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1978-10-20 第85回国会 衆議院 外務委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年十月二十日(金曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 永田 亮一君    理事 大坪健一郎君 理事 奥田 敬和君    理事 塩崎  潤君 理事 井上 一成君    理事 土井たか子君 理事 渡部 一郎君    理事 渡辺  朗君       石原慎太郎君    稲垣 実男君       木村 俊夫君    鯨岡 兵輔君       小坂善太郎君    竹内 黎一君       中山 正暉君    福田 篤泰君       福永 一臣君    美濃 政市君       中川 嘉美君    寺前  巖君       伊藤 公介君    楢崎弥之助君  出席国務大臣         外 務 大 臣 園田  直君  出席政府委員         外務政務次官  愛野興一郎君         外務省アジア局         次長      三宅 和助君         外務省経済協力         局長      武藤 利昭君         外務省条約局外         務参事官    山田 中正君         食糧庁長官   澤邊  守君  委員外出席者         外務省経済局外         務参事官    羽澄 光彦君         農林水産省経済         局国際部国際経         済課長     岡田 明輝君         農林水産省農蚕         園芸局農産課長 泉田  収君         農林水産省農蚕         園芸局果樹花き         課長      畑中 孝晴君         食糧庁管理部企         画課長     松山 光治君         外務委員会調査         室長      高杉 幹二君     ――――――――――――― 委員の異動 十月十七日  辞任         補欠選任   川田 正則君     辻  英雄君   寺前  巖君     東中 光雄君   楢崎弥之助君     阿部 昭吾君 同日  辞任         補欠選任   辻  英雄君     川田 正則君   東中 光雄君     寺前  巖君   阿部 昭吾君     楢崎弥之助君 同月十八日  辞任         補欠選任   寺前  巖君     東中 光雄君 同日  辞任         補欠選任   東中 光雄君     寺前  巖君 同月十九日  辞任         補欠選任   寺前  巖君     東中 光雄君 同日  辞任         補欠選任   東中 光雄君     寺前  巖君     ――――――――――――― 同月二十日  辞任         補欠選任   伊藤 公介君     中川 秀直君 同日  辞任         補欠選任   中川 秀直君     伊藤 公介君 同日  理事塩崎潤君同月十六日委員辞任につき、その  補欠として塩崎潤君が理事に当選した。     ――――――――――――― 十月十六日  北朝鮮在住日本人妻安否調査等に関する請願  (石川要三紹介)(第一八五一号)  同(奥野誠亮紹介)(第一八五二号)  同(小泉純一郎紹介)(第一八五三号)  同(小坂徳三郎紹介)(第一八五四号)  同(松永光紹介)(第一八五五号)  同(宇野宗佑紹介)(第二一二八号)  同(吉田之久君紹介)(第二一二九号)  同(永末英一紹介)(第二六四六号)  核兵器全面禁止国際条約締結等に関する請願(  小林政子紹介)(第一八五六号)  同(寺前巖紹介)(第一八五七号)  同(正森成二君紹介)(第一八五七号)  核兵器完全禁止等に関する請願松本善明君紹  介)(第一八五九号)  世界連邦調査研究に関する請願永末英一君  紹介)(第一八六〇号)  世界連邦建設に関する請願永末英一紹介)  (第一八六一号)  核兵器全面禁止国際条約締結等に関する請願  (安藤巖紹介)(第一八六二号)  同(工藤晃君(共)紹介)(第一八六三号)  同(田中美智子紹介)(第一八六四号)  同(津川武一紹介)(第一八六五号)  同(不破哲三紹介)(第一八六六号)  同(藤原ひろ子紹介)(第一八六七号)  同(松本善明紹介)(第一八六八号)  元韓国出身戦犯者国家補償等に関する請願(  粕谷茂紹介)(第二四七八号)  同外一件(永末英一紹介)(第二四七九号)  同(土井たか子紹介)(第二四八〇号) 同月十七日  元韓国出身戦犯者国家補償等に関する請願(  渋沢利久紹介)(第二九二七号)  同(田中龍夫紹介)(第二九二八号)  同(竹下登紹介)(第二九二九号)  同(和田耕作紹介)(第二九三〇号)  北朝鮮在住日本人妻安否調査等に関する請願  (伊藤公介紹介)(第二九三一号)  同(小川新一郎紹介)(第二九三二号)  同(大久保直彦紹介)(第二九三三号)  同(大塚雄司紹介)(第二九三四号)  同(大野潔紹介)(第二九三五号)  同(大平正芳紹介)(第二九三六号)  同(長田武士紹介)(第二九三七号)  同(粕谷茂紹介)(第二九三八号)  同(春日一幸紹介)(第二九三九号)  同(川合武紹介)(第二九四〇号)  同(小平忠紹介)(第二九四一号)  同(白浜仁吉紹介)(第二九四二号)  同(田川誠一紹介)(第二九四三号)  同(竹下登紹介)(第二九四四号)  同(中川嘉美紹介)(第二九四五号)  同(中西啓介紹介)(第二九四六号)  同(灘尾弘吉紹介)(第二九四七号)  同(野田卯一紹介)(第二九四八号)  同(野中英二紹介)(第二九四九号)  同(長谷雄幸久紹介)(第二九五〇号)  同(林孝矩紹介)(第二九五一号)  同(福田篤泰紹介)(第二九五二号)  同(坊秀男紹介)(第二九五三号)  同(三塚博紹介)(第二九五四号)  同(村上勇紹介)(第二九五五号)  同(村上茂利紹介)(第二九五六号)  同(森山欽司紹介)(第二九五七号)  同(山口敏夫紹介)(第二九五八号)  同(与謝野馨紹介)(第二九五九号)  同(和田耕作紹介)(第二九六〇号)  同(渡辺美智雄紹介)(第二九六一号)  同(愛知和男紹介)(第二九六二号)  同(鳩山邦夫紹介)(第三一九八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十月十六日  朝鮮の自主的平和統一促進に関する陳情書外六  件  (第一〇一号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  閉会中審査に関する件  千九百七十一年の国際小麦協定を構成する小麦  貿易規約及び食糧援助規約有効期間の第四次  延長に関する千九百七十八年の議定書締結に  ついて承認を求めるの件(条約第二号)(参議  院送付)      ――――◇―――――
  2. 永田亮一

    永田委員長 これより会議を開きます。  理事補欠選任についてお諮りいたします。  理事塩崎潤君が去る十六日委員辞任されました結果、現在理事一名が欠員となっております。これよりその補欠選任を行いたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 永田亮一

    永田委員長 それでは、塩崎潤君を理事に指名いたします。      ————◇—————
  4. 永田亮一

    永田委員長 千九百七十一年の国際小麦協定を構成する小麦貿易規約及び食糧援助規約有効期間の第四次延長に関する千九百七十八年の議定書締結について承認を求めるの件を議題といたします。  まず、政府より提案理由説明を聴取いたします。外務大臣園田直君。     —————————————  千九百七十一年の国際小麦協定を構成する小麦貿易規約及び食糧援助規約有効期間の第四次延長に関する千九百七十八年の議定書締結について承認を求めるの件     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  5. 園田直

    園田国務大臣 ただいま議題となりました千九百七十一年の国際小麦協定を構成する小麦貿易規約及び食糧援助規約有効期間の第四次延長に関する千九百七十八年の議定書締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  千九百七十一年の国際小麦協定は、本年六月三十日まで有効期間延長されていましたが、この議定書は、同協定有効期間をさらに一年間延長するものであり、本年三月ジュネーブで開催された関係国政府間会議において採択されたものであります。  千九百七十一年の国際小麦協定は、小麦貿易規約食糧援助規約との二部から成っており、小麦貿易規約は、従前の国際小麦協定に比し、価格帯供給保証等のいわゆる経済条項を欠いておりますが、小麦の市況の安定化のため加盟国情報交換、協議を行うこと等を規定し、食糧援助規約は、開発途上国に対する食糧援助について規定しております。この議定書は、この両規約の実質的な内容に変更を加えることなく、その有効期間をさらに一年間延長することを定めており、小麦貿易規約有効期間の第四次延長に関する千九百七十八年の議定書食糧援助規約有効期間の第四次延長に関する千九百七十八年の議定書との二部から成っております。  この議定書締結することは、小麦貿易に関する国際協力促進が期待されること、開発途上国食糧問題の解決に貢献することとなること等の見地から、わが国にとり有益であると考えられます。なおわが国としては、食糧援助規約有効期間の第四次延長に関する千九百七十八年の議定書に基づく食糧援助を米または農業物資で行う方針であるので、同議定書にその旨の留保を付しました。  よって、ここに、この議定書締結について御承認を求める次第であります。何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことを希望いたします。
  6. 永田亮一

