運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1978-10-20 第85回国会 衆議院 大蔵委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年十月二十日(金曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 大村 襄治君    理事 小泉純一郎君 理事 野田  毅君    理事 保岡 興治君 理事 綿貫 民輔君    理事 佐藤 観樹君 理事 坂口  力君    理事 永末 英一君       池田 行彦君    小渕 恵三君       大石 千八君    後藤田正晴君       坂本三十次君    高鳥  修君       林  大幹君    原田  憲君       本名  武君    村上 茂利君       山崎武三郎君    山中 貞則君       伊藤  茂君    池端 清一君       大島  弘君    沢田  広君       只松 祐治君    平林  剛君       山田 耻目君    貝沼 次郎君       宮地 正介君    高橋 高望君       柴田 睦夫君    永原  稔君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 村山 達雄君  出席政府委員         人事院事務総局         職員局長    金井 八郎君         大蔵政務次官  稲村 利幸君         大蔵大臣官房日         本専売公社監理         官       名本 公洲君         大蔵大臣官房審         議官      米里  恕君         大蔵省主税局長 高橋  元君         大蔵省理財局長 田中  敬君         大蔵省証券局長 渡辺 豊樹君         大蔵省銀行局長 徳田 博美君         国税庁長官   磯邊 律男君  委員外の出席者         大蔵省銀行局保         険部長     貝塚敬次郎君         厚生省年金局企         画課長     吉原 健二君         中小企業庁計画         部下請企業課長 林  昭彦君         日本専売公社総         裁       泉 美之松君         参  考  人         (日本銀行理         事)      中川 幸次君         参  考  人         (全国銀行協会         連合会会長)  松沢 卓二君         大蔵委員会調査         室長      葉林 勇樹君     ――――――――――――― 委員の異動 十月十七日  辞任         補欠選任   小渕 恵三君     前尾繁三郎君   佐野 嘉吉君     原 健三郎君   山崎武三郎君     三池  信君   永原  稔君     山口 敏夫君 同日  辞任         補欠選任   原 健三郎君     佐野 嘉吉君   前尾繁三郎君     小渕 恵三君   三池  信君     山崎武三郎君   山口 敏夫君     永原  稔君 同月十八日  辞任         補欠選任   伊藤  茂君     栂野 泰二君   高橋 高望君     玉置 一徳君 同日  辞任         補欠選任   栂野 泰二君     伊藤  茂君   玉置 一徳君     高橋 高望君 同月二十日  辞任         補欠選任   荒木  宏君     柴田 睦夫君 同日  辞任         補欠選任   柴田 睦夫君     荒木  宏君     ――――――――――――― 十月十三日  東京教育大学筑波移転跡地払い下げに関する  請願(荒木宏君紹介)(第一三六一号)  同(大島弘君紹介)(第一三六二号)  同(近江巳記夫君紹介)(第一三六三号)  同(佐藤観樹君紹介)(第一四三一号)  同(沢田広君紹介)(第一四三二号)  同(和田耕作君紹介)(第一四三三号)  みなし法人課税制度合理化に関する請願(佐  藤隆君紹介)(第一三六四号)  同(谷川寛三君紹介)(第一三六五号)  同(登坂重次郎君紹介)(第一三六六号)  同(小此木彦三郎君紹介)(第一四二六号)  同(久野忠治君紹介)(第一四二七号)  同外一件(中尾栄一君紹介)(第一四二八号)  同(葉梨信行君紹介)(第一四二九号)  同(渡部恒三君紹介)(第一四三〇号)  一般消費税導入反対に関する請願(安田純治  君紹介)(第一三六七号)  大幅減税による景気回復生活安定等に関する  請願(有島重武君紹介)(第一三六八号)  同(神田厚君紹介)(第一三六九号)  同(久保三郎君紹介)(第一三七〇号)  同(新村勝雄君紹介)(第一三七一号)  同(宮田早苗君紹介)(第一三七二号)  同(山本悌二郎君紹介)(第一三七三号)  同(渡辺芳男君紹介)(第一四三四号) 同月十四日  政府系中小企業向け金融機関既往貸付金利引  き下げに関する請願(斎藤実君紹介)(第一五  三二号)  同(北側義一君紹介)(第一七一一号)  同(塚本三郎君紹介)(第一七一二号)  同(春田重昭君紹介)(第一七一三号)  みなし法人課税制度合理化に関する請願(池  端清一君紹介)(第一五三三号)  同(渋沢利久君紹介)(第一五三四号)  同(堀内光雄君紹介)(第一五三五号)  同(愛野興一郎君紹介)(第一七〇五号)  同(川口大助君紹介)(第一七〇六号)  同(住栄作君紹介)(第一七〇七号)  同(高沢寅男君紹介)(第一七〇八号)  同(林大幹君紹介)(第一七〇九号)  同(与謝野馨君紹介)(第一七一〇号)  東京教育大学筑波移転跡地払い下げに関する  請願(池端清一君紹介)(第一五三六号)  同(鯨岡兵輔君紹介)(第一五三七号)  同(小泉純一郎君紹介)(第一五三八号)  同(菅波茂君紹介)(第一五三九号)  同(寺前巖君紹介)(第一五四〇号)  同(野田卯一君紹介)(第一五四一号)  同(東中光雄君紹介)(第一五四二号)  同(広瀬秀吉君紹介)(第一五四三号)  同(不破哲三君紹介)(第一五四四号)  同(藤波孝生君紹介)(第一五四五号)  同(宇都宮徳馬君紹介)(第一六二一号)  同(長谷雄幸久君紹介)(第一六二二号)  同(阿部昭吾君紹介)(第一六八五号)  同(伊藤茂君紹介)(第一六八六号)  同(石橋一弥君紹介)(第一六八七号)  同(小此木彦三郎君紹介)(第一六八八号)  同(大柴滋夫君紹介)(第一六八九号)  同(長田武士君紹介)(第一六九〇号)  同(加藤六月君紹介)(第一六九一号)  同(金子みつ君紹介)(第一六九二号)  同(川口大助君紹介)(第一六九三号)  同(工藤晃君(共)紹介)(第一六九四号)  同(小林政子君紹介)(第一六九五号)  同(嶋崎譲君紹介)(第一六九六号)  同(高沢寅男君紹介)(第一六九七号)  同(塚田庄平君紹介)(第一六九八号)  同(葉梨信行君紹介)(第一六九九号)  同(林大幹君紹介)(第一七〇〇号)  同(水平豊彦君紹介)(第一七〇一号)  同(村上茂利君紹介)(第一七〇二号)  同(山花貞夫君紹介)(第一七〇三号)  同(湯山勇君紹介)(第一七〇四号)  大幅減税による景気回復生活安定等に関する  請願(神田厚君紹介)(第一五四六号)  同(吉田之久君紹介)(第一五四七号)  同外二件(上原康助君紹介)(第一七一四号)  同(角屋堅次郎君紹介)(第一七一五号)  貸金業の規制強化に関する請願(登坂重次郎君  紹介)(第一五四八号) 同月十六日  公立高校用地確保のため筑波移転跡地優先払  い下げ等に関する請願(荒木宏君紹介)(第一  八六九号)  同(工藤晃君(共)紹介)(第一八七〇号)  同(塚田庄平君紹介)(第一八七一号)  同(山田耻目君紹介)(第一八七二号)  同(山花貞夫君紹介)(第一八七三号)  同(大久保直彦君紹介)(第二一三〇号)  同(大島弘君紹介)(第二一三一号)  同(坂口力君紹介)(第二一三二号)  同(永末英一君紹介)(第二六八四号)  同(永原稔君紹介)(第二六八五号)  同(長谷川正三君紹介)(第二六八六号)  同(依田実君紹介)(第二六八七号)  在日韓国人に対する金融機関の融資に関する請  願(稲垣実男君紹介)(第一八七四号)  東京教育大学筑波移転跡地払い下げに関する  請願(石川要三君紹介)(第一八七五号)  同(大塚雄司君紹介)(第一八七六号)  同(曽祢益君紹介)(第一八七七号)  同(永末英一君紹介)(第一八七八号)  同(山田太郎君紹介)(第一八七九号)  同(山田耻目君紹介)(第一八八〇号)  同(麻生良方君紹介)(第二一四二号)  同(玉生孝久君紹介)(第二一四三号)  同(玉置一徳君紹介)(第二一四四号)  同(中西績介君紹介)(第二一四五号)  同(松本忠助君紹介)(第二一四六号)  同(山原健二郎君紹介)(第二一四七号)  同(山本政弘君紹介)(第二一四八号)  同(大内啓伍君紹介)(第二六四七号)  同(粕谷茂君紹介)(第二六四八号)  同(中野寛成君紹介)(第二六四九号)  同(永原稔君紹介)(第二六五〇号)  同(福田篤泰君紹介)(第二六五一号)  同(渡辺武三君紹介)(第二六五二号)  みなし法人課税制度合理化に関する請願(大  塚雄司君紹介)(第一八八一号)  同(佐野嘉吉君紹介)(第一八八二号)  同(中野四郎君紹介)(第一八八三号)  同(羽田孜君紹介)(第一八八四号)  同(金子岩三君紹介)(第二一三六号)  同(玉生孝久君紹介)(第二一三七号)  同(羽田孜君紹介)(第二一三八号)  同(羽田野忠文君紹介)(第二一三九号)  同(廣瀬正雄君紹介)(第二一四〇号)  同(藤井勝志君紹介)(第二一四一号)  同(小川平二君紹介)(第二六五三号)  同(大塚雄司君紹介)(第二六五四号)  同(大村襄治君紹介)(第二六五五号)  同(野呂恭一君紹介)(第二六五六号)  同外一件(福田篤泰君紹介)(第二六五七号)  同(山口シヅエ君紹介)(第二六五八号)  同外一件(山田久就君紹介)(第二六五九号)  同(依田実君紹介)(第二六六〇号)  同(渡辺美智雄君紹介)(第二六六一号)  政府系中小企業向け金融機関既往貸付金利引  き下げに関する請願(荒木宏君紹介)(第一八  八五号)  同(小平忠君紹介)(第一八八六号)  同(柴田陸夫君紹介)(第一八八七号)  同(中野寛成君紹介)(第一八八八号)  同(中村正雄君紹介)(第一八八九号)  同(三谷秀治君紹介)(第一八九〇号)  同外十七件(山崎拓君紹介)(第一八九一号)  同(横路孝弘君紹介)(第一八九二号)  同(友納武人君紹介)(第二一四九号)  義務教育施設用地確保のための税法上の特別措  置に関する請願(石橋一弥君紹介)(第一八九  三号)  同(菅波茂君紹介)(第一八九四号)  同(渡部恒三君紹介)(第一八九五号)  同(唐沢俊二郎君紹介)(第二一三四号)  同(藤波孝生君紹介)(第二一三五号)  電子技術総合研究所跡地の利用に関する請願(  福田篤泰君紹介)(第一八九六号)  一般消費税導入反対に関する請願(大久保直  彦君紹介)(第一八九七号)  同外一件(大成正雄君紹介)(第一八九八号)  同(長田武士君紹介)(第一八九九号)  同(加藤清二君紹介)(第一九〇〇号)  同(加藤万吉君紹介)(第一九〇一号)  同(貝沼次郎君紹介)(第一九〇二号)  同(角屋堅次郎君紹介)(第一九〇三号)  同(金子みつ君紹介)(第一九〇四号)  同(川口大助君紹介)(第一九〇五号)  同(川崎寛治君紹介)(第一九〇六号)  同(川俣健二郎君紹介)(第一九〇七号)  同(川本敏美君紹介)(第一九〇八号)  同(河上民雄君紹介)(第一九〇九号)  同(久保三郎君紹介)(第一九一〇号)  同(久保等君紹介)(第一九一一号)  同(栗林三郎君紹介)(第一九一二号)  同(坂口力君紹介)(第一九一三号)  同(玉城栄一君紹介)(第一九一四号)  同(西中清君紹介)(第一九一五号)  同(芳賀貢君紹介)(第一九一六号)  同(長谷川正三君紹介)(第一九一七号)  同(馬場猪太郎君紹介)(第一九一八号)  同(馬場昇君紹介)(第一九一九号)  同(原茂君紹介)(第一九二〇号)  同(松本忠助君紹介)(第一九二一号)  同(宮地正介君紹介)(第一九二二号)  同(安藤巖君紹介)(第二六六二号)  同外三件(青山丘君紹介)(第二六六三号)  同(荒木宏君紹介)(第二六六四号)  同(浦井洋君紹介)(第二六六五号)  同(工藤晃君(共)紹介)(第二六六六号)  同(小林政子君紹介)(第二六六七号)  同(柴田睦夫君紹介)(第二六六八号)  同(清水勇君紹介)(第二六六九号)  同(瀬崎博義君紹介)(第二六七〇号)  同(瀬長亀次郎君紹介)(第二六七一号)  同(津川武一君紹介)(第二六七二号)  同(塚本三郎君紹介)(第二六七三号)  同(寺前巖君紹介)(第二六七四号)  同(中村茂君紹介)(第二六七五号)  同(原茂君紹介)(第二六七六号)  同(不破哲三君紹介)(第二六七七号)  同(藤原ひろ子君紹介)(第二六七八号)  同(正森成二君紹介)(第二六七九号)  同(松本善明君紹介)(第二六八〇号)  同(三谷秀治君紹介)(第二六八一号)  同(安田純治君紹介)(第二六八二号)  同(山原健二郎君紹介)(第二六八三号)  一般消費税新設反対等に関する請願(正森成二  君紹介)(第二一三三号)  大幅減税による景気回復生活安定等に関する  請願(稲富稜人君紹介)(第二一五〇号)  同(大野潔君紹介)(第二一五一号)  同(曽祢益君紹介)(第二一五二号)  同(永末英一君紹介)(第二一五三号)  戦時補償に関する請願(長谷川四郎君紹介)(  第二四八二号)  陸上公共輸送整備特別会計の設置に関する請願  (椎名悦三郎君紹介)(第二八〇一号)  たばこ、塩の専売制度維持等に関する請願(椎  名悦三郎君紹介)(第二八〇二号) 同月十七日  公立高校用地確保のため筑波移転跡地優先払  い下げ等に関する請願(伊藤公介君紹介)(第  二八六八号)  同(石原慎太郎君紹介)(第二八六九号)  同(大塚雄司君紹介)(第二八七〇号)  同(長田武士君紹介)(第二八七一号)  同(鯨岡兵輔君紹介)(第二八七二号)  同(小泉純一郎君紹介)(第二八七三号)  同(小坂徳三郎君紹介)(第二八七四号)  同(佐藤観樹君紹介)(第二八七五号)  同(佐野進君紹介)(第二八七六号)  同(高橋高望君紹介)(第二八七七号)  同(鳩山邦夫君紹介)(第二八七八号)  同(平林剛君紹介)(第二八七九号)  同(山口シヅエ君紹介)(第二八八〇号)  同(綿貫民輔君紹介)(第二八八一号)  同(島村宜伸君紹介)(第三二〇四号)  みなし法人課税制度合理化に関する請願(石  川要三君紹介)(第二八八二号)  同(越智通雄君紹介)(第二八八三号)  同(長田武士君紹介)(第二八八四号)  同(粕谷茂君紹介)(第二八八五号)  同(唐沢俊二郎君紹介)(第二八八六号)  同(上坂昇君紹介)(第二八八七号)  同外一件(斉藤滋与史君紹介)(第二八八八  号)  同(只松祐治君紹介)(第二八八九号)  同(谷川寛三君紹介)(第二八九〇号)  同(友納武人君紹介)(第二八九一号)  同(中村靖君紹介)(第二八九二号)  同外一件(濱野清吾君紹介)(第二八九三号)  同(林義郎君紹介)(第二八九四号)  同(松本忠助君紹介)(第二八九五号)  同(武藤嘉文君紹介)(第二八九六号)  同(森喜朗君紹介)(第二八九七号)  同(山口シヅエ君紹介)(第二八九八号)  同(和田耕作君紹介)(第二八九九号)  同(渡辺栄一君紹介)(第二九〇〇号)  同(渡辺紘三君紹介)(第二九〇一号)  同(渡辺美智雄君紹介)(第二九〇二号)  同(大柴滋夫君紹介)(第三一九九号)  同(島村宜伸君紹介)(第三二〇〇号)  同(菅波茂君紹介)(第三二〇一号)  同(三池信君紹介)(第三二〇二号)  同(鳩山邦夫君紹介)(第三二〇三号)  東京教育大学筑波移転跡地払い下げに関する  請願(愛知和男君紹介)(第二九〇三号)  同(伊藤公介君紹介)(第二九〇四号)  同(池田克也君紹介)(第二九〇五号)  同(石田博英君紹介)(第二九〇六号)  同(小川仁一君紹介)(第二九〇七号)  同(大久保直彦君紹介)(第二九〇八号)  同(鍛冶清君紹介)(第二九〇九号)  同(貝沼次郎君紹介)(第二九一〇号)  同(唐沢俊二郎君紹介)(第二九一一号)  同(小坂徳三郎君紹介)(第二九一二号)  同(小島静馬君紹介)(第二九一三号)  同(小平忠君紹介)(第二九一四号)  同(鈴切康雄君紹介)(第二九一五号)  同(千葉千代世君紹介)(第二九一六号)  同(野田毅君紹介)(第二九一七号)  同(濱野清吾君紹介)(第二九一八号)  同(伏屋修治君紹介)(第二九一九号)  同(松本善明君紹介)(第二九二〇号)  同(三原朝雄君紹介)(第二九二一号)  同(山口シヅエ君紹介)(第二九二二号)  同(与謝野馨君紹介)(第二九二三号)  同(綿貫民輔君紹介)(第二九二四号)  同(石原慎太郎君紹介)(第三二〇五号)  同(権藤恒夫君紹介)(第三二〇六号)  同(長谷川正三君紹介)(第三二〇七号)  同(二見伸明君紹介)(第三二〇八号)  同(山口鶴男君紹介)(第三二〇九号)  政府系中小企業向け金融機関既往貸付金利引  き下げに関する請願(左藤恵君紹介)(第二九  二五号)  同(和田耕作君紹介)(第二九二六号)  同(工藤晃君(共)紹介)(第三二一〇号)  同(不破哲三君紹介)(第三二一一号)  サラ金規制に関する請願(荒木宏君紹介)(第  二九六三号)  所得税の減税等に関する請願外一件(近江巳記  夫君紹介)(第二九六四号)  同(荒木宏君紹介)(第二九六五号)  同(東中光雄君紹介)(第二九六六号)  同(正森成二君紹介)(第二九六七号)  同(三谷秀治君紹介)(第二九六八号)  一般消費税導入反対に関する請願(楯兼次郎  君紹介)(第三二一二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十月十六日  一般消費税新設反対に関する陳情書外十一件  (第  一〇二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  閉会中審査に関する件  国の会計、税制、金融及び専売事業に関する件  請 願     一 政府系中小企業向け金融機関の既往       貸付金利引き下げに関する請願(渡       辺武三君紹介)(第二五号)     二 同外二件(中川秀直君紹介)(第二       六号)     三 同(横山利秋君紹介)(第二七号)     四 大幅減税による景気回復生活安定       等に関する請願(池田克也君紹介)       (第六〇号)     五 同(河村勝君紹介)(第六一号)     六 同(小平忠君紹介)(第六二号)     七 同(高橋高望君紹介)(第六三号)     八 同(西村章三君紹介)(第六四号)     九 同(山田太郎君紹介)(第六五号)    一〇 政府系中小企業向け金融機関の既往       貸付金利引き下げに関する請願(青       山丘君紹介)(第一九一号)    一一 同(鳥居一雄君紹介)(第二六一       号)    一二 同(西中清君紹介)(第二六二号)    一三 大幅減税による景気回復生活安定       等に関する請願外六件(飯田忠雄君       紹介)(第一九二号)    一四 同外二件(大島弘君紹介)(第一九       三号)    一五 同(北側義一君紹介)(第一九四       号)    一六 同(渋沢利久君紹介)(第一九五       号)    一七 同外一件(下平正一君紹介)(第一       九六号)    一八 同(新盛辰雄君紹介)(第一九七       号)    一九 同(高沢寅男君紹介)(第一九八       号)    二〇 同外二件(松本忠助君紹介)(第一       九九号)    二一 同外二件(浅井美幸君紹介)(第二       六三号)    二二 同外四件(新井彬之君紹介)(第二       六四号)    二三 同(有島重武君紹介)(第二六五       号)    二四 同外五件(池田克也君紹介)(第二       六六号)    二五 同外二件(石野久男君紹介)(第二       六七号)    二六 同外二件(岩垂寿喜男君紹介)(第       二六八号)    二七 同(大野潔君紹介)(第二六九号)    二八 同(大橋敏雄君紹介)(第二七〇       号)    二九 同外一件(太田一夫君紹介)(第二       七一号)    三〇 同外一件(沖本泰幸君紹介)(第二       七二号)    三一 同(貝沼次郎君紹介)(第二七三       号)    三二 同(北側義一君紹介)(第二七四       号)    三三 同(草野威君紹介)(第二七五号)    三四 同外一件(小林進君紹介)(第二七       六号)    三五 同(権藤恒夫君紹介)(第二七七       号)    三六 同(沢田広君紹介)(第二七八号)    三七 同外一件(柴田健治君紹介)(第二       七九号)    三八 同外二件(竹内猛君紹介)(第二八       〇号)    三九 同外一件(村山喜一君紹介)(第二       八一号)    四〇 同外二件(山田耻目君紹介)(第二       八二号)     四一 同外一件(渡辺三郎君紹介)(第       二八三号)    四二 一般消費税新設反対等に関する請願       (安藤巖君紹介)(第四七〇号)    四三 同(不破哲三君紹介)(第四七一       号)    四四 政府系中小企業向け金融機関の既往       貸付金利引き下げに関する請願(安       藤巖君紹介)(第四七二号)    四五 同(藤原ひろ子君紹介)(第四七三       号)    四六 一般消費税新設反対等に関する請       願(坂口力君紹介)(第四七四号)    四七 大幅減税による景気回復生活安定       等に関する請願外一件(青山丘君紹       介)(第四七五号)    四八 同外二件(浅井美幸君紹介)(第四       七六号)    四九 同外五件(市川雄一君紹介)(第四       七七号)    五〇 同外五件(小川新一郎君紹介)(第       四七八号)    五一 同(大久保直彦君紹介)(第四七九       号)    五二 同外一件(近江巳記夫君紹介)(第       四八〇号)    五三 同外一件(岡本富夫君紹介)(第四       八一号)    五四 同外三件(長田武士君紹介)(第四       八二号)    五五 同(河村勝君紹介)(第四八三号)    五六 同(北側義一君紹介)(第四八四       号)    五七 同(草川昭三君紹介)(第四八五       号)    五八 同外二件(斎藤実君紹介)(第四八       六号)    五九 同外一件(坂井弘一君紹介)(第四       八七号)    六〇 同外一件(坂口力君紹介)(第四八       八号)    六一 同(田中昭二君紹介)(第四八九       号)    六二 同(竹内勝彦君紹介)(第四九〇       号)    六三 同(中井洽君紹介)(第四九一号)    六四 同外一件(中野寛成君紹介)(第四       九二号)    六五 同(渡辺武三君紹介)(第四九三       号)    六六 同外二件(池端清一君紹介)(第六       三五号)    六七 同外八件(石田幸四郎君紹介)(第       六三六号)    六八 同外二件(小川省吾君紹介)(第六       三七号)    六九 同外二件(川崎寛治君紹介)(第六       三八号)    七〇 同(川本敏美君紹介)(第六三九       号)    七一 同外一件(佐藤観樹君紹介)(第六       四〇号)    七二 同(沢田広君紹介)(第六四一号)    七三 同(島本虎三君紹介)(第六四二       号)    七四 同(多賀谷真稔君紹介)(第六四三       号)    七五 同外一件(高田富之君紹介)(第六       四四号)    七六 同外二件(塚田庄平君紹介)(第六       四五号)    七七 同(中西績介君紹介)(第六四六       号)    七八 同(芳賀貢君紹介)(第六四七号)    七九 同(広瀬秀吉君紹介)(第六四八       号)    八〇 同(美濃政市君紹介)(第六四九       号)    八一 同外一件(横山利秋君紹介)(第六       五〇号)    八二 同(受田新吉君紹介)(第七一五       号)    八三 同(高橋高望君紹介)(第七一六       号)    八四 同(玉置一徳君紹介)(第七一七       号)    八五 同(米沢隆君紹介)(第七一八号)    八六 同(渡辺朗君紹介)(第七一九号)    八七 一般消費税の創設に関する請願(菅       波茂君紹介)(第七一四号)    八八 一般消費税新設反対等に関する請       願(伊藤茂君紹介)(第七二〇号)    八九 大幅減税による景気回復生活安定       等に関する請願外一件(阿部未喜男       君紹介)(第八六七号)    九〇 同外二件(石橋政嗣君紹介)(第八       六八号)    九一 同(河上民雄君紹介)(第八六九       号)    九二 同(北山愛郎君紹介)(第八七〇       号)    九三 同(新村勝雄君紹介)(第八七一       号)    九四 みなし法人課税制度合理化に関す       る請願(高村坂彦君紹介)(第九六       四号)    九五 外国産葉たばこの輸入規制及び昭和       五十三年産葉たばこ買い入れ価格の       引き上げに関する請願(椎名悦三郎       君紹介)(第九六五号)    九六 貸金業に係る規制措置強化に関する       請願(椎名悦三郎君紹介)(第九六       六号)    九七 大幅減税による景気回復生活安定       等に関する請願(板川正吾君紹介)       (第九六七号)    九八 同外二件(岡田利春君紹介)(第九       六八号)    九九 同(兒玉末男君紹介)(第九六九       号)   一〇〇 同(後藤茂君紹介)(第九七〇号)   一〇一 同(坂本恭一君紹介)(第九七一       号)   一〇二 同(田畑政一郎君紹介)(第九七二       号)   一〇三 同(竹本孫一君紹介)(第九七三       号)   一〇四 同(楯兼次郎君紹介)(第九七四       号)   一〇五 同外一件(馬場昇君紹介)(第九七       五号)   一〇六 同外二件(伊藤茂君紹介)(第一〇       五七号)   一〇七 同外二件(小川国彦君紹介)(第一       〇五八号)   一〇八 同(只松祐治君紹介)(第一〇五九       号)   一〇九 同外二件(平林剛君紹介)(第一〇       六〇号)   一一〇 同外二件(松本七郎君紹介)(第一       〇六一号)   一一一 同(佐々木良作君紹介)(第一一一       〇号)   一一二 同(竹本孫一君紹介)(第一一一一       号)   一一三 同(加藤万吉君紹介)(第一一三七       号)   一一四 同外二件(藤田高敏君紹介)(第一       一三八号)   一一五 同外三件(岡田哲児君紹介)(第一       二三七号)   一一六 同外一件(中村正雄君紹介)(第一       二三八号)   一一七 同(西村章三君紹介)(第一二三九       号)   一一八 同(野口幸一君紹介)(第一二四〇       号)   一一九 同(野坂浩賢君紹介)(第一二四一       号)   一二〇 同(春日一幸君紹介)(第一二四二       号)   一二一 同(和田耕作君紹介)(第一二四三       号)   一二二 みなし法人課税制度合理化に関す       る請願(近藤鉄雄君紹介)(第一一       三五号)   一二三 同(塚原俊平君紹介)(第一一三六       号)   一二四 同(上村千一郎君紹介)(第一二三       四号)   一二五 同(田中龍夫君紹介)(第一二三五       号)   一二六 同(横山利秋君紹介)(第一二三六       号)   一二七 東京教育大学筑波移転跡地の払い下       げに関する請願(荒木宏君紹介)(       第一三六一号)   一二八 同(大島弘君紹介)(第一三六二       号)   一二九 同(近江巳記夫君紹介)(第一三六       三号)   一三〇 同(佐藤観樹君紹介)(第一四三一       号)   一三一 同(沢田広君紹介)(第一四三二       号)   一三二 同(和田耕作君紹介)(第一四三三       号)   一三三 みなし法人課税制度合理化に関す       る請願(佐藤隆君紹介)(第一三六       四号)   一三四 同(谷川寛三君紹介)(第一三六五       号)   一三五 同(登坂重次郎君紹介)(第一三六       六号)   一三六 同(小此木彦三郎君紹介)(第一四       二六号)   一三七 同(久野忠治君紹介)(第一四二七       号)   一三八 同外一件(中尾栄一君紹介)(第一       四二八号)   一三九 同(葉梨信行君紹介)(第一四二九       号)   一四〇 同(渡部恒三君紹介)(第一四三〇       号)   一四一 一般消費税導入反対に関する請願       (安田純治君紹介)(第一三六七       号)   一四二 大幅減税による景気回復生活安定       等に関する請願(有島重武君紹介)       (第一三六八号)   一四三 同(神田厚君紹介)(第一三六九       号)   一四四 同(久保三郎君紹介)(第一三七〇       号)   一四五 同(新村勝雄君紹介)(第一三七一       号)   一四六 同(宮田早苗君紹介)(第一三七二       号)   一四七 同(山本悌二郎君紹介)(第一三七       三号)   一四八 同(渡辺芳男君紹介)(第一四三四       号)   一四九 政府系中小企業向け金融機関の既往       貸付金利引き下げに関する請願(斎       藤実君紹介)(第一五三二号)   一五〇 同(北側義一君紹介)(第一七一一       号)   一五一 同(塚本三郎君紹介)(第一七一二       号)   一五二 同(春田重昭君紹介)(第一七一三       号)   一五三 みなし法人課税制度合理化に関す       る請願(池端清一君紹介)(第一五       三三号)   一五四 同(渋沢利久君紹介)(第一五三四       号)   一五五 同(堀内光雄君紹介)(第一五三五       号)   一五六 同(愛野興一郎君紹介)(第一七〇       五号)   一五七 同(川口大助君紹介)(第一七〇六       号)   一五八 同(住栄作君紹介)(第一七〇七       号)   一五九 同(高沢寅男君紹介)(第一七〇八       号)   一六〇 同(林大幹君紹介)(第一七〇九       号)   一六一 同(与謝野馨君紹介)(第一七一〇       号)   一六二 東京教育大学筑波移転跡地の払い下       げに関する請願(池端清一君紹介)       (第一五三六号)   一六三 同(鯨岡兵輔君紹介)(第一五三七       号)   一六四 同(小泉純一郎君紹介)(第一五三       八号)   一六五 同(菅波茂君紹介)(第一五三九       号)   一六六 同(寺前巖君紹介)(第一五四〇       号)   一六七 同(野田卯一君紹介)(第一五四一       号)   一六八 同(東中光雄君紹介)(第一五四二       号)   一六九 同(広瀬秀吉君紹介)(第一五四三       号)   一七〇 同(不破哲三君紹介)(第一五四四       号)   一七一 同(藤波孝生君紹介)(第一五四五       号)   一七二 同(宇都宮徳馬君紹介)(第一六二       一号)   一七三 同(長谷雄幸久君紹介)(第一六二       二号)   一七四 同(阿部昭吾君紹介)(第一六八五       号)   一七五 同(伊藤茂君紹介)(第一六八六       号)   一七六 同(石橋一弥君紹介)(第一六八七       号)   一七七 同(小此木彦三郎君紹介)(第一六       八八号)   一七八 同(大柴滋夫君紹介)(第一六八九       号)   一七九 同(長田武士君紹介)(第一六九〇       号)   一八〇 同(加藤六月君紹介)(第一六九一       号)   一八一 同(金子みつ君紹介)(第一六九二       号)   一八二 同(川口大助君紹介)(第一六九三       号)   一八三 同(工藤晃君(共)紹介)(第一六       九四号)   一八四 同(小林政子君紹介)(第一六九五       号)   一八五 同(嶋崎譲君紹介)(第一六九六       号)   一八六 同(高沢寅男君紹介)(第一六九七       号)   一八七 同(塚田庄平君紹介)(第一六九八       号)   一八八 同(葉梨信行君紹介)(第一六九九       号)   一八九 同(林大幹君紹介)(第一七〇〇       号)   一九〇 同(水平豊彦君紹介)(第一七〇一       号)   一九一 同(村上茂利君紹介)(第一七〇二       号)   一九二 同(山花貞夫君紹介)(第一七〇三       号)   一九三 同(湯山勇君紹介)(第一七〇四       号)   一九四 大幅減税による景気回復生活安定       等に関する請願(神田厚君紹介)(       第一五四六号)   一九五 同(吉田之久君紹介)(第一五四七       号)   一九六 同外二件(上原康助君紹介)(第一       七一四号)   一九七 同(角屋堅次郎君紹介)(第一七一       五号)   一九八 貸金業の規制強化に関する請願(登       坂重次郎君紹介)(第一五四八号)   一九九 公立高校用地確保のため筑波移転跡       地の優先払い下げ等に関する請願(       荒木宏君紹介)(第一八六九号)   二〇〇 同(工藤晃君(共)紹介)(第一八       七〇号)   二〇一 同(塚田庄平君紹介)(第一八七一       号)   二〇二 同(山田耻目君紹介)(第一八七二       号)   二〇三 同(山花貞夫君紹介)(第一八七三       号)   二〇四 同(大久保直彦君紹介)(第二一三       〇号)   二〇五 同(大島弘君紹介)(第二一三一       号)   二〇六 同(坂口力君紹介)(第二一三二       号)   二〇七 同(永末英一君紹介)(第二六八四       号)   二〇八 同(永原稔君紹介)(第二六八五       号)   二〇九 同(長谷川正三君紹介)(第二六八       六号)   二一〇 同(依田実君紹介)(第二六八七       号)   二一一 在日韓国人に対する金融機関の融資       に関する請願(稲垣実男君紹介)(       第一八七四号)   二一二 東京教育大学筑波移転跡地の払い下       げに関する請願(石川要三君紹介)       (第一八七五号)   二一三 同(大塚雄司君紹介)(第一八七六       号)   二一四 同(曽祢益君紹介)(第一八七七       号)   二一五 同(永末英一君紹介)(第一八七八       号)   二一六 同(山田太郎君紹介)(第一八七九       号)   二一七 同(山田耻目君紹介)(第一八八〇       号)   二一八 同(麻生良方君紹介)(第二一四二       号)   二一九 同(玉生孝久君紹介)(第二一四三       号)   二二〇 同(玉置一徳君紹介)(第二一四四       号)   二二一 同(中西績介君紹介)(第二一四五       号)   二二二 同(松本忠助君紹介)(第二一四六       号)   二二三 同(山原健二郎君紹介)(第二一四       七号)   二二四 同(山本政弘君紹介)(第二一四八       号)   二二五 同(大内啓伍君紹介)(第二六四七       号)   二二六 同(粕谷茂君紹介)(第二六四八       号)   二二七 同(中野寛成君紹介)(第二六四九       号)   二二八 同(永原稔君紹介)(第二六五〇       号)   二二九 同(福田篤泰君紹介)(第二六五一       号)   二三〇 同(渡辺武三君紹介)(第二六五二       号)   二三一 みなし法人課税制度合理化に関す       る請願(大塚雄司君紹介)(第一八       八一号)   二三二 同(佐野嘉吉君紹介)(第一八八二       号)   二三三 同(中野四郎君紹介)(第一八八三       号)   二三四 同(羽田孜君紹介)(第一八八四       号)   二三五 同(金子岩三君紹介)(第二一三六       号)   二三六 同(玉生孝久君紹介)(第二一三七       号)   二三七 同(羽田孜君紹介)(第二一三八       号)   二三八 同(羽田野忠文君紹介)(第二一三       九号)   二三九 同(廣瀬正雄君紹介)(第二一四〇       号)   二四〇 同(藤井勝志君紹介)(第二一四一       号)   二四一 同(小川平二君紹介)(第二六五三       号)   二四二 同(大塚雄司君紹介)(第二六五四       号)   二四三 同(大村襄治君紹介)(第二六五五       号)   二四四 同(野呂恭一君紹介)(第二六五六       号)   二四五 同外一件(福田篤泰君紹介)(第二       六五七号)   二四六 同(山口シヅエ君紹介)(第二六五       八号)   二四七 同外一件(山田久就君紹介)(第二       六五九号)   二四八 同(依田実君紹介)(第二六六〇       号)   二四九 同(渡辺美智雄君紹介)(第二六六       一号)   二五〇 政府系中小企業向け金融機関の既往       貸付金利引き下げに関する請願(荒       木宏君紹介)(第一八八五号)   二五一 同(小平忠君紹介)(第一八八六       号)   二五二 同(柴田睦夫君紹介)(第一八八七       号)   二五三 同(中野寛成君紹介)(第一八八八       号)   二五四 同(中村正雄君紹介)(第一八八九       号)   二五五 同(三谷秀治君紹介)(第一八九〇       号)   二五六 同外十七件(山崎拓君紹介)(第一       八九一号)   二五七 同(横路孝弘君紹介)(第一八九二       号)   二五八 同(友納武人君紹介)(第二一四九       号)   二五九 義務教育施設用地確保のための税法       上の特別措置に関する請願(石橋一       弥君紹介)(第一八九三号)   二六〇 同(菅波茂君紹介)(第一八九四       号)   二六一 同(渡部恒三君紹介)(第一八九五       号)   二六二 同(唐沢俊二郎君紹介)(第二一三       四号)   二六三 同(藤波孝生君紹介)(第二一三五       号)   二六四 電子技術総合研究所跡地の利用に関       する請願(福田篤泰君紹介)(第一       八九六号)   二六五 一般消費税導入反対に関する請願       (大久保直彦君紹介)(第一八九七       号)   二六六 同外一件(大成正雄君紹介)(第一       八九八号)   二六七 同(長田武士君紹介)(第一八九九       号)   二六八 同(加藤清二君紹介)(第一九〇〇       号)   二六九 同(加藤万吉君紹介)(第一九〇一       号)   二七〇 同(貝沼次郎君紹介)(第一九〇二       号)   二七一 同(角屋堅次郎君紹介)(第一九〇       三号)   二七二 同(金子みつ君紹介)(第一九〇四       号)   二七三 同(川口大助君紹介)(第一九〇五       号)   二七四 同(川崎寛治君紹介)(第一九〇六       号)   二七五 同(川俣健二郎君紹介)(第一九〇       七号)   二七六 同(川本敏美君紹介)(第一九〇八       号)   二七七 同(河上民雄君紹介)(第一九〇九       号)   二七八 同(久保三郎君紹介)(第一九一〇       号)   二七九 同(久保等君紹介)(第一九一一       号)   二八〇 同(栗林三郎君紹介)(第一九一二       号)   二八一 同(坂口力者紹介)(第一九一三       号)   二八二 同(玉城栄一君紹介)(第一九一四       号)   二八三 同(西中清君紹介)(第一九一五       号)   二八四 同(芳賀貢君紹介)(第一九一六       号)   二八五 同(長谷川正三君紹介)(第一九一       七号)   二八六 同(馬場猪太郎君紹介)(第一九一       八号)   二八七 同(馬場昇君紹介)(第一九一九       号)   二八八 同(原茂君紹介)(第一九二〇号)   二八九 同(松本忠助君紹介)(第一九二一       号)   二九〇 同(宮地正介君紹介)(第一九二二       号)   二九一 同(安藤巖君紹介)(第二六六二       号)   二九二 同外三件(青山丘君紹介)(第二六       六三号)   二九三 同(荒木宏君紹介)(第二六六四       号)   二九四 同(浦井洋君紹介)(第二六六五       号)   二九五 同(工藤晃君(共)紹介)(第二六       六六号)   二九六 同(小林政子君紹介)(第二六六七       号)   二九七 同(柴田睦夫君紹介)(第二六六八       号)   二九八 同(清水勇君紹介)(第二六六九       号)   二九九 同(瀬崎博義君紹介)(第二六七〇       号)   三〇〇 同(瀬長亀次郎君紹介)(第二六七       一号)   三〇一 同(津川武一料紹介)(第二六七二       号)   三〇二 同(塚本三郎君紹介)(第二六七三       号)   三〇三 同(寺前巖君紹介)(第二六七四       号)   三〇四 同(中村茂君紹介)(第二六七五       号)   三〇五 同(原茂君紹介)(第二六七六号)   三〇六 同(不破哲三君紹介)(第二六七七       号)   三〇七 同(藤原ひろ子君紹介)(第二六七       八号)   三〇八 同(正森成二君紹介)(第二六七九       号)   三〇九 同(松本善明君紹介)(第二六八〇       号)   三一〇 同(三谷秀治君紹介)(第二六八一       号)   三一一 同(安田純治君紹介)(第二六八二       号)   三一二 同(山原健二郎料紹介)(第二六八       三号)   三一三 一般消費税新設反対等に関する請願       (正森正二君紹介)(第二一三三       号)   三一四 大幅減税による県気回復と生活安定       等に関する請願(稲富稜人君紹介)       (第二一五〇号)   三一五 同(大野潔君紹介)(第二一五一       号)   三一六 同(曽祢益君紹介)(第二一五二       号)   三一七 同(永末英一料紹介)(第二一五三       号)   三一八 戦時補償に関する請願(長谷川四郎       君紹介)(第二四八二号)   三一九 陸上公共輸送整備特別会計の設置に       関する請願(椎名悦三郎君紹介)(       第二八〇一号)   三二〇 たばこ、塩の専売制度維持等に関す       る請願(椎名悦三郎君紹介)(第二       八〇二号)   三二一 公立高校用地確保のため筑波移転跡       地の優先払い下げ等に関する請願(       伊藤公介君紹介)(第二八六八号)   三二二 同(石原慎太郎君紹介)(第二八六       九号)   三二三 同(大塚雄司君紹介)(第二八七〇       号)   三二四 同(長田武士君紹介)(第二八七一       号)   三二五 同(鯨岡兵輔君紹介)(第二八七二       号)   三二六 同(小泉純一郎君紹介)(第二八七       三号)   三二七 同(小坂徳三郎君紹介)(第二八七       四号)   三二八 同(佐藤観樹君紹介)(第二八七五       号)   三二九 同(佐野進君紹介)(第二八七六       号)   三三〇 同(高橋高望君紹介)(第二八七七       号)   三三一 同(鳩山邦夫君紹介)(第二八七八       号)   三三二 同(平林剛君紹介)(第二八七九       号)   三三三 同(山口シヅエ君紹介)(第二八八       〇号)   三三四 同(綿貫民輔君紹介)(第二八八一       号)   三三五 同(島村宜伸君紹介)(第三二〇四       号)   三三六 みなし法人課税制度合理化に関す       る請願(石川要三君紹介)(第二八       八二号)   三三七 同(越智通雄君紹介)(第二八八三       号)   三三八 同(長田武士君紹介)(第二八八四       号)   三三九 同(粕谷茂君紹介)(第二八八五       号)   三四〇 同(唐沢俊二郎君紹介)(第二八八       六号)   三四一 同(上坂昇君紹介)(第二八八七       号)   三四二 同外一件(斉藤滋与史君紹介)(第       二八八八号)   三四三 同(只松祐治君紹介)(第二八八九       号)   三四四 同(谷川寛三君紹介)(第二八九〇       号)   三四五 同(友納武人君紹介)(第二八九一       号)   三四六 同(中村靖君紹介)(第二八九二       号)   三四七 同外一件(濱野清吾君紹介)(第二       八九三号)   三四八 同(林義郎君紹介)(第二八九四       号)   三四九 同(松本忠助君紹介)(第二八九五       号)   三五〇 同(武藤嘉文君紹介)(第二八九六       号)   三五一 同(森喜朗君紹介)(第二八九七       号)   三五二 同(山口シヅエ君紹介)(第二八九       八号)   三五三 同(和田耕作君紹介)(第二八九九       号)   三五四 同(渡辺栄一君紹介)(第二九〇〇       号)   三五五 同(渡辺紘三君紹介)(第二九〇一       号)   三五六 同(渡辺美智雄君紹介)(第二九〇       二号)   三五七 同(大柴滋夫君紹介)(第三一九九       号)   三五八 同(島村宜伸君紹介)(第三二〇〇       号)   三五九 同(菅波茂君紹介)(第三二〇一       号)   三六〇 同(三池信君紹介)(第三二〇二       号)   三六一 同(鳩山邦夫君紹介)(第三二〇三       号)   三六二 東京教育大学筑波移転跡地の払い下       げに関する請願(愛知和男君紹介)       (第二九〇三号)   三六三 同(伊藤公介君紹介)(第二九〇四       号)   三六四 同(池田克也君紹介)(第二九〇五       号)   三六五 同(石田博英君紹介)(第二九〇六       号)   三六六 同(小川仁一君紹介)(第二九〇七       号)   三六七 同(大久保直彦君紹介)(第二九〇       八号)   三六八 同(鍛冶清君紹介)(第二九〇九       号)   三六九 同(貝沼次郎君紹介)(第二九一〇       号)   三七〇 同(唐沢俊二郎君紹介)(第二九一       一号)   三七一 同(小坂徳三郎君紹介)(第二九一       二号)   三七二 同(小島静馬君紹介)(第二九一三       号)   三七三 同(小平忠君紹介)(第二九一四       号)   三七四 同(鈴切康雄君紹介)(第二九一五       号)   三七五 同(千葉千代世君紹介)(第二九一       六号)   三七六 同(野田毅君紹介)(第二九一七       号)   三七七 同(濱野清吾君紹介)(第二九一八       号)   三七八 同(伏屋修治君紹介)(第二九一九       号)   三七九 同(松本善明君紹介)(第二九二〇       号)   三八〇 同(三原朝雄君紹介)(第二九一二       号)   三八一 同(山口シヅエ君紹介)(第二九二       二号)   三八二 同(与謝野馨君紹介)(第二九二三       号)   三八三 同(綿貫民輔君紹介)(第二九二四       号)   三八四 同(石原慎太郎君紹介)(第三二〇       五号)   三八五 同(権藤恒夫君紹介)(第三二〇六       号)   三八六 同(長谷川正三君紹介)(第三二〇       七号)   三八七 同(二見伸明君紹介)(第三二〇八       号)   三八八 同(山口鶴男君紹介)(第三二〇九       号)   三八九 政府系中小企業向け金融機関の既往       貸付金利引き下げに関する請願(左       藤恵君紹介)(第二九二五号)   三九〇 同(和田耕作君紹介)(第二九二六       号)   三九一 同(工藤晃君(共)紹介)(第三二       一〇号)   三九二 同(不破哲三君紹介)(第三二一一       号)   三九三 サラ金規制に関する請願(荒木宏君       紹介)(第二九六三号)   三九四 所得税の減税等に関する請願外一件       (近江巳記夫君紹介)(第二九六四       号)   三九五 同(荒木宏君紹介)(第二九六五       号)   三九六 同(東中光雄君紹介)(第二九六六       号)   三九七 同(正森正二君紹介)(第二九六七       号)   三九八 同(三谷秀治君紹介)(第二九六八       号)   三九九 一般消費税導入反対に関する請願       (楯兼次郎君紹介)(第三二一二       号)      ――――◇―――――
  2. 大村襄治

