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1978-10-18 第85回国会 衆議院 農林水産委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年十月十八日(水曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 中尾 栄一君    理事 片岡 清一君 理事 羽田  孜君    理事 山崎平八郎君 理事 馬場  昇君    理事 瀬野栄次郎君       江藤 隆美君    加藤 紘一君       金子 岩三君    熊谷 義雄君       玉沢徳一郎君    平泉  渉君       堀之内久男君    森   清君       森田 欽二君    小川 国彦君       角屋堅次郎君    柴田 健治君       島田 琢郎君    新盛 辰雄君       野坂 浩賢君    芳賀  貢君       日野 市朗君    松沢 俊昭君       武田 一夫君    野村 光雄君       吉浦 忠治君    津川 武一君       菊池福治郎君  出席政府委員         農林水産政務次         官       今井  勇君         農林水産大臣官         房長      松本 作衛君         農林水産省農蚕         園芸局長    二瓶  博君         農林水産省畜産         局長      杉山 克己君         農林水産省食品         流通局長    犬伏 孝治君         食糧庁長官   澤邊  守君         林野庁長官   藍原 義邦君         林野庁次長   角道 謙一君         水産庁長官   森  整治君         水産庁次長   恩田 幸雄君  委員外出席者         防衛庁防衛局運         用課長     児玉 良雄君         外務省経済協力         局外務参事官  大鷹  弘君         大蔵省主計局主         計官      的場 順三君         社会保険庁医療         保険部船員保険         課長      岡光 序治君         林野庁林政部長 石川  弘君         海上保安庁警備         救難部警備第一         課長      山本 直巳君         海上保安庁水路         部参事官    進士  晃君         労働省職業安定         局雇用保険課長 川上 忠憲君         労働省職業安定         局特別雇用対策         課長      齋藤 邦彦君         自治省税務局企         画課長     津田  正君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ――――――――――――― 委員の異動 十月六日  辞任         補欠選任   津川 武一君     不破 哲三君 同日  辞任         補欠選任   不破 哲三君     津川 武一君 同月十三日  辞任         補欠選任   羽田野忠文君     小坂徳三郎君 同日  辞任         補欠選任   小坂徳三郎君     羽田野忠文君 同月十六日  辞任         補欠選任   玉沢徳一郎君     福田  一君 同日  辞任         補欠選任   福田  一君     玉沢徳一郎君     ――――――――――――― 十月七日  乳価値上げ反対に関する請願井上一成君紹  介)(第九二二号) 同月九日  二十トン未満サンマ漁業実施に関する請願(  椎名悦三郎紹介)(第一〇二〇号)  資源管理型漁業推進に関する請願椎名悦三  郎君紹介)(第一〇二一号)  米の消費拡大に関する請願椎名悦三郎君紹  介)(第一〇二二号)  畑作物共済制度拡充強化に関する請願椎名  悦三郎紹介)(第一〇二三号)  開拓地整備事業継続実施に関する請願椎名  悦三郎紹介)(第一〇二四号) 同月十一日  水田利用再編対策取りやめ等に関する請願(竹  内猛君紹介)(第一三三一号) 同月十四日  森林行政確立に関する請願安田純治君紹  介)(第一六〇八号)  米の強制転作及び農林畜産物輸入拡大撤回等  に関する請願寺前巖紹介)(第一六五三  号)  同(寺前巖紹介)(第一七九九号)  乳価値上げ反対に関する請願外三件(井上一成  君紹介)(第一七九七号)  水田利用再編対策取りやめ等に関する請願(竹  内猛君紹介)(第一七九八号) 同月十六日  米の強制転作及び農林畜産物輸入拡大撤回等  に関する請願玉置一徳紹介)(第二四五八  号)  同(寺前巖紹介)(第二四五九号)  昭和五十三年産予約限度超過米に関する請願(  井出一太郎紹介)(第二五四三号)  同(小川平二紹介)(第二五四四号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第二五四五号)  同(小坂善太郎紹介)(第二五四六号)  同(清水勇紹介)(第二五四七号)  同(中島衛紹介)(第二五四八号)  同(中村茂紹介)(第二五四九号)  同(羽田孜紹介)(第二五五〇号)  同(原茂紹介)(第二五五一号)  同(向山一人紹介)(第二五五二号)  養鶏経営の安定に関する請願井出一太郎君紹  介)(第二五五三号)  同(小川平二紹介)(第二五五四号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第二五五五号)  同(小坂善太郎紹介)(第二五五六号)  同(清水男紹介)(第二五五七号)  同(中島衛紹介)(第二五五八号)  同(中村茂紹介)(第二五五九号)  同(羽田孜紹介)(第二五六〇号)  同(原茂紹介)(第二五六一号)  同(向山一人紹介)(第二五六二号)  造林資金に係る補助及び融資制度改善に関す  る請願井出一太郎紹介)(第二五六三号)  同(小川平二紹介)(第二五六四号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第二五六五号)  同(小坂善太郎紹介)(第二五六六号)  同(清水勇紹介)(第二五六七号)  同(中島衛紹介)(第二五六八号)  同(中村茂紹介)(第二五六九号)  同(羽田孜紹介)(第二五七〇号)  同(原茂紹介)(第二五七一号)  同(向山一人紹介)(第二五七二号)  農業基本政策確立等に関する請願井出一太  郎君紹介)(第二五七三号)  同(小川平二紹介)(第二五七四号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第二五七五号)  同(小坂善太郎紹介)(第二五七六号)  同(清水勇紹介)(第二五七七号)  同(中島衛紹介)(第二五七八号)  同(中村茂紹介)(第二五七九号)  同(羽田孜紹介)(第二五八〇号)  同(原茂紹介)(第二五八一号)  同(向山一人紹介)(第二五八二号)  岩手県田山、新町両営林署の統廃合問題に関す  る請願椎名悦三郎紹介)(第二七八一号)  広域農業開発事業実施に伴う地方財政負担の  軽減に関する請願椎名悦三郎紹介)(第二  八〇〇号)  沿岸漁業改善資金制度の創設に関する請願(椎  名悦三郎紹介)(第二八〇六号)  水田利用再編対策に係る果樹等永年性作物の奨  励補助金交付期間延長に関する請願椎名悦三  郎君紹介)(第二八〇七号) 同月十七日  昭和五十三年産予約限度超過米に関する請願(  増田甲子七君紹介)(第三一六八号)  養鶏経営の安定に関する請願増田甲子七君紹  介)(第三一六九号)  造林資金に係る補助及び融資制度改善に関す  る請願増田甲子七君紹介)(第三一七〇号)  農業基本政策確立等に関する請願増田甲子  七君紹介)(第三一七一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十月九日  農業基本政策確立等に関する陳情書外二十五件  (第四  三号)  農業構造改善政策刷新強化に関する陳情書  (第四四号)  都市農政確立に関する陳情書  (第四五号)  米の消費拡大対策推進に関する陳情書外一件  (第四六号)  水田利用再編対策に関する陳情書外三件  (第四七  号)  イネミズゾウムシの防除対策に関する陳情書外  一件(第四八  号)  昭和五十三年産サトウキビ生産者価格等に関す  る陳情書外一件  (第四九号)  果樹所得共済実施促進等に関する陳情書  (第五〇号)  農畜産物輸入自由化反対等に関する陳情書外  一件(第五一  号)  牛乳の流通秩序確保に関する陳情書  (第五二号)  カツオ漁業危機打開に関する陳情書  (第五三号)  土佐湾油汚染による漁業補償に関する陳情書  (第五四号)  林政の転換に関する陳情書外七件  (第五五号)  林業振興に関する陳情書  (第  五六号)  木材需給及び価格安定対策に関する陳情書外四  件  (第五七号)  林道開設に伴う用地買収費等国庫補助制度確  立に関する陳情書外一件  (第五八号)  造林地災害復旧に対する国庫補助率引き上げ  等に関する陳情書外一件  (第五九号)  山村振興施策強化推進に関する陳情書  (第六〇号) 同月十六日  予約限度超過米全量買い上げに関する陳情書  外八件  (第一一二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件      ――――◇―――――
  2. 中尾栄一

    中尾委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野坂浩賢君。
  3. 野坂浩賢

    野坂委員 さきの国会で国有林野事業改善措置法が通過をしたわけでありますが、それを受けまして国有林野事業に関する計画が検討され、あわせて、特に問題になりますのは、営林署の統合、廃止が検討されておるというのが今日の段階であります。私ども営林署統廃合にかかわる調査を現地に赴きまして行ったわけでありますが、これらの問題について質疑をしたいと考えております。  その前に、国有林野事業については、国民経済及び国民生活の上できわめて重要な使命と任務があると考えております。よくここでも議論をされるわけでありますが、公益的機能経済的機能両面を持っておるのが林野の姿でございますが、この林野事業に対して、国民の期待といいますか、どちらに重点がかかっておるとお考えであろうか、また、林野庁としてはこの経済的な機能と公益的な機能をどういうふうな比重でお考えになっておるか、この点をまず最初にお伺いをしておきたいと思います。
  4. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいま先生から、国有林野使命と申しますか、そういうものに経済的な機能と公益的な機能があるがどちらを重視するかというお話でございますけれども森林はもともと森林そのもの経済的機能公益的機能と両方持っております。国有林野につきましても、当然、国有林野使命とすれば、森林をよりよい森林に仕立て上げまして完全な整備をしていくことがその一番根幹の使命でございますし、さらに、それを通じまして、いま先生が御指摘になりましたような森林の持ちます国土保全なり水資源なり環境保全なり、こういう森林機能を十分に発揮させ、なおかつ木材資源としての活用をするというのが国有林の大きな使命でもございます。  そういう観点から見ました場合に、どちらが重点的な使命であるかということではなくて、その両者を調和をさせながら国有林野管理経営していくことが一番大事なことであろうと考えております。
  5. 野坂浩賢

    野坂委員 よりよい山づくりを行って、そしてその山から経済公益両面にわたって十分調和を図りながら進めたいということであります。  しかし、公益的な機能はどうしても必要である。あなたから提案をされております計画を見ましても、国土保全水資源の涵養、自然環境保全形成保健休養の場の提供等森林の有する公益的な機能の発揮を具体的にしていかなければならない。しかし、経済的な面でこのことがなかなかむずかしいということになれば、それを実施するためにどのような措置を講ぜられる考えでありますか。
  6. 藍原義邦

    藍原政府委員 国有林は先ほど申し上げましたような使命を持っておりますが、それと同時に、国有林企業的能率性をもって運営するという制度を持っております。したがいまして、現在特別会計制度で運用しておるわけでございますが、私どもは、そういう会計制度の中で、いま申し上げましたような調和を図りながら国有林管理経営をすることが大前提であろうと考えております。
  7. 野坂浩賢

    野坂委員 この必要性を認めていただいた上で、いまわが国の国民レクリエーションに対して非常に積極的に取り組んでおります。宿泊観光というのが昭和四十二年には大体六千万人回、現在は日帰りを含めて四億人回というように異常な伸びを示しておる。山へレクリェーションを求めて行く人口が年々増大しておることは御承知のとおりであります。したがって、これらの森林レクリェーション事業はこれから拡充強化をしていかなければならぬと思うのでありますが、対策としてはどのようにお考えでございましょうか。
  8. 藍原義邦

    藍原政府委員 全国に約七百五十万ヘクタールの森林を持ちます国有林といたしましても、先ほど申し上げましたような森林のいろいろな機能を発揮すべく森林経営をいたしておりますが、その中で、先生ただいま御指摘になりましたレクリェーションの問題でございますが、これにつきましては、自然休養林だとかあるいは自然観察教育林あるいは野外スポーツ林風景林、こういうようなものをそれぞれ個所別に指定もいたしておりますし、さらにその中に施設といたしましては、スキー場野掛場あるいはキャビン避難小屋駐車場、こういうものを設置いたしまして、国民に十分に森林の中におきますレクリエーション利用していただけるような方途を考えて、現在実行いたしております。
  9. 野坂浩賢

    野坂委員 それでは、地元からそれぞれスキー場とかあるいは野営場とかそういうものを要望されておるように私どもは承知しておりますが、それらの要望を取り入れて具体的にお進めになる、そういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  10. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいまのスキー場につきましては全国で百九ヵ所、面積にいたしまして約八千ヘクタール、野営場につきましては八十ヵ所、面積にしまして約四百五十ヘクタール、この程度のものをやっておりますけれども、こういうスキー場あるいは野営場等につきましては、それぞれ地元の御要望等も踏まえながら、さらには国有林野管理経営とうまく調和させながらやっていける地域につきましては十分地元の事情を伺いながらその対応をいたしておりますし、その辺の調和を図りながら今後とも進めてまいりたいと考えております。
  11. 野坂浩賢

    野坂委員 要求に対して十分対応しておられぬじゃないですか。いまあなたは非常に含みのある発言で、森林事業として十分効果があればその点についてもあわせて進めたいということですけれども要望に対してことしは二ヵ所くらいしかやっていない、もっとあるのじゃないですか。そういうことを積極的にやろうとはしないで、できるだけ経済面だけを考えて、そういう公益的な機能の方からは撤退をしようというふうにお考えじゃないですか。そんなことはありませんか。
  12. 藍原義邦

    藍原政府委員 私どもは、森林レクリエーション利用につきましては、ただいま先出御指摘になりましたような撤退ということは毛頭考えておりませんで、今回の改善計画の中にも、国有林森林レクリエーションの無妻性というものがうたわれておりますし、それに対しての運営の仕方についてはいろいろあると思いますけれども国有林そのもの森林レクリエーション利用するということにつきましては、従来とも同様、今後とも地元の御要望国民の御要望等々も十分受け入れながら、先ほど申し上げましたように、国有林管理経営調和を図りながら対応していこうという姿勢は毛頭変わっておりません。
  13. 野坂浩賢

    野坂委員 それでは、兵庫県の山崎営林署管内から出されております森林レクリエーション施設についてはどういうふうにお考えですか。
  14. 藍原義邦

    藍原政府委員 いま先生指摘になりましたのは、いま具体的にわかりませんので、至急調べて御返答申し上げます。
  15. 野坂浩賢

    野坂委員 いまお話がありましたスキー場とか野営場とかキャビンあるいは避難小屋とか駐車場、そういうものは国営事業として進められるべきだというふうに考えますが、そういう措置を進められますか。
  16. 藍原義邦

    藍原政府委員 いま先生指摘になりましたスキー場野営場、こういうものにつきましては、国有林内で実行していただきますために、場所としては国有林でございますので、国有林がその方針なり一応計画を立てまして、どういう形で運営していくか、基本方針は立てますけれども、それらの運営につきましては、私どもといたしまして現在直営でやっているものも一部ございますけれども、将来の方向としては、第三セクターだのあるいは地元だのいろいろございますが、そういう民間団体方々にやっていただいた方が、サービス面の問題、効率的な問題等々を考えますと、よりよいのではないかと考えております。
  17. 野坂浩賢

    野坂委員 国有林実施をするわけですから、原則として国がやって、そして協力をしてもらう場合はそれでいいと思うのですけれどもあとどういうふうに運営をしておるか。土地代だけを取ってあとはよろしくやれというようなことでは、本質的な森林レクリエーションということにはならぬじゃないですか。もっと注意深くそういうものを見る必要があるのじゃないですか。
  18. 藍原義邦

    藍原政府委員 当然国有林の中で運営されるものでございますから、たとえこれが地方公共団体あるいは民間の機関等々が行いました場合でも、それらが適確運営されているかどうか、その必要の都度におきまして私どもとしても十分チェックをし対応していく必要があろうと思いますし、いま先生がおっしゃいましたように、土地だけを貸して野方図に見ておくということでなくて、その土地利用の仕方を本当にうまくやっているかどうかということは、当然土地を貸与している国有林野責任として、十分その辺は見守っていく必要があると考えております。
  19. 野坂浩賢

    野坂委員 論理的にはそういうことが言えますが、自分でよう事業をしないで人にお願いしてあおって、それにチェックをしたり対応するというようなことはできますか。自分がまずやってみて、そして民間団体にやらせた場合についてはチェックができますが、無経験のものがチェック対応ができるはずがないじゃないですか。やはり自分でやっていくということが原則でなければならぬじゃないですか。
  20. 藍原義邦

    藍原政府委員 森林利用いたしましたレクリエーションということになりますと、これを利用する方々にどういうふうにうまく喜んで利用していただけるかということを考えなければならないと思います。そういう観点から見まして、サービスの問題あるいは能率問題等考えますと、やはりこういう問題については、国が直接手を下すよりも民間方々なり公益団体方々等にやっていただく方がより妥当ではないかというようにわれわれ考えております。
  21. 野坂浩賢

    野坂委員 直営をするとサービスは悪いし能率が悪いということですか。民間の方がはるかに優秀であるということですか。私はそうは思わないです。サービスをやればあなたの部下は十分に対応できる、十分にサービスできる。だから、原則直営事業でやるけれども、できないところはいわゆる弘済会なり第三セクター等協力を願う、原則としてはその方向の方がいいではないかというふうに思うのですが、どうですか。経済面だけであなたは議論されておるのではないですか。
  22. 藍原義邦

    藍原政府委員 私どもは、経済面も当然考えなければいけない問題だと思っておりますし、あわせましてレクリエーション利用される国民方々に対するサービスその他のあり方、こういうものも考えていかなければいけないと思っております。そういうものをもろもろ考えた場合には、民間等々に委託してやっていただいた方がいいというふうに考えております。
  23. 野坂浩賢

    野坂委員 それでは、スキー場は三ヵ所直営でやっておられますね。そこはサービス悪いですか。
  24. 藍原義邦

    藍原政府委員 確かに先生指摘のようにスキー場を三ヵ所でやっておりますけれども、そのスキー場収支を見てみますと、収益費用との関連では、昭和五十二年度におきまして約八千五百万の赤になっております。こういう観点考えますと、現在苦しい財政の中で収益的にも非常に問題があるというふうに考えておりますし、また先ほど申し上げましたように、一般的に言いまして民営でやっていただいた方が一般の利用者方々に対してはサービス面も向上するんではないかというふうに判断いたしております。
  25. 野坂浩賢

    野坂委員 三つスキー場で八千五百万円の赤字が出ておるということですが、投資といいますか支出三つで九千九百九十五万八千円じゃないですか、それから収入利用料は九千百四十八万九千円で、差し引き八百五十万円、この程度じゃないですか。八千五百万、そんなに赤字が出ておるということはおかしいじゃないですか。減価償却その他どうなんですか。減価償却も単年度でやっておるわけですか。
  26. 藍原義邦

    藍原政府委員 いま先生がおっしゃいましたのは、一年間の予算上計上しております収入支出をおっしゃったと思います。私がいま申し上げましたのは、当然、一つの事業でございますからそこに働いております定員内職員給料その他、こういうものはスキー場の経費として予算上は計上されませんで、定員内職員給料の中に入っております。そういうものを含めまして収益として収支を計算いたしてみますと、私が先ほど申し上げましたような八千五百万の赤字になるということでございます。
  27. 野坂浩賢

    野坂委員 それは全部の合計ではないですか。三億二千四百五十九万というのが五十二年度の収入で、支出が三億三千九百九十六万円、こういう計算ですか、あなたがおっしゃっておるのは。
  28. 藍原義邦

    藍原政府委員 五十二年度の数字を申し上げますと、収益では九千二百万円、費用では一億七千七百万円、差し引き八千五百万円の損益という形になっております。
  29. 野坂浩賢

    野坂委員 それではスキー場野営場キャビン避難小屋駐車場、こういう国有林野がやっておる事業についての収支明細をこの委員会に出してほしいということが一点と、野営場キャビン——駐車場七つ直営がありますね。そういうものは全部弘済会ですね。それの決算内容もこの委員会に出してもらいたいということを要望しておきます。委員長、お願いします。  それから、森林レクリエーションについては全力を上げるということでありますが、なぜ直営の方がいいかということになれば、責任を持てる。そして、たとえば野営場にしても、使用料というのを百円取ってあとは第三セクターに任せておく、幾ら取るか知らぬけれども人並みにやるだろう、こういうかっこうで、自分のところの賃貸料だけを決めて末端の価格は第三セクターの自由になるわけですから、全体を下げる、全体の使用料もある程度制約するということになる機能というものは、国営でやっておれば非常に大きな影響があって、低所得国民の皆さんの観光なりレクリエーションに非常に有効に作用する。金だけのことを言うといろいろありますけれども、全体の物価なり、そういう使用料なり、安くて楽しめるレクリエーション国民に享受していくという姿が一番望ましいではないか。みんな商売人だけで商業ベースでやっているところに問題があるわけですから、それを抑えていくためには必要ではないか、私はこういうふうに思うのですが、その点はどうですか。
  30. 藍原義邦

    藍原政府委員 先ほど御質問がございました資料につきましては提出いたします。  いま先生指摘のございました、国がみずからやった方が、簡単に言えばきちんとするじゃないかというお話でございますが、私どもの方でも、先ほど申し上げましたように、民間方々等運営していただく場合には利用方針というものをはっきり定めます。経営計画というものを出させまして、それに基づいて運営するということを民間方々に実行していただく場合にも取り決めておりますし、そういう中で適正な運営ができると考えております。
  31. 野坂浩賢

    野坂委員 あなた方が五十三年の八月に林政審議会に出されました資料があります。これは外国の野外レクリエーションの内容が書いてありますね。これにつきましては、アメリカの場合は支出は大体六億ドルということになっております。きょうは百八十一、二円だろうと思うのですが、まあ二百円で計算して千二百億円ぐらいの投資ですね。そして収入というのは二千万ドル、約四十億円です。三十倍も支出をしておるのじゃないですか。そのぐらいのことを国がどんどんやっている。国民の健康あるいは自然涵養、そういうことを考えれば、五千万とか四千万というのはそう大して問題にならぬのじゃないか、格差があり過ぎるのじゃないか、私はこういうふうに思うのですね。その点についてはどうお考えですか。
  32. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいま先生が御指摘になりましたアメリカの数字でございますが、これはアメリカと日本と比べますと非常に面積も違います。日本に比べて相当大きな面積の中での野外レクリェーションの経費でございますし、さらにこれは国有林だけではございませんで、連邦政府全体の問題というふうになっておりますので、国有林の問題とはダイレクトに比較するのは必ずしも適当ではないと私は考えておりますが、そういう点で国有林の問題とは直接つながってまいらないのではないかと考えております。
  33. 野坂浩賢

    野坂委員 それは全面横、全林野ということでしょうけれども財政問題で国有林の中だけでも八百万ドルですね。十六億円の支出に対して、収入は四百六十万ドルで、九億円、こういうことになっておるのじゃないですか。だから、わずかな国有林の間であっても思い切った措置をアメリカはやっておるのじゃないですか。だから、そういう点については、十分国民の健康なりそういうものが配慮されて積極的に投資をしておる。しかも会計方式は一般会計だ。だから、あなた方はいつも特別会計、特別会計とおっしゃいますけれども、そういう独立採算制をやるならば、公益的な機能を発揮すればそう黒字が出るということはあり得ないと私は思います。赤字が出るのはあたりまえ、だから、それらは当然政府の一般会計の中から出すというのが当然じゃないか、こういうふうに私は思うのです。その点についてはどうお考えですか。特別会計が適当と思われますか、一般会計が適当と思われますか、またそれに対する林野庁としての対応策、お考え
  34. 藍原義邦

    藍原政府委員 国有林の会計は特別会計でやっておりますし、私どももその精神に従って今後とも運営してまいるつもりでございますが、森林の持ちます公益的機能の発揮のために必要なものにつきましては、たとえば治山事業等々につきましては六〇%強の一般会計からの繰り入れをいただいておりますし、必要なものにはいま申し上げましたような一般会計の導入を図っていただいておるわけでございまして、森林レクリエーションの問題につきましては、先ほど来申し上げましたように、国有林の場合には、場所は提供いたしましてそれをさらに地方公共団体あるいは民間方々に有効に活用して運営していただくという方がよりいいんではなかろうかと私ども考えております。
  35. 野坂浩賢

