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1978-03-31 第84回国会 参議院 予算委員会第五分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年三月三十一日(金曜日)    午前十時三分開会     ―――――――――――――    分科担当委員異動  三月三十日     辞任         補欠選任      立木  洋君     小巻 敏雄君  三月三十一日     辞任         補欠選任      山本 富雄君     降矢 敬義君      大塚  喬君     田中寿美子君      田中寿美子君     野田  哲君      松本 英一君     丸谷 金保君      藤原 房雄君     馬場  富君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     主 査         戸塚 進也君     副主査         望月 邦夫君     分科担当委員                 小澤 太郎君                 降矢 敬義君                 丸谷 金保君                 馬場  富君                 小巻 敏雄君                 野末 陳平君    国務大臣        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    加藤 武徳君    政府委員        自治大臣官房審        議官       砂子田 隆君        自治大臣官房会        計課長      中野  晟君        自治省行政局長  近藤 隆之君        自治省行政局公        務員部長     塩田  章君        自治省財政局長  山本  悟君        自治省税務局長  森岡  敞君        消防庁長官    林  忠雄君    説明員        警察庁警備局公        安第三課長    福井 与明君        大蔵省主計局主        計官       足立 和基君        文部省大学局学        生課長      浪貝 一良君        文部省管理局教        育施設部助成課        長        倉地 克次君        厚生省児童家庭        局企画課長    下村  健君        自治省財政局財        政課長      関根 則之君        会計検査院事務        総局第四局厚生        検査課長     仁村  甫君    参考人        日本住宅公団理        事        澤田 光英君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○昭和五十三年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付) ○昭和五十三年度特別会計予算内閣提出衆議院  送付) ○昭和五十三年度政府関係機関予算内閣提出、衆  議院送付)     ―――――――――――――
  2. 戸塚進也

    主査戸塚進也君) ただいまから予算委員会第五分科会を開会いたします。  分科担当委員異動について御報告いたします。  昨三十日、立木洋君が分科担当委員辞任され、その補欠として小巻敏雄君が選任されました。  また本日、松本英一君、大塚喬君、山本富雄君及び藤原房雄君が分科担当辞任され、その補欠として丸谷金保君、田中寿美子君、降矢敬義君及び馬場富君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 戸塚進也

    主査戸塚進也君) 参考人出席要求についてお諮りいたします。  昭和五十三年度総予算中、自治省所管審査のため、本日の分科会参考人として日本住宅公団理事澤田光英君の出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 戸塚進也

    主査戸塚進也君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  5. 戸塚進也

    主査戸塚進也君) 昭和五十三年度総予算中、自治省所管を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 丸谷金保

    丸谷金保君 最初に、自治体病院赤字問題についてお尋ね申し上げます。  福田総理は、先般来当委員会におきましても、国の財政投融資、これを有効に実施することによって景気浮揚七%が可能であるという見解を再三にわたって披瀝しております。そのことについては当然、地方自治体が大きな役割りを担うということも論議がされ尽くされたところでございますが、特に過疎市町村を中心にした病院赤字問題、これの解決がない限り、私はそうした市町村に対してどのような補助をつけても、裏負担ができないために返上せざるを得ないということになるのでなかろうか。すでに現実、各町村における五十三年度予算案編成状況を見ておりましても、そういう点が各所にあらわれております。あるいはまた、事業をこなすという予算案の中で過大な歳入を見積もって、この結果どうなるかということはもう責任を持てないというふうなことがしばしば理事者の口から出ているというふうなことも聞く次第でございます。それで、そういう点を踏まえて、自治体病院の問題について御質問申し上げたいと思います。  自治省報告によりますと、昭和五十一年度における自治体病院赤字額というのは約六百億と、四百五十九病院で六百億というふうな数字が発表されております。累積欠損金は二千百七十五億円。この数字は五十一年度末における数字でございますので、五十二年度の自治体病院財政決算の見込みについて、まずもってお知らせを願いたいと思います。
  7. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) ただいま、五十二年度の決算につきましては、各都道府県市町村からその決算状況を取っておるさなかでありますが、五十二年度につきましては、五十一年度よりもやや好転をするだろうという見通しを持っております。
  8. 丸谷金保

    丸谷金保君 自治体病院赤字の問題は、表にあらわれている数字ももちろんでございますが、私はこの中で特に問題であり大変だと思いますのは、例年の累積赤字が、そのもの自体累積赤字でなくて、実際には膨大な繰入金、これを入れてなおかつ起こっておる累積赤字。三年ほど前に一度、自治省の方では、病院赤字解消のための再建計画をそれぞれ提出させて、そしてこれに対する赤字債を発行して、解消についての具体的な取り組みを行っておりますが、実際にはもうほとんどそれらが役に立っていないというのが実情でないかと思います。たとえば五十一年度の赤字のほかに、収入の中で繰入金が七百五十一億もございます。これが五十一年度だけの七百五十一億ということであれば、また別の角度で見ることもできるかと思いますけれど、四十九年に七百二十億、五十年に七百二十二億というように、ほとんど自治体病院赤字一般会計からの繰り入れによって恒常的に行わなければならないと、こういう事態に立ち至っている。これに対して、ひとつ自治省としてはどういう今後対処をするお考えか、お伺いいたしたいと思います。
  9. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) 一般的に公営企業全体の問題でありますが、自分のところの経営収入でとても賄い切れないという経費がございましたり、あるいはどんなに能率的な運営をいたしましても、その収入上げることができないというものに対しましては、法律繰り出し一般会計からするようにということが定められておるわけでございます。それに従いまして、地方財政計画の中で、たとえば五十一年度でありますれば一千三百八十三億の繰り出しをするような財政計画が立っておるわけであります。それに従いまして各公共団体がそれに基づく一般会計からの支出をすることになるわけでありますが、お話のとおり、現実には、この地方財政計画に定められました繰出額よりも、公共団体全体で合計をしてみますと、その額を超える額が繰り出されていることも事実であります。  ただ、この繰り出されているものに関しましては、自治省といたしましても、単にこれを繰り出しているという実態を見ているわけではございませんで、御案内のとおり、先生、池田でおられていろんなことを御存じだとは思いますが、交付税措置によりまして繰り出しをしてみましたり、あるいは特別交付税繰り出してみましたり、いろんなかっこうでこの財源の補てんをやっているわけです。そういう意味では、一般的に全体的に病院自体の問題といたしましては、五十一年度の決算を見ますと、かなり好転をしているというふうに見受けているわけですが、これはもちろん社会診療報酬改定の問題がございましたり、あるいは人件費伸びが少なかったということも中の要因であろうと思いますが、法律上定められた繰出金につきましては、やはり適正に各公共団体公営企業の方に繰り出していただくということがやはり筋ではなかろうかというふうに考えております。
  10. 丸谷金保

    丸谷金保君 実はごく最近ですが、北海道町村会長から陳情が参っております。その要旨は、地域医療対策充実強化についてということで、まだまだ過疎市町村においては医師不足看護婦不足その他非常に困っております。それで、特に自治体病院の財政安定のための抜本的な対策及び緊急対策についての確立を国の方で措置していただきたい。それから、不採算医療運営費に対する国庫負担制度としてひとつ確立してほしい。それから、医師看護婦確保地域医療の不均衡というふうな問題の是正。自治省としては全国をできるだけ一つの水準で平均化した行政が行われるようにと、日夜努力をしておるわけでございますが、こういった希望というのは、いまここに北海道町村会陳情事項持ち合わせておりますが、全国町村長大会においても毎年繰り返し取り上げられて、自治省に対して強く要望しておるところでございます。  ところが、実際には赤字に対する財源対策としては、特別交付税の中で勘案してもらうというふうなこと以外には、恒常的に国がめんどうを見るという制度確立しておりません。これらに対して自治省は、それぞれ大蔵省なり厚生省との間でどんな話をしているか、あるいはそういう再三の陳情に対して、そういうことについてのアクションを起こしているのかいないのか。この点についてひとつ御答弁願いたい。
  11. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) 地域医療確保するということは、お話しのとおり、住民福祉を増進する上できわめて重要なことでありますことは申すまでもないことでございます。  ただ、自治体病院だけで全体の医療行為ということをすることは大変むずかしい問題もありますから、基本的には国立なり公立なりあるいは日赤、済生会というふうな公的な病院、あるいは私的な病院を通じまして、おのおのがやはり適切に機能分担が行われるような地域医療体系を組まない限り、しわ寄せが公共団体に来るということになろうかと思います。そういう意味では、公共団体に対するいろいろな意味での国庫補助制度というのがなされるべきでもあろうと思いますし、そのために、そういう国庫補助増額につきまして、私たちの方といたしましては、厚生省にそのたびに強く要望をいたしてきているところでもあります。  そこで、先ほどお話がありましたが、自治省といたしましても、そういう不採算地区でありますとか、あるいは僻地診療所でありますとか、あるいは救急でありますとか、そういうものにつきまして、拱手傍観をしているわけではございませんで、たとえば五十一年度からことしの交付税措置額といたしましても、約百億を超える額を実は交付税措置としてとってきているわけであります。この額の伸び方というのは他の措置よりも大変多い額でございまして、そういう形の中で、少なくとも財政力の弱い町村につきましては、何らかの措置をやはり自治省としてはしていかなきゃならぬだろうということで、年々交付税の中でそれを見ていくという形をとってきているわけです。  もちろん厚生省におきましても、特殊診療部門運営費として、不採算地区に対する補助金をことしも二〇%以上増額いたしましたり、あるいは救急医療につきましても何らかの措置をいたしましたり、がんの診療につきましてもやはり補助の拡大を図っているようでありまして、あらゆる面から、やはりこの病院事業というのが、住民福祉がかなえられますように私たちも願っているところであります。
  12. 丸谷金保

    丸谷金保君 お言葉を返すようでございますけれども、いまの御答弁を聞いておりまして、十年来同じことを繰り返して自治省では言っているんではないかと、毎年同じような話、地域医療確立のためにそれぞれの公立病院の有機的な利用方法とか、あるいはいろいろそういう点についてはセンター病院とかいろいろ言っております。しかし、少なくとも北海道のような過疎町村の多いところで、センター病院というのはちっとも進んでないんです。これは一体どういう都道府県に対する指導をしておるのか。具体的にちっとも進んでおりませんよ、そういうお話は毎年繰り返して出ますけれども。北海道でそういう過疎地域センター病院的なものにして、過疎医療対策に具体的に取り組んでうまくいっているところがあったらひとつ御指摘いただきたいんですが。
  13. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) 病院全体の先ほど申し上げました地域医療関係につきましては、どうもあるいはおしかりを受けるかもしれませんが、自治省といたしましては、少なくとも市町村病院財政状態がどうかという観点からしかとらえられませんで、一般的な地域医療あるいは病院のそういう機能分担、そういうものに対してはやはり厚生省の方が病院全体の把握をしておりますし、そういう面から国が国庫補助をしているわけでして、自治省がやはり持っている財源というのは交付税措置しかないわけですから、その中で増額を図っていくというほか自治省としては手がないわけでございます。それ以外の、やはり病院全体にかかる問題、過疎病院の問題、あるいは過疎診療所の問題につきましても、やはり国庫増額を図るというのであれば、本来厚生省の問題でもありますので、私の方から厚生省の方へ強くそういう部門についての国庫補助増額を要求しているということを申し上げたいわけでございます。
  14. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうすると、簡単に言うと地域医療の問題については、財源以外のことについては自治省としては手がない、打つ手がないんだと、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  15. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) 非常に簡単に申し上げればそういうことになろうと思います。
  16. 丸谷金保

    丸谷金保君 大変正直な御答弁をいただいて……。  そこで今度は、それじゃ財源問題だけに入るんですが、町村の名前は申し上げませんが、大体財政力指数が一六くらいの、まあ北海道としてはやや中くらいのところを一つとって申し上げますと、町税の総収入が一億六千万で、病院への繰り出しが毎年八千万ずつ。それで、これは自治大臣にお願いします。そういう町村補助金をつけたりなんかしても事業ができるとお思いになりますか。病院に半分取られちゃうんです。
  17. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 自治体経営しております病院状況につきましては、あるいは診療所の姿につきましては、丸谷委員地方行政を担当した御経験をお持ちで、大変な苦労をしておりますことを私自身もよく承知をいたしております。そこで、自治省といたしましてのできるだけの財政措置をやってまいりますと同時に、また救急医療でありますとか僻地医療でありますとか、あるいは看護婦の養成でありますとか、かような部門につきましては、厚生省補助金を出します措置をとっておるのでありますから、毎年できるだけの措置を願いたいと、かような要望をしてまいっておりまして、先ほど審議官報告をいたしましたように、逐年補助金なりあるいは自治省財政措置が進んではおりますものの、しかし大変でありますことはよく承知をいたしております。そこで、経営内容のよろしからざる病院等におきましては、御承知のように、不良債務のたな上げ措置をとりまして対処いたしているところでございまして、もとより病院自身経営改善努力も必要でございますが、しかし、私どもとしてできますことも今後最大限にやってまいりまして、できるだけ負担を軽くいたしたいと、かような根本の考えでこれからもやってまいるつもりであります。
  18. 丸谷金保

    丸谷金保君 できるだけ負担軽減を図るとおっしゃるんですが、実はその負債たな上げも、一回やったきりでもう焼け石に水というのが実情でございます。そうすると、もう一度病院再建計画を立てさせて負債のたな上げをするというふうなお考えでございますか、その後に出ているものについて。
  19. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 病院によって異なりますけれども、いままでたな上げ処置を二回やってまいっておりまして、そして経営内容のよろしくない不良債務を抱えておりまするところは、それをどのように改善していくか、かような健全化計画を持っておるはずでございまして、さらに改めてのたな上げをやるかどうかと、かような御質問でございますけれども、いまの基本の考え方といたしましては、策定をいたしておりまする健全化計画を着実にこなしてまいりますことが当面の課題でございまして、さような努力を積み重ねてまいりまする間で、さらに今後いかなる必要性が生じてくるか、かようなことは次の段階といたしまして慎重に考えていくべきだと、かように考えております。
  20. 丸谷金保

    丸谷金保君 まあ、自治体赤字債再建計画によって、再建計画そのものが実行されれば解消していく、確かにそのことについてはそのとおりだと思うんです。四十八年なり四十九年に行ったこの計画は、そのとおり恐らく各町村とも確実に実行しております。大体実行しておると思います。しかし、それは確実に実行するんですけれども、もう五十年、五十一年、五十二年と年間七百億も繰り出しをしながら、なおかつ累積赤字が二千億も出ているというふうな実態になってきているわけです。この実態をどういうふうに踏まえるかということを私は御質問申し上げているわけです。このことに対する実は御答弁になっていないような気がいたしますので、再度、これは自治大臣からということになると大変むずかしいこともあるかと思いますので、審議官自治省としての考え方としてひとつこれらに対して……。
  21. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) 公立病院経営自身は、先ほど申し上げましたように、逐年財政措置強化によりまして経営合理化が図られてまいりました関係上、先ほど申し上げましたようなかっこう好転をしていることは事実でございます。七百十の団体がございますうちに、いま不良債務を抱えておるというところは三百十五でございまして、もう過半数を割ってしまったかっこうになりますので、過半数の大体の市町村においてはおおむね良好な状態に入ってきていると推察できるわけであります。これは、先ほど大臣からお話申し上げましたように、四十七年なり四十八年なりの二回の不良債務のたな上げの結果と、社会診療報酬改定と、あるいは人件費伸びがわりあい少なかったということに私は起因しているんだと思いますが、全体としてこれを見てみますと、個々の病院はそれぞれの実態を有しているとは思いますけれども、最近はその状況が両極に分化しているように感じております。すなわち、経営主体別に見ますと、経営状況悪化をしている病院につきましては、一般病院――結核病院でありますとか、精神病院というのは除きまして、一般病院に見てみますと、都道府県なりあるいは指定都市あるいは一部の市におきまして、そういう経営悪化が見られる反面、町村や組合の病院というのはわりあいに総収益対総費用が一〇〇%を上回っておりまして、大半が収支均衡を維持しているようであります。で、また地域別に見ますと、特定の道府県に経営状況の悪い病院が偏在をしておりまして、北海道でありますとか青森県あるいは山形県におきましては医師確保に問題があること、あるいは僻地医療という問題が高いことから、一般会計からの繰り入れが必ずしも適切に行われていないということも含みまして、そういうことが主要な原因になりまして悪化をしているというのが一つでございます。それから、もう一つは大阪府なりあるいは兵庫県なりあるいは埼玉県などのような大都市圏においてむしろ給与費が非常に高いということで、この経営状態悪化しているということが見受けられるように見えます。  そこで、これらの問題につきましては、ある程度公共団体が、自分たちのやはり病院であるということで、これについての経営努力あるいは合理化努力を図ってきたわけでもありますから、他の病院につきましても、国であるいは自治省でできる範囲の財政措置の中でてこ入れをすれば直るんだというのでありますと、てこ入れをしても私は構わないと思いますが、一般的にある程度収支比率が非常に悪い、不良債務率が非常に高いというのであれば、これは議会なり公共団体の中で少し議論をしていただきまして、やはり、その中で準用再建適用を受けるなり、そういうことによってある程度この経営を切り抜けていかなければならないのではなかろうかという感じがいたします。
  22. 丸谷金保

    丸谷金保君 私がいまお聞きしているのは、そういう一般論でなくて、現実に起きている、再建計画を出した後にさらに赤字がふえてきている、これらに対して再度負債たな上げという措置を講じるというお考えをお持ちかどうかと。これは大臣から言うと大変な問題なので、審議官としてはそういうことについてのお考えをお持ちかどうか。
  23. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) 私の方としては、ただいま申し上げましたように、ある程度てこ入れするのはやむを得ないといたしましても、一般的には準用再建適用を受けてその改善を図ってほしいと申し上げましたのは、当分、私の方としてはいまのところ再建債を発行して不良債務のたな上げをするということは考えていないということを申し上げたわけでございます。
  24. 丸谷金保