    永田委員長 これにて提案理由説明は終わりました。     —————————————
  7. 永田亮一

    永田委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上一成君。
  8. 井上一成

    井上(一)委員 現在の小麦協定について台湾はどうなっているのか、まずお聞きをいたしたいと思います。
  9. 山田中正

    山田(中)政府委員 お答え申し上げます。  現在御審議いただいておりますこの議定書によりまして延長されることとなります一九七一年の国際小麦協定、これは一九七一年の二月の国連小麦会議で作成されたものでございますが、当時国連におきましては台湾中国代表いたしておりました事情がございますので、台湾が当初この協定小麦貿易規約加盟国となった経緯がございます。ただ、一九七一年の十月に、国連におきまして中華人民共和国政府代表国連における中国唯一合法代表と認める中国代表権決議が行われまして、その後、中華人民共和国政府より、一九七四年二月、国際小麦理事会に対しまして、同理事会より台湾を追放するよう要請がございました。その要請を受けまして同理事会は、一九七四年二月二十二日に、中華人民共和国小麦理事会において合法的に中国代表し、かつ中国のために一九七一年協定及びその延長議定書の事項を取り扱う権限を有する唯一の権威であるという決定を行いまして、その結果、台湾小麦貿易規約加盟国の地位を失うに至っております。  以上でございます。
  10. 井上一成

    井上(一)委員 そのような経緯台湾小麦協定から脱退した。その後、いわゆる中華人民共和国小麦協定参加をしていないわけですけれども、どういう理由によるものと政府は考えていらっしゃるのか、またその見通しをどういうふうにお持ちでいらっしゃるのか。
  11. 羽澄光彦

    羽澄説明員 お答えいたします。  中国UNCTADに入っておりまして、この種商品協定はすべてUNCTADによって招請されますので、UNCTADからはこの小麦協定に関しましても招請が参っておるわけでございます。しかしながら、現在までのところ中国は出席いたしておりません。中国は、年によって違いますけれども、小麦生産量は大体四千万ドルぐらいと見られておりますし、またこれは年によって違いますが、大体五百万トンないし八百万トン輸入することがあるという非常に大きな小麦貿易生産国ないし貿易国でございます。したがいまして、中国がこの小麦協定に入るということは、小麦協定のその目的である世界小麦貿易の安定ということにきわめて重要だと思っておりますけれども、現在までのところ中国からは、事務局等に対して、この協定がどうなっておるかとか、運用はどうなっておるかというような説明を再三にわたって求めてきておる段階でございますが、まだ参加の意図は表明いたしておりません。中国に入ってもらいたいというのが日本を含めましてすべての加盟国及び理事会事務当局希望でございますので、そういった機会をとらえて慫慂しておりますけれども、なお中国としては商品協定というものがどういうものか検討しておる段階のようでございまして、まだ結論に至っていないのであろうと思われます。  また、現在のこの協定は、経済条項のないものを単純延長しておるわけでございますが、新協定交渉ということで、こういった経済条項を盛り込んだものをつくろうということでいま交渉が進められておるわけでございまして、そういったもっと実質的なものになるはずである協定交渉に対しても、現在までのところ中国参加いたしておりません。
  12. 井上一成

    井上(一)委員 中国がこの小麦協定に加入していない。まあ中国自体の判断の問題ですけれども、わが国として中国小麦協定に加入するように何らかの働きかけをするつもりがあるのかどうか。
  13. 羽澄光彦

    羽澄説明員 お答えいたします。  先ほども申しましたとおり、日本を含めましてすべての交渉参加国中国参加希望しておるわけでございますが、現在までのところ、日本ないしその他の交渉参加国から公式に中国にこの交渉参加してほしいという話が出されたことはございません。ただ、事務局にときどき中国の方から問い合わせがございますので、そのとき事務局の方からは、なるべく入ってもらいたいという姿勢説明がなされておると承知をいたしております。しかしながら、先ほども申しましたように中国参加はきわめて重要でございますので、これから適当な機会を見つけ、できるだけ中国に、その点につきましても接近いたしまして、参加を呼びかけてまいりたいと考えております。
  14. 井上一成

    井上(一)委員 新協定をつくるための会議が開かれているわけでありますけれども、その進捗状況は一体どうなっているのでしょうか。
  15. 羽澄光彦

    羽澄説明員 かなり長い間、研究会のようなものが行われてきたわけでございますが、特に生産国間の利害対立がなかなか激しくて、交渉会議の開催に至りませんでしたけれども、最近とみに小麦の取り決めを早くつくるべきであるという熱意が関係各国の間に高まってまいりまして、ことしの二月及び三月にわたりまして、第一回の正式の交渉会議が行われたわけでございます。しかし、そこでは結論を得ませんで、ことしの十一月、第二回の交渉をやることにいたしまして、その間主要十二カ国の間で暫定委員会を開きまして、詰めを行っている段階でございます。  十一月に交渉会議を設定いたしましたのは、これは現在進行中の国際ラウンドとは全く同一のものではございませんけれども、同じように国際貿易のあり方を考えると、その中でも、食糧品小麦ということで重要な品目であるということで、国際ラウンド進捗状況もにらみ合わせながら進めていきたいということでございます。したがいまして、国際ラウンドの方は、なるべくことしじゅう、十二月の十五日までに妥結したいということでやっておりますので、それと平仄を合わせまして、十一月早々に交渉会議を開いて、できるだけその妥結に持っていきたい。ただ、いろいろな問題につきまして、まだかなり各国の立場が違っておりまして、鋭意詰めておるところでございますが、必ず十一月にできるかどうかということは、なお予断を許さない状況でございます。
  16. 井上一成

    井上(一)委員 この会議においては、備蓄について検討をされていると聞き及んでいるのですが、そのとおりですか。
  17. 羽澄光彦

    羽澄説明員 先生おっしゃいますとおりに、備蓄が実は一番大きな問題でございます。商品協定の常といたしまして、価格帯というものがまず出てくるわけですけれども、この価格帯をどうやって維持するかということにつきまして、特に米国は、これは備蓄運用によって価格の安定を図るということで、備蓄を中心に考えておるわけでございます。日本とかEECとかも、もちろん備蓄重要性を認めておりますが、どちらかと言えば、備蓄一本やりというよりは、価格帯を補足するといいますか、それを強化するためのものとして備蓄をとらえておるということが、若干その姿勢においていまでも違っておるところかと思います。  規模といたしましては、米国は、そういうことで備蓄をかなり前面に出しておりますので、三千万トン程度というかなり大きな規模のことを言っております。これは世界生産量に見合った数字ということで出てきておりますけれども、わが国とかEECとかは、生産量よりは貿易量に見合った数字でいくべきではなかろうかということで、なお、かなり備蓄に関しましても関係各国の態度は分かれておる状況でございます。しかし、なるべく十一月までにまとめたいというので、現在、先ほど申しました暫定委員会におきまして、歩み寄りを図っておるところでございます。
  18. 井上一成

    井上(一)委員 わが国規模というか、わが国方針はどれくらいなんですか。アメリカは三千万トンである……
  19. 羽澄光彦

    羽澄説明員 まだ交渉段階で、わが国提案はこれこれという具体的な数字を提示したわけではございませんけれども、貿易量で過去十年間の過不足を見ますと、大体一千万トンから一千五百万トンくらいの過不足を示しております。したがいまして、その過不足の上にどれくらいのマージンを取っておけば備蓄として十分であるかというところで、若干弾力性を持った考え方ができるわけでございますが、現在のところ、EECは千五百万トンというような数字を挙げておりまして、わが国は、どちらかと言えばそれに近い、一千万トンから一千五百万トンの間でございますけれども、近い考え方をいたしております。
  20. 井上一成

