○
工藤(晃)
委員(共) 共産党・革新共同を代表して、
特定不況地域中小企業対策臨時措置法案について質問します。
この
法案が
特定不況地域離職者臨時
措置法案と一体のものであると理解しております。そしてこれは特定
地域の
中小企業者の
経営の安定を図り、かつ、その離職者臨時
措置法案の方は、失業の予防、再就職の促進等の
措置ということになっております。この両者ともあわせて進めるということは当面重要であり、わが党としてもこういう
対策が必要であると主張しているところであります。しかし、いまの
円高、
長期不況の実態を見ますと、これを本当に打開するには、それこそ日本の高度成
長期を通じてつくり上げられた
経済構造そのものに触れるような抜本的な
対策がなければ効果が上がらないということにつきましては、たとえばわが党は九月二十日にこのような全面的な
政策も発表しております。したがって、わが党としましては、こういう方向の
政策へ転換させるということとあわせて、こういう
地域的な
政策もとられなければならないという主張に立つものであります。そういうことで、目的のところにも失業の予防、そういう
措置と相まってとありますが、こういうことで少し伺いたい問題があります。
さて、その一番
中心の問題は何かというと、先ほど高度成
長期と言いましたが、この期間に少数の大
企業独占グループが非常に急速な資本蓄積を行った。これは世界に例のない形で行われた。しかし、その急速な資本蓄積の反面では、労働者の悪い労働条件や下請
企業ぐるみの合理化といった下請
企業いじめも行われたし、
地域的に生活環境の悪化も広がった、インフレも広がった、さまざまなことがあったわけでございます。こういう働く国民、
中小企業が犠牲を払わされて進めた高度成長の行き着いた先というのが非常に過度な資本の過剰蓄積ということで、多くの分野に
不況があらわれているという結果であります。しかもこの期に及んで、その中で非常に力を強くした大
企業が、その資本力を使って、むしろ便乗行為として人減らし、労働者の首切りの先頭に立っているのではないだろうか。数々の
数字が示している。私はこの
数字を示すことができます。
これは、
一つは総理府の労働力調査を見ればわかると思います。ちょうど一九七三年から七七年、製造業について
雇用労働者の数を見ますと七十七万人減っておりますけれども、このうち特に五百人以上の大
企業で六十万人減っている。七十七万人減ったけれども、五百人以上が六十万人である。七八%を占めます。百人から五百人の規模では二十三万人減、一番小さい百人未満では六万人増ということになっております。大
企業がオイルショック後、主として労働者の首切り人減らしをやってきた。
さらに、ことし最近時をとってみますと、ことしの六月と昨年の同月を比べますと、製造業で同じく
雇用労働者が十万人ふえておりますけれども、千人以上について言うならば、十四万人減っているわけであります。つまり、第一に、大
企業が人を減らしているというのは、何か
特定不況業種の大
企業がどんどん人減らしをやっているわけではない。それから第二に、
中小企業の方がむしろふえているときに、最も急速にいまだに売り上げを伸ばしている部門も含めて総体的、絶対的に人減らしを進めているという問題であります。
しかもその規模たるや、一年間に千人以上で十四万人というと、五十三年度
予算公共
事業で直接の
雇用効果として昨年に比べて十七万人
雇用をふやすのだというのが公共
事業推進本部の発表した
数字でありますが、国が膨大な
予算をつぎ込んで計画的に十七万人ふやす施策をとっているかたわら、大
企業の方は十四万人もどんどん減らしていくということが放置されている。
ここらあたりの問題を取り上げなければ、幾ら
不況対策をやっても、あるいは
地域的にいろいろな
対策をとっても、結果はよくなっていかないのではないか、ここが非常に心配されるし、注目されるわけであります。
いま言った資料をもう
一つ補うものもついでに挙げておきたいと思いますが、いまの日本の大
企業といえば、たとえばアメリカを除く世界の大
企業五百社といえば、昨年も百十六社入って、イギリス、西ドイツの
企業数より多い。世界的な
企業になっているわけです。
産業労働調査所がこれは有価証券報告書に基づいて出したものでありますが、二百五十社、これは東証一部上場で好況、
不況産業を取りまぜてとったということであります。その二百五十社のうち百八十五社までが人を減らしている。四年間に二十一万五千人減らしている。
それに加えまして、私が実はこの前の
予算委員会に資料を
提出しておきましたが、こういう一番大きな
企業がどんどん人を減らしている、百八十五社で四年間に二十一万五千人も減らしている、こういう
企業は実は
経営状況が追い詰められて減らしているのではないということを示すものとして、この
産業労働調査所の資料とプレジデントが出している海外進出
企業の人員数の動向とを合わせた
数字を実は今度の
予算委員会にも出しておったわけでありますが、それは、さっき言った人を減らした百八十五社とプレジデント社の資料と重なって判明した部分六十六社について言いますと、ちょうど七四年ごろから最近時点をとりましてこの六十六社合わせると、国内では十三万三千人減らしている、海外では八万一千人ふやしているということであります。
また、各社について分析的に見ますと、仮に海外の人員を国内の人員で割った数を海外
雇用係数という呼び方で呼ぶならば、六十六社のうち五十五社までが海外
雇用係数をふやしておりますし、この係数が二〇%以上の会社というのは、この間十一社から二十五社へというふうにふえているわけであります。
このように、大
企業の人減らしというのは、まさに世界の大
企業、多国籍
企業になっていこうという
経営戦略の転換に伴ってやっている。こういう実態を見るときに、いまの大
企業の首切り人減らし合理化に対しては、これは
政府としても実態をもっとつかむ必要もあるし、
対策をとる必要があると思いますが、これについて労働省と
通産省から
答弁をお願いします。