-
-
○木村
委員長 これより会議を開きます。
まず、
請願の審査を行います。
請願日程第一から第四一九までを一括して議題といたします。
まず、審査の方法についてお諮りいたします。
各
請願の内容については、文書表等ですでに御承知のことでありますし、また、
理事会で慎重に御検討を願いましたので、各
請願については
紹介議員の説明等はこの際省略し、直ちに採否の決定に入りたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
-
○木村
委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
これより採決いたします。
本日の
請願日程中、第一四八、第二五〇、第三二三ないし第三三八、第四〇二ないし第四
一三、以上の各
請願は、いずれも採択の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
-
○木村
委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
なお、残余の
請願は、いずれも採否の決定を保留いたしたいと存じますので、御了承願います。
この際、お諮りいたします。
ただいま議決いたしました各
請願に関する委員会報告書の作成等につきましては、
委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
-
○木村
委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
—————————————
〔報告書は附録に掲載〕
—————————————
-
○木村
委員長 今国会におきまして、本委員会に参考のため送付されました陳情書は、お手元に配付いたしてありますとおり、地方行財政の改革に関する陳情書外四件であります。念のため御報告申し上げます。
————◇—————
-
○木村
委員長 次に、閉会中審査申し出の件についてお諮りいたします。
第八十回国会提出
小川新一郎君外一名提出に係る人口急増地域対策等特別措置法案
小川新一郎君外三名提出に係る公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案
及び
小川新一郎君外三名提出に係る
国と地方公共団体との財政上の負担関係の健全化に関する法律案
第八十四回国会提出
細谷治嘉君外六名提出に係る
地方公共団体に対する臨時雇用創出交付金の交付に関する法律案
及び
細谷治嘉君外六名提出に係る地方公営交通事業特別措置法案
並びに
地方自治に関する件
地方財政に関する件
警察に関する件
及び
消防に関する件
以上の各案件について、議長に対して、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
-
○木村
委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
————◇—————
-
-
○木村
委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
—————————————
-
-
○
小川(新)委員 昭和五十四年度予算のあり方について、大臣にお尋ねいたします。
福田総理は、長期にわたるこの不況克服のために、公共事業並びに減税という問題で、私どもの意見に対しては、公共事業の方を取り上げております。しかし福田総理は、この不況打開に当たっては、公共事業でもなし減税でもなし、第三の道を提唱しておりますが、福田内閣の閣僚の一員として、大臣は総理からどのような構想を聞いておりますか。これは昭和五十四年度予算にはどう反映するのか、また、この第三の道というのは地方公共団体にはどのような影響を与えるのか、お尋ねします。
-
○
加藤国務大臣 景気を回復いたします具体措置といたしましては、いろいろ考えられるのでありますが、総理が今夏来いわゆる第三の道と、かような言い方をいたしておりまして、今国会で御承認をいただきました補正予算案の中におきましてもその考え方がある程度導入されておる、かように承知をいたしております。
そこで、具体的に私のみに関しての第三の道の指示は受けてはおりませんけれども、しかし、閣議等におきまして、また、委員会の答弁なんかを通じまして、今後第三の道を拡大強化してまいる、この考え方は私もよく承知をいたしております。
そこで、五十四年度の予算編成が行われるに当たりましては、やはりさような基本の考え方を踏まえながら予算が編成さるべきもの、かような理解をいたしております。
ただ、端的な言い方をいたしますならば、公共事業につきましては補助の対象なりあるいは単価などが相当進んでおりますものが多いのでありますけれども、しかし第三の道につきましては、文教関係などはある程度進んでおります。が、しかし、厚生福祉関係等の補助率あるいは補助金等を見ます際に、公共事業と対比いたしますといまだしの感を強く持つのでございまして、したがって、
地方財政にどういう影響を与えるか、かような御指摘でございますが、地方といたしましては、公共事業を遂行いたしてまいります場合と対比いたしますと、いまのままを前提としますならば、やはり地方負担の増加は避け得ない状況でございますから、今後の大きな努力目標といたしましては、各省庁に対しまして単価の改定なりあるいは補助率の引き上げなり、さようなことを強く求めていかなければならぬ、かような感じを強く持ちます。
-
○
小川(新)委員 第三の道における地方公共団体の超過負担というものはどれくらい見積もられるのですか。
-
○
加藤国務大臣 どの程度見積られますかはいまだ明確でございませんが、五十四年度の予算編成が逐次具体化するに伴いまして明確になってこようかと思うのでございまして、そこで、いま申しましたように、予算編成に当たりましては、できるだけ単価の引き上げを行いましたり、あるいは対象を拡大いたしましたり、いろいろの措置をとることによりましてできるだけ地方負担が軽くて済みますような、そういう基本の考え方で対処してまいらなければならぬ、かように強く感じております。
-
○
小川(新)委員 単価の引き上げ、補助率アップ、対象の拡大、こういうものはこの席で御発表なさったのでございますが、それは確実にできるのですか。
-
○
加藤国務大臣 いままでも予算編成の前に各省庁へ自治省の基本的な考え方を強く申し述べておるのでございますが、確実にできるかどうかと折り畳まれますと、明確な返事に困る感を強く持ちますが、ともあれ、地方負担が軽くて事が運びますように、最大の努力をいたしまして負担の軽減に努めてまいりたい、かように考えます。
-
○
小川(新)委員 特にその中で一、二例、例を挙げて、こういう問題は第三の道として、総理の言われた施政の姿として昭和五十四年度一般会計予算に盛り込むということの重点的なものは何でしょうか。
-
○森岡政府委員 社会文教施設あるいは厚生福祉施設、非常に多岐にわたるものですから、その内容は多様でございますが、いま課題になっております地方負担がかなり大きくなると考えられますものは、たとえば体育施設でありますとかあるいは集会施設でありますとか、そういうふうな関係のものが補助金が低額でありましたりするものでございますので、どうしても地方負担が大きくなってまいります。ただその場合、地方としてどの程度の規模のものあるいは内容のものをつくるかという問題等ももちろん絡むわけでございますけれども、しかし、いずれにいたしましても、いま申し上げたような施設につきましては、少なくとも補助対象あるいは補助基準などの条件は思い切って拡大をしてもらわなければ、地方としては、第三の道について国、地方協力して施設の整備を図っていくということはなかなか困難ではないかという感を強くいたしておりますので、いま大臣から申し上げましたような方向で努力を進めてまいりたい、かように思います。
-
○
小川(新)委員 大臣、いままでのように公共事業とか、または補助金行政とか、その裏負担分の地方公共団体の持ち出し分についての議論でなくして、やはりわれわれ野党が要求して、一兆円減税をやらないのだ、公共事業一辺倒なんだ、そして景気を七%までに引き上げて、日本の経済を七%成長という問題の中に安定させることはボンの先進国会議におけるわが国の公約でありますので、そういった重大な背景の中から第三の道ということを選択なされた。われわれもそれについては反対をいたしておりませんので、ただ単に第三の道というようなかっこうのいいことだけを言って、その第三の道なるものが実現でき得ない、また実現し得たとしてもそれは地方公共団体の大きなる犠牲と負担によってでき得た。しかも超過負担がそれによってさらに倍増した、そういうことであるならば、これは内閣の責任は重大なものが出てくる。私が後で述べますもろもろの問題にも触れてきますので、この問題については、大臣は、極力というよりもこれは絶対至上命令としての第三の道の消化のための公共団体の負担というものは、ただいま
局長がお話しになったような一、二例の例を挙げてもこれは大変な問題がございますので、この御確約をお願いしたいと思います。
-
○
加藤国務大臣 第三の道と言われる主として施設につきまして、一挙に公共事業並みということがむずかしいといたしましても、そこに近づけてまいりますための最大のがんばりをいたします。
ことに、第三の道として建設されました施設などは、単に建設段階におきます超過負担が多くあるだけではございませんで、今後の維持管理の面でも、やはり人の面でありますとか経費の面でありますとか、いろいろかかりますことが予想され、この点でも公共事業とは異なるのでありますから、さようなことを基本的に踏まえながら努力をしてまいる、かようなつもりでございます。
-
○
小川(新)委員 昭和五十四年度の一般会計を組むに当たって、自治省としては行政上のネックの問題、また財政上のネックの問題、税制の問題、それから人員配置の問題、
地方財政の立て直しについての大臣の御所見を全体的にわたってお尋ねしなければなりませんが、それは一番最後にこういった問題を踏まえてまとめてお答えいただけば結構でございます。
そこで、人口急増の問題については、過日、当委員会におきまして
委員長を先頭に立てて、これは超党派で各党が視察をなさいました。私も参加したのでございますが、この視察という問題の件についてのお尋ねですが、ただ単に地方公共団体の忙しいところへ視察に行って、食事をごちそうになったり、いろいろなサービスをしてもらった、また私たちも勉強した、そして陳情を受けた。受けっ放しであったのでは、これは何にもならない。かえって視察をされた公共団体に御迷惑をかけるだけでございます。
そこで、視察に行っていろいろとその地域の問題点、ネックの点、そういった隘路の問題、こういった問題をどう解決するか、またどう示唆するか、指導をどうするか、改善をするかということが明確にならなければ、これは視察をした効果が出てまいりません。
そこで、昭和五十三年度の人口急増の予算の中で一、二例、特にしぼって私はお尋ねするわけですが、昭和五十三年度学校基本調査で明らかになったところによりますと、小学生は全体で一千百十四万七千、前年度より三十二万七千人ふえております。中学生は五百四万八千人、十年ぶりに五百万人を突破した。前年より七万一千人もふえた。これは人口急増地帯だけで言っております。盲学校が八千五百八十九人、聾学校が一万二千三百九十三人、養護学校五万七百九十二人、高校は実に四百四十一万五千人、前回から見ますと、養護学校で四千四百一人増、高校においては実に三万四千人がふえております。これらの児童生徒の増加は大
都市を持つ都府県とその隣接する区域においては重大問題です。
そこで、急増地域の最大の問題点というのは教育施設、これが第三の道と言われる点になってくるわけですが、その用地の確保、これが第三の道の中に含まれているのか、含まれていないのか。また、それができないとこれが暗礁に乗り上げてくるわけでございますが、基本的問題といたしましては、幼稚園から小中学校、高校まで用地の補助はないというのが原則であります。これを根本的に転換する必要がなければ、総理の言っていることがただ単なる思いつきの空公約的なことになる。建物は用地があるのはあたりまえという考え方を変えなければならぬし、また教育関係の用地については人口急増地域の小中学校だけにわずかに認められているわけでありますが、小中学校についても現行は三分の一でありますが、これを二分の一くらいにしなければできないだろう。また、急増府県の最大の問題は県立高校の増設、これは一つは、大臣も御存じのとおり、県と市町村との
地方財政法違反がたびたび取り上げられてきております。県は当該地方公共団体に用地の負担をかけさせてはならない。しかもそれを地財法違反を犯してまでやらねばならないほど都府県の財政が緊迫をしております。
人口急増地帯の九府県だけでも五十三年から五十五年の三カ年に新設するのがおおむね百四十九校必要であります。一校について用地費を含めますと平均三十億円から四十五億円かかると言われておる。三十億と仮定しましても百五十校で四千五百億、これが三年間に必要というわけです。現行の補助制度は建設費に三分の一の補助があるだけでありますから、用地はありません。そこで補助率の三分の一を二分の一に引き上げる、用地にも補助制度を創設する考えはないのかどうか。この問題を解決しない限り第三の道はデッドロックに乗り上げるのではないか、いかがでございますか。
-
○森岡政府委員 各種の教育施設に対する用地の補助につきましては、いま御指摘のように、従来から関係地方公共団体からは強い要請があったわけでございます。ただ、用地につきましては、長い間補助制度がございませんでした。私ども、人口急増地域の公立小中学校につきましては、これはまさしく義務教育でございますから、それについて補助がないというのはいかにも承服しがたいということで、四十六年度に大蔵省と強い折衝をいたしまして現在のような義務教育の補助制度をつくっていただいたわけでございます。しかしこの点につきましては、現在でもなおいわゆる足切り率が七〇%ということになっておりますので、そこの改善をやっていただく必要があろうと思っておりますし、文部省もまたそのような観点に立って予算要求等も行っていただいておると承知しているわけでございます。
高等学校ないしは幼稚園のような教育施設の用地につきましても、関係地方団体から相当の要請がございます。ただ現段階までの経緯を申し上げますと、義務教育でございます公立小中学校と義務化されていない高校、幼稚園との間では、やはりそこは違うのだという意識がどうしても強うございます。私どもといたしましては、その点につきまして関係省庁と従来からいろいろ協議を重ねておりますけれども、現段階までのところは、なかなか高校ないし幼稚園の用地費につきまして補助制度を設けるということについては、率直に言って難航しておるというのが実態でございます。
しかし、いずれにいたしましても、必要な用地は確保いたさなければなりませんので、当面地方債を拡充いたしまして良質な資金を配分をして、用地の確保には遺憾のないように万全の措置は講じていきたい、かように思っております。
-
○
小川(新)委員 文部省は、これは昭和五十四年度一般会計予算には予算要求するのですか。
-
○倉地説明員 先生お尋ねのございましたように、人口急増市町村、特に私ども、児童生徒急増の市町村につきまして、その学校の整備について大変御努力されているということをずいぶん承知している次第でございまして、先ほどお話がありましたように、四十六年に用地費の補助を始めまして、四十八年からさらに校舎につきましても三分の二の高率補助を実施して、私どもなりに努力している次第でございます。
ただ、先生の御質問にございましたように、五十四年度の概算要求の内容ということになりますと、私どもやはり人口急増市町村の小中学校関係の用地とそれから高等学校、幼稚園などの非義務性関係の用地とでは若干事情に相違があるのではないかということで、現在概算要求の内容にはそういったものは含んでいない次第であります。
ただ、人口急増市町村におきます交付率の七〇%につきましては、財政
局長さんの方からお話がありましたように、現在七五%という要求をいたしております。そういうことでございます。
-
○
小川(新)委員 先ほど学校基本調査でも養護学校の児童生徒の急増が大きな問題になりましたが、この養護学校が今回から義務教育になるということは大臣御承知でございますか。
-
-
○
小川(新)委員 養護学校が義務教育になるということで、養護教職員の確保並びにいま言ったような施設、土地、こういった問題に文部省はどう対処なされますか。
-
○倉地説明員 養護学校の施設の整備につきましては、私ども四十七年から五十三年度までの七カ年計画というものを持っておりまして、それに従って年々整備してきている次第でございます。
この計画によりますと、五十三年度までに約百六万三千平米の建物を建設する計画でございましたけれども、四十七年から五十二年度までにおきましてはすでに七十六万二千平方メートルの措置をした次第でございます。それで、五十三年度におきましては、都道府県の計画に従いまして約二十八万六千平方メートルの建物の措置をすることとしておりますので、これらを合計いたしますと、約百四万八千平方メートルということで、ほぼ七カ年計画に見合う措置をすることができるというふうに考えている次第でございます。
それから、用地の件でございますけれども、やはり用地につきましては、市町村などにおきます義務制の問題とこれは都道府県に設置義務が課されておる関係で事情が若干異なるということでございまして、私ども補助制度などにつきましては考えてない次第でございますが、自治省の方にお願いしまして、
地方財政措置などによりまして財政的な措置をしてまいりたい、そういうように考えている次第でございます。
-
-
○古村説明員 養護学校の教職員組織の問題でございますが、義務制に伴いまして学校をつくる、開設する、あるいは学級増をいたすというときには、標準法に基づきまして教職員の数を算定し、そして学校に配属するというふうに相なっております。
お尋ねの意味は、次の養成問題、いわゆる供給の側のことも含まれているかと思いますが、大学を卒業いたしまして免許を取る者が毎年大体三千人ぐらいおります。そしてまた、現職教育によりまして免許状を取る者が千五百人ぐらい、そういった供給側がございますので、十分教職員の方は足りるというふうに思っております。
-
○
小川(新)委員 いま文部省から御説明になっていることは、すべてこれは義務教育にならない前の考え方の施策であります。これが義務教育になりますと全然考え方が変わってきますので、当然養護学校教育の義務化を控えての整備を図るための国庫負担対象面積、土地の面積の拡大や用地取得に対する国庫の補助制度というものは小中学校並みにならなければならない。また、しかもその養護教員、事務職員などの定数の標準も改正しなければならない。こういった複雑な義務化に伴う措置というものが当然要求されるのですが、それについてのお答えがありませんけれども、いかがでございますか。
-
○古村説明員 私からは教職員関係のことについて御説明いたしますが、従来から養護学校につきましては、たとえば事務職員、養護教諭、これは全校に置いております。そういった点で、従来からも養護学校については小中学校、義務教育学校と同じ扱いで教職員の組織、配置をしているということでございます。
-
○
小川(新)委員 それができないのが、埼玉県の陳情で、この間視察に行って問題になってきたのですよ。だから、その都道府県から、われわれが視察に行ってきて要請を受けた問題が、この委員会ではさらっと受け流されたのでは困るのです。そうすると、埼玉県は過大な陳情要請をしているということになるのです。定数の標準を改正して、また養護教員などを小中学校全校に配置してくれ、こういうことを要請しているわけですね。それに対してはどうかという私の方の質問なんです。
-
○古村説明員 お尋ねの趣旨は、多分小中学校、養護学校あるいは盲聾学校全体ひっくるめて教職員の配置基準を考えてくれというお話かと思います。
これにつきましては、第四次の教職員の定数改善計画が五十三年度で完了いたしておりますので、現在学校におきます教職員の配置状況あるいは過密過疎地域の学校の実態等を悉皆調査いたしております。その調査結果に基づいて、どういうふうな教職員の配置を考えたらいいかということについて今後検討いたしたいというふうに考えております。
-
○
小川(新)委員 文部省は小中学校の児童生徒の学級定数の基準を、現行は四十五名でありますが、いまの私の質問を踏まえた、その見直しのための実態調査をなさっていると聞いておりますが、これはいつまでに完了するのですか。
-
○古村説明員 ことしの五月一日現在の実態調査をいたし、各都道府県から出てまいりましたものを、四万校にわたります個票を集計いたします。そういったことで、事務作業といたしましては十一月いっぱいぐらいはかかろうかと思っております。
-
○
小川(新)委員 そうすると、十一月までには大体できる、それが五十四年度予算からは実施できなくて、五十五年からやるなんということを聞いておりますが、これは五十四年度からはできないのですか。
-
○古村説明員 五十四年度予算の概算要求はすでに終わっております。概算要求の内容といたしましては、大体来年は大変生徒数のふえる年でございます。また養護学校の義務制もあるということから、自然増を中心にいたしまして、一万七千人の教職員の増員要求を行っているというのが現状でございます。
そこで、いまのそういった配置基準等について五十四年度からやれないのかというお尋ねでございますが、私たちは五十四年度の概算要求はすでに終わっておりますし、そういった悉皆調査の結果を十分検討して、慎重にどういう配置基準を立てたらいいかということを検討するということで、五十四年度の概算要求からは外してございます。
-
○
小川(新)委員 大臣、文部省ではもう五十四年度の概算要求は終わっているというじゃありませんか。これではいまいろいろなお約束したことは概算要求から外れているんじゃないですか。これではこの委員会で幾ら議論したってだめじゃないですか。
-
○森岡政府委員 いま文部省からお話がありましたのは、先生の御質問の学級編制基準についてのお話であったかと思います。学級編制基準につきましては、私ども端的に申しますと、
地方財政がこういう状況でございますので、いま文部省からお話がございましたように、ほっておきましても、自然増で一万数千人の増がございます。明年度学級編制基準を改められるということになりますと、恐らく
地方財政はもたないのではないかというぐらいの、これは率直に申しまして気持ちを持っておる次第でございますが、それは別といたしまして、いまお話がありましたのは、学級編制基準につきましては現在の調査を基礎にして将来のあり方をこれから考えるということだと私ども承知いたしておる次第でございます。
-
○
小川(新)委員 十一月までに調査は完了するけれども、五十四年度の定数については、この点については概算要求は終わった。この点だけが概算要求が終わってしまって、ほかのものは概算要求が終わらないのかどうか、私は文部省の中を全部調べたわけではないからわかりませんけれども、ただ、これを実施すれば
地方財政はパンクになるというような、そういう緊迫した状態の中で、こういう地方行財政の根本に触れるような陳情問題というのは、大臣だめなんですか。われわれが視察してきて、こういう要求は、
地方財政の根本にメスが入らない限りこういう重要な問題というものは当該年度ではもう解決できない、次年度から、そのまたさらに次年度に繰り越されていく問題なのかどうか。
-
○森岡政府委員 いま私どもの現段階における率直な気持ちを申し上げたわけでございますが、しかし行政水準のレベルアップということはどうしても必要なことでございますから、単に教育のみならず、あらゆる方面につきまして国民のニーズに沿い得るような拡大というものは今後中期的に図ってまいらなければならぬと思います。
地方財政は大変苦しいわけでございますけれども、しかし、それと並行して必要な財源はあくまでも確保する、充実するという努力は、自治省といたしましては並行的にぜひ実現してまいりたい、かように思う次第でございます。
-
○
小川(新)委員 財政ではそういう隘路があり、ネックがあってなかなか実施できない。今度は行政面においての自治省の介入というものについて、いろいろと今度の視察によって陳情が出ました。たとえば、自治組織権の確立については、大臣、
地方自治法第百五十八条では、都道府県が一部局を設置するときには自治大臣との協議が必要であり、自治組織権を強く制約しているのではないかというような知事からの質問がありましたが、都道府県の部局の設置についての制約を緩和する考えはないのでしょうか。
財政の問題についてはいま言ったようないろいろな問題が出てきますが、今度は行政面について、自治大臣としては、やはりそこまで協議をし介入しなければ、
地方自治体というものを満足に指導できないというのですか。これまたおかしいのですが、憲法第九十二条の
地方自治の本旨という問題にも絡めてくるのですが、これは至るところの地方へ視察に行くと言われるのですが、これは大臣のお考えを聞きたいのです。
-
○
加藤国務大臣
地方自治法は、御承知のとおり、百五十八条におきまして都道府県の部局の数を限定いたす考え方を持っておるのでございまして、地方といたしましては、もとよりできるだけの自主性を保っていきますことを願望に努力をいたしておりますが、反面、もし部局の設置等を任意にいたします際には、必要がないとは申しませんけれども、行政機構を適正に管理いたします観点からはみ出すような対応がなされます場合を私ども心配をいたしておるのでございます。
そこで、行政の効率を上げるためには部局の増がよろしいという考え方もございますけれども、いま一つ行政機構のあり方を検討いたします観点からもチェックをする必要がある、こういう考え方のもとに百五十八条ができておる、かように理解をいたしておるのでございます。ただ、何もかにも全部一律によろしくないという考え方ではございませんで、やはりその地方団体の実情に応じまして弾力的には配慮してまいりますけれども、しかし基本的には、やはり自治省といたしましても地方機構に関して十分に目を通す、かようなことでなければならぬというぐあいに思います。
-
○
小川(新)委員 それこそ私は、その部局の多いか少ないかを判定するのは地方議会があり、
地方自治体の襟度と当然モラルもあるでしょうし、またそれに対する制約もおのずと、知事が全権を持っているのですから、その辺のところの一部局を増設するときには任せた方がいいのじゃないかと思うのですけれども、これは私の考えが憲法の言っている本旨のたてまえということからいけば、もう
地方自治が三十年もたって、いまだにまだ
地方自治体に任せ切れない、信頼できない、行き過ぎがあるのじゃなかろうか、こう言うのだったら、私はもっと言いたいことがありますよ。
私は警察の問題で一つ例を挙げますが、保安部というのがある。いまサラ金だ、暴力団だ、いろいろな細かい麻薬取り締まり、拳銃、すべての問題を扱っている警察庁。私たちの生命、財産を守ってくれる警察庁でございますから、われわれは感謝しています。それがいまだに局にならない、部である。こういうところこそこれは局にしたいというのは
地方自治体で見ているわけです。だからといって、地方の人たちがそういうところを局にしなさい、もっと一ランク上げなさいなんということを自治大臣には言えないのです。立場上。私たち議員が感じていることでも、いまの体制は警察の中でアンバランスで不公平だ、この点はまず改正してあげなければならぬじゃないか、局に昇格してやったっていいじゃないかと思っている。逆に地方の立場だって、そういう増設しなければならないという問題は地方の中の議員とか関係者がおのずと判断をする。これを一々大臣にお尋ねしなければできないというのはおかしいじゃないかと私は思うのですがね。
-
○
加藤国務大臣 もとより必要な面につきましては、自治省としてもかたくなにこれをチェックする、かようなことではございませんで、弾力的に対処してまいるつもりではございますけれども、しかし、基本的には、行政機構の拡大はそれなりに定数増も伴ってくるでございましょうし、また行政費の増高もあるのでございますから、ケース・バイ・ケースで地方団体の御相談には応じてまいる、かようなつもりでございます。
それから、警察庁の機構のことにお触れになられたのでありますけれども、今日の状況からいたしまして、保安部でいま所掌しておりまするものがきわめて件数としても多うございますし、きわめて重要でございますので、これは局の昇格につきまして極力努力をいたす、かような基本の気持ちでございます。
-
○
小川(新)委員 よくわかりましたから、その点の地方への介入についてはひとつ厳しくみずからを律していただきたいし、警察庁の件については、私も同様なんです。昇格について、わが党はいろいろな面から検討して、これは必要だろうという考えを私はこの席で披瀝しておきます。よそのいろいろな御意見などもお聞きになった上でこれはおやりにならなければなりませんが、私どもとしましては当然だろうという考えをこの席をおかりして発表しておきます。
そこで私は、
地方財政の問題でいかに国全体からいくとロスがあるかという例を一つ挙げたい。また、それはロスがあったから責めるのじゃないのです。きょうは住宅公団の澤田
理事さんをお呼びしておりますが、澤田
理事さんをこの場をかりてつるし上げたり何かしようなんという意図で質問しているのでなくて、いかに住宅公団がこのような実態に追い込まれたかということを明確にメスを入れたい、そして集合住宅をたくさんつくっていただきたいという願いから質問をしますから、自治大臣もひとつお聞き願いたいのです。
昭和五十三年度予算及び財政投融資計画の説明、大蔵省主計局、理財局から出ております。これは当初予算のときいただきました資料でございますが、その中の五十三年度財政投融資計画の説明の中の第五ページには、
日本住宅公団、昭和五十二年度において財政投融資の資金運用部資金、これは私たちがいつも口にする、地方債の優良な資金の消化の一番大きな資金運用部の金をどうするかということをいつも言っているわけですが、その貸し出された金が実に九千六百五十三億計上されている。ところが、これが借入計画実績対照表というのを住宅公団からいただきましたら、昭和五十二年度では六千八百六十九億となっている。この違いは何でございますか。
-
○澤田参考人 先生のおっしゃいますように金額は変わっておりますが、これは私どもの事業のいろいろな問題で見直し等の問題がございまして、その都合によりまして当初のものを変更したものでございます。
-
○
小川(新)委員 いつこれを変更したのかわかりませんけれども、国会に提出されたものでは九千六百五十三億円となっているのであって、私どもは、こういう資料を要求しない限りは、国会議員として審議をする材料は、ここに出ております。大蔵省の主計局、理財局から出たこの参考書類を見る以外にないのですが、こういうふうに三千億も大量の金が変更されたのはいつなんですか。
-
○澤田参考人 三月十八日でございます。これはなぜ変更されたかという原因は、五十一年度以来私どもの方で、先生の御存じのように、非常に空き家問題その他が出てまいりました。これに対処いたしますために、この年度におきまして、その年度の仕掛かり中あるいは着工問題につきまして全面的な見直しをしております。この見直しのやり方といたしましては、発注済みで進行中のものも工事につきましてこれをとめまして、これをもっと効率的に、あるいは需要に合うようなかっこうに全面的に設計から計画を見直しました。見直しますと、また公共団体との関係も出てまいりますし、公共事業との関連も出てまいります。そこで、この年度におきます事業の進み方というものは非常におくれました。したがいまして、かような変更をしたということでございます。
-
○
小川(新)委員 これは大蔵省にお尋ねいたしますが、これは財投の金というものは、一応は公団の方に九千億何がしの最初計上されたものは出ているのですか。
-
○廣瀬説明員 お答え申し上げます。
財投計画を編成いたします際には、先生御指摘の事業の消化能力、そういったものを十分勘案して策定しておるわけでございますが、住宅公団の最近におきます空家事情、そういったことから内部的にいろいろ検討され、建設省を含め総合的に検討された結果、借入金の需要がそれだけ減ったという実情でございます。
-
○
小川(新)委員 六千八百六十九億に借り入れが減った。減ったけれども、一応計上されたのは九千六百五十三億、しかも実質は四千五百三十八億しかできない。残った金が二千三百三十一億。この住宅公団の言う六千八百六十九億に修正されたとしても、なおかつ二千三百三十一億も、大臣、この住宅公団から消化不能で返されている。これははっきり言えばできないということですね。最初の九千六百五十三億をそのまま借り受けたとしたら、これはもう、これにさらに三千億乗せますから、五千億なんという、膨大な財投計画の中で住宅公団がそれだけのものを独占すると言ってはおかしいけれども、出ていっちゃうわけですよ。その金がもしも地方公共団体の地方債の、要するにわわれわれが要求している資金運用部資金の優良貸し付けとしての消化に回されていたならば、一歩譲って六千八百六十九億としたって、二千三百三十一億の金が浮き上がっちゃった。もしも二千三百三十一億、これを民間から借りたとしたら、一割として約二百億、一割以下としても何だかんんだ手数料を入れて九分から八分になりますね。八分としたって約二百億近い、百八、九十億の金が出ちゃう。だから、私どもは、縁故債に消化する金を、そういう洗い直しを財投の資金については明確にしなきゃならぬだろう、こういうことを予算委員会でも言っているわけなんです。だけれども、これは住宅公団だけを責めてはならない問題であって、日本の住宅の建設状況や見直しの状況が非常に厳しくシビアになったということ、こういう問題を踏まえてわれわれは議論しなきゃなりません。ただ単に二千三百億余ったからどうしたどうしたと公団だけをいじめて、手足を縛って進めなんて、そんなわれわれ話のわからないことを言っておりますと、公団はますますびびっちゃて家をつくらなくなっちゃう、土地も買わなくなっちゃう。もう国会で追及されることを恐れて、それこそ場当たり的な考え方に終始しますので、この問題は自治省も踏まえた上でもう一遍メスを入れながら、なぜ公団がこういうふうな状態になっていくのかということ、この根本問題にメスを入れない限り、日本の財政にアンバランスというものは起きます。これは大臣、所見をひとつお伺いしたい。二千三百三十一億も金が余ってしまった。こういう問題は好ましいことか好ましくないことかということから始まって、大臣の住宅行政全体の、公団のいま追い込まれている——公団についてはもろもろの悪い批評もあります。売れない土地を買ったとか、遠いとか、狭いとか、高いとか、いまの家賃がどうだとか、いろいろいま住宅公団は十字砲火を浴びている。私は住宅公団を守ってあげるつもりはそんなに人一倍すぐれているわけではないけれども、住宅公団側の言い分も聞いてあげなければアンバランスであり、不公平ですから、私どもはその立場に立っている公団の十二分の理解者として家賃値上げの問題も議論しなければならぬだろうし、こういった問題が明確にならないところで今度住宅公団に入居なされている方々の誤解も生んでいるだろう。いたずらに不毛の対立を生じたのでは、住宅行政そのものにひびが入るから、あえて聞いてメスを入れているわけですから、私どもの考え方をひとつ踏まえた上で、大臣の御配慮ある、御見識あるお答えを願いたいと思う。
-
○
加藤国務大臣 私の所掌ではございませんので、明確な言い方ができないのでありますが、住宅公団は、公団住宅提供のために非常な努力をしてきておることには間違いがないと私も認識をいたしております。しかし、用地の確保の難渋でありますとかいろいろのことで、予定どおりは進んでおらない面があろうかと思いますけれども、しかし、そういう中におきまして、やはり最大の努力をいたしておる、そしてそのことがわで国の住宅供給の上にやはり大きく寄与しておる、かように私は認識をいたしております。
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○
小川(新)委員 資金運用部資金の巨額な金がこうして繰り越されるということは、一体、財政上どう思うかということには触れておられませんね。
-
○
加藤国務大臣 地方にとりましては、政府資金が良質で低利の金でありますことは申すまでもないことでございますから、非常な歓迎でございます。そこで、五十三年度の予算におきましても、三二%を超えますような政府資金の増加でございまして、政府全体といたしましては、政府資金の増加が約一兆円であったと思うのでございますけれども、そのうち六千億円を地方のために回し得ておる、かようなことでございます。しかし、これで足れりとなすのではございませんで、今後もやはり政府資金を地方に導入いたしますことにさらに努力をいたしてまいりたい、かように考えます。
-
○
小川(新)委員 どうもあんまりぱっとした答弁じゃないのですけれども。
では、住宅公団にもう一遍お尋ねいたしますけれども、昭和五十二年度だけで、繰り越しだの何だのいろいろ言わないで、東京支社と関東支社、人口急増を抱えている最も関東で住宅を要請されておりますところの東京支社と関東支社の、昭和五十二年度だけに限っての土地の取得の予算額は幾らか、これに対して消化した金額は幾らか、面積は幾らか、これをちょっと御説明いただきたい。
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○澤田参考人 私どもの予算は全国オールオーバーについておりまして、地域の建設計画を立てて、それを年度当初から計画的にやっておりますけれども、おおむね戸数配分でございまして、用地費の金額を細かく示して地域のことについてやっておるということはございません。したがいまして、ある程度の推定でございますけれども、仰せの東京支社、関東支社管内におきます計画及び実績でございますが、五十二年度におきましては、計画といたしましては約百七十一ヘクタールでございまして、金額に概算いたしますと、先ほど申し上げますように、見込みでございますが、千七十億、こういうことに計画をいたしております。これが、実績から申しますと、面積にいたしまして、買い入れましたものが四十三ヘクタール、金額にいたしまして二百六億、かようなことになっておる次第でございます。