    井上(一)委員 ここで私は農林省お尋ねをしたいのですけれども、現在わが国余剰米は幾らあるのか、あるいはそれはわが国消費量の約何%くらいに当たるのか、この点についてまずお尋ねをいたします。
  21. 松山光治

    松山説明員 お答え申し上げます。  本年十月末の古米在庫につきましては、五百三十万トン程度というふうに見込んでおりましたけれども、ことしの夏の暑さによります需要の落ち込みなり、あるいはことしの米の豊作によります早期出回りといったようなことを考慮いたしますれば、これを若干上回ることになるのじゃないだろうか、このように考えておるわけでございます。この五百三十万トンは、ことしの需給計画におきます年間の流通消費量八百三十万トンに対比いたしますと約六四%ということになるわけでございますが、私ども、備蓄目標として二百万トンを考えておりますので、それを超えるいわゆる過剰分ということに相なりますれば、八百三十万トンの約四〇%に当たる、こういうことに相なっております。
  22. 井上一成

    井上(一)委員 農林省余剰米処理については十分検討されていることと思うわけですけれども、どのようなことを検討なさっていらっしゃるのか、お伺いをしたいと思います。
  23. 松山光治

    松山説明員 ただいまの過剰分につきましては、その有効利用あるいは保管経費の節減を図る、こういう観点からも、できるだけ早く何らかの形での処理に着手することが必要であろう、このように考えております。しかし、今回の場合には、前回の過剰米処理の場合に比べまして、処理用途あるいは財政状況といったような面で、困難の度合いが強まっております。こういう事情を踏まえまして、現在、処理対象数量をどうするか。用途工業用やあるいは輸出援助用飼料用と考えられるわけでありますけれども、どういう用途を選ぶか、あるいは着手時期なり期間財政措置をどうするかといったような具体的な取り扱いにつきまして検討しておる段階でございます。
  24. 井上一成

    井上(一)委員 日本では米が余って困っている。そしてまた、一方では非常に食糧に困っている、苦しんでいる国があるわけなのです。日本の米をこれらの国々に援助したらどうだろうか、むしろ援助したらよいではないかという考え方は、私はきわめて自然のことだと思うのです。このことについて政府はどう考えていらっしゃるのか、この点について少し具体的に、できればお答えをいただきたいと思います。
  25. 園田直

    園田国務大臣 私も井上委員と同じような考え方を持っておりまして、現にいまベトナム緊急援助がありますが、一億の援助をやったわけでありますが、そのほかに食糧を送りたいと考えているわけであります。ところが、農林省と私の方は一生懸命にこれをやっているわけでありますが、財政当局との話がつかぬわけでありまして、それは国際価格関係で、向こうに一万トン送るとすれば、十数億の金が要る、こういうことでありますけれども、また一面から言えば、これを保管したり、これがむだになったりすると考えれば、それは別個の財政支出をやっていいのじゃないかというところで、ただいま折衝中でございます。
  26. 井上一成

    井上(一)委員 いま大臣からお答えがありましたけれども、考え方としてはごく自然な考え方を私は申し上げたわけです。そして、ベトナム食糧援助について触れられました。一億円の援助をした。しかし私は、国際価格の問題もありますけれども、日本余剰米をいかに有効に役立つように図っていくかということもこれまた大事なことだと思うのです。そういう意味では、むしろもっと積極的に政府部内で統一した見解を出すべきだ。確かにいまの日本の米価は国際価格の五倍ぐらいだと思うのですけれども。そこでベトナムがもし日本の米を援助してほしいという要望があるならば、日本米援助をするというぐらいの、現物援助をするのだというお考えはお持ちでしょうか。
  27. 園田直

    園田国務大臣 ベトナムの方も食糧援助希望しているわけでありまして、それから先ほど申し上げましたとおり一億の援助では足りないと思いますので、これ以外に米を出したいと、農林省も私の方も考えておるわけでありますけれども、その差額を膨大な赤字を抱えておる食管会計から持つことはこれは不可能でありますから、その差額財政当局から援助の名目で何とか操作できぬかということで、やりたいという希望でいま折衝しているわけでございます。
  28. 井上一成

    井上(一)委員 それでは、この援助の問題については政府部内で前向きに取り組んでおるというふうに理解をしてよろしゅうございますか。
  29. 園田直

    園田国務大臣 これは今後も出てくる問題でありますから、前向きに何とかあれしたいと努力をしておるところでありますが、なかなか難航いたしております。
  30. 井上一成

    井上(一)委員 そこで、次に、昭和四十三年度から四十五年にかけて、韓国及びパキスタンに米を現物貸付方式援助をしたわけなんです。この現物貸し付けの米が、十年据え置きですから、五十四年度から二十年間に現物の米が返還されてくるわけです。そのように、いまですら余剰米処理に困っておるわが国です。当然現物で返してもらうという約束ですから、現物が返ってくるわけですけれども、一体この余剰米を抱えたわが国が、現物貸し付けをしたその貸付米返還される、その返還された返還米をどのように政府処理をしようと考えていらっしゃるのか、お尋ねをしたいと思います。
  31. 松山光治

    松山説明員 御指摘のとおり、韓国に対します第一次貸付分、それからパキスタンに対します貸付分、これが昭和五十五年から双方合わせまして約二方八千トンずつ返還が開始されることになるわけでございます。返ってまいります米の取り扱いの問題につきましては、これを国内の工業用に充てる、あるいは輸出援助に充てる等、いろいろなやり方かあろうかと思いますけれども、わが国全体の過剰米処理との関連で今後具体的に取り扱いを検討していきたい、このように考えておるところでございます。
  32. 井上一成

    井上(一)委員 これはもう五十四年度から返還をされるということは決まっているのです。これから検討するということじゃなく、いま検討しなければいけない問題ですし、もう検討されていなければいけない問題なんです。だからもっと具体的に、一部伝えられるところによると、わが国余剰米で大変問題を抱えているから、現物貸し付けのいわゆる援助であるけれども、それをお金で返してもらったらどうだろうかとか、あるいはそういうことを希望したらどうだろうか、あるいはそういうことを韓国にアプローチしていこうというふうに伝えられている分野もあるわけです。私は、そういうことがいいのかどうか、あるいはどういうお考えを持っていらっしゃるのかまずお聞きをしなければわからないわけですけれども、そういう気持ちを持っていらっしゃるのかどうか、あるいはそういう考えは一切持たないのかどうか、そこらも含めてもっと具体的に政府方針を明らかにしてもらいたい、こう思うのです。
  33. 松山光治

    松山説明員 ただいまお答えいたしましたように、契約上現物による返済ということになっておりますので、私どもただいまそれを前提にいたしまして、戻ってきた場合の取り扱いについて、全体の処理との関連で検討中である、このように申し上げたわけでございます。現物返済にかわる方法があり得るかどうかという点でございますけれども、これはいま先生御指摘のような現金ということもあるいは考えられないこともないかもしれませんけれども、何分にも契約の相手方のある話でございますし、私どもまだ先方とは接触いたしておりません。そういう意味でただいまお答えしたわけでございます。
  34. 井上一成

    井上(一)委員 外務大臣、少し分野が違うかもわかりませんけれども、いまの答弁だけでは本当はすっきりしないわけなんです。私は、韓国交渉してお金で返してもらい、そのお金を米に困っておる東南アジア諸国に援助して、そしてそのお金が韓国の米をまた買うんだという、こういう三国かお互いに潤っていくということも一つの方法だろうと思うのです。法則だろうと思う。ただ、現状では接触をしておりません、いや考えておりません、今後、検討中です。そういうことでは余りにも政府姿勢、対応というものが後手後手になるんじゃないだろうか。本当に真剣に考えているんだろうか、こういうふうに思うのです。外交を通して、韓国なり、パキスタンは五十五年度で一年おくれですから別として、ベトナム援助米等も踏まえながら、どうでございましょうか、農林省の答えでは何か目標をまだ十分持っていない、そういうふうにも受けとめるのですか、外務大臣として財政措置があるので非常に苦労しているんだという先ほどの御答弁は御答弁として、今回のこの韓国返還米わが国余剰米も合わした中で、どういう方法をとられればそれぞれの国に一番利益になるというふうにお考えでしょうか。
  35. 園田直

