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1978-03-31 第84回国会 参議院 予算委員会第二分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年三月三十一日(金曜日)    午前十時五分開会     —————————————    分科担当委員異動  三月三十日     辞任         補欠選任      安恒 良一君    目黒朝次郎君      対馬 孝且君     松前 達郎君      矢追 秀彦君     太田 淳夫君  三月三十一日     辞任         補欠選任     目黒朝次郎君     竹田 四郎君      松前 達郎君     久保  亘君      太田 淳夫君     矢追 秀彦君      栗林 卓司君     向井 長年君     —————————————   出席者は左のとおり。     主 査         中村 太郎君     副主査         竹田 四郎君     分科担当委員                 浅野  拡君                 岩動 道行君                 下条進一郎君                 久保  亘君                 松前 達郎君                 太田 淳夫君                 矢追 秀彦君                 向井 長年君    国務大臣        大 蔵 大 臣  村山 達雄君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       熊谷太三郎君    政府委員        科学技術庁計画        局長       大澤 弘之君        科学技術庁研究        調整局長     園山 重道君        科学技術庁原子        力局長      山野 正登君        科学技術庁原子        力安全局長    牧村 信之君        大蔵大臣官房審        議官       米里  恕君        大蔵省主計局次        長        山口 光秀君        大蔵省理財局長  田中  敬君        大蔵省証券局長  山内  宏君        大蔵省銀行局長  徳田 博美君        大蔵省国際金融        局長       旦  弘昌君    説明員        警察庁刑事局保        安部保安課長   柳館  栄君        中小企業庁計画        部金融課長    松尾 成美君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○副主査補欠選任の件 ○昭和五十三年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和五十三年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和五十三年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 中村太郎

    主査中村太郎君) ただいまから予算委員会第二分科会を開会いたします。  分科担当委員異動について御報告いたします。  昨三十日、安恒良一君、対馬孝且君及び矢追秀彦君が分科担当委員辞任され、その補欠として目黒朝次郎君、松前達郎君及び太田淳夫君が分科担当委員選任されました。  また、本日、目黒朝次郎君及び栗林卓司君が分科担当委員辞任され、その補欠として竹田四郎君及び向井長年君が分科担当委員選任されました。     —————————————
  3. 中村太郎

    主査中村太郎君) 副主査補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い、現在副主査が欠員となっておりますので、この際、副主査補欠選任を行いたいと存じます。  副主査選任につきましては、主査の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中村太郎

    主査中村太郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、副主査竹田四郎君を指名いたします。     —————————————
  5. 中村太郎

    主査中村太郎君) 昭和五十三年度総予算中、科学技術庁所管を議題といたします。  それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 松前達郎

    松前達郎君 科学技術庁予算に関連いたしまして若干の質問をさしていただきたいと思うんですが、長官にお伺いいたしますけれども、今日までのわが国経済発展、これはもう目覚ましい発展をしてきたわけなんですが、あるいはまた今後の日本にとって、資源ですとかエネルギーの問題、これが非常に重要な意義を持つんじゃないかと私思うわけなんですが、これに関して長官の御意見をお伺いいたしたいと思います。
  7. 熊谷太三郎

    国務大臣熊谷太三郎君) 全く御発言のとおりでございまして、エネルギー等主要資源の乏しいわが国におきましては、安定的な成長と、国民の生活の質を向上いたしますために、この科学技術の果たす役割りはきわめて重要であると考えておるわけでございます。このため政府としましては、従来から積極的に科学技術の振興に努めてまいってきたことは言うまでもありませんが、今後とも長期的な観点に立ちまして、資源エネルギー、環境、安全等国中心となって推進しなければならぬと考えられる分野研究開発を積極的に推進してまいりたいと存じます。  さらに、いわゆる基礎研究充実を図ることによりまして、このわが国自主技術開発の促進を図りまして、技術革新を通じまして、将来のわが国経済発展にさらに資してまいりたいと、このような考えでございます。
  8. 松前達郎

    松前達郎君 いま長官から、今後の問題について、その方向についての御答弁があったわけでございますが、経済発展にとって、今日までその原動力となってきたのは、経済的な利潤だとか、そういうふうな問題の表面的な問題ではなくて、その基本的な問題としてこの原動力になったのは何であるか、この辺について長官どうお考えになりますでしょうか。
  9. 大澤弘之

    政府委員大澤弘之君) お答えいたします。  科学技術分野で、従来から多少一般的に言われております点では、やはり日本経済成長原動力になりましたのは、革新的な技術日本に早く定着をさせた、その革新的な技術というもののかなりの部分は、導入技術によって得たというふうなことが言われておるかと思っております。
  10. 松前達郎

    松前達郎君 技術革新が、今日までの経済発展に相当大きな基礎的な寄与をしたということは、これはもうだれでも認めているんだろうと私思うんですが、いまお話があったように、輸入技術というのが非常にその主流を占めておったわけなんですが、特許にしろ何にしろ、これから先は外国から簡単にそのノーハウを輸入できるような状態でなくなりつつある、これが現状だと私思っておるわけでございます。ですから、われわれとしては、今後新しい技術革新、いわゆるわれわれの力による独創的な技術開発という問題が、やはり大きな重要な課題となってくるだろうと私思っておるわけでございます。先ほど申し上げましたようなことで、やはりエネルギーがほとんど日本にはございませんから輸入しなきゃならない、そういう状況でございますから、このエネルギー問題が非常に重要な課題であるということも、これも周知の事実でありますけれども、これに関連いたしまして新エネルギー開発、これについてちょっとお伺いをいたしたいと思うんです。  原子力エネルギー平和利用分野原子炉中心とする発電、これについてはいろいろと論議をされております。これはまた別の機会に御質問いたしたいと思うんですけれども、きょうは、石油にかわるエネルギーというのは何も原子力だけではないわけでございますから、この石油にかわるエネルギーとしての新しい原子力以外のエネルギー分野について、これが将来、特に自然エネルギー開発等わが国にとって補助的手段としては非常に重要な課題になってくるんじゃないか、こういうふうに思うわけです。  そこで、科学技術庁の現在の新エネルギー開発への取り組み方、これについてどういうふうなお考えで、どういうふうにしようとされているのかお答えいただきたいと思います。
  11. 大澤弘之

    政府委員大澤弘之君) ただいま先生お話ございましたように、補助的手段として自然エネルギー開発日本でも大いに進めていかなきゃならないということは、私どももまことにそのとおりかと思っておりますし、科学技術庁におきましても、自然エネルギー利用につきまして従来から関心を持ってきておるところでございます。ただ、国全体のことで申しますと、エネルギー研究開発はいろいろ多岐な分野にわたっております。それぞれ各省庁でのつまり持ち分といいますか、従来から研究開発にいそしんできた路線というものがございまして、科学技術庁におきましては原子力主要分野ということで、エネルギー研究開発分野では原子力大変力を入れておったわけでございます。しかし、自然エネルギー分野につきましては、むしろサンシャイン計画ということで、通産省がかなり研究開発につきまして大きな分野を担当して進めてきておる、こういうのが現状でございますが、科学技術庁としましても、自分たちのできますところでは一生懸命にやりたい、こういうことで、三十年代の後半には実は地熱エネルギー利用につきましてある程度のことをやったこともございます。それから、いわゆるエネルギー危機というような状況になります前につきましては、太陽熱を冷暖房に使っていくということについての実証調査をいたしますとか、あるいは海洋エネルギー海洋研究開発を実施いたしておることがあるものでございますので、波力エネルギー利用する波力発電研究開発に取り組み出すとか、あるいはまた、最近風力利用に関してどうかというようなこともございますので、本年度五十三年度から、きわめて小風力ということでございますけれども、これにつきましての実証調査を始めたい、こんなふうに考えておるわけでございまして、全体、そういうようなことで、自然エネルギー利用ということにも積極的に取り組んでまいっておるというふうに思っております。
  12. 松前達郎

    松前達郎君 自然エネルギー利用、これはわが国開発できる唯一のエネルギー源ですから、ひとつこれも積極的にどうか行っていただきたいと私思うわけですが、この自然エネルギーの中には太陽熱ですとか、これはいまサンシャイン計画、通産がやっておるということでございますが、どうも行政的に言って、各省でそれぞれなわ張り争いがあるのか何か知りませんが、とにかくばらばらにこういった研究あるいは開発体制がしかれている、これをやはり何とか一本化して、総合的に対策を進める必要があるんじゃないかと私は思うんですが、太陽熱、さらに地熱の問題、あるいはいまお話ございました風力の問題、これもまあ、大体風力というとみんなばかにしてなかなか取り扱わない問題なんですが、しかし、地球が回転する以上気象の関係風力が必ずあるわけです。それともう一つは、海洋国家ですから潮力の問題、こういったような自然エネルギー開発が今後やはり真剣に取り組まれていくべきだろう。その中で、特に科学技術庁がやるべき分野としては、いわゆるプラントをつくるとか、そういうことではなくて、開発に関する基礎的な技術研究をやはり科学技術庁がやるべきではなかろうか、私はそういうふうに思っておるわけでございます。海洋開発に関しては何もエネルギーだけではなくて、資源の問題、たとえば海底のマンガンの問題ですとか、その他地下——地下といっても海底ですが、その資源問題等もありますし、海水中に含まれているエネルギー、あるいはその他鉱物質の問題もあるわけですが、例をたくさん私いろいろと調べてみたわけですが、その例は非常にたくさんあるわけです。たとえば風力が、そのエネルギー産業関係者はどうもばかにして、なかなか小さな出力なものですから相手にしないわけなんですが、これだけとってみても、マルチダリウス型の風車というのがあるのですが、これを可能な限り設置した場合、陸上、大陸だなを含めて考えますと、これは計算ですけれどもわが国ですと四百八十四億キロワットの潜在的能力があるんだと、この計算どおりいくかどうかは別としまして、こういうふうなことであれば、昭和五十年度のわが国電力消費量の約一〇%ぐらいに当たる数字ではないかと、こういうふうに思うわけなんで、やはりこういった細かい面まで考慮して総合的に自然エネルギー開発が行われるべきじゃないかと私は思っておるわけです。それと同時に海洋の問題、これもまた非常に重要な問題、この海洋の問題を一つ取り上げてもまだやることは幾らでもあるわけなんです。従来までは日本海洋開発というのは、海洋国といいながら規模が非常に小さい。たとえば、フランスあたりになると非常にやっておるわけですが、新海洋時代に対処する科学技術というのは非常に劣勢であったと私考えておるわけです。水産資源の面を余り強調され、それもとる技術ですね、魚をとることばかり一生懸命やってふやすことをやらなかった。こういった水産資源の問題だけがどうも海洋問題だというふうにいままで考えられておったのが、どうも二百海里時代に入ってから、そうではないんだ、大変な問題なんだということになりつつあるわけですが、いままで昭和四十年代からの海洋関係ブームですね、海洋ブームと言われたけれども、これは単なるかけ声だけであって現実に手を下していなかったんじゃなかろうか、こういうふうなことを私考えております。長期的な立場から、しかも国際的に発言力があるようなこういう政策なり計画をここで打ち立てなきゃいけないんじゃないか、こういうふうに思うわけですけれども、どうも科学技術庁の今回の予算案見ますと、海洋関係非常に少ない。原子力宇宙開発には相当の予算をつぎ込んでおられるわけですが、海洋開発関係しては大体三十億程度である。けたが一つ違うわけでありまして非常に私残念だと思うんでが、この点についていかがでございましょう。
  13. 園山重道

    政府委員園山重道君) お答えいたします。  先生指摘のように海洋開発、四十年代に非常なブームがございましたけれども、若干これが冷めたような感じがございます。しかし、また新たに二百海里時代ということで非常に着目をされておりますし、特にわが国海洋国と言われているわけでございますので、私どもといたしましても海洋開発というものを大いに推進しなければならないと、このように考えておる次第でございます。  先生指摘のように、いまほかの原子力宇宙等に比べますと三十億円ということで少し規模は小さいわけでございますが、私どもは五十二年度、今年度の予算が十七億円程度でございましたのを、非常に予算一つの大きな重点といたしまして五十三年度の予算案では三十億円余りというものを計上さしていただいておるわけでございます。約倍に近い、八〇%以上の増大ということでございまして、やはり一挙に何倍にもということになりますとなかなか実質の方が追いつかないということがございますので、当面五十三年度におきましては飛躍的に増大さしていきます第一段階としまして約三十億円という計上をいたしたわけでございまして、行います中身も、海洋科学技術センターというのがございますので、ここを中心にいたしまして二千メートルまで潜水可能な潜水調査船建造でございますとか、あるいは人間がもぐっていきます潜水作業大陸だな等で必要な三百メートルまでに延ばしていくとか、あるいは先ほどお話もございましたが、波の力を利用いたしまして発電をする、あわせて波を消すということで消波発電と言っておりますが、こういった技術研究開発ということを進めておるわけでございまして、今後とも十分海洋開発について努力をしていきたいと、このように考えておるところでございます。
  14. 松前達郎

    松前達郎君 五十二年度に比較すると一五〇%ぐらいだと思うんですが、相当の上昇を見ているのだと、こういうことをおっしゃっておるわけなんですが、絶対値がやはりどうしてもこれじゃ話にならないのじゃないか。たとえばことしの予算案を見ましても、海洋科学技術センター潜水船ですね、潜水調査船建造に関する費用、これが非常に大きな分野を占めておるわけで、これを除いて考えますと昨年から見ても一一五%程度にしかならない。これは計算の仕方によってはいろんな見方があると思いますが、さらにこれらについても今後ひとつ努力をしていただきたいと思うんです。まあ予算請求というか、予算案の大元締めになる予算請求のときにどのぐらい大蔵の方に請求されたのか、これはわかりませんけれども、これも十分説明、理解をとり、今後この予算もふやしていかなければいけないんだろう、私はそういうふうに思っておるわけでございます。  そこで、先ほどからいろいろと申し上げたんですが、さっき風力の例をちょっとここで出しましたけれども、たとえば現在実用的に稼働している自然エネルギー利用、たとえば太陽熱利用とか、あるいは風力ですとか、あるいは潮力、これは潮力あたりですとフランスあたりが非常に熱心にやっておるわけなんですが、こういったものを見てみますと、外国の例を挙げてみると大体実用化時代にどうも入っているんじゃなかろうか。特に太陽熱に関しては、基礎研究段階は大体終わりつつあって実用化時代に入ったのだと、こういうふうに言われておるわけなんです。そういうことから考えますと、どうも日本の姿勢というのは非常に立ちおくれている。とにかく石油が安く手に入るからということでそればかりに依存する。しかも石油が将来非常に枯渇する可能性がある、あるいは石油の価格が上がる可能性があるから電力生産費が高くなるのだと、そうすると経済に大きな影響を与えるから、それも含めて原子力に切りかえていこう、こういうふうな考えだろうと思うんですけれども、あらゆる手段を尽くしてわれわれがエネルギー開発をやって、それでもなおかつエネルギーそのもの不足を生じる、たとえば電力不足を生じる、そういう段階になれば、これは原子力に頼らざるを得ないということは考えられるわけなんですが、やはりここで、われわれの持っているエネルギー源に対する利用の問題はやはり真剣に取り扱わないといけないんじゃないか。恐らく私は、これは相当やりますと地熱だって一千万キロワットぐらいの開発の余地があるわけであります。全部合わせてみますとばかにならない数字が出てくるのだろうと、結論が出てくるのだろうと私は思うんです。よく、経済ベースで言うと一キロワット当たりの生産費がどうのこうのと言いますけれども、いままでどうもそういったような考えばかり横行しておりまして、なかなか将来の問題考えない、これがわれわれの欠陥だったんじゃないかと私は思うんです。五年以上私はおくれている、こういうふうに思っておるわけでございます。例を挙げる必要はないと思いますが、フランスあたりですと、潮力ではもう二十四万キロワット、これはブルターニュ地方にありますけれども、これは実際に商用電力をつくっておるわけですね。日本の場合残念だがどこにもない。商用電力の場合はいままでありませんから、地熱が多少やっておって五万キロワットぐらいのが稼働し始めようとしている、こういう段階だろうと私は思うんで、この点ひとつ十分御配慮いただいて、予算を取るときもがんばってひとつ取っていただきたいと私思うわけでございます。  そういうふうなことで、エネルギー資源問題というのは基本問題であるということは、これはもう十分御承知のとおりでありますが、こういった問題が、どうも新しい開発研究を行う場合、非常に先行きが見当がつかないものですから、あるいは物すごいリスクがあるんじゃないかという、そういう考え方が常に頭に浮かぶわけなんですね。ですから、当然こういう開発については企業はそう積極的にはやりたがらない。しからば、じゃどこがやるかといいますと、やはり国の段階でこういった開発研究、特に基礎となるようなものについては力を入れてやっていかなきゃいけないんじゃないか、私はそういうふうに思うわけなんです。  そこで、これは長官にお伺いしたいのですが、資源エネルギー開発に関する技術研究所みたいな総合的なものを科学技術庁所管の中におつくりになる意思はないのかどうか、それについてちょっと。
  15. 熊谷太三郎

    国務大臣熊谷太三郎君) 先ほどから自然エネルギーの問題、特に海洋研究という問題、あるいは民間ではどうしても経済的な関係から十分な研究開発が困難だから、政府がもっと力を入れるべきじゃないかというような、いろいろな御意見ございましたが、一々ごもっともでございまして、特に海洋関係あるいは自然エネルギー関係につきましては、五十四年度に関しましては十分力を入れて一層この充実を図ってまいりたいと、このように考えます。  それから、いまおっしゃられました最後の問題でございますが、これはいまここで、あるとかないとかちょっと確答はできかねますが、十分ひとつ御発言の内容を検討いたしまして善処いたしたいと、このように考えます。
  16. 松前達郎

    松前達郎君 いま新しい研究所構想がないのかということを御質問申し上げたんですが、これはもうぜひとも、こういったエネルギー関係を基本的に取り扱う総合的な研究所ですね、これをぜひともつくらなければいけないというのは、これは何も私がここで思いつきで申し上げたわけじゃなくて、たとえば日本学術会議の五十二年十一月二十一日の勧告にもこれに類したものがあるわけですね。「鉱物資源エネルギーに関する研究センター設立について」という勧告が出されていると思うんです。それからさらに「エネルギー工学研究所設立について」も勧告が出されていると私は思うんですが、こういった審議機関といいますか、日本学術会議あたりでも、十分検討した上でこれの必要性を痛切に感じておられたのでこういうふうな勧告になったんだと私は思うんですが、それと同時に、私もかつて科学技術会議関係をしておりましたけれども、この中でも、恐らくこういった強い要望が出されているはずであると私は思うわけなんで、ぜひこういった研究所、あるいはセンターでも結構です、そういうものを設立する必要があるんだと私は判断をいたしておりまするので、どうかその点ひとつ今後強力に御推進いただければ幸いだと私思っております。  エネルギー関係非常に重大な問題なんですが、どうもハイライトではありませんので、特に原子力ハイライトかもしれませんが、こういった自然エネルギーについてはいままで論議が少なかったような気もいたしましたので、これについて御質問申し上げたわけなんですが、さらにもう一つ、この予算案に関連いたしまして防災関係のところですね、防災科学技術の推進という項目があるわけです。特に最近、比較的大きな地震が発生をしておるわけなんで、地震予知の問題ですね、これについていろいろと論議をされておるわけなんですけれども、私はある雑誌でこういうのを見たんです。たとえば地震予知に関して地電流——大地電流ですね、大地電流を測定すると、地震が起こる前の日とか一定の時間前に地電流の大きな変化が見られるんだと、しかもこれを木を使って測定している人がいるんですね。これが果たして決定版になるかどうか、これは別といたしまして、こういう予知に関するいろいろな情報ですとか、あるいはナマズが騒ぐとかいろいろなことがあります。自然界異常現象異常行動があるんだとか、中国あたりはそういうデータを集めて地震予知に使っているという話もございますし、いろいろな地震予知に関しては情報があるはずなんですね。あるいは、地下水の上下の問題ですとか、そんないろいろな方法がある。まあそれが、どれが決定版ということはないんですが、そういったことについてもやはり相当広く——木を使って電流を測定したのはこれは科学的じゃないとか、あるいはナマズが騒ぐのはこれは科学的じゃないなんということじゃなしに、やはり相当広くこういう情報を集めなければいけないんだろうと私は思っておるわけです。そういう面から考えても、やはり地震に関して予知研究という項目がございますけれども、これは相当調査を広範囲にして、いままでどういう人がどういうことをやって、どういうふうな結果が出ているのかということまで含めて、相当大きな範囲でもって調査をしなければいけないだろうと私は思うんですけれども、そういうふうな調査はこの中に入っておりますかどうか。
  17. 園山重道

    政府委員園山重道君) 先生指摘のように、非常に、ナマズでございますとか、あるいは地下水その他多くの前兆現象が地震の前にはあるということが言われておりまして、中国におきましては非常にこれを活用しているという話も伺っております。わが国地震予知につきましては、先生御承知のように、まだ予知技術が確立したという段階ではございませんので、多分に学問的研究段階にあるわけでございますので、現在日本地震予知研究ということは、文部省にございます測地学審議会におきまして、学者の先生、専門家の方々の御意見によりまして地震予知研究計画がつくられております。これはいつも五カ年計画でできておりまして、現在は第三次五カ年計画の最終年度に入ろうとしているところでございますけれども、したがいまして政府側といたしましても、この学者の方々、専門家の方々の御意見が集約されました測地学審議会の建議というものに沿って大体の計画が進められておるわけでございます。  で、現在まではやはり測量でありますとか、地震計でありますとか、傾斜計でありますとか、いわゆるそういう機械を使っての観測というものが中心になってきているわけでございますが、先生指摘のように、中国における経験等で、そういったそのほかのいろいろな現象も調べなければならないという機運が大分盛り上がってまいりまして、現在文部省におかれて、魚その他の地震等による刺激にどう反応するかという研究が行われておりますし、また私ども科学技術庁といたしましても、地下水の水位に関しまして民間の方で非常に熱心に観測をしておられるグループ等もございますので、こういったところを使いまして、民間の情報というものをどう集めていくか、またこれが実際にどういう効果があるかというような研究を始めたところでございます。まだ額はわずかでございますが、今年度もすでに科学技術庁といたしましては約六百万程度の支出をいたしておりますし、来年度もこれを継続するつもりでございます。何分にもまだ地震予知そのものが確立されたという段階ではございませんので、当面は非常に地震の危険性が言われております東海地域にいろいろ観測機を集中しておりますけれども、今後できるだけそういったそのほかの自然の諸現象というものについての調査も進めていきたいと考えております。
  18. 松前達郎

    松前達郎君 総合的に幅広いひとつ調査をしていただいて、まあいまの地震計とかそういうものは、観測ですから結果を知るだけであります。それと、そのほかにどういう変動との関連があるかという問題についても、できるだけ早く大体の線がつかめるような方向に向かって努力をしていただきたいと思うんですけれども先ほどから申し上げておりますが、どうも日本科学技術に関する行政とか、そういうものを見ますと、どうもばらばらにやられておるのが非常に多いんですね。たとえば、これは原子力の問題は触れないと申し上げましたけれども原子力の安全性の研究などといっても、これは日本原子力研究所原子力工学試験センターと、それから電力中央研究所、このあたりで研究が行われているんだと思うんですけれども、これについてもどうも研究の重複ですとか、そういう分散、こういうものが非常に多いんじゃないか。やはりどこかでこれをまとめて、むだがないように、しかも、二つ合わせれば二になるんじゃなくて四ぐらいの力になりますからそれ以上の力になるんで、そういったような総合的な取り扱いができないものか、そういうふうに私は考えたものですから、先ほど開発に関する技術研究所、あるいはセンターみたいなものをつくったらどうかと申し上げたわけなんですが、それと同時にもう一つ、大学もこれは頭脳たくさん持っているわけなんですね。まあ科学者というのは往往にして自分の説を曲げなくて、がんこなのがあって困る場合もあるんですけれども、しかしそれぞれの分野では専門家であるはずですから、こういった頭脳集団である大学の力といいますか、こういうものも今後引き込んでいって、総合的にまとめていけるような、研究を推進できるような体制をつくっていく必要があるんだと思うんです。こういうことで、その今後の問題解決に対する基礎研究も含めた研究については、どうか大学も利用していただく、あらゆる研究機関を総合して、これはもう科学技術庁のやり方がかぎだと思うので、その辺もひとつお考えいただきたいと思うわけでございます。まあわが国にとっての非常にじみではあるけれども、将来の問題としては、基礎的に恐らく将来を左右するに近いような問題だと私は思いましたのできょうここで質問さしていただいたわけなんですが、エネルギー資源問題について、今後もひとつ十分に努力し、積極的に取り組んでいただきたい、かようにお願いしまして質問終わらしていただきます。
  19. 竹田四郎

