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1978-03-29 第84回国会 参議院 予算委員会第四分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年三月二十九日(水曜日)    午後四時二十分開会     —————————————  昭和五十三年三月二十九日予算委員長におい  て、左のとおり本分科担当委員を指名した。                 田代由紀男君                 内藤誉三郎君                 真鍋 賢二君                 八木 一郎君                 粕谷 照美君                 高杉 廸忠君                 桑名 義治君                 山中 郁子君                 井上  計君     —————————————   出席者は左のとおり。     主 査         内藤誉三郎君     副主査         田代由紀男君     分科担当委員                 真鍋 賢二君                 八木 一郎君                 粕谷 照美君                 高杉 廸忠君                 桑名 義治君                 井上  計君    国務大臣        文 部 大 臣  砂田 重民君    政府委員        内閣総理大臣官        房同和対策室長  黒川  弘君        文部大臣官房会        計課長      西崎 清久君        文部省初等中等        教育局長     諸澤 正道君        文部省大学局長  佐野文一郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○主査及び副主査互選昭和五十三年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和五十三年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和五十三年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付)     —————————————   〔年長者八木一郎主査席に着く〕
  2. 八木一郎

    八木一郎君 ただいまから予算委員会第四分科会を開会いたします。  本院規則第七十五条により、年長のゆえをもちまして私が正副主査選任につき、その議事を主宰いたします。  これより正副主査選任を行いますが、選任は投票によらず、主宰者にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 八木一郎

    八木一郎君 御異議ないと認め、さよう決定さしていただきます。  それでは、主査内藤誉三郎君、副主査田代由紀男君を指名いたします。     —————————————   〔内藤誉三郎主査席に着く〕
  4. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) ただいま、皆様方の御推挙によりまして、本分科会主査を務めることになりました。ふなれでございますが、皆様方の御協力を得て、その職責を果たしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。  審査に入ります前に、議事の進め方についてお諮りいたします。  本分科会は、昭和五十三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、文部省厚生省及び労働省所管審査することになっております。  四月一日の委員会において主査の報告を行うことになっておりますので、議事を進める都合上、主査といたしましては、本日は文部省、明三十日は労働省、三十一日は厚生省、四月一日は文部省という順序で進めてまいりたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  6. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) 次に、お諮りいたします。  各省庁予算審査冒頭、各省庁から聴取する予算の細部にわたる説明は、これを省略し、それぞれの審査日会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  8. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) 昭和五十三年度総予算中、文部省所管を議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
  9. 粕谷照美

    粕谷照美君 私は、予算委員会一般質問で、教育問題についての質問を終わりましたので、きょうは特に同和に関係する部分についての質問をしたいというふうに思います。  もう一九七八年、じき二〇〇〇年を迎えるという、二十一世紀を迎えるというこの年に、まだ地名総鑑をつくる、つくったら売れるというような状況が日本の中にはある。非常に悲しいことだというふうに思うわけです。そういう背景を考えてみますと、先日のあの稻村総務長官の失言問題、これはもう単なる失言だというふうには私どもはとれない、許せないというふうに思いますが、きょうは御本人もいらっしゃらないわけですから、その点については触れないで、特に教育基本法、それから憲法のこの段階考えてみましても、やっぱり許せないものがあるという前提に立ってきょうの質問を進めていきます。  最初に、一九六五年に同対審の答申が出されて、教育条件も徐々にではありますけれども、前進をしてまいりました。同和問題に対して、教育そのものが果たす役割りというのは非常に大きいものがあるというふうに私は考えますが、いまこの同和地区を持った学校教育において、差別事件というのがやっぱり連続して出ている。文部省はこのことを把握をしていらっしゃるでしょうか。
  10. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 私ども承知をいたしておりますのは、粕谷委員先ほど冒頭御指摘になりました地名総鑑の問題がございましたが、地名鑑そのものではなかったようでございますが、同種類の文書関西地区の六つの私立大学で購入をされたという問題がございました。それに対しまして強力な指導を行いまして、都道府県教育委員会等も真剣に取り組みまして、これは全部法務省に回収をさせたという問題が一つございました。  それから、最近大阪地区の幾つかの大学差別的な落書き等があったということ、概要は承知をいたしておりまして、各大学で、それぞれ対応措置をとったということを聞いておりますが、なお問題があるようでありますならば、必要に応じ、適切な措置がとられるよう助言してまいることにいたしております。大学におきます同和教育につきましては、教員養成学部を置く国立大学に対しまして、二回にわたる文書による指導を行うなど、同和教育について、教員養成上遺憾のないような配慮をいたしてまいりました。今後とも各大学に対しまして、いろいろな機会をとらえまして、同和教育充実についての適切な配慮がなされますように、十分な配慮をしてまいらなければならないと考えておりますが、いずれにいたしましても教育一つの重要な基本でもございます基本的人権にかかわる問題でございますから、厳しい姿勢で対処をしてまいることに決意をいたしております。
  11. 粕谷照美

    粕谷照美君 大臣よく御存じだというふうに私はいま拝聴しておりましたが、私大の問題もさることながら、公立大学において、やっぱりそれが行われているわけですね。芸大あるいは阪大などでも。理性の府であるべき大学において、このような事件が起きるということについては、本当に文部省指導もさることながら、教育そのもの内容を問われなければならないというふうに考えております。いずれ大学問題については、あと質問しますけれども、その大学問題だけではなくて、高等学校においても大変な問題が出ていますし、小・中学校でも、やっぱり故意とも思われるような相次ぐ差別発言がなされておりますので、教師の果たさなければならない役割りというのは大変なものだと、こう考えているわけですが、こういう同和地区において、いま学校教育に向けて大変な困難点があるというふうに考えているのは、この差別発言だけではなくて、教育条件のもとでもあるだろうというふうに思いますが、この辺はどのようにお考えになっていますか。
  12. 諸澤正道