    大村委員長 これより会議を開きます。  本日の請願日程全部を一括して議題といたします。  本会期中、当委員会に付託されました請願は三百九十九件であります。その取り扱いにつきましては、先刻の理事会において協議いたしたのでありますが、この際、各請願について紹介議員よりの説明聴取等は省略し、直ちに採決に入りたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大村襄治

    大村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。   お諮りいたします。  本日の請願日程中、第九十六、第百九十八の両請願につきましては、いずれも採択の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 大村襄治

    大村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、ただいま議決いたしました請願に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 大村襄治

    大村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     —————————————
  6. 大村襄治

    大村委員長 なお、本委委員会に参考送付されております陳情書は、お手元に配付いたしてありますとおり六件であります。御報告いたします。      ————◇—————
  7. 大村襄治

    大村委員長 次に、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。  まず、閉会中審査申し出の件についてお諮りいたします。  村山喜一君外九名提出  法人税法の一部を改正する法律案  土地増価税法案  銀行法の一部を改正する法律案  坂口力君外三名提出、貸金業法案  山田耻目君外九名提出  租税特別措置法の一部を改正する法律案  所得税法の一部を改正する法律案  国税通則法の一部を改正する法律案 並びに  国の会計に関する件  税制に関する件  関税に関する件  金融に関する件  証券取引に関する件  外国為替に関する件  国有財産に関する件  専売事業に関する件  印刷事業に関する件 及び  造幣事業に関する件 の各案件につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 大村襄治

    大村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、閉会中審査案件が付託になりました場合の諸件についてお諮りいたします。  まず、本会期中設置いたしておりました四小委員会につきましては、閉会中もなお引き続き存置することにいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 大村襄治

    大村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、各小委員会の小委員及び小委員長辞任及び補欠選任等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 大村襄治

    大村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、閉会中審査におきまして、委員会及び各小委員会において、参考人の出席を求め、意見を聴取する必要が生じました場合は、参考人の出席を求めることとし、その人選及び出席日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「興議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 大村襄治

    大村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、閉会中、委員派遣を行う必要が生じました場合には、議長に対し、委員派遣承認申請を行うこととし、派遣委員の人数、氏名、派遣地、期間その他所要の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 大村襄治

    大村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  13. 大村襄治

    大村委員長 国の会計、税制、金融及び専売事業に関する件について調査を進めます。  まず、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  すなわち、金融に関する件について、日本銀行理中川幸次君、また、金融に関する件、特に金融機関の週休二日制に関する問題について、銀行協会連合会会長松沢卓二君を本日、参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 大村襄治

    大村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  15. 大村襄治

    大村委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。平林剛君。
  16. 平林剛

    平林委員 きょう私は、いわゆるサラ金の問題、それから納税者番号制度、最後に専売事業問題、三つの点につきまして、政府並びに関係者の考え方をお尋ねいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。  初めに、先般貸金業の実態について、大蔵省銀行局が出資取締法第八条の規定に基づいて、都道府県知事に依頼してアンケート調査をやりました。この「貸金業の実態調査」は新聞等でも報ぜられておりますけれども、この調査によっていま社会的批判を受けておるサラリーマン金融貸金業者の実態が把握できたのだろうか。この調査から何が生み出せるのか。利用者の保護、犯罪の防止など直接大蔵省の関係のものでないものもございますが、庶民金融のあり方や行政指導の指針あるいは法改正の問題等、今後いろいろ予想される問題がございますが、この調査でそういう対策を打ち出していけるのかどうか、この点についてまずお伺いをいたしたいと思うのです。
  17. 徳田博美

    ○徳田政府委員 先生御指摘のとおり、貸金業者につきましては、都道府県知事が出資等の取締に関する法律の八条に基づいて実態調査を行ったわけでございます。  貸金業者の実態を把握するためには、利用者あるいは被害者につきましても実態を把握することが必要でございますけれども、これは法務省あるいは警察庁でいろいろ資料がございますので、今回は貸金業者側からその実態を調査しようということになったわけでございます。  この調査に至ります過程といたしましては、関係六省庁の連絡会議でこれが審議されたわけでございまして、調査内容その他におきましてここでいろいろ検討を行いまして、さらにまた、こういう専門のアンケート調査を主体とするような検出につきましてもいろいろ参考意見をとりまして、実態調査の手続を進めたわけでございます。  いま六省庁の連絡会議で考えておりますのは、サラ金を主体として貸金業者に対してどのような法的な規制をすべきかということでございまして、これに必要なデータをとろうというのが主体だったわけでございます。したがいまして、これから六省庁の連絡会議におきまして法律問題について精力的に詰めていくわけでございますが、それに必要な資料は大体とれたのではないか。もちろんこれはアンケート調査でございまして、一々立入調査をしたわけでございませんので、いろいろ不十分な点はあると思いますけれども、アンケート調査という形式による調査といたしましては、これからの立法を進めていくために必要な一応の資料はそろった、このように考えております。
  18. 平林剛

    平林委員 サラリーマン金融に対する適切な法規制の検討等につきましては、私はまずその実態を知ることから始めなければならぬと思っておるわけであります。ただ、いま不十分ではあるが今後の対策を立てる上においての資料は大体とれた、こういうお話でございますが、今回の調査の欠陥は、回収率が四五%程度であるということ、それからサラリーマン金融のいわゆる大手四社がこの調査にすべて応じたかどうか。抽出調査でありますし、仮にそれが対象になったとしても回答が未到着ということもあり得ますから、それはわかりかねますが、そういう点の手配りは必ずしも完全じゃないのじゃないかということが、調査結果を見まして私にはうかがい知ることができるわけであります。関係省庁の連絡会議で相談をした調査項目のテーマ自体につきましても、一体これは万全であったか、こういう点については、私は事前に大蔵省銀行局にかなり注意を与えておったのでありますけれども、そういう手配りが抜けていたように思います。  これは批判といたしまして、この実態調査によりますと、同等業者数千二百三十一の合計の貸出残高が三百六十七億円になっておりますけれども、私の承知するところでは、昭和四十九年三月末現在都道府県が実態調査をいたしましたときの貸出残高といいますか、融資残高は約七千七百億円ほどあったわけでございます。御承知のように、昭和四十九、五十年当時はこうした貸金業者は十一万五千くらいでございまして、今日では十六万を超える、こういう実態でありますから、貸出残高が当時に比べてなおふえているのではないかということは容易に推測できるわけであります。  そこでお尋ねいたしますが、今回の実態調査の結果、こうした貸金業の実態が大体とれたと言うならば、現状においてはどのくらいの融資残高があると推定をいたしておりますか。
  19. 徳田博美

    ○徳田政府委員 この貸金業者の中には、貸金業以外の業務を兼営している業者が非常に多いようでございます。これらのものの中には、兼業にかかわる貸出残高が含まれている場合もあるようでございますので、いろいろ一定の前提を置いて推計をする必要があるわけでございますが、一応ここに出されました——これはアンケート調査でもございますし、また先生御指摘のとおり、回収率も全数ではなかったわけでございますけれども、そのようなものをもとにいたしまして貸金業者全体の融資額を計算いたしますと、五十三年三月末現在で全貸金業者の貸出残高は約二兆円、うち消費者向けは約八千億円程度ではなかろうか、このアンケート調査の結果からはそのように推定されます。
  20. 平林剛

    平林委員 サラ金業者の中でもいわゆる大手四社と呼ばれるものがあります。マルイト、レイク、武富士、プロミス、業界の中では大体これが大手四社と呼ばれておるわけでありますが、この四社の融資残高、これはどのくらいあると見ておりますか。
  21. 徳田博美

    ○徳田政府委員 特定の貸金業者に対しましては、大蔵省としては資料をとっておりませんので、いまの御質問にはお答えいたしかねるわけでございます。
  22. 平林剛

    平林委員 大蔵省の私に対する報告では、四社で計六百億円という書類が届いております。一社当たり平均約百五十億円と見ておるのが五十三年八月当時の調査なんです。お答えしかねると言うけれども、その程度のことは言えるんじゃないですか。
  23. 徳田博美

    ○徳田政府委員 大蔵省といたしまして正式にとりました資料ではございません。大蔵省としては、特に個々の貸金業者から資料を求める立場にはないわけでございますので、その数字についてはこの立場からはちょっと申し上げかねるわけでございます。
  24. 平林剛

    平林委員 私は今回の調査は、大蔵省初め関係各省が相談をして、そうして自治省に依頼をしたという報告を聞きました。それならば、こうした問題に大蔵省は関心を持って自分の所管についてどういう手を打つべきかを考えるべきじゃないですか。私はいまのお答えは非常に不満足に思います。大蔵省が入っていなければ話は別です。あなたの方が参加して、そして調査項目を決めてやったのでしょう。あなたはこれをやるのがやはり業務範囲じゃないですか。  続いてお尋ねいたしますけれども、大手四社の資本金はどの程度でございますか。
  25. 徳田博美

    ○徳田政府委員 先ほども申し上げましたように、大手の具体的な会社につきましての資料は、大蔵省としては正式に把握しておりませんので、ちょっとお答え申し上げかねるわけでございます。
  26. 平林剛

    平林委員 大蔵省としてはと言うけれども、大体私はこの問題について大蔵省の果たすべき役割りをこれから議論しようと思っておるわけですが、大手四社の従業員は二千人で、一社当たり五百人、そして営業所数も二百五十もあるのですよ。東京だとか大阪だとか都会の周辺、銀行の周りには、何十と言ったらオーバーかもしれませんけれども、二十や三十のサラリーマン金融の事務所があるのですよ。私はこの程度のことは常識として知っておかなければいけないのじゃないかと思いますよ。地図を一べつすれば、都市銀行、市中銀行の周りにどの程度のサラリーマン金融の事務所があるかというのは一覧表になったってわかるのですよ。常識として資本金がどのくらいかということくらいは調べる、聞くということがなければ、今後の対策なんかできやしないと私は思いますよ。もう一回お答えをいただきます。
  27. 徳田博美

    ○徳田政府委員 これは大蔵省として徴求した資料ではございませんけれども、民間に出されております資料によりますと、四社の資本金は合計で大体九億程度かと思います。
  28. 平林剛

    平林委員 後で個別の資本金は私の方から言いますから、もう少ししっかりしてもらいたいですよ。  今回のこの調査では、資金源の内訳が、自己資金が大体百五十一億円で三三%程度、それから金融機関からの借入金が七十七億で一七%、その他からの借入金が百九十六億で四三%、その他の資金が三十億で七%という結果が発表されておりまして、自己資金が三三に対して、不明でありますけれども借入金が金融機関を含めて約六〇%に達しております。  ことし二月末に業界のトップのマルイトに対して三菱信託銀行の融資が明るみに出まして、大手業者と金融機関とのつながりが表面化をいたしたことは銀行局も御存じだろうと思います。この資金源の中には、私どもの資料を検討した中には、たとえば医師がいるとか商店主がいるとか地主などいろいろございまして、借入金という実態はつまびらかではなくて、大部分は依然未解明のやみの中にあるという実態でございます。  今度の調査でわかったのは、大蔵省調査でも、金融機関から借入金七十七億円あるということでありますが、実際はそんな額じゃないんですね。サラリーマン金融問題が社会問題になりまして、高金利あるいは過酷な取り立て、一家心中、蒸発、貸金業者に対するところの批判が高まっております。このサラ金業者に対して、公共的役割りを持つ市中の金融機関、銀行が莫大な融資をしておるということは一体どういうことなのか。私に言わせると、サラ金を育てるのは銀行か、こう言いたいのであります。大蔵省はせめてこの大手四社の借入先、融資銀行、こういう調査を進めるべきじゃないのか。四社に対して調査はできなくとも、大蔵省の行政監督下にある金融機関貸金業者に対する融資現況を調査すべきだと思いますが、大蔵大臣、これは銀行当局をしてこの程度の調査をしなければ今日の社会批判にこたえられないと思いますから、こうしたことについてのひとつ指示を、あるいは調査の開始を検討してほしい。これは銀行局長でなく、大蔵大臣にお答えをいただきたい、政治判断も必要ですから。
  29. 徳田博美

    ○徳田政府委員 その前にちょっとお答えします。  金融機関貸金業者に対する融資につきましては、金融機関の公共的性格にかんがみまして、社会的信頼を損なうことがないよう慎重な配慮が必要でございまして、特に社会的批判を受けているような行為を助長ずるような融資につきましては、厳に自粛存するように要請しているところでございまして、個々の融資につきましては、これは検査等を通じて個々に厳重に自粛を求めております。  それから、貸金業者に対する融資につきましては、これもいま全般的な調査を行って、その実態によりましてまたさらに指示をしたい、このように考えております。
  30. 村山達雄

    村山国務大臣 御承知のように、金融機関は公共性、社会性の非常に強いものでありますと同時に、原刑といたしましては、いまの銀行法の枠内で自主的に時代の要請に応じてそれぞれ業務をやらせておるわけでございます。最近、サラ金問題が非常に大きな問題になりまして、特に銀行局長から通達を出させまして、一般的な自粛を求め、強く反省を求め、特に高金利で貸しているというようなサラ金業者に対しては、そういうことがないようにという趣旨を込めまして通達を出したところでございます。  おっしゃるような個別の銀行の問題につきましては、原則といたしまして、銀行検査をそれぞれやっておりますので、その段階でそれぞれ必要な注意を与えたいと思っております。しかし、この問題の推移いかんによりましては、適当な方法でいろいろなことを聞くこともあり得るわけでございまして、今後の立法化の過程におきまして必要な措置はとってまいりたい、かように考えております。
  31. 平林剛

    平林委員 私はいまの答弁では不満でありますから、さらにお考えを聞きたいと思います。  というのは、われわれはいまサラ金問題についての対策を考えなければならぬという事態にあるわけであります。これは一銀行局、大蔵省だけの問題ではなくて社会全般の問題であり、大きくは政治の問題であると私は見ておるわけであります。たとえば金融機関が建設業に幾ら貸してある、あるいはサービス業にはどのくらいだというのは、ちゃんと銀行局で調査してあるわけですね、それをわれわれは承知しております。こういう貸金業者にどのくらいいっているかという調査ができないということはないのですよ。姿勢の問題なんですよ。これは検査をやっておりますからそのうちに資料ができます。しかし、未公開ではこれはだめです。国民全般のものとしてどうしたらいいかということをお互いに考えるという姿勢が必要なんです。だから、私はどうしてもやはりこれについての調査をするという御言明をいただきたいと思うのです。
  32. 徳田博美

    ○徳田政府委員 いまの点について先にお答えいたしますが、貸金業者、特にサラ金業者に対する貸し出しにつきましては、各金融機関に対していま調査を行っております。現在調査中でございまして、すでに調査に着手しております。その調査納采によってさらに指導を行いたい、このように考えております。
  33. 平林剛

    平林委員 調査結果が出たら報告すべきです。私の言っているのはそういうことなんです。たとえば大手四社、マルイトやレイク、武富士、プロミスに対して、貸付残高のまず五〇%以上は金融機関の融資だというふうに私はつかんでいます。そして、いますでに伝えられておりますものだけでも、たとえば三菱信託は百億円程度やっておる。朝日新聞の五十三年二月二十二日の朝刊では八十億円融資と報道されておりますけれども、まず百億円を超えておる。それから阪神相互など十二行から百四十億は借りておる。いま申し上げたのはマルイトですが、武富士は東京相互から約二十億円無担保で融資を受けているという、こんなことがあり縛るかどうか。  こういう銀行のサラ金に対する融資態度、これが、一例を言いますと、武富士の場合ですが、昭和二十六年三月に設立をされて、ここ数年で急成長を遂げた。そしていまでは支店は六十二、社員は四百三十人、資本金をさっき渋って言いませんでしたが、昭和五十二年の十二月に百万円だったのが一億五千万円になり、ことしの五十三年三月には三億円に伸びているのです。この背景には何があるかと言えば、育ての親があるからですよ。それを、調査いたします、注意をいたします、そういう態度だから、今日の社会問題に対して大蔵省なんというのは無能で何にもやっておらぬじゃないかという声になるんですよ。調査をしたならばその結果を報告していただきたいと思いますが、大蔵大臣、いかがですか。
  34. 村山達雄

    村山国務大臣 いま銀行局で調査を進めておりますので、その結果がわかりましたら報告いたしたいと思います。
  35. 平林剛

    平林委員 わかりました。  私は特にその場合には、こうした金融機関貸金業者に対して相当巨額のものを無担保で貸し付ける、その背景に特約がないかどうか、そういうようなことについてまでも思いをいたしまして、銀行局の調査はそれをつかんでほしい。いままでつかみ得なかった、あるいはつかんでいてもそれを明らかにしなかったというところにむしろ問題があるのでございますから、そうした点についてもしっかり調査をして、いま大臣のお話のように報告をしていただきたいと思います。  私どもも、サラ金業者、貸金業者全般に対する態度を最近党としてまとめまして、やはり金利問題を解決しなければならぬだろう。あとは、団体や各党もいろいろ御提言になっておるし、関係者の人も貴重な意見を述べられておりますから、そういうのを含めまして考えなければいけないと思いますが、この調査結果によりましても、やはり娯楽、旅行、スポーツ等に貸し出ししておるのが一九%、日常生活費の補充に二〇・八%、借金の返済に一一・九%、飲食などの交際費一〇・三%、サラリーマンなどは勤め帰りの一杯がかなりサラ金の利用に入っているというようなことがうかがうことができるわけでございまして、どういうことを考えてこうしたことに手を打ったらいいかというのを示唆していると思います。また、教養学習費、子弟の教育関係費に合計いたしますと八・六%も使われていることは、こうした問題について政府は今後手を打っていかなければならぬということも示しておりますし、ショッピングに八%なんというのもございます。これは今回の大蔵省調査だけでなく、総合的に私は考えて大体の数字を申し上げておるわけですが、ギャンブルも五・六%程度ある。  ですから、いま大蔵省がおやりになっております金融機関の指導の中で、いろいろなことをおやりになっておりますけれどさ、本質的に解決する道は何かということをひとつ大臣、十分御検討いただきたいと思うのです。全国で十六万もこうしたサラリーマン金融が輩出するという現状は異常ですよ。私、実は自分の県内のサラ金業者の実態を調べるために二十軒近く回って歩いたのだけれども、おじいさん、おばあさん二人でこういうのをやっているところがあったり、あるいはサラ金業者に金を借りて返すことができなくて、その借金の肩がわりにその支店の責任者をやらせられている人があって、行ってみたら、今度は途中でそれが蒸発してみたりするようなものがあったり、あるいは金融機関のもとの役員がそのまま業者になっているのがあったり、大変な実態ですよ。私は、こんなに多数のサラ金業者が輩出するという現状をどうしてやるか、何によってもたらされてきたのかという背景を知って対策を立てることこそ肝要だと思いますけれども、これについて、われわれも検討したいと思いますが、大臣の御感想を承りまして、この問題についてはピリオドを打ちたいと思います。
  36. 村山達雄

