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1978-03-29 第84回国会 参議院 予算委員会第五分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年三月二十九日(水曜日)    午後四時二十二分開会     ————————————— 昭和五十三年三月二十九日予算委員長において、 左のとおり本分科担当委員を指名した。                 小澤 太郎君                 戸塚 進也君                 望月 邦夫君                 山本 富雄君                 赤桐  操君                 野口 忠夫君                 相沢 武彦君                 立木  洋君                 野末 陳平君     —————————————    分科担当委員の異動  三月二十九日     辞任         補欠選任      野口 忠夫君     安恒 良一君     —————————————   出席者は左のとおり。     主 査         戸塚 進也君     副主査         望月 邦夫君     分科担当委員                 小澤 太郎君                 山本 富雄君                 赤桐  操君                 野口 忠夫君                 安恒 良一君                 相沢 武彦君                 立木  洋君                 野末 陳平君    国務大臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)        (北海道開発庁        長官)      加藤 武徳君    政府委員        内閣法制局長官  真田 秀夫君        警察庁長官官房        長        山田 英雄君        警察庁刑事局長  鈴木 貞敏君        警察庁刑事局保        安部長      森永正比古君        警察庁交通局長  杉原  正君        警察庁警備局長  三井  脩君        北海道開発庁総        務監理官     吉岡 孝行君        北海道開発庁計        画監理官     大西 昭一君        労働大臣官房審        議官       関  英夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○主査及び副主査互選昭和五十三年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和五十三年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和五十三年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付)     —————————————   〔年長者小澤太郎主査席に着く〕
  2. 小澤太郎

    小澤太郎君 ただいまから予算委員会第五分科会を開会いたします。  本院規則第七十五条により、年長のゆえをもちまして私が主査及び副主査選任につきその議事を主宰いたします。  これより主査及び副主査選任を行いますが、選任は投票によらず、主宰者の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小澤太郎

    小澤太郎君 御異議ないと認めます。  それでは、主査戸塚進也君、副主査望月邦夫君を指名いたします。     —————————————   〔戸塚進也主査席に着く〕
  4. 戸塚進也

    主査戸塚進也君) ただいま皆様方の御推挙によりまして主査を務めることになりました。皆様方の御協力を得ましてその責務を果たしたいと存じます。何とぞよろしくお願い申し上げます。  審査に入ります前に、議事の進め方についてお諮りいたします。  本分科会は、昭和五十三年度一般会計予算、同じく特別会計予算、同じく政府関係機関予算中、警察庁北海道開発庁環境庁国土庁建設省及び自治省所管審査することになっております。  なお、四月一日の委員会において主査の報告を行うことになっておりますので、議事を進める都合上、主査といたしましては、本二十九日警察庁北海道開発庁、明三十日午前を国土庁、午後を建設省、三十一日自治省、四月一日午前を環境庁という順序で進めたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 戸塚進也

    主査戸塚進也君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  6. 戸塚進也

    主査戸塚進也君) 次に、お諮りいたします。  各省庁予算審査の冒頭、各省庁から聴取する予算の細部にわたる説明はこれを省略し、それぞれの審査日会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 戸塚進也

    主査戸塚進也君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  8. 戸塚進也

    主査戸塚進也君) 昭和五十三年度総予算中、警察庁北海道開発庁所管を一括して議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  9. 相沢武彦

    相沢武彦君 苫小牧東部工業開発と並んで北海道開発の目玉になっております石狩湾新港地域開発計画についてお尋ねをしたいと思います。  この開発計画は、石狩湾に新しい流通港湾を建設して、その後背地の小樽市、石狩町にまたがる二千九百四十ヘクタールに一大流通基地消費財機械などの都市型工業基地を設けようというものなんですが、当初計画に比べて大幅におくれております。五十三年度に入ってようやく長い間の足踏み状態から抜け出して進展が見られそうだと言われているんですが、進捗状況につきまして概要を簡単にひとつ御説明いただきたいと思います。
  10. 大西昭一

    政府委員大西昭一君) 石狩湾新港地域開発計画につきましては、ただいま先生指摘のごさいましたように、昭和四十七年の八月に基本計画を立てまして、これに基づいて、主として核となる港湾中心事業を進めてまいっております。しかし、御案内のとおりの経済の低成長への移行ということに伴いまして、当初六十年を目標としてこの地域開発を進めるべく予定いたしておりましたけれども、これが若干、御指摘のとおりおくれぎみでございます。  で、この計画は、すでに御案内のところかと思いますが、札樽圏における、まあ主として札幌圏でございますけれども札幌圏における生産機能あるいは管理機能などの都市機能の適正な再配置、いわば札幌市の都市機能の純化あるいは高度化ということを目指して進めております北海道開発全体から考えましても大変重要なプロジェクトでございます。したがいまして、若干おくれぎみではございますけれども、今後鋭意港湾あるいは用地造成あるいは道路等基盤整備をできるだけテンポを上げまして事業促進してまいりまして、六十年目標というのはこれは若干おくれまして、恐らく六十年代前半ぐらいになろうかと思いますけれども、所期の目的が達成できるように鋭意努力をいたしてまいりたいと考えております。
  11. 相沢武彦

    相沢武彦君 関係市町村の治水上の対策として、放水路完成させることに取り決めになっておるんですが、いつまでに完成できるんですか。
  12. 吉岡孝行

    政府委員吉岡孝行君) お尋ね放水路の問題でございますが、これにつきましては、御承知のように四十七年度に事業に着工しているわけでございます。それで五十二年度までに約十八億の事業を実施、それから五十三年度においても十八億の事業予定しておるわけでございます。いまのところ、それであと残事業が五十四年度以降になりますと約五十億ぐらい残るわけでございますが、今後いろいろそういう放水に伴う諸問題を解決しつつ、なるべく早期に完成するように努力してまいりたい、こういうふうに考えております。
  13. 相沢武彦

    相沢武彦君 そうすると、完成時期が何年度ということはいまのところはっきりしてないということなんですね。
  14. 吉岡孝行

    政府委員吉岡孝行君) いまのところ何年度というところまでここで御確言できる段階に至っておりませんが、いままでの予算のペースで進めば五十五年度か六年度には完成したい、こう考えておるわけでございます。
  15. 相沢武彦

    相沢武彦君 この放水路にかかわる問題点として茨戸川環境整備事業の問題なんですが、これの方はどのように進捗していますか。
  16. 吉岡孝行

    政府委員吉岡孝行君) この茨戸川浄化対策につきましては、ここ数年来調査を続けてきたわけでございます。それで、茨戸川に堆積していますヘドロの総量というのはいま約二百五十万立方メートルと言われておるわけでございます。ただ、そのうち当面その除去を必要とするものは約七十万立方メートルと考えられております。そういうことで、いろいろいままでの調査による結果に基づきまして、五十三年度予算に新たに新規事業として予算が計上されておるわけでございます。で、五十三年度はまず試験的に工事に着手しまして、五十四年度以降、その結果に基づき、本浄化事業促進を図ってまいりたい、こう考えております。
  17. 相沢武彦

    相沢武彦君 五十五年度までに五十万トンないし七十万トン程度ヘドロ処理をしたいという計画、のように聞いてますが、間違いございませんか。
  18. 吉岡孝行

    政府委員吉岡孝行君) その五十五年度までに幾らというところまでの年次計画はまだ立ててないわけでございまして、ただいま申し上げましたように、五十三年度新規事業に着手するわけで、それで、五十三年度に試験的に工事を実施してみまして、いろいろ除去の方法とか何かの問題点もありますので、それで五十四年度以降、その結果に基づきまして計画的に本事業促進を図ってまいりたいと、こう考えている次第でございます。
  19. 相沢武彦

    相沢武彦君 推定二百五十万立方メートルのヘドロがあり、これを除去しないと、放水路を通って石狩湾を汚してしまう。漁民人たちはその点を非常に心配して、反対を続けてきた。開発庁としては、当面の除去として五十万トン程度は早急に処理をしたいということで、地元関係者は一応の納得がいっているというふうに聞いているんですけれども、やはり年次計画が明確にならないと非常に先行き不安である。五十三年度、五十四年度までには大体どのぐらいの処理ができるというふうに見込まれるのでしょうか。
  20. 吉岡孝行

    政府委員吉岡孝行君) ただいま申し上げましたように、当面除去を必要とするヘドロの量としましては、約七十万立方メートルというものが調査の結果出ておるわけでございます。で、われわれとしては、これの除去目的にして事業を行うわけでございますが、五十三年度新規に行います事業、何分新規に行う事業でございますので、その結果を見まして、五十四年度以降、計画的に七十万立方メートルの除去を目指して本事業を推進してまいる、こういうふうに考えている次第であります。
  21. 相沢武彦

    相沢武彦君 この茨戸川汚泥処理は総額三百億ぐらいはかかるんではないかと、こういうふうに言われておりまして、地元汚泥対策本部等を設けて、やかましく道や国を突き上げたんで、開発促進しなきゃならない立場開発庁としては、まあ地元懐柔策といいますか、これは口約束だったんでしょう、五十五年度までには当面の五十万立方あるいは七十万立方ヘドロ除去をするという一応のプランをお話しになったようで、地元としても一応の納得をしたという形におさまっているようなんですけれども、いまのお話ですと、五十四年度以降に年次計画を立てて、そこで初めて当面除去の必要な七十万立方メートルに対する年次計画が初めて組まれるということになると、大分地元お話し合いになったときといまの御答弁とでは食い違って、地元はこれは約束が違うぞということになりはしないかと思うんですが、その点はどうなっているんですか。
  22. 吉岡孝行

    政府委員吉岡孝行君) その五十五年度までとわれわれ聞いておりますのは、先ほど放水路の方の事業でございますが、それにつきまして、われわれとしては五十五年度を目標事業を進めていきたいと、こういうふうにいろいろと計画地元に御説明したということは伺っておりますが、茨戸川の方の汚泥処理につきまして、五十五年度までにというのを具体的な計画としてお示ししていることはないとわれわれは考えております。
  23. 相沢武彦

    相沢武彦君 そうすると、あなたは、先ほど放水路の方は五十五ないし五十六年ということでお話しになりましたけれども、現地では五十五年放水路完成ということはお話しになったということをいまお話しになりましたので、それは間違いないわけですね。
  24. 吉岡孝行

    政府委員吉岡孝行君) 全体の、先ほどありました石狩湾新港地域開発計画上の事業ととして、五十五年度完成を目途にして努力していきたいと、こういうふうに御説明したということでございます。
  25. 相沢武彦

    相沢武彦君 その五十五年放水路完成時までに、ヘドロ処理の方は何十万立方メートルは処理しますということは明確にできなかったんですか。
  26. 吉岡孝行

    政府委員吉岡孝行君) 放水路のもちろん完成時までにこのヘドロ処理を進めていくわけでございますが、放水路完成時とこのただいま問題になっておりますヘドロ処理完全処理とが必ずしも年度的に一致しなければこの事業の成果が上がらないというものではないと考えておるわけでございます。当面処理を要します量七十万トンのうち、一番重点的な地域からまず除去を始めます。片方、いわゆる茨戸川に流入する生活排水等についても、札幌における下水道整備に伴いましてその水質が逐次改善されつつあるわけでございます。そういうことで、片方排水改善とあわせてこちらの事業を実施し、順次茨戸川環境改善を図っていく、こういう考え方で事業を進めることとしておるわけでございます。
  27. 相沢武彦

