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1978-04-04 第84回国会 参議院 予算委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月四日(火曜日)    午前十時三分開会     —————————————    委員の異動  四月四日     辞任         補欠選任      橋本  敦君     小笠原貞子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         鍋島 直紹君     理 事                 戸塚 進也君                 内藤誉三郎君                 中村 太郎君                 宮田  輝君                 竹田 四郎君                 吉田忠三郎君                 多田 省吾君                 内藤  功君                 栗林 卓司君     委 員                 浅野  拡君                 岩動 道行君                 石破 二朗君                 糸山英太郎君                 小澤 太郎君                 亀井 久興君                 亀長 友義君                 熊谷  弘君                 下条進一郎君                 田代由紀男君                 夏目 忠雄君                 成相 善十君                 林  ゆう君                 真鍋 賢二君                 三善 信二君                 望月 邦夫君                 八木 一郎君                 山本 富雄君                 赤桐  操君                 大木 正吾君                 志苫  裕君                 野田  哲君                 福間 知之君                 藤田  進君                目黒今朝次郎君                 太田 淳夫君                 峯山 昭範君                 矢追 秀彦君                 矢原 秀男君                 小笠原貞子君                 橋本  敦君                 渡辺  武君                 井上  計君                 青島 幸男君                 野末 陳平君                 秦   豊君    国務大臣        内閣総理大臣   福田 赳夫君        法 務 大 臣  瀬戸山三男君        外 務 大 臣  園田  直君        大 蔵 大 臣  村山 達雄君        文 部 大 臣  砂田 重民君        厚 生 大 臣  小沢 辰男君        農 林 大 臣  中川 一郎君        通商産業大臣   河本 敏夫君        運 輸 大 臣  福永 健司君        郵 政 大 臣  服部 安司君        労 働 大 臣  藤井 勝志君        建 設 大 臣        国 務 大 臣        (国土庁長官)  櫻内 義雄君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)        (北海道開発庁        長官)      加藤 武徳君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 安倍晋太郎君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)        (沖繩開発庁長        官)      稻村左近四郎君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       荒舩清十郎君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  金丸  信君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       宮澤 喜一君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       熊谷太三郎君        国 務 大 臣  牛場 信彦君    政府委員        内閣法制局長官  真田 秀夫君        内閣法制局第一        部長       茂串  俊君        警察庁刑事局長  鈴木 貞敏君        警察庁警備局長  三井  脩君        防衛庁防衛局長  伊藤 圭一君        防衛庁装備局長  間淵 直三君        防衛施設庁次長  銅崎 富司君        経済企画庁調整        局長       宮崎  勇君        経済企画庁物価        局長       藤井 直樹君        環境庁企画調整        局長       信澤  清君        法務省入国管理        局長       吉田 長雄君        外務省アメリカ        局長       中島敏次郎君        外務省経済局次        長        溝口 道郎君        外務省経済協力        局長       武藤 利昭君        大蔵省主計局長  長岡  實君        大蔵省主税局長  大倉 眞隆君        大蔵省銀行局長  徳田 博美君        文部省大学局長  佐野文一郎君        厚生省薬務局長  中野 徹雄君        厚生省保険局長  八木 哲夫君        通商産業大臣官        房審議官     山口 和男君        通商産業省通商        政策局長     矢野俊比古君        通商産業省立地        公害局長     左近友三郎君        資源エネルギー        庁長官      橋本 利一君        資源エネルギー        庁公益事業部長  服部 典徳君        運輸省海運局長  後藤 茂也君        運輸省航空局長  高橋 寿夫君        自治省行政局選        挙部長      佐藤 順一君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和五十三年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和五十三年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和五十三年度政府関係機関予算内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昭和五十三年度一般会計予算  昭和五十三年度特別会計予算  昭和五十三年度政府関係機関予算  以上三案を一括して議題といたします。  それでは、これより青島幸男君の締めくくり総括質疑を行います。青島君。
  3. 青島幸男

    青島幸男君 まず、私は、総理政治姿勢等、基本的な問題について少しお尋ねするところから始めたいと思いますけれども、現行の政治資金規正法に改正されましたころ、つまり三木総理のころですけれども、そのころ与党自民党さんは、この政治資金の体制は企業献金から個人献金に五年を目途に移行したいというようなことをおっしゃられていたんですけれども、その後、一向にそういう気配か見えませんけれども、そういう体質はもう破棄なすったと、あるいはそういうふうな意向はもう断念なすったと、こういうことでございましょうか、その辺をまずお聞かせいただきたいと思います。
  4. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 青島さん、自由民主党の動きを御検討なすっておられるのかどうか、私はよく存じませんが、自民党では、ロッキード事件が起きた後、自民党として党の改革をしよう、こういうことでいろいろ改革に着手しているんです。その一つの重要な点は党の財政なんですが、党の財政は、なるほどいままで企業献金依存をしているという実態であったわけであります。個人献金はありまするけれども、非常に少ない。そこで、党の財政を、党の組織とともに、民主化というか、そういう方向に持っていこうというので、組織の方で、自由民主党党員ではありませんけれども、自由民主党理解を持ってくださっている人、そういう人を結集する、それで自由国民会議という名称で、いまその拡大の手順をどんどん進めている最中でございます。  その自由国民会議のメンバーは、同時に、年一万円でございまするけれども、一万円の拠出をしてくださる。これがことしじゅうにどのくらいの数になりますか。この運動の中心になっている人は、四十万とか、そういうようなことを言いますが、それが三十万にとどまるのか、あるいは五十万ぐらいまでいくか、その辺はちょっとわかりませんけれども、かなりの数にはいくと思うんです。仮に四十万の自由国民会議の会員ができましたということになりますれば、これは四十億円ですよね、そういう個人資金源を求め得る、こういうことになるわけであります。  私、基本的には法人献金、会社、企業献金というもの、これはもう全然悪であったと言って消してしまうわけにはいかぬだろう、こういうふうに思うんです。しかし、これにあんまり偏り過ぎますと指摘されるような弊害を醸しやすい。個人でもそうだ。一人一人の個人に非常に大きなウエートがかかっていくということになれば、また企業献金と同じような弊害が出るわけでありますから、そういう弊害の問題は企業であると個人であると限りませんけれども、それか弊害を醸し出すような、どちらかに偏り過ぎるというような状態はよくない、こういうふうに存じまして、そういういま党の改革一つ眼点といたしまして、自由国民会議の結成、拡大、それからそれを通ずるところの企業依存党財政改革ということを、これは相当着実にいま進めておるわけであり、多くのものが期待できると、このように考えております。したがって五年たったら、この前の政治資金規正法においてもこの法律を再検討しよう、こういうことになっておりまするけれども、その方向というか、再検討の際の環境づくり、これは着々進んでおる、このように御理解願います。
  5. 青島幸男

    青島幸男君 党が近代化されるということは大変望ましいことですし、総理がおっしゃる方向で御検討になったり発展していくということが一番民主政治につながっていくと私も思うんです。  百五十万党員をお集めになるというような目途をお持ちだということも伺っておりますけれども、百五十万の方々が年間一万円ずつ拠出なさるというようなことになりますれば百五十億ですかね、そんなようなことになれば党の近代化というのは十分促進できるだろうという感じがするんですけれども、しかし、一般国民の見方は、年間そんな額ではないように伺っておりますし、総裁選派閥争いの基盤にこそなれ党近代化方向には向かわないんではなかろうかというような懸念を一部持っている方もおいでになられるように伺いますし、いままでのあり方がそういう国民疑念を晴らせないような実績がありますから、それがそうさせているんだろうと思うんですけれども、少なくとも行政指導に当たり、あるいは許認可権を持っている政府を構成する与党企業献金依存しているということは、これはやっぱり企業献金というのはある種の賄賂ではなかろうか、あるいは保険のために積んであるようなもんだというような考え方も当然出てくるわけですね。そういう体質ロッキード事件を生んだわけですし、きのうもきょうも新聞の紙面をにぎわしておりますけれども、ああいう実情はそういう体質から生じてきたわけです。ですから総理がお考えになっているように、速やかに国民に納得がいけるようなことにはなりつつあるんじゃないという認識一般にはあると思うんですけれども、その辺をどういうふうにして疑念をお晴らしになるつもりですか。
  6. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 青島さんと私ちょっと考え方が違うところがあるように思うんですが、あなたは企業献金は悪だと、こういうふうにきめつけて企業献金を減らせ減らせと、こう言っておりまするが、企業献金がなぜ警戒、注意しなけりゃならぬか、こう言いますと、私の立場から言うと、企業献金を通じて政治との癒着が出てくる、こういうことになりがちだという点にあると思うんです。それは青島さん、個人だって同じですよ。個人が多額の献金をした、そしてまたそれが政策との癒着にならない、あるいは行政一つ一つの裁きとの癒着にならないとも限らない、そういうことだろうと思うんで、問題は、企業であるか個人であるかじゃないんです、その金額もそれは関係するかもしれませんけれども、本質は献金性格にある、そこに問題があるわけだろう、こう思うんです。額が多くなるとその性格に関連を持ちがちだということで要注意、警戒だと、こういうことだろうと、こういうふうに思うんです。  そういう基本的な認識のもとに、ただいま申し上げたように、自由民主党といたしましては自由国民会議をつくる、それに財政の非常に大事な部門を分担してもらう、そういうようなことで、いままでの企業献金中心党財政、これは大きく改革される、このように考えております。
  7. 青島幸男

    青島幸男君 大方の国民もそのように希望しているはずでございますし、私も切にそれを願っているわけでございまして、ぜひそうあるようになってほしいと思いますけれども、昨日の当委員会におきまして、先輩議員発言に対しまして、総理は、政治には金がかかる、特に選挙に金がかかるから何とか全国区の制度、特にそう申されましたけれども、参議院全国区の制度について考えなきゃいかぬのじゃないかという御発言をなさいましたけれども、参議院制度についてどうお考えでございましょうか。
  8. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 参議院自体制度問題について私は深くいままで考えたことはありません。ありませんが、とにかく参議院選挙制度、これにつきましては地方区全国区とあるうち、地方区についてはいま定員の問題が問題になっているということは承知しております。それから全国区につきましては、まあ昨年の経験をされた人の実感から言いましても、ああいうような選挙の形式、これはもう再びしてはいかぬなという御感触であろうと私は思うわけでありまするが、とにかくあの選挙は五当三落というふうに言われた時期もあるが、八当五落だというふうに言われた時期もあるし、十当七落だなんというようなこともある。まあそれが事実かどうか私は存じませんけれども、とにかく金のかかる、また労力がかかる、非常に健康というか命がけ努力を要するというような面もあり、もう少し工夫をしたらいい方法があるのじゃあるまいか、そのように考えるし、しかも、全国区の選挙といいますと、余り選挙が差し迫ってから制度改正ということはこれは妥当でないと思うんです。私は、そういうことから言いますると、この全国区の制度改正、これはやらなけりゃならぬことであると思うと同時に、これは急がなけりゃならぬことだ、こういうふうに存じまして、皆さんにそういうことを訴えておる、こういうことでございます。
  9. 青島幸男