    野坂委員 今後森林レクリエーション事業は進めるけれども林野庁としては、全部地方公共団体、第三セクターでやって、運営については撤退をする、こういう考え方ですか。積極的に取り組もうという姿勢は全然ないということでありますか。
  36. 藍原義邦

    藍原政府委員 先般の林政審議会でいろいろ委員先生方の御意見等々を基本にいたしました私どものつくりました改善計画にもその考え方は載せてございますけれども、やはりこれからの国有林運営の中で、レクリエーション事業につきましては、その運営について基本方針は十分国の方で決めまして、その方針に従ってはっきりした運営方針を定めた中で、民間方々等を中心にした運営をしていただくことがよりよいと私ども考えておりまして、今後はそういう考え方で進めたいと思っております。
  37. 野坂浩賢

    野坂委員 私は問題があると思いますが、時間がありませんから先に進みますが、いまもお話がありましたように、治山、崩壊地、そういうような問題がたくさんありますが、六割補助といっても、造林が十分できていないから、そういう流出なりあるいは崩壊なりそういうものが起きてくるというのが実態であろうと思うのです。そういう意味で、よりよい山づくりということは、先ほどもお話がありましたように、一審重要だと思うのです。  現在不良造林地はどの程度あるわけですか。この計画書には、四十七万ヘクタールというものが雑木林といいますか、そういうものから人工造林に変えるということですけれども、現在の不良造林地あるいは手入れ不備というようなものはどの程度あるわけですか。
  38. 藍原義邦

    藍原政府委員 昭和五十二年の四月一日現在におきまして全営林局を通じまして私どもが把握しております数字は、生育が不十分な造林地といたしまして一万五千百ヘクタール、それから早期に保育を要する造林地といたしまして三万三百ヘクタール、合計四万五千三百ヘクタールというふうに私どもは現在把握いたしております。
  39. 野坂浩賢

    野坂委員 その辺ですけれども、仲間の皆さんといいますか、あなたの部下といいますか、林野庁の職員の皆さんの調査によると、札幌の営林局は大体五万一千ヘクタール、長町県の営林局は二万二千七十二ヘクタール、前橋の営林局は二万五千二百三十二ヘクタール、函館は一万七千三百九十六ヘクタール、九州は三万四千八百四十七ヘクタール、ほかにも営林局ありますが、そういうことを一つ一つ集約をしてみますと、相当数に上る、こういうふうに私どもは理解し把握をしておるわけです。これだけの違いがありますね。これだけあるということになれば、あなた方となぜこんなに違うのだろうかということがいつも不思議に思われるのです。  この間の国会でも議論をしたわけですけれども、手入れ不十分といいますか、そういうところがたくさんあるじゃないか、こういうふうに思われますが、この点は調査をして確認をしていただけますか。
  40. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいま先生指摘になりました、全林野の労働組合が調査されたというようにわれわれは内容をうかがっておりますが、これにつきまして約四十万ヘクタールの不成績造林地があるというふうに言っておられますけれども、その細かい点は私ども承知いたしておりません。しかしながら、全体として指摘がありましたのは、いま先生が御指摘になりましたように、札幌、函館等数営林局の問題の指摘がございまして、この四十万ヘクタールというのはこの数局の調査結果によります推計だというふうに内容は示されております。それから、私ども調査いたしましたものは、これは全営林局の局署の組織を通じまして調査したものでございまして、そういう点で食い違いも一部出ているのじゃなかろうかという気もいたしますが、いま先生指摘になりましたように、造林地についてのいろいろ手おくれその他があるということで、過去におきます造林、保育等が必ずしも十分行われなかった地域、あるいは風害その他天然による被害、さらには野鼠、野兎等によります被害、また一部には非常に高度の高い地域におきます造林については必ずしも十分な技術的な精査がなされないで造林されたというような点もございまして、造林地では必ずしも十分に生育されていないという点は私どもも十分把握いたしておりますし、こういう問題については、ただいま五十三年度の造林事業の実行の中でも対応いたしておりますし、そういう五十三年度の事業実行終了時点で十分またその辺については私どももその実態を把握してまいりたいというふうに考えております。
  41. 野坂浩賢

    野坂委員 これは十分調査をするということですか、ちょっとそれだけ聞き漏らしたのですけれども、簡単に言ってください。
  42. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいま五十三年度中にまだ造林事業をやっておるところもございます。したがいまして、そういうものが終了した時点を待ちまして適当な時期にその実態を把握してまいりたいということでございます。
  43. 野坂浩賢

    野坂委員 いま長官がお話しになったように、一時カラマツを植えたことがありますね。八百メーター以上のところはみんな大体失敗をしたというようなことがありますし、私どもが話を聞いておりましてかみ合わぬのは、たとえば四万五千と四十万ヘクタール。林野庁が五年ごとに計画を立てますね、そのときに人工造林はしたので、人工林はあるのだけれども十分育て得なかった、雑木が幸い生えておるからこれは帳簿から落として天然林にする、こういうかっこうになりますとこの誤差が出ると思うのですね。あなた方は経営権があるわけですから、そういう五年ごとの帳簿というものはわれわれにも見せてもらえますか。そういうことをされておるのじゃないですか、どうですかその辺は。
  44. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいま私どもがそれぞれの地域で施業計画を組んでおるわけでございますが、五年ごとと申しますのは全国一律に五年ごとにやるのではございませんで、それぞれの地域単位で五年ごとにやるわけでございます。したがいまして、全国一本の数字というわけにはなかなかまいりませんけれども、それぞれ調査をいたしました結果については、一般の方々にもわかるような形でその施業計画というものをつくっておりますから、それぞれの計画についてのまとまったものについてはいつでもどなたでもごらんになれるような状況になっております。
  45. 野坂浩賢

    野坂委員 それでは、いつでもどこでもだれでも見せてやるということは確認をしておきますから、よろしくお願いいたします。  一応林野庁整備が終わった後調査をするということでありますが、合意に達して、たとえば二十万なら二十万ということになりますと、二十万ヘクタールというのは確認するということになると、造林をやらなければならぬということになりますね。その造林計画にのっとって作業を進めるということになれば、大体この一年間に、三年計画でやるとしても、大体十五人ぐらい要るとして、百万人要りますね。そういう手だてというものは十分考えられるわけでございますか。
  46. 藍原義邦

    藍原政府委員 不良造林地がどの程度あるかは、それぞれの営林局あるいは営林署の実態を把握しませんと、どういう人間がどのくらい要るのかということは端的に申し上げられませんが、私どもとすれば、主として除伐等、つる切りあるいは一部下刈りのおくれが中心でございますし、そういうおくれを取り戻すためには、十年、二十年かかる仕事ではございませんし、比較的短年月で終了し得るというふうに考えております。そういう観点から見まして、具体的な数字は別といたしましても、現在いる作業員等々を中心に十分その辺を活用し、さらに必要な場合であれば臨時あるいは請負等々で十分対応できるのじゃなかろうかというふうに考えております。
  47. 野坂浩賢

    野坂委員 いまお話がありましたように、除伐とか枝打ちとか間伐とか、大体推計でやって十八人とか十五人とか二十人とか、その程度ですね。十五人としても、二十万なら二十万というものが確認をされれば、一年間でやれということはなかなかむずかしいし、しかし、林野庁長官がおっしゃるように短い期間でやらなければならぬということになれば、いまの従業員というものは優秀な人ですね、そういう人たちが、熟練者がやめていくというようなことは非常に困るわけですね、これから本格的にやるわけですから。それらについては十分配慮して、合理化といいますか、それに対応して人も雇ってこなければならぬという状況ですから、そういう職員の首切りといいますか合理化といいますか、そういうものはないということになりますね。
  48. 藍原義邦

    藍原政府委員 私どもただいま改善計画でこれからの要員についての考え方も出しておりますけれども、現在おられます職員なり作業員を、いま先生が御指摘になりましたような俗に言う首を切るというようなことは考えておりません。
  49. 野坂浩賢

    野坂委員 民有林でも保安林になりますね。この民有林が保安林に指定されますと、民間の皆さんというのは、国有林のように公益的な機能なり水資源の問題なり、そういう公益的な機能の問題にあなた方ほど熱心でない。最近、あなた方は経済の問題と調和をしながらというようなまことに便利な言葉を使って逃げようとしておりますけれども、それ以上にやはり経済問題が考えられる。そうすると、持っておっても余り意味がないから林野庁に買ってくれ、こういう要求もございますね。これに対しては全部要望にこたえますか。その保安林の買い上げについてはどうお考えでしょうか。
  50. 藍原義邦

    藍原政府委員 保安林の買い入れにつきましては、いま先生も御指摘になりましたように、国土保全なり水資源の涵養なりといったような重要な森林につきまして、奥地の上流水源地帯に位置します保安林等で必要なものにつきましてはこれを買い入れすることにいたしております。いままでも、昭和四十六年から五十二年までに五千五百ヘクタールを売り払いましたのに対しまして、一万三千ヘクタールを購入いたしております。これも御存じの国有林野の活用に関する法律の八条、その規定で趣旨が明示されておりますし、それに沿いまして今後も引き続き実施してまいりたいというふうに考えております。
  51. 野坂浩賢

    野坂委員 売って得た金額ぐらいなものは最低限買うということになるわけですか。
  52. 藍原義邦

    藍原政府委員 私どもいま申し上げましたように、面積的には四十六年から五十二年までの七年に約倍の面積を購入いたしておりますが、金額的には必ずしも先生がおっしゃいましたように売った金に見合った購入金額というふうにはなっておりません。
  53. 野坂浩賢

    野坂委員 高く売って安く買う、なかなか商売人になられましたね、あなたも。だから、面積はいまお話しになったのですが、あなたはいつも経済効果、金のことをよくお話しになりますが、それで得た金は、保安林というのはそういう性格を持っておるわけですから、要望があればせめて売った代金だけは買うというぐらいな最低限お考えがあってもいいじゃないか、縮小するよりも拡大をするということの方がいいじゃないかと思うのですが、その点はどうですか。
  54. 藍原義邦

    藍原政府委員 先生御存じのように、国有林野の特別会計も非常に収支の関係が厳しい状況でございます。この辺を勘案しながら、やはり活用法によりますその精神を生かして、これからもその財源に基づきます保安林の買い入れということはやってまいりたいというふうに考えておりますが、いま申し上げましたように国有林の特別会計の財政も非常に厳しい収支状況でございますので、その辺を十分考慮しながら、いま申し上げましたような法の精神に従って対応してまいりたいというふうに考えております。
  55. 野坂浩賢

    野坂委員 この活用法もあるわけですから、十分活用してもらわなければならぬし、こういうあなたが出されたものにも、国有林野というのは国民共通の財産である、国有林野の適切な管理経営をやっていく、国民から負託されたものである、だから売ったものだけは買ってくれ、こういうのは当然ですから、いまあなたがお話しになったのですけれども、最近の動きというのは、たとえば五十年は面積は七百二十ヘクタールを売って六十八億五千八百万円、それだけ売っておるのですね。そして買ったのは四億九千七百万ですか、面積は確かにあなたの言ったように千七十八ヘクタール。五十一年は五百三十八ヘクタールを売って六十五億一千七百万取っておるのじゃないですか。そして面積の買い入れは四百七十八ヘクタールで四億七千三百万。面積は五十二年になりますとまた千二百七十二ヘクタール売って六百二十二ヘクタールしか買っていない。金額は百億から売っていますね。そして買っておるのは三億五千四百万、こういうことになっておるように私の資料にはありますね。五十三年、五十四年も同じような傾向です。だから、いいところをお話しになったのですけれども、金額は非常に違う。余りにも、保安林の買い入れというものが要望があるにもかかわらず買っていないじゃないかというふうに指摘しないわけにはいかぬわけですが、それについてどうお考えで、これからどう対応するのか。いままであなたがお話しになったのは、面積は非常に買っておりますよ、ただ金額はちょっと、こういうことですけれども、私が言っておるのは、これだけ売るならそれだけの金額は買って、そして国有林野として十分管理運営をして適切な方針をやるということがあなたが書かれたこれにもあるわけですから、そういう方向が望ましいのではないかということを言っておるわけです。
  56. 藍原義邦

    藍原政府委員 先生指摘になりましたように、面積的には売り払いましたものよりも買い入れたものが非常に、倍程度あるわけでございますが、金額的にいきますと、必ずしも売り払った金額に見合った購入はいたしておりません。これは先ほど申し上げましたように、国有林野財政も非常に厳しい収支状況にございますので、私どもその辺を勘案しながら対応しておるわけでございますが、今後とも保安林でその必要、重要なものにつきましては法の精神を生かして対応してまいりたいというふうに考えております。
  57. 野坂浩賢

    野坂委員 端的にお尋ねしますが、民有林の保安林に指定されたもので国に買ってほしいという要望があればそれに対応して買っていく、しかもその限度は、売った金額までは十分配慮していこう、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  58. 藍原義邦

    藍原政府委員 原則としては売った金額内で買うことになっておりますけれども、先ほど御説明申し上げましたように、国有林財政も非常に厳しい状況でございますので、その財政の状況等をにらみ合わせながら対応してまいりたいというふうに考えております。
  59. 野坂浩賢

    野坂委員 それはいい答弁とは言えぬですね。その範囲内でということはよくわかりませんが、財政が窮迫をして一般会計からも出すのだから、いまのところは買えませんよ、こういうことなんですか。それとも要望があればできる限りその売った範囲内でお買いをいたします。こういうことですか、はっきりしてもらいたいですね。
  60. 藍原義邦

    藍原政府委員 何度も申し上げまして恐縮でございますけれども財政も非常に厳しい状況にある国有林の中において、保安林の買い入れということもこれも必要なことでございます。したがいまして、国有林を売り払いました額の中で、重要、必要なものについては私どもも購入に努力をしてまいりたいというふうに考えておりますが、先生指摘になりましたように、それと同額のものを買うというわけにはなかなかまいらないというふうに考えております。
  61. 野坂浩賢

    野坂委員 いま一貫して申し上げましたように、最近十年間の間に森林レクリエーションというものは大体三倍に伸びておるわけですね。民間人がこういう中に入って山菜とかキノコとか、そういうものもとって楽しんでおる、こういう実情に合わせてその需要にどう対応していくかということを考えてもらわなければならぬ、こういうふうに思うわけです。  そういう意味で、今度の営林署の廃止については、農林省設置法の一部改正の際に、「営林署等の再編整備を図る場合には、地域住民の十分な理解と納得をうるように努めるものとすること。」こういうふうに書いてございますね。そのことはよく御承知のことだと思うのです。  この営林署の廃止の問題、これをめぐっていろいろいまトラブルといいますか、地域の住民の意向というものを私たちは聞いてまいりましたが、私は姫路営林署というところへ参りました。市長さんはもちろん反対でありますし、議会は満場一致で反対をしております。それから地方の自治会というのがありますが、四十七あって四十六が廃止反対、こういうことを鮮明にしております。経済効果から見ればなかなか大変でしょうが、特徴的には一年間に一回は必ず山火事があります。大体十ヘクタールぐらい焼いておりますが、現地を視察すると、造林をされている地点で火はとまっております。こういう実態なんです。そこにはヒノキや杉が植わってなくて、肥料木といいますか、ヤマモモとかクヌギとかコナラとかそういうものが植えられておるわけですけれども、職員の皆さんは本気で肥料木を植え、将来五十年、六十年を展望して、あなたが考えておられる山づくりというものを進めたい、こういうふうにお考えになっておるようであります。そういうことを踏まえまして、この廃止というものが出て非常に問題になっておるというのが実情であります。  隣の高砂市に参りましたら、高砂市も人口六万の市民がいらっしゃるわけですが、この市長さんも反対である。姫路市を取り囲むちょうど市街地にありますから、そういう点については、経済問題よりもいわゆる公益的な機能としてぜひ充実強化をしてほしい。そしてあの山をごらんくださいと言って山を見せていただきましたが、そこは流出といいますか砂が流れて、約六千万円の事業費でこれをやった。住民の皆さんがそれを見て、六千万円も一億も使うのならばもっと造林に力を入れてもらえばこういうことはなかっただろうに、こういうお話もしておられましたことをよく覚えております。  そういう住民の理解、納得、こういうものが得られない場合は断じてこれを進めるわけにはいかぬと思うわけですが、そういうふうに考えてよろしゅうございますね。
  62. 藍原義邦

    藍原政府委員 営林署の統廃合につきましては、本年度内地の営林局で九ヵ所それぞれやる予定にいたしておりますが、先般の八十四国会で法案審議の際に附帯決議としていろいろ御指摘のありました点につきましては、われわれも十分理解いたしております。  ただいま先生から御指摘のように、地元のいろいろな反対があるというお話でございますが、私どもいま鋭意地元に、営林署がなくなった場合にどう対応していくのか、事業実行はどうしていくのか、あるいは姫路営林署等について申しますれば、姫路営林署の性格上特に必要な森林保護等に関します専門職を二名程度合併されます営林署に配置して、いま以上にその方面の拡充を図っていきたい等々の考え方を持っておりますので、そういうものを地元等にさらに十分御説明しながら御納得がいただけるような努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  63. 野坂浩賢

    野坂委員 神戸の営林署にも山崎の営林署にも管理係を置く、そういうことは、もっと遠くなるわけですから効率はもっと悪くなってくるわけです。どうしてもいままであったこの営林署がなくなるということは忍びない、もっと山づくりを懸命にやってもらわなければならぬ。従業員の皆さん、職員の皆さんがこれに一生懸命に対応する、こういう姿勢であるわけですから、挙げて反対で理解と納得が得られない、こういうのが私が受けた感じでありますから、そのまま続くということになれば、理解と納得を得るまではこれらの統合、廃止はできない、こういうことに満場一致でなっておるということを御認識いただいておると思うのですが、そのとおりで、努力はされると思うのですが、理解と納得ができるまではやらないということですね。
  64. 今井勇

    ○今井政府委員 これは基本的な問題でございますから御答弁をしておきたいと思いますが、われわれやはり安い政府、チープガバメントというのはどうしてもしなければならない問題と思います。現に本会議でも、各党から行政の改革を進めろという強い御要請があります。かてて加えて、この営林局、営林署の問題につきましては、先国会で北海道の営林局を統合します場合にも、皆様方の大変真摯な御討論を賜りまして、五つありましたものを一つにするということの法案を通していただきました。また政府といたしましても、ひとつ営林署の統廃合を進めようじゃないかということを閣議決定いたしまして、その一環として本年九つの営林署の統廃合をいたそうとしております。もちろん、営林署の統廃合という性格でございますから、地元がさあどうぞとおっしゃるわけにはなかなかまいらぬと思います。しかしながら、その基本は、事務管理部門というものをなるべく一緒にすることによって、そういう人たちを配転する、そして他の重点の部門に移すことによってすっきりした形にしたい。しかしながら、営林署本来の業務であります山を育てること、山を守ること、それについてはいささかも変化のないようにしたいというのが基本的な考え方でございまして、それぞれの立場から地元との接触をいたしておるわけでございまして、実施までにはまだ若干の期間がございますので、今後とも全力を挙げて地元の御了解を得られるように折衝してまいりたいと存じております。
  65. 野坂浩賢

    野坂委員 行政改革には反対しておるわけじゃないです。行政整理について問題を指摘しておるわけです。だから、私どもが申し上げておるのは、先ほども、造林の際の問題あるいは民有林の保安林指定になっておるその買い入れの問題、そういうことで将来これがだんだん広がっていきますよ、管理もしていかなきゃなりません、四万が二十万になるかもしらぬ、そうすれば三年間でやるとしても百万人必要ですね、そうすればもっともっとこれを充実強化していくということに追られていくのじゃないですか、大蔵省が言うようにずたずたに切っていく、こういうことばかりではいかぬじゃないですかということを言っておるわけですから、それを含めて、地域の皆さんなり国会の意思というものの尊重をしてもらわなければならぬじゃないですかと言っておるわけです。  だから、理解と納得を得られるまで努力されることは結構ですが、理解と納得の得られない場合は結論としては実施しないということになりますね、こういうことを言っておるわけです。どうですか、政務次官。
  66. 今井勇

    ○今井政府委員 繰り返して申しますが、私どもは、誠心誠意事を分けてお話しすれば必ず地元の御了解を得られるというふうな確信で折衝をいたさせております。
  67. 野坂浩賢

    野坂委員 それは理解と納得が得られると確信を持っておる、得られなかった場合はどうなるんだということを、その先を聞いておるわけです。その場合は国会決議というものを尊重するのですか。するのですね、これは国会の意思ですから。そのことを聞いておるのですよ。
  68. 今井勇

    ○今井政府委員 やってみなければわからぬことでございますから、私どもは誠心誠意これをやろうとしておるわけでございます。
  69. 野坂浩賢

    野坂委員 これは水かけ論になりますが、誠心誠意やるということは否定をしていないのです。しかし、そういう決議があるし、みんなの反対が現状なんです。結果的に理解と納得が得られなかった、やらない、こういうことになるのじゃないですかと言って、私は物の論理を言っておるわけです。そういうことを十分踏まえてもらわなければなりませんし、きょう労働省にもおいでいただいて時間がなくて質問をすることができなかったわけですが、言うなれば、労働省も雇用創出、失業人口が百二十六万人も百三十万人もある、こういう段階で、できるだけ土休制をやろうあるいは有給休暇は完全にとれという指導をされておる、政府部内ではそういうかっこうだ。しかも、営林署といいますかそういうものは、地方住民がこれだけ反対しておるのに、鋭意やるからそれで結論が出るのだ。できなかった場合はどうなんだということは仮定の問題として当然起きる議論じゃないですか。そういうことは仮定の問題だというわけにはいかぬわけですね。できなかった場合の結論を言ってください。一月一日までにできなかった場合はしばらく延ばしてでも、誠心誠意やって結論が出るまでこれはでき得ないということになるのでしょうと私は言っておるわけです。そうですね、林野庁長官。私が言っておることに矛盾がありますか。
  70. 今井勇

    ○今井政府委員 理論的にはそういうお話もあろうと思いますが、私どもはやはり在来の行き方を踏まえ、しかもまた国民のためによかれと思ってやるわけでございます。しかも、そのためにやはりなるべくすっきりした形で営林署運営も行わなければ、広い意味で国民の共感も得られないだろうということを確信いたしておるわけでございまして、最後の最後までがんばって、ひとつ御協力を賜るようにいたそう。したがいまして、いまのもし得られなければという仮定の御質問にはいささかお答えいたしかねるというのが現状でございます。
  71. 野坂浩賢

    野坂委員 時間が参りましたからやめますが、国民のためによかれと思って統廃合をやる。その国民はやってもらっては困る、こう言っておる。それなればやれぬじゃないか。あなたが出ておる自由民主党を含めて、地方住民の意思というものはよく確めてやりなさいよ。こういう条件がついておるということを銘記して、理解と納得を得られるようにしてもらいたい。強行は絶対にまかりならぬということだけは申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  72. 藍原義邦

    藍原政府委員 先ほど先生から御指摘ございました山崎営林署地元からの陳情でございますが、これについては波賀町長ほかの陳情がございます。ただ、この地域はイヌワシの生息地でございましていろいろむずかしい問題もございますけれども野外スポーツ林として選定いたしまして、野営場として利用すべく現在営林署において検討中でございます。
  73. 中尾栄一