    相沢武彦君 要するに五十五年度までには茨戸川ヘドロ除去の方は、明確な除去立方メートルというものはいまのところ出ていないと、このように私認識しておきます。  それで、この放水路の問題なんですが、非常に川の流れがよどんでいるので、本流から水を入れなきゃならない、そうしないと発生するアオコを防ぐことができない。要するに本流から水を入れて水の速度をつける、水の流れをつくってやらないと放水路の水の流れが進んでいかない、こういうことなんですが、一方、この放水路の問題で私ども心配しておりますのは、本流に注ぐ都市排水なんですが、都市排水はたれ流しに近い状態ですね。非常に汚泥率が今後も高くなると予測されるわけです。札幌市は五十四年から下水道の第三次高次処理をするということで関係住民の了解を取りつけてきたようなんですが、この計画も五十四年にはできない、五十五年以降であると、こういうふうに延期をしているようです。そうしますと、いまのお話にありますように、五十三年度の結果を見てから初めて年次計画ができる、茨戸川汚泥処理にしても。それから一方では、都市排水の方の札幌市の下水道の第三次処理の問題も一年間延期をするということに最近なってきた。こうなりますと、開発局の当初計画どおり汚泥による新港海水汚濁を防ぐということは計画どおりいかなくなるんじゃないかという心配が出てくるんですが、この点についてはいかがですか。
  28. 吉岡孝行

    政府委員吉岡孝行君) 札幌市における下水の第三次処理の問題につきましては、いろいろ札幌市の方で現在その計画を御検討中であると聞いております。そういうことでありますが、第三次処理と申しますのは、私ども聞いておりますところでは、まだ全国的にも、行われている地区は非常に少ないと聞いております。それで、技術的にもいろいろまだ検討すべき問題が多いと、こういうふうに伺っておるわけでございます。  ただ、全般的な下水道整備というのは着々と進められておるわけでございまして、片方、そういう下水道整備と相まちまして、われわれの方の浄化対策事業も進める、それで順次茨戸川浄化を図っていくというふうに考えておるわけでございます。
  29. 相沢武彦

    相沢武彦君 大臣ね、石狩湾新港地域開発計画なんですが、やはり地元関係住民の合意、それから協力がなけりゃならないと思うんです。特に漁民が心配したのは汚泥の問題なんですね。そこで、汚泥処理を責任を持ってやり遂げると、こういう御意思をここで確認しておきたい。
  30. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 御指摘がございましたように、札幌市内下水道等整備することによりまして処理を急ぎますことと、茨戸川をきれいにいたしますことと、そして放水路の掘削は、三者非常な関連を持つものでございまして、特に漁民立場からいたしますと、石狩湾に大量に汚水が流れて参りますことは非常に困る、かようなことであろうと思います。いま説明がございましたように、三者の整合性が必ずしも十分にとれておらぬと、かような感じを深ういたすのでございますから、なるべくその整合性を高めてまいりまして、そして三者ができるだけ足並みがそろって進んでまいりますような努力を今後しなければならぬと、かように痛感しているところであります。
  31. 相沢武彦

    相沢武彦君 次に、第三セクター石狩開発会社についてただしておきたいと思います。  公共投資負担区分なんですが、第三セクターと道と国の負担区分というのは決まっているんでしょうか。
  32. 大西昭一

    政府委員大西昭一君) 石狩湾新港地域整備事業は、港湾を核といたしまして、道路、公園でありますとか、下水、上水道、各般の分野にわたるわけでございまして、これらの各種事業につきましては、現行制度によりまして、一応負担区分はそれぞれの事業で決まっております。したがいまして、それを集計いたしますと、国、道、市町村あるいは第三セクターというぐあいに負担区分は一応現行のところでは出てくるわけでございます。しかし、何分にも全体が非常に総合的な、また多額の投資を要する事業でございますので、現行負担区分でスムーズに事業が推進、進捗させ得るかどうかということについては、これは今後検討すべき問題があろうと考えております。したがいまして、今後市町村財政あるいは第三セクター等経理状況等を十分見きわめながら、負担区分について引き続き今後とも道にも一緒に入ってもらいましてそういう検討を進めてまいりたいというふうにいま考えております。
  33. 相沢武彦

    相沢武彦君 そうすると、今後の検討いかんによっては現行負担区分は変わる可能性もある、変えなきゃならないということもあり得るんだと、このように理解してよろしいですね。
  34. 大西昭一

    政府委員大西昭一君) ものによりましては、現行制度ではちょっと事業が遂行不可能だという事業が出てまいりますれば、その時点で十分検討してまいりたいというふうに考えております。
  35. 相沢武彦

    相沢武彦君 五月から用地売却等も始まるというんですが、ここで区域設定の問題でお尋ねしたいんですが、石狩側の方は住宅関連企業を張りつけるということなんですが、進出希望企業はどれぐらいあるんでしょうか。
  36. 大西昭一

    政府委員大西昭一君) ただいま先生指摘のとおり石狩町、まあいわばこの地区の東側の石狩町の部分でございますが、現在、一昨年秋から土地区画整理事業を実施いたしております。そしてこの場所は主として住宅関連産業予定いたしておりまして、木材加工あるいは家具あるいは建材等住宅関連産業立地予定いたしております。で、現在やっております、現在の土地利用計画で見ますと、その住宅関連産業は全体のうち約三百八十ヘクタールぐらいを住宅関連産業立地予定と考えておりまして、現在手をつけております土地区画整理事業はそのうちの百六十五ヘクタールでございます。この百六十五ヘクタールの土地区画整理事業のうち、第一期分としまして四十八ヘクタールをおおむね五十二年度中に造成を完了いたしますので、ここを主体といたしまして、できれば企業の誘致を図ってまいりたいというふうなことで、関係機関でいま検討を進めておる次第でございます。  現在その住宅関連産業への立地希望といたしましては約五十社程度、昨年末の進出意向調査によりますと約五十社で、その用地面積は仕上がりとしまして約百二十ヘクタールぐらいの進出希望があるというふうに聞いております。
  37. 相沢武彦

    相沢武彦君 住宅関連企業地元の方の調べですと十五社程度にすぎないんではないかというふうに私聞いて調べてきたんですが、この全体の進出希望企業数は百八十から二百ぐらいある、業種にして五、六十だろう、そのうち住宅関連企業、この東港区の方は十五社程度ではないかと、こういうふうに話を聞いているんですが、ちょっと数に食い違いがありますね。  問題は、経済が好況で非常に購買力もあった、また製品は何をつくっても売れていく、こういう当時の発想だけで東港区の方、住宅関連企業だけの張りつけというのは無理ではないのか、こういう地元の声も一部にあるんですが、この点についてはいかがですか。
  38. 大西昭一

    政府委員大西昭一君) まず一番最初に手をつけました土地造成事業住宅関連産業と置きましたのは、やはり札樽圏道央中心といたしまして非常に住宅の建設の戸数が今後ふえるであろう、低成長下でもふえるであろうというふうなことで、できるだけそれを地場で賄うというふうな観点から、住宅関連産業部分最初に手をつけたわけでございます。しかし、御指摘のとおりここではこのほかに、機械工業でありますとかあるいは食品加工業でありますとか、まずそれよりも一番大きいのは、いわゆる流通基地整備する、工業立地とあわせまして流通基地整備するという非常に大きな目的がございますので、それらについても開発熟度等を見ながら、住宅関連産業だけと言わずに、それらの部分について熟度が出てまいりますれば、逐次土地造成にかかっていく必要があるだろうというふうに考えております。  それから先ほど指摘の、私、五十社と申し上げましたが、確かに昨年の進出意向調査で、全体で約百八十ばかり進出意向企業が手を挙げております。この中でいわば住宅関連産業と明らかに言えるものというふうなことで拾えば、これはいろいろ、どこまでを住宅関連産業と読むかということによると思いますが、私どもはやや広くその関連産業をとりましたので先ほど五十社と申し上げましたが、先生の十数社というのはやや厳密な意味で、狭い範囲で分類されたものであろうかと思います。
  39. 相沢武彦

    相沢武彦君 五月から売却予定用地価格なんですが、三・三平方メートル当たり三万五千円前後、当面三年程度の年賦で売却していくことになるだろうと、こういうことなんですが、短期間に予定どおり売却できる確信がございますか。
  40. 大西昭一

    政府委員大西昭一君) ただいま地元の道あるいは市町村あるいは第三セクターが入りまして、石狩湾新港地域開発連絡協議会というのを地元で自主的につくっておりまして、そこでこの新港地域における立地企業選定委員会、グループをさらに昨年発足さしております。それらが中心になりまして、いまどういう形で——分譲の条件、あるいは分譲価格等について寄り寄り検討を進めておるところでございますが、当面は先ほど申しました第一港区分の四十ヘクタールを分譲対象として公募をする予定でございます。こういう情勢でございますので、先ほど申し上げましたように、進出希望は手は挙げておりますけれども、昨今の経済情勢から見て、右から左に公募をしたから分譲できるというふうには実は私どももそう楽観はいたしておりませんで、分譲が完了するまでにはやや時間がかかるんではないかというふうに見ております。
  41. 相沢武彦

    相沢武彦君 四十六年から土地取得を始めたんですが、用地売却は当初計画よりもおくれて、金利がかなりかさんでいるはずなんですが、現時点で累計金利幾らになっていますか。
  42. 大西昭一

    政府委員大西昭一君) 昭和五十二年度、この三月末の見込みでお答え申し上げますが、今日までの第三セクターの借入金の残高は三百七十四億円でございます。で、今日までの支払い利息、五十二年度を入れました見込み支払い利息は九十三億円でございます。
  43. 相沢武彦

    相沢武彦君 今後いろいろと開発を進めて公共投資分がこの土地代価にはね返ることになりますと、かなりまたこれは大変苦しい経営になるんじゃないかと思うんですね。これは新聞記事でありますけれども石狩開発会社資本金を倍額増資する方針だというんですが、その程度の増資では焼け石に水になるのではないかと、こういうことが心配されております。今後、この第三セクターに対する運営問題について、やはり開発庁としても特別な計らいを考えなきゃならない時点に来るんじゃないかと思いますが、その点について大臣どんな見解を持っていらっしゃいますか。
  44. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) いまの資本金の十億円を倍額にいたしまして二十億円にいたす、このことは聞いておるのでございますが、ごくわずかの増資のようではございますけれども、このことによって信用が高まってまいりましょうし、なおかつ、資本金は利子を食わない金でございますから、この限りにおいてはプラスになると、かように思っておるのでございます。  なお私は、いまの説明を聞きながら、北東公庫の融資額とその他の金融機関の融資額を比較をしてみますと、北東公庫の融資分が若干少ないような感じもいたすのでございまして、北東公庫はいわゆる特利と称します安い利息で融資をいたしておりますから、今後、北東公庫の利用等につきましても格段の配意をいたしまして、そして負担ができるだけ少なくなるように、かような基本の考えが必要であろうと、こういうぐあいに考えておるところであります。
  45. 相沢武彦

