運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1978-11-10 第85回国会 衆議院 大蔵委員会税制及び税の執行に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員会昭和五十三年九月二十二日(金曜 日)委員会において、設置することに決した。 九月二十二日  本小委員委員長指名で、次のとおり選任さ  れた。       池田 行彦君    小渕 恵三君       大石 千八君    後藤田正晴君       坂本三十次君    村上 茂利君       森  美秀君    保岡 興治君       大島  弘君    川口 大助君       只松 祐治君    貝沼 次郎君       宮地 正介君    高橋 高望君       荒木  宏君    永原  稔君 九月二十二日  保岡興治君が委員長指名で、小委員長選任  された。 ————————————————————— 昭和五十三年十一月十日(金曜日)     午前十時三分開議  出席小委員    小委員長 保岡 興治君       小渕 恵三君    野田  毅君       大島  弘君    只松 祐治君       坂口  力君    宮地 正介君       安藤  巖君    永原  稔君  小委員外出席者         大蔵委員長   大村 襄治君         内閣官房内閣審         議室長     清水  汪君         法務省民事局参         事官      青山 正明君         法務省刑事局刑         事課長     佐藤 道夫君         大蔵省主計局次         長       加藤 隆司君         大蔵省主税局長 高橋  元君         大蔵省国際金融         局長      宮崎 知雄君         国税庁長官   磯邊 律男君         文部大臣官房総         務課長     大崎  仁君         文部省大学局学         生課長     石井 久夫君         厚生大臣官房審         議官      北村 和男君         厚生大臣官房総         務課長     幸田 正孝君         資源エネルギー         庁石油部石油備         蓄対策室長   森清 圀生君         自治省税務局府         県税課長    吉住 俊彦君         大蔵委員会調査         室長      葉林 勇樹君     ————————————— 十一月十日  小委員高橋高望君十月二日委員辞任につき、そ  の補欠として高橋高望君が委員長指名で小委  員に選任された。 同日  小委員宮地正介君十月四日委員辞任につき、そ  の補欠として坂口力君が委員長指名で小委員  に選任された。 同日  小委員荒木宏君十月十三日委員辞任につき、そ  の補欠として安藤巖君が委員長指名で小委員  に選任された。 同日  小委員小渕恵三君及び永原稔君十月十七日委員  辞任につき、その補欠として小渕恵三君及び永  原稔君が委員長指名で小委員選任された。 同日  小委員池田行彦君同日小委員辞任につき、その  補欠として野田毅君が委員長指名で小委員に  選任された。 同日  小委員野田毅君及び坂口力君同日小委員辞任に  つき、その補欠として池田行彦君及び宮地正介  君が委員長指名で小委員選任された。 同日  小委員安藤巖君同日委員辞任につき、その補欠  として荒木宏君が委員長指名で小委員選任  された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  税制及び税の執行に関する件      ————◇—————
  2. 保岡興治

    保岡小委員長 これより税制及び税の執行に関する小委員会を開会いたします。  税制及び税の執行に関する件について調査を進めます。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。只松祐治君。
  3. 只松祐治

    只松小委員 きょうは大臣がお見えになりませんので、総論的なこと、結論的なことはまた次回の本委員会にお聞きしたいと思います。きょうは、個々の問題を若干予算に関連して聞いておきたいと思うのです。  本年度税収もなかなかいままで伸びないし、今後もなかなか容易じゃない。したがいまして現在の税収状況見通し、当然それは、もう間もなく予算編成期に入っていきますから、来年度税収見積もりにも関連してくるわけでございますけれども、来年度税収はどういうふうに予想されておるか、お聞かせをいただきたいと思います。
  4. 高橋元

    高橋説明員 御承知のとおりでございますが、本年度九月末の税収が八兆二千八百十六億でございます。これは来年の五月分のいわゆる取り込み分税収を除きました五十三年度予算に対する進捗率で申し上げますと、四三・三%でございます。前年同月の決算に対する税収進捗率が四四・四%でございましたので、前年との差でマイナス一・一ということでございます。これは五月以降、毎月前年の進捗率を下回って推移してまいっておりますので、税収のこれまでの、つまり九月末までの実績は順調であると私どもは申せないわけでございます。  これから後、今年度全体の税収はどう推移していくかという御質問でございますけれども、実のところ、これから先八カ月分まだあるわけでございます。したがって、いまはっきりかくかくなるだろうということを申し上げるのは大変むずかしいと思いますが、大ざっぱな感じで申し上げますと、予算見積もり、すなわち二十一兆一千五百億円、補正後でございますが、この税収を上回るということは非常にむずかしいというふうに考えております。ただ九月以降、各種の調査によりましても、企業収益が徐々に回復しておるというような話もございますので、その辺を見詰めてまいりたいというふうに考えております。  本年度税収につきましても、まだ確定的な見通しというものは私ども持っておりませんので、来年度、それを土台として経済見通しの枠の中でどういう税収を見積もるかということになりますと、これは全く申し上げる自信が実はないわけでございます。一つは、経済見通しの問題、それから一つは、今年度下期の経済推移の問題でございます。その辺は今後、政府全体として経済見通しを立ててまいりますのに即応いたしまして、私どもとしても十分な税収見通しを立てたいと思っておりますが、一つだけ申し上げておきますと、五十三年度におきましては、制度改正によりまして、五十四年五月分の税収二兆百四十億円というものを五十三年度予算に取り入れましたので、したがって、税収が五十二年度並みの伸びを示したといたしましても、五十四年度の税額が、仮に同じ伸びでございますと、五十三年度の当初と同じ程度税収になるというようなことになりますので、来年度税収見通しについては余り楽観はできないんではないかというふうに考えております。  なお、今後の推移によってまただんだんと固まってまいりました際に、御質問があればお答えいたしたいと思います。
  5. 只松祐治

    只松小委員 私も現在の経済情勢から見て、本年度中もそんなに大幅な伸び余剰分が出るだろう、こういうふうには余り思わないのですね。お答えも大体そうだと思います。  では、来年度はといいますと、いまから来年度のことは確とは言えない、それもそうかとは思いますが、しかし、もう予算編成期ですから、これの見通しができなければ予算編成できるわけないし、まして、では公債をどうするかという問題になりますと、結論が出せませんね。しばらくは総裁選挙を争っている最中ですから、まあそれを終わるまではいいとしまして、これが終わるとすぐ予算編成に取りかからなければなりません。したがって、この委員会で言い逃れだけするというわけにはまいらないと思うのです。もう皆さん方の腹の中というか、そういうものは大体固まりつつあると思います。  結論的に、ことしの税収を上回らないだろう、こういうお話でございましたが、大臣がおいでになれば来年度予算をどう組むかということも聞きたいわけですが、私の推測として、余り縮小いたしますと財界から何か突き上げがくるだろう。そうすると、どうしてもことしと同じく一五、六%の伸びはしていかなければならないということになりますと、やはり四十兆円前後の予算案になってくる。四十兆円の予算案にことしと同じような二十二兆円前後の税収である。いろいろな雑収入や何かを含めましても二十五兆円を突破するのはむずかしい。こういうことになれば、十五、六兆円の公債依存度、こういうことにならざるを得ない。パーセンテージにすれば四〇%前後になる、あるいは四〇%を突破するかもしれませんね。こういう状況にどう対処されるのか。それこそここで大臣に聞きたいところですが、大臣いませんが、局長はお見えになっていますか。この公債問題にどう対処されるお考えであるか、またどういう見通しでありますか、お聞かせをいただきたいと思います。
  6. 加藤隆司

    加藤説明員 ただいま主税局長から御答弁がございましたように、税収の方が定かでございません。それから歳出面の方は、目下九月の一日から各省からヒヤリングをしておりまして、編成作業が進行中でございます。したがいまして、歳入歳出両面で目下そういう段階にございますので、確たることは申し上げられません。  ただ、歳出面に限って申し上げますと、再三当委員会におきましても大蔵大臣が御答弁になっておりますが、一つは、スクラップ・アンド・ビルドというような考え方、それからもう一つは、経常的な行政経費については前年同額主義というような考え方、こういうような考え方で鋭意歳出面について検討を続けておるわけでございます。したがって、ただいま只松委員からのお話しの数字、歳入歳出両面からの御指摘がございましたが、あとしばらくお時間をいただかないと確たることは申し上げられないという段階でございます。
  7. 只松祐治

    只松小委員 それに関連して、債務証書の発行や、あるいはたとえば二年もの、三年ものはあれですが、国債構想されておるとか、いろいろ論議をされておりますが、一口で言えば、落ちるところまで落ちたなという話にならざるを得ない。公債というのはある意味では長期的なものでございますからね。この長期的なものが、銀行預金郵便貯金と同じようなものを国が借りたり何かしなければならないということは、これはもうそのことだけでも完全な日本国家財政の破綻ですよ。  それはそれといたしまして、そういうことを進める意向があるか、あるいは準備等をしておられるかどうか、お聞かせをいただきたいと思います。
  8. 加藤隆司

    加藤説明員 ただいまの御質問のような構想新聞紙上で伝えられましたことは承知いたしておりますが、私どもといたしましては全く白紙でございまして、特段にそういうことを検討しておるとかそういうような問題ではございません。これは担当は理財局でございますが、実際のところそういうことでございます。
  9. 只松祐治

    只松小委員 理財局はきょうは来ていないのですか。
  10. 保岡興治

    保岡小委員長 理財局はきょうは来ておりません。
  11. 只松祐治

    只松小委員 前段に申しましたように、きょうは大臣が来ておりませんので、この問題はそれぐらいにいたしまして、こういう財政状況の中で、国債とともに今度は一方税収の問題になってまいります。  構想されておるのが一般消費税ということになるわけですが、その後の一般消費税進捗状況といいますか、いまもほとんど逃げの答弁でございますけれども税調はその後進んでいない、恐らく結論的にはこういうお答えになろうかと思いますが、私がたびたびこの席でも指摘しましたように、論議としては税調でございますけれども税調には一人の事務員もいないわけでございますから、作業主税局で着々進んでおる、こう推測できるわけでございます。主税局関係者からその後の進捗状況等をお聞かせいただきたいと思います。
  12. 高橋元

    高橋説明員 税制調査会一般消費税部会試案をいただきましてから今日まで、税制調査会試案の中にも述べられておりますように、この試案とこれをつくるに至りました背景というものについて国民皆様周知を図って御理解をいただくような努力というのを重ねてきておるわけでございます。  九月以降今日までに、いろいろな方面でいろいろな機会に百二十回を超える説明会と申しますか、御意見を伺う会というものをやってまいりました。そこで私どもとしては、取引の形態、それから経済の実情、それぞれに即しまして、試案の中で述べられております各項目についてかなり掘り下げた御質疑ないし御要望というものをいただいておるというふうに思っておりまして、これに基づいて現在、試案細目をどう考えるべきかというようなことを私ども事務局といたしましては整理をいたしております。こういう各方面からいただきました御意見というものを踏まえて、積極的に具体的な検討を進めております。  いま委員からお話のございました政府税制調査会会議といたしましては、九月以降今日まで利子配当の勉強を進めてこられましたので、一般消費税について取り上げられておりませんが、どういたしますか、税制調査会の会長との御相談ないし御意向というものもあると思いますが、私どもの方の具体的な検討と申しますか、各方面の御意見に基づく具体的な検討状況というものを、何らかの機会税制調査会として御審議をいただくということが必要かというふうには思っております。
  13. 只松祐治

    只松小委員 自民党の欧州調査団報告書なんかを見ましても、その中の一つに、EC諸国でそれほど問題が生じなかったのは、相当準備期間を置いた、あるいはその前に取引高税等があったとか、いろいろなことが書いてありますが、一つは、準備期間があって国民が納得した、こういうことが述べられております。ところが、いま申しますように四〇%から赤字公債が出れば、大蔵当局としてはしゃにむに、何が何でも増税の方に行かなければ大変なことになる、これは一理だと思います。しかし、これにも一定の準備期間が要るわけですが、国民に対してどの程度準備期間を必要とされるか、どういうお考えですか。
  14. 高橋元

    高橋説明員 一般消費税特別部会試案という形になりまして、先ほど申し上げましたように、国民皆様周知徹底を図って御理解をいただくというステップになりましたのは、去る九月でございますけれども、その前に昨年の十月に中期税制答申の中で、一般消費税輪郭というものに触れて、こういう税制について具体的に税制調査会から提言があったわけでございます。そういうことを考えますと、一般消費税問題についての税制調査会、また政府での作業と申しますか、準備と申しますのは、すでに一年有余をけみしておるわけでございます。そこで、欧州各国付加価値税を導入いたしました際に、それぞれ各国政府が尽くされました準備ないし周知というようなものと、現状での一般消費税についての私どもが、また政府税制調査会がこれまでやってこられました準備周知というものとの間に、実のところそれほど差があるというふうに思っておりませんけれども何分にも広範な方々を納税義務者とする税制でございますから、この上とも十分努力を重ねて、国民皆様理解と御協力がいただけるようにぜひ持っていきたいというふうに考えております。  これが一年でなければならぬとか、三カ月がいいとか、そういうふうなことは、私は年数の長さでなくて、年数の長さで申しますならば、先ほど申し上げましたように私どもはすでに一年有余やってきておるわけでございますが、その密度というものであろうかと考えておる次第でございます。
  15. 只松祐治

    只松小委員 官僚的にはちゃんとした答弁になっておるかもしれませんが……。  確かに私たちは去年から取り上げて論議しております。国民に媒体するに一番大きな力を持っておりますマスコミ、これが取り上げたのはあえて言えば税調から骨子が報告されてから後に始まった。それまでは詳論はもちろんですが、論評も余りやっておりません。そういうことからすれば三カ月前後、こういうことになるのじゃないですか。それから、来年施行されるかどうかは別といたしましても、一年はない。半年ちょっとぐらいしかないわけですね。  中国に行きますと、御承知のように大体、一年という話はしませんね、ほとんど十年単位の話しかしないです。短くても五年のことしか話しません。十億の国民がおるからそうだと思うのですが、日本だって一億一千万人いるわけですから、下から見ると大変長いから、幾ら情報化社会といえども三カ月や半年ではそう周知徹底できない。  また後で具体的例を出して聞きますけれども、私たちはまだ実施に当たってのいろいろな要領というのはわからないわけですね。だから、すでに一年半経過しておる、あるいは月日は限らない、これではちょっとぶっきらぼうな答弁だと私は思うのですね。少なくともいろいろなことをしても、私は賛成じゃないですよ、賛成じゃないけれども、やはり一年以上は具体的にPRを始めてから必要だとか、そういうお答えが妥当なお答えじゃないですか。そういうふうにお考えになりませんか。もう一年有余しているから十分準備期間はある、こういうふうにお答えですか。
  16. 高橋元

    高橋説明員 繰り返しますようで恐縮に存じておりますが、私ども国民皆様方に御理解をいただくことが何より大事だと考えております。ただ、それは時間の経過というものがある程度必要、だという委員の御指摘、これまた非常にごもっともな御指摘だと思いますけれども税制仕組みといたしましてごくごくの細目は先ほど申し上げましたように、私ども現在各方面といろいろな意見交換をいただいておるわけでございます。そういう点を別といたしましては、骨格ないし輪郭というものはかなり具体的に先般の特別部会試案の中に明らかにされておるわけでございますので、納税義務を負われる方、それから税の負担をしていただく方、それぞれ試案考え方に沿って御理解が非常に進んでおると思っておりますし、これからも進めていただくように私ども今後十二分に努力したいと思います。重ねて同じことを申し上げるようで恐縮でございますけれども、私ども考えを申し上げさせていただくとそうでございます。
  17. 只松祐治

    只松小委員 この新税を施行するに当たっての人員はどのぐらい要るか、いまからの養成期間がどのくらいかかるか、現在の人員配置転換その他で賄い切れるのか、新たに養成しなければならないのか、そういう点についてお知らせいただきたい。
  18. 磯邊律男

