ってくれない。たんぼに捨てるわけにもいかないから農民が他に安く売りに回った。売りに回ったら食糧管理法違反で政府は厳しく規制するだろう。これは法律のたてまえからそうなんです。泣く泣く手持ちにして農家の倉に置いておくか、どうしても何とかしなければならぬ。だけれども、一応は検査を受ける。いま農林省が奨励して近代化を図るためにカントリーエレベーターだとかライスセンターだとかいろいろやっているわけです。そういう一括共同作業をやっている。そこで、都道府県知事は、政府に売り渡すその米については何年何月までに売り渡ししなさいよということを食糧管理法の施行規則でちゃんと決められておる。たとえば岡山県は一月十日までですよとこういう期日を決めて、それに定められて都道府県の農林省の出先である食糧事務所長検査予定を立てて検査をするわけです。これは政府の八百三十万トン以外の数字でありますから検査をしませんというなら話はわかるのですよ。全部一切検査をする。検査完了というものは、たとえば人間関係で言えば、大臣、あなた子供をこしらえた、女の子をこしらえたんじゃな、息子をこしらえたんじゃな、大きうしなさいよ、りっぱな人間にしなさいよ、それでりっぱに育成をして、今度は見合いをさせて、ちゃんと婚約をした。ちょうど米で言えば、検査を済ませるということは完全に婚約が調うた。検査してから買わぬというのですから、婚約破棄ということになる。このくらい人道に反するやり方はないと思う。そういうことを平気で——筋論をよく言われる大臣は大体わかっておられるだろうと思うのですね。もう八百三十万トン以外は検査しませんというならわかりますよ。全部都道府県知事の売り渡し期日を決められた範囲内で食糧事務所長検査予定日を決めて、ちゃんとやるわけですよ。皆検査をしておいて、これは自主流通米、これは政府売り渡し、もうばらばらにして、価格は勝手に取引しなさい、こんなやり方で、この法律の精神がすべて関連を持って生かされて運用されておるとはわれわれは思えない。大臣、その点についての見解を聞いておきたい。
  85. 中川一郎

    中川国務大臣 食管法で言う米というのは配給するに必要な米なんです。ですから、本当のことを言うと、いま五百万トンから六百万トン持っていますから、あと三百万トンも買えばあとは要りませんと言ってしまえばしまえるものなんです。しかしそれでは大変だからというので、古い米はこれを過剰米として莫大な政府の損失を出して処分します。そして単年度必要なお米、すなわち八百三十万トンですか、を限度数量として定める。その場合、政府が直接買う買い方と、もう一つ自主流通米で、銘柄米、いい米等が流れるルートがある。そのほかに過剰米が豊作の結果出た、その米はどうするか。本当は検査もしないし、知らぬ、やみでも売ってもいかぬなんという性格かもしれませんが、それでは農家の方々に対しても気の毒であるし、そういう米の存在があってはならぬというところで、検査を受けて自主流通ルートに乗せて売りなさい、その場合、政府自主流通米制度そのものの手当てはできませんけれども、金利、倉敷あるいは流通促進費として助成をして販売をしていただく、こういうことにして、本当に手厚いことをしているのであって、これが何か残酷なことをしておるように受けとめられたら、これは大変なことでございます。その仕組みによって農家の皆さんも、北海道なども去年あたりも相当ありましたが、本当にありがとうございました、北海道の米は売れないかと思ったが、政府が配給を差し控えて、まずその米をそのルートによって売りなさいとやってもらったものですから全部はけましてありがとうございましたと、私のところへはずいぶんお礼は言われても、そういう議論で農家の皆さんから直接怒られたことはない。喜ばれこそすれ怒られる仕組みではない、こう確信を持ってやっておるわけでございます。
  86. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 どう言うても大臣は全量買い入れはやらない、法律がどうあろうと仕組みがどうあろうと、ただ在庫品をこれ以上ふやすわけにいかぬ、これにこだわって全量買い入れをしない、こういうことですか。
  87. 中川一郎

    中川国務大臣 限度数量をオーバーしたものは買わない。ただし昨年のように北海道が豊作で山形県が——まあ例ですからですが、関西方面が不作だった、そういう場合には限度数量の改定をして北海道に枠をふやしてという総量の中での操作はいたしますが、トータルとして限度数量をオーバーするものは政府買い入れない、これはもう絶対譲れないところでございます。
  88. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 先ほど私が価格を申し上げたように、政府に売れば一万七千二百七十六円ですか、それが銘柄米以外、普通米であれば一万三千二百円、多少の奨励金がつけば上積みになるのですけれども、大体一万三千二百円、大体一俵四千円違う。岡山県なんか二十五万俵から三十万俵余ると言われているのです。二十五万俵余ったら、一万三千円なら、四千円違えば十億違うわけですね。いまこれだけ不況になってきて景気対策だと言いながら、みずから農民の所得を減すようなことを目をつぶって強引に押し切ろうとする、そういう姿勢がわれわれにはどうしても納得ができない。この問題は尾を引くでしょうから、時間もございませんから、いずれ後の機会でお尋ねしたいと思いますが、ことし生産調整で、面積で反三千五百円の奨励金、交付金を出す。二百七十五億円ほどですが、これは市町村なり農協と協議をして、それで使い方を考える。また、直接生産者、農民に交付するということもある。これは早急にやる必要があると思うのですが、やるとすればいつごろ交付金を支払いをするのか、年末までにやるのか、十二月にやるのかどうか、それをまずお答えを願いたい。
  89. 小島和義

    ○小島説明員 水田利用再編推進の特別交付金につきましては、御指摘のように、設けられました趣旨から見まして、早期に交付することといたしております。現在その交付事務につきましては、各市町村から交付請求額を県に出していただきまして、それを取りまとめの上、本省の方に報告していただいておるわけでございまして、十一月十一日までに御報告のありました県につきましては、この十一月二十二日、明日交付示達をする予定でございます。それまでに事務的な報告が間に合わなかった県につきましては、十一月二十五日までに報告を出していただきまして、十二月十三日に示達することといたしまして取り進めをいたしております。  十一日までに報告のありました県は二十二県、全体のカバー率から言いますと五割強ということになっておりまして、残りの県が十一月二十五日までに報告があるもの、こういうふうに見込んでおります。  県から先の交付事務につきましても、極力早期に市町村に交付されるように指導いたしておりますので、おおむねの県におきましては年内に間に合うもの、一応こういうふうに見込んでおります。
  90. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 以上、終わりました。  ありがとうございました。
  91. 中尾栄一

  92. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 東京ラウンド、日米農産物交渉、コレラ集団発生事件、養鶏問題及び林業問題等について、農林大臣並びに関係省庁に質問いたします。  東京ラウンド、日米農産物交渉については、第八十五国会で去る十月十九日、当委員会農林大臣にその見解を一時間にわたってただしたところでありますが、オレンジ、果汁、牛肉は本年一月の日米通商協議で従来の三倍程度に輸入を拡大し、大幅譲歩しており、その上本年九月に農林大臣が訪米してのワシントン交渉が物別れに終わり、十月の予備交渉も五日間交渉したが物別れ、さらに十一月六日、七日も物別れに終わっております。国民は一体どうなっているかという疑問を持ち、批判の声が強いわけであります。すなわち、今回の交渉はまさに追い打ちでありまして、農林水産大臣はこれらの経過を踏まえて、一体どうなっているのか、日米の交渉内容を改めてここで明らかにしていただきたい、かように思います。
  93. 中川一郎

    中川国務大臣 一月に行いました日米農産物交渉は、これは短期的なことしからの問題でございます。牛肉について言えば千トンのものを一万トンにした、オレンジは一万五千トンのものを四万五千トンに、しかもオフシーズン、ミカンのない時期に集中的に輸入をする、こういう対応をいたしたわけでございます。  この対応の仕方は、決して日本の生産者に影響を与えない範囲内、牛肉の総枠を特にふやしたわけでもありませんで、アメリカの関心のある高級牛肉について対応した。したがって、国内の生産者もいま決して困る状況にはありません。また、オレンジについても、二万五千トンを四万五千トン、三倍に確かになりましたが、これまたミカンの時期とは競合を全くしない。しかも、入れる量が年間で四万五千トンですから、わが国のミカン、三百万トンと言われる量に比べればさしたるものではないし、時期が違うということで対応いたしました。  その後、追い打ちをかけるようにと言われておりますのは、一九八七年、長期的なものに向かってどう対処するかというのが現在行われているMTNの交渉でございます。しかも、スタートは八〇年から先ということでございまして、これは単に日米間の問題ではなくして、世界じゅうが貿易問題について前向きに取り組もう、こういう一環の作業で行われ、その第一回交渉がボンでストラウスさんと牛場さんでやったができなかった。そして、ボン・サミットで福田総理とカーター大統領との間で、この問題については中川大臣と牛場大臣との間でなるべく早い機会に決着をつけよう、長期的な解決をつけよう、こういう話で、九月初めアメリカに参りました。  ところが、課題は大きく言って三つございます。一つは牛肉、オレンジの自由化に対する対応、もう一つは八七年あるいはその中間の時期に向かってどう輸入枠をふやすかという問題、あるいは関税の引き下げをどうするかということで話し合ったのでございますが、両方に大きな開きがあって、決着を得なかった。そして、決裂というようなところまでいったのですが、機会があって、最終日、飛行機に乗る用意をしたところで、短い時間でしたがストラウスさんとの間で話し合いをして、今後継続して私たちそれぞれの代表によって話し合いを詰めていこうということになりまして、その後ジュネーブで三回にわたって、私の代表であります今村局長と向こうのマクドナルド大使、これはジュネーブ駐在の経済担当の大使でございますが、精力的に話し合われて歩み寄ってきた。そして、大体枠組みができましたが、まだ政治的な調整を行うところが残っておるということでございます。  その内容はどうなっているかというと、これはまだ、外交交渉事でありますから申し上げられませんが、私としては自由化というようなことは避けたいし、また輸入枠の増大については、わが国の農家に長期的に支障を与えない範囲ということを限度として調整したい、関税の引き下げもそのような方向で対処したい、これがいきさつと現状のすべてでございます。
  94. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林水産大臣おっしゃったように、今村経済局長は、ジュネーブでの日米農産物交渉事務レベル協議に出席して二十日に帰国しまして、記者会見で、日米間で一応の枠組みができた、中川農林水産相とストラウス米大統領通商交渉特別代表との間で政治決着が図られるだろうと述べております。大臣は十二月早々に訪米されて、ストラウス米大統領通商交渉特別代表との会談をなさることはまず間違いないわけでありますが、最終的な政治決着をつける、こういうような決意で今回臨まれるわけですか。十二月初旬というと総裁選もあるわけですから、いつごろをめどに、また最終決着をつけるという決意なのか、その点もあわせてお答えをいただきたい。
  95. 中川一郎

    中川国務大臣 今村局長の報告のとおりでございまして、大体枠組みができ、あとは政治決着、判断ということが残されており、ストラウスさんと私との間でしかるべき時期にということになってございます。時期としては十二月初めぐらいではないか。タイムリミットは、十二月二十日までにこの作業を全般的に世界的に決着しようというタイムリミットもありますから、十二月の初めごろではないか、こう思っておりますが、どうしても私としては決着したい、アメリカ側の理解、協力をいただいて、日本の農村に影響を与えない範囲という限度においてぜひとも決着して東京ラウンドを成功させたい、こう思っております。
  96. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 巷間伝え聞くところによると、となっているオレンジ、果汁、牛肉の政治品目の輸入自由化問題で、米国側から見れば自由化、日本側から見れば非自由化の基本線が守られるといういわゆる玉虫色の案を作成するということで合意ができているやにうわさされておりますが、念のために私は真偽の点を確認しておきたいために質問するわけであります。  すなわち、日本政府はこの合意説を、言うまでもなく否定はしておられますが、また、いまも大臣から若干の答弁がございましたが、伝えられるところによれば、その合意内容というものは、一つ、生鮮オレンジを現行の四万五千トンから六万五千トンにふやし、以後一九八三年まで年率七%ずつ伸ばす、二つ、オレンジジュースを一九八〇年に現行三千トンから五千トン、以後一九八三年まで年率一〇%ふやす、三つ、グレープフルーツジュースは現行一千トンを一九八〇年に三千トンとした上、一九八三年まで年間おのおの千トンふやす、四つ、牛肉は現行一万六千トンから一九八三年に三万トンの輸入量とするという漸増方式をとるような玉虫色の合意書、こういうふうに言われております。  こうしたことがわれわれの耳に入ってくるということは、火のないところに煙は立たないということわざがあるように、日本側の考えにこういったものがある、かようにも私は勘ぐられるわけでございます。こういうように懸念されることについて、農林水産大臣は、ただいまも冒頭答弁がありましたように、政治決着をつける、そして双方で無理のないところで話し合うというようなことをいろいろおっしゃっておりますが、私がいまこの席で申し上げたことについて、まさかそのとおりだとおっしゃるわけはないと思いますけれども大臣として絶対にそのようなことはないと断言できるのか、農民の前に、また国民の前に明らかにひとつあなたの決意を披瀝していただきたい、かように思います。
  97. 中川一郎