    相沢武彦君 先ほどお話に出ました企業立地希望数百八十から二百社ということなんですが、ほとんどが道内企業の進出になるようなんです。そうしますと、現在北海道は札幌圏のみに集中してきて、人口も過密になっている、その他のところは過疎になっていると、こういうことで、石狩湾新港を目指して進出する企業は、その他の地域における過疎化へ拍車をかけることになるんじゃないかという意見もあるんですが、そうしますと、新規長期計画の中の地域振興計画との関連はどうなるのか、整合性はどのようになるのか、これについてお答えをいただきたい。  それからもう一点。石狩湾新港と小樽港との機能分担について、開発庁としてはどんな腹案を持っていらっしゃるのか、今後小樽港の整備はどのように進めるのか、簡単にひとつお答えいただきます。
  46. 大西昭一

    政府委員大西昭一君) 第一点の石狩湾新港地域への進出希望先ほどもちょっと触れましたけれども、昨年末の調査では約百八十社ぐらいが進出意向を持っておるということでございまして、このうち道内企業は百五十でございますから、御指摘のとおり大半は道内企業でございます。  しかし、この百五十のうち約九十社は札幌市内で操業しておる企業でございまして、この百五十のうちの九十社が当地区への進出を希望するということは、先ほども触れました札幌市の都市機能の純化あるいは高度化を図るという観点から、むしろ大変好ましいものであろうと考えられまして、道内の他地域の過疎化につながることにはならない——これは札幌市の中の移転でございますので、他の地域での過疎化を促進するとかいうようなことには少なくともこの九十社はならないだろうと考えております。  それから、その他の約六十社ばかりの道内企業でございますけれども、これも当地域への進出の意図というのは、大半が企業規模の拡張あるいは経営部門の多角化というふうなことを意図してこの地域への進出を希望しておると聞いておりますので、これらの企業立地に当たりましては、地方の過疎化を来たさないように十分配慮しながら対処していきたいというふうに考えております。  それから、先日閣議決定いたしました新北海道総合開発計画では、御指摘のとおり、地方の振興を一つの大きな柱として進めておりますが、それとの関連におきましては、私どもとしましては、新規計画でも触れておりますように、地域の特性に適合した産業の振興と適切な規模の人口の定住を図られるような総合環境を形成するというふうな方針でおりますので、こういう基本方向に沿って、先ほど申しました他地域からの当地区への進出に当たりましては、この点を十分配慮しながら、この基本線に沿って立地誘導を図ってまいりたいというふうに考えております。  それから、第二点の石狩湾新港と小樽港の関係、機能分担についてでございますが、現在道央、これは広い意味での道央でございますので室蘭、苫小牧を含みます。道央圏における港湾取り扱い貨物量は約七千万トンでございまして、それが六十年代前半にはその貨物はおおむね倍増するだろうというふうに私どもで予想いたしております。そうしますと、既存の室蘭あるいは苫小牧、それから小樽等の整備計画どおり進めてまいりましても、なお一千万トン程度のものを新しい港に頼らなければいかぬというふうに考えられるわけであります。この分がいわば石狩湾新港の果たす役割りになるわけでございます。ちなみに、隣の小樽港につきましては、現在取り扱い貨物が六百五十万トン程度でありますが、これを約倍増に見込みましても、札樽圏における貨物を処理するためにはどうしても一千万トン程度の貨物を処理する流通港湾が必要になるわけでございます。  その性格につきましては、石狩湾新港につきましては、これは札幌圏中心としまして今後増大する物資流通等消費財中心とした先ほどの都市型工業に直結する流通拠点としての役割りを石狩湾新港に期待し、小樽につきましては、今日までの投資によりまして大変恵まれた海域条件を持っておりますので、再開発を進めながらさらに近代的な流通施設を整備して、今日までも果たしてきた国際貿易港としての特性を持たして外貿貨物の取り扱いの拠点とするというふうな考え方をとっておりまして、そんな観点から、石狩湾新港はどちらかと言えば札幌圏に直結する港湾であるし、小樽港はもっと広域的な勢力圏を持った港湾だというふうな形で整備を進めてまいりたいと考えております。
  47. 相沢武彦

    相沢武彦君 時間が参りましたので、以上で終わります。
  48. 戸塚進也

    主査戸塚進也君) 以上で相沢君の質疑を終了いたします。   〔主査退席、副主査着席〕
  49. 戸塚進也

    戸塚進也君 それでは、国家公安委員長にまずお伺いいたしますが、本日の緊急の本会議におきまして、わが党の玉置議員からの発言に対して、公安委員会の審議といいますか、公安委員会のいろいろな話し合いの内容を御存じでありましょうという大臣の御発言がありました。その後で大臣から、それは記者会見をやった範囲内であろうと、こういうことをつけ足されました。それは、私はそれであるならば理解するわけでございますが、本来、国家の公安関係の最高の機関のそうした会議の内容が一つ一つ全部外に完全にわかる、こういうことはまことに不可思議なことであって、そういうことがあったのでは逆に国家の治安といいますか、そういう問題に重大な影響がないかと心配するわけでございます。その点、公安委員長の本日の本会議の御答弁の中でお話があったことをもう一度ひとつその点から確認しておきたいと思います。
  50. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 玉置議員が御発言になりました中に、国家公安委員会の論議された内容をわしはよく知っておるがという、さような前置きでの御質問がございました。そこで、私はそのときに直観いたしましたことは、ははあ、記者会見等が行われたのでマスコミの方でありますとかその他の方法でよく内容を知っていらっしゃるんだなと、かような印象を持ったものですから、私は、よく知っていらっしゃるでございましょうけれどもと、かような言い方をいたしたのでございまして、それは決して、国家公安委員会は非公開の会合でございますから、その内容等が詳細に外部に漏れることはあり得ないのでございますけれども、しかし記者会見等を通じて、審議をされました中身のアウトラインは公開いたして記者会見をしておるのでございますから、御承知があってしかるべきだと、かような感じがいたしたのでございます。したがって、私の舌足らずで、十分ではございませんでしたけれども、後で私の本旨を申しましたように、決して中身が外部に漏洩されたと、かようなものではないことの御理解を願う発言に訂正いたしたようなことでございます。
  51. 戸塚進也

    戸塚進也君 それでは、成田関係について少し警察庁当局にお尋ねいたしますが、たまたま立法という問題も検討される、過般私の質問に、ここにいらっしゃる三井警備局長からも検討対象であるというようなお話もあったことは御案内のとおりであります。その後、わが党としてもこの問題については大きな関心を持って現在討議が進められているところでございますが、そこで、立法問題はともかくおきまして、現行法の中で、あのようなことが起こった場合に、現時点で捜査をいたしましたり、あるいは警備上あのようなことを鎮圧するといいますか、そういうことにおいて、現行法において非常にむずかしいと、こういう点がございましたらひとつ率直にお聞かせいただきたい。
  52. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 私たち、現行法をフルに活用してこの種凶悪な事案に対処しておるわけでございます。そういう意味においてまだまだ研究の余地はあろうかと思いますけれども、ただいままでのところ、とりわけこれは大変不便だというものは感じておりません。したがいまして、まあ今回のああいう大きな事件でございますので、検討委員会等を通じまして、検討の中でもっとよりよく効果を上げるためにはどういう点に問題があるかということを研究してまいりたいというように思っておりますが、現行法のフル活用で大体は間に合うという感じをしておりますけれども、なお将来のことを考えていろいろの問題点というものを研究したいと思っております。
  53. 戸塚進也

    戸塚進也君 まあ局長のお気持ちはおおよそわかりましたが、仮にもし、立法について今後検討対象と局長はおっしゃった。検討対象にするのであるならば、どういう方向の点について、特にあの種の事案が起こった等の場合について新しい立法を考えられるとするならば、どういう点が考えられましょうか。たとえば刑罰の問題だとか、あるいはまたその準備的な行為等の問題についてでございますとか、いろいろございましょうが、特にどういう方向について御検討をされようとしているのか。
  54. 三井脩

    政府委員(三井脩君) たとえば岩山要塞あるいは横堀要塞というのがありまして、航空法で、合法の範囲である程度の高さまで建てられる、それから以上に上に乗せればそれは航空法違反になるというようなことがありまして、上に乗った段階でこれを航空法違反として取り締まるということで、その土台だけは合法だというように存在ができるわけでありますので、それも大体違法なことに利用されることが多い、また目的もそれに近いと思われますので、そんなものは何とか土地収用とかそういうようなことでできないものだろうか、もちろん土地収用法はございますけれども、何か徹底したそういう根源的なものを処理する法的手段はなかろうかというように思っておりますが、まあそれがありませんでも、違法の段階に達すれば、現に取り締まって撤去しておるということでございます。
  55. 戸塚進也

    戸塚進也君 では、立法問題を申し上げましたので、公安委員長にお尋ねいたしますが、公安委員長としては、まあいろいろ御答弁がいままでも出ておりますけれども、立法問題については非常に大きな関心を持っていらっしゃいますか。そしてこれを、まあやはりいま局長からお話があった点、あるいはまた場合によると現行の刑法の中では十分でないような点を含めて、ひとつ考えられることであるならば真剣に取り組んでみようと、こういう御心境であるかどうか、お尋ねいたします。
  56. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 端的な言い方をいたしますならば、警職法で立法化が不可能な状況になりまして、自来、治安立法に関しましてはタブーなような空気が政府内部にあるのは事実でございますけれども、しかし、今回の事犯を静かに分析をいたしてみますときに、果たしてこれでいいのかどうかと、この感を深ういたすのでございます。しかし最終的には、立法はもとより議会で決定を見なければならぬことでございますが、政府提案は、もとより政府が提案いたすのでありますけれども、かような機会にこそ各面にわたりまして十分に検討を加え、そしてこの点は立法しなければならぬというものが見出し得まするならば立法いたしてまいりたいと、かような考えでございますけれども、だからといって、警察当局がいまの法体系の中において治安の確保が不可能だとは考えておらないのでございますし、また、その立法がなければ成田開港が不可能だという見方をしておるのではございませんで、当面の大きな課題といたしましては、現行法規の枠の中におきましての最大の活用をいたして治安の確保を図ってまいりますけれども、長期的な展望に立ちましては、かような立法はそのときの一時の感情に駆られてやろうといたしましても、相当の期間がかかり、その間の世論の動向も見きわめていかなければならぬのでございますから、きわめて慎重な構えの中にも、しかし十分な意欲は持っておると、かように御理解をいただけるとありがたいのであります。
  57. 戸塚進也

