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1978-11-21 第85回国会 衆議院 大蔵委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年十一月二十一日(火曜日)     午前十時四十分開議  出席委員    委員長 大村 襄治君    理事 小泉純一郎君 理事 野田  毅君    理事 保岡 興治君 理事 綿貫 民輔君    理事 坂口  力君       愛知 和男君    池田 行彦君       小渕 恵三君    大石 千八君       後藤田正晴君    佐野 嘉吉君       林  大幹君    本名  武君       森  美秀君    山崎武三郎君       山中 貞則君    大島  弘君       川口 大助君    沢田  広君       只松 祐治君    平林  剛君       山花 貞夫君    宮地 正介君       高橋 高望君    安田 純治君       永原  稔君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 村山 達雄君  委員外出席者         国土庁土地局土         地政策課長   佐藤 和男君         法務省刑事局刑         事課長     佐藤 道夫君         大蔵省主計局次         長       加藤 隆司君         大蔵省主税局長 高橋  元君         大蔵省理財局次         長       迫田 泰章君         大蔵省証券局長 渡辺 豊樹君         大蔵省銀行局長 徳田 博美君         大蔵省銀行局保         険部長     貝塚敬次郎君         国税庁長官   磯邊 律男君         通商産業省貿易         局為替金融課長 小川 邦夫君         運輸省航空局飛         行場部管理課長 金田  徹君         参  考  人         (三菱商事株式         会社常務取締         役)      永島峻次郎君         参  考  人         (丸紅株式会社         代表取締役常         務)      青井 孝一君         大蔵委員会調査         室長      葉林 勇樹君     ————————————— 委員の異動 十一月十日  辞任         補欠選任   荒木  宏君     安藤  巖君 同日  辞任         補欠選任   安藤  巖君     荒木  宏君 同月十三日  辞任         補欠選任   坂本三十次君     西銘 順治君 同月十四日  委員西銘順治君が退職された。 同月二十一日  辞任         補欠選任   伊藤  茂君     山花 貞夫君   荒木  宏君     安田 純治君 同日  辞任         補欠選任   山花 貞夫君     伊藤  茂君   安田 純治君     荒木  宏君     ————————————— 十月二十日  一、法人税法の一部を改正する法律案村山喜   一君外九名提出、第八十回国会衆法第一五   号)  二、土地増価税法案村山喜一君外九名提出、   第八十回国会衆法第一七号)  三、銀行法の一部を改正する法律案村山喜一   君外九名提出、第八十回国会衆法第四三号)  四、貸金業法案坂口力君外三名提出、第八十   回国会衆法第四九号)  五、租税特別措置法の一部を改正する法律案(   山田耻目君外九名提出、第八十四回国会衆法   第五号)  六、所得税法の一部を改正する法律案山田耻   目君外九名提出、第八十四回国会衆法第一八   号)  七、国税通則法の一部を改正する法律案山田   耻目君外九名提出、第八十四回国会衆法第一   九号)  八、国の会計に関する件  九、税制に関する件  一〇、関税に関する件  一一、金融に関する件  一二、証券取引に関する件  一三、外国為替に関する件  一四、国有財産に関する件  一五、専売事業に関する件  一六、印刷事業に関する件  一七、造幣事業に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国の会計税制金融及び外国為替に関する件      ————◇—————
  2. 大村襄治

    大村委員長 これより会議を開きます。  国の会計税制金融及び外国為替に関する件について調査を進めます。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。只松祐治君。
  3. 只松祐治

    只松委員 きょうは、大蔵委員会としては恐らく今年最後委員会と思います。短い時間でございますが、まとめてお聞きいたしますので、ひとつ要領のいい御答弁をお願いをしたいと思います。  まず来年度の予算案についてでございますが、この前の税小中身は多少論議をいたしました。要するに、税収がなかなか伸びません。しかし不況ですから、何とか予算はふやしていかなきゃならない。こういうことになると、一体その財源をどこに求めるかということになるわけでございますが、大臣の近ごろの発言を聞いておりますと、大阪の造幣局においでになったときには、新聞ですから、大臣に確かめたわけでございませんから、そこで確かめるわけですが、五十五年一月からというようなことでお話しになったということであります。ところが、これはそう言っちゃなんですが、大臣としてよりも私は大平派選挙運動おいでになったのだろうと思う。こっちにお帰りになってきのうきょうあたりの新聞を見ますと、何としてもやはり実施をしたい、こういうことのお話をなさっています。また、そういういろいろな活動もなさっております。  そういうことでまずお聞きをいたしますけれども、一体来年度予算はどういう規模の予算にしようとなさっておるのか、お答えをいただきたいと思います。
  4. 村山達雄

    村山国務大臣 来年度五十四年度の予算編成につきましては、いま事務的にどんどん進めておるところでございます。しかし、来年度予算の性格をどのようにするかという最後の詰めは、これは本格的編成段階で衆知を集めて決定せざるを得ないと思っております。  しかし、一般的な背景として申し上げられますことは、ただいま只松委員も御指摘になりましたように、税収伸びがそんなに出てこないという一点がございます。特に今年度五十三年度におきましては、五月分税収を二兆百四十億取り込んでおります。したがって来年度は十二カ月の歳入予算ということになりますので、ことしの予算二十一兆一千億、補正後でございますが、それを自然増収だけで確保するというのは精いっぱいではなかろうかという、これは感じでございますけれども、するわけでございます。  片方におきまして、国債の消化状況がはかばかしくない、御案内のとおりでございます。それで、無理をいたしますと幾つかの問題がございまして、応募条件を改定しなくちゃならないということになりますれば、金利の全面的反騰ということになりましょうし、あるいは民間の資金需要を抑えて公債消化をやる、社債なり株式に対する金融あるいは貸し出しを抑えるということになれは、いわゆるクラウディングアウトの問題を出します。両方全部賄うということになりますれば、当然のことながらマネーサプライの増加という問題に瀕してくるという問題意識を持っているわけでございます。  しかしそうかといって、歳出伸びについて申しますと、なお景気停滞から完全に脱却はしていない。財政についてもやはりある程度の期待が寄せられるのではなかろうか。ただ、これは私見でございますけれども、すべての構造不況業種とか雇用問題まで全部成長の問題で片づけて、それがしかも財政のみの負担にかかってくるようなことがございますと、問題をただ遷延するだけになるわけでございまして、かえってさっき申しましたようないろいろな矛盾が出てくると思うわけでございます。  したがいまして、まだフレームその他は今後の問題でございますけれども、できるだけ歳出の面で支出の優先順位をはっきりさしていく必要があるであろう。新規政策についてもスクラップ・アンド・ビルドの方式を本当に徹底していかなければならないでしょうし、それから歳入の面につきましても、不公平税制の是正はもとよりのこと、やはり合理的な受益者負担というものはかなり思い切って求めていかざるを得ないであろうと思うのでございます。しかしその場合でも、数量的の感覚で申しますと、それのみではとうてい考えられる財政需要は賄えないかもしれない。そうなりますれば、税制調査会が言っております一般消費税導入ということもやはり考えざるを得ないかもしれない。そういった意味で、いずれこの導入の時期、やり方等につきましては、政府税制調査会でこれから予算編成のときまでに御協議いただきまして御答申をいただいた上で、政府としては決意すべき事項であると思いますけれども一つの話のたたき台として見て、仮に再来年の一月から導入するということにした場合には一体どういうことになるであろうか、そのこともひとつ検討の材料にしてもらいたいという願望を込めまして、先般貨幣大試験の折にその種の話に触れさせていただいた、ありていに申しますとそういうことでございます。
  5. 只松祐治

    只松委員 私の持ち時間はきょうは三十分でございますので、結論だけで結構でございます。いまだけで十分近くかかっております。  私が聞いているのは、予算が大体去年と同じように二八・九%ふえるということのようですが、こういう大型予算をお組みになるのですか、それとも、一部言われておりますように、縮小といいますか抑制型の予算をお組みになるか、そのことの結論だけで結構でございますから、ひとつお答えいただきたい。
  6. 村山達雄

    村山国務大臣 かなり抑制型に組んでいかないと財政はもたないのじゃないか、そんな感じがいたします。
  7. 只松祐治

    只松委員 それから、一般消費税のことはちょっと述べられましたけれども新聞の報ずるところによれば、各省の官房長お呼びになったり、あるいは大蔵省の各種の審議会委員会会長さんをお呼びになりまして、一般消費税導入促進方を訴えられておりますね。ところがいまのところは、仮にとか、まあとかいうようないろいろな前提で、結論的なことをおっしゃいませんけれども、しかし、内部の話としては相当詰めたお話をなさっておいでになるわけです。何といったって税法国会国民に対して施行するわけですから、内部の方へも重要でございましょうが、やはり国民の理解を深めていく。私はこの前も時間がないではないかということを税小では盛んに申し上げておったのですが、そういう意味できょうここで大胆に、五十五年なら五十五年、五十六年なら五十六年から実施をしたいということをお述べになって協力を仰ぐというのが本筋ではないかと私は思いますが、来年度ですか、再来年度ですか、いつから実施されますか、ひとつお答えをいただきたい。
  8. 村山達雄

    村山国務大臣 いままで一般消費税導入につきましては、百五十カ所ぐらいからいろいろな説明会に来てくれというようなことでずっと参ってPRをさしていただいておるわけでございます。  途中を省きまして、私は税制調査会において正式の答申をもらって決めるわけでございますけれども、全体から申しますと、早ければ早いほど傷が深くならないうちに問題を解決できると思っておるわけでございまして、その一つたたき台として五十五年一月というものを検討してもらいたい、それを願望しているということでございます。
  9. 只松祐治

    只松委員 それから、この前もこれまた何回かやってきたのですが、主税局長に聞きます。  税調から大筋答申がありました。しかし、またこれも新聞の報ずるところによれば、税調答申から大分変わったような中身が報じられてきているわけでございます。今後の税調答申には、大筋よりたとえば一千万円の非課税限度額を二千万円にするとかという話が報じられておりますが、そういう大綱よりもまた変わった、いわば筋が外れたといいますか、そういうものがあり得るかどうか、大綱は変わらないということであるかどうか、お尋ねいたします。
  10. 高橋元

    高橋説明員 税制調査会の御審議は、今月の末から五十四年度税制改正一般についてお願いをいたす予定でございます。その際、いま委員から御質問のありました一般消費税の骨格に対する肉づけをどこまで御審議いただくか、これは税調の中で私ども、いま大臣からもお答え申し上げましたように、すでに百数十回にわたって各界から意見を伺っておりますので、それを御報告しながら、その主要な点について御審議を進めていただくという内容になろうかと思いますので、いま答えがどういうふうに進むかということを先取りしてお答えするのは適当ではないと思いますが、去る九月十二日の特別部会の試案の中でまだ決められていない事項、たとえばいまお示しのございました小規模零細事業者の除外の範囲でございますとか、それから税率の高さでございますとか、その他重要な諸点が幾つかございますが、そういうような点につきましては、さらに御審議を重ねていただいて、具体的な数字を示していただけるようになろうかというふうに私どもとしては期待しておる次第でございます。
  11. 只松祐治

    只松委員 続いて、国税庁長官お尋ねをいたしますが、これもさきの税小でソウルの地下鉄問題についてお尋ねをいたしました。鋭意調査をするというお答えでございました。あれからわずか十日でございますからどの程度進んだかですが、しかし、けさのある新聞なんかは相当詳細にその調査の進みぐあい等を報じております。その進捗状況お答えをいただきたい。
  12. 磯邊律男

    磯邊説明員 フレーザー委員会のレポートが発表されましてから、私たち国税当局といたしましては、フレーザー委員会報告されました内容を中心として現在、東京国税局において調査をやっておるところでございます。しかし、何分にも五年前のことでありますし、それからまた、対外的な取引等も絡んでおる事案でありますので、的確な調査がなされておる、はかばかしく進んでおるとは必ずしも申し上げられませんけれども、現在鋭意調査しておるところでございます。
  13. 只松祐治

    只松委員 ある新聞によれば相当細かく出ておるわけでございます。詳細なことは後で同僚議員から質問をする予定になっていますが、私はそこまでいたしません。ただ、こういう銀行預金等に不明の金がある、要するに預金者等が不明である、いまの調査段階で、こういうことも述べられておるわけですが、こういうことになれは銀行法上もいろいろ問題が出てくるだろうと思います。外換銀行といえどもこれは銀行局監督下にあるわけでございます。百万ドルの場合は、三井銀行、ファースト・ナショナル・シティー銀行、バンク・オブ・アメリカの口座に振り込まれておるわけでございます。こういうのは今度、国税庁とはまた別個に、銀行局としてもこういうものの不正な預金の問題については監査、監督等をいたしておるわけでございます。そういう点をお調べになったかどうか、あるいは、外換銀行といえども銀行局大蔵省監督下にあると思いますが、そういう点についてはどういうふうに取り扱われておるか、銀行局長の方からお答えをいただきたい。
  14. 徳田博美

    徳田説明員 外換銀行には東京支店大阪支店とあるわけでございますが、これはそれぞれ独立の銀行という形で免許されているわけでございまして、これに対して調査あるいは監督検査の権限があるわけでございます。  ただ、先生指摘の個別の案件につきましては、事実関係を明らかにしておりませんのでお答えいたしかねるわけでございますが、一般論といたしましては、無記名預金等の制度もあるわけでございますので、直ちにこれは銀行法違反に当たるということは言えないと思います。  いずれにしても本件は現在、国税当局捜査中とのことでございますので、そういう面からの調査が行われることを期待しているわけでございます。
  15. 只松祐治

    只松委員 無記名と不明とは全然違うわけでございますが、これは明らかに不明と書かれておる。そこまできょうは私は論戦をいたしません。  そこで、法務省にもこの前おいでをいただきまして、これもわずか十日間しかたっておりません。そのときにも、外為法違反の問題なり、あるいは状況によっては背任なり何なり、そういうことも生ずるであろうという刑事課長お答えでございました。それから、大体捜査段階といいますか、そういう事態を迎えているのではないかというお答えがありました。その後御検討をいただきましたかどうか、どういう状況であるか、法務省の方からお答えをいただきたい。
  16. 佐藤道夫

    佐藤(道)説明員 お答え申し上げます。  具体的な案件でございますので、検察当局がどのような動きをしておるかということを公にいたしますことは御容赦いただきたいと思いますが、いずれにいたしましても前回申し述べましたとおり、検察当局におきましても所要の関心を持っておるということでございますが、この段階におきまして、まだ犯罪の捜査を開始するに至る嫌疑を認め得るという報告は受けておりません。  なお、この問題につきまして、私どももそれなりに関心を抱きまして、その後正式にフレーザー報告書を入手いたしまして検討いたしましたが、御案内のとおり、問題の還流資金と言われておりますものが還流してきた時点が四十八年の二、三月ごろでございますので、外為法関係等につきましては、発生後すでに五年余りを経過しておるということで、公訴時効が一応完成しておるということもやはり考えなければならない問題ではなかろうかというふうに理解しておる次第でございます。
  17. 只松祐治

    只松委員 いまの三人のお答えを聞きましても、あいまいもことまでは申しませんが、なかなか微妙な発言が多いわけでございます。まあ個別案件でございますからやむを得ない面もあります。しかし、これがそういうことだけに終始しておったのでは国民に対して疑惑を解くことにはならない。また、これは国際的な問題でございますから、日本においてはどうしても解明をして結論を出していかなければならぬ。それはこの前国税庁長官が、三月十五日が期限であるからひとつそれまでに努力したいということでございますが、ぜひ何としても、この前は何とかすれば大体十二月ごろまでに多少のめどがつくだろうというようなお話もありましたが、確かに十日しかたっておりませんからやむを得ない面もありますが、さらに一層の御努力お願い申し上げたいと思います。  重ねて、大体いつごろまでに案件めどがつくか、国税庁側お答えをいただきたい。
  18. 磯邊律男

    磯邊説明員 先ほど申しましたように、やはりこういった国際下取引になりますので、意外に調査そのものが難航しておりまして、いつごろまでというふうに的確なお答えをすることは私、自信がございませんけれども、この問題に関するすべての課税関係除斥期間が満了いたしますのが、いろいろな場合を想定いたしまして来年の三月十五日でございますので、それまでにはわれわれとしての結論を出していきたい、かように考えております。
  19. 只松祐治

    只松委員 続いて、総ざらいみたいになって大変恐縮でございますが、男やもめ、寡夫控除の問題についてひとつお尋ねをしたいと思います。  私はこれは一昨年から、男女平等のこの世の中に男性が差別されておるというこの税法上の問題を取り上げたわけでございます。そのとき、いま次官になられた当時の主税局長の大倉さんから、明年からできるだけ実施するように努力をいたしますというような御発言をいただいたわけです。ところが、ことしは所得税の何らの改定がありませんで延びたわけでございますが、その間に今度は、寡夫控除より一歩進みまして、私はそのときも、寡夫控除をしたならば次に父子手当やその他、やはり父子家庭についても母子家庭と同じような諸施策を進めなければならない、こういうことを訴えたわけです。ところが、すでに岐阜県の郡上郡の八幡町では、父子手当というのを先月から出すようになりました。寡夫控除よりさらに進んだ福祉政策というのが出てきてしまったわけでございます。こういうことを考えますと、さらに寡夫控除必要性というものが出てきた。私のところへもその後いろいろな手紙や激励や要望等が参ります。ひとつ明年は寡夫控除をぜひ実現をしていただきたい、またすべきである、こういうふうに思います。去年も多分税調には国会審議のあれとして諮問をされたと思いますが、さらに強力に進められて、ぜひ明年から実施されるよう要望をいたしたいと思います。主税局長お答えをいただきたい。
  20. 高橋元

    高橋説明員 寡夫と申しますかかん夫と申しますか、生別、死別いずれもございましょうが、夫の方の寡夫でございますが、この寡夫控除の問題は、いま先生からもお話がございましたように、昨年の三月でございますが、前任の主税局長から当委員会で、前向きの方向で検討いたしますということを申し上げておりました。私ども現在もそれと同じ気持ちで検討を進めております。  それで、五十四年度の税制改正をどういうふうに具体的な答えを出すかは、税制調査会が全般にわたる御議論と検討を経られた上のことでございますから、予断することは慎ませていただきたいと思いますが、私どもといたしましては、五十四年度の税制改正に関する問題の一環として税制調査会審議お願いいたしたいという考えでございます。
  21. 只松祐治

    只松委員 国会報告書はもちろんでございますが、特に前年度から引き続いてのあれですから、どういう形の強い要望か知りませんが、税調には出していただきたいと思います。そういう特別の御配慮をしていただけますか。
  22. 高橋元

    高橋説明員 国会でいろいろお取り上げいただいた事項につきまして、六月に政府税制調査会に御報告をしたわけでございますが、前年来の懸案でもございますので、いま申し上げましたように税制調査会に、税制改正問題の一環として審議お願いする事項として取り上げていただきたいというふうに考えておるわけでございます。
  23. 只松祐治