    青島幸男君 しかし、いまは参議院改革協議会というのも発足いたしました。議長の肝いりもありまして参議院改革協議会というのも発足しておりますし、議長も大変御熱心なわけですよ。実際に参議院というのはどうあるべきだろうか、どういう参議院を形成しなきゃならないんだろうか、そのためにどういう選挙が必要だろうかということまで、立法府の参議院がみずからを振り返ってどうあるべきだろうか、参議院自体が本質的にどういうふうであるべきか、国民がどういうものを求めているんだろうか——参議院無用論などということもありますし、衆議院カーボンコピーと言われることもありますね、それをどういうふうに改革していったら実際に国民の御希望に沿えるような参議院がつくれるだろうかということを、みずから振り返って協議会まで設けて考えようとしているわけですよ。そのためには選挙制度の問題にまで触れていかなきゃならないだろうということを考えつつあるという時期に、勝手に、長とは言いながら行政府の方が参議院全国区のあり方云々について軽々にこういう席で論じられるということは、あるいは参議院を冒涜することになりゃしないかと私は思いますけれども、参議院議員諸氏がみずから省みて改革を行おうとしているわけですから、そのことについて、いま私申し上げましたことをどうお考えになっておられますか。
  10. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 参議院のことでありまするから、選挙を含めまして参議院にまつわる諸制度、これは参議院でイニシアをとって論議し結論を出される、私はそれが第一の筋だと思います。思いまするけれども、私は意見を聞かれるんですよ。私は素直なものですから、つい意見を聞かれますればそれにお答えをするという形で、日ごろ私が考えていることを申し上げておると、それだけのことであります。
  11. 青島幸男

    青島幸男君 選挙やり方手数がかかるとか、あるいは選挙区が大きいからということで、全国区をなくそうじゃないかというような理論は全く本末転倒でして、本来参議院はどうあるべきなんだろうと——全国区というのか現にあるわけですよね。全国区というものかあるのは、発足の当時から参議院はこうあるべきだと、こういう衆議院と違った選挙手段によって体質の違ったものが生まれるであろう、それで車の両輪のように——総理はそういうお言葉かお好きですけれども、衆議院参議院が両々相まって国民の負託にこたえるようにすべきだということでこれは発足したわけですね。ですから、手数がかかるからとか、やり方かめんどうだからというんで、この制度を廃止してしまおうというようなお考えというのは全く本末転倒だという感じが私しますし、参議院がみずからを省みて改革をしていこうという時期に軽々に、意見を求められたからといってそういう御発言をなさるということは、少しお考えいただいた方がいいんじゃないかということを私申し上げたわけです。ですから、手段が煩わしいから基本的にやめてしまおうというようなお考えは間違いじゃございませんか、その点重ねてお尋ね申し上げます。
  12. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 聞かれれば、私も内閣総理大臣という立場ばかりじゃないんです、自民党総裁でもあり、また衆議院議員でもあるわけなんですから、私の考えていることを素直に申し上げる、こういうことは、これはしない方がむしろおかしいんじゃないかというくらいにさえ思います。
  13. 青島幸男

    青島幸男君 総理は何年議会生活をやっておられますか、私は失礼ですが存じ上げておりませんけれども、せんだっても発言の中にありましたけれども、この間、参議院全国区の選挙を実際に見て、これは大変だというふうに感じたというような御発言をなすっているわけですね。もう前から参議院選挙区は全国区が含まれておることはわかっているわけですね。そういう御発言になるのを私ども理解に苦しむんですけれども、重ねてお尋ね申し上げます。
  14. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私、全国区をずっと何回か選挙を見てきておりますけれども、その都度、これは全国区という選挙はもう命がけの、また金もかかる大変なことだと、こういうふうに感じてきております。しかし、昨年の参議院選挙、それからその前の四年前の参議院選挙、その二つの選挙におきましては、もうしみじみ全国区という制度、これは改革すべきだなあという感じを深くしたわけでありますが、労力についてはこれは前とも同じでありまするが、昨年の選挙、それからその前の四年前の選挙になりますると、金がずいぶんかかる、そういう情景を目の当たりにいたしまして、これは制度的に問題があるということを感ずるに至ったわけであります。
  15. 青島幸男

    青島幸男君 この議論を幾ら重ねても不毛のものだと思いますから、この程度でやめますけれども、実際に総理のお立場で、全国区が手数がかかるから、あるいは金かかかるから——金はかけるからかかるんでありましてね、かけなくても当選する方もおいでになるわけでして、その辺を篤とお考えいただきまして、軽々に論じられることは参議院を冒涜することになりやしないかという懸念から御注意申し上げさしていただきたいと思います。  さて、四月から新学期も始まりまして、今回の入学試験の現状ですけれども、一時、特に医学系学校やみ寄付金などが問題になりまして大変な論議を呼んでおりましたけれども、こういう受験あり方については、総理、どういう御見解をいままでお持ちでしたでしょうか。
  16. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) やみ寄付金問題は、これは官公立にはそういうことは絶対になかったと思います。私学、特に医科系私学でそういううわさをちょいちょい耳にいたしまして、これは大変なことだと、そういうふうに感じまして、文部省におきましては、学校全体についても指導立場にありまするけれども、特に私学助成の対象となる大学につきましては、これはその機会を通じまして特別に指導をなし得る立場にありますので、そういう努力をずいぶんいたし、その辺はかなり改善——かなりというか、相当改善されてきておるところではあるまいか、そのように見ております。
  17. 青島幸男

    青島幸男君 私もそのように感じます、かなり改善がなされたと思います。新聞なんかの論調を見ましても、各大学とその周辺を当たってみた限りでは、さすかに自粛の色が見えて、金権合格などのはっきりしたケースはいまのところ見られないという風潮がある、かなり自粛の跡が見られる。大変結構なことだったと思うんです。  かつて集中審議が行われましたときに、私申し上げましたけれども、かなりひどい実情だったわけです、かつては。実際に何年も浪人した方がかなりいい成績を持っていながらやみ寄付金のために落とされてしまう、成績はもうほとんどどうかと思うような方がやみ寄付金のために入学をしているという不公平があったわけですね。ましてや、その不公平の出てまいりました寄付金のもとを追及いたしますと親御さんの脱税まで出てきて、どうにもこれは、何というんですかね、かっこうがつかない事態だったんですけれども、しかし、その点私もずっと調べてまいりまして、文部大臣おいでですから、私提言があるんですけれども、ずっとたどってまいりまして、この不正を何とか調べをつけようと思ってまいりますと、どうしてもネックになっているのは合格者を発表しないことです、私学か。だれがどういう経路で入ったのかというのは定かにわからないんですよ。もうひどい学校になりますと同窓会名簿すらわかりません。ですから、そういうことがこの不正をますます助長さしてきたんだと思うんです。実際にはそこを受験したいといって受けた方で、合格なすったんですから、それは個人のプライバシーに関する問題じゃありませんからね、落っこった人を発表するというのは問題がありますかもしれませんけれども、受かった人を発表するというような事態かあれば、実際にどういう点数でどういうふうに入ったのかということは明白になるわけですから、これは御提言申し上げますけれども、文部大臣総理大臣の御両所の御所見を承りたいと思います。
  18. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 昨年のような事態改善をさせますためにいろんな指導をしてまいりましたけれども、その各様の指導の中の一つが、合格者学校の中へ名前なりあるいは受験番号なりを掲示をして公正を期してください、そういうことが一項目あったわけです。医科歯科の私大の側でもそれを受けまして、数字をはっきり申し上げますが、昨年は十六校しかその掲示をしなかったんですが、ことしは四十二校の医科歯科の私立大学の中で四十校が掲示をいたしました。二校だけが掲示ができなかった。その二校だけというのは私立の総合大学で、ほかの学部との調整が十分でなくて、その二校だけか掲示ができなかった。しかし、その二校も五十四年度はこれはどうしても掲示をしなければいかぬということで、その検討、研究をいたしているところでございます。まさにこのことも改善をされました。
  19. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ただいま文部大臣から申し上げた方向で善処したいと思います。
  20. 青島幸男

    青島幸男君 まさにそういう掲示をすることで、一番昨年来問題になりました、かの、私名前を申し上げませんけれども、その大学でも付属校から入ったのかほんの数名ということで実情が明らかになって、一般の不安とか懸念も晴れたということもございますので、こういうやり方で実際に進学の公平か期されるというようなことを、私、心から願うわけでございまして、実際に各新聞社の方にしましても私どもにしましても、いままでどう追及しようにも同窓会名簿すら入らないという実情ですから、いままでそこがネックになっておりましてその不正が助長されてきたということ、特に私強調して申し上げますので、この点は文部大臣にもお願いいたしますが、ますますこういうかっこうで公平が期されるように進めていただきたいということでございます。それはもう確とお約束いただけると思いますが、いかがでございましょう。
  21. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 時間がまいりました。
  22. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 学力だとかそういう問題ではなくて、金の力で入れるというような不公正は絶対に許すべきではありませんが、ことし相当な改善を見たことは御承知のとおりでございまして、選抜段階でも少しですけれども行儀の悪い事態か出てきまして、その都度注意をして改めさせる、そこまできめの細かい努力をいたしてまいりました。さらに、この方向で私立大学協会、私立の医科歯科の協会の側でも社会的信用を回復しようという意欲もずいぶん強いものがございますから、一緒になって努力を続けてまいります。
  23. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 以上で青島君の締めくくり総括質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————
  24. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 次に、野末陳平君の締めくくり総括質疑を行います。野末君。
  25. 野末陳平

    ○野末陳平君 医療問題について質問します。  せんだっての診療報酬の改定によりまして、全体として見ればいまの診療報酬の水準はほぼ適正であると私は思いますが、総理の御認識はいかかですか。
  26. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 医療費が適正であるかどうかというのは、これはまあ突き詰めて言うと非常にむずかしい問題であり、技術料をどういうふうに評価するかというようなことになると、私どももこれを考えて、さあいまの技術料の評価というのは適正であるかどうか、そうはっきり聞かれますとその答弁なかなかむずかしいんですか、一応そういうむずかしい問題は除外視すると、毎年というかときどき医療費の改定をやっております、その時点はまあこの程度かなあということで決めておるわけでありますか、問題があるということだけは問題があるようでございます。
  27. 野末陳平

    ○野末陳平君 そうすると、全体として見ればほぼ適正だけれども、中に問題があって技術料と、こういうことでいいですか。
  28. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 私どもは、今回の医療費の改定は適正な改定であると、ただ、その結果、現在の診療総報酬というものか適正であるかどうかは、御承知のように医療従事者か百十万人もおりますし、これらの方々に対する物価や賃金の上昇の反映ということを常にやはり考えていきませんとなりませんので、現在決められた医療費がもうこれですっかり適正になったというわけにはまいらないと、こういうことでございます。
  29. 野末陳平

    ○野末陳平君 厚生大臣は、先日は、技術料か評価がえをしなきゃいけないというような答えであったので、技術料の具体的な検討をちょっとしてみたいと思いますので厚生省にお伺いしますが、初診料はいま幾らで、昭和二十九年の例の医師優遇税制ができたころと比べて何倍ぐらいになっているか、それを教えてください。
  30. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) お答え申し上げます。  初診料につきましては、先般の改定によりまして、甲表では千二百五十円、乙表では千円でございます。  それから昭和二十九年におきましては、これは地域の甲地、乙地がございますけれども、一応それを基準にしますと、約二十五倍ということになります。
  31. 野末陳平

    ○野末陳平君 それに、深夜に幼児を連れていくというような場合に加算されると思うので、その場合は幾らになって、何倍になっていますか。
  32. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) 深夜の加算につきましては三千六百円でございます。
  33. 野末陳平

    ○野末陳平君 幼児加算は。
  34. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) 幼児加算につきましては、二百四十円でございます。
  35. 野末陳平

    ○野末陳平君 合計で幾らですか。
  36. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) 三千八百四十円が加算分でございまして、それに初診を入れますと、乙表の場合ですと千円でございますので、四千八百円となるわけでございます。
  37. 野末陳平

