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1978-03-31 第84回国会 参議院 予算委員会第四分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年三月三十一日(金曜日)    午前十時四分開会     —————————————    分科担当委員異動  三月三十日     辞任         補欠選任      対馬 孝且君     小野  明君      小野  明君     広田 幸一君     目黒朝次郎君     安恒 良一君      峯山 昭範君     渡部 通子君      山中 郁子君     下田 京子君  三月三十一日     辞任         補欠選任      広田 幸一君     坂倉 藤吾君      坂倉 藤吾君     対馬 孝且君      安恒 良一君     久保  亘君      久保  亘君     松前 達郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     主 査         内藤誉三郎君     副主査         田代由紀男君     分科担当委員                 真鍋 賢二君                 八木 一郎君                 坂倉 藤吾君                 広田 幸一君                 安恒 良一君                 渡部 通子君                 下田 京子君                 柄谷 道一君    国務大臣        厚 生 大 臣  小沢 辰男君    政府委員        厚生大臣官房長  山下 眞臣君        厚生大臣官房会        計課長      持永 和見君        厚生省公衆衛生        局長       松浦十四郎君        厚生省環境衛生        局長       山中  和君        厚生省環境衛生        局水道環境部長  国川 建二君        厚生省医務局長  佐分利輝彦君        厚生省薬務局長  中野 徹雄君        厚生省社会局長  上村  一君        厚生省児童家庭        局長       石野 清治君        厚生省保険局長  八木 哲夫君        厚生省年金局長  木暮 保成君    説明員        警察庁交通局運        転免許課長    三上 和幸君        行政管理庁行政        管理局管理官   山本 貞雄君        農林省畜産局牛        乳乳製品課長   中島 圭一君        運輸省自動車局        整備部車両課長  丹羽 一夫君        労働省職業安定        局業務指導課長  田淵 孝輔君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和五十三年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和五十三年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和五十三年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) ただいまから予算委員会第四分科会を開会いたします。  分科担当委員異動について御報告いたします。  昨三十日、対馬孝且君目黒朝次郎君、峯山昭範君及び山中郁子君が分科担当委員辞任され、その補欠として広田幸一君、安恒良一君、渡部通子君及び下田京子君が分科担当委員に選任されました。     —————————————
  3. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) 昭和五十三年度総予算中、厚生省所管を議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 広田幸一

    広田幸一君 私は、新大臣小沢厚生大臣がなりましてから、厚生部会質問をするのは実は初めてでございます。  そういった意味で、冒頭でございますが、大臣厚生省行政に対する基本的な取り組みの考え方、これをひとつ承知しておきたいと思います。  実は、小沢大臣が新しく就任をされましたときに、私は、今日厚生省関係では、医療問題にしても、年金問題にしましても、一般福祉の問題にしましても、非常に当面重要な問題を抱えておる、こういう複雑な行政をやっていく上において、どういう考え方を持っていらっしゃるだろうかということで非常に関心を持っておったわけでありますが、たしか昨年の十二月一日、NHKの朝のテレビ番組で、大臣抱負をおっしゃっておるのを私当時聞きまして、まあ短時間でございましたけれども、一貫をして大臣の談話の中で、私が感銘深くしましたことは、いわゆる公平の原則を守っていくと。世の中にはいろいろと不公平がある、この不公平を是正していくのが私の真髄であると、そういった意味のことを、公平の原則ということを盛んに——盛んといいますか、強調されておったのを私は聞きまして、これはもっともなことだと、これが新厚生大臣の真骨頂であると、こういうふうに思って、現在でもそう思っておるわけであります。ところが、あれから日にちがたちまして、まあいろんな問題で厚生大臣の言動が新聞等で出るわけでありますけれども、どうもこれは私の偏見かもしりませんが、何か一方に偏っていらっしゃるような感じがするわけです。そうすると、せっかく就任早々国民の前に向かってこの声明された抱負と違ってきておるではないか。特に、先ほど申し上げましたように、五十三年から五十四年にかけまして、健保の問題にしても年金問題にしましても、これは抜本的な対策をしなきゃならぬという非常に重要な任務厚生大臣はお持ちになって、現在も非常に苦労されているわけであります。私はこの問題を解決するためには、国民全体のコンセンサスが得られなければ、とうてい不可能だと思っておるわけでありますが、どうもそういった点で、当初の抱負と変わってきておるような感じがしますが、その点について大臣のひとつ所信をお聞きしたいと思います。
  5. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) 私は社会保障関係仕事につきましては、まず給付の平等と負担の公平ということに最重点を置いて今後もやります。なお、その他の社会福祉面では、弱者救済ということに主眼を置きましてやってまいりたいと、かような方針はこれからも変わりなく貫いていきたいと考えております。
  6. 広田幸一

    広田幸一君 弱者救済が優先だということでございまして、私もまさにそのとおりだと思います。  そこで、もう一つ私が敷衍をしてお聞きしたいと思うのでありますが、最近この福祉見直しということが言われておるわけでありますが、これにはいろいろ考え方があります。財源がなけらねば十分な福祉政策ができないということは私もよくわかるわけでありますが、いま長引く不況の中で、国民の各階層が大なり小なり皆さんが苦しんでいらっしゃると思うんですね。その中で私は一番そのしわ寄せを受けておるのは、やはり生活条件の悪い人たち、たとえば年金生活者であるとか、お年寄りであるとか、身体障害者あるいは低所得者階層、こういった人たちであろうと思うんですが、そういった人たちはこういうときによけいにしわ寄せを受けておると思うんでありますが、それが福祉見直しということで、そっちにしわ寄せになってくると、逆な現象が起きると思うのでありますが、私はこういうときにこそ、そういった生活の弱い人たちを大切にして守っていく、こういうことにならなければならないと思いますけれども、その点いかがでございましょうか。
  7. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) そのとおりだと考えておりますので、したがって、限られた経済力の中でやるといたしますと、どうしても所得の高い人からある程度遠慮していただきまして、所得の低い人の方に重点を置いた政策をとりたい。今年度の予算でも若干その気持ちはあらわしておるつもりでございます。
  8. 広田幸一

    広田幸一君 そういった大臣考え方を確認した上で、私はきょうは同和関係の問題と、時間が残りましたならば医療費関係について御質問申し上げたいと思います。  そこで、この同和関係予算でございますが、五十一年度を分析をしてみますと、厚生省関係予算一般の枠のものを含めますと、四百五十九億余万円とこうなっておるわけでありますが、これが前年対比の伸びから見ますと二七.九%、全体の伸びからしまして少し少ないじゃないかという感じがします。  それから、五十年度の場合の伸びに比べまして一・一%の伸びでありますから、少し落ち込んでおるではないかと、そういうふうに思いますが、いかがでございましょうか。  それからもう一つは、その中を分析をしてみますと、わゆる同和対策事業施設、設備の充実ということが最近は先行しておりますから、それの方に力が入ってしまって——そのことはいいんですよ、いいし、否定するわけじゃないんですけれども、比較の問題を私は申し上げているわけでありますが、いわゆる一般福祉生活、そういった方が、私の計算でございますけれども、四百五十九億円のうち施設整備の方に四百三十九億行きまして、これは九五%、あとの五%、二十億が一般福祉の方に行っておるような感じがするわけでありますが、ここらのところが、先ほど私が申しました今日の不況の中で苦しんでいらっしゃる、私は同和地区皆さんは大体低所得者階層の人だと思っておるわけです。後からいろいろ申し上げますが。そういった意味で、福祉中身が少し偏っておるではないか、こういうふうに思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
  9. 上村一

    政府委員上村一君) いま御指摘になりましたように、五十三年度の予算に即しますと、厚生省同和対策部分が一二八%、各省を含めますと、一三二でございますから、数字の上では伸びが少し低いというような御指摘になるわけでございますが、これは予算全体の中で、いわゆる公共事業に属する経費というものに相当ウェートを置かれましたのが五十三年度の予算でございまして、同和対策の中でいわゆる特別枠でない部分に属する建設省関係経費相当伸びておる。厚生省関係はその手を抜いたわけでは毛頭ございませんで、従前に引き続きまして伸ばしておるわけでございまして、この二八%の伸びと申しますのは厚生省全体の予算伸びよりも相当高い伸びになっておるわけでございます。  それから、その次に御指摘になりました厚生省の四百三十八億の五十三年度の同和対策関係予算の中で施設整備費に属するものが非常に多い。運営費に属するものが少ないではないかということでございますが、いま積極的に取り組んでおりますのは、厚生行政の中で同和地区について各種の施設整備、それから環境の改善といったものに重点を置いてここ十年近く進めてまいっておるわけでございますのと、それから経費に見積りました場合に、運営費的なものに比べまして土地を取得し、それから建物を建てる金というのは相対的に大きな額になるわけでございます。  それから同時に、この同和対策関係予算とは別に、社会福祉関係では相当伸びを示しておるわけでございますので、この四百三十八億の中で施設関係が多いからといって、その福祉的な運営費的なものに手を抜いているつもりは毛頭ないわけでございます。
  10. 広田幸一

    広田幸一君 いまの点については、後ほど具体的な問題を取り上げて指摘していきたいと思います。時間がございませんので、ちょっと急いで申し上げます。  そこで、具体的にお尋ねをしますけれども、隣保館設置状況についてどういうふうになっておるか、全体としてひとつ承知しておきたいと思いますので。
  11. 上村一

    政府委員上村一君) 御案内のように、隣保館設置を始めましたのが昭和二十八年度からでございます。五十一年度末で六百九十二館が設置され、五十二年度で約六十館の設置が予定されておるわけでございます。そのほかに、市町村が単独でつくったものもございますから、先ほどお話に出ました運営費補助を行っておりますものを全体で五十三年度予算では七百七十四カ所というのが五十三年度予算におきます隣保館の数になるわけでございます。
  12. 広田幸一

    広田幸一君 そこで、私の調べた数字とそう余り違わないわけでありますが、その中には文部省関係教育集会所でございますが、そういったものを私は含めて数字を出しておりますが、それは余り大したことはありませんから、大体七百七十ぐらいということで話を進めまして、問題は、あと残されておるものを、私の計算によりますと、これは措置法の基準から言いますと、世帯が五十世帯以上と、こういうことになっておりますが、画一的にはそうはならないと思います、いろいろな周囲の状況がございますからですね。そういうことも勘案をしながら、たとえば六十世帯から九九十世帯までは六百二十七地区、それから百から百五十九までが四百七十五地区、百六十から二百九十九までが四百二十六地区、三百以上が三百七十九地区と、合わせますと千九百一という地区になるわけでありますが、単純計算をしますと、まだ千百ぐらいの隣保館を建てなければならないということに一応数字的にはなるわけでありますが、これは単純計算でありますから、いろいろな地域事情はございますからそうは簡単にいかないと思います。しかしながら、まだまだ現在の七百七十のそういう数字ぐらいのものはまだ必要ではないかというふうに、私はいろいろな調査に基づいてそういうのを持っておるのでありますが、そうしますと、私は最近の年間の設置が、五十から六十ぐらいでございますから相当な年限がかかる。場合によっては十五年も二十年もかかるのじゃないかというふうにもとれるわけでありますが、そういう将来の計画について厚生省としてはどういうふうに計画をお持ちになっておるか、お答えいただきたい。
  13. 上村一

    政府委員上村一君) 先ほどもお答えいたしましたように、隣保館というのは同和対策事業の中でも特に重点を置いているものでございまして、特別措置法が制定される前から重点的に整備を進めてまいったわけでございます。  ただ、いま御質問の中にも単純に計算をすればというふうな御指摘お話があったわけでございますが、隣保館というのは、御案内のように五十世帯以上の集落につくっておりまして、約二千幾らかの数になるわけでございますが、これまでつくってまいりました隣保館も、数集落が一緒になりまして一つつくったものもあるわけでございますし、これからも幾つかの集落が集まりまして、社会福祉なり保健衛生に関する相談事業等を行う施設でございますから、行われることになるわけでございますので、いまの時点で今後どれだけ必要かにつきましては、これはなかなか決めかねるところでございます。ただ、先ほども申し上げましたように、この施設というのが同和対策の上で非常に大きな役割りを果たしておりますので、これからも一番重点を置いて整備していくつもりでございます。
  14. 広田幸一

    広田幸一君 そこで、私はやっぱりいままで私の承知しておりところでは、市町村から要請があったものを大体国の方は認めて設置しておるという形になっておるようでありますけれども、これは時間がなくて詳しく申し上げられませんけれども、市町村実態というのは非常に超過負担でございますかね、持ち出しが非常に多いわけです。最近の地方自治体財政事情は非常に悪いからして、地方自治体の首長は、地域住民と毎日接触しておりますから、これは隣保館をつくってやらなければならぬということを思いながらも、財政事情が悪いためにそれをよく国の方に申請をしないという、そういう実態が私はあると思うんですよ。全国的に見ましてもかなりのばらつきがあるわけです。そういうようなことからしまして、私は市町村から出てくるものを国が認めるという形ではなくて、やはりいまおっしゃったように、隣保館が果たしている役割りというものは非常に大きいわけです。局長もそういった部落に行って見られたこともあると思うんですけれども、隣保館がある地区とない地区とは非常に格段な違いがあるわけです。隣保館のある地区に行きますと、本当にいままでの暗かった環境が明るさを取り戻したというような感じを受けるわけですね。ですから、私は、同和対策問題ではいろいろやらなければならないこともございますけれども、まず隣保館をつくる、そこに住民が集まってお互いの心のつながりを結びながらレクリエーションをやり、憩いの場にするという、そういう意味で私は隣保館設置ということは何をさておいてもやらなければならない、そういうように私実感として持っておるわけです。とすれば、私はこの同和対策措置法ができた精神から言って、国の方が市町村から出てくるのを待つということではなくて、全体的にどうなっておるかということを市町村を督励をして調べる、財政上の問題はそのときにまた考えればいいわけですからね。私は、そういう積極的な姿勢が隣保館建設については必要であると、こういうふうに考えますが、局長でも大臣でも結構でありますから、簡単にその考え方だけ言ってください。
  15. 上村一

    政府委員上村一君) 特別措置法規定にもございますように、この同和対策事業というのは国と自治体が力を合わせてやっていかなければならない。その意味から、国も財政事情が窮屈でございますし、自治体財政事情が窮屈だ。そこで、御指摘になったように、隣保館整備していくにはできる限り地方の負担が軽くなるような措置ということが必要であろうというふうに思うわけでございまして、ここ数年、用地取得費補助対象にするとかあるいは単価をアップするとかやってまいっておるわけでございますし、それから門とか囲障といったものも、五十三年度では補助対象にするというふうなことを通じまして、自治体がこういった必要な施設がつくりやすいように誘導してまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  16. 広田幸一

    広田幸一君 こればかりに時間をかけておってもあれですが、私はいま申し上げましたように、隣保館のこの果たしておる役割りは本当に大きいと思うんですね。ですから、将来もっと積極的に隣保館建設について地方自治体と連絡をとりながら、もう自治体の組長は毎日のように住民皆さんと接触しておられるわけですからよくわかっておるわけです。やっぱり、東京ではわからないわけですよ、それはね。だから、この精神からいって、私は前向きにそういう隣保館建設について積極的に取り組む、そういう方針をひとつやるということを私は確認をします。大臣、よろしゅうございますね、そのことで。
  17. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) はい、よろしゅうございます。
  18. 広田幸一

    広田幸一君 それでは進めますが、隣保館運営費の問題でございます。これは従来からいろいろと要求もあったところでございますけれども、かなり地方自治体負担をしておる割合が多いわけでありますね。これ、私ここに近畿の市町村長会が出しておる資料、ちょっと例をとってみますと、これは隣保館施設が二百七十ございまして、このうち国庫補助金が九・二%、それから地元の負担が九〇・八%と、こういうふうな開きがあるわけですね。ですから、こういう数字を見ましても、私はやはり地方自治体が積極的に隣保館をつくることに踏み切らない、こういうことになるかと思うんでありますが、私が申し上げましたように、隣保館が果たす役割りというものは、この間もこういう通知が昨年出ておるのを私最近知ったんでございますけれども、昨年の四月一日に厚生事務次官通達で各都道府県の知事あてに出してあるわけですね、「同和対策対象地域における隣保館運営について」と。これは隣保館運営をうまくやりなさい、隣保館というものは単に該当地区における問題ではない、周辺の地区とのコミュニケーションを深めていく、そういうところにも隣保館の大きな任務があるのだ、こういうことを書いていらっしゃるわけですね。次官通達を出していらっしゃる。そういうことを考えますと、この隣保館としての役割りを果たそうと思えば、やっぱり思い切って運営費を考えて上げなければならないと思うのでありますが、ここらの食い違いといいますかね、なぜそういうふうになっておるのかをお聞かせをいただきたいと思います。
  19. 上村一

    政府委員上村一君) 隣保館運営費、毎年増額に努力してまいっておるわけでございまして、五十三年度の予算案でも十二億四百万円計上し、一カ所当たりも従前は二百六十六万円でございましたのを三百十万円というふうに引き上げましたし、それから五十一年度までは一カ所職員一人というふうなことにいたしておりましたのを、大きな世帯数地域につきましては複数にする、五十二年度は千世帯以上だったものを五十三年度は六百世帯以上の地区について複数にしようということで、運営費負担の軽減を図ってまいったわけでございます。御指摘のように、いろいろ問題が多いことでございますので、これからも引き続き努力をしてまいりたいというふうに思うわけでございます。
  20. 広田幸一

    広田幸一君 確かに、国も年々努力されておることは数字を見ましても私も認めるわけでございますけれども、さっきから言っておりますように、隣保館の持つ役割りというものを考えますと際限がないと思うのです。たとえば、これは大臣にも聞いてもらいたいと思うのでありますけれども、最近一番国民的な問題になっておりますところの雇用の問題でございますね。これなんか同和地区人たちはきわめて不安定な職業についていらっしゃるわけです、日雇いとかパートとか。そういった率が一般のそれに比べましても五倍から六倍、それほどこの雇用問題でもますます苦しくなってきておる。そこにもってきて、御承知のようにこの地名総鑑というような問題が依然として後を絶たない。それが就職の場を非常に狭めておる。しかも、部落に入ってみますと、生活保護家庭というものが、一般はだんだんと減少の傾向にあるにもかかわらず、同和地区は微増しておるというようなことやら健康状態等考えますと、私は同対法ができましてから十年たとうとしておるわけでありますけれども、確かに環境整備はできましたけれども、中身は本当にまだよくなっていない、これからだという感じがするわけでありますが、ですから、私はそういった意味で、本来ならばもっと二分の一のこの補助率を三分の二ぐらいに引き上げてもらいたい、そういうふうに私は強く要請をしたいのでありますけれども、オーケーということにはすぐ言われぬと思うのでありますが、私はこの点については、大臣、実際にいま申し上げたような実態なんですから、これは。だからこれから幾らいろいろとめんどうをあの地区人たちに見てあげてもやり過ぎということはない、こういうふうに思っております。この点についてひとつ見解をお聞かせいただきたい。大臣でも局長でも結構です。
  21. 上村一

    政府委員上村一君) 施設整備につきましては、その特別措置法規定に照らして特別の補助率ということにしておるわけでございます。ただ、この人件費中心運営費というものにつきまして、これは何といいますか、自治体職員になるわけでございますしね。それを国の方がより高いウエートで持つことが果たして妥当かどうかという点、いろいろ問題がある点じゃなかろうかというふうに思うわけでございます。
  22. 広田幸一

    広田幸一君 人件費の問題だけでなしに、一般事業を進めていくためのたくさんありますね、隣保館がやらなければならない仕事がたくさんあるわけです。ここに規定されておるわけですね。そのためにやっぱり事業費というものが足りないんじゃないですか。私はただ人件費だけを言っておるわけじゃないんですよ。事業費がより必要である。みんなを集めて相談をする、地区人たちに集まってもらって同和問題についていろいろ話をする、就職のことも考えなきゃならぬという、そういう意味で目に見えない事業費というものが現実にある。何か局長は、人件費だけに限っておっしゃったわけでありますけれども、そうではなくて、まあそれもあるでしょうけれども、日々の運営費がもっと必要ではないかと、こう言っておるわけですよ。
  23. 上村一

    政府委員上村一君) この補助率の問題はなかなかむずかしいと思うわけでございますが、ただ、お話しになりましたように、人件費のほかに事務的な経費というのがあるわけでございます。そういったものを含めまして、相当自治体が金をつぎ込んでおる、その御負担が少なくなるように努力することが私どもの先決ではなかろうかと、こういうふうに思うわけでございます。
  24. 広田幸一

    広田幸一君 次は、保育所の問題でございますけれども、これも隣保館と同じような私は聞き方をしたいんですけれども、五十一年の現在で、私の調べによりますと全国で五百一、こうなっておるわけでありますが、とてもこの数字ではまだまだ足りない、もっと建設設置を必要とすると、こう思うわけでありますが、保育所の設置の現状と将来の計画、これについて、ひとつ簡単に御説明願いたいと思います。
  25. 石野清治

    政府委員(石野清治君) 同和保育所の状況でございますけれども、五十二年現在で五百五十一カ所の保育所ございます。これは、五十年に実は総理府の方が実態調査をやりまして、その当時の要保育児童の数を調べましたものが七万四百二人という数字が出ております。四十九年度までに整備されましたものが五万六百八十六人でございますので、約二万人ほどの定員不足という問題がございました。その後、五十年には約七千人整備しましたし、五十一年にも大体同じ数字をやりまして、まだ若干の数字残っておりますけれども、五十年の調査の時点から考えますれば、ほぼまあ整備はされてきてると、こういうふうに考えていいと思います。  ただ問題は、地域的なアンバランス等もございましてなかなかそうはいきませんので、私どもの方は一般の保育所の整備に優先して同和保育所の整備を図ると、こういう基本方針を貫いておりまして、各県の方から申請がありますればこれは特別対策として取り上げてる、こういう実情でございます。
  26. 広田幸一

    広田幸一君 局長、あれですか、いまお話しになったのでは、五百五十一カ所あって、まあ大体際どいところまで達成をしておると、もうあと幾ばくもないと、こういうことですか。簡単にちょっと。
  27. 石野清治

    政府委員(石野清治君) これはあくまでも五十年の調査の時点でとらえておりますので、その後のいろんな社会情勢の変化がございましたので、その五十年の調査から比べますと大体いいところいっておりますけれども、その後の状況、まだ調べておりませんからわかりませんが、まだかなり格差はあると、こういうふうに考えております。
  28. 広田幸一

    広田幸一君 私も、これから何ぼの保育所が必要であるということはつまびらかに調査をしておりませんけれども、しかし、相当のものが残っておると、こういうふうに理解しておるわけです。  そこで、いま局長お話によりますと、実態をまだ把握されていないような感じがしますね。市町村から要請のあったものは優先をして認めておる、結構だと思います。ただ、やっぱりね、これ、隣保館と同じように、保育所というものの必要性というものはあるわけですから、それを市町村等も連絡をとって調査をなさってみる、そういう必要があると思うんでありますが、いかがなものでございましょうか。
  29. 石野清治

    政府委員(石野清治君) 同和地区の実情は各県が非常によく調査いたしておりまして、県の方でも優先順位を決めながらやってまいっておりますので、厚生省自体が調査するというよりも、県の計画を十分聞いて私の方はそれに対処するのが一番いいんじゃないかというふうに考えております。
  30. 広田幸一

    広田幸一君 これは隣保館の場合と同じ理屈になってきますけれども、確かに保育所をつくるときには交付税の対象になり、十分の八を、十二分の一のうちの八〇%は交付税で見るという非常に有利なことになっておりますけれども、問題は建設をする場合の対象が非常に外されておるわけですね。これは局長も御承知のとおりであります。これは一般の場合も同じことが言えるわけでありますけれども、たとえば遊戯室であるとか就寝室、食堂、配ぜん室、医務室、職員室、洗濯室、こういうものは建てるときに対象にならないわけです。それを全部地元の市町村負担をしておるところに地方自治体の悩みがあるわけです。私は、その点を国の方はもっと目を開いて、自治体事情を見つめながら、よしその問題は考えてやると、こういうふうな体制をとらないと、なかなか県、市町村実態を把握しておるといっても金がかかる問題ですから、そう簡単に、さっきから言っておりますように地方自治体財政は窮屈でありますから積極的な姿勢が見られない。そういう意味で、私は、もっと国が現場に出て、そして本当に保育所は必要ないのかと。これは全国の数字から言いますと、ざっとこれは数字ではありますけれども、五十年でございますか、全国の零歳から五歳までの児童が約十万人いるというふうに聞いておるわけですね、それを単純に六十なら六十で割ったりしますと、もちろんこれには出入りがあるわけでありますけれども、いま局長がおっしゃったように五百五十一というような数字ではとうていこれは及ばない数字であると、こういうふうに思うわけでありますが、もっと中身を、実態を調査をして市町村を督励をしながら、督励というのはたたくという意味じゃなくて、国の方も援助してやるからひとつそういう同和部落の保育の実態はどうなっておるかと、そういうふうな観点に立って、もっと念入りに、せっかく五十年にやっていらしゃるわけですから、もう一遍調査をしてみるというような積極的な姿勢はどうなのか、この点どうでしょう。
  31. 石野清治

    政府委員(石野清治君) せっかくの先生の御指摘でございますが、すれ違いになって大変恐縮でございますけれども、五十年の調査をもとにしまして、私どもは全体の計画同和対策については考えておるわけでございます。その後の情勢等につきまして、やはり各県の方に督励をいたしまして、できるだけ計画的に整備するようにはいたしますけれども、国がみずから進んでその地区に行って、そして幾つ必要だということを出すにはどうかなと、こう考えておるわけでございます。ただ、御指摘のように、内容の面で確かにその超過負担という問題ございますと、実際上整備しようと思ってもできないという実態がございます。その面につきましては、御存じのとおり五十一年度におきましても厚生、大蔵、自治の三省の合同調査等やりまして、そして超過負担がないようにという形で措置をしてまいりました。もしそういう問題があるとすれば、これはさらに検討しなければなりませんけれども、現在各県の方から実情聞いておる範囲では、まあまあそう問題ないんじゃないか、建設の問題につきましては。そういうような御意見もございますので、せっかくの御指摘でございますけれども、そういうことでさらに努力は重ねてまいりたいとこう思っております。
  32. 広田幸一

    広田幸一君 私が言ったのは言い方がまずかったかもしれませんが、国が現地に出て一々調査をせよという意味じゃなくて、先ほど申し上げたような趣旨によって市町村を督励をする、よく実態を見てひとつ報告してくれと、そういう意味のことでございますので、これはぜひ将来も——現在もやっておられるようでありますが、将来もやっていただけると、こういうふうに確認をしてよろしゅうございますか。
  33. 石野清治

    政府委員(石野清治君) よろしゅうございます。
  34. 広田幸一

    広田幸一君 続きまして、同じ保育所に関係する問題でございますけれども、同和地区の保育所には保母の加配事業、加配がこれは四十八年からずっとやられているわけでありますが、なぜ同和地区だけに保母の加配が四十八年から認められたかという、私はそこから掘り起こして考えてみないと、その加配を——私が言いたいのは、その加配をもう少し、ことしも七百から八百、百名ほど増員されております。その努力は私もよくわかるわけです、七百から八百。しかし、全体を見ましたときにそれでは少ないという観点から言っておるわけでありますが、そういう同和地区に対して特別に加配を認めなければならないその観点から言いますと、私はもっとこの加配の数をふやしていかなければならない、こういうふうに思うわけであります。もう朝早く出て夜遅く帰ってくる、土曜日も保育所は開いておる、日曜日も開いておる、こういう現状であります、同和地区実態というものは。だから、加配という制度を認めたわけでありますから、そういう意味からすると私は実態からいって八百ではまだまだ足らない、こういうふうに思うわけでありますが、この点についていかがでございますか。
  35. 石野清治