    只松委員 続いて、証券局長お尋ねをいたしますが、この物価変動会計も私が取り上げまして、前の局長企業会計審議会ですかに諮ることを約束いたしまして、諮問が行われておるわけですが、その後会長さんが病気だ何だかんだということで一向にはかばかしく進んでおらないわけですけれども、その後の進捗状況をお知らせいただきたいと思います。
  24. 渡辺豊樹

    渡辺説明員 物価変動会計につきましては、昨年の五月に企業会計審議会諮問をいたしまして御審議いただいているところでございますが、本年の二月ごろから円相場動きがいろいろございまして、外貨建て取引会計処理基準について検討する必要があるということで現在、企業会計審議会ではその二月以降、外貨建て取引会計処理基準について鋭意検討を進めているところでございます。しかしながらこの問題も、その後の円相場のいろいろな動きもございまして、また、国際会計基準動向等もございまして、なかなか審議が進捗しておりません。そういうことでございまして、現在企業会計審議会では、物価変動会計そのものについての審議が一時中断しておりますが、しかし、外貨建て取引会計処理基準審議を極力急ぎまして、なるべく早い機会に物価変動会計問題について再度の取り組み企業会計審議会お願いしたいというふうに考えております。
  25. 只松祐治

    只松委員 不二サッシの粉飾問題が大変な問題に発展をしてきて、責任者刑事責任まで追及されておるわけです。しかし私が申しておりますように、数百万円あるいは一千万円の土地が何十円とか何百円のままの土地の評価になっておる、そういう私から言えばいわばでたらめ会計というのは、不二サッシだけではなくて、日本経済界全体がでたらめ会計をやっている。あえて粉飾決算とまで申しませんが、しかしこれは広範な意味粉飾決算だろうと思う。だからこういう観点からしても、物価変動会計というものをちゃんと進めないことには、不二サッシだけのこういう粉飾決算ではとどまらない、本当の会計検査というのは行えないと私は思う。  したがって、これは諸外国では、その正確を期するために、大蔵省やこれを担当しておる公認会計士協会が問題提起をしておるのです。残念ながら日本ではそういうことがきわめてルーズでございます。したがって野党の私がこの問題を提起した、こういうことになっておるわけですね。だから、渋々とかなんとかじゃなくて、こういう不二サッシや何かを見ましても、これはちゃんとしなければならない。またそこから出てくる当然の問題として、公認会計士さんが二人首になるとかならないとかいうような問題も出てきております。責任をとらされようとしておる。しかしこの問題も、いわば会計全体を物価変動会計にしないことには正確を期することは不可能なわけです。他の動産やそういうものは時価でやる、不動産やそういうものは昔のままの安いものでやっていく、どうしてそこに正確な会計計算というものが出てくるのですか。だから、部分的なそういう一人や二人の公認会計士を処分したところで、あるいは不二サッシはもちろん悪いけれども、そういう問題というのは日本の企業会計全般に根強く残っている問題なんですね。それをあなたたちはさして大したことでないように思って、余り一生懸命におやりにならない。  きょうは、一般財政の問題ではありませんけれども、そういうことが私が一番最初に取り上げた財政問題がそうなった原因ではないか。いままで大蔵官僚はきわめて優秀だ、こう言われておりながら、そういう根本問題をあえて言えばサボっておったというか見落としておったというか、そういう点に今日のいろいろな問題があると思う。その問題の一つがこの物価変動会計の問題だと思うのです。  それで、これは大臣にもお尋ねをいたしますが、これをインフレートさせまして課税をするということになれば、一時所得ではありますけれども、取ろうと思えば相当膨大なものが取れるわけですね。まあこれはいまの経済状態その他からしてなかなか容易でない面もありますけれども、しかし有力な大きな財源になることは事実です。そういう点等も考え合わせまして、ひとつ速やかに物価変動会計をつくっていただきたい。それから大臣としても、一部局に任せないで、日本経済全体の問題でもあるわけですから、そういう問題に積極的に意欲的に取り組んでいただきたい。あえて言えば不二サッシのこういう問題も、お考えになればなるほどやはり早期にしなければならないということだと思いますので、大臣の方からもひとつお答えをいただきたい、こういうふうに思います。
  26. 村山達雄

    村山国務大臣 いま証券局長からお答えありましたように、物価変動会計はいま検討中のようでございます。  特に外貨資産の問題あるいは国内物価の変動によるところの会計をどうするかという問題でございます。恐らくはこれはそのいかんによりましては、商法に関係いたしましょうし、企業会計原則にも関係してまいりますし、また当然税法上の所得計算にも関連する大問題ではないかと思うわけでございます。流動資産につきましては御案内のように、時価主義でやっておりますが、固定資産については原則として原価主義、こういうことで貫いているわけでございますけれども、それを根本的にいわば時価主義にしたときに、企業の経営の健全という立場からどうするのか、あるいは評価益に課税するということになるとそれは一体税との関係では所得税になるのかならぬのか、こういう広範な問題を含んでいると思うのでございます。そういう意味で、只松委員の御指摘になりました問題はきわめて大きな問題でございますので、外国の事例その他等も十分検討しながらこの問題を慎重に進めてまいりたいと思っております。
  27. 只松祐治

    只松委員 本委員会はきょうで最後でございますから、いままで私たちが国民を代表していろいろ発言あるいは討論をいたしましたことにつきまして、大臣以下各省ぜひひとつそういう前向きに検討いただき、実現できるように努力要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
  28. 大村襄治

    大村委員長 ただいま税制及び外国為替に関する件について、参考人として三菱商事株式会社常務取締永島峻次郎君、丸紅株式会社代表取締役青井孝一君が御出席になられております。  参考人各位には、御多用のところ御出席いただきまして、まことにありがとうございます。厚く御礼を申し上げます。  大島弘君。
  29. 大島弘

    ○大島委員 参考人の御両名には、お忙しいところ当委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。  私ちょっと委員長に申し上げたいのでございますけれども、本日、日韓問題を取り上げるにつきまして、当初、実は三菱商事の藤野現会長お呼びしておったわけでございます。と申しますことは、十月十七日のエコノミストにおいて、「金融・商社の再編成」という中で、記者が、戦前の三菱は憲政会と非常に関係があって、しかも四十九年七月の参議院選挙のときには、三菱グループとして某という人を支援しておったというような事情がある、それで、三菱と政治との関係はどうかと言いましたときに藤野会長は、うちの仕事は「半分以上は輸出か輸入で、外国との関係ですよ。だから政治家、あるいは大臣に頼んでどことの交渉をまとめるとか、そういうことがないから、商事会社はああいうものに」つまり政治ですね、そういう政治に「およそ感激がないんだ。」こういうふうにおっしゃっておられるのです。過日の衆議院予算委員会におきまして、ある委員質問におきまして当時の京城支店長、ちょっと名前は忘れましたが、この問題について、岸信介さんに頼んだら一番いいという発言がありました。私はこれとの関連質問におきまして本日、実は三菱商事の藤野会長に来ていただきまして、一九七一年から七四年までの間に朴大統領、岸信介さん、あるいは亡くなられた佐藤榮作さんと何度会ったかというようなことから始めまして、国民が非常に疑惑を持っておるわけですから少しお伺いしたかったのです。本日来ていただけませんでしたことは、私は非常に残念に思うわけでございます。後ほど国税庁長官の答弁も聞きますが、場合によっては再度、この委員会に来ていただきたい、国民はこれでは納得しないと思う、私はこのことを委員長に強く要請いたしまして、ただいまから質問に入りたいと思います。本委員会大蔵委員会でございますので、主として税、それから為替関係につきましてお尋ねいたしたいと思うわけでございます。  まず最初に、三菱商事にお伺いいたしたいのです。  チャソイル・エンタープライズに対して二億二千万の手数料を払って、そのうち約一億五千万を三菱商事が払った。この金の性格は何であろうか、またその経理の記帳は当時どのようにしたのであろうか、また、一体このチャソイル・エンタープライズというのはどういう会社なのか、その辺につきましてまずお答えいただきたいと思います。
  30. 永島峻次郎

    ○永島参考人 お答え申し上げます。  三菱商事の払いました金額は、いま先生一億五千万とおっしゃいましたが、一億五千五百万でございまして、米国三菱で支払いまして、交互計算によりまして当方へ勘定をつけかえてまいりまして、輸出取引のチャージとして記帳されております。  支払い時期は、昭和四十八年六月から五十年七月にかけて、貨物の船積みに応じまして十二回の分割払いとなっております。  他の三社につきましては、契約が別でございますので私どもでは詳細はわかっておりません。
  31. 大島弘

    ○大島委員 丸紅さんは、チャソイル・エンタープライズに対する支出について、どのように経理記帳されましたですか。
  32. 青井孝一

    ○青井参考人 青井でございます。お答えいたします。  当社の処理は、原価諸掛かりとしてこれを記帳いたしております。それで、米国等の海外店から払ったわけでございますが、これは交互計算勘定によって本社から支払いをいたしております。  四十八年の十月から五十年の二月にかけまして、九回に分けて支払いをいたしております。  その総額は、円貨で二千九百六十八万二円でございます。  これはすべてチャソイル社からの指図に従いまして指定のところへ支払ったものでございます。
  33. 大島弘

    ○大島委員 チャソイル・エンタープライズからどういう指図がありましたですか、どちらでも結構です。
  34. 永島峻次郎

    ○永島参考人 支払い先はチャソイル・エンタープライズから指定された先でございますが、個々の名前につきましては、商業信義上申し上げることを差し控えさせていただきたいと存じます。
  35. 大島弘

    ○大島委員 丸紅さんは。お答えいただきたいと思います。
  36. 青井孝一

    ○青井参考人 ただいま三菱さんからお話がございましたように、支払い先につきましては、商売上の道義もございますので御勘弁願いたいと思います。
  37. 大島弘

    ○大島委員 後ほどまたお伺いするかもしれませんが、次の問題に移ります。  二百五十万ドルのうち百二十万ドルは一九七一年、つまり昭和四十六年の四月から八月に払っておられる。この百二十万ドルは、最初三菱商事が立てかえて、後に他の三社から、商社連合から徴収している、これは間違いないと思うのでございますけれども、日韓定期閣僚会議が開かれたのは七一年、昭和四十六年の八月でございます。それからOECF、海外経済協力基金の政府借款が決まったのは翌年の七二年の一月でございます。なぜ日韓閣僚会議あるいはOECFの政府借款に先立って百二十万ドルという大金を三菱商事が立てかえ、しかも後に他の三社から徴収しているのか、三菱商事からお答えいただきたいと思うのです。
  38. 永島峻次郎

    ○永島参考人 これを支払いました理由は、どうしてもこの商売をとりたいということから、韓国の有力財界人からあった話を信用いたしまして、百二十万ドル支払う約束をいたしまして、これを先方の指示によりまして分割払いしたわけでございます。要するに、相手が従来のいきさつから非常に信用の置ける仁であった、こういうことでございます。
  39. 大島弘

    ○大島委員 常識的に考えまして、OECFの海外経済協力の政府借款が決まらぬ前にそういうふうな多額の金額を立てかえたということについては、そこにはあくまで、それは先ほど私が一番冒頭に申し上げましたように、政治とは関係ないという藤野会長の言葉どおりですか。全くコマーシャルベースでやったわけでございますか。
  40. 永島峻次郎

    ○永島参考人 全くコマーシャルベースでございます。
  41. 大島弘

    ○大島委員 常識というものがあるわけですが、これほど多額な金額をコマーシャルベースで果たしてできるかどうか、それほどコマーシャルベースというのは甘いものであるかどうか、私は後ほどまたお伺いいたしたいのでございますけれども、さらに、七三年一月に百万ドル、七三年五月に三十万ドル支払っています。この百万ドルは、地下鉄車両の輸出の入札契約時期と全く一致しております。それから三十万ドルは、地下鉄の車両輸出契約の時期と一致しております。つまり、百万ドルは七三年一月、三十万ドルは七三年五月、これに間違いないかどうか、また、なぜこういうふうな偶然の一致が出たのか、その辺を教えていただきたいと思います。
  42. 永島峻次郎

    ○永島参考人 私、三菱についてお答え申し上げますが、私どもが支払いましたのは、一九七一年四月に三十万ドル、それから一九七三年一月に二十五万ドル、一九七三年五月に七万五千ドル、合計六十二万五千ドルでございます。  それから支払い時期につきましては、先ほど申し上げましたように、韓国の財界有力人の指示に従いまして支払った次第でございます。
  43. 大島弘

    ○大島委員 私がお伺いしておりますのは、分担になれば、百万ドルのうち四分の一ですから二十五万ドル、三十万ドルのうち四分の一ですから七万五千ドルになると思いますけれども、それの支払い時期がたまたま地下鉄車両の入札契約の時期と一致している、後者の方は輸出契約と一致している、その辺の事情をお聞かせいただきたいということです。
  44. 永島峻次郎

    ○永島参考人 私の承知しておりますのはあくまで、先ほど申し上げました韓国の有力財界人の時期の指定によりまして、その指示に従いまして払ったということだけを承知しております。
  45. 大島弘

    ○大島委員 丸紅の方はいかがですか。
  46. 青井孝一

    ○青井参考人 私の方が支払いましたのは、四十六年七月二十九日に三十万ドル、それから四十八年一月二十九日に二十五万ドル、四十八年五月二日に七万五千ドル、合計六十二万五千ドル支払っております。  この時期につきましては、三菱商事さんからの御依頼によって支払ったものと聞いております。
  47. 大島弘

    ○大島委員 恐らくそうだろうと思います。三菱商事の指示によって支払われたと思うのですが、三菱商事にお伺いするのですが、指示があれば何でもやるのですか。
  48. 永島峻次郎

    ○永島参考人 この韓国有力財界人は非常に信頼できる仁であるということで、これはケース・バイ・ケースでございますけれども、その財界人を信用いたしまして指示どおりに支払った次第でございます。
  49. 大島弘

    ○大島委員 その財界人はあなたは御存じですか。
  50. 永島峻次郎

    ○永島参考人 私は、韓国の有力財界人とのみ聞いておりまして、実際の姓名は存じておりません。
  51. 大島弘

    ○大島委員 三菱商事の役員としてあなたが知らないということは、三菱商事側としてはだれが知っているわけですか。その人の名前あるいは住所あるいは職業ということは、三菱商事側ではだれが知っているわけですか。
  52. 永島峻次郎

    ○永島参考人 当時この地下鉄を担当しておりました者が知っていると存じております。
  53. 大島弘

    ○大島委員 その人は現在三菱商事におりますか、名前を言ってください。
  54. 永島峻次郎

    ○永島参考人 現在弊社の常務取締役をしております林哲男というのが存じておると思います。
  55. 大島弘

    ○大島委員 委員長お願いいたします。次回の大蔵委員会においてその林重役をぜひともお呼びいただきたい。
  56. 大村襄治

    大村委員長 理事会において協議いたします。
  57. 大島弘

    ○大島委員 それでは、経理関係につきましてお伺いいたします。  その百二十万ドルあるいは百万ドルあるいは三十万ドル、これは各社それぞれ分割していますからトータルで申し上げているのですけれども、手数料あるいは寄付金あるいは交際費、いろいろ名目はあると思うのですけれども、まず三菱商事はどういうふうな経理記帳をいたしたのでございますか。特に百万ドルと三十万ドル、つまり二十五万ドルと七万五千ドルにつきまして、どういうふうな経理記帳を当時いたしたのですか、その点についてお伺いいたしたいと思います。
  58. 永島峻次郎

    ○永島参考人 経理処理の細かい点につきましては聞いておりませんけれども、三菱商事では経理記帳はいたしておりません。
  59. 大島弘

    ○大島委員 全然経理記帳かない。商法によりましてもあるいは税法によりましても、日々の取引を記帳するということが原則なんでございますが、大三菱商事がこういうものについて全然記帳がないということを経理担当のあなたとしてどういうふうに考えられますか。
  60. 永島峻次郎

    ○永島参考人 先ほど申し上げましたことは、ちょっと誤解を招くような発言をいたしましたけれども、米国三菱商事が負担しておりまして、米国三菱商事で記帳しております。
  61. 大島弘

    ○大島委員 米国三菱商事、MICと本件の地下鉄車両輸出とは何の関係があるのですか。
  62. 永島峻次郎

    ○永島参考人 本件に関しましては、米国三菱商事自体の今後の韓国との取引を考えまして、自主的に負担したと聞いております。
  63. 大島弘

    ○大島委員 入札契約、輸出契約は米国三菱、MICの名前ですか、それとも三菱本社の名前ですか。
  64. 永島峻次郎

    ○永島参考人 三菱商事だと思います。
  65. 大島弘

    ○大島委員 三菱商事ならば、この車両はぜひともとりたいと言っておりながら、その記帳をアメリカのMICに任しておくということで、日本国内においては全然記帳もないということ、これは後ほど国税庁長官にもお伺いしたいのですけれども、普通ならばそれは受贈益として計上しなくてはならないはずなんです。おたくが払うべきものを米国三菱が払ったとなると、これは当然そこに受贈益というものがある。それをなぜ記帳しなかったのですか。
  66. 永島峻次郎

    ○永島参考人 米国三菱商事が記帳いたしまして経費処分をいたしたものですから、本店としては記帳いたしておりません。  なお、課税につきましては、受贈益という御認定によりまして課税を受けております。
  67. 大島弘

    ○大島委員 関連質問でちょっと国税庁長官にお伺いしたいのですが、その前に、丸紅の方はどういうふうに記帳されましたですか。
  68. 青井孝一

    ○青井参考人 当社におきましても、支払いをいたしましたのは丸紅米国会社でございます。したがって、日本における記帳はございません。
  69. 大島弘

    ○大島委員 国税庁長官にお伺いいたしますが、こういう事態を庁としてはどういうふうにお考えなんですか。
  70. 磯邊律男

    磯邊説明員 国税庁といたしましては、こういった場合、A法人のためにB法人が支払ったといったような場合には、当然そこに受贈益というものが発生するわけでありますけれども、同時にそれをA法人については、実際の処理としましては認定損を立てなければいかぬということで、受贈益と認定損がそこで相殺されまして、そこで課税所得としてはその限りにおいてはゼロになるというふうに考えるわけであります。しかしその場合に、その認定損を認めない、それを損金処理しないというふうに処分いたしますと、そこには受贈益だけが残るということになりまして、そこで課税の対象になるということでございます。
  71. 大島弘

    ○大島委員 国税庁には守秘義務がありますから、直接お尋ねいたしませんが、三菱商事並びに丸紅株式会社におきまして、その場合にどういう加算税を取られたのですか。つまり、使途不明金あるいは限度超過で否認されて、その上過少申告加算税かそれとも重加算税を取られたのですか、両社ともお答えいただきたいと思います。
  72. 永島峻次郎

    ○永島参考人 税額の詳しいことにつきましては、約六千万円と承知しておりますけれども、多分重加算税は入っていなかった、このように記憶しております。
  73. 青井孝一

    ○青井参考人 税金の総額は約八千八百万円でございますが、重加算税は入っておらないと聞いております。
  74. 大島弘

    ○大島委員 こういう事態ですが、国税庁長官お尋ねしたいのですけれども、何ら記帳しない、しかも多額の金額、それを恐らく過少申告加算税で済ましたのだろうと思うのです。しかし、こういうことがもしわかれば——わかればといいますか、もうわかっているわけですけれども国民にわかれば、他の法人は一体どういうふうに対処するだろうかということです。あるいはこれは青色申告の取り消し要件に該当すると私は思うのです。重加算税、隠蔽、仮装、それから青色申告の取り消し要件には当然該当すると思うのですけれども、その点、長官の意向はいかがですか。
  75. 磯邊律男