    磯邊説明員 一般消費税に関します前提の考え方というのは、税制調査会特別部会試案が発表されましたことによって私たちもおおむね了承しておるわけでありますが、それによりますと、納税者、また税務職員にできるだけ手数のかからないような仕組み一般消費税関係はなっておることをわれわれも十分承知しております。  ただ具体的に、では今後、どれだけ人数をふやす必要があるか、それからまたどういう機構であるべきかということにつきましては、国税庁としては国税庁なりにいろいろと勉強しておるわけでありますけれども、まだ何分一般消費税のより細部にわたる掛稲がはっきりいたしませんので、そういった内容が判明するに従って私たちも手直ししていく、そういったことでいま内々作業しているわけでございます。ここでお答えするまでにはまだ自信がある作業の結果でございませんので、御答弁は遠慮さしていただきたいと思いますが、より一般消費税に関する内容が具体的になるに従ってわれわれも、これに対応する機構定員等についての作業をより進めていきたいと思っております。  ただ、この一般消費税の問題だけではなくて、そのほかに私たちとしては、去る三月の衆参両院大蔵委員会での附帯決議をいただいたわけでございますが、現在の税務職員というのはそれでなくとも非常に足りないわけでございまして、今後定員増加を含めて税務署の機構等についても充実を図れという附帯決議をいただいて、私たち非常に歓迎しているわけでございます。そういったこともありまして、できるだけ人員予算あるいは定員の許す範囲内においていただいてまいりたいと考えております。
  19. 只松祐治

    只松小委員 大体現在の人員でおよそ間に合うのか、相当に大幅に入れなければならないのか、その点だけひとつ……。
  20. 磯邊律男

    磯邊説明員 たとえば、これは仕組みは違いますけれどもイギリス付加価値税を導入いたしますときには、そのために八千人の職員を増員したというふうな資料がございますけれども日本の場合は、イギリス付加価値税とはかなり違っておりまして、そういった多数の定員増加しなければならないということにはならないと思いますけれども、しかし、やはり何分新しい税務でございますから、定員増加は必要だと私は考えております。  ただ、定員増加といいましても、御承知のように税務職員の場合には、ただ数さえそろえばいいというふうな問題でございませんで、それに対する訓練なりあるいは教育が必要だと思います。ただ、いまのわれわれの構想といたしましては、一般消費税につきましては法人税また所得税についての同時調査ということを考えておりますし、それからまた、この法律が施行になりましても一挙に全面的な調査をするというまでには至らないと思いますので、さしあたり、一般消費税施行されるからといって、大幅な定員増加がなければとても執行できないというふうな問題ではなくて、徐々に定員をふやしていきながら、一般消費税執行密度を高めていきたいと考えておるわけであります。また、これを裏から言いますと、消費税施行になりましても、最初から全面的な調査をするわけでもない、したがって、それほど大幅な定員をふやさなければとても執行ができないという問題でもないと考えておるわけであります。
  21. 只松祐治

    只松小委員 まだどうも税制調査会検討が進んでおらないので、みんな確たるお答えをなさらないようでございます。また十二月に小委員会をやりますので、そのときに具体的に詰めたいと思います。  したがって、きょうは一つだけ具体的な話で、どういうふうにするか。この前クリーニング店の話をしましたが、たとえばEC諸国では出版物は非課税の方が多いですね。ところが、日本の場合は大体課税される、こういうようでございます。そうすると、出版物というのは、お考えになってわかるように、印刷、製本、その前にいろいろ執筆し、絵をかき、ずっと段階があるわけであります。各段階を通ってきまして、最後に小売店に来る。各段階ではずっとすでに課税がなされておる。小売店に来て売れなくて返却になった。いま出版界は取り次ぎ問題やいろいろなことでもめておりますね。返却になって、これが裁断されたり焼却されたり、没になった、こういうことになれば、前段階としてはすでにずっと課税をされてきておるわけですが、この場合はどうなさるのですか。返却されるか、それとももうすでに課税されておるものはそのまま——こういう問題は、私が前回のときに一、二例を挙げましたけれども、小倉さんはいたし方ない、こういうお話があったわけです。こういうふうに、明らかに前段階課税されて、最終段階ではその製品がゼロになったという、これは私がたまたま出版の例を挙げますけれども、そのほかにもあると思います。こういうことに対してどういうふうにお考えになっておられますか。
  22. 高橋元

    高橋説明員 この部会試案で示されております一般消費税の基幹的な考え方一つに、これの基礎になります売り上げまたは仕入れというものにつきましては、現行の所得課税であります所得税ないし法人税考え方を大幅に取り入れていく、それによって納税義務を負われる方についても簡明な仕組みをつくるということであろうと思います。  いまお示しのありました売り上げの取り扱いにつきまして、課税標準売り上げでございますから、たとえば返品、値引き、割り戻しというものが起こった場合にどうするかということについて、これも先ほどお答え申し上げました各方面との間の御相談と申しますか、意見交換の際に、たびたび問題になっています。現在の基本的な考え方は、そういう場合に、所得課税における収入金額ないし売り上げ金額というものと同じように考えていくべきではないか。たとえば返品、値引き、こういったものがありました場合には、その期の売り上げから引くという形で、したがって、返品、値引きがありました時期の一般消費税の税額の計算上、反映されていくという形をとっていきたい。現行の個別の物品税でやっておりますように、一つ一つのものをかけて出入りを調べるということができません。また、そういう仕掛けになっておりませんので、返品、値引きについてその期の売り上げの修正という形で対処してまいりたいというふうに考えております。
  23. 只松祐治

    只松小委員 Aという本屋は年間一千万円以下、Bという本屋は非常に繁盛しておって二千万、三千万売れているという場合にも当然、課税、非課税の問題が出てくるわけですね。私が言いましたように、クリーニングの場合は一千万円以下の場合はかけない、一千万円以上の大きいクリーニング屋さんはかかる、それはいたし方ないという税調会長の答弁でございます。出版物の場合でもそういう面が出てきやしないかと思いますが、そういうふうになりますか。
  24. 高橋元

    高橋説明員 いろいろの業態、それから企業の規模によりまして、各企業ごとにコストに差があることは当然だと思います。そういう意味で、仕入れられた本にそれぞれの段階において一般消費税がかかってきて、それを御自分でお売りになる。納税義務があるかないかによって売り上げの定価に差が出てくるということ、これは起こり得るかと思いますけれども一般消費税だけ取り出して考えますとそうでございますが、ほかのさまざまなコストにそれぞれ事業ごとに差があるわけでございますから、お示しの点が本質的に支障になるというふうには必ずしも思えないわけでございます。  なお、部会試案の中にも触れられておって、そのやり方がかなり詳細に書いてございますけれども、大体同じくらいの規模で、小規模零細で納税義務が免除される方と、それに連なるくらいの大きさの納税義務を持っておられるそういう企業との間の差というものにつきましては、限界控除の制度がございますので、たとえば仮に一千万円の場合には、その隣にそれに連なる一千五百万の方の税額というものが直ちにフルに働くわけではございません。そういう意味で、競争条件の撹乱ということの影響はかなり回避されるという制度でございます。
  25. 只松祐治

    只松小委員 かなり配慮しておっても、結局一千万円以下のところは課税しなくてもいい、一千万円以上の本屋さんは課税しなければならない、こういうことになるのは当然でしょう。  もう一つ出しますが、教科書は大体非課税になるだろうと思いますね。それで小学校の教科書だって、それから大学の教科書は課税というわけにいかない。これもなかなか問題が出てくるだろう。さらば、大学の先生が書いた大学の教科書は非課税になる、あるいは高校の教科書でもいい、非課税になるけれども、一般の町で買えばそれは課税をされる。あるいは一般の町と言っても、Aという大学の前の本屋さんで買う、それは大学生であるか高校生であるか、あるいはわれわれが買うか、色分けができない。お母さんかお父さんが買いに来る、その場合には教科書は非課税になるけれども、教科書と同じ本は課税する、どういうふうにやって色分けしますか、区別しますか。
  26. 高橋元

    高橋説明員 試案の中では、教科書というものを非課税の範囲に含めて考えておりません。したがいまして、たとえば学校教育と申しますか、そういうものでございますと学校の収入、どこの程度までやるか、これは具体的に決めていくことでございますけれども、学校教育につきまして、その教育を行います学校が得ます収入については、これは一般消費税課税しないことが相応であるということになっておりますけれども、それ以外のいまお示しのありましたような教科書というものにつきまして、非課税ということを考えておらないわけでございます。
  27. 只松祐治

    只松小委員 細かい問題を論じ始めますと、そういうふうにいろいろな問題が現場においては現実問題として生じてまいります。この前も私が一例を挙げましたけれども、したがって一番最初言いましたように、皆さん方の頭の中では大体こういうことでできるだろう、こういうふうにお考えになりましても、国民の間ではそう簡単なものではない。したがって、その準備期間というものは多くを要する、こういうことは当然でありまして、日本の場合にはいままで間接税になじんでおらない、特にそのことを留意していかなければならない。ただ一年半前に皆さん方が発想をしたからこれで国民が熟知しているなんて思えば大変な間違いを生ずる、国民の非常な強い抵抗に遭う、こういうことを皆さん方はお考えにならなければならない、こういうことを私は警告をいたしまして、前回から私が問題にいたしております公益法人の問題に移りたいと思います。  公益法人というのは、資本主義社会の一つの大きな矛盾点であります。また、その矛盾を隠蔽するといいますか、穴埋めするために考えられます。しかし、これはれつきとした民法三十四条によって認められたものであるわけです。それからこの本来の目的は、それなりにいろいろな意義がうたい上げてある。ところが、実際上はそういう趣旨と異なりまして、いわばこれが大変な脱税の場になっておる、あるいは不正の場になる、あるいは偽善の場になる、いろいろな問題がここで発生をいたしております。私は、一般的な問題とともにその具体的な幾つかの例示をいたしまして、お聞きをいたしたいと思います。  第一に、この問題に関してどこが指導監督をしておるか、これは私が約半年近くいろいろこの場で取り上げてまいりました。どこもお逃げになって、ない。各省庁の総務関係が一応担当をしておる。後であれしますけれども、報告その他全くでたらめ至極。皆さん方はたとえばいろいろな、文部省もお見えになっておると思いますが、補助金や何かちょっとやって、マスコミでたたかれておると、福岡歯大の補助金でも取り上げる、こういうことをする。しかし、免税をしておるということは補助金以上の問題だ。いろいろな問題がある。ところが、そういうものは一切触れられてないで放置されておる。しかも膨大なものである。  内閣審議室長、来たかな。
  28. 保岡興治

    保岡小委員長 見えております。
  29. 只松祐治

    只松小委員 いま申しますように、どこが責任所管庁であるか定かでない、察するところそういうところだろうと思ってお聞きをするわけですが、私の手元に皆さん方各省庁からお出しをいただきました、公益法人のことしの四月一日現在の中央所管庁の数が四千三十五、また地方が九千二百九十、これは一万四千近くになりますから、容易じゃありませんので、なかなか地方までとれなくて中央のだけとってみましたが、収入が一兆七千九百三十七億円、資産額が、これも私が提示いたしておりますインフレートしてない、物価変動改定を伴っておらないきわめてでたらめなものによりましても一兆七千四百二十一億円、これだけ膨大なものがある。これは地方を含みません。お認めになりますか。数字に間違いがないことを是認されますか。
  30. 清水汪

    ○清水説明員 ただいま御指摘の公益法人に対します監督は、現行法では御案内のとおり、各主務官庁ということでございまして、その監督の適正を期する見地から従来、内閣官務長官から各省に対しましても通達をいたしまして、監督の適正を期するようにということをお願いをした経緯もございます。あるいはそれに基づきまして、各省庁の間での文書課長会議等の機会を通じまして、各省における監督の適正化に努めているわけでございます。  ただいまのもう一つの、全体としての把握ができておるかという点につきましては、大変恐縮でございますが、現在のところできておりません。それでその点につきましては、今後そういう面につきましても何らかの把握をしていかなければいけないんじゃないか、そのことにつきましては、これは内閣審議室で直接やるというわけにはまいりませんけれども、総理府の管理室におきまして、ただいま申しました文書課長会議に基づいて運営されておりますところの公益法人の監督指導に関する各省間の協議会という機構をつくっておりますので、その機構の場を通じまして、そのお世話をする総理府の管理室において、何か一元的なそういうデータの把握といいますか、そういうことをすることはどうか、その点について検討するようにお願いしたい、このように考えております。
  31. 只松祐治

    只松小委員 数字を認めるかどうかです。
  32. 清水汪

    ○清水説明員 大変恐縮でございますが、ただいま私のところでは、そのように集計したデータを持っておりませんので、お答えいたしかねる次第でございます。
  33. 只松祐治

    只松小委員 前の委員会で私が各省庁から御提出をいただきたいということで提出していただいたものがこの数で、私が作成した作文じゃない、官庁の出してきた書類がこれなんです。これを認めますかと言っている。官庁の出しているものを認めないのですか、あなた。
  34. 清水汪

    ○清水説明員 それぞれの省庁から先生の方へ御提出いたしましたものにつきましては、それはもう私がどうこう申し上げるものじゃないかと思いますが、いま私申しましたのは、その全体を集計した数字としてどうであるかという御質問でございますから、その点につきましては、大変恐縮でございますが、私どもの方として実は全体を集計したデータをまだ持っておりませんので、お答えいたしかねるという点を御了解いただきたいと思います。(只松小委員、資料を示す)
  35. 只松祐治

    只松小委員 それを認めるか認めないかと言っているんだ。
  36. 清水汪

    ○清水説明員 これは大変恐縮でございますが、先生の方におきまして御集計をいただいたように思いますけれども、そういうものとして私どもとしてももちろん、それには間違いはないだろうというふうに存ずるわけでございます。
  37. 只松祐治

    只松小委員 一事が万事そういうことなんだな。あなたたちにも示したけれども、二カ月ぐらい前に、ノーベル賞になった江崎玲於奈さんがアメリカの公益法人というのを日本の新聞に投稿した。アメリカの公益法人のことを日本の人が全部知って、数から何からちゃんと分類して中身まで書いている。物理学者です。ところが、日本の内閣の一番責任にあるポストの人が、日本の公益法人の数も、さようでございましょう程度に、認めも切らなければ答えられぬ。認めるより、これは自分で出さなきゃならないんだよ。それを出しも切らなきゃ認めも切らない。何だ、そのざまは。  中村積善会は数十億も未登記のままにしておる。ところが、これはわずか二千何百万の総資産しか申告しておらない。それでもこれは全体で一兆七千億あるのですよ。そういう膨大な公益法人の予算。しかもこれは法律にちゃんと保障されて、そして国民のためや何かのためにこうこういういいことをする、悪いことばかりしているのがいっぱいあるんだよ、しかしいいことをする、こうやって規定されて、みんな国家が保護をしておる。税金も納めておらない。国家が補助金も出しているんだよ、たくさん。船舶振興会からいろいろな団体が補助金を出しておる。こういう団体のことなんだよ、これは。山口組や何か博徒の団体ではないんだ、この数は。そういう公益のれっきとした法律に基づいてしているのを認めないのですか。どこが認めるんだ、それなら。
  38. 清水汪

    ○清水説明員 繰り返すようで恐縮でございますが、私どもといたしましては、ただいままでのところ全体としての集計の作業をいたしておりませんでしたので、その点は大変恐縮に存じておるわけでございます。  今後につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたように、全体について把握することについて、総理府の管理室の方にもお願いをいたしまして、各省間の協議会の場を活用いたしまして、そういうことをいたすようにしたいというふうに考えておりますが、現在のところ、それに至っておりませんことを申し上げるよりほかはございませんので、決して認めないとかというようなことでございませんで、まことに恐縮でございますが、今後そういうことにつきまして努力をいたしたいということを御了解いただければ幸いだと思います。
  39. 只松祐治

