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1978-03-22 第84回国会 参議院 予算委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年三月二十二日(水曜日)    午前十時一分開会     ―――――――――――――    委員の異動  三月二十日     辞任         補欠選任      小巻 敏雄君     山中 郁子君      柄谷 道一君     井上  計君  三月二十二日     辞任         補欠選任      北  修二君     夏目 忠雄君      増岡 康治君     林  ゆう君      下条進一郎君     石破 二朗君      矢追 秀彦君     相沢 武彦君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         鍋島 直紹君     理 事                 戸塚 進也君                 内藤誉三郎君                 中村 太郎君                 宮田  輝君                 竹田 四郎君                 吉田忠三郎君                 多田 省吾君                 内藤  功君                 栗林 卓司君     委 員                 浅野  拡君                 岩動 道行君                 石破 二朗君                 糸山英太郎君                 亀井 久興君                 亀長 友義君                 熊谷  弘君                 田代由紀男君                 玉置 和郎君                 夏目 忠雄君                 成相 善十君                 林  ゆう君                 真鍋 賢二君                 三善 信二君                 望月 邦夫君                 八木 一郎君                 山本 富雄君                 赤桐  操君                 大木 正吾君                 高杉 廸忠君                 野田  哲君                 福間 知之君                目黒朝次郎君                 安恒 良一君                 相沢 武彦君                 太田 淳夫君                 矢原 秀男君                 渡部 通子君                 渡辺  武君                 山中 郁子君                 市川 房枝君                 野末 陳平君    国務大臣        法 務 大 臣  瀬戸山三男君        大 蔵 大 臣  村山 達雄君        文 部 大 臣  砂田 重民君        厚 生 大 臣  小沢 辰男君        農 林 大 臣  中川 一郎君        通商産業大臣   河本 敏夫君        労 働 大 臣  藤井 勝志君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)        (北海道開発庁        長官)      加藤 武徳君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)        (沖繩開発庁長        官)      稻村左近四郎君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       荒舩清十郎君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  金丸  信君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       宮澤 喜一君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  山田 久就君    政府委員       内閣法制局第一       部長        茂串  俊君       人事院総裁     藤井 貞夫君       人事院事務総局       給与局長      角野幸三郎君       公正取引委員会       委員長       橋口  收君       公正取引委員会       事務局審査部長   野上 正人君       警察庁刑事局長   鈴木 貞敏君       警察庁刑事局保       安部長       森永正比古君       行政管理庁行政       管理局長      辻  敬一君       防衛庁参事官    夏目 晴雄君       防衛庁参事官    番匠 敦彦君       防衛庁長官官房       防衛審議官     上野 隆史君       防衛施設庁長官   亘理  彰君       防衛施設庁総務       部長        奥山 正也君       経済企画庁調整       局審議官      澤野  潤君       経済企画庁物価       局長        藤井 直樹君       環境庁大気保全       局長        橋本 道夫君       法務省刑事局長   伊藤 榮樹君       外務省アジア局       次長        三宅 和助君       外務省経済協力       局長        武藤 利昭君       外務省条約局長   大森 誠一君       外務省国際連合       局長        大川 美雄君       大蔵大臣官房審       議官        渡辺 喜一君       大蔵省主計局長   長岡  實君       大蔵省関税局長   戸塚 岩夫君       大蔵省銀行局長   徳田 博美君       大蔵省国際金融       局長        旦  弘昌君       大蔵省国際金融       局次長       宮崎 知雄君       文部省初等中等       教育局長      諸澤 正道君       厚生省公衆衛生       局長        松浦十四郎君       厚生省医務局長   佐分利輝彦君       厚生省薬務局長   中野 徹雄君       厚生省社会局長   上村  一君       厚生省保険局長   八木 哲夫君       農林大臣官房長   松本 作衛君       農林省農林経済       局長        今村 宣夫君       農林省農蚕園芸       局長        野崎 博之君       食糧庁長官     澤邊  守君       林野庁長官     藍原 義邦君       水産庁長官     森  整治君        水産庁次長    恩田 幸雄君        通商産業大臣官        房審議官     山口 和男君        通商産業省貿易        局長       西山敬次郎君        通商産業省産業        政策局長     濃野  滋君        通商産業省基礎        産業局長     天谷 直弘君        通商産業省生活        産業局長     藤原 一郎君        資源エネルギー        庁長官      橋本 利一君        中小企業庁長官  岸田 文武君        海上保安庁長官  薗村 泰彦君        労働大臣官房審        議官       関  英夫君        労働省労働基準        局安全衛生部長  野原 石松君        労働省職業安定        局長       細野  正君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君    説明員        厚生省薬務局生        物製剤課長    古市 圭治君        運輸省航空事故        調査委員会事務        局長       増岡 廣行君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○昭和五十三年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和五十三年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和五十三年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     ―――――――――――――
  2. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昭和五十三年度一般会計予算  昭和五十三年度特別会計予算  昭和五十三年度政府関係機関予算  以上三案を一括して議題といたします。     ―――――――――――――
  3. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) なお、質疑に入るに先立ち、去る三月十五日の上田耕一郎君の発言につきましては、理事会において協議いたしました結果、不適当な個所があると認めましたので、委員長はその部分を取り消すことにいたします。     ―――――――――――――
  4. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) それでは、これより目黒朝次郎君の一般質疑を行います。目黒君。
  5. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私は、農業問題を中心にきょう質問を予定したわけでありますが、その前に一点だけ環境庁長官にお伺いいたします。  きのう新聞二酸化窒素に係る判定条件等専門委員会報告がマスコミに発表になりまして、きょう答申だと、こういうふうに伺っておりますが、この内容の主な点について御答弁願いたいと、こう思います。
  6. 山田久就

    国務大臣山田久就君) 専門委員会は、これは純科学的な立場に立っての答申が行われたわけでございまして、われわれといたしましては、この内容を踏まえて、今後これに対する対処、このことを十分内容を検討した上で、そして処置していって、あくまでも健康を守るということでやってまいりたいと思っております。  内容の点についてのあれでございましたが、事務当局からお答えさしていただきたいと思います。
  7. 橋本道夫

    政府委員橋本道夫君) いま大臣から基本的な考え方お答えがございましたが、内容につきまして簡単にお答えを申し上げたいと思います。  この点につきましては、昨年の三月二十八日に、環境庁長官から中央公害対策審議会に対しまして、公害対策基本法の第九条三項の趣旨にのっとりまして、環境基準基礎となる判定条件等について諮問をいたしたわけでございます。それに対しまして、昨年の五月以来、四十九回にわたりまして専門委員会とそれから影響及び測定の二つの分科会に分かれまして非常に精力的に御審議をいただきました。専門家は非常に多彩な専門家が寄っておられましたし、また、考え方もいろいろな角度の方が寄っておられて、非常に厳しい御議論をされまして、そして最終的に全員一致専門委員会としての答申が取りまとめられたわけでございます。  その内容は、一つは、現在の窒素酸化物大気汚染の現状を評価をいたしております。また、測定法につきまして評価をいたしております。  この中で、測定法の中に使っております一部の計数等につきましては、数年間の研究成果、これは少し変えなければならないという意見を申しております。  それから二酸化窒素生体影響ということにつきましては、内外の文献を集めまして、動物実験疫学、及び人の志願者に対しましてこのNO2の影響を検討してみるというような調査研究を進めて網羅いたしました。これは現在の世界的ないろいろな知見の中でいま出た中で最も新しいすべてのものを網羅しておるものでございまして、そしてそれをもとといたしまして、結論的には、最初のところをお読みいたしますと、「二酸化窒素の人の健康影響については、専門委員会は現時点で利用可能な内外動物実験、人の志願者における研究疫学的研究などの成果を総合的に判断し、地域人口集団の健康を適切に保護することを考慮し、環境大気中の二酸化窒素濃度指針として、次の値を参考とし得ると提案している」としまして、「短期暴露」としまして「一時間暴露の〇・一から〇・二PPmの間」「長期暴露」といたしまして「種々の汚染物質を含む大気汚染の条件下」つまり複合汚染のもとでありますが、「二酸化窒素大気汚染の指標として着目した場合に年平均値として〇・〇二から〇・〇三PPmの間」という専門委員会報告が出ました。これは、現在の科学的な知見の確かさ、不確かさをすべて総合して判断してみますと、人口集団が通常の健康から先寄りを生ずることを防ぐ、つまり病気とか死亡ではございません、そういうことのためには、いまの段階ではこのような幅をもって一時間値〇・一ないし〇・二PPm年平均値〇・〇二ないし〇・〇三PPmというような指針を提供するということでございます。
  8. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 幾つかの疑問点があるのですが、ひとつお答え願いたいと思います。  この専門委員会並びに分科会については、新聞の報ずるところによれば、特に東京新聞などを見ますと、驚くべきことに、これらの専門家が非常に少ないと、こういうとらえ方をしているのですが、いかがですか。
  9. 橋本道夫

    政府委員橋本道夫君) そういう理解は全く当を得ていない意見でございまして、現在、世界的に集めてみても、あれだけの専門家は集まらないということでございます。
  10. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃ、その関係委員資料を出してください。
  11. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 関係委員資料は出しますか。
  12. 橋本道夫

    政府委員橋本道夫君) 資料提出をいたします。
  13. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それから年平均〇・〇二ないし〇・〇三PPmというのは、現在の基準に比べるとどういう関係になるのですか。
  14. 橋本道夫

    政府委員橋本道夫君) 現在の環境基準は、一日平均値の年間九八%値といたしまして〇・〇二PPmということを言っております。それに対しまして、今回は一時間値と年平均値を出しましたが、年平均値を――これは影響観点は全然別にいたしまして、統計的な処理から見て、どの程度の日平均値でものを言えば当たるかと申しますと、年平均値〇・〇二PPm日平均値九八%値といたしましてほぼ〇・〇四PPmに相当する、年平均〇・〇三PPmはほぼ日平均値九八%といたしまして〇・〇六PPmに相当するということでございます。ただし、これは影響とストレートには結びついた換算ではございません。
  15. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これは、住民側から見ると、現行の二倍なり三倍だと。産業界から見ると、まだ厳しいと。そういう非常にジレンマといいますか、問題のある点なんですが、これをどのような姿勢でさばくか、長官の見解を聞きたい、こう思うのです。
  16. 山田久就

    国務大臣山田久就君) これはいまのデータをひとつよく検討さしていただきたいと思います。いずれにしても健康だけはちゃんと守るという立場に立って対処いたしたいと考えております。
  17. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これはいままで環境庁姿勢である現行浄化技術レベルに立脚するのではなく、望ましい目標値を掲げて対策技術開発努力を強制すべきであるという人間尊重立場でこれに取り組むということについて確認していいですか。
  18. 山田久就

    国務大臣山田久就君) どうぞ、そういう立場に立って、われわれはもう人間尊重第一という立場で対処していきたいと考えております。
  19. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃ、原則的に住民立場で対処するということをとりましたから、そういう方向で五月への設定に向かって努力をしてもらいたいということを要望して終わります。  次は農業問題で、世界食糧状況ということを農林省はどのように把握しているか、お聞かせ願いたいと、こう思います。
  20. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 世界食糧事情でございますが、まず需要面で申しますと、先進諸国がかなり伸びてきておる。特に開発途上国需要も強い。さらにはソビエト輸入需要も強くなっている。また、一方、供給面も、耕地の拡大やあるいは技術向上によってかなり前進しつつある。現在はまあまあというところにありますが、将来を見越すならば、必ずしも安定したものではないという立場をとらえて、わが国わが国自給力向上ということについて最大の関心を払って農政を進めておると、こういうわけでございます。
  21. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 昨年の作付発表だとソビエトも余り思わしくないと、こういうような情報もあって、再び六年前のような形でアメリカから輸入するのじゃないかという動向もありますが、いかがですか。
  22. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) 小麦の作柄見通しでございますが、アメリカ、EC、インド等は豊作でございますが、ソビエト、中国は作柄が不良でございます。したがいまして、ソビエトアメリカから買い付けをいたすわけでございますが、大体一千万トンぐらいな買い付けでございまして、かつてのように二千万トンという大きな買い付けではないようでございます。
  23. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 一九七四年ローマで第一回世界食糧会議が開かれましたが、そのときの資料でわれわれにかかわりのある資料が出ておりますが、どんな資料でしょうか。
  24. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) 世界食糧会議の際におきますFAOが開発途上国需要生産見通し発表いたしておりますが、その需要昭和四十九年から一九八五年を見通しました一九八五年における世界穀物需給に関する予測でございますが、需要が九億二千九百万トン、生産が八億五千三百万トンで、七千六百万トンの不足をするであろうが、先進国生産需要を上回るということで、先進国開発途上国両方含めまして幾ら不足をするかという数字は発表いたしておりません。
  25. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 その中でアジアでは大分米が足りなくなるという点を指摘しておったと聞きますが、どうでしょうか。
  26. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) その際におきます需給全体の見通しといたしましては穀物全体の見通しでございまして、米につきまして幾ら不足するというふうな発表はいたしておりません。
  27. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 政府委員の方に調べてほしいと言っておいたのですが、いかがですか。調べた結果そうなんですか。
  28. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) アジア地域におきまして大体三千九百万トン不足するのではないかというふうな見通しがございます。
  29. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうしますと、アジア地域で三千九百万トンの米が不足する、そういう点がいま資料で明らかになったわけでありますが、農業全体として、生産消費、そういうものを含めて農林大臣農政基本姿勢としてどういうふうに基本的に考えていらっしゃるか、お聞かせ願いたいと、こう思うのです。
  30. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 農政基本は、第一番目に食糧自給力向上、しかも総合的な食糧自給力向上ということになろうかと存じます。したがいまして、当座は六十年度見通しのもとに過剰傾向にあります米の調整を行い、不足がちな麦あるいは飼料作物大豆甘味資源作物等、こういった自給率の悪いものを伸ばしていく、そうして全体としての自給率を上げる、こういう方向でいきますし、また、農村はそれ以外に地域社会を構成する大事な産業でございますから、そういった観点からもこれを育てていかなければならない。そのほか、また国土及び自然環境を守るという意味から言っても農村の持つ意義は大きい。こういった食糧自給率、あるいは地域社会維持形成、あるいは環境保全国土保全というような大きな意義を持つ農業は大事でございますから、今後ともそういった観点でしっかり守っていき育てていきたいと、こういう気持ちでございます。
  31. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それで、米の生産調整というのが大分問題になっているわけでありますが、米だけをつくらなければ食べていけない農村にとっては大変な問題でありますが、昭和四十六年から減反政策をとってきたわけでありますが、これをどのように現在評価しているか、これをお聞かせ願いたいと、こう思うのです。
  32. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 目黒委員御承知のように、昭和四十五、六年ごろに七百万トンの過剰在庫ということになり、単年二百三十万トンからの生産調整をしなければならぬという時代でございましたので、昭和四十六年から五年間の計画をもってとりあえず緊急避難として需給バランスをとるという仕組みをとってまいりました。その後もまだ過剰傾向でございましたので、二年間ほど生産調整を続けてまいりまして、そのときは水田総合利用対策というようなものでやってまいりました。その後もさらに生産意欲が強いということと、もう一つうらはら消費の減退ということが出てまいりまして、すでに五百万トンに近い在庫、これはもちろん全部古米ではありません、適正な繰越米も入っておりますが、そういった過剰傾向が非常に強くなってきたことと、もう一つは単年度を見ても百七十万トンぐらいはどうも過剰であるという立場から新たな生産調整ということになりましたが、これは単に過去のような臨時需給バランスをとるということではなくて、先ほど申し上げた食糧の総合的な自給率向上、特に少ない麦あるいは飼料作物大豆甘味資源作物等自給率を高めるという、すなわち水田利用編成、長期的な構造改革を行うということで、今度は腰を据えて、臨時のものではなくて、がっちり国の自給率を高めるという方向に取り組んだ、こういうことでございます。
  33. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 いま大臣から答弁があったとおり、三回も名称が変わっているのですが、その区切り区切り段階でどういう成果と欠陥があったかという点をひとつ事務局からで結構ですから区切って説明をしてもらいたいと、こう思うのです。
  34. 野崎博之

    政府委員野崎博之君) ただいま大臣からも御答弁がありましたように、昭和四十五年から五十年までは米の生産調整重点を置いた緊急避難的といいますかそういう政策中心でございまして、五十一年から始まりました水田総合利用対策食糧農産物自給力向上、そこに重点を置いた水田効率的利用、そういう点に中心を置いたわけでございまして、水田利用再編対策は長期的あるいは構造的な施策から農業生産体制生産構造それ自体の再編成を目途にいたした政策でございます。四十五年から、五十年度では約九千百一七十一億円、五十一年、五十二年度水田総合利用対策では千七百二十五億円という、合計しまして一兆八百九十六億円の経費を使ってやっておるわけでございます。
  35. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 一兆九百億近くの金をつぎ込んでどういう成果があったのですかと聞いているんですよ。
  36. 野崎博之

    政府委員野崎博之君) この政策によりまして、一つは米の単年度自給の回復、それから増産すべき農産物への転換、それから米のみに依存しない農家の育成、あるいは地域の実情に即しました農業生産の推進といいますか、そういう点でメリットがあったと思っておるわけでございます。たとえて申し上げますと、転作面積が割合で非常に少なかった五十一年度を見ましても、飼料作物で全体の作付面積の中に占めるウエートが約六%、それから野菜で約九%、大豆で約一五%というふうになっておるわけでございます。そういう意味でやはり転作ということ自体自給力向上に非常に寄与していたというふうにわれわれは考えておるわけでございます。
  37. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私が全国農協中央会からもらっておる資料では、米のみに依存しないいわゆる転作関係についてもずうっと当初の出発点より下がっておるのですが、これはどういうことなんですか。
  38. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) せっかくですが、何が少なくなったというそこのところがちょっとわからなかったのでございます。
  39. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 ここに昭和四十六年から五十二年までの「転作等計画と実績」という表がありますが、「転作の内訳」として飼料野菜大豆、永年性作物林木とずうっとあるんですが、この傾向が四十六年から五十一年、五十二年と下がっているんですよ、この数値が。これはいま言った米の依存という点から、上滑りに上がりましたということと違っておるのじゃありませんかということです。どちらが本当ですか。おたくは成果が上がっていると言うし、この資料成果がちっとも上がっていない。これをこっちへ来て見てください、時間がもったいないから。どちらが本当か、おたくの資料が本当か。
  40. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 確かに単年単年の永年作物あるいは特殊作物の占める転作の面積は下がってきておりますが、累計いたしますと、先ほど局長が申し上げたように、かなり実効が上がっている。そこで、今回は、そういった大事な作物には奨励金を上乗せをして、下がりつつあったものについてこれから上向きになるように措置をした。それが構造政策の今度の特徴的な対策と、こういうことになろうかと存じます。
  41. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私は、五十三年以降のやつはいまから聞くとして、いままでのを一定の区切りをつけたいと言って聞いたわけなんです。ですから、緊急避難的から若干途中で路線修正をして、いま局長答弁ではいわゆる米の増産を調整して米に依存しない他の転作を上げたと、こういう答弁があったから、若干私の認識と違うじゃありませんかと。じゃ、逆に聞きますが、それならば、この主要農産物自給率の推移、こういう点がずうっと総合、穀物とも下がっておるんですが、これはどういう関係ですか。
  42. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 御承知のように、わが国自給率のいいものは米でございます。そのほか、いいものとしては、野菜、果物、豚肉、あるいは鶏卵、こういったものはいいのでありますが、一番悪いのは穀類でございます。穀類、特に麦類、トウモロコシ、大豆等が悪い。この需要が非常に伸びてまいりまして、畜産の振興で大体日本の肉の飼料はすべて外国に依存をするというかっこうになっておりますから、肉の需要の拡大と同時に穀類の輸入量が多くなった。穀類の輸入量が多くなりますと、自給率の悪いものですから総合的に若干ながら下がっていると、こういう傾向であろうと存じます。それ以外のものについてはまあまあ自給力はいいのではないか。そこで、今回、自給率の悪い麦類であるとか、大豆であるとか、飼料作物、こういったものを重点的に水田の余剰能力はそちらに振り向ける、こういうふうに変わったわけでございます。
  43. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 ちょっと納得できませんが、結論から言うと、四十六年から生産調整をやって去年までやったけれども、そして米以外の問題に重点を置いた。置いたけれども、結局は米は一〇〇%で大体横ばいであるけれども、小麦、大豆類についてはむしろどんどん年次別に下がってきている。裏を返せば、それは全部輸入に仰いだ、こういうふうな逆に答弁になっている。でありますから、生産調整はいわゆる転作という問題については成果を上げていないというふうに私は断定してもいいではないかと、こう思うのですが、いかがですか。
  44. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 上がっていなかったと断定ではなくて、上がり方が少し足りなかった、もっと力を入れるべきだ、もっともっと上がるべき余力があるのにやはり米の方に力が行っておった。今度は、ひとつその上がり方の少ないものをもっと馬力をかけて自給率の総合的ないい姿に持っていこうというのが今回の水田利用再編対策ということになろうと存じます。
  45. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私がこだわっているのは、この辺のとらえ方が認識を誤ると次の五十三年以降の取り扱いが誤るから食い下がっているんです。  大臣ね、そういうことを言うけれども、この端的な資料で小麦は昭和四十五年は九%、それが今日は四%ないし五%、それから裸麦と大麦は四十五年は三四%、それが五十年は一〇%、ややということでなくて相当急カーブに下がっているんですよ。逆に輸入量を見れば、輸入量はぐっと上がっていますよ。総体で国民の食生活は成っているんでしょう。ですから、そう息張らないで、やっぱり生産調整はやったけれども、いわゆる米は横ばいで、その他の転作問題については野菜を除いてはうまくいかなかったという点を率直に認めて、うまくいかないから五十三年からこうやるんだというふうに素直に農民に言った方がいいのじゃないですか。
  46. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 目黒委員の御指摘が水田の稲作転換が全部だめだったと言われたから、そうではないという、それなりの効果はあったと申し上げたのでございますが、全体として、水田以外でつくっておりました麦も大豆もだんだん下がってきたということで、農政としてはこれはあるべき姿ではないということは確かに認めなきゃならぬところであり、そういう傾向であってはならない、水田のみならず全体として自給率の低いものがある、これを反省して今回そういう方向に踏み切ったと、こういうことだと存じます。
  47. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 若干表現があいまいだけれども、やはり精神は認めたようですから、逆にもう一回聞きますが、四十六年以降から五十二年までのいわゆる生産調整目標と実績、これはどういう傾向になっていますか、お聞かせ願いたいと思います。
  48. 野崎博之

    政府委員野崎博之君) 四十六年度は目標の達成率が九八%……
  49. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 いや、割り当てと実績を言ってください。
  50. 野崎博之

    政府委員野崎博之君) 四十六年度調整数量につきましては二百三十万トンでございまして、それに対する目標達成率が九八%、それから四十七年度が二百十五万トンで達成率が一〇八%、それから四十八年が二百五万トンで一一二%の達成率、四十九年が……
  51. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 ちょっと実績トン数も言ってよ、パーセントに飛ばないで。二百五の実績は二百三十でしょう。
  52. 野崎博之