    中川国務大臣 交渉過程にはいろいろな考え方、いろいろな数字がございまして、行きつ戻りつ戻りつ行きつ、いろいろございます。しかしながら、まだ合意されたものはないということで、今後向こう側の考え方もさらに詰めながらどの辺にどう落ちつくか、すべて今後にかかってございます。交渉経緯にはいろいろなことがありました。
  98. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林水産大臣のいまの答弁を聞いていると、どうも私が言っていることがかなり勘ぐらざるを得ないようなはだざわりで受けたわけですけれども、私はそういった点を大変憂慮しております。  そこで、大臣にお伺いしておきますけれども、十二月早々の日米交渉における農林水産大臣の腹構えを私はさらにお聞きしておきたいと思います。  今回の日米交渉で最終的な決着をつけるということになるわけでしょうが、いいかげんな決着をつけると将来に大きな禍根を残す、私はかように思うわけです。そこで、私が農林水瀧大臣に申し上げたいのは、これ以上は絶対に譲らないという歯どめが必要である、かように思うわけです。でなければ、生産農家の不安と不信は限度に達しております。交渉事であるから内容についてはなかなか言えないという大臣考え、それもわからぬではありませんけれども、少なくとも自分はこういう決意で国民を代表して臨むのだといういわゆる農林大臣の真の腹構えというものを私はここで国民の前に明らかにしていただきたい、かように再度質問申し上げます。
  99. 中川一郎

    中川国務大臣 若干中身を申し上げますと、まず牛肉について言うならば、今後数年間どういう消費が期待されるだろうか、需要が見込まれるか、そして国内の生産はどれぐらいになるだろうか、さすればどのぐらい輸入してもいいのではないかという見通し、その中にあって高級牛肉はどれぐらい輸入しても生産農家に影響を与えないで済むか、こういうことをベースにして数字をはじき、その数字によって決着をつけ、したがって生産農家には不安を与えないということにしたいと思っております。  また、オレンジについては、一番大事なポイントは自由化という約束はしないということ、それから枠の拡大については六、七、八月という時期は、これは時期が違うわけですからミカン生産農家には影響を与えない、ただ、向こうが言っておるのは四月、五月も対応するように、こういうことになってくるとこれはやっかいだな、この四月、五月はタンカン類と重なりますからこの時期は避けたい、こういうことを基本として、ミカン農家や果樹農家に影響のあるような数字では妥結はしない、影響のない範囲内において決着をつけたいということであって、いかような数字になろうとも生産農家に不安、動揺を与える数字はとりたくない、こう思っております。むしろ不安だ、不安だと騒いで、病気でないのに病気だ、病気だといって顔色が悪くなって病になる例もございますから……(「そんなことはないよ」と呼ぶ者あり)どうか私どものやっているところを信じていただきたいし、そんなことないという不規則発言もありましたが、一月のときには大変だ、大変だと言ったが、どこに大変があったか、大変という言葉だけがあって、牛肉なども大変だ、大変だで買いたたかれた人はあっても、市況その他からいってびくともしない決着であったことは御推察のとおりでございます。
  100. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 交渉事であるから、中身については公開の席で答弁することについてはいろいろ問題があることもよくわかりますが、いま若干の点について触れられました。この問題については再三にわたって大臣にその姿勢をただしてきたわけでございますので、十分意のあるところを踏まえていただいて最大の努力を払っていただきたいと思います。特に大臣は、影響のない範囲内で交渉する、いかなることがあっても農民に不安、動揺を与えるような措置はとらないというひときわ声の大きい決意でありましたので、大臣の交渉に十分期待をしまして、日本の生産農家を守るために最大の努力をしていただきたいことを強く要求しておきます。  次に、コレラ集団発生事件についてお伺いいたします。  去る十月十三日、千葉県船橋市の女性に端を発した東京上野の結婚式場池之端文化センターが感染源と見られるコレラ集団発生事件は、一都九県に拡大し、少なくともこれ以上新たな患者が発生することは考えられないとして、本明日には感染源の究明のないまま終息宣言を出すとともに、対策本部も解散する方針、こう言われております。恐らくこうして私が話しておる間に終息宣言が出ておるのかもしれませんが、私は、この終息宣言はまだ早い、こう思うわけです。  ところで、現在までに全国で感染者が四十八人に達し、国内感染と思われるコレラ禍に国民の不安はつのり、昨年の有田コレラ及び海外旅行者のコレラ感染問題等とあわせ、いまや国民の、国の防疫体制に対する不信はきわめて大きいものがあることは御承知のとおりです。しかも、今回もまた感染源の究明は、患者発生以来一カ月余の経過の今日、依然として不明のままであります。しかも、千葉県茂原市の四人の集団感染が、厚生省の公式見解では文化センターとは別ルート感染である可能性が強いとされております。  こうした不祥事は、わが国が汚染国ではないことや医学水準の高さから言ってもきわめて不名誉なことであり、当局は国民の健康、生命、生活を守るために速やかに感染源の徹底究明、今後の予想される患者の調査及び治療体制の確立を期し、さらにコレラ等の伝染病の絶滅を図るために関係各省と連携を図り、国民の不安を取り除く処置をすべきであると私は考えるわけであります。  ちなみに、農林水産関係のことで申し上げますが、わが国の主要輸入水産物の輸入数量を見ますと、エビの生鮮冷凍はインドネシア、インド、オーストラリア、香港、タイから、時間の関係で全部は申し上げませんが、五十二年度は十二万八千二百八十三トン、マグロ、カジキ、これも生鮮冷凍、総計で申しますと十二万四千九百八十七トン、イカ、これもエビと同じように生鮮冷凍ですが、総計で申し上げまして七万四千七百三十二トン、タコ、生鮮冷凍六万三千四百三十トン、ニシンの卵、この場合は塩干くんせいですけれども一万二百七十五トン、ウナギの生きているもの、五十二年度で一万五千四百二十八トン、サケ・マスの卵、これは塩干くんせいですが六千六百八十二トン、カニが生鮮冷凍で一万八千三百三十八トン輸入をいたしております。このことは当局も十分御存じのとおりです。  そこで、私が申し上げたいのは、今回のコレラ汚染ルートがはっきりしないまま輸入冷凍のイセエビが怪しいと疑いが持たれ、現にその疑いは完全に消えていないのでありまして、この影響で東京築地の魚市場ではエビ取扱業者にとってイセエビ灰色説のショックは大きく、国内産のイセエビすら全部だめという印象が強くなり、取引がとまったり返品の山となり、一時は在庫と心中するなどと言われるように深刻な問題を呈したわけでございます。このように大変な打撃を受けてきたわけでありますが、とにかく早く絶対大丈夫という発表をして名誉回復をしてもらいたいというのが真実の声でありますし、先ほども申し上げましたように、エビのほか相当量の輸入水産物がありまして、そのうちマグロ、イカ、タコ、ウナギ、カニなど、汚染されていたと将来騒ぎが起こらぬとは保証がないわけであります。厚生省の検疫、防疫対策があるからといって傍観しているわけにはいかないと考えます。農林水産省もこのコレラ集団発生事件にかんがみ、いかなる見解を持っておられるか、また、どう対処をされるのか、農林水産大臣としてその考え国民の前に明らかにしていただきたい。
  101. 中川一郎

    中川国務大臣 今回のコレラ事件は十一月四日に発生し、十五日までに四十七名の患者が発生をした。原因が非常に不明で、汚染地域からの魚介類の輸入に原因があるんではないかということで、厚生省も十分調べていただいておりますが、どうもはっきりしない。幸いにいたしまして、十五日以降今日まで発生いたしておりません。けさの閣議でも厚生大臣から報告がありましたが、この二十四日までに発生しなければ今回のコレラ発生事件は終結宣言をしてもいいのではないか、非常に喜んでおるところでございます。  今後ともこの汚染地域からの魚介類の輸入については、厚生省にお願いをして防疫関係の徹底を期すということと、今回幸いにして魚介類の暴落というようなこともなく、その結果わが国の生産者にも大きな影響はなかったということでございます。今後一人も発生しないことをこいねがい、さらに今後ともそういった防疫体制には万全を期す、こういうことで対処したいと存じます。
  102. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、厚生省にお伺いしますが、コレラ集団感染についてわが党が十一月十四日に厚生大臣に六項目の申し入れを行ったのであります。いまだ国会の公開の席で明らかにされておらないので、改めて厚生省の見解を伺います。  今回の発生については、検便作業のおくれに見られるような検疫体制の不備から、いまだ原因、感染ルートの究明ができないままであるが、この究明の状況と見通しについてまずお答えをいただきたい。
  103. 長谷川慧重

    ○長谷川説明員 今回の池之端文化センターをめぐりますコレラの集団発生につきましては、厚生省といたしましては、事務次官を本部長とする厚生省内の対策本部を設けまして総合的な対策を進めておるわけでございますが、その中におきましては、患者の発見、治療という面で医師会等の協力のもとに、あるいは各都道府県との密接な連携のもとに、患者さんあるいは保菌者の方々の早期発見、早期治療を行うこととあわせまして、先生から御指摘の感染源、感染経路の究明に努めているところでございます。当初四日の時点で患者さんが最初に見つかったというようなことから、東京都の防疫対策本部といたしましては、速やかに五日の時点から文化センターにおきます従業員の検便あるいは水の検査あるいはそこに使用されております食品の検査を鋭意進めておるわけでございますが、現在のところ、人あるいは物におきます検査の結果はすべて陰性であるということで、特定の感染源、感染経路は特定できないという状況であるわけでございます。  なお、引き続き、疫学調査等によりまして感染源、感染経路の特定をいたしたいということで努力しているわけでございますが、何分、御存じのとおり、コレラ菌につきましては一定期間たちますと菌自身が消滅するという問題もございますし、感染経路の究明といいますのは非常にむずかしい問題であるということでございまして、そういうむずかしさを踏まえながらも、私ども厚生省といたしましては鋭意その感染源、感染経路の究明に努めてまいりたい、かように思っているところでございます。
  104. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 感染の原因、ルートについてはまだ究明できない、鋭意今後やっていくということですが、努力はしておられると思うけれども国民の不安を除くためにもさらにさらに努力をしていただきたい、かように思います。  そこで、国立予防衛生研究所及び保健所等の防疫監視体制の強化とかまたは食品衛生監視員の増員ということが問題になってくると私は思います。現在は五十人くらいでやっているというのですが、このような数ではとてもカバーできないと私は思うのです。当然来年度予算編成を前にこういったことを踏まえ、従来の有田コレラにしても原因がわからぬまま経過してまいりましたが、この際国民の健康と安全を守るためにも、来年度予算編成の上からこういった監視体制、防疫体制、さらには食品衛生監視員の増員を図って対処すべきであると思うが、この点については厚生省当局はどう考えておりますか。
  105. 長谷川慧重