    園田国務大臣 私所管でございませんので残念ながら具体的な詳細なことは存じませんけれども、一つは現物の米を出しますことはASEANの国々の輸出力に影響することも考えなければなりませんし、一番大きな問題は、先ほどの返してもらうお米を金にしてもらうにしても、やはり農林省の持っている食管会計というものの中からはできないので、どうしても財政当局の特別な支出が必要でありますが、しかしおっしゃった御意見はよくわかりますので、よく今後農林省とも相談していきたいと考えております。
  36. 井上一成

    井上(一)委員 いま外務大臣は私の考えというか、私の意見というものはよくわかる、理解はする、しかし所管でない、ごもっともだと思います。私は主管の農林省にいま一度明確なお答えをいただくまで、この問題については質問を留保しておきます。
  37. 永田亮一

    永田委員長 渡辺朗君。
  38. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 早速お尋ねをいたします。  小麦のごく最近の価格あるいはこれから一年の小麦価格の見通し、ひとつそれを教えていただきたいと思います。  それから、七一年当時の小麦価格、おわかりでしたらぜひ教えていただきたいと思います。
  39. 松山光治

    松山説明員 お答えいたします。  小麦の国際需給につきましては、最近過剰ぎみに推移しておるというのが一般的な状況でございますが、最近の小麦国際価格につきましては、シカゴでブッシェル当たり大体三ドル五、六十セント、このように承知いたしております。
  40. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 七一年度当時はいかがでございましたか。
  41. 松山光治

    松山説明員 一ドル七十セントぐらいであったというふうに承知いたしております。
  42. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 そうすると、最近豊作というふうに言われておりますけれども、価格の方はやはり非常に上がっているわけですか、あるいは下がっているわけですか、その辺、御説明をお願いしたいと思います。
  43. 松山光治

    松山説明員 お答え申し上げます。  かつての国際需給が逼迫いたしました当時に比べますれば相当緩和してきておるということでございますけれども、ただいまも私お答え申し上げましたように、価格面で見ますときには最近若干上がりぎみにきておるということでございます。
  44. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 提案理由を見ますと、「従前の国際小麦協定に比し、価格帯供給保証等のいわゆる経済条項を欠いて」いる、こういうことがございますけれども、この理由は何でございますか。いまの価格の問題その他が関連しておりますでしょうか。
  45. 羽澄光彦

    羽澄説明員 お答えいたします。  経緯として申し上げますと、七一年の協定をつくりますときに、まず、生産国といいますか輸出国のグループか集まって交渉したわけでございます。たとえばアメリカ、カナダ、豪州、それからアルゼンチンなどという国々でございます。そのとき、どの国のどの品種の小麦を基準にして価格帯を設定するかということが問題になったわけでございますけれども、どこの国も、自分の国の品種の小麦か基準となりますと、その小麦につきましては相当価格が厳格に決められるということかございます。それを基準にしてあとほかの国の違った品種の小麦価格を適宜算定する、その算定の基準もつくるわけでございますけれども、しかし、やはりかなり柔軟性のある価格になるわけで、商売上から見ますとどうしても基準にとられた国の小麦か取引上不利になるというようなこともございまして、これはいつも問題になるのですが、特に七一年の協定を目指します交渉におきましては大きな生産者国間の紛争になり、結局生産者国間の合意ができませんで、この種の商品協定にはいつも行われることですけれども、生産者国と消費国といいますか輸入国の間の交渉会議にまで発展できなかったわけでございます。そこで善後策を考えたわけでございますが、経済条項なしのままでこれはやむを得ないけれども、放置をして何らのその枠組みもないということではさらに小麦の市況が乱れっ放しになってしまうということで、せめて情報の交換なりその折々の協議なりをする仕組みをつくろうということで現在の協定がつくられたわけでございます。
  46. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 そうすると、たとえば食糧不足国が片一方にある、片一方には生産国かある、しかも、そちらの方ではどちらかというと過剰生産的な傾向が出てきている。これはどこら辺でどう落ちつくのでございましょう。私は、いまのように価格も上がってきているというところで価格の安定を求めるというようなことになってくると、食糧不足国なんかにとってはこれはずいぶん高いものを押しつけられる、そのことが、いわゆる穀物メジャーなんかのいわば利益保証の条約にこれをしてしまうのじゃあるまいかという懸念があるのですけれども、その懸念をどういうふうに御説明されて取り払っていただけますでしょう。
  47. 羽澄光彦

    羽澄説明員 お答えいたします。  小麦商品協定の目的というものは、価格を高くつり上げるとか低く下げるとかということではなくて価格の安定を図る、その安定された価格のもとで供給量も安定されるということを目標といたしております。したがいまして、現在の七一年の協定には価格帯がございませんので、そういったものを実現するための有効な手段というものを欠いておるわけでございますが、現在新協定締結を目指して行っております交渉におきましては、そういった価格の安定帯というものをどの程度に置くかということがまず問題になるわけでございます。そのときには何も価格を高くするということだけが問題じゃございませんで、安定させるということかねらわれるわけでございます。たとえば価格を高くすれば生産国は得をするかといいますと、価格か高くなれば耕作もふえるわけでございます。そうしますとどうしても余剰ができまして価格帯が下がる。そうした場合にその余剰をどう処理するかといったことで生産国の方としても問題を抱えるわけでございますので、価格帯において価格を高くつり上げることだけが生産国の利益というふうには考えられないと思います。安定を図ることが第一。  したがいまして、その価格帯をどのくらいのところに置くかということで生産国と消費国の合意をまず図るわけでございますが、その中で、ではどうやって実際そういった価格帯に落ちつくように持っていくか、そのメカニズムか問題になるわけでございますが、それは先ほど来申しておりますように、こういった商品協定で使われます一番の方式は備蓄でございます。その備蓄をどの程度に置くかということが現在問題になっておるわけで、備蓄でやろうということは、大体生産国、消費国とも合意かあると思いますか、備蓄というのは大きくしますと維持するコストがかさみますし、少なくては価格の安定に役立たない、こういうことになります。したがいまして、コストも考えながら、なおかつ、その価格を安定させるための有効な規模ということについて現在、生産国及び消費国の間で詰めか行われておる次第でございます。
  48. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 いま備蓄の問題を言われましたが、世界食糧会議、いわゆるローマ会議でございますが、その取り決めの中にある、開発途上国がたとえば食糧備蓄基地というような考え方はないのでしょうか。また、日本のような国としては積極的にそういうのを促進していくようなことを考えなければならぬのじゃないかと思うのですけれども、これについてはいかがでございましょう。
  49. 羽澄光彦

    羽澄説明員 この食糧会議結論はなるべく新しい小麦協定の中に取り入れるようにということで、現在の詰めにおきましても努力しておるわけでございます。  先生がおっしゃいました備蓄基地といいますか、現在備蓄について考えられておりますのは、各国備蓄を持っておる、それに対して国際市況等々を考えてそれを国際的に管理するというのが大体の骨組みでございまして、開発途上国で、しかも消費国の近くに置いたらどうかとかというようなことまではまだ議論が進んでおりません。現在の段階では国々に、要するに国際的にどこかに持っていてというのじゃなくて、各国の持っているものを国際的に管理しようというぐらいの骨組みが、まだ、合意されたといいますか、前提としてつくられている段階でございまして、これから詰めに入るわけでございます。
  50. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 日本政府としてはそういった途上国、特にたとえばASEANなどをとった場合に、各国備蓄に対してどういう援助をするか、たとえば倉庫施設などをつくったりしなければいかぬと思いますけれども、そういうものに援助するというような考え方、政策はお持ちでございますか。
  51. 羽澄光彦

