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1978-03-30 第84回国会 参議院 予算委員会第四分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年三月三十日(木曜日)    午前十時開会     —————————————    分科担当委員異動  三月二十九日     辞任         補欠選任      粕谷 照美君     対馬 孝且君      桑名 義治君     内田 善利君      内田 善利君     矢追 秀彦君      井上  計君     柄谷 道一君  三月三十日     辞任         補欠選任      高杉 廸忠君    目黒朝次郎君      矢追 秀彦君     峯山 昭範君     —————————————   出席者は左のとおり。     主 査         内藤誉三郎君     副主査         田代由紀男君     分科担当委員                 真鍋 賢二君                 八木 一郎君                 高杉 廸忠君                 対馬 孝且君                目黒朝次郎君                 峯山 昭範君                 矢追 秀彦君                 山中 郁子君                 柄谷 道一君    国務大臣        労 働 大 臣  藤井 勝志君    政府委員        労働大臣官房長  石井 甲二君        労働大臣官房会        計課長      加藤  孝君        労働大臣官房審        議官       谷口 隆志君        労働省労政局長  北川 俊夫君        労働省労働基準        局長       桑原 敬一君        労働省婦人少年        局長       森山 眞弓君        労働省職業安定        局長       細野  正君        労働省職業訓練        局長       岩崎 隆造君    説明員        行政管理庁行政        管理局管理官   百崎  英君        林野庁職員部長  相賀 幸雄君        労働大臣官房審        議官       松井 達郎君        労働省労働基準        局監督課長    小粥 義朗君        労働省職業安定        局業務指導課長  田淵 孝輔君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和五十三年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和五十三年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和五十三年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) ただいまから予算委員会第四分科会を開会いたします。  分科担当委員異動について御報告いたします。  昨二十九日、粕谷照美君、桑名義治君及び井上計君が分科担当委員辞任され、その補欠として対馬孝且君矢追秀彦君及び柄谷道一君が分科担当委員に選任されました。     —————————————
  3. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) 昭和五十三年度総予算中、労働省所管を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 対馬孝且

    対馬孝且君 限られた時間でありますから、大臣ひとつ明瞭に、簡潔にお答えを願いたいと思います、時間が三十分ですから。  まず最初に、私は季節労働者の九十日雇用保険の復活につきまして労働大臣基本姿勢をまずお伺いをしたいと思います。  北海道では全国的と言われます——沖繩と同様に、労働省失業多発地帯という指定をされております。現在、北海道では季節労働者通称三十万、一声三十万と、こう言っておるんでありますが、家族を含めますと百万で、全国の出かせぎ労働者の大体四〇%を占めておるというのが今日の現状であります。加えて、二百海里で漁業労働者失業、また米作減反が三五・七%、これまた全国一であります。これによる離職に伴う失業、加えて造船不況が、このたび室蘭、指定になりましたが、こういう失業状態が増大をいたしております。こういう現状の中で、どうしても北海道のこの季節労働者というのは御案内のとおりでありまして、他府県と違いますのは、専業の出かせぎ労働者であるということにつきましては、昨年の予算委員会におきましても、前石田労働大臣が私の質問に一応肯定をされております。そういう観点からまいりまして、現在もすでに、ことしの一−三月で市町村自治体は最低十万から十五万の生活資金をも貸与しているわけです。こういう実態の中でどうしても、もはや市町村段階でも生活資金はもう限界に達してきていると、これにはどうしても抜本的対策が必要であると、こういう段階に来ておりますので、いろいろ去年もずいぶんやりましたが、そっちの労働省もこだわらずに、われわれが昨年提案をいたし、ことしも提案しておりますが、五十日を選ぶか、九十日を選ぶかということは本人の選択性によって処置をとってよろしいんじゃないかと、こう考えますので、この取り扱いについての基本姿勢をまず大臣にお伺いをしたい。具体的な問題として安定局長からひとつお答えを願いたいと、こういうふうに思います。
  5. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) 御指摘のごとく、日本全体が厳しい雇用情勢にある、その背景の上に季節労働者、特に立地的な自然的な厳しい条件のもとに大変北海道方面季節労働者を抱えられている雇用情勢は厳しいものがあると思います。そういう面から、いわゆる雇用保険の一時特例制度が設けられたわけでございまして、これはやはりせっかくの御提案でございますけれども、給付と負担の公平と、そうしてこの保険の原理上、やはりいろんな経過をたどって一時給付五十日という、この線は九十日との選択ということはむずかしいと、やはり五十日が、これが季節労働者実態を踏まえ、そして現状に沿うた一応考え得る策ではないかと、とりあえず現在のところ最善の策であると。まあそのほかいろんな工夫は今後しなきゃなりませんけれども、この問題については私は五十日の一時給付ということで御理解をいただきたい、このように思うわけでございます。
  6. 対馬孝且

    対馬孝且君 大臣、いつも同じことを答弁しているんですが、問題はこれは本質的には通年雇用をすると約束しているんですよ、労働省は。これは石田労働大臣も去年予算委員会で私に約束しているんです。ところが通年雇用通年雇用と言ったって、これさっぱり通年雇用じゃないんだよ、あなた。不安定通年になっちゃってだな、全くあなた通年どころか、おまけに後退しているんだよ、これ。なぜこういうことを言うかと申し上げますと、通年雇用が進まないからやっぱりこういう措置をとらざるを得ないんじゃないかということを言っているんで、何も九十日が本命じゃないんだけれども、通年雇用が進んでいかないからこういう措置をとらざるを得ないだろうと、生活を満たすために。これがまあ大臣基本姿勢なんであって、このことで時間とるわけにいきませんが、これはただ従来の経過を、ただ払ってない保険で飯を食わせるのはおかしいんだという物の言い方は、これはそんなことを言うなら、一時金五十日それ自体も根本的には保険的な問題をさかのぼればやっぱりおかしくなるんであって、私はそうでないと思うんですよ。やっぱり実態に合うかどうかという、北海道現実というのはさっき言ったように、道庁もお認めになっておりますように、大体通年雇用労働者がいまどれだけになっているかと言ったら、ほとんど皆無ですよ、これは。さっき言ったようにふえてきていますから、失業者が。そこへ持ってきて、中高年齢層は全然就職がありません、大臣、どんなうまいことを言ったって。もう五十を越えたらほとんど定職がないんです、はっきり言って。そうすれば、やっぱりその措置をとってもらいたいと言うのは当然のことなんで、しかも一月から三月までという限られた冬場の条件で、この下で、札幌でまだあなた、私も札幌だけれども、いまだに工事場へ行ったら一メーター以上の雪があるんだよ。仕事せいと言ったってどうしようもないんだから、これだけは。その措置として五十日だけれども、五十日で何ぼになると言ったら、十四万五千円よりならないですよ、大臣。これは北海道道庁が調べたのは十四万から十五万ですよ。これであなた四ヵ月間どうやって飯を食うんですか。生活保護法以下でしょう、これははっきり申し上げて。こういう状態に対して、やっぱりただ保険性格であるとかないとかということにこだわらずに、私はこのことはひとつ抜本的にもう一回検討していただきたいということを強く私申し上げておきます。このことだけで時間とるわけにいきませんから、その点ひとつ十分に検討していただきたいと思います。  次に、私はことしの、去年ずいぶんやりまして、労働省努力もありましたが、通称いわゆる積寒給付積雪寒冷地冬季雇用安定給付金というのが決定をされました。ところが、この制度を実施する段階で、大臣は新しいからわからなかったと思うけれども、当時私はずいぶん申し上げたのは、三つ申し上げたんだ。こういう制度をつくったってなかなか生きたものにならぬよと、季節労働者に実際に生きることにならないんじゃないかと申し上げたのは、懸念したとおり三点の問題がいまなっているわけですよ。どういうことかと言うと、一つはいま四万五千円ですよ、積寒給付金が四万五千円。雇用講習金が一万二千円で、五万七千円になるわけだ。これではさっき言ったように四十日間どうやって生活をするかと言ったって、これはできっこないですよ。これは北海道の出稼ぎの大体季節労働者建設労働者が一日当たりで六千円なんですよ。去年の十二月二日総理大臣に申し上げました。六千円の六〇%ですから三千六百円になるわけだ。これの四十日見合い額とすれば十四万四千円となるんですよ。そういう意味で十四、五万円という金はやらなければ四ヵ月間飯を食うことにならないんじゃないかと、こういうことをずいぶん私は申し上げたが、実際懸念したとおりになっている。さっき言ったように非常に生活資金を貸さなきゃならぬという実態になってきている。  それから二つ目は、大体事業主がやらないんですよ、これを。この間も安定局長のところに陳情にお伺いしたときも、現地の報告があったと思いますが、現に芦別地帯でこれを適用したものは三分の一よりないんですよ。なぜかと言うと、北海道の包括最賃というのがありましてね、地域最賃で。現在二千二百十七円なんだ。それが千五百円だから七百十七円持ち出さなきゃならぬわけでしょう。そうすると、これを出すということ事体がいまの不況の中で実態的でないというようなことでやらないわけですよ。現に芦別、赤平、ずっとこの間、局長も来ましたように、大体これを実際に受けたのが三分の一よりない。やっぱりわれわれが心配したとおり三分の二は——やっぱり事業主を通してやる限りはそういうことになるんですよ、結果的にこれ。それは私らの懸念したとおり第二点はそういうようになった。  第三の問題は何かと言ったら、相変わらずこれは大臣、これお見せしますよ。これ朝日新聞にも出ましたし、北海道にも出ましたけれども、幽霊会社をつくって雇用保険をあなた一億八千万円も、詐取しているんだよ。私はそうならざるを得ないということもずいぶん予言したよ、もう。大体、事業主はそういうことになるんだと、幽霊人口をつくって、こういう事業主サイドでこういうものをやると、必ずこういうことができ上がる。これはもう毎年毎年のようにだんだんエスカレートしてくる。つい最近ですよ、この一億八千万円というのは。三百五十一人も書類送検している。こういう悪い結果を引き起こすことになるんだから、まあ出かせぎ労働者に直接金を与える方法はないのかということで、ぼくはずいぶん去年も訴えましたが、これらの問題について、幸い労働省安定局長段階で、企業組合制度ということを弾力的運用でひとつお認めしようということになりました。それはいいんだが、そこでひとつこれからの問題としてお伺いしたいのは、きのうも中小企業庁長官と再度話をしましたが、これをどういうふうに企業組合を指導していくかということはこれからのやっぱり問題なんですよ。それはもうすでに局長課長も知っておりますからくどくど申し上げません。ひとつ大臣の方から、通産大臣あてに対してそういう意味での中小企業庁長官に対して、企業組合行政指導について労働省からぜひひとつ協力要請をしてもらいたい、この点いかがでしょうか。
  7. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) 御趣旨の線に沿うて、私の立場で中小企業庁長官の方へ相談をいたします。特に私は、例は違いますけれども、勤労者住宅促進のための組合、小さな企業の場合、事業協同組合企業組合をつくらなくちゃならない。ところが、それが今度逆にまた悪用されるというこういう結果になりますから、そういう面と両方から本当に季節労働者のためになるような運営に、うまく軌道に乗るように工夫をいたしたいと、こう考えております。
  8. 対馬孝且

    対馬孝且君 労働大臣からそういう誠意あるお答えがありましたから、ことしは間に合わなかったんですが、五十三年度はぜひひとつ季節労働者が直接やっぱり、現に北海道はやっておりますからね、これは企業組合ではありませんけれども。たとえば、留萌管内では木の枝払いをやって、それから市役所が季節労働組合に直接委託をしていると。あるいは砂利採取を直接役場が季節労働組合委託をしてやっているということで、ことし一−三月留萌管内はある程度生活を満たすだけの手だてをしてくれたんです。たとえば、そういうこともできるわけですから、現実にいまもうやっているんだから、企業組合でなくてもそれだけの実績を上げているんですからね。先ほどお答え願ったように、ひとつぜひ中小企業庁長官の方に協力要請をしていただきたいとこう思うんです。よろしゅうございますでしょうか。いいですね。
  9. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) はい。
  10. 対馬孝且

    対馬孝且君 そこで大臣大臣が就任したときもちょっと私、大臣記憶にあると思うんでありますが、去年の十二月の二十八日に北海道社会党国会議員団として新労働大臣にお会いしたときに、これではとても飯食えないんだと、そして労働省努力で七万八千円にいきましたけれども、これだけではとても四ヵ月飯は食えないと、せめて十四、五万のラインに到達してほしいんだという話を申し上げました。最近、これいろいろ出ておりますけれども、何とかこぶをつけるという手だてはないものだろうか、つまり七万八千円プラスアルファですね、これを何とかこぶをつける方法はないだろうか。たとえば、雇用奨励金の一万二千円の方をあるいは二万円にしろとか三万円にしろとかいうふうな、こういうかさ上げを何とか検討できないかという点で、これは五十三年度ですよ、私が言っているのは、五十四年度はまた新たに申し上げますけれども、今年度の中でひとつ上積みする方法を何とか大臣のところで手だてをしてもらいたい、こういうことについてどうでしょうか。
  11. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) 事務的といいますか、技術的なやりくりの問題でありますから、まず政府委員から答弁させます。
  12. 細野正

    政府委員細野正君) 五十三年度につきましては、例の講習の方を一万二千円から一万三千円に増額したわけでございますが、そのほか冬季積雪状態の中で職業訓練等をやって、それによって若干でも収入の道というものが開ける方法がないかということにつきましては、引き続き現在検討さしていただいているという状況でございます。
  13. 対馬孝且

    対馬孝且君 それで局長、引き続き検討さしていただくということで、これはきょうの段階これやむを得ないと思いますがね。ここらあたりはこれはこだわることないんじゃないかと、こう思うんですよ。なぜ私はそういうことを申し上げるかと申しますと、これは昨年の十二月二日、労働大臣もひとつ認識しておいていただきたいんですが、福田総理とこれ、北海道議員団の私、事務局長やっているもんですから、去年の十二月二日、現地季節労働者代表も入れまして会いました。そのときに、福田総理大臣もすでに御認識願っておって、大体北海道の出かせぎの建設労働者賃金というのは大体六千円だわなと、これは総理大臣どっから聞いたか知らぬけれども、ちゃんと覚えておったですよ。福田さんの方から六千円ぐらいだそうだと、そうすると、大体事業主が三分の二というわけにいかんわなと、やっぱり国が三分の一ぐらいはめんどう見るべきだと、こういう話が総理から出たんですよ。それで三分の一というと、大体私が先ほど申しましたように、むしろ国が半分見るということになれば、これは六千円ですからね、それで大体いま六千円と言っても五十一年の話であってね、五十二年度、五十三年度、当然これは上昇していると思うのですが、仮に六千円と仮定したって、これ三千円なんだな、率直に申し上げて。三千円を四十日分見ると大体十二万円になるんですよ、これ。大臣、そうでしょう。四十日分ですから、見合い額として。だから、十二万前後のことは、総理言葉からやっぱり半分ぐらいは国が見なければ生活もできないだろうし、また事業主雇用を創出しようという意欲がわかないだろうなということが福田総理の口から実は二日の日に出ているわけですよ。大変現地代表は気を強くしまして、総理大臣なかなか本当に理解していただいたということで、感激込めて帰っていったんだけれども、実際ふたあけてみたら七万八千円。確かに努力はされたけれども、七万八千円と一万三千円で九万一千円なんですよね、これ。私は率直に言うんだけれども、一遍に十五万というのを何回も去年来しゃべっているが、せめて総理が言う十二万のラインくらいは、国がやっぱり半分ぐらいはめんどう見ると、見るかという総理感じ感触、こういうものは私は正しいと思うんですよ、半分ぐらいめんどう見てやるべきだと。この半分ぐらいというラインに到達するためには、いまこれでいくと、七万八千円の一万三千円ですから、九万一千円になるんですよ。これは努力は多としますよ、私も。多とするんだけれども、九万一千円ではこれやっぱりちょっとあれなんで、せめて総理大臣の言った感触ぐらいのレベルに何とか、七万八千円を動かせないことはぼくもわかっているけれども、せめて一万三千円の方を何とかひとつやってもらって、私の感じでは労働大臣の方から、労働省の方から要求されれば、総理は一発で答え出ると、私はこう思っているんですよ。そういう点で大臣おわかりになったと思いますので、ひとつ感触大臣からお聞かせ願いたいと、こう思っています。
  14. 細野正

    政府委員細野正君) 先生のお話、私ども気持ちとしてわかる点もあるんでございますが、ただ御指摘職業講習助成金につきましては、これは先ほど申しましたように、一万二千円から一万三千円に引き上げているわけでございますが、これは職業講習に要する費用ということで実費弁償的な性格がございまして、ほかに職場適応訓練その他の各種の制度がありまして、それと連動している制度でございますから、これそのものをふくらますについては、いま申しましたようにいろいろな制約もございまして、したがいまして、これについてはなかなか困難な点がございまして、そのほか何か新たな知恵がないだろうかということで、引き続き検討さしていただきたいと思っておるわけでございます。
  15. 対馬孝且

    対馬孝且君 検討するということで結構ですが、私はこれもタイトルにこだわっているわけでも何でもないんですよ。要はこぶをつけてくれということですよ。これは藤繩おたくの次官も、何とかいいこぶがないかという話、去年出たんだよ。こぶも大きいこぶも小さいこぶもあるけどなと言って、小さいこぶ程度なら考えてもいいんじゃないかというようなことを次官もちょっと漏らしたからね。だから、何とかこぶになるものをひとつ考えてもらいたい。率直に実感を言わしてもらえば、先ほど言ったように、ひとつ十万円の顔を何とか飛び出すようにしてもらって、十万円たって四ヵ月だからね。一月にならせば三万円にならないんだよ、大臣。それはいまどき生活保護法だって十万超えているんだからね。一級地になれば十四、五万になるんだから。そこらあたりやっぱりひとつ考えてもらって、検討していただけるということですから、ひとつぜひ前向きでよろしくお願いします。  そこで、五十四年度ですがね、これは引き続き、これは大臣考え方をお聞かせ願いたいのでありますが、大臣言葉から、二十八日に出ましたのは、五十四年度は何とかおれひとつ努力してみようというお言葉がありましたので、非常に意を強くしているのでありますが、ひとつ五十四年度はこれはどちらでもいいんですがね、どちらでもいいんですが、両方ともひとつかさ上げをする、上積みをするという努力をしてもらいたいと。大臣言葉からは、当時は何とかこの雇用奨励金の方をおれ考えてみたいという感想をちょっと漏らされておりましたけれども、この点ひとついかがでしょう。
  16. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) まだこれからの話でございますから、具体的なお答えはなかなかむずかしいんですけれども、気持ちとしてはよく私も理解ができます。したがって、ことしの積雪寒冷地帯雇用奨励金給付の支給が始まるわけですから、その現状を踏まえ、そしてこの建設労働者賃金の推移、こういったものも考えながら、特にまた、厳しい自然条件のもとで仕事がないわけですから、そういう点を考えて、御期待に十分こたえられるような考え方前提としてひとつ検討さしていただきたいと、このように思います。
  17. 対馬孝且

    対馬孝且君 まあ大臣からそういう期待していいような答弁がございますから、ぜひひとつこれは今年度、五十四年度ですね、三年度はいま言ったようなあらゆる形で努力を願うことにしましても、五十四年度は何とかこれはもう、このベースは、これ五十一年のベースでいま考えている答えですからね、それはもう三年になるわけですから、私、六千円と言ったのは五十一年の北海道建設労働者賃金が六千円なんですよ。それからもう三年もたつわけですからね。当然これは常識的に考えて、物価上昇中これアップしていくわけですから、そういう点をかみ合わせながら、大臣ぜひひとつこの点に努力をしていただきたいと、強く私は要望申し上げておきます。  次に、これいつも課題になることだというよりも、これ正式に聞いてくれというずいぶん意見が出てきましてね、どうも通年雇用が進まないと、はっきりさっき言ったように。それで、北海道もひとつ緊急就労開発就労をやらしてもらえぬだろうかと、こういう問題がそろそろ出てきているんですよ。なぜかというと、九州はずいぶん、まあ私も筑豊炭田へ行ってよくわかっているんですけれども、あれはまあ石炭政策上の関係もございましたけれども、緊急就労開発を実は現実にいまやっているわけです。ところが、この北海道だけは、北海道もぜひやってくれと言ったけれども、なかなかこれ道庁もわれわれもそこまで踏み切らなかったという経緯があるんですがね。しかし、まあ率直に言うと、北海道政治家は能力ないんじゃないかと。九州はちゃんと緊急就労やって、それこそ通年雇用的にちゃんとやっておるじゃないかと。どうせ通年雇用が進まないんだったら、九州方式緊急就労開発就労やってもらおうじゃないかと、こういうことになってきておるわけですよ。この点について、大臣でも局長でも結構なんですが、どういうふうに、これからの通年雇用が進まないとすれば、これはこの問題に対して当然やってもらいたいという市町村自治体の強い意向も出てきているので、これについてこの機会にまずひとつ聞いておきたいと思うんですが、いかがですか。
  18. 細野正

    政府委員細野正君) お尋ねございましたのは、特開就の問題でございますが、これはその地域における将来の開発の見込みというものを前提にしまして、その上で一時的に失業者を就労させまして、将来開発された産業へその就業者が引き取られていくと、こういうことを前提に行われるものでございますから、したがいまして、先ほど来のお話のように、そういう意味での開発の見込みがなかなか立たないところについてこの事業を行うということにつきましては、むしろ失業者がそのまま滞留してしまって、むしろ本来の再就職の阻害にすらなるというふうなこともございまして、したがいまして、これをやるにつきましては、いろいろな手を尽くして、なおかつどうにもならないという場合であり、かつ、そこについて将来開発の見通しが立つと、こういう二つの条件が必要になるわけでございまして、私どもとしましては、先ほど来先生がお話しのように、非常にむずかしい条件がございますけれども、まあ幸いにして公共事業がふえつつある状況でございますから、できるだけ、全く雪が降っちまいますと、積もっちゃったという状況の中では行いにくいんですけれども、しかし、それにしても事業の種類によりましては積雪の状況の中でもやれるものもございますので、そういうものをできるだけ早期に実施し、また平準化して、冬口になってもやれるようにして、そういう形で極力通年雇用通年就労というものに近づけていく努力を、工法の研究等もあわせましてやっていく。それと並行しまして、先ほど来御指摘のありました各種の給付制度その他を活用して、できるだけ、一挙にはまいりませんけれども、理想に一歩一歩近づいていくという努力をさしていただきたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  19. 対馬孝且

    対馬孝且君 安定局長ね、私は全部承知でこれ聞いているわけだけれども、これはたとえば北海道の場合だって、何も開発の見通しがないわけじゃないので、苫小牧東部開発というのね、あなた御存じのとおり、まあ予定どおりは進んでいないけれども、一応の工業開発はやっておるわけであって、ぼくはあれだってやれるんだと思っているのですね。たとえば、あそこの火力の問題、それから備蓄の問題ね、石油精製の問題、こういう関係であそこに一つの開発就労的なものをやっていけば私はできると思っているのですよ。これは、苫小牧東部の、いま御案内のとおり第三セクター方式でやっているわけだけれども、それをただ事業主に任せると、あるいは企業サイドにやらせるというかっこうではなしに、やっぱり国が責任を持って、あるいは県が責任を持ってやっていくというような体制がとれればこれはできるんじゃないか。たまたま九州筑豊炭田が崩壊すると、何でも開発が先でないんだよ、ぼくに言わせれば、ぼくはよく知っているんだから。筑豊炭田がどうも閉山で、炭鉱閉山になってどうしようもないというところから、緊急就労というのから始まっていったんだから、たまたまそこへ飯塚のまあああいう開発計画が結びついていったという結果論であって、何も最初からでなく、どうしようもないということで、暴動が起きる一歩手前まで行って、私も九州何回も行っているから知っているんだけれども、そういうことであれでき上ったものなんだからね。だから、なぜそれを言うかというと、さっき言ったことは、通年雇用がさっぱり進まぬと、口先では労働省もずいぶん言うんだけれども、さっぱり通年雇用は進んでいないんじゃないかと。まして、これからいま北海道の二百海里の漁業の問題、まあ室蘭地帯指定していただきましたけれども、長崎造船のああいう問題、それでまあ減反によるしわ寄せ、離農という問題、こういう点からいくと、さっぱり通年どころか、逆に失業の増大の一途をたどっている結果がますます強く絡んでくるんじゃないかという心配をみんなしているものだから、それじゃどうしても政府が手だてがないというならしようがないじゃないかと、ひとつ自治体でそういうことを構想して、緊急就労でもやろうじゃないかと、こういうことが全部起きてくるわけですよ、やっぱり。それがそうさせないためにも、私が言っているのは、この季節労働者の先ほど言った通年雇用を基本とするんだけれども、そこまでいかないとすれば、やっぱり生活実態ぐらい何とか満たしてやらなければ、そうはやっぱりいかないんじゃないかというところへくるわけですよ、これはっきり申し上げて。そういう認識を持っていただいて、何も緊急就労やることが私は目的だと思っていないんだけれども、そこへいかざるを得ないという、いまもうせっぱ詰まったこの段階に達してきているんだという認識を労働省も持っていただいて、ここらを含めてひとつむしろ通年雇用等について積極的な努力をしてもらう。  時間が参りましたので、ひとつ大臣から最後にお答えを願って終わります。
  20. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) 御指摘通年雇用制度の積極的な推進というものを踏まえて、そしてこのきわめて雇用情勢の厳しい北海道、特に二百海里問題からなおさらお困りだと思いますから、われわれとしても衆知を集めて御期待にこたえるべく努力をいたします。
  21. 対馬孝且