    中尾委員長 島田琢郎君。
  74. 島田琢郎

    ○島田委員 野坂委員の質問に続きまして、林野事業改善計画を中心にいたしました質問を続けてまいります。  最初に、九月二十三日に閣議決定を見ました国有林野事業改善計画の策定の閣議決定を前にして、わが党は九月十九日に改善計画に対する策定に当たっての考慮すべき事項を二点にしぼって申し入れをいたしました。しかし、申し入れをいたしました国有林野事業改善計画の中身につきましては、残念ながらわが党が要求をいたしました点は必ずしも明確になっていないばかりか、むしろ林政審答申の線を一層強める、そういう内容になっている。私どもは、今後の国有林事業改善を進めていく中で、八十四国会におきましても国有林野事業改善特別措置法の審議に当たって、社会党は単独で国有林野事業再建整備特別措置法を提案してまいったのでありますけれども、その中でもこうした計画策定に当たっての意見というのはかなり強く述べられ、政府側もこの点についてはかなりの考慮を払うというふうになるだろうと私は期待をしたのでありますが、残念ながらその点についてはかなり不鮮明であるというふうに断ぜざるを得ないわけでございます。  きょうは、私は、このうちの特に第三の国有林野事業運営能率化に関する事項と、それから予算に関します事項の二点を取り上げまして、政府当局の考え方をただしてまいりたい、こんなふうに思っております。  最初に、事業実行形態についてでありますけれども国有林野事業の実行形態については、わが党は今日まで一貫して直営直用を原則とするように主張してまいりました。歴代の大臣もおおむねこの趣旨に沿って見解の表明をされたところであります。しかるに、今回決定を見ました改善計画では、赤字対策能率性を追求するの余り、この経営の基本というものをまさに放棄しているのではないか、そしてむしろ請負拡大を志向しようとしているのではないか、こういうふうに感じられるのであります。  この改善計画の第三の、十二ページ以降にその点が述べられているのでありますが、「より良い直よう、より良い請負」、こういう言葉が近年強く出てきておるわけであります。言葉の持つ意味というのは受け取り方によっていろいろ違いがあるわけでありますが、後段に述べられている点を考えますと、よりよい直用、よりよい請負、そういう認識というのは私どもとはずいぶん乖離をしている、こういうふうに思うのです。それはまさに能率性、そして赤字を解消しなければならぬということによって、一般会計からの国有林野特別会計に繰り入れをするということにかなり力点を置いて、申し上げましたような大事な原則といいますか基本というものに対して大きく後退をする、こういうふうな感じが強くこの改善計画の中ではされるのであります。しかも、競争原理を導入する、こういうふうなことでその競争条件の整備を図るというふうに十三ページでは言っておるのでありますが、事実上直営一本でやっているところにも請負制度を導入して、ここに競争原理を導入して事業の拡大を図っていこう、こういうふうに言っておりますのは、私どもとしては大変気になる点であります。  まず、この事業実行形態の中で、こうした歴史的な経過を踏まえて経営の基本というものを本委員会でもずいぶん論議に付され、そして、おおよそ政府側もこの点についての考え方が固まりつつあるというふうに私どもは受け取っていたのでありますが、この計画に盛られております考え方は、この基本の問題についていままでと変わりないというふうに理解していいのかどうか。つまり、経営の基本は忘れていないというふうに理解していいのかどうか、その点をまずお聞きをしたい、こう思います。
  75. 藍原義邦

    藍原政府委員 事業運営の実行形態の問題でございますが、いま先生が御指摘になりました改善計画の中にもその方向を示しておりますが、林政審議会等々におきましてよりよい直用、よりよい請負を目標に努力しなさいという御指示をいただきまして、私どもその方向に沿って努力してまいったわけでございますが、現状をにらみますと、必ずしもそれに適合したような形で事業運営がなされていないという面もございまして、事業実行の形態が、生産事業等について見ますれば、請負の事業直営事業との間におきまして能率的な違いがある。逆に請負事業につきましては、必ずしもまだ雇用の安定あるいは社会保障制度、それが十分でない点もございます。そういうように請負事業あるいは直営事業のそれぞれの利害得失が十分に発揮できるような形で請負なり直営なりが行われていないという点について私どもも反省しまして、これからの事業を実行する場合には両者が相まちまして、競争しながら対応し、よりよい形で事業運営されるという方向に私どもとしては志向してまいりたいという考え方から、今後の運営のあり方につきましては、ここに書いてありますように、企業的な能率性の視点から十分その辺を判断し、競争原理を活用するという面から、十分両者の利害得失を踏まえて今後の事業運営対応を図ってまいりたいと考えております。
  76. 島田琢郎

    ○島田委員 長官の御答弁では私がお尋ねをした点について必ずしも明らかになってはいません。  言うまでもないことでありますけれども、そもそも森林は林地、林木によって構成される。あたりまえのことでありますけれども、その林地は樹木の繁茂と被覆によって保全され、そして林木は林地の良好な保全状況によってその生育は助長される。あたりまえのことでありますけれども、この点をまず自覚をしなくてはいけないと思うのであります。この両者は一体的に相互に補完し合いながら、より長期にわたる計画のもとで発揮されていかなければいけないわけでありますから、植林と伐採等の作業というのは、伐採跡地や将来の成林に責任を持つということがなければいかぬわけであります。したがって、相互に補完し合い、そして相互に責任を持ち合うという林地構成あるいは林木の育成、こういうものが必要である限りにおいては、将来に向かって成林していくという責任も同時にそこに生まれてきます。そうだとすれば、伐採跡地あるいは造林等あるいは保育等は、その森林を持っている者が責任を持ってやるということが一番妥当であり、最も望ましい姿である、こういうふうに考えます。木は切った、後の始末はよそ者がやる。造林にしても、造林をした者と保育をした者と——木というのは一年で切るものじゃありませんで、長く将来に向かって何十年あるいは百年もかかるわけでありますから、その間において責任を持つというその責任の所在が明確でなければいけないわけです。そういう山づくりの基本から考えましても、最後まで責任を持つ、そういうことをしっかりとわきまえておかないといけないわけです。したがって、国有林を守っている者が責任を持っていかなくてはいけない、こういうことになる。いたずらに請負方式を導入することについて、私どもが難色を示し難点があるということを指摘しておりますのは、こういう基本の問題からして私どもは言っているのであって、その点の理解は一体どのようにされているのでしょうか。
  77. 藍原義邦

    藍原政府委員 森林経営する場合には、当然先生指摘になりましたように、木を切る仕事、そしてその跡地に植える仕事と両方があり、これが両々相まって森林が活力ある森林として造成されるわけであります。それにつきまして、特にいま先生から、植える場合には特に森林の所有者がやるべきだという御指摘がございました。森林をよりよい山に育てるために、造林等々含めました森林の施業をやる場合に何よりも一番大事なことは、山を育てることに対する愛情、そしてまた責任を持ってやっていただくことであろうというふうに私ども考えます。その場合に、それが先生が御指摘のように森林所有者がみずからやることがいいのか、あるいはそれを適正な業者等にやってもらうのがいいのか、その辺は先ほど申し上げましたよい請負という形で企業的に運営されておるものであるならば、いま申し上げましたような精神を十分くみ取ってやってもらえる範疇は十分あるとわれわれは考えておりますし、先生指摘になりましたように、必ずしも森林を持っている者がみずから手を下してやらなければいい山ができないというふうには考えておりません。
  78. 島田琢郎

    ○島田委員 明確に否定をされたわけでありますが、そもそも森林の請負をしていくに当たっては、請負業者というのはやはり利益を追求することはたてまえであります。利益を度外視して仕事をするなんということはあり得ないことであります。これは企業としては当然のことですね。それをいけないなどというのはおかしな話であります。採算がとれるような、そして利益が十分上がるような考え方を持つのは否定し得ないことであります。そこにはややもすると安かろう悪かろう方式だって生まれ出ない保証はない。私は必ずしも請負業者が全部そうであると言っておるのではありませんけれども、利益追求というのは第一の条件であります。今日の国有林考えますときには、正しい経営の上から山づくりというものが期待されなければいけないわけであります。そういう意味で、あなたがいま否定なさったことを私は全面否定するつもりはありませんけれども、基本としてはそこをわきまえなければいけないのじゃないか、こういうふうに私は思うのです。  例を挙げるまでもありませんけれども、私どもも請負による現地の実態などを調査をさせてもらった中でも、かなり粗雑な、これでいいのだろうか、こんな請負をさせておいていいのか、こういうふうな実態にも触れてきました。全国各地にこういう事例がいっぱい発生していることは想像にかたくないのであります。たまたま私は前国会でもあるいはその前の去年の国会でも指摘をしたのでありますけれども、現場において営林署なりと契約をいたしました場合でも、契約どおりに実行されていることのないところがあります。それは前にも指摘をしました。この点の行政指導を強める、こういう御返答もいただいたのでありますけれども、手抜き作業や、あるいは一定のノルマを消化するために山林労働者の酷使なんという実態も出ている。特に労働災害あるいは振動病なんというのは国有林労働者に比べて民有林労働者に多い。これはまさに請負の持っております問題点であるわけであります。  そういたしますと、こういう条件が整備されているところばかりであればあなたのおっしゃる点も納得できるのですけれども、今日の民有林労働者の実態は、いまさらここで申し上げるまでもなく、振動障害の問題一つ取り上げてみたって非常に潜在しておって顕在化してこない。これはまさに仕事をしなければ食べられなくなるという労働者の深刻な問題がそこに介在しているわけでありまして、そういう点は、雇用者である請負業者の中では積極的に改善するということにはなっていない、私ども指摘をしたような状態になかなかなっていない。  そういうことを考えますと、請負事業直営におきます今日的な状態を考えてみますときに、国有林直営を基本にして進めていくことが今日非常に必要だ、こういうふうに考えて、しばしばこの問題について取り上げているところなんであります。  現在の請負業者の中で、さっき触れた契約状況やいま指摘をしました振動病予防対策、こういう点で行政通達まで出すと言って出されましたし、しかしそれが現実に守られているかどうかという追跡調査の結果、守られていないという事実も明らかになったので、私は前国会でこれを指摘いたしました。さらに行政上の指導を強化する、こういう返事もいただいているところでありますが、その後、そういう点の改善が一体なされているかどうか、その点はいかがですか。
  79. 藍原義邦

    藍原政府委員 いま細かいデータを持っておりませんけれども先生指摘になりましたように、請負業者について適格でないものにつきましては該当から外すというような措置もいたしまして、さらに強い指導を現在いたしておる最中でございます。
  80. 島田琢郎

    ○島田委員 調査してみてください。調査をすると前回約束をされ、そういうことが行われていない、通達どおりの状態になっていないとすれば、今後の指名業者からこれは外していく、そういう行政措置も講ずる、こう言っていたのでありますから、この点についてはしっかり調査をして、いやしくもそういう状態が現場に生まれていないように責任を持ってもらいたい、このように思います。  そもそも国有林の労働者という立場で議論をいたしますと、能率が悪いとか賃金が高過ぎるとか、こういう議論が先行してくるわけでありますが、少なくとも国営企業たる国有林というのは、低賃金や臨時雇用あるいは劣悪な労働条件と作業環境をそのままにしておいて、つまり民間林業労働者の犠牲の上に立って事業を行うなんということを放置しているということはおかしい話でありまして、ただ単に能率という考え方で言うならば、労働災害の多発もこれは阻止できないでしょうし、また白ろう病等、こういう障害が顕在化しないでますます潜在化していってしまう、こういう問題も出てくるということはいま指摘をしたとおりなのであります。そもそも基本的には、社会的にも人道的にも許さるべきことでないことが現場で行われている、こういう点について重ねて指摘をしなければならぬと私は思うのです。  林業白書によりますと、七六年の切り出し部門の民間賃金、一日五千八百三十九円という白書による報告がございます。中にはボーナスなんかはゼロだ、したがって、一年間まんとに働いても百四、五十万にしかならぬ。こうした賃金の実態というものは生活保護世帯の水準を下回る、とても一家で生活していくなんということには相ならぬ、こういう状態だということを白書が裏づけていると私は思うのです。  そこを比較して、国有林労働者は高い高いという考え方あるいは意見というのは議論の本末を転倒しているのであって、やはり一定の水準の賃金を保障し、生活を保障する、こういう考え方が基本にあって初めて労働者としての身分を保障し得る、こういうことになるわけでありますから、この点について私は比較論議で物を言うことは間違いだという考え方を持っているのでありますが、いかがなんですか。まだ依然として国有林労働者の賃金は高い、こういう認識のもとにこれらの事業をお進めになろうと考えているのですか。
  81. 藍原義邦

    藍原政府委員 私どもは、いま先生が御指摘になりましたように、請負の労働条件が非常に劣悪であるという御指摘でございますけれども民間の労働賃金を見ますと、建設関係の屋外労働と比較いたしまして、必ずしもそんなに遜色あるものではないというふうに考えております。  ただ、先ほども申し上げましたけれども、これから優秀な林業労働力というものを確保してまいらなければいけませんし、国有林ばかりではなく民有林というものの存在を十分認識しながら、民有林関係の林業労働力というものを近代的なものにする努力も私どもとしても助成しなければいけないという点もございます。したがいまして、そういう面からも優秀な林業労働力というものを今後国有林全体の中で育成していくという必要があろうということは当然でございますし、国有林で仕事をしてもらいます請負に働く林業労働者の方々につきましても、やはりその請負企業体が雇用の安定の問題なり社会保障の問題なり、そういうものが近代的になるような、そして国有林事業を請け負うにふさわしい事業体であるような指導を私どもとしてもしながら、労働力の確保を図っていく必要があるというふうに考えております。
  82. 島田琢郎

    ○島田委員 振動病の問題についてももう少しお話をしてみたいと思うのですけれども、いままでもずいぶん議論をしてきましたけれども、世界各国から、いまだに日本に振動病なんというのがあるのですか、こう言われているくらい実はこの対策がおくれているわけです。国有林の関係につきましては認定患者も三千四百人を超えていますので、それなりに問題は顕在化して解決される方向に向かっているというふうに理解してもいいのでありましょうが、比較して民間の場合は現在の認定患者は一体幾らになっていますか。
  83. 藍原義邦

    藍原政府委員 五十一年現在で千四百四十八名というように私どもは認識しております。
  84. 島田琢郎

    ○島田委員 民間林業労働者の数はどれくらいと把握しておりますか。
  85. 藍原義邦

    藍原政府委員 約二十万というふうに把握しております。
  86. 島田琢郎

    ○島田委員 国有林労働者は何人ですか。
  87. 藍原義邦

    藍原政府委員 国有林は三万一千でございます。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
  88. 島田琢郎

    ○島田委員 そうすると、認定患者はその比率においてどれくらいの差が出ますか。
  89. 藍原義邦

    藍原政府委員 単純に比較しますと、雇用人員で約六倍民間におるわけでございますから、千数名を六倍いたしますと、国有林並みの比率で出しますれば六千人余の数字が出てくるのではなかろうかと思います。
  90. 島田琢郎

    ○島田委員 しかし、これは表にあらわれた認定患者の比較ですね。実際はチェーンソー使用者のうち八〇%も九〇%も、症状の軽い重いはあってもかかっている、こういう疑いがあるという民間労働者の実態でございます。それは前段で申し上げたように、自分が白ろう病にかかっている、病気だからと言えば、自分の生活にすぐ響いていく、仕事の場を失ってしまう、こういう状態があるがゆえに、自分の自覚の中では症状としてあるということがわかっていても、それを隠して労働しなければならぬ、こういう人たちもあることは想像にかたくない。恐らく千四百四十八人の数倍、あるいは万単位になるかもしれないぐらいの人たちがこの患者ということになるんではないかと私は思うのです。予防対策としては一日二時間ということを民間にも徹底する、こういうことで行政通達もなされているのでありますけれども、なかなかそれが実施されない。実施の具体的な問題は別に考えなければならないと思うのでありますけれども、大体は、やはり五時間も六時間もチェーンソーを握りっ放しという状態に置かれているのではないか。しかも、それは一日八時間ではなくて、ときによっては九時間も十時間も働かなければ食えない、こういう実態にあると思うのです。さっき言った一日五千八百円やそこらの賃金では、やはり一ヵ月間、年間に働く日数も多くなければ生活ができないということにもなりますし、もうあれやこれや考えますと、とても自分の健康だけ考えてはいられないという実態が民間労働者の間にはたくさんあるのではないか、こういうふうに考えるのです。  こういう実態をまず改善をしていくということ、先ほど改善に鋭意力を入れていきたい、こういう決意が示されていますけれども、長官の決意とはうらはらに、なかなか現場はそうなっていかない。この点の調査も私どもはずいぶん全国各地でやりましたが、まさに私がいま申し上げたような実態になっている。行政通達もいろいろな形で出しているけれども、それもそのとおり守られていかない。重ねて、先ほどの問題やいまの問題も含めて、行政上やはり指導を強化していく必要があると私は思いますが、いかがです。
  91. 藍原義邦

    藍原政府委員 先生指摘のとおり、林業労働に従事される方々が振動病等々にかかられるということは、私どもとしても、決していいことではない、できるだけそういう病気にかからないような仕事をしていただきたいと思っておりますし、また、そういう指導を強化しなければならないということは考えております。特に民有林につきましては、林野庁といたしましては、その予防対策という分を分担いたしておりますので、積極的にその予防対策にかかるべく、いろいろな助成策を講じておるわけでございますけれども国有林等におきまして働いていただいております民間の林業労働者の方々につきましても、さらに指導の強化を今後十分図ってまいりたいというふうに考えております。
  92. 島田琢郎

    ○島田委員 さらに労働災害という問題も一つございますが、直営直用の数倍に達するだろう、こういう死亡事故が、七六年、七七年の二ヵ年でも発生しています。これは労働条件や作業環境の劣悪さというものを裏書きしているとも言えるわけでありますけれども、この点についてはどうですか。
  93. 藍原義邦

    藍原政府委員 請負につきましての国有林におきます災害が、五十一年二十四件、五十二年二十五件というふうに把握いたしております。
  94. 島田琢郎

    ○島田委員 そうでしょう。したがって、労災法というのを適用ということもこれは当然あるわけでありますけれども、しかし、労災法を超える補償金ということになりますと、なかなか支払い能力は持ってない、こういう状態が多いわけであります。労災法を超える企業主としての責任である補償金の支払いというものは、これはいま社会的な動きとして、趨勢上はこの補償金を払うのは当然という方向にあるわけですね。請負業者の責任の重さというものはもちろんでありますけれども、発注者であるところの国や林野庁責任というものも重大だと思うのです。この点も頭に入れながら請負というものを考えていかなくてはいけないわけであります。そんなものを全部不問に付しておいて請負の方がいいんだという議論が先行してくるというのは、私はおかしいと思うのです。そういう労災に基づく補償金の問題だって、あなたの方にやっぱり責任があるのですよ、発注者なんですから。その点はどう指導され、今後どのようにされようと考えていますか。
  95. 藍原義邦

    藍原政府委員 請負をしていただいております企業体を指導することは当然私ども責任でございますし、そういう方々に対してのいろいろな面での指導につきましては今後ともさらに強化を図ってまいりたいというふうに考えております。
  96. 島田琢郎

    ○島田委員 次に、先ほど長官から、雇用の場を拡大しなければならない、地元の産業の振興や住民福祉の向上という、これも国有林の持つ一つの使命でありますから、おっしゃることは当然であります。しかし、それを具体的に進めていこうとすれば、やはり中心になりますのは国有林材の売り払いと雇用の場の提供である。その雇用の問題を考えてまいりますと、単に雇用の場を与えればいいということでは、いま申し上げたような問題を持っております中では事足りないわけです。こういう点を整理しないで、単に雇用の場を拡大する、与えたんだ、こういう考え方で請負というものを考えるとしたら、私は、これは基本的に間違いであると思う。やはりあくまでも直接雇用によって安定的な雇用の機会と世間並みの賃金、労働条件というものを保障していくというのが基本でなければ、国有林使命は果たせないと思うのです。ですから、むしろ積極的に国有林の労働者として国有林で働いてもらうということを考えることが先決なのでありますが、いまの場合はできるだけ切っていって請負にしていこう、こういうことでありますから、私が申し上げていることとはまさに逆行するのであります。  山村は次第に過疎化を強めておりまして、なかなか有能な山林労働者を確保するということはむずかしい、こういう悩みを持っているということも先ほど披瀝がありましたし、私もその点について否定はいたしません。しかし、森林林業経営の基盤である山村の崩壊を食いとめるという努力はやはり現時点でもやらなければいけないわけで、放置しておいて何ぼでも過疎になっていっていいんだということにはならぬわけであります。そういう点から考えますれば、九つの営林署を廃止、統合するというこういう問題を契機にして、いま当該町村から非常に深刻な問題として上がっているのが、やはり過疎という問題であります。営林署がなくなったら町の半分以上がなくなってしまうという深刻な町だってあります。例を挙げれば、長野の妻籠だってそうでありますし、四国の馬路なんかは特にそういう厳しい条件の中に置かれている。いままで国有林を守ってきたという、そういう自負心をこの地元の住民の人たちは強く持っています。国有林労働者でなくたって、国有林とともに生きて、国有林とともに町は進んできた。過疎化に悩みながらも、必死になってその地域を住民の人たちは守ってきた。それを頭から廃止してしまうなんというような考え方が出てくるというのは、私は、あなたがおっしゃっている雇用の場を拡大するという面から言っても、地元の人とともに国有林は進んでいけ、歩んでいくのですという言葉とはうらはらに、まことに長官のおっしゃっているのは矛盾していると思うのです。そのことは、やはりあなたがおっしゃっているならおっしゃっているような対策なり現実対応の姿勢というものがそこになかったら、国有林そのものが一体どうなるのかという点については、私が申し上げるまでもなくこれはもうどんどん疲弊してしまいますよ。単にちょびっと人間を引き揚げるだけで、決して現地には迷惑かけませんとおっしゃったって、そうはなっていかない。そこに危機感を持ってみんなが営林署の統廃合に厳しく反対をしているのであります。雇用の問題というものの基本的な理解の仕方、物の考え方というのが私は間違っているのではないかと思うのですが、どうですか。
  97. 藍原義邦

    藍原政府委員 営林署を統廃合すべくただいま鋭意努力を進めておるわけでございますけれども先生指摘になりました地元の過疎化との問題でございますけれども、雇用の場ということを考えますと、営林署という組織体がございまして、その下にそれぞれ担当区なり事業所が配置されております。営林署の仕事の運営の仕方は、先生十分御存じのように、実際の仕事は事業所なり担当区なりが中心で動いておりまして、営林署はそれを統括管理する管理部門として設置されているわけでございます。今回私ども考えておりますのは、この営林署を一部隣の営林署に合併させるという形でございまして、決して現在ございます営林署事業を閉鎖するということでもございませんし、さらにまた縮小するということを考えているわけではございませんで、これからもその地域におきましてはその地域に合いました造林なり製品事業なりあるいは治山事業等々が行われるわけでございまして、そういう面におきましては従来と何ら変わらない形で国有林運営をしていくつもりでおりますし、また、そういうことによりまして地元の御期待にも十分沿えるような国有林管理経営がなし得ると考えております。
  98. 島田琢郎

    ○島田委員 どこの世界に営林署をなくして事業所を廃止して雇用の場を確保しますということがあるのですか。私はあなたのおっしゃっていることは矛盾だと思っているのです。第一、私は、林野庁の一つの機構といいますか仕組みというのは、非常に民主的な組織だと思っているのです。ほかには余り例がないくらいこの組織というのは非常に民主的だ。林野庁、そして出先の営林局、営林署事業所、こういうふうにずっと系統化されていますね。しかし、問題なのは、そういう民主的組織なのに運用がだめですね。きわめて非民主的なんです。出先の局長にある権限をどんどん林野庁の方に移行して、出先の営林署長の権限も奪っていくというようなやり方です。そもそも営林署なり事業所というものは、住民つまり国民と最も近い、つまり接点におって対話を最も深めることができる、あなたから言えば、林野庁長官の手先、指先みたいなものなんですね。ここを切ってしまって、住民との対話、今日まで国有林と一緒になってがんばってきた地域住民の意見を一体どう吸い上げようとお考えになっているのですか。むしろそういう組織を下へ下へと推し広げていくということがより民主的な——組織は民主的になっているのですから、その機能と運用を民主的にするという意味では、切っていくどころか、むしろ広げていくというぐらいの考え方に立たなければいけないと思うのです。民主的な組織でありながらやり方はきわめて非民主的というのが林野庁体制のいわゆる中身ではないかと思うのです。そういう意味では、九つの営林署を廃止するなどというのはもってのほかだ。だから、わが党はそういう基本的な考え方に立って反対をしているのであります。何でも反対をしているのではないのであります。いかがなんですか。私の考え方間違っているのでしょうか。
  99. 藍原義邦