    竹田四郎君 私の考えていることと松前さんの考えていることは、全く実は同じでありまして、長官に私まず伺いたいと思うのですが、いままでの高度成長の過程というものを考えてみますと、やはり技術革新の果たした役割りというものが大変大きい。これは日本の高度成長の一翼を担っていたと言っても過言ではないと思います。松前先生の専門家からのお話がありましたように、いまや外国から輸入するところのノーハウ、技術というものは私はだんだん減ってきているというふうに思うわけです。ところが日本経済の将来というものを考えますと、いまエネルギーお話が出ましたけれどもエネルギーに限らず、いろいろな国内資源というものは限りがあるだけではなくて、日本にはその賦存する資源というものが余りないということになれば、日本資源は一体何だ、ということになれば、私は高い教育水準、そして勤勉な国民、それから頭脳、ブレーンが高いというようなことが私は日本のこれは資源だと思うわけです。諸外国を旅行してみますと、まず報告されるのは領土の面積あるいは人口というようなこともありますが、その次に報告されるのは、大体文盲率が幾らだという言葉が在外公館から報告になるわけでありますが、日本では率直に言って文盲率という言葉は死語に実はなってしまっているような状態だと思うのです。そういう意味で、これからの日本経済あるいは世界経済に貢献していくゆえんのものというのは、私は技術しかない、こういうふうに思うのです。ところが、日本の各省庁の間で科学技術庁の置かれている地位というのは、長官を前にして大変恐縮でありますけれども、きわめて重要な方が技術庁の長官をなさっているというようには、長官の前で大変恐縮ですが、うかがえないわけです。長官も非常に人間的には私はりっぱだと思うんですが、予算等とか陣容等とか見て、制度そのものが、組織そのものが私は必ずしも将来の日本をしょい得るような状態になっていないというのは私は非常に遺憾だと思うのです。松前先生からも御指摘があったように、しかもそうした技術研究分野というのが各個ばらばらですね、文部省あり、通産省あり、科学技術庁ありという形で、それもセクショナリズムをかなり発揮をされていると、こういうことでは私は非常に遺憾だと思うんですよ。そういう意味では、そういう科学技術庁技術研究における役割りというものをもっと引き上げないと、これからの時代の対応、あるいは日本自体の存立そのものにもかなり私は影響が出てくるんじゃないだろうかという気がしますけれども、そういう意味で、せっかく参議院から出られた長官でありますし、参議院というのは比較的長中期の見方をし、そういう審議をするのが私は参議院の役割りだと思うわけで、その参議院から長官は出られているわけですから、ひとつあなたの任期中にこうしたものを統合し、科学技術庁あるいは科学技術日本の政治における役割りというものを私はもっと確立してほしい。そして、日本技術がこれからの世界の中で尊敬され尊重され、あるいはそれによって世界の福祉というものが前進をしていくと、こういうような役割りをぜひ科学技術が負い、科学技術庁がその本家になってもらうようなものをしっかりと確立していただきたいと、こういうふうに大臣にお願いしたいと思うんですが、大変御無礼に当たるようなことも言葉の中にあったかもしれませんけれども、そういう点でひとつ長官の決意というものを聞かしていただきまして、できましたらひとつ、ただここでの決意だけではなしに、やはり一遍にそれをやるということもなかなかこれはむずかしいだろうと思うんですが、そういうシステムをつくり上げていくということの計画等も国民にやっぱり示していただいて、国民全体も、私はこの議論というのは反対している議論ではなくて協力していただけるやり方だと、こういうふうに思うわけでありますけれども、どうかその辺の長官のお考え方と、将来のできたらお約束をしていただきたいと思うんです。
  20. 熊谷太三郎

    国務大臣熊谷太三郎君) 全くいろいろ御同感できる点の多い御発言でございます。これはまあ私の私見でございますが、いろいろ科学技術研究といいますか、研究開発分野が各省庁にまたがっていて、非常に統一を欠くんじゃないかというような御意味のお言葉もございましたが、これは私の私見でございますが、やっぱり科学技術庁というのは比較的新しい役所でございまして、それまでにありました、あるいは建設省でありますとか、あるいは通産省あるいは運輸省その他文部省、いろいろそういう各省庁に研究開発の機構といいますか、予算というか、そういうものが相当定着しておるような点もありますので、なかなかこれを一遍にまとめて強力な一元化を図っていくということも、現実には一遍にはなかなかむずかしいことだと思っておりますが、科学技術庁としましては、専門のいろいろな研究開発分野もありますし、それから、いままでの各研究機関で行っております研究開発を総合調整しながら、そういうむだな重複が避けられたり、あるいはより複数のものを研究調整を総合した結果能率的な推進が図れるような、そういうことをしなければならぬ科学技術庁には役目があるわけでございますから、そういう機能も十分にひとつ活用して、そしてわが国科学技術発展に努めてまいらねばならぬと思っているわけでございます。  この研究開発ということにつきましては、これもお言葉にありましたように、だんだん導入技術というものに期待できる点も少なくなってまいりましたから、どうしても自主的な研究開発をもっと強力にやっていかなければならぬという点もありますし、経済界、一般の私企業におきましては、研究開発というものの性格上、どうしてもそれに十分力を入れる、経済的な関係もありまして力を入れるということも困難な点もございますが、現在の日本段階におきましては、やはり先進諸外国に比べまして、政府のそういう研究開発に対する投資割合がまだ少ないと、比率が少ないという面も御承知のようにあるわけでございますので、こういう面から言いましても、さらに研究開発予算をふやしていかねばならぬと、こういう点もございます。すべて御指摘のとおりでございますが、これもお話にありましたように、一遍にはなかなかそういうことを実現することは困難かと思いますが、御期待に沿うような十分なことはできませんが、そういう御発言の趣旨に沿いまして、一層科学技術庁としまして、いろいろな面から日本研究開発科学技術研究開発を推進するように微力を尽くしてまいりたいと、このように考えております。
  21. 竹田四郎

    竹田四郎君 ひとつこういう時期でありますから、なかなか、りっぱな研究者の研究というものが必ずしもすぐ利益に連なるというものでは私はないと思うんですよ。やはりその間には失敗もあり成功もあり、そういうものが総合されて新しい技術というものの体系をつくり上げていくんだろうと思うんですが、それにしても、日本では頭脳の流出ということで、非常にりっぱな先生外国の大学へ行ってしまっているという例というものが非常にあるわけでして、私は、いまこういう時期であればこそ、むしろ公のものがシンクタンク的な組織というものをつくって、やはり研究に十分に従事させるというようなことが必要だと思いますし、また同時に、私去年も指摘したんですが、せっかく文部省が国の金をかけて、大学院の院生というものを三年かけ五年かけてやっているんだけれども、この人たちの研究というものが、必ずしも組織的に研究がされていないんで、場合によれば教授の何ですか、サイドビジネスあたりを手伝っている程度で、本格的な研究に入る機会というものも少ないし、恐らくことしもそうであろうと思いますが、たとえば、東大がいいとは私は言いませんけれども、そういうところの大学院生の状況というのを見ましても、本格的な研究体制に入っているというふうには思われない。定職もない、したがって同時に報酬の方も少ない。こういう事態が続いているのは、何かせっかく金をかけてつくったものがむだになっている。すべてのその人たちが新しいものを出すかどうか、これは私は保証はできないだろうと思いますけれども、しかしそういう人たちを含めてのシンクタンクというようなものを、なかなか各省には置けないだろうと思いますから、そういう意味では科学技術庁あたりが、そういうものをつくって、そうした人たちの頭脳の総結集を図っていくような体制というものはできないものだろうかというふうに思うんですが、いまはわりあいそういうことをやるにはやりやすい時期にあるんではないか。これが高度成長の中では、少し優秀なやつは企業が引っ張るわけですけれども、いまはなかなかそういうことも十分にはされていないわけでありますから、こういう時期にこそシンクタンクというようなものを科学技術庁でつくって、それに研究をさせていくというようなことは一体できないものでしょうか、どうでしょうか。
  22. 大澤弘之

    政府委員大澤弘之君) シンクタンク一般でございますが、国のシンクタンクもございますし、また、民間には先生御承知のように非常にたくさんシンクタンクというのができてきております。これらのシンクタンクの最近の状況は、必ずしも運営がうまくいっていないと申しますか、なかなか困難な運営の状況にあるというのが現実でございまして、国の方では総合研究開発機構というのが、国の出資、それから民間の出資、地方自治体の出資という三者のあれでできておりまして、先生御承知のように、資源エネルギー問題が、いま松前先生等々からもお話がございましてその関連でございましたんですが、そういう資源エネルギーのことにつきましては、特に二十一世紀を目指しての非常に大きいプロジェクトで研究も進めておりますし、そのレポートもぼつぼつと出てきておるということでございます。また、科学技術庁といたしましては、資源調査所という付属機関がございまして、これは一種の国のシンクタンクでございますが、そこで、これは昭和二十二年以降資源エネルギーに関しましていろいろな調査をした結果を報告をいたしております。現在でもその資源調査所におきまして、資源エネルギーのシンクタンク的な調査はやっておるわけでございます。ただ、だんだんこの資源エネルギー問題というのは大変大きくなってきております、御指摘のように。そんなことで、こういうことの仕事を強化していかなければならないというふうに私ども考えておるわけでございます。  なお、オーバードクターと申しますか、いま先生指摘のは、世の中で言われておりますオーバードクターの話でございますけれども、これは文部省の方のことでございますが、科学技術庁研究機関としては、大学院生なり、あるいはその大学院を出た方も少しはその仕事を手伝ってもらうようなことをいろいろな面で努力をいたしております。たとえば理化学研究所科学技術庁関係の特殊法人としてございますけれども、そういうところでも大学院生の優秀な方に手伝いに来ていただくというようなこともぼつぼつとやっておるわけでございますが、一般的な対策は文部省の方でございますので、私の方でやっているのはこれくらいでございます。
  23. 竹田四郎

    竹田四郎君 もう一つは、先ほど松前さんのお話エネルギーの問題があるわけですが、私はエネルギーもやっぱり非常に重要な分野ではあると思うんですが、どうも科学技術庁のそういう研究というのが、もっと生活分野の中の問題ですね、こういうものに私はもっと入ってもらわなければいけないと思うんですよ。たとえばこれからの産業の中には、恐らく都市の再開発の問題なんかはかなり大きい産業分野に私はなっていくと思うんです。そういう大きな産業分野になってまいりますと、風の問題一つとってみましても、これは思わぬ事故が発生する可能性があるわけですね。この間のあの京成電鉄の問題にいたしましても、ただ単なる自然現象だけではなくて、いろんなその辺の構築物の力関係というものがそこへ集中されたというような報告も一部にあるわけでありまして、そういう意味ではもう少し生活の中に入った技術というものも発展させてもらわなくちゃいけないんじゃないか。公害の問題もあるでしょうし、あるいは食糧関係の問題もこれはあるわけでありますから、そろいう分野にひとつもう少し力を入れてもらわなくちゃいけないと思いますが、科学技術庁の方の計画局がつくられた、日本技術というのを私きのう拝見をさせていただきましたが、中身までとても読んでいる暇のないような大部のものでありますけれども、こういう調査をなされまして、アンケートをとっておられて、その中に重要度の大きなものから並べておられるわけでありますが、これは大変貴重な私は資料であるというふうに思っておりますが、これを今後どういうふうに展開されていくのか。大変りっぱなものだと思いますし、また、これを一つの基調にしての科学技術行政というものが進んでいかなくちゃならぬと思うんです。これはどういうふうに発展させていくおつもりなのか、その辺をお聞きしておきたい。
  24. 大澤弘之

    政府委員大澤弘之君) 先生いまお話がありましたのは、科学技術会議がまとめましたわが国科学技術政策の長期的展望のようなことかと思っておりますが、これはわれわれのあれといたしましては、今後十年間日本科学技術の方向を見きわめて、そうしてそういう方向の中でどういう課題特に研究開発課題といいますか、そういうものを摘出をいたしましてそれを示す、そうして、そういう方向でそういう課題を解決していくためには、これからどういう施策を展開していかなければならないかというようなことの内容を一応示したものでございますので、これは日本の産官学といいますか、要するに産業界あるいは学界あるいは国立試験研究機関等の方々の総意を集めてできたものというふうに思っておりますので、ある意味で日本的なコンセンサスであろうか、こう思っております。したがいまして、これはそういう科学技術の推進の面での有識者のところへ少しずつ浸透していっておるわけでございまして、各界でそういう方向で、あるいはそういう課題を取り上げてどんどん進んでいってもらうことが第一なんでございますが、私の方としましては、それを推進していくために示された施策、その中にございますが、それに関しまして順次できるだけ早くそういうことが定着していくように努めてまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。  科学技術の推進は、先生指摘がございましたけれども、何といいましても、もう日本のあらゆる部面に科学技術というものは入っているものでございますので、そのすべてを科学技術庁がやるというわけにはなかなかまいりませんで、やはり総合調整というところに一番大きな役割りを持っておるように私ども思っております。それぞれの部面のところで科学技術、たとえば建設の関係でございますと、住宅だとかあるいはトンネルだとかいうところは、やはり建設省でその技術はやつでいっていただかなければならぬわけでございますし、結局農業の関係の新しい品種の育成とか、あるいは農業での自然エネルギー利用とかいったようなことにつきましては、やはり農林省の方でやっていっていただかなければならぬわけでございまして、私ども何でもできるわけじゃございませんものでございますから。しかし、日本全体の科学技術の推進ということでは先生いまお話がございましたように、国民の生活の近いところでいっぱいいろんな大事な問題もございます。したがいまして、そういうことは全体としての拾いをやり、またそれをまとめて何かしなければならぬことは、先ほど科学技術会議の政策にのせておるのでございますけれども、個々の推進に関しましては、やはりそれぞれ所掌されておりますところでそういう趣旨に沿った方向でやっていっていただく、これは私どもできるだけ督励をするなり、あるいはそこでできないことがありますならば御援助をしていくなりということが、私ども科学技術庁の役目だ、こういうことで進めておるわけでございます。
  25. 竹田四郎

    竹田四郎君 短い時間ですから、もう少しいろんなお話を承りたいわけでありますが、私としては、どうもいまの日本科学技術研究については、私全くの素人でありますから、そういう面では一つ一つの内容はわかりませんけれども、大変私は歯がゆい思いをしているわけでありまして、恐らく、いまおっしゃられたようにすべてのことを科学技術庁がやるということはできないにしても、各種の科学技術というものの少なくとも基礎的なものは、もっと整合をとりながら、統合しながら、総合調整をして進めてもらわなければならない、こういうふうに考えまして、これは特段と科学技術庁の今後の御奮闘を願わなければならぬ、こういうふうに私は考えますので、その点ひとつ特段の御努力をお願いをしておきたいと思います。  時間が参りましたんですが、一つだけお聞きしておきたいと思うんですが、最近の放射能の障害を受けられる労働者が、科学技術庁の中で、特に原発の修理、検査、こういうことで大変最近多くなっていて心配されているんですが、だんだん被曝の量がふえるというのは、だんだん少なくなっていくというならこれはよくわかるんですが、ふえてきているというのはどうも余り私理解ができないわけですが、私はそういう検査や修理をする人たちというものが、恐らく人数的に少ないんじゃないのかと。したがって、ここの原発のところの修理、検査にも行くし、こっちにも行くあっちにも行くというので、その回数が非常に多いところに被曝量が多くなってくる原因があるんじゃないか、あるいはそういう方面の本当の技術者というものが十分ないんではないだろうか、そんな疑問を持っているわけでありますが、そういうものに対して、せっかくこれから私も原子力発電というものは全面的に否定するものじゃなくて、そういう安全がやはり完全に確保されていく、その上で経済性を持つということでなければならないわけでありますけれども、こういうことが余りにも多く出るということは、原子力平和利用というものに対する一つの障害になるわけでありますから、この辺の根源と、それからそれに対する対応というものを十分考えてもらわにゃいかぬと思うんですが、原因対応についての回答をお聞きしておきたいと思います。
  26. 牧村信之

    政府委員(牧村信之君) 特に原子力発電所の従業員の被曝が増加していることは事実でございます。この理由は、先生御存じのように原子力発電所の数がふえてきて、原子力発電所を定期検査する、あるいは若干の機器のトラブル等の修理をするという方々の人数が年々増加してきておる、こういうことと非常に密接な関係がございます。ただ、平均当たりの、一人当たりの被曝線量というのはそれほどふえていないのも事実でございまして、したがいまして、一番大きな原因としては、そういう修理個所等に立ち入る従業員の方がふえているためでございます。それで、先ほど指摘のように、特にこういう修理をいたします方々は、原子力発電所をつくりましたメーカー並びにその下請の方が発電所に入りまして修理をしておるわけでございますので、そのメーカーの方がいろいろな発電所の修理をしておるわけでございまして、渡り歩きまして、そこで被曝が少しずつ加算されておることも事実でございます。しかしながら、日本の従業員に対します被曝の管理というのは法令で明確に定められておりまして、年間五レムを超えてはいけない、また三カ月で連続して三レムを超えてはいけない、こういうような規定のもとに厳重な放射線の管理をしつつやられておるのが実情でございます。したがいまして、私どもといたしましては、このような原子力発電の推進に伴いましてできるだけ被曝線量の増加を来さないような対策をとってまいらなくちゃならないことはもちろんであると思っておりますし、その方面の指導につきましては今後とも十分進めてまいりたいと考えております。  まあ、被曝の低減の措置といたしまして、現在通産省を中心にいたしまして、そういうような放射線下での作業をできるだけ自動化する、あるいは遠隔操作で行うというようなこと、あるいは原子炉内の放射線の量がふえますのは、冷却水の水の管理によりましても非常に低減化できることでございますので、運転中の水質管理を十分にするというような、あらゆる低減化の措置を、今後とも必要なものは研究を強力に進めて、従業者の方方の被曝がこれ以上できるだけふえないような措置をとってまいりたいというふうに考えております。また、このような従業者の方、特に下請の方がいろいろな施設に渡り歩くことで万々一にも管理が不十分になってはいけないというようなこともございますので、昨年の末に、そういう従業員の方々の被曝線量を中央一カ所に集めまして管理する登録センターを発足させたわけでございまして、まあそのような施策も含めまして、今後従業員の方ができるだけ放射線にさらされる量を減らす、また減らしていくような指導措置をとってまいりたいと、かように考えておる次第でございます。   〔主査退席、副主査着席〕
  27. 太田淳夫

    太田淳夫君 それでは、かわりまして、時間の都合も余りありませんものですから基本的な問題についてお尋ねしておきたいと思いますが、最初にこのわが国の、いわば資源小国と言われておりますけれども、やはりわが国の最大の資源というのは人間の頭脳であるとも言われていますが、日本としては、この人的な資源を活用して技術力を高めて技術立国を目指していかなければならないんじゃないかと思いますが、まず大臣の所感をお伺いしたいと思います。
  28. 熊谷太三郎

    国務大臣熊谷太三郎君) ご指摘のとおり、人材の活用はきわめて重要でありまして、従来からわが国全般としましてその育成に努めてまいってきているわけでございます。  わが国の人的資源とも言うべき研究者でございますが、大体いま現在そういう資格のある人といいますか、その人の数が、研究者でございますが約二十七万人ということに考えられております。これは十分ではありませんが、ソ連や米国に次ぎましては、その率から言いまして、量的にも言いまして、かなりの水準に達していると、このように考えております。今後、こういう研究者の充実ということにつきましては、もちろん十分に考えてまいらねばなりませんし、われわれの関係範囲におきましてもそのように努めてまいりたいと考えております。
  29. 太田淳夫

    太田淳夫君 今年度の予算の中では、それはどのような施策になっておりましょうか。
  30. 大澤弘之

    政府委員大澤弘之君) ただいま大臣から御答弁がございましたように、研究者の数は二十七万人、これは五十二年の四月一日現在でそういう数でございます。アメリカ、ソ連等に次ぎましてまあかなりの数でございますし、西独等から比べますと相当数は実は多いわけでございます。  今年度予算でどういうことかというふうにいまお話がございましたが、研究者の数の増加はある程度あると思いますけれども政府予算の中での範囲であると思いますけれども、私ども、施策として急激にいま研究者の数をふやさなきゃならないというふうにはむしろ考えておりませんで、いまあるむしろ研究者の資質を向上させることが非常に大事だというようなことで、現在人材の活用と申しますか、その養成と申しますか、むしろそちらの方に力を入れておりまして、現在私ども計画局でも、委員会を設けまして、人材の活用といいますか、新しい時代に対応するような研究者をどういう方法で養成をしていくかというふうなことについて研究をしておるというような段階でございます。
  31. 太田淳夫

    太田淳夫君 前にも、頭脳の海外流出ということが問題になった点がございましたが、やはり活用をしていかなけりゃならない人材が海外に流出をしていってしまう。日本では、特に原子物理学を中心として日本の学者のレベルというのは世界最高じゃないかと私は思っておりますけれども、いまその海外への流出の状況というのはどんな状況でしょうか。
  32. 大澤弘之

    政府委員大澤弘之君) 私の記憶では、十年ぐらい前に頭脳流出ということで大変世間的にも騒がれまして、当時いろんなことを実は調べたことがございますけれども、実はその頭脳の海外流出の統計と申しますか、調べるのは大変困難でございまして、そのときにもなかなか確たる数字がつかめない。つまり、まず定義そのものがなかなか、どんなのが頭脳だというようなことから始まりまして、人のあれはなかなかめんどうなんでございます。ただ、大学あるいは研究機関で、かなりの優秀な人が実際外国へ行ってしまって定着しておるかどうかといったようなことを、一般的に耳にするというようなことでの判断なんでございますけれども、そういう意味合いにおきましては、最近はむしろ頭脳流出ということにつきましてはそれほど世間的には余り言われていない。これはもちろん、昔の、昭和三十年代におきましては、日本研究者の待遇と、その研究者が外国へ参りましたときとの待遇に非常に大きい実は差があったわけでございます。そんなことから、かなり外へ出ていって、何といいますか、世間的に必ずしも名が売れた研究者という意味じゃございませんけれども、非常に優秀な若い研究者が向こうへ行って、それで向こうの研究施設で、向こうから見れば安い賃金で非常に効率よく利用できるというようなことで、そういうことがかなりあったようにも伺っておりますが、最近は日本研究者の待遇というのも大変実は外国に比べてよくなっておりますので、そういう面からの流出ということは余り実はないように思っております。ただ実際問題、やはり研究を海外に行っていろいろやってくるということは、日本のこれからの研究にも大変大事でございまして、在外研究員というのはかなりの数をふやしてやってきておるわけでございます。これが頭脳流出という定義に当たるのかどうかわかりませんけれども、最近の数で申しますと、毎年大体五百五十人から五百七十人ぐらいの在外研究員というのが出ておるといような状況でございます 数字が押さえにくうございますし、またそういうことでつかんでいないものでございますので、大変ぴしゃっとしたお答えにならないで申しわけないんでございますが、そんな状況でございます。
  33. 太田淳夫

    太田淳夫君 いま局長からお話しいただきましたけれども、この予算の比率を見ますと、前年度との比率の伸び率ですが一三・一%ということです。これは国家予算としては伸び率が余りよくないんじゃないかと思うんですね。わが国としては、やはり技術立国を目指してこれから前進をしていかなければならないそういうときでございますし、その中心となるこの科学技術庁予算の伸びとしては、これは公共投資の予算の伸び率に比べますとずっともう横ばいと言ってもいいんじゃないかと思うんですが、この点大臣どのようにお考えでございましょうか。
  34. 熊谷太三郎

    国務大臣熊谷太三郎君) 実は、この予算の伸び率という点から言いますと、伸び率だけ見ますと、公共事業等ことしは特に推進されたわけでございまして、そういうものに比べますと少ないという御批判が生まれることもごもっともかと思うわけでございます。ただ、本年度の予算につきましては、一応現在の段階におきまして科学技術庁として計画をいたしました点はどうにかこうにか遂行できるという額でございまして、これにつきましては、政府部内といいますか、大蔵省におきましてもわりあいに理解を持ってこれを認めてくれた、認めてくれたというと語弊がありますが、認めたという状態になっているわけでございます。しかし、今後の問題を考えますと決して十分ではありませんが 何分にも私どもとしましては、これはまあ私的なことてございますが、就任早々でございまして、十分気持ちを実現することはできなかったわけでございますが、本年度の予算が幸いに成立いたしますと、すぐもう四月以降五十四年度の予算ということが俎上に上りますので、いろいろ具体的なプロジェクトも考えておりまして、それに合わせてひとつ予算全体の拡充強化を図るように全力を挙げたいと、このように考えておるわけでございます。
  35. 太田淳夫

    太田淳夫君 大いにがんばっていただきたいと思います。  それから、わが国科学技術水準の引き上げのためには、国立の研究所等における基礎的な研究活動というものを今後一層充実させていく必要があるんじゃないかと思いますが、今後どのように取り組んでいかれましょうか。
  36. 大澤弘之

