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1978-04-01 第84回国会 参議院 予算委員会第四分科会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月一日(土曜日)    午前十時開会     —————————————    分科担当委員異動  三月三十一日     辞任         補欠選任      渡部 通子君     内田 善利君      柄谷 道一君     三治 重信君  四月一日     辞任         補欠選任      松前 達郎君     赤桐  操君      赤桐  操君     田中寿美子君      内田 善利君     太田 淳夫君      三治 重信君     栗林 卓司君     —————————————   出席者は左のとおり。     主 査         内藤誉三郎君     副主査         田代由紀男君     分科担当委員                 真鍋 賢二君                 八木 一郎君                 内田 善利君                 下田 京子君                 三治 重信君    国務大臣        文 部 大 臣  砂田 重民君    政府委員        文部大臣官房長  宮地 貫一君        文部大臣官房会        計課長      西崎 清久君        文部省初等中等        教育局長     諸澤 正道君        文部省大学局長  佐野文一郎君        文部省体育局長  柳川 覺治君        文部省管理局長  三角 哲生君        文化庁長官    犬丸  直君        文化庁次長    吉久 勝美君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和五十三年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付) ○昭和五十三年度特別会計予算内閣提出衆議院  送付) ○昭和五十三年度政府関係機関予算内閣提出、衆  議院送付)     —————————————
  2. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) ただいまから予算委員会第四分科会を開会いたします。  分科担当委員異動について御報告いたします。  去る三月三十一日、渡部通子君及び柄谷道一君が分科担当委員辞任され、その補欠として内田善利君及び三治重信君が分科担当委員に選任されました。  また、本日、松前達郎君が分科担当委員辞任され、その補欠として赤桐操君が分科担当委員に選任されました。     —————————————
  3. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) 昭和五十三年度総予算中、文部省所管を議題といたします。  去る三月二十九日に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 内田善利

    内田善利君 私は、文化財保護法の現在の運用面等についてお伺いしたいと思いますが、まず第一に、私も昭和四十五年、あるいは昭和四十六年あたりに二、三の件でございますが、文化課と折衝したことがございますが、非常に担当職員数が少なくて、これは大変だという思いをしたわけでございますが、最近非常に充実されてきておるように感ずるわけでございます。また、担当者皆さん文化財保護について、非常に熱心にやっていらっしゃるということを強く感じて、心強く思っておるわけですが、最初担当者の問題についてお伺いしたいと思うんですけれども、文化財保護法附則第二項が五十年七月一日に改正になったわけですが、その附則第二項に、遺跡発見の際の停止命令期間改正後五年に限って、すなわち昭和五十五年九月三十日まで最大限九カ月と、法定期間は六カ月でございますが。こういう特例が設けられたわけですけれども、これは地方公共団体が、発掘調査体制がまだまだ十分でないと、そういう現状から、今後五年間その充実を図るということであったと思うんですが、この法定期間内での調査に十分対処するために、いまこのような措置がなされておると、このように思うわけですが、この文化財調査担当者現状についてお伺いしたいと思います。  それと担当者状態市町村によって身分が非常にばらばらであると、このように感じます。  それと採用の面等について、文化財調査担当者の面についてお伺いしたいと思います。
  5. 犬丸直

    政府委員犬丸直君) 最近特にそうでございますけれども、公共事業等が推進されてまいりますと、埋蔵文化財がいろいろ発見されまして、それを調査する職員調査体制というものを、特に地方公共団体において整備するということが大変緊急な課題となりますことは、先生いま御指摘のとおりでございます。それで文部省文化庁におきましても、そういう調査のできる専門職員を養成するということが一つの問題でございます。  それから、二番目に各自治体においてその職員が採用できるように、定員上そういう者を採用できるような措置を講ずると、この二点について施策を講じてきておるわけでございます。  まず専門職員の養成につきましては、昭和四十九年度から奈良の国立文化財研究所埋蔵文化財センターというものをつくりまして、そこで専門的な研修を行うというようなことで措置しております。現在昭和五十二年度までに研修を行った対象となった職員は、三百四十九名に上っております。そういった人たちがだんだんに自治体等職員となって活躍することを期待しているわけでございます。  それから、具体的にそれぞれの自治体でその担当職員を採用できるような措置を講ずるということでございまして、これは自治体指導助言という面と同時に、具体的なお金の問題といたしましては、交付税におきまして、そういう職員を採用できるような措置を講ずるということを強化してまいっております。現在府県の標準団体の積算としては、これは文化財と限りませんけれども、文化関係職員として十人分ぐらいをみるということ。あるいは市町村におきましては社会局関係を含めまして十三人を積算すると。そういうようなこともだんだんに講じてきておるわけでございます。それから、さらに場合によりましては、国立埋蔵文化財センターが直接事情によりましては発掘調査について協力するというようなこともやっております。このようなことでやっておりまして、それから、さらに地方埋蔵文化財調査センター、そういったものを地方でつくる場合に、それに対する国庫補助をするというようなことも四十九年度から始めております。そのようなことで対処してまいりまして、現在五十二年度で地方公共団体における埋蔵文化財関係専門職員の数は約千二百人ぐらいになっております。昭和四十九年度には五百二十七人程度でございましたので、逐次増加してきておるということでございます。もちろんまだこういう関係施策は強化してまいらなければならないので、今後とも努力してまいりたいと思っておる次第でございます。
  6. 内田善利

    内田善利君 昭和五十五年九月三十日現在で大体どの程度必要なのでしょう。すなわち、五年間に限って最大限九カ月は特例が設けられたんですね。これは地方公共団体のいろいろな現状によって設けられたわけですが、その後は六カ月になるわけですが、いま大規模開発、そういったことで急に調査員が必要になったということで非常に多くなったと私は思うのですけれども、最終段階、その法定期間内でやるようになった場合に、一応このときは十分対処できる状態になったときだと思うのですが、そのときに大体どれぐらい必要なのかということですね。私が心配するのは、余り多くなって、その後また困るというようなことがあっては困ると思うのですが、最終段階、その時点でどれぐらい見込まれておるのか。
  7. 犬丸直

    政府委員犬丸直君) 将来五カ年間にどのくらいのものが必要になってくるかという見通しでございますけれども、実はこれは大変的確な数字をもって見通すということはむずかしゅうございまして、いろいろな遺跡が発見される、これは各県によってもまちまちでございますし、工事進捗状況に応じていろいろな状況のもとに人が必要になってくるという状況が起こるわけでございまして、残念ながらそれを計数的に五年にわたって見通すというようなことは大変むずかしいので、現在そこまでやっておりません。ただ全体として非常に人がよけいに必要になってくるであろうということは予測されますので、できる限りの努力をいたしておる次第でございます。
  8. 内田善利

    内田善利君 とにかくあの発掘状態を見ておりますと大変だなと、大学の学生のアルバイトその他一緒になってやっておるようでございますが、調査員の資質と言いますか、そういった点から調整というようなのが非常に大事じゃないかと思うわけですね。  そこで、私は時間の関係で、佐賀県の佐賀市久保泉町にあります丸山遺跡のことについてお伺いしたいと思うのですが、ちょうどマルコ山遺跡と同じように、丸山遺跡が、九州横断道路の線が引かれ、予備調査がなされ、そして本調査段階で非常に重要な埋蔵文化財が発掘されておるようでございますが、この丸山遺跡調査概要、あるいは今後の対策をまずお聞かせ願いたいと思います。
  9. 犬丸直

    政府委員犬丸直君) この丸山遺跡でございますが、これは一般にこういう場合のことでございますが、できるだけ早く事前にそこに遺跡があるということが、道路等計画ができましたときにわかっておりますと、これは早くから調査できるんでございますけれども、残念ながらこの丸山の場合には、四十八年九月に路線決定されたその段階で、それ以前に行われました調査におきましては、そういう遺跡があるということがわかりませんでして、その後、工事が進んでまいりまして、五十二年一月になって新しく遺跡が発見されたと、そういう状況でございまして、これはいろいろな現地の具体的な事情によって、そういうことがどうしても起こることはやむを得ないのでございますけれども、そういうことでございます。そして五十二年一月になって発見され、二月から佐賀教育委員会調査を進めてまいったわけでございますけれども、その結果によりますれば、縄文時代末から弥生初期にかけての遺跡でございまして、いわゆる支石墓群といいますか、石で支えて上に大きな石を乗せたという非常に珍しいお墓であるとか、あるいは古墳時代円墳が出るとかいうようなことで、なかなか貴重な、りっぱな遺跡であるということがわかってまいりました。そういうことで、何らかの方法でこれを保存し、あるいは記録をとるというようなことに努めてまいったわけでございます。  それで、いま申しましたように事前にわかっておりますれば、何か計画を変更して遺跡をそのまま残すということができるわけでごさいますれども、この場合にはなかなかそういうふうにはまいりませんで、事前にやはりこの段階においては計画を全面的に変更するということは困難であるという事情がわかってまいりましたもので、まず第一に徹底的な調査をする、十分調査をして資料を得るということ、発掘調査をやるということ、事前にそれを調査するということ、これをやってまいりまして、あと何らかの形でこれを保存することができるかできないか、これは道路公団等とも、あるいは地元の教育委員会等中心になりまして、十分な検討を進めておるいま段階でございまして、状況はそういう状況でございますけれども、できるだけ何かの方法がとれないかということを現在検討しておると、そういう段階でございます。
  10. 内田善利

    内田善利君 工事はどんどん進んでいくわけですが、この丸山遺跡について文化庁長官に届け出があったのはいつでございますか。
  11. 吉久勝美

    政府委員吉久勝美君) 昭和四十九年の一月でございます。
  12. 内田善利

    内田善利君 五十七条によって届けられたわけですが、第二項のこの文化庁長官措置はどのようにされたわけですか。
  13. 吉久勝美

    政府委員吉久勝美君) この種のものにつきましては、すでに文化庁道路公団との間に覚書がございまして、届けがあると同時に、全体の遺跡状況につきまして分布調査をするということで協議に入りまして、それで事前調査を実施した後、遺構が出てきた場合にはその保存について配慮をするというようなことを、佐賀教育委員会を通じまして道路公団側に指示をいたしたわけでございます。
  14. 内田善利

    内田善利君 予備調査をやって、そして道路公団線引きが行われますね。その線引きが行われた段階のこの図を見ますと、遺跡群の中にあるわけですね、こういう遺跡群の中にどうしてラインが引かれたんだろうと不思議でならないんですが、この点はどのようにお考えですか。
  15. 吉久勝美