    藍原政府委員 今回営林署の統廃合を私どもが実行しようといたしておりますのは、国有林の置かれております現在の状況を判断いたしますと、財政的にも非常に厳しい問題がございます。さらには七百五十万ヘクタール余の国有林管理経営する営林署が現在三百五十一あるということで、この三百五十一という数字は、少々の違いはございましても明治あるいは大正時代とほとんど変わらない数字になっております。道路の発達あるいは交通機関の発達、さらには通信機械の発達等々によりまして、それぞれ管理経営をする、統括いたします営林署は必ずしも三百五十一なくてもいいではないかという御意見が非常に多数出ておりますし、また、政府の行政機構改革におきましても営林署の一割統廃合ということが決定されております。そういう両々相まちました観点から、私どもは、できるだけ、近距離にありましてなおかつ管理面積を合併いたしましても営林署としての管理能力が十分達し得るというところ、あるいは同一市町村にあり、そしていま申し上げましたように管轄面積もさほど大きくない、一緒に合併いたしましても管理運営が同時にできるというところを考えまして、今回営林署の統廃合を進めておるわけでございまして、いま先生から御指摘になりましたように、先を切ってしまって機能が麻痺することは毛頭ないというふうに私どもは判断いたしております。
  100. 島田琢郎

    ○島田委員 この間私、名古屋の熱田営林署へ行ってきたのでありますが、ここはなかなか特徴ある営林署であります。これも名古屋の営林局に引き揚げて営林署を事実上廃止する、こういうことであります。先ほど野坂委員からも姫路の問題が出されておりましたけれども、この春には私は長野の妻籠に行ってまいりました。妻籠は妻籠の営林署としての治山事業にかける意気込みを頭の下がるような思いで私は見てきたのであります。四国だってそうだ。青森だって秋田だってそうであります。みんなそれぞれ一つの任務を持っていて、それなりに営林署の存在というものが価値あるものとして住民からも認められてきているのであります。あなたのお考えはあくまでも合理化であって、赤字だから一般会計から何とかひとつ入れてもらいたい、そのためには一割人身御供を出します。こういう約束をしているようでありますけれども、その第一回として九つ、一割といえば三十五でしょう。一年目に九つもやる。そんなペースでいくとしたら十年間に九十になる。大体やり方がむちゃくちゃですよ。それはあくまでも直営慣用という原則、基本をきちっと踏まえていないからそういうことになるわけであります。それでもなおかつ政府はいまの事業実行形態を、よりよい請負、よりよい直営、こういう形で請負制度を導入する、それが競争原理として最高だというふうに考えて強行なさろうとお考えになっているのでしょうか。強行するという構えであるなら、私どもにはそれなりの考え方がありますが、いかがですか。
  101. 藍原義邦

    藍原政府委員 先ほど来申し上げましたように、直営には直営のよさがありまた欠点がある。請負いには請負のよさがあり欠点がある。その両々どちらもその欠点を直しいいものになるような形で直営も進めなければいけませんし、請負も導入しなければいけないというふうに考えております。  そういう点で、お互いに競争し合いながら、どうしても直営としてよりいい形のものにならないという場合には、私どもとしては請負を導入していきたいというふうに考えておりますし、また請負の中にきわめて悪いものがあれば、先ほども申し上げましたように、現在請負を切った例もございますし、そういうふうに請負をやめていただくということも当然あると思います。  そういうように、これからの国有林運営する場合には、請負であれ直営であれ、やはりよいものになるような形に私どもも指導しながら、また民間の企業体も努力していただき、また働いております職員全体がそういう気持ちでやっていくことが必要であろうと私は考えております。
  102. 島田琢郎

    ○島田委員 私は前段で、請負をする場合の問題点を幾つか指摘しながら、そういうものをそのままにしておいて請負制度を導入するなどといったってこれはだめですよということを申し上げたのであります。前国会における芳賀委員の質問に対して長官は、現在は素材生産において大体直営が七七%、請負が二三%、造林の中の地ごしらえを例にとっておられるようでありますけれども直営四六に対して請負五四という比率です。後段であなたは、いまお話をされたような考え方に立って、いろいろといい面、悪い面があるので、悪い面は是正しながらこういう組み合わせでやっていくのだ、こういうふうにいまもおっしゃったし、前の芳賀委員の質問に対してもそのように答えておられるわけです。当分はこの比率を変えない方針でしょう。
  103. 藍原義邦

    藍原政府委員 先ほど申し上げましたように、お互いにその努力をし合いながら、努力をしてもなかなかそのようにならない場合には請負を直営に切りかえるあるいは直営を請負に切りかえるということもあり得ると思いますので、必ずしもこの比率がそのまま将来に向かって継続されるというふうには考えておりません。
  104. 島田琢郎

    ○島田委員 重ねて聞きますが、それでは当分の間——当分の間と言えば二年もあり三年も五年もあるけれども、いまあなたのおっしゃるような考え方に立って、多少の入れかえはあるにしても、大宗、大筋はこういう方針で臨む、こういう考え方だと理解していいですか。
  105. 藍原義邦

    藍原政府委員 そこに現実の実態がございますから、ゼロから一〇〇になるという変え方は当然できないことは先生の御指摘のとおりでございますが、やはり私どもとしては、この十年間に二十年先に国有林収支改善できるという基盤をつくらなければいけません。そのために改善期間中に、その改善の度合いによりましてその辺を十分対応考えていく必要があろうと考えておりますが、改善の進展状況に照らし合わせながらこの辺については十分慎重に対応してまいりたいと思います。
  106. 島田琢郎

    ○島田委員 私としては満足して受けとめないのでありますけれども、時間の関係がございますので、次に進まざるを得ません。  次は、一般会計から特別会計への繰り入れの問題でありますけれども国有林の本来的な使命であります公益的機能の充実強化、これは合意、確認がなされている点であります。それはまさに今日の国民的な最大の課題でもあるというふうに言えると思うのです。ですから、財政事情悪化を理由にした後退や手抜きというものは当然許されない、これはそうですね。
  107. 藍原義邦

    藍原政府委員 私ども国民から負託されまして国有林を預かっておるわけでございますから、活力のあるいい山をつくり上げることが私どもの本来の使命でもございますし、手抜き等は当然許されるべきではないと考えております。
  108. 島田琢郎

    ○島田委員 そこで、これは前国会で石川林政部長から答弁をいただいておるのでございますが、五十二年四月にまた国有林の財産の見直しをやっています。前国会で私の質問に対してお答えになっていた金額というのは、五十一年四月一日の調査でありますけれども、四十兆七千九百十九億、これが公営企業財産である、そのほかに普通財産が五百十六億ほどある、こういう発表でありました。五十二年四月ではどう変わりましたでしょうか。
  109. 藍原義邦

    藍原政府委員 国有林野事業勘定の資産価額は、五十三年三月三十一日現在で四兆九千九百九十二億円余でございます。
  110. 島田琢郎

    ○島田委員 かなり最近の数字ということでありますね。しかし、これは簿価でしょう、時価じゃありませんね。
  111. 藍原義邦

    藍原政府委員 御指摘のとおりでございます。
  112. 島田琢郎

    ○島田委員 これは地方交付金の基礎になる数字だからそういう一つの見方をするわけでありますけれども、本当は時価に見積もって幾らかというのが出てくると、国有林の財産というのがおおよそ国民の皆さんは理解できるわけですね。われわれの持っている財産でも固定資産評価額、こういうことでありますから、これは税金の関係とかいろいろありまして、そういう約束事で評価がなされるわけでありますけれども、時価相場ということになればまた別であります。どれくらいあると推定していますか。
  113. 藍原義邦

    藍原政府委員 ちょっと、いますぐ把握するのはむずかしいと思います。
  114. 島田琢郎

    ○島田委員 石川さん、わかりますか。
  115. 石川弘

    ○石川説明員 立木評価とかそういうものにつきましては、いろいろな時価並みの評価をする手法も全くないわけではございませんけれども、たとえば国有林は、立山の頂上を持っておりますが、こういうものはいわゆる売買の対象ということは全く考えられないものでございますので、私ども普通、いま長官から申し上げました約五兆ぐらいの価額を公にいたしております。特に土地につきましては、国有林の持っておりますところは奥地の水源林の地帯あるいは中央の脊梁山脈地帯というようなところでございまして、現実にそのものを時価として売買するということを考えること自体無理な土地が多うございますので、私どもとすればいわゆる時価換算といったような手法はとっていないわけでございます。
  116. 島田琢郎

    ○島田委員 しかし、簿価計算でも五兆円という大変な財産であります。何も大蔵省に行ってそんなに物おじしたような話をせぬだっていいじゃないですか。こんなにすごい財産を持っている。この財産を管理しているのであります。林政協力費というのは、最近はやっていませんけれども、いままでに一体何ぼくらい協力してきたのでしょうか。
  117. 石川弘

    ○石川説明員 従来一般会計に繰り入れましたようなものあるいは森林開発公団に出資いたしましたようなものを合計いたしま条百二十数億になろうかと思います。
  118. 島田琢郎

    ○島田委員 一千億近い協力をしてきた。緑の効用という面で別な側面から国有林を評価しても、七十三年に公式発表になっているのは十二兆八千億。間違いないですね。ことしあたり見積もり直せば、その後インフレ、つまり石油パニックとか高度経済成長というものをくぐってきましたから、現在時点では緑の効用などというものはさらに大きくなっていますね。こんな点は見積もってみたことはありますか。
  119. 藍原義邦

    藍原政府委員 特に現在時点でどのくらいになるかということは私ども計算いたしておりませんけれども、十二兆八千億よりは相当上回るというふうには考えております。
  120. 島田琢郎

    ○島田委員 さっき言ったようにこんなにインフレになったのです。しかし、公益的機能を持つ国有林でありますから、これは調査してみる必要はありますよ。  五十四年の予算要求というのもかなり思い切っておやりになっているようだから、その要求の姿勢については私はとやかく申し上げません。いま言ったような国有林の持っている財産の問題一つ考えたって、前段でずっと議論をしてまいりました公益的機能、そして国有林の持つこれから果たさなければならない役割り、こういうものを考えますときに、何も憶することはない。大蔵省から銭こを取るときは、私ども応援しますよ。ひとつ胸を張って国有林の問題を——人身御供を出すからこれだけくれなんて、そんなへっぴり腰で物を言わなくたっていいと私は思うのです。  一般公益的事業という問題について、これは前回修正になりました一つの目玉でもあるのでありますが、もう少し聞きたかったのですけれども、時間がなくなりましたから、それはまたあすに譲ります。  そこで財投の問題ですが、これは前国会で角屋委員がかなり細かに質問しております。財投金利が高いではないか。五年据え置きといったって、ことし借りた九百七十億は五十八年から償還しなければなりませんね。しかし、借り入れは十年間続いていくわけであります。そうするとどこかでダブっていきますから、これは赤字国債みたいなもので、しょい切れない状態が出てきたときはどうするかという問題が一つありますから、そういう点を考えますときょうはもう少し議論をしたかったのでありますけれども、最後に端的なお話だけしておきますと、現在の財投金利というのは六・〇五であります。これは公定歩合の引き下げによって〇・四五下がったわけであります。私は、農林省、林野庁を応援する意味で申し上げるのですけれども、これは公庫金融の金利制度の中には三・五%というのもあるのですよ。もちろん金利補給しなければいかぬという問題でありますが、とても六%、それは安いという人もいるかもしれぬけれども、これから相当の借り入れをしていかなければならない、五十四年度は千二百億でしょう。年々ふえていきます。五年たったら支払いをしていかなければならない。金利を安くというのはやはり大事な点なのであります。三分五厘資金を借りるということはなかなかむずかしいのですか。
  121. 石川弘

    ○石川説明員 四十七年に林政審の答申が出ました際に、国有林経営に対する援助の仕方の一つとして、造林につきましてはいま先生が御指摘のいわゆる三分五厘の融資制度が導入できないかということの検討をした時点がございました。御承知のように、たとえば北海道の道有林等の経営につきましても三分五厘資金を活用したということがございまして、一度予算要求の中でそういう姿をとったことがあったわけでございますが、現在の改善計画の中では、融資よりもむしろ手厚い造林補助、保安林でございますけれども、造林補助の姿で国費を入れる要求をいたしたわけでございます。五十四年度につきましてももう少し造林補助の幅を広げました要求をいたしておりますので、いまの私どもの要求のたてまえからいたしますと、これはもしそれに融資をつけるならば補助残融資という形をとらざるを得ない。そうなってまいりますと、実は十ヘクタール以上の大規模層の補助残融資の金利も六・〇五%でございまして、そういう面では民有林対策とは一応つじつまが合っておる形になっておりますが、こういう造林金融の問題としまして、さらに民有林に対する制度ともバランスを見ながら検討していきたいと思っております。現在は、制度上はバランスがとれているということになろうかと思います。
  122. 島田琢郎

    ○島田委員 終わります。
  123. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 新盛辰雄君。
  124. 新盛辰雄

    ○新盛委員 漁業振興に関する一般問題として、とりわけ当面問題になっておりますわが国のカツオ漁業についてこれから質問をしていきたいと思います。  わが国の代表的な漁業であるカツオ・マグロ漁業、往年の面影は全くなくて、オイルショックあるいは二百海里、円高不況等の内外の圧力によって、いまや全くピンチに立っている。とりわけ苦悩しているカツオ漁業について、政府関係者のこれに対する取り組みについてお聞きしたいと思います。  もはや暗中模索と言われている、見通しも立たない、ただ制度金融等で食いつないでいるという現状であります。そうした中で、いまピンチョウ不漁に伴うカツオ豊漁が続いているという反面、円高でかん詰めなど輸出が激減しているという現状なんですが、現在の調整保管事業などを含めて、政府が現状のカツオの認識をどういうふうに持っておるか、まずお聞かせをいただきたいと思います。
  125. 森整治

    ○森(整)政府委員 現在のカツオの需給につきましては、御指摘のようにカツオの豊漁、それから、やはり消費の問題もございましてアメリカの輸出が振わない。それから、内需の問題もあると思います。いろいろそういう事情がございまして、ことしの春、六月ごろまで相当深刻な事態が到来をいたしまして、われわれ商品の開拓につきましてもいろいろな手を打ってまいったわけでございますが、ついに九月十五日から生産調整に踏み切る、これは日本では初めての異例のことでございますが、生産調整の組合をつくって、そこで生産調整を行うということに業界が踏み切り、われわれがそれを支援するという形で現在その実施に入っておるわけでございまして、この措置を通じまして、価格も一ころよりは戻ってまいっておりますし、この推移を見まして、いずれさらに何か打つ手が必要であるという事態になればこれはともかく、現在この調整措置の推移を見守りながら、価格の動向その他のもろもろの事情をにらみながら対応をしてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  126. 新盛辰雄

    ○新盛委員 昨年の水揚げが十六万三千トン。ことしは恐らく四十二万トンから四十三万トン。昨年と比べて二倍半以上になると予測されております。逆に輸出の方では、アメリカを中心にして年間十万トンから十二万トンあったものが、例の円高等によって四万トンから五万トン、まさに半減をするという状況であります。  この実態の中で、いま調整措置を思い切って行うということで、生産調整に法的な拘束力を持たせるための漁業生産調整組合法施行令の一部改正を行って、それによって当座をつないでいこうということのようであります。しかし、現実の問題として、この調整保管事業というのは、いま日鰹連などを含めて政府が行っている金融措置、そのことのみに終わっているように思われるのですが、新しい対応の仕方として、いま長官がおっしゃっているように状況を見てさらに対処したいということなんですけれども、その状況というのはどういうことなんですか。
  127. 森整治

    ○森(整)政府委員 私が申し上げましたのは、需給バランスとして供給過剰な事態に当面をしておる。そこで、価格も相当下落をした。これではたまらないということで、もう少し価格を引き上げたい。それはだんだん上がってきた。どの辺が適当かという問題はいろいろございましょうけれども、その価格の推移を、今回の生産調整の措置をとったことによってどういう価格水準に移行していくだろうかということを私ども静かに見守りたいということを申し上げたわけでございます。これは二月末までに行うわけでございまして、その時点まででどういう効果が出てくるだろうか、そこまで待ってもなお効果が出ない——いま出つつあると思っておりますけれども、出ないという場合には、また次の手を考えるべきであろうというふうに申し上げたわけでございます。  次の手というのは何かということですが、先々いろいろと手の内を見せるということは、需給のバランスの問題、こういう価格問題など業界がからんでいる問題につきましては非常にむずかしい問題でございまして、私どもが確固たる信念をもって、また確固たる態度をもって需給問題の調整に立ち向かうということ自身が非常に効果があるのではないかと私どもは思っておるわけでございます。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
  128. 新盛辰雄

    ○新盛委員 国の補助事業昭和五十一年度から始まって、カツオ、ビンナガ、キハダ、メバチを対象にして、日鰹連が事業主体ということになっているわけです。したがって、十日間休漁体制あるいは最近では三十日、あるいはまた二十二日に決められようとしている六十日休漁という状況が続いているのですが、その後は、次の対応策というのは恐らく減船につながるということになりはしないか、そのことについて明確にお答えをいただきたいと思います。  それで、五十二年度だけでも約五万トン、金額にして二百三十七億の補助、そして今回の休漁補償等については三十四億、政府が日鰹連を通しての補助事業体制として休漁に対する補償を行う、いわゆる金融措置であります。そういう状況がいま出ているわけであります。  こうした中で、次の対応策などと安閑としたことを言っておられるときではないじゃないか。現地の焼津にしても枕崎にしましても、いまやこうした豊漁に伴って、しかも需給の方は輸出のストップあるいはまた国内の需給体制の脆弱な状況の中でカツオは余っている、こういうことなんです。  第一、カツオはどれだけ余っていて、これを国内の需要に回しあるいはまた外国に輸出する、そういう見通しをお立てになっているのですか、どうですか。
  129. 森整治

    ○森(整)政府委員 従来から数字をずっとながめてまいりますと、基本的にカツオ自身の需給は拡大をしながら来ておるという基調にあるわけでございます。それがごく最近何か急に供給過剰ということで、減船ということまでいまお話がございましたけれども、私どもとしては、それは最後の最後の手でございまして、むしろただいまカツオでいろいろ問題になっておりますのは、近海物も遠洋物もありますが、遠洋物のカツオでございます。  そこで、たとえて申しますと、消費の問題も、わりに生で食べるという形態は東日本に偏っておるわけでございます。先生御承知のように、三重とか高知、そういうところを除きましては西日本では生では食べません。むしろかつおぶしみたいな形での需要になっておる。そういう問題を考えますと、まだもっとやり方があるのではないかと私どもは思っておるわけであります。まずともかく需要をもう少し開拓していくということをもっともっとやってみたい、そういう上で供給問題も考えてみたいと思っておるわけでございまして、いま減船などということを私ども考えているわけではございません。これははっきりしておいた方がよろしいと私は思います。  それから需給の問題につきましても、最初に申しましたように三十数万トンの状況にいまございまして、確かに価格を引き締める上に少し供給を調整する必要があると皆判断をいたしておるわけでございまして、私どももその方向で、まさに生産調整に対しまして政府も支援をするという態度をとっております。しかし、一応の生産調整、供給をある程度抑えることによって需給バランスが回復することを期待し、いまそれを待っているということでございます。
  130. 新盛辰雄

    ○新盛委員 いまニュージー沖で操業している遠洋イカとか大型のイカ釣り、これも自主減船をせざるを得ないきのうきょうの段階であります。そういう中で、国内需要不振による原因あるいは円高による輸出ストップ、そしてまたカツオの生産過剰によって魚価が低迷をしている、この現状は、いわゆる二百海時代に対応する漁業行政として政府がすべてその責任を持たざるを得ないではないか。日鰹連にその任務を負わせるとか、あるいは独禁法に触れるからということでいま計画されている漁業生産調整組合法施行令を変えて指定漁業の中に遠洋カツオも入れよう、そして新しく組合をつくって、魚価の問題、あるいは操業における諸条件の問題、あるいは情報の交換、こうした事業を行うための処置を独禁法に触れない程度にやらなければいけない、適用除外にするために苦肉の策をとっておられるようでありますが、現状のカツオ業者に対して、政府は熱心に責任を持って、業界を通じて、日鰹速に対する政府の裏打ちなどということよりも、少し前向きにお取り組みをいただかなければならぬじゃないか。  その第一は、いま余っているカツオ、いま三十数万トンとおっしゃっているのですけれども、昨年七月前後ではキロ当たり三百六十円もしたのです。それがこの六月には、日鰹連が二百三十七円で買い支えておったのですが、もうどうにもならなくなってこれを放出してしまった。結果的には、七月、八月はキロ当たり百六十円台を切る状況までまいりました。いまようやく持ち直して百八十円ないしは百九十円程度に九月ごろでなっているわけです。一航海する遠洋カツオ漁船の収益状態から見ましても、後で具体的に申し上げますけれども、採算はとれないという状況です。余っているカツオをどうするか、そのことについて前向きにお考えになったことがありますか。
  131. 森整治

    ○森(整)政府委員 日鰹連の調整保管、それから政府が助成をいたしております体系の中で、魚価安定基金から金倉を助成しておりますが、そういう日鰹連の調整保管、確かに予算的な枠がございます。そういう関係で、政府が助成している分と、していない分といろいろ複雑にはなっておりますが、いずれにいたしましても、日鰹連が主体になってこの調整保管事業を行っておるわけでございます。  そこで、五十二年度それから五十三年度に入りまして、また約四千トン近くの政府の支援によります調整保管も実施してきたわけでございますが、遺憾ながら価格の買い支えができなかったということで、団体が赤字を出すという結果に相なっておりますが、この過程におきまして、この過程というのは事態が非常に深刻になってきたわけでございまして、その中で一つは、世界食糧計画へのカツオのかん詰めでございますが、それの拠出について外務省にもお話をしまして、これを五十二年実施し、また五十三年も予定していただく。それから開発途上国への商品援助の対象品目にもカツオ・マグロのかん詰めを新たに入れてもらう、その枠を外務省にお願いをいたしまして一応確保しておる。それからまた自衛隊の給食用につきましても、これは自衛隊が強制的にどうするというわけにいかないわけですけれども、私どもから話をしまして、団体が自衛隊の給食用に買ってもらった、数量はわずかでございますが、そういう努力もしてみたわけでございます。いずれにいたしましても、いまたまっておりますものをどういうふうに処理するかということにつきましては、一つは需給の回復によって、基本的にはその需給のバランスを回復していこうということでございますが、いま申し上げましたような形を通じましてもその処理をしてまいろうということで、鋭意努力をしてまいったわけでございます。
  132. 新盛辰雄