    戸塚進也君 私は、どんな人でもふん縛ってしまえと、決してそう言うわけじゃないんです。ないんですけれども、今回も警察当局に警備上ミスがあった、全部警察が悪いんだと、しかしどう考えてみても、一線の警察官を含めて、あるいは指揮に当たられた方々も、割り切れぬ気持ちもあると思うのですね。ですから、やはりあのような、私どもの常識の頭では考えられないようなことが白昼堂々と行われると、こういったようなことに対しては、やはり厳しい態度で臨んでいただかなきゃならないだろうし、またこれについての法の不備はないか、あるいはまた将来の国民の安全のために大丈夫であろうかと、こういうことも十分お考えの上で、今回のことをよい教訓にして、立法問題についてもぜひ前向きにひとつ考えていただきたい、そのことを御要望申し上げたいと思います。  そこで、現行法の中での問題でございますが、先ほど局長もいま土地収用の問題等も含めてお話がございました。私はまだ現地でつぶさに調べたわけではありませんが、きょうの玉置議員のお話のようなああいう状況、違法な建築物、これは、たとえば恐らく仮に私有地であったとしても、そこに建築確認許可をとっておるか——とっておらない、あるいはまた、農地であったところに建物を建てたら、農地の転用ができておるか——できておらない、こういうところにいつの間にか建物ができ、人が住み、郵便が配達され、そして結婚して、こういうことになってくると、それじゃまじめに国の法律に従っている者がばかを見るじゃないかと、そういう人たちに対してもそのようないろんな国の法的な保護も含めてやっておるというならば、ではまじめにやっておる人はどうするのかということになるわけであります。したがって、やはり法の最も厳粛な番人である警察当局は、そうした違法行為に対しては現行法の中でも、現在からでも遅くないからやはり徹底的に取り締まるなり、改善をさせるなり、こういうことをやはりもっと努力すべきだ、もっと研究すべきだ、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
  58. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 御意見のとおりでございまして、たとえば要塞と称するものを建てる場合に、建築法の届け出をしておらないというようなことがありますし、あるいは構造上も、窓がないとか、いかにもおかしい建物であるというようなことにつきまして、建築基準法の観点を検討いたしまして、これは直接には知事がその部下である建築主事を通じて措置をするということになっておりますので、この辺に対して強力に働きかけておるわけでございますけれども、いまのところ、建築基準法の運用として研究はするけれども、直ちにそれを発動するについては行政指導の立場から問題ありというようなことで、農地法についてもそんなようなことでございますので、さらにこういう事態を踏まえまして強力に推進してまいりたいと思っております。
  59. 戸塚進也

    戸塚進也君 そのことがやはりほんとに今回の解決の一歩にもなるかもしれませんから、十分ひとつ考えてください。  次に、きょう本会議で騒擾罪の問題につきまして公安委員長からの御答弁もございましたが、これについては、再答弁の中で、検討をするというような方向の御答弁が出されましたが、これは積極的に検討する、そういう方向で受け取ってよろしいんですか。
  60. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 騒擾罪の適用の問題でございますので、ちょっと大臣にかわりまして私先に申し上げますが、先ほど申し上げましたように、現行法はフルに活用する。その現行法は幾つもありますが、その法規を適用するに、その事態に最もふさわしい法規を適用しよう。一つの行為でも幾つもの犯罪の罰条にも該当するという行為があるわけでございまして、大変凶悪な今回の事件でございますので、いろんな犯罪が当たるわけでございます。その中でそれを適用して取り締まることによって最も有効な法規を活用していこうということでございますので、今回の場合は凶器準備集合罪その他の、それから殺人未遂といったようなものを主として使ったわけでございますが、今後の問題といたしましては、騒擾罪にふさわしいものについては騒擾罪を積極的に活用していくと、こういう心構えでおるわけでございます。
  61. 戸塚進也

    戸塚進也君 きょうただいまの予算委員会で、秦委員からも質問があり、私もあの緊急の質問のときに申し上げましたが、経費問題でございますね。私は、この経費問題というのは、仄聞することでございますが、そういうことがやはり解決しない、千葉県当局がどうも納得がいかない、こういうことがやはり警備上にも若干私は影響があったんじゃないかというふうにも思うのです。やはり、一万四千人の警察官を全国から集めて、機動隊以外の経費については補助なりあるいはまた自治省としてのいろいろな交付金なり何なりでめんどう見る、こういうふうに大臣おっしゃるけれども、私は、あのような国家的な国際的な大事の中で、あのような大がかりな警備陣をしかれる場合に、それが、いまの決まりがこうであるからというようなことで、その域を脱しないということでは、これはやはり今後の警備にも非常に私は心配されます。やはり、あのような問題が起こったときは、国家的な見地から、経費もこれは国家で少なくともその一万人の警察官が食事をしたり動いたりするような費用については責任を負う、こういうやはりしっかりしたことでなければ、私は千葉県警の本部長も非常に不安でならないと思うんですよ。この点もう一度ひとつ考えていただきたいんですが、いかがですか。
  62. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 先ほど予算委員会の一般質問におきまして、警察庁の官房長が経費問題には答弁をいたしたのでありまして、警備に要します費用は全額国が見るのでございますから、この限りにおいては、千葉県が心配をいたしますことはみじんもないのでございます。ただ、千葉県で警察官の増員をいたすことになっておりますから、この経費は千葉県が支弁をしなければならぬ、かようなことに相なるのでございますけれども、これは自治省におきまして財政計画を策定いたします段階において、千葉県の警察定数が確定をいたしますならば、それを正確に算入いたしまして、千葉県の負担にならないような処置をいたすのでありますし、その他でいろいろ細々とした経費が必要であることは、それは考えられます。さようのものにつきましては交付金等で処置をいたす、かようなことでございますから、成田空港が千葉県に立地したからといって、千葉県に大きな負担がかかるようなことではございません。また、市なり県が予算的に非常に困るような事態はないのでございまして、新聞には五億円云々という報道があったのでございますけれども、しかし、これは私どもの観点からいたしますと間違いのことでございまして、この点は県も市もよく納得をしてくれているところでございます。  先ほども答弁いたしましたように、きょうもある代議士と御一緒に成田市の市長がやってこられまして、そして用件は別個であったのでありますけれども、特交で配慮を願ったことは非常にありがたい、かような感謝を申しておったのでございまして、そのことが市や県の負担になっておる、かようには私は思っておらないのでございます。だから、この経費の問題が警備の上に非常に大きな影響がある、こういう見方はしておらないのであります。
  63. 戸塚進也

    戸塚進也君 それでは、その点は納得しました。  そこで、きょうも質問で取り上げられましたが、地域住民の協力というものがやはりこれは警察行政の中で非常に欠かせない。それは、たとえばいろんな凶悪犯人をつかまえるというような場合でも、住民の協力で、通報とかいろいろあるわけですけれども、これを、地域住民を敵に回すような、そういう警備方法であってもならぬし、それはもちろんだし、ましてや、もっと積極的に地域住民との間にコミュニケーションを警察当局が持たれて、そうして、何か行き過ぎはないか、何かやはり警備上のことについて問題点はないのか、あるいはまた、あのような極左暴力の、とても常識では考えられないようなやからは取り締まるけれども、決して地域住民には迷惑かけないのだというような、そういう住民との絶えずの懇談会といいますか、そうしたものが、ただ頭の指導者とだけお話し合いになっても、これは解決つかぬのじゃないか。少なくとも地域の周辺の方々とは、皆さん、まあときどき幹部の方もいらっしゃって、住民の代表の方や、そういう方の生の声も聞いて、そしてそのかわりに、あのような方が今度はマンホールへ入ったなんということがあるんですから、地域の人なら必ずわかるわけですからね、そういうことについての協力を得る。この必要は大いにあると思うが、現にやっていらっしゃいますか。また、今後ともそういう努力をしていかれる気持ちがありますか。
  64. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 私たちは一般的に、いわゆるCRという言葉で部内で呼んでおるわけですけれども、佐世保のエンプラ闘争のように、いろんな県外の人が来て大きな警備事象を引き起こすと、こういうようなときに、皆さん御迷惑をこうむられるわけでありますが、そういう場合等に備えまして、そういう地域を指定いたしまして、そこのそれぞれの方々と警察が十分意思疎通をして、いろんな問題点等について詰めていくということをやっておりまして、前の新宿騒擾事件のときなども、そういうようなことで、地域の住民が、自主的な警備といいますか、できることをやっていくと、それを警察もバックアップしていくといいますか、また、特定の場合には警察をバックアップしていただくことにもなるわけでございますが、そういうことに大変力を入れてやっておるところでございます。
  65. 戸塚進也

    戸塚進也君 いま一万四千人の警備だそうですが、今後また増員されたりいろいろしてまいりますと、動員された側の全国の人たちは、警察官に非常なほかの負担がかかるとか、労働の負担がかかるとか、いろんな混乱が、一週間や三日ならいいですけれども、これが半月だ一月だになってきたら、重大な影響がありませんか。その点について十分配意していただけますか。
  66. 三井脩

    政府委員(三井脩君) その点は御説のとおりでございまして、私たちも一番懸念し、その対策を十分に考えた上でのことでございまして、一万人動員いたしましたけれども、本来から言いますと、まだ全国的に言いますと機動隊に余裕はあるわけでございますけれども、県内の治安情勢との兼ね合いを考えまして、これを最大限動員としたわけでございまして、しかし、これだけ来ておりますから、たとえば残った各県の警察官で第二機動隊という制度があり、平素から訓練しておりますけれども、そういう隊をこの際編成いたしまして、県内事案については十分措置をしていくというように努めておるわけでありまして、幸い、きょうあたりも他の県で警備実施をやって排除するというような事案も起こっておりますけれども、まず何とかやっておるということでありますが、御説のような点も勘案いたしまして、応援の期間等については今後とも十分考えていきたいと思っております。
  67. 戸塚進也

    戸塚進也君 先日緊急質問でも申し上げましたが、今後この成田をめぐって、重要な建造物あるいはまた要人、こういうことに対するテロ、こうしたことも十分これは予想されますよ。ですから、これはひとつ、警備当局は大変でございましょうけれども、成田ばっかりに目を向けられないように——成田ももちろん大事です。しかし、このすきに乗じて何を起こすかわからぬ。それが困ったこの過激派の連中ですよ。ですから、その手に乗らぬように、公団首脳も含めた要人あるいは閣僚等、公安委員長みずからだって私はそうだと思うのですよ、本当に守っていただかなきゃ困る。ここらの点について御決意を伺いたい。
  68. 三井脩

    政府委員(三井脩君) いま御指摘のような点は、私は、直接には成田との関連におきまして、いわば成田に世間の目を引きつけ、その間にまた、いまおっしゃったような、東京その他のところでその種の事案が起こる可能性というものに対して十分に備えるというふうに気をつけて運用しておるところでございます。
  69. 戸塚進也

    戸塚進也君 極左暴力集団等に対する常時の捜査体制は整っているとは伺っておりますが、しかし、このような問題が起こってまいりますと、やはり常時の捜査体制、こういうもの、極左暴力集団、あのようなものに対する常時の監視、あるいはまた捜査、こういうものにもっとやはり捜査員を動員するなり、あるいは体制を整備する必要がありませんか。
  70. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 先般日本赤軍の事件のときには、その種の体制整備に努めてきておるわけでありますが、日本赤軍以外の極左につきましても、情報収集並びに事件を起こした場合の捜査活動につきまして、それぞれいろいろの工夫をやってきておりますので、今回の事件を契機に、さらにその辺の高度な活用、有効な活用という点については工夫をしてまいりたいと思っております。
  71. 戸塚進也

