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1978-10-18 第85回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年十月十八日(水曜日)     午前十時二十四分開議  出席委員    委員長 竹本 孫一君    理事 國場 幸昌君 理事 西銘 順治君    理事 本名  武君 理事 村田敬次郎君    理事 加藤 万吉君 理事 安井 吉典君       有馬 元治君    上原 康助君       島田 琢郎君    玉城 栄一君       瀬長亀次郎君    甘利  正君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (沖繩開発庁長         官)     稻村佐近四郎君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      三島  孟君         防衛施設庁施設         部長      高島 正一君         沖繩開発政務次         官       佐藤 信二君         沖繩開発庁総務         局長      亀谷 禮次君         沖繩開発庁振興         局長      美野輪俊三君  委員外出席者         文化庁文化財保         護課長     山中 昌裕君         農林水産大臣官         房秘書課長   後藤 康夫君         農林水産省構造         改善局農政部農         政課長     若林 正俊君         農林水産省構造         改善局計画部地         域計画課長   川村 浩一君         農林水産省構造         改善局建設部水         利課長     伊東 久弥君         農林水産省構造         改善局建設部整         備課長     泉  敏郎君         農林水産省食品         流通局砂糖類課         長       馬場久萬男君     ――――――――――――― 十月九日  沖繩県市町村買収道路用地補償等に関する  陳情書外二件  (第九四号)  沖繩県金武湾汚染防止及び浄化に関する陳情  書外二件  (第九五号)  沖繩県における旧読谷飛行場用地の旧地主への  返還に関する陳情書  (第九六号)  北方領土復帰促進等に関する陳情書外一件  (第九七号) 同月十六日  沖繩県市町村買収道路用地補償等に関する  陳情書外三件  (第一一五号)  北方領土復帰促進等に関する陳情書  (第一一六号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  閉会中審査に関する件  沖繩問題に関する件      ――――◇―――――
  2. 竹本孫一

    竹本委員長 これより会議を開きます。  沖繩及び北方問題に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島田琢郎君。
  3. 島田琢郎

    島田委員 沖繩の大事な基幹産業でありますサトウキビ生産者価格やあるいはできました砂糖買い入れ価格の決定の時期を控えておりますので、サトウキビ中心にいたしました沖繩農業問題について、持ち時間の範囲でお尋ねをしてまいりたい、こう思います。  衆議院の農水におきましても、しばしば沖繩農業問題というものは取り上げられていろいろと議論をしてまいったところでありますが、当沖特におきましてもやはり沖繩開発、あるいはそのほかの問題を論じます場合に、どうしても大事な基幹産業でありますサトウキビという問題を抜きにして考えることはできないわけであります。しかしながら、復帰後の沖繩農業の問題につきましては、政府当局相当力を入れておるようでありますけれども、何せ長い異国民支配の中に置かれておりました沖繩農業というのは、なかなか普通の手段で振興を図っていくといっても、そのテンポはきわめてのろいわけでして、二十七年間の空白を埋めていくというのはなかなか容易ならぬことでありますけれども、しかし、いろいろ調べてみますと、当面緊急にやらなければならない問題が幾つかあるようであります。したがって、前段では、そういう点を若干政府側考え方をお尋ねしながら私の考え方も述べてまいりたい、こういうふうに思っております。  四十分という限られた時間でございますから、実のあるものをぜひひとつお互いに自覚し合いたい、確認し合いたい、こういうふうに思っておりますから、端的にひとつお答えを願いたい、こう思っています。  何と言っても沖繩農業振興考えます場合には、その生産基盤である農用地を確保するということが非常に重要な問題であります。本土あるいは私どもの北海道と比べまして、平板的にはきわめて限度のある沖繩実態でありますし、さらに多くの離島を抱えておるという特徴的な地域でもございますから、普通のやり方ではこれはいかぬわけでありますが、農用地を確保するというのもそういう面ではなかなか困難を伴うだろう、こういうふうに思います。しかし調査をいたしてみますと、限られた面積の中でも依然荒蕪地であるとか遊休農地、こういうものが散在をしているということが言えると思うのです。  そこで、荒蕪地と言われる面積、これは一体幾らあるのか、さらにまた農地として遊んでいる、将来手を加えればりっぱに農業用地として使える、こういう地域もあると思うのでありますが、実体的にはそれをどれくらいに掌握をしておられるか、その点をまずお聞きしたい。
  4. 川村浩一

    川村説明員 いま御指摘荒蕪地の問題について申し上げたいと思いますが、荒蕪地をかつて農地であっていまは荒れ果てている土地という中身で理解いたしますと、その数量的な把握というのは、現在統計上直接的にはむずかしい状態にございますが、他方一九七五年の農業センサスの中で、沖繩県におきまして過去一年以上作物を栽培せず、かつここ数年のうちに再び耕作するはっきりした意思のない土地耕作放棄地という形で、約千九百ヘクタールという形で把握されております。この中に御指摘のいわゆる荒蕪地が、ある程度含まれているのではないかというように考えております。  沖繩県におきまして農業振興します場合には、その前提となります農業基盤整備が非常に大切なことは御指摘のとおりでありますが、現在各種の農業基盤整備実施しておりますけれども、今後畑地基盤整備あるいは農地開発を行う際に、この荒蕪地一体として事業対象地に加えることが適当な場合には、できる限りこれに含めましてその積極的な開発を進めながら有効利用を行うよう指導してまいりたいというように考えております。
  5. 島田琢郎

    島田委員 千九百ヘクタールのうち今後手を加えれば確実に農地として使える面積というのは、どれくらいに見ておりますか。
  6. 川村浩一

    川村説明員 その中身数字については、まだ的確な把握はいたしておりません。
  7. 島田琢郎

    島田委員 それもひとつ精査をする、そういう作業が急がれると思うのですが、それは手をつけていますか。
  8. 川村浩一

    川村説明員 荒蕪地の問題とは別個にいたしまして、実は昭和五十一年度に農林省農地開発可能性分級調査というのを実施しております。これは山林原野等につきまして、全国的にこの農地開発可能性を標高とかあるいは傾斜度という自然条件の問題、あるいは保安林等からくる利用上の制約の問題、そういうことも加味いたしまして、どこまで利用可能性があるかということを調査したわけでございます。この中には荒蕪地も含めて調査されておるというように考えております。  沖繩につきましては約二万八千ヘクタール、これは造成面積に換算いたしますと約二万ヘクタールという形で把握されておりますので、この中に入っております荒蕪地につきまして、今後地域ごとにその可能性を詰めながら、いろいろ問題もございますけれども、極力地元県との打ち合わせの中で有効利用考えてまいりたいというように考えております。
  9. 島田琢郎

    島田委員 ところで、二万八千ヘクタールの可能地という調査があるということでありますが、千九百ヘクタールもその中に入っているということで、残り大半面積というのは、いまもお話しありました山林原野であるとか、そのほか軍用地解放、こういうものもあるのだろうと思うのですが、一体施設庁としてつかまえております。あるいはいまお答えをいただいた関係から見ております数字というのはいろいろあると思うのですが、軍用地解放がなされた面積一体幾らですか。
  10. 高島正一

    高島政府委員 お答えいたします。  私ども返還を予定しておる面積は五千七百三十五万五千平方メートルでございますが、現在までに解放されましたのは千五百二十万七千平米でございます。
  11. 島田琢郎

    島田委員 今後、そうすると五千七百万平米のうち、まだ千五百万平米ということでありますから……
  12. 高島正一

    高島政府委員 詳細に申し上げますと、返還対象面積が五千七百三十五万五千平方メートルでございます。現在までに返還済みのものは千五百二十万七千平米でございます。したがいまして、残り四千二百十四万八千平米が今後の問題になるわけでございますが、今年度におきましては約六十三万平方メートル、それから五十四年度は約百三十三万平方メートルがとりあえず予定されておるところでございます。その他の残りの分につきましては、これは御案内のように移設計画との関連がございますので、その移設計画が完了次第逐次返還していきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  13. 島田琢郎

    島田委員 わかりました。五千七百万平米というのは、いまの進度から番うと残りの四千二百万平米の返還というのもなかなか年数のかかることですね。しかし、根強くこれはやってもらわなければならない。  そこで、内容はわかったわけですが、一体いままで返された面積のうち、千五百二十万平米ですか、このうち農業用開発されている面積というのは一体どれくらいになるのですか。また開発を予定している面積というのはどれくらいですか。
  14. 高島正一

    高島政府委員 防衛施設庁といたしましては、返還いたしますとそれぞれ――沖繩では御案内のように大部分が個人有地でございます。したがいまして、個人にお返しをする。民有地でございますので個人にお返しいたしますので、農業用地に御使用なさるか、あるいは都市計画等に基づいて他に転用されるか、その辺の詳細な調査は私どもの方としてはいたしておりません。
  15. 島田琢郎

    島田委員 防衛施設庁に聞いても、これはそんな程度しかわかりませんね。  ところで、沖繩開発庁返還を受けたいまの民有地にしても、農業用として使う面積、あるいはそのほかで利用していく面積とか、いろいろ開発計画の中で分析していると思うのですが、いかがですか。
  16. 亀谷禮次

    亀谷政府委員 ただいま防衛施設庁からもお答えがあったとおりでございますが、返還軍用地の中で農用地として特に開発可能なものの詳細は必ずしも正確に把握はしておりませんけれども、最近県が行いました返還軍用地に関する調査を見ますと、昭和五十二年十二月末現在の返還軍用地の中で、約八千八百ヘクタールのうち地目が明らかなもの約四千二百ヘクタールについて見ますと、田畑が約千八百ヘクタール、山林原野が約千六百ヘクタールと推定されております。なお、地目不明な四千六百ヘクタール程度のものにつきましては、ほとんどが本島北部山林原野であろうと考えております。  なお、一般的にこの返還軍用地跡利用の問題でございますけれども大半地域につきまして、必ずしも御指摘のようにまだ明確にこの利用が確定及び進行されていないことはそのとおりでございまして、現在、県におきましてはこれらの返還済み軍用地につきまして、それの総合的な土地利用計画策定中でございます。なお、あわせまして御案内のように地籍不明地等調査も並行して行っておりまして、これらと相まってできるだけ速やかに県及び地元市町村中心にそれぞれの土地利用計画策定をされましたならば、それぞれその目的に沿いまして、土地基盤整備あるいは区画整理事業等諸般のそれぞれの事業に即して総合的な利用を図るように、県とも協議をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  17. 島田琢郎

    島田委員 おっしゃるように、地籍調査の問題もありまして、これはその点でも遅々としてなかなか進まない、こういう実態があるということは前の委員会でもいろいろ論議かあったところでありまして、団地でかたまっていればやりやすいでしょうけれども、なかなかそうもいかない。民有地があり、そのほかの所有地があり、いろいろありましょうからむずかしいでしょうけれども、しかし沖繩面積総体に占める割合から言うても、返還された土地面積というのは、これはかなり大きいわけですし、これをどう有効に活用していくかというのは、沖繩農業に非常に重要な影響をもたらしてくる、こういうふうに思うので、この点について大いにひとつ促進をするという立場政府当局にがんばってもらわなければいけないと思うのです。  私は、ちょっと変な話をしますけれども国有林の問題でちょっとお聞きをしたのですけれども国有林の中まで含めて軍用犬が野放しにされていて、自分土地へ入っていくのもなかなか大変だ、こういうふうなことを聞いたのです。それは軍用犬というのは人をかむように飼育されているから、車からうっかりおりてそんなのにかみつかれたら大変だ。自分土地に入っていくのもなかなか容易ならぬ、こんな話も聞いたのですが、これは真偽のほどはいかがなんですか。そんな事実があるんでしょうか。
  18. 高島正一

    高島政府委員 突然の御質問ですので、詳細は調査した上で御報告申し上げたいと思いますが、いま軍用犬というお話があったわけでございます。軍用犬と申しますと恐らく米軍の基地がその対象になるのではないかというふうに思われます。しかしながら、私ども承知しておるところでは、軍用犬の管理はきわめて行き届いておるというふうに承知いたしておるわけでございます。しかし、御指摘の点で非常に住民の方々に御迷惑をかけておるということが事実とすればこれは問題が大きいと思いますので、直ちに調査いたしまして御報告申し上げたいと思います。
  19. 島田琢郎

    島田委員 私がかみつかれたのなら率直にかみつかれたぞという話になりますが……。沖繩に参りますとそういう話があるんですね。これはうわさであるとすれば事実を調査して、そういう事実はありませんということでやはり皆さんに安心をしてもらわなければいけませんし、事実一件でも二件でもそういうことが起こっているとすればこれはゆゆしき事態でありますから、おっしゃるようにひとつぜひ事実調査をやって、その点は厳に米軍側に申し入れをしてもらいたい、こういうふうに思います。  そこで、復帰不動産業者がずいぶん入り込みまして土地買い占めをやりました。全体ではどれくらい買い占めされたんですか。
  20. 若林正俊

    若林説明員 農地山林原野も含めましての買い占め実態というのはなかなか把握がむずかしいわけでございますが、国土庁全国遊休土地実態調査というのがございます。この調査の結果によりますと、四十七年から四十九年末までに企業等によって取得され、そのうち未利用のまま放置されておるのは約四千ヘクタールというふうに承知しております。
  21. 島田琢郎

    島田委員 放置されているということでありますが、これは県の開発公社が買い取って開発をする、こういう事業対象になるんだろうと思うのですが、これは全く手がつけられていないですか。
  22. 若林正俊

    若林説明員 いま公社開発可能地買い入れお話がございましたが、これは農用地として開発すべき耕地を規模拡大農家に売り渡すというふうな仕事をしております農業開発公社のことだろうと思います。これは制度上農振地域内の特に農用地として確保すべき農用地区域内の土地について買い入れ、売り渡しをする、こういうふうになっております。いままで、五十二年度までに沖繩県公社が買い戻したといいますか、買い入れ土地は五百八十五ヘクタールでございます。その五百八十五ヘクタールが先ほどの約四千ヘクタールとの間でどういう関係になっているかということは必ずしも明らかになっておりません。
  23. 島田琢郎

    島田委員 農振地域が四千ヘクタールのうちにしめて何ぼあるのかという点の精査というのはなされていないんですか。
  24. 若林正俊

    若林説明員 実は四千ヘクタール自身は、私の方国土庁の方の遊休土地調査数字としていただいたのでございまして、国土庁の方での遊休土地自身を個別に当たっておりません。したがって、そのうち公社の取得がどのくらい占めるかは実は承知いたしておりません。企業等から買い入れたものが先ほど申しました五百八十五ヘクタールでございますから、かなりのものか含まれておるだろう、かように思います。
  25. 島田琢郎

    島田委員 その辺私は少し手ぬるいように思うのです。買い占め農地はあとう限り買い戻しをして農用地として利用できる道を切り開いていかなければいけないのではないかと思うのです。  そこで、沖繩農家の一戸当たり平均所有面積というのは幾ら把握しておりますか。――これは農林省、それくらいのことはつかまえていなければならぬはずですね。私は知っているのですけれども、あえて聞いたのです。そんなのはすっと答えになってこなければならぬはずなのに、つかまえていないというのは沖繩農業一体何と心得ているのですか。
  26. 若林正俊

    若林説明員 五十年度で沖繩の一戸当たり平均所有面積は〇・七七ヘクタールかと思います。
  27. 島田琢郎

    島田委員 そんなものは頭に基本的に入っていなければ沖繩農業は語れぬじゃないですか。  いままで申し上げました農用地の確保という面で言えば、遊休農地荒蕪地軍用地返還による農業用可能面積、あるいは山林原野農業利用への開発とか不動産業者買い占め地農業への利用、こういう総体面積考えてまいりますと、沖繩の一戸平均七十七アールの上にこういう農業用土地というのが有効に利用されるならば、さらに一ヘクタールの平均耕作面積を確保するというのも決して不可能ではない、こういうことになるものですから、何と言っても、沖繩に参りますれば絶対的な所有面積の不足というのがまず第一に出てくるわけです。したがって、こういう農用地開発という問題は急がれる、私はこういう考えを強めているわけです。ですから、関係する防衛施設庁から始まりまして、沖繩開発庁もちろんでありますが、農林省も大いに力を入れて、こういう外縁的な農地拡大という問題にも取り組んでもらわなければならない、こう思って、一応沖繩におきますアウトラインをいま明らかにしてもらったわけであります。この点については大いに力を入れてもらいたいと思っておりますが、いまのお話の中でも出ておりますようになかなか遅々としてこの面の対策は進んでいかないという感じを強く持っております。  これは長官もおいでですから、私はしばしばここでも議論をしましたし、前の国会では長官とも農業問題を中心にしてかなり長時間にわたって、私の方からも具体的に沖繩農業はかくあるべしという点にしぼってずいぶん議論をした経過がございます。長官はずいぶん理解を深めたと私は思っているのですが、こういう点については、沖繩開発を進めていく上で、基本的には観光開発なんというのは沖繩長期成産業を確立していくという面から考えればやや的外れではないか、やはり長い伝統を持っております沖繩県農業を大事にする、漁業を大事にしていく、こういう第一次産業優先沖繩開発の方針がきちっと打ち立てられてこなければだめではないかということを申し上げたわけですが、いまお聞きの点についてもこれは大いに力を入れなければならぬという点が明らかになりましたけれども長官いかがですか。
  28. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 御指摘の点につきましては所管大臣農林水産省ということでございますけれども、私は沖繩開発庁長官という立場でございますので、もちろん連絡するところは連絡をいたしまして、できるだけ御指摘の線に沿っていかなければならぬ、こういう考え方でおるわけであります。  沖繩の現在の雇用状態を見ましても、やはり雇用関係を安定せしめる、安定させるべきである、こういう関係からも第一次産業、特にお話のありました農業あるいは漁業について、雇用対策の面からも、やはり安定した沖繩県の将来ということを考えましても、私は大変貴重な意見である、こういうふうに承っておるわけでありますが、承っておるということだけでなく、積極的に進めてまいりたいというふうに考えております。
  29. 島田琢郎