    政府委員(諸澤正道君) 同和地区における教育条件の問題として、施設設備充実といったような問題もございますが、児童生徒に直接接する教員の数の問題、これも懸案の一つでございまして、文部省としてもこれまでその定数加配等措置をとってきたところでありますが、今後ともその内容充実に努めてまいりたい、かように思っております。
  13. 粕谷照美

    粕谷照美君 問題点というのは差別の問題もありますし、教員の数もあるというふうにおっしゃいましたけれども、私はそういうことではなくて、教育そのもの子供たち条件の中にやっぱりあると、こう思うわけです。たとえば進学についてはどうであるか、あるいは就職についてはどうであるか、学力の面ではどのような状況になっているか、その辺をお伺いいたします。
  14. 諸澤正道

    政府委員(諸澤正道君) 同和地区進学の問題につきましては、文部省といたしましては、その同和教育資料の中でも高等学校進学大学進学率問題等を取り上げておりまして、この問題につきましては高等学校大学に対する修学奨励費拡大充実というようなことをとってまいっておるわけでございます。  また、就職問題等につきましては、それぞれの学校における進路指導の問題、あるいは就職対策として各学校において特別の努力を払っておるところでありますが、今後ともそういう面での努力をしてまいりたいと思うわけであります。  また、この同和地区子供学力一般と比較してどうかというような問題でございますが、この点は私の承知しておる限りでは、なかなか一つ学校に融合して存在する子供でございますから、それだけ取り出して学力を他と比較するというようなことはやっていないように聞きますので、具体的にはわかりませんけれども、いま申しましたような諸般の条件充実ということからして、いわば他の一般子供と同じように学力の向上を今後とも図っていくべきものというふうに考えるわけでございます。
  15. 粕谷照美

    粕谷照美君 部落解放同盟大阪連合会のこの資料を見せていただいているんですけれども進学率には依然として格差がある。これは一緒にいるところを考えてみますと、やっぱり部落が存在する地域では進学率が低い。しかし、その学校そのもの考えてみると、部落民部落民でない人たち進学率というのはもう歴然と差があって、二〇%の差だということを言っているわけで、非常に生活の面でも大変な状況になっているということが判断できるわけです。ただ、この資料で私が不思議に思いましたのは、低学力なものだからやむなく私学へ行く。公立職業校、あるいは職業訓練校へ行くというなら話はわかるんですが、やむなく私学へ行くといいますと、東京あたり考えますと、私学へ行くというのはわりとお金のゆとりのある人たちが行くというふうに考えられます。あるいは低学力人たちが入る私学もあるし、あるいはまたうんと高学力ですか、公立ではなくて、特にエリートだけを集めようというような私学もあるものですから、この資料については私はちょっと疑問を持ったものでありますけれども、しかし、なかなか公立学校に入り切れないというような低学力がある。これは大臣の足元ではないかと思いますが、私は神戸の湊川高校へお邪魔をいたしまして、宮城教育大の学長さんでありました方、あるいは衆議院三宅正一副議長などと一緒にお伺いしまして、本当に大変な状況の中で先生が御苦労していらっしゃるというお話も伺いましたし、実際に見てまいりましたが、その中の一人の子供なんというのは、中学校段階では精薄ではないか、こう言われた子供がその高校へ入っていって、もうだんだんだんだん変わっていくわけなんですね。どろんとしていた目が本当に生き生きとして、もう知識を得ようというふうに変わっていくというその姿を現実に見てまいりまして、やっぱり教育をやる先生方姿勢というものが非常に大事だということをしみじみ思ったわけですが、しかし、先生方だって熱意だけではやれないわけで、教育条件というものが整わなければならない。その意味で考えてみますと、本年度の予算は、その同和地域が抱えている教育における諸問題について、一体どのような形でこたえようとした予算だというふうに文部省把握をしておられますでしょうか。
  16. 諸澤正道

    政府委員(諸澤正道君) 学校教育の面で申しますと、先ほど申しました高等学校高等専門学校大学に対する修学奨励金単価範囲拡大という問題がございますが、この点につきましては五十三年度の予算で、高等学校で申しますならば、月額を、公立七千円でありましたものを八千円に、私立一万円でありましたものを一万二千円にというふうにいたしたわけでございます。また、通学用品等助成金につきましては、単価は二万円といたしておりますが、対象範囲を一万二千人から一万三千六百八十人というふうに拡大をいたしておるわけでございます。そのほか学校教育の関連といたしましては、同和教育推進地域指定であるとか、同和教育研究指定校指定であるとか、各種の資料の作成、研修会開催等、従来の予算の事項を踏襲をいたしますが、一層その内容充実を図ってまいりたい、こういうことでやってまいっておるわけでございます。
  17. 粕谷照美

    粕谷照美君 私は、今回の非常に大きな目玉というふうに考えられるのは、これを拝見しまして、大学に対して通学用品等助成金が二千二百五十人もとられたということで、私は文部省の積極的な姿勢というものが感じられるわけです。そんなことを考えてみますと、同和対策特別措置法というものは、その目的を果たしているのではないかというふうに思いますが、その果たし方は決して十分ではない、こう考えているわけです。じゃ、どの辺が十分でないかということについて見ますと、同和教育をやる地域学校については、教員加配があるわけですが、この文部省基準はどのような形で出されていますか。
  18. 諸澤正道

    政府委員(諸澤正道君) 同和地域教員加配の問題につきましては、現在の標準法の規定によりまして、教育困難地区政令で定めるもの、その政令の定めとして同和地区について文部大臣が定める基準によって加配をしますと、こういうたてまえになっておるわけでありますが、その基準は四十四年から四十八年度までの第三次五カ年計画におきます加配につきましては、その学校の全児童生徒の中に占める同和地区児童生徒割合が二〇%以上の学校について、当該学校に一名、こういうことでございましたが、四十九年から五十三年度の第四次五カ年計画におきましては、その学校の全児童生徒の中に占める同和地区児童生徒割合が、一五%以上の学校というふうに五%下げまして、その場合に一名加配、さらに当該学校における同和地区児童生徒数が一五%以上または百人以上の場合という場合には二人加配というふうに条件を広げてまいったわけでございます。
  19. 粕谷照美