    政府委員吉久勝美君) この九州横断自動車道路線決定以前におきまして、すでに佐賀教育委員会等におきましては、いろいろ遺跡分布調査をいたしておるところでございまして、遺跡といたしましては、前にあることがわかっておったわけでございまして、路線決定に当たりましては、史跡あるいは重要な遺跡の存在する個所は極力避けて路線決定をしていただいたわけでございますが、先ほど長官からもお話しのように、丸山遺跡につきましては、表面からはわからないというものでございまして、当初行った遺跡分布調査におきましては存在が確認されなかったと、路線決定以後におきまして、さらに詳細な調査をいたしたところ、初めて出てまいったというようなものでございまして、その点、埋蔵文化財の性格上やむを得ないものといたしましても、私ども非常に遺憾であったというふうに考えておるわけでございます。
  16. 内田善利

    内田善利君 そうすると、予備調査やって、草に隠れて土砂に埋まってわからないと、そういうわからない場合、線を引いた。そして本調査を始めたら出てきたというわけですから、予備調査をやって、そしてラインを引いたそのときにもう一回予備調査をやるという、そういうことは考えられないかどうか。この点いかがですか。
  17. 吉久勝美

    政府委員吉久勝美君) 先生指摘のように、慎重の上にも慎重を期する上からは、結果論になりますが、そういうふうな措置をした方がベターであったとは存ずるわけでございますが、当時の状況におきましての予備調査におきましては、すでに相当遺跡を避けて路線決定までの協議をいたしたわけでございまして、佐賀県の教育委員会といたしましては、もとより後になって見ればそういう方法もあったと思いますが、それまでの手法といたしましては、事前予備調査におきましてかなりの遺跡を避け得たというようなために、これで何とかいけるんではないかと思った状況であったと思うわけでございます。
  18. 内田善利

    内田善利君 これは佐賀県の教育委員会がつくられたんですけれども、遺跡のところをずっと線が入っているような感じがするんですね。もちろん市街地にいきますとなお多いかもしれませんが。そういった中で予備調査が行われ、そして線引きがされたときにはもう用地買収も終わっている。用地買収が終わった段階でこうして出てきますと、もう迂回させるにもどうしようもないわけですね。ですから道路公団がこのような大型のこういう道路をつくる場合には、もう一回やって、そして線引きをするというのが私は後々になって一番公団も損をしないし、いいんじゃないかと、こう思うんですね。そういう方法を今後とられるかどうか。また、長崎新幹線等考えられておりますが、長崎新幹線線引きの場合にも同じようなことが言えるんじゃないかと思うんですが、こういう失敗をしないようにすべきじゃないかと思うんですが、この点はいかがですか。
  19. 吉久勝美

    政府委員吉久勝美君) その点につきましては先生指摘のとおりでございまして、そのような経験もございましたので、昭和五十年に行われました文化財保護法改正におきましては、こういうような公共土木事業につきまして事前協議制がはっきり法律改正が行われました。それの運用といたしましては、私どもといたしまして正式に事前協議をいたしますが、その協議段階で、いわゆる表面から遺跡分布調査するのではなくて、試掘をしてみるという必要がございますので、特に大蔵省にそのための予算も要求をいたしまして、特に遺跡の多い地方におきましては、慎重を期するため、路線決定の以前の段階協議段階におきまして、必要な試掘調査もした上で路線決定に持ち込むというような措置もその後実施をいたしておるところでございます。
  20. 内田善利

    内田善利君 それから原因者負担の問題ですが、この問題は法改正のときにも問題になったわけですけれども、原因者負担の問題で、原則的には文化庁といいますか、国が負担するのが妥当と思うんですけれども、予算面その他でやむを得ないということだと思うんですけれども、その市町村原因者との直接の話し合いではなくて、その間に第三者期間的なものを設けて、公平な裁定ができるようにすべきじゃないか、このように思うんですが、行政と原因者との間で原因者負担の問題について公平な裁定をしていく、こういうことが一番いいと思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。
  21. 犬丸直

    政府委員犬丸直君) この文化財開発事業に伴い必要となってまいります発掘調査の問題につきましては、やはりまず開発事業者原因者としての負担というのを第一の原則といたしておるわけでございまして、やはりその原因をつくった人に負担してもらうということがまず最初措置としては妥当ではなかろうかと考えております。ただし、そう申しましても、いま御指摘のように相手個人である場合とか、あるいは非常に小さな、財政力がないということでそういうことをしておりますると、保存調査がうまくいかないということもございますので、地方公共団体補助をする、それが発掘調査を行う、それに対して国が補助金を出す、そういう体制でもって対処いたしておるわけでございます。したがいまして、やはりそういう場合の責任者といたしましては、公共立場に立っての責任者といたしましては、地方公共団体中心になってやっていただく、特に具体的には教育委員会中心となって、その相手事業者に対していろいろ交渉をする、そういう体制が現在のところは一番妥当ではなかろうかということでございます。それを国の立場から指導をし、あるいは補助をするというような体制をとっておる次第でございます。
  22. 内田善利

    内田善利君 大規模開発の場合には、あるいは公共事業等であるような場合には、これはやむを得ないと思います。開発業者負担する総額が五十一年では約八十六億円ということのようですけれども、こういう資金力のない中小企業、あるいは民間業者、こういう場合が、あるいは個人の場合がトラブルが非常に起こっておるわけですけれども、この点、開発内容によって、開発業者内容によって文化庁みずからが費用を負担する、こういう制度に変えていくべきじゃないかと思うんですが、これはどこに限度を置くかということが問題になってくると思いますけれども、この点はいかがですか。
  23. 犬丸直

    政府委員犬丸直君) やはり直接の相手事業者等交渉をし、計画を立てるという仕事は、やはり現場に密着しておる自治体関係機関教育委員会等にお願いするのが一番いいと考えられますので、そういう形で今後とも進めたいと思っております。ただし、これは国としてもバックアップをする、いろんな面で指導をすると同時に補助金も出す、特にいまの個人事業者等で、事業者負担ということができない場合の調査費自治体で出してもらう、それに対しては国から補助をするという体制をとってまいりたいと思っております。御参考までに五十三年度予算案では、その関係補助金を約十一億一千万円、昨年より約一億五千万円の増加ということで見込んでおる次第でございます。
  24. 内田善利

    内田善利君 先ほど申しましたように、現在は市町村原因者との間に、県の文化課あたりが第三者機関的な立場でやっているわけですが、純然たる第三者機関、そして公平な裁定をしていくという考え方はいかがですか。
  25. 犬丸直

    政府委員犬丸直君) 先生のおっしゃる純然たる第三者ということがどういうことであるかちょっとわからないのでございますが、やはり公共立場として自治体が、市町村、あるいは県が相手交渉をする、市町村がまず交渉し、それに対して県が指導するということで、大体その目的は達しておるんじゃなかろうか、もちろん国家的な意味におきまして、文化庁がこれに対する指導を行うということはやっておるわけでございますけれども、そういう体制でいまのところいいんではなかろうかと私ども考えておる次第でございます。
  26. 内田善利

    内田善利君 最後に、丸山遺跡の学術的な価値と、この保存方法をどのように考えておられるか。
  27. 犬丸直

    政府委員犬丸直君) 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、現在までの調査結果によりますと、縄文時代末から弥生時代初頭にかけての支石墓群というものがあるそうでございます、それから古墳時代円墳が十基出てきておる。そういう状況のもとで、支石墓というものは九州地区では比較的まれである。それから古墳の中身も、各種の横穴式石室であるとか、あるいは縦穴式石室、あるいは舟形石棺などいろいろ変化に富むものが出てまいりまして、古墳群としては非常に特異な例であって、遺跡としての価値はかなり高いものであると考えられております。  それで、それにどう対処するかということでございますけれども、先ほど来お話し申し上げましたように、これをそのまま保存するということは非常に困難でございますので、十分な調査をして完全なその資料をとるということ、これをまずやっております。で、学術的にはほぼそれで、完全な記録をとることによって目的を達成するわけでございますけれども、しかし、なおこういう珍しいものであるから何らかの方法がないのか、どこかへ移してでもそういったようなものを再現する方法はないのかというようなことも議論になっておるようでございます。その辺のことにつきましては現在検討中でございます。
  28. 内田善利

    内田善利君 私も行って見ましたけれども、非常に重要な私は埋蔵文化財だと思います。いまも長官から言われましたけれども、出土品の中にも九州では三番目の琴柱形の石器とか、あるいは鉄器類が出ておりますし、それから古墳群にしてもいろんな舟形石棺とか縦穴式横穴式、同じ場所に違った古墳があるわけですね。そういった面でも非常に重要な古墳でありますし、その下にいまおっしゃった支石墓が二十五基ですかありますし、非常に重要な文化財だと、こう私も受けとめたんですが、古墳ですからそのまま何とかしてもう埋めてしまって、ここにあったんだと、出土品も出ておりますし、調査結果もわかったわけですから、そのまま保存するというのが一番いい保存の仕方だと思うんですが、これを移築するとか、いろいろ考えておられるようですけれども、できたらそのまま保存する、そして少し高くなりますけれども、高架式なふうにするというのが現段階では一番いいんじゃないかと思うんですが、それには相当金も要るようでございますし、この段階移築考えられたということなんですが、一番最初に言いましたように、予備調査をもう一回ラインを引くときにやって保存考えるべきじゃなかったか、こう思うんですがね。この点についてはお答えいただきましたが、この横断道路の一番最初調査でこれが出てきたわけですね。ですから、私はこれはずっと進むにつれてあの姫方遺跡の場合でも現地に行きまして、ここは古墳の宝庫だと私は思ったんですが、あの丸い形をした丘にもあるぞ、こっちの丸い丘にもきっとあるぞと、私はそう言い続けてきたわけですが、今回またこういうことで発掘されましたし、昨年の東部工業団地の造成のときにも全部壊滅してしまいました。私は二回行きましたが、壊滅してしまった。あの姫方遺跡もあんな保存の仕方になるんだったら本当に惜しかったと、こう思っておるわけですが、今回もまた丸山遺跡移築保存という形で、これは県文化課皆さんが非常に熱心にやっておられるのでここまでこぎつけたんじゃないかと私は評価します。評価しますが、これは最初で、今後もまたいろいろ出てくるんじゃないかと思うんですね。今後は、ひとっこれによく対処していっていただいて、保存すべきはきちっと保存していただきたいと、このように思うわけですね。この点についてはどのようにお考えでしょうか。  それともう一つは、地元住民の反対、あるいは生活権の侵害とか、いろんな問題が起こってくるわけですが、こういった面についてはもう少し文化財としてのPRが必要だと思うんですね。このPR面について、どのように住民に納得させていくかということが大事だと思うんですね。線が引かれた、発掘が行われるようになった、そういう段階でいろんな反対があったり、生活権の侵害というような問題が起こってきたりしますので、そういうことのないように、こういう遺跡群の中を通過する横断道路ですから、問題が起こってこないとも限らないと、そう思いますので、この点についてもお聞かせ願いたいと思います。
  29. 犬丸直