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-
○澤田参考人 金額で二〇%強でございます。
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-
○澤田参考人 ただいま申し上げましたのは、東京支社、関東支社、両方合わせてでございます。
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○
小川(新)委員 分けてちょっと説明していただきたいのですが。
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○澤田参考人 ちょっと申しわけございませんが、分けて持ってまいりませんでしたので、後ほどお知らせをいたします。
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○
小川(新)委員 いずれにしても、二〇%、二割しか消化できないということです。東京支社の方は、聞くところによるとたった一件しかできていないということです。こういうことは、一体、住宅を最も必要とする集合住宅の——住宅公団の職員さんをたくさん抱えておられて、仕事ができないということは職員の方々も残念だと思います。何もサボっているわけじゃない。毎晩毎晩夜の七時から十時ごろ自宅にお電話をかけてもいらっしゃらない方が非常に多い、幹部の方で。どこに行っていらっしゃるのか私はわかりませんけれども、夜まで一生懸命働いていらっしゃる。もう労働基準法違反と言われてもしようがないくらい懸命に土地をあさっているんだと私は理解しているわけなんですけれども、それにもかかわらずできないというのはどういうことかと思しますと、住宅公団には五省協定というのが第一にある。この五省協定の中には、自治省もよく御存じだと思いますが、建設省だ、大蔵省だ、当該公共団体だというのが集まって公団住宅をつくるについてはいろいろな協議をして注文をつけるわけです。大臣が
地方自治体の部局をつくるときにどうのこうのするどころの騒ぎじゃないのです。これは物すごい締めつけを行うわけだ。しかも最近は、さらに公共団体が、千葉県、埼玉県ではもう公団は来てくれるなと言う。
私の住んでおります川口のところにできた大型な、十何階でしたかちょっと忘れましたが、面開発と申しまして、その一番中心地の駅から歩いて三分ないし五分のところ、一挙に三千人も六千人もの人がふえますと、蕨駅から西川口、南浦和、浦和の乗車人員というものは七時五十分から八時十五分までの二十五分間のピークでは、もう電車は満タン、三〇〇%以上の込みぐあい。こういう状況になったり、関連公共事業が追われたり、学校だ、下水道だ、道路の補修だ、人が来てもそれに対する
固定資産税が上がらない。いろいろなもろもろの状況の中で住宅公団が建てるためには、まず第一に地価公示価格でなければ買わない。地価公示価格を算定するには、公共事業の小中学校や空き地や公園をつくって減歩したものを換算して地価公示価格に算定して出したわけです。そうしますと、そういう画開発の一番いい場所は民間デベロッパーと競合しているわけです。だから、住宅公団はこの土地はいいな、買おうと思って交渉を開始しますと、租税特別措置によって、国及び公共事業体に土地を売り渡す場合には、その譲渡所得の一千五百万ないし二千万円が税の減免をされておりますから、本来ならば地主はそういうところに売りたがる。ところが、いま市街化区域内における宅地の需要が高まって、建設省の地価公示価格も大体平均一〇%から二〇%、三〇%近くも上がっているところもある。
こういうように景気が公共事業一辺倒になってまいりますと、住宅建設に重点を置いておきながら、民間自力開発の金融公庫の割り当てが多くなってきたという一つの証左にも見られるように、集合住宅は全く建たないという事例が出てきた。これは住宅公団を責めてはかわいそうだと思うのです。住宅公団は建てたい、しかしいま言ったような制約がある。制約とは何かといえば、五省協定がまずある。次には何とか委員会というふうに二つも三つもありまして、その委員会からいろいろな注文がつく、こういう土地を買ってはならない、こうしてはならない、ああしてはならない、こうではならない。これを全部総合した上で住宅公団が土地を買って家を建てようとするには、いままでの住宅公団の行いが余りよくなかったから、いろいろな面で、塩づけだの、要するに建たない土地を買ったという非難がごうごうと起き、しかも遠いところに家を建てて住む人がない。高いという非難が起きたので、公団の昭和五十年以降の姿勢というのは非常に追い込まれてきた。そういう中でいまのようなこういう二千億、三千億の予算が余って消化ができなくなる。一番必要な東京支社、関東支社ではその予算の一〇%しか消化ができない。これで一体福田内閣の言う住宅政策は満足にいくと思っておるのですか。これが第一点。
第二点は、公共事業一辺倒による景気の高揚はわれわれの目から見れば非常に危険であるから、一兆円減税というのを打ち出した。こういう流通過程における景気の刺激というものを踏まえていかなければ景気全体の立ち直りができないとともに、日本の住宅行政そのものに危険状態、赤信号がともっているということが私はよくわかりましたので、一体どうしたらいいかということをわれわれは考えなければならない段階に来ております。これは建設大臣や国土庁の長官にお願いすることなんですが、自治大臣として、地方公共団体の立場を通じて住宅公団や五省協定の話し合いの場をどうしたらいいかという問題を解決しない限り、住宅要求の住民のニーズにはこたえられない、こういう面を福田内閣の閣僚の一員としてどのようにお考えになっておるかをまずお聞きする前に、澤田さんからどうしたらいいかということをまずこの委員会で明白にしていただきたい。
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○澤田参考人 お答えをする前に、先ほどの東京支社の話でございますが、一件という仰せでございましたが、実は九件でございます。いずれにいたしましても、大変悪い状態になっておる、土地が買いにくくなっておる、かような事情がございます。
ただいま住宅公団の実情についてどうしたらいいかというお問いでございますけれども、私どもがこの一年半ばかりの間にやってきたことは、要するに過去の建てれば皆さんお入りになるという状態における建設、こういうものが大きな問題を生みまして、社会情勢の変化とともに空き家問題等が大きく出た。したがいまして、これだけの需要が変わったことに対応して過去の十万戸を超えますストック、建設工事中のもの、これをどのようにさばいていくかということが緊急の問題でございまして、そこでこれの大々的な見直しをやったということでございますが、この高遠狭に代表されておりますように、高い、それから狭い、その辺のところはあとう限り安くし、たとえば土地の使いざまを効率的にやるとか、あるいは狭いということに関しましては、建設途中のものについては二戸を一戸、あるいは三戸を二戸、こういうふうに変更いたしまして、大々的に見直しをした。結局ニーズに合わせることを緊急にやったわけでございます。したがいまして、これをやりました五十二年度は非常に事業が落ちて、公共事業の振興政策にもかかわらず私どもは寄与できなかった。まことに申しわけないと思っておるわけでございますが、いずれにいたしましても、新たなこれからの事態として、私どもが事業を行うためにはいろいろなことをお願いしなければいけないと思っています。それはまず立地から申しまして、大体
都市内に近いところに来ないといけません。こういうことが一つございます。
もう一つは、高くてはいけない。ただし、質が悪くてはいけないということでございますから、住宅供給の制度の上からも金利問題等、今度の概算要求で金利の低下等をお願いしてございますが、こういう住宅制度の問題がまずございます。
次に土地問題。土地がなければできませんが、土地を取得する際に、先生仰せのとおりでございますが、五省協定というのはむしろ関連公共のものを立てかえていただく制度で、どちらかというと私どもが助けていただく制度でございます。ただし、これがさらに拡充をされて公共団体が満足がいくような条件にしていただきたい、かようなこともお願いしておる次第でございます。基本はやはりその土地が適当な値段で買え、しかもそれがすぐ使えるということだと思います。すぐ使えるということと値段の問題も関連しておるわけでございますが、それは関連公共事業の負担の問題でございます。関連公共事業の負担は五十年、五十一年の精密調査しかございませんが、その時点でも、一戸当たり百五十万円程度になっております。これは用地費の中に入ってしまう。現在ではおそらくもっとさらに多くなっておると思います。こういうものが土地の原価に入ってくる。購入費にプラスされるということでございまして、関連公共の負担が少なくなり、少なくなるには先ほどの五省協定の強化もございますし、公共事業の採択率を上げる、採択基準を緩めていただく、かような問題がございますが、いずれにいたしましても、公共事業がすぐ行えて、それが公共団体の実施によりまして私どもの土地がすぐ使える、かようなかっこうを出していただくことが一番の望ましい点であろうと思っております。
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○
小川(新)委員 ではもう一遍お尋ねしますが、先ほどいただいた昭和五十三年度の予算によりますと、財投の、資金運用部資金の金が八千五百二億、五十三年度計上されていますね。そして修正された五十二年度では六千八百六十九億。こんなに、あなた八千五百億消化できるのかね、いまのような状況で。間違いないの。今度、二千三百億も余らないですか。
-
○澤田参考人 五十三年度は私ども四万戸を目標にしてやっております。すでに新規のものにつきましても九千戸発注を第二・四半期までに了しております。これは予定どおりでございまして、昨年度は途中で工事を全部とめまして、発注もとめて、ほとんど遊んでいるようなかっこう——遊んでいるのじゃございませんが、お金が出ていかないようなかっこうで物すごい作業をやっていたわけでございます。それが今年度に入って大体めどがつきまして、とめておるものも動き出しました。どんどん動いております。したがいまして、これもお金が出てまいります。さらに、先ほど申しましたように、九千戸につきましても発注を了しております。したがいまして、私どもはその体質の改善がある程度なされて、順調な事業の執行ができるというふうに確信をしております。
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○
小川(新)委員 そうすると、五十三年度は国民から預かった保険金だとか郵便貯金のお金、こういうお金を八千五百二億住宅公団さんにお預けしたんだから、このお金でりっぱな住宅ができるということをあなたはここでお約束できるのですね。後でまた何とかかんとか言って、できませんでしたなんということはないですな。それだけは間違いないですね。
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○澤田参考人 現在の成り行きから私はそう確信しておりますし、またそういうことを達成するように最大の努力をしなければいけないと考えております。
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○
小川(新)委員 一番住宅の必要な東京支社と関東支社関係でも、いま言ったように二〇%しか消化できないというこんな状況で、土地の方は全然手当てができない。要するに、いままで買っておった土地に家をつくることをいま計画してやっているだけであって、それでこんな膨大な、昨年がが九千六百五十三億計上して、ことしが八千五百二億で、いまのような状況がどんどん厳しくなっていけば、一番土地の必要なところは買えないじゃないですか。民間と競合して、一体買えるのですか。
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○澤田参考人 確かにおっしゃいますように、五十二年度はさような土地が非常に買えない。近寄ってきたために非常にいろいろな競合問題が出てきて買えません。あるいは関連公共のためにおくれそうだから買えない、こういうことがございます。しかし、なぜ四万戸できるかというと、おっしゃいますように過去のストックを持っております。これによってやっておるわけでございますが、これとても、いいものを多量に持っておるわけではございません。したがいまして、この一両年はこのままいけると思います。しかし、それ以後はこれからの買い方をどうするか、あるいは買い方についていろいろな国の援助をいただくとか、さようなことをやるほかに、私どもも本当に民間に競合しながらもいい団地ができるような土地を買うような組織、体制、業界との関係、そういうものを十分つくり上げていかなければ危機が来る。したがいまして、私ども今年度を通じましてそういうものをつくるという作業をやっている次第でございます。
-
○
小川(新)委員 それが、新
都市計画法に基づく市街化区域内における
農地の宅地並み課税や、線引きの拡大やら、譲渡所得税の緩和やら、いまもろもろ議題になっている土地税制の見直し、こういうことにつながっていかなければできないという見直しなのか。それとも、土地税制というものはそのままにしておいて、もう一遍あの田中内閣のような土地の高騰ということが引き金になって物価高騰にはね返ってくる。いまもうその兆しが見えてきた。土地が上がってきた。住宅の、一戸建ての庭つきなんというものはもう夢である。私ども川口の外れでさえも、一坪、三・三平方メートル四十万円、こんなところに住宅公団が買えるのか買えないのか、しかも近いところ、良質な家を安い家賃で。理想は理想ですけれども、果たしてそういうことができるのかどうか。いまあなたは、一、二年はこのままでいくけれども、後、見通しは全くゼロ、その間に何か手を打たなければならぬということを表現した。
大臣、いま、もろもろの建設関係の中で、地方公共団体の占める位置と責任と義務というものは非常にクローズアップされてきました。税制の改革だけで集合住宅が建つなどということはあり得ない。ここに、大きな総合的な、自治省の強力な何らかの見解なり指導なり地方公共団体との、公団とのいろいろな問題点にメスを入れなければならぬと思いますが、大臣の御見解をいただきたいと思います。
-
○
加藤国務大臣 御承知のように、三大
都市圏にわが国人口の約六割に相当いたしますものが住まっておるのが現況でございまして、そこで、長期的には、わが国の人口の面、産業の面、教育、文化の面、各面にわたりまして三大
都市圏に集中いたしますのを排除いたしまして、地方分散を図っていく基本の理念が必要であろうかと思うのでありますけれども、昨年十一月に閣議決定を見ました三全総もまさにさような考え方を踏まえて対処いたす、かようなことであると理解をいたしております。
が、しかし、長期的な展望としてはさような処置をとらなければならぬといたしましても、当面の問題といたしましては、やはり住宅の問題や水の問題が最大の問題点でございますことも、ただいま御指摘があったとおりでございます。そして、その多くがやはり地方にかかってくる、かようなことでございますから、各都道府県や市町村などの大問題でありますことも、これまた御承知のとおりでございます。ことに住宅の問題につきましては、人口増加も毎年百万前後増加いたしており、恐らく昭和七十五年度ぐらいまでは人口増加が急激に続いてくる、かようなことも考えられるのでありますのと、それから核家族化に伴いまして、住宅需要はきわめて旺盛でございます。が、しかし、さような旺盛な需要に対応し切れなくて大変な苦労をいたしておるというのが現況であろうかと思うのでございます。
住宅の供給につきましては、もとより地方公共団体は公営住宅を建設することに一生懸命でございますけれども、みずからやらなければならぬ公営住宅の建設だって大変な苦労でございます上に、さらに住宅公団への協力も必要でございましょうし、かつまた、民間住宅の建設のために大規模な団地等が造成されますことにも対応していかなければならぬ、かような二面、三面の苦労をしておりますのが地方団体の姿であろうかと思うのでございます。ですから、人口が急激にふえている市町村におきましては、もうこれ以上は御免だという空気もまさに出てきておるのでございますが、そこで、私の所掌のことではございませんけれども、やはり地方団体に非常な関係のある、基本的にはやはり土地政策を抜本的に見直して対処していかなければならぬ、かように考えるのでありまして、地方におきましても、もとより土地に関します税制を持っておるのでありますけれども、これはあくまで土地政策の補完的な意味において理解をすべきものでございまして、地方税制、土地税制のみをもってして解決のつくような問題ではない、かような認識をいたしております。
-
○
小川(新)委員 大臣の見解も、現実の問題になりますと、抜本的だ、何だという言葉を使っておりますが、真新しい政策というものはちょっと困難だ。私は、こういう問題は建設省、大蔵省、国土庁も入れ、地方行政も入れた連合審査の中でこういう住宅問題、土地税制問題を踏まえた、日本のいま一番公共事業の柱である住宅をどうするかという委員会を一遍開いて、公団も入れて、宅開公団も入れて、大型な連合審査をやらない限り、建設は建設、農業の方は農業の立場というようなことで、税制の問題等々あると思いますので、これはひとつ将来の課題としておきたい。
そこで、
地方財政がいかに大変だということは、るるどなたも言っていらっしゃる。ところが、地方公共団体からの土地建物の無償借り上げ状況というものをわが党の斎藤君がこの前質問し、要求した資料が出てきた。それによりますと、全国で二百二十万坪、七百二十九万五千九百十七平米のこれだけ大きな土地を公共団体は国に無償で借りられ、また建物が借りられております。
そこで、一、二例を挙げてピックアップしますと、大正十三年からただで借りっ放しというところがある。しかも
地方財政がこんなに緊迫しているのに昭和五十三年からただで借りているところがある。これはどういうふうに理解したらいいのですか。ただし条例やその他がありますから何とも言えませんけれども、面積、値段の一番大きなところは国立科学博物館、東京都から借りておりますが、四千坪をただで借りている。しかも値段が四十四億九千五百八十六万八千円の評価をされている。しかも昭和三年四月一日から五十年間借りっ放し。しかも、もっと頭へくるのは、一番新しいのでは昭和五十三年二月十五日に伊達町というところから国が、観測ですからこれは運輸省ですか、気象庁ですか、ただで借り上げている。一体、地方と国というのはどう考えているのですか。読み上げてみますと、一番多いのは運輸省、四百二十二件あって二百七十九万四千二百九・七三平方メートルただで借りている。それからその次に多いのが文部省、文部省いらっしゃいますけれども、百七十六件で百七十八万四千八百三十平方メートル、これだけただで借りております。その中で、いま申し上げました一番坪数の多いところでは、六万坪というのがありましたね。農林省が六万坪を熊本県から借りております。二十四億九千五百四十四万円に相当する評価、これを無償で昭和三十二年の四月一日から借りております。ただし、これは条例をつくって誘致をするとかいろいろな問題があって、その都道府県、市町村が——私どもがこの前指摘しました
地方財政再建促進特別措置法第二十四条第二項の違反になるのではないか。しかし、これは国と公共団体とのいろいろな話し合いや慣例や、そういった条例をつくってまで誘致をしたといういろいろな背景がありますので、それがそのまま即
地方財政の再建促進法違反だと決めつけるわけにはいかないとは思いますけれども、こういう実態は、国がおれたちが出ていってやるんだ、やってやるんだ、公共団体はそれに対して協力するのが当然だ、しかもそういう国と地方との関係が是正されない限り、
地方自治というものは健全な三十年間の育成という歩みの中に、こういう問題が不問に付されてきた。いまこうして
地方財政が緊迫し、いろいろな面から洗い直しが行われているときに、自治大臣といたしましては、こういう膨大な二百二十万坪にも及ぶ無償で借り受けられている、国から地方公共団体に対する圧力といいますか、そういう問題を無視した、公共団体がただ貸さねばならない、もしくは貸した方が有利なのか、そういうところはよくわかりませんけれども、いずれにしても評価は大変な金額になりますが、一例をさっき申し上げても、一つで四十四億なんというのも出てきておりますから、これは二百二十万坪の財産評価を換算したら莫大な金になってくると思いますが、これに対してはどうでしょうか。
-
○
加藤国務大臣 地方といたしましてはその施設を誘致いたしたい、かような考え方で、その時点では誘致したい一心で国の要望等をいろいろ受け入れるようなことがあったでございましょうけれども、しかし、
地方財政にとりましてはそのことは大変な負担になっておるのでございまして、ことにただいま御指摘のございました
地方財政再建法の精神からいたしますと、これは許されないことでございます。しかし、これを一挙に整理いたしますことは、歴史的ないろいろの事情がございましょうからなかなか困難でございましょう。ですけれども、できるだけ早くこれを早期に整理いたす、かような考え方で地方を指導してまいっておりますし、地方もまたそういう基本の考え方で対処いたしておる、かように承知をいたしております。
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○
小川(新)委員 私どもが質問したときから、新たに五十三年度、ことしですよ、ことしもうそういうように新たなものが十数件出ているじゃありませんか。何を指導しているのですか。大正三年、大正十五年、昭和三年、昭和二十年、昭和三十五年というのはいろいろな慣例もあろうが、昭和五十二年だ、五十三年だなんて、去年、ことしですよ。こういった分野にわたってでも無償貸し付けがどんどん行われている。これは
地方財政が緊迫しているときに、地方も地方ですけれども、国は
地方財政が緊迫しているときに、これだけ議論され、福田総理も地方と国は車の両輪だと言いながら、何で国にそんなにしなければならないのですか、どこに原因があるのですか、どうしてこういうことが行われるのですか。
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○森岡政府委員 新たに五十三年度から十数件の無償貸し付けが出ておるということを伺いまして、私どもはきわめて遺憾に思います。国の姿勢、各省の姿勢自身も改めていただかなければいかぬと私どもは思いますが、同時に地方公共団体も目先の利益と申しますか、それだけに集中してこういう事態が生ずるということは私どもはぜひ避けたいということで、従来からも関係省庁には申し入れをし、地方にも強い指導をいたしておりますが、一層それを強化してまいりたい、かように思います。
-
○
小川(新)委員 何でもかんでもここで言っていることと末端とは違いがあるという一例を挙げたのですが、もっと頭へくることは、公共事業の下請代金がいかに零細企業に渡らないかという質問をして終わりたいと思うのですけれども、昭和五十三年度の公共事業の消化状況は一体どうかということなんです。昭和五十三年四月から八月の請負金額は次のとおりであります。国が七千四百五十億二千九百万円、公社、公団、事業団が四千七百九十三億二千六百万円、都道府県が一兆八千百五十五億八百万円、市区町村が一兆三千三億四千七百万円、その他が一千八百七億六千六百万円、合計して実に四兆五千二百九億七千二百万円、これは補正前のものでございます。今回の補正が事業量で約二兆五千億、繰り延べを引いても二兆円、これを合算しますと約六兆円以上の公共事業費が市中に行ったわけで、聖徳太子がそれだけ渦を巻いて走っているわけです。しかし不況だなどということが出ている。どうしてそうなるかということでございますが、公共事業請負金額のうち、公共事業を引き受けるときに前渡金というものをもらいます。これは私が予算委員会で質問いたしましたが、日本に三つの保証株式会社がある。北とまん中と南、こういうテリトリー協定違反の独禁法にも触れる、しかも保証協会じゃない、保証株式会社という一企業が公共事業の前渡金を全部扱っている。公共事業がふえればふえるほど、その公共事業の前渡金を出すことによる手数料がその会社にぼんぼん入ってくる仕組みになっている。それは場所を変えて質疑をしましたからここでは質問しませんけれども、それではどれぐらいその前渡金が渡っているかと申しますと、国が三千三十三億六百万円、公社、公団、事業団一千五百七十三億八千万円、都道府県六千四百四十三億四千四百万円、市区町村が三千三百一億三千四百万円、その他四百七十五億八千九百万円、計一兆四千八百二十七億五千二百万円が公共事業の前渡金として企業に渡されている。
ところが、調べてみますと、建設省や自治省は公共事業に関する下請代金支払いの適正化などについていつも適正な指導をしていると言っておりますが、千葉県で調べた例によりますと、四百二十九業者のうち、契約に規定があって前渡金を受け取った者は百四十三件で、そのうち元請業者は七〇・六%、第一次下請業者が一二・三%、第二次下請に至ってはわずかに一件、三・一%にすぎない実態であります。最前線で仕事をする下請企業には元請のために前渡金が渡らないから手形でもって支払っておる、しかも、手形は利子をそこに払わなければならない、また割り引くときには多額の割引料を払わなければならない。
また、ことし五月から六月にかけて、佐賀県下におけるわが党の調査によりますと、百三十業者のうち、公共事業の前渡金を受け取ったことがありますかという質問に対して、あると答えた者がわずかに一四・九%、ないと答えた者が八二・四%、四兆も六兆円もの公共事業費が出回って、しかもそのうちの八〇%以上は元請で、あとの二〇%が下請である。しかも、先ほど申し述べたような一兆数千億の前渡金が出ている。これの手数料として莫大な金を東日本保証株式会社とか、西日本保証株式会社とか、中部日本保証株式会社が取るのです。こういう仕組み自体が私はおかしいと思うのですけれども、その仕組み以上に心配なのは、それだけ公共事業の前渡金が出ておりながら、肝心なところに渡らないという実例、これに対してたった一言で結構でございますけれども、これは毎年毎年言うように、ただ単なるおざなり行政指導ではだめです。
でありますから、元請建設業者に対しての工事指名停止など強硬手段をとる考えがあるのかないのか、こういう問題をひとつ御質問しておきたい。いかがですか。
-
○蓮見説明員 先生ただいま御指摘の建設業における下請代金の適正化については、建設省といたしましてはかねてから建設業団体に通達を出しまして指導しておるところでございます。
また、下請代金なり、前払いでございますが、こういうお金が適正に下請の方に支払われるということのためには、最初に元請と下請との間でそういったことの契約がきちっとできておるということが大事だと思います。そういう意味から下請代金の金額とか、支払いの時期とか方法等につきまして契約の内容に明示する、そういうことが大事だというふうに考えます。
五十二年の四月に中央建設業審議会が標準下請契約約款といったものを使用するようにということを勧告されておりますので、これの使用を建設業団体に強く指導しておるところでございます。
また、元請と下請の関係の合理化を推進しますために、元請、下請それぞれの立場でやっていただくべきこと、こういうことについての指針をいま要綱の形で作成しておる段階でございます。できるだけ早く成案を得まして強く業界を指導してまいりたいというふうに考えております。
それから、非常に悪質な場合について、先生ただいまおっしゃいました指名の停止等の措置を考えるべきである、この問題につきましては発注者のサイドで判断されることでございまして、非常に悪質な事例につきましては、それぞれの発注者で適切に対処しておられるものというふうに私ども考えております。
-
○
小川(新)委員 先ほどの
地方財政再建促進特別措置法の違反については、厳しい指導がいま大臣から出ましたから、これは国と関係省庁だけですから、公社、公団、事業団、これのまた資料を要求いたしておきますから、
委員長お計らいを願いたいと思います。
-
○木村
委員長 ただいまの
小川委員からの資料要求につきましては、後日
理事会等で協議の上、善処いたしたいと思います。
-
○
小川(新)委員 ありがとうございます。
そこで、最後に新幹線問題でお尋ねいたします。
大臣も聞いておるとおり、新幹線問題では、私の住んでおります埼玉県の戸田、浦和、それから与野、この三市の強硬な反対で、新幹線が大宮以南はなかなか通らない、こういう問題でございますが、この新幹線問題では埼玉県知事も、われわれが委員会で視察に行ったときには、いまその三地方公共団体で決議をされておりますが、改めてこの問題に乗り出すということでございますが、こういう地方公共団体の大きなトラブルを放置しておきますと、成田問題のような問題になります。
そこで、自治大臣といたしましては、運輸大臣または国鉄当局、この三者の中に入って、地方公共団体の利害また住民のメリットにもつながるこういった問題をどのように判断して、いまこのような問題になっているということはもう十二分に御賢察いただいておると思いますので、この問題を、自治大臣といたしましては、事が大きくなって
国家公安委員長の立場で対策を講ずるようなことのないように対策を講ずるという二つの責任をお持ちでございますから、当然この問題は何らかの、介入ということは非常にあれがありますが、仲介の労をとるとか何らかしていただかないと、これはにっちもさっちもいかなくなって過激派がこれに便乗する、またいろいろな問題が起きる、それこそ平和な人口急増地帯の東北沿線の東北新幹線問題で血が流れるようなことがあったんでは大変でございますので、この御見解をいただきたいと思うことが一つ。
第二点は国鉄側にお尋ねしますが、このようなデッドロックに乗り上げているときに、通勤新線の認可はいつ正式には行うのですか。通勤新線というのは、御存じのとおり新幹線と併用して大宮から東京までの複々線化をわれわれは叫んでおります。いま現在複線化でございますから、この三複線化に伴う処置としての認可をいつ行うのか、それによってどのように状況を好転させようとするのか、これを次にお尋ねしたいと思います。
それから三番目は、上野の公園の下をこれから地下で掘っていくわけでございますが、上野の山は非常に軟弱地盤地帯と言われていて、現在の掘削工法では非常に危険がある。聞くところによりますと、いまはいろいろと新しい注入方式とかいろいろな開削工事というものが各社で検討されておるということを聞いておりますが、現行の技術だけでなく、新しく開発されたそういった技術を導入して事故の起きないようにやっていただきたい。あの上野の山の西郷さんの下を掘っくり返すということでございますが、この上野公園の下の軟弱地盤をどのように処置していくのか、こういう技術を導入していくのかどうか。
以上、三点お尋ねいたします。
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○
加藤国務大臣 東北新幹線の大宮以南が難渋していることを私もよく承知をいたしておりますし、関係市町村で反対の決議のありますところもこれまた承知をしております。そこで、反対決議をいたしましたにはそれなりの理由のあるものもございましょうから、国鉄なり運輸省におきまして理由のありますものは積極的に打開を図ってもらわなければなりません。が、しかし、いわゆる地域エゴによりまして全体を見ておらないために反対が旺盛に盛り上がっておる、かような面もないわけではございませんし、ことにさようなトラブルがありますと成田に見られますように極左暴力集団のつけ込むところになったりしましてはこれは大変なことになるのでございまして、そこで、私といたしましては、運輸省や国鉄とよく話し合いをいたしますと同時に、必要によりましては地方団体等に対しまして仲介の労もとりまして早期に解決ができますように努力をしてまいるべきだ、かように思っております。
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○吉村説明員 お答えを申し上げます。
国鉄といたしまして、埼玉県下の地元関係とはかねて御理解をいただくべく接触をしてきたところでございますけれども、今日現在、残念ながら地元反対同盟の方々は新幹線計画の白紙撤回ということを御要求になったままでございまして、十分なお話し合いのテーブルに着いていただけないという状況でございます。今後ともさらに誠心誠意御理解をいただくように努めていきたいと思っておるところでございます。
昭和四十八年に運輸大臣から、この問題の解決の一環として通勤新線を新幹線に併設させるという御提案があったわけでございます。昨年国鉄総裁から埼玉県知事にもその御提案を実現したいという御回答を申し上げ、埼玉県知事もそれを了とされましてそれで進めたいということになっております。今日まだ、実務としての認可申請、省の御認可を必要とするわけでございますが、これを手続をまだいたしてないわけでございますが、先生お話しのとおり、私どもといたしましては、今後の新幹線問題並びにこの地域におけるかねての問題であります通勤問題を解決いたします基本的方策として、一刻も早く認可申請をいたしまして、御認可を得て施工していきたいと思っております。なるべく早くと思っておりますが、遅くとも十一月中には完了いたしたいと思います。
上野の件につきまして、先生から上野公園の下を掘るというお話でございました。これは一番当初の計画、四十六年度実施計画をいただいたときの計画ではそうでございましたが、昨年御承知のとおり上野駅を新設するためにルートを振りまして、上野公園の下を通らないルートに変更をいたしたわけでございます。上野駅の新設に伴いまして、ほとんどの用地は現在の私どもの国鉄上野駅の中、地下四階になるわけでございます。それにいたしましても、周辺あるいは地上の国鉄施設等の防護、これには最大の技術が要るわけでございます。しかし東京地下駅等の施工実績も持っておりますので、それらを駆使いたしまして対処いたしていきたいと思っております。
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○
小川(新)委員 これで終わりますが、大臣、改めてきょうは、新幹線問題ではそういった話し合いの場を設けて折衝の仲介の労をとる、こういう新たな御見解をいただきまして、国鉄当局におかれましても、運輸省におかれましても、平和的な、民間とのトラブルの起きない最善の労をひとつとっていただきたいと思います。
実は、その技術の問題につきましても、私どもが言っているのは、新しい技術がどんどん開発されればそういうものを駆使して、騒音や振動公害、また安全性というものを高めるために御要望いたしておるわけでございます。いつまでもいつまでも同じ技術でやっていれば事足りるのだというのではなくて、そういう前向きな姿勢が住民に対する信頼感と安定感とそして国鉄に対する希望を満足させるものであるということで私は要求しておるのでございますが、最後に国鉄としてはそういう姿勢で進まれんことを私は希望いたしますので、御返事をひとつお願いして終わらせていただきます。
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○吉村説明員 先生の御意見のとおりだと思います。その方向で誠心誠意努力をいたす所存でございます。
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-
-
○山本(悌)委員 オイルショック以来大分不況になって各地域で大変不況に対するいろいろの取り組みをしているわけですが、その中で、小さな産地を持っておる市町村、こういうものが非常に窮地に陥っているのは御存じのとおりだと思うのです。
〔
委員長退席、
中山(利)
委員長代理着席〕
この質問も諸先輩やっておりますけれども、また、それは、昨日の本会議で特定不況地域中小企業対策臨時措置法という法律ができまして、これからまた一層力を入れていっていただくことになりますけれども、実はあの法律そのものは、大工場、大企業、室蘭とか函館とか、あるいは長崎とか佐世保とかそういうような大企業に集中した物の考え方であるような気がいたしますし、私どもが主張しておるのは、それよりももっと中小零細で困っている地域がたくさんあるわけです。私どもが大体調査をしているところでは千地域を上回る自治体に分布されていると思っておるのですけれども、まずそのことについて、大臣、これからなかなか大変な時期に入るのですけれども、どんなふうにこの処置を考えておられるか、所見をお伺いしたいと思います。
〔
中山(利)
委員長代理退席、
委員長着席〕
-
○
加藤国務大臣 ここ数年来の不況によりまして、企業が非常な打撃を受けますと同時に、そのことが地域にも甚大な影響を与えておりますことは御指摘のとおりでございます。わが国経済全体としてはある程度の成長は遂げてきておりますけれども、その中において好不況がきわめて顕著に目立ってきており、いわゆる不況産業を抱えている地域は今日大変な事態でございますことも御指摘のとおりでございます。かてて加えて円高の問題あるいは非鉄金属鉱山の問題、地域によりましては二百海里問題のあおりを受ける、かようなことで多元的に非常な影響を与えておる。そこで、この国会におきましては、臨時措置法二法案が上程され、成立をいたすと思うのでございますが、自治省といたしましてはこの二つの法律の円滑な施行に努めてまいる基本の取り組みでございますけれども、しかし、この二法のみをもっていたしましては総合的、計画的なきめの細かい対策がなかなか立ちがたいと言わなければならぬと思うのでありますから、自治省独自の立場に立ちまして総合的な、計画的な施策を進めてもらう。そのためには市町村だけの力をもっていたしましてはなかなか困難でございますから、県が軸になりましてその地域地域の計画を策定願い、自治省も十分に相談に乗ってまいりまして、法の許しまする最大の措置を取り運び、同時にまた、単に法に基づくのみではございませんで、行政措置としてやり得ます面につきましても最大の取り運びをいたしまして地域振興を図ってまいりたい、かような根本の考え方でございます。