    戸塚進也君 これは公安委員長にも聞いていただきたいんですが、今度あのテレビを見ておりましても、警察官の人たちというのは、職務上当然とはいえ、本当に命がけですよ、これ。私は自衛隊の災害出動の際にもこれを大いに主張しているのですが、いま自衛官などは、ああして地震でほとんど寝ないで二週間も一生懸命救助をやっても、超過勤務手当一銭ももらえない。深夜勤務手当もない。恐らく警察官の方は若干はあるかもしれないけれども、あのような危険な仕事に従事して、それに対しての警察官の処遇はどうですか。私はやっぱりこの際、ああいうことに当たっている警察官に対しては、それなりに規律も重んじろと言うと同時に、やはり温かく処遇も国民的に考えてあげるべきじゃありませんか。私はあのテレビを見てしみじみ思ったが、その点足りていると思いますか。その点をまず伺いたい。  それから殉職された、あるいはああした事故で、その他もありますが、負傷された、そういう警察官に対して、昨年あたりは処遇もずいぶん改善されましたが、まだ不足ですよ。このごろ、これで一台車にぶつかってごらんなさい、幾らになるか。それを考えたら、もっとやはり温かく考えてやるべきだと思うが、どうですか。
  72. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 全国の約二十万の警察官は、おれたちが市民を守るんだ、かような使命感を持ってやってくれているのは事実でございますけれども、他の公務員と対比をいたします場合に、その処遇がすぐれておると、かようには考えられないのでございますから、今後も処遇に関しましては格別の配意をいたしてまいらなければならぬ、かように存じておるところでございます。
  73. 戸塚進也

    戸塚進也君 官房長いかがですか。
  74. 山田英雄

    政府委員(山田英雄君) ただいまお尋ねのございました殉職あるいは負傷をした警察官に対する手当でございますが、数の方から申し上げますと、五十一年度で殉職三十一名、負傷した者七千三名の多きに及んでおります。それだけ危険性の高い職務に従事しておるわけですが、五十二年度については集計できておりませんが、成田問題がございますので、年々減ってはきておりましたが、五十二年度はふえるんではないかと、こう思っております。  この殉職者、負傷者に対しましては、公務災害補償あるいは共済組合の給付というものがあるわけでございまして、功労があります場合は、ただいま御質問にもございました賞じゅつ金が給付されております。ちなみに、昨年成田闘争において殉職いたしました岡田警部につきましては、内閣総理大臣の特別賞じゅつ金が五百万、警察庁長官の賞じゅつ金千五百万、知事の賞じゅつ金千五百万、これは最高額に近い賞じゅつ金でございますが、申し上げたような賞じゅつ金が支給されて、処遇しておるわけでございます。  それから手当の関係でございますが、これは危険手当というようなものはないわけでございます。ただ、超過勤務につきましては、たとえば地方財政計画の中で普通の公務員は六%というふうな算定でございますが、警察官につきましては、制・私服を通じてただいま一二%という勤務手当が出るようになっております。  それから職務の内容に応じまして、危険性、困難性というものをそれぞれの職務で評価して特殊勤務手当というものを出しております。これは、ちなみに一、二申し上げますと、爆発物処理手当、これは一件三千三百円。刑事手当、これは日額三百三十円。白バイ手当も同じく三百三十円でございます。外勤の警ら手当は日額二百円ということで支給されておるわけでございますが、確かに、大臣も触れられましように、決して職務の困難性、危険性に相応した処遇とはわれわれ思っておりません。したがいまして、この超過勤務手当についても増額を期してまいりたいですし、また、いろいろな特殊勤務手当の増額も期したい。特に拘束性——危険性だけでなくて、深夜の非常招集にも応じなければならない そういう拘束性がございます。これを評価して特別手当、本俸の四%の特別手当の制度を措置していきたいと努力しているわけでございます。よろしくお願いいたします。
  75. 戸塚進也

    戸塚進也君 いま官房長からも前向きの話がありましたが、私ども努力いたしますが、少なくとも五十四年度の予算については、もう本当にそのことを考えていただきたい。余り甘い考えだったら私ども予算審議を拒否するぐらいの気持ちで、本当に警察官のことを考えてやってください。  時間もありませんから、最後に私は二点まとめて伺って御質問を終わります。  一つは、今回の成田問題等を考えたときに、アメリカの連邦警察ではありませんが、FBI、ああした国家的な、あのような警察体制といいますか、そういうものがやはりどうしても必要なんじゃないか。地方の県警から皆呼び集めてきて、千葉県警の本部長が指揮をしますなんというのは、これは現行法ではやむを得ぬかもしらぬが、これはやはり、公安委員長、考えるべきじゃありませんか。国家的な大問題に当たって、国家の警察、これはやはり検討に値すると思うが、いますぐつくれというわけにまいりませんが、いかがかと。これが一点。  最後にもう一点は、最近、凶悪犯あるいは三億円事件、いろいろございます。まだ未解決の問題もございます。警察当局も非常な努力をしていることは十分認めますけれども、この際もう一度総点検をされて、ひとつこうした事件の解決にさらに前向きに当たっていただいて、国民の警察に対する信頼感をさらに深めていただきたい。その現況について簡単に伺って、以上二点で質問を終わります。
  76. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 御承知のように、戦後何回か警察制度の改正がございまして、現在の自治体警察の制度がとられまして二十数年を経過いたしておるのでございまして、私も西ドイツの国境警備隊の模様でありますとか、あるいはアメリカのFBIの模様等も若干承知はいたしておるのでございますけれども現行警察法はさような仕組みになっておらないとところに、見方によりましては、効率的ではない、限られた人員で警備の体制をとるに不十分だ、かような見方もあろうかと思うのでございますけれども、いまにわかにこれを検討という考え方は持っておりませんが、長期的な展望に立ちましては、わが国の警察はどうなければならぬか、このことは大きな研究課題であろうかと、かように存じております。
  77. 鈴木貞敏

    政府委員(鈴木貞敏君) 御質疑の凶悪犯事件の問題でございますけれども、私たち、凶悪犯というのは、殺人、強盗、放火、強姦、こういった類のものを言っております。それを含めまして、そのほかもあろうかと思いますが、いずれにしましても、治安に重大な影響を及ぼし、あるいは社会的に非常に不安を与える、こういう犯罪につきましては、おっしゃるとおり一日も早く検挙するということが必要でございまして、そのため組織的な捜査という面について格段の努力をしているわけでございますが、幸いに全国警察の努力によりまして、統計的に見ますと、この凶悪犯全体の検挙率が八八%以上ということで、国際的に見ましても一応の成果は上げていると思います。しかし、三億円事件というふうな例も指摘がございましたけれども、なおそういった非常に社会的関心の深い事件が未検挙に残っておるというのも実はあるわけでございます。そういう意味で、警察庁といたしましても、犯罪が非常に広域化し、スピード化しておるというふうな状況でございまして、ある県で幾ら努力しても犯人は見つからない、こういう事件も多々あるわけでございます。そういう意味で、警察庁としましても、広域重要事件、あるいはそれに準ずるような事件につきましては、特別手配であるとか、あるいは指定事件というふうなことで、それぞれ手口その他からいろいろのものを割り出しまして、それを組織捜査に乗せまして一日も早く検挙する、こういう心がけで実は督励しながらやっておるというのが実情でございまして、御期待にこたえ得るように今後とも十分ひとつ努力してまいりたいと思います。
  78. 望月邦夫

    ○副主査望月邦夫君) これで戸塚進也君の質疑は終了いたしました。   〔副主査退席、主査着席〕     —————————————
  79. 戸塚進也

    主査戸塚進也君) 分科担当委員の異動について御報告いたします。  本日、野口忠夫君が分科担当委員を辞任され、その補欠として安恒良一君が選任されました。     —————————————
  80. 安恒良一

    安恒良一君 まあ分科会でもありますから、少し細かい問題について質問をします。その点は御了解を願いたいと思いますが、五十二年の十一月二日付で、警察庁交通局長名で、各管区警察局長、警視総監、各道府県警察本部長、各方面本部長あてに、「指定自動車教習所における高速教習の充実について」という通達が出されています。中身はよく知っておりますから、時間の関係もありますから、簡潔に、どういう通達なのか、どういうことを考えているのか、こういうことについて、まず御説明をお願いをしたいと思います。
  81. 杉原正

    政府委員(杉原正君) 現在、指定自動車教習所におきましては、高速道路での通行法につきまして法令知識を中心にした二時限の学科教習を行っているのでございますが、高速道路での初心運転者による事故防止を図るために、普通免許の取得者または免許試験に合格した者の中で希望する者に対しては、さらに高速走行に関する学科と技能の各一時間を任意教習として実施するように教習所を指導したのでございます。  なお、この技能教習につきましては、高速道路のインターチェンジから車でおおむね三十分以内の教習所を対象にしておりまして、指導員についても経験豊富な者を当てることにしたりしておりまして、体制その他の面についても、十分な事前訓練等をした上で実施するように指導しておるものでございます。
  82. 安恒良一

    安恒良一君 任意の教習、それから希望者、こういうところを言われました。これらの問題は後から少し中身についてお聞きをしたいと思います。  そこで、まず私は、今回の通達というのが法律的にも少し無理があると、こう思いますから、それらの問題について質問をしていきたいと思いますが、まあ免許の種類は、運転免許には、第一種運転免許、第二種運転免許及び仮運転免許の三種類があると、これは八十四条の第2項。それから第一種運転免許は七種類、第二種運転免許は四種類、それぞれ八十四条の3、八十四条の4。で、仮免は二種類ですね。八十四条の5、それから仮免には、いわゆる大型仮免と普通仮免があると、こういうふうに免許の種類を考えますが、よろしゅうございますか。
  83. 杉原正

    政府委員(杉原正君) お説のとおりでございます。
  84. 安恒良一

    安恒良一君 そこでお聞きしたいのは、この免許の効力の問題についてお聞きしたいんですが、いわゆる第九十二条、免許の効力があるんでありますが、「免許は、運転免許証を交付して行なう。」でありますから、この交付とは、免許証が現実に申請をされ、受領されることを意味し、したがって、運転免許の効力が免許証を受領したときに始まると、受領したとき初めて生ずると、こういうことは間違いないでしょうか。
  85. 杉原正

    政府委員(杉原正君) お説のとおりでございます。
  86. 安恒良一

    安恒良一君 そういたしますと、現に仮免を受けている者で、かつ第一種運転免許試験に合格し、運転免許証の交付を受けてない者、交付をまだ受け取ってない者、これは仮免の所有者というふうに考えるのか、それとも、第一種免許所有者と言えるのでしょうか。
  87. 杉原正

    政府委員(杉原正君) 仮免許によって運転する者でございます。
  88. 安恒良一

    安恒良一君 そうすると、仮免の所有者ということですね。
  89. 杉原正

    政府委員(杉原正君) はい。
  90. 安恒良一

    安恒良一君 そういたしますと、仮免許について第八十七条その他にありますが、仮免も免許の一種であるが、あくまでも仮であるということですね、これは。  そこで、初心運転者は、標識、いわゆるマークをつけなきゃならない。七十一条の二。それから仮免を受けた者の練習または試験のための運転には次のような条件がついて、きわめて厳しいと思いますが、一つは、三年以上の運転経験者を同乗させ、その指導を受ける。それから第二番目は、仮免練習中の標識をつける。第三番目は、旅客自動車の運転の禁止。そして、いわゆるこの一種免許か第二種免許を受けたときは効力を失うと、こういうふうになっておりますから、結論として、まあこういうような厳しい条件がつけられているというのは、仮免運転者は大変まだ運転者としては未熟だと、こういうふうに考えていいんでしょうか、どうでしょうか。
  91. 杉原正