    島田委員 沖繩開発計画を見ましても、いま長官がそういう決意でございますと申されておるほどには開発計画の中に第一次産業のウェートが高く見られていないという感じを私は強く持っているのです。ですけれども、いま長官がそういう決意お話しされたのですから、私は大いに期待したい、こう思っています。  そこで、外縁的な拡大、そして農用地のあとう限りの開発、こういうことに力を入れながら、もう一つどうしても沖繩で急がれるのは農業生産のいわゆる基盤整備、これが非常に急がれると思うのです。これには相当力を入れているというふうに予算の上ではうかがい知ることができますし、沖繩人たちも、基盤整備に関しては最近沖繩かなり力を入れてくれているというふうに一応の評価はしているようであります。しかし私どもにすれば、何といったって長い間放置されてきました沖繩でございますから、それを取り戻していくためにはもっと大いに力を入れてもいいではないか、こういう感じを強く持っておりますし、ぜひひとつ温かい気持ちで沖繩の問題に取り組んでいただきたい、こう思っております。  たとえば土地基盤整備の問題になりますれば、土地改良事業あるいは農道とか圃場の整備とかあるいは農地防災事業とか、いろいろあるわけでありますが、それぞれの採択基準というものがありまして、それらの基準の問題については補助率なんかも現行よりももっとアップしてほしい、あるいは採択基準面積をもっと引き下げてもらいたいとか、あるいはサトウキビ基盤整備を行う場合には、休耕補償というのもぜひひとつ実行してもらいたい、こういういろいろな現地からの要望があるわけでありますか、この点について、いま申し上げましたような基準問題等改善をしていくといいますか、改めていくという考え方はあるのでしょうか。
  30. 伊東久弥

    伊東説明員 補助率及び採択基準につきましては事業緊要性農家負担等を考慮いたしまして、現在本土に比べまして特段の優遇措置を講じているところでございまして、おおむね適正な水準に定められていると考えておりますが、今後も農家負担が過重とならないよう配慮しながら事業を積極的に推進してまいりたいと思っております。  それから、サトウキビ休業補償に対する考え方でございますが、農業基盤整備事業のうちで圃場整備等面工事実施する場合、永年作物及び単年作物を問わず休耕補償は行わないことを原則としております。沖繩サトウキビ休耕補償の取り扱いにつきましては、他地域甘味資源作物、永年作物に波及、影響するところがきわめて大でございますので、この実現は困難でございますが、面工事実施当たりましては、受益農家キビ作経営に悪影響を与えないように次の諸点に留意して工事を進めております。  第一点は、圃場整備実施時期をなるべく改植時期と一致させるように施工計画を立てさせていく。第二点といたしまして、工事早期発注を行いまして、その年の植栽適期までに完了させるということも措置させております。第三点といたしまして、圃場整備受益農家当該工事に優先的に雇用するように施工業者に指導させております。  なお、この圃場整備工事が完了した後のサトウキビの新植育成費用につきましては近代化資金の活用を図りまして、圃場整備に伴う受益農家の一時的な経営不安を解消させているところでございます。
  31. 島田琢郎

    島田委員 現行補助率とか基準面積の引き下げなんかについては積極的に改善するというお考えは示されなかったわけでありますが、たまたま休耕補償という問題について四点ほどお考えが述べられました。それを私は否定しません。そういう努力はもちろん大事であります。もちろん休耕によってあるいは基盤整備によってこうむるリスクというのはそういう方法で軽減できる道もありますから、そのことには大いに力を入れてもらいたい。しかし、それでもなお事実上休まなければならないというところはあると思うのです。あなたのおっしゃるような四つの条件を一遍に満たすことのできない地域があります。そういう点では休耕補償というのは非常に大事な問題でありますから、頭から否定なさらぬで、これはやはり検討してもらいたいと思うのですよ。現にそういうところがあるのです。きょうは時間がないから地域的に申し上げるというのはなかなかできませんけれども、実際にサトウキビをつくっておられる農家人たち実態は、休耕補償というものがあればもっと基盤整備は進む。いまのそういう四つの条件というものを前面に出しまして、その条件に合致しないところは次の年に回されていくということになりますれば、サトウキビ生産の基盤整備というものは総体的に非常におくれていきます。これを早期にやるべきだという立場に立つならば、もう一つ休耕補償という問題を考えながらそういう面ですくい上げていく、そういう考え方が出てきませんと基盤整備の早期完成というようなことはなかなかむずかしい、こう思っていますが、この点は全く検討の余地がないのですか。
  32. 伊東久弥

    伊東説明員 沖繩サトウキビの問題につきましては、実情につきましては理解するところでございますが、面工事につきまして休耕補償をするという考え方は全くないわけでございまして、他地域の甘味資源また永年作物等に波及するところを考えますとその休耕補償額は非常に膨大な額になりまして、事業費に対しまして休耕補償費が相当膨大な量になると思われまして、なかなか実現が困難であろうと考えております。
  33. 島田琢郎

    島田委員 他の地域に波及する、その影響が大だと言うけれども沖繩には特別措置というのでほかのことはやっておるわけですから、それは本土の各県だって沖繩がやっているんだからおらの方もやれと言う、そういう条件にはならぬと私は思うのです。サトウキビというのは特殊な作物ですから。だから申し上げているのであります。なかなか膨大な数字にもなるというのであれば、膨大な数字というのは、検討された結果あなたがそういう判断をされているのだと思うのですが、検討された資料があるのですか。どれぐらいになるのか。検討もしないで、目の子勘定というとおかしいですが、ただあなたの見当で、これはとても大変だと頭からしり込みされておるのか。検討された結果、とても膨大な数字になるからこれはだめだというのか、それはどうなんですか。
  34. 伊東久弥

    伊東説明員 ただいま手元に資料を持っておりませんので、後ほど御報告したいと思います。
  35. 島田琢郎

    島田委員 それは私も相談に乗りますから、一体どれくらい休耕補償というのはかかるのか、数字的に一回私のところに持ってきてほしいと思うのです。検討してみましょう。私は私なりに検討した数字があるのです。すでに公式的に社会党として発表しているのがありますが、そんな膨大な数字にはならないのです。あなたの方では、どういう試算、根拠に基づいて休耕補償は膨大になるとお考えになっているのか、その点詰めたいと思います。後ほどひとつ場所を改めて御提示願いたいと思います。  時間がなくなってしまいましたが、地力の培養増進という問題では、本島と中においても北部、南部、中部と、それぞれ土壌の条件がずいぶん違います。極端に違うのは北と南の土壌の問題でありますが、沖繩では南部の土壌をマージと言い、北部の土壌をジャーガルと言っているわけであります。ちょうどこの土を南と北でもって交換し合って、客土して、まぜこぜにしますと、うまいことサトウキビもできる、そのほかの作物もできる、こういう特徴を沖繩本島は持っているようであります。これも膨大な数字になるということで、しり込みされるかもしれませんけれども、しかし、本土から土を運ぶのじゃございませんで、沖繩の本島内において北と南の土を交換し合う、この問題についても検討する必要があるのじゃないか。検討してみた結果、とてもこれは大変だということになれば、また別でありますけれども、私は、これも大変な数字になるとは思っておりませんが、こういう検討はいかがですか。
  36. 泉敏郎

    ○泉説明員 ただいまのは客土事業だと思いますが、これは現在土地改良総合整備事業の中で実施しておりまして、先生いま御質問のございました案件につきましては、関係受益者からのそういった申請なり、あるいはいま先生おっしゃいましたいわゆる採択条件等もございますが、客土事業に十分配慮しているところでございますので、そういったものを検討していきたいと思っております。
  37. 島田琢郎

    島田委員 もう時間がなくなりましたから、あとの問題はまた別な機会に譲りまして、最後に、沖繩農家の方々から、こういう切実なお話がありました。  沖繩は、地理的にも大変本土から遠く離れているというような状況もあったり、あるいはまた、沖繩農業に対しての真剣さに欠けるという面等から考えても、どうも沖繩農家に対して親切さが足りないという感じがしてならぬ、こういう意見がございます。私もまさにそういう感じを持っている一人であります。  そこで、農林水産省の若いお役人の人たちが、農家と全国各地で交流をやっていますね。沖繩にもぜひひとつこうした将来有為な役人の人たちを農村に派遣してもらって、沖繩農業実態をともに語り合う、こういう交流というものの道を開いてもらいたい、こういう希望が強くございます。聞くところによると、数十人、全国にそういう人たち農林水産省は出しているようであります。私は、大変結構なことだと思うのであります。沖繩だけ疎外しないで、沖繩にもこういう派遣をぜひやってもらいたい。実行できるかどうか、ひとつその点だけお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  38. 後藤康夫

    ○後藤説明員 お尋ねのございましたのは、私ども昭和四十二年から実施しております農村派遣研修のことであろうかと存じます。入省後一年以上たちました中堅幹部要員職員で本省におります者を、毎年三、四十人、全国各地の農家なり漁家にお願いをいたしまして、約一ヵ月間、農山漁村の農作業の体験等も含めまして実態に触れ、また現場感覚を体得するということでやっております。ことしも含めまして十二年間の実績で三百九十人の実績を持っておりますが、御指摘のように、沖繩に派遣されましたのは三百九十人の中で二名でございます。最近数年は出ておりません。ただいま御指摘がございましたように、将来、中堅幹部要員職員が沖繩実態に触れるということは、私ども農林水産省の今後の行政上も重要なことだというふうに考えておりますので、できるだけの努力はいたしたいと思います。  ただ何分にも、この研修は農家なり漁家に受け入れをお願いいたしまして、そこへ宿泊をいたしまして実施をいたしております。市長会なり町村会にも大変な御苦労をかけてやっておるわけでございまして、農林水産省の希望だけでは実施しにくい面もございますけれども、御指摘の点は十分頭に置きまして、今後沖繩への農村派遣研修につきまして努力をいたしたいというふうに考えております。
  39. 島田琢郎

    島田委員 これで終わりますけれども、いまのことはぜひ実現してください。現地の受け入れなんかは上原先生がちゃんとやるようになっていますから、心配ないですから、あなたの方で出かけてくれさえすれば向こうはちゃんと受け入れる、こういうことでございます。  長官、時間が来たのですけれども、最後に、いまの論議の私の質問は、きょうはまだ半分しかやっていませんけれども、前段のところで大事なところを御認識いただいたと思うのです。開発計画の中で、大いに第一次産業中心にした、そういう考え方を強く盛り込んで、開発計画に問題があると私は思っていますから、そんなのも手直ししながら大いに沖繩農業振興を図ってもらいたい。時間がないから一言で結構でありますか、決意のほどを伺っておきたい、こう思うのです。
  40. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 振興計画の中では農業問題を主として考えておるわけでありますが、御指摘がございましたので、なお一層ひとつ検討いたしまして積極的に進めてまいりたいと思います。
  41. 島田琢郎

    島田委員 終わります。
  42. 竹本孫一

    竹本委員長 上原康助君。
  43. 上原康助

    ○上原委員 私も、島田先生の御質問とも関連をして農業問題を先にお尋ねしようと思ったのですが、総務長官の御日程が何かお昼から急に入ったようですので、先に長官がおられる間に、去る七月三十日に国策によって強行されました交通方法変更後の、主として経済的損失補償の問題についてお尋ねをしたいと思います。  いまさら繰り返すまでもないわけですが、去る七月三十日に見切り発車的に強行された交通方法変更というのは、県民に多大な精神的、肉体的、経済的損失を与えて二ヵ月余が経過をいたしております。特に経済的損失補償の件についてはケース・バイ・ケースで対処していきたい、あるいはケース・バイ・ケースで処置をするというような表現ではありましたが、実施後、実態調査どもやった上で何らかの措置がとられるであろうという期待を県民ひとしく持っておったと思うのです。だが、仄聞するところによりますと、当初からそういうお気持ちがなかったのかどうかわかりませんが、経済的損失補償については全くうやむやな形にされようとしている感を受けます。  そこで、具体的にいろいろお尋ねしてみたいのですが、交変後今日まで政府はどのような措置を講じたのか、主として私がいま指摘をしました経済的損失補償の問題について、具体的に交変後とった措置を明らかにしていただきたいと思います。
  44. 三島孟

    ○三島政府委員 すでに御案内のとおり、七月三十日に沖繩県における交通方法変更が実施されたわけでございますけれども沖繩県における交通方法の変更につきましては、政府といたしましては、総理府総務長官を本部長といたします交通方法変更対策本部を設置いたしまして、この本部を中心実施に当たったわけでございます。七月三十日の交通方法の変更が終わりました後も、政府に置かれております交通方法変更対策本部は引き続き存置しております。また、総理府からは現地に駐在官を派遣しておりますけれども、これも引き続き現地に駐在させております。そして、交通方法変更後におけるいまお話がございましたそうした営業上の影響の問題等のいろいろな問題もございますので、その実態把握に努めるということでこれまでやってきております。  実は、私どもの現地の駐在官の方にも、また私の方にも、直接また県を通じて、いまお話のあった営業上影響をこうむった場合の救済措置についてもいろいろなお話を承っておりますので、実情を十分お聞きした上、また現地においてその実態調査をするなどいろいろな実態把握に努めてはおりますし、またいろいろな御相談がございますので、御相談の内容によりまして、たとえば場所を移転して商売をやりたいとか、あるいは営業内容を変えたいとか、こういったお話につきましては、すでに御案内のとおり、特別融資制度も設けましたので、その特別融資制度を活用していただくようにお勧めしたり、あるいはそのほか、たとえば自分の店の付近に横断歩道を新しくつくってもらいたいとか、あるいはバスの系統につきまして再検討していただきたい、こうしたいろいろな御要望があったものにつきましては、それぞれ関係の向きに御連絡してその措置を検討していただくようにお願いしておるわけでございます。
  45. 上原康助

    ○上原委員 きょうは、長官にも三島さんにも要望しておきますが、抽象的な言葉は控えてください。  そこで、いろいろの問題がございますので、その実態把握に努めた――ぼくが聞いているのは、七月三十日以後具体的にどのような内容を調査をし、その対策を講じたかを聞いているわけです。  いろいろな問題があるというのはどういう問題があるのですか。交変による影響調査を行ったのですか。行ったとするならば、いつ、だれが、どういう形で、どういう内容の影響調査を行ったかを明らかにしてくださいと言っているのです。
  46. 三島孟

    ○三島政府委員 私どもの方に、県を通じ、あるいは直接いろいろお話があったものにつきまして、実情を十分お聞きするなり、あるいは現地に赴いて実情を調査するなり、実態把握に努めておるということでございます。
  47. 上原康助

    ○上原委員 そうしますと、交通方法変更後現地に対策本部も存置させてある。それから、駐在官も現地に派遣をしてまだいる。これは仕事をやるためにおるわけですよね。遊んでゴルフをするためじゃないわけでしょう。いろいろの問題があるということを県なり関係団体から聞いておりますと言うが、私が聞いているのは、交変後影響調査を、交通方法変更対策本部なり、現地にあなたが言う駐在官が派遣をして置いてあるので、その人々がやっているかどうかを聞いているのですよ。政府みずからの意思として、どのような影響を県民に交通方法変更によって与えたか調査をやっているのか、皆さん。やっているならやっている、やらなかったらやらなかったと、それを答えればいいのだよ。よけいなことを言うな。
  48. 三島孟

    ○三島政府委員 一般的な影響調査はやっておりません。
  49. 上原康助

    ○上原委員 一般的とはどういうことですか。
  50. 三島孟

    ○三島政府委員 県民全体に対してどういう影響が生じたかについて、一般的一斉的な影響調査というものはやっておりません。
  51. 上原康助

    ○上原委員 それじゃどういう影響調査をやっていますか。
  52. 三島孟

    ○三島政府委員 先ほども申し上げましたように、県を通じ、あるいは直接お話を伺ったものについては、その実態把握に努めておる、こういうことでございます。
  53. 上原康助

    ○上原委員 県を通じということですが、県にはどういう指示をなさったのですか。
  54. 三島孟

    ○三島政府委員 県には私の方から特に御連絡申し上げておりませんけれども、県からいろいろな御要請がございます。
  55. 上原康助

    ○上原委員 総務長官、交通方法を変更した責任はどこにあるのですか。
  56. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 一つ一つ解決をしておきたいと思います。  先ほど見切り発車ということですが、これは見切り発車というわけではない。まあ行政の責任者……(上原委員「私の質問にお答えください」と呼ぶ)いや、その点を一応、速記録をやっておりますから、後でまた……。  これは見切り発車ではない。執行部の方からも、野島副知事が交通方法変更に伴う連絡会議のメンバーでもある、各有識者にもお入りを願っておる、こういうような関係から、昨年の九月閣議決定後数回いろいろ会議をいたしまして、そして七月三十日でいいだろうということで、合意のもとで七月三十日の交変を実施したわけであります。  そこで、どこの責任においてやったか、こういう問題でありますが、やはり一つの国には一つの交通の方法、これは国際条約で決まっておるということになりますと、これはまた大変角張るわけでございますが、やはり沖繩と本上と心と心との一体、特に本土から百数十万の人たちが向こうに行かれる実績等を踏まえて、私は遅きに過ぎたと考えておりますけれども、その時期が一番適当な時期であっただろう。  そこで、これはどこの責任でやったのかということになりますと、いま申し上げましたように、やはり国の政策によって実施したものである。国の政策によって実施したものであるということになりますならば、おのずから責任の所在がはっきりしてくる、こういうふうに申し上げておきたいと思います。
  57. 上原康助