    政府委員(石野清治君) 御指摘の点、まことにごもっともでございまして、私どもも努力を重ねながら人数をふやしているわけでございます。ただ問題は、一般保育所とのバランス問題もある程度考えなけりゃいけませんので、同和保育の加配だけを最重点というわけにはいかないと思うんです。やはり、バランスを考えながら予算のできる範囲内で十分努力したいと、かように考えておるわけでございます。
  36. 広田幸一

    広田幸一君 私は、バランスという言葉が、どこが一番適当なバランスであるかということはいろいろあると思うんです、見方が。ただ、私が終始一貫申し上げておるように、現在の同和地区実態というものはわれわれが考えておるよりももっともっと悪い条件にあるんだと。とすれば、私はもっと金を突っ込んでもいいではないかと。やっぱり、そういう考え方に立ってバランスを考えるべきであると、こういうふうに思いますので、局長がおっしゃるバランスというのは、まあ私はそういうふうにとりませんけれども、最近よく言われます逆差別、そういう意味では私はないと思いますけれども、そこらの点は、私が先ほど申し上げているような趣旨からいって前向きにひとつ努力してもらいたい。これは確かに五十一年からずっと五十三年見ましてだんだんとふえておりますからね、対象人員が。その努力は認めますけれども、バランスというのは、やっぱり考え方をよほど変えてもらわなければ、一般から言われるようなバランスということから言いますと大変な問題になると思います。この点どうですか。
  37. 石野清治

    政府委員(石野清治君) ちょっと、私もバランスと申し上げたのは、一般保育所の方の整備についても内容の改善につきましてもいろんな要望がございます。それと、それから同和地区の特別の加配の問題の要望、そういうもののバランスも考えながらと、こういう意味でございまして、一般保育所と同和地区の保育所についてのバランス、そういう意味じゃございません。その点はっきりさしていただきます。
  38. 広田幸一

    広田幸一君 続きまして、保健婦の設置の問題についてお尋ねをします。  これは、厚生省としても同和地区にはやはり特別に保健婦が必要であると、こういうふうに考えられまして財政当局に要請をされた向きがあるようでありますけれども、それが認められていないというのはどういうことになったのか。しかも、今後あくまでも保健婦というものは必要であると、こういうことで要請されておると思うんでありますが、その経過を含めて今後の考え方をお聞かせいただきたいと思います。簡単にひとつ。
  39. 松浦十四郎

    政府委員(松浦十四郎君) 現在、同和地区の保健問題につきましては、先生御承知のとおり巡回保健相談事業ということを行っております。五十三年度の予算につきましては、ここ数年来何らの増加がなかったわけでございますけれども、従来、年三回巡回するというのが、五十三年度には年四回巡回するというようなことで、事業の実施回数の増加を図りまして予算案として現在提案しているわけでございますが、そのようなこともございますので、五十三年度につきましてはそういうようなことで対処してまいりたい、こういうことでございますが、先生の御指摘の専任保健婦の設置というようなことにつきましては、さらに今後努力してまいりたいと思います。
  40. 広田幸一

    広田幸一君 局長、そういう巡回指導ですか、これは悪いことじゃないと思うんです。しかし、実態はなかなかそうはいかないんですよ。昼間はいないんですね。お年寄りとか子供がおるというような程度で、本当に同和地区というのは昼間はいない。だから、そういう巡回の計画がありましてもほとんど昼間にやるわけですから、余り成果が上がってないというのが実態ではないでしょうか。その点を将来の問題として、私は実態に合うような、夜間でもやるとか朝早くやるとか、そういう必要性があると、こういうふうに申し上げておきます。  それから、それであったとしても、やはり朝早く出て夜帰ってくるわけですね。それから同和地区は健康状態も非常に悪い。その死亡年齢も、一般が——これはまあある地区だけの調査でありますけれども、普通が六十三・五八歳である、ところがここは六十・四三歳というふうに人間の寿命も平均して下がっておるわけですね。そういうふうな悪い環境にあるわけですから、私は、一般市町村の保健婦がそこに行くといっても、五時になったら帰ってしまうわけですから、やっぱり朝早く行って、夜も診てあげる、こういう特殊な保健対策をしなきゃならぬ。そういう意味で、私は厚生省も要求されたと思うんですけれども、財政当局からけられた、認められなかったということでありますが、この点は将来さらにいま私が申し上げたような趣旨で強く要求していくと、こういうことでありますか。
  41. 松浦十四郎

    政府委員(松浦十四郎君) ただいま先生御指摘のように、同和地区というのは非常にそういった特殊な事情がございまして、そこで働くという条件も非常にむずかしいということがあろうかと思います。もっとさらに私ども実情をよく、いま先生おっしゃった夜、朝というような問題含めまして十分検討して今後進めていくというように努力いたしたいと思います。
  42. 広田幸一

    広田幸一君 次は、診療所の設置についてお尋ねをしますけれども、これは同和対策特別措置法の中にも載っておるわけでありますけれども、地域の衛生環境整備するというような事項が載っておるわけでありまして、これも厚生省が診療所の設置の必要性を認めて要求されたやに聞いておりますけれども、予算の上には載っておりませんが、診療所の設置について厚生省は将来も含めて現実性のある診療所をどうやっていくか。確かに、いま同和地区に診療所をつくるということは、できたとしても医師の確保が完全にできるのか、後の運営はうまくいくのかという心配がぼくはあると思うんです。そういうような事情の中から、厚生省としては診療所の設置を要求されたわけですから、そういう現状といいますか、将来に対する考え方、こういうものをお聞かせいただきたいと思います。
  43. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) 医務局といたしましては、同和地区の一部には診療所がどうしても必要だと考えております。したがって、四十四年度以降予算も要求してきたわけでございますけれども、ただいま先生御指摘のようないろんなマンパワーの問題などもございます。またそのほか、一般的に考えまして、やはり付近のさらに高度の機能を持った医療機関に協力をしてもらうという方法の方が、高い医療サービスが提供できるのではないかといったような問題もございます。したがいまして、当面私どもは地元の都道府県や市町村ともよく相談をしながら、また同和地区の付近の高度の機能を持った医療機関の協力も得ながら対策を進めていっているところでございますけれども、やはり一部の地区にはどうしても診療所が必要だというものもあろうと思っております。したがって、この点については地元とよく協議しながら将来予算の獲得について努力をしたいと考えております。
  44. 広田幸一

    広田幸一君 局長のおっしゃったことは、私も、実際現実問題としてむずかしいので、周辺の公立病院もあるわけですから、そういうところと協力しながら付近の有力な医療機関等も協力を求めながらやっていくという、そのことはよくわかるんですけれども、いまおっしゃったように四十四年からずうっと要求してきて、いまだにこれが実現をしないというのはどこに問題があるのか。金がかかるから財政当局がいけないと言うのか、そこらのところを、もうかれこれ十年になるわけですから、現実性のあるやっぱり診療所を、そういう衛生機関というか診療機関をつくってやるということにこれは踏み切らないと、もう毎年同じようなことを繰り返してもいけないと思うんでありますが、もうことしはいけなかったけれども、来年はせめてこういうふうな可能性のあるものをやっていくというような考え方に立たないと、いまの局長の話では、努力としては私もわかる、努力目標としてはわかるわけですけれども、来年からさてできるかということになると、十年近くなるわけですから、その点どこかやっぱり抜けておるといいますか、ちょっとやっぱり力の入ってないところがあるではないかと思いますが、この点についてはどうですか。
  45. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) 医務局といたしましては、やはり基本的には地域医療の確保というたてまえで進みたいという従来の方針があるわけでございます。したがって、同和地区も含めたその地域の医療の確保を図ろうと、水準を高めようというような対策に非常に力を入れているわけでございまして、これが極端な例を申しますと、救急医療対策だとか僻地医療対策だとか、あるいはがんとか小児医療とか、リハビリ等の特殊医療の確保対策とか、そういった形になってあらわれているわけでございます。しかし、一部にはやはりどうしても同和地区の中に診療所が必要だというところがあると思うのでございますが、そういうところはすでに三十一カ所でございましたか、地元の方でよく検討した上ですでに診療所を持っております。まあ残っている地区が七、八十あるかと思うんでございますが、ここにつきましては、やはり地元の都道府県とか市町村においても、先ほど申し上げました医務局の三十年来の基本方針、その地域全体の医療の確保を図るという方が、やはりその同和地区住民の健康と福祉にもなるんじゃなかろうかというようなことなどもあり、やはり地元の方で計画がよく固まらないというような面もあるわけでございます。したがって、これはただ予算を要求してつかないという単純な問題ではございません。先ほど先生御指摘のマンパワーの問題も含め、地元のいろんな政策の問題も含め、今後決まっていく問題じゃないかと思っております。
  46. 広田幸一

    広田幸一君 専門でないので私もよくわからぬです。局長、いまおっしゃったようなことで逐次作業は進んでおるということですね、地元との話し合い。これから出発するということではなくて、そういうことが具体的に全国的に必要な地域については進んでおると、こういうように理解していいわけですか。
  47. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) 大部分地域では進んでいると考えております。
  48. 広田幸一

    広田幸一君 私は時間が来ましたので、同和対策問題はこの程度で終わりたいと思いますけれども、最後に大臣に私は今後の同和対策に対する厚生省としての取り組み方について見解をただしておきたいと思うんですけれども、短時間でございましたけれども、いろいろと問題を提起しました。しかし、考え方の相違は、全く両方食い違いはなかったと思います。いろんな障害あるにしても、やはり同和対策事業というのはもっと積極的に充実をして、地区住民福祉向上を図っていかなければならない、そういう点では一致したわけでありますが、そこで私は同和対策問題について同対審の延長という、五十三年度で期限が切れるわけでありますから、これを延長するということで国会の内においてもいろいろと今日取りざたをされておるわけでありますが、担当の主管の稻村総務長官も同対審の延長は必要があるということで決心をしましたということを言っていらっしゃるわけです。この担当が総務長官であるにしましても、福祉の問題から考えますと、厚生省はより積極的にやらなきゃならない、そういう大きな責任を持っておるとすれば、担当の総務長官以上に、もっと強い姿勢で、この同対審の、たくさん残っておるわけです。いろんな問題残っておるわけです。延長を図っていかなければならないというのは当然だと思うんでありますが、そういうふうに確認してよろしいかどうか、最後に大臣のひとつその見解をお聞きしておきたいと思います。
  49. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) 主管の総務長官も非常に前向きに取り組んでおりますので、いまおっしゃいましたように、私どもも社会福祉の充実を図る観点から積極的に推進をする努力をいたします。
  50. 広田幸一

    広田幸一君 次は、医療関係について、あと十分ちょっとほどありますから質問をいたしますが、三つばかり質問をいたします。  問題になっておりました付き添い看護料の問題が、二月一日の医療費の改定によりまして病院の総体の医療費が二〇%上がったから、将来はもう各患者に付き添い看護料を負担させることはないと、こういうふうに厚生省としては言明をされておるわけでありますが、実は私もこれ気になりまして、地元の日赤病院に先般行きまして、こういうふうになっておるけれども果たして実態はどうだろうかと言いましたら、いや、なかなかそうはいかないということであります。ですから、二月一日から始めましてまだ二カ月たつかたたないかということでございますから、すっきりと全国がそういうふうにいっておるかどうかということはわかりませんが、ただ、私が一つ感じておりますことは、病院に行ってみましても、最近お年寄りが多いわけですね。成人病が多い。そうすると手間が非常にかかるわけです。お年寄りは大事にしてあげなければならないけれども、非常に手間がかかるわけですね。そういう意味で、どうもあのような基準ではうまくいかないと、こういうふうなことを聞くんでありますが、その後まだ期間が短いわけでありますが、厚生省としては実態をどういうふうに把握されておるのか、私がいま申し上げたことについてどうお感じになっておるのかということをお尋ねします。  それから、時間がありませんから、次はこれは私がかねがね言っております腎臓病の人工透析の問題についてでありますが、この間二月一日の医療費の改正によりまして、従来の点数制から時間制に変わったわけであります。そのことはこの人工透析費が非常に膨大な予算を組むということを聞いておりましたから、その意味では合理化の面もあって一つの前進だとは思いますけれども、一面そのことが患者にしわ寄せがくるんではないか、採算の面からいっていわゆる五時間からあるいは九時間以上という、ああいう時間制を短縮してしまうという心配はないだろうか、サービスが低下するではないかと、そういうふうな心配をする向きが患者の中にあるわけであります。しかも、最近私の耳に入ったところによりますと、従来は人工透析を持っておる医療機関はずいぶんもうけておった。もう医者の高額所得は全部、億以上はこの人工透析の医療機関であったという調査も私しておるわけでありますが、ですから、もう採算が合わなくなったからどっかに無理をすると、あるいはある地区においてはもうもうけにならないから、そういう施設はつくらないと、そういう傾向があらわれつつあるやに聞いておるわけでありますが、それでは困ったわけですから、そういう地域に対しては積極的に国が公的な医療機関の中でそういう施設設置すると、こういうことで進めていかなければ患者は困ると思うんでありますが、その点について、せっかくそういう点数制から時間制にしたけれども患者に対するしわ寄せはないだろうか、こういう心配について国としてどういうふうにお考えになっているか、二つのことについてそれぞれお答え願いたいと思います。
  51. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) 第一点は付き添い看護の問題でございますけれども、先般の診療報酬の改定の際に、私ども一つの大きなねらいといたしましたのが保険外負担の解決の問題であるということで、保険外負担の大きな問題としまして、差額ベッドの問題、それから付添看護の問題の解決ということを一つの大きな方向にしたわけでございまして、私ども、今回の診療報酬の改定におきまして、基準看護料等につきましてかなりな引き上げを行った。あるいはICU、CCU等の集中看護の特別加算を設けるとか、入院料につきましては相当の引き上げを行ったということで、基準看護問題につきましては大きな前進が図られるということはねらったわけでございます。ただ、この問題が一挙に全部解決するかということになりますと、なかなかむずかしい問題あるんじゃないか。そこで、中医協の場でも御議論がございましたように、やはり基準看護のあり方、この問題につきましては看護婦さんの数の問題等もございますし、あるいは現在の勤務体制の問題もある、あるいは先生御指摘になりましたようないろいろな最近の医療の実態、治療の内容等から見まして、やはり考えていかなければならない問題あるんじゃないかということで、私ども将来の目標としましては看護体制の充実を図るという意味で、現在の特二なり特一の方向にいくというようにいたしましても、当面一挙にそこまではいけない問題もございますし、先般の改正におきまして新たに二類につきまして特別の加算制度を設けるというような措置を講じたわけでございます。ただ、いずれにいたしましても、患者に対しまして病院が不当な付き添いを強要するということがあってはならないというようなことから、私どもそういうような場合には、従来ございませんでした基準看護の取り消しもあるというような厳しい指導方針で臨んでいるわけでございますが、現在指導に着手したというところでございますし、それからまだ基本的に今後また中医協等でも御論議いただかなければならない大きな問題も抱えておるわけでございますけれども、いずれにしましても今回の改正によりまして大きく前進の第一歩を踏み出したいというふうに考えておる次第でございます。  それから、第二点の人工透析の関係の問題でございますけれども、先般の診療報酬の改定におきまして、先生から御指摘ございましたように、従来の考え方から時間制というものを導入したわけでございますけれども、透析医療につきましては、医療技術の進歩なりあるいは使用します機械とか器具の改良等によりまして、従来より短い時間でもできるというようなことも行われましたわけでございますので、その実態に応じまして時間制の導入を図るということにしたわけでございまして、決して患者に対しますサービスの低下ということではないわけでございます。透析時間が長いということになりますと、医療機関でいいんじゃないかというような考えもございますけれども、結局、透析時間が長くなりますと、逆に頻度は少なくて済むというようなこともございますし、一概には言えないわけでございまして、むしろ実態に合わして今回は診療報酬の改定を行ったということでございますし、さらに患者の方から非常に御希望のございました夜間透析ということにつきましても、新たな診療報酬の点数の中に取り組んだということで、合理化を図っていきたいということで、今度やったわけでございます。決して、患者に対しますサービスの低下を来すということはないというふうに私ども考えておる次第でございます。
  52. 広田幸一

    広田幸一君 透析の問題、いま夜間おっしゃったんですけれども、だから社会復帰するという観点からいきますと、昼働いて夜になる、だから夜間になった場合には百五十点を加算をしたということはいいんですよ。ただ、五時以降になりますと、余り採算がとれぬということになりますと、五時で切ってしまって——看護婦の時間外も払わなきゃならぬですからね。そういったいろいろな意味しわ寄せが来やせぬかということを、患者自身が心配しておるわけですわ。ですから、これもさっき言った付添料の問題と同じように、まだ日にちがないわけですから、私がいま言ったような意味を含めて、現場においてそういうことのないように、厚生省としては万全な、何といいますか、指導をしてもらいたいということを特に要求しておきます。また、別の機会に私が結果はどうなっておるかということをまた質問することもあるでしょうから、そういうふうにお願いします。  それから最後に、私は、基準看護の問題が実は問題になっておるわけでありますが、私は先般、地元の国立療養所の鳥取病院に行きまして——ほんの近くにあるもんですから。いままではその病院に行ったこともなかったんですけれども、この病院は精神病院であります。現在二百五十名おって、そのうち五十名が老人なんですよ。これが大体四対一の割合になっておるわけです。患者四に看護婦一名。私は現場を見たんですけれども、本当にこの精神の異常のお年寄りのめんどうを見るということは大変であります。看護婦さんが口元に食事を持っていってあげる、下手をすると感情的にぱっとなられますから、それはもう食事から入浴から便所から、大変なことであります。私はこれは本当に一対一でももういいと、患者一人に対して看護婦一名でもいいと、そういう感じを持つぐらいでありますが、そういうことは病院側も知っておるわけです。しかし、総定員法によって縛られておるために、どうも仕方がないと、こういうことなんでありますね。私はこの問題は、どうしても国の場でこの問題を取り上げてやらなければならないということで、これはまあ私が見た一病院の体験だけでありますけれども、全国的にはそういうところはたくさんあると思うのでありますが、なぜこういう状態を総定員法の枠の中で縛られておるから仕方がないと、こういうことでは、人権に関する問題であります。特に、精神科のお年寄りを抱えた病院というのは大変問題がある。従来は精神病患者というのは一つの鉄さくの中に入れて、そうして日にちを待つということであったわけでありますけれども、最近はやっぱり変わってきまして、外に出して太陽の光を受けながら看護婦さんと一緒に患者の人が話し合いをしていく、そういう中でだんだんと治ってくる、社会復帰もできるということであります、変わってきておるわけであります。それが旧態依然として、そういうふうな状態になっておるというのは、一体どういうことなのかということがあります。  そこで、ずっと私が翻ってちょっと勉強してみましたところが、国のあれに問題がありますね、これ。
  53. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) 簡潔に願います。
  54. 広田幸一

    広田幸一君 はい。医療法の施行規則の十九条に、これにやっぱり標準が四対一というふうになっておるわけです。これは二十三年にできた法律がそのまま三十年間続いておるわけです。こういうものがありますから、いま言ったような現象がどうしてもやっぱりぬぐい取れないということになるわけでありますね。この点、私はなぜこういった四対一の、二十三年にできた法律が三十年たった今日なお改正されないのか、こういうふうに思います。  それから、行政管理庁見えておりますか。——そこで、いま私が言った趣旨、よくわかりますね、なぜそういうふうになるのか。私は、法律ができた当時の経過というものも、全く否定するわけではありませんが、画一的にどこにもここにもそういう定員を縛りつけるということは、これは国際的に言っても、国策的に言っても大変な問題だと思うのでありますが、その点について行政管理庁はどういうふうにお考えになっておるか。大臣がいらっしゃらないので、あなたも答弁しにくい点があるでしょうけれども、流れとしてはわかっておると思いますので、答弁を願いたいと思います。
  55. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) 医療法施行規則の定員の標準でございますけれども、これはあくまで標準でございまして、四人に一人程度が標準、したがって病院の種類、性格によってはもっとたく少さん置かなきゃならないし、またあるいは逆に少なくて済むところもあるであろうと、こうなるわけでございます。  そこで、三十二年に次官通達とか局長通達が出ておりまして、結核とか精神については特別に患者の病気の重さとか病状ごとに標準がまた別につくってあるわけでございます。したがって、結論から申しますと、確かにいまや全体をひっくるめた標準としても、四人に一人というのはおかしいのではないかという問題があるかと思うのでございますけれども、一方においては日本における病院、療養所の看護の単位のつくり方、看護婦の配置の仕方、補助者の使い方といったところにやはり問題があるわけでございまして、そういった点も含めて総合的に判断しなければなるまいと思います。たとえば、自治医科大学の病棟は、重症病棟、中症病棟、軽症病棟というふうに分けて看護婦の傾斜配分をやっておりますが、ほとんどの病院は各科別に患者を置いている。また精神病院の場合もいわゆるかぎをかけます閉鎖病棟と、かぎをかけない開放病棟という区別ぐらいしかないのが普通でございます。もちろん、進んだところは老人病棟とか小児病棟を持った精神病院もございますけれども、そのように総体的に考えていかなければならないと考えております。
  56. 広田幸一

    広田幸一君 私の持ち時間が若干超過しまして、安恒委員に御迷惑をかけておりますから、ただ重要な問題でありますのでお話ししておるわけですけれども。時間が来ましたから——どうもいまの局長の話ではちょっとわかりかねる。一般的に考えましても、この三十年の間に医療構造というもの、疾病構造というものはいろんな変化が大変あるわけでありますね。そういうものが標準として残っておるということ自体、私は専門家じゃありませんからね、ちょっとわかりにくいんですけれども、そういうものが依然として残って、四対一で残っておるということは、標準として残っておるわけですからね、何としてもそれが一つの基準になるでしょう。ですから、私は不合理だと思います。これは私がもっと研究しまして、きょうの局長の答弁が本当に正しいのかどうか、次の機会にただしていきたいと思います。終わります。
  57. 山本貞雄

    説明員(山本貞雄君) 簡単にお答え申し上げます。  先生御承知のように、現在の定員管理の基本的な考え方は、総定員法で定めました最高限度の枠内で合理的な定員の再配分を弾力的に行っていく、こういうことでございます。しかしながら、総定員法の枠内にあるからと申しまして、必要な定員までも抑えておるわけではございません。現に、国立病院・療養所におきましては、五十三年度予算におきまして約六百名の純増員を行うこととしております。また、総定員法の施行以来約十一年間になりますが、この間一般省庁が二万二千六百名余りの純減を行っておるわけでございますが、国立病院・療養所につきましては、医療需要の増に対応いたしまして、重点的に増員を行いまして、約六千四百名の純増員を行っておるわけでございます。今後とも国立病院・療養所につきましては、医療需要に応じまして必要な増員措置は十分講じてまいりたいと、かように存ずる次第でございます。   〔主査退席、副主査着席〕
  58. 安恒良一

    安恒良一君 私は、まず厚生大臣の政治姿勢について、同僚の広田委員からも質問がありましたが、私も重ねてまず冒頭にお聞きをしたいんです。というのは、厚生大臣になられましたときに、同僚の広田委員も言われましたように、不公正の是正、それから公平にやりたいと、こういうことであったわけです。ところが、最近新聞を見ますと、医療保険制度の改正問題について社会保険審議会、社会保障制度審議会にかけられて、そして今国会に出される、これは前のいわゆる臨時国会の約束なんであります。ところが、その制度の改正問題についてしきりと日本医師会の武見会長と会談をされている、そのことが新聞にでかでかと報道されるわけです。私は一概に医師会長とお会いになることを否定をするものではありませんが、医療というのは、医療を担当する方と患者というものは、保険というものである場合には、いわゆる保険の被保険者、保険者団体、こういうものがある。ところがそちらの方との話し合いというのは何もされないで、そしていわゆる医師会長とまず会う。新聞で見るところによると、医師会長と話がつかなければ社会保険審議会が開かれないような状況なんです。私はもういま国会議員です。もしもぼくが社会保険審議会の委員だったら、そのような大臣の姿勢だったら、何をしているのか、そんなばかなことないじゃないか、何で社会保険審議会にまず十分相談をしないのか、こう言って私は、それこそ私が社会保険審議会におるならば簡単に社会保険審議会の開催はできないような状態を私はつくらざるを得ないと、こう思うぐらいです。どうも小沢さんが大臣になったときに述べた態度と余りにもあなたの態度というのは医師会寄りだと。これは何も私が言っているわけじゃない。世論全体がそうふうに見ている、そういうような問題について、いわゆるこれから厚生行政を担当するあなたの政治的な姿勢について、でなければ、私たち野党としては協力できなければどんどんあなたをこれから国会の中で糾弾をしていかなきゃならぬと思う、国民の立場に立って、こういう点について。医療制度の改正に当たってどうして医師会長とまず話をつけなきやならぬのか。でなきゃなぜ社会保険審議会が開かれないのか。この点について、大臣の政治姿勢並びに所見を承りたい。
  59. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) おっしゃるように、私ども行政当局が扱っている保険制度でございますから、われわれがいろいろ検討して案をつくりまして、審議会の議を経る、そういう手続をとればいいのでありますけれども、審議会に諮問案をお出しをいたします際には、従来とも関係団体といろいろ事前に御意向等も承って、できるだけこの審議会においてそういう各界の意見が反映した案を出すということになっておりますので、そこで私は、まあ予算委員会等のあれもありますものですから、私どもの方では局長以下相談をしまして、手分けをして、いろいろ日経連にも、あるいは私が、新聞には出ませんが、武見さんと会う前に健保連の代表とも二回ばかり会っておりますし、その他の方面については、できるだけ局長等手分けをいたしまして御意見を承っているところでございます。  で、審議会がおくれておりますのは、私どもの案を作成するに当たりまして、やはり私は今度の改正では最も重要視いたしておりますのは、給付の平等化を図りたいということが第一点、負担の公正を図りたいという点が第二点でございまして、これを柱にいたしましていろいろと検討いたしております経過のうちに、与党とも相談をしなきゃいけませんし、そういうようなことで実は案がいろいろと出てまいりまして、御承知の新聞等に出ました最初の案につきましては、それぞれのところでいろんな御意見等もあるものでございますから、最終的な成案を得るまでにまだ至ってないものですから、審議会がおくれているわけでございます。  私は、安恒委員おっしゃいますように、保険制度というものは、当然一番重要視しなきゃいかぬのは、被保険者すなわち患者さんのためにいかに制度が公平平等であり得るかというところが主眼だと思いますので、その点のことについては忘れていないつもりでございます。案を見ていただいていろいろ御批判をいただきたいと思うわけでございます。
  60. 安恒良一

    安恒良一君 まあ、余りこれで時間をとるとほかありませんが、国会があるから忙しいのはわかります。いや武見さんとは大臣が会っている。私は被保険者の最大の団体の代表ともこの問題について話し合いしました。大臣から話があったのか、全然ないと言っている。何で、武見さんとはあなたが会う、あとは局長会わせればいいと、そういうふうに聞き取れるんですが、私は少なくとも被保険者、保険者、医師会、その他平等にあなたが会われて意見を聞かれるならわかる。武見さんとはあなたが会う。最大の数百万人の人を抱え、家族を含めると大きな、そういうところについてあなた自身がなぜ会わない。そのこと自体がもう差別じゃありませんか。局長に会わしておるといま言った。国会が忙しいと。国会が忙しいなら武見さんとも局長とやっているというなら、これは平等の原則です。その点はどうですか。
  61. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) 私、大体案が固まりましたらもちろん被保険者代表の皆さんともお会いをしたいと思っております。春闘共闘委からのお話もございまして、恐らく明日になると思いますが、お会いする予定もございますし、いろいろおっしゃるような点は私として十分考えてまいりたいと思います。
  62. 安恒良一