    ○新盛委員 今日の過剰生産の原因というのは何であるかということについてお答えもないのですが、私は、最近のカツオ生産調整の面で、カツオ漁船の組織状況あるいはカツオの生産量、輸出入、そうした面から、実はいろいろな角度から調べているのですが、ちなみにいまカツオ漁船の組織状況はどうなっているかということを申し上げておきます。  遠洋カツオさお釣り、これは漁船数二百九十二隻です。そして日鰹連所属が二百四十二隻、その他アウトサイダーといわれているのが五十隻。そして近海カツオのさお釣りが三百六十一隻、日鰹連所属ほ六十隻、そして全近海かつお協議会ですかの中で三百五十隻、その他アウトサイダー五十一隻。そして大中の海外まき網漁船、一番問題になるところでありますが、この漁船が六十八隻ということでありまして、これによってカツオの生産量は遠洋カツオさお釣りで十七万四百十六トンになるのでありますが、近海カツオで十二万二千トン、そして大型まき綱で二万トン、その他の漁業で一万八千トン、こういうことの中でいまの現状としてあるわけでありますが、もともと海外まき網の許可を認めているという、日鰹連の増田会長あたりは、一本釣り資源保護のためにも、そしてこれからの調整を図る面でも、まき網業者に対して協力を求めなければならない。私の要求は海外まき網漁業というのをやめてほしい、あるいはそれができなければ規制をする方途はないかということであります。  その理由は、かつて政府は、マグロ船でありますが、これからカツオ漁船にいわゆる転換奨励を図った時期がありました。そういうような事例もあって、北転船のことなども中にはあるのですが、しかし、結局はカツオの方に許可を与えるということが過当競争に陥ったという原因から今日のこういう状況になったのではないか。したがって、今日の状況の中で、いわゆる資源を確保するためにも、いま豊漁は続いておりますけれども、将来の展望に立って、二百海里時代、ミクロネシアやニューギニア、ソロモンその他各海域で日本の漁船がはじき出されるという状態の中でどうするのかということになれば、海外まき網の一網打尽方式はやめるべきではないか、あるいは規制をすべきではないか、そう思っておるわけです。お考えを聞きたいと思います。
  133. 森整治

    ○森(整)政府委員 いま御指摘になりました南方漁場のまき網漁業のお話でございますが、私どもは、今回の過剰の原因がまき網によって起きたとも思っておりません。原因はむしろ需要の問題と、先ほど申しました、先生も御指摘になったと思いますが、ピンチョウがとれない、カツオに回る、アメリカ自身はカツオがとれる、したがって、日本の輸出が出ない、また円高といういろいろな問題があってのことだと思っております。  そこで、海外まき網の問題につきまして、現在南方漁場におきますまき網船は、許可船が十一隻、調査船が三隻で合計十四隻ということで操業をいたしておるわけでございまして、これにつきましては五十一年で約一万トン、カツオ全体の漁獲量の三%を占めているにすぎないというふうな状況でございます。  そこで、いろいろマグロのはえなわ漁船からの転換があった、そういう問題があるのじゃないかということもお話がございましたけれども、この問題につきましても、四十年代後半においてはかなり見られましたけれども、五十年代に入りましてからはむしろ漸減傾向にあるということでございまして、そういうことからいたしまして全体の状況というのは御理解いただけるのではないだろうかというふうに思っております。  そこで、海外まき網の扱いについてございますが、私どももこれをどんどんふやしていくという方針はとっておりません。現在も、五十二年二月の段階でございますが、通牒によりまして取り扱い方針といたしましてふやさないという方針を打ち出しておるわけでございます。  ただ、そういうことでいまの先生の御質問に対しまして全般的なお答えとしてはいいわけでございますが、一つつけ加えさせていただきますと、まき網というものが海外ではむしろ中心になっておる。それが日本がいろいろ遠慮しておるうちに、たとえばアメリカが南方の水域に出てまいりましてまき網でカツオをとるというようなことも現に傾向としてあるわけでございます。これはよく見守らなければいけないということが一つ。  それからもう一つは、これはいま直ちに私どもも先ほど申しましたような方針を変えるつもりはございませんけれども、一本釣りよりまき網の方がコストが安くてとれてしまうということで、競争力なり対抗力というものが非常に強いということはございます。ただ、伝統的な一本釣りの漁業で成り立ってきておりますカツオの現在の漁業形態を一挙に変えるということは毛頭できません。したがいまして、いままでの方針のもとに注意深くいまのまき網の問題を考えながら、また外国の動きもよく見ながらやってまいらなければいけないのではなかろうかというふうに思っておるわけでございます。
  134. 新盛辰雄

    ○新盛委員 私はいまのお答えでは非常に不満なんです。確かに一本釣りとまき網というのは比較にならないわけでして、この調整ということももちろんこれから行わなければならないでしょうが、将来のカツオ保護政策としてどうするのかという展望がない限り、いま現実措置として十一隻以上はもうふやさないということよりも、これからの政策の中で政府がこの面に対するきちっとした考えを示さない限り、やはり一本釣り業界あるいはまき網業界との間のお互いの話し合い、調整などということはできっこないと思うのです。そのことを申し上げておるのでありますから、ぜひひとつ前向きの姿勢で御検討をいただきたいと思います。  それで、先ほど申し上げましたカツオの過剰になっている部分を、現地の方々と相談してみますと、十万トンぐらいは買い上げたらどうだ。円高でもって、キロ二百円あるいは二百五十円なければ引き合わないということなんですけれども、いま円高で、二百五十円の相場のときと、あるいは二百円で大体なったとして計算をした場合とで、十万トン政府が買い上げるとしても五十億は金が要るのです。だから、そういう面で、二万か三万トンくらいは、こうしてかん詰めの輸出もストップを受けているし、最近の情報によれば、FAOの下部機関であるWFP、世界食糧計画事務局、ここでは五十三年度以降は現物拠出の要請品目からカツオかん詰めを除外する、こういう情報が入っているのです。こういう状況ですから、少なくとも政府が、内需の拡大の一助として、自衛隊あるいは学校の給食、あるいは災害備蓄、あるいは海外援助物質、そういうものに総括的に買い上げて処置をされるべき性質のものではないか、こう言っているわけです。これを買い上げる意思があるのかないのか。外務省来ていらっしゃいますね、後ほどお聞きしますが、海外援助物資の品目の中に入れましたというお答えがさっきありましたが、そのことももちろん大事なことですけれども、政府自体が買い上げることをしなければ当面の解決にはならないのじゃないか、これは率直な市であります。どういうお考えですか。
  135. 森整治

    ○森(整)政府委員 先ほどから申し上げておりますように、需給の回復を図る、そのためにいろいろ調整保管などをやって、それが価格の支えがうまくいかないで団体に赤字を出してしまったということ、それでなおかつ在庫がある、それをどういうふうにするか、こういうことでございますが、私申し上げましたように、基本はやはり需給の回復をどうやるかということで、需要の開拓と、供給を調整する。その前者が消費拡大であり、後者が生産調整に踏み切ったというゆえんのものでございますから、需給が回復すればその在庫がはけるであろうというふうに考えておるわけでございます。ただそれだけでなしに、ほかの手だてとして、いま外務省にもお願いをしていろいろな手を打ったし、自衛隊にもお話をしてお願いをしておるということを申し上げたわけでございます。結局政府が買うか買わないかという問題になりますと、結局政府が買ってそれをどうするかということに相なるわけでございます。ですから、政府が買って海外援助に使う、あるいは政府が買わなくてもそういう枠を設けて海外にはける道を開くということをやっておるわけでございまして、一種の政府買い上げの変型なり、そのものとお考えいただいたらいいのではないだろうかというふうに思っておるわけでございます。  その量につきまして、いま十万トンというふうにお話ございましたけれども、私どもはそういうことを直接政府がやるのはなるたけ避けた方がよろしい、やはり価格というものは非常に微妙なものでございまして、また、ことに魚のようなものにつきましては、できる限り価格そのものの形成を支援していくという形での政府の介入というのを考えた方がよろしいのではないだろうかという立場でございます。
  136. 新盛辰雄

    ○新盛委員 外務省が来ていらっしゃると思いますが、海外援助物資の品目の中に水産物を入れる、それはカツオが入っているわけですか。
  137. 大鷹弘

    ○大鷹説明員 先ほど水産庁長官からもお話がありましたとおり、カツオ・マグロを含めまして、水産物はわが国の経済協力の対象になっております。具体的には、わが国の無償資金協力の対象でございます。
  138. 新盛辰雄

    ○新盛委員 幾らぐらいになるのですか。
  139. 大鷹弘

    ○大鷹説明員 五十二年度におきましては、ザイールの紛争による罹災者に対しまして約四千万円相当のマグロかん詰めを、いわゆる災害援助費の枠の中から支出しております。今年度につきましては、すでに数日前、西サモアに対しまして、カツオ・マグロのかん詰め合わせまして約二億円分を無償で供与することを決定いたしました。そのほかにもなお数ヵ国この種類の援助の要請が来ておりますので、これを検討しております。
  140. 新盛辰雄

    ○新盛委員 将来もこれを継続されるお考えですか。
  141. 大鷹弘

    ○大鷹説明員 将来ももちろんこういう可能性はございます。しかしながら、無償資金協力を含めまして、わが国の経済協力は、相手国の要請に基づいて、これにこたえて供与をするということになっておりますので、今後どういう要請がどのくらいあるかということによるかと思います。
  142. 新盛辰雄

    ○新盛委員 時間がありませんので先を急ぎますが、長官、この生産調整の面でいままで指導してこられていることについてはとやかく申し上げませんが、今度新しく漁業生産調整組合法施行令一部改正によってカツオ一本釣りも入れるということで、新しい組合をつくって、これからの流通増加あるいは需給等について大きな役割りを果たすであろうということなんですが、いま現在休漁している二百五十一隻、これは日鰹連管轄の中である、恐らくアウトサイダーも入っているとは思いますが、九月十五日以降来年の二月何日まで、これは三十四億の政府補償という形で出しておられる。この休漁補償について、政府が調整保管事業というのをおやりになっているわけですが、この枠組みを拡大しなければならぬのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  143. 森整治

    ○森(整)政府委員 ちょっといま先生の御質問の趣旨があれでございますが、生産調整の枠といいますか、先生の御質問が調整保管の枠をもう少し拡大をするという御趣旨であるとすれば、私どもも、確かに現在も、枠をふやしてまいりましたけれども、まだ足りないということで、さらにこれを拡大する方向予算的な要求もいろいろしておるわけでございまして、そういうことは考えてまいりたいというふうに思っております。  それから、生産調整につきましては、低利融資ということを考えておるわけでございまして、御承知のように、九月十五日から、遠洋カツオ釣り漁船が連続して三十日間、帰ってくる場合に、それを係船をして、休漁をそれぞれ順繰りに三十日やっていくということでございますから、それに対します政府の応援の体制といたしまして、その休漁期間中の経営資金について低利融資を行うということで、全体の枠が三十四億ということを予定をして大蔵省と大体話がついておるということでございます。
  144. 新盛辰雄

    ○新盛委員 これからの問題でありますが、いろいろと手だてを考えておられるようですし、冷凍カツオ生産調整緊急対策の特別資金融資などということも検討されているようであります。しかし、こうして枠を拡大していく、将来の段階でも低利融資という形ですが、いまのような状況でいきますと、恐らく漁業者は借りた金を返すことはできないと思うのですよ。どうせ返さなければならない時期が来る。漁業経営安定維持資金という三年の返済期限を持つ金融措置もあります。今度の場合は特別措置です。利子も四分七厘以下でありますか、なっているようであります。これはそれにつないでいくということになるのですが、将来この金も経営が不安定であれば返すことができないというふうに言っているのですよ。返せないものを返せと言ったってしょうがないじゃないか。その措置については政府はお考えがあるかと思いますが、これはどういうふうに処置されるのですか。これは立て直しをしていくために借りるのですから。しかし、やがて、このままずるずるいってどうにも経営が立たないといった場合に、政府として一定の処置をしなければいけないでしょう。どうするのですか。
  145. 森整治

    ○森(整)政府委員 カツオ——マグロもそうでございますが、経営として借入金が非常に多い経営も相当あることは事実でございます。また、経営的に非常に資金繰りに困っておるということも事実だと思います。  そこで、今回のカツオの需給問題、豊漁と在庫がたまったということ、それから価格が下落して経営的に非常にむずかしい事態になった、こういう事態を迎えまして、先生御承知のように、実は燃油資金の貸し付けがございまして、ことしの八月に第一回の償還期が来るものがございます。そこで、第一段といたしましては、実は経営対策として二年間償還延期の措置を図ったわけでございます。なおこの場合に、据え置きの期間も延長をするということで、当面の支払いを後ろへ繰り延べるということをとりあえずとったわけでございます。したがいまして、当面はそういう資金繰りにつきまして御心配は要らないのではないかと思いますが、将来の問題につきましては、ともかく全体のカツオ漁業というものをよくしていくということが基本でございますから、その対策に最大の努力を払ってまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  146. 新盛辰雄

    ○新盛委員 そうしたこれからのカツオ漁業の問題で、すでにいろいろ、いま一千トン以上のカツオ洋上加工船の試験操業という問題も出ているようであります。こうしたことについては、ただ当面的な糊塗的な計画ではなくて、将来展望に生かされて、一本釣り漁業を保護しながら洋上で加工をしていくという、いわゆるメリットの問題として付加価値を拡大をしていくということで御計画をされているのですが、これの展望はいまつけろと言ったってなかなかむずかしいでしょうけれども、将来水産庁としてはこれは指導する方向なのか、これでやってもらいたいという気持ちでおられるのか、その点まだ不明であります。どうですか。
  147. 森整治

    ○森(整)政府委員 洋上処理加工のお話が出されましたけれども、私どもはこういう形も一つの方向であろうというふうに思っておるわけでございまして、そこで試験的に実施をするという方針を決めたわけで、これから実施をしていくわけでございますが、このやり方につきましても実は問題がないわけではないわけでございまして、こういう形のものが実際に市場にどうやって売れていくだろうかという問題もやはり今後大いに開発をしていかなければならない問題だと思います。そういう意味も含めまして試験実施をしていこうということでございますが、別にふらふらしているわけではないので、やはり本腰を入れてこういうことをどんどんやっていきたいというつもりでございます。
  148. 新盛辰雄

    ○新盛委員 そういうようなことの御計画をされているなら、当面こうしてカツオ遠洋漁業者が赤字に悩んでいるこの具体的な数字を参考までに申し上げておきますと、二百九十八トン、約三百トン近くの船でありますが、四十九年九月に建造した船なんですけれども、漁業自営売上高が一億四千万、端数を切り捨てます。これは六航海で年間約六百二十八トンです。満船のときに一航海で百八十八トン、平均が大体百四トンということですが、これのいろいろ雑収入とかあるいは受け入れ補助金とかを入れて一億五千六百万になるのです。ところが、支出の面で、いま労務費、特に原材料、えさとか燃料とか氷代、消耗品、諸雑費、あるいは労務費の中で生産奨励金とかあるいは福利厚生費あるいは保険、租税、こうしたものをずっと差し引きしてまいりますと、結果的には差し引きの方、いわゆる支出の方が一億八千五百万なんです。結局、赤字が二千八百九十万、こういうことでありまして、結果的にはこの場合でもキロ当たりのカツオの値段二百九十六円にならなければ採算とれないのです。  こういう現状でありまして、これはまだたくさんほかにもありますが、時間がありませんので省略をしますけれども、もうどの経営者もどうにもならないのです。だから、金融制度でもってつなぎ資金を、あるいはまた金を返すという段階に来てもなかなか思うようにいかない。これは壊滅的な打撃を受けるわけです。したがって、こうしたことに対して、それは生産者が当然企業を行っているのですからやるべきじゃないかということを言えばそれまでですけれども、現実の先ほどから議論しましたような内容によって出てきた答えでありますので、このことに対してやはり政府としては対策を立てるべきであるというふうに思うのです。もう一回そこのところをお聞かせください。
  149. 森整治

    ○森(整)政府委員 恐らく先生いま御指摘の数字は遠洋カツオの漁船についてのお話だと思いますが、これにつきましては確かにそういう数字よく精査しなければなりませんけれども経営的に非常に苦しいということは私どもも十分承知をいたしておるわけでございまして、ここでひとつ何とかこの危機を乗り切っていくということを考えていかなければいけないということで、一生懸命努力をしておるわけでございますが、よく私どももいろいろ金融機関も動員をいたしまして実情の把握に努めまして、今後の対策につきましても真剣に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  150. 新盛辰雄

    ○新盛委員 次に、入漁料の問題で、もう私は毎回この問題は議論をしております。中川農林大臣ともいろいろ議論をし合いました。そしてまた、最近農林大臣も鹿児島に来られて、例のカツオ漁業の実態にも触れられたわけでありますが、入漁料の問題だけは国庫負担にしてほしい。これは二百海里時代に生まれた一つの新しい課題でもありますし、各国々がそれぞれの設定をし、あるいは技術援助とかあるいはまたそれに伴う入漁料的性格を持つもので、必ず魚の裏返しとしてこうした入漁料という問題を欲しているわけであります。したがって、こういう金は政府が払うべきではないか、漁業経営の中で非常に過大な負担になっているということを申し上げてきたのですけれども、入漁料はコストの一部と見るべきであって、消費者が負担するか生産合理化で埋めるかが筋なんだというふうに農林大臣は言っているのです。コスト負掛に使うことはできないということなんですけれども、いまのこの入漁料問題について何としても不満でならないのは、第一こうした現実の問題として、各国々のこれからの二百海里設定によって生まれてくる関係沿岸国との漁業協議、漁業外交、こうした面で日本の方は後手後手を踏んでいるのですから、当然こうした入漁料を日本の政府が負担をすべきじゃないかということになれば、漁業者、生産者はこれを当然コストとして見るべきものじゃないんだし、消費者にも負担をしてもらうんだということの考え方だけでこれを糊塗されることがいいのかどうかということに問題はつながるわけです。  最近、政府もこのことを非常にお考えになっているのか知りませんが、太平洋漁業振興基金、これは仮称でありましょうが、設立構想を持っておられるようであります。これで入漁料の対策を立てたいというふうに言われておるようでありますが、この入漁料の問題についても国庫助成、そしてまた海外漁業協力財団の補助事業としての充実、そうした面で軽減をさせるとか、いずれにしても漁業者の負担を軽減させるような措置ということについて、ひとつ再度明確にお答えいただきたいと思うのです。
  151. 森整治

    ○森(整)政府委員 先生指摘のように、入漁料の助成ということにつきましては、私ども経営のコストの一部ということで割り切らざるを得ないというふうに思っております。しかしながら、確かにカツオ・マグロ漁業みたいな、何といいますか、非常に漁場が動く、そういう漁業につきまして、ことに最近の南太洋諸国、フォーラム諸国は、次々と独立なり二百海里を引いていく過程でいろいろ対外折衝を行っているわけでございますけれども、これらの国々の特徴というのは、非常に何か入漁料というものを財政の一部、収入の一部にまで考えているのではないかと思われる節があるくらいな、場合によりましては、非常に言葉は悪いかもしれませんが、法外な値段を吹っかけてくる、こういうような傾向もあったわけでございます。それをいろいろなことで下げて妥結をしながらやってきているわけでございますが、私申し上げたいのは、高いか高くないか、適正な価格にそういうものを決めていくということは当然でございますけれども、困ったことには、要するに一括支払い、個々の船からじゃなしに全部まとめて金を払えということがあるわけでございます。それからもう一つは、とれてもとれなくても、入るからには入漁料を払わないと入れてくれない、行かなくてもそれだけはとられちゃうということがあるわけでございます。最近のパプア・ニューギニア、ギルバート、ソロモン、そういう国々といろいろ漁業交渉をやりました結果もそうでございます。たとえばニュージーも、要するに割り当てで入漁料を払え、こういうようなことでございます。そういうところの問題というのは、これはやはり何か仕組みを考えてやらないとなかなかやりにくいという問題がございまして、入漁料がそういう結果過重になる、そういうことにならないような方法を何か考えなければいけないということで、鋭意検討中でございます。近く大蔵省に対して、追加的にこの措置をお願いをしたいというふうに思っております。
  152. 新盛辰雄

    ○新盛委員 大蔵省来ておられるので、そのことについてひとつお答えいただきたいと思うのですが、ここで私提案があるんですけれども、入漁料はいま長官が言っているような各国々との関係もあって非常に状況の把握がむずかしい、こういうことでありますが、当面漁業者のこうした経営不安に対するいわゆる負担軽減ということからいけば、国に全額というわけにはいくまいから、国がこの際五〇%持ってもらって、県と市、それぞれの漁港を持っている個所において二五%、そしてあと残りの二五%を生産者が負担をするというような形をとって、当面の措置としてやる方法はないのか。それが国の補助政策をとれば、非常にこれがまたほかにも拡大をする。これはカツオ・マグロだけじゃない、ほかもあるんだということにつながるんでしょうが、当面措置として、入漁料は全体的な問題でもありますから、いま申し上げたような方向というのはできないものかどうか。これは大蔵が一番金を渋るところでありまして、大蔵の考え方も聞いておきたいと思うのです。どうですか。
  153. 的場順三

    ○的場説明員 入漁料をどうするかという原則的な問題につきましては、先ほど水産庁長官がお答えになりましたように、本来コストとして考えるべき性格のものであろうかと思います。ただ、水産庁からいろいろ工夫をして、追加の要求が出てくるということでございますから、出てまいりました段階で諸般の財政事情、巨額の公債に依存しているという財政事情がございますし、それからどういう施策との差しかえをなさるのか、それから他の施策とのバランス等、いろいろ財政的な面で問題がございますが、真剣に検討いたしたいと思います。  先生指摘の国庫負担の問題につきましては、一つの御意見として承らしていただきます。
  154. 新盛辰雄

    ○新盛委員 もう時間がないので、もっと議論したいのですが、はしょります。  魚価安定、流通、需給、これはすべて魚の関係というのは、先ほどから議論しているようにあるわけです。そこで、水産庁の中に、流通の関係を占める部分は水産流通課というのはあるのですが、この流通過程の近代化を一挙に図る必要があるんじゃないか。この際、政府が指導的な立場で専門的な機関を設けて、流通、需給、価格、これをやはり把握をする。そしてまた、それぞれの業界があるわけですが、その指導的役割りを果たすべきじゃないか。きょうは日鰹連の会長をお呼びして、ぜひその辺のところをお聞きしたがったのですが、最近は政府がそれぞれ業界の後をついて回っているような気がしてならないのです。水産庁が指導すべきものであるのに、何かやはり現地から起こってくる諸問題の解決の処理が、結局政府は後回しになっているというようなきらいがあります。この点について、政府は専門的な機関を設けることを考えているのかどうか、お聞かせをいただきたいと思うのです。それが一つ。時間がありませんから……。  社会保険庁が来ていらっしゃると思いますが、どうも漁業経営者が口にするのは、船員保険料などの財政負担が、先ほど申し上げましたこの支出増の中にあってきわめて経営が苦しくなっている、圧迫されている、こう言っているのです。漁船保険、乗務員厚生年金あるいは船主責任保険、いろいろと保険を払わなければならないわけでありますが、こうしたきわめて苦しい現状であります際に、現状の船員保険というのは、これは法律で決められておりますし、定額方式的なものになっているわけでありますが、こういうものを定率にするなどして財政的な軽減を図る方向で御検討されているのか、あるいはまた現状そのことについてどういうふうに対処されているのか、お聞かせをいただきたいと思うのです。  それで、さっき申し上げたいわゆる流通過程における近代化、これは専門的な機関をつくることによってカツオ業界における実態を把握をして、そして魚価の安定を進める、そしてまた生産者はこれから希望を持って生産ができるというような、そういう仕組みあるいは指導についてぜひひとつ御見解を承っておきたいと思います。
  155. 森整治