    政府委員(杉原正君) 一般的には未熟な段階の免許であると思います。ただ仮免許を受けた——一応まあ先生の御質問につきまして、一般的に一種、二種に比べて未熟かということについては、初心者であると思います。
  92. 安恒良一

    安恒良一君 未熟ですね。未熟でなければこんな条件をつける必要ないんですからね。何か一般的と言われますが、未熟でしょうね。一般的ということじゃないですね、未熟。未熟だからこういう条件がついているんでしょう。間違いありませんね。
  93. 杉原正

    政府委員(杉原正君) そのとおりでございます。
  94. 安恒良一

    安恒良一君 そこで、次にお聞きしたいんですが、いわゆる総理府令、昭和三十五年十二月三日の道路交通施行規則の二十一条、それから十九条の関係について聞きますが、規則十九条の「(免許証の様式)」に、仮免許証の場合のいわゆる別紙記載十五のとおりということで記載様式がございまして、それによりますと、いわゆる「高速道路など法令により運転練習をすることが適当でないとされている道路で運転しないこと。」と、こう書いてあるわけですね。「高速道路など」「運転しないこと。」と、こういう注意事項がこの仮免許証のいわゆる「別記様式第十五」が、こうあるわけですがね。で、これはいわゆる規則第二十一条の二の「法第九十六条の二の総理府令で定める」自動車の運転練習というものは、「高速自動車国道及び自動車専用道路以外の道路において、」いわゆる「普通自動車により行なう練習とする。」と、こういうふうに考えていいんでしょうか。
  95. 杉原正

    政府委員(杉原正君) 仮免許を受けた者は、道路交通法八十七条の規定に従いまして運転をする限り——と申しますのは、そういう所定の三年以上とかという運転経験のある者あるいは標識を出すとか、いろいろ条件がございますが、規定がございますが、この規定に従って運転する限り、どの道路であっても仮免許に係る自動車を運転することができるたてまえになっております。  運転の場所について規定しておりますのは、法第九十六条の二及びそれに基づく施行規則二十一条の二に定める受験資格としての練習方法に関する場合だけでございまして、先ほどの仮免許証の様式の中で、「高速道路など法令により運転練習をすることが適当でないとされている道路で運転しないこと。」と、この注意事項4は、これを受けたものであると考えております。したがって、これ以外の場合におきましては、仮免許証で高速道路等で運転することに問題はないと考えております。
  96. 安恒良一

    安恒良一君 私は、いまのところは少しわかりかねるんですね。いま少し詳しく説明してもらいたいんです。私も交通労働者なんですが、なぜ高速道路などで運転をしないことということが、仮免許のこの様式の中にこのように書かれているんでしょうか。いまあなたが言われた、どこでもやっていいんだということなら、何もこんなこと書く必要ないと思うんですが、どうして——私はやはり一般的には高速道路などでは運転をしない、こういうことだというふうに、これ、読むわけですが、あなたが言われるように、いやそうじゃないんだと、仮免を受け取ったらどこでもやっていいんだと、こういうことなら、わざわざなぜここに書かれているんですか。
  97. 杉原正

    政府委員(杉原正君) もし一般的に高速道路などの道路で運転してはならぬというようなことでありますと、そのような規定になると思いますが、本文の規定を受けまして、「高速道路など法令により運転練習をすることが適当でないとされている道路で運転しないこと。」、ここに「法令により運転練習をすることが適当でないとされている道路」の一つの例を出した。その法令が先ほど申しましたような根拠に基づくものであるということです。
  98. 安恒良一

    安恒良一君 いま問題になっているのは、運転の練習をすることなんですよね、これは。そのことをいま問題にしているんですからね。いま私が問題にしようとしているのは、仮免で運転の練習をすることについて問題があるということで問題にしているのですから、どうもあなたの言われたことではわかりかねるんですね。運転練習を「高速道路など法令により運転練習をすることが適当でないとされている」ということですから、だから、あなた方の方は、運転練習を高速道路でしていいと、こういうことでしょう、これ。いま言われた若干の条件はありますけれどもね。この点はどうなんですか。どうも私はそこのところが、法の解釈から言ってもわかりかねます。重ねて交通局長に聞きたい。関係条文を示しながら言ってください。
  99. 杉原正

    政府委員(杉原正君) これは四十七年の時点で法改正がございました。それまでは、仮免につきましては道路を限定しておりまして、交通頻繁でない道路に限っておったわけでありますが、同乗者の資格を、免許をとってから三年以上の経験を有する者ということにしたのを機会に、道路の限定をはずして今日に来ておるわけでございます。
  100. 安恒良一

    安恒良一君 そうすると、道路の限定をはずしたのにもかかわらずに、道交法の施行規則二十一条のこの様式がこのままになっているのは、どういう理由ですか。
  101. 杉原正

    政府委員(杉原正君) 様式は、その法改正の時点で、交通頻繁な道路で運転しないこととなっておりましたのを、いまのようにその時点で変えたわけでございます。
  102. 安恒良一

    安恒良一君 そうすると、これに変えたというのはわからないですね。「高速道路など法令により運転練習をすることが適当でないとされている道路で運転しないこと。」と書いてある。運転をしないことと書いてある。そうすると、これわざわざこう書いておきながら、いや、練習は仮免でいいんだというのがわからない、どうしても。この点は、交通局長と、法律解釈の問題でもありますから、法制局長官にも、ここのところの関係を、いわゆる法九十六条の二の練習の場合、規則二十一条の二の適用の場合等々絡めて法律的な見解をひとつお聞かせ願いたい。どうも私の結論から言うと、法の趣旨からいいますと、仮免で高速の練習は禁止されていると解釈すべきだと、こういうふうに私はこの条項関係を読むわけですが、この点についてお二人の御見解をお聞かせ願いたいと思います。
  103. 杉原正

    政府委員(杉原正君) 先ほど申し上げたとおりでございまして、現在の法体系のもとでは、仮免におきましても、一般的に道路を限定をしていない。運転できる道路について規定されているのが九十六条の二及びそれに基づく施行規則二十一条の二に定める受験資格としての練習方法に関する場合だけであるというふうに考えております。
  104. 真田秀夫

    政府委員(真田秀夫君) 御質問の趣旨は、仮免の所有者が練習なり、あるいは練習以外でもいいんだろうと思いますが、高速道路で運転をしていいかと……
  105. 安恒良一

    安恒良一君 いや、練習の場合を言っているんです。
  106. 真田秀夫

    政府委員(真田秀夫君) 仮免の所有者が高速道路で練習のために運転をしてよろしいかという点だろうと思うのですが、なるほど施行規則の二十一条の二に「高速自動車国道及び自動車専用道路以外の道路において、」練習するというふうに書いてございますけれども、これは、ここの条文でまさしく引用しておりますとおり、法九十六条の二を受けている規定でございまして、法律の九十六条の二は、これは仮免の所有者が運転免許の試験を受ける受験資格としての運転経験といいますか、過去三カ月以内に五日以上路上運転をした者でなければならないという、その道路は、この規則の二十一条の二で、高速道路以外の道路でなければならないと、こう言っているわけなんでございまして、そのほかに、その仮免の所有者が練習のために高速道路で運転をしてはいけないという、その実体規制といいますか、その禁止規定は、どうも道交法を探しても規定が見つかりませんので、どうも禁止はされておらない。ただ、施行規則の御指摘の様式十五ですか、その「注意事項」の中にこう書いてあるのでありますけれども、どうもこれは、やはり単なる注意事項であって、どうも国民に対する禁止を、これで禁止をかけたというふうには法律的には読めないというふうに解釈せざるを得ないと思うのです。
  107. 安恒良一

    安恒良一君 いま、注意事項であって、法律的にいわゆる禁止をかけているんではないのだと、こう言われるのですが、なるほど禁止事項とあれは違うと思います。しかし、なぜこういう注意事項が書かれているかということなんですよ。必要でなければ書く必要はないのじゃないですか。そうしますと、私は、そういう御主張でありますと、私はいまの御見解を聞きますと、仮免を受けた人は高速道路において、いわゆるさらに教育を受けることができるということになるならば、むしろ道交法の施行規則、こういうまぎらわしい——幸い道交法の改正案が今国会にかかっておりますから、それならば道交法をやっぱり改正しなければいかぬ。国民を惑わすと、こういうことだ。大変、国民を惑わす。いまも聞いておりますと、注意事項だ、しかし禁止条項ではないのだと。なぜ注意するのですか。何となく国民に注意するわけではないでしょう。注意する以上は、やはり注意する理由があるから注意しているのでしょう。注意事項、そうじゃありませんか。その点どうですか。注意事項というのは何となく注意しているわけじゃないのです。いま法制局長官は、禁止事項じゃない、注意事項なんだ。だから問題は、いわゆる禁止事項を破れば罰則というのがあると思うんですね。注意事項は罰則はない。ないでしょうが、やはり注意する必要があるから注意されているんじゃないですか。でなければ、わざわざこんなことを書く必要はないんですが、その点どうですか、法制局長官
  108. 真田秀夫

    政府委員(真田秀夫君) どうも御質問が総理府令の様式の話でございますので、私がどうしてここに様式としてこういうことが書いてあるのかということはちょっと正確にはお答えすべき立場でもございませんし、幸い担当の局長さんがいらっしゃいますから、そちらからお聞き取り願います。
  109. 安恒良一

    安恒良一君 いやいや、そうじゃないんだよ。あなたがいまこれは注意事項なんだ、禁止事項じゃないんだ、こういう法律解釈をされた。わかったと。じゃ、その法律解釈を一応肯定する肯定しないはおいていただきましょう。それならば何で注意事項というものがあるんですか。私は、法律の禁止条項の場合、犯せば罰則があるということは知っている。注意事項の場合には罰則はないでしょう。ないけど、何のために注意を……。それは何も必要がなければ書く必要はないんです。書いてあるわけですから、そこのところをどう考えられておるかということをあなたに聞いているわけです。
  110. 真田秀夫

    政府委員(真田秀夫君) どうもそれは、ただいま申しましたように、私からお答えすべき筋合いじゃないんでございまして、これは施行規則をおつくりになった役所の方からお聞き取りを願いたいと思います。  私が申し上げたいのは、やはり国民に禁止をかけて罰則をもってその禁止を守らせるというためには法律が要るわけなんで、法律に禁止規定がございませんから、どうしたってこれは禁止だとは読めないということでございます。
  111. 安恒良一

    安恒良一君 そうすると、法制局長官に聞きますが、注意事項というのは、そうすると罰則がないから守らなくてもいいと、こういうことに受け取れます。それでいいですか、あなたの言い方を聞いていますと。それでいいわけですか。注意事項というのは罰則がないんだから、法制局長官としては、禁止条項だけ国民は守ってもらえばいいんだ、注意事項は守ってもらわなくてもいいというふうに、あなたのお答えはどうもとれがちだが、それでいいですか。
  112. 真田秀夫