    磯邊説明員 重加算税の対象になる事案、それからまた青色申告取り消しの対象となるべき理由ということにつきまして、私たちはかなり慎重に考慮しているわけであります。そういった意味におきまして、このたびの処理につきましても、全体として総合判断した上で、これに対しては重加算税の対象としない。あるいはまた青色申告の取り消しの対象としないというふうに考えて処理したわけでございます。
  76. 大島弘

    ○大島委員 それで、国税庁の方針として今後もそういう方針ですか。
  77. 磯邊律男

    磯邊説明員 青申の取り消しあるいは重加対象事案というのは、個々に判断しなければいけないのでありますけれども、全般的に青色申告の問題につきましては、現在国税庁全体の方針といたしまして、できるだけ青色申告法人あるいは青色申告の個人をふやしたいという考えでやっておりますので、青色申告の取り消しまではよほどの場合でなければやらないというのがわれわれの考えであります。ただし、重加算税の問題等につきましては、やはり一つ一つのケースによるわけでありますけれども、今度の場合を通じまして、日本の財界を代表しあるいは企業を代表するような大法人が税務上のトラブルを起こすというふうなことは、全般的に納税思想に重大な影響を及ぼすおそれがありますので、私どもとしては、この点についてはまことに遺憾な経理処理であると考えております。
  78. 大島弘

    ○大島委員 長官からまことに遺憾であるという御発言をいただきまして、これで恐らく全国の百何十万の法人は、あなたの遺憾であるということを私は十分わかっていると思います。  私がかように申し上げるのは、特に三菱商事に申し上げたいのですけれども、過般、税制及び税の執行に関する小委員会におきまして、三菱商事の例の株の売買、これに対して約六十億重加算税を払ったということで、私が加藤竹松当時の副社長、何かいま大阪におられるようですが、呼んで、あれば脱税ではないというような答弁をしまして、後ほど藤野会長が、やはり脱税であったというような答弁をしているわけです。一回だけならまだしもということがあるのですが、三菱商事はわかった範囲で二回なんですよ。アメリカ三菱、MICがあれば何にも国税当局にはわからないという感覚をお持ちじゃないのか。二回も累犯、最も悪質だと思うのです。その点について一遍御答弁いただきたいと思います。
  79. 永島峻次郎

    ○永島参考人 税務上のトラブルにつきましては、その都度税務御当局と詳細にわたって論議を尽くしまして御説明していることでございまして、私の方といたしましては、当初から不届きなことをいたすつもりは毛頭ございません。
  80. 大島弘

    ○大島委員 不届きなことをしているじゃないですか。四十七年九月から四十八年三月ごろまで株の売買でアメリカ三菱は大もうけしている。この韓国地下鉄の輸出契約がちょうど最盛であったのが四十七年ごろです。一九七二年から七三年までおたくが、MICを媒体として、実質上は三菱商事ですけれども、あの百何十億かの株の売買とたまたま時期が一致している。これについての所見、つまり、その株の売買資金がこの韓国輸出のリベートに回っているのじゃないかどうかということをお伺いしたいと思うのです。
  81. 永島峻次郎

    ○永島参考人 株の売買と地下鉄につきましては全く関係ございません。この点は税務御当局でもよく御了解いただいていると存じます。
  82. 大島弘

    ○大島委員 金に糸目はないというのですけれども関係ないということがどうして言えますか。
  83. 永島峻次郎

    ○永島参考人 株につきましての大部分の金額は本邦の税金に充てられまして、残りはパートナーに帰属したと聞いております。この辺の事情につきましても、税務御当局に御了解いただいていると存じます。
  84. 大島弘

    ○大島委員 国税庁長官にお伺いいたしたいのですが、いまの三菱の答弁で間違いございませんか。
  85. 磯邊律男

    磯邊説明員 国税当局としてもそのように解釈をして処理いたしました。
  86. 大島弘

    ○大島委員 通産省来ていますか。——外国為替管理法三十条、許可なくして対外との債権債務を結んではいけない、結んだ場合は罰則があるということは御存じで、これは通産省が所管するやに承っておりますが、本件につきまして、外為法関係について、先ほど只松委員からも質問がありましたけれども、どのような調査をされたか、御答弁いただきたいと思います。
  87. 小川邦夫

    ○小川説明員 本件につきまして、通産省といたしましては、三菱商事等四商社に対しましてこれまで事情聴取を行ってまいりました。四商社いずれも、現地法人からの支払い、各六十二万五千ドル、計二百五十万ドルの支払いは認めておりますが、本社につきましては、債権債務関係の存在は否定しておりまして、したがいまして、支払い自体も全く行っていないというふうに主張しております。当省といたしまして吟味いたしましたところ、特にこれを覆す事実はつかみ得ていない、こういう状況でございます。
  88. 大島弘

    ○大島委員 恐らく三菱側の主張は、書面によらないからということでしょうけれども、契約というのは書面に必ずしもよる必要はない、意思表示の合致で成るんだ。したがって、本件の場合には当然債権債務が結ばれているというふうに思うわけです。それについて三菱商事といたしましては、外為法の関係を違反ではないと言われますか。先ほど刑事課長の話された時効は別ですよ。
  89. 永島峻次郎

    ○永島参考人 二百五十万ドルの四分の一、すなわち六十二万五千ドルにつきましては、米国三菱がみずからの判断で負担して支払っておりますので、当社といたしましては、外為法との関係はないと存じております。
  90. 大島弘

    ○大島委員 ちょっと待ってください。米国三菱はみずからの判断といいますけれども、株の構成はどうなっていますか、簡単に答えてください。
  91. 永島峻次郎

    ○永島参考人 一〇〇%本社が持っております。
  92. 大島弘

    ○大島委員 一〇〇%本社が持っていることをMICが自己判断でできるのですか、こんな大きなことを。
  93. 永島峻次郎

    ○永島参考人 本社と話し合いの上で米国三菱が好意的にみずからの判断で負担したと聞いております。
  94. 大島弘

    ○大島委員 一方的とか好意的とかというのはどういう意味ですか、国民にわかるように話してください。
  95. 永島峻次郎

    ○永島参考人 米国三菱が米国三菱自体の今後の韓国との取引を考えまして、みずからの判断で処理した、こういうふうに聞いております。
  96. 大島弘

    ○大島委員 丸紅株式会社の方はどうですか。
  97. 青井孝一

    ○青井参考人 ただいま三菱商事さんからお話がありましたと同じような事情で、当社の米国会社が丸紅全体のことを考えて自発的に払ったものと聞いております。
  98. 大島弘

    ○大島委員 次回大蔵委員会におきまして藤野会長並びに林常務取締役の出席をまた求める機会もあろうかと思いますから、問題を先に進めたいと思います。  ドナルド・フレーザー・レポートによりまして、金大中事件はまだ国民の記憶から消えていない。KCIAによる主権侵害も国民は全部知っております。そしてこの地下鉄事件、これは国民に非常に暗い印象を与えたということも、これも国民は全部知っているわけです。そういう意味におきましてこのフレーザーレポートというのは、痛烈な過去の悔恨の報告と呼ばれているわけでございます。しかし他面また、輝かしい歴史的報告とも呼ばれているわけでございまして、これはやはり日本政府への警鐘といいますか忠告といいますか、そういう意味で私たちはこのドナルド・フレーザー・レポートを解釈しているわけでございますが、もう御承知のとおりフレーザー・レポートがありまして、過日の委員会におきまして国税庁長官は、調査中であるから次回の大蔵委員会、つまりきょう、わかる範囲で発表する、こういうことを言われました。  まずお伺いしたいのは、日本国内へ送金されたという二百五十万ドル及び七十万ドルの日本国内における流れをできるだけ詳しく説明していただきたいと思うわけでございます。特に二百五十万ドルが米国のS・K・キム口座へ払い込まれたとしておりながら、これが名義が変わって韓国外換銀行、コリア・エクスチェンジ・バンクですか、この口座へ送金された、こう言われております。つまりS・K・キムの口座名義がなくなって韓国外換銀行の口座に振りかえた、こういう点につきまして詳しく御報告いただきたいと思うわけでございます。
  99. 磯邊律男

    磯邊説明員 過日の大蔵委員会税制委員会におきまして、大島議員の御質問に対しまして、本日の大蔵委員会の日まで調査して判明した点につきまして御報告申しますということを御答弁申し上げたわけでありますけれども、それによりましてただいまから御答弁申し上げます。  まずフレーザー委員会のレポートによりますと、日本へ還流されたらしいとされています金額百二十万ドルと百万ドルと三十万ドルがあったわけです。  この百二十万ドルにつきましては、御承知のように現地でそれに関する伝票類等が処分されておるのでこれは不明であるという言い方で、チェース・マンハッタン銀行ニューヨーク支店の韓国外換銀行東京支店口座に入ったということはほぼわかりましても、その細かい点は全く不明だということでございます。  それからいま御質問の百万ドルの件でございますけれども、これは四商社の現地法人から昭和四十八年、つまり一九七三年の一月二十九日に韓国外換銀行ニューヨーク店のS・K・キム口座に払い込まれた。それが翌日、チェース・マンハッタン銀行ニューヨーク店の韓国外換銀行東京支店の口座を経て、チェース・マンハッタン銀行東京店の韓国外換銀行東京支店口座に振り込まれたわけでございます。この間、電信為替によって送金されています。  そこで私たちはまず、チェース・マンハッタン銀行東京店の韓国外換銀行東京支店口座にあります口座の動きを見たわけでありますけれども、この口座を見ますと、その当時、二月一日あるいは二月二日、このころはチェース・マンハッタン銀行取引が一日に大体五百万ないし六百万ドル程度の規模の取引であります。それでそのときに、その中でチェース・マンハッタン銀行ニューヨーク支店の韓国外換銀行東京支店口座から電信送金によって振り込まれましたのを見ますと、百万ドルございます。それに対しまして二月一日、二月二日、この二日間にわたりまして、フレーザー・レポートで述べられておりますファースト・ナショナル・シティー・バンク、バンク・オブ・アメリカ、この二行に対する出金というものを見たわけでありますけれども、まず入金につきましては、その百万ドルはこれは確認できました。それから出金につきましては、二月一日にFNCB、つまりファースト・ナショナル・シティー・バンクでありますが、これが十八万ドルございます。それからバンク・オブ・アメリカにつきましては三十五万ドルあるということであります。これは先ほど申しましたように、大体五百万ドルないし六百万ドルの中から拾い上げたのがこの二つの金額であります。それから二月二日を見ますと、バンク・オブ・アメリカに対しまして二百七十五万ドルの出金があり、ファースト・ナショナル・シティー・バンクに対しまして百十四万ドルの出金があり、それから三井銀行に対しまして百万ドルの出金があるということが判明したわけであります。  しからば、FNCB並びにBOA、それから三井銀行、それぞれの店においてこれがどういうふうに動いておるであろうかということをわれわれはまた調査いたしたわけでありますけれども、まずファースト・ナショナル・シティー・バンクにおきましては、ただいま申しました十八万ドルと百十四万ドル、この二つの入金がございますが、それの出金、つまり借方を見ますと、これは輸出手形の買い取りとコールマネーの返済ということに相なっておるわけであります。  それからバンク・オブ・アメリカ東京店の韓国外換銀行口座を見ますと、まずその入金につきましては、先ほど申しました三十五万ドルと二百七十五万ドルがあるわけでありますけれども、それに対する借方、つまり出金を見ますと、ファースト・ナショナル・シティー・バンクと同じように、輸出手形の買い取り、コールマネーの返済ということになっておるわけであります。  それから三井銀行東京店におきます口座を見ますと、これは二月二日に百万ドルの入金がございます。そしてそれが、もちろんそのかわり金として韓国外換銀行に当時のレートで三億百四十八万円の円が渡されておるわけでありますけれども、その二月二日の同日付で韓国外換銀行はこれをまたバンク・オブ・アメリカに売りまして、そしてまたその円がなくなり、バンク・オブ・アメリカ東京店に韓国外換銀行の口座として百万ドルの入金があるということでございます。  三井銀行で見ますと、これはたまたまその二日ほど前に短資業者を通じまして百万ドルの買い注文をしていたということが、ここで取引が成立いたしまして、三井銀行としては百万ドルのドルを買ったということになって、これは通常の為替取引ではないかというふうに見られたわけでありますが、チェース・マンハッタン銀行の東京店にあります韓国外換銀行東京支店口座に入りました資金のそれぞれの金融機関の資金の動きは、以上のようでありました。  それから、もう一つの流れといたしましては、四十八年、つまり一九七三年の五月三日から四日ごろにかけまして、韓国外換銀行ニューヨーク店S・K・キム口座に振り込まれたと言われる三十万ドルでありますが、これにつきましては、フレーザー・レポートに述べられてありますように、韓国外換銀行東京支店口座にそれが振り込まれておるというようなことになっておるわけであります。  現在われわれとしてまだ調査中でありますのは、先ほど言いましたバンク・オブ・アメリカに振り込まれた百万ドル、最終的に韓国外換銀行として持っている百万ドルというものがどういうふうに動いておるか、それからまた、韓国外換銀行東京店に振り込まれましたと言われておる三十万ドルがどのように動いておるかということにつきまして、鋭意調査をしておるということでございます。  しかし、何分にもこれは海外取引の問題でもございますし、さらにまた、膨大な伝票を相手に調査をしなければならないことでございますので、この点非常に調査が難航しているということを御報告したいと思います。
  100. 大島弘

    ○大島委員 東京国税局の職員が休暇も返上し、また夜遅くまでこの調査をしているということを私も十分承知しております。非常に御苦労だと思うわけでございますけれども、いまの御答弁にちょっと漏れておったS・K・キム口座が韓国外換銀行名義へ変わったということにつきまして、どういうことか調査の結果わかりますか。
  101. 磯邊律男

    磯邊説明員 大島先生指摘のとおり、私たちもこのフレーザー・レポートを読み、それからまたこの資金の流れを調査いたしましたときに、S・K・キム口座に振り込まれた資金がいつの間にかそれが韓国外換銀行の資金となって流れておるというところも、大きな疑問点の一つでございます。しかし、これは何分ニューヨークの問題でございますので、私たちとしては直接に調査できないので、いまこれは韓国外換銀行を通じまして、その間の事情を説明するようにということを要求しております。まだ回答は届いておりません。
  102. 大島弘

    ○大島委員 いまドル、円、ドルという流れ追及をしているわけですが、ドル、円、円であるかあるいはドル、円、ドルであるか、これは追及をされておると思うのですが、いまの調査では小切手出金で、現金出金も見られているわけですか。
  103. 磯邊律男

    磯邊説明員 大体その送金が行われました期間の前後の現金出金を含め、主として支払いでございますけれども、すべての支払い等について伝票で調査しておる状況でございます。
  104. 大島弘

    ○大島委員 本件につきまして、国民の大半はどこへ流れたかということは想像がついていると思うのですが、あるいはフレーザー・レポートのように果たしてその金であるかどうかということは別にしまして、どういうところへ流れておるかということは大体想像がつくわけでございますけれども、三菱商事並びに丸紅株式会社の方にその辺の事情を一遍お伺いしたいと思うわけです。
  105. 永島峻次郎

    ○永島参考人 米国三菱がニューヨークで支払いました以降につきましては、一切承知しておりません。したがって、特にどう思うか、申し上げようがございません。
  106. 青井孝一

    ○青井参考人 当社につきましても、丸紅米国会社で支払いをいたしました後につきましては、一切何も存じ上げておりません。
  107. 大島弘

    ○大島委員 私は、丸紅の立場はある程度やむを得ないと思うのですが、問題なのは三菱の態度でありまして、これほど多額の金を払うのに、どういう目的で払うのか、どういうところへ行くのかということか、少なくとも会社の幹部で——あるいは藤野さん一人のトップシークレットなのか、ある程度会社の中核をなす人々も全然知らない、しかもそれで経理記帳できますか、その点についてお伺いしたいと思います。
  108. 永島峻次郎

    ○永島参考人 当時のいきさつを聞きますと、韓国財界有力人が任してくれということで、一切その行方についてはチェックいたしておりません。
  109. 大島弘

    ○大島委員 それにつきましてすべて任してくれ、何百万ドルという大きな金をすべて任してくれということだけで果たして支出するのですか、あるいはそれに基づきまして経理記帳できるのですか。
  110. 永島峻次郎

    ○永島参考人 先ほど申し上げましたように、韓国有力財界人は、過去のいきさつから非常に信頼できる人物、こういうふうに判定したと思います。したがって、商売をとりたいということで先方の指示に従ったものと存じております。
  111. 只松祐治

    只松委員 いまのお答えをずっと聞いておりまして、一〇〇%本社が株を持っておる、相手方の外国の方を知っているからといってあるいは信頼できるからといって、何の指示も内容もなくてとにかくすべて任せてくれ、こういう形は一般の国民にはなじまないし、商慣習なり何なりとしてはあり得ないだろうと思うのですね。きょうは御参考人でございますから証人じゃございませんから、いわば適当な言葉と言っちゃ大変失礼でございますけれども、まあ言い逃れできるか知りませんけれども、いずれにいたしましても、これは何らか速記録を通じて他のマスコミ等にも流れる問題ですね。いまお答えのようなことでは国民は納得しないし、あるいは皆さん方としても後でいろいろ気が残るのじゃないですか。だから、もう少し正直にと言っちゃなんでございますけれども、ある程度までのことはお話しいただくということが国民国会に対する責務ではないかと私は思います。きょうは証人じゃございませんからあくまで要求はいたしませんけれども、余りつれないようなお答えだけじゃなくてもう少し実のあるお答えを賜りたい、こういうふうに私は思います。
  112. 永島峻次郎

    ○永島参考人 ただいまの只松先生お答えいたしますけれども、弊社といたしましてはあくまで、韓国有力財界人の指示に従ってやったことでございまして、実際に米国三菱商事がニューヨークで払いました以降のことにつきましては、事実一切承知いたしておりません。
  113. 大島弘

    ○大島委員 時間もありませんが、指示に従ってとばかり言われますけれども、指示があれば何でもやるのかということを全国の国民がきょうのマスコミを通じまして全部知っておるわけです。そうして恐らく国民の大半は大体想像がついておると思うのです。  いま只松委員も言われたように、あなたは証人じゃないから私はこれ以上申しませんけれども委員長お願いいたしましたとおり、恐らく主役である藤野会長並びに事実を知っている林取締役を他日当委員会にぜひとも喚問して——もしやましくなければ出られるはずです。きょうだって私は出られるはずだったと思うのです。病気か何か知りませんが、アメリカから帰ってすぐ病気になるというようなことは普通考えられない。他日必ず当委員会において、もしやましくなければ藤野会長みずから林常務取締役を帯同して出て、国民の本当に納得いくような御答弁を願いたいということを、私は委員長に強くお願いいたしたいと思うわけでございます。  最後に大蔵大臣にお伺いいたしたいのですが、本当に五十四年度、一般消費税導入をお考えになっていらっしゃるのですか。
  114. 村山達雄