    政府委員大澤弘之君) 先生いまお話ございましたように、自主技術開発と申しますか、これからのわが国研究開発の方向は、やはりかなり自主技術開発等に重点を置いてやっていかなきゃならない。そういう方向からは、この自主技術を支えます基礎的な研究と申しますか、そういうところに力を入れなきゃならないということは、私どもも全くそういうふうにいま考えております。それにつきましては、基礎的な研究ということは、研究者の方の心構えと申しますか、そういうところにかなりのポイントがございまして、つまり、先ほども人材のお話でございましたが、私ども人材の養成のところで、創造性のある研究者ということが、基礎的の研究の成果を上げる最大のポイントでございまして、これは非常に有名なと申しますか、いい研究をなされました研究者の方々がこぞって言っておられる点でございます。で、創造性豊かな人材をつくっていくということが何よりも大事なことでございまして、この点につきましては、やはり何といいますか、われわれの科学技術庁というより、むしろ教育の面にかなり負うところが多うございまして、高名な研究者の方々もそういう御指摘をしております。そんなことで、これはもうかなり教育の初期の段階からの問題でございますので、私ども、そういうことは科学技術の振興上非常に大事だという指摘もし、政府で言えば担当の文部省の方にも申し上げておるようなわけでございますが、しかし、われわれの方でできる範囲といたしましては、大学を卒業していわゆる研究所に入ってきてからも、やはりそういうことでの人材の活用をいつでも考えていくということが大事でございますので、先ほどもちょっと触れましたけれども、人材活用という面におきましてそこのところに一番重点を置いてまいりたい、こういうふうに考えております。  なお、お金の問題につきましては、従来むしろ日本研究開発というのは導入型というようなこともございましたので、わりあい応用研究の方にといいますか、実用化といいますか、そういうところにお金が大変入っておったわけでございますけれども、たとえば、原子力で申しますと核融合のような非常に基礎的な部面から自分で研究をしていかなきゃならぬというようなことで、いわゆる大きなプロジェクト研究でも基礎的部面に力が入ってきていると思いますので、そんなことで、各方面の施策を講じながら基礎的な研究充実ということに努めてまいりたいと、こう考えておるわけでございます。
  37. 太田淳夫

    太田淳夫君 わが国研究開発投資の問題なんですが、アメリカやヨーロッパに比べますと、政府の投資率というのは非常に小さいと、このように言われております。で、一九八五年ごろには国民所得の二%程度にすべきだと、こういう意見もありますし、私たちもそう思うわけですけれども、大臣はどのようにお考えになりましょうか。
  38. 熊谷太三郎

    国務大臣熊谷太三郎君) おっしゃるとおりでございまして、先ほどもちょっと触れましたが、現在の日本程度は二七%、三〇%足らずな政府投資というようなことでございまして、アメリカその他の国に比べますと、まだ一〇%ないし一五%程度比率が少ないということになっておりますから、こういう点もさらに強化してまいらねばならぬと思っております。  将来の見通しといたしましては、この国民所得の当面は二・五%ぐらいということに目指しておりますが、長期的には国民所得の三%程度はぜひ実現しなければならぬと、こういうふうな考え方で、その線を目指して進んでおると、こういう状況でございます。
  39. 太田淳夫

    太田淳夫君 次に、エネルギー研究開発というのは、やはりその成果が上がりますまでには相当な期間がかかるわけです。その長期的な展望に立って、計画的にかつ総合的にその研究を進めてていくべきじゃないかと思いますが、そのエネルギー研究開発の推進に関する科学技術庁の取り組み方についてお伺いしたいと思います。
  40. 大澤弘之

    政府委員大澤弘之君) エネルギー研究開発を総合的に進めなきゃならないことはまことにお話しのとおりでございまして、私どもずっと努力をしてきておるところでございますが、現在一つには、各省庁の研究開発につきましては、見積もり方針の調整ということがございまして、これは基本的な研究開発の方針というのを予算前に各省庁に流しまして、各省庁はできるだけそれに沿って予算を組んでいただくと。この基本的な方針と申しますのは、科学技術会議が策定をいたしました私ども六号答申と呼んでいるんでございますけれども、今後十年間にわたりますところの日本科学技術の推進の方向を決めてございます。その中に、研究開発課題、こういったようなものの指摘がございますので、そういう方向で各省庁は予算を組んでいただくようにお願いをし、そうして、出てまいりました各省庁の予算研究開発予算を、重複がないようにとか、あるいはまとめるようにといったような、そういう調整の作業をいたしまして、総合調整、これはエネルギーだけではございませんけれどもエネルギーも含めましたすべての研究開発につきましてそういうことをいたしておるわけでございます。  また一方、六号答申と申しますのはかなり抽象的と申しますか、あるいは基本的と申しますか、もっと研究開発を実際に予算なり何なり組んでいきますときには、ブレークダウンをしたような計画をつくっていかなければならぬわけでございますので、これにつきましては現在科学技術会議におきまして、特にエネルギー研究開発につきましてはエネルギー研究開発の基本計画をまとめようというふうなことの作業をいたしております。これは原子力から、自然エネルギー、あるいは化石エネルギー利用全体を含めましたエネルギー研究開発計画、これは政府が行うべきものの研究開発ということでございますけれども、それをまとめよう、こういう仕事を現在いたしておるわけでございます。
  41. 太田淳夫

    太田淳夫君 もう一点、省エネルギーの問題がありますけれども、この問題に対する対応はどうでしょうか。
  42. 大澤弘之

    政府委員大澤弘之君) 省エネルギーは、先生御存じのように非常にいろんな部面にございます。大きく分けまして、民生用とか産業用とかいろいろな分け方があるわけでございますし、また研究開発の部面でも省エネルギーを目指したような、つまり、たとえば非常に熱を高温で使いますと、熱効率といいますか、エネルギーの効率上は大変よくなりますので、たとえば従来千度以下でしかエネルギーというのは取り出せなかったのでございますけれども、それをもっと高い温度でエネルギーを取り出すようなことができますれば、熱からとるエネルギーの効率としましては大変いいわけでございますので、そんなようなことでの新しい分野問題等開発もございます。  そんなことで、非常に多岐に実はわたっておるわけでございます。国がやはりその中で主導的に推進をしていかなきゃならないようなプロジェクト研究がありますならば、これはやはり先ほど申しましたエネルギー研究開発の基本計画の中で位置づけをしてまいりたいとも考えております。  また、産業用につきましては、これはむしろ通産省なり運輸省なり、それぞれの部面でいろいろ省エネルギーの問題があるわけでございまして、そこで工夫をするような研究開発というのは非常にたくさんあろうかと思います。そういうところはそういうところなりに実施をしていくように、私ども基本的にはそういう方針でお願いをしておるわけでございますが、民生用につきましては、これは住宅とか、その他家庭用電気機器とか、いろんなところでやはり問題があるわけでございまして、各省かなりばらばらになっておるということでございまして、研究開発が必要ならやはりそういう部面でやっていただかなきゃならないのでございますけれども、何か民生用に関しましては、やはりもう少しまとまったことを調べておく必要もあろうかということで、実は科学技術庁資源調査所というところで、民生用のエネルギー利用に関しましては、調査をして、こういうことをしていったらいいんではなかろうかというような提言とか、報告といったようなものもまとめて皆さん方の御参考に供するようなことをしておるわけでございます。
  43. 太田淳夫

    太田淳夫君 この予算書の中に核融合の研究開発という問題がありまして、先ほど局長からもちょっと核融合に触れてみえましたけれども、この核融合の問題は、これは人類究極のエネルギー源であると、こう言われておりますし、二十一世紀初めの実用化を目指して世界各国はいま競って開発を進めていると聞いております。わが国研究開発水準というのは、世界的に見てどの程度に達しているのか、あるいは今後わが国はどのような核融合研究開発を進めていくのか、その点お尋ねしたいと思います。  これはまた問題は別ですけれども先ほど来いろいろと話題になっております原子力衛星などの落下事故の問題ですが、この放射能対策をあらかじめ検討しておくべきじゃないか、こう思うのですが、この二点について御答弁願いたいと思います。
  44. 山野正登

    政府委員(山野正登君) まず核融合問題についてお答え申し上げますが、結論的に申し上げまして、現在のわが国の核融合研究の水準と申しますものは、欧米の先進諸国と比べまして何ら遜色のない水準で進められておるというふうに考えております。具体的には日本原子力研究所並びに関係各大学におきまして進められておるわけでございますが、最も進んだ分野としましてはトカマク型の核融合研究というものがございまして、これを原研において進めておるわけでございます。現在、昭和五十七年ごろを目標といたしまして、臨界プラズマ実験装置、JT60と呼んでおりますが、これの建設に現在着手いたしておるところでございまして、アメリカ並びにEC諸国のこれと類似した計画を見ましても、ほぼ似たころを目標年次としまして同じような計画を進めておるわけでございまして、この面からも大体同水準にあるというふうに考えております。  それから、今後の進め方でございますが、非常に多数の技術者を必要とし、また多額の資金も必要な分野でもございますので、国際原子力機関あるいは米国、ソ連といったふうな関係の国々と二国間の協力といったような国際協力等も積極的に活用しながら進めてまいりたいというふうに考えております。
  45. 牧村信之

    政府委員(牧村信之君) 原子力衛星落下の対策につきましてお答えをいたします。  すでに御承知と存じますが、現在国連の場でこの原子炉衛星の諸対策につき検討が進められておるわけでございますが、私どもといたしましては、日本の上空に落下してきたことを考えますと、ぜひそのような場におきまして、できれば打ち上げ禁止の可能性も含めた検討を行われることが必要でないかということはまず言えることでなかろうかと思います。そのほか、いつごろ落ちるか、どういうふうにして落ちてくるかというようなデータを、もし事前に知ることができればその対策も非常に容易になるというような観点から、こういうような問題を国際的な場で片づけていただきたいというふうに考えておるわけでございます。一方、現実の問題として衛星が地上に落下するという事態に対処いたしましては、衛星が落下いたしますときに、ソ連、米国とも大気圏に突入するまでに燃え尽きてしまうということを非常に強く言っておるわけでございますけれども、カナダの事故にもありますように、いろいろ破片が落ちていることも事実でございます。日本の相当の高い空で燃え尽きる場合には、これは現在科学技術庁中心になりまして内閣に置いております対策本部というのがございまして、中国の核実験等の影響が日本に出てまいります場合の放射線の監視網というもので相当の対応ができると思うんでございますが、現実に原子力衛星の部品であるとか、そこに使いましたアイソトープであるとか、核燃料が日本に落下してくるというようなことにつきましては、実はいままでそういうようなことを考えていなかったというのが事実でございますけれども、今回のカナダの事故に照らしまして、いろいろ現在詳細なカナダ政府がとりました措置、あるいはアメリカ政府が援助しました措置等を調査いたしまして、それらを踏まえまして関係各省と協力して今後の対策を打ち立ててまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
  46. 太田淳夫

    太田淳夫君 終わります。
  47. 向井長年

    向井長年君 三十分の持ち時間でございますから余り詳しくは聞けないんでございますが、特に私は原子力行政にしぼって若干お伺いいたしますが、一番原子力に対する関心を持たれております熊谷長官が就任されて、今後わが国エネルギー問題の一環として最も重要な問題は原子力開発ではなかろうか、こう考えるわけであります。こういう中で、政府が今後エネルギー平和利用、特に原子力平和利用についてどういう形においての取り組みをしようとするのか、まずその姿勢をお伺いいたしたいと思います。
  48. 熊谷太三郎

    国務大臣熊谷太三郎君) お言葉のように非常に重要な問題でありますし、一言ではなかなか尽きないわけでございますが、時間の関係もございますので、とりあえず私の感想をなるべく短く申し上げたいと存じます。  この原子力行政に関しましては、一言で申し上げますと、安全性に関しまして、安全に関する心配がより少ない、そういう原発をなるべく多く推進していくということが一つの目的になろうかと思っておるわけでございます。そのためにはどんな施策がということを考えますと、やはり何といいましても安全性第一でございます。絶えず安全性の一層の追求というものを推進してまいると、こういうことが第一の問題、必要なことだろうと考えております。そのほか、あるいは技術の問題でありますとか、あるいは資金の問題でありますとか、あるいは核燃料サイクルの確立といった問題でありますとか、いろいろな多角的な面に考えを及ぼさねばなりませんが、特に重要な問題は立地問題であろうかと考えているわけであります。  この立地問題につきましては、いまだに各種の反対運動がありまして、十分に推進ができていないという現状でありますから、これに対する対策が非常に必要であると考えております。そこで、これに関しましていろいろ私どもなりにいままで検討してまいっておりますが、この反対運動に対しまして、もういろいろこの反対運動もございますので、中には極端なのは反対のための反対、そのためにはあえて民主主義の範囲を超えた運動といったものもないわけではない状態にあります。したがって、そういう極端な反対運動に対しましてはさらに今後の対応にまつとしまして、まず、当面非常に必要なことは、大体において原子力発電所を受け入れていただいております地元、たとえば府県でありますとか、あるいは市町村、そういう地域と政府との、何といいますか、合意、そういうものが、まだしさいに検討いたしますと不十分であるという点が考えられるわけであります。せっかく国の施策、方針を受け入れていただいております地元と政府との間に、いやしくもそういう考えられるようなみぞがあってはいかぬ。これを十分に固めてまいることが、地元のそういう無理解な反対運動に対して非常に、何といいますか、効果がある方法であると、こう考えているわけであります。  そこで、私どもとしましては、この目的の実現のために、本年早々、原子力立地対策懇談会、ちょっと言葉は十分じゃないかもしれませんが、いわゆる原電懇というような名前で呼んでおりますが、そういう懇談会をつくりまして、第一回の会合を一月に行って、それぞれいままで繰り返しておられましたあらゆる問題に対する御要請の検討を行い、それに対するわれわれの考えを決めまして、近くまた第二回の懇談会をやりまして、それをたび重ねてまいりまして、いやしくも政府とこの政府の施策を受け入れていただく地元との間にすきがないようにしていく、こういうことを何とかして実現したいと思っているわけであります。いろいろ多岐な問題にわたりまして非常に困難な点もありますが、何とかして私の任期中にある程度の成果を得たい、このように考えております。  そのほか、先ほど申しました国際問題、あるいは核燃料サイクルの確立の問題、それらはまたお尋ねがありましたら具体的に申し上げますが、とりあえずそれだけ申し上げておきます。
  49. 向井長年

    向井長年君 時間がないので簡単に答弁願います。政府が、あるいはまた長官も積極的に取り組むということでございますが、これは政府部内とか技術部内だけの問題で物を判断しておることは、私はやはり国民にもっと真剣に、こういうエネルギー問題はいかにあるべきかという感じを起こさす必要があると思うんですよ。たとえば、いまエネルギー問題、重要な時期に参っておりますね。そういう中で、世界のいま石油中心に頼っておりますけれども現状の中では三十五年たてば石油がなくなるというようなことを言われておる。しからば、わが国においても、これにかわるものは何であるか、それはいろいろと太陽熱とか、あるいはまた地下熱とか言われておりますが、これは今後の研究課題であり、そう直ちに実用化ということは困難であろう。そうなれば、当面やはりそのエネルギーを代行するものは原子力以外にないと思うんですよね。そういう非常に重要な段階をいま迎えている中で、旧態依然であってはいけないわけなんです、で、いまそういう懇談会等を持って政府の姿勢を示しておる、あるいはまたそれを推進したいということはわかります。もちろん安全性の問題はまず確保しなければならぬ、これも当然でありましょう。しかし、そういう意味において国民のコンセンサスを得ると、これは地元はもちろんでありますが、地元以外にもこの思想がなければいかぬのではないか。そのために、やはり国民に対するコンセンサスを得る、いわば普及政策と申しますか、これが私は今日まで欠けておると思います、政府の取り組みの中で。だから、この問題を熊谷長官、私の任期中にぜひそれを推進したいというのだったら、まずそういうものを手がける。これはただ政府だけではなくて、学者、文化人、いろいろとエネルギーに関心を持っている学者もたくさんおりますよね。こういう諸君と呼応して、やはり国民に十分理解を伴うような状態をつくり上げなけりゃいかぬのではないか、こう私は思いますが、この点はいかがでしょうか。
  50. 熊谷太三郎

    国務大臣熊谷太三郎君) ただいまのお話はもうもっとも過ぎるくらいごもっともな御意見でございまして、もちろんその方向に向かっていきたいと考えておりますが、ただ、先ほど申し上げましたことは、やはり、要はこの必要性はもちろんでありますが、どうしてもこれが推進されなければ何にもならぬわけでございますので、そのためにはさっき申し上げましたように、一方においてそういう国民的なコンセンサスを進めますとともに、一方におきましては、せっかく受け入れていただいております地元との間の本当の意味のコンセンサス、これが私は、むしろ前者よりも後者の方がいままで欠けていたのじゃないかと、こう思うわけでございまして、これは全体的なコンセンサス、いろいろな方面の御協力を得ましてそういうコンセンサスを進めるということはもちろんいたしますが、それに比べて、やや地元に対するそういう意味のコンセンサスを求めるということが、実際的には行われたようでまだ足りなかったと、こう思いますので、両方あわせてひとつ強力に推進してまいりたい。また具体的なことはいろいろなことを考えましてやってまいりたい、このように考えております。
  51. 向井長年

    向井長年君 両方とも欠けていましたね。だからその問題については、かけ声は、政府は通産も含めていろいろと出しておるけれども、ほとんどは業界任せであったということですよね。業界任せということは、少なくとも業界は、電調審等の計画があり、これにのっとって時期を見、開発を促進しなければならぬということで業界は真剣にやっておっても、やはりそういう問題については一般国民は、たとえば電気事業の業界は自分たちの会社をよくするために、もうけるためにやっているんではないかというような感じで、やはり国家全般の問題として受け取れないんです。ここにやはり政府の今日までの怠慢があった。これは科学技術庁だけではありません、通産も含め、あるいは各省を含めてですよ。この問題はやはり、私は熊谷長官が特にそういう気持ちを持っておられるんだったら、私は先般の本会議でも述べましたように、いま懇談会ができてこれが中心となって推進するということでございますから、これはこれからそういうふうに進めていただきたいと思います。  そこで、これとあわせて、やはり国際的に大きな影響を持つわけですね、燃料一つ見ましてもね。あるいはまた、過去においてフォード大統領時代あるいはカーター政権、あわせて核拡散防止という立場でわが国の核政策に対するいろんな規制なり、いろんな注文があると思うんですよ。そういう問題について、いまどういう状態になりつつありますか、ちょっとお伺いいたしたいい。
  52. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 世界的に見まして、核の不拡散ということを強化する方向が非常に最近強調されておるということは先生指摘のとおりでございまして、米国も国内的には商業的な再処理を期限を定めず延期するとか、あるいは対外的には核不拡散の強化のために輸出規制を強化するための核不拡散法といったものを測定するといったふうなことがいろいろ行われておるわけでございますけれども、私どもの立場といたしましては、このような核不拡散というものの強化というものには、基本的に反対の立場にはございませんけれども、しかし、そうかといって、この不拡散強化を強調します余りに原子力平和利用というものが損なわれてはいけないという立場に立っておるわけでございまして、この不拡散強化と平和利用の推進という二つの問題の調和点を求める作業というのも、これがまた国際的に進められておるわけでございます。最も大きな動きというのが国際核燃料サイクル評価計画というものでございまして、世界の四十カ国の国々が参加しまして、いま申し上げます問題の解明に力を尽くしておるわけでございますが、私どもも、ぜひその場におきましてわが国の主張を強く貫いてまいりたいというふうに考えております。
  53. 向井長年

    向井長年君 その問題につきまして、恐らくアメリカは開発途上国等の今後の開発等がどう動いていくであろうかと。わが国はもう憲法でも保障されておるような、いわゆる核戦略といいますか、核兵器という立場において物は考えていないわけですから、そういう問題について、私はこれは宇野長官時代にも提起した問題でございますが、わが国の、言うならば平和利用という問題について、まだまだアメリカに理解を得ていないということ、あるいは各国にまだ理解を得ていない、不安感があるのではないか。インドを初め今後核を保有しよう、開発しようという国々、これと同一視された形がアメリカのいわゆるカーター政権の中にはあるのではないかと、こういう感じがするわけです。これはやはり日本政府がアメリカに対して信頼されていないということですよ。こういう問題をもっと積極的に、国際的に見てもわが国自体見ましても、今後のエネルギーあるいは原子力政策の中で、こういうことであるからアメリカが他の国々と同じように物を見てこれに対するあらゆる規制を加えるという問題については、話が私はできるんじゃないかと、この点やはり日本政府としてもう少しこの問題に対して対アメリカに対する、あるいは各国に対する理解度を深めなきゃならぬと思いますが、その点いかがですか。
  54. 熊谷太三郎

    国務大臣熊谷太三郎君) これもまことにごもっともな御見解でありまして、先日も国際原子力機構に参っております日本関係の人が参りまして、この原子力関係のエクルンド事務総長が参りましていろんな感想を言われたそうでありますが、やはりいま向井議員が言われましたように、実際に日本に来てみて、日本がそういう核の戦争、兵器によるというようなことに全然関係なしに、エネルギーという問題からこれだけ原子力に取り組んでいるという姿を目の当たりに見て、改めて日本のそういう状態を見直したというふうな感想を述べているというお話を聞きまして、やっぱりわれわれは平和利用に徹すると思っておりますが、現状はやはり日本もそういう核兵器なんぞの動きの中に巻き込まれるんではないかという、世界的にまだそういう認識があるというようなことを承って非常に考えさせられたわけであります。したがって、当面アメリカに対してもそういう具体的に強力な主張を続けてまいりますとともに、やはり世界全体に対しまして、日本原子力平和利用に徹するという趣旨をあらゆる面からひとつ、宣伝といいますか、啓蒙してまいるような具体的な方策をこれから考えていかねばならぬと、そして日本の主張が正しく受け入れられるように進んでまいらねばならぬと考えているわけでございます。
  55. 向井長年

    向井長年君 それはただ科学技術庁だけではなくて、日本政府としてそういう姿勢をこれから積極的にとり、世界各国の中でわが国平和利用に徹しておると、拡散問題については非核三原則もあり、憲法もあり、そういう中でのわれわれの日本エネルギー政策であるということを、私は大きくやはり取り上げて、この問題は諸外国との折衝を深くもっと理解をさせなけりゃならぬということを提言しておきたいと思います。  そこで、特にこれからの見通しでございますが、たびたびこの計画がなされておりますが、逐次これが変更されつつある。いま七百万キロ程度ですね、稼働率は非常に少ないと思いますけれども、しかし、これはもう私が常に申し上げますように、きょう言うてあすできるわけではない。しかも原子力の場合においては十年以上やはり手がけてかかるという、こういう時間的な問題もあるわけです。これに対して現状はどの程度に、これは通産との関係も深いと思いますけれども、いま計画が進められておるかちょっとお伺いします。
  56. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 昨年でございますが、通産省の総合エネルギー調査会の方で、中間見通しとしまして昭和六十年度に二千六百万キロワットないし三千三百万キロワットという目標値を出しておられるわけでございますが、私どもといたしましては、ただいま原子力委員会におきまして長期計画の見直し作業というのを進めておりまして、この長計の見直し作業の中で、昭和六十年あるいはそれ以降の年次における見通しというものを出したいというふうに考えております。これは先ほど先生指摘のように、広く国民一般の理解を求める、あるいは特に地域住民の理解と協力を求めるといったふうな各種の施策とあわせまして、できるだけ大きな目標値にしたいというふうに私ども考えておるわけでございまして、ことしの夏ぐらいまでには最終結論を得たいというふうに考えております。
  57. 向井長年

    向井長年君 そこで、特に今国会に提案されております基本法、あるいはまた規制法、この二つ前国会で出された問題でございますが、これについて、これは国会のことでございますからいろいろ与野党の中においての問題はあるにいたしましても、政府のやはり出された法案の取り組みという問題については、これは今国会でこれが本当に通過していくのかどうかという問題、非常に疑問なんです。これは自民党にも言えることでしょうが、やはり政府としては真剣にこの問題が当面必要である、特に安全委員会の問題もありますし、あるいはまた再処理、核サイクルの問題がある、この二つの法案に対して、科学技術庁非常に冷ややかじゃないですか、自分のところで出しながら。どうもそんな感じが私はしますよ。特に私は党関係も国対関係も見ておりますけれども、そういう中で衆議院においてそのまままだ付託するかしないかわからぬというようなところでいまじっとしておりますが、一つは。こういう問題は、やはり政府の取り組みの姿勢に影響するんですよ、これは。出すことは出した、しかし国会でどうなとこれは料理してもらって結構ですというようなことであれば、これは反対あるいはまたいろんな意見もございますから。しかし、やっぱり政府が本当にこれからのエネルギー政策に必要なんだと、だからわれわれ出しているんで、これをぜひ国会の中で審議をしてもらいたい、あるいは正常な形においてこれを議決する、こういう形に対して、どうも科学技術庁の方は、冷ややかといったら失礼でございますけれども、消極的じゃないかという感じがいたしますが、いかがですか。
  58. 熊谷太三郎

    国務大臣熊谷太三郎君) いまお話しになりました件、どうも私どもの不徳のいたすところで、あるいは非常にそういう冷ややかというふうな御印象もあるとしましたらまことに申しわけのない次第でございます。私どもは、何といたしましても原子力を推進しますたてまえ上、この基本法の問題につきましては早く原子力安全委員会というもの、またこれに伴ういろんな改正を一日も早くお認めいただきましてこの成立を願いたいと考えているわけであります。  いま一つ、この規制法の問題でございますが、これは先ほども申しました核燃料サイクルの確立と、そのために自主的なその一環である再処理も一刻も早く着手したい。これも仰せのように計画を立てて実際稼働できますまでには十年以上の歳月を要するわけでありまして、一刻も早くこれが軌道に乗りませんとわが国原子力行政が非常におくれてまいるということになりますわけでございまして、一生懸命その成立をお願いしているわけでございますが、なお力足らずして、冷ややかじゃないかという御印象を与えましたことはまことに申しわけないわけでありますが、この上とも一生懸命に、二つの法案がぜひとも早急に成立いたしますように、そのためにはいろいろ御意見のあります点につきましては十分謙虚に承りまして、できるだけその趣旨も中に取り入れまして、そうして皆様の御理解をいただきまして成立させていただくようにお願いをしたいと、このように考えているわけでございますから、この上ともひとつよろしくお願いを申し上げたいと考えるわけでございます。
  59. 向井長年