-
○山本(悌)委員 なかなかごりっぱな決意でございますし、またそうしていただかないと地域の地場産業というか地域産業がつぶれてしまう。私自身ですけれども、直接自分の選挙区の中でも問題を抱えているのがあるわけですね。それは燕市の金属洋食器工業。日本の洋食器の約八十数%をここでつくっておる中小零細企業の地域であります。これが実は円高差損でかなり痛手を受けておる。ことしいっぱいは何とか首をつないでおりますけれども、来春からはどうしたらいいんだろう、こういうことで地場では悩みに悩んでおるのですね。大体スプーン、ナイフ、フォークあるいはハウスウエアというようなものが、ドルで見ますと二百円を割りますとほとんど収入がない、一銭ももうけがない、こういうことなんですね。いまのところ百八十一円ぐらいでございますか百八十二円前後を低迷しているのでありまして、さりとてこれはつくらないわけにはいかない、飯を食わなければなりませんので何とかかんとかというので、それじゃ二百円を割っているような地域産業がどうして成り立っておるのか、四万の人口を抱えて、ほとんどそれで飯を食っている地域でありますけれども、よく生きているな、こう言うのでありますが、幸いなるかな国内の受注が六〇%近くあります。多いときはむしろこれが逆でございまして、輸出の方が多かったのでありますけれども、最近は御存じのように台湾あるいは韓国等等からの追い上げでかなり安い物が出回るものですから、行き詰まっておることは事実です。そうすると、輸出で何とか物になっておるというのは、これは高級品だけなんですね。こんなことをここでるる説明を申し上げる必要はないと思います。
そこで、こういうものを救う一つの手だてとして、中小企業庁の計画
部長さんおいでになっておりますが、何か方法があるのかどうか。いま自治省としては県、市と相談をしてできるだけの手当てをしていきたいという非常にかたい決心でございますし、ありがたいと思いますけれども、いままでオイルショックを前後にいたしましても、燕というところなんか町ぐるみでだめになりそうになったことは何遍もあるわけですけれども、今度の場合は非常にそれが直接的影響を受けていて、このままおけばまずほとんど半分近い倒産を招くことになると思うのですね。そこで、中小企業庁としては何か手だてがあるのかどうか、まずお聞かせいただきたいと思います。
-
○若杉政府委員 お答えいたします。
先生おっしゃるとおり、わが国には特定の業種に属します中小企業が集中しておる産地が相当ございます。それで、これら産地は御承知のように最近の円高、発展途上国の追い上げということで非常な打撃を受けて苦境に陥っているわけでございます。実相は、先生おっしゃるように、たとえば燕のケースでは全くおっしゃるとおりと認識しております。このため政府としては円高対策法をつくりまして当面の出血防止といいますか緊急措置を講じてきたところであります。これだけではどうしても長期的には続きません。そこで中長期的対策を何か図らなければいかぬ。それから同時に、産地というのはいま非常な苦境にありますけれども、中小企業は大きな集団をなしている意味でメリットといいますかポテンシャリティーといいますか、そういうものも持っているわけでございます。したがって、自助努力と助成のよろしきを得ればこれからも活路を開いていくことができる、かように判断いたしております。そのような方向に沿って産地組合の方もいろいろな技術開発、新製品の開発とか高級化あるいは生産の合理化、市場転換というものに努力をしておるところでございます。政府といたしましてもこのような産地の中小企業の努力を支援する必要がある、かように考えておるわけでございます。したがいまして、予算あるいは財投、税制等を用いまして総合的な産地の中小企業、特に円高等によりまして深刻な打撃を受けております中小企業の振興対策につきまして産地の中小企業振興法というような、まだ法律の名前は別にできておりませんが、そういうものの制定を含めまして目下鋭意検討を進めておる、かような状況でございます。
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○山本(悌)委員 まとめてちょっとお尋ねしますが、本当はこれは大蔵にちょっと要求しようと思ったのですけれども、おいで願っておりませんから、中小企業庁さんでおわかりになったら御答弁願いたいと思うのです。
こういう円高差損になってから産地の方が非常に困って、政府系の貸付額、この金利の引き下げとか償還の猶予をしてもらいたいという要求が大分あったと思うのです。その手当てはどうしておったのか。それからまた、この為替に対する緊急融資の措置、こんなものはどんなふうにしておったか、おわかりの程度でいいのですけれども、これをちょっとお尋ねしてみたいのですが、どんなふうな手当てをしてこられましたか。
-
○若杉政府委員 先ほど申しましたように、円高対策法に基づきまして緊急融資をやっております。それで五分三厘で六年、三年据え置きという相当有利な条件で、いままでに、八月末現在で約三万二千件、金額にして二千八百億円程度の融資で出血防止をしておるわけです。それ以外に、先生御指摘のように、返済猶予とか既往貸付金の金利の問題とかございます。既往貸付金の金利につきましては、いわゆる不況業種を中心に既往の高い部分について引き下げを図ってきております。それから返済猶予につきましても、正確な数字は持ち合わせておりませんが、たしか六万件、数千億の規模で、数千億というのは貸付残高という意味でございますが、実施しておりまして、相当な効果をおさめておるものとわれわれは思っておるわけでございます。
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○山本(悌)委員 何とか手当てをしてやりませんとこれは本当に大変なことになってしまうので、ひとつできるだけめんどうを見ていただきたいと思います。
ただ、産地の方の要望は——金を借りても返せないのです。これは大蔵省にやかましく言おうと思うのですけれども、税金はちゃんと取るけれども、困ったときにはちっともめんどう見てくれない、このときにこそ国なりあるいは県なり
地方自治体なりがきちっとめんどうを見てくれなければ何ともしようがないじゃないか。いままで確かにめんどう見ていただいたことは事実です。だけれども、それは貸して、金を借りる、何とか百万でも五百万でも金を借りて生き延びてはおるけれども、それは生き延びるだけであって、それが原動力になってもとに戻っていくということにはなっていないのです。それはなぜかというと、いまお話が出ているように、円高という、自分の持っている、企業の中から出た問題ではなくて外圧によってそうなっているために困るということです。そこで、それではもう洋食器なんかやめてしまってほかの企業へ転換したらどうだ。これは、私は地元ではそのことをある程度言っているのです。それだけに固執するな、むしろ固執しないで企業の転換を図ってある程度の生き延びる方法を考えたらどうかということを言っているのですが、その指導はしておると思いますが、いかがですか。
-
○若杉政府委員 おっしゃるとおりでございまして、燕の歴史も先生御承知のようにいろいろな転換の歴史でございます。ただ、そういう意味で事業転換の関係の法律もつくりましてやっておりますが、残念ながらそう数は多くありません。考えますと、全く違う業種にすぐ転換するといってもなかなか経験その他でできません。したがって、われわれの主たる考えは、いままでの技術なり潜在能力を生かす方向で、高級化とかあるいは品種の転換とかということで、そのポテンシャリティーを生かしながら、百八十度というよりも四十度とか三十度という方が成功する事例が多いわけでございます。したがいまして、そういう方向で指導していく必要が基本的にはある。もちろん百八十度転換する場合も助成措置を講じておりますが、いままでのポテンシャリティーを生かして新しく考えていくという方向がわれわれとしては有効だと思います。そういう意味で技術開発なり高級品の開発あるいは市場転換というものについて助成措置を講ずるように目下検討しておる、かような状況でございます。
-
○山本(悌)委員 私は、新潟県の状況を見ますと、金属洋食器工業もそうですけれども、これはそれなりの機械工業で、指導によってはある程度転換できると思うのです。ところが繊維になりますと、織物機械だけなものですから、転換のしようがないんだ。御存じのように栃尾、見附あるいは十日町というような地場産業、本当にそれだけやっている人、これをどうするのか。繊維問題というのはいま大変重要な問題になっているのですけれども、それはどんなふうにお考えになっておりますか。
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○若杉政府委員 非常にむずかしい質問でございまして、繊維につきましても、御承知のように合繊のジョーゼット系統のものとか、あるいは特殊な繊維あるいは福田の方の別珍、コール天、ああいうものはいまでも相当調子がいいわけでございます。繊維によっても千差万別という状況にはございます。ただ、おっしゃるように、具体的に言われました栃尾、見附あたりでは合繊の普通の織物でございまして、一番と言っていいぐらい非常にきつい状況ではないかと思います。そういう場合にはもちろん設備というものがありますから、そう簡単に調子のいい繊維にすぐ乗り移るわけにはまいりませんので、一番頭の痛いところでございます。やはり市場転換あるいはそれなりの高級化あるいは先染め化とかという方向で、おっしゃるように、一番むずかしい事例を挙げられたわけですけれども、それなりに高級化なり知恵をしぼっていくように指導をしたい、かように考えておるところでございます。
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○山本(悌)委員 ひとつ十分なめんどうを見てやっていただきたいと思いますし、私どもも努力をいたします。
それで、いままで
部長の話がありました産地中小企業振興措置法ですか、これは来国会に出す予定でおられますか。また、もし内容がある程度おわかりならば、ちょっと教えていただきたいのです。
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○若杉政府委員 目下、立法措置を含めて検討中でございまして確定はしておりませんが、出す方向で予算措置、財投その他の要求をいたしておるわけでございます。
その内容は、産地の中小企業に対する中小企業個々あるいは組合に対する助成が中心でございます。組合に対しましては、先ほどからも申し上げておりますように、技術開発という問題あるいは産地の向かうべき方向に対する研究というようなものを組合単位で助成してまいろうというふうに目下考えておるところでございます。それから、そういうような組合の傘下の中小企業に対しましては、金融、税制等におきまして格段有利な措置を考えていきたい、かように考えておるところでございます。
-
○山本(悌)委員 産地問題はこの辺にいたしておきますが、ひとつ十分な予算の措置を講ずるようにいずれまた大蔵省にお願いをするなり、私どもの考えも提示して対策を講じていただきたい、こう思います。
質問の二番目に移ります。昨日も質問がございましたが、暴力団の問題というのはいまや社会的な問題になりつつあります。新聞を見ておりますと大変気の毒な記事が毎日のように出ておりまして、特にサラ金あるいは暴力団抗争は言うに及ばずでありますけれども、そういうものが絶えないのですね。そこで、この暴力団の基盤になっておるいわゆる資金源、これは金がないとそんな動きはできないし、また金を得るためにそういう行動を起こすのだろうと思うのですけれども、それと、広域暴力団の組織の現状、警察白書で大変おもしろくと言っては大変恐縮ですが、読ましていただきましたけれども、もう少し突っ込んで御説明をいただきたいと思うのです。
-
○
小林(朴)政府委員 暴力団の問題につきましては、現在、警察が全力を挙げて取り締まりをやっておるわけでございますが、現在、大体全国に二千五百二団体、構成員が約十万八千二百六十六人、これは警察が昨年末におきまして把握した数でございます。この数は、ちょうど昭和三十八年に五千二百十六団体、構成員が十八万四千九十一人、これがピークになった時代でございまして、この当時は、あるいは先生も御存じだと思いますけれども、例の児玉譽士夫らが関東会というものを結成いたしまして政治の分野にまで暴力団が介入するというようなことになってまいりました。国として治安が非常に問題だというので大量な検挙をやる時期でございまして、これがピークの時代だったわけでございます。それ以来徐々に減ってまいりまして、現在この十万という数になったわけでございますけれども、取り締まりをやればやるほど大きな団体化するという、小さなものはそれによってつぶれていくのでございますけれども、資金的に非常にがっちりしておると申しますか、そういう団体に吸収合併をされていくというような傾向がございまして、これは取り締まりだけではなかなか十分な決着がつかないというような状況になっております。
それからまた資金の問題でございますが、そういうふうに大きな団体ががっちりと組みましてそれぞれ資金のルートをつくっておるわけでございますが、全体的に見まして、覚せい剤の取引と申しますか、そういうものの取り引に流れております金が推定しまして百九十一億程度、これは検挙から推定したものでございますのでちょっとはっきりしたものではございませんけれども、推定いたしまして百九十一億程度はあるんではないかというふうに思われるわけでございます。これが暴力団の収入源の中の六三%ぐらいを占めておるのではないか。次がのみ行為なんでございますけれども、これも相当な資金源になっておりまして、昨年の検挙から推定いたしまして、三十四億程度の金が動いておるんじゃないか。その次に、また企業恐喝というものがございます。あるいは賭博というようなものがございます。そういうようなものをいろいろ推計してみますと、三億程度の金が動いておるんではないかというふうに思われますけれども、いずれもこの行為自体が不法な行為なんでございますから、こういうものを摘発することによりまして、一応暴力団の動きというものを抑えていこうというのが現状のものでございます。
ただし、これで抑えましても、暴力団そのものの現象というのは、やはり社会の一つの病理現象なんでございます。私どもが取り締まりをやりますけれども、それのみによって彼らが解体をし、正業につくというようなことは、直ちには望めないというような現状でございますので、各官庁の総合計画と申しますか、検挙をすれば行刑面でどうするか、またこういう不法な資金源を入手することに対して、どういうように関係官庁が目を開いていくか。また拳銃あるいは麻薬、覚せい剤というものはほとんどが密輸でございます。そういうものについて水際でどういうふうに取り締っていくかということがそれぞれございますし、そういうものの需要を国民自身が持つという限りにおきましては、そういう覚せい剤を打てばそれは暴力団を養うことになるんだというような面からの広報活動もまた必要かというふうに思いまして、大変幅広い活動でこれを孤立化し、締め上げていくというようなことが必要ではないかというふうに考えておるわけでございます。
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○山本(悌)委員 実情はよくわかりましたけれども、私は、この暴力団がいまはびこっておる、既成のものの取り締まりそのものも重要なことでありますし、当然厳しくやってもらわなければなりませんけれども、その根が深い問題が一つ、二つ残されているんではないか。その一つは、いわゆる暴力団の予備軍と言われるようなものがある。その予備軍とは何か。変な話でありますけれども、予備軍とは何かというと、チンピラ、それから不良、暴走族、こういうものの対策というものがちゃんと事前にできていないんじゃないか、このところにメスを入れませんと、上の大物だけをつかまえて騒いでみたところで、しょせんそれはもう染まってしまったくずと言っては大変申しわけないかもわからないが、人間のくずみたいなものだからどうにもしようがないんではないだろうか。だがしかし、まだ直せば直るその以前のものがあるんですね。特に私は青少年の育成というのには、自分も地元で会長をいたしております。青少年問題というのは非常に真剣に取り組んでいるんでありますけれども、見ておりますと、不良になっていくケース、それから立ち直るケース、どっちかといえば立ち直るケースの方が多いんであります。ところが、取り締まりだけでそれを何かしようといたしますと逆になっていくケースがある。こういうことを一体警察庁としては、どんなふうに対策を考え、これは文部省の問題もむろんかみ合ってくるのでありますけれども、あるいはまた自治省あるいは地方団体もかみ合ってくるのでありますが、どんなふうに考えておるのか、その基本的な物の考え方をお伺いしたいと思うのです。
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○森永政府委員 お答えいたします。
確かにただいま先生御指摘になりましたように、警察で幾ら暴力団を検挙したとしても、非行少年等が次から次へ暴力団に入っていくということであれば真の効果は発揮できないわけでございます。したがいまして、非行少年が暴力団に入らないように、これを切り離していくということは暴力団対策の中でもきわめて重要な対策の一つであるというふうに考えておるわけでございます。私どもといたしましては、この実態を見てみますと、暴力団の方から非行少年あるいは非行グループに働きかけてこれを取り込んでいくというような形と、それから非行少年と非行グループの方から積極的にこれに参加していくというようなケースがあるわけでございます。警察といたしましては、何といってもそういう事態をできるだけ早く発見をする。そして暴力団との縁を切るように適切な補導をしていくということが大別であろう。そのためにはやはり警察だけの力ではいかんともしがたいわけでございますので、家庭それから職場とか学校、そういうところとの連携をとりながらこの対策を進めていかなければいけない、こういうふうに考えておるわけでございます。
また一方、暴力団によるところの少年を食い物にする福祉事犯がございます。こういうところからずるずると暴力団に入っていくというケースが多いわけでございますので、そういう福祉を害する犯罪というものについては徹底的に取り締まりをしていく、こういう考えでございます。
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○山本(悌)委員 それはよくわかりましたけれども、何か手だてがありますか。私どももいろいろやってみるけれども、手だてはないのですよ。たとえば地域で保護司なんか呼びまして、いろいろ話を聞いたり、具体的な事例を取り上げてやるのですけれども、どうもいい手だてがない。何か手だてがあるのかどうか、手だてがあれば若いうち、まだ芽が出ないうちに摘むことができるのですよ。この手だてを聞きたいと思っておるのですが、何かありますか。
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○森永政府委員 この手を打てば効果が出るという妙薬的なものはないと私は思うのです。というのは、少年が非行化し、かつまた暴力団に入っていくという経過を見た場合に、いろいろの要素があると思います。これは先生も十分御承知だと思いますけれども、これは本人の素質の問題もございますでしょうし、あるいは家庭環境もございますし、学校環境もあると思います。そういうものの実態を見ておりますと、やはり家庭内において両親の指導監督というものが必ずしも十分でない。端的に表現しますと、放任であり、かつ甘やかし、こういう状態のところが多いわけでございます。それでまた学校環境等におきましても、いまの進学率が大変高くなってまいっております。したがって上級の学校に進む。しかしながら、現在のような進学の雰囲気の中においてはどうしても学業についていけない。結局ドロップアウトをする学生というのが出てくる。そういうものがどうしても非行に走りやすい。また社会全体を見てみましても、一つ例を挙げても、風俗環境というものが非常に悪化しておる。どこへ行ってもエログロがはんらんしておるというような状況でございまして、そういう非行少年のたまり場になるようなものも非常に数多いわけでございます。そういうことで、社会全体として見ましても、犯罪を抑止する、非行を抑止するという機能というものがだんだんと弱くなってきておる。そういういろいろの要素が積み重ねられまして、そして非行にに走り、そしてこれがまた暴力団にきっかけを得て入っていくというようなことになるわけでございますから、根本的な問題というのは、そういう少年が非行に走る原因というものを排除していく、払拭をしていく、こういうことになろうかと思うわけでございます。そのためには、やはり先ほど申し上げましたように、家庭、学校、職場、それから警察、それから広く言えば社会全体が力を合わせてそういうものを排除していくということになろうかと思うわけでございます。
しかしながら、これは非常に幅広い対策であるし、かつまた大変時間を要する対策でございます。これを特にしぼりまして、暴力団に入らないための対策の決め手ということでございますけれども、これについてもやはり関係者と協力して根気強い説得をしていく。暴力団の実態というものをよく知らせて、暴力団の末路というものがどうなるのか、そういうことをよく少年に認識させる。そしてまた、そういう消極的なものだけじゃなくて、やはり少年が何か生きがいを感じるようなものを与えてやる。やはり学力の点で低いということであれば、何かの特技を見つけ出していってそれを伸ばしていくというような積極的な方向転換と申しますか、そういう方法を考えていく、こういうことではないかというふうに考えておるわけでございます。
-
○山本(悌)委員 時間が余りございませんから、こればかりやっているわけにいきませんので……。
私はこんなふうに思っているんですよ。無論、家庭も大きな問題です。学校教育もあります。けれども、何といっても環境です。いまお話があったとおりですよ。環境ですよ。その環境をどうするかということは、これはいまのお話にあったとおりで、大人の社会が環境をよくしていかなければ、子供なんか絶対よくなりませんよ、そうでしょう。遊技場がある、それからかすとり雑誌が出ている、インチキ雑誌がいっぱいある、ポルノがある。テレビだって、とにかく大人でさえ目を覆うようなことがしょっちゅう放映されているわけですから、そういうものの規制ができないのかどうか。それは非常にむずかしいところですね。私どもは地域の中でたとえばこういうことをやるんですよ。コインで出てくる雑誌がありますよ。あんなインチキなものを置くな、こう言うのですけれども、なかなかそれが徹底しない。どこへ行っても売っている。それは開けば漫画であり、またはポルノであり、そういうものの徹底ができないのかどうか。その環境の浄化をしない限りは、これはなかなか子供は興味がありますから、どうしてもそこへそこへと集中していくと私は思うのです。これは御答弁は結構でございますから、その対策をぜひひとつ大臣も、これは十分頭に入っていると思いますけれども、入れていただいて、環境の整備を警察当局からやっていく。私ども、あるいはまた全国の地域の皆さん方がPTAもそうですし、いろいろな会が努力をしていることに協力してもらわなければいかぬです。それはつかまえればいい、取り締まればいいというだけではだめであります。そういうことを申し上げておきます。
そこで、暴力問題の最後の方でありますけれども、壊滅作戦を、先ほど話がありましたように頂上作戦をやりまして、かなり落ちついた、横ばいになっている、それ以上大きくはならないと思っていなさるようでありますけれども、ここに一つの問題があると思うのです。先般、日にちは忘れましたが、テレビで暴力団の特集をやったことがあります。もう十日も二週間も前になるかと思いますけれども、そのときにそれを扱っている記者さんがこういう説明をしておる。毎年毎年暴力団の壊滅作戦はやる。しかも警察庁は挙げて相当の努力をしているけれども、しかし一体壊滅をする見通しがあるのだろうか、ない。ないけれども、しかしそのない中で、いわばもっと言いにくいことを言うならば、警察官と暴力団の癒着があるのではないか。たとえば山口組のああいう事件が起きたときに、すでにそのことがわかっておって、山口組のあの事務所に地元の人が何か騒いで行くと、まあこのぐらいでいいだろうと——それはテレビに撮っているんですよ。このぐらいでいいだろうと言って、中から暴力団が手を振る。警察はまあまあというようなことを言って手を挙げて通るというような、何か癒着があるのではないか。そうでなければどうしても理解ができない面があります。こういう説明をしておられた。私たちはそういうことをテレビで見ながら、あるいはまた新聞で見ながら、ないと言い切れない。かつて兵庫県警の、名前を挙げては恐縮ですから言いませんが、暴力団とツーカーになった例があったわけですから、そういう問題をどう考えているのか。これは警察官の綱紀粛正の問題も当然ありますけれども、その辺のところに深い根があって、それが一般国民の目に映っているとするならば、それは口で叫ぶだけであって、実態は、そのことを駆逐することはできないのじゃないか、私はこう思います。刑事
局長及び大臣にこのことをひとつお伺いしたいと思います。
-
○
小林(朴)政府委員 癒着があるのではないかというふうに言われるのは私も大変に残念に思うわけであります。ただ、暴力団の動向を視察するという限りにおきましては、暴力団に接触をすることもあるわけでございますから、そのうちには多少そういうふうな顔なじみといいますか、そういうものができ上がってくるものがあろうかと思うわけであります。さればといって、非常に離れた態度で暴力団に接するということになりますと、この動向がわからないという矛盾がございまして、それがともすると、先ほどのお話のような形で癒着じゃないかというようなことになるわけでございますから、この辺のところにつきましては、本当に組織を挙げましてお互いにチェックをする。私は、常に自分の行動が上司に報告できるような形で行動してほしいということでその問題を指導しておるわけでございます。ただ、過去におきまして、一部にそういう癒着と思われるようなことがあった。
ただ、その手を振ったという問題につきましては、私もちょっと見たのでございますけれども、これは恐らく、住民が反対運動をしたというものについて、警察官の方では、その住民に危害を加えられないための保護といいますか、そういうもので行ったと思うのでございますけれども、暴力団の方から、いやこの程度でいいのかというようなことでやったことがそういうふうに勘ぐられたと言えば勘ぐられたような感じもいたします。私は、もうそういう癒着がないことを現在信じておるわけでございますけれども、なおかつそういう疑惑のないような形において、しかも取り締まりは厳正にするというような指導をこれからもやっていきたいというふうに考えておるわけでございます。
-
○
加藤国務大臣 警察は、全力を挙げまして暴力団の壊滅に当たっておるのでありまして、そのためには国民皆さん方の十分な御理解が得られなければならぬのでございますけれども、仮にも警察と暴力団が癒着をしておりますようなそういう受け取り方をされる面がありますと、警察としても反省をしなければなりませんです。いま刑事
局長が答弁いたしましたように、ある程度入り込んでまいりませんことには、暴力団の事前の動向等がつかみ得ないことはわかります。わかりますけれども、そのためにミイラ取りがミイラになってしまうようなことが断じてあってはなりませんので、今後この点を十分戒心いたしまして対処してまいるべきだ、かような決意を新たにいたしております。
-
○山本(悌)委員 これは本当に一億の国民がみんな注目をしているところでありますので、ミイラ取りがミイラになるようなことがあってはならないし、またそんなことは絶対許されないと思います。ですから、厳に慎んでいただきたいと思います。暴力団の問題はこの辺にいたしておきたいと思います。
そこで、先般委員会の派遣で参りました中で、成田空港の問題で一、二お伺いしたいと思うのです。
きのうもお話があったかと思いますけれども、私は視察をした中で、五千人有余、一番ピークのときは八千人、一万人動員されたんでしょうけれども、警備に当たっておる警察官の宿舎を見せていただきまして、実に気の毒と言った方がいいくらいだと思うのです。いつまでもあんなことをして放置しておくわけにはいかないでしょう。それから、成田空港がいつも五千人、一万人の警官に守られていなくてはならないというのも奇異な問題でございますが、一体施設についてはどういうふうにされるのか、そこからひとつ公団の方にお伺いしたいと思うのであります。
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○山口参考人 いま先生がおっしゃったとおりに、現在空港におきましては、警備当局の御協力によりまして空港の運営に当たっておるわけでございまして、先生がおっしゃいました宿舎につきましては、警備当局からの要請によりまして、当初開港予定日の直前に臨時的に使用するということで建設いたしたものでございます。このために、十分な環境整備ができなかったという点もございまして、隊員の皆さん方に非常に申しわけないと思っておるわけでございますけれども、これらの点につきましては、今後警備当局と十分協議さしていただきまして、環境の改善に努めていきたいと考えておるわけでございます。
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○山本(悌)委員 早くああいう第四インターとかヘルメット族がいなくなることが一番いいわけですね。そうすれば問題はないわけでしょう。その辺は刑事
局長どうですか。とても見通しがなくて、まだまだあそこでがんばっていなくてはならないというような状態ですか、いやもうそろそろいいだろうというような状態なんですか、それによって処遇の方法も違ってくると思うのですが。いかがですか。
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○
鈴木政府委員 まことに残念ながら成田空港の警備につきましては、すきがあればいつでも廃港に向けてのゲリラその他の行動を行う、各セクトともそういう呼びかけ等をやっておるわけでございまして、いま極左暴力集団の一つの運動の中でも、成田闘争というのは依然として大きなウエートを占めておるということでございます。そういう意味で空港警備隊の設置が行われまして、これを核にいたしまして、そのフェース、フェースに応じた矛軟な警備をやっていかなければならぬということでございますが、御質疑の、あそこが平静でもう何も警察の警備がなくていいという日の来ることを私個人も心から願っておるわけでございますが、残念ながら長期的警備は免れないということで、日々警備に当たっておるというふうな状況でございます。
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○山本(悌)委員 不幸なことだと思いますね。国際空港でありますから、あんな物々しい警備をしなくてもいいように早くしていただきたいし、政府もそのような努力をしていただきたいと思うのです。
そこで、先ほど公団の方から何とかしなきゃならぬと言っておりましたけれども、いつごろするんですか、まだそういう見通しは立っていないのですか、予算もないんですかね。
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○山口参考人 先ほども申し上げましたように、現在警備当局の方と細心詳細に詰めておりまして、できるだけ早い時期に実施したいと思っておるわけでございます。
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○山本(悌)委員 それはお願いをいたしておきます。やはり警察官も人の子でございますし、そんな食堂もない、毎日粗末な弁当を食っているというような状況では、これは許されないことだと思いますので、予算もあることなんだから、警察当局と十分話をして待遇をできるだけちゃんとしてあげていただきたいと、こう思います。
それから騒音も聞かしていただきましたけれども、ちょうど行ったときにはそれほどの騒音ではなかったんですけれども、大分対策は講じていられるようです。
騒音についてちょっとお伺いしますが、これは八十ホン以上の第一種区域がまだ百四十五戸ぐらい残っておるのですか。それから第二種地区と言うんですか、これは九十八戸まだ残っておるそうですけれども、それともう一つその周辺における全室の防音工事、これに対してどんな措置をとっておるのか、お伺いしたいと思います。
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○角坂参考人 お答えいたします。
いま先生御指摘の第一種区域の防音工事でございますが、これは当初八百十七戸ございましたのを開港までにということで鋭意努力したわけでございますが、いろいろ事情がございまして二百七十戸残って開港したわけでございます。
それから第二種区域内の騒音激甚地の移転区域が四十戸、まだ未移転でございます。
これにつきまして、まず防音工事でございますが、この防音工事をなかなか御賛成いただけなかった最大の理由に、一室二室では不十分で、全室防音工事をやれという要望が非常に強かったわけでございますので、これは政府の御決断によりまして五十三年度から全室防音工事に踏み切ることになりまして、いろいろな事務手続を終わりまして、各地に全室防音工事の説明をいたしておりまして、この八百十七戸のうち現在すでに二百二十七戸が全室防音工事を申し込んでおりますので、ただいま各戸にわたりまして詳細な設計中でございまして、この設計が完了次第すぐ着工したいと思っております。
なお、まだ申し込みのない方もいろいろの問題があるようでございますが、公団といたしましては、連日各部落に入りましてそういう点を御説明いたしまして、全室防音工事に御賛成いただきますように御協力願っている次第でございます。
未移転者につきましては、やはりいろいろな問題がございまして、しかしその当時といたしましては、開港してから音を直接聞いて考えるという方が大部分でございまして、現実に開港いたしておりますので、その後それぞれの部落に入って御協議申しておりますが、相当の方がやはり公団と相談していい場所に移転したいということで、現在まだ決定はいたしておりませんが、過半数の方がそういう方向で動いておるわけでございます。
いま二点だけ御質問でございますから、以上お答えいたします。
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○山本(悌)委員 よくわかりました。角坂さん、防音工事の費用というのは全部自己負担ですか、それとも国が皆持ってやっておるのですか。
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○角坂参考人 全室防音工事、いわゆる防音工事にかかる費用は個人負担がないという原則でやっております。ただ、極端な例外がございまして、お一人の方が五十坪、百坪の家に住まわれているときに全室防音工事をやりますと、率直に申しますと、不公平と言うとしかられるかもしれませんけれども、こういう方には二室か三室、本当にお使いになるところだけを防音して、もし自分でぜひと言われる場合には、そういう方につきましては多少の自己負担があるということは御説明申し上げまして御了解を得ておる次第であります。
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○山本(悌)委員 ありがとうございました。余り時間がないものですから、まだまだ突っ込んでお話を聞きたいところでありますけれども、ああいう問題を起こしているところでありますので、できるだけ住民には安心ができるように、しかも大変な騒音でありますし、私の住んでいる新潟でも空港がこの間拡張して、あの辺の地域はなかなかうるさいのですよ。あれだけしか飛ばない——飛ばないと言っては大変恐縮ですが、小さな空港でも、やはりそういう問題がありますので、万全を期していただきたいということをお願い申し上げておきます。
先ほど暴力団のお話を申し上げましたけれども、これは人間の方でありまして、今度は動物の方がこれまた問題であります。私は六月の委員会で猛獣ペットを取り上げました。これはまだ社会問題としてそれほど大騒ぎにはなりませんけれども、しかし、やはりかなりの被害が出ているのですね。そういうことになりますと、これをほっておくわけにいかないのです。ここには二つの問題がありまして、保護という面とそれから猛獣に対する規制という面とがあるわけですね。先般御質問申し上げたときも、これを扱う省庁がはっきりしていない、まあ総理府なんだそうでありますが、総理府の御答弁もいただいておりますけれども、そのときの御答弁では、むしろそれは自治省、それから総理府、それから輸入で入ってくる通産省、それから警察当局、こういうような四者で協議体をつくって何とかひとつ規制をしていきたいという話がございましたけれども、総理府さん、その後の対策というものをどんなふうにしておられるかをお聞きしたいと思います。
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○小野政府委員 お答えいたします。
総理府には付属機関の一つといたしまして動物保護審議会がございますことは先生御案内のとおりでございますが、この審議会に警察庁、厚生省、農林水産省、自治省等の関係の行政機関の