    村山国務大臣 この問題は、やはり一つには、貸す方の側で言いますと、やはり非常な収益が上がるということが一つの問題であろう。それから同時にまた、その貸し付け条件等につきまして、年利幾らとかそういうことがはっきりわからない、それもまた貸金業者の方から言えば、非常に収益を上げて、ついうかうかとやってしまう。特にまた返せなくなりますと、それをまた新しく貸すとか借りかえをやるとか他の金融業者の方に回して、元利ともまた複利計算でやっていくとか、こういったいろいろの高収益を生むというのがやはり貸金業者側の一つの問題点であろうと思います。  それから、今度は逆に申しますと、需要者の方から申しますと、ついそういうことになるとは知らない者がかなり多いのではなかろうか。それからまた、借りている人をずっとアンケート調査で見ておりますと、やはりサラリーマン、それから主婦なんかが大分あるわけでございます。そっちの方も、やはりこの資金の使途で見ますと、レジャー資金というものがかなり多くあるわけでございます。あるいは場合によりますと、ギャンブル資金であるとかあるいは飲み食いの資金というようなこういったものが多く出てきておるのじゃないか。  それからまた別の背景から申しますと、正規の金融機関による消費者金融というものが伸びていない、そこにも大きな問題があるのじゃないか。それからまた別の角度で申しますと、いわゆるサラ金業者の中にも、それはそれなりにある種の、健全とまで言えますかどうかわかりませんが、比較的まじめにやっておるものと、それからそうでないものが混在しておるわけでございますから、やはりつい悪貨が良貨を駆逐するというような問題、こういったもろもろの影響が出ている。そういうところにこの貸金業というようなものが大変な、二兆円とかあるいは一万六千に上ったとか、自己資金も非常に小さいものから大きいものまでたくさんございまして、無回答であるとか、絶えず廃業をやっているというような形、こういう形になってきたのではないかというふうに私は見ているわけでございます。
  37. 平林剛

    平林委員 今回の調査で、私、興味深く感じましたことは、貸倒率がどのくらいかという調査結果であります。大蔵省銀行局の調査では、三%ないし五%未満が二二%で、五%から一〇%未満が一七・九%、一〇以内の貸倒率六九・一%になっておるわけですね。それで、消費者向けの貸し出し金額は、十万以下が四八%で、十万から三十万が三四%、八二%の大多数であります。いま大臣もお話しになったように、非常に利益率が高いということももちろんありますが、同時に、金融機関そのものがこうした方面に目を向けなかったという点が大きな原因ではないだろうか。そこでいま申し上げた数字が興味深いのです。  実は昭和五十二年四月に日本消費者金融協会、JCFA、これが金利のアンケートをやったことがあるのです。そのときに、日歩十銭、これは高いですけれども、日歩十銭に下げざるを得ないというような場合でもあなたは業務を続けますかという質問に対しまして、六九・四%の会社は業務を続ける旨回答しているのです。だから、相当の利潤を上げているということがおわかりになると思います。私はそういう意味で、金利問題についても十分検討してほしい。  それからもう一つは、大企業法人一辺倒の市中の金融機関は、この大蔵省調査の貸倒比率というのを注目すべきだと思います。なぜかと言いますと、さっき銀行局長は個人向けは八千億円ぐらいだと言いましたね。貸倒比率が非常に低い。もっとも一般の市中金融機関から比べますと、比べものにならぬほど高いということは事実ですが、一件単位の貸出金額が四万とか五万でございますから、だからそういう意味では、仮に半分貸し倒れになってしまっても四千億円ですね。おわかりですか。  最近の不況の結果、たとえば大きな企業がつぶれますと、二千億円だ三千億円だという貸し倒れができるでしょう。いまは大法人、大企業の方がむしろ問題な時代になっているのですよ。一社でもって二千億、三千億の貸し倒れができて、お手上げという状態が輩出しているということは御承知のとおりでしょう。仮にこのサラリーマン金融、五〇%貸し倒れになったって、個人向けなら四、五千億円ですよ。こういうことを考えましたならば、市中金融機関はもっと庶民金融に力を入れるべきだ、こういうことを示唆しているんじゃないですか。こうしたことにつきましてもぜひひとつ御検討いただきたいと思うのです。これは銀行局長、あなた考えがあったらちょっと言ってください。
  38. 徳田博美

    ○徳田政府委員 先生御指摘のとおり、このアンケート調査によりますと、意外に貸倒率が予想していたより低いわけでございまして、もっとも低いのに、暴力による取り立てというようなものが背景にあれば問題でございますが、もしノーマルに運営していてこの程度であるというのであれば、予想より低いわけでございます。  先生御指摘のように、一般の民間金融機関に正常な市民の資金需要に対して簡易にこたえさせることは大事でございますので、先般応急ローンというものを打ち出しまして金融機関、都市銀行、地方銀行、相互銀行、ほとんどすべての金融機関が実施する運びになっておりますが、この方面につきましてはなおこの方向を推進してまいりたい、このように考えております。
  39. 平林剛

    平林委員 どうも私、気に入らないな。つまり、応急ローンの指導をしたと言うけれども、そういうものの貸し出しの比率ですね。あなたの調査でも、たとえば今度はお医者さんだとかそれから教育費だとかいう方面の指導でしょう。その比率というのは今度の調査でわかっているじゃないですか、パーセンテージが。そんなもので解決できると考えるのがおかしいんですよ。私の言ったのは、もっと広くいろいろなことを考えて、庶民金融について考えたらいかがですかと言っておるわけでありますから、そういう点はもう少し考えて答えてくださいよ。いずれ私、きょうの委員会だけでなくて、注文はどんどん発していきますから、どうかひとついま社会問題になっている問題の解決のためにも、大蔵省は大蔵省なりの努力をしてもらいたいということを希望しておきます。  次に、納税者番号制度についてお尋ねいたします。  利子配当所得の総合課税のあり方を検討しておる税制調査会に対しまして、国税庁は、納税者を掌握するための具体的方策の一つとして、納税者番号制度の試案を五十三年九月二十六日に提出しました。  さきの大蔵委員会におきまして同僚議員からも、利子配当所得の総合課税によって得られるべき税の収入に対しまして、納税者番号制度を開発する経費が、有所得者に付番する場合でも、費用が二十五億、運用費用が経常年度で百五十億から二百五十億かかって、バランスとれぬじゃないかという御議論がございました。もし全国民の付番制度をするときには、初年度の運用経費で六百五十億から千五百億、経常年度でも二百億から三百五十億円というのが、今度国税庁が試算をいたしまして検討を要請している資料の中にございまして、これについては先般疑問が呈せられたとおりでございます。  しかし、経費が幾らかかったって税の公平化のためには総合課税の徹底をする、その金は惜しむべきじゃない、こういう議論はもちろんないとは言えないと思います。いま財政が非常に厳しい中に、初年度においてこれだけの経費をかけられるだけの余地があるかどうか問題でありますけれども、しかし、不公平をなくすためには金に糸目をつけないという考えがあったって、私は不思議ではないと思います。特に総合課税移行は、私はこれは趨勢であると思いますから……。  ただ、利子配当を完全に把握する体制の整備がその前提にある、こういう税制調査会の答申がしばしば行われておるのですけれども、国税庁長官、こうしたことは納税者番号以外には方法はもうないのでありましょうか、この点についてお考えを承りたいと思います。
  40. 磯邊律男

    磯邊政府委員 私たちは、税務の執行をあずかる者といたしまして一番気になりますことは、税制そのものがいかに理想的な姿でつくられていても、それを実際に実施に移した場合に、それが適正に執行できるかどうかということが一番気になるわけであります。  ただいま御論議になっております利子配当の総合課税の問題にいたしましても、御高承のように、昭和五十五年末をもって現在の時別措置が廃止になりまして、昭和五十六年一月一日から利子配当の総合課税に移るわけでありますけれども、そうなりますと、実際の執行の責任というものは、税の執行機関である国税庁にかかってくるわけであります。もしこれが適正に執行されない場合には、やはりそこに新たな不公平が生まれないとも限らないということが、われわれとしては一番心配しておるわけでありますが、しからばどういうふうにしたらこの利子配当所得に対する執行が法の期待するとおりに適正かつ完全に執行できるかということになりますと、私たちとしてのただいまのところの考え方としては、やはり納税者番号というものを採用することによってこの執行に万全を期したいというのが、われわれの基本的な考え方であります。  御承知のように、利子配当所得を完全に総合課税いたします場合には、前提条件といたしまして、利子配当の受領者の本人の確認、それから同時に、それがすべて一つに名寄せができるという二つの条件を満足しなければなかなかむずかしい問題でありますけれども、その二つの条件を、現在の税務の職員の数、それから執行の体制等から考えますと、これを完全にできるためには、やはりいわゆる納税者番号を付すことによってそれを全部コンピューターで集中管理する、それによって運営するしかないのではないか、あるいは別の方法があるかもしれませんけれども、われわれとしていま考えておりますことはそういったことでございます。  したがいまして、去る九月二十六日の税制調査会にも一応の案といたしまして、国税庁の方の考え方を提示させていただいたわけでありますけれども、ただこれにつきましては、やはりいままでいわゆる国民背番号問題についての国民の方々のいろいろな反応、それからさらにまた、単に税務上の問題だけではないのではないかというふうな御心配、あるいは国民一人一人に番号をつけられるということに対する一つのアレルギーといいますか、いろいろな問題があることも十分存じておりますので、できるだけ速やかに税制調査会におきましてこれを議論していただくと同時に、国民の方々の御見解等も集約いたしまして、一口も早く御賛同をしていただくような方向にいければ、非常に税務の執行当局としては幸いであるというのが現在私たちの考えであります。
  41. 平林剛

    平林委員 どんな制度をつくっても、どんな運営をしても、一〇〇%ということはなかなかむずかしいことであります。しかし、いま国税庁が検討を要請している納税者番号制度については、郵便局の預金は除いてありますが、これはどういうわけですか。
  42. 磯邊律男

    磯邊政府委員 利子配当の総合課税問題が議論されますと、当然に現在の少額貯蓄非課税制度の問題もやはり広い意味において検討の対象になるのではないかと考えます。そうなりますと、郵便局のやっております貯金の利子についても、とかくいろいろとこれが乱用されているというようなうわさもございますので、当然その問題にも入ってくるようになるのではないかと思いますけれども、さしあたり現在の議論の対象といたしまして、少額貯蓄非課税制度並びに郵便貯金の問題については一応外しておるというわけでありますけれども、やはりこれも納税者番号か採用されるということになりました場合には、すべての利子配当について適用されていかなければ完全を期しがたいと私たちは考えております。
  43. 平林剛

    平林委員 欧米主要国における利子配当所得課税の制度につきましては、アメリカもイギリスも西ドイツも総合課税の制度をとっております。フランスは総合課税と源泉分離課税との選択になっておりますが、いずれも源泉徴収は行わない。金融機関に本人の確認をすることを義務づけたり、あるいは架空名義の口座開設は禁止をしたり、配当についても支払い調書の提出を義務づけたり、まあ義務づけていないところもありますが、いろいろございます。そしてアメリカを除いて納税者番号はございません。  国税庁はいま二つの試案を提出されましたが、もし完全一〇〇%、まあ一〇〇%といかないまでもある程度公平を期する、新たなる不公平の発生を防ぐということになりますと、いまの郵便局の問題、それからマル優弧金の実態、架空名義の現状、それから配当所得の問題でも、全国民を対象とするものにしなければ、一〇〇%にいかないまでも効果を上げることはできないのではないですか。
  44. 磯邊律男

    磯邊政府委員 平林先生のおっしゃるとおりだと思います。
  45. 平林剛

    平林委員 私は税制調査会は、利子配当に関する総合課税につきまして、利子配当を完全に把握する体制のないまま一挙に総合課税に移行することは、新しい不公、平を招くおそれがあるということを述べておることを承知いたしております。それから、個人の金融選択に不測の影響を与えることがないように配慮しながら、課税の強化をしていきなさいという答申をいただいたこともございます。しかし、先ほどお話しのように、五十五年から期限が参りまして、総合課税は趨勢であります。そこで利子配当所得の課税について、今後とも総合課税が現実的に可能になる条件をできる限り早期に整備をすべきであると思いますが、いまお話しのように、理想を言えば全国民の納税者背番号ですね。ただ、背番号制度を採用しているアメリカでも、初めは社会保障番号から出発をしまして、法人、組合用としての雇用主番号の二種類でやっておったわけでありますけれども、これは一九三六年。実際に内国歳入庁が納税者の識別番号としてこの背番号といいますか、これを採用したのは一九六一年。こういう制度が発足して二十五年目にして税の問題について踏み込んだわけですね。それだけの期間がかかっておるわけであります。  私はそういう意味では、大蔵省銀行局が引き続き金融機関や証券会社に協力を得ながら、百点といかないまでも、総合課税体制に移行するための欠陥を補うという努力が伴わなければならない。納税者番号がただ一つだ、こういうような考え方でいきますと、これは問題が出てくるのではないか。そこで、大蔵省の金融機関あるいは証券会社等の協力を得てその欠陥を補うようなことは、引き続き努力をすべきだと思いますけれども、この点、これは国税庁でなく、大蔵大臣あるいは銀行局長、御答弁をいただきたいと思います。
  46. 高橋元

    高橋(元)政府委員 いま平林委員からお示しのございましたように、利子配当所得を総合課税いたしてまいります際に、五十五年で現行の租税特別措置が期限が参りますので、五十六年から適用される新しい本人確認なり名寄せのための制度というものが必要でございます。その検討を現在、国税庁から納税者番号という形で税制調査会に案の提出があって、税制調査会では近く小委員会または特別部会を設けて専門的な検討に入ろう、こう言っているわけでございますが、ただ、納税者番号制度の導入一本やりというよりも税制調査会はもう少し広い範囲でこれを取り上げておりまして、納税者番号のメリット、デメリット、またはこれにかわるべき方法というものを含めまして、総合的な幅広い検討というものをやっていきたいということは、御高承のとおりであります。  この納税者番号制度が実効を上げますためには、かなり大きな電子計算機の組織というものも要るわけでございます。その導入のために相当の経費を要しますほか、それを運営していきます際の要員の訓練等々の問題もございます。五十六年から利子所得の総合課税に向かった一歩を進めていきます場合、ただこの制度が完全に五十六年から動くということを期待することもなかなかむずかしいかと思いますので、その間、いま先生からお話がございましたように、金融機関、証券業者その他の方々の御協力を得て、私の申し上げております幅広い方法というものを検討し、実施に移していきたい、かように存じておる次第でございます。
  47. 平林剛

    平林委員 納税者番号の制度については、本日時間もございませんので、改めて議論するにいたしましても、制度的にもあるいは技術的にもいろいろの課題がございます。郵便局の場合もそうでしょうが、地方税にどういうふうに影響をきせていくかというような問題を絡めると、この検討をされておる税制調査会においてもなかなか頭が痛い、総合的な問題を考えなければならぬということになると私は思います。そして納税者番号制度については、なかなか結論がぴたりやれないのじゃないかという観測をしておるわけでございます。  ただ言えることは、利子配当の総合課税は今日では国民的要求です。私は、仮に税調で納税者番号制度をなかなか結論を得られないで、すぐには実行できないぞという結論が出ましても、その場合、これを理由にして総合課税は時期尚早であるというようなことにしてはならぬ、そういうことは不当である、そういうようにしないでほしい、そうすべきではない、こう思うのであります。私の観測を含めてのことで、税調で検討結果がどういうふうになるかわかりませんし、われわれ自体もまたいろいろな角度から検討せねばなりませんけれども、最小限そのことは国民に約束してほしい。これは大蔵大臣、高度の政治判断の問題でございますから、私が申し上げた点をどうかひとつ趨勢として国民的な要請として受けとめて、初めから明確にしておいていただきたい。一点の疑念も残さないような政治姿勢をひとつ示していただきたいとお願いをしたいと思います。
  48. 村山達雄

    村山国務大臣 いまの平林委員の御意見あるいは御要望、篤と承っておきます。  ただ、私がおりました当時の検討では、本人確認という問題と、それから名寄せという問題はきわめてむずかしい問題でございます。かつて戦後、時期も惑うございましたが、一年間総合課税をやったことがございまして、大変な減収でございまして、本当にもう手を上げてしまったという経験、それからその後におきます本人確認とその名寄せの問題、いろいろ検討いたしましたが、少なくとも私が現役当時では、やりますとかえってマイナスになる、不公平になるということでございます。その後ずいぶん進歩いたしたわけでございますけれども、おっしゃることはよくわかりますけれども、いかなる場合でも、どんな不公平を生じてでもやるということは、残念ながらいまお約束しかねるわけでございます。極力その方向で努力する、検討してみるということだけはお約束いたしたいと思います。
  49. 平林剛

    平林委員 私は、納税者番号制度について声を大きくして反対をするつもりはないのです。ただ、非常にむずかしいなと思うのです。それでいまお話しのように、理想を言えば全国民を対象にするということでございまして、いろいろな議論があり得るのじゃないか。そのために、総合課税への移行がおくれたり、それを理由にして逆行したりすることは許されないのじゃないのか。大臣は、なかなかむずかしいが前向きで努力する、こうお話がありましたが、私はまだ不満であります。  もしも本当に税の公平を期すると言うなら、私は本当を言うと、全国民を対象にする納税者番毎制度を採用するより前にやることがあると思うのです。たとえば租税特別措置のいろいろな予期すべき税収が得られないという問題について、電子計算機を使って追跡調査して、そういう調査のためにお金を使うとか、あるいはまた土地の問題について、私らは土地増価税の問題を言っておりますけれども、われわれの立場に立たなくても、今後新しい財源を得るためには、そうした方面にお金を使って調査をするとか、まず全国民、細かい十万、二十万、百万の預金者にまで背番号といいますか、そういうものをつけるより前になすべきことが多々あるじゃないのか。ですから、あに利子配当のものだけに限らず、そういう公平を期するためには、政府は相当精力を傾けるべきであるということを言いたいのです。  同時に、これを理由にしてやることは断じて許されない、大臣の答弁は不満でありますけれども、これは強調しておきたいと私は思います。どうかひとつ姿勢はその方向でいろいろ御努力いただきたいということを要望しておきます。  時間もありませんから、次の問題に移ります。  たばこ事業の現状と今後の方向という問題で、主として専売公社の総裁にお尋ねをしたいと思います。  ことしの六月十九日、公共企業体等基本問題会議の意見書が公共企業体等関係閣僚会議の内閣官房長官安倍晋太郎あてに提出されました。これは、三公社五現業等の争議権問題に関連をして、その経営のあり方、当事者能力の強化、関係諸法令の改正等について取りまとめた報告書、意見書でございます。そのうち私は、「たばこ専売事業及び塩専売事業の経営形態に関する報告」に関して質問をしたいと思います。  この報告書によりますと、「たばこ事業の経営形態については、専売制度を廃止し、日本専売公社を分割して、民営化するのが適当である。」しかし、「現時点で直ちに民営化することについては、」問題点があるから、その対応策について政府は「さらに慎重に検討する必要がある。」という付言はございますけれども、民営化の方向にレールを敷こうとしておる意見書であります。  内容を検討してみますと、専売公社部会というのがありまして、三井物産の元社長が部会長をやった部会でありまして、私は、労働基本権の問題を実質的にたな上げして経営形態の先行審議をしたねらいがよくわからぬのでありますが、しかし、専売事業のような公共企業体の経営を、たばこ、塩関係者はもちろん、この事業の直接担当者たる専売公社首脳の意見も十分聴取し、取り入れたとは思われないまま、私に言わせればやや独善的な事由で「民営化するのが適当である。」という結論を導き出したことに対しては、大変大きな疑問を感じています。  確かに今日、専売事業をめぐりまして検討を要する幾つかの問題が生じていることは事実であります。益金率の低下あるいは国の財政収入に占める専売納付金の割合の低下の傾向がございます。喫煙の健康に及ぼす悪影響が問題視され、世界的にたばこに対する社会的な規制が強まっている事実もあります。たばこが国際的に商品的価値もございますから、諸外国から流通を自由化するようにという強い要請を受けておることも承知をいたしております。しかしこの意見書のように、専売公社を分割して民営化すればすべて解決するという単純なものでもないし、私は常識から考えてみてこの結論については理解できない。こういうような民営論は、関係者はもとより国民経済的にも混乱を起こすと私は思うのですよ。また国民的な利益にも反すると思うのですよ。そういう意味で強い批判を持っています。  しかし専売公社としては、この経営形態の変更についての意見書をごらんになって、これをどういうふうに受けとめておられますか、その点を承りたいと思います。
  50. 泉美之松

    ○泉説明員 平林委員のおっしゃるとおり、去る六月十九日に公共企業体等基本問題会議が意見書を出されました。専売公社のたばこ事業につきましてはいまお話のとおり、分割、民営化することが適当である、塩事業につきましては、「当面、現行の専売制度を維持することとし、国内製塩企業の自立体制が確立する時期において、流通機構のあり方を含め、その廃止について検討すべきものと考える。」というふうな御意見が出されたわけでございます。  この問題は、高度の立法政策の問題でございますので、現在政府におかれましてその取り扱いについて検討をされておるわけでございまして、公社といたしましては、公共企業体等基本問題会議の御要請がございましたので、この意見書が提出される前、昨年の十一月に公社としての意見を申し述べております。その意見と申しますのは、たばこ事業について、わが国のたばこ産業の長期にわたっての維持発展を図り、その上に立って財政収入の安定的確保を期するためには、基本的には専売制度、公社制度を維持しながら、時代に適応していないような事情がありますので、それらの点につきましては所要の改善を図ることが最善の方途であるというふうに申し上げ、また塩事業につきましても、塩が他に代替品のない生活基礎物資であること、及び公社が国内塩業の存立基盤の確立に果たしている役割りを考えるとき、わが国の塩資源の状況及び生産流通環境に基本的な変化がない限りは、現行制度による事業運営が現在における最善の方途であり、国民全体の利益に資するものと考えるということを申し述べたのであります。ただ、意見書におきましては、公社の意見が採用されなかったのは大変残念に存じております。しかし、目下政府の方において、この意見書に基づきまして、経営形態をどうするかということについて検討されております。私どもといたしましては、大蔵省における関係審議会等におきまする検討の推移を見ながら適切に対処してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  51. 平林剛

    平林委員 さすがに専売公社の総裁であります。やはり専売事業の実態を知る者からはこの意見書のような結論は出てこないのです。つまり、お話の中にありましたように、高度の政治的な意図からは出てくるけれども、企業の実態を知る者からはこういう結論は出てこない。いま総裁もお話しになったように、専売制度、公社制度を維持しながら時代に即応した所要の改善を加えていく、専売制度を維持していくのが最高の方途である、非常にりっぱな御見識であると思います。  とにかくたばこは嗜好品として生活に定着して、喫煙人口も非常に多いのであります。私はもう何もかも大体承知していますから申し上げるのでありますけれども、販売数量三千億本、売上高二兆円に達する事業規模を持つ専売事業であります。しかも利益率の高い商品です。こういう言い方はどうかと思いますが、税部分が相当かかっている意味では、税を利益とみなせば、非常に利益率の高い商品であります。したがって、民間資本家にとって魅力的な産業であることは言うまでもありません。私は前々から、どういう人がこの専売民営化を期待しているかというグループ別人物名を知っているくらいであります。民営化によって私的な利益拡大を図ろうとする底流は、何回か持ち上がり何回か消えていきました。そういう画策があることも容易に想像できるわけであります。私は、今回のたばこ事業に関する報告書が、主として公共性、効率性の観点から検討した結果、公社を分割して民営化という結論に達したとありますけれども、これは真に専売事業そのものを知る者の結論と言いがたいと考えます。  特にこの際公社にお尋ねしますが、公社は、昭和三十六年あたりから長期計画を立てまして、最新鋭の機械設備を取り入れてまいりました。国会もそれに必要な予算をつけて、公社の長期計画というものを助けたということも言えると思います。その効率性は、世界のたばこ産業はもとよりわが国の民間企業と比較いたしましても、かなりある、低くない。この報告書のように、民営に移せばより生産性が上がり、コストが下がる、こう言うのでありますが、民営になったらそんなふうになるんでしょうか。この点は、いままで皆さんは御努力してきたわけです。その努力は全然認めないというような形で、効率性、公共性を考えたその結果だということを言われるのは、私は、心外きわまりない、むしろそういう点は専売公社が毅然とした考えを持って所見を述べることが必要だと思います。総裁の御意見を承ります。
  52. 泉美之松

    ○泉説明員 お話しのように専売公社は、昭和三十六年から長期計画を立てまして、今後の事業の見通しのもとに経営の効率化を図るということで努力してまいりました。その後さらに昭和四十三年に長期経営計画を立てまして、四十四年から五年ごとに中期経営計画というのも立てまして、その実施を図ってまいっておるところでございます。お話しのように、主としては高速巻き上げ機の導入、高速包装機の導入を中心といたしまして能率を上げ、同時に、工場の統廃合、販売部門の合理化、こういった努力をいたしてまいっております。  その結果といたしまして、たとえば製造工場に  おきまする労働生産性について申し上げますと、昭和四十年度を一〇〇といたしますると、昭和五十二年度では二五八となっておりまして、かなり効率が上がっておると思いますし、また、他産業の労働生産性からいたしましても決して遜色はない、このように考えておるところでございます。ただ、専売事業でありますために、とかく世間からは、独占的であるために独善的であるというような批判を受けがちでございまして、これらの点につきましては、私ども職員に十分自戒させるとともに、そういう独善的なことに陥らないように今後万全を期してまいらなければならない、このように考えております。
  53. 平林剛

    平林委員 総裁は、意見書にいささか敬意を払ったような形で、遠慮がちで物を言っているようですけれども、その必要はないのですよ。  私は、この意見書考えておる専売事業の使命というものについては、誤解をしているんじゃないか、少なくとも偏っている。総裁、かつて専売公社は、公共企業体として三つの使命があるということをしばしば述べておられました。これは国会に対しましてもその所信を述べておることを私は承知しております。一つは、財政専売であり、二つは、国民に安くてうまいたばこ、安全なたばこを提供することである。三つには、たばこ産業関係者に適正な収益を与えるという役割りも負っておる、そのとおりだと思うのですね。  そこで私が言いたいのは、この意見書の甘い考え方、全然何にもないところに絵をかくなら、だれでもどんな絵でもかけますけれども、非常に現実離れした一つの例として葉たばこの問題があると思うのです。  日本の製品たばこは御承知のように現在、国内産が七割で、外国から輸入する葉たばこが三割。確かに葉たばこの価格そのものを言えば、国内葉が外国葉に比較して割り高になっておりますけれども、わが国の専売制度というものは歴史的には、明治三十一年、三十七年、戦費調達の財源をつくるために採用された、財政収入の確保ということを中心に運営されてきたことは紛れもない事実であります。同時に他方では、外国の資本に支配されるということを反発する意味で、産業保護政策の面を持っておったわけでございまして、国内の葉たばこ産業の地域開発に尽くした役割りは、私はいま無視できないものがあると思うのであります。  もし民営になれば、公社の職員やあるいは生活条件の変化はもとより、たばこ小売者の小売店の経営、いま申し上げておる葉たばこ産業に携わる耕作者、必然的に企業ベース中心の経営方針に変わってくるだろうと容易に想像できるわけであります。そして、製品たばこ総原価の約六割を占めているのはこの葉たばこなんですから、この原料葉たばこのウエートをどうするかということを中心に民営企業というものは力を入れるに決まっていますよ。それは結局外国葉依存になり、国内葉たばこ耕作はもちろん壊滅的打撃を受けるというのは自明の理なんです。私は、それを簡単にこの意見書に書いてあるようなやり方で切り抜けられるとは考えないのでありますけれども、一体可能なのかどうか、遠慮しないで、やはり実情は国会に対しても披瀝をしてほしい、そう思います。
  54. 泉美之松

    ○泉説明員 お話しのとおり、もし公社を分割して民営化するということになりますと、いろいろな困難な問題が生ずるわけでございますが、とりわけ大きな問題は、いま先住のおっしゃったように、国内葉たばこが壊滅的な打撃を受けるであろうということがございます。そのほかにも、公社職員の身分の保障がいまされておるわけでありますが、そういったことがどういうふうになるのか。そのほか、公社関連の産業で働いておられる方が多数ございますけれども、そういう方たちが一体どういうふうになるのかといったいろいろな問題がございます。そういった点は、公共企業体等基本問題会議には申し上げたわけでございますが、同会議とされましては、民営によって競争原理でやっていくの、が一番能率が上がるのだというたてまえをとられたわけでございます。
  55. 平林剛

    平林委員 その競争原理というのは、言葉をかえて言えば、国内産業葉たばこをこれはもう犠牲にするということにもなるわけでありまして、実態に即さない考え方であります。  次に私は、先ほど公社総裁がお話しになった、専売制度、公社制度を維持しながら所要の改善を図っていきたいという御意見がございましたが、公社制度を維持していくという基本的な考え方、逆に言えば、民営にした場合の問題点などがその背景にあって、公社制度を維持しようとするのが最善の道だとお話しになったと思いますが、民営にした場合の問題点はどんなことがあるとお考えになっておりますか。
  56. 泉美之松

    ○泉説明員 民営にいたします場合の問題点といたしましては、先ほど申し上げましたような葉たばこを初めとする公社関連産業に及ぼす問題と、それから、先ほど先生もおっしゃいました、本来専売制度というのが外国資本に対抗する意味をもって設けられたわけでありますが、分割、民営ということになりますと資本力が小さくなりまして、現在御承知のとおり、世界のたばこ産業の分野は巨大な独占体の競争になっておりまして、そういった国際独占資本というものが進出してまいりまして、わが国のたばこ産業がそういった外国資本に制圧されるという心配もございます。  確かに民営化することによって現在以上に能率が上がればいいのでありますが、他方、民営になりますから、どうしても広告宣伝費に金が相当かかりますし、それから原料及び製品の交錯輸送ということが出てまいります。現在は専売公社一本でございますから、流通面につきまして統一的に処理できますけれども、民営ということになりますと、それぞれの工場でつくったものを全国に配送する、それぞれの企業がそれぞれやることになりますので、どうしてもそういった意味でのコストの上昇は避けられないと思います。そういたしますと、果たしてそれによって能率が上がるかどうか、私はコスト的に見て問題がありはしないかというふうに考えておるところでございます。
  57. 平林剛

    平林委員 専売公社の総裁は先ほど、時代の要請にこたえて所要の改善を図っていきたいという御意見を述べられましたが、現行制度のどういう分野をどういうふうにしたいというお考えなんでしょうか。
  58. 泉美之松

    ○泉説明員 これは先般、五十年の製造たばこの定価改定の際、国会におきましても問題とされたところでありますけれども、一つは、たばこに対しまして消費税相当分が課税されていることは明らかでございますけれども、現在の専売納付金制度は、専売公社に利益が出た場合に、その利益の中から納付するということになっておりますので、たとえばセブンスター百五十円の中に一体幾ら税金がかかることになっておるかという点になりますと、大体のことは申し上げられますし、また地方消費税は明らかでございますけれども、国庫にお納めする専売納付金の分については正確には決算しないとわからないといった状態でありまして、あらかじめ私どもは大体六〇%程度が税金と考えていただきたいとは申しておりますけれども、正確にはわかっていないわけでありまして、そういう点からいたしまして、現在の専売納付金制度を改善いたしまして税相当分というものを明確にする、そしてそれは、専売公社に利益がなくても売り上げ本数に応じて納付するというふうにしていく必要があろうかと思っております。もっともこれは、公社の経営にとりましては大変厳しいことになるわけでありまして、いまのように利益の中からお納めする方がきわめて楽なことは申し上げるまでもないのでありますが、しかし制度としては、やはり利益があってもなくても一定のたばこを売り上げた場合にはその本数に応じて納付するというのが、たてまえであろうかと存じております。  ただ、そういうふうにいたしますと、利益がなくても納付しなければならぬということになりますと、公社経営上大変苦しいことになりますので、現在の製造たばこ定価法によって最高限を抑えられておりますけれども、何とか製造たばこの定価の改定につきまして弾力的な措置をお願いできないだろうかという点を考えております。  それからいま一つは、先ほど先生もおっしゃいましたけれども、わが国の葉たばこは国際価格に比べまして二・五倍ほどになっておるのであります。したがって、その国際価格に対して割り高な面を生産性の向上等によって労働時間を減少しまして、できるだけ割り高分を少なくしていく、それによってたばこ産業全体として外国との競争に耐えるようにしていく必要があるというふうに考えておるのでございます。
  59. 平林剛