    政府委員野崎博之君) はい。四十六年が実績二百二十五万七千トンでございます。それから四十七年が二百十五万トンで実績が二百三十二万七千トン、それから四十八年が二百五万トンで二百二十九万九千トン、それから四十九年が百三十五万トンの目標に対しまして百二十九万七千トン、それから五十年が百万トンに対しまして百八万トン、五十一年が九十一万トンに対しまして八十一万トンということでございます。
  53. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 五十二年は。
  54. 野崎博之

    政府委員野崎博之君) 九十万トンに対しまして八十七万トンでございます。
  55. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、この八年間通算すると、農民はまじめにいろいろな問題はあったにしても割り当てに対して実績では農林省、政府に協力してきたと。だから、農民側には生産調整に関する落ち度はなかったと、大まかな流れとして、こういうふうに認めていいと思いますが、いかがですか。
  56. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) トータルとしてはそういうことは言えると思いますが、地域間のアンバランス、いわゆる不公平というもの、事実やってくれるところとやってくれないところの差がかなりあったという反省はなければならないと存じます。しかし、トータルとしてはまあまあの数字、一〇〇%前後、上回ったときもあるし下がったときもあるというふうに判断して結構だと存じます。
  57. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃ、逆に今度、外国から麦の輸入をしておるわけですが、四十五年から今日まで各年度別に輸入トン数を教えてください。
  58. 澤邊守

    政府委員(澤邊守君) 外麦の輸入量、小麦でございますが、生産調整が始まりました四十六年は四百六十五万五千トン、四十七年は五百二十三万三千トン、四十八年は五百三十一万八千トン、四十九年は五百四十五万トン、五十年は五百六十五万九千トン、五十一年が五百四十八万七千トン、五十二年はこれは見込みでございますが五百七十九万九千トンというふうになっています。
  59. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、農民は、特に私も東北ですから東北、北海道を歩くと、この四十六年以来の生産調整については、大体農民は一生懸命、苦労はあったけれども若干のでこぼこはあったけれどもやったと。しかしまだ米が余っている。一体農民が協力して米が余ってどうしてくれるんだと、われわれは何をすればいいんだ、こういう点が農民の素朴な疑問であるし問題点だと、私はこう思うのです。いまこの外麦の輸入状況を見ますと、やっぱり年々上がっている。こういう点から見ますと、今日の米の過剰という問題は政府みずからがつくられた過剰ではないのかと、こういうことを非常に疑問に思っていますが、これはいかがでしょうか。
  60. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 御指摘のとおり、生産調整は大体農家の皆さんも協力してくれたのでございますが、一方では開田意欲というのが非常に強くなって、いわゆる自力開田――ほかのものをつくるよりは米をつくった方がいいというので、国の政策は四十六年以来抑えておりますけれども、自力開田が非常に大きくなってきた。これを抑えたらいいじゃないかという議論も一方にありますが、これまた憲法違反の議論がございまして、自分で自分の水田をつくるのを抑えるということばいかがであるかという強い開田意欲がございます。また、消費が年々下がってきたということであって、国がつくったものではなくして、やはり水田が有利性であって開田意欲も強いし、残念ながら消費意欲がだんだん下がると、こういうことからやむを得ずまた二度目の生産調整を、三度目になりますか、新しい生産調整をお願いしなければならない事態であって、決して政府がつくったり、意図にやっているものではない。そこで、何といっても開田意欲を持たないようにこれからも努力しなければなりませんし、さらには消費拡大ということが前提であるということで、消費者の皆さんにも声を大にし、特に生産者の皆さんももっと消費拡大ということをやっていただかなければ農民にとって大変な生産調整がますます強くなると、こういうことをお訴え申し上げている次第でございます。
  61. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 通産大臣ね、経済企画庁長官でも結構ですが、農民は、高度成長でいろいろな自動車、テレビその他の機械をどんどんつくって外国に輸出した、外国に輸出したそのはね返りで農産物の輸入をさせられている、それを歴代農林大臣はちっともその辺を調整しようとしないで農村をただ使い場にして刈り取っていると、こういう重化学工業に対する執念というのですか、恨みといいますか、非常にあるのですが、通産大臣経済企画庁長官も、国際貿易の面からこの農民の素朴な気持ちということをどういうふうに受けとめて行政の上に生かそうとしているか、これは通産大臣経済企画庁長官から見解を農民に向かってお聞かせ願いたい、こう思うのです。
  62. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) まず日本として一番考えなければならない問題が私は二つあると思うのです。一つは、何しろ人口の多い国でございまして、毎年学校の卒業生が百数十万社会に出てまいります。そのうち百万以上の者が職を求めておるわけでございますが、したがって、経済が全体として大きく伸びていく、そこで雇用の拡大の余地というものが起こってくるということがこれは何よりも必要である。それからもう一つは、わが国は貿易立国でございまして、何しろ資源のない国でございますから、どうしても貿易立国中心にやっていかなきゃならぬわけですが、その場合には常に国内の経済というものが競争力を持っておらなければいかぬわけです。もう気息えんえんたる経済ではとても競争力は持ち続けることば不可能でございまして、こういう科学技術が日進月歩の勢いで進んでおるときには絶えず新陳代謝をしなければならぬわけでありますが、そのためにはやはり産業にはある程度の活力というものが必要でございます。そういう意味で、政府の一番の基本的な経済戦略といたしまして昭和五十年代を通じて六%台の経済成長を続ける、特にことし来年は七%あるいは七%弱の経済成長を続けるということが一番の基本になっておるわけでございます。そういう意味でやはりある程度の貿易というものはぜひ私どもは日本が生きていくために必要である、こういう考え方でございます。だから、経済全体の中においていろいろなことを考えていただく必要があろうかと思います。農林大臣といたしましては、そういう経済全体を把握されまして、そして農林行政の立場からいろいろの御判断をしていただいておると、このように私どもは認識をいたしております。
  63. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) わが国の経済の戦後の歩みを見ておりますと、かつて農業就労人口が全部の労働人口の中で五〇%を超えておった時代は実はそんなに昔ではないわけでございます。それが今日までの姿になってきたわけでございますが、これはわが国の経済そのものがいわゆる近代産業国家の方向に向かったということの端的なあらわれであると思っております。しかし同時に、このことは農村あるいは農業就労者そのものの将来というものを考えずに一方的に推進できる施策ではございませんで、現にいまから十五年ぐらい前ケネディー・ラウンドがございましたときのわが国の残存輸入制限品目は百五十ぐらいあったと存じますが、逐年それを減らしてまいりまして現在の二十七、これは事実上農産物農業製品が大部分でございます。形式上通産アイテムになっておるものはございますけれども、これは石炭でありますとか皮革でありますとか、いわば第一次産業に非常に密接に関係のあるものでございますから、そういう形でその問題を配慮しつつきょうのところまで来たということと私は考えておるわけです。先般対外交渉もございましたが、この際にも農林大臣には非常にいろいろ最大限の御努力をいただいたと思って感謝しておりますけれども、しかし、そこにはやはり日本の農村あるいは農業者の将来というものをどうしても考えなければならないという命題がございますから、客観的に申しますと、われわれはベストを尽くしましたけれどもなお相当のものがそこに残っている、私はこれはやむを得ないことだというふうに考えております。
  64. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これは通産と経済企画庁長官に聞いてもらえないですかね。「農業つぶしの農政」という、これは農民の朝日新聞への投稿です。私はこれを読んでやっぱり涙がとろっと出ました。日本の農家の二百倍の面積を持つ米国の大規模資本主義農業の行きつく先は、つまるところ過剰生産恐慌であると。全米に農民ストライキが発生するくらいアメリカには農産物が余っていると。このアメリカと国際競争力を云々されたのでは、この狭い日本の百姓はどこへ行けばいいのか。どんなに考えても対抗できないのはもう小学生の子供でもわかるじゃないかと。この追い詰められた農民は一体どうすればいいんだ。これは農村の問題じゃなくて、食糧問題は都会に働く皆さん方の問題だと。もう少し日本の追い詰められた農民を大事にしてほしいと、これは最後の結びです。私も何回か外国へ行ってあの広大な農地を見ますと、狭い農地で暮らしたわれわれから見れば、これは競争力は立たないですよ。やっぱり政策として農民をどう守るかと。これは福田さんが昭和三十五年ですか農林大臣になったとき、食管法の根幹は農民の生活を守ることだということをいみじくも言って食管法に踏み切ったわけですね。それがまあ両大臣から言われた時代の流れがあるとは言いながら、もう農民は追い詰められている。われわれに何の罪があるんだと、この血の叫びを三大臣はどういうふうに受けとめるか、この血の叫びに答えてもらいたいと、こう思うのです。
  65. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 私も日本の農政の一番厳しいのは土地がないということだと思うのです。したがって、アメリカの二百分の一、豪州に比べると恐らくまだ五百分の一とか千分の一という極端な数字になっているでしょう。でありますから、農村の厳しさは厳しさとしてがっちり受けとめなければならぬ。ところが、今度は消費者からは、勤労大衆の多くの人からは、なぜ外国の安い物を食わしてくれないのだ、なぜ高い物を食わなければならないのだという、これまた血の叫びの声もあるわけなんです。でありますから、その辺をどう調整して、勤労大衆にも安い物を食っていただく、また農家の皆さんもアメリカの二百分の一の農地でもって生活をしていくという、ぎりぎりのそこに接点を求めなければならぬのが農林行政の一番むずかしいところでございます。しかし、どちらが優先するかというと、私はやはり食糧自給率向上、農家経済の安定ということを優先すべきであろう。でありますから、二十二品目の非自由化品目も、アメリカを初め多くの国々から自由化せよという声はありましても、いまこれを自由化したならば、たちまち二百倍の力を持つアメリカやECや豪州にやられるので、これは断じて受け入れることはできないということを基本方針としたのも、まさにいまの論調から来るところでございます。さらには、非自由化の中で国内で生産のされない部分は、アメリカから入れてもいいではないか、その他の国から入れてもいいではないかと、今度の判断はまさにそのぎりぎりであって、農家経済に影響のない範囲内で輸入できるものはどの辺かということで肉なりあるいはオレンジに対処したのであって、その場合、単にアメリカの言うことを聞いただけではなくて、やはり安いオレンジを食いたい、安い牛肉を食いたいという国民の声にもこたえなければならないということも配慮をして今度の調整を行った。それから第一に御指摘がございました、何か工業の犠牲になっているようにおっしゃいますけれども、やはり工業があるから農業があるのであって、約三兆円のことし予算が入っておりますけれども、やはりこれだけの工業力であるからこそ農村にも三兆円からの金が入るということでございますので、どうかひとつ農村だけ見ずに、消費者のことも考え、全体を考えながら苦しんでおるということも御理解をいただきたいと思う次第でございます。
  66. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そういう素直な気持ちになると、じゃ今度の五十三年度の新しい生産調整についてはどういう準備をしてどういう計画で去年の十一月までやったのか、農林大臣の言うことを事務レベルでどういう作業をやったのか、具体的に聞かしてもらいたい、こう思うのです。新しい調整をどうしたのか。
  67. 松本作衛

    政府委員(松本作衛君) 米の需給問題につきましては、先ほど来大臣お答えしておりますように、農家の生産意欲が高い反面、需要が伸びないというふうな事態がだんだんと明確になってまいりましたので、昨年の春以来、農林省内部におきまして、米の需給関係の実態につきまして検討をし、将来長期にわたる需給均衡化対策を確立しなければならないということで案を練ってまいったわけでございます。その過程におきまして、いろいろと関係の方々の御意見も伺ってきたわけでございますが、具体的には昨年の八月十六日に農政審議会を開きましてそこでこの問題を検討していただき、その後九月に入りまして農協の県の中央会の会長会議なり都道府県知事会議等におきましてこの問題についての農林省考え方を御説明し、さらに十月に入りまして知事会の部会、市長会ないしは町村会、農業団体等々の御意見を聞いてまいったわけでございまして、この間におきまして地域における実態等についての把握もしてまいったわけでございます。その後十一月に入りまして衆議院の農林水産委員会及び参議院の農林水産委員会におきましても御議論をいただいたわけでございますが、農林省といたしましては十一月の十九日に農産物の総合的な自給力の強化と米需給均衡化対策という形で、現在御審議願っております水田利用再編対策に対する基本的な考え方、具体的な運用の仕方というようなものについての農林省の案を固めまして、これについての案を各都道府県にお示しをして御協力をお願いしてまいったということでございます。なお、本年の一月二十日、閣議了解という形でこの案につきまして政府としての決定もしていただいておるという経過でございます。これにつきまして、現在、各都道府県におきまして、各市町村に対してのこの趣旨の説明なり目標数量の割り当てということをやっていただいております。また、市町村の段階におきまして、農民に対する同様の趣旨の徹底、協力方についてのお願いをいたしておるわけでございまして、われわれといたしましては、ほぼ八割方このお願いが進んでおるというふうに把握をしておるところでございます。
  68. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 四点か五点言われたのですけれども、農政審議会、知事会、市町村等、その際農民の声をじかに聞くためにどういう指導なりどういう措置をしましたか、お聞かせ願いたいと思います、生産農民のじかの声を。
  69. 松本作衛

    政府委員(松本作衛君) 農民の組織でございます農業協同組合に組織的、系統的にこの生産調整――水田利用再編対策についての御検討をお願いしておりますので、この組織を通じて農民の声を聞くということで農林省としては御意見を承ってまいったところでございます。また、市町村会等におきましても、当然、そういうふうな農民の方方の考え方を代表して御意見を述べておるというふうに考えまして、市町村ないしは知事会等、地方自治体の御意見も伺ってまいったところでございます。
  70. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 あなた方は、じゃ農協の意見、たとえば宮城県なら宮城県、宮城県の農協の意見と宮城県の農民がどう思っているかということを具体的に現地に入ってチェックしたことがありますか。
  71. 野崎博之

    政府委員野崎博之君) 県のいろいろ会議もございますし、あるいは地方農政局の会議もございますし、地方農政局では各市町村あるいはもっと末端まで入って聞いておるところもございます。われわれはそういう地方のいろんな実態等を地方農政局を通じてある程度聞いておるわけでございます。
  72. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 農林大臣ね、減田に揺れる農村って、これは全部新聞社の方々、農政研究会の方々がつくったことですよ。これを見ると、聞いたら違うと言うけれども、農協も自民党の知事さんも自民党の市長さんも、農林大臣に協力しなければ、福田総理大臣に協力しなければ怒られるということで、農民に意見を聞くというよりも、いかに農林省の言うことを農民に押しつけるかという全然違った視点で農村対策をやっているんですよ。そういうことでは全然私は農民の生の意見は入らぬ、こう思うんですよ。だから、少なくともこれだけのことをやる際には、やはり農協から聞くのも一つの方法であろうし、その農協の意見が農民なりあるいは農民組合なり、そういう諸君と本当に断絶があるのかないのかということをチェックするぐらいの、私はたんぼを歩くぐらいの気持ちがないと、あんたがさっき言ったような問題にはならぬと、こう思うんですが、いかがでしょう。
  73. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) このたびの生産調整農林省、政府だけの責任であるとは私たちは受けとめておらないわけでございます。これは都道府県知事も市町村長さんも、あるいは団体も、農家の皆さんも、みんなでこれをひとつやり遂げなければ、過剰米ができたときには農家も困れば、地方自治体も困る、もちろん国も困る、こういう受けとめ方から、先ほど官房長が答弁申し上げましたように、昨年の早い時期から関係団体に考え方を聞き、また意見を申し上げて、昨年の十一月に成案を得て各県にお願いをした。各県も確かに政府に言われたんだから仕方ない面もあるでありましょうけれども、やはりやらなければいかぬということでは全国御認識をいただいておると、そしてまきつけ、田植えまでの間にやはり県は県内での理解と協力ということでお話し合いをして、いろいろその間には苦しいところもありましょうけれども、それぞれ国が画一的に押しつけるやり方ではなくして、それぞれの県が独自の、宮城県なら宮城県方式と言われるぐらいの方式を生み出しながら、前向きに御協力をいただいている、こう思って、地方団体あるいは農家の皆さんの御協力に感謝しておるところでございます。  もちろん、これだけのことをやりますから、まだ納得のいかない点もあり、いろいろ議論のまだあることも聞いておりますが、相当議論もその後いたしておりますので、逐次、御理解と御協力がいただけるものと、こう判断いたしており、今後とも、押しつけるのではなくして、みんなの仕事だとみんなで理解しながら協力していこう、こういうやり方でやってまいりたいと存じます。
  74. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 現在、事務局が八〇%と言いましたが、私の持っている資料では五〇%以下なんですよ。本当に八〇%に自信がありますか。
  75. 野崎博之

    政府委員野崎博之君) 三月十五日現在で調べまして、全国平均約八割の町村が末端あるいは集落段階まで仮配分を終えているという状況でございます。
  76. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃ具体的にその資料を出してください。
  77. 野崎博之

    政府委員野崎博之君) 提出いたします。
  78. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 三月何日、十五日……。
  79. 野崎博之

    政府委員野崎博之君) そうです。
  80. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これは私は農林中金が二月十五日現在調べたやつで、町村段階に行ったのが四一・二%という資料をもらって、これは農中に確認したらそうなんです。ですから、一カ月の間に四一と八〇じゃ倍になっていますから、それだけの急ピッチであるというのは私にはちょっと解せないんで、この農林中金の二月十五日現在のやつと対比してどこが違っていてどこが本当か、それを全部資料として提示願いたい、こう思うんです。
  81. 野崎博之

    政府委員野崎博之君) そういうことで資料提出いたしたいと思います。
  82. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それで、この農林中金の調べによりますと、問題点が四点、これは全国共通の問題として四点挙がっているんです。四点挙がっているんですが、八〇%まで行った農林省としては問題点があるのかないのか、あればどういうふうに把握しておって、どういうふうにそれを消化しようとするのか、それらについてお考えを聞きたい、こう思うんです。
  83. 野崎博之

    政府委員野崎博之君) われわれも農林中金から直接聞いているわけではございませんが、末端の配分につきましていろいろ自然条件とか、そういう土地条件の悪いところに対する配分はなかなかむずかしいとか、あるいは飲米農家等の多いところの地域に対する問題、そういう点についてはいろんなところで聞いておりますが、農林中金からはまだ直接聞いてはおりません。
  84. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃ私から言いましょう、時間がもったいないけれども。  一つ、土地条件から米にかわる転作物が見当たらず、土地基盤の整備が緊急な課題である。二番、野菜、果物など転作作物の価格暴落の不安がある。三つ、農協管理転作は反収の低い小規模田で虫食い的に発生、休耕田になる公算が大きい。それから四番、大豆、麦、ソバなどの種子確保対策に自信がない。この四点が共通事項なんです。  そうしますと、私は、前段農林大臣が言ったことが今回こういう準備をされてやったと言っても、やっぱり農民は共通的な心配を持っているという点を裏づけしておるんだと、こう思うんです。したがって、この心配の裏づけを農政面、財政面できちっと裏づけしてやらない限り、依然として農民は十ヵ年計画であっても同じ悩みを持っているという点を裏づけしているんでなかろうか。これはいま何とかさんが農林中金は知りませんと、こう言いましたけれども、やっぱり農民は銭を貸す人に本当のことを言いますからね。役人には本当のことを言いません、銭を貸す人には本当のことを言うんだから。やっぱり農林中金が金を貸すために、皆さんどうですかと調べたら、こういう共通の悩みが全国的にあったと、こうとらえているんですから、私はこれは農民の本当の気持ちだと、こう思うんですよ。したがって、この四点についておのおのどういう対策をするか、心配している農民に国会を通じて明らかにしてほしい、こういうことを私は要請いたします。
  85. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) われわれも、団体あるいは直接農家の皆さんの意見、また国会での意見等々もずいぶん聞いてまいりましたが、いま御指摘の四点がやはり大きな柱だろうと、こう思います。  一番目の、その土地条件が悪いのに生産調整できないじゃないですか、特に排水条件の悪いところにという議論がずいぶんございましたので、この点についてはわれわれとしても心配でございましたので、今度は稲作転換促進対策特別事業という予算を百二十億円とっておりまして、転作のしにくいところはそういった土地条件を整備していく、こういう予算をかなり弾力的に県知事さん、町村を通じて配分をしてこれに対処をする、こういうやり方、あるいは高畝栽培とかいう方法もあるでありましょうし、最終的にどうしてもという場合には農協管理転作という仕組みもあるのではないか、そして一、二年かかって条件を整備していくということもあるであろう、こういうようなことで何とか御対処を願いたい、こう申し上げているわけでございます。  二番目の野菜でございますが、これはわれわれも非常に頭の一番痛くいたしておるところでございます。すなわち野菜に安易に転換をいたしますと、その野菜をつくった人のみならず、従来野菜をつくっておりました方々に価格の面で非常な影響を与える、これをわれわれは心配をいたしまして、需給バランスを崩さないように十分指導もし、各県あるいは各町村、各地域において需給協議会というようなものをつくって、そういう過剰傾向にならないように措置をしていただきたい、これは指導を徹底していってそういう事態を回避したい、こう思っておるわけでございます。  それから、農協の管理転作は休耕につながらないかと、なるべくそうならないように、先ほども申し上げたように自給力向上ということを主眼といたしておりますから、管理者が耕作をしたいという人を探し求めて、そしてなるべく休耕にならぬ努力をしていきたい。しかし、どうしても休耕以外に道がないというものは、これまたその道もやむを得ないのではないか。しかし、これは避けて通りたいという基本的な考え方を持っております。  それから、大豆、麦等についての技術あるいは品種その他耕作技術等、非常に問題があるということも十分承知いたしておりますので、これらについても、種子の問題だとか、あるいは技術の問題等を通じて、十分できるだけのひとつ普及、指導を行って補完をしていきたい、これも問題であろうと存じます。  このように大きく集約される課題がございますので、今後とも、これらについては、まだまだ指導なり補完すべきことがあったならば十分対処して、農家の皆さんの御不安にこたえていきたい、こう思っておる次第でございます。
  86. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 労働大臣ね、ちょっとお伺いしますが、あるでかい企業が大体一五%から二〇%の人員整理がある、こういう構造不況で一五%ないし二〇%のいわゆる首切りがある、こういうようなことがあったと想定した場合に、労働行政としてはどういう措置を打てばいいんですか。
  87. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) お答えいたします。  やはり、しばしばお答えを申し上げておりますように、雇用安定資金制度というもの、これを活用いたしまして、できるだけそういう場面に立ち至った企業の失業者を表に出さない、失業を出さないように予防し、そして円滑な再就職ができるように配慮し、同時に、その企業がいわゆる特定不況業種という指定ができれば、この離職者臨時措置法によってこれまた再就職の道を開くとか、あるいはまた雇用保険によって救済するとか、こういったこと、並びに今後新しい職場につくようにやはり職業訓練の道、ないしは中高年齢者である場合には、この人たちに対してまた別途きめ細かい手当てをする、同時にまた、このような人を受け入れる中小企業に対して助成をして中高年齢者の雇用の促進を図っていく、こういったことをいろいろきめ細かく配慮していく準備を現在整えておるわけでございます。
  88. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 農林大臣いないから、農林省政府委員で結構ですが、いま聞きましたね。今度の十ヵ年の減反というのは、水田の面積でどの程度カットすることになっているんですか。四十万ヘクタールは何%。
  89. 野崎博之