    ○野末陳平君 総理、初診料もやはり見立てですから一種の技術料で、いまの数字はどうですか、低いですか、それとも適正ですか。
  38. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 先ほど来申し上げているように、日本の実情から見て現在では私どもは不当だとは思っていないのでございます。
  39. 野末陳平

    ○野末陳平君 じゃ、今度、盲腸の手術料は幾らになっていますか。また、二十九年ごろと比較して何倍ですか。
  40. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) 盲腸の手術料でございますけれども、二万三千五百円でございますけれども、これは医師の技術料だけではございませんで、看護婦の賃金でございますとか、手術器具等の経費、手術室の経費等、各種の費用を含みまして二万三千五百円ということでございます。それから二十九年におきましては乙で二千八百七十五円でございまして、七・五倍ということでございます。
  41. 野末陳平

    ○野末陳平君 厚生大臣、ぼくはいまお聞きしまして、盲腸の手術料なんかは技術料としては低いのではないかと思うのですが、どうですか。
  42. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 確かに、まだ日本では手術料その他について大分諸外国と比べて低いものがございます。
  43. 野末陳平

    ○野末陳平君 そうしますと、全体の診療報酬ベースというのは適正なわけですね、現状としては。ところが、個々の技術料には、たとえばいまの盲腸のように低いものもあると。全体——パイの大きさが適正なのに、個々は低いというのは、これはどうして起きたんですか。
  44. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 前回も野末委員の御質問についてお答えしましたように、技術料を考えてみますと、各所に不適正がたくさんございます。これは将来逐次改定をしていかなければならないと思っておるわけでございますが、技術と物の分離という面をできるだけ私どもは進めてまいりまして、物は実費技術料は技術に応じた適正な評価をやっていくと、こういう考え方で今後も進んでいきたいと思っております。
  45. 野末陳平

    ○野末陳平君 それで当然だと思うのですが、技術料が不適正であって、物について出しましたけれども、物つまりほとんど薬ですね、これはどうなんですか、大きなウエートを占め過ぎていると思いますけれども。
  46. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 確かに、薬のウエートは、保険全体の中ではまだまだ諸外国と比べると高いわけでございますので、今後ひとつ適正な薬価を決めてまいりまして実勢価格に合わしていきたい。なお、また薬の乱用等についても戒めていきたいと思っております。
  47. 野末陳平

    ○野末陳平君 そこで、厚生大臣のいまのお答えをまとめますと、技術料は不適正である全体の診療報酬は適正であると、しかし中身について言えば薬がちょっとウエートを占め過ぎている、こんなことでしたよね。それでいいですね。
  48. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 全体の診療報酬が全く適正であるとは申し上げませんで、現在の医療費改定を二月一日からやりました、その面においては現在としてこれ以上のことはない、またこれ以下でもないと、こう決めたわけでございます。その点だけはよく理解をしておいていただきたいと思います。
  49. 野末陳平

    ○野末陳平君 それでは、話に出ました薬の問題についてやろうと思うんですよ。かぜを引きましてちょっと熱っぽくてのどが痛いという程度の軽いかぜですが、これでもって町のお医者さんに行きますね。そうすると、お医者さんの収入は幾らになっているかと、こういう問題ですね。われわれの負担金も含めて幾らぐらいになっていますか。
  50. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) かぜの場合に、個々の事例によりまして非常に異なるわけでございますけれども、三日間ぐらい通院し治療したということで、投薬も抗生物質、解熱剤、抗ヒスタミン剤を行ったという場合に、大体三千円程度というのか投薬分、技術料合わせての費用というふうに思います。
  51. 野末陳平

    ○野末陳平君 ちょっとそれはお医者さんに行ったときの常識から比べると低いようなんですけれども、まず初診料と、三日通院ということでしたから再診と、それから処置を含めて、その部分だけで、いわば技術料だけで、ちょっと幾らか言ってください、薬を別にして。
  52. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) 初診料が千円、それから再診料か六百六十円、処置料が三百円、薬が千八十円ということでございますので、約二千円が技術料で千円が薬代ということでございます。
  53. 野末陳平

    ○野末陳平君 ところが、その薬なんですよ、問題は。厚生大臣の御答弁にもちょっとありましたけれども、普通、いまの三日通院ぐらいのかぜとなれば、町の薬屋さんに行けばまず五日分ぐらいはくれますね。これは厚生省も御存じだと思うんですよ。この薬の中身ですけれども、まあ大体熱っぽくてのどか痛いというようなことで行けば、注射する医者としない医者と分かれますが、注射をまずしますね。それから抗生物質が出ますね。それから解熱剤、抗ヒスタミン、これは出ますね。あと、のどの薬がちょっと出て、せきどめを出して、ビタミン剤を出して、胃薬と、大体これが町の医者のレベルですよ。そうじゃないですか。
  54. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) ただいまのは三千円ぐらいで計算したわけでございますけれども、先生御指摘のことで計算いたしますと、まあ五日分ぐらいになるというようなことでございますので、そうしますと、大体五千円ぐらいに両方合わせてなると思います。
  55. 野末陳平

    ○野末陳平君 薬だけでね。
  56. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) いや、薬だけでは二千円ぐらいということでございます。
  57. 野末陳平

    ○野末陳平君 技術料が二千円でしょう。
  58. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) はい。で、薬のいまのを追加いたしますと三千円ぐらいになりまして、五千円ということになります。
  59. 野末陳平

    ○野末陳平君 薬が三千円でね。つまり、厚生大臣はもう御承知だと思うのですけれども、薬を出す方がもうかるし、現実には町のお医者さんというのは患者さんに薬をどんどん出しまして、技術を売るよりも薬を売るという傾向が強いんですね。そういうことですね、厚生大臣。ですから、ここにいろいろな問題が起きてくるんだと、そういうふうにぼくは思っているのですけれども、厚生大臣の認識とはちょっと違いますか。
  60. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) どうも、日本人は、これはもう全般的に薬、注射というものが好きな国民のようでございまして、お医者さんに行って何か薬をもらわないとどうも納得しないというあれが強うございますので、医師と患者両方側の自制自粛というものを求めていかなけりゃならぬと思うのですね。たとえば、私どもも、ちょっと疲れるから院内の診療所に行きまして、先生ちょっと注射を打ってくださいと、これはなるべくもう今後はそういう風潮がなくなるような、できるだけひとつ正しい知識を普及していきたいし、またお医者さんの側にも十分自粛を求めていきたいと、かように考えます。
  61. 野末陳平

    ○野末陳平君 どうも、厚生大臣、患者も一緒に含めちゃうのはちょっと困るんで、薬が好きだとは言っても、五日分くれるとかいわゆる薬びたしになるほどたくさんくれるというのはお医者さんの方なんで、結果的にお医者さんはそれでもうかるけれども、患者は特にもうからないんで、途中で半分は捨てるというのが常識ですよ、実態ですね。これを少し認識していただかないと、両方が自粛するというのじゃなくて、医者が薬づけにすることを自粛すると、こちらの方がぼくは正論だと思うのですが、どうですか。
  62. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) これは個々の事例によってそういう事例も多いだろうし、また、患者さんの方の、たとえば非常に良心的なまじめなお医者さんがかぜなんというものは休養してゆっくり寝ていればいいんだと言っても、いや先生それでも薬をもらわぬと安心できませんというようなこともありますし、これは両方やはりやっていかなきゃいかぬのです。これはもう事実いろいろな例を私も見ております。やっぱり両方が自粛していかなきゃいかぬ。同時に、そういう制度的に両方の自粛を誘導するような制度を私は考えたいと思っております。
  63. 野末陳平

    ○野末陳平君 それじゃ、ちょっと問題の角度を変えまして、私はたとえば盲腸の手術代なんかは技術料として低いと思っていますよ。しかし、薬の方を考えますと、これはむちゃくちゃなんですね。ですから、今度は診療報酬の中でいわゆる薬と技術料がどういうふうなウェートを占め合っているかということからお聞きするんです。薬のウエートが大きいということは、つまり薬の支払いが少し多過ぎるということだと思いますので、診療報酬の中で薬の支払いはどのくらいになっているか、比率ですね、まず。それをひとつ厚生省ベースで。
  64. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) 総医療費の中で、最近の調査によりますと、三七%ということでございます。技術料との相対関係でございまして、技術料が逐次上がっておりますので、従来よりは下がっております。
  65. 野末陳平

    ○野末陳平君 いまの三七%というのは、要するに支払いベースなわけですから、今度は薬の実際価格ですね、お医者さんが仕入れてくる実額のべースはもっと低いだろうと当然思います。そこで、三七%からどのくらい下回っているかと、どのくらい差があるかと、ここが問題なんですね。これをひとつ答えてください。
  66. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) 最近の調査の実績がわかりませんので明確にわかりませんけれども、医師会等の調査の経費等の数字から見ますと、約二〇%ぐらいではないかというふうに考えられます。
  67. 野末陳平

    ○野末陳平君 要するに、医師会などは薬は二〇%ぐらいなんですよ、保険収入の全部で。ところが、厚生省は三七%でもって支払うわけですよ。当然ここに十数%の差があるわけですよ。この差が、厚生省の方から見ればつまり払い過ぎになるわけですよ。それからお医者さんにとっては差益になるわけですよ。そういうわけですね、厚生大臣。
  68. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) 保険の薬価基準で認めておりますのは、診療報酬としましてお医者さんが請求し支払うものでございます。現実に医療機関が購入する価格というものはこれと違うわけでございます。したがいまして、実勢価格と購入価格と薬価基準で支払う価格との差というものは、当然これは差益というものがあるわけでございます。
  69. 野末陳平

    ○野末陳平君 つまり、その差益が薬づけにしていく原因になっているわけですか、これは薬価基準が問題なんですよね。この間除外されたセンセファリンですけれども、現実の数字を見た方か早いんで、センセファリンの薬価基準は幾らで、そして市場価格というかお医者さんが仕入れるときの価格は幾らか、これを二百五十ミリと五百ミリ、両方言ってください。
  70. 中野徹雄

    政府委員(中野徹雄君) お答え申し上げます。  センセファリン、武田製薬の販売いたしておりますセファレキシンでございますが、五百ミリグラムのカプセルが、これはもう現実に除外されて、ないわけでございますけれども、除外前には五百ミリグラムのカプセル四百三十五円五十銭でございまして……
  71. 野末陳平

    ○野末陳平君 薬価基準。
  72. 中野徹雄

    政府委員(中野徹雄君) これが薬価基準価格でございます。それから同様に二百五十ミリグラムの薬価基準価格が百七十円でございます。実際の購入価格ということになりますと、これは九〇%バルクで決められた基準価格でございますが、五十一年調査を同年の夏及び去年の夏の経時変動調査で補正してさらにその九〇%バルクで決めたものでございまして、最近の実勢価格は未調査でございますので、これは正確なことは申し上げられないわけでございます。
  73. 野末陳平

    ○野末陳平君 じゃ、除外したときの理由に基づいてその値段を言ってください。
  74. 中野徹雄

    政府委員(中野徹雄君) 北陸地方での一病院に対しますところの現実の納入価格及びその添付がございますが、添付を除外しまして実際の納入価格で申し上げますと、問題になりましたのは五百ミリグラムのケースでございますけれども、これが一錠百二十円、添付を含めて割り戻しますと百円でございました。
  75. 野末陳平

    ○野末陳平君 そうすると、センセファリンを一カプセル渡せば、百円か百二十円で仕入れて、それが四百三十五円もらえるわけですよ、収入として国から。そうすると四倍だ。これだけの差がある。それで、しかもセンセファリンは除外されたのは、薬価基準と実勢の差があるからでなくて、添付が問題だったんでしょう。
  76. 中野徹雄