    平林委員 現行制度をどういうふうに改善したらいいか、専売事業のあり方はどうあるべきか、これは最終的には政府並びに国会が決定をすべき性質のものである、こう私は思っておるわけでございまして、その一翼を担う私どもとしても、現行の専売制度をどういうふうにすべきかという幾つかの考えを持っております。そういう見解につきましては、また機会を改めてお話もしたいし、意見も開陳したいし、要望もしたい、こう思っております。  いまお話がありました中で、専売納付金制度を改めて税相当分をはっきりさせるようにしたらどうかという問題、それから定価を決める場合のあり方等については緩やかにする、あるいは何か知恵を働かせる、今後のいろいろな方向が示唆されておるわけでありますけれども、私ちょっと気になりますことは、この意見書の中にも同じことが書いてあるわけなんですね。そうすると、専売事業を維持するのが最善の道であるという公社の総裁のこれから改善すべき問題点と、民営化にレールを敷いた意見書の問題の指摘と同じなんですね。そうすると、これは非常に大きな誤解を与えると思うのです。公社の総裁ははっきりと、民営の問題はさっきのような欠陥があるから現状を維持すると言っているのだけれども、しかし取り上げる問題は、偶然といいますか同じなんですね。これは矛盾があるのです。  そこで公社の立場は、もし先ほどの基本的な考え方を額面どおり受け取るとすれば、矛盾し、そして意見書と対立することになるわけであります。ごまかしがあるというふうには考えたくないのでありますけれども、この点についてはどう思いますか。
  60. 泉美之松

    ○泉説明員 お話しのように、意見書に書かれておりますことと私が先ほど申し上げましたこととの中には同じ面がございますが、私は、専売制度を守っていく、公社制度を維持していくということと、いまの専売納付金制度を改善して税相当分を明確にするということは、決して矛盾しないことだと思います。ただ、その具体的なやり方につきまして、民営の場合ならば恐らく消費税ということになりましょうし、専売公社制度を維持していくという場合には、外国においては専売制度をとりながら消費税制度を設けている国もございますけれども、日本の場合には、過去の経緯を考えますと、専売納付金率の法定化といったようなことが穏当な措置ではなかろうかと思っておるような次第でございます。実はそのことも意見書には書かれておるのでありまして、これは私どもが申し上げた点をお取り上げになった部分であろうかと思っておるような次第でございます。
  61. 平林剛

    平林委員 大臣がちょっと中途退席しましたが、いずれ戻ってくるでしょう。意見も聞きたいと思っておるのですが……。  基本問題会議の意見書は、たばこ専売事業について、財政収入の確保ということを主眼に置いて、それが公共の目的を達成することだとしておるわけですね。しかし私はこれが誤りである、これだけじゃないですよということを指摘したのであります。  しかし、仮にこの線に沿って物を考えてみた場合に、この意見書は、現行の専売納付金制度あるいは小売定価決定の弾力性のないことによって制度の目的を果たせないでいるから、これに対処するために納付金制度を改め、小売定価の法定制の廃止もしくは緩和を図れ、そうすれば財政収入の確保という公共的目的は達せられる、こう結んであるわけですね。  公社の総裁が、矛盾はしないけれども、自分たちの意見が取り入れられたんだ、それはやりたいという希望を述べられました。もし仮に専売納付金制度が改善をされて改められて、たとえば納付金率を決めるというようなことになったり、あるいは定価の改定について、これは独占ですから国鉄並みにいかなくても、何か公社の運営がさらに機動的に効率が発揮できるようなことを考えられた場合には、この意見書が言うような公共の目的はもう達成できるわけでありますね。理論的にはそうなるのです。そうなれば、専売公社を民営にする必要はないじゃないかということになるわけです。この意見書は、民営にすればそうなるのだと言っているのだけれども、逆に言えば、それがほぼ達せられれば民営にする必要はないじゃないかということに論理的にはなるわけだ。  そこで私はこの問題については、先ほど言いましたように、政治的じゃなくて国家、国民経済という立場から、国民のための専売事業はどうあるべきかという角度から検討して結論を出すように慎重な態度が望まれる。そういう意味で大蔵大臣、あなたの諮問機関である事業審議会とかあるいは公社を専門的におやりになる審議会とか、そういうような仕事をよく知っておる人、また国民経済的な立場から物を考えてくださる人たちの意見書と相まって、慎重にこの経営形態については考えるべきだということを私は主張するのでありますが、大蔵大臣の御見解を承りたいと思います。
  62. 村山達雄

    村山国務大臣 いま平林委員と公社の総裁の間で交わされましたいろいろな問題点、私も同じような問題点を考えているわけでございます。  この問題が、スト権ストの問題から発展いたしまして、経営形態の問題に移り、しかも民営の方がよろしい、こういうことでございますけれども、ただいま公社の総裁から述べられました幾つかの重大な問題があって、それの解決策は残念ながらあの答申の中に示されていないのでございます。  そしてまた、最後の問題でございますが、消費税の部分がはっきりしないという問題、これは専売公社の制度をとってもやろうと思えばやれましょうし、あるいは知恵を出しますと、納付金制度の中でも同じようなことは考えられるのではないか。つまり、税部分と公共料金部門の分離の話でございます。税というものは、やはり軽々に動かすべきではなくて、国民の御納得を得て国会の承認を得て上げるべきものであります。公共料金の方は、どちらかと申しますと公社自身のコストの問題でございますから、おのずからその取り扱いが違ってもいいのではないか。消費税を取ることも一つの方法でしょうし、納付金制度の中で工夫をする道もあるのではなかろうか。  いずれにいたしましても、今度の民営ということが出てきましたのは、公社でなくてもやれるんじゃないかということでありまして、先ほど指摘がありましたような葉たばこ業者をどうするのか、あるいは、現在専売公社の経営能率は恐らく世界のどこのたばこ会社に比べても、与えられた条件のもとにおいて最も効率的にやっていると私は思っておるのでございますけれども、そういった点に言及されていない点、そういうことをあれこれ考えますと、この問題に対しまして、本当の意味でやはり国民のためのたばこ、それから財政物資であるということを総合的に勘案いたしまして、慎重に検討しなければならぬ、このように私たちは考えておるところでございます。
  63. 平林剛

    平林委員 どうもありがとうございました。  結局この意見書は、スト権の問題を土台にして、高度の政治的な推移をたどっての結論でありますから、私が批判せなければならぬような結論になったのじゃなかろうかと思うのでありまして、不幸なことであります。  この結果、いろいろな関係者に大きな不安を与え、動揺を与え、そして専売事業を行う関係者、労使の間におきましても新たなる不安の材料になりかねない。私はそういう意味では、専売の労使関係は今日まで長い経緯がありまして、双方が労使対等の原則に立って、相互尊重の立場ですべての協議、労働協約や労働協定の遵守、あるいは労働基本権の問題などについても近代的、民主的労使関係の確立を目指して、お互いに自主的に自主解決路線を確認しながらその基本に努力をしてきていると理解しておるわけであります。私自身も、関係者の一人としてそのことをよく承知いたしております。  そこで、このことを契機にして労使関係が悪化する、よりよい国民のための専売事業に進むことができないという不幸なことにならぬように、労使関係の問題につきましては十分ひとつ配慮していくべきであると思いますが、今後の労使関係について総裁の御見解を最後に承りたいと思います。
  64. 泉美之松

    ○泉説明員 お話しのように、専売の労使関係につきましては長い間の労使の経緯があるわけでございます。いま先生のおっしゃったように、今回の意見書が出されることによって、専売労働者の間に大変大きな不安が生じてまいっておりますことは事実でございまして、大変心配をいたしておる次第でございまして、労使関係の正常化につきましては、今日までも努力してまいったわけでございますが、こういった際でございますから、今後一層努力してまいりたい、このように考えております。
  65. 平林剛

    平林委員 どうもありがとうございました。これで私の質問を終わります。
  66. 大村襄治

  67. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 本会議の時間も迫っておりますので、そう時間がありませんから、簡単にたばこの値上げの問題に関連をしてお伺いをいたしたいと思います。  それに関連をいたしまして、ちょっと導入部としてお伺いをしていきたいのでありますが、大蔵大臣の頭の中に、一体来年度の増税はどういうことをやるのだ。ずいぶん国会の中でもいろいろな問題について過去ずっと論議をしてきたし、大蔵大臣も言うまでもなく、かつての主税局長という税の大変な専門家でございますから、一体来年度の増税についてはどういうふうに考えているのかということを、まずお伺いしていきたいと思うのであります。  そういうことを質問すると大蔵省に言いましたら、日本経済新聞は、大蔵省から聞いたかどうか知りませんけれども、けさの新聞で、「来年度も“選択増税” 税制改正で大蔵省方針 医師優遇まず是正 株譲渡所得も課税強化 一般消費税は見送り」こういう見出しで出ているわけですね。こういうのが出るのも少しおかしいなと私は思うのですが、時間がないから細かいことは言いませんけれども、あくまでたばこ値上げの問題の導入としてお伺いいたしますので、簡単で結構でございますが、お伺いしたいのであります。  この新聞によれば、一般消費税はとにかく来年度の導入は無理だ、所得税は減税を見送る、法人税は増税せず——これなんかはちょっと私は問題があると思うのでありますが、法人税は増税せず、土地の税制の問題、それから不公平税制の問題で、医師優遇税制の是正、そして利子配当所得の総合課税への移行は五十五年末までに結論、それから租税特別措置で、特に価格変動準備金、これが取り上げられているわけです。それからキャピタルゲイン課税、それからエネルギー、自動車関連税制で揮発油税、自動車重量税、それから印紙税、入場税の増税、こういうようなのが日経新聞には出ているわけでありますけれども、この記事は、いま大蔵大臣の頭の中にあることも同じですか。
  68. 村山達雄

    村山国務大臣 簡潔に申し上げますと、これは推測記事でございまして、いま私たちは具体的にこういうことを決めているわけでは全然ございません。  それから、一般的な租税負担、増税をやるかどうかという問題でございますが、これからの問題でございまして、来年度の歳出規模は一体どれくらいになるか、この問題は当然中期経済計画等もにらみまして予算のフレームが決まってくるであろう、そのときに一体公債でどれくらい賄えるのか、最近の情勢でございますので、なかなか公債で賄うということもむずかしい。そうなりますと、やはりある程度の負担の増を求めざるを得ない場合もあるかと思うのでございます。
  69. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 もう少し立ち入ってお伺いしますけれども、法人税率は税制調査会でも、数%は上げられる状況にあるということを言っているわけです。この法人税率の引き上げについては、税調に諮るわけでありますけれども、大蔵大臣の頭の中でどう考えているか。とりわけ法人税法の枠組みになっております支払配当の軽課税率の問題あるいは受取配当の益金不鎌入の問題、こういった枠組み自体には立ち入らないのかどうなのか。  それから交際費課税ですね。すでに交際費が五十二年度末でも二兆二千七百億円という大変膨大な額になっていて、不算入になっている割合が三一・四%ということでありますから、残りが損金として落ちているということですね。そうすると、二兆二千七百億円にも達したものを、日本のような経済活動の状況の中で果たしていまのままの交際費課税でいいのだろうか、財源がないないと言いながらいいのだろうかという問題が当然出てくると思うのであります。  それから貸倒引当金が五十二年度末で二兆八千六百八十億円、これも大変膨大になってきております。きょうは細かいことを言いませんけれども、金融機関の貸倒引当金率を見てみましても、実際の貸し倒れとの乖離はまだあるわけです。私はゼロにしろとは言わないけれども、まだ乖離がある。その貸倒引当金等も少し考えなければいかぬのじゃないか。  それから、私もたびたびこの委員会でも言ってまいりましたけれども、退職給与引当金、これがすでに四兆九千九百八十九億円、約五兆円になっているわけですね。これは泉総裁も「エコノミスト」の座談会の中で元主税局長という形で、いまのままの二分の一、期末に必要な退職給与の二分の一を積み立てることが果たして必要かどうか、これは問題がある、やるならば外部積み立てをするか、あるいは、ここまでは総裁は言われたかどうかわかりませんが、資本金別あるいは従業員別にある程度率を区切ってもいいのではないかということを、これは泉総裁に限らず、いま地銀協の会長をやっている吉國二郎さんあるいは高木国鉄総裁も「エコノミスト」の座談会の中で言っているわけですね。私も確かにそのとおりだと思うので、これは意見が一致するのでありますが、この退職給与引当金、約五兆円になったものをこのままの形でいつまでも内部留保させておいていいものだろうか。  それから価格変動準備金、これは新聞報道によると何か半分くらいにするような話もあるわけでありますが、八千二百八十九億円。  こういったようなものに全然タッチをせずに増税だ増税だ。だれが見ても、財政をいじっている者から見れば、部分的には増税せざるを得ない、これはもう当然でありますし、過去の遺産であるところの大企業優遇の部分の増税、これはもう当然やるべきであると私たちは考えるわけであります。そうくどくどと御説明は要りませんけれども、いま言ったような問題、法人税率及びその制度に関する問題、それから交際費課税、貸倒引当金、退職給与引当金、価格変動準備金、このあたりについては大臣としては全然さわられるお気持ちはございませんか。
  70. 村山達雄

    村山国務大臣 これも来年度の税制改正に際しまして、税制調査会等で詳細に検討してもらいたいと思うのでございますが、二重課税排除のやり方の問題につきましては、これは非常にむずかしい問題であろうかと思うのでございます。長年にわたってやっておりますけれども、別途の調整方法というものがなかなか出てこないのでございまして、この方は税制調査会も検討していると思いますけれども、来年度それがすぐ答えが出るというのはなかなかむずかしいのじゃないか、これは私の予測でございます。  それから、各種の引当金の関係でございますけれども、この点は、引き当て率が過大であるかどうかというところで見直しが行われれば行われる。退職給与引当金等につきましては、いま最高二分の一で頭を抑えておるわけでございます。それはそれなりの理由があってやっておるわけでございますけれども、さらにその点で検討の余地があるかどうか、こういう問題ではないかと思います。  法人税の問題につきましても、もちろん検討事項でございますけれども、相対的に申しますと、日本の税制の中で法人税が最も国際水準に行っておる。ほかの所得税、消費税等が三分の一であるとかあるいは二分の一であるというのに比べて、四九・四七、こういう数字でございますから、非常にいい。  それから、いま交際費課税の問題がございますが、これは四百万に手をつけなければ大した増収は出てこないであろう。しかし、いずれも専門的事項でございますので、これらの問題はひとつ詳細に税制調査会で御検討願いたい、こう思っておるところでございます。
  71. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 大臣からいまお伺いしたように、私が具体的に挙げた問題については、個々の議論はまたいずれするにしましても、いずれにしろ従来からのシステムどおり税制調査会でやるということを言われているわけですね。これは従来のシステムから言っても当然だと私は思うのであります。そして、一体どのくらい増税するかということについても大臣は非常に慎重な御答弁で、予算の全体のフレームが一体どのくらいの規模になるものか、自然増収がどのくらいになるものか、来年度の税収がどうなるか、あるいは公債がどのくらい発行できるものか、十五兆円などと言われる膨大な数字が予想されるわけですから、どうなるかも頭に入れながら、一体どのくらい税負担の増徴をお願いするのかという、大変控え目なことで答弁をされているわけであります。  税の方ではそういうことを言われているけれども、片やたばこの値上げのことについては、これは税調の問題ではないということかもしれませんけれども、大臣は参議院の大蔵委員会の中でかなりはっきり言っていらっしるわけですね。これはどういうことでしょうか。
  72. 村山達雄

    村山国務大臣 参議院の委員会においての発言は、少し言葉不足でございまして、これももちろん税制調査会における検討事項であるわけでございます。そういうものをかぶりましてただ私の感じを申し上げたわけでございます。
  73. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そうしますと、いまの段階では、具体的に公社に値上げの指示をし、それに伴うところの諸般の問題について検討するようにという、大蔵省から専売公社に対しての指示があった、こういう段階ではないということですね。
  74. 名本公洲

    ○名本政府委員 たばこの値上げ問題につきましては、昨年来問題になっておるところは御承知のとおりでございまして、この値上げ問題につきましては、公社に対して値上げをするという指示をしておるわけではございませんけれども、内々相談はいたしておるところでございます。
  75. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そこがいま大臣のお答えと少し食い違うわけですよね。内々のというのはどういう意味なのかな。つまり、全体のフレームがわからずに、増税分は一体幾らになるかもよくわからぬのに、専売公社にだけは、あなた値上げを考えておきなさいと言うのは、これは順序が逆だと私は思うのですよ。大臣は、来年度の予算は一体どういうフレームになって、その中で公債がどのくらい発行できるか、増税分はどのくらいやらなきゃいかぬかということは、非常に慎重な言葉で書っていらっしゃるけれども、前々から専売公社に対しては値上げの方だけは考えておきなさいと言うのは、主客転倒、話が逆なんじゃないですか。
  76. 名本公洲

    ○名本政府委員 たばこにつきましては、先生御承知のように、本年に入りまして売れ行きも必ずしも芳しい状況ではございません。そういうこともございますので、特に専門的に仕事をしております専売公社の意見を聞かなければ、種々の点について私どもも検討を遂げることもできませんものですから、意見を聴取しておるということでございまして、来年度は値上げをするから準備をしろ、そういうような指示までしておるわけではございません。いずれにしましても、そのあたりは税制調査会、それから専売事業審議会等ございますので、そのあたり等に十分諮りまして決めてまいる問題である、かように考えておるところでございます。
  77. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 それじゃついでにお伺いしておきますが、専売監理官のいまのお話に対して、公社の総裁としてはどういうふうにお答えになっておるのですか。
  78. 泉美之松

    ○泉説明員 大蔵省当局とされましては、現在の財政事情のもとにおきまして、たばこの定価改定を実施して専売納付金の増収を図りたいというお気持ちを持っておられることは承知いたしております。  ただ、定価改定につきましては、先ほど監理官からも申し上げましたけれども、最近の販売状況、今後のたばこ消費の見通し等を十分見きわめた上で行わなければならない、公社としてはきわめて重大な問題でございますので、それらの点につきまして慎重に種々の検討を行っておるところでございます。  それと同時に、先ほども申し上げましたけれども、五十年度の定価改定の際に国会で問題になりました、税相当部分の明確化を図らなければ定価改定は困難ではないかと考えておりまして、そういった制度問題についても検討をいたしておるところでございます。
  79. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そうなんですよ。そこの問題を通り越してたばこの値上げという問題が出てくるのはおかしいのですよ。私は総裁が言われるとおりだと思うのです。  専売公社監理官にお伺いしたいのですけれども、内々に専売公社に値上げの問題について話をしておるというのは、それは一体、五十年の国会でも大変問題になった、たばこの値上げはコストがアップしたから値上げなのか、それとも税率がアップしたから値上げなのか、今度はどちらのどういう意味の値上げをお願いするということなんですか。
  80. 名本公洲

    ○名本政府委員 五十年に定価改定をお願いいたしましたが、それから四年たっておりますが、その間に賃金、物価等も上がってきております。昨年、税制調査会の答申におきましても、適正な負担を維持する必要がある、そのように見直していけという答申も出ておるわけでございまして、そういう線に沿って私どもとしても検討してまいりたい、かように考えておるところでございます。  なおその際に、総裁がお答えになりましたように、五十年の定価改定の際に附帯決議をちょうだいいたしました中の価格決定方式、特に税負担部分の明確化という問題は、これは大変重要な問題であると私どもは考えておりまして、附帯決議でちょうだいいたしました部分についてどのように実現していくかということも、私どもとしてもあわせて検討いたしておるところでございます。
  81. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そうしますと、確認をしておきますけれども、いまお話があったように、この前の五十年十二月からの値上げに関して、時の衆議院大蔵委員会、四月二十四日でありますけれども、附帯決議として当委員会は第三項目目に、「専売納付金制度、価格問題等専売事業の諸問題について抜本的な検討を深めるとともに、専売事業審議会の審議に当たっては、専売公社職員、消費者等の意見についても配慮すること。」それから四といたしまして、「将来のたばこの定価の改定に当たっては、専売事業の公共性に留意し、合理的な価格形成方式を確立するとともに、専売関係審議機関及び専売事業関係者の意見に配慮すること。」という附帯決議がつけてあるわけですね。つまり要するにそれは、総裁がたびたび、きょうも言われておりますように、一体現状の専売納付金制度をどういうふうにしていくのだということをはっきりしなければ値上げの問題はやっちゃいけませんよということを、当大蔵委員会の附帯決議がつけているということですね。一体専売事業審議会では、この専売納付金制度についてどういう検討がなされ、そしてその結論はいつ出る予定なんですか。
  82. 名本公洲

    ○名本政府委員 納付金制度につきまして、制度的にどのように改定してまいるかという点につきましては、専売事業審議会におきまして現在検討を進めておるところでございます。しかもこの点につきましては、民営のいかんにもかかわらず、たまたま基本問題会議の意見書にもある問題でございますので、できれば早急に納付金制度について何らかの適切な改正案を専売事業審議会から結論としていただきたい、かように考えております。すでにその検討は開始しておるところでございます。
  83. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 それは皆さん方がたばこの定価の値上げということを考えている限りは、ある程度専売納付金制度のことがはっきりしなければ、国会の方は審議自体を引き受けられないと思うのです。この前の五十年の審議は、そのことに始まってそのことに終わったようなものですから、その意味では、専売納付金制度を一体どうするんだということがはっきりしない限りは、値上げの問題を持ってこられたって、また五十年と同じ審議を国会でしなければいかぬということ、つまりそれは、皆さん方が国会でつけた附帯決議を忠実に実行してないということになるわけでありますから、専売納付金制度はいかにあるべきかということの答えを出してから初めて、値上げの問題を審議するあるいは公社に指示するなら指示するという順序立てになると思うのですが、そう理解しておいてよろしいですね。
  84. 名本公洲

    ○名本政府委員 先生御指摘のように、附帯決議でちょうだいいたしたものにつきましては、これを実現すべく私どもとして精いっぱい努力してまいる所存でございます。  ただ、値上げの問題とかあるいは制度の問題、それはいずれを先というようなお話がございましたけれども、並行して検討してまいってもしかるべきものと考えております。いずれにいたしましても、この附帯決議につきましては、十分尊重いたしまして、その実現のために最大限の努力をいたしたいと考えております。
  85. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そうしたら、専売事業審議会の結論というのはいつ出るのですか。
  86. 名本公洲

    ○名本政府委員 事業審議会の結論につきましては、最も早い機会に結論をいただくというつもりでございまして、審議の順序としましては一番手に置いておるわけでございまして、できますならば、全体の審議の答申がまとまる以前にも、答申というかっこうででもその問題につきましては結論を出していただきたい、かように考えておるところでございます。
  87. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 抽象論としてわかりましたけれども、それはいつごろですか、十一月いっぱいですか、十二月ですか、一月ですか、いつですか。
  88. 名本公洲

    ○名本政府委員 いつというふうに確定的に申し上げますと、これは審議会の委員の先生にも失礼に当たるのでございますけれども、可能ならば年内にもいただければ大変ありがたい、かように考えております。
  89. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 監理官の言われた、値上げの問題と専売納付金制度のあり方、これが同町に出てくるということは、つまり、専売納付金制度がどういう位置づけになるかということを結論を出した後は値上げの幅の問題とか時期の問題でありますから、そういう意味で、これは私が言っているどちらが先どちらが後ということではなくて、いずれにしろ、値上げだけは国会にまた持ってきた、専売納付金制度の問題はまだ専売事業審議会で審議中ですということでは、これは皆さん方四年間もあったのに一体何をやったかということになるわけで、国会の決議を全く無視をしたことになるわけでありますから、そのことは受け付けませんよと、このことだけ私、確認しておきますが、よろしゅうございますね。
  90. 名本公洲

    ○名本政府委員 御趣旨に沿うようにいたしたいと考えております。
  91. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 その次に、もう一つ質問していきたいのは、たばこ離れということが非常に出てきているわけですね。大蔵大臣は非常にヘビースモーカーですから、大臣のような方はならぬと思うのでありますが、嫌煙権の問題なりいろいろな問題でたばこ離れということが起こってきている。これについて公社としては一体どういう理由だろうと見ていらっしゃるのか、それに対して一体どういう対策を立てられるのか、総裁、それについてはいかがでございますか。
  92. 泉美之松

    ○泉説明員 先ほど申し上げましたように、以前はたばこの消費の伸びが相当多く、昭和四十年代は平均しまして毎年五・六%くらい伸びておったのでありますが、五十年に定価改定をいたしました後、定価改定幅が相当大きかったこと、それからオイルショック後不況が続いたこと等によりまして、最近の伸び率が大変低くなっております。  こうした事情は、基本的には成年人口の伸び率が以前ほどなくて、最近は一%を割りかねない、こういった状況にあること、それから、オイルショック後の不況が、長引きまして国民の消費資金全体が伸び悩んでおること、こういったことにあろうかと思うのでありますが、たばこ離れと言われる現象は、何といたしましても、WHOからたばこは健康によくないという趣旨の発表がございまして、そうしたことから、先ほどおっしゃったような嫌煙権の問題であるとか、あるいは列車その他公共の場所におきまして喫煙を制限する、そういったことからいたしまして、だんだんと喫煙の機会が減ってまいっておる、そういうことに基づくものと考えております。
  93. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 時間も余りありませんので、余り停滞の原因ばかり追及していてもしようがないので、前に進めますけれども、いまいろいろ言われているのは、少なくも百五十円のたばこであるところのセブンスター、マイルドセブン、チェリー、これは二百円にしようではないか、それからハイライト百二十円を百五十円にしようではないか、つまり三〇%アップなどということを考えているやに新聞は報道しているわけでありますけれども、まだ恐らく具体的にはそこまではない。しかし、これは切りのいい数字にならぬことにはいろいろな面で手数でありますから、上げ幅についてはいろいろ議論があるのであろうと思いますけれども、財政という面だけを考えれば、確かに三〇%上げれば、これは逆算をしてみれば、本数がかなりの部分減っても五千五百億なり六千億というものは維持できる。しかし、公社としてはかなり近代的な設備をかけてやっているわりには稼働率が必ずしも高くないところが工場によってはあるわけですね。そういったことから考えますと、いま総裁が言われたような状況の中で、ことしは三千億本がどうだろうかと言っておるような中で、果たして値上げというものをした場合、このたばこ離れというものが非常なスピードでさらに進むのではないかということが大変懸念されるわけです。  これは、片面では喫煙者の健康の問題とも非常に絡んでくるので、なかなかむずかしい側面があるわけでありますけれども、しかし、いずれにしろ非常にたばこ離れが始まった。私も過去の統計を見たときに値上げの前の時期、その後の時期、買いだめの問題とその後の減りの問題、それを過去のデータから見てみますと、消費がもとへ戻ってないという状況を見ますと、いまのこういった時期にたばこの値上げということをすることが本当に皆さん方の事業としていいのだろうか、これはかなり慎重に値上げの問題というのは考えていかなければならぬのじゃないかということを思うのでありますけれども、その点について、大臣及び総裁はどういうふうにお考えでございますか。
  94. 村山達雄

    村山国務大臣 たばこにつきましては、御承知のように、やはり健康という問題からだんだん自制をする人がふえているわけでございます。そのために、公社の方も一生懸命になりまして、健康を害さないたばこというようなものを出しまして、そしてできるだけたばこの消費が減らない、同時にまた健康にもそう差し支えない、こういうものをどんどん開発しているわけでございます。願わくはこれが両方の目的を達することを願っているわけでございます。
  95. 泉美之松

    ○泉説明員 お話しのように、たばこの定価改定をいたしますと一時的に消費が減退いたします。過去の値上げの経緯からいたしますと、昭和四十三年のときには半年で回復したわけでございます。ところが五十年の定価改定のときには、一年たってもなかなか回復しなかったというような情勢にあったわけでありまして、たばこは御承知のように手近な嗜好品でございますので、その消費につきましては、ちょっとしたことの影響で減退ということがかなり大きくなる心配がございます。  それで、専売公社といたしましては、現在の工場の能率は、これは世界のたばこ企業と比較して決して遜色のない、むしろすぐれておる点がございまして、その効率がいいので、ぜひということで発展途上国から技術的に指導してほしいということで招かれて参っておるというような状態でございます。もし消費が減りますと、その工場の能力をフルに動かせなくてアイドルを生ずるということになります。これは専売事業に従事しておる職員として大変不安を感ずることになりますので、値上げ幅及び値上げの時期等につきましては、そういった点を十分考えていかなければならない、このように思っております。
  96. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 最後に、喫煙と健康の問題についてちょっとお伺いをして終わりたいと思うのであります。  いまお話があったようなことでございますので、専売公社としても喫煙と健康問題調査室というのをつくって、たとえば五十三年ですと一億一千五百万円かけて委託研究を出されております。これの中でもかなり、私は医学の専門でありませんのでよくわかりませんが、委託研究をされて、それがそれなりの、つまり当初の目的のテーマの部分においては完成したといいますか、研究が終わったものもあるわけですね。たとえば四十九年に東京都老人総合研究所で「肺組織における化生の成立と経過に関する研究」、それから癌研究所の「たばこ添加物および原材料のがん原性の検討」、それから五十一年の沖中記念成人病研究所の「喫煙の末梢神経機能におよぼす影響に関する研究」等々、皆さん方からいただいた資料で、全部で十ばかり委託研究したものが終わっているわけですが、私の知る限りでは、どうも専売公社としてこの委託研究したものについて発表をなさっていることがないように思うのであります。個々の担当された先生が学会の論文なり何なりに出されているのは聞いているわけでありますけれども、専売公社としてこういったものを出さないというふうに私は聞いているのであります。  これは誤りかどうかは知りませんけれども、少なくも皆さん方がお金を出されて委託をされて研究されているものの成果について、確かにこういうものを出せば、いまのお話のように、また喫煙者が警戒をして吸わなくなるのではないかという御心配、あるいは非常に部分的な研究でありますから、必ずしも全体がそれをあらわしているとは限らぬと思いますし、かなり基礎的なものがあって一般国民には必ずしも関係ないようなものもあろうかと思いますが、しかし、皆さん方がわざわざこういった調査室までつくって委託研究費も一億円近くのものを出されて委託され研究されている以上は、やはり専売公社として、形はどういうふうにやるかは別といたしましても、国民に発表するというのが筋ではなかろうかと私は思うのでありますが、その点についてはいかがお考えでございますか。
  97. 泉美之松

    ○泉説明員 お話しのように、健康と喫煙の問題につきましては、この問題が起きたとき以来、公社として外部の研究機関に研究を委託してまいっておりまして、五十三年にはお話しのように、一億一千五百万円で二十八のテーマについて研究委託をいたしておりまして、そのうちもう完了したものもあるわけでございますが、せっかく金をかけて研究をして、それが完了したのだから発表してはどうかという御意見、まことにありがたい御意見ではございますけれども、外部に委託してやったものでありまして、公社がその内容を発表すると、その研究自体がかなり基礎的なもの、あるいは部分的なものが多うございまして、その発表の仕方いかんによっては、公社がたばこを売りたいために余り健康に害がないような宣伝をするのはけしからぬとか、あるいは逆に、どうもたばこを吸うことに問題がありそうだというふうに変に誤解される心配がございます。したがって公社といたしましては、従来から公社としては発表しないで、その研究をされました委託研究者自身が学会等におきましてこれを発表して、雑誌に掲載するというような取り扱いにいたしておるのでありまして、いまお話しの趣旨はよくわかりますけれども、従来の態度を変更するのは適当ではないのではないかというふうに考えておるところでございます。
  98. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 私は、ちょっといまの答弁は、時間もないですからこれでもう終わろうと思ったのですが、聞いておる皆さん、いかがでございますかね。前段に言われた、公社がなるべく国民に吸わせるようにいいデータだけ出したのではないか、それは、新聞がどういうふうに抜粋するかによってかなり違うところがあろうかと思いますけれども、いやしくも皆さん方が選定をされて、それなりの学術研究の成果のある学会なり大学なり研究所なりに出されているわけでありますから、公社が研究したと言っているわけではないので、委託をして出したものでありますから、その意味では、ある意味では責任はそちらにあるのだと私は思うのであります。皆さん方がそこを選んだことの責任は皆さん方にあるにしても、やはり第三者機関としての結論でありますし、それから確かに、私もかなり題目及び中身の中心的なことだけ聞かせていただきましたけれども、必ずしも完全に理解できないほど非常に医学的な、専門的な研究をなさっていることもわかります。しかし、少なくとも皆さん方がお金を出して、発表は研究した人が勝手にやってください、おのおのの学会で結構です、研究所の名前で結構ですと言うのも、これも公社のあり方として、わざわざ喫煙と健康問題調査室という部屋までつくられて研究をされている体制からいって、私はどうもいきさか納得できぬの。あります。  きょうは時間がありませんから、もうこれ以上詰めませんが、どうも聞いていらっしゃる皆さん方にはちょっと疑問を持たれた方が多いのじゃないかと私は思いますので、この問題について、このあり方、発表の仕方について、少し公社の中でもこういう意見を含めてもう一度検討していただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  99. 大村襄治

    大村委員長 午後一時三十分に再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五十四分休憩      ————◇—————     午後一時三十五分開議
  100. 大村襄治

    大村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  午前に引き続き質疑を続行いたします。坂口力君。
  101. 坂口力