    羽澄説明員 お答えいたします。  備蓄については開発途上国に対して何らかの形で先進国側の援助か必要だというふうに考えておりますし、これはこの会議参加国の中におきましても共通した考え方であろうかと思います。  ただ、現在のところ、じゃどういった形でやるのが一番いいかということにつきましては、先ほど申しました原則的なところからまだ一歩も出ておりませんで、現在その暫定委員会で詰めが行われておりまして、できるだけ具体的な案を、たとえば一つ、二つにしぼれなくても、幾つかの案をつくって、十一月から始まる交渉会議には持ち出したいと思っておる段階でございます。
  52. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 いまの点でもう一遍聞きますけれども、日本には開発途上国からそういう要望、こういったものは具体的には来ておりませんのですか。
  53. 羽澄光彦

    羽澄説明員 お答えいたします。  これは交渉会議でございますので、どこの国にどうしてくれとかいったような国別の要求ではございません。しかしながら、開発途上国といたしまして先進国側に要求するというようなことで出ておりますが、それが開発途上国としてこれだけのものをやってほしい、またこれだけのものをやっていただければ満足だというようなところまでもまだ完全にまとまっておりませんで、現在はいろいろなアイデアが打ち出されて、そのうちにもうちょっと整理されたものになっていこうかと思います。
  54. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 小麦協定商品協定でございますね。私は小麦とちょっと離れますけれども、ASEAN諸国の一次産品であるゴムの場合、これはいまどういう状態でございましょうか、そこら辺ちょっと御説明をいただきたいと思います。
  55. 羽澄光彦

    羽澄説明員 UNCTAD一次産品総合計画というものの中に十八品目取り上げられたわけでございますが、天然ゴムはこの中に入っております。ということは、開発途上国として非常に関心のある品目であるということになります。しかもその中でもゴムはASEAN諸国が非常に関心を持っておる、いわばASEANアイテムであると言うことができると思います。わが国といたしましては、協定締結は天然ゴムの価格及び輸出所得の安定に寄与して、安定供給に資するという意味で一次産品の解決の一助になり得るという観点から、この交渉促進に努めるよう努力したいと思っている次第でございます。  このゴムにつきましては本年末、十一月ごろかと思いますが、に交渉をしたらどうかというような案が出ておりますが、十一月になったら必ず開けるというところまではまだ固まっておりません。現在行われておりますのは、そういった交渉会議を開くだけの価値があるといいますか、用意が関係各国の中にあるかどうか、会議を開いたら本当に妥結まで至れるかどうかということを調査し、かつ詰めておる段階でございます。
  56. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 私は、ASEANの場合一番緊急な問題、そしてまた深刻な問題というのは、輸出所得の保障制度を確立してやることであろうと思うのです。そういう意味で、こういう問題についてはひとつ積極的に取り組んでいただきたいと思います。  時間の関係もございますから次に進ませてもらいますが、この理由書を読みますと、この議定書締結することは開発途上国食糧問題の解決に貢献することになる、こういうふうになっておりますけれども、どうもいままでの御説明を聞いておりましても、どういうふうに食糧問題の解決に貢献することになるのか、余り定かではないものですから、そこら辺特徴的にもう一遍教えていただきたいと思います。
  57. 武藤利昭

    ○武藤政府委員 理由書に書いてございます開発途上国食糧問題の解決に貢献と申しますのは、援助規約に基づいて食糧援助を行うということか食糧問題の解決に寄与する、そういうことでございます。
  58. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 それではお尋ねいたしますが、この議定書によるところの被援助国というのは、援助を受けるものは、これは国でございますか、地域でございますか、そういう点はどうなっておりますでしょうか。
  59. 武藤利昭

    ○武藤政府委員 個々の国から援助要請がございまして、その要請にこたえまして援助を行うということになるわけでございまして、対象国といたしましては原則として国でございます。
  60. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 先ほどもちょっとお話が出ましたけれども、たとえば、その中で台湾は除外されているということになりますと、たとえば一つの例ですよ、そこで飢饉が起こったという場合に、これは被援助国になり得るわけですか。そこら辺はどういうふうに解釈したらよろしいでしょうか。
  61. 武藤利昭

    ○武藤政府委員 援助規約関係から申しますと、この協定に書いてございます国が規約に基づいて援助を行うという義務を負っているわけでございまして、どのような国に対して援助を行うかは、それぞれの援助供与国か独自の立場から判断をするということになります。
  62. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 それから、アフリカなんかの場合に大変国としての形ができていないような地域の場合、そういうようなときにももちろんこれは適用できると解釈してよろしいわけですね。
  63. 武藤利昭

    ○武藤政府委員 開発途上の地域でございましても援助の対象にはなり得るわけでございます。
  64. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 それから、一九七八年の議定書に基づく食糧援助を米または農業物質で行う方針わが国はとっているので、その議定書にその旨を留保したということになっておりますが、これはいつからそのような留保をつけられたわけでございますか。
  65. 武藤利昭

    ○武藤政府委員 一九七一年の当初の援助規約のときから、この留保を付しております。
  66. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 それ以来いまのような米または農業物資で行うというような援助の形、これの実績をひとつ教えていただけませんでしょうか。
  67. 武藤利昭

    ○武藤政府委員 七一年からになりますと、きわめて長い実績になりますので最近の例についてさかのぼって申し上げますと、たとえば七六−七七年度におきましては、スリランカ、アフガニスタン、ネパール等に農業物資といたしまして肥料を提供いたしております。それから七四−七五年度におきましては、ネパールに対して農機具、七五−七六年度におきましては、スーダンに対して農機具、アフガニスタン、ネパール、スリランカに対して肥料等の実績がございます。
  68. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 私、最後に外務大臣に、いま開発途上国食糧問題の解決というものにこれが非常に役立つというふうな言葉がありますけれども、私は、ひとつ積極的に、アジア諸国の場合、特に日本の近隣にもありますし、農業の単なる食糧援助ということだけではなしに、やはり生産性の向上も必要でございましょう。ただいまのお話が出たように、肥料であるとか、あるいは農機具の提供でであるとか、技術の供与であるとか、そういうことが必要だと思いますので、ひとつ積極的にこれを進めていただきたい。  それから同時に、ASEAN諸国の経済危機というのは、これはやはりモノカルチュア地域であり、一次産品の輸出価格か非常に変動したり低下したりすることによって、それぞれの国の経済開発がおくれていくわけでございますので、そういった輸出所得の保障制度、こういったものにも積極的に取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでございましょう。御所見を聞かしてください。
  69. 園田直

    園田国務大臣 御指摘のとおりでありまして、たくさん問題があるわけでありますが、共通基金の早急の設定、それからアメリカが特に考えているようでありまして、日本の方ではやや立ちおくれでございますが、所得保障制度、そういうものをよくもっと話し合って、御指摘のとおりに積極的に推進していかなければならぬと考えております。
  70. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 ありがとうございました。これで終わります。
  71. 永田亮一

  72. 寺前巖

    寺前委員 いろいろ参議院でも質問がなされておりましたし、先ほどからも質問がありましたので、私は、かいつまんで大臣から率直な御答弁をいただいたら、詳細についてはそんなにあえて聞くことはないと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。  まず第一点、小麦協定に対して、輸入国あるいは発展途上国においては、安く安定した価格と量をもらいたいということを望んでいると思うのであります。ところが、本小麦協定には価格帯など経済条項がないということになると、このメリットがなくなっているではないか、私はそういうふうに思うのですが、この見解に誤りがあるでしょうか、大臣から御答弁いただきたい。
  73. 園田直

    園田国務大臣 私も御指摘のとおりだと考えます。この中には情報の交換あるいはその他の勧告、あるいは市場不安のときには協議会ということがありますけれども、やはり価格帯を含む経済条項かないということは不完全でありまして、次の協定の場合にはぜひ経済条項を設けるよう努力をしたいと考えております。
  74. 寺前巖

    寺前委員 その次に、生産国の間ではこの小麦協定の場とは違う場ではありますけれども、国際カルテルをつくろうではないかという動きがありました。これに対してどういう見解をお持ちになりますか。
  75. 園田直

    園田国務大臣 これはカナダ等で特に主張しておるところでございますけれども、やはり価格の問題は大変大事なところであって、これによって輸出国その他の保証ができるわけでありますから、これは十分検討したいと考えます。
  76. 寺前巖