    対馬孝且君 それじゃ終わります。
  22. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 私は社会福祉施設における夜間の勤務の件などについて伺いたいと思いますが、時間が非常に限られておりますので、簡潔にひとつお答えをいただきたいと思います。  御承知のとおり、社会福祉施設の宿直のあり方については、昭和二十二年九月十三日付基発第十七号があり、昭和四十九年七月二十六日付基発三百八十七号でその取り扱いが示されております。また同日、基監発第二十七号によって運用上の留意事項としての幾つかの事例が挙げられているわけであります。  そこで伺いますが、いまから申し上げるような場合は、勤務の取り扱いは宿直ではなくて夜勤であると思います。これは、茨城県の東茨城郡茨城町にあります社会福祉法人の茨城補成会涸沼学園の知恵おくれの重度棟の勤務内容でありますが、この勤務内容を見ますと、こういうふうになっております。午後の六時から七時、これは夜勤者一名になりますが、子供たちの自由時間の指導、それから七時から八時がおむつ取りかえ、就寝準備、こういう時間帯になっております。それから、八時から九時、これが就寝の指導であります。それから九時から清掃、汚物洗い、十時から夜尿児の起こし、夜間日誌記帳、十一時にこれはふとん皮やカバー等の裁縫、こういうふうになっているわけであります。十一時以降については、これは各室の見回りとか、あるいは子供たちの眠れない子供、てんかんがありますから、ほとんど一晩じゅう騒いでいる子供がいるものですから寝られない。こういう状態でありますが、この勤務内容についてまずどういうような勤務状態、内容でありますか、伺いたいと思います。
  23. 松井達郎

    説明員(松井達郎君) お答えいたします。  先生、先ほど来お話しがありましたように、昭和四十九年七月二十六日付基発第三百八十七号をもちまして、社会福祉施設における宿直勤務、これにつきまして宿日直の取扱いを示しているわけでございます。そしてさらに、その具体的なケースをどう判断するかということにつきましては、さらに、先生が先ほど御指摘になりました監督課長が出しました基監発第二十七号をもって示しているわけでございますが、最初の通牒を見てみますと、お示しのような、先生がいまおっしゃいましたような点につきましては、まずこのように申しております。「夜間に従事する業務は、前記通達で示されている」これは昔の二十二年の通達でございますが、「一般の宿直業務のほかには、少数の入所児者に対して行う夜尿起こし、おむつ取替え、検温等の介助作業であって、軽度かつ短時間の作業に限ること。」こういうふうになっております。それで、具体的に「軽度かつ短時間の作業」とはどういうものであるかという点が問題になってまいるわけでございますけれども、これにつきましては、たとえば「おむつ取替え、夜尿起こしであっても要介護者を抱きかかえる等身体に負担がかかる場合」は含まれない。それから「短時間」といいますと、一体どういうものかということでございますが、まず一回の所要時間は通常十分程度だと、しかもそういうものがどれだけの頻度で起こるかということになりますと、せいぜい一晩に一、二回程度だというふうになっておりますので、いま先生が詳しく御指摘になりましたような、六時ないし七時以降夜中の十二時ごろまでに至る幾つかの作業がございますが、こういうものを宿日直でやるというのは、これはこのような通達の考え方から見まして合致しないものであるというふうに思います。
  24. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 夜勤である、こういうふうに確認してよろしゅうございますね。  そこで、先に参りますが、同様の状況は、同学園の一般棟にもあるんですね。これは先ほどは涸沼学園でありますが、もう一つの法人の中に石崎学園、これは養護施設でありますけれども、これは夜勤にもかかわらず、いま申し上げました法人の補成会に労働組合ができます前までは宿直手当しか払われていない。組合でも計算をいたしましたところが、八人の組合員の昭和五十一年十一月から昭和四十九年七月、これをさかのぼって計算しました未払い分が二十六ヵ月分で合計四百十四万七千三円に上る。こういうふうな事態が発生しておるわけですけれども、これについては御承知でありましょうか、どうか。
  25. 松井達郎

    説明員(松井達郎君) その経過につきましては、私どももよく承知いたしております。
  26. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 この件につきましては、組合昭和五十一年十月に労働基準法違反による未払いの賃金があるということで意見書を水戸の労働基準監督署に出したわけでありますけれども、昭和五十二年三月に二回、それから五十三年二月に水戸の監督署に問題の解決を訴えているんでありますね。今日に至っても残念ながら解決をしておりません。このことはどういうふうにお考えになりますか。
  27. 松井達郎

    説明員(松井達郎君) 先生いまお出しになりましたように、茨城の補成会でそういう問題が出てまいりまして、この問題が初めて水戸の署に登場してまいりましたのは五十一年の十月でございます。それで、そのときには所定労働時間の問題、それから休日労働の割り増し賃金の問題と並んで宿直中に通常勤務をやらしておるということで一体どんなふうにしたらいいのかという、これは事業主からの相談があったわけでございます。それで、この所定労働時間の問題、それから休日労働割り増し賃金の問題、これは労使の間でお話しになって解決がついたわけでございます。  それから、通常勤務を宿直の時間にやらしておる。いわば夜勤みたいなことをやらしておるという点につきましては、私ども基本的考え方は先ほど申し上げたとおりでございますので、署の方では事業主を指導いたしまして、それで宿直勤務は、先ほど申しましたようなものに限る。それ以外は、たとえばシフト制などをしくということによりまして、通常的な勤務はいわば夜勤と申しますか、シフト制によって普通の労働時間としてやれという指導をいたしまして、このやり方自体につきましては、五十一年の十一月以降解決はついたというふうに私どもとしては認識いたしております。  ところで、問題になりましたのは、それじゃあ過去にやっておった分はどうなのかということなんでございますが、過去にやっておった分につきましては、これは私ども調べましたところ、一体宿直時間中にどれだけの長さの通常勤務をやらしたかということを正確に判定する資料がないわけでございまして、それで労使の間のお話も一体こういう金額ではどうかという試算額みたいなものをお互いに提示し合うというようなことでございます。それで、私ども監督署の方では労働基準法違反がどういうところにあり、それはどう是正すべきものか、あるいは違反としてさらに司法事件として送るかというような点につきましては判断するわけでございますが、このような金額がどういうものであるかというのは、いわば労使間の経済的な紛争のようなものでございますので、基準局があるいは監督署があっせん案のようなものを示して、こういうところでどうでございましょうというようなことは差し控える。むしろそういうのをやるのは労働委員会の仕事ではなかろうかというふうに考えておる。私どもの考え方はそういうところでございます。
  28. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 いま私の方で指摘しました点では、八人の要するに請求分として四百十四万七千三円あるという、この点についてばどうでしょうか。
  29. 松井達郎

    説明員(松井達郎君) 労働組合から四百十四万円何がしの金額を事業主に対して、こういうことになっておるぞという請求をしたということは、私どもとしても承知いたしておるわけでございますが、果たしてそれが基準局としても、やはりこういう違反があって、宿直の中に含まれた通常勤務がこのようであって、そして、その結果こういう金額が出てきたということを証明する手段がないわけでございますので、その何と申しますか、正しさについては判定できないということから、金額についてもいわばそれを基準局としてオーソライズするようなわけにはまいらぬものでございますから、それは労働組合の方々にもよく申し上げておるところでございます。
  30. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 いろいろと複雑な点もあると思いますけれども、三年越しですね。これはもうぜひとも早期解決をされるよう、ひとつ行政指導いただきたい。  それで、大臣に御所見を伺いますけれども、いま申し上げましたような実態であります。しかも、社会福祉施設で困難な仕事に苦労されている皆さんに、こういうようなことでは申しわけないと思いますし、一刻も早く私は問題を解決するような適切な行政指導が必要だと思いますけれども、大臣からお答えをいただきたいと思います。
  31. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) 事実を踏まえて、いろいろ詳細な御質問がございまして、御指摘のとおり、私はこういった施設に従事する人たちの労働条件というものは、やはり十二分に配慮しなきゃならぬ。いわんや、いろいろすでにこの問題については、いろいろこちらから是正勧告をしておるという、こういうこともございますし、今後やはり厳正な監督行政を進めていくと同時に、内容によっては労働委員会、労働条件の問題、こういうことになりますから、その方面の機関とも十分接触を保って、適切な問題解決に努力をいたしたいと、このように考えております。
  32. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 時間がありませんから、さらにお願いも申し上げたいと思いますけれども、職業病の関係でちょっと大臣にもお願いしたいんですが、いま申し上げました施設——社会福祉施設に、園児が二十名で介護職員というのは八名なんですね。ほとんどが女子の職員ですが、腰の痛みを訴えているわけです。これを内訳を申し上げますと、昭和五十一年以降に入院をした者が二名いるわけです。それから、自宅療養した者が二名、それから、ヘルニアと診断された者が二名、腰が痛むという者が一名、計七人。八人のうちの七人、ほとんど全員が腰痛というふうに訴えているわけです。これはきわめて異常なことだと思うんです。基本的には人員の増が必要だと言えますけれども、腰痛の予防、治療の補償などをどうするのか、これは特に女子の方ですから、この点についてぜひお聞かせをいただきたい。
  33. 松井達郎

    説明員(松井達郎君) お答えいたします。  先生の御指摘の問題、私ども考えるべき問題として、一つは予防の問題があり、一つは、現にもう病気になっておられる方、腰痛になっておられる方の職業病としての認定の問題があるのではないかと思います。  それで、これは腰痛、ことにこういう心身障害児の施設とか、こういうところにおきましては、近年、腰痛の問題——保母さんたちの腰痛の問題が、いわばクローズアップされてきておるわけでございます。そこで、昭和五十年の二月に、私どもとしましては、重症心身障害児の施設における腰痛予防対策の指針というものを策定いたしまして、これに従いまして、保母さんたちの腰痛の予防ということをやっておるわけでございますが、その主な内容を申し上げてみますと、作業負担を軽減するとか、あるいは作業の姿勢について指示をするとか、こういう問題。それから、予防体操の実施、これは簡単なようなことでございますが、やはりこういう仕事に携わっておられる方につきましては、やはり毎日毎日欠かさずやっていただくということが大切だということから、いわば調整体操と申しますか、柔軟体操と申しますか、そういうことをぜひ毎日やってほしいと。それからさらに、健康診断につきましても、よりていねいに、採用時はもちろん、六ヵ月あるいは一年の頻度をもってやってほしい。その他、労働条件につきましても、やはり余り長い間重症身障児を介護するために不自然な何といいますか、姿勢を使う、あるいは重い身障児を持ち上げるというようなことをやりますと、やはり腰痛になるという危険性があるわけでございますので、労働時間につきましてもたとえば四十四時間というような指針を出しておるところでございます。  一方、先ほど申しました補償の問題でございますが、この点につきましては、昭和五十一年の十月でございますか、一年半ほど前に新しい「業務上腰痛の認定基準」というものを出したわけでございますが、そこでも重度身障者施設の保母などに着目いたしまして、いままでの認定基準をさらに詳しくいたしまして、たとえば腰部に負担のかかる業務としまして、二十キロ程度以上の重量物または軽重不同の物を繰り返し中腰で取り扱う業務とか、あるいは腰部にとってきわめて不自然ないし非生理的な姿勢で毎日数時間程度行う業務と、こういうものはやはり重度身障者施設の保母などに出てくるのではないかということから、この点についていままでの認定基準をさらに具体化しましてこういうものを設け、こういう事態に該当する者につきましては認定していくというようなことでやっておるわけでございまして、たとえば社会福祉施設等における腰痛の最近の労災認定状況を申し上げますと、昭和五十年度に二十六名、昭和五十一年度に五十四名というような状況になっております。
  34. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 いま認定基準等について御努力をなされた話を聞きましたから、いずれ、いま申し上げました具体的なものについてはまあ申請をするといいますか、手続をとることになりますから、その節は適切な御指導をいただきたい、これはお願いであります。  それから、いま申し上げましたとおりに、特に女子労働者に対する重量物の取り扱い、これに関しては労働基準法等で示されていると思うんですが、この遵守についてはどういうような御指導をいただいておりますか。——これは六十三条の重量物制限についてですね、まあ一般論として言うならどういうような御指導をいただいておりますか。
  35. 松井達郎

    説明員(松井達郎君) まことに恐縮でございますが、何についてでございましょうか。
  36. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 女子労働者に対する重量物取り扱いに関する規制が行われておりますでしょう。それについて遵守、守っておられる、その関係で一体どういうような御指導をされてるか、いまの認定基準との関係
  37. 松井達郎

    説明員(松井達郎君) 実は手元に、この女子労働者の実は違反についての監督の状況につきまして、正確にまあ資料がないのでまことに恐縮なんでございますが、私どもとしまして社会福祉施設についての監督実施につきましては、まあ問題が多いのは実は労働時間——先ほど御指摘の、宿日直を含む労働時間とか、休日とか、割り増し賃金の問題でございますので、まことに恐縮でございますがいま手元にはその面を中心にした数字しか把握しておりませんものですから、また後ほどその数字がありますればまた先生に御報告いたしたいと存じます。
  38. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 それじゃ、後ほどいただけると思いますけれども、それではもう一度繰り返しますけれども、これには重量と、断続、それから継続の場合がありますわね、その点はどういうふうになっておりますか。
  39. 桑原敬一

    政府委員(桑原敬一君) 女子の就業制限は、あくまでも女性の母体保護という意味制度が設けられております。特に、継続してやる場合には重量制限を低くする、たしか私二十キロだったと思っていますが、それから断続的な場合は三十キロというようなことで、六十三条に基づきまして規則が定められておりますが、私どもはこの女子、年少の規則というものについては特に監督の重点として取り扱っているところでございます。
  40. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 それでは、時間もございませんから移りたいと思いますけれども、不当労働行為関係で、あるいはそれ以前とも言える問題が実はこの福祉施設にあるわけですけれども、まず伺いたいのは、民間の福祉施設における労働組合組合員の数、おわかりでしたらお知らせをいただきたいと思いますし、あるいはまた組織率、これは大変だと思いますけれども、これはどのようになっているか、もしおわかりでしたらお知らせいただきたいと思います。なければ、先ほどのも資料いただけるんですが、まあ、これからそういう御調査をされる意思があるのかどうか、これもあわせて伺いたいと思います。
  41. 松井達郎

    説明員(松井達郎君) 実は、こういうことを申しまして恐縮でございますが、その仕事の方は実は労政局の所管になっておりまして、多分私はそういう数字は手元にはないのではないかと思いますが、いずれにいたしましても労政局と相談いたしまして、そしてこの先生の御指摘の問題、そういう組織率の問題とかあるいはない場合には調査を進めるかと、こういう問題については労政局と相談いたしまして先生の方に御報告申し上げるというふうにいたしたいと存じます。
  42. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 補成会のことで具体的な関係で、最後ですから伺いますが、この補成会が組合を何回かつくろうということ、先ほど申し上げました勤務状態あるいは腰痛、いろんな労働条件等がありますから。しかし、組合結成にはなかなか時間がかかったようであります。特に、これは私どもも唖然としたんですけれども、園児である中学生が十数名、組合員になった女子の職員の人たちのところへ押しかけまして、そして竹刀やバットを持って、組合をやめたらどうかというような、そういうような暴力をふるうような事実があったやに聞いているわけです。これは女子職員ですから、警察の手をかりるということで連絡をしたような騒ぎが実際に起こっていたと私も耳にしているわけでありますけれども、そういうようなことで休職をせざるを得なくなった職員もいるんですね。これらについて水戸の監督署等でそういう事実をお知りになっているかどうか、あるいはまた中央の方にそういう御報告があったかどうか、これも伺いたいと思います。
  43. 松井達郎

    説明員(松井達郎君) 実は私お話を聞きましてずいぶん驚いたわけでございますが、お話を伺ったのは初めてでございます。それで、不当労働行為であるというふうに、もし先生のおっしゃったケースが不当労働行為であるとしますならば、それは使用者と申しますか、がそういうことで園児を使ってと申しますとおかしい言葉でございますが、そういうようなことで組合結成を妨げるというようなことがありますれば、これは結成の妨害ということで不当労働行為というべきような事実ではなかろうかと思います。その間、私どういう事情があったのか、初めてのことでございますので詳しい事情はよくわかりませんが、いずれにしましても、ここで先生からお話お伺いしたわけでございますんで、早速担当の労政局にも連絡いたしまして、その辺の事実はよく調べさせ、また必要に応じて指導をさせるというようなことはいたしたいと思っております。
  44. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 先ほど要請をしました資料等も含めまして、詳細については、これは全国的に社会福祉施設における労働関係については紛争というものが私も聞いている範囲でもかなりあるんですね。前段で私の方で伺いましたように、その勤務——直であるとか夜勤であるとかいう解釈をめぐって、それぞれ労使間での紛争といいますか、争いが数多く見られるんです。したがって、時間も十分ございませんから、いずれ社会労働委員会等々で詳細にこれから私の方も御質問申し上げていきたいと思いますが、最後に大臣に、こういうように社会福祉施設における劣悪なといいますか、条件の中で働いておられる方々、しかも、先ほど幾つかの例を挙げましたように、勤務の状態についても夜勤の繰り返しであります。あるいは精薄の子供さんたちを見るのも大変な手間なんです。そういうお仕事をされている方々に報いる点については、未払い賃金だというこの点についても三年越しの長い時間かかるようなことでは、私は労働行政でも適切な労働行政であるとは考えられません。したがって、今後適切な行政指導をお願いし、起きている問題については一刻も早く御解決をされるように、ひとつ一層の御指導を強化をしていただきたい。  それからなお、起きております腰痛その他の職業病と言われる問題についても、これからそういう救済なり補償についても幾つかの問題がありましょう。したがって、それら福祉施設に働かれる非常に困難な仕事をされている方々でありますから、一刻も早くそういう方々に報いられるように、大臣姿勢を新たにしていただいて、行政指導を適切にしていただくようにひとつ御決意と所見を伺いたいと思いますが、お願い申し上げます。
  45. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) 福祉国家の建設というものがわれわれの目標でございます。そういう前提に立ちまして、福祉関係施設に入所の子供たちあるいは人たち、こういった方々の援護対策に完璧を期する、充実を期することは当然でありますが、そのためには、そこに働く人たちの労働条件の改善ということが当然裏づけられなければなりません。したがって、これらの施設に対する労働条件の改善は今後私はたゆまない努力によって積み上げていかなきゃならない。同時に、当面起こっている具体的な懸案問題は、早急に解決すべく関係方面ともよく連絡をして善処をいたしたい、このように考えております。
  46. 山中郁子

    ○山中郁子君 初めに高齢者の雇用問題について伺います。  一昨日の予算委員会で取り上げた問題ですが、大変時間が短かかったものですから、さらに具体的に少し労働大臣並びに労働省の見解も伺い、前進も図っていただきたいと思っております。  大臣予算委員会の折に、高年齢者の雇用は定年制の延長など強力な行政指導で六%の雇用率を確保したいということは答弁されているんですが、おととい私も具体的に申し上げました東洋レーヨンですね、これが昨日新聞で一面で報道されましたが、「60歳定年制不況で後退」と、こういうことで報道されております。また、きょう、これは読売新聞の社説だと思いますが、「七十歳定年とはいわないまでも」ということで報道されているんですが、これは、アメリカで七十年定年法が可決をされて、そして手続があるけれども成立が確実だということ。この問題、アメリカの場合に全然問題がないわけではありませんけれども、それはおくといたしまして、ここでも主張をされておりますけれども、「いまだに四七%の企業が五十五歳定年制を敷いており、ほとんどの労働者が六十歳までに定年を迎えるという」のが日本の現実だと、大変余りにも違い過ぎるではないかということですが、こういう事例を見てみましても、高齢者の雇用の促進の問題と絡んで定年延長、そしてこれに逆行する大企業の動きというのが一種の社会問題化しているというふうに把握をして差し支えないと思います。  まず、私はやはり一昨日も指摘したんですけれども、表向き政府の定年延長の施策というものを口で否定するということでなくても、実際にこういう動きというのはまさに逆行する動きであるし、結局企業が自分たちの都合のいいような労働力政策でもって、ある意味では政府の指導にも挑戦をするという結果が次々と生まれてきているということは、大変重大な問題だというふうに思っています。何とかして、こうした定年制の延長という指導に逆行する企業の動きに歯どめをかけるということは、いま緊急に必要で、労働省の責任は重大だと思いますけれども、初めにそのごく基本的な点について労働大臣から所見も伺いたいと思っております。
  47. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) 私はこの日本の社会が御承知のごとく高齢者社会に入ったきょう今日、人生まさにわずか五十年というこういう時代の定年制の状態が脱皮できてないということはまことに残念であり、現在この五十五歳定年制というのは、本当の働き盛りでありまた諸経費が大変かかるときに、長年このやりつけた仕事を離れるということはまさに人生の残酷物語であるというふうに考えております。したがって一刻も早く、とりあえずわれわれの目標は六十歳でありますから、その六十歳を目指して定年制が一応定着するようにあらゆる努力をいたしたい。ただ、ただいま御指摘のございました、何か定年制を切り下げるような最近の事情を報道されておるわけですが、われわれがいろいろ調査した結果は、定年そのものを切り上げるというのでなくて、定年後の勤務延長の措置を、こういう不況だからとりあえず労使の話し合いでとりやめる、こういうことで、これは実質的には御指摘のような定年の本人にとっては結局切り上げということに、繰り上げということになるという点において、私も同じ印象というか感想でございますけれども、何はともあれ、私はなぜ日本に定年制の何が叫ばれてなかなか前進しないかというと、これは長年の雇用労働慣行であるやはり年功序列、そして勤続年数に従って給与がずっと上がっていく、あるいはまた退職金も同じような計算でやられる、この問題を、私は環境を直していく、これはやはり労働条件の問題ですから、労使の話し合いをやはりしてもらうと、こういったことによって、人間の能力もやはり五十前後で大体限界に達するわけですから、それからは勤務年数でどんどん給与も上がるあるいは退職金もどんどんふえてくるという、こういうことではなかなかむずかしいので、そういうことの慣行を改善しながら、定年制が定着するように私は努力していく、このためにはやはり行政指導によって労使の間に理解を深めていく、こういうことによって御指摘の方向にできるだけ早く到達したいと、こういう考えを持っております。
  48. 山中郁子

    ○山中郁子君 一昨日も指摘しましたけれども、いま大臣が言われた年功序列賃金の問題というのは、日経連の賃金専門委員会でも述べておりますように、彼ら自身もそれをしたい、つまり大企業などがやはりそういうことを意図しているわけです。私はこれは一つは賃金総額の抑制ということでの労働者への攻撃の具体的なあらわれだと思いますので、私はぜひとも、そこのところは大きな危険な問題点があるということは重ねて指摘せざるを得ません。  それで、問題はもう一つ、ちょっと大臣に突っ込んで御意見を伺いたいんですが、いずれにいたしましても、いまの状況が実質的に定年延長に逆行する動きが続々と起こってきている。しかも、それが企業が自分の利益を擁護するという観点から労働者に犠牲を強いる形でもって起こってきているということは、これはもう否定できないと思うんです。それで私は、六%法定基準努力義務となっているけれども、これはやはりもう一歩進んで強制義務という形で貫くべきではないか。その点については、大臣はなじまないという表現で消極的な姿勢を示されましたけれども、再度やはりこうした事態が次々と起こってくる中で、少なくとも方向としては、労働省の姿勢としては、努力義務を強制義務の方に一段と引き上げていく、そういう実効を持った内容の行政指導というふうに受けとめて、対策を立てていくということが必要だと考えておりますけれども、その点はいかがでしょうか。
  49. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) 具体的な問題として、最近三井物産とか三菱商事とか、こういった六ヵ所ですか、これはわれわれ来週中にも労使の関係者を呼びまして事情を詳しく調べたい、このように考えております。  それから、定年制の延長の問題につきましては、法律によって、たとえば基準法の改正によって、どんぴしゃりと決着をつける、こういったことは私はなじまないということをるる申し上げましたけれども、やはり一刻も早く定年制が定着するように行政指導を積極的にやっていきたいL3
  50. 山中郁子

    ○山中郁子君 定年制の延長ですね。
  51. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) このように、定年制の延長の問題については積極的にやっていきたい、このように考えております。
  52. 山中郁子