    坂口委員 前回のこの委員会のときに私の方の貝沼議員の質問に対しまして大臣は、来年度予算のことに若干触れられまして、来年度予算におきましても、ことしの補正予算同様、「第三の道」ということについて考えを及ぼしていくという趣旨の御発言がございました。まだ現在の段階でございますので、細かなところまで煮詰まっていないことは当然でございますけれども、若干触れさせていただきたいと思います。  この三年余に及びまして、公共事業主導型の予算が組まれてきたわけであります。しかしながら、いずれの年におきましても、所定の目的をなかなか達することができなくて、補正予算あるいは時には第二次補正等を組まなければならない年もございました。今年も七%成長という一つの目標を目指して進んでまいりましたが、補正予算を組まれて、さらに現在その経緯は予断を許されない現状にあるわけでございます。  これはいろいろの世界的な諸情勢もございますけれども、経済に対する財政上の対応に何らかの間違いと言うと言葉が悪うございますけれども、財政上の対応の仕方に何か方法がほかにあるのではないか、そういったことを大臣はお考えになっているのではないか、こう察するわけでございますけれども、来年度に対する基本的なお考え方というものをまずひとつ最初に伺っておきたいと思います。
  102. 村山達雄

    村山国務大臣 この問題は、来年度の経済見通し、その基礎としての中期経済計画の策定ときわめて密接の関係があるわけでございます。そういうものを踏まえませんと具体的なことは申し上げかねますけれども、私たちは前々から申し上げておりますように、いま財政収支のアンバランスが一番目立っているということでございますし、特にいわゆる赤字公債というものが非常にふえておりまして、そのことの中長期的な影響を考えますと、その依存率あるいは絶対額をできるだけ減らしてまいる必要があろう、このように考えているわけでございます。その意味で歳出につきましては、特にいままで以上に選択を厳しくいたしまして、優先度の高いものをやっていく、また新規政策等につきましても、スクラップ・アンドビルドの方式でやってまいりたい、かように考えておるわけでございます。  広い意味での公共投資でございますけれども、これはやはりある程度全体のフレームとの関係でございますけれども、相当程度は四条国債を中心にして出るであろうと思うのでございますが、御指摘のように、本年度の当初予算からもそうでございますけれども、産業関連の公共投資よりもどちらかと申しますれば生活関連の公共投資、さらにはいわゆる主要経費分数では公共投資と言われていない、今度補正で出しました社会福祉施設であるとかあるいは教育施設であるとか、さらには体育館であるとか、こういった生活に密着したものに重点を置いていく。そのねらいとしては、やはり公共投資の効果は地域的に普遍的にいくであろうということ、それから、そのことを地域の方々が一番望んでいるのではないであろうか。また雇用効果から申しましても、比較的に雇用効果が高いということを考えますと、現在の社会資本の充実もまたその辺が一番見劣りがしているわけでございますので、その方面に力を入れていくべきではないか、こんな感じを持っておるわけでございます。
  103. 坂口力

    坂口委員 いま御説明いただいたことを私たちもかねてから主張してきた一端でもありますし、大臣も大分われわれの意見に近づいてきていただいた、こういう感じがするわけでございますけれども、この前の委員会でもそうでございましたし、先ほどの言葉の中にも含まれておりますが、ことしの当初における予算編成においてもそうであったけれどもというふうにおっしゃっているわけでありまして、ことしの予算につきましてもそれから昨年度の予算につきましても、われわれはそれほど教育あるいは福祉に対する予算づけというものが十分であるというふうには思っていないわけであります。  来年度さらに教育、福祉、こういう「第三の道」に対する予算づけをより重点的に行うという御趣旨は、大体ことしもそうであったということは、ことし並みということでございますか、それともことしあるいは去年よりも来年は新たな何らかの芽を出したいという意欲をお持ちだというふうに受けとっていいのでしょうか、どうでしょうか。
  104. 村山達雄

    村山国務大臣 少し言葉が足りませんでした。  総理の言われる「第三の道」というのは、かなり広い意味でございまして、いわゆる公共事業費という中で生活関連のものを含めて「第三の道」と言っているわけでございます。その意味で、私が公共事業の中で生活関連の方に当初予算でも力を入れましたと申し上げたのでございまして、主要経費分類でいう公共事業に入らない、いわゆる文教費とかあるいは社会保障費に入っております教育施設であるとかあるいは福祉施設であるとか、こういったものは狭い意味で「第三の道」と言っているわけでございます。その狭い意味での「第三の道」については仰せのごとく、ことしの当初予算ではそれほど力が入っていなかったと私は思うのでございまして、今後一層力を入れてまいりたいというのは、広い意味で言っているわけでございまして、特に狭い意味での「第三の道」にも十分留意していかなくちゃならぬ、こういう意味で申し上げているわけでございまして、言葉が足りませんでした。
  105. 坂口力

    坂口委員 いま狭い意味というふうにおっしゃいましたけれども、ぜひその辺のところに格段の配慮をひとつしていただきたいと思うわけであります。来年も途中になりまして、まただめでしたというようなことにならないようにひとつお願いをしたいと思うわけであります。上野の動物園のパンダのランランでありますと、まただめでした、お騒がせしましたで済みますけれども、そういうわけにはまいりませんので、ひとつ格段の配慮をしていただきたいと思うわけであります。  それから、もう一つだけお尋ねをしておきたいのですが、「第三の道」もさることながら、いわゆる政府の取り組む姿勢というものが心理的に国民に大きな影響を及ぼすと思うわけであります。そういった意味で、心理的にも国民に不安を抱かせるようなそういう施策というものは好ましいことではない。こういう時期であるだけに、安心を与えるようなことを幾つか手がけてもらいたい。その金の額云々ではなしに、やはりそういう方向づけというものをぜひ大蔵省も考えてもらいたい、こういうふうに私は思っておるわけでありますが、それに対するお考えはいかがでございます。
  106. 村山達雄

    村山国務大臣 そのことはきわめて大事なことだと思うわけでございまして、その意味では、安心を与えるという意味でございますけれども、私の受け取り方は、むしろ長期的な見通しというものをやっていく。来年度の予算編成がどうなるかという具体的なことは申し上げられないぐらいでございますから、きわめてむずかしいわけでございますけれども、大筋でもどういうことになるのか、そういう長期的な見通しをできるだけ国民の方々に知っていただき、また政府も努力していくということは非常に大事なことではなかろうか、そういうふうに受け取っているわけでございます。
  107. 坂口力

    坂口委員 以下、具体的な問題、幾つか触れさせていただきたいと思いますが、まず最初に、ことしの二月でありましたか、予算委員会におきまして私、年金に対する課税の問題を取り上げさせていただきまして、またこの委員会におきましてもそのフォローをさせていただいた記憶がございます。それから半年有余を経たわけでございまして、そのときにこの委員会におきましても大臣とかなりやりとりもいたしましたし、また、前の主税局長さんとの間にもかなり厳しいやりとりもしたわけでございます。その中で大臣は、いろいろ承ったので一遍検討しよう、こういうことでその場は済んで今日を迎えているわけでございます。  いまさら申し上げるまでもなく、この年金に対する課税は昭和五十四年の十二月三十一日まで、一応決められた期限があるわけでございまして、来年の暮れでそれが一応切れることになります。したがって、その後をどうするかということにこれはなるのであろうと思いますが、しかし、来年の暮れとはいいますものの、やはりそのことを改革するためには、すでにその改革に着手しなければならない時期に来ているのではないかというふうに思うわけでございます。  前回にも細かい議論をいたしましたので、もうきょうは余り細かなことは触れないでおくつもりでございますが、端的に申し上げますれば、現在、六十歳から六十五歳までの間の独身の方でありますと、年額で七十八万円までは税金がかからないことになっております。この年金に対して課税される方の数も大分最近はふえてきておりまして、昭和五十年には約二千人でありましたものが、昭和五十二年にはこれが九万人になっておりますし、五十三年には、ことしでございますけれども、十七万七千人ぐらいになっていると思われます。来年度は恐らく二十二万人ぐらいになるはずでございます。  こういうふうに年金に対して課税される対象の人たちの数というのが急速にふえてきているわけでありまして、これに対してこれを非課税にしろという主張もございますし、現在の控除額を引き上げろという意見もございます。前回議論をいたしましたときにも、この年金の掛金のときに税金をかける国と、そこにはかけないけれども受け取るときにかける国と双方あるというような議論もございまして、そして大蔵省の欧米における調査の結果等もそのときに私も読ませていただいたわけであります。そのことも承知をいたしております。  そこで一足飛びに、年金に対しては全額非課税というふうに私は個人的な見解としては書いたいところでございますけれども、これから非常に年金の額が多くなってくるという時期を迎えましたときに、そこにまた一つのアンバランスが生じるのではないかという意見もあるわけでありまして、その辺のところは一足飛びにはなかなか行きにくいということもあろうかと思います。そこで、控除額がそれではどうなるかということが、次の当面の大きな課題になってくるのではないかというふうに思います。  大蔵省にお聞きをいたします前に、まずその前段として、厚生省にお越しをいただいておりますので、厚生省の方から、来年度に対する年金の取り組み方と申しますか、聞き及ぶところによりますと厚生省の方も、年金の抜本的な改正というのはなかなかできそうにありませんけれども、来年度はどういう方針で取り組んでいかれるのかをまずひとつ伺っておきたいと思います。
  108. 吉原健二

    ○吉原説明員 お答えいたします。  現在の年金制度につきましては、いろいろな御意見、御批判をいただいておるわけでございますけれども、年金制度全般にわたります今後の方向につきましては現在、厚生大臣の私的諮問機関で年金制度基本構想懇談会というのがございますけれども、そこで鋭意御検討、御審議をいただいているところでございます。厚生省といたしましては、来年早々にもその御結論がいただけるのではないかと思っておりますので、それを踏まえまして、年金制度全般にわたる今後のあり方につきまして考え方を明らかにしてまいりたいと思っておるわけでございます。  当面、来年度の改正につきましては、現在福祉年金の引き上げ等を考えておりますけれども、その具体的な内容につきましては、物価の動向等を見きわめた上で決めたいと思っております。
  109. 坂口力

    坂口委員 簡単な御答弁でございまして、ちょっと全貌がわかりにくいきらいがございますが、厚生省、現在の課税控除額は、五十年の標準的な年金額を基礎にして設定したもので、実情に合わなくなっているということを主張しているはずでございます。  厚生省は言いにくかろうと思いますので、かわって申し上げますが、五十二年九月二十八日に、五十三年度税制改正に関する意見書を厚生省は提出しているはずでございます。その中におきましても、   現在、老年者年令特別控除制度により、六十五歳以上の者が受ける公的年金給付については非課税とされているが、年金制度は老後の所得保障の中核となるものであり、また、社会保障給付のなかで、唯一課税対象となるものは、老齢年金、通算老齢年金であることにかんがみ、公的年金については、すべて非課税とすべきである。   現行の老年者年金特別控除額七十八万円は昭和五十年の標準的な年金額を基準として設定されたものであるが、昭和五十一年及び昭和五十二年に財政再計算及び物価スライドの実施により年金の給付水準の改善が行われたにもかかわらず据え置かれたため、少なくとも当面の措置として昭和五十三年の標準的な年金額に見合った引上げを行う必要がある。 こういう意見書を出しているはずでございます。  そこでこの辺のところが、私この春に質問をさせていただきましてから後どういう経緯で煮詰められているのか、あるいはまだいないのか、その辺のところも含めてひとつお聞かせをいただきたい。
  110. 高橋元

    高橋(元)政府委員 坂口委員からことしの春の大蔵委員会で、七十八万円の老年者年金特別控除の水準をどういうふうに考えるかということにつきましてお話がございまして、政府の意見も申し上げ、先生の御意見もいろいろ承ったわけでございます。その際、五十四年で現行の租税特別措置法の適用期限がまいりますので、それから後どういうふうにしていくのか検討をしてみようというふうに大臣からお答えを申し上げておったというふうに記憶しております。  そこで一つは、四十八年から五十四年の十二月三十一日までが適用期限となっております現行の租税特別措置法の二十九条の三でございましたか、その規定の適用をどうするかという問題でございますけれども、この点は、来る五十四年の税制改正を御審議いただく政府の税制調査会にお諮りいたすことになると思います。  それから水準の問題でございますが、これもその際あわせて御検討いただくことでございますけれども、私どもの考えはかねがねから申し上げておりますように、現在七十八万円の老年者年金特別控除のほかに、これは給与所得ということに相なりますので、給与所得控除が収入の額に応じて認められているということでございます。その最低額は五十万円でございますから、公的年金だけしか所得のない老年者の夫婦で、奥さんが七十よりも若い方であります場合には、二百十九万円の収入金額まで所得税は課税されないということでございます。これは御高承のとおりであります。  そこで、所得税の本質論を長々申し上げることもないと思いますけれども、納税者の所得水準に応じて応分の負担を求めるという性質でございますから、現在の政策税制として老年者の場合、七十八万円を限って年金所得からまず控除をいたすという制度につきまして、それをさらに引き上げてまいるということは、年金以外に給与所得がある方、それから年金をもらわずに働いておられる方々との間の税のバランスということも一つございます。それから、将来にわたっていわゆる振替支出の国民所得に対する割合というのが急激にふえていくという日本の社会保障の将来水準を考えますと、所得税の制度としてはいかがなものかというふうに考えておるわけでございます。
  111. 坂口力

    坂口委員 ことしの春におきます主税局長とのやりとりでも、主税局長ははなはだ冷たい態度で終始されたわけでありまして、現主税局長は、それほどではございませんけれども、しかし最後の一言はちょっと気に入らないわけでございまして、本当はもう少し言いたいのだけれども控えておくという御趣旨であるならば、このままで承っておきたいと思うわけでございます。  確かにおっしゃいますように、現在は年金そのものが充実いたしておりませんし、また八種類にも分類されておりまして、十分とはいきませんけれども、年金でかなりな生活ができる方と全くできない方とがあるわけであります。したがいまして、その辺の格差もありますから、私も非常に控えてと申しますか、言葉を抑えて主張しているわけでありまして、この辺の差は厳然とあります以上、そこに若干の差が出てくることはやむを得ないのではないかと思っておるわけであります。  しかしながら、現在年金だけで生活できる人は非常に少ないわけでありまして、多くの方が何らかの形でほかから所得を得られて生活をしておみえになるわけであります。そういたしますと、これが総合課税で課税されますから、年金だけで生活しておみえにならない、年金を従としてほかに主たる所得をお持ちの皆さんにとりましては、さらに先ほど申しました以上の税金がかかっているのが事実でありまして、総合課税で累進性になるものですから非常に負担が大きくなるという一面があるわけであります。これらの面もひとつ考慮に入れていただいて検討をしていただく必要があるのではないかと私は申し上げているわけであります。  現在のところでありますと、六十歳から六十五歳の人で主たる給与として年金を位置づけておみえになります方は、二十二万円というのは三月分だと思いますが、これで大体二千二百五十円の税金がかかっておりますし、二十四万円の方は四千二百六十円、二十六万の方は六千二百四十円というふうに税額も非常に増加をしているわけであります。三十二万円になりますと一万一千九百四十円、これが配偶者なしのとき、本人一人のときでございますが、こういう税額になってまいりますし、これがいわゆる主たる給与でない場合、ほかに所得があります場合には、この額はさらにまた変わってくるわけでありまして、総合課税でありますから、また別な角度から上がってくるということも言えるわけであります。  でありますから、控除額の引き上げというのは、これだけ貨幣価値も変わってきておるわけでありますから、当然考えられるべきもので、前回のときに決められた価で大体七十八万、現在の貨幣価値でそれからずっと計算しますと、大体百十万くらいには同じ貨幣価値でもなるはずでございます。でございますので、その辺のところについて、ひとつ大臣の決断をここでお聞かせをいただきたいこういうふうに思います。
  112. 村山達雄

    村山国務大臣 決断ということでございますけれども、やはりこれは主税局長が申しましたように、税制の基本的な立場からいろいろな問題のある問題でございますので、やはり本当によく検討していただく必要があるだろうと思うのでございます。  もう釈迦に説法でございますけれども、もちろんこれは政策税制の雄たるものであるわけでございます。したがいまして五万円年金というときに、一種のモニュメントとして、せっかく五万円年金になったんだからということで発足いたしたのでございますが、その後いろいろ見ておりますと、やはりその控除を受ける者と受けない者との間のバランスの問題、それから最後に主税局長が言っておりましたけれども、今後ますます多くの人間がもらってくるということになったときに一体どういうことになるであろうか、この問題もよく考えてみなくちゃならぬと思うのでございまして、その意味で、やはりあらゆる角度から専門的立場で慎重に検討してもらう必要がある問題じゃないかと思っておるわけでございます。  老齢者の負担の軽減につきましては、この制度だけではございませんので、御承知のように老齢者の扶養控除を上げておる、あるいは本人が納税者である場合には老人控除という問題も別途あるわけでございます。それから再々申し上げておりますように、この種の年金の掛金は、全額損金にすでに算入されておるということもひとつ御考慮願いまして、それらの施策全体を合わせてみて、税制ばかりじゃございませんけれども、老齢者対策が全体として行き届いておるかどうか、この辺を総合的に勘案してみる必要があるんじゃないか、そんなふうに感じているわけでございます。
  113. 坂口力

    坂口委員 いささか歯切れが悪うございますが、現在も課税控除額というものがないのではなくて、すでに存在をするわけであります。その存在をいたしますものが、前回決定をいたしましてからかなりな月日がたっているわけでありまして、そしてその間の物価上界というものもあるわけであります。ですから、これはいままでからの考え方を延長しました場合に、そこにこの控除額をこれでよいかということの判断が求められるのは当然であろうと私は思うわけであります。そしてまた、税制調査会等にこの問題は一応諮ってもらわなければならない問題ではあろうと思いますけれども、しかし、一応税綱調査会なら税制調査会で審議をしてもらう対象とすべきかどうかという問題の議論もあろうかと思います。でありますから、その辺のところを含めて、もう一度私はお聞きをしたいわけであります。  いま大臣がおっしゃったようにこの控除額には、いまおっしゃったようないろいろほかにも控除がございます。ですから、全体としていわゆるすそを引き上げると申しますか、風通しをよくすると申しますか、いわゆる非常に額の少ない人に対してはそういう控除というものをやはりすべきである。先ほどおっしゃったように、いまはそんなにございませんけれども、これから年金額も非常に多額に上っていく人もあるわけでありますが、その方には応分の御負担をいただくとしても、非常にわずかな額の年金、そういった方々に対しましては、何とかして控除をして差し上げるというのが政治の温かきというものではないか。初めにもお聞きいたしましたように、また大臣にもお答えいただきましたように、心理的な効果というものはそういうところに出てくるのではないか。そういったところまで冷たく突っぱねるというところに現在の政治に対する不満がある。貯蓄が上がって内需はなかなか拡大しないという一端がありはしないか、こう思うわけであります。いろいろ御検討のところはわかりますけれども、もう少し補足をして述べていただきたいと思います。
  114. 村山達雄

    村山国務大臣 よくお話を承りまして、税制調査会にその点はよく検討してもらいたい、こう思っておるわけであります。
  115. 坂口力

    坂口委員 税制調査会の御審議の対象にしていただくというふうに受け取らせていただいておきます。それじゃこれ以上申しても、これ以上の答えは出ないと思いますので、一応この辺にしておきたいと思います。  年金の問題を申しましたので、続けて年金絡みの問題をもう少しお聞きをしておきたいと思いますけれども、最近企業年金の問題が出てまいりまして、そしてかなりマスコミ等をにぎわしております。  これは、現在の公的年金がまだ十分でございませんし、それから、これは大蔵省がかねてからおっしゃいますように、将来の財源等を考えましたときにどこまで伸ばすことができるかということにつきましても、いろいろ議論のあるところでございます。私どもはもう少し充実すべきであるということを主張いたしておりますけれども、皆さん方の立場からするとなかなか厳しい態度をとられるわけであります。そういう状態がもし続くということになりますと、やはりそれを補完する意味で、企業年金とか個人年金というものがそこで問題になってくると思うわけでございます。  この企業年金は、企業の中でもかなり取り入れるところが多くなってきておりまして、充実もしてまいりまして、中には、物価にスライドさせるような制度を取り入れておるところもあるわけでございます。これはそれなりに評価をすべきではないかというふうに私は考えております。  ところが、ここでまた問題になりますのは税制の問題でございまして、いわゆる退職一時金という形で受け取るか、年金という形で受け取るかという選択を迫られました場合に、一時金の場合には、勤めました勤務年限あるいは額等にも制限はございますけれども、一千万まで税金がかからない、勤続三十五年でございましたか、ということがございますし、これを年金として受け取ります場合には税金がかかるということも、年金よりも一時金でという方向に多くの人を向かわしめる要因の一つがありはしないかというふうに私は考えるわけでございます。こういう面から考えましても、年金に対する課税と退職一時金との間のバランスという問題もあるんじゃないか。この問題について、別な角度でございますけれども、こういう問題もありますので、お答えをいただきたいと思います。
  116. 高橋元

    高橋(元)政府委員 これは坂口先生もよく御存じのことでございますけれども、いわゆる企業年金の形で退職金を変形してもらいますと給与所得控除の適用がある。給与所得控除は五十万円まで、五十万円を超えました場合に四割、三割というふうに収入の額に応じて控除が行われるわけでございますが、これだけしか適用がないけれども、退職所得の場合には三十年で一千万、三十五年で千二百五十万円というような金額の退職所得控除がございまして、残りを二分の一にして分離課税するということになっております。そこで、退職所得を一時金でもらった方が税制上有利じゃないか、こういう御質問だというふうに承ったわけでございます。  私ども具体的なケースでいろいろ計算をしてみたわけでございますけれども、たとえば労働省の賃金労働時間制度総合調査報告というものをとりまして、五十三年に高校卒の勤続三十五年の人がもらう退職金というものを見てみますと、従業員千人以上の企業の場合に千二百八十三万八千円というふうに推定されております。千二百八十三万八千円の退職所得について、これを一時金としてもらいまして所得税の課税を行ったらどうなるかという計算をいまちょっと申し上げます。その場合に、退職所得控除は千二百五十万円でございますから、三十五年勤続でございますから、したがって課税所得は三十四万円の半分十七万円、適用される税率は恐らく一割でございますから、一万七千円、またはほかに給与所得がなければこれからさらに控除がかかっていく、こういうことだと思います。それを年金の形に変えますと、所得税法の施行令で言っております五十五歳の方の余命年数は十八年でございますから、五分五厘ぐらいでやりますと、年金の現価率を掛けますとその場合の年金額は百十四万円ぐらいになる。これで千二百八十四万円の退職一時金と百十四万円の年金とが等価ということになるわけでございます。百十四万円の年金につきまして課税がどのくらい行われるかということでございますが、御本人が六十五歳に達するまでは老年者控除が働きませんから、給与所得控除と基礎控除、配偶者控除、社会保険料控除というようなものを入れますと、大体課税所得が一万円、したがって税率を乗じました税額は一千円、これが十年間でございます。残り六十五歳以後は老年者控除が働きますので、したがって課税額はゼロということになるわけでございます。したがって、モデル退職金で計算いたしますと、退職一時金でもらわれた場合の税額は一万七千円またはそれ以下、それから、年金の形でそれと等しい年金をおもらいになった場合には十年間を通じて約一万円ぐらいということで、ほとんど差がないと申しますか、退職一時金の形でもらわれるか退職年金という形でもらわれるか、その場合の税負担については差がないというふうに私どもは実例をもって計算をいたしたわけでございます。
  117. 坂口力

    坂口委員 大分無理をしていただいて、一緒に並べるようにしていただいておるようでございますが、やり方によってはそういう計算も成り立たないことはないわけでございますけれども、しかしまた別な角度から見ますと、そうばかりにもいかないわけでありまして、かなりな差が出てくる計算もあるわけでございます。私の方にもその計算がございますけれども、時間がありませんからあえて申しませんが、こういう問題も一つあるわけでございますので、年金問題に絡みましてひとつお含みおきをいただきたい、こういうふうに思うわけです。  先ほど申しましたが、今後公的年金を補完をする意味で、この企業年金というものがさらに充実をしてくるであろうと思われますし、今回も厚生年金基金連合会の中にありますところの企業年金問題懇談会、この中の「企業年金の望ましいあり方」という答申を見ましても、この税制問題がやはり取り上げられておりまして、今後の課題としてここに提示されているわけでありますので、ひとつ今後の課題としてこれはお含みおきをいただかないと、全体の中でのこの年金の位置づけというものが非常にむずかしくなってくるのではないか、こういうふうに思うわけでございます。  それから、時間がなくなりましたので急ぎますが、もう一つついでに、個人年金の問題がございます。これは、生命保険との絡みが非常に強いわけでございますけれども、これも公的年金を補完するという意味で非常に重要視する人も多いわけであります。ただ、インフレによる目減りをもろに受けるわけでありますから、そういう弊害もここにはあるわけであります。  現在ありますものは、初めに一千万円以上の保険料を預けておきまして、一年から三年ぐらいの据え置きにして、その後年金と配当金を終身支払いを受けるというような形のものであると私、理解をいたしております。これも、本人が亡くなられたときにどうするかとか、いろいろむずかしい問題もございまして、これはこれからの生命保険等における重要な研究課趣ではないかというふうに考えるわけでありますが、こういった面における新しい発想のものを新しい商品をつくっていただければ、これは将来非常に伸びる一つではないかと思いますし、また国民にとりましても、それは非常に重要なものではないかというふうに思うわけです。この辺のところで、何か新しい試みがないのか、あるいはまた大蔵省としてこういったことはどうかというような提案等はないのか、その辺のところをひとつ承りたいと思います。
  118. 貝塚敬次郎

    ○貝塚説明員 お答えいたします。  先生御指摘の生命保険会社が発売しております個人の年金保険でございますが、これにつきましては、実は昭和五十年に、大蔵大臣の諮問機関であります保険審議会でも取り上げまして、まさしくただいま先生の御指摘のようなことがうたわれたわけでございますが、ざっと申しますと、人口の老齢化が予測される中で、国民の老後の生活の安定を求める声がますます強くなっておるから、民間の年金保険に期待される役割りが非常に大きい。したがいまして生命保険会社は、商品設計面での工夫等を通じて魅力の付加に努めつつ、年金保険の普及を積極化すべきであるという答申を五十年にいただいております。  先生のただいまの御指摘は、こうした総論的な面に対しまして、各論的ないろいろな御指摘があったものと思いますが、まず第一点の目減りの問題でございますが、これにつきましては、年金額を定率的に増額さしておくとか、あるいは御指摘がありましたように配当が当然ありますが、こうした配当を財源といたしまして、極力生計費指数にリンクされた何らかの方式を考えたらどうか、こういうことにつきましては、業界もわれわれ行政も当然考えております。  それから、もう一つ御指摘の死亡の問題でございますが、年金開始後の死亡の問題と思いますが、従来の終身年金でございますと、この点が若干欠けた面がございますけれども、保障期間におきまして、生死を問わず、年金であるとか年金の原資を支給するというような保険につきましては、その期間を多様化するというような方法も考えられております。  いずれにしましても、審議会の答申もあり、先生のいまの御指摘もありましたので、問題点が明らかになりましたので、この点につきまして、民間の創意を尊重しつつ、契約者のニーズにこたえるよう、行政は前向きに取り組むという考えでございます。  以上でございます。
  119. 坂口力

    坂口委員 急いでもう二点ばかり生命保険絡みの問題を片づけておきたいと思いますが、一つは、生命保険労働組合あたりからも所得税法上の問題として、「高齢者の優遇策としての六十五歳以上の人が受け取る満期保険金及び年金として受け取るものに対する非課税について」というよく似た陳情が参っております。この問題についてどう考えるかを簡単に触れておいていただきたいと思いますのと、それからもう一つ、生命保険の問題につきましては、そういった面で新しいものをつくっていただきたいということがございます反面、またことしは生保の減配等もございまして、また考えてもらわなければならない一面もあるわけであります。減配の方の利差配当率の一覧表をひとつ欲しいということを求めましたけれども、なかなか年度別のものはいただけませんでしたし、特に責任準備金に対する比率につきましてはいただいてはおりません。これは私の方の言い方が悪くてもらえなかったのか、それともわかっているけれどもようやらぬというふうにおっしゃるのか、よくわかりませんが、もしもありましたらひとつ御提出をいただきたいと思います。お願いしておきます。  この二つ、どなたか簡単で結構ですが、つけ加えを……。
  120. 高橋元

    高橋(元)政府委員 生命保険の満期保険金でございますが、これにつきましては課税上、これも御高承のことでございますから簡単に申し上げますと、保険料の支払い段階で、生命保険料控除が十万円を最高として認められておるわけでございます。それから、満期保険金の受け取りの場合には、支払い保険料の累積額をまず引きまして、つまり、生命保険料控除で各年払った段階で所得から控除されました保険料について、もう一度満期で受け取った保険金から引くわけでございますが、その残額について、一時所得でございますから、特別控除五十万円を引きましてさらに金額の二分の一を課税対象とするというような配慮を行っております。  それから、年齢が六十五以上になって保険金を受け取られる場合には、年所得一千万円以下の方であればいわゆる老年者控除が認められておるわけでございます。そこで、老年者が受け取られる生命保険の満期保険金の課税について、いま申し上げましたようにかなりの配慮ができておるというふうに考えておる次第でございます。
  121. 貝塚敬次郎

    ○貝塚説明員 先生御指摘の資料は、私の記憶に誤りがなければ、昨日担当の者が持っていったと思いますが、あるいは十分でない資料を持っていったと思いますが、この点につきまして、先生の御意向を体しまして、至急提出いたします。
  122. 坂口力

    坂口委員 それでは、ひとつそれはお願いいたします。  話を変えさせていただきまして、サラ金の問題について少し触れさしていただきたいと思いますが、今朝来からもいろいろ議論がございました。貸金業の実態調査も、大蔵省の銀行局の方でおやりいただいたわけでございまして、ことしの予算委員会におきまして私この問題を取り上げさしていただきまして、ぜひ実態調査をしてほしいということを申したわけでございますが、そのときに実態調査をするというお約束をしていただきましたが、ようやくその一端がここにできたわけでございます。そういう面では感謝をするわけです。  ただ、内容的に申しますと、けさからもいろいろ議論がございますように問題なしとはいたしません。その細かな問題につきましては、けさからも議論がございましたので、重複することは避けたいと思います。  そこで、この中で一つ気になりますのは、「あなたが貸金業を開業されたのはいつですか。」という間4というのがございますけれども、これを見ますと、昭和二十九年七月以降になすったものが九二・一%というふうに、大体二十九年以降になっているわけです。この二十九年以降が、二十九年後あたりのところに集中してこれが多かったのか、それとも五十年以降くらいのところで多くなってきたのか、これはちょっとわかりませんけれども、この二十九年七月という数字をとられたのは、出資法やあるいは利息制限法ができましたのが昭和二十九年の六月前後でございますので、この月数をとられたというふうに思います。  これで見せていただきますと、どうもその辺のところはよくわからないわけでありますけれども、勘ぐり方によりましては、出資法なりあるいは利息制限法というものができました直後に、たとえば出資法が一〇九・五%という制限でできました後で、こういうパーセントができたんだからここまではいいんだというような意味でここへなだれを打って始まったという理解の仕方もできないことはないわけでございます。  なぜ私、こういうことを申し上げるかと申しますと、いろいろ問題がありますから、出資法の改正という話が大臣からもあるいは銀行局長からも何回か出ているわけでありまして、その場合に、たとえばもしも半分の五四・七五になりますか、もしも半分なら半分というところで切ったらといったふうに仮定いたしますと、そうするとまた新しく決められた額のところに集中して、上に張りつく形で新しい動きが起こりはしないかという心配もするわけです。一方において利息制限法という一つの法律があるわけであります。にもかかわらず、この利息制限法は余り問題にされずに出資法の方に何か傾いてしまって、それを額を半分とか三分の一とかにしてしまえばいまのようなことはなくなるとは思いますけれども、利息制限法との間の差があるというその事実は厳然として存在するわけでありまして、そしてなおかつ、新しく決められた額の最上部のところに張りついてしまうという危険性もあるのではないか。この調査資料だけからはわかりませんけれども、もしも昭和二十九年七月以降のあたりのところに、ここで多くの人がこの業を始めたということになれば、新しくそういう法律を改正するとまたそういう結果が起こらないとも限らない、そういう危倶をするわけでありまして、その辺のところをどうお考えになっているかということをひとつお聞きをしたいわけであります。  それから、いま申しましたように、出資法と利息制限法と、目的は同じゅういたしておりますが、しかしその内容は言うまでもなく違っているわけです。この違いは違いとして、利息制限法があります以上、もう少し利息制限法をどうすれば厳守させることができるかという、その辺のところをPRする必要もあると思いますし、そしてこれを守らせるようにもまたしなければならないと思うわけであります。  昨日でございましたか、岐阜県のある女性が、この利息制限法によって裁判の結果勝訴されたというニュースが出ておりましたけれども、この利息制限法というものの存在というものをもっと徹底させなければならないし、また、貸金業を営む人たちに対しましても、この存在というものをより明確にさせなければならないとも思うわけであります。そうしませんと、もしも出資法の利率を半分にしたといたしましても、なおかつそちらの方に行ってしまう危険性がある、こういったことを考えているわけでありまして、この辺二点、絡めて申しましたけれども、ひとつ銀行局長の方から御答弁をいただきたいと思います。
  123. 徳田博美