    村山国務大臣 先ほど只松委員にも申し上げましたように、きわめて財政は危機の状態にあります。したがいまして、歳出の節減についてもできるだけ努力いたしますし、また不公平税制その他につきましてもできるだけ努力いたすわけでございますが、おおよその規模からいってそれのみではとうてい賄えないのではないかという感じを持っております。そういう意味で、早ければ早いほど傷は深くならないで済むという考えを持っておりますので、五十五年一月ごろからもし実施することができれば非常にベターではなかろうか、こういう感じを持っております。
  115. 大島弘

    ○大島委員 五十四年一月、来年の一月ですか。
  116. 村山達雄

    村山国務大臣 これは税制調査会であれでございますが、ただいま申し上げましたのは五十五年一月という意味でございます。
  117. 大島弘

    ○大島委員 そうしますと、五十五年一月実施ということは一応いまのところ避けられない事態だ、こういう御答弁だと思います。  新聞の報道によりますと主として福祉に使う。福祉に回すこと自体は非常に結構なんですが、目的税なんですか、それとも一般税なんですか。
  118. 村山達雄

    村山国務大臣 この点もいま税制調査会でいかなる使途に使うかということで検討が行われているわけでございます。一つは、目的税ないし特定財源という方法もありますし、それから経常経費財源が非常に乏しいという意味で一般財源とすべきだという意見もございます。またその中間をいきます意見といたしまして、一般財源ではあるのだが、実際の運用上福祉に重点を置いて使ってはどうであろうか、ちょうど自動車重量税のような考え方もあるやに聞いているわけでございます。いずれもそれぞれ理由のあることでございますので、この点は税制調査会において御検討いただきたい、こう思っているわけでございます。
  119. 大島弘

    ○大島委員 先ほど三菱商事の問題も出まして国民が知りたがっていることなんですけれども、これも国民が知りたがっていることです。福祉か増税かという択一的な課題を国民に押しつけて、その前に不公正税制の問題とかあるいは歳出節減の問題とか、そういうことを十分おやりになったと思われますか。つまり、不公正税制なりあるいは歳出節減というようなことをやってどうにもならなければ福祉か増税かで迫っても結構だと思うのですけれども、いまその段階であるとお考えであるわけですか。つまり、なすべきことをしているかどうかということで、その点でお伺いいたしたいと思います。
  120. 村山達雄

    村山国務大臣 五十三年度予算におきましても御承知のとおり、歳出の節減についてはできるだけ努力したつもりでございます。評価につきましてはいろいろありますけれども政府としては全力を挙げてやったつもりでございます。また、いわゆる不公平税制につきましても、昭和五十一年以来ずっとやっております。企業課税等につきましてはかなりの成果を上げたものと思っておりますけれども、なお残っている問題があることももう御案内のとおりでございます。したがいまして、自余の不公平税制の問題につきましては、当然のことでございますけれども、新規の増税の前に、あるいはそれと並行してぜひやらなければならない。さらに歳出抑制につきましても、より一層厳しくやっていく必要があろうと思うのでございます。しかし常識的に申しまして、それだけによる財源の捻出には限りがある、とうていそれだけでは賄えるような状態ではないであろう、私はこういう考えを持っておりますので、いわゆる消費税についてもできるだけ早い機会に早い導入の足がかりを得たいものだ、かように願望しておるわけでございます。
  121. 大島弘

    ○大島委員 それは主税局のしょっちゅうの答弁で、不公正税制租税特別措置法等を改正したところで歳入は知れているということを言われるのですけれども、これは程度問題。不公正税制で七千億ぐらいしか浮かないとかなんとかいいますが、不公正税制というのは何も医師優遇税制や価格変動準備金だけじゃない、大臣主税局長をやられたのだからその辺はよく御存じだと思うのですが、退職給与引当金あるいは貸倒準備金、こういう本当に利益留保と認められるものに対して思い切ったなたをふるわれて果たして七千億か八千億かそれとも何兆かということで、経済学者やあるいは東京都庁あたりの調査によりましても何兆という増加が見込まれるということです。いまお考えになっているのは、医師の優遇税制と価格変動準備金ぐらいで、そういう根本的な利益留保の準備金、引当金に手を加えるおつもりはないのかどうか、そういう結果で果たして歳入増が知れているのかどうか。一般消費税にかわるぐらいの十分な歳入が望めるとわれわれは思うのですが、その点いかがですか。
  122. 村山達雄

    村山国務大臣 これも税制調査会でかねがねから御検討いただいているわけでございますが、いわゆる引当金の制度というものにつきましては、程度の問題はございますけれども、それはやはり負債勘定として認めるべきものであろうと考えているわけでございます。  問題はまさにその程度の問題でございますが、退職給与引当金を累積限度で二分の一にしているのにはそれだけの理由があってやっているわけでございます。いま思い出すのでございますが、当時企業会計原則側では総額充てるべきであるということに対しまして、金利計算その他をいたしまして、その合理的な点は二分の一である、こういうことで、税の方でアッパーリミットを二分の一にしたのは御承知のとおりでございます。  その他貸倒引当金につきましても、実情等を見まして逐次縮減いたしておるのでございまして、もとより再検討はやぶさかではございませんが、それから得られる税収というものは、恐らく大島委員のお考えとわれわれが常識的に持っております感覚では少し違うのではなかろうかなという感じがいたしておるのでございます。
  123. 大島弘

    ○大島委員 他日この問題につきまして日を改めましてお伺いいたしたいのですが、いかがですか、私も本会議で過去二回お話をしたのですが、租税特別措置法を全廃する。なぜなれば、時限立法で期限が来た、また継続、継続というふうなことが繰り返される。もうこの際、こういう不公正な税制を全廃する。それから、その中で本当に必要なたとえば少額貯蓄の非課税の問題とか、そういうものを個別立法するなりあるいは本法に組み入れるなり、そういうお考えはありませんか。この際もう全廃する、これは隠れたる補助金ですから。
  124. 村山達雄

    村山国務大臣 御案内のとおりに、このいわゆる私たちの言うところの政策税制というものは、課税公平の点から見ますとやはり疑問点がありますものの、日本の経済を運営する上においてある種のインセンティブをつける必要があると考えてやったものでございまして、その限りにおいては私は一概に廃止すべきものだとは考えておりません。ただ、一たびこれが実施になりますと、どうしてもそれによって利益を得る人たちは固定したがる、あるいは定着したがる、この点について厳しい見直しが必要であり、絶えずそのときの情勢においてスクラップ・アンド・ビルドなんですが、全体としてはスクラップの方向に持っていきたいということは、しばしば申し上げているとおりでございます。したがいまして、一挙に全廃をして改めてやるということは、いまのところ考えておりません。
  125. 大島弘

    ○大島委員 時間が参りましたので、もう一度確認いたしますけれども国民のこれほどの反対がありながら大臣は、五十五年一月一般消費税実施というお考えで間違いありませんですか。
  126. 村山達雄

    村山国務大臣 これは先ほども申し上げましたように、税制調査会において慎重な検討を経たその答申を基礎にしてやるわけでございますけれども、われわれとしては問題提起の意味、また現在の財政事情から申しまして、ぜひ早期導入を願望している、そういう意味で五十五年一月からということを言わせていただいたわけでございます。
  127. 大島弘

    ○大島委員 この辺でもう一般消費税反対の国民の世論を十分御検討になっていただきたいと思うわけでございます。  私の質問はこれで終わります。
  128. 大村襄治

  129. 坂口力

    坂口委員 いま一般消費税の問題が出ましたので、私も一番先に一般消費税の問題をひとつお尋ねをしておきたいと思います。  この委員会における大臣の答弁やあるいはまたいろいろな場所におけるいろいろのお話等から総合して、この新税を導入したいという皆さん方の意向というものは、これは十分にわかるわけでございますが、しかしながら、この新しい税制導入によって新しい財源を何に使うのか。たとえば新しい政策を遂行するためにそれを使用するのか、それともいままでの赤字を埋めるためにそれを使用するだけなのか、その辺のことにつきましては一向にはっきりとしたお話がないわけでございます。その辺のところをきょうはひとつお伺いをしたいわけであります。  先ほどもお話が出ておりましたが、これを福祉財源にする、こういう話も前々から出ているわけでありまして、昨日も毎日新聞等にはそういった考え方もあるというようなニュースが伝えられているわけでございます。しかしながら、よく考えてみますと、たとえは福祉の制度を現在のままにしておいて、そしてそれに対して一般消費税からの財源を向けるということであるならば、他のいままでそこに導入されておりました財源はほかのところに回されるわけでありますから、これはどこから回すかということだけでありまして別に前進ではないわけであります。果たして福祉財源に使われるかどうかということよりも、その制度改革等をあわせて行っていくかどうかというところに最大の問題があろうかと思うわけでございます。この辺のところをまず最初にお聞きをしたいと思います。
  130. 村山達雄

    村山国務大臣 先ほども申しましたように、これは税制調査会といたしましても、やはり実質的な意味で何に使うのか、あるいは一般消費税というものについて国民の合意を得るためにもどうしたらいいのか、こういう角度からいろいろ論じられているわけでございます。  もとよりこれは経常経費財源として考えているわけでございますし、特に赤字公債依存度が高まっておりますので、財政論から申しますと、やはり一般財源の方がその面では端的にわかりやすいのでございますが、一方、福祉の問題というものと結びつけた方が国民が納得しやすい、いろいろの問題がありまして、福祉内財源に使ったらどうか。しかしまた、特定財源には特定財源としてのいろいろな心理的のプラス面もございますけれども、またそれだけがどんどん伸びていくというようなことになりますれば、それ自身全体としての歳出構造のアンバラという問題もやはり遠い将来を考えるときに心配されなくちゃならぬ。その中間案として、広い意味の福祉財源に使ったらどうであろうか、そういう構想も出ているやに聞いているわけでございます。御案内のように自動車重量税は、法律的には一般財源でございますけれども、実際の運用は総合交通体系、やはり道路に主として使っておりますが、こういう現実的な方法もあるわけでございまして、そういう幅広い見地からいま税制調査会でせっかく御審議をいただいておりますので、この一般消費税の問題が国民の間に論議されることと並行いたしまして、これらのその使途についてもあるいはそのあり方についてもだんだんコンセンサスが得られるということを希望しておるわけでございます。
  131. 坂口力

    坂口委員 確かにいま大臣がおっしゃいますように税制調査会で、その税制内容でありますとかあるいは導入時期でありますとか、いろいろのことについて討論されていることは事実だろうと思います。しかし、それはその新しい税制をどうするかという、どちらかといえば技術的なことでございまして、それをなぜ導入しなければならないかということまでそこでは議論はされないのではないか、そのことはむしろ政府がお考えになり、そしてその広い考え方の中で税制調査会はより技術的なことを御審議になっているのではないか、こういうふうに私思うわけでございます。ですからいま大臣は、税制調査会で話が進められていることだから、どういうふうに使うかということについてもなかなか言いがたいということをおっしゃるわけでありますけれども、しかし、事細かなことは別にいたしまして、大枠の話として、こういうふうな方向に政策というものを展開していきたいから新しい税制導入したいのだというならばこれはわかるわけであります。しかし、その辺のことは何もなしで、しかも新しい税制をということになってまいりますと、これはどういたしましてもわれわれとしては、いままでの赤字の穴埋めだけに何とかして新しい税制をつくって埋めていくのだというふうにしかこれは理解できないわけであります。そういうことになりますと、われわれとしては反発もしなければならないということになってまいります。  現在まで聞いております範囲内での一般消費税というものに関しまして、私たちは反対をいたしておりますけれども、しかし、その方法や内容や時期や、あるいはまたそれをどのように使っていくかという、そういった方向を明らかにしてもらうならば、あるいはわれわれも考え方を改めなければならない点もあるかもしれないわけです。しかし、その辺のところが依然としてあいまいもことしておりますのでいま伺っているわけでありまして、もう一度大臣の所見を賜っておきたいと思います。
  132. 村山達雄

    村山国務大臣 税制調査会というのは、税の技術的な側面とかあるいはその仕組みだけを実は論じているわけではないのでございまして、当然のことでございますが、日本の経済状況について一般的に御説明申し上げ、また、財政の過去から現在における推移、あるいは公債消化状況、それから歳出がどうなっているか、その一環としての税制という問題を論じているわけでございます。したがいまして、各界の人が入っておられるわけでございますし、また、政府側で得ましたいろいろな百何十団体との折衝の感触等もお伝え申し上げて、そして使途につきましても御意見をいただく、こういう性質の調査会でございますので、私たちは非常に期待いたしておるのでございます。  先ほど私が申しました三つの考え方というもの、これは問題提起をしているわけでございまして、それの中で一体どういう方法がいい、どういう使途がいいのか、そういったことを、各界の人が集まっておりますので、その辺でやはり感触を出していただく方が、大勢の衆知を集めるという意味で、しっかりしたものができるのではなかろうか、かように考えているわけでございます。  政府といたしましては、これがスムーズに導入されますように、そしてそれが現在の財政対策にもなるように、また国民の納得も得られるように、各方面からその問題を考えているわけでございますので、いま政府が、これは一般財源だとか特定財源だとかあるいは運用上広い意味の福祉に充てろというようなことを即断しかねておる、こういう状況でございます。
  133. 坂口力

    坂口委員 少し大臣と意見がかみ合わないわけでございますが、大臣のおっしゃることはおっしゃることでわかります。いまの税調の中でそういった面につきまして議論をされていることもわかります。しかし、税調でそういう議論がされる前に、政府としての新税導入に対する新しい基本姿勢というものがあってしかるべきだ、その辺についても明らかにされないというのはどういうわけかということを私は申し上げているわけであります。ですから、いままでの政策というものを遂行をしていく、そういう過程の中で足らなくなってきたから新税を導入をするというのか、それとも新しい政策の転換を求めてそのための財源として使うという意味でこの税を考えられたのか、その辺すら明らかにしておみえにならない、それでは一般消費税導入すると言われてもわれわれとしては納得できないじゃありませんか、こういうことを申し上げているわけであります。  ですからその辺のところは、より具体的にとまでは言いませんけれども、ある程度はっきりとした方針というものを明らかにすべきじゃないか。この席でおっしゃれないというのであれば、大体いつごろになったらそのことをはっきりさせられるのかということをひとつお答えをいただきたいと思う。
  134. 村山達雄

    村山国務大臣 実は経常経費財源としての一般財源が非常に苦しくて赤字公債が累積しているという問題と、それから、歳出面でございますところのたとえば社会保障経費なりあるいは広い意味での文教経費なり、こういったものの増高という問題とはうらはらの関係にあるわけでございます。盾の両面になっているのでございます。したがいまして、もし歳出の方が抑えられるものであるならそんなには要らないわけでございます。しかし、当然のことでございますが、現行の法律的な裏づけになっておるものだけを入れましても、将来高年齢化社会を迎える、あるいは教育に対する国民関心の高まりとともにこれがある程度ふえるということは、これは何としても避けがたいところであるわけでございますので、その問題は財源的に考えますとうらはらの関係にあるわけでございまして、別のものを論じているわけではないのでございます。  したがって、その場合にどういうふうなセットの仕方が弾力性を持っておるのか、さらに国民的な合意が得られるのか、そういうそれぞれの主要費目別の、あるいは内容的な経費の今後の増加の傾向というものを見通しながら、それと歳入との関係、赤字公債との相関関係を考えながらこの問題は決めるべきではなかろうか、実はうらはらの関係にあるという認識を持っているわけでございます。
  135. 坂口力

    坂口委員 時間的な長さとしては大分詳しく説明していただきましたけれども、肝心のところは避けて通っておりますのでどうもはっきりいたしませんが、続いてお聞きをしますけれども、前委員会において大臣は来年度子算につきまして、総理がおっしゃった「第三の道」という言葉を踏まえて発言になっているわけであります。そこでいまおっしゃったような教育、福祉の問題をそこに主張しておみえになるわけでありますけれども、いまおっしゃった一般消費税導入ということと、それから総理あるいは大蔵大臣がおっしゃっている教育、福祉に対する財源の重点配分ということとは、これは一体の話なんですか。
  136. 村山達雄

    村山国務大臣 総理のおっしゃっております「第三の道」というのは、いわば普通申します投資部門の問題を言っておるわけでございまして、その中には、いわゆる主要経費分類でいうところの一般公共事業あるいは公共事業関係費のほかに、主要経費分類では文教予算の中に含まれておる、あるいは社会保障経費の中に含まれておる四条国債対象費、こういうものも含めて総理はおっしゃっているわけでございます。     〔委員長退席、保岡委員長代理着席〕  したがいまして、総理の考え方をもう一遍パラフレーズして申しますと、広い意味で、同じ公共投資をやるにしても、従来のような産業関連と申しますか、どちらかと言うと成長に結びつきやすい道路とか港湾とかそういったものだけではなくて、もっと広く、従来一般公共事業と言われておるものにおきましても、投資水準の低い下水であるとかあるいはごみ処理であるとかこういったものに重点を置くと同時に、従来ともすれば一般公共事業費の中に主要経費分類では入っていない学校だとか社会福祉施設であるとか病院であるとかこういったものにも、同じ公共投資をやる場合にも目を向けるべきではないか、それが現在の各種類ごとの社会資本のレベルを均等化する道にもつながるだろうし、同時に雇用対策にもつながるであろう、こういう発想で申されておるのではないかと思いますし、私は、それはそれなりに合理性を持っておると思うのでございます。したがって、経常経費の話をされているわけではない、さように理解しておるのでございます。
  137. 坂口力

    坂口委員 前回大臣は、広義の教育、福祉に対する考え方と、狭い意味での教育、福祉に対する考え方という二つの分け方をされまして、そして、五十三年度の予算においてもすでに広い意味ではそういう方向で来ているけれども、来年度の予算においては、もう少し狭い意味で教育、福祉の面においてより重点的な施策をするというふうな意味発言をされたというふうに私、記憶をしているわけであります。  そこで、いま総理のお考えの一部というものについての大臣のお考えを示されたわけでありますけれども大臣がお考えになることの中で、来年度の予算はまだこれから大枠をお決めになるところであろうと思いますけれども、しかしその中で、いままでの御答弁の中から導き出されるものとして、たとえばこういったことにより重点的なことをやっていきたいと思うのだという大臣のお考えがありましたら、ひとつお聞かせをいただきたい。
  138. 村山達雄

    村山国務大臣 今度の補正予算で、広い意味での公共投資約二兆五千億という事業規模を決めましたが、その中でいわゆる「第三の道」というものをやったわけでございます。それは、従来の公共投資の中の生活関連ということだけでなくて、病院であるとかあるいは社会福祉の充実であるとか、従来一般的には主要経費分類で入っていないもの、そういったものに着目すべきであるということを言われているのでございまして、その意味で私は同感なのでございます。何よりもやはり現在投資水準が際立って低いものについて重点的にやるということ、それから、それが雇用改善に役立つということ、その二点を中心に考えるべきではないであろうかということは、総理と同じような考えを持っているわけでございます。それを予算編成の過程でもう少し個々に詰めまして、そうかと言って、極端にまた新しいアンバランスをつくるようなことのないように、計画的にそれを進める必要があるであろう、このように現在のところ考えているところでございます。
  139. 坂口力