局長クラスの職員をもって構成いたしております幹事会がございます。先般の先生の御質問もございまして、私どもといたしましてはこの幹事会で猛獣類の飼養制限問題につきましていろいろ検討をいたしてまいりました。
そこで、この幹事会といたしましては、飼養制限の強化をすべきだとした場合に、その制限の程度を個人の飼養を全面禁止にするのかあるいは許可制にするのか、それから飼養制限対象の動物の範囲をどこまでにするのかといったようなことがいろいろ問題になるわけでございますが、こういう非常に広範多岐にわたります。また専門的な問題の討議をやるにつきましては、動物保護審議会で審議をお願いすることが適当ではないかということに相なりました。そういう申し合わせといいますか話し合いの結果、現在動物保護審議会におきましてその基本問題小委員会においてこの問題の対応につきまして鋭意審議を進めているところでございます。
先般九月には埼玉県で二度目の不幸な事件も起こっておりますので、私どもの方としましてはこの審議会に対しましてできるだけ早く審議をお願いして、結論を出していただきたいということを現在お願いしているところでございます。
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○山本(悌)委員 相談ばかりしておってもどうしようもないですね。これはトラもおるし、ライオンもおるし、大蛇もおるし、とにかく入ってくるのは自由だというくらいですから、早く規制する必要があると思うのですよ。
そこで警察庁さんにお伺いをしますけれども、被害の実態調査というものはできておりますか。それとまた動物の分布数というものができておったらお聞かせ願いたいと思います。
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○森永政府委員 お答えいたします。
猛獣等による事故の件数、それによる被害の状況でございますけれども、これは昨年一年間で三十五件発生をいたしておりまして、二十三名の方が死傷をされておるということでございます。ことしに入りましてからは大分減ってまいりまして、十月二日の段階でございますけれども、九件の発生で八名の死傷、こういうことに相なっておるわけでございます。本年に入りましてから、特に埼玉県の児玉町の事故とか、大宮市における事故とか相次いで発生しておりますし、国会でも論議され、一般にもかなり報道されておりますので、国民の間においてかなりそういう点についての認識も高まってきた。この結果もこれに寄与しているのだろうというふうに思うわけでございますが、しかし、このような事故は一件も発生してはいけないわけでございますので、これについては十分な対策が必要だと考えております。
それから動物の、猛獣等の飼養実態についてでございますけれども、これは前回の国会でもお答え申し上げましたが、猛獣というものの定義がはっきりいたしませんので、警察庁といたしましては、一般的に危険な動物であると言われておりますところのクマとかライオン、トラ、ヒョウ、このような十三の動物に限定をいたしまして調査をいたしたわけでございます。
それによりますと、本年の十月一日現在で動物園とかサファリ、そういうところで飼っているものを除きまして、猛獣の総数は四百五十二カ所で千四百五十飼養されておるということでございます。
その内訳をちょっと申し上げますと、一般家庭で愛玩の目的で飼養されておるものが二百十七カ所で三百九、それから客寄せの目的で飼養されているものが百八十七カ所で千十、それから販売とかリース用に飼養されておるというものが四十八カ所で百三十一、こういうことに相なっております。その中で一番多いのは、数は省略いたしますがクマ、それからニシキヘビ、ワニ、ライオン、トラ、ヒョウ、こういうものが多くなっております。このほかに、参考に非常に危険なものであるということでとってみたのですけれども、マムシとかコブラのような毒蛇、こういうものが四十二カ所で七千九百十三匹飼われておるというような状況でございます。
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○山本(悌)委員 自治大臣にこれは先国会のときもお願いを申し上げておいたつもりですけれども、
地方自治団体で京都とか横浜のようにちゃんと規制をして届け出させるところがあるわけですから、自治団体にそれをしたのかどうか、その辺ちょっとお伺いしたいと思いますし、もし、していないならば、規制法をつくることもこれは一案でありますし、また将来つくらなければいけないと思いますけれども、
地方自治体自身もやはりそれに取り組んでいただかなければいけないのじゃないか。この間、東京都の都議会でもそれが問題になりまして、美濃部都知事は、とにかくこれは急いでつくらなければいけないのじゃないかということを発言しておりますから、そのことを自治大臣としてはどう考えておられるか。
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○久世説明員 ただいまの御質疑の点でございますが、私ども自治省といたしましても、先ほど総理府の方から答弁がございましたけれども、各省一体の会議におきましていろいろ検討しておるところでございます。
私どもといたしましては、いま御指摘のございました動物の保護及び管理に関する法律に基づいて数県市におきまして条例が制定されておるところでございますので、基本的にはこのような規制につきましては条例で行うことが適正である、地方団体の実情に即して条例がつくられることが望ましいと考えておるわけでございますが、いろいろと立法の動向等もございますので、もし立法措置を行おうとする場合にはいろいろと中に問題がございますが、そういう問題をしぼっていろいろ検討した上で措置が十分とられることを期待しておるわけでございます。
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○
加藤国務大臣 地方にとりましても、猛獣ペットの問題はきわめて重要な問題でありますし、先ほども御指摘がございましたように、埼玉県におきまして続いて二件も事故が起きておるわけでございますし、他の地方においてもまた同様の事件が起きることが心配をされるのでありますから、積極的に条例制定の指導はいたしておりませんが、各団体におきまして自主的な判断によりまして対処していくもの、さような期待をいたしておるところでございます。
なお、立法化の動き等があるようでございますから、さようなものをも見きわめながら地方でも対処してまいるべきだ、このように思います。
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○山本(悌)委員 これは立法化するのに、所管の官庁が問題だと思うのですよ。総理府がこの保護管理法の基本になっているのですけれども、むしろ警察庁あたりが中心になってやった方がいいのじゃないかと思いますが、その辺はどうお考えでございますか。
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○
加藤国務大臣 劈頭に保護の面と規制の面と両面がある、かような御指摘がございました。規制の面については警察も関与していかなければなりませんけれども、ただ警察が立法化の軸になりますことはいかがであろうか、かような感じを持っております。しかし、関係省庁とよく相談をしていかなければならぬ、こういうように思います。
-
○山本(悌)委員 ひとつ十分対処をしていただきたいと思います。これは社会問題になるのですね。先国会で私は何度も申し上げましたけれども、輸入する方がまるで自由なんですね。どこからでも入ってこれるというような状況で、しかもその規制がないから、おれはゴリラを飼いたい、ライオンを飼いたいといえば、幾らでも飼えるという状況なんです。それで結局入ってから管理ができない。しかも、ペットも小さいうちはかわいいですけれども、大きくなると猛獣ですから刃向かってくる。そして今度肉を、えさをやるのが大変なんですよ。そうしてほっておきますと人間に食いつく、あるいは食い殺すという問題が起きるわけですから、やはりちゃんとした規制をしなければいけないのじゃないか、こんなふうに思います。
本会議があるそうでございますから、最後にしぼってまいりたいと思います。
これはお笑いぐさといえばお笑ぐさですけれども、十月三日の読売新聞でありますけれども、大新聞にしては珍しい記事というか、社会面にでかでかとこんなふうなのが出ているのです。大臣のところへいってますね。
どういうことが書いてあるかというと、「佐渡共和国作っちゃおう」というのです。佐渡というのは私が生まれたところであります。佐渡島であります。「「大国日本に未来はない」大まじめ“警鐘の組閣”」と書いてある。「おけさ内閣」というのがあるのですね。ひどいものですわ、ちゃんと内閣ができている。ちょっと読み上げましょう。大統領が三宅正一さん、副大統領が本間雅彦といって、これは本間雅晴中将の次男であります。そのほか農水特別何とかが西丸震哉さん、大蔵が力石定一さん、通産が糸川英夫さん、外務が磯村尚徳さん——尚徳さん知っているのかな、こんなこと。防衛大臣がイーデス・ハンソンときちゃう。
まあお笑いですけれども、いかにお笑いでもこんなことが一体許されましょうかね。しかも、これはどこで行われたかというと、三宅さんの副議長公邸で行われた。私はその後、佐渡の人からいろいろ陳情やらあるいは文句やら受けました。また、地元へ帰りましていろいろ話を聞きましたけれども、あんなものは問題にならないと。それは問題になりませんよ、佐渡島を独立国にして、大統領をつくってやろうなんてばかげたことを考えて。寄席の一席ならともかくも、副議長公邸でこんなことが議論されて、しかも、それが三文やかすとり雑誌に出るならともかく、大々的に読売新聞に出てまで「大まじめ“警鐘の組閣”」などとは一体何でしょうかね。大臣、これはおかしいと思いませんか。これは皆さん方には私は一石を投ずるのですけれども。
かつて伊豆大島を独立国にしようという議論があったことがあるのです。佐渡島だって明治になるまではそういう意見がよく出たのです。佐渡三十五万石、米は十分とれるし、魚は十分あるし、金はありましたし、そういう話はしょっちゅうありましたけれども、明治以降はそんなことはそれこそ夢にだに考えたことはないのですね。私は自治の破壊だと思うのですよ。佐渡共和国ができることそのものよりも、できてどうなるかということも、これまたお笑いぐさですけれども、おもしろいんですね。財源がないといったら、財源は記念切手を売ればいい、相川金山から出た金を小判にして売りまくれ。話はめちゃくちゃなんですけれども、いずれにしましても、何か漫談あるいは末広亭のお笑い話のような話なら結構ですけれども、こんなことが真剣に副議長公邸で議論されているなんということは私は本当に心外でございます。佐渡の人なんかこんなことは全然夢にも思っいませんし、それこそ大変な騒ぎであります。大島がだめなら佐渡にしよう、佐渡がだめなら奄美大島にしようなんて、とにかく無人島まで入れますと日本には島が三千有余もあるのですよ、一つ一つそんなことを考えているとしたら大変な問題だと思うのですね。大臣、これはどんなお考えですか。
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○
加藤国務大臣 私も不勉強でこの新聞のこの個所を読んでおりませんでした。先ほど秘書官から切り抜きが参りまして初めて見まして、委員会のさなかでございますから拾い読みで全体をよく読んでおりませんけれども、私はかようなことがあろうとは考えませんし、まさにその場の興の一つに供されたのではないだろうか、かような感じを持ちますが、もし真剣に考えている人が仮にあったといたしますと、それは自治を破壊するものであって、まことによろしからざること、かように思います。
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○山本(悌)委員 そのとおりなんですね。永六輔さんなんか佐渡島へ来て、いわゆる佐渡独立論なんて講演をして歩いているのですよ。それは永六輔だからいいようなものの、国会議員さんが、副議長さんがそんなことを取り上げてやるなんということはひとつ慎んでいただきたい。この場所をおかりして私は申し上げるのです。
佐渡島というのは、この前の国会のときにも申し上げましたが、一島一市にすべきだというのが私の持論であります。いま一市九カ町村ございます。かつて佐渡島というのは十二、三万の人口、多いときで十五万でありました。ところが現在は八万七千人、年間千人足らず、多いときは千人出ることもありますけれども、減っていって、過疎になりつつあるのです。これは鉱山が、まだ掘ってはおりますけれども、ほとんどだめでございますし、産業がない。ですから若い働き手がほとんど島外へ出ていくという現象がございます。そういう過疎になりつつある島で、それを観光で何とか補い、あるいは
都市から多少の産業が行って埋め合わせておりますけれども、いまの状況でいけばまだまだ八万七千を維持するほどの力はないと思うのです。
そこで、一体そんな小さな島に一市九カ町村あることは不合理ではないか。むしろ一つの市にして一つの財源で一つの行政をやっていくのがいいのじゃないかというのが、ずっと十年有余のぼくの提案なんですよ。これは首長さんがなかなか賛成しないものですから、今日実現もできませんし、反対者もおります。しかし、島民はそのことを望んでおります。とにかく三千人足らずの町村が幾つもあるのですからね。それでも町長から町会議員から職員からあるわけです。事実これはやっていけないのです。ほとんど国の厄介にならなければならない。
時間でございますからやめますけれども、ひとつ目を向けていただきたい。こういう独立論なんという国を分割するようなばかげた——共和国をつくるとか独立論なんというのは、民族の独立とかその地域に相当の問題が起きたときにできるのであって、日本国民同一の大和民族の中で、そこだけつくって自分たちだけでやっていこうなんてばかげたことを考えること自体がおかしいと思いますので、質問しようとは思いませんでしたけれども、自治の問題として非常に重要なことなので、こういう機会に申し上げました。もし佐渡がだめならまた大島でしょうとか、北海道を何とかしょう、そんなことが真剣に考えられたり起きるようなことがあったら大変だと思うのです。そういうことで、私の方は逆な意味で、警鐘を打つ意味で申し上げたのであります。ぜひそれをお読みになっていただきたい。それは読売新聞にでかでかと出たし、地元の新聞にも出ておりますし、議論をされておるところであります。地元の学者その他は皆反対であります。賛成している人はだれもいません。ですから、外から来て佐渡島を独立しようなんでとんでもない話でございますので、断固反対をいたしております。
以上申し上げまして、時間でございますから私の質問を終わりたいと思います。
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○木村
委員長 午後二時より再開することとし、休憩いたします。
午後一時二分休憩
————◇—————
午後二時一分
開議
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○木村
委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
地方自治、
地方財政、警察及び消防に関する件について質疑を続行いたします。三谷秀治君。
-
○三谷委員 昨年の末に北九州市において新日鉄などに対する課税漏れ事件が表面化しました。市議会には調査特別委員会が設置されて調査が進められたことは御承知だと思います。
地方税においていわゆる課税漏れがあった場合の処理は普通どのようにするのか、これをお尋ねしたい。
-
○土屋政府委員 課税漏れがあってはならないことでございますが、事務的にそういうことを発見いたしました場合は法の許される範囲内で、税によって違いますが、その範囲内までさかのぼって課税をするというのが適切な処置だと考えております。
-
○三谷委員 地方税法十七条の五で
固定資産税の更正は五年間さかのぼって行えることになっておりますが、北九州市はどのような処置をとりましたか御承知でしょうか。
-
○土屋政府委員 昨年の五月から七月にかけていろいろ調査をいたしました結果、課税漏れの物件、客体があるということを発見いたしまして、その後十分調査をいたしました結果、それが事実であるということがはっきりいたしました。そのために、
固定資産税についてはただいまお話のございましたように五年にさかのぼって全部処理をしたというふうに報告を受けております。
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○三谷委員 五年にさかのぼったとおっしゃいますけれども、実際はそうではない。北九州市のとりました処置は、新日鉄の第二工区の中の工作物の建っている面積分については昭和五十二年度分にさかのぼって課税をする。昭和五十二年ですから昨年の暮れでありますから、当年度分です。当年度分に限って課税するが、それ以前は不問とする、その他はすべて五十三年度分から、こういう処置をしたように私どもの資料はなっておりますが、五年さかのぼったことは間違いないでしょうか。
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○土屋政府委員 埋立地等についていろいろ解釈の差異もあるかと存じますが、新しく埋め立てた部分については、全体の課税というよりも、竣工認可前に使用しておりました部分については、これは土地として課税すべきであるということから、そういった実態に応じまして、古いものは四十八年にさかのぼり、それから五十一年のもの等もございますが、部分的にそういった実態確認の上に立って課税すべきものは課税しておるというふうに報告を受けております。
-
○三谷委員 実態は違いやしませんか。
北九州市における課税漏れ事件というのは、新日鉄埋立地第二工区の十七万六千八百平米が完全に整地されて、その中には一部まだ空白もありますが、会社が建って地代を払っております。また九州電力の高圧送電鉄塔が建って、この地代も収納しております。ところが、これをすべて工事中であると称して課税しなかったのであります。御承知のように、未竣工でありましても、使用されておれば課税は可能であります。そのように私は理解しておりますが、そうでしょうか。地方税法の第三百四十三条の七項に規定されております。新日鉄埋立地第一工区百四十二万平米の中で課税されておりますのは他企業に売却した分のみ。それから新日鉄戸畑構内の建築物の課税も漏れておる。新日鉄八幡の課税も漏れておる。これは市の当局の発表では約八千平米であります。住友金属の埋立地二十七万平米があるとして、これが市当局が追及されまして、そして議会に百条委員会が設置されて、調査が進められました。そして市当局が認めました建築物だけでも四企業——四企業といいますのはいま申しました新日鉄八幡、新日鉄戸畑、住友金属、三井化成の四企業で千八十三件、十二万五千平米になっておりますが、これが昭和四十七年以後課税漏れになっております。これに対して市がとりましたのは、五十二年度から一部について課税をする、その他は五十三年度から課税するという処置でりますが、自治省の認識とは非常に懸隔がありますが、どうでしょうか。
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○土屋政府委員 いまの数字について詳細な資料は持っておりませんが、新日鉄の埋め立て第二工区につきましては、竣工したのが御承知のように五十二年九月十三日でございます。したがいまして、一般的に埋立地の場合は竣工認可がおりるまでは所有権というのを認めない、私権の設定ができないわけでございます。したがいまして、全体としてその土地が土地としての課税し得る状態にはなっていない。ただ、先ほども御指摘がございましたように、一部使用しておるというようなことがあれば、その限りはみなし課税をするということでございまして、私どもが聞いておりますのは、全般的にはいまの竣工認可の後でございますから、五十三年度分から課税をいたしておりますけれども、その前にいろいろな関連会社の高圧線鉄塔が建っておるとか電柱が立っておるとか、あるいはいろいろな敷設物があるとかといったようなもの、そういった関係を洗いまして、それぞれ現実に使っておる部分については四十八年度からと、それから五十一年度からということで追加課税をしておるという報告を受けております。
具体的なそういった使用した土地の認定というものは、これは当該市において判定をされるわけでございますから、私どもは具体的にその当時の状況を知っているわけではございませんが、いまの法の趣旨に従って、使用しておるところについては課税しておるという報告を受けておるわけでございます。
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○三谷委員 そこは事実関係の認識が違っております。
そこで、これは調べていただきたいわけですが、地方税法によりますと、すでに使っておりますもの、あるいは地代を収納しておるもの、こういうものについては当然税法の定めます五年にさかのぼって課税をするという処置は当然であって、自治省もそのように指導されておるということでございましょうか。
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○土屋政府委員 そのとおりでございます。
ただいまおっしゃったとおりでございまして、課税すべきものについては、まだ竣工認可がない前でございましても、現実に使用しているような土地は土地とみなして課税をする、その際さかのぼれるのは、現実に使用したときからでございます。ずいぶん前から使用しておれば、五年間はさかのぼれるというふうに考えるべきものと考えております。
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○三谷委員 先ほど申し上げましたように、昭和四十七年に竣工した土地などが非常に多いわけでありまして、これが十二万五千平米に達しております。そこで市議会の方へ聞いてみますと、この課税はごく一部を五十二年度から、他はすべて五十三年度から課税をしますということになっております。百条委員会で市当局が示しました態度も、課税漏れにつきましてはまことに遺憾でありました、今後は厳正に課税を行いますという態度を示しております。ですから、もしもこれを課税していなければどうされるのか、どう指導されるのか、自治省の処置についてお尋ねしたいのです。
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○土屋政府委員 北九州市の課税当局も、そういった課税漏れについては十分反省をして、実態に応じた課税をしようとしておるわけでございますから、実態の認識において判断の差があるかどうかは別といたしまして、かけられるものは当然かけるべしという態度で臨んでおります。私どもも、そういう形で北九州市当局とも接しておりますので、おっしゃるように、課税すべきものであって漏れるものがあれば、これは負担の公平上許されないことでございます。私どもとしては、やはり従来からとっておる態度で十分指導していきたいというふうに思っております。
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○三谷委員 一方で課税超過もありました。この面積はわずかでありますが、課税すべき対象でないものに課税をするという処置もありました。これは、恐らく過誤納として既収の税額は返還すると思います。
それで、いま申し上げました当然課税の対象になるべきもので課税漏れになっているというものにつきましては、これは当然法に基づいた処置をとってもらうということでありますが、そこでこの北九州市の課税漏れの実態などを十分に調査されて、そして基準財政収入にはどのようにこれが反映をしておるのか、どのような対応をおとりになっておるのか、お尋ねしたいと思います。
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○森岡政府委員 ただいまお話しのように、この件は昨年あたりから課税漏れがあるというふうなことでいろいろ調査が進められたという経緯でございますので、私、いま手元に資料を持ち合わせておりませんが、恐らく五十二年度及び五十三年度までの基準財政収入額には、その課税漏れ相当分といいますか、適正にこれから課税する分でございますね、これは算入されていないと思います。したがいまして、実態を調査いたしました上で、恐らく錯誤という事態に該当いたすと思うのでございますけれども、明確にいたしました上で、五十四年度の交付税の算定の際に適切な修正措置をとる、こういう考えでいまのところおるわけでございます。
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○三谷委員 そうしますと、少なくとも五十二年から課税漏れ対象の部分に対して課税をしたと言っておりますから、それ以前につきましては課税漏れのまま基準財政収入が算定されておると思いますから、これの調整を今後において行うという意味ですか。
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○森岡政府委員 地方交付税の算定の基準に用いました数値に錯誤があります場合には、発見した年度または翌年度におきましてその是正をするということになっておりますので、私どもといたしましては、五十四年度におきまして十分是正ができる、かように考えておる次第でございます。
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○三谷委員 そこで税務
局長、いまお尋ねしましたように、自治省の把握、つまり自治省に対する市当局の報告と、それから私がいま調べております資料とでは、事実関係に非常な誤差が出ておりますから、これについてはよく調べて、そしてその結果について報告を願いたいと思いますが、よろしゅうございますか。
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○土屋政府委員 そのとおり調査をして御報告申し上げますが、ただ一言申し上げたいことは、先ほども申し上げておりますように、埋め立てという事態はございましても、それは竣工認可まで全体としてその土地としては課税しない、ただ、一部使用すれば、その分は課税するということで、部分的にさかのぼったりという、そこらの差異あるいはその認識の差異があるかもしれませんけれども、事実は私どもとしてもこういうことであったということを、もう一回確めた上で御報告をいたします。
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○三谷委員 そこで、新日鉄などの課税漏れ事件について、北九州市議会特別委員会の追及が山場を迎えておりましたさなか、昨年十二月の末に市当局のこういう大企業に対する公正な課税を求める声が大きな世論となっておりますその時期に、市長が、対象になっております大企業などに政治資金の要請をしておった事実がありますが、この市長の行為について自治省の御見解をお聞きしたいのです。
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○大橋政府委員 北九州市の谷市長の後援会が企業に政治献金の強要をしたというお話でございますが、私は、それが事実であるかどうかということについては承知いたしておりません。
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○三谷委員 そうしますと、これは調査をされますか。
事実関係を若干申し上げますと、課税漏れというのは新日鉄、住友金属、三菱化成、三井アルミなどでありましたが、市長が提示しました献金要請の内容は、三井グループ、新日鉄、三菱グループ各三千万円、ブリヂストンタイヤ、それから出光興産各千五百万円、住友金属、住友建設各六百万円、住友セメント、日本セメント、安川電機、大成建設、日産自動車、新日鉄化学、日立各三百万円でありました。総額にしまして一億五千万円の献金を課税漏れ対象の企業を含めて割り当て要請をしておりますが、こういう行為については、まだ事実を御承知ないようでありますが、一般論としてどのようにお考えでしょうか。
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○大橋政府委員 御承知のとおり、政治資金規正法では、政治団体の収支というものにつきましては、主として政治団体の自覚とその責任にまつというたてまえでありまして、その収支報告を受けて収支内容を国民に発表し、そうして国民の批判にまつというのが法の基本的な理念でございます。したがいまして、政治資金規正法を所管します自治省、さらには都道府県の選挙管理委員会につきましては、その事実関係について直接に調査するという権能はございませんので、ひとつその点御了承願いたいと思います。
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○三谷委員 私がお尋ねしているのは、単純な政治献金の問題をお尋ねしているわけではありません。つまり課税漏れという事態が発生しておる。考え方によりますと、錯誤であるのか、あるいは意図的なものであるのか、これは不明であります。不明ありますが、もしも意図的なものでありますならば、税の課税を漏らして、その漏らしております対象に政治献金を求めるという行為でありますから、政治資金の単純な計数上の問題としてお尋ねしているわけではありません。したがって、あなたの方で御答弁がむずかしければ、大臣なり行政
局長なりお答えいただきたいと思います。
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○大橋政府委員 政治資金の問題につきましては、先ほど言ったように政治団体の自覚と責任をたてまえとして、しかもそれを公表することによって国民の批判にまつという立場でございまして、逆にある意味において政治活動に行政当局が介入するという立場は、やはり政治活動そのものの自由の問題があるということが法のたてまえであろうかと思います。したがいまして、もし御指摘のような政治資金の収支報告があるとすれば、恐らく明年の報告に出てくるか出てこないかということでございまして、われわれとしてはその報告を受けてそれを公表するということになると思います。
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○三谷委員 あなたのお答えは、私の質問とは外れておるのです。私が言っておりますのは、政治資金規正法の取り扱いがどうであるとか、あるいは公表の時期がどうであるとか、こんなことを言っているわけではありません。要するに、課税漏れ追及の回避と引きかえにもしもこのような献金を求めたとしますならば、それは明らかに贈賄的な内容になってくる、汚職を構成するものでありますから、政治資金一般の問題ではなしに、
地方自治体の首長の姿勢として、行為としてこういうものが見逃されていいのかどうかという観点からお尋ねしているわけであります。
これはあなたの方のお答えでは少し無理でしょうから、ほかの方からお答えいただきたいと思うのです。
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○柳沢(長)政府委員 ただいまの御指摘の問題は、課税漏れとの関連で政治資金の問題が絡んでくるということになると、これは大変な問題だと思いますが、そこら辺の因果関係が必ずしもはっきりしないということでございますし、そういう問題について行政が介入するのはいかがか、こういうふうに思う次第でございます。
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○三谷委員 行政が介入するとおっしゃいますが、指導上の責任をお持ちになっているわけですから、指導的な措置は必要なわけである。
そこで、行政が介入するのはいかがかとおっしゃるならば、警察当局にお尋ねしたいわけでありますが、警察はどのようにお考えでしょうか。
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○宮脇説明員 ただいまの御指摘の事実関係だけからしますと、これが直ちに犯罪になるかどうかという点については不明でございますので、検討させていただきたいと思います。
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○三谷委員 具体的な事実を見ますと、昨年の十二月二十七日に、北九州市の小倉北区にあります国鉄の福利宿泊施設弥生会館といいますが、ここで午後一時半から開かれました市政報告会と称する集会に三井グループの総務部
課長が三十人集められました。そして、その市政報告会の内容を記録した報告書が参加した
課長から企業の上部に向けて送られております。その送られておりますものを見ますと、こういうように書いております。
市政報告会とは名ばかりで、田鍋助役という方がいらっしゃいますが、田鍋助役の簡単な市政報告があって、直ちに助役は退席した。後は、三井鉱山本社の総務
部長の長沼氏という方でありますが、調べてみますとこれは取締役総務
部長でありますが、この司会で谷北九州市長の次回市長選挙へ向けての資金調達の話が重点となって下記のとおり提案があった。その提案といいますのは、東京で谷市長の後援会が結成されたこと、そして、従来資金調達は在京本社を窓口にしてきたが、今後は現地で市と直接話した方が企業メリットを生かす意味からよいのではないかという意見が出され、それが大勢を占めて、今回よりそのようにしたことを述べております。そして、現在までに市長の方から要請を受けているのは、として、さきに述べた金額、さっき企業の金額を申し上げましたが、その金額を述べて、三井グループ三千万円については事務局、事務局というのは三井鉱山が担当しておるそうでありますが、これが市と交渉し、千二百万円でほぼ了解点に達したと述べております。
これから見ますと、市長が献金割り当て要請を行っておることが非常に鮮明に浮き彫りになっております。また企業側も、企業メリットを生かすことを前提として受け入れるということを報告で述べておるわけでありますから、このメリットとは何たるものか、企業課税漏れの最中のことでありますから、一定の推定には蓋然性が生じてくるのであります。こうした市政と企業の癒着とでも言うべき事実は、市長の地位を利用した献金の要請と言うべきであって、悪質な行為であると私は考えるものであります。これについて自治省の御見解はどうでしょうか。
地方自治体の首長の姿勢として、行為としてどうかということであります。
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○柳沢(長)政府委員 先ほども御答弁申し上げましたように、企業の課税漏れと政治献金が結びついている、そういうことがあるとすれば、いま蓋然性があるとおっしゃられましたが、非常に問題だと思います。そこら辺の事実関係を明確にしなければならぬという問題がございますし、先ほど申し上げましたように、そうなればむしろ行政以外の問題になるだろうというふうな感じがするわけでございます。そういう点で、いまの段階では行政としては介入するのは差し控えたい、このように思っております。
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○三谷委員 介入でなしに調査をする必要がありやしませんか。もしもそういう誤った措置を行政的な措置の一部としてとっておるとしますならば、これは放任できるものじゃないでしょう。それは介入というものではなしに自治省の指導責任であって、当然これは事実関係を調べるというのがあたりまえのことであります。責任であります。
それから、警察の方も、まだ事実関係を御承知ないとおっしゃっておりますが、これにつきましては調査をされますか、どうでしょうか。
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○宮脇説明員 先生御指摘のようないろいろな推測なり蓋然性と申しますか、一般論的には成り立つと思いますけれども、私どもといたしましては、事実関係についてもう少しはっきりさせたいというふうに存じてはおります。
ただ、調査と申しましても、犯罪の捜査に関連してくるというような場合には、その結果についてどうこうという点については、また追って検討させていただきたいというふうに存じます。
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○三谷委員 いずれにしても、事実関係を把握しなければ対策が出ないわけでありますから、事実関係を明らかにする努力をなされなければならぬと思うのですよ。それでなければ、事実関係が明らかでないから態度が表明できないとおっしゃる。それなら、事実関係を明らかにして、そうして態度を明らかにしてもらうということが必要になってくるわけでありますから、私はいま捜査という言葉を使ってはおりませんが、調査をして事態を明らかにされて、そしてそれに対する結論をお出しになるというのは当然の処置だと思いますが、いかがでしょうか。
それから、自治省、さっきの私の申し上げました質問について、黙して語らずじゃいけませんですよ、何か言ってもらわぬと……。
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○宮脇説明員 警察の方の調査でございますけれども、これは先生御存じのように、捜査の前提となるような場合もございますので、事実関係の調査いかんによっては。そこら辺のところを、その結果等については検討させていただきたい、かような趣旨でございます。