    向井長年君 これは、本来こういうことはいいことか悪いことかわかりませんけれども、いろいろもろもろの法案が出てまいりますよね、これは大蔵にしましても、通産省、建設でも、農林もそうですが、やはり政府部内が真剣に燃えなければ国会は燃えないんですよ。これはもう事実そういう状態がある。それはやはり与野党の中で反対もあれば賛成もあるのですから、しかし国会というところは審議を通じて最終的にはこれは結論を出さなけりゃならぬということでしょう。そういう中で、この問題については通産省あるいはまた科学技術庁が冷ややかと私が言ったことは、国対あるいは各党の議運あるいは理事、それぞれ何にも働いていないじゃないですか。国会もあと一月半でしょう。この間に何とかこれは通過さしてほしい、審議してほしいと、こういう形の動きというものは私は見受けないのだ。他の法案は見受けますよ。農林省の設置法案とか、あるいはまた地方行政の問題、あるいはまた大蔵問題、いろいろな行動がそれぞれ自民党筋から、あるいは政府筋からやられておる。ここ何もやっていませんよ、これ長官。ここらに私はやはり熱意がないんじゃないか、冷ややかじゃないかということが出てくるので、こんなことはいいことじゃないかわかりませんよ。しかしそういう実態であるということぐらいは知って、あと残された期間があるわけですから、十分軌道に乗せる、早く審議をすると、そして参議院に回付されて参議院でもこれを十分の審議をやっていこうと、こういう形で取り組んでいただきたいことを私は強く要望いたします。  あわせて最後に、国際的な、たとえば西ドイツを初め欧米諸国のいわゆる放射線科の労働者の環境管理体制がどうなっているか、これについてもう時間がございませんから答弁を求めませんが、できれば資料を出していただきたいと思うのです。放射線科のそこで従事する労働者の環境あるいは管理状況、これはできるでしまう。これをひとつ要望いたしまして私の質問終わりたいと思います。
  60. 牧村信之

    政府委員(牧村信之君) 御趣旨の点に対しまして、できるだけ早く資料を整備して御提出したいと思います。
  61. 熊谷太三郎

    国務大臣熊谷太三郎君) 十分承知いたしましたから、一生懸命この上ともやりますから、どうかよろしくお願いいたします。
  62. 向井長年

    向井長年君 結構です。
  63. 竹田四郎

    ○副主査竹田四郎君) 以上をもちまして科学技術庁所管に関する質疑は終了いたしました。  午後一時四十分まで休憩いたします。    午前十一時五十八分休憩      —————・—————    午後一時四十二分開会
  64. 中村太郎

    主査中村太郎君) ただいまから予算委員会第二分科会を再開いたします。  分科担当委員異動について御報告いたします。  本日、松前達郎君及び太田淳夫君が分科担当委員辞任され、その補欠として久保亘君及び矢追秀彦君が分科担当委員選任されました。     —————————————
  65. 中村太郎

    主査中村太郎君) 昭和五十三年度総予算中、大蔵所管を議題といたします。  それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  66. 竹田四郎

    竹田四郎君 国際金融局長、きょうの為替レートはどのくらいですか。
  67. 旦弘昌

    政府委員(旦弘昌君) けさほど寄りつきは二百二十一円八十銭でございまして、前場の終わり値が若干円安になりまして二百二十二円五十銭で終わっております。
  68. 竹田四郎

    竹田四郎君 大蔵大臣、円高も、私はいつまでもずっと続くとは思わないんですけれども、大体この辺がもう天井値に近づいてきていると、こういうふうに判断する意見もあるんですが、大蔵大臣はどんなふうに思いますか。
  69. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) まあ為替相場の見通しについてはなかなか言えない立場にございますが、ただ言えることは、ここへ来まして急に上がってきたわけでございますけれども、きのうきょうあたり大分落ちついてきておるのでございます。そうしてまた直物と先物の間のいわゆる開きが大分縮まっておるということ、これはやはりある種の、いわゆる取引関係者の相場観がある程度出ているように思うわけでございます。  それから、ことしの年初以来ずっと見ておりますと、二百四十円台が大分続いておりましたが、二月の下旬あたりからずっと下がってまいりまして、三月に来て急テンポで上がっていっているわけでございます。こういったことを見ますと、やはりかなり調整が行われつつあるんじゃないか、そんな感じはするわけでございますが、これで後はどうなるとか、もう大丈夫だとか、こういうことはなかなか申し上げがたい、かように思うわけでございます。
  70. 竹田四郎

    竹田四郎君 ドルなりスイスフランの動きはどうなんでしょうか。
  71. 旦弘昌

    政府委員(旦弘昌君) 昨年末以来から見てみますと、スイスフランは六・五%上がっておりまして、ドイツマルクは三・八%上がっています。日本円は七・八%上がっています。
  72. 竹田四郎

    竹田四郎君 今後の動きはどんなふうに局長考えていらっしゃいますか、その西欧の関係などは。西欧関係のスイスフランとか、マルクについてドルとの関係は大体どんなふうにお考えですか。
  73. 旦弘昌

    政府委員(旦弘昌君) ただいま大臣が申されましたように、日本の円のレートのみならず、諸外国のレートにつきましても、通貨当局の一員といたしまして、その見通しを申し上げる立場にございませんので御了承いただきたいと思います。
  74. 竹田四郎

    竹田四郎君 大蔵大臣は、大蔵省関連として円高を安定させる手だて、公定歩合の引き下げもやりましたし、それから短資に対する外国の投機についてもある程度封じたというようなことで、何かこれについて手だてをお持ちになっているのかどうなのか、どうでしょうか。
  75. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 私は、やはり基本的には実勢が最後には決定するわけでございます。日本の二月、三月の貿易の黒字、これが何といっても基調にあると思いますし、反面、アメリカの逆の意味の輸入超過、これが基調にありまして、それに対していろんな相場観を持っている人たちが、いろんな短期資金の流入がそれに加わるという性質のものであり、あるいはまたいわゆる貿易収支についてリーズ・アンド・ラグズが出てくる、こういうことでございますので、何といっても最後は実勢が決めてしまうだろうと思うのでございます。  そういう意味で、基本的にはやはり内需の拡大ということが基調になるわけでございます。しかし乱高下は避けなければならぬところでございますので、日銀当局とわれわれは密接な連絡をとりまして、国内はもちろん、また海外とも連絡をとり、できるだけの努力をしているところでございます。先般も短期資金の流入を阻止するために五年一月未満のものの取得を禁止し、あるいは自由円預金の増加のものにつきましては、一〇〇%準備させるという措置をとったのでございます。しかし見ておりますと、相場はそれにもかかわらず逆にその後上がっているというような問題がありまして、非常に心理的な要素を含んでいるわけでございます。  見ておりますと、各国ともそうでございますけれども、確かにそのような直接的な規制をやりますと、短資の流入は減ることは事実でございます。ある程度は減ってくるわけでございます。わが国でも減ってきております。しかし逆に、これは想像でございますけれども、各国の通貨当局がある措置をとりますと、そうすると逆に海外では、やはりとりようでございますけれども、将来その国の通貨当局は先高観を持ってやっているんじゃないかと、こう見られるわけでございますから、その面で非常にやはりリーズ・アンド・ラグズが出てくるとか、あるいはいろんな形で逆にまた短資がもぐってくるとか、いろんな問題があるわけでございます。ですから、むやみやたらに技術的な措置をとることの是非、これは非常に慎重に考えていかなければならないのではないか、かえって意図するところと逆の現象が、少なくともいままで各国がとっておりますと逆の現象が出ておるのでございます。なかなか為替相場のことでございますから、長い判断が必要でございますけれども、直後においては少なくともいままでは逆の現象が、ドイツに限らず、スイスに限らず、日本に限らず起きているということは事実でございますので、その辺よほど慎重にやる必要があろう、いまそのような感じを持っておるところでございます。
  76. 竹田四郎

    竹田四郎君 これは宮澤長官が例のターゲットゾーン構想みたいなものをアメリカに言っているらしいんですけれども、大変アメリカはこれに冷ややかなようですね。大蔵省なり政府なり、アメリカに対してドルの安定の働きかけは恐らくしているだろうと思うんです。しかし余りいい返事が来ているような感じは受けないし、どうも円というものに対するアメリカの対策というものは余り考えられていない、こんな感じを私どもは持っているわけでありますけれども、何らかの形で、円とドルとの関係でこうした乱高下やかなり急激な円高に対してアメリカとして手を打とうとしているのか、もちろんこれは長期的な問題と短期的な問題は私別だと思うのです。長期的な問題ではもちろん日本の輸出を減らせということだし、景気を回復しろということだと思うのですけれども、短期的に何か手を打とうというような動きはアメリカにありますか、どうですか。
  77. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 円のためとかマルクのために何らかの措置をとれという動きまではなかなかいってないんじゃないだろうか。これはいろんな見方がございますが、アメリカでもそういう見方は余りないんだろう。つまりそれは、貿易収支の実勢が反映しているという基本的なとり方をしておると思うのです。しかし最近になりまして、アメリカはみずからのドルが安くなることについては非常な関心を持ちつつあるように思うのでございます。つまり、いままでは雇用の問題中心考えておりましたけれども、ドルが安くなりますれば輸入物価の上昇を通じてインフレが促進されることは当然でございましょうし、また、いま油がほとんどドル建てで取引されているわけでございますが、これは産油国にとってはなかなか容易ならぬことでもございましょうし、また今度逆の面で言えば、産油国はそれをほとんどドル資産に投資しておりますから、実際のことを言うと産油国の立場でもドルが下がっては困る。そうかと言って、油を上げればドル資産の価値を、みずから自分の財産を目減りさせるという両面があるわけでございます。しかし、アメリカとしてドルが下がることに利益を感ずることはないはずでございます。だから、ドルが好むと好まざるとにかかわらず現実の問題としていま世界通貨として働いており、そして国内的にはインフレ要因につながるということから、やはり徐々に、何とかドル対策を講じなければならぬ。基軸通貨の立場からも、あるいは国内通貨としての立場からも放置できない、あるいは円との関係で。ドル安になる原因その他は別にして。そういう認識が少しずつ高まりつつあるように思うのでございます。したがいまして、われわれが認識のいま一致が一番大事だということを申し上げているのは、その気にならなければそれはやるはずがないわけでございますので、そういう認識が高まること自体が一番大事なことであり、またその点をわれわれが折に触れて指摘し、そしてあえて円のためとは言わず、アメリカのためにも、また世界のためにも何とかひとつやるべきではないかということをサジェストしておることは、当然の努めであろうと思うわけでございます。そういう意味で、漸次一ころよりもその種の措置の必要性について認識が高まりつつあるのじゃないか、この辺が第一の一つの問題であろうと思っているわけなのでございます。
  78. 竹田四郎

    竹田四郎君 私は、勘でしか物が言えないわけでありますけれども、大体短期的に見て、円もある最高位に近い状態に当面出てくるのじゃないだろうか。ドルの方は、いまおっしゃられたような、アメリカの認識というものが若干前向きな感じが幾らか感ぜられる。それからマルク等については、この辺で大体固定をしてもらいたいという意向というものが強いように感ぜられるわけです。ですから、あるそう遠くない時期に、余り激変がない、小幅程度で動く時期というものがどうも来るんではないだろうかという感じも、これは私の勘でありますが、受けるわけなんです。  そこで私、そういう時期をねらって、三つの強い通貨間の基本的な枠組みというか、合意とかいうようなものができたら、その辺でつくってみる必要があるんじゃないだろうかという感じがするわけであります。そういう意味で、どうなんでしょうか、日本と西独との関係というのは、私はかなり緊密にその辺は連絡をし合って、必要に応じては相当大物を西ドイツへ派遣するなり、あるいはスイスあたりでそういう話し合いをするなり、ある程度そういう準備行動というようなものがあって、そのタイミングとうまく合わせてその辺で国際通貨の安定的な措置、そういうものをとるべき時期に来ているんではないだろうかというふうに、これは私の勘でありますけれども感ずるわけであります。そういう意味では、西ドイツと日本との関係というのはきわめて重要なかぎになりつつあると思います。そうした意味で、大蔵省の大物を、あるいは日銀の大物をそういうところに派遣をしていく、あるいはその段取りをつけるというようなことはどうでしょうか。
  79. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 日銀当局の方は、重立った国が毎月一回必ず通貨当局は集まりまして、絶えず情報交換をし、あるいはとるべき何か措置があるかということはしょっちゅうやっているわけでございます。また、大蔵省におきましても、機会あるごとに人を派遣し、あるいはしょっちゅう電話連絡をとっておるところでございます。いま竹田委員おっしゃるように、将来、これからですね、少し安定の方向に向かってくれれば非常にいいのでございます。ただ、そのときに、たまたま為替相場が安定したから、それなら共同の措置がとれるかどうかという問題が最大の問題でございまして、それは、変動為替相場でございますから、実勢がそうなったからそうなるんであって、今後においてどうなるかという問題は、実体経済あるいは貿易収支が決めるわけでございますから、通貨の面だけで、その実態の方はほっておいて通貨でもって取り決めるということには、各国とも通貨当局は非常にむずかしい問題だという共通の認識を持っていることはもう事実なのでございます。それがありますから、いわゆるターゲットゾーンでどうするとかいう話がなかなかまとまらないということは、まさに、実体経済のインフレ率なり、あるいは貿易の黒字幅とか、あるいは赤字幅というものに開きがある、そのときにやることは一体どういう意味を持つか、変動為替相場のもとで。そういう変動為替相場のメリット、デメリットの問題に通じまして、それをあるところで縛るということに非常に合意が見出しにくいという実態があるわけでございまして、現在のどこでも通貨当局が見ているのは、乱高下は抑えなくちゃならぬ、これはみんな言っているのでございますが、何をもって乱高下と言うのか、その辺の認識は実体経済とのつながりでなかなか合意が得られない、こういう実情にあると思うのでございます。したがいまして、私たちは、当面の問題としてはマルクはいま余り貿易出超にはなっていないようでございます。マルクがいま安定しているという最大の理由は、やはり実態の方が余り動いていないわけでございますから安定しているんだろうと思うのでございます。そういった意味で申しますと、日本はマルクとは直接はそんなに取引はないわけでございまして、九〇%はやっぱりドルであるわけでございます。だから、現実の問題としては、やはりドルの国であるアメリカ自身が、みずからの必要あるいは世界の中における信認通貨としての必要性をみずからが感じてもらうということが一番手っ取り早い方法ではないであろうか。何らかの協定を結ぶということについては、まだまだ国際的の合意は、さっき言ったような理由からして非常にむずかしい問題のように私は思っているのでございます。
  80. 竹田四郎

    竹田四郎君 私も一遍に、相当長期間にわたるようなそういう協定というものはそう簡単にできないと思います。ただ、それへいく一歩、二歩前進したあり方、たとえば乱高下が防げるような体制、これも恐らく日銀などの介入だけではなかなか実態を見ていても防げないわけなんです。とりあえず乱高下を防げるような第一段階といいますか、準備段階といいますか、そういうようなものをつくっていかないと、何か大蔵大臣の話聞きますと、もう打つ手なしというような感じで、日本の貿易収支がアメリカに対してある程度均衡をとらなけりゃもうだめなんだというような印象を非常に私はいま深く受けたのですけれども、そこまでいくというのは、私は日本の内需の拡大にしても黒字減らしにしても、そう一朝一夕に変わっていく、数カ月で変わっていくという問題じゃないと思うんですよ。日本の輸出圧力にしたって、そう私は簡単に変わっていくもんじゃないだろうと思いますから、一遍にその理想的な問題へはとてもそれは私いけるものだとは思いませんけれども、二段、三段という準備段階を通じて、だんだん狭くしていくという意味で実はいま申し上げたわけでありますけれども大蔵大臣の方は何か理想的な形のそういうものというんですか、それはもう私はできるとは思いませんけれども、二段階、三段階で追い込めていくというか、幅を縮めていくというような意味でも、私はそういうマルクあるいはスイスフランと円との関係を決めて、ドルをその中に注ぎ込んでいくというようなことが必要じゃないかという気持ちで実は申し上げたわけであります。  それから、最近の株式相場の異常な高値ですね、これは私はやっぱり政府の資金散超もあるでしょうし、昨年の十月あたりからの外為会計の払い出しですか、これもかなり大変なものだと思う。どうもこれもあれですね、会社の実績はそうよくないのに株が高いということでありますから、ちょっと異常ではないかという気がしますが、そういう意味ではどうもちょっと過剰流動性が、まだ極端には出ておりませんが、過剰流動性の問題というものをそろそろ心配をしていかなければならない段階に入ったことを、この株高というものが示しているんではないだろうかという気がいたしますけれども、どうでしょうか。
  81. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) 日銀が介入をいたしますと、これは外為会計からの円資金の散布になるわけでございまして、これは御承知のとおり財政資金の対民間収支の払い超要因となるわけでございます。ただ、日本銀行におきましては、このような財政収支につきましては、日銀券の発行状況ともにらみ合わせまして資金調節をやっているわけでございまして、たとえば具体的に申し上げますと、三月では外為会計への払いが約一兆円と見込まれますが、これを合わせまして財政収支の対民間収支が二兆円程度に上がると考えられるわけでございます。これと日銀券と勘案いたしますと、約一兆八千億程度の資金余剰ができるわけでございますけれども、これを日本銀行では準備預金の積み増しを約六千億ぐらい、それから残りの一兆二、三千億円を手形の売りオペで吸収することにしておりまして、この意味では資金需要は一応ならされてしまうわけでございますけれども、ただ先生指摘のとおり、こういう財政資金の散布はマネーサプライの増加につながるわけでございます。ただ、しかしながら、いまのところマネーサプライの増加状況は対前年比一〇%そこそこの伸びにとどまっているわけでございまして、かつて過剰流動性と言われた四十七年当時は、これが二七%程度に上がっていたわけでございますから、それに比べればまだまだ落ちついた動きであるというふうに考えております。しかしながら、今後の動向については、先生指摘のとおりいろいろ警戒を要する面もありますので、このマネーサプライの動きには注意しながら適切に金融政策を運営してまいりたい、このように考えております。
  82. 竹田四郎

    竹田四郎君 株式市場に対しては何らか措置をおとりになっているんですか。
  83. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) マネーサプライはいま銀行局長から言ったようなことでございまして、絶えず警戒いたしているわけでございます。それにもかかわらず株価が上がっているわけでございます。従来から円高とそれからダウの指数をずっと見てみますと、非常にフィット率が高いのでございまして、大体円高になりますと上がるわけでございます。この原因は一体どこにあるのか、いろいろの見方があるわけでございまして、言ってみますれば、一言で言えば、日本の国際競争力が強いことを円の価値であらわしているわけでございますから、国力の高さが買われていると言えば、一言を言えばそれっきりでございますが、しかしその原因はいろんな見方がございます。そこで、その原因がいずれにあるにせよ、やはり情報通がいい機会を見て売っていって、そして余り情報を持たない個人が下がったときに損害をこうむるというようなことがあってはいかぬわけでございますので、いまいろんな措置を講じているわけでございます。すでに取引の方の証拠金は三割から四割に上げ、ついこの間また五割まで上げているわけでございますし、これは信用取引の方でございますけれども。また、株の掛け目につきましても、いま七〇が掛け目でございますが、七〇を六〇に下げているわけでございます。掛け目を下げまして、そうして担保の金融力を落としているわけでございます。そのようなことを通じまして、証券局とそれから取引所が一緒になりまして、過熱にならないように万全の措置を講じているところでございます。
  84. 竹田四郎

    竹田四郎君 この点は確かにいまはマネーサプライが一〇%台だということで、いまのところは確かにそうですが、しかし、この前のときもやっぱり株高が先行したという経過があるわけでありますから、やはり十分警戒をしないと投機に回って、さらに経済を混乱させていくという問題があると思いますから、十分に見守っていかなければならぬと思います。円高のマイナス面、デメリット面は大変新聞でも強調されているんですが、メリット面というものが余りにも強調されてないし、メリット面をいかに国民生活の中に広げていくかという、このことについては余り積極的でないわけですけれども、まあメリット面を一つ一つ商品にペイバックしていくということも私は一つのあり方とは思いますけれども、まあ確かに、たとえば石油会社の中ではこの差益で大変もうけているところもありますし、たとえば電力会社にしても、ガス会社にしても、まあ相当大きな額の差益というものを計上しているわけです。これはこの前も私申し上げましたように、まさにこれは、たとえば円高によって被害を受けている企業やその他のものの苦しみとは反対に、大変に利益を享受している。ある企業では、もうことしはベースアップを二回やるというので、第一回目のベースアップは終わっているというところすらも実はあるわけですね。そういう意味では、私は差益によるところの国民への還元というのはやはり法人税を通じて、そういう税制を通じてやっていくというやり方、これは私は非常に公平なやり方であろうと、こういうふうに考えるわけでありますが、これは主税局というのか、国税庁というのか、大体この九月以降の法人の為替による円高のメリットというのはどのくらい法人は受けているんでしょうか。
  85. 米里恕

    政府委員(米里恕君) 為替差益の問題と法人税収の問題でございますが、二つの面があろうかと思います。  一つは、直接円高差益の法人税収への影響というようなことであろうかと思いますが、これにつきましては先ほど指摘のございました石油精製会社であるとか、あるいは電力会社であるとかいうようなものにつきましては比較的早く収益が出まして、法人税収の増という形で、直接的な形で出やすいものだと思います。  一方、それ以外の大部分の業種につきましては、いろいろな過程を経て間接的にあらわれてまいる。たとえば原材料でございますとか、あるいは製品価格とかいったようなことを通じまして、徐々にいろいろな収益面での影響が出てまいろうかと思います。  それから、またさらに、ただいまも御指摘がございましたように、そういった円高の利益をどれだけ製品価格などを通じて消費者に還元するかどうかというような問題も収益に関係してまいるということは当然であろうかと思います。こう言いましたように、業者によりまして非常に多様的でございまして、影響の方向、どっちにプラスになるか、マイナスになるかというような影響の方向、あるいはタイムラグ、あるいはまた程度といったようなものは非常に多様なものがあろうかと思います。そういったようなことで、どれだけが為替差益で法人税収に影響するかということはなかなか定量的にはつかみがたい問題ではないかと思っております。  それからもう一つの面は、マクロの問題といたしまして、円高が経済全体にどのような影響を与えるか、それによって法人税収がどういう影響を受けるかという問題であろうかと思います。こういった両面から考えてまいらなければならないと思いますけれども、なかなかこれを定量的に把握していくということは困難かと思います。
  86. 竹田四郎

    竹田四郎君 まあそれにしても、確かにいろいろ輸入をされたものが安なくっているということは、全然ないとは言えませんけれど、大勢として感ぜられないわけです。そして、そういうことになれば、為替差益というものはどうしても法人の中にたまっておる可能性というものは非常に強いと思うんですね。この前のときには、まだいろんな形で輸入製品についてのトレースをやることによって、かなりこれを低くしたというふうなことをやったんですが、今度は何かそういうことをすれば雇用に影響するというような話で、これは電力会社にいたしましても、ガス会社にしても、ただ将来にわたるところの料金値上げを抑えるという程度で、片っ方ではもう苦しんでそれによって倒産に追い込まれている連中もいるわけですね。この前の例のニクソンショックのときに比べれば、あのときはどちらかというと、景気はまだ上る力があったときに行われたときでも、そういうことがあったわけですね。今度の場合には、どちらかというと下り坂でこれを受けているわけです。ですから、この円高による格差というものは、当時に比べれば私はもっと広がっているだろうと思うんです。  そうなりますれば、私は何らかの形で国民に返すということになれば、これはまさに片っ方の者の苦しみを見ながらもうけているんですから、単なる不労所得以上の、損をしている人から見れば、もう憎しみを持った不公平であるとすら私は言えるわけですね。それをただ普通の形で、片っ方はにこにこしている、片っ方は失業で苦しんでいると、あるいは倒産で苦しんでいるというのを、ただそういう形だけで見ているというのは、どうも不公平あるいは国民の不満というものを拡大していくだけだと思うんです。何らかの形でそれは私は措置をしていかないといけないんじゃないかと、こんなふうに思うんですけれども、何らかの手段をやはり開発するなり研究するなりして、やはりこの余り差益が行っているのは、ただ普通の法人税率だけでいくという、そういうことであっては、自分が努力してもうけたのも、為替差益でもうけたのも同じ税率で扱われるということになるということは、余り好ましいことではないと思うんです。何らかの措置を講ずべきだというのが私の意見なんですが、どうなんでしょうか。これは後で大蔵大臣にお答え願います。
  87. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) まあ為替、円高によって為替差益が出たから何か特別の税金をかけたらどうかという趣旨のお話ではないかなと、こう思うのでございますが、これはなかなか非常にむずかしい話でございまして、前回、会社臨時特別税というものを起こしました。あれは何かというと、物価が非常に上昇しまして、そしてそのためにいわば債務者利益がうんと出てくるということで、まあ非常措置として、また過熱を冷やす意味でやった特別の税であるわけでございます。  現在はまさに逆の局面でございまして、景気をこれからよくしようと、こういうのでございます。その中での円高による利益を受ける者と、それから円高によって損が出てくると、こういうことでございますので、その点はまあマクロ的に見ますれば、当然今度の五十二年度の税収の中に何となく見積もられておると、こういうことなのでございます。財政のパイプを通しまして、円高でもうけたものは取りますし、それから円高によって損した中小企業については、税の面では欠損の繰り越しをやるとか、あるいは三年間の繰り戻しをやるというやり方でやっているわけでございまして、そのもうけたものが不当利得であるという観念で特別の税金を取るということはいたしていないわけでございます。
  88. 竹田四郎