    政府委員犬丸直君) 御指摘のとおりに、こういう場合、できるだけ早く調査をし、事前計画を立てるときに、そういうような遺跡のあるところを避けて立てるということが一番望ましいことでございますので、今後はできるだけこういうことのないように努力してまいりたいと思います。それには調査費のお金もかかるわけでございますが、過去の経緯を見てみますると、四十八年にはわずか二億であった調査費が、五十二年度には十億と、五倍に伸びております。それで、来年度は十二億ということでございますので、この辺につきましても、今後とも力を入れてまいりまして、できるだけ事前調査遺跡の保護ができるように、今後とも努めてまいりたいと思っております。  それから、いまおっしゃいましたPRと申しますか、地元民の理解を得るということも非常に大事なことでございまして、遺跡が発見されるたびに私ども関係者、あるいは県の教育委員会、市の教育委員会等は、その地域に住民の方たちに、いかにその遺跡が意義があるかというようなことについての御説明、あるいは実際に遺跡を見てもらうというようなことは常に努めております。その点につきましても、今後とも努力してまいりたいと思います。
  30. 内田善利

    内田善利君 最後にマルコ山遺跡の方ですが、この最終調査は終了したと思いますけれども、いろいろ新聞等を見ますと、いろんな説が出ておりますが、その調査結果を簡単にお伺いして、終わりたいと思います。
  31. 犬丸直

    政府委員犬丸直君) マルコ山古墳につきましては、奈良県高市郡明日香村地窪にありまして、これが全国的にも例の少ない古墳時代終末期のものであると考えられましたので、事業主体であります明日香村を中心といたしまして、それから文化庁も十分相談に乗りながら、また奈良県の教育委員会等も十分これの援助体制をしきまして、五十二年の三月に第一次調査を行いまして、その後、この二月十七日から三月二十日まで第二次調査を行ったわけでございます。  その結果でございますけれども、これはまあ詳細は省かせていただきますけれども、非常に史跡としても大事な、しっくい塗りの家形の石室を発見し、その中からは乾漆棺の破片が多量に出てまいったというようなこともございましたが、残念ながら最初に期待されました壁画もございませんでしたし、それから中の物につきましてはかなり盗掘されておりまして、たとえば史料、その歴史的な価値を確定する墓誌のようなものも出てまいりませんでした。しかしながら、遺跡として非常に価値の高いものであるということは確認されたわけでございます。  なお、このお墓がだれのお墓であるか、あるいは草壁皇子の墳墓ではなかろうかというような推測もあるわけでございますけれども、現在の段階におきましてはまだこれは推測にとどまりまして、はっきりとした、これを草壁皇子の墳墓であるというふうに確定する材料はいまのところ発見されておりません。まあそのような状況でございます。さらに今後研究を続けてまいりたいと思っております。
  32. 下田京子

    ○下田京子君 私、文部大臣に初めてお伺いすることになりますが、特に大きな問題では二点になります。  最初に、教育活動の充実と学校安全の普及、充実という、その側面から、幾多の問題があるかと思うんですが、お尋ねをしたいと思います。  その第一として、御存じのように、いま教育にかかわる皆さんがひとしく心を痛めていることは、学力低下の問題。高等学校ですが、ある学校で調査をしたら、「百合」という字がだれも、一人も書けなかったというふうなこともございました。それから非行化の問題、そして自殺の問題。この点は文部省、総理府とも、自殺防止ということで昨年の暮れに通達といいますか、指導を行っているということから見ても御承知かと思うんです。で、こうしたことをいかに改善し、克服していくかということで、まあ立場はそれぞれ違っても、皆さん心を痛めてるわけですが、特にその中で重要なことは、一つには、教育課程に盛り込まれている授業とまた特別活動であり、一方では、教育課程には盛り込まれてないけれども、教育の目的からいって、学校等で計画した教育活動、これから総合的な面での充実をいかに図るかという点が一つの大きな課題になっているかと思うわけなんですが、この御認識いかがですか。
  33. 砂田重民

    ○国務大臣(砂田重民君) 下田委員の御指摘の点、私も全く同感でございます。高等学校の学力低下、私は原因は一つではないと思うんです。しかし、重要な点はやはり、いままで余りに知育に偏重し過ぎたと申しますか、高等学校の学力低下というものは高等学校に原因がむしろあるのではなくて、小・中学校の従来の学習指導要領内容、教育課程内容というものが知に偏し過ぎておる、詰め込み過ぎ、詰め込み主義と申しますか、その基礎を、基本を十分理解する前に次の課程に進まざるを得なかった状態、こういうこところにも一つの大きな原因があろうかと思いまして、すでに決定をいたしました小・中学校の学習指導要領の改定も、こういった反省の上に立って作成をいたしたものでございます。同じような考え方で高等学校の学習指導要領改定ともただいま取り組んでおりますところでございますが、特にその学習指導要領改定から出てまいりますゆとり時間等、これが十分に活用されることを期待をいたしておりますだけに、教育活動全体の活発化と申しますか、充実が、一連のこういった総合的な施策で、現場の先生方の創意工夫、御努力と相まって成果を上げてまいりますことを、祈るような気持ちでただいま取り組んでおりますところでございます。
  34. 下田京子

    ○下田京子君 大臣が祈るような気持ちでいまいろいろと対処されていると。これは子供を持つ母親にとってみればまた直接でありますので、ひときわ痛みをもってとらえられるところだと思いますし、教育にかかわるまじめな現場の先生方にとっても同じ心境かと思います。  で、一つ私はきょう問題にしたいのは、いま大臣がおっしゃいました文部省が決められている教育課程に基づく授業、あるいは特別活動というものの中に盛り込まれた生徒活動や、あるいは学校行事や、また学級指導や、そういうことは非常に重要であると思うんですが、そのことはきょうは別といたしまして、特にその他の場で行われる、しかもそれがまた教育の目標を達成するに必要と認めた教育活動、この分野のことについていろいろとお話をお聞きしたいわけなんです。といいますのは、特に生徒がどうして非行に走るのか、どうして自殺や何かに追い込まれるのか、特に非行少年の事例なんかを聞いてみますと、これは担当した先生方や関係する皆さんが口をそろえて言われていることですけれども、子供が意欲的に学校の中で自分が存在しているその存在感、価値観というものが自分自身でも見つけられない、ここに大きな原因の一つがあると、こう言われております。となれば大事なことは、やっぱり学校の中の教育課程以外の教育活動ということも非常に重視しなければならないのじゃないかなと、こう思うわけです。それは特に感じた点なんですけれども、二、三例を出してみたいと思います。  これは福島県の例なんですけれども、いま言ったような長期の夏休みなんかで行われているキャンプであるとか、臨海学校とか、ハイキングとか、こういう中で、ともすると子供が教師とのはだのぶつかり合いの中から、意欲的に行くというふうな場面があるわけです。普通教室で見られない生徒の姿がそこで発見できるというふうなことがいろいろあるんですね。  これは具体的につづられた例なんですが、教師の立場からのものをちょっと出してみますと、これは昨年の七月二十五日から二十七日の間に行われたもので、聾学校の先生なんですけれども、「今年のサマーキャンプに、生徒六名といっしょに参加しました。かねてから、生徒の中に「健聴の高校生と交流したい」「キャンプをしたい」という希望があり、同時に二つを充たせると考え、生徒に呼びかけ、参加しました。」ずっとこういろいろあるんですけれども、最後に、「口もとを見て話が理解できるし、どうしてもわからないときは、書いてもらえれば通じます。」耳の聞こえないその子供たちが「通訳をぬきにしていろいろと話し合いたいと思います。自分の知っている歌が出てくると、健聴の友達に負けないほどの大きな声を出して歌っている彼女らを目にしたとき、とてもうれしく、たのもしく思いました。」これは聾唖者の学校の先生が聴覚障害者を連れて交流したときの話ですね。  それから生徒の方のあれなんですが、これは一般の高校生です。ちょっと長いんですけれども、大事なところだから読ませていただきます。   すばらしかった三日間。僕にとって一生忘れ  ることはできない思い出となった。   そこには、私たちと同じ年代の同じ考え、同  じ夢をいだいた仲間たちがたくさん集まった。  初めの日はお互いに全然見知らぬもの同士だっ  たのに、時間がたつにつれて心からうちとけ  合って協力しあうことができたのだ。   そして、むせびながらも、みんなで作ったご  はん——あの味はなんと深みのあったことか。  今こうして考えてみると、あのキャンプでやった  事の一つ一つがはっきりと思い出すことができ  る。今は一人ぼっちであるけれど、少なくとも  あのひと時は一人ぼっちなんかじゃなかった。  すばらしい仲間たちがたくさんいた。だから苦  しい事でもいやな事でも、楽しくやることがで  きたのだ。   あのキャンプに参加していなかったなら、今  の僕の生活はこんなには輝いたものにはなって  いなかっただろう。あのキャンプは、僕に協力  し合うことのすばらしさと、生きていくことへ  の自信を与えてくれた。   今も僕の足には野球をしてすりむいた傷の跡  と、ごはんを作っていたとき、つくったやけど  の跡が残っている。この痛さは何という快い痛  さなのだろう。もうこの傷は思い出の傷跡と  なったのだ。いつまでも消えないでいてほしい。   あの時の素晴しい仲間達は元気でやっている  だろうか? そう思う毎日です。   最後に、サマーキャンプを成功させるために  陰、日なたとなり、努力して下さった各実行委  員のみなさん。また私たち生徒に色々と指導、  アドバイスをして下さった諸先生方に感謝しま  す。  こう言っているわけです。私大事なことは、この中で生徒が生きていくことへの自信と、協力し合うことのすばらしさ、これを感じ取っているということなんですね。私はこの感動、こういうふうに意欲的にかかわっていく中で、子供はもう自殺とか非行ということに縁がなくなっていくだろう、こう考えるわけなんです。こういった形でのいわゆる教育活動というものが、いま非常に重要じゃないかというその御認識を大臣にもいただきたいわけなんです。
  35. 砂田重民

    ○国務大臣(砂田重民君) いまお読みいただきまして、私はすばらしいなと思いながらお伺いをいたしました。まさにこれぞ教育という感じがいたしました。サマーキャンプというものがどれほど子供たちに、その学校、また教育というもの、生きがいを感じさせているか、身にしみる思いで拝聴いたしました。やはり学校学校がサマーキャンプの重要性というものを、私としてはもっともっと現場の責任者として、学校全体でそういう気持ちを持っていただきたい、サマーキャンプというものを重要視していただきたい、こういう気持ちもいたしながら、いまのすばらしい記事を読んでいただいたわけでございます。そのこと自体は私ももう感動的に伺いましたし、学校が学校の教育計画として、そのようなキャンプを計画づけてくださったらどんなにありがたいことか、そういう気持ちがいたします。
  36. 下田京子