    ○上原委員 改めて責任の所在については確認をしていただいたわけですが、私がそれを聞いたのは、長官、私はどうも長官の認識と事務当局の認識が、この交通方法変更後の諸対策についてずれがあるのではないか、善意に解すればね。主としてぼくは、きょうは経済的損失補償を申し上げておるのですからね。善意に解釈すれば、長官考えておられることと三島さんなり事務当局、現地の出先なりの認識に非常なずれがある。そういうふうに思いますけれども、それは一体なんですね、一体だと思う。悪く勘ぐれば、長官は事務当局を悪者に仕立てて、政治的に県民向けに発言をやっておる。政治家の一番悪いやり方ですね、そうは思いたくありませんが。そうであっては困るんです。  なぜ、それを言うかと言いますと、実施した責任は国であるとするならば、政府みずからが実施後の影響調査をやることは当然ではありませんか。県なり関係団体が、私は困っていますから、ここに問題がありますからこうしてくださいと、頭を下げてこなければやらないという役人の態度というのはけしからぬ。まずこれが問題。だから私は、どういう影響調査をやったのかと聞いているわけですよ。それをはっきり答えていただきたいのです。交通方法の変更によって経済的損失を受けている県民は、その被害状況を申請するようにとか、申請する場合はどこそこに、たとえば市町村役場あるいは県庁、総合事務局、交通対策本部等に申し出さないというような指示か何か文書でやったんですか、これをまず明らかにしてください。あるいは県とこういう問題についての協議を行ったことがありますか。
  58. 三島孟

    ○三島政府委員 営業上著しい影響を受けた者に対する救済措置につきましては、これまでも当委員会におきましても総務長官が、ケース・バイ・ケースでその措置を検討するというふうにお話しになっておられるわけでございます。沖繩県からも営業上著しい影響を受けた者に対する救済措置について、これまで何回となく御要請がございました。私どもそういう著しく影響を受けた者についてのお話がございましたときには、その実態把握に努めておる、こういうことでございます。
  59. 上原康助

    ○上原委員 あんた、とぼけた顔をしておって、人の聞かぬことだけを答えるね。さすが特高警察の顔しているよ。私はそんなこと聞いているんじゃないんだ。私が申し上げているのは、被害を受けている県民に対して、わかるように被害状況を申請しなさいとか、あるいは被害があれば、損失をこうむっておれば、市町村か県当局か総合事務局なりに申請なり届け出をしなさいという指示をやったことがありますかということを聞いているのですよ。それは後で聞きますよ。  国会で総務長官がえらいこと言ったって国民全体知りませんよ、県民も。この際、そういうごまかしはよしなさいというのだよ。私が最初に言っているでしょう。ぼくも言葉を選んできょうはやっているんだよ。皆さん、そういうことで言い逃れようとしたってだめですよ、後で会議録を一々挙げてやりますが。そういう指示をなさったんですか、なさらなかったのですか、それを答えてくださいよ。
  60. 三島孟

    ○三島政府委員 県の方には、いまのお話のような御連絡は申し上げておりません。
  61. 上原康助

    ○上原委員 そういうこともやらないでいろいろ問題がある。どういうふうに実態把握できるんですか、それをやる責任はどこにあるのですか、県がやるのですか、市町村がやるのですか。国の責任において交通方法は変更されたんでしょう。そうであるならば、国がちゃんと変更後どういう影響を受けているのか、どういう被害を与えているのか、われわれが、ここ、ここ、ここという問題指摘をやっても、なおその実態把握もしないというのは怠慢じゃありませんか。
  62. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 御指摘の点は、私はごもっともだと思います。しかしながら行政の仕組みというか、行政というものは、やはり市町村から県段階、国という、こういう一つの縦の流れがあるわけです。そういう意味で、いまの損失補償というものは、県民全体において相当すそ野というか、広いものだと、私はそう考えております。そういう意味から私は、交変後現地に当分の間解決をするまで、交通対策本部というものを存置をせしめる、二人ぐらいで検討ができるものじゃない等々の関係から、いま病気になられておられまして大変あれですが、知事さんにも、あるいは野島副知事にも、物心両面の交通変更に伴う問題というものはやはり国において解決をしていく責任がある、だから実態把握等にぜひひとつ努めていただいて、そして可能な限り私はひとつ県民のためにも――県民のためということよりか、交通変更を行った責任を果たすという意味からも、ぜひ実態の問題についてはいろいろ調査を進めてもらいたい、また事務当局のレベルの中において、ひとつぜひ検討をさせてもらいたいと申し上げております。この前も、上原委員から御質問をちょうだいいたしました。それから県当局からも上京をされました。そのことだけでなく、ほかの用事も含めてだろうと思います。そこで私は副知事に対して、国会の中でいろいろ意見というか質問が出ておる、質問が出なくても当然なことであるから、早急に実態把握ということに努めてもらいたいとお願いをしております。そして、ああ交通変更をやってよかったなあという、この事実関係だけは私の責任において残さねばならぬ、そういう意味で、食い逃げをするとかのろのろしておるとか言うけれども、やって二月でございますから、私はそういう食い逃げをしたり――そう言うと上原委員は、あなた考えてみなさい、十二月ごろまでおるかおらぬかわからぬじゃないか、こう言われるかもしれないが、最後の最後までそんなことは頭のすみに置かずに、沖繩開発庁長官としての責務を全うする、こういうことを申し上げておかなければならぬと思います。
  63. 上原康助

    ○上原委員 いまの御発言は、まさか単なる御発言とは受けとめませんが、そこでじゃ具体的に進めていきましょう。  せんだって、安井先生と一緒に党の沖繩対策特別委員会を代表して申し入れもしましたし、いま長官お答えがありましたようにあのときも、私がなぜこの実態把握ということを大変強調しているかと言いますと、長官は覚えていらっしゃると思うのですが、八月十五日の内閣委員会で私がこの問題についてお尋ねをしたときに、抽象論ではいけないということをおっしゃったんですね。こう御答弁なさっているんです。「交通変更に伴う融資制度の創設もいたしました。」私が「それではだめだ」と言ったら、あなたは「理屈でなくして、一回二、三件出してみなさいよ。こことここと、こうおっしゃってください。それをただ抽象的にこうやられますと――私の方も誠心誠意やっておるつもりです。だから、具体的にこことこことがあるんだ、何もやっていないがどうなんだとおっしゃっていただければ、これは検討して、至急に対策を講じさすようにいたします。」こういう御答弁をなさったんですよ。  そこで、本来なら私は、このときもちょっと本末転倒だと言いたかったんです。実際は。しかし、まだけんかするのは早いだろうと思って、長官の人柄も少しわかりますので……。本来なら、私が何も実態調査をして、こことここが問題があるからやりなさいとか言う筋のものじゃないのですね。これは政府がやったんだから政府がちゃんとしりぬぐいまでやらなければ困るんだ、そう言いたかったのだが、そのときは私も遠慮した。われわれは具体的にアンケート調査も行ってその資料も出しているはずなんです。それで県にもそういう指示をしたといまおっしゃるが、この間も集約したのは、私たちが問題指摘をするまで、長官は事務当局からまだ十分お聞き取りをいただいていないということもおっしゃった。どうも事務当局がふまじめなのかわかりませんが、十分その実情について最高責任者である長官の方までいっていないような気がしないでもない。それは内部の問題ですから、ぜひ調整していただきたい。  改めて実態把握をするように事務当局に指示いたしますというのがそのときの一つの確認でしたね。もう一つは、私が被害調査をして県や市町村がそれを挙げれば補償いたしますかと質問したら、すぐ補償ということじゃないが、県なり市町村から具体的に被害状況について資料が提示をされれば、しかるべきものには誠意をもって検討して対処いたしますという、この二点は確認しましたが、それは事務当局に指示いたしましたか。
  64. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 私も行政の実態は、その責任者という立場でございますから、その仕組みは最近になってよく承知してまいりました。大変慎重というか、ここに行政のよさがあるのではないか。われわれが一日でやれるということでもまあ慎重、慎重、そのかわり間違いがないということでございますから……(上原委員「間違いだらけだ」と呼ぶ)いや、間違いは一つもないと私は見ています。  そこで、まず私のところへ報告をされるまでには相当の時間を要している。しかし、私のところへきたならば、それが慎重という意味ですから公平、適正に報告をされてくるわけです。そういう意味から、先ほども行政の仕組みと申しましたが、国の責任においてと申し上げましても、市町村からばらばらにこれを持ってこられても混雑をするということで、解決にはならない。やはり市町村は県に上げてもらう、県は全体をながめていただいて国との事務折衝が始まる、こういうことでございまして、その結果必要であるというものについては、いつも申し上げておりますようにケース・バイ・ケースで解決するということは当然のことでございますから、過去の発言より一歩も後退をしていない、むしろ前進をしている、こういうふうにひとつ受けとめていただければ結構だと思います。
  65. 上原康助

    ○上原委員 そうは言っても、長官、誤解を与えているのですよ。  そうしますと、さっきの御答弁にもありましたように、指示はしたわけですね。この間野島副知事がお会いになったときも、ばったり会ったので私もしばらくいましたが、どうも行政当局問のお話もあるように思って気をきかして中座したのですが……。  それはそれとして、長官は後退はしていないと言いますが、そうしますと、話が少し前になるのですが、九月二十二日の参議院においての御発言は訂正をしなければいけなくなりますね。そこはどうなんですか。
  66. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 どういう発言ですか。これは訂正をしなければならぬところは訂正をさせていただかなければならぬと思いますが、どういう発言だったでしょうかね。
  67. 上原康助

    ○上原委員 御自分でなさったのを何でぼくが言わなければいかぬのてすか。――交通方法変更に伴う補償を実施するには新しい制度をつくる必要があるが、既存の制度とのバランス、各方面への影響が大きいと断念し、特別融資による救済に限定することにした、こういう発言をなさっているのです。特別融資による救済措置以外の補償というものは考えられない。これは三島さんもこの間口をすべらせて、当初からそんなつもりはなかったと言って、大臣にたしなめられた。そうであるとすると、これは重大責任ですよ。参議院の交通安全対策特別委員会では特別融資による救済以外は考えられぬ、きわめて困難であるというような御発言をなさって、現地でもこれを聞いて、やはり総理府総務長官というのは人をだます専門家だと言う人もおるんだ。私はそうは思いませんよ。しかし、これはそうなるのですよ。いまの私とのやりとりの流れからすると、一歩も後退していない、前進をしているのだとおっしゃるのならば、特別融資制度以外の補償というのは考えていないということではないわけですね。
  68. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 現在の制度の中では実際はそれはないわけです。しかしながら、いろいろな情勢、問題があるとするならば、先ほども申し上げたように県の副知事さんにもお願いをして実態調査をする、あるいはまた事務当局に対しても積極的に県等に協力をするように、現地の駐在員に対してもやはり問題が起こらないように積極的に調査を進めるように事務当局でよく連絡し合う必要がある。その結果がやはり必要とするならば、そしてこれは行政の枠組みでない、行政の中で制度がないとするならば、その状態のいかんによっては、立法府の各位にお願いをして立法的な方法で解決をしていかなければならぬことがあるとするならば、やはりその方法をとらなければならぬのではないか。  そこで、参議院の予算委員会の発言というのは、現時点として補償の制度がない、こういうことを申し上げておるわけでございまして、その後玉城委員の発言あるいは上原委員の発言、國場委員その他のいろいろな人たちの発言を通じて、これはそう簡単に終わらないとするならば、立法府の皆さん方にお願いをして解決策を見出さねばならぬのではないか、こういうことを考えておるわけであります。
  69. 上原康助

    ○上原委員 参議院の予算委員会じゃないのです。これは長官、九月二十二日の交通安全対策特別委員会会議録なんです。一番新しいのです。  そこで、また一つ逃げ道をお考えになった。特別立法の話は前からないわけでもなかった。現在の制度上なじまない、制度上ないから直接補償はできないということは、これは私なりに言うと、失礼ですが詭弁、言い逃れですね。それでは許しませんよ。現在の制度上になじむはずかありますか、あなた。どこが右から左に変えましたか、日本全国で右から左に変えられたのは沖繩だけなんです。だから、これには前例もあるはずはないのです。その認識がないとこれはだめなんですよ。  そこで、特別立法が必要である。特別立法ということになりますと、またいろいろな問題が出てきますよね。では、なぜ最初に、変えない前にそういうことをおっしゃらないのですか。いまごろになって、これだけの損失なり被害が出てきた段階で、行政の範囲ではカバーできないから国会に諮ってというと、これはまた責任転嫁になりますね。  そこで問題は、特別融資以外の補償は考えられないということを言ったということは訂正いたしますね。何回も念を押しますが、県なり市町村から具体的に損失補償要求が出てきた場合は検討して直接補償も含めてやるというのが政府の立場であるというふうに確認してよろしいですか。
  70. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 やはりいま上原さんおっしゃったように、特別立法といってもいろいろなむずかしい問題は出てくると私は思うのです。そこで、実態把握もせずに――私はこの議論にはものすごい意味があると思います。いまあなたの政治家としてということよりか、沖繩選出の上原さんとしてはこの質問というのは大変意義がある、こういうふうに私は思っておりますが、いま問題の調査実態もないときに私の方へ迫られても、大変むずかしい。私はこの前も副知事さんによくお願いをした。私も国会の答弁の中で苦しいのだ、まだこれは二ヵ月だからこれでいいけれども、一年もたった今日であったとすれば大変なことだよ、だから早くあなた方もひとつ、県当局ということになりますと、あらゆる出張所とかいろいろなところがあるから、いろいろな角度から協力をしてもらって正確な実態調査をしてくれ、それを踏まえて私は可能な限り努力をする、私はいつも沖繩に参りましたときに、あるいはこちらの委員会その他の場所においても、やはり沖繩県民に迷惑をかけない、これは政府の施策で実行したものである、こういう強調をいたしておりますので、私は早く実態調査をやってもらいたいということは、いまから一週間ほど前にお願いをしたわけです。だから、この実態調査の報告がございましてから具体的に皆さんの質問に応じて私は答えてまいりたい。それまでにもちろん事務当局として煮詰めてまいりまして、それを受けてあなたとここで堂々と論戦をやることはできますけれども、いまいかんせん実態把握も、どういう被害がどうなっておるかということについても掌握をしておりませんし、また報告も聞いておりませんので、私はもうしばらく具体的な議論というのは――またここで言うと、あのときの発言がどうであったかとか、あるいはこうであったかということになることはむしろ私は恐ろしいと思いますので、実態把握がされてから大いに議論議論として私はやってまいりたい、こういうふうに思っております。
  71. 上原康助

    ○上原委員 そうしますと、実態把握はあくまで県や市町村がやるのですか。
  72. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 これはどうしてもやはり行政の枠組みからいって、市町村、県段階でやっていただく。もちろん総合事務局としてはほっておくのじゃない。これは、駐在員がおるわけでありますから、積極的に協力をさせろ、していただこうということで指示をしてございますから、政府の方は高みの見物をしている、そうではなく、誠心誠意県に対して協力を申し上げている、協力をしなければいかぬということで、事務当局に指示をいたしてございます。
  73. 上原康助

    ○上原委員 どうもとぎれとぎれになるのはいやなんですが、盛んに実態把握して後というようなことをおっしゃっているのだが、まだその実態把握もしていないことが問題なんで、しかも報告も受けていないと、はっきりいまおっしゃいましたね。一体事務当局は何をしているのですか。皆さんはどういう実態把握をしているの。どういう経済的損失を受けているのか、全然つかんでいないのですか。それは事務当局答弁できるでしょう。
  74. 三島孟

    ○三島政府委員 先ほども申し上げましたように、現地の駐在員の方に直接あるいは県を通じてお話しといいますか御相談あったものについては、私ども実態把握に努めておりますが、その限りにおいては実態をつかんでおります。
  75. 上原康助

    ○上原委員 だから、御相談があったものについては、報告を受けたものだけは知っているというわけでしょう、書類を見て。あなた、それで通ると思うの。責任の所在は国にあるということははっきりしたのですよ。あなたも長官から実態調査をやれという指示もされているのでしょうから、そういう実態把握をしなさいということは、どうなんですか。
  76. 三島孟

    ○三島政府委員 実態把握に努めるようにという御指示は受けております。また県の方で現在実態調査をやっておりますので、それがまだ取りまとまっていないようでございますけれども、県の方からお話がございました際は、それについて検討さしていただく、こういうことでございます。
  77. 上原康助

    ○上原委員 報告を受けているものは、どういうのがあるのですか。
  78. 三島孟

    ○三島政府委員 いま私どもの方で直接御相談を受けましたのが二十二件ばかりございます。それにつきましては私ども実情を詳しくお聞きしたり、あるいは場合によっては現地に赴くなりして実態把握に努めているわけでございます。
  79. 上原康助

    ○上原委員 その二十二件というのは、主に融資制度でしょう。
  80. 三島孟

    ○三島政府委員 いま申し上げた二十二件は融資のごあっせんを申し上げているところでございます。
  81. 上原康助

    ○上原委員 そうしますと、融資以外の損失を受けている状況、それについては全然調査もしない、あるいは報告も受けていない、実態把握をしていないということですか。
  82. 三島孟