    政府委員野崎博之君) 約一三%程度でございます。
  90. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 一三%ないし一四%のカットになるんですがね、いま労働者には労働大臣が言うような立法措置で裏づけがされる、農民にはなぜそういうことがやれないんですか。
  91. 野崎博之

    政府委員野崎博之君) 今回の転作に当たりましては、稲作よりもっと収入のあるものもございますし、それから収入の低いものについては稲作並みの所得が確保できるように奨励金の面等でも考慮をする、あるいは先ほど大臣がお話し申し上げましたような稲作転換特別対策事業、そういうようなことを通じましていろいろ所得の補償をやりたいというふうに考えているわけでございます。
  92. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 政府委員、よく聞きなさいよ。労働者側に対して労働大臣が言ったようなことを農民にはどういうふうに行うんですかと、行わなければなぜ行わないんですかと、こう聞いているんですよ。それを具体的に言ってください、転作の問題を含めて。離職者にはどういう教育をするの、野菜が腐ったらだれが買ってくれるの。
  93. 野崎博之

    政府委員野崎博之君) 先ほど申し上げましたように、農業者に対してはその所得が低下しないように十分措置するつもりで……
  94. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 どういう手当てをするの。
  95. 野崎博之

    政府委員野崎博之君) したがいまして奨励金の面等で十分考慮をいたしまして、農家の所得が減らないような配慮をいたす……
  96. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 法的裏づけあるの。
  97. 野崎博之

    政府委員野崎博之君) いや、別に法的な裏づけというものは……
  98. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 雇用安定資金のような法的裏づけあるんですか、転作で失敗した人に。労働者は雇用安定資金あるんですよ、いまちゃんと労働大臣が言ったとおり。離職者は……
  99. 野崎博之

    政府委員野崎博之君) いや、法的な根拠はございませんが、とにかく農家の補償が……
  100. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 あるんですか、ないんですかと聞いているの、私。労働者に雇用安定資金があるように、転作農民にはどういう補償とか裏づけがあるんですかと聞いている。
  101. 野崎博之

    政府委員野崎博之君) 別に法的なその補償はございませんけれども、われわれは予算面で、そういう奨励金等の面でそういう補償をいたしたいというふうに思っておるわけでございます。
  102. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃ予算面でどういう裏づけがあるんですか。
  103. 野崎博之

    政府委員野崎博之君) 奨励金で千九百六十六億、それから稲作転換特別対策事業で百二十億、そのほか、これは農民に直接関係がございませんが、推進費等をひっくるめまして二千百十二億という予算を組んでおります。
  104. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 その二千百数十億の金は農民に発言権あるんですか、転作農民に発言権あるんですか。だれが決めるんですか。
  105. 野崎博之

    政府委員野崎博之君) いまの奨励金は転作をした農家に金が行くわけでございます。
  106. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 あなたそこにいなさい、ちょっと。  労働者の方は雇用安定をきちんとやって、労使で協議をすれば申請できる、あるいは離職者職業訓練法がある、あるいは中高年齢の措置法がある、これ全部立法措置として、おのおのの問題についてそれだけおのおの補償するというんですよ。そういうふうに労働者の方はきちっとされている。しかし、いまおたくが言った二千何ぼの調整金だって、農民はどういう手続でやるかということについては、転作した者だけと言っているだけであって、この一四%にかかわる皆さんに対する法的な措置はないんでしょう、法的な補償ないんでしょう、いま。
  107. 野崎博之

    政府委員野崎博之君) 法的な措置というものは別にとっておりません。
  108. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 なぜ農林省は、これだけの大事業をやるのに、そういう法律をもってこれを補償するという、時限立法でもつくって補償するという温かい農政がとれないんですか。
  109. 野崎博之

    政府委員野崎博之君) これは従来もいろいろ申し上げておるわけでございますが、やはり従来からも農業団体なり地方自治体の意見を聞いて、各農民の理解と協力のもとに進める、そういう意味での誘導措置でございますので、法的にはなじまないということで、理解と協力のもとでやってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  110. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 理解と協力と言ったって、結局、おたくの方は失敗しているんでしょう。失敗をしておるから、今回大蔵大臣から二千億近くの金をもらってやろうというならば、それならそれらしく私は特別立法なり時限立法をつくってきちっとやるというぐらいの姿勢はあっていい、こう思うんですが、どうですか。
  111. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 御指摘のように大事な仕事でございますから、法律によってやるのがいいではないかという議論が一方にございます。しかし、私どもは法律によるのが適当でない、こういうことを法律で義務づけをして押しつけるやり方はむしろなじまないのではないか、それよりはあくまでも理解と協力と話し合いによってみんなが努力し合ってやっていくという方がいいのではないか。あえて法律的根拠を求められれば、農業基本法第二条で、生産を強くしていくもの、あるいはだんだん作付の転換を行うもの、こういうことを農業基本法でやることになっております。これを受けまして第四条に、第二条のこういった転換や増産を行うものの実施に当たっては、必要な法的措置を講じなければならないと。必要がある場合には法律を講じなければなりませんが、この場合は法律よりはむしろ皆さんとの話し合いでやることが第二条を生かす上においていい、こういう考え方のもとにこのたびの生産調整、作付転換をお願いしているわけでございます。
  112. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 農林大臣ね、その農業基本法の二条、四条の論争は、川俣委員との論争をずうっと一部始終三回ほど読ませていただきましたから、それはわかるんです。それよりも、現実的に労働者の方は構造不況ということで、いろんな点で企業も労働者も法的な裏づけをして補償されている、予算の裏づけもあると。さすれば、農家の方々についてもやっぱりこういうものについてはきちっとした、労働者と同じようなやっぱり安心して転作できる、失敗した場合においても法がこれを補償してくれるという、そういう安心感の中に君たちはどうだと、ごう言って話をする方がよほど現実的でしかも建設的ではないのか。行政行政で、その都度、大蔵大臣が理解があるから二千億くれたけれども、大臣かわればゼロになるかもしれませんよ。あるいは今度中川さんが大蔵大臣にでもなれば一兆円ぐらいつくかもしれませんけれども、そういうふうなふわふわじゃなくて、やっぱりこれだけの仕事をやるならば特別立法、時限立法できちっと農民に安心するような補償を与えてやるのが筋道じゃありませんかということを、基本法の四条、二条の問題を飛び越えて、当面の措置として私はどうですかと、こう言っているんですよ、いかがですか。
  113. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 実は、この生産調整もこのたび始まったわけではなくして、やり方、仕組みについては改善はされましたが、金の支払い方法、助成という労働者を守る立場のことの農業者への措置は過去昭和四十六年からやっておるわけでございます。この間、大臣がかわったから不安定であったとか、あるいは改悪されたとかという経験はございませんで、その点に対する農家の御不満というものは実態上ございません。こういったことをやります場合にも、農業団体あるいは知事さん等の御意見も承りましたが、過去、われわれは不安定であったと、生産調整その他奨励金をもらう、われわれを保護してくれる立場に不安定なものがあったというような御指摘でもあればまたこれは配慮しなければなりませんけれども、いかに内閣がかわり、いかに大臣がかわろうとも、過去の実績からいってそういった不安を与えてきておりませんし、今後とも不安を与えないことで御信頼をいただいておるものと、こう思いますし、ぜひ御信頼もいただきたい、こう思うわけでございます。
  114. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 やっぱり農民の皆さんととらえ方の視点が違うから、これは幾ら論争してもだめですね。やっぱり農民一揆でも起きて、もうどうにもこうにもならぬと、こういう時代にでもならなければ、自民党政府は本当に労働者と農民を同じ次元に置いて保護する、補償するということにならぬというように思いますから、私はやはり時限立法でもつくるべきだろうという主張は主張として引っ込めません。今後ともやります。  それから、罰則方式の問題について通牒を出しているんですが、これはどういう従来の指導と意味を持つんですか。
  115. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 従来の通達とは内容は変わっておりませんが、従来の通達は、これを解釈する人が単年度生産調整できなかった分を翌年度に責任を持ってもらうというものは、いわゆる罰則であると文書をもって農家に通達したようなところもございますので、これは罰則という意味ではありませんと、生産調整を円滑に達成するための措置でございますので罰則ではないということを徹底したわけでございまして、従来のことに誤解があったというところを、誤解してもらっては困りますという趣旨の通達を出したというわけでございます。
  116. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 この通達が出てから、私もきのう常磐線の原町の市長選挙に応援に行って、三十数名の農民と会ってきました。やはり農民の受け取り方は、この通牒をもらって、県や市や農協の偉い人のやることはちっとも変わらないと言っていますが、どうします、これは。さっぱり変わらないと、これ一緒だ、いままでと。
  117. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) それは変わってもらったら困るわけなんです。なぜそういう措置を講じたかというと、その年、協力できなかった人の分を翌年一体どうするのかと言えば、協力してくれた人にそれを負担をかけるということは、この対策を実施する上において支障がある。やはりその分はその農家の方に、あるいはその町村に、あるいはその県において責任を持ってやってもらう、そして協力者と非協力者が公平に分担をしてやるということであらざれば、非協力者の分を協力者に乗っける仕組みは協力者の方から非常に異議が出て、もしそれを措置をやめますならば、協力する者はなくなって、協力しないで済むのならば、それはいいということになれば、この仕組みはできないわけでございますので、ぜひともこれを全うするというためには、この措置は当初の趣旨とは変わらないと。ただそれが罰則だ罰則だという伝わり方が伝わっておりますので、罰則を意味するものではない、物をやり遂げる上の最小公正を期するための措置であるということを繰り返して御通達申し上げたというわけでございます。
  118. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃ私の田舎のササニシキの本場の大崎地方には、大臣の意向を受けて転作したいと思っても転作する方法もない、場所もない、こういう農民は一体どうすればいいんですか。
  119. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 先刻来御答弁申し上げておりますように、このやり方は、農林省が一農家、一地域についてどうするという仕組みではなくして、県については県において、町村については町村において責任を持ってもらうということになっておりますので、そういった場合には町村のうちでお話し合いの中で、できるところにやってもらえるように話し合いをする、こういうことで貫いてまいりたい。どうしてもできなかったときにはどうなるかということになれば、それはまた先ほど言った管理転作の方法もありましょうし、いろいろとまた町村内で御相談を願って御協力をいただくということでございます。一地域、一農村について農林省一つ一つ責任を持つという仕組みでは、これまた全体をまとめ上げていく上には実効が期し得ないということでございますので、この点も御理解いただきたいと思うわけでございます。
  120. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 しかし、政府は無責任じゃないですか、通達一本出して、あとは県とか市町村が責任を負えと。私がこの前聞いたらね、大臣がそう言うものですから、転作できない農家は、一俵六十キロ当たり三百円から四百円、農民が金を出して、うちの割り当て分だけ金を出すからひとつ目をつぶってくれ、それで転作ということで県に報告してくれと、こういうことを農民がやらざるを得ないところまで追い詰められているんですよ。山形県もしかり、米どころ皆そうですよ。そんな個々の農家でなくて県だと、県は県で、自治体も苦しいけれども、今度自治体は水田対策特別委員会で予算を計上して、県の苦しい財政から一俵当たり幾らといって計上して、農家が出す金と県が出す金で米にしてえらいところに報告している。こんな地方自治体をいじめる、農民を追い詰めるという点は、私はやっぱり先ほど通産と経済企画庁からいろいろ適度の云々ということがありましたけれども、余りにも私は酷じゃないか、こう思うんですが、そこまでなぜやらざるを得ないんですか、それが私はこの罰則だと思うんですよ。罰則が背景にあるから県知事はそうやらざるを得ない、農民もそこまで追い詰められている。こんな状態は私は決して納得できない、やっぱり脱皮する方策を考えるべきだ、こう思うんですが、いかがですか。
  121. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 過剰生産の責任は国にももちろんございます。しかし過剰生産になったときのミカン農家の実態や、あるいは中小企業の実態の苦しみというものは相当なものなんです。米だって過剰生産になればやはり農家もそれなりの苦しみというものがあって――いいとは言いませんけれども、これはあってはならないんだと、恐らくはかの農作物に比べて過剰生産のときに反四万から七万ですね、しかも税制上の優遇措置を講じた施策というものはほかの農政、ほかの中小企業に比べてこれほど恵まれたというか、やるだけのことをやっているところはないと私は思うんです。  でありますから、これがもう政府の過酷なことによってどうどうではなくして、やはり農家みずからの問題であり、他の業に比べるならば相当政府も、主食であり食管をしているというだけに、他の農作物に比べて見られないだけの力を入れているということも御理解をいただいて、したがって、いま言った二百円とか三百円とか耕作農家が出すという仕組み、これはソ連あたりで減船になりまして、これも大変ではございますが、減反と同じように船をやめる方が出てくるわけです。この場合でも共補償というのをやって、そしてお互い残る人とやめていく人とのバランスをとるという仕組みもございますので、それを決してやってくれと奨励するわけではありませんけれども、あったからといって、あながちこれが悪いことだということではないのではないかと思いますし、まあよけいなことを言うようですが、アメリカあたりでも麦の生産調整をやっております。その場合は生理調整された者の手当ては全くしておらない、生産調整をしてくれた人の生産をされた分についての価格ははっきりめんどうを見る、こういう仕組みをやっておるのでありまして、生産をされた分について四万から七万、それだけじゃなくて、先ほどの百二十億による対策事業あるいは通年施行と、きめ細かくやっていることも御理解をいただいて、これを実効あらしめたい。そのことがまた食管を守るゆえんでもあり、農家の皆さんのためでもある。これがだらだら余ってまいりますと、やがては農家の皆さんにも被害がこうむってくることだと、こういうふうに御理解をいただきたいものだと思っておるわけでございます。
  122. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そういう大臣の言うことと私の言うことがどっちが本当かは、いずれまた選挙という試練を浴びて、自民党に対する批判が出るんでしょうから、それはまあそれを待ちましょう。私はまだ納得できません。  それから、消費拡大であるとかいろんな手があると、こういうふうに言われておりますが、わが社会党の農水の皆さん方が専門的に研究して米の生産調整に関する具体的対応ということと、それから消費拡大について、それから耕地利用率の向上、裏作導入の問題点など四点ほど社会党の方からおたくの方に出しておるわけでありますが、これに対してどういう見解をお持ちですか。
  123. 澤邊守

    政府委員(澤邊守君) 社会党の考え方としてお聞きしておりますのは消費拡大についてでございますが、まず一般的な消費拡大を図りますために、米を食べる国民的な運動を展開いたしまして、その分につきましては三五%の値引きをするということによりまして現在よりも主食の消費を百万トンふやす。それから学校給食を二十万トン行う。海外援助を三十万トン、それから酒米の使用量の増二十万トン、合計百七十万トンというように、最近の案ではそういうふうになっておるというように伺っております。  この点につきましては、まず最初の一般的な消費の拡大百万トンでございますけれども、これは値引きを行いました場合に、従来の価格で消費しておりますものが果たして一気にその分だけ全部ふえるかという点につきましては、私どもといたしましては、従来の消費が値引き分に置きかわる部分が非常に多くて、純増百万トンというのは非常に困難ではないかいとうように思っております。  それから学校給食の二十万トンにつきましては、私どもといたしましては、来年度四万五千トンの米飯による学校給食を行う計画を立てておりますが、一気に二十万トンというのはなかなかむずかしいのではないか。五十六年までに約十一万四千トン、これは玄米ベースでございますが、予定をいたしまして、来年度四万五千トンという計画を持っておるわけでございますが、やはり受け入れ体制、機械、施設の問題あるいは人手の問題あるいは嗜好の問題等がございますので、私どもといたしましては漸進的にこれを進めたいということでございますので、一気に二十万トンというのはなかなか困難だというふうに思っております。  海外援助につきましては、海外援助を行うことを目的といたしまして国内生産をやるというような御趣旨であるならば、私どもといたしましては、財政負担の問題、あるいはタイ、ビルマその他の輸出国との関連、あるいは援助の効率の問題等からいたしまして、否定的に考えざるを得ないというように思っております。ただ、前回もやりましたことでございますけれども、現在過剰米を持っておりますので、過剰米の援助輸出といいますか、そういうことにつきましては、今後他の問題とあわせて検討をしていく必要があるのではないかというように思っております。  酒米二十万トンにつきましても、学校給食と同じように、考え方といたしましてはそのような努力農林省といたしましても続けていきたいと考えておりますけれども、一気に一年で二十万トンふやすというようなことはなかなか困難ではないかというように考えております。全部置きかえるといたしますと、確かに四十万トンぐらいふえることになりますけれども、これは受け入れ体制あるいは酒に対します嗜好等も考えながら、漸進的、段階的に無理なく行うということを考えておるわけでございます。
  124. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうしますとね、一気に行うことは無理であっても、段階的、計画的にやれば、ある可能性はあるんだということと受け取っていいですか。
  125. 澤邊守

    政府委員(澤邊守君) 方向としては、私どもは、段階的、漸進的に持っていきたいと思いますが、ただ社会党案の中で問題と思いますのは、第一の百万トン三五%値引きすることによりまして百万トンの主食としての消費の増を図るということにつきましては、非常に疑問だというように考えております。一般的な消費の拡大、米に対します認識を改めてもらうというようなことを通じまして、主食として一般的な消費をふやしてもらうための努力はしたいと思いますが、値引きによりましてやるということにつきましては非常に疑問に思っております。  他の対策につきましては、先ほどお答えいたしましたように、数字の目標自体は私どもとしては過大と言わざるを得ませんが、そういう方向で漸進的、段階的に持っていくことにつきましては、特に問題はないというふうに考えております。
  126. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 冒頭、東南アジアに三千九百万トンの米が一九八五年ですか不足する見通しだと、こういう米不足の現象もあるんですから、農業技術的に開発するとか、あるいは私が子供のころですが、昔は玄米パンというのをつくってもらって、この玄米パンは中国あたりでも食べる、アジアでも食べるというのと余り変わりがないというくらい食べた経験もあるんですがね、終戦前後を含めて。そういうパンの生産技術なども改良して、やはり海外援助の方を重点に米を活用するという方法論がないものですかね。これは非常に頭のいい宮澤企画庁長官なども含めて考え方を聞かしてもらいたいと思うのですが、ないですか。
  127. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 後で頭のいい人にやってもらって、頭の悪い方がまず申し上げますが、米はいい食糧なんです。ただ、残念なことには東南アジアその他に比べて値段が四倍から五倍高いということなんです。この四倍、五倍高いものを臨時的な援助物資に差し向けることは結構でございますが、これが毎年毎年国民の税金によって食糧援助をやるということが国民が一体承知してくれるかどうか。同じ援助をするならもっと経済合理性のあるものがあるじゃないかと。この値段の問題で非常に困るわけなんです。この辺が解決できて、日本の米価がいまの四分の一、五分の一の国際価格にでも落ちれば、これは援助の方法はあろうと思うんです。これは玄米パンにする方法もあるでしょうし、うどんにする方法もあるでしょうし、粉にする方法もいろいろあると思うんですが、ネックは国際価格に比べて五倍、六倍、したがって五分の四、六分の五の補助を、助成をしながら援助物資に――いかに食糧事情がどうあろうともこれができるか、国民経済的に問題があるというところにわれわれが非常に困り抜いておる点がございます。後ば頭のいい人にまた御答弁を願います。
  128. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 厚生大臣にお聞きしますが、こういう社会施設、老人ホームとかそういう社会施設の方にどんどんこういう、古々米というと失礼ですから、新しい米を、うまい米をお年寄りの方々にどんどん食わせる、そういうことも厚生省段階あたりで考える方法はないものだろうか、いかがでしょうか。
  129. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) いまいい米を食わせたらどうかというお話でございますが、大変ありがたい話でございますけれども、そういたしますと、今度は政府のいわゆる配給米といいますか、一般管理米の方の消費がそれだけ減退をすることになりますので、結局米が過剰で在庫がふえるということについては余り効果がないわけでございまして、決して私ども、社会福祉施設について食糧費を節約をして米を食わせないというような政策をとっておりませんので、むしろいま不満がもしあるとすれば、副食費の方の不満でございまして、主食の方の不満は私どもはないと考えております。
  130. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 時間がなくてなかなかかみ合いません。まあ消費の問題は大きな柱であるという点は私たちも自覚しておりますから、さらに農水委員会などで議論を進めたいと思っております。  最後に、われわれの水田利用の裏作関係ですね。これについてどういう見解を持っているか聞かしてもらいたいのです。
  131. 野崎博之