    只松小委員 これはここの問題だけではなくて、こういう大きな問題がいま日本の国政の中で見逃されておる、したがって、これはわが党でも予算委員会なりほかの問題でも取り上げていく、こういうことになると思うけれども政府としてもこういうものをちゃんと、後で言うけれども、少なくとも監査監督し、その統計をとっていく、出てきた書類がでたらめであるかないかぐらいは多少はチェックしていく、そういうことくらいするのはあたりまえだ。それがどこもない。情けないことじゃないか。それはきょう一日で終わるわけじゃないから、ひとつ強くそのことを要望して、また別の機会にやっていく。  それから、こういう状態ですが、しかし国税庁は、税務当局は、この中でも収益事業を行った場合には課税をしなければならない、こういうことになります。一万三千幾らの膨大な数ですから、なかなかこれだけ調査する、把握するということはむずかしいだろうと思いますが、現在までにされた課税状況その他がありましたらひとつお知らせをいただきたい。
  40. 磯邊律男

    磯邊説明員 御承知のように、公益法人につきましては、収益事業を営む場合だけその収益事業から生じた所得について法人税納税義務を有するわけでありますが、そういったことで公益法人からは、収益事業を開始いたしましたら二カ月以内に、収益事業開始の届け出というのが所轄税務署長に対して出されるわけであります。そういったことを中心に私たち調査をやらしてもらっておるわけでありますけれども、これを昭和五十一事務年度調査時期で見ますと、調査いたしました法人数が九千五百四十八法人、それによります所得金額五百三十七億二千四百万円、その所得に対する税額は百二十二億九千四百万円ということに相なっておるわけであります。  これは先生御指摘のように、公益法人の収益事業に対する課税というものが近年各方面で注目を浴びるなりまた議論されるようになりまして、私たちとしてはかなりこれに対して力を入れておるつもりでありますけれども、これを一年前の五十事務年度と比較いたしますと、調査対象といたしました法人数は五十一年とほとんど変わらない九千五百十九件でありますが、所得金額で申しますと、五十事務年度では四百三十六億一千八百万円というふうになっておりまして、それに対する税額は百億九千五百万円ということになっておるわけでございます。つまり、五十事務年度と五十一事務年度を比較いたしますと、調査対象の法人は、これはわれわれの人員等の関係でそれほどふやすわけにはまいらないのを残念に思っておりますけれども、所得金額で約百億の増加、それから税額で約二十二億の増加というふうになっておるわけでございます。
  41. 只松祐治

    只松小委員 国税庁も私は必ずしも十分であるとは言えない。というのは、後で若干一、二例を挙げて説明いたしますけれども、この公益法人そのものの収支がきわめてでたらめである。総論を先に申しておきますと、後で私が取り上げます東日本被爆者の会は、私が最初求めたときには五十一年度の収支決算が同じく一億七万七千円であります。私が調査を始めますと、突如として四百七十九万六千円になりました。中身は後で申し上げます。  それから、ずっとこうやって全部もらったわけですが、収支が全く同じ、いま言うように中身がでたらめのものが多い。それから、幾つかこうやって私が厚生省やその他に中身の要求をいたしますと、この書式というものが幼稚園の生徒から大学生ぐらいまで、全くでたらめ、ひとつも一貫しておりませんで、届け出書式というものが各省庁、同じ省によりましてもでたらめ至極、こういう届け出がある。したがって、中身はきわめてあいまいで、本当は時間があれば一々詰めていきたいところですが、領収証なんかは恐らく添付は何もない、こういう状態。それから、仕事を一つもしておらないで、それで金が余れば基本財産へ回す、こういうことをやって多額の金を回してうまい仕事をしておる、こういうこと。それから、これだけ挙げるとあれですから挙げませんが、たとえば演劇をやっておるところが厚生省にある。ほかのそういう劇団は苦しんでおるのに、ここは五千万円から黒字を出して繰り越しをしておる、こういうこともあります。あるいは全く無届け、そのままに放置しておる。これは後で法務省に問いますが、それでもなかなか解散をしない。したがって、持ち回って、これを一千万で買わないか、二千万で囲わないかということでこの法人が売りに出されておる、こういう問題。そういういろいろな問題がここに出てきております。  ましてそこの中で、いま言われましたけれども職員の給与所得ぐらいは多少払ってあるけれども職員が初めはないと言って、私が調べたらあると言ってくる。これは給与所得税が払われてないという証拠だろうと思う。役員の所得に至っては、役員のものは一切監査が何もないわけですから、役員の所得は申告がほとんどなされておらない、こういういわば脱税地帯、こういうものを構成しておるのが日本に一万二千、全部とは申しませんけれども、この中の三分の一ぐらいはあるんじゃないですかね、私の感触で言いますと。こういうものが慈善の名のもと公然と放置されている。  そういうものの一つとして私は一つの例を聞きますが、厚生省来ていますかな。——東本本被爆者の会というものがあります。私がこういうのを取り上げるのは、たまたまおもしろいからで、銀座のど真ん中にあるのを二つ取り上げてみたい、日本の銀座のど真ん中にあるのを例示をしてみたいと思う。  この前、週刊新潮でしたか何か取り上げておりましたが、ピンクはないと言われておった。これはピンクもありますというやつです。理事長は、りっぱなお方の紅露みつさん、副理事長は山田順子さん、こういうのです。  私の手元に厚生省がこうやって持ってまいりました厚生省の届け出には、一億七万七千円、収入支出とも全く同じ、資産が四千百四十万円、こうなっております。これは後で三カ年分出していただきました。ここにあります。ところが、私が調査を始めますと、今度新たにお持ちになったのは、何と四百七十九万六千円、突然減ったわけでございます。何で減ったかと言うと、六千百八十九万円自転車振興会から支出がある予定であった。ところがそれが来なかった。しかし、これは五十一年度のものですね。自転車振興会というのは、本当は一々詰めていきたいのですが、時間がかかりますから検事さんみたいに私は詰めないのですが、私がずっと言っていきますが、自転車振興会というのは、二年も三年もたってしなければ回収するのですか。これは毎年の事業年度じゃないのですかな。こういうふうにとにかく、五十一年度のものが五十三年のことしになって回収された。これはことし出ているんですからね。このものはことし私のところに持ってきた。ところが、私が調査を始めると、突如として五十一年度分の六千百八十九万円が回収になった。いわば公式文書の改ざんですよ。あなたたちは勝手に持ってきているけれども、これは公式文書の改ざんですよ。これはあなたたち大蔵委員会に出した、委員長のもとに出した公式文書ですよ。これをあなたたちは勝手に改ざんをして四百何十何万円にして私に持ってきた。そういうことが可能なんですか、またこういう実態はどうですか。
  42. 北村和男

    ○北村説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘の財団法人東日本被爆者の会は、厚生省所管の公益法人でございますが、冒頭おわびをいたさなければいけませんのは、先生のところに一番初めにお届けをいたしました「公益法人一覧」の中に数字が出てございます。これは、五十一年度の決算の数字を書くべきところ、法人の方から提出がありました五十一年度予算の数字を誤認いたしまして採用いたしました。大変申しわけございませんでした。  その間の事情を若干御説明申し上げたいと存じますけれども、この法人は、四十七年度に自転車振興会の方から、保養センターをつくるということで補助金の内定を受けまして、法人認可をいたしたわけでございますが、その後いろいろな事情でこの事業が延び延びになっておりまして、振興会からの補助金は建物ができ上がりますとちょうだいする仕掛けになっておりますので、ちょうだいいたさないまま遷延いたしておるわけでございます。目下この専業を遂行するということにいたしておりますので、その進捗状況も児ながら指導をいたしてまいりたい、さように考えております。重ねておわびを申し上げます。
  43. 只松祐治

    只松小委員 簡単におわびと言ったって、こういった公文書を出しておいておわびで済む問題じゃないのです。おわびじゃなくて取り消すなら正式に取り消すなりちゃんとしなければ、ここは公的な場ですよ、裁判所とは違うけれども。こういうものを勝手に持ってきて、ぼくの部屋へ来てちょろちょろ取り消したりなにしたりされて、そんな資料をどうして権威ある国会で論議できるんだよ。君らも政府だよ、ここだって公式の場だ、国民代表なんだ。それを出しておいて、委員長の了解に基づいて、本委員会の決議に基づいて出しておいて、それを勝手に誤りとは何だ、その態度は。だれが責任をとるんだ。ぼくはそのために一生懸命勉強した。それをここへ来てちょろりと誤りでございました、何だそれは。だれが責任とるんだ。
  44. 北村和男

    ○北村説明員 まことに申しわけございません。ただいま申し上げましたような経過で数字の誤認をいたしました。まことに申しわけございませんでした。
  45. 只松祐治

    只松小委員 この問題は、ロッキード問題やなんかそういう委員会じゃないから特別しませんけれども、別個本委員会でも責任の所在を明らかにしてください。正式に本委員会に出した文書がこうやってでたらめなものであるということが明らかになったわけですから、したがってその責任の所在を求めます。  それから、これは突如として予算案になったからあれですが、たとえばその中で、一億七万円になっておったのが、あなたが言うように四百七十九万円というなら、その差の三千三百三十九万円はどこに行ったか、こういう問題もずっと出てくるのですよ。あなたがあっさりと数字の誤りでしたと取り消すから、そこを追及できないけれども、あなたたちがそれを持ってきたから、さらにその金はどこに行ったんだ、こういうことが同時に論陣として出てくるのですよ。あなたが誤りでしたと言う。これだって誤りかどうかわからないのだよ、言っておくけれども。これもあなたたちの作文だとも言っておく。  さらば聞くけれども、このあなたたちが後から持ってきたものに、昭和四十七年にすでにできた、これは数年たっておる。ところが、これの三年分の事業の収支を見ても、五十年度で事業費はたったの四十八万円、五十一年度に五十八万円、五十二年度に至っては事業費はゼロだ。何をしているんです。また、五十万や百万で何ができるんです。五十二年度に至っては事業費はゼロ、これは何をしているんです。
  46. 北村和男

    ○北村説明員 先ほどお答え申し上げましたように、本法人は昭和四十七年度に、東日本に住んでおられる被爆者の方々のための保養センターをつくるという、主としてその目的で設立を認可したものでございまして、その保養センターを、先ほど御説明申し上げましたように、日本自転車振興会の方からの補助金をいただくということで財源的に根拠ありということで認可をいたしたわけでございますが、諸般の事情でその建設そのものが遷延をいたしておりまして、法人側並びに私どもといたしましては、この事業の基礎が保養センターの経営にあるということで、それができ上がりますまでは、御指摘のようにさしたる事業を現在行っておらないわけでございます。したがいまして、正規の職員も雇用いたしておりませんで、厚生省の方でもできるだけ早くこの保養センターを本来の目的に従って建設するように指導いたしておるわけでございます。  その後一たん、この計画が期限までにできませんので、この補助金が内定しましたものを交付を受けない、つまり返上いたしました。それをさらにその後また申請をいたしまして、明年の三月三十一日までにこの建物をつくり上げるということでさらに内定をいたしております。したがいまして、もちろんその資金を現実にこの法人に繰り入れてはいないわけでございますので、この後の事業の進展状況を見ながら期限までにできるように指導もし、監督をいたしてまいりたいと思います。
  47. 只松祐治

    只松小委員 この団体に訴訟が起こっておることを御存じですか。内容はどういうものですか。
  48. 北村和男

    ○北村説明員 この法人をめぐって訴訟問題が起きているという事実は私ども存じておりません。(只松小委員「じゃ、関係者でもいいよ」と呼ぶ)法人側から事情をいろいろ聴取いたしましたけれども、法人に対する訴訟事件が提起されているということは報告を受けておりません。
  49. 只松祐治

    只松小委員 法人の理事長、副理事長、実際上はこういったほとんどがそうですか、理事長は名義貸しみたいなものですよね。副理事長なり専務理事さんというのが力を持っている。その人をめぐって、少なくともどこにあるかといったら泰明ビルにある。泰明ビルの事務所がバーに貸された。バーの権利金をめぐって訴訟が起こっておるということを知っていますか。監督をしているのかいないのか知らないけれども、知っていますか知りませんか。
  50. 北村和男

    ○北村説明員 その事実は存じておりません。
  51. 只松祐治

    只松小委員 いま申しますように訴訟が起こっておる。これはどこで起こっておるかといったら、銀座の六の一二の七の泰明ビルの東日本被爆者の会があるこの事務所の権利をめぐって起こっておる。これはほんの一例。週刊誌や何かには、ほかの事業を行っているのがたくさんあるということがいろいろ書いてある。私のところにも資料は来ております。そういうことじゃなくて、私はもう一つ申し上げますが、銀座のど真ん中にあるのがおもしろいだろうと思って、銀座のど真ん中にあるものを一つ例に出したわけです。ここにあるけれども、そこにはだれもいない。それで静岡の伊豆の方に副理事長がいるとかいないとか、行ってもなかなか連絡がとれない、こういう実態なんですよ。先ほど言いましたように、私は結論を出すためじゃない、こういう実態があるということを知らせる、そういうことのために一つこういう問題を提起した。  そのほかに、私があなたの方に挙げた問題の中で、たとえば社団法人平和厚生会というのがある。あるいは財団法人平和協会というのがあります。それから傷痍軍人妻の会というのがあります。  社団法人平和厚生会では、収入は七千七百七十万円ありますが、事業費はゼロです。それから平和協会の方は、収入が五億八千七百九十七万円ありますが、事業費は九十九万円です。妻の会は、六千八十七万円ありますが、事業費は三百五十万円です。それで仕事はしないで来年とか将来に向け積み立てを五千万円しておる。結局毎年毎年その年のことをするのが一つの目的であるのに、こういうふうに積み立てをする。  さっき言いましたように、ある劇団では五千万円も繰り越して積み立てをしておる。文部省管轄ではなくて、それは厚生省管轄にある、こういう実態。これをどう思いますか。そういうのは結局事業はしなくてもいい、ただあればいい。何をやっているかと言えば、ほかの印刷屋をやったり何かしたり金もうけをしておるのです。ですから金もうけの隠れみのに使われておる。本来の目的の公益事業というのはほとんど行われておらない。これは私が挙げたほんの二、三の例ですけれども、まだほかに調べれば山ほど出てくる。これは認めますか、どうですか。
  52. 幸田正孝

    ○幸田説明員 ただいま先生御指摘の財団法人平和協会でございますが、この協会が実施をしております主な内容は病院の経営でございます。先生御指摘のとおりの事実でございます。  それから社団法人平和厚生会でございますが、これは社会援護事業として授産を行うということでございまして、数字等につきましては先雄のお手元に差し上げてあります。  それから財団法人日本傷痍軍人妻の会でございますが、これは戦傷病者の妻と家族等の援護のために設立をされた財団法人でございまして、昭和五十一年度では六千万円程度の事業を行っておる、こういうことでございます。
  53. 只松祐治

    只松小委員 なに、六千万の事業を行っておる、うそを言うなよ。事業はないじゃないか。君らが出してきたのを見てみなさい。
  54. 幸田正孝

    ○幸田説明員 失礼しました。その中で基本財産への繰り入れということで五千万円の繰り入れを行っているのは事実でございます。
  55. 只松祐治

    只松小委員 そんなでたらめ言うな。まあいいよ。  とにかくそういうふうに、二、三例を挙げましたが、顕著なやつです。金額の多い割りに職員がゼロであるということなり何なり、私が帳面を見た上できわめてけしからぬ、悪質である、こう思うやつを二、三あなたの方に、事業内容なんか、収支を持ってきなさいということでしたやつがこういうことですね。  だから、こういうふうに厚生省管轄が非常に多いわけですけれども、私は詰めていかないけれども、あなたたちが持ってきたやつの中身を見てごらんなさい。あなたたちが会計の詰め方を少し知っているなら、税理士さんに習わなくても、この出し方というのはさっき言ったように全くでたらめですよ。帳面のつけ方ぐらい、あるいは収支決算の仕方ぐらい統一しなさいよ、全官庁そうだけれども、厚生省なら厚生省だけでも。幼稚園の生徒が書いてきているみたいなものを、これはあなたたち受理しているだけじゃないの。もっと詰めるなら、全部領収証あるの。領収証なんか何もないだろう。そんなでたらめな答弁というのは——そう言ってはなんだけれども、きょうは論議は時間の関係もあるからとことんまでしないけれども、いままでの悪いのを悪いと率直に認めて、今後監督や何か指導いたします。そういうことだからぼくは詰めていないのですよ。じゃ、ずっと中身を論議しましょうか。悪いものは悪いと認めて——会にうたってある趣旨や何かはりっぱですよ。しかし中身は、収支なり何なりでたらめだから改めなさいというのがぼくが取り上げている趣旨なんだよ。認めるの。認めないなら論議していいよ、多少時間はかかるけれども
  56. 幸田正孝