    ○三島政府委員 そのほかにも、たとえば商店街としてまとまった形で、影響を受けたからひとつ融資なりあるいは補償なりの措置を講じてもらいたいというかっこうの御相談はございます。
  83. 上原康助

    ○上原委員 どういう内容か、明らかにしてください。
  84. 三島孟

    ○三島政府委員 たとえば那覇市内の安里のバス停付近の商店街あるいは開南のバス停付近の商店街から、七月三十日以前におきましても、またその後におきましても御相談を受けておるわけでございます。
  85. 上原康助

    ○上原委員 いま言う安里の旧右側の停留所付近あるいは牧志一帯の旧右側停留所、そういうところの被害の実態についての把握は、では、どこがやるのですか。これも県や那覇市の方に依頼するのですか。はっきり言ってください、総合事務局は何もしないわけですね、現地にある対策本部というのは。県にみんなお願いをしてあるということですね、あなたが言うのは。
  86. 三島孟

    ○三島政府委員 県の方でお調べになっておるようでございますから、いずれまとまり次第お話があるはずでございます。
  87. 上原康助

    ○上原委員 それに対する事務費というのはどこが負担するのですか。
  88. 三島孟

    ○三島政府委員 事務費の問題は、私どもまだそこまでは考えておりません。
  89. 上原康助

    ○上原委員 そうなると、県は迷惑しているのです。この間も県から何も上がってきていないとか、市町村から要求かないとか言うが、さんざん迷惑をこうむっているのですよ。七・三〇でいろいろ事務量もふえるし、その面に人員も配置しなければいかぬということで。後の影響事後調査までこれまた県や市町村ということになると、たまったものじゃないのですよ。ぼくは、やった責任は国にあるので国の方で実態把握しなさい、こういうことを言っているのだが、これはやりっこないですね。全く本末転倒じゃないですか、皆さんの方は。しかも具体的に、いまの安里とか牧志の一帯で実際に店を閉めているとかあるいは著しく減収になった、そういう把握はしていないわけですか。皆さん自体がやらぬでどうして補償問題ができるのですか。そういう無責任なことはよせよ、全く。
  90. 三島孟

    ○三島政府委員 御相談があったものにつきましては、お話を承った上、特別融資制度をお勧めするものにつきましてはそれをお勧めする。あるいは先ほどちょっと申し上げましたように、そのほかいろいろな御相談事につきましてはそれぞれしかるべき措置をとっておる、こういうことでございます。
  91. 上原康助

    ○上原委員 その他いろいろの御相談というと、中身は何ですか。
  92. 三島孟

    ○三島政府委員 これも先ほど申し上げましたように、たとえば自分の店の付近に横断歩道を新設してほしいとか、あるいはバスの系統について再検討していただきたいとか、バスの停留所をつくってもらいたい、いろいろな内容の御相談があるわけでございます。
  93. 上原康助

    ○上原委員 じゃ横断歩道をつくってくれというのは何件あるのですか。幾ら何でも、人の話をまともに聞かぬで、そんなごまかすなよ。私が申し上げているのはそういうことじゃないのです。それもあるでしょう、一、二例は。しかし、実際には営業行為が著しく落ちているから、それをどうにかするというのが主体なんでしょう。こういう実態把握しないで補償もできますか。  どれだけ損失補償があるか、私が一、二例挙げましょう。すでに店を畳んでしまったところも那覇市内で約七件ぐらい出ていますね。それも全然わからぬ。それから、移転を余儀なくされているのも十数件に及んでいる。何も私がここで一々明らかにする必要はない。皆さん、そういうのがあるのだから調べてちゃんとやりなさいよ、私はそう言っている。それは国の責任なんだ。  具体例を一、二例挙げますが、たとえば沖繩伝統食品センター、これは従業員百名ぐらい働いておられる。交通方法変更後の損失実態がどうなっているかといいますと、その食品センターは、那覇市を中心にバス停留所に主に出店を持っておられるのですね。店舗を構えて、お弁当なりその他すしとかを売っている。交通方法変更前は一ヵ月の売り上げが一千万ぐらいあったらしい。しかし、変更後は何と三百万に落ち込んでいる。現に七〇%も減になっているわけですよ。われわれがこういう調査をして一々挙げられるのに、どうして交通方法を変更したその責任ある皆さんがそういうのをやらないんですか。わかっておってやらないのでしょう、後かめんどうくさくなるから。それではいけないと私は言うのだ、三島さん。しかもその食品センターの中の一つの――これはNHKのテレビでも一ヵ月後に特集で報道されました。そういうのも皆さん見ないんですか。もちろんローカルニュースですから、全国ネットでは報道されていないかもしれませんが、三河屋というのがある。ここは四十一名の従業員か働いている。ここも変更前は大体三百万ぐらいの売り上げをしていた。何と変更後は四十万、弁当つくっても三分の二以上は腐らして処分せざるを得ないということまでテレビで報道された。しかもここの三河屋というのは、母子家庭の従業員か多くて、交通方法変更後、従業員をいま整理をするかどうかという土壇場にまで追い込まれているのです。こういう不況の中で。こういうふうにあくせくしている、追い込まれた企業というのが相当数あるということを知っていただかなければ困ると思う。  もう一つ。これはミートですから、いわゆる肉売り商売でしょうね、をやっている那覇市内の店です。従業員が二十二名、従来売り上げか七月までは大体六、七百万ぐらいあったらしいです。しかし、八、九と三分の一、二百万から三百万、こういうふうに減収を来している。  こういう例は、われわれの調査によっても幾らでも出てきているわけだ。だから私は、このように著しい影響を与えている企業に対しては、やはり直接補償を政府としてやらなければいけない問題なんだということを、言っているわけです。これをあなたはケース・バイ・ケースと言った。これはケースにならないんですか。あなたのおっしゃるそのケース・バイ・ケースの日本語の訳から聞いてみないといけないわけですが、ケース・バイ・ケースとはどういう御認識でそう安易にお使いになったんですか。こういうのは一つのケースでしょう。これはケースにならないんですか。これだけの損失を交通方法を国策によって変更することによって県民の、しかも三十年余続いた商行為に打撃を与えておって、これに対して知らぬ顔とは何事ですか、前例がないということで。これでは絶対通りませんよ。委員長、このことについてははっきりさせてください、理事会を開いてでも。  前からの発言を引用するまでもなくして、ケース・バイ・ケースというのは、これはケースになるのか、ならないのか。ケースになるとお考えならば、直ちに調査をして補償対象にするのかどうか。――あなたが答える筋でないでしょう。
  94. 三島孟

    ○三島政府委員 行政の立場で申し上げさせていただきますれば、実は私どもこれまで承知しておる範囲内では、たとえば商売か、いまお話かございました売り上げが減ったというようなケースにつきましては、実は現有の法律制度から申し上げまして、財産権を侵害したとか、公共の利用に供したということでございませんので、補償という問題はむずかしゅうございます。したがいまして、私どもは、補償を前提とした実態調査ということはやっておらないわけでございますけれども、できるだけその実態把握に努めまして、それぞれのケースに応じて行政的にでき得る限りの手を尽くしていこう。その一つが融資制度であるわけでございます。
  95. 上原康助

    ○上原委員 それは大臣のお話とは違うんじゃないですか。財産権の侵害にならぬと言ったって、収入は財産の一部なんだ。家や道を何かで公共施設に利用されて、ハンマーなんかでぶち壊さなければ財産の侵害にならぬ、もってのほかだ、あなたの発言は。どうなんですか、大臣、これは。じゃ、ケース・バイ・ケースというのはどういう意味なのか。
  96. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 私は、上原委員のそのことは事実だと思う。決して疑っておりません。そういう意味で、先ほども申し上げましたように県当局から事務レベルで上がってくる。私か前から言っているように、右から左に変わるのですから、右の人がそこでそれだけのいろいろな営業上の損失を受けるが、しかしその反面、また右、左と変わっておるわけですから、そこでまたいろいろな利害得失は生じておるだろう。これは、私はあの当時からの考え方ではよくそれは承知しております。そういう意味で具体的な例を挙げられた、あなたがちょっと調べられてそれだけのものが出てきたのですから、恐らく県当局としていろいろ行政上の調査をするとするならば、それと類似した問題というのは相当行政の中から出てくるのではないか、私はこういうふうに思います。そこで行政かこれをまとめまして、あるいは実態調査をいたしまして、その結果、事務当局とよく煮詰めまして、そしてやはり決断をするときには決断をする、こういうことでないと、一つ一つ取り上げるというのではなくて、具体的なものかあったとするならば、それはやはり調査対象にしなから県当局は進めていっていただく。現段階におけるところの私の答弁というのは、いまそこで一つ二つですか出てきたわけですが、それもやはり県当局の調査の中に織り込まれて入ってくるわけでございますから、やはりあくまでケース・バイ・ケースによって、この程度ではおさまるものではないという判断かもし――本当のことを言うと玉城さんもこの前細かいデータを持ってこられた。しかしながら、こういうふうに各党から細かいデータが出てくると、行政が多少遅延をしておるから、この前も國場さんにも、ガソリンスタンドの売り上げの問題から、細かいいろいろなことを言ってこられますと、國場さんにもはっきり申し上げたが、やはりこれでは困る。やはり行政の仕組みの中でひとつ何とかしてもらわないと、とてもじゃないが解決はできなくなってくるから、ぜひ頼むということは、國場さんにもこの前お願いを申し上げたとおりです。  そういう意味で、きょうここでお答えをする範囲内というのは、あくまでもやはり市町村、それから県当局で実態調査をしていただいて、そして国と、国といってもやはり私の方との関係になりますので、ここでいろいろ煮詰めまして、やはり各省庁いろいろな関係がございますけれども、私の方であらゆる角度から総合調整をやっておる限りにおいては、私は所管という立場から、あるいはもう一つ言うならば沖繩開発庁長官という立場もございますので、私はその結果を踏まえて全知全能を尽くす、こういう決意だけは申し上げておかなければならぬと思います。
  97. 上原康助

    ○上原委員 決意はわかりますが、抽象論ではいけませんので。ではいま言う決意、全知全能をしぼるというのは、直接補償も場合によってはあり得るという前提での検討ですね。
  98. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 いま申し上げたように、これは県当局が実態調査を事務レベルで詰めますよ。しかもこれはいままで県当局もいろいろな関係から実態調査に乗り出すということには多少おくれておったというようにも――おくれておったというのじゃなく、いろいろな関係からそういうものが具体的に出ていない。この前申し上げたように二ヵ月ですから、また売り上げが片に戻るのじゃないかとか、あるいはまたすし屋でも何でも、多少遠くなってもあれだとかという、営業上ですから、やはりそういう意味である時間がたてばまたもとに復元をするとか、いろいろなケースが出てくるのじゃないか。そういう意味で県当局としても、やはり終わったその直後の実態調査よりは、多少時間をかけてみて、その時間も、私は先ほど申し上げたように一年も置かれちゃ困る、この前も野島副知事にはよく言ったのです。一年も置かれたら、そのときは私は長官でないとしても、それはとてもじゃないがむずかしいので、私の長官の時代において何とか実態調査促進をするようにと、むしろ私の方で陳情を実は申し上げておる。あなたがいつも言うように、すぐやめてしまうから――そんなことは頭のすみにもない、やめることなんか一つも考えていない。やはりやっておる限りにおいては、最後まで全力を挙げる、こういうことでございますので、ぜひその点を御了解を賜りたい。
  99. 上原康助

    ○上原委員 それは質問に答えなければ了解できませんよ。いつも抽象論で時間がたつのだったら、十分で時間を何とかしようと思っても絶対だめです。そんな答弁では。  私が申し上げているのは、では、ケース・バイ・ケースでやります。参議院でおっしゃった特別融資制度以外には考えていないということは訂正しますね。修正しますね。まずそれから一つ一つ整理しましょう。
  100. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 実際は制度融資以外には現在は制度がない、これははっきり申し上げておきます。しかしながらいま実態調査をなぜするのか、実態調査をなぜやらねばならぬのか。それを踏まえて、やはりそれだけでいかないということになれば検討をもしなければならぬということで実態調査に入るわけでありますから、特別融資以外の道は現在のところ制度としてはありませんが、世論の盛り上がりと申しますか、世論が、この沖繩交通変更に伴うということで、県議会等との問題も承っております。そういう意味から、それをそのままでいくということには問題があるとするならば、実態調査の結果、あると踏まえたならば、それはそれなりに考えていく必要があるということで実態調査をお願いをした、こういうことで御了解をちょうだいしなければならぬと思います。
  101. 上原康助

    ○上原委員 稻村さん、いまごろ制度上特別融資以外はないというこの発言は、これは政治問題、責任問題ですよ。もしそうであるなら、あなたは、ケース・バイ・ケースで対処するとか、しかもケース・バイ・ケースで迅速にやると言われた。ケース・バイ・ケースというのはどういうふうにおとりになっているのですか。事と次第では、問題ごとによってはという意味でしょう、意訳すると。そうであるなら直接補償もあり得るというふうに県民が受けるのは当然じゃありませんか。いまごろになって制度上はできないなんというのは、これは全くペテンですよ。政治的背信行為だ。これでは納得できません。何と思っている、沖繩県民を。
  102. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 その問題ですが、いま私が申し上げたケース・バイ・ケースというのは、実際はこれはあるという判断をしておった。また私かいろいろ担当から聞いてみますと、やはりあったというわけですね。そういう意味でケース・バイ・ケースというのは、営業上の問題ということもやはり具体的にこれはいま出てきておりますね。そのときには、いろいろ聞いておったのは、食堂がどうだとか釣り具店がどうとか、ガソリンスタンドとか出ておりましたが、これは営業上の問題である。これはどういう形になってあらわれるか。こういう問題というのはやはりやってみなければわからないし、そうかといって、いまここで半年もたっての議論じゃ上原さんないじゃないですか。それはほうっておいたと言っても、ほうってはないはずですよ。(上原委員「実態も調べてないのじゃないですか。まだ何にもしてないじゃないですか、事務当局は」と呼ぶ)だから、二ヵ月じゃないですか。(上原委員「二ヵ月だって大変困っておる、そういう認識だから困る」と呼ぶ)いや、困っておっても、二ヵ月でそんな具体的な調査というものか、これは行政のやることですから、それでは私の方でほうっておるのかというと、沖繩に参らないときでも、本委員会においても私はケース・バイ・ケースということは常に申し上げておる。そのケース・バイ・ケースというのは、いま出てきておるこの問題かケース・バイ・ケースの一つに入るのではないか。しかしながら制度上の問題があるので、いま県の実態調査を踏まえて、どういう形でいまの制度上以外の中でも処理できるかどうか、こういう検討の問題を県当局に依頼をしておるというのですから、依頼もしないとか――その前にも県当局としても不幸なことかございましたから、しかし、野島副知事にもあなたが一番知っておられるのじゃないですか。私は本当に低姿勢に、副知事お願いします。われわれの方としても、やろうと思ってもなかなかすそ野の広いことだから、県当局がやろうとするならば出張所であるとかいろいろな角度からあるのだから、何とか一日も早く正しい実態調査を、私がみずから依頼をしているのですから、そして、野島さん、ひとつきれいに片づけましょうや、事務当局として積極的に詰めてくれませんか、こういうことですから、この辺で御了解願わないと、議論ばかり多くて結論というのはなかなかむずかしい、こういうふうに申し上げておかなければならぬと思います。
  103. 上原康助

    ○上原委員 一応実態調査をやるということを県に依頼をしたというところまでは、われわれが問題指摘をして追及している中で、容易ならぬことだ、そのままほっておくわけにはいかないということか少しはうかがえます。  そこで、時間もないようですから、ではいずれにしてもケース・バイ・ケースの基準を決めなければいけませんね。制度上これは融資制度しかできないという  私はそんなこと了解しませんよ。できなければ最初から言えばいいのだ。できるかのような期待感を持たして、後でしっぺ返しみたいなことをされるのが政治の世界では一番だめだ、それは政治不信を増幅するだけだ。  そこで、ではケース一・バイ・ケースという中身基準は、それも事務当局に検討させますね。融資制度でできるもの、あるいは県なり市町村から上がってきたものを県が集約するというわけですから、その被害状況が具体的に上がってきた場合はその補償をどうするか、どういうものまでは補償するのか、すそ野が広いわけですから。そういう基準も含めて、要綱なり何なり事務当局に検討させますね。それが一つ。  それにまた、県かやるという――先ほど事務当局に聞いたらわかりませんと言っていたが、これだけの実態調査をするのには相当の事務経費がかかるわけですね。そういうものも当然国で持たなければいけませんね国の責任でやったのだから。これは責任を持って事務当局に指示し、県とも協議をいたしますね。
  104. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 融資制度で可能な――救済制度、救済制度というふうに言うのですが、金利その他支払い等々考えても、救済制度というのよりかむしろ融資制度ということになると私は思いますが、実際は私は救済制度というふうに考えます。  そこで、救済制度に可能なものと救済制度というものと大変意味が違うという問題とに、これからの調査実態ですけれども、恐らく分かれてくる可能性があるかもしれません。救済制度だけでいけるということで考えておっても、実態によって、これは全く大きな被害である、大きな損失である、こういう実態が出てきたとするならば、その仕分けの問題、基準の問題、線引きはなかなかむずかしいが、行政の中で調査をしていきますと必ずこれは出てくるものだと私は思います。そういう意味で、そのときには、先ほど来くどいようですが、いつまででも行政の中におられると案外あれですが、いまの発言というのは、後日の人に対する大変な重荷を背負わすというようなことがあってはいかぬので、慎重に慎重に発言をしているのですが、そういう意味で……(上原委員「それは責任逃れだ、無責任なことを言うな」と呼ぶ)いや、無責任じゃありません、政府の責任ですから。しかし、私は現在は当事者ですから、やったときの担当でありますから、救済制度の枠組みから外れるものに対してはその都度考えていきたい、こういうふうに申し上げておきます。
  105. 上原康助

