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1978-11-21 第85回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年十一月二十一日(火曜日)     午前十一時三十七分開議  出席委員    委員長 久保  等君    理事 池田 行彦君 理事 登坂重次郎君    理事 島本 虎三君 理事 水田  稔君    理事 古寺  宏君 理事 中井  洽君       高村 坂彦君    西田  司君       萩原 幸雄君    福島 譲二君       藤本 孝雄君    岩垂寿喜男君       土井たか子君    馬場  昇君       坂口  力君    東中 光雄君       工藤  晃君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 山田 久就君  委員外出席者         警察庁交通局交         通規制課長   福島 静雄君         警察庁警備局警         備課長     依田 智治君         環境庁企画調整         局長      上村  一君         環境庁自然保護         局長      金子 太郎君         環境庁大気保全         局長      山本 宜正君         環境庁水質保全         局長      馬場 道夫君         法務省刑事局公         安課長     河上 和雄君         厚生省環境衛生         局食品化学課長 宮沢  香君         農林水産省構造         改善局計画部地         域計画課長   川村 浩一君         農林水産省構造         改善局建設部水         利課長     伊東 久弥君         水産庁研究部漁         場保全課長  伊賀原弥一郎君         通商産業省立地         公害局工業再配         置課長     宮野 素行君         運輸省海運局総         務課長     川口 順啓君         運輸省船舶局造         船課長     間野  忠君         運輸省港湾局計         画課長     小池  力君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部施         設課長     岩橋 洋一君         海上保安庁警備         救難部長    村田 光吉君         建設省都市局下         水道部長    井前 勝人君         建設省道路局企         画課長     渡辺 修自君         日本国有鉄道新         幹線建設局長  吉村  恒君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団総裁)   篠原 武司君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団理事)   藤田 雅弘君         特別委員会第一         調査室長    綿貫 敏行君     ————————————— 十月二十日  一、環境影響事前評価による開発事業規制に    関する法律案土井たか子君外四名提出、    第八十回国会衆法第三四号)  二、環境影響事前評価による開発事業規制に    関する法律案古寺宏君外二名提出、第八    十回国会衆法第三九号)  三、水俣病問題総合調査法案馬場昇君外二名    提出衆法第一号)  四、公害対策並びに環境保全に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付し先案件  参考人出頭要求に関する件  公害対策並びに環境保全に関する件  休廃止鉱山鉱害防止事業促進に関する件      ————◇—————
  2. 久保等

    久保委員長 これより会議を開きます。  公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。  この際、委員長より御提案申し上げます。  休廃止鉱山鉱害防止事業促進に関する件について決議をいたしたいと存じます。  本件につきましては、理事会等におきまして協議を願っておりましたが、その協議が調い、案文がまとまりました。  便宜、委員長から案文を朗読いたし、その趣旨説明にかえたいと存じます。     休廃止鉱山鉱害防止事業促進に関する件   現在、休廃止鉱山からの鉱害防止するため、金属鉱業等鉱害対策特別措置法及び金属鉱業事業団法等により、鉱害防止対策が実施されているところであるが、いまなお、鉱害防止義務者が不存在または無資力である休廃止鉱山からの坑廃水等の流入による河川等水質汚濁が見られるところもある。   これら公共用水域水質改善を図り、環境基準達成をめざすことは、環境保全上緊急の課題である。   よつて政府は、次の措置を講ずることにより鉱害防止に万全を期し、もつて国民の健康及び生活環境保全に資すべきである。  一 休廃止鉱山坑廃水に関する効率的な防止技術開発に努め、その早期実用化を図ること。  二 特に旧松尾鉱山鉱害防止事業における坑廃水処理施設維持管理について、地方公共団体負担の軽減を図るため、坑廃水処理事業の、費用負担あり方及び実施主体あり方について検討すること。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。  お諮りいたします。  ただいま読み上げました案文を本委員会決議とすることに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 久保等

    久保委員長 御異議なしと認めます。よって、休廃止鉱山鉱害防止事業促進に関する件を本委員会決議とすることに決しました。  この際、山田環境庁長官より発言を求められておりますので、これを許します。山田環境庁長官
  4. 山田久就

    山田国務大臣 ただいまの御決議につきましては、御趣旨を体しまして政府として努力いたす所存であります。
  5. 久保等

    久保委員長 なお、本決議参考送付等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 久保等

    久保委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  7. 久保等

    久保委員長 引き続き、公害対策並びに環境保全に関する件について、質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島本虎三君。
  8. 島本虎三

    島本委員 長官、年々悪化しております海や湖沼、河川汚濁、これはいろいろな問題を発生さしておることはもう御承知のとおりであります。これは放置できない状態であります。水質汚濁激化原因は、たとえば瀬戸内海のような閉鎖性水域においてもいろいろ議論されております。家庭下水工場排水に大方の原因があるということが言えると思うのです。この対策として、いま大規模流域下水道として全国でこれが建設促進されているわけであります。これを産業政策一環と見るのですか、それとも水質保全環境対策一環として見ておりますか、長官にお伺いいたします。
  9. 山田久就

    山田国務大臣 ただいま御指摘いただきましたように、わが国の環境保全という見地からいたしまして、水質というものの汚濁防止して、これを優良な状態保全していくということは、環境政策の中の重要なる一環でございます。ことにこの水質保全につきましては、今日までの状況瀬戸内海その他閉鎖水域実情を見ましても、家庭排水というものに対する対策というものをもっと万全を期さなきゃいかぬ。それには、下水道というものの普及というものが先進諸国と比べまして非常におくれているこの実情におきまして、どうしてもこの問題に十分な力を入れてやっていかなければだめだ。これは島本委員も御指摘のとおりであって、全く同感でございます。そういうような意味におきまして、今日環境政策上の不可欠な一つ対策事業として下水道整備ということを考えていかなきゃならぬ、こういうふうに考えております。
  10. 島本虎三

    島本委員 これは環境公害対策として欠くことのできない問題だ、こういうふうなことであります。そうするならば、下水道法第二条第四号に決められております流域下水道について、特に終末処理場建設予定地、最近住民との間のトラブルが発生して、警察機動隊が出動したり検挙者を出したり、異常な状態が見られるわけであります。私も直接調査したあの群馬県の玉村町もその一つであります。建設省指導して、都道府県事業主体になっているこの流域下水道計画に対して、いまのような重大な問題であると長官言うならば、どの程度かかわりを持っているのか。水質保全立場からどう受けとめておりますか。どの程度これを把握しているのか。これは説明を求めます。
  11. 馬場道夫

    馬場説明員 ただいまの御質問でございますが、ただいま長官から申し上げましたように、流域下水道につきましては環境政策上非常に重要な地位を占めるわけでございます。そこで下水道法の改正によりまして、流域下水道整備総合計画につきましては、いわゆる流総でございますが、それにつきましては、建設大臣が認可をする際に私ども協議にあずかっておるわけでございます。その際に環境保全立場からいろいろ御意見を申し上げておるわけでございますが、ただいま御指摘のございました終末処理場の問題でございますが、流総計画におきまして、やはり全体の計画の中で終末処理場規模なり、そういうものにつきましては非常に重要なことでございます。そういう意味で私どもも重大な関心を持っておるわけでございますが、ただ下水道法制度から申し上げますと、御承知のように個々下水道事業計画につきましては、制度上は環境庁長官との協議はないわけでございますが、私ども水質保全立場から重大な関心を持っておることは先ほど申し上げたとおりでございます。そういう意味におきまして、利根川の問題につきましても私どもも重大な関心を持って見ておるということでございます。ただ終末処理場の問題につきましても、私どもやはり流域全体の計画と申しますか、そういうものをよく検討しなければならないというように考えておるわけでございます。
  12. 島本虎三

    島本委員 それならば群馬県のこの県央下水道について、建設省との間に協議を行いましたか。
  13. 馬場道夫

    馬場説明員 私ども建設省の方から非公式には話は承っておるわけでございますが、私ども県央終末処理場判断する上におきましては、それの大きな計画といいますか、全体計画がもうちょっと明確になりませんと、私どもなかなかまだ意見を申し上げる段階ではないというふうに思っておるわけでございます。
  14. 島本虎三

    島本委員 計画が明確になった場合にはそれをそのまま実施される。あなたの方にはこれは法的に協議を受けない、こういうようなことになっているのでしょう。それならば計画、実施された、そのままでき上がったらやられてしまうじゃありませんか。それほど重要な問題なのに法定されていない。黙って計画完成を待っていると言う。完成を待ったらそのままずっとやられてしまうじゃありませんか。どうするのですか。
  15. 馬場道夫

    馬場説明員 私どももなるべく早く全体計画樹立をされることを望んでおるわけでございますが、現実に全体計画樹立をされる前に事実上進捗するということであれば、これまた非常に水質保全上の問題もございますので、私どもその間におきましてもいろいろ連絡を十分密にしながらやってまいりたいと思うわけでございます。
  16. 島本虎三

    島本委員 環境庁設置法三条、四条、五条知っているでしょう。環境上の問題や公害に関する問題に対しては積極的にやれるのです。それを黙って待っているなんというのは、いままでだらしがない。そして問題が起きてからつるし上げられる。こんな環境庁だからこのごろはない方がいいのじゃないかなんと言われるのです。もっとしっかりしないとだめなんです。もうすでにこの問題なんかは結論が出ている。それならば環境庁判断基準は何ですか。発生源防止するのがこれは公害政策の原則だと思うのですが、この環境庁判断基準、これをまず知らしてください。
  17. 馬場道夫

    馬場説明員 私どもまず全体の計画を見ます場合に、流総にありますようなことになるわけでございますが、人口あるいは産業のフレーム、これは現況なり将来構想の問題がございます。あるいは土地利用状況なりあるいは当該流域公共用水域におきます水質現況なり将来の見通し、あるいは下水道以外の汚濁負荷量処理現況なり見通しの問題、それから終末処理場規模あるいは位置等の問題があるわけでございますが、そういうものにつきまして環境基準達成維持をするという観点から私どもいろいろ検討をいたすわけでございます。
  18. 島本虎三

    島本委員 大臣、いま言ったのですが、あなたも、この環境保全上、公害対策として、この規模立地の点までもその判断基準に入っているというのですが、今後きちっとしてやっていく決意がありますか。
  19. 山田久就

    山田国務大臣 この種事業計画については、いま局長からもお話し申し上げましたけれども環境に与える影響ということについては十分配慮しなければならない本質的な問題であることは先ほど私が申し上げたとおりでございます。したがいまして、いまいろいろ進んでいるような状況、さらに十分の情報も得まして、これについての適切な対策がとられる、こういうことについてひとつ十分の努力をしてまいりたいと思います。
  20. 島本虎三

    島本委員 十分なる努力なんて、努力と言わないで対処すると言えばいいんですね。いま言ってもしようがないから、十分努力してください。  この公害防止環境保全、この責任は、流域下水道をやる場合には環境庁にありますか、建設省にありますか。建設省、どう考えましょうか。
  21. 井前勝人

    ○井前説明員 先ほど環境庁の方からお答えがございましたように、広い意味下水道整備の大筋を決めまする流域別下水道整備総合計画につきましては環境庁協議して決めていく、それに基づく個々事業につきましては行政責任でございます建設省が所管していく、つまり、流域下水道事業そのものにつきましては建設省が所管していくという形になっておるわけでございます。
  22. 島本虎三

    島本委員 この公害防止環境保全についての責任ですよ、これは持つんですね。それともこれは環境庁が、本来の仕事ですから、これは公害防止環境保全についての責任はあるんだ、こう考えるのか、どっちかなんだというのですが、これは建設省かな、どうなんですか、環境庁
  23. 馬場道夫

    馬場説明員 広い意味当該流域を含めまして水質保全をする、あるいは環境基準達成をするということにつきましてはこれは環境庁でございますが、下水道事業そのものにつきましてはこれは建設省でございます。
  24. 島本虎三

    島本委員 この玉村町の終末処理場予定地、これは土地改良構造改善パイロット事業維持管理事業なんか、圃場整備事業を実施した優良農地なんです。多額投資をしているわけです。こういうようなところをなぜつぶすのでしょうか。投資効果から見ても、これはむだではないか、こう思うのですが、ここを選定した理由について建設省に伺いたい。
  25. 井前勝人

    ○井前説明員 終末処理場位置選定に際しましては、自然的、社会的な地域特性を考慮し、建設維持管理上、最適な位置とする必要がございます。本地域につきましては、特に以下の点に留意しつつ、処理場適地検討を行ったわけでございます。一つは、水質環境基準達成するためには、低水流量の比較的大きい利根川本川に処理水を放流することが適当であるということ。二番目は、地形上、汚水集約が容易でかつ経済的であり、河川自然流下により放流することが可能な地盤だからであること。三は、周辺の人家が少ないこと。以上の観点から詳細に検討を加え、さらに周辺農地に対するつぶれ地の割合がなるべく小さくなるように改良いたしました結果、現計画位置終末処理場を配置することになったわけでございます。
  26. 島本虎三

    島本委員 農林省、従来多額の国費や県費を投じた農地として努力してきたこの場所、これは避けさせるべきじゃないですか。農林省としては、この玉村町の予定地決定をどのように考えておりますか。計画決定に当たって農林省はどのような立場協議に当たったのですか。今日の段階でも計画の変更を求めるべきではないかと思いますが、御所見を伺いたい。
  27. 川村浩一

    川村説明員 ただいまの先生の御質問でございますが、農林水産省といたしましては、申し上げるまでもなく国民食糧安定供給、さらには食糧総合的自給力の強化というのが農政基本でございますので、その基本になります生産力の高い農地あるいは公共投資の対象になりました農地あるいは集団的農地、この種の優良農地というものは極力保全をしていくという考え方農地政策を進めてまいっているところでございます。  しかしながら、一方、いろいろ公共施設につきまして、公共福祉上の強い要請もございます場合に、この公共福祉からの要請農地政策要請とどのような調整、調和をとっていくかという問題がございますが、その際に、都道府県知事の場合は、農地政策という要請公共福祉からの要請と、都道府県知事が総合的に判断をする、そういう観点に立ちまして、農地法でも、都道府県知事の場合には許可除外の扱いをしているというたてまえになってございます。これが制度上の問題でございますが、しかし、他方、行政指導の問題といたしましては、地方農政局を通じまして、群馬県の農政担当部局に対しまして、優良農地が極力つぶれることが少ないような形で位置選定を考えるという面でいろいろ指導もしてまいったところでございます。  ただ、本件につきましては、御承知のように、この流域下水道の末端、終末処理施設がいわば扇のかなめになるような場所位置選定をせざるを得ないという問題がございまして、この施設性格柄本件につきましては位置選定農地のつぶれを最小にするという行政指導を踏まえまして、やむを得なかった面があるのではないかと考えておるところでございます。しかしながら、今後の問題といたしましても、やはり周辺農地に対する悪影響を極力少なくする、さらには周辺農家への営農上の問題が起きないようにできる限り努力するよう、県当局指導してまいっておるところでございます。
  28. 島本虎三

    島本委員 どうも言っていることが前後するか、とんちんかんかわからぬですね。指導した結果が、そこが最適地だと言われて、そのまま実施されようとしているでしょう。この玉村町の終末処理場予定地、なぜこの優良農地をつぶさせるのでしょうか。利根川本流鮎川鏑川烏川、これはたくさんありますから、一本にしなくても分散に適している最適の場所じゃありませんか。これは積極的に分散すべきだと思うのです。何で人口一万五千人程度のこの場所に、排水量がたった二%ぐらいの汚水しか出していないこの玉村町に全部集めるのか。これも一度返上したはずです。ところが、女子大学をつくってやるというえさで、これまたそれをひっくり返した。何たるやり方でしょう。これは地元民を愚弄するやり方ではないですか。やはりこれは分散に適している最も優良地だ。いまのような理由で、それをもう一回検討すべきだと思うのです。そのほかに土地だってあるでしょうし、何でこういうような農地優良地をつぶすのか。農林省も、やられるままにして、県を指導しているといっても何も指導は入ってないでしょう。建設省、もう一回この計画をやり直す決意はありましょうか。
  29. 井前勝人

    ○井前説明員 この計画につきましては、特に終末処理場場所選定につきましては、やはり下水道法とともに都市計画法下水道事業が実施されるわけでございます。したがいまして、この処理場適地云々につきましては、都市計画地方審議会におきましても議論されておりまして、その審議会の結果ここが適地であるというふうな答申もいただいておるわけでございますので、計画の中身を変更する予定はございません。
  30. 島本虎三

    島本委員 あなた、これを見たら地元民は怒ると思いませんか。高崎市が二十五・一万トン、前橋市が三十・三万トン、そしてその他の十七市町村が四十二・六万トン、計画処理量九十八・二万トン、そのうち玉村町はほんの一・九万トン、それも二%しか示さない。この図でこのとおりですよ。見てください。わかっているでしょう。大臣もこれをよく見ておいてください。そしてこれが最も分流しやすい場所なのです。いろいろ川があるのです。利根川だけではないのです。利根川本流はもちろん、鮎川鏑川烏川、たくさんあるのです。分流に適する、それも農地としての優良農地をつぶさしてこれをやる、もってのほかじゃありませんか。これで農民が怒らないのは不思議なくらいです。それに対しては警察権力まで発動させている。これは許せないことです。そして維持管理費は、建設省分流するのとこういうような流域下水道にするのとどう違うのですか。
  31. 井前勝人

    ○井前説明員 分流という意味は、たとえば公共下水道で実施することもある意味では分流ということになると思いますが、その地域状況によりまして市街地が比較的連檐しているようなところでは、やはり共同して建設をし、かつ維持管理する方がトータルのコストの面でも有利だというようにわれわれは考えておるわけでございます。それからまた、個々市町村で管理することは、技術者の確保の面で非常に容易でない面もございます。そういう維持管理の面からもやはりある程度地域的にまとまった地域は、流域下水道の方式で維持管理する方がよりベターだというふうに考えておるわけでございます。
  32. 島本虎三

    島本委員 これは十分調査した結果だと思うのですが、私の手にあるのは岩波書店の一九七七年第七巻ナンバーワン、「公害研究」という本です。この本の内容で見ますと、別に汚水量が大規模化すれば安くなるということではないようです。五万トンであっても十万トンであっても、三十万トン、四十万トンであっても維持管理費は別に安くなっていない。御存じですか。実際、処理場で調べた結果、私も読んでみたのですが、大規模化すれば安くなるということにはならない。安くなるというのならその資料を出してもらえますか。よろしゅうございますか。なお、この「公害研究」をお読みですか。
  33. 井前勝人

    ○井前説明員 私もその「公害研究」の座談会に出ておりますので、よく読んでおります。それから維持管理費が安くなるといいますのは、その集約の仕方によりますけれども、それはわれわれとしてはデータを持っております。もしあれでしたら、後ほど資料として提出させていただきたいと思います。
  34. 島本虎三

    島本委員 その資料を要求いたします。  これも十分読んでいると言うなら、重ねてお伺いしたいのでありますが、湖北流域下水道でも最近使用料が発表になって、月十トン当たりの基本料金一千五十円と出ている。そして奈良県大和川の浄化センターの場合は使用料が五千八百万円入ってくる。五十一年度の実績、二億三千六百万円維持管理費がかかっておる。そうすると赤字は県の一般会計から出される。安くなっていない、高くなっている。これが安くなるという建設省考え方はちょっとおかしいじゃありませんか。玉村町についても同様、分散化する、小規模化する、これが財政上からいっても妥当じゃありませんか。これが安くなっている実態ですか。具体的な数字をいま言ったのですが、いかがですか。県の一般財政を圧迫することになり、当然県民の負担になるじゃありませんか。これは安くなるのですか。
  35. 井前勝人

    ○井前説明員 下水道施設そのものの仕組みを申し上げますと、まず終末処理場、それから根幹的な施設をつくって、逐次毛細管をつくっていきまして供用開始をしていくわけでございまして、建設当初からのある期間はいわゆる先行投資的なものが多うございますので、それに見合う収入が上がらないのは下水道一つの宿命みたいなものでございます。しかし、逆に言えば、今度はある期間が過ぎますとそういう根幹施設ができておりますから、小さい毛細管整備することだけでどんどん使用料その他が入ってくるわけでございまして、トータルとして見ればそういう過大な投資にはならないわけでございますので、問題は、ある先行投資期間が生きてくるまでの財政の問題が御指摘のようにあろうかと思います。これにつきましては、たとえば当面、事業主体である府県が用意しまして、いずれはそれは使用料で入ってくるわけでございますが、その間何らかの財政補てんをしていくということはあり得ると思います。
  36. 島本虎三

    島本委員 奈良県の場合は五千八百万円しか入ってないのに、五十一年度二億三千六百万円の維持管理費がかかっている。それならばいつの日に完全にこれを充当できるのか、そういう見通しはあるのですか。見通しがないままに、大きければいいのだというような考えで漫然とこの計画を実施し、住民の反対に遭っているのじゃありませんか。やはりこういう考え方行政のずさんさがあらわれているのじゃないか、こう私は思っておるのであります。本当に企業が来る。流域下水道の場合は、あくまでもこれは企業サイドからもいろいろ考えられた結果じゃないかと思うのですが、大規模化しても維持管理費は安くなっていない。建設省のこの根拠は誤った統計処理によるものじゃないか、こう思うわけでありますが、それにしても建設費についてはどうなのですか。
  37. 井前勝人

    ○井前説明員 小さな処理場をたくさんつくった場合のトータルコストとある程度集約した場合のトータルコストとは、当然ながら建設費も安くなるというふうにわれわれは見ておるわけでございます。
  38. 島本虎三

    島本委員 やはり大型化すれば安くなる、これは大規模集中化すると安くなる、小規模分散化すると高くなる、そうすると、玉村町の県央処理場の最適化計算をした結果、これは安くなるということですかどうですか。その計算がありますか。
  39. 井前勝人

    ○井前説明員 もちろん、その辺の検討は十分しておるものでございます。
  40. 島本虎三

    島本委員 十分それを検討した結果だと言うならば、それも計算した結果を資料として要求いたします。よろしゅうございますか。
  41. 井前勝人

    ○井前説明員 後ほど資料として提出さしていただきます。
  42. 島本虎三

    島本委員 この玉村町の計画いろいろありますけれども、先に大きいものをつくっておくと後から安くなる、こういう考えのようでありますが、工場排水もこの中に入れる計画であるということを聞いております。混合処理した場合には工場排水が障害になって、本来処理できるはずの有機物までも処理効率を低下させる、こういうようなことが言われておるわけであります。  なお、この汚泥についても、汚泥の処理、処分が困難になるということも言われておるわけであります。現実の処理場、いろいろと調べてみましたが、そのようなはっきりしたデータも出ているわけであります。当然これは工場排水と生活排水と分離すべきであると思いますが、これを混合処理させなければならないという理由を承りたい。
  43. 井前勝人

    ○井前説明員 生活排水と工場排水考え方でございますが、まず基本的には、下水道という施設は都市の一番基本施設でございます。ところが都市というものは生活のみでなく、そこには商業もありあるいは生産もあるというのが都市の基本でございます。そこから発生する汚水については、都市の施設であるという意味から、当然受け入れるというのが現在の下水道法の体系になっております。  その場合に、御指摘のように現在の下水道処理方式は生物の働きによります処理でございますので、その生物の働きに支障を与えるものが入ってはいけないということから、下水道法の中にきちんと有害物質の基準というものを決めておりまして、そこまでは工場で落としてもらう、その上で下水道に受け入れるということになっておりますので、いま決めております基準まで落ちれば生物処理には支障はないというふうにわれわれ判断しておるわけでございます。
  44. 島本虎三

    島本委員 有害物質の基準まで落とす。これは落とせば後はよろしいということですか。そのためにはどういうような指導をしているのですか。
  45. 井前勝人

    ○井前説明員 この問題は、昭和五十一年度の下水道法改正のときにずいぶん議論していただいたわけでございます。確かにそれまでの下水道法は、一般の水質汚濁防止法と比べまして若干手ぬるいところがあったということから反省いたしまして、特に有害物質につきましては、公共用水域に出す場合と下水道に入れる場合は同じに基準を適用しまして、かつそれに違反した場合は直罰を適用するということに、昭和五十二年度の法律で改正しておるわけでございます。  ですから、そのためには、一定の基準まで落とすには各企業で、いわゆる下水道法用語でいきますと除害施設ということを言っております。除害施設をきちんと各企業等でやってもらう。もちろん、そのためには下水道管理者側で徹底した監視、パトロール、そういうものをあわせてやっていく必要があるわけでございます。そういう意味で、私ども特にそういう除害施設の充実について、財政面も含めて各企業にきちんとしてもらうような指導を公共団体を通じて実施しておるところでございます。
  46. 島本虎三

    島本委員 下水道に入れてしまえばわからなくなるじゃありませんか、地下何メートルかぐうっと行ってしまって。工場から出ていって、工場の方がいいと認めたって、それをそのまま流してしまったら一切わからないじゃありませんか。わかる方法があるんですか。
  47. 井前勝人

    ○井前説明員 下水道といいますのは公共施設でございますので、公共施設に各企業なりあるいは普通の住民が接続する場合は、必ず下水道管理者の承認が要るわけでございます。したがいまして、どこに工場排水がつながれたかということは、そのままつなぐのではなくて、升等をきちんと設けて、ここが接続地点であるというふうに明示するようにしておりますので、接続地点は決してわからないということはないというふうにわれわれは考えておるわけでございます。
  48. 島本虎三

    島本委員 この除害施設があるからそれはいいんだ、こういうようなことであります。そうすると、除害設備する前に下水道法が変わって、今度は公共用水域に流すのも下水道に流すのも同じようにして有害物資は取り除くんだ、こういうようなことです。そういたしますと、同じようなんだったら、別に下水道をやって高い金を払わなくてもいいじゃありませんか。公共用水域にただ流してもいいじゃありませんか。無理やりに下水道に入れて、高い金を払わなくてもいいじゃありませんか。ことに工場排水、冷却水、こういうようなものが多いでしょう。きれいだから下水道に入れてもいいと言うのか、入れなくてもいいと言うのか、そのまま放流してもいい基準になっているでしょう。そんなのまで入れてしまうというのは、ちょっとおかしいじゃありませんか。逆に企業にしたら、二重投資になるんじゃありませんか。こんなようなことは考えられないと思うのでありますが、現実にはどうなんでしょうか。どうしてもきれいな水をきちっと基準どおりに出していると言うならば、公共用水域にそのままつないでもいいんです。流域下水道へ入れて金を払わなくてもいいわけなんですが、一体これは公共下水道でも流域下水道でも、そういうようなものを入れなければならない義務はどうしてあるのですか。
  49. 井前勝人

    ○井前説明員 工場排水と言いましても、その水質が非常に幅が広うございます。たとえば、いまのような有害物質を含む排水もあれば、そうでない、いわゆる有機性汚濁を含む排水もあるわけでございます。したがいまして、下水道法で有害物質については公共用水域に出す基準と同じように決めておりますが、そのほかのいわゆる有機性汚濁物質つまりBODとかSS、そういうものはむしろ個々処理するよりも、下水道で総括して受けた方が総合経済的に有利であるという判断でございますので、その水質に応じて、あるものはきちんと基準を設け、あるものは有機性汚濁についてはむしろ積極的に入れて、下水道で総合的に処理するという考えになっておりますので、そういう点は矛盾はないというふうに考えておるわけでございます。
  50. 島本虎三

    島本委員 これは中には監視するのに、監視は十分行われるものだという考え方がきちつとあるようですね。われわれが調査したところによりますと、これは除害施設はあっても現実の処理場を見ると除害施設が運転されなかったり機能してない。したがって、汚泥を現実に処理しにくくしているのが実態だ。これは東水労の資料によれば、実際、除害施設は機能してない、こう報告されているんです。常識的に考えても、これはやはり水濁法の規制基準まで下げるとするならば、これはもう下水道に入れる必要は当然ないわけだ。したがって、この除害施設があっても機能させてないわけだ。機能させないで除害施設だけつくっておいたって、何もならない。結局、それは公共下水道なり流域下水道なんかへみんな流してしまうということになるじゃありませんか。これは本当に知っているんですか、こういうような実態を。口だけでそれを言ったって、だめなんですよ。資料に基づいて、はっきりあなたも知っているのですか。そしてまた除害施設のほか、監視もきちっと行われるという考え方なんですか。重金属に対しては一体どうなんですか。
  51. 井前勝人

    ○井前説明員 御承知のように、下水道法下水道は必ず終末処理場を設けなければいけないというふうに変わりましたのは、昭和四十五年の公害関係の法律で一挙に十数法が成立しましたが、そのときにあわせて下水道も必ず終末処理をするというふうになったわけでございます。したがいまして、確かに除害施設に対する公共団体の考え方も、必ずしも従来はそれほど強い認識はなかったようなきらいはございます。したがいまして、除害施設が必要であるのに対しまして、実際の設置率は七〇%程度でございまして、なお三割程度は除害施設が設けられてないのが実態でございます。したがいまして、これは当然ながら下水道としてはきちんと監視していくことになるわけでございますが、この工場の監視につきましては、仮に公共用水域に出した場合には公害部局の監視になりますし、下水道に入れれば下水道での監視になるわけでございますから、どちらかの立場で監視ということはやはりやらなくてはいけないわけでございます。下水道に入れた場合はきちんと接続点を明示して、自分たちの処理場から出る水質を確保する必要がございますので、下水道側で監視しておるわけでございますので、これは下水道へ入れるからルーズになる、公共用水域に出すから厳しくなるという性格のものではない。仮に公共用水域に出す場合でも、監視というものは公害部局でのきちんとした監視が必要になってくるわけでございますから、それが公害部局であるか下水道部局であるかの違いだけでございますので、監視という面は両部局においても重要なことだと思うわけでございます。
  52. 島本虎三

    島本委員 どうも私、あなたの言うことはきちっとわからぬですね。  では、監視は厳重にするとするならば、一年間か、一カ月か、一週間か、何回くらい監視させるつもりなんですか。
  53. 井前勝人

    ○井前説明員 これは一律に何回ということではなくて、下水道の管理者は東京であれ、名古屋であれ、九州であれ、それぞれその地域における特定事業場の性格なり数なりが若干違いますので一律には申せませんけれども、実際に届けさせるときに生産工程なりそういうものを把握しておるわけでございますから、毎日毎日そういう生産工程が変わるような排水であれば毎日必要でございましょうけれども、それほど生産排水が変わらないようなものというふうに判断すれば、たとえば月に一回というような監視でもいいというようなものでございますので、一律に何回というような指導のものではないというふうに考えております。
  54. 島本虎三

    島本委員 ルーズきわまりない考え方。そんなことでやったら、もう環境汚染はおろか、幾ら総量規制しても言葉だけ、法律だけあっても全然できません。現にこれはどうしたことですか。「設置された除害施設の運転については、責任者をおき、常時監視をし、その状況や分析値を記録する義務が定められているが、実際は責任者ですら計器類の管理にうとく、電源が入っていれば除害施設が正常に運転されていると思っている人もある。企業別の除害施設設置状況は、工場数の多い鍍金業、印刷業については比率が高く、逆に皮革関連業種については、そのほとんどが処理施設を有せず、」こういうふうになっているわけです。こうして見ると、あなたがやると言ってもこういうような監視の状態責任者を置いて常時監視すると言ったって、こんな状態で何が法律どおりに行われますか。これは実際やった人の手記なんですよ。こういう状態だ。まして、一たん下水道へ入ってしまえば、わりあいにこの問題をシビアにやっている東京都でも一工場あたり一年間の平均が一・三回しか立入検査がされていないんですよ。工場側はこのようにルーズな状態だ。いかにこれを常時監視するといっても、東京都でさえも年平均一・三回、これで監視が十分できるのですか。それでも東京都の方はわりあいによくやっている方なんです。よくやっている方で立入検査が一・三回だという。都よりもおくれた流域下水道関係都市でどんな監視ができるのですか。あなたの言っていることはうそじゃありませんか。それとも、その地域には十分な定員を配置しておいて、いつでも接続している工場の監視は一週間に一回なり月に一回なりやらせるつもりですか。東京都でさえもこのとおりだ。こういうデータが上がっている。一体どうして監視が十分できますかね。その除害施設だって、実際は除害施設はうまく機能していませんよ。下水道の除害施設係がこういうふうに言っているのであります。現実の問題です。それを今度あなたが知ってか知らずか、やろうとするわけだ。一体工場排水と生活排水と分離して処理するということはできないのですか。また、そういう考え方が一番要求されていると思うのですが、そういう考え方は一切ないんですか。
  55. 井前勝人