    坂口委員 いまお答えになりましたことが本当にそのように実現されるならば、私も考えておりますことは方向性は同じでございまして、賛意を表する次第でございますが、しかし、いつもこういうところで答弁をしていただきましても、それが途中で後退に後退を重ねまして、現実の実現の段階になりますと、初めの発言とはどうも似ても似つかぬものになってしまうというケースが多うございますので、私もいまの発言を忘れずに覚えておきますけれども、その辺のところを十分含んでおいていただきたいと思うわけでございます。     〔保岡委員長代理退席、委員長着席〕  たとえばの一つとして私の方からも出させていただきたいわけでございますが、いま教育、福祉という問題が出ましたけれども、その中からは若干外れるかもしれませんが、もう一つ公害等の問題もあると思います。公害もいろいろな範囲がございますけれども、たとえば地盤沈下等の問題で非常に苦しんでいるような地域もたくさんあるわけでございます。全国で五十カ所以上に及んでいるというふうに言われておりますけれども、これは特に海岸沿いでございますけれども、いわゆるゼロメートル以下のところがたくさん出てまいりまして、こういったところに対しましても、いままで予算というのは、わずかずつはついておりますけれども、大体一つの個所に百メートルかせいぜい多くても二百メートルぐらいの範囲しか進まない、こういった形になっておりまして、そういたしますと、なかなか全体にそれができ上がっていかないというようなことで、最後まででき上がりますとまた初めの方は地盤沈下をして落ち込んでいる、毎年毎年やられます範囲が段階的になっているというようなところも、私は全国を歩かせていただきますとあらこちに実はあるわけであります。  この二、三年大きな台風等もございませんので、これはいまのところは大きな出来事がなしに済んでおりますけれども一つ大きな台風でも来ようものならこれはどうなるかという、そういう場所を見ますと、本当に背筋の寒くなるような思いをするわけでありまして、そういった場所に対しては、より積極的に予算配分というものをしていただくというようなことも来年度予算の中には盛り込まれてしかるべきではないか。それはうっかりしていると人命にかかわる、そうしてまた過去、いままでの大きな台風等によって非常に大きな害を受けている、そういう地域が多いわけでありまして、その辺のところもひとつ勘案をしていただきたい、これは一例として私の方から要望をしたいわけでございます。もし御答弁をいただくといたしましたら、後ほど御答弁をしていただきたいと思います。  それから、一般消費税でもう一つだけお聞きをしておきたいと思いますけれども、先ほど只松委員がお聞きになって、私ちょっと聞き漏らした感じもするわけでありますけれども、たとえば小規模事業者保護の免税範囲でございますけれども、この一千万と言っておりましたのがたとえば二千万というようなこと、いままでの税調答申とは若干これも異なっていることでございますけれども、その辺はかなり答申の枠を踏み越えて議論をされているということなのか、そして先ほどの福祉の問題等もこれは関連をしてまいりますけれども、その辺のところは踏み越えた結論になる可能性も十分にあるのかということだけもう一つお聞きをしておきたいと思います。
  140. 高橋元

    高橋説明員 九月十二日の特別部会の試案の中では、いま御質問のございました小規模零細事業者の除外の基礎になります売上高の基準というものにつきましては、「家族経営的な小売業者などは納税義務者から除外することを目途として」決める。ただし、「その具体的水準は、このような考え方に沿ってさらに検討の上新税の導入時点で決定することが適当である。」ということになっておったことは御高承のとおりだと思います。この具体的な数字が出ておりませんのですが、同じ部会の試案の中で、新税の税収を示しております部分がございまして、「新税の税収は、仮に小規模零細事業者の除外の範囲を一千万円以下とすれば税率一%当たり四千五百億円程度、これを二千万円以下とすれば四千三百億円程度と見込まれる。」ということが同じ試案の中に書いてございます。  さらに具体的に検討するということで、これは具体的な導入の前に仕組みをお示しするという趣旨の試案でございましたから、まだそこは詰まっておらないわけでございますが、ただその税制調査会の御審議の中で、金額の具体的な水準をどうすべきかということについていろいろな御意見がありました。その中には、もう少し大きい方がいいという御意見もあったわけでございます。もちろん欧米諸国にありますように、小さい方、本当の意味の記帳に耐え得ないような零細規模の方に限定すべきであるという御意見が多かったわけでございますけれども、もっと大きな金額を考えてもいいじゃないかという御意見もございました。  そこで、いま答申の範囲を踏み越えて、こういう御質問でございましたけれども、そういう金額の水準についていろいろな御意見がまだ税制調査会の中に残っております。それから、大臣からも先ほどお話がありましたけれども、私ども具体的に各界の方々と百数十回に上りまして意見を伺う機会を持っております。その際、さまざまな御意見を伺っております。そういうことをもとにして私どもとしてはこれから税制調査会で御審議をいただいてまいるということでございます。ですから、すでに九月十二日の試案の中で一千万円という数字が決まっておるわけではございませんし、これから現実的にいろいろなことを考えながら、税制調査会の御審議を経て成案を得ていくようにいたしたいと私どもとしては考えておるということをお答え申し上げます。
  141. 坂口力

    坂口委員 地盤沈下についてもし大臣、一言ありましたら……。
  142. 加藤隆司

    ○加藤説明員 大臣の御答弁の前に計数的なことを申し上げますが、五十一年の当初で、河川でやっております地盤対策でございますが、二千三百億でございました。五十二年度の当初で、これを二六・五%上回ります二千九百十億、それから五十三年度は、さらにこれを三六・六%上回ります三千九百億ぐらいになっております。従来こういう点には配分に当たりまして非常に注意を払っております。
  143. 村山達雄

    村山国務大臣 地盤沈下の問題は、やはり生活環境の基本的な問題になりますので、先ほど加藤次長から資料で説明いたしましたが、ここのところをどんどん飛躍的にふやしているわけでございまして、補正予算でも事業費にして約千億ぐらいふやさしていただいております。今後ともこういう点に十分きめ細かい配慮をしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  144. 坂口力

    坂口委員 国税庁長官がお見えいただいておりますので、ひとつお聞きをしたいと思いますが、先日「昭和五十二事務年度における法人税及び源泉所得税の課税事績について」という国税庁からの結果が発表になっております。これを見せていただきますと、実地調査が十二万六千件やられておりまして、これで全体の七・九%という数字が出ております。この中で、所得を過少に申告したためまたは無申告であったために更正、決定等を行った件数は九万八千件で、実地調査の七八%に及ぶ、金額にして七千二百七十一億円という数字が出ております。また、仮装または隠蔽により故意に所得を脱漏しているいわゆる不正申告件数は二万八千件で、これは実地調査件数の二二%に当たる、こういう結果を見せていただいて、実は何となく愕然とする思いがするわけでございます。七・九%、約八%でこれだけの数字でございますから、この故意にした不正所得は千六百九十億円でありまして、これが七・九%の中から出てきたわけでありますから、これをもしも仮に全体に広げるということは乱暴なことでございますけれども、広げたといたしましたら、二兆円を超える額になるとも思われるわけでありまして、非常に残念な結果であろうと思うわけでございます。  そこで税の捕捉の問題を以前から、トーゴーサンでありますとかクロヨンでありますとかいろいろ言われてきたわけでありますが、なかなかこれが改善がむずかしい現状にあることは私どもも承知をいたしております。しかしそうはいいますものの、こういう現状を見ましたときに、果たしてこのままで置いておいていいものだろうか、何とか改善の道はないのであろうか、こういうふうな考えを持つのは、これはもう万人そうお考えになるのではないかと思うわけでございます。現在の制度内で考え得ること、長官としてお考えになっていることがもしございましたらここで御披露をしていただきたい。それでまた現状においてはいかんともしがたいのだということであるならは、どのように改革をしていきたいというふうにお考えになっているか、その辺もあわせてお聞きできればというふうに思います。
  145. 磯邊律男

    磯邊説明員 現在のいわゆる捕捉率の問題につきまして、坂口先生の方からいろいろ御心配になっていただいておるということ、まことに厚く御礼を申し上げます。  しかし、私かねがね思いますけれども、税務というものに対しましては、いわゆる税務に王道なしということが言えるかと思うわけであります。といいますのは、現在の法人税なり所得税なり税務というものは自主申告納税制度をとっておりますので、やはり基本的には納税者みずからが誠実な正しい申告をしていただくということが第一でありまして、税務当局というのは、そういった納税者の申告に対してそれをお手伝いしていくというのが税務行政の最終的な理想の姿であろうかと私は考えておるわけであります。  しかし、トーゴーサンとかあるいはクロヨンと言われますように、実際の税務調査をやってまいりますと、期待に反しましてかなりの脱漏所得が捕捉されるということも遺憾ながらこれが現状でありまして、このために私たちはいろいろと知恵をしぼったわけでありますが、その第一の問題といたしましては、納税者の自覚を高めていただくというためのいろいろな意味の教育あるいはPRというものが必要であろうかと考えております。それから同時にまたそういったことで具体的には、青色申告を普及していく、それからまた小規模事業者に対する記帳指導を充実していく、それから納税相談を適切に運営していくというようなことをやってまいりまして、申告水準そのものの向上に努めていくということがまず基本的に必要なことであると思います。  しかしそうやりましても、先ほどの発表でも明らかなように、必ずしも全部の納税者が誠実な適正な申告をしておられるとは限りませんので、私たちといたしましては、資料の収集あるいは調査体制の整備ということをやりますと同時に、内部事務の分量をできるだけ圧縮することによって調査に従事する事務量をふやしていくというようなことをやっておるわけであります。それからまた、先ほど御指摘がありましたけれども、やはりああいった実地調査をいたしましたうちの約八割近くが何らかの形で増差が出てき、しかもその中の約二割ぐらいというものが不正所得であったというふうなことからもわかりますように、私たちとしては、やはりそういった増差が出るであろう、あるいは不正所得が出るであろうといったような納税者を摘出いたしまして、重点的な調査をやっていくということをやるわけでありまして、あの数字で全体をそのまま伸ばすということもいかがかと思っておるわけでありますが、そのようにして重点的な調査をやっていく。  しかしまた、重点的な調査だけをやっておりますと、いまの実調率が法人につきましては大体八%弱、個人につきましては四%弱というふうな状況を考えますと、一生全然税務調査を受けたことがないといった方もおられますし、それから中には、全然税務の目の届かないところで全く納税も何もしていないいわゆる潜在所得者というものもかなりおるであろうということから考えまして、そういった重点調査のほかに、浅く広くそういった隠れた所得者あるいは極端な低額所得者を発見していくための簡易な調査、これは概況調査であるとかあるいは簡易実態調査という言葉を使っておりますけれども、そういったことをまぜ合わすことによって課税の公平を図っていきたいと考えているわけであります。  それから同時に、これは極端な例でありますけれども、刑事訴追に値するような納税者に対しては、査察調査実施して刑事訴追を求め、それによって一罰百戒の実を上げるというふうなことに努めておるわけであります。  以上が私たちのいま基本的な施策でありますけれども、しかし何分にも過去十年間を比べますと、法人の数につきましては約一・七倍、個人につきましては一・五倍という納税者になっておるわけでありまして、それに対しまして私たちの税務職員の数というものはほとんど横ばいである、そういうことがございます。したがいまして私たちとしては、一つには、いま定員の増加ということはきわめてむずかしい情勢にあることは重々わかっておるわけでありますけれども、その範囲内において少しでも税務職員をふやしていただきたいということを絶えず予算当局に対してお願いをしておるということもあるわけでありますが、そういったことだけではございませんで、われわれの内部におきましては、定員を再配分していく、地方局から東京局に来てもらって重点的な調査をする、あるいは内部の職員で特に事務量の多い部門に対して人員を回していく、それからコンピューターの導入を図ることによって内部事務を極力圧縮していくというふうなことの内部努力を絶えず続けていく、そういうことによって課税の充実を図ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  146. 坂口力

    坂口委員 いまの御発言の中で定員増の問題につきましては、長官も少し控え目に発言になっておりましたけれども、これは数字を見てもわかるとおり、法人で一・七倍、個人で一・五倍というふうにこの十年間に大変な勢いでふえてきていることも事実であります。さればといって、ふやせばふやすほどいいとか、あるいは国税の職員の数さえ多ければこれが円滑にいくというものでもないと私も思いますけれども、しかし、仕事量には限度があるということでもございますので、これは長官がおっしゃるようにもう少し人数をふやすのも一つの方法ではないか、私もこう考える一人でございます。この点は、総定員法等の問題もあってなかなかむずかしい面もあるんだろうと思いますが、後で大臣のお考えも聞かしていただければどうかというふうに思います。  それから最近、捕捉率を高めるというので背番号制の問題がかなり議論をされるようになってまいりまして、いまお話にございませんでしたけれども、しかし、この問題はプライバシーの問題、いろいろむずかしい問題もあるわけでありまして、おいそれとこれに賛成しがたい現状にあるわけでございますけれども、このことについて、長官としてはどのようにお考えになっておるのか、また、プライバシーの侵害ということは必ずこれを除去できる方法があるというふうにお考えになっているのか、あわせてお答えをいただければありがたいと思います。大臣の方と両方御答弁をいただきたい。
  147. 磯邊律男

    磯邊説明員 ただいま御指摘になりましたいわゆる納税者番号の問題でございますが、これは御承知のように、昭和五十五年末をもって現在の特別措置でありますところの利子配当所得の分離課税制度というものが廃止になって、総合課税に全部移行していくというふうなことが予定されておるわけでございます。こうなりますと私たちとしては、利子配当所得の総合課税というものが実現するためには、どうしても本人の確認と名寄せ、この二つが適正に行われなければ執行面においてはなかなかむずかしい問題が出てくるわけでございます。  全般的に申し上げまして、やはり税制というものは、それが完全に執行できるという税制であることが望ましい、それでなければ新たな不公平というものを生むおそれがあるわけであります。法律が施行になりますときには、やはりそれが適正に執行当局において執行できるということが担保される必要があると私考えたわけではございますが、まさに利子配当所得の総合課税の問題につきましても、現在の納税者の数、税務職員、それから資料の枚数、そういったことを考えますと、一人一人の本人を確認し、それからそれが必ず適正に名寄せされるというためには、やはりいろいろな方法はあろうかと思いますけれども、われわれはその中の一つとして国税庁として望んでおるところは、納税者番号という制度を導入することによってコンピューターによってこれを一元化していくということが一番効率的であるのではないかというふうに考えて、過日の税制調査会に対しまして国税庁の考えということを申し上げさせていただいたようなわけでございます。  ただ、納税者番号制度ということになりますと、これはかつて行政管理庁がいわゆる国民背番号制度を導入しようといたしましたときに、国民の間にそういった番号をつけられることに対するアレルギーなりあるいはいろいろな問題点がございまして、行政管理庁においてもこの研究は中止したというふうに私は聞いておるわけでございます。やはり私たちが納税者番号制度を採用していただくということになりましても、一番問題なのは、やはりプライバシーというものが公になることのないように、税務上知り得たあるいはわれわれが入手したデータというものが税務外に漏れることのないようにするのが一番大切なことであり、また同時に、この納税者番号制度あるいは現在の申告納税制度というものを発達させるためには基本的な要件であろうと考えておるわけであります。したがいまして、納税者番号制度を仮に導入するということになりましても、これはわれわれの課税目的外には絶対使わないということが基本であります。それから同時にまた場合によっては法律上で、こういった納税者番号によって知り得たことの秘密を担保する規定を導入するということも私は必要であろうかと考えております。  いずれにいたしましても、守秘義務の問題につきましては、単に納税者番号の問題に限らず、私たち税務職員としてまず第一に考えていかなければならないことだというふうに私は確信しておりますので、特にこの納税者番号制度につきましても、その点は非常に重要な問題として考えていきたいと思っております。
  148. 村山達雄

    村山国務大臣 私も、いまの納税者番号の問題は同じように考えるわけでございます。長官の言葉に尽きるわけでございますが、私は何分、民主主義の原理を守ろうという社会的な風潮、それが一番大事なことであろうと思うわけでございます。機密が漏れるとか漏れないとかというところのその根底に民主主義的なルールというものが確立しておりませんと、ともすると時代の趨勢に応じていろいろな間違いを起こすのでございますので、そのことだけは大事だということを、長官の答えにつけ加えさせていただきたいと思います。
  149. 坂口力

    坂口委員 職員の問題は。
  150. 村山達雄

    村山国務大臣 実はこれはかねがね考えているのでございまして、私たちがおりましたときから見ますと実調率、いわゆる実調の割合が非常に落ちている。これは、納税者が非常にふえたということ、それから複雑な取引になってきたことによることでございまして、何とか充実したいと思っております。総定員法の中でやりくりせざるを得ないのでございますけれども、皆様方の御理解を得まして、総定員法の範囲内でできる限り国民の税務行政に対する期待に背かないように増強してまいりたい、かように考えております。
  151. 坂口力

    坂口委員 大臣にそういうふうに答弁されますと、心の中の一部では、一般消費税関係ありはしないかという心配もわれわれとしてはなきにしもあらずでございますけれども、ひとつ御答弁として承っておきたいと思います。  最後に、サラ金の問題を一つお聞きして終わりにさせていただきたいと思いますけれども、前回の金融委員会におきましていろいろ議論されまして、私の方の宮地君からもかなり突っ込んだ質問、討議がされたわけであります。  それで、その翌日の新聞でございましたか、拝見をいたしますと、金利の問題につきまして、利息制限法との絡みで、ややもいたしますと利息制限法の中身を変えることによって、そして出資法を下げてそれに合わせていくというような意味にとれる記事がございました。これは新聞報道だけでございまして、私確かめておらないわけでございますけれども、その辺がどうなのかということをお聞きをしておきたいと思います。  確かに出資法と利息制限法の二重になっておりまして、その間グレーゾーンになっているわけでありますが、出資法の方を半分なら半分に下げてくるといたしましても、なおかつそこに利息制限法との間の差があることは事実でございますし、その場合に大蔵省のお考えは、何か利息制限法の方を骨抜きにするような感じの記事があったものでございますから、その辺のお考えを聞いておきたいと思います。
  152. 徳田博美

    徳田説明員 サラ金問題につきましては、立法の面で三つのことが考えられるわけでございまして、一つは、高金利の是正の問題、それからもう一つは、現在の届出制を登録制あるいは免許制等に改める問題、三番目は行為規制の問題でございます。この三つの問題について何らかの適正な措置をとることが必要と考えられるわけでございます。  ただ、このうち高金利の規制の問題につきましては、実は現在の出資等の取締等に関する法律の利息に係る部分及び利息制限法につきましては、所管は法務省でございますので、法務省において検討が行われているわけでございますが、大蔵省といたしましても、大蔵省の立場からこれの勉強をしているわけでございます。特に現在の届出制から免許制あるいは登録制に移行いたします場合には、当然利息制限法との関連が問題になってくるわけでございまして、利息制限法では最高が年利二〇%ということになっているわけでございますけれども、それを超えた金利で貸し出しをしている業者に対して登録ないし免許ということが実施できるのかどうかという問題があるわけでございます。したがって高金利の是正の問題は、そういう届出制の是正の問題にも絡まってくるわけでございまして、その両方をどのように調和させるかということでいろいろな考え方が出ているわけでございます。  まだその固まった案、成案は出ていないわけでございますが、その途中におきましては、先生指摘のような点も含めていろいろなことが検討されている、こういうことでございます。
  153. 坂口力