    ○森(整)政府委員 最初の専門的な組織というお話でございます。カツオの問題を処理をする、それだけを考えますと、確かに一つの考え方だと思いますが、流通問題なり生産問題なり、それぞれ水産の、魚種なり漁法を通じましてのいろいろな調整等を全般的に考えますと、現在の組織というものも一つの考え方ではなかろうかと思います。  そこで、当面の問題につきましては、現在の組織、機構で関係各界有機的な連携をとって処理をしていく。大変申しわけないのですが、及ばずながら私もこの問題につきましては相当時間をとっておるつもりでございまして、そういうことでともかく鋭意努力をしておるということでひとつ御了解をいただきたいと思います。
  156. 岡光序治

    岡光説明員 船員保険は、先生御承知のとおり、けがや病気をしたという場合の疾病部門と、それから年をとった場合なんかの年金の部門と、それから失業部門、そのほかの部門から成っておりますいわゆる総合保険でございます。先生指摘の国庫補助の定率化の問題は、その疾病部門に対する国庫補助の定率化の問題でございまして、これにつきましては総理大臣の諮問機関であります社会保障制度審議会とかそのほかの関係審議会からもその定率化にするようにという御指摘も受けておりますし、また先生おっしゃいましたようないろいろな現在の業界の背景を踏まえまして関係者からも強く要望されておるところであります。  私ども、この負担の問題になりますので、いま保険料負担というかっこうで船主さんとそれから被保険者の皆さん、保険料負担をしていただいておりますが、そういう負担の能力の判断から、負担能力がどのくらいあるかということから、国もそれに見合って補助をしようではないかということで国庫補助をしておるわけでございます。そういう意味で、一体どの程度保険料負担をしていただければいいのだろうかという基本問題にかかわっておりますので、医療保険の行く末、いろいろいまも社会労働委員会におきまして健康保険、船員保険の一部改正法案の御審議を願っておるわけでございますが、そういう制度の中身の問題とあわせましてその負担の問題、基本問題でございますので、今後とも慎重に検討いたしたいと思っております。  いずれにしましても、関係者のそういう御要望がありますので、私ども、そういう声に十分こたえるように慎重に検討いたしたい、そういうふうに思っております。
  157. 新盛辰雄

    ○新盛委員 これをもって終わりますが、実はきょうの質問もほとんどオーソライズした程度でございますけれども、いま現実非常にピンチに立っておるわけですね。この結果は来月当然何らかの形で出てくると思います。それで、特に日鰹連関係あるいは各業界、まき網業界やあるいは一本釣り業界、そういうような関係者を参考人に呼んでぜひその実態を明らかにしたいと思っておりますので、これはいつの委員会になるかわかりませんが、これは理事会等でも御相談いただくことにしていただきたいと思います。質問はまだこれから継続をしているということで終わりたいと思います。  大変どうもありがとうございました。
  158. 中尾栄一

    中尾委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後一時三十六分休憩      ————◇—————     午後二時三十一分開議
  159. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。武田一夫君。
  160. 武田一夫

    ○武田委員 二、三の質問をいたします。  まず最初に、日中関係の正常化に従いまして、農林水産業関係の今後の中国とのつながりといいますか、交流という問題につきましてお尋ねいたします。  六年越しの懸案であった日中条約が締結された。今後日本と中国との緊密の度合いは一層深まっていくわけでありますが、こういう中におきまして、やはり一番近い国でもございますし、多くの資源も抱えている、広大な土地を持っている中国と日本というものは、農業、漁業、水産というあらゆる面で相当いろいろな角度から今後交流があろうかと思いますが、まず一つは、そうした農林水産業として、今後農林省として中国との交流、貿易が中心になりますでしょうが、そういうものについての将来への見通しといいますか、考えというものをどういうものをお考えになっているか、まずその点ひとつお聞きしたいと思います。
  161. 今井勇

    ○今井政府委員 細部につきましては事務当局から答弁いたさせますが、基本的な考えとしては、日中はきわめて地理的に近い国でもありますし、昔から交流のあったところでございます。不幸にして途中断絶しておりましたが、今回、日中の友好条約が締結されるということでございます。  そこで、中国は農業の振興を国是の一つに掲げておりまして、いま鋭意努力をされておるようであります。また、水産につきましても、わが国と中国との間では、水産の問題につきまして両国政府の間のいろいろな話し合いが毎年行われておることは御案内のとおりであります。  いずれにしても、わが国といたしましては、わが国の足らざるものを補う、また中国の足らざるところをわれわれがこれを補うという相互補完の形で、これからの農林水産業の問題につきましてもさような気持ちでまいりたいと思います。特にわが国にとりましては、最近でもしばしば中国から農業関係者の団体が参っておられます。それらと私どももしばしば会うことがございますが、その中の大きな目的の一つが、日本における米作であるとかあるいはその他の農作物の技術の習得と申しましょうか、それからあるいは農作機械等の日本の発展の見学というものが一つの大きな目的であるようでありまして、こういう意味からも、わが国としましては積極的に御協力を申し上げるべきものは協力を申し上げたい、かように考えております。
  162. 武田一夫

    ○武田委員 ひとつ積極的に進めていくということを政府としても考えていただきたい、こう思います。  次にもう一つ、中国からたくさんの関係者がおいでになっているということでありますが、これからも日本からもたくさんの、特に私は若い後継者の方々を中国に多く出していくということも日中国交の一団の成果をあらしめる一つの大きなかぎではないか、こう思いますが、そういう面につきましてはどういうふうにお考えでございましょうか。
  163. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 ただいま御指摘のございました日中間の技術交流につきましては、先ほども政務次官からお答えいたしましたように、従来から日本側からも技術交流の調査団を派遣いたしており、また中国側からの調査団の受け入れもいたしておるところでございますが、今後とも農林水産業の技術交流というものをますます発展させていかなければならないというふうに考えておるわけでございますが、中でも、ただいま御指摘がありましたような若い人たちが交流し合うということは非常に重要なことであると考えますので、そのような方向につきまして、さらに推進方を検討してみたいと考えております。
  164. 武田一夫

    ○武田委員 それでは、次に進みます。  これは関係当局にひとつお答え願いたいと思いますが、現在日本全国で農用地というのはどのくらいあるものか、ちょっとお聞きします。
  165. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 正確な数字はまた後ほど申し上げますけれども、耕地面積が五十二年の統計で全体が五百五十一万五千ヘクタールでございますが、このうち水田が三百十三万ヘクタール、それから畑地が二百三十八万ヘクタールということになっております。
  166. 武田一夫

    ○武田委員 いま五百五十一万五千ヘクタール。昭和六十年の目標として、これは前にもお聞きしましたけれども、「農産物の需要と生産の長期見通し」の閣議決定の中で、あるいは国土利用計画あるいは三全総の中で五百八十五万ヘクタールが六十年のときの目標である、こういうふうになっておるわけですが、これはいまもそのとおり変わりはないわけですか。
  167. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 ただいまお話がございました長期目標における面積及び三全総等における面積、いずれも五百八十五万ヘクタールで、変わっておりません。
  168. 武田一夫

    ○武田委員 変わっていないとすると、五百八十五万ヘクタールという農用地の目標に向かっていま進んでいるわけです。これは昭和四十七年が五百七十三万ヘクタールあった。その後五十年に五百五十七万ヘクタール。ところが、五十二年度五百五十一万五千というと、また減っているわけですね。こういうふうにいきますと、こういう最終目標への到達というのは相当御苦労なさるのじゃないか。自給率の問題という大きな問題がございます。それを十分満たすだけの目標としてこの五百八十五万ヘクタールというのは考えられているのだと思いますが、いまの調子でいってこのとおりの見通しというものに到達することは可能であるかどうか、その点どうでしょうか。
  169. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 わが国の農業にとって必要な耕地面積の確保でございますが、耕地面積の変化は、実態といたしましては、一方において都市均等の用途に壊廃していく面積と、それから新しく農用地として造成していく面積との相殺になっておるわけでございますが、御指摘のように、ここ数年来耕地面積の減少が続いておることは事実でございます。壊廃面積の方につきましては、特に高度経済成長期を通じて大幅な壊廃があったわけでございますが、その後安定成長期に移るに従いまして壊廃面積も漸次減少をしてまいっております。ただ、拡張面積の方が計画に比べますと伸び悩みの点もございますので、今後この壊廃につきましては土地利用計画に基づきました線引き等の正確な実施、または農地法の適切な運用で壊廃をできるだけ抑えていくとともに、農用地の造成につきましては土地改良長期計画等で目標が示されているわけでございますので、その目標に沿って農用地の造成を進めていくことによってその目標に到達するように努力をいたしたいと考えておるわけでございます。ただ、現実の問題といたしましては、拡張につきましても用地の取得等いろいろ困難な面が多いということも認めざるを得ないと考えております。
  170. 武田一夫

    ○武田委員 そうしますと、やはりつぶれていく方が多くて拡張が非常に進んでいないということですと、都市近郊や都市内にある農地をちょっと考えなくちゃいけないのじゃないか、私はこう思うのですが、政府としては都市農業というものを一体どういうふうに見ているのか、その点ちょっとお聞かせ願いたいと思うのです。
  171. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 わが国の都市農業につきましては、たとえば市街化区域内の農業をとってみますと、野菜ないしは養鶏とかいうものにつきましては約一割程度の比重を占めておることも事実でございます。依然としてわが国の農業の中に占める地位は決して無視することはできない大きさであると考えております。  しかし、市街化区域内の農業用地は、御案内のように、都市計画法等によりまして今後十年間に宅地化すべき場所、都市化すべき地域というふうに定められ、地元の了解も受けてそのような土地利用方向づけをしておる場所でございますから、いま申し上げました都市農業もやはり経過的な存在というふうに考えざるを得ないのではないかと思うわけでございます。土地利用の本来のあり方といたしましては、宅地化すべき場所と定められた地域におきましては、漸次宅地化ないしは都市化していくことはやむを得ないことであると考えておるわけでございます。しかし、先ほど申しましたように、現実におきましてこのような農業としての役割りも担っておることも実態でございますから、現実の農業の役割りを果たすために必要な施策につきましては、たとえば技術の普及指導でありますとか金融的な措置ないしは農産物の流通ということに関しましては、都市農業につきましても十分な手当てが必要であると考えておるわけでございます。
  172. 武田一夫

    ○武田委員 都市農業は非常に大事だと私は思います。この間、宮城県に地震がありましてわれわれも経験したのですが、いざ災害というときに空き地がないことは災害にとっては一つの大きな大事な問題でありまして、そういうところがそういう場合の万一の避難場所になった。また、都会が大きくなりますと、そこに入ってくる生鮮食品、特にいま言いました野菜等を含めて、そういうようなものを多く供給しているのは現実の問題としてあるわけです。東京の場合だと約一割、百万人分くらいの生鮮食品というのは、都市近郊あるいはその都市内の農家が提供している。大阪でもやはり二割がそういう状況だ。われわれが住んでいる仙台でもそれくらいのことはやっているわけでございます。もう一つは、都市の環境整備という問題からいうと、こういう殺伐とした中における土地というものを考えた都市計画というのがいま各地でも考えられているわけです。  そういう意味から、こういう農業を営んでいる方々に対する配慮というのをもっと真剣に考えてあげる必要があるのじゃないかということを痛感するわけですが、その点については農林省としてはどのようにお考えになっているのでしょうか。
  173. 今井勇

    ○今井政府委員 市街化区域の中の農地につきましての考え方は官房長が御答弁申し上げましたが、私どもも市街化区域の中に緑地がなくていいとは毛頭考えておりません。必要な緑地は好ましいものである。したがいまして、都市計画の中でも生産緑地という制度があるわけであります。ある程度まとまって農地が集団化されるならば、それを都市計画の中で緑地として位置づけて温存しようじゃないかということを考えておるのもそのたぐいでございます。しかしながら、いずれにいたしましても、細切れにあるようなもので、とても団地化をしないような農地、そういったものにつきましては都市計画の中に組み入れまして将来とも宅地化されるように考えていくこと、これは市街化区域を決めたときの精神からしてそのとおりであろうと思います。
  174. 武田一夫

    ○武田委員 そうしますと、そういうところの方々には、もしそうだとすれば、それなりの都市計画上の宅地供給という点の相当綿密なる計画に従った実行といいますか、そういうものがなされて当然だと私は思いますけれども、いろいろ聞いてみますと、どうもそうしたことがなされていない。しかも、いま市街化区域内の農地というのは二十三、四万ヘクタールある、こういうふうに言われている、しかも、その中で建設省が考えている第三期の住宅建設五ヵ年計画が五十五年度までの中で見込まれる新規宅地供給面積が六万六千、しかも三大都市圏の場合は八万六千に対して三万三千五百というふうにかなりの農地がこの計画によっても存在するというところをどのように考えて、その点についてどういうふうな配慮をしていくかという問題、それからまた、こういうようなことが、いま三大都市圏だけであるけれども、今度は各市町村に、特にこれからどんどんと人口がふえていくと思われる各地方の都市等に及ぶとするならば、これはまた大変な問題が起こってくるのじゃないか。  こういうようなことを思うにつけても、宅地並み課税の問題については相当慎重な配慮をして、それが即農家の方々を、いわゆる農地を締め出すための、そういう課税対象となる税法なんだというようなことで各地から相当な反対やらあるいは阻止運動などが起こるようなことが今後出てくるとするならば、現在各地に出ているわけですが、これは農家にとっても不幸なことであり、国にとっても大変不幸なことであると思うわけであります。この点についてはっきりした指針、農家の方々が間違いなく納得いくような方向性というものをもう一度きちっと出して、しかるべく了解を得るような方向へいかなければいけないのじゃないか、この点をひとつ十分に配慮していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  175. 今井勇

    ○今井政府委員 お説のとおり、せっかく市街化区域を決めまして、これは今後十年をめどに市街化をするんだというたてまえで決めたわけであります。したがいまして、その間にここに重点的な投資をして市街地を形成しようという意気込みであったことは間違いありません。しかしながら、その後必ずしも思ったほどの大投資が集中的に行われにくかった事情やら、あるいはまた地価というものがなかなか相当な値段でございまして、それで思うほど宅地にならなかったというふうなこともあって、現在、御指摘のようなことになっておると思います。これは計画実施のそごとでも言うべきものでありましょう。したがいまして、市街化区域の中の農民の諸君でも、本当に農業をやろうと思う方にとりまして大変迷惑であることは間違いありません。一方、どうしようかなと思って、何といいましょうか、卑近な言葉で言えば日和見とでも言いましょうか、そういう方もまた市街化区域の中にあったことも間違いないわけでありまして、そこらあたりを踏まえて、今回税制の面からあるいは都市計画の面から市街化の中の農地を見直してみようという空気がありますわけでございます。
  176. 武田一夫

    ○武田委員 いずれにしましても、農業を一生懸命やっていくんだというかたい意思のもとに農業にいそしんでいる方々、そういう方々の意欲をくじくような、そういう考えはひとつ十分に改めながら今後の検討の中で進めていただきたい、こう思います。  時間がないので次の問題に移りますが、生産調整の問題、米の過剰の問題について二、三ちょっと伺います。  実際皮肉なものでして、日本の国はコメと米に——米というのは米国を言うのですけれども、コメと米に相当いじめられておる。一生懸命生産調整をやりまして、過剰米対策として百七十万トン、四十万ヘクタールというものが農家の皆さん方の相当なる熱意によってなされたにもかかわらず、天気がよかった、余りにもよかったということなんでしょうが、作況指数が全国平均一〇七という、北海道に至っては一一七だと聞いておりますけれども、大豊作、そのために当初の一千百七十万トンに抑えようとしていたのが一千二百五十七万五千トンというものが見込まれ、何と八十七万五千トンというのが余っちゃう。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕 トータルすると、来年の秋あたりには六百万トンの過剰米、これは間違いない、こういうことである。しかもまた、ことしは物すごく暑かったとか、あるいは消費量が減っているということで、これまた当初よりも相当見込みが違っている、こういうことで、恐らく関係者は相当なる頭の痛いことである、われわれも非常にこれは問題だ、こう思うわけであります。  最近、六百万トンを上回る古米を抱えるということに対して、これはどう処理するのかということを政府の方でも一生懸命考えている。新聞、テレビ等にも出ておりますけれども、この米の過剰対策、米減らしという、こういう問題についていろいろとうわさされておる中に、どうもことしの目標、三年間は固定すると大臣も国会の場で答弁しているけれども、果たしてそれは間違いなく農林水産省としては全体のそういう心意気というのがそこにあるのかというような疑いの目で、まことにあちらとちらでじっと見ているわけでありますが、大臣がおっしゃったことは間違いないのかともう一回念を押したいと思うのですが、どうでしょうか。
  177. 今井勇

    ○今井政府委員 お言葉でございますが、農政に全体の責任を持つ農林大臣が、しかも国会という厳粛な場所で御答弁申し上げたことが、これが御信頼いただけないというのはまことに残念なことでございます。またここで私が同じことを答弁をいたしますが、おかげさまでことしは大変な豊作でございますけれども、やはりこれから転作というものをやっていかなければなりません。そういうためにも農民諸君の信頼と御協力がなければなりません。しかもまた、朝令暮改をしておったのでは皆さんの御協力は賜れないということでございますので、来年度の転作目標面積を上乗せするような変更は考えておりませんということをはっきり申し上げておきたいと思います。
  178. 武田一夫

    ○武田委員 安心しましたが、ただ新聞等で書くのは、これは新聞がそう書いているんだと言えばそれまででしょうけれども、いろいろ新聞をあちこち見たら、食糧庁が、どうも消費の低迷から、三年間の固定の原則はあるけれども、これは需給計画の見直し等の中でやはり考えなくてはいけないんではないかというようなニュアンスの書き方とか、あるいはまた、ことしは百七十万トンだけれども、これは二百二、三十万トンまで生産調整しなくてはいけないんじゃないかなというようなことがちらちらと出てくるということは、これはまことにもって不謹慎きわまりないことでありまして、大臣がそう言ったって、これは大臣の本音であって、たてまえ云々ということで、どうもずいぶん疑い深くなっているわけですな、いままで言われたことが余りにもそのとおり出てこないものですから。ましてや北海道や青森などでは米の値段を下げるような計画をしているぞなんというようなことが書かれちゃったら、これは大変なショックでもありますし、心配だということを、私は、これは皆さん方に注意を喚起しておきたいとともに、そういうことは全くないんだということも、もしそうであるならばお答え願いたいのですが……。
  179. 今井勇

    ○今井政府委員 先ほど私も申し上げたとおりでございますが、願望として、本年も百七十万トン、四十万ヘクタールに近いものの転作をいたしまして、これをお願いしたところが、皆さんの大変な御協力、御理解を賜りまして、いまのところ一一〇%を上回ります目標達成と申しましょうか、でございます。こういうものがやはり今後も関係者の御理解のもとで引き続き達成目標をはるかに上回ることを希望し、またこれをひとつお願いをするということは、これはやはり当事者としてあってしかるべきことだと思います。  そういう意味でいろいろ発言があったのであろうと思いますが、しかし少なくも事の本質は私が先ほど答弁したとおりでございます。
  180. 武田一夫

    ○武田委員 そのようにひとつ間違いなく、農家の方々が心配しないような方向で検討していただきたいと思うのです。  時間がなくなったので、最後に一つだけお聞きします。  宮城県沖地震がございまして、六月からですからもう五ヵ月になろうとしておりますが、おかげさまで、いろいろと御協力いただきまして着々と復興に向かっておりまして、大変ありがたく思っております。しかしながら、そういう復興の過程の中におきまして、やはり心配といいますか、非常に地域住民の心配の種がまた出ているわけであります。と申しますのは、特に農家の方々の自宅その他のいわば建物がずいぶんやられまして、これは一般の方々もたくさんやられたのでございますが、それでうちを建てなくてはいけない。もう寒くなっちゃってどうしようもないというので、いまやっているわけです。ところが、激甚災の指定を受けた地域はいいんですが、同じく壊れても、指定を受けてない地域の農家の方々は非常に困っているわけです。利子の問題でも、五・〇五が片方は三%、こういう問題ですね。しかも、そういう方々というのは、非常に大変な中でやむを得ずうちを新たに建てるというような人たちなものですから、非常に御苦労している。特に何か考えてあげる方法はないものか、こういう問題が一点です。  それからもう一つは、来年は固定資産税の評価見直しですか、五十四年度というのは固定資産税の基準が見直されるわけです。これは一般の方々もしかり、同じですが、ことし壊れちゃって新しく建てるとなると、税金がまたずいぶん違うわけです。たとえば私が計算したところを一つ例を挙げますと、仙台市の場合ですが、農家の人が五十坪の建物——農家は大体四十坪か五十坪です。いろいろ歩いて聞いてみますと。やはり昔のとおりやりたいと言うんですね。小さくはしたくないんですね。昔四十、五十と大きなものですから、新しく建てるときもそれでいきたい。それで、五十坪の建物、坪三十万として一千五百万、いまの評価が五二%で七百八十万円ですか、その百分の一・四ですから十一万円の固定資産税がかかるわけですが、地震で壊れる前、十年前に家を建てた。十年たっているということにすると、いまの評価が三百六万でしたか、そうするとかかる税金が四万二千円ですか、恐らく四万二千円です。そうすると、引くと六万八千、約七万の違いが来年はもう出てくる。それから、ちょっと考えてみたんですが、サラリーマンなどの場合、三十坪で坪当たり二十五万くらいとして計算してみたんです。大体私たちの相場からいいまして。そうすると、この場合も差し引き計算すると約三万四千くらいは来年は税金が高くなる、こういうように負担が非常に大きくなってしまうんですね。  それで、地震でやられてさんざんの上に、また新しく建てると、いまの評価で来年は多額の税金が取られるとなると踏んだりけったりであるということを考えますと、こういうような場合にはやはり何らかの特例措置、減免措置考えてやらないと大変だ。これで家は建てたんですが、建てている間にこういう問題が出てきまして税金がかなり取られるんだという話になりまして、非常に心配な相談をしているという実態なんですが、この問題につきまして国としましても、地震、台風あるいは火災等々いろいろあると思いますが、やはり特例の措置というものを考えてあげなければいけないのじゃないか、こう思いますが、その点について、まず二点お聞きしたいと思うのです。
  181. 今井勇

    ○今井政府委員 いまの御質問、お気持ちとしてはまことにそのとおりなんですが、いまのは宮城ですから多分これは局地激甚の話だと思いますが、そうでないところとしかるべきところと同じにするわけにはまいらないわけでございます。これだけでひとつ御勘弁賜りたいと思うのです。  あと税制の方は、またこれは自治省の方の問題だと思いますが、われわれとしましても局地激甚におきます補助率の場合と一般の災害の補助率というものが余り画然と差があるのはまずかろうということでだんだんと上げてまいっております。したがいまして、確かに各農家について、じゃ差がないかとおっしゃれば差がありますが、その差が倍、半分であるというようなことは決してありません。たとえば五十二年の発生災害の全国平均で見ましても農地で八九・三%、農用施設で九〇%なんですが、これは全体をひっくるめた場合でございますから、一般の場合としからざる場合で一割も差があるかどうかということであろうと思います。したがいまして、現在あります法、制度を最大限に活用するということでひとつ御了解を賜りたいと思います。
  182. 津田正

    ○津田説明員 固定資産税の関係をお答えいたします。  御承知のとおり、固定資産税は資産価額に応じまして税負担を求めるものでございます。端的に言えば、その家に社長さんが住んでいようと事務員さんが住んでいようと、その資産価値というものに応じて税の負担を求めるわけでございまして、新築に至りましたいろいろな事情というものがあるかと思いますが、このような税の性格上、その資産価値に応じた税負担を求めるというようなことになっておるわけでございます。したがいまして、宮城県沖地震についてのみ特例措置をとることはできないわけでございます。  ただ、先生おっしゃいました点で、いわゆる小規模住宅と申しますか、百平米以下のものにつきましては、御承知のとおり、三年間税額を半分にする、こういう制度がございます。ただ、前段におっしゃいました五十坪というような大きな住宅にはこのような特別措置がないわけでございますが、例のサラリーマンの方々程度でございますと、この三年間半額というような特別措置が適用になる、かように考えております。
  183. 武田一夫

