○真鍋賢二君
社会保険料を中心とした
社会保障ということを申されたわけでございますが、これは時間がございませんので、余り多くを申し上げられませんが、イギリスの
社会福祉の
失敗を、ロブソンさんという方が、著書の中で、物や金の分配でなく心の持ち方だと、地域
社会での助け合いの心を育てていくことが大切であると、これが真の福祉であるということも言われておるわけでございまして、その点は今後私は配慮して
社会保障を
考えていただきたいと、かようにお願いをいたす次第でございます。
余り総論的にもなりますので、次に、これは私事にわたるかとも思うわけでございますが、若干私の経験を通して御質問をいたしたいわけでございますが、私が長年御交誼をいただいております方で高田馬場のところに本間一夫さんが経営しておる
日本点字図書館という
日本で一番大きい図書館があるわけでございますが、この方が
昭和十五年から自分が盲人になったということで私費を投入して図書館をつくった、
日本の点字図書館の草分けであるわけでございますが、その図書館が、図書館を増設するにいたしましても、なかなか個人の
負担では限界があるということでお困りになっておったわけでございますが、やっと盲人の点字図書館を充実さそうということで
昭和二十九年から厚生省の点字図書の製作事業の委託を受けて、その後東京都からも三十七年から委託を受けるようになったわけでございますが、
全国の点字図書の半分以上をこの
日本点字図書館で賄っておるわけでございますけれ
ども、この点字図書館は、ほとんどが、民間の浄財と申しましょうか、そういうお金とか奉仕員の汗のにじむ努力によって維持しておるというのが現況でございます。ちなみに、ここの職員が七十四人おるわけでございますけれ
ども、その中で厚生省の公費
負担と申しましょうか、東京都と厚生省の方から出ておる人が十七名おるわけでございますけれ
ども、その十七名のうちで専任職員が六名で、あとが賃金職員というような形になっておるわけでございます。御
承知であろうと思いますが、賃金職員は五十万であって、年間収入でございますが、専任職員が二百五十万という額になっておるわけでございまして、やっておる仕事は全く同様なわけでございますけれ
ども、そこに大きなアンバランスがあるということで、数少ない職員でございますので、その奉仕の本当に充実した場所にそういうようなアンバランスを生じてはならないということで、こういう面の待遇をもよく
考えていただきたいと思うわけでございます。そして、私は、この中でこういうように本間さんの善意が実ってくるわけでございますが、やはり民間人の熱意とか経験が福祉の上でも大きく寄与してくると思うわけでございます。そういう点から申しましても、厚生省——中央でなかなか仕事をやってもデスクプランになりがちなんでございますが、そういう委託事業をするにいたしましても、そういう民間の
意見をどんどん吸収していただきたいと思うわけでございます。
また、私の出身の香川県の善通寺市にも香川小児病院というのが国立であるわけでございますが、
昭和四十二年ごろまでは国立の結核の療養所としてその任務を果たしてきたわけでございますが、もう結核の病気も国民の脅威的な病気でないということで、その小児病院に切りかえるときも私自身が厚生省に参りまして、当時の療養所課長の加倉井さんに——亡くなられた方でございますが、いろいろ説得して、小児病院というような形でオープンいたしたわけでございます。そういうことで、やはり民間のそういう運用につきましては地域の
意見を十分聞いていただきたいと、かように思うのと、先ほど本間さんの点字図書館でございますが、週に二日間、無料で、途中で失明した人とか
能力を失った人たちに対して職業訓練
指導やまた盲人に対するいろいろな
教育をいたしておるわけでございます。この香川小児病院にいたしましても、子供の病気をなくそうということで始めたわけでございますが、その当時
日本一の新生児の死亡率を香川県は持っておったわけでございますが、この病院ができると同時に、いまやもう
全国のランクでも半分以下の状態になってきたわけでございます。そして、子供の病気を治す過程におきまして、その国立病院の中に県立の養護
学校をつくっていただいて、その子供の健康状態に応じて
教育をさすというような本当に血の通った手当てをいたしておるわけでございます。
そういうことを私は
考えてみますると、どうしてもただ単に一律的に
学校をつくりなさいとか、病院を充実させましょうとかいうのでなくして、その地域の経験豊かな創造力のある力を厚生省自体としてもぜひ使っていただきたい、かようにお願いをいたす次第でございます。
また、現在厚生省が
実施しておりますシルバープラン、老人向けのいろいろなサービスでございますが、一県に一カ所ということで、なかなか
全国に
要望するところはたくさんあっても割り当てられないというのが現況じゃないかと思うわけでございますが、厚生省の事業として厚生省と県と地元市町とが三分の一ずつ分かち合って費用を出し、実際の運営はその地元の市町村にお任せしようというような形でやっておるわけなんです。そういうことでこれは香川県ではいま丸亀市というのが
一つ実施されておるわけでございますが、また高松市においてもその
要望が今年も出てきておるというようなことで、こういうことは
要望するところがあったらもうどんどん一県に
一つなんて言わずに弾力的にやっていただきたいと、そしてこのときに私は感ずるのでございますけれ
ども、北欧、欧米諸国においても
社会福祉サービスというのはほとんど地方公共団体等にゆだねておる。そうすることによって内容も充実するし、異なった
状況においてその特異性を発揮していくというようなことをやっておると聞いておるわけでございますが、先ほどのシルバープランにいたしましても、香川の小児病院にいたしましても、点字図書館にいたしましても、そういう地域の熱意というか、そういうものをぜひくみ取ってこれから厚生行政の
指導に当たっていただきたいということを思うわけでございますが、厚生
大臣、いかがでございましょうか。