    ○下田京子君 大臣大変感動をもって受けとめていただいて私もうれしく思いますが、実は残念なことに、いまお読みしましたこのサマーキャンプというものが、福島県の場合ですと学校教育活動という位置づけに入ってないんです。そこに大きな問題点があるんです。それはなぜかというと、一つは、生徒が自主的に計画したものだから、そして引率教師は、それもまたみずからの判断で自主的参加だからというふうなことで、むしろ学校側では足を引っ張るような事態すら生まれているのです。  同じようなケースで出てきた事件が実はいま福島県のみならず、全国的な大きな問題の一つになっているのがあるんです。これは大臣も御存じかと思うんですけれども、ことしの二月の二十日福島県で裁判の結果が出ました。その裁判結果の出た事件の発端は何かというと、小野川湖事件というものなんです。この小野川湖事件というのは、福島県で昭和四十五年七月二十六日午前十一時過ぎ、小野川湖畔でキャンプを張っていた川俣高生が対岸のキャンプ設営地に行こうとして、モーターボートに乗ったところ、突然ボートが転覆、乗っていた引率教師ら十四人全員が湖上に投げ出されました。その中で泳げなかった二人の女子高生が死亡した。ボートは定員を七名オーバーしていた、この船頭は無免許だったことも含めて、過失致死容疑で逮捕されたというふうな事件なんです。ところが、この事件がなぜ裁判に発展したかと申しますと、実はこれを学校安全会に申請しました。そして受けつけられた段階で、教育委員会が、実はこれは教育活動ではないと言ってきました。教育活動でないものは安全会の適用除外になります。ところが、このうちの氏家たか子さんの遺族の方が、国家賠償法という形でもっての裁判を起こしたわけなんです。これが大まかに言って事件の推移です。そして同時に、この裁判の結果何が判決で出てきたかということなんですけれども、この裁判の結果、担当の裁判長が下した判決は「まず1キャンプはホームルームなどで計画され、教師引率で実施された2教師もこの計画指導助言を与え、校長が最終的に決裁、引率教師も復命書を出している3校長も父兄に参加同意を求めている4キャンプは三年生を対象として四十一年から毎年実施され、各学級の過半数の生徒が参加した——などの事実から本件キャンプは校長の承認のもとに実施された特別教育活動であるホームルームとしてのレクリエーションであるとし、キャンプの教育性について原告主張を全面的に認めた。」と、これは国家賠償法の対象に入れたわけです。ところが、学校側の言い分です。学校側は「本件キャンプは教育課程に位置づけられておらず生徒が自主的に決め、教師も個人の資格で参加。校長も校務ではなく義務免除として私的立場で教師を参加させている。」だから教育活動ではない。こういうことで、教育活動か、教育活動でないのかということで争われているということで、実は私自身も、関係者も大きな議論を呼んでいるわけなんです。  私は大臣に、いま裁判中の問題ですから、このことについて即どうなのかということでの御答弁を求めるつもりはありません。ただ、問題なことは、ここで大事な教訓として、以下幾つかの点をお認めいただきたいわけなんです。  一つ、それは事故を起こさないということでの万全な策を、まずすべての教育活動について考えるということだと思います。第二番目、教育活動であるかないかということが、出張であるのか義務免であるかということではなくて、いわゆる教育的な目標を達成するために、学校がもしくは教師が関係して計画されているものであれば、また父兄が同意して実施されているものであれば、当然教育活動として認め、その教育活動を父母や教師、生徒が相争うような、そういう形のことは避けていかなければならないということだと思います。三つ目に、この事件を通して教育活動というものが非常に後ろ向きのようにならないという、先ほど大臣が、むしろ学校教育全体の計画の中に位置づけていって、教師、子供が感動的にかかわっていく教育活動を、援助し、指導し、進めていくということが、大事な教訓として引き出されるんではないか。この御確認をいただきたいと思うわけです。
  37. 砂田重民

    ○国務大臣(砂田重民君) その事件そのものは、ただいま下田委員も御発言になりましたように係争中でございますので、川俣高の問題自体については発言を控えさせていただきたいと思います。  一般論としてお答えを申し上げたいと思いますが、やはり学校で事故予防のことを一人一人の生徒、そうしてまた先生方、教習の場において事故予防というものを十分に理解をしていただく、してもらう、そのことが非常に重要な問題であるということはもう当然のことと、私も同感でございます。ただ教育活動をどこまで見ていくか、それはやはり国の定めます学習指導要領に基づいて学校の責任において計面をする、実施される、やはりそこが線の引き方であろうと思いますので、学習指導要領内容を理解をしていただいております学校判断が一番大事なところであろうと思います。ただ、課外活動というものを非常に重要視をいたしました今回の学習指導要領改定、その後の新しい学習指導要領の移行措置もやるわけでございますから、そこら辺のところも踏まえての学校判断というものを期待を私はしていきたいと思います。また、そのことは同時に、教育活動が後ずさりをするようなことのないようにということもまた絡み合ってくることでございます。新しい学習指導要領が、学校当局のそういった判断に期待どおりにこたえてくれますことを私どもは願っているわけでございます。
  38. 下田京子

    ○下田京子君 大臣の御答弁の中で特に漏れているといいますか、まだ明確でない点が、学校教育活動が義務免であったか出張であったかということでのみ論じられるようなことがないようにという点はいかがでしょうか。すなわち、義務免か出張かということは、財政的な問題であると思いまして、これは個々の教員組合であるとか、あるいは個々の都道府県教育委員会等々の中で論議されていることの一つになっておりまして、義務免扱いか出張かという点では、放費という財政的な問題があるから、当面義務免ということだけれども、財政的な裏づけをもって今後は出張という扱いをできるだけしていけるような方向にしたいと、そのことによって教育活動が狭められないようにというふうなことは、いろいろと取り交わされているところでもあるんで、確認の意味で文部省としてのお考え、それから指導助言する立場にある、そういう点からのお考えをお聞かせいただきたいと思うんです。
  39. 諸澤正道

    政府委員(諸澤正道君) そういう学校外の学校行事、あるいは学校行事に準ずるような活動に教師が参加する場合に、義務免とするか、出張とするかどうかということは、確かに財政上の問題ではありますけれども、財政上の問題であるというのは、要するにそれが公務であるかないかと、公務であるからそれを出張にして出張の旅費を払うと、こういう関係になるわけでありますから、やはり根本はそういう活動に教師が正規の活動として参加するために、校長の命令を受けて、そして職務としてやるかどうかというのが一つのポイントでございまして、私どもはその際に、生徒が自主的に計画をする、PTAが計画をするというだけで、それを直ちに学校教育活動というふうに判断するわけにはいかないわけでございまして、教師が参加するということは、あくまでもそれが学校の教育活動であると、そのために必要があれば教師に出張命令を出すと、公務としてやらせると、こういう関係に認識しておるわけでございます。
  40. 下田京子

    ○下田京子君 全く型どおりの解釈の御答弁なのでいささか私はがっかりしたんですが、と言いますのは、これは安全会の適用になるかどうかの基準の、教育活動かどうかの範疇の問題にもなるんですけれども、一つはいままでずっと論議してまいりました教育課程に基づくいわゆる教育活動と、それから教育課程に基づかなくとも課外活動と言われるのがありますね。それらも教育活動であることは、この論議はもうわかるわけなんです。問題は、その際に出張なのか義務免なのかと、ところが学校安全会の方に行けば出張か義務免かじゃなくて、活動の中身として見るんですが、現場に行けば、出張か義務免かとなってくるんですよ。出張か義務免かで論じられる現場の大きな問題は出張旅費の問題なんですよ。これは福島県でことしの二月一日に、県の教育庁総務課長と県立高教組の書記長との間に取り交わされた文書でもあるんですけれども、「教員特殊業務手当支給対象行事である対外運動競技等に係る教員の児童生徒引率業務に限り、土曜日の午後、日曜日及び休日についても、出張扱いとし、県費による旅費を支給できるものとする。」で、二番目に「この取扱いは、対外運動競技等の実態にかんがみ、次の問題点を解消しようとするものである。」すなわち「勤務時間内は「出張」、勤務時間外は「行事参加」という異なる取扱いをしていること。」「そのため、旅費支給が実態として団体等の負担となっており、県費支給ができないことから、父兄負担軽減の趣旨が損われていること。」こういったことを改善するためにということで、いろいろ取り決めがなされているんです。ですから、問題はその旅費の出どこがどちらかで義務免にしたり、出張にしたりという実態なんです。このところはよく実態をおつかみになればおわかりだと思うんですね。そういう点からして、財政的な問題のみで出張か義務免かということで、教育活動かそうでないのかというふうなことにならないように、これは考慮をいただきたい。財政上の問題は財政上の問題で、それなりに処理するために県や当事者と協議もしているところですから、全く足を引っ張るような御答弁じゃなくて、それは別個の問題として考えていただきたいというふうに思うんですが、いかがですか。
  41. 砂田重民

    ○国務大臣(砂田重民君) そのことは初めから出張か義務免かということを決めてかかることではないと思うんです。教育活動という言葉をお使いになりましたけれども、それが学校行事としての教育活動であるかどうか、そこから出てまいる結果の方が出張、義務免扱いにするかどうするかということであろうと思います。ですから、学校行事としての教育活動をより活発化していただきたい。冒頭に下田委員が読まれましたようなあの文章等を拝聴いたしましても、学習指導要領の新しいものを十分理解をいただいて、学校行事としての教育活動を休み中といえども活発にしていただきたいと私どもは願うわけでございます。
  42. 下田京子

    ○下田京子君 ぜひ大臣が答弁された点で義務免か出張かと、単なるその点からじゃなくて、本当に教育的目的を持つ教育活動かどうかと、そういう点からのいろいろな個々のケースでの御相談、訴えがあったときには、ぜひ指導、援助というふうな点で御配慮をいただきたい、こう思います。  で、次に入りますが、その関係で安全会の認定基準の問題です。今回、安全会の認定基準とそれから給付額、特に給付の方で大幅に変わったと思うんですが、従来から見て中身の点でつけ加わった点、一点あると思うんですけれども、どんな点でしょうか。
  43. 柳川覺治

    政府委員(柳川覺治君) このたびの法改正に伴います主な改正点は、給付に要する財源確保の観点から、学校教育の積極的、円滑な教育実践の推進という点に趣旨を置きまして、国の法的規定を設けた、また義務教育以外の非義務教育諸学校につきましても、その掛金の一部を設置者が負担すると、またそれに対して国の補助も及ぶという面の改正が主たるものでございます。  なお、これとの関連で、学校における安全計画、あるいは安全点検等の安全管理の徹底を期していくという観点に立ちまして学校保健法の一部改正を行った次第でございます。特にこのたびの改定で、安全会が給付すべき事故の対象につきましては、従来とってまいりました学校の管理下における事故につきまして、広く救済の措置を講じていくという基本の考え方は従来の線のとおりでございます。
  44. 下田京子