    ○井前説明員 先ほども申し上げましたように、公共下水道であれ流域下水道であれ、都市の基盤施設である以上は、都市の中に工場もあれば生活もあり商業もあるという都市機能から見まして、分離することは都市施設としての機能にはならないわけでございますので、一応基本的には、都市施設と言う以上はそういう市街地における汚水はすべて引き受けるというのが基本でございます。ただ、場所によりまして、たとえば工業団地みたいな形になっておりまして、臨海コンビナート地域あるいは新しい工業団地等がある場合は、最初から計画的に工場排水だけを処理するように計画できる場合は、そこは取り込まないで、それ以外の地域の市街地の下水を総合して取り込むということはあり得るわけでございますが、既成市街地の中では御承知のように非常に混在しておりますので、その中で家庭排水専用下水道管あるいは工場排水専用下水道管を引くことは事実上、道路の地下埋設物との関係もございまして、それはものすごい建設の問題になりますので、そういう混在している地域は一応家庭排水工場排水も含めて処理するというのが現実的な解決であるというふうに考えております。ただしその場合は、きちんと生物を傷めないようにある一定のところまでは前処理をしてもらう。ただ、いま先生御指摘のように、そう言っても除害施設はそんなにうまくいっていないじゃないかという御指摘はわれわれもよく把握しているわけでございまして、これにつきましては、何分下水道法が改正になりましたのは、去年の五十二年六月から動いているわけでございますので、まだ日も新しゅうございます。したがいまして、もっとその法律の趣旨も徹底しまして各公共団体に人の確保——やはり監視するには人が要ります。それから、監視するためにいろいろ維持管理費用がかかりますが、維持管理する財源も必要になってまいります。そういうものも含めまして監視の充実を進めるというのが御指摘のように今後の下水道行政の大きなキーポイントだと私は考えておるわけであります。その趣旨で除害施設の監視も十分強化していく必要があると考えているわけでございます。
  56. 島本虎三

    島本委員 除害施設をやればいいと言っても、流域下水道の場合は、きちっとその基準を守らしたら、公共用水域の方へ流してやる方はただだし、流域下水道に入れれば金を取られるのだから、利益のないことをいまの資本構成の中でやりますかね。除害施設なんか看板だ。これはやってますよと見せるだけだ。後は全部流してしまう、こうでしょう。それで、いまちょっとあなたも言っているのは——過去の問題を言っているのじゃないのです。確かに混在しているような過去のそういうようなところに対しては、これはもうきちっと生活用排水と工場用排水と分離できないところがある。ことに大阪なんかのようなところはある。東京だってある。そういうような過去のそのことを、過去は過去としてこれからきちっとしてやるようにまた考えればいいわけです。指導すればいいわけです。しかし、今後もつくられる流域下水道、こういうようなものに対してでもそういうような考えだとすると、これはとんでもないことだ。発生源対策一つとしての家庭汚水、こういうようなものと工場排水と、今後もこれは質も量も同じだ、こういうふうに考えられるとするならば、現在までのものはやむを得ないとしても、これからの計画の中にそういう考えを持ってやるのはけしからぬやり方です。もってのほかだ。すりかえですよ。したがって、そういうようなところに対しては万全を尽くしてやればいいんだ、いままでのところは。これからの計画は別の角度で、これはもうきちっと分けてやったらどうか。あなたは分ける考えがないと言う。そうならばなおさら環境悪化に流域下水道は貢献することになるじゃありませんか。過去のことだけ言っているのじゃないのだ。過去のことは過去のことでどうしても分離できないようなところはやらざるを得ないでしょう、おっしゃるように。これからの点についてはっきりすべきだと言っておるのです。したがって、これからやる場合には分離してきちっとして、生活排水は生活排水としてやる、工場排水工場排水としてきちっとやらせる。それを混合処理をさせる、こういうのは誤りだ。どの点から見てもこれは誤りだ、こう思うわけです。やはり分離すべきです。あなたはどうしてもこれを混合処理がいいんだと言う。この考え方、過去の場合はわかるのだよ、できなかったんだから、そうやってきたんだから。しかし、これからの場合もそうしなければならないという考えは間違っておる。意見を聞きましょう。
  57. 井前勝人

    ○井前説明員 その市街地の中の形態が混在しているということは、別に過去であろうが現在であろうがわれわれは問題じゃない。現実に先生のおっしゃっておりますのは、たとえば東京とか大阪みたいにすでに過去にやった下水道はという意味だと思いますけれども、都市形態の混在の状況というのは、現在でもたとえば新たに流域下水道を始める地域でも、都市形態というのは決して分離されておらないわけでございます。商業地域であれ工業地域であれ混在した地域で、かつ下水道のない地域が多いわけでございます。下水道の普及率は、現在、全国で平均しますと二六%と言いますのは、すでにでき上がっておる既成市街地の中で下水道がないのが約八割もあるわけでございますので、そういうところに新たに下水道を進めていく場合に流域下水道という形態もあれば公共下水道という形態もある。そういたしますと、すでにでき上がった都市形態の中で下水道流域下水道で進める場合には、やはりそこには都市の用途、土地利用から見まして混在しているわけでございますので、その中でさらに生活排水と工場排水を分けるようなことは、現実に町ができ上がっているわけですから、それは非常に現実的ではないというふうに私は考えるわけでございます。
  58. 島本虎三

    島本委員 だから昔と一緒に処理するのが正しいんだということになるとすると、常時監視をつけてもいない、こんなことはできない。そうしたならば、それをやらせることは環境悪化に貢献することになる。ことにこの常時監視ができないから自動監視もつけて取り除く、こんなこともお考えのようですが、これは自動監視装置をつけても、PHか、温度か、またはCODくらいしかできないでしょう。問題になる微量重金属、有害物質、こういうようなものに対しては機能しないでしょう。不可能でしょう。一体こういうような問題はどうするつもりですか。
  59. 井前勝人

    ○井前説明員 監視ができないから分離せよという議論は、私はどうも納得いかないわけでございます。監視という問題は、仮に下水道に入れないで直接公共用水域に出す場合でも、監視というものはやはり公害部局で必要になってくるわけでございますから、それが公害部局でやるか、下水道部局でやるかだけの違いでございますので、それはやはり下水道へ入れた場合でもきちんと監視をしていかなければいかぬ。ただ、おっしゃるように監視の計器、機器の開発あるいは人の問題はまだ十分ではありません。しかし、それはこれから下水道サイドでも機器の開発も現在やっておりますし、なるべく自動監視できるように機器の整備もあわせて進めておるわけでございますから、単に私が申し上げたいのは、下水道から入れないことによってすべて水質汚濁が防げる、その方が安全だというような先生のお考えには私はどうも納得いかない。外したら、外された方の企業は一体どういう現実の処理をするのかということも考えなければいけないのではなかろうかということでございますので、どうも私は都市施設という意味から、ある程度工場排水の合併処理は、現在の都市構成から言えば、これはやむを得ない処理法であるというふうに考えておるわけでございます。
  60. 島本虎三

    島本委員 PPPの原則があるということは御存じ。工場自身もきちっと処理施設を持って、そして環境基準にちゃんと合ったものを出さなければならないというのは御存じのとおりです。それは全部経営者自身の原因負担なんです。責任原因者なんです。それをきちっとしたという。したが、出せばすぐ人の目につく。目についたら、あなたの責任ですよというので、すぐやられる。公共下水道の中に入れてしまったら、どの水がどの経営者のものか、どの工場のものか、わからなくなるでしょう。結局、そういうふうになってしまえば、都道府県、その施設者の方で責任を負わざるを得ないではありませんか。こういうようなのはやむを得ないのだという考え方は、それは納得できない。どうしてそういうような考え方に立って、その場合に企業者負担の原則が貫けるのですか。発生源対策として発生源がきちっと措置されるということにならないのが、下水道につぎ込ませることでございませんか。それがあたりまえだという建設省考え方は、重大なる環境庁に対する侮辱ですよ。そんなことは許されない。
  61. 井前勝人

    ○井前説明員 もちろん私ども下水道の場合もPPPの原則は十分承知しておるわけでございます。言うなれば、われわれだってやはり一種の汚染者である。一般市民だって汚染者であるわけですから、広い意味で企業も汚染者でございますので、下水道に入れる場合は、たとえば水質使用料金を取るとか、あるいは累加料金を取るとかいうことで、企業本来のPPPに合うような使用料の取り方をしていくということはわれわれも強力に進めておるわけでございますので、決してPPPの原則が下水道で無視されておることにはならないと思います。
  62. 島本虎三

    島本委員 料金を取るからというのですか。料金を取るからPPPの原則は無視しておることにならない、金を取ればいいという考えなんですか、それは。少なくとも原因者において環境を悪化させるような水を流してはだめだ、これ以上汚してはだめだ、そのためにきちっと義務を負わせているでしょう。除害施設も稼働さしているのでしょう。下水道の方へ入れてしまえばほとんどだれがだれだかわからなくなっちゃう。公共用水域にやると、もし変な水を出したらきちっとその企業だということがわかってしまう。この企業を救済するための流域下水道になってしまうではありませんか、これでは。こうなんだからだめだというのです。では、もう直罰規定もあるからだとさっきおっしゃいましたけれども、自動監視も機能しない、除害施設も機能しない、どこで直罰規定が発動されるのですか、伺います。
  63. 井前勝人

    ○井前説明員 その前に、前段の公共用水域に出せばだれが悪い水を出したか、すぐわかる、下水道に入れれば地下へ接続するのでわからないという点でございますけれども、まずやはり公共用水域に直接出した場合に、たとえば魚が死んで、これはどこの水だということがわかるということで比較的原因者がつかみやすいということだと思いますけれども、われわれはむしろ除害施設の監視の中身にもよりますけれども、魚が死ぬ前にもっといい水に前処理しなさいというのがわれわれの目的だというふうに考えておりますので、その辺は、そのかわりにもっと徹底した除害施設指導をしなければいけないというふうに考えております。
  64. 島本虎三

    島本委員 それならば重ねてお伺いしますが、玉村町では汚泥処理しないと言っているわけです。どこでこの処理をどのようにしてやるのですか、建設省玉村町のこの汚泥処理、どうなんですか。
  65. 井前勝人

    ○井前説明員 終末処理場で下水をきれいにすれば当然汚泥は発生するわけでございますので、その汚泥の処分につきましては、やはりきちんとした処理をする必要があるわけでございますので、これは処理場の中でするのか、あるいはある程度の形にした上で分散するか、分散して処理するかは、まだそこまで、現在の段階計画の問題でございますので、はっきりしておらないというふうに聞いております。
  66. 島本虎三

    島本委員 玉村町では汚泥処理はしないということを条件にしてもうすでに契約書を取り交わしておる。そしてそれを汚泥の量によって持ち帰らせると言っているでしょう。持ち帰ってどうするのですか、それは。結局いまあなたが幾ら言ったって、常時監視してもPHや温度、それからBODぐらいのもの、問題になる微量重金属や有害物質、こういうようなものを取り除けない、そういうようなものに対してはこの玉村町では処理しない、持ち帰らせる、持ち帰ったのをどうするのですか。
  67. 井前勝人

    ○井前説明員 下水汚泥の処分につきましては、従来はいわゆる廃棄物として、大体発生汚泥の八割程度を廃棄物として陸上埋め立て、あるいは海面埋め立てにしております。しかし、今後下水道整備が進みますと、全国的に汚泥の量はふえますので、むしろ有効利用をわれわれとしては推進していきたいというふうに考えております。この場合、玉村の場合も都市形態から見まして下水汚泥に含まれる重金属の量というのは非常に少ないというふうに判断いたしますと、むしろそれは有効利用、農業利用、そういう方向に持っていくのが下水道の経営の上からも非常に有利ではないかというふうに考えておりますが、そのような方向で、仮に玉村処理しなくても、各流域関連の市町村がそれぞれで処分するにしましても、なるべく有効利用するような方向でわれわれとしてはやはり指導していきたいというふうに考えております。
  68. 島本虎三

    島本委員 有効利用したい、農地に還元したい、農地はそれによって荒らされてくる。こういうような重金属やそうした劇物並びにこの有害物質、こんなものを含んだものを農地に持っていってどうなりますか。農地に還元したってだれも喜びませんよ。同時に最近また、環境庁農地汚染が依然広がってきておる。新たに五地域環境基準を超すカドミや砒素、こういうようなものが検出されておる。環境庁で調べてちゃんとやっておる。だんだん汚染されてきておる。それにまた農地還元をさしたりして一層これが汚染の度を加えていくようなこと、こんな考え方がある以上、とんでもないことです。問題があるからこれは各市町村に持ち帰らせるんだ、それも土に還元させる。少量なほんのちょろちょろした汚泥の量ではないですよ、これは。どんなに費用を考慮しましたか。維持管理費に全部これはかかってきて住民にかかるでしょう。これは単なるごまかしですよ。持ち帰らせるなら初めから小さくきちっとしたもので、そしてやらしたらいいじゃありませんか。それもやらないで、ただ持ち帰らせればいいというこういう欺瞞した考え方、これはいけませんよ。それよりも環境庁だって、だんだんと汚染の量が広がってきている、いままごまごしちゃいけないと思う。そういう考え方なんです。建設省では。個々処理、これが一番妥当だというように考えないのですか、あなたたちの方で。窒素や燐、こういうようなもののために汚染されているこの実態、そうして最終的汚泥処理の仕方がまずいということを言われていながらも、これは流域下水道、こういうようなもので処理するのが一番いいという考えだ。窒素、燐、こんなことは結局循環さしてしまうだけで取れない。いまの瀬戸内海なんか総量規制してもどうにもならなくなってしまう。汚泥処理を違った方法でやるならば、これは九〇%も除去できるというじゃありませんか。その検討した結果もあるそうではありませんか。もっともっと検討しないといけませんよ、この問題は。環境庁も真剣になってこの問題は検討してもらいたい。  ことに流域下水道の場合は、流入して排出するまで曝気時間が平均して三時間から五時間でしょう。清涼飲料の場合には個々処理として二十七時間もかけさしている。それから化粧品の排水の場合は五十一時間、はんぺん工場なんか十六時間、塗料、こういうようなペイント関係では三十時間、こういうようにして流入してから排出までの曝気時間をかけている。これは運転時間がそれぞれ異なっているから、個別処理の工場、こういうようなものは水質基準に合ったものにして流しているわけです。これを流域下水道の方へ入れると、平均三時間から五時間。本来ならこれはきちっとしてやれば取れるものを三時間から五時間くらいしかやらないから、結局はもう窒素も燐も取れない、分散してしまう。運転時間が活性汚泥の方式、こういうようなものを後退させてしまっているわけです。もっともっとこれをきちっとしてやったら取れるのです。それをやらせない方法でいま指導しているのです。とんでもないことであります。  そういうようなことからして、今度は「流域別下水道整備総合計画調査 指針と解説」建設省のものが日本下水道協会から出ていますね。これには冷却用水等で公共用水域に直接放流するのが合理的なものや、排出量多量の場合には工場が単独で処理する方が適当であるもの、こういうようなものについては工場排水を除外する、してもよろしい。建設省がきちっとこういうようなたてまえを出しているわけです。     〔委員長退席、水田委員長代理着席〕 ところが、みんな入れなければならない、こういうようなことはおかしいじゃありませんか。これはこういうような指針や解説を出しているのに、どうしてそれに反するようなことをやらせるのですか、部長。
  69. 井前勝人

    ○井前説明員 ここにありますものは、大きな流域下水道総合計画を立てる場合の基本的な考え方を示しておるわけでございますが、本来下水道に入れなくてもいいという冷却用水とか、その他そこに書いてあるようなものは計画段階で除いてもよろしいという考えは確かにあるわけでございます。ですけれども、ただ将来ともその工場が冷却用水だけで済むのか、その辺の見通しを十分考えた上で、工場の将来を見ながら判断して決めるわけでございます。ですから、一般的には私が申しましたように、市街地の個々の工場の状況を見ながら判断していくわけでございますので、基本的には私がずっと従来申し上げている思想ではございますが、その中でも特別にはっきりしているものは、そこに書いてありますように除外してもよろしいというふうな指導をしておるわけでございます。
  70. 島本虎三

    島本委員 こういうようなものはもう別にしてもよろしい、下水道に入れなくてもよろしいと指導しているのですか。——では、どういうものを下水道に入れるのですか。
  71. 井前勝人

    ○井前説明員 ですから、そこの工場の排水の水質にもよりますけれども、たとえば有機性汚濁、食品工場とか醸造工場というものは、有害物質よりもむしろBOD、SSの負荷が大きいわけですね。こういうものは個々処理施設をつくってやったらいいのか、あるいは下水道に入れてトータルとして処理した方がいいのか。全体の国家経済的に見た場合には、そういう有機性汚濁等についてはむしろ下水道に入れて総合的に処理した方がいい水質が得られるという判断でございますので、やはり個々の工場の将来展望を見ながら計画をしていくという形になろうと思います。
  72. 島本虎三

    島本委員 建設省の方では、下水道の現状からは技術的観点から考えて工場排水下水道へ取り入れなくてもよいのだ、けれども下水道法上取り入れなければならないのだ、こういうようなことだとすると、現在の下水道法に欠陥があるということになるんですか。それとも、下水道法がそうなっているからこれに取り入れさせるんだということなんですか。その辺がはっきりするなら、法の改正も必要だということになるのじゃないかと思うんですが、この辺はどうですか。
  73. 井前勝人

    ○井前説明員 やはり工場排水分離論というのは非常にわかりやすいわけですね。ところが、本当に分離しただけで海がきれいになるという担保は私はないと思うのです。分離されたものは一体どういうふうな行き先をたどるのか、そういうものをきちっとフォローしていって初めて、分離した場合に同じようなことがあればいいわけですけれども、残念ながら現在の都市形態から見ますと、やはり住工混在しておりまして、別々にすることは総合的に見て、国家経済的に見て不経済であるということから、現在の都市形態の範囲内ではやはり合併処理ということが現実的な解決法であろうというふうに考えておるわけでございます。
  74. 島本虎三

    島本委員 合併処理は現実的に見てよろしいんだと言うけれども、前に言ったように流入から排出までの曝気時間、これを変えてやることによって完全に浄化できるし、きれいにすることもできるし、NもPも取ることができる、九〇%までは可能だ、こうまで言われているのに、依然として三時間から五時間でこういうようなものを取らないようなことをさせている。これは正しいんですか。ですから、もっともっとこの点はきちっとしてやりなさい、別々にしなさいと言うのです。どうしても別々にしなければならないはずなのに、あなたの場合にはそれを一緒にしてやる。一緒にしてやると、いわゆるPPPの原則がおかしくなってくる。あなたは金を取るからいいと言う。冗談じゃありませんよ。環境を汚染したら悪いんですよ。だから、もうすでに発生源対策できちっとしておくということが必要なんです。PPPの原則を忘れてはだめです。この点、私はやはりおかしいと思います。あくまでもこれは分離するのが正しいと思うのですが、ここで余り時間をかけられないんです。私の予定した時間もあるから。これは後でもう一回聞きますからそのままにしておきます。  なお、この玉村町の反対運動、これは私から見ると全く理にかなっている。妥当な運動なんです。なぜ警察権力を介入させてまでこの正当な主張をけ散らさなければならないんですか。もっと適切な処理場をつくれと言っているんですよ。また分散せいと言っているのですよ。やめろと言っているんじゃないですよ。公害環境対策としてこういう小規模処理場をたくさんつくってくれ、工場排水は完全に分離してくれ、この運動ですよ。全国の流域下水道の持っている基本的な欠陥をついているのですよ。それにもかかわらず昭和五十三年九月二十一日に何かトラブルが発生して、十月二日に石川幸三郎外三名を逮捕しているわけです。警察庁、これはどういうわけですか。
  75. 依田智治

    ○依田説明員 ただいま御指摘の事案は、九月二十一日、県の職員三名が地権者のところにこの下水道問題をめぐって意向調査に参ったときに、ちょうど隣の部屋におった反対派の五人の人たちが激高して手拳で県職員を殴打する、その結果、全治一週間から二週間にわたる傷害を与えたということで、翌日警察の方に届け出がございましたので、警察としては被害者等から十分この事情を聞いた上、傷害罪でただいま御指摘の十月二日に四名を逮捕し、あと一名は暴行罪で逮捕し、翌三日に地検に送致した、こういう状況でございます。
  76. 島本虎三

    島本委員 十分意見を聞いてということですが、聞きましたかどうか。石川幸三郎さんの手記があるのです。後でこれを見ていただきたい。十分意見を聞いてませんね。まして本人の症状は、昭和十三年五月十日に徐州会戦で機銃弾を受けて右大腿部を骨折、同弾が上部にそれて大腿骨転子間を骨折、次いで額部を通り大腿骨骨頭骨髄内に迷入。それで帰還して、昭和十三年五月三十一日に小倉陸軍病院に入って、その十一月と十四年一月の二回、骨髄内の留弾摘出手術を受けて、骨頭骨髄をかいて、そして股関節の骨頭は三分の一に減じて右足は四センチ短縮している。背柱が側湾になっている。右大腿部は十センチの周径差あり。それから右の股関節運動は二十度で、ほとんど曲がらない。内外旋、内外転とも不能に等しい。そのために連続歩行は五十メートルくらいしかできない。そして病名というのですか、それは変形性股関節症及び変形性脊髄症、こういうふうになっているわけです。この人は足が上がらないのにひざげりをしたという、足でけとばしたということで逮捕しているわけです。この事件は傷害被疑、十分調べたと言っているが調べてないで逮捕している。本人はそんなひざげりなんかできないような状態の人なんです。これも逮捕した。十分調べたと言うが、本当ですか。
  77. 依田智治

    ○依田説明員 地元の県警からの報告では、被害者、被疑者双方から十分捜査し調べたというように聞いております。
  78. 島本虎三

    島本委員 曲がらない足でひざげりをするというのはどういうふうにやることだと思いますか。
  79. 依田智治

    ○依田説明員 事実関係の詳細につきまして私も調書は読んでおらないのですが、少なくとも警察としては被害者からの届け出事実、それに基づくいろいろな調書等によって十分犯罪を立証し得るという確信を持って地検の方に送致したというように聞いております。
  80. 島本虎三

    島本委員 この件に対して質問するということを言っておいたのですが、あなたは責任を持って答えられると言って出てきたはずでしょう。何ですか、何にも知らないじゃありませんか。下の方がやったという報告をつくると、それは絶対正しいのですか。少なくとももっと調べてないとだめですよ。これは刑法第二百四条による逮捕ですか。
  81. 依田智治

    ○依田説明員 傷害罪と聞いておりますが……。
  82. 島本虎三

    島本委員 これは被疑者に対しての逮捕、一たんそういう診断書が出されているとするとこれが適当であるか否か、これについてはいろいろな点から問題がある、こう考えられますけれども、形式的には適法であるかのごとき本件も、実質的には疑問がないとは言えないわけです。逮捕そのものが。それは本件の被疑者石川幸三郎氏の身体の状況や事案の内容からして不必要な逮捕ではないかということなんです。私の聞きたいのは。このことは、前橋地方裁判所刑事部の勾留請求却下に対する準抗告の申し立てに対して行った決定の理由からも考えられるわけです。勾留理由も薄弱である。これは行き過ぎではないですか。政治的意図を持って行ったのじゃないですか、伺います。
  83. 河上和雄

    ○河上説明員 十月四日にこの事件を検察庁が受理いたしまして、いま御指摘のように勾留請求したわけでございますが、検察庁としては、被害者あるいは目撃者の供述、そういったところから一応罪証隠滅のおそれありということで勾留請求したわけでございます。それに対して裁判所が勾留を却下した。これは普通の刑事事件で勾留請求が却下されるということはよくあることでございまして、証拠としては一応ある、したがって勾留請求をする、そういうことでございます。
  84. 島本虎三

    島本委員 済みません。よくわからなかったのだ。マイクあるから小さい声でもなにですけれども、マイクあっても声が小さい。もう少しはっきり。
  85. 河上和雄

    ○河上説明員 十月三日に検察庁が事件を受理いたしまして、十月四日に勾留請求しているわけでございますが、勾留請求するということは、刑事訴訟法の規定によりまして、被疑者が罪証隠滅する場合あるいは逃走のおそれがある場合、そういった場合、それだけの疎明資料、これは完全な、有罪判決に必要なほどの証拠ではなくて一応の証拠があればいい、こういうふうに講学上解釈されておりますが、一応の被害者あるいは目撃者の供述調書によって嫌疑が認められたので勾留請求いたした、こういうわけでございます。
  86. 島本虎三

    島本委員 地検の方では逮捕、勾留を、「この反対運動は激しいものがあるから、同様事件の発生防止という一般予防の見地から」、こういうふうになっていますが、「一般予防の見地から」というのはどういうことですか。
  87. 河上和雄

    ○河上説明員 一般予防というのは、一般的に申しますと、たとえば、この事件に限りませんが、いろいろな大衆運動で暴力事犯が発生する、あるいは発生しそうな気配にある、そういった場合に、最初に、暴力事犯を起こしたような人に対して刑事訴訟法あるいは刑法に従って適切な措置をとっておきませんと、次々に、あの程度ならいいんだということで暴力事犯が続けて発生するようなことがあっていけない、そういったようなこと、あるいは刑事政策的に言いますと、たとえば死刑というようなものがございますが、これは死刑判決をすることによって似たような犯罪を起こさない、そういったようなことを言っております。
  88. 島本虎三

    島本委員 町会議員でもある人二人、そして上がらない足でひざげりをしたという理由で逮捕。証拠隠滅と言ったって隠滅される何物も、逃亡のおそれさえもない、こういうような人をやっている。それも一般予防ということでやっているとすると、これは一般予防、おっしゃるとおりに、犯人に刑罰を科することにより、社会一般を威嚇して犯罪を行わないように期待するものであるという刑法論理のうちの刑罰の体質に関する学説であって、特別予防に対する概念である、大体こういうような答えが返ってきているのです。このとおりでしょう。そうすると、形式上には実定法上違法はないとは言えないにしても、実質的には逮捕、勾留しなければならない妥当性があるかどうかが問題です。まして、一般予防的見地から逮捕、勾留するということは形の上で可能であっても、公害環環問題という事件、この背景を考えれば警察権力は介入すべきではありません。まして、一般予防というのは暴力団であるとか暴走族に対して適用するものなんです。     〔水田委員長代理退席、委員長着席〕 公害に反対し、環環を浄化する、そのために小型に分離して工業用水を入れないようにする、この運動に対して、暴力団とかまた暴走族に対すると同じような一般予防的見地からこれをやったということは行き過ぎではありませんか。各地でこういうような問題が起きると思うのでありますけれども、今後公害問題で緊迫した状態発生してくる、こういうような場合には今後も逮捕、弾圧するつもりなんですか。
  89. 依田智治

    ○依田説明員 ただいま御指摘のように、各地でこの流域下水道問題も発生しておるわけでございますが、警察としましては、当事者の円満な話し合いによってトラブルなくこの問題を解決するということを何よりも望んでおるわけでございますが、現在私どものところに報告あるところでも、ただいまの玉村の関係では五人が検挙された。それから本年二月、富山の関係でも一人、暴力行為等処罰法で検挙されている事犯、それから愛知とか千葉、岐阜、そういうところでも、まだ事犯には至りませんが、実質的には座り込んで、交渉の過程で不退去というような事案があるというような状況でございまして、警察の場合はこういう住民運動につきましては、それが平穏に行われる限り関与しない、関与すべきものではない……(島本委員「しないって、すべきものではないんだよ」と呼ぶ)いま、すべきものではないと私言い直しましたが、そういうふうに考えておりますが、しかし、往々にして違法の事態、第一そういうものが発生するおそれがあるわけでございまして、そういう場合に警察が拱手傍観しておるということでは、これまた警察法に基づき国民の生命、身体、財産を守るべき責務を有する警察としては何をしておるんだということになりますので、私どもとしては干渉とかそういうようにならぬように十分配慮しているつもりでございますが、違法の事態に対しては、警察法二条等に基づく責務を完遂するために所要の措置を講じておるという状況でございまして、今後ともそういう基本方針は変わらないということを考えております。
  90. 島本虎三

    島本委員 そうすると、法務省では、公害環境の問題でいろいろと別案を持って、そしてそれを県当局があくまで権力をもって行使しようとするのに別案を持ってこれが正しいんだ、こういうような運動でさえも、一般の暴力団であるとか暴走族と同じようにして一般予防的見地から今後も逮捕、弾圧するという基本方針ですか。
  91. 河上和雄

    ○河上説明員 法務省として別に新しい環境に関する案を持ってどうこうということではございませんで、治安の維持を目的とする官庁でございますから、被害者——この被害者の場合、二週間のけがをされた方、それから一週間のけがをされた方、あるいは単に暴行を受けられた方、三人いらっしゃるわけですが、被害者の立場に立って、あるいは社会秩序全体を維持するという立場に立って、それだけで全く政治的意図なしに、悪いことがあれば、法律違反することがあれば、その法律違反者に対しては適正な科刑の実現に努める、そういうことでございます。
  92. 島本虎三

    島本委員 そこの家の主婦なる人が、土地を売れ売れ、こういうような買収交渉に行っていたその場所で、その家の御本人が、この事件は全然ありませんでしたと手記で書いているのです。そして足も動かない人がひざげりをしたことになっているのです。この調書は。それも一般予防的見地だと言うのです。これはまさにでっちあげじゃありませんか。いよいよ公害対策に対しても環境問題に対しても警察権力が政治的な介入を図ってきた、こういうようなことじゃありませんか。これは重大なことです。こんなことがあってはいけません。まして、十分調べたと言って何も調べてない。そういうようなことをうのみにしながら今後も警察権を介入させるということは断じて許されない。環境庁長官、これに対してどう思いますか。
  93. 山田久就

    山田国務大臣 われわれは環境保全ということについて、その趣旨を徹底していくために、事業について関連の環境評価、この間において住民の意見を十分取り入れてやっていくという態度をもって臨んでいるわけでございます。  ただいま警察官の問題でございますが、こういう趣旨に沿って十分相互に平穏な間に、よく意見を聴取し反映するようにということで行われていくのが望ましい、そういうのがわれわれの立場でございます。
  94. 島本虎三

    島本委員 予定の時間が来たようでありますが、ここは重要ですから。  公害問題、こういうようなものに対して基本的に警察が介入するのは行き過ぎです。暴力が起きる、そういう事犯がないと主婦が言っているのに対して、暴力があった、十分調査した。本人がこういう病状であるのも知らないで、調査した——政治介入じゃありませんか。そういうことをしてはいけない。法務省もしっかりしないとだめだよ。さすがに裁判所の方だけは、勾留請求却下に対する準抗告の申し立てに対しても妥当なやり方をとったようでありますが、それに対してどうも警察も検察もおかしい。今後はこういうような事件に対しては、逮捕、弾圧するようなことがあってはならない。まして、公害環境の問題に対して、一般の暴走族や暴力団と同じように見るなんてとんでもないことだ。もう一回洗脳して出直してもらいたい。公害の問題はこんな問題ではないのだ。まして、案を持って臨んでいるでしょう。絶対やめろというのじゃないでしょう。こっちの方がいいのだ、そしていいことに対しても、あなたもいま聞いていたでしょう。下水道に入れてしまって、そしてPPPの原則さえ踏まえて金払っているからいいのだというようにして答弁されている。そういうことに対して、こっちがいいんだというりっぱな案を持っていっているのに、それらの人を暴走族や暴力団と認めている。いいかげんにしてもらいたい。私は、今後はこういうようなことはしないように下部の方へ十分浸透させておくべきだ、こう思います。
  95. 依田智治

    ○依田説明員 ただいまの事件につきましても、何か警察が介入し、事実がないのにこれをでっち上げたというようなお話がございましたが、警察の方は被害者の申告、参考人等から十分調査いたしまして、被害がある、これは十分事実があるということで、裁判官からは、十分疎明しましていわゆる逮捕状をいただいて逮捕しておるわけでございまして、警察が独断で身柄を送致しておるというわけではございません。  それから、今後の問題につきましては、先ほど申しましたように反対の方々もできるだけ違法事犯を起こさないように、冷静に対処していただいて、警察が出なくてもいいように、そういう平穏な運動であっていただきたい、こういうように願っておるわけでございます。違法行為があった場合には、国家におきまして法の責務を有する警察といたしましては、やはり法の手続に基づいて捜査するということは、この席上でも私としてははっきり言わせておいていただきたいと思っておるわけでございます。一般の住民を暴力団とか暴走族だ、こういうように見ているわけでは決してございませんで、警察部隊の運用等を通じてつぶさに見ていただけばわかると思いますが、できるだけ姿を見せないようにして、何かあった場合に、大きな事犯に走らないようにということで、秘匿待機させるとかいろいろ配慮して措置してございますので、その点御了解いただければと思います。
  96. 河上和雄