    ○山中郁子君 私は労使の協議にとやかく言っているわけではありません。それは誤解のないようにしていただきたいと思います。少なくとも企業の姿勢として、そういう問題についてのいまの傾向は、労働省として責任を持った指導をしていただきたいし、実質的に定年制延長に逆行する動きについての歯どめという形での行政指導に責任を持っていただきたいということを申し上げております。  具体的に、昭和電工の例が一つあるんですけれども、これはことしの二月に、会社の業績悪化を理由にして定年延長の取り扱いを暫定的に中止をしたいということで組合に申し入れています。それで、そのため、本来なら来年の六月退職予定の労働者が三ヵ月後の六月に退職させられるというふうになる人が三百人以上出てきている。事務次官通達では、労働省の通達ですけれども、「定年退職後の再就職は容易でなく、再就職しえても賃金がかなり低下する場合が多いなど、現行の定年制は、高年齢労働者雇用生活を不安定ならしめ、その福祉にとって大きな障害となっている。」というふうに述べています。これは大臣も述べられたことですけれども、まさにこの昭和電工の社長の申し入れですね、これは全くこうした事務次官通達にも、それから先ほど述べられました労働大臣の見解にも、真っ向から挑戦するものだというふうに私は言わざるを得ないというふうに思います。こういう事態は、いまの御答弁があった上でなおかつ私はやはり実際に日々進行している、こういう事態にきちんとした歯どめをかけるということは必要だと思いますが、こうした昭和電工の例はいかがお考えでしょうか。
  53. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) 早速、来週ですけれども、関係者を呼びまして事情を調べた上で善処いたしたい、このように考えております。
  54. 山中郁子

    ○山中郁子君 もう一件具体的に触れたいと思いますけれども、日本鋼管の例です。これも一昨日私は会社名を挙げておきましたけれども、いま現在、日本鋼管の高齢者の雇用率は何%になっているか把握されておりますでしょうか。
  55. 細野正

    政府委員細野正君) 御存じの中高年法には、特別に定めまして公表制度というものがございまして、その公表がやや私どもの方の勧告等に応じなかった場合とか、そういう著しく不当な行為のあった場合に公表するという制度がございまして、そういう制度についての要件が明確にされておりますので、逆に、一般的に私どもが個別の企業雇用率の状況等を公に申し上げるというのは、ややその逆の裏の面として差し控えなければならない立場にあるように思っております。私どもは、御存じのように、各企業雇用の状況等を毎年六月一日現在でとっておりますから、したがいまして、少なくとも安定所段階まで行けば、各企業ごとの数字を持っていることは事実でございます。しかしながら、先ほど申し上げました事情で、個々の状況について申し上げるのは、先ほどの公表制度の裏側の問題として差し控えさしていただきたい、こういうふうに考えております。
  56. 山中郁子

    ○山中郁子君 私は、それ自体も問題があると思うんですよ。というのは、公表制度の裏側の問題とおっしゃったけれども、逆に言うならば、それじゃ裏側からの法律的な何か制約があるのか、公表してはならないという。それはないでしょう、ないはずですよね。つまり、問題は高齢者の雇用促進ということで、政府としても推進の方向を打ち出して、そして六%という法定基準さえ設けて国会でも議論になるし、社会問題化している。そういうときに、政府がその実態を国会の場でも説明をしないということは、私は、やはり企業擁護と言われても仕方がないんじゃないかと思いますけれども、どうですか。
  57. 細野正

    政府委員細野正君) 先ほど申しましたように、公表するということ自体につきましては、こういう場合に公表するんだという、そういう要件が定められているわけですから、したがって、逆に言いますと、そういう要件になっていない状況の中で、個別の企業の状況というものを、私どもの調査の結果として得たものを申し上げるというのは、やはり直接、何といいますか、公表してはならぬと書いているわけじゃございません。その点は御承知のとおりですが、先ほど申しましたように、公表する場合の要件を書いてあるわけですから、公表する場合の要件に到達してない段階において、その個々の企業の状況を申し上げるのは、やはり差し控えるべきものだというふうに考えております。
  58. 山中郁子

    ○山中郁子君 公表の問題はまた後ほど触れます。  私が、日本鋼管の年齢構成、それから推計をいたしますと、日本鋼管の中でも比較的高齢者の多い京浜製鉄所、これは大事業所です。そこで高齢者が一%にも満たない。そういう数字が出るんです。具体的に申し上げますと〇・四ないし〇・五%という、本当に少ない数字ですね。これはあなた方が教えてくれないから、そんなに少ないはずがないと言われても私は困るので、これは公表されている労働者の年齢構成ですね、そういうものから推計するとそういうふうになるんです。それで、いずれにしても一%に満たないというふうな状態で、いま申し上げましたように、比較的高齢者が京浜製鉄所は多いです。それでまた人数も圧倒的に大きいところですよ。ですから、日本鋼管全体からすれば、もっと低くなるというふうに考えて私は差し支えないというふうに思います。  どういう具体的なやり方でもって、こうした事態が生まれてきているかということを私ちょっと申し上げますと、高度成長期の労働力不足の時期には、若年労働者が鉄鋼を余り好まないで、そうして企業の労働力政策ですね、必要から、自分たちの都合がいいからということで、高齢者が比較的多くあったけれども、結局その後、五十年の九月から段階的ではあるが、日本鋼管では六十歳定年制度をするということを決めたんですね。五十年九月からというのを五十年の一月に決めたんです。六十歳定年制ということに段階的に移行するということを決めたんです。そうしましたら、だんだんと不況が進行していく中で、実際に九月から始めるというふうに決めたにもかかわらず、実際には九月に至る前に、一月にそのことを決めてから六ヵ月後、つまり五十年の六月に、これはもうやめたということになったと、私の調査ではそういうふうになっています。ですから、六十歳までということで、そういうふうに定年延長というふうにしようとしたけれども、そこへもう実施時期に達する前に、わずか半年後にもうこれはやめたということになっているわけですね。そうして、実際には新特別社員制度ということで切りかえたわけです。新特別社員制度というのも、これは三年間の雇用を保障するという、実質的には定年延長に通ずる内容のものを持っているんですけれども、一歩後退したわけです、六十歳定年制に移行するというものをですね。  ところが、五十年六月にそういうことで新特別社員制度というふうにしたんですけれども、またまた半年後に、五十一年の一月です、この特別社員制度もほごにしているのです。ネコの目のよう、にくるくる変わるわけですね。  ということは、結局企業に都合のいい労働力政策、つまり、若年労働者が来ない時期に、高年労働者がほしいというような時期には、一たん六十歳定年制に段階的に移行しますということを決めておきながら、それを実現する以前にもうやめたということになって、それで若干の突っかい棒をして新特別社員制度というものをつくったわけですね。だけれども、それも半年後にはまたやめたということでほごにしていると、こういう事態があります。  それで、しかも私はここで申し上げたいのは、企業が、だから自分たちに都合のいいようにそういうことを扱っているという問題なんですね。  そのことのもう一つの例証になるんですけれども、しかも、これを日本鋼管全部でこういう動きをしているわけじゃないんです。いま申し上げましたけれども、京浜製鉄は高齢者が非常に多い事業所です。そこでほごにしたけれども、逆に若年層が多い福山工場なんかではそのままにしているという、余りにも露骨なあくどいやり方だと私は思います。  これは事業所別の年齢構成ですけれども、ごらんになってみるとわかりますけれども——ちょっと小さいかな、京浜製鉄はこうなっていますでしょう、だから高齢者多いわけですよ。これは福山工場です。これは若年の方が多いわけでしょう。そうすると、高齢者が多いところでは、さっき言ったように、次々とほごにして、後退しているわけですね。こっちはそのままにしていると。余りにも露骨で、私はあくどいというふうに思いますけれども、こういうやり方はどうですか。私はそこに、一昨日から申し上げている、企業が自分に都合のいいようにこの問題を扱っている、政府の行政指導、その理念とかかわりなくですね。そこのところの本質を、ぜひとも私は労働省はとらえていただかないと困ると思うんですけれども。
  59. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) いろいろお考えお聞かせ願ったのですけれども、決して私は御意見に対して議論をしようという考え方はございませんけれども、私自身の、いまお話を聞いた前提の上に、頭に浮かぶことは、まず、経済が高度成長から安定成長の方へ行かざるを得ないという日本の客観情勢。山中委員は企業企業とおっしゃるけれども、私は、企業の中に労使があると思うんですね。労使がある。したがって、企業が高度成長から安定成長に変わらざるを得ないという場合、やはり一刻も早く定年制を実施したいという、こういう念願を持っておったにかかわらず、企業のいわゆるそろばんが予定から狂ったという、こういう背景の上に立って、やはり予定をちょっと延ばすという、こういうことにならざるを得なかったと。  その原因はどこにあるかと言うと、私は、先ほど触れましたように、長いいわゆる日本の独特の雇用賃金慣行というものがある。そこら辺を、その原点をやはり踏まえて、一遍労使が話し合ってもらって、これからの経済成長に合う賃金体系あるいは退職金であるとか、そういったものを労使で話し合ってもらって、何とかして私はみんなが五十過ぎ、五十五歳ぐらいな、まだ働き盛りで途中退職するということのないような工夫をひとつ相互にしてもらいたいと、このように思うわけでございまして、企業というものの実態というものを踏まえながらやっていくわけであって、決して私は資本家であるとか、あるいは使用者の味方で労働行政をやるべきではないと、両方が成り立つような方向へよき慣行をつくり上げると、こういうことが適切な労働行政のあり方ではないかと、また、定年制を定着していく方法ではないかと、こういうふうに私は頭の中に浮かぶわけでございます。
  60. 山中郁子

    ○山中郁子君 私もちょっと抽象的な議論をするつもりはないんです、時間も余りないですから。ですけれども、いま私が紹介しました京浜製鉄、日本鋼管の例ですね、これをお聞きになっておわかりになったと思いますけれども、こういうやり方はまさに労働省も指導している定年延長の施策に真っ向から反対する、逆行するものだということは、それはお認めになりますでしょう。そういうやり方でやめざるを得なくなった方がこういうことを言ってらっしゃるんですね、戦時中、高炉の火は消すなと言われて爆弾や焼夷弾の降る中を死ぬ思いを何度かしたと、本当に必死になって勤めてきたと、戦後だって食う物もろくにない時代を歯を食いしばってがんばってきた。会社はそんな自分たちを景気がよくないということで首を切るんだから、もう腹わたが煮え返るほどくやしいと言って、いまどき百万円ぐらいの金でどれだけ生活できると思っているんだと、本当に私は心の底からの怒りだと思いますよ。高炉の火を消すなということは有名な言葉ですけれども、そういうことで長い間働いてきた高齢者が、企業の都合でちょっとした不況ということで首を切られると、やめさせられるということが、どれほどまさにいまの政府も主張している高齢者の雇用促進、定年延長ということに過酷に真っ向から逆行するものだということは、これは私ぜひ認めていただいて、調査されるということはもうすでにお約束をしていただいていますので、何とかして指導の貫徹を図っていただきたい。重ねてこの点について伺います。
  61. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) われわれ中高年齢者の雇用対策というのが、これからの雇用政策の重要な柱であると、こういう認識を持っておるわけでございまして、そのためには、その一環として定年延長の問題もございますけれども、また、定年延長を定着するために定年延長奨励金であるとか継続雇用奨励金であるとか、そういったことをずっと積み上げながら、しかも先ほど申し上げましたような労使の話し合いということは、やはりこれからの日本の経済の実力に似合うような線で定年制が定着するためには、従来のような雇用賃金慣行というものは一遍話し合いをしてもらわないとなかなからちがあかないと、こういうふうにも思うわけでございますが、それに五十三年度の新しい中高年齢者の対策としては、別にどの事業ということで限定しないで、中高年齢者を雇い入れた事業主に対してはその賃金の二分の一ないしは三分の二を助成しましょうと、そして新しい雇用の創出を民間の活力をかりて大いにやっていこうと、こういう施策を展開しょうと、こういうことを考えておるわけでございまして、御趣旨の思想的には私は、考え方としては決して相反する考えじゃなくて、いろいろ知恵をしぼっているということは御理解をいただきたい、このように思うわけでございます。
  62. 山中郁子

    ○山中郁子君 ちょっとやはり大事なところなんで、もう一つだけ私は押さえておきたいのですけれども、具体的に日本鋼管がこういう事態で半年たってすぐにもう後退をして、また半年たって実質的にほごにするみたいなことの現状ですね。これは定年延長を指導している政府の考え方、施策にやはり逆行するものですね。それはお認めになるでしょう。その上で大臣が言われるように、いろいろお考えがあることは知っております。だけれども、そこをちゃんとはっきり認めていただかなければ、歯どめをする、するとおっしゃったってできないということなんです。
  63. 細野正

    政府委員細野正君) 具体的ケースにつきましては、よく実情を調べてどういう経過かというようなことも見ないと、即断的に申し上げることは困難だと思いますが、ただ先ほど来大臣も申し上げておりますように、経済の状況が不況が長く続いていると、ともすると一般論としては定年延長が後退する兆しというものも出がちでございますから、そういうことのないようにいろいろな実効ある施策を考えて、定年の延長が進むように、少なくとも後退しないようにやっていきたいと、こういうことを大臣は申し上げているわけでございます。
  64. 山中郁子

    ○山中郁子君 調査はぜひいろいろなすってください。私が申し上げ企業だけじゃなくて、大企業ほどそういうことになっているということはよく御承知のとおりだと思います。  それで、さらに具体的に伺いますけれども、特別措置法ですね、中高年法の十一条の二項ですが、これに基づいて高年齢者雇用率達成の計画ですね、この雇用率の低い企業に対して計画作成をいままで命令したことがありますか。
  65. 細野正

    政府委員細野正君) 御存じのように、新しいその中高年法が施行されまして、雇用率六%ということが決まりまして、それについての調査を実施したのが昨年の六月一日時点でございますので、その結果がわかりましたのが昨年の十月に入ってからでございまして、その後私どもとしては著しく雇用率の状況から見て悪くて、しかも、その新たに雇用をするようなそういう状況にあるというふうないろいろな条件の中で、これはどうしても計画的に雇用率の達成をしていただかなければならぬものについては、計画の達成命令を安定所長さんがお出しなさいという基準を昨年の末に指示をいたしておりますので、したがって、現在まだそういう意味での検討中でございまして、現在時点で達成命令を出したということは聞いておりません。
  66. 山中郁子

    ○山中郁子君 そうすると、私は基準と言えばこの法定基準の六%だというふうに思いますけれども、そのことも含めて、具体的にそれではいつごろお出しになるというつもりがおありなのか。いまのお話ですと、何か準備が進められているように承りましたけれども、具体的な内容について教えていただきたいと思います。
  67. 細野正

    政府委員細野正君) 昨年暮れに、そういうことで計画の達成命令をそれぞれの管内の実情に応じて命ずることを考えなさいという言い方をしてあるわけでございまして、したがいまして、いつからということから言えば各所長さんの御判断で、すでに現段階においてもやり得る状況にはなっているわけですが、したがって、いつまでやれとかいうことではなくて、もうすでにやっていい段階にはあるということでございます。
  68. 山中郁子

    ○山中郁子君 そうしますと、それは基準としては法定基準の六%ということで、それで通達か何かでお出しになったのでしょうか。そのことを伺いたい。
  69. 細野正

    政府委員細野正君) 通達によって指示をいたしております。
  70. 山中郁子

    ○山中郁子君 では、その通達を後で結構ですのでコピーをいただきたいと思いますけれども、よろしゅうございますか。
  71. 細野正

    政府委員細野正君) 後ほどお届けするようにいたしたいと思います。
  72. 山中郁子

    ○山中郁子君 大臣ね、いま局長からお話がありました。条文では百人以上で六%以下の企業に対して、大臣が高齢者の雇用の安定を図るため必要と認めた場合は、雇用率の達成に関する計画の作成を命ずることができるとしているわけですね。そういう、いまでも命令できる状況になっているんだと、通達が出て。だけれども、まだどこも命令をしているとは聞いてないと。こういうお話なわけです。雇用率六%以下の企業なんというのはたくさんあるわけです。おたくの調査などでも平均で五・八%ですか。ですから、それ以下のところはたくさんあるはずで、やはりそうした姿勢を示しながらも、それが徹底されないで、すぐにできるはずであるにもかかわらず計画の命令が出されていないという状況は、私はやはり労働省のもっときちんとした指導の貫徹というのが求められている証拠だというふうに思いますので、この点はぜひ、いまそういう状況がもうできていると、通達も出されているということですので、促進方をしていただきたいということを重ねて要求をいたしますけれども。
  73. 細野正

    政府委員細野正君) この高年者の雇用率の問題も、これ定年の延長の問題と同様の性格がございまして、したがいまして、賃金雇用慣行の改善問題とも密接に関連しているわけでございます。したがいまして、私どもは一つには、来年度におきまして産業別に定年延長の推進会議みたいなものをやりまして、その中で各産業が歩調をそろえて計画的に定年延長をやっていただくというような、そういうことを一つ考えてみたい。そういうことのいわば業界を挙げての一つの方向づけということと並行しまして、個々の企業に対しましても、先ほど申しましたような条件の中で雇用率の達成を命ずるというものもやっていきたいというふうに考えておりますので、したがいまして、先ほど御指摘がありましたように、著しく何かという問題があればいまでもやる状況ではございますけれども、一般的に何といいますか、この作成命令というようなものを発動するとすれば、それはいま申し上げましたような業界全体に通じての指導ないしは、あるいは労使でのお話し合いというようなものの進み状況とにらみ合わせて発動していくのが、より必要性もあるし、実効もあるんじゃなかろうかなと、こういうふうに考えているわけでございます。
  74. 山中郁子

    ○山中郁子君 推進することにやぶさかでないというお考えですので、私もそれ以上は申し上げませんけれども、労働省の方は、大臣局長こもごも繰り返し繰り返し賃金の体系の問題、その他おっしゃるので、私ももう一度だけ申し上げておきますけれども、それはまさに企業の、大企業、財界の労働賃金総額抑制の要求と軌を一にしているという部分があるんですよ。私はそこのところはあくまでも労働者を守るという立場での労働行政の基本を貫徹をしていくという立場から、危険な面を重ねて指摘をしておきたいと思います。  それで、先ほど公開の問題が出ましたけれども、私は身体障害者雇用促進法と同様に企業名を、雇用率の悪い企業については企業名を公表するということなどの可能な手を尽くすということもいま求められていると思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
  75. 細野正

    政府委員細野正君) 先ほど私、公表制度について申し上げましたので若干間違った点がございましたので、訂正をさせていただきたいと思いますが、先ほど中高年法で制約があるというふうに申し上げましたが、職業安定法上の制約でございましたので、恐縮でございますが訂正をさせていただきたいと思います。  そういう意味で、安定法上の知り得た秘密についての秘密遵守義務というものが一般的にこの安定機関にかかっておりますので、そういう意味で、先ほど申しましたように、身障法等については逆にそれの例外として公表制度というようなものが設けられているという状況でございますので、一般的には個々の状況について申し上げるという点について私どもは慎重でなければならぬというふうに考えているわけでございます。
  76. 山中郁子

    ○山中郁子君 まあ、局長が勘違いされるほどに、それは十分あり得る問題なんですよね。というのは、中高年法ではだから公表のあれはないということでしょう。それで安定法の問題だといまおっしゃったんだけれども、私はだから障害者を例外だということで言われているけれども、まさにいま社会問題化した高齢者の雇用の問題はそれに等しい大きな重要な問題なんだから、特別に悪い企業については公表するという障害者の問題とあわせた、障害者公表の問題と同じような対策をとって解決の前進を図るべきではないかと、こういうことを申し上げているわけです。慎重にお考えになることは結構ですけれども、ぜひその点は前向きに検討をしていただきたいと思いますが、いかがなものでしょう。
  77. 細野正

    政府委員細野正君) 先ほど申しましたように、一般的な守秘義務があって、それに対する例外として身障法の規定があるわけでございますので、したがって、そういう意味で身障法と同じようにと言われましても、これは非常にむずかしい問題だと思います。したがって、私どもはそういうところについては、先ほどの達成計画についての命令とかその他の制度を活用することによって対処していくという考え方でございます。
  78. 山中郁子

    ○山中郁子君 私はね、大臣——この問題の最後ですけれども、いまの局長の答弁とも関連するんですが、もともとこの定年延長の問題は、四十八年の経済社会基本計画の中で政府が出したものでしょう。それに基づいて労働省次官通達も出しているということですわね。それで、これを五十二年度の整備目標となっているんですよ。定年計画期間中に六十歳定年の一般化を目途として定年の延長に努めると、こうなっているわけですね。五十二年度です、五十二年度。きょうは三月三十日ですから、あしたですよね。あしたまでの目標なんですよ、これは。四十八年に計画したあしたまでの目標で、たまたまきょう委員会が開かれてますので私もぜひ伺っておきたいんですけれども、まだ、いまそういう状況でしょう。とても六十歳定年の一般化を目途とできない状況でしょう。逆に逆行していくという、こういう事態ですね。ですから、私は一歩進めて、政府の行政指導の範囲を強化するというだけじゃなくて、本当にこれを実現していく。五十二年度の末の目標だけれども、実際にそれじゃそれどうするつもりなのか。そのことはやはり一歩労働省として、政府として具体的に前進をさせて、たとえばいま私が提起した企業名の公表なんかも、政治的に前進させて考えるということをしなければ、政府が出した目標にだって、あしたまでの目標ですから、達成できないということは明らかじゃないか、そういうことを申し上げているわけです。大臣の御見解を。
  79. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) 私はいろいろな施策の予定表、計画、そういうふうなものがあるなしにかかわらず、このように高齢者社会になったきょう今日、五十五歳で職場を離れるということは、これは何としても改善すべきであるという基本的な考えを持っております。したがって、公表する線、これも一つの方法でしょう。だから、これはこれとして検討さしていただきます。問題は、やはり手段ではない、どうして目的に前進するかということについてお互いが知恵を出し合うと、私は私で努力をします。
  80. 山中郁子

    ○山中郁子君 検討していただくということで結構ですが、その目標が期限があるなしにかかわらずなんて、そうおっしゃらないでくださいよ。ちゃんと政府がこうやって基本計画で出している目標があしたですからね。それはよく頭に入れておいてください。  定年の問題に関連をいたしまして、婦人の差別定年の問題で一つだけお伺いをしたいと思います。これはもうすでにいろいろな場所で質疑も行われておりますが、一番最新の問題として、国際婦人年の国内行動計画や、またその前期重点目標などで五十二年度においては行政指導体制の実態把握を行うと、これは前期目標ですけれども。その点について、二月二十八日の衆議院の社労委員会で田中議員の質問に対して森山局長が、三月になってみないとはっきりわからないがという御答弁がありました実態調査の報告ですね、この点はどうなってましょうか。三月あしたで終わるわけなんですけれども。
  81. 森山眞弓

    政府委員(森山眞弓君) 田中委員にお答えしたとおりでございますが、三月いっぱい調査をするように指示してございまして、とりまとめは来月に入るかと思います。
  82. 山中郁子

    ○山中郁子君 じゃ、来月に発表されるということで、私どもがその実態を知ることができると理解してよろしゅうございますか。
  83. 森山眞弓

    政府委員(森山眞弓君) この実態把握をやってみまして、非常にむずかしい問題がたくさんございまして、またとりまとめにもかなり時間もかかり、あるいは分析その他がむずかしい面もあるかと存じますが、集まってみましてから考えたいと考えております。
  84. 山中郁子

    ○山中郁子君 ぜひ早急に、でき次第実態を発表もしていただくし、私どもも把握をしたいと思いますが、それは、調べたけれども、労働省としては自分の中で抱えていて問題が多いから外へ出さないと、こういう意味じゃありませんのでしょう、いまの局長の御答弁は。
  85. 森山眞弓

    政府委員(森山眞弓君) 御承知のとおり、婦人少年室の職員数も少のうございますし、また非常に膨大な企業を対象にした実態把握でございますので、この所定の期間内に十分これで把握できたということが集めてみませんとわかりませんので、把握してみた後でどのように対処するか考えたいというふうに思っております。
  86. 山中郁子

    ○山中郁子君 ちょっとやはりよくわからないんですけれども、計画で、前期重点目標でもって把握をするということに、それに基づいて作業をしていらっしゃる、それで一応調査が終わって、これからその点についてのとりまとめをなさる、した上で発表するかどうかわからない、こういうお話だと、私は全然国内行動計画で約束もされ、前期の重点目標として約束もされたことをやはり国民に対して、特に働く婦人に対して果たしていただけないということになると思いますので、重ねてその点についてはちょっとだめ押しで伺っておきますが、労働省としては問題があれば発表できないんだと、こういうことじゃないんでしょう。
  87. 森山眞弓

    政府委員(森山眞弓君) 問題があれば発表できないという意味ではございません。非常に時間もかかりますし、内容が複雑にわたるのではないかと考えられますので、そういう意味で申し上げたわけです。
  88. 山中郁子

    ○山中郁子君 なるべく早くとりまとめもいただき、問題点の把握もしていただき、私どもにもそれを知らせていただきたいと思います。  じゃ、次に関連して婦人労働者の問題について、産前産後休暇の問題に入りたいと思います。時間も限られておりますので、私はこの世界行動計画、また国際婦人年に関する一般的に言われておりますILO行動計画ですね。そうしたものの中で、母性保護を充実させる、しかもこれは母性保護の充実を理由として男女平等の否定的な要素にはしないんだ、してはならないんだという理念がはっきり確立をされています。それで問題は、その観点から母性保護の関係でいろいろ問題はありますが、私はきょうは産前産後休暇の点についてぜひとも一歩進めた労働省の姿勢なり見解なりも伺っておきたいと思いますが、ILOの百三号条約ですね、これが日本ではまだ批准できていないわけですけれども、この点の要件を満たしていないという部分についてのお示しをいただきたいと思います。
  89. 石井甲二

