○土井委員 そこで、この
地域判定の問題について種々のポイントがあると思うのですが、
一つは、まずお伺いしたいのは、告示の内容にあります。いわゆる非悪化原則の問題なんです。
この非悪化原則の本題に入る前に、ちょっとどうしても私はこの点をはっきりさせておいて非悪化原則の問題に入りたいと思うことがここにございます。
それは
山田環境庁長官が、実は八月の二十四日の朝日新聞の論壇のところに投稿されておりまして、そこにNO2
環境基準の緩和についての疑問に答えるべく文章を起こしておられるわけでありますが、この文章の中にこういう部分があるのです。「この新基準(一日平均値が〇・〇四から〇・〇六ppmまでのゾーン内またはそれ以下)は、国際的にみても、アメリカや西ドイツのおおむね一日平均〇・一ppmより二倍
程度厳しく、また、世界保健機関の指針値一日平均換算おおむね〇・〇四から〇・〇七ppmと比較しても、決して緩いものではない。」こういう部分がありますね。
同じようなことが次いで八月二十九日号の日本経済新聞の
政府広報・
環境庁の全面広告の部分で述べられているわけです。ここで
山田長官は、「アメリカ、西ドイツは〇・一ppm。今回の基準はそれの二倍
程度厳しい。WHOの指針は日本よりも若干ゆるく、〇・〇四〜〇・〇七ppmです。」こういうことを述べられているわけです。ですから今回の基準値というものは、外国に比べるとそれでもまだずいぶん厳しいんだということをしきりに力説をされているわけであります。
環境庁長官は国際人でございますから、したがって、外国のそういう例をお出しになって種々展開されるというのは、本来、一議員、一私人の
立場で感想を言えと言われた場合におっしゃる分には、これは差し支えないだろうと私は思いますけれ
ども、ただいま
環境庁長官という要職におありになる。
環境庁長官のこの文章を私は読みまして、あれっと思ったのです。
それは何かと言うと、当
委員会におけるNO2の審議に当たりまして、まず
環境庁長官が開口一番、冒頭にお答えになっている部分を
会議録によって確かめて、
会議録どおりに間違いないように読んでみますと、こういうことなんです。
「わが国の
環境基準は、
公害対策基本法に基づきまして、「人の健康を保護」する上で「
維持されることが望ましい基準」というものとして定められていることは御
承知のとおりでございまして、各種の長期的な総合施策のいわば
努力目標ということでございます。したがって、直接に法的な拘束力というものには結びついていないという基準であることを注目する必要があると思いますが、同時に、
施設の許可認可基準でもない等の点、この点は他国の基準と異なっておる。したがって、これは絶対必要な健康保護のための基準というようなことで決められている他国の基準というようなものと単純に比較はできない点があるということは御
承知のところかと存じます。」と、こう言われています。これは
長官自身の御答弁だから、しかも私は
会議録によっていまその部分を読んだわけでありますから、間違いがないわけであります。
さらに、橋本
局長がその問題について少し触れて詳しく答弁をされている部分について言いますと、「
対策のおくれは欧米にあるということであります。以前は欧米が進んでいるからそれに行け、こう言ったのですが、いま確かにエアポジションでは向こうはおくれております。そういうことで、次第に
公害対策が、よそが余りやらなくてサボっているものに合わせるというような風潮が日本に出てくるのが最も憂うべきことだというぐあいに考えております。」こうとも言われておりますね。
したがって、どうでございますか、
長官、この朝日新聞なり日本経済新聞なりに掲載されている、
長官の力説されている内容と、当
委員会において答弁をされている内容というのは首尾一貫しないじゃございませんか。いかがなんです。まことに矛盾していると私は思いますよ。外国の基準とそう単純に比較はできない点があるということを当
委員会でははっきり
長官の答弁として出していらっしゃる。にもかかわらず、
国民に向かっては、素人の
国民が読む場合、外国と比較すると日本の場合まだそれでも厳しいんだ、だから緩やかにした、緩やかにしたなんということは当て違いですよと言わんばかりの物の言い方をされているのですが、これはいかがなんです。どうですか。——いいですよ、
局長が言っているんじゃない、
環境庁長官がこれを書かれて言われているのです。
局長じゃないですよ。
長官ですよ。
長官の文章なんです。いいかげんにしてくださいよ。