    ○河上説明員 先ほど申し上げましたように、政治的意図で弾圧するというようなことは絶対あるわけではございません。今後ももちろんそういうことはないことを、ここではっきり申し上げます。  それから、先ほど島本委員のおっしゃいました裁判所が正しい判断をされたということでございますが、この事件の場合、五人の被疑者の送致を受けているわけですが、二人については裁判所も勾留を認めておりまして、でっち上げというようなことではないわけでございます。
  97. 島本虎三

    島本委員 岐阜の木曽川流域下水道や愛知県の刈谷・境川流域下水道を初めとして、全国でも同じような問題が起こっている流域下水道が推進されようとしているわけであります。しかも岐阜の場合には、住民の分散、分離の科学的意向を無視してボーリングを始めて、周辺住民に阻止されている状態。こういうような県のやり方こそ不当じゃないですか。  愛知県の場合、特にこれは京都大学工学部の高松武一郎教授外助教授二名から、下水道計画作成者であるこの教授が撤回しなさいと言ってきているこの意見書を無視して、事業認可の変更案を縦覧し始めている。これは本来ならば京大の高松教授の意見書に沿うて変更すべきなのに、都市計画決定の内容を変更しないまま、事業認可の変更だけして工事を進めようとしている。これは都市計画法の手続からいってもずさんじゃないか、違法じゃないか、こう思われているにもかかわらず、十一月の末か十二月の初めにかけて、もう強制測量する動きがあるわけです。玉村町と同じようなことが、愛知、岐阜でも行われようとしているわけです。住民の意見をけ散らして工事を進めようとするのに、これまた警察権が介入しているわけであります。とんでもないことであります。したがって、建設省は即刻、事業内容の再検討を含めて指導すべきではないですか。そして、間違っても玉村町のような警察権力の介入をさせて、強権をもって事業を進めるようなことは断じてしてはいけない。これだけはっきり申し上げておく。最後にこの件についての意見を伺って、私の質問を終わらせてもらいます。
  98. 井前勝人

    ○井前説明員 本来、下水道事業は、その地域環境改善水質保全のために実施する事業でございますので、このことによりましてそういう残念なことが起きるのは、われわれとしても非常に残念ではございます。事業主体と関係住民が円満に話がつくことを、われわれももちろん最上の願いとしておるわけでございます。  しかし、計画の中身につきまして、先ほど高松先生の引用がございましたけれども、この高松先生の御意見は、われわれは必ずしもそれを是とするものではございませんので、それに合ってないから県の進め方は間違っておるということにはならないというふうに考えております。しかし、いずれにしましても大事な事業でございますので、なるべく円滑にいくようになお十分府県等も指導していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  99. 島本虎三

    島本委員 最後です。いまの論議を十分踏まえて、昭和五十三年三月二十二日水曜日、午前十時二分から開かれております参議院の公環特委員会の議事録第六号、これを十分読んでおいてもらいたい。この中でその論議を尽くされております。決して詭弁がないように、今後これを実施するようにお願いして私の質問を終わります。  委員長ありがとうございました。
  100. 久保等

    久保委員長 次に、岩垂寿喜男君。
  101. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 十月十一日に山本大気保全局長が全国公害患者会連絡会との確認を行ったことは局長御存じのとおりですが、その中に、原則として大気保全局長が地元に来てNO2問題について被害者団体に説明する、開催地、日程はお互いの事務局で折衝すると書いてございます。実は、団体とのやりとりの経過を通してそういう約束がきちんと自発的に行われているにもかかわらず、十日後にその確認を一方的にほごにしてしまったことも御存じのとおりであります。これは局長判断か、それとも上司と相談をしての結論か、簡単にお答えをいただきたいと思います。
  102. 山本宜正

    ○山本説明員 両日にわたりまして議論になりましたポイントは、専門委員会の中で疫学的なデータの取り扱いの問題についてのお尋ねであったわけでございます。私といたしましては、平たく御説明をすることがうまくできなかったということであのようなことになったわけでございますが、これに関しましては、各地域の方々に文書をもちまして御回答申し上げるということが斉一な回答になるということで、当日、二十一日付をもちまして、文書をもちまして参考資料をつけて御回答申し上げたわけであります。そのことによりまして、私どもは、当日議論になりましたことへの回答は申し上げたわけでございますし、内容といたしましても中央でお話し合いをすべき内容だということで、自今中央での話し合いには応じますが、地方へ出向いて説明するということをやめさせていただくということを表明したわけでございまして、これは私の判断でしたことでございます。
  103. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 患者会連絡会との話し合いの中で、私もこの議事録を拝見しました。「患者会側の提案は基本的に了承しました。しかし、具体的な日程の確定は私の全体の計画との関連もあるので、近日中に患者会事務局と打ち合わせをして決めたい。」こうなっておりますね。つまり、あなたが答えたのは、中身のこともあるけれども、中身のことも説明に行くことを前提にして、具体的な日程の確定だけを患者会との間に協議をしていくということで別れているわけです。いわばこれは約束事であります。しかも、それによれば大阪幾日とか、千葉幾日とか、倉敷幾日とかという日まで入っている。それを非常に友好的に話をしてまとめたんですね。あなたはそれを一方的に破棄するということをどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  104. 山本宜正

    ○山本説明員 私といたしましては、当日十分な御回答ができなかったわけでございますので、これに対しまして回答をほっておく、その上で行かないということになりましてはこれは信義の違反になる、かように思うわけでございますが、文書をもちまして、さらに内容といたしましては専門委員会の問題でございますので、五月十日に参議院で参考人として専門委員長である鈴木先生がその内容についての説明をしておられます。それと、専門委員会におきます審議の経緯の要約をいたしまして、さらにそれに対しての参考資料をつけました二十数ページにわたる書面をあわせてお渡しすることによって十分回答になる、かように考えたわけでございまして、それによりまして私といたしましては十分な回答を果たしておる、かように思うわけでございます。
  105. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 あなたの判断でそういうふうにした、しかも一方的にあなたの判断でそれを患者会連絡会の皆さんに了解をいただけるものと思うということで済むと思うかね、私はそこを聞いているのです。あなた、きのう私の部屋へ来たでしょう。資料を渡してくれた。そのとき何と言いましたか。私は言わないでおこうと思った。しかし、そう開き直った態度をとるならば、自民党の環境部会長から、行政の権威のために行くべきでない、とめられているから行けないのだと言ったじゃないですか。何でそういうふうに開き直って言うのですか。私の言いたいのは、そんなことならば、環境庁というのは自民党の環境部会だけあれば公環特も国会も要らぬという議論になるのじゃないかということです。大きな声は出したくないけれども、あなた自身の判断でなさったというなら、十日前になさった約束についてどう責任をとるおつもりですか。はっきりしなさいよ。冗談じゃないよ。
  106. 山本宜正

    ○山本説明員 重ねて申し上げますけれども、回答を一切していないということならば大変問題ではございますが、私といたしましては書面をもちまして、内容を読んでいただければわかるような書面で回答をさせていただいているわけでございますので、それで十分だと判断してこういうぐあいに決めたわけでございます。
  107. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 約束なんですよ。約束というのは両者の合意がなければ約束事にならないのです。それをほごにするのにあなただけの判断で、相手がどう考えているかわからないで、しかも相手は依然としてお約束事を守っていただきたいと言っている、それを一方的に破棄しておいて、あなたの責任を免れたというふうにお考えになっていらっしゃいますか。患者団体とのやりとりを見て、私は山本さんという人はわりあいに正直な人だなと思った。いろいろなやりとりを詳細に拝見をしてみると、率直に答えておられると思った。だから、私はその意味でもう一遍患者会連絡会と話をして、全部が行けなかったら、たとえ日数を短縮しても行けるところへきちんと誠意を尽くすという手続をなぜおとりにならないかと申し上げたつもりだ。それを全部キャンセルにしておいて、私はそのように理解をしていただけると思いますというのでは、それで通用できると思うのですか。それが環境行政ですか。知らしむべからずよらしむべしというまさに一方的な態度じゃないですか。そのことについてはあなたはどう思っていますか、お答えを願いたい。
  108. 山本宜正

    ○山本説明員 私は、事柄の内容からいたしまして、中央の段階におきましてのお話し合いには応じようということを考えております。いろいろ文書で各地にわたりまして斉一な御回答ができるということで文書回答をさせていただいた。これに関連いたしまして、かつまたそのほかのことでいろいろお話し合いということでございますなら、私どもは中央におきましての話し合いには応じたい、かようには考えているわけでございます。
  109. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 そのことは、あなたが出向いていって説明をすると言ってしまった後の言葉では通用しない言葉なんですよ。紙っぺらを送って、これで納得いただけると思う、したがって行く必要はない、こういう判断というのはあなたの判断でないことを私は想像する。いま私が言ったような言葉があなたも了承した言葉としてやりとりがあったのですから、自民党が行政の権威を失墜するから行くべきでないという言葉があなたの意思を縛っているというふうにしか思えない。たとえば、そのことをあなた個人として遺憾であるとか残念であるとか申しわけないとかいう立場というのはないのですか、御答弁をいただきます。
  110. 山本宜正

    ○山本説明員 確かに環境行政というのは国民の方々と詳細にお話し合いをするということを非常に大事にしなければならないものだという基本線につきましては私も変わっておりません。ただ、事の内容によりましては、やはり現地に参りまして、現地の実情を見ながら、かつ現地の状況を見るというような問題になりますれば、これは当然、私としては行く心持ちを持っておるわけでございますけれども、今回の内容の論点は、あくまでも専門委員会におきまして疫学的なデータをどのように解釈したかという問題でございまして、これは専門委員長としての御回答があったわけでございます。私といたしましても、その辺を当日お集まりの患者さんの皆様方に平たくわかりやすく説明できなかったということは私の至らぬところであったわけでございまして、これは大変私も遺憾だと思っておりますが、これは内容といたしましてはやはり中央レベルで時間をかけてお話し合いする、こういうことには応じてまいりたい、私はかように思っておるわけでございます。
  111. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 その問題は問答をやっておると時間がたってしようがないから、それでは、二十九日に患者会連絡会の皆さんが環境庁長官との会見を求めておりますが、長官、これにお出かけになりますか。
  112. 山田久就

    山田国務大臣 先方との話し合いは、内容自身は今般の基準設定に当たっての専門委員会、その専門委員会の指針の導き出された科学的根拠というものについての専門的な意見についての納得がいかないということの解明が中心のように私は思っております。実際こういう問題については、時間をかけてじっくり話して、そうして誤解が取り除かれることを希望しているものでございまして、したがって、問題の中心はそのことに多くの時間を費やされるというのが、実はこの会合の趣旨にむしろ沿っているんじゃないかと思います。したがいまして、先方の希望もそういうものであるやに私も了解しておりまするので、むしろそれが混淆にならないような趣旨で、私は、局長が十分に専門的な立場から——先般はそういう面で欠けるところがあったように思いまするけれども、時間を使ってやられる方がこの趣旨に合うんじゃないか、ただいまのところ、そういうふうに考えておる次第でございます。
  113. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 二十九日はお出になるのか、お会いになるかどうかということを私は聞いているのです。
  114. 山田久就

    山田国務大臣 ただいまのところは、その趣旨から見て私は、直ちにこれに出るということをいま考えておりません。
  115. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 環境庁の姿勢がよくわかりました。被害者不在の環境行政が余りにも露骨であると残念ながら言わざるを得ない。むろん長官が何から何まで知っておるはずはないから、それは担当に答えさせるということもあり得る。もっともその担当がこの前は答えられなかったことも事実だが、それで納得できるはずがないのです。十分に時間をかけて説明するとおっしゃってみたところで。いいですか、そういういきさつがあったんだから、長官がみずからお出になって、そしてやはりこういうわけで十分でなかったけれども、今度は勉強したからひとつやろうじゃないかということを誠意を持ってお示しになったらいかがですか。その点もだめですか。
  116. 山田久就

    山田国務大臣 十分にその趣旨が徹底するという意味で私の出ることがよければ、そのことは考えるにやぶさかじゃございませんけれども、内容が少なくとも政治的な点ということよりも、専門的なことについて十分了解が得られるということがこの問題の趣旨じゃないか、私はそんなふうに考えております。そういう点から、むしろそういう趣旨を十分に生かせるような行き方でいくのがいいのじゃないかというのがただいまのところの私の考えだということを申し上げたようなわけでございます。
  117. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 環境庁の例の合同第四庁舎というのですか、入門規制がございますね。これはいつまでお続けになるおつもりですか。私は前の環境庁長官の大石さんと一緒に環境庁のクラブへ行こうと思って車で行ったら、元環境庁長官だから大蔵省の窓口から入ろうとした、だめ。ぐるぐるっと回ってインターチェンジのところへ来たらこれもだめ、ぐるぐるっと回って大蔵省のわきから入ろうとしたら、あなたどなたですか。そのときに大石さんおっしゃいましたよ。環境庁という役所は政府の中でも弱い行政機関だ、しかし環境庁には住民なり、あるいは被害者というものがいる、被害の実態調査というものから問題の出発点がある、そこで曲がりなりにも環境行政を推進させることができた、岩垂君、これじゃひどいなというふうに率直におっしゃった。  私は、第一点は、二十人というような面会をするときの規制がある、これだって合理的な根拠がどうなっているのかわからない。こんな状態をいつまでお続けになるのか、その根拠は一体どこにあるのか、環境庁長官から承りたい。
  118. 山田久就

    山田国務大臣 要は、その話し合いというものの趣旨が所期の目的を達して十分徹底される、そういうことが私はすべてのものを保障していく条件じゃないか、こう考えているわけでございます。先ほど来私が申し上げておりますように、この話し合いということは大事なんです。そんなことも私もわかっておるし、そういうことについてちっとも私はやぶさかだと考えておるわけではない。しかしながら、今回の陳情の趣旨というものが医学的な点を解明することに疑問がある。それが中心でやってこようとされている以上は、それを中心にしてやられる方がどうか。それが、私が出てこい、そういうことで逆に問題が政治的な問題のやりとりになるということになってしまうのじゃ、かえってそういう趣旨を徹底するのに沿わないじゃないか。そこら辺は私は虚心坦懐によく考えてみて、いまの疑問の点が一番解明される条件というものはどういうふうにしたらいいかということで考えた方がいいということで、原則的にこれを拒否する、どうするということを考えておるのじゃない。問題はどうやれば一番目的を達するような雰囲気や条件が保障されるか、そこら辺のことは十分考えた上でこの問題については対処したい、これが私の立場だということを申し上げているわけであります。
  119. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 二十人の問題や入門規制もお答えいただいてないのだけれども、私は、あなたの姿勢に基本的な問題があるということを残念ながら言わざるを得ないのです。  一つの例を挙げます。  国務大臣環境庁長官という公の立場であなたは新手の選挙運動をなさっていらっしゃる。アンケートを数万ばらまいて、これは拝見しますと、私は読んでいくに従って腹が立ってきた。これは私だけじゃないと思う。「皆さまご機嫌いかがですか。」というところから始まって、長い文章だから読まないけれども——しかし一応読んでみましょう。  昨今、難局の多い国政の中にあって、国務大臣として、国の進路を誤ることなく、しかもより良い国民生活の実現をしていく重大な責任を痛感しています。   環境行政国民生活に密着した仕事です。ですから長い将来を見通し、又国民全体の利害を考え政治を行わなければなりません。今まさに“感情から理性への転換”が望まれているのです。口先だけで所謂一部世論におもねるのでなく、 もう一度言います。  口先だけで所謂一部世論におもねるのでなく、飽く迄も大局的、且つ科学的な判断をより所とし、理性的な立場を貫くべきであるというのが、私の政治家としての信念であります。   皆様の力で地元から生まれた大臣として私はこれからも出来る限り閣僚としての責任を果たしていく決意であります。   どうか変らぬお力添えとご叱正をお願い申上げると共に、皆様のご多幸をお祈りいたします。 ということで実はアンケートがある。これは長官、国務大臣環境庁長官というお立場でなされたのですか。あるいは山田久就個人ということでお出しになったのですか。どっちですか。
  120. 山田久就

    山田国務大臣 いまの身分を持っております個人としての立場でやったわけであります。
  121. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 そこで伺います。  この間十一月一日、その前は夏もあったし、毎年、毎年、議院運営委員会で虚礼廃止に関する各党一致の申し合わせがある。これによると、   本院議員は、虚礼廃止の趣旨の徹底を期すべく、各党一致の決議をもって、左の申合せをなし、厳にこれを励行するものである。  一、自筆による答礼のためのものを除く年賀状、年賀電報、年賀広告及び時候の挨拶状、電報、広告並びにこれらに類するポスターの掲示は、廃止する。 と書いてある。確かに言い方によってはアンケートでございますから、時候のあいさつじゃございませんとおっしゃるかもしらぬが、少なくとも福田内閣の国務大臣環境庁長官、社会の環境をよくしていかなければならない立場にある方が、こういう形でばらまいて新手の選挙運動をやっているということを私は黙っているわけにはいかぬ。しかも、あなたはよく「感情から理性への転換」ということを言っていらっしゃる。何ですか、それは。それじゃ被害者の運動というのは感情ですか。われわれの言っているのも感情ですか。あえて問いたいのです。私は。しかも「口先だけで所謂一部世論におもねるのでなく、」と書いてある。日本に幾つかの新聞や放送やいろいろ報道機関があるが、NO2問題についてどんな意見をそれぞれ述べておられるか。一〇〇%それで結構だ、いいことをやったと言っているところがどこにありますか。恐らくそのことを指していらっしゃるのだろうと思う。なぜなら、それをアンケートの中で拝見しますと、いろいろあるのです。七項目ある。「従来の〇・〇二PPMという基準は筑波の山の中程度であって人口が密集している都市ではとても達成できない基準であることをご存知ですか」「(はい いいえ)」と、こうなっている。私はあなたに伺いたいのです。たとえばこの四月に環境庁がNOxの低減化技術委員会で、四兆円の銭がかかるということだったけれども、最近は技術が発達して八千五百億円でやれるとちゃんと書いてある。もう一つ、費用効果検討委員会でも、六都市以外でも土地の条件があるので、それでも基準は達成できる、しかも物価に対しては一%以内の影響でしかない、日本経済に対して影響を与えるものではない、〇・〇二はほぼ達成可能である、技術的にもあるいは資金的にも可能だと言っている。あなたのもとでつくった委員会の答申ですよ、これは。これが何か筑波山の山の中程度だからできっこないと言ってしまっている。まだある。七番「この新基準は、最も権威ある二十人の専門学者が全員一致で答申した〃人の健康を必ず守れる科学的判定条件〃をそのまま受け入れ決定されたものであることをご存知ですか」「(はい いいえ)」と、こうなっている。何のために委員会でわれわれ一生懸命議論してきたのか。実はこれは聞かなきゃならぬのです。たとえば安全係数の問題、いろいろ議論あったでしょう。鈴木さんも参議院の公環特でも答弁されておられる。つまり、もしこれがそのまま環境基準になるのだとすれば、私は委員をやめていたという言葉さえ言っているじゃないですか。さらに橋本さんだってそうです。去年の十一月に専門委員会の答申の後、これがこのまま環境基準を改定するということになるならば、中公審にもう一遍かけると言っているじゃないですか。後で橋本さんは、あれはどうも私のミスだったというようなことを言っているようですが。あるいは専門委員会の報告書を伝達する環境庁長官に、文書の中に、これをもとにして環境基準の再検討行政的にやっていただいてよいという趣旨の一文は、環境庁の事務局の独断で加えられたということも明らかになっているじゃないですか。それだけじゃない。たくさん言いたいことがある。環境庁の基準ではなくて、通産省が、言ってしまえば、その枠をさらに広げたということをも含めて、いろいろな文書が出てきている。産業界と学者、中公審の委員との癒着の関係は私が国会で取り上げたとおりだ。いろいろある。そういう問題についてあなたはおくめんもなく「〃人の健康を必ず守れる科学的判定条件〃」をそのまま受け入れて決定したと言っている。これは正しいですか、判断として。私は、それは政治家が選挙で当選をしなければならぬから一生懸命になる気持ちはわかる。しかしこれは、ぼくに言わせれば誘導尋問ですよ。七項目の質問を見てみますとわかる。そして、いわば職権を利用するというか、公的なお立場を利用して、国務大臣環境庁長官というお立場を利用して世論操作をしている。そしてみずからの政治や環境庁行政というものを合理化しようとする態度でしかない、残念ながらそう言わざるを得ない。おまけに時節柄それが選挙運動だととられても仕方がない。国会の申し合わせにも背くものである。しかも私はびっくりしたんだ。表を見たら、「水俣病関係者との話し合い(五十三年六月十六日環境庁にて)」写真が麗々しく載っている。患者と会うのは逃げて逃げて逃げ回って、口実を設けて会わないようにして、いまでもそうだ。そして有権者の皆さんには、患者と会っている姿が、まるで日常茶飯事であるかのような印象を与える形で実は表明がされている。このことについて環境庁長官どう思いますか、お答えをいただきたいと思います。
  122. 山田久就

    山田国務大臣 われわれがこれを決めた環境基準、このことについて国民に対してこの上ともあらゆる機会を使ってこれを十分PRしていく、これがわれわれがなさなければならないところであるし、またなすべきだということについては繰り返し今日まで申し上げておるところでもあるし、また要請もされているところでございます。いま申し上げた、そこに掲げている点は、私が国会において繰り返し申し上げている点、それをそのままそこに掲げて、皆さんの御理解に努めたというこの努力以外の何物でもないというふうに御了承いただきたいと思います。
  123. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 これは長官、何枚お出しになりましたか。
  124. 山田久就

    山田国務大臣 申し上げてもいいことだけれども、これはここで一々申し上げるべきことじゃないと思っております。
  125. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 どうしてですか。国民の理解を得るためにたくさんお出しになったんだが、その枚数、言えないのですか。言ってください。
  126. 山田久就

    山田国務大臣 啓蒙の趣旨に合うべくできるだけわれわれの知っている連中にこれをやったということでございます。数を言っても構いませんけれども、一々その問題については、問題の中心じゃないと思います。したがってお答えは差し控えます。
  127. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 「国務大臣環境庁長官山田久就」という名前で出れば、これが環境庁の姿勢だと言われてもしようがないのですよ。そういうふうに理解させようということですか。それだとかなり国民の意識との間にズレがあることも私がもう言うまでもない。こういうことは今後おやめになった方がいいんじゃないですか、誤解を受けるようなことは。その点はどうなんですか。
  128. 山田久就

    山田国務大臣 そこに私が記載したものは、そういう形でなくとも、私の雑誌あるいはその他への掲載の文章としても同様のことは申しておりますし、また啓蒙のパンフレットの中にも同じことを述べているところ、それをそのまま率直に虚心坦懐に訴えている、それ以外の何物でもないということを御理解いただきたいと思います。
  129. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 ということは、これは環境庁の姿勢なんですね。そういうふうに理解していいですね。
  130. 山田久就

    山田国務大臣 繰り返し答弁しておりまするように、これは環境庁立場として皆様に申し上げている、そのままのことをわれわれが訴えているところのものであるということを申し上げます。
  131. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 わかりました。環境庁の姿勢がこういう姿勢だということがわかりました。この長官の姿勢においておやということをあえて言いたい。患者の問題も含めてあるいは最近の環境行政の大きな曲がり角と指摘されている政治的な現実や国民の不安というものが、やはりあなたの政治姿勢のところから起こっている。しかも、環境庁としてPRなさるなら、環境庁でやったらどうですか。これはあなたの自分の銭でやったのだろうけれども、「国務大臣環境庁長官山田久就」と御丁寧にきちんと書いてある。しかも環境行政あり方をこの中にお説教されていらっしゃる。これは、遺憾ながら政治的にも非常に大きな問題を含んでいると言わざるを得ない。しかも、何枚出したか言えないというのですから余り聞きませんけれども、相当な数量であることも事実ですから、(「言ってもいいと言っているじゃないか」と呼ぶ者あり)言えるのですか、枚数。いま後ろの衆がみんな言っているから、言ってください。
  132. 山田久就

    山田国務大臣 繰り返し申しておりまするように、そのことをお答えする必要をいま認めておりませんから、お断り申し上げます。
  133. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 どうもこういうことは余り言いたくなかったけれども、何枚かばらまかれて、これを見て私のところに届けてくれた人の気持ちに立ってみると、やはり政治家としてのあなたの立場、同時に環境庁長官としてのあなたの立場、そういう二つの面を含めて、こういうことはなさらない方がいいのじゃないですか。世論操作ですよ、誘導尋問で。そして、みずからの政治的な行動というものを合理化なさろうということなどは、これは問題だ。しかも、院議の「申合せ」ということもあるのに、それを無視して国務大臣である者が堂々とこういうものをなさるということになると一体どういうことになるか、そのことを私は問いたい。これはぜひ反省を求めたいと思います。しかし、あなたは反省なんということを言わぬだろうから、あえて答弁は要らないが、そういう点は、これは社会的な問題として重視されますよ。そういうことも申し添えておきたいと思います。  何分にも四十分という時間でございますので、先を急がなければなりません。きょうの本題は、実はそういうことではなかったので、新大隅開発計画の問題について見解をただしたいと思います。  御存じのとおり、鹿児島県の計画によれば、一号地、二号地、三号地、いわゆる大規模な埋め立てによるところの公共用地の造成が決められています。そして二号地は造船、同じく造船関連、機械金属を業種とし、五千二百人の従業員を予定しております。  運輸省にお尋ねいたしますが、今日の造船不況のもとで、特に海運造船審議会の答申を受けて、すべての造船産業が設備の大幅な削減を行っている状況のもとで、このような大規模な造船企業の新設というものが常識として考えられるかどうか、簡単にお答えをいただきたいと思います。
  134. 間野忠

    ○間野説明員 造船の現状はただいまおっしゃいましたとおりでございまして、そういう状態におきましてそのような大規模計画というものは常識として考えられません。
  135. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 ありがとうございました。  三号地というのは「石油貯蔵施設」、「石油精製」となっています。特にこの石油コンビナートに対する住民の反対運動が非常に強いわけですが、事実上、住民の反対がある場合、あるいは自然公園法に抵触する場合など、こういうことがやれるかどうか。私はやれないと思うのですが、地元の反対があれば、こういう大規模な、しかも世界最大などと言われているCTSの建設というものがやれるかどうか。やれないというふうに私は思うのだけれども、地元の反対があればやれないというふうに考えるけれども、通産省、御答弁を煩わしたいと思います。
  136. 宮野素行

    ○宮野説明員 御指摘の点についてお答え申し上げます。  まさに先生御指摘のとおり、私どもといたしましては、地元の住民の反対がある限り、本件を進めるつもりはございません。本日先生から御指摘がございましたので、この方向をより強めてやってまいりたいと思います。  なお、これは蛇足になるかもしれませんが、地元の住民の反対だけに限らず、隣県の宮崎県からも大気汚染の問題等につきまして反対が出ているわけでございます。この間の調整もできなければ、私どもとしては認めるつもりは毛頭ございません。仮にこの両者が万が一解決いたしまして、この本件を進めるということになりました場合には、あらかじめ先生のところに詳細を御報告に上がりまして御了解を得たい、かように存ずる次第でございます。
  137. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 大変明快な答弁で結構でございます。運輸省と通産省、お忙しいでしょうから、どうぞお帰りください。  運輸省の港湾局の方の関係にお尋ねをいたします。  いま私は、運輸省の第四港湾建設局企画課が作成した「志布志湾地域開発計画調査報告書」を持っています。運輸省が大変お金をかけて長期にわたって調査した報告書であります。御理解のとおりに、昭和四十九年三月二十日に海上保安庁が各管区海上保安本部長に対して「大型タンカー用バースの安全性に関する指導について」ということで通達を出しております。これによれば、「荒天による荷役中止およびパイプ切離し基準」として、風速十五メートル毎秒、または波の高さ一・五メートル以下とすることになっています。これに照らすと、志布志湾のタンカー稼働不能日数というものがここに出ているのです。これは初めての資料です。これは都井岬というところで風速十五メートル、二メートルの波高、これは海上保安庁の方は一・五メートルですから、二メートルというのは緩くしているんですよ。それによっても昭和三十二年から昭和四十七年まで、しかも毎月毎月調査をした結果に基づいて志布志湾の大型タンカーなどの稼働不能な日数が何と百日に及んでいる。つまりタンカーの動けない日が百日なのです。これは、海上保安庁の通達というのは法律と同じようなかなり厳しいものです。皆さん御存じのとおりです。つまり年間三分の一はタンカーが稼働できないほど風が強くて波が高いことを示しているのです。港湾局はこのデータを承知していますか。
  138. 小池力

    ○小池説明員 お答えいたします。  志布志湾地域におきます調査は、先生御指摘のとおり、いろいろな面でいま続けているところでございます。突然の御質問でございまして、ただいまのタンカー荷役不能日数等についてちょっと資料を持っておりません。ただ、志布志湾と申します場所は、確かに海象、気象条件の厳しいところであるということは十分承知しております。
  139. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 一年のうちに三分の一もタンカーが航行不能だ、動いてはいかぬ、荷役をやってはいかぬ、そしてパイプは切り離さなければいかぬというようなところに現実問題として大規模なコンビナートができるのですか。しかも御理解のとおりに、この調査をやったところの場所は入り口のところですよ。防波堤をつくったって、あそこで波をとめるなんということはできませんよ、まるっきり海のど真ん中に突堤をつくるようなものですから。この問題の審議をする場合にそういうことをぜひ御理解を願いたい。これは非常にりっぱなアセスメントです。港湾のアセスメントなんです。これはどこにも出ていません。しかしあなたのところがお金をかけてやっているのです。そしてつくった結果、ここに実に細かい数字が出ている。このことを御銘記願いたいと思います。  さて、いまの運輸省やあるいは通産省の御答弁、あるいはいまこの資料などなど関連をさせて環境庁の自然保護局長にお尋ねをしたい。  この新大隅開発計画というのは大規模な埋め立てでありますから、自然破壊を伴うことは明白であります。一般論として伺いますけれども、大規模な自然破壊には当然自然景観というものも含まれる、このように私は思うけれども局長通達の解釈を含めて簡単にお答えをいただきたい。
  140. 金子太郎

    ○金子説明員 新大隅開発計画は、鹿児島県独自の計画でございまして、私ども内容も承知いたしておりませんし、私どもがとやかく意見を申し上げる段階にはないと思いますが、一般的に申しますれば、岩垂委員おっしゃいましたとおり、自然保護の立場から自然破壊に反対するのは当然と考えております。
  141. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 鹿児島県がアセスメントを作成しましたけれども環境庁はこれで十分だとお考えになっていらっしゃいますか。
  142. 上村一

    ○上村説明員 結論から申し上げますと、その内容について私ども十分承知していないということでございます。
  143. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 承知してないけれども、ごらんにはなったでしょう。こんな厚い本をちゃんと持っていったはずですよ。
  144. 上村一

    ○上村説明員 五十一年の六月に公表されておるわけでございますが、先ほど自然保護局長が申し上げましたように、この計画というのは、鹿児島県だけの目下の計画であるわけでございまして、環境庁としてとやかく申し上げるべき筋合いのものではない、こういうように考えておるわけでございます。
  145. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 資料が届いているのですよ。それをごらんになって、そのまま認めるものではない、環境庁は独自の立場がある、そういうように答えられますね。
  146. 上村一

    ○上村説明員 先ほどお答えしたとおりでございます。
  147. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 いや、私がいま言ったじゃないか。それに答えなさいよ、環境庁は独自の見解を持っていると。
  148. 上村一

    ○上村説明員 独自の見解と申し上げますよりも、環境庁はこの問題についてまだ見解を申し上げる段階ではない、いま問題になっておりますのは、先月の末に発表になりました志布志港の港湾計画の改定という問題について、私どもやがてはこれについての見解を述べなければならない、こういうように考えておるわけでございます。
  149. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 鹿児島県のアセスメントというのは、環境庁はこれを十分なものだとは考えていないと私は思うのです。あなたがいま答弁したのは、鹿児島県のやつだから私はまだ知らぬ、それで済むものじゃないですよ、現実に資料が届いているのだから、あなたはごらんになっているのだから。それを、鹿児島県のものでございます。環境庁はそれでは不十分ですと言いたいけれども、まだそこまで言う段階ではない、私はそういうふうに理解いたします。よろしいですね。
  150. 上村一

    ○上村説明員 そういうふうに理解されるとおっしゃいましても、私がいまお答え申し上げた範囲に尽きるわけでございますので、それでよろしいと言われましても、よろしゅうございますともそれでは困りますともお答えしにくいと思います。
  151. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 鹿児島県のやつは、あなたごらんになっているでしょう。一般論としてそれで十分だと思っていらっしゃるかどうかを私は聞いているのです。
  152. 上村一