    ○長谷川説明員 コレラ菌に対します防疫対策といたしましては、検疫所におきましてコレラ汚染地から来航される方々に対します旅行時におきます症状等の調査あるいは視診によりましてそういう方々の早期発見ということに対応いたしておりますとともに、あわせまして、その渡航者につきましては国内防疫というものと密接な連携を保って早期の発見に努めているところでございます。  なお、食品等、貨物につきましては、検疫所におきまして、従来はそのコレラ汚染地を持っておる国の政府機関からのいわゆる証明書で対応しているわけでございまして、その証明書といたしましては、その汚染地域以外で生産され、かつ衛生的に取り扱われる旨の政府機関の証明書をもって貨物の安全確認を行っておるわけでございますけれども、今般の事例が生じましたことにかんがみまして、なおそういう証明書については厳正な確認を行うということにあわせまして、その食品自身が安全であるということをさらに確認するという意味で、今後は当分の間抜き取りによります品物のチェックをやってまいりたい、かように考えているわけでございます。  したがいまして、コレラにつきましては、総合的に申し上げますと、検疫あるいは国内防疫というものが相互に密接な連携をとって対応しておるということでございまして、この体制を今後とも堅持して国内の防疫体制を進めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  106. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 きょうは課長の答弁だからそのくらい程度しかできないと思うので、局長に出席をと言っておったのですが、局長、差し支えがあるということで残念だけれども、そんなことではこれはどうにもならないと思う。現在主要港湾並びに空港、十七カ所の検疫所があるわけですけれども、その食品衛生監視員が、先ほど言いましたように五十名足らず、ほかの人とも連携をとってというけれども、私はもう実におぼつかない。  御存じのように、いま答弁がありました衛生証明書の問題ですが、これを添付するということですけれども、これはいわば素通りなんです。つい先日、十一月の十七日ごろ、厚生省はこれに加えて抜き取り検査をするということを言っております。これは一歩前進であるけれども、増員をし、監視体制、防疫体制を整える、こういうときまでには相当期間を要するんじゃないか。そうしますと、果たしてこういったことで事足りるかどうか。またぞろこういった問題が起きた場合にどうするか。防除またはコレラの予防に大変な金を使うのですから、私はこういったことに力を入れていかなければ、今後あらゆるものが入ってくる、実際これでいいのかという不安があります。コレラの問題が起きたたびにこういった問題が起きる、ある程度期間が過ぎればこれは消滅するということで、その都度その都度おざなりになっているような感じがしてなりません。実際に衛生監視員等の増員がなされなければ、抜き取り検査ということで補完するような対策のようであるが、実際そういったことで事足りるか、間に合うのか、さらにお伺いしたい。
  107. 長谷川慧重

    ○長谷川説明員 検疫所は全国で九十六カ所、総職員数が七百八十一名、そのうち検査等を担当される職員の数が百四十五人という方が現在おられるわけでございますので、そういう人たちを十分に対応させて今後の抜き取り検査に対処してまいりたい、かように考えておるわけでございます。  なお、国内防疫につきましては、都道府県に国から委託しております防疫技師、防疫監吏が四百余名おるわけでございますので、そういう防疫技師、防疫監吏の人々と検疫とも相互の連携をとって対処してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  108. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、私はこの機会にさらに提案を兼ねて農林水産大臣並びに厚生省にお伺いするのですが、水産物に限らず将来心配されるものの中で、かねがね当委員会で私も再三政府に対して指摘をしてきておるところでございますが、人畜共通伝染病の防遏措置についてお伺いします。  防疫体制の不備から発生した今回のコレラ事件に関連して、現在人畜共通の伝染病としては犬のレプトスピラ、ネコのトキソプラズマ、小鳥のオウム病、サルの赤痢等がありますが、これらの伝染病については獣医師会及び医師会の側からも十分な研究が尽くされていない現状であります。特に問題とされているのは、最近種々の野性動物がペットとして飼育されるが、現在のところ、これらの病気に対しては国内の定期検査もないし、また輸入に際しての検疫も行われていないわけでありまして、人畜共通伝染病の立場よりして国民の健康に重大な影響を及ぼすことを非常に危惧しております。魚のみならず、こういった野性動物すなわちペットの輸入の問題です。以上のような点にかんがみ、早急にこれら伝染病に対する試験研究を充実する必要があると思うが、当局の方針はどうであるか。また、将来において早い機会に何らかの法的措置をとるべきではないか、かように私は提案をするわけです。  すなわち、仮称でありますが、人畜共通伝染病予防法というようなものも制定して、そして、これら野性動物の輸入、ペットに対するいわゆる人畜共通の伝染病予防のために十分な法的措置をしなければ、ここにもまた一つの大きな穴がある、かように思って私はこの機会にあえてこれを提案し、当局の見解を求める次第です。
  109. 杉山克己

    ○杉山説明員 家畜につきましての検疫は、家畜間の伝染病を予防するという観点から家畜伝染病予防法という法律に基づいて行われているところでございます。牛だとか馬、豚、こういった家畜自体につきましては今日かなり徹底した検疫を行っております。ただ、野性動物につきましては、実際のところ、そのすべてを検疫の対象とするというようなことは困難でございまして、現在小鳥のような一部のものについて輸入の際の検疫を行っているわけでございます。  最近、いま先生御指摘になりましたように、家畜と人間との間の伝染性を持っているところの新しい疾病——病気自体は以前からあったものかもしれませんが、新しく認識されるようになりましたそういう病気の問題が取り上げられるようになったわけでございますが、現在のところ、そういうような観点からの野性動物全体についての検疫とかあるいは国内での定期の検査というようなことは行われておりません。家畜と人の間に共通の病原性を有する疾病につきましては、まだまだ明らかにされていない点もたくさんございます。私どもといたしましては、先生言われましたような、今後大きな問題になりかねない点もあろうかと思いますので、厚生省等関係の方面とも十分連絡をとって研究を進めてまいりたいと思います。  将来どのような対策をとるかということにつきましては、これはその研究の過程で問題点、有効な対策が明らかになるに伴いまして、必要な措置を講ずる必要があればそれは行政上とっていくということで対応してまいりたいと考えております。
  110. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林水産大臣、いま局長の答弁をお聞きになっておったと思うが、農林水産大臣として、水産物のみならず、いま申し上げましたようなペット類の野性動物の輸入問題が、これはもういま言ったように野放し的で定期検査もない状態になっております。これは人畜共通の伝染病に関係あるわけです。大臣も十分御承知だと思いますが、そういった意味で、人畜共通伝染病の防遏のために、人畜共通伝染病予防法というような何か法的措置をしなければこれは防げない。将来問題が起きたときに、何だということにこれはなりかねないのです。十分検討するという局長の答弁でありますが、大臣からもひとつ決意のほどを、またお考えをお聞きしておきたいと思います。
  111. 中川一郎

    中川国務大臣 きわめて重要な問題でございますので、万々そのようなことのないように最善を尽くしてまいりたいと存じます。
  112. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に、養鶏問題について若干お尋ねします。  養鶏問題については、明日の委員会で同僚委員の吉浦委員からも細部にわたってまた質問をいたすことにしておりますので、本日は時間の制約もございますので、私は重要な点数点にしぼってお聞きしたいと思います。  まず、去る六月十四日に私どもは鶏卵の生産調整の強化等に関する件という決議をいたしました。いまにして考えてみますと、私は鶏卵の生産調整という言葉自体が問題である、かように思うわけです。県や市町村の協議会を見ましても市町村鶏卵需給調整協議会、県においても都道府県需給調整協議会、こういうふうになっておりまして、今後政府もわれわれも言葉を改めなければいかぬと思います。生産調整というものですから米、ミカン等の生産調整と一緒のように卵の場合も生産調整というようなことになっちゃって、つい需給調整であるということのすりかえみたいになっている、かように思うわけです。今後生産調整と言わずに、鶏卵の場合は需給調整と言うべきじゃないか、また協議会もそのようになっておるわけですから。というのは、消費者側から見れば卵価が安い、しかも飼料が高い、そして困っているときに、卵が余っているのに何でいま卵を上げるのか、卵はもっと下げろというような消費者の素朴な声があるわけです。養鶏業者もたまったものじゃないわけです。  生産調整というと、どうしても消費者に、余っている、余っているから生産調整をするんだ、こういうような印象を与える。そういった意味から、卵の場合については生産調整でなくて需給調整ということで、足らぬときにはこれを増産する、また余分にあるときにはこれを調整するために需給調整を図っていく、こういうふうにしていかなければ養鶏業者はまさに壊滅的状態になる、かように思うので、この需給調整という言葉についての認識、また私が言っている提案に対して当局はどう理解しておられるか、その点からまず冒頭お答えをいただきたいと思います。
  113. 杉山克己

    ○杉山説明員 先生も御指摘のように、鶏卵につきましても需要と生産が均衡のとれた姿で推移するということは当然必要でございまして、そういう目標のもとに目下施策を進めているところでございます。  生産調整という言葉を使っているわけでございますが、その目的、実質的な内容需給調整というものではないかということは私どももそのとおりに思います。ただ、そういう聞きようによっては激しい言葉を使っておりますのは、最近におきますところの需給のアンバランス、特にことしの森から夏、秋口にかけての生産過剰、さらにはそれに伴う卵価の急落ということはきわめて著しいものがあったわけでございます。そして、一方におきまして、そういう状況にもかかわらず関係者の間で申し合わされておりますところの需給調整、これをなかなか守らない、いわゆる無断増羽、やみ増羽という事態も出てまいったわけでございます。そういう厳しい情勢のもとにおきまして、やはり関係者に本当にそこを自覚してもらい、真実の需給調整が達成できるようにするためには生産面で相当思い切った措置が必要であるというような観点から、生産調整という厳しい名前を使った指導を行っているところでございます。  ただ、そういうことが過度に生産者を萎縮させて将来を暗いものに見るようにさせてしまうというようなことがあれば、これは確かに行き過ぎれば問題となるところでございます。また、消費者の方にいたずらに生産過剰なんだ、そして卵価は安くていいんだというようなイメージを与えるとすればこれも問題でございます。  私どもといたしましては、一面生産者に将来の立ち直った時点における明るい展望を示しながら、消費者には卵価のコスト等についての事態も明らかに啓蒙していくようなことを努力し、そういう弊害の生ずることのないようにしてまいりたいと思います。従来から生産調整という言葉を使っておりますので、ことさらいまこの段階でということは特に考えておりませんが、先年の御指摘の趣旨は十分体して生産者消費者に対する指導を行ってまいりたいと考えております。
  114. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、時間がございませんので次の問題にまいりますが、当委員会の六月十四日の国会決議後、需給調整の結果はどのようになっているか。若干の調整をなさったこともわれわれ仄聞しておるし、飼料問題で全農も姿勢を改めておることも承知しておりますが、六月十四日の決議後今日までの成果について、簡潔でいいですからお答えください。
  115. 杉山克己