    ○幸田説明員 厚生省で所管をいたしております法人全体で、昭和五十二年四月でございますけれども、三百六十三法人ございます。そのうち、財団法人が二百二十九、社団法人が百三十四でございますが、御指摘のとおり、その中には必ずしも指導監督の効果が十分にあらわれていないものがございます。私どもとして十分注意をして指導監督に努めてまいりたいと思います。
  57. 只松祐治

    只松小委員 次に、文部省来ているかな。——これも銀座のど真ん中にある中村積善会というのがあります。これも厚生省と同じで、私のところに当初お持ちになったものといろいろ違ってきております。これは先に、どういうことをやっているか聞きますかな。
  58. 大崎仁

    ○大崎説明員 お答え申し上げます。  財団法人の中村積善会は、昭和二十二年に設立をされておりまして、奨学金の給貸与事業というものを主たる事業として行うということで設立を認められたものでございます。現在は主として建物等を賃貸いたしました収益で奨学事業を行うという形をとっておる法人でございます。
  59. 只松祐治

    只松小委員 この会がある主な大きな建物は、メルサビルというのがあるのですが、税務署の査定価格でも二十億ぐらいあるだろう、こう言われておりますね。したがって時価数十億。これは登記されておりますか、おりませんか。どういう名義になっていますか。
  60. 大崎仁

    ○大崎説明員 現時点でまだ米登記になっております。
  61. 只松祐治

    只松小委員 建って一年たつのに登記もされておりませんが、われわれは小さい家を持っていたって、これは火事があってはならないとすぐ火災保険を掛けたり登記したり何したり一生懸命しますが、およそ庶民の感覚とは違いますが、なぜ登記されておらない、どういうことだと思いますか。
  62. 大崎仁

    ○大崎説明員 その点所管課において調査をいたしたわけでございますが、当事者の申し分としましては、同ビルが財団法人の中村積善会と地主でございます中村静尾さんという方との共有ということのようでございまして、共有の持ち分関係その他につきましてなお未確定だというようなことで、現在調整中なのでおくれているという返事を得ておる次第でございます。
  63. 只松祐治

    只松小委員 中村積善会の総資産額は二千百十八万円ですね、これが数十億の財産。まあ共有にして半分という金がどこからどういうふうに出てきたか、もうすべて奇々怪々ですよ。  いいですか、これも言っておきますが、あなた方文部省が最初に持ってきたあれによりますと、五十一年度総収入が一千五百十七万四千円、支出が二千九百九十七万円、資産が二千百十八万七千円になっている。それを今度三カ年分持ってきなさいということでしますと、五十一年度は収入も支出も二千九百九十七万円、こういうことになります。これもあなたの方は、いや、誤りであると厚生省と同じようなことをおっしゃるかもしれませんけれども、私のところにちゃんと第一回こうやってお持ちになったものとは違うのですよ。いいですか、少なくとも各官庁の、私が一番最初申しましたように、これだけの補助金をやっている以上の免税措置を講じておる、いろいろな便益を与えておる、こういうものにあなたたちは何もしないで、こうやって私の方にちょこちょこと来て、二回も三回も変えたり何かして持ってくる。  それから、その中身においても、去年は百五十六人の大学生に奨学資金をやった、四千百六十三万円した、こういうふうになっております。皆さん方はどこかで確認したかどうか知らないが、少なくとも私が各大学等に確認をいたしましたところが、あると返事があったのは一カ所。まして、その公募方法に至っては、これはほかのことにも通用することですが、特に文部省の場合は、こういう奨学金を出すならば、少なくとも文部省なりあるいは各大学にお知らせをして、生活に困っている人などはいないか、こういうことで、公平にするのが公益の趣旨だろうと私は思う。ところが、これはそういうことが全然なされておりませんね。ほかのところもなされていないけれども、これは特にひどい。全く恣意的だ。  さらにもっと細かく言えば、損保や何か、こういう大きな会社でやっておる奨学資金の回収率は九九%。ここの場合は、ほとんど回収がなされておらない会計になっております。百万円か二百万円しか回収がなされておらない。後で調べてないのですから、回収して使い込んでおろうが何をしょうがそんなことは一切関係がない。これで回収されておらないと言えばそれで済んでしまうのですよ。事実この中には回収が出てきておらない。これは全くでたらめですよ。登記から始まって収支決算から何から全くでたらめ。そういうことを認めますか、いや、そうじゃない、まことにりっぱな、この会の趣旨どおりでございます。間違いございません、そういうふうに言いますか、どうですか。
  64. 大崎仁

    ○大崎説明員 収支決算の数字の食い違いにつきましては、ただいま初めて御指摘をいただきまして、はなはだ恐縮でございますが、直接主管の学生課長が参っておりますので、後ほど御説明を申し上げさせていただきます。  なお、奨学金の交付につきまして、適切な募集の方法等がとられてないではないかという御指摘につきましては、調査いたしましたところ、やはり御指摘のように、一般に周知させて所定の選考手続で行うという点に欠けておるところがあるというふうに私ども承知をいたしまして、今後その改善方を十分指導いたしたいと思っておるところでございます。
  65. 只松祐治

    只松小委員 私は、事務構成や何か全部にわたって調べたが、職員はゼロですよ。百五十六人に奨学金を送付しておいて職員ゼロでどうしてできますか。これは全部うそなんです。どこかの不動産会社や貿易会社やっているのですから、そこの代理をやっているというなら、それではここで専従をやっていれば職員に書かなければならない。職員ゼロで百五十何人の奨学金を毎年、それだけじゃなくて、何百人か出しているなら回収もしているわけでしょう。固有の事務がちゃんとあるのですよ。全部でたらめですよ。あなたたち一つ一つ言いわけしているけれども、悪いものは悪いものでちゃんと指導しなさい。
  66. 石井久夫

    ○石井説明員 ただいま御指摘いただきました事柄のうち、一、二のことにつきまして御説明させていただきたいと思います。  一点は、先出のお手元の方に御提出いたしました五十一年度の収支予算の数字でございます。この積善会の収入が千五百十七万四千円となっておりまして、支出が二千九百九十七万円になっているということで御提出しているわけでございます。それから昨日先生の方から、もう少し詳しい資料を出すようにというお話がございまして、作成してお手元に持っていったわけでございますが、その際には、収入が二千九百九十七万ということになっておりまして、当初に提出いたしましたものと若干食い違いがあるわけでございますが、これは必ずしも間違いというわけではございませんので、内容を御説明させていただきます。  当初御提出したものの千五百十七万四千円の内訳は、収益部門からの繰り入れ、それから返還奨学金、配当収入等の合計でございます。それをもとにして奨学金を出しているわけでございます。ただ、この年度二千九百九十七万円出すにあたりまして不足があるわけでございますが、この不足の千四百七十九万六千円は積立金の中から取り崩して充当したということでございます。  それからもう一点、奨学生の募集等についてでございますが、この法人は従来……
  67. 只松祐治

    只松小委員 でたらめを言うなよ。君らが持ってきているのでは、総資産は二千百十八万円となっている。そうしておいて、取り崩しが君が言うとおりならば千四百七十九万円。そうすると財産はなくなってしまうよ。君らが最初に持ってきたのならもっと別な論点があるのだけれども、これだけ一つ言ったって……。  総資産というのは、頭金から何から全部含むのだよ。ぼくは土地建物のことから何から全部言っているだろう。一々ここで君らはそういうどろぼうをかばい立てするようなことを言うなよ、自分たちの指導監督が悪いのに。とにかく監督不行き届きで不十分だったら不十分だったから、今後こういうふうにいたしますということならばいいけれども、君がそういうことを言っていれば、きょうは時間がないからある程度でやめておくけれども、この次の本委員会へまた来てもらうなり何なりしてちゃんとやるよ。いいかい、君がそういううその、偽善にまた上塗りするような偽善の君の方のことだけを言うなら、この次に領収証から何から全部ぼくのところへ持ってくるか。できるか。そういうことならやるよ。そういうことでなくて、悪かったなら悪かったときょうここでちゃんとして、今後の指導を改めることを言いなさい。そのことのためにぼくは取り上げているのだよ。一々判決を下したり何かするために取り上げているのじゃないのだよ、ぼくは。
  68. 石井久夫

    ○石井説明員 決して弁護しているつもりでもございませんけれども内容等につきましてそういうことでありますということを御説明させていただいたわけでございます。  なお、総資産が二千百万円ということにつきましては、この法人が五十二年三月三十一日現在の財産目録によりまして私どもへ報告しているところによりますと、預金とか建設仮勘定の資産が十五億八千二百万余りあるわけでございます。それに対しまして、入居保証金等の負債が十億六百十万余りあるということで、その差し引きの純資産が二千百十八万七千円あるという報告を受けているわけでございます。それで、そういう純資産が……
  69. 只松祐治

    只松小委員 でたらめを言うなって。おれのところには膨大な登記謄本から全部あるんだって。ここでは時間がないから、後でぼくの部屋へ来てみろ、教えてやるから。時間がないからかいつまんで言っているけれども、後でおれの部屋へ来てみろ、全部教えてやる。全部これの資料あるんだよ。いいかげんにでたらめを言うのやめろ。
  70. 石井久夫

    ○石井説明員 そういうことでありまして、私ども、指導等が十分至っていないことにつきましてはこれから注意いたしまして、こういう面の会計資料等につきましても十分指導してまいりたいと考えているわけでございます。
  71. 只松祐治

    只松小委員 時間がなくなりましたからこの問題はこれでやめますが、結論的にどこでどう監督するか。一つは、室長が言ったように現在各省庁にある。したがって各省庁は、この監査、監督、指導、それの報告、その他の日常の調査、こういうのは私は十分やるようにしてもらいたいと思う。それから審議室においても、少なくともある程度の統計なり何なりそういうものはちゃんととってもらう。  それから、フランスでは一部公益法人に課税をいたしております。私は、いきなり課税しろとは申しませんけれども、私はこういうでたらめな事例を出しましたけれども、少なくとも監査くらいした方がいいのではないか。したがって今後、大蔵省において公認会計士さん等の監査を行う。労働組合でさえも自分で出した賃金のものを監査されております。学校や何かその他補助を行うところは全部監査対象になっております。こういうものは、もともと相続税のときから、いま申しますいろいろな収益を行っても非課税になっておる。そういうのは監査対象になっておらないということだとすれば、当然に監査をすべきだと思う。したがって監査を行う意思があるか。  まとめて聞きます。法務省の方に。先ほどちょっと言いましたように、もう仕事が終わって何もしておらない、こういうのはたくさんあるけれども、これを廃止しようとすると、法務省の方でなかなかむずかしい、こういうふうにおっしゃるということのようでございますが、もう少し簡単に廃止する方法をお考えになったらどうだろうか。公益法人の抜本改正というのは容易でないだろうと思いますけれども、しかしいま一、三例挙げましたように、公益法人そのものも検討する段階に来ているのではないか。数も非常に膨大になっております。中身もいま一、二申しましたようにそういうふうになっておりますから、再検討すべき段階。各省庁のひとつお考えを聞きたいと思います。
  72. 青山正明

    ○青山説明員 ただいまお話しの全く事業活動を行っていないいわゆる休眠法人を整理する必要があるのではないかという点でございますが、この点は、御指摘のように問題でございまして、現在そのための立法措置につきまして法制審議会で検討中でございます。  全く事業活動を行っていないのに登記だけが残っているということは、登記が実体をあらわしていないということでございまして、それ自体好ましいことではございませんし、そのような登記が残っておりますとこれを悪用するというようなことも出てくるわけでございまして、そういうような法人を整理する道を開くべきであるということはごもっともだと思うのでございます。ただその場合に、どのような要件あるいはどのような手続でそういう整理を行うかということはむずかしい問題でございますし、また、単に整理の道をつくるというだけでは根本的な解決にはならないと思うわけでございます。そのような休眠法人が発生し、それを利用して好ましくないことが行われることを防止するということを考えますと、公益法人の監督のあり方とか、あるいは公益も営利も目的としないいわゆる中間法人制度を設けるかどうかといったいろいろな問題点もあわせて検討する必要がございます。この問題は、法人制度の根幹にも触れる問題でございまして、慎重な検討が必要でございますので、まだ若干の検討期間が必要かと思いますけれども、私どもといたしましては、法制審議会で結論が出ますれば、速やかにその結論に従って必要な措置を講じていきたいというふうに考えております。
  73. 清水汪

    ○清水説明員 もう一点の御指摘事項の監査のあり方の問題につきましては、これはいろいろ検討すべき側面があるようにも思います。各省に共通の問題でございますので便宜私の立場からお答えさせていただきますが、そうした検討を一度いたしていきたい、かように考えております。
  74. 只松祐治

    只松小委員 また別な機会にも取り上げますけれども、時間がなくなりましたのできょうはこれで終わりますが、ぜひ一瞬の御尽力をいただきたいと思います。  次いで、近ごろまたソウル地下鉄のリベート問題が問題になってまいりました。この問題について最後に若干質疑を行いたいと思います。  まず国税庁にお尋ねをいたしますが、こういう事実があったかどうかという確認と、巷間三百二十五万ドルだ、二百五十万ドルと言われておりますが、いずれが正しいか、お答えいただきたい。
  75. 磯邊律男

    磯邊説明員 ソウル地下鉄問題に関連いたしまして、日本のいわゆる四大商社からリベートらしきものが渡されて、それから同時に、特別の手数料としていわゆるチャンイル・エンタープライズに対して手数料が支払われるということが明らかになったわけでありますが、この中で、いわゆる三百二十五万ドルという数字は、御承知のように四社から、アメリカにあるS・K・キムなる者の口座に振り込んだ金額というものが二百五十万ドルでありまして、そのほか西社から、チャンイル・エンタープライズに対して手数料として支払われた金額が七十二万五千ドルでございます。したがいまして、合計いたしますと三百二十二万五千ドルということに相なっておるわけでありますが、御承知のように、過日のフレーザー委員会のレポートによりますと、このうちの日本の方に逆送金された金額は合計百三十万ドルであると言われておるわけであります。したがいまして、この百三十万ドル、それから三百二十二万五千ドルの数字は、そういうところの両方の数字であろうかと思います。  フレーザー委員会におきまして、そのうちのいま申しました百三十万ドルがわが国の方に逆送金された。そのコースといたしましては、韓国外接銀行のニューヨーク支店からチェース・マンハッタン銀行の東京支店にある韓国外換銀行東京支店口座に送金され、それから当該口幽からその翌日並びに翌々日にかけまして東京にある三つの銀行、つまりファースト・ナショナル・シティ・バンク、それからバンク・オブ・アメリカ、三井銀行、この三行にそれが送金されたというのが内容でありますが、そういったフレーザー委員会のレポートを踏まえまして、現存私たちはそれの実態の調査に当たっておるというところでございます。
  76. 只松祐治

    只松小委員 これも前から私、論議しておりますが、だれに送られたかという場合、当然脱税事項につながってまいるわけでございますが、個人の場合ならば秘匿することができますが、法人の場合ですと告知義務が生じてまいります。したがって、法人か個人かによって大きくこの問題が違ってきますが、いまの段階で言えなければあれですが、実名はともかくとして、法人か個人であるかということがおわかりでしたらお答えをいただきたい。
  77. 磯邊律男

    磯邊説明員 現在まだ調査中でございますので、そこまでの究明はできておりませんが、これを受け取って、受け取ったのが個人、それがしかも国内におけるいわゆる無制限納税義務者である場合には、いわゆる課税の除斥期間が満了するのが来年の三月十五日でございますから、それまでには当然課税処理ということが行われるかと思います。  それから、これが入りましたのが法人で、しかも国内の、わが国の法人税法の納税義務のある法人でありました場合には、これは収入金として課税するということに相なろうかと思います。
  78. 只松祐治