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○土屋政府委員 後段の件は、直接私の関係ではございませんが、課税漏れとの絡みの話でございますが、私どもが報告を受けておりますのは、五十二年の五月から七月にかけて、いまお話しのございましたような工場は非常に大きなところでございまして、埋め立てなり工場内の施設というものが非常に調査をしにくい広大な地域でございますので、そういったこともあって、いろいろと独自で調査を始めましたところ、そういった課税漏れ等があったということで、正しい課税をしようということになったわけでございまして、実際にそういう実態把握ができにくかったという点から、漏れたことは残念でございますけれども、そういった事実関係に基づいて自主的に調査を始めたというところから起こっておるということを報告を受けておるということだけ申し上げたいと存じます。
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○三谷委員 それは答えになっておりません。それも、どうも自治省はその報告をうのみにされていますね。先般同和問題でお尋ねしたときにも、あそこで、市の方針に反する者には公共施設を利用させないというふうな違法な処置をとっておりましたから、ここで問題にしまして、その事実関係が明らかになったかして、その後指導されたらしくて、その処置はやめました。やめましたが、それまではそういう態度をとっておりました。しかし、自治省がおっしゃっているのは、そんなことではなしに、市の一方的な言い分でお答えになっておった。今度の場合も市の言い分をそのままお聞きになっている。それで、課税漏れの問題にしましたって、これは問題になってきたから課税をするというようになってきたのであって、何も自発的にそういうものを市自身が提起したわけではありません。
ですから、そういう点からしますと、とにかくこれは調査する必要があります。私の言っているのが正しいのか、あなた方がおっしゃるのが正しいか、これを明らかにしますためには調査が必要なんです。その調査をしなくてはいけませんが、それをすると介入だ、こう行政
局長はおっしゃっている。それでは一体、地方団体の指導をしますのに、調査が介入でありますなら、どないするのですか。一方的な報告だけ求めておればいいわけですか。実態を明らかにするための処置が必要なんでしょう。それをやりなさいと言っているのです。そうして、私の言っていることが間違っているのか、あるいは市の方が間違っているのか、これを明らかにしてもらうということは、自治省の指導責任からいってあたりまえじゃないでしょうか。大臣、どうでしょう。
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○
加藤国務大臣 北九州市で徴税漏れがあったのは事実でございまして、そこで、市といたしましては特別委員会を設けましてよく調査をいたしました上で徴税をいたしておる、かようなことでございますから、税の公平を確保する観点からいたしましても、徴税漏れが絶対にないように心を配り、なお漏れておるものがありますと必ず徴収をいたす、かような根本の考えでなければならぬ、このことは当然のことでございます。ところが、企業グループの政治献金のことにつきましては、自治省といたしましてはその事実関係を承知いたしておりませんし、先ほどの三谷委員のお話の中で、企業が市と交渉してというようなお言葉がございましたが、政治献金を市が受けるわけではございませんで、私は市と話し合いをいたすようなことはあり得ないという感じを先ほどのやりとりから受けたようなことでございまして、したがって、もしありといたしますならば、政治資金規正法に基づきますいわゆる政治団体への寄付であろうかと思うのでございますが、その団体がいかなるものでありますかも、自治省といたしましては掌握をいたしておりませんし、かつまた、企業が後援会、いわゆる政治団体に寄付をいたしますことに、私どもが調査をいたす権能は与えられておらないのでございますから、先ほど来あのような答弁をいたした、かように理解をいたしておりまして、自治省の
局長なり
部長が答弁いたしましたことはちゃんと筋の通ったことだし、その道が正しい道なんだ、かような見方をいたしております。
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○三谷委員 よく私はわかりません。
いま私は、市長ないし助役ですね、この話し合いということを申し上げました。その話し合いということを申し上げましたのは、企業の
課長から上部に報告が行っている、その報告の中にそのように書かれておる。市長や助役と話をして、たとえば三千万円の割り当てがあったものを千何百万円で話をつけたというようなことが、これらの企業の中の一
課長から上部の位置にある人に対して報告されている。そこですから、私が想像をたくましくして言っているのじゃない。そういうことが公然と報告されている。さっき申しました会議に参加した
課長から報告されているわけでありますから、これはまるきり事実にないことを報告したとは考えられません。そこですから、調べる必要があるんじゃないですか、こういうことを言っているわけです。
それから政治資金規正法で見ましても、この場合で言いますと、さっき申しました三井の総務部の総務
部長が、助役が帰りました後、会議を主宰して、そして割り当て額について説明をしたわけでありますが、これは恐らくあっせんだろうと思います。そのあっせん等につきましては、これは政治資金規正法による禁止規定などがありやしませんか、どうでしょうか。
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○大橋政府委員 本件に該当するか否かではございませんで、条文だけ申し上げますが、政治資金規正法の第二十二条の七「寄附のあつせんに関する制限」で、「何人も、政治活動に関する寄附のあつせんをする場合において、相手方に対し業務、雇用その他の関係又は組織の影響力を利用して威迫する等不当にその意思を拘束するような方法で、当該あつせんに係る行為をしてはならない。」「2 政治活動に関する寄附のあつせんをする者は、いかなる方法をもつてするを問わず、寄附をしようとする者の意思に反して、その者の賃金、工賃、下請代金その他性質上これらに類するものからの控除による方法で、当該寄附を集めてはならない。」という規定がございます。
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○三谷委員 その「業務」の中に税の重課とか軽課とかいう問題、これは会社業務に関係することでしょうか、しないことでしょうか。
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○大橋政府委員 事実関係が明確ではございませんので、はっきりしたことは申し上げられませんが、「相手方に対し業務、雇用その他の関係」という場合でも、一種の業務的な支配関係があるようなものを考えているというふうに思われますので、いまのお話によりますと、業者の方々が話をしてということでありますので、抽象的には本件に該当しないのではないかと考えます。
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○三谷委員 なぜ該当しないか、私は理解ができません。「寄附のあつせん」、つまり寄付の割り当てをするわけなんです。そうして、いま申しました三千万円から下は六十万円、八十万円とありますが、総額にして一億五千万円の献金の割り当てをやっているわけです。そういうあっせんをやっておる。その場合、このあっせん行為というものがいま申しました大企業に対する課税漏れのさなかに行われておる、課税漏れ会社を対象にしても行われておる、そういう状態を見ましたときに、税務の問題が会社業務に含まることは当然だと思うのです。税を抜きにしまして会社、企業の経理問題は論議できるものじゃありませんから、税の問題というのは当然業務に含まれる。それに影響を与えるかのようなあっせん行為というものは、これは二十二条の七に該当するというべきものだと思いますが、そうじゃないわけでしょうか。
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○大橋政府委員 先ほど条文を読み上げましたけれども、「相手方に対し業務、雇用その他の関係又は組織の影響力を利用して威迫する等不当にその意思を拘束するような方法で」ということでございまして、ただいまの関係が「不当にその意思を拘束するような方法」であるのかどうかというものについては、私としてはちょっと認識をできないわけでございます。
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○三谷委員 「不当にその意思を拘束する」ということは、暴力団が人を監禁して無理無体にそれに一方の主張を認めさせるというだけのことじゃないでしょう。つまり、税の課税漏れをどう扱うかという問題を背景にしてそういう心理的な要素を含めながら、また含まる状態の中でそういう献金の割り当てをするということは、いまおっしゃいますような本人の意思が全くフリーなものではなくなってしまうわけでありますから、利害関係を伴うわけでありますから、そうしますと、当然これは本人の意思に反した結果をも招来するということは論理の帰結じゃないでしょうか。
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○大橋政府委員 先ほど来何度も申し上げますが、「何人も、政治活動に関する寄附のあつせんをする場合」ということでございまして、あっせん者の行為についてのことでございまして、御指摘の税の問題とは——何かあっせん者は税を使ってやっているのかどうか知りませんが、その場合においても税関係においてあっせん者がそういう状態にあったかどうかということについては、ちょっとそのような立場ではなかったのではないかと私は考えます。
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○三谷委員 なかったという断定を何でされますか、どういう根拠をあなたはお持ちですか。
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○大橋政府委員 先ほど会社の名前をおっしゃいましたが、少なくともあっせんしました会社の方は別に課税権者でも何でもございませんので、そういうふうなあっせん者というものが先ほど言った課税上の影響力を利用してというものにはならないと思います。
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○三谷委員 その場合、あっせんをしました
部長が課税権は持っていない、このことは私もわかります。しかし、課税権者に対する献金を要請しているわけだ。その場合のあっせん者と課税権者の関係はどうなのか、そこのところが問題なんでしょう。つまり、あっせん者に対して課税権者が依頼をしている。その依頼に基づいてあっせんをしている。つまり、あっせん者と課税権者というものは同一の立場、同一の意思を持って動いているということなんだ。あなた方は物事を表面的に見て何か単純化していって、そしてそのように思いませんとか考えませんとか言っているけれども、世の中というのはそういうものじゃない。いろいろな複雑な背景や裏面があるわけだ。その点を考えていきますならば、当然この規定に基づく調査なりあるいはその他の指導なり行うのがあたりまえであって、それが何にもありませんとか、どういうことはありませんとか、そういう態度で物事は済むものじゃないでしょう。その点は自治省も一緒なんです。
自治省の方にしましても、市長や助役が出ていってそして帰ってしまう。帰った後に残ったのが市長に対する献金の割り当てをやる、しかもこれは課税漏れ企業がその中にたくさん入っている、そういう状態。これは公正な行政執行をすべき者の態度ではない、行政権というものを利用した金集めだ、そういう内容を持つものと見てもやむを得ぬわけだ、それに対して指導するとかあるいは注意を促すとかいうことが介入である、こうおっしゃる。それじゃ
地方自治体の行政上の過誤などにつきまして自治省が指導するのは、これは介入になるわけなんですか。
地方自治法の二百四十六条の二では「確保すべき収入を不当に確保せず、」あるいは何々という規定がありますが、不当に確保していない。その不当に確保していない中で献金の割り当てを行うという事実なんだ。これは単純な政治資金規正法の届け出の問題じゃありませんよ。そこらはどうでしょう。
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○柳沢(長)政府委員 いま二百四十六条の二の点を申されましたが、これはもちろん税の関係も入ってくると思いますが、ただ不当に収入を確保しなかったかどうかということははっきりしないわけでございます。
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○三谷委員 そこをはっきりさせる必要がありやせぬかと言っているのです。そういう蓋然性がある、周囲の状況から見て。その中ではっきりしませんからといってほおかむりするという性質のものじゃないでしょう。調べてみて、あなた方がお考えになっているようなものであったのか、あるいは私が指摘しておりますような事実であったのか、そこを明確にする責任がありやしませんか。
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○土屋政府委員 いま不当に歳入を確保しなかったということでお話がございましたが、先ほどから申し上げておりますように、私どもとしては非常に広い構内のところでいろいろと設備があったり埋め立てがあったりする、その事実が把握できなかったということでいろいろございましたでしょうが、市の当局が調査をしてそして課税を十分把握してなかった、これは事実でございますから、後で賦課徴収をするというかっこうになったわけでございますけれども、私らが知る限りにおきましては、それはそういった把握しにくかったという事実上の問題でございまして、不当に、取るべきものを取らないということを意図的にやったというふうには全然報告を受けていないわけでございます。
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○三谷委員 同じことを繰り返していらっしゃるんだ。そうして、それが表面化した後、五年遡及して課税すべきものであるにかかわらず、五十二年度から一部、五十三年度から全面課税をする。しかもこれは、市当局は百条委員会で謝っているんでしょう、委員の指摘に対して、手落ちがありましたと。そういう一連の事実を見てみますと、あなた方がおっしゃいますように、全然行政に責任ありません、間違いありませんという性質のものじゃないでしょう。だから、私の言っていることが果たして確実かどうか、それはあなた方の方にすれば疑問があるかもしれませんが、いずれにしても、行政上の問題として調査をするということはあたりまえのことだ。それがなぜ言えないのですか。
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○土屋政府委員 ただいま申し上げましたように、事実として課税客体を把握し得なかった、その点においては瑕疵があったと思うのでございます。ただ、それが後の問題として、結びつきの関係で故意にそうしたというような形として私どもは受けとめてないわけでございまして、従来からそういった事実関係が不明であったので、そこを調べた結果、漏れがあった、その点については過失と申しますか、瑕疵がなかったとは申していないわけでございまして、そういう点は私どもも課税の公平の見地から明確に、課税漏れは課税をして、今後ともそういうことが遺漏のないように、そして五年間さかのぼるものは十分さかのぼって課税をしなさいということを話をしておるわけでございまして、先ほど後で御報告申し上げますと申し上げたとおり、一部使用しておったところで、もう四十八年からあったものはかけたと私どもの方では報告を受けているわけでございます。だから、そういった点では、五十二年度からしかかけてないといったようなお話でございますが、少し差があるように思いますので、そこらあたりは私の方で調べた上で御報告を申し上げたいと思います。
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○三谷委員 そこは、さっきから申し上げておりますように差があります。つまり、五年遡及して課税すべきものをしないというような行為、あるいはまた課税漏れが長期にわたって放置されておった事実、それから調査委員会の最中にひそかに企業を呼んで一億五千万円の献金の割り当てをするというような行為の中に一連の問題があるのではないかという指摘をしているわけです。だから、そういうことなども含めて、事実に対する誤認が私どもの方にあればそれは私どもの方がその点をはっきりさせますが、あなた方の方に誤認があるかないか確かめてみる、聞いてみますと、市の報告だけがあなた方の方の根拠になっておるようでありますが、現地に行かれたりして実態を把握するという処置をやってほしいと思うのです。そうして、いまおっしゃいますような公正な行政ができるように進めていくというのがあなた方の責任だと私は思っております。
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○土屋政府委員 先ほどから申し上げておりますように、私どもとしては、課税の状況と、どういった事実関係の把握のためにこうなったか、そしてまたどこまでさかのぼってやるべきか、これは客観的にわかることでございますし、議会でもずいぶん検討もされたことでございますから、把握できると思いますので、それは調査をもう一回いたします。
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○三谷委員 政治資金のいまのあっせんの問題についても、その間の事実について調べてほしい。
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○大橋政府委員 先ほど申し上げました政治資金における担当としての自治省の立場は、あくまでもその報告を受けてこれを公表して国民の批判を仰ぐという立場でございまして、二十二条の七に関しましては、これに関する罰則の規定がございます。したがって、その罰則の適用のものとして行われますので、自治省としてはこれに対して調査する権限はないというふうに考えております。
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○三谷委員 その罰則の適用はどういう手段、手法でやるわけですか。
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○大橋政府委員 捜査当局の御調査を待たなければならないと思います。
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○三谷委員 そうしますと、捜査二
課長は出られましたか。交通
局長は責任が違いますか。——まあ先ほど調査するとおっしゃいましたから、その調査の結果を待ちますけれども、しかし、こういう非常に深刻な疑惑を生むような行為をこういう大
都市の市長がとることは好ましいことではありません。一般的な警告などでも発して、そういうことについては十分に留意するようにという指導ぐらいは当然やるべきだとぼくは思いますが、どうでしょうか。
-
○
加藤国務大臣 課税漏れはあってはならないことでございますから、その厳正を期さなければなりませんので、先ほど税務
局長が答弁をいたしましたように、私どもへの報告では、五カ年間遡及して徴税すべきものに対してはちゃんとそういうぐあいにやっております。それから、その後課税要件が充足されたものに対しましてはその時点で課税をいたしております。かようなことでございますけれども、しかし、念には念を入れなければなりませんので、先ほど答弁をいたしましたように十分調査をして事の真相を明確にいたしたいと考えております。
それから、自治省といたしましては、選
挙部長が申しましたように、政治資金規正法に基づくいわゆる政治団体に対して、どなたがどのように寄付をなさったかにつきましては、事後の報告を基礎にいたしまして、形式的要件等が欠如する場合にはそれを指摘をして訂正をせしめることはできるのでありますけれども、しかし根本の考え方が、政治団体の良識にまちまして、そしてこれを公表して世論の批判を仰ぐという組織になっておりまして、その寄付が当不当のことにまで、あるいはだれがいかなるあっせんをしたかなどのことについてまで立ち入っての調査をいたすべき権限は与えられておらないのでありますから、お聞きございましたように、選
挙部長といたしましては終始さような答弁をいたしたようなことでございます。が、過程のことでございますから、また私どもその実態を把握しておりませんから、もとより明確に答えがたいのでありますけれども、お話を承っておりまして、寄付を受けます団体は恐らく谷市長の後援団体でございましょうが、自分の後援団体に対して市長みずからがあれこれ言いますようなことは常識上ないように私は思うのでございますけれども、しかし、さようなことがあってはならぬことは申すまでもございませんから、警察の立場におきましては、先ほど捜査二
課長が申しましたように、やはり事の真相を明らかにする、このことはいたしてみなければならぬ、かように考える次第であります。
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○三谷委員 次に、もう一つ北九州市の問題であります。ここはまことに異常な行政の執行がなされておりますが、今度は議会の関係になりますが、地方議会における会議録の削除ということは恣意的に行うべきものでないことは言うまでもないのであります。ところが、先ほど大臣の方に資料を差し上げましたが、北九州市議会におきまして議員の発言を二千百十二字にわたって削除をするという処置がとられております。ごらんになったらわかるように、戦時中の治安維持法時代の出版物よりももっと連続した伏せ字が並んでおるわけでありますが、こういう処置についてどうお考えでしょうか。
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○柳沢(長)政府委員 発言の削除については、当該議員の同意がないと取り消しができない、かように考えております。
-
○三谷委員 当該委員は同意をしておりません。絶対に取り消しを認めないという態度をとっておりますのに、出てきた速記録は二ページ以上にわたりまして伏せ字になっておるわけであります。何を言ったのか、何を主張したのか全然わからないという状態になってきている、こういう例を御承知でしょうか。こういう場合には自治省としてはどう指導されております。
-
○柳沢(長)政府委員 ただいまの御発言では当該議員が発言の取り消しについて同意をしていない、こういうことでございましたが、私の方の調査では、取り消しの手続がなされておった上で議事録の掲載をしないという取り扱いがなされた、このように聞いております。
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○三谷委員 それはどこで聞かれましたか。でたらめな報告ばかり聞いておるものだな。これを発言しましたのは私どもの方の議員であります。こういう発言を取り消すなんということを認めるわけがない。それは、
地方自治法にありますように個人の私生活にわたったり、あるいは無礼の言を用いました場合には、指摘があればそれの削除を認めることはあり得るわけでありますし、それはまた自治法上できるわけであります。しかし、ここで取り消しておるのは、無礼な発言を弄したわけでも、あるいは人の攻撃をしたわけでもありません。同和問題に対する党の考え方、そしてそれに対する市の処置を批判したものであります。全文はそこに差し上げてあります。そういうものを取り消したりするわけがない。そんなことを取り消すような政党があったら大変だ。一体だれからこれを取り消したとあなた方の方に報告があったのでしょうか。
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○柳沢(長)政府委員 北九州市の議会事務局でございます。
-
○三谷委員 そうしますと、北九州市の議会事務局はこの二千百十二字にわたる発言を、この発言者が自発的に取り消した、こういう報告をしておるわけでありますか。
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○柳沢(長)政府委員 少しその間の経過を申し上げたいと思いますが、北九州市の市議会では従来、反対討論をする場合には事前にその内容について通告するという慣行になっておるそうでございます。そこで共産党としては、七十三号議案、七十六号議案の両議案については反対討論をするという通告をされたそうでございますが、その反対討論が終わった中で全然通告のない八十五号議案につきましての討論があったということで、この八十五号議案については共産党としては一応賛成であるということでございます。そういう点で、従来の慣習に反して事前通告のない八十五号議案について討論が行われたということ、それと賛成の議案と反対の議案とがごっちゃになっているということで、その点について削除すべきであるという意見が出てまいりまして、議会が非常に混乱したそうでございますが、その結果議長が調停に当たりまして、共産党議員団とも相談いたしまして、この問題については議長一任という形で一任を取りつけたそうでございます。
その後議会を開きまして、議長から先ほどの議員の発言の中で一部不適当なところがあるので取り消しをしたいという形にしたということでございます。そういう点で、議長が一任を取りつけたということでございますが、その場合に、従来の北九州市の慣行では、削除する内容、範囲については大体議長一任という慣行になっておる、こういうふうに聞いております。
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○三谷委員 そこも少し事実関係に誤認があります。確かに討論をしたわけでありますが、賛成、反対それぞれの議案に対して意見を述べたわけであります。ある議案は賛成である、ある議案は反対である、各議案ごとに態度を鮮明にした。でありますから、内容としては賛成の意思を表示した議案もあるし、反対の意思を表示した議案もある。そこで最後のところで反対討論という言葉を使ったから、賛成の議案があるのに最後にまとめて反対討論というのはおかしいじゃないか、そういう話があって、それでは反対を削除して、討論を終わりますということで片づけましょう、こういう話になった。今日二千数百字に上る発言を全部ペケにしてしまうなんということがあり得るものじゃありません。よしんばそれが反対と賛成と別個に発言をするというふうな慣習があったとしましても、その慣習上の責任は問われるとしても、議事録なんというものは消すべきではない、これを消したりしたら大変なことです。ところが消されておる。しかも、できてから初めて気がついて、議長のところに抗議をしますと、この処置には問題はあったと発言している。そして議事録の回収はいまとなってはどうしようもないと言いながら、今後の議会運営については注意を払う、こう言っておるわけであります。
ですから、これでいきますと、一定の発言が全部削除されてしまったままで今後注意を払うということになっておるわけでありますが、こういうことが行われるということは大変なことであります。いま有事立法などが言われまして、言論統制の問題あるいは報道統制の問題などが非常に懸念されておるわけでありますが、そういうときに、地方議会の議事録が議長によりまして——実際は議長は初めて知ったというわけでありますから議長ではないのでしょう、この手続をして実際上の事務をとったのは議会事務局だと思いますが、そこでこういう処置がとられた。いま行政
局長は本人の了承しない発言の取り消しはできないとおっしゃいましたが、そういう点につきましてはもう少ししっかりした指導をしていく必要はありはしませんか。こういうことが公然と行われておる、しかも挽回の道がないというわけでしょう。ないことはない。刷りかえたらいいわけだけれども、すでに配ってしまったものだからどうにもしようがない、こういうわけであります。こういう事態についてどうお考えなんでしょうか、あるいは今後の処置についてお尋ねしたい。
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○柳沢(長)政府委員 議長一任という形でかなりの部分を削除してしまう、しかも本人が知らないということはやはり非常に問題があろうと思います。そういう点につきましては、正確に申し上げますと、当人から発言して先ほどの発言のうちこれこれの点を取り消ししたいという形を議事の運営として実はやっていただきたいと思います。そういう点で、これは議会内部の運営の問題でございますので、北九州市の議会におきまして、ひとつ議会の自律性をもって適切な解決を図っていただきたい、このように考えております。
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○三谷委員 誤った発言を取り消すのに議長に一任するということは、どこの議会でもやっております。私ども経験があります。しかし、その場合は、どこを削除しますということを本人に議長が示して、そうして了解点に達してそれからやる、了解できなければしないというのがたてまえであります。また、それが慣例であります。ここにおきましては、全然本人が知らない。これだけの膨大な削除をやるなんということは前代未聞でしょう。こういう例がありますか。しかも、こういうことが行われている議会の自主性とおっしゃいますけれども、議長も後ではこれは大変処置に誤りがあったということを言っているわけですが、結局、実際上これを伏せたのは議会事務局であり、議会事務局がどのようにそんたくをしてやったものか知りませんけれども、やってきているわけでありますから、そういうことにつきましては、これはやはり地方公務員でありますから、そういうことのないように、速記録あるいは議会の発言等につきましての重要性について十分な指導をしてほしいと思う。その点どうでしょう。
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○柳沢(長)政府委員 ただいま御発言がございましたように、議長一任という荒っぽい形ではなくて、議長の方からもどこを取り消すというふうな話があってしかるべきですし、また本人からも、この範囲の発言を取り消ししたいというふうな話がお互いにあってしかるべきだろうと思います。そういう点で議会内部の運営の問題をもう少しきちっとしてほしかったという感じがします。そういう点で、これは議会内部の問題でございますから、議会の方で自主的な運営をやっていただきたい、このように思いますが、必要に応じましては、私の方から指導をするということをしても結構でございます。
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○三谷委員 まあ議会のことでありますから、自治省があれこれ介入するということについては、それは考慮すべき点があるかと思いますが、大体議会でこういう問題を扱いますときには、議長、副議長というのはこういう問題につきましての法律的な解釈、理解が薄いものですから、事務
局長に対してどうだろうかという相談をして、議会事務局が大体仕事をしていくわけです。私どもすでに二十年間そういう経験をしてきました。そういう点からしますと、事務
局長などがもう少しこういう法規などにつきまして熟練しておれば、こういうことは起きていない。それは法律上あきませんぞと言えば、それは違法であっても構わぬということは議長は言わない。ですから、そういう点からしますと、議会内部の形をとっておりますけれども、問題は、との事務局の処置が、あるいは議長に対する助言が適切でないということが一面ではあるわけでありますから、そういう点などを考慮して十分な指導の処置をお願いしたいと思う。どうでしょう。
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○柳沢(長)政府委員 御指摘のとおり、いろいろな面の法律解釈等につきましては、議会の事務局がかなりの働きをしております。そういう点で、今後議長会等の研修会が年々あると思いますが、そういうふうな研修会を通じまして議会の職員の法律知識、あるいはいま申し上げましたようないろいろな問題についての指導をやっていきたい、このように考えております。
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○三谷委員 時間がなくなってしまいました。せっかく警察庁からお越しになっておりますから、お尋ねさせてもらいますが、警察庁が昨年の六月十二日でありますか、赤坂プリンスホテルにおきまして交通警察懇談会をお開きになりまして、皆免許時代における交通取り締まりの姿勢転換ということを表明されました。ネズミ取りも好ましくないということをこの審議でもおっしゃっておったわけでありますが、事態は改善されぬのでしょうか、改善されているのでしょうか。ネズミ取りと言われる取り締まりの状況はどのようなものであったとお考えになっておるのか、お尋ねしたいのです。
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○広谷説明員 お答えいたします。
交通取り締まりというものが国民の理解なり協力なり、あるいは共感を得なければならないということは、われわれ十分に考えておりまして、そういう意味で交通取り締まりのあり方につきましては、機会をとらえまして常々第一線の警察官を指導いたしておるわけでございます。したがいまして、取り締まりというものが、単に違反があるから取り締まるというふうなことではなくて、本当の意味で、事故に直結をし、そういうふうな違反を取り締まることによって事故は防止できるというふうなものに重点をしぼってやるべきであるというふうな考えのもとに、今日まで第一線の方も努力をいたしてきておるわけでございます。したがいまして、従来からのそういうふうな努力はだんだんと実を結んできておるもの、さようにわれわれ考えておる次第でございます。
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○三谷委員 交通安全週間の初日に、八月の二十日でありますが、鹿児島県の県警の交通
部長が十五キロのスピード違反でネズミ取りに検挙された事件があります。これを大変センセーショナルに報道しましたが、しかし、これはむしろ取り締まりの仕方に問題があるというふうに私は考えるものであります。スピードを落とさなければならぬわけですけれども、一体にこのスピードというものが制限の範囲内ではおさまっていない。ですから、警察の交通
部長が、新聞によりますと、ひょっとしたらネズミ取りをやっているかなと思ったとおっしゃっている。この発言は大変微妙なものであります。取り締まりをやっているかなと気がついたのでスピードを落とさなければならぬけれども、前の車や後ろの車がつながってずっと進行する過程におきまして、一台の車だけがスピードを落とすとかあるいは特殊な動作をしますならば、逆に言いますと、むしろ一層の危険というものが発生してくる。ですから、この県警の交通
部長の姿の中には、日常的なドライバーの置かれている条件というものがそのままそこに象徴されているという感じを私は持つものであります。まあ交通
部長、まことに不運であったと言うほかないわけでありますが、しかし、一般ドライバーも年じゅうこういう不運に遭遇しておるわけであります。
そこで、交通の取り締まりでありますが、危険性というものは場所によっても違います。時間によっても違います。いろいろな条件によって危険性というものに大きな格差が出るわけでありますが、それを全部一律に、たとえば何キロの違反であるといって何点で減点をやっていくというふうな機械的な取り締まりの仕方ですね、こういうものはやはり改善をしなくちゃならぬではないかというふうに私は思っておるわけでありますが、その点はどうでしょうか。
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○杉原政府委員 交通の取り締まりにつきましては、なぜ交通取り締まりをしなければならないのかというやはり原点に立ち返って物事を考えていかなければならないものであると思います。先ほどお話がありましたように、われわれのやる取り締まりというものはやはり事故防止のための取り締まりでなければならない。そこで、どういう違反が事故に直結しているのかという事故分析というふうなものを前提に置いて、それに対応した場所的、時間的、路線的な取り締まりの仕方、そういう観点に立って、取り締まりについても管理というものをやっていくべきであるという基本的な認識の上に立って、交通警察懇談会等を開いて各界の御意見を聞いたわけでございますが、皆様大体同じようなそういう考え方でございます。従来のやり方がいろいろございますが、時間は若干はかかると思いますけれども、できるだけ早くこういう取り締まり分析に基づく取り締まり管理というものを徹底していって事故防止に結びつく取り締まりということを徹底をしていきたいというふうに考えております。