    寺前委員 担当の局長さんで結構です。  今後の対策問題について、外務大臣から経済条項を盛り込ますようにしたい、現にそのことをめぐっての動きがあると思いますか、現実にその話題をめぐって出ている問題について、われわれの見解というものを明らかにしていただきたいと思うのです。
  77. 羽澄光彦

    羽澄説明員 お答えいたします。  一番問題になっておりますのは備蓄でございまして、この備蓄規模をどうするか。先ほど来申し上げておりますように、三千万トン程度にするか、一千万トンないし一千五百万トンにするかというところにまず一つのあれが分かれております。  その次には、この協定の範囲をどうするか、これにつきましては、現在までのところは小麦だけが対象になっておるわけでございますが、小麦のほかに粗粒穀物といいますか、家畜の飼料にする飼料穀物を入れたらどうかという考えがございます。この点につきましては、EECなどは小麦と同様にきわめて厳格な規定を持った粗粒穀物の取り扱いをしたいと考えておりますけれども、粗粒穀物は、何といっても種類も多く、それぞれの性格も違いますので、それをやっておったのではなかなか今年末までといういまの交渉のめどにも間に合わないということもございますし、まだ手がけたこともないので、どういったやり方が一番いいかわからないので、だんだん、大勢はまあ取り組むとしても、小麦とは若干違って、情報の交換とか、その国の嗜好に対する協議というようなことに持っていくべきではなかろうかというようなことが討議されております。  それから、これはまた援助の方でございますけれども、援助につきましても現在の規模では足りないので、ふやすべきである、そこまではみんな合意しているわけでございますが、では、どの程度にふやしたらいいかという点につきましてはまだ協議中という段階でございます。
  78. 寺前巖

    寺前委員 答弁は簡潔にお願いをします。  この協定には援助規約がございます。ベトナムに対する援助について聞きます。  おたくの方からいただいた資料を見ますと、七二年から七三年に関してはアメリカが援助をやっております。莫大な援助をしております。七三年から七四年についてもアメリカです。七四年から七五年についてもそうです。七五年、すなわちベトナムがきちっと解放をされたその年を見ますと、EECとアメリカの援助になっております。そうして七六年から七七年にかわると、途端にアメリカがなくて、オーストラリアとカナダとEECにかわってきている、この事実は間違いございませんか。担当者からで結構です。
  79. 武藤利昭

    ○武藤政府委員 そのとおりでございます。
  80. 寺前巖

    寺前委員 なぜベトナムに対して最も被害を与えた国のアメリカが、生産国としても大きな生産国であるのにもかかわらず援助をしないという事態が生まれたんでしょうか。
  81. 武藤利昭

    ○武藤政府委員 これはアメリカの援助政策の問題でございまして、私どもの方といたしましては、その理由につきまして詳細は承知していない次第でございます。
  82. 寺前巖

    寺前委員 私はここに小麦協定の持っているところの重要な性格の一つがあると思いますが、質問は次に移ります。  カナダ、オーストラリアなどが小麦援助をしております。日本はお米が余っていると論議がされているくらいですか、食糧援助についてベトナムに対する検討をされたことがあるんでしょうか。今後何かのことを考えているのでしょうか。外務大臣お答えをいただきたいと思います。
  83. 園田直

    園田国務大臣 考えているところでございます。いま、まず災害の緊急援助で一億援助いたしましたが、そのほかにお米を援助したいと思っているところであります。そこで、その援助米に日本過剰米というものを使おうということで農林省と私の方と財政当局と研究しているわけでありますが、国際価格の点で赤字を抱えた農林省から出させることは不適当でありますので、財政当局が、緊急援助になるから出せというせっかくの折衝をいたしているところでございます。なおまた、この緊急援助とは別個にそういう援助は将来考えなければならぬと考えております。
  84. 寺前巖

    寺前委員 この前発表されたベトナム援助について、一億円という数字が出ておりました。いま、さらに追加されたお話もございましたが、ベトナム難民に対して、国連を中心にして二十万人に対する援助に三億八千五百万円の基金とそれ以外の莫大なお金を出すということが出されております。それに比べて四百十万人の水害の被災者が生まれている現地ベトナムに対して、一億円というお金では余りにもその取り扱いにおいて少ないのではないかというふうに思いますが、これに対する見解を重ねてお伺いをしたいと思います。
  85. 園田直

    園田国務大臣 どうも緊急災害の場合に日本の最大の欠点は、量もありますけれども時期が非常におくれまして、一応事態がおさまったころに出ていくということが非常に不評判のようであります。そこで時期を急ぎ、量をふやす、両方考えなければなりませんので、一億出しましたが、あとまだ食糧その他のことをいま準備をしているところでございます。
  86. 寺前巖

    寺前委員 外務大臣は一億出しましたか、とおっしゃいましたが、それはもう現地に渡ってしまったということで理解してよろしゅうございますね。
  87. 三宅和助

    ○三宅政府委員 お答えします。  十月の十一日に決定いたしまして、現在、日赤とベトナム赤十字の間におきまして、いかなる品目が最も適当であるか、すなわち、ベトナム側として一番何を望んでいるかということで詰めておりまして、きわめて近く実施の運びになることと思われます。
  88. 寺前巖

    寺前委員 今月中には実施が終わるわけですか。
  89. 三宅和助

    ○三宅政府委員 実は、赤十字を通じてぜひやりたいということはベトナム側の希望でございまして、いま日赤とベトナム赤十字の間で詰めております。したがいまして、品目のみならず配船計画その他をやっておりますので、近々決定されるということで、決定され次第、実はわれわれとしては一刻も早く実施に移したいということで、この点は日赤も現地側も承知しておりますので、早急に実施の運びになることと思います。
  90. 寺前巖

    寺前委員 話を次に進めたいと思います。  最近、製めん関係者から言われた話なのであえてこの場でお聞きをしたいわけですが、最近のアメリカの小麦の質について、製めんをしたりあるいは菓子をつくったりしていく上において品質が悪いという事態が生まれてきている、その懸念があるということが言われております。これは事実なのかどうか。事実だとするならばどういう対応策をとっておられるのか、御説明をいただきたいと思います。
  91. 松山光治

    松山説明員 製めん用の小麦といたしましては、アメリカ産のウェスタンホワイトのほかに豪州の小麦も入っておるわけでございますけれども、特段この原料小麦について製めん業界の方から特に品質上問題があるという話はまだ耳にしておりませんが、事情を調べまして、もし必要があれば必要な手だては講じたいと思います。  なお、ことしのアメリカ産のウエスタンホワイトにつきまして一部の地域で、収穫期でございます八月から九月にかけて長雨がございました。それに伴いまして発芽粒の混入率の高い小麦が発生しておるという情報もございますので、そういう品質の小麦日本に入ってこないように現地の関係者に厳重な注意を喚起しておるというのが現在でございます。
  92. 寺前巖

    寺前委員 次に移ります。  国際的な協定を結んで契約が小麦関係でもいろいろな分野でも行われていくわけですが、国内体制に打撃を与えるということで国際体制をつくられては日本の政治としては困る話だと言わなければなりません。いまお米の転作という問題が昨年から農民の間では大問題です。麦を転作の特定作物として大号令をかけてきている今日、増産をしていくということになれば国際的買い入れの約束との関係においては減っていくという関係が生ぜざるを得ないだろうと思うのです。その場合に国内体制を優先するという立場を堅持されるのかどうかを御説明いただきたいと思います。
  93. 松山光治

    松山説明員 御指摘のとおり、私ども国際小麦協定への参加は、わが国が必要とする小麦を安定的に確保するため、こういう基本的な立場で考えたいというふうに思っております。  私ども、いま食管におきまして外麦の管理を行っておるわけでございますが、具体的には国内の需要量のうち、国内産麦で不足するものについてこれを輸入しておく、こういう考え方で取り進めておるところでございます。
  94. 寺前巖