    政府委員野崎博之君) 社会党案でも水田の裏作可能地の緊急利用を実施せよということでございますし、またそれによって米の自然減収が相当出るではないかというお話でございますが、水田裏作可能地の緊急利用ということについてはわれわれも従来やっておるわけでございまして、水田裏作不作付地解消運動あるいは生産集団の育成、それから水田裏作奨励金の交付、そういうようなことで裏作奨励はやっておりますし、今後も土地条件の整備とか、そういうことでやってまいりたいと思うわけでございます。ただ、裏作導入によって米が相当減収するではないかという点につきましては、これは作期の競合ということがございますが、これは地域によって異なるわけでございまして、九州、四国地方等はほとんど作期が競合いたしませんし、したがって減収になることは余りないわけでございますが、関東では作期が若干競合するわけでございますが、これにつきましても、やはり従来、農家経営の安定を図るため、米麦の一貫経営の導入を図ってきたわけでございますし、麦の早とり品種の育成、あるいは稲の中苗植え、そういうような技術指導もやっておりますので、それだけによってはさほど水稲の減収にはならない。そういうようなことでございまして、やはりそれだけによって水稲の減収に期待するだけではやはり米の過剰というものは解消しない。したがいまして、やはり先ほど来申し上げております水田再編利用対策、そういうものを別途に進めていく必要があろうかと思っているわけでございます。
  132. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 裏作対策もやっぱりほかの穀類をつくるに大事な点ですから、あるいは生産調整を自動的にコントロールできるという機能も持っておるわけでありますから、ぜひ裏作対策については積極的に取り組んでもらいたい、こういう要望を申し上げて、大臣の見解を聞いておきたい、こう思うんです。
  133. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) わが国自給率が非常にまだ十分でない事態でございますから、裏作は大いにこれを促進すべしというので、ここ二、三年前から裏作奨励金あるいは技術指導等をやっております。まだまだ可能面積がございますので、今後とも、米の生産調整にそれほど影響あるかどうか定かではありませんけれども、やはり何らかの生産調整にも影響するであろうと、両面を考えまして、今後とも前向きに積極的にやっていきたいと存じます。
  134. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それから、農林水産関係の残存輸入制限、先ほど二十二とかと言いましたが、これを全部解除すればどの程度の金になるのですか。その割合。
  135. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) 現在ございます残存輸入制限品目、二十二品目の五十一年度の実績を見てみますと、約五億ドルでございます。五億四百ドルでございます。これをすべて自由化をいたしました場合にどの程度の輸入がふえるかということは、これは個別の品目ごとの自給事情なり、あるいはどの程度の国内保護措置を講ずるか等の非常に複雑な要素がございますので、一概にこれを計測することは困難でございますが、先ほど申し上げましたように、五十一年度の二十二品目の輸入制限の品目の実績は五億四百ドルでございます。
  136. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 通産大臣がいないから宮澤長官、この五億ドル程度の問題で、日米交渉で大分ニュース面で農産物がいじめられるんですがね。黒字減らしで五億ドル程度では、これ以上農民をいじめる必要はないと思うんですが、大臣の見解をひとつ聞かしてもらいたいんです。
  137. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 先ほどケネディ・ラウンド当時のことを申し上げましたが、私はそのころから問題にかかわっておりましたので感じることでありますが、いまのわが国の残存輸入制限品目二十七、農林関係が二十二でありますが、この状態は欧米の先進国に比べても私は決して劣った状態ではないというふうに基本的に考えております。農業はやはりどこの国にもそれぞれの問題がございます。あれだけ強いアメリカ農業ですら、やはり実際的にはいろいろな制限をしておるのであります。したがって、私はせんだっての日米の交渉のときにも農林大臣にも申し上げましたし、私の思っておることですが、これは日本がガットの残存輸入制限品目のあり方でよその国に非常に劣っておる、あるいは誠実にガットの規約を守っていないという非難を受ける理由はない。問題は、日本経済全体から言って、もう少し開放的な体制がとれないかという、ややそういう意味での象徴的な問題でありまして、これを自由にしたからといって、日本の貿易収支がそれだけ黒字が少なくなるとか、あるいは日米間の貿易収支の関係が非常に好転するとか、ECとの関係でそうなるとかいう、そういう観点からの問題ではないというふうに基本的に私は考えています。
  138. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 ぜひその基本線を通してもらいたいと思います。  それから輸入関係でちょっと伺いますが、サクランボの輸入をことしの夏からやるというような情報を聞いているんですが、サクランボの関係についてどういう現況か教えてもらいたい。
  139. 野崎博之

    政府委員野崎博之君) サクランボにつきましては、アメリカからの例のコドリンガの問題がございまして、従来検疫上輸入禁止してきたわけでございますが、アメリカから四十六年以来非常に強い要請がございまして、四十八年からコドリンガの殺虫開発試験を実施いたしておりまして、その試験の状況を刻々わが方へ送ってきたわけでございます。これに対しまして、農林省といたしましても専門家を現地に派遣いたしまして、いろんな向こう側の実験成績等も調べたわけでございますが、その結果、コドリンガの完全殺虫というものができるという判断をせざるを得ないという段階に達したわけでございます。したがいまして、昨年の十二月に公聴会を開催いたしましてそれらの事情を話し、いろいろ御意見を聞き本年の一月に輸入禁止を解禁いたしたわけでございますが、解禁に当たりましては国内のサクランボの影響等を十分考慮いたしまして、輸入の時期を七月一日からとする。特に解禁当初は七月五日以降にするというようなことで、向こうとの了解を終えておるわけでございます。
  140. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 山形県が主産地ですけれども、山形県にどのくらいの面積のあれがありますか。
  141. 野崎博之

    政府委員野崎博之君) 五十二年の栽培面積は全国で二千八百三十ヘクタールでございますので、その約七割程度でございますから約二千ヘクタール程度でございます。
  142. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 その面積のうち、政府の指導で転作でつくった面積はどのくらいありますか。
  143. 野崎博之

    政府委員野崎博之君) 全国ベースで見ますと約六百ヘクタールでございます。転作関係でございます。
  144. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 山形は何ぼだかわからないですか。
  145. 野崎博之

    政府委員野崎博之君) 山形は、その大部分が山形でございますので、約五百ヘクタールぐらいと考えております。
  146. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 農林大臣、サクランボは、四十七年政府の指導で稲作転換でやったのがいま言った約五百ヘクタール。それを今度サクランボの輸入でまたパアされちゃうんですよ。それは昭和四十七年ですよ。政府の言うことを聞いてやっと転作してサクランボをつくったのに、サクランボを輸入したらパアになっちゃうんです。こんな目の変わる農政ではたまったもんじゃないと、こういうことがあるんですが、これはどういうふうに手を打つんですか。
  147. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) サクランボは実は今回自由化したんではございませんで、御承知のように昭和三十五年に自由化しておりました。ところがコドリンガという害虫がおって、それが日本に入ってきて日本に害を起こすというところから、これをコドリンガの面で禁止をしておったわけでございます。ところが、アメリカ努力をしてコドリンガについて消毒はもうきちっとできたと言われて、それでもなおかつだめだという理由はないわけでございます。しかし転作等日本の農業にも大きな位置を持ち、また関係がございますので、輸入時期について調整を図って、山形を中心とするサクランボ耕作者に支障を与えない調整を行って解禁をしたということでございますので、どうかひとつ、今回政府が自由化したというようなことで誤解をされませんように、また輸入時期で支障を与えない配慮もしておる、こう御理解をいただきたいわけでございます。
  148. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃ、これは厚生省か農林省か知りませんが、害虫コドリンガの問題についてなぜ農民が納得できるように公表して説明しないんですか。公表しないでしょう。
  149. 野崎博之

    政府委員野崎博之君) 公聴会を開きまして、生産者側の方も出ておられますし、その席で御了解を得た次第でございます。
  150. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それは公表したんですか。中身は公表したの。具体的に資料をもって山形県の農民に教えたんですか。
  151. 野崎博之

    政府委員野崎博之君) 公表いたしております。
  152. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 いつ。
  153. 野崎博之

    政府委員野崎博之君) 公聴会の済んだ後でございますから十二月から一月……、一月に……
  154. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 去年の。
  155. 野崎博之

    政府委員野崎博之君) そうです。
  156. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃ公聴会で具体的に資料提示したものを下さい。
  157. 野崎博之

    政府委員野崎博之君) 資料提出いたします。
  158. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 害虫問題はこれでやめます。ただ、農民としてせっかく稲作から転作しても、結局オレンジ戦争と同じように、いま価格は安いけれども、後十年もたてばやっぱりアメリカ産のサクランボが第二のオレンジ戦争になってしまうという点で非常に不満を持って、政府の言うことは聞けないということを言っておることだけは表明しておきます。  それから最後に、私はきょう新聞を見たら、林野の白ろう病に対する、政府か法務省か一切不起訴処分にするというニュースが出ておったんですが、この内容を教えてもらいたいと、こう思うんです。
  159. 伊藤榮樹

    政府委員(伊藤榮樹君) ただいま御指摘のは、昨日の新聞に出ておったケースだと思います。昭和五十一年の十月に最高検察庁に対しまして元林野庁長官など二名について告訴、告発がなされたのを初めといたしまして、全国十五の検察庁に対していわゆる白ろう病の関係の告訴、告発が出ておりました。その言うところは、林野庁長官あるいは各営林局長その他の人たち、いわゆる管理職の側の人たちが共謀いたしまして営林署の作業員に対してチェーンソーを操作させ、もって作業員に全治不明の白ろう病の傷害を負わせたという傷害罪の告訴、告発でございました。  これに対して、ただいま申し上げました最高検察庁へ告訴、告発のありました事件は東京地方検察庁へ移送になりました。全国十五の地方検察庁で鋭意捜査を遂げました結果、去る三月二十日、告訴、告発に係る傷害罪の成立は認められない、なお、念のため業務上過失傷害罪は成立しないか検討してみたけれども、成立を認めることができないという理由で一斉に不起訴処分をした次第でございます。
  160. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 このチェーンソー使用に当たって、農林省が試験所にデータ試験さしてその報告書が農林大臣に来ておるわけですが、私は社労委員会でこの質問をしたら、現在検察庁に事案が行っているから答弁できないということで答弁を拒否されたんですが、この試験所のデータと内容についてここで明らかにしてもらいたい。これは検察庁でも農林省でも結構です。
  161. 藍原義邦

    政府委員(藍原義邦君) いまの先生御指摘のデータと申しますのは、試験所でやっております振動機械の振動数のデータであろうと思います。それにつきましてはただいま持参しておりませんので後ほどまた提出いたしたいと思います。
  162. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 内容は覚えているでしょう、長官だから、私が質問したんだから。
  163. 藍原義邦

    政府委員(藍原義邦君) これはチェーンソーの振動が三G以上になるものと三G以下になるものと試験所でチェックいたしておりまして、三G以上であるものを公表いたしておりますし、三G以下のものも公表いたしまして民間でできるだけ三G以下のものが使えるような指導をしておると、こういうデータでございます。
  164. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 その前のやつ、林野庁が初めて使うときの。林野庁が初めてチェーンソーを使う前、一番最初だ。
  165. 藍原義邦

    政府委員(藍原義邦君) いま先生御指摘の一番最初のものにつきましては、申しわけございませんけれども私は記憶いたしておりませんので後ほどまたお答えいたします。
  166. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 裁判をやってからでないと発表できないというのがなぜかわからない。裁判でちゃんと不起訴処分に決まったじゃないか。林野庁にあるだろう、一番古い書類の中に。一番古い書類だよ。
  167. 藍原義邦

    政府委員(藍原義邦君) いま御指摘の一番古い資料につきましては、ただいま私は手元に持っておりませんので、後ほどまた持ってまいりまして、先生に御提出したいと思います。
  168. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 きょうこの問題で質問する、白ろう病の問題で質問すると言ったら、社労委員会で私が質問して、林野庁長官答弁した議事録ぐらい自分で勉強して、準備してくるべきですよ。当然じゃないですか、社労委員会でやったんだから。それが重大な影響があるんだよ。
  169. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 社労委員会で答弁をせられた内容についてと、こういうことです、林野庁長官が。
  170. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 前の長官が……。
  171. 藍原義邦

    政府委員(藍原義邦君) ただいま先生御指摘のやつは、前の社労で前長官答弁した振動障害に関しましてのチェーンソーの振動の測定の問題だろうと私思います。
  172. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 あんたたちが、林野庁がチェーンソー導入に当たって、そのチェーンソーの振動試験をやったでしょう、林野庁自体が。それは当然でしょう。その振動試験の報告が林野庁の方に来ておったでしょう。裁判の告訴状のおたくの弁明の一番前に載っておったじゃないですか。
  173. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 速記をとめてください。   〔速記中止〕
  174. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 速記を起こして。
  175. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それが出てこないと、きょうの不起訴決定が、どうも、その関係をちょっと聞きたいと思ったんでね。(「後へ一分残して」と呼ぶ者あり)はい、いいです。それじゃ資料を集めてから。
  176. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) それでは、目黒君の質疑は残余もないのですけれども、以上で一分留保いたしまして、本日はこれにて午前中の質疑を終了いたします。  午後の質疑は、一時間後の十二時五十分から相沢君の一般質疑を行います。それまで休憩いたします。    午前十一時五十二分休憩      ―――――・―――――    午後零時五十七分開会
  177. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 予算委員会を再開いたします。  昭和五十三年度総予算三案を一括して議題といたします。  都合により、午前中留保いたしました目黒君の質疑を行います。目黒君。
  178. 藍原義邦

    政府委員(藍原義邦君) 午前中は先生の御質問に対しまして答弁できませんで、失礼いたしました。  実は、先生の御質問が、私どもの試験場の試験結果かと、詳しいデータかと思いまして、その点勘違いいたしまして申しわけございませんでした。先生御指摘のデータ、資料は、試験場の作業研究室がございますけれども、そこが昭和三十四年に出しました現場の作業員からアンケートでとりましたチェーンソーを使った場合の労働軽減その他についてのいろいろなアンケート調査のまとめでございまして、当時、手のこからチェーンソーに切りかえる林業としては大きな変換期でございまして、チェーンソーを使った場合にどういう労働軽減があるか、労働疲労があるか、そういうアンケート調査をやった試験報告が試験場にございます。
  179. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 すれ違うようですから、じゃ、現在の白ろう病の認定患者と、白ろう病で入院して死亡した方は何名いますか。
  180. 野原石松

    政府委員(野原石松君) 振動障害いわゆる白ろう病に対する労災補償につきましては、先生御承知のように、労働基準法施行規則第三十五条第十一号に該当する職業性疾病ということで補償を行っておりますが、この認定業務を迅速かつ的確に行うために、実は昨年従来の認定基準を廃止いたしまして、新しく振動障害認定基準を設け、その周知徹底を図っておる次第でございます。  民有林の場合でございますが、白ろう病に対する補償件数は逐年増加しておりまして、昭和五十一年度における新規の受給者は約九百名、昭和五十一年度末における療養継続中の方は約千五百名ということになっております。  次に、死亡とか治癒の件数という御質問でございますが、実はこの振動障害の症状と申しますのは、御承知のように、季節の変化等に伴いまして療養の中断あるいは継続の繰り返しといったことが多く見られ、実態の把握が非常に困難でございます。私どもの方で現在把握しておりますのは、死亡が三件、それから不幸にして途中で自殺された方がこれまた三名ということになております。  なお、国有林の場合には、これは所管が別でございますが、私どもの方で承知しておりますのは、この方は実は逐年減ってきておりまして、昭年五十一年度における新規の患者数は約二百名、昭和四十年度以降の累計の患者数は約三千百名というふうに承知しております。なお、国有林の関係で療養中死亡された方は五名というふうに承っております。
  181. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、いま言ったとおり、振動病で亡くなっている方、あるいは自殺した方、蒸発した方、こういう方が発生しているんです。そうして、いま林野庁から説明があったのですが、私も言い方が悪かったが、刑事局の方にお伺いしますが、林野庁がこのチェーンソーを使う際に、内部で試験をやった、その試験をやった結果、この機械は振動病発生の憂えがあるから十分に対策が必要だと、そういう報告書を出しているわけでありますが、それは十分確認されたかどうか、法務省の方にお伺いします。
  182. 伊藤榮樹

    政府委員(伊藤榮樹君) 白ろう病に関連のありますすべてのデータ等を綿密に調査検討の結果、結論を出したように聞いております。
  183. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私が言ったもろもろについても調査をしていると、こういうふうに確認をしていいですか。
  184. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 目黒君、時間が来ました。
  185. 伊藤榮樹

    政府委員(伊藤榮樹君) 捜査の具体的内容につきましては、一々御報告を申し上げるのを差し控えさしていただきたいと思いますが、御質問のような趣旨もすべて調査しておるものと思っております。
  186. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 林野庁は、チェーンソーの白ろう病防止の具体策を打ったのはいつですか、労使協定を結んだのは。
  187. 藍原義邦

    政府委員(藍原義邦君) 労使間で協定を結びましたのは、四十四年でございます。
  188. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 三十八年から四十四年まで六年間、どうしておったのですか。
  189. 藍原義邦

    政府委員(藍原義邦君) 私どもといたしましては、労働軽減のためにチェーンソーを入れましたけれども、チェーンソーにつきましては先生御存じのとおり諸外国でも十分使っておりましたし、また導入する時点におきましても十分その辺の調査をして導入いたしております。その間、いま先生はどうされたかというお話でございますが、一時訴え者がございました場合にも、長野営林局等におきましては、医師に十分その辺を診断させまして判断をし、十分対応してまいった次第でございます。
  190. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 チェーンソー使用者から申し出があって初めて手を打ったのじゃありませんか。
  191. 藍原義邦

    政府委員(藍原義邦君) チェーンソーの導入に際しましては、先ほど申し上げましたように、十分諸外国の実情その他を調査いたしまして、その当時におきましてはこういう問題は全然考えられないという判断もございましたし、また、そういう問題もないという判断で導入したわけでございますし、その後につきましては、そういう問題についてそういう訴えがあった者につきましては十分医師の判断等を聞きまして対応をしてまいった次第でございます。
  192. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私が言ったのは、チェーンソーの労働者から申し出があって初めて手を打ったんでしょう。おたくの方から積極的に打ったのじゃなくて、申し出があって初めて手を打ったんでしょう。大変な重大な証言だからね。おたくの方から積極的にやったのか、労働者から言われておたくが手を打ったのか、どっちなんです。
  193. 藍原義邦

    政府委員(藍原義邦君) 私どもの方も十分その辺の調査をいたしまして対応いたしておりましたし、労働条件その他につきましては当然労使の間でいろいろ協議をいたしまして労使間で協定した次第でございます。
  194. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そんな回りくどいことを言わないで、私が言ったことに単刀直入に。チェーンソーを使っている人から申し出があって初めと手を打ったんでしょう、どっちなんですか。長野の方から言われて初めて手を打ったんでしょう、林野庁は。そこが大事なことなんです。
  195. 藍原義邦

    政府委員(藍原義邦君) 先ほど申し上げましたように、長野営林局あたりでそういう話がございまして、それについてはわれわれとしても医者と十分協議し対応いたしましたし、その後組合の方から要求がございまして、その間労使間でいろいろ協議をし決めたものでございます。
  196. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 目黒君、時間が来ておりますから簡単に。
  197. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 結局、労働者側の方から言われて手を打ったのであって、その事実関係はまだ不満がありますから、分科会で追及します。  終わります。(拍手)
  198. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 以上で目黒君の一般質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  199. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 次に、相沢武彦君の一般質疑を行ないます。相沢君。
  200. 相沢武彦

    相沢武彦君 最初に、円高対策について宮澤経企庁長官と村山大蔵大臣にお尋ねいたしますが、宮澤長官は十八日と二十日の予算委員会でやわらかいローザ構想を提唱されて、大蔵大臣もそれについては賛意を示されたのですが、きょうの午前中の記者会見で宮澤長宮はこの為替安定構想についてアメリカにそれとなく伝えてあると、こう言われたそうなんですが、その真意をお聞きしたいと思います。  また、宮澤長官の構想は、円、ドル、マルクのみでなくて、ポンドやスイスフランまで含めたお考えであると思うのですが、そういう理解でよろしいですか。  さらに、この構想は、五月上旬の福田・カーター会談でも話されるということなんでしょうか。
  201. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 先週戸塚委員に申し上げたことに関してでございますけれども、私が考えておりますことは、ローザ構想というようなことになりますともうすでに一つの非常に固まった物の考え方に聞こえますが、そういうことではございませんで、その前段の問題として、こういうふうに各国でドルをめぐって激しい為替の変動があるということ、しかも投機筋が明らかにそれに関与しておるというようなことは、単にわが国とか西ドイツとかスイスとかフランスとかいう国ばかりでなく、基軸通貨の国であるところのアメリカ自身にとってもお互いにこれは困ることではないだろうか、したがって、こういう現在のような状態はお互いに迷惑な状態であるというふうに考えるかどうかというその基本のところについて、そろそろそういう認識の一致ができるのではないかということから、もし、そういう認識の一致があるのであれば、それならば最小限この際お互いに何ができるだろうかという話し合いに入れるはずでございますが、その前段に、認識の問題として、そのような考え方が主要通貨国の間で共通になるかどうかということを見きわめる段階ではないかと、そういう可能性が私はあると思うものでございますから、それであったら一番緩い形でお互いにどういう共同の努力ができるであろうかということを考えてみてはどうか、こう申し上げておるわけでございまして、したがって、それはもう現状から考えますと固定相場というようなことは現実的ではないと思いますし、ローザ構想と伝えられるものにしましてもかなりはっきりした一つのそれこそ構想というような固い部分を含んでおるわけでございますけれども、そういうふうに答えをまず出しませんで、いまの認識でお互いに一致ができるかどうか、できるのであれば、それならば最小限何が共同にできるかということを考えてみてはどうかと、そういう趣旨でございます。
  202. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 国際間の通貨当局間の密接な連絡は絶えずとられているわけでございまして、それらをずっと通観しておりますと、やはりだんだんいま言ったような具体的にどういう方策をとるべきかというところまではなかなかいかぬわけでございますけれども、いまの状態は非常に困った状態であるということにはだんだんその機運は出てきているように思うわけでございます。具体的に申しますと、固定為替相場は望ましいけれどもそれはとうていとれない、これは恐らく各国一致していると思います。それからいわゆるローザ構想が出ましたけれども、ローザ自身が、自分が言ったことが非常に意外な方向にとられているということを本人自身も言っておりますし、各国でも伝えられたようなそういうターゲットゾーンをつくるということは条件が熟していないということは、恐らく日本、アメリカ、ドイツのみならず各国ともほとんど一致した認識であるわけでございます。問題の中心は、いまの為替相場の変動というものが経常収支を含む国際収支で動くとはいうものの、しかし、それはまた同時に、そのときどきにおける為替相場の変動とも無関係ではない、相互に相関係し合っているわけでございますから、通貨価値安定のために、特にアメリカがやはり基軸通貨としてドルの防衛のために何らかもう一段と力を入れてもらうべきじゃないか、これは大体アメリカを除く国ではそういう方向はずっと出てきておる。そして、アメリカ自身も、徐々にではありますけれども、やはりアメリカも何とかしなくちゃ、それにこたえなくちゃならぬというような認識はだんだん出てまいりまして、いろいろな発言を通じてその微妙な変化がうかがわれるわけでございます。特に、十三日におきまして西独との間にあのような取り決めをしたこと自身が、やはりアメリカのそういう非常に徐々ではありますけれども、その方向に認識が傾いておるということをわれわれは読み取っているわけでございます。そういう意味で、言ってみますと、ローザ構想とかあるいはターゲットゾーンとかということでなくて、それぞれの国がいま何をなすべきであるか、何とかしなくちゃならぬというその機運がだんだん盛り上がり、その意味でだんだん認識が各国がそれぞれの自分たちの分に応じてと申しますか、あるいはやり得る範囲で何とかしなければならぬという機運あるいは認識がいま醸成されつつあるというふうに判断しているわけでございますので、さらにそういう認識を一段と強めるために、つまり認識の一致の方向を見出すために、さらにいろいろの努力をしてみたいと。その認識が一致いたしますれば、おのずから各国がそれぞれの立場で次に一体どういうことがあり得るかという問題が当然出てくるわけでございますから、まずその認識を固めること、その機運がいま出つつあると、かように思っておるところでございます。
  203. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 関連質疑を許します。多田君。
  204. 多田省吾