    ○上原委員 救済制度というのは何も融資だけじゃないのです。救済には補償も入るのですよ、完全補償も。あなたが救済措置、救済措置だけ言っているから、法律的にどういう意味なのかと私も聞いてみた。そのくらいは調べましたよ。そこで基準も明らかにしない、後の人に重みを持つから。それは責任逃れじゃないですか。  じゃ、あくまで交通方法変更に伴う著しい著しいという表現を私も使いましょう。著しく経済的損失を与えているものについては政府の責任において補償をいたしますね。補償措置をとりますね。そういう考えであるということでいいですね。
  106. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 いま申し上げたように市町村、県段階で実態調査をしておりますから、そこで事務当局同士で詰めてまいりますから、その結果著しい、こういう問題が行政の中で出たとすれば、これはやはり考えてみなければならぬ、こういうふうに思います。
  107. 上原康助

    ○上原委員 何か与党連絡会議のようですから、もう一点だけ確認しておきたい。  同和でもあなたは苦しんでおられる。同和もあのままほっといたら困りますよ。沖繩でつまずき、同和でつまずき、あと、どこでつまずくの。それじゃ困りますよ。総務長官、失礼ですが、事務当局は融資制度以上考えていないんだ、あの人の頭には。それが困るんだよ。だったら、いま市町村なり県から上がってきたものについては考えなければいけないということは、私が言っていることを含めて考えなければいけないということだと私は理解しますがね。そういうふうに指示をいたしますね、出先の方にも、あなたの後ろにいる人にも。
  108. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 何回も同じことですけれども、いま実態調査を依頼をしたということですから、実態調査の結果が上がってくるわけです。それを事務当局同士で――やはり過去のいろいろな実績もございましょうし、また現在のいろいろな実績もございましょうし、将来のいろいろな見通しもございましょう。そういったことは、やはり行政の正しい判断によって上がってくるものであろう。そのときには、やむを得ない大きな損失、こういう問題はやはり行政の中で、実態の中で上がってくると思う。そのときには当然考えねばならぬ問題は考えなければならぬ。先ほども申し上げたように、やはり交通変更というのは国の施策で行ったものである、この基本線を忘れずにいくならば、まじめな解決の方法が出てくるのではないか、私はこういうふうに思っております。
  109. 上原康助

    ○上原委員 長官、どうも長官の心の中にはいろいろあるみたいで、私は納得できないのです。きょうの御答弁でも。きわめて責任転嫁の発言をなさっている。これは何も県や市町村がやるべき仕事じゃない。率直に言って、政府自体が影響調査をやって、政府みずからが予算も立ててやるべき筋合いのものなんです。しかし被害を受けているのは沖繩県民ですから、沖繩の県なり市町村も協力しなければいけないでしょう。その点はその点としてわれわれもやりますけれども、このことをうやむやにしておっては絶対にいかぬですよ。県民はそんなに甘いものじゃないですよ。そのことだけ特に申し上げておきたいのです。  あなたは八月十五日の私の質問に、うそはつかない、言ったことは必ず実行しますということを明言している。それは国会の議事録に載っているわけですから、あなたの政治生命そのものにかかわる答弁だとぼくは受けとめていますよ、きょうのやりとりにしましても。そういう決意でこの問題の処理に当たりますね。一言でいいですから、決意だけ伺います。
  110. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 何回も申し上げますように、沖繩の交通方法変更というのはあくまでも国の政策で実施をしたものである、沖繩県民に大変な御協力をちょうだいをし、大変な御迷惑をかけて変更を実施したものでございますから、あらゆる問題においてはやはり国の負担でやっていかなければならぬ。しかし、先ほど来も申し上げたところの営業上の問題ということになりますと、これはまたいろいろな問題が波及してくると思いますので、くどいようでございますが、県当局の実態調査の結果を踏まえて、ひとつ皆さん方にも御協力を願って解決の策を見出していくことが正しいことである、沖繩県民に物心両面の御迷惑をかけない、こういつたことが基本線である、こういうことを申し上げておきたい、こういうように思っております。
  111. 上原康助

    ○上原委員 事務当局も覚えておっていただきたいのですが、国会というのはそんな軽んじてはいけないですよ、われわれもある程度勉強もしていろいろ苦労もして調査もしてやっているんだから。物心両面の不安や負担をかけないというのは、こういう損失も与えないというのが常識論なんだよ。それでいいんですね、三島さん、いま長官の言ったこと。
  112. 三島孟

    ○三島政府委員 私ども長官の御方針に従いまして、できる限りの努力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。
  113. 上原康助

    ○上原委員 そこで、時間がなくなりましたので、農林省に一、二点お伺いをしておきますが、五十三年度のサトウキビ生産者価格の決定が間近くなっていると思うのですが、そこでせんだっててん菜の最低生産者価格、いわゆる政府支持価格が決定されて決まったのですが、これからしますと、農業パリティが一・九%になっておりまして、農家手取り額は生産奨励金を入れて一万八千四百七十円、そういうことになっておりますね。これを参考といいますか、あるいは考えた場合には、五十三年度のサトウキビ生産者価格というものもある程度数字がはじけるわけですね。はじけると私たち見ている。しかし、島田先生も御指摘あったかもしれませんが、北海道の農業基盤といいますか農地の実情、てん菜をおつくりになっている農家あるいはてん菜以外にもほかの作目も選択できる。労働時間にしてもビートはたしか三十二・幾らかですね。沖繩の場合は百五十時間前後になっているかと思うんですね。約五・五倍くらいの数字にたしかなっていると思います。こういういろいろな面を検討しますと、畑作目であるということでは横並び的な考え方考えなければいけないかもしれませんが、やはりサトウキビの持つ多年生作目であるということあるいは生産基盤の状況等からして、もちろんそのことが即価格に反映をしないということは私も理論上はわかりますけれども、余りにもそういった単純的に横並び的だけでキビ価格とてん菜の価格というものをやるというのは実態問題として合理性を欠くんじゃないか、この点についてはどういうお考えなのか。それとここで数字は挙げれば挙げられるわけですが、てん菜とは一定の格差がついておりますね。大体四十九年以降百円から二百五十円くらいですかの差がついているのですが、この差額については拡大をするお考えがあるのかどうか。  時間がありませんからまとめて聞きますが、もう一つは、生産奨励金の取り扱いはどうするのか、価格問題でこの三点について御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  114. 馬場久萬男

    ○馬場説明員 御質問三点でございましたが、まずサトウキビ生産者価格の決定につきましては、先生御承知のとおり現在糖価安定法の規定に基づきますところのパリティ価格を基準として再生産の確保を旨として定めるということになっております。これを考えとしてやってまいりたいといふうに考えておりますが、なお価格の決定につきましては、まだ日にちがございますので、今後さらに検討していきたいと思います。  それから二点目のてん菜とサトウキビの生産状況の違い、これは先生御指摘のとおり、北海道における農業経営と沖繩あるいは南西諸島における農業経営の規模の違いとか生産基盤整備の違いとか十分私どもは承知をしているわけでございます。ただ一方から見ますと、砂糖の原料の価格という点でやはり全く無関係というわけにはいかない。御承知のように、かつてはむしろサトウキビの方が安い価格でやっておったわけですが、沖繩あるいは南西諸島における事情等も考えまして、近年は先生がおっしゃいましたように、てん菜より若干高い価格で農家の方に配慮しておるということでやっております。  これについていろいろ御議論かございますと思いますが、実はサトウキビの所得等を見ますと、大体五十二年の実績を見ますと、米以上の所得になっております。十アール当たりで全国平均で見まして約一万八千円、米の場合ですと一万一千円でございます。価格支持としてはかなりども努力しておるというふうに考えます。今後とももちろんこれらの鹿児島の南西諸島なり沖繩県における重要な作物であるということを踏まえまして検討してまいりたいと思いますが、価格決定の方式は冒頭にも申しましたように、法律上パリティ価格を基準とするということになっておりますので、その意味ではてん菜の場合に用いられたパリティ指数というものをやはり基準として考えなければいかぬ、こう思っております。  奨励金の扱いにつきましては、御承知のようにてん菜の場合、昨年の積み残しの半分を最低差し上げるという経緯がございまして、私どもサトウキビの価格を決定するに当たりましても、このてん菜の扱いを十分踏まえて検討いたしたいと思っております。
  115. 上原康助

    ○上原委員 時間ですから、これは農業基盤整備の問題そのほかいろいろ施設庁にも一、二点聞きたかったのですが、やむを得ません。  そうしますと、二十六日を待たなくても大体価格は決まるようなものだよ、ぼくだって計算できる。ただ指摘をしておきたいことは、政府みずからが算出をする五十二年サトウキビ生産費にも満たないような価格決定じゃいかぬですよ。それは十分参考にしますね。その点だけお答えください。
  116. 馬場久萬男

    ○馬場説明員 おっしゃるように、わが省におきまして沖繩サトウキビについての生産費調査は昨日発表いたしております。この生産費調査というのは統計上のいろいろな約束ごとの上に立っておりまして、私どもこれを見ますと、全国といいますか、沖繩と鹿児島の平均を見ますと、昨年よりも生産費は下がっております。ことに鹿児島の場合は、昨年がトン当たり二万一千円強の生産費でございましたが、ことしは一万七千五百円弱と下がる。このように生産費というのはその年の収穫等によって大きく変動するものであります。その辺を十分考えた上でやっていきたいと思います。
  117. 竹本孫一

    竹本委員長 玉城栄一君。
  118. 玉城栄一

    ○玉城委員 交通方法変更の問題について私もお伺いいたしますが、いま長官がいらっしゃいませんので、農林省の方がいらっしゃいますから、一言私もサトウキビの価格の問題について一点だけお伺いをしておきたいわけであります。  来る二十六日にサトウキビ生産者価格が決定される、こういうことでいま沖繩あるいは鹿児島の関係サトウキビ農家の方々がその政府価格決定を見守っておるわけであります。先ほどの上原委員並びに島田委員の御質疑の中にもありましたか、一言私が私の立場から申し上げておきたいことは、今回沖繩サトウキビ農家の方々の要望は、トン当たり二万五千円以上にぜひしてもらいたい。現在のトン当たり一万八千三百七十円、これはいまもちょっと御説明かございましたが、サトウキビ価格は、これは生産費を割った現在の一万八千三百七十円、どうしてもこういうことでは農家にとってはいろいろな問題があるわけですが、これはひとり沖繩サトウキビ農家にかかわらず、沖繩県の経済全体にも関係する非常に重要な問題だと思うわけであります。したがって、生産農家の方々の要請しておられるトン当たり二万五千円以上、これをぜひ二十六日の政府価格決定の際にやってもらいたいという率直な、またその算定の基礎も詳しく資料として私たちのところにも来ておるわけでありますが、その点につきまして農林省の方はどのようにお考えになって、どのような方針で臨まれるのか、その点をお伺いをいたします。
  119. 馬場久萬男

    ○馬場説明員 先ほども上原委員の御質問で申し上げましたが、サトウキビ生産者価格の決定に当たりましては、現在、砂糖の価格安定等に関する法律に基づきまして農業パリティ価格を基準とする、これを再生産の確保を図ることを旨として定めます最低生産者価格、さらに奨励金を交付するということによって農家手取りの確保に努めておるところでございます。五十三年産のサトウキビにつきましても、従来と同様、法律の趣旨に沿って十月下旬、来週中にも決めたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  120. 玉城栄一

    ○玉城委員 具体的には基本的な要請項目として六つの項目がございますが、この点につきましては午前中来の質疑で大体農林省考え方がわかりましたが、ただ、いま申し上げました農家の要望というものを強く価格決定に反映をしていただきたい、そのことを強く要望をいたします。  次に、文部省の方いらっしゃっておられますか。――この点を最初にお伺いをしておきます。  沖繩県の伝統文化についてでありますけれども、伝統文化については、芸能、芸術の面で数多く沖繩には残されておりますが、これらの沖繩の伝統文化に対して文部省はどのような政策でこれまで対応をしておられたのか、まずその基本的な施策についてお伺いをいたします。
  121. 山中昌裕

    ○山中説明員 沖繩県は文化財の面におきまして古くから由緒のある、いわば特色のある文化財か残っているということでよく知られているところでございますが、昭和四十六年度から有形文化財あるいは無形文化財、史跡などの記念物、こういうものについて相当詳しく調査を進めまして、たとえば無形文化財で申し上げますと、組踊りとか、あるいは喜如嘉の芭蕉布、宮古上布、こういうものが国の重要無形文化財として指定されておるところでございます。  それから、民俗芸能などのいわゆる民俗文化財につきましては、やはり離島の多い関係から調査がおくれておりましたけれども、これも国庫補助によりまして昭和五十年、五十一年の二ヵ年にわたりましてこの分布の概要の調査か行われたところでございます。この面は基礎資料が得られた段階で今後さらに一つ一つ明らかにしていくというこういう段階でございます。しかしながら、その間にあっても、たとえば多良間の豊年祭、あるいは竹富島の種子取、それから安田のシヌグ、こういったものは古くからあります沖繩の代表的な民俗芸能であるとして国の重要無形民俗文化財に指定いたしておるところでございます。こういう国が指定いたしました重要無形文化財あるいは重要無形民俗文化財、これにつきましてはその保存と後継者養成のために、この保存団体に対しまして必要に応じて国庫補助を行ってその伝承を助ける、こういう形で現在まで参っております。
  122. 玉城栄一

    ○玉城委員 沖繩の伝統文化の問題につきましては、また日を改めまして詳しく私たちの考え方も申し上げたいわけでありますか、沖繩の場合、文化立県ということで県自体も独自な構想を持っておるわけです。首里城の復元の問題とか、お城でもまだ復元すればすばらしい城の跡があるわけです。また、御存じのとおりいろいろとすばらしい文化があるわけであります。それを復興するということが、これからの一つの沖繩県の方向性としてはきわめて重大な問題として文化庁とされてもぜひ関心を持っていただいて、積極的に取り組んでいただきたいと思います。  昨年の本委員会で私、沖繩開発庁の方にもお伺いをしたのですが、県の構想しておる総合文化センターについては、沖繩開発庁としては文部省と具体化した段階で相談をして、ぜひ積極的に協力をしていきたいという御答弁を昨年の三月の四日、本委員会で私いただいたわけでありますが、そのことについて文化庁としてはお聞きになっておられるのか、どのようなお考えを持っておられるのか、お伺いをいたします。
  123. 山中昌裕

    ○山中説明員 沖繩県の方におきまして審議会を設けられて、県立の総合文化センターの構想について御検討中であるということは私どもも伺っております。  ただ、この審議会の構想はまだ本年度の末ごろに最終答申が得られる状況であると聞いておりまして、抽象的に内容を承知している範囲では、大小の劇場を含む県民文化会館とか、あるいは歴史民俗資料館、美術館、自然史の博物館、こういったものが構想の内容であるようでございまして、具体的にどのようなものになってまいるかというところはいまだである、このように伺っております。したがいまして、この総合化された文化センターの内容は、必ずしも文化財だけと限らないで、もっと広い範囲のようでございますが、私どもとしてもそれぞれ担当の部局は分かれますけれども、県の教育委員会のこういう構想が沖繩県としてどういうふうに具体化されていくか、その様子を見守っているところでございます。
  124. 玉城栄一

    ○玉城委員 ただいまの総合文化センターの問題につきましても、ぜひ文部省としても重大な関心を持たれて積極的に推進をしていただきたい、このことを要望をいたします。  次に、これは沖繩開発庁の方にお伺いをいたします。――文部省の方、ありがとうございました。  次に、最近沖繩の地元の世論としても非常に活発な動きが出ておる問題の一つとして、那覇国際空港の早期建設の問題についてお伺いをいたします。  これは去る八月の四日、この問題で主催二十二団体、参加六十三団体で県民大会も持たれて、早期建設の決議がなされ、政府に対しても何回か要請がこれまでされてきていると思うわけであります。  この問題について私も一言ぜひお伺いしておきたいことは、沖繩振興開発計画沖繩県のこれからの位置づけの中に、「国際社会において重要な役割を期待されているわが国にとって、沖繩が中国、東南アジアに最も近いことから、これら諸国との経済、文化の交流をはかるうえで、きわめて意義深い」云々と、それから「国際交流の場の形成」という中に「沖繩県の地理的条件、県民の進取の気性と国際交流の歴史的経験等を生かして、沖繩県を国際的交流の重要な拠点として位置づけ、その機能を果たすための環境の形成をはかる。そのため、本土、近隣アジア諸国等の主要都市を沖繩県と有機的に連結するような航空、海運の交通網および通信網を」云々、こういうふうに振興開発計画の中にも位置づけをされて、そのように沖繩開発庁は取り組んでいらっしゃるという立場を踏まえて、ただいま申し上げました大那覇空港建設の問題について沖繩開発庁はどのようにお考えになっておられるのかお伺いをいたします。
  125. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 ただいま先生御指摘のように、沖繩県を初めといたしまして地元の経済団体その他各種団体一丸になりまして、那覇空港の沖合いに新たな滑走路の建設を含む、いわゆる大那覇空港建設についての要望が私どもの方にも参っております。ただ、現在の那覇空港の状況から申し上げますと、離発着の状況が現在の空港機能に比較いたしまして自衛隊機の発着その他を含めまして発着機能の容量の二分の一程度にしかすぎない。また那覇空港につきましては、先生ただいま御指摘ございましたように、沖繩振興開発計画の趣旨にのっとりまして、国際線の就航状況とかあるいは国内線の旅客の状況あるいは機材の大型化、そういったものを見込みまして現在滑走路の延長を三千メートルにしようというような計画で事業を進めております。そのほかにまた、誘導路とかあるいはエプロンの新設とかあるいは無線機器等の改良等も行いまして空港機能の拡大整備を図っておるというのが現在の状況でございます。  これらの整備計画によりまして、今後予想されます旅客やあるいは貨物の増加等を見込みましても、現在の空港機能あるいは現在の整備計画によりましてこれに十分対応できるというふうに私ども見込んでおるわけでございます。国際線の就航等につきましても、たとえば千歳空港の問題などと違いまして税関、入国管理事務所等々もつくられておるわけでございます。そういったことで、私どもとしては現在のところ地元からこれについての調査費用をつけてくれ、こういうような要請を聞いておりますけれども、私ども現在予算に要求しておらないというのが実情でございます。     〔委員長退席、國場委員長代理着席〕
  126. 玉城栄一