    竹田四郎君 そこを何とか考えられないかというのが、私の聞きたいところです。
  89. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) それはちょうど逆に申しますと、今度は円高によって損をしたものは国家は補償せいという問題にすぐつながるわけでございます。つまり、円高によってもうけたものは特別課税しろという主張は、同時に円高よって損したものは国が補償すべきという論議に通ずるわけでございます。物価についても同じことが私は言えると思うのでございます。ですから、その辺は市場原理でございますので、われわれは市場を通して、あるいは財政を通して自然に還元されるだろうと。まあ少なくとも言えることは、いまの円高の利益をできるものならば直接消費者に返して税金はその後ちょうだいすると、これが一番国民にはわかりやすい手段だろうと思うのでございますけれども電力につきましては、これは通産事項でございますけれども、通産大臣の御説明によれば、電力料金というものは大体長期的に原価計算をすべきものであって、そのときそのときでもって電力料金がもうしょっちゅう動いているということは、経済全体に非常にマイナスの要素をマクロで見て与えるから、だからまあこの一年、できれば二年間ぐらいこの円高差益は、料金を据え置くという形で長い目で国民に還元していった方がベターだと、このような考えを持っておるようでございます。またもう一つ代表的に挙げられます石油については、すでに、物にもよりますけれども、まあ二千円ぐらい下げておると聞いているわけでございます。そういたしますと、その残りについての為替差益が自然にこっちへ上がってくる。まだほかにもそういうものはないか、いろんなものがございまして、たとえばまあ大蔵所管でいいますと、外国のたばこを製品輸入している分がございます。これはまさに円高メリットはできているわけでございますから、直ちに下げているというようなことでございまして、その辺の還元のできるもの、それからにわかにしにくいもの、いろいろありますけれども、一般的に申しますれば、できるだけ直接消費者に還元できるものについては還元した方が、円高というものはデメリットだけでなくて、メリットもあるんだということがはっきりするであろうという意味で、一般論としては私も竹田委員の考え方に賛成でございますけれども、具体的に一つ一つを見ていくとなかなかむずかしい問題を含んでいるような気がいたすのでございます。
  90. 竹田四郎

    竹田四郎君 時間来ましたけれども、たとえば電力なんかだっていまおっしゃるようにすぐ還元するというのは、確かに私もそう思うんですよ。しかし、電力会社は確かにそういう形でもうけている。ベースアップもほかの人は一回のものを二回もやると。これじゃあ片っ方では会社がつぶれて給料が取れるか取れないかわからぬと、たとえばアルミ精錬なんてまさにそうでしょう、あれ電力料金下げてやればこれは採算とれるんだけれども、とれない。こうなってくると一つ一つ、それは下げていけばいいですよ消費者に、そういうことはやってないでしょう、いま。特に最初に大蔵大臣おっしゃるように、いま景気が悪いときなんで下げるどころじゃないと、上げる方向なんだと、だからこそ私は何らか国民全体にそのメリットが、まあ国の税金で吸い上げて、それを全体に返すという方向だって私は一つの方法だと思うんです。そういうものをやはり開発してそういうことを考えていかないと、また業界も不ぞろいになると思うんですよ。あそこは返したけれどもあそこは返さない、電力会社なんかはおっしゃるように、今度は困ったときには特別な国のいろんな助成措置で片っ方ではそういうものを受けている、円高のメリットを返さないと、これではやっぱり国民納得できないと思うんで、もうこれ以上私議論はいただかなくっていいわけですけれども、しかし、これはやっぱり政府として、大蔵省だけじゃなくて政府として何らかの形を考えないと、国民の不満というのはますます私はたまってくると思うんですよ。そういうことをやっぱり考えていただかなきゃいかぬと。これは私の意見でありますけれども、ひとつぜひ御検討を政府としていただきたいということをお願いして質問を終わりたいと思います。
  91. 久保亘

    久保亘君 私は最初に、いま問題となっておりました円高に関連をして、特に五十三年度の予算とレートの問題でお尋ねしたいと思うんですが、五十三年度の予算編成に当たって使用されましたレートは幾らになっておりますか。
  92. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) 予算計上のレートはそのときの基準外国為替相場によることになっておりますので、そういうルールを、フロートに移行いたしまして以来採用いたしておりますので、そのレートによっております。具体的に申しますと二百六十二円でございます。
  93. 久保亘

    久保亘君 五十二年度の予算までは三百八円で使われておったのじゃありませんか。
  94. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) 基準外国為替相場が三百八円でございましたので、三百八円でございましたが、昨年の十二月でございましたか、過去六カ月の平均をとりまして基準外国為替相場を半年ごとに変更しいてくというシステムになりました。それによって算定いたしましたその編成当時の基準外国為替相場に当たる二百六十二円を使ったわけでございます。
  95. 久保亘

    久保亘君 すでにこの予算の成立の段階では二百二十二円になっているわけでありますから、その差が四十円、約一五%強になるわけでありますが、そういたしますと、たとえば防衛庁が購入を予定いたしておりますP3Cにつきましても、これは機体そのものが昨年の八月予算要求の段階では一機七十五億、それが予算が決定をいたします段階では二百六十二円のあの換算になりましたので、六十三億になっているわけでありますが、これは地上設備や部品などを入れますと、二百六十二円のレートでもってなお百億以上のものなんです。一五%円高の差が出てまいりますとP3C一機について十五億の差が出てくるわけでありますが、今度の五十三年度予算全体を通じて予算に組まれている輸入関係のものを、一五%円高になったという立場に立てば、予算全体としてはどれぐらいこの予算は、実行段階では不用額になってくるという見通しを持っておられますか。
  96. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) いま、実は突然のお話でございまして、手元に資料がないので数字的なお話を申し上げられないのでござますが、仕組みをお話し申し上げたいと思います。  予算の中で、外貨建ての予算と、それから円貨建てではあるけれども、元が外貨建てでもってそれを円貨で換算して計上する、この二種類を大ざっぱにいってあるわけでございますが、その外貨建ての予算、外貨建ての予算と申しますか、外貨建てで契約する予算につきましては、実際のレートと二百六十二円なら二百六十二円との差はどういうことになるかと申しますと、要するに日本銀行との間で調整いたしまして、損得なしというかっこうになるわけでございますから、それは歳出予算としては不用が立たない。その分だけ歳出は得しちゃうわけでございます。後で日本銀行から政府に納めてもらうという仕掛けになっておりますので、その関係予算は不用の問題は出てこないわけでございます。しかし一方外国から、たとえばいまお話がありましたように、何か航空機なら航空機を買う、それは当然外貨で買うわけでございますが、国内の業者との関係においては円で契約しているというような場合には、結局契約の仕方の問題になるわけでありまして、その契約の条項で当然のことながら外貨のレートの変更、変動に対してどういうふうに措置するかということが決められていようかと思うわけでございます。その場合には不用の問題が出てまいりますし、また逆に、数量をよけい輸入できるという、そういう事態もあろうかと思います。ただ、防衛庁関係では大分そういう外国から輸入する経費もございますけれども、これは数量の増加に充てないで不用に立てるということで、一種の節度を保つように政府部内でやっているところでございます。
  97. 久保亘

    久保亘君 いま数量をふやすとかいう話ありましたが、実際には、たとえば防衛庁の航空機の輸入などの場合には、一応予算上の金額は決まっておりますけれども、実際の購入契約になりますと、その段階で価格は上下しておるわけです。だから、実勢力よりもうんと、まあ円で見ますならば、弾力の持てるような予算が実際決まっていくわけですね、一五%も高く決まるわけです。そうすると、その契約をめぐって防衛庁側は非常に余裕を持って交渉すると、相手方もその余裕をできるだけ価格を引き上げることによって吸収する努力をする、こういうことになってくるわけでありますから、だから、半年ごとに基準相場が決まればそれで是正するということならば、当然輸入品についてはその段階で、この円の実勢力に基づいて予算は実質的には補正処理をされた形で運用されるということでないと問題が起こりやすい、こう思うんですが、その点はいかがですか。
  98. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) 一般的に、おっしゃるようなかっこうにするのはいかがかと思いますが、ただいま御指摘の防衛庁に関しましてはいろいろ国会での御議論もあるところでございますので、まさにいまおっしゃいましたように、その分だけ余させると、円高の分だけ予算を不用に立てさせるというやり方で防衛庁とも相談してやっておりますし、過去のこともそういう方向で処理しております。
  99. 久保亘

    久保亘君 防衛庁だけではなくて、やっぱり政府外国から輸入する場合は、そういうような考え方に立ってやらないと、中にはそれは数量を非常に制限しておるからふやさにゃならぬという問題もあるかもしれませんけれども、しかし購入価格そのものが、日本予算が非常に余裕を持って組まれているために、価格が実際の契約段階では問題を起こしやすい、こういう点については十分な配慮をすべき問題だと私は思うんです。特に防衛庁の装備やそれらの輸入につきましては、その点については厳格な規制が必要であろう。こういう問題で非常に大きな金額の幅を残しておきますと、ロッキード事件等にもつながりやすい要素を持つわけでありますから、その点についてはいまお答えになりましたように、予算そのものはいま金額は動かなくても、実質的には円高の補正を行ったと同じ形で運用させると、そういうふうに理解してよろしゅうございますね。
  100. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) そういうことで結構でございます。  なお、その防衛庁以外で私が数量の方の関係もあると申し上げましたのは、たとえば食管で小麦を輸入しているというようなケースがございますけれども、円高になったと、もっと数量を輸入してもいいじゃないか、あるいは備蓄をふやしてもいいじゃないかという議論に対応して、その予算を執行しちゃうということもあり得るわけでございます。これは必ずそうするというわけではございませんが、あり得るという意味でそう申し上げたわけでございます。
  101. 久保亘

    久保亘君 次に、最近在外公館に勤務する外交官職員等の給与を円高に伴って削減措置をとられたと聞いておるのでありますが、平均何%の削減を行われるのか、これわかりましたら教えてください。
  102. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) ただいまのお話は在勤法の改定の問題かと思いますが、これも円高の影響を受けまして、同じ円——円の支給でございますから、同じ円を支給いたしますと、円高と申しますか、たとえばドル地域では有利になってしまうということで円の方を切り下げたわけでございます。で、いまちょっと手元に数字がございませんのですが、各段階とも——これ毎年やっておりますが、ある程度の調整を行っておるところでございます。
  103. 久保亘

    久保亘君 そうすると、今回のように非常に急激なレートの変化がありました場合には、その在外公館に勤務する方々の給与をそういう実勢力に直して補正を行うということになるならば、当然に海外出張の旅費とか、こういうものについてもその種の是正が必要になってくると思うんですが、この点についても五十三年度の予算の執行に当たっては措置されるのかどうか、その点はいかがですか。
  104. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) 旅費は実費弁償でございますから、その範囲内で支給しておるところでございますが、外国旅費の大部分は恐らく航空運賃だろうと思います。航空運賃がもし円建てで下がれば下がったところで支給するということになりますが、円建てで下がるような事情にはなっていないんではないかと思います。
  105. 久保亘

    久保亘君 航空運賃だけでなくて、長期に海外に出張するような場合には当然滞在費とか日当とかいうものがかなりな部分を占めてくるわけです。在外公館に勤める者についてそれが当然のこととしてその修正が加えられるのであれば、海外出張の旅費についても滞在費や日当についてはそれに準ずる扱いが出てこなければバランスがとれないんじゃないかと、こう思うんですが、それいかがですか。
  106. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) 大変申しわけございませんが、取り調べまして後ほど御連絡申し上げます。
  107. 久保亘

    久保亘君 いや、これ調べる問題じゃなくて、具体的に中身はそれは調べにやならぬかもしれませんが、考え方としては一貫性がないと、外国に勤務している者は円高分だけ円に換算した場合の給与は落ちるということならば、当然海外に出かけていく者についてもこれは、外国で使うのはドルで使うわけですから、そうすればその滞在費や日当などについては同じような措置がとられないと不合理なことになりゃしませんか。その考え方をお伺いします。
  108. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) おっしゃる点もよくわかるわけでございますが、ちょっとその旅費の関係につきましては専門的知識が私いまございませんので、ちょっと専門家に聞きまして調べました上で御返事申し上げたいと思います。
  109. 久保亘

    久保亘君 それじゃそのレートに関する問題は以上二つのことでとめておきまして、次に、大蔵省の金融機関の監督に関する問題で三点ほどお尋ねいたします。  最初は、最近大手の銀行を初め、総会屋に対する賛助金の一律引き下げを行うなどというようなことが報道をされておりますが、金融機関がこの総会屋を必要悪的と認めているような現状について、大蔵大臣どういうふうにお考えになっておりますか。
  110. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) 最近大手の銀行その他が総会屋に対してかなりの金を出しているケースがあるということを新聞紙上等で承知しているわけでございますが、これは公共性の高い金融機関のあり方としては非常に好ましくないと考えております。特に金融機関の場合には、そのような総会屋に金を出す必要が生ずるような原因をつくること自体が問題でございまして、平生の営業態度、経営態度を正すことによってまずそういうものを排除すべきだと、このように考えております。
  111. 久保亘

    久保亘君 ところが、実際にはかなりな金額に上るものが各金融機関から総会屋に対して支出されておりまして、最近いろいろなあなた方の指導もあるんでしょう。それからまた、金融機関自体も社会の批判に対してこたえにゃならぬということもあるのでしょうが、私どもが不可解に思うのは、銀行間で協議をして一律二〇%総会屋に対する賛助金を切り下げようなどというようなことはもってのほかだと思う。そういうような考え方で金融機関が株主総会を運営したり株主総会のあり方を考えているとすれば、これは金融機関を指導監督する立場にある大蔵省としても見逃してはならぬ問題ではないかと、私はこういうふうに思うんですが、これらの賛助金というのは税制の上では企業の必要経費として認められているのかどうか。  それから、受け取った側については、これはもし必要経費として認められているとすれば、だれに幾ら出したかということは国税庁で把握することができるわけですから、そうすれば受け取った側の総会屋に対しては、これをきちんと課税されているのかどうか、その点はいかがになっておりますか。
  112. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) いま国税庁が来ておりませんので、課税の実態がわかりかねますが、税制から申しますと、それが支出がどういう形で出ておるのかということによってその損金性が決まってくるわけでございます。もらった方は、そのまたどういう名前でもらったのかということによって雑所得になるのか、あるいは給与所得になるのか、いずれにしてもそれは課税所得であることはもう間違いない。どの所得で課税するかと、こういう問題になろうと思います。出す方の側は、それは一体何で出しておるのか、その科目によりまして、科目というよりも、事実、科目はどうであろうとも、何に対する対価であるかということによりまして、その損金性が認められるかどうかということが決まるわけでございます。
  113. 久保亘

    久保亘君 いま先ほど政府委員から話がありましたように、総会屋に対して賛助金を出さなければならないようなその原因をつくっているということは問題だと、こういうことだとすれば、総会屋というのは名前のとおり、目的は株主総会を経営側にとって有利に運んでやる、こういうことでもってそのなりわいとしているんでありますから、そうだとするならば、これはその銀行側が株主総会で批判をされたり質問を受けたりしては困るような問題を、これらの人間たちを頼むことによってうまく切り抜けようというものでありますから、この種の対価として支払われるものが、これが金融機関の必要経費としてなり得るのかどうか。それは大臣どうお考えですか。
  114. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) これが一体何であるかというその実体によるわけでございます。恐らくそれが業務には直接関係ないということになれば寄付金になりましょう。そうすると、寄付金の限度内でしか認められないで、あとは法人で課税されてしまうということになりましょうし、もらった方は一体雑所得になるのか、何かと、こういう問題になろうと思います。
  115. 久保亘

    久保亘君 この種の問題は金融機関の自粛に任せるということではなくて、総会屋に対する賛助金のようなものを金融機関が支出することはよろしくないということで、金融機関を監督する立場にある行政官庁として指導される御意思はありませんか。
  116. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) この点は実は金融行政の問題であるのか、あるいは警察行政の問題であるのかは若干見解が分かれるところでございまして、先般警察庁の長官が全国銀行協会に出席されまして、各金融機関に対してこのことを強く指示し、これを受けまして各金融機関もさらに自粛の意を固めていると、このように聞いております。
  117. 久保亘

    久保亘君 自粛の意を固めるということは、一律に二〇%節約しようということではないと私は思います。金融機関も経営上非常に困ってきたからお互いにこれを協定を結んでできるだけ安くしょうという話になっているのかもしれませんが、それは総会屋に対して金融機関が賛助金を払うということの自粛とは関係ない。これはお互いにできるだけ余りふところが痛まぬようにしようという話であって、だから、自粛ということはそういうものを一切やめようということでなければ、これは自粛とは言えないと私は思うんです。その点について、金融機関に対して、この種の支出はやめるべきだという指導はできないものなんですか。
  118. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) 先生指摘のように一律に二〇%カットを申し合わせたというようなことは実は私まだ聞いておりませんので、事実を調べましていろいろ検討してまいりたいと、このように考えております。
  119. 久保亘

    久保亘君 こういう問題については、やっぱり銀行は、これはある意味では国民のものなんですから、それで、国民のものである金融機関がそういう金の使い方で、しかもそれが年間を通すと、すべての金融機関を累積いたしますと、膨大な額に上がっておるというのが今日言われていることなんです。私はこういうものに対しては監督官庁としてかなり厳しい姿勢でおやりになるのが筋だと、こう思うんです。  時間がありませんから次の問題にいきますが、次は、金融機関の歩積み両建ての現状について大蔵省の把握されている状況を御報告いただきたいと思います。
  120. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) 金融機関のいわゆる両建て歩積みの問題でございますが、金融機関が貸し手としての優越した地位を利用して、借り手に対して預金を強制するいわゆる両建て歩積みの問題は、これ銀行行政上の最も大きな問題の一つとして、金融機関に対してかねがね強く指導しているところでございます。  この両建て歩積みにつきましては、形の上ではっきり担保措置をとる等によって拘束している預金がございまして、これを拘束性預金と申しておりますけれども、これにつきましては累年の指導の結果もございまして、これはかなり減少をしております。この拘束性預金の貸し出しに対する比率は、三十九年の五月には二二%でございましたのが、五十二年の五月には三・九%に低下しておりまして、これはほぼ目的を達するに近い状態にあるわけでございますけれども、しかしながら、実はこの反面もう一つ問題が出てまいりまして、正式に拘束の手続をとっていないにかかわらず、事実上借り手が引き出すことができないと考えている預金、これをわれわれはにらみ預金と申しておりますが、これの比率が依然として低まっていないという点があるわけでございます。これにつきましては実は一昨年の十一月に新たに通達を発しまして、にらみ預金につきましての整理について厳しい措置をとったわけでございます。この結果によりますと、五十一年の二月ににらみ預金の比率が一一・三%貸し出しに対してあったわけでございますが、五十二年の八月の調査ではこれが九・五%に減っているわけでございまして、今後はこのにらみ預金の圧縮を中心にさらに指導を重ねてまいりたいと、このように考えております。
  121. 久保亘

    久保亘君 確かに正式な手続をとられた拘束性預金の比率というのはかなり減少していることはわかります。それは三十八年以来すでに十五年にわたって大蔵省銀行局長の自粛徹底や強化に関する通達が出され続けているわけでありますから、そういう効果が上がってくることは当然だと思うんでありますが、しかし、にらみ預金の比率はいまなお純然たる拘束性預金の比率のほかに一〇%もあるわけです。これはあなた方のアンケート調査の結果によってとらえられた分だけで昨年の八月で九・五%あるわけでしょう。貸出額の一割近いものが事実上は債務者の側にとっては拘束と同じ状態になっているということは、これは私は大変な問題だと思うんであります。しかも、その報告による拘束性預金の比率が非常に減ってきたということを大蔵省は評価されているようでありますけれども、あなた方自体が金融機関を実際に検査をされることがありますね。その検査の結果、金融機関が定例的に年二回報告いたします拘束性預金の実態と、その検査の結果とはおおむね合致しておって問題はないと、こうお考えになっておりますか。
  122. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) 先生指摘のとおり、銀行からは報告をとっているわけでございますが、この報告を裏づけるために検査におきましては臨場いたしまして、個々の取引の内容を精査いたしまして、洗い直しをしているわけでございます。その場合には、やはりこの報告していたもの以外に、大蔵省の検査によれば、両建て歩積みと認定すべきもの、そのようなものは間々見受けられるわけでございまして、そういう意味で金融検査に当たりましては、両建て歩積みの検査というものを非常に大きな重点項目として実施しているわけでございます。
  123. 久保亘

    久保亘君 これはすでに公取の警告も三十八年ごろ出ておりますし、最高裁の判決もあっておりまして、大蔵省が自粛通達を次々に出されるのは当然だと思います。私はやっぱりこの問題は、銀行の報告にはかなり問題があるなあということを感じておりますのは、大蔵省自体がお出しになりました財務局あての四十九年にお出しになりました「歩積・両建預金の報告の適正化について」のメモがある。それを見ますと、「金融機関からの報告によると、自粛対象預金は皆無となっており、」「拘束性預金比率は低下してきている。しかし、検査の結果をみると、なお多数の」——「多数の」と書いてある。「自粛対象預金が認められ、」「拘束性預金の比率も金融機関の報告通り減少を示しているとは認め難い。」これは大蔵省がお出しになったものです。「特に、その手口は、例えば、僚店間」同じ銀行同士ということですね、「僚店間或いは他行を」他の銀行を「利用して操作する等悪質化の傾向も認められる。」これはあなた方の検査の結果出てきたものです。そして歩積み両建てについては銀行の常務取締役に責任を持たせろ、もしこの自粛に反するようなことがあれば「責任の追及及びその他行政上の厳格な措置をとることとしたので念のため申し添える。」こういうような文書を大蔵省からお出しになっております。そういうような最初に自粛の通達をお出しになってから十一年たったときにそれほどの厳しいメモを財務局に対してお出しにならなければならないということは、歩積み両建ての現状というのは金融機関の定例報告などをもってして信用しておくことはできぬ、こういうことだと私は考えるのでありますが、実際には、いわゆる担保として手続をとられた拘束性預金というのは、これは私は銀行が、金融機関が企業として成り立っていく以上、当然のことであって、そのことについては問題はないし、それが非常に減少してきていることは、それはそれで評価ができると思うんですが、にらみ預金と称するやつが、実際にはこのアンケートで上がったものよりももっと大きな率を占めているのではないか、だから、そういう点について、歩積み両建てについてはもう一遍大蔵省としては徹底的な検査を行って、そして金融機関の定例報告が実態に即しているかどうかということについて確かめる必要がおありになるんではないか、こういうふうに思うわけです。とにかく拘束性の手続のとられた預金とにらみ預金とを合わせますと、最新の調査でもなお一二・一%が、債務者の側からすると拘束されているという実情は、これは見逃しがたい状況だと思っております。特に不況円高の中で中小零細企業に対する預金拘束が、いかなる形であれ、金融機関の優位を利用して行われているということになれば、これは非常に問題があるんじゃないかと思うわけです。このことは、さらに今度は進んで代理金融機関が、制度資金の融資を行う際に、同時に定期性預金を行わせているというような事実については、銀行局としては全く御承知になっておりませんか。
  124. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) 先生指摘の点でございますが、最近の調査によりますと、商工中金の場合に、御指摘のような制度融資に当たって、同時に預金を一割程度徴求している例が見受けられました。ただ、この内容を分析いたしますと、これは商工中金が強制して預金をさせたということではなくて、これは商工中金でございますから、組合員貸しあるいは組合の構成員貸しになるわけでございますけれども、その場合に組合の役員が保証をするわけでございます。その保証のための担保として、むしろ組合内部の内規として借入金の一割程度を供出させまして、それを預金として商工中金に持っていく、こういう形をとっているようでありまして、これは商工中金が強制した形とは若干違うのではないか、このように考えております。
  125. 久保亘