    ○武田委員 こういうような場合、何かと聞くところによると、財政的に余裕があれば市の方でいろいろやる。たとえば酒田なんかの大火の場合にはそういうことをやっていろいろと市民の便を図ったということを聞いているのですが、そういうことはあったわけでしょうか。
  184. 津田正

    ○津田説明員 炎害におきます税の考え方といたしましては、昨年一月一日賦課期日現在にあった建物が地震なり火災等で焼けたというような場合、その年分の固定資産税等は軽減する、それに対しまして特別交付税等で配慮する、こういうようなたてまえになっておるわけでございます。ただ、先生おっしゃいましたいわゆる新築住宅というものについての減免の考え方はございません。
  185. 武田一夫

    ○武田委員 こういう災害の場合を考えて、固定資産税等についてもやはり何か減免措置考えてほしいなという希望が非常に強いわけです。固定資産税について課税の上の特例が二十数項目にわたってあるわけですが、地震などの自然災害の場合にもこのような特例の措置を法定化するような方向というのは検討してもらえないかという要望があるのですが、その点はどうでしょうか。
  186. 津田正

    ○津田説明員 繰り返しになるわけでございますが、当該年度の税負担につきまして負担ができないというような事情につきましては減免措置なり徴収猶予というようなことができるわけでございますが、新たに建ったものにつきましてはその資産価値に応じた固定資産税の負担をいただかなければならない、かように存じます。
  187. 武田一夫

    ○武田委員 非常に冷たいわけですね。  それでは、この問題は後でまたじっくりやりたいと思います。  最後に、過剰米対策ですけれども、やみ米がたくさん出るのじゃないかという心配をしているわけです。現に東京都内ではやみ米を売っていた業者を取り締まって百五十五店だか何か警告したとかというような話が出ておりましたね。これは心配だ、適正な米の流通というものはどうなっているのだというのは一つの大きな課題じゃないかと思うのですが、時間もありませんけれども、その点についてどのような対策、指導をしているか、していこうとしているか、お聞きしたいのです。
  188. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 いわゆるやみ米対策でございますが、流通秩序の維持を図るという点から非常に問題があることは申すまでもないわけでございます。現在の食管法の実態からいたしまして、率直に申し上げまして違反の事実を全部取り締まるというのはなかなか困難な実情にあることも事実でございます。しかし、大量、悪質ないわゆるやみ行為といったようなものにつきましては、国みずからあるいは県を督励いたしまして取り締まりをするということにいたしておるわけでございますが、そのやみ米の発生源をできるだけ断っていくという観点からいたしますと、ことしのように豊作の場合に、買い入れ限度数量は変わらぬわけでございますので、いわゆるやみに回り得る余地が大きくなるわけでございますので、集荷団体を督励いたしまして、いわゆる超過米の全量集荷というようなことに全力を尽くすように努力をしておるわけでございます。自主流通ルートを通じまして一定の流通規制のもとに余裕のある余り米が流れていくというような努力をしておるわけでございます。また、いわゆるやみ行為と言ってもいろいろございますけれども、現在の流通機構におきましてやみ行為を防止できない、小売段階でやみ小売が相当ばっこするというような面があるわけでございますので、正規の登録販売業者のシェアがこれ以上低下しないように、逆に高めていくというような努力も必要だと思います。  そういう意味では、流通機構の中に競争条件等も入れながら集荷、販売努力をするというようなことも必要なことかと思い、現在そういう流通機構の見直しにつきましても検討を進めておるところでございます。
  189. 武田一夫

    ○武田委員 時間が来ましたので、以上で終わります。
  190. 中尾栄一

    中尾委員長 吉浦忠治君。
  191. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 政府は、わが国経済の基調が高度成長から安定成長へ移行するに伴いまして、安定成長期こそ農業再建の好機であると言われてまいりました。けれども、これはあくまでも単なる甘い観測にとどまるものでありまして、政府みずから積極的な再建策を講じようとするものではなかったわけでありまして、それのみか、わが国農業は、長期不況の影響による農外収入の減少、また農畜産物の需要減退という形で苦境へ追いやられているのが現状であります。  また、大規模な第二次減反政策や農畜産物の輸入拡大さえ強行するなど、むしろ政府みずからがわが国農業を大きく荒廃させる政策をとっていることは、間違いない事実でございます。もしも政府が、わが国農林漁業の荒廃する現状をこのまま放置するならば、それは食糧の安全保障並びに自然環境の維持保全に支障を来すなど、国民が生きるための基盤をも崩壊させる結果を招き、その責任はきわめて重大であると言わなければなりません。  ところで、私はこういう現状を踏まえまして、お米の問題を二、三点、それから農林水産省がいま考えていらっしゃる農業の中期計画等についてまずお尋ねをいたしたいと思います。  米は、わが国にとって最適の作物、食糧であります。世界の食糧事情が逼迫すれば逼迫するほど、わが国は米への依存を強めざるを得ないことからしても、第一に、食管制度は堅持されますかどうか。あるいは二重米価の形骸化、米の買い入れ制限はやめなければならないと私は思います。また、強力な第二次減反政策については、農家に過大な犠牲を強要する形で継続実施することをやめなければならないと思っております。そして、米の消費拡大を強力に推進しなければならないと思います。米以外の農畜産物等についてもきめ細かい施策を講じて、農家が安心して生活し得る環境条件を整備すべきだ、こういうふうに思いますが、まず食管制度に対する考え方と、強力な減反政策をなお上乗せされる減反政策をとられるのかどうか、米以外の農畜産物等についての細かい施策はどのようにお考えなのか、以上三点についてお答え願いたいと存じます。
  192. 今井勇

    ○今井政府委員 私から食管制度の基本的な考え方を申し上げまして、あと補足させたいと思いますが、先生御案内のように、食管制度というものは、根幹といいましょうか、一般的定義としては、国民食糧の確保及び国民経済の安定という目的に沿うために必要な政府の食糧管理のあり方を食管制度というのだろうと私は思います。その場合に、米管理の場合の根幹と申しますのは、国民の基本的な食糧であります米、この必要量をどうしても確保し、しかも国民経済の安定を図るために政府が米の需給及び価格を調整をしまして、さらに米の配給について必要な規制を行うことであろうと思います。したがいまして、その精神を今後とも持ち続けてまいらなければならないと思います。  そこで、まず最初の問題でございますが、米の確保の問題につきまして食管制度について二重米価制の話がよく出ます。食管法では、政府の買い入れ価格は、生産費及び物価その他の経済事情を参酌して決めるのだ、米の再生産を確保することを旨とすると書いてございます。また、政府売り渡し価格は、家計費及び物価その他の経済事情を参酌し、消費者の家計を安定せしめることを旨として定めるのだ、こう書いてありますから、一見いかにも二つの価格が別々に決まるようだとおっしゃる方がありますが、しかし、いずれにも後段に、物価その他の経済事情を参酌すべきことを明記されておるわけでございます。この物価その他の経済事情の中には、もちろん生産、流通、消費というふうな過程を経ますいろいろのものがございます。したがいまして、両米価の相互の関連を考慮に入れて決定いたしますことは、食管法の趣旨にもとるものではなくて、いわゆる食管法は二重米価というものを当然の姿として想定しているものではないと思います。特に今日のように食糧の需給事情が非常に緩和をしております場合にはなおさらのことでございまして、私どもはこのような考え方で今後とも食管法の運用を進めてまいりたいと思います。
  193. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 第二点につきましてお答えを申し上げます。  いま米の需要が減退しておるわけでございますが、その中におきましても本年度は作況指数が九月十五日現在で一〇七と、非常に良という作柄でございますけれども、転作営農の安定を図るというような見地からいたしまして、特に本年度の豊作によりまして古米の在庫がふえるからといいまして、来年度の転作等目標面積を上乗せするような変更は考えておりません。この点につきましては大臣もお答えしておりますし、先ほども政務次官からも明確にお答えを申し上げたところでございます。  なお、農林省といたしましては、今後とも米の消費拡大、この面について一層努力しますとともに、本年と同様に関係者の転作推進の努力が引き続き継続されるように理解と協力は求めていきたい、かように考えておるわけでございます。
  194. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 御指摘ございました第三点の、米以外の農産物に対する振興対策考えているかということでございますが、現在の水田利用再編対策におきまして、米の生産を縮小いたしまして、それにかわる転作作物の定着化を進めるための施策を講じておることが明らかに示されておりますように、農林省といたしましては、米以外の農産物についての生産振興について各般の施策を講じておるつもりでございます。  その一つは、生産の基盤におきまして米以外の農産物、畑作物についての畑作生産基盤の整備というようなものに重点を置いておる。それからまた、価格面におきましても、米との相対価格の是正ということを心がけておりまして、昨年、米以外の主な農産物につきまして奨励金を価格に織り込むというようなことで相対価格の是正を図っておるところでございますが、水田利用再編対策におきましても、転作作物の作付に対するいわゆる転換の奨励金というものも出しまして、実質上の相対価格の是正を図る一助にいたしておるところでございます。  また、生産振興面につきましても、従来から畑作物についての生産振興を行ってきたわけでございますが、今後特に重点とすべき畑作物といたしまして、大豆、麦ないしは飼料作物というような作物につきましては、水田利用再編対策の奨励金におきましても特定作物といたしまして単価を引き上げて奨励をするというようなこともいたしておりますし、今後これらの作物が地域の実態に即して総合的に振興できるようないわゆる地域農業再編に必要な生産対策を一層強化してまいりたいというふうに考えておるわけでございまして、これら各般の施策を通じて、米以外の農産物の振興に努力を続けてまいりたいと考えておるわけでございます。
  195. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 続きまして、きのうの参議院の農林水産委員会で大臣がお答えになったようでございますが、農林水産省がお考えの農業の中期計画とも言うべき農政の新しい基本政策を打ち出す方針というふうに伺っておりますが、いわゆる農政審議会等に諮問をするというふうなことを伺っております。これは農産物の過剰やあるいは海外からの自由化要求などでわが国の農業が大きな曲がり角に差しかかっているという点でとらえていらっしゃると思うのですが、この農政を全面的に転換する必要があるというふうに判断されて、どのような政策をお考えなのか、いわゆるその柱になるものをお尋ねいたしたいと思うのです。
  196. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 昨日もお答えいたしましたが、一部新聞に報道されました、農林水産省がいま中期計画をつくっておるということは事実ではございませんで、私どもといたしましていま検討しておりますのは、現在の農業の置かれた条件のもとで長期における農業の姿というものを描いて、それに必要な計画考えていくということでございますが、その場合に、現在ございます六十年の長期目標という内容が、御案内のように、できるだけ国内農産物による自給度を高めていくという目的のもとに各作物ごとの目標をつくっておりますが、六十年の長期目標につきまして、それを作成いたしました時点で比べて農業を取り悉く条件が大きく変わっておりますので、この六十年の長期目標につきましても見直しをする必要があるのではないかということを考えておるということを申し上げておるわけでございます。  現在、検討を始めようとしておる段階でございますので、いまここで将来の新しい長期計画がどういうものであるかということを明確に申し上げることができないわけでございますが、考え方といたしましては、やはり今後日本農業の持つ意味というものを十分発揮できるようにということでございまして、たとえば国の安全保障に必要な国内の農産物による自給度というものをできるだけ確保するための方途なり、ないしは農業の体質を強化するための構造問題を検討いたし、いわゆる将来性のある農家経営の育成を図っていくという問題でありますとか、またはこれらを含めた農村の方向づけというようなことについても考えていく必要があるのではないかというようなことで、できるだけ幅広く将来の農業、農村のあり方についての計画的な展望を持っていきたいということで検討しておるところでございます。
  197. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 いまのお答えの中で細々とした説明がございましたが、私がお尋ねしたいのは、お米をつくり過ぎないようにするための転作を進めるだけでなくて、米価に対する長期的な抑制策をお考えのようでございます。この点が一つ。  それから、土地などに対する生産手段の貸借関係を促して中核農家に集中しようとする少数精鋭の農業を目指そうというふうなお考え方のように受け取っておりますが、この二点について具体的にお答え願いたい。
  198. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 第一点の米価につきましては、現在まだ米価を検討する時期ではございませんので、具体的に米価を抑制するかどうかというようなことを検討しておることはないわけでございます。したがいまして、いま米価についてどうこうということを考えておるということはございません。  それから、二番目のいわゆる少数精鋭の農家に農地を集積させるという考え方につきましては、必ずしも少数精鋭というふうに言っておるわけではございませんけれども、先ほど申しましたように、今後の農業を担っていけるような体質のしっかりした農家を育成していくということになりますと、農業の中核的な担い手となる農家というものを育成していく必要がございますので、このためには従来から農地の利用権の集積というような形を通じまして中核的な農家の育成に努めておるところでございますが、今後ともこういうふうな体質のしっかりした農家をできるだけ数多くつくっていくというための施策を計画的に考える必要があるのではないかということを検討しておるということでございます。
  199. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 農産物の長期需給見通しを立て直すということを伺っておるわけでございますが、いわゆる高度成長の一翼を担ってまいりました農政の憲法と言われるところの農業基本法を改正するお考えのように受け取っておりますが、このとおり受け取ってよろしいかどうか。  また、農業の国際分業的な国内の産業調整などについても長期的なプログラムができているかどうか、その点ちょっとお尋ねをいたします。
  200. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 六十年の長期見通しにつきましては、先ほど申し上げましたように、これを作成いたしました町点とその後の農業をめぐる諸条件が変化をしておりますので、最近の実態に合わせて、現在の六十年の目標でいいかどうかということの検討を始めておるということでございますが、これらの検討を進める過程におきまして、やはり将来における農業、農村の役割りというものをしっかり踏まえていかなければならないというふうに思っております。  そこで、ただいま御指摘がございました基本法に及ぶのかどうかという点につきましては、私ども、農業基本法が掲げております目標なりこの法律の精神というものにつきましては、現在の実態に十分対応できる基本法であるというふうに考えておるわけでございますが、いま申しましたような全体の農業のあり方というものを検討していく過程におきまして、この農業基本法も含めて検討する必要があるだろうということを考えておるわけでございまして、直ちに農業基本法を改正するということを前提として検討しておるわけではございませんが、全体の農業の役割りを検討する過程の中で農業基本法についても含めて検討してまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  201. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 次に、青刈りの点についてお尋ねをいたしたいのですが、これはことしの収穫期の少し前に青田刈りというので一躍有名になりまして、その青刈りの稲が飼料作物として位置づけられまして特定作物奨励金が出されるということで、確かに地域によっては飼料作物として利用されたのがございます。ところが、酪農などが盛んな地域ではそれでもよかったのでありましょうが、うまくいって家畜の敷きわら程度で終わったところもありますし、また多くは刈り捨てたままであるし、あるいは堆肥になったところもあるわけです。いろいろ問題があろうと思います。青刈りは畜産との結合という視点からなされたわけじゃないわけですから、単に目標を消化するためにとられたような点があるわけです。要するに、家畜を飼っていない農家と畜産農家というふうなものがどういうふうに結びつけられてこういう青刈りの奨励をなさったのか。また、技術的にどう飼料化していくという対策もなくて青刈りを勧められたのか。まず、青刈りをお勧めになったその趣旨について先にお尋ねをいたしたい。
  202. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 先生御案内のとおり、水田利用再編対策、これは米の需給事情の均衡化を図るということと、今後増炭の必要な農産物の生産拡大を誘導するというのが大きなねらいでございます。その際に、湿田等の場合に転作作物として何をつくるかという問題が出てまいるわけでございますが、青刈り稲というものも一つの飼料作物ということで、転作をするといいますか、これを利用することが当然考えられるわけです。もちろん、ただいま先生からもございましたような園芸用の敷料というような場合もあろうかと思いますが、主たるものはそういうえさ用ということで考え得るということで考えてみたものでございます。  現実にそれではどういう形でこの青刈り稲というものの転作の場合は指導しておるかということでございますが、畜産との結びつきというものを中心にして申し上げますと、一つは、転作実施農家がみずから家畜を飼っておりまして、その家畜のえさに供するためにやるという場合があると思います。それからまた、転作実施農家は家畜を飼ってはおらないが、家畜飼養農家との間に飼料としての供給契約というものを結ばせる、そういうことで指導しまして、そういうものについて適切な利用計画、これは転作等実施計画というものを農業者が立てることになっておりますから、そういうような適切な利用計画というものに沿いまして青刈り稲の転作をやっているというときに転作奨励金というものを交付するということに考えたわけでございます。  こういうようなことにつきましては当然通達等にも書いてございますが、それだけではということで、ブロック会議なりその他機会あるごとに十分その辺の周知徹底を図ったところでございまして、これを受けまして県なり市町村なり農協というものがそれぞれ家畜との結びつきという点について十分な指導をやってきておる、こういうのが実情でございます。
  203. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 局長、聞いていただきたいのです。  これは私が調べた青田刈りの実例でございますが、最初に植えつけのときに、急に農協等からの指導で、もう終わったころに、苗をかき集めて植えなさいというふうなことでございます。これが第一点ですね。もう苗がなくなったころにかき集めて田植えをした。そして、つくれるものだと思って消毒もし、除草剤もまく、手入れしなければ十分な稲穂は出ないわけですから。それがすくすくとほかの稲と同じように成長して全くりっぱな稲作であったものを直前になって刈り取る。そうしますと、果たしてそのものが飼料作物になるのかどうか、農薬等のついているものをそのまま牛馬等の家畜に食べさせてもいいものかどうか、これは一つ問題がございます。人力の不足なところを、何のためにそういう苗まで集めて急にあわてて田植えをしなければならなかったのかという点で、大変不満がございます。また、ほんの直前、たとえば千葉県の早場米の地帯においてはもう直前のところを刈り取ることになって、それこそわが子の首を刈り取るようなものでございますので大変おさまらない、農民の方々の不満があったわけでございます。そういう点も踏まえて、来年度このようなことがないように、私は十分な指導が行き届いていれが飼料作物として奨励金目当てだけのものには終始しないと思いますが、時間がございませんから、要望だけいたしておきたいと思います。  続きまして、地元の千葉県の夷隅郡大多喜町に起こりましたミョウガの問題でございます。  私がこのミョウガという食べ物が余り好きでないから関心がなかったわけじゃないのですけれども地元に行きましたら、このミョウガの根茎腐敗病というものについて大変悩んでおりました。ことしから十年間にわたる水田利用再編対策が行われておりますし、約一年行いまして、その目標面積は達成はされたものの、十年間実施の初年度としては問題も多過ぎたわけでありますが、集団転作として千葉県夷隅郡大多喜町としてミョウガを奨励してきました。ところが、二、三年たった現在——それは前から植えたものでございます。ことしは大量に植えましたが、その植えた圃場が全滅状態になりました。原因を聞きますと根茎腐敗病というだけであって、原因がわからないので、途方に暮れております。八割から九割方病気にやられているということで、私もその現場を見てびっくりしたわけでございます。  米の転作として奨励する場合に、このような病気の傾向等も含めて指導しなければいけない、こういうふうに思うのですが、この付近の農協並びに試験場等の奨励作物についての営農指導はどのようになされておりますか、まずこの点をお尋ねいたします。
  204. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生からお話ございましたように、千葉県の大多喜町、ここでは四十六年ごろから転作の作物としまして、ただいまお話のございましたミョウガ、これを栽培してまいっております。ところが、四十九年ごろからこの根茎腐敗病というものが出てまいっております。最近も大分、作付面積の五、六割はこの病気で被害が出ておるということを聞いております。  問題は、これの営農指導等を一体どうやっているかということでございますが、この根茎腐敗病という病気につきましては、実は現在のところ、薬剤としまして、これという適確なものが、率直に申しましてございません。したがいまして、このミョウガを転作作物なりとして栽培をします際に、いわゆる耕種的防除と申しましょうか、そういう面で農業改良普及員等が相談に乗ってやってまいっているわけです。この病気の性格からいたしまして、たとえば連作は避ける、それから過湿状態、水気が多うございますと、非常にこの病気が出やすいものでございますから、適切な排水をするとか、あるいは健全な種苗を植えつけるとか、そういうような耕種的な防除と申しますか、そういう面をいろいろ講習会等もやったりして、普及所としては対応してきたわけでございますけれども、ただ先生からもお話がございますように、有効な薬剤としてのものが十分ございませんので、現在におきましても相当被害面積が出ておるということでございます。
  205. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 そこで、この奨励をなさる場合に、病気の傾向というものを指導されませんというと、全く途方に暮れまして、ちょうどミョウガが最盛期、要するに収穫期に入って、あしたとろうというふうな段階になって、茎と根っこのところがぱたんと倒れてしまいまして、ばったりと根と茎のところが根茎腐敗ということで倒れてしまう、これではもう農家はお先真っ暗であります。ですから、このような個々にわたる指導というものが全然農協関係では手が届かない、普及員の方も手が届かないか、奨励はすれどもその指導がないという点で、商品価格からすれば、ちょうどそういうふうな病気が出るために価格は不思議とこれが高値に安定しているという、大量に出回れば安くなるものが、根茎腐敗病が起こっているために、価格が、生産調整みたいな形をとっているというようなことで、皮肉な現象もあるわけです。しかし、生産農家にとっては、これは途方に募れているわけでありますので、農林省等はこれに対する奨励はするが、何の指導もしてくれないという不満が高まっているわけです。個々の問題等について、私は十分な対策をとっていただきたいし、指導していただきたい。いま局長の答弁では、私はわかりますけれども、農家の人々はわからない。どういうふうにすればいいか、菌が水の中を泳いでくるといっても、どういうふうな方法をとればいいかということを私は当局の方からしかるべく手を打ってもらうためにきょうは質問をあえてしているわけでございます。そういうわけですから、よろしくお願いしたい。  ただ、地元に聞きますと、答えていることは、適地適作だからミョウガを奨励しました、こう言うけれども、病気が発生するのも適地である。いいですか、病気も適地か、こういうふうに言われることになってしまいますので、この点を、適地適作ならば病気はこういう点で蔓延するのだ、防止策はこういう手しかないのだ、だから、つくるからにはこういうことを覚悟の上でつくってくださいよということも含めてこれからの奨励はしていただかなければならないと思うのです。こういう点について一言お答え願いたい。
  206. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 大多喜町のミョウガの件につきましては、ただいま申し上げましたようなことで、耕種的な防除法しかございませんが、この面の徹底というものを普及所等を通じてさらにやっていきたいというのが一つ。もう一つは、有効な薬その他耕種的な面についてもさらに有効な手だてはないかということで、これは県の方の試験場の方におきまして五十二年度から研究をやっております。したがいまして、その辺の研究成果というものも踏まえて、さらにこの防除の関係の方の徹底を図っていきたい、こう思っているわけでございます。  なお、一般的に転作作物というものにつきましては、こういうような病気が大いにあり得るというようなことは病害虫防除所等におきましてもあらかじめ県の方で防除指針というものをつくっておりまして、このミョウガの件につきましても、県の方ではそういう防除指針というのに載せておるわけでございます。そういうものを市町村なり農協なり普及所等にもそこから出しているわけでございますが、具体的な農家との対応としては普及員が先頭に立ってやっておるということでございますが、ただいま言いましたように、こういう転作作物にはこういう病気のおそれがあり、それは薬のないものであるとか、これはこういうような薬があるとか、そういう面もきめ細かくさらに私たちも指導してまいりたい、こう思っております。
  207. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 次に移りまして、人災か過剰米殺人かということで問題のありました、去る八月二十三日午後四時三十分、千葉県海上郡海上農協滝郷支所の第四倉庫で発生いたしました、当時同倉庫で新米を収容するために古米の三十キロ入り紙袋を積みかえてスペースをあける作業が行われていたのですが、突然積み上げた米袋が崩れ落ちるということで、千袋、三十トン相当のものが崩れ落ちまして、下敷きになりまして、同農協職員ら二人が死亡し、六人が全身打撲の重傷を負う事件が起こりました。おとといでございますか、十月十六日に現場責任者二人が書類送検というふうな事件に相なっておりますが、この点について二点だけお尋ねをいたしたい。  この積み方に無理があったかどうかという点が一つ、二番目に、米の管理方法を指導すべき監督官庁に手抜かりはなかったかということ、まずこの二点をお尋ねいたします。
  208. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 二点のお尋ねでございますが、便宜、後の問題の方からお答えしたいと思います。  農業倉庫におきます保管につきましては、もちろん政府米は、麦もそうでございますが、寄託をしておるわけでございますが、保管管理につきましては、倉庫業者の自主的な保管管理を基本とするということになっておりますが、特にはい作業、要するに積み上げる作業、はいつけをしたり、はい取りと言っておりまして崩す場合につきましては、安全性の面では、先生御承知のように、労働省所管で労働安全衛生法というのがございまして、その第十四条に定めるところによりまして、都道府県の労働基準局長の免許を受けた者、あるいはまた労働基準局長あるいはその指定する者が行う技能講習を受けた者のうちから、はい作業主任というものを選任して、その指揮のもとに安全性を考えながら作業を行う、こういうことになっておりまして、監督官庁は労働省関係になっておるわけでございます。  食糧庁といたしましては、もちろん寄託管理をしておるという立場で、品質保全とあわせて安全性の確保につきましても倉庫業者の自覚を促すということはいたしておりますけれども、直接的な監督というよりは、民法上の寄託契約の中でそういうことを要請しておる、こういうような関係になっておるわけでございます。  それでは、第一点のお尋ねで、積み方がよかったのか。これは積み方なのか崩し方なのか、この事故の際は両方あると思いますが、一般に米のはい高につきましては、食糧庁といたしましては、紙袋の場合、三十キロでございますが、二十五段を基準としておりますけれども、この際は四十段ぐらい積んだということのようでございますが、ただ二十五段といいますのも、通常の場合、これまでの経験等に照らしてこの程度が一応の基準ということでございますので、積み方いかんによっては、それ以上積むということが必ずしも安全性上問題がすぐ出るということではないというように思っております。  ただ、この場合、私どもの聞くところによりますと、四つ倉庫がございまして、立地条件その他、あるいは倉庫の構造もあったようでございますが、五十一年ごろから四十段ぐらいに積んでおったという実績があって、本年もそのように積んでおったところが、今回新しい今年産米の買い入れに伴って古いやつを積みかえたという際の事故であったわけでございます。他の三つの倉庫は比較的余裕があるというような話もありますので、そういう点からいたしますと、現場に直接入ったわけじゃございませんけれども、もう少し分散して保管をするというようなことも考えてよかったのじゃないかというふうに思います。  現在、倉庫業界の方で、関係業者に、特別にこの事故を契機にいたしまして、米のはいつけの仕方につきまして指導をするというようなことも自主的にやっておるわけでございます。
  209. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 時間になりましたので、これで終わらしていただきます。が、どこででも起こり得る問題でございますので、何も海上郡だけの問題ではございませんので、慎重にこの点の御指導等もよろしくお願いしたい。  以上で終わります。
  210. 中尾栄一