    只松小委員 仮にこれが送金した四社にまた還元をされたということになると、一遍国税庁課税しておりますから、課税が起きるかどうかということになると一つ問題が免じるだろう。しかしそうじゃなくて、ほかの会社にこれがしておったということになると、当然問題になります。それから、その間に何日かありますから、いずれにしても利子もついております。利子がついておれば、そこに利子に対しての問題も出てきます。そういうように、だれに還元されたかということによって次に発生してくる問題がいろいろ形態を異にすると私は思う。だからそういう意味で、個人名ならば当然あなた方は秘匿されるだろうと思いますが、法人か個人かだけ——全部調べろと言えば大変でしょうが、大体返ってきた日にちは、四十八年の一月二十九日百万ドル、正月何日に三十万ドルですか、何かきのうの読売ですか新聞を見ましても、国税庁は、「今週初めから税務調査に入り、この結果、四十八年二月一日」云々で突きとめた、こういう記事。新聞記事ですから全部正しいとは私も思いませんが、しかし三大新聞、書くからには相当のものがあるだろう。したがいまして、法人か個人かだけくらいこの席で明らかにできればしていただきたい。
  79. 磯邊律男

    磯邊説明員 昨日の読売新聞に報道されました記事の内容、私はこの内容についてあえて否定はいたしませんけれども、私たち残念なことには、それの最終的な行き先がどこか、それが法人か個人かということも含めましてまだわれわれとしては把握できておりません。現在せっかくいま調査中であるということでございます。
  80. 只松祐治

    只松小委員 大体いつごろまでには把握できますか。
  81. 磯邊律男

    磯邊説明員 いつごろまでとはっきりしたものをわれわれは確約はできませんけれども、最終リミットは来年の三月十五日だろうと考えておりますが、いま東京国税局におきまして鋭意関係方面調査をいたしておりますので、できるだけ早くこの実態を明らかにしたいと考えております。
  82. 只松祐治

    只松小委員 昭和四十八年当時はドル預金はできなかったと言われております。とするならば、すぐ百万ドルを円にということになりますけれども、そこら辺からつかんでも私はわかると思いますが、どういう預金であったか、どういうふうにかえられていったか、その経過がすでに調査されておるならばひとつお知らせをいただきたい。
  83. 宮崎知雄

    ○宮崎説明員 まず第一に、四十八年当時外貨の預金を持てなかったかどうかという点でございますが、この点は実は四十七年の五月に集中制度を廃止いたしまして、一般の居住者も外貨を保有することができるようになった。したがいまして、適法に保有している外貨なら居住者は外貨預金にそれを預入することができる、そういう取り扱いになっておりました。  本件については、まだ私どもも、送金に従事しました銀行から事情を聴取、調査しておりますけれども、いまのところ、この送られた外貨が外貨預金勘定に入っているのかどうかということははっきりしておりません。そういう状況でございます。
  84. 只松祐治

    只松小委員 時間がなくなってまいりましたのですが、これは恐らくリベートを含む犯罪事実が介在というか内在といいますか、しているんだろうというように言われております。そういう違法行為に基づく為替操作が行われたとするならば、外国為替管理法に当然私は触れてくるだろうと思います。特に二十七条なり三十条なりに関係してくると私は思いますが、法務省の方はそういう面からいかにお考えですか、あるいはまた調査をなされておるかどうか、お聞きをしたい。
  85. 佐藤道夫

    ○佐藤説明員 お答え申し上げます。  法務省といたしましては、本件の具体的な事実関係を詳細承知しておりませんので、明確にお答えすることは遺憾ながらできかねるわけでございますが、仮定論、一般論として申し上げますならば、本件につきましては、事実関係のいかんによりますれば、いま先住御指摘のとおり、いわゆる外為法違反あるいはまた所得税脱税の関係、その他この金の取得いかんによりましては、受託収賄罪あるいは背任罪等の刑法犯等の成否もまた論ぜられる段階になるのではなかろうかというふうに考えておりますが、いずれにいたしましても、この関係につきましては検察当局におきましても、それ相応の関心を抱いて所要の調査を行う段階に至っておるのではないかというふうに考えております。
  86. 只松祐治

    只松小委員 これはアメリカの国会において正式に取り上げられ、報告されたいわば隠すことのできない国際的な問題でございます。ぜひひとつ政府、各当事者、当局におきましても、その前提を踏まえて速やかに本問題を解決していただきたい。特に税法上は、所得の発するところ常に課税があるわけでございますから、三月十五日を過ぎたからできないというようなことではなくて、必ずひとつその前に捕捉をするということで御尽力をいただくよう御答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  87. 磯邊律男

    磯邊説明員 ただいま只松先生おっしゃいましたように、やはり私たちとしては、こういった膨大な資金が国内に還流されたということになりますと、当然それの課税関係が法人、個人等を通じましてどうなるかということは、重大な関心を持っておるわけでございます。そういった意味で、ただいま東京国税局が中心になりましてこの資金の流れというものに対して調査をやっておるわけでございますけれども税務の立場といたしましては、この問題をはっきり決着をつけたい、かように考えております。
  88. 保岡興治

  89. 大島弘

    大島委員 時間もありませんので、ソウル地下鉄、国鉄電化プロジェクトに関する三菱商事の件につきまして、税務上の立場から若干御質問申し上げたいと思うのでございますけれども、まずその前に小委員長にぜひともお願いいたしたいのは、来る小委員会もしくは大蔵委員会におきまして、ぜひとも参考人として三菱商事を呼んでいただきたいということでございます。実は本日、理事を通じまして三菱商事の出頭を要請したのでございますけれども、数日前に三菱商事は、こうなれば逃げも隠れもせぬ、いつでも出ると言いながらきょうは拒否した、非常に私は残念なことだと思います。本件につきましては、先ほど大村大蔵委員長にもお願いしたのでございますが、次の委員会におきましてあるいは小委員会におきましてぜひとも関係者を参考人として呼んでいただきたい、こういうふうに存じております。
  90. 保岡興治

    保岡小委員長 ただいまの大鳥弘君の参考人出頭要求でありますが、これは早速大蔵委員長にお伝えしまして、後刻理事会等で御協議を願うように取り計らいたいと思います。
  91. 大島弘

    大島委員 国税庁長官にお伺いしたいのですが、あなた以下税の執行に当たる者は一応、法律上守秘義務があるわけです。本件のように、委員会なりあるいはマスコミなりに報道された三菱商事ほかの調査につきまして具体的に答弁をいただくのは、守秘義務にひっかかりますか。
  92. 磯邊律男

    磯邊説明員 私たち法人税法並びに所得税法等の規定によりまして、税務職員が職務上知り得た秘密というものはこれを漏らしてはならないという規定がございますので、その内容によるわけでありますけれども、当然企業そのものが秘密にしておきたいという事項であって、しかもそれは税務調査以外ではわからないといったような事項につきましては、公にすることをお許しいただきたいと考えておるわけでありますけれども、同時にまた、すでにもう公になっておることであり、それからまた、必ずしも税務職員税務調査執行に当たったとき以外ではわからないといったような問題でなければお答えするにはやぶさかでございませんし、いわんやこの国会におきます御答弁に際しましては、できるだけ私たち税務職員の立場として守秘義務に抵触しない限りにおきまして御答弁を申し上げたいと考えておるわけであります。  ただ、それと同時にここでお願いしておきたいと思いますのは、私たち税務調査というのは御承知のように、任意調査であります。ということは、相手方の調査を受ける納税者の方も、やはり税務職員に対していろいろと帳簿を出し、あるいは真相を話しても、実情を話しても、それが公にならないという前提のもとでわれわれの調査に御協力をいただくわけでございますので、おのずからわれわれが公にする場合にも、やはりそういった今後の税務調査を円滑に遂行し、それから現在の自主申告納税というものを守っていく、それによって円滑に歳入の確保を図るためには、やはりそこに守秘義務というものをわれわれは大切にしなければならないと考えておるわけでございますので、その点どうぞよろしく御了承いただきたいと思うわけでございます。
  93. 大島弘

    大島委員 そういうことで、秘密に関してはいけないということを規定しておるわけですから、なるべく具体的に御答弁願いたいと思います。  去る十月六日の予算委員会国税庁長官は、チャンイル・エンタープライズに対して二億二千万円、商社連合が送っているということで答弁されていまして、さらにソウル地下鉄への関与の程度がそれぞれ違う、こういうふうに答弁されているわけですけれども、このチャンイル・エンタープライズというのは三菱商事の代理店ですか。
  94. 磯邊律男

    磯邊説明員 私ども承知しておる範囲では、チャンイル社というのは、三菱商事の代理店として三菱商事がそれを起用し、それから代理店手数料を払ったというふうに承知しております。
  95. 大島弘

    大島委員 そうしますと、この二億二千万のうちの大部分が三菱商事が出したと見てよろしゅうございますか。
  96. 磯邊律男

    磯邊説明員 そのうちの約七割を三菱商事が負担しております。
  97. 大島弘

    大島委員 あとの三割はどこですか。
  98. 磯邊律男

    磯邊説明員 丸紅が約一割強、それから三井物産が一割弱、それから日商岩井が一割強というふうな形であります。
  99. 大島弘

    大島委員 いまのが二億二千万の問題です。  続きまして、二百五十万ドル、四十六年四月から八月についての百二十万ドル、四十八年一月についての百万ドル、四十八年五月についての三十万ドル、合計三百五十万ドルの課税処理につきましてお伺いしたいのです。  長官は、この前予算委員会でございますか、二百五十万ドルについては、過少申告として税金を徴収し、これで一応終了した、こういうふうにお答えになっているわけですけれども、だから合計二億六千万ほどの増産が出たというお答えだったと思います。  増産が出るということは、リベート等を損金に算入して、それが否認された場合には確かに増産所得が出ます。それからもう一点増産所得が出るのは、本来自分が払うべきリベートを全然記帳も何もせずにやったというようなこと。全然記帳も何もしない、片方は、損金に記帳してそれが否認されて増産が出る、この二つしかないと思うのですが、三菱商事の場合どちらになりますか。
  100. 磯邊律男

    磯邊説明員 これは国会の御答弁で申し上げたわけでございますけれども、四社については、二百五十万ドルの費用の支出につきましてはそれぞれの支出のやり方が違っております。ある社におきましては、これをすでに支出済みであるし、それからある社におきましては、それを支出しないでおったというふうなやり方がございますので、私たちといたしましては、こういったことを含めてすべて、結論として四社とも同じような形でこの二百五十万ドルについての税金を負担してしかるべきであるということで処理させていただいたわけであります。  したがいまして、すでに支出した会社につきましては、これを支出したことについての損金性を否認いたしまして、そして税金を納めてある。それから支出していなかったところにつきましては、支出すべきであるということでまずそれを認めさせまして、それから、当然それは支出しておりませんから未払金という形になるわけでありますけれども、それでありますと、ただいま申しましたように、その限りにおいては税がふえませんので、その未払金というものを最終的には支払わない、つまりそれによって受贈益的なものが発生するというところでこれを会社に受け入れさせるということで、結論としては全部、二百五十万ドルについて日本の本社の方で税金をかぶるという形で処理させていただいたわけであります。
  101. 大島弘

    大島委員 お伺いしているのは、三菱商事は記帳しておりますか。
  102. 磯邊律男

    磯邊説明員 それは、個々の会社でございますので、特に私から明確に御答弁するのは御遠慮させていただきたいと思いますけれども、多分大島先生がいま御想像されているとおりだと思います。
  103. 大島弘

    大島委員 それならばMIC、アメリカ三菱を通じて、本来三菱本社が支払うべきものをアメリカ三菱に支払わせたというふうなことであるならば、そこに当然受贈益というものが発生して、それに対してやはり課税しなければいけない、こういうことになるわけですが、その点いかがですか。
  104. 磯邊律男

    磯邊説明員 お説のとおりでございます。
  105. 大島弘

    大島委員 三菱商事の場合には、その受贈益というのを課税しましたですか。
  106. 磯邊律男

    磯邊説明員 それは、受贈益というよりは雑益という形で上げることになっております。
  107. 大島弘

    大島委員 本来自社が払うべきものを全然帳簿に計上せず、MIC、アメリカ三菱を通じて払わせたというようなことは、果たして過少申告加算税だけで済むものであるか、あるいは青色申告の取り消しはそのまましていいのかということの問題でございますが、これは明らかに三菱の利益隠しだというふうに考えておるのですが、過少申告加算税でいいのですか。
  108. 磯邊律男

    磯邊説明員 過少申告加算税か重加算税かという問題でございますけれども、実はわれわれとしては、過少申告加算税というところで処理しておるわけでございます。  といいますのは、この受贈益一般に対する課税というのがいままで、ある会社、A会社がB会社に対して資金の貸し付けをした、しかしそれに対して、その貸し付けは明らかに免除してやったといったような場合、その債権債務がきわめて明らかであるような場合には受贈益課税ということはやっておるわけでございますけれども、一般的にある会社、A会社のためにB会社がいろいろな経費の支弁をしてやったといったような場合には、理論的にはまさにそのA会社に対しては受贈益が発生するわけでありますけれども、ただ、いままで受贈益については、実務問題として課税されておるケースはほとんどないというのが実態であります。  といいますのは、一つにはまず、B会社はA会社に対しまして、そこに受贈益を発生させますけれども、同時に、B会社がA会社のために立てかえて支払ったものがまた経費としてA会社にはね返るわけでありますから、したがって受贈益とそれから経費認容というものがツーペイになりまして差し引きゼロになるというふうなこともございます。それから同時にまた、そもそもB会社が立てかえて支払ったものがA会社の損金になるかどうかという問題も明らかでありませんし、それから同時に、A会社とB会社との間に、明らかに受贈益が発生するような経済取引であったかどうかというふうなことも必ずしも明らかでない。そういうふうなことから、いままで受贈益というものに対する課税の実例というものはほとんどないわけであります。  そういったことで、このたびの事案であえてそういった論法によって課税するということになったわけでありますから、それだけにわれわれとしては、あえて重加算税までを取る必要はなかろう、過少申告加算税で済ましてもいいのではないかというのが、われわれの結論でございます。
  109. 大島弘

    大島委員 過少申告加算税か重加算税かということにつきまして論議すると長くなりますので、私は、過少申告で済む問題じゃないという考えであります。  それからもう一つは、青色の取り消しですが、昨年の十一月十七日の小委員会で、三菱商事がやはりMICを通じてパイコール社という名義で六十億の株の売買を利益隠ししたということがありました。三菱がこれに対して、計画的な犯行ではない、国税局から押しつけられたという答弁をしておりました。しかし、三菱商事自体がみずから重加算税を自主申告して払っておるのに、計画的なものではないということはすこぶるおかしいと思うのです。今回の事件でも、先ほど言いましたように、リベートというのを本来自社が払うべきものを全然記帳もしない、アメリカMICを通じてやれば何もかも利益隠しされるのだという、この三菱商事というのは御存じのとおり日本一の商社、世界的な商社、それがアメリカMICを通じてやれば何も書かなくてもいい、そんなことはわかりはしない、帳簿に記載しなくてもいい、こういう考えを持っておることは、私はすこぶるおかしいと思うのです。  昨年の問題でなぜ青色申告を取り消さないか、こういうふうに私が質問したときに国税庁長官は、大三菱の全体の大きさから見れば、仮に六十億、五十億というのは小さな金額で、全体から見て一応まあまあ何とかよろしいというふうな御答弁だったと思うのですが、私はこれは逆だと思うのです。つまり、そういう組織立った世界的な会社が百万円の脱税をする方がむしろ罪が重いというふうに私は考えておるわけでございます。本件につきまして、青色申告の取り消しをされるつもりはありませんですか。
  110. 磯邊律男