    ○杉山説明員 鶏卵の需給の均衡を回復する、それから価格についてもコストに見合ったものに回復するということにつきましては、生産調整を目的どおり実現させるということが一番緊要なことでございます。そのため、実態につきましての調査、これは従来年二回程度行っておったものでございますが、五十三年度から年四回にこれを増強して行うことといたし、本年度すでに五月、八月の二回にわたって調査を行ったところでございます。それによって実態が明らかになり、無断増羽の事実が認められたものに対しましては、市町村さらには県、ものによりましては農政局あるいは農林水産省が直接その是正措置を求めるということで指導してまいりました。これらの措置を通じまして、全般に生産調整をみずからの努力でやっていかなければならないという機運が相当程度高まってまいったと思います。  無断増羽については、かつてのような節度のない増羽というのは今日抑制されていると思いますし、かなり減羽の事実あるいはその計画の検討ということが進められております。  それらの事態を反映いたしまして、この春から夏にかけて著しく低落いたしましてキログラム出たり二百十円、二百二十円というような水準にありました卵価も、今日では二百五十円台まで回復してきているというような実績が認められるところでございます。今後ともさらに需給の調整、生産調整、あるいは卵価の維持ということに努力を尽くしてまいりたいと考えております。
  116. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 質問になかなか答えないので時間がないから急ぐが、私は需給調整の取り締まりの結果が、こういうことを言いたいわけですよ。若干やっている。小さい業者の取り締まりはしているんです。何百羽かふやしているようなところ。ところが、大きいところは見逃している。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕 いわゆる大きいところは一筋なわでいかないものだから、弱いところをやって強いところは見逃している。ロッキード事件と同じようなやり方なんだ。それじゃいかぬ。大きいところほど私は強く需給調整、いわゆる生産調整をやってもらいたい。そして、守ってもらいたいと言うんです。どうしても弱い者いじめになっている。そういった調整になっています。  一々例を挙げる時間がございませんが、その例として申し上げますけれども、企業養鶏の株式会社ヒヨコのイセです。本社富山県で、毎回当委員会でもいろいろ論議したところですからおわかりのとおりと思いますが、石川県の奥能登、穴水町の直営、委託農場で、今春からの県の再三にわたる行政指導や地元とした確認書を無視し、やみ増羽を依然続けていることが明らかになったわけであります。やみ増羽は、イセ養鶏の直営農場で凍結羽数二万羽を除いても約十三万羽、同二委託農場四万羽、計十七万羽に及ぶというのであります。地元の養鶏農家は、イセ養鶏傘下でやみ増羽による卵がどんどん東京、大阪へ乱売されている、私たちは長期の価格低迷で苦しんでおる、正直者がばかを見るということで大変憤りを感じておるし、県の方においても、イセ養鶏のやみ増羽については、四十九年凍結時点の羽数へ原状復帰するよういままで七回の行政指導を行っている。しかし、現実にやみ増羽が行われており、対策の決め手がない。今後も根気よく指導していく以外にない。一方、七月十日にイセ養鶏の関係者が県に来て、やみ増羽は八万羽までに減らしたとの口頭回答があったので、近く県としても現地調査をしたい、こういうことを言っております。こういう事例が一つ。それから、埼玉県比企郡小川町原川百五十一番地、農事組合法人兜川鶏業、代表名は原口一夫氏でありますが、この兜川鶏業は、生産調整実施時の四十九年五月には、原口氏所有の埼玉県小川町の養鶏場は実際上はなかったわけです。しかし、すでに計画中であったとして県、農林省に強硬に働きかけて五万羽の枠を取ったわけです。ところがその後、関越高速道路が建設されるということでその買収にあい、補償金をもらうということになった。土地を買収されたわけです。そこで、その五万羽を埼玉県から栃木県へ県間移転することを県に承認させた。この間、政府の方にもこの話は十分通じたということで、地元ではけしからぬと言っておるわけです。この兜川鶏業は、その裏には味エサ会社がその資本を出しているとも言われております。これは味の素と伊藤忠の半々の会社であります。行政指導をしたのかどうか、そういった点にメスを入れたのかどうかということが問題であります。こういったことがあるのは当局は十分承知だと思う。その点を明らかにしてもらいたい。  もう一つの事例としては、岩手県の伊藤忠、すなわちCIファームも六十六ないし七十万羽いると言われます。うち十三万羽はやみ増羽と言われております。岩手県では自前の計画であるのでどうにもならぬということで官民黙認しているようである。こういうふうに地元の不信を買っておる。また、そう言われても仕方がないというのであります。  こういうふうに、いろいろ言えば切りがないけれども、私が投書その他で掌握しているこの三つの事例を挙げても、当委員会で去る六月十四日決議をした後、こういう大きなものは見逃して、依然として企業が続けられておる。一方では小さい業者には需給調整の厳しいメスを入れるかと思えば大きい方は見逃している。こういったことが行われていては、まじめな養鶏業者需給調整していこうと思ったって、なかなかできない。正直者がばかを見るということが言われますが、この実態を知っておられるかどうか、また、これに対してはどう対処されるのか、簡潔でいいですからお答えください。
  117. 杉山克己

    ○杉山説明員 生産調整を有効に実施していく上で、特に大手の多数羽数を飼育しているものを重点にこれを指導していくということは必然でございます。私ども生産調整を中小に厳しく、大手に甘くというようなこととはむしろ反対に事柄を理解して行政を進めているところでございます。  石川県なり埼玉県なりあるいは岩手県におきますところの個別の事例につきましても、詳細というわけにはまいりませんが、相当程度私ども承知している事実もございます。石川県の増羽につきましては、これは先生御自身も触れられましたように、現在県と企業者の間で減羽計画についての検討、協議が行われているところでございます。岩手県につきましても同様でございます。埼玉県につきましては、まだその具体的な内容についての報告は受けておらず、県に照会をしている段階でございます。こういう県の介入が相当程度具体的に行われているということは、一日にして一挙に事態が変わるというほどのことはありませんにいたしましても、私ども、この夏の事態に比べればかなり事態は改善されつつあるというふうに思っているわけでございます。
  118. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 当局はそれを承知しているにもかかわらず、いま照会しているとか承知してないとかということをおっしゃるけれども、現に農林省にも相談をしてこういうことをやっていると現地では言うのですよ。そういったことをわれわれは六月十四日に決議して、大いに当局はそういったところを監視しろ、そして、まじめな生産調整に行政指導をしろということを言っていたにもかかわらず、そういったところに政治不信が起こるわけです。どうも残念でなりません。時間が迫ってくるのに答弁が長くて実際に私は十分な意を尽くせませんけれども、そういった事例があるので、調査をしていない、照会中であるならば早く照会、調査をして対処をしてもらいたい。お手並み拝見ということでいきたい、かように思っております。  そこで、農林水産大臣にお伺いしたいのだが、ちょっと席を外したようなので、大臣にかわって局長に答えてもらいたいけれども、養鶏業者はいまこんなことを言っております。鶏は卵をとるための養鶏と思ったが、えさを食うための養鶏となった、こう言うのです。ということは、えさ屋がえさを売らんがための養鶏になっている、かようにいま言われております。単に養鶏農家需給調整をしている姿勢を正すのみでなく、いま申し上げましたように、特に商社系のインテグレーションなど大きな企業経営の行政指導を強化するとともに、そのバックにある飼料屋、いわゆるえさ屋のもとを正さねば根本的な解決にならないというのが真の声であります。ただ枝葉だけやってもだめです。木の根っこを正さなければ枝葉は生きてきません。そういった意味で、この点については当局も十分力を入れて行政指導してもらいたい。  農林水産大臣のお答えを聞きたかったのだけれども、ちょっと席を外しておるようだから、局長から大臣に成りかわって決意を述べていただきたい。
  119. 杉山克己

    ○杉山説明員 鶏の生産調整を有効に実現していくためには、単に直接飼養者、飼養企業だけでなく、それにえさを供給しているところの飼料企業あるいは商社、これらに対しても適切な指導を行っていくべきであるという御指摘はごもっともであるというふうに思っております。私ども従来からもその考え方のもとに、えさ業者も含めて生産調整の実効が上がるように指導をしてまいったつもりでございます。今後ともさらに一層その努力を続けてまいりたいと考えております。
  120. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林水産大臣、いまちょっとあなた席を外されていたので答弁できないと思うが、養鶏に対する根本的な問題はえさ屋の姿勢を正すことだ。養鶏業者のいわゆるやみ増羽の陰には、えさ屋が経営者とくっついてやみ増羽をして一般のまじめな需給調整をしている養鶏業者を苦しめている、ここをたたかなければならぬということをいま言ったわけですが、次の問題があって時間がございませんので、本当に十分言うことができませんが、こういったことについては農林水産大臣としても十分指導してもらいたいと思う。どうですか大臣、一言おっしゃってください。
  121. 中川一郎

    中川国務大臣 鶏の問題、卵の問題は大変でして、御指摘のように、大手の者がなかなか言うことを聞かないという傾向もありますし、えさ屋が背後にあるという問題もある。これは強制力を持たない仕組みの中でやるのでありますから問題点はありますが、あとう限りの手段を講じて指導をし、徹底するように最善を尽くしたいと存じます。
  122. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 林業問題について、農林水産大臣並びに林野庁長官お尋ねします。  昭和五十四年度民有林造林事業予算要求の重点となっている森林総合整備事業は、都道府県知事が、森林面積おおむね一千ヘクタール以上であって一定要件を満たす地域を森林総合整備地域として指定し、事業としては再造林、拡大造林、天然林改良保育及びこれらの事業に付帯する作業の開設のすべてを補助の対象にするとともに、保育林齢を二十五年生まで引き上げるというもので、五十四年以降十カ年を目途に三千五百地域を指定することとし、このうち五十四年度は二百五十地域、予算五十億円を要求しておられますが、これは多年の念願でもあり、大蔵省折衝に最大努力していただきたい、ぜひとも確保していただきたいわけです。十カ年で三千五百地域となると、年間平均三百五十地域となります。初年度最初であるから三百五十地域であると思うけれども、昭和五十五年からはかなりの地域をふやしていかねば消化ができない、また目標達成できないと思うのですが、その見通しはどうか、まず最初林野庁長官にお伺いしたいと思います。
  123. 藍原義邦

    ○藍原説明員 いま御指摘の問題につきましては、ただいま大蔵省に予算要求をいたしまして、鋭意大蔵省との間で検討を進めておるわけでございますし、私どもも、造林というものが最近停滞をいたしておりますし、いろいろな方法で造林の推進を図りたいというふうに考えておりますので、できるだけ所期の目的が達成できるように努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  124. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に、農林漁業金融公庫資金の問題ですが、造林資金、林道資金の融資条件の緩和措置をぜひしていただきたいということでお伺いしたいのであります。  すなわち、造林資金については、私も当委員会で数年前から何回か要求をしてまいりましたが、先日、十一月十七日に第十八回全国森林組合大会が九段会館で行われましたけれども、この大会は、森林組合法制定記念としてかつてない盛り上がりを見せた大会でございました。その席でも要請を受けたわけですが、まず、造林資金の償還期限現行三十年、これは補助の場合、それから非補助の場合は三十五年になっていますが、これをいずれも五十年に延長してもらいたい。また、据え置き期間現行二十年を二十五年に延長していただきたい。保育林齢も現行原則十二年、特認は二十年になっておりますが、これを原則二十年、特認の場合は二十五年に引き上げること。二つに、林道資金については償還期限現行二十年を二十五年に延長し、緩え置き期間は現行三年を十年に延長していただきたいという要望がかねがねからあり、また特にこういう林業の重要なときを迎えて当然のことでありますので、こういった資金の延長をぜひともお願いしたい、つまり緩和措置をとってもらいたい、かように思うわけですが、林野庁長官、この点についてどういうふうに検討しておられるか、お答えをいただきたい。
  125. 藍原義邦

    ○藍原説明員 林業関係の金融を抜本的に拡充強化するということは、われわれも十分その必要性を感じておりますし、いま先生が御指摘になりました造林資金あるいは林道資金につきましても、一定の要件を満たすものにつきまして特例的に償還期限の延長等を行うよう、ただいま来年度予算にこれを盛り込みまして要求をいたしておりますし、私どももその方向に向かいまして努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  126. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 来年度予算要求でなくて、林道予算についても一言触れておきます。  時間が詰まってまいりましたので詳しく申しませんけれども、要するに、林道予算を見ましても、十年前は約三百億くらいあったものが現在では四面五十億くらいの予算であります。特に一般林道の開設費を見ますと、五十三年が千三百十五キロメートルで四百四十九億円、五十四年の予算要求は千五百六十二キロメートルで五百四十四億円になっておりますが、実際に戦後植栽した木材が、暖かいところではすでに主伐の時期に入ってまいります。そういったことから、生産に入っていると言っても過言ではありません。林道延長は急を要する問題であります。過疎対策、就労の場をつくる。林道がないと林業の振興は図られないということは百も承知のとおりであります。  そういった意味で、補助効率が悪いので、来年度予算に当たってはぜひとも必要な延長に見合った予算を確保していただきたい。前年度の何%比じゃなくて、そういったことから林業の危機を救うためにもぜひ確保してもらいたいと思うが、長官、どんな決意で予算要求に臨まれるか、お答えをいただきたい。
  127. 藍原義邦

    ○藍原説明員 林道は林業生産の基盤で一番大事なものでもございます。したがいまして、私どもただいま予算折衝中ではございますけれども、林道の重要性にかんがみまして精いっぱいの努力をして予算獲得を図りたいというふうに考えております。
  128. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 さらに、非公共事業である林業構造改善事業について、これも来年度予算を確保していただきたいということを申し上げたい。林業構造改善事業は大きな位置づけを持っておりますし、重要な役割りを果たしていることは御承知のとおりであります。御承知のように、第二次林構は五十四年、地域指定が終了することになりますが、新林構は五十四年実験事業を実施し、五十五年から本事業としてぜひ進めていただきたいということであります。すなわち、第二次林構に続いて継続してやってもらいたい。ここに間があくと、山村の荒廃は火を見るよりも明らかであります。そういったことで、切れ目がないようにぜひ続けてやってもらいたい、こう思うが、これについて長官はどういうふうにお考えであるか、この席でお答えをいただきたい。
  129. 藍原義邦