    安恒良一君 私は、まあこれで時間をとるのはあれですから、大臣にひとつお願いしておきますが、どうか審議会に諮る前に各界の意見を聞くということであるならば、少し平等に、誤解が与えられないようなやり方をしてもらいたい。まず新聞見てごらんなさい。一斉に報じております。医師会長とあなたの間の話がつかなければ審議会が開かれない。それは書いておる方が悪いとあなたは言われるかわからぬけれども、どの新聞も書くというところには、あなたにそういう問題があると思う。ですから私は、少なくとも保険制度の改正をやるというのは重大なことなんですから、その限りにおいて、関係団体全体と十分な話し合いをするならする、案が固まったら会う。片方は案が固まってないのに会っているわけだから、それもまた差別なんです。だから、私は厚生行政を担当する以上、公正にひとつ、関係団体があるわけですから、そしてそれには優劣がつけがたいでしょう。どの団体が従でどの団体が主というわけにはいかないんだから、そういうところについてやっていただくことを、厳にお願いをしておきたいと思います。  そこで、次の問題に移ります。  きのう、いわゆる最高裁の原爆被爆者に対する一つの画期的な判決が出ました。具体的には孫さんの被爆手帳交付の問題でありますが、この最高裁第一小法廷の新しい判断について大臣はどのようにお考えになり、そして、いままでの厚生行政の被爆者対策については、どういうふうにあの判決を受けて改善をしていかなきゃならぬというふうにお考えになりますか。その点について大臣の所見を承りたい。
  63. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) 判決の結論に至るまでの司法当局の考え方の中には、いまの原爆医療法というものの中に国家補償的な考え方がある、その精神が具体的にあらわれているという御意思を表明している部分がありますが、判決の主眼点は、人道上の見地に立って、日本にいる居住者については、その原因がどうあろうと援護をしていかなければならないと、こういうところに主眼があるわけでございますので、ただ、今日の最高裁の判決が、私どもも従来述べておりますように、原爆医療法という原爆の医療の現行法につきまして、その精神の中に、国家の戦争責任を何らかの形で国家の補償的な要素がその中にあると、現行法の中にあるという点に触れられていることでございますので、従来とも、私自身もまだよく司法当局の意見等も相談していませんけれども、そう大きな変革を、この法律自体変更するようなものではないと思いますが、なお今後十分に検討いたしまして、判決の御趣旨の意のあるところが一体どこにあるか、現在の法律というものが国家補償的な考え方のもとにどういう点が一体不備なのか、この点は今後十分検討さしていただきたいと思っております。
  64. 安恒良一

    安恒良一君 大臣、こういう重要な判決が出たときには、直ちに分析し読まれていただきたいと思いますけどね。  私は、判決の趣旨は、なるほど人道的なことも書いてありますが、私が画期的だと言ったのは、従来のこの現行の被爆者援護法は、主としてあなたたちは社会保障的性格、こういうことで厚生行政をやられておるわけです。これに加えて、いわゆる国家補償的性格を併用するという判決を最高裁の判断は示しているわけです。国家補償的性格を併用すると、こういう判決をこれは示している。でありますから、いわゆる社会保障法として運用してきた基盤が崩れ去っているわけだ。その意味から言って、私は、いまの被爆者援護法の問題を今後一段と強化をしていかなきゃならぬ。  そこで、少し具体的に中身をお聞きしたいと思いますが、すでに野党はこのようなことをかねがね主張いたしまして、被爆者援護法の強化についてこの国会に、野党四党もしくは野党五党ということで、議員立法でこれまで法案を出してまいりました。いわゆる国家補償的性格を貫く野党案というものは、昭和四十九年以来三度廃案になっております。そうして現在は、野党五党の共同提出ということで、前国会からの継続審議になっているわけであります。継続審議になっている中で今回このような判決が出て、どうしてもやはりいまの援護法の中で改めてもらわなきゃならぬものは、たくさんのことを野党五党が出していますが、一つは、私はやはり被爆者に対する年金問題だと思う。この年金は、野党五党案は御承知だと思いますが、最低十八万円、最高三百八十万円ということで、この最低十八万円というのは、これをつくりました当時、いわゆる福祉年金ですね、これが年間十八万円でありましたので、そういう角度からこれを出した。このことが一つ。それから第二番目には特別給付金、これが六十万円、五年以内に償還すべき記名式国債で交付してもらいたい。こういうことで、これも一カ月に直すと一万円、年間十二万円と、こういうことになっている。  そういう二つの点については、私は、どうしても今度このような、いわゆるいままであなたたちは主として社会保障的性格を中心にやってこられた、これに加えて国家補償的ということが出た以上は、そういう援護法について前向きにやはり取り組んでいただかなきゃならぬと思う。これは野党五党が出しているからということじゃなくて、いままで政府・与党は、いわゆる議員立法についてはこれを否決をしてきたわけです。しかし、私はこのような最高裁の判決が示された以上、前向きに中身に取り組んでいただかなきゃならぬと思いますが、こういう問題について、大臣並びに関係局長考え方を聞かしていただきたい。
  65. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) 判決にこうあります。「原爆医療法は、被爆者の健康面に着目して公費により必要な医療の給付をすることを中心とするものであって、その点からみると、いわゆる社会保障法としての他の公的医療給付立法と同様の性格をもつものであるということができる。しかしながら、」ということで……
  66. 安恒良一

    安恒良一君 そこだけ読んだらいかぬ。
  67. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) 「しかしながら、」ということで、「原子爆弾の被爆による健康上の障害がかつて例をみない特異かつ深刻なものであることと並んで、」——その次が先生の御指摘の国家補償的性格ということに触れるわけでございますが、「かかる障害が遡れば戦争という国の行為によって」起因していると。省略いたしますが、以上のような点では、「実質的に国家補償的配慮が制度の根底にあることは、これを否定することができない」ということになっておるわけです。  したがって、私どもは従来、いま前段に判決が言っているようなものとして原爆医療法というものを性格づけてきたわけでございますが、判決が、さらに若干一歩を進めて、実質的に国家補償的配慮が制度の根底にあることは否定できないとありますので、この点についてなお一層検討をしてみまして、その後で、いわゆる年金と言いますと、これは当然国家補償的な考え方を入れてこなければこれは成り立ちませんので、この点を原爆医療法の中に、判決の趣旨を踏まえて入れるべきかどうかを十分検討させていただかなければ、いま直ちに私ども従来の考え方をここで、せっかくのお話でございますが、変えるということの勇断ができないわけでございますので、もうしばらく検討させていただきたい。
  68. 安恒良一

    安恒良一君 いや、私は従来の判断が誤りとかなんとか言っているんじゃない。社会保障的な性格のあることも事実です。それに加えて新しい——われわれは従来から主張しておったんですが、あなたたちは従来は主として国家補償的というのは否定的な態度だった。しかしこれに、社会保障に加えて国家補償的というのが加えられた以上は、所管大臣として、また行政当局としてはそれをとらえて、ではどこをどういうふうに直せばいいかということの検討はやはりこれをしてもらわなきゃならない。そのことが、法治国家における私は行政を担当する者のあれであって、どうも大臣や官僚の諸君は、自分の主張というのを守り通そうとか貫き通そうとする。それでは困るわけです。私は社会保障的な性格を否定しているわけじゃない。それに加えて、こういうものが出たから、やはり前向きに検討しなきゃならぬじゃないか。  その中のいろんな検討項目の中で、とりあえず私はいま二つですね、一つは年金の問題があるじゃないか、一つはいわゆるこれは補償なんですよ。そういうような問題で、いわば弔慰金的な問題です。これは言葉は、こういう言葉に野党五党の中で話し合いをしましたが、そういうものをひとつぜひ前向きに検討してもらいたいと、こう言っていますから、どうかこれより以上これもまたやりとりをしますとこれだけで時間がたちますから、ひとつ、きのう判決が出たばかりなんですから、どうか前向きに検討する、このことはどうですか。前向きに検討する、これはいいでしょう。
  69. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) 従来とも厚生省は社会保障立法だけだと言ってないのでありまして、前国会におきましても渡辺厚生大臣が、一部国家補償的な意味合いのものもあるかなあというふうに考えておりますと言っておるわけでございます。その点が今度の判決で、国家補償的配慮が制度の根底にあると言われている意味とどの程度濃密度が違うのか、この点を法律論的に確かめさしていただきまして、その上で前向きに検討さしていただきたいと思うわけでございます。
  70. 安恒良一

    安恒良一君 いわゆる軟投答弁といいますか、官僚答弁といいますか、大臣ですから官僚と言うのは失礼ですけれども、あなたは前身がそういうことだからどうしてもそういうふうになると思いますが、もう少し大臣なら大臣らしく、前向きに検討するものは検討すると言ってもらわぬといけませんが、これより以上やりとりをしてもこれはやむを得ませんので……。  そこで、その次にお聞きをしたいんですが、いま大臣が、今回の医療保険制度の改善についての大きな考え方をちょっと、私の大臣の姿勢に合わして、述べられました。私は、大臣の手元でどういう改正が検討されているかということを、よく新聞を通じて知っています。ですから、そのことをきょう短時間でお聞きしょうとは思いません。むしろその中で、私は医療制度の改正の中で、私は前厚生大臣との間に約束いたしました検討項目が十四項目あるんですが、その中で非常に重要な項目というのは、いわゆる医療費のむだ遣いの排除という問題がないと、どうもいまのあなたたちの御検討は、給付の公平化を図るとか、制度をどうするか、このことは重要なことなんであります。しかしそれだけでは、私は予算の集中審議でも申し上げましたように、やがて二十八兆と——あなたたちの計算で二十二兆ですか、そういう状況が来ると言われているときにおいて、しかもこのことは一月九日の日に、八木さんと中医協一号側委員の大隅さんとの間に「医療費の無駄を排除するための具体的方途については、六か月を目途」に云々ということがありまして、「なお、上記の覚書は、厚生大臣が了承したものであることを付記する。」と、こうなっている。  「六か月を目途」と書いてありますけれども、しかしもう三カ月たってしまったわけですね。一月からですから、四月九日で完全に三カ月。まだあと三カ月あるじゃないかとか、目途ということじゃなくして、私は並行的に制度改正の中でぜひ、重要な問題だと思いますが、その医療費のむだ遣いの排除についてはどういう点をいま検討されているのか、どこまで検討が進んでいるのか、まずそのことについてお聞かせ願いたい。
  71. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) 医療費の適正な合理化というものは、当然やらなきゃいけません。むだがいやしくもあってはいかぬわけでございますので、この点は私は今度の改正に当たりまして、十分その成案の中で生かされるように考えていきたいと思っております。ただ、どういうことでということは、実は法制的な問題もありまして、いまいろいろと内部で検討しておりますので、もうしばらく御猶予をいただきたいと思うのですが、相当思い切ったむだのない、現在の医療体系の中で効果的にそうしたものが実行できる案をいろいろひとつ検討していきたいと思いますので、また法律改正の中には、保険医療機関につきましてもそういう趣旨の規定を配慮もいたしたいと考えておりますし、お約束したことはお約束として実行をいたしていきたいと、かように考えております。
  72. 安恒良一

    安恒良一君 いや、それじゃ全く精神論だけでね、そんなこと、この貴重な時間にあなたにお聞きしょうとは思わない。私は具体的に、たとえば何もこれはいわゆる支払い団体との約束だけじゃなくて、私は前臨時国会の中で医療費のむだの問題については詳しく私なりの意見を申し上げて、それらについては当時渡辺厚生大臣以下関係局長が検討を約束しているわけです。たとえば一つの例を言うならば、いわゆる審査、監査の適正化の問題ですね。私は細かい数字はもう繰り返しになるから挙げませんが、余りにもたとえば西高東低の問題なり、審査をした場合の審査率の問題なり、非常に問題がありはしないか。それから保険医の指導、監査の具体的な改善案を示せ、いまの指導、監査というのは具体的指導、監査になってないじゃないか、こういうようなことについても、その他薬の使い過ぎの問題にしても、検査が非常に問題になっている、こういうことについて私はかなり微に入り細に入り問題を指摘をしているわけです。  だから、そういうものを受けて、もうこれは去年の秋の話です、十一月だから。それからどのようにそういうものについて、たとえばいま私が挙げたところの一つの方法について強化をされているのか、どういう検討をされているのか。いま申し上げた審査、監査のあり方の問題について、これについてはどういうところまで検討し、どういう方向に行こうとしているのか。そういうことも言ってもらわぬと、精神論だけをここでお聞きしたって、それは何にも国民が理解をすることにならないわけですから、その点について聞かしてください。
  73. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) 先ほど先生から御指摘ございましたように、先般の中医協におきます診療報酬の引き上げの過程におきまして、支払い側とも非公式な折衝というものを繰り返したわけでございますけれども、その際、やはり医療費のむだをいかにして排除するかということが一つの大きな問題になったわけでございます。それから、ただいま先生から御指摘ございましたように、先般の昨年の国会でもいろいろな問題というものが御指摘されているわけでございます。そういう意味で、私どもも支払い側と大体六カ月を目途にこの問題を検討しようじゃないか、お互いに十分議論しようじゃないか。なかなか決め手というものは非常にむずかしい。しかし、いろんな角度からこの問題を取り上げるべきではないかということで、実は中医協後も先般第一回の支払い側との会合も行ったわけでございまして、そういう意味で、この問題について詰めていきたいということで、いろいろ問題点をまず取り上げているところでございます。  その際に、いろんな問題あると思います。確かに御指摘になりました、特に問題点の一つとしましては、やはり審査、監査ということが一つの大きな問題であろうというふうに考えられるわけでございまして、この問題につきましても、私どもいろいろな角度からこの問題を取り上げているわけでございますけれども、まず監査の問題につきましては、先般の全国課長会議等におきましてもこの問題につきまして、国民負担を求める以上やはりむだがあるという場合には厳正な姿勢で臨まなければいかぬ。さらに、まじめにやっておりますお医者さんの信用を得るというためにも監査というものは厳正に行うべきじゃないかというようなことから、全国課長会議等におきまして、あるいは地方技官会議等におきまして、監査につきまして厳正な姿勢で臨むようにという強い指示をしたわけでございます。しかし、なかなか現在の監査の体制ということになりますと人員の問題等もあるわけでございまして、さらに、いまの人員の中でどういうふうに機動的にこの問題と取り組めるかと、さらに、いまの監査体制をどうするかという問題等につきまして、また来年度の予算編成等もありますので、それまでにも結論を出したいと。現在ではいまの人員の体制の中でやっていかなければならないということで、厳正な姿勢で臨むとともに、さらに工夫ができるかどうか検討してみたいというふうに考えております。  それから、審査の問題につきましてもいろいろな問題点があるわけでございまして、支払基金等ともいろいろ相談しているわけでございますけれども、審査につきましても適正な審査を実施するということは当然必要なわけでございまして、そういう面から現在支払基金とも相談しておりますし、何かいい知恵がないかと、あるいは今度の制度改正の中に取り込むということで検討している段階でございます。
  74. 安恒良一

    安恒良一君 また、大臣答弁ならあれだけれども、保険局長はそんな抽象的なことを言われたってだめですよ。検討しています、厳正に厳正にと、子供だましじゃないでしょう、あなた。私とあなたとやりとりして、ぼくもある程度こういう問題は専門家ですよ。あなたも専門家でしょう。その場合に、ただ精神論的に、厳正にやりますとか、いろいろ検討していますって、いろいろ検討していますじゃ答えになってないじゃないですか。たとえば支払基金なら支払基金の審査について、審査をどういうふうに強化していくのか。専任審査員をどうするのかと、ふやすのかふやさないのか。いまのように一人で何千枚も見て、できてないじゃないですか。  そういうような問題について、もう私は時間がありませんけれども、そういう問題の具体的な指摘は私だけじゃなくて、同僚委員からもたくさんあなたたちに指摘をされているわけですよ。改善案の中身を含めて、提言を含めてされている。そのことについてあなたたちはお答えにならなきゃならぬのに、いまの二人のお答えを聞いても全く精神論だ。それはだれでも言えますよ。厳正にやります、厳重にやりますと、それでは解決しないんでしょう。厳正にやる、厳重にやった結果、たとえばこの前の臨時国会で私が出したような都道府県別の審査の状況についてこんなに落差があるじゃないか。また、西高東低の問題はこう具体的になっているじゃないかという、私は具体的資料をあなたたちに出してそれの改善を迫ったわけです。それがきょうになっても依然として、いや、一生懸命方法を考えています——それじゃ大臣、答えになりませんよ。それじゃ国民は理解しませんよ、一生懸命考えていますじゃ。少なくとも、いやこの項目はこうしたいんだと、これはこうしたいんだということがあって答えじゃないでしょうか、審査、監査問題一つをとらえても。  それじゃ、その点について再度聞かしてください。
  75. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) 安恒委員おっしゃるとおりだと思います。専任審査員の増員あるいは監査の強化について具体的な方法がお答えできなければ、ただ強化します強化しますだけではだめだと思っておりますが、定員の問題等もございますので、いま局長が言いましたように、地方の保険官署並びに技官あるいは基金の審査の方とも相談をして、いまおっしゃるような方向を具体的にどうやってとるかということについて鋭意検討中でございますので、もうしばらく待っていただきたいと思います、大変おくれて恐縮でございますが。  それから私は、一つ考え方として、事業主がもう少し関心を持っていただいたらどうだろう。そのためには、いまのところ政府管掌については事業主がレセプトを見るという機会が全くありません。全然やっておらないわけでございますから、これらの方法について具体的にどうしたらいいかということを、支払い期日等の問題もございますが、これらについても先生御承知のような社会保険委員という制度もございますので、これらの方々の協力を得て、十分徹底ができるような方途をひとつ考えてみろということを事務当局にも言っておるわけでございまして、また薬の問題については、薬のむだを排除する方向を今度の改正の中にどうやってとるか、これを具体的にいま検討いたしております。もうしばらく猶予をいただいて、御承知のとおり、私が着任をいたしましてから健保法の問題があり、あるいは医療費の改定等があり、医療協議会、社会保険審議会等のずっと経過がございまして、二月からはもう予算委員会にほとんどくぎづけになっておるような始末でございますものですから、大変おくれて恐縮だと思いますが、いずれ回答をきちっと提示を申し上げたいと思っておるところでございます。
  76. 安恒良一

    安恒良一君 たとえば監査を、やはり私は指導及び監査といま現在なっていますが、そういうものをやるために技官をやはりどうするかということについて、あなたたちはこの五十三年度に技官をどれだけふやす努力をしたのですか、予算要求の中で。それがどれだけ認められたか。現在非常に技官が不足しておって、県によっては指導、監査などが全くできない状態になっているじゃないですか。口で指導、監査をすると言う以上は、それに必要な技官をまず置くということは、そんなことは定員法があろうと何があろうと、これだけ医療費問題が大きく問題になるときに、その気に厚生大臣がなれば行管と話がつかないはずがない。まず指導、監査をやるためには、それに技官がいなければできないじゃないですか、各都道府県に。技官定数問題なんかひとつ、いまここで細かい資料を要求してやる時間がありませんがね、そういうような点についてあなたたちが去年の秋あれだけ問題になったときに、五十三年度については、せめてただいま技官についてはこれだけふやしたいのだ、支払基金の専任審査員はこういうふうにふやしたいのだと、こういう努力をされて、しかし、それが実らない場合もありますよ、それは。国家全体の定員の中で。そういうことの実績でもあれば私は努力されているということはわかるが、私は寡聞にしてそれを聞きません、寡聞にして。いま申し上げたようなそういう点はどうですか。
  77. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) おっしゃるとおりに、技官の増員は今度図られておりません。ただ先生も御承知だと思いますが、現在の定員で充足率がわずか七二%ちょっとということでございまして、なかなかその医師の充足はできない。本当の専門家の医師の充足はできない現状でございますから、したがって、充足率が七二%、七三%程度でいま増員をするということはとうていこれは意味がないわけでございますので、そういう事情等もあってなかなかこの問題思うように進みません。御了解をいただきたいと思います。
  78. 安恒良一

    安恒良一君 いや、充足率のことなんか知って聞いているのですよ。それでは答えにならないでしょう。それじゃなぜ充足できないか。そこを原因を解明をして、その努力をしなければだめじゃないですか、充足ができません、できませんと言っておったら。私は私なりに充足できない理由を知っています。それにはやはりその中身を改善をする努力をしなければ、いや、充足ができないから定員をふやせないという、そういう言い方はないじゃないですか。私も聞く以上、充足率がどうなっているかということは調べた上で聞いているのですよ、調べた上で。だから、いまの大臣の答弁は答弁にならないのですよ。定員の増なんかは考えられませんと、充足率の方が先だ。それならばなぜ七二%になっているか、それを解決するためにはこうしたいと、こういう大臣なり担当局長の前向きの答弁があれば私はわかる。実は七二%しか充足してないんだから、それにはこういう欠陥がある、だから一〇〇%充足するためにはこういうふうにしたいのだというあなたの御提起があれば、私は、それはそうですか、その実現にお互いに努力しましょうということになるわけですが、そういうことは何もないじゃないですか、あなた。
  79. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) 人事院と私ども今後も努力をしまして、給与の問題について、あるいは格づけの問題について努力を併行していきませんと、この充足率はなかなかいかぬと思いますので、この点おっしゃるとおりでございます。答えになっていないと言われればもう本当にそのとおりでございますが、私も今度の来年度の予算編成に当たりまして、これらの点についても十分関係方面と努力をし折衝をいたしまして、隘路の打開にできるだけ努力をしたいと考えます。
  80. 安恒良一

    安恒良一君 次に、この薬価調査の方法についても私たちは何回も何回も問題を提起をしています。やはり薬問題というのは、非常にこれは重要な問題、それから、いわゆるバルクラインの引き下げの問題等も含めて、何回も何回も皆さん方に問題を提起をしているんですが、いわゆる薬価調査のいまのやり方について、私たちはこういうふうに改正した方がいいじゃないかということを提起していますが、薬価調査の方法をどういうふうに改正をしていくのか。そのときの答弁としては、いろいろ御提起のあった点は検討さしてもらいたいと、こういうことになっているわけですね、去年の秋。その後薬価調査の、いわゆるどういうふうに調査方法を私たちの意見等を付しながら改善をしようとされているのか、そのことについてひとつ聞かしてください。
  81. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) 薬務局長がちょっと来ておりませんので、現在どういう検討段階か正確にはお答えできないと思いますけれども、いずれにいたしましても薬価基準の改正が終わりましたので、さらにその後の新薬等の登載も終わりましたので、しかるべき時期に、できるだけ早い時期に薬価調査を行わなければならないわけでございますけれども、御指摘にございました調査方法の内容等につきまして、従来の点にいろいろ問題があるのじゃないかということで、いろいろな方法について現在検討しているというふうに薬務局で承知しておりますけれども、まだ、保険局の方に相談する段階には至っておりません。
  82. 安恒良一

    安恒良一君 きのう質問取りには薬務局も見えておったじゃないですか。何で薬務局長は来てないの。私のところへ質問取りには薬務局の方も見えられていまして、私はきょうお聞きするのは、支払いいわゆる七団体が出した項目が一から七つまでありますと、こういう問題についても私はお聞きをしたいと、こういうことは質問取りにお見えになった方には通告をしておきましたが、何で薬務局長は来てないんですか。
  83. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) まことに申しわけありません。  私からお答えいたしますと、今度まあ自計、他計の調査、特に他計調査に力を入れたいと、それはいわば特別調査ということで実施をいたしたい。それと本調査につきまして、いま言った他計の調査の方にむしろウエートを置いていろんな方法を考えて実勢価格に近づける努力をしたいと。それからさらに、本調査後、経時変動調査をやりましてこれについての修正も考えていくというような、特別調査、本調査、経時変動調査というものを組み合わせまして、実効を上げていくようにいたしたいというのが私どもの結論でございます。
  84. 安恒良一

    安恒良一君 これから質問取りに来たところの局長が来てないようだったら、質問取りは断りますからね。そういうふうにひとつ覚えておいてください。私は、質問取りに来られて担当局長が出てこないようなところは、これからそういうところについては、私は質問取りには来てもらわぬで、ぶっつけ本番でやるようにしますから、そういう点はひとつあれをしておいていただきたい。いずれにしても、これは担当局長は来てないから、専門的にこれをやるのは無理だと思いますから、このことはきょう、いまはこのままにしておきましょう。いまはしておきます。  いずれにしても、私は大臣にあれをしておきたいことは、いま少しいわゆる医療費の適正化をやらなきゃならない、むだを排除しなきゃならない、こういう問題についてはひとつ前向きに、具体的に取り組んでもらいたい。そして、少なくとも制度の改正を出すときにはあわせてそのことを付して出してもらいたいと。   〔副主査退席、主査着席〕 何か制度改正論だけ出てくると、国会ではまたこの扱いが非常にむずかしくなりますから、ぜひとも医療費のいわゆるむだ遣いの問題、これはいろいろあります。中身をきょうわずか一時間足らずで全部やるわけにいきませんが、包括的に申し上げておきますが、そういう点についてはよろしゅうございますね。国会にお出しになるときには、それらの問題についても具体案を示して、そして国会の中で、まあそれは審議すべき事項とすべきでない事項もあると思います。しかし、こういうふうにしたいんだということについてはひとつ出していただきたいと思いますが、よろしゅうございますか、そこは。
  85. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) おっしゃるとおりだと思いますので、努力をいたして、必ず御期待に沿うような質疑応答ができますようにいたしたいと思います。
  86. 安恒良一

    安恒良一君 それからいま一つお聞きしたいんですが、やっぱり指導、監査の強化の意味で、余りにも目に余るものが具体的にある。そういうものを持ち込んだときには、直ちに指導に行っていただけますね。これは大阪で有名な、頭文字だけ言いますと、N、H、K病院という三つの病院。N、H、Kと言います。私はいまここに、あるのを持っています。一つの例をちょっと読み上げますと、本人は電話交換手である。右足が少し痛むということで事業所近くの〇〇病院に受診に行ったと。検査しなきゃならないということで、連日通院。多少投薬や注射を受けた記憶はあるが、ほとんどが検査が主であった。一週間で退院をした。病名が十七病名ついている。病名が十七もついている、十七。検査項目が物すごくあります。そういう具体的に、〇〇病院ということですが、あるわけなんで、こういうような問題がこれから必要なら、どんどんひとつ厚生省に持ち込もうと思いますが、持ち込んだ場合には、このいわゆる監査、こういうことはきちっとやっていただけますね。その点どうですか。
  87. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) 私ども御指摘いただいた問題等につきまして、十分相談いたしましてやってまいりたいと……
  88. 安恒良一

    安恒良一君 何……。
  89. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) 十分相談いたしましてやってまいりたいというふうに思っております。
  90. 安恒良一

    安恒良一君 だれと相談をするの。
  91. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) 都道府県の当然保険課がございますから、関係課と相談いたしましてやってまいりたいというふうに思っております。
  92. 安恒良一