    ○上村説明員 鹿児島県から私どもの方に事実問題として書類は送ってまいりましたけれども、公式に環境庁の見解を求められたわけではございませんので、申し上げる段階ではないというふうに先ほど来お答え申し上げているとおりでございます。
  153. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 どうも時間がないものだから、ついまずいけれども、公有水面埋立法は、五十ヘクタール以上の埋め立てについては環境庁長官協議を受けるということになっている。私、この法案を審議したときに地行でその審議にかかわっていますから、その討論の経過はよく知っています。自然保護の観点から当然環境庁としては意見を出すわけです。国定公園の指定解除の問題も含めて出されると思うのですが、それまでに環境庁は、たとえば独自のアセスメントみたいなものをおやりになるつもりはないのですか。
  154. 上村一

    ○上村説明員 現在出ておりますのは、先ほど申し上げましたように、志布志港の港湾計画の改定でございます。港湾計画を改定いたします場合には、港湾法等の定めるところに従いまして鹿児島県知事がそのアセスメントをするということになっておるわけでございます。  一方、これについても意見を申し上げなければならないわけでございますが、同時に、お話しになりましたように、公有水面埋立法で主務大臣が認可をされます場合に、五十ヘクタール以上の場合等については環境庁長官意見を求められるということになるわけでございますので、それが出てまいりました段階意見を申し上げることになるわけでございます。
  155. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 一般論として、要するに国定公園の指定解除などは慎重の上にも慎重を期することは当然であるということもお答えいただけますか。
  156. 金子太郎

    ○金子説明員 慎重の上にも慎重にいたします。
  157. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 つまり新大隅計画というのは、宮崎県の議会でついこの間、企画調整部長が、計画自体がまだ機が熟していないし、環境庁指導もあって留保する、したがって、例の志布志湾の港湾計画は別個のものとして受け取るというふうに説明していますね。これは事実ですか。
  158. 上村一

    ○上村説明員 先月末鹿児島県で発表されたところに従いますと、志布志港港湾計画というのは新大隅開発計画とは別個のものであるというふうに言われておるわけでございますし、私どももそう理解しております。
  159. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 さっき私が言ったのは、鹿児島県と宮崎県の両県で、一次、二次、三次を含め新大隅計画は事実上たな上げになったというふうに理解せざるを得ない、それが宮崎県の企画調整部長の答弁なのです。このように私は理解してよろしいかどうか。環境庁指導もあってという項目がございます。そこのところをしかとお答えを賜りたいと思います。
  160. 上村一

    ○上村説明員 私どもが連絡を受けました先月末の鹿児島県の知事さんから宮崎県の知事さんあての御連絡では、新大隅開発計画につきましてはいろいろな経緯があるから、引き続き両県に関係する事項について連絡調整に努めてまいりたい。それから、今回は新大隅開発計画とは別個に、先ほど申し上げました志布志港港湾計画改訂大綱というものをもとに、既定の計画を改定するというふうに言われておるわけでございますから、先ほどお答えいたしましたように、両県の間の理解というのは両方の知事さんの間でやりとりされました文書に尽きるのではなかろうかというふうに考えます。
  161. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 さっきの運輸省やら通産省やらの答弁あるいはいまの問題などを考えてみれば、新大隅計画というのはできっこないのです。それをはっきり言うとなんだろうからと思って言葉遣いも注意しておられるようだけれども、鹿児島県はいま、それが事実上たな上げになってしまったから志布志新港計画というものを具体化しようとしておるのです。これはもうはっきりしているのです。港湾計画改訂大綱によれば、造船用地九十八ヘクタールのうち工業用地が五十八・四ヘクタール、埠頭及び港湾関連用地が二十九ヘクタールなのです。つまり工業用地の方が広いのです。そういうものは事実上、港湾計画とはいいながら埋め立てのための先取りだ、こういうことを住民の皆さんも言っていらっしゃるのは私はよくわかる。  そこで運輸省にお尋ねしますが、この港湾計画というのは四十七年十月に決定されて五十二年度で切れているわけでしょう。それを今度また続けてやるというのですが、こういうやり方は好ましい形ですか。
  162. 小池力

    ○小池説明員 お答えいたします。  重要港湾志布志港の港湾計画は、御指摘のとおり四十七年に港湾計画をつくりまして、五十二年を目標にしております。港湾計画と申しますのは、将来におきます港湾のあるべき姿を示す港湾の開発利用に関する基本計画というようなものでございまして、目標年次を経過した港湾計画にありましては速やかに港湾計画を改定するということが望ましいかと思います。しかしながら、港湾計画の改定に際しましては、アセスメントその他十分な調査検討並びに調整にかなりの時間を要するということも事実でございまして、港湾計画の改定が目標年次を若干ずれるということもしばしばございます。志布志港につきましては、港湾管理者であります鹿児島県におきまして、現在港湾計画の改定に必要な検討を鋭意実施しているところでございますが、地元の調整その他によりましてなお港湾計画改定の手続がおくれているものでございます。運輸省といたしましては速やかに港湾計画改定のための所要の調査検討を行い、それから地方港湾審議会等の所要の手続を進めていくよう鹿児島県を指導しているところでございます。
  163. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 どうも時間がないので恐縮ですが、港湾審議会には環境庁の次官が入っていますね。環境庁はこの審議に臨む態度として、たとえば埋め立てアセスメント、たとえばしゅんせつによるところの被害であるとか、水産被害であるとか、海流の変化などのアセスメントというものが、その委員会に参加する場合に必要だというふうに思いますけれども、その点はどうですか。
  164. 上村一

    ○上村説明員 当然鹿児島県においてそういうものも含めたアセスメントをやられました上で、その港湾計画の改定を運輸大臣の方に持っていかれるというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、港湾審議会に臨みます態度といたしましては、鹿児島県から出されました資料あるいは運輸省からの必要に応じていただきます資料をもとにいたしまして、どういうふうに対処するか決めてまいりたいというふうに思うわけでございます。あくまでも環境庁がこの港湾審議会に関与いたします態度というものは、自然環境なり、生活環境保全という観点であることは庁の役割り上当然のことでございます。
  165. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 私の言いたいのは、港湾審議会というのは、船舶の安全とか施設ということを中心にして当然のことながらやるわけです。だからメンバーは、どちらかというと船の側の人の方が多いのですよ。公害問題というのは、環境庁の次官が入っているからそれが精いっぱい主張しなければどうにもならぬのです。本来ならば、それは公有水面埋め立ての際に、環境庁長官との協議というものがむしろ先行すべきだと私は思うのです。そうしないと、事実上でき上がってしまった施設に、あとは埋め立てだ、どうなったってそれはしようがないじゃないか、国がサイン出したものだからそれでいくべきだということになってしまう。既成事実になってしまうのです。願わくは、その意味では、港湾審議会に臨む態度として、さっきあなたも言っているし、環境庁の人はみんな言っていますよ、鹿児島県のアセスメントというのは、これで十分だなと思ってない、とんでもない話だと非公式にはおっしゃっていらっしゃるのです。国会の場所だから影響が大きいから言わないだけの話です。そんなときに鹿児島県のアセスメントを持って港湾審議会へ出ていって、これでございますと言って環境保全ができると思いますか。そういうところは公有水面埋立法というものが、なぜ環境庁長官協議というものを設けたのかという背景、その意味、それにこたえていく環境庁の姿勢、このことをきちんと対応しておいていただきたい、このことを私は要望しておきたいと思いますが、その点はいかがですか。
  166. 上村一

    ○上村説明員 当然そういうふうな腹づもりで対処してまいるつもりでございます。  ただ、港湾審議会における港湾計画の改定というのが先になりませんと、公有水面の埋め立てということには物事の順序としてはなりにくいのじゃないかというふうに思うわけでございます。
  167. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 私の言いたいのは、事実上いま法律の運用がそこのところで実はもうちょっときちんと整理しないといけないのですよ。公有水面埋立法と、それからいまの港湾審議会との関係を法律的な調整をして、なぜ公有水面埋立法に環境庁長官協議が入ったのかと言えば、既成事実ができ上がってしまって、あとはしようがないのだ、やれる範囲でということになってしまうのです。だからその際に、港湾審議会に臨む態度としては、環境庁が鹿児島県のアセスメントだけでなしに、きちんとした見解を持つべきだ、こういうことを申し上げているわけでありまして、その点を御理解賜りたいと思います。  以上で終わります。
  168. 上村一

    ○上村説明員 いまお話しになりましたような趣旨に従って対処していくつもりでございます。
  169. 久保等

  170. 土井たか子

    ○土井委員 去る六月六日の当委員会におきまして、食用油であるとか、チューインガムであるとか、魚の塩干物などに酸化防止剤として広く添加されておりますBHTについてお尋ねをしたわけでございますが、きょうまた厚生省から御出席をいただいて一つだけ確認をし、また今後の対策についてはっきりさせておきたい問題がございます。  それは、食品に広く使用されております合成着色料の赤色二号についてなのでございますが、この赤色二号については、日本では昭和二十三年から使用が許可されて、引き続き今日に至るまで使用されております。すでに御承知のとおりで、アメリカにおきましては、五十一年の二月に、食品医薬品局が発がん性のおそれがあるということで使用を禁止しているという対策が現にとられてきているわけですが、お尋ねをしたいのは、わが国においては、食品衛生法の一部を改正する法律の審議に当たりまして、衆議院において附帯決議がございます。その附帯決議の中には、「食品の安全基準の設定、毒性その他人体に及ぼす影響についての調査研究を急ぐこと。」という項目が御承知のとおりございます。  そこでまずお尋ねしたいのは、昭和二十三年に使用を許可してから、公式に赤色二号について再検討を厚生省としてはされているかどうか、いかがでございますか。
  171. 宮沢香

    ○宮沢説明員 御説明申し上げます。  赤色二号は一般名アマランスと申します。これは先ほど先生御指摘のように、非常に古くから世界各国で使われている食料色素でございますが、日本では、これについて特に遺伝学的な見地から慎重な検討をいたしましたところが、全くその辺のがん原性の問題はないというような御意見でございましたので、発がん性については、特に私どもは再評価の対象としておりません。
  172. 土井たか子

    ○土井委員 昭和二十三年に使用を許可してから、公式に今日に至るまでそういう審査、調査を進められたという具体的事実があるわけでございますか。
  173. 宮沢香

    ○宮沢説明員 御説明申し上げます。  赤色二号は、国連の機関でございますWHOで、一九六四年以来一九七五年に至るまで専門家の審議がございまして、安全摂取量も決まっておりまして、非常に安全な色素に属しておるということでございます。私どもは、食品添加物の安全性については最大限の注意を払っておるわけでございますが、危険性の高いようなものから順次再評価を実施してきておるわけでございまして、この食料色素の赤色二号につきましては、そういうふうに非常に安全性が高いということと、世界各国で非常に慎重な幾つかの実験もあるというようなことでございましたが、私どもは、さらに遺伝学的な面から新しい評価をいたしまして、そして問題がないということでございますので、長期的な慢性毒性は、赤色二号はそのリストから外してございまして、遺伝学的な面とか、あるいはその他相乗毒性の面とかいうような実験はやっております。
  174. 土井たか子

    ○土井委員 それではその中に、いま実験をやっているというお答えでありますから、アメリカの使用禁止した理由について公的機関で検討されたという経緯があるわけでございますか。     〔委員長退席、古寺委員長代理着席〕
  175. 宮沢香

    ○宮沢説明員 御説明申し上げます。  実は、そういうふうに非常に安全な食料色素が、アメリカのFDAの実験でがん原性の疑いが持たれたということ、五十一年の一月にそういうことが発表されたということを私どもは聞きまして、非常に衝撃を受けたわけでございます。そこで早速アメリカのFDAに連絡をとりまして、そういったフルレポートを送ってもらいまして、そのコピーを特にがんの専門家の先生を中心に、代謝関係であるとか、あるいは一般の病理の先生とかいう方にお配りをしまして読んでいただいております。そして二月十一日に、アメリカのFDAで正式にこれを禁止するという発表がございました。そこで、そういった読んでもらいましたがんの専門家であるとか、代謝とか薬理の方、病理の方、こういった方に招集をかけまして会合を持ったわけでございます。その結果、実はアメリカのFDAの実験の内容について若干ミスもあるし、この実験からはがん原性その他について評価をすることは困難ではないかというのがその先生方の意見でございました。そこで、私どもとしては、WHOが現在安全であるとして安全のリストにこの赤色二号を入れております。世界各国でも使っておるということですので、そのまま使用を継続しておる、こういうのが実情でございます。
  176. 土井たか子

    ○土井委員 問題は発がん性についての問題なので、なかなかこれは深刻だと思うのですが、いまおっしゃったような措置を厚生省として講じられているというお答えでありますけれども、実は、もう御承知かと思います昨日、つまり十一月の二十日に、東京都の消費生活対策審議会の方が資料検討した、入手可能な資料検討した、参考人からいろいろな意見も聴取した、その結果発がん性についての疑いは解消されなかったという答申が出されておるわけであります。この事実についてどのようにお考えでいらっしゃいますか。
  177. 宮沢香

    ○宮沢説明員 お答え申し上げます。  実は私どもとしましても、FDAで禁止の措置をとったその根拠となるあらゆるデータを送ってもらったわけでございます。もちろん一番問題になりましたのはFDAの実験でございましたが、それについて特に国際機関のメンバーでもあります先生方も交えたそういう会合で、特にがん原性について焦点を当てて慎重に審議をし意見をちょうだいしたわけでございますが、その結果、赤色二号についてはがん原性の疑いは持てないという御意見でございましたので、私どもは、今度の東京都がどういう審議をしたか、どういう経過でそういうふうな結論に達したのか、しさいは存じませんが、厚生省としましてはそういう専門家の意見に従って発がん性についての疑いは持っていない、これが厚生省の考えでございます。
  178. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、都の消費生活対策審議会がこのような答申をされたことは一切無視されるという調子でこの問題に臨まれるわけですか。先ほど私は、四十七年の食品衛生法の一部改正のあの附帯決議をわざわざここで述べた意味というものをもう一度しっかりと胸に刻んで御答弁願います。
  179. 宮沢香

    ○宮沢説明員 お答え申し上げます。  実は食品添加物については、先生前々御指摘のように、まず安全であるという大きな前提があるわけでございます。したがって私どもは、その安全性については特に慎重に審議をしておるわけでございます。その次にそれが本当に必要かどうかということになってくるわけでございますが、実は、赤色二号はどちらかというと諸外国、たとえばインスタントコーヒーの着色料であるとか、あるいは赤色のワインであるとか、そういうものに非常に必須な色素であると聞いておりますし、日本ではグレープの色を出すためのブドウのジュースであるとか、あるいはあんこのような紫色とか、こういうものにも非常になければ困るというようなことを聞いておるわけでございます。したがいまして、私どもは、まず安全性について問題がないという信念に立ってその必要性を認めて使用をさせておるわけでございまして、東京都の結論を決して無視するわけではございませんが、厚生省としては食品添加物の指定する考え方にのっとって今後も使用を継続させる寸こういうことでございます。
  180. 土井たか子

    ○土井委員 メーカー側の外見とか体裁とかいうふうなことで、事この非常に深刻な発がん性の問題というものがゆめおろそかに考えられるということであってはとんでもない話だと私は実は思うわけですが、今回、ひま御答弁でも、もうはっきり御答弁の中に伺うことが私はできないので心外の至りなんですけれども、東京都のこの消費生活対策審議会の答申というのがはっきりこういう形で出た以上は、慎重にこのことに対しては考える姿勢で臨んできたとおっしゃるのだから、ひとつ慎重に考えられる姿勢をここでも発揮されて、この問題に対して実情を確かめて検討してみるというのが当然じゃなかろうかと私は思うのだけれども、いかがです。どうなんですか。
  181. 宮沢香

    ○宮沢説明員 御説明申し上げます。  実は東京都の方から、まだそういった答申とそれからバックデータについて私どもは詳細な提出を受けておりませんが、何か提出してくれるようなことを言っておりますので、それが参りましたら、もちろんそれは慎重に検討はしてみたいと思っております。
  182. 土井たか子

    ○土井委員 それはどういう体裁で検討なさいますか。食品衛生法に従って食品衛生調査会等々にこの問題についての資料を提供して、そしていろいろ審議にこれを供するというふうな体裁でおやりになるのかどうか、その辺はどうなんです。
  183. 宮沢香

    ○宮沢説明員 以前にアメリカのFDAでその禁止措置をとりましたときに、私どもは、それまでに世界各国で行われておりましたいろいろなすべての実験のデータであるとか、それから新しくFDAで実験したデータ、そういったものすべてについて専門の先生方に十分審議をして検討していただいたわけでございます。今度東京都で検討しました資料の中で、もし私どもがいままでに審議をしなかった、漏れておった、そういうようなデータがございまして、そしてその内容等についても、やはりこれはもう一度検討した方がいいというような御意見があるようでしたら、それは検討してみたいと思いますが、新しいものがない以上は、すでに私どもはあらゆるデータについて赤色二号の安全性については検討し尽くしておる、こういうふうに現在は考えております。
  184. 土井たか子

    ○土井委員 慎重に検討ということは、それでは以後、この国会でも、お使いにならないようにお願いしたいと思うのです。慎重におやりになる姿勢からすれば、いまのは非常に消極的な答弁ですよ。そういう意見があればとか、そういう申し出があればという受け身の形で、どうしてこういう問題に対して積極的に取り組むことができるのですか。慎重に取り組むことができるのですか。いいかかげんにしていただきたいと私は思います。  そして特に申し上げたいのは、この食品添加物として製品検査を受けた赤色二号というものは五十年に比べて五十一年はどんと減っているのですね。なぜかというと、アメリカで先ほど来問題になっているように使用禁止令が出たからであります。ところが、その後五十二年になって、五十一年に比較すると使用量がまたふえてきているというふうな傾向に現状はあるわけですから、そういうことからすれば、いま東京都のみならず他府県で、たとえば山形であるとか、たとえば埼玉であるとか、それぞれの県が安全性の確認を厚生省に対して五十一年以降ずっと要望し続けてきておられるという実情もあるわけですね。こういうふうな現実からすると、いまのような消極的姿勢では困るということを申し上げたいと思いますよ。どうですか、積極的にこれに対してしっかりともう一度再検討するということをここではっきりお約束できませんか。いかがです。
  185. 宮沢香

    ○宮沢説明員 御説明申し上げます。  繰り返しになりますが、非常に新しい技術を駆使して遺伝学的な面からがっちりと安全性について添加物についての洗い直しをやっておるわけでございますが、その洗い直しでもって赤色二号は全く問題がない、したがってこれは発がん性を全く予知しないというような意見まで出ておるわけでございます。それから食用色素の二号につきまして、私どもは特に相乗毒性関係の面からもこれは検討もしておりますが、これは一年間程度でございますが、特に問題もないということでございます。WHOでもこれは安全であるというリストにも入れております。いろいろな客観的なデータを見る限り、私どもとしては改めて、今度の問題が起こったからといって再評価を早速に始めるということは考えておりません。
  186. 土井たか子

    ○土井委員 先ほどどうおっしゃいましたか。そういうふうな要望があるならば、そのことについて、いろいろ資料について検討する必要があるというふうな御答弁だったわけでありますが、いま東京都の審議会の方は、ニュースによると、食品衛生法上からも疑惑のないように措置することは本来は国の責任だということをまず述べて、そして国が赤色二号の安全性について速やかな措置をとるよう求めるべきだという答申を出しているのですよ。これはもうニュースで御存じのとおりだと思います。それからすると、どうお答えになりますか。しかもWHO、WHOと、事あらば一つ覚えのようにおっしゃいますけれども、食品衛生法という日本の国の法律はWHOに基づいてつくられておる法律ではないのです。日本の国民の健康保持の上から考えて、環境保全の上から考えて、食品衛生法というものは国会において制定されているということを、どうか無視なさらないようにお願いします。WHOに従ってわれわれはいろいろ国会で審議しておるわけではない。いかがですか。     〔古寺委員長代理退席、委員長着席〕
  187. 宮沢香

    ○宮沢説明員 私どもは決して東京都を無視するのではなくて、東京都から資料提出されてその中で、もし新しいデータがあって検討しなくちゃならないという事態が起これば検討はしていただくということは申し上げておるわけでございます。繰り返しになりますけれども、私どもは少なくともFDAで禁止措置をとりましたとき、それまでに行われました赤色二号に関するあらゆるデータを入手しまして検討してもらったつもりでございます。したがって、私どもは現時点では赤色二号についての安全性には疑いを持っておらない、こういうことでございます。
  188. 土井たか子

    ○土井委員 幾ら厚生省がそう言われても、現にこの東京都の消費生活対策審議会の方で発がん性の疑いが消えないという答申がはっきり出ますと、消費者や国民にとってはどういうふうな影響が出てくるとお考えですか。まことに不安ですよ。これに対して、本来このことに対してシロクロをはっきりさせるべきは国なのだということを都ははっきりおっしゃっているのです。答申の中で。したがって、それからすれば答えるべきじゃないですか。いまのようなそういう答え方というのは、国民に対してまことにこれは愚弄した答弁の仕方だと私は思いますね。いかがです。はっきりこれは検討するならするとおっしゃったら済むはずの問題だし、しかも検討すべきだと私たちは考えますよ、国として。——時間がもったいないから、はっきり答えてください。
  189. 宮沢香

    ○宮沢説明員 お答えします。  アメリカで五十一年に禁止措置をとりましたとき、やはり非常にショッキングな事件として大きく報道されまして、国民は赤色二号の安全性について大きな不安を持ったと思います。それに対して厚生省では、資料を取り寄せて慎重に検討していただいた結果、問題ないという結論を一度出したわけでございます。今回また東京都で……
  190. 土井たか子

    ○土井委員 アメリカが言っているんじゃないのです。今度は東京都の審議会の答申で言っているのですよ。日本の東京都の審議会でこういう答申が出たということをひとつはっきり御認識の上で御答弁願います。
  191. 宮沢香

    ○宮沢説明員 したがいまして、東京都でどういう資料をとるについてどういう審議が行われたかということについて、私どもはしさいは存じませんので、東京都の方からそういう資料等の提出を待って、そして内容を十分見た上で、もし必要があれば慎重に検討する、こういうことでございます。
  192. 土井たか子

    ○土井委員 時間の方がもったいない。もう結構です。  それでは、きょうの本題のNO2の問題についてお尋ねを進めたいと思います。  七月の十一日に環境庁がNO2の新環境基準というものを告示されてから、ただいま地域判定の作業というものが進められているという段階だと存じますが、どのようにその作業が進められつつあるか、その辺の状況についてまず御説明を賜りたいと思います。
  193. 山本宜正

    ○山本説明員 私の方といたしましては、新環境基準の運用のために地域区分の作業を進めてまいりたいということで、十月七日付に私名の文書をもちまして、十数都道府県に対しまして地域指定、地域区分をするために必要な資料といたしまして地域区分の試案、管内の主要なNOxの発生源、あるいは測定局の位置、あるいはNO2の濃度の測定結果、そういったような関連の資料の調製、提供を求めております。この資料に即しまして私ども地方公共団体と相談いたしまして、地域区分について決めたい、こう思っておるわけでございますが、現在そのヒヤリングの進行中でございます。
  194. 土井たか子

    ○土井委員 そこで、この地域判定の問題について種々のポイントがあると思うのですが、一つは、まずお伺いしたいのは、告示の内容にあります。いわゆる非悪化原則の問題なんです。  この非悪化原則の本題に入る前に、ちょっとどうしても私はこの点をはっきりさせておいて非悪化原則の問題に入りたいと思うことがここにございます。  それは山田環境庁長官が、実は八月の二十四日の朝日新聞の論壇のところに投稿されておりまして、そこにNO2環境基準の緩和についての疑問に答えるべく文章を起こしておられるわけでありますが、この文章の中にこういう部分があるのです。「この新基準(一日平均値が〇・〇四から〇・〇六ppmまでのゾーン内またはそれ以下)は、国際的にみても、アメリカや西ドイツのおおむね一日平均〇・一ppmより二倍程度厳しく、また、世界保健機関の指針値一日平均換算おおむね〇・〇四から〇・〇七ppmと比較しても、決して緩いものではない。」こういう部分がありますね。  同じようなことが次いで八月二十九日号の日本経済新聞の政府広報・環境庁の全面広告の部分で述べられているわけです。ここで山田長官は、「アメリカ、西ドイツは〇・一ppm。今回の基準はそれの二倍程度厳しい。WHOの指針は日本よりも若干ゆるく、〇・〇四〜〇・〇七ppmです。」こういうことを述べられているわけです。ですから今回の基準値というものは、外国に比べるとそれでもまだずいぶん厳しいんだということをしきりに力説をされているわけであります。  環境庁長官は国際人でございますから、したがって、外国のそういう例をお出しになって種々展開されるというのは、本来、一議員、一私人の立場で感想を言えと言われた場合におっしゃる分には、これは差し支えないだろうと私は思いますけれども、ただいま環境庁長官という要職におありになる。環境庁長官のこの文章を私は読みまして、あれっと思ったのです。  それは何かと言うと、当委員会におけるNO2の審議に当たりまして、まず環境庁長官が開口一番、冒頭にお答えになっている部分を会議録によって確かめて、会議録どおりに間違いないように読んでみますと、こういうことなんです。  「わが国の環境基準は、公害対策基本法に基づきまして、「人の健康を保護」する上で「維持されることが望ましい基準」というものとして定められていることは御承知のとおりでございまして、各種の長期的な総合施策のいわば努力目標ということでございます。したがって、直接に法的な拘束力というものには結びついていないという基準であることを注目する必要があると思いますが、同時に、施設の許可認可基準でもない等の点、この点は他国の基準と異なっておる。したがって、これは絶対必要な健康保護のための基準というようなことで決められている他国の基準というようなものと単純に比較はできない点があるということは御承知のところかと存じます。」と、こう言われています。これは長官自身の御答弁だから、しかも私は会議録によっていまその部分を読んだわけでありますから、間違いがないわけであります。  さらに、橋本局長がその問題について少し触れて詳しく答弁をされている部分について言いますと、「対策のおくれは欧米にあるということであります。以前は欧米が進んでいるからそれに行け、こう言ったのですが、いま確かにエアポジションでは向こうはおくれております。そういうことで、次第に公害対策が、よそが余りやらなくてサボっているものに合わせるというような風潮が日本に出てくるのが最も憂うべきことだというぐあいに考えております。」こうとも言われておりますね。  したがって、どうでございますか、長官、この朝日新聞なり日本経済新聞なりに掲載されている、長官の力説されている内容と、当委員会において答弁をされている内容というのは首尾一貫しないじゃございませんか。いかがなんです。まことに矛盾していると私は思いますよ。外国の基準とそう単純に比較はできない点があるということを当委員会でははっきり長官の答弁として出していらっしゃる。にもかかわらず、国民に向かっては、素人の国民が読む場合、外国と比較すると日本の場合まだそれでも厳しいんだ、だから緩やかにした、緩やかにしたなんということは当て違いですよと言わんばかりの物の言い方をされているのですが、これはいかがなんです。どうですか。——いいですよ、局長が言っているんじゃない、環境庁長官がこれを書かれて言われているのです。局長じゃないですよ。長官ですよ。長官の文章なんです。いいかげんにしてくださいよ。
  195. 山田久就

    山田国務大臣 いま、これは技術的に言えばいろいろな点があります。単純ではないけれども、おおむね、そういうことで常識的に言えばそういうふうに言って差し支えない、こういうことでございます。
  196. 土井たか子

    ○土井委員 日ごろ環境庁長官は、感情的よりも科学的に冷静にということをしきりに言われる。(「理性的に」と呼ぶ者あり)そうそう、理性的に。非常にこの言葉をよく使われるわけでありますが、理性的に科学的に考えると外国と比較することは単純にできない、このように長官自身おっしゃっていて、しかも外部に向かってのこの文章では、外国と比較して日本の場合それでも厳しい厳しいとおっしゃるのは、那辺にこういう発言のいわれがありますか。環境庁長官としてこれは首尾一貫しないのじゃないですか、どうでございます。まことに冷静じゃないですよ。
  197. 山田久就

    山田国務大臣 常識的に他国に比較して厳しいということを言って差し支えないと思うのです。ただし、それを細かく言えばわかりにくくなってしまいます。したがって、簡単に言うときにはそういうふうに言うということでございます。それで間違いはございません。
  198. 土井たか子

    ○土井委員 わかりにくいことはおっしゃらない方がいいのです。これは、やはり日ごろの長官の御趣旨からすれば、科学的に冷静にお考えになるべき問題だろうと思う。概して言えばとか常識的に言えばとかそういうことは、本来冷静に科学的にということを旨とされている長官としてはうかつですよ。私はこの発言を新聞で読んでおかしいなと思ったんですね。長官としてどうも首尾一貫しない、山田長官らしくないと思ったのですよ。やはり国際人ですから、外国の例を引き合いにお出しになりたいという御傾向があることは理解にかたくありませんが、これはやはり首尾一貫しないです。そのときそのとき、行き当たりばったりにこういうことをおっしゃるというかっこうでございますか。また、いまの基準値緩和というような問題に対しては、そのときそのとき考えていったらいい、問題に対して相手に説得するというのは、相手に従ってその場当たりで考えていったらいい、こういう御趣旨でございますか、いかがですか。
  199. 山田久就

    山田国務大臣 先ほど申し上げましたように、いまわかりやすく言えばというこのPRという点で言えば、おおむねそういうことで言って差し支えない。それを細かく、たとえばもっと科学的に議論しようということになれば細かくなります。それではわかりにくくなるので、おおむね厳しいということを訴える意味での表現としては、別段私はそこに矛盾はないと考えております。
  200. 土井たか子

    ○土井委員 単純に比較はできないとお断りになりながら比較をして、向こうよりもこっちが厳しいと言われることはまことに矛盾している、これは簡単に言えばこういうことなんです。国会答弁をお取り消しになりますか、それとも外部にお出しになったこの新聞紙上での御発言をお取り消しになりますか、修正されますか。いかがでございますか。
  201. 山田久就

    山田国務大臣 科学的な議論を細かくやるという段では別として、わかりやすくPRするという段で、つまり比較しても厳しいということをわかりやすく言えばそういうことであるという点については間違いではないと思っております。したがって、取り消すつもりはございません。
  202. 土井たか子

    ○土井委員 時に長官の御説明というのは、非常に首尾一貫しないで政治色を帯びるということも念頭に置かなければなりません。ある場合にはこれは政治的ではないとおっしゃり、ある場合にはまことに政治的なんです。こういうお取り扱いで環境行政をお進めになるときは、国民の健康保持や環境保持というものが一体どういうことになるかということも私たちとしては心してやはり考えなければならないと思っております。  さて、告示内容の中にありますいわゆる非悪化原則の運用方法の問題について、非悪化原則というものをどのように適用していこうとなすっているのか、具体的な具体化の方策についてその運用方法というものを簡単にひとつ御説明賜りませんか。
  203. 山本宜正

    ○山本説明員 〇・〇四ppmから〇・〇六ppmのゾーン内にある地域におきまして、原則として都市化とか工業化に余り変化が見られないというような場合におきましては現状程度の水準を維持していく、こういうことで、都市化、工業化が進む場合にはこれを大きく上回らないようにして対策を講じていこう、こういうのが非悪化の原則として考えているところでありまして、具体的にどのような地域に対しましてこれを適用するか、対策を進める上で一体として取り扱うのが適当な単位の地域、たとえて言いますと、硫黄酸化物のK値規制地域区分というようなものもございますが、こういったものも参考といたしまして、五十二年度の測定値がやがてまとまるわけでございますが、そういった測定値を判断の材料といたしまして対象の地域を決めてまいりたい。  非悪化の運用でございますが、現状の濃度水準あるいは今後の地域の発展、こういったものを十分見きわめまして、対策実施の可能性も考慮しながら、地方との実情の相談の上で対策を講じていくことが重要だ、こういうつもりでおりまして、現在各地方からの資料を待ちましてその決定をしていきたい、こう思っているわけでございます。
  204. 土井たか子

    ○土井委員 いま私、質問途中でございますが、あと通産、建設それから資源エネルギー庁、自治省等々に御出席をいただいて、具体的なことについて、いまの非悪化原則の運用がどのように考えられていっているかということについてのお尋ねを進めたいということできようは質問を用意したわけであります。ただ、あと中井委員の時間の御都合がおありになるようですから、私はここで一たん打ち切りまして、質問最終に、委員長並びに理事の方からお許しをいただければ質問を続行させていただきたいと思います。
  205. 久保等