    粕谷照美君 こういう文部省努力もありますけれども、しかし、やっぱり問題点があるわけですね。それは一五%以上ということになりますと、ある程度まとまった人数がいなければならない。部落というのは一体どんなふうな状況で存在するのでしょうね。
  20. 諸澤正道

    政府委員(諸澤正道君) これは私も具体的には承知していないわけでございますが、この加配をいたします県というのを見ますと、三次、四次の計画で三十県なんですね、対象になっている県は。あとの十数県は対象になっていない。それらの県はそれじゃ同和地区がないかというと決してないわけではないというふうに聞いているわけでございます。したがって、そういうところは要するに地区がありましても非常に小人数で、一つ学区に若干の同和地区子供さんがいるというような状況があるのだろうというふうに推測されますので、必ずしも相当まとまった子供さんがおられるのが同和地区であるというふうにも言えない面があろうかと思うわけであります。
  21. 粕谷照美

    粕谷照美君 小規模点在地域というのが非常に圧倒的に多いわけですから、これらのところは全部切られてしまうというのが一つあるわけですね。  それから、大都市の部落で千人を超えると、これはどういうふうになっていますでしょうか。
  22. 諸澤正道

    政府委員(諸澤正道君) かつて兵庫県とか、大阪とかいうところで、非常にたくさんになりますと、一つ学校の、小学校なら小学校学区子供さんが大部分同和部落の方だというところもあろうかと思います。
  23. 粕谷照美

    粕谷照美君 現実には千人を超えるところに一名ということになっていますけれども、これはやっぱり実態に合わないのでありまして、もう少しきちんと考えてほしいというのが要求だと私は思っております。  それで、この文部省基準というのは一体何に基づく基準なのだろうか。政令第五条にきちんと定数というものを盛り込んでいくということが大事なんではないかということはいかがですか。
  24. 諸澤正道

    政府委員(諸澤正道君) この基準先ほども申しましたように、政令の書き方は、「同和対策として教育上特別の配慮を必要とすると認められる小学校又は中学校が存する場合にあっては、当該学校の数等を考慮して文部大臣が定める数」ということで、要するに、そういう地区について学校の数等を考慮して文部大臣が決めますということで、おっしゃるように具体的な計数上の基準にはなっていないわけでありますが、それはいま申しましたように、同和地区実態というのが地域により、県によってかなりいろいろでございますから、具体的その対応の仕方というものを文部大臣の個々のケースの判断に任せると、こういうたてまえになってつくったんだろうと思いまして、私はいま申しましたような実態からすると、こういう方法でやっていくのが妥当だと思っておるわけでございます。  ただ、じゃ、この次どういうふうに考えていくかという場合に、論理的に申しましても、最初二〇%であったものを一五%以上というふうに下げてきているわけですから、さらにその実態というものを詳細に調べて、充実する方向で考えていくというのがよろしかろうと思います。
  25. 粕谷照美

    粕谷照美君 ぜひそういうふうにしていただきたいと思うんですね。いままではこういうことを隠していることが正しい——正しいというんですか、隠している方が問題が起きないというふうに思っていた部分がありますけれども、そうではなくて、隠していたことによってさらに逆に問題が起きていることだって現実には出ているわけです。これ、ごらんになっただろうというふうに思うんですけれども特別措置法の強化、延長要求実行委員会がつくったんで、各地の部落実態写真を撮ってきているんですね。本当にもう家の条件といえば圧倒的に悪いところですし、それから生活といえば非常に困難な生活状況が、写真を見ただけでもわかるような状況です。これを見ていたわが党の議員が、わが県にもこんなところがあったのかと言われるぐらい、いままでは明らかになってこなかった。ですから、諸澤さんおっしゃるように、本当に実態をもう少し調査をされて、二〇%が一五%になってよかった、これでいいのではなくて、これからどうするかということについては十分御検討をいただきたいというふうに考えております。  それでは、各県の定教の状況について、文部省の方でも十分に御存じだと先ほどの答弁を伺って私は思いましたけれども、各県のその定数というのは文部省定数にプラスして、非常に大ぜい出しているんですね。その辺はどのくらい事情をおつかみになっておられるでしょうか。
  26. 諸澤正道

    政府委員(諸澤正道君) これはいわば俗に言う県単の職員の数でございますが、これは文部省としてはつかんでいないわけでございます。
  27. 粕谷照美

    粕谷照美君 その県単実情をつかんでいないというのは非常に残念なことで、私も資料を持ってきているかなと思ったら、どこかにあわてて突っ込んでしまいましたので——大変な数を県単でしてるんですね。それでその県単は全部それぞれの県の超過負担ですから、それらの学校を抱えている各県の持ち出しというのは非常に大変なものだというふうに思いますので、これもぜひ調査をしていただきまして、その定数法は県にばっかり負担をさせることではなくて、文部省としても、国としても十分に取り組んでいただきたいということを考えております。  さて、考えているだけであっては私も困るというふうに思いまして、ちょっとお尋ねいたしますけれども、ことしで第四次定数計画終わりますね。来年は第五次になるというふうに理解をしてよろしいんですか。何か先日も質問をいたしますと、調査をして、調査をしたのがまとまって、そのまとまったものを十分に分析してということになると、来年一年は休みだというふうに考えられるような御発言がありましたが、どうでしょうか。
  28. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 今後の教職員定数法の改正の問題につきましては、五十三年度で第四次を完結をいたしますので、その時点で過密過疎地域のいろいろな事情さま変わりになっている状態が出てまいっていると思いますので、これらの点を悉皆調査をしようとしているわけでございます。その調査結果を踏まえて検討をして、第五次改善計画というものを立てなければなりません。ただ、その時期等につきましては、実は国会文教委員会等の御決議もあるものでございますから、どういうふうに取り扱っていくかということも率直に国会とも御相談をしながら進めてまいることにいたしております。これは衆議院文教委員会でのことでございます。いま直ちに一年間があくのかどうかということをちょっとお答えしかねる時期でございますけれども、できるだけ早く調査を終えて、実態に即して、できるだけ早い時期に第五次の改善計画を実行したいと、このように考えているわけでございます。それと、その悉皆調査をいたしますので、いま同和地区加配の問題を御議論になりましたけれども、このことも県単でやっておられるような実情を、この悉皆調査の時期に合わせてひとつ調査をしたい、そして対応していきたい、かように考えております。
  29. 粕谷照美