    寺前委員 麦については長年の間にその生産についてうんと減らしてまいりました。壊滅的な打撃を受けたと言ってもいいような状態になってしまいました。ところで昨年からことしにかけてつくられた麦については天候の関係もこれあり、たくさんの増産ということになってきたと思うのです。  そこで、ビール麦についてお聞きをしたいと思います。  ビール麦は、私か説明するまでもなく、生産者である農民、農協が代表して会社と契約をやって計画的な生産をやっているわけですが、ことしはその収穫がきわめて多かった。そうすると、契約量との関係において余剰が生まれてくるというのは必然の結果であろうというふうに思います。これは事実なのかどうか。そしてその契約量をオーバーした分についてどういう措置をおとりになったのか。こういう事態は将来も考えられることであるが、将来こういう事態についてはどういうふうに考えておられるのかお聞きをしたいと思います。
  95. 泉田収

    ○泉田説明員 お答えします。  先生のお話のようにことしは確かに大豊作でございまして、ビール麦につきましては、佐賀県ほか三県で約一万五千トンばかりのものが契約した数量以上に生産されました。ビール会社との契約は、通常の数量契約のほかに豊作のときには一〇%までは買うという契約になっている関係上、そこまで買いまして、それ以上になおかつとれたものということでございます。従来からビール麦につきましては、これは二条大麦の中でビール用に使うという意味でございますけれども、通常五〇%ないし六〇%のものがビール用として使われております。そういう関係から、この処置につきましては、これは食糧麦に通常回っているわけですが、食糧麦として政府が買い入れしまして、生産者に対しましては、食糧用麦とビール用として売る場合の価格差かございますので、それにつきましては関係省庁と協議して、業界を指導していただいて補てんしたということでございます。  それから、今後の問題でございますか、今後も契約の方法その他につきまして、民間契約であるからということで自由にやっていただいたのでは、先生のおっしゃいますように自給率を向上していくとかそういうことは非常にむずかしいと思いますので、これは関係省庁と毎年協議はしておりますが、さらに積極的に協議をし、関係業界、団体を指導してまいりたい。現に五十四年の契約につきましても連日折衝しております。まだ結論は出ておりませんが、そういうことで努力してまいっておりますので、今後も積極的に業界並びに農業団体に対して指導していきたいと思っております。
  96. 寺前巖

    寺前委員 積極的な指導というのは具体的にはどういうことなのか、聞いておってわからないわけです。政府方針として、昭和六十年までにビール麦の五割を国内産にしようという方針をおとりになっています。そうすると、片っ方で米の転作の主要作物として麦を位置づけておやりになっている。ビール麦の場合に五割を国内産でやっていく指導というのは、県なり市町村でその指導を行っていく、計画的にやっていくと思うのです。ところが、実際の場面は農協と会社との間の契約ということになったら、こちらの行政指導とこれとの関係というのは統一的に進むということにはならない。会社との契約ですから、そうならざるを得ない運命を持っているだろう。しかも、直ちにビールの会社で使うことかできる状況下にある外国から入ってくる麦との関係で言うならば、日本の国内産の占める位置というのは当然不利な位置に置かれていくではないか、こういうふうに考えてみたときに、六十年までに積極的に国内産を半分にするのだ、こう言っても、それこそ——まあ日本酒の場合とは性格が違うかもしれませんけれども、お米は食管で買い上げてそしてお酒にするように、食管で全部管理をして政府として保障していく体制を伴うということを含めて検討しないと、現実に六十年までに五割を国産でやるという体制には進まないのではないか。一体いまのやり方でよいと考えているのかどうか、重ねて御説明をお聞きしたいと思います。
  97. 松山光治

    松山説明員 お答え申し上げます。  ビール麦を全量食管の買い入れ対象にしたらどうか、こういう御質問でございますけれども、ただいま農産課長の方からお答えいたしましたように、御案内のとおり、ビール麦はビールという特定の商品の原材料でございます。そういう特殊な性格を持っておるわけでございまして、従来から、生産者とビール会社との間の契約栽培で円満に民間流通が行われる、こういうスタイルをとっているわけでございます。こういう状況から、政府といたしましては、ビール大麦につきまして今後とも民間流通によることを原則としてその健全な発展が図られるように、必要な指導に努めてまいりたい、このように考えております。  なお、ただいま御指摘のございました酒米につきましても、酒造用米は原則として民間の自主流通、こういう形で処理されておるところでございます。
  98. 寺前巖

    寺前委員 私が重ねて聞いているのは、それでは五割を占めるという状況を、国内産でビール麦の場合にやっていこうという方針に対して、具体的にどうすることによって可能になるのだ。外国の麦との関係で言うならば、そう簡単にいく状況下にはありませんよ、個別の契約だけではと、私はここを言っている。これに対する具体的な対策がはっきり打ち出されなかったら、絵にかいたもちになるではないか、そこはどうするか。
  99. 泉田収

    ○泉田説明員 お答えします。  いまおっしゃられたとおりでございまして、従来は個別の単協かビール会社と個別に契約をしておりました。これを昨年から県段階の農協、つまり経済連、販講連でございますが、それとビール会社と契約するように契約方式を直しております。  さらに今後の問題で、まだはっきりお答え申し上げられませんけれども、契約の仕方を変えることによってもっと自給率、つまりビール会社か買う量、これをふやしていくことができるようにしたいと思いますし、それから、民間流通でほっぽらかしていたらだめじゃないかということでございますけれども、これは市町村、県、農林省一体になりまして積み上げた数字、これは農業団体側と一緒に協議して積み上げておりますが、その生産計画に基づいてビール麦の、これはほかの麦も一緒ですが、生産を進めております。その際に、関係業界、実需者団体ですが、その人たちもみんな加えて協議をずっと進めております。これは従来からそういう習慣でやっておりますので、単協とビール会社とやって、それが積み上がって単純に国の計画になったという性格のものではございません。
  100. 寺前巖

    寺前委員 重ねて聞きますが、外国の麦を輸入するという条件が片方でビール会社には存在している。国内産を買い入れるのがそういう形式だと、外国産に太刀打ちできないのじゃないですか。ここの問題を解決しなかったならば、会社の営業方針としては、それは安くて有効なものを買うのは当然の帰結であろう。そういう条件のところにメスを入れないと、五割を確保して日本の農民の市場として確保してやろうと言っても、できないではないか。それに対してどうするのか。
  101. 泉田収

    ○泉田説明員 お答えします。  輸入原料、つまりモルトとの関係でございますが、先生御指摘のように、非常に国内物とは価格差がございます。そのため、企業としては国内の高いものよりなるべくそういうもの、安い輸入物を使いたいということはあるわけですけれども、これにつきましては、現在は関税割り当て制度で国産物を優先して買ったものについて一次関税で輸入するという割り当て制度をとっております。しかし、先生のおっしゃいますように、これは関税割り当て制度で一次関税、二次関税でございますが、まだ十分でないというような点は、これは国際価格が下がった関係上そういう問題が出ておりますので、これにつきましては、直接的には大蔵省並びに国税庁でございますが、そこと協議を進めながら現在検討中でございます。
  102. 寺前巖

    寺前委員 私はそこのところをきちんとしないことには絵にかいたもちになるぞということをあえて指摘しておきたいと思います。  次へ移ります。  一月に牛場・ストラウス共同声明が出されました。これについて、農作物についての手厳しい要求に対してのまざるを得ないという事態について、農林大臣はるる予算委員会においても、農林水産委員会においても述べておられました。二月の衆議院の農林水産委員会において、これから先四、五年はもうこれ以上のことを農作物については言ってこないだろうという趣旨の発言をしておられましたけれども、現実には、形は変わるけれども東京ラウンドなどを持ち出してきて、新たな攻撃が加えられているというふうに見ざるを得ない。この問題について農林省としてもうこれ以上言われないだろうという甘い見方を持っていたのかどうか、あるいは何ぼ言われて形を変えたって、そんなことは話が違うと言うて、農産物については突っぱねるという気魄を持ってこの中川農林大臣の発言があったのか。いずれにしたって、日本の農民にとって大切な問題ですから、農林省としてどういう対応をとられるのか、お聞きしたいと思う。
  103. 岡田明輝