    ○徳田政府委員 まず第一の点でございますが、現在の貸金業者のうちのほとんど大半が、昭和二十九年七月以降に開業したものになっているわけでございます。ただ、各年度の届け出件数を見てみますと、これは概数でございますが、昭和四十五年以降の届け出件数が、新規の届け出件数でございますが、これが約九万件でございますので、しかも毎年の届け出件数が、たとえば四十五年ごろでございますと八千件でございましたが、五十一年になりますと、一万六千件というふうに漸次ふえているわけでございますので、最近サラ金業が非常にもうかる商売であるということがだんだんわかってきて、しかもまた、それがかなり利用者がふえてきたので、サラ金開業がふえているというような状態にあるのではないかと思います。  問題は、利息制限法との関係でございますが、利息制限法は、これは法務省の所管でございますけれども、高金利の引き下げと利息制限法との関連につきましては、現在六省庁の連絡会議におきまして一つの大きな問題として、この関連をどのようにすべきかということについて目下検討中でございます。この点につきましては、今後とも精力的に議論を進めてまいりたい、このように思っております。  問題は、利息制限法をどうすれば守るようにできるかということでございますが、これも今後の取り締まりの方法あるいは立法とも関連してくるわけでございますけれども、とりあえず現行法のもとにおきましては、現在自主規制法に基づきまして、各都道府県の庶民金融業協会で定款金利を決めることになっているわけでございます。これに対しまして大蔵省としても、この定款金利につきまして都道府県知事に指導しているわけでございますが、この指導に当たりましては、現在のところは定款金利は利息制限法をかなり上回っておりますけれども、極力利息制限法で定める利率以下の水準に下げるように、これは文書で指導しているところでございまして、当面はこれが一つの方向かと考えられます。  それから先生御指摘のように、利息制限法に基づきます限度を超えた金利につきましては、裁判によってこれが救済される道があるわけでございますので、その点につきまして政府といたしましても極力、機会をとらえてPRを行ってまいるというのも有効な手段ではないか、このように考えております。
  124. 坂口力

    坂口委員 利息制限法の提案理由の説明等を見せてもらいますと、現在の経済状態にも当てはまるような文面がそこに出ておりまして、この提案理由というものが現在生きていないというふうに考えるわけでございます。そういった意味で、いま御指摘いただいたことも含めて、より利息制限法を守らせるものをひとつ御検討いただきたいと思います。  いま六省庁のいろいろお話があるということは、利息制限法そのものの改正等も含めてというふうに解釈していいのですか、それとも現在の法律内だけの話というふうに解釈してもいいのですか、どうですか。
  125. 徳田博美

    ○徳田政府委員 この点につきましては、今後仮に貸金業者に免許制なり登録制を導入した場合に、利息制限法との関連がどうなるか、つまり、利息制限法違反の金利を貸し出す業者に対して政府が登録なり免許を与えることができるのかどうか。それから、出資の受入等取締法に基づく最高限度が現在日歩三十銭でございますが、これとの関連をどう考えるか、そういう問題も含めて多方面にわたって検討しているところでございます。
  126. 坂口力

    坂口委員 ありがとうございました。それじゃぜひそういうことでお願いをしたいと思います。
  127. 大村襄治

    大村委員長 ただいま参考人として日本銀行理中川幸次君が御出席になられております。  中川参考人には、御多用中のところ御出席をいただき、まことにありがとうございます。  質疑を続行いたします。坂口力君。
  128. 坂口力

    坂口委員 マネーサプライの問題が最近注目され始めたわけでありまして、日銀の出しておみえになります統計等を見せていただきますと、八月で一二・三%の増になっておりまして、十月から十二月に至ります今後の見通しとして一二%台をいくのではないかというような御推測もあるように承っているわけであります。  このマネーサプライの動きと民間金融の貸し出し増加といった問題、インフレの絡みといったものが、これから非常にむずかしい問題になってくるのではないかと思います。一方におきまして、また国債の消化という問題がいろいろむずかしい局面を迎えておりますし、国債はどうしても消化をしなければならない。国債を消化することそのことが直接にマネーサプライに結びつくわけではありませんけれども、どういたしましても国債の発行ということになりますと、その利回りを直接にしろ間接にしろ防止をしようという働きも起こりますし、そういうことを考えますと、マネーサプライに影響してくることは必至であろうと思うわけであります。  この非常にむずかしい局面をお迎えになって、現状をどういうふうにお考えになっているのか。特に現在のマネーサプライの上昇は、景気の一つの回復過程と申しますか、その一局所的な動きというふうにおとりになっているのか、それともそうではなくて、全面的に警戒を要するはしりであるというふうにおとりになっているのか、あるいはまた、現在のところはそれほど心配することは要らないというふうにおとりになっているのか、その辺のところを含めてひとつお話を伺いたいと思います。
  129. 中川幸次

    中川参考人 ただいま御質問のマネーサプライでございますが、御承知のように私ども七月の時点におきまして、七−九から直近の四半期のマネーサプライの見通しを発表するようにしたわけでございます。  私どもといたしましては、金融政策を運営するに当たりまして、実体面あるいは金融面、いろいろな指標を注視しながら弾力的にやるということを特に心がけておりますが、その中でも、非常に重要な指標としてマネーサプライの動きを注視しておるわけであります。そういうふうな非常に重要な指標でもございますので、世間でいろいろな広い関心と論議をこのマネーサプライに集中していただくということが、私どもの金融政策を運営する場合にも大変有用であるというふうに考えまして、七−九から実施したわけでありますが、まだ九月の実績ははっきりいたしておりませんが、大体七−九月平均いたしますと一二%強、あるいは一とかそういった数字におさまったのではないかと思います。見通しといたしましては一一%台、若干振れても一二%前後、こういうふうな見通しを出しましたので、その見通しの上の方におさまるということであります。十−十二月につきましてもごく最近見通しを発表いたしまして、いまお話しのように一二%台ということで見通しておるわけであります。見通しでございますから、これが終わりましたときにどういうふうになりますか、まだもちろん確たることは言えないわけでございます。  マネーサプライを動かす要因といたしましては御承知のように、財政の金がどの程度出ていくか、あるいは国際収支の状況がどうであるか、民間の銀行の貸し出しがどうであるか、この三つが一番大きなマネーサプライを決める要因になりますが、国際収支一つにいたしましてもなかなか的確な予想はつきかねる状況でございますので、ごく短期に一二%台確実におさまるかどうかはまだわかりません。わかりませんが、可能性としてはその程度でおさまるのではないか。つまり私どもがいま考えておりますのは、ことしの初めからマネーサプライの動きとしてはふえ方が幾らか強くなってきている。去年の十−十二月あるいはことしの一−三におきましては、大体前年比二%弱の水準でございましたのが、ここへ参りまして前年比で一二%強ということになります。幾らかふえぎみであるけれども、しかし、まだこれがどんどんふえるというふうな感じは私ども持っておりません。  最近ふえ出している要因を見ますと、何と申しましても財政の払いが非常にふえている、国債が増発になっております。そういうことから、マネーサプライを押し上げる要因がことしに入りまして去年よりも大分強まっておりますが、反面におきまして、ここへ来て国際収支からマネーサプライを押ししげる力というのが幾らか弱まっておりまして、総合収支の黒字幅がかなり縮小してまいっているのが大きな要因でございます。それに加えまして、民間の銀行の貸し出しも大体前年比で九%前後の伸びを続けておりまして、一部には貸し出し競争あたりかなりあるというふうなことも替われておりますが、全体として貸し出しの伸びを見ますとまあまあ落ちついている状態でございます。その結果、幾らかふえぎみであるけれども、特に急増するという気配はない。したがって一二%台で十−十二月もいくであろうという見通しであります。  問題は、これが景気回復の一時期の問題なのか、あるいは非常に警戒すべきことなのかというお話でございますが、私どもとしてはいまのそういうマネーサプライの動きは、景気回復を支援する非常な一つの材料であるというふうに思っております。ただ、いまこういう状況であれば、これで非常にインフレがひどくなる心配があるというふうには思えません。いまのところは、一二%という水準が、あるいはいままでの年初来のふえ方がそんなにひどいものであるとは思いません。  ただ、総裁が国会にお邪魔したりあるいは記者会見でやや警戒的に申しておりますのは、いまそう取り立てて心配することはないわけでございますけれども、将来財政の払い超がまたふえて国債が増発になる、いままでもマネーサプライの増加要因として少しずつふえている、そういうときに、民間の資金需要が出て貸し出しがふえるというふうなことになったら、その段階で、財政からも金が出る、銀行からも金が出るというふうになってマネーサプライが非常にふえる心配が絶無ではない。したがって、それはいますぐの問題ではございませんが、将来にそういう可能性があるから、いまから用心して見ておこうというふうな段階にあるというふうに考えております。
  130. 坂口力

    坂口委員 ありがとうございました。  後でまたもう少しお聞きするといたしまして、いずれにいたしましても、このマネーサプライの働きと合わせて国債消化の問題がこれから大きな問題を迎えるのであろうというふうに思います。  個人の資産の選択行動というものを見てみますと、昭和五十二年度末で見ましても、個人部門に二十兆という非常に資金超過の現象が出ております。その中で、昭和三十年代、四十年代よりも変わってきておりますのは、現金通貨性預金よりも定期性預金の方にウエートがかかってきている、こういう現実があるわけでございますが、このこととそれから国債消化というものとは無関係では決してないと私思うわけであります。  前の大蔵委員会のときに局長から国債の多様性についてのお話がございまして、私も聞かせていただいたわけでございますが、この国債の多様化ということは私も非常に大事だと思いますけれども、それで乗り切れる問題なのかあるいは国債の多様化だけではなしに、金利の弾力化あるいは自由化というような方向により進まないと不可能なのかというような議論がいま盛んに行われているわけでして、金利の自由化の方向に向けては、大蔵省としてもそうそう手放すわけにはいかぬというふうなお考えもあるのかもしれませんし、また、大蔵省の内部におきましても、部局によりましてはいろいろ議論も違ってくるとは思いますけれども、その辺も含めて、時間がなくなってきたものですからまとめてお聞きをいたしますけれども、どういうふうにお考えになっているかということをお聞かせいただきたい。
  131. 田中敬

    田中(敬)政府委員 私どもが国債の管理政策として考えております第一点は、やはりいまの発行市場その他流通市場等を考えましても、国債の発行量が余りにも大き過ぎるというのが、いろいろな問題やひずみを生じさせる原因であろうと思いますので、第一点とすれば、極力国債の発行量を圧縮するということを財政政策の基本としても考えていくべきである、これが第一点でございます。  しかしながら、中期財政試算でもお示ししましたように、相当期間大量発行が避けられないということになりますと、やはりこれのための方策としましては、先ほどもお話がございましたが、景気回復局面その他今後の大最発行に対応いたしまして、国債というものがインフレにならないような消化の方法、流通の方法をとっていかなくてはならない、インフレを招くような手段がとられてはならないということが、考えるべき第二の問題だろうと思います。  そういう意味におきましては、やはり国債というものは、大量の国債が貯蓄保有層に安定的に保有されるということが一番望ましいわけでございまして、そのためには、先ほどお話がございましたけれども、個人の貯蓄超過部門が相当大量になる、かつその金融資産の選好ニーズが変わっておるという現状に着目いたしまして、国債のニーズに合った種類の発行、多様化というものは今後もますます前向きに検討していくべきであろうと思います。  それから、やはり今後これだけ大量の国債が発行されてまいりますと、国債の消化、財政負担の軽減という観点から無理やりに国債の金利を低位に抑えつけるということは、大変将来のマネーサプライコントロールに弊害を及ぼすことでございますので、国債の発行条件というものは市場の実勢に合うように、より以上弾力的に対応していかなくてはならないと思っております。  ただし、現状でございますけれども、現状につきましては、若干この八月、九月と国債の発行利回りが流通利回りと大幅に〇・四ないし〇・五の乖離が起きてまいりましたけれども、いろいろの原因がございましたが、一過性原因というものはもう過ぎ去りまして、いま金利の底打ち感というところだけの原因だろうと思いますが、この十月に入りまして、現先金利の低下とともに国債金利というものもこの際低下してまいりまして、その間で資金シフトが起きて、長期債の消化も現在の条件で不可能ではないであろう。いましばらく市場の情勢を見てまいりたいと思っておりますが、現局面において条件改定ということは、長期金利に響くことでございますし、しばらく市場の情勢をながめながら、いまこの段階で条件を改定するということは考えておりませんが、将来にわたっては、いろいろ先ほど申しました原則に従って弾力的に対応してまいりたいと思っております。
  132. 坂口力

    坂口委員 時間がちょっとなくなってきたものですから、もう少し詳しくお聞きしたいところでございますけれども、その時間的余裕がございません。  いま御指摘になったことを総合いたしますと、いわゆる国債の多様化ということだけでは対処し切れない、やはり弾力化というものはさらに進めていかなければならない、こういうふうに理解をしておみえになるというふうにとらせていただいてよろしゅうございますか。  それで、もしもそれならば、いままでもコール市場の問題でありますとかいろいろなところでこの弾力化を進めてきておみえになりますけれども、この次にもし手がけられるとしたら、どの部分の弾力化ということに取り組まれるのかということをお聞きをしたい。  それから、中川理事の方にもう一つお聞かせをいただきたいわけですが、これは通告してございませんので、もしもおよろしければ御意見を伺わせていただくということにとどめておいていただいて結構でございますけれども、非常に個人部門の資金超過ということが問題になっているわけでありまして、金融資産と所得比率というものが日本の国民の貯蓄の尺度になっているというふうにおっしゃる方があるわけでありまして、また事実そうかもしれません。それで、そういう考えからいきますと、今後もこの貯蓄というものはよりふえていくというふうに考えられるわけであります。このことに対する皆さんの立場からの御意見をお聞かせいただけるならばひとつお聞かせをいただきたい。あわせてひとつお願いいたします。
  133. 田中敬

    田中(敬)政府委員 第一点の弾力化の問題でございますが、弾力化につきましては、今後も着実に前進させてまいりたいというふうに基本的に考えております。  どの部分から始めるかというお話でございますけれども、やはり本年度、三年利付債というものを公募入札にいたしましたが、これら中期債のものにつきまして、新しいものをさらに公募入札にするとか、その量をさらに拡大していくというような方向がまず最初に着目される問題だろうと思います。  それから、やはり弾力化と申しますと、そういうふうにストレートに自由化につながるような弾力化のみでなく、やはり発行条件を市場情勢に対応して調整していくということでございます。市場状況をいまはしばらく注視をいたしたいと思いますが、今後の金融情勢、経済情勢に合わせてこれも弾力的に対応してまいりたい。ただし、一挙に国債のみが弾力化を進める、金利の自由化的な側面を推進するということになりますと、他の金融政策、金利政策との絡みあるいはいろいろ影響するところが多うございますので、やはり国債だけが飛び抜けていくということでなくて、ほかの金融政策との整合性を保ちながら着実に進めていくということが基本であろうかと思います。
  134. 中川幸次

    中川参考人 いまの御質問、私ちょっと数字を持ち合わせておりませんので、あるいは御質問の趣旨と違うかもしれないと思いますが、金融資産が日本の場合には特に貯蓄性預金に偏って非常に多いということは、国際的に見ましても飛び抜けているように思います。個人部門だけではございませんけれども、私どもマネーサプライが多いか少ないかを判断する一つの材料にマーシャルのKという、つまり名目のGNPとそれからマネーサプ、銀行券、要求払い預金、貯蓄性預金を足したものでよく見るわけでございますが、日本の場合にはいま八〇%ちょっとぐらいになっておりますが、マネーサプライのとり方あるいはGNPの国際比較というのは正確にはできませんので、最も的確な国際比較というのは無理でございますけれども、日本の八〇というのは諸外国に比べてきわめて高い水準でございまして、大体ほかの国では四〇とかせいぜい六〇といった程度の水準であります。  もちろんその中には、企業の貯蓄金融資産も含まれているわけではございますが、御承知のように、いまの可処分所得に対する貯蓄率は日本が飛び抜けて高うございます。大体二四%ぐらいにいまのところはなっているわけであります。この二四%になっているということは、石油ショック以来わりに高い数字が一貫して続いているわけでございますが、私どもいまのような状態が続けばとにかく、安定的な状態を考えますと、あるいはもう少し低くなるのが普通の姿かと思いますけれども、いずれにいたしましても、日本の貯蓄率は高い状態がまだ当分続くだろうというふうに考えるわけでございます。したがって先生の御指摘のように、貯蓄の形態というのもだんだん多様化してまいりまして、債券とかいろいろなものにもシフトするようになりましたけれども、いまの段階では日本の場合に、まだ金融機関に対する貯蓄性預金のウェートが非常に高いという特徴がございますので、そういうのが非常にふえていくというふうに今後も予想されるわけであります。
  135. 坂口力

    坂口委員 ありがとうございました。  時間も来ておりますので、最後にこの一問だけお聞きをして終わりにしたいと思いますが、先ほど銀行局長にお聞きをしようと思いまして一つ残しておりますが、これは全く違う話でございますけれども、前回小委員会で信用金庫の外為の取り扱いについて御意見を求めたことがございますが、そのときに非常に前向きに、ひとつ今後取り組んでいこうという答弁をいただいております。それ以後どういうふうになっているかということもあわせて、今後これを実現していくとすればスケジュール的にはどういう手順になるのかということを、簡単で結構でございますのでひとつお答えをいただいて、終わりにしたいと思います。
  136. 徳田博美

    ○徳田政府委員 外為法によりまして、金融機関に外国為替取引を認めるかどうかにつきましては、外国為替の取り次ぎ実績、あるいは外国為替についての当該金融機関の職員の訓練、経験の度合い等を総合的に勘案して決めるわけでございます。  信用金庫につきまして外国為替取引を認める場合には、まずその信用金庫の取引先である中小企業者等の外国為替取引に対する需要がどの程度高まっているかどうかということ、それからまた、相当数の信用金庫において外国為替事務についての職員の訓練、経験が積み重ねられていることが前提でございます。しかしこの点につきましては、先般金融制度調査会の総会におきましても、いろいろと要望も出されていることでございますし、また、現実に日本経済が国際化するに伴いまして、中小企業の外国為替取引も増大してまいっておりますので、この問題については、基本的には前向きに取り組みたい、このように考えております。  なお、手順といたしましては、信用金庫法の改正が必要でございますので、その場合には、金融制度調査会において御審議をしていただくことになると考えられるわけでございますが、御承知のとおり、現在金融制度調査会におきましては、主として普通銀行の問題を取り上げておりますので、それについて御答申をいただいたその先にこのような問題が取り上げられることになるのではないか、このように考えております。
  137. 坂口力

    坂口委員 ありがとうございました。  じゃ、もう時間が過ぎておりますので、終わります。
  138. 大村襄治

    大村委員長 中川参考人には、御多用中のところ御出席くださいまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。     —————————————
  139. 大村襄治

  140. 高橋高望

    高橋委員 私はきょうはまずお伺いしたいことは、このところ問題になっております例の株の大口買い占めの問題について、証券行政についてがまず第一でございます。  証券業界の近代化というようなことは、もう本当にあらゆる専門誌あるいはその筋の小冊子等に絶えず書かれ、われわれが目にし耳にするところでございますけれども、依然として実態は旧態依然といいましょうか、なかなか一般の方が考えるほどの近代化の方向へ行っていないようにまず思えるということ、その例がたまたま今回も問題になりました買い占めによって、しかも適当に法律なり通達なりの裏をくぐって多額の利益をふところに入れてしまう。しかもこれは対税上の問題もございますけれども、私はどうも日本の国の行政といいましょうか、証券業界の仕組みに問題があるように思われてならない。  そこでまず第一にお伺いしたいことは、今度のいわゆるマルSグループといいましょうか、あえて名前をはっきり申し上げれば、笹川グループの買い占めに対して、取引所から証券局の方へいろいろと御報告が来ておると思うのです。お話の前提として理解をそろえておかないとまずいので、現在証券局で聞いていらっしゃる報告の範囲内でまずひとつわれわれに聞かせていただきたいと思います。
  141. 渡辺豊樹

    渡辺(豊)政府委員 先生御指摘のいわゆる買い占めにつきましては、恐らく銘柄についてはヂーゼル機器の点ではないかと思いますが、ヂーゼル機器につきましては、東京証券取引所では、その株式の買い集めの実態について会員である証券会社から事情も聴取し、かつまた株価の動きについても調査をしておりました。  なお、先生御承知のように、先般証券取引所では特別報告銘柄制度を発足させたわけでございますが、この特別報告銘柄と申しますのは、特定者等によりまして特定の銘柄について株式の買い集めが行われる、それが株価の異常な変動の要因になった場合には特別報告銘柄として指定し公表をするという制度でございまして、ヂーゼル機器につきましては、そのような株式の買い集めが行われ、株価の異常な変動の原因になったと取引所が判断をし、特別報告銘柄に指定したという報告を受けております。
  142. 高橋高望

    高橋委員 いまおっしゃいます取引所の方で異常な変動というふうに解釈をなさるその解釈のポイントは、どういう点をとらえて異常な変動、こういうふうにお考えになったんですか。
  143. 渡辺豊樹

    渡辺(豊)政府委員 株価の変動は、先生御存じのように需給関係によって起こるわけでございます。需要が多い場合には株価が上がるわけでございますし、供給が多い場合には株価が下がるという理屈でございますが、いろいろな要因によって株価は動くわけでございます。ヂーゼル機器につきましても、特定者等による株式の買い集めがある期間行われ、その期間中における株価の値上がりが著しかった、それを株価の異常な変動というふうに取引研が判断したというふうに承知しております。
  144. 高橋高望

    高橋委員 私もう少し詳細に極端な例で申しますと、安定していた時代の株価が仮に三百円だったものが九百円になり千円になりする、そういう具体的な数字の裏づけの中でこの判定は下されるのではないんですか。
  145. 渡辺豊樹

    渡辺(豊)政府委員 株価の具体的な価格の動きの中でそういう判定を下すということは当然だと思います。ただ株価につきましては、そのような買い集めの対象に必ずしもなっていない銘柄につきましても、株価の大きな動きというのはあるわけでございまして、先生御承知のように、たとえば非常に値上がりした場合にはストップ高ということで規制する場合もございます。あるいは個別的に信用取引の規制をするという場合もあるわけでございまして、一概にどの程度の株価の変動があれば先ほど申し上げました特定報告銘柄におきます異常な株価の変動というふうに判断を画一的にすることは、なかなかむずかしいのではないかと思います。したがいまして、そこは常時株式市場を見ております取引所の判断というのにゆだねているわけでございます。
  146. 高橋高望

    高橋委員 そうしますと、もっと極端な言い方をすれば、もう動きの最中ではわからずに、ある結果が出てから手当をなさる、こういうことになってしまうと思いますけれども、いかがですか。     〔委員長退席、野田(毅)委員長代理着席〕
  147. 渡辺豊樹

    渡辺(豊)政府委員 先ほど私が申し上げましたヂーゼル機器の場合には、特別報告銘柄制度が発足する前にすでに買い集めというのが行われていたケースでございます。したがいまして、見方によりますと結果的に指定したのじゃないかというふうに見えるわけでございますが、この制度が発足いたしまして今後特定の銘柄につきまして何らかの動きがあった場合には、その動きの過程において取引所が調査をし、判断をして、特別報告銘柄に指定するということが行われようかと考えております。
  148. 高橋高望

    高橋委員 私もう少しずばりお答えいただきたいと思うのですが、確かにずばりお答えをされればもうひとつ悪い連中がいて、さらにその上をいくかもしれませんからなかなかむずかしいこととは思いますけれども、やはり動きに対してある程度、被害といいましょうか一般の方に迷惑のかからないうちに手当てをするというのは、私は大きな使命だと思うのです。そういう点から判断すると、逆の伺い方をしますけれども、特別報告銘柄というものを決める要因についてより具体的にもう少しお話いただけないものですか。
  149. 渡辺豊樹

    渡辺(豊)政府委員 特別報告銘柄制度については、もう先生もすでに御承知かと思うのですが、先ほど私も申し上げましたように、この制度の目的は、株式市場における公正な価格形成、それから円滑な流通を確保するために、そして証券取引におきましては、市場におけるそういう取引につきまして証券会社には信義則というのを守る義務があるわけでございます。この信義則と申しますのは証券取引所の定款に定められているわけでございますけれども、その信義則を確保する、この二つの目的から特別報告銘柄制度ができたわけでございまして、この制度を発動いたしますときには、価格の変動等の異常をもたらす原因となるような相半数の株式の買い集めの動きが見られる、あるいはそういう疑いが認められるときには特別報告銘柄に指定するということでございまして、価格の変動等の異常をもたらす原因となるような相当数の株式の買い集めの動きあるいはそういう疑いというのは、先ほど申し上げましたように、取引所が常時株価を監視し、あるいは会員である証券会社から株式の受託の内容等について事情を徴した上で個別的にケースによって判断をするというふうに理解をしております。
  150. 高橋高望

    高橋委員 そうしますと、今回の、ヂーゼル機器さんの場合には、恐らく証券局に対して、特にこれは特別報告銘柄に指定したいと思うという問い合わせといいましょうか、了解を求めるお話が東証から来たのじゃないかと思うのですが、そのときに逆に今度は証券局のお立場とした場合は、よしそれじゃそのようにしろという御判断をなさる根拠というのは何を持っていらっしゃるのですか。
  151. 渡辺豊樹

    渡辺(豊)政府委員 この特別報告銘柄制度の運営、したがってその特別報告銘柄に指定するかどうかというのは、取引所が自走的に決めたことでございまして、指定するかどうかについて大蔵省の了承を求めるというたてまえではございません。取引所の自主的な判断によるというのが原則でございます。しかし、特別報告銘柄に指定する場合には、事前に大蔵省に指定したいというふうな連絡があるのは当然でございまして、ヂーゼル機器の場合にもそのような事前の報告はございました。  ただ先ほど申し上げましたように、実際に指定するかどうか、そこの判断は取引所が行うわけでございまして、株価の動きがどうであったかということも報告を受けて承知しておりますし、どの程度の株式の買い集めが行われたかということも報告を受けて承知しておりますけれども、これを一定の具体的な基準を持って取引所が運営しているわけではございませんで、やはり個々のケース・バイ・ケースで運用するというのがたてまえでございます。したがって、いま申し上げましたような報告を受けて、私どもも特別報告銘柄として指定するのが適当であるというふうに判断したわけでございます。
  152. 高橋高望

    高橋委員 実はいまいみじくもおっしゃいましたね、ケース・バイ・ケースで判断をするというところにこういう問題が再三再四起こり得る危険性がある、私はそう思うのですね。というのは、もちろん東証の内部、取引所の内部でこういう審議をする場所もございましょう。それに対していろいろの情報がもたらされて結論が出るのだろうと思います。しかしその中で、やはりある程度機械的にといいましょうか自動的に、たとえば発行株数全体に対して過去三ヵ月間にこれ、だけ動いた、あるいはこれだけ株価が急騰した、こういった場合には特別報告銘柄として自動的に対象にする、こういうふうな割り切り方をお考えになることはありませんか。
  153. 渡辺豊樹

    渡辺(豊)政府委員 実際に特別報告銘柄に指定いたします場合には、いま先生御指摘がありましたように、どの程度株価が動いたか、あるいはどのくらい株式の買い集めが行われたかという実態を把握いたしました上で指定するわけでございますが、その場合に、何か一つ具体的な基準を設けることが必要なのではないかというふうな先生の御指摘かと思います。確かにそういう御指摘はごもっともでございます。  ただ、株価の動きと申しますのも、先ほど申し上げましたようにいろいろな原因があって動くわけでございまして、仮にそういう株式の買い集めの対象になって株価が上昇いたします場合にも、当該銘柄につきましては、ある特定のグループだけが株式を買い付けるわけではございません、一般の投資家からの株の買いもあるわけでございますし、また一方には売りもある。そういう中で、株価がどの程度上がったならば指定すべきかという判断をいたしますのは、なかなかむずかしいのではないかというふうにも考えるわけでございます。  それから、どの程度株式を買い集めたならば指定するかということも、やはりその会社の規模、あるいは他にどのような大株主がいるか、あるいは浮動株式数の状況はどうであるかということを総合勘案して決めざるを得ないかと思いますので、現段階では、そういう具体的な基準を取引所が設定していないでケース・バイ・ケースで判断していくという考えでございます。     〔野田(毅)委員長代理退席、委員長着席〕  しかし、先生が御指摘されるのも全くそのとおりというふうに考える面もございますので、この制度をこれからさらに運用していくわけでございます。いろいろなケースに当たっていくと思うのでございますが、そういう過程で、御指摘の点を踏まえながら私どもも勉強したいと思いますし、取引所にも勉強は求めたいというふうに考えております。
  154. 高橋高望

    高橋委員 伺い方をまた別の角度にいたしまして、ある意味においては大変迅速にといいましょうか適切にといいましょうか、特別報告銘柄指定ということを始められた今度の、ヂーゼル機器さんの場合に、この背景にはどういう背景があったのですか。普通でしたらこういう制度なりなんなりはもう少し時間をかけていろいろと論議がなされるべきなのに、いきなりこういうものがさっと出てきて、これは恐らく初めてだろうと思いますけれども、こういうものが決められた背景にはどういう背景があったのですか。
  155. 渡辺豊樹

    渡辺(豊)政府委員 この制度が設けられます過程では、以前から東京の証券取引所では、こういう制度を設けることについてはどうかという検討は内々進めていたわけでございます。また取引所でございますから、会員である証券会社による理事会でも決めなければならないわけでございますから、会員である証券会社との相談も進められていたわけでございます。そういうことで、急速この制度が発足したということではございません。  ただ、この制度を検討する契機になりましたのは、やはり岡本理研ゴムであるとかヂーゼル機器について、特定者あるいは特定グループによる株式の買い集めが行われたということが背景になっているわけでございます。特にヂーゼル機器につきましては、株式の買い集めが行われました結果、上場基準における浮動株式数の基準を満たさなくなる。したがいまして放置しておきますと、この十月末におきましてヂーゼル機器は一部から二部に転落するという状況にあったわけでございます。また、これは事実かどうかはわからないわけでございますが、一部から二部に転落するおそれがあるということで当該株式の肩がわりを求めているというような情報も取引所の方は察知いたしまして、したがいまして、この制度が発足するとほぼ同時にヂーゼル機器を特別報告銘柄に指定したというように聞いております。
  156. 高橋高望

    高橋委員 私が基本的に望んでいることは、証券界というものは、自由経済をたてまえにしているわれわれの社会ではできるだけ自由潤達にやらしたい。ところが、それを一部の人たちの、法を適当に利用する連中の登場によって全体に不信感を持たせて、これが結果としてわれわれの国の証券の仕組みというものを傷つけることを非常に恐れるわけです。そのためには、自衛上と言うと大変失礼ですけれども、過去何回もこういうことをやってきているだけに、自衛上もう少し前向きの形で証券業というものを守るというか、そういう立場での行政が証券局の方から当然のように行われていなければならないと私は思うわけですが、この辺については過去から振り返って、今後どのような対策をお考えになりますか。
  157. 渡辺豊樹

    渡辺(豊)政府委員 先生御指摘のように、株式市場というのはまさに自由な市場でございまして、そこでは本来、自由な需給が投合することによって公正な株価の形成等円滑な流通が図られるというのがねらいでございます。したがって本来、株式市場は自由な市場であろうかと思いますけれども、そこには数多くの一般投資家も参加しているわけでございます。したがって、投資家保護を図ることはもちろんのこと、株式市場というものに対して一般投資家の信頼が確保されるということは必要なわけでございます。その信頼が確保されるためには、先生御指摘のように、証券会社の営業姿勢というものが非常に問題になるわけでございます。  先生御承知のように、昭和四十三年に証券業が登録制から免許制に移行したわけでございまして、その移行の過程におきまして半分近く証券会社の数も減りました。私は、その登録制時代に比べますと免許制に移行してから、免許制のもとの信用機関という自覚のもとに証券会社の営業姿勢には格段の改善が見られたというふうには思っております。  しかし、何分にも株式の取引と申しますのは、株で利益を上げる、損をするということが結果的に出る取引でございますので、依然として残念ながら、個々個別のケースでいろいろ問題があることは事実でございます。すでに四十九年に証券会社の営業姿勢について包括的な通達も私どもは出したわけでございます。  いま御指摘になりましたこのような株式の買い集めも、そういうのを安易に受託する、結果的には買い占めに加担するというふうな結果を招くことがあるとすれば、それは証券市場、さらには証券界に対する信用の問題にもなるわけでございまして、先生もその点を御指摘になっていようかと思います。したがいまして、この特別報告銘柄制度を発足いたすにつきましても、これが自由な株式取引という立場から何かぶつかることはないかというような問題意識を証券業界の一部でも持っていたことも事実でございます。しかし、それよりも市場あるいは業界に対する信頼を確保することの方が大切であるという意識でこの制度が発足したわけでございますし、私どもも、取引所が定めました制度ではございますが、業界としてもこの制度を発足させかつ円滑に効率的に運営すべきであるという観点から、制度が発足する過程におきましては、証券界にもこういう制度を生み出すべきではないかという指導もいたしましたし、さらにこの制度が円滑に効率的に動くように証券会社を指導してまいりたいと考えております。
  158. 高橋高望