    久保亘君 いや、そこが非常に問題なんでして、組合が自分の基金として使えるように集めているとするなら、その問題は一応別の問題にするんですが、制度資金の融資を受けるものが、たとえば一千万借りたら組合が中に立って百万円は代理金融機関である商工中金に定期で入れさせるということは、これは制度資金の目的からいっても私は非常に逸脱したものだと思うんです。九割借りればいいんならば、何も——制度資金を借りたい人はたくさんおるので、わざわざ一割天引きして定期にさせるようなやり方をする必要はないのでありまして、そうして融資と同時に定期で入れさせるということは、これはやっぱり一種の両建て制に私はなると思うのですよ。それをやらなければ借りられないんだから、借りる側にしてみれば。それは中に組合が立ってやっているという理屈かもしれません。組合が中に立とうが立つまいが、債務者の側は、国や自治体の制度資金を目的があって借りるわけです。一千万借りる必要があるから借りるわけです。ところが一千万円借りたものを、融資を受けると同時に百万は組合経由で商工中金に定期としてそれを振り込ませるということになれば、これは完全な両建てじゃありませんか。しかも制度資金の目的からいっても、私はこれは違法とまでは言わないけれども、かなり逸脱した行為である、こう思うんですが、そういうふうにお考えになりませんか。
  126. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) 確かに制度融資のあり方から申しますと、制度融資の場合には貸し出した金を全部中小企業者の方に使っていただくのが目的でございますから、このような形をとることは決して好ましいとは考えられません。ただしかし、現実の問題といたしまして、担保や信用力の乏しい中小企業者が役員の保証によって借りられるというのが実態のようでございまして、もし、一割の信用保証に見合う預金をなくすことによって、役員がもう保証を一切しないというようなことになりますと、その貸し出し全体ができないというような問題にもなるわけでございます。この辺は非常に微妙な問題もございますので、その取り扱いについては少し慎重に検討をする必要があるんではないかと、このように考えております。
  127. 久保亘

    久保亘君 通産省、見えておりますか。  それじゃ、商工中金に対して制度資金等についていろいろ指導をされる立場のあなた方の方から見て、制度資金を貸し出したものを、たとえどんな形であれ、代理金融機関が一割留保するということについては、この制度資金の目的から見てどういうふうにお考えですか。
  128. 松尾成美

    説明員(松尾成美君) ただいまの制度資金のお尋ねは、地方公共団体の制度融資資金を商工中金が代理金融機関として扱っている場合の話であろうかと思いますが、お話のように、確かに制度資金についてはこういう目的をもってなされるものでございますから、中小企業者がその金額を十分に使えるということが望ましいわけでございますけれども先ほど銀行局長からもお話がございましたが、都道府県の制度融資におきましても必ず保証を条件としています。で、ところが、具体的なケースはどういうものかちょっと存じませんが、一般的に申しますと、その保証をする際に中小企業者の場合なかなかいい保証人が立てられないと。これをうまくやるためにはやはり組合系統金融というのを使うのが便利だと。したがって、それにかわって組合をつくり、組合が保証するわけです。ところが、組合も非常に歴史の長い組合になりますと、非常に強固な基盤を持っておりますから、これは役員も安心して何らかの措置を講じないで保証ができる場合がございます。ですから、そういう場合には、別段制度資金について何らそういう組合内部の問題としてその一部を集めて積み立てるということはしないわけです。ところが、組合によってはそれほどまだ財政基盤が強くなくて、役員さんが保証しようにもそれは不安であるという場合には、組合内部でお互いに相談した上で自発的に総意として積み立てる。それだけの積み立てがあるならば保証しようということで、役員さんも保証するという形で保証する場合がございます。この場合には、そうしなければ制度資金を全部借りられないわけです。全然借りられないのと、若干みんなで積み立てても借り出すのとどちらがいいかということになりますと、担保も保証人もなかなか立てられない中小企業の場合には、次善の策としてそういう場合が望ましい場合もある、やむを得ない場合もあるということが現実であろうかと思います。したがって、一概にこれをいけないと言うわけにはまいらないのじゃないかと思いますが、ただ、それがそういう目的を逸脱しないようにということで、まあその点については、それがまた逆にそういう必要がないのに過大に行われているということになりますとこれは問題がございます。その辺は慎重に考える必要があろうかと思います。  なお、ついででございますが、こういう積み立てというのは、たとえば焦げつきが出た場合などにそれが支払いに充てるという目的で積み立てられておりますので、行っている場合にも、たとえば拘束預金というような形で借り入れてある間は、必ずずっとあるわけじゃなくて、特定のその人が、たとえば払えなくなって焦げついたという場合には、その全額を取り崩して払うというようなことも実際に行われているわけです。したがって、私はこれは拘束性預金の問題とは別の問題で、組合内部の運営の問題として、それがやむを得ない場合に適切に行われるということは必要であろう。この辺は私どもとしてもいろいろ気を使ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  129. 久保亘

    久保亘君 大変あなた方巧みな答弁をされているけれども、これはそうすると、制度融資の一部を金融機関である商工中金が一般の預金として使うということになるんですか、結果的には。だから、その組合の担保保証能力の問題を言われるけれども、各自治体には保証協会もちゃんとあるんだし、それからこの制度資金の場合には保証条件、担保条件というのがちゃんと決まっておるはずです。決まっておるはずなんだから、融資を受けると同時に、これを組合がプールするんじゃないですよ。組合がそれを手続きをとったという形をとって、実際は債務者の名義で商工中金に定期で振り込まれているんでしょう。組合の基金として、本人たちは組合に金を渡して、組合の定期として入っているんですか。そうじゃなくて、それは組合を経由して個人の名前で入っているんでしょう。そのほかにもこういう融資を受ける者についてワリショーの割り当てもくる。そういうことで、本来中小零細企業者が、今日のような不況円高の中で、それこそわずかの資金でも欲しいと言ってあえいでいるときに、とにかく、彼らの借り得る資金を一割凍結するというような形でやることは、これは私は絶対に問題にすべきことだと思う。もし組合に保証能力がという問題ならば、それは別の次元で検討されるべき問題であって、保証能力がどうも十分でないから、借りる者から一割取ってこれを定期に入れさしておけというやり方は、これは私はやっぱり変形の両建てだと。そして商工中金は、そのことによって運転資金を制度資金から借り出すことができるというやり方になっている。これが商工行政上も、また金融機関の監督上も問題があることだと思うんですが、大蔵大臣のお考えをお聞きしましよう。
  130. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) いまの話を聞くと非常にむずかしいケースのような気がしますですね。借りた人の信用力が全然ないために、いま通産省の方からお答えがあったように、それで役員なり組合が保証する。しかし、保証人に保証能力がないとするとどうするかという問題。金融でございますからいつかは返してもらわにゃならぬわけでございます。みんな郵便貯金あたりを利用しておるわけでございますから、当然これは返してもらう必要があるわけでございます。したがって、もしその借りる人が保証協会あたりから保証が得られれば、それはまた結構でございましょうが、恐らく保証協会でもやはり保証能力——その人に返す能力があるかどうか、これはやはり保証協会といえども審査せざるを得ないと思うのでございます。で、もしそういうケースであると、それはいまの両建てとか制度金融とかの問題でなくって、その借りる人の信用力の問題になります。そうでなくって、いま委員がおっしゃるように、いや、それは保証も別に立ってあるんだと、保証がちゃんといっているのに、商工中金が何か知らぬが一割なら一割定期預金をやっているというようなことになりますと、これはまたひどいじゃないかと、こういう話になってくる。だから、個々のケースによりまして見ていかないといかぬのであって、一般的にどういう形になったから、それは両建て歩積みとは言い切れない場合があるんじゃないかと、さっきから聞いておりましてね。やっぱり話は、返還を予定している信用の問題があるわけでございますので、その辺はケース・バイ・ケースでよく見ないといかぬのじゃないかなあという感じがします。
  131. 久保亘

    久保亘君 いま大臣が言われるように、もし保証金としての性格で定期をやらしているなら、これは当然拘束の手続がとられにゃならぬ。保証の役割りを果たしませんね。そうすると、それは拘束預金として商工中金から報告されにゃならぬ問題でしょう。しかし、先ほど銀行局長が言われたように、商工中金にそういう事例がありますというその事例については、拘束預金の手続はとられておらぬはずですよ。あくまでもこれは任意の預金として、そしてこれがいわゆるにらみ預金として拘束されているんです。だからもし保証能力の問題で言われるんなら、これを拘束しておかにゃいかぬじゃないですか。それ、どうなりますか。
  132. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) 確かに両建て歩積みは、これは正式に形の上で拘束したものを指すわけでございますけれども、ただいま先生の御指摘になったようなケースの場合には、お互いの暗黙の了解と申しますか、組合でのそういう取り決めがあった場合には、組合の取り決めで預金をしているわけでございますので、これは商工中金が強制して拘束して行わせている預金ではございませんので、したがって拘束の手続がとられてないわけでございます。したがいまして、これはどこまでも商工中金が強制したものではなくて、組合での内部の取り決めによって行われている預金である、このように考えております。
  133. 久保亘

    久保亘君 そこが、あなた方が四十九年に通達、メモで出された、その中に書いてある拘束性預金として報告を求めると、その率はどんどん減っていきますと。しかし実際には非常に巧妙な手口で歩積み両建てが行われていることが多いと、あなた方自身がそれを認めて、財務局にそのメモを出しているんです。私はいまの商工中金のやり方だって、保証金ならば拘束せにゃいかぬ。しかし拘束はできない。これは問題になるから拘束はし切らぬ。しかし直接やったんではぐあいが悪いから、だから組合が自主的にやったというやり方でもって、しかも目的がきちんと決まっている制度資金の一割をはねてやるというやり方は、これは私は商工行政の上からも、金融機関監督の立場からも問題だと思います。だからぜひひとつ検討をしていただきたいと思います。で、具体的なことを私がきょう申し上げませんのは——具体的な事例を申し上げますと、あなた方自身が言われるように、金融機関と債務者との関係というのは、はっきりと優劣の位置づけがありますから、そのことによって、いまただでさえ資金繰りに困っている業界の人たちが、ある種の圧力を受けるということになってはぐあいが悪いと、こういうことで、私は具体的な事例を申し上げないわけです。幸い銀行局長が、商工中金に一割程度の定期を融資にあたってやらしている例があるということをお話しになりましたから、商工中金として申し上げたわけです。で、この点についてはひとつ、御答弁要りませんから、十分ひとつ御検討いただいておきたいと思います。  最後に、いま一番大きな社会問題となっておりますいわゆるサラ金についてです。警察庁お見えいただいておりますから、警察庁で把握されているサラ金に関する刑事事件といいますか、その種の事件が最近どの程度発生しているのか。それからこれらの事件のうち、暴力団が介在したというようなものについて、どのような事例があるのか。それからサラ金にかかわる自殺者が全国でどの程度把握されているのか、この点について御報告をいただきたいと思います。あわせて警察庁としては、この悪質なサラ金事件防止対策としていま積極的にいろいろと御検討になっていると聞いております。立法化を含めて、悪質なサラ金事件の防止を行うためにどのような検討をされているのか、その点についても御説明をいただきたいと思います。
  134. 柳館栄

    説明員柳館栄君) サラ金をめぐります刑事犯につきましては、現在のところ統計はとっておらないのでございます。したがいまして、全般の増減がどうであるか、あるいは傾向がどうであるかということにつきましては、数字的には申し上げかねますので御了解願いたいと思う次第でございます。ただ、暴力団が絡んだ事例というものはたくさんございまして、そういったものはケース、ケースごとに報告がまいっております。まあちょっと主なものだけを——内容は別としまして、項目的に申し上げますと、自殺に追い込まれていくというようなもの、それから心中に追い込まれていったようなもの、それから取り立ての際にいろいろおどしをしまして、家まで押しかけてきて、それで体をかたわにしてやるというようなことをしたこと、それから利息が高いというようなことを借り受け人がしゃべったら、凶器を示して殴られてしまったというようなこと、それから家を閉ざしておったらバールで家をこじあけられて入ってきて、それでおどされたというような、非常にたくさんな数の事案はございます。それから自殺につきましても、ちょっと先ほど触れましたように結構あるわけでございます。  最後に、立法化を含めた問題ということでございますけれども、現在御承知かと思いますけれども、六省庁の連絡会議というのがございまして、そこで検討されておるわけでございます。私どもこの取り締まりの立場といたしましては、前から何らかの規制があった方が望ましいという基本的な態度は堅持いたして今日まできているわけでございます。六省庁の連絡会議等におきましても、そういう観点から見て好ましい結果が出るように私どもの立場からは努めてまいりたい、こう考えている次第でございます。
  135. 久保亘

    久保亘君 サラ金が社会的な悲劇を生んでくるのには幾つもの要素があると思うんですが、最近特に陰惨な事件につながっていくのは、このサラ金が暴力団と非常に深くかかわってきている、そこにも大きな問題があると思うんで、警察庁としてはこの貸し金業と暴力団との関係を断ち切るということについて、かなりはっきりした規制措置が必要になってきているんじゃないかと思うんですが、そういう点についても御検討になっておりますか。
  136. 柳館栄

    説明員柳館栄君) 暴力団が貸し金業に業者として登録されておりますのを、私どもいまのところ二千八百ばか数字をつかんでおるわけでございます。それでやはり一番大きな取り立てをめぐる事犯で問題を起こしますのは暴力団でございますし、それがまた同時に暴力団の資金源にもなっているということでございますので、これを何とか断ち切りたいというぐあいに考えておるわけでございまして、また取り締まりの方向もそういう方向に重点を置いて進めておるということでございます。
  137. 久保亘

    久保亘君 暴力団が経営している貸し金業が全国に二千八百もあるということは、警察庁のその掌握だけでもそういうことになっているということになると、これは大変私どもにとっては驚くべきことなんです。で、少なくとも暴力団が貸し金業を資金源にするというのは、金集めが手っ取り早くて、そして彼らにとっては合法的に大衆から金を巻き上げられるということで、こういうものがいまもわれわれの社会に生き延びているわけでありますから、だからこういうものについては何らかの厳しい規制措置をとらないと、私は、大蔵省が銀行に、サラ金に対して金貸すなというようなことを口頭通達でおやりになったぐらいでこの問題は解決するんじゃないと思う。一方から言うと、大蔵省が金融機関に対して、貸し金業者に対して金を貸すことを自粛せよということによって、確かにそれは今日の非常に不正常なサラ金と呼ばれるこの金融の横行を抑制していくことにもなるでしょうけれども、一方から言うと、今度は貸し金業者はこれやりゃもうかるわけだから、一番安い原資をどこからか集めてこようとする。それを銀行から金を借りることを差しとめられれば、高い金利の金をどこからか集めにゃいかぬ。そうすると、借りる側に対してはまたそれが圧力になっていく、こういう悪循環もあるわけです。だから金融機関が安い金利で貸し金業者に金を貸して、たとえば一割で貸して、それが貸し金業者の段階では十一割にもなる、あるいは二十割にもなって利息として巻き上げられるというような形にたることはやめさせなければいかぬけれども、一方では、その貸し金業者そのものがいまのような不正常な形では運営できないような規制を加えつつ、金融機関の原資融資を抑制していくということにならないと、このやり方は私はある一つの面だけでやろうとすると、かえって問題を大きくする可能性もあるんじゃないか、こう思っているんです。関係六省庁のこの対策会議が持たれているということは大変望ましいことでありますから、私はそういう面で総合的にこの今日の貸し金業の不正常な社会的事件を次々に生み出していることについて十分に庶民の側に立って対処できるように、庶民がもっと簡易に低利の金を借りられるようにしてやるにはどうすればいいのか、暴力団の介在を絶対に許さぬためにはどうすればいいのか、また貸し金業者が正常な事業として社会の指弾を受けずにやっていけるようにするにはどうすればいいのか、そういう点についてなるべく早くやっぱり立法化も必要です。しかしそれだけじゃなくて、行政運営上、現在の法律を使ってやれる面もいっぱいあると思うんです。そういう面がずっと手抜きをされてきたために起こっている問題も多いと思いますけれども。きょうは時間が参りましたので、詳しくいろいろお尋ねできませんけれども、ぜひ御検討いただいて、また次の機会にいろいろお聞かせいただきたいと思います。終わります。
  138. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) 先ほど答弁ができませんでしたことについてお答え申し上げます。  在勤法と、それから外国旅費のうちの日当宿泊費等との取り扱いの差でございますけれども、いずれも実情に即しまして、と申しますのは、為替レートの変動でありますとか、あるいは現地の物価の変動でありますとか、そういう実情に即しまして改定するのが筋であるわけでございます。いずれもそれは同じことでございますが、多少の違いがございまして、在勤法の方は一定の幅の中で政令で変更できる弾力的な制度になっておりますのに対しまして、旅費の方は定額が法律で決まっておりますので、従来の慣例によりますと、二、三年おきに見直しをして改正をさせていただいているというのが実情でございます。
  139. 下条進一郎

    下条進一郎君 最近の続伸しております円高を主因とした通貨不安、この問題につきまして、それの関連のものを含めましてお尋ねいたしたいと思います。  こういう通貨不安が起こっておりますことについては、すでに何回も予算委員会論議がありまして、円側の問題あるいはドル側の問題、両方の問題があるわけでありますけれども、きょう私が特にお尋ねいたしたいのは円側の問題、すなわち国内でこの問題に対してどのように処理をしていったらいいかという問題で、まだ未解決の問題についてお尋ねしたいと思う次第でございます。  第一点は、輸出の問題であります。輸出と申しますと直接は通産省所管ということになるかと思いますけれども、この間閣議で、これからの輸出の取り扱い方について関係閣僚が御相談なさったと、そのときにきわめて正当的な論理を大蔵大臣がおっしゃったということが、新聞報道でありますが言われておるわけでございます。私といたしましては、この輸出産業というものは、長年日本の産業の英知を結集したものがそこに輸出産業としてあらわれておるわけでありますし、加えて海外の市場開拓というものは、これもまたなかなか血のにじむような努力の結果できたものでありますから、すぐこれを撤退するとか、あるいは縮小するとかいうことは一概に言えない非常に大きな問題を含んでおりますし、また国内の雇用にも関連するということで、非常に微妙な問題もあるわけでありますけれども、いまこの段階になっては、やはりかなり思い切った施策を政府としてとっていただかなければ、問題の基本的なところはなかなか解決しないのじゃないかということを懸念しておるわけでございます。  そこで、二、三の点についてこの点に関連するお尋ねをいたしたいのでありますが、それは巷間伝えるところ、あるいはまた予算委員会において通商大臣がおっしゃいましたのは、これからの輸出の規制につきましては前年の数量並みと、要するに五十二年度でありましょうか、そういうところのレベルと同じような数量にとどめたいということを行政指導の基準にするというお話でございましたけれども、これは御承知のように、去年の十二月に政府が策定されました国際収支の見通しが二百四十五円でやっておるわけでございますから、数量横並びになれば当然レベルアップしてドルベースでは大変な黒字になってしまうわけでございます。それでよいのかどうか。私はやはりそういう輸出の規制の問題をどういうふうにとらえるかということについては慎重でなければならないと思いますけれども、その問題については、たとえば世界の貿易の伸び率というものをひとつ頭の中に描くのか、あるいは過去における日本の輸出の数年間にわたる成長率の平均的なレベルぐらいに抑えるというのか、何かのめどが、やはり対外的にも国内的にも説得できるような水準というか理論というものがなければいけない。ただ単に前年の数量並みということではいけないと思いますが、そこらは具体的にどのように通貨当局として考えていらっしゃるか、大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
  140. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) この問題はいろいろ論議されたのでございます。わが国は五十三年度経常収支の黒字幅を六十億ドルを目標に努力すると、現在しかし円は非常に高くなっておるわけでございますから、果たしてどんなものであろうかと、いま下条委員が言われたような点は初めいろいろ論議されたのでございます。しかし、二十五日の関係閣僚会議でこの問題は、輸出入の問題は言うまでもなく通産省が所管しているところでございます。それで、一番大きな議論になりましたのは、仮に数量ベースで前年より減らすとすると成長の方に大きく響くという問題、この点は通産大臣は非常に心配されておりまして、それはまたその限りにおいてもっともだと思うのでございます。したがいまして、七%達成という見地から言えば、数量を落としてそして縮小均衡を図るというようなことがもしありとすれば、七%の達成そのものはむずかしくなるのじゃないか。こういうことで、通産としては行政指導によってグローバルではありますけれども、前年度ベースで大体輸出を抑制する、行政指導によってある程度コントロールするということを基本にしてもらいたい。したがってドルベースで考えますと、今度は逆に輸入を拡大していかないと、それに見合う分だけドルベースではなかなか経常収支六十億ドルというのはむずかしくなるから、輸入の拡大の方に全力を挙げることにいたしたいと、こういう発言がございまして、それも一つの方法であるということで、それではまあそういうことにしましょうということで、実は決定いたしたわけでございます。したがいまして、今後為替レートがどうなるか、これにもよるわけでございますけれども、われわれはこの内需の拡大によりまして一つは、現在の輸入がだんだんふえてくること、あるいは輸出圧力が逆に国内に向かってくるということ、そういうことを通じて、為替相場はどうなるかわかりませんけれども、ある実勢に落ちつくということを前提にしながら、これは前提でございまして、輸出については行政指導によって前年度ほぼ横ばいでいこう、それから輸入については、できるだけそれらの状況を見ながら、全力を注いで、単に自然の経済に任すのでなくて、緊急輸入を含めてあらゆる努力をして輸入を拡大することによって、所期の目的を達成しようということに関係閣僚間で決まったのでございます。大体経過だけ申し上げておきます。
  141. 下条進一郎

    下条進一郎君 いま御説明の中にありましたように、内需との関係、いろいろとむずかしい問題がある、私も最初に申し上げたとおりでございますが、いまの御説明を理解する限りにおいては、やはり数量ベースで前年並みということが結論のようでございます。そういうことであれば、私はかなりの輸出がドルベースで伸びるということになりますので、大変な黒字ができるんじゃないかということを懸念いたします。もちろんそれに対しては、いまおっしゃったように輸入を相当促進しなければならない、こういうことに落ちつくわけでありますが、それでは輸入に関連いたしまして、この前からぼつぼつ始めておられますところの日銀の輸入資金貸しあるいはまた外貨預託、こういう制度を動かすようにされたわけでありますけれども、一体それはどの程度進んでいるのか。それがどの程度制度的に進んでおるということと同時に、それが実際の輸入の増にどのくらい貢献しているか、このことを具体的に御説明いただきたいと思います。
  142. 旦弘昌

    政府委員(旦弘昌君) 日銀の輸入資金貸しにつきましては、おっしゃいますように、昨年の末から若干ふやしてまいっております。ただそれが、それでは輸入の実績にどのぐらい反映しているかということにつきましては、量的にこれを計量しますのは非常にむずかしいわけでございますが、そういうことで、われわれの姿勢としては、そういう輸入を促進するような方途を従来もとってまいりましたし、今後ともそういう方向で進めてまいりたい、かように考えております。
  143. 下条進一郎

    下条進一郎君 まあ具体的に内容を、それが動いたからどのぐらいふえたかということは、まだ期間が短いから十分につかみ切れない面があるかと思いますけれども、やはりそればそれなりに私は効果はだんだん出てくることだと、こう思うわけでありますが、問題は、そういう形だけで十分なのかどうかという問題はもう一つあるわけであります。それに関連いたしまして、過去において、たとえば輸出をどうしても伸ばさなければならない、そういう時代には、輸出会議をやったり、いろいろやったわけであります。同時にあわせて輸出関係の税制優遇措置というものをやったわけでございます。大臣は税金の専門家でいらっしゃいますから御記憶も十分おありだと思いますが、この問題に関連しまして、輸入促進について何か税制上の考慮を払う余地がないか、いま輸入は非常に大事だと言われているときにいかがでございましょうか。
  144. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) かつて日本が外貨に苦しんだときに、たしか昭和三十八年までだと思いますが、輸出優遇税制をやったわけでございます。今日、経常収支のある種の均衡が望まれているときに、同じように輸入についてやれるかどうか、まあ税というのは、やりますと、なかなか細かいところに手が届かないのは御承知のとおりでございます。たしかあの当時やりましたのは、一番最後は、前年実績に対して輸出額がふえたら、そのふえた分を控除して、その所得限度は八〇%か何かということをやったわけでございます。これを輸入について適用いたしますと、一体ドルベースでもってやって果たしてやれるかどうか。それからいかなる原因で、努力によってやったのか、あるいはさっき言ったような内需の拡大に伴って自然に起きたのか、そういう点が非常にめんどうでございまして、税の公平という見地から、それからもう一つは、それが果たしてうまく作動するであろうかどうか、こういった点から考えますと、私は非常に税を動かすということは、この際非常に危険な分子を含んでいる、私自身はいまそう考えているわけでございます。
  145. 下条進一郎