    中尾委員長 油川武一君。
  211. 津川武一

    津川委員 水産庁に、二百海里時代における漁業対策、わけてもイカの対策に対して若干質問してみたいと思います。  オイルショックに続く二百海里時代、日本の漁業には幾つかの困難が起きてきております。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕  そこで、私たち共産党では、問題解決の一つとして、日本の二百海里内の漁業を重視し、そこで漁業の再建と発展を図ることを昨年早々政府にも申し入れ、提案もしております。  そこで、イカについて言えば、あのオイルショック前のとれれば売れる、とれれば高くなって売れる、装備も改善して大型化した、こうして非常に漁船が多くなったわけでございます。ところが、二百海里時代になって大切な漁場の幾分かから締め出されてしまった。その上今度はイカの不漁ときて、関係漁民はいま非常に困り抜いております。二百海里自由な時代でも、イカの漁がよかったときでも、イカの値段がよかったときでも、困難に包まれてしまったいまも漁船数は変わっておりません。小型が三万隻、中型二千三百余隻、大型二百十二隻、漁船は相変わらずあるが、とるイカの漁場が少なくなった、とるイカがまた少なくなったという状態になってまいりました。  そこで、石川県の中型漁船漁業の皆さんが自主生産調整を考えて、つまり減船したらというので水産庁にお願いにも行ったことがありますし、八戸あたりの中型では、漁期を短縮してみて資源と漁業経営を守ろうというような自主的な案を出してきております。これは非常に大事なことですが、漁業と経営の実態からいって、自主的な動きだけでは効果は余り期待できなく、その実施もかなり困難視されております。  そこで、お尋ねでございます。二百海里内外のこのイカの漁業をどのようにして守って育てていくのか、これが一つ。それから、漁民の考えておる自主調整、これは何らか手を貸せばあるいはいけるんじゃないかと思うのですが、自主調整や漁期の短縮などに対して水産庁の指導方針がありましたら聞かしていただきたいと思うわけであります。
  212. 恩田幸雄

    ○恩田政府委員 わが国周辺におきますイカの問題でございますが、わが国の沖合いにおきます沿岸周辺のイカは、大きく分けましてスルメイカとアカイカ、これが主なものでございます。あとはその他イカということでございます。  このスルメイカの資源につきまして、最近資源状態が低い水準になりつつあるということは、先生指摘のとおりでございます。ただ、このスルメイカにつきましてはあくまでも一年生でございまして、一年で生まれて産卵をして死んでしまう、こういうような状況でございますので、比較的自然的条件に左右されやすい、こういうようなことが全般的に言われるわけでございます。ただ、そういう自然変動の中である程度その資源を有効に利用するためには、余り小さなものをとらないとか、あるいは経営の面からいってむだな光力を使用しないとか、そういうようなことが必要になってくるだろうというふうに考えております。  私どもといたしましては、先ほど御指摘のありましたように、各地から光力制限あるいは禁止期間の延長についていろいろお話がございました。ただ、いずれにいたしましても、それぞれ問題のある問題でございます。たとえて申し上げますと、期間の問題につきましては、現在三月、四月を禁漁にいたしております。三十トン以上の船のみでございますが。この場合も、これをさらに延長いたしますと、早くとりたい南の方のいわゆる西日本の漁業者にとっては、五月まで禁漁されることはやはり相当な影響があるということもございますし、さらに光力につきましては、現在それぞれ民間で自主的に適当な数値をお決めいただいて、これを守っていただくように指導しておられるようでございますが、現実の問題からまいりますと、やはりそれ以上の光力を使ってむだに石油をたき、あるいは必要以上に光度を上げて電気をむだに使っている。こういうような事実もございます。  私どもといたしましては、やはり有効利用なり経営の健全化という面から、資源の問題はさておきまして、そういう二つの面から、現在関係の業界と禁止期間の延長の問題についていろいろ打ち合わせをやっておりまして、来月ぐらいに協議会のようなかっこうで正式なものを持ちたいと思っております。もちろんその際にも、光力規制の問題についても一応問題として挙げまして、十分審議いたしたいと考えておる次第でございます。
  213. 津川武一

    津川委員 自主減船についても大分話になっているのですが、業界のそれぞれのあれがありましてなかなかできないので、やはり水産庁として何らかの糸を引いてあげなければならぬと思うのですが、この点重ねて答弁してもいいし、また要求して進めていきます。  そこでもう一つは、先ほどちょっと触れたかもわかりませんが、漁業経費を少し節約する、石油資源の節約という二つの意味も兼ねて、日本海側の漁民からも太平洋岸側の漁民からも、集魚灯の規制が問題になってきているのです。集魚灯は昔、たいまつのときといまみたいにキロ数の大きい電灯を使ってみても、余り効力に差がないんじゃないか。いまの何かもっと小さいキロ数の電灯でも十分用を足すのに、漁船間の競争でいまみたいに大きくなってしまって、漁業者同士の自主規制があるが、なかなかこれも守れない。大きな灯をつけてむだなことをしているのが実態になっております。水産庁としてもここに何か乗り出して、経費節約と石油資源の節約の意味も兼ねて、集魚灯の現在のキロ数をもう少し落とす、そこで皆さんが守れるように指導していただけないか。漁業者自身では手余ししている、それでやってみても皆さん方競争やって破るのが出てくる。そこらぜひ欲しいというのですが、いかがでございます。
  214. 恩田幸雄

    ○恩田政府委員 光力の問題につきましては、五十年に中型イカ釣り業界につきましても大型イカ釣り業界におきましても、光力の自主規制を決定いたしたわけでございます。ただ、私ども光力の問題についての一番の問題点は、イカの場合にはやはり明るい光力を使っておりますと、そちらの方に魚をとられてしまう、こういうことが一番の原因でございまして、これが過当競争なり浪費を招いている原因であろうと思っております。ただ問題は、洋上で発電機を回して光をつけるわけでございまして、私ども従来サンマにおきましては制度的に発電機の容量を定めたりあるいは電気の数を決めたりして実施いたしておるわけでございますが、これについても洋上での取り締まりというものがなかなかむずかしい困難な点がございまして、やはりあくまでも漁業者の自主的なそういう遵守精神といいますか、自分らの決めたことあるいは法規をきちんと守っていただくという、そういう精神が徹底いたしませんと、なかなか十分なかっこうでの実施がむずかしいと考えております。  特にイカにつきましてはサンマと違いまして、さらに小型船から大型船まで、先生御承知のとおりあるわけでございまして、この間の格差の問題等もございますので、私どももこれを水産庁の規定として規制することも一つだとは思いますが、やはり私たちも入りまして十分御指導申し上げながら、守り得るんだという気持ちになっていただかないと何にもならない問題だと思いますので、いろいろな機会をとらえ、また、そのための会合もできるだけ持つようにいたしまして、御指摘のような方向で指導したいと考えております。
  215. 津川武一

    津川委員 集魚灯の大きさの点で一番いま被害を受けているのは小型の船ですね、三万隻ばかりある。この小型の中で十トン未満のイカ釣り漁船で働いている家族の労働者、日雇いの漁業労働者、これは十トン未満では海員共済保険の対象にならないし、また五人未満だと雇用保険の対象にもならない。ところが、実際ここでこの間問題を起こした自衛艦と衝突した喜代丸でも、実際出ているのは四人乗っているのです。家族三人、雇い人一人。こういう人たちがかなり多いのですね。しかも、この人たちは、いま話したとおり三月と四月は魚をとっていないが、実際上は自主規制されて二月と六月、七月とはとっていないことがある。実際に働いているのは一年に八ヵ月ないし七ヵ月なんです。そうすると、あと四ヵ月、五ヵ月というのはおかに上がってしまう。このときに雇用保険が欲しいというのです。ところが、雇い人は自分の家族、息子だとか臨時雇いがたくさんある。しかし、実際に失業している。ここに何か雇用保険の道が、あの五十日の短いものでもいいから開かれれば非常に生活が安定する。自分たちで何かしてみたい、何かしてほしい、この施策を労働省でつくってもらえるかどうか、労働省でひとつ立案してみてくれないかというわけであります。労働省おいでになっていたらひとつお願いします。
  216. 川上忠憲

    ○川上説明員 先生御案内のとおり、雇用保険におきましては、五人未満の農林水産の事業につきましては強制適用ではなくて任意適用という形をとっておるわけでございます。ただ、私どもの聞いておりますところでは、先生いまお話にもございましたが、小型のイカ釣り漁船の場合は、家族従業者あるいは共同経営というような形のものがほとんどのようでございます。そういたしますと、雇用保険は継続的な雇用関係を前提とする保険でもございますので、多くの場合適用の余地はむずかしい、適用は困難だ、こういうことになろうかと存ずるわけでございます。また、ある季節だけに限って事業を行っております場合にも保険の適用が一般的に困難だという状況もございます。  農林水産一般につきましては、事業場の把握が困難でございますとか、あるいは雇用関係あるいは賃金の支払い形態、こういったものが非常にはっきりしないというような問題もございまして、現在強制適用の対象になっておらないわけでございますが、そういう実態が引き続き存在するという状況でございますので、雇用関係にない方、これは私どもちょっと対象といたしかねますが、雇用関係にある方についてどうかというお尋ねでございますとすれば、その点については今後なおこういう実態を見ながら検討していきたい。ただ、現在の段階におきましては、いま申し上げましたような状態でございますので、保険の対象とすることは非常に困難ではないかというふうに考えるわけでございます。
  217. 津川武一

    津川委員 そういう雇用関係にある人も出てくるので、やはり救済の道を労働省として探求して追求していくことを強く要望して、質問を次に移らせていただきます。  問題は、この間も話になりましたイカ釣りの安全操業の立場からでございますが、九月二十日、自衛艦「うみたか」とイカ釣り漁船喜代丸が衝突して、船主が死亡し、イカ釣り漁船が大破した件について重ねて尋ねてみます。  まず第一に、水産庁に。漁船のこの場合の安全操業について何らか方針があれば聞かしてほしい。またさらに、あの事件当時、現場にイカ釣り漁船が何隻どのような配置で漁場に向かっておったのか、この二点をお知らせしていただきます。
  218. 恩田幸雄

    ○恩田政府委員 私ども常々漁業操業におきます安全性の確保につきましては、機会を見つけていろいろ各県水産当局に対しまして漁民を十分指導するよう指示しているところでございます。今回もこの事件の発生後、これについて安全性、特に安全操業に配意するように一応連絡をとっております。  なお、九月二十日の事件でございますが、私どもが県から伺っているところでございますと、下前漁港から五十隻、それから小泊漁港から四十隻、計九十隻程度の小型船が、千メートルないし二千メートルの間隔を保ちながら、数隻のグループ、あるいは単船のものもあるようでございますが、グループをつくって、主漁場でございます小島付近の通称鮫場と申しております漁場へ向けて出港したようでございます。  そのときの状況、特に事件の起きました喜代丸を中心とした船の配置について申し上げますと、まず第一番目に、十数隻のイカ釣り船が先頭を走っておりまして、この船につきましては自衛艦の第一番艦でございます「くまたか」の前方を通過しております。それから次に走っておりました七、八隻の漁船につきましては三番艦でございます「うみたか」の前方あるいは後方を通過したというふうに伺っております。それで、喜代丸につきましては第三グループとして、喜代丸とほか二隻、計三隻でございますが、走っておりまして、これが自衛艦「うみたか」の前方を通過しようとして「うみたか」と喜代丸が衝突した、このように県から報告を受けております。
  219. 津川武一

    津川委員 事件現場には約九十隻の小型漁船がおった、こういうところに自衛艦が四隻、何と言うのですか、はまり込んでくる、ここに問題があるわけです。これは後でまた水産庁にお尋ねすることがありますが、このことについて海上保安庁にお尋ねする。  自衛隊の一番艦も二番艦も事故なくイカ釣り漁船と交差して行き過ぎておる。そこで、一番艦が実際通過したときに、右側に幾隻の漁船をどの距離に見ておったのか、左側に幾隻の漁船をどのように見ておって、その間を一番艦がどのように通過しているか、これは無事故で通過しているのです。二番艦が通過したときも視界がよく見えるときだし、そこに九十隻ぐらいの集団の船がおるわけです。そのとき二番艦が右側に何隻の漁船を見て、左側に何隻の漁船を見て、どのぐらいの距離で見ておって、そこをどう通過して事なきを得たか。そうすれば、三番艦の「うみたか」にどんな問題があったかきわめて明らかになる。一番艦、二番艦と同じような形での態度をとり得たならばということなんで、そこであえてお尋ねするわけですが、この一番艦と二番艦の、いま私が申し上げたような漁船との関係を海上保安庁ひとつ教えていただきたいと思います。
  220. 山本直巳

    ○山本説明員 お答えいたします。  まだ現在捜査中でございまして細部についてはわかっていない、あるいは若干意見の違うところがございます。いま水産庁からお話のありました点、若干補足するという内容になると思います。  まず、一番初めの「くまたか」など四隻が約三千メートルの間隔を置いて縦に並んで走っていたわけですけれども、その前方約一海里のところを十数隻が走っておりました。それからもう一つ、「うみたか」の前後のお話につきまして、これが一番関係がありまして、私どもとしては注意をして調べておるところでございますけれども、その前方約千メートルのところを二隻が左側から右に通過した。それから後方、これも約千メートルを五、六隻が同じく左から右に通過した、いまのところそういうことでございます。
  221. 津川武一

    津川委員 後でまた私も伺いに行きますが、できるならばそれを海図かなんかにしていただければありがたいと思います。これはもう答弁いただきません。  その次の問題ですが、この自衛艦とイカ釣り漁船、集団で通過しているわけであって、海上衝突予防法からいけば自衛艦の横切りの関係であり、漁船群団が進路保持船、自衛艦が避航船という関係も出ておったかと思います。そこで、九月二十七日の当委員会で私の質問に対しての防衛庁防衛局運用課長の児玉良雄説明員が「訓練海面の設定につきまして、船舶の航行の状態であるとか漁業の実態、漁期であるとか漁獲海域であるとかいうようなものは常々調査しておりまして、漁業、船舶の航行と自衛隊の訓練が相互に成り立つように場所を選定して実施しているつもりでおります。」と述べているのです。ところが、皆さんの自衛隊が四隻でこの九十隻の集団の中にぶち込んじゃった。  そこで、防衛庁にお尋ねします。小泊下前のイカ釣り漁船が、イカ釣りは夜操業するために、午後の三時ごろ出港して松前の小島付近の漁場に向かう、このことを十分覚えておったのか。したがって、ここを通過するときには十分気をつけなきゃならない、こういう状態にあるのです。九十隻がこんな形で行くのを覚えておったのかどうか。覚えておったとすれば、どんな注意をこの自衛艦に与えておったか。この点明らかにしていただきたいのです。
  222. 児玉良雄

    ○児玉説明員 お答えいたします。  九月二十日に起こりました事故の件につきまして、先般先生の御質問に対しまして、訓練海面の設定については、漁期であるとか漁業の操業の状況であるとかいうのを調査の上選定しているというふうにお答えいたしましたが、今回についても訓練の海面の設定については同様でございまして、当日、青森県方面の漁業者がイカ漁業のために松前の方面に出漁するということは承知の上でございまして、訓練からの帰途、港に帰る途中、これは通常の航行でございますので、そういう漁船との関係は十分注意して帰港中でございました。しかし、遺憾ながらこのような事故になったと思っております。
  223. 津川武一

    津川委員 訓練場所は防衛庁から知らせてもらっている。ところが問題は、訓練場所ではないんです。九十隻が行くときの時間もわかっている、三時から四時。ここのところへあなたたちが航行してきたんです。こういうことなんです。訓練のところはおっかないから行きませんよ。あそこでは事故は起きませんよ。予防するとすれば、ここのところを避けなければならない。したがって、自衛艦に、ここのところをこの時間にこれだけ通るということを教えてあったかということです。どうです。
  224. 児玉良雄

    ○児玉説明員 お答えいたします。  一般的には先ほど申し上げたようなことでございまして、当時イカの漁期であること、その漁場がどの辺であるということは十分部隊の方では調査をしておりまして、そのことを勘案した上で訓練をしたわけでございます。その後、訓練が終わってからの航行は、海上衝突予防法その他の法規にのっとって航行するわけでございます。先生指摘のようなことについては部隊としても十分注意をしておったものと承知しております。
  225. 津川武一

    津川委員 自衛艦としてはこの状態を覚えておった、あえてそこに入った、こう言っていいですか。もう一度。
  226. 児玉良雄

    ○児玉説明員 出漁する漁船と航行する海面が競合するようなケースもあり得るということで十分注意をしておったということで、あえて入ったとか、そういうことではないと考えております。
  227. 津川武一

    津川委員 これはまた後でもう少し議論してみたいと思いますので、この点はきょうは終わります。  そこで、海上保安庁に聞きますが、次の日の二十一日の射撃訓練は官報に出ています。それを海上保安庁は見て知っておりますかどうか。見ておってどんな処置をとったか、これをお知らせ願います。
  228. 進士晃

    ○進士説明員 お答えいたします。  九月二十一日の訓練につきましては防衛庁から連絡をちょうだいいたしまして、当方の水路通報業務といたしまして無線電信、印刷物、ラジオ等によって周知方を取り計らっております。
  229. 津川武一

    津川委員 もう一つ海上保安庁に。二十一日はそれでよろしい。事故が起きたのは二十日の自衛艦の演習ですが、演習場への往復の航路、自衛艦の泊地など知っておったでしょうか、知らなかったでしょうか。知っておったとすればどのように処置したか、これを伺います。
  230. 進士晃

    ○進士説明員 お答えいたします。  いま先生が御質問なさいました二十日の事故につきましては、私どもは連絡は受けておりません。
  231. 津川武一

    津川委員 もう一つ海上保安庁にお伺いします。実際にぶつかったのは四百四十トンの鋼鉄の自衛艦、壊された方は九・六トンの木造の漁船。そこで、この「うみたか」と喜代丸を離れて、四百四十トンの鋼船が九・六トンの木造船とぶつかったときに、高速度で行った場合に、横からぶつかっているから、この際、小船の木造船は引っくり返るのか、下にもぐっていくのか、割れるのか、これが一つ。これは専門家である皆さんの常識からお答え願いたい。  もう一つ、四百四十トンの鋼船が低速度で行って木造船にぶつかったときに、これが引っくり返るのか、下の方にのめるのか、壊れるのか、ここいらの、専門的な皆さんの御見解があったら伺わしていただきます。
  232. 山本直巳

    ○山本説明員 お答えいたします。  いまの衝突時のひっくり返る、あるいは今度の場合分断されたわけでございますけれども、そういう問題につきまして、まず一般論をちょっとお話し申し上げたいと思います。  実は私どもそういう形の統計はとっておりませんで、手元の数字をごく洗ったわけでございますけれども、五十一年度以降今日までで、そういう転覆したものはおおむね十六件、それから、ぶつかったことによりまして船体が分解したもの、これは六件程度でございます。ただ、これは手元にあるものから拾ったものでございますので、全部というわけではございません。  それで、今回の場合どうだということにつきましては、まさにいま言ったぶつかったスピード、あるいはその角度、それから当時のぶつかり方、というのは、相手の船の状態によっても、先がとんがっているとかいろいろな場合によって違いますので、それについては現在捜査中でございます。  一等初め申し上げましたのは、一般論でございます。
  233. 津川武一

    津川委員 そこで、自衛艦の方はスピードを落としたとか、エンジンをとめたとか言っているのです。ところが問題は、あのとおり船主が死んで、もののみごとに木は切断されているという大破壊なんです。したがって、事態をきわめる上には専門的な工学的な知識が必要だと思うのです。したがって、これはそういう専門的な学者に鑑定的な調査を依頼してみる必要があると思いますが、ここいらは海上保安庁、どう扱っているでしょうか。
  234. 山本直巳

    ○山本説明員 お答えいたします。  海難事件につきまして、私ども特殊の場合につきまして外部に鑑定依頼することはございます。ただ、これはいろいろそれまでの捜査過程においてどうしてもわからない、どうしてもそれをやらなければほかの方法ではだめだという場合にやるわけでございます。いまの段階では、まだそれをやらなければだめだというような——まだほかの捜査が済んでおりませんので、それの状況を見まして、必要があればやることを含めて検討する、そういうことでございます。
  235. 津川武一

    津川委員 防衛庁にもう少し二、三問質問したいのですが、時間が来ましたので、また次回にさせていただきます。  これで終わります。
  236. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 次回は、明十九日木曜日午前十時委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時二十三分散会