    ○下田京子君 今回、いま御説明のように給付額で大変改善になったと、大きな前進だと思いますが、中身で今度特にあれですね、学校の中で具体的に申しますと、急に心臓麻痺なんかで亡くなった場合も入るというふうに聞いておったんですが、これは間違いない点だと思うんですが。
  45. 柳川覺治

    政府委員(柳川覺治君) 御指摘の点でございますが、新たに文部大臣がこれに準ずるものとして定めるものというのを政令の上で加えまして、いま御指摘の授業中に心臓発作等の問題で死亡のような事故があったというような場合におきましても、それ相応の給付ができるようにいたしたいということは進めております。
  46. 下田京子

    ○下田京子君 ありがとうございます。  で、従来からの問題なんですが、これをめぐっていろいろと現場ではまだまだ混乱があるわけなんですね。で、そのことを見込んで日本学校安全会としても、そのたびごとに内容を周知徹底するためのいろいろな御努力をなさっていることはわかるんですけれども、当然幾つかのことではっきりこれはもう安全会の中に入るものじゃないかと思う点を具体的に私述べてみたいと思うんで、ちょっと御答弁いただきたいんです。  第一には、学校が編成した教育課程に基づく授業を受けているときの各教科、道徳、特別活動または各教科以外の教育活動、これは問題がないと思います。問題になるのは、学校の教育計画に基づいて行われる課外指導を受けているとき、先ほどから大臣と話してましたその問題になるわけですね。で、具体的に話しますと、長期の休みのときの教師の指導監督のもとに行われた林間学校だとか、あるいは水泳指導だとか、キャンプですかね、こういったものは当然安全会の適用になると言い切れると思うんですが、いかがでしょうか。
  47. 柳川覺治

    政府委員(柳川覺治君) 御指摘のとおり安全会におきまして、学校の管理下における事故という場合の学校の管理下は、一つには児童及び生徒が法令の規定により学校が編成した教育課程に基づく授業を受けているときという、教育課程の編成されたものに基づく教育活動中の事故であるということが第一でございます。また、いま御指摘のとおり、児童及び生徒が学校の教育計画に基づいて行われる課外活動の指導を受けているときというのがもう一つのものでございますが、いま御指摘の学校の教育計画として立案され、実施されます林間学校、あるいは臨海学校等の問題につきましては、これが学校が責任持って計画をし実施をしておるというものであれば、安全会の給付対象として取り扱うということでございます。
  48. 下田京子

    ○下田京子君 その際に義務免であるか、あるいは出張であるかというのは、安全会の適用の条件の問題の論外であるというふうなことは申すまでもないことだと思いますが、あわせて部落会活動だとか、部落子供会活動等もこれは学校の管理下という点で当然入るものだと思うんですが、どうでしょう。
  49. 柳川覺治

    政府委員(柳川覺治君) 学校の教育計画に基づく活動であるかどうかという認定に当たりましては、まさに学校が教育計画として計画したものであるということの点において判断をするわけでございます。したがいまして、たとえばいま御指摘の部落会、あるいは各地におけるスポーツ少年団の指導とか、そういう問題がございますが、たとえば市町村がいま委嘱いたしますスポーツの指導員の方々の半数近くが学校の先生指導員を別途委嘱している。その委嘱を受けた先生は、社会体育スポーツの方の指導員としての立場で、具体的に子供たちの指導に当たられるという場合がございます。その場合に、学校の方の授業との関係その他ございますので、勤務等の関係は職務専念義務の免除という形をとられる場合がございます。その場合の活動はまさに社会体育スポーツと申しますか、そちらの方の責任で行われる問題でございますから、直ちにこれが学校の教育計画に基づいた児童、生徒の活動というのにはとらえられないということが通常のケースであろうと思います。したがいまして、いま御指摘の点につきましては、その地区での、地域での活動につきましては、それなりの地区の、地域での責任体制のもとにおいて行われるものである。その限りにおいて、学校の教育計画とは別個の問題であるというのが一般論であろうというように考えます。
  50. 下田京子

    ○下田京子君 いま私ここに書いてあるのを見ると、これは該当するものと認めると書いてあるんですよ。そういうふうな御認識になってくると問題が出る。いいですか。「例示以外に「部落会活動」「部落子ども会活動」「子ども会活動」などと呼称される校外活動で学校の教育計画に基づき教師の監督指導のもとに行なわれたものは、本条号に該当するものと認めて差し支えない。」昭和四十九年の通達が出ている、新しく入っているんです。そういうことで、一般論やなんかで担当の方でさえ御認識がずれるわけです。これが現場での混乱を招くんです。これは日本安全会の指導ですよ、指導通達に基づいて、注釈に基づいて特に論議が分かれるところをいま御指摘申し上げ、御意見を伺ったんですよ。これはもう言うまでもなく、再度答弁をいただかなくとも、御指導している内容ですから、そこのところをよく御確認の上、御指導、御援助をいただきたいと思います。大臣よろしく頼みます。
  51. 柳川覺治

    政府委員(柳川覺治君) 生徒間の、あるいは児童間の親睦その他の観点から、教育上の意義がありということで、学校が教育計画の一環として取り上げる活動に組み入れられておれば、これは安全会としては、学校の管理下における問題として対処をしていくという考え方をとっておるわけでございます。ですから、あくまでもいろいろな子供たちの活動につきまして、学校が責任を持った価値ある活動として計画していた、そういうものである場合に限るという前提があくまでもございます。
  52. 下田京子

    ○下田京子君 長々御説明を求めたんじゃなくて、論議の分かれるところでありますから、よく注意をして御指導をいただきたいがどうかということですので、その点御確認いただければよろしいんです。
  53. 柳川覺治

    政府委員(柳川覺治君) 学校教育の展開につきまして種々な態様があろうと思いますが、御指摘のとおりあらゆるケースにつきまして、学校が責任を持って実施する、そういう体制のもとに、これらの教育実践が行われるべきであろうというように考えます。
  54. 下田京子

    ○下田京子君 いまの点が大事だと思いますので、ひとつよろしく御認識を踏まえて個々のケースに御指導いただきたいと重ねてお願いいたします。  次に、学校安全会法のこの適用の問題でいろいろとこういうふうに議論が分かれることで、現在の学校安全会そのものについて、まだまだ検討しなきゃならない点があるという御意見が多数あるかと思うんです。無限にすべての子供の活動を含めて、どこでも適用しろというむちゃくちゃなことは申し上げませんけれども、いろいろと御議論の分かれる点なんかも含めて、認定対象ですね、基準を拡大していくことも、あるいは年金のこととの兼ね合いも、今回の一部改正の中に盛り込まれなかった問題も含めて、今後さらに検討を続けていただきたいというふうに思うわけなんです。といいますのは、福島県だけとりましても、九十市町村の中で三十二市町村から学校災害に対する補償制度創設に関する請願というものがいろいろと上がっております。意見書、決議という形で上がっております。そこのところをよく踏まえて、担当の方でも御努力いただけるかどうか、その決意のほどをお伺いしたいと思います。
  55. 砂田重民

    ○国務大臣(砂田重民君) いま下田委員御指摘になりましたのは三十九項だと思います。これをそのままお読みになりました。これはもうこのとおりでございます。安全会のこの制度が一つの互助共済の制度でございますから、その基盤に立ちまして十分に努力をしてまいりたいと考えます。
  56. 下田京子

    ○下田京子君 次には、やはり安全の問題なんですけれども、安全基準そのものが明確でないというところにも一つ問題があるかと思うんです。特に具体的なことでお尋ねしたいんですけれども、体育館のコンクリート床張り問題なんです。これはいろいろと議論の分かれているところでもあるかと思います。すなわちアスファルトコンクリート、それからトップといって、下地にコンクリートを使用して、ゴム状のものを表面に塗るというやり方、いろいろあると思うんですけれども、このトップと呼ばれる工法でつくられた体育館が最近非常にあちこちに見えているわけです。このことにつきましては、いろんな団体で調べて、一方では事故の発生率がトップを使用した場合にはないという結果も出ているんですが、一方では、秋田県の例が一番いい例なんですけれども、このトップという工法でやって、秋田大学の教育学部の教授に調査してもらった結果、次のような所見が出ているんです。一つは、「鍛錬されたスポーツ選手ならば影響はないが、」二つ目に「木造床に比べて堅いのでジャンプのとき思い切り運動ができない、」三つ目に「生徒が腰椎を圧迫されたりヒザ関節をいためる危険性があり、」四つ目に「冬季には湿気のため”ろう氷現象”が起こり、床の表面が滑りやすくなる、などが指摘され、」た、そして秋田では御承知のように木材の大都市も抱えております。木材業界は不況業種にもなっております。で、長年試された材質でもあるということ、以上の所見なんかも含めて、実は私が言いたいことは、こういった中で秋田でもトップという工法だったものを見直し、木材につくりかえる、そういうのが非常に進んできているんです。福島市でもこういった例がございましたけれども、やはりこれは問題だということで一方で見直されてきております。成人した大人にとっては、競技上いい記録が出るかどうかとかという点からいけば、確かに意味があるんだと思うんですが、問題は小・中・高も含めて、いま成長盛りの子供ですから、秋田大学の教授が御指摘になったような、いわゆる医学的、生理学的、そういう点からよく検討をして、この工法が安上がりだというふうなだけでなされないように、ぜひ担当である文部省も含めて、いろいろな機関と御協議いただき、検討をいただきたい。あわせてその際に安全基準なるものも考えなければならないだろうというふうなことについての御所見をお願いしたいわけです。
  57. 三角哲生