    下条進一郎君 非常に慎重論をおっしゃいました。こういう事態でございますから、私は慎重のお考えはよくわからないわけではございませんけれども、たとえばいわゆる原材料、現在の市場においては、非鉄を積み増ししたらいいだとか、いろいろな、石油の問題もございます。そういう問題について、民間の自助努力によって内需が十分に喚起されるまでやれと言ったって、これなかなか輸入促進しないわけであります。したがって、そういうものに対して何かインセンティブを与える意味において、私は税の面においても金融の面においてもやはり何かしなけりゃいけない、こういう事態に来ているということを私は申し上げているわけでございます。  これに関連して、それではもう一つの問題を私はお尋ねしたいと思います。それは、もう数日前に、第二外為会計をつくったらどうかと、こういう議論が出ております。これは、こういう問題が出るたびに出るわけでございます。これはいろんなむずかしい問題を含んでおります。しかしながら、国民全体から考えた場合に、素朴な考え方、これはもう今月になりましてからあれだけの大きなオペレーションをやった、目の子で計算したって、外貨準備が三百億になるんじゃないか、三百億ドルの外貨準備をニューヨークの銀行へ預けておくだけでいいのかどうか、これは国民の素朴な意見からいって理解できない、やはりそれは第二外為というような制度を設けて、何らかの形で国民の、要するに利益に合致するような運用を考えなければならないんじゃないかという議論が新聞にもおとといかさきおとといか出ました。しかし中身がないんです、新聞に出たのは。それは私も十分わかっております。外為の裏は、それは二カ月の短期資金で賄ってやっておるから、長期に運用できないんだ、だから第二外為で切り離してつなぐ方法はないか。食糧証券は六十日です。六十日の食糧証券で一年も二年も寝かした米を農林省はちゃんと買って持っておるわけじゃないですか。そういう点から考えた場合に、私は第二外為制度というものを、国民が納得するように、やはり大蔵省としてはその問題について解明していただきたい。私はその点で大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
  146. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 第二外為という話は、正式には一つも出ておりません。どこの役所からもそういう御要望はありません。ただ新聞等で伝えられている第二外為というのは、一体何を言っているんだろうか実はわからぬわけでございますが、第二外為でできるなら、第一外為でもできるのかもしれません。しかしこの問題は、直接財政法の基本に触れる問題になるわけでございます。伝えられているようないろんな、余りはっきりした案は出ておりませんけれども、まあわれわれが想像してみて、外為証券でもって発行して、外貨がある、ちょうど見合いになっているわけでございますけれども、その外貨資金でもって何らか処分して、それでたとえば資金をつくって、特別会計でもって何か持てというようなもしそういう構想であるとすれば、これはなかなか財政法の基本に触れる問題になることは御承知のとおりでございます。第一に、一つはあれは短期資金であるということ、それから事実上は日銀引き受けでやっているわけでございますから、日銀引き受けというものは、いま財政法ではどこでも禁止されているところでございます。したがいまして、そういう原資が日銀の引き受けであるようなものを使って、それで長期に運用するというようなことになりますれば、これはもう財政法から変えてかからにゃならぬ問題であるわけでございます。ですから、この話は正式には全然出てまいりません。むしろ、何らかのいまできる制度の中で緊急輸入のようなものをできないだろうかと、そういうものの一環としての金融措置として外貨貸し制度の問題とか、こういった問題があるわけでございますし、また今年度予算で油のタンカー備蓄などが、すでに石炭石油特別会計並びに今度は石油開発公団を石油公団にするというあの法律ができれば、予算措置ができているわけでございますから、だから伝えられるところのタンカー備蓄もできるというわけでございまして、そういう措置の、その種の問題につながる話はたくさん出ているわけでございます。だから、私たちは現在の制度の中で、いわゆる緊急輸入というものをどこまでやれるか、いまその問題を鋭意詰めておる段階でございます。
  147. 下条進一郎

    下条進一郎君 そういう説明が、実は公式の場において第二外為についてございませんので、いろいろと揣摩憶測が飛んでおりましたが、その点ではかなり内容が明らかになったと思いますが、法律改正する必要があれば法律改正してでも、やはり有効な外貨利用の方法があるならば、私は何かする必要がある。資金が短期しかなければ、あるいは中期の資金をどうやって導入したらいいかとか、財投の問題もございましょうし、私はまたこれは全然もういまの法律ではできないからということではなくして、将来の問題としてでは、やはり検討する必要はあるような問題だというような感じを持っております。  その次は、現在の為替の市場に関連いたしまして、やはり行政指導の関係をひとつお尋ねしたいと思います。  先ほど一番最初に大臣にお尋ねいたしました要するに通産相が各関係閣僚と御相談の上で近く輸出のいわゆるオーダリーエクスポーティング、秩序ある輸出をやると、行政指導するということを決定されたということがもうほぼ各巷間に伝えられております。したがいまして、現在非常にかけ込みの輸出が多い、それが輸出ビルになって市場にたくさん出てきている。それが輸出市場をいろいろ撹乱しておると、これは私は非常にまずいことだと思うんです。もちろん自由経済の中でありますから、全部がコントロールできないかもしれませんけれども、やはり行政というものはそこら辺に何かうまみがあってしかるべきだと、それを放置するためにリーズ・アンド・ラグズがこういう形で出ているということに対して、大臣はどのようにお考えでございましょうか。
  148. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) なかなか日本はおっしゃる点は確かにあると思うんです。日本はこういう情報が非常にもう自由になっておりますから、極秘裏にやっていようが何しようが、何となく全部情報らしきものが出、それにまたいろんな揣摩憶測を加えた記事になって出るわけでございますから、確かにそういった面があるだろうと思うのでございます。ですから私は、いまリーズ・アンド・ラグズが起きているという基本的な問題は、やはり何といっても現在の輸出が強いということ、それにそのことを踏まえましていろんな相場観、将来に対する相場観、それと、あるいは行政指導であるにしろ、輸出がどうだこうだと、こう言うから、その両方が加わってやっぱりリーズ・アンド・ラグズが起きているんじゃないだろうか、その点はおっしゃることはよくわかるわけでございます。しかしこういう非常に機微に触れる問題については、余り情報というやつは、情報を管理するわけにもまいらぬのでございます。私たちは、そこへいきますと、それはそれとして、われわれはあらかじめ計算の中に入れて、そしてやはり最後は実勢で決まるわけでございますから、着実に実勢をやはり整合性の持った形に早く持っていくということ、それから通貨不安を早くなくすということ、この二つが何といっても先決問題じゃないかと、実はそのようなことを考えているわけでございます
  149. 下条進一郎

    下条進一郎君 確かにすべてを管理することは困難でございますけれども、そこはやはり行政の妙と申しましょうか、うまいコントロールというか、間接指導と申しましょうか、そういうことで、そういう無用の混乱が起こらないようにやはりやっていただきたい、このようにお願いしたいと思います。  次には、やはりそういう市場の問題でありますけれども、輸入ユーザンスをこの前四カ月から六カ月に期間を延ばされたわけでございます。私はこれは反対でございます。それでこれも前から事務当局に私は反対を申し上げておいたんですが、いろんな経緯は後で伺いましたけれども、六カ月にされました。これが今度の円高の大きな原因なんですよ。これは新聞に出てない。大変な円高の原因なんです。なぜかと申しますと、四カ月の金融が六カ月に延びたでしょう。だから輸入の方はいま要らないんですよ。だからそれで、後の今度次にくるものはまた六カ月になりますから、輸入金融は何でつける必要があるんですか。全部延ばしちゃう。ですからこういうことでエクスポートの、輸出ビルの圧力ががっとかかってくる。輸入の方の金は要らない。こういうことをやるから円高の大きな原因が出てきた。これは私は市場の取り扱いとしては非常に大きなマイナスだと、こう思いますが、いかがでございますか。
  150. 旦弘昌

    政府委員(旦弘昌君) 一つ御説明しておきたいと思いますが、輸入の標準決済の期間が従来四カ月でございました。これを六カ月にいたしましたのは、この三月一日からそういうことで改正いたしました。これはいまおっしゃいましたように、確かにそういうことをいたしました。ただ、それの裏をなします輸入のユーザンスの実際のファイナンスの期間につきましては、現在もなお四カ月にとめております。これを為替市場の状況を見まして将来は六カ月に延ばすということを検討することになっておりますけれども、いまの段階ではそういう状況になっておりません。またいまのような為替市場が非常にナーバスになっておるときには、これをやりますと、おっしゃいますような非常に円高要因になるということから、これにつきましては非常に慎重にやっていくべきだ。またやるにいたしましても、一挙に六カ月に延ばすということはいたしませんで、何か適当な手段はないかということを検討しておりますので、その面での円高要因ということはまだあらわれていないわけでございますので、その辺を御理解いただきたいと思います。
  151. 下条進一郎

    下条進一郎君 私の調べたところでは、事情が違うわけで、マーケットの方で調べたんですけれども、マーケットの方では、そういうことで先行きのあれが非常に変わってきたということを言っておりますから、あるいはいまおっしゃったように実際の問題じゃなくして、そういう思惑がもうすでに入っている。ともかくもおたくの方が四カ月を六カ月にされたんだからもういいわと、こういう姿になったことは、少なくとも、やったかやらないかということじゃなくて、この問題は、思惑がいま大きな原因をなしておるわけですから、火に油を注いだということについては否めない事実でありますから、私はこの問題は本当に慎重にしていただきたい、このように思うわけでございます。  それからもう一点ですけれども、この前の竹田委員でしたかどなたかの御質問に大臣のお答えがございましたが、例の債券取得、五年一カ月未満という限度にされたわけでありますけれども、いまの相場の中にはいろいろと思惑がたくさん入っておるわけですよ。そういうときに、一たんこれをたとえば八年に延ばしたとか十年に延ばしたから、後またこれを五年にすることはできないということはないんですから、危険があればもっと網を広く張るということは私はできてしかるべきじゃないかと思いますが、いかがでございますか。
  152. 旦弘昌

    政府委員(旦弘昌君) ただいま御指摘のありましたように、今般、資金の流入につきましては、五年一カ月以下の証券につきましてはこれをストップいたしたわけでございますが、御指摘のように、それをさらに全面ストップにしたらどうかという御指摘でございますけれども、現在ドイツにおきましては、四年以下のものにつきましてはストップしておりますが、それ以外のものにつきましてはこれを認めておる。それから御案内のように、スイスにおきましてはこれは全面ストップいたしておるわけでございます。で、私ども考えますのに、本来でございますと、日本は外資法の関係で外資の流入につきましては自由化をいたしておりますので、今般の五年一カ月以下のものにつきまして、これを禁止することにつきましても、OECDの自由化コードに沿いまして、これはその違反になるわけでございますので、OECDにその旨を連絡いたしまして、その審査を受ける必要があるわけでございます。で、スイスの場合には非常に資本の流入、貿易の面よりはむしろ資本の流入の面で非常に大きな影響を受けておるわけでございますが、その点では日本は、どちらかといいますとドイツに似た形のかなり規模の大きな経済でございますし、また貿易のウエートも大きいという事態でございますので、スイスがやっておるからといって、必ずしもそれに従うという方向でいくのかどうか、その辺一つの問題があろうかと思いますし、また全面的に為替の自由化を進めていこうという際に、緊急避難的な措置でありましても、日本がそういう外資の流入を全面的にストップするということは、国際的にも非常に大きなショックを与えるということから、今回五年一カ月以下と、しかもそれは緊急避難的に、できるだけ早く、そういう事態が解消しましたら、これをもとに戻したいということでやったのでございまして、その辺はひとつ御理解をいただきたいと思います。
  153. 下条進一郎

    下条進一郎君 OECDを盾にとられたって、OECDは日本のこと考えているわけじゃないんですよ。やはり日本日本のことを考えなきゃいかぬわけですから、その意味においていまのような短期資金のフローについては、これは私はある程度断固たる措置をとっていいんじゃないかと思うんですよ。たとえば、私はここでは御質問するつもりはなかったけれども、たとえばスイスの場合には、外国人が国内に持ってくる外国の通貨に至るまでチェックしているじゃないですか。日本はチェックしてないと。それは日本よりずっとそういう相場、あるいはそういう国際通貨に対して、もっと進んだ国だというわれわれの観念から言って、そこまでやっている。あるいはネガティブ・インターレストレートをすでに適用していると。いろんなことをやっていて、それで非難されていないじゃないですか、スイスは。日本は、一番いまアタックを受けている国として、OECDがどうだとか、あるいはどこだということじゃなくて、それはいつまでもやる必要はないけれども、短期に火事場を抜けるために何をやったかというと、みんな法律でできない、できないと。それでは何もできないんだから、だからやはり法律でできることはやる。できないことは法律改正してでもやるということでやらなければ、あと後手後手に中小企業問題でばんそうこう張ったってならないんですよ。私は、輸出が伸びて輸入がふえないということでの問題については最初申し上げましたけれども、それはやはり一つのトレンドであり内需であり、経済全体の動きですけれども、そういう思惑の金に対しては、私は大蔵当局というものはもっと断固たる態度でやってしかるべきだと、このように思うわけでございます。  そういうことでいろいろと申し上げましたけれども、これらの問題は国内問題でございます。できるだけその線に沿って、きょうここですぐにやっていただきますという答えを引き出すのは困難かと思いますけれども、非常に大事な問題だと思いますので、後刻よく研究していただいて、できるものからやっていただきたい、これ特に要望する次第でございます。  で、もう一点大臣にお尋ねしたいんでありますが、やはり日本は何と申しましてももう相当な経済大国。これは国内だけでなく、国際的にも大きなインフルエンスを持つ国である。こういう点から言いますと、こういう国際通貨問題に対していろんな方がいろんな構想を述べていらっしゃるけれども、通貨当局の責任者は村山大蔵大臣じゃございませんか。で、アメリカではローザ構想と、財務次官があれだけの構想を発表されているわけですから、日本日本の円について、またその裏としてのドルについて、私はここらで村山構想というものを出して、そしてその線のいわゆる国内的なコンセンサスを固めていただいて、そして国際的なコンセンサスに持っていっていただく。これは私はぜひとも必要だと思うんでございますが、そこらの御感触を承りたいと思います。
  154. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 構想というほどのものではございませんけれども、私はいま現在見ておりまして、いろんな説は行われておりますが、固定相場が望ましいにしても、とてもそんなことはできる条件にはない。またローザ構想もありますが、ローザ自身で言っておりますように、あれは新聞の誤報であって、あれができるとは思っていないんだということを、本人自身が言っているわけでございます。私はやはりいま日本から見ても、それから国際的に見ても、一番大きな問題はやはりドル安の問題であろうと思うのでございます。したがって、アメリカは何も日本のためと言わず、ドル自身の立場でやはり認識してもらうということが私は決定的な要素であろうと、どういうふうにしてやるかというそのテクニカルの話はそのずっと後の話であろうと、まずアメリカ自身がみずからドル安に対して、これではなかなか国内自身が困ってくるんだとか、インフレ問題もぼつぼつ出てきておるようでございますし、また日本あるいは各国でも、アメリカのせいばかりだとは言いませんけれども、やはり基軸通貨としていかがであろうかという批判も出ておりますし、また中東諸国からも、サウジはやはりドルベースは変えないと、こう言っておりますけれども、同じOPECの中でもいろんな意見があることは、アメリカ自身が知っていることだろうと思うのでございます。したがいまして、当面私は一番大事なことは、こういう情勢のもとで、やはりアメリカがみずからの国のために、また基軸通貨という意味でも、その必要性を認識してもらうこと、これが私はまずもう先決問題だと思っておるのでございます。それ以外のテクニカルの話を出しますと、これはなかなかいま条件が整っていないわけでございますので、その無理をお互いにやるということは、逆にまた変動為替相場のいい点を全部殺してしまうことにもなるわけでございますので、その点はやっぱりしんぼう強く条件の成熟を待っていくべき話であろうと。あくまでもわれわれは構想というものは、現実の事態に即応して実行可能なもの、また共鳴を呼ぶものをやはり地道に立てていくべきではなかろうか、私はそう思っておるのでございます。また機会あるごとにその種のことを申し述べているつもりでございます。
  155. 下条進一郎