    ○藍原説明員 御指摘になりましたように、第二次林構が五十四年度で一応指定が終わります。したがいまして、私ども五十三年、五十四年の二カ年にわたりまして新しい林業構造改善と申しますか、そういう考え方でただいま調査研究をいたしておるところでございます。これと並行いたしまして、林業構造改善対策の円滑な移行という意味からも、新林業構造改善対策促進実験事業というものを実施しようということで、五十四年度予算に盛り込みまして大蔵省に要求いたしておりますし、私ども、林業構造改善事業が、今後ともそういう意味からスムーズに展開していくことに努力を注いでまいりたいと考えております。
  130. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に、外材問題ですが、これはしばしば問題になるわけですけれども、今度の全国森林組合連合会の大会においても大変熱烈な意見発表等ございました。詳しくは申しませんが、御承知のように、現在木材需要というものは一億立米で横ばいで、いわゆるふえもしない、減りもしないというような状況になっております。外材は、円高ドル安でいま恐らく六五%輸入でありますが、近くもう七割を超すのではないかというようにわれわれは見ております。御存じのように、昭和二十二年から木材は自由化されている。これがいまの果汁、オレンジ、牛肉のように関税がかかっておるならば、米国も相当問題にするのだけれども、とっくに自由化されたためにもう問題にならない。そこで私は、問題にならぬことが問題である、かように言いたいわけです。そこで、日本の林業が外材と競争できる条件をつくらなければいかぬ、かように思うわけです。詳しくは申しませんが、長官は十分賢察できると思います。そこで、流通機構の改善、それから強力な需給計画を立てるという必要があると思うが、これに対して長官はどういうふうに考えておられるか、簡潔でいいですからお答えをいただきたい。
  131. 藍原義邦

    ○藍原説明員 御指摘のように、これからの木材需給というものを安定的にしていくことは、これからの日本の林業の振興のためにも必要だというふうにわれわれ考えております。したがいまして、従来年間の需給計画を立てておりましたけれども、ことしの十月から四半期の三カ月単位の短期の需要と供給の見通しをそれぞれ地域別に立てまして、米材あるいは北洋材あるいは南方の材という関係からそれぞれの需給を判断いたしました計画を立て、きめの細かい需給計画の中で行政指導をしていくことによりまして、いままで以上に需給の安定を図りたいということで努力いたしておりますし、今後ともさらにこれを拡充強化してまいりたいというふうに考えております。
  132. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 さらに、国産材産業振興資金についてお伺いしますが、ことし三十億円を計上して林業信用基金に出資し、そのうち五億円は保険、それから二十五億円を資金とし、都道府県が二十五億円上乗せして、計五十億円を四倍にして二百億円にして、いわゆる外材対策の一環として競争力をつけていこうという、これまた多年の念願で重要な資金でございますが、ぜひともこれも実行してもらいたい、かように思うわけです。  そこで、一点お願いしておきたいが、この国産材産業振興資金の実現とともに、利子がどのくらいになるのか。いまここではなかなか言明できないかと思いますけれども、今後大蔵省折衝をしていただくと同時に十分検討していただき、少なくとも中小企業よりもうんと安い利子でお考えいただきたいと思うのですが、長官はどういう決意でおられるか、お答えをいただきたい。
  133. 藍原義邦

    ○藍原説明員 先生御指摘になりました資金制度の問題につきましても、われわれは民間の林業関係者が有利にこういう資金を活用できるということを考えながらこの制度考えておるわけでございまして、御指摘になりました金利につきましても、一般の金利よりも下がるように十分の努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  134. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間が詰まりましたが、もう一点お伺いします。木材の需要拡大について私は長官並びに大臣のお考えをお聞きしたいのであります。  これは一つの例でありますけれども、現在木材が低迷して、木材業、製材業者も大変苦境に立たされております。外材に押されて国産材の需要が伸びないし、国内製材業者はもう塗炭の苦しみになって、いま全国各地でこういった声が大会となって上がっております。そこで、一つの例ですが、広島県住宅建設資金貸付と言いまして、広島県で行っている、すなわち県内にみずから居住する住宅を住宅金融公庫の融資を受けて建設する者に対し、知事が指定する金融機関から住宅建設資金を貸し付けて、持ち家の建設促進を図るというのが目的でありまして、貸し付けの対象者は、昭和五十三年度住宅金融公庫の土地取得資金もあわせて融資決定を受け、公庫の定める設計審査に合格した者、二つには、申込者の前年の年間総収入が四百五十万円以下の者、三つには、取得する土地面積が百四十平方メートル以上の者。そして、貸付条件に、貸付限度は一戸につき百二十万円を限度とする、貸付利率は年六・五%とする、貸付期間は十年以内とする、それから償還方法は元利均等月賦償還とする。さらに、国産材の使用ということが一つの条件になっておりまして、木造住宅については少なくとも次の個所は国産材を使用するものとする。一つ、床組みについては大引きとする、二つ、小屋組みについては小屋はり、母屋、つかとする、こういうような条件になっております。そして、国産材使用届け出については、貸付金の貸付決定を受けた者は、施工業者と連署の上、住宅金融公庫の第一回現場審査申請書提出時に、所定の個所に国産材を使用している旨を国産材使用届け出書により取扱金融機関に届け出る、かようになっておりまして、初年度貸付対象戸数を一千戸、資金は約四億、こういうふうになっております。  こういったことは大いに結構なことでありまして、私は、こういったことこそいま悩んでいる木材業、製材業者、そしてわが国の木材振興のためにもぜひ必要である、こういった芽を大いに育てて、林業県の各県にぜひこれを広げていただきたい、指導していただきたい、かように思うわけです。  さらに、御承知のように、木材住宅ローンという組織がありまして、時間がありませんから簡潔に申しますが、全国で九十七カ所、その融資の利率は七・六二%で住宅建設を推進しております。これもまだできていない県も数県ありますが、これらを大いに推進していただきたい、かように思うわけでございますので、どうかひとつ長官、その点どういうふうにお考えであるか、見解を承りたい。
  135. 藍原義邦

    ○藍原説明員 林業の振興なり国産材の利用なりを図るためには国の施策も当然ではございますけれども、やはり都道府県あるいは市町村等々、地方公共団体もあわせてそれぞれの努力をしていただく必要があろうと考えております。そういう意味から、広島県がとっておられますこの方法も非常に意義のあることだと私は考えておりますし、今後関係方面と十分連絡をとりながら国産材の振興という意味から、国あるいは県が挙げて対応していくような努力をしてまいりたいと考えております。
  136. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 最後に、農林大臣も北海道でおられて、木材の重要なこと、危機に瀕していることは十分御存じだと思います。数点にわたり申し上げましたが、残余の問題は保留しておきまして来る十二月の委員会でまた質問をすることにいたしますが、ひっくるめて林業問題で、特に国産材の需要拡大ということでいま提案をしたわけですけれども、広島県の例に見るようなこと、こういったことは大臣としても大いに各県に指導し、進めていくように努力してもらいたいと思うが、最後大臣の決意を伺って、質問を終わりたいと思う。
  137. 中川一郎

    中川国務大臣 いま長官から答弁しましたように、国だけじゃなくて、県、町村、あらゆる段階で住宅、しかも木造住宅という形でやっていただくことが非常に需要開発に役立つことでございますので、各県の事情もありますが、十分指導してこれらの促進に努力をしたいと存じます。
  138. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 以上で、一応質問を終わります。
  139. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 神田厚君。
  140. 神田厚

    ○神田委員 私は、米の過剰の問題と、それから輸入水産物、この問題について御質問を申し上げたいと思います。時間が非常に限られておりますので、要点についての御質問をいたしたいと思います。  まず最初に、米の問題でありますけれども、五十三年産の予想収穫量がこの前の見通しと比べてどういうふうになっているのか、その数字的なものをひとつお聞かせいただいて、来年の古米の持ち越しがどういうふうになるのだろうか、その見通しをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  141. 澤邊守

    澤邊説明員 農林水産省の統計情報部が十月十五日現在を十月末でございましたか、発表いたしまして、一〇八%の作柄でございまして、千二百五十八万トンというその段階での生産予想をいたしております。  それに伴いまして、第二点の古米の持ち越しの問題、過剰米の問題についてのお尋ねでございますが、今年の豊作が過剰米の累積に影響いたしますのは、来年の十月末の米穀年度繰り越しの際に主として影響するわけでございますので、今年度十月末の古米の持ち越し量は若干の影響はございますけれども、ストレートの影響ではないわけでございますが、五十三年十月末の新年度への持ち越し時点におきます古米の持ち越し量は、現在積み上げてまとめ中でございますが、確たることはまだ申し上げられませんが、五百七十万トン前後に達するものと現段階で見ております。
  142. 神田厚

    ○神田委員 昭和四十五年に七百五十万トン過剰米が出て、対策に非常に困ったわけでありますが、この五百六十万から五百七十万トンと言われている過剰米について、現在の時点ではどういうふうな対策を考えられておりますか。
  143. 澤邊守

    澤邊説明員 五百七十万トンといいますと、政府が備蓄の意味を含めまして古米を計画的に持ち越すことにしておりますのが二百万トンでございますので、それを差し引きました三百七十万トンがいわゆる過剰だということになるわけでございます。  これをいつまで持っておりましても、保管経費等もかかるわけでございますし、また品質も低下いたしますので、できるだけ主食以外に処分をするということが必要でございますので、現在、明年度予算編成と絡みまして具体的にどのような処理をしていくかということについて検討を進めておるところでございます。したがいまして、現段階でどのような対策、処理方法をとるのかということを具体的に申し上げる段階に至っておりませんが、前回と同じように、用途といたしましては、国内の加工原料用、それから援助を含みました輸出用、それから残余のものは家畜の飼料用というような用途が考えられます。その際、いま申しました順序で損の仕方が少ないわけでございますので、その辺も検討の対象になろうかと思います。  さらに、全体の数量をどれだけ過剰米の処理として処分をするのか、また、いつから着手するのか、あるいは何年間でその数量を処分し終わるのか、また、損が当然発生いたしますが、それをどのような損失の処理をするのか等につきまして現在鋭意検討中でございますが、何しろどのような方法をとるにいたしましても相当な財政負担を要する問題でございますので、財政事情もにらみながら処理計画を立てなければいけないということで検討を進めておるところでございます。
  144. 神田厚

    ○神田委員 四十五年に七百二十万トンの過剰米対策をしたわけですが、そういう時点から言うと、現在検討中だというのはもうちょっとおそ過ぎるのですね。やはり一つの大まかな方向、大体どんな方向でどういうふうなことをやるというふうな大綱はもうすでにできてなければおかしいわけですが、その点はどうですか。
  145. 澤邊守

    澤邊説明員 内部での案はいろいろ考えないではないわけで、いろいろ考えておるわけでありますが、やはり財政負担というものも考えながら処理計画を立てなければいけないということが前提の一つとしてありますので、その辺が、御承知のような来年度予算編成につきまして財政的に非常に困難な問題を抱えておりますので、いろいろな案の中のどれを最終案として詰めていくかという点についていまだ成案を得なくて検討を続けておるということでございます。  その他、先ほどもちょっと申し上げましたように、いずれにいたしましても損失が発生することでございますので、なるべく損の発生が少ない方法も考えていかなければならないということで、加工用、輸出用、飼料用、どのような用途に振り向けるかということが大事になるわけでございます。その一環といたしまして、最近問題となっております海外への援助、輸出の問題につきましても、方法のいかんによりまして損失の出方が違いますので、それも相手国の要請なり実情等もいろいろ問い合わせておるところでございますので、それらの返事が参りまして話し合いが進む段階で詰めてまいりたいということでおくれておるわけでございます。
  146. 神田厚

    ○神田委員 そうすると、外国の経済援助も含めて、これは年内にやはりある程度方向を出すのですか。
  147. 澤邊守

    澤邊説明員 いずれにいたしましても、明年度予算編成の段階には最終的な結論を得なければいけないということで、鋭意詰めておるわけでございます。
  148. 神田厚

    ○神田委員 五十三年度に三十九万一千ヘクタール、百七十万トンの生産調整をやったわけでありますが、御案内のように、実際にはその目的が達成できないというか、まあ八十万程度の減反しかできなかったという結果に終わったようです。これは一つには、やはり需給計画自体に問題があったのではないかという指摘がある。それと同時に、今後三年を一期とする減反計画を変更するような、そういうふうな方針はあるのかどうか、大臣の方からひとつお伺いしたいと思います。
  149. 中川一郎

    中川国務大臣 本年度からの米の生産調整は十年計画でやっておりますが、とりあえず一期として三年間ということでスタートをいたしました。残念ながらスタートの年に八十万トン程度狂いが生じてきたということは事実ですが、だからといって来年これを変更するということではなくして、今年をベースにして来年もひとつやってみたい。三年間ですから再来年もということですが、再来年もそうなるだろうと思いますが、とりあえずは来年はそういう方向でことし同様の生産調整の協力を農家の皆さんあるいは団体の皆さんにお願いして実効を上げていきたい、こう思っております。
  150. 神田厚