    政府委員(石井甲二君) 百三号条約についていま先生御指摘の点を申し上げますと、まず出産休暇の期間の問題でございます。少なくとも十二週間、かつ産後の強制的休暇の期間最低六週間を含むというのがこの条約の一つの内容でございますが、現行法の基準法では出産休暇は十二週間でございますけれども、産後五週間を経過した後に本人の請求があれば就業できる。場合によって一週間の違いがございます。それからもう一つは、いわゆる出産休暇による休業中の金銭給付を受ける権利を有するわけでございますが、その場合に金銭の給付は従前の所得の三分の二を下回らないということでございます。これに対して現行法におきましては、特に健康保険給付に関連をいたしますが、標準報酬日額の百分の六十ということでございますので、その点が現行法との整合性がございません。したがいまして、現状の国内法との関連におきましてこれを批准すべき状態にはないというのがお答えでございます。
  90. 山中郁子

    ○山中郁子君 西ドイツとかフランスとかイタリアで産前産後休暇の期間とか休暇中の所得保障、産後の解雇禁止ですね、こうしたものはどうなっているかお示しいただけますか。
  91. 森山眞弓

    政府委員(森山眞弓君) 西ドイツにおきましては、産前産後の休暇は原則として産前六週間、産後八週間とされておりまして、そのうち強制休暇は産後の八週間でございます。これは母性保護法という法律に基づいております。さらに、産前産後休暇中の所得保障は、出産手当金といたしまして収入の一〇〇%が支給される。これも同じく母性保護法に決められております。  それから、フランスにおきましては、産前産後の休暇は原則として産前六週間産後八週間でございますが、うち強制休暇は産前産後を通じ分娩後の六週間を含む八週間というふうに決められておりまして、これはフランスの労働法典というものに基づいております。産前産後休暇中の所得保障は出産手当金として収入の九〇%が支給されるように、社会保険法によって決められております。  それから、イタリアにおきましては、産前産後の休業は原則として産前の二ヵ月産後の三ヵ月、これ、両方とも強制休業でございます。これは母性労働者の保護に関する法律というものによって決められているようでございまして、休業期間中の所得保障は、出産手当金として収入の八〇%が同じ法律によりまして決められているようでございます。  以上でございます。
  92. 山中郁子

    ○山中郁子君 大臣、お聞きになったと思いますけれども、ILO百三号というのは一九五二年ですよ。二十年以上前なんですよ。それでいま局長からお示しがありましたイタリア、産前二ヵ月産後三ヵ月。私は余りにも違いすぎると思うのです、日本の場合ね。一九五二年のILO百三号、これが批准できないといういまそちらからお話がありましたね。いろいろな問題があるのですよ、達してないわけ。経済大国日本だといって、そして国際婦人年で婦人の地位向上を図るとかいろいろおっしゃっているけれども、このものすごくおくれている現状ですね、これは何とかして早急に前進を図っていただかなければ世界に対してもみっともないですわ。森山さん、そのとおりだと思っていらっしゃると思いますよ。だから、ぜひともこの問題の解決を図っていただきたい。具体的にはもうすでにお聞き及びだとは思いますが、婦人労働者を含む広範な婦人のコンセンサス、これはもうあるわけです。  それで、一つの具体的な提案といたしますと、産前産後休暇を各八週間、異常出産などの場合には産後十週間ということでの要求ということを私どもは主張もしておりますし、多くの婦人団体や労働組合が要求しております。それで、もう一つ大事なことは、これは単に私たち、たとえば共産党だけの提案ではなくて、自民党もこの政策を出していらっしゃる。ほかの党はもう全部もちろん前から出しておりました。ですから、自民党が選挙目当ての、選挙に際しての婦人の票目当ての政策でないということならば、全部これは一致できるわけですよ、各党みんな。合意できるわけです。そうでしょう。そうしたらそれはすぐにできるわけですわ。ぜひともこのことを実現を図っていただきたい。何の障害もないわけです。しかもILOの百三号、五二年、二十年以上前の批准ができないという状態のもとですから、超党派の婦人議員としてもこれを政府に統一要求の重要な一項として申し入れている。私は各政党レベルでもコンセンサスは得られているということに判断しておりますけれども、大臣の御所見を伺いたいと思います。
  93. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) 妊娠、出産という、女性にとっての大切な使命は次代を背負うお互い日本人のやはり大切な問題でございますから、十二分にこの問題については過去の従来のいきさつも十分踏まえながら、労働基準法の改正を含めて、そして労働基準法研究会というのがございまして、この専門の方々の意見も十分聴する、そして検討いたしたい、このように考えております。
  94. 山中郁子

    ○山中郁子君 もう何年それ検討していらっしゃるのかということです。  私は、実はこれは三年前だったと思いますが、参議院の予算委員会の集中審議で、当時三木総理大臣でしたけれども、福田総理総理大臣の代理としてお出になりましてお約束をいただいている問題なんです、前進的に解決を図ると。それで、世界の趨勢から言っても、それから日本の国の婦人たちの要求の深刻さが今日強まっているという実態から言っても、それから先ほど申し上げました国民的コンセンサスの熟している状況から言っても、もう大胆に踏み切って前進を図ると。いろいろ具体的な問題は出てまいります。それは十分いろいろと慎重に検討するということは、それはそれで結構ですけれども、いつまでもそういうことで、検討中でありますということで一体何年引きずるのかということが、いまもう多くの婦人たちの切実な政府に対する不信にもなってますし、要求にもなっているという事態ですので、どうか三年前の通り一遍の回答を繰り返していただくんじゃなくて、もう一つ責任のある、誠意のある御回答をいただきたいと思います。
  95. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) 実は同じような表現になったかもしれませんけれども、あれから精力的に検討を煮詰めてもらいまして、もう、そう将来ではない近い段階において結論が出ると、こういう前提で申し上げたわけでございまして、いつまでも時間延ばしでこういう研究会を隠れみのに従来の惰性を続けようなどということはさらさら考えておりません。いずれ近々、その結論を得て労働省として、特に国内行動計画を立てて積極的にやろうとして、母性の保護と同時に職場における男女同権という線を確立したい、このように考えております。
  96. 山中郁子

    ○山中郁子君 いつごろというふうに思ったらよろしいでしょうか。
  97. 森山眞弓

    政府委員(森山眞弓君) これは労働基準法研究会でいま御検討いただいていると先ほど申し上げましたとおりでございますが、研究会の先生方非常にお忙しい方々ばかりでございまして、月に一遍は集まっていただいてやっていただいておりますが、まだちょっと、いつということをはっきりいまの段階で申し上げるわけにはいかないと思います。
  98. 山中郁子

    ○山中郁子君 そうすると、やっぱりいままでと同じ御答弁なんですよ。大臣、それじゃ大臣の考えとしては、たとえばことしじゅうとか、したいと思っているということぐらいは言ってくださいよ。
  99. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) もう極力早く、御質問のお気持ちはよくわかりますし、その御質問に対して極力急ごうと、こういうことでひとつ御理解いただきたいと、こう思います。
  100. 山中郁子

    ○山中郁子君 隠れみのだったんです、いままで。だから、隠れみのでないとおっしゃるならば、そうしたものを実際に明かしていただきたいと思います。それで、あわせて、もう十分御承知だと思いますけれども、保護か平等かというふうな立論で産前、産後八週間という問題になると、保護の充実ということになると逆に見直しという言い方で母性保護に対する後ろ向きの圧力がかかる、考え方が出てくるというふうなことがいまもう一般的な問題になってます。私は、働く婦人たちが労働省のその姿勢に対して不信を抱いていると申し上げましたけれども、そのことは単にいつまでもその隠れみののもとでもって引きずっているから不信を抱いているだけじゃなくて、もう一つ、保護か平等かみたいなことで、片方でもって保護の充実に対して、裏返しのところで平等を武器にして見直しという形で後退を図っていくという、そういう危険を知っているからその不信が二重になっているということはよく知っていただきたいと思います。問題は、そうではなくて、国内行動計画の、世界行動計画の理念も、それからILOの理念も、そういう問題じゃなくて婦人の母性保護を充実させる、そのことが理念ですから、だから、そこのところは間違いのないように、いまの婦人たちの不信という問題をよく率直に受けとめて後退を、紙の裏表みたいにして母性保護の後退を図るような面というものは徹底的に払拭をしていただかなければならないと思いますので、そのことを申し上げておきたいと思います。  それでは、あと二点だけ簡単な問題についてお伺いをいたします。  一つは最低工賃の問題なんですけれども、これは繊維の労働者の問題ですが、私、これもいろいろなところですでに議論もされておりますが、ひとつ、ぜひここで大臣にも実情を知っていただいて、基本的な前向きのお約束だけいただきたいと思っておりますけれども、私、一宮の産地を回りまして、実際の賃機の奥さんたちにいろいろお話を聞いたんです。そうしますと、いまの繊維不況の問題も絡んでですけれども、工賃が非常に安くて、そして実際に生活できるための仕事をする必要から、朝の五時、六時から夜中の十一時、十二時、ひどい人は、具体的に私聞きましたけれども、一時、二時まで機を動かしている。そういうことをしなければならないという実態です。これは誇張でも何でもなくて、私は、たまたまそのときは六人の方から伺いました。それで、その方たちがどういう就業時間になっているかといいますと、六時から夜十一時、十七時間、五時半から夜十一時半、十八時間、六時から夜十時まで十六時間。この六時から夜十時まで十六時間働くという人が三人いらっしゃいました。それから、六時から夜中の一時、二時まで働く、十九時間ですよね。こういうのが結局実態なんですね。それで、その奥さんたちが言われるには、せめて朝の八時に機を動かして夜の八時ぐらいにしまいたい、このごろは周りもうるさいですから、騒音その他でね。本当にそれは悲痛な叫びでした。私は、日本でいまこういう実態で、そして働かなければ食べていかれない。しかも、奥さんたちがみんな機を、朝起きて動かして、夜は機をとめるのは奥さんたちなわけですよね。食事の後せめて一時間でも休憩をしたい。せめて朝の八時から夜の八時まででしまいたい。それだって十二時間労働ですわ。私は、こういうものを生み出している工賃の問題を解決をして、何とかしてもう少し常識的な労働時間でもって食べていける、そういう最低工賃の確立ということのために労働省が真剣な努力をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  101. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) 大変な最近不況、特に繊維産業というのは特定構造不況業種として、したがって、その賃金が下請加工の関係者は非常に厳しい条件に置かれておるという点において私は御指摘の事実を十分理解できます。したがって、家内労働のいわゆる最低工賃については、常時ひとつ関係方面、特に家内労働審議会ないしは最低賃金審議会、この結論を踏まえて、ひとつ適切な今後も行政指導をやっていきたいと、このように考えております。
  102. 山中郁子

    ○山中郁子君 もう一つだけ。  いま申し上げましたけれども、これは国際婦人年の国内行動計画でも家内労働者の就労条件の向上を図るため、最低工賃の決定を推進するとなっております。それで、具体的に一宮——愛知県の最低工賃の決定も、要求いままでもしておりましたし、先日の衆議院の社労での浦井議員の質問に対して、基準局長がいま進めているという御答弁がありましたけれども、その後いまどうなっているかお答えをいただき、促進を図っていただきたい。いつごろのめどで決定できるのかということについてあわせて御答弁いただきたいと思います。
  103. 桑原敬一

    政府委員(桑原敬一君) 前回、お話しのように浦井議員に対して御答弁申し上げましたが、まずもって実態調査をいたしませんと適正な工賃が決められませんので、実態調査をまず進めさしております。大体、調査がまとまったようでございますので、もっぱら地域に基づく工賃でございますので、当該都道府県基準局が決めることでございますが、調査の結果を待ちまして、そう遠くない機会に諮問が行われると、こういうふうに聞いております。
  104. 山中郁子

    ○山中郁子君 大体、いつごろになりますか。見当でいいですが。
  105. 桑原敬一

    政府委員(桑原敬一君) 当該都道府県基準局の所管でございますので、正確には申し上げられませんけれども、そう一月、二月先ということではないかと思います。
  106. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時再開することとし、休憩いたします。    午後零時一分休憩      —————・—————    午後一時四分開会
  107. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) ただいまから予算委員会第四分科会を再開いたします。  分科担当委員異動について御報告いたします。  本日、高杉廸忠君及び矢追秀彦君が分科担当委員辞任され、その補欠として目黒朝次郎君及び峯山昭範君が分科担当委員に選任されました。     —————————————
  108. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) 午前に引き続き、昭和五十三年度総予算中、労働省所管を議題とし、質疑を行います。質疑のある方は順次御発言を願います。
  109. 峯山昭範

    峯山昭範君 私は、きょうは労働省でございますが、社会保障全般についてお伺いをしたいと思っております。まあ本来ならば、労働大臣だけではなくて、厚生大臣なり関係大臣に御出席をいただいて質問をしたいわけでありますが、何分にもこういうあれでありますので、労働大臣に、総理並びに厚生大臣の分も兼任をしていただいて御答弁をいただければ幸いだと、こういうように思っています。  そこで、大臣、初めに、特に最近、新聞紙上に、最近の不況、円高あるいは失業、そういうふうないろんな社会情勢を反映しまして、特に、その中でも身体障害者の皆さんのいわゆる親子心中とかあるいは低年齢児のいわゆる自殺とか、または非行ですね、こういうようなものが相当発生をいたしております。私は、この福祉あるいは教育、そういうふうな面から非常に重要な問題である、こういうふうに考えております。  そこで、やはり私は、政府としましてもこの福祉に対する配慮といいますか、いわゆる不十分さというのが各種の面であらわれていると、そういうふうに言っても私はいいんじゃないかと思っております。そういうふうな意味で、まず現在のいわゆる社会情勢あるいは若年者の非行、そういうふうな問題も含めまして、まず大臣、どのように御認識をしておられるか、初めにちょっとお伺いしておきたいと思います。
  110. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) 御質問が大変こう重大な問題でございますけれども、多岐にわたる問題を含んだことであります。しかも、総理、厚生大臣の立場も兼ねて答弁をということでございますけれども、私、国務大臣とし、また政治家として、ただいま御質問になりました問題をめぐって、自分のきわめて浅才な考え方でございますけれども、お答えにかえたいと思います。  やはり、戦後から日本が経済復興で高度成長ということから、御案内のような石油ショックで大転換を現在遂げなければならぬという過渡期でございまして、まさにそのようなことがいわゆるひずみと申しましょうか、そういう形でいろいろな社会、経済の現象としてあらわれておると、それが先ほど御指摘の具体的ないろいろの問題になってきていると思うんでありまして、これはただ単に労働行政の観点あるいはまた福祉政策の観点だけでは覆い切れないような、いろいろな困難な要因が含まれておると思うのでございます。したがって、総合的な政策を振興しなきゃなりません。やはり、教育の面は教育の面で、物だけ豊かになればと、自分さえよければという、こういうことでない、やはり人間教育が必要でございましょうし、またわれわれ経済が成長するという面において、これまたこの高度成長でやれた時分はいいわけでありますけど、そういかなくなったきょう時点においては、やはりお互いが乏しきを分かち合うというか、いささか言葉が足りませんけれども、たとえば時間短縮の問題は仕事を分かち合うという、こういう配慮が必要でございますし、特にこの不況で、深刻に雇用情勢がなってまいりますと、特に、社会的弱者であり、ハンディキャップのある身体障害者の雇用の確保ということは、私は雇用政策の中でも非常に大切な問題であって、およそ政治が社会的弱者を救済するという面に本来の使命があるとするならば、私はいま申しましたような観点から、身体障害児・者に対する配慮、わけても身体障害者の雇用対策については、中高年齢者の雇用対策と並んで大いに今後努力しなきゃならない、このように思っておるわけでございます。
  111. 峯山昭範

    峯山昭範君 まあ社会福祉に対する大臣のお考え、よくわかります。これは話の前提でありますので、もう一点だけ、これもやっぱり取り上げておきたいと思います。  これもやっぱり新聞の投書の欄にこの間載った記事ではございますけれども、「障害の子と歩んで30年 疲れ果てたL3」という見出しで、ある新聞に投書が載りました。内容を詳しくは読みませんが、その一部をちょっと取り上げてみますと、  この子と歩んで三十年、疲れ果てました。   いま思うことは、生まれ出た障害児の安楽死  の許される日です。この日を祈らずにはいられ  ません。大きくしてしまえば、親も子もつらい  ものです。そして、社会もそっぽを向く現状で  あるならば、法律として先天性の障害児だけで  も生まれてすぐ天国に連れいっていただきた  いと思いますL3。  もちろん、これは前後があるわけです。それでこういう投書が載りまして、私もこれを読みまして非常に大変な実情だということをよくわかりました。ところが実は、この投書が出た後、同じ新聞社にわっと投書が殺到しました。その後の障害児の投書を読んで、いわゆる安楽死という問題について私はこう思うと、この人の意見に私は賛成だという意見が編集者のメモというところにも出ておりますが、大変な数が来たんですね。私はこういうふうな投書、また社会面にあらわれる情勢を見まして、これはそこにやっぱり一つのただ単にこういった苦労を背負った一人の個人あるいは一つの家庭、あるいは一人の家族だけの問題ではない。やはり、これは社会連帯の中でやっぱりお互いに分け合って、こういう問題を解決していかなければ私は解決しないのではないか、こういうように考えておるわけです。そういうような意味で、やはり私たちはそれぞれの立場でこういうふうに追い込んでいる私たちの責任というものをやっぱり考えてみる必要があるんではないか。そういうような意味で、再度この点について大臣のお考えを一遍お伺いしておきたいと思います。
  112. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) 具体的な例を引かれて、非常にわれわれ人生のまことに心をむしられるような問題、特にまた安楽死という、こういう非常に深刻な問題の提起がございまして、私も対応の言葉もわからないような深刻な心境でございます。私は何も宗教を語る資格も何もございませんけれども、やはり十字架を背負うお互い人間、その程度いろいろありましょうけれども、やはりお互いが心の問題というものと相呼応して対策をしなければ救われない、救いはそこにあるんではないか、決してこれは逃避ではないと。こういうふうに思うわけでございまして、われわれ労働行政を担当する立場においては、先ほど申しましたような、これが生きがいのある人生が送れるように雇用面において全力を尽くすと、こういう考えであります。
  113. 峯山昭範

    峯山昭範君 私も大臣と同じような気持ちでいるわけですけれども、こういう投書がありまして、この新聞社に寄せられた投書のいろんな総合したのが集中して載っておりますが、確かに「この世に生を受けた以上、奇形であろうと、なんであろうと、生命は尊いもの」と、こういうふうに一般の人は言うけれども、そんなことはもうむなしいと、あるいは「生命は地球より重い」と、こういうようなことをいろいろと言うけれども、この「生命は尊い」の一言で片づけられないと。しかも「その「尊い生命」のために、どれだけ多くの人々が苦しみ、悲しみ、そして死に追いやられているでしょう」というようなことで、もうこの一つの投書で、相当一ヵ月間その新聞社は投書が殺到してもう大変だったらしいですね。そういうふうな意味で、それだけ深刻な不況と大変な状況にあるということを私は実はしみじみと先日から感じておりまして、予算委員会でもぜひ、いま大臣の所轄の問題をこれからやるわけでございますが、そういうふうな意味で私も真剣にこの問題を取り上げたい、そういうふうに思った次第であります。  そこで、例の先ほど大臣もおっしゃいました身体障害者の雇用の問題についてお伺いをしたいと思います。  昭和五十一年の身体障害者の雇用促進法の改正がありまして、雇用率が法定されたわけであります。一昨年の十月からは未達成数に応じた納付金制度というのも現在スタートいたしておりますが、実際、実態はどういうふうになっているのか。また、雇用の状況を規模別に教えていただければ幸いです。
  114. 細野正

    政府委員細野正君) ただいまお尋ねがございました身体障害者の雇用の状況でございますが、民間企業について申し上げますと、これは御承知のように法定雇用率一・五%というふうになっておりますが、これが実際に雇用されております比率は一・〇九ということでかなり下回っている状況でございます。なお、規模別に申し上げますと、一口に申し上げれば、大きな企業になるほど平均的な実雇用率は悪くて、たとえば千人以上のところでは〇・八ということで法定雇用率を大幅に下回っている状況でございます。これが規模が小さくなるに従って上がってまいりまして、たとえば百ないし二百九十九のところでは一・四八ということで、ほぼ法定雇用率に近い状況になっているというふうな状況でございます。
  115. 峯山昭範

    峯山昭範君 これは私の手元にもいただいた資料がございますのですが、実際問題としてこの法律を実施するまでの猶予期間もあったわけですね。一年の猶予期間を置いてこういう状況でありますから、私はこれはやはり相当強烈な行政指導なり何なりをしていただいて、これは何とかこの実効が上がるようにしていただきたいと、こういうふうに思うわけです。  そこでまず、いまの雇用率の実雇用率の率についてはわかりましたのですが、雇用率の未達成の企業の割合ですね。これはどういう状況になっているのか、この点ちょっとお伺いしたいと思います。
  116. 細野正

    政府委員細野正君) 民間企業の平均で申し上げますと、雇用率の未達成の企業の割合は四七・二%でございますから、半数に近い割合のものが未達成であるという状況でございます。規模別に申しましても、これも先ほどの実雇用率と対応しておりまして、規模の大きいところほど未達成の企業の割合が高いという状況でございます。
  117. 峯山昭範

    峯山昭範君 千人以上の規模では達成率はどの程度でございましょう。
  118. 細野正

    政府委員細野正君) 千人以上のところの達成している企業の割合は二一・一%でございます。
  119. 峯山昭範

    峯山昭範君 これはやっぱり達成率からいきましても二割強しか実施していない。それで、雇用規模の非常に少ないところはやがて六割近く達成をしているというのでは、これはやっぱりどうしても今後に問題を残しますし、これはただ率だけの問題ではないと、私はこれから中身の問題もやりたいと思っているんですが、よほど強烈に指導していただきたいと、こう思っております。  そこで、諸外国ではこういうふうな面での雇用率というのは一体どういうふうになっているのか、これを一遍ちょっとお伺いしておきたいと思います。
  120. 田淵孝輔

    説明員(田淵孝輔君) 諸外国の状況でございますが、日本と同じように身体障害者につきまして雇用率を定めております国はございまして、たとえばフランスとかイギリス等では雇用率三%というような率となっておりますし、ドイツでは六%というような雇用率で、ドイツは日本と同じような納付金制度も持っております。ただ、定義が、職業的にハンディキャップを持った者というようなことで、身体障害者という定義とは定義がかなり違いますので、範囲は必ずしも同じではございませんので、率は若干高うございます。
  121. 峯山昭範

    峯山昭範君 諸外国の例を見ましても、イギリス、フランスがわが国と同じ三%、西ドイツが六%、こういうふうな多少中身に、身体障害者のいわゆる規定の中身は多少違いましても、それにしましてもやっぱりわが国の一・五%というのは決して先進諸国の中で高いというわけでもありませんので、ここら辺のところもやっぱり今後の指導のめどになるんじゃないか、そういうような点でも力を入れていただきたいと思います。  そこで、中でも非常に今度は、先ほどは規模別に報告をしていただきましたが、産業別でいきますとどうでございましょうか。
  122. 細野正

    政府委員細野正君) 産業別に見ましてもかなり大きなアンバランスがございまして、非常に実雇用率の低い業種で申し上げますと、金融、保険、不動産業が〇・四八%、それから卸、小売業でございますが、これが〇・六五%というふうに、一%をかなり下回っているというふうな状況でございますが、半面、鉱業——マイニングの方でございますが、これが三・二%というふうに法定の雇用率をこれまた逆にかなり上回っているというふうな業種もございます。
  123. 峯山昭範

    峯山昭範君 これはまず、一つは実雇用率が非常に低い。特に保険、金融関係〇・四八%というのは、これはやっぱりひどいと私は思います。そういうような意味で、こういう業界に対しては、具体的な指導はどういうふうにしていらっしゃいますか。
  124. 細野正

    政府委員細野正君) 御指摘のように、特定の産業につきまして非常に実雇用率の悪いところがございますので、先般労働大臣から、たとえば金融関係につきましては全国銀行協会その他の関係業界の代表に対しまして、この身体障害者の雇用率の達成について強く指導要請をいたしております。これに対しまして、銀行協会等におかれても、特別の委員会をつくって対処をしたいということで、現在この達成計画等についての検討をすでに具体的に始めているというふうな状況でございます。
  125. 峯山昭範

    峯山昭範君 これはぜひ具体的に指導していただきたいと思いますのですが、一つの問題点は、この間法案を改正してから、いわゆる納付金を納めればいいんじゃないかというふうな風潮が出てきたんでは、これは納付金制度そのものがやっぱりマイナスになるわけです。そういうふうな意味で、ここら辺の納付金制度との関連については、最近どういうふうな実情にあるのか、この辺もちょっとお伺いしておきたいと思います。
  126. 細野正