    粕谷照美君 私は資料を置いてきたと言いましたが、いま調べてみましたらあるわけですけれども、たとえば愛媛てすね、国の基準が二十九名、そうしますと同和加配を県の教員の中から回しているのが二十九名、さらに県単負担しているのが三十二名というふうに、大変な力を注いでいるんですね。それほどこの同和問題というのは大変な状況なんだということを理解していただいて、ぜひその調査の中ではお考えをいただきたい。しかし、それにしても、いままでの私ども参議院におきます文教委員会の討論の中でも、第四次に引き続いて第五次が行われる、つまり来年からは当然のこと第五次が始まるというふうに考えていたんですが、それは、じゃ見込みがないと理解をせざるを得ないんでしょうか。
  30. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) いまから見込みがないと即決をしていただきたくないと思うんです。できるだけ早い時期にこの調査を終えまして、どう取り組むかということを、衆参両院文教委員会の御意思もあることでございますから、御相談をしながら進めさせていただくということでございまして、いま先生のような断定をまだしていただくことは少々早過ぎるような感じがいたします。
  31. 粕谷照美

    粕谷照美君 そうしますと、余り突き詰めない方がどうも有利なような感じもいたしますけれども、でも考えてみますと、概算要求を出すのはこの夏ですね。それまでにきちんと趨勢をつかんでいなければ、要求すら出せないということになりはしませんか、その辺のところはどうでしょうか。
  32. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 予算編成の時期も承知の上で実は御答弁申し上げております。
  33. 粕谷照美

    粕谷照美君 それでは文部大臣のこれからの政治手腕に大きく期待をいたしまして、私どももぜひ一緒になって、この第五次定数計画がうまくいきますように努力をしたいと考えております。  それともう一つは、人数の各県の努力というのはわかったんですけれども先ほど一五%で一名の加配、百人を超えて一名の加配、こういうのがあるわけですが、実態はさまざまな形になっていまして、たとえば兵庫県、福岡県あたりでは、三十人学級を実施している大規模校に、同和加配をしているから事務職員をやらない、養護教諭を加配をしないというのが出てきています。あるいは広島県、これはもう典型的な少数点在部落なんですけれども、こういうところなんかにつきましても非常に定数が少ないものですから、教育が困難だというような実態が出されておりますので、その辺の同和実態というものもお調べをいただきまして、先ほどの第五次の計画の中には生かしていただきますようにお願いをいたします。  その生かしてもらうときの条件なんですけれども、私どもとしては、ぜひ今度同和加配の今後のあり方については、比例加配制を考えてもらいたい。いますぐお答えというものはできないかと思いますが、ぜひお考えをいただくように要望をしておきたいと思います。  さて、先ほどの、一番最初質問いたしました差別事件が相次いでいるわけですが、こういうような事件というのは、第一に、教師自身が同和問題を正確に把握をしていないというところから起きることも考えられるわけです。で、四十年の答申の中に、特別の措置をするようにとうたっていると思いますけれども、その辺はどんなことが考えられますでしょうか。
  34. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 御指摘のように、特に教員養成の場合に、将来教師になる方々が、同和教育について十分な理解を持って教職についていただくような配慮をするということは非常に大事なことだと考えております。これには一つは教職員免許法の問題がございます。御案内のように、教職員免許法は、教員養成の開放性なり、あるいは大学の自主性を尊重するというたてまえから、教員の免許状取得に必要な最小限の修得単位数を定めております。それとともに、たとえば教職科目につきましても、教育原理であるとか、あるいは教育心理学だとか、そういった基本的、あるいは包括的な科目を定めるにとどめまして、それ以外の教育課程の編成であるとか、あるいは実施については、各大学の自主的な判断にゆだねているということになっております。  同和に関する科目につきましては、きわめて重要なものでございますけれども、これを直ちに免許法上の必修科目とすることにつきましては、いま申しましたような、現在の免許制度の事情から困難な面があるわけでございます。しかしながら、それぞれの大学努力によりまして、教育原理などの科目の中に取り入れたり、あるいは別に同和教育に関する授業科目を設けて、学生に履修させるということも考えられることでございますし、また、現にこれについてそれぞれの大学では、自主的な判断のもとに努力を行っております。ちなみに、現在国立の教員養成大学、あるいは学部におきまして、同和教員に関する授業科目を開設しております大学は、逐年ふえてきておりますが、五十二年度では二十の大学において開設をいたしております。大学教育研究に関する事柄につきましては、これはやはり大学の自主的な判断というものを尊重をして、大学の決定を待つべきところではございますけれども、私どもといたしましても、今後とも同和教育教員養成の各大学学部において充実されるように配慮をしてまいりたいと考えております。
  35. 諸澤正道

    政府委員(諸澤正道君) 高等学校以下の学校段階につきましても、答申で言いますところの教職員の資質向上、優遇に関する措置という点につきましては、同和教育に必要な資料の作成、配布、あるいは同和地区を持つ教職員についての特別昇給等の優遇措置、あるいは同和教育研究指定校の設置及び研究費の配分、それから同和教育研究団体に対する助成というようなことがございまして、これらの点につきましては文部省において資料の作成等をいたしますほかに、各県におきまして、国の助成を通じて、予算補助を通じて、同和教育研究団体に対する助成というようなことをやっておるわけでございます。
  36. 粕谷照美