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○三谷委員 大体おっしゃっていることは私の考えと余り径庭はないようでありますが、要するに、道路交通における危険性とは何かと言えば、これは道路環境、道路構造、交通量、時間等を考慮して相対的に決まるものでありますから、たとえば十キロ違反をすればそれは何点の減点であるとか、あるいは高速道路上に夜間違法駐車する場合とこの議員会館などの前に駐車する場合、これは全然危険性の度合いが違うわけでありますから、これを一律に扱っていくというやり方、ここのところはやはり改善する必要があると思うわけであります。たとえば四十キロで規制されております道路上を六十キロの速度で走っている。この場合四十キロにすればどうなるかといいますと、これはした方が事故の発生につながってくるわけであって、した方が危険性を含むわけであって、そういう点からしますと、危険性というものに対する判断も十分な具体性を持ってやっていく必要がある。それから前回取り上げましたけれども、通学路における規制、夜、通学しなくなったところでも同じ規制をやっているわけなんですね。そういう場合でもやはり違反は違反でありますから、つかまればこれは反則金を取られる、その上に点数をカウントされる。つまり、妥当でない規制によりまして、余り危険性の実質を伴わない違反でありましても危険性ありとされるわけでありますから、現行の制度ではそうならざるを得ない要素が非常に強いように思いますが、その点はどうでしょうか。
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○杉原政府委員 交通規制というものを場所的、特に時間的にやっていく場合に、可変標識というふうなものがどうしても必要になってまいりますから、安全施設の整備にさらに本腰を入れていかなければいかぬという一面がありますが、同時に、先ほど申しましたように、取り締まりの重点をいついかなる場所で、時間的に、どこに向けて何をやるかというふうなことは、これはわれわれの内部の管理としてはやり得ることでございますから、そういう点にこれから力を入れていくということであると思います。
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○三谷委員 そこでもう一つお尋ねしますが、違反をしまして行政処分を行う場合でありますが、九十日以上の処分を行う場合、処分を受ける者、または代理人は事案について意見を述べ、有利な証拠を提出し、専門知識を持つ参考人から意見を聞くことができる、こういうふうになっております。本人の権利行使を保障しますために聴聞会出頭通知を一週間前に行う、こういう制度のようでありますが、ところが現実の運用というものは、聴聞の権利が実際上は活用されていない。たとえば聴聞の期日の通知といいますものは、聴聞に当たりましてどういう準備をして聴聞に参加するか、こういうようなPRもなされておりません。また、自己に有利な証拠の提出あるいは交通規則の妥当性や取り締まり問題点を証拠として提出しようとしましても、準備の時間などもありまして十分ではない。そこでこの聴聞というものが非常に機械的に形式化されてしまっている。最近の調査で見ますと、大体三分で一つの聴聞が終わってしまうという状況のようでありますが、こういうことでは聴聞そのものの意味がなくなってしまう。形だけ聴聞制度をつくりまして、違反者の主張をそこで述べさせるということになっておりますけれども、これが非常に形式化してしまっている。ですから聴聞制度というものをもう少し充実して、そして違反者の立場が十分に述べられるような制度に改善はできないものだろうかという考えを持っておりますが、その点はいかがでしょう。
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○三上説明員 先生御指摘のように、道路交通法の百四条に聴聞の規定がございます。私どもは、これに従いましてこの聴聞の運営を行っておるわけでございます。それで、形式化しているではないかという御指摘でございますが、聴聞につきましては、相手方の言い分、あるいはもしそこで自分の有利な証拠があれば提出をするように、十分耳を傾ける用意をしてございますけれども、多くの場合その主張といいますか、それが警察官の現認その他とかなり食い違っておるというようなこともございまして、あるいは十分な証拠と言えるだけのものでないような場合がかなり多いということもあって、ある程度の時間というものがとられてない事案もありましょうし、また、しかし、そういういろいろな用意がしてあるものにつきましては、私どもも十分耳を傾けてそれに対する処理をいたしておるというふうに考えております。
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○三谷委員 何といいましても聴聞制度の一番の問題というのは、あれこれ言っても、君は違反を認めて反則金、罰金を払ったではないかというところに落ちついてしまう、そこで問答無用という感じになってしまって聴聞が形骸化するという状態になるわけでありますが、聴聞というものがもう少し違反者の主張を聞きやすいように、述べやすいように、制度としてそういうように改善されてほしいと思うのであります。
なお、時間の都合がありますから、続いて一括してお答えをいただきますが、もう一つ、いまの点数制度で問題になりますのは、運転密度というものがこの点数に非常に影響を持っております。タクシーの運転手などは一日三百キロも走っておる。ですから、一般ドライバーの十倍からそれ以上も走るという状況であります。ところが、ペーパードライバーというふうなものもあって、一般のドライバーというのは走行距離が非常に短いものでありますから、違反も比較的少ない状態にあります。特に、公営交通がいまほとんど撤去されまして、タクシーがこれを肩がわりしている。そういう状況の中で、タクシーに特別の優先通行権を与えているような国もあるわけでありますが、これはタクシーが公共交通機関であるということを示しておるわけであります。ところが、どうも取り締まりというものはタクシーの運転手、ドライバーの方に対して厳しいという批判がかなり強いのであります。私どもが府県の警察に行きましても、あれは営業車だから大目には見れない、こういう話はよく聞きますけれども、そういう状態になっております。ところが、タクシーといいますのが、いま申しました公共交通的な性格を持っている、そして非常な長距離の運転をやりますために、一般ドライバーよりも違反を犯す可能性が大きいという点もあるわけであって、つまり、違反というものは走行距離や時間にほほ比例しております。そういう点。
それからまた、タクシー運転者というものが、労働条件あるいは生活上の問題なども加わりまして、違反率が当然多いという状況があるわけであります。そこで、このタクシーの取り締まりなどというものにつきましては、それこそ機械的な取り締まり主義でなしに、労働者の生活権を侵害することがないように、しかも公共性というものが十分に果せるような、そういう考慮が特に必要ではないかと思いますが、その点はどうでしょうか。
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○杉原政府委員 タクシーが国民にとって公共的な輸送機関になっておるということは、そのとおりでございますが、タクシーが本来持っている性格が、乗客を安全にやはり運送するという、そういうものが当然公共的使命の中にあると思います。そういう面からいいますと、少なくともタクシーに乗っていれば事故を起こさないということでなければならないという一面が当然そこにあると思います。そういう意味で私は一般のドライバーの模範になってもらいたいという感じがいたします。ただ、いろんな長距離にわたる労働勤務条件でございますから、いまのふくそうした交通状況の中で、交通ルールを遵守するというのは非常にむずかしい一面もあろうと思います。
そこで、今度の新しい道交法の領域で考えておりますのは、そういう過労運転などの場合に特に見られますが、使用者に対する背後責任というふうなものをむしろ厳しく考えていくべきだというふうな点を一面で考えると同時に、やはりタクシーのいわゆるドライバーの方たちに対する行政処分の面については、私ども、これは各県でやっていることでございますが、行政処分等の面についてはかなりの配慮をやる。これはもう運転の停止とか取り消しになることそのものが生活そのものでございますから、そういう面で各県の公安委員会でかなり配慮をした運用をしているというふうに理解をしております。
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○三谷委員 現場の警察官が、取り締まりに当たりまして、そういう生活的な問題あるいは社会的な問題なども頭に置きながら法の運用をする、そういう点が非常に大事だと思います。そこで、取り締まりに当たりまして、具体状況に基づいて指導的な見地に立つということですね、この点を私はもっともっと徹底してもらう必要があると思うのです。これは処罰をするのが目的じゃない、指導をしてそういう危険性を除去するというのが一番の眼目でありますから、処罰が眼目になるようなやり方というものは、これは速やかに是正していただきたいと思います。
それから、ネズミ取りは、これはやめるべきだというふうに思いますが、それにつきましてはどうお考えでしょうか。
それから、優良運転手に対する優遇処置というものがありましたが、これも若干矛盾があるのであって、タクシーの運転手さんなどは、まあほとんど二年間違反がないなんということはあり得ない。ところがペーパードライバーなどは、二年間車に乗らずにおるという場合もありますから、二年たって、ひょっと事故を起こしたら、これは無事故優良運転手だといって特別にカウントしないというふうなことも出てくる。非常な矛盾があるわけでありますが、そういう取り締まりも、車を持って遊んでおる者と、それから車によって生活を支えておる者、こういう問題などにつきましては、やはり十分な考慮を払っていかなくちゃならぬだろう。それも同率に扱っていって、しかも運転キロ数や運転回数の少ない一般ドライバーの方が優良運転手になって、タクシーは全部これは違反に該当をする状況が現実にあるわけでありますから、すべて違反者であって、ここには優良運転手がいないというふうなことでは、これはせっかくのこういう指導的な処置というものも十分な効果を発揮しないわけでありますから、そういう点についても御研究をお願いしたいと思うわけであります。
それから、最後にもう一つお尋ねしますが、この六月の十二日の交通警察懇談会で暴走族の問題が出ております。この暴走族といいますのは、二輪免許の受験資格年齢や実技試験のない原付免許試験のあり方などを研究する、こうおっしゃっております。私は実は最近暴走族の問題でいろいろ悩まされておる一人でありますし、私の周辺の地域もこのために非常な被害を受けております。
そこで、この暴走族対策の一つの問題点と申しますのは、警察にどんなに言ったって取り締まりができない、こう言っているのです。あの音は一体どうなるのか、あの夜となし昼となし轟音をまき散らして、しかも同じところを円周して回って、そして走り回っておるという状況でありますが、これを取り締まりができないかと言いますと、これは音でありますから、音は、瞬間的な爆音というものは取り締まりの対象になりません、こう言っている。それから、これはスピードに明らかに違反しておりますから、スピード違反でやったらどうかと言いますと、これはとてもじゃありませんが、あの車に追いつけるだけの車は警察にありませんと言っている。ですから、ほとんど野放しになってしまっている。そのために、これは、全く勉強ができないとか、病人が眠れないとか、いろんな苦情が出てきておるわけであります。
そこで、私は、暴走族対策としまして、道路交通上の問題としてだけこれを捕捉していらっしゃるように思う。私は、周辺に及ぼす迷惑といいますか、反社会的な被害といいますか、こういう面からも暴走族をとらえなくてはならぬと思う。ただ道路を走る上におきまして危険性を伴うから暴走族は取り締まりの対象として考えていくというのでなしに、周辺地域に与えますいろんな、さまざまな被害、それに対して、これをどう防止するかという観点で暴走族対策を考えていただく必要があると思いますが、この点について御所見をお聞きしたいと思う。
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○杉原政府委員 いろいろな問題があるように思いますが、先ほどネズミ取りというお話がございましたが、私ども、ドライバーを対象にしておりますので、別にネズミを対象にしておるわけではございません。ただ、問題は、やはり取り締まりのやり方でございます。これはもう逐次改善をされまして、先ほどお話のありましたように、鹿児島などでも、何も隠れてものをやっておるのではなくて、正々堂々と道でやっておるわけでございます。一般的にはそういう形で、事故防止のための取り締まりでありますから、相手が気をつけてもらえばいいということでやっていきたいと思うし、そういう方向でこれから進めていきたいと思います。
それから、タクシーの問題でございますが、タクシーだけを他のものと切り離して特別な扱いをするということではなくて、タクシーも、そのドライバー、タクシーの運転手の方たちが違反をしなくてもいいような勤務環境というものをつくるということの方にむしろ重きを置くべきであって、タクシーは違反しても他のものと区別して扱うべきだという方針は必ずしもとるべきではないと思います。
それから暴走族の関係でございますが、これは先ほどお話がありましたように、交通の場で非常に危険を与えると同時に、沿道の住民に非常な迷惑を及ぼしておるものでございます。これにつきまして、一つは音の問題が出ましたが、これはマフラーを切って走っておりますと整備不良車両になりますので、これはもうかなりの数やっております。それから特に暴走族の場合に、派出所、駐在所の警察官がすぐ手が出せないという面は、五十台、百台の車で来ました場合に、交番の警察官が一人、二人出ましてもすぐにそこで対応ができない。仮にやりますと、彼我にかなりの犠牲者が出るということになりますので、そういうものを部隊として把握して、捕捉して、これを処理するというのが各県でやっておるやり方でございますので、この暴走族の問題につきましては非常に間口の広い奥行きの深い問題でございますので、単に交通ということだけでなくて、少年問題やいろんな問題に関連をいたしますので、今度新しく暴走族を対象にしましての共同危険行為というものが道路交通法に新設をされたわけでございますので、これを最大限に活用して暴走族対策に万全を期するように努力をしていきたいというふうに思います。
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○三谷委員 いまのお答えでタクシーの運転者の勤務環境をよくするとおっしゃいますが、これはなかなか警察の権限では及ばないところだと思うのです。そこで、警察が取り締まりの面でどのようにこれを見ていくかという点から私は問題を提起したわけでありまして、タクシーの運転者だけを違反を見逃せと言っているわけじゃありません。タクシーの運転者がしばしば取り締まり上の極端な状況に置かれる、置かれやすい、そういう条件にある。そこでこれについては取り締まりの姿勢の転換の中で十分に考えてやっていただきたいということを希望したわけであります。
暴走族につきましては、私の近辺におりますのは五十台も六十台もおりません。せいぜい十台ぐらいのものでありまして、それでも交番所へ住民が駆けつけましてもなかなか出てこないですね。あれはうかつに相手にすると危ないという考え方でしょうか。そこで警察に対していろんな要望がいっておりますけれども、解決ができない。いま申しましたように、音の問題は取り締まりの対象にならぬとか、あるいはスピードの場合ですと逃げてしまうとか、そういう状態、いわば無法状態でありますが、今度の場合改正法案によりますと、連なって走った場合には処罰ができますが、連ならずに一定の間隔を置きながら走っております場合には取り締まりがむずかしいというような状況などもありますから、私はそういう点からしますと、群がって走るのを取り締まりの対象にしているのは、道路上における危険だけが問題になっているのであって、音やその他における被害というものが目的意識として捕捉されていないということを考えたのであります。こういう点につきましても研究していただいて、いま暴走族というのは非常な社会的な被害を及ぼしておるものでありますから、適正な取り締まりができるように御期待申し上げたいと思います。その点につきまして一言御見解を承っておきたいと思います。
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○杉原政府委員 これだけの車社会でありますから、ふとした不注意の違反というものも数多くあるわけでございます。タクシーに限らず、一般の車両についてもそういうことが言えるわけでございまして、そういう軽微な違反については指導を中心にして一般的にやっていくということでやってまいりたいというふうに思います。
それから暴走族の問題につきましては、いろいろむずかしい問題はありますが、一般の住民の方方に大変な迷惑を与えているという事実に立脚いたしまして、われわれに許される範囲で可能な限りの措置を講じてまいりたいというふうに思います。
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○三谷委員 終わります。
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○
川合委員 消防庁に質問いたしますが、消防白書の五十二年度版の六十八ページを読みますと、出火原因のところでございますが、そのうち、たき火というところがありまして、これは出火原因の大どころみたいなものでございます。このたき火の内容というとおかしいのですが、たき火というと私どもは何か俳句の季題ですと冬の季題で、落ち葉を燃やすというようなことを思うのですけれども、町中でもって、たとえばごみを焼却する、そういうのが出火原因になっている、そういうものもこのたき火の中に入っているのかどうか。たき火についての中身といいますか、これをどなたでも結構ですが……。
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○
近藤(隆)政府委員 御指摘のように、たき火による火災というのが年々非常に大きなウエートを占めておりまして、火災の中のベストスリーの二位をいつも走っておるわけでございます。ただいま御指摘になりました白書に載っておりますのは昭和五十一年の数字でございますけれども、五十二年におきましてもやはり同じように、たばこに次いで火災原因の二位になっております。
いま御指摘のような一般的ないわゆるたき火によって火災が起きておるわけでございますが、そのたき火を原因としてどういった火災が起きておるかという分析はいたしております。たき火を原因とするもの全体で六千八百五十件、これは昭和五十二年の数字でございますが、それによりまして、建物の火災になったものが一千二百五十四件、一八%、林野火災が千五百件、二二%、その他車両が七十七件、船舶が四件、航空機といったような数字になっておるわけでございまして、やはりたき火というのは、この数字が示しておりますように山林火災になっておるウエートが一番高うございます。もちろん町中におきましても古来よりたき火がいろいろ行われておる、それが飛び火等いたしましてこういった形になったのかと推測いたします。
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○
川合委員 たき火という表現が私は必ずしも適当じゃないのじゃないか、山林火災になっている原因も、私どもが普通たき火として考えているものじゃなくて、もっと何か、たとえば町中ではごみを焼却するために火を燃やした、そういうのだとか、あるいは山林においてもまた何かの目的で火をつけたんじゃないか、そういうようないろいろ事情があって、総じて一言でたき火と言っているんでは、消防対策を樹立するのに余り目的に沿ったことにならないんじゃないか、こういう感じでございますけれども、これは感じでございますから参考にしていただくだけで結構でございます。
そこで、たばこが一番でというようなお話でございましたし、そういうふうに私ども承っておりますが、しかし、たばこというのはそれだけで火事になるわけじゃむろんないんで、他の可燃物に着火して、その可燃物が燃えて火災になるということは言うまでもないわけでございます。そうしますと、消防白書を見ますると、ただいま申しましたようなわけで、着火物の方の統計といいますか、分析というものは、これは私もずっと読んだわけじゃない、ちらちらと読んだのですが、これはございますか。
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○
近藤(隆)政府委員 建物の火事等におきまして、まずどこに火がついて火事になったかというのを分析した資料はございます。建物火災の場合に、その建物の中にあるどういった種類のものに火がついたかという点について見ますと、昭和五十二年の統計を見てみますと、第一位が紙くず、わらくずといったようなものに火がついた、これが四千八十五件でございます。それから寝具に火がついたのが三千六百七十五件、それから動植物の油に火がついたのが二千九百十三件、この三つが大きなものでございます。この傾向は過去五十年、五十一年と調べてみましても大体変わりません。ただ、若干傾向としまして第三位にあります動植物油によるものがふえつつあるという状況かと思います。
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○
近藤(隆)政府委員 消防白書に使っておりますものの基礎データから抜き出して御報告したわけでございます。
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川合委員 私の申し上げたのは着火物の分析というか、統計というものも、この火災対策というか、消防対策というか、それについて非常に大事だと思いますので、せっかくの消防白書ですから、そういうものをここに載せていただいた方がいいんじゃないか、これも私の一つの意見でございますが、検討していただきたいと思います。これは長官でなくてどなたでも結構でございますが、たとえば学校とか、病院とか、工場とか、事業場とか、興行場、百貨店、旅館、飲食店、そういうような調子の防火対象物の火災と、それから普通の住宅の火災と、その件数、一々じゃなくて、全体で結構でございますよ、防火対象物としての件数とそれから普通の住宅の件数とそれぞれの死者ですね。それを比較して説明していただきたいと思います。
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○
近藤(隆)政府委員 建物火災の件数が昭和五十二年中に約四万件、三万九千三百二件ございますが、そのうち防火対象物は一万九千四百三十一、四九・三%、それから一般住宅が一万九千八百七十一、五〇・六%ということでございますので、件数といたしましては一般住宅と防火対象物との数は拮抗しておるわけでございますが、死者という点になりますと、五十二年中に一千四百二十三人の犠牲者が出ておりますけれども、一般住宅の火災による犠牲者は一千二百四十八人、八七・七%ということで、防火対象物の犠牲者は百七十五人、一二・三%、八割以上が一般住宅の犠牲者ということになっております。
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○
川合委員 いまのお話を聞きまして、一般住宅の消防対策というか防火対策というものは非常に重要だという認識を私は持ったわけでございます。
そこで、次にお尋ねしますが、いまの消防法の予防の体系は言うまでもなく消防用の設備等の義務設置、これが大きな一つのかなめになっております。それから防火管理の制度がございますね。その次に、先ほど申しました着火物が火災対策上必要だという私の観点からしまして、着火物についてどういう予防行政的な考え方というか、法体系がとられておるのか。言うまでもなく、火を出さないことというか、火事にならないことが一番大事でございます。むろん消防用設備も火災にならないためのものもございますが、しかし、これはどちらかといえば感じとして火災になってからこれを消すためのものであるわけですね。そうしますと、どうしても着火物を頭に置いた予防、法的措置が必要になってくると思うのですが、そういう点についてはどうなんでしょうか。どういう措置がいまの消防法の体系の中でとられておるか。
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○
近藤(隆)政府委員 可燃物に防炎性能を与える問題かと思いますけれども、御承知のように、昭和四十七年の消防法の改正によりまして特定の施設、たとえば高層建築物であるとか、地下街であるとか、病院その他、人のたくさん出入りするような建物を指定いたしまして、そういったところにおけるところのカーテンであるとか、ブラインドであるとか、そういったものに対しては防炎性能があるものを使うようにということが法定されたわけでございまして、これにつきまして、四十九年に若干その規定の整備強化を行いまして現在に至っておるということでございます。
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○
川合委員 いまのお話では、カーテン、ブラインド、そういうものに限定しておるというか、どうしてそういうものだけなんですか。
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○
近藤(隆)政府委員 この経緯につきましては先生よく御存じのことと思いますけれども、火事が起きました場合に、火が走るのは横の面の広がりよりも縦のものが非常に火が速く走るということで、上からたれ下がっておるカーテンであるとか、ブラインドであるとか、幕であるとか、そういったものについて規制を行ったわけでございます。どの程度の範囲のものについて規制を行うかということになりますと、法律で義務づける以上は、ある程度実効を期するために監視することが可能であるということが一つの要点になりますし、業界の方もそれに対応できる体制にあることが必要かと思います。いろいろな面を勘案いたしまして、四十三年当時、そういったものに限定して防炎性能を持つものを使えということに法律で規定したのだというふうに了解しております。
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○
川合委員 いまのお話を聞くと、垂直のものは火の回りが速いからというふうに聞いたのですが、そうすると、たとえばふすまなんかはどうなるのですか。
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○
近藤(隆)政府委員 ふすまなどを使っておりますのは大体一般の家庭が多うございます。先ほども申しましたように、こういった防炎性能のあるものを使うことを義務づけておるのは公共の出入りの激しいところということで限定いたしました関係で、ふすまは現在対象になっておりません。
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○
川合委員 先ほども住宅の火災のことを申したのですが、これは私最近のことは余りよく知らないので教えてもらいたいのですが、こういう防炎したものはラベルを張るわけですか。——ラベルを張る。要するに防炎の表示制度をとっているわけですね。そうすると、どういうことになるのですか。そういう義務設置のところでなくても、そういうラベルの表示してあるものなら安心して家庭でも、何というのですか、カーテン——カーテンというのはどういうことになるのか定義をすればむずかしくて、お日さまをさえぎるためのカーテンなら、朝起きてそのままベッドのシーツを下げておいてもカーテンかもしれませんが、しかしこの際ラベルの張ってあるやつをやっておけば火災のときに非常にいいのだ、防火上非常にいいのだと思って、そうすると、個人の消費者もそのラベルの張ってあるのを購入すれば役立つ、こういうことになるわけでしょうか。
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○
近藤(隆)政府委員 ラベルを張ることを義務づけてはおりませんけれども、御承知のように、防炎協会というのがございまして、そこでその基準に合格しているものについては、ラベルをつくり、現実にそれが張ってございます。法律によりましてそういった防炎されたものを使わなければならない、使うことを義務づけられている施設というのは限定されておりますけれども、それ以外のところにおきましても、当然火災予防の見地あるいは火災を最小限にする見地からそういうものを使っていただくということは好ましいことでございますので、私ども折に触れてラベルの張ってあるものを使うように指導はしておるところでございます。
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○
川合委員 そうすると、先ほどの話で、ふすまのようなものもラベル表示制度をとるということは、これは望ましいことになりますか。
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○
近藤(隆)政府委員 日本のふすまというものは防火装置を施すということが果たしてどの程度できるか、非常にむずかしい問題でございまして、研究は進めておるところでございますけれども、現在まだそれについては自信がないという段階でございます。
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○
川合委員 それじゃ話を次の話にしまして、カーペットはこれは水平のものだけれども、これもそのまま取り扱わないという考えなのか、垂直なものではないけれどもカーペットはカーテンと同じように規制の対象に入れるという考えかどうか、伺いたいと思います。
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○
近藤(隆)政府委員 カーペットにつきましては、御承知のようにこれによってときどき大きな事故が起きております。ことしも、たしかことしの初めだったと思いますけれども、新潟のあるバーで、このカーペットの引火が起因いたしまして相当の死傷者が出たというような事件も起きておりまして、関心が非常に高まっております。私どもこのカーペットを対象物品にするかどうかということで検討を続けてきたところでございまして、関係各省との間でようやく話し合いがまとまったところでございますので、一刻も早く私どもといたしましては政令改正に踏み切りたいと思っております。できれば十一月の上旬ぐらいまでにこの作業を終えたいというふうに考えております。
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○
川合委員 非常に前進的なお答えをいただきましたので、お忙しいでしょうが早急に政令の成立をさしていただきたいと思います。あわせて聞きますが、防炎の寝具はどうなんですか。
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○
近藤(隆)政府委員 寝具につきましても、私ども内部でいろいろ検討しておりますけれども、現在の段階では法律によって義務づけるという段階にはまだまだ至らないのではないかという感じがいたしております。ただ、御承知のように、先ほども申しました日本防炎協会におきましては自主規制を行っておりまして、合格品につきましてはやはりその旨の印を打っておるわけでございまして、特に最近幼児、老人、病人、そういった方々の死亡事故がふえておりますので、そういった方方がたくさんおられる施設あるいは一般家庭でも独居老人等が多いわけでございますので、そういったところについてはできるだけそういった、自主検定ではございますけれども、その検定に合格した品を使うようにということで指導しておるところでございまして、ことしの三月にも消防庁の方から全国の都道府県に対しましてその旨の通知をしたところでございます。さらに本年十一月末から十二月にかけまして一週間、秋の防火運動を全国的に展開するわけでございますが、そのメーンテーマも老人、幼児、それから病人等のいわゆる社会的弱者、そういった方々の火災事故というものを絶滅するということを最大のスローガンにしておるわけでございますので、その一環といたしまして、特にそういった方々が寝起きしておられるところの施設あるいは衣服も含めてでございますが、そういったものについてはできるだけ防炎装置が施してあるマークのついたものを使うよにという指導も展開していきたいと思っております。
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川合委員 いまのお話を聞きまして、弱い方のことを考えたときにこの防炎寝具の問題、非常に大事だなというふうに承ったのですが、先ほどまだそこまで至っていないというのですが、これはどういうわけでそこまで至っていないのか。自主基準かあるいは行政指導にとどまっているのか、もうちょっと聞かしていただきたいと思います。
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○
近藤(隆)政府委員 これを法律上の規制をいたしますためには、やはり先ほど来のマークを国の方でつけるというような作業も要るわけでございますが、それに対する監視体制あるいはこれは御承知のようにじゅうたんであるとか、それからこういうカーテンなどと違いまして固定してあるものではないものでございます。しかも消耗品でございます。それをどういうふうにして、法律による規制事項とした場合に規制できるかという問題もあるわけでございまして、したがいまして、私どもなお今後検討すべき課題だというふうに考えております。
一方、御承知のようにいろいろな業界もあるわけでございますから、業界が全国的にこれを規制するということになりますならば、そちらとの対応というものも必要かと思いますので、そういった面も含めましてもうしばらく検討さしていただきたいと思います。
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○
川合委員 そうすると、くどいようですけれども、この基準の方は大体できているのだけれども、要するに法規制したときに取り締まるのがむずかしいと、こういう理由なんですか。
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○
近藤(隆)政府委員 この問題は、本来的に法令によりまして規制すべきものか、あるいは行政指導によって徹底を期すべきものかという問題が絶えずつきまとうわけでございまして、四十三年の改正のときにも、この点についてはいろいろ御議論があったことかと思います。そして、結論的に、あの当時はカーテンその他につきましてとりあえず防炎規制を行うということになったわけでございますが、今回、その後いろいろな火災のケース、あるいはわれわれがそれを法律化しましても、その実効をある程度確保するという自信があるものといたしましてじゅうたんを追加しようというところまできておるわけでございまして、その他のものにつきましても、今後とも私どもの消防研究所あるいはその他におきまして防炎のための研究を積み、それに適する製品を生み出していく。必要があるならば、寝具のみでなくその他のものにつきましても防炎協会等によりまして自主規制していくということは奨励さるべきだと思いますが、これを法律の段階で規制するかどうかということは、なおもうしばらく検討が必要ではないかというふうに考えております。
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川合委員 私は多少見解を異にしますけれども、これは一つの考え方でございますから、またいずれの日かに議論は譲らしていただいて、いま、そうしますと、法体系の中に入れてある、たとえばカーテンのごときは、これは行政指導ではなくて、そこでいわば消防の体系の中で取り入れてある。取り入れてあるということは守らせる、義務を受けた人には守らせる、こういうことでなければいかぬわけですね。それで、いま現行の法体系の中に入っている、たとえばカーテンのごときものでも、消防用設備にあるがごとき措置命令というものは、これにはないですね。それから防炎物品を使用しなければならない対象物で使用してない場合に、これは罰則もないですね。そうしますと、私がさっきから申し上げますように、これは非常に大事なものだ、長官も大事だと言って、そしてかつまた慎重に検討して、法体系に入れるものと入れないものといまの段階でそこで慎重に検討されておって、区別もされてやってきているのだが、何か法体系に入っているものも消防設備に比べるとはるかに弱いといいますか、片手落ちのような取り扱いをしているというのは、何か理由はわからないですが、これは防炎物品を使用しなければならない対象物でどのぐらい使用しているのですか、また逆に言えば使用してないのはどの程度か、その比率を教えていただきたいと思います。
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○
近藤(隆)政府委員 法律で義務づけられている施設の種類というのは、御承知のように非常にたくさんに及んでおります。そこで、施設を通じまして大きく分けて御説明申し上げたいと思いますが、カーテン、どん帳のたぐいにつきましては、全部防炎物品を使用しておるというものが全体の五七・七%でございまして、四割若干超える部分につきましては、一部欠けておる、あるいは中には全然やってないというところもあるわけですが、要するに六割程度しか完備しておりません。それから展示用の合板または繊維板が対象になっておりますけれども、全部防炎物品を使用しておるものは五五%でございます。それから工事用シートにつきましては七八・七%でございます。いずれも本年の三月末現在の数字でございまして、私ども、必ずしもこれで十分だと思っておりません。鋭意あらゆる機会を通じまして、この防炎物品の整備につきまして、各消防署等を通じて関係者に周知徹底あるいは協力を呼びかけておるというところでございます。
-
○