    磯邊説明員 確かに昨年この小委員会で、その問題に関連いたしまして大島先生からそういった御指摘があって、私も御答弁した記憶がございます。そのときに実は、青色申告の取り消しに関する法人税法の条文というのが百二十七条にございまして、そのうちの第一項第三号につきまして、私たちの従来の解釈は必ずしも適切でなかったというところで、今後その解釈を改めるということをここで御答弁申し上げた記憶がございます。  このたびの青色申告取り消しの問題、もしつまり百二十七条に該当するとすれば、第一項の第一号もしくは第三号ではなかろうかと私は考えたわけでございますが、ただ御承知のように、青色申告承認の取り消しの問題は、やはりそういった一部の記帳等が真実でない、あるいは備えつけが十分でなかった、あるいは整然と記帳されてなかったということがあることをもってそれが直ちに、青色全体としての青色申告取り消しというふうな処分まで必要かどうか、やはり総合的な判断によるものであると私は脅えておるわけでありますけれども、個々に見ました場合には、このたびの四社がやりました行為、それによって少なくとも修正申告を提出しなければならないようになったということ、それはまさに一〇〇%正確な記帳でなかったということは明らかでありますけれども、ただ、そのことをもってその会社全体の青色申告取り消しまでやらなければいかぬ問題かどうかということになりますと、やはり私たちは、その会社全体の総合的な帳簿の状態等から判断いたしまして、あえて青色申告の取り消しをしなかったというのでございます。
  111. 大島弘

    大島委員 そうすると、昨年の株の問題は、全然記帳しなかったから重加算税を取った、今回の場合も事案は同じだと私は思うのです。本来三菱商事の受贈益なり何なりかけて、それから、そういう経理をすべきであるのにかかわらずそれをしなかったということは昨年の株の売買の場合と同じで、なぜ重加算税を取り、なぜ青色の取り消しをしないかということです。
  112. 磯邊律男

    磯邊説明員 昨年度の株式の売買の問題につきましては、これは私も御答弁いたしたと思いますけれども、あの株式の売買にかかわる利益を東京本社の三菱商事の所得であるというふうにわれわれが認定するに至りましたまでには、三菱商事としては三菱商事としてのいろいろな理由があり、商事としての主張を述べたわけであります。最終的には、国税当局との論議を重ねまして、国税当局の認定に従うということになったわけでありますけれども、ただ、実際の株式の売買をやりましたそのやった方法というのが、われわれとしては、これは重加算税を徴収すべき事案であるというふうに認定してそのように処理したわけであります。  ただ、今回の場合につきましては、先ほど申しましたように、受贈益に関する課税というものがほとんどいままで行われていないというふうなことから、あえてそこまでは踏み切る必要はないであろうということで、過少申告加算税にしたというのがわれわれの判断でございます。
  113. 大島弘

    大島委員 二百五十万ドルのうち百二十万ドルが、四十六年の四月から八月にかけて流出しております。ソウル地下鉄、国鉄電化プロジェクトに関するOECF、海外経済協力基金の政府間協定は総額二百七十二億四千万円、金利が四・一二五%、償還期限が二十年、うち据え置きが五年、それで政府公簡締結年月日が一九七一年十二月三十日、つまり昭和四十六年十二月三十日となっておりまして、海外経済協力基金貸付締結年月日が一九七二年四月十日、昭和四十七年四月十日となっております。その二百五十万ドルのうち百二十万ドルがそれ以前に、四十六年の四月から八月にかけて流出しているということについて、税務調査上の立場からどういうふうな性格のものであるかということを御発言願えますか。
  114. 磯邊律男

    磯邊説明員 私たちは、単に収支計算だけ見るだけでございまして、それの動機とか目的というものへは入る立場にございませんので、その辺につきましては何とも申し上げかねるわけであります。
  115. 大島弘

    大島委員 この問題は確かにそうだと思います。しかし次回、参考人として三菱商事外三社がここへ参りましたときは、私はこの問題はあくまでも聞きたいというふうに思っておるわけでございます。政府間の協定の前にリベートを出したということは、常識から免れば、何らかそこにあったということは明白なことでございますので、この点は今度三菱商事外参考人として出頭した場合にお伺いしたいと思います。  それから、ことし十月二十五日、フレーザー・レポートというものが発表されまして、その二百五十万ドルのうち、百万ドルと三十万ドル二つに分けて日本へ還元した、還流してきたということがございます。これにつきまして、三菱商事の藤野会長は某新聞社のインタビューで、全く意外だ、三菱商事としては払い込んだ後の使途は全然知らないというふうな答弁をしておりますけれども、御案内のとおり、四十八年一月二十九日にニューヨークのS・K・キム口座に払い込まれて、二日後の一月三十一日にチェース・マンハッタン東京支店にそれが還元して、さらに二日後の二月一日から二日にかけてそれが三井銀行、それからファースト・ナショナル・シティー東京支店、バンク・オブ・アメリカ東京支店というふうに流れておることは御承知のとおりでございますけれども国税庁が現在これを調査しておるわけでございますけれども、もし個人であるならば三月十五日が限度いっぱいだということでございますけれども、そういうことじゃなくて、課税するかしないかは別問題として、この調査が終わるのは大体いつごろになりますか。
  116. 磯邊律男

    磯邊説明員 私が先ほど只松委員の御質問に対しまして来年の三月十五日と答えましたのは、とにかくすべての課税関係の除斥期間が満了しないうちに全部の結論を出したい、明らかにしたいという意味で申し上げたわけでありまして、決して三月十五日というものを調査終了の目標にしておるというわけではございません。この問題につきましては、いま東京国税局の方で、名前が出ております金融機関に入りまして、その資金の流れ、それから口座名等々につきまして調査いたしておりますので、できるだけ早くそれを明らかにして出したい、かように考えております。
  117. 大島弘

    大島委員 できるだけ早くということは、十一月いっぱいぐらい限度だと見てよろしゅうございますか。
  118. 磯邊律男

    磯邊説明員 調査といいますのは、これはあくまでも任意調査でございますので、相手方の協力の度合い、それから調査に入りますときの内容の難易さあるいは複雑さ等によって何とも申し上げられないわけでございますけれども、十一月いっぱいというのはちょっときついのじゃないかと思っております。
  119. 大島弘

    大島委員 それでは、年内いっぱいですか。
  120. 磯邊律男

    磯邊説明員 いずれにしましても、タイムリミットをここでお約束をするということは、どうもいろいろと食言問題になるといけませんので、できるだけ早くとだけお答えさせていただきます。
  121. 大島弘

    大島委員 調査が終わりましたら、その結果を何らかの形で国民に知らせるというお約束はできますか。
  122. 磯邊律男

    磯邊説明員 国民の方々が非常に関心を持っておる事案でございますので、積極的に国税側から発表するということはいかがかと思いますけれども委員会等で御質問がございました場合には、差し支えない範囲でできるだけ国政調査に御協力申し上げたいと考えております。
  123. 大島弘

    大島委員 そうしますと、当委員会においては、その具体的な還流の流れの調査結果を公表していただけるということでございますね。
  124. 磯邊律男

    磯邊説明員 御質問がございましたら、その答弁という形で差し支えない範囲でできるだけお答えいたしたいと思います。
  125. 大島弘

    大島委員 恐らくわかることだろうと思うのですけれども、それが日本で個人に還元しているか法人に還元しているか、どちらかだろうと思うのでございますけれども、そういう場合には、二百五十万ドルを損金算入を認めずに全部否認して過少申告加算税とともに三億六千万徴収した。片方、いまの調査によって個人の行き先がわかったということになりますと、前の課税処分の取り消しということを考えておられますか。
  126. 磯邊律男

    磯邊説明員 これは当該商社がそれぞれ使途不明金として自分で否認してきたわけでございますから、私は、この四商社についての税務処理というものはこれをもって終わったと思いますので、これ以上取り消しとかいうふうなことは考えるつもりはございません。仮にこの百三十万ドルというのが国内の納税義務者の収入としてあるいは所得を形成しているといったことがわかりましたら、それはそれとして独立した課税問題であると考えて完結させたいと考えておるわけであります。
  127. 大島弘

    大島委員 そうしますと、分回の調査によってその行き先がわかっても、前回課税した二億六千万はそのまま取り消すことはないということでございますね。
  128. 磯邊律男

    磯邊説明員 そのとおりでございます。
  129. 大島弘

    大島委員 税務調査につきまして、この三菱商事の有価証券報告書を参考として調査されたかどうか、あるいは東京国税局のことですからおわかりじゃないかもしれませんが、ちょっと参考までにお知らせいただきたいのです。
  130. 磯邊律男

    磯邊説明員 証取法で規定されております有価証券報告書、それは税務調森に当たって見ます。
  131. 大島弘

    大島委員 四十六年、四十七年、四十八年、この三年間の、ここは年二回決算ですから合計六回の有価証券報告書があるわけでございますけれども、この年度におきまして三菱商事は、主要輸出仕向け国という欄があるのですが、ここには、機械のところに韓国が全然上がってないということなんでございます。上がっているのはリベリアとか、何か機械の余り大きな輸出国でないと思われるような国が上がっておって、この地下鉄のような莫大な利益率をもって韓国へ輸出したということにつきまして全然上がってないというようなことは、これは国税庁長官の所管外でございますけれども、有価証券報告書にこれは虚偽の記載をしたという事案にならぬでしょうか、どなたか、証券局……。
  132. 保岡興治

    保岡小委員長 いまちょっとお呼び出しがなかったために来ておりません。
  133. 大島弘

    大島委員 この年度において、有価証券報告書に史要輸出国の中にとにかく韓国が全然入ってないということは、私はすこぶるおかしいと思うわけでございます。これは虚偽の記載事項で罰則的なものがかかるんじゃなかろうかと存ずるわけでございますけれども、これは改めて他日質問したいと思っております。  小委員長にお伺いいたしたいのですが、次回の大蔵委員会なりあるいはこの当小委員会の開催予定日というのは、いまのところおわかりじゃありませんか。
  134. 保岡興治

    保岡小委員長 本委員会は二十一日に開催の予定です。それは決まっておりますが、税小の方は今後決めることになっております。
  135. 大島弘

    大島委員 なぜこういうことを言うかといいますと、参考人にぜひ出頭してもらいたいということと、それから、東京国税局あるいは大阪国税局においての調査の結果とできれば合わしていただきたい、こういうふうに思うわけでございますが、先ほど十一月二十一日の大蔵委員会と……
  136. 保岡興治

    保岡小委員長 さようでございます。
  137. 大島弘

    大島委員 長官、それまでにどうですか、間に合いそうですか。
  138. 磯邊律男

    磯邊説明員 大体間に合うんじゃないかと思っております。
  139. 大島弘

    大島委員 もうその御答弁をいただきましたら結構でございます。少し時間は早いですけれども、私はこれで終わらせていただきます。
  140. 保岡興治

  141. 安藤巖

    安藤委員 私は、身体障害者の利用する自動車関係の課税の問題についてお尋ねをしたいと思います。  この問題については、もうすでにいろいろな場で取り上げられているわけでございます。そしていま年末に向かいまして、大蔵省、自治省等々で、来年度税制措置については改正問題を含めていろいろ作業中だというふうに思っておりますので、そういうことも含めてお伺いするわけですが、まず最初に、自治省の方にお尋ねしたいと思います。  この身体障害者の利用する自動車関係の課税の問題については、地方税の関係では、税務局長の通達で昭和四十一年からことしの六月まで何回かにわたっていろいろな減免措置がなされているというふうに聞いております。その経過と、どういう趣旨で減免措置がそのように講じられてきたかということをまず最初にお伺いいたします。
  142. 吉住俊彦

    ○吉住説明員 お答え申し上げます。  先ほど先生、四十一年からというふうにおっしゃいましたが、確かに四十一年に通達は出しておるわけでございますが、それを四十五年に新たに変更いたしまして、これがいわば基本通達ということになっておるわけでございます。  基本通達におきましては、やはり身体障害者の方々の手足、体の延長であるという考え方が基本になっているわけでございます。その場合基本通達におきましては、言うなれば自家用の自動車のみを対象にしておった、業務用と申しますか営業用につきましては、原則として外しておったわけでございますが、今年六月に出しました新しい通達におきましては、身体障害者の方々が雇用されるような場合、あるいは雇用された企業の車で送迎を受けるような場合、つまり身体障害者の雇用対策に関連いたしまして、構造上特殊な車につきましてさらに減免措置を拡張いたした、こういう趣旨でございます。
  143. 安藤巖

    安藤委員 そうしますと、最初の考えはいわゆる足がわりというようなことで出発をされたというふうに理解するわけなんです。それから、四十五年の基本通達では、体の延長ということになりますと、不可欠な生活手段の一つというふうに理解されての措置というふうに理解をするわけです。そして、昭和五十三年のこの通達では、それ以外にさらに雇用対策ということも含めてお考えになっているというふうに理解をさしていただきます。  いまおっしゃったようないろいろな趣旨、その経過からいたしますと、一定の評価ができるというふうに思いますけれども、やはりまだまだ不十分なところがあるんではないかというふうに思っておるわけなんです。といいますのは、先ほどおっしゃった構造上身体障害者が利用するものについて、自動車税、軽自動車税、自動車取得税、これは全額免除ということになっておるわけですけれども、五十三年六月の通達の中で、身体障害者以外の人も利用できるもので、これは営業用、自家用を問わない、そしてもう一つ、もっぱら身体障害者が運転するため構造が変更されたもの、これは営業に限るということになっておるんですが、この対象が自動車取得税の一部、その改造に要した部分の費用に自動車取得税の税率を掛けた分、だけ減免するということになっております点が、どうも不十分じゃないかというふうに思うわけなんです。  そこでお尋ねしたいのですけれども、いま申し上げました二つについては、自動車取得税の一部だけに限定をされた理由はどういうところにありますか。
  144. 吉住俊彦

    ○吉住説明員 身体障害者対策の重要なことは私どももそれなりに理解をしているつもりでございますが、広く自動車関係税というもの、それぞれ税の性格なり目的がございまして、その観点からいわば一律に平等に扱わなければならないという他方の原則があるわけでございます。ただそれにいたしましても、身体障害者を雇用するために構造上の変更を必要とするわけでございますから、そのために割り高になった部分についてまで税金をいただくというのはいかがかという観点から、その部分についてはこれを減免するように指導しておるわけでございますが、割り筒にならない一般的な部分につきましては、やはり道路の目的財源になる部分とか、あるいは道路損傷負担金的な性格を持つとか、そういう自動車関係税全般の性格に照らしまして、そこまで踏み込むことは私どもとしていかがか、こういうふうに考えておるわけでございますので、今後自動車税なり軽自動車税にさらに減免の効果を及ぼすということは、率直に申しまして、税の立場からは大変困難なことだと思うわけでございますが、ただ、そういう地方税制の枠内におきまして私どもなりにいろいろ努力はいたしておるということにつきましては、ぜひとも御理解を賜りたい、かように思います。
  145. 安藤巖

    安藤委員 自動車取得税の方は、御承知のようにこれは目的税でございます。ところが、自動車税、軽自動車税は普通税です。それが回り回って道路の補修等々にも使われるというようなことは当然考えられるわけでございますけれども、これは一般財源に入るわけですね。だからそういうことからすると、ストレートに道路の損傷云々ということでもって特別扱いをすることはできないのではないかという議論はいただけないのではないかという気もするわけなんです。  いろいろ御努力をしていただいているということはよくわかるのですが、先ほど申し上げました自動車取得税の一部についての減免の二つの関係につきましては、その通達の趣旨からいたしましても、身体障害者の人たちが「障害等を克服し、健全な者に伍して社会生活を僻むことに資するため」という趣旨があるわけですね。だから、そういう趣旨を生かしていただくということをもっと前進をしていただけないかというふうに思うわけなんです。そういう意味から、いま言いました自動車税、軽自動車税の方の減免ということも考えていただけないものかというふうに思うわけです。  そこで、この関係につきましては、運輸省の方も、昭和五十四年度税制改正要望といたしまして、身障者用改造車両に係る自動車税及び軽自動車税を軽減するというような要望も出ておるわけですね。しかも運輸省の方は、細目で身障者用改造車両に対する税率を現行の二分の一に軽減するというところまで要望が出ておりますので、こういうような趣旨もくみ取っていただいて前進をしていただきたいということを強く要望したいと思うのです。  そこで、一つわからないところがあるのでお尋ねするのですけれども、先ほど申し上げました二つ目の、もっぱら身体障害者の人たちが運転するために構造が変更されたもので、営業用に限るというのがあるのですが、会社なり個人なりで自家用として、だから普通白ナンバーですが、車を購入して、その車を人の送り迎えあるいは自家製品の運送等々に利用する、これは雇用対策上も相当大きな意義を持っていると思うのですけれども、そういう車を身体障害者の方が運転することができるように改造をして、もっぱら身体障害者の人にその車を運転してもらうというような場合は、この通達の方でいきますとどこで手当てをされていることになりましょうか。
  146. 吉住俊彦