    久保委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  206. 久保等

    久保委員長 速記を起こしてください。  それでは、土井委員の質問は後ほどに回しまして、次に、坂口力君。
  207. 坂口力

    ○坂口委員 時間が二十分でありますので、簡潔明瞭にお答えのほどをお願い申し上げたいと思います。  お聞きしたい点は二点ございまして、一点は道路騒音の問題でございます。特に道路騒音の場合にはいろいろむずかしい問題もございまして、なかなかこれを解決することができ得ない。特に市街地を走っております道路につきましては、なかなか新しい道路やバイパスもでき得ないということで、そういたしますと、ベストな方法がなかなかとれないために次善の策を講じざるを得ない、こういう現状にございます。そこで次善の策として、この騒音に対しましても、騒音に総量規制という言葉はちょっとなじまないと思いますけれども、総量規制的な物の考え方をやはり導入していかざるを得ないのではないか、こういうふうに考える一人であります。そういった意味で、その辺のお考えがあるかどうかということをひとつお聞きをしたいと思いますし、それから次善の策として、そういうことになりますと四車線のところを二車線にしますとか、あるいはまた大きいトラック等の速度制限等をしていかざるを得ないと思いますが、しかし速度制限と申しましても、県警等がそこに毎日出てくれればいいわけでありますが、それもなかなか不可能であるということになりますと、またそれにかわるべき方法を講じなければならないというようなことになるわけでありまして、警察庁あたりでは自動速度違反測定機といったものについても配慮をいただいておるようでありますが、そういったものをできるだけ多くしていただく以外にないのではないか、私はこういう考え方をしておるわけでありますが、環境庁の方と警察庁の方と続いて御答弁をいただきたいと思います。
  208. 山本宜正

    ○山本説明員 現在まで総量規制という概念で規制をいたしておりますのは大気関係では硫黄酸化物でございますが、その考え方の基礎といたしましては個々施設全体あるいは地域全体としての規制ということであり、かつそういったような物質がその地域に蓄積するというような問題があるからというぐあいに私は理解しておるわけでございますが、騒音につきましてはやはり物理量でございますので、考え方といたしまして、先生の御指摘ではございますが、私ども、どのような方法で総量規制になじむような考え方を打ち出すかということにつきましては、ちょっといま定かにお答えをする考え方がないわけでございます。しかしながら、騒音の対策、特に交通騒音で自動車の騒音の対策といたしましては速度制限、あるいは発生する車自身の騒音の低減あるいは大型車両がもたらす騒音の量が大きいわけでございますが、こういったものの制限といったような、いわゆる発生源についての方法、それからもう一つは道路構造による問題の解決の方法、さらにはその騒音が市街地あるいは住居に届かないような防音の施策をする、このようなことで対応しておるわけでございますし、今後もそういう方向でいかざるを得ないのじゃないだろうか、こう思っておるわけでございます。私どもといたしましても、新しく交通公害対策室を発足させまして、道路交通も含めまして総合的な観点に立った対応を考える中で、先生の御指摘の問題もどういう考え方かひとつ検討の材料にさせていただきたいと思いますが、いま私どもが考えたところではちょっとなじまないのではないだろうか、かように思うわけでございます。
  209. 坂口力

    ○坂口委員 それじゃ、警察庁の方に御質問いたします前に、一つだけもう一度申し上げておきたいと思います。  いま御指摘になりましたように防音壁等の問題もあるわけでございますけれども、市街地の内部でございますとなかなか防音壁というわけにもいかない。さりとて、地下をトンネルでと言っても、これもなかなか大変なことでございまして、急にでき得ないことでございます。市街地の中ということになりますと次善の策、あるいは次善の次善の策ということで当面切り抜けていかざるを得ない。そういうことになりますと、車の台数の制限でありますとか、あるいはまた車線の縮小でありますとか、あるいは速度制限といったことをやらざるを得ないのではないか、こういう意見を申し上げたわけでございます。  続きまして、警察庁からお答えいただきたいと思います。
  210. 福島静雄

    福島説明員 御質問の自動車交通騒音に対します警察の対策といたしましては、都市におきましては細街路につきましては大型車通行の禁止の規制、それから幹線道路につきましては速度規制、あるいは可能な道路につきましては大型トラックを中央に寄せる通行区分の規制等を実施いたしますとともに、あわせまして、その実効を確保するために白バイ、パトカーによる警らの取り締まりあるいは徒歩の警察官による取り締まりによってその実効を期するように努力しているところでございます。  御質問の中にありました装置は、私ども無人速度違反取り締まり装置というふうに呼んでおりますが、警察官の配置のない場合におきましても速度違反の取り締まりができるという大変有効な機能を持っておるわけでございまして、騒音公害の多い地域を重点といたしまして、現在この装置の整備を逐次図っていきたいというふうに考えているところでございます。
  211. 坂口力

    ○坂口委員 来年度予算でぜひその辺のところをさらに充実してもらいたいと考えておるわけであります。特に東京−大阪間の主要道路等につきましては非常に騒音も厳しゅうございまして、特に愛知県の岡崎でありますとか三重県の四日市でありますとか、この辺のところは景気が回復するにつれましてさらにまた車量の増加が想像されるわけでございまして、こういった地点につきましては、ぜひひとつそういう装置等も積極的につけていただいて、次善の策として配慮をしていただきたい、こういうことを先日も申し入れをしたところでございますが、さらにそれについての御答弁をいただいて、次に移りたいと思います。
  212. 福島静雄

    福島説明員 先生御質問の点は、愛知県それから三重県についてでございます。愛知県につきましてちょっといま手元に資料ございませんが、三重県の四日市周辺につきましては、本五十三年度におきまして補助金を流す措置を決定いたしまして、今年度中に三重県警察におきましてもこの装置を四日市付近に設置するという方向で努力中でございます。
  213. 坂口力

    ○坂口委員 時間がございませんのでこれだけにさせていただきますが、もう一つは最近、伊勢湾におきます。特に四日市港周辺におきまして油の流出事故がございました。それにつきまして御質問をさせていただきたいと思います。  海上保安庁お見えいただいておりますか。——この事故につきましては、聞くところによりますとバルブの閉め忘れといった初歩的なミスであるかに聞いているわけでございますが、その辺についてどういうふうに担当官庁として把握をしておみえになるかということ、それから、これに対する責任というものについて海上保安庁がどのように考えておみえになるかということとあわせてお答えをいただきたいと思います。  それから、もう時間がございませんので続いて申し上げますけれども、これは海上保安庁とは違うかもしれませんが、被害額が大体どのくらいだというふうに現在見積もっておみえになるかということをお聞きしたい。  それから、中和剤によります二次公害がかなり出ているわけでありますけれども、中和剤による二次公害の場合にも被害額の中に入るのかどうかということもあわせて御答弁いただきたい。
  214. 村田光吉

    ○村田説明員 お答えいたします。  十一月八日大洋商船所属のタンカー隆洋丸が昭和四日市石油第一号バースにおいて原油約二十三万キロリットルを荷揚げ中、油を流出したわけでございますけれども、事故の原因といたしましては、四日市海上保安部が捜査したところによりますと、荷役担当者である一等航海士のきわめて初歩的なバルブ操作のミスであるということが判明いたしております。  海上保安庁としては、これの責任を追及しますのは刑事責任ということになるわけでございますけれども、海上に油を流出させた場合の刑事責任は、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の第四条、何者も油を海洋に捨ててはならないというこの第四条違反に該当するものでございまして、故意の場合には同法五十五条第一項第一号により「六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金」、過失の場合には、同じく同法第五十五条第二項によりまして」三月以下の禁錮又は二十万円以下の罰金」ということになっております。  なお船舶所有者、この場合大洋商船でございますが、やはり同法五十九条の両罰規定というものによりまして同様の罰金刑が科せられるということになっておりまして、現在捜査が続行中でございます。
  215. 川口順啓

    ○川口説明員 お答え申し上げます。  中和剤によります二次被害につきましてどうなるかということでございますが、油濁損害賠償保障法の第二条の第六号に船舶所有者が責任を負うべき油濁損害の定義がございまして、その中に「損害を防止し、又は軽減するために執られる」「措置により生ずる損害」要するに防除措置により生ずる損害というものも含まれて規定されておりますので、これら中和剤によります二次被害につきましては、損害賠償の対象となるというふうに考えられます。
  216. 伊賀原弥一郎

    ○伊賀原説明員 今回の隆洋丸から出ました油は、四日市市、鈴鹿市沿岸に一応漂着いたしまして、それから一部は、薄くなっておりますけれども潮流に乗りまして南下いたしまして、松阪市、明和町から鳥羽の答志島周辺まで延びたということでございます。被害の概要につきましては、三重県からの報告によりますと、この油が漂着をいたしました四日市市で申し上げますと、四日市市、磯津、この二つの漁協、それから楠町で言いますと楠漁協、それから鈴鹿市で言いますと北長太、南長太、下箕田、若松漁協、この七つの漁協の前面に漂着をしたということでございます。  そこで、この被害の額等についてはわかっておりませんが、ノリの養殖の中で浮き流し方式と支柱式、これは沿岸近くに建ててあるものでございますが、今回特に被害を受けましたのは、現在張っておりました支柱式の網がとっぷり油につかったということでございまして、合理的に考えまして、養殖のやり方から申しますと、建て込みをいたしましてから大体十二月の終わりごろまで一つの網で続けて養殖するということでございますので、被害の態様の中心になりますのは、この十二月ごろまでの養殖物がまずだめになったということが言えるわけでございます。あと細かい底引きの漁業だとかバッチだとか採貝等についていろいろの被害があるという話は聞いておりますけれども、数字等につきましては、現在県庁で調査している段階でございまして、もう少し時間がかかるというぐあいに考えている次第でございます。
  217. 坂口力

    ○坂口委員 被害額につきましては、まだこれから調査をしてもらわなければならない点もあろうかと思います。例の水島の重油流出事故のときにもいろいろ問題になったわけでございますが、被害額というものがかなり上がっているのになかなか補償の方はそれに伴わないというケースがかなりございました。そして、水島重油流出事故によります漁業被害の状況を見てみましても、たとえば兵庫県の場合、被害額が二十三億九千万円に及んでおりますが、補償額は十二億六千万円、それから岡山の場合には被害額が四十四億四千万円でございますが、補償額は三十五億二千五百万円というふうに、ここにもかなり差がございます。これは先ほど御指摘になりましたように、油濁損害賠償保障法によりましてその査定は保険会社等がやるのであろうと思いますけれども、どういたしましても、それが地元の感覚と実際に認定されますものとにはかなりな開きが出るのが常でございまして、その辺これが正当に行われるようにひとつ御配慮をいただきたいと思います。
  218. 川口順啓

    ○川口説明員 先生ただいま御指摘のとおり、損害の賠償額は今後関係者間で協議を行うことになるというふうに考えられますが、保険会社等が妥当な査定を行うということを私どもは期待いたしております。そういう線で必要に応じ指導するというようなことになろうかと思います。
  219. 坂口力

    ○坂口委員 ぜひその辺の指導をきちっとやっていただきたいと思います。  最後になりますが、長官にも一言だけ御意見を賜って終わりにしたいと思います。  これはまことに残念なことでございますけれども、再三再四こういう事故が続くわけでございます。そして、今回の場合なんかは非常に初歩的なミスで起こっている事故であるというふうに聞いているわけでございますし、いま海上保安庁の方からの御答弁もそのとおりでございました。こういったことが再三再四起こりますと、せっかく環境行政が進められておりましても何にもならないような結果になっているわけでございます。こういったことが起こらないように長官の方からも関係省庁に新しく依頼等をして、長官としての立場からもこの防止に積極的に努めていただきたいと思うわけであります。一言いただいて終わりにしたいと思います。
  220. 山田久就

    山田国務大臣 たとえこの事故が初歩的なミスであっても、油の流れることによる被害の結果というものは非常に重大だと私は思います。したがって、われわれも特にこの油問題については重要視しているわけでございまして、この上ともそういうことのないように特に注意を喚起して、万全を期するように努力したいと思います。
  221. 坂口力

    ○坂口委員 ありがとうございました。
  222. 久保等

    久保委員長 次に、中井洽君。
  223. 中井洽

    ○中井委員 私もいま坂口議員からお話のございました十一月八日の伊勢湾における隆洋丸の油の流出問題につきまして、その対策やあるいは損害の問題について、坂口議員と重複を避けながら質問をしていきたいと考えます。  海上保安庁の方から先ほど原因についてお答えがございましたが、流れ出しました油の量はどのくらいで、回収されたのは現在どのぐらいでありますか。
  224. 村田光吉

    ○村田説明員 お答えいたします。  当初、原因者から通報を受けたときには約五十キロリットルという報告を受けたわけでございますが、その後当庁において調査した結果、流出量は約言五キロリットルであったということが判明いたしております。それから回収した量でございますが、事故が発生した十一月八日から十一月十四日、ほぼ一週間でございますけれども、油回収船、油吸着材等を使用いたしまして、海上における漂流油及び沿岸における漂着油を回収したわけでございますが、回収した量は油水まじり、油と水のまじった量で約八十五キロリットルであったということでございます。
  225. 中井洽

    ○中井委員 私どもも現場へ行きまして、五十キロリットルだという形で聞いておりまして、それは荷がずいぶん遠くまで流れ出すし、大変な量の回収だというふうに感じておったわけでありますが、そうしますと、この倍ほどの量が流れておった、こういう形で、この量に関しても間違いがあった。あるいは、どうも対策面であっちこっち不備があったように考えられてならないわけであります。そういった観点から幾つかお尋ねを申し上げたいと思いますので、海上保安庁の方でお答えを願います。  まず、そもそもこういう事故が起こりますと、一般的なことで結構でございますが、どういう順番で海上保安庁の方へ連絡が上がってくるわけなんですか。
  226. 村田光吉

    ○村田説明員 これは先ほど来申し上げている法律の規定によりましても、原因発生者である、この場合には隆洋丸の船長ということになるわけでございますが、これが大体の流出量、それから、その場でとっておる措置あるいは油の性質その他を海上保安部署の方へ連絡するということに法律上も義務づけられております。それで、施設の管理者、この場合四日市昭和石油でございますけれども、この方からも連絡を受けるというふうに系統づけられております。今度も、事故が起こったのが四時二十五分かで、われわれの方が受けたのが五時三十五分。この時間につきましては、通報がおくれたではないかというほどの時間ではなかったかとわれわれ認識しておるわけでございます。船側の方も、油が流れたとっさの措置、それから流出量の見通しその他立てたわけでございますので、この四、五十分という時間については、あながち非常に遅かったというふうには、われわれとらえておりません。  以上でございます。
  227. 中井洽

    ○中井委員 そうしますと、一時間のずれがあるというのを私きょう初めて聞いたわけであります。そもそも油が流れ出したのは五時二十分前後だというのが郷里で聞いておる話であったわけです。それが四時二十五分に流れ出しておる。そして海上保安庁へ一時間たってから、おくれて来た。大体油の流出、拡散を防ぐには、初めの数時間が勝負だというときに、海上保安庁へ一時間もおくれて連絡が行ったというのは少しおかしい。  それからもう一つは、海上保安庁へそういう形で連絡が行けば、今度は海上保安庁からどういう形で各漁連あるいは各市町村へ連絡が行くのか、あるいはどういう形で回収の責任体系というものをつくり上げていくのか、それについて御説明を願います。
  228. 村田光吉

    ○村田説明員 失礼いたしました。先ほど、発生したのが四時二十五分と申し上げましたが、四時四十五分でございます。  通報を受けた場合に、海上保安庁としましては法律の体系に基づきまして直ちに防除措置命令を原因者に発します。この場合も発しております。それから地方自治体、この場合四日市あるいは三重県でございますけれども、ここにも連絡することになっております。今度の場合、四日市保安部は、事故発生後の六時十五分に四日市の消防本部、四日市の管理組合、ここに連絡をしておりますが、そのときすでに、先ほど申し上げました事業者から連絡を受けて、この両機関とも知っておりました。四日市の消防本部はわれわれと連絡、確認し合った直後に、三重県の方にも六時二十六分に連絡しておることを確認しております。  それで、防除の措置でございますけれども、先ほど来申し上げておりますように、この荷役を許可する条件としまして、オイルフェンスの展張それから防除資機材の備蓄、それから消防能力を備えた警戒船を現場に置いておくことを条件に許可しておりますので、すぐそういうものを発動したはずでございます。今度の場合、先ほども先生おっしゃいましたように、流れた量が百五キロという非常に大量であったので、拡散する速度も非常に速く、そのために沿岸のノリ業者が防衛措置を講ずるいとまのない間に漂着した、このように考えております。
  229. 中井洽

    ○中井委員 そうすると、海上保安庁でオイルの拡散をとめるためにいろいろな出動命令やら出したのは何時何分か。四日市の市役所と消防署へ連絡したのが六時二十五分。いろいろな船ですとかオイルフェンスを張れというような命令をしたのは何時何分か、それだけ答えてください。
  230. 村田光吉

    ○村田説明員 海上保安庁は、先ほど申し上げました五時三十五分に連絡を受けて、十五分後の五時五十分には巡視艇が出動しております。六時過ぎに現場に着いて拡散状況を確認しまして、そのうち続々と海上保安庁みずからの船艇が着きましたので、現場においてみずから防除措置あるいは現場の事業者がやっておるのを指導した。それでなお、大量の油を食いとめることができないという判断に基づきまして、午前八時に、これは水島事故の教訓に基づいてつくった認可法人でございます海上災害防止センターに海上保安庁長官が出動を指示しております。そういう順序で防除措置がなされております。
  231. 中井洽

    ○中井委員 鈴鹿市の漁連並びに鈴鹿市へ、油がそちらへ行くかもしれぬぞという連絡が大変遅く入った、そのことが鈴鹿における長太、箕田あるいは若松等の漁連のノリその他の被害を大変大きくしたというふうに聞いているわけであります。鈴鹿への連絡というものを海上保安庁がお忘れになったのか、あるいはとうてい鈴鹿まで行くとは考えずに、五十キロリットルであるからとにかく四日市のあのシーバースの付近でとめられるとお考えになったのか、どちらでございますか。
  232. 村田光吉

    ○村田説明員 まず量が五十キロということでございますけれども、われわれ法律の体系で、大量の流出というのは百リッター以上というふうに決められております。たとえ五十キロリッターといいましても、これは法律で決めた量の五百倍でございまして、決してこの五十キロリッターであるということで出動が立ちおくれたというふうには考えておりません。ただし、先ほど申し上げましたように倍の量であったということで、流出油の拡散速度が非常に速かったということは考えられます。  それから、末端の漁業協同組合まで行くルートでございますけれども、これは一応災害対策基本法のルートで、われわれなり消防機関は県の防災課まで連絡したら、その後は県の方で処置していただくというルートが平素からできておるわけでございます。  念のためにと申しますか、そういうルートは幾らでもダブってもいいわけでございますので、われわれの方でも末端の漁業組合に連絡いたしております。それは六時五十七分から七時五十分にかけて、七時前後でございますね、白子、下箕田、楠、各漁協に連絡を申し上げております。これは県とはダブっているはずでございますけれども、一応の連絡系統としましては、われわれは県の防災課に連絡するというルートになっております。
  233. 中井洽

    ○中井委員 私が聞いておりますのは、鈴鹿市あるいは鈴鹿の各漁協へ連絡が入ったのは、はっきり言いましてもうすでに朝の十時を過ぎておったわけであります。したがって、海上保安庁の責任なのか県の責任なのか知りませんが、こういった事故が起きたときに、直ちにこういう順序でこういうところへ連絡をするのだという体制をふだんからおつくりをいただきたい。今度のような、とにかく油が隣の海で流れておって、目の前へ来てしまってから連絡を受けるなんというばかな話はないのであります。ひとつその点をふだんから十分県とも連絡をとっておつくりをいただきたい。  それからもう一つは、海上保安庁で五月に、「排出油の防除計画」というものをおまとめになっています。この案を見ますと、伊勢湾の設定では、何かとてつもないタンカーが衝突して、一万キロリットルとか六千キロリットルの油が流れる、こういう設定のもとに機材が足りているか、船が足りているかということでお出しになった。  この六千キロリットルの油が流れて、しかも六時間後にこの油をオイルフェンスで封じ込めて二日間で回収ができるという排出油防除計画、これから見ると伊勢湾のオイルフェンスの量、中和剤の量等は足りる、ほぼ十分である、こういうことでありますが、今度のは百キロリットルだった。百キロリットルでこのオイルフェンスなんか全然役に立たなかったわけであります。しかも大変拡散してしまったわけであります。一つには、先ほど言いましたように、一番初めの連絡の不手際、それから二つには、やはりオイルフェンスなんかに対する過信あるいは訓練不足、こういうことじゃなかったかと私は思うわけであります。そういった点から、この排出油防除計画というものを少し見直されるか、あるいはこの計画どおり油が流れてももう少しきちっとやれるような訓練、連絡体系というものを確立してもらわなければならないと思うわけであります。その点についてどうでございますか。
  234. 村田光吉

    ○村田説明員 先生御指摘のとおり、排出油防除計画では、非常にタンカーというのは移動するものでございますから、われわれはタンカーの事故といたしましてはまず衝突あるいは乗り上げ、そういうものが直接原因発生するという想定で、これがまたいままでの過去の事例で一番多いわけでございます。そういうことでやっておったわけですが、今回の場合、先ほど来申し上げておりますように、オイルフェンスの展張あるいは警戒船の配備ということを義務づけた上で荷役を許可したわけでございますけれども、初歩的なミスといいますか、今度は水面下約十メートルの一番船底の海水取り入れ口から油が漏れた。したがって、その十メーターを油が浮き上がってくる間に、囲まれたオイルフェンスの外の方へ浮き上がってきた。もちろん、オイルフェンスの中でとめた油も相当量ございますけれども、そのような悪条件が重なりまして今度のような事故になったわけでございます。しかし、こういう事故が現実に起きておるわけでございまして、水島の事故も教訓といたしましたけれども、油の回収というのは、油の性状が非常に多様でございまして、軽質油から重質油、またその中間の油、これの防除作業というものは非常に機械化されるということはむずかしゅうございまして、いまでも原始的なひしゃくに頼らざるを得ないという現状もございますが、なお今後関係者力を合わせまして訓練等を重ねていきたいと思う次第でございます。
  235. 中井洽

    ○中井委員 もう一つ聞かせてください。こういう事故が発生したときに対策の最高責任はどなたがおとりになる。たとえば海上は海上保安庁がおとりになる、陸の方については各市町村長がとるのかとか、陸海ともに海上保安庁の指揮でやるのか、そういうことがきちっと明確になっているわけですか。それをお聞かせください。
  236. 村田光吉

    ○村田説明員 海上につきましては、先ほど来の法律の中で、これは原因者がやるということになっております。原因者の手の及ばないときには海上保安庁長官がやる、海上保安庁長官が必要と認めた場合には防災センターの出動を命じるということになっておりまして、陸上の方はコンビナート災害防止法に基づきまして消防機関がそういう措置をとることになろうかと存ずる次第でございます。
  237. 中井洽

    ○中井委員 私、先ほどから申し上げておりますのは、たとえば今回の油漏れでも、もう少し早く海上の方で幾つかありますノリ漁場の前へオイルフェンスを張ってしまうとかということをしてしまえばこれだけ漁業被害が大きくならない。あるいは私なんかが鈴鹿へ明くる日見に行きました段階で、まだ漁協からノリの網を揚げるか揚げないかの指令が出てないわけです。どうするのかと漁師さんが続々と聞きに来ておる。しかし、漁連では責任体系がとれてないものですから、揚げたい者は揚げろ、揚げられない者は置いておけというような勝手な指示をしててんてこ舞いになってしまう。私なんかから見れば、現場の方は一生懸命であろうけれども、揚げてきたオイルの吸収材なども海岸へぼこぼこと積み上げて片っ端から燃やす。燃やすのを私らそばで見ておって、ああ、あれは砂にしみ込んで後で砂を全部取りかえなければならぬ、一カ所どこかコンクリートの上へ持っていって燃やすということを考えればいいのになあと思うけれども、そんなことを言えるあれではない、こういうことであります。とにかく火事でも地震でもふだんどれだけ訓練がしてあっても大変な騒ぎになる、それはよくわかる。しかし、こういうものは法的にも、防災体系も、コンビナート防災法等いろいろな法律はずいぶんつくられているわけであります。しかも、会社とか消防とか、組織の機関の方々がこれの適用を受けておやりになるわけであります。もう少し責任体系というものを明確におつくりになって、早期に指示系統を一本化されて対策をお立てになる、こういうことをお考えにならないと、たとえば事故の責任者が指揮をとる、事故の責任者は船長じゃないですか。船長がそんな鈴鹿市のところまで来てその回収をどうこうせいなんてできやせぬ。オイルフェンスを鈴鹿まで持ってこいというのは船長が命令を出すわけじゃないのであります。鈴鹿市長が、それでは頼む、どこへ頼んだんだ、昭和石油へ頼む。昭和石油は私のところ責任ない、こう言うたとしたら届かないじゃないですか。そういう体系をきちっとつくれ、こういうことであります。だから、ここの海へはだれが出動してどういう形であれをするんだ、あるいは中和剤を使うんだ、使わないんだ、こういうことをはっきりしなければならぬ。さっき坂口先生のお話にもございましたけれども、中和剤を使う使わないでももめておったのを私は記憶しております。使ったらそれが沈んで後々また漁業問題になるじゃないか。だれかその責任者がおって、それを使ってもその後の二次公害といいますか二次補償は損害賠償として補償されるんだとわかれば中和剤を使うとはっきり言えるわけであります。そういった体系がちっともできていないじゃないか、このことを私は先ほどから申し上げているわけであります。水島のときは大変な量でございます。何カ月もかかる。この伊勢湾のものは百キロリットルというわずかな量でありましたけれども、そのわずかな量でこれだけの人が出て損害が出るわけであります。即したがって、この二つのことを体験に一刻も早く、どこかでこういう事故が起こったらすぐ対処できる、海上保安庁が考えておられるように、オイル漏れというのは六時間で封じ込めるんだ、この体制がとれるような制度というものをつくらなければならぬ。いまのままでは少し責任体系もぼやけ過ぎている、連絡体系もぼやけ過ぎている、このように考えますが、いかがですか。
  238. 村田光吉

    ○村田説明員 先生の御指摘はごもっともでございますけれども、先ほど来申し上げておりますように、一応県の防災課に連絡すると県の防災課がしかるべく漁業団体に連絡する、漁業団体がどういう防御方法をとるか、ノリ網を沈めるか撤去さすか、あるいはオイルフェンスを張るのか、そういうのは漁業監督官庁の方にお願いする、地方防災の方のたてまえはそういうルートになっております。しかし、先生御指摘のようなこともございますので、なお地方の方で県当局とももう一度話し合ってみたい、このように思うわけでございます。
  239. 中井洽

    ○中井委員 そうしますと、オイルフェンスを張るかあるいはノリ網を揚げてしまうかというのは、それは漁連の判断あるいは漁連の監督官庁の判断だ、こういうことでございますか。水産庁、そういうことに理解していいわけですか。
  240. 伊賀原弥一郎

    ○伊賀原説明員 非常にむずかしいお話でございますけれども、原則的に申しますと、現地のいわゆる漁連というものあるいは県庁というものが、あらゆる一般的な水産の問題につきまして漁業者のできるだけ利益になるような方向での指示をしあるいは漁連というものが協同組合の利益になるような方向で指導するというたてまえでございます。したがいまして、情報なり、そういうものが非常に明確になっておりまして、そうして漁連というものあるいは県庁というものが、こういう方向をとった方が確実に漁業者のためになるというぐあいに判断できれば直ちにそういう方向で判断をして指導すると思いますが、非常に混乱の時期で果たしてどちらにした方がいいかというような場合もあるかと思いまして、ケース・バイ・ケースで、今回の場合は果たしてどういう点であったということについては、私ども、まだつまびらかに事情を聞いておりませんのでわからないわけでございますけれども、一般論として申しますと、いま申し上げたような事情にあるというぐあいに御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  241. 中井洽

    ○中井委員 そうすると、水島の事故があってからもう何年にもなるわけでありますが、こういう油の流出の事故が起きたときに一体だれが対策の最高責任者になるんだ、何もできていないわけですか。船の回りは船長で、海上保安庁は県の防災センターに連絡したらそれでしまいで、各海岸線は、漁連は漁連で勝手に判断せい、だれが関連して責任とるのですか、指示するのですか。それはどうなのですか。海上保安庁はどこまで指揮命令をするのですか。
  242. 村田光吉

    ○村田説明員 先ほど来申し上げておりますように、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律に基づきまして、原因者が防除措置義務を負うほか、海上保安庁、運輸省等の国の機関それから港湾管理者等、これは県の水産監督官庁も含むわけでございますけれども、港湾管理者等の地方公共団体もそれぞれ防除措置の権限または責務を有しておるということに法律のたてまえ上なっております。これをいかに不測の事態が起こったときにスムーズに各機関が協力し合うかというのが、先ほどの防除計画で訓練を重ねるということでございます。今後あの防除計画にのっとりまして、さらに訓練を重ねていきたい、このように思うわけでございます。
  243. 中井洽

    ○中井委員 わかりますよ、それは。市長から組合の管理者から全部わあわあと並べてあるのはわかる。ただ、今度の問題でも、四日市に対策本部ができたのは朝の十時過ぎでしょう。鈴鹿へできたのは昼の三時じゃないですか、違うのですか。三時というと、先ほどのお話からいくと、もう流れ出してから十一時間、鈴鹿の長太の方へ油が着いたのは十二時ごろじゃないですか。対策本部も何もできず、対策本部の長も決まらずにどうやってそんなオイルフェンスを張れとか油の回収をやれとかいう命令を出すのですか。私はそう思う。そういった対策本部ができるまでそれじゃ海上保安庁が指導するのか、海上保安庁が早く鈴鹿市なら鈴鹿市でつくりなさいと命令を出していくのか。そういうことについてきちっと明確な指揮命令系統というものはでき上がっているのか、あるいは協力体勢というものをつくるという訓練ができているのか、私はどうもできていないと思う。そのことが今度の鈴鹿、四日市の隆洋丸の原油流出の事故を大きくした一つの大きな原因であると思うわけであります。こういったことを二度と繰り返さないように、海上保安庁の方で十分、伊勢湾だけじゃありません、各地区の指導というものをしていただきたいということと、それから排油防除計画というものはおつくりになったけれども、卓上のプランで余り実効的じゃないということが一つ立証されたわけであります。ひとつ十分見直しをお考えをいただきたい、このように思うわけであります。  もう一つお聞きしたいのは、海上保安庁に聞くのが適当なのかどうかわかりませんが、オイルフェンスというのは、張って上から出ていくとか下から出ていくとか、あれは万能じゃないわけでしょう。そうすると、どうしても二重に張っていかなければいかぬわけであります。どうなんですか、そこのところは。どうもわからないのです。私は。オイルフェンスを張ってもまだどんどん出ていくということがわからない。
  244. 村田光吉

    ○村田説明員 今回の油につきましては、やはり船の回りにオイルフェンスを張っておったわけでございますけれども、先ほど来申し上げましたように、流出個所が水線下の約十メーター下の海底から出てきた、したがいまして、油が浮き上がるまでに海上に流されてオイルフェンスの外側に浮上した、そういうことでございまして、もちろんオイルフェンスの中に浮上した油も多分にございます。そこで回収した油もございますけれども、一部の油が浮き上がる途中にオイルフェンスの外側に浮上したというのがノリ網の方に流れていった油でございます。そういうことを考えた場合に、二重、三重に張れば張るほどいいわけでございますけれども、やはり全部の油を完全にオイルフェンスで閉塞するということは現在のオイルフェンスの性能から見てなかなか困難ではなかろうかと考える次第でございます。
  245. 中井洽

    ○中井委員 わかりました。オイルフェンスで油を封じ込める、あるいは中和済で処理をする、いろいろ機材の改良とか技術的な改革を十分推し進めていただきたいと思うわけであります。  それから、運輸省の方にお尋ねをしたいのでありますが、先ほど坂口先生の御質疑の中で、油の回収の中で、防除措置による損害については当然いろいろなものが支払われる、保険からおりるというお話がございましたけれども、ちょっと海上保安庁の方に申し上げたように、もし油が来る、これをとめなければならぬ、船も出ていかなければならぬというので、浜のノリの漁場を漁師さんが先にばあっと揚げてしまったとする。結果的には何も油がかからなかったとする。しかし防除措置にとって非常にプラスになった、そして揚げたことによって損害が出た、こういうことになるとその費用も当然損害賠償として見られる、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  246. 川口順啓