    政府委員(中野徹雄君) お答え申し上げます。  そのとおりでございます。
  77. 野末陳平

    ○野末陳平君 要するに、まあこれはほんの一例ですけれども、これぐらい差のある薬もあって、お医者さんはこういうのをどんどん使いたがるわけですよ。そうなると、これはもう薬に支払い過ぎだなんて言っているのじゃなくて、薬価調査のやり方そのものがまずいのじゃないかと、そう思うのですがね、大臣。
  78. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 薬価調査のやり方については、確かに実勢価格との開きをなかなかつかみがたいような状況等がございますので、私は、着任後、今年度の薬価調査から特別調査をいわゆる薬価調査時の直前、直後について特別にやりまして、できるだけ実勢価格を正確に把握して薬価基準の適正化を図ろうと、こういうことでいま検討さしております。必ず実行していきたいと思います。
  79. 野末陳平

    ○野末陳平君 いずれにしても三倍、四倍の開きがあるというのは異常なわけでして、やはり予告をして調査するなんていうようなやり方をしていますからね、いままで。そうすると、予告期間があれば、メーカーはその間幾らでも操作したり、やはり実態をつかまえることができないと思うんですよ。だから、抜き打ち調査に変えるべきじゃないかと思うのですが、その点はどうですか。
  80. 中野徹雄

    政府委員(中野徹雄君) お答え申し上げます。  薬価調査につきましては、卸及び購入サイドの医療機関の協力を得て実施しているものでございまして、抜き打ちということにつきましてはなかなかむずかしい面があろうかと存じます。そこで、大臣のおっしゃいましたように、まあ価格操作をするといたしましてもそれは長続きはしないわけでございますから、薬価調査の前後に相当な間隔を置きまして特別調査を行って、それによりまして実勢価格をより正確に把握をしていきたいというのがわれわれの考え方でございます。
  81. 野末陳平

    ○野末陳平君 少なくも薬価基準と実勢の差を詰めるということはもう最大の急務なわけですね。ですから、これは正しい実態が反映するような調査をしてほしいわけです。  総理大臣ね、要するに医療の問題はいろいろありますけれども、諸悪の根源は薬なんですよ。この薬が一番問題なんで、実勢と薬価基準の、差が詰まってくれば、いいですか、技術料が低くても、薬の分を実勢に近づけることによって、その浮いたかなりの財源で技術料を積み上げていくこともできるわけですよ。それが今後の改善方向だとぼくは思うわけですね。厚生大臣もこの間の答弁でそんなことをおっしゃいましたが、それで間違いありませんか、確認します。
  82. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 私はぜひそういう方向でやっていきたいと思っております。
  83. 野末陳平

    ○野末陳平君 そこで、総理ですね、その作業は、いいですか、薬を落として技術料をその分だけでも低いものを上げていくというその作業は、現在の診療報酬のこの体系の中でやるべきことで、またやれることなんですよ、全面的に解決できるかどうかは別として。そうですね、その作業はこの診療報酬の体系の中でやる。優遇税制というのはこれと全然関係ないと思うのですけれども、いかがですか。
  84. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 優遇税制が決定をいたしましたときは、そういうお医者さんの総収入についての議論ではなくて、むしろ技術料の適正評価ができない今日、税で優遇措置をやると、こういうことで発足してきているものですから、技術料の評価とは密接に関連があると私は思っております。
  85. 野末陳平

    ○野末陳平君 そうすると、技術料の評価が終わるまでは税の方は全然手がつかぬというのが厚生大臣の認識ですか。
  86. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 税の問題は大蔵当局でございますが、私どもは技術料の適正評価はやりたいと思っても、国民の負担等も考えまして、これはやはり一挙にはなかなかできないわけでございます。また、財政等の事情等もございますから、この点は一挙に技術料の適正評価というものはできない。その間はいろいろ他の方法によって考慮をしていただきたいとは思いますか、しかし、税の問題は私どもの所管ではありません。税を正しく把握をし徴収するのは、これは大蔵当局でございますので、厚生省としては医療行政の見地から注文をつけて考慮を願うと、こういう立場でございます。
  87. 野末陳平

    ○野末陳平君 じゃ、大蔵大臣に聞きますけれども、厚生大臣はやはり技術料の評価がむずかしいんでそこに税をちょっと絡めているようなお答えでしたね。だけれども、ぼくはいままでの薬と技術料のアンバランスの問題も考えて、それから診療報酬全体のことも考えて、税は税の立場だけでもう考える時期に来ている、それから診療報酬の中のいろいろな問題はそれの体系の中でそれ自身の中で考えるべきことだと、当然切り離してもう考える時期であると、こう考えているのですが、税の専門家の大蔵大臣はどうですか。
  88. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) まあいずれにいたしましてもいまの医師の優遇税制の現行法は五十三年度限りということになっておりますので、これは五十三年度限りで廃止になる見込みでございます。また、その決意でおるわけでございます。  その場合に、いま診療報酬か適正化されることを望んでおるわけでございます。もともとの由来を考えますと、私たちは一点単価が低かったという理由で当時医師の優遇税制か始まっておると考えておるわけでございます。したがいまして、経緯から申しましてそういう関係があるわけでございますが、いま厚生大臣から技術料とそれから薬価基準、この間が片方か安過ぎて片方は高過ぎると、こういう話でございます。その間の調整をつけていただくことを望んでいるわけでございまして、いずれにしても税の方はいまの特例は廃止すると、こういうことでやってまいりたいと思います。
  89. 野末陳平

    ○野末陳平君 廃止はこの間も五十三年限りと聞きましたか、一番気になるのは、要するに大蔵大臣は一点単価の問題でもってこの税創設のいきさつを考えている。厚生大臣の方は、一点単価じゃなくて、技術料が低いというようなところに重点を置いている。そこが大分違うわけです。時間が来ましたから医療問題は別の機会に質問したいのですが、総理大臣、これを五十三年度限りでやめるということについては全く異存はございませんね。
  90. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 五十四年度からは新しい体制でやりたいと、かように考えています。
  91. 野末陳平

    ○野末陳平君 委員長、もう一問。
  92. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 簡単に願います。
  93. 野末陳平

    ○野末陳平君 その新しい体制の場合は、撤廃するんですか、それとも税調答申のような段階的な是正ですか、どちらですか。
  94. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) この問題は税制調査会とも諮りまして、そして最も妥当な方法を考えてまいりたいと、かように考えているところでございます。
  95. 野末陳平

    ○野末陳平君 総理大臣、いろいろな問題かいまたくさんありまして、なかなか総理一人のお力では解決できないようなむずかしいことが多いと思うのです。しかし、いわゆる不公平税制といわれる医師優遇税制は、総理の決意でやればできるんですよね。だから、やってほしいわけですよ。総理大臣の名が泣くというわけですよ、これをやらなければ。ぜひともやってほしいんで、それを改めてお願いして質問を終わらしたいと思いますが、最後に決意を。
  96. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 先ほど申し上げたような決意でこの問題は処理するという考えでございます。
  97. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 以上で野末君の締めくくり総括質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————
  98. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 次に、秦豊君の締めくくり総括質疑を行ないます。秦君。
  99. 秦豊

    ○秦豊君 成田開港はなぜ五月二十日なのか、その根拠と成算を聞きたい、まず運輸大臣。
  100. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) 空港はできるだけ速やかに開かなきゃならないということは、現代の国際的に考えた観点からもそうでなければならぬし、また、日本の実情とすると、羽田かどういうことであるからこれに対してどうするというようなことからもそうでありますか、同時に、それなるがゆえにというのでやたらあわててやり損なってはこれまた絶対にいけない。そこで、安全確保を完璧を期しつつやっていきながら、その中でできればすでに三月三十日というようなこと等も決まっておったのであるし、その後も余りのろのろやっているというようなことは許されないと、こういうことでございまして、そういう観点から、いまも申しました安全確保等を第一義的に考えながら、諸般の事情を考慮いたしまして検討の結果、実はけさほど、五月二十日に開港したいと、こういうように決定した次第でございます。
  101. 秦豊

    ○秦豊君 政府としては精いっぱいなのか、あるいは政治的に延ばしたのか、その点はどうなんですか。
  102. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) 精いっぱいの努力をしながら、しかも念を入れてこの結果を出した次第であります。
  103. 秦豊

    ○秦豊君 加藤大臣、警備の体制はあなた方によれば万全なのか。
  104. 加藤武徳

    国務大臣(加藤武徳君) 再びあのような事態を惹起せしめないために万全の体制をとってまいると、かような決意であります。
  105. 秦豊

    ○秦豊君 総理、今度は大丈夫でしょうね。今度延びた場合の責任は倍増しますよ。いかがですか。
  106. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 今度は大丈夫でございます。全責任を持ってこれを実行いたします。
  107. 秦豊

    ○秦豊君 運輸大臣の姿勢は大変結構だと思う、話し合い路線、対話のチャネルを開く。これを行政全体の姿勢としてあなたは守りますか。
  108. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) こうした難問を処理していくに当たりましては、強い信念を持って政府が臨むことももちろん必要でございますが、関係諸方面とできるだけの話し合いを遂げてそうした中からも解決策を求めていく、このことが必要であると私は考えます。
  109. 秦豊

    ○秦豊君 総理ね、あえて聞きます。行政全体の姿勢としてあなたがリーダーシップを発揮しますか、対話路線。
  110. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは分けて考えなけりゃならぬと思うのですがね。法秩序を犯し、国家の安寧を害すると、こういうような行動、それのみをねらっているというグループがおるわけなんです。こういう人たちとの間に対話といっても、なかなかこれは尽くるところがない対話になるのじゃないかと、こういうふうに思います。しかし、地元の方々ですね、農民などの方々、この人たちはもう十分対話と協調、この実を貫いてまいりたいと、このような考えであります。
  111. 秦豊

    ○秦豊君 イソップで言えば、北風と太陽、旅人とマント。じゃ、あなたは、太陽路線を守り抜くんですね、総理
  112. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ただいま申し上げましたが、事を分けて考えなけりゃならぬと、こういうふうに思いますが、農民等地元の人々との対話、これはできる限りの手を尽くしてまいりたいと、このように考えています。
  113. 秦豊

    ○秦豊君 どうもまだ不十分だと思いますね。あなたの一言は大きいんですよ。  じゃ、運輸相、第二期工事再開の前提は何ですか。
  114. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) これも具体的にはいろいろございましょう。だが、その大前提というものは、すでに政府か決めておりますように、成田開港後速やかにということではございますが、この速やかにという考え方の中で、まあ今度とうとい経験というか、痛い経験というか、そういうことをつぶさになめました。この経験を生かして、第二期工事等についてはいままでのようなことのないようにということを私は強く強く感じつつ対処したいと思います。
  115. 秦豊

    ○秦豊君 総理、当然それはあなたが踏襲されますね。引っ張りますね。
  116. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) そのとおりです。
  117. 秦豊

    ○秦豊君 加藤さん、今度新編される特別警備隊は、どこからどう集めてどう編成するのか。
  118. 加藤武徳

    国務大臣(加藤武徳君) 空港警備隊は、千葉県警察に設置をいたしたいと、かような考えでございます。相当の人数を予定いたしておりますので、にわかに編成ということはなかなか困難であろうと思いますけれども、しかしいろいろの工夫をいたしまして、たとえば警視庁、埼玉県等で勤務している警察官でも千葉県に帰りたいと、かような希望者もございましょうし、また全国からも希望者を募集いたしますような措置をとりながらできるだけ早く体制を整え、同時にまた新たに警察官を志望いたします者も緊急に養成するような措置をとってまいりまして、なるべく早く編成を完了いたしたい。ただ、これは、警察庁みずからの警備隊ではございませんで、あくまでも自治体警察の警備隊、かような形で設置をいたしたいと考えているところであります。
  119. 秦豊