    安恒良一君 私は大臣やはりだれが見ても目に余るということがあります、率直に言って。そういうものについては、ひとつびしびしやってもらわないと困ると思うんです。ですから、このことはぜひ、いま局長が答弁しましたが、ひとつあれをしておいて、お約束をしていただきたいと思います。  十二時から本会議が始まりますね。ですから、まだいいですか。
  93. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) まだいいです。十一時五十五分に予鈴が鳴ります。
  94. 安恒良一

    安恒良一君 それじゃ、ちょっと残るかもわかりませんから、残ったら後でまたやることにいたしまして、次は基準看護の問題であります。これはまあ広田委員も言いましたが、一月二十八日保険局長通達が出されました。いわゆる「今後は、指導を行ってもなお正当な理由なく患者の負担による付添看護が行われた場合は、基準看護の承認取消の措置を講ずる」と、こういう強い姿勢が示されたわけであります。  そこでお聞きをしたいのでありますが、基準看護病院でありながら、患者負担による付き添いを置かざるを得ない患者もしくはその保護者から厚生省に対して申し出があったときは、厚生省は一体どうするのか。職業付き添いに支払う金の肩がわりをするつもりがあるのかどうか。これは基準看護病院だと、にもかかわらずに、いわゆる有料の付き添いさんを置かなきゃならぬというふうに、そういうふうにしむけられた場合ですね。まあ片っ方は機関を取り消すと、こう言われているんですがね。それは取り消されたって患者の方は負担があるわけですから、そこでそういう場合は患者もしくは保護者から厚生省に申し出があった場合は、いわゆるどういう扱いをするのかと。これは、すでにあの通達が出ました後も、私たちの医療一一〇番のところに、せっかくああいう通達が出たけどという相談がいろいろあっています。このことについてお答えをしていただきたい。
  95. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) 基準看護制度につきましては、病状に応じて必要な看護は病院の責任で行うと、そのために診療報酬におきまして普通看護と違いまして基準看護加算という特別な加算が設けられているわけでございます。  そこで、先生から御指摘ございました先般の一月の二十八日に各県に出しました通達におきましても、「付添看護が病院の看護を代替し、又は看護力の補充として行われることのないよう」趣旨の徹底を図るということでございますので、病院の看護力の補充なり代替という意味におきます付き添いを強要するということがございますれば、基準看護というものについては取り消しも行いますし、そういうようなことを入院の際に要件にするとか、慫慂するということのないような指導ということを徹底して行いたいということでしているわけでございまして、病院に対しまして、もしそういうような形がございますれば、それは患者さんにその分を返していただくというような指導をするということだろうと思います。     —————————————
  96. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) この際、分科担当委員異動について御報告いたします。  広田幸一君が分科担当委員辞任され、その補欠として坂倉藤吾君が分科担当委員に選任されました。  午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時四十分再開することとし、休憩いたします。    午後零時一分休憩      —————・—————    午後一時四十四分開会
  97. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) ただいまから予算委員会第四分科会を再開いたします。  午前に引き続き、昭和五十三年度総予算中、厚生省所管を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  98. 安恒良一

    安恒良一君 午前の質問の途中で予鈴が鳴ったものですから、保険局長の答弁が正確に聞こえなかったんですけれども、私がお聞きしたことについては保険局長は、職業付き添いに支払う料金を私は肩がわりするのかと言ったことに対して、それはいわゆる病院に支払わさせるように指導します、こういうことでありまして、そういうふうに受け取っていいわけですか。
  99. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) 午前中も御答弁申し上げましたように、先般、一月二十八日の通達でもはっきり申し上げましたが、付き添い看護について基準看護病院では必要な加算というものを行っている、したがって、病院では看護力が足りない、そのためにその病院の行うべき看護を代替する、あるいは補充するという意味で患者に強要するというようなことがあった場合には、これはいけませんという指導をしたわけでございますし、特にその指導を行いましても十分でないという場合には、必要によっては取り消しも考えますということを言っているわけでございます。  先生からの御指摘は、その際に患者についてどうするかということでございますけれども、従来からも指導しているわけでございますが、そういうような病院の方が本来看護力が足りないために患者に付き添いを強制するという場合には、病院の方にそれは患者にその分は返してもらうというような指導をしておる、したがって、そういう場合には言ってくださいという指導をしているところでございます。
  100. 安恒良一

    安恒良一君 その分を返してもらうというのは、いわゆる付添料を返してもらうということでしょうね。基準看護料を返してもらうということじゃありませんね。
  101. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) そのとおりでございます。
  102. 安恒良一

    安恒良一君 ところで次に、三局長通達並びにいろんなことが出ていることを知っているんですが、しかし、私は幾ら通達を出しても現実にそれが行われなければ意味がないと思うんです。  そこで一、二点、大臣並びに局長にお聞きしたいんですが、この通達が出ましたら、いわゆる大阪府病院協会は従来どおりにやろうということを会員あてに二度も文書で出して、いま保険局長が言われたこの通達に反発をしている。さらに、日本病院協会は加盟病院からの問い合わせに、保険外負担をなくすことは現状では無理だと、言外に通達不履行を指導しています。こういうふうに、せっかく大臣がその気になって関係局長がきちっとした通達を出しておるにもかかわらず、明らかにそれに反発をするようなやり方について、大臣はどういうふうに指導をされるんですか。処置をされるんですか。いわゆるせっかく出したにもかかわらずに、一病院じゃなくて団体としてそういうことをやるということは間違い、もしもそういうことが間違いなら間違い、調査したなら調査した、調査した上にどういう指導をしたのか、そのことについてお答え願います。
  103. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) 先生御指摘のように、通達を出しました後、私どもはこの趣旨をさらに履行する、徹底するという意味で全国の課長会議を開きまして、各県にもこの線で指導を強化するようにということを通達したわけでございます。現実に各県が指導の段階になりまして、先生御指摘のような動きも一部にあったわけでございます。  そこで私どもといたしましては、一月二十八日に通達しました考え方というものは変わるものではないという指導を再度出しますとともに、私どもの段階におきましても、一つは今度の問題につきまして、特に差額ベッドの問題につきましてこの問題が出てきたわけでございますけれども、やはり保険外負担の問題で差額ベッドの問題が一番大きな問題になっておりますのは私立大学であるというようなことから、私立大学につきましては、私立大学の関係者に私どもの方に来てもらいまして協力方なりを要請したわけでございますし、それから大阪でそのような動きもございましたので、日本病院協会の幹部の方にも来ていただきまして、今回の中医協におきます診療報酬の引き上げの際の一つのこれは今度の改革の方向であるという趣旨も十分お話ししまして、これに協力をするように要請をしているところでございます。現在、各県でいろいろ話し合いのもとにこの指導が進んでいるというところでございます。
  104. 安恒良一

    安恒良一君 いま言われた点が差額ベッドが中心であることは事実ですが、実は私は大阪の阪大病院に実態調査に参りましたところ、阪大病院というのは、御承知のように基準看護を一回取り消されて最近改めて基準看護病院になった。ところが、行ってまいりますと、たとえば五百人ちょっとの入院の場合に、百人近くも付き添いさんがいるわけです。それでお聞きをしましたら、これは全部家族だと、こういうことになるわけですね。しかも、そのやり方として、入院をするときに入院患者全員に家族付き添い願い書というものを全部まず頭から配っちゃう、頭からですね。そして、私たちが調査に行くとこれは家族だと、こう言われるわけですね。そうしますと、私たちはまさかあなたは家族ですか、家族でないですかと聞くわけにいかないんですね。いわゆる阪大というのは、一遍患者の内部告発によって基準看護が取り消されたいわくつきの、しかも文部省管轄のいわゆる阪大ですから、こういうような問題点について私はいま少しきめ細かく実態を調べなきゃいかぬと思うんですよ。われわれが参りまして、いやこれは家族ですと言われればそれまでのことなんですがね。しかも入院をするときに、もう入院患者全員にいわゆる家族付き添い願い書を渡すなどというやり方に私は問題があると思いますが、大臣、そういう点はどういうふうに考えられ、またどのように指導されるんですか。
  105. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) 大阪大学の問題につきまして、先生御指摘のとおり、一遍基準看護の承認を受けておったわけでございますけれども、現実には基準看護の取り消しが行われ、昨年の十一月に再度承認になったということでございます。ただ、御指摘実態につきまして、全員に家族付添い……
  106. 安恒良一

    安恒良一君 全員とは言いませんよ。正確に、五百人の中で百人程度とちゃんと言っております。
  107. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) 私どもの調査でも入院患者数は五百七十九名でございますけれども、現在家族付き添いは九十名ということでございまして、家族の立場としてやはり付き添いたいというお気持ちもあろうと思いますし、患者の方も付き添ってもらいたいという気持ちもあろうと思いますので、これは看護力を補充するとか代替という意味ではなしの家族付き添いまで禁ずるということは、なかなかむずかしいのではないかというふうに考えます。ただ、一律に入院患者全員について家族付き添いをという形で付き添いを強要するということは、望ましいことではないというふうに考えます。
  108. 安恒良一

    安恒良一君 いや、私も希望についてそういうことを言っているわけじゃないんですよ。しかし、五人に約一人、しかも入院をするときに、いわゆる入院患者全員に対してもう家族付き添い願い書というものをまず配付をするなどというやり方についてどうですかと、こう聞いているんです。あなたの答えは全然ピントが外れている。私はそう聞いている。大臣、答えてください。
  109. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) お話を承りますと、何か付き添いをつけるのを全部家族だということにいわばカムフラージュするために全員からそういうものをあらかじめとっておくというようなことは、少しやはり行き過ぎているのじゃないかと思いますので、よく私どもも実態調査をいたしまして指導をいたします。  それと、この機会に申し上げておきたいのですが、いま私は保険当局に検討をさしておりますのは、付き添いというものが田舎の方でもどこでも大体一日数千円、大体六、七千円というようなことになっておるようでございまして、そういたしますと、一カ月入院した場合の入院の本当の医療費よりは付き添いの方が、七千円としますと二十一万円になるわけですから、かえって大変な負担になっておる。ところが、付き添いをぜひという方もあろう。先生なり私ども、もし自分の家族が入院した場合にはなかなか連絡もとれませんから、だれかつけておきたいということになるだろうと思うのでございますが、要するに見ておりますと、付き添いそのものが一日じゅうその患者に仕事があるかというと、そうじゃないわけでございます。本当はそういう身の回りの世話的な、生活の介護的なものはこれは一人で数人を受け持つこともできるのじゃなかろうか、だから何か保険の方でめんどうを見るような具体的な方法がないか、それによってこの保険外負担というものを保険の方である程度めんどうを見ていく方法はないかということを、いま検討を命じております。なかなか困難なようでございますが、できるだけそういう方向で保険外負担というものをひとつ解消に向かって考えさしていただく、病院にも自粛してもらう、両方の面でやっていきたい。  それから、差額ベッドの問題は、これは全体的には病院のわずかなパーセントしか実は収入を見ますとないのですが、都会の方では相当のこれがウエートになっておる病院がございます。これは保険だけで解決をするということがなかなかめんどうだろうと思うのです、相当りっぱな病院をつくるのに借金を抱えたりしでおりますから。そういう面をもう少し一般医務行政の面で、医療機関を扱う一般医療行政の面で、これの解消の方策にどういうことがあるかということを、できるだけひとつ来年度予算では検討してみたいと思っておるわけでございます。
  110. 安恒良一

    安恒良一君 もう私の持ち時間はあと二分しかありませんから、二つのことをお聞きしておきたいと思うのですが、やはり入院患者の中には常時一対一で観察及び介護をしなければならない患者がいると思うのです、率直なところ。ですから、いまのような特二類と、こういうようなこともありますが、そういう場合、一体どうすれば患者の負担による付き添い看護をなくすことができるのか、この点について御質問します。  続いて、二・八勤務は特類で辛うじて実施ができる。そこで、全国の全病院が特二類を採用したとすれば、あと何人看護職員が必要になるのか。また、その上で常時観察を必要とする患者がおよそその一割だ、入院患者の大体一割ぐらいいるわけですから、そうすれば、全国であと何人看護職員が要ることになるだろうか。これはやはり基準看護を完全にやっていく意味からもきわめて重要なことですから、この二つについて質問をします。
  111. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) まず、患者一人に対して一人の看護職員をつけるという場合でございますが、先進国の先例が非常に参考になるわけでございまして、病棟を重症病棟、中等症病棟、軽症病棟というふうに分けて看護職員を傾斜配分をする、また重症病棟の中に超重症というのが出てまいりますと、これがいわゆるICUとかCCUとかRCUという単位になってまいります。これも、やはり看護婦並びに看護助手の傾斜配分の一つのユニットではないかと思っております。  そこで、具体的に御質問のございました、結核も、精神も、らいも含めまして、全国の全病院が特二類をとると仮定いたしまして、医療施設や医療従事者の数がはっきりと確定しております五十一年末の時点で試算をいたしますと、三万七千人の看護職員が必要となります。これはしかし、いわゆる簡略化した一つのモデルに対する試みの試算でございます。また、一割の重症患者がいらっしゃいまして、その一人一人に病院勤務者以外の看護要員が夜間各一名ずつつくといたしまして、やはり五十一年末の時点で推計をいたしますと、約九万四千八百人が必要となりますし、一人の患者さんに交代で準夜、深夜というふうに二人の看護要員がつくといたしますれば、十八万九千六百人が必要となります。しかし、これもあくまでも一つの単純化したモデルの試みの試算でございます。
  112. 安恒良一

    安恒良一君 それじゃ、もう最後にいたします。  いま言われたように、外国のやつがモデルにこうなると言われているのですが、わが国の場合もやはりもう一対一ということでICU、CCUがあることは承知していますが、それだけでなくて、そういう重症病棟というのがあるわけですから、こういう問題についてはよそはこうやっているということよりも、わが国ではどうするかということを具体的にひとつ、きょうはもう時間がありませんから次に改めて聞きますので、御研究を願っておきたいと思います。  それから、これは厚生大臣のあれに入れておきたいと思いますが、五十一年度の厚生省の厚生科学研究補助金による調査で、東京及び近郊の地域地域医療の頂点を形成していると思われます規模も大きく重装の病院があります。その中で、十八カ所では入院患者の一一%にやはり付き添いがついている。これは私どもの調査でない。そういう状況がありますから、どうしてもやはりこういう一対一の看護が必要だという患者は一割近くあるわけですから、その問題を含めて基準看護のところをきちっとしないと、私は通達や通牒だけでは現実に解決しない。ですから、外国のやり方等も研究された中で、次回、いずれこういう問題について御質問しますから、そのときにはそういうことが御答弁が願えるようにお願いをしておきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  113. 渡部通子

    渡部通子君 それじゃ、医療保険の抜本改革について伺いたいんですが、最初に具体的なことから、分科会でもございますので、若干お伺いをいたします。  実は、細かいことのようでございますが、窓口における診療費の患者の支払い形態、これについてちょっと伺っておきたいと思います。  現在行われております病院、それから一般診療所、こういった支払い窓口での患者に対する支払いの形態というのはどういうふうに行われておりますでしょうか。
  114. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) 現在、医療保険につきましては、被用者保険の場合には本人は十割給付、初診時の一部負担金を除きまして十割給付。それから家族は七割給付ということでございますし、国保は七割給付。したがいまして、その一部負担金につきまして窓口でお支払いするということで、あとは支払基金の方から診療報酬として支給するということで、一部負担金について窓口で支払いをするということになっております。
  115. 渡部通子

    渡部通子君 七、三の割りになりますからどうしても端数が出ますね。保険の点数でいけば十円単位かもしれませんが、それを七、三に分けるとどうしても現実には端数が出てくる。この端数がどういうふうな取り扱いをされているかは御承知でございましょうか。
  116. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) 現実には一円単位まで計算して取るということでございます。
  117. 渡部通子

    渡部通子君 それが普通だと思うんですけれども、一円単位まできちっとして、一円以下は切り捨てるなり切り上げるということらしいんですけれども、一円まではきちっと請求をしてそれに支払うというのが普通の支払い形態ではないかと思うんですが、実際にはなかなかそう行われていないというのが実情のようでございます。やはり四捨五入をされているとか、あるいはもっと細かく二捨、それから三円以上七円までは五円にするとか、それ以上は十円に上げるとか、そういうことが窓口で行われているようでございますが、そういうものが具体的にあるとしたら、それは厚生省としてはどうお考えになりますか。
  118. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) 私ども一円単位ではっきり端数計算をしているというふうに考えられますが、東京都あたりで現実に調査しました場合でも、すべて一円単位で取り扱っているということでございますので、そういうような切り上げ切り捨てというような措置を行っている——日大の板橋病院がそういう例がございますので、こういう例がございました場合には十分取り扱いを直すような指導をいたしたいというふうに考えております。
  119. 渡部通子

    渡部通子君 私は、現実に支払いをした人から、大変お金に細かいお人でございまして銀行員でございますから、やはり端数が出てしかるべきなのに、いつも十円とか五円とかいうのはおかしいんではなかろうかという現実の問題がございました、問題点が。病院に聞いてみましたら、一円玉を扱うのは、窓口としてはスーパーと違うからめんどうくさい、こういうお話もございました。それから、現実にこちらで全部、数十カ所でございますが、電話を入れて調べてみましたらば、大体四捨五入をしているというのが半数ぐらい出てきたと思います。それから、高額の医療になりますと、大体これは四捨五入です。それから、先ほど申し上げましたように、七、三じゃなくて七円以上切り上げている、三円以下は切り捨てる、こういう細かいところもありました。それから、ひどいところでは一円以上全部切り上げる、こういうところも一カ所出てまいりまして、これはもう実に、病院に尋ねてみますと全部まちまちでございます。  私は、こういった問題を取り上げましたゆえんは、やはり三割自己負担に対して簡単に医療機関がこういうことを、端数を切り上げたり切り下げたりということをしていいのかどうか、こういうことでございます。こう考えてまいりますと、そうやってお金を集めておいて請求の方は一体どうなっているとお考えでございますか。
  120. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) 私ども、一円未満の端数の問題の場合には、それぞれの法律によりまして、国の場合には国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律、国以外の場合には小額通貨の整理及び支払金の端数計算に関する法律ということで、一円未満の処理につきましては四捨五入等の方法あると思いますけれども、一応一円以上になりますと、これは端数整理ということはないわけでございますので、私ども、もしそういうようなところがございますれば指導いたしたいというふうに思いますし、先生御指摘の請求の場合には、端数につきましても正確に計算して請求しているというふうに理解しております。
  121. 渡部通子

    渡部通子君 それが正確になっていないので私が実態を挙げて申し上げたわけですから、もしもそういうことが事実であるとすれば、実態調査をなさるなり、あるいは強力に指導をして、ただでも医療費がいまこれだけ問題になっているときでございますから、姿勢としても窓口がきちっとすべきではなかろうか、こう思います。私、実際、病院名挙げませんけれども、ここに全部電話で収録したものを持っております。現実に一つとしてきちっと支払っているところはありませんでした。小額についてはやっておりますというようなところもありましたけれども、高額、四けたになりますとほとんどこれは四捨五入をしている。先ほど申し上げたように、ひどいところでは一円から全部切り上げているというところも現実にありました。これは窓口の話です。ですから、こういったことは何とか強力に指導していただきたいというのがあれです。私は、やっぱり病院数で数えてみまして、一日三十人診療受けるとして、あるいは五十人受けるとしてというふうに、こう勘定してみました。四円以下を切り捨てるとしても五円以上を切り上げる、こう考えた場合に、やはりこれは不正徴収になるんではないか、こう思います。それで、やっぱり一万軒の病院がそういうことをやっているとなると、年間にしますとその誤差というのは億単位で出てくるわけです。やはり医療費にとって小さな問題ではないと思います。十兆円医療などといって大変激しいときでございますから、そういうことに対して、ひとつどういう処置をおとりになるか、これは厚生大臣から御見解を承りたいと思います、患者は知らないで払っておりますから。
  122. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) 早速正しい方法に戻すように指導をいたします。
  123. 渡部通子

    渡部通子君 ぜひお願いをしたいと思います。  続いて、ホームヘルパーの問題について伺いたいと思います。  三十八年に老人福祉法が制定されまして在宅老人の世話を担当する家庭奉仕員の制度、これができたわけでございますが、現状はどうなっておりますでしょうか。身分と給与、それから勤務条件、こういった実情をちょっとかいつまんで教えていただきたいと思います。
  124. 上村一

    政府委員上村一君) まず、ホームヘルパーの数でございますが、昭和五十二年度一万二千六百二十名でございます。五十三年度は増員を予定いたしますので、合計いたしますと一万二千九百二十人配置されることになるわけでございます。  それで、身分は、まず常勤と非常勤に分けますと、常勤が九一%、それから非常勤が九%になるわけでございます。  それから、ホームヘルパーが所属する場所でございますけれども、これは市町村社会福祉協議会の両方があるわけでございますが、市町村の方が六四・五%、それから社会福祉協議会の方が三五・三%ということになるわけでございます。  給与でございますけれども、国の補助の単位は昭和五十二年度八万四千五百円でございますが、五十三年度の予算案におきましては九万五百円に増額する予定にいたしております。
  125. 渡部通子

    渡部通子君 奉仕員の仕事についてのアンケート調査というのを私拝見いたしました。これは老人福祉開発センターというところで出しているんですけれども。働いている人は意外と使命感というか、社会のお役に立つというようなことで動機としては働き出しているということがよく出ているんですけれども、働き始めて一年たちますとやめたくなると、こういう結果のように私は見受けます。その原因が、一年たつとやめたいと思うという人がやはり四二・二%に及んでいるわけです。働き始めるときには社会福祉志向型といいますか、社会的に意義があるとか、老人に関心があったとかというところで働き始めている人が半分いるんですけれども、働き始めて一年たつとやめたいというのが四二%出てくる。その原因が、身分が不安定であるというのが圧倒的なようでございます。それからその次に収入が少ないと、こういうことが出ているようでございまして、何とかもう少し身分の保障と、それから収入を上げてもらえないかというのが現場の声でもあるし、私たちも本当にそれは大事な問題だと思います。そういうことで、せめて給与を特養の老人ホームの寮母さん並みにでも上げてもらうことができなかろうか。お願いを含めた質問でございますが、いかがでしょうか。
  126. 上村一

    政府委員上村一君) 私ども家庭奉仕員にお願いいたします場合の要件といたしまして、心身ともに健全であるということ、それから老人福祉に関して理解と熱意があるということ、それから家事なり介護の経験なり相談、助言の能力を有する方をお願い申し上げるよう市町村に指導しておるわけでございます。  そこで、いま御指摘になりましたような、仕事をやめたいと思われる理由の中に収入の問題とか身分の問題等々あるわけでございますが、身分の問題といいますのは、さっき実態について御説明申し上げましたときに触れましたけれども、常勤と非常勤の問題と、それから市町村職員社会福祉協議会職員と二つあるわけでございます。  まず、基本的な考え方といたしましては、こういった家庭奉仕員のような在宅老人対策、これは重要な仕事でございますけれども、これはやはり原則として市町村事業としてやってもらいたい。しかしながら、地域によりますと、社会福祉協議会の活動というのが相当、何といいますか、その地区に密着して行われておるような場合には、むしろ社会福祉法人である社会福祉協議会に委託をする方が好ましい場合も出てまいるんじゃないか。むしろ、社会福祉協議会で採用された場合に、そこでの地位の安定を図るというふうなことも考えられるんじゃないかというふうに思うわけでございます。  それから、勤務形態でございますけれども、さっき申し上げましたように、その事業の実施主体である市町村が、仕事実態から判断をして常勤がいいか非常勤がいいか決められるのが第一義的な問題だと思うわけでございますけれども、われわれといたしましては、従来から原則として常勤にするように指導しておるわけでございます。  それから給与につきましては、さっき申し上げましたように、五十三年度の予算案では七・一%増額するほかに、新たに月額一千円の活動費を創設することによりましてその処遇の改善を図ってまいっておるわけでございますが、特別養護老人ホームなりあるいは養護老人ホームの寮母並みというふうなことになりますと、勤務形態等に相当差があるわけでございます。したがいまして、そのままというわけにはまいりませんけれども、先ほど申し上げましたように、そして従来もやっておるわけでございますけれども、処遇の改善につきましては今後も努力をしたいというふうに考えるわけでございます。
  127. 渡部通子

    渡部通子君 手当になってくるとこれは確かに寮母さんあたりとは格段の差が出てくるわけでございます。この月額千円というのも非常にこれはやはり低額でございまして、それならばこの月額千円というのをもう少しアップしていただけないか、この点いかがでしょうか。
  128. 上村一

    政府委員上村一君) 五十三年度新たに計上したのがこの活動費でございまして、今後の課題として私ども真剣に取り組ましていただきたいというふうに思います。
  129. 渡部通子

    渡部通子君 コミュニティーケアが非常に大事な時代に入っておりますし、こうした社会福祉に従事する職員の身分法のようなもの、こういったものを制定するようなお考えなりプログラム等がおありでしたらひとつ示してください。
  130. 上村一

    政府委員上村一君) こういった社会福祉仕事に従事する人々の身分法をどうするかというのは、これは非常に複雑な問題であるわけでございます。普通いわゆる身分法というものを考えます場合には、特定の学歴あるいは一定の資格試験、そういうものを要求し、それからある職種につきましては、たとえば看護婦等がそうでございますけれども、資格のない人は従事してはいけないというふうな、いわゆる業務独占の規定を入れるのが多くの身分法にあるタイプであるわけでございます。  それで、社会福祉施設に従事します職員の中にはきわめて専門的な知識、技能を要求するものがあるわけでございますから、そういう場合には一つの検討課題になると思うんでございますけれども、家庭奉仕員の場合、仕事そのものは在宅老人のためにきわめて重要な役割りを果たすわけでございますけれども、その仕事の内容というのは、具体的には食事の世話でございますとか、あるいは衣類の洗たく、補修でございますとか、あるいは住居等の掃除、身の回りの世話、あるいは生活必需品の買い物、その他いろいろあるわけでございますけれども、普通やり得る仕事でございまして、一定の資格が特に必要であるとかなんとかということはなかなかなじまない。むしろ広く老人福祉に熱意のある方を奉仕員としてお願い申し上げる方がより広い範囲で、何と申しますか、適当な方が得られることになるんじゃなかろうかというふうに思うわけでございます。
  131. 渡部通子

    渡部通子君 その資質の向上ということは私は非常に大事だと思いますよ。というのは、だれでもやり得る仕事だと言っちゃえばそうですけれども、一番大変な仕事なんです。これは並み大低で続く仕事ではなくて、むしろこういう種類の仕事こそ資質というものをきちっと高めるという方向に国が配慮をいたしませんとこれは長続きするもんじゃないんです。私も一日ホームヘルパーというのをやってみましたけれども、あれは全く大変なもので、こんなもの一年じゅう続けているとしたらやっぱり夢も希望もなくなってしまうんではないかというくらい重労働でございます。だから、むしろそういう仕事を、まあ福祉仕事をやっぱり下から底上げをしていくという方向へ考えていかなきゃならないと思いますので、むしろこういうことこそ資質の向上ということに力を入れていくことの方が、将来こういう仕事を伸ばしていく上に長い目で見た場合には大事なことではなかろうかしら。これは私の意見でございますので、それもひとつおくみ取りいただいて、手厚い手当てをお願いをしたいと思うんです。  それに関連してですけれども、岡山県で奉仕員の活動省力化事業というのをやっているようでございます。これは私は活字の上で見ただけでございますけれども、軽自動車とかバイクとか自転車、洗たく機、掃除機、こういったものはわずかな予算でできることで、こういったものを備えることにおいて非常に省力化、肉体的に楽になっていると、こういう話は御存じでございますか。
  132. 上村一