    丸谷金保君 そういうことが、まあ結局はやってみたけれどもうまくいかなかったということになると思うんです。そういう方法では、何度再建債を貸し付けて計画上げさせてその計画が実行されても、その次の年度から起きてくる赤字には及ばない。  そこで当初に戻りますけれど、特にいまお話のありましたような北海道とか東北、過疎地を多く含んでいる地域においては、これはもう大変な問題なんです。これをそうしたいわゆる公営企業法の枠の中で措置するということはもはや不可能になってきていると、こういう御認識はお持ちでございますね。いかがでしょうか。
  25. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) まあ、これはどうお答えをしたらよろしいのかあれですが、まあ、僻地なりあるいは離島なり山間なり、いろんなところがあるわけでございますが、それなりに経営合理化をやっておりまして、うまく病院経営をやっているところもあるわけでございますから、それに見習ってある程度やれるところはやっていただかなきゃならぬと思いますが、基本的に、本来、先ほど一番先に申し上げましたように、どんなに能率的にやってもだめだ、あるいは経常の収支をもってしてもとても賄い切れないというところにつきましては、やはり何らかのてこ入れをしない限り、これは経営状態がよくなるということはないんだと思います。
  26. 丸谷金保

    丸谷金保君 実は表面上出てくるトータルでうまくいっているということが必ずしも経営が正常な形でうまくいっているんじゃないんです。たとえば、いま申し上げました北海道のある町村、これは人口五千に満たない町村です。それで財政力指数は中くらいなところなんですから、中庸なところととっていただいた一例を申し上げたわけですけれど、一億六千万の町税。これはもう町民税から固定資産税から電気・ガス税まで入れた全部の洗いざらいの税です。そのうち病院に半分の八千万繰り入れている。毎年入れているんです。そのために、ここは繰り越し負債というのは四千万しかないんです。そうすると、大変これはうまくいっているというふうにおたくの方には上がってくるんです、おたくのサイドで見ますと。ですから、うまくいっているところがあるといっても、うまくいっているところの実態を見ますと、医療収入で特に過疎地町村のうまくいっているというのは、別な形の財源補てんをしているから病院経営がうまくいっているというふうに見えるだけで、何にもうまくいっているところはないんですよ。ここら辺の把握が、どうも、東京まで出てきますと、表情で見てランクをつけていく、赤字がどんどんどんどんふえているところはこれはどうもうまくないと。ただし、そうは言いましても、財政規模にもよります。大都市において、ベッド数の割合からきわめて効率の上がらない赤字の多い市立病院なんかもございますけれども、これらは、もう財政規模の大きいところですと、年間に一億や二億の赤字が出ても、それは何百億という中からの繰り出しその他でこなしていけるというところと、いま私の申し上げたような、形はうまくいっているように見えても、実態はもう四苦八苦の町村が、私は少なくとも過疎指定町村においては全部だと思うんです。こういう過疎指定町村の中における医療の問題、これらを何か柱を立ててすきっとやるような、そういうお考えをお持ちですか。審議官にお聞きしてもちょっと無理かと思いますが、これは大臣でも、あるいはあと……、ちょっと困りましたね、これ。大臣よりあと御答弁できる人いないんで……。何かひとつ、ここら辺どうなんでしょうか。
  27. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) いまお話がございましたが、やはり繰り入れをしたり、大変な御無理をしているという町村も確かにこれはあるに違いありませんが、やはり、そんなに繰り入れをしなくても、法で定められた繰り出しをしながら収支状態がきわめてバランスよくいっているという町村もございまして、そういうことを見てみますと、やはりいろんな意味での経営努力が公共企業体にも、公共企業体と申しますか、公共団体自身にも求められてもこれはやむを得ない点もあろうと思います。ただ、先ほどから申し上げておりますように、過疎であるとか僻地であるとかいう問題について、私たちがこれをないがしろにしているわけではありませんで、そういう意味で、自治省かできる範囲の中で――実は、僻地不採算部門に係る病院については、本年度も、一床当たり十八万円でありました単価を二十二万円まで引き上げるとか、いろんな方法をとりながら、私たちができる財政の措置の中ではやってきたつもりでいるわけです。それと、あとなかなかいかないという話になりますと、やはり全体の病院の組み方の今度は議論になってまいりまして、それは先ほど一番先に申し上げましたように、どうも厚生省医療体系の中に組み入れて、全体的に住民福祉を図られるようにしない限りは、医療体系としてはうまくいかないのではなかろうかという感じがいたします。   〔主査退席、副主査着席〕
  28. 丸谷金保

    丸谷金保君 認識の違いがあるんですが、たとえばそういう過疎地町村病院でもうまくいっているところがある。表上そういうのがあります。しかしこれは特殊な例なんです、むしろうまくいっている方が。たとえば、大変例として適切でないんですが、私たちもうまくやった時代があります。これはある時期病院は新築しない、古いままだ、減価償却は全部済んでいます、医療器具は一切買わない、こういうことで、いろんな点でそういう無理をしてうまくやっている時期というのはあるんです。しかし、こんなことは長続きするものではないんです。よそがどんどん新しくすればどうしたって新しい病院にしなければなりません。そうしますと、いまの状態の中では患者の数がふえるほど赤字がふえているのは御存じでしょうね、大体正比例して。これはもちろん厚生省の問題だと思います。思いますが、自治体病院に関する限り自治省に責任があるんですから、それでもやめられない過疎地町村に対して、経営がうまくいっているところもあるんだからもっと努力すべきだということには私はならぬと思いますよ。一つ一つ行ってごらんになれば、むしろうまくいっているところというのは非常な無理をしている、正常でないところだというふうに御理解をし直していただくわけにまいりませんか。もしそれがいけないんなら、実態を今度私は洗いざらい、うまくいっているところ出してもらって、私が行って調査して、どうしてうまくいっているかという原因を逆に突きとめてもいいと思いますよ。
  29. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) 先ほどから何回も申し上げておりますとおり、過疎地なり僻地なりについて、ぼくたちの方がこれをないがしろにしているわけでもございませんで、それなりのことをやってきたつもりでおります。ただ、現実にはなかなか収支が相償わないというのが現状だろうと思いますが、たとえば先ほどお話がございましたように、一億六千万の税収しかないところが八千万も繰り出しをしている現実はどうなのかという話になりますと、果たしてその地域でその町村自身病院を持つことに対する問題が相当出てきやしないだろうかと私は思うわけです。むしろそういうのであれば、北海道お話でございましたので、道庁との話し合いの中で、どういうふうに道とジョイントをして病院経営をするかということを考えるとか、いろんなことをやはり考えていかなきゃならぬものではなかろうかと思うわけです。そうしませんと、いつまでたちましても公共団体自身病院のためにだけ圧迫されてしまうということが私は起きるだろうと思います。そういう何かやはりみんなで知恵を出し合いながらそういうことを切り抜けていくという方式をやはり考えていくべき時期にも来ていますし、先ほどから申し上げておりますように、そのための地域医療全体の体系的な仕組みをどういうふうに組んでいくのかというのがむしろこの際は問題になるだろうという気がいたします。
  30. 丸谷金保

    丸谷金保君 一般論でお答えになるので、それでやむを得ないのだと思いますが、たとえばいま私が例に挙げているところ、日本海の人口五千足らずの町村です。道の出先機関のある留萌、ここまでは百キロも離れているんです。稚内にも同じく百キロ。しかも冬期間は汽車もよくとまりますし、交通も途絶するということもしょっちゅうあります。近隣の町村といっても、もう隣から隣の村は大変なんです。ですから、どんなに言われたって病院をやめるわけにいかない。病院をやめるということはもう町をなくするということにつながるわけですよ。だからそういうところを自治省として、ここはどうしても残さなきゃならないところだという実態を踏まえた指導ができないのか。道はもうお手上げですよ。いろいろ言ってみたって結局はそうできないという実態は道自体の方がよくわかっていますから。そしてそれをやめる方法はあるのです、道立病院を建ててくれりゃいいんです。ところが道立の診療所なんかむしろどんどん撤退しているんですから、御存じですわね、そのことは。そうして道の診療所が撤退したあと、やむなく町村が引き受けて町立病院にしたというところが多いんです。ですからそれは道が口を入れられますか。自分たちの方が撤退しておいてあと仕方がないから町村がやったのに対して、道が指導性を発揮できると思いますか、どうですか。
  31. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) どうもお言葉を返して恐縮ですが、どうも道ができないのを自治省がやれというのもこれは大変むずかしい問題でございまして、やっぱり私たちの方は、一つ自治体が形成されている以上はなるべく自治体の中で問題を解決する。それに対して私の方がお手伝いをしていくという形をとるのがいまのシステムの中では私は妥当な方向だと思うわけです。おっしゃられるように、この町村にそういう診療所を置くべきであるという議論は、私確かにあると思います。  それで、先ほど申し上げましたように、そういうものとの連携をとりながら何かうまい地域医療の体系をとらなければ、結局住民福祉がおくれてしまうということになるわけですから、そういう医療体系の組み方を道の中で、道の立の問題だけじゃなくて、日赤も共済会も、市町村みんな合わせた一つの体系の仕組みの中でこれをやっていかなければ、自治省がこれをやれと言ったところで、何か自治省自身医療技術を持っているわけじゃございませんので、なかなかこれはうまくいかないのだと、私は思います。
  32. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうすると、赤字のたな上げについても、当分の間は自治省としては再度行うということはなかなか困難だ、何ぼやっても焼け石に水だろうと。それから累積してくる赤字、あるいは一般会計からの繰り出しによって病院の債務を消しておるというふうなところについても、現行交付税なり特交なりで見ている以上のことというのはなかなか不可能だと。さらにまた、そういうところが医療体制の改革を行って地域センターのようなものにして合理化した経営にしていくというふうなことを道を中心にして指導をするという、まず地域地域の問題を解決していくということが先で、自治省というのは元来地方自治法に基づいてそういうところに対して助言をし、応援をすると、命令をする機関じゃないと。だから、やはり地域住民がどんなに赤字で、一般財源を食ってほかの下水や道路ができなくても病院は大事だから守っていこうじゃないかという限りにおいては、それもそういうことが地方自治だと、こういうふうに踏まえてよろしゅうございますか。
  33. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) どうも若干誤解をされているようでございますので、ちょっと申し上げておきたいと思いますが、私はそういうことを申し上げているわけじゃございませんで、公共団体自身がそういう赤字解消のためにいろんな努力をなされておる。それは、たとえば準用再建のような形で持ってくるなら交付税措置をしておりまして、いまでもそういうふうにやっておるわけですが、公共団体でそういう法律上の準用再建適用を受けるならば、その返還不良債務につきまして半分は交付税で見るという措置までいまとっているわけです。そういうことをとりながら、ともかく公共団体でやりたいということをなるべく陰に回っていろんな援助をしていきたいということを申し上げておるんで、そっちはそっちでやりなさいということを申し上げているつもりではないことでございますので、その点だけ申し上げておきたいと思います。
  34. 丸谷金保

    丸谷金保君 大臣、以上のようなことで非常に困っているんです。それでどんなに国の方で財政投融資で景気を復活すると言っても、特に開発事業のおくれておる過疎地においては、せっかくつけてくれた補助金も完全にこなせないというのは、この自治体病院一つ持っている町村だけ見ましても計算上で出てこない、そして出てくるとすれば、それは必ずたとえば自治体病院赤字はそのままにしておいて、一般会計一般会計財源の中のバランスをとって事業をやっていこう、こういうふうなやりくりをやっていかざるを得ない、こういうふうな状態です。それもまだ最近までよかったんです。しかし、ここへ来て縁故債が非常にふえました。そうすると、もう金融機関が自治体にそう安易にいままでのようにお金を貸さない事態が、もう五十三年度私は各地で出てくるんじゃないかと思います。そのときにいまのようなお答えだけでは町村はやり切れないことになるんで、これらについて、自治大臣としてそうした過疎地域赤字で苦しむ病院を抱えた市町村に対する温かいひとつ御答弁をお願いいたしたいと思います。
  35. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 私事で恐縮でございますが、私も県の国保連合会の理事長をずっと長くいまもやっておりまして、また全国組織の理事も仰せつかっておるのでありますが、丸谷委員も御経験深いことでございますからよく御承知でございまして、岡山県のような比較的財政的にいいところはまあどうにかなっておるんだろうという見方がされがちでございますけれども、県の北部の過疎地で、病院診療所持ちまして非常に苦労している模様をつぶさに承知をいたしております。北海道の広大な地域で人口過疎の地におきましても、医療水準だけはできるだけ高めて確保してまいりますことが地域の皆さん方の幸せのためには必要であるのでございますから、そう軽々に病院診療所赤字が多いからといって廃止などということは考うべくもないことでございます。それでありますだけに、大変な苦労をしていらっしゃるのでございまして、そこで自治省といたしましては、できるだけのことをこれからもしていかなければなりませんし、また厚生省医療を直接に担当しており、補助金なども出していらっしゃるのでありますから、厚生省等に対しましても今後分厚い処置をとってまいると、このことを最大限にやっていかなければならぬ、こういうぐあいに医療に関しては基本的に思います。  ところで、丸谷委員が御指摘の点は、病院なり診療所に金を食われてしまって、そのためにやりたい事業がやりにくいではないか、かような問題提起でございまして、私はまさにそういう悩みがきわめて深刻であろうと思います。そこで、公共事業をおやりになりまする場合には、その裏負担の起債は全額国が見てまいりましょうと、こういう体制をとっておりますし、それからその金も、地元の銀行と話し合いをいたすのでは財政力も弱く、かつまた交渉にも手間がかかり、迫力が足らない点があり、したがって条件も勢い悪くなりがちでございますから、今回の処置といたしましては町村分に関しましては全額を国の金で見ていく、政府資金で見る、こういう体制をとりました。それから単独事業をこなしていかれます場合も、町村独自でやりにくい場合には都道府県が全面的にこれをバックアップしてやってもらう、こういう体制もとっておるのでございまして、市町村といたしましては病院に金をずいぶん食うからということで他の事業を見送ったりするよううなことはできない、あの道路もやらなきやならぬ、この河川改修もやりたい、学校の改築もやっていかなきゃならぬ、保育所や幼稚園もつくっていかなきゃならぬ。こういう大変な問題を抱えておるのでありますから、これに支障がないように最大のバックアップをしてまいると、かような決意でございます。
  36. 丸谷金保

    丸谷金保君 大変力強い大臣の御答弁をいただいて意を強くしているわけでございますが、それで、冒頭私が申し上げました、ことしは何とかなるけど、後はどうなるかわからないという、理事者の先き行きに対して全く財政のめどの立たない実は発言が至るところで行われている。恐らく議会の答弁等を調べてみると、公式の場でもきっとあれだけふだん的に話がそういう形で出ているくらいですから、出ている町村もあるんじゃないかと思います。これは公式に私傍聴しておりませんので聞いてませんが、恐らく出ていると思います。市町村の議員の質問に対して、じゃあこんなに借金してこれだけ事業をやって、この金どうなるんだということに対しては、明快な答弁のできる市町村長は余りいないんじゃないかと思う。それは何とかまた後は後で国がめんどう見てくれるだろうと、こういう考えで五十三年度の予算が発車しているということをひとつ大臣よくこの機会に御認識をしておいていただきたいと思います。  それで、病院赤字問題はひとまず終わりますが、また後ちょっと関連して出てくるかと思いますんで、ラスパイレスの関係です。  一昨年ずっと各町村を回っておりまして、各地でラスパイレスの高いところについては特交や過疎債を考える、言うなればチェックするということを公式の、これは北海道の場合は助役会です。各地の助役会で、一昨年十一月、道の地方課から来て自治省の見解としてそういう発言がなされておるんですが、この点について、そういうふうにラスパイレス問題を特別交付税なり過疎債なりに結びつけるということが法的にできるものですか。
  37. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 特別交付税の配分は財政局の方でやっておりますので、必ずしも私の方で適切なお答えができかねるわけでございますけれども、ラスパイレスの示す資料は私の方から財政局の方に回しております。財政局の方でそれを参考にして特別交付税の作業をやっておるというふうに聞いておりますが、それは、特別交付税の配分に当たりまして、いまのお話のございました法的にそういうことができるかどうかという法律上の問題ではなくて、実際上の配分に当たっての事実上の配慮というような形で行われておるというふうに了解しております。
  38. 丸谷金保

    丸谷金保君 財政局来ておりますか。――ちょっとそうするとこれは答えにならない。  それじゃ、財政局が来る前にもう一つお伺いしますが、特別交付税というのは税ですわね。税というのは、税制に定められた形において配分されますでしょう。このことは原則ですわね。そうすると、そういう基準なり根拠がきちんとしないで運営上配慮が行えるものかどうかということを基本的にひとつ御答弁願います。
  39. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 御承知のように、特別交付税はいわゆる交付税の中の六%を財源にしてやっておりまして、これは普通交付税で見ております需要以外の特別な需要に対して対応するということで認められた制度でございますから、通常の普通交付税で見られるような需要に対応し切れない問題を個々に取り上げて対応していくという性質のものでございます。したがいまして、何と申しますか、ラスパイレスの高いところに云々というような問題につきましても、そういったいろんな需要、特別な需要があって特別交付税要望がある。一方、その当該団体が国家公務員等と対比しまして高い給料を支払っている、高い給与水準を持っているというような場合には、そういった点についての給与水準の適正化という配慮もあってしかるべきじゃないかということもまた一方言えるわけでございますが、そういう意味での配慮ということでございまして、法的に結びつくとかなんとか、そういうことではないというふうに思います。
  40. 丸谷金保

    丸谷金保君 これは財政局の問題だと言えばそれまでですが、しかし、これは一般論として、税の体系の組み方からいって、特別交付税も――交付金じゃないんです、交付税なんです。そうすると、当年度に予定されなかった災害その他いろんな財政事情が出てきて、それを最終的に、とってある六%で調整するということでございますね。ですからそれには、こういう場合にとってある調整財源の六%を回すんだということが明確になっておるはずでしょう。それがやみくもじゃないはずなんです。その中に、ラスパイレスの高いところは削るんだということがあるかどうかということを聞いているんです。
  41. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 先ほど申し上げましたように、特別交付税で対応する場合にどういうものに対応するかというのは、普通交付税とは違いますから法律で決まっておるわけじゃございませんが、自治省の中で、災害の場合にはこういうやり方をする、あるいは雪が降った場合にはこういう対応をするというようないわゆるルール分と称するものがございます。それは、そのルールの計算に基づきまして、もちろん全体の六%の枠の中ですけれども、その枠の中でルール分からまず算定をして配付をしていくというやり方をしております。そのルールを決める場合に、ラスパイレスが高い場合には幾ら引くというようなそういうルールはつくっておりません。
  42. 丸谷金保