    ○秦豊君 余り答弁が具体的でありませんね。いつごろ、幾人ぐらいで、どんな装備で編成するのか。
  120. 加藤武徳

    国務大臣(加藤武徳君) 具体的な編成につきましては、千葉県におきまして条例を制定いたしますかまたは条例を改正いたしまして設置の体制をとらなければならぬのでありますから、したがって、千葉県におきましては恐らく臨時の県議会等を招集していただきましてそして体制がとってもらえると、かように信じておるのでありますが、その日時等につきましては明確ではございません。
  121. 秦豊

    ○秦豊君 規模は。
  122. 加藤武徳

    国務大臣(加藤武徳君) 規模につきましては、さしあたっては一千五百名の警備隊、かような考え方でおります。
  123. 秦豊

    ○秦豊君 千葉県からはすでに要請が来ていますが、予算はどう分担するんですか。
  124. 加藤武徳

    国務大臣(加藤武徳君) 成田市長並びに成田市会議長からは強い要請か参っておりますけれども、県からはさような具体的な要請はございませんが、しかし早期に開港願いたいという強い願望を持っておられることに間違いがないのでありますのと、なお警備隊の編成につきましては川上千葉県知事と詳細な打ち合わせをいたしておるさなかでございます。
  125. 秦豊

    ○秦豊君 総理ね、成田に関する限り、外科療法はもうやらないんですね、漢方ですね。
  126. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ちょっと外科と漢方の区別がよくまだわかりませんが……。
  127. 秦豊

    ○秦豊君 とにかく巨大プロジェクトを進める場合に、行政のシステム、アプローチ、発想を根本的に変えなければ、無数の成田がこれから起こる。そういう懸念はお持ちじゃないですか。どうしますか。
  128. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まあこれからいろいろある、特に第二滑走路というような問題がありますが、地元の人ですね、この人たちとの対話と協調、この路線はどこまでも堅持してまいると、こういう考えであります。
  129. 秦豊

    ○秦豊君 運輸大臣ね、羽田はどうするんですか。広げるんですか、このままですか。
  130. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) 羽田につきましては引き続きやらなければなりませんが、すでに東京都知事その他また区の人々とも私は会っていろいろ話もしておりますが、広げるとかなんとかということよりも、あそこをより一層いろいろな面で有効適切に使うというような考え方から、海の方へ空港として拡張工事はもちろんいたしますが、同時に、時間的には多少ずれるかと思いますが、いままで滑走路等に使っておりましたところあたりにつきましては公園をつくるとかなんとか各方面から喜ばれるようなことにもしたいということで、空港だけでなくて総合的に考えていこうということを話し合っております。まだしかしいろいろ決めることが残っていることは御了承をいただきたいと思います。
  131. 秦豊

    ○秦豊君 総理にあえて聞きたいんですが、アメリカが考えているようなテネシーの開発、ニューディール、国家環境政策法、実に発想が卓抜、理念が高い。ああいう巨大プロジェクト用のトータルな法案をつくり出そうという発想はあるかどうかだけ聞いておきたい。
  132. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 巨大プロジェクトを着手いたしまして、そしてそれを円滑に施行する、こういうことになりますと、どうしても事前に準備が必要だ。特に環境アセスメントというようなことを十分やっておきませんと、それぞれの計画の実行に支障があるのじゃないか、円滑に実行できないのじゃないか、そのように存じまして、そういう際の環境調査をどうするか、いま政府部内で相談をしておる。まあ立法措置、環境アセスメント法なんかもその一つなんでございますが、いまいろいろの角度から相談をしておる。お尋ねのそういう仕組みの必要性、これにつきましては十分そのように理解しております。
  133. 秦豊

    ○秦豊君 警察庁、金大中事件を聞きたいが、事件には目撃者がいたはずですね。
  134. 三井脩

    政府委員(三井脩君) おりました。
  135. 秦豊

    ○秦豊君 性別と人数を聞きたい。
  136. 三井脩

    政府委員(三井脩君) どの目撃者のことかわかりませんが、ホテルのエレベーター内の目撃者でございましたら、二人、二人とも男でございます。
  137. 秦豊

    ○秦豊君 職業は何です。
  138. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 会社員、それから町会議員、職業に当たるかどうかわかりませんが町会議員さんと、もう一人は会社員——サラリーマンでございます。
  139. 秦豊

    ○秦豊君 年齢と名前を明らかにできますか。
  140. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 年齢は正確なところをいま覚えておりませんが、名前は明らかにできません。
  141. 秦豊

    ○秦豊君 理由を聞きたい。
  142. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 捜査に協力をいただくときに、そのような約束といいますか、向こう側の要請があったからでございます。
  143. 秦豊

    ○秦豊君 初動捜査、目撃者の重要性は言うまでもないと思う。当然取り調べは綿密であったでしょうね。
  144. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 初動捜査に限らず、すべて綿密にやったつもりでございます。
  145. 秦豊

    ○秦豊君 綿密の中には顔写真も入っていますね、二、三十枚の。
  146. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 何の顔写真かわかりませんけれども、顔写真を使うときには綿密に使います。
  147. 秦豊

    ○秦豊君 三井流のレトリックだ。丸山三千男氏に、韓国大使館員を含めた、金東雲を含めた写真を見せたでしょう。
  148. 三井脩

    政府委員(三井脩君) ただいま申しましたように、この人たちの名前を申し上げるわけにまいりませんが、お二人の目撃者に写真等も見せましたし、その写真の中に御指摘の写真もありました。
  149. 秦豊

    ○秦豊君 調べたのはいつごろです。
  150. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 調べたという意味はわかりませんか、捜査は事件発生後直ちに発動いたしました。
  151. 秦豊

    ○秦豊君 丸山氏が金東雲を特定したのは、事件直後何日目ぐらいですか。
  152. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 八月の末でございます。丸山氏であるかどうかは申し上げられませんが……
  153. 秦豊

    ○秦豊君 言いなさいよ。
  154. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 八月の末でございます。
  155. 秦豊

    ○秦豊君 それは金東雲の指紋を割り出す前ですか、後ですか。
  156. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 指紋の方は後です。
  157. 秦豊

    ○秦豊君 丸山、戸田両氏に対して、あなたは特に、公安部長当時、厳重な口どめをした事実があるか。
  158. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 口どめをしたというような事実はないと思いますが、御本人から、この御本人がそういう話を警察にしておる点については口外をしないようにと頼まれております。
  159. 秦豊

    ○秦豊君 それはあべこべだ。あなた方が要請したんだ。違いますか。
  160. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 捜査を警察はやっておりますから、警察が捜査をやっておることに御協力をいただくということをお願いしておりますが、それ以外のことはございません。
  161. 秦豊

    ○秦豊君 丸山氏に会おうと思ったら、警察と相談をしてからと言って逃げた。いまだにあなた方の箝口令は生きている。違うか。
  162. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 先ほども申しました本人が警察に対していろいろ言ったということについて、口外をしないようにと御本人からの依頼でもありますし、御本人もそういう立場でやっておられるのだと思いますし、また、捜査に協力をするということでお話をいただいたという、そうしたいろいろの立場の総合した結果としてそういう態度をとっておられるのだと思います。
  163. 秦豊

    ○秦豊君 三井さんね、あのころ警視庁から流れたのは、ホモ説等々であった。あるいは金大中自作自演説であった。ところが、あなた方は、事件直後、相当早い時期に金東雲を特定できる指紋、目撃者を持っていたということを認めますね。
  164. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 金東雲を最終的に特定できましたのは、九月五日に出頭を求める前日でございます。
  165. 秦豊

    ○秦豊君 しかし、パンチとしては目撃者の写真特定が大きかったですね、それも。
  166. 三井脩

    政府委員(三井脩君) いろいろの状況を総合してだんだんと固まっていって、最終的に指紋で確認できたということでございます。
  167. 秦豊

    ○秦豊君 まあ言葉を選ぶのも大変だと思うが、あなた方は政治決着に阻まれたと言っている。そういうせりふはもう通用しませんね。
  168. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 御質問の趣旨がちょっとわかりかねますが、捜査を鋭意やっておりますが、事件自体の性質が大変むずかしいということが今日に捜査が延引しておる最大の理由であると考えております。
  169. 秦豊

    ○秦豊君 お取り計らいを願いたいが、ゼリア新薬工業の角能正一営業部長、目撃者丸山三千男氏、戸田譲一氏、三人をしかるべき委員会に参考人としてお呼びいただきたいが、取り計らいをいただけますか。
  170. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 他の委員会のことは私の権限にございませんが、予算委員会に関しましては……
  171. 秦豊

    ○秦豊君 予算委員会です。
  172. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 理事会において重々協議をいたします。
  173. 秦豊

    ○秦豊君 事件の直後から現在まで、梁一東氏についてはどれくらい取り調べを行いましたか、あるいは聞き取りを。
  174. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 数回事情聴取をいたしました。
  175. 秦豊

    ○秦豊君 数回の結果、あなた方の心証は、KCIAとのつながりはどうなんですか。
  176. 三井脩

    政府委員(三井脩君) KCIAとのつながりのみならず、事件との関連というものも出てきておりません。
  177. 秦豊

    ○秦豊君 じゃ、クロでも灰色でもなく、シロと断言できますか。
  178. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 事件の関係からいけばクロとシロしかないと思いますので、そういう意味ではシロでございます。
  179. 秦豊

    ○秦豊君 総理、あなたは李厚洛氏を御存じですか。
  180. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 承知しております。
  181. 秦豊

    ○秦豊君 東京にいたころその他を含めて碁の友達ですか。
  182. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 駐日大使をしておりましたので特別よく承知しております。碁の方は強い人でございますが、私は打ったことはございません。
  183. 秦豊

    ○秦豊君 打ったところを見ているという目撃者がいるんですけれども、まあまあ……。  一九七一年三月九日、帝国ホテルで、ロッテの重光さん、イニシアルT・Kという現在三十歳の女性、こういう私的なパーティーに行かれたことがありますか。大分古い話ですがね。
  184. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) どうも記憶がありません。
  185. 秦豊

    ○秦豊君 多分そうおっしゃるでしょう。大蔵大臣時代の日程表を提出していただきたい、その前後の。できますか。
  186. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 日程表というものは私は持っておりませんです。
  187. 秦豊

    ○秦豊君 あなたが持たなくても本省にあるからお出しいただけますか。参照したい。
  188. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) それは大蔵大臣……。
  189. 秦豊

    ○秦豊君 大蔵大臣、恐縮ですか。
  190. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) あるかないかわかりませんが、私は不適当だと思います。
  191. 秦豊

    ○秦豊君 総理、金在権氏は御存じですか。
  192. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) この方も公使をしておりましたので、そういうことで知っております。
  193. 秦豊

    ○秦豊君 ロッテの重光さんとはどの程度ですか。
  194. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは碁の方ですね。重光さんとは碁を何回か打ったことがありますが、そういうことでよく承知しております。最近はつき合いがありませんけれども、よく承知して碁などを打ちました。
  195. 秦豊

    ○秦豊君 あなたも実カナンバーワンだから当然いいでしょう。  イニシアルT・K、この人の名誉のために言いませんけれども、李厚洛氏の庇護を受けていた三年間に日本円で一億円を受けたと言っています。折から浦項です。地下鉄です。あれが日韓癒着の黒い金でなければ幸いなんですがね。こういう問題は関連委員会でやっていきたいと思うが、そのT・Kというふうな女性については全く覚えがないとこの席では断言できますか。
  196. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 全然覚えはございません。
  197. 秦豊