    ○玉城委員 そういうことで、先ほど振興開発計画のことも読み上げたわけでありますが、今回長年の日中友好条約も締結の運びになっておるわけですが、そういう意味では今後沖繩県とあるいは中国あるいは東南アジア、きわめて距離的に近いわけですから、その玄関である大那覇空港建設構想というのは、将来の問題として非常に重要な意味を持つものであるというふうに理解をしておるわけです。現在の時点において重要ということはもうおっしゃるとおりです。ただ将来の問題としまして、こういう構想の大空港というのは二、三年でできるわけじゃないわけです。十年あるいはもっとかかるかもしれません。ですから、そういう長期的な期間を要する問題でもありますので、いまの時点から独自の調査費用をどうのこうのということではなくしても、それが望ましいわけですけれども、いずれにしましてもこういう問題も含めて沖繩振興開発考えるという一環として当然検討はされていくと思うわけでありますが、その点については検討されないのかするのか、その点をお伺いいたします。
  127. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 先ほど空港の現状、施設容量等からする将来の予測等々について申し上げたわけでございます。もちろんその一番のベースにございますのが先生御指摘沖繩振興開発計画、私どもとしてはこの精神にのっとって振興開発事業実施しておるということでございます。那覇空港の整備につきましても、振興開発計画によって目標としておるところに十分空港の機能としてもこたえなければならぬということがあるわけでございまして、そういった意味で振興開発計画にのっとりましてこの整備を進めていきたい、このように考えております。
  128. 玉城栄一

    ○玉城委員 次に、防衛施設庁の方にお伺いいたします。  沖繩県の交通方法変更に伴っての問題であります。現在御案内のとおり、この後遺症で大変苦しんでいるわけです。特に基本的な道路構造上の問題が噴出しておるわけですし、これに伴って交通渋滞の問題、次の営業損失の問題につきましては後ほど長官がいらっしゃってからお伺いいたしますけれども、当面交通渋滞はもう本当に深刻で、その経済的ロスと申しますか、あるいは精神的な問題あるいは時間的な問題、もう大変な状態にいま置かれております。海洋博後遺症ということもありましたけれども、今回のこの七・三〇後遺症と言いますのは、海洋博のような明るさに比べて何か非常に暗さがあるわけですね。一夜にして長年の県民の生活空間ががらっと変わったわけですから生活革命と申しますか、いろいろな問題が噴出をしておるわけですね。そういうことで何とか当面の交通渋滞の解決の一助にもできないかということで、再三これまで県を初めあらゆる関係者からも要請がありましたし、私たちも先月の末長官に営業損失補償の問題について申し入れをした際にも交通渋滞の問題で長官にも申し上げたわけです。  これは、基地に関係する問題になっております上之屋の米人住宅地内の道路の開放の問題について、現時点でどのような状態になっておるのか、今後そういう可能性はあるのかどうかお答えいただきたいと思います。
  129. 高島正一

    高島政府委員 御指摘の上之屋地区と言いますのは、私どもの方の名称では牧港住宅地区ということになろうかと思います。ここは約二百二十三万平米の土地でございます。     〔國場委員長代理退席、委員長着席〕  御案内のように、ここには千百八十一月の住宅が所在しておるわけでございますが、すでにその二百戸分、敷地二十三万平方メートルについては地元に変換をいたしたわけでございまして、残り九百八十一戸につきまして今年度以降徐々に予算の許す範囲内で住宅を移設し、その跡地を変換する、こういう運びに相なっておるわけでございます。  御質問のこの住宅地区を縦貫する道路について民間に使用させるならば五八号線の交通渋滞が非常に緩和される、こういう御指摘でございます。率直に申しまして、米軍は住宅の管理上ここを交通の用に供するということについてはきわめて強い難色を示しておるのか実情でございます。しかしながら、五八号線の交通渋滞緩和ということが沖繩におけるいわゆる交通行政上の大きな問題であるということは、私ども十分承知をいたしております。  ところで、その反対側にございます牧港補給地区の基地をその交通渋滞の緩和に役立てたらどうかというふうな御議論もございます。そういったことと両々相まって、沖繩開発庁の方でこういうふうな線形、こういうふうな路線でもって米軍の基地を開放してほしいという結論が出た暁には、私どももそれは新たな事態だというふうな考え方に立ちまして、全力を挙げて米側と折衝をしてみたい、このまうに考えている次第でございます。
  130. 玉城栄一

    ○玉城委員 ただいまの牧港米人住宅地内の道路開放の問題、施設庁のお考えはわかりました。  それで、開発庁の方にいまの問題と安謝川河口の架橋設置の問題、これを含めてお答えいただきたいと思います。
  131. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 まず安謝川の河口への架橋の問題でございますが、今回の交通方法変更によりまして次第に交通混雑は緩和してきておるというものの、右左変わったために、混雑個所が従前と変わるというようなところが少し出ております。安謝の交差点がまさにその一つの典型的な場所であろうと私ども考えております。この交差点の緩和のためには、やはり基本的には交差点の立体化を図る必要があるということで私ども種々計画をいたしております。ただ、大規模な工事でございまして、完成までにはかなりの年月を見込まなければならぬというようなことがございます。先生いま御指摘の安謝河口への架橋の問題は、安謝の交差点の混雑に対応するための当面の対策という形で地元の方から提案されてまいったわけでございますけれども、この橋の計画は、私ども現在までお聞きしておる限りにおきましては、完成できればそれなりの効果が見込めるのではないかというふうに考えております。  ただ、架橋につきましては、安謝川の河川計画との関係、たとえば河川敷の中にピアを建てなければならぬのじゃないかとか、あるいは両岸にかなり高い護岸道がある、この護岸道を越えて橋をかけなければならぬということから、取りつけ道路の問題とか、そういった技術的な問題等々いろいろ出てまいっております。あわせまして、これら周辺の交通の状態、そういったものも見きわめまして、その見きわめた結果を待ってこれを推進していきたいというような形でただいま県の方を督励をいたしておる、こういう状況でございます。  それから、上之屋の住宅地等に三三〇と五八号線とを結ぶ道路等をつくったらどうかという提案が地元の方から出てまいっております。この問題につきましては、私どもこの道路だけではなくて、端的に言いまして、七・三〇の後遺症と申しますか、従前から那覇市内は非常に混雑があったわけでございますけれども、その問題が大きく表面に浮かび上がってきた、私どもとしてもできるだけ早く道路を整備したい、那覇市内の渋滞等に対応する措置をとりたいということで力を注いでまいりましたが、これを大いに促進していかなければいかぬと考えております。  そういったことで、これは単に一本だけの道路ではなくて、那覇市内につきましては街路計画、街路網等を全体的に見直してみなければいかぬのじゃないだろうかということで昨年、いわゆるパーソントリップ調査等を実施をいたしております。いまその分析を急いでおるところでございます。これらによりまして那覇市内の道路網等も見直し、計画的にこれを整備していく必要があるのではなかろうか。これは当面の応急対策というようなものとあわせて、根本的に検討をしていかなければならぬのではなかろうか、こういうことでいま申しました調査結果の分析等を急いでおるという状況でございます。
  132. 玉城栄一

    ○玉城委員 先ほどの施設庁の御答弁では、開発庁の結論を待って早期に対応していきたいというお話があったわけでございますが、この交通渋滞の問題というのは非常に深刻な状態ですから、県とも、あるいは那覇市にも関係しますので早急に詰めていただいて、早い機会にこの要望が実現できるようにお願いをしておく次第であります。  次に、長官もまだいらっしゃっておられないのですが、交通方法変更の問題について私もお伺いをいたします。政務次官がいらっしゃいますので、お答えいただける点はお答えをいただきたいわけであります。  先ほどの上原委員の御質疑でも、おおよその点は明らかにされ、そして、基本的な問題は相変わらずあいまいのまま、こういう状態が明らかになっておるわけです。したがいまして、先ほども少し申し上げました七・三〇以降、交通渋滞あるいは道路構造上の問題その中でいま地元の商店街では、営業損失の問題で非常に騒いでおるわけです。これは三島さんががんとして融資以外にはてきない――しかし先ほどの長官お答えの中では、融資以外の補償もできるようなあるいはまたできないようなそんな感じで、最後に詰めていくと、後任者に重荷をしょわせるようなことは発言はできないという形で、肝心なところになりますと結局、このままでいくと、やはりおっしゃっているような交通変更の特別融資制度を活用してもらいたいということで逃げられる、こういう感じがしておるわけです。これは交通方法変更前の話は決してそういうものではなかったのです。ですから、あの時点の説明と、交通方法変更後の政府の説明、考え方というのは、受け取り方は全然違っておるわけです。  そういうことで、先ほどの御質疑の中でこれは前進したとも思えませんが、県を通して実態調査だけはさせる、その実態調査を見て云々という話かありましたけれども、県に実態調査をさせるということにもまた、私たちには私たちの異論があるわけですが、それは別にしまして、われわれも交変後、営業にきわめて著しい影響を与えたということについて実態調査を進めてまいりました。その結果についても、先月、総理府の方にも申し上げたわけであります。  ただ、本委員会で、八月二十一日から二十三日、沖繩の交変後の実態調査あるいはその他の問題も含めて、三日間実態調査に参ったわけです。その後で、各委員が御同意の上で委員長が記者会見をされまして、その中で、交通方法変更の問題についてこのようにおっしゃっておられるわけです。市内の交通渋滞で営業上著しい影響を受ける者に対する救済措置、特別事業実施等、まだ解決されなければならない問題がある。それぞれ関係当局において適切に対処されていくものと期待しているが、当委員会としても重大な関心を持って今後のアフターケアに取り組んでまいりたい。交通方法変更は最後の復帰対策事業と言われるが、沖特委員会は今後とも国会審議を通じ、県民の期待にこたえていきたい、こういうことで、本委員会も重大な関心を持ってこの問題には対処していくんだというのが本委員会を代表しての委員長のお考えとして、記者会見でも発表しておられるわけです。  そういうことから、この問題はこのままあいまいな形で置いておくわけにはいかないと思うわけです。したがって、これは長官はすでに御存じですが、概略申しますと、千二百件を対象にして私たちなりに調べました。その中で五一・八%、約半分以上の方が交通方法変更によって営業収入が減じた。その中に五〇%以上も減ったという方が一三・五一%、それから三〇%以上減ったという方が三二・六二%、約三割強ですね。千二百件のわれわれの調査対象の中で、三〇%以上、いわゆる交変が原因によって営業収入が減じたという方が三二・六二――三三%ですね。一三・五一%の人は五〇%以上も減った、調査の範囲からこういうふうに出ておるわけです。そして四・二九%の方は廃業したい、これではもう店は成り立たないという方がいらっしゃるわけです。経営常識から言いますと、大体営業収入が三〇%減りますと三分の一の従業員に減らすんだ、五〇%減ればもう倒産だ、こういうことは普通常識的に言われておるわけです。ですから、いかに深刻な実態であるかということについて詳しくわれわれなりに調べてまいっておるわけであります。  そこで大臣にお伺いをいたしたいのですが、いま非常に話が違うんじゃないかということで問題になっておりますのは、交変による営業損失の問題については特別融資制度もあるが、問題によってはいわゆるケース・バイ・ケースによって対応するんだ、このように交変前は何回もおっしゃっておられたわけです。その点が問題になったわけです。その御説明なんですが、その考え方のとおりわれわれは受け取りまして、これはもう商店街はもちろん、県議会あるいは各地方自治体、われわれも国会の中でいろいろな議論をしてそして出てきた実施対策要綱の中にも、ケース・バイ・ケースで対応するんだということをおっしゃって、それを信用してくれ、約束は必らず守るんだ、あるいは誠意を持って国はやるから心配しないでというようなお話等もたびたびありまして、協力体制が当然とられてきたわけです。それがいまこの問題があいまいになっておりますことは、直接的なそういう補償はいまの制度上無理なんだ、したがって特別融資制度を大いに活用してくれということになっておりますので、われわれの調べたそういう実態からも明らかなように、非常に深刻な方々は話が違うということで問題になっております。この間も県は改めてこの補償問題について長官にも御要望があったと思うわけでありますが、そういうことで当時長官がおっしゃったケース・バイ・ケースで対応するということについて、受け取る側はどのようにそれを考えておったかと長官考えられるか、その点をまずお聞かせいただきたいと思います。
  133. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 変更がもう終わっておりますから、そういう意味で私はむしろ終わらない先よりも責任を感じなければならぬ、これはああいうふうにして御協力をちょうだいして歴史的な改革をやったのですから。そういう意味でいち早く公明党として総点検をされた。この前お見せ願って、ずいぶん細かく調査されたものだな、こうでなければこれからの対応する方法というものは成り立たないと思う。その先も考えておりましたけれども、あなたに言われてから特に事務当局に対しても、営業上の問題の制度がほかにないとしても、やはり実態把握をして交通変更前よりか交通変更後の方の責任の重さということをよく認識をしてくれ、私のケース・バイ・ケースというのは、こういう営業上の問題は多少あるだろうけれども、救済処置というのは、金融の問題で特別金融制度と申しますか、これで補えるものである、特にケース・バイ・ケースというもので営業上完全にできないということは、その前に何か立てなければいかぬ、その前に一部あれをしなければできないとか、こういう事態は広い中で出てくるだろうということでケース・バイ・ケースと申し上げたのは、やはり財産権を侵されたとかいうことでなく、そういう問題が必ず出てくるだろう。そういう問題はケース・バイ・ケースの中で解決をされておるのですから、営業上の問題のいま穂つた五〇%、三〇%、そういう事態は実は私は想像もしていなかった。三〇%、五〇%、場合によっては閉鎖もやむなく――営業ですからね、やはり変わるわけですから、一時の変化はあるとしても、またある時期にはUターンをしてくる、長い間なじんだ店ですから、またサービスその他いろいろなことで買いやすい、買いなれたところかいいだろう、こういうことで必ずUターンをしてくるものである、こういう考え方もいまなお変えていないわけでございますけれども、いま具体的にこういう問題を提示されますと、私は何としても県にも協力していただいて、そして行政の責任において実態把握に努めなければならぬ、こういうふうに考えておるわけです。たたいかんせん二ヵ月間――こう言う方はどうかと思いますが、変更が七月三十日でしたから、二ヵ月後とか三月後とか踏まえていろいろな結論を出していくのが正しいのではないか。その翌日からどうだどうだと言っても、行政の仕組みから言って多少の時間をかける。しかしながら、いろいろな実態調査の結果、やはりこういうふうにして細かく総点検をされて、これを疑うわけじゃないが、こういうことが事実関係――この資料を出していただいて大変助かりますが、そういう意味で私は実態調査実態把握は必要である。その結果、融資制度というか、救済処置による金融以外のもので、県民全体のコンセンサス、国民全体というよりかむしろ県民全体のコンセンサス、あの人だけうまくやったのだな、こういうことがあってはならないし、なるほど損失を受けたということだから政府も真剣に取り組んだなというふうな県民というか、最寄りの地域住民のコンセンサスも得なければならぬということでございますので、私は最初あなたからぶつけられたときは本当にこれだけよく……。  そういう意味でぜひよろしくお願いしたいと思います。
  134. 玉城栄一

    ○玉城委員 結局、結論はこういうことですか。県が実態調査しますね。そして、それを政府は見る。そして、その救済措置というのは、金融的措置というのはあくまでも特別融資であって、いわゆる沖繩の、われわれ地元が受け取っていたそういう直接補償的なものはないということですか。それを明らかにしていただきたいのです。できるのか、できないのか。何か思い込ませるような、期待を持たせるようなそういう長官のおっしゃり方は災いのもとで、もしいまのような御説明が当時されていたら、これは反対が起こったと思うのです。自分の死活問題ですから。実際にそういう現実が出ていますから、それが終わってから後、また何かできない、だまされた、これは私が言っているのは決して間違っていないと思うのです。長官の御説明は、何か営業上、交変によって決して迷惑はかけないから、これは国が行う施策だから、そして誠意を持って約束は必ず守る、こう補強的な説明をされながら、対策要綱の中にケース・バイ・ケースとして対応するんだ、当然これが原因でつぶれそうになる、あるいは減収になったということについては何らかの、融資以外のそういう措置があるものだという期待があって協力をしてきたわけです。しかし、実際にいまになりますと、そういうことではありませんと言われたら騒ぐのはあたりまえだと思うのですけれどもね。ですから、その救済措置という長官のおっしゃるものの中には、受け取り方が問題だという言い方をされるのか、とにかくそういう直接補償的なものも含まれているのかいないのか、その点をはっきりしていただきたいわけです。
  135. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 回りくどく言っているのは、実際むずかしいから回りくどく言っているのです。簡単に答えられると本当は一番いいのです。いま県当局に実態調査の依頼を申し上げておる。ただ依頼を申し上げておるということではないと思うのです。先ほど来具体的に出されたその実態調査の中で、やはり何%、何%、事実関係というのは行政の役目からいって、疑うわけではないのですが、過去の売り上げの状態はどうであったか、現在はどうであるか、それから将来の見通しとして壊滅的な業種であるかどうか、こういう実態把握がなされると思います。そういう意味で、私はいつも申し上げておりますように、沖繩県民の物心両面という言葉を私使っておりましたが、御迷惑をかけないようにというのがこの交通変更に伴う基本的な姿勢として出たわけでありますから、いま端的に言え、こうおっしゃいますと、県当局に調査を再度依頼をした、具体的な例が挙がってきたら事務当局として煮詰めて、政治的な判断をすべきである、こういうことでぜひお願いをしたいと思います。
  136. 玉城栄一