    ○神田委員 大臣からそういう御答弁がありましたが、澤邊さんは、日本経済新聞などの対談の中で、実質的には、需給計画自体は変えないつもりだけれども、表面上は変えないけれども、実質的には転作推進の努力をより一層期待をしたい。非常に意味の深い言い方をしておられますけれども、それは結局どういうことでございますか。
  151. 澤邊守

    澤邊説明員 対談でございますので、余り全部が全部正確な記事ではございませんけれども、趣旨はそういう趣旨のことを述べておるわけでございますが、お尋ねございましたように、需給の見通しにつきましては、やはりその後の情勢を見ておりますと、需要の減退がわれわれが考えておりますよりやや大きいし、また減反に伴います生産者生産努力というものによります反収もわれわれが考えておったより高いというような見方もございます。それらもございますが、大臣からお答えいたしましたように、三年間は原則として固定という考え方にのっとりまして、来年度目標自体は変えないということでやっておりますが、そういたしますと、われわれといたしましては、需要の拡大といいますか、消費拡大につきまして、従来以上に一問努力を要することになりますし、また大臣もいまお答えいただきました、ことしと同じようにというように、生産調整の推進につきましても生産農家の皆さん方に御努力をいただきたいというふうに考えるわけでございまして、それによりまして需給ギャップが結果的に生じないように最大限の努力をする必要がある、こういう趣旨で申し上げたわけでございます。
  152. 神田厚

    ○神田委員 大臣の答弁が基本であるのは当然でありますから、私は大臣の答弁の方をそのとおり受け取らしていただきたいと思うのでありますが、同時にその中でもう一つ、来年の生産者米価は、いわゆるいまのような米の有利性をなくして転作が円滑に進むような水準に決める必要がある、こういうことを言っておられるようでありますけれども、これはどういうふうな意味なのでございますか。
  153. 澤邊守

    澤邊説明員 あの記事に載っておりますように、私は来年度生産者米価については現段階で具体的には何も検討しておりませんし、もちろん何も決めておりませんという前提を置きまして、ただ米の過剰の原因といたしまして、米の相対収益性が他の農産物に比べて有利である。したがいまして、昨年の秋、十カ年計画を決めました際も、相対価格関係を是正するというようなことを政府としても閣議了解で決めておるというような考えもございますので、米の相対的な有利性、他の農産物に対します米価の相対的な有利性というものを徐々に直していかなければいけないという趣旨のことを述べておるわけでございます。
  154. 神田厚

    ○神田委員 そうすると、少なくとも一部にありますように、いわゆる生産者米価を下げて、そして、ほかの転作物に対する政策誘導を図っていくというようなことの話ではないわけですな。
  155. 澤邊守

    澤邊説明員 そのような趣旨を述べているわけではございません。
  156. 神田厚

    ○神田委員 私は、やはり米価の問題は基本でありますから、いろいろとその対談の中でもおっしゃっておられるようでありますけれども、何といいましても農業所得の中の中心でありますから、そういう意味では、現在のように、もう農業所得が農家所得の中で非常にパーセンテージを割ってきているような状況でありますから、ひとつよりしっかりした考え方を米価に持っていただきたい、こんなふうなことを要望しておきます。  さらに、国や地方公共団体と農業団体の共同主導で今後の生産調整の問題は進めていかなければならない、こういう趣旨のことも述べられておりますけれども、実際には、実際問題として共同主導型ということは、それはどういうふうに進めていかれるつもりなのか、その点はいかがでございますか。
  157. 澤邊守

    澤邊説明員 直接の担当は農蚕園芸局でございますが、私が述べたことに関連した御質問なので私からお答えいたしますが、ことし初年度でございまして、昨年度からの経過を見まして、御案内のように、農業団体としてはなかなか全面的に協力するという姿勢がとりにくかったということがございまして、どうしてもいわゆる行政主導型で転作の推進が行われた、もちろん個々の農協等につきましても非常に協力していただいたところも数少なくないわけでございますが、一般的にいいまして、どちらかというと行政主導型でいったということは否定できないのではないかと私自身思っているわけでございます。ところが、最近の需給事情等からいたしまして、農業団体の方もまだ最終的に態度を決めているわけではございませんけれども、昨年とは大分変わりまして、食管の根幹を守っていくためには、需給の均衡というのはぜひ図らなければいけないというような認識のもとに、行政任せではいけない、自分たち自身の問題として取り上げなければいけないというようなことが論議されておるのが現状だというふうに理解しております。そういう意味で、行政主導だけではなしに、農業団体、生産者と一体になって今後生産調整は進めていかなければいけないのだ、そういう機運も出てきておる、そういう趣旨で申し上げたわけでございます。
  158. 神田厚

    ○神田委員 それから、その中でまた一つ大事なことを指摘されておりますが、開田が予想外に多く行われた。この開田の問題については、これはどういうふうにお考えですか。これは生産調整をやっている中で開田が行われている、しかし開田をしなければならないような、せざるを得ないような場合もある。その辺のところについては、農林省としては今後どういうふうな指導というか、基本的な考え方をどこに持っていくのですか。
  159. 小島和義

    ○小島説明員 一方におきまして全国農家が米の転換ということで御努力をいただいております中において、一方、個別にはいろんな事情があろうかと思いますが、開田によって生産量をふやしていくということは、他の農家の側から見ましてもなかなかこれは見逃し得ない問題である、地域的な不公平である、こういうふうな御議論もございまして、今回の水田利用再編対策におきましては、そのような事態が起こりました場合には、次年度の転作等目標面積の配分の中においてこれをふやしていくというふうな措置をとるということを明言いたしておるわけでございます。  本年度の場合に、いままでわかっております数字によりますと、従来に比べますと、開田面積というのはかなり縮小はいたしておりますけれども、それでもまだ二千五百ヘクタールばかりの開田があるというふうな統計情報部の数字があるわけでございます。これは統計的な把握でございますから、御指摘がございますように、個別の事例を洗ってみますといろいろな事態があるのだろうと思いますが、そういったものをよく究明いたしました上で、明年度措置というものを検討してまいりたい、かように考えております。
  160. 神田厚

    ○神田委員 大臣にお伺いしますが、過剰米と米価の問題でこの前も委員会で質問さしていただきました。過剰傾向が続く限りは米価はなかなか上げるわけにはいかない、こういうような大臣の答弁が前にあったのでありますが、現存におきまして、こういうふうな過剰の傾向の中で、やはりそういうふうな大臣考え方は変わりがないのかどうか、米価との関係を一点お伺いしたい。  もう一点は、生産調整に今年度農家が非常に協力いたしました。それにもかかわらず、いわゆる限度数量の余った余剰米が出ておりますが、これについての全量買い上げということが要望として非常に出ているわけでありますが、この二点についてどういうふうにお考えになりますか。
  161. 中川一郎

    中川国務大臣 米価は毎年決めることですから、いままだどうこうは言えませんが、一般的に言ってこれだけ過剰傾向にあるときに、生産を刺激するような、他の農作物に比べてさらに有利であるというような価格はとりにくいということは言えると存じます。  それから、いわゆる豊作米、過剰米ともいいますが、豊作米と言われる過剰米については農家の皆さんやあるいは各方面から全量買い上げるべきだという意見がありますけれども食管の米の買い上げ国民に配給するに必要な米を買い上げるということであって、そのために限度数量という仕組みになっておるわけでございます。全体として限度数量をオーバーした分も買うということは食管の仕組みからいってもおかしいのであって、買い上げはできません。しかし、できた米が自主流通ルートに乗って出荷されるように、これに対して金利、倉敷とかあるいは奨励金というような形で促進をし、実質、農家の皆さん方は豊作によって損はない。豊作は何といいますか、ボーナスみたいなもので、予定よりよけいとれたお米でございますから、本来ならばこういう過剰傾向のときには根っこまで値が下がるものなんです。しかし、根っこは下がらない。過剰米の分だけは若干下がりますけれども、実質は農家にとってはかなりいい結果になりますから、この仕組みをいままでもやっておった自主流通ルートに乗せて出荷するというやり方で処置をしたい、こう思っております。
  162. 神田厚

    ○神田委員 これは議論が平行線になりますので、時間もありませんからまた後の機会でやらしていただきたいと思っております。  次に、輸入水産物の問題につきまして御質問申し上げますが、時間もありませんので要点だけ御質問申し上げます。  今回、コレラの事件がありまして、これに関連していわゆる汚染地域からの水産物の輸入が非常に問題になっております。さらに、それと検疫の関係というのが非常に問題があるわけでありますけれども、一体、現在、汚染地域からの水産物の輸入はどういうふうになっているのか、それから水産物輸入の全体の量の中で汚染地域からの輸入の割合というのはどの程度あるのか、この辺は統計できちんと出ておりますか。
  163. 長谷川慧重

    ○長谷川説明員 コレラの汚染地域を有する国からの生鮮魚介類の輸入量につきましては、日本貿易月表によりますと、昭和五十二年中にはシンガポール、タイ、インドネシア、フィリピン、マレーシアを含めまして合計十四カ国から十一万三千二百四十八トンが輸入されているわけでございます。主な輸入生鮮魚介類の品目といたしましては、エビ類、イカ、タラ、ブリ、サバ、イワシ、アジ等でございます。  なお、その総輸入量に占めますコレラ汚染地域を有する国からの輸入のパーセンテージと申しますのは、日本貿易月表によりますと、全体の一四・六%がコレラ汚染地域を有する国からの生鮮魚介類の輸入量でございます。
  164. 神田厚

    ○神田委員 汚染地域からの輸入はどういうふうな形で行われているのですか。
  165. 長谷川慧重

    ○長谷川説明員 コレラの汚染地域を国内に持つ国から輸入されます生鮮魚介類につきましては、輸出国の方から、政府機関が発行いたします汚染地域以外で生産され、かつ衛生的に取り扱われた旨の証明書がついておるわけでございまして、その証明書と、その船舶の衛生状態等を総合的に勘案いたしまして従来対処してまいったところでございますが、今般の事例にかんがみまして、証明書が添付されておりましても、なお念のため、当分の間、確認の意味も含めましてコレラ菌の検査を行うということで対処してまいりたいと考えておるところでございます。
  166. 神田厚

    ○神田委員 この衛生証明書というのは、その国のどういう機関が、どういうところで発行されているのか、確認されていますか。
  167. 長谷川慧重

    ○長谷川説明員 政府機関ということで、その具体的な政府機関の名称等は確認してございません。ただ、それは検疫所サイドにおきましては詳細に調べればわかることでございますけれども、私自身は、現在のところ、詳細は把握してございません。
  168. 神田厚

    ○神田委員 そうすると、いわゆる衛生証明書が政府機関ということで出されるけれども、その政府機関というものがどういうふうなものであるかということはわからないわけですな。
  169. 長谷川慧重

    ○長谷川説明員 国によりまして、国の機関の場合もございますし、州あるいは県、市というところの機関もございます。
  170. 神田厚

    ○神田委員 ですから、非常にあいまいですね。たとえば、国のどういう機関が権威を持って証明をしているということ、いわゆる信頼というものがそれによってきちんと持てるかどうか、非常に疑問を持つわけです。これだけの輸入水産物が入ってくるのですから、やはりもっと責任を持った形での防疫というものをやらなければいけない。つまり、衛生証明書はどういう機関がどういうふうなことで出しているのかというぐらいのものは、ある程度きちんと確認をしておかなければいけない、こんなふうに考えて、私はその話を聞きまして、どうも現地の実態を知らな過ぎるというか、現地の実態についての調査が不十分である、こういうふうな感じを持つわけであります。  それでは伺いますが、今度のコレラの問題で灰色と言われているイセエビはどこの輸入品だったのですか。
  171. 長谷川慧重

    ○長谷川説明員 説明が舌足らずで誤解を招いたようで大変恐縮でございますが、それぞれの国におきましてのそこの政府の機関がそれぞれ責任を持って証明書を出しておるということでございまして、それが日本の場合でございますと、国の機関なり県の機関なり市の機関というのがあるわけでございますので、その個別の名前等は把握していないということでございまして、証明書自身はそれぞれの政府機関が責任を持って発行しておるというぐあいに受け取っておるわけでございます。  それから、ただいまのお話でございますが、冷凍イセエビにつきましては東南アジアから輸入されておるというぐあいに把握してございます。
  172. 神田厚