    高橋委員 残念なことに、また現職の国会議員の名前が、どれほどの確率があるかは別として新聞に出てきたり、今度は直接に大同酸素の買い占めの問題が出てきている。ところが、こういう人たちの意見あるいは関係筋の連中の意見は、決して法に触れた悪いことをしているとは思っていないのですね。むしろこれは頭のいいやつがこういうことをやるので、やらないやつの方がという感じで、現在の日本の国の制度といいましょうか仕組みを利用しているのですね。  だから、いま局長がおっしゃるような意味で、しょうがないとはいいながら、一般投資家、さらに広げて言えば一般納税者の立場に立った場合、こういう問題が放置されているままでいろいろと新しい政策なりが登場してきてもなかなかのみ切れない、納得できない。だから、現行体制上しようがないのだというふうな御判断ではなしに、新しい年度を迎えたり、あるいはそういう仕組みをお考えになる時期でもあるし、何かこの辺の問題についてもう少し、それこそ前向きのお考え方というのはお示しいただけないものですか。
  159. 渡辺豊樹

    渡辺(豊)政府委員 いわゆる株式の買い占めが問題になりましたときに、私どももこれに対応する対策として何があるかということはいろいろと勉強もし検討はしたわけでございます。証券取引法のサイドから何かできることはないかということも検討したわけでございますが、証券取引法で規制あるいは監督いたしますのは、証券取引所あるいは証券会社でございまして、そういう点からたとえば株価形成の問題等については法律上のいろいろな規定もあるわけでございます。ただ、株価形成、株価操作になるものについては、すでに規定があるわけでございますけれども、それ以外の一般の売買につきまして直接証券取引法のもとで規制をすることは、いろいろ立法上の問題もあるわけでございます。  こういう点は、さらに勉強を続けていかなければなりませんし、いきたいとは思いますが、その際、取引所ともいろいろ協議をいたしまして、この特別報告銘柄制度を発足させようということになったわけでございます。  先ほども申し上げましたように、この制度が発足するに際しましても、これは少し乱暴な制度ではないかという意見が一部にあったことは事実でございます。また、この制度が発足いたしますと、証券界以外の各方面では、なかなかいい制度を発足させた、ただ、やるならもっと早くやるべきではなかったかという厳しい御批判も受けているわけでございます。しかしながら、せっかくこの制度が発足いたしましたので、いままでに行われた買い集めというのは事実としてあるわけでございますけれども、さらに今後は、この制度の効率的なあるいは適切な運営によりまして、いわゆる買い占めに当たるような動きの防止、根絶を期していきたいというふうに考えております。
  160. 高橋高望

    高橋委員 期待をしたいと思います。それと、やはり純粋に投資の方もあるでしょうし、よく言われるコングロマリットのように企業グループとしての連携の中で発展させていきたいと思って株を市場から買う場合もあろうと思うのです。ですから私は、言うはやすく行うはむずかしいことだとは思うのですけれども、どうかひとつむずかしいことは百も承知の上で御検討になっていただきたい。そして、少なくともこういうケースが社会面をにぎわすことのないようにしたいものだと願望も入るわけですが、ひとつ御検討願いたいと思うのです。  そこで、この問題についてちょっと税に触れさせていただきたいのですが、主税局長、例のキャピタルゲインの課税問題で、この証券に関していえば、御承知の五十回、二十万株というのでずっときているわけです。これを来年度に合わせて、何かお考え方が変わりつつあるというふうに聞いておるのですけれども、主税局長、お差し支えのない程度でどんなふうにでございますか。
  161. 高橋元

    高橋(元)政府委員 税負担の公平ということは、これからの税制を考えていく場合に最も大切なことでございますから、そういう観点から、有価証券の譲渡益の中でできるだけ課税に取り込む部分、その対象を広げていきたいと考えております。  しかし、転々流通しております有価証券でございますから、それの取引をどうやって把握するか、それから把握した場合でも、損失ばかりを把握してしまって利益の方がわからないということですと、これまた非常な不公平のもとにもなるわけでございますから、利益、損失をどうやって把握するか、その損失をどう処理するか、この辺はかねてから議論しておる大問題でございます。したがって現段階では、先ほども申し上げましたできるだけ広く課税対象に取り込むと申しますのも、段階的にやっていくということにせざるを得ないであろうと思っておりますが、極力そういう方向で、現在課税の対象になっております。継続的大量取引でございますとか買い占め、事業等譲渡類似取引、ゴルフ場の会員権、その四種類だけ法律では課税の対象にしておりますけれども、その中身を充実をさせていきたいと思っておるわけでございます。  ただ、いまお示しのございました五十回、二十万株という継続的大量取引をどういうふうに広げていくかということでございますけれども、いま隣におられます証券局長ともいろいろ御相談もしておるわけでございますが、いまの段階でどっちの方へ向かってどれを広げていくかということを申し上げますと、これまた証券市場に非常な混乱を与えることも考えられますので、なおよく相談を続けながら、できるだけ早期に私の申し上げておりますような意味での課税対象を広げるということを実現を図っていきたいというふうに強く考えております。
  162. 高橋高望

    高橋委員 どうも従来もそのようなお話で、結果として大した前進もなしに新しい年を迎えてしまったという繰り返しだと思うのです。確かに損金が出たときどうするのだというお考え方も常時おっしゃっておられる。その辺を余り厳しくやれば、一般投資家が投資に対して関心が薄まってしまうから、証券業界全体としてプラスにならないという御判断もあろうかと思います。ただ、やはりこうした、不労所得とは言いません、頭を使っておられるのでしょうけれども、こういうことに対しての課税はもう少しお考えいただいて来年度あたりに御展開なさらぬと、いま大蔵御当局が大変恐ろしいいろいろな税金を用意しておられて展開なさろうとしている立場からいってもどうも納得できないので、従来のお考え方よりもさらにひとつ密度細かにやっていただいて、少なくとも来年度には何かこの辺を修正というか改正していただきたいというように思うのですけれども、大蔵大臣、この辺はいかがでございますか。
  163. 村山達雄

    村山国務大臣 いま主税局長が言いましたように、この問題を真剣に検討しておるそうでございますので、私も大いに期待いたしておるわけでございます。  ただ、経緯から申しますと、あれはたしか二十九年かと思いますが、譲渡所得の一般的の課税というものをいまのように変えまして、そのかわりと申しますか有価証券取引税を創設した記憶がございます。当時の状況で言いますと、転々流通する株式の元本の損益のつかみ方でございますけれども、利益の方はさっぱり出てまいりませんで、損をいたしますと、これは進んであらゆる証拠書類を添えて出してくるわけでございます。すべて損益通算であり、かつ翌年度以降繰り越しという制度がございますので、大変な大減収を来したという苦い経験がございまして、一歩退いて次善の策として継続的なものだけ課税する、そのかわりに、それにかわるものというか有価証券取引税という、その移転するところに担税力を求めて創設した覚えがございます。譲渡所得はそのとき入ったと思いますが、その後買い占めの問題あるいはゴルフ場の会員権の問題、こういったものが例外として課税対象になりまして現在に至っておる。現在でもやはり一般的な継続的な取引という問題が非常にむずかしい。特に一回とは何であるかという問題をめぐりまして非常にむずかしい問題になっておる。これは損の処理をどうするかという税制上の問題、並びにどうしてそれをつかむかという捕捉の問題、この両面から本当に真剣な研究をしないと、急にやりますとまた二の舞いが起きてくる、こういうことを心配しておるわけであります。せっかく税調においていい答えが出るということを期待しておる次第でございます。
  164. 高橋高望

    高橋委員 私きょう国税庁の方をお呼びすることをちょっと省略してしまいまして、大変恐縮なんですけれども、国税庁の方がいらっしゃらないのであれなんですが、現行の五十回、二十万株の中で、何件ぐらいこれに触れたというので挙がってきているんでございますか、どうもちょっと……。
  165. 高橋元

    高橋(元)政府委員 ちょっといま手元に資料がございませんので、はっきりしたお答えを申し上げかねるのでございますが、継続的大量取引として挙がっておるものは、それほど多くないというふうに私は記憶しておりますが、正確なことはまた後ほど調べましてお答え申し上げます。
  166. 高橋高望

    高橋委員 私の想像でも恐らく大変少ない件数だろうと思うのですね。ということは、現在の制度というものがほとんど活用というか生きていないということになるのじゃないか。そういう点も考えあわせますとなおのこと、有価証券に対するキャピタルゲインの課税というのはより実情に即した姿勢をとっていただけたらと、これも最後には願望になってしまいますけれども——大体おわかりになりましたですか。
  167. 高橋元

    高橋(元)政府委員 もう少し調べまして後ほど……。いま手元に数字がないということだけわかりましたものですから……。
  168. 高橋高望

    高橋委員 いずれにしましても、不公平税制ということの一つに挙げられていることでもございますので、どうかこの辺についてはさらに御検討願いたいとお願いを申し上げます。  ここでちょっと話題を変えまして、私、中小企業庁の方にきょうちょっとおいでいただいているので承りたいことがございます。それは現在、仕事をして支払いを受けるいわゆる代金決済構造に支払い手形というものが大変に行き渡ってしまって、悪い意味で行き渡ってしまっていると思っております。  きょうはその代金支払いの支払い手形問題についてお伺いしたいのですが、まずとりあえず代金支払いの現状ですね、現金と手形の比率とか手形サイト、この辺はどんなふうになっておりまして、また昨年度あたりに比較してどんなふうな変化がございますか。
  169. 林昭彦

    ○林説明員 いま私どもの方で毎月大体三千六百ぐらいの下請企業を対象に手形サイトあるいは現金比率というようなものを調査しておりますけれども、手形サイトにつきましては、たとえば昨年の七−九月で百二十日を若干上回る程度、それからことしの七月が百十八・八、八月が百十八・二というようなことで、手形サイトは最近の金融緩和というふうな状況を反映いたしまして、若干の改善を見ているというふうに把握しております。  それから現金比率の方は、昨年の七−九で四三・一%が現金で支給されておったわけでございますが、これがことしの七月では四三・六、それから八月が四三・八ということで、大体これは横ばいになっておるというふうに了解しております。  ただ、この中で若干その現金比率につきましては、ブレークダウンをいたしますと変化がございまして、一人から四人というようないわゆる零細企業、これに対します現金支払い比率というのは若干の改善を見ておりますし、それから手形のサイトの方も若干よくなっているということで、いわゆる零細な、手形を受け取ってもなかなか割れないというような、一番末端の下請企業というものに対する支払いというのは改善を見ておるというふうに了解しております。
  170. 高橋高望

    高橋委員 手形をもらえばそれを金融機関へ持っていって割るわけですけれども、いま中小企業庁で資料として持っていらっしゃる中で、先進工業国でこういう代金支払いというものに手形が日本ほど普及している国というのは、どういう国があるのですか。
  171. 林昭彦

    ○林説明員 私どもこれは十分調査した結果でございませんけれども、アメリカでは日本のような形での手形支払いというのはほとんどない。ヨーロッパでは、大陸には若干あるけれども、イギリスには余りないというふうに仄聞しております。
  172. 高橋高望

    高橋委員 実は私、一年ちょっと前にもこの問題を別の席で伺ったことがあるのですが、いまも他の国ではほとんどないというお返事があった、ただしそれをよくつかんでないというお話なんですが、これは何か定期的にあるいは定例的にそういうものが資料としてお手元に届くような問題じゃないかと思うのですけれども、そういう御準備の体制にはなってないのですか。
  173. 林昭彦

    ○林説明員 ただいまの外国におきます手形支払いの実情というようなものにつきましては、先ほど申し上げたように、日本と違ってほかの国ではこういうものが余り政策的な問題に上がってきていないということで、私どもの方も必ずしもこれを十分突っ込んで調べようという、そういう意味での検討をこれまで十分したことはないわけでございますけれども、在外公館あるいはジェトロ等に今後、外国の方の実情というのがどうしても日本の政策を考えます上で必要ということであれば、必要に応じて調査依頼というようなことをしていきたいというふうに考えております。
  174. 高橋高望

    高橋委員 私なりにことしの夏から秋にかけていろいろこの問題で討議の場がございまして、ワシントンへ出向いたわけでございますけれども、その席で日本のこの手形支払い制度、しかもこれを金融機関に持っていって割って金として使うというようなことを話題に出しますと、他の国の連中は大変奇異な感じを持つのですね。ところが、日本の国では何かそれが常識化とは言いませんけれども、かなり定着しちゃったものになっている。この辺について、金融機関にもうけさせているというような小さなとらえ方じゃなしに、国全体として下請対策をお考えになる中小企業庁のお立場に立った場合に、こういう代金支払いに手形を発行してもいいというか、それを黙って世の中の一つの慣習だというふうに割り切っておられる姿勢というのは、何か非常に温かみがないというか、配慮が足りないように思われてならないのですね。  だから私がいまここで、思い切って金融機関に持っていって割っていただく金利だけを省略しろと言ったら、ずいぶんと物の値段もまた変わってくるわけです。ここで少なくとも下請代金支払いというものは現金にしなさい、水ぶくれになっちゃった、大きく言えば企業間信用になるのでしょうけれども、こういう水増しされちゃっているような状態というものを脱却するために現金支払いの義務づけはどうですかと伺ったら、現在中小企業庁の方はどういうふうな御返事をいただけるのですか。
  175. 林昭彦

    ○林説明員 先生御指摘のように、わが国の一般の取引、これは下請の取引に限らず一般的な取引は、手形での支払いというものが非常に多いわけでございますが、全体の取引に手形が使われることがいいのか悪いのかというのは、これは私どもの守備範囲を若干越えておりますので、下請取引についてだけ限定してお話をいたしますと、これは私どもとしては好ましくない。下請中小企業者というものは、金融面でも制約が非常に多いというようなこと、あるいは、手形を受け取ったためにその親企業が倒産したというときに、連鎖倒産とかあるいは非常に大きな被害を受けるというようなこと等ございますので、できる限り現金で支払いをすべきであるというふうに考えておるわけでございます。  ただ現実に、日本の経済の中で手形というものが非常に大きな割合で流通をしているという現実がございまして、これを直ちに禁止いたしますと、代金支払いについてのみ禁止したといたしましても、金融的なはね返りというのは大変に大きなものがございますし、それから、私ども中小企業の保護という観点から考えましても、たとえば大企業に物を納めているあるいはサービスを提供しているという中小企業者は非常に多いわけでございますけれども、その中で、いまの下請取引というものの範疇に属するものというのは一部なわけでございます。ですから、これはたとえば半分とか七〇%あるとしても、残りの三〇%とかあるいは五〇%とかいうような下請代金法の保護を受けない中小企業者の支払い条件というものに非常に悪いマイナスの影響が出る、これは支払う親会社の会にしてみますと、現金を支払うあるいは手形を支払う毎月毎月の資金繰りというのがございますので、その枠というものを一定と考えますと、結局法律で保護されているところには現金で払うといたしましても、それ以外の中小企業者には手形が従来よりも割合がふえる、あるいは長期化するということではね返るということもございます。その他いろいろ立法上の問題もございまして、直ちにいまの手形というものを代金法で禁止するというのは、中小企業政策という枠内で見ても非常にむずかしい問題があります。  ただ、先生御指摘のように、非常にいろいろな弊害がございますので、私どもの方としては、基本的には現金支払いというのが望ましいという認識は持っておる次第でございます。
  176. 高橋高望

    高橋委員 大臣、これは直接いま御担当の部署のことじゃないのでありますけれども、実際問題として手形で代金をもらい、それを金融機関に持っていって金利を払っている、こういう国は先進工業国でほとんどないですね。ところがわれわれの国ではそれがあって、俗に割ってもらうという言い方を中小企業者はいたしますけれども、結局銀行へ行って金を借りてくるということになるわけですね。ですから、ある品物を売って値段の契約をしましても、現実に手元に入って金として使えるものというのは、七%なりあるいは一〇%以上なり少ないものでやらなければならない。そこで金融機関というものは、最も安全な最も担保力のあるような手形、特に一流企業であればそうですけれども、そういうものを担保にしてお金を貸して、そして利子をかせぐ、こういうのが現実にわれわれの国に残っているのですね。こういうものの積み重ねの上に私たちの国の産業なり工業なりというものが成り立っているということ、これはまことに悲しい現実だと思うのです。  ですから、金融機関を含めて日本の国の仕組みの中で、この手形支払いという慣行といいましょうか、現代の制度というものを、何かひとつそれこそ蛮勇をふるってすっきりさしていただきたいというのが、これはもう日本じゅうの中小企業者というか業者の持っている願いだと思うのです。これがあるためによけいな手間もかかるし、事務的にもそれだけの書類も用意しなければならないしということで、必要以外のことで大変に体質を弱めてしまうこともありますものですから、ひとつここら辺のことはよく実情をお考えいただいて、しかるべく御処置を願いたいな、こう思うのですね。  そこでもう一つ、これは細かなことになるのですけれども、同じ企業が発行している手形、しかもかなり担保力があり、恐らくほとんど倒産の危険性のないような手形であっても、持ち込み先の金融機関によって割り引く金利が異なる、こういう現実があるのですが、この辺については中小企業庁としてはどんなふうに御判断なさいますか。同じ会社の発行する手形についてですね。
  177. 林昭彦

    ○林説明員 私どもは、実際の金融がどういうふうになっているか、実情にうといわけですけれども、確かに先生御指摘のように、非常に経済力の違う下請企業が二社あって、同じ親企業から同じ条件の手形を受け取ったといたしましても、銀行の方で割り引くときに金利に若干の差があるということは事実のようでございます。これは、金融機関としては一応、手形を担保にお金を貸しているというふうな理解の仕方ではないかと思います。したがいまして、その手形が実際には不渡りになるというようなことはあり得ないといたしましても、そういうことが可能性としてはある。そういたしますと、そういう事態になった場合に、非常に信用力のある下請企業の方からは、親企業が倒れても貸した金は取れるということでございますけれども、信用力のない下請企業の方からは結局、貸した金が回収できないというようなことを考えてやっているのではないかというふうに思いますが、私どもの方で、現実にどのくらい金利差があるかということについては、まだ十分把握をしていないというのが実態でございます。
  178. 高橋高望

    高橋委員 確かに企業ですから、いついかなるときに倒産あるいは経営悪化が起こるかわかりませんけれども、常識的に考えて、その手形の期間内に急変するというようなことがないにもかかわらず、現実には同じ会社の発行している手形の金利が異なるということについては、きょう銀行局の方をお呼びしてないのでお帰りになってしまいましたけれども、私は、これはやはり金融業界の持っている一つのまことに手前勝手な、安全第一の、念には念を入れて安全を図るという方策以外の何物でもないと思うのですね。確かに手形ですから、裏書きした人の責任も等分にございますから、そういう意味では裏書者の担保力の問題も当然あるでしょう。しかしながら、超一流企業の手形まで金融機関によって金利が異なるというようなことは、どう考えてもおかしいと私は思うのです。ですからこの辺についても、これは銀行局のお立場も入るかと思いますが、ひとつ国の仕組みとしてお考えになっていただきたいなと思うのです。  そこで、さらに細かなことで恐縮ですが、一部上場会社が発行した手形で、発行日の記載されてない例というのはそう珍しくないのです。かなりあるのです。発行日が記載されてない。俗に習う落とす日ははっきり書いてあるのですけれども、いつこの手形を発行したかという日にちがブランクになっている手形がかなりある、こういうことの現実は中小企業庁は御存じでいらっしゃいますか。
  179. 林昭彦

    ○林説明員 必ずしも十分にはつかんでおりません。  ただ私どもの方は、代金法で支払い期日というのは納品後六十日という規定がございます。それから六十日以内に支払います手形、これは一応法律では金融機関で割引が可能であるものという規定がございますが、実際の運用におきまして、繊維業におきまして九十日、それから一般の製造業で百二十日ということで一つの物差しをつくって運用しておるわけでございます。したがいまして、納品日というのが確定いたしますと、これはマキシマム六十日プラス百二十日ということで、納品日から百八十日以上超えた日付で手形が落ちるということになっておるものは明白にこの代金法の違反ということになりますので、私どもの方としては、こういう基準に違反しているかどうかということについては、たとえ手形に発行日が入っておりませんでも、取り締まりには支障がないというふうに理解しております。それから、現実に立入検査をいたします場合には、手形発行日というのは一応会社の方に記帳されておりますので、十分に把握できるというふうに考えております。
  180. 高橋高望

    高橋委員 そんな体裁いい話ではなくて、実際は発行人が、自分が何日間の手形を発行してしまったかという日数を計算されることを体裁上いやがっているというのも大きな要素なんですね。だから、それを今度は逆に言えば、どこかでそれをちゃんとチェックアウトしてくれないと困る。それは私は金融機関だろうと思うのですけれども、特に割引手形などで、その手形を持ち込んだときに、金融機関がしっかりとこれをチェックアウトしてくれれば、そういう問題は防げるのじゃないかと私は思う。  こういうことを含めて中小企業庁にお願いがあるのは、やはり基本的には手形制度というものがあること自体にすべての問題がありまして、たとえば昨年度も連鎖倒産防止でずいぶんといろいろ検討もし、大蔵省の方の方にもこの辺についてはいろいろと御配慮いただいたのですけれども、やはり基本の一つに手形支払いというものがあって、そのために連鎖していくということも考えられたと私は思うのです。当時でもやはり余りやると下請さん自体が親企業から別な形で仕返しを食うからやめておこうという理論で、中小企業庁の方もそういう御答弁で、だからこれ以上は進めないというようなお話だったのですが、これはそろそろ考えていただいて、もう少し前向きにわれわれの味方としての中小企業庁のあり方を考えていただきたいように思います。これはあなたにそれをお願いするのは大変恐縮ですけれども、取り組み方としてはそういうふうな取り組み方をしていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  181. 林昭彦

    ○林説明員 先生御指摘のように、手形の支払いというのが一般的であるために、それを受け取った下請企業者が、親企業が倒産したときに連鎖倒産あるいは非常に大きな困難を受けるということで、私どもの方は、手形支払いというのはできるだけなくすように、なくすことが望ましい、直ちにそういうことが実行可能かということについてはいろいろ問題があるというふうに認識しておりますけれども、ゴールはそういうところであるべきだということについては十分認識をしておるわけです。  ただ、先ほど申し上げましたような問題、あるいは先生おっしゃいました、かえって下請企業者にとって有利でないような事態が起こる、これはたとえば、下請取引という定義にならないところへ発注を変えるというようなことも十分考えられることでございますし、そういった形で、いろいろメリットと反面としてのデメリットというのが下請の方にも出るおそれがある、あるいは直接下請に問題がこなくても、先ほど申し上げた下請以外の中小企業者への影響というようなことも考えられますし、あるいは中堅企業と申しますか、一応中小企業ではないけれども大きな会社の下請をしておって、さらに自分の下に下請を持っているというような企業もございますので、その影響をいろいろ調べ、かつ実行可能性ということについても十分調査して結論を出したいと思います。  ただ、その結論がどう出るかあるいはいつ出るかということは別にいたしましても、私どもとしては、現金支払いの比率をできるだけ高める、あるいは手形のサイトをできるだけ縮めていくということで、代金法上の検査をするときの改善指導、あるいは下請振興法の振興基準の実施を指導するというようなことで、そういう方向に向けてできるだけのことはしていきたいというふうに考えております。
  182. 高橋高望

    高橋委員 どうぞよろしくその辺はお願いを申し上げて、中小企業庁の方のお尋ねを終わらせていただきたいと思います。  これはきちんとお届けをしていなかったのですけれども、大臣にちょっとお願い申し上げたいことがございます。  私どもの党が、この二年間を現行税制の見直しということで、基本的な将来設計を考える二年間だというふうにお訴えしていることはすでにお聞き及びかと思います。そしてまた最近、決して本の宣伝ではございませんけれども、「日本経済の新しい選択」という党の政策審議会の本を出しまして、まだ忙しくてお読みいただけないかと思いますが、この中で不公正税制という問題を取り上げて、五十六年以降のお考えになっておられることとは別の形にしても、ある種の税の問題を考える前提条件として、不公正税制というものの是正ということを取り上げている、これはもう御承知のとおりだと思うのです。  私たちが、細かに一つ一つの不公正だと言われている税制の検討もさることながら、基本的にこの不公正税制を是正してほしいという言い方は、国の仕組みの問題に対して見直してもらいたいということを申し上げているつもりなんです。そういう立場に立ちますと、現在言われる不公正税制というものがどういう歴史的な過程の中でできてきたか、この辺の認識が大臣の方と私どもの方と合わないと、いろいろ今後のかみ合わせができないわけです。  そこで、予告なしで大変失礼なんでございますけれども、現在まで不公正税制だと言われているものの生じてきたいろいろな要因というものを、大臣なりにいまどんなふうに御認識していらっしゃるか、ちょっとお考え方を漏らしていただきたいと思います。
  183. 村山達雄

    村山国務大臣 不公平税制というものをどういうふうに考えるかによりますが、私たちが考えておりますのは、五十年でございましたか、この不公平税制に五十一年から取り組むに際しまして税制調査会において、不公平税制とは何ぞや、そこから議論を始めたわけでございます。したがいまして、これはかなり時間をかけてやりまして、それは単なる租税特別措置だけではなくて、基本法の中にもそういうものがあるということ、また租税特別措置の中においても、いわゆる不公平税制というものではなくて、仕組み全体に関する問題がある、そういうことで、一般的に申しますれば、税の公平とかその他の税の本来の基本原則に対して明らかに政策的な意図で軽減しているのだ、こういう意図を持ってやっているものを不公平税制、こういう大体の感じ方でございます。  そういったことからいまずっと考えてみますと、所得税で一番大きい減収になっておるのは少額貯蓄制度、それから生命保険の控除、これが非常に大きいわけでございまして、しかし、その生命保険料の控除というのは昔からあった制度でございまして、恐らく所得税法が始まって間もなくからあったのではないであろうか。それがやはり資本の蓄積と申しますか、あるいは老後の保障と申しますか、そういう角度からずっと行われておりますので、いま考えれば、負担の公平からいってどんなものであろうか、こう言いますけれども、それなりに定着しておる。また少額貯蓄の関係も、これは戦後でございますけれども、郵便貯金等の非課税限度とのバランスにおいて、そうしてまた同時に、貯蓄奨励が必要であった時代においてずっときているわけでございます。  それ以外のものにつきましては、先ほどの総合課税の問題が一つ所得税であるわけでございますが、これはむしろ技術的な理由によりましてなかなか実効のある方法がとれない。それからさらには、個人で言いますと住宅関係、これは住宅の非常に逼迫しているときに何らか住宅を建てたいということで、住宅取得控除であるとか住宅貯蓄控除の問題が出ている。医師優遇税制は、もう御案内のとおりのいきさつで、昭和二十九年一点単価との絡みにおいてできたというわけでございます。その他いろいろありますが、所得税で申しますれば、大きく言ってそんなところであろうと思います。  それから、法人税の方を考えてみますと、シャウプ税制のときに法人税を、たしかあれは三五%か何かに一挙に上げたわけでございます。そのときに、所得税の方は御案内のような大改正が行われまして、むしろ軽減の方に向かったわけでございますが、そのときちょうど日本は新しい成長時代に入ったわけでございます。そこで、三五%に引き上げると同時に、あらゆる施策を講じて日本の今後の発展を図るときに、税制面で何が一体必要であるか、こういう観点から、租税特別措置という制度が大きく展開されていったであろうと思うのでございます。したがいまして、法人税に関する限りはシャウプ税制以降の問題でございます。その間国会からも指摘を受け、政府側も、もう役割りを果たしてしまったものであるとか、あるいはまたマンネリズムで依然としてある、もうそれの役割りが小さくなったようなものは、どんどん廃止していこうとしたのでございますけれども、一遍軽減措置を受けますといろいろなことがありまして、実際問題としてはなかなか廃止できなくなった。そこで主税局の方は、先ほど申しました五十一年から特に精力的に、不公平税制とは何であるかという論議から始めまして、そうしていま改廃を大いにやっておる、こういうことであるだろうと思うのでございます。その間、一方において、逆の租税特別措置と申しますか、交際費課税の強化がどんどん進んでいった、これが大体現状であると私は認識しているわけでございます。
  184. 高橋高望

    高橋委員 私たちが考えた場合の政策遂行のための優遇策というものに対しては、やはり打ち切ることに蛮勇を発揮しない限り、これはなかなかできることじゃございませんし、また逆に言うと、この辺が今後の政治が信頼をつなぎとめ得るかどうかのポイントにもなろうと思うのですね。ですから、歴代の大臣にお願いしておったのですけれども、そういう意味でひとつ取り組み方について御決断をいただきたい、ぜひ御展開願いたいとお願い申し上げたいと思います。  少々時間がありますけれども、私の質問を以上できょうは終わらせていただきます。ありがとうございました。     —————————————
  185. 大村襄治

    大村委員長 ただいま参考人として全国銀行協会連合会会長松沢卓二君が御出席になられております。  松沢参考人には、御多用中のところ御出席をいただき、まことにありがとうございます。  質疑を続行いたします。山田耻目君
  186. 山田耻目

    山田(耻)委員 きょうは、本委員会で古くて新しい問題ですが、久々に週休二日の問題を質問をいたしたいと思います。  人事院お見えでございますか。——きょうおいでいただいた参考人としての銀行協会の松沢会長、本当にありがとうございました。いままで本委員会ではお招きしたことのない人事院もきょうはお見えいただきまして、週休二日問題については、いわゆる民間先行という立場、官公庁先行という立場がどうやら最後ではもつれてきそうでございますので、こういう問題等を含めて質問したいと思いますし、人事院の方もおいでいただいて、公務員の週休二日試行についての決着と展望もお聞きしたいと思います。  そういう意味から、一応今日まで金融機関の週休二日を受けて長い間審議してきたのですが、その概略な経過を私の方でまとめてみたいと思いますし、それを人事院の方、よくお聞き取りいただいて、民間関係、特に金融機関の審査状況を御了知をいただいた上で、人事院の方もひとつ御回答を願いたい。質問は順次いたしてまいりたいと思います。  本委員会で週休二日を最初に取り上げましたのは一九七五年の二月で、銀行協会と関連労働団体との間で週休二日についての合意ができております。一九七五年ですから昭和五十年ですが、五十年の六月の段階までには銀行労使関係については週休二日に入りたい、こういう合意のようであった模様です。これを実施するに当たりましては、銀行法十八条の改正をしなければ実施ができがたい、こういうことになっておりますので、当委員会にこの労使の合意が持ち込まれてきたものと私は考えています。  それを受けて、同じく一九七五年四月の大蔵委員会におきまして、その当時の大蔵大臣大平正芳先生が、現幹事長ですが、集中審議ましましてそれを詰めました。詰めた結果、銀行労使が決めたその合意は尊重する、その上に立って一両年中に銀行法十八条を改正して週休二日の実施に入りたい、そういう意思がもたらされました。  大蔵委員会は、それを現職大蔵大臣の答弁として受けて、そのことを了解いたしました。しかし、一両年というかなり長い日数を、要する問題でありますので、また、銀行法十八条を改正し金融機関の週休二日を実施するにしても、顧客である国民大衆に対して不便を生じせしめてはならない。そのためには、十分ひとつ準備段階も必要であろうし、立法措置も必要なことでございますので、本委員会に週休二日特別小委員会を設置することを与野党満場一致、合意を願ったのであります。それは決議としてそのことが確認をされまして、小委員会は発足をしたわけです。  それから今日まで、文字どおり三年有余経ておりますが、経済の不況、深刻な失業者の増大はますます激増の一途をたどっておりまして、経済の不況と同時に国罠生活もかなり苦しくなってきた、こういう条件はむしろ悪い方に動いておりまして、一刻も早くこの問題の措置をしなければならぬ。小委員会も焦ってまいります。  そこで、本年の三月二十八日の本院小委員会では、これまた各会派満場一致で決議をいたしたのでございます。それは、週休二日実施はやらねばならない。そのために金融機関としては、その意見を聞くところ、関連する金融機関の中で特に郵便貯金関係、農協の預金関係、これらが同時に行われることがきわめて望ましい、そのための対処をしていかなくてはならない、こういうことを中心に決めました。決めた内容は三点にわたっておりますが、そういう措置をすることによって一刻も早くまず金融機関における週休二日の実施を行わしめるよう、金融関係に関する指導、それから、金融制度調査会に対する意思の解明、そこによるところの銀行法改正への手順、こういうことの指導をつくっていただくように決議をしてきたわけでございます。  私は、きわめて概略申したのであり威すが、昭和五十年の大平大蔵大臣との合意、一両年中に実施をするように期待を受けたわれわれとしては、一両年はすでに過ぎに過ぎ去ってしまった、ある意味で与野党という立場で申し上げますと約束の違反である、これをたなざらしにしていく中でますます失業者はふえ、社会は混乱している、本当はこの責任が聞いたいのです。しかし、そういうことをしているだけでは問題の解決になりませんので、小委員会におけることしの三月の特別決議になってきた、こういう意向をおくみ取りいただいているものだと思います。  ここまでの経緯については大蔵大臣、大体御了解いただけますね、いかがですか。
  187. 村山達雄