    丸谷金保君 大変重要な問題なんですが、――いいですか、いま言う調整財源としての六%、これは法的な根拠によって配分の細則を自治省の内部で決めなさいということであって、法を無視して勝手にやれるべき性質のものじゃないんじゃないですか。そのことを私は聞いているのです。法的な根拠は必要なんでしょう。
  43. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 基本的に法律に基づくべきものであることはもうこれは当然でございます。
  44. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうですわね。そうしますと、法律に基づいてその配分を任されている自治省の中で――一定の基準に従ってということは必ず法の中にありますね。そうすると、その中にもしも、災害とか病院赤字とか、いろんな基準を、その年によって違うでしょうが、自治省つくりますわね。それで、それによって全国公平に配分するわけでしょう。そうですね。その中に、ラスパイレスの高いところから引くという基準が入っていなかったら、あなたがいま言われたように、配慮するというのはどういうことなんですか。
  45. 塩田章

    政府委員(塩田章君) どうも具体的な配分の仕方を私ちょっと的確に御説明できませんけれども、いろんな特別な需要というものがたくさんございますですね。それで、その六%で、もちろん各団体要望を足せばとても足らないわけです。したがって基準をつくってやっていくということになるわけですが、その基準をつくってやっていきましても、とても全体の需要に対応し切れないというような場合に、たとえばいわゆるよく言われるギャンブルの収入があればそれは差し引きますというようなことをやっておりますですね。それはやはりその団体にそれだけの別個の余裕があるじゃないかというような意味で引かれるわけですね。そういうような意味で、ラスパイレスが高いということもやっぱり、団体の給与運営面で見た場合に、まあ余裕があると申しては当たらないかもしれませんが、少なくとも国の給与水準より高いものを出しているというような場合には、減額の要素として考えてもいいのじゃないかというふうに考えられるわけでございます。
  46. 丸谷金保

    丸谷金保君 財政局おいでになりましたか。――もう時間かなくなってくるのでその問題はそれじゃちょっとおいておきます。   〔副主査退席、主査着席〕  そうしますと、ラスパイレスが高い場合には特交その他は考慮するのだというふうなことは、一体財政局がそういうことを都道府県に流すのですか。それとも公務員課の方ですか。どちらです。
  47. 塩田章

    政府委員(塩田章君) どうも私の答弁が的確でなくて恐縮ですが、そういうことは、特別交付税上ラスパイレスを配慮して引きますというようなことは流しておりません。それはいわゆるルールとしてやっておることじゃございませんので、そういう意味で、財政局が来たらわかりますけれども、そういうことがルールとして流れておることはないと思います。
  48. 丸谷金保

    丸谷金保君 それじゃ、何か奥歯に物がはさまったような答弁をされるので非常に心外なんですが、自治省として、ラスパイレスが高い市町村に対して特交、過疎債その他についてチェックするというふうなことを都道府県に指示したことはないと、このように確認してよろしゅうございますか。大事なところなんですからしっかりひとつ答弁してください。
  49. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 公務員部としてはございません。自治省としては、ちょっといま財政局が来てからにしていただきたいと思います。
  50. 丸谷金保

    丸谷金保君 私は、いろんな法制的な問題を調べてみまして、あり得ないと思っているんです。交付税は税ですし、あるとすれば公に都道府県なり市町村に次官通達が出るはずです。たとえばプラスアルファ、このときは出ましたわね。これはもう明らかに、そういう市町村の特交はチェックしますよと、期末手当を高く出しているところ、こういうところについては出ました。で、ラスパイレスについては出ていないんですよ、私の知る範囲で。それが、都道府県市町村を指導する場合に、暗にチェックするがごとき言葉が流れているんです。ですから、私はそういうことはあり得ないと思うんで、きょうここでそのことを確認をいたしたいと思います。
  51. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 次官命で出ます通達等におきましては、当然私どもも合い議を受けておりますから知っておりますが、そういうところでは出ておりません。
  52. 丸谷金保

    丸谷金保君 言葉じりをとらえるようになって申しわけないんですが、そういうところでは出ておりませんというのは、ほかのところで出たということに解釈してよろしいんですか。
  53. 塩田章

    政府委員(塩田章君) いえ、そういうことじゃございません。私の知っている限りでは出ておりません。
  54. 丸谷金保

    丸谷金保君 公務員部長さんとしては、そういうことを言うのは正しいと思いますか、間違っていると思いますか。
  55. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 正しいとか間違っているとかということにちょっと一義的にお答えしにくいんですけれども、私ども公務員部としましては、給与の水準の適正化ということはかねて指導しております。
  56. 丸谷金保

    丸谷金保君 そのことはいいんですよ。
  57. 塩田章

    政府委員(塩田章君) そういう観点からいきますと、いろんなところで努力したいということで、そういう気持ちを持っておりますから、財政局がおやりになる財政指導の中でもそういったことをやはり自治省の一環として配慮していっていただきたいというのが私どもの希望でございますから、それが一概に悪いというふうには考えておらないわけでございます。
  58. 丸谷金保

    丸谷金保君 それはまあ大変なことなんで、ちょっともう時間もありませんから、これはちょっときょうは間に合わないですね。そういうことが悪いとは思わないと。いいですか、特別交付税というのは税なんです。税の基準に従って配分の基準を決めるわけです、税のもとになる法があって。いいですか。そうすると、そういう基準にないことを末端で切るんだぞというふうなことを言うことが願望としても許されるんですか、そういうことが公の席で言われることが。  まあちょっとそれより財政局長に先に一つお伺いしますが、実はいま公務員部長さんの方では、特別交付税の中で、ラスパイレスの高い町村に対して特別交付税をチェックするというふうなことが基準としてあるかないかということは財政局の範囲なんでわからないということなんですが、ラスパイレスの高いところを特別交付税――そのことが原因ですよ、いろんなほかの要素があって差し引き財政力が高いから切るというんならわかりますよ。そうでなくて、単純にラスパイレスの高いどこどこどこどこはこれだけ切るんだというふうな切り方がいまの特別交付税法の中で特交といえどもできますか、そのことをお聞きしておるんです。
  59. 山本悟

    政府委員山本悟君) 自治省の取り扱いといたしまして、ラスパイレスの高い団体にそのことだけの理由をもちまして幾ら切るというような取り扱いはいたしておりません。なお、それから御案内のとおり、特別交付税は各種の事由及びそれからその団体の財政状況というようなものを総合勘案をいたしまして最終的に決定をいたすわけでございますが、その際に、やはりラスの高いような団体は比較的財政力はあるのかもしれないというようなことは考え方としてはございますけれども、それがゆえにそれの金額が幾らであってそれを引くというような取り扱いはいたしておりません。
  60. 丸谷金保

    丸谷金保君 たとえばラスが高くても、明らかに自治省の調査によるところの――ここにもあるんですが、財政力指数が低いというふうな場合に、行政指導は行えても、ラスパイレスが高いということで引くということにはなりませんね。引くとすれば同じようなところは全部引かなきゃならないし、たとえば財政事情を勘案して特交を配分する場合にも、同じような状態のところは同じようにするということですわね、税ですから。
  61. 山本悟

    政府委員山本悟君) 各地の財政需要なり収入なりの状況を見まして、財政状況全体を総合判定を最終的にはいたすわけでございますが、その際にも、途中経過といたしましても、ラスの部分だけ幾らという計算をしてそれを引くというようなことはやっておりません。
  62. 丸谷金保

    丸谷金保君 特別交付税の算定の基準の中にラスパイレス問題は入らないというふうに理解してよろしゅうございますか。
  63. 山本悟

    政府委員山本悟君) 当該団体の財政状況全体の判定という際には、各種のいろんな事情、その事情の中の一つとして、財政状況を判定する際に、ラスが高いか低いかというようなことも、その団体の財政がやりやすいのかやりにくいかというようなことには、考え方の基礎にはなると思いますけれども、そのことをもって直ちにラスの分が幾らというようなことにはなってまいらない、こう思います。
  64. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうすると、ラスパイレスが高いから財政力指数が高いんだというふうに即短絡的に判断することにはならないと、このように理解してよろしゅうございますか。
  65. 山本悟

    政府委員山本悟君) ラスパイレスが高いという、給与費が高いということと財政力指数が高いということはもちろん別の事項でございますので、すなわち別の考え方でございます。
  66. 丸谷金保

    丸谷金保君 時間がございませんので最後にお聞きいたすんですが、実はラスパイレス問題、これは自治省は――非常に各紙大きくときによって取り上げておりますが、しかし、いま申し上げました一億六千万の税収のうちから八千万も病院繰り出しをして苦しみながらやっている町村、ところがこういう僻地ほど高くなるんです。給与が高くなる実態があるんです。これがラスが高いからというふうなことが問題になるということになると、私、これはやっぱり町村に任せるべきだと、ライパイレスの給与の問題なんというのは。たとえば、あれは公務員法の二十四条だったですかの五項、この権衡の原則というのはその基準ですからね。その権衡の原則の権衡の範囲というのは、一銭一厘高い安いじゃないはずだと思うんです。二倍も三倍もというなら権衡の原則に反しますけれどもね。一割や二割の幅というのは、国家公務員の方が高い場合だってあるでしょう。ですから、私は、権衡の原則という法律の用語というのはある程度の幅はある、しかし世間の常識を莫大に変えるのはけしからぬということだというふうに理解をするんですが、いかがですか。
  67. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 権衡がどの程度の幅で許されるかということはなかなか一概に言えないと思います。いま先生一割や二割ぐらいとおっしゃいましたが、一割も二割も高ければ、やはり私どもは権衡を失しておるのじゃなかろうかと言わざるを得ないと思いますが、ただ、いまお話のございましたような特殊な、たとえば僻地のお医者さんというものが非常に高いのでないと来ないというようなケース、そういうことは幾らもあると思うんです。そういうものはやはり別個に考えなければいけない問題だろうと。やっぱり一般の給与水準としては、一割も二割も高ければこれはやはり高いと言わざるを得ないというふうに考えます。
  68. 丸谷金保

    丸谷金保君 ちょっと公務員部長さんの言としては腑に落ちないんですがね。特殊な場合にはラスパイレスが高くてもやむを得ないだろうというふうにいまおっしゃいましたね、辺地のお医者さんのような場合。いま言いましたんですよ、いまそのとおり。あなた、言わないと言うんなら後から速記でもって――もう一回再質問しますけれども。言いましたね。言いませんか。
  69. 塩田章

    政府委員(塩田章君) ちょっと違う趣旨のことを申し上げたんですが……
  70. 丸谷金保

    丸谷金保君 いや、いいですか。特殊な場合に高いのはやむを得ないと思う、たとえば辺地のお医者さん、こういうふうにいま言ったんですよ。特殊な場合にそれが認められたら、権衡の原則というのはがたがたと崩れるんじゃないですか。特殊なことはたくさんあるんですよ。お医者さんだけじゃないんです。特殊な事情というのは至るところにあります。われわれワインの技術屋なんかでもそうなんですが、これらでもやっぱり一般職の公務員なら一般職の公務員として雇わなきゃならないし、ある会社から、何万円も給料を下げてうちの基準で来てくれと言って採用した場合もあるんです。特殊な技術ということを言い出すとラスパイレスは――特殊な技術のために、医療職には医療職というちゃんと給料表を国がつくっているでしょう。そうすれば、当然医療職という給料表に合わせて権衡の原則が問題にされるべきでないんですか、どうなんです。
  71. 塩田章

    政府委員(塩田章君) ちょっと私の言葉が足らなかったと思いますが、特殊な場合にラスパイレスが高くなってもいいというふうに申し上げたつもりではございませんで、特殊な人もあるだろうと、特に個人的にですね、役場の職員の中に。そういう意味で、まあお医者さんなんかの例をいま挙げましたけれども、そういう特殊な人を除いた一般の給与水準というものは、やっぱりラスパイレスで見ていきたいということを申し上げたのであって、私どもよく聞くんですが、たとえばお医者さんに何百万円も出さなきゃ、年間何千万円も出さなきゃ来ないというケースがある。これはまた別途の観点で措置しなきゃいかぬのじゃなかろうかということを申し上げたわけでございまして、そのためにその町のラスパイレスが高くなるという問題とは、別の観点で議論せにゃいかぬだろうということを申し上げたつもりでございます。
  72. 丸谷金保

    丸谷金保君 特殊な業務については、ちゃんと国は、それぞれ特殊な業務に対する給料表というものができているじゃないですか。技術職は技術職、研究職は研究職、医療職は医療職というふうにできているでしょう。ですから、それは特殊というものはそういうふうなことでもって、どうなんですか、特殊な給料表があるんだからやっぱりそれに準じなきゃならないんじゃないですか。必要ないということですか。
  73. 塩田章

    政府委員(塩田章君) まさにそれに準じていただかなきゃなりません。たとえば、医療職の場合は医療職の国の俸給表に準じていただきたいというのが私どもの指導でございます。僻地なんかでは特殊なケースがあるだろうと申し上げましたけれども、基本的に準じていただきたいということは、これはもう当然でございます。
  74. 丸谷金保

    丸谷金保君 基本的には準じて、医療職は医療職、研究職は研究職、それぞれ国の同じようなあれと権衡の原則をとるのが望ましいということであるけど、実態はそうでないという実態も御存じでございますわね。そうすると、ラスパイレスというのはその程度のものでしょう。一般職の方だけはあくまで一割や二割は高いと。ほかの特殊な給料表――それじゃどうして国は特殊な給料表をつくるんですか。特殊なものとしての権衡の原則が図られることとして、国は特殊なものに対する給料表を別につくっているんでしょう。そうですわね。そうすると、それは、それぞれの業種の間において権衡の原則か損なわれているならば――現に損なわれておりますわね――その市町村実態によっては高く採用をせざるを得ない。その高く採用するということは住民のコンセンサスです、これはやむを得ないということで。そういう住民のコンセンサスがある場合には、これはやむを得ないというふうにして自治省は認めるんでしょう、どうですか。認めるんでなくて認めていますわね。
  75. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 何度も申し上げますように、僻地のお医者さんを迎える場合に、何百万円も出してもこれは絶対迎えるべきだというようなケースはあるわけです。それを私どもは絶対いけないと言っているつもりはございません。ただ、基本的に医療職の場合は医療職の俸給表に準じていただきたいと言っておりますが、各町村実情で、そういうケースはそれはあり得るだろうということでございます。
  76. 丸谷金保

    丸谷金保君 もう最後になりますけれども、医療職にだけ特殊なケースがあるのでなくて、研究職にもあるいは技術職にもあり得ますわね。あり得るんですよ。実態たくさんあります。その場合に、それらを最終的に判断して決めるのは首長ですわね。首長の本来的の権限に属することだというふうに思いますが、いかがですか。
  77. 塩田章

    政府委員(塩田章君) そのとおりでございます。
  78. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうしますと、ラスパイレスというのは、そういう首長の権限を侵すものではなくて、一つの標準として、自治省一つの指導の方向として示されているものであって、これらが市町村を強制的に縛る何物でもないということもこれは自明の理ですね。
  79. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 各首長が自分団体の財政運営をやっていく場合の指針として十分使っていただきたい、私どもが指導する指針でもあるということでございます。
  80. 丸谷金保

    丸谷金保君 しかし、町村のそれぞれの実態によって、国家公務員のそれぞれの給料表と違う給料表が使われて、現に運営が行われているという実態は御存じだけれども、それはやむを得ないというふうに解釈してよろしいですね。実態はそれはたくさんあるんですから。
  81. 塩田章

    政府委員(塩田章君) やむを得ないケースもあるだろうということは了解いたしておりますが、それはよほどの、やはりその地域のコンセンサスを得た上での話でないと、一般的に、何といいますか、ルーズな意味でやむを得ないというふうにとられては非常に困るのでございまして、やはり基準としてはラスパイレスを使っていただきたいというふうに考えております。
  82. 丸谷金保

    丸谷金保君 まあラスパイレス問題、ちょっと時間が足りませんので、特別交付税だとかそういうふうな問題ともあわせてもう少し、何かの機会に時間をとってやることにいたしますが、とりあえずきょうはそのことについて、冒頭申し上げましたラスパイレスに関して、道が各地の助役会で特別交付税等をチェックするというふうなことを自治省として指示したということはあり得ないということを確認いただいて、質問を終わりたいと思います。――道は自治省から言われたと言っているんですから。
  83. 山本悟

    政府委員山本悟君) 先ほど申し上げましたように、ラスパイレスをそのままのかっこうで計算をして引けというような指示はもちろんいたしておりません。ただ、先ほど申し上げましたように、特別交付税は当該団体の財政状況総体を勘案をいたしますので、その勘案をする際にどう判定をするかというときには、どういうような支出をしているかということは当然入るわけでございますから、その中の一環になり得るということはあるかもしれませんが、それを全部指示しているわけではございません。
  84. 丸谷金保

    丸谷金保君 どうもちょっと、そのラスパイレスがなり得るいうことは、これは特別交付税の中身の中であるかないかを見ればわかるんですが、いずれそれはまた別の機会に譲りますが、道も、公式に聞くと、そんなことは自治省から言われてないし、私たちも言った覚えはありませんと言うんですよ。だけど、何人も会議で言ったんですからね、あれなんで、ないということだけ――道も公式にはないと言っているんですから、道が公式にはないと言っていることを自治省が指示するはずがないでしょう。その点だけはっきり、指示したことはないということだけはっきり言ってください。
  85. 山本悟

    政府委員山本悟君) 特別交付税で、ラスパイレスの高いところはその分を引けという指示をしたことはございません。
  86. 丸谷金保

    丸谷金保君 それじゃ、これで終わります。
  87. 戸塚進也

    主査戸塚進也君) 以上で丸谷金保君の質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  88. 戸塚進也