    ○多田省吾君 先ほど相沢委員の質問に対して全部お答えになっておられないようでございますし、また、最近の円高に対して日銀・政府は公定歩合の引き下げあるいは短資流入の規制強化をやりましたけれども、かえってそれが策を出し尽くしたのじゃないかということで投機に火をつけたようなかっこうになっております。さりとて貿易管理令の発動や輸出規制もできない。また、大平幹事長がおっしゃるような固定相場制への復帰はとんでもないことだということで、せっぱ詰まって宮澤経企庁長官が私見ではあるがと断ってこういうやわらかいローザ構想の御意見を出されたのだと思います。そしてまた村山大蔵大臣も賛成されたのだと思いますが、私がお聞きしたいのは、もうすでに私見と言っても村山大臣も賛成されておられることでございますから、これが一つの政府の考え方になっておられるのじゃないかということ、総理も否定はなさらないのじゃないかということですね、それが一点。  もう一つは、いま両大臣がおっしゃったように、これを何とか認識の段階で各国にもお話ししたいような、認識で一致したいようなお考えでございますし、また、宮澤長官は可能性ありとおっしゃっておられるわけです。ですから、宮澤長官としては、きょうの報道のように、それとなくアメリカにこれを伝えてあるのかどうか。また、いろいろな国際会議場の場所で、IMFとかその他の国際会議場の場所で、国際間の合意を求めるために積極的にこれを努力するのかどうか。また、アメリカも、最初はローザ構想に反対していたわけでございますが、それに乗ってくる可能性があるのかどうか。その辺をもう一回両大臣からお聞きしたいと思います。
  205. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) せんだってもちょっと申し上げましたが、以前の段階で、私は、アメリカがマルクに対しあるいは円に対しどう考えておるのかということについて、ある種の疑問を持っておりました。これは申すまでもなく通貨というのはある意味で国と国との利害が一緒でない場合が多い種類のものでございますから、そういう段階があったのではないかというふうに思っておりますけれども、ここに来ましてもう一つ各国の共通の問題として通貨の安定というものが投機筋の動きによって阻害されるということはどの国も困るというのは基本的に一致し得る要素だと思うのでございます。それがそういうことにアメリカ考え方がなりつつあるかどうかというところが私が過去数週間見ておった点でございますけれども、だんだんお互いにほうっておけない、お互いに困るというような認識が出てきつつあるように最近思いますので、もしそうであったらば、共通に何を考え得るかということを議論すべきではないのだろうかということで、私としてはいまその辺を何となく米国側に呼びかけておるということでございます。でございますから、これは日本側の政府として一つの一致した意見になったのではないかというお尋ねでございますけれども、これは各国が認識が一緒になりましたら共同して考えなければならない問題でございますだけに、日本政府がこういう意見を決めたという種類の問題ではやはりないであろう。つまり、何かそういう認識の一致がそろそろ生まれる段階ではないかということを私どもが考えまして、私どもなりにそういう空気の打診をしておる、こういうこととしてお受け取りをいただきたいと思います。
  206. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 私自身は、国会の関係がございまして、なかなか直接アプローチできないのでございますが、通貨当局間は、これは当然のことでございますが、絶えず密接な連絡をとっているところでございます。しかし、それらのことが公になりますことが今日の世界的な為替相場にいろいろなまた影響を与えるわけでございますから、この種のことがごく内々に行われることも世界の常識になっておるわけでございます。そういった過程を通じまして私が就任以来ずうっと見ておりますと、徐々に世界の認識が変わりつつある。特にアメリカ側において、いわば通貨というものは単なる通商の反面である、だから国際収支だけ直せばいいんだというような主張から、逆の意味の問題もあって、特に投機資金の問題がかなり注目を引いておると思うのでございます。したがって、そのあらわれとして出ましたアメリカとドイツの十三日の協定の第一のパラグラフで言っておるところは、共同声明の中で、今日の為替市場の相場が経済の実勢から離れておるということを指摘しているのでございます。このことは、アメリカとしてやはり従来の考え方から少し変わってきておる。アメリカ自身もこの局面においてなすべきことはやはりなさにゃならぬと、こういう認識が高まっておるとわれわれは受け取っておるわけでございますし、また、共同声明に関連して付言した中でも、マルクの安定ということは要するにこれは円の安定にも通ずる問題であるし、それで西独との協定については事前に日本の財政金融当局と十分な連絡をとった上でやっておるということも言っておりますし、また、ニューヨークの連銀を通して円の価値の急激な値上がりに対してわれわれはある種の介入をやっておるということも発表いたしておるのでございます。そういった過程全体を通しまして、だんだんそれぞれがそれぞれの立場において何らかいまの投機的な動きに対して対処すべきであるという認識が高まりつつあるわけでございます。したがいまして、われわれも今後ともその認識をより一層深めるために絶えず接触いたし、その方向でまいりたいと思っておるわけでございますし、また、国際会議等がありまして私なりその他の者が行けるということになりますれば、そういったことをさらに集約して強調し、そしてお互いにとるべき道について認識の一致を一層深める。その認識の一致が深まってまいりますれば、おのずからそれぞれのある種の答えというものが自然にわき出てくるでありましょうし、いろいろな提案が行われてくるであろうと、こういうことをいま期待しているわけでございます。
  207. 相沢武彦

    相沢武彦君 大蔵大臣、円シフトの問題についてもお尋ねしておきたいのですが、円相場の高騰に対処して大蔵省では強力な円シフト促進策を導入する方針を固められたといわれているのですけれども、この円シフトの問題はかねてからの課題であったはずで、いまごろになって急に行うのは一体どういう理由なのか。  それからもう一点、円高防止という意味はよく理解できるのですけれども、問題の本質は、わが国の貿易金融の仕組みがすなわちほとんどドル金融一辺倒の政策だった、ここに欠陥があったのではないかと思うのですが、この点についてどうお考えになっているのか。
  208. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 非常に技術的な問題であり、かつむずかしい問題でございますが、円シフトの問題につきましては、あらゆる角度から検討を進めておることは当然でございます。いつやるかというようなことでなくて、いま何がなし得るか。この間、短期資金の問題につきましては一応の対策を講じたわけでございますが、その上にでも弊害を伴うことなくしてやり得る可能性は絶えず検討していると、こう申し上げたいと思います。
  209. 相沢武彦

    相沢武彦君 次に、外国漁船による沿岸漁業被害と救済対策についてお尋ねいたしたいと思います。  ソ連漁船と韓国漁船に区分して、日本沿岸漁民がこうむっている漁具被害についてどうなっているか、御説明ください。
  210. 森整治

    政府委員(森整治君) ソ連漁船による漁具等の被害は、四十九年ごろが非常に多うございました。それ以後、漁業水域法の施行後、五十二年以降本年二月までの間には沿岸漁具の被害はございません。一部本州沿岸での底引き漁船等の事故がございましたが、それを除いてはございません。  それから韓国漁船による被害でございますが、これは昭和五十年から増加してまいりました。領海法施行前の五十二年の六月までに約千件ということになっております。領海法施行後は大分減少はいたしておるわけでございますが、本年二月末までに約百七十件、約五千万円の被害が発生いたしておるわけでございます。
  211. 相沢武彦

    相沢武彦君 韓国漁船による沿岸漁業被害が領海法制定後も相変わらず続いている理由について述べてください。
  212. 森整治

    政府委員(森整治君) 北海道の沿岸におきます漁場等、ソ連それからアメリカ海域から締め出しを食いました韓国のトロール漁船との競合がございまして、日本側は二百海里の水域の適用につきましては韓国漁船には適用しておりません。そういう事情から北海道においてそういう問題が起こってきたというふうに理解をいたしております。
  213. 相沢武彦

    相沢武彦君 農林大臣、なぜ韓国を適用除外したのか、また、この適用除外の項を削除する時期の見通しはいかがでしょうか。
  214. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) わが国の二百海里領海法は、御承知のようにソビエトとの関連できたものでございます。そこで、韓国側は二百海里をやっておりませんから、韓国と接近をいたしております日本海の西部の地域は二百海里を適用しておらない。同時に、韓国漁船に対しても、韓国が二百海里を引いておりません、領海法を持っておりませんので、わが国も当然のこととして韓国漁船は適用でき得ないと、こういうことでございます。  さて、それじゃ今後どうなるのかということでございますが、これを引きますと、わが国で北海道のようにメリットのあるところもありますが、関西方面、日本海の西部においてはデメリットも大きいというところから、わが国としてどのように対処したが国益上いいかと、こういう判断が残っておるわけでございまして、今後そういったことを研究し検討した上で判断をいたしたいと、こういうわけでございます。
  215. 相沢武彦

    相沢武彦君 結局、適用除外の項の削除の見通しはつかないということで御答弁にならなかったと思うのですが、そうしますと、今後も毎年北海道の沿岸は際限なく漁具被害が繰り返されるということですね。それを政府は手をこまねいて過ごすつもりなんでしょうか。二月の二十一日に札幌で行われた参議院の予算現地公聴会での陳述の中にもこの問題解決の要請が切々と訴えられておりました。私、先日来、太平洋沿岸の登別、虎杖浜、それから白老、この三漁港を訪ねまして実情を調査してきたのですが、関係漁民は口々になぜ北海道のわれわれ零細漁民だけがその犠牲を強いられなきゃならないのか、強い不満と怒りを爆発さしているわけなんですが、現地の沿岸刺し網業者はスケトウ漁をことしは二月二十日で切り上げてしまったんです。三月いっぱいが漁期になっているのになぜ一カ月も早く切り上げなければならなかったのか、この実情についてはどうつかんでおられますか。
  216. 森整治

    政府委員(森整治君) 北海道の太平洋沿岸におきます刺し網、スケトウダラの問題でございますが、漁期は十月から三月までということで、最盛期は十二月から二月上旬までというふうに聞いております。引き上げざるを得ないということにつきましていろいろ意見はあろうかど思いますが、おおむねの漁期がそういうふうになっておるというふうに私どもは理解をしております。  それから先ほどの北海道におきます問題につきまして、われわれ手をこまねいておるわけではございません。韓国の漁船の操業に関しまして、両国の水産庁同士、それの基本的な話し合いをもとに民間でいろいろな話し合いが行われておるわけでございます。問題は、安全操業問題につきましていろいろ話し合いを行っておるわけでございますが、操業の水域の問題につきまして意見調整がまだついておらない。ただ私どもはその主張を漁民を代表いたしまして粘り強く話を続けてまいりたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  217. 相沢武彦

    相沢武彦君 結局、二月二十日で切り上げたのは、どうせ網を入れてもまた韓国漁船に漁具被害を与えられてしまうということで切り上げたわけでして、この一カ月間漁を切り上げる損害というのは大きいわけですね。それから三月一日から解禁になるエビ漁も、被害を恐れてエビかごの支度ができていながら敷設ができないのだと、こういうふうに訴えていました。  結局、漁具被害というのは他産業の施設被害と形態が違いまして、漁具そのものの被害、それから網にかかっていた魚の損害、また、翌日から操業できないことによる損害と、実際に関係漁民の被害は大きいものがあると思うのです。日韓の民間サイドで操業についての協議機関は設けられておるのですが、安全操業と事故防止についての提案が折り合っておらないようですが、水産庁はその事情をどのようにつかんでおりますか。
  218. 森整治

    政府委員(森整治君) 安全操業のルールの設定につきましては、民間でいろいろ話し合いが行われておりまして、また、水産庁でその指導をしておるわけでございますが、去年の十二月から本年の二月にかけまして両国民間団体の予備会議が行われまして遵守事項につきましての協議を行っておるわけでございます。この予備会議におきます安全操業のルールの争点は、底びき網漁船の夜間操業の問題と、向こう側がいろいろ定置性の漁具の設置の方法について注文が来ておりますが、そういう問題でございます。そこで、夜間操業の問題につきましては、当然事故が夜間に多いということから日本側が主張して自粛を求めておるものでございますが、韓国側も一応いまのところ自粛の方向で考えているようでございます。そこで、四月に開かれます民間の会議でこの問題について協議をされることになっておりますので、私どもといたしましては、この点について円満に合意されるよう指導をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  219. 相沢武彦

    相沢武彦君 海上保安庁に伺いますが、夜間操業が漁具被害を大きくしているのですが、韓国漁船が大挙操業している期間、夜間パトロール体制というのをもっと強化できないでしょうか。
  220. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 海上保安庁では、できるだけ巡視船艇と航空機を出して韓国漁船の監視、取り締まりをやっているつもりですが、最近の昨二十一日の状況で申しますと、天売島周辺に五隻、それから宗谷海峡通航中が一隻、それから道南、苫小牧沖に五隻ということでございます。大体道南にことしに入ってから十三、四隻というのが平均の一日の隻数になっておりまして、それから日本海の方は時たまと、こういう状況でございますので、わが方は、道南に巡視船を二、三隻必ず出しておる、それから航空機は一日一回気象が許す限り飛ぶと、こういう方法でやっておりまして、もちろん二十四時間の哨戒で昼夜を分かたずということであります。それから日本海の方は随時ということでありますが、十七日に四隻、それから二十日と二十一日には五隻ずつに、特にこのごろは横幕をつけさせまして、韓国漁船は領海に入るな、それから日本の漁具に被害を与えるな、こういうことで指導をしているという現状でございます。
  221. 相沢武彦

    相沢武彦君 沿岸漁民が漁具被害以上に恐れているのは、資源枯渇の問題なんです。今日まで十数年間、漁業資源回復のためにどんな苦労をし、また、資源保護のために国内規制としてどんな取り決めをしてきているのか、実情について御説明ください。
  222. 森整治

    政府委員(森整治君) 御指摘のように、沿岸の漁業資源の枯渇という問題は非常に重要な問題でございまして、全国そうでございますが、北海道の周辺の海域におきましてもいろいろな漁業の操業が錯綜して行われております。このための資源保護と漁業の調整というためにいろいろな各種漁業の間で話し合いが行われまして、これに基づいて操業が行われてきているわけでございます。特に、沖合いの底びき網漁業と沿岸の刺し網、はえなわ漁業との間では操業上の競合がございまして、民間で協定を結んで、底びき網の禁止だとか、あるいは禁止期間等、いろいろ業界の間で操業の協定を結びながら漁業調整努力をしてまいってきているというのが現状でございます。
  223. 相沢武彦

    相沢武彦君 道の指導漁連が当面一番心配している問題だと訴えているのは、結氷の解ける三月下旬からオホーツク沿岸は毛ガニとニシン漁が始まるのですが、国内規制の十八海里を越えて十二海里まで入り込んでここを韓国トロール船で操業されると資源が一たまりもなくなってしまうと、こういう心配なんです。できれば距岸三十海里に入ってきてほしくない、せめて国内規制の十八海里を韓国にも守らせるように民間ではもうしばしば協議したけれどもだめなんで、政府間交渉で何とか取り決めてほしいのだ、こういう強い要望が出ているのですが、これについて、大臣、いかがですか。
  224. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 私どもも現地からそのような強い要請が出ております。そこで、韓国側にも水産庁を通じてお話し合いをしておるわけでございますが、そういうことになりますれば、結局これは領海二百海里法と同じ規制力を持つわけでございますから、西側においてそういった規制がないままに北の北海道だけそういうことをやるということについては原則的になかなか韓国も了承はしてくれないわけでございます。しかしながら、趣旨は理解できないでもないとして話し合いをして、実質被害のないように鋭意話し合いを続けており、今後も不安のないように、また最善の交渉を続けてまいりたいと、こういうわけでございます。
  225. 相沢武彦

    相沢武彦君 西日本と韓国との民間の取り決めでは禁止水域を決めてやっているようなんですけれども、ぜひ北海道の水域についてもそういう取り決めができるように政府も努力をしていただきたいんです。国内規制を厳しくしながら韓国漁船に対する交渉の努力をなさらないようではやはり関係漁業者は納得できないと、こういうことでございます。ぜひ日韓漁業協定の北海道版を大臣の手でつくっていただきたいと思います。大臣に対しては、支持者、ファンの人は、なかなか勇敢で勇ましい、ぜひやってほしいんだと言うのですけれども、どうですか。
  226. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 韓国との北海道周辺における漁業問題では、いまの水域の問題、それから安全操業の問題、先ほどお話しありました。それと被害をどうするか、補償をどうするか、こういう三つの基本的な問題がございます。安全操業、被害額についてはそれぞれ話し合いを進めておりますし、同時に基本的に大事な水域の問題についても、協定までいくかどうかは別といたしましても、できるだけ地元漁民の意向に沿ったように向こう側の自主規制を強く求めて期待にこたえたいと一生懸命がんばっておるところでございます。
  227. 相沢武彦

    相沢武彦君 ソ連船の被害が頻発したとき、被害対策特別事業を組んだのですが、どんな内容の事業で、効果はどうでしたか。
  228. 森整治

    政府委員(森整治君) 五十年度にソ連の漁船の操業の被害に対します対策事業が行われておりますが、一つは特別資金の融通でございます。もう一つは緊急対策事業ということでございます。  特別資金の融通の事業は、被害を受けました漁業者に対しまして、被害の漁具の購入の資金だとか、生活の資金だとか、そういうものを総額約六億四百万円、末端金利一子五%の融資を行って実行いたしたわけでございます。  それからもう一つ、被害緊急対策事業につきましては、関係の道、県の漁連の中に、国の負担によりまして基金を設置いたしました。これを財源といたしましていろいろな事業を実施したということで、これはそれなりに当時におきます非常に緊迫した情勢の中でこういうことを実施したわけでございまして、一応それなりの効果を上げたというふうに私どもは評価していいのではないかというふうに思っております。
  229. 相沢武彦

    相沢武彦君 確かにこの事業をやったので漁民の感情もやわらいだんです。韓国漁船の被害対策はいまのところ融資対策だけなんですね。これは漁民にとっては借金がふえるだけのものなんです。  そこで、今後特別対策事業を組むお考えがあるかどうか、明確にしてください。
  230. 森整治

    政府委員(森整治君) ただいま、私ども、先ほど御説明いたしましたように、いろいろ韓国側との話し合いを続けておるわけでございますから、基本的な考え方は、こういう漁具の被害の問題につきまして、まあ公海上におきます漁業の被害の問題ですが、基本的には民事の損害賠償ということで処理されるべきものだというふうに考えておるわけでございまして、特別な対策をいま直ちに講ずるということは非常にむずかしいのではないかというふうに思っております。  そこで、いま私ども申し上げましたようにいろいろ両国の話し合いを通じまして、過去の被害の救済措置についても北海道版の委員会を設けまして、そこでいろいろ両国間で過去の被害の救済措置を話し合って処理をするというふうに考えておるわけでございますが、なおいろいろ被害を受けました者に対しまして一般的な融資をするということは、そういう道は開かれておりますけれども、いま御質問のようなお話に関しましては、なお北海道庁とも連絡をとりまして被害者の経営の安定のために何らかの方途がとれるかどうか、これは検討をしているわけでございます。
  231. 相沢武彦

    相沢武彦君 被害対策にソ連漁船のときと差別をつけないようにしていただきたいと思います。  今後の問題として、外国漁船による被害の救済制度というものを確立すべきときが来ていると思うのですが、これについての大臣の取り組みの決意をお聞かせください。
  232. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) ソビエトに引き続きまして韓国漁船による漁船の被害あるいは漁網の被害等が相次いだわけでございます。そして、ソビエトに対しては先ほどの救済措置を講じて対処した。現在は、韓国側と、まず韓国側が補償すべきであるということで話し合いを持っております。しかし、これもいまお話し申し上げたとおり民事の補償ということでございますので、その成果を踏まえた上で今後どうするかを北海道庁とも話し合いたい、こういう基本的態度であり、それらを含めて制度的なものをつくってはいかがか、全体的なものをつくってはいかがかという御提案でございますが、性格が民事補償でございますので、これの恒久的な受け入れ体制というものをつくることが果たして当を得ているかどうか。逆な言い方をすれば、救済制度がありますからどうぞ被害は起こしてくださいというような逆用になっても困りますので、気持ちは十分わかりますので、今後推移を見ながら十分検討してまいりたいと思う次第でございます。
  233. 相沢武彦

    相沢武彦君 被害を受けている零細漁民は非常にに泣いております。大臣も北海道の事情については十分承知のはずなので、今後救済基金の設立ということも含めて漁民の納得のいく対策を十分検討し実施できるように強く要望して、この問題については質問を終わりたいと思います。  次に、銀行の内国為替手数料の問題でお尋ねしたいのですが、本年一月二月にかけて各銀行が一斉に為替の送金手数料の値上げもしくは新設をしたようなんですが、値上げをした都市銀行を、発表日付別に料金もあわせて報告してください。それから地方銀行についてはどうなっているかもお答え願います。
  234. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) お答えいたします。  ことしの一月に入りましてから各金融機関が内国為替手数料の引き上げを行っておりますが、まずその引き上げ幅でございますけれども、他行あての送金手数料につきましては、至急扱いが従来の三百円から四百円に一・三倍になっております。それから普通扱いが従来の二百円から三百円に一・五倍でございます。  それから振込手数料は、同じく他行あてでございますが、普通扱いの場合三万円以上が二百円から四百円に二倍、三万円未満が二百円から三百円に一・五倍でございます。それから自行の本・支店あてでございますが、これは隔地あての場合は百五十円から三百円、送金手数料は二倍になっております。それから同地あての送金手数料あるいは振込手数料でございますが、これは従来徴収しておりませんでしたけれども、送金手数料については百円、それから振込手数料については金額三万円以上が百円、三万円未満が五十円、このようになっているわけでございます。  それからこの実施状況でございますが、個別に申し上げますと、一月の十七日に第一勧銀が実施しております。それから一月二十三日が三井銀行、大和銀行、二月一日が太陽神戸東海、協和銀行でございます。二月六日が北海道拓殖銀行でございます。二月十三日が三和、三菱、住友、富士、埼玉、東京銀行でございます。一方、地方銀行でございますが、二月一日に横浜、群馬の両行が引き上げを実施いたしまして、続いて各行が追随いたしまして、三月一日実施の北越銀行を最後に全部の地方銀行が引き上げを実施しております。
  235. 相沢武彦

    相沢武彦君 公取に伺いますが、いま大蔵省から説明があったように、一月十七日発表の第一勧業銀行を先頭にして、二月の一日、十三日に集中的に値上げが行われております。しかも新料金は同額なんですね。そこに銀行全体の談合あるいはやみカルテルなどの独禁法違反の疑いが持たれるんですが、この件についてはどのような見解を持たれていますか。
  236. 橋口收

    政府委員(橋口收君) いま大蔵省の方から御説明がございましたような事実につきましてはおおむね承知をいたしております。ただ、ほぼ同じ時期に同じ程度の引き上げがあったという事実だけで直ちに独占禁止法違反というふうに断定することは困難であるかと思います。申すまでもないことでございますが、銀行協会が事業者団体の行為として申し合わせを行うとか、あるいは銀行間で協定を行うということがはっきりすれば、これはもちろん独占禁止法違反の問題が生ずるのでございますけれども、われわれ承知しておりますところでは、その疑いはまずないというふうに考えております。
  237. 相沢武彦

    相沢武彦君 この手数料値上げの動きについては、いつぐらいからつかめたんですか。
  238. 橋口收

    政府委員(橋口收君) 私自身というよりは、公正取引委員会事務局でございますが、大体十二月の初旬ごろからそういう情勢をつかんでおったようでございます。
  239. 相沢武彦