    ○川口説明員 先生ただいま御指摘のとおり、事前あるいは事故が発生した直後に必要が生じまして防止措置をとる。その防止措置については、それにより生じた損害は損害賠償の対象になり得る、こういうことでございます。
  247. 中井洽

    ○中井委員 水産庁にもう一つお尋ねをいたします。  そうしますと、海上保安庁のおっしゃることによれば、油の流出とかそういうことが起これば、漁連等が責任を持って自分たちの漁場を守らなければならぬ。特にこういう養殖をしておるところではそれを守らなければならぬ。そういうときに、現実には現場におって漁師さんたちの声を聞いたり、漁連の指導者は右往左往しておるわけです。それははっきりしたこういう補償の方式は全然理解してないわけです。どういうのが補償されるかわからない。だからそのことで頭がうろうろであります。こういう形の保険であるのだ、法律であるのだということを十分周知徹底をさせていただきたい。そして、いざそんなことが起こったら、これは損害賠償されるのだから思い切ってやれというような措置がとれるように周知徹底をさせていただきたい。このことについてのお願いが一つ。  それからもう一つは、水島の後もやられたと思うのでありますが、私は五十キロリットルであるから余り大したことがないかなと思っておりましたら、倍も流れたようであります。その後の伊勢湾の海の汚染に対する影響あるいは漁場に対する影響というのは水産庁でお調べいただけるのかどうか、このことでございます。
  248. 伊賀原弥一郎

    ○伊賀原説明員 第一の保険によって見られます。あるいは損害賠償で見られます措置の範囲、そういう点についての周知徹底の件でございますけれども、水産庁といたしましては、実は原因者不明関係につきましては、別に通産、運輸、農林省でいわゆる共管でやっております漁場油濁被害救済基金という制度がございまして、それでいろいろなケースがあるものでございますから、どの範囲まで見れるかという措置につきましてのそれとの関連でいろいろ説明したりいろいろなことをやっておるわけでございます。そしてある程度の点は出てくるのでございますが、今回行われましたような油濁のいろいろな防除措置なり事後措置だとか、そういう点になりますと、確かに先生のおっしゃるとおり、詳しく内容を知っておるような関係者というのは漁業者の中にはなかなかないだろうというのはわかるわけでございます。したがいまして、今回のような、先生御指摘ありましたようなことも踏まえまして、私どもとしては保険だとか補償だとか、そういう関係でどの程度のことが見れ、どういうやり方をすればいいかという点につきましては、できるだけの機会をとらまえまして指導を徹底させていきたいというぐあいに考える次第でございます。  それから、二番目の影響についてどういうぐあいな問題が出てくるかという点を水産庁として調査するのかどうかという点でございますけれども、まだ県からその問題についての話なり、御承知のように、現在県にいたしましても、漁連にいたしましても、被害額を取りまとめるのに精いっぱいの状況でございます。そういう状態でございますので、そこまでのお話は出ておりませんけれども、一応県からの事情も聴取いたしまして、何がしか検討してみたいというぐあいに考える次第でございます。
  249. 中井洽

    ○中井委員 私どもの田舎へ帰りますと、この事故があったために漁連が重油をたかなくなった。その重油の減った分、油業者が損害賠償せいと言うておるとか、いろいろな話がいっぱい出ているわけでございます。そういったまあまあ二次的な補償の問題はともかく、直接海がやられたわけであります。しかも、いまの時点だけの漁業ということじゃなしにこれからも影響は必ず出てくる。バカガイか何かがずいぶん死んだ、最近死んでいるという話も聞きます。そういった話もひとつ水産庁の方で県と十分御連絡をおとりいただいて、御調査をお願いしたいと思います。  環境庁長官に最後にお尋ねいたしますが、水島のときも後でやられたと思うわけでありますが、こういった油の流出があります。幾ら回収をするといいましても、先ほど海上保安庁のお話にもありましたように百五キロリットル流れて八十数キロリットル回収できたということであります。しかもそれは海の水も含めての量でありますから、油自体としては中和剤で沈んだりいろいろなことをして回収し切れなかったものがたくさんあります。それが伊勢湾の海というものを汚すわけであります。そういったことについて、半年たってあるいは一年たって、環境庁として影響というものを調査する、こういったことをお願いを申し上げたいのでございますが、いかがでございますか。
  250. 山田久就

    山田国務大臣 油の被害というものは原因のいかんにかかわらず非常に深刻でございます。ぜひその影響ということについては、今後の対策上の関係もあり、ひとつよく調べたいと思っております。
  251. 中井洽

    ○中井委員 ありがとうございました。     —————————————
  252. 久保等

    久保委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  公害対策並びに環境保全に関する件調査のため、本日、日本鉄道建設公団総裁篠原武司君及び同公団理事藤田雅弘君を参考人として、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  253. 久保等

    久保委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  254. 久保等

  255. 古寺宏

    古寺委員 最初に、鉄建公団にお尋ねを申し上げたいと思います。  青函トンネルも昭和五十七年に完成するというめどがつきまして、このいままでの建設の御苦労に対しましては深く敬意を表する次第でございますが、しかしながらその反面、この世紀の大工事によって労働災害あるいはまた環境破壊や公害を起こしてはならないわけでございまして、この点につきましては、当委員会におきまして私が何回かお願いを申し上げてまいったわけでございますが、去る十月三十一日に算用師工区におきましてクラリファイアーの操作ミスから、算用師川の魚が全滅をするという事故があったわけでございます。なぜ再三にわたってこういう点について御指摘を申し上げたにもかかわらずこういう事故を繰り返すのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  256. 篠原武司

    ○篠原参考人 前にも古寺先生からそういう御注意がありまして、私どもも非常に注意しまして、地元の方には御迷惑をかけないように、それからいろいろな災害が起きないようにあらゆる工夫をこらすように現場を指導してやってまいったわけでございますけれども、御承知のように青函トンネルもいろいろな地層がございましてなかなかむずかしい工事でございますので、ときどき湧水の事故を起こしたり思わぬ災害が起きまして、非常に御迷惑をかけてきたことに対して深くおわびを申し上げます。  私どもは、可能な限り湧水を少なくするようにいろいろ努力して、今後もこういうような不測の事故を起こして地元に御迷惑をかけないように努力するつもりでございます。
  257. 古寺宏

    古寺委員 現在、このクラリファイアーによってSSを除去しているわけでございますが、ただいまの総裁のお答えにもございましたように、この海底トンネルの工事には、われわれが予想できないいろいろな金属イオンでございますとかいろんな問題があるわけでございます。したがいまして、こういうような沈降分離装置だけによって、この排水による公害防止しようとするその姿勢に甘さがあるのでございまして、少なくとも二次処理あるいは三次処理の体制によって、こういうような事故につきましてはこれは未然に防止ができるわけでございます。そういうような対策を今日まで怠ってきたがゆえに、今回のようなまた事故を繰り返したと思うわけでございまして、来年度の予算要求に当たっては、この二次処理、三次処理までのいわゆる事故を防止する装置を早急に設置することをまず御提言を申し上げたい。  それからさらに五十七年度にこのトンネルが完成をいたしました場合に、このトンネルからの排水というものは未来永遠に続くと私は思うわけでございまして、これに対しましては当然どこかに集約をいたしまして、恒久的な処理施設というものが必要になってまいるわけでございますが、この点についてどのようにお考えになっておられるか。  以上、二点を承りたいと思います。
  258. 篠原武司

    ○篠原参考人 ただいまお話のありました二次処理、三次処理という問題もございますが、こういうような問題は慎重に今後検討しまして、こういう問題が必要ならば早急にそういうような措置もとらなければならぬというふうに考えておりますが、細部にわたりましては少し前まで現場の局長をしておりました藤田君というのを連れてまいっておりますので、いま担当の理事でもございますので、それからお答えさしたいと思います。  それから、先ほど後でお話のございました湧水の問題でございますが、湧水は、これは出てきたものを永久にくみ上げるのは動力のむだでございますので、極力これを少なくするように処置したいということで、湧水を極力とめるように、それで完成後も水を極力少なくするように、今後排水に関するいろいろな設備を十分考えまして、注入その他によりまして、出てくる水を押さえていきたいというふうに考えておりますので、そうした上で、先ほどの排水処理の問題も考えていきたいというふうに思っております。
  259. 藤田雅弘

    ○藤田参考人 お答え申し上げます。  先生からお話がございました二次、三次の処理についてどうかということでございますが、現在青函トンネルの排水につきましては年に四回、総理府の条例にございます人の健康にかかわる項目、生活環境保全にかかわる項目ということのいわゆるカドミウム・シアン・有機燐、鉛その他こういうものにつきまして、私どもではこれは測定できませんので、北海道環境科学技術センター道南支部というところにお願いをいたしまして測定をいたしております。  それの結果によりますと、ただいままでのところでは総理府の条例、青森県の条例等よりはるかに少ない数値を示しておりますので、ただいまの時点ではそういう二次、三次の処理ということにつきましては、いまの調査の結果からでは必要ではないのではないかという判断をいたしておりますが、先生の御指摘もございますので、この点につきましては、先ほど総裁からも申し述べましたように、私どもとしても十分検討していきたい、かように考えております。
  260. 古寺宏

    古寺委員 国鉄の技術は世界の先端を行くものである、こういうふうに自負しておられるわけでございますが、いままでの、たとえばこのクラリファイアーの中和の一つのテクニックにいたしましても、硫酸によって中和をしておった。そのために非常にばらつきがあって、今度そういう問題を解消しようとして炭酸ガスによる中和方式をごく最近取り入れた。その新しい方式を取り入れてこういう事故が発生しているのです。あるいは年四回の排水のいわゆるいろいろな項目の基準はある程度達成しているかもしれませんが、しかし、それ以外のばらつき、あるいは含まれておる項目別のいろいろなものを総量で計算した場合にどれだけ環境に対して大きな影響を与えるか、こういうことが科学的に試算されていない。そういうトンネルの工法その他におきましては先進国に負けないぐらいの技術をお持ちのようでございますが、環境保全公害対策についてはごまかしというか、目先のごく簡単な対策しかいままで講じてこなかったということについては、私は非常に残念に思うわけでございます。  今後こういう点につきましても、さらに十二分にチェックをいたしまして、万全を期していただきたいと思いますし、また湧水を極力最小限に食いとめるということは非常に大事なことではございますが、やはり自然でございますので、地震のある場合もございますでしょうし、いろいろわれわれが考えられないような事故が将来発生するということも想定しておかないといけないと思います。  そういう予防的な立場から考えましても、やはりこの排水に対する公害対策というものは何としても歯どめをかけておかなければ、これは将来大きな事故につながる危険性が十分にあるわけでございますので、こういう点につきまして、どうかひとつ早急に検討を急いで、これらの点に万全を期していただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  261. 藤田雅弘

    ○藤田参考人 いま先生の御指摘がございました総量でどうだということにつきましては、確かに勉強不足でございまして、ただ、PHとか、先ほどちょっと言い落としましたが、そういうものにつきましては、毎日自動記録で全部はかっておりまして、特殊な項目だけにつきまして年四回ということでございますので、この辺は補足させていただきます。  私どもといたしましては、現在トンネルを掘っておりまして水が出ておりますが、これにつきましては、いままで出ている分もできるだけ少なくすると同時に、今後施工いたします分については、注入等によりましてできるだけ少なくして、こういういろんな問題が起こることがないことを期しております。  そういうことでございますので、全体的にこの排水をどうしていくかということにつきましては、当然私どもといたしましても、完成後も幾分は残る問題でございますので、十分今後とも勉強し、検討していきたい。先生の御趣旨を体して、今後ともそういう点については、いままで御指摘なさいましたいろんなことがないように十分努力をいたす所存でございますので、よろしくお願いいたします。
  262. 古寺宏

    古寺委員 トンネルの工事は五十七年度に完成するというふうに新聞等で報道されておりますが、この完成のめどに間違いはございませんでしょうか。
  263. 篠原武司

    ○篠原参考人 これはあくまでも工事の進行の目標でございまして、それに向かってわれわれは一生懸命邁進しているわけでございますが、現実の問題はわれわれの予想したよりも多少早目に進んでいるということでございまして、いまのところその目標は達成できるだろうというふうに考えております。
  264. 古寺宏

    古寺委員 それでは、鉄建公団の方は結構でございます。  次に、国鉄にお尋ねをいたしたいと思いますが、福永運輸大臣の発言によりますと、青函トンネルの昭和五十七年の開通に合わせまして、盛岡以北の東北新幹線及び北海道新幹線の着工を急ぐということになっておりますが、いつから着工をするのか、そしてまた、いつごろまでに完成をするのか、その計画についてお尋ねしたいと思います。
  265. 岩橋洋一

    ○岩橋説明員 国鉄にというお話でございましたけれども整備五新幹線の問題は運輸省が決めることになっておりますので、運輸省からお答えさしていただきます。  いま先生おっしゃいましたように、青函トンネルを有効に使うためということで東北新幹線あるいは北海道新幹線をということでございますが、これは御承知のとおり整備五新幹線の中に含められておりまして、その進め方につきましては、去る十月三日に開かれました新幹線整備関係閣僚会議で了承された具体的実施計画に沿って行うことにしております。  具体的実施計画と決めましたものは、整備五新幹線については速やかに本格的な環境影響評価を一斉に実施する。それから次に、環境影響評価が完結し、地方の御協力が得られる路線については、投資採算等を考慮して、国鉄の再建に支障を来さないと認められるときには工事実施計画の認可等所要の手続を進め、逐次工事を実施するというふうに考えております。  ただ、以上の計画を進めるに当たりまして、国及び国鉄の財政状況を勘案して所要の公的助成及び財源措置等の前提要件について十分検討するということになっておりまして、現在、五十四年度予算編成とあわせてこの問題を検討している最中でございます。  なお、いつまでにできるかということにつきましては、予算との絡み合いがございますので、何年までということをちょっといま明確に申し上げかねるわけでございますが、途中に長大トンネル等ございますと、トンネルの工期というものが物理的には一番のネックと申しますか、工期を左右するということになります。もちろん予算が十分についた場合、つけ得た場合というふうにお答え申し上げておきます。
  266. 古寺宏

    古寺委員 整備五線につきまして予算要求が始まるわけでございましょう。予算要求をするに当たって、運輸省としては、当然いつから着工して、いつごろ完成のめどで来年度はこれこれの予算が欲しい、こういうことで要求なさるのじゃないですか。その運輸省の考え方をお聞きしているのです。
  267. 岩橋洋一

    ○岩橋説明員 来年度につきましては、整備五新幹線全部で四百億、正確に申し上げますと国鉄二百億、鉄道建設公団二百億ということで要求しております。
  268. 古寺宏

    古寺委員 そうしますと、速やかに環境影響評価、アセスメントを行うわけでございますが、そのアセスメントを行うに当たっては、まずルート、駅舎の決定ということが必要になってきます。そのルート、駅舎の決定は、運輸省としてあるいは国鉄としては、いつごろまでに決めるお考えですか。
  269. 岩橋洋一

    ○岩橋説明員 環境影響評価をやるためには、もう一つその前に運輸大臣が定めます環境影響評価指針を出してやることになります。これを現在関係省庁との間で連絡調整中でございまして、これを定めましたら本格的な環境影響評価が始まるということでございます。
  270. 古寺宏

    古寺委員 そうしますと、予算の要求をしておりますね。運輸省としての計画がございます。やはりスケジュールとしていつごろまでにアセスメントの指針を出し、いつからこのルートを決定してアセスメントを行うのか、こういう一応のスケジュールというものはお考えになっていらっしゃると思うのですよ。それをお聞きしたいわけなんです。
  271. 岩橋洋一

    ○岩橋説明員 指針につきましては、なるだけ早くということで、いま関係の省庁と御相談をしております。私どもの希望では、今月中にでも、あと十日しかございませんので場合によっては来月になるかもしれませんが、なるだけ早くに定めて国鉄及び鉄道建設公団に指示をいたしたいというふうに考えております。  その後の環境影響評価につきましては、これはそれぞれ国鉄及び鉄道建設公団が行いますので、何カ月かかるということは私の方から明確に申し上げるわけにはちょっとまいらないということでございます。  それからもう一つ、先ほども申し上げました具体的実施計画の中で地方の御協力を得ながらということになっておりますので、その地方の御協力の度合いもあろうかと思います。  それからもう一つ、同じく先ほどの具体的実施計画のときに申し上げましたように、お金の方の公的助成並びに財源措置検討というのが目下やっておる最中でございまして、これも一つの制約条件と申しますか、条件になります。  それらがスムーズにいった場合に、私どもとしては何とか年度内にそういった諸条件を進めて、来年度からは本格的着工をいたしたいということで予算要求をしております。
  272. 古寺宏

    古寺委員 そこで、新幹線の公害につきましてお尋ねしたいのですが、八月十日に環境庁から、国鉄でございましたかな、要望が出ておりますね。御存じないですか。環境庁は、いつですか、新幹線の公害対策について国鉄に要望したのは。
  273. 岩橋洋一

    ○岩橋説明員 私からお答えいたしますと、多分先生のおっしゃいますのは、実は五十年の七月二十九日に「新幹線鉄道騒音に係る環境基準について」という環境庁の告示がございます。これは、現在すでに営業しております新幹線、それから工事中の新幹線、今後新設する新幹線についてのそれぞれの騒音に係る基準とその達成目標期間を定めたものでございますが、その既設新幹線に係る八十ホン以上の区域に対しての達成目標が、これは努力目標でございますが、一応三年以内ということになっております。これが五十三年七月二十九日で三年たったわけでございますが、まだ十分に行われていないということで、環境庁から、これを早くやるようにという御要望をいただきました。多分先生はそれをおっしゃっているのだろうと存じます。
  274. 古寺宏

    古寺委員 そのとおりでございまして、五十三年の八月十日に、環境庁の大気保全局長から運輸省鉄道監督局長殿に対して「新幹線鉄道騒音・振動対策について」という勧告が出されている。これを読みましても、「既設新幹線鉄道沿線の八十ホン以上の区域は昭和五十三年七月二十八日までに環境基準達成又は維持されるよう努めるものとされているが、」途中抜かしますが「防音工事・移転等の助成による障害防止対策は本格的な進展の緒についたばかりの状況にあり遺憾である。」こういうふうに書かれているわけでございまして、実は私も名古屋大学の公衆衛生学教室でいろいろと調査をしたデータをいただきました。  これは中川武夫先生という名古屋大学の先生でございますが、「新幹線公害地域住民」とか、あるいは調査の「新幹線公害による住民被害の現状」こういうような資料がございますので、すでにお読みになっていらっしゃるかとは思いますが、この資料を拝見いたしましても、新幹線の公害対策ぐらいルーズな対策はない、こう言っても過言でないと思うのです。全く進展を見ていない。こういう点について、今後の新幹線工事に当たって、これらの公害について十分に対応していくだけの決意をもって運輸省は臨んでおられるのかどうか、承りたいと思います。
  275. 岩橋洋一

    ○岩橋説明員 お尋ねの新幹線の騒音の問題でございますが、確かに東海道新幹線は、新幹線としては初めてのものでございまして、当時残念ながら騒音に対しての配慮が十分されていたとは申し上げられない状態でございました。したがいまして、いろいろ問題があったことは先生御指摘のとおりでございますが、現在では、それはいろいろ防音壁を建てたり、あるいは音源対策等を十分やり、さらにそれでも不足の場合には、障害防止対策と呼んでおりますけれども、関係の学校、病院、家屋等に防音工を行うことについて持ち主と御相談をしながら進めているところでございます。これはやはり相手のあることでございますのでなかなか進まないという点、御指摘のとおりで申しわけなく思っておりますが、東海道につきましては、そういう事情もこれあり、今後ともに努力するというふうに申し上げておきます。  今後の新幹線、現在工事中の新幹線につきましては、過去のそういった経験を生かしまして、構造物そのものからいろいろ対策を考えさせておりまして、東北新幹線につきましては、小山を中心とした約四十キロの区間で試験列車を走らせながら、どういう構造がよりよい対策になるか、そういったことを含めまして現在検討しております。いわゆる構造物あるいは音源だけで十分な成果が得られるとはちょっと言いがたいと思いますけれども、その場合には障害防止対策等も含めまして、今後この目標に対して努力をする所存でございます。
  276. 古寺宏

    古寺委員 この中を見ますと、たとえば東北、上越新幹線の説明会などでは、「抜きあしで泥棒が通るくらいの音や振動です」から心配がないとか、「世界に例のない鉄道であり、公害が出るとは予想もつかなかった」こういう御発言をなさったり、あるいは「あっという間に、ひかりのように通ってしまうので公害の心配はない」こういう説明をされて、それを信じて住民の方々は協力をなさってこられた。それが現在、十年を経過してもいまだにその公害対策が全くなされていない。夜眠れない人がこの地域住民の半数もいらっしゃる。こういうような国鉄の公害対策では私はいけないと思うのであります。さらにまた、こういう新幹線公害に対する徹底した調査あるいは研究、そういうものがわが国においてはほとんど行われていないというのが現状である、こう言われているわけでございます。したがって、調査をする、あるいはそういう研究をするというのは、当然環境庁もやらなければならない仕事でございまして、環境庁がこういう問題に対して前向きに取り組んでいないから地域住民は公害で毎日悩まされているのです。こういう新幹線公害について環境庁としてはどういう研究、調査を進めていますか。
  277. 山本宜正

    ○山本説明員 先ほども先生のお尋ねにございましたように、私どもといたしましては、環境基準の設定のその後の達成ということにつきまして、先般も八月十日付で運輸省の方に私どもの勧告を出したわけでございますが、地域の騒音の測定というのは地方自治体等にお願いをいたしまして、いろいろしておりまして、また鉄道につきましては、新幹線総局自体もいろいろと出先におきまして測定しておられる。そういったデータを私ども見ながら、今後いろいろと提言をしていきたい、かように思っておるわけでございます。
  278. 古寺宏

    古寺委員 長官に申し上げておきたいのですが、実際に新幹線公害で毎日苦しんでいる方々がいらっしゃるのですから、環境庁が独自でできない場合には、どこかの大学なり専門家に委託をして実情がどういうふうになっているのか、そういう点について調査をするなり研究をする必要があるのじゃないですか。長官、どうですか。
  279. 山田久就

    山田国務大臣 ぜひそういう立場で救済の道を講ずる素地を固めるように努力したいと思います。
  280. 古寺宏

    古寺委員 また最近、東北新幹線におきましては、もうすでに稲作に対する農業被害が出ているのです。あるいはトンネル工事によって渇水の現象が起きている。したがいまして、私がここで特にお願い申し上げたいのは、このルート決定以前に環境アセスメントの指針を運輸大臣の方から出されると思うのです。先ほどお話があったように、恐らく環境庁と現在折衝中であろうかと思います。その際には、運輸省はもちろんのこと、特に環境庁が、将来こういういろいろな新幹線公害発生しないような立場でアセスメントのきちっとした指針というものを出すように運輸大臣協議をしていただきたいと思うのですが、どうですか。
  281. 山田久就

    山田国務大臣 全くそのように考えて、すでに申し入れてございます。
  282. 古寺宏

    古寺委員 ところが、新幹線を早く促進していただきたいという方々から見ました場合に、アセスメントを早く——先ほどは今月中ないしは来月をめどに指針を出す、こういうことをお話しになっておられましたが、運輸省としては環境庁意見を十二分に尊重してきちっとした内容の指針を早急に出すようにしていただきたいと思いますが、どうですか。
  283. 岩橋洋一

    ○岩橋説明員 指針につきましては環境庁の御意見を十分に取り入れますが、省庁間の問題でございますので、よく相談しながら進めたいと思います。
  284. 古寺宏

    古寺委員 青森県の問題でございますが、八甲田山に約二十五キロメートルに及ぶ長大トンネルを通そう、こういうお話が国鉄の方から出ておりまして、これについては青森市側でも大学の専門家、また盛岡工事局でも専門家に委嘱をいたしまして現在検討中でございますが、この長大トンネルにつきましては、現在は青森市の水資源のみが問題になっております。しかし、この八甲田山の地質につきましては、弘前大学の宮城教授が指摘をしておりますように、「1、「トンネル・ルート」の地質は「西黒沢階」を主体とする。2、「八甲田トンネル」は上北鉱床の真下を通るが、このような例は他にない。」いままでこのような鉱山の下をトンネルを掘った例はない。「3、「ルート」には、少なくとも二つの破砕帯が認められ、かなりの出水が予測される。4、「鉱山水」の分析例からも明らかな如く、「八甲田トンネル」の排水には、重金属イオンを含む可能性が十分ある。5、地表調査・ボーリング資料からも明らかな如く、大峠・雲谷一帯にも、「西黒沢階」の地層が分布し、「鉢森トンネル」「雲谷トンネル」排水も上記と同様である。6、「トンネル排水」の注入によって、駒込川・横内川・合子沢川が汚染される可能性が十分にある。7、横内川は、工事中の汚濁によってさえ機能を失う危険もある。8、市民の生命に関与する「水資源」に対しては、たとえ数%でさえ汚染の危険が予測される工事は避けるべきである。」こういうような勧告が大学の教授からなされているわけでございますが、私はこの問題につきまして、現在青森市側の問題をこういうふうに申し上げておりますが、南側の立場から申しますと、農林省が国営相坂川左岸水利事業というものを始めることになっている。これはむつ小川原湖の淡水化を進めて、そこから水を取って灌排事業を行う、こういう事業でございます。ところが、このトンネルを掘りますことによりまして、トンネル工事の工事排水によって、小川原湖に注いでおります坪川あるいは七戸川、それから熊の沢川が流れていきますところの相坂川、こういうような河川がこの宮城教授が指摘をしていると同じような危険性がある。そうなりますと、現在これから、もうせっかく皆さんが期待して開発が行われようとしている国営相坂川左岸水利事業というものが中断せざるを得ないという危険性があるわけです。しかも、この事業は、受益面積が七千三百二十七ヘクタール、受益者が七千戸、市町村は二市六町にまたがっているわけです。こういう点について、いまアセスメントについて各省庁と相談をする、こういうお話がございました。さらにまた、現在建設省はこの小川原湖の淡水化事業をいま始めようとしているわけです。そういうような建設省なりあるいは農林省、こういう大型の開発計画している省庁に対して運輸省から相談をしたことはございますか。
  285. 岩橋洋一

    ○岩橋説明員 ただいま御相談しておりますのは環境影響評価指針でございまして、先生のおっしゃいましたそれぞれの事業あるいは河川その他に対しての問題はいわば実際の評価の問題でございまして、評価の問題は別途この指針が出ましてから、東北新幹線は国鉄が建設主体でございますから、国鉄がそれぞれの関係のところと御相談しながら進めるというふうに考えております。したがいまして、指針につきましては、いまおっしゃいました二つの省庁とはまだ相談しておりません。
  286. 古寺宏

    古寺委員 それでは、農林省はこの八甲田長大トンネルについて検討したことはございますか。農林水産省
  287. 伊東久弥

    ○伊東説明員 盛岡−青森間の新幹線の計画につきましては、ただいま実施計画のための調査を実施中でございまして、路線位置、今後の施行計画等の具体的内容につきましてはいまだ未定と聞いておりまして、相坂川左岸農業水利事業に対する影響につきましては、現段階といたしましてまだ検討できない状況でございます。
  288. 古寺宏

    古寺委員 そこで、運輸省と環境庁に要望しておきたいのは、こういうような大きな開発プロジェクトがございますね。そういうものに対しての十分な配慮をした指針でなければならないと思うわけでございますので、いままでの既設の新幹線公害はもちろんですが、これから予想される、いままでかつて経験したことのない鉱山の下を、しかも流紋岩のたくさんある最も危険な大工事を行おうとするわけでございますから、十分なアセスメントが必要になるわけでございますので、そういう点を十分に加味した指針というものをきちんとしたものをつくっていただきたいと思いますが、いかがですか。
  289. 岩橋洋一

    ○岩橋説明員 先生のおっしゃるとおりだと思いますので、自然環境生活環境に及ぼす影響について十分予測評価を行い、必要に応じて対策を定めるといったような形で進めるべく、一連の処方を環境影響指針に盛り込みたいと思っております。
  290. 古寺宏

    古寺委員 次に、青森側の方から今度はお聞きしたいのでございますが、青森市では、これらのたとえば駒込川それから合子沢川、横内川、荒川というような河川が青森市に流れておりますが、そういう河川の汚染によって将来水資源の問題で非常に困るんじゃないか、こういうことを心配しているわけでございますが、そういう点についてはどのようにお考えですか。
  291. 吉村恒

    ○吉村説明員 お答えを申し上げます。  青森市の水源につきましては十分な水量がない、将来に向かって枯渇することも考えられるわけでございます。先生先ほどからお話のありますとおり、私どものトンネル工事で汚すようなことがあればやはり重大なことだと思います。現在これらの八甲田トンネルのルートそのほかにつきましては、万全を期しまして調査を進めております。先生先ほどお話がありましたように、宮城先生からの御指摘もあるわけでございますが、この地域におきます黒鉱の鉱床でございますとか、あるいは流紋岩の中に入ってまいりました温泉水等が起こします鉱化、これによりまして重金属等がそこのところへたまる、あるいはそこから出てまいります水が酸性度が強いというようなおそれはあるわけでございます。  ただこれは、この地域、上北鉱山を初めといたしまして戦前から鉱業関係の調査がよく行き届いておるわけでございます。それらの資料もいただきながら、また私どももさらに加えて調査をしながらルートの決定をいたしていきたい。その鉱化している部分あるいは鉱床というようなものはどこにも全部あるわけではございませんで、非常に限られた地域にあるわけでございますので、ルートの選定のしようによりまして、これらの危険から逃れ得るようにルート選定をしていきたいということを第一義と考えております。それらを行いまして、また先ほど青函トンネルでも問題ございましたように、工事中の汚濁等の問題を含めまして、この青森市の水源あるいは先生先ほどお話にもありました東側、むつ小川原方に対します水質保全ということには万全を期してまいる所存でございます。
  292. 古寺宏

    古寺委員 先ほど私がいろいろな例を申し上げましたし、また、現在十月三十一日に算用師工区で起こった現実の最近の事故の例も申し上げましたように、住民や国民をだましてはいけないと私は思います。もっとまじめな姿勢でこれらの物事に、大事な工事でございますので、取り組んでいただきたいと私は思うのです。  そこで、ことし五十三年の七月の十八日に盛岡の工事局長さんがこういうふうに新聞に発表しているのです。「地元では」国鉄案は「横内川、駒込川などの水質汚濁や水脈切断の恐れがあると難色を示しているが、この点には十分、配慮しており、これまでも水利用、水量、水質調査などの事前調査でその懸念がないとの確信を得ている。」こういうふうに発表しているのです。  ところが、七月の十七日からこの八甲田山のボーリング十一本やっているんですよ。この発言をしてからボーリングを行っているのです。調査をする前に、調査をしているから心配がないというのはどういうことですか。いままでこれだけの調査はやりました、まだこれこれの調査が残っております。その調査が終わり次第その結果を皆さんに発表するというなら理解できますよ。十一本もそれからボーリングしているのです。八甲田山だけで。そのほかにもありますよ。こういうような無責任な発言をされては困るのです。  それからこのボーリングの内容ですが、いまお話がありましたこの鉱化作用、十一本のボーリングはこういうものを目的としたボーリングだったのですか、その点承りたい。
  293. 吉村恒

    ○吉村説明員 調査につきましては、先生おっしゃいましたように、本年度十一本追加をいたしておりますが、前年度、前々年度から多数のボーリングをいたしております。これらは鉱化した位置、鉱床の位置等を探すとともに、トンネルとしての土木的な施工性能の良否を判断いたしますために行っておりますので、総合的な目的を持って実施をいたしております。  なお、ボーリングやりました後からその穴の中のたまりました水、すなわち、将来トンネルを掘った場合に想定される湧水と同じものになるわけでございますが、これは逐次化学分析をかけております。もちろん鉱床等に当たった部分につきましては、この宮城先生の御指摘のようなものもございますが、ほとんど相当数のものにつきましては、ごく清浄な水を得ているわけでございます。そこらを前提といたしまして、先ほど申しましたように十分な調査を重ねた上で、この鉱床、鉱化した区間を避け得るという見通しをほぼ得ておりますので、先ほど御指摘のありましたような工事局長の発言になったものと思っております。
  294. 古寺宏

    古寺委員 宮城教授を初めとする専門家が、今回の国鉄が想定しているルートは社会的にも重大な支障を来すような、早く言えば暴挙だ、なぜもっと安全なところをルートとして選定しないのかというふうにおっしゃっているわけです。  私も上北鉱山の鉱害からいろいろやってまいりました。そういう点から言って、何がゆえにこういう危険なところを貫かなければならぬのか、そしてまた皆さんに御心配をかけなければならぬのか、これはどう考えても納得がいかぬのです。なぜこういうふうにこの危険なルートにこだわらなければならないのか、その点を承りたい。
  295. 吉村恒