    主査戸塚進也君) 分科担当委員異動について御報告いたします。  本日、田中寿美子君が分科担当委員辞任され、その補欠として野田哲君が選任されました。     ―――――――――――――
  89. 戸塚進也

    主査戸塚進也君) 次に、降矢敬義君。
  90. 降矢敬義

    降矢敬義君 私は、消防問題に関して二、三お尋ねをいたしたいと思います。  時間がずいぶん制限されておりますので、私も要点だけ申し上げたいと思います。  御案内のとおり、市町村は、地方自治法の規定によりましても、防災とか防犯とかあるいは交通安全の保持というような任務を当然持っておりますし、また、消防組織法の第一条におきましても、消防の任務というものが明確に書いてあるわけでございます。しかしながら、私の考え方では、災害というものが、あるいは人命や財産に危害を及ぼすそういう事故、こういうものが社会生活、経済生活の拡大とともに非常に広い範囲に拡散している。言うなれば都市生活の中で危険要因と同居しているのがわれわれの生活そのものではないか。そこで、そういうものに対応いたします市町村の防犯体制、防災体制、その中における消防の任務というものは、従来考えられている、あるいは予想されているよりもはるかに広くなってきているのではなかろうか。そういう意味で消防活動の多様化というものを私は考えているのでございますが、長管、この点についての認識を承りたいと思います。
  91. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) 全く同感でございます。社会生活の多様化に伴って、いろいろな危険、その機会も増大しておりますし、それらに対応すべく、消防の任務も従来あったよりも観念的にも実際的にも拡大していっている。また私は、拡大すること自体を是認する気持ちでございます。
  92. 降矢敬義

    降矢敬義君 私の認識と同じでありまして、私もやはり市町村が防災の第一線の責任者として、その実動部隊として持っておるのが消防の組織だと、こういうふうに考えておりまして、したがって、多様化する災害に対して、消防活動としての消防団並びに消防職員というものに対する処遇というものを、これからも一層そういう意味合いにおきましてもぜひ考えていかなきゃならぬと思うのでございますが、その前に、大臣に一言お尋ねいたしたいことがあります。  いまお話にありましたとおり、非常に多様なる災害に対して多様なる活動を消防というものが現場の第一線でやっておるわけでございますが、私は、その活動の支えになっているものは何か。つまり、お金をたくさんやればそれで済むという問題ではないと思うのであります。私は、災害に向かっていく実動部隊、つまり災害があれば避けて通ることのできない、逃げることのできないそういう職務にあえてついておる、その中に、特に消防団員というものが、一般の市民生活をしながら、そういう場合に自分の生活を放棄しても災害に立ち向かっていくというようなことであれば、私は、金だけでなしに、何かこう精神的な支柱というものがバックボーンになっていなきゃならぬのじゃないか。私も消防の方々と接する機会がございまして、やはり彼らの言葉で言えば、消防精神ということをよく言われるのでございますけれども、そういうような認識について、大臣としての御所見を承っておきたいと思います。
  93. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 消防に携わっていらっしゃいます皆さん方は、事の起きました場合には、まさに身命を賭しまして生命、財産を守ってくださる方々でございます。ことに消防団の方々は、おれたちの郷土はおれたちの手で守るんだと、かような使命感を持ってそして奉仕の活動を続けてくだすっていらっしゃるのでございます。消防は警察と並びましてきわめて重要なことでございますから、かようなことを総合いたしまして、消防精神、かような表現で士気の高揚にも努めてくだすっていらっしゃるのでございますし、また、郷土に暖かく包まれた体制でなければならぬし、その中において使命感もまたわいてくる、かように存ずるのでございまして、まして、今日の国民生活の多様化や、あるいは建築物、構造物等の多種多様化に対応いたしまして、大変なことでございますが、さような使命感や奉仕の精神に支えられて御活動願っているものと、かように承知をいたしております。
  94. 降矢敬義

    降矢敬義君 そこで、もう一問、この点に関連して御質問申し上げたいんでございますが、特にいま大臣からお答えがありましたように、消防団の問題でありますが、最近の消防白書を見ましても、毎年毎年消防団員が減少してまいる傾向が顕著でございます。その点につきましては、白書によりましてもいろんな諸施策を講じられているわけでございますけれども、それはともかくとして、いまの消防活動全体の中における消防団に対する基本的な認識というものについて、消防庁長官にお伺いしたいと思います。
  95. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) 御指摘のように、消防の常備化が進むにつれまして、消防団員の数は確かに減ってまいりまして、統計的には最近十年間でも約二十万人減少になっております。しかし、私はこの傾向はもうほぼ終わりに近づいているというふうに認識しております。というのは、常備化というのが言ってみればもうほとんどこれで満度に近い形になっておるというふうに考えております。市町村の数にすれば八〇%ぐらいでございますが、人口的にはもう九五%は常備化の地域でカバーしておりますので、あとは組合消防でいままで別々にやっていたのが共同処理するところに常備化を設けるというのが幾つか出てくる程度で、常備化というものの速度はこれ以上そう伸びない。同時に、消防団員の減少速度も落ちるというか、むしろ私たちはこの消防団員の現在の百十万という勢力――勢力と申しますか、数は、今後減らさないで維持していきたいという考え方になっております。  その根拠が、いまの御質問のお答えに当たるわけでございますけれども、通常の一件二件の火災というのは効率のいい常備化に任しておいて十分でございますが、わが国は大変災害の多い場所でございますし、それから、いま九五%の人口を常備化でカバーしたと申しますけれども、これ以上は、常備化をするよりもなお団に頼る面が非常に大きい。むしろその方が合理的な地域が残っているということも言えます。そこでは防災の第一線としてのまず消防団の任務があるわけですが、仮に常備化がすでに行われた地域でも、先ほど申しましたように、一件や二件の火災ならば常備化で十分でございますけれども、台風とか水災とかいう大きな、その地域一帯を覆う災害のような場合に、これはもうとうてい常備消防の手では間に合わない。この場合は消防団というのが第一線に立って防災の主役を担うということになると思います。そういう意味で非常に大きな使命を残しておりますし、さらにより大きな、たとえば大地震というようなことを考えます場合に、何といっても消防団というものが、何と申しますか、もう唯一の頼りだと言わざるを得ない。そういう意味で、これだけ災害の多い国における消防団の地位というものは、仮に常備化が進んで団員の数が減ったといっても、決して重要性は落ちるものではございませんし、今後この形で維持していくということが大変必要なことだと存じます。  で、維持していくにつきましては、ただいま御指摘のように、消防団は奉仕の精神に基づいておりますし、金銭ずくの問題ではない。わが郷土を自分の手で守ろうという誇りの上に立っておりますので、単に出動手当をよくしたり待遇をよくしたりという金銭面だけでは不十分である。不十分というよりも、むしろより重要な面を、たとえばけがされたときの補償と申しますか、手当てを完全にして、安心してその任務に励めるような環境をつくるとか、あるいはその奉仕の精神に対して報賞とかあるいは表彰とかいった精神的な張りを与える。そういった面の内容をこれから思い切って充実してまいりまして、団員の士気を維持し、そして団の勢力を維持し、そしてその重要な任務が果たせるような環境をますます整備していく、こういう考え方で現在おるわけでございます。
  96. 降矢敬義

    降矢敬義君 いまお話がありましたように、私も基本的には全く同じ認識を持っています。  で、もう一つは、大きな災害とともに、過疎の村あるいは常備消防のいないところにおきまして、山岳遭難とかあるいは行方不明者、水難事故、そういうものについて、やっぱり一番最初に現場で指導しているのは、御承知のとおり、私は消防団だと思うのであります。いま長官のお話がありましたように、私はこの処遇改善の面でもう少し御検討願いたいなという点を、時間がありませんので簡単に指摘をいたしたいと思います。  第一は、公務により負傷したり死亡したりすることの補償については、消防組織法の十五条の七に書いてあるわけでございますが、やはりそこには、消防としては一つの部隊活動でありますから、市町村長あるいはそれにかわる消防団長、そういう上司の指揮命令のもとに活動をするというのが普通の形態であり、その場合にはきわめて明確に公務だと認定できる場合があるわけでありますが、実際は、冒頭申し上げましたとおり、災害が多様化しておって、非常に突発的な事故に突発的に対応する、あるいは事実警察当局と協力をして、たとえば行方不明者の捜査に当たるという事例が最近多いわけでございます。すでに私も新聞で承知したところでありますけれども、救急隊員が待機中に、まさに待機中に子供が犬にかみつかれる、そこで、子供の命を守るためにみずから犠牲になって、一週間以上のけがをしている。これだって考えてみれば救急という仕事をやっているんだから、それで待機している間にやっている、何ら上司の命令を受けるいとまも全くない。しかしながら、こういうものにつきましても、やはり消防という意識の中で、人命救助を第一の任務にしなきゃならぬという意識のもとに、当然、自分はいま救急のために待機しているんだというのも忘れて出ていることでありますし、そういうことについて、公務災害として認定をしていただけるのかどうかという問題もあったようでございます。私は、それは当然公務災害として見てあげなきゃならぬというふうに思っているわけでございますが、事実、消防庁の方でもそういうお取り扱いをしたように聞いておりますので、大変ありがたいと思っているわけでございます。  それからもう一つ、私はすでに消防庁の方にもいろいろ御研究を願っているわけではありますけれども、わが山形県の大蔵村で、五十一年の十二月の七日に、行方不明者の捜索活動というものについて、消防団員が警察官と協力をしてその行方不明者の捜索に当たり、それが同時に死体になって発見されている、それを引き揚げる作業に従事しているとき――わが大蔵村というのは山形県でも屈指の大雪の地帯であります。常時五メートルを下らない大雪の地帯であります。そのような豪雪を冒して、警察官とともにいまの行方不明者の捜索並びに遺体の引き揚げに従事している間に、自分が足をすべらして、十メートル以上の断崖に墜落をして亡くなったという事故がございました。  この事故をめぐりまして、警察官に協力してやったという、警察官に対する単なる一般の協力者として取り扱うか、それとも、はっぴを着て活動しておるので、やっぱり消防の活動の一環として取り扱うかという問題について、山形県内でも非常にいろいろ議論がありまして、結局のところは警察官に対する協力者として取り扱われたわけであります。しかし、実際働いている、現場に行った消防の人たちの意識というものは、冒頭申し上げたとおり自分たちの使命であると、つまり、災害の多様化というものに対して、消防がこれからいろんなことをやらなきゃいかぬのだという非常な使命感に燃えて実際は行動しているわけでございます。  事実、単なる行方不明者のままであったならば、恐らく警察とともに活動しているとしても、消防の一つの活動として考えておった。たまたまそれが同時に遺体として見つかったという事態が、遺体の引き揚げというようなことにあるいは認識が変わったのかもしれませんけれども、こういう全体のこの事件の過程を私は考えてみますと、どうしてもやはり現地の消防団員の活動、それを支えている意識というものは、私が冒頭申し上げたように、やっぱり郷土を守り、人命を守り、財産を保護するという非常に意識に燃えていまして、単に上司の命令がどうであったかどうかということはしかく鮮明でないにしても、あるいは警察官にそのとき協力を要請されたからということであっても、彼らの働いている意識はまるで違うのであります。その辺のやっぱり今後の扱い方――結論を申し上げますと、この事件は警察官に対する協力者ということで処置されたわけであります。しかし、金銭的に言うのは私はいやでありますが、結局いろんな福祉施設の給与もなければ、実際いただく遺族給与金の金額も違いますし、それよりも大事なことは、消防としての士気の高揚に非常にこの事件の取り扱いが影響を与えている点でございます。  私は、こういう問題をずっと振り返ってみますと、やはりこれからの消防活動というものが非常に幅広くなっていくだけに、やはり公務災害、公務補償あるいは長官が言われましたような消防の表彰、この場合も恐らく公務であれば職務上死亡者ということで長官表彰規程によって表彰を受け、ときによっては報賞金もいただき、あるいは賞じゅつ金というものも規程によってちゃんといただくことができたんじゃないかと、私はこの事件をずっと振り返ってみて、その感を深くするのでございます。  そういう意味合いにおきまして、私はいま具体的な事例を一つ申し上げましたけれども、私が一番やっぱり気にするのは、いま長官がおっしゃったように、これから消防団というものがどうしても地元の守りとして活動を拡大していきたい、そのための精神的な支えというものを、同時に彼らの士気の高揚というものを、こういうささいな、いわば事務的なと言うと恐縮でありますけれども、形式的な取り扱いのもとに抹殺されてしまうということは、県全体の消防団の活動に非常に影響を与えると思うのであります。つまり、社会が動いておれば動いているほどこちらの対応も非常にむずかしくなり、同時にそれに対する精神的なあるいは物質的な支えというものについても、弾力的にぜひ対応していかなきゃならぬのじゃないかということを非常に痛感しているわけでございます。今後大地震対策の特別立法もできますし、あるいは、もっと前には、私が経験した雫石のあの日航と自衛隊機の衝突のときにも、一番働いたのはやっぱり消防団であります。そういうような多様なる活動をどうしてもまずやらなきゃならぬような事態にだんだんだんだんと迫られ、またそれを避けておったのでは消防活動というものは鈍ってまいります。  そういう意味合いにおきまして、私はいま具体的な事件を通してこういう問題に対する基本的な考え方、つまり、もう少し具体的に言うと、現場的には警察官の活動に協力したというようなかっこうになっておっても、果たしてそれが単なる一般の協力者と同じように扱えるのか。同時に消防団として、はっぴを着て――はっぴを着ると御案内のとおりあの人たちも非常に張り切るわけであります。事実、やっぱりそういう精神に立ち返るわけであります。常時働いている職場を捨てて、はっぴを着た瞬間からまるで別な人間になって働いていく、そういう訓練をしているわけでありまして、そういうことを踏まえまして、私はこれからの、ひとつこういうものに対する考え方というものをぜひ明確にしていただいて、そして消防団の諸君も安心して働けるような御措置をぜひお願い申し上げたい。その点について長官のお答えをいただきたいと思います。
  97. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) 御質問の御趣旨、全く同感でございます。現在消防を預からしていただいている者といたしまして、その点の御指摘をまさに感謝したい気持ちでございます。  ただいま御指摘の具体的な事例は、おっしゃいますように、警察官への協力ということで処理されてしまったということも実は聞いておりますが、最初からの御質問の流れの中で明らかなように、消防の任務というのは現在の社会生活の複雑化に比べて非常に広がっておりますし、その広がった任務に対して、積極的に身を犠牲にして、身を投げ出して取り組んでいくという消防団の士気を維持するためには、先ほど申しましたように、その任務上災害を受けたりした場合の手当てというものが完全になされていることによって、そういう環境をつくり上げることができるわけでございますから、そういう趣旨からまいりますと、今後の問題と申しますか、こういうような事件に対してできるだけ広く、考えられる限りそれは消防の任務の範囲ということで取り扱うことが、とりもなおさず消防団の士気高揚その他につながると思いますので、そういう御趣旨のような姿勢で対処してまいりたいという気持ちがいたしております。
  98. 降矢敬義

    降矢敬義君 もう時間も参りましたので、あと一問だけ質問させていただきます。  私は、消防団員の、これからの若い人が入り、そしてその市町村で二十年、三十年というふうに活動をしていくという過程において、何かもう少し前進した処遇改善というものがないだろうかということをかねがね考えておる者の一人であります。そこで、私は一つの御提案でありますが、消防団員に対する年金という制度について考えることができないだろうかという気がいたすのでございます。それは、私はまだつまびらかにしておりませんので、ぜひ消防庁の方でも御検討願いたいのでありますが、諸外国にも全く例がないというわけではなさそうであります。民間防衛の組織が、まさにわが日本におきましては消防団の民間防衛組織に相当するようなことを考えてもいいわけであります。同時に、私は決して非常にとっぴなことを言っているんだなという感じは自分は持っておりません。それは農業者につきましては、特に四十六年に、農業後継者の育成あるいは規模の拡大というような意味を含めまして、農業者年金というものが創設されたことは大臣御案内のとおりでございます。そこで、国民年金というものに対しての上積みとしてあの農業者年金があるわけでございます。もとより消防団の中にはサラリーマンの方もおられます。あるいは農業をやっている方もおられます。しかし、一般の国民年金だけで年金というものが保障されている方々も相当おられるわけでございます。そこで、私はその国民年金というものの上に、二十年、三十年という長いこと勤務されている消防団員に対しまして、一時的な退職報償金、それも確かにありがたいことでありますけれども、今後のわが国の年金制度の中で、あるいは退職一時金というものもだんだん重圧になってきまして、企業でもできるだけ年金制度に切りかえていこうという動きが高まってきておることは御案内のとおりであります。そこで、私は、あえてそういうような国民年金の上積みとしての一つの年金制度というものが、この消防団員のために考えることができないだろうかという気持ちを前々から持っておるわけでございます。  私自身もまだ十分に検討、研究を尽くしたわけでございませんけれども、一つの御提案として申し上げて、ぜひ何らかの意味の結論、つまり、非常にむずかしいんだということもあると思います、あるいは非常にバランスが合わないんだということもあると思います、あるいはこうすれば一つの発想というものを生かすことができるんじゃないかということもあると思います。この点は、私自身もこれから研究してまいりたい一つの課題として持っているのでございますが、この点についてぜひ大臣の御所見を承って私の質問を終わりたいと思います。
  99. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 端的な言い方をいたしますならば、日本はすっかりやすきになれてしまっておると、かような感じがいたします。こういう背景から、たとえば成田問題に対処するにいたしましても、今日に至りましては甘かったのではないであろうか、かような批判や反省もまた生まれてきておるのでございます。  そこで、今後のわが国の大きな道といたしましては、国を守ります自衛隊組織にはおのずから限界がありますことは申すまでもないことでございまして、今後の社会の平安や安寧秩序を支えてまいりますには、一つには警察の大きな組織がございますのと、何といいましても百万人を超えます消防団員の皆さん方が旺盛な士気を持ってくださいまして、おれたちの郷土はおれたちで断じて守るんだ、災害等があった場合には生命財産を、命を賭してでも守り抜くぞと、かような決意を願いまして、郷土愛に燃えていただくことが大事なことでございます。  そのためには、先ほど降矢議員が御指摘をなすっていらっしゃいますようないろいろの策をとっていかなければならぬのでございますけれども、そういう中におきまして、長い間消防団員として奉任をしてくだすった方が、年をお迎えになられていよいよ退団をしなければならぬ、団を引かれますような際にどのような処理をしていかなければならぬか。もとより金ずくのことではないという、さような気概を持ってやってくだすっていらっしゃることはよくわかっておりますけれども、さような郷土愛や気概だけに頼って事足れりとするようなそういう考え方ではない新しい段階を迎えておると、かのうな感じがいたすのでありまして、さような認識のもとに今後も年金問題等と取り組んでまいらなければならぬ新しい時代に入っておると、かような感じがいたし、自治省といたしましても、消防庁といたしましても、よく研究をしてまいりたいと、かような感を強ういたします。
  100. 戸塚進也