    政府委員細野正君) 納付金の性格につきましては、これが発足当初におきましていろんな誤解がございまして、いわば罰金的なものじゃないかというふうな議論もございまして、そういうことから納付金に対する抵抗等も産業界に一部あったわけでございます。しかし、この制度は、先生も御案内のように、いわば身障者を雇用してくださっている企業とそうでない企業との間のコスト面における経費負担というものを、いわば社会的責任において平等に調整をしていこうじゃないか、こういう考え方に立っているものでございまして、そういう意味で、この納付金制度に対するPR、理解というようなことを得ることに全力を実はいままで挙げてきたわけでございます。そういう観点から、かなりこの納付金制度に対する産業界の理解も進みまして、そういう意味ではその納付金制度というものに基づく納付額というものが、非常に現在までのところ順調に進んできているわけでございます。しかしながら私どもも、この納付金を納めたから雇用の義務を免れるという性質のものでは当然ないわけでありまして、その点についての認識と、あわせて産業界に対する指導、PRに努めますと同時に、先ほど申しましたように、非常に悪いところにつきましては具体的な指導等もやっておりますし、同時に、この納付金自体は、これまた先生御案内のように、これをもとにいたしまして雇用義務を上回って雇ってくれているところに対するいろんな援助になるわけでありまして、その援助制度自体の実際に支払いが開始するのがことしの二月から始まっているというような状況でございますので、こういうものが開始されることによって、またその身体障害者を雇い入れる気風というものが盛り上がってくることを期待をいたしているような状況でございます。
  127. 峯山昭範

    峯山昭範君 それではもう一点、公団、事業団ですね。これもやっぱり公団、事業団等の特殊法人もやはり同じようにこの一・八%ですかの雇用率が適用されているわけですが、こっちの方の達成状況はどうですか。
  128. 細野正

    政府委員細野正君) 特殊法人関係は、御指摘のように一・八%の法定雇用率でございますが、これが昨年の六月一日現在の先ほど来申し上げております調査結果によりますと〇・九五ということで、かなりこれも下回っております。  なお、未達成の企業の割合も七三・一%ということで、四分の三近くが未達成の状況にあるという状況にございます。
  129. 峯山昭範

    峯山昭範君 これは大臣、やっぱり公団、事業団というのは少なくとも政府関係の特殊法人なわけですから、そこら辺のところからやっぱり何とかこれはぜひぼくはそういうふうな関連の人を雇用していただくように、これは強力にやっぱりやっていただきたい。そうでないと、公団、事業団でさえ大部分のところはそんなに実施してないんだというんではこれは迫力がないですよ。一般の企業に対する迫力もありませんし、やはり政府みずからの姿勢にもかかわりますので、この点はぜひ取り組んでいただきたいと思うんですが、どうでしょう。
  130. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) 御指摘のことは全く私も同感でございまして、私は、就任いたしましてから、特にもう範とすべきところが民間よりもよくないとか非常におくれておるというのは、これはもうもってのほかでありまして、強力な行政指導をしたいと具体的な方法もすでに決めておりますので、政府委員から答弁させます。
  131. 細野正

    政府委員細野正君) 先生いま御指摘のように、国とかあるいは特殊法人関係が率先してやらなければならないという点は、全くもう私どもそのように考えておるわけでございまして、まず国につきましては、各官庁にそれぞれ自分のところの実雇用率を御認識いただいて、それの是正についての強力な要請をいたしまして、これに対しまして非常に国関係については対応が早く、この四月、新年度に入れば早々にかなりもう未達成のところがなくなるという見通しでおります。それから、特殊法人関係につきましても、昨年の末から当然その特殊法人の未達成のところの担当者はもちろん、それの監督官庁がそれぞれいらっしゃるわけでありますので、その監督官庁にも要請を申し上げまして、これの早急な達成計画をお出しいただくように指示をいたしてございます。その結果に基づく、いわばこの雇用率の達成計画みたいなものも近く私どもの手元に集まってくるという状況になっております。
  132. 峯山昭範

    峯山昭範君 ぜひそういうふうな意味で、そういうふうな国の関連の機関の雇用についてもぜひ力を入れていただきたいと思います。  そこでもう一点、局長、これは今後の問題でもあると思うんですけれども、ただこの率さえ達成すればいいという問題ではないと私は思うんですよ。実際問題、私も養護学校やそういう現場へ乗り込んでいろいろ話をお伺いしてみますと、種類別にいろいろあるわけですね。そういうような意味では、障害の種類別あるいは障害の等級別に雇用率を考えていった方がかえっていいんじゃないかという発想も、ある面ではあるわけですね。そういうような点もよく考えていただくとともに、さらには、実際雇うにしてもどこへ採用に行ったらいいのかわからないわけですね。そして、そういう雇った人が、自分たちの何人雇わないといけないということが決まっておりましても、どの程度の障害の人がどういう職業に向くかということになってくると、これはやはり企業としても非常に細かい配慮をしないと雇うにも非常にむずかしい、雇えないということになってくるわけです。そういうような意味では、たとえばモデル企業なり何なりを指定して、そしてそこでいろんな等級の人が働いている、そしてこういう仕事までできる、そういうような実情がわかってくれば、私はそれだけにまた雇う方もああいう人まで雇えるんだという職場の拡大にもなりますし、そういうふうないろんなきめの細かい対策といいますか、指導といいますか、そういうような面に取り組んでいただきたいと、こういうように思うんですが、いかがでしょうか。
  133. 細野正

    政府委員細野正君) ただいまの御指摘は私どもも全く同感でございまして、身体障害者の雇用を促進するためには、いろんな意味でのきめの細かい指導も必要ですし、研究も必要でございますし、それから行政にもきめの細かさが必要であるというふうに考えております。現実には、私どもは基本的な問題等につきましては、職業研究所におきまして身体障害者の適職研究というものを現在もやっておりますが、さらに、いま先生御指摘のように、実際に身体障害者をたくさん雇用してくださっておられるところの経験、実情というものが非常に参考になる、これまた先生の御指摘のとおりでございまして、そういう意味で私どももそういう事例の収集、検討をやっておりますが、特に、先生御案内のように、身体障害者の雇用促進協会という、財界が中心になってこの問題に積極的に取り組んでいこうという、そういう協会がございまして、その協会の主たる任務もまたそういう好事例集とかそういうものの分析によって、現実に即した身体障害者の雇用の促進を図ってまいりたいというところにございまして、その協会におきまして、いま申し上げましたようないろんな好事例とか、あるいはこういうことについての経験のお持ちの方のいろんな体験を生かす方策について現在検討もし、また現実に進めてもおるというふうな状況でございます。
  134. 峯山昭範

    峯山昭範君 確かに、なかなかやってはおりましても、どれだけ実効が上がっているかということになってくると、また問題は広がっていくと思いますけれども、それでは職場の問題をちょっとやりたいと思います。  労働省は、適職の開発、研究、これはもう前々から何回かおっしゃっていることであります。しかし、現状はどうかというと、なかなかこれ一向に進んでいないというのが実情じゃないかと、私こう思うわけです。実際問題として、身体障害者雇用審議会の答申が昭和四十八年の十二月に、身体障害者の訓練職種の開発に関してということで、こういうふうに出ております。「既存の科目の整理統合を進めるとともに、その希望や身体的状況に適し、就職条件の良好な、コンピューター関連職種等近代的な職種、資格の取得に容易に結びつくような職種」「の開発を進めることが必要である。」、こういうふうに御存じのとおり指摘しているわけですけれども、こういうふうな面での具体化といいますか、そういうふうな具体的な職業訓練、開発の状況は現在どういうふうに進んでいるのか、この点ちょっと一遍お伺いしたい。
  135. 岩崎隆造

    政府委員(岩崎隆造君) いま先生御指摘のような答申の趣旨もございまして、私どもも現在やっております訓練科目の再検討を進めております。現実に、たとえばいまお話しのコンピューターの訓練科目につきましては、来年度から発足いたします、所沢につくっております国立職業リハビリテーションセンターで新たにやろうということにいたしておりますほか、そのほかの訓練科目につきましても、できる限り雇用に結びつくもの、あるいはまた身体障害者の適性に合うもの、そういうものの開発ということで鋭意検討をいたしております。
  136. 峯山昭範

    峯山昭範君 国立としては所沢の国立リハビリセンターで始めるということですが、これは年間何人ぐらいでございますか。
  137. 岩崎隆造

    政府委員(岩崎隆造君) 定員二百名でございます。二年の訓練課程を考えておりますので、一年には百名の採用ということになっております。
  138. 峯山昭範

    峯山昭範君 これはことしからでございますか。
  139. 岩崎隆造

    政府委員(岩崎隆造君) 先ほどお話ししました、五十四年度から発足でございます。
  140. 峯山昭範

    峯山昭範君 これは、私は非常に重要な問題であると思いますし、同時に、コンピューターといいましても中身は相当いろんな多岐にわたっていると思うんですが、これはぜひこの制度が成功するように私たちも陰ながら支援をしたいと思っておりますんですが、民間でいわゆる肢体不自由者の情報処理技術者、あるいはコンピューターの処理技術者の訓練センターを開設しているところは、現在日本国内にどの程度ありますか。
  141. 岩崎隆造

    政府委員(岩崎隆造君) 恐縮でございますが、ちょっと数字を持ち合わせておりません。
  142. 峯山昭範

    峯山昭範君 それでは、日本チャリティープレート協会というのがありますが、これは御存じですね。
  143. 岩崎隆造

    政府委員(岩崎隆造君) 存じております。
  144. 峯山昭範

    峯山昭範君 ここではどういうことをやっておられますか。
  145. 田淵孝輔

    説明員(田淵孝輔君) ちょっと、私も名前を聞いたことはございますが、多分社会福祉法人ではないかと存じますが。
  146. 峯山昭範

    峯山昭範君 社会福祉法人ではないかということですけれども、実は社会福祉法人にまだなってないんで、これから社会福祉法人にしていただきたいということで一生懸命準備をしていらっしゃるわけです。実は、この日本チャリティープレート協会というのは、その事業の一環としまして、特にコンピューター、電算機関係の訓練センターというのを運営しておりまして、昭和四十三年にスタートしましてから、北海道から南は沖繩県までの各肢体不自由者百二十名が訓練を終了しまして、キーパンチャー、プログラマー、オペレーターとして企業にりっぱに就職をしているわけです。しかも、その百二十名の大部分が障害度が一、二級というような非常に重度の障害者なんですね。実は、現在の労働省局長クラスの皆さん方が御存じないというのは非常に私は遺憾でありまして、実は皆さん方の先輩の局長さんはここへ、現場へ何回か足を運んでいらっしゃる。ちょっと名前はいまあれこれ言いませんけれども、現実に運んでいらっしゃるわけです。それで皆さん方の前の事務次官やそういう方々が激励をしてできたところなんですね、ここは。ところが、最近全くそういうことがないということであります。  しかも、私も現場へ行きまして、ことしの就職状況やら全部見てまいりました、また訓練している様子も見てまいりましたが、本当にもう重度一、二級というような大変な状況の方々が、現実にコンピューターのプログラマーとして訓練をされて、そして社会に送り出されている、こういう現状を見まして、これはもうぜひ私はこういうところはそれぞれ担当の局長さんなり何なり、一遍現場を見ていただいて、私は激励をしていただくなり、あるいはこれから国立のそういう所沢でつくるリハビリセンターの私は事業の参考にされてもいいんじゃないか、私そういうふうに思います。実は、私の手元にことしの就職状況も来ておりますが、非常に重度の方々が非常にいい会社へキーパンチャーとして、あるいはプログラマーとして就職をしていらっしゃる。そういう点からいきますと、それなりに私は、非常に——しかも民間ですからね、しかも大企業や、そういうところからお金を集めてというんじゃないんですね。私は、そういうような意味ではそれなりに意味があると、そういうふうに考えております。この点については、ぜひそういう点も参考にしていただいて取り組んでいただきたいと考えておりますが、ここら辺のところを、感想とあわせて御答弁をいただければと思います。
  147. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) 峯山委員から大変有益な御提言をいただきまして、とかく役所というのは、私も労働省へ入ってみまして、横の連絡といいますか、よく言ういわゆるなわ張りといいますが、どうもそういう点がまだまだ改善すべき余地がある。ねらいは身体障害者の雇用問題という共通の問題でありますから、せっかくの御提案、早速現地の事情もよく聞きまして、そして今度公立リハビリテーションセンターをつくる内容については十二分に参考にさしていただきたい。  同時に、また今度訓練法の改正を御審議願うわけでございまして、そういう面においては心身障害児・者にはそれにふさわしい訓練科目の選定、訓練方法の改善、こういうことについても十分検討いたしたい、このように考えております。
  148. 峯山昭範

    峯山昭範君 ぜひ、このチャリティープレート協会というのは道正さんの指導でできたと言うのですよ。現場の人たち、そう思っているわけです。そういうふうな意味では、私はぜひそういう点は今後もやっぱりその人がやめてしまうともう切れてしまうというんじゃなくて、ぜひやっぱり引き続いて指導をしたり相談に乗ったりしていただきたい、こういうふうに思っております。  それから次に、きょう通産省来ていただいていますか、呼んでなかったかしら——じゃ、結構です。  これは、労働省の方で御存じかもしれませんが、通産省が昨年、身体障害者を情報処理技術者へ登用するための施策の問題点を明らかにした報告書というのが出されておりますが、私の手元にも実はあるんですが、これは御存じでございますね。
  149. 細野正

    政府委員細野正君) 不勉強で申しわけありませんが、私ども手に入れておりません。
  150. 峯山昭範

    峯山昭範君 実は私も——こういう表紙の本でございましてね、福祉計算センターに関する調査研究、概念設計、昭和五十二年三月できまして、財団法人日本電子工業振興会というところがつくったものでありまして、これはまあ通産省直接関係ないかもしれませんが、よく相談してやったということであります。これは御存じでございますか。中身はちょっと余り重たいんで部屋へ置いてきたんですけれども、見たことありませんか。
  151. 田淵孝輔

    説明員(田淵孝輔君) 残念でございますが、労働省として存じ上げませんでした。
  152. 峯山昭範

    峯山昭範君 これ、職業訓練局長さんも、これは要するに身体障害者がいわゆるプログラマーとかそういうふうなのにどういうふうに使えるか、そういう訓練の仕方によっては役に立つかどうか、いわゆる電子工業会自体としていけるかどうかということを研究して、相当やっぱり中身のある調査報告になっております。こういうものも一遍ぜひ参考にしていただいて、これはぜひ役に立たせていただきたいと思うのですが、どうでしょう。
  153. 岩崎隆造

    政府委員(岩崎隆造君) 恐縮でございますが、私も存じませんでした。早速調査いたしまして参考にさせていただきます。
  154. 峯山昭範

    峯山昭範君 ぜひこういうふうな、民間も国もやっぱり総力を挙げて、こういう問題には取り組んでいただきたい、そういうふうに考えております。  次に、もう一点だけお伺いをいたします。これはもう一つは、不況といわゆる仕事の問題ですね。これは非常に重大な問題でありまして、こういうふうに不況が長引いたりしてまいりますと、そのしわ寄せがやっぱりどうしても福祉工場とか授産施設とか、そういうところにしわ寄せをさせる。私も現実に二、三ヵ所ずっと回ってまいりましたんですけれども、切実な叫びがあるわけです。そういうような意味で、ぜひ特に、何というか、弱い企業が多いわけでございまして、こういうところのいろんな要望書というのも実は私の手元にもずいぶん来ております。それで実は、きょう質問をするので、大臣のところにも見せてもらいたいというので、私、実は全部お渡ししておりますんですが、石田労働大臣のときには非常によくやってくれたけれども、新しい大臣になってからまだ具体的に何にも——こういう話が出てきたりしております中に、ちょっとだけ——そういうことはないんだろうと私は思うのですけれども、そういう点もありますので、ぜひ福祉工場のいわゆる発注とか、そういうふうな問題について、やはり強烈な行政指導なり何かをやっていただかないと、これもまた解決しないということになりますので、この点もあわせて一遍御答弁をいただきたい。
  155. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) そういうことがあってはならぬということを考えながらも、当面の厳しい雇用情勢でそれに対応いたしまして、率直に申しまして私から自発的に、就任以来問題が提起されれば対応いたしますけれども、こちらから進んでやっていくという時間的な余裕を持たなかったことを、まことに申しわけなく残念に思いますけれども、きょうの御指摘、いろいろ先ほどからのお話を聞きまして、やはり各省とも密接な連絡をとって、そしてせっかく訓練法の改正をやるわけですから、本当に雇用と結びつく、しかも社会的弱者である立場の人たちがその能力を発揮できるような職場を見出すために、労働省として努力するということをお誓いをいたします。
  156. 峯山昭範

    峯山昭範君 もう私、大臣からそれだけおっしゃっていただければ、これ以上言うことは何もないんです、本当は。実際問題として、私も現場へ行ってまいりまして、身体障害者の皆さんが、たとえば印刷一つするにしても、普通の健康の人なら名刺一枚つくるのに、やっぱり十分や二十分でぽっとこう大組みができるのに、それで身体障害者だから一枚つくるのにやっぱり半日かかるというわけですね。しかし、半日かかってもやっぱりそういう人にやっていただくならいただくと、時間がかかってもいいものもあるわけですね。たとえば、名刺とかいろんな時間がかかっても注文してもいいというものもあるわけですから、そういうようなのはできるだけ、何というか民間というよりも官公需の中にそういうものがあるわけですね。そういうような意味で、ぜひ官公需のそういうふうな発注をそういうところにぜひ回してほしい、そういうふうに私思うのです。実は具体的な問題として私の手元にも、これは実はそういうところをうんと利用促進せいというような通達がここにあるのです。あるのですけれども、きょうは大臣がさっきあれだけ言いましたから、私はもう言いませんけれども、こういうふうな通達だけじゃいかぬのです、実際問題。これは何とかせいというふうな通達なんですけれども、ただ通達だけではどうしようもないんで、やはり大臣がおっしゃいましたように、閣議なりあるいはそういう次官の会議なり、あるいは関係者の会議なりで、具体的に政府としてこういうふうな身体障害者の工場とか、そういうふうな人たちをたくさん雇用している工場とかいっぱいあるわけです。そういう実態調査も私の手元にもあります。これはもう当然雇用問題についての実態調査、経営状態についての実態調査、当然これは労働省にもあると思います。こういうふうな実態調査等をぜひ参考にしていただいて、そうして、こういうふうないわゆる身体障害者の皆さんが、できるだけみんなの協力で安心して仕事ができるようにこれからもぜひ取り組んでいただきたいと思うし、また、大臣になりましてから云々ということはございませんけれども、ぜひ大臣の立場でこういう問題に真剣に取り組み、具体的に施策を講じていただきたいと思います。大臣いかがでしょうか。
  157. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) 問題の性質が厚生省にも縁故の深い問題があろうかと思いますから、厚生省と十分密接な連絡をとって、御指摘の点、御期待にこたえるように全力を尽くします。
  158. 峯山昭範

    峯山昭範君 どうもありがとうございました。終わります。
  159. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は、去る三月二十三日、社会労働委員会で中高年齢者の雇用対策、特に定年制の延長問題について質問いたしました。本日は、さらにこれを掘り下げて、定年延長の具体的な推進策について御質問をいたしたいと思います。  まず、質問に先立ちまして、五十三年度予算における定年延長関係の概要及びその伸び率について御説明を願いたいと思います。
  160. 細野正

    政府委員細野正君) 五十三年度におきましては、定年延長関係予算といたしましてその大きなものを申し上げますと、一つには、定年延長奨励金を大幅に増額をいたしました。二番目には、定年延長推進のためのキャンペーン関係の経費を、新たにやるものを含めて盛り込みました。三番目には、定年延長の阻害要因の克服や延長方策の検討を行う、こういう趣旨で産業別に定年延長の推進会議を開催することといたしておるというふうなことでございまして、その予算の総額は約五十億二千万円でございます。  なお、前年に比較いたしまして、五・五%の増という状況でございます。
  161. 柄谷道一

    柄谷道一君 予算は五・五%の上昇という点にとどまっているわけですね。  私は前回の質問で、年齢別常用労働者の有効求人倍率、特に高齢者の有効求人倍率がきわめて深刻である、さらに、各企業における高年齢者の実雇用率がきわめて低い、こういう深刻な中高、特に高齢者の雇用情勢を述べつつ、わが国の人口がきわめて急速度で老齢化し、年金の成熟度は昭和八十五年には三三・九%に達するであろう、そうしてみると、この視点からも、雇用保障たる定年と所得保障たる年金取給開始年齢の連結ということは必然であるし、また、定年制の沿革というものから余命年数の伸びというものを考えますと、まさに定年延長は今後大きな政治課題であろう、さらに、アメリカにおける年齢差別禁止法やスウェーデンにおける雇用保障法等、欧米先進諸国における高年齢者対策の事例も引きつつ、当面六十歳定年制を法制化すべきであるということを指摘いたしたわけでございます。私は、この考えは今日も正しいと信じますし、その主張は変わるものではございません。  しかし、このような私の指摘に対しまして労働大臣の答弁は、法制化については今後学識経験者の意見も徴し検討をしたい、しかし、定年延長に当たってはわが国特有の雇用賃金慣行の改善を図る必要があるので、いま直ちに法によって定年年齢を規定することは妥当ではない、当面は、労使の自主的、計画的な努力を促進するように行政指導をしていきたい、こういう旨の御答弁であったと思います。  しかし、六十歳定年制というそのものについては、第二次雇用基本計画では、五十二年度をめどに、これを一般化するということが目標として定められ、第三次雇用対策基本計画においても、目標としてこれが設定されているわけでございます。しかし、現実は、労働省雇用管理調査によりますと、六十歳以上の年齢の定年制をとっている企業は、これは五十一年調査でございますが、三五・九%という状態であり、目標達成にはいまだほど遠いというのが実態であろう。そこで、この第三次基本計画の第三年度に当たってくるわけでございますが、より強力な定年延長推進策を打ち出さない限り、私は法制化を主張いたしますが、大臣の言われるような行政措置というものを通じて果たしてこれが可能であろうかということが危ぶまれるわけでございます。  そこで、前回の答弁にございました雇用賃金慣行が定年延長の障害になっている、こう指摘されましたその理由と、目標を達成するためにこの障害をどのような具体的な方法で取り除かれようとしておるのか、再度御見解をお伺いいたしたい。
  162. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) 私は、積極的な行政指導によってとりあえず六十歳定年制実現に到達するということを言いましたのは、やはり現在の日本の賃金あるいは雇用慣行というものが、御承知のごとく年功序列であって、そうして勤務年数、勤続年数、こういったもので給与も決まり退職金も決まるという、こういうことになっておることが、やはり定年制が現在のようないわゆる低成長になってきておる今日、特にまた非常に不況が続いておる日本の現在の状況から言いますと、やはりその問題をまず労使で話し合って、定年制が軌道に乗りやすいような地盤づくりをする必要がある、環境整備をする必要がある、このように考えたからでございます。  問題は、やはり一刻も早く私は、このような御指摘のごとく高齢化社会になったわけでございますから、六十歳の定年制というのは可及的速やかに実現をすべきであるという考え方でございます。したがって、これから推進をいたします考えとしては、来年度、この予算が通過いたしました後、早速産業別定年延長推進会議を開いてもらう、こういうこと、これは別途対策の進め方等の次官会議もございますけれども、そういう場を相ともに利用して、それで労使の理解を深めていくと、こういうふうなことをやりまして、そうしてやはりいきなり法律あるいは制度によって区切りをつけるということでは現在の状況においては無理があると、このように思うわけでございまして、やはり積極的に、この際、私が労働大臣在任中どの程度前進いたしますか、ひとつ全力を尽くしてみたいと、このように考えておるわけでございます。
  163. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は、現在三五・九%の企業が六十歳定年をしいているわけですね。いま大臣指摘されましたように、それぞれの民間の団体交渉においてすでにそういう点が配慮されているところが多いんではないか。たとえば全繊同盟のような場合は、五十五歳以降になればいわゆるベースアップは別として定期昇給はストップして横にはう。また、五十七歳になればそこで、労使協議ではございますが、個人能力のチェックが行われている。そのような方法を講じても定年を六十歳へと、こういう事例がすでにもう出ているわけでございます。私は、三五・九%の企業が定年六十歳というものを達成するに当たって、いま大臣の問題だと言われておるその賃金実態をどのように労使で対応し、どのような解決点を見出しつつ六十歳定年を達成したのか、こういう事例をもっと精査をして情報として労使に提供していくということも、もちろんこれは団体交渉で決まるべき問題ですけれども、情報提供の私は責任というものが労働省にあるんではないかと、こう思うんです。そういう点、いかがでしょうか。
  164. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) 柄谷委員御指摘のとおりだと私は思います。  労働省といたしましては、そのような事例を、またよき実例を十分把握して、それをひとつ情報として流す、そういう会合に流して、よりいいところへ前進してもらうということを積極的にやりたいと、これがいわゆる行政指導であると、このように考えます。
  165. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は、行政指導の次の問題としては、やはり援助措置だろうと思うんです。確かに本年度の労働省予算を見ますと、定年延長奨励金の増額等図られているわけでございますけれども、果たしてそれが十分な誘導策になり得るかどうかというところを考えますと、まだまだ配慮を加えなければならぬ面があるのではないか。たとえば、労災保険にはメリット制がとられております。仮に五十五歳定年になれば、それは雇用保険給付を受けるわけですね。求人倍率がきわめて低いわけですから、それらの人々は長く失業という状態に置かれる可能性がある。定年制を延長すれば、当然雇用保険という財政面からすれば、これはメリットが生ずるわけでございます。そうして考えると、私は雇用保険料の減免といったような誘導策というものがさらに現在の奨励金制度に付加してとられていく、一方、強力な労使に対する指導とあわせて労働省自体が情勢をつくるということについて、現在の施策では必ずしも十分であると言えない、こう思うわけです。そういう点について労働省は今後検討し、これを実現すべきであると私は考えるわけでございますが、御所見を聞きたいと思います。
  166. 細野正