    政府委員(三角哲生君) ただいまの体育館の屋内運動場のコンクリート下地床の問題でございますが、これは先生も若干おっしゃいましたように、いろいろ問題について、それぞれの該当の地元でも調査をいたしておりますし、文部省でもそういった調査をいろいろと報告を求めまして、状況についてはいろいろと検討いたしておるのでございます。  ただ、おっしゃっておられましたように、果たしてそのコンクリート下地床が直接の原因であるかどうかというような問題につきましては、なおいろいろ起こりました傷害の状況等を見比べまして、必ずしも断定しがたいような状況でございます。原因がいろいろ、正規の体育活動よりは、むしろクラブ活動のように、非常に集中的に、しかも非常に厳しい訓練をしたというような場合に起こっているというようなときに、果たして床そのものが原因なのか。それから運動の種目によっても発生の状況が違ったりしておりまして、でございますから、なおより科学的に原因の追及を進めていかなければならないと思っております。  ただ、そういう事故が生じていることは事実でございますので、当該の地方公共団体では、状況に応じましてこの改善策を講じておるところもかなりあるようでございます。私どもとしましては、一応現在までの調査結果も参考にいたしまして、今後屋内運動場の床を木製以外のものにします場合には、やはり適当な、適度な弾力性と申しますか、反発性と申しますか、そういった一種の衝撃をやわらげる効果が確保されるように、何らかの構造ないしは使用材料等につきまして、十分検討するように、都道府県の教育委員会指導してまいりたいと思っております。  建物をどういうふうにするか自体は設置者が御計画なさることでございますので、その設置者の側において十分よく注意をしてやっていただくということが大切だと思っております。  なお、安全基準の問題でございますが、これは先ごろから他の委員会でもいろいろと御答弁申し上げておるのでございますが、いろいろこれまた建物設計上の基準と同時に、保守管理上の基準といったようなものもございますが、これは児童、生徒の行動の態様でございますとか、それから地域の自然条件、社会環境等いろいろございますので、これを一律に、公約数的なものを決めることの是非についてなおいろいろ議論もございますので、これは検討をさしていただきたいというふうに考えております。
  58. 下田京子

    ○下田京子君 答弁は的確に答えてください。ただ、いまの答弁の中で確認したい点は、いろいろ地方でそういう問題が起きているので、生理学的、医学的なことも含めて調査をしていくということを御確認いただけたかと思います。  それから第二番目には、コンクリート張り等についていろいろ議論があるけれども、弾力性ということについて必要なので、今後指導のための通知も出したいと、この二点、改めて御確認したいと思うんですが、間違いありませんね。
  59. 三角哲生

    政府委員(三角哲生君) 通知を出すと申しますか、いろいろ私ども施設関係担当者の会議その他も持っておりますので、そういう場も活用いたしまして、指導してまいりたいということでございます。
  60. 下田京子

    ○下田京子君 ひとつ具体的に、子供たちの体の発達を阻害するような方向にならないように、安上がり教育というふうなことにならないように、それはお金を幾らでもかければいいということじゃないんですけれども、大事な点を踏んまえてひとつ対処いただきたいと思います。  時間が大変なくなってきましたんですが、次に移りたいと思います。  大きな二番目なんですけれども、過疎地を抱えている県の教育条件の改善についてです。  まず第一に、過疎地においていつも大きな問題になっているのが学校統廃合です。当初、統廃合の促進ということで、昭和三十一年ころに指導があったと思います。それに基づいてずいぶん統廃合されてきたんじゃないかと思うんですが、その中でいろいろな論議も出て、四十八年には、むしろ、公立小・中学校の統合については、よく実施の状況を見て、本当に教育的なことを考えて、地域住民との紛争など起こさないように、通学上の困難等を招かないように対処しなさいというふうなまた通達があったかと思うんですね。  まとめて二点一緒に聞きたいんですけれども、一つは、最初のこの通達によって全国的に統廃合というか、統合された学校は何校に上るかというのが一点と、第二番目には、山形県の例なんですが、山形県の東置賜郡の川西町というところでいま中学校統合問題で、住民、当局間で非常に問題を起こしております。ここは五つの中学校を統合しようということなんですけれども、いろいろ住民の意見が調整できないで、いま休戦状態になっているわけなんです。言葉が適当かどうか、休戦ということは別としても、こうしたことについて、先ほどのUターン通達と申しますか、無理のない統合というふうなことで、ぜひ御指導いただきたい。この二点、簡単にひとつお願いします。
  61. 三角哲生

    政府委員(三角哲生君) 統合校数の御質問でございますが、ただいま手元に古い時点の数字がございませんで、四十三年度以降の数字がございますが、それについて申し上げますと、小学校と中学校と両方あるわけでございますが、四十三年度小学校六十七、中学校九十二、四十四年度小学校七十八、中学校八十、四十五年度八十六と百七、四十六年度百六と百三十三、四十七年度百六と八十五、四十八年度九十一と七十三、四十九年度五十、五十、五十年度三十七と三十一、五十一年度三十五と三十というそれぞれ学校数になっております。
  62. 下田京子

    ○下田京子君 三番目の山形県の例については大臣の方の御答弁をいただくことになるかと思うんですが、住民との摩擦なんかで無理な統廃合をなさらないようにということで、いろいろと御相談にあずかっていただきたいと思います。
  63. 砂田重民

    ○国務大臣(砂田重民君) 山形県の川西町の学校統合は、五つの中学校を一つに統合するという大事業計画をお持ちでございますが、町議会にその案が提出をされましたものの、町民の一部に反対があって、その後、町長さんが町民の皆さんと誠意をもって話し合うということになっているようでございます。条例案は現在凍結をされておりますので、私どもといたしましては、四十八年通達を十分お心得いただいて、ひとつ町長さんと町民の皆さんとでお話し合いが進められることを期待をいたします。
  64. 下田京子

    ○下田京子君 大臣が答弁された点を私も願っておるんですが、問題なのはやはり校舎改築の補助率の問題が一点あるんですね。それから問題の二番目は、教師の定員の問題が絡んでくるんですね。それで、今回は、五十三年度の予算に向けて、文部省の方でも大蔵省にずいぶんがんばって予算要求して、老朽校舎改築のために五千五百点まで点数を引き上げ、それを今後三年間で全国の老朽校舎改築のためにということで、御計画を立てられているようなんですが、これは一方で大変喜ばれていますが、一方で校舎改築のための補助率改定を何とかならないかという声も多いわけです。同時に、老朽校舎を改築するわけですから、当然いままでの校舎の解体が絡んでくるわけです。解体費を見てもらえないか。また学校によっていろいろ違いますけれども、解体した間どこか借りなければなりませんで、新しいものであるか古いものであるかは別としても、プレハブなんかも使っておるんですね。いますぐこれを入れるか入れないかということにもならないでしょうが、こういったものも含めて、補助対象としていけるように検討に乗せてもらえるかどうかというふうなことを第一にお聞きしたいわけです。
  65. 砂田重民

    ○国務大臣(砂田重民君) 危険校舎は従来五年計画で取り組んできておりまして、私が文部大臣に就任いたしまして、五年計画でやっていたのでは減っていかないんじゃないかという感じを持ちまして、思い切って三年でやれば、しかも公共事業重点の五十三年度予算でもございますので、五十二年度の二次補正と合わせまして、昨年——五十二年度当初予算の倍の予算を確保いたしまして、これていきますと一年に七、八十万平米の新しい危険校舎が出てまいりましても追いついていけるわけでございますから、ともかくいま現存する危険校舎そのものの量を克服したい、こういうことで取り組んだわけでございます。補助率のことも御指摘ございましたけれども、自治省も非常に協力的に対処をしてくださいましたので、全額政府資金による起債、そしてまたその起債を償還いたします時期は、そのほとんどをまた交付税で見る。そういたしますと、実は三分の一補助を二分の一補助、二分の一補助を三分の二補助、いろんなことを数字当てはめてみましても、最終市町村が実質かぶります実施町村負担というものが一五%になるか二〇%になるか、その違いは非常に少のうございます。それにこだわっていて危険校舎の量を解消の年次的な計画がおくれることの方が私はおそれを持ちましたので、補助率はそのままにいたしまして、量の解消に重点を置こうという判断をいたしたわけでございます。そういうことでございますので、いま直ちに解体費、それから危険校舎を建て直すまでの間のプレハブの補助と、ちょっとそこまではまだいま取り組みかねる状態であることを御理解をいただきたいと思います。
  66. 下田京子

    ○下田京子君 説明の意味はわかりましたが、ただ危険校舎、老朽校舎を解消していくためには、いま言ったようなことが一つの課題であるということの御認識をしっかり押さえていただいて、今後改善のために、所管の大臣ですからぜひ財政当局にもがんばって伝えていただきたいというふうなことをまず御要望しておきます。  それから、あわせて五十三年度の予算との関係にも、今後の予算との関係にもなるんですけれども、現在「高度へき地学校児童生徒・パン及びミルク給食費」ということでもって五十三年度には八億一千六百万円の予算を組んでいるかと思うんですが、聞くところによりますと、五十三年度の予算要求の際に大蔵省から、これは補助率十分の十なんだけれども、十分の八にせよなんというそんな話があったと。でも文部省はがんばったという話ちょっと聞いたんですけれども、これは今後も下げるようなことがないようにぜひがんばっていただきたいということを、もうすでに岩手県の該当校を抱えた県議会の皆さん方も含めて要請がございますんで、その決意のほどをお願いしたいわけです。
  67. 砂田重民

    ○国務大臣(砂田重民君) いま御審議いただいております五十三年度予算案は、政府として最終的に決定をした予算案の御審議をいただいておりますので、十分の十になっておりますことを御理解をいただきたいと思います。予算編成過程のことはこれはもう過去のことでございます。これから先どうするかと言われれば、岩手県だけではなくて全国の過疎地帯の皆さんから十分承っておりますので、がんばりますということをお答えをしておきたいと思います。
  68. 三治重信

    三治重信君 文部省予算概要説明の第二のまず育英事業についてお伺いしたいわけなんですが、戦後の高度成長と国民の所得の水準の非常な高騰によって、われわれの戦前の学生のように、いわゆる苦学生とか、書生をやってとか、非常にまた家が貧乏で、勉強したくても勉強できないと、そういう社会情勢からずいぶん変わって、一方から見れば、本当に大学へ行くまでの勉学の能力もない人までもどんどん次から次へ、学校へ行けばいいということで学校へ行くようになってきた、こう一説には言われますが、それの一番一つの大きなかなめが私は育英奨学事業、これがひとつこれからの教育の中で、本当に勉強をしたい人が、その能力に応じて教育が受けられるためには、いわゆる資金がないから、家庭がそれだけの余裕がないからということで、その本人の才能が十分生かされないということのないように、やはりこの育英事業というものは非常に重要なことだと思うんです。文部省はこの育英事業についてことしの予算で、貸付金として六百十三億をやるようになっておるんですが、いま毎年度こうやって予算がふえていくわけですが、実際これを利用している人、それから返還の状況を一遍、大体の概要を、いままで貸し付けられたのが大体順調に返ってきているのか、その率はどういうふうなのか、いま現在どの程度の、概略でいいですよ、大体どれぐらいの金額が大学生に貸し付けられているのかということをひとつ御説明願いたいと思います。
  69. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 事業費総額は、ただいま先生指摘のように、五十三年度では六百十三億三千三百万、五十二年度の場合には五百十二億七千三百万でございます。で、五十二年度で貸し付けを受けております奨学生の数は、高等学校段階で九万二千二百五十一名、大学が二十万八千四十七名、大学院が二万三千三百十名、高等専門学校が一万二千百七十名、計三十三万五千七百七十八名が現在の奨学生の数でございます。五十三年度は、これが総計で三十四万三千百七十八名に増加する予定でございます。なお、現在返還の状況は逐年改善をされておりまして、返還率は九六・一%でございます。
  70. 三治重信