    ○吉住説明員 業務用のものにつきまして減免するように指摘している個所があると存じますが、いわゆる白ナンバーの業務用につきましても、遺業川に準ずるものとして減免するようにという指導をいたしているところでございます。したがいまして、現実にはそういうケースにつきまして、減免は行われていると私たち理解しているわけでございます。
  147. 安藤巖

    安藤委員 もう一つ、一々細かいことを言っているとめんどうくさいですから、昭和五十三年六月十二日の通達の二項の(2)のイ、いまおっしゃった営業用という中に入るのですが、これは、身体障害者の人がタクシーの運転手をしておられて、そのために専用できるように運転機能を改造したものだと思うのですけれども、そういうふうに改造されますと、身体障害者の方以外の人たちはかえって運転できないように改造されることになるのじゃないかと思うのです。そうしますと、身体障害者の方の専用自動車ということになります。だからそういう点からすると、先ほど自動車取得税の一部をということの御説明があったわけですけれども、これはほかの人が乗って運転できないように改造されてしまっているわけですから、車を一体のものと見てしかるべき措置をとっていただくべきが至当ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  148. 吉住俊彦

    ○吉住説明員 ただいま御指摘になりましたのは、タクシー会社の車を改進いたしまして、それを身体障害者の方々が運転して運転手としての収入をお上げになるというケースであろうかと思いますが、その場合につきましては、取得税、自動車税を問わず全部減免するという通達の趣旨でございますので、趣旨に沿ったことをやっておるわけでございます。
  149. 安藤巖

    安藤委員 そうですか。では、これは念を押すだけですが、通達の二の(2)のイの方は、自動車取得税ばかりでなくして、自動車税、軽自動車税も減免する、そういうことだと伺っていいわけですね。通達の中身とあなたのおっしゃったのとちょっと違っているのです。
  150. 吉住俊彦

    ○吉住説明員 タクシーは御承知のように営業用でございますから、アの方ではなくてイの方で読んでおります。
  151. 安藤巖

    安藤委員 ですからその点についても、いま私が言いましたように、改造した部分について自動車取得税の率を掛けるという一部減免ではなくて、自動車取得税全額を免ずるということをお考えになっていいのではないか、ほかの人、が乗れないのですから、自動車全体を一体のものとして見ていただく必要があるのではないか、そういうことです。
  152. 吉住俊彦

    ○吉住説明員 先ほど申し上げましたのは、いわゆる緑のタクシーと言われているものについてのお答えでございまして、いまおっしゃいました分につきましては、御指摘のようにその割高の部分だけを減免しております。さらにそれを拡張せよという御趣旨は、理解できないでもないわけでございますけれども、常業用としてもし身体障害者以外の方々を雇用したとすれば、やはりそれだけの取得税はお納めいただくわけでございますから、身体障害者を雇用なさったために割高になった部分、これはやはり構造変更したのに要する費用ということになろうかと思いますので、その部分を減免するように指導しているところでございます。
  153. 安藤巖

    安藤委員 趣旨はわかるのですよ。ただ私は、そういうふうに改造してしまうともう身体障害者以外の人は乗れない営業車両になってしまうものですから、自動車取得税全額を減免されてしかるべきではないかということを申し上げているわけです。しかし、そのことも含めていままで相当漸進的に範囲を拡大してこられておりますので、さらに百尺竿頭一歩を進めていただきたいということをお願いしているわけなんです。  そこで今度大蔵省の方に、自動車に係る物品税の関係でお尋ねをしたいと思います。  地方税の関係の措置、それからその経過、その趣旨は、いまお聞きになったところでおわかりいただけたと思うのですが、物品税の関係では、物品税法施行規則で、下肢または体幹が不自由である者がみずから運転するために必要な小型普通乗用四輪車は免税をされておるわけなんです。これは地方税法の関係で、四十五年に基本通達が出されて前のは変更されたということになるわけなんですけれども、やはり四十一年から始まっているわけです。いま申し上げました物品税の減免措置も、同じ昭和四十一年に始まっておるわけですね。それ以後、この物品税の関係では、身体障害者の利用する自動車についての減免措置というものは変わっていないわけですか、変わっていないとすれば、その理由はどういうところなのか、お伺いしたいのです。
  154. 高橋元

    高橋説明員 ただいまの御質問の件は、変わっておりません。四十一年以来同じ姿勢でございます。  これは申し上げるまでもないのでございますけれども、物品税の課税につきましては地方税とかなり異なったところがございます。と申しますのは、製造場の歳出し課税でございまして、一回限り取るだけでございます。たとえば自動車税、軽自動車税は大部分保有課税でございますから、その辺の実際の利用の状況を確認して軽減ないし免除ということの実施ができるわけでございます。また自動車取得税でございますと、他の人に売られたときにもう一回かかってくる、そこでまた取り返す。取り返すという言葉は悪いのですが、また取り返しがきく。ただ物品税につきましては、一度製造場から出てしまいますと、その課税を軽減した場合に、その用途外に転用された場合には、もはやさかのぼって徴収するということは実際上むずかしゅうございます。そういうこともございまして四十一年に、下肢または体幹の不自由な方で免許証を持っておられる方が御自分で運転なさる自動車につきまして、足がわりとして利用される場合に、例外としての特殊用途免税という制度を設けたわけであります。それをその後現在に至るまで続けているということでございます。
  155. 安藤巖

    安藤委員 経過はいまお答えいただいたとおりなんですが、そうしますと、身体障害者の方のうち、下肢または体幹が不自由な人に限定されておるわけですね。そういう身体障害者の方で運転免許を持っておられる人は数が少ないと思うのです。それ以外にいろいろな身体障害を負っておられる人が、生計を一にしている人に運転してもらって、あるいはその人の所有ということにもなろうかとも思うのですが、やはり足がわりに使うということも大いにあり得ることだと思うのです。あるいは身体障害者の方が家族の中にいるので、その通院、通学等々のために相当無理をしてでも車を買ってやろうかという家族もあるのじゃないかと思うのです。  そういう点からいたしますと、先ほどの自治省の方の地方税に対する減免の関係では、いろいろ考えていただいて、昭和四十五年の通達では、生計を一にする者が購入する場合にも自動車税、軽自動車税についての減免措置がとられているわけです。取得税も一緒です。だから、私はもっともっとのつもりなんですが、まず差し当たってそういうところまで、足がわりという考え方に立って範囲を広げていただいてもいいんじゃないかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  156. 高橋元

    高橋説明員 物品税の軽減ということで見た場合に、特殊の用途に充てるための軽減というものは、その用途に充てられておるということの継続している状況を実際に把握できるということが前提になるわけでございます。先ほどもお答え申し上げたわけでございますが、地方税の場合には、あるいは台帳課税である、あるいは譲渡の都度課税であるということで、そういう特殊用途に充てられておる状況というものが確認できるわけでございますが、物品税の場合にはそうはまいらない。製造場を出たときに一五%なら一五%を一遍かけまして、その以後は何回転々しようとふえも減りもしないわけです。したがって、製造場を出るときに特殊用途免税をかけて、それが特殊用途以外に充てられた場合にそれを取り返す方法というものは実は非常にむずかしいわけでございます。そういうことがございますので、地方税で現にやっておられます軽減制度と、物品税でただいままで継続しております軽減制度とはどうしても差異が出てまいる。それで、先ほども申し上げましたように、下肢、体幹の不自由な方が御自分で免許を持っておられ、御自分の足がわりとしてお使いになるということがこの制度のもとでございますから、身体障害者と生計を一にする方が購入される乗用車についてそれを広げていくということは、現在は困難であるという考え方でいまの制度を続けておるわけでございます。
  157. 安藤巖

    安藤委員 そうしますと問題は、やはり身体障害者の方々の足がわりとして利用されているかどうかのチェックの問題のような気がするのです。自動車税、軽自動車税は毎年支払っているというようなことで、そのときにいろいろチェックの仕方があるということは自治省の方からも私いろいろ聞いているのですが、現実には家族だけが使っておって身体障害君の人たちを本当に乗せているのかいないのかという点のチェックは、実際問題としてできないんじゃないかと思うのです。自治省の方でも、四十五年の通達をお出しになるときにもいろいろ御議論があったのではないかと思うのですけれども、やはり身体障害者の人たちに対する福祉税制的な考え方というものをお入れになって、あるいはさらには、雇用対策ということまで踏み込んでいろいろ措置をとっておられるわけなんです。  だからそういうことからすると、いまのチェックの問題もさることながら、軽自動車税、自動車税の方だって本当はチェックはなかなかむずかしいと思うのです。実際はできないんじゃないかと思うのですね。ところがそういう措置をとっておられる。やはり家計を一にする人たちが所有して運転するという場合には、身体障害者の人たちの足がわりに利用されておるというふうに大まかにとらえていただいて、そしてそれに対して物品税を減免するというようなことは、自動車税の方とパラレルに考えていただいてもいいんじゃないか。問題がチェックの問題なら、どちらもそんなに具体的にはチェックできないんじゃないかと思うのです。だから、その辺のところをひとつ踏み越えていただきたいと思うのですが、いかがでしょう。  それからもう一つ、その点については、先ほどは自動車税関係で運輸省の方からの要望というのを申し上げたのですが、物品税関係についてもやはり運輸省の方から、税制改正について軽減措置を要望するというのがあるわけです。そうしてさらに厚生省の方も「昭和五十四年度税制改正に関する意見」として、身体障害者の人たちと生計が同一の人が運転する自動車についても物品税を非課税にする必要があるという指摘までされているわけです。だからその辺のところを、同じ政府の部内ですからきちっと統一をとっていただいて、こういう要望にこたえていただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
  158. 高橋元

    高橋説明員 下肢、体幹の不自由な方に対する物品税の特殊用途免税、これは繰り返すようでございますが、そういう御不自由な方の足がわりということが一つの趣旨でございます。それからまた、そういうことがあってはならないわけでございますが、その利用が乱に流れる、つまり身体障害者以外の一般の方々が一般的にお使いになるというものまで及んではいけない。それをチェックするのが、繰り返しですが、物品税の場合には移出課税でありますので大変むずかしい。いま安藤委員おっしゃったことでございますが、自動車税、軽自動車税でございますと、仮に身体障害者と生計を一にしておられる方がそれを他に売られた場合には、売られたということが確実に把握できる。物品税の場合にはそれができないわけでございます。そこはまたチェックの問題と申しますか、税の公平を保っていくという場合に、本質的に税の組み立て方が違いますのでどうしてもつきまとってくる問題であります。  そこで、私ども決して福祉柳綱ということを念頭に置いてないわけではないのでございますけれども、乗用車につきましては現行の制度を維持していくということであろうと思っておりますが、関係の各省から具体的な御要望がございますれば、もちろんそれは検討はいたしますけれども、恐らく私がいま申し上げておるようなことで、制度上の違いということも十分御考慮願いたいと思っております。
  159. 安藤巖

    安藤委員 時間がもうなくなっておりますので、その問題を打ち切りまして、資源エネルギー庁、来ていただいておりますか。——一つたけお尋ねします。  御承知のように、石油貯蔵施設立地対策交付金という制度が設けられまして、その交付金の対象事業というものがいろいろあります。新増設の場合と既設の場合とでその対象事業に違いがあるわけですね。詳しいことは言いませんけれども、既設の場合は消防防災施設というふうに限定されておる。新増設の場合は一般公共施設。既設の場合はその対象が限定されているので、おかげさまでといいましょうか、そういう消防防災施設については十分な措置ができた。だから地方公共団体の中では、もっとほかの文教施設等々に使いたいのだが、そういう制限があって自由に使えないし、効果的に使えないという批判というか、要望というか、そういう声も出ておるわけなんです。だからそれに対して、既設の分についても事業対象を広げるということは考えておられないのかどうか、これを一つだけお尋ねします。
  160. 森清圀生

    森清説明員 石油備蓄の立地促進のための交付金の制度の中で、交付対象事業が新増設の場合と既設の場合とで差異があるという点は、先生御指摘のとおりでございますけれども、実はこの交付金とほぼ同種の制度が電源開発について前々からあるわけでございます。電源開発については、新増設だけが対象になっておりまして、既設を対象にしたのは、今年度から発足しました私どもの制度が初めてでございます。それに、私どものこの備蓄促進のための交付金は、安藤先生も御案内のとおり、五十三年度に新しく設けられた制度でございまして、ちょうどいま第一回目の交付金交付のための受け付け事務をやっておる最中でございまして、いままで交付金はまだ一度も実際に交付をした実績がございません。  そういうことでございますので、私どもとしましては、今後交付の実績が出てまいりますから、その段階で、その実績を見ながら、同時に、実績が出てまいりますと、実際に交付金を受ける市町村あるいは都道府県の方からもいろいろ注文なり要望なりが出てこようかと思いますので、その辺を踏まえまして、先生の御指摘の点、勉強させていただきたいと思います。
  161. 安藤巖

    安藤委員 終わります。
  162. 保岡興治

  163. 永原稔

    永原委員 少し通告と順序を逆にして御質問をしたいと思いますけれども、不公平税制感を国民は非常に心に抱いていると思います。そういう中で、特に三千万を超えるサラリーマンの人たちの中に巣くっている不公平感は、クロヨンとかトーゴーサンとかいう言葉で代表されているように思われますけれども、こういうような問題について、主税局はどういうようにお考えになっていらっしゃるのでしょうか。
  164. 高橋元

    高橋説明員 財政の状況が、御案内のような非常な不況に入ってまいりまして、これを健全化していくために国民に一般的な税負担の増加というものをお願いせざるを得ない、そういう状況に立ち至っておることはたびたび申し上げておりますし、そういう基本的な認識でございます。その中で、税制執行の両面を通じて不公平な点がありますれば、これは是正していかなければならないというふうに思います。  税の軽減を制度的にいたします場合に、その軽減された税額を結局ほかの方が負担をなさるわけでございます。税負担の一般的な引き上げが大事だという方向でいろいろなものを考えていきます場合に、それは従前よりはもっと税制の公平ということに配意しなければならぬというふうに思います。執行段階考え方は長官からお答えをいたしますけれども税制につきまして、私どもは基本的にさように考えていろいろ努力を重ねてまいりたいと考えております。
  165. 磯邊律男

    磯邊説明員 国税庁として御答弁さしていただきます。  いわゆるクロヨンとかトーゴーサンと言われますことは、一般のサラリーマンというのは頭から、ガラス張りで月給のときに源泉徴収されてしまう、にもかかわらず、農業所得者とか営業所得著というのは自分で自分の所得を計算して申告する。したがってその間に何らかごまかしができるのではないか、したがって、最終的な税負担がきわめてアンバランスになっておるのではないかということから出ておると思うわけであります。事実、いわゆる御自分で申告される納税者の中には、必ずしも正しくない申告をされる方もいないとは限りませんで、そういった人に対する把握の問題は、今後われわれの執行面において十分に努力していかなければならないと考えておるわけであります。  ただ、巷間言われておりますように、クロヨンとかトーゴーサンというのは極端な表現でありまして、すべての納税者を通じてそういったのが実態であるというふうにわれわれは考えておりませんで、これは一種のごろ合わせ的なものであると思っております。事実、自主申告納税しておられる納税者の大部分は非常にまじめに、誠実な申告をしているわけでございます。それからまた一方、給与所得者の方につきましても、いわゆる必要経費が余り認められていないのが不公平だという声もございますけれども、しかし、給与所得控除という形でかなりの額の経費が認められているわけでございまして、必ずしも両者の間に極端な差があるとは私は考えておりません。しかし、巷間言われているようなことがあってはいけませんので、この点については十分心して課税の充実を図ってまいりたいと考えております。
  166. 永原稔