    主査戸塚進也君) 以上で降矢敬義君の質疑は終了いたしました。  午前の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。    午前十一時四十七分休憩      ―――――・―――――    午後一時三十分開会
  101. 戸塚進也

    主査戸塚進也君) ただいまから予算委員会第五分科会を再開いたします。  休憩前に引き続き、自治省所管を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  102. 馬場富

    馬場富君 最初に、地方財政の中の自主財源不足について質問いたします。  御存じのように、地方財政は大変仕組みの問題がありまして、そして財政面が一つは保障されないという、こういう実情から、非常にいま自主財源が不足を来しております。そういう点につきまして、大臣財源不足の問題についての御所見を伺いたいと思います。
  103. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 経済の高度成長期はそうではございませんでしたけれども、いわゆるオイルショック以来、国もそうでございますが、地方財政も非常に窮屈になってまいりました。昭和五十年から四年連続相当の財源不足を生ずる、かようなことでございますし、ことに五十三年度におきましては三兆円を超える、かような不足財源でございます。かような不足財源に対しましてはそれぞれ処置をいたしており、財政的にはどうにかやっていける体制はとってはおりますけれども、しかし、こういう状況が今後も相当期間続く心配もあるのでありますから、地方自治を確立してまいりまする観点からいたしましても、自主性を高めてまいりまする観点からいたしましても、やはり長期的には財政強化を積極的に図っていかなきゃならぬ。片や事務や事業の見直しも行いまして、また経費の節減等も行うことによりまして対処いたしてまいらなければならぬ、かように考えておるところであります。
  104. 馬場富

    馬場富君 やはり自主財源確保の観点の中で、地方自治体からも大変要望が強くなっておりますし、それからまた、毎年の税制調査会等の答申でも意見が述べられております法人事業税への外形課税の導入についての自治省考え方をお述べいただきたいと思います。
  105. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 法人事業税に外形標準課税を導入いたしますことはここ数年来の懸案でございますし、また、都道府県知事会等からも強い要望が出てまいっておるところでございます。ところが、果して地方団体だけで課税し得るかどうか、かような問題もございますし、ことに国の段階におきまして新しい税を創設をいたしたい、かような考え方が強くなってまいりまして、そしてその税と外形標準課税を対比いたしまして検討いたしますところ、いずれも最終的には消費者がその負担をしなければならぬ、かような帰属関係もございますことでありますし、また、課税方法等につきましても共通の問題等もあるのでありますから、やむを得ず五十三年度の導入は見送りまして、五十四年度以降の課題である、かようなことにならざるを得なかったのであります。
  106. 馬場富

    馬場富君 やはり外形課税の問題で、五十三年度の税制調査会では答申が出ておりますが、この中では、特に一般消費税との関係においての検討方が一つはいままでと変わってきておるところではないか、このように理解するわけでございますが、消費税と外形課税との関係性をひとつ御説明願いたいと思います。
  107. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) いわゆる一般消費税につきましては、御承知のように、いろんな形態が考えられるわけでございますが、まず、負担の帰着関係は、どのような形をとります場合も、いま大臣からお答え申し上げましたように、消費者に転嫁をされるという意味合いで、消費者の負担になるということでございます。事業税につきましても、これは御承知のように、課税所得の計算上損金に算入する、すなわちコストと見る、こういうことでございますから、基本的には事実上負担は製品価格に上乗せされて消費者の負担に帰する。そういう意味合いで、税負担の帰着関係はまさしく同じであるということが一点でございます。  第二点は、一般消費税の課税標準に何を用いるかということでございますが、売上額というものが恐らく用いられるであろう。その場合に仕入れ価格を控除するというふうな累積課税を排除する方式の問題を採用するかどうかという問題ございますが、いずれにしても売上額というものが基礎になると思います。事業税の外形標準課税を導入いたします場合に何を用いるかと申しますと、これもやはり売上額というものを用いるということにならざるを得ない。そういたしますと、課税の仕組みといたしまして、やはり一般消費税と事業税の外形標準課税の導入という問題とは非常に性格的に共通した面がある、負担の帰着関係及び課税の仕組み両面から考えて共通性が強い、かように税制調査会の答申では指摘しております。  そのようなことから、大臣から御答弁申し上げましたように、一般消費税を導入する場合の国と地方の税財源配分の一環として外形標準課税導入問題に決着をつけるのが望ましいというのが税制調査会の答申でありますし、私どもといたしましても、その方が現実的である、かように現段階で考えておる次第でございます。
  108. 馬場富

    馬場富君 いまその答弁によりますと、一般消費税と外形課税とは関係性の中で進めると、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。  それからもう一つは、外形課税を一つは消費税と関係なしに進めていく考え方があるかどうか。この点。二点お伺いします。
  109. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 税制調査会のいわゆる中期答申が、いま申し上げましたように、一般消費税との関連において事業税の外形標準課税導入問題に決着をつけることが望ましい、こういう指摘がなされておりますし、私どもといたしましてもそのような考え方をとっておる次第でございます。したがいまして、事業税の外形標準課税導入問題を一般消費税の問題と切り離して税制改革を行うということは、現段階では予定をしていないという考え方でございます。
  110. 馬場富

    馬場富君 次に、地方債制度の問題について質問いたします。  第一点は、五十三年度の地方債の総額と地方債合計残高の総額について説明していただきたいと思います。
  111. 山本悟

    政府委員山本悟君) 五十三年度の地方債計画でございますが、六兆二千百九十七億の計上でございます。そうして、現債高でございますが、五十三年度の地方債の現債高、これは推定でございますが、普通会計分におきまして約二十二兆四千億、その他会計を合わせまして約三十六兆程度の現債高に五十三年度末でなるのではないかと推定いたしております。
  112. 馬場富

    馬場富君 それでは、地方債計画の中で政府資金の割合を、三十年代と四十年代の平均でよろしゅうございますから、あわせて五十三年度分について一つは御説明願いたいと思います。
  113. 関根則之

    説明員(関根則之君) 地方債当初の計画におきます政府資金の割合、各年代別の平均は特にとった数値が手元にございませんが、昭和二十年までは地方債計画の全額が政府資金で充当をされておったわけでございます。その後、民間資金が入ってまいりまして、昭和四十一年には五七・六%という数字が出ております。その後昭和五十年が六〇・三%でございまして、ほぼ六〇%近い数値で推移をいたしております。その後、五十一年に二九・六%、五十二年が三六・六%、五十三年が三九・三%となっております。
  114. 馬場富

    馬場富君 いま発表されたように、私は三十年代の平均を私なりにつかんでみましたが、三十年代の平均は八〇%です。四十年代は六〇%でございます。五十三年度がいまお示しの三九・三%と、こういう状況でございますが、政府目標は六〇%を一つは目標にされておるわけでございますが、現状はそういうわけで、民間資金の縁故債が六〇%を占めておるというのが実情です。この点、いわゆるこの目標に対して国としてはどのような一つ対策考えてみえるか、御説明願いたいと思います。
  115. 山本悟

    政府委員山本悟君) 御指摘のとおりに、従来六〇%程度までございました政府資金率が、五十年を境にいたしまして非常に急激に低下をいたしたわけでございます。私どもといたしましては、この資金率をなるべく引き上げたいというようなことで、ただいま財政課長から御説明申し上げましたように、五十三年度におきましては三九・三%、約四〇%弱までいま回復をしている。前の年は三六・六、一番低いときは三〇%を切ったわけでございますから、そういう意味では、一つは回復を目指してさらに努力を続けていく必要があると存じている点が一点でございます。  また、もう一点は、やはり六〇%程度までは政府資金で賄いたいという気持ちからいたしまして、地方財政計画総体の六〇%に相当いたします分までは、利子の面におきまして、政府資金の利子と民間資金との利差の分につきまして一括しまして臨時特例交付金として交付税特別会計に入れてもらう、こういうような取り扱いをいたしているわけでございまして、五十三年度で申し上げますと、その利差額は〇・六四%相当分でございますが、これを交付税会計に臨特として入れてもらう、こういう措置によりまして、地方財政全体としては、利子の面におきましては政府資金が六〇%確保されたのと総体として同様な取り扱いになるような配慮をいたしておるところでございます。
  116. 馬場富

    馬場富君 いまの答弁はわかりますけれども、やはり体制をきちっと整えて財政措置というのはやるべきじゃないか。私がつかんでおる実情なんかでは、地方においては一〇%を下回るような、そういう分配の状況の県や市もございます。いまこういう借金財政が続けば、近いうちには、地方自治団体の中では年間の起債発行額よりも償還額の方が多くなるような状態のところもできてきておりますよ。こういうようなことが実は予想されておるわけでございますが、私はそういう事態になったら最悪の状態じゃないかと、こういうように考えるわけでございますが、そういうためにも、私は、積極的に政府資金によるやはり起債というのを強力に進めていかなきゃならぬと、こう思うわけでございますが、その点に対するお考えを示していただきたいと思います。
  117. 山本悟

    政府委員山本悟君) 御指摘のとおりに、地方債の活用という範囲が非常にこの数年ふえて大きくなっているわけでございまして、起債の発行額の増大に伴って、元利償還金である公債費もふえていく、こういう現象が起こっていると思うわけでございます。  ただ、御案内のとおり、たとえば五十三年度におきまして一兆三千五百億円、財源対策のために特に増発をする地方債、こういうようなものにつきましては、その相当部分の元利償還金を交付税の計算上算入していく、こういうような措置によりまして、個々の団体におきましても財政運営上支障が生じないように、将来の償還につきまして対策を講じてまいる、こういうことをいたしておりますのが一点と、地方財政全体といたしましては、これらにつきましての償還財源全体を地方財政計画上歳出に立てまして、地方財政全体としての償還財源に困難を来すことがないように配慮する。この両面からいたしまして、対策はとっているところでございますが、なお一層やはり政府資金といったような良質の資金の確保というような点、特に弱小市町村というような点につきましては配慮していく必要があるわけでございまして、この少ない政府資金の中におきましても、やはり一般市町村というものにつきましては手厚く政府資金によって措置をしていく、こういう配分の方法をとってまいりたいと存じているところでございます。
  118. 馬場富

    馬場富君 これに関連いたしますけれども、昨年以来検討されております現在の公営企業金融公庫を改めて、地方団体金融公庫の創設についての声が出ておりますけれども、これに対する考え方はどうでしょうか。
  119. 山本悟

    政府委員山本悟君) 地方団体側から公営企業金融公庫を全面改組してという意見が非常にあったことは御指摘のとおりでございまして、私どもといたしましても、やはりその線に沿っての努力をいたしたわけでございますが、結論として、五十三年度、まあ現在法律改正をお願い申し上げているところでございますが、これによってできましたことは、普通会計債でございます臨時地方道整備事業等三事業につきまして、金融公庫におきまして融資対象とするという改正をお願いを申しておるところでございます。明年度は、公庫の資金のうちから二十億をこの普通会計債に充当をいたす予定にいたしておるわけでございまして、法律改正によって普通会計債を融資対象にすることができたという点におきましては、まさに一種の公庫の実質的改組というような方向に、まあ今度法律を御承認いただければ、そういうかっこうになり得るのではないかというように思っておるわけでございまして、今後とも公庫の機能の拡充という面につきまして努力をしてまいりたいと存じておるところでございます。
  120. 馬場富

    馬場富君 いまの改組の関係につきまして、非常に理解できますが、まあそれにつきましても、新設がむずかしければそういう形でも結構ですか、実は、いまの三つ以外に――いまの地方道、河川、高等学校ですね。これ以外の一般会計債においても、やはりいろいろ考え方があるかどうかをお尋ねしておきます。
  121. 山本悟

    政府委員山本悟君) 普通会計全般につきましてそういった機能を持ったものにすべきではないかという説のあることは御指摘のとおりでございまして、いろいろ関係省庁との折衝があったわけでございますが、明年度におきましては、ただいま申し上げましたように、実はこの融資対象といたします三事業におきましても、明年度総体では約六千億程度の事業分量があるわけでございますが、そのうち、まず二千億というのを公庫資金で充てるというようなことにいたしたわけでございまして、さしずめのところは、まさにこれによって実質的なことができたというように思っているわけでございますが、将来の問題といたしましては、やはりそういった各地方団体の意見、希望というようなものをよく踏まえて対処してまいりたい、こう存じております。
  122. 馬場富

    馬場富君 これに関連しますけれども、大臣に、いまの地方団体金融公庫の問題にいたしましても、もう一遍、私先回の予算委員会で質問いたしましたからきょうは省きますが、交付税率のアップの問題にいたしましても、新聞紙上等ではかなり大臣は積極的だったが大蔵に攻め寄られたとか、そういうのが出ておりますけれども、大臣、その点はどうでしょうか。
  123. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 予算編成の中途におきまして、私どもは交付税率の六・五%の引き上げは実現をいたしたいという考え方で対処いたしたことは御指摘のとおり事実でございますけれども、諸般の情勢を勘案いたしまして、交付税率の引き上げではなしに、交付税特会の借入金に対しましてその半ばを国が負担をする、かような結論に到達をいたしたのであります。五十三年度の財源不足額三兆五百億円に対処いたす処置といたしましては起債の充当を一部いたしますが、交付税特会におきまして一兆五千五百億円の借り入れをいたすのでございますけれども、その半分が国で負担をいたす、当分の間ではございますけれども、いわゆるルール化をいたした、かようなことでございまして、一兆五千五百億円の半ばを見ますと同時に、五十年度にさかのぼって対処いたすと、かようなことにも相なったのでございますから、ですから実質的には交付税率の引き上げを行いましたと同様の効果を上げ得る体制だけはできた。ですから、交付税率の引き上げという名目は捨てましたけれども、実はとり得たと、かような認識でございます。
  124. 馬場富

    馬場富君 私は、自治省のとられた態度の方が正と理解する一人です。そういう点で、大蔵や国がとったいわゆる応急処置体制というのは短期間の一つ対策だと私は思います。そういう点について、いまこの不況や、こういう問題等につきましても、地方財政の危機というのはあながち不況だけにとどまらなくて、やはり基本的な問題にかなり問題点があるわけです。そういう点では、そういう体制をきちっととり直した体制の中でやはり遵守すべきだという意見を強く私は持っておるわけでございますが、その点につきましても、やはり大臣も今後とも先ほどおっしゃった意見をやはり一つは持って進めてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
  125. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) ただいま申し上げましたようなことを基本にいたしながら、五十四年度以降におきましても地方自主財源強化のためにがんばってまいろうと、かように考えます。
  126. 馬場富

    馬場富君 次に、やはり地方財源の中で非常に問題になるのが国庫負担金や補助金の超過負担の問題であると、こう思うわけでございます。その中で特に私は前回は高等学校の問題についてお尋ねいたしましたけれども、今回は、義務教育である小中学校の問題ですね。特に急増地域につきましては、そういう点で、いま小中学校の増設がかなり急速に進められておるわけでございます。そのために、その財源のために市町村におきましては大きい負担になっておる点が、いま問題化されておるわけでございます。  そこでひとつ、先日もちょっと私も実態調査をいたしておりますけれども、どこの地域でも結構でございますから、急増地域の小学校の建設に対しまして、土地、建物、付属等を含めた総額と、それに対する負担率とその補助金額について、簡単に御説明いただきたいと思います。
  127. 倉地克次

    説明員(倉地克次君) 小中学校の建設について標準的な規模の十八学級程度のところでそれぞれ試算してみますと、小学校につきましては、建物について四億七千七百万円程度、用地費については六億三千八百万円程度、プールについては二千五百万円程度でございまして、合計十一億四千万円程度で事業ができるかと考える次第でございます。それで、中学校につきましては、建物について五億九千二百万円、それから用地費については七億八千三百万円程度、プールについては二千五百万円程度でございまして、合計で十四億円程度であろうかと思っている次第でございます。  それで、これは児童生徒急増地域でございますと、建物は負担率が三分の二でございますし、屋内運動場は二分の一でございます。それから、用地は補助率三分の一相当ということで、計算してみますと、おのおの国庫負担金が出てまいるわけでございますが、小学校につきましては、建物について三億七百万円、それから用地費につきましては一億四千九百万円、プールについては八百万円、合計で四億六千四百万円でございます。それから、中学校につきましては、建物について三億八千三百万円、用地費は一億八千三百万円、プールは八百万円で、合計五億七千四百万円ということになる次第でございます。  大体そういうことでございます。
  128. 馬場富

    馬場富君 いまの説明で、私質問いたしますけれども、急増地域の小学校については、国の負担が建物が三分の二、土地がいま三分の一でございますけれども、そういう先ほど来の実質の面でいきますと、まだここにはいろんな付属設備等が実は小学校や中学校については入っておりません。たとえば、学校を建てた場合には、いすとか机とか黒板とか、そういう付属設備等がかなり地方の負担になってきております。そうしていきますと、またこの十一億から上回ってくる数字になるのが実は常識でございます。そういう点で、私はずっとその状況をはじきましても、少なく見ても結局実質の総額と国の補助率とは七分の一ぐらいの実情になってしまうのが、実は私の計算の上での現状でございます。で、これは急増地域でございますけれども、急増地域でない一般の地域につきましては、建物の負担率が二分の一でございますから、なお厳しい状況に実は追いやられておるわけでございます。  こういう状況でございますから、このように一つの小学校をつくるにいたしましても、国の補助がありながらも大きい負担を抱えていま建設で困っておるのが市町村の実は実態でございます。これにつきまして文部省と自治省の御意見を伺いたいと思います。
  129. 倉地克次