    政府委員(真田秀夫君) まさしく禁止ではないわけで、注意をしているということだろうと思うんですが、ただ……
  113. 安恒良一

    安恒良一君 守らなくてもいいわけだ。
  114. 真田秀夫

    政府委員(真田秀夫君) 守らなくてもいいか悪いかというのは、その注意事項をお書きになった当該官庁の方でお答えになるべきであって、私はどうも正確にお答えすべき立場でもないし、そういう筋合いでもないというふうに考えます。
  115. 安恒良一

    安恒良一君 いやいや、私は所管外なら所管外と言われればいいけれども、いろいろあなたが解釈するから、解釈するとややこしくなるわけだ。どうも聞いていると、長官は注意事項ということは単なる注意事項だから守らなくていいというような印象を受けるものだから、所管外であろうとなかろうと、わが国がそれぞれの所管官庁で決めた注意事項というのは私は国民に守ってほしいと思って注意事項を書かれていると思うんですが、それはどうなんですか、あなた。そのことを聞いているわけだ。だれも所管の事項を聞いているわけじゃないんですよ。
  116. 真田秀夫

    政府委員(真田秀夫君) だから、申し上げますように、禁止ではないと。しかし、注意事項として書いてあると。どうして書いてあるんだろうかと実は私も不思議に思うんですが、一般論として解釈しますと、やはり守ってもらいたいという所管官庁の方の願望は少なくともあるんだろうと思いますね。
  117. 安恒良一

    安恒良一君 それじゃ法制局長官までが不思議に思われるそうですから、何で書いてあるか不思議に思われるそうですから、ここのところ、いまの一連のことについて、ひとつこれは最終的には交通局長と同時に、ここの所管大臣というのは自治大臣になるんですか、それとも警察庁長官になるんですか、これは、最終的には、この問題は。自治大臣国家公安委員長を兼ねられておるから、最終的にはあなたのあれになるわけですか。それによってお聞きしなければならない。
  118. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 行政的には警察の最高責任者は警察庁長官と、かようなことになろうかと思うのでございますけれども、しかし、国家公安委員会は警察を管理いたしておりますから、私にもまた責任はある、かように理解をいたします。
  119. 安恒良一

    安恒良一君 そこで、それじゃひとつ自治大臣に、まずそこのところをお聞きをしたいんですが、いま言われておりますように、問題になっていることはこういうことなんですよね。仮免は受けられた、ところが、具体的に免許証はまだもらっていない、本免許証といいますか、普通免許証ですね。一種免許証をもらっていない、交付されていない。どうもその間に、いわゆる二時間高速道路に出て実技を希望者は受けたらどうだと、こういうことなんですよね。私は、大臣、やはり無理がありはしないか、こう思っているわけです。というのは、普通免許を受ければ、この人がいわゆる免許証を受け取った後——ここに言われているような資格を持った人、いわゆる経験三年以上の人から教えてもらう、このことは私は何も言っているわけじゃないんです。ところが、どうもこの通達の内容を見ますと、まだ免許証の交付は受けてない、受け取ってない、その人に対して二時間実技を受けるようにという指導なんですよね、これは。そういう点について、いわゆるその監督の立場にあります自治大臣として、このところはどうお考えになりますか。
  120. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 私は、去年の十一月に交通局長名をもちまして通達を出しました趣旨は、恐らく、免許証を受領いたしますならば直ちに高速自動車道に出て運転をしなければならぬ場合がやってくる、そこでインターチェンジにきわめて近い教習所に関してのいわば任意教習、かような善意から出発をいたした、かように考えておるのでございますけれども、いま交通局長の答弁や、また法制局長官の答弁を伺っておりますと、仮免許証の注意事項の、高速自動車道においてはこれこれ運転はしてはならないという書き方は、どうも法の精神からいたしますと若干ちぐはぐのような気がいたしておるのでございますから、ですから、通達それ自身が悪いという考え方ではなくて、むしろ総理府令を法改正の段階で改めるべきではなかったかと、かような感じを持っておりますようなことでございまして、そこでそごがあるといたしますならば早急にそれを是正すべきだ、かような感じを持ちます。
  121. 安恒良一

    安恒良一君 自治大臣の御見解はわかりました。それならば早速、本国会に道交法のいま改正原案が提案されていますから、道交法の中でいわゆるそういう問題についてぜひ改正の検討をお願いをしたい。いま総理府令の様式の問題についてお願いをしたいと思います。  そこで、今度は少し実務的に、局長並びに労働省なんかもお見え願っておりますから、お聞きをしたいんですが、まず、さっきから盛んにこれは任意である、それからいかにもまあいわば強制でもないし、善意だと、こういうことに言われていますが、まず私は次のような問題があると思うんですが、まず高速道路というのは、せっかく練習するんですから、そんなにのろのろ走っておったんじゃ意味がないんですね、これは。ある程度のスピードを出して練習しなきゃならぬ。ところが、いまの教習用のブレーキというのは、御承知のように、低中速道路では一定の役割りを果たすようになっていますね、いまの教習所の自動車につけられているのは。高速の場合にはかえってこのブレーキは事故発生の原因になるというふうに私は考えます。そういう場合、それはいかに経験が豊富だといっても、自動車の構造自体がいわゆるそういう構造になっているんですが、こういう点をどう考えられるのか。  それからいま一つは、いろいろできるだけ閑散な時間をというような注意書きがありますけれども、高速道路の実態を見ますと、しかもインターチェンジから三十分以内の状況を見ますと、それはよっぽど田舎に行けば別ですよ。しかし、これはもう全国的な通達なんですから、そうしますと、いまの高速道路がそんな、あいてる時間帯なんかないです。そうしますと、一般のハイヤー、タクシー、トラック等の多くの交通労働者がそこで働いているわけです。高速道路の上を走っている。これとの危険という問題で、このことについては一般のハイヤー、タクシー、バス、トラック等々の労働者も、そんなところで——いわゆるまだ未熟者ですよね、仮免しか持ってない。そんなところで練習されたらかなわぬ、おれたちの命の問題だと、こういう実態の問題が出ていますが、こういう点についてどう考えられますか。
  122. 杉原正

    政府委員(杉原正君) 最初の方の車両の問題でございますが、スピードにつきましては、練習の場合には上を八〇で抑えておるわけで、七〇ないしは八〇までということにいたしておりまして、車両等につきましても現在任意のこの教習をすでにやっておられるところはかなりあるわけですが、かなりいろんな面で事故防止について工夫をしていただいておるようでございます。  それから、例の高速道路につきましても、悪天候のときはやめろとか、あるいは交通がうんと激しいときはやらないようにという指導をしておりますが、この前提といたしまして、教習員が高速道路について時間帯その他を自分で走ってみまして、これなら大丈夫だというふうな場合に限ってやっておるというのが現状でございますし、また、それは今後もやはりそういう方向で考えていかなきゃならぬものだというふうに考えております。
  123. 安恒良一

    安恒良一君 いや、私はいま申し上げたような、特にこれなら大丈夫だとこう言われますけれども、いまの高速道路の実態を考えて、そうのんきに走っておられるような状態なんだろうか。これはやはりいま少しあなた方自体が、大臣も含めて、高速道路の実態を——もうそうじゃなくて、一般の通行者だけでももうあふれちゃってどうにもならぬ。首都、いわゆる大都会周辺の高速道路が全部そういう状態なんですよ。そういうところで、八十キロで抑えているからと言われても、しかし、いまの練習用の自動車のブレーキというのは、八十キロというものを予測してつくってあるあれじゃないですね、ブレーキは。そういう点から言うと、私は非常にこの点は問題があると思うんです。  そこで、その点はそれといたしまして、どうして私はこういうことを急がれるのかというのがわからないんです。本来で言うなら、私は、まあ高速道路に出ていくというのは初心者のうちは遠慮する、いわゆる初心者マークがついているときぐらい高速道路は遠慮して、そしていわゆる熟練をして高速道路に出るべきだと思います。しかし、それは法律的、憲法的にそういうことは禁止ができないからと思うんです。しかし、私は本当に高速道路の機能というものを考え、それから交通の安全ということを考えると、場合によればそれぐらいの規制がしかれて、車時代になればなるほど、私は必要だと、こう思うんです。こういう点が第一点。この点は大臣、どう思われるか。  それから第二点目には、そのことはさておいたとしましても、運転免許試験に普通自動車運転ができる一種免許を受けた人にやったらどうかと。どうもあなたたちは、仮免は受けている、試験には合格している、しかし、まだ免許証は受け取っていない、その人にやろうとするところにどうしても無理がある。その後段のところがわからないです。数日たてばきちっと免許証が本人の手に渡るわけでしょう、一週間なら一週間、十日なら十日後には。そして、それから本人が希望した人をやるというふうに、どうしてそこのところを、わずか一週間や十日のところを無理に仮免のままに、大臣も言われたように、様式に無理があれば検討しなきゃならぬと言われたような様式の中でこういうことをされようとするのか、それがわからない。
  124. 杉原正

    政府委員(杉原正君) 最初の御質問の点でございますが、だんだんいわゆるハイウエー時代といいますか、道路の延長も進んでまいりまして、一般のドライバーもこの高速を御利用するということが非常に多くなってきているわけでございまして、私どもの免許を所管する立場といたしましても、ドライバーの資質の向上を図ってハイウエー時代に対応するようにして世の中に送り出したいということを願望をしておるわけでございます。  後者の問題でございますが、第一種免許を取ってからという先生の御意見も十分私拝聴しなきゃならない問題であろうと思いますが、教習の教習効果というふうなものを考えてみますと、ずっと長い間習ってきます。そこで、技能試験も通り、学科試験も通ったというふうな段階で、大体いま通ってから二週間ぐらい免許証が来るまでかかるわけでございますが、卒業はしましたけれども、学校の先生との間でいろんな師弟関係が出てまいるものですから、そこで、この先生にやっぱりこの高速運転を習いたいというふうな希望も現実にかなりいまこの受験生についてあるわけでございます。そういうことで、すでにかなりまあ志望を、ハイウエー時代にふさわしいドライバーとしてやっぱりそれじゃひとつ教習をしてやろうかというふうな教習所が現実にあり、それを見ておりますと、かなりうまい形で運用され、ドライバーも非常にそれに感謝をしているというのが実態でございますので、そういう形で進めば非常に望ましいなということで、このような措置を推進をしているということでございます。
  125. 安恒良一