    相沢武彦君 もし多少なりとも独禁法違反の疑いがあるとすれば、どの部分に抵触するというふうになるんでしょうか。
  240. 橋口收

    政府委員(橋口收君) 先ほど申し上げましたように、問題は二つあるのでございますが、仮に銀行間で協定をする、申し合わせを行うということになりますと、一定の条件のもとでは独占禁止法第三条の規定に違反するという疑いがございます。それから事業者団体としての銀行協会が行為をする、幾らというふうに決めるということになりますと、これは第八条の規定で、まあ事業者団体の行為につきまして一定の場合に法律に触れるということがございますが、第八条の第一号の「一定の取引分野における競争を実質的に制限する」行為に該当する可能性もございますし、それから構成事業者、つまり協会の構成員である各銀行の「機能又は活動を不当に制限する」行為、この二つに該当する可能性がございますが、ただ細かくなりますが、一定の取引分野というものをどういうふうにとらえるかという問題がございます。これはやはり実質的に判断をする必要があるのでございまして、さらにその一定の取引分野において競争が実質的に制限される状態が現出すれば、これは問題だということでございますから、したがいまして、法律解釈上の問題というものもまだ多少残っているんではないかというふうに考えます。
  241. 相沢武彦

    相沢武彦君 現在まで公取として何らかの調査あるいは事情聴取をしたんでしょうか。また今後どんな態度で臨まれるのか。
  242. 橋口收

    政府委員(橋口收君) 昨年の十二月初旬に、そういう情勢につきまして事務局で掌握をいたしまして、大蔵省の事務当局にも御注意を申し上げたたように承知をいたしております。つまり法律違反のようなことが起こらないようにということを御注意申し上げておるのでございます。  また、実施の過程におきまして、全国銀行協会連合会等からもお話を伺っております。ただ、さっき銀行局長が御答弁になりましたような地方銀行全体についていまはどういうふうになっているかというところまでは、まだ掌握をいたしておりません。  それから、さっき申し落としましたが、昨年改正になりました独占禁止法の規定によりまして、一定の条件に該当します場合には、協定とか共同行為がなくてもこれは同調的値上げの対象になるという規定がございます。これは詳しくは申し上げませんが、一定の条件のもとでございますから、今回の場合は恐らくその条項には該当しにくいと思っております。したがいまして、いわゆる構造規制の対象にもなりにくい。したがって、明らかに独占禁止法違反の事実があるかどうかによってこの問題については決着をつけなければならぬというふうに思っております。
  243. 相沢武彦

    相沢武彦君 この件について、大蔵省は全く関知していないわけじゃないと思うんですけれども、値上げに至るいきさつについて説明してください。
  244. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) お答えいたします。  内国為替手数料は、石油危機以前からずっと据え置かれていたわけでございますが、その後人件費、物件費あるいは印紙税等が二倍あるいは五倍と大幅に高騰いたしましたので、その点銀行の経理にとりましては大幅のコスト割れになっているわけでございます。したがいまして、各金融機関がこの際受益者負担という見地から手数料を値上げして、幾らかでもそのコスト割れの状況を改善したいという動きがあったわけでございます。  これに対します大蔵省の考え方でございますが、為替部門において大幅にコスト割れになっておりますということは、結局その負担を預金あるいは貸し出しの部門で負担していることになっているわけでございまして、本来ならば貸出金利の引き下げというような形で広く利用者一般に還元されるべきものが、内国為替の利用者だけが享受するという形になっているわけでございます。これは銀行経理のあり方としても適正ではございませんので、この際受益者負担という見地から手数料の適正な値上げということは必要であるというふうに考えております。  また、金融制度調査会におきましても同様に、内国為替あるいは自動振りかえのような役務の提供とその利益を受ける者との関係が明確なものについては、受益者負担の見地から適正なコストに見合う料金を取るべきであると、このような議論も行われていたわけでございます。  このような見地で大蔵省は為替手数料に対処しておりまして、個々の金融機関から為替手数料の引き上げにつきまして相談がありました場合には、このような立場から対処いたしますと同時に、物価あるいは中小企業、個人消費者、そのような方々に対する社会的影響も十分勘案しながら適正に処理するように指導しております。  それから、独占禁止法との関連でございますが、これも公正取引委員会からいろいろ御注意もございましたので、金融機関相互間あるいは金融機関の団体においては、この問題は絶対に論議しないように厳重に指導してございます。
  245. 相沢武彦

    相沢武彦君 銀行は顧客から預金を預かって、そのお金を貸し出しして利潤を上げている。銀行をもうけさせてくれているお得意さんの預金に関係のある為替手数料は、本来はサービス業務ではなかったのかと思うんですが、それを今回は一・三倍から二倍の値上げをしているんですが、大蔵省としては、こんな大幅の値上げの何らかの指導をしたということなんですか。
  246. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) 先ほど申し上げましたように、この内国為替手数料のコストを形成いたします人件費、物件費が、あるいは印紙税その他が二倍から五倍の大幅な値上がりをしているわけでございますので、このような背景のもとに手数料の引き上げを算出する場合に、これを一挙に従来のコストに見合うだけの引き上げをいたしますと、これはもう四倍とか五倍というような値上げが必要になるわけでございますけれども、しかし当面の物価情勢、それからいま先生の御指摘になったような預金者への利益の還元とか、あるいは中小企業、個人消費者の立場というような点を考えまして、極力小幅にとどめるように指導いたしまして、その結果、先ほど申し上げましたように一・三倍ないし二倍の引き上げ、こういうことになったわけでございます。
  247. 相沢武彦

    相沢武彦君 為替業務のコストがかかり過ぎているということを値上げの理由にしているんですが、一体コスト計算はどうなっているんでしょうか。大蔵省は明確なものをつかんでいるんですか。五十二年度に銀行に対して種々のアンケートを行ったそうなんですが、その中で、為替業務に限らず原価計算の数値は各個ばらばら、統一した基準がなくて全然使いものにならなかった、こういうことも聞いているんですが、正確な資料はあるのでしょうか。
  248. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) お答えいたします。  為替手数料のコストにつきましてはその各店の取り扱い頻度であるとか各担当者の熟練度であるとか、あるいはコンピューターの利用度、償却の度合いによって非常に違ってくるわけでございまして、一律にこれを算定するのはかなりむずかしいかと考えられます。  で、マクロ的な見方でございますが、都市銀行の場合に為替業務担当者の総人員に占める比率が約九%でございます。この比率で人件費、物件費総額を案分しますと約六百六十億円のコストがかかっておることになるわけでございます。これに対しまして営業収入に占めます為替手数料収入は全体のわずか〇・四%でございまして、全体としても百二十億円にすぎないわけでございます。したがいまして、この六百六十億円と百二十億円をマクロ的に比較しますと、これは大幅なコスト割れと、こういうことになるかと思います。  それから、先生御指摘のとおり個々の銀行について、先ほども申し上げましたように、原価計算をやることは部門別の経費の配賦その他で非常にむずかしいわけでございますが、仮に幾つかの前提を置いて試算した結果によりますと、これはオンラインを利用した振り込みでございますが、一件六百円ぐらいを上回るコストではなかろうかと、このような計算になっております。
  249. 相沢武彦

    相沢武彦君 正確な資料をつくってひとつ出してください。  それから今回の改正で納得いかないのは、従来同地域内における同一銀行の本支店間の振り込みは無料だったんですね。これが料金体系の中に組み込まれてしまったわけですね。これは商行為上の理屈にちょっと合わないと思うんです。たとえば商品販売なら、ある支店に商品を買いに行ったら品切れだった場合、本店から取り寄せて販売することになると思うんですが、その手数料を取るという話は聞いたことがない。本支店間の為替手数料は銀行業務の必要経費として考えるべきで、これまで無料のものまで有料にするというのは庶民感情として納得ができないと、こういう利用者の声を私はたくさん今回聞かせられました。せめて大蔵省としても本支店間の値上げは思いとどまるように指導すべきじゃなかったでしょうか。
  250. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) 先生御指摘のとおり、いままで本支店間は隔地の場合には取っておりましたけれども、同じ地域における本支店の振り込み等は料金を取っていなかったわけでございます。しかしながら、これに対しまして人件費、物件費、あるいはコンピューターの経費等は同様にかかるわけでございまして、たとえば領収証を発行いたしますので、印紙税百円は必ずある一定金額以上の場合にはついてくるわけでございます。これをいままで無料でやっていたということ自体がむしろ手数料体系の面から非常に問題があったのではないかということで、手数料体系の適正化という見地からこれに対して料金を取ることはよろしいのではないかと認めたわけでございます。ただ、その場合にもいままで先生御指摘のとおり料率を取っていなかったわけでございますから、それを考慮いたしましてとりあえず百円というきわめて小さな金額にいたしましたし、それから特に新たに三万円未満という限度を設けまして、これは個人の利用者が多いと思われますので、手数料として徴収する最低の単位と考えられる五十円というような料率で行うことになったわけでございます。
  251. 相沢武彦

    相沢武彦君 銀行にとって今回の為替手数料の値上げによってどれぐらいの収益を得るようになるのか。
  252. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) 為替手数料の引き上げによってどのぐらい収益が上がるかということは、現在利用者の中で従来の利用していた方式じゃなくてより料率の安い方向にシフトするようなこともございますので、かなり算定は困難でございますけれども、一応の推定で申し上げますと、全国銀行の為替手数料収入は、五十二年上期において二百二十億円でございます。これは経常収入の約〇・四%でございますが、今回の手数料の改定が丁三倍ないし二倍でございますから、仮に平均一・七倍というふうにして計算いたしますと、大体百五十億円ぐらいの収入増になるのではないかと、このように考えられます。
  253. 相沢武彦

    相沢武彦君 コストのことについてもう一つの疑点ですけれども、これまで為替業務のコストがかかって手数料を取るのは当然で、いままで取らなかったのがおかしいんだというような言い方をしますと、それじゃあ為替業務をすることは銀行にとって全然メリットがなかったのかということを言いたくなるんですね。単純に考えただけでも為替業務を行うことによって資金を何日かプールすることができますし、銀行は預金を扱うことが営業ですから、その本業に対するメリットが当然あったわけですね。また預金者を集めることが銀行の業務のうちだし、銀行の勢力を決めることになるわけですから、為替振り込みはこっちの銀行でやるけれども、預金するのはあっちの銀行だということが行われているとは思えないんです。やはり口座を持っている銀行の方が便利だし、よく使う銀行には口座を持とうというのが常識でしょう。こうした観点から考えますと、預金者もふえるし、定着していくはずですし、銀行もこういったメリットがあるから為替業務を行っているんだと思うんですが、こうしたメリットとデメリットを計算して、その辺の事情を公表した上での話ならまだ理解が深まると思うのですが、これだけ為替業務でコストがかかるんだから受益者負担で取るんだと、こういうやり方はどうも納得できないんですが、大蔵大臣、どうですか。
  254. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) それはいま話を聞いておりまして、もちろんおっしゃるように、為替業務をやるということはそれだけのニーズがあってやるわけでございまして、その意味で私はやはり銀行側にもメリットがあると思うのでございます。しかし、原価計算というのは原価計算でございまして、先ほど銀行局長から申しておるように、いわば受益者でございますから、いまの振り込み送金の受益者でございますから、やはり全体のそれによるメリットというものは本来の貸出金利を下げるとかそっちの方向にいくのがやはり本筋じゃないか。これはやっぱり原価計算の一つの原則的な問題じゃなかろうかと私は思うのでございます。
  255. 相沢武彦

    相沢武彦君 そうしますと、大蔵大臣ね、政府、日銀は十六日に公定歩合の〇・七五%引き下げを実施しましたね。さらに、長期金利の全面引き下げの検討を行っているようなんですけれども、一方では預金金利の引き下げも通常預金〇・四八%、定期預金も〇・七五%となる見込みで動いておるという新聞報道なんですが、銀行も商売だからコストも当然かかる。振り込み手数料を抑えれば他の面で、たとえばいま言ったように預金金利の引き下げでコスト回収を図る以外にないというのはちょっとおかしいんじゃないんですか。手数料も上げるし、預金金利は引き下げてしまうというのではちょっといまの話と食い違うんです。
  256. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) お言葉ですけれども、私は全然局面が違うような気がするわけでございます。今度預金金利を引き下げるということは、要するに、公定歩合の引き下げに伴いまして、貸出金利を下げるためには現在の預金と貸し出しの金利差がほとんど全国銀行はゼロに近い状況でございますので、貸出金利を下げるためにはどうしても預金金利も下げていかなければならぬ。その意味で下げているわけでございまして、銀行の利益につながるものではないわけでございます。片方は実費主義で受益者負担でございますので、大きなコスト割れが生ずるということをそのままにしておきますと、場合によると下げるべき貸出金利もその分だけ下がらなくなってしまう逆の面が出てくるんじゃないか。先ほど銀行局長の話を聞いておりますと、一・三倍から二倍ぐらい上げましてもなおかなりのコスト割れであると。しかし、それはやはり少額なものとか、あるいは激変を考えて緩和したということでございますから、私はまずまずのところではないかと、こんなふうに考えているわけでございます。
  257. 相沢武彦

    相沢武彦君 庶民感情から言いますと、銀行というのは好況のときはあり余った資金力で企業の株を持ったり、あるいは企業の経営に参加して批判の対象になってきましたし、不況になると、銀行も経営困難だから、苦しいんだからという口上で為替部門のコストだけを取り上げて受益者負担を押しつける、こういうやり方はいただけないと思うんですね。ですから、今後経営収支を大蔵省としてもにらんでおいて、平常になったら手数料値上げ分は何らかの方法で預金者、利用者に還元をするような指導をお考えになれませんか。
  258. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) まあ銀行は、御案内のようにやはり信用秩序の基本をなしているわけでございます。その意味でこの経営が危なくなりますと大変なことでございまして、昨今の状況で言いますと、先ほど言ったような預貸率の金利がほとんどもうゼロに近い、ところによりましてはマイナスを生じているわけでございます。金融機関は、好況のときはいろいろな積み立てをやっておりますので、こういう実体経済が不況のときこそ私はやはり公共性を発揮すべきものであろうと思っておるわけでございます。そういう意味でこれからいろんな実体経済を反映いたしましていろんな局面が出てくると思いますが、その意味で普通の企業に対しましてはできるだけ良質の金融をさせる、また不幸にして危ない企業がありました場合には、やはりそれは限度はありますけれども、公共性の範囲におきましてできるだけの支援をさせるつもりでおるのでございます。問題はやはり現在のような自由主義経済のもとにおいて信用秩序をいかにして維持するか、そしてそれがいかなる公共性を発揮しておるか、これから一番むずかしい局面に来ると思っておるのでございまして、為替手数料の問題は私はやや別だとは思いますけれども、基本的にはそのように考えておるわけでございます。
  259. 相沢武彦

    相沢武彦君 経済企画庁長官にお尋ねしますが、日本では商慣習上、事務用品の支払い等、ちょっとした支払いまでも銀行為替を利用している現状なんですが、今回の値上げで利用する事業者の支払いはかなりの負担になってくるんじゃないかと思うんです。しかもこの為替手数料の支払いをめぐって、商取引は力関係ですので力の強いものが下請業者など弱い方へこの手数料はあなたの方で持ちなさいという押しつけもやるんじゃないか、今回の値上げは特に零細企業や不況業種の企業にとっては受ける影響が少なくないんじゃないか、こう思うんですが、どんな見解を持たれていますか。
  260. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 私も詳しいことはよく聞いておりませんけれども、いま銀行局長説明されるところを伺っておりますと、なるほどやはりこれは銀行業務の一つのコストでございましょうと思います。それはそれとしてどうも考えざるを得ないだろう、前回から恐らく数年たっておることでございましょうから、その間に石油危機もあってそのようなコストの上昇がいろいろな意味であったろうということは想像がつきます。その上でなお大蔵省としては、いま相沢委員の言われましたようなことも考えられてある程度の行政指導もしたというお話でございますから、まあまあやむを得ないことではないだろうかと思っていま御質問、それから応答を承っておったわけでございます。
  261. 相沢武彦

    相沢武彦君 各銀行で今回の改定に引き続いて電気、ガス、水道、電話など銀行振り込みの手数料を事業者負担とすることを考えているようなんですが、もう相談に来ているんでしょうか。またこれに対してはどういう見解で臨むつもりですか。
  262. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) 先生御指摘のガス、水道等の公共料金の口座振りかえに対する手数料は、実は昭和三十年代から五円、三円というような非常に低い料率でほぼ横ばいで推移しているわけでございます。したがいまして、この点では非常に大幅なコスト割れになっておるわけでございますので、最近、個々の金融機関から個別にこれらの電力会社その他に対しましてこの口座振りかえの手数料の引き上げについて折衝をしているということを聞いております。で、この点につきましては、先ほど申し上げましたような金融機関の経理の本来のあり方という観点から、方向としてはこれは考えられることではないか、このように思っております。
  263. 相沢武彦

    相沢武彦君 宮澤長官にもお伺いしますが、こうした公共料金の支払い手数料を取ることは公共料金の値上げにつながるおそれは十分出てくると思うし、また一般企業も値上げ分を商品コストへ転嫁させるでしょうし、まあ小さい問題かもしれないけれども、振り込み手数料の値上げというのは物価上昇、インフレにつながるおそれが十分考えられるんじゃないかと思いますが、いかがですか。
  264. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 観念的にはそういうことになろうと思いますが、ただいま御指摘の公益事業等々はいずれも相当大きな事業規模を持っておると思いますし、事業費も相当なものであろうと思いますので、いまの御指摘のようなことがどのぐらいに当たりますか、恐らく余り大きなパーセンテージに当たるとは思えません。それを理由に公共料金の引き上げであるとかなんとかいうようなことを正当づけるような要素ではないのだろうと。もとより全くゼロであるということではございませんでしょうが、こんなことがありますから公共料金をどうとかいうようなことには私はなるような筋ではなかろうと考えております。
  265. 相沢武彦

    相沢武彦君 この際、サラ金の問題もお伺いしておきたいと思うですが、最近サラ金の問題が社会的に問題化しつつあるんですが、これについて五省庁の連絡会議を持っていると思いますが、進捗状況はどうなっておりますか。
  266. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) お答えします。  サラ金問題は、先生御承知のとおり、単なる金融の問題だけではなくて、暴力事犯であるとか、高金利事犯とか、広く各省に影響のある問題を含んでいるわけでございますので、各省庁の連絡会議審議しているわけでございまして、昨年九月に発足いたしまして、それ以来現在まで八回開いております。この間、地方自治団体の代表の方とか、あるいは庶民金融業者の代表の方とか、そういう方に来ていただいて意見を伺うなどして、いま目下各方面の問題を精力的に詰めているところでございます。
  267. 相沢武彦

    相沢武彦君 この問題は金融業界にとっても新しい問題としてとらえるべきだと思うんですね。その第一歩としてサラ金に対する主務官庁をはっきり決めるべきだと思うんですけれども、これが決まっていないんで、結局何といいますか対策が後手になっている、あるいはお互いに責任のなすり合い、そういうところから問題がたくさん起きてきている、こういうように思うんですが、いかがですか。
  268. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) このサラ金問題の主務官庁でございますが、先ほど申し上げましたように、現在社会的に問題になっておりますのは、金を貸すという金融的な問題よりもむしろ暴力事犯の問題であるとか、高金利事犯の問題であるとか、あるいはそれに対してどの程度処理する行政能力があるかとか、そのような問題でございまして、非常に各省庁にわたっている問題が多いわけでございます。したがいまして、これにつきましては特定の主務官庁を決めることは適当ではない、このように判断されますので、先生御指摘のような各省庁の連絡会議でこの問題を十分に詰めてまいりたい、このように考えております。
  269. 相沢武彦

    相沢武彦君 やはりこれは大蔵省が主務官庁になって、それで起きた社会的な問題はそれぞれの関係の省庁でも鋭意取り組んでもらう、このようにすべきだと思うんですね。それで、人間あるいはその組織の改革上なかなか主務官庁を決めるのはむずかしいんだということになれば、まず業界の自主規制、これが必要になるだろうと思うんですけれども、この自主規制ということについてはどのように取り組んでいますか。
  270. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) 先生御指摘のとおり、このサラ金問題は業者の自主規制にまつということは非常に望ましいことだと考えております。御承知のとおり自主規制の助長に関する法律がございまして、これに基づきまして各都道府県に庶民金融業協会ができ、また全国にその連合会ができているわけでございますが、これに対しましては、それぞれ監督の立場に当たっております大蔵省あるいは都道府県知事を通じまして、この協会の活発な活動についていろいろ指導をしているわけでございまして、具体的には、御承知のとおり、いまこの協会では自主規制的な金利を決めておりますので、この金利の引き下げであるとか、それからまた、この協会へのいま加入が一万三千人ほどでございまして非常に少ないわけでございますから、その加入の増加であるとか、あるいはPR活動の積極化とか、このような方面につきましていろいろ指導をしているところでございます。
  271. 相沢武彦

    相沢武彦君 その組織にだけ任せていたのじゃサラ金の業界全体を指導するのはもう無理だと思うんですよね。いままでも大蔵省はこの庶民金融問題については後ろ向きの姿勢だったと思うのですけれども、やはりこの辺で本格的な取り組みをしなきゃならないと思うのですけれども、大蔵大臣、これについていかがですか。
  272. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) この問題は非常にむずかしい問題でございまして、実は基礎法が御案内のように利息制限法あるいは出資に関する法律がございまして、その間、日歩三十銭を超えますと刑事罰がかかる、こういう基礎法なのでございます。したがいまして、私たちは基本的には一般の金融機関の消費者ローン、こういったものが早く拡大することが一番望ましいわけでございますけれども、これはまだ一、二の銀行で緒についたばかりでございまして、いわばサラ金業者を含む貸金業者、こういうものが、言葉は適当でないかもしれませんけれども、一種の社会的の必要のものとして自然発生いたしているわけでございます。それが、ある場合には日歩三十銭を超えてみたり、これは刑事罰の対象になってみたり、あるいはそのすれすれにいってみたり、そしてそれを借りている人たちは非常に高金利に悩んでおる、そのためにいろいろな悲劇が起きている、あるいは暴力事犯ができているというようなわけでございまして、問題はそれをどういうふうにするか、いまのような取り締まりとかそういったことだけでいいのか、あるいはさらに一歩踏み込んで新しい基礎法のようなものをやるのか、もしやったとした場合にそれが金融機関との関係はどうなるのか、逆にまたそういうことを公認することによってのマイナス面も考えられるわけでございまして、非常に多方面にわたる問題だと思っているわけでございます。そういう意味でまあ鋭意一回から八回にわたってやっているわけでございますけれども、どういうふうに持っていくかいま関係省庁が実情調査をいたしまして、どんな対策でやっていくかいま精力的に検討の最中でございます。
  273. 相沢武彦