    下条進一郎君 確かにおっしゃるとおり、現在この問題をどういう形でどういうふうに出すかということは、非常に慎重を要する時期だと思います。いずれにいたしましても、大変な大事な問題でございますので、ぜひこの問題についてだれでも納得し、安心できる方向で努力していただきたい。またこういう問題が解決するまでの間は、国内においては中小企業というものが非常に苦労しておるという実態もまた踏まえて、中小企業の直接関係は通産省かと思いますけれども、それに関連する税制、金融、いろんな面でも大蔵省としては御配慮いただくことが非常にありがたい、こう思うわけでございますので、それを要望いたしまして私の質問を終わりたいと思います。
  156. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 初めに、昨日も当分科会でいろいろ議論になりました、また本日も議論の出ております円高問題、またそれに対応する政府の対策、そういった面について最初に少しお伺いをしたいと思います。  いま大蔵大臣が、アメリカのドル安に対する認識云々のお話がございまして、重ねてこの問題についてお伺いをいたしますが、一昨日のストラウス代表のデトロイトにおける講演を新聞で拝見いたしましたが、インフレのことと、それからエネルギー法案、それからもう一つは、むだ遣いをしないように、そういうふうなことを言っておるわけでして、大変私はあれだけの立場の人の話としては、非常にドル防衛に対してまだ消極的である、まだ本気になってドル防衛をやろうという考えに立っていないと、こういう印象私は受けたわけですけれども、大臣はどのようにお考えになりますか。   〔主査退席、下条進一郎君着席〕 この問題について関連して、仮にエネルギー法案が通過をしたとしても、すぐにドル防衛というところまでいくのかどうか。要するにアメリカの赤字というものが急激に減るのかどうか、私は時間がかかると思うんです。その点について二点お伺いしたいと思います。
  157. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 徐々ではありますけれども、アメリカのドル防衛の重要性について変わってきつつあると、そのスピードの評価についてはいろいろあろうと思うのでございますが、かつては雇用の問題を中心に論じておったアメリカが、いまやインフレの問題を論じ出した。それからスワップなどということはおよそ拒否しておったアメリカが、マルクとの間でスワップを結んだ。これはやはり徐々に変化しつつあるのではないかと思うのでございます。  背景といたしましては、アメリカは言うまでもなく輸出入依存度の最も少ない国でございまして、ほとんど貿易はドル建てでやっておるわけでございますから、ドル安によるインフレとか、あるいはそういった問題については非常にやはり一般の国民の方は関心を特たないのが当然だろうと思うのでございます。したがって、むしろ雇用問題を中心にして、どちらかというと保護主義的な考え方が産業界あるいは国会筋に支配的になるという可能性のある国であったと思うのでございますが、最近連銀を初めといたしまして政府部内、ストラウスあたりまでそういう問題について徐々に認識は変わりつつあるということは、やはり一つの変化ではないだろうか、こんなふうにアメリカの国内の変化については受け取っておるわけでございます。  エネルギー法案の問題についてはいろいろの評価がございまして、あれによりますと、恐らく石油の価格をかなり上げることによりまして、あるいは油を使う車、伝えられるところでございますが、車についてもある種の負担を求めることによって間接的にあれをしたいとか、まあいろいろなことを言っているわけでございます。これが果たしてきくのかどうか、問題は二つありまして、一つは、備蓄をしているのか、してないのか、ここが一つの問題でございまして、それからそうでなくて、いまふえているというのはみんな消費の方でふえているのか。備蓄の問題でございますと、それはテンポを緩めれば明らかにきくわけでございますが、消費がやはりだんだん多くなっていまのような輸入が行われるといたしますと、その間接規制というものが一体響くのか響かぬのか、こういう問題になると思うのでございます。したがって、そう急速にはきいてくる問題ではない。もしその消費の方が主たる原因であるといたしますれば、あのエネルギー法案が通ってもそう急にはきいてこないで、やはり徐々にしかきいてこないんじゃないだろうか。しかし長い目で見ればそれはそれなりに意味はありましょうし、それから何より大事なのは通したということですね。そのアメリカの決意のあらわれというものは、心理的に非常にやはり影響を持つであろうということを考えるのでございます。
  158. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 このエネルギー法案も実際的にはかなり骨抜きにされて通過をしてまいりますので、私としては、いま大臣も私の質問に対して心理的な影響と最後に言われたように、それぐらいの期待しか余りできないのではないか。それが通過することを期待した上で見通しを誤ることもあり得るのではないか。そういった点では、まだまだ厳しい円高の状況にあるということは考えておかなければならぬと思うわけです。  で、昨年からいろんな施策が講じられてまいりました。補正予算も第二次まで組まれました。また総合経済対策、またこの三月二十五日には七項目の対策、緊急対策と中長期の対策分けて考えなきゃならぬと思います。緊急対策も残念ながらいままでそれがきいたという感じが余り出ていません。この一週間の急激な円高というものは、まあリーズ・アンド・ラグズとか、あるいは年度末の駆け込み、そういった点がありますので短期的なものかと思われます。特に昨日の宮澤経済企画庁長官あたりは、そういう見通しをはっきり私の質問に対して答えられたわけですが、来週の状況を見なければわかりませんけれども、仮にドルが少し上がってきたとしても、私は二百二十円台というのはそう簡単にいまのところ変わらないのではないか、こう思っております。そうしますと、やはりもちろん緊急対策は緊急対策として効果あるようにしていただきたい。これはぜひ必要でございますけれども、むしろ中長期対策というものに私は本腰を入れて政府としてはやっていただきたい。それに対する財政のあり方、これは残念ながら五十三年度予算というものは七%成長というものに余りにもとらわれ過ぎて、そちらの面がまだまだ欠けておったのではないかと思っております。その点に対するまず大臣の見解、もし反省がございましたらその御意見を伺いたいと思います。いかがでしょう。
  159. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) いろんな御評価があることは十分存じておるのでございますが、率直に申しまして、この限られた財源で、しかも赤字公債を実質三七%も出して、そして経済成長を図り、雇用の問題、稼働率の問題あるいはまた別途の方策でありますが、構造改善等あるいは中小企業の円高緊急対策、そういった問題を予算の上でも、あるいは金融措置でも講じていくわけでございますので、私たちは、同じやるんならやはりこの方が効果があるという考えはいまだに変わらないわけでございます。そしてまた七%というのは、ことしの発車台が五・三%ぐらいでありますれば、恐らくなかなかむずかしい話でございますけれども、私は達成可能ではないかという感じを持っているわけでございます。
  160. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 私、聞いているのは、いま大臣はいろんな対策もある程度盛り込まれておるからいいように言われましたが、一番大事な問題であるこれからの日本経済、産業構造の転換、特にこの問題ですね。それを全然ゼロとは言いませんけれども、私は極言すると全然なかったのではないか、要するに公共投資一本やりと言われるようなこういう大型拡大予算を赤字国債をふやしてまでも組まれて、とにかく一応経済を引っ張り上げよう、七%まで引き上げておいて、そしてその次に新しいビジョンを描いて、そして方向転換をしよう、こういうふうなことかと思うんですけれども、そういう意味でことしはもう異常な予算である、やむを得ない処置なんだと、こういう答弁もいろいろされておりますけれども、私は引き上げる中でどうして方向性まで出せなかったかと、だから円高がこうどんどん押し寄せ、私はこれは完全なアメリカを中心とした日本に対する攻勢、攻撃と受けとっておるんですけれども、そういうふうなことが出てきた場合、結局一生懸命こう薬を張ることばかりにきゅうきゅうとしなければならない。それで最後の手と言われておる公定歩合もここまで下げなければならなかった。  こういうことでは、結局五十三年度予算というのは何なのかということにも最後的にはなってしまうわけで、私はここでやっていただきたかったことは、新しいビジョンも踏まえた上で方向を変えながら、その中で力をつける意味での七%成長、それを目指すためにはある程度の公共投資もこれはやらなければならぬ、こういうことにくるべきであったのではないか、こういうふうな意味で御質問をしておるわけですけど、その点はいかがですか。
  161. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) おっしゃる点が、民間企業の今後の構造変化による求める方向の、その先のどちらの方に向かうのかと、こういう指針がなかったのではないかと、こういう御質問じゃないかと思うのでございます。これは非常にむずかしい問題でございまして、下手にいってみても、なかなかそうはいかぬのでございまして、私はやはりこれは企業自体が本当は一番よく知っているんだろうと思うんです。すでに言われておりますように、いまのような日本経済環境あるいは世界経済環境のもとで、日本は当然技術集約的な、あるいは知識集約的な産業に向かわねばならぬということは一般に言われておるわけでございますし、また三次産業の方に一般的に転換していくということも言われているわけでございますし、それからまた、そういう基幹産業でなくても、全体の雇用の方向がやはり医療とか、あるいは社会福祉の方向に向かっていくであろうというようなこと、これはまあ言うと言わざるとにかかわらず、ほとんどみんな直感的にそのように思っているのだろうと思うのでございます。しかし問題は、それは一体どのようにしたら採算に合うのか、どんなプロセスでいくのか、そこが大変な話ではないかと思うのでございます。言ってみますれば、今日、構造不況業種というものがたくさん出ているわけでございますけれども、このことは石油ショック以来の問題が全部たまっておる問題でございまして、恐らく今度構造不況業種にそれなりの手当てをすることによりまして、それぞれが、民間が活力がつくとともに自然に求める方向に行くのではないかと、私はそのように思っているのでございまして、政府はこういう業種に向かえとか言う必要がどれぐらいあるのだろうかというのは、実は個人的には私は疑問を持っているのでございます。恐らく事業をやっている方が一番よくわかる、しかし行き得ない技術的の限界もある、その辺のことは一番よく民間の人が私は知っているんじゃないかと思っているのでございます。
  162. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 もちろん私は、この業種を伸ばすように予算の中で出せとまで言っているわけじゃないんでして、もちろんそういった点は民間がやることですけれども、しかし政府は、しばしばこういう大変な時代には財政がその主役を果たしてやるんだと、また予算というのは一つのそのときの政府の顔と言えるものですよね、政策面の顔であるわけですから。やっぱり私は、その中に何か出てこなければならぬのじゃないか。結局、いままでの何か継ぎ足しのような感じがしてならぬ。それはもう全部ひっくり返してやってしまうというのは、これはむずかしいでしょうけれども、一変の急激な改革、革命的なことは、これはできないと思いますけれども、私はいままでの、よく過去に言われた列島改造予算とか大型予算とか、いろいろなこと言われました。やはりずっと過去のそのときの予算編成のあり方というものの中には、それなりの特徴なり姿というもの、あるいはまた新しい面への改革というものも出てきているのじゃないか。しかし、ことしは異常事態だからある程度はやむを得ない異常の予算である、緊急な予算である、その点は私は理解をするわけですけれども、もうちょっと何とか知恵はなかったかなという率直な印象を持つからこういうことを言うわけでございまして。  もう一つお聞きしたいことは、一応不況のトンネルを仮に脱出したと見通しが立ったとして、その後で次の計画を立てられるのか、いまトンネルを脱出する中から次の新しい計画考えていかれるのか。昨日、経企庁長官は、トンネルを脱出している最中にもう次を考えるやの発言をされたわけですけれども大蔵大臣、来年度予算の編成は、もちろん先の話ですけれども、もうこの予算審議が終わりまして成立は間近ですと、次に各省は概算要求の準備を始めなきゃなりません。そのときには、もう次の来年度予算というものがその骨格というものを頭に浮かべてくるわけですから、その景気の回復に従ってどういうふうな新しい芽というものが出てくるのか、その点はいかがですか。
  163. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 二つの面があると思うのでございます。何よりも今度のねらいでありますこの予算執行あるいは金融措置あるいは個別対策によってどういうことになってくるか、これを注意深くやはり見つめていくということが第一であろうと思います。そうしてまたそれと相並行しながら、もうすぐまた来年のことを考えていかなければならないのは当然だろうと思うのでございます。まあ経済の問題、それから財政の問題、あわせ考えていかざるを得ないと思っているわけでございまして、その点につきましては、予算成立後から、もういまでも絶えず毎日の批評を見ているわけでございますけれども、今後は予算ができたからといって目を離すのでなくて、これからいよいよ注意深くそちらを見守って、次の構想を立てていくということは当然のことであろうと思うのでございます。  それから、先ほどの話で予算の中でも何遍も申し上げたわけでございますけれども、今度は生活関連の方に非常に力を入れていることは御案内のとおりでございます。それはそれだけ社会資本が立ちおくれているということでございますから、やはり予算の中でも読みとれる人は、公共事業は将来そちらの方に傾斜がかかっていくであろうということは恐らく読み取れるのじゃないだろうか、同じ事業、企業家として考える場合に。だから、やはり必要に基づいて具体的に措置をしておれば、その次の段階というのはだんだんいろんな角度から読み取れてくるような感じもするわけでございます、それほどはっきりしたものじゃございませんけれども。そういう意味で、いま日本は高度成長時代が終わって次の転換点を求めているわけでございますし、一方において途上国から追い上げられている業種もございます。それからやがてまた中進国から追い上げられるであろうと想像される業種も十分わかるわけでございます。そしてまた、他の先進国に比べて日本がおくれておる産業も常識的にはわかるわけでございますから、それらのことは総合的に恐らく私たちもはだで感じているわけでございますし、民間の企業家の方々も恐らくみんなはだで感じておって、そうしてそれぞれが自分たちの工夫と努力のもとにそのことをやっておると思うのでございます。  ただ、一言だけ申し上げたいのは、やはり転換をするときには、経済が伸びておった方がやりやすいことはもう間違いないのでございます。いままでのようにミクロの採算が非常に悪い状況のもとで転換しろといっても、潤滑油がなくて転換するようなわけでございますので、やはり一般的な内需拡大の中での転換の方が私はやりやすいんだろう、こんなふうに思っております。
  164. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 この問題の最後に、先日の集中審議においても私申し上げましたけれども、いろんな円高に対する対策が打たれまして、最後の切り札が公定歩合の引き下げ、このあと三月二十五日、また総合経済対策七項目、これがずっともしきかなかった場合ですね、それでもなおかつ景気の脱出もなかなかむずかしい、また依然として対外攻勢が、外圧が強くなる。すると、いよいよ最後に残されてくるのは財政インフレによって一挙に円安にしてしまう。もう一つは、極端な話ですが、公債発行、これだけふえても将来の償還を考えた場合、いわゆるインフレにしておけば、何とかなるわけでして、一番安易な方法といいますか、これは国民にとっては大変重要な問題になりますので、これはしてもらいたくないんですが、いよいよ手詰まりになった場合はそういうことが出てくる可能性を私は大変憂えておるわけです。その点は絶対にない、また、しない、こういう見通しと決意がおありなのか、その点お伺いしたいと思います。   〔主査代理下条進一郎君退席、主査着席〕
  165. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 最も恐ろしいのはインフレであるわけでございます。インフレがひどくなりますと、これは全部が流通になりまして、生産もとまるわけでございます。その間インフレを通じて物を持っているもの、持たないものとの間に富の移転が行われるわけでございまして、これほど不公平であり国民経済に打撃を与えるものはないということは、われわれは何遍かすでに戦後の経済を通じ、また先般のオイルショックを通じて経験しているわけでございます。これではせっかくの努力は一切むだになるわけでございますし、その後の恐らく国民の意欲に対しても大変なマイナスになることは間違いございません。私たちはあらゆる意味でそのようなことがないようにいまから注意深く財政経済を運営しておりますし、絶対にそのようなことはないようにしたいと決意しておる次第でございます。
  166. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 最近の株価の動き、過剰流動性、M2には出てきませんけれども、隠れた過剰流動性といわれておる部門がかなりふえてきておりますので、そういったこともひとつ注意深く見ながらぜひお願いしたいと思います。  次に、私は政府関係金融機関であります公庫等の滞貸償却引当金、この問題についてお伺いしたいと思います。この引当金の繰り入れと貸付金の当初予算と決算における推移、これを見てみますと、五十年以降公庫は洗いがえ方式をとられまして、毎期の引当金総額をその期の債権額に合わせて設定がえすることになっております。それで、滞貸償却引当金及び貸付金につきまして各年度の当初予算と決算とを対比してみますと、かなり予算額と決算額によって差がございます。いろいろな公庫がありますから全部が全部というわけではございませんけれども、かなりばらつきが見られるわけです。国民金融公庫もそうでございますし、また住宅金融公庫あたりも大変な差が出てきているわけですが、たとえば昭和五十年度の国民金融公庫、それから五十一年度の国民金融公庫、住宅金融公庫の五十年度、五十一年度、当初、補正も含めまして結構ですけれども予算額と決算額の違いですね、これをお示しいただきたいと思います。
  167. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) 国民公庫と住宅公庫でございますが、五十年度は国民公庫は当初予算が三百九十三億で、決算額が四百九十二億でございます。住宅公庫は五十年度当初予算が百四億で、決算額が百四十六億でございます。それから五十一年度は国民公庫が当初予算が四百四十八億でございまして、決算が五百四十七億でございます。また住宅公庫は、これはかなり大きく違っておりますが、当初予算が五十二億で、決算が二百二十三億と、このようになっているわけでございます。このように差異が生ずる理由でございますが、予算策定時におきましてこの滞貸償却引当金を算定するに当たりましては、年度末の貸付金残高を見積もりまして、その一定割合を滞貸償却引当金として計上するわけでございます。その一定の割合と申しますのは、各金融機関ごとに異なっておりまして、輸銀、開銀におきましては民間金融機関並みに千分の五でございます。それから、一般の公庫につきましては民間金融機関の二倍ということで千分の十になっております。また国民公庫と中小公庫は中小金融機関ということで千分の十二と、このようになっているわけでございますが、ただこれに対しまして例外がございまして、補給金を受けている公庫につきましては、厳しい財政事情からやむを得ず予算上の措置として滞貸償却引当金の繰り入れを、貸付金残高の千分の一として補給金を計算しているわけでございます。このようにして当初予算を策定するわけでございますけれども、決算のときに当たりましては、その収支の状況によりまして、これ以上に利益が出ました場合には、この補給金の公庫はただいま申し上げたように千分の一でございますけれども、その原則である千分の十までは利益金の出た限りは積むことができる、それを超えたものは国庫納付金になるわけでございますが、そういう措置をとっているわけでございます。したがいまして、いま申し上げたようなところから、先ほど御説明しました数字のような違いが出てくるわけでございます。  これは一つ一つを申し上げますと時間の関係もございますので、たとえば五十一年の一番大きく違っております住宅公庫の当初予算五十二億と決算の二百二十三億の違いについて申し上げますと、これは金融機関でございますから当然貸し出し面における利息収入あるいは資金面における借入金の支払い利息、これとの差がいろいろなところで関連してまいりまして収支が出てくるわけでございますけれども、たとえば同じ一千億の貸し出しをいたすにいたしましても、期初に貸し出しますと一年間まるまる収入利息が出るわけでございますけれども、期末近くに貸し出しますと恐らく一月分か二カ月分しか収入利息がないわけでございまして、そのようなところで金融情勢、経済情勢に応じていろいろな貸し出しが行われる、あるいは借り入れが行われるというところから、当初の策定した予算と最後の決算とはどうしても食い違いが生じてくるわけでございます。ただいま申し上げました住宅公庫の五十一年度の数字について申しますと、当初五十二億が二百二十三億になりまして、差し引き百七十億近い増減があったわけでございますけれども、この内訳を見ますと、借入金の借り入れ時期が予定よりおくれたことによります借入利息の減が約二十億でございます。それから個人住宅貸し付けが予定額に達しなかったことによる業務委託費の減が十七億ございます。それから貸し出しの内容によりまして金利の高い貸し出しと低い貸し出しがあるわけでございますけれども、宅地造成関連貸し付けなど比較的金利の高い貸し付けが多かったことによる貸付利息の増が約七十億ございます。このほか余裕金が予定より多かったことによる運用益の増が十一億等ございまして、このようなところから当初の予算に比べて決算が違ってきたわけでございます。
  168. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 大体いまその予算のあり方と決算のあり方はわかりましたけれども、いま住宅公庫についていろいろ数字を挙げて説明をされましたけれども、単純に考えまして、たとえば住宅公庫がお金を借りてきて利息を払う、今度貸して利息でかせぐと、それはどうしても差が出る。それはある程度一般会計への受け入れ等もありますからそれが補給されてくる。この収支いろいろ見ておりますと、私、印象というふうなことになるかもわかりませんけれども、まず引当金がこんなにたくさん要るのかどうか。大体滞貸償却引当金というのは、銀行で言えば貸し倒れ引当金のようなものだと思いますので、余り貸し倒れは国金の場合だってそうありませんし、ゼロに近いのではないか。今後の要素としては不安な点があったとしても、少なくとも五十一年度ではそんなになかったのではないか、その点もお伺いしたいと思いますけれども、そういう貸し倒れがないにもかかわらず、どうしてこれだけたくさん組まなきゃならないのか。それがまた予算額と決算額で大変な違いが出てくる。いま大変財政が厳しいときですから、財政に余裕があれば、私は公庫も余裕を持ってやれるために、ある程度のこういったことは決して反対ではございませんけれども、大変財政が厳しい厳しいと言われておる中から、これだけのものを果たして組む必要があるのか。それなら今度は一般会計からの、もしこれだけ仮に組むとしたならば、一般会計からの受け入れというものを減らして、一般会計の方の負担を軽くした方がいいのではないか、そのように考えるわけです。その点についてはいかがですか。
  169. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) 確かに滞貸償却引当金のいままでの貸し倒れの実績でございますと、たとえば北東公庫が四十六年に十三億ほど貸し倒れを出しまして、これは千分の六に当たるわけでございますが、非常な大きな貸し倒れがあったことがございますが、その後はこれほど大きなものはございません。そういう意味でこんなに高い率は要らないのではないかという御意見もあろうかと存じますが、しかしながら、政府関係機関は御承知のとおり政府から独立して一つの金融機関として存在しているわけでございまして、貸し倒れができた場合に、直ちにそれが補給金とか、あるいは出資金に響くというような経理体制をとることは、その独立した金融機関として好ましくはないわけでございます。そういう意味で、金融機関としてのそういうバッファーとしてこういう滞貸償却引当金が必要でございます。それからまた政府関係機関につきましては、いわゆる自己資本、特に公庫につきましては、自己資本と称するものはこの滞貸償却引当金が主体でございますので、そういう意味で金融機関としての独立性を維持するためにも滞貸償却引当金が必要なわけでございます。ただ、その率につきましては、実は御指摘のような点もございますので、漸次その引き下げを行っておるところでございまして、たとえば輸銀、開銀につきましては、五十一年までは千分の十六であったのが今回千分の五まで引き下げたわけでございます。そのほか、ほかの金融機関につきましても、それぞれ実情に合わせた引き下げが行われておるわけでございますが、ただこれらの政府関係金融機関、特に公庫につきましては、一般民間金融機関の融通を困難とするような融資をするということが本来の使命でございますので、一般の金融機関よりも当然貸し倒れ損が出ることを覚悟しなければならないということで率も高くなっているわけでございます。特にこれから、御承知のような経済、金融情勢でございまして、これに対して円高関係あるいは倒産関連融資等、相当危険な融資もこれから出ていくことでございますので、この程度の滞貸償却引当金の繰り入れはぜひとも必要ではなかろうかと、このように考えております。
  170. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 私は、勘ぐりかもわかりませんけれども、いま自己資本として必要だと言われましたけれども、それならばまたほかの、自己資本という形がこの中に含まれておるとするならば、私はこういった名前が余り適当ではないのではないか、またほかの方で考えてはどうか、こう思うわけです。結局何か、勘ぐりになるかもしれませんけれども、こういう形によって何か利益を隠しておるというか、余裕金をつくっておるというか、そういう気がしてならぬわけでして、特にその当初で組まれたものが後でこれだけ出てくるということに、私が大変な疑問を持ったのはそこら辺から発想があるわけでして、その点についてはどういうふうなことなのか、この二点をお伺いしたいと思います。もう一つは、予算書に見る限りにおいてはこういうことがなかなかわかりにくい形になっております。そういった点はもう少し親切なやり方はできないのかどうか、その点、三つの点についてお答えいただきたいと思います。
  171. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) 滞貸償却引当金は一種の自己資金の形になっているわけでございますが、ただ、これはやはりどこまでも趣旨といたしましては貸し倒れ損に見合う額ということでございまして、一般的に金融機関はこのような形で引当金を持つ、それが貸し出しに対する一つのバッファーであるということがもうこれは世界的に行われているところでございまして、政府関係機関といえども政府から独立して機能を営んでいる金融機関でございますから、そういう意味で滞貸償却引当金の繰り入れというのは金融機関としてぜひ必要なものであると、このように考えております。ただこの経理のあり方、先生指摘のような、外部からもっとわかりやすい方法はないかということでございますが、この点につきましては、実はこういう政府関係機関の経理のあり方について現在研究会を持っておりまして、そこでこういうものを含めましていろいろ金融機関の経理のあり方について検討をしているところでございますので、先生の御指摘の点も踏まえてさらにその場で検討を進めてまいりたいと、このように考えております。
  172. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 ひとつこの問題、私時間も余りありませんでしたので、これ以上突っ込むのはまた次の機会に譲らしていただきたいと思いますけれども、非常に公庫によってばらつきがある点、これは公庫の性格等もあると思いますけれども、特に住宅がいま申し上げたように大変狂いが多い、住宅公庫というのは大変国民が国民金融公庫と並んで非常に利用しておるところでございますから、こういった点は明確にすることが国民に対する親切ではなかろうかと、こう思いますので、さらにはっきりしていただきたいと思いますが、ひっくるめまして、大蔵大臣、私の指摘した問題については、是正とか研究会等の話もございましたが、含めまして検討をしていただけますか。
  173. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) いま矢追議員の御質問と銀行局長の応答注意深く承りました。その点は十分将来検討してまいりたいと、こう思っております。
  174. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 次に、公定歩合が大変引き下げになりました。現在においてそれがいろんなところに影響が出てきておりますが、今日まで預金金利等については大体決まってきておりますが、いろんな、この公定歩合引き下げに対して連動がされてきておりますが、どの辺までこれが連動されるのか、現在どこまで進んできておりますか、まずお伺いしたいと思います。
  175. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) 公定歩合の引き下げに伴いまして、現在までに民間の金融機関の預金金利の引き下げが行われたわけでございまして、これは要求払い預金が〇・五、定期性預金が〇・七五引き下げられております。それから長期のプライムレートがこれも引き下げが行われまして、これは三月二十七日でございますが、七・六から七・一に〇・五の引き下げが行われております。それから国債につきましても同様四月債から〇・五〇三の引き下げが決まっております。それから一般に国民に関心のあります住宅ローンでございますが、これは新規分につきましては〇・三引き下げまして七・六二になっております。それから既往分につきましても九%以上のものは〇・一八%、八%台のものは〇・一二%の引き下げを行うことになっております。
  176. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 それで私は延滞税、利子税についてちょっと申し上げたいと思います。  現在延滞税、利子税それぞれ年率何%になっておりますか。またその数字になった根拠、その経緯ですね、これについてお伺いしたいと思います。
  177. 米里恕

    政府委員(米里恕君) お尋ねの利子税現在七・三%でございます。それから延滞税につきましては、納期限から一月間は七・三%、それより長期になりますと、一四・六%ということになっております。  次に、この七・三なりあるいは一四・六というものがどういう考え方から決められているのかという問題でございますが、これは基本的には一般の金利水準との関係考え方の中には入っているということは申せようかと思います。ただ、一般金利水準との関係はその他のいろいろな考慮すべき要件が含まれております。たとえて申しますと、本来即納者の方が、期限内に納めていただける方が大部分である、この方々は金融機関から借り入れをなさってそれで納めておられるというようなことであります。そういう場合に即納者と延納される方とのバランスをどういうふうに考えたらいいだろうかという問題が一つございます。もちろん私ども税務当局といたしましては、できるだけ原則としては期限内に納めていただきたい、滞納はできるだけ防止したいという気持ちが一方であることば事実でございます。  さらにまた延滞税につきましては、ややその性格上ペナルティ的な要素も考慮に入れなければならない、そういったようなことを勘案しまして、しかし長期的には一般の金利水準との考え方も考慮しながら決まっておると、こういうことでございます。なお、やや技術的なことにわたりますけれども、七・三あるいは一四・六、いずれも三百六十五で割り切れるように配慮してございます。これは延滞の日数が区々にわたりますので、できるだけ計算が簡便、明瞭でなければいかぬというような意味合いもございまして七・三あるいは一四・六ということで、いわば三・六五%単位で考えておるというような考え方がございます。それから過去におきまして延滞税率の方は若干の動きを示しております。かつて日歩八銭でございましたが、これが三十年代の初めに日歩六銭になりまして、三十七年から日歩四銭に下がってきております。先ほど申し上げました一四・六%というものに照合する日歩四銭というようなものに下がってきております。利子税率の方は、昭和二十年代に四銭から二銭に下がりましてから、原則としてそのまま横ばいでまいっております。  こういうことで、先ほど申し上げましたようないろんな性格から考えましても、制度の安定性あるいは明確性というようなことが、こういったことにはかなり重要な問題ではないかというふうに私ども考えておりますので、一時的な金利水準の動向に沿って頻々と動かすというようなことよりは、むしろ長期的な観点から動かしていくべきものではないだろうかと、かように考えております。
  178. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 所得税と法人税とではどういう違いがありますか。
  179. 米里恕

    政府委員(米里恕君) 原則として違いはございませんが、ただ御承知のように、法人税の場合にはまあ一種の景気対策と申しますか、公定歩合が五・五%を超えるような状態になりますと、その超える部分の約三倍を七・三%にプラスして計算するというようなことで、そういった意味での公定歩合との連動制度というものがございます。
  180. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 いま御答弁では、公定歩合とは余り関係しない。まあ要するに、長期的に決めておくと、こう言われましたが、この一番最近の四十五年四月に七・三になった。そのときはたしか公定歩合は六だったと思いますが、そうなりますと、現在はまあ三・五%という、そのときと比べますと大変低くなっているわけでして、年代的にも四十五年から八年にたっているわけですから、私はある程度の見直しも可能かと思います。ただ誤解されると困るんですが、いまもお話しありましたペナルティーということがありますから、私は決して何でもかでも下げればいいというふうには思っておりません。まあ法人税の方はいまある程度の連動があると。所得税は全然動かないわけですから、少なくも私は一カ月ですね、一カ月間が七・三で——延滞税の場合。あとが一四・六。一カ月以内というのは、これはそうめちゃくちゃ悪意があっておくれたのではない。まあいろんな事情、あるいはまた大変困っておる、そういうふうなことでおくれたのではないかと、そういう人が多いんではないかと。実情は私もよくつまびらかではございませんけれども、大体傾向としてそういうことではないかと思います。そうなりますと、むしろ一カ月ぐらいまではこの七・三が、こういった低金利時代になった場合、ある程度の緩和はできないものなのかどうか。特に所得税については連動が全然ない。そういった点についても少し考えることが、減税、減税と一方では言われますけれども、こういった点も少しは、国民感情の上からいって、政府考えておるんだと、こういうことになろうと思います。決して私は滞納を奨励したり、延滞を奨励するということではありませんので、誤解をされると困りますけれども、その点はいかがですか。
  181. 米里恕

    政府委員(米里恕君) 先生御承知のように、納税猶予になりました場合には、事情によりまして延滞税の減免制度というものもございます。それから確かに最近金利がかなり下がってまいりまして、この七・三%よりは若干と申しましょうか、全国銀行約定平均金利で、二月は六・七%くらいかと思いますが、そのぐらいの差は出ておりますが、その差が、そのペナルティー的な考え方その他から考えてどう見るのかというのはいろいろ考え方があろうかと思います。  それから、先ほどちょっと申し上げましたように、いままでの考え方ですと、できるだけ簡便なものがいいということから、二銭に相当します七・三を、銭単位で動かしておりますので、それでいきますと、七・三がもう一段下げると三/六五というようなことになる。それは余りに低過ぎはしないだろうかというような点もございます。  まあいずれにいたしましても、市中金利と全く関係ないという考え方も私どもございませんので、長期的な観点で、もし今後かなりの期間にわたって引き続きさらに低金利時代が続くというようなことであれば、またこの制度の検討の余地もあろうかと思いますが、現在の状態でいますぐこういった七・三%あるいは一四・六をいじろうということは、ちょっといかがであろうかというふうに私どもは思っております。
  182. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 大蔵大臣、最後に、この問題についていまの議論を踏まえてどのようにお考えなのか。仮にいまの三・五の公定歩合、どこまで続くかわかりませんし、経済の方向も状況もあるかと思いますけれども、見直しはされるのかどうか。また、されるとしたら、どういう状況が出てきた場合はされる、そういうことになるのか。たしか大蔵大臣、昭和三十七年三月二十七日のこの大蔵委員会の議事録の政府委員は大臣かと思いますけれども、この答弁等も踏まえまして、大臣、その当時を振り返ってどうお考えか、お伺いしたいと思います。
  183. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) いまの中で、かなり実務的な問題が入っておるのでございまして、三百六十五で割り切れる数字という話が出ておるわけでございまして、これをやはり実務の便で言いますと、いまの七・三か、あるいはすぐその半分になっちまう、三・幾らと、こういうことになるという、そこの点がまあ非常に検討課題であろうと思うのでございます。ですから、そこの実務的な問題がうまく解決できないと、やはり長期的にしか考えられないのではないだろうか、実務的な点が解決できるかどうか、そこが何かポイントのような感じがしておったのでございます。
  184. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 まあいまの御答弁だと、そういう実務面さえ解決できれば見直しはある程度やってもいいと、そういう日歩三銭と二銭との関係において、次は段階が銭であるからできない、それが最大のネックだと、まあこういうふうな印象を受けるんですけれども、そうしますと、このいまのパーセントも、あくまでも日歩三銭とかそういうふうな形が絶えずとられてくる。それが何か既成概念のようになっておるように思うんですけれども、まあ私なんかも、どっちかといいますとあんまり、小さいときは銭に御厄介になった方ですけれども、ある程度物心ついてから、もう銭なんていうのは全然わからぬわけでして、実際正直言いまして日歩三銭というのはぴんとこないんですわ。パーセントで言ってもらった方がようわかるわけでして、そういうふうな時代に変わっておりますので、いつまでも日歩三銭、二銭、これは法律がありますからやむを得ぬかとも思いますけれども、そういった意味でも非常に私気になりましたのは、昭和四十年ですけれども、いまなおかたかなの法律が、何かこう基礎にがちっとあるというふうなことで、えらい古めかしい感じをいまなお受けておるわけですけれども、こういう面も何かそういう感じを受けるわけでして、そういった意味では次にデノミでも考えられておって、デノミがあったらその後で何か変わるのかなという気もいましておるわけですけれども、そういう点も踏まえまして、もう一度どういうふうなお考えなのかお伺いしたいと思います。
  185. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) わかりました。  やはりまあある意味では市中の金利と、やはりその実勢と合わしているという問題と、それからまあ絶えずそいつを変更さしているのかどうかという問題と、それから実務的な問題と、三つあると思うのでございまして、まあきょう突然それ聞かれたのでございますが、そういった点を踏まえましてさらに検討さしていただきたい、かように思うわけでございます。
  186. 中村太郎

    主査中村太郎君) 本日の質疑はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十分散会      —————・—————