    政府委員細野正君) 先生いま御指摘のように、定年延長を含む高年齢者の雇用促進をするということと同時に、福祉の増進も図るという双方の面から見てそういう配慮が必要ではないかという点は、私どももそういう点を考えまして、現在実は六十歳以上の高年齢者につきまして保険料の免除をやっているわけでございます。
  167. 柄谷道一

    柄谷道一君 六十五歳でしょう。
  168. 細野正

    政府委員細野正君) 六十歳。したがいまして、これを下げるかどうかという点になりますとちょっと問題がございまして、むしろ先ほど先生のお話でも六十歳定年の目標ということでありますと、それ以下に下げるのも少し問題がございますので、私どもとしては当面この六十歳の減免措置というものを今後ともずっと継続して、先生先ほどお話しのような効果をこれに期待をしてまいりたいというふうに考えると同時に、先ほど先生からお話もございましたけれども、助成措置についても、今後実情に即し運用の実態に即しながら強化を図ってまいりたいというふうに考えておるわけであります。
  169. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は、このようなわが国の財政状況を考えますと、この種の問題に対する大蔵としての抵抗の壁は厚いと、こう思うわけです。しかし、大臣指摘されておりますし、私も前回質問で指摘しましたように、私は思想としては定年は六十五歳ぐらいまで延ばしていかなければ、これは大変な時期をあと二、三十年先に迎えてくる。そういうことを考えますと、この種の予算化、必要な措置予算化というものはこれは軽視すべき問題ではない。これはもう老後生活保障のいわゆる基点になるべき問題でございますから、私は大臣が、ことしの予算はわれわれの修正要求は通らなかったわけでございますが、五十四年予算編成に関しては、やはり大臣勇断をもって定年制の現状と高齢者の雇用情勢、これを踏まえた上での強力な、私は場合によれば大臣折衝に上げるぐらいの心構えを持ってこの問題の達成を図っていただきたい、こう思うわけです。御決意をお伺いします。
  170. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) しばしばお答えをいたしておりますように、現在の雇用政策の中の重点政策中の重点だと、中高年齢対策というものは。したがって、そのまた中核をなす定年制延長の問題は、これはひとつぜひ私は今後大いに努力をいたしたい。したがって、先ほど御指摘のような定年延長の助成措置、定年延長奨励金あるいはまた継続雇用奨励金の問題ですね、こういった金額についても、今後ひとつ財政当局ともよく相談をいたしまして、できるだけひとつ定年延長がスムーズに早く達成されるように、とりあえずは六十歳目標でありますが、これを早くひとつ到達できるように全力を尽くしたい、このように考えております。
  171. 柄谷道一

    柄谷道一君 三つ目の問題は、一方は行政指導、一方は援助措置、こうやりますけれども、これとあわせて労働省が直接的に企業を指導していくという方法がもっと強化されないものかどうか。いま大臣は、産業別に推進会議を持ってその雰囲気づくりを行っていくということを言われたわけでございますが、たとえば、求人を受け付けるに当たって定年延長計画というものを作成させるという方法。また、地域別、産業別に恒常的な定年延長に関する労使連絡会議というものを設けるように指導していく。そこで、定年年齢の目標と、さらにその目標を達成する年次的な目標ですね、何年度までにこれを実行していこうというような目標というものを設定し、それに向かって団体交渉というものを促進さしていく、このような方法。これは私は一例でございまして、より強力な直接的行政指導というものがこれに加わってくる。私はこの三位一体と言いますかね、三者一体になっての、いわゆる労働省挙げての本腰を入れての対策というものがあって、初めて行政指導という大臣のお言葉は実を結ぶのではないか、こう思うわけですが、いかがでしょう。
  172. 細野正

    政府委員細野正君) 先生御指摘のように、この問題非常に総合的で、しかも根の深い問題でございますから、そういう意味でいろいろな施策というものを総合的にやらないとなかなか実効が上がらない。これは、私どもも全くそう考えておるわけでございます。そういう意味で、先生から御指摘ございましたような、また先ほどお答え申しましたように、雇用保険保険料の減免措置等もやっておるわけでございますが、さらに今後の問題としましても、いま御指摘のように、直接的な指導体制というものをどういうふうにつくっていくかということも、これも重要な問題でございます。で、私どもも法律そのものの中に、未達成の事業主から求人の申し込みがあった場合に、これについて高年齢者等を雇わないというふうなそういうふうなことについて、正当な理由がないというのは求人申し込みを受理しないことができる、そういうふうな規定もございます。そういうこともございますので、たとえばいま御指摘のように、求人申し込みがあったときに定年延長計画等についてこれを指導すると、これも確かに一つの案でございまして、私どもも今後企業自体が定年延長を含めて高年齢者の雇用率を達成するためにどういう努力をしていただけるか、それをどういうふうにしてプッシュしていったらよいかということについての実効ある方策というものを、今後検討してまいりたいというふうに考えているわけでございます。その中で、先生から御指摘があった具体的な方法についても検討さしていただきたいと思っておるわけでございます。  ただ、私どもも現実の問題として、たとえば若年者等に対する求人の申し込みがあった場合には、中高年齢者等をその中に含めて採用してくださいというような現実の指導はいたしているわけであります。そういう意味で、現実にもまだ努力が足りないというふうな御指摘もあるかと思いますけれども、工夫をこらしているわけでございますが、ただ急になかなかこの問題強化ができないのは、一つには、いま全般的な求人がなかなか安定所に集まらないという状況でございますから、余り無理をすると、今度角をためてというたとえもございますので、その辺も緩急の呼吸を見計らいながら、しかも先ほど冒頭申しましたように、高年齢雇用が着実に進むような方策というものを今後検討してまいりたいというふうに考えております。
  173. 柄谷道一

    柄谷道一君 私どもは、労働大臣がいま定年制延長の法制化がきわめて困難である、直ちには困難である、よって行政指導をしたいということにははなはだ不満足でございまして、できれば議員立法等をもって年齢を理由とする差別を禁止するような法律の提案をいたしたいと、こう思っておるわけでございますが、それは本日横へ置きます。  大臣言われるように、法制化もなかなか障害がある、問題がある。それじゃ行政指導を強化するといっても、果たして現在の行政指導の体制というものが十分であるのかどうか。いま局長も検討と、今後の検討に残されているということがあるということは、なお現在の施策は十分ではないということを、反面、裏から見れば物語るのではないか。誘導策たる予算予算全般の伸びに比べて五%前後にこれが抑えられている、予算措置も不十分だと。こういう私は実態を考えますと、私は本当にいま民間産業の現状は生やさしいものではないんですよ。定年延長、定年延長と言っておりますけれども、実態は、いま企業はこの円高不況の中でいかにして減量経営を図り、そしてこの苦境を乗り切っていくか、そのための労働組合に対する経営者からの要求も漸次強まっている。定年制というものは私は形式的にはダウンはしておりませんけれども、実質的には高齢者たるゆえをもってする出向とか希望退職の募集とか、むしろ実質的には定年というものが切り下げられるという情勢すら、いま追い込められているというのが民間産業、特に構造不況業種の実態であろうと、こう思うわけです。こういう状態の中で、本当に三次基本計画の定年六十歳を一般化するということは並み大抵のことではない、こう思うわけでございまして、再度くどいようでございますが、定年延長制に関する大臣の決意というものをお伺いいたしたい。
  174. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) 大変厳しい雇用情勢、御指摘のような特に繊維であるとかそのほかの特定不況業種ですね、なかなか普通のときでも制度の改善ということは前進が無理なんです。なかなか骨が折れますけれども、私は決して定年制度六十歳達成というこの当面の目標に対しては、後退は許さないということであらゆるひとつ努力をいたしたい。まずその基本は、厳しい現在の不況情勢でありますから、労使がまず企業を守るという面、この前提の上に立ってどうやってこの定年制を延長するかということ、これをひとつ共通の課題として考えていただきたい。これは私は、単なる雇用問題というより社会問題というか、お互いが人間として社会生活をする基本の問題にも直結をしておると思うのです。だから、そういう認識の上に立って、私は粘り強く積極的に労使の自主的な努力、これをわれわれは行政指導において、あるいはまた誘導政策においてバックアップしていくということでぜひこの際前進をしたい。困難な時期だけれども後退を許さない、こういうふうに考えております。
  175. 柄谷道一

    柄谷道一君 そこで大臣、これは来年度予算で御努力を願うことをお願いをしたいわけです。補正予算に関して福田総理は絶えず機動的かつ大胆に対処すると、こう国会で御答弁になっておるわけです。私は、いま大臣の言われました誘導策につきましても、いま上程され審議されております定年延長関係予算が、これが固定的に一年続くものだという視野ではなくて、もう一度これを洗い直していただきまして、私は必要なものについては補正予算編成の際に、大臣の強い意欲をさらに予算的に具体化しこれを推進をしていくということも必要ではないか。いま予算が検討されているさ中で、補正予算の中に必ず組み込みますというお約束の答弁があるものとは私は考えませんけれども、物の基本的な考え方ということについてひとつお伺いしたいわけです。
  176. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) 御趣旨はよく踏まえまして、今後検討さしていただきたいと、こう思います。
  177. 柄谷道一

    柄谷道一君 ぜひ前向きの御努力を期待をいたしたいと思います。  次に、高年齢者の雇用対策については、そうした定年延長の面とあわせて職業訓練の面でも十分配慮することが必要ではないかと思います。これは職業訓練法の改正審議の中で、また委員会の中でも御質問いたしたいと思いますが、高年齢者に適した訓練科目の設置など、高年齢者の職業訓練体制というものを、現在の状態から飛躍的に私は増強していく必要があると思うわけでございます。これに対する御所見をお伺いいたしたい。
  178. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) 特に、特定不況業種から離職される方々というのは、申し上げるまでもなく大多数が高年齢者であり中高年齢者でありますから、中高年齢者の再就職のための職業訓練という点について、現在担当職業訓練局においていろいろ検討しております。  私も実は就任早々亀戸の職業訓練校の現場に参りまして、中高年齢者が再就職の道を求めて訓練を受けておられる。これはビル管理科ですね、そういったこと。あるいは造園科、造園科は現場では見なかったのですけれども、ともかく中高年齢者の人生の長い経験を生かして、肉体労働とかそうようなものでない、それでしかもこれから社会が求める職種というものをひとつぜひいろいろな方面から情報を集めて選定をしてやっていく。それから特に中年層あたりは技能労働者として転進ができるわけですから、そういう面においてはやはり単位制、いわゆるモジュール方式によって、そうして入校時期もいま一年に一回ですから、これを多様化していく、こういうようなこと、同時にまた、訓練校も公立の訓練校だけでなくて、民間のそれぞれ専門の専修学校、こういうようなところへも訓練を委嘱する、委託する、こういう多様な方式によって訓練を受けたい人のニーズとともに社会が求める訓練種目を選んでいくと、そういう内容を含んで職業訓練法の改正というものをお願いしょうと、こう考えておるわけであります。
  179. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は、訓練局長もいらっしゃいますけれども、えてして、今日までの訓練を考えますと、高齢者に適する仕事、いわば高齢者というものの肉体的条件というものを基盤にして、それに適する職業訓練というところにウエートがかかり過ぎておったと思うんです。大臣がいま指摘されましたように、やはり社会のニーズに従って、より高齢者というものの雇用を拡大していかなければならない分野というものに対する情報の収集とこの提供、そしてその職種と連動する職業訓練体制、こういうことでないと、私はなかなか職業訓練——訓練、訓練と一言で言いますけれども、実効を上げるということがきわめてむずかしい。今日までの訓練行政をながめてみますと、御努力されている点は評価しますけれども、えてして、そういう情報の収集、提供、こういう面についてまだまだ欠ける点があるのではないか。したがって、訓練は受けたい、しかし一体社会は何を求めているのか、その訓練の技術を習得することによって自分の定年退職後の生活というものがどのように保障されるのか、そういうことに対する不安感がなお定年退職ないしはその前後の人々の心の中を広く覆っている問題ではないかと、こう思うわけです。その点、大臣からも両面をとらえた上での訓練体制の強化という御答弁がございましたので、その趣旨に沿う具体策の確立を強く求めておきたい。  次に、労働時間短縮の問題について御質問したいわけでございます。  われわれ民社党は、中期的には週四十時間労働、そして週休二日制を労働基準法を改正して法制化すべきであるし、それを目指すべきである、こう思います。しかし、現在の経済情勢というものを考えるときに、直ちに法制化し、これを最低条件として引き上げていくということには、いろいろこれを阻害する要因があることも承知いたしております。また、労働力の創出という視点からとらまえましても、銀行、三次産業等は一応横に置きますと、製造工業では、二次産業では、新しく雇用の拡大につながるであろうと思われる自動車産業、電算機産業、家電等は大体もう週四十時間、週休二日制を実現いたしておるわけです。これからこの週休二日制、週四十時間制というものによって雇用を増大しようと思えば、今日、率直に言って、問題を抱える企業にその実施を求めていくという結果になろうと、こう思います。しかし、大臣もたびたび答弁されておりますように、時短、週休二日制の推進というそのこと自体については、私は労働者福祉の向上という視点からとらまえましても、国際的な批判の前に国際協調体制をつくり上げていくという視点にとりましても、また雇用拡大という視点から大臣の言われる分かち合う、こういう思想からいきましても、私は望ましいものであるということについては、もう政府たると与野党たるとを問わず、これは合意しておる問題ではないか。  そこで問題は、いかにして大臣の言われる行政指導でその合意している問題を達成するかということでございます。これは、もちろん産業別に推進会議、労使会議等を持ってこれを推進していくということが必要であろうと思いますけれども、いずれの社会にもアウトサイダーというものがあるんですね、これ。そのアウトサイダーの存在というものが公正競争条件を乱しまして、この時短というものをちゅうちょさせる一つの要因になっておるということは、これは現実の姿でございます。  そこで、質問でございますけれども、私は、労働協約方式による時短を推進していく、そのために労働省が積極的に指導をするということとあわせて、労組法第十八条には地域拡張方式ということがあるわけでございます。また、一般的拘束力という定めも労組法の中に定められているわけでございます。そのような私は拡張方式の法的適用というものを行っていくんだ、だからアウトサイダーというものが出てきても、大部分の労使がこのことに踏み切るならば、この一般化するということについての懸念というものは取り除いていける、こういう拡張方式を、この時短の一般化に現行法をフルに使いまして活用していくということもまた有効な労働時間短縮、雇用確保の一手法ではないか、こう思うわけです。いかがでしょう。
  180. 桑原敬一

    政府委員(桑原敬一君) きわめて貴重な御提案だと思います。  ただ、先生も御承知と思いますけれども、日本の労働組合企業別にできているものですから、どうしても労働協約が企業単位に効力を発生するかっこうになっておりまして、なかなか日本の場合には県単位とか、あるいは地域的な単位で労働協約が拡張できないというのは、いままでの経験から言えるわけでございます。しかしながら、御提案の趣旨は私どもも全く賛成でございますし、そういった行政指導の手法として使っていかなきゃならぬのではないかと私ども思います。過去のことになりますけれども、週休制が基準法でできまして、商店街でアウトサイダーがありまして週休一日がなかなか守れなかったという経験を持っております。そういった場合に、私ども地域ぐるみでお話し合いを進めながら週休制を確立したという経験を持っております。したがって、週休二日のこの進め方につきましても、アウトサイダーを含めて、精神としてはその十八条の精神を生かしながら週休二日制の普及というものにぜひ私どもとしても力をいたしてまいりたいと、こういうふうに思うわけでございます。
  181. 柄谷道一

    柄谷道一君 確かに企業別労働組合が基盤になっておりますけれども、しかし全国的な産業実態を見ますと、やっぱり地場産業的な形態をとる地域もあるわけでございます。繊維なら繊維、金属なら金属で、一つの産業がその一つの地域に集中する、こういうところはむしろ零細、中小でございますから、そういう地域指導の中にどうしても外れてくるアウトサイダーに対して拡張方式を適用していくという方法は、これは有効に併用いたしますと、案外に大臣の言われる一般化の推進ということもまた側面から支援されるのではないかと思いますので、ひとつ今後の行政施策の一つとして前向きの御検討を願っておきたい。  そこで、そのような行政指導とあわせて必要なのは、定年制延長と同様に財政的な援助措置ということになるわけでございますが、現在の現状と今後の抱負といいますか、方針等についてお伺いをいたしたいと思います。
  182. 桑原敬一

    政府委員(桑原敬一君) 実は五十三年度予算におきましては、ぜひこの労働時間問題を積極的に取り上げたいということで予算の最重点に取り上げてまいりまして、おかげさまで一応御提案申し上げました予算の中では五七%増の伸びを示しておりますが、実際の額がもとが少ないものですから御満足いくような数字になっておりませんけれども、実際の総額は二千七百四十五万円程度になっております。  主としてねらいは、先ほどお話ございましたように、産業別に、あるいは地域別に会議を持ちまして労使の積極的な御参加をいただきながらこの週休二日あるいは時短を進めてまいりたいと、こういうふうに思っております。もう一つは、私ども雇用との関係は長期的には一つのきわめて関連があるというふうに一応考えておりますけれども、残念ながらそういった具体的な科学的なデータを持っておりません。したがって、ぜひ今回の予算をお認めいただきましたならば、早急にそういった雇用との関係あるいは物価その他の問題と絡み合わせながら、科学的なデータを取りそろえてまた関係労使に十分な御理解をいただきたいと、こういうふうに考えております。  それから第三番目に、いろいろな産業によっては勤務時間の実態が違っております。御承知のように、サービス業では九時間という制度を認めておりますし、そういった問題がいまの日本の実情でいいのかどうかという基本的な問題を私どもも再検討いたしたいということで、そういった実態調査の経費等を入れております。  で、いまの御質問の二段目に、定年延長などにいろいろなインセンティブがございますけれども、そういうものについてどう考えるかというようなことでございますが、先ほどもお話がございましたように、時短、週休二日の推進というのは、やっぱり基本的には私どもは労働者の福祉というものが一番基本にあるのではないかと思います。あわせて、やはり長期的には雇用の面あるいは場合によっては国際的な非難をどうかわしていくかということでございますので、やはりこの時短という問題は、日本の産業の発展あるいは企業のそういった利潤の成果をどう配分するかという問題にきわめて高いかかわり合いを持っております。定年延長の場合は即これは雇用政策、雇用量の確保ということになりますので、即効的な意味で私どもはいろいろなインセンティブがあるかと思いますが、私どもはこの時短問題はやはり長期的な、あるいは間接的ないろいろな問題を抱えておりますので、むしろそういう調査研究をし、またいろいろなデータを労使に差し上げ、そしていろいろと考えていただくというような予算に重点を持つことにおきまして、直ちに雇用をふやすから時間短縮のために金を雇用に差し上げるというふうなことよりも、そういった労使で十分お話し合いをいただく基本的なデータを差し上げ、またいろいろな何と申しますか、会議についての御配慮を私どもがするということに予算の重点を持っていきたいと、こういうふうに考えます。
  183. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は、この助成措置は来年度予算ですぐ云々というような問題ではなくて、自後この労働時間短縮、週休二日制が漸次一般化してくる。どうしても中小、零細等には最後まで問題は私は残っていくと思うわけです。一般化していく中に幅広く、いま局長言われますように、基本は労使で決め労働者福祉を向上するというのはこれは当然のことでございますけれども、これをやはり政策的にやっぱり支援していくということは、今後の課題として私は検討に値する問題ではないかと、こう思うわけです。この点につきましては、ひとつ大臣の方でも引き続いて省内で誘導策として何が必要か、この点について御高察を賜りたい。予算も五十数%ふえたと言いますけれども、もとが大体少ないんですから、わずか二千万ちょっとぐらいの予算で果たして大臣の言われる壮烈なる行政指導の気宇がこの予算で実現するかどうかについては、はなはだ心さみしい感じがいたします。  定年問題、そして時短問題、そして先ほどの質問に出ておりました身障者の雇用対策、これはもう当面する労働行政の最大の課題でございますから、しかもそれは現実的な対応策ではなくて、むしろわが国の将来の雇用対策に結びつく重要なこれは根幹とも言えるべき政策であろうと思いますから、大臣、ひとつこれは本当にわが国二十年、三十年先を俯瞰した名労働大臣としての実績を予算上にも実現されるように希望いたしておきたいと、こう思います。  そこで次に、視点を変えまして、私は労働行政というものは長い間、議員になる前も審議会委員としてタッチしてきたわけでございますが、本当に守備範囲が広い、かつその行政というのは本当にきめ細かな配慮というものを必要とする政治、行政分野であろう、こう思うわけでございます。そこで、最近ではますます労働行政への行政需要が増大している。いま触れました定年問題にしても、身障者問題にしても、労働時間短縮問題にしても、行政の増大という要求が、需要といいますか、これが増大しているのが率直な現状だと、こう受けとめているわけでございますが、そのような中で、労働省関係の職員の増員、減員の状態というものがどのようになっておるのか、お伺いします。
  184. 石井甲二

    政府委員(石井甲二君) 労働行政の職員の現状について申し上げたいと思います。  現在の、五十二年の労働省全体の定員は二万五千五百八十二人でございます。これを五十三年度におきましては二万五千五百七十七人ということでお願いをしておるわけでございますが、前年に比べてネットマイナス五ということになっております。ただ、これまでの現状の推移から申し上げますと、現在全体的にいわゆる定員削減がございまして、これが労働行政のこれまでの人員の中に相当大きな影響を及ぼしておることは確かでございます。  ちなみに申し上げますと、四十二年から五十三年度までを概括いたしますと、この間に二千三百十四人の減という非常に大きな減がございます。ただ、最近におきまして行政需要が質的に変わってまいりまして、特に五十三年度の現在要求をしております予算の内容につきましては、従来定員削減がかぶった結果、たとえば五十一年度百五人減、五十二年度八十一人減という状態でございましたが、来年度におきましてはマイナス五ということでございます。そういう現状でございます。
  185. 柄谷道一

    柄谷道一君 われわれ民社党は、行政改革についてきわめて熱心な政党でございますけれども、それは行政全体の減量化を図れという趣旨であって、画一的な減量を求めているものではないわけでございます。  私は、全国とれなかったんでございますけれども、名古屋の公共職業安定所、大阪府の天満公共職業安定所、それから兵庫県の神戸東署、神戸西署などの定員の増減状態について資料を取り寄せまして検討したわけでございます。確かにいま御答弁ございましたように、一けた台の減員にはとどまっておりますけれども、内容としては一方で減員があり、一方で増員がある。その内容は主として、一般的に言うならば、一般職員が減員されて、監督官、専門官、就職促進指導官といった、いわゆる専門職員が増員されているというのが大勢であろうと、こう思うわけです。  私は行管の方にお伺いしたいわけでございますが、一方増員、一方減員ということによってバランスがとれる、そして増員をしたという趣旨が十分に生かされるのであれば私はこの計画は妥当であろうと、こう思うんでありますが、私のいろいろ調べたところによりますと、一方、一般職員の方が減員されておりますから、専門職というものが増員されましても、フルに専門職の業務を遂行し得ない。一日の仕事のうちの幾つかは、従来一般職員のやっておった仕事を行うことによってやっと事務処理を行いつつ、専門官としての業務を遂行していくという事例を間々聞くわけであります。これでは、せっかくの専門官というものの必要性を認め増員をしたという趣旨が私は殺されてしまうのではないか、このようにも考えるわけでございますが、担当局としての御所見をお伺いいたします。
  186. 百崎英