    ○神田委員 かなり先のものについての検体の調査どもされたようでありますが、東南アジアのどこの国かということはわからないのですか。
  173. 長谷川慧重

    ○長谷川説明員 当該文化センターにおかれまして使われました冷凍イセエビの輸出国につきましては私ども把握してございますが、いろいろな問題等もございますので、東南アジアのある国というぐあいに申し上げたいと思っております。
  174. 神田厚

    ○神田委員 しかし、これはやはりある程度はっきりした方がいいのですよね。そして、たとえば衛生証明書がついてきているわけです。そうすると、その国が衛生証明書を出したにもかかわらず、そういうふうな灰色の、いわゆるコレラ汚染がされているのじゃないかという状況がある。であるとするならば、一体どういうところでその衛生証明書が出されたのか。あるいはイセエビならイセエビについて、たとえばボイルしたりあるいは殺菌をしたりしている、そういう施設は一体どういう施設でどういう機関でやられているのか、こういうことについてのちゃんとした調査はしておるのですか。
  175. 長谷川慧重

    ○長谷川説明員 その現地におきます製造の過程につきましては十分把握してないところでございますが、従来、その政府機関がそういう証明書を出しておるということを信じまして検疫を通過さしておるところでございます。
  176. 神田厚

    ○神田委員 それではお伺いします。  汚染国に対する今後の衛生証明書の厳格化、こういうことを要請をするつもり、これはございますか。
  177. 長谷川慧重

    ○長谷川説明員 輸出国におきましては、そういう証明書と申しますものを、輸出国におきます政府機関がそれぞれ責任を持って発行しておるというぐあいに確信しておるわけでございますので、この問題が出ましたことに伴いまして、その証明書の発行について特別な要請はしないつもりでございます。  検疫サイドにおきましては、そういう証明書についてはさらに確認をしてまいりたいというぐあいに考えておるところでございます。
  178. 神田厚

    ○神田委員 大体その国がわかっていて、それで衛生証明書がそれに付されていたにもかかわらずこういうことがあった。であるならば、その衛生証明書についてもう少し厳格にしろということくらいは、これは言わなければまずいのじゃないですか。
  179. 長谷川慧重

    ○長谷川説明員 今般の文化センターの感染源、感染経路につきましては、現在のところ究明を続けているところでございまして、患者、保菌者等の喫食状況から見まして、そこに提供されました食品あるいは折り詰め食品等の引き出物によるものであろうと考えているわけでございます。しかも、その中で一番多数の患者なり保菌者が食べておられますのがイセエビあるいはタイということでございますので、そういうものが一番疑わしいということで判断しているわけでございまして、現時点におきましてはそのイセエビなりタイなり、そういう輸入生鮮魚介類そのものが汚染されておるのか、流通課程において汚染されたものか、あるいは文化センターにおきます調理の過程において汚染されたものか、そこら辺の感染経路については現在まだ究明中でございますので、特にイセエビがクロであるということは申しておるわけではございません。
  180. 神田厚

    ○神田委員 検疫を強化するということでありますけれども、実際にはどんな形で強化するのか、非常に疑問なのでありますね。たとえば、コレラ菌などの場合は、検体をやはりどこかへ持っていって見てもらうわけですね。しかし、たとえばイセエビだけだって、インドネシアあたりから昨年でも四百五十六トンも来ている。こんな中で、検疫強化と言いながら一体何%検疫でカバーできるのか、これは私はどんなふうなやり方をするのか知りませんけれども、抜き取り検査だけではなくて、検疫、いわゆるコレラ汚染の検体の検査までするということになると、これは本当にいまの体制でできるのかどうか、非常に疑問があるところでありますが、その辺はどうなのですか。
  181. 長谷川慧重

    ○長谷川説明員 現在のところ、抽出による検査を進めるというやり方につきましては、輸入生鮮魚介類につきまして、その全体の輸入届け出のうちの一ないし三割を対象にいたしまして、その中の一定数を抜き取りまして検査を進めてまいりたいというぐあいに考えておるわけでございます。  検査場所といたしましては、現在全国に九十六カ所の検疫所があるわけでございますので、その中におきます衛生検査技術者におきまして検査を進めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。(神田委員「コレラ汚染の検査ができるかどうかというのです」と呼ぶ)検査はできます。従来も人の検査等は行っておるわけでございますし、食品につきましても同じように検査ができるというぐあいに思っておるわけでございます。
  182. 神田厚

    ○神田委員 技術的に言って特別なことがなくて、そこでコレラの汚染の検査もできるわけですね。責任を持ちますね。
  183. 長谷川慧重

    ○長谷川説明員 検体を抜き出しまして、それを検査するということでございます。
  184. 神田厚

    ○神田委員 どうもちょっとはっきりしませんが、いずれにしろ、いわゆる汚染地域からの輸入魚介類の問題は、一体どういうところから商社や何かが買ってきているのか、それから相手の国のどういうところが、たとえば殺菌やボイルをしているのか、そういうことについて、聞いたところによると、一回も現地調査をしていない。そういうことでは国民に対する責任を全うできないと私は思うのです。したがいまして、いわゆる汚染地域と言われているところからいろいろ入ってきていますから、これを機会に厚生省、農林水産省あわせて向こうへ行って調べてきてほしいというように考えるわけですが、どうでございますか。
  185. 長谷川慧重

    ○長谷川説明員 輸入商社につきましては、いろいろな面での衛生管理等につきましては従来からもお願いしておるわけでございますが、今後ともそういう指導を強化してまいりたいというぐあいに考えておるわけでございます。  なお、先生からの御提案でございますので、必要に応じて係官を現地に派遣する等、検討してまいりたい、かように考えているわけでございます。
  186. 神田厚

    ○神田委員 最後に、大臣お尋ねします。  コレラの騒ぎで人ごとでないものがありまして、しかも話を聞きますと、水産物の輸入というのはものすごく多くなっております。防疫というか、これを検疫する体制というのは非常に弱いですね。これをきっかけに、国民も非常に不安に思っていますし、わが国としてもこれから先も輸入水産物を入れていくわけでありますから、農林大臣といたしまして、その辺につきましてこれを機会にどういうふうなことをお考えになりますか、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
  187. 中川一郎

    中川国務大臣 今回の問題は国民の皆さんに大変心配をかけ、また被害者には申しわけない結果でございます。今後こういうことはあってはならないことでございますから、厚生省とも十分相談して、不安なからしめるような措置について十分対応したいと考えております。
  188. 神田厚

    ○神田委員 終わります。
  189. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 安田純治君。
  190. 安田純治

    安田委員 先ほど来、同僚委員の方から農産物、水産物の輸入問題についていろいろ質問がございました。  私も若干この問題について質問したいと思うのでございますが、日米農産物交渉で、「日米間では政治的な問題はなくなった。牛肉・オレンジの自由化についても進歩があり、十二月初旬にすべて解決するだろう。」このように読売新聞が報じておりますが、事実はどうなっておるのか。牛場対外経済相がジュネーブで明らかにしたものでありまして、知らぬは農民、国民ばかりなりということでは困ります。具体的な内容を示していただきたい。  それから、この中で述べられている「進歩」ですね。「牛肉・オレンジの自由化についても進歩があり、」この「進歩」とは何か。これは農林大臣に伺いたいわけですが、あなたが十二月初旬に訪米されるかどうかわからないでしょうけれども農林行政の最高責任者として、この点について答弁を願いたい。
  191. 今村宣夫

    ○今村説明員 前段の二つの問題につきましてお答えを申し上げたいと思います。  一つは、牛場大臣お話に関連をしてでございますが、このたび十五、十六、十七日と三日間にわたりましてジュネーブで、いわゆる三閣僚会議と言われておりますが、牛場、ストラウス、ハフェルカンプ、三人の話し合いが行われたわけでございます。そこで、ECとアメリカと従来問題になっておりました相殺関税問題につきましては、アメリカは年明け早々にウエーバーを求める法案を議会に出すということを約束いたしまして、ECとアメリカとが急転直下話し合いに入るということに相なったわけでございます。したがいまして、MTNにおきます今後のスケジュールといたしましては、十二月二十日をめどに問題を取りまとめる、その後には条約条文でありますとか法律解釈とかいう問題が残りますけれども、大筋としては十二月二十日に全部の解決を見るということに相なったわけでございます。牛場さんのおっしゃっておられるのは、そういう意味において政治的問題はなくなったということであろうと思います。個々の問題を取り上げてみますれば、もちろんその中には政治的問題もあるわけでございます。農産物におきますオレンジ、牛肉等につきましては、これは農業にとって非常に重要な問題でございますから、これらの問題は事務的に片づくべき問題ではございません。したがいまして、今後、中川農林大臣とストラウスとの間の話によりまして政治的決着をつけられるべき問題であるというふうに考えておるわけでございます。  それからさらに、進歩が見られたという点に関してでございますが、九月に中川、ストラウス両大臣の間に激しい交渉が行われたわけでございますが、その後、代理者を挙げて交渉を継続するということに相なったわけでございます。したがいまして、実務者レベルにおきまして前後三回にわたって交渉が行われたわけでございますが、それは中川、ストラウス両大臣の話し合いの上に立ちまして、どういう問題があり、その問題の解決策をどうすべきかということを検討いたしたわけでございます。したがいまして、事務的に話の詰め得るところはこれを詰めていくし、事務的になかなか話を詰め得ないところはできるだけその幅を狭めるということで検討をいたしてまいったわけでございますから、事務的に処理し得べきものは相当処理のめどがつき、また政治的に決着を得べきものは、どういう問題認識のもとでどういうラインで決着を政治的に話し合ってもらうかということが明らかになったわけでございまして、それが進歩が見られたという内容でなかろうかと思っておるわけでございます。
  192. 安田純治

    安田委員 農林大臣に、先ほどの質問についての所見を伺いたいと思います。
  193. 中川一郎

    中川国務大臣 私としては、これはどうしても解決をしなければならない国際的な問題でありますし、十二月三十日までには世界的に決着をしたいというふうに期限も決まっております。決着をしなければなりませんが、対応の仕方としては、これから長期的な約束をするわけですから、わが国の柑橘農家あるいは畜産農家、直接関係いたしますので、それらの農家生産にあるいは意欲に影響を与えるというようなことでない、これからの食糧政策、需要等の見通しを立てて、支障のない範囲内での調整をいたしたい、こう思っております。
  194. 安田純治

    安田委員 申すまでもなく、日本への農産物の輸入は日本の農業にとってはかり知れない打撃を与え、また今後ますますその打撃が大きくなろうとしております。私は、いまこそ日本農業の民主的再建のため農林水産省がその先頭に立って奮闘することを心から要望するものでありますが、その前提に立って以下お伺いしたいと思うのです。  農産物の輸入は桃の生産農家にも大きな影響を与えております。そこで、質問いたしますけれども、桃かん詰めの国内生産と輸入は近年どのような推移をしているのか、お答えいただきたいと思います。
  195. 小島和義

    ○小島説明員 桃かんの輸入の状況は、最近では昭和四十八年の約二万五千トンが最高でございまして、その後一進一退いたしておりますが、五十一年に再び増加をいたしまして、約二万四千トンが輸入されております。全体の国内生産量に占める割合は大体三分の一ぐらい、したがって三分の二ぐらいが国産、こういうふうなかっこうになっております。輸入先といたしましては、アメリカ、オーストラリア、南アフリカという三国が大部分を占めておりますが、桃の種類といたしましては、国産は大部分がいわゆる白桃であるのに対しまして、輸入物は黄色い桃、黄桃が主でございます。  以上でございます。
  196. 安田純治

    安田委員 四十八年と比較されたようですが、私の調査でも、昭和四十五年度と五十二年度を比較すると、五十三年度は四十五年度の、国内生産で六〇%に大きく落ち込んでいるのに対しまして、輸入は約四・六倍にふえておるというような数字が見られると思います。農林省としては、生食用は国内生産、かん詰めなど加工用は外国からの輸入として位置づけをしているのかどうか、この点伺いたいと思います。
  197. 小島和義

    ○小島説明員 決して用途によりまして国産と輸入と仕分けるというつもりはございませんで、白桃には白桃なりのよさが実はあるわけでございます。ただ、農家の選択といたしますと、生食用の方が手取り価格は圧倒的に高い、こういう事実がございますから、生食向けに出荷できる地域といたしますと極力生食に売りたいという気持ちを持っておるわけでございます。ただ、東北地方だとか、完熟の時期などから見ましてなかなか生食用に出荷できないという地域におきましてはかん詰め用に依存する割合が比較的高い、こういう状況でございますので、国産につきましては生食向け、加工向けとも健全な発展を遂げるようにいたしたいと思っておるわけでございます。
  198. 安田純治