    説明員(倉地克次君) 急増地域のいわゆる超過負担を中心にしてのお話ではなかろうかと思う次第でございますが、私ども地方負担の軽減の問題といたしましては、公立文教の観点から、やはり三つの観点で考える次第でございます。  まず第一に、単価の点でございますけれども、これにつきましては四十九年に各省の合同調査をいたしまして、その補正予算におきまして国が負担すべき超過負担につきましては予算措置を行ったわけでございます。その後におきましては毎年の単価アップにおきまして物価の上昇を上回る率で単価の改定を行っておりますので、そうした意味でのいわゆる超過負担の問題につきましては非常に改善されているのでないかと、そのように考えている次第でございます。  それから次に、補助対象面積の問題でございますが、これにつきましては、私ども若干市町村がおつくりになりますものが従来の補助基準面積より大きいものをおつくりになっておったという実態を把握しているわけでございますが、五十三年度におきましては、補助基準面積を約一六%程度アップいたすことといたしておりますので、これによりまして市町村のおつくりになる学校の実態に即した補助ができるのではないか、そのように考えている次第でございます。  それからもう一つ、いま御質問ございましたけれども、補助の対象の問題でございますが、これにつきましては、長年懸案でございました門でありますとか、さく、それから渡り廊下の問題などにつきましては、五十二年からそのようなものを補助対象とするようにした次第でございますが、そのほかのものになりますと、私どもの行っておりますのは何と申しましても法律に基づきまして建物を中心としたものについての国庫負担を行う次第でございますので、その付帯設備から若干離れますような備品的なものになりますと、なかなか補助対象とすることが困難ではなかろうかと思っている次第でございます。さりとて、私どもとしても十分努力してまいる次第でございまして、年々補助事業量などの増額、単価アップについても努力している次第でございますので、何とぞ御了解のほどお願いする次第でございます。
  130. 山本悟

    政府委員山本悟君) 自治省といたしましては、超過負担の問題はやはり財政秩序の問題からいたしましても大変な大きな問題であるということで、逐年各省に対しまして申し入れをし、また、努力をしてきたところでございまして、ただいま義務教育関係につきましては御答弁ございましたように、例の門、さく、へいの問題でございますとか、あるいは基準面積の問題でございますとか、その前にはやはり単価の点につきましても実際より非常に低いというような状況に対しましてやはり申し入れをいたしまして、共同調査をするといったような各種の措置を私各省にお願いを申しまして、努力をしてきた積み上げが現在になっているというように思っているわけでございますが、やはり補助負担金であります限りは、おのずと常識で認められるような範囲におきましてのものというものはなけりゃ困るわけでございまして、そういったようなものがやはり経済の状況等において刻々変わっていく、そういった変わっていくようなものに対しましては、やはりその事態に合わせて補助負担金というのもちゃんとしたかっこうになりますように、なお一層各省に対しましても物も言い、努力もしてまいりたいと思っております。
  131. 馬場富

    馬場富君 文部省の方に、もう一遍その点につきまして……。  いまもいろんな御答弁がありましたが、まあいろんな、一つは対象や、あるいは結局数量の問題等について、補助金負担金については矛盾がございます。端的に言うと、先ほど申し上げましたように、学校を建てた場合に、生徒が授業を受ける場合、机だとか腰かけだとか黒板等については、これらは当然なくて済むわけのものじゃございませんよ。そういうような考え方に立って、もっともっと実質に基づいた、そういう立場からやっぱり補助というもの、負担金というものを考えなきゃならぬ。こういう点について、私は、きょう現在すぐということでなくて、そういう方向性はひとつ文部省も持つべきではないかと、こう思いますが、いかがでしょうか。
  132. 倉地克次

    説明員(倉地克次君) いまお尋ねの黒板などにつきましては、これは建物と一体になるものでございますので、私どもといたしましても建物の単価の中で補助対象として扱っている次第でございます。  それからもう一つの机、いすなどにつきましては、これはやや建物とは異りまして、備品の類に属するものでございますので、なかなか補助対象とすることは困難であろうかと思っている次第でございます。私どもがこういうことを申し上げるのは大変恐縮でございますが、そうしたいす、机などにつきましては、初度調弁費ということで関係省庁におきまして財源についていろいろお願いしている次第でございますので、これからもそのような方式によってやってまいりたいと、かように考えている次第でございます。
  133. 馬場富

    馬場富君 次に、このような義務教育の市町村の莫大な負担は、結果としては父兄負担につながっておる点もずいぶんあるわけでございます。先般もわが党が義務教育費の負担のアンケートをとってみましたが、小中学校とも、父兄負担関係で、やはりこういうものについてはやめてほしいという声が八〇%も上がってきておったと、こういう事実でございますが、この点について、文部、自治の両省の御意見を賜りたいと思います。
  134. 倉地克次

    説明員(倉地克次君) 私どもといたしましても、従来から父兄負担の軽減ということに努めておる次第でございまして、PTAなどを中心といたしまして、税外負担ということがないようにかねがね通達等で指導している次第でございます。今後におきましても、そうした態度にはいささかの変わりもないわけでございますので、そうした観点から十分留意してまいりたいと思っておる次第でございます。
  135. 山本悟

    政府委員山本悟君) ただいま文部省が申されたところ、私どもといたしましても全く同意見でございまして、やはり補助対象にならないものにつきましても交付税その他の財政措置というのは行われているわけでございますので、特別に高度のものをというようなことでもって父兄負担を求めるなどということがないように、私ども地方団体としても気をつけていかなければならないことではないかというようにも存ずるわけでございます。
  136. 馬場富

    馬場富君 次に、保育の問題につきまして質問いたします。  現在、幼児教育についての進歩が非常に目立ったために、三歳、四歳、五歳等の在園率が六〇%に達しておるのが現状でございますが、この中で特に公立保育園等の急増が叫ばれておるわけでございますが、その経営予算が地方自治体の大きい負担になっております。またあわせて建設等についてもそのような結果が出ておりますが、このために非常に父兄負担等の問題も出てきております。この点について厚生省にお伺いいたしますが、公立保育園を建設するにつきまして、資金面で一園当たり総額がどれほど出まして、そして補助金等はその割りにどの程度出ておるかを御説明願いたいと思います。
  137. 下村健

    説明員(下村健君) 実例を挙げてということでございますので、愛知県の例でございますが、江南市の保育所について五十二年度に整備をした保育所につきまして数字を持ってまいりましたので、それにつきまして御説明いたしたいと思います。  五十二年度に江南市立保育所が定員が百八十名で、保育所の建設費総額が一億五千六百七十三万円、その内訳は建築費関係が一億二百五十万円、設備整備関係が三百六十九万円、土地の購入費が四千八百九十七万円、土地の造成費が百五十六万円ということになっております。このうち国庫補助対象になっておりますのが建築費と設備整備費でございまして、このそれぞれにつきまして補助が二分の一補助ということで行われているわけでございます。若干の対象外経費等ございまして、それぞれについて、建築費関係が四千四百九十七万円、設備整備費が百八十万円、合計四千六百七十七万円の補助が行われております。
  138. 馬場富

    馬場富君 次に、やはり同じ保育園の関係で経常費の問題で質問いたしますが、やはり同じ地方自治体の一団体の中で結構でございますが、年間の保育所の保育費の総額と、それに対する補助率と国庫補助額ですね。これをひとつ御説明願いたい。あわせまして、その中で保育料の国の基準額と、それから実際の徴収額あるいは人件費の総額と国の交付基準、これだけについて説明願いたいと思います。
  139. 下村健

    説明員(下村健君) 同じく江南市の例で御説明いたしますと、この市では、五十一年で申しますと、施設数が十八カ所、これは公立だけでございますが、それの定員が二千八百四十九人、その関係の支出額ですけれども、保育所の運営運営費補助につきましては、国の示した金額から国の示した徴収金額――御質問にありました保育料でございますけれども、それを差し引いた額の十分の八を国が負担をする、残りを十分の一ずつ都道府県市町村負担をする、こういう形になっておるわけでございます。  そこで江南市の例について申し上げますと、五十一年度において国の基準による支出の総額が四億三千四百四十二万六千円、国の基準によります徴収金額が二億三千六十一万五千円、差し引きますと国庫補助の基本額が二億三百八十一万円、これの十分の八額ということで国庫負担額が一億六千三百四万八千円ということになっております。それに対しまして江南市の保育所運営費の実支出額は、市の方で国庫補助対象の経費として上げてきたものが六億、そのほかに市の方で、これは市単独事業ということで区別をつけておられる経費が約八千万ばかりあるようでございます。で、対象経費が保育所運営費の実支出額として江南市が整備されているものが六億でございまして、国の基準による支出額の差が一億六千七百万ばかりになるわけでございます。それから、なお実際に市で徴収した保育料は一億七千七百万円でございまして、国の基準による徴収金額との差は五千三百六十一万四千円ばかりになっております。それから人件費でございますが、人件費につきましては、先ほど申しましたように、市の単独事業という形で長時間保育をやっておられるようでございますが、その関係を別にいたしまして、国の定数をそろえた職員数で申しますと、国の基準による差と市の実際の人件費の差が一億五千八百十五万三千円ということになっております。で、これが結局職員の給与単価の差ということになろうかと思うわけでございます。
  140. 馬場富

    馬場富君 いまの御説明より見ますと、保育所の建設につきましては、表面的には建物設備に対して二分の一の補助が出ておるということになるわけでございますが、これを実支出の総額と、それから補助額とに分類してみますと、その割合は四分の一という結果になるわけです。そういう額になってしまうわけです。倍額であり、これが地方の負担になってくるという結果になるわけでございます。それから今度は経費の問題にいたしましても、先ほど御説明のものをずっとやってまいりますと、表向きにつきましては十分の八が補助されておるということになっておりますが、結果は四分の一ないしは五分の一の額になるというのが、実は私がいまあなたがおっしゃったものを計算してみますとそういう結果になるわけでございます。結局、こういうものが地方の大きい負担となってきておるわけでございますが、この点につきましての厚生省自治省のお考えをお尋ねいたします。
  141. 下村健

    説明員(下村健君) 設備整備関係については、差の大きいものは土地購入費になろうかと思うわけでございまして、土地代につきましてはいろいろ従来からもありまして、内部でも検討いたしましたけれども、土地を取得するということを直接の事業目的とするような事業を除きまして、一般的に国の補助対象には原則的にしないというふうな考え方がありまして、また、他の社会福祉全般との均衡というふうな問題もありまして、土地代を直ちに補助しようということについては現状ではきわめてむずかしいというふうに思わざるを得ないわけでございます。その他の部分につきましては、先ほどの実例で申しましても、実はほとんど差がないわけでございまして、これまでも地方の超過負担解消ということで、四十九年度に実は大蔵省自治省と一緒に三省合同調査等もやりまして、建築単価の大幅な引き上げをやる、あるいは五十年度におきましては補助基準面積の改善を行い、あるいは五十二年度には門、さく、へい等の補助対象への繰り入れというふうなことで逐年解消を図ってきているわけでございます。さらに、五十三年度につきましては、標準仕様の設定を行いまして、補助基準単価の改善を図るというふうなことを考えておりまして、現在補助対象になっている経費につきましては、超過負担という問題はおおむね解消しているというふうに考えておりますが、今後とも実情等を見ながら逐次改善のための努力を図っていきたいというふうに考えているわけでございます。  それから保育所の運営費につきましても、これも同様に従来からいろいろの形で取り組んできているわけでございますけれども、運営費の面で一番大きいものが人件費でございます。保育所の運営費の大体八割までが人件費になるわけでございます。人件費につきましては、五十年度、五十一年度の二カ年にわたりまして保母の定数をふやすというふうなことで、保母の休憩確保対策というふうな形で、全国で七千名余りの増員を図ったわけでございます。また、職員の処遇改善、あるいは入所児童の処遇改善というふうな形で毎年その改善を行っているわけでございますが、五十三年度につきましては、準職員の雇い上げ費、職員の健康管理費、あるいは特別官理費の新設、それから非常勤保母が置かれている保育所等もあるわけでございますが、これは時間的な延長というふうな形の改善を図っておりまして、今後におきましてもこれらの面で具体的な問題に即して地方の負担軽減については努力を図ってまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  142. 山本悟

    政府委員山本悟君) 御指摘の保育所の問題につきましては、従来から、きわめて実績と補助額との格差があるということでいろいろ問題になっていたわけでございます。実績をそのままとるべきであるというところまでは、もちろん、こういった問題でございますから、まいらないわけでございます。たとえば建物につきまして、いままで標準仕様もなかった、どういうようなものについて補助をするのか、負担をするのかということについての基準すらはっきりしなかったというような点があったわけでありまして、そういう点につきましては、厚生省の方におかれましても御努力を願って、五十三年度からそういうものができるというような改善が図られてきているわけでございます。  そういったような基礎的な問題につきましても、自治省といたしましては、常に厚生省にも毎年のように申し入れをいたしてまいったわけでございまして、そういったことで、だんだんと解消をされつつあるとは存じますけれども、なおやはり実態との違い――単純な実態という意味じゃなくて、合理的な実態との違いというようなものにつきましては、一層その解消を図るように物を申してまいりたいと存じます。
  143. 馬場富

    馬場富君 特に厚生省に、先ほどお話しになりましたけれども、人件費の問題につきましては、そういう点でやはり、たとえば保母さんにいたしましても、短大卒業後六年とか、そういうような一つの基準のもとに一つは給与等もはじかれておるわけでございますが、実質は、そんな人だけを集めようと思っても内容的には集まらないというようなことの問題等もございます。そういう点で、どうかやはりそういう実質面もよくとらえた上で今後のこの問題についての前進ある点をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  144. 下村健

    説明員(下村健君) 御趣旨につきましては、できるだけ実態を考慮いたしまして、できるだけの努力を図ってまいりたいというふうに思います。
  145. 馬場富

    馬場富君 次に、身障者施設の関係で質問いたします。  最初に、厚生省関係にお願いいたしますが、愛知県にコロニーという身障者施設がございますが、この内容について説明していただきたいと思います。
  146. 下村健

    説明員(下村健君) 愛知県立のコロニーと申しますのは、中に重症関係の施設、あるいは精薄害者の更生施設、授産施設等、在来の社会福祉施設も含めまして、それに中央病院あるいは職業訓練校あるいは研究所というふうな各種の社会福祉施設以外の施設も加えまして、総合的な、身障者のための総合施設をつくるということで愛知県がつくられた施設でございます。
  147. 馬場富

    馬場富君 いま御説明のあったように、非常に日本においても珍しい、一つは模範的な心身障者に対する総合施設であると、このように言われておりますけれども、非常に施設がいい反面、これに対する経費の増大というのは非常に大きいわけでございます。その点につきまして、この担当県である愛知県においてもかなり苦境に立っておるわけです。そういう点で、この施設に対する五十三年度の予算の総額と国庫支出金についてひとつ説明いただきたいと思います。
  148. 下村健

    説明員(下村健君) 五十三年度予算で申し上げますと、収入支出の総額が四十七億でございます。そのうち、収入といたしまして国庫の支出金として予定されておりますものが七億二千三百万ばかり、一般財源として県から予定されておりますものが二十四億、それから県外の措置費等といたしまして約二億、それから医療費その他の関係が約五億、使用料として約七億、大体そういうふうな内訳になっているというふうに県から報告を受けております。
  149. 馬場富

    馬場富君 いま御説明のような、かなり莫大な予算が組まれておるわけでございますが、国の補助額は六分の一ないし七分の一という実は状況でございます。このために県の財政をかなり圧迫しておりますが、特にその中でも補助対象外になっております身障者の発育の点で研究機関となっております発達障害研究所、あるいは身障者の小児専門病院である中央病院に対する助成の方法はないかという点を重ねて御質問いたします。
  150. 下村健

    説明員(下村健君) 愛知県が非常に壮大な計画でこれに取り組まれていろいろ成果を挙げておられるということについては、私どもも大変敬意を払っておるわけでございますが、県単独で計画され運営をされているものについて、現在、民生部の方もおっしゃるように、大変困っているようでございますけれども、にわかにこれを国の方でと言われても、私どもとしてもなかなか対処しかねる面があるわけでございます。  しかしながら、実際問題といたしまして、ここでやられている研究等につきましては、いろいろ私どもも稗益する点もあるわけでございますので、国の方では心身障害の発生あるいは予防等に関する研究を心身障害研究というふうな形で計上いたしまして、各地の研究者にそれを配分いたしましていろいろな研究の促進を図るというふうなこともやっているわけでございます。愛知のコロニーにつきましては、その研究費といたしまして毎年度その研究をお願いいたしているわけでございます。  それから病院関係につきましても、これはむしろ、ここはコロニーの病院ということになっておりますけれども、一般住民にも開放されている病院になっておりますので、むしろ、病院一般の問題としてとらえていただいた方がいいかというふうに思うわけでございますが、私どもとしましては、異常行動児の療育に関する研究ということで五十二年度では病院関係にも千三百万円の委託費を支払っているわけでございます。  ということで、全体として、これらの問題について補助するということについてはなかなかむずかしいかと思うわけでございますが、個々の事業について国として協力できる問題があれば、いろいろ考えてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  151. 馬場富