    ○岡田説明員 お答えいたします。  中川農林水産大臣が、二月十日の農林水産委員会において馬場昇委員の質問に答えて、まずまず四、五年の間はこれ以上農業で来ることはないだろうという趣旨の答弁があったことは御指摘のとおりでございます。また、同時に、同じ質問に答えられまして、「ただ、もう一つは、」として、次の波は東京ラウンドの波があるというふうに指摘をしておられます。  確かに一月は短期的な農産物輸入問題について非常に厳しい調整を行ったところでございますが、今回の交渉はMTNという一九八〇年代を展望した長期的視点に立った貿易体制をどう樹立していくかという交渉の一環として行われているものでありまして、日米関係全体といたしましては、一月の調整以後さらに貿易不均衡が拡大するなど、またこれに伴って米国内のいら立ちが高まる、保護貿易主義的な圧力が高まるといったように、交渉を取り巻く環境が一層悪化しております。そういうこともあって、交渉を一層困難にしているという実情にございます。  しかし、いずれにいたしましても、私どもといたしましてはわが国食糧需給の動向を十分踏まえて、総合食糧政策に支障のないように、農家経営に支障がないように、そういうことでこの交渉に対処してまいるという方針で臨んでおります。
  104. 寺前巖

    寺前委員 一般論の場合にはいつでもそういうことに終わってしまうので、もうないだろうと言うのだったら、それ以上押しつけられたときには毅然として、何を言われたってだめだとはっきりされるような態度をとらなかったならばだめだというふうに思うのですが、次へ行きます。  全日本柑橘輸入協会という名前のもとにロバート・S・ストラウス殿あてということで、生鮮オレンジの日本への輸入を完全自由化すべきであるという趣旨の手紙が、日付を見ると九月付で出されたようになっております。これは一部の新聞に出されたところのものでありますが、聞いてみると、この手紙の主の背景には伊藤忠という商社もあるやに言われております。  そこで、その内容から検討すると、これは要するに輸入を完全に自由化してもよろしいということを盛んに言っているわけであります。完全自由化はこの生産者に対してあたかも影響がないような発言をこの中身でやっております。この協会なるもの自身は最近つくられたと言われている性格のものでありますけれども、こういう内容について、農林省としては完全自由化は影響を与えるものではないという見解は支持することのできる見解と言えますか。
  105. 畑中孝晴

    ○畑中説明員 ただいま先生の挙げられました団体からストラウス大使あてに手紙が送られたということは私どもも聞いておりますけれども、その内容に盛り込まれております自由化のできるかできないかというお尋ねでございますが、先生御承知のようにわが国の柑橘、特に温州ミカンにつきましてはいま大変な過剰問題を抱えておりまして、ジュースにしたりいろんな形で消費の拡大を図っておりますけれども、そういうことをやりましても、なおミカンの木を切ってほかの作物に転換しなければいけないというような非常に厳しい環境にございます。そういう状況でございますので、いま日米の農産物の交渉をやっているさなかでございますけれども、私どもとしては自由化にはなかなか応じられないというような態度で交渉に当たっているところでございます。
  106. 寺前巖

    寺前委員 一部の新聞にはこのオレンジの輸入をめぐって、季節輸入の期間延長あるいは数量の拡大、一説には十万トンという要求がアメリカから出ているということが報道されております。いまもお話にありましたように、ミカンの過剰で二〇%もの生産調整をやらざるを得ないというこの時期にこのような要求というのはのめるはずがないと思いますが、私がいま言ったような新聞情報が事実だとするならば、政府は断固としてこれを拒否するという立場をおとりになりますか。
  107. 畑中孝晴

    ○畑中説明員 ただいま交渉のさなかでございますので、内容的に向こうからどういう要求があったかというのを申し上げることはむずかしいので御容赦をいただきたいと思いますが、かねてからアメリカは、わが方で一月に相談をして設定をいたしました季節枠の延長とか、そういったものについて拡大をしてほしいという要求があることは事実でございます。ただいま申し上げましたように、温州ミカンの転換の一番大きな眼目としては、やはりああいう急傾斜地帯でございますので、どうしても他の晩柑類といいますか、ハッサクとかイヨカンとか、そういうものに切りかえていかなければいけない。そういうものがちょうど出回る時期というのが、いまの六−八月という季節枠であればそういったものが出回らない時期でございますが、それを延長いたしますと、やはりそこに晩柑類なり温州ミカンなりという柑橘が出回りますので、これを延長していくというようなことはなかなかむずかしいことであるというふうに考えております。  また、枠につきましても、これはどんどん広げていくというようなことになれば、やはりわが国の柑橘に非常に大きな影響がございますので、この点についても慎重に対処をしていくというような態度で交渉しておるところでございます。
  108. 寺前巖

    寺前委員 時間が迫っておりますので、これ以上質問はやめたいと思います。  外務大臣に重ねて問題を提起したいと思います。せっかくの国際協定が、生産国の利益にならないというところで経済条項が奪われているということは、きわめて残念な協定だと言わざるを得ないし、ベトナムに対する姿に見られるように、援助協定を見ると特定の国の支配を意図するところの内容を持っての援助の仕方になっている、私はこの点についても遺憾だと言わなければならないと思います。したがって、私はこのままでこの協定を支持するというわけにはいかないということをあえて申し上げて、発言を終わりたいと思います。
  109. 永田亮一

  110. 井上一成

    井上(一)委員 先ほど留保した質問に対して、農林省の方からここで改めて明快にお答えをいただきたいと思います。
  111. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 四十四年に韓国に貸し付けました三十三万三千トンの貸付米につきましては、五十五年から現物返還をしてもらうというような契約内容になっておるわけでございますが、国内の米の需給事情の現状からいたしますと、これをどのようにするかは、先ほど来御指摘がございましたように大きな問題でございますので、国内の過剰米処理について検討を始めておる段階でございますので、これとの関連で十分検討をしていかなければならないというふうに考えております。  その場合、現実的な対応といたしまして、わが国への現物返還という契約になっておりますけれども、それにかわる他の解決方法もあわせて検討する必要があるのではないか。ただ、この問題は相手のある問題でございますし、現行の契約は現物返還ということになっておりますので、いまここでどうするかということをお答えできない段階でございますが、検討を要する問題ではないかというように思います。  また、現物返還されました米の用途につきましては過剰米の全体の処理の中で考えますけれども、その際対外的な援助、輸出ということも当然検討をしてまいる必要があるというふうに考えております。
  112. 井上一成

    井上(一)委員 私は、現物での海外経済援助方式こそ真の、本当に相手国にとって喜んでもらえる援助方式だと思うのです。だから現物貸付方式というこの援助方法については今後検討を加えなければいけないのではないだろうか、こういうふうに思っておるのです。そのこともあわせて強く要望して質問を終えます。
  113. 永田亮一

    永田委員長 これにて本件に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  114. 永田亮一

    永田委員長 これより本件に対する討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  115. 永田亮一

    永田委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  116. 永田亮一

    永田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  117. 永田亮一

    永田委員長 この際、申し上げます。  本委員会に付託になりました請願は七十三件であります。各請願取り扱いについては、理事会において協議いたしましたか、委員会での採否の決定は保留することとなりましたので、さよう御了承願います。  なお、本委員会に参考のため送付されました陳情書は十件であります。念のため御報告いたします。      ————◇—————
  118. 永田亮一

    永田委員長 次に、閉会中審査申し出に関する件についてお諮りいたします。  経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約締結について承認を求めるの件  市民的及び政治的権利に関する国際規約締結について承認を求めるの件  国際情勢に関する件 以上の各件につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますか、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  119. 永田亮一

    永田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  閉会中審査案件が付託になりました場合、本会期中設置されております多国籍企業等国際経済に関する小委員会は、閉会中もなおこれを設置し、調査を続けたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  120. 永田亮一

    永田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、小委員及び小委員長は従前どおりとし、その辞任及び補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  121. 永田亮一

    永田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  閉会中審査のため、委員会及び小委員会において参考人より意見を聴取する必要が生じましたときは、その出席を求めることとし、人選、日時等につきましては、あらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  122. 永田亮一

    永田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。  閉会中審査案件か付託になり、現地調査の必要が生じた場合には、委員派遣を行うこととし、派遣委員の選定、派遣地及び期間等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 永田亮一

    永田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  本日は、これにて散会いたします。     午後零時十五分散会      ————◇—————