    坂口委員 そうしますと、まだその点は結論が出ていないということでございますか。
  154. 徳田博美

    徳田説明員 高金利の是正の点につきましては、まだ成案が出ておりません。
  155. 坂口力

    坂口委員 そうしますと、出資法を改正するということは、これは決定的ですか、それもまだどうなるかわからないという意味ですか。
  156. 徳田博美

    徳田説明員 この点は、先ほど申し上げましたとおり、出資法のうちの金利に関する部分は法務省の所管でございますので、その辺の考え方との関連で、出資法の改正という形をとりますかあるいは別の形をとりますか、その辺もまだ流動的でございます。
  157. 坂口力

    坂口委員 ありがとうございます。それでは、もうこれだけにしておきます。
  158. 大村襄治

    大村委員長 午後二時に再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時六分休憩      ————◇—————     午後二時開議
  159. 大村襄治

    大村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  午前に引き続き質疑を続行いたします。沢田広君。
  160. 沢田広

    ○沢田委員 引き続いて質問をしてまいりたいと思いますが、最初に基地の問題で若干私と山花委員質問をいたしますので、その後また別な問題に私、入りたいと思います。  現在、基地跡地の処分問題につきましてその後若干の前進があったわけでありますが、その後の渉外知事会との協議の進行状況はどうなっているのか、簡潔にお答えをいただきたい。
  161. 迫田泰章

    ○迫田説明員 基地の跡地につきましては、三分割答申が出た後、渉外知事会あたりと非常に論争がございまして、なかなか具体的な話に入らなかったわけでございますが、最近三分割という方針も、大蔵省といたしましては弾力的に運用するという従来からの考え方でございますが、その辺も理解を順次得ておりまして、具体的に入っておりますのは、御承知のように立川の基地の跡地につきまして現在地元の意見を聞いております。朝霞のキャンプの跡地につきましても、こちらの方からは具体的な案はすでに提示をしてあるわけでございますが、それについて地元の方から何らかの返答をいただけるんではないか、こういうふうに現在考えておるわけでございます。
  162. 沢田広

    ○沢田委員 国の方から案を示していくというのも一つの方法だろうと思いますが、また同時に地元に案を考えてもらって、その案との間に協議を進めるということも一つの方法だと思うのでありますが、その点については、政府の方で出している案は一応白紙にしまして、地元だけで単独に案をつくらせて協議をするというお考えはありませんか。
  163. 迫田泰章

    ○迫田説明員 地元の方からこういうものに使いたいという抽象的な案はあるわけでございますが、それを前提として当方がいろいろな線引きといいますか具体的な案を考えまして、それについて地元の意見を聞くというふうに現在やっておるわけでございます。
  164. 沢田広

    ○沢田委員 私の言っていることでお答えいただきたいのですが、地元に案をつくらせて、政府政府の案として持っていることは結構ですが、政府の案だけにこだわるのではなくて、地元に案をつくらせてその案と案とで折衝する、話し合いの場を求めるということについてはどう考えておられるかということです。
  165. 迫田泰章

    ○迫田説明員 地元の方で具体的に場所まで示したような案をいただけるのであれば、それをもとにいたしまして、もちろん国の方というか、国あるいは公団、事業団等その他の要望もございますので、それを加味をしてお互いに検討するということは考えていきたいと思います。
  166. 沢田広

    ○沢田委員 基地がどういう状態にあったかということは、私が言わずもがなでございますが、ただ、基地の周辺のスプロール化という現象は御存じでしょうか。基地の周辺が、非常にマッチ箱のような住宅が立ち並んで、都市計画も不十分で非常な密集状況を来しているという、いわゆるスプロール化現象が起きているという状況の把握については、御理解がありますか。
  167. 迫田泰章

    ○迫田説明員 ことしの夏、返還跡地を見てまいりましたので、その辺は承知いたしております。
  168. 沢田広

    ○沢田委員 その庭もないようなスプロール化現象というものが起きてきた原因といいますか、そういうものはどこに原因があったと思っておられますか。
  169. 迫田泰章

    ○迫田説明員 都市計画がはっきりして、それに基づいて開発が進んでいかなかったのではないかと思っております。
  170. 沢田広

    ○沢田委員 その都市計画と開発とのずれが生じた原因は、どこにあると思っておりますか。
  171. 迫田泰章

    ○迫田説明員 不勉強でその辺まで詰めてはおりませんが、あるいは基地があったということが一つの原因になるかというふうに考えます。
  172. 沢田広

    ○沢田委員 そのことも一つでありますけれども一つは、やはり高度成長によっての土地の暴騰というものが大きい。そしてミニ開発というようなものが起きて、その結果こういう現象が起きたということだと思うのでありますが、その基地があっただけではない、特に首都圏についてはそういう現象の背景には高度成長というもののひずみというものが存在したというふうにはお考えになりませんか。
  173. 迫田泰章

    ○迫田説明員 基地周辺だけでなくて全体的にスプロール化が進んだというのは、やはり高度成長でみな土地を購入して住宅をつくっていったということが原因かと思います。
  174. 沢田広

    ○沢田委員 当初、国有財産特別措置法のいわゆる限度といいますか優遇といいますかあるいは措置というものについて、横田基地移転の費用捻出ということが一つの材料になっていたように記憶いたしますが、これは私の誤解でしょうか。
  175. 迫田泰章

    ○迫田説明員 横田基地に限らず、関東計画で米軍基地を集約をしていくといいますか、それが御承知の特特会計で処理をするということになったわけでございます。
  176. 沢田広

    ○沢田委員 現在、それの費用は幾らと考えておられるわけですか。
  177. 迫田泰章

    ○迫田説明員 まだ計画が全部終了していません  ので、はっきりはわかっておりません。
  178. 沢田広

    ○沢田委員 これは一年も前の段階におきましては、明確に金額が出ていたわけでありますが、現在有償にする、あるいは有償の金額にいたしましても、その金額に基づいてその発想の一つの要素になったことは否定できないと思うのでありますが、その点はちょっと正確にお答えいただきたいと思うのです。——お答えがないようですから、後でひとつ調べてお答えをいただきたいと思うのであります。  そこで、国有財産の処分をします場合に、価格の問題でひとつあなたにお伺いをしたいのでありますが、土地税制の問題についても後でお伺いをする予定でありますが、昭和三十年を一〇〇といたしますと、皆さんの給料は当時二十万円、あなたの給料はもっと高かったのだと思いますが、一般的に見ますと二十万円でありました。現在、昭和五十年の統計でしかありませんが、大体年間平均二百六万円であります。今日大体十倍にしかなっていないのであります。土地は、昭和三十年を比較いたしますと約三千倍、二千八百ぐらいの数字を示しておりますが約三千倍の評価であります。  これは何を意味するのかということなのでありますが、これは後の土地税制の問題と関連をするわけですが、いまこの基地跡地の問題をやる場合にも、大蔵省は不動産屋じゃないだろうと思うのです。また不動産業者でもないだろうと思うのであります。当時買ったときは、坪当たりで言えば一円か二円であったわけでありますが、たとえば昭和三十年を基準といたしまして、卸売物価にいたしましてもそれほどの数字ではないのであります。あるいは消費者物価にしてもその数字ではないのであります。土地だけが三千倍という数字を示しているわけです。いま大蔵省は有償だという場合にこの三千倍を言っているわけなのですが、何かじくじたるものがあるのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  179. 迫田泰章

    ○迫田説明員 一般的に言いまして、国有財産を処分する場合は時価で処分をするということでございまして、それは国民の財産でございますので、適正な価格をもって処分をするというのが国有財産の基本的な考え方でございます。
  180. 沢田広

    ○沢田委員 それは一般原則でありまして、それだって守られているかといえば、それは新潟県の河川敷のような場合も起こり得るのでありまして、必ずしもそれが守られているとは言えないのであります。特に基地跡地という条件を背景にした場合に、そのことが考慮の対象になるのではないかと私たちは一般的に思えるのでありますが、その点はどうお考えいただいておりましょうか。
  181. 迫田泰章

    ○迫田説明員 現在、移転経費を要した跡地の処分につきましては、一般的に申しまして、基地に限らずでございますが、たとえば公園をとってみますと、二分の一時価、二分の一の面積については国有財産法等で定められている優遇措置を適用する、こういう考え方で処理をいたしております。
  182. 沢田広

    ○沢田委員 二分の一としましても、一般の地方財政伸び率からいきましてもそうは伸びていないわけですから、これは払うのは地方団体ですから、そうしますと、皆さんの給与からいってみても二十万が二百万になって十倍にしか伸びていない。財政も大体その程度しか伸びていない。その中へいま言ったような二分の一を適用したとしても、千五百倍という比率は不当な比率だとはお思いになられませんか。
  183. 迫田泰章

    ○迫田説明員 経済の発展の経過で土地に非常に需要が集中して土地価格が上がったということを踏まえての処分でございますので、地方団体が財政的に苦しいということはよくわかるわけでございまして、そういう面では、延納とかそういう金繰りの面での考えは導入しなければならない、こういうふうに思います。
  184. 沢田広

    ○沢田委員 いま答弁されたように考慮していただくように願います。  次に、立川基地の問題で若干触れておきたいと思うのですが、立川基地の場合には、国が使う場合には移転費用についての捻出は考慮しないということなんでしょうか。
  185. 迫田泰章

    ○迫田説明員 国の機関が使う場合でも、これは特別会計でございますので、原則的には有償で所管がえをするという考えでやっていきたいと思っております。
  186. 沢田広

    ○沢田委員 先ほど述べたように立川基地の場合は、自衛隊の固定化という提案でありますが、これは地元との話し合いということはされたのでしょうか。
  187. 迫田泰章

    ○迫田説明員 現在先生御承知のように、返還財産処理小委員会で一応御了解を得た案で、地元の意見を正式に聞いておる段階でございます。
  188. 沢田広

    ○沢田委員 では、先ほどの回答に戻りまして、特別会計ですから原則として有償価格として対価をつけるということですが、たとえば公園地帯、それから大震災対策といいますか、震災対策という名称を使っておられる地域は、どの程度の価格でこれを防衛庁なりあるいは建設省なりには計上をいたしているのでありますか、その単価をひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
  189. 迫田泰章

    ○迫田説明員 原則として有償と申し上げましたけれども、個別的な各跡地につきまして幾らになるかということは現在、計算をいたしておりません。
  190. 沢田広

    ○沢田委員 それは無責任なんじゃないかと思うのですね。いわゆる国有財産審議会が出しました案、三分割有償方式、その根底にあるものは、基地の集約ということの費用を捻出をするということになれば、たとえば国がたくさん使っていってそれが算定基礎から外れていれば、残った土地にその振りかわりがかかってくるということにならざるを得ないわけであります。でありますから、やはり公正を期すという立場に立てば、いまあなたがおっしゃった原則としての評価をして、どう財政的に操作をするかは別として、それがどの程度の充当率になるのか、当然それは計算されなければ当初の方針に反するのではないかと思うのですが、いかがですか。
  191. 迫田泰章

    ○迫田説明員 基地跡地は御承知のように十カ所ございまして、全体として収支を見るということになっておりますので、ほかの跡地についてそれぞれ利用計画が定まらないとなかなか正確な数字は出ないという段階でございます。立川だけとって云々ということではなくて、全体の収支を見ないといかぬわけでございますので、その面から見まして、ほかのところがまだ確定的にならないものでございますので、正確な計算はいたしておらないのが現状でございます。
  192. 沢田広

    ○沢田委員 これも異なことをおっしゃられると思う。政府の方では、あそこに昭和公園だか何だかを出した、あるいは自衛隊の基地として百十五ヘクタールか出した。それは特別会計としては幾らの収入になる、当然それは、案を出したときに計算の根拠になってなければならぬはずだと思うのです。ほかとの問題でない、政府が案を出すときに、すでにその土地についてはどれだけの収入として見るかということは算定の基礎に入らなければ、支出総額が決まっているわけでありますから、これはそれの中に幾らに該当する分なんだ、そうでないと、四百億とも言われておりましたあるいは五百億とも言われておりましたそういう金額がもし出るとすれば、それはあとの残った土地で捻出をするのか、国で使った分も計算上は計算して出すのか、その辺の筋道だけは明確にしなければ、おかしいのではないかという気がいたしますが、いかがでしょうか。
  193. 迫田泰章

    ○迫田説明員 繰り返すようでございますが、立川だけの跡地で全体の収支を見るわけではございませんので、ほかの基地もあわせて収支を計算をするということでございますので、ほかの基地をどういうふうに使うかということは、先ほども申し上げましたようにまだ決まっておりませんので、その辺、大体のアウトラインでも決まれば計算が可能かと思います。
  194. 沢田広

    ○沢田委員 そうすると、きちっと全体の収支が償えばその価格でやってもよろしいということですか、もうけようということですか、それはどういうのですか。全体がわからなければ収支がわからぬということは、その収支の帳じりを合わせればそれでよろしいというふうに解してよろしいですか。
  195. 迫田泰章

    ○迫田説明員 先生のおっしゃるのは、収支が相償えば地元に安く売ってもいいではないかということではないかと思います。(沢田委員「そう言っているからだ」と呼ぶ)その二分の一時価、二分の一の法令適用ということを決めた一つの考え方といたしまして、そういう国有財産がある市とない市というところのバランスという問題もございますので、その辺も考えまして、いままで一般的に適用をしておる二分の一時価方式を考えておる、こういうことでございます。
  196. 沢田広

    ○沢田委員 あとまだありますけれども山花委員が立川基地問題だけで質問があるようでありますから、若干あと山花委員に御質問をいただくことにいたします。
  197. 大村襄治

  198. 山花貞夫

    山花委員 沢田委員質問に関連しまして、基地跡地利用についての地元意見の尊重という問題についてお伺いをいたします。  ただ、その前提として一つだけ確認をしておきたいと思うのですけれども、いまの質疑の中にもありましたとおり、跡地利用につきましては、五十一年六月にいわゆる三分割有償の答申がなされました。大蔵省は、この方針を基本方針として、これまで跡地についての方針をつくってきたのだとわれわれは理解しておりましたけれども、そのとおりでよろしいでしょうか、それとも最近この答申については原則を変えたということがあるのでしょうか、この点についてまず冒頭確認をいたします。
  199. 迫田泰章

    ○迫田説明員 三分割という考え方につきまして、最近変えたということはございません。最初から三分割について申しておるわけでございますが、跡地につきましては非常にたくさんの要望がある、この利害関係を調整するのに何らかの行政的指針が必要である、その指針として三分割答申をいただいたわけでございますが、個々の跡地を具体的に適用する場合には、三分の一だからちょうど三三%にならなければいかぬのだ、こういうしゃくし定規な考え方ではなくて、その方針を基準として弾力的に考えていくというのが当初からの考え方でございまして、現在もそのとおりでございます。
  200. 山花貞夫

    山花委員 いまのお話のとおり私どもも従来理解をしていました。方針は行政上の指針として確定している、しかし三三%ということではなく、若干の柔軟性はあるのだということについては、大蔵省の見解として私たちも理解してきたところですが、しかし、いま話題となりました立川基地の跡地に関しましては、明らかにこの原則が全く変えられているということだと思います。  「処理基準の概要」という部分について振り返ってみると、まず三分割の振り分けにつきましては、地元地方公共団体が利用するA地区、国、政府関係機関が利用するB地区、当分の間処分を留保するC地区というのが三分割の基準であります。しかし立川基地につきましては、およそ三分の二を国が利用する。すなわち、百十五ヘクタールの自衛隊を中心とした防災基地、そして昭和記念公園と言われている大規模公園、要するに三分の二を国が使用して、残る三分の一が保留地として残されているわけですが、これは明らかにかつての答申の大幅変更であります。答申につきましては維持されていない、新しい方針が出たということではないでしょうか、いかがでしょうか。
  201. 迫田泰章

    ○迫田説明員 いま先生のおっしゃるのは、国営公園は国のものだから国の取り分でカウントする、こういうお話でございますが、われわれが考えておりますのは、公園というのは地元の住民が利用をする、ただし国営でございますからお金は国の方で出るということでございまして、実体は公園でございまして、そういう点から見ますと、これは地元の分としてカウントしてもいいのではないか、こういうふうに考えるわけでございます。
  202. 山花貞夫

    山花委員 それは詭弁であります。そういうお話であるとするならば、たとえば防災基地につきましても、関東地域における防災拠点と敷地をつくる、これは地元のためである、だから地元のものだということになるのではないでしょうか。そういう考え方をするならは、すでに三分の二自体地元のものだということまで言うことになるのではないでしょうか。明らかに地元のための高校建設その他、地元のために地元民が要求している施設などの建設というのとは違います。たとえば昭和公園云々とされている大規模公園についても、明らかに国営公園であります。すべての経費が国で運営される、さらに名称決定につきましても、今後の問題ですけれども、国の基準によって決まっていくということではないでしょうか。地元民のためにという、地元の三分の一利用というのは違うのではないでしょうか、いかがでしょうか。
  203. 迫田泰章

    ○迫田説明員 繰り返すようでございますが、公園をつくるということは地元の方からも要望がたくさんある話でございまして、実際そこを利用するという面から見ますと、国営公園でも都営公園でも区営公園でも同じではないだろうか、こういうふうに考えるのが妥当ではないかと考えるわけでございます。
  204. 山花貞夫

    山花委員 国が勝手に考えているということであって、防災のための施設をつくってもらいたいという希望も地元からあったはずであります。そうすると、自衛隊を中心とした関東全域を対象とした防災拠点についても、これも地元民の要望を聞いたから地元利用に相当するものである、こう理解されているのですか。
  205. 迫田泰章

    ○迫田説明員 防災基地、たとえは自衛隊でございますが、地元負担で自衛隊の基地を整備するということはございませんので、これは必ず国でございまして、それが防災のために、災害救助のために地元に役立つと言っても、これは国の機関でございますので、国にカウントするというのが妥当ではないかと思います。
  206. 山花貞夫

    山花委員 とすれば、国営公園についても、まさに国の計算ということになるのではないでしょうか。私は、その点について全く見解を異にいたしますし、御説明は大衆を納得させるものではないと思いますが、その点をたな上げして伺っておきたいと思います。  いまの大蔵省のお考えだといたしますと、国営公園の建設あるいは内容、その後の運営について、まさに地元のためにつくったという御主張であるとするならば、地元の意見というもの、そこに主導的な役割りを期待してもよろしい、こういうことでしょうか、それとも相変わらず国が勝手にやっていくということなんですか、その点いかがでしょうか。
  207. 迫田泰章