    ○秦豊君 まあだんだん思い出すでしょう。  外務大臣、ソウル地下鉄二号線の調査はもう終わったんですか。
  198. 武藤利昭

    政府委員(武藤利昭君) 二号線の調査につきましては、昨年行いまして、その報告書を送付した段階におきましてその調査は完了いたしております。
  199. 秦豊

    ○秦豊君 国会にも報告書を出してくれますか。
  200. 武藤利昭

    政府委員(武藤利昭君) 御要求があれば提出いたします。
  201. 秦豊

    ○秦豊君 委員長、要求しますから計らってください。
  202. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 理事会に諮って協議をいたします。
  203. 秦豊

    ○秦豊君 警察庁は、日本名平山庄太郎、韓国名黄孔煥という人物を御存じですか。神戸市です。
  204. 鈴木貞敏

    政府委員(鈴木貞敏君) そういう人が兵庫県に住んでおるということは聞いております。
  205. 秦豊

    ○秦豊君 東の町井、西の平山というふうな枢要な人であることを含めてですか。
  206. 鈴木貞敏

    政府委員(鈴木貞敏君) そういう名前の人が兵庫県に住んでおるということでございまして、それ以上のいろいろの問題については私はいまの段階では承知いたしておりません。
  207. 秦豊

    ○秦豊君 いま脱税で係争中だから知っていると思ったんだが、朴大統領とも近く、最高勲章を受けている事実は、じゃ御存じないわけですか。
  208. 鈴木貞敏

    政府委員(鈴木貞敏君) いま仰せのような本人のいろいろにまつわるそういう問題は、私はいまの段階では承知いたしておりません。
  209. 秦豊

    ○秦豊君 この人が神戸の三ノ宮駅前にビルを持っている。二十六億の負債で倒産をした。そのうち十五億は大林組が絡んでいるが、大林組はその返済を求めない。むしろソウル地下鉄二号線への工作を依頼したという事実があるんですけれども、それは警察庁どうなんですか。
  210. 鈴木貞敏

    政府委員(鈴木貞敏君) いまの段階で、私としましては、そういう人物が兵庫県に居住しておるという以上のことは存じておりません。
  211. 秦豊

    ○秦豊君 すでに大林の社長、自民党の某代議士等々もこの工作の周辺に浮かび上がっている。これは次第に明らかにしていきたいと思う。  総理、日韓癒着の構造は生きているんですよ。二号線についての援助については慎重の上にも慎重であるべきだと思うが、総理と外相の見解を聞きたい。
  212. 園田直

    国務大臣(園田直君) 経済協力については、国民の税金を使うわけでありますから、慎重であるのは当然であります。特にいろいろ問題があることについては、果たしてこれが韓国の安定に役立つか、開発に役立つか、こういうことを慎重にやりたいと考えております。
  213. 秦豊

    ○秦豊君 総理はいかがですか。
  214. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 経済協力につきましては、ただいま外務大臣から申し上げましたような方針で厳重にやってまいります。
  215. 秦豊

    ○秦豊君 どなたか、政府の警察庁を含めて、S・N・アイゼンベルグというドイツ系ユダヤ人は、名前は知っていますか。
  216. 鈴木貞敏

    政府委員(鈴木貞敏君) 報道でそういう名前を承知した程度でございます。
  217. 秦豊

    ○秦豊君 ソウル地下鉄では、日本のライバル欧州連合の秘密代理人なんだが、それは御存じなかったでしょうか。
  218. 鈴木貞敏

    政府委員(鈴木貞敏君) 報道で名前を知っただけでございまして、それ以上の具体的なことは何ら私としては承知いたしておりません。
  219. 秦豊

    ○秦豊君 去年の九月、アメリカ議会フレーザー委員会のベッチャー主任調査官が来日をした。七十二時間しかいないのに二十四時間割いて香港に行った。アイゼンベルグ氏の調査なんだけれども、その事実はつかんでいらっしゃいますか。
  220. 鈴木貞敏

    政府委員(鈴木貞敏君) そういう具体的なあれは私としては全然承知いたしておりません。
  221. 秦豊

    ○秦豊君 だんだん興味と関心を持つようになるでしょう。  大蔵大臣、いまいわゆる逆ざやに陥っている都市銀行はどれぐらいあるんですか。
  222. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) 預貸金利ざやでございますが、五十二年上期におきまして都市銀行十三行中五行が逆ざやになっております。それから今期、この三月に終わりました期では、大半が預貸金利ざやが逆ざやになるのではないかと考えております。
  223. 秦豊

    ○秦豊君 じゃ、決算承認銀行はどれくらいでしょうか。
  224. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) 決算承認制度は、経理内容、経営内容等に問題のある銀行につきましてその資産内容の健全化を図るためにそのような制度をとっております。この事柄の明細は金融機関の信用にかかわる問題でございますので正確に申し上げることはお許し願いたいと思いますが、大蔵省所管の六百二十五の金融機関のうち、二十から三十の間か決算承認銀行の数でございます。
  225. 秦豊

    ○秦豊君 特別監査銀行の指定というのはふえるんですか。
  226. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) 決算承認銀行に至らないものを特別監視制度の対象にしておりますが、この数字は最近若干ふえております。
  227. 秦豊

    ○秦豊君 都市銀行十三の不良債権ですね、これはどれぐらいあるんでしょうか。
  228. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) 不良債権の額は、金融機関の信用秩序にかかわる問題でございますので、申し上げることはお許し願いたいと思います。
  229. 秦豊

    ○秦豊君 これはやっぱり一種の金融危機的な状況ととらえても間違いないですか、全体として申しまして。
  230. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) 現在のような経済情勢を背景にしまして資産内容か漸次悪化していることは確かでございますけれども、一応内部留保、含み益その他もございまして、そういう面で経営にかかわるようなものではございません。
  231. 秦豊

    ○秦豊君 あなたの最近の発言といわれている金融機関の統一経理基準の見直しというのは、具体的にはどういうことをやるのですか。どことどこを……。
  232. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) 最近の経済情勢を踏まえまして、貸倒引当金の引き当ての内容とか、あるいはこれから国債の保有か非常に多くなりますのでその評価損が出た場合の処理とか、そのようなものについていま検討しております。
  233. 秦豊

    ○秦豊君 もう具体的な案があるんなら、ここで明らかにしていただけませんか。
  234. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) まだ検討中でございます。成案はまだ得ておりません。
  235. 秦豊

    ○秦豊君 全く。
  236. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) はい。
  237. 秦豊

    ○秦豊君 あらゆる条件から見て、金融機関の再編合理化、合併、こういう蓋然性はかつてなく強いと思うんだが、あなたの私見を伺っておきたい。
  238. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) 御指摘のとおり、金融機関の経営環境は非常に悪化しておりまして、経理内容についても厳しさが増しておりますので、経営の合理化が必要になるわけでございます。また、金融機関の公共性の見地から、国民経済の要望するところに従って資金配分等を行っているかどうかのその見地からの見直しも必要になるわけでございまして、これから金融機関は従来以上に経営努力が必要になるわけでございます。その間においては当然経営格差も出てくるわけでございますが、経営格差の劣ったものを抱いていくようないわゆる護送船団行政的なものは許されませんので、これからはさらに経営努力を進めてもらうとともに、個々に対応できない場合には、合併、提携という形で処理することもあり得ると考えております。
  239. 秦豊

    ○秦豊君 かつてない大型縦割り、横割り含めて起こった場合に、あなたは好感されますか。
  240. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) 合併の問題は、合併する金融機関の従業員あるいは取引先にとって非常に重要な問題でございますから、個別のケースか出てまいりました場合に判断をいたしたいと思いますか、その合併が金融の効率化であるとか、あるいは中小企業金融、地域金融にプラスになるものであれば、結構なことではないかと考えております。
  241. 秦豊

    ○秦豊君 宮澤長官、円高差益還元のガイドラインをぜひ明らかにしていただきたいんだか、どんなものでしょうか。
  242. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 西ドイツといろいろ事情が違いますことはすでに申し上げたとおりでございますが、二月中旬以降またこういうことになってまいりましたので、私どもとしては、この段階で改めて円高の差益還元についてどういう場合に可能であるかというようなことをもう少し詰めていきたいと思っております。  また、国民各位に対しましても、従来いたしましたような追跡調査を再度行いまして、いわゆる消費者に対するPRと申しますか、広報運動もいたしてまいりたいと思っています。
  243. 秦豊

    ○秦豊君 答弁が客観的過ぎます。日銀総裁の独壇場にゆだねてはいけない。もっと突っ込んだ答弁を、ガイドラインをいつごろ示せる、どんな業種、どんな品目、言ってくださいよ。
  244. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 秦君、時間が参りました。
  245. 秦豊

    ○秦豊君 はい。
  246. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) ただいま申し上げましたように、可能な場合にはできるだけ円高を消費者に還元をするということを基本にいたしまして、そういう分野をさらに突き進めて調べてまいりたいと考えておるところであります。
  247. 秦豊

    ○秦豊君 委員長、あと一問よろしいでしょうか。
  248. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 簡単に願います。
  249. 秦豊

    ○秦豊君 はい、わかりました。  防衛庁、F15のライセンス生産をめぐってペンタゴンから重大な回答が来たはずだが、その内容を明らかにしてもらいたい。詰めて言いますと、F15の国産化率はそれによってどれぐらい下がるのか、工数が減り導入の妙味がなくなる、産業界の失望等々を含めて答弁をしてもらいたい。それから、なぜアメリカが重要な部分のリリース——燃焼部分、いわゆるホットセクションあるいは電子式燃料管制装置、これはあなた方の大好きなF15の心臓部分です、先端技術です。なぜそのリリースを拒否してきたのか、その理由と、それから今後交渉によってそのネックは打開されるのか打開されそうもないのか、あきらめるのか、どうするのか。  それからあなたが、最後に聞くが、この前の予算委員会の分科会でFMSの覚書交換は五月ごろとたしか答弁されたように間淵さん思うんですが、こういうふうな重大な問題が起こった以上、そんなことがすんなりと覚書交換というふうなことになるのかならないのかを含めて伺いたいと思います。
  250. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) ライセンス生産に関しましては、基本的にいままでの事務的な折衝によりまして合意しておるわけでございまして、先生御指摘になったようなエンジンのコア部分の一部とか慣性航法装置の一部といったようなものに関しましてはライセンス生産はいまの段階では認められないということはもう前々からわかっておるわけでございまして……
  251. 秦豊

    ○秦豊君 最近でしょう。
  252. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) 前々からわかっているわけでございまして、こういうものにつきましても、私どもの運用上、その補修とか修理といったものに関しましてはその技術というものがりリースされておるわけでございまして、また現段階で生産のリリースが許されないというものに関しましてはフロム・タイム・ツー・タイムに、時のたつに従っていつでも交渉しておれをリリースする方向に持っていくと、そういうことになっている次第でございます。
  253. 秦豊