    説明員(百崎英君) 労働省におきましては、先ほど先生御指摘のように、いわゆる監督官、就職促進指導官といった専門官が増員、また、一方で一般職員が減少しているということは御指摘のとおりでございますが、これは先生のお話もございましたように、労働行政におきましては、職業病対策とか、あるいは中高年者を中心とする就職促進対策とか、そういったかなり高度の専門的な知識技能を必要とする分野におきまして行政需要が増大しておるわけでございまして、そういった面に対しまして私ども重点的に増員を図る一方、労働省におきましても、行政効率化という観点から、たとえば労働保険業務の電算化の推進とか、あるいは労働基準行政の面におきましては検査検定業務の合理化とか、そういった業務の合理化が進められまして、これに伴いまして庶務関係要員というものを初めとする一般職員が定員削減の対象になってきているわけでございます。  私どもといたしましては、確かに先生御指摘のように、専門官がその能力をフルに発揮できるように、今後とも一般行政事務の面におきましてさらに合理化を推進して、その能力がフルに発揮できるように期待いたしたい、かように考えているわけでございます。
  187. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は、専門官が十分にその能力を発揮して行政需要にこたえていくためには、その裏でそれを支えるいわゆる裏方というものがこれに相マッチするという体制でなければならない、これはもう原則であろうと思うわけですね。そういうことになりますと、私は果たして労働省の定員管理ということが十分行われているのであろうかどうか。さきにも触れましたように、労働行政に関する需要は増大していくという中で、こういう点についてももう一度洗い直して、画一削減ではなくて、増大していくべき私は行政分野と、本当に縮小ないしは廃止していくべき行政分野とあろうと思うんです。決して従来画一的な指導がされているというふうには私はとりませんけれども、もっと特色を生かした省ごとの定員管理というものと、これに対する定員制のあり方というものが検討されてしかるべきだ、そういう姿勢があって初めて増大しつつある労働需要にこたえていくことができるのではないかと、こう思うわけです。大臣のひとつ御所信をお伺いいたします。
  188. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) 柄谷委員御承知のごとく、総定員法という、そしてこの行政コストを節減するという、いわゆるチープガバメントというこの線に沿うて、毎年定員の抑制というこういう線で、これは閣議決定でもございますし、毎年圧縮される部分と要請にこたえなければならぬ部分と、教職員は枠外でございますけれども、そういうことで、実は労働省昭和四十二年から昭和五十二年まで十年間に純減すること二千三百名という、この事実を私は予算編成直前に就任いたしまして直面しまして、労働行政というのはマン・ツー・マンの仕事である、建設省あたりとは事柄が違うと、こういうことから私は最後までこれはがんばる、断じて純減は許さない、こういうことで、やっといま純減の滑りどめができたというのがことしの、五十三年度の予算案でございまして、五十二年は六十七名ほど純減なのです。五十一年は百三、四名純減しているのです。だから、そこら辺に無理が来ているわけですね。  この問題については、幸い行政管理庁、これを裏づける大蔵省、理解ある対応をしてもらったものですから、ことしはようやく純減の滑りどめができた。これからはひとつ御趣旨の線もよく、非常に理解ある御発言をいただいたわけでございまして、その線に沿うて少なくともこれから雇用の厳しい状態が続きますし、労働災害、職業病、そのほかいろいろ労働行政は多岐にこれからふえていくというこの行政分野でありますから、やはりそれを担っていく職員の定員確保には労働大臣として大いにがんばりたい、このように思います。
  189. 柄谷道一

    柄谷道一君 最後に御質問いたしますが、私は最近の経済、雇用情勢を見ておりますと、労働省こそ経済関係省の中核に位置すべき省ではないかとすら思うわけでございます。たとえば定年、老後保障という問題につきましても、厚生省は労働省の定年制とは余りかかわりなく、主として年金財政という面から受給開始年齢が後へ後へと下げられていこうという傾向を示しつつある。むしろ私は、その基本は雇用保障というものが据えられて、それと連動する所得保障としての年金が位置づけられなければならない。労働時間短縮問題につきましても、むしろ労働省が通産省の産業政策や経企庁の経済計画というものの根底に据えられてその企画が進められていかなければならない。さらに、雇用機会の増大政策、きょうは時間がありませんでしたので申し上げかねたわけでございますが、これは単に労働省一省のサイドで雇用の創出ができるはずがない。それは公共投資にも関連するし、各省庁の行政とも関連をするし、また、新しい海洋開発その他の技術開発とも関連をしていく。  やはり、政治の根底に据えられなければならないものは、いかにして増大する人口と減速経済下で雇用を確保するかという視点というものが中心に据えられて、その方策としての省庁政策というものが位置づけられる、私はそれが本当のあるべき福祉国家の姿ではないか。大臣以下大変な御努力をされているようでございますけれども、なお、現在の労働省の位置づけというものが果たしてそこまで高められているかどうかにつきましては、残念ながら批判的であるというのが、私の率直な所見でございます。本当にそうであってはならぬと私は思うわけでございまして、この点に対する国務大臣としての御所見のほどをお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
  190. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) 御指摘の点は、すべてわれわれ労働省におる者に対する温かい理解ある激励の御発言と承ります。御指摘のとおり、私は現在の労働行政が、ただ単に労働省の枠組みの中で解決されようとは考えておりません。やはり全体的な総合政策の一環として、しかも、その中心たるべき立場にある不況の脱出と雇用の安定というのが当面の最大課題であるという、こういうことから考えましても、大いにそういう方向に向かっていまの制度の仕組みの中で全力を尽くし、場合によってはやはり仕組みを変えなければならないというときは、そのとき大いにまた御鞭撻、御協力いただきたい、このように考えております。
  191. 柄谷道一

    柄谷道一君 終わります。
  192. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 具体的な質問に入る前に、労働大臣、私この前の総括質問で国際人権規約の批准という問題について話をしたんですが、外務大臣は検討中検討中一点張りで、答弁は逃げられた。これは新聞報道によると、一番問題のスト権の問題、スト権の問題についてはいま公企体の基本問題調査会に諮っておるから、その結論が出る前にやることについては困ると言って労働省が最も抵抗したと、これは新聞記事ですから真偽のほどはわかりません。そういって新聞はやっているんですが、また私が質問した次の次の日かな、十日だったか十一日だか、また同じ新聞で、労働大臣は公企体基本問題調査会に、経営の形態だけではなくて、スト権問題について十分な議論をしてほしいということを労働大臣が申し入れをしたという新聞記事を見たんですよ。  それからもう一つは、私も前の国会でも、前のスト権の専門委員会の際にも、あれは政府の手を離れて第三者の先生にお願いしているんですから、審議内容とか動向等については報告できませんということでなかなか——私もここへ来て三年間お世話になっているんですが、そういうことをずっと政府答弁は繰り返してきたと。しかし、三月一日の新聞を見ると、基本問題調査会は前段の調査をずっと終わって部会に分かれて、それでアルコール専売と専売は民託、国鉄は分割、あるいは印刷と造幣は前の公務員に戻す、そういう公労協関係をもう三つに区分整理をして、あたかもおのおの案が出たような記事が各社とも出ている、各社とも。そうすると、国会には答弁しないんだけれども、新聞屋さんにはきわめて細かく発表していると。こういうきわめてわれわれとしては不明快な、不明朗な関係がずうっと続いているんですが、しかしスト権問題というのは、この国会が終われば大きな政治課題になってしまう。成田の開港とぶつかるかどうか知りませんが、とにかく大きな政治課題になってくる、六月ごろ答申と言っていますからね。  ですから、スト権問題について労働大臣は基本的にどういう考えを持って——くるくるネコの目農政じゃありませんが、スト権問題もくるくる変わっているような気がするんですが、あなたも労働組合代表とよくお会いしていらっしゃるそうなんだけれども、国会の場を通じて、大臣として一体どういう考えを持っているのか。本当に国際人権規約の批准について、そういうスト権の問題と有給休暇の取り扱いの関係労働省が抵抗したということが真実なのかどうか、その辺のいきさつを、ひとつきょうは分科会だから、余り人がおりませんから、内々だから私は教えてもらいたいし、あした社会党もこのスト権問題特別委員会を発足さして、党としてもいよいよ労働大臣と、あるいは福田総理と四つに取り組もうという、社会党もあした旗上げ式をやるものですから、旗上げ式に当たって、この前の質問との関連でひとつ腹の中を、見解を示してもらいたい、このように考えます。
  193. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) スト権問題は、新聞はいろんな報道をされたか定かでございませんけれども、労働大臣藤井勝志は一貫した考えを持っておりまして、先般の参議院の社労委員会において寺田委員の質問に対してもお答えをしたわけでございまして、ただ私の労働大臣としての心境は、労働行政の長年の懸案でございますから、ともかくスト権ストの悪循環を何とかしてひとついい知恵を出して、それでこのピリオドを打つような方法を考えてもらいたい、考えようじゃないですかと、こういう話を、自分の希望的な所見を交えて、しかしこの問題についてはあくまで公共企業体等基本問題会議においていま検討してもらっている最中であると。しかも、おおむね五、六月には結論が出ると。その結論を踏まえてひとつまた御相談をしたい、こういうふうに申しておるわけでございまして、これが一貫した労働大臣藤井勝志のスト権問題に対する考えであると、このように御理解いただきたいと思うのであります。
  194. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 その基本問題調査会に頼んでいるから——それはわかるんですがね、それはそれとしてわかるんですが、それが結論出るまで何も大臣として箝口令しかれて言わないということでは私は情けないなあと、こう思うんですよ。ILOに行ってもこれだけ議論されて、私ももう本当はスト権の固まりなんですよ。大分自民党さんからたたかれ、世間からたたかれ、民社党からは時あるごとにいろいろ難癖つけられる。しかし私は、そういう問題で労働者をいじめればいじめるほど、労働者はばかじゃありませんから、いろいろな作戦考えるんですよ。私は、今日の動労の順法を育成したのは前々総裁の磯崎さんだと。磯崎氏があのマル生さえやらなければ、私はああいうことは考えませんでした。ぶつかればいわゆる刑事事件で刑務所にぶっ込まれる、黙っておれば第二組合の切り崩しにあってどうなると。そうすると、生きる道はただ一つですよ。自分は機関士だ、線路は一本だと。線路は一本だ、機関士だというその職業の選択の自由をうまく使って作戦を練るというのは、これは労働者の自衛手段ですよね。ですから、成田事件では大分政府も元気のいいことを言っているけれども、これは防衛論争と同じで、法制局長官が言っているとおり、相手の武器が変わればこっちの防衛の質も変わるんだと。同じように私は、労働者をいじめればいじめるほど労働運動も質が変わっていく、こういう私は因果関係があると思うんですよ。  だから、もう政府としてやっぱりスト権は認めると。そのかわりこれこれの公企体の関係があるから、これこれの関係をしますよというふうにきちんとした方がさっぱりして、やるならどんとこいと、そのかわりどんと勝負するぞと、そういう労働行政の方が——基本問題調査会に諮りましてだの、あんな隠れみので何ぼ勉強したって、出てくる答えはわかっているんだから、だから公労協は相手にしないでしょう。やっとあなたたちが説得して、スト権問題について入るからという政労交渉の姿勢があったから公労協が出たんでしょう、公労協各組合が。ところが、全部私は読ましてもらいましたよ、公労協の問答集。Aは委員会側、Bは組合側、A、B、A、Bのこのやりとりのね。前の専門委員会と同じですよ。ちっとも変わってない。専門委員会答申であれだけ百九十二時間のストライキやって大騒ぎしたことをまた繰り返すのかなあと、こう思って私は心配しているんです。  ですから、私がこの前総括質問で言ったとおり、これはもう総理の政治判断だと。政治判断でどうするか。この点は認めるからこの点はきちっと規制しますよというぐらいの私はやっぱり決断が、労働行政の中の根っこにあっていいはずだと、こう思うんですよ。そういうことをやらないから、私がいまから申し上げるいろいろな問題についても、実際の行政で労働省はなめられている、相手にされてないと。基準局が勧告しても守られない、中労委、地労委が命令出しても守られない。労働行政が一つ一つ別な面で崩れていってしまうということは、私はやっぱり無関係ではないと思うんですよ、無関係ではないと。  だから、労働者の基本権は認めるのは認める、そのかわりこういう点ではきちっと社会的な制限を加えますよというふうにした方が私はいいではなかろうかと、こう思うんで、もう一度基本問題調査会に問題をそらさないで、大臣の労働行政の基本的見解も含めてスト権問題を、私はもう一歩進んだ大臣の見解を聞きたいものだなあと、こう思うんです。
  195. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) いまさら私から理屈めいたことを申し上げるわけではございませんけれども、私は労使関係は人間関係である、人間関係は信頼関係である、こういう認識を持って労働行政に当たりたい、このように思っております。その問題が私は基本にまずあって、相互に信頼を回復するということ、そしていわゆる労使問題、労働行政の中で本当にお互いが何とかならぬかというのは、これはもう日本国民挙げての気持だと思うのです、いまのような状態をいつまでも続けておってはいけないという。したがって、そのような気持ちで私はひたむきにこの問題に取り組みたいという心境は、もう先日来述べておるとおりでありまして、そういう気持ちであると同時に、決してこれは私は責任転嫁する気持ちではございませんけれども、この問題は現在の内閣全体の私は大きな政治課題であると。労働大臣が逆立ちしたって簡単にはいかないということもまた考えなきゃならぬ。しかし、それだからといって責任を放棄する考えはない、このようなことでありまして、この程度私が申し上げれば賢明なる目黒委員御推察いただけると、このように思いますので答弁にいたします。   〔主査退席、副主査着席〕
  196. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 大臣の言うとおり、この問題は春闘終わった後、不況問題もいろいろありますけれども、やっぱり今年度の大きな、最大の政治課題になりかねない。自民党さんの方もこれを掲げて総選挙の目玉商品にするなんていう元気のいい旗掲げていますから、まあそれは例外としても、やっぱり最大の政治課題になると思いますから、少し一歩でも二歩でも私は前向きに取り組んでもらいたいと思っています。  私はやっぱり人間関係だと思うんですよ。きのう本会議である党が、動労がけしからぬなんて何か言ったとか言わぬとか、後で議事録調べて私も調査しますが、ちょっと私が席を立った瞬間に声が、だれか知りませんがそういう発言があったそうですが。この成田問題の燃料輸送だって、私はやっぱり国際空港の位置づけを考えて、私も乗り込んで人間関係であれ解決したんです、成田の燃料輸送は。簡単にどうのこうのというものでありません。私も三日、四日寝ないであの燃料問題については若い衆を説得して、説得に応じたというのは、人間関係があるから説得に応じたんです。また、千葉の現地の管理者の諸君側も私の説得に応じた。ただ、今回延びましたから若干私もそろばん狂っちゃったんだけれども、これはもう一回そろばんはじき直さなくちゃならないと思っている。  ですから、私は結局、動労のあの若い諸君だって、やっぱり内容と限界は知っていると思うんです。日本における国際空港としての大事さということで、やっぱり燃料の問題については一定の決断を下したと。だから二週間分たまっているんでしょう。ですから、私はやっぱりそういうことで、労働者はばかでないということをしっかり腹に入れて、やはり権利は認める、そのかわり義務はきちっとするということで、いま大臣の言った人間関係の上にこの政治課題が世上騒然とならないように国会の場で議論を尽くして、立法その他でやっぱり平和的に解決される、そういう方向を目指して私は今後とも努力してもらいたいし、われわれもそういう方向で努力してみたい、こう考えておりますから、前段でひとつ要請をしておきます。  それから次に、二つ、三つ細かいと言っては誤弊がありますが、私のところに要請が来ておりまして、そしていまだに解決してない問題があるんですよ。これは丸金証券労働組合における紛争ですが、これについては私も質問主意書を書いたり、あるいはおたくの方から答弁をもらったりやっているんですが、いまだに解決しない。まあ私も大きい組合から見れば中小企業組合ですから、四万足らずの中小企業ですから、大単産から見れば中小企業で苦労していますが、私は五十一年十月二十一日、三年前ですよ、これ。三年前に取り上げていまだに解決しないというのは、どうも私は、労使が悪いのかどこが悪いのか知りませんが、ひとつこの問題についてその後の、労働省なり大蔵省なりにいろいろお話を申し上げておったわけでありますから、その経過と現在の問題点、どこをどうお互いに労使とも考えれば本件問題は平和的に早期に解決できるのか、そういう点についてひとつ見解なり情勢を御報告願いたいと、こう思うんです。
  197. 北川俊夫

    政府委員(北川俊夫君) 丸金証券の労使紛争につきましては、たしか昨年三月、社会労働委員会で目黒委員から御指摘があったところでございまして、その後労働省としましても数回にわたり労使から意見聴取を行い、あるいはその際に、自主的に解決ができるようにというような助言もいたしました。私も、この地位に就任してから目黒先生から直接お電話等もいただきまして、東京都労委にも、事務当局にいろいろサジェスチョン等をいたしたわけでございますが、御指摘のように、五十年の四月に紛争が生じておりますのでもう三年近く経過をしております。  ただ、私たちが、いろいろそういうふうに労使関係者あるいは紛争が現在かかっております東京都労委を通じて話し合いが進むように、円満に事態が解決するように手は打ってはおりますけれども、いまの時点で私たちが聞いております労使の、何といいますか、見解の隔たりというものが余りにあり過ぎまして、その点が、私たちはやはり労使双方が、これは経営側にもかたくなに組合と会おうとしないと、あるいは組合側もかなり一時期乱暴な行為を行っておるというような事実もございますので、労使双方がやはりお互い譲るべきことは譲って、解決のために妥協をするという心構えを持つことがぜひ必要ではないかと、そういう点につきましてはなお今後努力をいたすつもりでございますが、労働委員会も、和解の勧告をしたにかかわらず和解が進みませんので、いま審理を実は再度進めておるというような状況でございます。  今後とも労働委員会とも連携をとりまして、先生の御趣旨に沿って解決のために一層の努力をしたいと、こう考えております。
  198. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これは、私もちょっと手抜かりで大蔵省を呼ばなかったんですけれども、この前、前任者の青木労政局長当時、国会で三月十日の段階でも、やはり直接関係はないにしても、大蔵省の方から少し、丸金証券ですね、こちらの方に監査が入るという話もあったようであるから、そういう問題について側面的な助言なりあるいは協力なりという点をお願いすると。あの当時労政局長は、それじゃ大蔵省とも十分相談してと、こういう話になっておったんですが、聞くところによると、監査は依然として入ってないと。それで、問題の指導等について大蔵省からのほとんど何の指示もないというような現状だと相手は言うんです、相手は、私は確認してないですから。これはもうやっぱり国会にでも呼んで具体的に聞く以外にないと思っているんですが、大蔵省の方ではどういう助力をされているか、わかっておればこの際聞かしてもらいたい、こう思うんです。
  199. 北川俊夫

    政府委員(北川俊夫君) たしか昨年の三月十日だったかと思いますが、前任者の青木労政局長から、大蔵省にも十分伝達をしてそしてしかるべく取り計らいたいという答弁をいたしております。私が聞いておりますのでは、その旨事務的に連絡をいたしまして、どういう形でか知りませんけれども、大蔵省が何らかの指導をしていただいておると思っておりますが、具体的に事実を把握をいたしておりませんので、これはよくもう一度確かめたいと思います。ただ、大蔵省のみならず私の方は、先ほど申しましたけれども、最近におきましても会社の方の専務を呼びまして直接指示指導をいたしておりますし、その点、目黒先生の意図というものは会社に十分伝わっておると信じております。
  200. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これは、私もタクシーとかトラックとか小さい組合の紛争をずっと扱ってきてみるといろいろあるけれども、労使の隔たりも多いという場合には、最終的にはやはり労働行政としては労働委員会、労働委員会の中立委員に労使とも白紙委任してその裁定には労使とも従うと、そこがやっぱり回り回ってくる私はポイントだと。結局、命令が出て、それをけちゃくってまた中労委に行く、それもまたけちゃくってもとへ戻ると、刑事事件に、裁判に持っていく。そこでもなかなか決着がつかないと。回り回ってくると、やっぱり一番現地の事情に詳しい東京なら東京都労委の中立委員の皆さんに労使とも白紙委任すると、その裁定には従うと、こういうルールが私は経験上からも、まあこの国会に来ても何十件か扱ったけれども、結局はそこのところでやっぱりどんとこれで不満であってものむと。ですから、これだけ三年間紛争している本件問題を、やっぱりわれわれも組合の方には十分そういう方向性については努力しますが、丸金証券の方でもいま言ったような条件づくりについてはひとつ任せると、そういうことにしてやっぱり平和的に解決すると。  そして、紛争すると、すぐガードマンの問題が出てくるんですね。私はガードマンというのは余り好きじゃないんですけれども、労働問題にガードマンというのは、経営者側としては当然の措置なんでしょうけれども、やっぱりそういう点も組合側にもいろいろ考える点があればわれわれも大いに考えて、その軌道に乗せるという努力はしたいと思いますから、そういう方向性について会社側に、労働省と大蔵省を含めて条件づくりに努力してもらうと、こういうことについてはいかがでしょうか。
  201. 北川俊夫

    政府委員(北川俊夫君) いままでも会社側にそういう会社側の譲る点として、たとえば御指摘のございました警備員、ガードマンの引き揚げ、これの勧奨もいたしたわけでございますが、会社側は身の安全が保証されるのならばいつでもガードマンはと、こういう言い方でございまして、やはり私現地組合の行動は見ておりませんけれども、使用者側の言い方があながち一方的でないとすれば、組合として反省すべき点も多々あるのではないか。  ただ、先生新しい御提案として、たとえば東京都労委の公益委員に白紙一任で解決をゆだねると、これは私はそういう条件ができれば、これだけ長年にわたって紛争してきた事件だけに、やはり非常にいい方法だと思います。私の方も労使に対して目黒先生の御意図を体して、こういうことでひとつ一挙に解決を図るようなことではどうかという勧奨はいたしますけれども、どうも労働組合の方は目黒先生に大変近しいようでございますし、先生の方からも御指導をぜひお願いしたいと思います。
  202. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私は私なりに努力したいと思います。  それからもう一つ、これも日本硝子の関係、これも質問主意書を出して、去年の十二月の二日おたくの方から回答をもらっておるわけでありますが、これらについても私も私なりに今日まで努力をしてきて、ある程度中労委が和解勧告に乗り出そうかというような情勢のところまで来ておるやに聞いておるわけであります。しかし、これも何といってもバックにいる、野村証券というバックがおりまして、日本硝子の会社側と野村との関係がわれわれには目に見えない因果関係が大分あるようでありまして、なかなか複雑微妙なようであります。しかしこの問題も、それなりに努力した問題でありますから、これも大蔵省に関係することでありますけれども、野村証券問題についてもひとつ現在どの程度の労働省に情報が入っておるか、入っておれば聞かしてもらって、今後の取り扱い等についてどういう完結を考えておるか、労働省側の見解をひとつ聞かしてもらって、それを聞いた後に私の方の見解を述べたいと思います。
  203. 北川俊夫

    政府委員(北川俊夫君) 日本硝子の合理化をめぐりまして労使紛争がこれも長年にわたって継続をしておるわけでございますが、この場合は先ほどの丸金と違いまして、非常にバックグラウンドとしてわれわれ困難だなと思うことが一つございます。それは、合理化をめぐって全商労の考え方と、それからその所属の組合との考え方に大きな差がある。よく言われる労々間の対立があるということが、この紛争を大変むずかしくしておる一番大きな原因ではないかと思います。  現在のところ、そういうことをめぐりまして全商労側から神奈川の地労委、大阪地労委、これに不当労働行為の申し立てがなされておりまして、現在大阪に六件、神奈川に五件、したがって地労委十一件、そのほかにすでに地労委で出ました命令に対して労使がそれぞれ不満で中労委に係属しておりますものが五件と、合わせまして十六件がこの労使関係をめぐって労働委員会に係属をしておるわけでございます。  で、先ほども丸金事件のときに先生御指摘のように、不当労働行為制度というのは迅速しかも簡易に解決をするというのが本来のねらいであるにかかわらず、初審命令が出ればそれを再審で争う、再審命令が出るとそれを訴訟で争う。一つの言い方をすれば百年戦争、十年戦争になるのじゃないかと、こういうことにつきましては制度的に私たちもやや見直さなきゃならないのじゃないかという気がいたしておりますが、そういう点はともかくとしまして、現在非常に多数の中労委にかかっておるだけでなくて、地労委に係属しておりますので、中労委ではそれの一括和解ということの可能性を公益委員が打診をしておるように聞いておりますので、この点は中労委の公益委員の今後の解決への御努力労働省としては見守っていきたいと、こう考えております。
  204. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 その際に、やっぱり野村証券なりあるいは大蔵省の内面指導といいますか、あるいは側面指導といいますか、そういうものがやっぱりひとつ障害と言っちゃ余りオーバーですけれども、中労委の方々に若干私も私なりに当たってみますと、その辺がどうもまだこう釈然としないということがあるやに承っておるわけでありますが、事実関係はどうかについては確証はありません。だけれども、やはり野村証券と日本硝子の関係がないと言っちゃうそになりますから、出資もしているし、役員も派遣しているんですから。でありますから、そういう点から考えますと、やっぱり野村証券の決断というか動向というのが、やっぱり一つの大きな当面の中労委の公益委員の方々が和解勧告に踏み切るかどうかというポイントを握っているというような、私は私なりにそういう情勢を把握いたしております。  でありますから、これはむしろ大蔵省を呼んで要請すればよかったんですけれども、まあ大臣もおることですから、大蔵大臣を通じ、内容的には労政局長を通じて、やはりこれもひとつ不当労働行為というプラスアルファがあるもので非常にデリケートな問題だと思うんですけれども、解決できれば中労委の和解勧告等を受諾すると、こういう方向でこの問題についても大蔵省側の指導についてもひとつ努力願いたいと、こう思うんですが、いかがでしょう。
  205. 北川俊夫