    政府委員上村一君) その前に、ちょっと私舌足らずでございましたので釈明させていただきますが、だれでもやれる仕事だというふうなことで軽く見たつもりは毛頭ございません。ただ、身分法には非常になじみにくい職種ではないかと。むしろ何と申しますか、ホームヘルパーにつきまして、厚生省でも年に二回研修会をやっておるわけでございますし、それから各県にお願いいたしまして、初任者を対象にした研修をやることによりまして、家庭奉仕員自身のレベルアップというものにつきましてはこれまでも努力してまいりましたし、これからも努力をしてまいりたいというふうに考えるわけでございます。  それから、岡山県では岡山県独自の地域福祉対策メニュー事業というのをやっておられまして、その中で車なりオートバイなり、あるいは洗濯機なり、あるいは肩から担ぐ掃除機といったものをホームヘルパーの省力化のために助成をしておるという事実は承知しております。
  133. 渡部通子

    渡部通子君 これ、いいことであれば全国へも指導なり波及をさせていただきたいんですが、兵庫県あたりでも現場からはこれをやりたいという希望は数年続いておりましても、なかなかそれが実現しないという実情にございます。ですから、この省力化事業における好例という点で国がむしろ徹底をさして——徹底というか周知をさせていただけたらと、これは希望として申し述べておく次第なんです。  それから、さっきの資質の向上の問題とつながってまいりますけれども、家庭奉仕員の技術なり、あるいは必要な知識とか情報を交換する場とか、そういったものが非常に必要ではないか。これは現場の方たちとお話しをしておりまして、非常にこつこつとじみちに一人でやっている仕事でございます。それから、医学知識の本当の簡単な看護知識がなかったために失敗をした例等もございますし、それから一人で黙々毎日肉体労働やっているということについては、やはり精神的にも非常にさびしいものがある。そういった意味で何らかの張り合いを持たせるためにも、情報を交換するためにも研修会などのようなことを少し督励をしていただけないかと思うんですが、この点いかがでございましょうか。どうなっておりましょうか。
  134. 上村一

    政府委員上村一君) 先ほども少し触れましたんでございますけれども、一つは各県の中核になる家庭奉仕員、まあ家庭奉仕員のリーダー格の方に年二回、それぞれ五日間でございますけれども、東京においでいただきまして、それで研修会をやっておるわけでございます。その研修会は老人の心理の問題でございますとか、あるいは食物なり栄養に関する知識でございますとか、あるいは介護の実習等々、相当広い範囲を掘り下げてやり、そうしてその研修を受けたリーダー格の家庭奉仕員というのは各県に帰りまして伝達して講習をすると。それともう一つは、初任者につきまして、老人の栄養とかあるいはケースワークを中心に初任者研修というのを各都道府県でやっておるわけでございます。
  135. 渡部通子

    渡部通子君 中央ではそういう認識かもしれませんが、たとえば兵庫県の尼崎、ここでは福祉事務所六支所を抱えておりまして三十五名の奉仕員がいるわけですけれども、やはり年一回の県の研修には三名から五名ぐらいしかずっと出ていないというのが実情なんです。やはりこれは日がないということと、それから交通費が出ないというようなこともございまして、それしか参加できないというのが実情で、実際十年間のうちで研修を受けたことがないなどというのはたくさんいますし、それから最初の初任者研修、こういった採用後の研修も、そんなの知らずに仕事に入ってしまっているということが実情でございました。こういう状況に対して、地方自治体がやることかもしれませんけれども、厚生省としては実態を把握して、せめて年一回の研修ぐらいはだれでも参加できるように、それから仕事に入る前の研修はすべて受けられるように、こういった方向で努力をしていただきたいと思いますが、その点いかがでしょうか。
  136. 上村一

    政府委員上村一君) さっきも申し上げましたように、国自身も研修をやっておるわけでございますし、それから自治体自身も独自で研修をやっておられる。何分相当な数の方でございますから、すべての人が年一回というのはなかなかむずかしいというふうに思うわけでございますけれども、初任者は初任者なりに、ベテランはベテランなりに、できる限り研修の機会をふやすように国なり自治体でお互いに力を出し合ってやってまいりたいというふうに思うわけでございます。
  137. 渡部通子

    渡部通子君 大臣から一言ちょっと御決意のほどを伺いたいんですけれども、これはこれから非常に地域福祉という問題を考えていく上において、私はやっぱり在宅の問題これは非常にこれからウエートが大きくなってまいると思います。そうしたらやはりそこに働く人たちの問題、特にほとんど女性というような形でやらざるを得ない状況にありますから、そういった意味でもこの辺をひとつ特段の御配慮をお願いしたいと思います。
  138. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) おっしゃるように、中央で研修をやるのは指導者講習でいいと思いますが、地方に私どもただ指導するだけでなくて、何かひとつ助成の道等を検討してみまして、地方地方でそれぞれひとつ集まってお互いの苦労話から始まって、いろいろやり方等をやるような——大変いいことだと思っておりますので、私も検討してみます。
  139. 渡部通子

    渡部通子君 ちょっと話変わりますが、牛乳のことについてひとつお伺いをしておきたいと思います。  これは農林省の方もおいでいただいておりますが、いま牛乳にはどんな種類がございますでしょうか。
  140. 山中和

    政府委員山中和君) 牛乳には、まず生乳というのがあります。生のお乳です。それから一般に市販されている牛乳と、そのほかの脂肪を牛乳から取りました脱脂乳、それから生乳、牛乳あるいは乳製品——バター、チーズです。そういうものから還元してつくりました加工乳、それから濃縮された濃縮乳、そのほかいろいろ果汁とかあるいはコーヒーとかを入れたコーヒー牛乳というような乳飲料という、大体そういうものがございます。
  141. 渡部通子

    渡部通子君 乳飲料は別になりますけれども、栄養源として牛乳を考えた場合の重要度について一言説明してください。
  142. 山中和

    政府委員山中和君) 栄養という問題から申しますと、牛乳は非常に理想的な食品だと考えております。牛乳の消費を図ることは即国民栄養に非常に結構なことだと、そう考えております。それには牛乳、脱脂乳、加工乳等のこの分けがあると思います。
  143. 渡部通子

    渡部通子君 日本のいまの消費量というのは大体適当なのか、少ないのか多いのか、それからもし少ないと言うならば、拡大のためにどんな努力をなすっていらっしゃるでしょうか。
  144. 中島圭一

    説明員(中島圭一君) わが国の飲用牛乳の消費量は五十一年度におきましては三百三十五万キロリットルでございます。五十二年度はまだ年度途中でございますが、四月から二月までで合計三百二十五万キロリットルということでございまして、今年度四月から二月までの対前年伸び率は。
  145. 渡部通子

    渡部通子君 細かくは結構です。
  146. 中島圭一

    説明員(中島圭一君) 五・六%ということで、比較的順調に伸びておるというふうに考えております。
  147. 渡部通子

    渡部通子君 いや、伸びでなくて、消費量としてては少ないと思っているか多いと思っているかということを伺っています。
  148. 中島圭一

    説明員(中島圭一君) 国民一人当たり年間の消費量にいたしますと、現在二百ccのびんの牛乳に換算いたしますと大体二日半に一本程度でございます。まだまだ諸外国から比べますと水準としては低いというふうに考えております。
  149. 渡部通子

    渡部通子君 もう一つ質問あったんですけれども、消費拡大のために何か努めていらっしゃいますか。
  150. 中島圭一

    説明員(中島圭一君) 飲用牛乳の消費につきましては、私どもも酪農の安定的な発展という観点からも、また国民の健康の向上という点からも非常に重要なことであるというふうに考えておりまして、政策的な需要拡大の方途といたしましては、従来から学校給食の牛乳供給事業に助成をいたしております。年間の予算額百七十五億円ばかりを使っておるところでございます。大体、学校給食の普及率は九〇%を超えておりまして、かなりの程度まで普及をしておるところでございますが、なお、土曜日給食とかあるいは夏休み等の臨海、林間学校等におきます牛乳供給、それから調理用途への牛乳の使用の促進というようなことを指導しておりまして、学校給食の一層の拡充を図っているところでございます。  それから五十三年度におきましては、生産者、乳業者あるいは販売業界等におきまして、牛乳の消費の拡大を図ろうという機運も出てまいっております。国といたしましても、このような機運をさらに助長し発展させていこうということで、一般会計と畜産振興事業団の助成を合わせまして二億五千万の予算を計上しております。これに民間からの金を合わせまして、来年度は飲用牛乳の消費拡大を積極的に展開してまいりたいというふうに考えております。
  151. 渡部通子

    渡部通子君 それはどしどしお願いしたいこととして、先ほど説明にもございましたように、牛乳は大変な栄養源としてこれから貴重なものだと思います。良質なたん白とカルシウム、ビタミン等があるわけでして、病人とか子供にとっては主食になるわけですから、非常に人体にも摂取がされやすいということで、私はもう少し国としても振興策を考えていい食品だと思っております。  先ほど御説明いただいたように、日本人の消費量は二日半に一本というんですから、非常にまだ少ないんではないか、こういう状況の中から、きょう脂肪の低い低脂肪牛乳ということについての御見解を承っておきたいと思うんです。  いま肥満ということが非常に心配をされております。ここでは委員長も大臣もその御心配の全然ないようなお方ですからぴんとこないと思いますけれども、大体成人に達すると肥満を心配するというのが、いまは幼児のころから肥満児がふえてきたというような中で、そういう中で牛乳の消費量を伸ばしたいという、こういうことになりますと、やはり低脂肪牛乳というのがここへ登場するのは私は当然だと思うんです。栄養価としては十分あって、しかもカロリーを抑えてあるというんですから、肥満を心配する人たち、そして栄養をとりたいという人たちにとっては、私は最高の食品だろうと思うんです。ですから、最近町にローファットという形で低脂肪牛乳というのが出回ってきたというのは、これは時代の必然ではなかろうかと、こう思っておりますが、このローファットミルクというものがいま日本ではどのくらい出ておるか、あるいは諸外国と比べてどのくらいの比較になるか、大ざっぱで結構です。
  152. 中島圭一

    説明員(中島圭一君) ローファットミルクにつきましては、一昨年の秋ごろからわが国におきましても製造、販売が始まりまして、現在約三十社によって製造、販売が行われているところでございますが、月産で千五百キロリットル程度でございます。したがいまして、年間で一万八千キロリットルぐらいであります。これはわが国の飲用牛乳の消費量と対比いたしますと〇・五%程度に相当いたします。それから、諸外国のやつは必ずしもデータが正確でないかもしれませんが、アメリカにおきましては飲用牛乳の一六%程度、EC諸国では一四%程度というふうに承知しております。
  153. 渡部通子

    渡部通子君 わかりました。カナダあたりではもう少しいっていると思いますけれどもね、いずれにしても日本よりはかなり進んで飲まれているという状況だと思います。  で、ローファットミルクは法規的にはどういう位置づけになっておりますか。これは厚生省ですか。
  154. 山中和

    政府委員山中和君) 先ほどまあ飲料の牛乳の幾らかの種類を申し上げましたが、現在、いま御質問のローファットは牛乳あるいは加工乳からの脂肪分を少なくしたものと、こう考えられますが、まず生乳から脂肪分の一部を取るということは、現在脱脂乳として、つまりその生乳から脂肪分を取ったものが脱脂乳であると。それで一部取っても一応脱脂乳とは定義上は読めるわけです。が、脱脂乳としてローファットは流通しているというのが一つございます。  それからもう一つは、生乳からはつくらないで、粉乳とか先ほど申し上げましたいろいろな乳製品から還元してつくる、これは加工乳になります。加工乳で脂肪分が少ないというものがございますが、加工乳で脂肪分が少ないと、これは加工乳の成分は牛乳と同じでなければいけないという規則がございまして、したがいまして、これは加工乳の内容の違うものということになりますので、その場合には乳飲料という取り扱いを現在はしております。
  155. 渡部通子

    渡部通子君 その辺が法的にまだ位置づけができてないというところに問題があるように思います。加工乳も牛乳の範囲で、脱脂乳もいわゆる乳という範囲であるならば、当然加工乳であろうと生乳からつくられようと低脂肪の牛乳——ローファットも乳という分類の中に入るのが私は当然じゃなかろうかなと思うんですけれども、やはり欧米諸国でも半脱脂乳、部分脱脂乳としての成分規定ができているわけでございますね。ですから、日本も当然これだけニーズが高まってきたところですから、加工乳としてでも、あるいは牛乳としてでも成分規定というものがローファットにも与えられていいんじゃないかと思いますが、その点の検討はなされておりますでしょうか。
  156. 山中和

    政府委員山中和君) ただいま農林省の方から三十社ばかりローファットを出しているメーカーがあると、こういうお話でございましたが、その中であるメーカー、一メーカーは、生乳から脂肪分を取りまして、それで脂肪分を少なくしてローファットミルクと、こういう形で市場に出ておるわけです。この場合は、全くこのローファットミルク、まあ低脂肪乳という定義を省令なり何なりの中でうたうことは非常に簡単にできると思います。  で、少し問題点をちょっと御説明しますが、したがいましていま問題になるのは、先ほど申し上げました乳製品や何かを還元してつくった低脂肪乳でございます。これは、この牛乳の問題につきまして、過去にも四十七年に衆議院の社会労働委員会の決議もございます。それから生乳の生産者団体の生乳の消費量拡大の運動もこれにかかわっております。そういうことで、いまのローファットというものは何を原料としてつくるかというところに酪農行政との非常なかかわり合いがあるわけでございます。したがいまして、これは厚生省としましては、酪農行政を預かる農林省と十分協議をしなければならないという問題がございます。ちなみに、現在も生産者団体側それからメーカー側からのそれぞれ相反した意見が出されておりまして、このコンセンサスを得る必要があると思います。そういう前段がございますので、実は来月早々から農林省とこの点につきまして種々お話し合いをしたいと、こう考えております。
  157. 渡部通子

    渡部通子君 農林省の方へやはり大変気をもんでいらっしゃるような御答弁です。来月早々からお話し合いをしたいとおっしゃっておりますので、ひとつ農林省前向きにこれ検討していただけますか。
  158. 中島圭一

    説明員(中島圭一君) ローファットミルクにつきましては、ただいま厚生省の方からお話がありましたように、生産者団体それからメーカーとの間におきまして種々意見の対立があるところでございます。一方におきまして消費の多様化の要請にこたえながら、ローファットミルクというものが牛乳全体の消費の拡大に役立つのではないかという議論がありますし、他方、生産者団体の方におきましては、牛乳というものは生の乳を使ったフレッシュな牛乳でなければいけないということから、乳等省令上牛乳に位置づけることについては加工乳の生産を助長するのではないかということで反対であるという立場を表明しているところでございます。私どもといたしましては、ローファットミルクというものが確かに消費者のニーズにマッチした形で消費の拡大に役に立つであろうということは評価しているところでございますが、そういうメリットをできる限り伸ばしつつ、他方におきまして、市乳化の促進の阻害になる、そういう議論もあるところでございますので、そういうデメリットをできる限り少なくするという立場でこの問題を考えたいというふうに考えておりまして、このために関係者間で意見の非常な対立がございますので、これらの関係者間のコンセンサスをできる限り醸成するように努めているところでございます。最近におきましては、生産者団体と乳業者の間におきまして牛乳の商品の多様化の問題につきまして相互理解を深めるために話し合うという合意もできておりますので、私どもといたしましても、こういう機運の中でできる限り関係者間のコンセンサスをつくり上げるように努力をいたしたいというふうに考えております。
  159. 渡部通子

    渡部通子君 どうせデメリットもあればメリットもあるんですから、もともと前提で伺ったように、消費が少な過ぎるんですからね。だから、かなり拡大策をとっていただかなければならないし、多様化にこたえての商品選択のたくさんあるということは非常に結構なことだと思いますから、そういう将来性というものを考えた場合に、やはりメリットの方を伸ばせるような形でぜひとも厚生省との間に詰めを持っていただきたいと思います。  ローファットで、私は本当に店頭で見て矛盾だと思うのですけれども、ミルクという表示ができないわけですよ、この乳等省令にひっかかっていて。明らかに中はミルクなんです。しかも栄養は、カルシウムとかビタミンとかたん白質はもうりっぱなもんです。それで、脂肪を消費者の要望にこたえて少なくしてあるりっぱなミルクです。しかし、それがローファットとしか、消費者から見りゃ何だろう、これはお乳だろうかどうかということですよ。しかもその乳等省令にひっかかるから色づけなければいけない。いけないとは書いてないけれども、牛乳と区別しろと書いてあるわけでしょう。そうしますと、仕方なしに黄色っぽくしてあるわけです。しかもそれが紙容器に入っていれば色なんか見えやしないです、買う人にとって。こんなばかげた矛盾があるものかと、私は店頭でいつもそう思います。私も太り過ぎを心配している人抱えているものですから、それはやっぱり牛乳はなるべく低脂肪がほしい。脱脂乳じゃまずいです。ですから低脂肪牛乳であれば味は変わらないんです。それが色がついていて、しかもミルクと表示ができないで、しかも紙容器で売られている。お値段は多少お安いんです。脂肪が高いですから、それを低くしてありますのでお安い。こうなってくれば、早々に行政としては対応して乳等省令を改正するなり、あるいは低脂肪の加工乳の規格をおつくりになればいいと思うんですよ。そうやって現在の実態に対応する法規改正をお願いしたい、こう思うわけなんです。どうですか、低脂肪の加工乳の規格をつくること、それから、乳飲料の表示もこれは間違っていると思いますから、これを何とかミルクという牛乳の一種としての表示に変えられるように、こういう法規改正に努力していただけますでしょうか。
  160. 山中和

    政府委員山中和君) 先ほど申し上げましたが、そういう農林省との間の問題がございますので、その辺は十分農林省と真剣に検討したい。それで、両方のコンセンサスを得た形のものを、現在実際には流通しておるわけですから、そういうことの矛盾のないような方策を見つけていきたい、こう思っております。
  161. 渡部通子

    渡部通子君 ぜひそれはよろしくお願いをしたいと思います。また、時が来たら御質問させていただいて、その詰めがどうなっていったかということについては見守らせていただきたいと思っております。  若干、医療保険の抜本改革について御意見を伺います。  昨年の十一月二十二日、参議院社会労働委員会に示されました今後の抜本的改革、そのうち六項目ほどは五十三年の立法と五十四年からの実施、これを約束していらっしゃると思いますが、具体的作業はどのようにお進みでしょうか。
  162. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) 私ども衆参両院の社労委員会で十四項目の提示をいたしまして、これをできるものからやっていこう、そのうち一部は五十三年度、それからなお五十三年度検討、それから実施というふうに、あるいは五十四年度以降というようなことを申し上げておるわけでございまして、あの中で、少なくとも、給付の平等化と負担の公平化、それから診療報酬のいろいろ合理化につながる改正については今度はぜひやりたいというので、審議会の御理解を得て来月には何とか御提案を申し上げたいと思っていま考えておる、準備をしているところでございます。
  163. 渡部通子

    渡部通子君 来月にはといいますと五月でございますね。
  164. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) 四月……
  165. 渡部通子

    渡部通子君 一部新聞等においては、四月中は無理ではないかというような報道がありましたけれども、厚生大臣、再三のお約束で四月中という仰せでございますが、それは大丈夫でございますか。
  166. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) 中身を近く決定をいたしますが、中身によっては相当議論があるんじゃないかという気もいたしますので、審議会の先生方の御理解をいただいて、できるだけ精力的に御審議をいただければ四月には私提案が可能じゃないかと思っております。できるだけ早くいたしたいと思います。
  167. 渡部通子

    渡部通子君 どうも厚生省の動き並びに大臣の折衝の模様を見ておりますと、密室的な感じを持たざるを得ないというのが一般の印象だと思います。  大体、三月三日に示された医療保険改革要綱案、これ自体、一部新聞のすっぱ抜きで知られたのだと思うのですが、これは厚生省御自身が自信を持って公表したものではないんですね。
  168. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) 一回目出ましたのは、読売新聞の大きな記事が出たわけでございます。あれは、実は私は将来の理想像というものはあんなものじゃないのでございまして、私はやっぱり将来の理想像としては、一億一千万の国民が本当に所得に応じて保険料を払い、みんな平等の給付を受けるというのが理想だと私考えております。失礼でございますが、渡部先生所属の公明党の方では、トータルプランでやはりそういうお考えを持っておられるように私ども勉強さしていただいたわけでございますけれども、やっぱりだれが考えましても、国民は皆平等に能力に応じて負担をして、保険というものは平等の給付を受けるということを望んでおられるんじゃないかと思うのでございます。ただ、現在御承知のように八種類もございまして、公務員だとか三公社五現業、あるいは学校の職員、農林関係皆さん、それから健保組合、国保、こういうふうに分かれておりますので、一遍にはなかなかできませんが、そこに至る一つの段階の道として、中期的な展望といいますか、そういう意味では国保のグループ、それから被保険者全体のグループの調整と、それから老人保険を別建てに考えていくということを実は一つ考え方として、あれはごく、団体や皆さんの意見なんかも聞かないで、実は事務当局の案について私はいろいろ筆を入れたものが一時ございまして、それが実はどういうわけかわかりませんが、新聞に発表をしたわけではありませんけれども、いわばどっかその書類が漏れたのだろうと思うんですけれども、漏れたのかどうなったのかわかりませんが出たと、こういういきさつでございます。
  169. 渡部通子

    渡部通子君 だから、その辺が国民としてはさっぱりしないんですよ、密室的だって最初申し上げましたけれども。だから医療問題の中身、抜本改正の中身も大事ですけれども、そのプロセスがどうも納得がいかないという印象がいままで強いわけです。その後、いまもどういうわけだか漏れたというような大臣の失敗ですよね。その後でも関係機関の折衝ですか、それから厚生大臣の動きそれ自体も、新聞で拝見をしておりますと、一部与党の関係機関の幹部との折衝に終始してきたような感じを受けます。いつの間にか与党の一任を取りつけたと思ったら、今度は武見医師会長のところの個別折衝、個別折衝と言ってしまえば体裁いいですけれども、やはり大臣が武見参りをしているなどというようなこともちらほら聞くわけです。こういうことを重ねていくという態度は国民を納得をさせないし、また、法律でちゃんと諮問、答申が前提とされる諮問機関というものがあるんですから、それを軽視しているという態度にはならないか。それぞれの諮問機関には診療者側の代表も入っていますし、その場で十分論議すべきではなかろうかと私は思います。厚生省が諮問案を作成する段階で診療側とのみ意見調整を進めるのは公平を欠くのではないかという、こういう一般の疑惑に対して大臣はどうお答えになりますか。
  170. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) 私は、先ほど安恒委員に申し上げたんですけれども、私は厚生省として診療担当者側とだけいろいろ意見を聞いておりません。これはもう被保険者団体の皆さん、日経連にも局長が参りましたし、それから保険組合の方とは私は二回もお会いしておりますし、さらに労働団体の皆さんと、それから公益委員の皆さん方と。  やっぱり案を、これこそ先生のおっしゃるように、そういうことをしないで自分たちだけが考えた案をいきなり審議会にぶつけるということも一つの方法だとは思いますが、なるべく案をつくる場合に独善に陥らぬようにいろんな人の意見を聞いてつくる、それを審議会に御提案申し上げると、こういうことの方がよりいいんじゃないかというので、従来ともそうしてまいりましたものですから、私と武見さんと会うと——健保組合の方方が四、五人だったと思いますが、いろいろ一時間半も討議したときには全然新聞に書いてくれないものですから、武見さんと会うと何か新聞記事にしますので、いかにも私がただ武見とだけ会ってほかの人は全然会わないと、こういう印象をおとりになるのかもしれませんけれども、先ほどもお答えしましたように、私も明日は春闘共闘委の代表の、したがって総評の幹部の皆さんともお会いいたしますし、決してそういう態度でございませんで、各界の意見を聞いてできるだけ早く提案を申し上げたいという、そして審議会では当然これは公の場で審議をしていただくわけでございますから、これはもう非公開でも何でもありませんから、審議会として開くときには公開でございますので、どうぞひとつ御了解を得たいと思います。
  171. 渡部通子

    渡部通子君 中身若干伺わせていただきます。  給付の問題ですが、通院本人の場合、現在の十割給付が七割給付に引き下げられる、こういう案でございますね。少なくともその面だけとらえれば改悪ということにならざるを得ないと思うんです。入院十割とのかわりということになれば具体的に財政上のプラス・マイナス、これをどうなっているのか、大体で結構です。すなわち、入院を十割にすることの支出増と、それから通院を七割にすることの財政上の軽減額、その見合いはどういうふうになるんでしょうか。
  172. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) 大体入院十割、外来七割ということを、これはもう給付を平等化することになりますと、いま国保は全部七割でございます。それから健保は本人が十割で家族が七割でございますが、したがって、これは入院も外来もそうなるわけでございます。家族と本人はやはり経済状態は一体的なものでございますので、これは給付の平等化というものはいいだろう。この場合総平均をいたしますと大体八割見当になるんじゃないかと思います。  ただ、先生にここでちょっと申し上げておきますが、あの案は私どものもう最終案ではありませんで、いまむしろ少し変わる可能性があるんじゃないかと思っておりまして、いずれにしても給付の平等を図って、同時に家計に不安を与えないような、逆に言いますと不安を与えるようなものは保険で全部見るような、そういう考え方だけはどうしても貫きたいというふうに思っておるわけでございます。
  173. 渡部通子

    渡部通子君 財政上のプラス・マイナスをお聞きしたわけなんですが、変わる得るかもしれない案だということで、当然案ですからそうだと思いますが、それじゃ入院十割の給付による弊害に対するブレーキと考えられるんですが、食費一日千円、これも変わり得る可能性もありますか。
  174. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) 私どもが審議会にお出しする案がそれとは別の形になる可能性は相当あると、こう御理解をいただいていいんじゃないかと思っておりますが、あれは在宅の治療の方と入院の方とやはり公平を考えますと、在宅の場合は全部自分の家で食事をするわけでございますので、そう考えますと、普通食については、いわばお医者さんの特別な献立による治療上必要な給食、これを除きまして普通食の場合はどこにいても自分が負担して食っているわけでございますので、これだけは負担を願うのはむしろ公平の見地から言ってもあたりまえじゃないかということで考えてはみておりますが、若干あるいはいまのところ変更の可能性が多いんじゃないかというふうに御理解をいただきたい。まだ確定したわけでありませんので、どうなりますか、私どもいまいろいろあれやこれや考えている最中でございます。
  175. 渡部通子

    渡部通子君 いま変わり得る可能性があることに対していろいろお聞きするというのも何のように思うのですけれども、もう厚生省案としては、漏れた可能性もあるとおっしゃるけれども、厚生省案としては一応出ているので伺わせていただきたいわけなんです。  もう一点ぐらい、時間がありませんからもう一点ぐらい伺わせていただきましょう。  厚生省案では、現行八つの制度を、職域、地域、老人保険医療、この三本立てにと、こう考えておられるようでございますが、健康保険組合、共済組合の存続は所得再配分の理想から問題にはならないか。一方各保険集団の経営努力を尊重するというたてまえからはメリット・デメリットがあると思いますけれども、厚生省はどの辺をどのように評価して要綱案を作成しておられるのか。そのくらいちょっと伺わせてください。
  176. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) おっしゃるように、共済組合、それから健保連、健康保険組合、これは主として非常に給料、標準報酬とも高いクラスでございます。その次の段階が中小企業の政府管掌、それからその次の段階が国保の被保険者、その次が日雇い健保の対象者と、こう私はなると思うのですね。やっぱりこれを一本で本当に収入に応じて保険料を払って相扶共済の道を求めるというのが私は理想だと思うのです、国民平等のあれから見ますと。そういう道を想定しながら一歩一歩近づいていくという考えに立脚していることだけは御理解いただきたい。
  177. 渡部通子