    相沢武彦君 最後の問題の柱として、麻薬及び覚せい剤などの薬物乱用対策についてお尋ねをしたいと思います。  最初に、覚せい剤の問題なんですが、昭和五十二年以降、覚せい剤事犯の急激な増加は年々深刻の度が高まっております。特に北海道地域の急激な汚染というものは目に余るものがございます。そこで、今日の覚せい剤問題は、昭和二十年代のいわゆるヒロポン時代と比較してどんな点に問題点としてクローズアップされているのか、その特徴を説明していただきたいと思います。  あわせて、乱用防止対策の基本方針、これを警察庁、厚生省からそれぞれ伺いたいと思います。
  274. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) お答えいたします。  先生御指摘のとおり、いわゆる終戦直後のヒロポン時代は、昭和二十九年をピークといたしましてその後減少をいたしてまいりまして昭和三十三年にはほとんどその影をひそめたわけでございますが、最近また急激な増加をいたしておりまして、ここ八年間で約二十倍という急増ぶりでございます。  これらを比較いたしましてその特徴点、問題点ということでございますけれども、一つは、ヒロポン時代はまだ法の規制が十分でございませんで、一般国民の間にまだその有害性なり違法性というものが十分周知されていなかったというのが増加の一つの要因になっているだろうと思うわけでございますが、今日におきましては非常に厳しい規制下にあってかつ増加をしているというところに一つの問題点があると思うわけでございます。それはなぜそういうことになっているかと申しますと、現在の密輸入あるいは密売の組織というのはほとんど暴力団でございまして、かつまたその不当利得、利益というのは暴力団の最大の資金源になっておるわけでございます。したがいまして、暴力団としては執拗にこの密売組織を拡大しておるというところに第二の問題点があると思うわけでございます。第三点としましては、ヒロポン時代にはほとんど国内での密造でございましたけれども、今回はほとんどが海外からの密輸入ということでございます。この中で特に北海道が急増しているという御指摘がございましたけれども、そのとおりでございまして、北海道の増加率は全国平均よりかなり上回っております。いわゆる麻薬対策の重要地域というふうに考えておるわけでございます。  その対策についてでございますけれども、先ほど申し上げましたような実情を踏まえまして、まず何といってもこの密輸入あるいは密造のルートを断つということが大切であるということでございまして、これについて国際間の共助を強化いたしまり取り締まりを推進してるおところでございます。また、その次に、密輸入、密売組織の中心になっております暴力団、これを壊滅するということが何といっても大切でございまして、刑事部門と連携を強化しましてこの面の捜査を進めておるところでございます。少なくともこういうふうな暴力団から覚せい剤を切り離すということが大切であろうというふうに考えております。第三には、やはり何といっても国民がこの有害性ということについて十分認識するということが必要だと思いますので、そういう面については関係官庁がさらに協力を密にいたしまして広報活動を推進してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  275. 中野徹雄

    政府委員(中野徹雄君) お答え申し上げます。  主要なポイントは警察庁の方からの御答弁にございましたので、つけ加えるべき点に限りたいと思いますが、終戦直後の昭和二十六年からも覚せい剤の締まりを行いましたが、その際の覚せい剤の原料関係は、軍の放出物資、あるいは合法的に売り出されておりました薬、さらにそれに密売が加わったというふうな形のものでございます。そのときの末端価格はまあそう高いものではなくて、したがって若い学生等も相当数に使っておった。現在のは、先ほども御説明がありましたように、主として海外からの密輸入によるものでございまして、末端価格が非常に高価なものになりまして、そのためにこれが先ほど御説明のように暴力団の有力な資金源になっておるという点が特徴でございます。  戦後の二十六年の取締法制定前後の数字からいたしますと、年間の事犯の数が五、六万人台まで上ったわけでございますが、現在一万を突破いたしまして、さらに五十一年、五十二年と相当なスピードで伸びつつある。何とかしてこの事態を食いとめたい、かように考えておるという点をつけ加えさせていただきたいと思います。
  276. 相沢武彦

    相沢武彦君 ただいまの御説明の中で、麻薬や覚せい剤の防止対策の重点項目として密輸入をストップさせる、供給源を断つということが大事だというお話なんですが、この問題に関しまして、国際麻薬統制基金あるいは麻薬取締ゼミナー等によって関係国の間でそれぞれ防止対策の協議が進められてきたと聞いております。そこで、外務省、それから関係している省庁から、これまでどのような国とどの程度まで防止対策の協議がされてきているのか、その概況を御説明いただきたい。
  277. 大川美雄

    政府委員(大川美雄君) 麻薬の生産あるいは消費を国際的に管理統制するための条約としまして、一九六一年にできました麻薬に関する単一条約というのがございます。また、七二年にそれを一層効果的な条約にするための改正が行われておりまして、この条約にいま百九カ国ほどが加入いたしている状況でございます。その条約で国際的な麻薬の不正取引あるいは麻薬原料の不正栽培等を防止する面で相当効果を上げていると言えるかと思います。そういうことでございますので、特定の国と二国間で協定を結ぶとか協議をするということよりも、むしろただいま申し上げました多国間条約をできるだけ効果的なものにするために、今後ともそれの未加盟国をできるだけ早くこの条約に加盟するように、そちらの方の多国間条約としての単一条約を使って国際協力を実施してまいりたいと、こういうふうに考えてまいった次第でございます。
  278. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) お答えいたします。  警察庁といたしましては、ICPOのルートとそれから外交ルートを通じまして麻薬覚せい剤に関する情報交換を活発にいたしております。また、さらに必要によっては捜査共助というものを進めてまいっているところでございます。また、先ほど御指摘になりましたように、国際協力事業団と共催をいたしまして、主として東南アジア関係各国、年によって違いますけれども約二十カ国の捜査担当者を招致いたしまして相互に各国の情報交換をやる、あるいは場合によっては特定事件についての情報交換をやるというふうにいたしておるわけでございます。また、その場を使いまして各国における法規制並びに取り締まりの強化についても要請をいたしてきております。またさらに、最近国際化が進んでまいっておりますので、捜査官の海外派遣等についても実施をいたしているところでございます。
  279. 中野徹雄

    政府委員(中野徹雄君) お答え申し上げます。  厚生省関係といたしましては、御承知のとおりに、国連のECOSOCの下部機構としまして麻薬委員会がございまして、そのさらに下に麻薬統制委員会がございます。この関係に厚生省関係から毎年出席いたしまして情報交換、協力要請を行っております。さらに、国連の主催によりまして四十九年から極東地域におきますところの麻薬対策の推進を図るという意味で法施行の機関長会議を毎年開催いたしておりまして、この極東地域の施行機関長会議におきまして関係諸国の実態、密輸事犯等の情報交換等を行い、またさらに相互協力の促進等について努力をいたすと、こういう形になっておるところでございます。
  280. 相沢武彦

    相沢武彦君 国際麻薬統制基金なんですけれども、一九七三年から年間二十万ドルの寄付をわが国はしておりますが、これを増額して日本は麻薬や覚せい剤対策に非常に熱意を持って取り組んでいるんだということをもっと強調し世界に示すべきじゃないかと思います。  それから現在の日本ではさまざまな形で諸外国に経済援助を行っているんですが、麻薬の原料の栽培国と見られる各国に対して何か新しい経済援助を行って、積極的に麻薬の元凶を撲滅するために具体的な政策を考えるべきじゃないかと思いますが、その御用意があるかどうかを伺いたい。
  281. 大川美雄

    政府委員(大川美雄君) ただいまお挙げになりました国際麻薬統制基金というのは、国際連合の総会の決議で設立されまして、言われましたとおり一九七三年からわが国は毎年積極的に拠出を行っております。その拠出で麻薬基金は何をやっているかと申しますと、たとえば麻薬取締専門官の養成訓練でありますとか、あるいは中毒にかかった人たちの治療、それから更生設備の拡充、あるいは麻薬関係の情報交換等のプロジェクトを行っているわけで、開発途上国に対する一種の技術協力の基金という役割りを果たしております。わが国としては、今後とも積極的にこの基金に対して拠出してまいりたいと考えております。
  282. 相沢武彦

    相沢武彦君 最近の事犯は非常に巧妙化して、また国際化してきているわけなんですが、それに伴って今後の取り締まり体制についても海外諸外国との協議とあわせて国際間の捜査協力、これが非常に必要となってくると思います。そこで、この協力体制を現在どう進め、またどう進めようとしているのか、この辺のところを御説明いただきたい。
  283. 中野徹雄

    政府委員(中野徹雄君) 厚生省関連の分についてお答えをいたします。  わが国に密輸されております覚せい剤の主たる仕出し地は韓国及び香港でございまして、これに台湾あるいはタイ等が加わるという形でございますが、私どもといたしましては、いわば密輸による被害国としての立場で、仕出し地の薬政当局及び警察当局とも連携を密にし、情報交換もまたその三国間で行うという試みを五十三年度から始めたいということでございます。それからさらに、国内の麻薬取締官事務所において把握いたしました捜査上の情報を仕出し地の取り締まり当局に提供いたしまして、その根源を断つというふうな形での取締官の仕出し地に対する出張と申しますか、このことも予算化をされておりまして、五十三年度からこれを強化してまいりたい、かように考えているところでございます。
  284. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) 警察庁関係といたしましては、先ほどお答え申し上げましたように、ICPOあるいは外交ルートの活用をさらに図っていくということが必要なわけでございますが、そのためにはまだ逃亡犯罪人引渡法の整備が十分でございません。現在法務省の方で検討されておるようでございますが、そういう整備の促進をお願いをいたしたい、そしてICPOあるいは外交ルートの十分な活用というものを図っていく必要があるのではないかというふに考えておるわけでございます。そのほかに、やはり何といっても捜査員を海外に頻繁に派遣するということが必要でございますし、また情報交換のためのいわゆる会議の開催というものも現在以上に必要でございまして、そういう面につきましては新年度の予算要求の中に盛り込んでお願いをいたしておるところでございます。
  285. 相沢武彦

    相沢武彦君 通産省に尋ねますけれども、無水酢酸や塩化アセチルの輸出状況について現状はどうなっているか、お尋ねします。
  286. 天谷直弘

    政府委員(天谷直弘君) 無水酢酸及び塩化アセチルは、大蔵省通関統計の指定品目になっておりませんので輸出実績を示すところの公のデータはございませんが、通産省で国内のメーカーから聴取したところによりますと、無水酢酸につきましては昭和五十年千五百二十三トン、五十一年九百七十七トン、五十二年五百四十三トンが輸出されております。仕向け地は、主として韓国、台湾、中国、北朝鮮等でございます。また、塩化アセチルにつきましては、過去において輸出を行った実績はないというふうに聞いております。
  287. 相沢武彦

    相沢武彦君 海外との困った問題点の一つなんですが、この無水酢酸は、工業原料なんですが、同時に麻薬の原料にもなっているわけなんですね。取り扱いについては、輸入される国々で厳重に注意を払ってもらう以外にないわけなんですが、いままで国際協議の中でこの無水酢酸の輸入国から何か日本に対して要望なり注文が寄せられた事例はありませんか、警察庁。
  288. 中野徹雄

    政府委員(中野徹雄君) お答え申し上げます。  いわゆる非常に強力な麻薬の一つでございますヘロインの原料、これはモルヒネに無水酢酸あるいは塩化アセチルを反応させてつくるものでございます。こういう意味におきまして、先生御指摘のとおり、無水酢酸は麻薬の一種の加工の原料みたいなものでございまして、先ほど私が言及をいたしました国連主催の極東地域麻薬取り締まりの施行機関長会議におきまして、この種無水酢酸あるいは塩化アセチルの輸出規制措置をとるべきであるという要望が機関長会議で出されたところでございます。本年二月に開催されました国連の麻薬委員会は、こういう機関長会議からの要望事項を受けまして討議しました結果、ヘロインの密造に転用されるということを防止するために、これらのものの生産、流通、販売等を監視するために可能な限りの措置をとることの意義に留意すべきであるという決議案を採択したところでございます。
  289. 相沢武彦

    相沢武彦君 警察庁の方はどうですか。
  290. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) 先生御指摘になりましたように、無水酢酸はモルヒネからヘロインをつくる際に不可欠の薬品でございまして、私ども平素重大な関心を持っておるわけでございます。現在までのところ、これについて特に関係各国からクレームがついたというようなことはございませんけれども、関係各国の間ではかなり関心が高くなってまいっております。国際会議の場でもこの問題が出ておるようでございまして、私どもも今後さらに監視を強化してまいりたい、このように考えております。
  291. 相沢武彦

    相沢武彦君 これは、実際関係者の方の声として、海外に対して日本へ覚せい剤を持ち込まないように厳重に監督してくれと、こう言うと、日本の方からの無水酢酸の原料の酢酸の輸入、これも余り大量過ぎるんだというような話も聞かせられるということなんですが、この酢酸輸出量の統計を見ますと、五十二年度で香港の千六百三十三トン、韓国の三百八十八トンに対して台湾が七千五百二十一トンと、もうかなり高い数量なんですが、この辺については現地でどういうことに使われ、またこれについてはどんな見解を警察庁としては持っていられますか。
  292. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) 無水酢酸が大量に輸出されておるということは承知をいたしておりますけれども、これが密輸出等がどの程度あるか十分にこれは把握していないわけでございます。この使途については現在のところ警察庁としては十分つかんでいないわけでございます。しかしながら、今度の国際会議等の場においてこれらについての実態把握等については関係各国、特に香港等に強い要請をしていきたい、こういうふうに考えております。
  293. 相沢武彦

    相沢武彦君 ヘロインに関して今日取り締まりがある程度行き届いているんですが、ただし油断はできなくて、日本は円の強い国だと、金持ちの国、こういうイメージがありまして、三十年代にヘロインが流行した国として海外の麻薬シンジケートから有望な市場として位置づけられているようなんです。一昨年には実際に海外の麻薬コネクション組織が市場調査に日本にあらわれ調査済みだということも聞いておりますけれども、これらはゆゆしき問題だと思うのです。日本が麻薬の有望市場と見られて位置づけられている可能性が大でありますが、各省の今後に対する防備対策は万全なんでしょうか。
  294. 戸塚岩夫

    政府委員戸塚岩夫君) お答えいたします。  何と申しましても、税関で入ってくるのを防ぐというのが重要な点だろうと思います。私ども、情報収集等に努め、これは税関における取り締まりの最重点事項の一つとして実施しているわけでございますが、本年度の予算をお認めいただきますれば、アメリカに参りまして訓練を受けた麻薬犬を本年度から投入したいというように考えておりますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
  295. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) 先生御指摘のように、ヘロインは昭和三十年後半にかなり多かったわけでございますが、その後減少いたしました。しかしながら、昨年あたりからまたふえてまいっております。特に押収量につきましては前年度の約四・六倍というふうにふえておるわけでございます。これら海外のシンジケートが日本をねらっているのではないかということでございますけれども、確かに現在の増加状況、それから検挙状況から見ましてそのことは肯定できると思っております。特に市場調査の点が御指摘ございましたけれども、昨年そのような事案がございまして検挙をいたしております。今後このようなヘロイン事案も覚せい剤と同様に増加するということが予想されるわけでございますので、今後の対策といたしましては、先ほど申し上げましたように、水際でこれを防ぐということも大切でございますけれども、何といってもそのルート、それから密造の根源、これをやはり壊滅することが必要でございますので、さらに国際共助を強化いたしましてその取り締まりを推進してまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  296. 中野徹雄

    政府委員(中野徹雄君) 先生御指摘のとおりに、ヘロインに関しましては日本は小康状態という現状ではございますが、確かに昨年厚生省関連でも一挙に二キロの押収量があったというケースもございまして、今後の状況は見通しとして油断を許さないものであるというふうに考えておるところでございます。当面、現状といたしましては覚せい剤問題が非常に大きく浮かび上がってきておるところでございますけれども、ヘロインの問題もあわせまして最善の努力を尽くしてまいりたいと、かように考えておるところでございます。
  297. 相沢武彦

    相沢武彦君 いまの御答弁の中で、今後麻薬犬の導入ということをお話しありましたけれども、実際の空港でどういうような使い方をするのか、またどんな効果が期待されるのか、その辺詳しく御説明いただきたいと思います。
  298. 戸塚岩夫

    政府委員戸塚岩夫君) お答えいたします。  アメリカでいろいろの訓練を経て過去の経験なども聞きました上で細かい点については検討していきたいと考えているわけでありますが、航空機から貨物がおりたところで人には近づかないような場所で荷物について麻薬犬を使っていくということを考えております。
  299. 相沢武彦

    相沢武彦君 もう少し詳しくできないですか、皆さんよく聞きたいそうだから。
  300. 戸塚岩夫

    政府委員戸塚岩夫君) 先ほどもお話しいたしましたように、初めての経験でございますので、アメリカへ参りましていろいろ訓練を受け、またアメリカにおける過去の経験などを踏まえまして、使用については細かく詰めてまいりたいというのが現段階でございます。
  301. 相沢武彦

    相沢武彦君 国家公安委員長にお尋ねいたしますが、北海道は、これまで覚せい剤については直接海外のルートもなく空白地というイメージがあったんですが、昨年からことしにかけて北海道はほぼ全地域で覚せい剤事犯が発生し、戦後最悪の記録をつくっているわけです。北海道の実態をどのように把握されているか、またどうして北海道がこのよう急激に汚染されるようになったのか、その原因についてはどのようにとらまえていますか。
  302. 加藤武徳

    国務大臣(加藤武徳君) 残念ながら、北海道は東京、大阪に次ぎまして最大の検挙者を出しておると。昨年一年の場合を見てみましても、五十一年と比較をいたしまして、大麻に関しては大きな差はございませんけれども、覚せい剤事犯につきましては相当の増加を見ておると、かような残念なことでございます。私も先般北海道に参りまして警察本部長とこの問題につきましていろいろ話し合いをいたし、事情も聴取いたしたのでありますが、やはり暴力団組織が北海道に入り込んでおることと無関係ではなく、むしろ非常な関連を持っておると、かように考えられるのでございますから、暴力団対策と相まちましての麻薬・覚せい剤対策が必要でございまして、そこで、従来は暴力団関係の取り締まりと麻薬、覚せい剤が別個でありましたものを、プロジェクトチームをつくりまして共同作戦と、かような体制をとっておるところでありますし、ことにこの四月一日からはさらにその組織を拡大強化いたしまして徹底的に暴力団をやっつけなければならぬ、そのことが麻薬・覚せい剤事犯を減少せしめるにつながってくると、かような考え方で対処してまいりたいと、かように思っておる次第であります。
  303. 相沢武彦

    相沢武彦君 長官も見ているかと思いますけれども、北海道はもうほとんど全地域汚染されて、五十一年、五十二年に検挙があったところが全部斜線なんですね。空白のところはもう何カ所も残っておりません。非常に汚染度が進んでいる。そういうことで、重点地区として取り締まり強化を指令されおられますが、さらに強力な取り締まり対策を打ち出される方針を持っておられるのか、その点をもう一度お伺いします。
  304. 加藤武徳

    国務大臣(加藤武徳君) 北海道警といたしましては、この問題を最大の課題として取り組んでまいっておりますし、かつまた、新しい年度に対処いたしまして組織体制等につきましても万全の措置をとってまいりたい、かように考えております。
  305. 相沢武彦

    相沢武彦君 文部省にお尋ねしますけれども、覚せい剤汚染が高校生、中学生まで侵入している、こういった事態に対応して、昭和五十二年の十一月一日、文教委員会で、青少年の麻薬・覚せい剤等乱用防止に関する決議、これを全会一致で採択されているんですが、その後実際の教育の現場でどのように生かされているのか、お伺いしたい。
  306. 砂田重民

    国務大臣(砂田重民君) 麻薬、覚せい剤の使用が中高校生も含みます青少年の一部に見られますことは、大変遺憾なことでございます。その防止につきましては、ひとり学校教育のみならず、家庭、地域社会全体の取り組み方が必要な課題だと考えておりますけれども、ただいま御指摘のありました昨年の十一月一日の参議院の文教委員会におきます、これが取り締まりの行政的な対策の強化を文部省を初め各関係行政機関を対象に御決議をいただきましたので、文部省では、これを受けまして昨年の十一月十九日、各都道府県知事、そして教育委員会あてに、学校教育、社会教育の場でこれらの防止及び心身の健康に関する指導の充実強化を図るように通達を出したところでございます。そして、学校の現場におきますこれが教育指導の内容は、保健体育、道徳、特別活動、各教科以外の教育活動を初めといたしまして、学校教育全体を通じて麻薬、覚せい剤の害悪等の健康に及ぼすその恐ろしさを指導充実を図りますとともに、教師がやはり生徒の一人一人を十分に把握をして、同時に地域社会あるいは家庭、警察等の関係機関との連絡を密にいたしますことによって、早期発見、早期予防をやっているところでございます。社会教育の場でも、地域活動の促進等、あるいは青少年活動等の促進等を図っているところでございますけれども、今後とも、学校におきまして、保健体育等を中心として学校教育全体を通じて麻薬の害悪について徹底した指導に努めてまいります。
  307. 相沢武彦

    相沢武彦君 文部大臣、もう一つお聞きしますが、最近芸能タレントというのは子供たちに大変人気があるわけですけれども、そのタレントの人たちの中から、覚せい剤事犯を犯しているような問題が話題になっております。これは子供たちに与える影響が非常に大きいと思うのですが、これについての御見解をお伺いしたい。
  308. 砂田重民

    国務大臣(砂田重民君) いま特にテレビでありますとかラジオを通じてそういった芸能芸術活動をしている人たちに対する青少年のあこがれ的な気持ちが強くなっておりますときだけに、御指摘のような事態は看過することが絶対にできない、こういう感じを持っておるのでございますが、芸能人活動のその創作芸術活動等は私どもの所管でございますが、取り締まりについては警察庁にお願いをしておるものでございます。
  309. 相沢武彦

    相沢武彦君 麻薬中毒患者と覚せい剤による中毒患者の違いについて、厚生省、説明してください。
  310. 中野徹雄

    政府委員(中野徹雄君) 麻薬中毒につきましては、麻薬を摂取いたしました場合に神経中枢が抑制されまして、常用すれば慢性中毒症状、それから全身的な衰弱というものがまいります。よく知られております点は、これを使用をとめますと強烈な禁断症状があらわれるというところが麻薬中毒の一つの特徴でございます。  一方、覚せい剤中毒の場合には、覚せい剤を摂取しました場合に中枢が興奮し、非常に何と申しますか、気持ちが高まると申しますか、発揚した状態になりまして、これを常用いたしますと慢性中毒ということになりまして、この場合に幻覚、妄想等が発現してくるわけでございます。これらの中毒症状は、覚せい剤の使用を中止しまして治療を受けましても一年、二年と、これは個人差が一あるようでございますが、長期間持続する場合がございまして、ちょうど精神分裂症のような症状が人によっては非常に長い間残るという特徴がございます。なお、覚せい剤につきましては、いわゆる禁断症状というふうなものは明確にはないとされておりますけれども、ただ、とめました場合に、全身的な疲労感あるいは非常な不快感がある。そこで、やはりついこれを使うようになる、こういうふうに言われているようでございます。
  311. 相沢武彦

    相沢武彦君 覚せい剤中毒患者は、患者同士の殺傷事故もこの幻覚症状から起きるんだということで民間の医療施設ではどうしても敬遠されがちなんですね。そこで、覚せい剤の場合のアフターケアについてはどうするのか、その体制づくりについてどうなっているか、お尋ねしたい。
  312. 松浦十四郎