    ○玉城委員 これは午前中の上原委員に対する長官お答えの中にもありましたけれども、その実態調査の結果、国あるいは関係省庁といろいろ詰めて、そして決断するものも出てくるだろう。いまおっしゃいました政治的な解決をすべきものも出てくるだろうということの中には、従来受け取っていたようなものも当然含まれているということをわれわれは期待をして、次に進みます。  長官は二ヵ月は短過ぎるとおっしゃいますけれども、これは三ヵ月、四ヵ月となるとますますひどくなるわけです。長引くとそれこそ倒れてしまいます。一夜にして変わったわけですから。その状況を簡単に言いますと、たとえばこれは開南通りの方ですが、ことしの五月一日から交変の二十九日までの一日平均の来客の数が五百二十三名。交変後、八月十三日まで百九十八名で、人員にして六三%減。売り上げで六三%。これは本屋さんです。それからこれは写真店ですが、百二十名あったのが六十名。五〇%減ですね。売り上げが五二%減。それからこれは食堂ですが、一日平均百三十名あったのが四十五名に減った。六六%減、売り上げで六五%減です。これは主に開南通りの方ですが、雑貨店は二百十五名平均あったのか五十三名。七六%減。売り上げが七〇%減。ずっとこれにあります。大体こういう状況です。  それと、これにはまた詳しく、五十一年、五十二年、五十三年の一月から十二月まで、毎月の売り上げの金額の数字、五十二年の一月から十二月、五十三年の一月から九月まで、これは五十一年、五十二年、五十三年、ずっとトータルしたものがあります。対前年同月比、それからその前ですね。この方は、牧志の市街バス停留所の方ですが、対前年度にしますと六五%減ですね。この方も本屋さんですけれども。資料はずっと持っています。その後ますますひどくなってきているわけです。  それで一つの例で申し上げますが、こういうものをケース・バイ・ケースということで、どのように対処されるのか。これは三島さんにお伺いします。那覇市の国際通りの牧志の市街バス停留所、従来左側は下り線だったのです。大体夕方には四、五百名のバス待ち客がいたわけです。その四、五百名のバス待ち客、その時間から大体閉店までの間が七〇%の売り上げの状況です。それが、バス停が向こうに移りまして逆になりましたから、今度は上りになっちゃったわけです。そうすると、ここにはほとんど客はいないわけですね。そういう下りの――仕事を終わり、それから那覇市から北部に行く、那覇市で買い物をして、そしてその方々がバスに乗って那覇市外に出ていく、そういう四、五百名の方々を対象にする。ですから、商店街の並びぐあいも、そういうつくりになっておるわけです。これは私たちの調査でも指摘してありますけれども沖繩には、交通手段というのはバスしかないわけですから、バスの停留所を中心にしてその商業形態というのはでき上がっておるわけですね。それが全く逆になったわけです。  その中で、これは写真もあります。これはちょっとお見せしていいですか。――ラッシュ時の人のいるときと、閑散としているとき、こういう写真を撮ってきました。そこの方々、これはあるレコード店の方ですが、十三・五坪なんです。ちょっと細かくなりますけれども、非常に大事な問題ですから。それで家賃が二十五万円なんです。この方は、従来の融資、市中銀行から一千三百万。それで月々の支払いが、金利も合わせると約四十万円、家賃が二十五万円、合わせて六十五万円はどうしても支払わなければならない。毎月の売り上げが大体三百万内外なんですね。いま、百五十万くらいに減っているわけです。約半分近い。女の店員さんが三名。結局、三名のうち二人はやめてもらった。  そういうことで、この方の場合は特別融資を受けたいというわけです。しかし、特別融資を受けたいけれども、この融資は活用できないような状態になっていますね。これは皆さんがやはり特別融資を活用してもらいたいとおっしゃっている。この制度は、移転をするかあるいは全く別のものに転業するかあるいは設備の変更しかできない、こうなっていますね。この方の場合は、自分のいまの店を、レコード店ですから、客は全部向こうへ行っちゃったわけですから、今度はやはり設備もムードもつくり上げて、とにかく人が来て買えるような魅力のある店づくりをしたい。それには設備資金が必要です。同時に運営資金が必要になるわけですね。こういう場合は融資の対象になりますか、三島さん。
  137. 三島孟

    ○三島政府委員 どうも私、その内容につきましては十分に自信を持ってお答えできませんので、沖繩開発庁の方にお願いいたします。
  138. 亀谷禮次

    亀谷政府委員 特別融資そのものの基本的な考え方につきましては、交対室長の方から御答弁いただくのが筋であろうかと思いますが、具体的ないわゆる経営融資と申しますか、資金のことでございますので、公庫を監督しております私の方からお答えいたします。  先生も御案内のように、交対室で取り仕切られた今回のこの特別融資の基本的な考え方は、お尋ねの中にもありましたように、直接移転もしくは事業の転換をしなければならないそういう方々について、その事案に即して特別の金利体系で御融資申し上げることに政府として決めたわけでございます。そういうこともございまして、一般的に経営の中身としても、いわゆる採算と申しますか、経営資金としてのつなぎ融資、こういうことにつきましては、率直に申し上げまして、いま申し上げましたような事業の転換ないしは移転ということに伴う資金ではございませんので、対象にいたしておりません。  ただし、先生も御案内のように、沖繩開発金融公庫がいろいろと抱えております沖繩の特殊的な問題、たとえば基地の周辺の問題でありますとか、いわゆるドル安の問題でありますとか、いろいろな事案をあわせて持っておるわけでございまして、当然中小企業ないし一般零細の生業資金を要する方には特殊金利で低い融資を現在もやっております。  そういったことで、経営資金につきましては一般的な資金を私どもは当然積極的に活用していただくつもりでございます。
  139. 玉城栄一

    ○玉城委員 長官、この営業の損失の救済措置については、特別融資制度があるからそれを活用してもらいたい、またいまの亀谷局長の御答弁では、これに該当しないものは一般融資で活用してもらいたい、こういうお話なのですが、実際に該当する、この交変に伴って営業の激減した方々が特別融資すら活用できないわけです。それはまた一般の公庫の金を利用すればいいかというと、これはまた別の話なのです。ですから、実態は御存じのとおり、これまで開発金融公庫に交変に伴う特別融資制度を申し込んだ方はわずかに二十二件ですね。それも二十二件のうちで決定したのはわずか二件です。五百万、五百万の二件。この二件についてもいろいろお話を聞きますと、こういうことを申し上げてはちょっとなにですけれども、いずれにしましても特別融資制度すら活用という段階になりますと、実態に即応をしておらないわけです。  もう一つ。これは三島さんにお伺いしますが、交変に伴って店ができない、店を閉めます。廃業しますという方はどうされますか。
  140. 三島孟

    ○三島政府委員 実はこれまでも廃業されたというようなお店もあるやに聞いておるわけでございますけれども、私どもといたしましてはやはり個別に御相談を受けまして、できれば特別融資制度を、あるいはそのほかの道があるかどうか御相談の上、ひとつしかるべき措置をとらしていただきたい、こういうことでございます。
  141. 玉城栄一

    ○玉城委員 そのしかるべき措置というのは、たとえばこの中にも一つあります。これは薬屋ですが、従来月の売り上げが百八十万円内外、これが四十万から五十万円ぐらいに減っているわけです。これではとてもじゃないが、できないというようなことがある。お店を閉めます。そういう方についてしかるべき措置というのはどういうことが考えられますか。
  142. 三島孟

    ○三島政府委員 一つには、これまでの御商売をおやりになっておられるわけでございますから、できましたら特別融資制度を活用されてほかの場所に移転するとかほかの御商売をなさるとか、こういうことをお勧めしたいと思うのですけれども、まだほかにお店をやるのはもうこれ以上考えられないので、ほかに勤めを持ちたいというお話もございますれば、しかるべきところに御相談申し上げまして検討させていただきたいと思います。
  143. 玉城栄一

    ○玉城委員 先ほども少し申し上げましたけれども、これは開発庁の方にお伺いしたいのですが、この交変に伴ってこのように営業が成り立たない、あるいは営業収入が激減したということで、どんどんどんどん解雇しているわけです。これは御存じのとおり、沖繩の場合完全失業者二万九千名、完全失業率六・八%、全国平均二・二の三倍強です。しかもこの交通方法変更という国の事業によって失業者か出てきているということについてどのように実態把握しておられるか、お伺いいたします。
  144. 亀谷禮次

    亀谷政府委員 いま率直に申し上げまして、七月三十日の変更後のいわゆる完全失業者の状況の中に交変関係がどれだけ影響あるかということは調べておりません。ただ新聞その他、現実にはいろいろな話を聞いておりまして、そういった問題もあるということは十分承っておりますが、先生も御案内のように、沖繩の失業率自身の問題は六%を超えるという、いわば駐留軍離職者及び若い人たちのUターンを含めた構造的な問題がその大部分を占めていることだと思いますけれども、そういった問題も十分念頭に置いて今後の状況に処してまいりたいと思っております。
  145. 玉城栄一

    ○玉城委員 時間がございませんので最後に一点。  これは三島さんにお伺いしておきたいのですが、ケース・バイ・ケースということについてもまだあいまいなんですが、三島さんの考えておられる方法で私がいま申し上げる地域はどのように対処されようとするのかお伺いしますか、さっき申し上げました那覇市の国際通りの市街バス停留所ですね。これは四、五百名の方が全く逆に移っている。従来の下り線の場合の商店の並びは、食料品店とか喫茶店とか本屋とかレコード店とかラーメンの店とか雑貨店とかおかずの店、要するに仕事を終わって家に帰るときに買い物をして帰るという客を主体にした、そういう下り客用の商品形態の店ですね。今度はこれが逆になりまして、上りになりますとこれは仕事に行く人、そういう買う人はほとんどいないわけです。今度は、道の反対側の方はミシン店とか電気店とかそれから文房具店とかそういう形態が違うわけですよ。そこで客は全く向こうに行ってしまった。向こうは、来て実際は困っている。困っているというよりは、そういう形態になっていないのですから、こういう場合はどのように対処されますか、おっしゃっているケース・バイ・ケースというのは。
  146. 三島孟

    ○三島政府委員 やはりそれぞれのお店によりまして今後どうするか、それぞれお考えだろうと思いますし、私どもは個別に一つ一つ御相談を受けまして、やはり今後の方向について個別に検討していきたい、こう思っております。
  147. 玉城栄一

    ○玉城委員 じゃ最後に。この問題は、現地の方では話が違うのじゃないかということでいま非常に重大な関心を持っておるわけです。長官は県の実態調査を踏まえて、それに基づいて政治的にも決断するものが当然出てくるだろうということをおっしゃいました。その中には当然われわれが受け取ったようなものも含まれているということを期待します。また、ぜひそのとおり実現していただきたい。  同時にもう一点は、この融資制度の中にも活用できない、たとえばこの店を何とか資金を投じて拡充して、営業を続けて回復をしていきたいという場合の資金の融資ができないようなシステムになっておるわけですね。この長期運営資金もこの特別融資の中には含めて、そういう方々が本当に生きられるような措置もあわせて御検討いただくようにお願いいたしますが、最後に長官のお考えを聞きたいと思います。
  148. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 公庫の融資の目的ですが、先ほど来亀谷さんがおっしゃったとおりですが、問題は設備をあれをするとか移転をするとかいうことですが、いま営業上の運営資金、こういう問題です。多少今後の制度と違うようでありますが、私は、やはり交変から来る問題であるとするならば検討を加えさせて、できるならば御指摘の点に沿うような努力をいたします。
  149. 玉城栄一

    ○玉城委員 以上です。
  150. 竹本孫一

  151. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 長官の時間が限られておるそうでありますから、長官に基本的な姿勢だけを十分くらいお伺いして、こっちから聞いてもらってもいいというつもりで、あとはほかの省庁にやります。  一つは放棄請求権の問題ですが、私が長官にいま質問するのは、戦争を起こしたつめ跡の問題なんだから、すべての国の責任で解決すべきだという観点に立っての質問です。放棄請求権というのは、当然アメリカが出すべきだったのをアメリカに対しては請求権を放棄した。だから当然のことながら放棄請求権は全額国が責任を持って補償すべきだと思うのであるが、どうか。これは基本姿勢なんですよ。放棄請求権というのは放棄されたから生まれたのであって、放棄しなければ生まれてこない。だから国として放棄請求権の問題を責任を持って全額補償するという基本方針でないといけないと私は考えているのですが、長官のこれに対するお考えをお聞きしたいと思います。
  152. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 御承知のように、水の問題というか海上の問題は解決をさせていただきました。残るのは陸上の問題でありますが、これは各省庁といま連絡をとりながら御期待に沿うような方法で煮詰めておるというのが現況であります。
  153. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いまの御答弁は国が責任を持つべきだというふうに理解しております。  それで問題は、六百六十一億円の漁業補償に対して三十億円を出しているが、それで打ち切りだといったような話があるのだが、これはまさか本当じゃないと思うのですが、見舞い金で出すのだといったような問題とか、これはそうであってはいけないということを私は考えております。全額補償すべきだ。  それともう一つは、陸上の補償についてせめて五十四年度の予算で誠意を示すためにも芽を出してほしい。この二つをお伺いしたいと思います。
  154. 亀谷禮次