    渡部通子君 もう一点だけ。じゃこれも変わり得るかどうか。要するに負担について、保険料は標準報酬と賞与等を対象として算定するとして、総報酬制による算定方式に変えようとしていらっしゃいますが、ボーナスから取るということもまだ検討されているのか、変わり得るのか、その点ももう一点最後に伺わせてください。
  178. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) 前回の経緯等もございますが、今度の抜本改正としての一つ、十四項目の中にもありますように、負担の公平ということを、国会からもございますものですから、私どもは、やはり本来理想的にはみんな自分の収入に応じた一定率の保険料を払っていただく方が——そういうことになりますと、先ほど申し上げました公明党さんの方のトータルプランも、やはり最終的には総報酬制というものがあるべきじゃないかという御提言と承っておるんですけれども、やはりそうしたいわけでございますが、一挙に総報酬制というところまでいきますと、大変いろんな——前回の経緯等も考えてみますと問題等がございますので、そこで、この前の時限立法的な三年ということで御決議をいただいたわけでございますが、それをもうしばらく延長さしていただきたいなあという考えを持っておるわけでございまして、恐らくこの点は、やはり財政問題、財政状況等を勘案しますとどうしても国会にお願いをしなけりゃいけない点じゃないかなと思っておるところでございます。
  179. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) 渡部君、時間です。
  180. 渡部通子

    渡部通子君 それでは、あとの問題は社労委員会に譲ることといたしまして、これで終わります。
  181. 下田京子

    下田京子君 大臣にお尋ねいたしますが、御存じのように、身体障害者福祉法が施行されまして来年はちょうど三十年目に当たります。こういう中で、いままで営々といろいろな角度から福祉行政というものが論じられ、そしてまたそれなりの見直しもされてきている、こう思います。しかし、一方ではまだ依然として問題がたくさん残っております。特に難病患者等につきましては、筋ジス患者に見られますように、原因もはっきりしていない。ということになれば、その治療法も確かなものができない。こういう状況の中で、政府としてもこの辺で抜本的な福祉見直しということが必要なときになっているんじゃないかというふうに思います。その見直しが特に必要だといいますのは、障害をお持ちの皆さんも、国や地方自治体の援助、そしてまた本人の努力があれば、非常にすばらしい、一般お方と変わらないようなそういう生活ができるようになってきていると思うわけです。  もう大臣も御存じかと思うんですけれども、三月十八日の新聞報道にとってもうれしいニュースが出ておりました。これは東北の仙台なんですけれども、全盲の女子中学生が公立高等学校にみごとに合格した。いま青少年の非行問題だとか学力問題だとか論じられている中で、こうした障害を持つ中学生が公立高校に合格できたということ、とてもうれしいことだと思うんですね。  こういう点から見ても、先ほど申しましたように、いま根本的な見直しということが図られなければならないだろうというふうな、その御認識だけまずお聞かせいただきたいと思います。
  182. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) 私は、おっしゃる方向は全く同感だと思うんです。仙台の例だけじゃなくて、きのう私、車の中で聞きましたら、聾唖者の方で、いろいろ講義を録音テープを持っていって学校で録音しまして、それを帰ってお母さんが全部筆記しまして——目だけは確かなものですから、目で一生懸命に勉強して——あれ、たしか試験に受かってというニュースをきのうラジオでやっておりました。  身体障害者の方々を、ただ特別の施設施設ということだけでなくて、一般的な方々と同じような、何といいますか教育なり生活なりができるような、できるだけ自立、自助の精神というものをわれわれがバックアップしまして進めていくようなことは本当に大事なことだと、かように考えます。
  183. 下田京子

    下田京子君 いま大臣お話にありました、本当に障害を持つ皆さん方が自立して生きていけるような、施設にだけお入りいただければいいというんじゃない、そこがとっても大事かと思うんですね。そしてまた、いまのお話にありました聾唖者のことなんですけれども、実は私、この聴覚障害者の問題について特段に、きょうは第一番目にお尋ねしたいと思っていたところなんです。  私のところに、福島県の聾唖者協会の方からこんなお手紙が届いていますので、ちょっと続ませていただきます。  全国の聾唖者の運動として、民法第十一条改正、手話通訳の制度化、道路交通法八十八条改正、聴力言語障害センターの設置、この四つが取り組まれております。このうち特に厚生省関係として、手話通訳の問題について、全国の聾唖者の現状と基本的な考え方をもとに政府の対策を訴えたいと思います。  こういうふうな中でいろいろ述べられておりますけれども、実は聾唖者というもの、耳が聞こえません。お話しができません。となりますと、その耳にかわるもの、そしてお話しできそのる口にかわるものが必要かと思うんです。ところが、それが十分に保障されてないということでもって、実はどういう結果が起きているかということなんですけれども、続けてまたこう言っております。  福島県で聾唖者のお母さんから、次のような訴えが出されております。この方は聾唖者御夫婦ですけれども、妊娠八カ月の体のとき、双方の親の話し合いで、聾児が生まれてくるかもしれないからということで人工流産を追られました。同じような話は、こういったお母さん方と会ってみると、ずいぶん多くの例が出されております。耳の聞こえないお母さんたちが言います。なぜ私たちは子供を産んではいけないのか。どうして元気な赤ちゃんを産み、りっぱに育てることを許してもらえないのか。なぜ万が一聾児が生まれてはいけないのかと。  また、ある聞こえないお母さんが言われました。高校三年生の娘の卒業式をぜひ母親として見届けたい。しかし、小学校から高校まで、親戚が母親がわりで行っており、卒業式にもお母さん来てくれるなと言う。自分はりっぱに働いており、悪いことをしておらない。何ら恥ずかしいことをやってもいない。それなのに、子供にまで学校に来ないでくれと言われるのはとてもつらい。幸い、いま挙げたケースは手話通訳者や仲間の援助で解決しましたが、こういった例は幾らでもあります。  まだまだ続くわけですけれども、私はこの聾唖者協会の方のお手紙、訴えを見まして、本当に耳が不自由である、お話ができないということだけで母親としての権利——子供も産めない、あるいは子供にまで学校に来ないでほしいと言われるようないまの社会的な情勢があるということですね。このことは何としても解決していかなきゃならないんじゃないか。聴覚障害者にとって必要な耳のかわり、そしてお話しすることの口のかわりをきっちりとやっぱり保障していかなければならないんじゃないか、こういうふうに思った次第ですが、大臣、この点については全く私と同様かと思うんですけれども、なお改めて大臣のお考えをお聞かせいただきます。
  184. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) おっしゃるとおりだと思います。私も同感です。
  185. 下田京子

    下田京子君 おっしゃるとおりだという一言でございましたけれども、これはとっても大事だと思うんですね。といいますのは、私は耳にかわるもの、またお話しする口にかわるものとして手話通訳者、この制度がどうしてもいま制度として必要じゃないかということを大臣もお認めになったんだと思うんです。   〔主査退席、副主査着席〕 このことをしっかり認められたらば、国のいままでやられている施策ですね、まあ手話通訳設置事業あるいは手話奉仕員養成事業、聾唖者日曜教室開催事業、手話奉仕員派遣事業、こういったものを身体障害者地域福祉活動促進事業と称して、他の事業とあわせて十二の中に特に聴覚障害者のために四事業を盛り込んで予算化していると思うんですけれども、この予算ですね、五十一年出発しまして、ずっと前からのもありますけれども、一体五十二年、五十三年度対比でどのぐらい変わるものでしょうか。
  186. 上村一

    政府委員上村一君) 身体障害者地域福祉活動促進事業予算でございますが、五十二年度がトータルで一億四千十三万円、対前年に比べますと二八%の伸びであったわけでございますが、五十三年度は総額で一億九千六百万円、対前年に比べますと三九・九%、四割ぐらいの伸びにしたわけでございます。
  187. 下田京子

    下田京子君 いまのは事業全体総額だと思うんですが、これは各県ごとに見ますと、対前年比で額でひとつ答えてください。
  188. 上村一

    政府委員上村一君) 一県当たり国庫補助基本額と申しますのが五十二年度では五百万円でございます。五十三年度予算案では七百万円というふうにしておるわけでございます。
  189. 下田京子

    下田京子君 四十七都道府県の中で、一道府県当たりにすると、最初の総体的な数字ですと大変伸びたようになりますけれども、一道府県にしますと五百万円だったのが七百万になった。私、これで対応できるかどうかということが大変疑問なんですね。国がそういう状況の中で、実際に各都道府県あるいは市町村自治体がどんな苦労をしながらどのような事業をしているか、私なりにつかんでいるのをまずお話し申し上げたいと思うんですが、北の北海道でございますと、北海道全体で聴力障害者といわれる人たちがおよそ一万六千人ほどいるんじゃないか、こう言われております。そういう中で、道として常勤の嘱託ということで手話通訳者を八名雇用しております。金額は一カ月の給料九万三千五百円ということで、あと何らないわけなんで、こういう実態でございますけれども、やっております。  それから、福島県の場合です。この福島県ですと、県としては五十二年から同じく常勤の嘱託として一カ月五万九千円のお給料で一名設置しております。常時設置しているわけですね。福島の各自治体で、四市の中で特にこれらの事業が進んでおります。若松というところでは正職員がおりまして、一カ月のお給料が十万五千四百円、ボーナスが五・二カ月分プラスになります。さらに常勤嘱託一名、来年から設置しようというふうになっております。福島市になりますと、これは来年二名、五十三年度二名にするということで、一カ月八万八千円、ボーナスが三カ月分。それから郡山市というところでは、これは四十九年からやっておりますが、五十三年にまた一名入れまして二名にして、一カ月七万六千円でボーナス四・七カ月分。いわき市というところが四十九年から二名置いております。一カ月八万一千四百円でボーナス四・二五カ月分ですね。  こういうふうに、各自治体いろいろやられているんですけれども、まず、こうした事業自治体でいまのように具体的にやられていること、厚生省としておつかみでしょうか。
  190. 上村一

    政府委員上村一君) いまお話しになりました中で、福島県の例は若干つかんでおるわけでございます。それ以外のものにつきましては、自治体自身が常勤の職員として、つまり地方公務員として置かれておる者につきまして何人おるかにつきましてはつまびらかでございません。
  191. 下田京子

    下田京子君 そうしますと、地方自治体の公務員という形で、またそれに準ずるものだということでやられているから、それぞれの仕事の領域なのでつかんでないというお話かと思うのですけれども、となりますと、最初国で話された身体障害者地域福祉活動促進事業の中での、特に聴覚障害者のために設けられている四事業、この四事業設置している目的というのは何でございましょう。
  192. 上村一

    政府委員上村一君) 非常に端的に申し上げますと、先ほどからお話出ておりますように、聾唖者の社会生活で手話が非常に大切であるというふうな認識に立つわけでございます。  そこで、四十五年から始めました手話奉仕員の養成というのは、そういった人々というのを自治体の方で養成をすると、そういった仕事を進めようと。  それから、五十一年から始めました手話奉仕員の派遣事業というのは、そういった養成事業で手話法を習得した人を登録しておいて、聴覚に障害のある人、あるいは音声なり言語に障害がある人が公的機関等に出かけて用事を果たすような場合にお手伝いさせようということであるわけでございます。  それから、最後に手話通訳の設置事業になるわけでございますけれども、手話通訳設置事業の場合は、これは四十八年度からでございますが、月に二回以上県なり市で来ていただいて、これはボランティアでございますが、そういった聴覚障害者が県なり市で援護を受けに来た場合にいろいろお手伝いをさせようと、こういった趣旨のものでございまして、身体障害者地域福祉活動促進事業というのは、こういった聾唖者だけでなくって、いろんな態様の体の不自由な人々について、それぞれの自治体が自分の地域ではこういうのが一番妥当であるというふうなことを考えたものについて、メニュー方式でやれるようなタイプの補助金であるわけでございます。そうして手話の奉仕員の養成事業と申しますのは、現在、これ五十一年度の数字でございますけれども、一つの県を除きまして、すべての県で実施しておるわけでございます。  それから、手話奉仕員の派遣事業の方は全県というわけじゃございませんで、約半数くらいの県でやっておる。それぞれの自治体地域事情に応じた選択によってこの補助金を使ってもらっておる、こういう性格のものでございます。
  193. 下田京子

    下田京子君 どうしてできたかということはわかりましたが、そうやってつくったものが、設置したということが、同じ厚生省の系列で、地方自治体の方がいろいろもっとすぐれた形で事業として進んでいるわけですよね。すなわち、手話通訳者設置事業という厚生省考え方ですと、週一回だとか、あるいは一回につき二時間だとかいうふうな形での援助というふうなお考えだけれども、それがさらに進んで常時嘱託という形でさっき話しましたようにやられているわけですね。しかも、国が言わんとしております奉仕員といいますか、ボランティア活動、それから同時に制度としての手話通訳者の方向ということも含めて、東京都なんかになりますと、これは全日本聾唖連盟で出されている資料でございますけれども、ここにはこういうふうに書いてあるわけですね。「例えば、東京都は昭和五十二年度に手話奉仕員養成事業に約三百六十万円の予算を計上して年間に約二百人のボランティアと五人前後の通訳者を誕生させています。」、こういうふうになっているわけです。こういう実態、御存じないんでしょうか。
  194. 上村一

    政府委員上村一君) そういう実態は承知いたしております。ただ、いまお話しになりました中で専任の、つまり地方公務員として手話の通訳員を置くかどうかというのは、それぞれの自治体が、こういった人たちが公的機関をどの程度利用するがという状況によって判断して置かれておるものであろうというふうに思うわけでございまして、厚生省としては、さっき申し上げました事業のほかに、むしろ福祉事務所とかあるいは身体障害者の更生相談所の職員、こういうところにいわゆる聾唖の方が行かれることが多いわけでございますから、むしろその職員対象にしまして、つまり現におる職員というのが手話ができるように講習会など実施しておるわけでございます。
  195. 下田京子

    下田京子君 端的に伺いますけれども、厚生省としまして東京都のような例は知っているけれども福島の例はちょっと聞き及んだ程度で、全国的には自治体の具体的な自主的な事業だから余り知らないというふうなお話ですが、どうでしょう、今後そういう形で自治体が常時正職員あるいは常勤嘱託という形でもって手話やれる方がそれぞれの医療機関であるだとか自治体の窓口であるだとか、そういう主な政府、いろんな対応する機関に設置できるというふうなことが望ましいし、そういう方向でいろいろと援助していこうという方針はお持ちなんだと思うんですけれども、その点どうですか。
  196. 上村一

    政府委員上村一君) こういった公の施設あるいは公のサービスの機関で働く人に手話ができる人が置かれることが望ましいことは言うまでもないことであろうと思うわけでございます。したがいまして、こういった事業について補助をしておるわけでございますけれども、それが専任の地方公務員として置かれるようになった場合には、そういった自治体の公務員の給与まで果たして国が補助するのが妥当かどうか、その点は研究の余地がある問題ではなかろうかというふうに思うわけでございます。
  197. 下田京子

    下田京子君 当面、財政的なことで人件費等を見て国が全体的に責任を負うかどうかということではどうもいま何とも言えないけれども、方向としては各自治体でやられている常勤のこうした手話通訳員の制度というものは言うまでもなく奨励していきたいというふうに受けてよろしいかと思うんですが、そういうことになれば、当然御承知かと思うんですけれども、手話通訳者を常勤で置くにはそれなりにどのぐらい手話ができるかとか、採用の基準というものが必要ですね。この採用の基準について、現在あるものは全日本聾唖連盟で出されております手話通訳認定規則というものしかないわけなんです。各自治体はこの認定規則に基づいて試験をし、一級、二級、三級ということでの資格を得た中で、特に一級、二級に該当した人たちを正職員、または先ほど申しましたけれども、常勤の嘱託という形で採用してきているわけなんです。こういったことについて御存じありますか。
  198. 上村一

    政府委員上村一君) 手話通訳者の認定基準というのを聾唖者連盟がつくっておられることにつきましては承知しておるわけでございますし、そういった資料も持っておるわけでございます。
  199. 下田京子

    下田京子君 となりますと、当面政府として国家の認定基準というようなのはもう設けなければならないところに来ているんじゃないでしょうか。ということが一点ですね。  それと同時に、望ましい方向としては常勤の嘱託なり職員というものを配置する方向で各自治体がやられることを奨励したいという意味の御答弁はいただいているわけなんですが、となれば、まあいますぐということは抜きにしても、将来そんなに遅くない時期に国で責任を持ってどの程度一体そういう常勤の手話通訳者を設置すべきかどうか、あるいはどんなところに必要なのかとか、また各都道府県がやられている、自治体がやられているそういうお仕事をもう調査していかなきゃならないんじゃないかというふりに思うわけなんですけれども、この点大臣に御答弁いただきたいんですけれども、お願いしたいことは三点なんですよね。  一つは、いまのような状況をあるところは知っているけれども全体的には知らないということなので、まず調査をいただきたいということが一点でございます。  それから第二点目には、その調査の際に、国がやっている四事業だけじゃなくて、各自治体が独自にやられているものやあるいはいろいろと聴覚障害者本人がどんな要求をお持ちで、どんなことをお願いしているかという、そういう中身をもう一回洗い直していただけないか。  三つ目には、そうした調査内容に基づいてこの事業そのものも含めた見直し、新たな計画というものを、一番最初に申しましたけれども、福祉法制定来年三十周年というふうな時期でもございますので、どうかこの検討をいただけないか、これは大臣にお願いしたいわけです。
  200. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) 私もいまお話聞いて、各県がどういうような手話通訳者を抱えておるのか、あるいはどの程度抱えておるのか、人数、またいなところがどれぐらいあるのか、それからその方々がどの程度のいままで何といいますか能力を持っている人なのか、人数等を含めて調査をする必要があると思いますね。これはやっぱり、国が調査をするといって調査費を計上して一般的な人口動態調査のようなわけではない、県と連絡すればよくわかることですから。  それからもう一つは、聾唖者の方々が現在の制度の中でどういう点が不備だと思うのか、むしろ一番ニーズの多いものはどういうことなんだと、これをつかまないで対策は出来ないわけですから、これはもう当然のことだと思います。  それから、その結果、いまやっているいろいろ養成事業あるいは派遣事業等について見直す必要があるならこれは見直していかなきゃいかぬことは当然のことでございます。  おっしゃるように、なるべく自立、自助の努力をお助けするというのが社会福祉の基本だと思いますものですから、この点は早急にわれわれの内部でも相談をしまして、どういう方法があるのかやっていきます。
  201. 下田京子

    下田京子君 大臣、積極的にそうした聴覚障害者含めて障害をお持ちの皆さん一般人たちと変わりない本当に暮らしができる方向で、私が提案した三つのことも積極的に対応していくという御答弁いただいたと思うんですが、その際に、再度決意のほどをお伺いしたいわけなんですが、実は具体的に申しますと、たとえば聴覚障害者の皆さん方いろいろ出されている御要望で、次の幾つかのことがあるんです。  申しますと、現在テレビで字幕または手話通訳というのがなされるのはNHKの金曜日の四時半ごろ十五分しかないんです。それをもう少し時間を延長してほしいとか、あるいはもっと見られる時間——四時半などというとお仕事しているときですから、そんな要求があります。すると、これは郵政省でございます、こういうふうに言われます。  それから選挙の際には、ひとつ御要望あれば立会演説会場にも派遣するとか、これはもうずいぶんやっていますけれども、あるいはいろいろと通訳事業がやれるようにというふうなことで、細々話していくと、それは自治省でございます。  あるいは教育の問題で、口話がいいのか指話がいいのか、手話がいいのかと、いろいろ議論がございます。これは文部省でございます、こうなります。  また、障害というのは早く見つければ、早く見つけて早くそれなりのいい処置がなされればそれだけ効果が早いわけです。となると、三カ月健診や一歳、三歳児の健診どうの、これは厚生省になりますけれどもというふうなぐあいで、いろいろと各省庁に分かれているわけです、要求が。  特に、いま最初に申しましたけれども、民法の第十一条の問題につきましては、聴覚障害者イコール準禁治産者ということでもって財産相続権も、あるいは銀行から借り受けることもできないという大きな問題があるわけです。これは法務省でございますなどというような調子ですと、もうどうにもなりません。  そこで、こういったいろいろな問題、調査なさいますというお話だったので、その際にいろいろあるけれども、これはあちこち分けないで、そういうことも含めて、障害者の本当に切なる要求であり、大臣が言われております本当に自立ができるような方向で責任を持って各関係省庁にも働きかけて、厚生省窓口になって、大臣がその解決のために御努力いただきたいと思います。その決意のほどを。
  202. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) それは聾唖者の福祉対策というのは、これはもう私どもが責任を持ってやらなきゃいかぬことですね。その福祉の一環として手段、方法の中に、各省といろいろ関連がある問題が出てくると思うんです。従来は、各省庁に分かれる問題は何でも大体総理府ということにいつもなります。協議会を総理府に置いてそこへ集まってやるんだ、こうなっておるんですが、私は余りまだるっこしいことをしないで、できるだけ厚生省が努力すべきだと思います。しかし、それをやらず権限はなかなかないんです、厚生省は。テレビに一日中やれと言ってこっちが命令する、自分が持っているわけじゃないですから、そういう点はありますから、協力を得なきゃいかぬと思いますが、できるだけひとつ私どもがまとめて、そしてそれを各省に呼びかけて、一つ一つ理解を深めて実行させていく努力は、これは厚生省としてはしなきゃいかぬだろうと思うんです。  ただ、先生ここでいま手話の問題が非常にずっと議論されてきましたが、私も実は聾唖者の学校の校長先生と仲がよくて、何回か行ったり、話も聞いたり実態を見たりしたことも、相当前ですけれどもございますが、手話に頼り過ぎて、本来何といいますか、もっと……
  203. 下田京子

    下田京子君 口話。
  204. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) そういう訓練をしていく努力がなくなっては、これはやっぱりいかぬという説もあるんです。したがって、そういう面はよほど私どもも考えていかなきゃいけない。あんまり手話に頼り過ぎますと、これは幾ら努力しましても、あらゆる日常の生活活動の分野に全部一人ずつ通訳を連れて歩くなどということはとうていできないんですから、そういたしますと、やはり手話に頼り過ぎてかえって福祉のためにならぬようなことになってもいかぬ。この辺は専門家でいらっしゃいますからよく御存じだろうと思うんですが、両々相まっていかなきゃいかぬだろうと思っておるわけでございます。
  205. 下田京子

    下田京子君 実はそのことも含めて、実際に聴覚障害者の皆さんの希望を、実態をお調べいただくとわかると思うんです。というのは、聾唖者の教育の現場においていろいろと議論もございますし、口話も必要、手話も必要、指文字の指話、それも必要と、いろいろあるわけですけれども、現在段階で一般的に本当にわかりやすいものとしては手話です、相手との意思伝達ですから。口話だけでいきますと、これで全部口の形で聞き取るということは大変なことになると。聞き取りそして話すということになるわけですから、それはもう当然のことでございます。その論議も含めて、総合的に、とにかく最初に申しましたように、聴覚障害者のそのかわるべきものとして手話通訳の問題を、制度化の問題を中心にしながらその改善をお願いしたところです。だから、もちろんそのほか、たとえばいろんな器具もございますよね、器具の改善なんかもほしいですし、いろんな角度からの検討が必要だということは申すまでもありませんので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  次に移りたいと思いますけれども、同じ身体障害者のことですが、雇用問題でお尋ねしたいと思います。  大変な不況の中で、全国的に一般的な雇用問題というのは最重点問題になっているかと思うんです、労働問題の中でも。雇用問題とともに、もちろん労働条件の改善というものは図られなければならないと思うんですけれども、こういう不況下になりますと、やっぱり一番打撃を受けてくるのが障害者であるとかあるいは下請であるとかあるいは婦人労働者であるとか、こういった弱い部分に直接その打撃が出てくるように思います。  こういう中で、御承知のように身体障害者の雇用促進法というものが改正されまして、五十一年の十月から施行されているわけですけれども、雇用促進法に規定されている雇用率一・五%、これは民間企業の場合ですけれども、こういったことが施行されて一体どのように雇用状況が改善されているでしょうか。企業別にひとつ御報告いただければと思います。
  206. 田淵孝輔

    説明員(田淵孝輔君) お答えいたします。  先生御指摘のとおり、一昨年の十月から身体障害者雇用促進法の改正法が施行されておりまして、身体障害者の雇用を事業主に義務づけるということになりまして、民間につきましては一・五%の雇用義務が課されております。国、地方公共団体等につきましては、非現業の場合には一・九%、現業部門については一・八%ということに定められております。  その雇用状況でございますが、毎年六月一日現在の状況を雇用義務のある事業主から報告を求めることになっておりまして、昨年六月一日現在の状況が第一回の報告としてまとまっております。それによりますと、民間企業における実際の雇用率は平均で一・〇九%ということでございまして、法定雇用率の一・五%をかなり下回っております。これを企業規模別に見ますと、一般的に言いまして大規模企業になるに従って雇用率は低くなる。企業規模の小さい企業になるほど雇用割合が高いというような状況になっております。ちなみに、千人以上の企業規模の事業所を見ますと、実際の雇用率は〇・八%、雇用率未達成の企業が七八・九%と、八割近くの企業が雇用率を達成していないというような状況が出ております。
  207. 下田京子

    下田京子君 これは大規模になると雇用率が低くなり、そして大変中小企業が努力しているにもかかわらず大企業がこういう結果になっているということは、原因は何でしょうか。聞けば、五十一年のこの法の施行された十月から五十二年の三月までの半年間の間に、雇用率未達成ということでもって納付金ですか、その金額が九十二億円にもなっているというお話なんですが、本来なら、大企業の方が経営状況やなんかも安定しているし、そしていろいろと職種も多いわけですから雇用されるべきだと思うんですが、それが逆になっている。大変問題だと思うんですが、原因はどこにあると思いますでしょうか。
  208. 田淵孝輔

    説明員(田淵孝輔君) 御指摘のとおり、雇用率を達成していない三百人以上の規模の企業、われわれの労働省の方では大企業と呼んでおりますが、そういう企業であって雇用率未達成のところから納付金を納めていただくという仕組みになっております。しかし、納付金を納めれば雇用義務を免れるという性格のものではございませんで、あくまでも雇い入れの義務はあるわけでございまして、私どもとしては行政的に雇用率を達成するための指導に努めたいと思っております。  この原因につきましては、大企業等におきましては従来から新規に人を雇うような場合には年一回の学卒を中心に雇って、それを終身雇用していくというような形が大部分でございますし、従来、人手不足時代であっても大企業においてはわりあい労働条件がいいというようなことで人を採りやすかったので、やはりハンディのある方に必ずしも機会が与えられなかったというようなことではないかと思いまして、こういうことは諸外国と比べますと、外国ではむしろ大企業の方が社会的責任というような意味で雇用率が高いというような報告もございますし、今後さらに大企業に認識を改めていただきまして、考え方を変えていただきまして、採用方法、労働条件等もいろいろ工夫をしていただきまして、あるいは諸外国の例を参考にしていただきまして雇用を進めてまいりたいと、こういうふうに思っております。
  209. 下田京子