    馬場富君 以上、何点か国庫負担金並びに補助金の超過負担について質問いたしましたが、いま御答弁もございましたような実情負担金、補助金体制の実情でございます。そういう点で、小学校にいたしましても、保育園あるいは身障者施設、あるいは住宅公団等のそういう問題等につきましても、実は大変地方自治体の超過負担になっているわけでございます。そういう点で、各地方自治体としては、各自が地域の特性に応じた住民福祉を行おうとしても、やはり国庫補助金あるいは負担金等のように国の画一的な基準に基づく設計がなされなければならないとか、あるいは国の総花的な、便宜的な財政補助基準の押しつけ等によって結局はこういうものが生じておるわけでございます。  そこで、やはりこれからもこの問題を解決しなければ地方自治の安定は私はないと思うわけです。そういう点で、自治大臣にこの点の御答弁をお願いしたいと思います。
  152. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 超過負担は、地方といたしましても天変に困ることでございまして、財政を乱ることになりますから、ぜひ解消いたさなければならぬのでございます。そこで、毎年予算編成期に入ります前に文書をもって各省庁へお願いをいたしまして、ぜひ超過負担解消を願いたい、かように申し入れをいたしてきておるのでございます。自治省大蔵省を中心にしまして、関係省庁が実態を調査いたしながら逐次解消が図られておりはいたしますものの、また地方から見ますと、解消はしたけれどもまた新たな超過負担が生ずるではないかと、かような問題がございます。中央といたしましては、できるだけ超過負担解消に努める、ただ、地方といたしましても、まあこの基準よりもさらに面積を大きくすれば、デラックスにすればありがたいんだがなあというようなことがいわゆる超過負担につながってくるようなこともございますから、その辺のことはほどほどに御判断をいただきながら対処いたしてもらい、私どもは私どもで今後も超過負担解消に努める、かようなことでやっていこうと思います。
  153. 馬場富

    馬場富君 あわせまして、この補助金負担金の問題につきましては、地方の関係では非常にそういうひもつき財源であるという点で困っておるわけでありますが、まあ交付税も、御存じのように、東京都を除きまして、ほとんど交付団体になりました。そういう時点で、やはり補助金並びに負担金に相当する金額というものは、今後も地方の実情に応じて、一つは余裕を持って任意に扱っていけるような、そういうやはり交付金的な性格なものに切りかえるべきであるというような意見が実は多いわけでございますが、その点につきまして大蔵省関係自治省に簡単に答弁願いたいと思います。
  154. 足立和基

    説明員(足立和基君) 国庫補助金は、社会保障であるとか、教育、農政、公共事業、こういった国の特定の施策を実現するために交付されるものでございますので、本来、行政目的というものは明確にする必要があるのではないかと考えておりますが、一方、いま御指摘のような地方公共団体の自主性の尊重であるとか、あるいは資金の効率的配分、手続の簡素化、こういったような見地から同一の目的に交付される補助金につきましては、極力、統合あるいはメニュー化というものを図っておるところでございます。今後とも実情に即してそのような方向で対処してまいりたいと考えております。
  155. 山本悟

    政府委員山本悟君) ただいま大蔵省から御答弁がございましたが、やはりいま国庫補助負担制度そのものも、それぞれの目的を持つ事業であるという意味におきまして、一概に否定はできない面もあろうかと思います。しかしながら、それが非常に細部にわたるあるいは零細になるというようなことで自主性を損なうというようなことになりましてはやはり問題なわけでありまして、その意味からは、いまのように、従来のやり方で申せば零細な補助金その他の整理あるいは類似負担金の統合、メニュー化といったようなことが具体の問題として取り上げられ、逐年そのための努力が払われてきているわけでございますが、さらに一歩を進めて、たとえば交通安全対策特別交付金のように、別な基準によって配って、相当広い範囲にわたっての目的のために使用すれば足りるというようなのも一つ考え方というような意見もあるわけでありまして、そういったものもやはり一つ考え方といたしまして、これからの対処の仕方として頭に置いていく必要があろうというように思っているわけでございます。
  156. 馬場富

    馬場富君 最後に、ちょうど大臣国家公安委員長でもございますから、成田空港の今後の警備体制についてどのようにお考えか、一点質問いたします。
  157. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 開港を目前にいたしまして、警察といたしましては警備の万全を期してまいる、かような決意で臨んだのでございますけれども、何せ現在の警察制度は国家警察の部門はごくわずかでございまして、そのほとんどが自治体警察である、かような姿でございます。そこで、一万三千名を動員いたしておりましたものの、個々の機動隊の隊員としては練度の高い隊員でございましたが、しかし、全体の運営に関しましては問題がなきにしもあらず、かような反省をいたしておりますことと、何せ周囲十八キロメーターという大変な空港でございますし、また、当日三里塚の第一公園におきまして大集会がもくろまれまして、これとは別個に第四インターを中心にいたします過激派が分かれて千五百名が集会を持つ、かつまたいわゆる横堀要塞ががたがたいたす、かようなことで警備力を分散せざるを得ないような状況でございました。しかし、結果的にはあのような事件を起こしてしまいまして、本当に残念至極、かつまた申しわけない、かような気持ちをいっぱい持っておるのでございまして、いまにして反省いたしますと、地図の上にはなかったとは申せ、マンホールの点検をもっと徹底してやっておりましたら検索ができたのにと、かような反省もございますのと、空港に突入いたすということはあらかじめの情報としては得ておったのでありますけれども、ああいう形において心臓部をまっしぐらにねらう、かようなことは実は情報としてはキャッチし得なかった、かような点等もございますし、かつまた、管制塔に直接もっと部隊配置をしておけばと、かような反省もあるのでございますけれども、さような反省に立ちながら、いつの時点にかは開港をしなければならぬのでございますから、それまでの間に空港公団や運輸省、国鉄等とも緊密な連携を保ちながら、空港みずからが警備の体制をとる、かようなことと相まちまして、警察上の措置といたしましても万般の体制をとりまして、開港までの時点と開港時、そして開港後、この三者に分けまして万全の措置をとってまいる、かような決意でございます。
  158. 戸塚進也

    主査戸塚進也君) 以上で馬場富君の質疑は終了いたしました。  次に、小巻敏雄君の質疑をお願いいたします。
  159. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 最初に、同和対策事業について大臣にお伺いをしたいのであります。  十年の議員立法としての特別措置法、これが時限立法として制定をされてから残り一年――九年までやってきたわけでありますが、各県のとりわけ並み並みならぬ努力によって一定の成果を上げることができ、各地で格差の解消について、対象地域と一般地域の中で成果を見たところであると思うわけであります。と同時に、昨年の四月段階で政府の方からも発表されましたように、全体としては未達成だと言わなければならぬ。物的な事業に限っても、残りの事業量が一兆二千億というふうな数字も拝見をしておるわけであります。すでに投じられた金は一兆円とも二兆円とも言われるわけでありますが、少なくとも一兆を下回らぬ金が投じられて、そして各県で努力を進めたにもかかわらず、いまなお事業未着手のところというような状態に置かれているところもある。その点、一方の極では超デラックスな施設、こういうものの建設が行われている。逆格差を生み出したり、新しい分離と言われるような状況を生み出しておることも、これは全国で人も知るところでありますが、この事業の進捗には極端なアンバランスが見られる。こういう状況の中に、法第一条に掲げられた目的に照らして有効な成果を上げることが損なわれてきておるんではなかろうか。今後の努力の中では、この点には格段の留意がされなければならないと思うわけですが、大臣の所感を承りたいと思います。
  160. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 御指摘がございましたように、特別措置法を制定することによりまして、同和行政が急速に進展を見まして、それなりの成果を上げ得ていると、かように思うのでございまして、この特別措置法の期限満了に伴いましてどのようにいたしますかが当面の一つの課題であることは御承知のとおりでございますが、おっしゃるように、残事業も相当ございますのと、また、地方団体もこの法律の延長を期待いたしておるのでございますから、さような期待にこたえていくべきだと、かような基本の認識がございます。  ですけれども、いまおっしゃいましたように、十年を振り返って、正確には九年でございますけれども、振り返ってみまして、マクロ的には非常な進展を見、成果を上げ得ておるのでございますけれども、しかし、国全体が均斉のとれた、均衡のとれた形でのまんべんなき行政が行われておるかと申しますと、必ずしもそうではないのでございますから、この均衡のとれた、あるいは均てんした行政を取り運んでいくということが今後の大きな課題であろうかと、かように私も認識をいたしております。
  161. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 大臣も、今後の課題の一つの大きな柱として、事業均衡がとれて全体に均てんをしていくという方向で進められなければならぬということを言われておるわけであります。これまでの成果は得られたということであるにしても、この点、やっぱり地方に重点のかかった事業の進展であって、国が今後はもっと全面的に責任を持って、内容的にも財政的にも行財政の面での指導と取り組みを強められることが要請されるゆえんであると思うわけであります。  私は、ここで二つの、大阪における、いま進行しておる具体的な例を申し上げまして、今後の事業の進展の上の考えなければならない問題として提示をしていきたいわけであります。  大阪と福岡というようなところは、どっちかと言えば、均てんの中で、まあいわば住民が目を見張るような超デラックス型の建物が建てられたり、その他さまざまな一方の極をなしておる地域だということは御承知のとおりだと思います。今度大阪市の予算に、通常言えば隣保館でありますが、大阪では解放会館というふうに呼んでおります矢田解放会館の新築という予算が計上されております。別途、東淀川の加島解放会館の増築というのもありまして、今年度予算に会館整備費として合計十三億九千九百四十二万円と、おおよそ十四億が組まれておるのでありますが、すでにいままでに一館だけで四十億近い浪速会館初め、十三館で百八億円という巨費を投入してきたわけであります。  いま私が申し上げますこの矢田解放会館、これもすでにいままでに八億五千二百五十万円という出費をしておるわけでございますが、総工費が二十二億八千万円、坪当たり単価九十万七千円という超デラックスなものが、地方自治体の窮迫と言われる中で準備をされております。これはけたはずれであります。五十二年に、一般住民の住之江会館というのが住之江区に開館しておりますが、同じ大阪市の予算であります。九千万円のものであります。此花区民ホールというのがつくられてますが、これはやや大きくても二億二千万円。これらはそれぞれ坪当たり四十五万五千円。大阪というところは高くつくところですから、それでもかなり奮発してやっているわけですね。ところが、九十万七千円というようなのは、これは通常の格差是正を念頭に置いた施策というのを飛び越したものではなかろうかと思うわけであります。いま申し上げました住之江会館というのは、対象にする地域住民は十万八千五百四十八人と、こういう住之江区民でありますが、矢田地区の人口は推計四千七百人であります。四千七百人対象に行われる事業がかような積み上げがあるわけであります。こういったふうなものは、通常言われるところの格差解消というような点から見、民生事業として考えてみても、羽目をはずしておると言わなければならぬのではないでしょうか。それに加えて、ここは昭和三十九年にすでに非常にりっぱな矢田解放会館を持っておるわけですね。しかし、三十九年から五十三年までの間の社会進歩に見合ってというので、またこれやって、これが地区財産として、前の会館が他へ転用されている。不急不要の事業というふうに住民が見るのを、差別者としてとがめることができるであろうか。  また、先ほどからも超過負担の話がございましたが、ここに国庫補助をことしつけておるわけですね。全体の額とは及びもつかない額ですけれども、国でこれを認めて、大臣所管でもって四千四百六万円の補助金をつけることになっております。かかる状況というのは、一見されてどういうものでございましょう。担当の方からでも……。
  162. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 同和行政における公平性の確保ということは何よりも必要なことだと私ども思っておりまして、四十八年に出しました九省庁からなりますところの「同和対策事業の推進について」という通牒におきましても、この旨を明記しておるところでございます。  さて、具体的な同和事業につきまして、その地区にどの程度のものが必要であるかということは、それぞれの地方団体事業執行に当たっては、もちろん予算を経て行うものでございますので、一義的には当該団体がこういった通牒の趣旨もくみながら、あるいは同和行政というものの本質というものを十分見きわめながら御判断いただくということになるわけでございまして、ただいま御指摘のケースにつきましても、その程度の単価が非常にけたはずれかどうか、実は私その地区の実態というものがわかりません。市議会等におきましていろいろ論議の末こういったことになったのであろうというふうに了解しておるところでございます。
  163. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 通常、隣保館の建設については単価はどの程度になっておりますか。標準的に言えばどんなものでしょうね。
  164. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 所管省でございませんので、隣保館についての詳しい単価はございませんけれども、常識的に言えば、九十万というのはちょっと高いような気もいたします。
  165. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 私は、全国的に常識的に言えば、三十万くらいが相当のところというふうに承知をしておりますし、どこへ行っても、お隣の和歌山へ行ったって奈良へ行ったって、それはそんなものであります。その上に、先ほども超過負担の問題が出ておりましたけれども、これは三分の二補助になっておるわけですね。ひとつ具体に当たってと言われるからには、よくお調べを願い、やっぱり指導助言は適切になされなければならぬ。いわば補助金というのが、国もこれを認めたというような姿でとられておるとすれば、よろしいことではないと思うわけです。同時にまあ、これはよいことはすればするほどよいと、普通にはそう考えられるかもしれませんけれども、一方の極では、地区であっても財政力のない県、あるいは意欲が乏しい県ということになれば、捨ておかれておるわけであります。しかも、そういうところに、いまから住民の同意を得て施策をやっていこうという上で、かような状況があることは、均衡とってやっていく上で一つ住民意識に障害を生み出すという点を見ていただきたいと思います。大臣、いかがでしょう。
  166. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 私は大阪の事情が詳しくはございませんので、いま御指摘の矢田地区の会館でありますとか、あるいは浪速会館、住之江会館、かような具体的なことがよくわからないのでございますけれども、一般論といたしましては、いま行政局長が答弁をいたしましたように、やはり行政は公平でなければならぬ、かような感じを深ういたしますのと、そして最初に答弁いたしましたように、やはり行政の均てん化、平準化、このことも十分に念頭において対処してまいるべきだ、かような感じを深ういたします。
  167. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 ここで、ひとつ会計検査院にお伺いをしておくわけであります。  これは、国庫補助が行われる事業であります。いま聞かれたような状況でございますが、会計検査院の目から見てはどういうものでしょうね。
  168. 仁村甫

    説明員(仁村甫君) 突然の御質問でございますので、私、この点につきましては事実関係を全く承知しておりません。したがいまして事実関係を調査したいと思っております。
  169. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 それじゃ早急に調査をお願いをしたいと思うわけであります。  問題点の一つは、単価その他もあります。住民の人口と総事業費との関係もございます。さらに、すでに隣保会館を一つ持っておるというところへ重ねて落とされるところの事業である。かような点を押えてひとつ十分な御調査をお願いをしたいと思います。  いま一つ申し上げたいわけでありますが、大阪市の浪速区というところに芦原病院という病院があるわけでございます。この病院は民間の病院であります、浪速医療生活協同組合というのが設置をするところの病院である。ここへ大阪市が莫大な補助金を落とすわけであります。それじゃ補助金を落として市の方が監督権を持っておるのかと申しますと、その協同組合の役員の構成員の中、メンバーを見たわけですけれども、大阪市が一人も入っていないのですね。入っているのは、部落解放同盟大阪府連の役員がずらりと入っておるわけであります。そこに落としておる予算というものは、申し上げますが、建設整備助成金として五十三年度、新年度に十億二千五百万円、運営助成金として三億八千六百万円、合計十四億一千万円が計上されておるわけであります。これがことしつけようとする金です。ところが、前年までに同じく建設整備助成金として二十八億八千二百五十二万一千円というのがすでに支出されておる。運営助成金として十五億二千二百万円と、これもつぎ込まれておる。合計して、すでに四十四億四百五十二万一千円が支払われる。これに今年度分を加えますと、六十億になんなんとする五十八億何がしという金が出されるわけであります。  これを他の事業と比較をすると、その大きさが明らかになるわけですが、二百七十万の市民が利用しておる大阪市の休日診療所運営費というのを大阪市で組んでいる予算は、一億九千五百四万九千円ですよ。大阪市民病院事業会計へ大阪市が一般会計から補助を出しておりますが、これは十四億五千四百五十五万四千円。こういう状況に比して、監査機能もなければ、この運営について一切部外にある大阪市がここに対してはこういう六十億というような金を出す。これは起債によっておるわけであります。この起債は、大臣、やっぱり自治省が認めなければこういう起債は出せないものだと私は承知しておるわけですけれども、五十二年度までに十一億九千五百万円の建設費起債が認められ、備品整備費において二億円、おおよそ十四億の起債が五十二年度までに認められており、五十三年度改めて整備事業費として十億二千五百万円全額起債が認められておるわけであります。こういう状況はどういうことなんでしょうね。
  170. 山本悟

    政府委員山本悟君) 芦原病院関係につきましては、大阪市が事業主体になりまして建設をいたしているということで、大阪市から起債の申請があり、それに対しまして起債額は五十一年度で四億、五十二年度で四億四千四百万円の許可をいたしているところでございます。
  171. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 最初に大臣が言われましたように、均衡をとるということは、国民のトータルな支出としていままで一兆余りを支出してきた、今後もこれを下らないと言う。一兆余りの金、これだけはどうしてもやらなければならぬというときに、こういったふうな積み方がなされておると、こういう状況ですね。ここには常識を超えたものがあるわけであります。しばしば糾弾その他の状況が行われ――私は忘れることはできませんけれども、私は国会に出てきて間もなく八鹿高校事件というものがございましたけれども、あれが司直の手も伸びるということによって一定平静化するまでは、あの地域一帯の行政は麻痺しておったわけでありますから、こういう状況も思い合わせて考えてみますならば、この際十年目を迎えようとして、残り事業に対してえりを正して均衡をとってやっていこうというこの時期に、おくれた部分と同時に、超デラックスや、まさに不急不要の出費というものに対しては――これは自治体のやることですから、自治体というのは自治の権限を持っているのですから、その点は大切にしながらも、この点指導として明確な見解をお出しになって、そうして国民の声が生かされた行政にしていくようにと、格段の御指導をお願いするわけであります。大臣、いかがでしょう。
  172. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 補助金を交付いたしますのは自治省ではございませんので、やや越権のきらいはあろうかと思うのでありますけれども、限られた財源でございますので、その財源が有効に活用し得ると、かような基本の構えでなければならぬことを痛感いたすのでありますし、また自治省といたしまして、地方団体を指導いたす立場にあるのでございますから、介入にわたらない限度におきましては適正な指導を行うべきだ、かような感じを深ういたします。
  173. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 続いて、今度は学園暴力の問題についてお伺いをしたいわけであります。  三月六日、大阪にございます大阪市立大学――市大と、こういうふうに申しますが、ここへ警察が出動して、そして同大学の正門に対して暴力学生たちが行っておったバリケード封鎖、これが解除をされたというふうなことを聞いておりますが、その事情、経過、自後の措置について警察庁の御報告を求めたいと思うわけであります。
  174. 福井与明