    亀谷政府委員 ただいま長官からも御答弁を申し上げましたように、補償請求権のうちの、いわゆる漁業部分につきましては、私ども政府としましてはすでに解決済みである、こういうふうに申し上げておるわけであります。と申しますのは、先生も御案内のように、この事案についての調査の結果、被害の全体が明らかになりまして、度から特別支出金の一部として十億円をすでに交付する予定にしております。特別支出金の総額がいま先生の御指摘のように三十億円ということは予定をしておるわけでございますが、これはこの事案の調査及び関係者団体との調整をいたしていただきました防衛施設庁による現行漁業補償算定方法を準用して積算したものでございまして、この点につきましては、漁業関係する補償団体及び県を含めまして完全に合意に達しております。  それから漁業関係以外のいわゆる陸上事案でございますが、ただいま大臣からも御答弁かございましたように、十万件を超す膨大な件数でございまして、内容自身が終戦直後期のものが非常に多いために複雑でございますので、これらの事案につきましては、アメリカを含めて過去にとられた措置などもう少し解明する点もございますので、関係省庁による連絡会議をすでに年度当初からやっておるわけでございますが、県を初め参考人の方の御意見なども徴しながら御要請の項目に従いまして被害の実態、措置の要否をなるべく速やかに詰めたい、こういうことでございます。ただ、先生の御指摘のように、芽出しと申しますか、そういった基本的な方針及び整理が済まないままにという点にはなお若干問題もございますので、いま申し上げましたような点を極力速やかに詰めるということでございます。
  155. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これについては疑問点は相当ありますが、先に進みます。  次は、さっきもお話がありましたが、交通方法変更についての問題です。  きのう十七日の現地新聞に県企画調整部か調査した結果が載っているのです。これは「廃休業、移転三十件」この件は浦添、那覇、宜野湾、三市  の調査結果が県からのものとして載っておるわけです。私は基本的に、ケース・バイ・ケースというのじゃなしに、これも国の政策に協力したためにやはり損害が出たということになれば、国が責任を持って補償すべきである。融資と言っても後で返さぬといかぬでしょう。ところが金を借りることもできないというふうな、もうこれにも内容をちゃんと書いてあるのですよ。そういった意味でやはり長官として責任を持って、国の政策である七・三〇の交通方法変更について協力した人々に対しては、やはりそれだけの国の温かさが必要ではないか。そういう意味で基本的にやはり補助すべきだといったような考え方があってしかるべきだと私は思うのですが、長官いかかでしょうか。個々の問題は触れません。
  156. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 先ほども玉城委員に対して御答弁をさせていただきましたが、この前本当のところ、玉城委員から具体的な数字等で提示されまして、また私も大変申しわけないと思っておるのですか、その後これは何としても、私の基本的な考え方というのは、国の施策によって実行した、大変な御協力をちょうだいしたわけでありますから、やはり物心両面に御迷惑をかけないという基本的な姿勢で臨んでおります等々の関係から、この前も野島副知事が上京の折、私が、この問題についてはぜひひとつ国で調査をすべきであるけれども、それだけの調査の機能も有していないので、県の方でぜひひとつ協力をしてください、私の方でももちろん駐在員もおることでございますから、協力をさせますから、そうして実態調査把握を一日も早くしていただきたい、そうしてその結果事務当局とよく打ち合わせをしていただいて、やはり決断をすべきときには決断をしなければならぬ、こういう形でお願いを申し上げたわけでございますから、私の基本的な考え方というのは、いまおっしゃったように国の施策による変更であった、この基本的なものだけは忘れないつもりであります。
  157. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 次は、市町村道のつぶれ地の補償の問題です。これもやはり市町村当局に責任があるのじゃないですよ。日本軍が、それから米軍がというふうな、日本軍から米軍の占領支配に及ぶ長年にわたるつぶれ地が出た。一級、二級その他分けられておりますが、私はこれは市町村長あるいは市町村自治体か――十分の八なら十分の八を国がやって、そのほかは地方の自治体がやるというふうな考え方も、また格上げ方式とかいうふうなことではなくて、基本的にはそういったような戦争によって残されたつめ跡は、やはり国が責任を持って、この市町村道路によるつぶれ地の問題を解決すべきだというふうに考えているのです。長官もそういうふうに考えておられると私は思うのですが、これはどうなんでしょう。
  158. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 市町村道のつぶれ地の買収につきましては、基本的には用地を買収して工事を施行する。これは一般の改築の場合でございますけれども、この一般改築の場合の用地の買収と基本的には同じ性格。ただ、先生御指摘のように、その用地の買収のところが沖繩の場合特殊な事情によりまして欠落しておるということでございまして、したがいまして、幹線市町村道につきまして十分の八で補助するという現行沖繩における改築費の補助制度にならいまして、買収費の補助をすべきものというふうに私ども考えております。これによりまして、私ども来年度から実施すべく予算要求をいたしておるというところでございます。  ただ、ただいま先生ちょっとお触れになりましたように、市町村道や幹線市町村道から県道、あるいはその他市町村道から幹線市町村道への格上げというようなことによりまして、市町村の負担をできるだけ軽減したい、このように考えております。
  159. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 なるだけ長官を早目に解放したかったのだが、いまの問題、基本的にまだ答えになっていないのですよ。できるだけ市町村の負担を軽くしたいというふうなことではなくて、市町村に負担をかけるべきじゃないという見解、これは国がやったんだから、それを聞いているだけで、あなたちょっと待ってください、長官が出られるのか遅くなりますから。いわゆるつぶれ地という問題はほかの県にはないのですよ。沖繩県だけしかない。だから、この問題はやはり国が責任を持って解決すべきであるという一点だけをお聞きすればいいのです。
  160. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 大変簡単率直で、その返事だけでいいわけですけれども、問題は、沖繩は先ほど来も振興局長が説明をいたしましたように、他の地区と違って補助率も相当アップをしておる。ただ、後の問題について全額ということになりますと、開発庁だけで解決できるものでもないということですから、御指摘の点を踏まえて、もう一回特殊事情等を踏まえながら一応検討、というところまで言っていいのかどうかわかりませんが、事務当局の一番いやがるところは検討ということが一番いやだそうでありますけれども、せっかく御指摘がございましたので、特殊事情等とも勘案をしながら検討をしてみたい、こういうふうに思っています。
  161. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 長官にもう一点、これは簡単な質問ですから。実は伝統芸能の問題ですが、組踊りとかああいった三味線、その他の沖繩の伝統芸能、組踊りは無形文化財に指定されているのですよ。それで、この前植木国務大臣の時代に、いわゆる伝統芸能劇場の建設、これを国立劇場じゃなしに、国が補助して劇場を建設してほしい。これは芸能関係の一致した要求なんですよ。これに対して植木国務大臣は、これは沖繩の宝だけではなくて、国の宝であるので、「ただいま国費による劇場の建設という御意見がございましたが、私は、振興策全体の中で、いま御指摘のありました劇場の建設につきましては、担当省と協議をいたしまして、検討を進めてまいりたいと存じます。」もちろん大臣がおっしゃったように、検討には前向きもあるし、後ろ向きもあるし、横向きもあるのであれですが、これはいま大道具、小道具を置く場所すらないといったような状態にあるので、ぜひ国が補助してもらって劇場をつくってほしい。これは余り大きい場所は必要じゃないそうです。まあ五百人程度というふうな劇場があれば、いまの伝統芸能がもっと発展するというふうな状況なんで、植木さんもせっかくそう言われておるので、ぜひ長官としてもそれを今度は前向きに検討して要求に沿ってほしい、こう思うのです。
  162. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 いまちょっと事務当局から聞きますと、まだ構想がまとまっていない。所管は文部省ということでありますけれども、私はやはり伝統芸能というか、沖繩の芸能、文化を守るという意味から、構想がまとまるならば、検討ということよりむしろ進んで協力をするということをお約束したいと思います。
  163. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 じゃ、長官にはこれだけです。  次に、サトウキビの問題についてお伺いします。  私きょう沖繩から帰ったのですが、いわゆるキビ価格の問題について、沖繩総合事務局の農林水産部が十七日、昭和五十二年産サトウキビの生産費をまとめたのを発表されております。この中でトン当たり千五百九十四円も開きが出ている。すなわち、農家の粗収入手取りよりも生産費が十アール当たり一万二千百二十円、トン当たりで千五百九十四円の開きが出ている。ということは、農林水産部の調査に基づくわけなんです。お聞きしたいのは、いまトン当たり二万五千円要求しておりますね。パリティ方式を変えて生産費所得補償方式にしろということを要求して、皆さん、農林省あたりへすでに来ておると思います。時間が制限されているので、私が聞きたいのは、この農林水産部の調査によってすら、去年のキビ価格の決定からはみ出しているという調査なんですよ。これは両方の新聞に同じようなことが載っておるのです。タイムスは、トン当たり千六百円も開く、新報もドン当たり千五百九十四円も開きがある、これは事実、農林水産部の調査なんですから、また発表だから、推測ではないのですね。私が要望したいのは、これを踏まえまして今度決められるサトウキビ価格、このようなずさんな――パリティ方式はえてしてこうなるのですよ。こういったことではなくて、再びかかることのないように価格は決定してほしい。これは事実なんです。もう出ておるのです。この点お約束できるのかどうか。一遍決定される、来年はまた物価も値上がりして、今度は二千円も赤字を出すというふうなことでは、民生の安定どころか、甘味資源の確保の問題からいっても、これはどうにもならぬですよ。農林省はだれか来ておられますか。それを答えてください。
  164. 馬場久萬男

    ○馬場説明員 先生のおっしゃるとおり、昨日農林水産省におきまして、五十二年産のサトウキビの生産費調査の結果を発表いたしました。確かに、沖繩サトウキビの生産費調査の結果は、昨年の農家手取り価格として私どもが定めました価格を上回っております。しかし、先生も十分御承知のとおりと思いますが、この生産費調査というのは統計上の約束で、一定のサンプルの農家があるわけでございますが、その農家か目的とする生産物の生産のために消費される一切の経済活動というものを記帳させまして、それを出しております。しかし、私どもは従来からのサトウキビの生産費調査を見ますと、非常に振れが大きい。たとえば同じ調査の中にあります鹿児島県の生産費について、ことしと昨年とは非常に大きな差かある……。
  165. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 時間がないから、私、これを認めるか認めぬかを聞いているのです。
  166. 馬場久萬男

    ○馬場説明員 お答えします。  調査結果はそのとおりでございますか、価格の基礎とするには非常に変動か大きい数字でございますから、これはとりがたい、こういうことでございます。
  167. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 もう一点。こういった結果が出たということは、農家にとっても相当ショッキングなんですよ。あなた首振るが、あなた農業したことないんだから、キビつくったことないんだからわけがわからない。現地で調査して、新聞に意見が何も出ていないのですよ。全部農水部の調査なんです。だから、あなたに聞いてもしようがないと思うのだが、私、要求したいのは、上司に言って――事実上このような結果が発表されて、それで農家に聞いたら、実際そうだということになっている。これは実感です。リアルにそう受けとめている。だから、私の要望は、こういったことのないようなサトウキビ価格の決定の仕方を配慮してほしい。それがあなた方の農家に対する姿勢ではないかと私は思うのです。この点を聞いておるのですが、馬場さん、あなたのところかもしれないが、こんな問題答弁できるのかな。
  168. 馬場久萬男

    ○馬場説明員 サトウキビ生産者価格は私の方で担当しておりますので、私から答弁させていただきます。  先ほども申しましたように、調査の結果は私ども十分承知しておりますし、先生も御承知と思いますが、これは毎年発表しております。昨年の場合も、定めた農家の手取り価格よりも確かに高い価格で出ております。  繰り返すようでございますが、これは統計の手法によって計算された一定の生産費でございます。農家の実際の手取り価格を、砂糖の価格安定等に関する法律に基づいてパリティ価格を基準として定めるということは別のことでございます。これは分けてお考えいただいた方がよろしいかと思います。
  169. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 きょうはこの問題は深く追及する時間はありませんので、これは相当政治的にも考えなくちゃいかぬ問題なので、後でいろいろ質問したいと思います。  次に移ります。  これは防衛庁関係です。きょう、一〇四号県道を越えての演習、どんどん始まっていますよ。これは遺憾だと思うので、十四日に、私は那覇の防衛施設局へこの演習をやめさせるようにという抗議と中止要請を福田総理と金丸防衛庁長官に出したのですよ。これは届いているのかどうか、これからまずお答え願います。
  170. 高島正一

    高島政府委員 詳細承知いたしておりません。
  171. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 届いていないのですね。
  172. 高島正一

    高島政府委員 まだその報告は受けておりません。
  173. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 そのときに演習したのは例の御承知のキャンプ・シュワブ、ハンセンです。ところが、これは同じ海兵隊ではありますが、北部の国有林を全部基地にして、北部訓練場がありますね。そこで十年前から訓練しておるのですよ。その訓練の結果、二つ出ています。  一つは水源地を荒らす。水源地は新川ダムなんです。この新川ダムの真上がいわゆるごみ捨て場になっている。向こうはいわゆるジャングル訓練ですからCレーション、いわゆるアメリカの携帯口糧を持ってやる。これがなくなりますと、今度は生き残り作戦と申しまして、御承知だと思うのだが何でも食べる訓練だ。ハブも食べているでしょう。ネズミも食べている。そしてそのごみは全部捨てる。捨てるところがパイン農場の近くなんです。そこに動物の臓腑が捨ててある。カラスがいっぱい――これは毎日にも出ました。これは写真を見せましたが、防衛施設庁はこのはらわたは何だろうかというわけで、私はあなたに聞いているのだよと言っておきましたが、委員長この写真をとうぞ。――この件について直ちに調査した上で、ぜひそういうごみがそこに山のように積まれぬような方法をとる。これは水源地の確保の問題だ。  それからもう一つはパインの被害。これも調査しに行くという約束をしました。これは九月に写したものです。いまでもまだそこでやっている。この点についてお伺いしたいのは、那覇防衛施設局ですか、こういった点についての報告はございましたか。
  174. 高島正一

    高島政府委員 御指摘のように十月十四日、先生から強い抗議のお申し入れがございましたので、翌々日の十六日、私どもの方としましては相当規模の調査員を派遣いたしました。担当課長外四名でございます。そのほかに地元から東村の職員、高江の区長それから米軍から関係者二名が現地に向かいまして調査実施いたしました。しかしながら、この調査の結果では、先生の御指摘のような空きかんや臓物は見当たらなかった、こういう報告に接しております。ただカラスが相当集まっているということは事実のようでございますので、米軍に対しましては、やはりごみ処理方法の改善を考える必要があるのではないか、そういう問題を起こすことか問題であるということを申し入れまして、米軍もそれを了といたしまして本日、十八日でございますか、米軍が衛生担当官を現地に派遣いたしまして、当該施設の移動その他改善方法について検討をし、結果をわが方に報告する、こういう状況でございます。
  175. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 十五日の現地の新聞に出たのですよ。そして、きのうの話ですが、すぐブルドーザーを持っていって全部穴に埋める作業をやっているわけです。ところがきょうの電話で聞いたら、またまた捨てている。それでパインの被害が幾らになっているか御存じですか。
  176. 高島正一

    高島政府委員 私どもの現在までに受けておる調査報告では、そのような被害はないということでございます。
  177. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 ここに十二名の被害者――実は十年前からだったらしいのです。私も不思議で聞いたのですよ、どうしていままで黙っていたのかと。アメリカはこわいと言う。こわいだろう、あれはこれを持っていますから、まさに戦争の準備ですから。こういった被害があってもどうにもならぬのだ。それで十年前からの話ですが、昭和四十三年から五十三年までの被害の調査の結果を十三名分出しているのですよ。この人たちに聞いたら調査に来ておらぬと言う。実際に被害を受けた人たちに対して来ていないのだ。これは約一割の被害を受けている。あのパインを食いつぶしている。パインだけではなしに、パインの芽も食っているのですよ。これで大体、全部で四万四千キロ、パインの平均価格は一キロ四十九円、これは一級、二級、三級、格外とありますが、平均すれば一キログラム四十九円になるのです。これで計算するに、二百十五万六千円になっている。あなた方は、現に調査しておらないのですよ。これはきのう私のところへ来たのですよ。私はこの前九月に行ったのは、そういう話を聞いて、何とかしてほしいというものだから、あの写真を写してきたわけです。損害については後でまとめるというので、きのうまとめてきたのです。那覇の防衛施設局からは調査に来ておらぬ。そういった該当者の調査をやっていないのです。これもおかしなことですが、安保条約なんというものはどんなものであるか、アメリカがやったしりぬぐいを国民の血税で損害賠償しなくちゃいかぬという制度でしょう。それでも、損害を受けておるわけなんだから、これについては十分調査の上損害補償すべきだと私は思うのですか、どうなんですか。
  178. 高島正一

    高島政府委員 当該パイン畑が約二十一ヘクタールございまして、所有者、経営者か十九名だということは承知いたしております。防衛施設庁の基本的な立場といたしましては、調査の結果、米軍の行為に直接起因する被害があった場合には、これは賠償措置を講ずる、こういうことは当然でございます。しかしながら、いま申し上げたような、原因、結果、いわゆるこの因果関係が確立しておるかどうか、この辺を十分当該十九名の方々とこれからお話し合いをいたしまして、その結果によって措置いたしたい、このように考えておる次第でございます。
  179. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この人々は、あなた方の職員に一人も会っていないのです。ですから、これを十分調査されて、当然損害は補償すべきだと思うので、この点は早速向こうに指示されて、農民の要求に十分応ずるようにしてほしい。  さらにごみの問題ですか、あれは新川ダムのすぐ上なんですよ。行きましたが、あなたは行ったことがないはずですね。大変なんです。まだやっている。あれはうそだよ、現実にこっちに来ているのですから。この連中は、月に五回ぐらい来る。常住しておるのが二十名ぐらい。それから、どんどん演習に入れかわり立ちかわり来る。そういう来るたびに、レーションなんかをやるたびにカラスが数百羽集まってくる。これは沖繩だけしかない、実に大変な農民に対する被害です。だから、安保条約とかこれに基づく訓練というものがどのように直接被害を与えるかということがこれではっきりしますよ。写真はこっちが写したんだから、あなた方も写真を写すべきなんです。本当は。あの臓腑は何の臓腑ですか。これもまだ調査していないんですよ。私に聞いているんですよ、何の臓腑でしょうなんて。私がわかるか、あなた方に調査してくれということを言っているんだろう。まだ調査しておらぬでしょう。イノシシらしいんですよ。向こうはイノシシがおるんです。十分調査して、絶対に訓練によって被害を与えないということをここで約束してもらいたいと思いますね。
  180. 高島正一

    高島政府委員 先ほども申し上げましたように、私どもの方としては相当大規模な調査員を派遣いたした結果を御報告申し上げたわけでございます。しかしながら、ここに現実にこういう写真があるわけでございますので、この点についてもなお今後究明いたしたいというふうに存じます。  なお、そういった被害を与えないということについては、先ほども御答弁申し上げましたように、米軍は本日担当衛生官を派遣いたしまして、その善後措置を講じて結果を報告するということになっております。その結果を待って先生の方にも御連絡させていただきたい、かように思う次第でございます。
  181. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 時間か参りましたのでやめますが、要望だけしておきます。  新川ダムは水源なんだか、雨が降るたびに汚水が全部流れてくるわけです。しかも飲料水です。あれは水がめです。これに対して、あれをブルドーザーで全部なくする。あなたが調査に行った前になくしたんだが、またやっている。これが雨が降るたびにダムに流れ込んでくる。実に危険だ。これはあの東村だけの問題じゃないんですよ。だから、この汚物の処理の問題は、決して水源地に場所をやらないという点もはっきりアメリカに確約させて、それを実行してほしい。現地の人々は、銃を持っておるからこわいものですから、その点はあなた方がやらないと、国民の命をだれが守るかということになって、ますます激高しますから、その点強く要望しまして、質問を終わります。
  182. 竹本孫一

    竹本委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  183. 竹本孫一

    竹本委員長 この際、御報告申し上げます。  本委員会に参考送付されました陳情書は、沖繩県市町村買収道路用地補償等に関する陳情書外五件であります。     ―――――――――――――
  184. 竹本孫一

    竹本委員長 次に、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。  沖繩及び北方問題に関する件について、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ看あり〕
  185. 竹本孫一

    竹本委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  次に、閉会中委員派遣に関する件についてお諮りいたします。  閉会中審査案件が付託になり、その審査のため委員派遣の必要が生じました際には、委員長において、議長に対し、委員派遣承認の申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  186. 竹本孫一

    竹本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、派遣委員の員数、派遣期間、派遣地、その他所要の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  187. 竹本孫一

    竹本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  また、閉会中審査におきまして、参考人より意見を聴取する必要が生じました場合には、参考人の出席を求めることとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  188. 竹本孫一

    竹本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。本日は、これにて散会いたします。     午後二時八分散会