    下田京子君 大企業が条件がありながら雇用してない、しかも法律で決めていたこともやらない。私どもがよく大企業をいろいろと問題にしますが、具体的な事例なくして大企業だけを指摘しているんじゃない。ここにもはっきり大企業が中小企業に比べて逆な意味で社会的な責任を負ってない、とんでもない問題であるということが明らかになっていると思うんです。指導するというお話でございますけれども、具体的にどのような指導をなさるおつもりなのかということなんです。  あわせて聞きたいんですけれども、これは北海道の例ですけれど、北海道の三月十四日付の新聞に出ておりますが、現地にも聞いたところです。本年度中に就職を希望した者が百三十二人おるそうです。これは札幌市の身体障害者更生相談所でつかんでいる数字ですね。ところが、いままで決まった人数は四十九人で、あっせん率三七・一%というような状況なんです。こういう状況になりますと、一体いつごろまでにこうした人たちの雇用が促進されるかどうか。全国では仕事を求めている人たちが二万四千人からいると言われております。せっかく法律はつくった、しかしその法律は守られない、しかも受ける条件の一番ある大企業がやろうとしないというふうな状況の中で、具体的にどんな指導をなさり、そしてまた、こうした職を求めている障害者の皆さんに、いつごろそれらが解決されるようなお見通しなのか、お尋ねしたいと思います。
  210. 田淵孝輔

    説明員(田淵孝輔君) 先生御承知のように、なかなか経済情勢が思わしくなくて、企業の方もなかなか雇い入れが少のうございまして、そういう背景もございましてタイミングも非常に悪いわけでございますが、私どもとしては、こういう法律が施行されました限り、責任ある立場にございますので、昨年十二月に職業安定局長名で各都道府県知事あて通達をいたしまして、出先の公共職業安定所長名で雇用率の特に低い企業あるいは雇い入れなければいけない人数が多いところにつきましては計画的に、やはり一挙に雇えと言ってもなかなかそれは言うはやすく行うはむずかしいと思いますので、計画的に三年ぐらいの計画期間を置きまして、その間に雇い入れの規模に応じまして身体障害者もあわせて雇い入れるという雇い入れ計画をつくることを命じるような指導を行ってきております。その報告は、一応出したところにつきましてはこの三月いっぱいで安定所の方へ報告が出てくるというような状況になっております。私どもの行政体制もなかなか一挙に全企業にというだけの力もございませんので、今後さらにその指導を強めて範囲をきめ細かく多くの企業に指導を加えていくという体制をとっております。  なお、先生御指摘のように、現在、職業安定所の窓口には約二万四千人の人々が職を求めても得られないという人たちを抱えているわけでございまして、この人たちを一日も早く就職させたいということで各企業にも雇い入れを指導しているわけでございますが、一つのめどは、現在、命令を出した特に悪いところは三年というのが一つのめどでございます。すべての企業が達成するのはいつまでということはなかなかいまお答えを申し上げる自信もございませんけれども、できるだけ全力を尽くして、一日も早く雇用率を達成するように指導をさらに強めてまいりたいと思います。
  211. 下田京子

    下田京子君 方向としてはいいんですけれども、問題は、五十一年の十月です、法ができたのは。ですから、三年間ぐらいにと言えば、逆に言えば、もう五十四年度あたりですと条件のある大企業ほど雇用率が高まっていていいはずなんです。私はここに問題があると思う。ですから、一般的な行政指導ということじゃなくて、特に悪いというのが、しかも大企業ということがはっきり出てきております。だから、特別な指導が私は必要だろうと思います。この御認識をしっかり押さえていただいて、同時に、心配なことでは最低賃金の適用除外の問題ですね。こういったこともありまして、障害者は働く能力が低いんだというふうに決めてかかってしまって適用除外をしているというふうになれば、これはそういう問題があるからこそやっぱり雇用率促進というふうにもならないんじゃないか。さらには特殊法人ですね、これは準政府機関でもありますし、雇用率一・八%というものは義務づけられております。企業数は九十三ですから、これはやる気になればすぐやれるところじゃないか、こんなふうにも思うわけですね。こういった点も含めて、労働省の方でも、所管ですから責任を負って具体的な指導をいただかなければなりませんけれども、先ほど厚生大臣から御答弁いただいていますが、直接指導権はなくとも、厚生省としても、いま言ったような点からぜひ労働省と連絡をとりまして、一日も早い障害者のこの雇用促進のためにお骨折りをいただきたいと思うわけです。大臣、よろしくお願いしますよ。
  212. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) 労働省で非常に努力をしておられるわけでございますが、なお実効が上がらない面が予算の本委員会でもいろいろ御議論になりましたことを拝聴しております。したがって、身体障害者福祉を守るわれわれとしても、労働省と協力をいたしまして、できるだけの努力をしていきたいと考えます。
  213. 下田京子

    下田京子君 以上で障害者関係の方を終わるに当たりまして、もう一点なんですが、先ほどの聾唖者の問題、聴力障害者のことですが、五十二年度で職業安定所の窓口で一回の相談当たりが二時間で一カ月二回というふうな制度がございますが、その人数が全国で百人を五十三年度は百二十人にふやしたいという予算措置を聞いておりますが、これはいろいろと問題がございますので、これも含めて御検討いただきたい。なぜならば、一人でいろいろ相談を始めまして大体話がわかってきた、それじゃもう企業に行きましょうというふうなことで行ってやっているうちに二時間なんていうのはすぐ過ぎてしまうわけなんですね。そういうこともございますので、ひとつこれらも含めて御検討いただきたいと思います。  次に、児童福祉の問題に移りたいのですけれども、これまた御承知かと思いますけれども、来年は児童権利宣言がなされましてちょうど二十周年に当たる国際児童年でもございます。こういう国際児童年を前にいたしまして、児童福祉全体をこれまた障害者問題と同じように見直していただけないかというふうに思うわけです。   〔副主査退席、主査着席〕  その具体的なこととして、今回は小学校に上がった子供、もう入学された子供さん、小学一年、二年、三年あたりの低学年の子供の放課後の問題です。一般的にこうした子供たちのいろいろな施策として全国的に学童保育連絡協議会というものができまして、各地のお母さんたち、自治体皆さんと協議をしながらいろいろとやられております。それでこの学童保育というものが非常に重要なことは、間もなく新学期が始まろうとしておりまして、またお子さんが学校に入学するわけですが、かぎっ子と称される入学児の中で特に共働きの留守家庭のお子さんたち、お母さんたちにとってみれば交通事故がどうなるかとか、あるいは朝出ていくときちょっとお腹が痛いなんて言っていたけれども、その後どんなになっているだろうか——いろいろ心配が絶えないわけですね。こういう中でかぎっ子対策ということで国でもいろいろ措置はされておりますけれども、その措置そのものが実際には都市児童健全育成事業ということで三つの事業をやっていて、特段にいま私が言いました学童保育にかかわる分野では児童育成クラブの設置事業ということで、一カ所いままで三十万程度の補助を出してきたわけなんですが、この程度ではとても対応できるような状況ではないわけです。  こういう中で、今回一般会計から特別会計に移っているわけですけれども、五十三年度におきましては厚生保険特別会計に移ったこの事業中身幾らかなりとも改善あるいは拡大の方向に向いているのでしょうか。
  214. 石野清治

    政府委員(石野清治君) 五十一年からこの都市児童健全育成事業を始めたわけでございますけれども、一般会計でやってまいりますと、どうしてもそこに枠がございまして、なかなか進展がむずかしい。かたがた児童手当の勘定の中で事業主の拠出金をもってそれに充てるということも、将来は企業の労働者として活用できるわけでございますので関連性がございますので、その特別会計の方に移したわけでございますが、金額的にはたしかいままでの五十二年度予算で見ますと、一億二百万だと思いますけれども、今度の五十三年度の特別会計に移ったことによりまして、一億一千二百四十万という形で、約一千万ほどの増額になったわけでございます。この中身については、先ほどお話にございましたけれども、これは人口単位によりましてかなり内容が違いますので、これをどういうふうにするか、いま財政当局と詰めておりまして、その中身を決まり次第また御連絡申し上げたいと思います。
  215. 下田京子

    下田京子君 決まり次第御報告をということですが、傾向として二つの点ですよね。結局いままでやってきた事業中身の中で、私がいま御質問しております児童育成クラブの設置事業については、額で言えば三十万なのか、ふやす方向なのか、それから都市児童健全育成事業中身として三事業やってきたけれども、これはもっと改善する方向になっていくのかどうかと、端的にお願いします。
  216. 石野清治

    政府委員(石野清治君) 端的に申し上げれば、始めて実は満一年有余しかたっておりませんので、実績についても相当つかんでおるつもりでございますけれども、まだまだ不十分な点もございます。五十三年度の予算が決まりました段階で、たとえばその児童育成クラブの単価を上げるかどうかという問題、これは単価問題でございますので、予算の範囲内でどこまで上げられるかということを検討しなければなりませんし、それから同時に児童育成クラブの設置の個所数、これが私どもはできるだけ伸ばしていきたいという気持ちでございますので、それがどこまで各県の方から申請があるか、それらを見きわめながらやっていかなければならぬ、こういうふうに考えております。
  217. 下田京子

    下田京子君 実は、政府がやられております児童育成クラブの設置事業ということでは三十万円だけの補助事業でしょう。そうしますと、もう本当に建物の何といいますか、ちょっとしたいろいろな使用料だとか事務関係費だけの内容ですよね、人件費も入りませんし、そういう中で対応でき切れなくなってきているわけです。そういう状況の中で、これは幾らかは御存じかと思うのですけれども、具体的に申しますと、たとえばいろいろな形でかぎっ子対策といいますか、学童保育事業をやられているのです。大きく言いますと四つぐらいの方法でやられているのがわかっておりますが、第一には単独事業としまして、これは東京都の例ですが、公立の学童保育をきちんと実施しているわけですね。それから第二番目には、留守家庭児童会ということで教育委員会がずっと中心になりましてやられている例で、これは福岡がいい例かと思います。また第三番目には、公費による民間委託という形でもって、これは横浜市なんかがやられておりますし、それから第四番目には共同保育という形で自治体補助金を出している、これは名古屋なんかにあります。同時に、政府でやられております都市児童健全育成事業というのは、大体五万人前後のところが対象になっておりますけれども、これは五万人前後の都市だけじゃなくて、実際にかぎっ子というのは中小都市にもたくさんおりますし、町や村にもおるわけです。そういう中で岩手県だとか東北各県各地域でもいろいろ苦労をしながらいまのような形でのいろいろな対応した事業がやられているわけなんです。ですから、こういうふうな形での対応がなされているということをまず御認識いただいて、最初に申しましたけれども、本当に児童の福祉というふうな立場、留守家庭の健全な育成というふうな立場、この立場に立ってどうか見直しの方向で検討いただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  218. 石野清治

    政府委員(石野清治君) 児童福祉行政全体について見直すことについてはもちろんやぶさかではございません。問題は、そのかぎっ子対策というものに限って物事を考えた場合に、これをどういう形でやるのが一番いいのかということになりますと、現在これは厚生省だけではございませんで、文部省なりあるいは労働省もかんでくるわけでございますが、そのそれぞれのやっておりますものを総合的に推進していかなければ、学童保育の問題というのはなかなか解決できないではないか、こう考えておるわけでございます。  そこで厚生省としてしからば何ができるかとなりますと、私は基本的には地域の一番中心でございます児童館、これを何としても育成していきたい。ただ現在児童館は御存じのとおり二千二百程度でございまして、まだ十分行き渡っておりませんので、それをある程度カバーする意味で、実は先ほどの御議論になりました都市児童健全育成事業を始めたわけでございますが、そのねらいはあくまでもその都市児童健全育成事業のメニュー化方式によって児童館を設置する、設置しなければならないという社会的な要請、情勢というものをつくり上げると、こういうことに実はねらいがあったわけでございます。したがいまして、私は今後ともこのかぎっ子問題については、厚生省として考えた場合には児童館を中心とした対策並びにそれ以外のさらに含めたいわば母親クラブとか、そういういろいろなものがございますが、そういうものに対する助成、そういうことによって進めていかなければならない、こう考えておるわけでございます。
  219. 下田京子

    下田京子君 せっかく先ほど御答弁がありましたが、厚生保険の特別会計に移してもおりますから、そしていろいろと内容も検討しているというお話ですから、対応するところは労働省なり文部省なりあると思います。そういう中で、文部省の方でも来年は国際児童年に当たる年だということで、積極的にいろいろと児童の福祉に関する問題を計画し、また進行していきたいと、こう述べられております。そういうことでもございますので、ぜひ実態をよく再認識いただきまして、いままで行われていたような、人口で区切るんだとかあるいは補助金三十万で打ち切るとかいうふうなものだけじゃなくて、総合的に対応するところと関係して学童保育全般について見直し、またそれに合った計画なども織り込んでいただければというふうに思います。これは総括的なことになりますので、大臣の御答弁いただきたいと思います。
  220. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) 私は勤労婦人等の立場から、非常にこういう昼間親のいないかぎっ子という問題が、しかもその児童の健全育成という見地から見て何らかいろんな対策を講じていかなきゃいかぬことはもうよくわかりますが、それに当たって、やっぱり小学校なら小学校、中学校なら中学校の初等のうちの教育機関並びに教育者との連携というものをまず第一に重要視しなきゃいかぬだろう。それから地域社会における、先ほど言いました育成事業あるいは児童館等を中心にして、私ども厚生省としてはできるだけひとつ広げてみたい、対策をとっていきたいわけでございますが、ただ、三十万というお話がありまして、確かに考えてみますと少ない金額でございますが、私はやっぱりこの問題は、ただ単に国が補助が三十万、五十万になるから、百万になるからという問題ではないと思うんで、むしろそれぞれの地域地域によっていろいろ最も実情に即したような考え方でこの対策を進めていくべきじゃないかと思いますから、ただ国から金が来る来ないということでなくて、もっと地域において、それはやっぱり今度親の立場から見れば自分としての大事な問題、子供の問題でございますので、ただ補助補助金ということでなくて、もっと工夫の道があるんじゃないかなと思うんですが、しかし、そのためにどうしてもこういう点では個人の責任を超えた社会的なひとつの環境づくりなり何かが必要なんだということであれば、これは地方庁と連絡をとって国がやると、こういうことで考え方を進めさしていただきたい。私どもは、やっぱり厚生省としては主体を児童館の運営に置いていきたいという、これが一番やはりいいんじゃないかと思っておりますんで、できるだけ工夫をして実態に合うようにいろいろ検討をしてみなきゃいかぬと思いますが、お話しの御意見等も踏まえまして今後ひとつ研究さしていただきたいと思います。
  221. 下田京子

    下田京子君 時間になりましたから、最後に大臣が言われたように、三十万で少ないと認められています。その点含めてお願いして終わります。
  222. 柄谷道一

    柄谷道一君 厚生行政の所管するいろいろの問題につきましては、医療、年金、社会福祉など多岐にわたっております。限られた時間でございますので、これらの問題点につきましては改めて社労委員会等において大臣の所見をただすことといたしまして、本日は廃棄物問題を中心として御質問を申し上げたいと思うわけでございます。  私は、昭和五十一年の五月十一日、当院の社労委員会で産業廃棄物の処理及び清掃に関し質問をいたしました。再度廃棄物問題について大臣の御所見をお伺いしたいと思います。  政府は、今日まで廃棄物処理法及び産廃に関しては五十一年の改正法の制定、さらに五十一年度を初年度とした廃棄物処理施設整備五カ年計画の制定など、施策を進めてこられたことについては十分承知をいたしております。しかし、生活水準の向上や産業活動が活発になれば、その結果として当然廃棄物の排出量というものは増大の一途をたどるということはこれまた現実でございます。これらの廃棄物をいかに適正に処理するかということは、生活環境の保全や公衆衛生の向上を図る上できわめて重要な政治課題であろうと思います。  そこでまず大臣に、この廃棄物問題に関する基本的な御認識と、さらに、現在当面しておる問題点をどのように把握しておられるのか、冒頭お伺いいたしたいと思います。
  223. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) まず、現状におきましては廃棄物の処理については、一般廃棄物及び産業廃棄物を含めましてなかなか容易でない状況だと思っております。私は環境庁長官のときに、廃棄物の処理に関する、まあ清掃法の改正、これ厚生省だけではなかなか思うようにいかないものですから、たまたま環境庁が調整権がありますので、私のところの場をお貸ししまして各省庁それぞれ何回も集まってもらいましてお手伝いを申し上げたことがございますが、私は、まず廃棄物の三つの対策をどうしても強化していかなきゃいかぬと考えております。  一つは設備施設の強化でございます。それからもう一つは、都市圏を中心にいたしました最終処分地の問題、これが一番やっぱり難物だと思いますんで、これについての対策を十分とらなければならない。それから三番目は、廃棄物の有効利用の促進と減量の問題、これをひとつできるだけ、あらゆる技術が進歩しましたけれども、そういうような問題についての資源の再生利用というものを含めまして研究を進めていって対策をとる。この三つを重点にして今後とも一層ひとつがんばっていきたいと考えておるところでございます。
  224. 柄谷道一

    柄谷道一君 それでは、厚生省は今後一般廃棄物及び産業廃棄物の排出量につきましてどのような予測を立てておられるのか。特に、ただいま大臣指摘されましたように、廃棄物の処理が困難であると考えられます首都圏及び近畿圏等のいわゆる大都市圏における排出量の予測についてもあわせてお伺いをいたします。
  225. 国川建二

    政府委員(国川建二君) お答えいたします。  廃棄物の排出量が今後どうなるのかという問題でございますけれども、これは経済成長にも関連いたしますし、あるいは生活水準の上昇等にも左右されますし、いろんな各般の影響が出てくるわけでございますけれども、いまお尋ねの一般廃棄物の中のまずごみについて申し上げますと、これは第四次五カ年計画におきまして、五十五年度におきましては一年間に大体五千八百万トン程度、六十年度では年間七千七百万トン程度、そういうように推定いたしております。それからなお、産業廃棄物につきましては、これも全国のものといたしましては、一応五十年度時点におきまして全国で年間三億二千万トン程度排出されていると推定いたしておるわけでございますが、これが五十五年度においては年間四億三千万トン程度、六十年度におきましては五億七千万トン程度に達するのではないかというように推定いたしております。  なお、特にこの中で大都市圏に限って、首都圏と近畿圏について申し上げますと、一般廃棄物のごみにつきましては、首都圏におきましては昭和六十年度では年間約千五百万トン程度、近畿圏におきましては年間約六百十四、五万トン程度、それから産業廃棄物につきましては、これも首都圏におきましては昭和六十年度時点におきまして年間一億四千万トン程度、近畿圏におきましては年間一億三千五百万トン程度というように一応の試算はいたしております。  先ほど申し上げましたように、将来の廃棄物の排出量そのものがいろんなファクターに影響を受けますので、特に産業廃棄物につきましてはその影響が大きいとは思いますけれども、五カ年計画並びにそのバックデータと申しますか、というような段階で私どもの推測しておりますのは、いま申し上げましたような数量だというふうに考えております。
  226. 柄谷道一

    柄谷道一君 ただいまおっしゃいました排出量の予測は、大蔵、通産、運輸など関係省庁間で数字的な詰めといいますか、これが行われた数字でございますか。
  227. 国川建二

    政府委員(国川建二君) 一般廃棄物につきまして、ごみにつきましては、先ほど申しましたように五カ年計画におきまして昭和五十五年度のものを推測いたしておるわけでございまして、これは関係省庁当然でございますけれども、排出量について協議が進んでおるわけでございます。計画作成の段階におきまして、昭和六十年度のものにつきましても一応バックデータとして関係省庁の間ではお話しは申し上げているわけでございますが、産業廃棄物につきましては、これは必ずしも十分詰まったものではございません。これは推測の方法にもいろいろございますし、さらには実態の把握そのものが現在鋭意私どもはもちろん通産省等も詰めている段階でございます。そういう意味では、産業廃棄物に関しましては厚生省独自の試算と、一応の試算というように御理解いただきたいと思います。
  228. 柄谷道一

    柄谷道一君 大臣、私はこの廃棄物処理の中期計画を立てていくというときには、やはり合意の得られた予測値というものが政策立案の根底に据えられてくると思うんですね。そういう意味で、今日の現状はわかりましたけれども、これが予測がなかなかむずかしいということは承知いたしますけれども、予測値というものに対して通産も環境庁も大蔵省もやっぱり予測を立てて、それに対して全省的にどう取り組んでいくかというような姿勢の確立が私は必要ではなかろうかと、こう思うわけでございます。当然そうあるべきだというお答えだと思いますが、いかがですか。
  229. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) いやもう本当におっしゃるとおりだと思います。
  230. 柄谷道一

    柄谷道一君 いずれにいたしましても、たとえば昭和六十五年では首都圏一般廃棄物、産業廃棄物を合わせますと二億トンを超えます。近畿圏でも一億八千万トンでございますか、膨大な廃棄物が予測されるわけでございます。そこでこれに対処するためには、私は、大臣も冒頭申されましたけれども、一つには出てきた廃棄物をどう処理するかという考え方だけではなくて、資源の有効活用という見地からこれをながめて見る必要があると、こう思うわけです。  私は、五十一年法改正審議の際にこの点を指摘いたしまして、廃棄物の再資源化の研究開発が必要であるということを問題提起をいたしました。その後、この面に関する予算がどのように充実が図られてきたのか、経緯を御説明願います。
  231. 国川建二

    政府委員(国川建二君) 五十一年度時点で先生からも御指摘がございましたこの関係予算でございますけれども、私どもといたしましては、五十二年度に具体的には廃棄物の有効利用等推進費という予算を初めて計上いたしたわけでございまして、これは名前にもありますように、各種の廃棄物の有効利用の状況をまず把握することが先決であり、そのための実態調査を行いたいということで予算化いたしたわけでございます。引き続き、五十三年度におきましてもこの予算によりまして新たにごみの分別回収のあり方、最も好ましい方法等と、あるいは減量化運動の促進を図るための経費というものも含めましてこれを推進していきたいという予算化に努めているわけでございます。また、このほか五十二年度から三カ年計画で着手しているわけでございますけれども、これは具体的には愛知県の豊橋におきましてごみとコンポストを利用した、しかもかつ焼却の余熱を利用しようということで、都市と農村を結合した総合処理システムと申しますか、廃棄物の総合処理システム開発事業、こういうものを新たに取り上げて補助事業として推進したいというような形で、予算面におきまして充実を図っているところでございます。  また、いろんな各種の研究的なものといたしましては、環境庁で一括計上されております予算でございますけれども、五十年から五十二年の三カ年の計画でございますけれども、物質循環の構造化における都市環境計画手法の開発に関する研究とか、あるいはこれは五十一年度から五カ年計画で実施しているものでございますが、都市廃棄物のコンポスト処理方式の改善ならびに農業への利用についての必要な研究、そういうものもあわせて行っているわけでございまして、このような形でこの予算の充実と申しますか、ということに努めている段階でございます。
  232. 柄谷道一

    柄谷道一君 厚生省サイド、そして環境庁サイドの実態はわかりましたけれども、五十一年私が質問いたしました際に、当時の水道環境部長、現官房長でございますが、工業技術院でも重要技術研究開発費補助金、中小企業庁では技術改善費補助金、科学技術庁におきましては発明実施化試験費補助金等といったようないわゆる補助金制度があるので、これらも活用しつつこの対策の推進を進めたいと、こういう趣旨の御答弁がございました。これ各省庁にこの研究が行われているわけですね。そうすると大臣、これはやはり廃棄物処理の中心官庁はこれ厚生省でございますから、これらの環境庁その他の省庁の研究開発というものが有機的に結合され効果を上げていくと、こういう体制をとることがよりその前進を図るゆえんではなかろうかと、こう思うわけです。現にこのような調整が行われているのかどうか、もし十分行われていないとすれば、今後の方針に関する大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  233. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) 日本の役所は縦割りの弊害が各所に出ておりますんで、おっしゃるようにこれをもっと総合的にまとめまして、そして効果が上がるようにしていかなきゃいかぬと思いますから、私も主管大臣として、おっしゃるように各省のそれぞれの成果というものをよくにらみながら連絡をして、これを対策に生かすような総合的なまとめ方といいますか、関心を十分持ってまいります。
  234. 柄谷道一

    柄谷道一君 ところで、これはまた悪い例なんでございますが、通産省が昨年十一月、四億七千万円の資金を投じまして、千葉県市原市に、冷蔵庫、洗濯機、テレビ、クーラーなど、家電の廃棄製品から資源を回収する、いわゆる再資源化プラントというのを建設されたわけでございます。当時このことが新聞で大きく報道されたわけでございますが、最近の新聞では閑古鳥が鳴いているような状態であるとも報道されております。私は、そこに何かの原因があるんではないか。また端的に言うならば、使い捨てを前提とした資源サイクルの発想について、ここで想いを新たにして検討しなければならないという問題点が市原の場合提起されているんではなかろうかと、こうも思うわけでございます。これは通産省のやったことだから厚生省は知らぬということでも結構なんでございますけれども、そうばっかり言っておれないわけでございますから、関連する厚生省としてどういう分析をこれに対してしておられるのか、お答えいただきたい。
  235. 国川建二

    政府委員(国川建二君) 先生いまお話しの千葉県の市原の実証プラントと申しますかでございますが、私どもいろいろ通産省サイドからも聞いた範囲ではございますけれども、プラントとしての機械の性能と申しますか、これは、破砕して、それをさらに破砕した部品の中からいろいろな有益な金属を回収するというシステムなんでございますが、能力そのものにつきましてはおおむね良好な結果を得ているわけでございますが、機械の規模から申しまして、ある程度と申しますか、一定の家電製品といいますか、廃家電製品と申しますか、が持ち込まれたときでないと機械の運転がしにくい。つまり、規模に比較して原料になる廃家電製品が適宜適切に集荷されるといいますか、入ってきませんとなかなか運転がスムーズにいかないという意味で、間欠的な運転になっているという実情だと承知いたしております。  で、まあいろいろ事情もあろうかと思いますが、一般的に新聞等では、不況の影響もありまして、そういう家電製品の廃棄される量自体が減っているというような話もございますけれども、実は、設置する段階におきまして、そういう家電製品を集める範囲が、一応市原市内で集めたものを取り扱おうということになっているようでございまして、そういう意味で、毎日連続して運転するほどのものに至ってないというような状況だったと聞いているわけでございますが、いずれにしましても、これは新しい試みでございますから、いまの段階ではなお試行の段階と言えようかと思いますので、これらいろいろな問題点、課題といいますか、残されているものが解決されれば十分な一応能力も発揮するんじゃないかというように思っている次第でございます。  それから、後段先生おっしゃいました使い捨てを前提とした資源リサイクルという発想ということにつきましての問題提起と申しますかということでございますけれども、資源リサイクルそのものが、廃棄物としての総量を原料化するということは、これはとりもなおさず市町村の廃棄物行政の立場からいいますとプラスになるわけではございますけれども、物をつくるとかあるいは消費するという段階で、いわゆる使い捨てそのものを前提とするということはいかがかなというように実は考えておる次第でございます。
  236. 柄谷道一