川合委員 そのいわゆる消防機関に周知徹底を期せられることももとより大事だと思いまするけれども、いま申しましたように、防炎規制の強化といいますか、これを正しく守らせるということが必要であるのですから、そこでなぜ措置命令といいますか、あるいは罰則というような問題がこれに付せられないのか。また、それは近き機会にそういうことを行う考えがあるのかどうか伺いたいと思います。
-
○
近藤(隆)政府委員 現在の法体系のもとにおきましては、ラベルにつきまして紛らわしいようなラベルを張った場合には、御承知のように罰則規定がございますけれども、設置することについての罰則規定あるいは措置命令、その規定は置かれておりません。したがって、法体系上はこういうことをすることを義務づけるということにとどまっておるわけでございまして、私どもそれを受けまして、十分行政として指導していくという体系になっておるわけでございます。それは、一つには、現在の段階におきましては、たとえば全部取り締まるというようなことになりますと、査察をも十分にやらなければいけないということでございます。査察をやる前提といたしましては、そのシールを必ず張ることを義務づけなければならない。現在はこれは義務づけられておりませんけれども、これを義務づけるわけでございますが、そうした場合に、物が物でございますので、シールを張る方法あるいはその場所であるとか、どこへそれを表示するとかいろいろな点について難点があります。もし取れてしまった場合に、物が物だけに、ちょっとその部分をちぎって実験してみるということもできません。したがって、いろいろそういう技術的な難点もあるものでございますので、私どもといたしましては、罰則、強制命令という段階へ行く前に、とりあえず行政指導でもって実効を上げていきたいということでございます。
なお、もちろんそういった技術的な問題がすべて解決いたしますならば、私どもといたしましては、強制命令あるいは罰則というようなことに踏み切るにやぶさかでありませんけれども、なおしばらく検討の余地をいただきたいと思っております。
-
○
川合委員 いまのお話を聞いていると、主に技術的な問題のように思いましたし、私はわかりませんけれども、私の感じでは、その問題は、技術的な問題は解決できる問題じゃないかというようにも思います。アメリカでは衣類だとかソファーだとか布張りのいすだとか、そういうものにも規制が行われて、そのかわり非常に緻密な研究があわせ行われている、こういうふうにも聞きますし、いまアメリカがそれだからどうというわけでもございませんけれども、日本のような火災の多いところでございますので、この問題についてさらに御検討、御研究を深めていただきまして、行政の前進を図っていただきたいと思います。
消防庁関係はこれで終わります。
次に、いわゆる宅地並み課税のことについて……。宅地並み課税につきましては、いずれ法案の審議のときにさらに質問をさせていただきたいと思っておりますけれども、きょうは考え方について、私の考えも申しつつ、自治省の考えを伺いたいと思います。
最初に、三大
都市圏の市街化区域内の
農地の転用について、A、B
農地で何%ぐらい、C
農地で何%ぐらい四十七年度からいままで行われたかということを、四十七年度から年度別に示していただきたいと思います。
-
○土屋政府委員 大変恐縮でございますが、四十七年度からというお話でございましたけれども、現行の制度ができたのが四十八年度からだったもので、手元にございますのは四十八年度以降の資料でございます。いずれ四十七年度もわかりますから、後ほどお届けしたいと思いますので、その点御了承賜りたいと存じます。
いまの
農地転用の状況でございますが、A
農地につきましては、まずマクロ的に四十八年度を一〇〇といたしますと、五十二年度で六六となっておりますので、三四%ぐらい減っております。それからB
農地で、これも四十八年度を一〇〇といたしますと、五十二年度七〇%、約三〇%減っております。それに対してC
農地が、四十八年度を一〇〇として五十二年度が七九、約二一%ぐらい減っておるわけでございます。
各年度ごとにそれぞれ申し上げますと、ちょっと長くなりますが、A
農地につきましては、四十八年から四十九年度までが
一三・五%減っておりまして、また四十九年から五十年度までが六・二%減、五十年から五十一年度が八・三%減、五十二年度は前年に比べて一一・五%の減という形でございます。それからB
農地は四十八対四十九で
一三・八%減、五十年度が対前年度四・九%減、五十一年度が対前年度九・八%減、五十二度が対前年度四・九%減。これに対しましてC
農地は、四十八対四十九年度で五・六%減、五十年度が前年度に比べて六%減、五十一年度が五十年度に比べて六・一%減、五十二年度が対前年度比四・九%の減というような形に相なっております。
-
○
川合委員 これも見方の問題かもしれませんけれども、
農地の転用は、いわゆる宅地並み課税による政策税制の結果、いま述べられました程度の
農地の転用は税制の結果ではなくて別の事情で行われているのじゃないか、こういう感じを私は持つのですが、これは一々当たってみたわけではありませんので、統計的に言えるかどうかわかりませんが、私が知っている範囲の横浜でも現状などをちょっと現象的に見たときに何かそんな感じがしているのです。この税制によって
農地転用が行われたのではなくて、
農地を転用された人はまた別の事情なのだ、こういう感じがするのです。
それはさておきまして、
農地の転用もだんだん減っていっておって、ほぼストップの傾向だ、こんなふうに思われるのですが、そこで宅地並み課税の適用を受けている市は幾つあって、そのうち附則の二十九条の五の減額措置が適用されている市はどのぐらいあるか、その数字を示していただきたいと思います。
-
○土屋政府委員
農地の転用というものは、いまお話しのように宅地並み課税がすべてではございませんし、そのときの社会経済情勢という大きな動きの中で影響されるということもございましょうし、他のいろいろな土地税制というのもございます。それからまた、土地利用上のいろいろな規制なり土地政策というのがあるわけでございますから、総合的な中で決まっていくわけでございますので、この税制だけでということは私ども考えておりませんが、いま申し上げましたように、A
農地あたりは五十二年度むしろ転用がふえているとか、いろいろ現象がございます。しかし、全般として今後どうなっていくかということについては、私どもまだ予測はできないわけでございます。そういった中で、五十二年度現在で百八十三市がA、B
農地、特定市街化区域
農地を持っておる数でございます。そのうちの百七十四市がいわゆる減額条例を制定しておる状況でございます。
-
○
川合委員 そうすると、ほとんどの市が減額措置条例を適用している。しかも、宅地並み課税と
農地課税の差額については奨励金などのようなもので還元しているところも相当ある。そういうことになってくると、いわゆる宅地並み課税は骨抜きになってしまっているのが現実だと思いますね。そういうことになりませんか、税務
局長。
-
○土屋政府委員 ただいま申し上げましたように、適用市が百八十三で、九五%の百七十四市が減額条例をやっている、形の上では確かにそういうことでございますが、この減額措置をとりました経緯はもうくだくだ申し上げなくても御承知のとおりでございまして、市街化区域における土地利用のあり方という点から十年以内に計画的、優先的に市街化するという土地でございますから、一応宅地並み課税はしますけれども、経過的にはなお
農地として使う必要のあるところ、一定の条件に合うところを減額ができるという形で調整をとっておる、現実的なとり方をしておるわけでございます。
全般的に見ますと数は非常に多いわけでございますけれども、いろいろと減額の状況も違うわけでございますし、また特に市街化区域内の
農地で〇・一ヘクタール未満の小さな、いわば建物の間にはさまれておるような
農地、これは減額対象にならないということになっております。そういうこと等ではそれなりの意味を持っておると思いますし、そういったことで減額条例をつくっておるところは多いわけでございますが、五十二年度百七億のうちで約五六%、六十億ぐらいが減額で、五十億近い数がまだ課税としてはある。それはいま申しましたような小さい土地とかいろいろなものが課税される結果だと思っておりますけれども、そういうことでございまして、完全に骨抜きというわけでもございません。ただ、その中では、いまおっしゃいましたように減額条例で減額しておるほかに、従前ほどではございませんが、特定の、お茶とかなんとかいうことで保存すべきようなところについては奨励金を出しておるという例もございます。これはいまや額が非常に少のうございます。全般としてはいま減額措置等をとるということをせざるを得ない状況はございますけれども、完全に骨抜きというふうには私どもは考えていないのでございます。
-
○
川合委員 それでは骨抜きの話は一応おきまして、私の知っている範囲の首都圏の多くの市もほとんどがいま人口抑制策というのですか、要するに人がふえないようにという政策をとっておりますね。そうすると、宅地並み課税ができた当時、この法律ができた当時と大いに事情が違うのじゃないか。この税制は転用促進、宅地供給のためにできたのですね。そうだとすると、いま市がなるべく人口を抑えよう抑えようとしているのは、私はそれなりに意味があると思うのです。多くの地方団体がそういう意思だとするならば、これは自治省としてはそれを無視できないと思うのです。そうしますと、宅地並み課税はもはやこの制度ができたときと事情が変わって潔くやめるべきときが来ているんじゃないか、こう思いますが、税務
局長どうでしょうかね。
-
○土屋政府委員 宅地並み課税そのものはいまおっしゃいましたように、一つには宅地としての土地の利用促進ということもございます。一方では、市街化区域内でいつでも届け出だけで転用できており、また売りますときは付近の宅地並みの価格で売れる。そういったものと他の宅地等との均衡ということを図って、そういった両面から立てられた制度でございます。いろいろと変動はあろうかと思いますけれども、それなりに意味はあったと先ほどからるる申し上げたようなつもりでございます。
ただ、いまおっしゃいましたように、一体三大
都市圏なりそういった過密
都市の問題をどう扱っていくのかというような問題がございます。幅広くそういった点は考えていかなければならないと思うのでございますけれども、少なくともいま市街化区域というものは、十年以内に計画的、優先的に宅地化していく、市街化していくというところでございます。それを促進する意味で、税制というものは土地政策のいわば一環として、補完的な意味で立てられているわけでございますから、今後そういった大
都市対策あるいは
都市計画の中での土地利用というものをどう考えていくか、特にその中における
農地というものを農政の中でどう扱っていくか、そういう基本的な問題の中でいろいろ議論をされていくべき問題であり、またそういったことの中でそれにマッチした土地税制というものを考えていくべきだと思っております。
いま、ちょうどそういった点について関係省庁でも御検討いただいておるようでございますし、御承知のように、私どもの方といたしましては、この三大
都市圏の特定市街化
農地についてのいまの減額措置が本年度で切れるということ、これをどうするかという問題のほかに、もう一つそれ以外の全国的な意味の市街化区域
農地について課税の適正化を図る意味で、
農地課税問題を五十四年度までに検討して課税する方向で考えるべきである、課税するための適切な措置を講ずべきであるといったことが、法文でも五十一年度の改正の際に明文化されておる。その両面からいま検討を迫られているわけでございます。
しかし、いまおっしゃいましたように、基本的な
都市のあり方、いろいろな
都市によっての考え方、開発の方向というのもございましょうけれども、そういった
都市政策全体を踏まえて、それに合う税制というものはどういったものが考えられるかという点から、ひとつ十分検討してみたいというふうに考えております。
-
○
川合委員 十分検討していただきたいと思います。
私の申し上げているのは、いずれ法案の審議のときに具体的にお尋ねしたいのですが、当時この制度ができましたときと流れも変わってきているんじゃないか、背景も変わってきているんじゃないか、こんな感じがいたします。そして三大
都市圏の町づくりについても、やはり基本的に新しい発想というか、考え直すべき要素も多々出ているんじゃないかと思いますですね。
私どもは、基本的には大
都市の機能がこういうふうに集まり過ぎている、過密状態になっているのを機能分散をやって、そして地方分権の理念のもとに基本的な姿というものを考えるという線に沿って物事を考えていくべきであって、この税の問題も、さらに言えば宅地並み課税の問題もその一つとして考えてもらいたい、こういう希望でございますが、税務
局長、ひとつそういう気持ちを持って検討をしていただきたいのですが、どうでしょうか。
-
○土屋政府委員 ただいま申し上げましたように、土地税制というものは土地政策全体の中でそれと調和をとって、その政策がうまく適合するように考えられていくべきものだと思っておるわけでございます。したがって、大きく事情が変化すれば骨組みを変えるということも必要かもしれません。しかし、現実から見まして、先ほどからるる申し上げましたように、宅地促進のほかに市街化区域内の土地の課税における公平という面からも考えなければならない。そういった点から今日まで来ておるわけでございますけれども、いまおっしゃいましたように、この大
都市地域においての宅地化の方向というものについてもいろいろ意見はございますし、今後
都市ごとにいろいろな開発の方向をお考えになるわけでございます。そういった場合に、現実の
都市計画法上の市街化区域というものをどう見直していくかといったようなこと等も議論されるかもしれませんし、そういった面からの検討というのはあってしかるべきでございましょうし、そういった土地政策の方向が出てまいりますれば、それと相反するような税制というのはどうかと思います。したがいまして、そういった方向に合うような考え方をしなければならないと思うわけでございまして、そういった意味では、幅広く今後の全体の土地政策のあり方にマッチする検討を私どもとしてもしていきたいというふうに考えております。
-
○
川合委員 私は、先ほどからの税務
局長の答弁の趣旨はよくわかりますけれども、しかし、事自体が、やはりこれは簡単に言えば宅地を供給する政策の税制だと思うんですね。またそれの見地からするならば、この宅地並み課税は、もう今後はこれをやめるという方向で行くべきじゃないか、こう思いますが、またいずれこの問題につきましては質問をすることにいたしまして、この税関係はこれで終わります。
交通
局長、道交法の十三条を見ますと、「歩行者は」云々という規定がありまして、ただし書きによって横断歩道の場合はこれが「この限りでない。」こういうことになっておりますね。いまこれからお尋ねするのは信号のない横断歩道の場合でありますが、こういう場合は
局長どういうことになるんでしょうか。歩行者が道路の真ん中ぐらいまで歩いていった。その場合、横断歩道には左右にだれも人がいないんですよ、その人一人なんですよ。一人で真ん中ぐらいまで歩いていった、そして急にぱっと引き返してきた。こういう場合は、いまの横断歩道における歩行者優先規定として三十八条があるわけですが、いま言ったような場合はどうなるんでしょうか、それで問題が起きたという場合には。わかりますか。
-
○杉原政府委員 もし理解が間違っておりましたらあれでございますが、信号機がない横断歩道で歩行者が渡り始めた。車はもちろん来ます。真ん中まで出たら、もう一遍歩行者は帰ってきた。(
川合委員「車の方はいいと思って……」と呼ぶ)車はいいと思って、車はそのまま行きますし、歩行者が帰ってきた、そこでぶつかった。そういうときに事故の扱いとしては、あるいは責任の問題としてはどうなるかということでよろしゅうございますか。(
川合委員「はい」と呼ぶ)そういう前提でやりました場合に、当該歩行者の年齢とかいろいろなものが具体的には最終的な判断としては出てまいりますが、ドライバーの責任の方から言いますと、横断歩道で人が渡っているときには、ドライバーとしてはその歩行者がどういう行動をとるかわからない、そういう前提で横断歩道を通過すべきであるというドライバーの基本的な義務はあると思います。ただ、ドライバーの基本的な義務はございますけれども、そのときに果たしてドライバーが、当該状態で歩行者が逆転をするわけですから、そういうふうな行動をあらかじめ予測できたのかどうか、そういう非常にデリケートなケースになってまいりますので、一般論としてこれがどうなるかということは、歩行者とドライバーとの相互の過失の度合いを議論するのは個々の態様によりまして非常にむずかしいことになるのじゃなかろうかと思います。
-
○
川合委員 個々の場合は別として、いまの場合でも一応三十八条の適用を受けるわけですね。
-
○杉原政府委員 一応受けると思います。
-
○
川合委員 そうすると、次に七十六条の四項の一を見ますと、酔っぱらっていまのような場合はどうなるのでしょうか。これも三十八条の適用を受けることになりますか。
-
○杉原政府委員 酔っぱらいが交通の妨害になるような方法で道路を徘回する、このこと自身は規制をされ処罰の対象になっている歩行者の違反行為でございます。それだけに、一般的には横断歩道の上でいろいろな態様がありましても、過失の度合いは歩行者に非常に高くなってこようと思います。
-
○
川合委員 そうすると、一応三十八条の適用は受けることは受ける、個々の場合であれだけれども適用は受ける、こういうことですね。
今度は歩道の手前、まだ人間が横断歩道に入ってこないところで立ち話か何かしてとまっている、横断の気配は全然感じられない、そういう中で急に歩き出した、こういう場合も三十八条は適用になるのですか。
-
○杉原政府委員 この辺は、横断歩道は非常に厚く保護してございますので、適用があるかどうかということについては一般的に適用はあると思います。適用はありますけれども、具体的に過失の度合いとしてドライバーに一体どの程度その義務が期待できるのかというのは個々の具体的なケースでもって——裁判例でも五分五分に見たり七、三に見たりいろいろなケースがあるわけでございまして、一般論としてはなかなかむずかしいと思いますが、一応横断歩道を車が通行する場合に対するドライバーについては、非常に高い義務が一般的に課されておるということでございます。
-
○
川合委員 それでは一番最後の例示として、いままでのは
局長の言われている意味はわかりますが、一般論としてであり、個々の話はまたそれぞれということでわかりますが、物陰からドライバーには確認できないような姿で飛び出してきた、こういう場合まで三十八条の適用を受けることは私はちょっとおかしいのじゃないかと思うのですね。一秒か二秒の瞬間に要求される問題であり、また車というのは重いものですから、そうなると、そういう物陰から飛び出してきたという場合についても横断歩道における歩行者優先の規定が一般論としても適用されるというのは少しおかしいので、その点については何らかの法律の手当ては必要じゃないか、こう思うのですが、どうでしょうか。
-
○杉原政府委員 これは一般的に法律の手当てというよりも恐らく個々の具体的な事故に着目して出てくる問題であると思いますので、過去の裁判例等を見ましても、そういう車が通常に走っておって物陰から出てきたような場合に、そのドライバーの過失をほとんどない形で判例その他でだんだん確立をしていくという状況は最近見受けられるように思います。ですから、いますぐ道交法の改正でどうのこうのということでなくて、一応歩行者もこういう義務がある、ドライバーにもこういう義務がある、お互いにその義務の履行の程度がどうであったかということによって個々に判断されるべきものであると考えます。
-
○
川合委員 その点は専門の交通
局長の話だけれども、私はちょっと違うので、いままでのところまではそうなんでございますが、最後の物陰のところになってくると——そりゃあ歩行者優先は正しいが、しかし歩行者優先ということで余りイージーな気持ちに陥り過ぎてかえって歩行者が傷つくことになりはしないだろうか。法律がすべてじゃございませんけれども、これは大事な問題ですから相当緻密に書いてある。そうすると、いまのような私が最後に例として挙げたような場合は、歩行者を保護する意味でも何らかの法律の手当てをした方がいいんじゃないか。端的に言いますならば、歩行者優先は正しいことであり、しかしそれは通常の状態のことなんであって、最後に挙げたような例の特殊の場合は、歩行者優先という思想はかえって歩行者にとって危険な結果にもなりかねない場合があるので、裁判上の問題とかいうことでなくて法律上の手当てもされるようにひとつ検討されてはいかがか、こういう感じでございます。
-
○杉原政府委員 わかりました。いまでもお説のように、たとえば歩行者についても車の直前直後の飛び出しなどはきちっと禁止をされております。そういうことからいって、歩行者にもどうしても守ってもらいたい事柄は、歩行者を保護する上からも大事であると思います。そういう観点では、私どもこれからもさらに検討を続けていかなければならないと思います。
-
○
川合委員 最後にこれで終わりますが、いまどのくらいでございますか、ドライバーというか運転免許を持った人は相当な人間だろうと思います。したがって、この道交法はそういう人々にとって日常生活の手引きというか日常生活の道しるべみたいなもので、めったに読まない法律と違うわけでございますが、これを読みますと、非常に正確を期するためでありましょうが、何かごたごた書いてあるという感じもしないわけでもないので、せめて道交法くらい、非常に優秀な頭脳を持った警察庁の幹部が多い現状でもありますので、この法律くらいはこんな書き方じゃなくて図解か何かでやる、そういうスタイルをとるべく検討をされてはいかがかと思いますが、いかがでしょうか。
-
○杉原政府委員 実は先生の御指摘のような点がございまして、いまや本当に皆免許の時代でございますので、ドライバーはもちろん先ほどのお話の歩行者も自転車乗りも全部知らなければいけない、それには道交法というのは正確を期しておりますが、非常にむずかしいということで、これはちょうどイギリスではハイウエーコードというのを出しておりますが、これをある程度参考にしながら四十七年に交通の方法に関する教則というのをつくりまして、これは国家交安委員会がこの教則をつくられて、その普及版ということで絵入りでしかもカラーで、全部のドライバーにこれが渡るような仕組みになっておりまして、しかも免許を取るときの試験問題はこの教則の普及版を見てさえもらえば、あと六法は見なくてもいいような仕組みにいたしております。十二月一日から道交法が施行になりますが、四十七年にやりました教則をいままで部分改正をやってまいりましたが、今度全面改正をやりましてさらに内容をいいものにしていこうということで、来月の初めには一般にまたお目見えすることになると思います。これはほとんどのドライバーが全部これを持っております。そういうことで内容の充実と普及に今後も努めていきたいというふうに考えております。
-
-
-
○
小川(省)委員 時間の関係もありますので、端的にお伺いをいたします。
まず農林省においでいただいておりますのでお尋ねいたしたいと思いますが、世上いろいろ言われておるわけでありますが、五十四年以降の
一般農地の課税あるいは宅地並みの課税に関係をいたしまして、どのようにお考えになっているかまずお尋ねをいたします。
-
○
森実説明員 お答え申し上げます。
一般農地の課税につきましては、米価据え置き、生産調整の実施というふうな現下の農業の諸情勢から、極力据え置きの方向でお願いいたしたいということで各省と話し合っているところでございます。なかなかむずかしい問題もあると思いますが、そういう希望を持っております。
それから第二に宅地並み課税の問題でございます。この問題は、何と申しましても市街化区域制度の本旨あるいは税負担の均衡という問題もございますし、また片方では農業を継続せざるを得ない事情があり、またその場合の税負担の能力というふうな問題もあるわけでございますから、どういう場合にどういう特例を設けるかという視点に立って今後関係各省ともお話をしてまいりたい、かように思っております。
-
○
小川(省)委員 今後とも各省と協議をしてまいりたいということではなくて、端的に農林省としては現在どのような考えを持って、他省と話をするにしても農林省の考え方があるわけですから、農林省としてはどんなふうにお考えですか。
-
○
森実説明員 お答え申し上げます。
ただいま政府部内でいろいろな条件なり何なりを詰めて話し合いをしている過程でございまして、一義的にどうかということを申し上げる状況にまだないわけでございますが、私どもの基本的な考え方としては、客観的に見て農業を継続せざるを得ない条件に当てはまるものはどういうものがあるだろうか、そういったものについてはやはり宅地並み課税をそのまま適用するということには問題があるので、それについてどういうふうな形で救済をとるか、そういう視点でお話を申し上げているということを申し上げたわけでございます。
-
○
小川(省)委員 では、建設省においでをいただいておるわけですが、土地税制をめぐって建設あるいは国土庁案というものが連日新聞紙上をにぎわしているわけでありますけれども、五十四年度以降特に土地税制の関係——建設、国土省案なるものの中で
農地課税と宅地並み課税についてはどのようにお考えですか。
-
○木内説明員 お答え申し上げます。
先生御指摘の新聞紙上の件でございますけれども、これは審議の途中経過の間に一部スクープされたものと思うのでございまして、建設省、国土庁の案というふうなものは現在まだ成案を見ておりません。ただし、建設省といたしましては、現在の宅地供給の実情、すなわち第三期の住宅五カ年計画で申しますと、宅地必要量は五十五年度までに六万六千ヘクタール、また第三次の全国総合開発計画におきましても、六十年度までに十二万八千ヘクタール、あるいは六十五年度までに十九万ヘクタールというふうな量の宅地が必要だとされているわけでございます。この宅地の必要量を年間に直しますと、大体一万三千ヘクタールの宅地の量になるわけでございますけれども、現在の実績を申しますと、四十八年度以降ずっと落ちてまいっておりまして、現在は一万そこそこというふうな供給量になっておるわけでございます。
このようなギャップを今後取り戻していかなければならないわけでございますけれども、そのためには行政、財政、税制を含めた総合的な対策が必要ではないかと考えているわけでございます。そのような総合的な対策を実施するための一環としまして土地税制も重要な役目を果たすのではないかというふうに考えているわけでございます。その土地税制の中におきましても、今後宅地供給の主たる場でございます市街化区域内の
農地、これの宅地化というものがどうしても必要不可欠な要件になってまいりますので、そういうふうな宅地並み課税は市街化区域内
農地の宅地化を促進するための一つの手段としまして現在検討しているところでございます。
-
○
小川(省)委員 そこで自治省の税務
局長に伺うわけですが、昭和五十四年はたしか
固定資産税の見直しの時期に当たると思うのであります。伺いたいのは、
一般農地の
固定資産税について昭和五十四年度以降どう課税をしていかれようとしているのか。たしか昭和五十一年度以降五十三年度までは前年度の課税標準額に対するいわゆる上昇割合によって前年度の一・一倍あるいは一・二倍の負担調整措置が加えられておったわけですが、五十四年度以降は一体どのように課税をしていくつもりなのか。いまのところまだ固まっていないのでしょうから、方針なり考え方について承りたいと思います。
-
○土屋政府委員 お示しのとおり五十四年度は評価がえの年になっておるわけでございまして、私ども宅地、田畑、山林、それぞれについていろいろ検討をしておるところでございます。まだそういうことでございますので、中央固定資産審議会等で諮問もいたしておりませんし、具体的にどういう評価になるかはまだはっきりしないわけでございます。いずれにいたしましてもその評価の状況等を見ながら、またこの宅地に対する五十四年度以降の課税の状況等いろいろと全般的な均衡を考えながら課税の方向を決めていきたいというふうに思っておるわけでございます。
御承知のとおり三十八年度から五十一年の評価のときまではほとんど据え置かれてきた。その間のいろいろな事情がいわば据え置きの中に吸い込まれておったということでございましたために、五十一年の評価がえの際に評価がえはいたしましたけれども、いまお話のございましたように一・一あるいは一・二という倍率で若干課税の調整を図るという措置をとったわけでございます。こういうことを今後やるとかどうとかいうことも含めてまだ未定でございますけれども、ただいま申し上げましたようないろいろな評価の状況、その他全体の
固定資産税の課税のバランスの問題、全般のもろもろの問題を含めていずれそのうち決定しなければならぬと思っておりますが、いまのところまだ申し上げる段階にございません。
-
○
小川(省)委員 大臣、最近における
農地価格の状況というのは、昭和四十七年から四十九年ごろまではかなりの上昇をいたしたわけですが、昭和五十年以降は
農地価格の上昇は鈍化をして、前年度比大体五%程度ですね。農業所得もまた農畜産物価格の伸び悩み等でほとんど横ばい傾向であります。昭和五十一年度は対前年度上昇率〇・八%、昭和五十二年度は対前年度比一・〇%であります。昭和五十三年度は生産者米価がほとんど据え置かれたわけですし、さらに水田利用再編対策あるいは生産調整が実施をされておりますので、農業所得は停滞をしていくのではないかというように思われるわけであります。
この際、これらを勘案をして、
一般農地の
固定資産税はやはり五十一年度にとったような措置を貫いて一応据え置きの方向というのを打ち出していくべきだと思いますけれども、いかがですか。
-
○
加藤国務大臣 いずれ五十四年度におきましては評価がえをしなければならぬのでございますが、ただいま税務
局長が答弁をいたしましたように、まだ自治省といたしましては確たる方針を持っておらないのでございまして、各般の情勢を勘案いたしながら審議会、地方制度調査会等の御意見も聞きまして対処してまいりたい、かように考えております。
-
○
小川(省)委員 いまいろいろ申し上げたわけですが、据え置いていったらどうかということについてはいかがですか。
-
○
加藤国務大臣 農業生産の停滞、ことに水田利用再編成やあるいは農産物価格、なかんずく米の政府買い入れ価格が据え置かれたような事情もございまして、農業生産の停滞それ自身はよく承知をしておりますけれども、しかし、だからといって、全く据え置きをいたすみたいことは不可能ではないであろうか、かように個人的には思っておりますけれども、しかし、さようなことをも含めながら逐次固めてまいりまして結論を出してまいりたい、こういうように思います。
-
○
小川(省)委員 そこで伺いますが、生産調整が実施をされた、しかし転作もしないで遊ばせている
農地があるわけですね。こういう土地に対する
固定資産税はどうなっているのですか、
局長。
-
○土屋政府委員 地目として
農地であり、そのままの形でいつでもまた
農地として使える状況にある場合は、それは
農地として課税しておるということでございます。
-
○
小川(省)委員 全然収益はゼロですね。それでも課税をしていくわけですか。
-
○土屋政府委員 御無知のように、
固定資産税そのものは資産の価値に着目して課税しておるわけでございますから、その地目ごとにいろいろと評価の仕方等ございますけれども、その使用形態によって、現にどう使用しておるか、どれだけ収益があるかということとは無関係に評価をし課税をしておるわけでございます。
-
○
小川(省)委員 細かい話で恐縮なんですが、施設園芸
農地の
固定資産税がどうなっているかということについてお尋ねをいたしたいのですが、花卉の栽培だとかいろいろやっていますね。最近は特に、ガラスの施設ではなくて、ファイロンハウスというようなガラスに近いようなものがあるようなんですが、そういう施設の
固定資産税はどうなっているのですか。私は、農業だから当然
農地課税になっているだろうと思うし、また、あるいは休耕田等で養鶏や養豚等を始めた場合、その
固定資産税はどうなっているのか、養鶏場あるいはまた豚小屋等に対して
固定資産税をかけているのですか。
-
○土屋政府委員 いまお話のございましたような温室とかそういったたぐいのもので、中は花卉とか農業的なことをやっておられても、そういった施設を設置しております限り、それは家屋として、また下の土地は宅地として課税をしておるというのが一般でございます。もちろん施設と言えないような、きわめて簡素に、ちょっと柱でも立てておるという程度のそういったものまでやろうというわけではございませんけれども、それだけの施設を持っております場合は宅地として課税をしておるわけでございます。
-
○
小川(省)委員 ファイロンハウスなんというものを建築物として
固定資産税を取り、しかも土地が宅地なんというのはおかしいのではないですか。やはり農業経営の一形態ですからあくまでも
農地課税であって、ファイロンハウスに建築物としての
固定資産税を課すというのはおかしいのではないでしょうか。
-
○土屋政府委員 花卉とかそういったものはいわば農業に近いものでございますが、その他の事業用の家屋と比べてみましても、やはりいまのようなファイロンハウスとか温室とかいったたぐいのものはやはり一種の事業用家屋だと言わざるを得ないと思うわけでございまして、均衡上はやはり宅地として課税すべきものだというふうに私どもは考えております。
-
○
小川(省)委員 それでは先ほど言った休耕田で養鶏を始めた、バタリーというのですか、いわゆるアパートみたいな養鶏場がありますね、あれも建物なんですか。
-
○土屋政府委員 その建物の態様によっていろいろ課税の仕方が違うと思うわけでございますが、ビニールハウスのような場合は
農地として扱っておる場合もございますし、雑種地として扱う場合もございます。また非常にしっかりした家屋として認定されるようなものは、これは宅地として扱うというようなことで、畜舎とか季節的に建てたビニールハウスであって、済んだらすぐ取り外すとかいったようなたぐいのものまで家屋として扱っておるわけではないわけでございます。やはり施設そのものが家屋として認め得るようなしっかりとしたものであるかどうか、そういった事実の認定にかかってくると存じます。
-
○
小川(省)委員 この辺は課税技術上の問題になるのでしょうが、いわゆる拡張解釈といいますか拡大解釈をして、われわれの常識ではとうてい建築物だとは思えないようなものをいわゆる建物とみなして
固定資産税を課すような点については厳に注意をしていただきたい、こういうことを申し上げておきたいと思います。
次に、私どもの反対にもかかわらず、実は三大
都市圏のA、B
農地で宅地並み課税が実施されてきているわけです。いまもお話がありましたけれども、各自治体の条例で
農地課税との差額が減額をされているようでありますが、宅地並み課税の現況について先ほど百八十三市と言っていたけれども、私は百八十四市ではないかと思っているのですが、現況はどうなっていますか。
-
○土屋政府委員 いろいろな実績を五十二年度の状況で把握して申し上げたために百八十三市と申し上げたわけでございますが、五十三年度からもう一市ふえて百八十四市になっております。
-
○
小川(省)委員 そこで、昭和五十四年以降宅地並み課税を拡大強化をする、C
農地にも広げていく、あるいは町村に対しても広げていくというふうに仄聞をしているわけですが、そうなんですか。
-
○土屋政府委員 いまの特定市街化区域内のいわゆるA、B
農地、あるいはそれ以外の市街化区域内の
農地をどうするかということについては、まだ私どもとして結論を出しておるわけではないのでございます。
ただ、先ほどもお答えしましたように、一つには、この特定市街化区域
農地についての五十一年度から五十三年度までの暫定的な減額措置というものが、これが五十三年度で切れるわけでございます。したがいまして、そういった意味でも今後そういったところをどうするかという議論は当然出てまいります。もう一つは、五十一年度の改正のときに附則の方で、御承知のとおり、課税の適正を期するためにいろいろと検討を加えて、それに基づいて宅地並み課税が五十四年度以降適用できるような措置を講ずべきものというような条文があるわけでございます。そういった意味からも全体についてどう考えるかという検討はしなければならない。ただ、私どもといたしましては、宅地並み課税が設けられた趣旨というものは、宅地化の促進なりあるいは市街化区域内の他の宅地との課税の均衡の問題、そういった観点からではございますけれども、今後こういった検討をする際に市街化区域内の
農地というものをどう考えるのか、市街化区域全体の中で土地利用というものをどうお考えになるのか、そういった関係方面の御意向というものは踏まえて考えていかなければならない。やはり税制というものが土地政策に先行するわけにもまいらない点がございますので、そういった関係省庁の意見を十分拝聴した上で私どもとしてもそれに対応した税制はいかにあるべきかということを考えたいと思っておるわけでありまして、まだ公式にそういった考え方についての税制に対する要請といったものを受けておりませんので、そういったものが出ましたら早急に結論も出さなければならないというふうに考えております。
-
○
小川(省)委員 先ほど農林省の声がありましたね。あるいは建設省の声もあったわけですが、C
農地やあるいはまた町村まで拡大拡張をする方向にはないというふうに理解していいですか。
-
○
森実説明員 お答え申し上げます。
私、先ほど申し上げましたのは、介在町村の問題を除外するとか、あるいはC
農地を除外するという意味の趣旨のことは申し上げたつもりはございません。
-
○木内説明員 先ほどお答えいたしましたところでございますけれども、建設省としましても、C
農地を除外して考えているわけではございませんで、当然含めて検討をしているわけでございます。
-
○