    三治重信君 それはこの予算に載っているこの育英会事業だけのやつですね。それで、その返還の状況は九六・一%と。それだからこの予算で見ると、大体百億ちょっとのやつがいわゆる返還されるから、その事業資金の中に入れられていると、こういうことで非常に結構なことだと思います。  それで、この育英事業がそういうふうに三十数万のやつで、政府はこれは大体外郭団体でやられる。そのほかに予算で見ると、私学振興財団の貸し付け事業の中に私大奨学事業費、その中で奨学金事業に対して十六億、それから入学一時金事業で九億、こういうふうに行われているんですが、これは何かまとまった、各大学ごとにやっているのか、私立大学で特別何か奨学財団とか何か別につくっているんですか。各学校ごとのやつに対して。何といいますか、融資を私学振興財団がやっているのかどうか。
  71. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 御指摘の点は、いわゆる私立大学奨学事業援助ということで、四十九年度から私立大学に進学します学生の学費負担の軽減を図るという趣旨で、大学を設置する学校法人で、その大学の学生を対象として奨学事業を行うものに対しまして、奨学金貸与の資金を財団から長期低利で融資をする事業を行っているわけでございます。五十二年度におきましては、三十一大学に対しまして四億三百万円を融資をいたしております。さらに融資に対する法人の利子負担の軽減を図りますために、私大経常費補助の枠の中で約三千六百万円の補助を別途いたす予定でございます。また五十二年度、本年度から、これは五十三年の四月に入学する者から適用するわけでございますが、入学一時金の分割納入制度を実施する学校法人に対しまして資金を融資する援助を行うことといたしております。現在のところ二十五大学から申し込みがございまして、これまた四億三百万円を融資をする予定となっております。この融資の枠を五十三年度の予算におきましては二十五億に大幅に拡充しようということでございます。
  72. 三治重信

    三治重信君 そうすると、その入学一時金の分割納入というのは、学生個人じゃなくて、学校の事業の補助のようですね。そうすると、これは学校にやって、学生の個人の方への貸し付け事業ではないやつですか。
  73. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) その大学が自分の大学の学生に対して奨学金の貸与を行う事業を行います場合に、その大学に対して融資をいたすわけでございます。この学校法人から学生に対する奨学金貸与の場合のやり方は、在学中は無利子、そして卒業後前期五年間は三%、後期の五年間は五・五%という利息をつけて、卒業後十年間にわたって償還をしてもらうということになるわけでございます。そして大学は融資を受けた資金によって、その奨学金を大学から貸与をする、その資金について、先ほど申しましたように、利子負担の軽減のために別途在学中は五・五%、卒業生が返還を開始しました場合には、前期の場合に年利二・五%のいわば利子負担軽減のための補助をするわけでございます。
  74. 三治重信

    三治重信君 わかりました。  それでそのほかに、いまの御説明だと学校自身がやっているほかに、何というんですか、民間でいろいろの財団とか、また会社とかが特別財団をつくって、育英事業ということで学生にいろいろ学費の貸与をやっているのも、大体文部省の方はつかまれておるのか、こういうのはいわゆる全部財団法人なり、何か特別そういう一つの資格を持った法人がこういうことをやっているんだろうと思うんですが、そういうのがいまどれぐらい行われているか御説明願いたい。
  75. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 五十年度に育英奨学事業に関する実態調査を実施をしております。それによりますと、もちろん育英事業の主力は日本育英会の事業になるわけでございますが、それ以外に地方公共団体であるとか、あるいは育英奨学法人など、二千六百を超える団体によって育英事業は行われております。内訳は、公益法人が実施をしておりますものが約五百六十、地方公共団体が実施しておりますのが約千二百、学校その他が実施しておりますものが九百余りというような形になっております。で、五十年度の調査によりますと、そのときの奨学生の数は全体を合わせまして五十二万人、事業費の総額が五百億ということでございました。なお、このうちに育英会が占めております割合は、奨学生の数で三十二万九千、事業費で三百九十億ということで、奨学生数で全体の約六〇%、事業費で約八〇%が育英会の事業ということでございました。
  76. 三治重信

    三治重信君 そういう育英会が非常に圧倒的な勢力を持っているようですが、私は政府が直接この育英会について予算措置や、いろいろ財投をやっておられるのは非常にいいことだと思うんですが、やはりこれから、いろいろ教育事業をやっていく場合に、そういう民間のいろいろの意欲をかきたてる措置といいますか、こういう育英事業に対して、非常に苦労をして成功したと、それをどういうふうに使うかというときに、やはり育英事業にやる、その人たちにまた育英資金を借りる、特別な何と申しますか、政府の育英資金以上に刺激をされる、こういう人がつくった財団からこの資金を借りる、自分もそういうような人にあやかって一生懸命やりたい、こういうふうになると思うんですがね。しかし、余り財団の資金が小さいと非常に事務繁雑でむずかしいし、将来返還やそういう事務の管理が非常にむずかしいと思うんですが、したがって、私はやはり文部省として、そういういろいろの成功者や厚志ある会社なり、そういうものが育英事業に一定の金額を寄託をして、自分の名前も記録してほしい、そういう一つの育英基金を寄託するような財団というようなものを、育英資金に、政府のやつに吸収しちゃうんじゃなくて、民間の財団としてそういう育英財団に、金額の大きなのは非常にいいんですけれども、細かいのも一定のところへ集約して、そういう自分の努力によって教育事業に投資したと、また寄付する人はそれによって自己満足をしてあの世に去っていく、こういうようなのをひとつぼくはぜひいろいろやりたい。だんだん相続とかいろんな問題むずかしくなったときに、自分の財産をどういうふうに使ったらいいかということで、いろいろそういうことはあると思うんですね。したがって、私はこの育英事業にそういう生前からあるいは遺言でいろいろそういう将来の国民の教育財産として寄与したい、こういうようなものに対する文部省の積極的な姿勢がほしいと思うんですが、そういうことは特別何かいままでもとられているか、またそういうことで有名な財団があるかどうか、一遍御説明願いたい。
  77. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 現在事業費、いわゆる奨学金の年間の額が二千万円以上の民間団体、いわゆる財団法人でございますが、これが五十一年度の事業報告によりますと十九ございます。これで貸与されている奨学金の総額が約十六億でございます。学生の数にいたしまして五千四百ばかりの者が奨学金を受けております。この大きな財団法人の中には、いま御指摘のような形で設立をされたものが含まれております。こういった形で民間の財団法人が奨学事業に力を入れてきたというのは、私たちは非常に好ましいことだと思います。また、日本育英会におきましても寄付を受け入れまして、それで奨学事業に充てていくということも、制度としては道が開かれておりますし、実際に、育英会から奨学金を受けて卒業した者が、奨学金の返済を終わった時点で、かなりの額の寄付を、育英会に対して感謝の意を込めて行うというようなことも実態としてはございます。なかなか日本の場合には、いま先生指摘のように、個人がそのお金を公共のために、特に育英のために使うという、そういう形の善意というものはなかなか出にくいというのが実態でございますので、育英会のそういった寄付を受けて、できるだけその善意を活用していくということをもっと進めることを含めまして、こういった民間の育英奨学事業がさらに進みますように、私たちもいろいろな機会に、まず趣旨のPR等に力を入れてまいりたいと存じます。
  78. 三治重信

    三治重信君 時間ちょっとはしょろうと思うからその程度にして、次に、第四の私学助成の拡充というのがあって、これが最近非常に私はこの金額がふえ、マスコミやその他も当然のようによく書かれていると思うんですけれども、私は私学の助成なり、こういうのは、急ないわゆるインフレによって、この収益事業でない教育事業の私学が、財政困難に非常に急激に陥ったということはわかるわけなんですが、しかし、文部省はこの私学のいわゆる建学の精神といいますか、私学というものの存在を認めた学校教育制度というものとの関係と、こういうふうな私学に対する国の金を使っての助成というものをどういうふうにお考えか、また、将来こういうものに対して基本的に、この私学の助成に対してどういうふうな考えをお持ちですか、ちょっとお聞きしたい。
  79. 砂田重民

    ○国務大臣(砂田重民君) 私立学校振興助成法におきましても、「学校法人は、この法律の目的にかんがみ、自主的にその財政基盤の強化を図り」ということが書かれているわけでございます。当然、学校自身がみずからの努力によりまして教育水準の向上、そして学生たちの修学上の費用負担の適正化を図る努力を学校自身がしてくれなければ当然いけないことでございます。それと同時に、国としても、私立学校の果たす重要な役割りにかんがみまして、私立学校振興助成法に基づいての、いま御指摘のありました経常費助成の充実に努めてまいる。やはり両々相まってこれはいかなければ、これだけの進学率等を考えましても、双方協力しながらやってまいることが好ましいんではないかと思います。ただ、私学の特に重要な建学の精神を生かすためには、私学当局の、私学自身の自主的な財政面での御努力というものを一段とお願いをしたい、そういう気持ちでいるわけでござ  います。
  80. 三治重信

    三治重信君 また非常に結構な方針なんですけれども、こういう私学の自主財源なり、まあそういうことが非常に期待される。いまの実際のその学校の設立とかそういうものについては、私はそういう配慮か実際大学設立に——やはり一片の数字がそろっておればやる。実際それがないために、新しく医科大学なんかできても、後、寄付金の問題や金の集め方についてまあ大変な問題が出て、その責任者がまたみずから警察の御厄介になって、取り調べを受けなくちゃならぬというような実情になってきているわけなんですが、私はそういう新しい学校ばかりでもなく、これからの私学は国が助成法でこれを見るというのもきれいなことなんだけれども、実際問題として全部国が見ていくというのは私はとうてい不可能なことだと思うんです。したがって、そういう私学の財政基盤を確立できるような学校に、やはり国が助成するにも視点を集中する、そのためには、この私学のいわゆる学校経営について、しっかりしたそういう財政基盤なり、学校の教育がしっかり行れてるかどうか、こういうものを判断する、この補助金を出す条件——別に学校の教育方針をどうこうということじゃなくて、実際大学らしく運営されてるのかどうかという客観的なある程度の基準というものがあって、この国の経費が出ていくべきだと思うんです。そうでないと、結局規模をどんどん広げていけばよけい金がもらえると、上っぺらな学校になってしまうというようなことを感ずるんですが、国の資金の配分についての、学校のいわゆる運営に対する厳しい審査というものがなけりゃおかしいと思うんですが、そういうことについてどういうふうに実際処理されているか。
  81. 三角哲生