    柄谷道一君 ここで私は、大臣厚生大臣というよりもむしろ国務大臣としてお願いをしておきたいわけでございますが、たとえば産業構造審議会産業公害部会廃棄物再資源化小委員会が中間答申を行いました。この中間答申に基づいて通産省が再資源化法の立法を意図されたけれども、いろいろこれは問題があって国会に上程する段階にまで至っていないということも伺っております。いま申しました市原市の例もございます。私は、そういう点を考えますと、この再資源化ということにつきましては、もちろん技術的な研究開発、これが必要でありますと同時に、それだけでは問題が解決しない、たとえば再利用というものが可能な廃棄物をいかにして分別回収をするかという回収方法というものも伴ってこなければなりません。そして、その再生化された製品のコストというものが検討されなければなりません。さらに、再生化されました製品の市場対策というものも伴ってこなければならない。さらには、最近では平電炉業界等はむしろドル減らしという視点から、外国のくず鉄を買った方がより安くより良質の製品が得られる、まあドル減らしという国策に沿うゆえんからも再生利用よりも輸入でと、こういう雰囲気もあらわれてきております。したがって、私はこの再資源化という問題は、厚生省の側からすれば減量という問題になりますし、福田総理が絶えず言われております資源有限化時代に対応する国の基本政策ということにもかかわってまいりますし、産業政策にも絡まってまいりますし、また円高対策というものとも関連してくるわけでございます。  こうして考えてみると、いままでこのことが余り実効が上がっていなかったということは、これらの総合的な研究というものが欠けていたのではないか、それらに対してやはり政府部内で十分な意見調整が行われるということが一つの解決の出発点になるんではないかとすら思うわけでございます。まあ、大臣のせっかくの、これは国務大臣としての御手腕に期待申し上げたいと思うのでございますが、この点いかがでしょう。
  237. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) 「すら」ということでなくて、そのとおりだと思うんですね。本当に産業官庁と一体になってこの問題の促進を図っていかなければなりませんので、厚生大臣というのはいままでどちらかといいますと、もう毎年健保に明けて健保に暮れているような状況でございますので、私もこの辺の力というものがどうも余り遺憾ながら発揮できてないんじゃないかと思いますので、しかもほうっておきますと、これは大変な先ほど言ったようなごみの量、廃棄物の量等を考えますと本当に放置できない問題でございますから、また一方、減量化施策の推進あるいは資源回収という点から見ましても、当然これはおっしゃるような総合的な方向で努力をしていかなければいけませんので、できるだけ私も時間を見ましてがんばってまいります。
  238. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は、あえてこの問題を質問として取り上げたということは、この種の問題の施策というものが今日まで余り重要視されていなかったというところにその根源というものがあるんではないかと、こう思うんです。これは国家百年の大計の上からも決して軽視することのできない問題点でございますので、ひとつ大臣として関係省庁と十分に話し合いを進めていただきまして、その対策が確立されるように強く望んでおきたい。  そこで、本年二月二十日東京で「資源とエネルギーを大切にする国民運動全国集会」というのが開かれております。それで新聞で見ますと、私はきょうは時間の関係でその事例は申しませんけれども、たとえば静岡県沼津市、愛知県豊橋市、千葉県の柏市、大分県の大分市、こういった各地で非常に有効な成果を上げているという事例が発表された。と同時に、その席上におきましては、やはり再資源化は自治体が力を入れているケースというものは相応の成果を上げているという点が強く述べられまして、これはまあ所管は自治省でございますが、その自治省としての指導ということが強く求められると同時に、国自体としてももっと行政指導というものが強化されてしかるべきだと、こういう痛烈な意見が述べられたと新聞には報道されているわけでございます。  国の施策、きわめて私は今日まで必ずしも十分だとは言えませんので、この点も時間の関係から意見として申し上げまして、あわせて大臣の御善処を賜りたい。あわせて自治大臣に対しましても、有効な事例が出ておるわけですから、これらに基づいた強力な自治省としての行政指導もまた必要ではないかということを申し上げておきたいと思います。  そこで、私はそういった再資源化の問題はいろいろ問題がありまして、大臣には御努力願うわけでございますけれども、しかし、なかなか即効的な効果というものをいま期待することができない。そういう問題ですから、中期的な努力を願うと同時に、当面の問題としては、私はやはり、これまた大臣の言われました減量化の対策というものを強力に進めていく必要があると思うわけでございます。たとえば、これは一、二の例でございますけれども、町田市が森野団地で有価物を対象とする回収と、これに伴う減量化というものを実施したところ、埋め立て処分量の観点から言うと約二、三%の減量が可能であると、こういう事例があるわけでございます。さらに、これは千葉県の野田市では、自治会に、町内に減量のために物資を限定して買い上げまして、その売上高の一部を自治会に還元する、そういう予算措置をとってもなおかつこの減量化によって浮いてくる経費と、さらに自治会に交付するという金額との対比においてなおおつりが出る、こういう事例も野田市の場合発表されているわけでございます。  私は、こういう事実をもっと精細に分析をしていけば、ここで廃棄物対策のまた新しい減量化対策という方向が浮かび上がってくるんではないか。そのためには私は、自治体、特に市町村にこれを任しっきりということではなくて、もっと分別収集の実態というものを把握し、そしてこれは有効であるというたとえばモデル案を各自治体に示して誘導する、それと同時に、国民に対して全国的なごみの減量運動というものを展開していく、こういう配慮があわせていま行われるべきだと思うのであります。大臣もその必要性を述べておられるわけですが、一体五十三年予算の中でこの種の問題、どれだけの予算が計上されておりますか。
  239. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) おっしゃるとおりでございますが、実は五十二年度と比べまして若干減りました。わずかな金額でございまして、八百六十八万円というんで、申し上げるのもちょっと恥ずかしいようなかっこうなんでございますが、しかし、一応この減量化なり有効利用の成果を見守ってきたんですけれども、どうも余り効果を上げているとも考えられませんものですから、もう一度ひとつ分別収集についての調査をやってみたいと、こういう気持ちで予算を計上したものですから若干少ないわけでございますが、おっしゃるような方向で、ぜひこの結果出てまいりました、あるいはまた各地方地方でやって効果を上げている事例、こういうものをひとつできるだけ全国に普及するような指導も徹底しましたり、あるいは国民運動展開の方法論を内部で協議しまして、できるだけ全国民に呼びかける運動もやっていかなきゃいかぬと考えております。
  240. 柄谷道一

    柄谷道一君 本当に私も予算見まして、余りの少なさに驚いたわけでございます。しかし、これは厚生省の姿勢に問題があったんですか、それとも大蔵省の無理解に由来するものですか、いずれですか。
  241. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) 大蔵省の無理解というわけではないと思うんです。また私どもの姿勢という、非常に消極的な姿勢がこれにあらわれたという、まあ結果的には少ないものですからそう言われても仕方がないんですけれども、そうじゃないので、ただ昨年の調査でございますものですから、事例調査でございますし、そんなにたくさんの金は要らぬだろうといういろいろ見当から、もちろん要求は最初考えたのはもうちょっと多かったんですけれども、しかしいろいろ話し合った結果、この程度あれば効果が上がるかなというような調査でございますから、そういうつもりでまとめたわけでございますので、私どもの責任と言えば責任だろうと思います。
  242. 柄谷道一

    柄谷道一君 私はいま全国集会の事例も見ましたように、各自治体で徐々にこういう気運は盛り上がってきつつあるわけですね。国民運動としてもこういう問題が起こりつつある。私はやっぱりそういう点を国がもっと積極的にてこ入れをして、そして運動を強化する。そのための、膨大な予算をこれに必要とするわけではないんですから、やはり必要最小限の予算を計上する。そのことは私は国家財政全般から見ましても、これの成功によってずいぶん潤う部分が出てくるわけでございます。特に、大臣責めてばかりおってはしようがございませんので、五十四年度予算にはもう少し、さすが厚生大臣だと言われるような実のある予算化について、ぜひ大蔵とも十分話し合いを願って御努力を願いたい、こう思うわけでございます。  そこで、私は産業廃棄物の処分を効率的に行うためには、次に情報の管理について国が積極的に乗り出す必要があるんではないかという点を指摘したわけでございます。  私は市町村に責任が持たされて、都道府県がまだ十分にその機能を発揮していない、また国もこの情報管理という点がまだ不十分である。だから廃棄物を積んだ車が国道線上をすれ違ってみたり、同じたとえば東京都であって二十三区は夢の島に廃棄物の埋め立てができるけれども、都下は勝手にしろということかどうか知りませんが、何か県外、長野あたりに埋め立て地を求めなければならぬというふうに、都道府県そして国、これのやはり情報管理のシステムというものが、前回指摘したんですけれども、まだまだ改善の実が上がっていないのではないかということを感ずるわけでございます。いかがでございましょう。
  243. 国川建二

    政府委員(国川建二君) 先生御指摘のとおりだと思うんでございますが、廃棄物の処理は、一般廃棄物については市町村、産業廃棄物については個別の企業あるいは処理業者というものが主体となっておりますために、お話しのように遠距離に運搬したりあるいは処理施設の偏りがあるというような実態が見られるわけでございまして、御指摘のとおりむだが多いんではないかという感じはいたすわけでございます。そういう意味からも、いわゆる情報管理というものが全国的にきちっとなされることが最も望ましいことでございますし、私どももそれを目標として何とかしたい、取り組みたいということを努力しているわけでございますが、一つの段階といたしまして、まず県単位と申しますか、県の範囲内だけでも少なくとも産業廃棄物を含めまして的確な情報の提供と同時に適正な処理、そういうことを進めるべきではないか。それからさらに広がって、県単位でなくて、都道府県の区域を超えて広域的に廃棄物が動くということを想定いたしまして、ブロック単位で広域処理ができないものか、そのために必要な情報と各種の処理施設の能力等も把握する必要があるということで、五十三年度の予算案におきましては広域処理の分担調整協議会費というものを新たに起こしまして、ブロック単位で数府県にまたがりましてそういったものの廃棄物の処理につきまして情報交換あるいは適切な処理というものを位置づけたい、そういう努力をいたしたい。当面そういうことの積み重ねによりまして、将来はもっと広範囲に全国的な視野から物を考えなきゃいけないんじゃないかというように思っています。一部の県におきましては、大変的確に県内のあらゆる廃棄物の量その他を把握している県もございますけれども、御指摘のように、すべての県がなかなかそこまではいっていないというのが現状ではないかと思いますので、今後さらにその点につきましては努力いたしたいと思っております。
  244. 柄谷道一

    柄谷道一君 大臣、これも私五十一年に指摘したんですね。ところが、やっと今度五十三年度に——これがまた金額はまことに悲観をしておるわけでございますが、しかし、とにもかくにもそういう情報管理という面について県ないしはブロックというものについて体制づくりをしていこう、そこまでこられたことは私は前進として評価します。しかし、ずいぶんむだが多いと思うのですね。こういう点について、これも廃棄物処理の重要な一つの問題点であろうと思いますから、大臣もそこにしかと目を向けて指揮をとっていただきたいと、こう思うわけでございます。  しかし、そういう問題とあわせて、やはり最大の問題は最終処分地をいかにして確保するかということになってこようかと思うわけでございます。  そこで、聞くところによりますと、大都市圏を対象として厚生省サイドでフェニックス計画が企画されているということを聞くわけでございますが、時間の関係もございますので、後ほど資料はいただくこととして、そのいわゆる概要についてどういう構想なのか、簡潔にお伺いをしたいと思います。
  245. 国川建二

    政府委員(国川建二君) 首都圏、近畿圏を対象といたしまして、そういう地域では廃棄物の最終処分場の確保、取得が大変困難だという認識のもとに、そういう両地域におきましては海面を利用いたしまして、大規模な、相当大きな規模の埋め立て地を設置する必要があるという認識を前提といたしまして、運輸省とも共同でいろいろ相談いたしながら、明五十三年度からこれに取り組みたいと、こう考えておるわけでございます。当面、五十三年度予算案には五千万円の調査費を計上いたしているわけでございますけれども、現在の廃棄物の処理体系と申しますか、これは崩さない。つまり、一般廃棄物については市町村、産業廃棄物については事業者というたてまえのもとに、当然ではございますけれども、当該地域関係の地方公共団体が協力してやりましょうというような合意が形成されました場合、その関係の地方公共団体がそういう最終処分場を設置する。なお、建設工事につきましては、いろいろな技術面あるいは財政面その他問題も多分ございますので、これは国レベルでこれを支援いたしたい。でき上がりました最終処分場のその用地等は、設置運営主体であります関係地方公共団体に貸与するという方式ではどうかという形で、五十三年度はそういうことに関する基本構想の取りまとめをいたしたいという形で取り組んでいるわけでございまして、将来相当規模の先行的に処分地を確保したいという計画を検討しているわけでございます。
  246. 柄谷道一

    柄谷道一君 私も、PPPの原則というものがあります以上、フェニックス計画というのはあくまでも関係自治体の合意の成立というものを前提として国が積極的に支援する、そういう基本的な形態というものがとられるべきだと思うわけです。しかし、これはやはり国の積極的な支援体制というものがなければ、関係地方自治体の合意を得ること自体もまた問題がある。これは両々相まって行われるべきものだと思います。  そこで、若干細かな問題ですが、このフェニックス計画というのを見ますと、首都圏と近畿圏というのが対象になっておるようですけれども、特別法などつくる場合は大体慣例として首都、近畿とあわせて、いわゆる中京圏といいますか中部圏といいますか、これらの三つが対象になるというのが大体政治のいままでの慣行、慣例と言っては問題があるかもしれませんが、着眼点であったと思うのですね。今度中京圏が入っていないというのはどういう理由でございますか。
  247. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) 私、御承知のように、実は予算要求してからいよいよ最終段階に着任したものですから、私も聞きまして、どうもおかしいなと、何で一体近畿と——東京と大阪だけの問題を考えるのだと。中京はもちろんでございますし、それから実は環境庁長官時代にも最終処分地の確保については岡山からも相当の大きな要望ございまして、私ども環境庁の方でお世話を、例の公害防止事業団の資金の貸与というものを考えたことがございます。したがって、非常な疑問を持ってあれしましたら、一番大きな量を抱えておるところにまずモデル的にやるんだからということだったものですから、追加要求ともしないままに、これは調査費でもありますし、そんなことであれしたんですが、当然おっしゃるように考えていかなきゃいかぬと思っておりますので、来年の予算要求には私としてこれはひとつ善処していきたいと考えております。
  248. 柄谷道一

    柄谷道一君 これはもう同感でございまして、特に深刻なところからということはわかるんですけれども、やはり中京圏なり、ただいま言われました岡山の工業地帯なり、全国洗い直してみればいろいろなところにまたいろいろな問題が抱えられていると思うのですね。ぜひ来年度の予算編成時には——余り大きく普遍的にということは無理かもしれませんが、二地区に限定しないで客観的な立場からこの計画が推進されるようにお願いをしたいと思います。  以上、私はこの廃棄物問題に対して質問を続けてきたわけでございますが、私は五十三年度予算を見ますと、いわゆるハードの面、廃棄物をいかにして処理するかという施設整備には相当多額の経費というのが計上されているわけでございます。しかしいわゆるソフトの面ですね、減量化の問題、有効利用の問題、さらに技術開発の問題、さらに最終処分地を確保するためのいわゆる国の支援対策を決定する上での調査費の問題、こういったソフトの面は非常に冷遇と言っていいのか軽視と言っていいのか、これに伴っていないという印象を率直に受けざるを得ないわけでございます。私は廃棄物処理問題というのは、繰り返しますけれども、資源化・再利用の促進、減量化・有効利用の対策の充実、それからいま処分といいますいわゆる中間処理体制の充実、そして最終処分地の確保、こういった問題と産業政策なり地方自治行政政策というものが絡み合いまして初めてこの廃棄物対策の全体系を形成することができるのではないかと、こう思うわけでございます。冒頭申し上げましたように、厚生当局の御努力を私は評価する一面、まだ大きな面が今日まで見落とされていたのではないかというのが、率直な感じを持つわけでございまして、この点ぜひトータル的な視野に立つ財政の配慮、さらに総合施策を確立するために縦割り行政の欠陥を補正するための調整機構の充実、この二つが今後の廃棄物問題に対応する大きな前進を図るためのかぎであろうという点を指摘いたしまして、大臣の一層の御努力が実を結ぶことを期待をして次の問題に、時間もありませんので移りたいと思います。その件に関する大臣の御所見をお伺いします。
  249. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) 本日の御議論、非常に貴重な御意見をいただきましたので、私も確かにおっしゃるようにソフトの面が非常に欠けておると思います。また、おっしゃいました関係各省庁との連絡協調、それに対する総合的なひとつ厚生省の指導力といいますか、推進力というものが欠けていると思いますので、一層ひとつ努力さしていただきたいと思います。
  250. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は、かつてこれも社労委員会で盲導犬問題を取り上げました。これはお礼を申し上げておきたいわけでありますが、厚生省当局が育成機関に対する寄付のあっせんをされるとか、きょう来ておられます警察庁が道交法改正の中でこれを織り込んでいただくとか、運輸省も国鉄バスの利用の手続を簡素化する、さらに四月には全国のバスに乗車を認める旨の通達を出された。まあ本当にこの点に対して理解ある各省庁の姿勢が逐次示されておることに対しまして、改めて敬意を表しますとともに、まだまだ残されている問題があるわけでございますので、きょうたまたま警察庁、運輸省が来ておられますから、厚生省を含めて一層の御努力を期待申し上げたい。  そこで私は、三月二十日の予算委員会の総括質問で取り上げた問題でございますけれども、まず、警察庁にお伺いいたしたい、当時おいでになっておりませんでしたので。  それは、西ドイツが運転免許の交付に当たって救急法の修了を義務づけておる。そしてこれに対応する形で、すべての自動車に救急箱の積載が義務づけられている、こういう事例を引きながら、道交法七十二条には、運転者に対する義務として、事故を起こした場合に、「直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、」云々と、いわゆる救護の責任を運転者に課しているわけでございます。ところが義務は課しており、罰則は適用されておりますけれども、果たしてドライバー自体がいわゆる救急法を修了しているかどうかということになると、免許に当たってそういう講習も行われておりません。この点を御質問申し上げたわけでございます。この点に関しては、五十二年五月十九日の衆議院における交通安全対策特別委員会及び本年二月二十七日の衆議院における予算委員会第一分科会で、きょう呼んでおりませんが、消防庁は、私ども救急業務、救急搬送の立場からしましても、一般の方々が救急知識を持っていただいていることが搬送する際に、より人命救助に効果があると思います。まあこういうことを述べられているわけでございます。警察庁の局長も非常に二回にわたって前向きの御答弁をされております。時間の関係から答弁内容は省略をいたしますが、改めて警察庁としてこの問題に対しどのようなお考え方を持ち、どのような方法でその実現化のために検討を前向きに進めようとしておられるか、この点をお伺いします。
  251. 三上和幸

    説明員(三上和幸君) お答えいたします。  自動車事故に伴います救護の問題でございますけれども、広くこれに対する救急知識というものを持っておりますことが大変重要だと思いますけれども、なかなか事故の態様というのは千差万別でございまして、その際に、何ら医学的な知識を持たない者がどういう救護措置をとればいいのか、また適当な救護措置をとらなければ罰則がかかる、こういうような現在の道交法の体系になっておりますので、十分運転者として守り得る内容でなければなりませんし、それが的確な救護措置でなければならないという問題がございますので、いろいろ関係向きの御意見等もお聞きいたしまして、私どもの方でも検討を進めておるわけでございますが、ただいま申しましたような事故の際の救護義務との関連もあり、それから素人の人がやる救急という問題でもございますので、現在の段階では運転者に対しまして教則ということで交通のルールに関しましての教える内容が書いてあるわけでございますけれども、その中で頭部の負傷した者に対してどうするか、あるいは出血をしている者に対してどうするか、あるいは意識を失っている者に対してどうするかというような、ごく限定をいたしました内容につきまして、救急措置について指導をいたしておるわけでございますが、さらに今後とも御指摘の点もございますので、さらにその徹底を図ってまいりたい、こういうふうに考えております。  それから、救急措置に必要な物品の備えつけの問題でございますけれども、その問題につきましても、関係当局の御意見も十分いただきまして、今後その推進を図ってまいりたいというふうに考えております。
  252. 柄谷道一

    柄谷道一君 運輸省にお伺いいたしますが、自動車運送事業等運輸規則の第十九条にも、「旅客が死亡し、又は負傷したときは、次の各号に掲げる事項を実施しなければならない。」として、「死傷者のあるときは、すみやかに応急手当その他の必要な措置を講ずること。」ということが明記されているわけでございます。私.聞くところによりますと、貸し切り自動車、いわゆるバスにつきましてはおおむねそういう講習等も行われ、かつ必要の救急材料が自動車に積載されているということもお伺いいたしますし、またテレビの報道するところによりますと、東京都個人タクシー協同組合所属の約八千台がこういう措置を講じたと、そして約八千台、そのほかに持っております日本個人タクシー連合会にもそのような機運があるということも聞くわけでございます。運輸省としての今日までの指導がどういうふうにされておるのか、そして現状どのようになっているのかを簡潔にお答えを願いたい。
  253. 丹羽一夫

    説明員(丹羽一夫君) お答えいたします。  旅客自動車の救急器材の備えつけの問題につきましては、先生御指摘のように、東京管内で調べてみましても、貸し切りバスのほとんどが救急箱を備えるということになっております。それから一般の乗り合いバス、またタクシーでは、これはまだ全部というわけにまいりませんで、一部にはそういうような措置が路線バスにも施されてる会社がございます。しかし、一般的には常備されてないというタクシーだとか、一般の乗り合いバスというようなものにつきましても、現状では救急器材というものは持ち合わせておりませんが、乗務員の応急の手当、それから病院、救急機関への迅速な通報というようなことで対処しておるわけでございまして、実際にはこれらの器材というようなものも、これは先生御指摘のように、備えつけについてはすでに備えつけて利用しているいわゆる事業用の旅客自動車の実績というようなものも十分勘案しまして、関係方面と十分協議してまいりたい。  それから、運転者につきまして応急措置というのはどうかということで、先ほど警察庁からも運転者の義務というようなことで御説明がございましたが、事業用のトラック、バス、タクシーというものは、これはプロのドライバーでございますので、そういうプロのドライバーは一般のドライバーのお手本にたるような、運転と救護というようなことが必要だというような観点から、運輸事業者には安全運転とか、それから事故の際の措置というようなものを含めて、いわゆる自動車の安全運行を確保するというための、そういう仕事をつかさどる運行管理者というのが専任されてございます。現在運行管理者が直接運転者というものに対して教育を指導し、運行の管理をすることになっておりまして、これが全国で約六万人の運行管理者が専任指導者として専任されておりますが、年に一回以上教習、研修を実施することにしておりまして、昨年の実績でいきますと、約六万七千人余り、これは数が六万人以上でありますのは、途中で交代だとか予備というのがございますので、六万人以上に対しまして自動車事故が起きたときの負傷者に対する応急手当て法というような形で教育してございます。それで、実際の運転者というのは事業用の車、トラックまで含めますと百万人に及ぶ運転者がございますので、これを核にいたしまして、その運行管理者が中心になってそれぞれの事業所、営業所において直接運転者を指導するという、間接指導方式によって教育訓練の徹底を期しているというのが実態でございます。
  254. 柄谷道一

    柄谷道一君 厚生大臣、いま質問で明らかになりましたように、警察庁としましても運輸省といたしましても、前向きにこの検討が進められているわけでございます。一方、消防庁の方もそういう体制ができることは望ましい、こうお答えになっております。  私は、全国にいまドライバーが約三千五百万人ぐらいいるんではないか、これは単に交通安全の問題から、交通事故から人命を守るということのみではなくて、確かに市街地で事故を起こせばもうすぐに一一九番かければ救急車が来てくれるわけですから、いかに早くそれを医療施設に搬送するか、そして適切な措置をとるか、そこが重点になるでしょう。それから自動車というのは、これは僻地も走れば山の奥も走るわけでございます。やはりドライバーというものが適切な救急法を知るということは、人命尊重の視点からしてもきわめて重要でありますし、しかも、これ大都市震災等が起きましたときに、三千五百万人といいますと人口三人に一人の割合でございますから、大震災が起きたような場合は道路も途絶をいたしますし、限りある救急車の出動にも限界がございますし、医療施設も果たしてそれだけの大量の患者を受け入れることができるかどうか、座して処置なく人命を失うということと対比するならば、国民の多くの方々が救急法を身につけるということはきわめて重要だろうと思うんですね。  しかし、厚生省側としましても、一体どこまでの措置が必要であり適切なのかと、これは医療行為はお医者さんしかできません。さらに、積載する材料にしても薬事法がございますから、それとの絡みも出てまいります。また、運転免許取得ないしは更新時にそういう技術を習得するとしても、いま言った医療法その他の関連からどういう内容の講習を受けさせ、知識を得させることが最も適切かというやはり問題を積極的に提起していくのはこれは厚生省であろうと思うわけでございます。前回の予算総括質問の中で、大臣としても積極的な協力を惜しまないという御答弁をいただいたと思いますけれども、改めてお伺いいたします。
  255. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) 私もぜひ運転をやる人が、一たん事故が起こりましたときに、本人のみならず乗客等について応急の措置についての十分な知識を持っていただく必要があると思いますので、ただその講習といいますか、運転免許を取る条件にしていただく方針を警察庁あたりで決めていただければ、私どもは今度お医者さんと相談しまして、この内容にしてくれ、この点は特に気をつけてくれというやつを医学的にちゃんと整理ができて講習できると思いますので、これはまあ大変いいことじゃないかと思います。そういうものを前提にしないで器材を投入しますと生兵法になっていかぬ場合がありますから、そういうものはぜひ前提にしていただきたい。そして、もしそれだけの前提のもとに警察庁が望ましいからアクションを起こしたいという場合には、積極的に私どもは協力いたします。これはもう薬事法との関係は、余り包帯材料その他から見ますとそう支障はないんじゃないかと思いますけれども、これ私、専門家じゃありませんのでよくわかりませんが、できるだけ積極的に協力してまいります。
  256. 柄谷道一

    柄谷道一君 時間が参りましたので、最後に質問を一問だけにとどめたいと思いますが、前回質問しましたときに、総理府は、交通安全対策室があるんですが、警察庁がアクションを起こせば協力する、そういう姿勢でございました。いま厚生大臣も同様の御趣旨の御答弁でございました。消防庁、運輸省も大体そんなところではないか。ということを考えますと、こういうふうに私は理解をしておきたいと思うんですが、このメインといいますか、いわゆる中心に据えられるのは警察庁であると、その警察庁というものの問題提起に基づいて運輸省も厚生省もそれぞれの所管の業務という立場に立って協力体制をとっていくというふうに、まあ前回ときょうの答弁を引き継ぎ合わせますとそういう理解になるわけでございます。  これはひとつ国務大臣としてお願いしておきたいんですけれども、ここへ各省大臣皆呼ぶわけにいきませんので、いま私が言いましたような体制づくりができますように、ぜひおまとめを国務大臣としてとっていただくという労をひとつ煩わしたい、こう思うんですが、その点に対する所見を伺いまして、私の質問を終わります。
  257. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) 加藤国家公安委員長とそれから運輸大臣と私、相談いたします。それで協議をして、どこが一体事務的に難点があるのか、しかしこれは政治的な配慮でやるべきということに決断をしていただければ、その点の解消はどうしたらいいかということをやればいいわけですから、公安委員長の加藤大臣並びに運輸大臣の福永さんと、それから総理府総務長官はまとめ役でございますので、恐らく具体的にはそう支障はないと思いますが、まあ現場の三大臣がよく協議をして、それで総理府総務長官とも相談をしてできるだけ努力をいたします。
  258. 柄谷道一

    柄谷道一君 終わります。
  259. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) 以上をもちまして厚生省所管に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  260. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) この際、分科担当委員異動について御報告いたします。  本日、安恒良一君及び坂倉藤吾君が分科担当委員辞任され、その補欠として松前達郎君及び対馬孝且君分科担当委員に選任されました。     —————————————
  261. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) 本日はこれにて散会いたします。    午後五時七分散会      —————・—————