    ○迫田説明員 公園をどういう公園をつくるかということは建設省の所管でございますので、ここで私が云々申し上げるのは適当でないと思いますが、私が申し上げますのは、公園を利用するという住民の立場では、国営であっても都営であっても区営であっても同じではないだろうか、こういうことを申し上げているわけでございます。
  208. 山花貞夫

    山花委員 結論は、三分割有償というかつての答申を変更したものであるという以外理解しようがないと私は考えますけれども、時間の関係がありますので先に進めたいと思います。  本論に入りますけれども、地元意見聴取ということにつきましては先はどの御説明でも、本日の段階では、財産処理小委員会を通じて正式にこれを求めている段階である、こういう御説明がありました。  まず第一に伺いたいと思いますのは、この財産処理小委員会の次回の日程はどうなっているか、この点についてお伺いいたします。
  209. 迫田泰章

    ○迫田説明員 意見の提出を待って開くことにいたしておりますので、現在確定日付で何日に開くということは決めておりません。
  210. 山花貞夫

    山花委員 実はそうお伺いした上で失礼かもしれませんが、重ねてお伺いしたいのですけれども、こうした財産処理小委員会をいつ開くのか、いつ答申を決めるのかということについて従来大蔵省は、われわれにその正確な事実関係をこの国会の場におきましても報告してくれなかったではないか、こういう不満を私たちは持っています。  この財産処理小委員会が案を発表いたしまして、地元の意見を徴する手続に入りましたのが先月の二十三日です。恐らくその時期にあるだろうということで先月十八日の内閣委員会において、大蔵省及び国土庁にこの点について私は質問をいたしました。そのときの大蔵省の回答は、いつできる見込みだということは大変遺憾であるけれども申し上げることができない、時期について見込みを申し上げる段階ではございません、こういうように答えたわけであります。国土庁の方は、具体的にいつと申し上げるわけにはいかない段階である、こういうように答えたはずであります。通常の手続から言えば、二十三日に発表したものですから、日曜をはさんだ十八日に決まっていないはずがありません。私たちはだまし討ち的に二十三日に発表した、こう受け取らざるを得ないのです。十八日にあれだけ追及したにもかかわらず、そのことを国会の場においても明らかにしなかった。そしてわずか土、日をはさんだ二十三日、国会が終わった翌々日にぱっと発表したわけです。  そうした経過がありますので、いつかということについて決まっていないといまそうお答えをいただきましても、すぐ、はいそうですかというわけには私はまいりません。実は内々決まっているんだけれども明らかにできないということではないでしょうか、それとも本当に決まってないのか、失礼なようですけれども、過去の経過がありますので重ねてお伺いいたします。
  211. 迫田泰章

    ○迫田説明員 次の小委員会は、地元の意見を聞いた上で開く予定にいたしております。それならば地元の意見がいつ出てくるかということでございますが、意見を聞くときにいつまでに返事をしてくれという条件は付してございません。したがいまして、何日に開くかということは、意見が出てこないと開かれないわけでございますので、現在のところ未定であるということでございます。
  212. 山花貞夫

    山花委員 ちまたのうわさによりますと、一カ月という期限を切っているんだという話がありましたけれども、そういう事実は別にない、こう伺ってよろしいですか。
  213. 迫田泰章

    ○迫田説明員 一カ月という条件は付してございません。ただ、あそこの跡地の利用という面から見ますと、早く利用計画が決定をした方が好ましいということでございますので、その観点から言えばなるべく早く出していただきたいという希望は持っております。具体的にいつまでということは言っておりませんが、事務的には遅くとも年内に出していただければ、こういう希望を持っております。
  214. 山花貞夫

    山花委員 地元の自治体といたしましても、長年の懸案でありますし、どういう形で意見を徴して円満な解決への道を開こうかと努力しているところであります。したがいまして、これから議会の意見、関係団体の意見あるいは地元民の意見をどのように迅速に、正確に財産処理小委員会報告しようかということにつきましては、地元で努力しておるところでございますので、たとえばいまおっしゃいました年内ぎりぎりということだけではなく、そうした地元の努力につきましても、期限との兼ね合いにおきましては十分配慮していただきたいということをこの機会にお願いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  215. 迫田泰章

    ○迫田説明員 先生おっしゃいますように、地元でもいろいろ御苦労をなさっておるようでございます。しゃくし定規にいつまででなければ絶対だめだという考えはもちろんございません。余り長引くようじゃ困りますが、意見が出てこない原因といいますか、もう少し待ったらまとまるとか、そのときの情勢によって判断していかなければならぬ問題だと思っております。
  216. 山花貞夫

    山花委員 いまそのときの情勢を見てというお話がございましたけれども、ぜひ地元の努力につきましても十分御配慮いただきたいということを重ねてお願いしたいと思います。  ただ、一点だけお伺いしたいと思うのですけれども、昨年発表されました東京都、昭島市、立川市のいわゆる三者原案の取り扱いについてです。  従来の大蔵省お話をこれまで私もいろいろ振り返って分析いたしましたけれども、地元のいわゆる三者原案につきましては、今回国土庁が粗ごなし的原案としてまとめた財産処理小委員会に出した案の中にすでに含まれてしまっているということなのでしょうか、それともこれから財産処理小委員会の方で地元の意見を徴していくその過程の中でもう一度地元三者原案についてもにらんだ中で全体の調整がなされるということでしょうか、AかBかという結論ですけれども、その点についてお伺いいたします。
  217. 迫田泰章

    ○迫田説明員 地元三者原案のいろいろな要望につきましては、できる限り取り入れて今回の案、いわゆるたたき台を小委員会に出したと考えております。地元の要望の中に単なる構想というか、さらにそれよりももう少し漠然とした段階のものもございますので、そういうものは取り入れることができなかったということでございますが、そういうものにつきましては、今後だんだん具体化すると思いますので、その段階先生御承知の留保地の中で検討していくことになろうかと思います。
  218. 山花貞夫

    山花委員 最後にもう一つだけ御要望かたがたお伺いしておきたいのは、いまお話しいただきましたとおり、地元の意見については今後とも十分尊重していただきたいというのが希望の内容であります。特に立川基地について見るときには、すでに来年度概算要求で防衛庁の方から約三十億出されているという経過の中から私たちは、そうした実績をつくって、そのことを案に反映させるのではないかということで問題を提起してきたところですけれども、時間がありませんので、一つだけ関連して基地跡地の関係で運輸省にお伺いしておきたいと思います。  調布の飛行場問題について、やはり跡地の利用という観点ですけれども、ちょうど立川基地につきまして約二十億の防衛庁の概算要求をされたと同じように、調布の基地跡地につきましても本年度の予算、そして来年度の概算要求もされているようであります。そういう要求がありますと、地元の意見がまとまる前にすでに運輸省は飛行場として予算をつけちゃっているから、そこを中心にして案をつくらなければいかぬという形で、既成事実によって将来の案の策定を決めてしまうということになるのではないかということを、立川の経過に照らして大変不安に思います。  調布飛行場について、運輸省の今年度予算内容とその積算の中身について、あるいは五十四年度の概算要求の内容についてお話を伺いますと同時に、この点、大蔵省に戻りまして、そういう既成事実によって拘束されないようにお願いしたいということをお願いしたいと思います。
  219. 金田徹

    ○金田説明員 お答えいたします。  調布飛行場の関係につきましては、運輸省としましては、五十三年度八千五百万の予算を計上いたしておりまして、これによりまして、滑走路が非常にひび割れ等で傷んでおりますのでその補修ということと、それから、管制塔も非常に条件が悪うございまして、風が強いと非常に従業員も危険であるというふうなことから、そういうものの応急的な代替のものをつくるということで、いわばその調査費、管制タワーとか庁舎につきましては調査費でございます。  五十四年度につきましては、まだ政府部内で検討中でございますので、もうしばらくの間は御勘弁願いたいのでございます。
  220. 山花貞夫

    山花委員 時間がありませんので、いまの問題ですけれども、五十四年度につきましては、誘導路新設及び改良、庁舎新設として三億余の予算を組んでいるようであります。予算を組んでいる、一方でまだ計画ができていないということですと、先に予算をつけちゃっておいて、既成事実をつくって大蔵省に持っていって、もうこうできちゃっていますから、これを中心につくってもらわなければ仕方がありませんということになってしまうのではないか。大蔵省といたしましては、こうした問題について、地元の意見との調整ということについて既成事実にとらわれないでやっていただきたいということをお願いしたいと思います。
  221. 迫田泰章

    ○迫田説明員 いま先生お話しの滑走路のあるところは都有地でございまして、御承知のように、調布の飛行場は真ん中に広大な都有地がございまして、周辺に国有地があるという状況でございます。したがいまして、都有地の利用計画はどうなるかということが決まらないと、国有地もちょっと決めにくいということでございまして、都有地、国有地あわせて全体の利用計画を決める必要があると思います。
  222. 山花貞夫

    山花委員 しかし、運輸省の方はその跡地について、もう都有地、国有地の交換その他まで全部計算に入れまして、その上で予算を組んでいるということだと私たちは理解しています。  滑走路についてどのくらいにするか、大変計画が進んでいると思いますが、なお、概算要求ですから内容についてお話しできないということですので、また将来これが決まりましたら御質問させていただきたいと思いますけれども、私の質問の趣旨については十分今後とも御検討いただきたいと思います。  時間の関係がありますので、以上で終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  223. 大村襄治

    大村委員長 沢田広君。
  224. 沢田広

    ○沢田委員 では、大分縮まりましたので、簡潔に質問をしていきたいと思います。  きょうは国土庁も呼んでおりますけれども大蔵省として、今回土地税制の改正を出されました。今回の改正の主点は何なのかということを簡単にひとつお答えいただきたい。同時に、先ほども述べましたように、土地価格に対する認識、それからこれからの日本土地価格をどういう方向に持っていこうとするのか、その考えについてお答えをいただきたいと思います。
  225. 高橋元

    高橋説明員 昭和五十年の改正で現在の土地税制というものができておるわけでございますが、この適用期限が五十五年の末までということに相なっております。  ただいま沢田委員から、改正を出したようだという趣旨の御質問でございましたが、私どもは、五十四年の税制改正の際に土地税制についてどのような考え方をとるべきかということは、まだ全く決めておらないわけでございます。それで、国土庁、建設省、おいでになるのでございましょうけれども、その土地税制の改正要望についても現在、事務レベルで非公式にいろいろお伺いしておるという段階でございまして、こういう国会のようなきわめて公式の場ではっきりお答えするということはいかがかというふうに考えますが、一般的に土地税制につきまして、現在の税負担を緩和するようにという御要望がございますけれども、これにつきましては、現行の土地税制ができてまいりましたその背景からひとつ考えてまいらなければならぬのではないかというふうに思っております。  現行の土地税制は、一つは、土地という特殊な資産、これは先ほども沢田委員からお話がございましたように、昭和三十年を一〇〇といたしますと、現在二八〇七でございますか、約三十倍くらいの値上がりを示しておりますが、そういう土地という特殊な資産から生ずる譲渡益の特異な性格に着目して、相応な負担を求めていくというのが一つの考えでございます。もう一つの考えは、土地がこのように値上がりいたしますとどうしても仮需要というものが発生してまいりますが、そういう仮需要を抑制して値上がり益を社会公共に返すという考え方でございます。そういう二つの考え方を踏まえて、政府税制調査会で慎重に御議論いただいて、五十年度の答申を受けて現行の税制が五十五年まで適用されることになっておるわけでございます。  それで、そのようなことでございますが、現在の財政状況のもとで、一般的な所得税の税負担を軽減していくという問題につきましては、私ども非常に困難な事態にあるというふうに考えておりますので、現行の土地税制の手直しということを仮に考えるといたしますと、それは宅地の供給促進なり地価の安定化ということに役立つという、はっきりした国民の御納得というものがあって初めて可能ではないかというふうに思っております。最近土地の値段が大都市の近郊を中心としてかなり強含みになっておるというような数字も私ども承知しておりますし、そういうことで、宅地の供給促進の効果があり、かつ地価を刺激しないという前提で、いろいろ案をお立てになっておられる関係の御当局から御要望を承りながら、勉強してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  226. 沢田広

    ○沢田委員 国土庁の答弁を聞くのですけれども、これは歯牙にもかけない、そこまでは言っていないでしょうけれども、とにかくそういう要望はあるけれどもそんな問題の状態じゃない、こういうことで大まか理解していって、国土庁は答弁を聞かないでいきたいと思うのですが、いかがですか。
  227. 高橋元

    高橋説明員 政府内部にそれぞれ責任と権限を持った役所があるわけでございますから、土地政策、宅地政策、地価政策というものについて権限を持っておられますところの国土庁の御意見というものは、当然私どもとしては承ってよく検討いたさなければならぬということをまず前提といたしまして、そういうことをお伺いして検討する前に、私がいま持っております考え方というものを申し上げた次第でございます。
  228. 沢田広

    ○沢田委員 では、不動産会社、宅建業者代表の国土庁から答弁をしていただきましょうか。
  229. 佐藤和男

    佐藤(和)説明員 いまほどお尋ねの昭和五十四年の税制改正に関しますうち土地税制に関する部分につきましては、事務的に御要望すべき案をまとめ御説明している段階でございます。  その趣旨は、いまほどお答えがありましたように、最近におきます宅地需給の現状から、従来の投機的な土地取引に対する抑止的な税制の骨格は残しつつ、宅地供給の促進に資する観点から、たとえば譲渡所得課税についての問題、及び市街化区域の、特に三大都市圏の市街化区域の宅地並み課税の問題等を主点として要望案をまとめ、御相談申し上げておる最中でございます。
  230. 沢田広

    ○沢田委員 もしあえてお答えいただくなら、これからの土地価格をどういう方向に持っていきたいと思っておられるのか、その点だけお答えいただきたいと思います。
  231. 佐藤和男

    佐藤(和)説明員 地価につきましては、昭和四十九年以来、国土利用計画法の制定ないしは各種の税制を含めました投機抑制措置が十全にしかれていることもございまして、いわば思惑的な需要による投機的な地価変動というのは基本的に今後とも起こり得ない状態にあろうかと存じます。ただ、たとえば最近の大都市圏の地価の動態などから見ますと、いわば実際の住宅地をすぐ使い、かつそこにすぐ住宅を建てたいという方の需要が非常に根強い。そういうことからいたしまして、一定の宅地供給を確保するということをすれば安定的な形で将来とも推移するというふうに考えてございます。
  232. 沢田広

    ○沢田委員 とにかく大蔵委員会に来て答弁する態勢にはまだなってないということだと思いますし、その辺でいいと思いますから、大蔵もその程度の案だということで、これはひとつ検討していただきたいと思うのであります。  続いて、時間の関係で大変恐縮ですが、相続税と贈与税と土地の今度の改正案との関連で一言お伺いをいたします。  二〇%の税金をかけるといたしますと相続税では二千万、それに五百万から九百万までの間が二〇%であります。今度の土地税制の改正で五千万に上げる、こういうのですが、相続税よりも土地の売買の譲渡課税の方が基礎控除が安くなる、これはどういうことを意味するのだろうかというふうに考えます。それから贈与税で考えてみますと、これは七十万から百万の間が二〇%であります。贈与税も、主として行われる場合は父親から子供にという条件、あるいは孫にという場合もあるでしょうけれども、とにかく親族関係の贈与がほとんどだと思うのであります。  この相続税の基礎控除、贈与税の基礎控除、土地の売買の基礎控除、こういう相対的な日本の税の配置から考えてみて、さっき申し上げたように、私はこんな税金の基礎控除を提案する国土庁も頭がどうかしていると実は思っているわけなのでありますが、その辺の関連性を大蔵省としてはどういうふうに考えておりますか。
  233. 高橋元

    高橋説明員 現在の土地税制で、収用等によりまして土地を強制的に売りました場合に三千万、そのほか土地の利用について権利制限があることを見返りとして買い取り義務が法律上認められておりますのには二千万、そのほか諸種の土地が買い取られました場合の事情を考慮したいわゆる特別控除額というものが定められております。それからまたこれも御承知でございましょうが、居住用不動産を譲渡した場合には特別控除三千万円というものが認められておるわけでございます。  これらの控除を認めました趣旨と申しますのは、収用そのほか権利制限に基づいて土地を譲渡する、買い取り請求権がくっついておりますというように土地の処分についていわば本人の完全な意思というもの以外に公権力がある程度介入してまいりまして実現した場合の譲渡所得でございますから、それにつきましては、任意の売買によって得た場合よりは高い控除というものを認めるのが相当である、また、それによって公的な土地の取得が容易になるという政策的な効果もある、そういう趣旨でこれらの控除額を認めておるわけでございます。  居住用不動産の場合には、個人の生活の基盤である住宅を売るわけでございますから、売られた方はまたその譲渡所得をもとにいたしまして再び居住用の住宅をお買いになるであろう、それは通常そういうことを考えていいであろう、そういう事情もございまして、三千万円という特別控除を認めておるわけでございます。いずれもそれなりに合理的な根拠を税制としては持っておろうかと私どもは考えておるわけであります。  相続税や贈与税ということになりますと、相続税の場合には、基本的に被相続人一人について二千万円、それから相続人一人について四百万円、相続人は五人でございますから、一つの相続について四千万円の定額控除が認められておる。これは大体中堅の財産を持っておられるサラリーマンが普通の家というものをもって被相続人から受けられた場合に、その遺産には相続税がかからないというようなことを考慮に置きまして引きました線でございます。  贈与税の場合の一人当たり六十万円の控除がございますが、それは、贈与税というのは非常に数多く発生するものでございますし、親族間、他人間、さまざまな場合の贈与について一々税務が追求をいたすということもいかがかということから、いわば少額不追求という観点から設けられたものでございまして、それぞれ発生といいますか、そういう制度を設けました趣旨が相異なっております。  そこで単に金額のみをもって、こういう控除の間につり合いがとれておらぬから税制上問題ではないかという御指摘でございますが、私どもといたしましては、ただいま申し上げておりますように、それぞれの課税原因が発生します際にそれぞれの態様に応じて妥当な控除額を定めておるというふうに考えております。  なお、この点につきましては、また世の中の移り行きに従って検討はしてまいらねばならぬというふうに考えております。
  234. 沢田広