    ○吉村説明員 先ほど来申し上げておりますように、ルートはまだ決定をいたしておりません。東西に三十キロメートル、南北に約十キロメートルぐらいの範囲内の広範囲にわたりまして調査を進め、その中から最適な値を得たいと思っております。  いま先生のお話のありました下北鉱山に接近をするルートも、それらの調査予定線路の一つであるわけでありますが、これはトンネルが最短になるという点では魅力があるわけでございます。また、下北鉱山の鉱床につきましては、これは先年まで掘っておられましたので、その調査が非常に行き届いておりまして、鉱床の賦存いたします位置よりもはるかに低い位置、しかも直下でございませんで相当離れております。そこを通るわけでございます。したがいまして、これが直ちに危険に結びつくというふうには考えられないのではないかという想定をいたしておるわけでございます。  先生おっしゃいますように、こだわっておるわけではございませんで、この宮城先生を含みまして地質関係の先生方六名に御参加をいただきまして、現在委員会を組んでおります。これには私ども国鉄の関係とそれから青森県、青森市にも御参加をいただいておりまして、私ども調査結果を逐一ごらんに入れ、水質検査の結果でございますとかボーリングコアの化学分析とかいうものを御指示に従って調査を重ねておるところでございます。今後ともそのような慎重な、しかも専門家による御審査も経ながら、方々に御心配をかけないような、また水質基準等の確保できるようなルートを選定をいたしまして施行いたしていきたいと考えております。
  296. 古寺宏

    古寺委員 運輸大臣から環境影響評価の指針というのが出ます。その前にルートと駅舎を決定するわけですね。そのルートに基づいて私はアセスメントを行うと思うのです。そうしますと、このルート決定に当たって、一遍決定してしまいましてアセスメントをやりましても、先ほどのお話じゃないですが、光のようにあっと通るので騒音も振動もないとか、あるいは水の汚染もないとか、それは科学的に防止しますとかいろいろなことをおっしゃって、それを通そうとなさるのですね。ところが実際問題としては、先ほどから津軽海峡の青函トンネルの例は、今回は一部の例でございますが、この工事が始まって以来いろいろあったわけです。そういうことを繰り返してはなりませんので、やはりこのルートの選定に当たっては、地質学的にもあるいは社会学的にも皆さんに御迷惑をかけない、しかも工事費がそんなにかからないようないいルートを選んだ方がいいと私思うんですがね、素人の考えでは。ところが、わさわざ「八甲田山死の彷徨」じゃございませんが、一番危険な個所を選んで、そしてそれを一生懸命ボーリングして、学者がみんなこれはいかぬと言うのに、絶対これは大丈夫だと言わぬばかりのことを盛んにおっしゃっている。  これが何からこういうふうに発展しているかと言うと駅舎の問題なんです。いわゆる青森駅の現駅という考え方、これは青森市の考え。それから石江案、国鉄の考え。この石江案というルートが八甲田山の最も危険な個所にトンネルを掘ろうとするルートであるわけなんです。これは石江案ルートと言われておりますね。ですから私は、先ほど申し上げましたように、国鉄さんも、いま十一本のボーリングをした結果が恐らく十二月の末ごろまでには私は全部出ると思う。そういうような結果を踏まえて、科学的に専門家にもいろいろ見ていただいて、そしてこのルートが無理である、あるいはいろいろ今後支障を来すという場合には、やはり安全なルートを選び、また駅舎の問題も、何も石江とか青森駅に固執して対立しなくても、第三の道も第四の道もあろうかと私は思うのです。なぜそういうような柔軟な姿勢で環境を守り、人間の生命を守り、あるいはまた民主的に地元の意見も尊重するような姿勢になれないのか、残念でたまらないのですよ。そういう点についてひとつお考えを承りたいのです。
  297. 吉村恒

    ○吉村説明員 お答えいたします。  駅の位置問題は、トンネルのルートの問題と別でございます。石江をとったからいまの下北鉱山の下を通らねばならぬということにはならないわけでございまして、先ほども申しましたように、南北にわたりまして十キロ範囲内で東西に通り抜けるルートを選定をいたしておるわけでございます。それらのいずれもが、石江あるいは現駅という案がいろいろございますけれども、それらの駅に結び得るわけでございます。  それから駅の問題でございますけれども、現在の駅は、連絡船の中に貨車等を押し込むために海に向かって真っすぐ突き出した駅でございます。これに新幹線のホームを併設するということになりますと、長さがまず足りませんし、方向が海の方へ向かってしまいますので非常に困難でございます。また、前後で既設の市街地を長々と経過しなければならないということ、それから新幹線全体といたしまして、札幌まで参ります全線の能率並びに青森での接続関係というものもいろいろ考えてまいりますと、現駅の位置では入り切れないということから、いまの石江ということを御提案を申し上げておるわけでございます。駅の問題と、それからトンネルのルートの問題は直結をいたしておりませんので、申し上げます。
  298. 古寺宏

    古寺委員 そうしますと、ルートの変更はあり得るが、駅舎の変更はあり得ないということでございますか。  それから、鉱山の名前は下北じゃなくて上北でございます。
  299. 吉村恒

    ○吉村説明員 鉱山の名前につきましては、御指摘のとおり誤りました。  駅の問題につきましては、環境問題それから新幹線としての機能上の問題、いろいろ含めまして、これは計画基本的な問題でございますので、そうあっちへいってもいい、こっちへいってもいいという代替性のあるものではない。交通計画としての真に中心になるべきところを探しておるつもりでございます。  トンネルの方はそれに比べまして、現在いろいろ調査を重ねておるところでございます。今後それらの中から、先ほど来申し上げているような線で選んでいきたいと思っております。
  300. 古寺宏

    古寺委員 現在国鉄と青森市を調整する立場の三者会談というのが行われていますね。この中に県が入っている。青森県が、いわゆるルートなり、あるいはトンネルによる影響なり、そういうことについて全然国鉄から相談を受けたことがない、こういうふうにおっしゃっているのでございますが、やはり青森県全体に影響を及ぼすような問題について、これはきちっと検討しなければならない重要な問題でございましょう。したがって、三者会談の当事者である青森県に対して内容を説明しないでどっちか決めてくれというのはおかしいじゃないですか。なぜもっと青森県に対して内容の具体的な説明をし、協力を求めないのか、その点を承りたいのです。
  301. 吉村恒

    ○吉村説明員 先生、お言葉ではございますが、青森県のどなたがおっしゃったのか存じませんけれども、われわれはそれぞれの要路のところと十分御相談申し上げております。しかしながら、全般的な面につきましてはまだ調査中でございまして、先ほど運輸省側からお話もございましたように、今後環境基準の技術基準ができまして、その内容に沿うようにさらに調査完成いたしまして、われわれの腹案を固めました上で、具体的にと申しますか、各機関へ公に御相談を申し上げていきたいと思っております。
  302. 古寺宏

    古寺委員 環境庁は、むつ小川原の開発計画についても指針をつくっていろいろ青森県とやってきたわけでございますが、こういうような、いまだかつてないような長大トンネル、しかも八甲田山を通るトンネルでございますので、こういう面のルート決定、またアセスメントについては非常に重大な問題でございますので、どうか今後そういう点については、運輸省あるいは国鉄に対して環境庁としての考え方を十分強く要請していただきたいと思うのですが、いかがですか。
  303. 上村一

    ○上村説明員 五新幹線の環境アセスメントの指針は、いま運輸省からお答えになりましたように、運輸大臣が国鉄なり鉄建公団に示される、それについて環境庁と相談をしながら進めていくわけでございます。御質問にもございましたように、環境に大きな影響を与える大きな事業でございますので、環境庁といたしましても最大の関心を持ってこの問題に対処したいと考えております。
  304. 古寺宏

    古寺委員 最後にもう一点ですが、現在国鉄がお考えになっておられる駅舎の問題について、両方の駅舎がございますが、いわゆる水資源の汚染、こういうものがどうしても必然的に起こる場合には駅舎の変更も考えますか。
  305. 吉村恒

    ○吉村説明員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、トンネルの位置と駅舎とは直結いたしておりませんので、トンネルの調査をやりまして、トンネルの位置が動きましても、駅位置については変更する考えはございません。
  306. 古寺宏

    古寺委員 そうしますと、駒込川、合子沢川、横内川、それから荒川、こういうところには、いま国鉄が考えている石江駅舎の場合には全然水資源その他に影響がない、こういうふうにおっしゃるのですか。
  307. 吉村恒

    ○吉村説明員 影響のないようなルートを選びたいということで調査をいたしております。先ほど申し上げましたように、鉱床でございますので、本当に掘ってみなければわからぬという点も、宮城先生のレポートの中にもあるわけでございます。ただ、これは事前の調査でわからないぐらい小規模な鉱化区間というふうなところは出てくるわけでございますけれども、この場合には全長に比べましてごく限られたところでございますから、湧出水量そのほかから見まして、全体の水量の中で非常に希釈されるというようなことになってくると予想をいたしております。また、それらの処理の問題につきましては、それぞれの様相に応じまして、必要ならば処理の設備もつくっていくということに考えております。それらを含めまして、先ほど来申し上げておりますように、水関係で地元に御心配をかけないようにやっていきたいと考えております。
  308. 古寺宏

    古寺委員 たまたまきょうは本委員会におきまして松尾鉱山等の休廃止鉱山に対する決議が行われました。松尾鉱山をごらんになったことがあるかどうかはわかりませんが、ああいうような例もございます。それから、上北鉱山も現在まだ完全に公害防止計画というものができないのですね。不可能に近いと思います。そういうような危険な個所を選んで無理にルートを設定するというようなことは、私はぜひ避けていただきたいと思います。  また、駅舎につきましても、どうか市といつまでも対立するのではなくして、やはり地域住民の協力なしには工事がうまく進展いたしませんので、そういう点につきましてはひとつ地元とも十二分によくお話し合いをなさって、一日も早く五十七年度の世紀の大トンネルの開通に盛岡以北の工事、それから北海道新幹線の開通が間に合うように、これがトンネルで働いている方々の最大の願いだそうですから、私どもがいままで血みどろになって闘ってきたこの苦労を生かしていただきたい、それは東北新幹線の盛岡以北と、それから北海道新幹線の開通である、こういうふうに申されておりました。ですから、どうかそういう方々の御苦労に報いるためにも、また工事を一日も早く完成するためにも、もっと地元とよくお話し合いをなさって無理な工事はなさらないように、この点だけは特に私からお願い申し上げたいと思います。  以上で終わります。
  309. 久保等

    久保委員長 次に、東中光雄君。
  310. 東中光雄

    ○東中委員 環境庁長官、先ほど岩垂議員からの質問もございましたが、いまNO2の基準緩和問題をめぐって非常に大きな問題になっておる。大気汚染局長説明できないという一札を書くというような、大変な、いままでにないような事態さえ起こっておるときであります。そのときに国務大臣環境庁長官山田久就という名前で環境問題アンケートというのが出されておるということを先ほども指摘されたわけでありますが、環境庁長官というのは行政庁の長であり長官であります。単なる政治家ではないわけであります。その環境庁長官名で環境庁の所管事項である環境問題についてアンケートを出されているわけでありますから、当然これについては環境庁長官としての責任も持っておられることだと思うのであります。  そこでお伺いしたいのでありますが、アンケートは何通出されたのか、そのアンケートの目的は一体何なのか、それからアンケートの対象者はどういう人を対象にしておるのか、アンケートは回答を求めているわけでありますから、それを集計したらどういうふうにお使いになるのか、その点をお伺いしたい。
  311. 山田久就

    山田国務大臣 このNO2の問題についてはもっとこの問題を理解させる努力をせよ、このことは終始われわれもその努力をしたい、こう考えておったところのものであります。したがいまして、その問題がどの程度に浸透しているか。私は、公の資格を持つ人間であります。と同時に、私はそういう仕事をしておる政治家として、この問題についてのアンケートによってその実情を私が知りたい。それは知る権利もあればまた知っておく責任もあると私は考えております。同時に、あわせて随時私はこの問題のPRに努めておりました。そういう意味でのPRにも資するという目的を持って出したものでございます。  これは対象は、主としてこういうものに関心を感じておるだろう中小企業の関係者というものを主にして出したものでありまして、その結果を知った上でいろいろな意味でこれによっての事態の認識、国民への普及程度というものを承知するということにこれを使っていって、要すればこれに対する対策にも資したいというつもりでやったわけであります。  先ほども岩垂委員から御質問がありました。どのくらい出したというふうな問題は一政治家としての問題で、お互いにいろいろそういうことについては答弁はお互い同士のあれとして差し控えさせていただきたいと思います。
  312. 東中光雄

    ○東中委員 いま堂々たることをおっしゃったのですけれども、それは堂々たるたてまえをおっしゃっているのであって、実際はそういうものじゃないということ、これは今日非常に明らかになっていますね。私の方で知っておるだけで言いましても、文京区の本郷郵便局だけであの十五キログラム入りの郵袋三袋、往復はがきで、少なくともそれだけ持っていかれたということを私たちの方で聞いております。台東区、中央区でもやられている。そのほかでやられておるというのを聞いたことがない。そして公害認定患者のところへも、私の方でわかっているだけでも三通来ています。非常に憤慨しています。何ということを言うのだということを言っています。そういう状態になっておるのですが、本郷、文京、台東、中央というのは東京第八区であります。それ以上のことはあえて申しませんけれども、そういう中で中小企業にだけ出した、そんなものじゃないじゃないですか。来ている人は中小企業でも何でもない公害患者の人もおります。軒並みに出ているじゃないですか。あなたがいまおっしゃるようなそんなに堂堂としておるものだったら、何通出した、何通回収した、それについてどうするのだということを言うたらどうですか。それが言えないようだったら、そんな合理化するのはやめたらどうですか。  いかがでしょう。
  313. 山田久就

    山田国務大臣 そのアンケートは、私どもがいろいろ質問を受けたことについて繰り返し私が答弁しておる、そのことについてこれをアンケートを求めたわけでありまして、そういう一生懸命の努力はむしろいろいろ買っていただければ非常に幸せだと考えております。  その対象者は、家族やいろいろな方々、中小企業の関係でも私が顧問をしておる、あるいは推薦を受けたというそのグループでございますので、必ずしもそれは私の後援者とかなんとかという関係じゃございません。そういう意味において広く浸透程度、理解、そういうものについて反応を私が求めたということでございまして、こういう仕事をしておる政治家がそのことをやるといっても、きわめて不自然でもないし、また、そういう努力についてはぜひ御理解いただきたい、こう思います。
  314. 東中光雄

    ○東中委員 いまだかつてないことなんですよ、これは。現職の長官が、現職の大臣がその所管事項について——いま科学論争がやかましく問題になっているわけです。局長は余り科学的な、専門的なことは言えない、あなたはそういう科学的なことを質問をしているところへは出てもしようがないのじゃないかというふうなことさえ言っているのです。ところが、ここに書いてあるのは、いわゆる科学的なことばかり書いてあるのですよ。それは曲げて書いてあるのですよ。言われていることと実際にやっていることと全然違うじゃないですか。これを出すときには、これには科学的なことを書いてあるのですよ。「〇・〇二PPM」「〇・〇四〜〇・〇六PPM」「一〇〇PPM」「〇・一PPM」こういうことについて一般の人はそうわからぬですよ。それこそわからぬですよ。それについてあなたは自分の選挙区だけ出しておる。何通出しておるかも言えない。政治家としてお互いにというようなことをおっしゃいましたけれども。  しかも、これは内容的に言いますと、たとえば「規制基準をゆるめるものではない」あるいは旧基準は「とても達成できない」、先ほども言われましたが「従来の〇・〇二PPMという基準は筑波の山の中程度であって人口が密集している都市ではとても達成できない基準であることをご存知ですか」「はい いいえ」もう断定的に言っているじゃないですか。そしていままでの答弁はそうじゃないじゃないですか。やれるということで基準をつくっておったのでしょう。全く違うじゃないですか。あるいは「タバコを吸うと一〇〇PPMにもなることをご存知ですか」その上には「〇・〇二PPMという基準は」さっき言ったようなことが書いてある。しかし、「タバコを吸うと一〇〇PPM」と言っている、WHOで言っている、それは日平均でも何でもないでしょう。年平均とか日平均とか瞬間とか、そういうことは全く度外視して、そして書いているじゃないですか。たばこを吸うたって一〇〇ppmになるのに〇・〇二ppmなんというのはもうとんでもないことだ、こういう印象を与えるでしょう。これは誘導どころじゃないですよ。確かに誘導に違いないですけれども、こういうのは誤導誘導というのです。誤導ですわ。法廷での質問でよくありますよ。誘導尋問もいかぬけれども、誤導尋問なんというのは最もいかぬのです。これは誤導尋問をやっているのですよ。誤導アンケート、世論調査、こう言わざるを得ないですよ。しかも「この新基準は、最も権威ある二十人の専門学者が全員一致で答申した“人の健康を必ず守れる科学的判定条件”」こんなこと、いままで国会で言うたことはありますか。あなた自身だって言ってないじゃないですか。国会答弁で、必ず守れる、そういう基準だと言ったことがありますか。専門委員会の答申も、高い確率で好ましくない影響を避けることができる、そういう基準なんだと言っているじゃないですか。明らかに違うじゃないですか。科学的なことをこういうふうに断定的に、しかも趣旨を取り違えるように書いて出しているのですよ。何が調査ですか。一体、調査はどれくらい返っているのですか。今月の初めにはもうすでに送達されているのですから。ところが、このアンケートはいつまでに集計したいということも書いてない。全くの世論誤導のための操作をしている、こう言わざるを得ないじゃないですか。しかもそれが、科学的、理性的にやるということを言っている環境庁長官の名前で出されているのです。それについてあなたは当然のことだと思っているのですか、これはやはりまずかったなと思っているのですか。どうなんでしょう。
  315. 山田久就

    山田国務大臣 いま先生からいろいろな御批判、御意見はあろうかと思います。われわれがこれまで繰り返しPRとして言っておったこと、それは健康の問題についても、健康は必ず守る、これがわれわれの立場であります。そういう意味において答申を採用した。これまで繰り返し言っている問題を私が言っているもので、見解の違いであろうかと思いますが、われわれは要するに、一般にどの程度理解を得ておるであろうか、そしてまた一つ、私どもが繰り返し言っておる点についてのPRが多少なりとも資するようにというきわめて常識的な点で、これまでの私ども繰り返し言っているPRの趣意でアンケートをした、こういうものでございます。
  316. 東中光雄

    ○東中委員 この最後の七項目には「専門学者が全員一致で答申した」これは括弧をつけて「“人の健康を必ず守れる科学的判定条件”」、一般の人は「科学的判定条件」と言おうが、何かよくわからぬですよ。それを「人の健康を必ず守れる科学的判定条件」、最後のところはまさにそのとおりの言葉を使っているのです。常識的な言葉じゃないのです。それで前の方は「人の健康を必ず守れる」と、これはうそをついている。そんなことを専門委員会は言っていない、答申はそうは言っていないのですから。  そういう問題についてやるのだったら、ちゃんとしたことでやりなさい。局長が答弁できへん、説明できへんというような状態にしておくべきじゃないのですよ。あなたはそういう状態になっておる環境庁責任者として、それでこういうふうに曲げたアンケートを出して恬として恥じないというんだったら、私は、国務大臣としてあるいは政治家としてももう少し良心的になりなさい、もう少し理性的になりなさい、もう少し科学的になりなさい、こう言わざるを得ないですよ。単なる見解の違いという問題じゃないじゃないですか。いま大きな問題になっていることなんですよ。しかも、それが認定患者のところまで行っているのですよ、無差別に出しているから。どうなんです。
  317. 山田久就

    山田国務大臣 東中委員にはしょっちゅう非難攻撃を受けまして、私も非常に残念に思っておりますけれども、そこは残念ながら見解の相違だと思いますので、ひとつ私の立場をどうか理解をお願いいたしたいと思います。
  318. 東中光雄

    ○東中委員 見解の違いという問題と違うということを申し上げているのでありますから……。  ついでに申し上げておきますが、「台東区民新聞」という地域新聞があるわけですが、これによりますと、「山田大臣『久友会』と懇談 環境行政で熱弁 「今や感情から理性への対策」」というので、ずいぶん長い間熱弁をふるわれたようでありますが、この「台東区民新聞」によりますと、「共産党が騒いでいるようにもっと厳しくすると都内の自動車の七割を止めなくてはならない。そんなことをすると中小零細企業はいっぺんにパンクしてしまう。」こういう趣旨の話をされた、これは公にされているわけです。この集会は、記事からいけばきわめて小規模の集会のようであります。それがこうやって報道されているわけでありますけれども、「共産党が騒いでいるようにもっと厳しくすると」というのは、このNO2の規制の問題ですよ。共産党がどういうふうに騒いでいるのですか。一回お伺いしたいです。
  319. 山田久就

    山田国務大臣 一々新聞の記事について討論しようとは思いません。ただ、しかしながらこれもPRの問題として触れておるところでございますけれども、旧環境基準を五年以内に達成しようということをするならば、恐らく自動車の七割五分をとめなければ規制を強化してもそういうような状況になるであろうということは、私は共産党の代表の方には御説明しておるところでございまして、別に新しいことを申し上げておるわけじゃないということを御了解いただきたいと思います。
  320. 東中光雄

    ○東中委員 これは、「久友会は、浅草の大手皮革関連の有力な社長で組織する会で、この夜は約二十五名が出席した。」こういう小さな会であります。普通ならこれらが新聞に載るわけはないのですけれども、それが載るような状態になっておる会だ。それに載っておる内容は、共産党が騒いでいるようなことをすれば車は七割をとめなきゃならぬ、これは現職の環境庁長官の言うことですか。余りにも非科学的、非良心的、そしてデマゴギーじゃないですか。反対しているのは、社会党さんも反対しているし、何よりも患者の人たちが命がけで訴えているのじゃないですか。学者が科学論争をやっているんじゃないですか。規制はされているわけですから、自動車の排気ガス規制が進んでいけば何で七割をとめなきゃいかぬことになるのですか。全くのデマゴギーをやっているということになるじゃないですか。それを行政府の長としての環境庁長官の職務に関して言うているから私は言うのですよ。そうじゃないのだったら別ですよ。あの人はいいかげんなことを言うておるなというだけのことでしょう。環境庁長官としてその所管事項についての職務に関連してこういうことを言うから、それはいけませんと言っているのです。そこの区別もつかないのですか。いままで大臣が自分の所管事項について個人的にアンケートを集めたとか、そんなことをやりますか。もしそういうことをやる必要があるのだったら、そういう所信を本当に持っているのだったら、環境庁としてやればいいのです。そうでしょう。そういうことを公私混淆というのですよ。しかも、それは曲げているということで、私は断じてこれは容認できない。そういうことについての自覚さえ環境庁長官が持っておられないというのだったら、これは本当に問題ですよ。もう一回これについてのお考えをお聞きしておきたい。
  321. 山田久就

    山田国務大臣 ただいま環境庁としてもアンケートをやったらどうかという話がございました。なるほどそういうことも必要があれば考えてみることもいいかと思っております。ただ、その仕事をしておる私が政治家個人の資格としてそのことをやる、私はこれは別段、それをやるということはわれわれの自由な権利でもあるし行動でもあろう、こう言って差し支えないと思っております。
  322. 東中光雄

    ○東中委員 では環境庁長官とか国務大臣とかというような肩書きは書かぬでやりなさい。山田久就個人でやりなさい。しかも、これは環境行政についてでしょう。そういうことについて恬として恥じない、それで通っていくんだと思われておったら、これは本当に国民の大きな批判を受けるでしょう。本当に突っぱねたらそれでいいんだと思っておったら、それは間違いですよ。こういうことで日本の環境行政がゆがめられていったら大変です。個人の選挙事前運動のために環境行政をゆがめるような方向で環境庁長官が動いておる。こういうことは絶対にあるべきことではないと私は思うのであります。この点を指摘して、反省を強く求めておきます。  時間がありませんから、次にいきます。  長官は、今月の七日の閣議後、記者会見で、山本大気保全局長に口頭注意、そして信澤事務次官に監督不十分で口頭注意をされたというふうに報道されておりますが、どこがぐあいが悪いということで公式に口頭注意をされたのでしょうか。
  323. 山田久就

    山田国務大臣 先般、山本局長、まあ御承知のように非常に正直なお人でございます。したがって、元来疫学関係のデータのことについて、これはむろん非常に専門的なむずかしい問題でございますけれども、その専門的なものを平たくわかりやすく説明するということについては、そのとき準備不足というか、そういうことを感じたので、もっと勉強しておいて、わかりやすく言うことについて準備すべきであったという意味であれをしたためた。そういう意味は、あの人はいわば良心的なつもりで言われたのかもしれないけれども、それはそれでわかるとしても、しかしながら、いま重要なNO2そのものについて説明ができないというような何か別の印象を与えるということになっては、それは自分の処置した考えがどうあろうとも、他の考慮から不適当だ、こう考えたので、そういう見地から私はその行為は適当でないと厳重注意を与えた、と同時に、次官については監督不行き届きということで注意をした、こういうことであります。
  324. 東中光雄

    ○東中委員 あなたは非科学的なことばかりやる人なんですね。この文書に書いてあるのは、「年平均値〇・〇三ppmの科学的根拠については患者の皆様に対し説明できません」。科学的論争だと、あなたはさっきの質問に言うておられたですね。長官が出ていったってしようがないのだとあなたが一言われるぐらいに科学的な問題が問題になったのです。「科学的根拠については」こう書いてあるのを、それを誤解する人が出るかもしれぬからということで、大臣局長を口頭注意というような公式のことをやるのですか。行政について、まじめに科学的に、冷静に理性的にやるのじゃなくて、これは政治的に感覚的にやっているじゃないですか。実際にこの科学的根拠については、〇・〇二については説明はできたけれども、〇・〇三の上限については説明ができなかった。やさしく言えなかったのではなくて、私この速記をしさいに何遍も検討いたしましたけれども、全然説明ができなかった。だから、そのとおりのことを書いただけなんですよ。これは本来は、説明できないような、科学的根拠のないことなんですよ。だから説明できなかったので、これは非常に重要なことだと私は思っています。言いくるめることができなかったというんじゃないんですよ。この科学論争は患者の方がよく知っていたわけです。局長に〇・〇二、下限の分については、これは局長もわかっているでしょうがと言うたら、これは私もわかりますとあなた答弁しているじゃないですか。しかし、〇・〇三については、上限についてはわからぬ、説明ができないんだ、上手にできないんだと言うから、上手でなくてもいい、下手でもいいから何でもやってくれ、しかし一切やらなかった。できないと書いてあるのですよ。これは環境基準設定の一番の根本の問題じゃないですか。しかも国会で答弁されておることでしょう。国会へ提出された文書のことで済む、あの回答書で済むくらいだったら、こんなこと書くことないですね。  それで局長にまず聞きたいのですが、あのとき回答書に書かれておるような二点については、あなたは知らなかったのですか、知っておったのですか。
  325. 山本宜正

    ○山本説明員 私が平たい説明ができないということであったわけでございまして、先生御承知のように〇・〇二ppmという指針値が出ましたのは疫学的データというものも使ったわけでありますけれども、その疫学的データの中から四つの日本の疫学的なデータを使いまして、その中の三つの疫学的のデータから、いわゆる有症率について有意の差の出ないところはどのくらいの有症率かということで出ましたのが三ないし五%という数字でございます。これにつきまして六都市の複合大気汚染調査のデータを使いまして三ないし四%ということを見ますと〇・〇三ppmという数字が出る、こういうことを鈴木専門委員長が五月十日の委員会で参考人としてお話ししておられたわけでございます。私まさに十分な準備がないままに詳細な説明ができなかった、また、これらのものが引き出されるにつきましては、そのほか重回帰分析とかいろいろ統計的なむずかしい言葉を使った分析をしておるわけでございまして、そういった点につきまして私が十分御説明ができなかったということでございますが、〇・〇三ppmという指針値につきましては、はっきりとした答えが専門委員会の中で出ておるわけでございます。(東中委員「時間つぶしはやめてくれ、そんなことを聞いていない」と呼ぶ)また、専門委委員会の指針は、御承知のようにこのような疫学的データだけではなしに、そのほかの動物実験、人の志願者の実験等を利用いたしまして総合的に判断されておる、こういうことで御説明できると思います。
  326. 東中光雄

    ○東中委員 あなた、何を言っているのです。時間つぶしみたいなことはやめてください。  十月二十一日のいわゆる文書回答が出されておるけれども、〇・〇三の科学的根拠についての説明は、五月に行われた鈴木専門委員長の参議院における発言と、それから環境庁自身が七月に国会へ出した文書、この二つしか書いてないですね、回答書で。その文書と答弁は、あなたはこの交渉のときに知っておったのか、知っておらなかったのかと聞いているのですよ。それも知らなかったんだというなら何をか言わんやですが、知っておったのですか、知らなかったのですか。どっちか答えてください。
  327. 山本宜正

    ○山本説明員 私がそれに関しまして平たい説明ができなかった、こういうことでございまして、内容につきましてはかなり学問的にも存じておりました。
  328. 東中光雄

    ○東中委員 そうしたら、その内容を知っておったのだったら、そのことを言えばよかったでしょう。平たくなんというようなことは、あの録音を起こした速記録を見たら、あなた一言も言うてないですよ。上手にということを言っている。上手でなくてもいい、説明してもらったらいいんだ、下手でもいいんだ、何遍も言っておるでしょう。そういう事実を変えたらいかぬですよ、局長ともあろう人が。このことを知っておったのだったら、そのことをそのときに言えばいいわけでしょう。そのことを言えばいいんだという立場にいま立っているのじゃないですか、この回答書にそれだけしか書いてないんだから。回答書には平たく書いてないですね。そうじゃないですか。文書で回答を求めたというようなことは、患者の連絡会でそういう事実は一つもありませんね。その点どうです。
  329. 山本宜正

    ○山本説明員 いま申し上げましたように、私が平たく御説明ができないので、内容が大変むずかしい点にわたっておりますし、正確を期する意味で、専門委員長としての国会での答弁、さらには専門委員会検討趣旨を書き込んだ資料、この両方を各支部の人たちに文書で回答するのが誠実な回答であり、それで十分な回答になっている、こういうぐあいに考えて出したものでございます。
  330. 東中光雄

    ○東中委員 何が誠実ですか。交渉した相手に答えるのに何が誠実ですか。誠実も何もないじゃないですか。一つしかないんじゃないですか。そして平たくなんというようなことは、参議院での追求のときから言い出したあなたの言葉じゃないですか。あるいはわかりやすくとか、平たいわかりやすい説明、かみ砕いた説明、きょうも言われましたけれども、そういう修辞句を使うことによってごまかすというようなことはやめなさいよ。本当にこれは環境行政基本にかかわる問題なんですから、患者の立場に立ってやるのだったら、そうしなさいよ。  環境庁長官は、そういう文書を書いたことが権威を、あるいは行政に対する信用の面からの軽率な行為だ、こういうふうに考えられたということであって、回答できなかったことについては何とも思っておられないのですか。その点はどうなんです。その注意ということについて言えば。
  331. 山田久就

    山田国務大臣 先ほども申し上げましたように、専門的なものを素人の皆さん方にわかりやすく説明するということについて十分の準備、研究が足りなかったという、そういう素直な考え方でこれに署名したという点は、あの人の人柄からいって、私もそれは素直に受け取れると思う。ただし、そのことがいま東中委員が言われたようなふうに逆の意味でとられてくるというおそれがあるということについて、私は、それは不適当である、こう申し上げた先ほどの答弁によって御理解いただきたいと思います。
  332. 東中光雄

    ○東中委員 文書にサインをしたことがいかぬというふうに言われているんではないのですか。率直に言うたことがいかぬ、その気持ちもわかるけれども、それの与える影響から見ていかぬ、こういうように言われているんですね。もう全く感覚が全然ずれていますね。環境行政を本当に誠実にやっていこうということから言えば全くずれている、私は残念ながらそう言わざるを得ないのです。  もう一点、地方へ出向いて、そして七カ所で説明するということを患者団体と約束をされたのは十月十九日の交渉ですが、出向いていくというのは、環境庁長官個人というようなそういう個人的なものでなくて、局長として、行政担当者として出張をして、公務で説明に行くという約束をされたんだと思うのですけれども、どういう理由でそういう約束をされたのですか。
  333. 山本宜正