    ○秦豊君 仕方ない。終わります。(拍手)
  254. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 以上で秦君の締めくくり総括質疑は終了いたしました。  これにて質疑通告者の発言はすべて終了いたしました。総予算三案に対する質疑は終局したものと認めます。     —————————————
  255. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) それでは、これより総予算三案に対する討論に入ります。  討論の通告がございますので、順次これを許します。なお、発言者は賛否を明らかにしてお述べ願いたいと存じます。竹田四郎君。
  256. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 私は、日本社会党を代表して、昭和五十三年度予算三案に対して反対の討論を行います。  第一は、国際経済上の観点からであります。  政府答弁を通じて明らかになったように、予算編成の前提たる五十三年度経済見通しの算出基礎の基準価格は一ドル二百四十五円とのことであります。それか今日二百二十円をさえ割っている異常な円高になってしまっており、本予算の土台は全く崩壊してしまっております。これは七%の成長達成が困難になるだけでなく、経常収支六十億ドルも実現できず、景気回復の足を引っ張り、国民の不安を一層強めております。私どもは特に円高対策を最重点として政府の対策をただしてきたわけでありますが、政府は、明確、有効な対策を示すことなく、見通しも確固たる腹構えも語らず放置していることは無責任きわまるものであり、強く難詰せざるを得ません。総理の今日の態度で内外経済を運営していく限り、国際間に保護主義を助長し、日本への非難か集中し、国際経済の中で孤立を強め、日本経済の困難を深めるものと言わざるを得ません。  第二は、総理の国内経済運営に対する姿勢であります。  総理は、円高のあらしについてこれを読めなかったとみずからの不明を白状されました。財政政策についても脱兎のごとくその財政信条を放棄し、ひたすら大企業優先、産業偏重の景気回復を企図していることであります。いまや、内外情勢から新しい時代の流れに対応する経済社会のあり方を求めるべきでありますが、総理も、本予算も、数量的景気回復を求めることになっております。新しい発想の転換を図ることを私どもは強く求めてきたのでありますが、総理か口で何とか言っておりましても、現実は高度成長時代への復帰、人間性無視、各階層の格差拡大へ突き進むだけであろうと思います。総理の経済理念は明治時代の発想にとどまり、経済の福田も色あせたばかりでなく、全く運営を誤った予算と言わざるを得ません。  第三は、政府及び総理政治姿勢であります。  総理は、協調と連帯を本年も引き続き貫くことを施政方針で強調されました。事前に野党各党首と会談をされ、野党党首も明確に景気回復、雇用、福祉、減税、外交等について政策転換を要求しました。一兆円減税、福祉年金のかさ上げ、生活関連公共事業などについて本予算は考慮を払っていないのであります。逆に、国民に対し増税攻勢をかけてきております。こうした態度は、内需拡大、不況克服、経常収支の黒字減らしにならないだけでなく、失業、中小企業倒産、中高年齢層やハンディキャップを持った人々の不安をかき立てるだけであります。民主主義を無視し、官僚独善、大企業本位、福祉切り捨てと言わざるを得ません。  第四は、中長期の展望を失った予算と言うべきでありましょう。  高度成長から安定成長軌道へ乗り移ろうとして模索を続けている日本経済にとっていまほどその方向づけ、その中長期的展望が求められているときはありません。このことは世の識者のみならず、現に企業を背負っている経営陣の一致した要求であります。これなくしては内需を駆り立てる設備投資も雇用の創出も在庫の積み増しも動き出しません。私たち社会党は、昨年の暮れ、党首会談において政府に中長期の財政計画の提示を求めたのもこの意味であります。しかるに、政府側から示されたものは単なる試算数字の羅列であり、政策的意図を明らかにした政治的意味内容を持ったものではありませんでした。かかる子供だましのような官僚的試算を国会に提出するとは、財政計画、経済計画の持つ意味合いについてことさらに目をつぶるものとしか思えません。  現在、政府が国会に提出している国債の償還計画なるものが果たして財政法第四条の要求している精神にマッチしているということは言い得ません。政府財政再建を国民とともに考えるというのであれば、まずこのあたりから猛省をすべきであると考えます。  第五は、政策目標、内容に関してであります。  経済成長率七%、経常収支六十億ドルは本予算の至上命題であります。しかし、この数値は信憑性かなく、政府政治的願望が先行した目標数値にすぎません。民間の九つの研究機関がこぞって実現不能と断定していることもゆえなしとしません。経常収支目標の達成いかんがあすの円相場にすぐはね返ってくる国際通貨状況から、いいかげんな目標では済まされないことは、政府自身五十二年度の実績から見て身にしみているはずであります。  さらに問題は、七%達成のための政策手段が相も変わらず公共投資一辺倒で、昨年来野党各党か叫び続けている減税による消費喚起策に一顧だに与えていないことは断じて承服いたしません。公共投資の景気浮揚に及ぼすいわゆる乗数効果は、高度成長時代に比べて少なくなっているというモデル数値が検出されているにもかかわらず、減税を採用しないことは、福田総理の二宮尊徳的勤倹貯蓄至上の明治三十八歳の前時代的経済観のなせるわざとしか考えられません。政府は重要な目的として雇用の拡大を掲げていますが、旧態依然たる後追いの労働政策に終始し、前向きの雇用創出計画を政府みずからが実施しようとせず、もっぱら民間の経済活動に依拠しようとする姿勢は、今日の厳しい雇用情勢、勤労者の置かれた立場理解する政府の態度とはとても申せません。  その他、国民福祉の軽視、地方自治に逆行した財政対策、憲法空洞化をますます助長する防衛政策等について触れなければならない点がたくさんありますが、最後に、政治と経済を混迷に陥れ、かつまた国際的信用をさえ失墜した福田首相は速やかに挂冠し、民主的にして改革的、大きく未来を展望し、決断力のある者に政権を素直に引き渡すことをお勧めいたしまして、私の反対討論を終わります。(拍手)
  257. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 次に、中村太郎君。
  258. 中村太郎

    ○中村太郎君 私は、自由民主党自由国民会議を代表して、ただいま議題となりました昭和五十三年度予算三案に賛成の討論を行うものであります。  まず、経済運営について申し上げます。  わが国経済は石油ショックをみごとに乗り越え、緩やかな拡大基調を続けておりますが、最近の雇用、企業収益等の諸指標は必ずしも楽観を許しません。また、景気回復のずれの影響もあって、国際収支の大幅な黒字が続いており、海外からの黒字幅縮小の要請も強い上、昨年九月末からの急激な円高により輸出関連産業は相当きつい打撃を受けている状況であります。  わが国経済を取り巻く厳しい内外情勢に対処するため、政府は第一に、五十三年度実質七%程度の成長を目標に定め、財政が景気に主導的な役割りを果たすべく十五カ月予算を構想するとともに、従来の公債依存率三〇%の枠組みにとらわれない積極かつ臨時異例の財政運用に踏み切りました。これにより景気の回復、雇用の拡大を確保し、経済の先行き不安を払拭することを目指しております。  第二に、内需の拡大による輸入促進を図ることを基本に各般の対外経済対策を強力に推し進めることにより、経常収支の黒字幅の圧縮と自由貿易体制の維持強化を目指しております。これにより対外的な摩擦現象の解消に努め、ひいてはわが国の経済安定を実現させるものであります。  次に、予算の内容に触れつつ主な賛成理由を申し上げます。  第一は、この予算案が景気浮揚にきわめて有効である点であります。  すなわち、一般公共事業費を前年度当初予算に対し三四・五%も伸ばしています。この伸び率は過去に例を見ない大幅なものであります。その内容を見ると、下水道事業五三・一%、環境衛生施設整備事業三七・六%、住宅対策三四・一%等の伸び率で、一般会計予算の伸び率二〇・三%はもちろん、公共事業費全体の伸び率をも大きく上回り、国民の要望である生活関連公共事業重点の声にこたえる予算に相なっております。  さらに、財政投融資計画も国民生活向け投融資に全体の七割を配分し、また、景気浮揚に資するため財投全体が一八・七%の伸びの中で、景気に有効な事業部門を二四・六%と飛躍的に伸ばす工夫もされております。  世上、五十三年度予算を道路偏重とか産業優先とか言う人かいますが、全く事実を誤認しています。公共事業関係費の中で、道路整備費の比率は五年前の三七%から三〇%に低下し、逆に生活関連の公共施設費のウエートは年々着実に高まっております。さらに、道路整備費も生活道路である市町村道に重点が移っていることも見逃すことはできません。なお、需要創出効果について、公共投資と減税のいずれがまさるか論争されましたが、需要創出の速効性において公共投資がすぐれておりますことは、産業連関モデル、計量モデル等でも明白であり、政府の選択は賢明であると言わなければなりません。  第二の賛成理由は、この予算が国民生活の安定を十分配慮している点であります。  国民生活の安定には雇用の安定が不可欠ですが、本予算には、景気回復等による雇用機会の拡大とあわせて、雇用安定資金制度の積極的な活用による雇用調整事業の充実強化、職業転換のための援護措置の改善などが盛り込まれております。  また、国民生活を支える大きな柱である社会保障関係費の総額は、公共事業関係費を一兆三千三百九億円も上回る六兆七千八百十億円、その伸び率は五十二年度のそれを上回る一九・一%となっております。構成比を見ても社会保障関係費は一九・八%で、公共事業費の一五・九%を三・九%上回っており、福祉を重視する予算であることは疑う余地がありません。  施策の中身を見ましても、生活保護費、老齢福祉年金を初めとする福祉関係の給付費等の改善率は、昨今の消費者物価の上昇率四ないし五%の二倍以上の一〇%から一一%になっております。その他、寝たきり老人、在宅身障者、難病患者等々にもきめ細かい対策が打ち出されています。極端な財源難の中で、国民生活安定の諸施策を優先させた予算編成は、福田総理の提唱される協調と連帯の政治が花開いたものと言わなければなりません。  第三の賛成理由は、長期的視野に立つ措置が積極的にとられている点であります。  その一つは、石油危機以来、世界的に大問題となっているエネルギー問題について、予算を前年度の二・二倍計上し、石油備蓄、原子力平和利用、省エネルギーの研究開発に積極的に取り組むことにしていることであります。  その二は、水田利用再編対策を五十三年度から向こう十カ年の計画でスタートさせ、二千百十億円の予算で供給過剰傾向の米作から生産振興を必要とする他作物への転換を積極的に進め、農産物の総合需給率の向上を目標に、かつての農地改革にも匹敵し得る大事業により、わが国農業を再編成しバランスのとれた農業へ向かおうとしている点であります。  その三は、わが国が直面しておる安定成長経済への移行、国際協調の経済運営に伴って生ずる構造不況業種に付し積極的にスクラップ・アンド・ビルド政策を推進し、かつての重化学工業化促進から来るべき知識集約型産業社会への橋渡しの役割りを果たそうとしている点であります。エネルギー、農業、産業構造の転換、そのいずれをとってもわが国の将来の運命を決定する重大な問題でありますが、遠い未来をにらみ着々と手を打つところに国の基本を重視するわが党の姿勢か示されているわけで、私が深く賛意を持つゆえんであります。政権を担当し得る唯一の政党として、国民の信頼を受けているのもそれゆえにこそでありまして、一時的な人気取りをねらうのとは基本において異なるのでございます。  終わりに、一言申し上げます。  日本経済の将来について、極端な悲観論に陥り、先行き不安、先行き不透明といった言葉が流行しています。しかし、日本経済は本当に先行き不安でございましょうか。私どもは決してそうではないと確信をしております。石油危機のときも、変動為替相場制移行のときも、これで日本経済はおしまいだというような危機を売り物にする言動がありました。確かにこれらの出来事は重大な事件であり、その影響により一時的にはマイナス成長を余儀なくされました。しかし、国民の英知と勤勉及びわが自民党政府の適切な対応策により、みごとに危機を乗り切ったではありませんか。  現段階の経済に問題がないとは申せません。しかし、五十一年度六%、五十二年度五・三%の成長を達成し、五十三年度に七%成長を実現するならば、五十年代前期経済計画が目指す安定成長六%ラインがおおむね定着することになります。さらに、経済のバランス上重要な物価指標も目標以上に実現されつつあり、国際収支も石油ショック時の百億ドルを超す赤字から今日は年間百四十億ドルの黒字へ転換し、黒字の調整に苦労しているのであります。こうした実にすばらしい日本経済の復元力は、先に申したごとく国民の英知と勤勉が基本でありますが、わが自民党政府のすぐれた経済運営政策に負うところ大であると言わなければなりません。  五十三年度の経済成長につきましても、民間研究機関や野党の議論は目標達成を困難視するものが多いように思います。しかし、最近の経済指標は在庫調整を初め、幾つかの先行指標に変化が感じられます。私は今日の時点では内外経済に対処できる万全の予算であると確信をしておりますが、円高など動揺の激しい国際経済面からの影響によって予想外の変化を生じた場合は、総理の言明どおり、時を移さず積極的に大胆な政策を果敢にとられることを要望申し上げます。そうした弾力的な施策がある限り、五十三年度経済も必ずやもろもろの課題を克服していく新しい時代の基礎固めができると確信してやみません。  以上で私の賛成討論を終わります。(拍手)
  259. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 次に、多田省吾君。
  260. 多田省吾