小川(省)委員 まず、現行の各自治体の条例による減額の問題なんですが、百八十四の自治体が何らかの形で減額を実施をしているわけですね。私は、このような状況というのは、法律として欠陥があるんではないかというふうに思っています。法律そのものとして瑕疵があるものだというふうに思えてなりません。そういう意味では、私は、宅地並み課税のところは廃止をされて、農業を継続する意思のある
農地については
一般農地と同じような課税にしていったらどうなのかというふうに思っているのですが、先ほどもありましたけれども、土屋
局長いかがですか。
-
○土屋政府委員
固定資産税においては、
農地については評価の仕方においても、あるいはまた課税の仕方においてもいろいろな
農地の性格に応じて調整を加えておるわけでございますが、市街化区域内の
農地というものは、市街化区域そのものがよく御承知のように十年以内に優先的かつ計画的に市街化を進める区域であるということで、ある意味では宅地化を予想されておる
農地でございます。また、販売実例等を見ましても、付近の宅地と変わらない価格で販売をされておる。そういった実態等から見れば、やはりその付近の宅地と同じような形で課税するのがむしろ適当ではないかということで、いまのような宅地並み課税というものが設けられたわけでございまして、それも三大
都市圏の特定の市の、現在では百八十四市の市街化区域内のA、B
農地という限定でございます。
しかしながら、そういう制度で進んだわけではございますけれども、御承知のように、なお
農地として生産緑地という形で残した方がいいというものは、そういう形で
農地として扱っておりますし、それ以外に、現に
農地として利用しており、かつまた三年以上
農地として保全することが適当である、そういったところは審議会等の議を経て条例で減額措置をとるということをしておるわけでございます。確かに、そういった減額措置もない形で直ちに市街化できるということであれば、それは一つの円滑な動きとして済むのでございましょうけれども、現実にはいろいろと複雑な問題もございますし、そういう地域の中でも、ただいま申し上げましたような
農地についてはやはり特別な配慮を当面加えなければならないということもございますので、減額措置をとっておるわけでございます。その減額措置も確かに五十二年度で百八十三市の中で百七十四というのが条例化をしておるわけでございますけれども、それぞれのところにそういった配慮をすべきところがあるからそういった条例をつくっておるわけでございます。したがいまして、減額の対象になっておるものが全部ではございませんで、たとえば普通の市街化区域
農地のうちで〇・一ヘクタール以下の非常に狭い、住宅の間にはさまったようなそういうところは減額対象にされないということに最初から制度上なっておるわけでございます。そういった面ではそれなりの意味がございますし、また、減額の方法もそれぞれの地域の実情に応じて全部減額されておるわけではございません。
固定資産税で申しますと、約五六%ぐらいが減額をされておる、そういう状況でございまして、いろいろとそういうことをしなければならないこと自体に問題があるのではないかとおっしゃれば、それはそれなりの実態があるわけでございますから、現実的な対処としてそういう方法をとらざるを得なかったということはございますが、それで制度的に大いに欠陥があったというふうには私どもとしては考えてないのでございます。
-
○
小川(省)委員 大臣、もともと
農地の値上がりというのは、農業を継続しようとする農家にとっては何のメリットもありません。売買を予定をしてこそ価格の問題が初めて起こるわけであります。問題などは、農業を継続する意思の確認にあるんじゃないかというふうに思うわけですね。課税というのは、
農地の採算に見合って課税されるべきなんでありまして、架空の売買を予定をして、売った場合にはこの価格であろうというふうなことで課税をされるべきものではないというふうに思いますが、いかがですか。
-
○
加藤国務大臣
固定資産税の政策は、所得などに対しまする課税とは違いまして、土地なり建物の資産が存在する、その資産に課税をいたす、これが基本の性格でありますことは御承知のとおりでございます。
そこで、市街化区域外の
農地でありますならば、この考え方、その所得が少ないからというようなことで一半の理由はあろうかと思いますけれども、しかし、市街化区域に加えられており、かつまた、いつでも届け出一本で
農地の転用は可能である、そして少なくも十年以内ぐらいには総合的に、計画的に市街化が行われる、かような性格の
農地に対しましては、ましてその
農地が宅地と売買の際ほとんど変わりのない評価がなされておる、また価値があると言えましょうか、さような
農地に対しまして宅地並み課税を行いますことは、私は妥当な措置である、かような基本の理解を持っておるのでございまして、が、しかし、その
農地で農業生産をやっており、土地の評価とは著しく異なりますような低い所得しかないような
農地もありますことはよくわかります。わかりますけれども、しかし、だからといって、宅地並み課税をいたしてはならぬという論拠にはならないと私は思うのでございます。ですから、一定の要件を備えておりますものにつきましては、生産緑地法による生産緑地としての指定を行う措置もございますのと、そして本年度までではございますけれども、いわゆる減額措置が行われてきておる、かように理解をいたしております。
-
○
小川(省)委員 農政
部長さん、税制面が優先をして画一的な宅地並み課税を実施して、農業継続を困難にして宅地として放出をさせるということは、一方における宅地供給を計画的に実施をしていくということとは異なって、私はこれは邪道だと言わなければならないと思っておりますが、いかがですか。
-
○
森実説明員 お答え申し上げます。
両面あってなかなかむずかしい問題だろうと思います。ただ、先生も御案内のように、現在の市街化区域制度というのは単なる線引きや保有税制の問題だけでなくて、いわば譲渡所得に対する減税措置という問題とも関連がございますし、さらに
農地法制の上で申しますと、転用許可をどう扱うかという問題があります。そういう意味で、やはり制度的に譲渡所得の問題あるいは転用規制の問題等と関連を持って考えなければならない側面もございますし、また非常に宅地化が進み、地価が高騰している、そして実際問題としてかなりスプロール現象も起きている、そういった市街化区域の
農地で今後永続的に農業が維持できるかどうかということは現実の問題としてもなかなかむずかしい問題があると思います。そういった点をやはり総合勘案して判断すべきものと思います。
-
○
小川(省)委員 先ほども説明があったのですが、三大
都市圏のA、B
農地で宅地として使われたというのは余り多くないわけですね。だからそういう意味では、私は税制面から追い出しを図るような宅地化政策というのはやはり誤りだと思っていますので、ひとつよく聞いておいていただきたいと思います。
そこで建設省に伺いたいのですが、市街化区域
農地では、生産緑地法で第一種の生産緑地、第二種の生産緑地ということで、その指定を受けて宅地並み課税の指定除外の制度があるわけですね。しかし、現状では三大
都市圏の百八十四市のA、B
農地の一万一千五百二十六ヘクタールのうちわずか四・一%の指定の実績しかないようですが、これについてどう思われますか。なぜ生産緑地制度で農業問題を吸収することができないのだと考えますか。
-
○高橋説明員 生産緑地制度は、四十九年八月生産緑地法ができまして施行されましてから、建設省としては鋭意その指定を推進してまいったわけでございますけれども、御指摘のように、面積は十分多いのかどうかということになりますと、市街化区域内の現在の指定状況は四百七十ヘクタールという状況でございます。
生産緑地地区の指定がそれほど伸びないのはなぜかということでございますけれども、これは制度上土地所有者の地区指定につきまして同意を要することになっておるわけでございます。その同意がなかなか得られないということがあるわけでございます。
なぜ同意がなかなか得にくい場合があるかということでございますけれども、
都市計画として生産緑地地区に指定した場合に、やはり土地の利用転換というものが
農地からほかのものにすることが制約されるということになりますので、それについてやはり抵抗を感じられる場合があるとか、あるいはA、B
農地につきましては、宅地並み課税の減額条例による措置にもそういった道があるというようなことも関係しておろうかと思います。
しかしながら、建設省といたしましては、今後ともその趣旨の徹底を図りまして、指定の推進を図ってまいりたいと考えております。
-
○
小川(省)委員 私はこう思うのです。PRの不足はあるでしょう。それと同時に、この生産緑地制度をつくられたこと自体が、いわば農業の保護ではないわけですね。そういう意味で、いま後段に言われたように、
都市計画サイドからの拘束が実情にそぐわないためだというふうに思っているわけであります。だから、私は生産緑地制度の指定を受ける者がなかなかいないというふうに思いますが、宅地並み課税から逃れることができるわけですから、そういう意味ではひとつPRを十分にやっていただきたい、こういうふうに思っています。
それから大臣に申し上げますが、五十四年度から、土屋税務
局長はいろいろ言われておるけれども、やはりいろいろ意見を聞いて宅地並み課税制度を拡大、拡張をしていこうということには、どうも変わりはないようであります。そうなってまいりますと、この法律は条例等によってさらにさらにざる法化の度合いを加えていくことは当然だというふうに思っています。いわば課税サイドからは混乱をした課税の制度になっていくわけでありますから、これはぜひひとつ現状の三大
都市圏のA、B
農地にとどめておいていただきたい、こういうことを強く要請いたしておきたいと思います。農業を継続する意思のある者はこれは
農地課税で、しかも値上がりを待つようなところはびしびし課税審議会で強化をしてやっていったらいいというふうに思っていますので、ぜひこういう点を強く要請しておきたいと思っておりますが、大臣、いかがですか。
-
○
加藤国務大臣 自治省といたしましては、C
農地にまで宅地並み課税をしなければならぬという結論をいま出しているわけではもとよりないのでございます。が、しかし、先ほども
局長が説明をいたしておりましたように、いわゆる減額措置なるものが三カ年で本年度限りということになっておりますから、本年度限り廃止をしていいのかどうかも検討しなければなりませんことと、それから五十一年度の税制改正の際に、御承知のとおり、さらに課税の適正化について検討を行い、その結果に基づいて云々、かようなこともございますから、当然検討はいたさなければなりませんが、しかし、各面からいろいろの意見が寄せられておるのでございますから、さような意見を十分にそしゃくいたしながら対処していかなければならぬ、かように考えております。
-
○
小川(省)委員 大臣、よく聞いてください。実はきのう
理事会で
請願をめぐっていろいろ論議をいたしました。宅地並み課税の廃止の
請願がたくさん出ておりました。残念ながら、私どもは採択することはできないということで保留にいたしたわけでありますが、実は
紹介議員の大半が自民党の議員さんであります。こういう実態でございますから、相当多くの方々が宅地並み課税はもういいかげんこの程度にしてもらいたいということに賛成をいたしておるわけでありますから、大臣、特にこの点を留意されて、ぜひ方針の決定に当たっては十分ひとつそういう意向をくんで結論を出していただきたい、こういうことを御要請申し上げまして、時間でありますから質問を終わります。
-
-
○
権藤委員 最終日の最終質問でございますので、かなり重複するようなところがあると思いますけれども、御了解を賜りたいと思います。九十分でございますけれども、縮めて質問しますので要領よくひとつ御答弁願いたいと思います。
私、不況地域の問題と物品税のことでお聞きしますけれども、今国会におきまして特定不況地域振興のための通産、労働の立法がなされました。自治省におかれましてもこの地域振興特別措置法案の臨時国会提出を予定されておりましたけれども、いままで説明がありましたようなことで断念されました。しかしながら、行政措置によってこの不況地域の振興を図ることとしております。それと、次の通常国会におきまして不況地域振興法の成案を得て提出したい、このような方針でありますが、自治省が不況地域振興につきまして重点施策の一環として意を用いていることについては賛意を表するものであります。
しかしながら、この構造不況業種を地域に抱えていない、特定不況地域に指定されないその他の地域、こういうところに対してどうするかということが問題になろうと思います。特に中小零細企業を中心としております伝統的な地場産業を抱えた地域、この地域に対する不況対策あるいは救済措置、これにどのように取り組んでいかれるのか、通産省と自治省にお伺いしたいと思います。
-
○久世説明員 ただいまの御指摘の点でございますが、自治省といたしましては、すでに御案内のとおり総合的な振興対策をもって措置をしたいと思っておるわけでございますが、ただいま御指摘の地場産業等必ずしも不況地域でない地域というような御指摘でございますが、通産省の方で立案されておられます中小企業対策臨時措置法は、いわゆる構造不況業種への依存が高い地域を対象にしているわけでございます。自治省といたしましては必ずしもこれにとらわれませんで、地域経済の振興によりまして住民生活の安定のために地方団体が総合的な対策をとる必要があるというような地域、そういう地域を対象といたしまして所要の対策を講じていくつもりでございます。したがいまして、不況に陥っております地域の振興というものは、個別的な対策ではなくて、地域における総合的な行政主体である地方団体が中心となりまして地域の実態に即して総合的、計画的に対処してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
-
○若杉政府委員 お答え申し上げます。
わが国には特定の業種に属します中小企業が集中している産地がかなりございます。これら産地の中小企業におきましては、最近の円高によりまして非常に大きな打撃をこうむっておるわけでございます。このために臨時緊急の措置としまして円高対策法等によりまして応急手当てはいたしておるわけでございますが、中長期的には抜本的な体質改善といいますか、活力の維持というものを図っていかなければならない、かように考えているわけでございます。
産地におきましても、産地組合等を中心にいたしまして新製品の開発とか技術の開発あるいは高級化、市場開拓というものに努力しておるところでございます。そういうものにつきまして政府としてもこれを支援してまいりたいというふうに考えておりまして、立法措置も含めまして目下検討中でございます。
-
○
権藤委員 現在、地方公共団体では、特に県ですけれども、特産品の指定等はしておりますけれども、これに対して何も助成措置というものはないわけであります。先ほどそういうことについても今後十分やるということでございますから、ひとつそういうことも含めてしっかりやってほしいと思うのです。
通産省にお伺いしますけれども、次の通常国会で産振法、中小企業産地振興臨時措置法を提出する予定でございます。いまおっしゃったように円高で困っているところに対して措置をするということですが、その他の地域についても指定するというお考えがおありかどうか、お伺いしておきたいと思います。
-
○若杉政府委員 このわれわれの目下の考えの発端は、先ほど申しましたように、円高——円高と申しましても輸出、輸入両方あると思いますが、そういうもので非常に大きな被害をこうむっておる、そういうところを中長期的に何とか態勢を立て直したい、こういう発想でございます。しかし、状況によりましては、このような内外の経済変動、もう少し幅広い内外の経済変動というもので同様な影響をこうむっているというような事態に陥っているところの産地についても同じような対策を講ずるかどうかという点については、目下慎重に検討しておるところでございます。
-
○
権藤委員 それでは家具産業等を抱えております地域の指定は検討の中に入っておりますかどうか。
-
○若杉政府委員 家具産業、家具産地が円高——輸出入を含みますが、家具については輸入もかなりあると思いますが、輸出、輸入含めましてどういうような影響をこうむっておるか、あるいは円高以外にどういう内外の経済変動によりまして影響をこうむっているか、その状況を引き続き調査いたしまして検討してまいりたい、かように思っております。
-
○
権藤委員 これら不況対策に関連しましてもう少し具体的にお伺いしておきたいと思うわけであります。
主に家具製造の問題でございます。いま家具製造業が全国に一万三千事業所有余と言われております。これは福岡の大川市、大分の日田、それから徳島、静岡、広島、名古屋、神奈川、埼玉、北海道の旭川、札幌、こういうところが大体主要な産地のようでございます。この業者が、もう御存じと思いますけれども、九〇%余りがその従業員がわずか二十人以下ぐらいのそれこそ小零細企業であるわけであります。その上、この年来の不況と、それから人件費が上がった、それから木材等の価格の値上がりで非常に影響を受けております。それと加えましてこの家具製造業界に大手企業がかなり進出をしてきておるわけであります。そのために現在あります基盤そのものが脅かされておるというのが実情であります。それを端的にあらわしておりますのがいわゆる資本の回転率、それから利益率、流動比率、これはもう最低と言われるようになっております。このように経営指標が他産業と比べまして非常に厳しい実情の中にある。通産省はこういうことをどこまで認識しておられますか。また、そのような状況の中でこの不況対策とあわせて家具業界に対する救済といいますか援護といいますか、そういうものについてどのようなお考えを持っておられるか、もう一度お聞きしておきたいと思います。
-
○脇山説明員 御指摘のとおり家具業界の場合、私ども中小企業庁の調査によります中小企業の経営指標で見ましても、いま御指摘いただいたようなもろもろの経営指標など製造業平均を下回っているという結果が示されております。特に木製家具業界におきましては、戦後の家具充足需要の一順と不況の長期化によりまして、実質消費の伸び悩み等から家具消費の伸び悩みが見られているわけでございます。
政府におきましては、昭和四十九年に木製家具を中小企業近代化促進法に基づく特定業種に指定いたしまして金融、税制面での優遇措置を講じておるわけでございます。また、昭和四十九年十二月以降中小企業信用保険法による不況業種に指定いたしまして中小企業信用保険の別枠利用、保険料率の引き下げ、てん補率の引き上げというような措置を講じておるところでございます。
それからまた労働省さんにお願いいたしまして、本年一月から雇用保険法に基づく景気変動等雇用調整事業の対象業種として指定していただきまして、雇用関係の各種給付金について特例措置を講じていただいているというわけでございます。それからまた、最近においては家具の流通近代化を促進するため、学識経験者、業界代表などを交えまして家具流通近代化構想策定委員会というようなものを構成して調査研究を開始したということでございます。
これらの施策の運用を今後とも続けまして、引き続き木製家具製造業の経営の安定化に努力を続けていきたいと考えています。
-
○
権藤委員 なお、実効の上がるようにひとつ積極的にやっていただきたいと思います。
それから、家具業界の停滞する一つの理由ともなると思うのですけれども、物品税の問題があるわけであります。先ほど申し上げましたように、家具業界は非常に小一零細企業であります。そこで、現在物品税の課税限度が九万一千円となっております。これは非常に矛盾があるのではないかと思われる点が多うございます。
いろいろお話を聞いてみますと、通産省あたりはこの大蔵省の物品税が家具業界の不振になるというふうには思っておりませんということなんですけれども、納税手続をするのでも非常に複雑なんです。だから、地元の各税務署あたりじゃしょっちゅうトラブルが起こっておる。ですから、出荷価格というものが免税点にかかりそうになりますと、その製造元の会社が原価計算書を用意しなければならぬ。それから新製品の創作でありますとか価格の改定、製品の改良、春秋の展示会、このようなものをやるたびに原価計算をして、そして税務署対策をしながらやっていかなければならぬ。これは、二十人くらいの従業員で、しかも資本力のない、つくっては売り、つくっては売りしていかなければ経営が成り立たないというような状況の中で、一々こういうものを持って税務署に行くだけの能力がない。ほかに例を挙げてみますと、七百社くらいあります。大手と言われるのは五十社くらいで、そこはそういう経理能力もそういうようなスタッフもそろえておりますけれども、大部分が大工さんからたたき上げて、でっちからたたき上げて営々として今日基盤をつくり上げて、そして製品をつくっているというところが大半であるわけです。そういうところにやれという方が無理じゃないかというほど複雑であるわけであります。
それから、先ほど申し上げましたように、最近の住民のニーズというものは、所得が上がってきた、あるいは国の政策の中からも新築をするというようなのが多い、そのときはやはりある程度高級品を選ぶというふうに変わってきておるわけなんです。ところが、九万円以下の製品というといわゆる免税点までですから、それこそ雑な製品が多いわけであります。けれども、いいものをつくろうとすればそういうものに手をかけなければならぬということで、勢い免税点以下のものをつくっていく、これが過当競争になるというようなことで、結局経営をうまくしていくためにはとにかく少々安くても売っていかなければらぬ、そういう悪循環を繰り返しておるのが実情であるわけであります。
それから、高級品と言われますたんすなんかは三点セットが普通なんですが、いわゆる内地産の桐、中京桐、それから朝鮮桐、これを五〇%使ったたんす、それからたな物というのは非課税なんです。普通の者が求めておりますのは平均いたしまして大体十五万から三十万くらいのもの、これが平均です。ところが、桐なんというのは一点三百万というようなものもあるわけであります。物品税なんというのは大体奢侈品に課税するというのが目的であろうというふうに私どもは理解しておるわけなんでございますけれども、実にいまは逆でありまして、大衆に普及するものにこの物品税をかけている。でありますから、とにかく取れるものであったならば何でもいいから税を取れというふうにしか私どもは思いません。というようなことで、とにかく少しでも皆さんが欲しがるようなものをつくろうとすれば、そういうようなものに追い回されて、結局ついていけないというところで免税点以下のものをつくっているというふうに実情はなっておるわけでございます。
大蔵省、この物品税を家具については廃止なさったらいかがでございますか、漆の漆器だとか桐のああいう高級だんすでさえ非課税になっておるわけでありますから。それが、大工さんたちが一生懸命つくっているようなものにまでがっぽり物品税がかかって、そしてきゅうきゅうとしている。一方ではこういう不況業種に対して救済しなければならぬと言いながら、一方では逆に、企業成績が上がらないように追い込んでいるというように結果的にはなっているように思うのですが、この物品税について廃止をされるようなお考えがおありかどうかお伺いしておきたいと思います。
-
○大山説明員 お答え申し上げます。
ただいまの御指摘の点でございますが、物品税は主として比較的高価な便益品でございますとか趣味、娯楽品、それから奢侈品、こういったものを拾いまして、それぞれの物品の背後にございます担税力、これを見出して課税をいたしておるわけでございます。
ところで家具の場合には、ただいま御指摘のとおりかなり高い免税点を、九万一千円という免税点を設けておるところでございますが、それを超えますような比較的高価なものにつきましてはそれ相応の担税力があるのではないかと私ども考えておりますので、いま直ちにこれを廃止するということはなかなか賛成しがたいところでございます。
-
○
権藤委員 いまあなたがおっしゃったように、いわゆる奢侈品に対して物品税をかけるということが原則であろうと思うのです。けれども、しかし、そうおっしゃいますけれども、楽器なんか四十一年度から一五%に下がっておるわけですよ。化粧品、これは奢侈品といいますか、いま美しくなりたいということで盛んに女性の方もじれていらっしゃいますが、しかし、これでも一〇%しかかかっていない。時間がありませんので詳しくは申し上げませんけれども、この化粧品についてもいろいろと原価計算をしてまいりますと、考えなければならないような問題があるわけであります。それから時計、これもぜいたく品とは言えないと思います。これも一〇%かかっている。ダイヤなんかは、これは欲しくてもなかなか一般の人には手に入らない。そういうようなダイヤでも一五%しかかかっていませんよ。家具だけ昭和二十六年から二〇%、ずっと据え置きじゃございませんか。ミシンなんか二十六年から非課税であります。それから書画骨とう、飾り物などは非課税じゃございませんか。骨とうというのは、絵画ブームなんかが数年前ございましたけれども、一点数十万、数百万というものはなかなか買えるものじゃない。これはお金を持った人しか買えない。そういうものには非課税じゃありませんか。それから敷物だってそうでしょう。あんな豪華な敷物等が敷かれております。あれはあってもなくてもどうでもいい——どうでもいいということはないでしょうけれども。ところがこういうものはなくても生活ができるわけであります。でありますから、家具類は、一点が百万も二百万もするようなぜいたくなものがなくても、少なくとも生活をするためにはこれは最低の必需品であろうと思うのです。そういうものにこのように不合理と思われるような課税がなされておるということにつきましては、それはいまこういう財政の厳しいときでございますから、あるものは何でも取りたいと思うけれども、しかし、物品税の中をのぞいてみましても、だれが見ても不公平としか思えないわけなんですが、それでもお考えを変えるというようなあれはございませんか。いま福田内閣の最大の重点施策は、この不況をどう克服するか、それが今臨時国会、さきの通常国会、その前の臨時国会の重点施策じゃございませんか。いま家具の物品税は五十六億ぐらい。その中で大川市が納めているのが二億五千万円であります。この二億五千万円の物品税を撤廃しますと、県市町村税それから法人税が大体四億の増収になると言っているのです。それで、市税だけでも二億の増収になると言っている。二億五千万の物品税を取るがために——これは廃止すれば地方公共団体は四億以上の税の増収になる。いまこのように自治省や労働省や通産省がこの不況地域に対してどうするかということを考えているときに、わずか二億五千万円くらいの物品税を廃止するということで四億ぐらいの税の増収があるということは、これこそ地域に対する本当の不況対策になると私は思うわけなんですけれども、そういう点についての見解を承っておきたいと思います。
-
○大山説明員 ただいまいろいろな物品を例示なさいまして御指摘がございましたが、私ども日常の生活に必要性が強いといったものは、先ほども申し上げました免税点ということで、ただいま家具は九万一千円、これを小売価格ベースに直しますと十数万円になるかと思いますが、それ以下のものについては課税しないという取り扱いにしているところでございます。それ以上のものにつきまして、担税力の観点からいって担税力があるかないか、私どもそれ以上の価格の家具類については担税力がある、こう判断して課税をいたしているところでございます。
ただいまの、地方税収がこれを廃止することによっていかがになるかという御比較もございましたけれども、私どもはそれぞれの物品についての担税力というような観点から判断をいたしております。
御指摘の点で、宝石あるいは敷物の税率の御指摘がございました。宝石は一五%となっておりますが、これは小売課税で一五%でございます。それからじゅうたんも小売課税での一〇%でございます。家具の場合は製造段階での二〇%でございますので、小売段階に引き直しますと実効税率は一〇%を割るというような数字になっている点を一言つけ加えさせていただきたいと思います。
-
○
権藤委員 それは仰せのとおりだと思います。しかしながら、宝石を求める者と家具を求める者というのは大体層が違うじゃございませんか。確かにそれは家具が出回っておりますから、税を取る側としてはこれほどいいものはないんじゃないかと思いますけれども、全国合わせまして五十六億ぐらいのもの。これを廃止する、そうして製造業者というものがもっと自由につくれるようにしていきます。要するに、先ほど申し上げましたように、住民のニーズに合わしたものを自由につくっていくことができるというようなことから、家具業界の今日の不振というものはもっと克服できるのではないか。そうなってくれば法人税だって県市民税だって取れるじゃございませんかというのが、これは見解の相違でございましょうが、よりいい方法じゃないか。そういうことはひとつぜひ知っておいてほしいと思うのです。
それで、もう一つだけつけ加えておきますけれども、この物品税がいま製造原価で九万一千円とおっしゃった。確かにそうでございます。小売になりますと約倍近くになりましょう。しかし、それはその間の経費というものがかかっておるわけです。それと、この物品税を払いますのは、製品を出荷して二カ月後なんです。いま家具業界の手形の決済というのはもう六カ月、七カ月というのは常識なんです。小資本の企業がこういうものをつくって売ります。物品税だけは二カ月後に払わなければならぬ、手形でもらうのは六カ月、七カ月、だから非常に痛手になっていることは事実なんです。皆さん方もそういうことは知っていらっしゃると思います。また一連の家具業界の倒産というものが非常に多うございまして、そのために手形はもらえないわ、不渡りをもらう、物品税は納めている。それはおまえさんのところは気の毒だから、決算のときにちゃんとあれをしなさい、それだけ損を出したものはあれをしなさい、こういうふうに言いますけれども、その何カ月の資本の回転というものがきわめて大きな効果をもたらしておるわけです。あるとないとは、大きな効果をもたらしているということもひとつぜひ知っておいてほしいと思うのです。
そこで、一挙に廃止ということはむずかしかろうと思いますけれども、近々のうちにこの家具等について税率を変えるとか、いわゆる免税点を引き上げるとかいうようなお考えもないのかお聞きしたいわけですが、いかがでございましょうか。
-
○大山説明員 近々のうちに免税点なり税率についての検討を行うかというお尋ねでございますが、ただいま私ども財政再建という観点から一般消費税を検討いたして、税制調査会にもお諮りしているところでございます。
その中におきましては物品税——税制調査会の特別部会の報告が九月十二日に出されたわけでございますが、その中におきましては、長期的には、段階的に物品税というものはこの一般消費税の中に吸収されていくべき性格のものだというようなこともうたわれております。ただいまのところ、一般消費税をどのような形にしていくかという議論を行っているところでございます。一般消費税は一般的な物品に対してかける、これは個別の物品にかけるということで、同じ消費に負担を求める税であるという点で非常に共通性を持つわけでございますが、この一般消費税の検討を進めておる段階でございますので、ただいまのところ物品税について個々に免税点の引上げ等を行うということはしばらく見合わせておるところでございます。
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○
権藤委員 それでは一つだけお伺いしておきますけれども、要するに先ほど申し上げました非課税になっております漆器類でありますとか総桐のたんす、それと一般家具が課税されておるわけですけれども、それについてあなたは妥当だとお思いになりますかどうか。
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○大山説明員 桐の家具でございますとか漆塗りの家具でございますが、これは四十一年の改正の際にこういったものは手工業製品である、一品作品的な工作方法によって長時日を要して製作されるといったような観点から、わが国の伝統的なこういった製作技術を保存する、こういった観点から規格非課税とされたものでございます。そういった意味合いは現在においてもなお生きているのではないかと考えます。
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○
権藤委員 桐を使わなくたって手でつくっているのですよ。これ以上申し上げますと苦しいでしょうから、もうやめておきます。
通産省にお伺いしますけれども、物品税というものが、この税率そのものだけじゃなくして、要するに今日の弱体な中零細企業にはこういうようなことが繁雑で、また事務が複雑でやっていけないというようなことで、やはり業界の不振を招いているということは言えると思うわけでございます。通産省としてこの産業振興の立場からこの物品税等の撤廃あるいは免税点の引き上げといったようなものについて先頭に立ってやる必要があると私は思うのですけれども、その点についていかがでございましょうか。
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○脇山説明員 物品税につきましては、ただいま大蔵省の方からも御説明ありましたとおり、いろいろとむずかしい問題があるというふうに伺っております。しかしながら、ただいま先生御指摘のような点もできるだけこれを何とか盛りこめないかというようなこともまた考えておりまして、大蔵省といろいろ協議をやっていきたいというふうに考えております。
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○
権藤委員 大蔵省も通産省もその実情を把握して、そういう零細な方々が不況を乗り切っていけるようにひとつ最善の努力をしてほしいと思います。
最後に自治大臣にお伺いしますけれども、いままでいろいろお話し申し上げてまいりました。例に挙げました大川市は人口五万でございます。何らかの形で家具にかかわりを持って生活をしているわけでございます。それから先ほど申し上げましたこの物品税というものが及ぼす影響、税として二億五千万取る方がいいのか、これを減免するあるいは廃止するというようなことによりまして、県市民税あるいは法人税等は四億近くの増収が見込まれるというようなことがいいのか、先ほど申し上げたとおりであります。
ここで、くどいようですけれども、国を挙げて地域の振興を図ろうというのであるならば、発想を転換していかなければならないことが多いのではなかろうかと私は思います。大臣は
地方自治のことについては非常にお詳しいようでございますから、ぜひともこれは閣議等あるいは自治省独自ででもこれらの業界が立ち直れるように最善の努力をしてほしいと思うわけでございます。これにつきましての大臣のお考えを最後にお伺いしておきたいと思います。
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加藤国務大臣 自治省といたしましては、不況を克服いたしまして地域の発展を図り、そして地域皆さん方の幸せを増進いたしますためには、今国会で成立をいたしました二法案の円滑な施行を期してまいりますと同時に、また先ほど来説明をいたしておりますように、総合的、計画的にその地域地域の実情に応じまして振興対策をとっていこう、かような基本の考えでございまして、私も福岡県の大川市には足を運んだこともございますのと、それから私の郷里岡山県にも卸センターがありまして、その中に大川家具というのがございまして、そこの社長とも懇意でございますから、いろいろ家具業界の御苦労なすっていらっしゃっことをよく承知をいたしておるところでございます。ですから、総合的な対策を講じてまいりますもろもろの方法がございますけれども、その中におきまして、いま御指摘の物品税を負担しておりますことも、物品税は終局的には当然消費者に転嫁さるべきものではございますけれども、物品税の存在が間接的には企業発展のために重さになっておりますこともこれまた否めないことでございます。先ほど通産省から、大蔵省とよく相談をしてみたい、かようなお話でもございました。ですから、新たな立法のときにはやはり検討さるべきことではないであろうか、こういうぐあいに思います。
それで、物品税が仮に大川市なら大川市で家具に関して撤廃されるといたしますならば、直接的ではございませんけれども、間接的には企業にいい影響がくることも予想されます。そういたしますと、
事業税の面にいたしましても住民税の面にいたしましても地方税にプラスになる、厳密な計算はできませんけれども、何がしかプラスになることは事実であろうと思うのでございますから、
地方財政といたしましてもまた助かる、かような面も生まれてまいりましょうし、その面は別といたしましても、家具業界が活発に営業活動をなし得ますような体制をとりますことが大川市にとりましては喫緊の課題でございますから、私といたしましても最善の努力をいたしましてそういう処置をとってまいりたい、こういうぐあいに思います。
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○
権藤委員 あと五十分ほど時間が余っておりますけれども、やめます。
以上でございます。
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○木村
委員長 この際、閉会中の委員派遣についてお諮りいたします。
閉会中審査に当たり、委員派遣を行う必要が生じました場合には、派遣委員の選定、派遣地、派遣期間等につきましては、
委員長に御一任願い、議長の承認を求めることにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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○木村
委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会をいたします。
午後六時十分散会