    粕谷照美君 先ほど大学にその課程を置いているところがあるとおっしゃいましたけれども、大体幾つくらいの大学にありますでしょうか、同和を教えているというところは。
  37. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 先ほどは国立の教員養成大学学部に限って申し上げまして、二十大学というふうに申し上げましたが、国立大学一般大学を含めまして二十四大学で五十六科目、百四十五単位が開設をされております。公立大学の場合には六大学で六科目、十八単位、私立大学は十九大学で二十七科目、七十五単位、合わせまして四十九の大学で八十九科目、二百三十八単位、これが開設をされているわけでございます。
  38. 粕谷照美

    粕谷照美君 そうすると相当の大学においてあるということがわかりましたけれども、しかし、先ほど文部省基準で配置されている県が三十県、それから考えてみますと、大学が国立が二十大学ですから、すべての県にその科目があるというわけではないんですね。やっぱりこれは問題があるところなんですから、すべての国立大学にそういう条件をつくっていくという指導を、大学局としてはやっていく必要があるのではないだろうか、こう思いますけれどもいかがでしょうか。
  39. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 御指摘のように、現在二十の国立の教員養成大学学部において授業科目を開設をいたしておりますが、その実態は大体中部以西と申しますか、近畿地方、あるいは中国地方、九州地方の大学が大半でございます。非常に大切な問題でございますから、これらの大学に限らずに、教員養成大学がもっと同和教育に関する教育充実してほしいと考えております。  先ほども申し上げましたように、大学における教育研究の内容をどのように決定をしていくかということについては、大学の自主的な判断を尊重しなければなりませんけれども、今後とも同和教育がこれらの大学において充実されていくように、私ども配慮をしてまいりたいと存じます。
  40. 粕谷照美

    粕谷照美君 私もよく調査に行けばよろしいんですが、その時間がありませんでしたので行っておりませんですけれども、その課程を置いているその大学差別事件が起きたのでしょうか。差別事件はそういう問題とは一切かかわりのない大学に起きたのでしょうか。大臣さっき御答弁になりましたので御存じだというふうに思いますからお伺いいたします。
  41. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 差別事件、きわめて残念な事件が起こりましたのは大阪大学大阪教育大学、あるいは大阪市立大学私立で申しますと桃山学院大学、あるいは大阪芸術大学というようなところでございますが、大阪大学大阪教育大学はいずれも同和教育に関する授業科目を開設をしている大学でございます。これらの大学は、差別的な落書きが行われた等の事例に対しまして、直ちに学部長告示、あるいは学長告示等を出しまして、学内に留意を求める等の措置をとり、あるいは同和問題委員会、あるいは同和教育審議会等の学内の機関を通じて、全学的な同和教育の推進を図ろうとしている大学でございます。そういうところでなお問題が起こっているということについて私たちは深刻に受けとめておりますし、また、それぞれの大学においても、学長以下、こういったことが二度と起こらないように、全学に配慮を呼びかけているところでございます。
  42. 粕谷照美

    粕谷照美君 そうしますと、教育を受けるということと、その教育を自分のものにきちっと把握をするということはもう全然違うんだということがこの辺のところで明らかになっているわけですが、なぜそういう状況が起きたというふうに大学では把握をしているのでしょうか。
  43. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 学長告示等を拝見をしておりますと、やはりそれぞれの大学におきまして、これまで授業科目を開設をしたり、あるいは学内の委員会等をつくって、積極的に取り組んできていると、そうではあるけれども、やはりこういうことが起こるということについては、全学の認識において不足するところがあると、そういった点をさらに自粛自戒をして、同和教育の問題について、さらに認識を深めるような努力をしなければいけないというようなことを呼びかけております。それぞれの大学、事柄は深刻に受けとめておると考えます。
  44. 粕谷照美

    粕谷照美君 具体的にその落書きをした人とか、あおりそそのかした生徒とか、あるいはそれが生徒であったかどうかは私わかりませんけれども、その辺の調査などは大学において行われておりますでしょうか。
  45. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 私の方では、事件の概要とその事件に対してとられた大学側の措置、それからその後の状況等について報告を求めているわけでございます。大阪大学、あるいは大阪教育大学大阪市立大学と、先ほど申し上げましたような大学で起きた差別落書きは、これはたとえば洗面所の壁等に書かれたものが大半でございます。何ぴとがそれを書いているのかということは、私報告は受けておりませんけれども、恐らく大学では把握が困難な状況にあろうかと存じます。
  46. 粕谷照美

    粕谷照美君 これは教育の内面にかかわる問題ですから、すぐに犯人が出たからそれが解決をできると、このような問題ではないというふうに思います。粘り強い人権を尊重するという教育、もう差別をしないという、こういう基本的な思想というものをつくり上げていく以外にないと考えますので、ぜひ各大学においても、あるいは高等学校、小・中においても、この点についての努力はやっていただかなきゃなりませんが、学校だけではとてもこれはでき上がるものではありませんので、社会教育の面においては一体具体的に予算の面でどのような措置がなされ、指導の面でどのような措置がなされておりますでしょうか。
  47. 諸澤正道

    政府委員(諸澤正道君) 社会教育の面におきましては、都道府県に委託いたしまして、同和地区における社会教育活動等の実態調査、それから同和教育の振興に必要な指導を行うというような調査指導事業というものを行っております。それから社会教育における同和教育指導者の研修事業というのをやっております。それから同和地区において、その地域実態に即した社会教育活動を行う社会教育関係団体の育成を図るための団体育成集会の開催事業というのを市町村に委託して行っておるわけでございます。それから、施設関係としましては、同和対策集会所の整備費、それに対する設備費の補助、こういうような面からの助成を行っておると、こういうことでございます。
  48. 粕谷照美