    安恒良一君 ぼくは、どうもその二週間ぐらいのところにひっかかるんですがね。大体希望者があればということで、あくまでも任意と言われているんですがね。ところが問題は、希望者があるということと、それに今度は教習するということ、この二つの要素が要るわけですよね。私が一番心配しておるのは、どうも自動車教習所の所長さんとか偉い人は警察の方の天下りが非常に多いわけです、これは全国実態的に調べましても。ですから、そういう人の利便だけを考えられて、まさかそんなことはやられないと思うんですが、それはなぜかというと、現実に多くの教官が反対をしているわけです。このことについて、多くの、希望する方じゃない、教える方側が反対をしている。その反対をしている理由は、一つは、いま申し上げたように、やはりこの安全走行の設備、ブレーキが高速用になってないと。だから、初心者なんですから、万が一事故が起こったときにはもう生命の危険がある。これだから一つ反対しているんですね。  それから第二番目に反対していますのは、そうでなくても自動車教習所の労働時間が慢性化、恒常化して長時間労働になっている。大体時間外労働が月間五十時間から百時間にも教習所は及んでいる。その上に、さらに二時間実技をやっていくということになると、これはたまったもんじゃない等々で、いわゆる非常に自動車教習所も——まあ所長は賛成するのかわかりませんけれども、第一線でやっている教官が多く反対の意向をやっぱり表明をしている。この事実について大臣どうお考えになりますか。多くの教官が、こんなことは私たちはようやらんと、大変だと、こう言って私のところにもたくさん陳情が来ている。こんなことやられたら私たちはたまらぬと。いまですら、もう五十時間も百時間も長時間労働させられてくたくたになっている。設備が悪い。万が一事故が起こったとき、普通の道であるならば横に乗っている人がブレーキをかければとまりますけれども、高速の練習中では、このブレーキでは用をなさない、こういうことで生命の危険もある、だからおれたちはかなわぬと、こう言っているわけですよ。その点についてどういうふうにお考えですか。
  126. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 私の理解が間違っておるかもしれませんけれども、教習車の性能が通常の自動車とそう劣っておるようには思えないのでございますけれども、しかし、これは間違いであるかもしれません。練習場でそろそろゆるゆる走る場合と高速自動車道に出ました場合の違いがあるのでございますから、もしそうでありますならば、性能の十分な車で高速道に入らなければならぬと、かような感じを強く持ちます。  それからあくまで、「先生いままで御厄介になったんですから、どうぞ高速道へちょっと出まして、免許証をもらうとすぐに高速道へ出なきゃならぬ場合がございますからお願いをいたします」、かような、師弟関係を基本にいたしまして、「うん、そうか、それならあとちょっと一緒にやろうか」、かようなことで、愛情を持ってやっていただきますならば大変にありがたい、かような感じを強く持ちます。
  127. 安恒良一

    安恒良一君 大臣、性能の問題は、御承知のように教官の横につけられているブレーキの問題なんですよね。一般の自動車は、何か練習用という特別の自動車があるわけじゃないんです。ただ教官が横に添乗しておりまして、いわゆる本人の運転事故なりミスがある場合にはいつでもブレーキがかけられるようになっている。このブレーキの性能が高速用に向かない、こういうことを専門の教官がみんな言っているわけなんです。専門の教官がですね。  そこで、角度を変えて私は少しお聞きしたいんですが、いわゆるこの教官がみんな労働組合をつくっています。その労働組合が反対をした場合にどういうふうにされますか。この点についてお答えいただきたい。
  128. 杉原正

    政府委員(杉原正君) 私、この通達を出しますのに基本的に考えましたのは、あくまでも任意の措置でございますのと、教えるという事柄の性質上、希望者についてこれを受け入れて教習所としてやるべきかどうかということの前提には、管理者はもちろんでありますけれども、物的な面、また人の面、保険の面、いろんな面で十分な体制が講ぜられない限りはむしろこれはやるべきではない。したがって、いろいろ通達の中にも書いておりますけれども、そういうやっていただく職員の訓練の問題とか、内部体制の問題とか、あるいは車両の補助ブレーキとか、そういうふうなものについても触れておりますけれども、やる以上はこういう点が完璧なものでなきゃならないという前提でございますので、事柄の性質上、管理者のみならず教習所全体として合意を得て、話し合いのもとで円満にやられるという体制でやるべきものだと思いますし、それが行われないまま強制的に管理者として職員にやらすというふうなことは厳重に慎むべきものだと思いますし、また、そのように指導もしていくべきものだというふうに考えます。
  129. 安恒良一

    安恒良一君 そこで、私は労働省にもお聞きをしたいんですが、やはりいまの交通局長が言われたような精神でいきますならば、当然こういうことをやる場合には、当該の労働組合がある場合は——ほとんどあるんですが、事前に、いわゆる労働条件の変更になるわけですね、時間外労働もふえるし、それからいろいろ労働条件の変更もあるわけですから、いわゆる労使で十分に事前協議をすべきだと、こういうふうに思いますが、その点については労働省はどうですか。
  130. 関英夫

    政府委員(関英夫君) この問題のように、指導員の方々、働く労働者の方々の安全の問題あるいは労働条件の問題、そういったものに影響を及ぼすようなことにつきましては、当該労働組合と十分に話し合いが行われ、円満に解決を見て運ばれるということが望ましいというふうに私どもも考えております。
  131. 安恒良一

    安恒良一君 それじゃ、労働省の見解も明らかになりましたから、重ねてそこでお聞きしたいんですが、いま、いわば多くの労働組合は、大臣もお聞き願いたいんですが、むしろ絶対反対だと、こう言っているんです。で、この通達は撤回してくれ、こういうことを言って全国的な署名運動まで始めています。そういう状況にあるわけです。そこで、私はせめてここでお約束をお願いをしたいのは、まず、これを行うに当たっては十分な事前協議を行う。そして当該労働組合の同意を得る。同意を得ないものについては行わさせない。こういうことについて、いまも言われたように、これは幾ら経営者がやろうと思ってもやれることじゃないんですよ。教える教官がその気にならなければ絶対できないことなんです、教える教官が。大臣は何とか心と言われましたけれども、何とか心だけではいかないわけですよ、自分の身に危険があるわけですから。それから、教える人がその気にならないと練習にはならないわけですから。だから、その意味から言いますと、私は、いま申し上げた当該の労働組合と事前協議をして同意を得る、それをやらなけりゃできない、やってはいけないと、こういうことについて御指導していただきたいと思いますが、また、そういうふうに現実も運んでもらいたいと思いますが、その点はどうですか。
  132. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 免許証をもらいます人は、もらった日から高速自動車道に出てもいい立場に立つのでございますから、ですから、高速道路に出る直前の位置にあろうかと思うのでございます。そこで、どのようにどの教官が指導いたしますかは教習所内部の問題であろうと思うのでありますし、また、いま労働省から答弁がございましたように、労働条件に関することでございますから、その教習所内において十分な話し合いを行いまして、上から言いつけたから大儀なんだけれどもなんというような気持ちで出たりいたしますと、そのことが事故につながる心配もあるのでございますから、十分に話し合いをいたしますことは私は当然であると思うのでございまして、そして話し合いの結果、この教え子は明日からでも高速道に出なきゃならぬのだから愛情を持って指導してやろうと、かような立場に立って御理解をいただけますとありがたいと、かような感じを強く持ちます。
  133. 安恒良一

    安恒良一君 交通局長、どうですか、いまのところ。あなたが現実に第一線を指導するわけなんだから。
  134. 杉原正

    政府委員(杉原正君) 先ほど大臣から御答弁があった、そのとおりの趣旨を体して指導してまいりたいというふうに思います。
  135. 安恒良一

    安恒良一君 そうしますと、いま少し、やはりあなたのこの通達文書ですな、これはその点が非常に不親切だと思います。特に私は、ここに岩手県のあれが出したのを見ますと、どうも任意ではないようなとられ方をする場面がしばしばある。たとえば、「結果報告 要領に基づく高速教習については、昭和五十三年五月までの間は、毎月五日までに次により前月末現在の実施状況を書面または電話により報告すること。」、あなたは、あくまでも任意だ、希望者があった場合にやってくれ、こう言っているんですがね。こういう書き方とか、それからいわゆる「教員に対する教養の徹底」と、こういうことで「各指定自動車教習所の管理者は、技能指導員をはじめ全教員に対して、現行の二時限の学科教習のほかに高速教習を行うこととなった趣旨を徹底するとともに、」と、こう書いてある。そんな趣旨じゃない、あなたの趣旨は。そうでしょう。そういうようなことがいわゆるあっちこっちの交通部の運転免許課長から出されたら、あなたが言っていることとは違うんだ。あくまでも任意、希望者、しかも話がまとまったところということにこれはならぬ。これはいわゆる十二月十日付の岩手県の交通部運転免許課長から、指定自動車教習所管理者、岩手県指定自動車教習所協会会長、それから関係各警察署長に、あなたの通達とは違って、こういうようないわば半強制的な文書を出している。こういうものについては、あなたがきょうここで述べられた趣旨を徹底するような指導なり文書なりを出してもらえますか。でなけりゃ、大変これでは私は誤解が起こると思う。
  136. 杉原正

    政府委員(杉原正君) 先ほどの御意見でございますが、基本的にはそのとおりだと思います。ただ、私どもがこういう形で指導したものが第一線に、末端に行きますと事務的な処理ということになりがちでございますので、この点は私どもも改めて自戒をいたしまして、各都道府県が一体どういう指導をしているのかということを実態を早急に調査をしてみます。その上で、是正をすべき点があれば速やかに是正をするような措置を講じたいと思っております。
  137. 安恒良一

    安恒良一君 実態を調査していただくことは結構ですが、是正をすべき点があればと、こう言われるけれども、それがあなたたちのいつもの言い逃れだよ。あればと、後でなかったと、こうなる。私は現実に、あなたもこれは見ているんでしょう、衆議院のときに問題にされているじゃないですか。衆議院のときにわが党の小川さんがあなたとやりとりしているじゃないですか。それならば、岩手県の交通部運転免許課長の出しているこの通達は、あなたの趣旨のとおりになっていますか。あなたこれ知っているでしょう。どうですか、その点は。
  138. 杉原正

    政府委員(杉原正君) 先ほど申し上げましたのは、全国を一遍実態を見まして、それで私どもが考えております趣旨と違うような点等にきまして、あればもちろんそれはやりますし、それからさらにこの通達で趣旨の徹底を、まだわれわれとしても言い足りないという点がございましたら、それも是正をしたいというふうに考えております。  ただ、一点だけ申し上げておきますと、今度の高速教習の場合には、学科の追加と技能と両方ございまして、学科というのはこれは全部もう一時間追加ということで、これは全部あるものですから、その表現が学科と技能と両方一緒にしてこういう表現をするものですから、片方のそういう面のまた誤解を生ずる点もございます。これは早急に技能と分けて指導するようにしたいというふうに考えます。
  139. 安恒良一

    安恒良一君 早急にひとつ実態を調査をして、きょうここの中でお互いにやりとりをし、述べられましたことについてのいわゆる再通達といいますか、指導文書といいますか、そういうことを早急にやっていただきたい、これが一つ。  それから、第二番目には、私はやはりいまのいわゆる道交法施行規則と法律の関係、九十六条の二、規則二十一条の二との関係に無理がある。そこで大臣も、そういうものがあるならば施行規則の方を改正しなきゃならぬだろうと、こういうことでありますから、速やかにこのことは検討していただきたい。必要なら、私たちは、場合によればこちら側から議員立法として提出をする用意があるということを明確にしておきます。  以上で終わりたいと思います。
  140. 戸塚進也

    主査戸塚進也君) 以上をもちまして、警察庁北海道開発庁所管に対する質疑は終了いたしました。  明三十日は午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時二十四分散会      —————・—————