    政府委員(三角哲生君) ただいまの経常費補助金の配分についての考え方でございますが、まあ経常費補助金の要素となっております経費は、専任教員や専任職員の給与費とか、それから教育研究のための経費、いわゆる物件費的なもの等が主なものでございます。それで、これをまあ配分いたします場合に、教員の給与費とかそういうものでございますから、教員数が多ければおのずからまあ多くなっていくという関係があるわけでございます。それで、しかし、そういうことで調整をいたしてまいっておるんでございますが、一つには、学部あるいは学科ごとの学生定員に対する学生数の割合、で、いわゆる水増し等がある場合には調整をして少なくならすという、そういう調整をいたしております。それがまあ三割程度のウエートで調整をいたしております。それから専任教員の数に対する学生数の割合、いわばまあ一人の教員に対して学生数非常に多く抱えておるというようなものにつきまして、これまた調整をいたしまして、これも三割程度のウエートにそれをいたしております。それからさらにございますのは、学校納付金に対する教員人件費の支出、あるいは教育研究経費の支出、あるいは教育関係の設備の支出、これがまあ充実してるところは多くするというような調整で、これがウエートが一五%。それから教育研究用の機器、備品、図書の購入が学生一人当たりどの程度になっておるか、平均値よりも低いか高いか、これがやはり一五%のウエートで見ておる。最後に、学校ごとの経常支出に対します経常収支差額の割合ということで、これは若干財政状況に関することでございますが、それがまあ安定しておるかしてないかというようなことで、これは一割程度のウェート。そういうようなことで、私学振興財団の方で客観的に数値を出しまして、そしてそのウエートを掛けて配分をする。それは標準的な単価によって算出された金額をそういういま申し上げましたような数値で調整をいたして金額をはじくというようなことをいたしております。
  82. 三治重信

    三治重信君 まあ非常に客観的にやってみえるので結構なことですが、私はよく私学連盟からいろいろのパンフレットをもらったときに、国立大学の一人当たりの生徒の経費と、私立大学の生徒の一人当たりの経費を比較して、こんなに一人当たりの国が出している金が多いんだ、少ないんだという議論が非常にあるんですが、ぼくは、そんなら私立大学やめて、みんな国立大学にすればいいんで、私立大学が、国が、国民の税金が少ないから、もっとよけいよこせと、国立大学はこんなに使っているじゃないかと、こういうのは非常に何というんですか、国費といいますか、税金に対する考え方なり、国に頼る態度というものが何か間違っていやせぬかと思うのです。そんなことなら初めから私立大学をつくって経営するというふうなことは考えねばいいことなんだと思うんです。もう少し私立大学に自主性を強めてもらわなくちゃならぬとともに、そういうことだから私は国が金を出すということではなくして、むしろ文部省は、これは私の考え方なんだが、そういう大学が民間で理解を得て、そうして民間の資金が導入できる体制をもっととって、そしてあなたたちがこういういいことをやれば民間だって必ず援助をしてくれるはずだし、文部省もそういうことについて民間にいろいろ寄付をしやすい状況をつくりますと。私学については、世界の有名な大学はほとんど私学であり、そういういい人材をつくるところは、やはりそこに会社なり、財団なり、いろいろの資金が多数方々から入ってくることによって、本当に多様な学校の経営もでき、それから特色ある授業もできると、こう思うわけなんで、ぜひひとつ私はこの私学振興について、何かどうも私だけの感じかもわかりませんが、もう少し自主性を持って、そして自分たちがつくったからには、やはり財政も、その収入も独自で確保する、そして私学の教育目的が達成されると。その金を集めるのに国や行政機関に援助を求めるというところでいかないと、私は非常に教育というものが重要だというだけで、何もかも非常に悪平等と言っちゃ悪いかもしれませんが、何か教育をみんなまんべんなく、全部一律に義務教育化してしまうような、大学まで文部省が余り強くなると義務教育化しちゃうような気がしてしようがないんです。その点大臣ひとつ。  私は、私学というものは、それぞれそういう教育目的を持ってやるからには、それだけの自覚と責任を持たして学校経営を任してやるべきだと思う。足らなければすぐ補助金をやれ、もう何をしてやろう、これではおんぶにだっこになっちゃうんじゃないかと思うんですがどうでしょうか。
  83. 砂田重民

    ○国務大臣(砂田重民君) 先進諸国と比べてみましても、私学経営が、どう申しますか、いろんなアメリカその他では非常に力の強い、財政的に強い財団がバックにありましたり、また教育に浄財を寄付をしていくということが、残念ながらわが国はおくれている感じが私もいたします。ただ、私学という学校の側だけを考えますと、そういうことでありますけれども、やはり私学が教育の場で果たしてくれております役割りを考えれば、国も当然それに協力をしてまいらなければならないということで、私学振興の制度ができているわけでございますが、今日のこういった社会情勢の中で、やはり私学がその経営のために経済的な苦労が多過ぎる。教育的な内容が必ずしもその私学建設の当時の建学の精神がそのまま生かされているとは言いがたい状態になっておりますことを私も憂慮をいたしておりますので、先生がいま御発言になりましたような趣旨も踏まえまして、誘導的なことを何ができるかというふうなことも検討をさせていただきたいと思います。
  84. 三治重信

    三治重信君 何といいますか、結局私学のそういう教育者が、いろいろお金持ちに、これは自分たちの主張をよく説明して、その出す場合に、いろいろ会社の経理でも、個人の財産のお金でも、その出しやすい体制ですね、一番簡単に言えば、寄付は税金がかからぬようにしてやるとか、経理の方でも後でとやかくならぬような対策というものがとられるべきだと思うんですが、非常に枠が日本では狭過ぎると思うんですよね。大蔵省が指定寄付にするとか、ああいうことで非常に制限しているという、そういうようなものをもっといろいろと対策をとっていけば、方法何かあると思うのです。それを相当やろうと思ってたんですが、この程度にしておきます。  それで私の同僚議員から、これは文部省も御存じだろうと思うのですが、週刊文春の三月二十三日号に、これは「続編」と書いてあるからその前にも出ているようなんですが、「教室の中の野獣たち」と、こういうので畑山博さんの報告がある。「性暴力は進学組まで侵蝕し始めた」と、いわゆる学校の不良学生や不良教師が不良をやるというのならいいけれども、まじめな生徒まで生徒や先生からいろいろの暴力的なもので性行為が、善良な家庭や本人までだんだん侵食されていきつつあると、こういう報告が出ている。それについてひとつ文部省にぜひこういうものに対してどう対処されているのかを聞いてほしいと、こういうことでございますので、代理質問でございますけれども、ひとつこういういわゆる週刊誌をにぎわす問題、これがしかも中学ですから、義務教育の課程でこういうことが起こってきたと、こういうことに対して、やはり教育の各現場にどういうふうに指導されているのかをひとつお伺いしたい。
  85. 砂田重民

    ○国務大臣(砂田重民君) 後ほどまた担当者からもお答えをいたしますが、基本的な点についてお答えをいたしておきます。  週刊文春の記事は先生がお持ちのをプリントしていただいて、私いま初めて見たわけでございますけれども、警察等の資料を見ましても、最近中・高校生の性非行を含みます問題行動がふえてきたというふうに認めざるを得ない、まことに遺憾な残念なことでございます。学校の場におきましてのことは、性の逸脱行動や暴力などの非行対策について、生徒指導という観点から、各学校で、たとえば一人一人の生徒の抱える悩みや問題について、それを十分先生たちに把握をしてもらう、また家庭や地域社会との連携を図りながら問題行動を早く発見をする、早く予防措置を講じる、そうして生徒たちに対しましても、その心身の発達過程に応じまして、性教育を実際やっているわけでございまして、そういった教科書であるとか、副読本でありますとか、学習指導要領の中に書かれておりますことでありますとか、そういったいわばひっくるめて教材といいますか、そのようなハードウェアは非常にりっぱなものができているわけであります。しかしそのことを子供たちに理解をさせる担当をしていただく先生方と子供たちの間に、どうも対話が不足をしてきている。せっかくそういうハードウェアがありながら、そのハードウエアを使っていわゆる指導教育をするというソフトウェアの点で欠けているものがありはしないか。そういうふうなことから、ついせんだってもいろいろの通達をまた改めて出して注意を喚起したわけでございます。文部省が通達を出したけれども、こんなことは言ってもらわなくともおれはやっているという先生がいてくださることが私はありがたいことだと思う。しかし、そういう通達がだんだん県の教育委員会から市町村教育委員会、学校、校長先生から先生というふうにおりていって、ああこのことは手抜かりだったなあということに気がついていただくことを期待をしながら、そういう通達を出したりしているんでございますけれども、やはりこれらの問題行動の背景には、家庭におきますしつけの欠如でありますとか、あるいは性解放の社会的な風潮、あるいはまた社会における暴力肯定の風潮、こういったことが非常に個々の問題行動がありましたときのその背景、原因等を調べてみましても、いま申し上げたようなことが非常に複雑に絡み合っているわけでございます。この文春の記事も滋賀県の野洲中学のことを取り上げていると思いますが、県の教育長を通じて、初中局の方でそのときに直ちにその背景、事情等を聞いたわけでございます。また私も非常に気になる残念な事態でございましたから、すぐに政務次官を派遣してと思いましたけれども、ちょうど受験シーズンで、同級生たちがみんな懸命に受験準備をしている時期だったものですから、ちょっと時期をずらせまして、政務次官を派遣をいたしまして、学校、警察、家庭、また地域社会の方々、そういうところへ政務次官みずからが、大勢の方とお目にかかって話を聞いてまいったんですけれども、学校の先生の見方と警察の見方が異なったりいたしまして、それだけに複雑な事態があると思う。私は基本的には文部行政を担当いたしております私どもに大きな責任があって、いま申し上げましたハードウエアの整備と、それの研修機会を先生方にできるだけ持っていただく、そういう努力を続けてまいりますけれども、同時にやはりこういった悪を悪とする教育の価値観というものを、政府も、社会も、家庭も一緒に持つんでないと、なかなかこういう事態を克服することがむずかしい、そういう感じがいたすわけでございます。私どもといたしましては、先生方に十分そこの辺のところの指導を強めてまいりまして、先生方が自分たちだけで悩むようなことがないように、一人の先生だけで悩むことがないように、学校全体として問題行動を早期発見をして、それで、それに対して学校全体で取り組んでいただく。同時に、家庭にも地域社会にも、学校から積極的に働きかけていく、こういう態勢をとって、天使がいるべきはずのところに野獣がいるわけですから、ひとつ最大の努力を傾けてまいろうと考えております。
  86. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) 以上をもちまして文部省所管に対する質疑は終了いたしました。  これにて本分科会担当事項であります昭和五十三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係予算中、文部省、厚生省及び労働省所管に対する質疑は終了いたしました。  これをもって本分科会の審査は終了いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを主査に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  これにて散会いたします。    午後零時十四分散会