    粕谷照美君 それでは、これの特別措置法と、それからこの予算の関係についてお伺いしますけれども予算の伸びは同和関係の人たちにしてみれば非常に不満だと、こういうふうにおっしゃっておられます。事実、これで十分だというのは一体どのくらいつければいいのかという問題点もあろうかというふうに思いますが、教育費全体の伸びから考えてみますと、同和の伸びというのは大変大きな伸びを示している、私はこういうふうに考えているわけですが、もし来年この特措法が延長されなかったならば、このような形で予算というものが取れるでしょうか。いままでの既得権というのはもがれるものなんでしょうか。それはどうなっておりますか。
  49. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 特別措置法が延長されるかどうかということは、もう本国会においてもたびたび議論をされたところでございまして、総理並びに総理府の副長官から、延長を含めて積極的に検討をしておりますという答弁をいたしておるところでございますけれども、率直にお答えをいたしまして私は延長されるものと考えております。  また差別問題、これの教育のいかに重要なことであるかということをよく認識をいたしておりますので、特別措置法にかかわらず、差別教育の問題については、これの予算の伸びは従来のような伸びを努力をして確保してまいる決意でございます。
  50. 粕谷照美

    粕谷照美君 ではこれで終わりますけれども大臣においてはその特別措置法の延長はされるものと思っているという大変うれしい御返答をいただいたわけですが、されるものというのは、大臣努力をされると、こういうことだというふうに理解します。  総理府、来ていらっしゃると思いますけれども、総理府は一体この点については明確な答弁をしていらっしゃらないわけですね、含めて検討したいというようなこと。これはどうして明確にやりたいというふうに思っていますというふうに——検討したいとやりたいというのでは違うわけですから、それはどのようにお考えですか。
  51. 黒川弘

    政府委員(黒川弘君) 同和対策事業特別措置法が来年三月をもって失効するということは申し上げるまでもないことでございますが、五十四年度以降に同和対策がこの法律の延長の形の上に乗っかって進められるべきかどうか。進めることが一番適当であるという御主張もしばしば承っているところでございまして、そのことについては私どもよく理解しているところでございます。ただ、政府といたしましてもこの法律の延長を含む取り扱いについては検討しているわけでございますが、最終的に態度を決めるに当たりましては、この法律の制定等のいきさつを考えますと、各政党間において協議がこれから行われるであろうというふうに思われますので、その協議の状況、その上に基づく合意の状況、これらのことを勘案いたしまして、最終的な態度を決めたいというふうに申し上げているわけでございます。
  52. 粕谷照美

    粕谷照美君 政府ですから、各政党がどのような考え方を持っているかということについての返答はできないと思いますけれども、各政党の中には与党であります自民党も入っていると理解してよろしいでしょうか。
  53. 黒川弘

    政府委員(黒川弘君) この法律の今後の扱いにつきましては、まず各政党それぞれの段階におきまして検討が行われているというふうに承知しているわけでございまして、この政党の中にはもちろん自民党も含んでいるということでございます。さらに今後は各政党間における協議が行われるであろうというふうに考えておりますので、その政党間の協議、あるいはその協議の延長の上に形づくられます合意、これにかんがみて判断いたしたいというふうに考えている次第でございます。
  54. 粕谷照美

    粕谷照美君 ちょっと歯切れが悪いですね。理屈はわかるんです、筋は。筋はわかりますけれども、これほど重大な問題になってきていることが次から次へと出ているときに、やっぱりこれは大事だという考え方に立てば、ぜひそのように努力をしたい、こういうふうに普通ですと国会答弁というのはあるんですが、あなたの答弁は検討したい、検討したいばかりで、ちっとも前進がないというふうに思います。前向きに努力をするんですかどうなんですか。
  55. 黒川弘

    政府委員(黒川弘君) 総務長官の答弁を援用して申し上げますと、総務長官といたしましては、この法律を延長して同和対策の進展に当たることが必要であるというふうに別の場で申し上げているわけでございまして、私はその総務長官の意向をよく体しまして努力いたしたいというふうに考えている次第でございます。
  56. 粕谷照美

    粕谷照美君 了解をいたしました。私もこの同和の問題については、大変拙速な勉強だったものですから、十分な質問もできないで非常に残念に思っているところですけれども、しかしぜひこの重要な、特に人権問題に関する、あるいは一人一人の子供たち教育の問題に関する点では、非常に重要な特別措置法でございますから、ぜひとも延長されるように、その総務長官の御答弁がきちんと実を結びますように御努力をお願いをいたしまして、終わりたいと思います。
  57. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  58. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) 速記起こして。
  59. 桑名義治

    桑名義治君 きょうは少し時間をいただきまして、財団法人学徒援護会について少し質疑を交わしたいと思います。  まず最初に、財団法人学徒援護会の沿革について、あるいはこの当初の設立の意味、ここら辺を説明願いたいと思います。
  60. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) この財団法人学徒援護会は、昭和十九年の十二月に当時の動員学徒援護事業要綱というのがございますが、この閣議決定に基づきまして、昭和二十年の三月にまず任意団体の動員学徒援護会として設立をされたものでございます。その後、二十年の七月一日付で法人設立の認可を受けまして、財団法人勤労学徒援護会となり、その後勤労学生だけではなくて、広く学生全般の厚生、援護を行おうということで、二十二年の一月に財団法人学徒援護会と名称を改めまして、今日まで学生に対する幅広い厚生、援護の事業を行っているものでございます。
  61. 桑名義治

    桑名義治君 沿革の概略についてはいま御説明でわかったわけでございますが、現在のいわゆるこの財団法人が具体的にどういうふうな業務内容をしているのか、それについて説明願いたいと思います。
  62. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 現在援護会は、一つは、学生相談所の経営を通じていろいろな事業を行っております。学生相談所につきましては、東京、札幌、仙台、名古屋、京都、大阪、神戸、広島、松山、福岡、長崎、熊本、この十二地区に十三の学生相談所があるわけでございます。ここでアルバイトのあっせん、あるいは下宿、貸し間のあっせん、さらには経済上の問題であるとか、あるいは修学上の問題等に対する特別な相談に応ずると、あるいは学資金の短期の貸し付けをする、各地区において大学その他の協力を得まして、家庭教師やふす間張りなどのアルバイトに役立つ簡単な技能の講習会を開く、そういった学生相談所の事業が一つございます。  さらに、東京学生会館という、いわば寮を経営をいたしておりまして、ここに六百名の男子寮があるわけでございます。  それから、京都は学生センターと申しまして、いわば学生の研修所がございます。これは学生のセミナーや課外活動、あるいは宿泊の場を提供をしようというものでございます。  それに加えまして、昭和五十二年の十月末現在の数字でございますけれども、賛助会員校数四百十七校を数える学生教育研究災害傷害保険の業務を行っております。これは、学生が教育研究中に災害を受けた場合の傷害の保険でございまして、その取りまとめの事務をこの援護会が行っているわけでございます。
  63. 桑名義治