    政府委員(北川俊夫君) 日本硝子の役員が、野村証券から直接派遣をされておるということは事実でございます。そういう点からして、野村証券の影響力が恐らくあるだろうという推測はできます。ただ、この紛争の解決といいますか、それは現に中労委の公益委員が当たっておりまして、公益委員の判断で最終的に和解をする、あるいは解決をする際に、野村証券の説得が中労委で十分できないというような場合には、恐らく労働省に連絡、要請があることと思いますので、その際には労働省の力で、あるいは先生御指摘のように、必要に応じては大蔵省とも十分連絡をとりまして、中労委の努力が実るように、そういう方向で万全の施策をしたいと、こう考えております。
  206. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私も近く松浦専務という、まあ野村証券のこういう関連産業の担当専務さんらしいんで、お会いいたして、この点について中労委の和解勧告が成功するように私からも要請をしたいと、こう思っておりますから、いまの局長の答弁を含めて、ぜひ政府側の側面からの援助についても要請をしておきたい、こう思います。  それから三つ目には、立川スプリングの問題で、これはまあ新聞にも二、三回出たことがあるんですけれども、これもまあデリケートな問題をはらんでおるんですが、ただ私は、デリケートな問題をはらんでおっても、この問題はちょっと特殊性があるんじゃないかというような気がしたんです。男女の差別というものについて、私もわからなかったから見してもらいました、この紛争が起きた発端。これを見ますと、賃金が職能給、勤続給、年齢給と、三つに分かれておりまして、三本立てで、給与総額の割合は、大体職能給が二〇%、勤続給が一〇%、それで年齢給が七〇%を占めておると、そうして年齢給は男女別に違うんですよ、出発は同じ。出発は四万二千八百円、最初、男女とも四万二千八百円。一番の最高の五十に行くと、男の方が九万六千五百円、女の方が六万九千五百円、二万七千円差があるんですよ。これをけしからぬということで、四人の社員の方々が労働基準局——立川基準局に調査を依頼したわけですね。これは男女差別賃金じゃないかと、女の問題を男の若い方々が立川基準局に告発したんですよ。そうして告発して、調べたところ、なるほどそうなっていると。それで、去年のこれは三月三十日ですか、立川労働基準監督署から、やはりいま言ったような賃金は男女差別賃金であると、したがって是正しなさいと、過去三年分にさかのぼってバックペイをせよという勧告を受けて、それによると総額が二億二千万の額になるということで、立川基準局は会社側に勧告したわけですね。  ここまで明らかになれば、当然会社側としては私は努力すべきだと、こう思うんですが、われわれの調べではその二億二千万のバックペイを、ちょうど去年の春闘の時期だったものですから、春闘と絡めて、バックペイがほしいかベアがほしいかということを——なかなか私は頭のいい社長だと思うんですが、それで二者択一を組合側に迫ったと。組合側としては、バックペイもほしい、賃金もほしいけれども、どっちかというとベースアップがほしいと、ああ、それはわかったと、組合側はバックペイ要らないと言っているといって基準局に回答した、こういう事件なんですがね。  ですから私は、この前労働省側に、労働省の方に立川労働基準監督署が出した行政勧告の写しと会社の回答の写しをぜひ証拠物件としてほしいと、こう申し入れたんですが、いまだに私のところに届かないです、これ。ですから、私はその具体的な現物を見ないとなかなか議論できないと思ったんでお願いしておったんですが、これはなぜ現物をわれわれに参考資料としてできないのか、私はあっちこっちからもらっているんですけれどもね。この問題だけじゃなく、私も専門家ですからあっちこっちから原本の写しをもらっています。持っていますから、基準局の監督署の行政勧告と回答。なぜもらえなかったのか、私がいま述べたことについて大体事実関係で誤りがないかどうかも含めて回答してもらいたいと、こう思うんです。
  207. 桑原敬一

    政府委員(桑原敬一君) いま先生のお話、事実どおりでございます。  私どももこういう男女差別で是正勧告をしますと、バックペイが幾らになるかというのを労使でお話し合いされまして大体解決するのが一般の例でございますが、残念ながらこの問題はまだ決着を見ておりません。私どもといたしましては是正勧告をし、きちっと監督官がそういう指示したものに従いませんならば、また親告された方がぜひ告発をしたいというお話がございますれば、当然にこれはもう刑事事件として捜査せざるを得ないと、こういう考え方で現在東京地検八王子支部に送検をいたしております。  なお、詳細は、監督課長が来ておりますので報告させます。
  208. 小粥義朗

    説明員(小粥義朗君) いま局長からお答えいたしましたように、すでに東京地検の八王子支部に送検いたしておるわけでございまして、現在地検の方で取り調べの段階にある、こういうことでございます。  それから、勧告をしたコピーと申しますか、そうした資料をほしいといういまお話でございましたのですが、実は私ども是正勧告をいたしますと、その勧告書そのものは事業主へ行ってしまうわけでございまして、別にそのコピーを監督署が持っているわけではございません。ただ、当然監督をし是正の勧告をした場合、そうしたものの記録はこれは監督の復命書としてあるわけでございますけれども、そうした監督に伴ういろんな書類が外部から求められるケースは従来間々あったのでございますけれども、そういう書類が、たとえば民事訴訟であるとか、労使紛争の中でいろんな形で使われるわけでございますけれども、そうした場合に、そういう民事訴訟等の当事者の利害にかかわりを持つ場合が非常に多いものでございますから、したがって、そうした個別の問題についてのそういうものは公表を差し控えるという扱いをいたしております。ただ、親告事案のような場合でございまして、たとえば親告者の方が親告した結果がどうなったのだというようなことになりますと、これは当然当事者としての立場もあるわけでございますから、監督署としてもその措置をした内容については、口頭なりあるいは文書で御説明をするということはいたしておるわけでございます。
  209. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 いや、私が言い方が悪かったのかどうかしらぬけれども、この事実関係を確認するために私は要求したんですよ。われわれ国会で取り上げる際に、ある組合員が言ってきたからああそうかって、こうすぐ上げるわけにいかぬから、それに基づく事実関係を確認してだめ押しをしないと、こういう問題で取り上げるというのは私は不見識だと、こういままで思っておりますから、ですから、タクシーの紛争でも、中小企業の紛争でも、私も現地に、基準局に出かけて行って書類を見せてもらって、それで確認する方法もありますけれども、時間がなかったものですからお願いしたんです。事実関係が間違いがないとすれば、それはそれとして、ここで確認してやりたいと思うんです。  ですから、私はどういう指導をするべきなのかといいますと、たとえばこういうこともあったらしいんですね。このバックペイの問題について仕事が始まる前に係長が部屋にみんなを集めて、バックペイについては会社は経営上苦しくて払えない、二億二千万ですか払えない、係長あいさつでそういう演説をやって、それからわら半紙をずうっと全職員に渡して、みんな名前を書けと、名前書いて判こ押さして、それを全部回収して、それを全部今度はバックペイは会社の経営上払えません、やっぱりベアの方が結構ですという表だけ書いて、係長の演説をまず表に書いて、それで半紙にサインしたやつを全部こう集めて、それで基準局に持っていって、あるいはいま言った書類送検された八王子ですか、八王子に持っていって、従業員は要らないと言っているんですからひとつ温情あふるる措置をと言って、その基準局と八王子地検の方に請願をしている。これは請願は、地検の方に言ったら請願は来ております、こう言うんですね。ですから、非常に法の精神から逸脱する私は使用者側じゃなかろうかと、こう思うんです。  ですから私は、こういうのがそのまま見逃しになりますと、これが一つのたたき台になって、やっぱりバックペイ論争にずっと波及していく、そういう可能性を持っているものですから、ここのところは私は姿勢を正して、やはりきちっと労働行政は悪は悪として追及されねばならぬということで、この際は姿勢を正す意味においても、この問題については私はうやむやな決着はつけるべきじゃない、こう思っているんですが、いかがでしょうか。
  210. 桑原敬一

    政府委員(桑原敬一君) あくまでも男女差別に基づきまして私どもは違反を指摘をしそれを直そうとしているわけで、春闘のベースアップと帳消しするということは、全く私どもとして心外でございます。今後とも出先と十分相談をしながら是正に努めてまいりたいと、こう思っております。
  211. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これは都労委にも、いま地検に行って聞くところによると、近々最終的に決定をするという八王子支部の情報も聞いておりますから、そういう点でひとつ御指導方をお願いしたい、他に波及しないようにきちっとしてもらいたい、こう思うんです。  それからもう一つは、これはこの問題を一つのきっかけにして会社の機密を漏らしたと、あるいは会社を告発したということはけしからぬということで、そう言うと不当労働行為になっちゃうから、彼を呼んで聞いてみますと、いままでの仕事の職場からかえられて、生産量を四倍にアップされて、おまえはこの生産をやれ、この生産を達成しなければ能力なしと言って解雇の対象になるということをやられて、とてもいままでの四倍の生産なんて上げられっこない。一割や二割、五割ぐらいなら何とか努力をして上げても、その問題の四人だけ集中して四倍のノルマを与えて、それを消化しなくてはおまえは首だ、いわゆる勤務成績不良、生産の割り当てを消化しなかったということで解雇されちゃう。これも、私は悪らつな報復手段だと思いますね。こういう点についても、私はやっぱり労働行政としてきちっと監督なり指導をする必要がある。  何か聞くところによると、都労委の方に提訴した、したがって都労委でも争う、こういう手を打っておるらしいんですけれども、都労委は都労委としても、やっぱりあるべき姿として男女差別賃金を告発したことがそういうふうに波及して、生産量四倍の目標を与えて、達成しないなら首だ、これはずいぶんひどいやり方だなあと、こう私は思うんですよ。これらに対する見解と、指導の方法についてひとつ示してもらいたいと、こう思うんです。
  212. 桑原敬一

    政府委員(桑原敬一君) 具体的な事案をもう少し調べてみたいと思いますけれども、もしいまの事案で、男女差別を親告したことによって解雇その他不利益をするということは基準法上禁じられておりますから、その点が、事実がはっきりするとすれば問題だと思います。有効、無効の問題は民事の問題でございますけれども、その辺までさかのぼって究明すべき問題だと思います。
  213. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 都労委にはまだ聞いてないですか。
  214. 北川俊夫

    政府委員(北川俊夫君) 都労委の件はまだ報告を受けておりません。
  215. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これは前の紛争があったんで、五十二年の九月七日に都労委に申請しておりまして、五十二年の十一月四日、追加案件として都労委に提出したと、そういう記録になっていますから、都労委の方を調べてもらって、いま言ったような問題点について、いま基準局長の問題も含めてひとつ調査、善処方を要望したい、こう思っております。  これらの問題から見ると、労使紛争を考えますと、私は、地労委、中労委の権限強化といいますか、都合がいいやつは受けるけれども、都合の悪いやつはけちゃくって民事で争って云々と。やっぱり労働問題について、ある程度この中労委、地労委は労働裁判所だというぐらいの位置づけと権能を持たせないと、労働者の方は——経営者の方は私は余り困らないと思いますよ。ところが解雇なんというのは、切ってしまいますと、もうその日から、失業保険はもらうけれども生活に困ってしまう。持久戦をやられると、ついに労働者がまいってしまうんですよ、こういう紛争は。ですから、そういう労働者を守る労働省ですから、やはり地労委、中労委の権能を労働裁判所的な性格に強めて、問題を早期解決する、それについてはやっぱり労使とも拘束されるというぐらいの強制仲裁的なものをもっと強めてもいいような気がします、こういう小さい紛争については。ですから、それも含めて検討方をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  216. 北川俊夫

    政府委員(北川俊夫君) 不当労働行為制度については、先ほどもちょっと触れましたけれども、現在初審に不服で再審に持っていって、再審に不服で行政訴訟というのが全体の恐らく六割近くあるのではないかと思います。そういう意味では、本来の不当労働行為の救済制度の趣旨に反するということは先生御指摘のとおりでございまして、現在、初審命令が出た段階で再審の申し立てをした場合には、初審命令の履行勧告をいたしておりますが、さらに行政訴訟の場合には、緊急命令の申し立てを労働委員会や裁判所がして、それに従わない場合には過料を取るというようなこともいたしておりますけれども、まだまだ事件の迅速な解決ということにほど遠い現状でございます。  したがいまして、迅速審理ということのほかに、先生いま御指摘のように、長々と争うのではなくて、労働委員会にかかれば労働委員会で仲裁と同じようにやはり最終的に労使が従うというような制度、これについては労使ともにあるいは反対があるのではないかと思いますけれども、そういうことも含めて不当労働行為制度のあり方を、実は労働大臣の諮問機関でございます労使関係法研究会で、この四月から一年ぐらいの間に結論を出していただくというような心構えでお願いをすることにいたしておりますので、そういうものの結果を見まして十分検討したいと思います。
  217. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 よろしくお願いいたします。  次は、最後に振動病関係について、一般質問でやろうと思ったら時間がなくてやれなかったんで、労働省でも林野庁でも結構ですから、現在の振動病の認定の状況などについて、国有林と民有林を含めて別々にお教え願いたい、こう思うんです。
  218. 桑原敬一

    政府委員(桑原敬一君) 林野庁からおいでになっておりますけれども、一括して一応私が知っておる限りにおいてお答えいたしておきます。  民有林労働者の白ろう病に対する補償件数は年年増加してまいっておりまして、昭和五十一年末におきます療養継続中の者が約千五百人、また昭和五十一年度中に新しく受給された方は約九百人でございます。  それから、国有林労働者の補償につきましては、昭和四十年から累計患者数という数字になっておりますが約三千百人、昭和五十一年度中の新規受給者数は約二百人と聞いております。とりあえず御報告いたします。
  219. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それで林野庁にお伺いしますが、この前、函館の佐藤さんの公務災害認定通知というのを出しましたね。これについてどういう見解か、まず聞かしてもらいたい、こう思うんです。
  220. 相賀幸雄

    説明員(相賀幸雄君) その件につきましては、昭和五十二年の四月四日に振動障害の認定者であります函館営林局の江差営林署の常用作業員の佐藤憲助氏が死亡した事案についてのことでございますが、各分野にわたる医師の意見を聴取いたしまして慎重に検討した結果、本件の脳梗塞による死亡は、本人の過去の病歴、病像等から判断すると、公務上の疾病である振動障害と相当因果関係が認められないので、公務外として取り扱うことといたした次第でございます。
  221. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私はこれをもらって、入院してから死亡するまでの病気をずっと記録によって、発作を起こして山から無線で、現地から無線で連絡があって、そして医者が行って収容して、病院に入ってから亡くなるまでの奥さんの記録ですね、どういう症状になった、どうなった、手がしびれてこうなったとか、そういうやつを全部書いているんですよ。私は、前に公務認定した高知の竹邑さんですか、あのときの朝倉病院に私も行って、竹邑さんが亡くなる状況などについても全部聞いたり見たりしたんですが、それとよく似ているんですよ、いみじくも奥さんの記録が。それからおたくが言った解剖意見書ですか、解剖意見書も読ましてもらいました。読ましてもらいましたけれども、結局俗に言う振動病との因果関係については、因果関係をはっきりさせるとすると、振動病にかかった人の例症、動物実験を試みなければならない、いわゆるまだ未知の、未開拓の地なんだ、振動病の関連というのは。振動病というのはもういまでも日本の医学で、これは厚生省も知っておるかと思いますが、日本の医学でいろんな手を打ってもなかなか名案がない、いまだに研究開発の対象の病気が振動病なんですね。手が白くなるという限界を超えちゃって、内臓関係、血管関係に全部絡まるということをこの解剖書でも、手とかそういうところ、それから動脈、こういうところについてはやっぱり壁ができて非常に血液の流れが窮屈になっている、あるいはしびれの現象が具体的に立証されたという点もあるんですね。  そうしますと、この方が高血圧だといって——私も少し血圧高いそうでありますが、高血圧という持病があったと仮にこれを是認しても、こういうしびれ、あがきというこの奥さんの記録から見ると、やっぱり相当時間をかけでだんだんだんだん肉体が責められていって最後に持病の粥状硬化による脳梗塞、そういう持病、自分の確かに持病はあったにしても、その持病をどんどんどんどん積極的に高進させた因果関係が、やっぱり血液の循環が非常に悪くなる、内臓関係も悪くなる——病人は寝ているんですから、健康であれば自分の血圧に適応した食事あるいは運動の方法、自分自身でそれを克服する努力ができるわけですけれども、ベッドに寝ておってみんなこうやられておって、そんなこと自分がわかっておっても克服するための努力ができないという状態に置かれた。それが、夜中の二時、三時になって大きな声で叫んでみたり、全身が白くなっていまにも息がとまりそうになったり、そういう奥さんの看護記録じゃないかと私は思うんですよ。これはちょうど高知の朝倉病院に入院しておったいわゆる診断書、カルテの記録をずっと見ると同じことなんですよ。  ですから、私は、法が冷たいのか、あるいは人間が冷たいのか知らぬけれども、そういう因果関係についてもう少し温かみのある、いわゆる福田総理じゃありませんが、ぬくみのある行政というのをやっぱりやるべきじゃなかったのかと私はいまでもそう思っています。そう信じています、私は。ですからそういう点で、ただ一片の、確かに因果関係はないと言って断定できるだけの記録はなかったけれども、そうではないと言って否定する解剖意見書もないんですよ。断定も否定もないんですよ、これは。この解剖書を私は読ましてもらった。私も知っている友達がいるから、友達に読んでもらいました。いや目黒君、それはあんたの言うとおりだと。否定もしないけれども肯定もしない、このあれは。否定もしなければ肯定もしないということになれば、私はやっぱり林野庁はチェーンソーを使わしていたんですから、チェーンソーを使ったために病気になったんですから、そこのところはもう少し判断の仕方があるんじゃないか、余りにも林野庁は冷たいんじゃないか、こう思うんですが、いかがでしょうか。再検討する必要がありませんか。
  222. 相賀幸雄

    説明員(相賀幸雄君) ただいま先生の御質問の高知の竹邑氏の件につきましては、これは高血圧症と振動障害とが共働して脳出血を発症させたと判断いたしまして、これは公務上の認定をいたしたわけでございます。  函館の佐藤憲助氏の件につきましては、先ほど申し上げましたように、医学経験則上相当因果関係がないということで、私どもは公務外の認定をいたした次第でございます。
  223. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私は、そういう通り一遍聞いているんじゃないの。もう少し林野庁は、働いている労働者にぬくみを持って考えたらどうかということなんですよ。私だって国鉄の動労の委員長をやっておって、何人かおります。たとえば心臓病を持っておって乗務しておって、まあ駅まではどうにか来られたんでしょう、駅までは自分で歯を食いしばって。この辺が紫になっておりましたからね。自分で発作が来るなと思っておっても、機関車を運転するから、行くところまで行かないと大変だなといって、この辺の紫から見ると、自分の心臓の持病というものと物すごい闘いをやって持ってきたんだと私は思いますよ。で、仙台駅へ入ったとたんに、車掌が行ったらさっぱり動かない。行ってみたら、かたっとなってもう死んでおった。これは持病の心臓ですよ。持病の心臓であるから、あなた方の理由から言えば持病だから公務疾病じゃない、こうなるんだけれども、国鉄は温かみがあったですね、公務死亡に準ずる扱い。そして、年金でも退職金でも病院の措置でも、それだけの歯を食いしばって動力車を運転してホームまで持ってきたというその努力がやっぱり何物にもかえがたいということで、これは公務に準ずる扱いで、われわれ労使関係でそういうことが何件かありますよ。規定はこうだけれども、大体三割か五割程度プラスをして霊を弔う、そういうことが。私は自分で国鉄の当局を相手にしてやってまいりました、何件か。  ですから、そういう温かみがやっぱり林野の労働行政にもあってもいいじゃないか、私はそう思うんですよ。だから、きょうは林野庁長官か出てもらって、法律が悪かったら法律を直すということをなぜしないんですか。現業ということを扱っているんだから、この現業に見合うように公務員の労災関係を一行加えるとか、あるいはそういう案件については林野庁長官に権限を、判断を与えるとか、人事院規則か何かで変えればいいんじゃないですか。そして、職員が安心してチェーンソーを使う、不幸にして倒れた場合には、林野庁長官もわれわれ労働者を大事にしてくれるんだなといえば、やっぱり遺族も職員もなるほどなあと納得するんじゃないですか。これだけの奥さんの苦しい記録、これは血圧の記録じゃないですよ。全部振動病から来る記録ですよ、この現象は。それで、不幸にして持病で死んじゃったと、こうなるんですからね。そこのところを私は考えてやるべきだと思うんですが、どうですか。  じゃ立場を変えて労働大臣、いまの事実関係を聞いておって、あなたの方としても労働者を守るという高い視点から、法が不備であれば法を一部改正するとか、そういう努力をやっぱり私はしてやるべきじゃなかろうか。本来なら林野庁が提案して、提案をしたけれども人事院なりあるいは労働省なり大蔵省からひじ鉄を食ってなかなかうまくいかないというんなら、私はそれなりにわかりますよ。肝心かなめの林野庁がその姿勢がないというなら、これはやるところないんですよ。一番知っているのは林野庁だから、職員の状態を一番知っているのは。そうでしょう。一番知っている皆さんから提案する気がないんだから、私は困ったものだなと、こう思っているんですが、労働者という立場労働大臣どうですか。
  224. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) 御案内のごとく、この労災の保険というのは、労働者が労働災害を受けるということと、それから業務との因果関係といいますか、こういう問題で判定されるわけでございまして、その因果関係の判定が、その具体的な事案事案によって相当専門的な私は知識の判定が要求されると、こういうことになると思うのでありまして、いまお話しの具体的な事例を聞いておりまして、たまたま国鉄の関係労働者の場合の具体的な取り扱いとそれから林業労働者の場合の取り扱いとには、そこに温かみといいますか、そういう面において確かに御指摘の欠けた点があるのではないかという私は感じは受けます。法は人のための法であるというこういう面から言うと、できるだけ拡張解釈をするという、こういったことが労働省所管の民間労働組合関係においては十分配慮されておると、このように思いますが、いまの場合はいわゆる公務員、そういうような関係から取り扱いがいささかわれわれの感覚から言うと冷たいような印象がないことはございません。願わくは、ひとつ人間のためにある法が、また法のもとに平等であるべきお互いが差別されることが認識されるならば、私は何とかいい方向へいくことを期待したいと、こう思います。
  225. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 改めて農林大臣にも要請したいと思いますけれども、この前農林大臣には直接交渉の際に、やはりそういう点の不備があるとすればひとつ若干弾力のできるように検討するにはやぶさかでないと、関係者とよく話し合ってみようというふうに、社会党の林業対策特別委員会が農林大臣と直接交渉の際には、そういう心組みの回答をもらっているわけでありますから、大臣、農林大臣ともよく相談をされて、ひとつ前向きに検討されることを期待いたします。  それからもう一つは、時間が来たようでありますが、私は、三千名の方々がいらっしゃる。このほかにも何人か亡くなったり、首つり自殺をしたり、そういう方がいらっしゃるんです、この病気で。しかし、いま言ったとおり、診断書、解剖書にもあるとおり、その振動病の因果関係というのはまだ未開発の分野だと、こういうことも言われていますから、私はやっぱり専門的な病院を建てて、病院と言うと厚生省とか日本医師会がまた反対することはわかっていますけれども、しかし大臣言うとおり人のために法律があるんですから、やっぱりこういう多くの方々、それから民間の関係も千五百と言いますが、これは私は民間の方々は一人親方で自分でチェーンソーを買って働いているんですから、振動病になったと言われてしまうと、いわゆる森林組合の山を持っているおっさんたちから契約をパアにされちゃうんですよ。契約がパアになってしまうものですから、おれは振動病だと言うことを非常にきらっているのです。そして、国有林よりも振動の多いチェーンソーで、しかも四時間も五時間も継続して使っている。タンクに油がある間はやり通しと、こういうタンクの量から逆算すると、七時間前後使えるんですよ。そういうチェーンソーを使っていますから、まだまだ国有林の二倍も三倍も私は潜在振動病者がいると思うのです。ですから私は、そういう方々を掘り起こすために労働省も林野庁も努力しているわけですが、地方の保健所の皆さんにぜひともひとつ御協力願いたいし、やっぱり専門病院というものについて真剣にこの際労働省、林野庁、それから厚生省、この三者で私は真剣に取り組んでもらいたい、考えてもらいたいという気がするんです。私はきのう荒舩行政管理庁長官に言ったけれども、まあ三人の国会議員がいる中で私ぐらい屋久島から稚内に至るまで、裏日本、表日本、山を歩いて民有林、国有林を問わず、私は振動病になっている方々、四期、五期ぐらいの手が真っ白くなっておって、それでもチェーンソーを使わなければ食っていけない、手が白くなってもやっぱり使っているんですよ。
  226. 田代由紀男

    ○副主査田代由紀男君) 時間が来ております。
  227. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そういうことでありますから、労働省、林野庁、厚生省三者協力して、この病気を根本的に解決するための専門病院、そのための医療予防設備、こういうものについて万全の策を講じてもらいたいということを最後に要請いたしまして、三者を代表してと言うと語弊がありますが、労働大臣から見解を述べてもらって、私の質問を終わります。
  228. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) いわゆる白ろう病対策、これは予防から補償というこれが一貫した政策が樹立されなければならない、このように思うわけでございまして、御指摘のように厚生省、林野庁、こういった関係省庁と密接な連絡をとりまして、それで振動障害防止対策の省庁間の連絡会議、こういったものもございますから、御指摘の点を十分踏まえて、そして本当に御指摘のような林業労働者は一人親方であり、いろいろ自然立地条件、また特殊な事情に置かれておるということもよく理解ができます。そういう面も踏まえまして、このチェンソーあたりは規格も産業安全研究所の方で開発しておりますから、こういったものを進めると、いろいろの角度から御趣旨に沿うた今後の改善策に努力したい、このように思います。
  229. 田代由紀男

    ○副主査田代由紀男君) 以上をもちまして、労働省所管に対する質疑は終了いたしました。  本日はこれをもって散会いたします。    午後三時五十七分散会      —————・—————