    説明員(福井与明君) 大阪市立大では、五十年ころから学生会館の自主管理問題をめぐりまして、いわゆる学園問題がずっと続いております。それに加えまして、学費値上げの問題でまた最近学生がバリ封鎖をする等の事案があるわけでございますが、二月の二日から正門の付近に机、いす等を置きまして、バリケード封鎖を続けておったわけでございます。ところが、三月の八日、九日に卒業予定者の試験をしなくちゃならぬということで、早急に封鎖を解除しなければならない事情が出たようでございます。三月の一日に学長から所轄の住吉署長あてに要請がございました。で、三月の当日でございますが、午前七時に警察部隊が大学の付近まで出まして前進待機をしております。そういう状況の中で、大学としては自主的にこの情況を解除しようと努力をされたわけでございますけれども、この立てこもっておる連中は、ますますバリケードを強化しまして、正門付近に座り込んだわけでございます。そこで、警察が出てまいりまして――すでにその前に、九時二十分から学校側の退去要求がございまして、退去要求が続いている状況でございます。その段階で警察が入ってまいりまして、不退去罪でそこにおりました全員二十二人を逮捕したわけでございます。九時二十分から九時三十五分の間滞留しておったと、こういうことでございます。三月の七日に大阪地方検察庁に送致をしております。  以上でございます。
  175. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 逮捕された二十二人についてお伺いをするわけですが、これは大阪市立大学の学生ばかりであったのか、学外の者もまじっておったのではないかということ、あるいはこれらのバリストの学生の所属をしたセクト等についても判明をしておるのかということ、また、逮捕勾留後は、その逮捕された二十二人についてそれぞれどういう処置が下されておるのかといったふうなことを……。
  176. 福井与明

    説明員(福井与明君) まず、措置状況を申し上げます。  警察では二十二人を全員送致したわけでございますけれども、いわゆる検察庁の段階で身元が判明した十二人につきまして処分保留のまま釈放になっております。身元不明の十人については勾留請求がなされたわけでございますけれども、勾留尋問中の段階に身元が判明いたしましたので、この十人についても処分保留のまま三月八日に釈放になっております。  なお、彼らの身分でございますが、大阪市立大の中退生一人が含まれておりますけれども、あとは全員大阪市立大の学生でございます。
  177. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 その中の相当部分は寮生であったんじゃないでしょうか。それについてお伺いします。十五人が寮生だったんじゃないですか。
  178. 福井与明

    説明員(福井与明君) 半数以上が寮生でございます。
  179. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 ここで、文部省からおいでを願っておりますか――文部省の方にお伺いをするわけであります。  三月六日、この際、事件と申しますと、三月六日の事件は、大学側の要請によって警察の協力を得て、バリ封鎖を解除をするという目的を一応達して、学校は平静に返ったかに見えたわけであります。しかし、二月二日に始まって三月末までやると称しておるこのストライキ、そうして試験粉砕と、こういったふうな動きはそれでとまって、平静に返ったわけなんですか、どうでしょうね。
  180. 浪貝一良

    説明員浪貝一良君) 現在の状況を申し上げます。  大阪市立大学からの報告によりますと、三月六日に機動隊の待機のもとに教職員の手によってバリ封鎖は一度は解除したわけでございますけれども、ストライキは依然として続いておりまして、特に三月十三日から、スト実行委員会と称する学生が、さらに学費値上げ反対あるいは三月六日の二十二人逮捕事件の糾弾などを掲げて、正門で、何と申しますか、入校チェックと申しますかを行って、特に教養部職員とかあるいは学生部職員がそれぞれの事務室に入れないという状況になっておるわけでございます。  まあ大学当局では、学生部長が主になりまして、これらの学生に対しまして再三にわたって中止を説得しているわけでございますけれども、現在まで――三十一日でございますけれども、解決に至ってございません。彼らのストの期間は三月三十一日までとなっており、それに関する入室阻止、いわばチェックでございますので、明日からどうなるかということでございますけれども、もし明日以降引き続きそういった事態が続行される場合には、警察官の出動要請を行って、その協力の上解除するという方針が現在評議会で検討されていると聞いております。
  181. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 警察庁の報告の中でも、大学側が警察に協力を要請したのは、一つは、三月七日、八日に卒業生に対して試験を行う、これを何としてもやり遂げたいという意図もあって要請をしたわけですが、その試験は行われたわけですか。
  182. 浪貝一良

    説明員浪貝一良君) 当面の目標になっておりました三月八日の試験は、六日に解除はしたわけでございますけれども、そのほとぼりで、教員に対して、先生に対して、何といいますか、抗議行動などがあって、実質的に試験ができないと大学当局は判断いたしまして、いわゆるまとまった試験というものは行われず、個々の先生方の判断でいわばばらばらに行われて、試験そのものは終了したという結果になっております。
  183. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 せっかく警察の協力を求めて学園に平静を取り戻そうとしたけれども、これは人権という問題もありましょうし、手続は手続なんですけれども、せっかくこの二十二名――これはかなり札つきの諸君なんですね。寮がほとんどオキュパイされたような状況になって、他人が立ち入ることができない。ここにいる諸君たちが中枢になって、これが逮捕されたわけですけれども、大体中には、不逞にも名前も言わない、その者も含めて、翌日には全部検事釈放されておるわけですね。そうすると、その翌日にもとの状態に戻ってしまったというのが、これが大体大阪市大の状態であります。  試験はついに有効に行われることができませんでした。私の聞いたところでは、林学部長が、ストのために試験延期やむなしということ、そういうことを二月三日からすでに言っておりまして、後期試験というのはもはや行われていないわけですね、教養学部に関して。卒業生対象の試験だけはやろうと思ったけれども、これはもう抗議によって――中の学生諸君は、あの釈放された諸君がまた教室に乱入してきたんだというふうに考えておるようでありますけれども、こういう状況の中で試験は実施されませんでした。まあそれは文部省としてはよく注意をしてみてもらいたいと思うのですけれども、この市大教養部に関しましては、バリ封鎖の結果、教員がこれらの者のチェックを受けなければ構内に入ることができないと、こういうことで締め出されておる状態になっておる。後期試験は全面的に延期される、卒業試験もできないということで、この被害というのは大阪市立大学全構成員に対して被害が及んでおるわけであります。しかも、昨年も後期試験がまともにやれなかった。昨年からことしにかけて起こったところでは――学年後期試験が有効に行われなければ単位認定というものが不能になるわけでありますから、これが非常におくれてくるんですね。したがって、八月まで奨学金がとめられていますね。一般学生は甚大な損害を受けておるわけであります。ようやくこれを解決したと思えば、またことしが始まってくるわけですね。それから司法試験等の国家試験の受験資格にも単位認定というのはかかわってくるわけですから、何も年度末までに済ませばいいというわけにはいかないのであります。こういうところでも被害を出しておる、しかも、この後期試験の妨害は、断続的ではありますけれども、六年続いているわけであります。こういったふうな状態について文部省では十分に承知をしておられるのか。  このことは一過性の、そのときだけの損害にはとどまらないわけであります。しばしば義務教育の退廃、高等学校の青少年問題が言われますけれども、ここでは、学問の点においても、もう年々のことだから教授の中でも試験問題の準備をしないというような状況が一般化しておるということと、学生の中にも、いい学生ばかりじゃないとみえて、試験なしで間違いなく卒業できる時代が来たというので、楽でいいと言うような、これは学問の退廃であります。こういったふうな秩序が、しかも、一部の私的行動によって不当に制限されて、それに有効に対処されていないということになると、退廃現象が生まれてくる。これは教育上のゆゆしい問題であると私は思うわけです。ところが、こういう状況について文部省ではよく承知をし、指導しておられるのかどうか。試験の状況について把握しておられますか。
  184. 浪貝一良

    説明員浪貝一良君) 私ども、全国の国公私立の大学に対しまして、いわゆる厚生補導上の、国立大学につきましては指導、助言、それから公私立大学については援助、助言の業務を行っているわけでございますけれども、正直申しまして、こういった大学の中のことというものは私ども国公私立を通じまして細大漏らさず報告してもらいたい――と申しますのは、現在の学生のいろいろ起こします事件というものは、必ずしも一大学にとどまらず、いろいろなセクトが全国的な組織を持っておりますし、全国にかかわる、他の大学にかかわる、一大学のことが他の大学にかかわるということもございますので、細大漏らさず御報告願いたいという要請をいたしておるわけでございます。しかし、国立大学についてはほとんどそれが守られておりますけれども、公私立大学については必ずしも全貌を報告願っているという感じはいたしておりません。  大阪市立大学の件につきましても、正直申しまして、そのときどき、たとえば新聞等に出たり、あるいは大学から自発的に御報告になったときに、こちらから伺いまして、それぞれ御助言をしているという状況でもございます。
  185. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 ちょうど三年前の昭和五十年の六月四日に、この大学では内ゲバ殺人事件というのがございました。中核であります。一方は革マルであります。中核に至っては――先日も集中審議の際に自治大臣の方から成田空港に関しての報告にも挙がったセクトであります。人殺しを日常にするとまで言えば言い過ぎになるかもしれませんけれども、予告をして殺人をして、記者会見をして発表するという団体であります。間違いなく国際的には赤軍派の無謀な活動に連なり、国民を脅かすと同時に大きく国益を損なっていく、こういう団体の根がここにあるわけです。経済的にも組織的にも、いわば学校の施設と設備を利用し、そしてこの聖域の中で警察の追及等を免れて、学校からは温情を与えられて生き続けておるものである。こういう中核がここで生き続け、関西最大の拠点として市大の中に巣食っておるという点については、文部省は御承知なわけですか。
  186. 浪貝一良

    説明員浪貝一良君) いわゆる反社会的な考え方持ちます過激派と言われる学生が大阪市大に相当程度いるということは承知しておりますけれども、そのセクト等は承知しておりません。
  187. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 逐一報告を聞くということになれば、日本という発達した資本主義国で、東で問題が起これば西に響き、西の中で要請されれば東で暴れるという状況でもありますし、すでに市大に対しては、あなたがそのころどうしておられたか――三年前に文部大臣のもとから市大に向けて殺人事件のときに直接指導をやっておるわけですね。連絡、通達を行い、六項目の連絡をし、大学側は、学生処分だけは受け入れなかったようでありますけれども、それなりの答弁をして、警察とは密接に連絡をいたしますと、学外者の立ち入りは許しませんと、さまざまな約束をしておるわけであります。この点については、のど元を過ぎれば熱さを忘れたようなことになっておる。こういうことであれば、警察の協力を求めてもその効果というものはまさに彼らにとって一過性の攻撃であって有効に働いていないわけであります。特に、数学の問題として、文部省の方には、少なくとも教授が、自主的にやめるという名のもとにこれらの諸君を泳がせ、屈服して、甘やかして、試験さえも厳格に実施をしていないというような状況について、十分に把握をされて指導していかなければならぬと思うんです。試験というのは毎年行われていたというふうに把握しているんですか。どうなんですか、それは。
  188. 浪貝一良

    説明員浪貝一良君) 試験を含む研究、教育については実は所管外でございまして、ちょっと明確な御返答は……。
  189. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 昨日、担当者を呼んで聞いたら、よく知っておるんですよ、文部省は。ちゃんと知っておるのであります。しかしながら、まあこれはというわけで、むしろ三年前の通達の実施について緩みを見せ、怠っておると言わなければならぬ。これは総理大臣が幾ら断固と言われ、国家公安委員長が熱意を燃やされても、同じく閣僚に席を連ねる各省庁の中でそういう姿勢にアンバランスがあったのでは、本当の成果を期することができない。先ほどの警察庁の御発表の中でも、セクトの名前が挙がっていないわけですね。これはつかんでいないわけですか。
  190. 福井与明

    説明員(福井与明君) 大阪市立大の例について申し上げます。  これは学内のことでございますので、なかなかつかみづらいわけでございますが、ほとんどと申しますか、一番大きな部分は、四十三年、四十四年に大学紛争が非常に活発だった当時に、〇〇大学全共闘というものがございました。四十四年九月に、これの全国的な横断組織と申しますか、全国全共闘連合というのができております。ところが、これが四十七年の六月に瓦解して、現在は全共闘という組織はございませんけれども、強いて申しますと、この系統を引いていると申しますか、ノンセクトラジカルが中心と、こういうふうに見ております。
  191. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 ここで主として暴れ、特に教職員、学生に対する暴行学生の調査、私どもの聞いたところでは、昭和五十年の七月から五十二年の十一月までの間に、中核派、黒ヘルによって十一回の学生襲撃、教員襲撃が行われており、被害者の中で教官の名前を挙げても、山本学生部長代理ら四名が被害を受けておるというような事実も聞いておりますし、かなりの学生が暴行を受けております。試験破壊が繰り返されて、先ほども申し上げましたように、大体有効な後期試験等は行われていない。さらにこの大学の特徴は、民学同と呼ばれる――これは学生組織ですけれども、「新時代」というセクトがおりまして、これらが表裏一体のごとくになって、あるときは学費問題、あるときは差別落書き問題、あるときは狭山問題、あるいは三里塚というのがちゃんと出てくるわけですね。これらの問題、それから新寮問題――これは五十年に寮が新しくつくられたわけですけれども、これは従来激しく革マルと中核が主導権を争いながら握っておったのですが、新寮を実力占拠を行って、大学がこれを後で認める。百人入れるべきものの中に実に三十人しか入っていないわけですね。不法占拠を行ったわけであります。男子寮として用いた中に女子学生が十人入っておる。こういうようなところで、ここから――先ほど言われた二十二人のうちで私は十五人が大体寮生であったというふうに聞いておりますけれども、これが出撃をしておるというような状態があるわけです。こういう状況をひとつ文部省の方では鋭意調べて、前に姿勢を正されたように、この点では警察とも必要に応じては十分な連絡をとり、速やかにこういう状態を収束させるようにしてもらわなければならぬ。  念のために申し上げておきますが、大阪市大の五十年六月四日の内ゲバ殺人事件の際、この際にも警察の協力を求めまして、乱闘しておるところに警察官が入ったところ、倒れておった者六人を収容したら、うち三人が死亡、三名が重軽傷と、こういうことでしたが、その際にも中核一名と革マル五名を逮捕しておるわけですね。この時点では革マルは検事釈放、未処置のままで、しかも四名は氏名不詳のままで釈放されていますね。それから中核一名は勾留をされた。中核の方は大体加害者としての性格が強かったようですけれども、こういう状況で終わり、さすがにこの後で文部省は六項目の連絡指導ということを市大に対して行いまして、暴力が行われるとき、おそれがあるとき、あるいは平素から警察と十分連絡をとること、第二に、部外者の立ち入りを制限すること、第三には、凶器を置かせないこと、四番目には、学生、教員に非暴力について周知徹底させること、五番目には、暴力学生に厳正な処置をとること、六番目に、無許可集会は即時解散をさせること、これだけの指導をやっておるわけであります。それに対して市大では、暴力学生の厳正処置については検討中ということで、ついに答えなかったわけでありますけれども、その他の状況はおおむね受け入れたという姿になっておるのですけれども、これが一種のなれ合いであって、ここのところが、セクトの中で最も著名なものを挙げれば中核と革マル、特に法政で問題があった数年のときは「東の法政、西の市大」というふうに申しまして、これは中核の拠点になっておったわけでありますから、この点については、たとえば成田問題等が出たときにだけ一過性の取り組みをされても決して成果が上がるものではない。これは教育の問題等も含めて重要な問題だ。特にこの点で、警察の取り扱いについても、まあこれは検察とのかかわりもあるのでしょうけれども、そのつど未処置のままでというのか、処分留保のままで釈放されまして、そしてそれがもう翌日から学内に立ち戻って、現実に出動した目的であったはずの試験を妨害をしておる。こういう状況があるということですね。ひとつ大臣、これについて今後の考え方なり、処置をされるべきことについてお伺いをして、本日の質問を終わりたいと思うわけであります。
  192. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 警察といたしましては、大学の自治は尊重しなければなりませんけれども、断じて治外法権であってはならないのでございます。もとより警察が警備上の責任を負うのでございまして、違法行為のありますところ、それこそ断固たる処置をとってまいっておるつもりでございますが、ただ問題は、いま御指摘がございましたように、学校の管理体制が問題でございます。いま御指摘のございました大阪市大の問題とても、もっと早く、立ち去るべきだ、退去せよと、かような学校当局の厳然たる態度があり、そして警察の協力が求められておりましたら、あるいは試験も順調になし得たのではないであろうか、かような感じもいたすようなことでございますけれども、ともあれ、根本の考えといたしましては、学校内といえども違法行為のありますところ絶対にこれを看過せぬ、かような考えで進んでまいりたいと思うのであります。そして、今回の成田の二十六日の事件を振り返ってみましても、やはりそういう処置が十分に徹底しておらぬところに遠因がある、かようにも思えるのであります。その根源は、やはり学校内における暴力、かような見方もできつつあるようなことでございますから、断固たる処置をとってまいると、かような決意をさらに固めておるところであります。
  193. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 最後に、私もちょっとわかりにくい点があるわけなんですが、この寮なんですね。この新寮はわずか三年前に発足をした。ところが、これもガス代も水道料も払わぬというようなことで、大学からはもう指導のらち外になっているわけです。これは学校のキャンパス外にあると思うのですけれども、こういうふうなところで夜、革マルと中核とのやり合いの阿鼻叫喚が外まで聞こえたりするわけですね。こういうようなところは、学校が十分に処置をしないものなら、学校と連絡をして、たとえば治安対象として一定の検査なり調査なりされるような状況になるものかならないものか、これらのこともひとつ留意をしてお調べを願いたいと思います。  以上です。
  194. 戸塚進也

    主査戸塚進也君) 以上をもちまして自治省所管に対する質疑は終了いたしました。  明四月一日は午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時十七分散会      ―――――・―――――