    桑名義治君 そこで、ちょっと援護会から直接は外れるかもしれませんが、現在の学生アルバイトと申しますか、学生がアルバイトをしながら通学をしている学生は全国的にどのくらいの数に上っているかという統計がございましたら、この二、三年の推移を御説明願いたいと思いますが。
  64. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 学生の生活実態につきましては、私どもはいわゆる学生生活調査ということを通じて調査をする以外にないわけでございます。最も新しい昭和五十一年度の学生生活調査、これは大学の昼間部のものでございますが、これによりますとアルバイトに従事したことのある大学生は全体の大学生の七九・一%に達しております。そのうち、家庭からの仕送りだけでは修学に困難なためにアルバイトをしているという者の数は、全大学生の三四・二%でございます。学生生活費に占めますアルバイト収入の比率は全体の約一八・一%、アルバイトの職種につきましては、家庭教師、軽労働、これはデパートの配達とか店員等が主でございますが、それが中心であるというのが現在の学生のアルバイトの実態でございます。
  65. 桑名義治

    桑名義治君 これは五十一年の数字ですが、五十二年の数字はございませんか。
  66. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 五十二年度の数字はまだございません。で、この前の調査のときと比較をいたしますと、アルバイトに従事をした学生の数はやや減っております。
  67. 桑名義治

    桑名義治君 こういう不況時になりまして、アルバイト学生が減ってきたというところはちょっと理解に苦しむ一面があるわけでございますけれども、まあいずれにしましても、この財団法人学徒援護会のいままでたどってきた沿革、あるいはまた、業務の内容が、非常に生活困窮をしておられる、そういった学生諸君たちの大きな力になっていることは事実だろうと、こういうふうに思うわけです。したがいまして、文部省としては今後このような財団法人学徒援護会をどのように発展をさしていくようにお考えになっていらっしゃるのか、あるいはまた、まあこの程度でいい、横ばいでいいというふうに認識をなさっておられるのか、認識度についてはどういうふうにお考えですか。
  68. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 学徒援護会はいま桑名委員御指摘のような、仕送りだけでは学資に困るという学生のためには大変意義のある仕事をしてくれているわけでございますので、昭和五十二年度当初予算で、事業費総額六億六千八百万円に対しまして、六億二千八百万円の国庫補助を計上いたしておりますが、五十三年度におきましても、六億八千七百万円の国庫補助を計上をいたしておりまして、事業の一層の充実文部省としても願いまして、こういう補助金増額をいたしたわけでございます。
  69. 桑名義治

    桑名義治君 そうしますと、財団法人学徒援護会と、それに連なるいわゆる雇用主協会との関係はどういうふうになっていますか。
  70. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) これは先ほど申しました学徒援護会の十二の地区に設けられました支部があるわけでございますが、そこでそれぞれ自主的に、いま御指摘になりましたような雇用主との間の協議会を設けて、そして事業の円滑な運営なり、あるいは援護会の事業に対する理解を求める等の活動をやっているものでございます。
  71. 桑名義治

    桑名義治君 確かに、いまの説明がありましたように、援護会と雇用主協会との関係というものは、スムーズにいっているとは思うんですけれども、この点はどういうふうに認識されていますか。
  72. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 各支部でそれぞれ御苦心をされているところだと承知をしております。全般にそれぞれの支部についての協会のいわば活動状況というのを詳細に把握をしているわけではございませんけれども、学徒援護会は創設当初からいろんな経緯をたどって今日に来ておりますし、現在のままのアルバイトのあっせんなり、あるいは下宿、貸し間のあっせんというようなことにとどまらないで、もう少し学生の全体の援助のために努力をしていかなければならないという認識を援護会の方々が持っているわけですし、そういう意味でそうしたそれぞれの地区における支部の努力というのは、これからも一層活発に続けられてほしいと考えています。
  73. 桑名義治

    桑名義治君 援護会が経営をしているいわゆる寮というのは東京だけですか。
  74. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) かつては各地区にあったわけでございますけれども、逐次整理をいたしまして、現在は東京の学生会館だけでございます。
  75. 桑名義治

    桑名義治君 私は学徒援護会の沿革なり、あるいは現在の業務内容なりを見た場合に、この寮はただ単に東京だけにとどまらず、たとえば大阪やら、京都、名古屋、福岡と、こういった主要都市にたくさんの学生が通学しているわけです。こういったところの大学というのはわりに大学の数も多いし、あるいは総合大学の数も多うございますし、アルバイトをしている学生の数も非常に多いわけでございますから、これはもうそれぞれの学校の持っている役目というものも当然ありましょうけれども、この財団法人学徒援護会が、やはりこういった時代的背景もあるわけですし、アルバイト学生がより一層安心して学生生活が送れるように、外面的から援助するという意味からも、そういった主要都市に寮をつくってあげるべきではないか、こういうように思うわけですが、大臣どのようにお考えですか。
  76. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 率直に申しまして、この学徒援護会は自己の経営する寮の管理をめぐって非常に苦い経験をいたしております。そのことはもちろん援護会の責任だけに帰することができるわけではございませんし、戦後長い間の経緯があった上でのことではございますけれども、なかなか寮に入っている者の十分な管理ができないというようなことがあって、むしろ援護会は英断をもってそれぞれの不正常な管理の状況にあった寮を逐次整理をしてきたわけでございます。ただ、整理をするということだけではなくて、先ほど申しました京都の学生センター、学生研修所につきましては、これは従来の古い寮を整理をいたしまして、それにかわるものとしてつくっているわけでございます。この研修所は先ほども申しましたように、もちろん宿泊の場の提供も可能でございます。寮ではございませんけれども、宿泊をしてそこで研修をするということができるようになっております。こういった新しい形の事業というものについては、私たちも注目をしておりますし、学徒援護会も意欲的になっているわけですけれども、まずこの京都の学生センターの運営の状況というものをもう少し見定めまして、その上で、学徒援護会の方にも今後の計画はあるようでございますけれども、私たちも、この京都の学生センターのような趣旨のものを増設をしていくということは考えていいことではあろうと思います。もちろんこれから検討をしていかなければならないことでございますが、各地に寮をつくるということについては、いま申しましたような経緯もありまして、なかなかにわかにその方向には進めがたいものがあるわけでございます。
  77. 桑名義治