    安田委員 輸入と国内生産とをそのような位置づけをしていないというのは大変結構なことであると思いますけれども、福島の桃はことしは生産高で全国一位となったわけでありますが、これを使途別に見ますと、生食が約四〇%、加工が約六〇%となっております。そのため、桃かん詰めの輸入は地元の果樹農家にとって大きな脅威になっておるわけであります。  そこで、お尋ねしたいのですが、日本から外国に桃の苗木が輸出されていると聞いていますけれども、事実かどうか。また、どのような国にそれぞれ何本、どのような品種が輸出されておるか、伺いたいと思います。
  199. 小島和義

    ○小島説明員 苗木の輸出量につきましては、これは植物防疫所の輸出検査実績に基づく数値でございますが、五十二年度におきましては約三千七百本、内訳は韓国が三千三百本、台湾が三百本余りというところが主なところでございます。  それから、品種別には、数字的な内訳がどういうことになっておるのかというのは的確にはちょっと把握いたしておりません。
  200. 安田純治

    安田委員 いまのお答えですと、韓国への輸出が大部分であります。どのような団体が輸出しているのか、あるいはそれは有償なのか無償なのか、また、その目的は品種改良のためか、あるいはいつごろから輸出されているのかということについて、御存じでしたらお答えいただきたいと思います。
  201. 小島和義

    ○小島説明員 これは本数からながめてみますと、大体一反歩につきまして植えます苗木の数は五十本ぐらいでございますから、三千本余りと申しましても、面積にいたしますと数ヘクタール分の苗木にしか当たらないわけでございます。したがって、これがいわゆるコマーシャルとして売られるというよりは、国産の優良な苗木を輸入したいという改良的な意図に出たものではなかろうか、こういうふうに想像をいたしております。  それから、輸出いたしておりますものは大部分がいわゆる苗木業者の商取引に基づくものというふうに理解をいたしておりますが、有償か無償かということになりますと、ちょっと検疫所の方の調査でございますものですから的確には把握いたしておりません。大部分はそういうようなものというふうに想像をいたしております。
  202. 安田純治

    安田委員 韓国へ輸出される苗木をちょっと調べてみますと、現在日本で生産されている白桃のようです。日本のかん詰めメーカーが無償で韓国に苗木を提供しているという事実がございます。苗木商は確かにかん詰めメーカーからお金を受け取ったのかもしれませんけれども、かん詰めメーカーからは無償で韓国に提供されておるという事実があるようですが、これは知っておりますか。
  203. 小島和義

    ○小島説明員 苗木の贈与関係については的確に把握をいたしておりませんが、日本と韓国との間でございますから、日本の業界がいろいろな技術的な援助をしておるということは、桃かんに限らずほかの農産物あるいは農産加工品につきまして多々ございますので、そういうこともあるいはあり得るか、こういうふうに考えております。
  204. 安田純治

    安田委員 よく実態を御存じないようで重大だと思うのですが、私の調査によっても、サンヨーというかん詰めメーカーが、昨年十月末、「大久保」の苗木を三千本無償提供しております。このメーカーは一昨年も無償提供しておるわけですし、実際に農家に対する農業技術指導を行っているようであります。関係者の話によると、日本への逆輸入を目的としたものと言われておるようであります。かん詰めの輸入でさえも果樹農家にとっては大きな脅威となっているわけでございまして、それに苗木を無償提供して韓国の低生産費を当てにして将来日本への逆輸入をすることを目的としておるというように見受けられるわけで、かん詰めメーカーが新たな利潤追求開拓のために日本の果樹農家を犠牲にするものであると言わざるを得ません。繊維、大島つむぎ、コンニャク、最近では印刷まで、韓国からの輸入によって業者や農民が壊滅的な打撃を受けている現状においてもきわめて重大だと思いますけれども、いかがでしょうか。  この実態を多少申し上げますと、ある関係者の話ですが、検査員の反省会を兼ねて日韓友好のために韓国へ行った。旅費は自前で一人十五万円から十六万円くらいで十二名で行った。これはサンヨー缶詰の会長の三枝利光という人が連れていった。韓国では国会議員が応対して、お礼の言葉があった。つまり、そのお礼の言葉の中身から無償供与というふうに考えられるわけですが、どういうところへ行ったかといいますと、試験場、部落を見た。桃、リンゴ、キノコ、ナシ。桃は開墾地を利用しておって、三千本「大久保」があったというようなことをいろいろ関係者の話でも、私どもの調べでも聞いております。  こういう点で、非常にかん詰めメーカーが桃の苗木を韓国に供与しておる、その実態がいま申し上げたような状態であることは十二名の韓国へ行ってきた人が話しておるわけであります。ぜひそういう点で農林省の方でも実態を十分把握していただきたいということを強く要望ずるものですけれども、果樹農家を保護育成する立場からこのような実態をぜひ調査してもらいたい。もうあらかじめ対策をしておく必要があるのではないか。苗木が出ていきまして、いまは三千本とことし言っていますけれども、一昨年も無償供与したようなことを言っていますし、トータルにすると次第に相当多くなるだろう。しかも、目的が単なる品種改良ではなくて、日本に対する逆輸入ということで輸出しておる。台湾の場合は三百本ですから、これはけたが違うわけですね。そうしますと、苗木を輸出して、もしそれが日本に果実として逆輸入されるということになれば、やがて日本の果樹農家が大打撃を受けることは火を見るより明らかですから、あらかじめいまから実態を把握して事前に対策をしておく必要があるのではないかというふうに思うのですが、いかがですか。
  205. 小島和義

    ○小島説明員 韓国にはもともと固有の桃の生産がございますし、近年、国民生活も非常に向上してきておりますので、かつての日本同様に果物の消費が国内的にもふえてくる、こういう傾向にあろうと思いますので、国内の桃の生産が直ちに日本向けだというふうに決めてかかるということはいかがなものかというふうに考えております。現にこれまでの輸入量の推移をながめてまいりますと、これは統計上の制約がありますので、核果類ということでしかわかりませんが、桃もこの中に含まれておりますが、その核果類トータルで百数十トンということがこの数年間の統計でございます。したがって、韓国からの桃の輸入が近年ふえておるという傾向には決してございません。また、かん詰めにつきましても、全体のかん詰め輸入はふえておるわけでございますが、その中における韓国の比率ということになりますと、全体の五%前後、こういう状況でございますし、それから韓国の方は、アメリカその他の国と違いまして、いわゆる白桃でございますので、それだけ日本の生産者にとってみれば、何か似たようなものを出してきているという感じは持たれると思いますが、価格の上で申しますと、他の国からの輸入品に比べると若干割り高、こういうふうな関係もあるわけでございます。したがいまして、今後の動向につきましては十分注意を払ってまいるつもりでございますが、韓国産が特段の脅威になっておるという感じは、現在のところは持っていないわけでございます。今後とも実態によく注意を払いまして、問題が起こらないようには対処をいたしてまいりたいと思います。
  206. 安田純治

    安田委員 どうもいまのような答弁の姿勢だから、いつも農政が後追いといいますか、そういうことになるという非難を受けるのだと思うんですよ。たとえば、韓国にも内需があって、そのために苗木が行っているのだろうなどとおっしゃるけれども、なぜ日本のかん詰めメーカーが供与するんですか。苗木農家が苗木を育てて、その苗木の販路の拡大のためにたまたま韓国の内需用の桃に目をつけたというなら、それはあなたのおっしゃるような推察も成り立つかもしらぬけれども、かん詰めメーカーが、私がいま例に出しているのは、サンヨー缶詰の会長がわざわざ十二名を連れていって開墾地なんか見ているわけですよ。技術指導もやっている。かん詰めメーカーが苗木を提供しているんですよ、これは実態把握をしていただけばわかると思いますけれども。ですから、そういうことを見れば、これは明らかに韓国の内需用の苗木を苗木商が直接韓国に出しているという関係ではないということはおよそ推察ができるはずなんで、私は、いままでの韓国からの桃の輸入量がどうとか言っているのじゃない。いままでのでは間に合わないぐらいのもので苗木がいま出ているのだから、必ず数年後には実になって、それはパッカー用のジュース用になるのか、それとも生食用で来るかわかりませんけれども、かん詰め会社が苗木を提供した、何年か後には必ずはね返りが来る。いまそういうことを予想して実態を十分に把握し、対策をいま立てておく必要があるのではないかというのであって、いままでの輸入の比率から見て韓国産が五%でございとか、そういうようなことで問題がないだろうということにはいかない。しかも、韓国の内需用じゃないことは、先ほどから言っているように、苗木商が直接売ったのじゃなくて、かん詰め会社が提供している。向こうの国会議員が、日本から行った、かん詰め会社の人が連れていった十二名の検査員ですかに対してお礼を言っているわけですね。そういう関係があるのですよ。だから、私はここで質問しておる。その点、ぜひもう一遍御答弁いただきたいと思う。
  207. 小島和義

    ○小島説明員 日本と韓国との関係は、歴史的にも地理的にも非常に近いということがございますものですから、桃のかん詰めのケースに限らず、いろいろな業界において技術的ないしは商売上の関係がございます。ですから、桃の場合におきましても日本の業者が向こうに進出するというケースは当然あり得るものと思いますし、そのこと自体が直ちにけしからぬことであるという理解も実はいたしてないわけでございます。ですから問題は、それが将来、長い目で考えて日本にとって大変な脅威になるというふうに理解をするのか。韓国自体もどんどん生活水準が上がっております。一ころ言われましたみたいないわゆるチープレーバーと申しますか、そういうものだけが売り物ということでもなくなってきておるような状況にあるわけでございますから、日本の業界が提携関係を持っておるということだけで将来の脅威ときめつけるのもいかがかと思うわけでございます。ただ、せっかくのお話でもございますので、今後そういった動きがどういうことになってくるかということにつきましては十分注意を払ってまいりたい、こう思っております。
  208. 安田純治

    安田委員 時間も追ってまいりましたので、ぜひそういう点で後追いにならないように、ここで十分私強調しておきますので、対策を立てていただきたい、考えておいていただきたいと思います。  それから、桃の価格ですけれども、福島ではかん詰め用、ネクター用ともに昨年の半値となりまして、果樹農家に大きな不安を与えております。現在、福島県は独自に福島県吉果物価格補償協会というものをつくりまして、価格補償制度を行っているわけであります。その中身について詳しく述べる時間はございませんけれども、これは生産者及び行政側、これは市町村及び県ですけれども、それぞれ同額ずつ出し合って造成する補償準備金によって賄われておるという仕組みになっております。このような価格補償制度を行っているわけですが、国としても価格補償対策を実施することが必要ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。県がやっているわけですから。
  209. 小島和義

    ○小島説明員 御承知かと存じますが、実はミカンとかリンゴにつきましては加工用の果実の価格安定基金協会というのを県につくらしておりまして、中央からそれに対する積み立て助成をいたしておるわけでございます。桃につきましては、かつてそういうことを検討してみたことがあったわけでございますが、当時の実情といたしましては、生食用、加工用とも比較的値段が堅調でありまして、むしろ各地域において国の助成を求めるという声が比較的弱かったという事情もございまして、そのまま立ち消えになったような経緯があるわけでございます。本年の場合にも、生食用は大体昨年並みの水準ということになっておりますし、また生食用について何らかの価格安定措置をとるというのは非常にむずかしゅうございますので、これはやはり生産面の調整ということをベースにいたしまして価格の安定を図っていくべきものと考えておりますが、加工用につきましてはミカン、リンゴなどと同じような共通の土壌があるわけでございます。今後、価格の変動がそれによって非常に激しくなるというふうな事態がございまして県側でも国からの助成を望むということになりますれば、政府としても大いに検討いたしてまいりたい、こう考えております。
  210. 安田純治

    安田委員 時間が来ましたので、最後中川農林大臣、いまの苗木の問題で、いま事務当局の方からの答弁があったわけですけれども、植物防疫上の数を把握するだけではなくて、そういうものの苗木を輸出したら将来どういう運命になるか、先を見通して、日本の果樹農家の保護育成のために先手を打つような行政をひとつやっていただきたいということをお願い申し上げまして、所見を伺って、終わりたいと思います。
  211. 中川一郎

    中川国務大臣 研究してみます。
  212. 安田純治

    安田委員 終わります。
  213. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 次回は、明二十二日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五分散会