    ○沢田委員 大分時間が迫って、あとありますけれども、まとめて御質問をいたしましてお答えいただきたいと思います。  一つは、自賠償の保険の関係で、この前と三回にわたって質問をいたしているわけでありますが、きょう二つだけ質問をしておきたいと思います。  いわゆる農協あるいは共済、生協、こういうような形と一般の損保、こういうようなものが、被害者直接請求というものと加害者の意識というものとで、たとえば示談代行、こういうような取り扱いについて、ややともすれば加害者意識の欠如、モラルの欠如という表現が当たるかどうかわかりませんが、そういうような形になびく傾向があるかと思うのでありますが、その辺についてどのように考えておられるか。それからもう一点は、危険準備金の損金算入について差をつけておりますけれども、共済は百分の一、それから農協等は百分の二という形になっておりますが、将来の展望としてどうとらえるかということについてお答えをいただきます。  それからもう一つ最後に続けてしまいますから、これは大蔵大臣かどうかわかりませんが、いまの一般の社会情勢の中で、お年寄りと同居をしている家族状況において、食べ物が違うあるいは経費が違うということで大変負担が多くかかる。だから若い人も自分の母親なり父親と同居をすることを、拒むのではないでしょうけれども避けて通る、こういう傾向もなしとしないと思うのであります。そういうことで、食べ物が違うということは大変家計経費の上で負担が多くなる、あるいはおふろも違ってくるでしょうし、テレビも違ってくるというような形になりますから、老人と一緒に同居をしている家族に対してその経費控除というものを若干上乗せするということは考えられないかどうか。これは宅地行政の中にも関連するわけでありまして、いわゆる百坪ぐらいの家へおじいさんとおばあさんだけが住んでいて、長男、次男、三男は外へ出ていってしまって、そこで二LDKぐらいのところに四人家族がひしめいている、こういう状況をなくしていくためにも、できたらば老人と同居している家族に対して経費控除を上乗せして減税をする、こういうことは政策的に考えられるのではないかというふうに思いますけれども、その点の見解。これは担当の方でも、税制調査会にお諮りいただくというならこれも何をか言わんや、それでお諮りいただきたいと思うのでありますが、社会の実情から見ればそういう必要性が生まれているのではなかろうかというふうに思います。  以上、まとめてお答えをいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  235. 貝塚敬次郎

    ○貝塚説明員 第一点の示談代行についてお答えいたします。  示談代行の制度は、自動車事故の発生に際しまして、加害者である契約者と被害者との間に専門家が入りましてこれを促進する、いわば損害賠償額の速やかな確定、最終的な目的は被害者が早期に賠償金をもらうということに制度の趣旨があるわけでございます。  制度の趣旨はそのとおりでございますが、あるいはいま先生の御指摘のあるような、運営におきまして過剰サービスに陥りましたり加害者意識をなくすようなことがあってはいけませんので、われわれは常々これに注意しておりまして、たとえば契約のしおりというのがございまして、保険会社が契約するときには必ず契約者にしおりを渡しますけれども、そのときにも、社会的な義務といいますか、たとえば被害に対する見舞いであるとか、それから変な話ですが葬儀の参列とか、そういうものは必ず加害者がみずから行うように、それから、第一回の示談には必ず加害者が立ち会うように、その他加害者がそういった意識を持たないように十分に運営に注意していきたいと思います。私どもとしては、制度は問題ないと思いますが、運営についてときどきそういう問題がありますので、随時通達を発したり保険会社を指導したりしまして、今後もそういうことがないように指導してまいるつもりでございます。  それから、第二点の異常危険準備金でございますが、先生指摘のように、異常危険準備金の積み立ての制度は、強制であります自賠責保険とそれから任意保険の制度と現在違っております。これは考え方といたしまして、自賠責は、国が再保険しておりますとか、それから支払いに限度額がありますために、異常危険ということが起こらないということで認められていないことかと私たち存じております。任意保険の方は、もし異常に高い損害率を示すような情勢が発生したらいかぬということで、従来はこれに対しまして積み立てが認められておりましたが、最近の自動車保険の実態を見ますと、損害率に反映しないような異常危険はないというような観点から、昭和五十五年からでございますが、積立率をなくすような方向で進んでおりまして、いま経過措置はございますけれども、五十五年度からは自賠責と任意と二つは同じふうになるものと承知しております。  以上でございます。
  236. 高橋元

    高橋説明員 最後お尋ねがございました老人同居減税でございますが、現行所得税法の中に、御高承でございましょうが、老齢者である扶養親族を持っております場合に老人の扶養義務者に対する控除が認められております。通常の扶養控除が二十九万円に対して、老人扶養控除は三十五万円と相なっております。  御提案は、この扶養関係、つまり同一の生計の中にあるという関係をたとえば同居という関係に置きかえたらどうかという御指摘かと思いますが、この点は実体の社会で、扶養であって同居していないという場合がかなりあろうかと思います。たとえば故郷に両親を置いておる場合、この場合には、扶養しておりますけれども同居することは不可能でございます。それからまた、いまお話もございましたけれども、家が狭くて老人と離れて住んでおるという場合もございましょう。それから、同居しておりますことが即二世代間の仲が非常にうまくいっているという場合でない場合もあろうかと思うわけでございます。非常に考慮を要することでございますが、御提案もございますけれども、私どもとしては、現在の老人扶養控除の中で措置をいたしておるということで当面考えてまいってはいかがかという考え方を持っております。
  237. 大村襄治

  238. 安田純治

    安田委員 本日私は、政府系の金融機関、特に国民金融公庫の融資業務のあり方に関して伺いたいと思います。  まず、中小企業向けの年末金融についてでありますが、十七日の閣議で中小企業金融公庫と国民金融公庫を合わせて貸付枠を一千億円と決定したそうですか、融資枠一千億円台というのは十一年ぶりの低水準であります。しかし、ここ五年、十年単位で見ますと、中小企業に対する政府金融機関の融資シェアは、全国銀行が大きくダウンしているのに対してわずかずつながら伸びる傾向にあります。また最近、円高融資などの融資申し込みが予想以上にふえているようであります。いずれにせよ、国民金融公庫等中小企業向け政府金融機関の役割りはますます高まっていると思います。  ところが最近、中小業者の方の声として、金融機関に資金がだぶついているのに差別、選別融資が強まって、貸し付け審査は厳しくなったという声がふえております。当局はそんなことはないというふうにおっしゃるかもしれませんけれども、いずれにしろ、年末という特殊事情も含めまして、中小零細業者向けの小口金融について十分な配慮を要望するものですが、まずこの点で一言お答えをいただきたいと思います。
  239. 徳田博美

    徳田説明員 政府系の中小三機関の貸し付け規模につきましては、第三・四半期におきまして、国民公庫が六千八百億円、中小公庫が四千百十億円、商中が二千九百五十億円、合計一兆三千八百六十億円を擁しておるわけでございまして、これは当初ベースで比較いたしますと、前年同期比で二二・三%の増加となっているわけでございます。  企業の資金需要は全般的に落ち着いておりますので、年末の資金需要に対しましてもさほど大きな追加措置は必要でない、このように考えております。今後の資金需要の動向に応ずる適切な措置を検討いたしまして、近く結論を出したいと考えている次第でございまして、先生の御指摘の数字も、一応の検討めどとはなっておりますが、まだ最終的には決定しておりません。
  240. 安田純治

    安田委員 ところで、同和関係の融資についてはどんな指導をしておるか、伺いたいと思います。
  241. 徳田博美

    徳田説明員 同和地区の中小企業に対する融資につきましては、政府関係中小三機関に対しまして、「同和対策事業特別措置法の対象地域における中小企業に対する融資について」という通達を昭和四十四年九月と四十八年二月に出しまして、今後とも一層の配慮をするよう指導をしているわけでございまして、金融機関としてもこれを受けまして、懇切丁寧な金融相談あるいは迅速な処理等について適時配意しているところでございます。
  242. 安田純治

    安田委員 同対法の精神に基づいて一層の配慮、きめ細かい配慮をするようにというような通達も出して指導しているということだと思うのですが、同和を名のる団体、個人にはすべてそういう取り扱いをしているということかどうか、伺います。
  243. 徳田博美

    徳田説明員 同和を名のる団体にどのようなものがあるか、実はこちらも全部調べているわけではないわけでございます。実態はその点は把握しておりませんのですが、同和関係の融資につきましては、この通達の趣旨に沿いまして一層の配慮を行っていくというような取り扱いになっております。
  244. 安田純治

    安田委員 そこで、こういう事例があります。福島県の福島市のある製造業者の方が昨年五月、商工会を通じて国民金融公庫の福島支店に三百万円の融資申し込みをしたのですが、しかし審査の結果融資できないという結論になった。一年後のことしの五月、再び同じように三百万円融資を申し込んだけれども、しかしやっぱりことしもだめだったわけであります。ところが、その直後にある人の紹介で、北日本同和協助会というところに頼めば融資が受けられるということを聞いて、その会を訪ねて、北日本同和協助会の会員として申し込んだところが、二週間後満額三百万円融資を受けられたというのであります。その方が私の事務所に来られまして、融資を受けられたことは大変ありがたいことだけれども国民金融公庫の姿勢もこれまでと全く違ったし、まことに不思議なことだ、こうおっしゃるわけであります。こういうことはあり得るわけですね。
  245. 徳田博美

    徳田説明員 個別の案件でございますので、具体的には事情を調査いたしませんと、どのような事情でそのようになったのかは申し上げがたいわけでございますが、先ほどの通達にもございますように、同和関係の場合には一般の場合よりもより丁寧に事情を聞き、迅速に処理をするというような取り扱いをすることになっておりますので、そういうことも背景にあってそのような処理をしたのかと思われます。
  246. 安田純治

    安田委員 ところが、この北日本同和協助会という団体は、福島市に事務所を持って、代表者は加藤賢司なる人物であります。  さて、ここで問題にしたい一つは、福島においては同和問題は問題になっていないということであります。私も福島県の住民ですが、全くこれは問題になっておらないわけです。福島県当局も、同和対策は福島県の行政に関係ない、県下では二十年以上前から完全に県民と融和しており、その必要がない、いまさら同和対策を行政のベースに乗せることはかえって逆戻りさせるものだと明言しております。私自身、福島県に生まれ育っておりますけれども、同和の問題についてかつて耳にしたことがございませんし、全く県民と融和しておるわけであります。先ほど例に挙げた方も、実は同和と聞いても何のことかわからない、東北地方は一般にそうだと思うのです。だからこそ、不思議だ、気味が悪いと言って私の事務所に話に来られたわけです。国金はこういう県の方針、実情を承知の上であえて特別の措置をとっているのかどうかということを非常に疑問に思うわけであります。  次に重要な問題は、この北日本同和協助会のように同和対策を利用するために同和団体を名のるいわばにせの同和団体が、私の短期間の調査だけでも、それも北九州、東京、東北の三地域だけでも何と二十八団体にも上るのであります。その中には、日本同和団体中央会のように全国に百七十の支部を持つものもありました。まさに全国的に策動しているのであります。  二十八団体といいますのは、私の調べですと、日本同和会全国連合会、同和対策国民協議会、九州振興同和促進会、日本同和会福岡県商工連合、全国同和協議会、新日本同和会、全国同和建設業組合その他ずっとたくさんございます。先ほど挙げた福島県の関係でいいますと、東日本同和会、それから北日本同和協助会、全東北同和対策協議会などというものもございます。  しかも重要なことは、これらの団体の幾つかは暴力団かまたは暴力団と密接な関係があることであります。いわゆる同和三団体である部落解放同盟、全日本同和会、全国部落解放運動連合会はこうした動きについて、同和事業を食い物にする利権団体として厳しい批判の見解を表明しているのであります。大蔵省当局はこうした実情を承知しているのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  247. 徳田博美

    徳田説明員 いま先生が御指摘になりましたような団体については、詳しくは承知しておりません。
  248. 安田純治

    安田委員 問題の第三は、以上の団体が融資の仲介の手数料として融資金額の六%から二〇%を徴収していることであります。こういう形で政府金融が暴力団の資金源となっておる。また、ある金融問題の専門家の調査によれば、サラ金は表の看板であって、サラ金の原資はこういう形で暴力団が政府金融機関から引き出している、したがってサラ金規則だけでは暴力的やみ金融はなくならない、こういうふうに語っているのであります。  いずれにせよ、福島市に事務所を持つ北日本同和協助会については、私どもその設立の経過からある程度事実関係調査してまいりましたけれども、まず第一に、同対法の対象外の案件に対しても国金は特別の配慮をしておる。二番目に、手数料が六%取られておる。三番目に、暴力団とつながりがある。つまり、東日本同和会は極東組と関係がありますが、前にこの東日本同和会の中にいた人が飛び出して北日本同和協助会をつくっているという経過がございます。第四番目に、国民金融公庫を専門に融資の道を閉ざされた人を対象にして口伝えに紹介を要請している。今日この会の世話になった人は、福島県内で北日本同和協助会だけで千人以上に達するということであります。  さて、そこでまず法務省に伺います。融資の媒介として手数料を六%徴収することは出資法第四条違反ではないのかどうか。また、北日本同和協助会は同法第七条の届け出もしていない。出資法上問題があると思いますけれども調査と善処を要望するものですが、どうでしょうか。
  249. 佐藤道夫

    佐藤(道)説明員 事実関係の詳細を承知しておりませんので、明確にお答えすることは困難でございますけれども、いずれにいたしましても、媒介手数料につきましては出資法四条に制限がございまして、〇・五%とされておりますので、これを超えて手数料を収受いたしますれば同法違反が成立いたしますし、同じように、業として金銭の媒介を行う場合にも出資法の七条によって届け出が必要であるとされておりますので、この届け出がない限りにおきましてはやはり同法違反が成立するということでございます。
  250. 安田純治

    安田委員 私ども調査では、全国各地の国民金融公庫の支店においてこれらの団体の対処に苦慮しておるというのが実情であります。今日まで大蔵省当局が知らなかったとすれば職務怠慢であると言わざるを得ないし、知った上であいまいな態度をとっているとすればさらに問題であります。当局のあいまいな姿勢こそ彼らのつけ入るところとなっているのでありまして、しかも同和を名のれば九〇%以上、ほぼ一〇〇%近い確率で融資を引き出しているという実績がますますこうした動きを助長させているわけであります。そこで、さしあたり私は次の三点を強く要求するものであります。  第一に、暴力に屈する姿勢を改めよということであります。ことしの七月に八幡支店で不正融資問題と新聞に書き立てられるということもありましたけれども、どうも最近不祥事が続発しているとの感じを受けます。暴力その他の圧力に屈服した融資があるとすれば重大な問題であります。  第二に、一般の中小業者の融資申し込みについて特段の配慮をすることであります。圧力団体を仲介としない者への審査が厳しいということが暴力団の策動の条件をつくっておるという面がございます。  第三に、本日私が問題にした点、今日の国金のがんとなっている問題であるはずです。あえてきょうはその金額その他を口にいたしませんけれども、焦げつきの金額もかなりの額に上っていると聞いております。同和対策法の精神の尊重は結構であります。けれども、北海道、東北地方など幸いにしてその特別の措置が必要でないほどに一般国民と融和した地域にまでこうした融資の取り扱いをすることは、同対法尊重の履き違えであって、逆に好ましくない。少なくとも暴力団の資金源になるなどの事態は断じて放任できないことであります。国金のあいまいな姿勢が彼らの策動を助長させていることは否定できません。そこで大蔵省当局として毅然とした態度を示すこと、それこそ求められていると思います。全国の支店の実情を調査して、この点ぜひ御検討いただきたい。  暴力などの圧力に屈するなということ、二番目に、そういう圧力団体の仲介がなくても中小業者に対して親切に配慮をして審査をするべきであって、そういう圧力団体などが介入すると審査が緩やかになるということが暴力団の策動の条件をつくっているということ、第三番目に、いま言ったような東北地方、北海道地方など一般国民に融和しているところでも同対法に基づく取り扱いをするということが、暴力団の資金源になるということ、この三点を指摘しておきますので、この点について責任のある答弁を求めます。  それから、時間の関係でもう一つ、先ほどの法務省の御答弁ですけれども、出資法違反の疑いがある。私の調査ではまさに六%の仲介手数料を取っておる、届け出もしておらぬということでございますので、ぜひ法務省としても善処していただきたいという点で答弁を求めます。
  251. 徳田博美

    徳田説明員 国民公庫は、貴重な財政投融資の資金をもちまして融資を行っているわけでございますし、特に銀行その他一般の金融機関から資金の融通を受けることを困難とする小企業、零細企業を対象とする目的を持っているわけでございますので、先生指摘のようなことがあれは、それは非常に好ましくないわけでございます。こういう貴重な財政投融資の原資を財投計画に従って運用しているわけでございますから、先生指摘のように、暴力その他に屈するというような筋を曲げるような行為はあるべきではございませんし、またそのようなことがないように今後も十分配慮してまいりたいと思います。  それから、一般の融資手続につきましても、極力簡素化を図っておるわけでございまして、仲介その他は必要としないような、一般の中小零細業者が十分独自にこの手続を行い得るような仕組みになっているわけでございますので、今後ともその辺には十分配慮をしてまいりたいと思います。  それから、同和関係の取り扱いについても、今後ともその適正な処置を行うように指導してまいりたい、このように考えております。
  252. 佐藤道夫

    佐藤(道)説明員 先ほど私、出資法の四条の関係につきまして〇・五%と申し上げたかと思いますけれども、これは五%の誤りでございますので、訂正さしていただきます。  次に、暴力関係犯罪の捜査のことでございますが、お尋ねの件が具体的な事実関係に基づくものでございますので、所轄の検察庁に御趣旨を伝えまして、検察庁におきまして、第一次捜査権を持つ警察当局と緊密な連絡の上に所要の措置を講ずることになろうかと存じます。
  253. 安田純治

    安田委員 あと時間が残り少なくなりましたので、重複していろいろ念を押したいことはありますけれども、先ほど例に挙げました福島市の業者の方、去年も三百万申し込んでだめ、ことしも五月に三百万申し込んでだめ、ところが同和協助会というところに行って会員になったのですね、もちろん同和とは全く関係ない人です。それで、この人が行ったら二週間後に満額出たのですよ。しかも同和協助会からということを言ったら途端に国金の姿勢が低姿勢になったという話なんです。本人の話では。本人が借りておきながら、薄気味悪くなりまして、私の事務所へやってきて、こういう奇妙なことがあったということで、借りちゃってから心配になって相談にきたわけです。  関西の方で同和問題が非常に問題になっているところはいざ知らず、福島なんかの実情を御存じならばすぐわかるわけですけれども、福島で同和の問題が問題になったことは一度もございませんです。しかもああいう狭い福島市などの地域では、大体そういう同和協助会などに関係している人物、もう札つきの人物でございまして、警察当局なんか十分知っていると思うのですが、そういう状態なんですね。ですから当然、福島の国金でもそういうことを知らぬはずはないというふうに一般には思えるわけです。その関係者が暴力団関係かどうかは知らないまでも、同和協助会なるものが福島で活動しておって、それが実際同和対策が必要な人なのかどうか。これは実際調べることはできませんね、調べ始めるとまた人権問題ということになりますけれども、しかし少なくとも福島地方の特色から見て、同和問題が問題になったことは一遍もないです。これに北日本同和協助会で千人も仲介しておる、ほとんど一〇〇%近い融資が受けられておる。断られると、そういうところに行けば国金は貸してくれるよという口伝えなんですね。ですからそれを聞きつけてまた入ってくる、こういう状況です。これが暴力団とつながっておるというのは明らかでございますので、ぜひひとつ厳重な監督を、国金関係に対しては大蔵省、それからあとその団体については法務省の方にぜひやっていただきたい。  先ほど挙げたように全国で二十八団体、こういう本当の同和関係の団体から利権団体だと非難されるようなにせの同和団体が、国金に焦点をしぼって、一遍審査ではねられた人を仲介して仲介料を取っておる、こういう事態ですので、単に福島県の実例として私は挙げましたけれども、これは全国的な問題でもあると思いますので、ぜひお願いしたいということを最後に強く要望しておきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  254. 大村襄治

    大村委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後三時二十四分散会