    村山国務大臣 大体そのとおりであると思っております。
  188. 山田耻目

    山田(耻)委員 そこで、逐次質問をいたしていきたいと思うのですが、大蔵省がこの決議を受けて、決議の内容にあるように各金融機関に対しては一体どういう指導をおとりになったのか、それから金融制度調査会に対しては、あの決議の第三項には、十八条改正がおくれれば抜き出してでも審議をする、こういうふうな要請になっておりますので、それをどうなさってきたのか。それから大蔵大臣の方は、閣議でどういうふうな報告をなさって、この決議を生かされるように御努力いただいたのか、各省連絡会議では何をどうなさってきたのか、その立場で、ひとつ銀行局長の方も加えて御答弁をいただきたいと思います。
  189. 徳田博美

    ○徳田政府委員 三月二十八日に御決議をいただいたわけでございますが、それ以後とりました措置について概略を申し上げます。  まず、三月二十八日に御決議いただいて、同日に臨時に週休二日制関係省庁連絡会議第五部会を開催いたしまして、この小委員会の決議の趣旨を関係省庁に説明いたしました。そしてこの趣旨に従ってその後、第五部会において審議が行われているわけでございます。  それから、金融機関に対する指導でございますが、同じく三月二十八日に全国銀行協会連合会、それから相互銀行協会、全国信用金庫協会、それから全国信用組合中央協会に対しまして、小委員会決議の趣旨を説明いたしますとともに、決議内容を参加金融機関に周知させること、それからPR活動及び具体的対応策について検討することを指示したわけでございます。  それからさらに、五月二十八日付で労働省が「労働時間対策の推進について」という通達を都道府県知事、労働基準局長あてに発遣いたしまして、この中におきまして週休二日制の推進について指導をしているわけでございます。  それから各種の広報活動でございますが、これは労働省が主体になりまして、テレビ、新聞等において各種広報活動をやっております。具体的には、テレビで七月に二回、九月に一回やっておりますし、そのほか新聞雑誌等で行っているわけでございます。  それから、全銀協がこれを受けてとった措置でございますが、四月六日開催の金融団体協議会の席上におきまして、週休二日制の推進、促進につきまして今後一層の努力を続けていくことを表明いたしました。  それから検討体制の整備でございますが、参加金融機関に対してこの趣旨を徹底させ、さらにこの問題を検討するための週休二日制特別委員会を初めとする検討体制が整えられまして、これにつきましては、相互銀行協会、それから信用金庫協会等においても、それぞれこのための委員会を設置しているわけでございます。それから全銀協におきましては、この指導に基づきまして各種のPR活動をやっているわけでございまして、このような各方面の措置が打たれているわけでございます。  それから金融制度調査会の関係でございますが、金融制度調査会の関係につきましては、御決議によりますと、「公務員等他の分野における週休二日制の進展に応じ必要と認められる場合には、同調査会に対し他の審議事項と切り離し、本問題について中間的に報告を求める。」ということになっているわけでございまして、この点につきましては、ここに御決議いただいたような条件ができました場合には、切り離して報告をお願いするという用意を整えております。
  190. 村山達雄

    村山国務大臣 いま銀行局長から申し上げたのは、本年の三月の二十八日の決議を受けた後の問題でございます。いま山田委員がおっしゃいました五十年の四月以降どういうことをやってきたかということを、ごく概略申し上げます。  かなり精力的にやっておりまして、八月には金融機関の週休二日制問題の従来の経緯——第五部会というものをつくりまして、御承知でございましょうが、第一部会は一般公務員、第二部会は現業の部、第三部会は教育関係の職員の部、第四部会は民間でございますが、特に第五部会を設けまして、金融機関の週休二日制を取り上げたわけでございますが、第一回目は従来の経緯をずっと説明しております。九月には、外国の状況であるとか民間の状況、こういった実態面の検討をやっております。  第三回目からいよいよ本論に入りまして、これは十月でございます。郵便局と農協との関係、こういったことの実態面に入って検討しております。それから第四回目は、五十年の十二月でございますが、中小企業に及ぼす影響、これが中心的に検討されております。その次の第五回目は、金銀協の欧米銀行の週休二日制についての調査報告を求めておるようでございます。  それから五十一年の九月になりますと、公務員の週休二日制の試行についての最近の銀行の動向について、それとの関連において報告をもらっております。それから五十一年の十一月三十日でございますが、これは国庫事務に及ぼす影響が検討されております。  それから五十二年の一月になりますと、再びその時点において、中小企業の週休二日制の実施状況が検討されております。それから五十二年の三月には、一通りやりましたので、今後の検討課題が大きな議題に取り上げられておりまして、同じく三月の末には、金融機関の土曜日を休日制にした場合の法制面の検討にずっと入っております。それから五十二年の五月になりますと、特に民法、手形法の問題を専門的に検討しておる。それから五十二年の九月には、再び民間企業における週休二日制の実施状況はどうなっておるかということを検討しております。十月になりますと、地方団体、地方税法の影響の問題を検討しているわけでございます。  それから五十三年の一月でございますが、これはやや角度の違う問題でございまして、人事院から提示のありました公務員の週休二日制の試行の結果、それから金融制度調査会の週休二日制への検討の状況等についてやっておるわけでございます。それから第十五回目が、いま銀行局長から申されました本委員会における小委員会の決議、こういうものの報告並びにその背県説明をいたしておる、こういう状況でございます。
  191. 山田耻目

    山田(耻)委員 いろいろ御報告いただいて、努力をしていただいておることはわかりましたが、問題は、金融制度調査会にいま諮問なさっておる銀行法の改正の項目が七つありますね、この中に十八条改正も含まれているわけですが、ここの決着がどう出るかというのが、この金融機関週休二日については一つの大事なかぎになりますね。この金融制度調査会の審議なさっておる進展の模様、それから到達する将来の展望、これをひとつお聞かせ願えませんか、銀行局長。
  192. 徳田博美

    ○徳田政府委員 金融制度調査会におきましては、銀行法を中心としました金融制度を基本的に見直すために、銀行の役割り等を中心に審議を進めていただいているわけでございまして、いま七つの項目と御指摘になりましたが、今後のわが国の経済構造及び金融構造について、それから銀行の役割りについて、銀行の資金配分機能のあり方について、銀行経営上の諸原則について、銀行の取引サービス面における諸問題について、六番目が銀行業務の範囲について、最後に銀行に対する監督等について、この七項目でございまして、現在審議はこの第七番目の最後の銀行に対する監督等についてという段階に入っているわけでございます。週休二日制に関しましては、この五番目の銀行の取引サービス面における諸問題に関連して検討が行われたわけでございます。  この問題につきましては昨年九月以来、金融制度調査会の小委員会において入ったわけでございまして、金融機関の土曜日における利用状況、それから一般産業における週休二日制の実施状況などについて資料説明をしたほか、各界の参考人からの意見聴取、それから金融機関に関する国民の意識調査等について検討を行ったわけでございます。  その検討結果を受けまして、昨年十二月十三日の総会におきまして討議を行って、中間的な整理を行ったわけでございますが、その際には、いま直ちに土曜日閉店制による週休二日制を実施することについては、最近の経済環境、一般産業、特に中小企業における週休二日制の実施状況、土曜日の銀行店舗利用状況等から見て、十分な国民的コンセンサスができているとは言えないのではないか。しかしながら、長期的な方向としては週休二日制の導入は社会の大勢と考えられますので、将来における週休二日制の円滑な実施を可能とするために、銀行の営業日を規制している銀行法第十八条を弾力化することが適当であろう。ただ、法律改正の時期については、現時点で土曜日閉店制による週休二日制を実施することについて国民的コンセンサスが得られていないことにかんがみまして、原則として銀行法全体の改正の一環として行うことが適当であるという意見が多かったわけでございます。  なお、この問題につきましての調査会の最終的な結論は、ただいま申し上げました銀行に対する監督等についての問題の検討を終了した後に、普通銀行のあり方についての答申をまとめる際にお出しいただけるものと考えているわけでございます。しかしながら先ほど申し上げましたように、今後の一般産業における週休二日制の進捗状況、あるいは公務員、郵便局、農協等の週休二日制の進みぐあい、あるいは中小企業、消費者等利用者の理解が得られるかという状態を考慮しまして、国民的コンセンサスが得られ、状況が変化したと認められる場合には、金融制度調査会に対しまして、この問題だけを切り離して先行的に結論を出していただくということを考えているわけでございます。  なお、いまのままでまいりますと、答申をいただくのは来年の春を過ぎたころになるかと思いますが、その御答申をいただいてから直ちに銀行法の改正作業に着手する、このような運びになると考えられます。
  193. 山田耻目

    山田(耻)委員 十八条改正を含めて答申は来年の春。春と言えば立春以降でしょうけれども、三月、四月ということになるでしょうね。その時期では遅過ぎるという意見が多く出ていますし、週休二日を実施するのには、調査会でも長期的に見たらこれは必要だ、こういうことの判断に立ったようで、弾力性を持たせて十八条の改正というものは答申されるのではないかという意向があるやに伺っています。  ただ、今日の円満の中で欧米諸国の攻撃の対象は、日本の週休二日が経済大国、先進国でありながらまだ実施されていない、いまさら遅過ぎるではないか、何をしておるんだ、働き過ぎに対して厳しい批判が出ておることも、これは私だけでなくてあなた方も御承知だと思う。だから、長期的視野に立つということは、平常の場合なら結構ですけれども、当面それによって日本経済は非常に不況が深刻になる、失業者はふえる、ある意味で見たらこの問題の解決は緊急な政治課題なんですよ。そういう認識というのが金融制度調査会ではなされているのかいないのか。長期的視野に立つという言い方の中には、私は議論すらなされていないのではないかという気がいたしますが、その点はいかがですか。
  194. 徳田博美

    ○徳田政府委員 金融制度調査会におきましては、各方面の参考人の御意見もあわせて伺ったわけでございまして、その場合には当然ながら、国民経済のあらゆる各面についての御意見も出たわけでございます。それから、金融制度調査会の小委員会での議論あるいは総会での議論の中にも、国民経済的な視点からもいろいろ御発言がございまして、いま先生御指摘のような世界情勢あるいは経済情勢その他等も踏まえましてこのような御結論になったもの、このように考えております。
  195. 山田耻目

    山田(耻)委員 それでは銀行局長、あなたの感触では、来春とおっしゃいましたが、四月までには答申が出る、こういう御感触でございますか。
  196. 徳田博美

    ○徳田政府委員 これは金融制度調査会で御審議いただくことでございますので、大蔵省として確たることは申し上げられないわけでございますが、四月過ぎ、あるいは五月に入るかもしれませんが、その辺には御答申がいただけるのではないか、このように考えております。
  197. 山田耻目

    山田(耻)委員 それは夏に入るじゃないですか。私たちは、春とか夏、秋、冬とかいうのは暦の上で判断しているのです。しかもそれは、私は聞きたくない言葉だけれども、現在の緊急な政治課題として考えていかなくてはならぬ。国会でもいろいろやっている、失業者のいろいろな救済立法措置を、やっているけれども、これは糊塗的な措置にしかすぎないだろう、こういうことを念頭に置いているからなんです。  だから、そういう緊急の態勢というものを金融制度調査会が御理解にならないのなら——私はきょうも調査会長を呼んだわけですよ。しかし何か集いがあってお見えにならなかった。だからその点で、この国会でお呼びして意見を聞くことはむずかしゅうございますけれども、大蔵大臣なり銀行局長は、金融制度調査会に対して無関係ではない人なんです。来春といえば四月以前、四月までに答申をなさるようにこの委員会で強い意見があったということを十分お伝え願いたい。もちろんあなたがお決めになるわけじゃないのですから、それは審議する委員が決めるのですけれども、その点は強く御指摘をしていただきたいと思いますが、よろしいですか。
  198. 徳田博美

    ○徳田政府委員 いま先生御指摘の点につきましては、会長にもその旨お話し申し上げますが、ただ、何分にも膨大な答申でございますので、四月中にできるかどうか、あるいは五月にずれ込むかもわかりませんけれども、その点、極力答申を精力的にお詰めいただくようにお願いしたいと思います。
  199. 山田耻目

    山田(耻)委員 それでは、いまの進展模様は協会長も御存じだと思いますが、だんだん問題は煮詰まってまいります。これから後、大蔵大臣の方から、答申が出た後どうするかというのは聞きますけれども、そういう答申が出る、法律改正がなされる、それから金融機関週休二日の準備に入ろうというのでは、国民に対して一層の迷惑をかけることになりますから、こういう展望が出てきたいまの段階で、全銀協としてはどういうことをお考えになっておられるかということをお伺いしたいと思います。
  200. 松沢卓二

    ○松沢参考人 お答え申し上げます。  私は、この週休二日制につきましては、この実現に向かって実は非常に努力している一人でございます。  現在の金融機関を中心にして考えてみますと、この週休二日制がなかなかできない問題は四つぐらいあるのではないか。  その一つは、銀行法でございます。しかしこれは、来年の通常国会に何とか新しい銀行法を上程しようというようなお話が伝えられておりますので、この問題は一応峠を越したというふうに考えます。  それから第二の問題は、先ほども先生が申されました、社会的なコンセンサスをどうやって得ていくかという問題でございます。これは実は御承知のように、金融機関の取引というものは圧倒的に個人、中小企業の数が多いわけでございます。特に中小企業の場合は、御承知かと思いますが、従業員百人未満の雇用をしております中小企業を調べてみますと、企業の数におきまして、また従業員の数におきまして、週休二日制を実施しておりますのは約三%という非常に遅々たる動きになっております。そういうことのために、当然のことでございますが、銀行の窓口に特に土曜日に個人、中小企業のお客様が非常にたくさん来ておりますのが現状でございます。こういう問題につきましてわれわれは、特に全銀協といたしましては、こういうお客様に対しまして週休二日制につきましてのコンセンサスを私どもがどうやってPRしていくかということで、全銀協におきましては、広報企画室を設けたり、あるいは専門委員会を設けまして、実はもうすでにいろいろなことを実施いたしております。しかしこれが第二の問題でございます。  それから第三の問題は、異種金融機関、特に郵貯、農協とこの週休二日制に足並みをそろえるという問題がございます。これはやはり多くの民間金融機関、特に全銀協傘下の金融機関におきましては、週休二日制をぜひ実現したいけれども、異種金融機関とぜひ足並みをそろえてほしいという非常に強い要望がございます。これがやはり第三の問題として、週休二日制がいよいよ実施というときにこの問題をぜひ完全に解決をしていかなければならぬ、こういうふうに私は考えております。  それから第四の問題は、これはもう先生も御指摘ございましたように、やはり日本経済自体が早く不況から脱出する、そうして企業の業績が向上して経済界に明るいムードが出るということが、やはり何と申しましても完全週休二日制の実施を促進する大きな要素ではないか、こういうふうに考えております。  いま申し上げましたように四つの問題があるのでございますけれども、しかし全銀協自体といたしましては、余り他力本願でもいけませんから、主体性を持ちながら、私どもとしてはいろいろなPR活動あるいは業務上の合理化、機械化、いろいろなことをすでに検討実施をいたしておるわけでございます。  しかしただ、全銀協といたしましても、全銀協の立場として考えなければいけませんことは、全銀協に所属しております金融機関といたしましては、経営の観点から申しましても従業員対策という非常に重要な問題がございまして、雇用確保という点からもそれぞれの個別の金融機関が、その経営の観点から従業員対策として週休二日制を早く実施したい。これにちょっとつけ加えますと、金融機関の従業員というものは、皆様がお考えになります以上に労働密度の高い仕事をやっておるわけでございます。普通平常は九時から五時まで仕事をしておりますけれども、非常に神経を使う。国民の財産をお預かりしたりあるいは資金を運用したりしている立場でございますので非常に神経を使うし、しかも連続的な仕事がずっと就業時間中にとどまるところなく流れる作業でございますので、非常に神経を使って労働密度が高い、そういう点からもぜひ週休二日制を実施したいという念願があるわけでございます。  それからもう一つの問題は、これも先ほど先生が御指摘になりましたように、世界でいま週休二日制を実施しておるのは、約七十ヵ国だと聞いておりますし、また、先進工業国のグループでありますOECDの加盟二十四ヵ国の中でも日本とスペインだけがまだ週休二日制を実施してない、こういう現状でございますから、やはり国際的な配慮からも銀行としては一刻も早く週休二日制を実施したい、こういう考え方がございますので、先ほど申し上げました四つの問題がございますけれども、しかし全体的な配慮からすればなるべく早く実現に向かって驀進しなければならぬ、こういう考え方を実は持っておるわけでございます。  全銀協といたしましても、傘下の銀行におきましても従業員の組合からも非常に強い要望が出ております。そういうこともございまして、少なくとも完全週休二日制の早期実施につきまして、銀行経営側と銀行従業員組合との関係は全く一致しております。一致しておりますけれども、ただ問題は、先ほども先生が御指摘になりましたように、いよいよ実施というときになりますと当然労働条件の問題がここに入ってまいりますので、この問題は、個別の銀行と個別の組合の折衝の問題ではございますけれども、いまからそういう週休二日制に移行した場合の労働条件、あるいは機械化等によります土曜日に銀行が休みの場合にどういうふうに対応していくか、こういうような問題を実は検討しておる次第でございます。
  201. 山田耻目

    山田(耻)委員 松沢さん、非常に御協力いただいていてありがたいと思いますが、四つばかり事情を述べられまして、それぞれむずかしさもございますが、私は欧米諸国の実施状況を見ますと、金融機関先行型、官庁先行型、それと同時に実施をする型、大体三つに分れているわけです。しかも主導は民間銀行先行型になっていると思うのです。イギリスの場合は、この問題が出て、社会的コンセンサスといいますかその問題も交えて十五年間銀行労使で争ってきておるのですね。それを十五年たって実施をする段階になったら、別に国民からも一つも問題が出なかった。何か大変コンセンサス、コンセンサスということは、これは大蔵省も言っているし、いまも会長の言葉にもあったし、それぞれそれを隠れみのに使っているようなきらいがある。実際にイギリスの例証が示しておるように、十五年間もストライキをやって労使間は非常に険悪になっている、それでとうとう実施しても何の問題も出なかった。私は今日、週休二日の問題については、松沢さんずいぶん御努力いただいてPRもやっていただいております。そういうこともあって国民の中にはかなり、銀行は休むのじゃないか、こういうふうな認識も広がってきているのですよ。それだけに、土曜日の利用がふえてきたというのは、そのことを懸念をしておるからだと思うのですが、むしろ土曜日の利用というのは、団地に建てられた支店、ここらが中心的に多いのですね、それは土曜日を休む人がふえてきたから。それでローンの相談に行くとか、あるいは引き出しに行く場合が多いとか、そういうことであって、これらについては、具体的な手を打つことが決まったときに消えていく人々だと思うのですよ。だから、それを理由に前面に押し出して社会的コンセンサスを押しつけられてくると、なかなか現状はそれにうまく合っていない事情が多いだろうと思うのです。  だから、二番目の問題のコンセンサスはもちろん重大だと思いますよ、思いますけれども、これに余り神経をとがらしていただかないで、むしろ銀行関係は、これからなおPRは続けていかれるし、より具体化し確定度が高いものになさっていくと思うのですが、やはり私が一つ心配するのは、実際に土曜日閉店という立場に立ってとびらを閉めますと、おっしゃっていた労働条件の問題、あるいはその間どう国民に対応するかという問題、いろいろあろうと思います。CD組織の導入もその一つの例だと思うのですが、私はこうした問題は、できるだけ金融機関ごとに労使の協議に入る、そうしていまからその協議を続けていただいて、支障が来ないように、法律改正をやって実施に入ったときに支障がないように、いまから労使間協議を深めていただいて準備をしていただく。五月二十八日に労働省の次官通達が出ております。労働大臣の方は、そこらあたり予見しながら、いま企業なり金融機関にお願いしておると思うのですけれども、そういう方向の実践についてはいかがお考えでございますか。
  202. 松沢卓二

    ○松沢参考人 お答え申し上げます。  民が先か官が先か、あるいは銀行が先かという問題につきましては、先生の御指摘がございましたけれども、私どもが調べた限りでは大体において、銀行が非常におくれて週休二日制に入っております。これはやはり日本と同じような事情があったのではないかと思うのでございますが、所得水準の高い国ほど銀行と一般大衆とのつながりは深くなってまいります。特に日本はもう御承知のとおりでございまして、このごろは個人の家計が銀行とつながっておるということでございまして、土曜日を休むことにつきましては、私ども経営者といたしましても、銀行の社会性、公共性から考えまして、よほどコンセンサスをしっかり取りつけてやらないと銀行批判が非常に出るのじゃないかということを懸念をいたしております。  それから労働条件の問題は、実は全体の労働時間をどうするか、完全週休二日制実施によって現在の就業時間がどういうふうになるのか、そういう点につきましては、御指摘がございましたように、週休二日制実施にもたもたしないで、なるべく早くその体制に入り得るよう私どもも事前の準備を十分怠りなくやっていきたい、こういうふうに考えております。
  203. 山田耻目

    山田(耻)委員 それでは、ありがとうございました。  時間もあれですから、初めておいでいただいた人事院の方から、公務員の週休についてどうお考えになっておるのか、その点をお伺いをしたいと思います。
  204. 金井八郎

    ○金井政府委員 一般職の非現業の公務員の勤務条件という立場から、人事院といたしましては、この週休二日制問題につきまして、昭和四十八年以来、毎年行います夏の給与の報告の際に、その関連のことを報告いたしておるわけでございますけれども、少なくとも現在のところ、民間におきまする週休二日制の普及状況を調べてみますると、大体七割近くの企業が週休二日制を何らかの形で採用しておる、しかもそれがいわば定着しつつあるような状況にございます。それからまた、世界各国の例を見ましても、先生十分御承知のことと思いますけれども、広範に週休二日制というものが普及しております。そういうことから、職員の勤務条件という観点からこれを見ますと、公務にもこれを導入することについて早期に検討しなければならない、こういう立場で従来からきたわけでございまして、御承知のように現在におきましても、第二回目の試行という形で、週休二日制を導入した場合に生ずるであろう種々の問題点、あるいはそれに対する対応策というものを十分に把握する必要があるということで、試行を行っておるわけでございます。ただいまちょうど半ばに達したわけでございますので、なお今後試行の実施状況等に十分注意しながら、自後の対策というものをこれから考えていくということでございます。
  205. 山田耻目

    山田(耻)委員 失礼な言い分になるかもしれませんが、試行をいま第二次おやりになっておるわけですね。試行というのは試みに行ってみる。なぜ試みに行うのか、それは本格実施のために行うのだ、これが一つの人事院という行政体でおやりになっておる目的だと私は思う。この第二次試行が来年の三月末で終わりますね、終わった後はどうなさるのですか。
  206. 金井八郎

    ○金井政府委員 人事院といたしましては、現在行われております各省庁における試行というものの実施状況、それからそれの対応策の検討状況というものをいま注視しておるわけでございますけれども、試行が終わりました場合には、その結果を踏まえまして、社会経済情勢あるいは国民世論等もろもろの情勢というものを考慮の上で、自後の方策を進めていくということに相なるわけでございます。  その検討に当たりましてのことでございますけれども、先ほど申しましたように、週休二日制はいわば世界の大勢でもございますし、民間における普及率が非常に七割近くに達しておる、民間においても定書しつつあるという現状でございますので、公務におきましてもなるべく早い機会に実現するという方向で、そういう観点に立ちまして、ことしの八月に給与の報告をいたした際にも述べましたように、週休二日制の具体化につきまして方策を進めるということに相なっております。
  207. 山田耻目

    山田(耻)委員 まだあと半年近く残っているから、いまから確たる御返事を聞くことはむずかしいと思うし、人事院でも具体的なこれからの将来に至る施策はまだお決めにならぬと思うのですが、いずれにしても、三月三十一日が終わりましたら、総理府に対して意見書をお出しになるわけですね。その人事院の考えをまとめてお出しになるときに、第三次試行はあり得ないというふうに内閣委員会では総裁、御答弁なさっているようですね。第三次の試行はないということになると、第二次試行で終わったら次は本格実施である、こういうふうにつなぎとめていくことが日本人としての論理上正しいと私は思うのです。一体人事院はどういうふうにそれをお考えになっておられますか。
  208. 金井八郎

    ○金井政府委員 先生御指摘のように、総裁の答弁の中にもそういう文言がございました。ただ、この週休二日制の問題はまだ試行段階でございまして、試行の結果が全部まとまりませんと、どういう問題点があって、それに対してどういうような対応策を図るべきかということが最終的にまとまりません。したがいまして、現段階で試行が終わった場合にはこうするというようなことをはっきりするということは、ちょっと無理なわけでございますけれども、私どもその週休二日制問題の検討につきましては、あらゆる場面、あらゆる局面というものを想定しまして、それに応じた方策というものも研究しておるわけでございますので、具体的なその方策ということは、いまの段階ではちょっと明確にできないということだけで御承知願いたいと思います。
  209. 山田耻目

    山田(耻)委員 金井さん、非常に歯切れが悪いよ。何のために国費をたくさん使って試行をやったのか。これに対しては確信を持って将来展望を立てなくては……。  役人というのはそういうものなんですよ。やってみたけれども、まだどうなるか研究中でよくわからぬ、そういうふうな金の使い方はしてはいけませんよ。私は、金井さんを責めるわけじゃないけれども、その背景とか周辺には、公務員週休二日制はやるべきでない、早過ぎる、こういう雑音が渦巻いているのも知っていますよ。それはそれとして、やはり考えをまとめていただかなければ、人事院の存在がなくなりますよ。  私は大蔵大臣に聞くのですけれども、住友銀行が調査月報を出していますね。この調査月報のことしの五月号ですか、五月六日の日付ですが、こういう統計発表をしているのです。時間外労働を禁止したら三百七十九万の雇用が増大する。週休二日制を完全に実施したら二百二十二万人雇用が増大する。年休、これは年次有給休暇です。これを二十日間それぞれが一年以上たつと付与されているものが完全に消化されたら九十九万人雇用増となる、こういう統計を発表しております。ヨーロッパの国家にしても勤労者にしてもいま合い言葉のようになっている、ヨーロッパの週休二日はこれから五年、十年たたぬうちに週休三日になる形態を示しています。その言葉の中に、残業をするということは失業者への犯罪である、こういう言葉がよく行き渡っているのですよ。  私は、いまの住友銀行経済統計が出てきたと、こういう具体的な数字を示しながら、ここには若干の数の違いはあるかもしれません、しかしいずれにしても、残業の問題あるいは年休の問題あるいはいま問題になっておる週休二日の問題を実施すれば、いま百二十一万と言われる完全失業者は——失業手当の給付期間を延ばしてみたり金額を若干引き上げたりするいまの行政府のやり方は、出る水道のじゃ口に手をあてがって措置をしたぞ。コックをひねることを知らない。こういうことでは私は政治とは言えないんじゃないかという気がするのですが、大蔵大臣、あなたは私のこの考え方についてはいかがお気持ちをお持ちでございますか。
  210. 村山達雄

    村山国務大臣 いまおっしゃった住友銀行の調査月報に出た数字、それが当たっているかどうかはわかりませんけれども、かつてのような高度成長時代と違いまして減速経済に入っているわけでございます。したがいまして、雇用の問題というものはきわめて重要であり、週休二日制あるいは時間外労働時間の問題、そういったもののやり方いかんによって雇用がふえていくであろうということは、私にも大体理解のできるところでございます。
  211. 山田耻目

    山田(耻)委員 大以理解ができるということで、何か背筋が冷たくなってくるのですが、やはり失業者の立場に立たないと、こういう問題はなかなか政治決断なさるということにはならぬと思う。  ただ人事院は、こういう情勢をどう踏まえているのか。私は、この大蔵委員会で週休二日の問題についてはもう三年も議論してきておるのです。その中ではね返ってくる言葉は、社会的、国民的コンセンサス、この成熟度を見なければと。そのコンセンサスを得る一つの物差しとして、公務員週休二日が取り上げられているのですよ。公務員が実施するときは国民のコンセンサスは成熟したと判断する。いま大蔵大臣が、大方おまえさんの気持ちもわかるとおっしゃるけれども、実際には大方なんですよ。それは、公務員が踏み切らなければどうにもならないという言葉の変わった言い方なんですよ。だから私はきょうあなたに、金井さんにおいでいただいたのは、そういう四囲の情勢も、人事院のこの週休二日試行第二期が終わったときにどういう手をお打ちになるか見ものだと思っている。  ただ来年、昭和五十四年度はどういう経済状態になるであろうか。労働大臣が先週発表したように、よしんば七%成長したっていまの失業者は減らない、こういうことを言っているのですよ。いまの失業者を減らしていく道は何か、もう時短しかないのですよ。当面日本の課題は週休二日しかない。これをめぐって来年度は、自民党さんは知りませんけれども私の党を初め野党の各党は、重大な政治課題としてそれぞれの党はこの問題を取り上げてきますよ。そうしてちまたには失業者を先頭に大変な騒然とした社会が起こってくる。こういう事態を待たなければ、そういう事態を起こさなければこういう政治決定はできないのであろうか。残業することは失業者に対する犯罪だ、こういうヒューマニズムがなぜ日本の政治にはとれないのだろうか。こういう点を念頭に置いて、きょう職員局長の金井さんお見えになったのだけれども、十分ひとつ人事院総裁にお伝え願って、第二次試行が終わったら、もたもたしておるとどこから火が噴くかわからぬ、重大な決意でおやりになったはずの一次、二次の試行ですから、この決着はみごとに書き上げていただきたい。いかがでございますか。
  212. 金井八郎

    ○金井政府委員 先生のおっしゃること、非常に私も同感な点もございます。何回も申すようでございますけれども、最終的な結論というのはとても言えませんけれども、先ほども申しましたように、民間における普及状況というようなこと、それから公務員の勤務条件というようなもの、いろいろなことを考えて私どもの方もいままで進めてきたわけでございますので、試行が終わった段階におきましては、なるべく早く公務に週休二日制を導入するという観点に立ちまして、検討を進めたいというふうに考えております。  それから、勤務条件その他の問題といたしまして、残業あるいは年次休暇のお話も出ましたけれども、これらも週休二日制を導入するのに容易にするという意味では、基本的には非常に賛成に思います。ただし公務の場合は、民間の場合と、そういう残業なり年次休暇の点につきましても若干事情が違う面もございますので、一概には言えませんけれども、それらのものについても、それぞれ制度の趣旨に沿って、週休二日制の異体化ということにプラスになるような方向で考えていきたいというふうに考えております。
  213. 山田耻目

    山田(耻)委員 御努力をお願いします。  最後でございますが、これで終わりますけれども、大蔵大臣に申し上げます。  公務員関係は一応、いまので私も動きとしては承知をしました。金融制度調査会にはまだ懸案が残されております。それは銀行局長がおっしゃっておるように、来春四、五月じゃないかとおっしゃいますけれども、これは答申の整備ができたら少なくとも四月以前に速やかに答申を出していただく、この一点をあなたの行政指導で制度調査会によく話をしておいていただきたい。  それから、答申が出ましたら直ちに、特に十八条関係は立法化に入っていただきたい。その立法化に入っていただくということが、異種金融を含めた銀行関係、金融機関関係の具体的な作業を前進させるものだと思います。そういうことを御指導、御協力願いますか、いかがですか。
  214. 村山達雄

    村山国務大臣 金融制度調査会の答申をできるだけ早くいただくように、調査会の方にお願いいたしたいと思っております。  第二点の立法化の問題でございますが、いま私がとりあえず考えておりますのは、銀行法の改正を来年の暮れに提案したいと思っております。その中で、銀行法改正の一環としての週休二日制の問題に法制的に決着をつけておきたいと思っておるのでございます。ただし、もしいま山田委員が言われたように、諸般の情勢がもっと早くできるような事態になり決すれば、その場合には、その週休二日制の立法化の問題を切り離して早く実施する用意はしておきたい、このように思っておるところでございます。
  215. 山田耻目

    山田(耻)委員 ありがとうございました。  それでは、いま大臣がおっしゃったように、諸般の情勢は逼迫するばかりですから、可能な限り答申を早く出していただいて、少なくとも緊急課題である十八条改正は繰り上げてできるだけ早く法案の整備を終わっていただいて、提出されるものは、来年十二月と言わずに、一刻も早く措置なさるようにお願いしておきたいと思います。御努力をお願いします。終わります。
  216. 大村襄治

    大村委員長 松沢参考人には、御多用のところ御出席くださいまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。  本日は、これにて散会いたします。     午後五時十四分散会