    桑名義治君 そうしますと、東京のいわゆる学生寮というのもやっぱり不正常な形で運営されているということにつながるわけですか。それとも東京の学生寮はいわゆる正常な運営で非常に、大変に喜ばれているということですか、どうなんですか。
  78. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 東京の学生会館はきわめて正常に運営をされております。
  79. 桑名義治

    桑名義治君 そうしますと、そういう過去があったといいましても、現実に東京ではうまく運営をされている、その運営方式を何らかの形で敷衍し、そして、大都市にそういう形で学生の、いわゆるアルバイト学生が安心して、安いお金で下宿ができるような、そういう手当てを何らかの方法でとってやるということが、いわゆる学徒援護会の大きな目的に沿うことではなかろうかと、こういうふうに思うわけですが、やはりその点についてはいままでの経過の上から無理があるわけですか。
  80. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 各学生相談所で下宿、貸し間のあっせんというのは極力行っておりますし、そのことはこれからも進めるわけでございますが、学徒援護会が全国の主要都市に寮を建設をしていくという計画は、援護会自身も現在持っておりませんし、私たちも先ほど申し上げましたように、その計画を現時点で進めるという考えは持っていないわけでございます。
  81. 桑名義治

    桑名義治君 最近、私のところに福岡の方から協力会の会長さんが見えて、福岡の事務所が大変に老朽化してしまっているということで、十分な業務ができないような状況にあるのだということと、それから、アルバイトのあっせんをするという立場から申しまして、やはりもう少し業務の内容を拡充するために、事務所の改善はもちろんのこと、宿泊所もつくってやるべきじゃなかろうかというような強い意見があったんですよ。福岡の方はあまり宿泊場所はありませんけれども、いわゆるアルバイトについてはわりにスムーズにいっている。中には雇用主協会との話し合いでないところにアルバイトをあっせんして、そうして労賃がもらえなかったというようなトラブルもあるけれども、雇用主協会とうまくいっているアルバイトは順調に伸びている。しかし、そういった生徒の姿を見ながらしみじみ思うことは、少しでも安い値段で泊まれるようなところが、下宿できるようなところがあったらということを込めて、博多もひとつつくってもらいたいものだなという話があったわけです。全国的な沿革史も私実は取り寄せて、大体のところ読んでみたわけですが、そういういろいろないきさつから、宿泊所が東京一本にしぼられたということではございますが、できることならば、そういう宿泊所を各地につくることの方がむしろベターではなかろうか。そうして、援護会をさらに拡大をしていくということがこういう福祉にもつながっていくことになるのではなかろうか、こういうふうに考えたわけでございますが、大臣どうでしょうか。
  82. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 各地にそういった寮をみずから学徒援護会が経営をしていた時代があるわけでございます。そして、学徒援護会自身が大変な苦労をいたしました末、これを整理するについてもまた学徒援護会は大変苦い思いをしながら、大変な努力の中で東京だけに残し、また、京都の全く態容の違うセンターの建設にとどめたわけでございますから、そういった過去の経験からして、学徒援護会自身が各地に寮を建設するという計画をみずからお持ちになっていない。したがって、文部省としても学徒援護会にみずから寮を持って、それを経営をしていってもらうというような考えを持っていない。いま福岡の具体の例がございましたので、一度学徒援護会のそういった意見も聞いてみたい、その上で検討をいたしたいと思いますけれども、学徒援護会のいまやっております事業が伸びていきますことは好ましいことでございますが、むしろ一つ心配いたしておりますことは、同じような非常な商業的な競争相手が出てきてしまって、それに負けないように激励をし、援助をしていくことが私どもとしては非常に大事なことではないか、このように考えている、ちょうどそういう時期でございます。福岡の具体の例のお話がございましたので、学徒援護会の意見も改めて一度聞いてみたいと思います。その上で検討させていただきたいと思います。
  83. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 御指摘のございました福岡につきましては、五十三年度に施設は改修をする予定でございます。  それから、学生センターにつきましては、現在広島で計画中でございます。これも近く恐らく開設ができるようになると思います。そのことだけ付言をいたしておきます。
  84. 桑名義治

    桑名義治君 いずれにしましても、現在の財団法人学徒援護会というのは下宿、貸し間のあっせん、あるいは特別相談、あるいは学生資金の短期貸し付け、技能の講習、その他いろいろな業務に直接に携わっているわけでございますし、この一つ一つの業務というのは、今後の低成長時代におけるいわゆる学生生活というのは、非常に厳しいものが出てくるのではないかと思うのです。そういった意味でも援護会をさらに強化をし、予算付もしてあげて、そうして、少しでも働きながら学んでいる学生の一助ともなればと、こういう気持ちできょうはちょっと取り上げてみたわけでございますので、そういった趣旨を踏まえながら、さらに一段の御協力なり、あるいは強力な援助をお願いをして私の質問を終わりたいと思います。
  85. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) 文部省所管に対する本日の質疑はこの程度といたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後五時二十九分散会      —————・—————