    ○山本説明員 私がその十九日の席上で十分な御説明ができないという点がございまして、その時点におきまして地方へ出向いていって説明するという考え方もあり、また御要望もあったということでございました。しかしながら、それはあくまでも私が回答してないという前提に立っての話でございまして、文書による回答を差し上げましたということで、一応地方に出向いていくということにつきましては取りやめるという決心を私限りでしたわけでございます。また、地方に行って説明することについて私が自民党の環境部会長に言われて云々というようなことのお話もございましたけれども、私が決心をいたしましたのは十月二十五日の時点でそういう決心をいたしまして御回答したわけでございます。
  334. 東中光雄

    ○東中委員 質問してないことに何だ、それは。そんなことを言う権限があるか。ぼくの質問したことについては何も答えてないじゃないか。十月十一日にそういう約束をしたんでしょう。これがまず第一点。そのときに約束した理由は、遊山に行くのじゃないのだから、国家公務員として、局長として地方へ説明に行く、行政庁の出張として行くという約束をしたのだから個人の趣味でやるわけじゃないのです。環境行政上必要だ、公務としてやるべきだということで約束したんでしょう。そうじゃないのですか。そういう約束をした趣旨は、いわば公的なものなんです。その公的な約束をするに至った趣旨は何だというて聞いているんじゃないですか。
  335. 山本宜正

    ○山本説明員 もう私がその時点におきまして十分な御回答ができないので地方へ出向いていく……(東中委員「十一日のことを聞いているんだ、十九日のことじゃないか」と呼ぶ)十一日におきましても私十分な御説明ができなかった事情があったわけでございまして、それについて地方へ出向いて説明をしてくれという要請もございました。その時点におきまして私はそういった回答のいたし方もあると考えたわけでございますが、その後文書をもって回答しておりますのでその必要はない、こういうぐあいに考えているわけでございます。
  336. 東中光雄

    ○東中委員 地方へ行くことの必要があると考えたのは、そういう約束をしたのはなぜかと聞いているのですよ。患者さんは中央へ皆来れるわけじゃないんだ。だから七ブロックわざわざ挙げて、そして約束をして、日時とか具体的なことは事務局で決めるということで確認しているじゃないか。大気保全局長が地元へ行ってNO2問題について被害者団体に説明する、開催地、日程はお互いの事務局で折衝する、これを文書に書いて、そしてあなたにこういうことですねという確認をして、これだけの行為をやるというときに全く思いつきでやっておるのですか。あなたはそのときに、よくわからぬから勉強する、勉強する期間一週間置く、そして出ていって、十九日にまだ何にもわかってない。わかってないんじゃなくて説明ができないのです。できないようになっているのですよ、あれは。疫学統計のとり方が、一年のたった五つのデータだけでぽこっと〇・〇三というのが出てくるんじゃないですか。ほかは全部〇・〇二以下じゃないですか。そういう明白なことについてあなたは説明できない。これは説明できないようになっておるのです。だからこの基準は改めてやりますということが言えないものだから、こういう逃げを打っているのじゃないですか。患者さんは全部中央へ来るといったって、なかなか来れないんだ。非常な不信を持っているんだ。だからそれについて説明に行く。説明できるとあなたは思っておったのでしょう。しかし、説明できないから行かないというのだったら、さきのことは、この約束は恣意的にやっておったのじゃない限りは破棄すべきじゃないですよ。環境行政上必要だと思ったからこそ約束したのでしょう。個人的な信義の問題じゃないのです。公的な問題なんですよ。環境行政あり方について約束したのでしょう。それを自分が行き詰まったからというて、今度は一方的に破棄してくる。そんなことで環境行政に対する不信がよけいつのってくると長官思いませんか。この文書を書いたことだけで、あるいは正直な性格から言ってこの文書の気持ちはわかるけれども、この影響が大きいからと、約束をしておいてそれを打ち切ってしまう。個人的な約束じゃないんです。そういうものについて取り消しても問題はないというふうに長官は記者会見で言われたようでありますけれども国民と約束したことまで、公的なことまで朝令暮改どころかひっくり返して、それで問題ないというふうにお考えなんですか。どうでございましょう。
  337. 山田久就

    山田国務大臣 この事柄の性質はもともと基本的な分析判断の問題に属することでありまするからして、したがってこれは統一的に中央でやる方が妥当である、そういう考えに基づいて自分でそういう措置をとったという報告を受けて、事柄の性質上そのこと自身は私は正当だと考えたので、了承したわけでございます。
  338. 東中光雄

    ○東中委員 中央でやるなと言っているのじゃないですよ。中央でやりなさい、専門家も入ってやったらいいです。これは科学的なことなんだからやったらいいんですよ。それをやるなと言っているのじゃなくて、あるいはそれより先に地方へ行けとか言っているのじゃなくて、それはやりなさい。国民が納得できるような説明ができるのだったら、したらいいじゃないですか、行って。それは必要だとあなたが思ったからこそ約束したのでしょう。その時期というのは、後で事務局で相談するということになっておるのじゃないですか。だから長官、その点、実際中央でやらぬで地方へ行けと言ったのを中央に持ってきた。そんなのじゃないですよ。中央は中央でやったらいいですよ。しかし、来れない患者さんもおるんだ。みんな非常に深刻に——だって命、健康がかかっているんですから、それについて局長説明に行くべきだ。第一、地方自治体を見てごらんなさいよ。東京にしても大阪府にしても神奈川にしても川崎にしても、千葉だってそうでしょう。とにかく素直にこれは受け入れられない、独自で検討すると言ったり従来どおりでいきますと言ったりしているわけでしょう。自治体と国とが違っているのですよ。そういう問題について、出ていって説明する、説明もできないのか。いよいよ混乱するじゃないですか。だから説明しに行くということを言われたこと自体は私は当然のことだし、いいことだし、環境行政としては当然あるべきことだ、こう思っております。そういう約束をしておいて、ぽんと回答書だけで後はもう切ってしまう。環境庁長官のいま言われた、中央でやるべきことだ、これはそのとおりだと思います。それはそれでやったらいいですよ。所管の局長説明に行くのです。それを取りやめなければいけない理由は何ですか、先に約束してあるのに。どうでしょう。
  339. 山本宜正

    ○山本説明員 先ほどからるる申し上げてございますように、問題の内容も非常に専門委員会の内容でございますし、私どももちろん中央でお話し合いを今後したい、また地方に行くことにつきましてはなかなかむずかしい内容でもございますし、正確を期する意味で文書をもって各地方の団体にお送りいたしまして、それを読んでいただけば十分わかる、こういうことでそういう措置をとっているわけでございます。
  340. 東中光雄

    ○東中委員 所管の局長がよう説明せぬようなものを、文書はもう初めから国会に出ている問題ですから、それを送ったらわかるんや、自分はわからぬのや、説明もできないんだ、こんなばかなことがありますか。それで科学的、理性的ですか。この速記録、あなたは自分で体験したんだからわかっているでしょうけれども長官ぜひ速記録をごらんなさいよ。患者さんの方がずっとよく知っていますよ。あの報告書についても、局長は何ページだ何ページだと言って逆に聞いているじゃないですか。教わっているんですよ。ここは説明できないところと違うのか、説明できるならしてごらんなさい、こう言うておるのです。そのときに、できませんと言っておるのだから、これは本当は基準撤回の方向に行かなければいかぬ。事実はそうなっておるのです。それをごり押しして通そうと思うから説明に行けなくなった。これは根本にかかわる問題ですから、余り国民を侮辱するような、無視するような不信行為を行政がやるというのは許されぬですよ。何かの政治的な圧力があってやっておるとすれば、これは大変な問題です。政治的に行政を利用する、そして曲げていくというようなことは環境行政としては絶対あるべきじゃないと思います。再度検討し直してもらいたい。理屈が通らぬですよ。このことを強く要請して、終わります。
  341. 久保等

    久保委員長 次に、土井たか子君。
  342. 土井たか子

    ○土井委員 質疑の時間に大変制約がございますので、先ほど出席を要求いたしました通産、資源エネルギー庁、自治省には本日はお引き取りをいただいたわけであります。あと建設省はここにお残りをいただいているはずでございますから、簡単にひとつ、与えられました時間の範囲内でお尋ねをしたいと思うのです。  まず環境庁に。非悪化原則というのは具体的な目標値を設定して運用されるのですか、どうなんですか。いかがですか。
  343. 山本宜正

    ○山本説明員 先ほどもお答えいたしましたように、私どもといたしまして非悪化原則はいわゆる〇・〇四ppmから〇・〇六ppmというゾーン内におきまして考えるわけでございます。これは地方自治体の実情等をいまヒヤリングしておる最中でございまして、そういった中で数値を決めていくか、あるいは現状でいくか、その辺は今後の話し合いの中で決めてまいりたい、かように思っておるわけであります。
  344. 土井たか子

    ○土井委員 今後の話し合いはいつごろまで続くのですか。
  345. 山本宜正

    ○山本説明員 現在私どもヒヤリングを始めた段階でございまして、地方からいろいろな詳細な資料提出を求めている段階でございます。したがいまして、年を明けたぐらいまでヒヤリングがかかるのじゃないだろうか、かように思っております。
  346. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、具体的な目標値を設定するかどうかということも未知数なんですね。
  347. 山本宜正

    ○山本説明員 現在、従来の局長通知の指導の中では、ゾーン内においていわゆる現状を維持する、あるいは現状を大きく上回らない、こういう形で指導してまいりたいと思いますので、地域によりましてはある一つの数値として決まっていくということもあろうかと思いますが、まだその辺につきましての決心をしてない段階でございます。
  348. 土井たか子

    ○土井委員 しかし、それもいいかげんな話でありまして、ゾーン内というふうなことをおっしゃるけれども、一体どこに数値を置くかということによってずいぶん取り扱いが違ってくるということはもう理の当然なんですね。ゾーン内地域でいろいろな開発計画を持ちます場合にも、現状濃度地域に対して、日平均値〇・〇四ppm程度ということを考えまして、自治体やその地域住民の意向であるとか対策技術の採用可能の問題であるとか開発行為の公共性なんかを総合して、これに対してはできる限りの措置を講ずるということが、いわば一般的に言われる非悪化原則の運用方法として大切だというのは、長官が大好きな常識的な判断であります。こういうことから考えていくと、一つは、この問題は私は大変問題が出てくると思うのは、環境影響評価というものを運用する際、どのような環境保全水準というものを設定するかという課題につながるという問題なんです。言っている意味はわかりますね。これからいたしますと、これまで実施した一定地域環境影響評価や新増設計画から見て策定したNOxの地域削減計画の扱いなんかも、やはり当事者としては考えていかなければならぬ。そういうことからいたしまして、いま建設省においでをいただいておりますからお尋ねをしたいのは、アセスメント省議決定というものがなされておりますね。「建設省所管事業に係る環境影響評価に関する当面の措置方針について」という事務次官通達が各地方建設局であるとか、関係公団に出されております。具体的な枠組みは十月三十一日に出していらっしゃるようでありますが、この中でNO2の目標値というものは一体どのように考えていらっしゃるわけですか。
  349. 渡辺修自

    ○渡辺説明員 お答えいたします。  建設省といたしましては、非常に専門にかかわる事項でございまして、私どもがどうこうという問題ではございませんので、環境庁の御方針に従って進めてまいりたいと考えております。
  350. 土井たか子

    ○土井委員 環境庁の御方針とおっしゃるなら、それじゃ本四架橋のアセスメントの当時は、まだ〇〇二ppmで考えなければならない時期に〇・〇四でなさっておる。あれは環境庁の御指示ですか。
  351. 渡辺修自

    ○渡辺説明員 御指摘のありましたとおり、当時は〇・〇二でございました。いろいろ計算をいたしましたところ、大量の交通量、あの場合は四万八千台で計算したわけでございますが、バックグラウンドに対して、年平均値でございますが〇・〇一ぐらいふえるという結果が出たわけでございます。私ども正直な話、これは〇・〇二は大変むずかしいということで非常に困ったわけでございます。環境庁の御専門の方ともいろいろ御相談をいたしましたし、また私どもでもWHOの基準等をいろいろ勉強いたしまして、まあこういう状態になるであろうという数値を出したものでございます。
  352. 土井たか子

    ○土井委員 ひどいじゃないですか、それは。いまの御発言は大変ですよ。〇・〇二当時に環境庁と相談をして、環境庁の方は〇・〇二というものは厳しい、むずかしかろう、まあ〇・〇四くらいのところが適当じゃないかというようなことを相談の上決められたという発言内容じゃないですか、いまのは。一体何事です。それは。〇・〇二ということを遵守しなければならない立場にある環境庁が、当時すでにみずから骨抜きにしていっているという実情がいまの御答弁の中から出る、こういうかっこうになりますよ。大変なことだと思います。いかがですか。
  353. 渡辺修自

    ○渡辺説明員 大変失礼をいたしました。手元にデータがございませんでしたが、ただいま調べましたところ、すでに〇・〇二ないし〇・〇三という中公審の答申は、当時出ていたようでございます。失礼いたしました。
  354. 土井たか子

    ○土井委員 中公審の答申ということは私は言っているのじゃないのです。本四架橋についての環境アセスメントの内容は、建設省の方で、公団が出されているのです。公団から出されているデータを見ると〇・〇四でやられているのですよ。これはかつて私は予算委員会でも問題にした。そのときに環境庁としては知らぬ存ぜぬの一点張りだった。しかし恐らくは環境庁に対して相談があったに違いないという感じを私たちは事実持ちました。しかしながら、環境庁としては知らぬということであった。これは環境庁長官も覚えておられるに違いないのです。あの予算委員会の席に御出席でありましたから。しかし、いま建設省の方からそういう御答弁が出ているわけであります。  それならば重ねて聞きますが、建設省とされると、道路にかかわる環境影響評価の際は、NO2の目標値というものはまだ決めがたいので、このことに対してはできないから、新規の道路計画は一切その決められるまで待つというお考えなんですか。いかがですか。
  355. 渡辺修自

    ○渡辺説明員 その後、本日の議論でずいぶんお話に出ております例の七月十一日の告示が出ておりますので、私どもはこれによって今後進めてまいりたいと考えております。
  356. 土井たか子

    ○土井委員 七月十一日の告示からすると、〇・〇六ppmか〇・〇四ppmかというゾーンの幅があるわけですよ。〇・〇六をとるのと〇・〇四をとるので、ずいぶん取り扱いが違ってきやしませんか。したがいまして、この目標値というものあるいは評価基準というものをどう考えるかというのは環境アセスメントの場合には非常に主要な問題になってまいります。これに対して、建設省はどういう態度でお臨みになりますか。あの告示に従うとおっしゃっても従い方があるのですよ。どういう従い方をなさるかということをいま尋ねています。
  357. 渡辺修自

    ○渡辺説明員 この告示によりますと、先ほど来お話に出ておりますように、地域によりましていろいろ扱いが違うようでございまして、〇・〇六を超える地域は〇・〇六が達成されるように努めるとか〇・〇四から〇・〇六までのゾーンはどうするとか、こういうふうになっておりますので、これは地域の特性に応じたいわゆる環境行政の問題かと思います。その方針が決まりました場合に、極力これに沿うように私どもとしては努力いたしたいと脅えるわけでございます。
  358. 土井たか子

    ○土井委員 じゃ、環境行政が決まるまではいまの道路計画は全部据え置きなんですね。再度お尋ねします。
  359. 渡辺修自

    ○渡辺説明員 大変厳しい御質問でございますけれども、道路をつくることによりまして全体的な環境の浄化に役立つ部分もあるわけでございます。たとえば交道の渋滞がありますとこれはかなりひどいわけでございますが、円滑に流れるようになりますと排出量も若干減ってくるという問題もございますので、いまここでとめるということではなしに、やはり私どもといたしましては、道路そのものは着実に進めてまいりたいと思っております。
  360. 土井たか子

    ○土井委員 いま〇・〇六とおっしゃいましたけれども、それが問題なんでしょう。〇・〇六でいくのか〇・〇四でいくのか〇・〇五でいくのか、ゾーンといったって幅があるのです。したがいまして、そこでこの問題に対してどういう評価基準、目標値を設定するかによって取り扱いが違ってきやしませんか。いかに交通渋滞があって環境悪化があろうとも、〇・〇六でそれを抑えるのか〇・〇四まで浄化しなければいけないのかということで道路計画それ自身もずいぶん違ってきやしませんか。車の台数の制約だってありますよ。私が聞いていることに従ってお答えにはなっていらっしゃらない。いかがです。
  361. 渡辺修自

    ○渡辺説明員 先ほど申し上げましたように、四車線程度の大型の道路になりますと、その道路のすぐわきあたりで年平均値で大体〇・〇一くらい周辺より上がるという計算あるいは観測等があるわけでございますので、私どもとしましては年平均〇・〇二ということになると実はバックグラウンドが〇・〇一でないとだめだ、こういうことになりますので、〇・〇三であれば道路の〇・〇一を引いた場合〇・〇二になるということで、バックグラウンドを〇・〇二くらいに抑えていただければ一番ありがたい、そうすれば〇・〇三、つまり一日でありますと〇・〇六に相当する、こういうことになろうかと思います。
  362. 土井たか子

    ○土井委員 おっしゃっているのは、バックグラウンドを〇・〇二に設定してもらいたいという願望なんでしょう。それは建設省から環境庁に対する願望ですか。いかがですか。
  363. 渡辺修自

    ○渡辺説明員 先生のおっしゃるとおりでございまして、私ども現場の職員非常に苦労しておるわけでございますが、何分にも私どもでどうにもならぬ問題でございまして、建設省の願望でございます。
  364. 土井たか子

    ○土井委員 バックグラウンドを〇・〇二に設定するというのは、具体的にそれを実行した場合にはいま言うところの環境基準〇・〇六ppmが保てるという状況なんでしょう。つまり、要は〇・〇六ppmという環境基準であってほしいというのが建設省側から環境庁にするところの要望だ、こういうかっこうになりますね。そうですか、確認します。
  365. 渡辺修自

    ○渡辺説明員 そのとおりでございます。ただ……
  366. 土井たか子

    ○土井委員 もういいです。  要望でなくて、現にいろいろ道路計画をおやりになる際はそういうことで臨んでいらっしゃるのじゃないですか。〇・〇六を上回る問題に対してどういう取り扱いをやるか。たとえば道路計画について一部変更しなければならないだろうとか自動車の量規制を実施することが余儀なくされるだろうとかいう問題がそこで出てくるわけで、もうすでに建設省としては目標値や評価基準を〇・〇六ppmに置いて道路計画を進めていらっしゃるというっかっこうになっているのじゃないですか、願望じゃなくて、現実の行政措置として。どうです。
  367. 渡辺修自

    ○渡辺説明員 ただいま申し上げましたように、プラスが年平均値で〇・〇一、これを上回らないということで対処したいわけでございますので、場合によっては〇・〇六になり、場合によっては、バックグラウンドが低ければもう少し低い値でいけるわけでございます。
  368. 土井たか子

    ○土井委員 いろいろそういう理屈はおっしゃっても、結論から言ったら〇・〇六ppmという環境基準であってほしいという要望が建設省側にある。で、少なくともそういうことからすれば、〇・〇六を上回る予測結果が出た場合、道路計画を縮小したり自動車の量規制を実施するということは、いまおっしゃった御答弁からしたら理の当然として出てくるはずでありますが、こういう措置は当然建設省としてはお考えになりますね。まずそれだけ一つ聞いておきます。
  369. 渡辺修自

    ○渡辺説明員 道路の構造でなかなか対処しにくい問題でございますが、拡散の問題で幅をとりますと周辺に対する影響がぐっと低くなります。そういう意味でいろいろな対策、構造の問題、それから既設の場合でございますと適切な交通規制を警察庁の方と御相談してやるとか、そういうことで考えてまいりたいと思います。
  370. 土井たか子

    ○土井委員 いまの御答弁からすると、私、いじめるつもりで言うのじゃないですが、〇・〇六ppmはゾーンからいったら上限ですよ。それすら、守ろうとすると、その土地の事情に合わせてなかなかむずかしいといういわば泣き言みたいな御答弁に聞こえてならないのです。これは大変なことですよ。せっかく規制緩和をやって、しかもその〇・〇六—〇・〇四という幅を持たせた告示を環境庁が出したことがいまあだになるようなかっこうですね。むしろこのことによって不悪化原則じゃなくて悪化原則というものをみずからつくり出しているようなかっこうになる可能性が大変にあるということを、いまの御答弁から私は非常に感ずるわけであります。  さて、それはそれとして環境庁に伺いますが、こういうふうな状況が、いま建設省においても〇・〇六であってほしいというようなお声があるわけですね。同じように通産省においても運輸省においても、関係省庁といろいろ協議をなさる中では、恐らく〇・〇六であってほしいという要求はほかの省庁からもっと強く出るに違いない。  というのは、私ここに持ってまいりましたのは、環境庁の庁内にございます想定問答集でございます。この中に環境基準を一定の数値で決めずにゾーンをもって決めたのはなぜかという問いに対していろいろ用意されている答えの一つに、最終目標一日値〇・〇四ppm、中間目標〇・〇六ppmを主張していた環境庁と〇・〇六ppm一本を主張していたMITY、通産省ですね、とで合意し得る案は幅を持たせる以外にはなかったこと、こう書いてあるのですよ。基準決定の際の事情と書いてあります。環境庁自身が談合されて、通産省の立場に近寄ろうとしたらどういうことなのかということの配慮をされたことをみずから認めているわけです。一体だれのための何のための環境行政なんですか。環境庁設置法に通産省の言うことを聞け、建設省の言うことを聞けなんてどこにも書いてありませんよ。公害対策基本法の基本的なあの立法趣旨というものを一体どう考えていらっしゃるのか。最近、ここ一、二年、環境行政の後退は目覚ましいものがあります。それは公害病患者さんだけじゃない、被害者だけじゃありません。全国民はいま環境庁は一体だれのために存在しているかということでまことに不信のまなざしで見ているという事実だけは知っていただきたい。それからすると、環境庁内にあるところの想定問答集の中にはっきり物語られているように、いま各省で言うところの非悪化原則に対しての具体的な目標値をどのように考えていくかということに対していろいろな思惑が渦巻いている。これに対して環境庁は一体どういう立場で臨まれるかということは、ここ当分の間大変大事な問題だと思います。数値を決めるか決めないかということはまだわかりません、恐らくは少し時間がかかるでしょう、自治体からのいろいろな意見も聞いてひとつ検討させてもらいます。それも大事だけれども、安易な気持ちでこういうものを取り扱ってもらっては困るのです。環境庁としてはここ一番しっかり、環境行政というものはこういうものだということでがんばってもらわないと取り返しのつかないことになる。不況だからいいだろうじゃないですよ。不況であるからこそ、こういうときにがんばって、どういう経済変動があろうとも環境行政の姿勢は変わらないというところを見せてもらわないと困ります。それからすると、いかがです。こういう気概を持って臨めるかどうかというのをまず一言賜っておいて、最後に一問環境庁長官に聞いて、私は終わりにしたいと思います。
  371. 山本宜正

    ○山本説明員 先生がいまお手元で想定問答集という資料を御指摘のようでございますが、実はそれは、恐らく私どもの内部で、ある一人の人がメモとしてつくったものではないだろうか、こう私は想像するわけでございます。  私ども、いわゆる非悪化原則の運用、あるいは改定された環境基準の運用につきまして、そのような安易な考え方を持っておりません。前の橋本局長も答弁しておりますように、〇・〇六を……
  372. 土井たか子

    ○土井委員 いろいろな言いわけは結構であります。  局長、一人の人のメモにしかすぎないとおっしゃいますが、その人がこういう事実ありもしないことを捏造したのですか。そうじゃないでしょう。少なくとも、こういう質問を受けたときにはこういうことを心得て答弁すべしという想定問答集を、環境庁の名前がちゃんと入っているのだから環境庁内でその部署にある人が用意されたという文書でしょう。事実をその人が捏造したのですか。いかがです。
  373. 山本宜正

    ○山本説明員 新環境基準の運用に当たりまして、部内でいろいろと議論を進めておった中で、その一つの、ある個人のメモという形のものを恐らく先生指しておられると思います。私ども、いま御説明半ばであれでございますが、そういうものではございません。
  374. 土井たか子

    ○土井委員 もう言いわけは結構。  そうすると、これはその個人の責任において捏造されたということに対して、責任をとってもらうということを局長名ではっきりおっしゃいますか。事実は事実でしょう。ありもしないことをこういうふうに書かれているのですか。
  375. 山本宜正

    ○山本説明員 私の局全体として議論をいたしまして、どういう方針にするかというその過程におきまして、ある個人が書いたものでございまして、その取り扱いの不行き届きにつきまして、私は注意を与えております。
  376. 土井たか子

    ○土井委員 その個人の責任に帰するというのは局長として最もはなはだしい心得違いだと私は思っていますよ。その個人の人がこの文書を外部に出るような取り扱いをやったことに対して恐らくは注意を与えるという意味でいま答弁なすっているのでしょうけれども、そんな問題じゃないのじゃないですか。このことに対して、事実を事実として書いてなければ、それは局長からしかられるのは当たりまえだと思うけれども、一緒に討議をして、これは事実は事実なんでしょう。そのことに対して最も責任を感ずべきは局長なんですよ。その一個人じゃない。さらに、最も責任を感ずべきは長官なんです。こういうやり方で大体基準値というものが決められてきたという事実に対して、これは事実じゃないのですか。捏造されたのですか、いかがですか。われわれは個人攻撃して一人の人に責任をとれと言っているわけじゃないのですよ。環境庁として、こういう事実が事実としてあったから、ここにこういうふうな記述があるのです。したがって、それからすれば環境庁として、私は、長官責任だし局長責任だと思う。メモをとった人の一個人の責任じゃないですよ。その責任転嫁をし、一個人に対して注意を与えるなんというのは、心得違いもはなはだしいと私はそう思う。いかがでございますか。
  377. 山田久就

    山田国務大臣 私は、いまの書類がどういう書類かわかりませんけれども、しかし、それは事実と反していると思います。われわれが環境基準に〇・〇四から〇・〇六というものを採用いたしましたのは、審議会の部会の諮問に対しての答申、それをそのままわれわれは受け入れてやったということでございます。それに対して、通産省というものが委員会に対して介入する余地があったとは私は考えません。したがって、その点は全く事実に反すると私は思います。
  378. 土井たか子

    ○土井委員 長官、少しお間違いなすっていらっしゃるのじゃないですか。委員会がこの環境基準値を決定したのじゃございませんよ。いかがです。したがって、委員会に介入しようがしまいが、そんなことはこの基準値を設定することに対して何の関係もないのですよ。今回委員会に何を御諮問なすったのですか。環境基準値を決定しろと御諮問なすったのですか。違うでしょう。あくまであの答申の内容は、環境基準値を決定した答申じゃないですよ。ちょっとお間違いになったのじゃないですか、長官のいまの御答弁は。
  379. 山田久就

    山田国務大臣 われわれは指針の諮問をしたのです。その指針どおりをわれわれが受け入れてやったのであって、たとえばそれが、行政的にその基準を六から四というものに変えた、われわれが行政でですね、ということであるならば、その間に介入の余地があったということもあるいはうなずけるかもしれない。しかしながら、われわれは答申そのものを受け入れてやった、これが事実であるということを率直にお答え申し上げているわけでございまして、この点はおわかりいただきたいと思います。
  380. 土井たか子

    ○土井委員 局長、どうぞ。
  381. 山本宜正

    ○山本説明員 指針値を環境基準に決める段階におきまして、前局長がいろいろの御意見を聞き、かつ各方面の考え方というものも考えまして、それで環境庁として決心をしたわけでございまして、その間におきまして、関係省庁にこういう数字で決めるというようなことを示したことはあったと聞いておりますけれども、あくまでも環境庁として自主的に決めた、こういうぐあいに私は伝え聞いております。
  382. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、この文書の内容というのは、局長、事実に反するのですか。
  383. 山本宜正

    ○山本説明員 私の聞き及んでおり、かつ理解しておるところでは、違うと思います。
  384. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、今回建設省側がいかに〇・〇六ppmであってほしいと非悪化原則に対しての目標値に対して要求をされても、環境庁としては、環境庁みずからの独自の毅然たる立場で、この問題に対してはお取り扱いをお進めになる、当然なことでありますけれども、わざわざこんなことを確認しなければならないような委員会にこの公環特というのがなっていること自身、私はまことに情けない思いで申し上げますが、大丈夫でしょうね。
  385. 山本宜正

    ○山本説明員 先生のお尋ねに対して、そのとおりでございますというぐあいにお答えいたしたいと思います。環境基準達成につきましては、あくまでも、〇・〇六を超えているところはそれまで抑え込む、それを達成するということでございますし、それ以下につきましては、〇・〇四を超えているところはなるべくその状況維持していこう、こういう趣旨になっておりまして、私ども、その線でやっていきたいと思います。
  386. 土井たか子

    ○土井委員 その問題については、また時を改めて少し具体的に私は質問を進めますが、最後に一問だけ。長官はこの朝日新聞の「論壇」でもこのことを述べておられるわけですが、これは長官の原稿かどなたの原稿かよくわかりませんが、名前は長官のお名前で投稿されているわけでありますから、恐らくはこの考え方長官自身がお持ちになっていらっしゃるのだとわれわれは理解をさせていただいて、中身をひとつ確認させていただきたいのは、「早急に準備を迫られている総量規制や四次規制の実行も基準に関連するので、これ以上の行政の空白は許されず、改定を行った。」と書いてあるのです。行政の空白は許されないとして見切り発車的に環境基準というものを改定しておきながら、その後NOx行政というのは全く進んでいないというのがただいまの現状でございます。地方自治体は一体どうなるのかといって、どうしていいかわからない、手がつかないという状況があれからこちらに毎日展開されているのが現状であるということを、ひとつはっきり把握していただきたいなと思うわけであります。改定した暁は六十年までのタイムスケジュールをつくると前橋本局長は国会でも言明をされておりますが、このNOxの長期スケジュールは排出基準の第四次規制ですね、特にこれは、橋本局長は、やるべきことは四次規制としてまずやっていく面があるということを一番考えているというふうな答弁も七月五日の公環特の答弁の中にちゃんと出しておられるわけですが、公害防止計画の見直しという問題は一体どういうぐあいになっていくのですか。環境庁としては、いつまでにこういう問題の作業の目安がつくのですか。このことについて環境庁長官からお聞かせをいただいて、私は終わりにします。
  387. 山本宜正

    ○山本説明員 NOxの四次規制につきましては、三次規制までに行われたものの残り並びに従来の規制値の強化という点につきましては現在、作業を内々進めております。私といたしましては、少なくとも明春をめどに出したいと思っておりますが、これは作業の状況との見合いでございます。  また、地方につきましていろいろと混乱があるというようなお話がございますけれども、前局長時代にも全国の関係者を集めて説明をいたしましたし、その後、私どもになりましても、各地方におきます担当者の会議には私どもの方から出向きまして趣旨の徹底をいたしておりますし、また、先ほども申し上げましたように、いわゆる地域区分の指定の問題につきましては現在ヒヤリングをしておりまして、これが済み次第早く地域区分をしてまいりたい。それによって総量規制計画も地方にマニュアルを示して計画を立ててもらおうというつもりでおります。
  388. 土井たか子

    ○土井委員 よくわからない御答弁ですが、日を追って作業に並行して私たちも厳しく注目いたしておりますから、国会を通じての審議過程の中で具体的な事柄に対しての問いただしというものも進めていかなければならないと思います。  もう時間ですから終わりますが、最後に一言。  どなたがメモをお書きになったか、私はよく存じません。ただ、局長傘下のお一人であるらしきことは、先ほど局長も寄ってみんなでいろいろ相談をした中身をこのようなメモにされたというふうに御答弁の中でおっしゃっています。一私人のメモであるということもそのときにおっしゃっております。みんなが寄って相談された中身がメモとなっているわけでありますから、局長のきょうの御答弁や長官のきょうの御答弁の中では、これは事実と違うということをおっしゃっておるわけでありますけれども、少なくとも環境庁の文書においてこれは書かれているわけですよ。これはその一私人について責めを負わせていかれるよりも、まずみずから、局長や何といっても長官責任であるということを私はここではっきり申し上げさせていただきます。環境庁の庁内でこういうのがあるわけですからね。いかがですか。一私人の責任じゃないですよ、断じて。
  389. 山本宜正

    ○山本説明員 若干その間の事情の詳細を申し上げますと、局内のある課におきまして、今後の運用につきましていろいろと議論をした段階におきまして、その議論の材料のために数名の者にメモを出させまして、それを検討の材料とした、その数名のメモの一つということでございまして、局といたしまして最終的にまとめた段階ではそういった考え方は持っておりません。
  390. 土井たか子

    ○土井委員 時間ですから、終わります。
  391. 久保等

    久保委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後六時十四分散