    ○多田省吾君 私は、公明党を代表して、政府提出の昭和五十三年度予算三案に対し反対の討論を行います。  反対理由の第一は、政府予算案は景気回復のための臨時異例の予算と政府は自負しおりますか、その内容は国債依存率を実質三七・八%にも高め、財政規模を膨張させただけで、景気回復や国民福祉にはほど遠い予算と言わざるを得ないからであります。  景気回復は、国民総支出の五七%を占める個人消費を喚起しないでは七%の経済成長率は達成できません。もちろん生活関連の公共投資拡大はわれわれの主張するところでありますが、来年度公共投資は従来と同じ産業主導の大型プロジェクトが主体であり、しかもこうした産業基盤整備の公共投資は地方財政の窮迫や土地問題等から消化が懸念されております。いまや、こうした産業主導の公共事業の波及効果が近年著しく低下していることは衆目の一致するところであります。  一方、政府予算案は、個人消費喚起のための所得減税も回避し、われわれの減税要求には所得減税わずか三千億円の回答であり、これでは個人消費の実質伸び率五・九%の確保はきわめて困難であります。  反対する第二の理由は、政府予算案は国民生活への配慮が著しく欠如していることであります。  国民生活の防衛と景気回復実現から要求した減税に対して、政府は三千億円の減税を約束していますが、たとえそれか実施されたとしても、多くの勤労者は預貯金金利引き下げと相まって実質増税を押しつけられることになるのであります。したがって、教育減税、住宅ローン減税等を含め、最低でも野党案の所得減税七千六百十億円程度の減税をするのは当然の措置であります。また、酒税の引き上げ、公共料金値上げが物価上昇の要因となり、国民生活を脅かすことは必至であり、公共料金の大幅引き上げには強く反対いたします。  さらに、社会保障関係費の伸び率は一般会計の伸び率を下回る一九・一%にとどまり、この不況のときにもかかわらず、社会的に弱い立場の人たちの生活を守ることを軽視したものであり、政府予算案は福祉社会に逆行するものであります。  反対理由の第三は、緊急課題である雇用の安定及び中小企業対策に対して全くずさんであることであります。  実質経済成長率や鉱工業生産指数が伸びながらも逆に失業者が増大している現実は、いかに雇用対策がおくれているかの証明であり、雇用対策の強化を強く望むものであります。また、倒産の増大、大型化の中で、中小企業関連予算は一般会計の伸び率を下回るのみならず、倒産防止の細かな具体策に欠けているのであります。  反対理由の第四は、地方財政対策がきわめて不十分であることであります。  地方財政が三兆五百億円もの財源不足を抱えているにもかかわらず、交付税率の引き上げや制度改革を行わず、単に二兆九千億円を地方交付特別会計の借金と地方債の増発という安易な対策で逃れようとする政府の姿勢は、地方交付税法の趣旨をねじ曲げ、地方財政の破綻を促進するものであり、認めるわけにはいきません。  反対理由の第五は、円高に対する無策であります。  去る三月十六日からの公定歩合〇・七五%の引き下げを初め、諸種の対策にもかかわらず、円の動揺はおさまらず、ついに二百二十円を切る円高となっております。これは政府の対策が後手後手に回った結果、景気回復がおくれ、経常収支の黒字幅を広げて円高を誘ったというのが実情であります。政府予算案は円高に対し何ら景気振興の強化策をとらず、このままでは五十三年度経常収支六十億ドルヘの黒字縮小はとうてい無理であり、中小企業等への円高圧力はますます強まるものと言わざるを得ません。  最後に、大型減税、福祉拡充を生活関連公共事業と組み合わせて、国内需要の回復と国民生活の安定を図ることが急務とされているにもかかわらず、高度経済成長型の大企業優先の経済政策を踏襲する政府予算案に反対を表明し、またさらに、従来から主張してまいりましたごとく、ロッキード事件におけるいわゆる灰色高官の証人喚問を強く要求いたしまして、討論を終わります。(拍手)
  261. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 次に、内藤功君。
  262. 内藤功

    内藤功君 私は、日本共産党を代表して、昭和五十三年度予算三案に反対の討論を行うものであります。  本予算案に反対する第一の理由は、この予算案かアメリカの要求と日本の財界、大企業の要求に従って七%経済成長を至上命令とし、このために大型プロジェクト中心の公共投資を三四・五%も拡大させているという点であります。  高速自動車道路は、その工事の八・五%を中小企業に発注しているにすぎないのであります。逆に、新幹線工事の中小企業発注率は七%、本四架橋建設に至ってはわずかに三・五%にすぎません。大型プロジェクト優先のやり方では、中小企業は救済できないことを示しております。大型プロジェクトなど産業基盤整備型公共事業に比べて、住宅、学校など生活密着型公共事業は、生産誘発効果においてはほとんど同じであり、しかも雇用誘発効果の点ではすぐれております。また、国民の消費支出の増大の方か公共事業よりも一・四倍も雇用効果が大きいことを政府統計自身が示しているではありませんか。この方向に投資の流れを思い切って大きく変えるべきであります。  第二の理由は、社会福祉など国民生活の圧迫を一層深刻にしていることであります。  住宅困窮世帯が一千万にも上っているにもかかわらず、公営・公団住宅の建設を前年度より三万戸も削減し、生活保護基準の伸びはわずか一一%、老人の切実な願いである老齢福祉年金は月額わずか千五百円の引き上げにとどめております。その一方で、大学、高校の授業料の五〇%値上げ、国鉄運賃の一四%の値上げ、減税なしの所得税実質増税、酒税の引き上げ、石油税の新設など、国民に高負担と重税を強いております。農民に対しては減反の押しつけと、オレンジ、果汁、牛肉などの輸入枠の拡大によって新たな打撃を加えております。地方財政の赤字に至っては、地方交付税率の引き上げではなく、一層重い借金で賄わせるなど、地方交付税法違反の疑いまで犯しているのであります。  いずれの点より見ても、国民生活圧迫の予算であります。  第三の理由は、本予算案が歳入の三七・八%もの国債の大増発で賄いながら、不公平税制は依然として温存しているところにあります。  悪名高い租税特別措置の改廃は、初年度わずか十億円の増収の程度にとどめております。しかるに、他方土地税制は緩和して、かつて土地を買い占め地価を暴騰させた大手不動産会社などを宅地供給の名のもとに救済しようとさえしております。このような政策の結果、公債発行残高は昭和五十三年度末には四十三兆円にも及びます。このような結果は勤労国民に大増税の苦しみをもたらすことになりましょう。  第四の理由は、財政制度の改悪を進める点であります。  歳出を二分し、大型公共事業などを中心とする投資的経費と社会保障費文教費などを中心とする経常経費に分け、前者を拡大し後者を圧縮する方向制度として確立したこと。さらには国税収納期間を延長して、決算調整資金制度とともに一層の放漫財政への道を開くなど、財政民主主義を踏みにじる財政制度の改悪を一層推し進めるものと言わなければなりません。  以上、本予算案に反対する理由を明らかにし、討論を終わるものであります。(拍手)
  263. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 最後に、井上計君。
  264. 井上計

    ○井上計君 私は、民社党を代表して、ただいま議題となっております昭和五十三年度予算三案に対し、以下の理由により反対の意向を表明いたします。  申すまでもなく、五十三年度予算は、日本経済が直面している危機的状況から速やかに脱却し安定成長に向かうための強力な呼び水となることが国民の間から強く求められているのであります。過去四年有半にわたる長期的な大不況に対し、政府は真剣にこのような状況を直視するならば、いまこそ発想の大転換を行うべきであり、政策的大英断を実行しなければならないのであります。  ところが本予算案は、その規模においては一応拡大されておりますものの、またわが党が昨年夏以来しばしば主張してきた公債発行率三〇%にこだわるべきではないという点は受け入れられておりますが、しかし、その具体的内容においては、依然として高度成長時代の発想と同じく、公共投資一辺倒の時代おくれの景気対策と言わざるを得ないのであります。  したがって、わが党は、きわめて現実的なかつ建設的な景気回復のための提言をしばしば行い、いまこそ与野党が相協力して国民に期待される予算案の修正を行い、成立を図ることがこの難局の唯一の打開策であることを強く主張してきたのであります。しかしながら、わが党の提案は政府与党の入れるところとならず、今日に至ったことはまことに残念のきわみであります。  私が本予算案に反対する理由の第一はこれであります。  次の反対の理由は、本予算案からは経済の中期展望を望むことはできません。  現在国民の願いは、将来への見通しいかんということであります。政府が目標とし示している五十三年度実質七%の経済成長率は、すでに達成不可能との不安が各方面で叫ばれております。政治に信頼が置けないとき経済への先行き不安は一層増大し、民間の景気回復への活力が生じないのは当然であります。  申すまでもなく、安定的な経済成長は、政府支出、個人消費支出、民間投資のバランスか保たれてこそ初めて成り立つものでありますが、現在このような状態にあっては、勤労者は預貯金が目減りする不利を承知しながらも貯蓄せざるを得ないという心境となり、消費がさらに減退することは必然でありましょう。一方、構造不況倒産円高倒産の激増から、企業間における信用不安の増大は民間投資の減少という、すべてが反対の方向に向かいつつあります。目標とする七%の成長率を達成するためには、いまこそ大幅な減税の実施と年金等の増額によって、積極的な内需の拡大政策をとることが緊急の課題であります。ところが、具体的に本予算案には、わが党が主張してきた減税、年金、住宅、雇用等、何一つとして取り入れられてはおりません。さらに政治への信頼を取り戻すために行政改革の成果を五十三年度予算案に盛り込むという公約も、これまた実行されていないではありませんか。  政府は、財源がないとの理由から、わずか三千億円の所得減税と四百億円の一時金支給の予約という方法によって、原案のまま国会を乗り切ろうとする誤ったこの政治姿勢も、全く反省がなされていないのであります。  以上が反対する第二の理由であります。  福田内閣は、責任野党であるわが党の主張を素直に受けとめる政治姿勢を確立し、国民の不安を速やかに解消するとともに、七%の成長率が確実に達成できるという自信を堂々と示すためにも、補正予算の早期提出を行うことを提言して、私の討論を終わります。(拍手)
  265. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 以上で討論通告者の発言はすべて終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  昭和五十三年度一般会計予算昭和五十三年度特別会計予算昭和五十三年度政府関係機関予算、以上三案を一括して問題に供します。三案に賛成の方の起立を願います。   〔賛成者起立〕
  266. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 多数と認めます。よって、三案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。(拍手)  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  267. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  これにて散会いたします。    午後零時九分散会