    永原委員 税務当局では当然のお答えだと思いますけれども、やはり庶民感情としてこういう言葉が出てくるということをわきまえて、いろいろお調べいただきたいと思うのです。  今度、一般消費税という増税が考えられている。そういう中で、内需の拡大ということが非常に求められていながら、消費者の気持ちを冷やしているという現実が片方あるわけです。そして片方では、いま言ったような不公平感というのが現に多くの人の心に巣くっている。そういう中で直接税から間接税へ移行するという場合に、やはりどちらか減税をしていかないと、直接税を少しめんどうを見て、そうして間接税を新しくつくっていかないと、国民の納得が得られないのではないかという気がするわけです。  五十二年度は物価調整減税を政府考えました。五十三年度は、物価調整減税さえ考えていらっしゃらなかった。私どもが減税要求をいたしまして、第一段階として三千億の戻し税、これは、昨年の政府考えたああいう物価調整減税に対応する措置としても最低限必要だということで主張したわけですけれども、こういうようなものを考えながら、一般消費税というようなものを新設するという道を考えませんと、国民理解がなかなか得られないと思いますけれども、こういう点について、来年度あたりどういうようなお考えをとられるか、お気持ちはどうでしょうか。
  167. 高橋元

    高橋説明員 五十四年度税制改正にどういうふうに臨んでまいるかということは、私どもこれから諸般の経済情勢なり財政の状況なりを見通して、その中で予算編成の一環として勉強してまいる、したがって、来年度税制の個々の改正方針というのは、まだいまお答えするほどのものを持ち合わせておりません。ただし、基幹的な税金でございます所得税を初めとする各種の税金につきまして、現状で負担の軽減ということを考えることはきわめて困難であろうと思います。これだけ大量の国債を継続して五十四年度も発行されるということが、国民経済に与えますところの擾乱といいますか弊害と申しますか、そういうことを考えますと、やはり税負担の増加という線で基本的には考えてまいらなければならないと思います。
  168. 永原稔

    永原委員 先ほど長官が、必要経費も給与所得控除で十分見てある、こういうようにお話しになりました。ガラス張りという中で、それが十分でないという気持ちでトーゴーサンというような言葉が出てくるわけでありますけれども、それに付随して、国民の心にすぐ浮かぶのが医師の必要経費七二%という問題だと思うのです。この不公平税制というとすぐ取り上げられるのが医師の税制ですけれども、これは二十九年、社会保険診療報酬が適正化されていない、そういう中で立法府が、前提条件が適正化されるまでの間何とか暫定的にということで生まれた特別措置だと思いますけれども、前提条件が不備な中でつくられたこの特別措置、前提条件はいま改善されているとお考えになりますかどうですか。
  169. 高橋元

    高橋説明員 社会保険診療報酬課税の特例でございますが、二十九年に制定されました時期と現状とでは、全体の医療費の大きさが非常に異なっております。そこで私どもとしては、もちろん課税の特例につきまして是正を図る必要があると考えておりまして、多年政府税制調査会でもそういう方針を審議し、政府に対して答申があった。それで、五十三年度末まで現行の措置は存続を認めることとして、その間、これに対応する諸施策を速やかに講ずるということを自民党で、昨年の暮れに党議で御決定になったのですが、もちろん政府といたしましても、これに対応して所要の検討を現在進めておるわけでございます。
  170. 永原稔

    永原委員 立法府と行政府の立場での論争ということにしたいのですが、自民党という一つ政府・与党ですからそういうお答えも出てこようと思いますけれども、要するに、行政サイドの医療制度あるいは診療報酬制度というものが適正でなかった、そういうのに対応して立法府で、特別な措置を講ずべきだという立法ができたと思うのですが、その前提条件が本音に改善されていないとすればまさに行政の怠慢である、こういう指摘をせざるを得ないのです。  そういう中で、二十数年ずっとこういう特別措置が続けられてきた、片一方ではその前提を直さないで、片一方ではこういう措置をずっと継続してきた、何か政府に一体性がない。それぞれ各省独立したものであって、政府が本当に一本になっているのか、こういうことに私は疑問を持ちますが、こういう点ではどういうお考えでしょうか。
  171. 高橋元

    高橋説明員 診療報酬の水準、また社会保険制度はどうあるべきかということにつきまして、これまた所管の役所で、財政の状況を踏まえて審議し、十分な御検討が行われておると思います。私どもは、課税の問題といいますか、税制の問題といたしまして、先ほどお答え申し上げたような考え方で臨んでまいるということでございます。
  172. 永原稔

    永原委員 これは全体の方に御出席いただいておりませんのでやむを得ないと思いますけれども、医者というのはやはり無定量の勤務もやっていますし、社会奉仕もやっています。そういうのが実態であって、二十数年こうして放置されてきた、黙認されてきた、こういうところに期待感も生まれるでしょうし、また既得権を主張するのも当然だろうと思うのです。前提を直さないでいきなりこういうような是正をしようとしても、なかなか合意が得られない、これは理解できるわけですけれども、この前、四十九年ですか、税調で答申された四段階方式、これはいまも生きているというようなお考えで実現に移そうとされるのか、あるいは、五十年の決算を見ますと、会計検査院の報告もありますが、大分必要経費について差が出ているわけですが、こういうものを基礎にして税制改正をなさろうとするのか、そういう点についてのお考えを伺いたいと思います。
  173. 高橋元

    高橋説明員 この制度の社会的な前提というものがずいぶん変わってまいりまして、四十九年十月に政府税制調査会が出ました「社会保険診療報酬課税の特例の改善に関する答申」、これは五十年の税制改正答申に織り込まれております。それでまいりますと、「その頃」というのは、つまり制度創設時でございますが、「その頃に比べて医療経営の形態や規模の多様化により医師相互間の収入の開きは格段に大きくなり、さらに収入に対する経費率の分布もかなり区々となってきている。現在では必要経費率が七二%を超えて課税特例の適用を受けなくなっている医師も少なくない。このような実情からすると、社会保険医について税制により一定の所得水準の維持をはかるといった考え方はその社会的、経済的素地を失っているといえる。」こう言っているわけです。もちろんそのもう一つ前の前提は、二十九年当時に比べて相当情勢の変化が見られて、医療保健業の一人当たり平均所得は、給与所得者の平均収入の、四十七年でございますが、約四倍になる、こういう事実も指摘されておるわけでございます。  そこで、この租税特別措置法の二十六条の規定をどういうふうに改正していくかということでございますけれども、私どもとしては、四十九年に政府税制調査会からいただきました答申の線で改正を図ってまいるべきだというふうに考えております。
  174. 永原稔

    永原委員 片一方では会計検査院の報告を見ていきますと、それぞれ高くても必要経費は五四%、千五百万未満で五五%というような数字が出ているのです。こういうものについて、政策減税ですから七二%を維持しながら最低五二%というところまで持っていこうとする気持ちはわからぬではないのですけれども、いきなり二〇%削減というようなことになりますと、これに対する抵抗感というのは非常に大きいんじゃないか。二十何年も放置されていただけに一挙に直そうとすると抵抗感が出る。やはりこういう激変を緩和する、その間に前提としての医療制度あるいは社会保険診療報酬制度、こういうものを見直す、そういうような措置が必要ではないかと思いますけれども、そういう点についてはどうお考えでしょうか。
  175. 高橋元

    高橋説明員 いまお答えいたしました四十九年の税制調査会の答申の四段階、その考え方は、社会保険診療報酬の実態に近い概算的な実際経費率というものを一つ頭に置き、もう一つは、社会保険医の特殊な役割りと地位を配慮した措置としての特別控除ということを頭に置いて、その二つを組み合わせて構成するということで、社会保険診療報酬の収入水準によって段階的に経費率を引き下げていくという形をとっておるわけであります。これは、制度変更に伴う税負担の緩和ということを意図した性格のものではないと私ども考えております。
  176. 永原稔

    永原委員 三十九年当時の医療従業者の所得というのを給与所得者や事業所得者と比較して会計検査院の報告が出ておりますけれども、二十九年、給与所得者に対しては一・六倍、それから事業所得者に対しては一・四倍、こういうのがその後逐次、診療報酬制度が足正されながら、現時点においては給与所得君の四・六倍、事業所得君の六・六倍、こういうような状況が止まれているというように報告されております。そういう中で、これだけの改善があったとすると、やはりその都度この必要経費の算定について直していくのが当然であったと思うのですが、それを放置しておいて、ここで一挙に直そうとするから、これは医療従業者の方で抵抗感が大きいのではないか。やはりこれだけ激変が起こっておる中で、順次直していくのが当然であったけれども直さなかったとするならば、対応した激変緩和の措置がどうしても必要だと思うのです。そうでなかったら、いきなり強権的にやろうとしても、これは圧力団体というのが物すごい抵抗をするというのは当然ではなかろうか、こういう気がするのです。  先ほどの一般消費税の導入についても同じことだと思うのです。財政が苦しい、こういうような立場からどうしても増税しなければならぬということはわからぬではない。しかし、やはり一般の給与所得者の直接税というものを軽減しつつ間接税へ移行する、そういう姿勢を見せるのと同じように、激変を緩和する、そういう態度がどうしても必要だと思いますけれども、どうでしょうか。
  177. 高橋元

    高橋説明員 いわゆる医師優遇税制というものを是正していきます考え方について先ほどから申し上げておるわけで、私どもは、四十九年の税制調査会の答申の線で対処していくということで臨みたいと考えておりますし、またそれが、全体としての社会保険診療報酬または社会保険医の特殊な役割りと地位を配慮したということ、それから、課税の公平、つまり実態に近い概算的な実際経費率というもの、その二つを組み合わせることによって、永原委員からお示しのありますような考え方に私どもとしては十分沿っておるのではないかというふうに考えております。
  178. 永原稔

    永原委員 時間がありませんので、観点を変えて徴税面から、国の財政運営をどういうように御判断になるのか、伺ってみたいと思うのです。  先ほど税収状況はちょっとお話がございましたので、その中で特にもう少し分類して伺ってみたいのですが、落ち込んでいる法人税、この中にも好況業種はあろうと思います。産業分類、大分類でいくか中分類でいくか、いろいろな資料があろうと思いますが、好況業種というのは法人税上一体どういうようなものがあるのか、お知らせいただきたい。
  179. 磯邊律男

    磯邊説明員 国税庁調査いたしましたところによりますと、本年の三月期から六月期までの決算期が到来した大法人、資本金五億円以上の法人でありますけれども、これの状況を見ますと、これは対前期比で分類したわけでありますが、前期の水準いかんにもよるかと思いますけれども、前期に比較いたしまして非常に所得が伸びておるという業種を申し上げますと、まず一年決算の法人で申しますと、石油精製業、これが対前期比、つまり前年比と同じでありますが、前期比が申告所得金額が五〇〇・六%、それから九電力を除く電気・ガス供給業、これが一九三・六%、それから非鉄金属工業、これが一三八・九%、精密機械工業が一三二・八%、それからホテルとかリース業等のサービス業、これが一二二・七%といったようなところが目につくわけであります。  なお、九電力につきまして申し上げますと、これは六カ月法人でありますが、これを見ますと、対前年同期比が一三〇・二%というふうな形になっております。
  180. 永原稔

    永原委員 いまの特に好況業種と言われるものは、結局、円高のメリットによってこういう成果が上がっているのでしょうか、財政主導型の公共投資の成果、こういうように考えられるかどうか、そういう点いかがでしょうか。
  181. 磯邊律男

    磯邊説明員 ただいま申し上げました業種というのは、ほとんどがいわゆる円高による所得の増加というふうに私たちは見ております。
  182. 永原稔

    永原委員 無気の悪いときに財政主導型でいろいろやっていこう、そういう中で公共事業を中心にいろいろ投資が行われているわけですが、実際にはそういうものが税収面にあらわれてきていない。特にこれは源泉分の所得税ですが、前年同期と比べて落ちているというようなことから見ると、分配所得もそう多くなってはいない、こういうように思うのですけれども、公共投資をずっと続けていけば、これは建設国債が財源になっています。累増して、そういう中で実際に財政が硬直化していく、だからこれから脱却するために増税をしなければならない、こういう短絡的な結論になってくるのですが、本当にこれだけ公共投資をやって税収面から見て経済に大きな意義がある、こういうように判断できるでしょうか、どういうふうにお考えになるでしょうか。
  183. 高橋元

    高橋説明員 経済状況から、財政が短期的に景気の回復のために機能するということで、五十年以降主として公共事業費を中心として財政的な、フィスカルポリシーと申しますか、需要喚起政策をとってきたわけでありまして、それによって経済状況も逐次改善してきておるというふうに私どもは思っておりますし、また、このまま余り長い間財政だけで景気を支えていくということになれば、財政自身の体質の極端な悪化を招いていくだろうということも現時点の問題として考えているわけでございます。  先生の御質問の趣旨に必ずしも正確にお答え申し上げているのではないのかもしれませんけれども、私どもは、従来の財政政策によって経済がここまで回復してきて、もう少しでトンネルから出るところまで行っているのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  184. 永原稔

    永原委員 苦しい答弁ですけれども、さっき長官がおっしゃったのは、やはり円高メリットによってこういう好況業種というのがあるのだ、大部分がそうだというようにお話しになりました。財政主導で行くといっても、実際に税収面にははね返ってこない、ただ国際経済の中の円高という現象によってある程度税収が確保できるような状況になるだろう、何とかいけるだろうというような見通し。私は、本当にいまの財政政策で日本経済の立て直しができるのかどうか、かえってみずから財政の首を締めているのではないかという気がしてしようがないのですけれども加藤次長、いかがでしょうか。
  185. 加藤隆司

    加藤説明員 石油ショックの後、だんだんといろいろな点で改善されてきたことは事実だと思うのであります。最初国際収支が赤字であった、あるいは雇用の問題があった、それからインフレの問題があった、こういうような段階を財政を中心にしながら乗り越えてまいって、次の段階に、ようやく企業の赤字もだんだんと回復してきておるというような二番目の段階に入った。現在の段階を見ますのに、いろいろな経済の構造の問題、それから財政のアンバラの問題、そういう段階に来たのではないかと思われます。最初は、財政を犠牲にしながら他の部門あるいは全体の部門のバランスをとっていった、ようやく財政部門を中心とするアンバラを何とかしないと全体に悪い影響を与えるかもわからないというような段階に来ているのではないか。ですから、財政を犠牲にしながらいろいろな面でよくなってきたということは事実だろうと思います。  さて、これからどうするかというような段階で、いろいろ御議論はございますし、それから財政のいわゆる需要創出効果の低下という問題もございますが、ただいま申し上げたような時間的経緯を追ってみますと、それはそれなりの使命を果たした。さて、次に残された問題にどう取っかかるかというような段階に来たのではないかと思っております。
  186. 永原稔

    永原委員 時間が来てしまいましたけれども、私いまのようなお話の中で、本当に財政主導型という政府の方針が果たして意義があるかどうか、非常に疑問を持つようになってしまった。特に税収面の実態から見ていきますと、加藤次長は全体が非常によくなりつつあるのだということをおっしゃいますけれども、ここ数年、企業にしてもあるいは個人にしても、そういうような実感を持っていないというように私は思います。その中で一般消費税導入の問題があるわけですけれども、そういうものが内需喚起の冷や水にならないか、そういうような気がしてしようがありません。これは繰り返しになるからやめますけれども、こういうものについてはやはり慎重に行うべきだというように思いますが、時間が来ていますので、そういう意見を申し上げてきょうのところは終わりたいと思います。ありがとうございました。
  187. 保岡興治

    保岡小委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後一時十八分散会