    政府委員(松浦十四郎君) お答え申し上げます。  ただいま先生お話しのアフターケアというのを医学的、衛生学的な面から私ども把握しているわけでございますが、そういった患者さんにつきましては、いわゆる一般の精神障害者と同じように、地域精神衛生対策の一環といたしまして、各保健所に精神衛生相談員というのが設置されておりますが、こういうところで相談を受けたりあるいは訪問指導するということをやっておるわけでございます。
  313. 相沢武彦

    相沢武彦君 これは非常に立ちおくれているようなんで、鋭意取り組んでいただきたいと思います。  それから覚せい剤中毒による精神障害で不起訴あるいは起訴猶予になる刑事犯罪についての論議がしきりに行われているのですが、この問題についても早く決着を見なければならないと思いますが、現在どうなっているのか、明らかにしてください。
  314. 伊藤榮樹

    政府委員(伊藤榮樹君) これまでいろいろ御説明のございましたような覚せい剤の蔓延状況を基盤といたしまして、覚せい剤中毒者によります幻覚、妄想による殺傷事件が相当数発生いたしております。これらのうちの多くは犯罪時心身喪失というような精神鑑定が出されまして、そうなりますと、現在の刑法上起訴することができません。したがいまして、その都度、都道府県知事等に精神衛生法による御通知を申し上げて処理をしておるわけでございますが、御承知のように、現在法務省で用意いたしております刑法の全面改正法案の中には保安処分制度というものを創設いたしまして、これらの心身喪失のために起訴できない、そういうものについての処置に対応すると、こういう構想を現在持っておる次第でございます。
  315. 相沢武彦

    相沢武彦君 法務省にお尋ねしますけれども、昭和四十八年に覚せい剤取締法の一部改正で処罰が厳格になったと、こう聞いておるわけですが、覚せい剤の事犯は最近法律改正とはうらはらにどんどんふえているわけですね。刑事局では、去年の四月に、昭和五十一年における麻薬・覚せい剤事犯の概要を発表されましたけれども、この中で、法律改正後、執行猶予率が高まりつつあると科刑状況を説明されております。そうしますと、素人目には、一般国民大衆は、覚せい剤に手を出せば重い刑罰を科せられるんだと、こういう戒めの効果は上げていないのじゃないかという感じがしてならないのですが、この点、刑事局から御説明いただきたい。
  316. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 相沢君、時間です。
  317. 伊藤榮樹

    政府委員(伊藤榮樹君) 昭和四十八年に覚せい剤取締法を改正していただきましてからの特徴と申しますか、挙げますと二点でございます。  一点は、ただいま御指摘の執行猶予が漸次ふえつつあるということでございます。その理由といたしましては、四十八年の改正前には単純所持罪等につきまして罰金刑が設けられておりました。それが四十八年の改正で罰金刑を適用できないこととされましたので、全部懲役刑の求刑をして公判請求をいたしております。そういうものに対して、裁判所は、一回目はとにかく執行猶予にして様子を見よう、こういうことで執行猶予がふえておるわけでございまして、これは一過的な現象であろうと、この点については余り心配しておりません。  もう一つの特徴は、これは特徴と申し上げるのも言葉が妙なんですが、改正前に比べまして法定刑の上限が上がりましたのに科刑は余り上がっておりません。裁判所に対して、今後とも検察の方から、覚せい剤中毒の恐ろしさ、あるいはその事犯に関与します者の悪性等よく説得いたしまして、逐次科刑を上げていきたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  318. 相沢武彦

    相沢武彦君 最後に、麻薬及び覚せい剤対策の所管大臣としての厚生大臣は、今後、麻薬、覚せい剤の撲滅のためにどのように取り組むのか、その決意をお聞かせください。
  319. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 私、昭和二十八年から三十年まで、特に当時ヒロポン対策に私自身が直接指揮をしましてやったことがございますのですが、それ以来、実は統計をごらんになってもわかりますけれども、昭和三十一年から急激にヒロポン、いわば覚せい剤の事犯というものは減ったわけでございます。ところが、最近また非常にふえてまいりました。やっぱり、あのときのことから考えますと、各官庁全部力を合わせまして国民的な、しかも精神関係のお医者さんも含めた全国的な組織をつくりまして徹底的な国民に対する啓蒙運動をやりました。映画もつくったりいろいろなことをいたしましたのと、それからある程度強制収容の道を広げまして、病院に収容する道をそのときに初めて私立病院にも補助を出すというような制度をつくったわけでございますが、国内体制としてはそのような形で、私は警察庁がいま一番困っておるのは、保安処分の形で収容できないところにやはりもどかしさが相当あるのではないかと思うのでございます。  それと、もう一つは、いま暴力団の資金源にもなっておりますし、そちらの方の対策もあわせてやっていかなければならない。当時とはその点はまさに違っておるわけでございます。  もう一つは、国際的なやはり水際作戦をどうしても徹底しなければいかぬと思っておりまして、これは各官庁ぜひ協力をして、特に最近は覚せい刑は特に韓国系なり東南アジアから入るのが多いわけでございますから、私の方でも予算を五十三年度予算に計上していただきまして、麻薬取締官を香港あるいは韓国等に派遣する費用等も認めていただきましたので、できるだけ国際的に協力を得まして、国際的な協力のもとに、また一方水際作戦の大蔵省にも協力を願って、徹底したひとつ取り締まりを強化すると、こういうことで私どもとしては全力を挙げてやりたい。また、民間団体の活用等については、今年もさらに予算を計上していただきましたので、官民あわせて徹底的な強化を図ってまいりたいと思っておる次第でございます。
  320. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 相沢君、簡単に願います。
  321. 相沢武彦

    相沢武彦君 麻薬、覚せい剤が蔓延しますと、暴力にもつながりますし、ヒロポン退治で御経験のある厚生大臣ですから、ひとついまの決意どおりしっかりやってください。  以上で終わります。(拍手)
  322. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 以上で相沢君の一般質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  323. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 次に、高杉廸忠君の一般質疑を行います。高杉君。
  324. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 私は、医療、特に老人医療の包括とリハビリテーション、あるいはまた国立医療機関の現状、これからの機能、そして国家公務員と総定員法との関係、あるいはまた中小企業施策について、それぞれ関係大臣から順次お答えをいただきたい、このように存じます。  まず、厚生大臣にお伺いいたしたいと存じます。  今日の保健医療の問題、これは大きな国民的課題の一つであると思います。そこで、私は、この機会に、まず第一に老人医療のサービスのあり方、第二に国立医療機関のあり方、この二点について政府の考え方をまず伺いたいと思います。  特に厚生大臣につきましては、老人医療は包括医療、つまりこれは老人の特性を考慮し、健康の増進、疾病、老化の予防、治療、リハビリテーションなどを対象とする総合的な医療、これであると思います。この点、厚生大臣はいかがでありましょうか、御見解をまず承りたいと思います。
  325. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 全くそのとおりの考え方で、ことし一年かかって何とかりっぱな制度をつくり上げたいと思っております。
  326. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 御見解を承りましたが、私も、そのとおり大臣にひとつ決意を新たに臨んでいただきたいと思います。  これは老人医療に限らず、医療全般について言えることだと思います。しかし、現実は包括医療になっておりません。なぜか。それは私はリハビリテーションの確立がされていない、これが指摘できると思います。きわめてこの部分についてはおくれていると思います。したがって、厚生大臣、これについてどういうふうに、いま御見解述べられましたから、具体的にこれらについての確立への方向についてはいかがお考えでありますか。
  327. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) リハビリの関係がおくれていることは確かでございますので、私どもとしては、これはなかなか一般の民間でこの事業を受けるということは容易なことではないと思いますので、国立病院、療養所等を中心にしてできるだけその体制を整えていきたいと思います。同時に、それに専門的な従事者といいますか、知識、経験を持つ者をできるだけ養成をしていかなければならないと思いますので、この点もあわせて進めてまいりたい、かように考えております。
  328. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 わが国の今後の人口構成の高齢化、これは国際的にも例を見ないと言われております。それはまずどのようなものがありましょうか。また、一般論ではなく、その中で特に寝たきりの老人、それからひとり暮らしの老人、それから世帯主、配偶者とも六十五歳以上の高齢世帯、これは一体わが国はどういうような推移をたどることになりますか、大臣の方でお答えをいただきたいと思います。
  329. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 私どもの人口問題研究所で将来のいろいろな推計等を持っておりますけれども、現実にただいま今日の事態において、ひとり暮らしがどういうような状況であり、あるいは寝たきり老人がどの程度おって、そのうち施設に収容を適当とする者がどれぐらいいて、在宅サービスを適当とする者がどれぐらいかという実態の調査がまだ行き届いていないようでございますので、この点は何らかの方法で都道府県等と協力の上でつかみたいと、いま考えているところでございます。  したがって、どうも御趣旨がよくつかめませんので答えが適当かどうかわかりませんけれども、これから、相当数年前の調査はあるんですけれども、最近の調査はございませんので、ことしはぜひそれを都道府県と連絡の上把握してまいりたい、その上でやはりそれぞれの対策をとっていく必要があるんじゃないか、かように考えております。
  330. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 対応がおくれていると思いますけれども、間違いなく言えることは、高齢化は日常生活動作の能力の低下することは間違いありませんね、それから不健康の増大をもたらすことになります。国は、これらのことを踏まえて、リハビリテーションの需要調査というものを行う必要があるんではないか。そこで将来予測を含めて準備される、この対応が私はあっていいと思うんですが、それらの点について、準備について、高齢化構成についてはわかりますが、これらの需要と予測についての調査、準備についてはどうでしょうか。
  331. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) ただいま大臣が申し上げましたように、四十一年の二月に一度医学的リハビリテーション調査を行っております。これは純粋な標本調査でございます。その後、人口構成とか疾病構造も変わっておりますから、かなりのアフターケアをしなければならないのでございますけれども、こういった純粋な医学的リハビリテーション調査のほかに、老人の保健医療の調査等々、いろいろ関連するような調査がございますので、そういった指数を使いまして、四十一年二月の調査のアフターケア、数字の修正を行うということはできるわけでございます。したがって、いま直ちに、先生から御要望のございましたような全国的な医学的リハビリテーション調査というようなものは考えておりません。
  332. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 四十一年の二月に行われてからもう十年以上たっているわけでありますから、これまた対応が非常におくれているということは指摘できると思います。したがって、いまお答えでも、メディカルリハビリテーションに限定してでも、やはり需要調査というものと将来予測というものをしなければ私はならないと思いますが、この点ではどうでしょう。
  333. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) 厳密に申しますと、先生が御提案のとおりであろうかと思うのでございますけれども、約十二年前の四十一年といえば、日本の老齢化もまだ進んでいなかったわけでございます。また一方においては、交通事故がどんどんふえていくというような時代であったわけでございます。しかしながら、その四十一年二月の調査の結果を見ますと、従来の欧米で発表されておりますものとほぼ同じような傾向を示しておりました。要するに、端的に申しますと、患者さんのうち八・五%程度ぐらいの方がリハビリテーションを必要とするという結果でございました。したがいまして、厳密に申しますと、先生御指摘のとおりでございますけれども、先ほど私が申し上げましたように、その後のいろいろな関連調査の数字をもって四十一年二月の調査結果を修正すれば、かなりの将来予測もできるものと考えております。
  334. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 それではさらにお尋ねしますけれども、厚生省はリハビリテーションを担当する医師、PT、OTを含めまして、これらの養成計画また養成目標というものを持っておられると思いますが、これについてはいかがでございましょう。
  335. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) まず、リハビリテーション専門医師の養成の問題でございますけれども、厚生省といたしましては卒後の研修を担当いたしておりますので、卒後二年の臨床研修の中でできるだけリハビリテーションの技能も習得させるように計画をし、進めております。問題は、卒前のアンダーグラデュェートの教育であろう、また大学のあり方であろうと思うのでございますが、これについては文部省の所管でございます。  また次に、PT、OT、理学療法士、作業療法士の数でございますけれども、御指摘のように、理学療法士は五十二年の末で二千百三十五名、作業療法士がちょうど七百名といった数字で大変少のうございます。これを一体将来どうするかということでございますが、厚生省の方にもリハビリテーションの研究会はすでに以前から設けてございまして、いろいろとそこで御検討いただいております。そこで、一応当面の目標といたしましては、理学療法士を約三倍程度、六千名ぐらいに考えたらどうであろうか、また作業療法士の方はそれを若干下回る四千名ぐらいを考えたらどうであろうかというような御意見も承っております。そういった一つのメルクマールを持ちながなOT、PTの養成施設の整備を進めているのでございますけれども、先ほども大臣お答えいたしましたように、担当の専任教員だとか指導教員だとか、そういった者の養成からまず始めなければならない。そういった問題等がございまして、なかなか国以外の養成施設の設置が計画どおり進まないわけでございます。  しかし、厚生省といたしましては、来年四月から二つの新しい施設、国立善通寺病院と国立東名古屋病院がオープンいたしますし、また文部省の方も新年度には弘前大学とかあるいは金沢大学医学部に調査費をおつけになったようで、いよいよ本格的な文部省関係の養成施設整備が始まるんじゃないかというように考えております。また、現在御審議をいただいております新年度の予算では、厚生省分としてさらに一カ所仙台を予定しておりますが、新設の予算が計上されております。
  336. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 いまお聞きしますと、大体現在いる方のPTでも三倍ぐらい、OTで大体四千というような数字、これは一つの目安だと思うんですね。だから、私は、いま先ほども指摘したように、それじゃ何の数字が基礎になるのか。たとえば需要ですね、一体、どのぐらいの需要があるから三倍にするんだ、これぐらいの需要があるから四千名にするんだという、やっぱり需要に応じてそれぞれの目標を立てるべき計画があると思うんです。これについてはどうなんですか。需要がないところのそういう一つの目安じゃないんですか、いまの三倍とか四千という数字は。
  337. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) ただいまお答えいたしましたように、私どもは、四十一年二月の調査の結果をもとにいたしまして、その後の社会的、医学的な情勢の変化を勘案いたしまして、そのようなメルクマールを一応立てているわけでございます。ただ、その場合に、現在欧米で問題になってまいりましたけれども、本当の有資格の職員というのは一体どれぐらいつくればいいんだろうか、やはり将来の医療のサービスのあり方ということを考えると、もっと補助員をふやすというような努力をしなければならないのじゃなかろうか、そういった問題が新たな問題として起こってきているわけでございます。
  338. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 それならばいま指摘しましたように、達成はじゃどういうふうになるんですか。いまのお答えをいただくと四十一年の二月ですからもう十数年前になるわけですよ、修正すると言ったって現在に対応できますか。そして三倍を計画するのは目安ですよ、四千名つくるんだ、一体どういう需要があるんだ。そういう具体的なプログラムがなくして、これ達成はじゃどうなるんですか、いつになったら達成できるんですか、この目標、あなたが言われる目標の三倍にする、あるいはOTにしても四千名にすると言うなら、いつまでにやるんですか。
  339. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) 従来ぺースの、国立で三校といった毎年度の新設で計算いたしますと、十年程度かかるのじゃないかと思っております。
  340. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 これからでしょう。
  341. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) これからです。しかしながら、もう私どもは都道府県だとかあるいは民間の財団法人等々にこういった施設の建設もお願いしたいと当初から考えているわけでございまして、そういった地方自治体なりあるいは民間の御協力が得られれば、いま申し上げた十年というのが五年になり、あるいはもっと短くなるということもあり得るわけでございます。
  342. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 これは厚生大臣からお答えいただきたいと思うんですね。いままで伺ってまいりましたが、国としての将来予測も不十分、ないと言ったらいいと思うんです。それからリハビリの需要調査もこれはもう十年前にやったんで、これでいいというわけにいきません。そういう点でも需要調査もきわめて不十分ですね。したがってOTについてもPTについても、養成するという目安をつくっても、これを達成するのにいまお話を聞いてもわかるように十年かかる。これでは老人医療、特に医療全般についても厚生大臣が言われるように包括医療ですと、こういうようにはなかなか私は言えないと思うんですが、この点はどうですか、大臣
  343. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 率直に言いまして、PT、OTの問題は、日本は私は約二十年おくれているだろうと思っております、先進国アメリカ等と比較しまして。で、目安といたしましては、正式なまた調査を繰り返してやればいいわけでございますけれども、一応国際的な大体比率というものの目安がございますので、やっぱり四十一年の調査がほぼそれに相当しておりますものですから、したがってそれを目安に置いていいだろうという判断でやっておるわけでございますが、しかし、私も着任しましてからこのPT、OTについては、いま老人の問題を取り上げておっしゃいましたけれども、身体障害児者について相当やはり需要がございますものですから、それだけでいまの六千でいいのか、四千でいいのか、こういう問題等もございますので、これはやはりおっしゃるような実態調査を十分にやって、そして計画的に進めるようにしなければならぬだろうと思っております。
  344. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 包括医療。
  345. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 私、先ほど申し上げましたように、ことしいっぱいかかりまして、来年の国会には何とか成案を御審議願いたいと思っておるんですが、老人医療制度というものを別建てに考えていきたいと思っておるわけでございますけれども、それらについて、一体、いかなる内容にして、また、どういうような――一応、構想としては保健指導からリハビリまでを含んだものを考えておりますけれども、まだ中身を詰めておる段階でございますので、しばらく御猶予をいただきたいと思うのでございます。
  346. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 大蔵大臣に伺いますが、いまのような非常に厚生省としての対応がおくれている、しかも養成がおくれているわけです。したがって国として思い切って学校をつくる費用を出す、そういうような計画と実施、これはもう絶対必要なわけですね。したがって、もうこれは遅きに失しているわけでありますから、早急にこのリハビリテーションの需要は高まってくるばかりです。養成をすぐやる。ですから国立も民間もということで、どんどん養成をしていく必要があると思いますから、その点について、大蔵大臣、来年度についてはどういうふうに、思い切ってやっていただけますかどうか、あるいはことしのいまの計画をさらに上積みしてでもやってもらいたい、こういう気持ちがあるんですが、どうでしょう。
  347. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) いま厚生大臣からお答えがありましたように、厚生省においては、その問題を含めて老人医療の問題またリハビリの問題、非常に広い範囲で検討しているようでございます。財政当局といたしましては、その方面の権威であります厚生省の検討の結果を見まして、社会保障全体の立場から均衡のとれた、また財政的にも無理のないようなうまいひとつ仕組みを考えていただきたい、このことをいま念願しているわけでございます。
  348. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 次に、老人医療の確保について厚生大臣にお尋ねしますけれども、老人病院、老人病床に対する加算、特別加算といいますか、あるいはまた老人病棟の看護基準などへの配慮というのが必要だろうと思うんです。したがって、厚生大臣、これは先日も私申し上げたと思いますが、この加算、あるいは特に老人専門病院についていかがお考えですか、お答えをいただきたいと思います。
  349. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) 前段の老人加算の診療報酬の問題でございますけれども、診療報酬につきまして、お年寄りの方は年齢なりあるいは症状によりましていろいろな状態があるというようなことから、特別に老人加算という形でこの問題を解決するというのはなかなかむずかしいんではないか、むしろ看護の充実をどうするかという方向で考えるべきではないかというふうに思っております。
  350. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) 老人専門病院の問題でございますが、国際的に見ましても二つの流れがあると思います。たとえばスウェーデンのように、先生の御指摘のような老人専門病院をできるだけふやそうという考えのところもございますし、またアメリカやフランスのように、老人の病気というのは急性期もあれば慢性期もあるんだ、したがって急性期はむしろ一般の総合病院に入っていただいて総合的な治療をすべきである、また慢性期になれば、どうしても看護ケアの必要な方はいわゆる特別養護老人ホームとかナーシングホームに入っていただくべきである、そういうふうな二つの考えがございます。  私どもは、やはり後者のアメリカ、イギリス、フランスと同じような考え方をとっているのでございまして、むしろ今後特別養護老人ホームをふやしていただく、病院は専門総合病院を充実して急性期に短期に入院をしていただくという考え方を持っております。
  351. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 これに関しては、大臣、去る二月の二十一日に、わが党の飛鳥田委員長と社会副祉法人浴風会との対話集会の席上で関係者から強い要請があったところなんです。たとえば年齢七十歳以上で、お医者さんが認定をした者についてといったような条件でもつけて、何らかの公的補助というのが必要であると私どもは考えているわけです。したがって、いまの加算だとか専門病院だとかいろいろお答えになりましたが、現実にお年寄りの方に手数がかかることは大臣も御承知なんです。だから、いまのような一定の条件の上でも何か実現できる方法はありませんか。この点について、大臣、特に私どもは飛鳥田委員長が強い要請を受けましたので、この際、大臣に要請をしながらお願いをしたいと思います。
  352. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) もう一度ちょっと詳しく承りませんと答えがなかなかできないんですが、どういう場合の不自由といいますか困難があって、こういう場合にはこうしてもらいたいという、何か具体的なあれがありませんと――七十以上の方で一定の条件の場合に、その収容されている病院等において何か特別な加算をつけろと、こういうことですか。
  353. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 そうです、手数のかかる者。
  354. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 態様によってでございますか。
  355. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 そうです。たとえば症状が重なっているとか、そういうように手数のかかるお年寄りがいるわけですね、現実に。その人たちに何か看護をする、あるいは病院以外に特別加算ということを考えるところがあるでしょう。
  356. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) わかりました。恐らく、一般的に医療機関、浴風会においても病院部門を持っておるわけでございます。そこで、普通の保険点数ではなかなか――病院の中に収容された年寄りの方々にそうした人手を相当割くということになると、ほかの方がサービスが行き届かなくなるというようなことで、老人について特に手のかかる者については特別に人員を増加すべきじゃないか、それができなければ何らかの加算をつけてやることによって医療従事者の方がやりやすいようにしよう、こういうことではないかと思うんですが、先ほど言いましたように、いままでの制度は一般的に言いまして御了解願えると思うんですけれども、老人の態様にはいろんな差がございますものですから、乳幼児加算のような加算を一般的につけるということをやっていなかったわけでございますが、浴風会についても今度の保険点数の改定によって大分よくなるというふうに私ども聞いております。特に看護あるいは入院の方に力を入れて点数改正をやったものですから、そういうような状況等も見まして、なお特別にそういうような区分がきちっとできるものかどうか、技術的にもよく検討してみたいと思います。
  357. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 次に、これまた厚生大臣に伺いたいんですが、先ほどお願いした資料、お手元に行っておりますか。
  358. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 来ております。
  359. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 それから、この際、行政管理庁長官も篤とごらんいただいておきたいと思いますし、大蔵大臣もごらんいただきたいと思いますが、この資料はこれは私どもの調査の結果でありますから、この資料に大体間違いないと思いますが、厚生大臣、まず確認をしたいんですが、これは私どもが厚生省から出ているいろんな資料に基づいて試算をし集計をしたものでありますが、まず、この資料の確認をしたいんですが、数字的にそう誤りはないとおもいますけれども、どうでしょう、厚生大臣、この(1)(2)(3)についてまず確認をいたしたいと思います。
  360. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 担当の医務局長がいま拝見したばかりなものですから、私はどうも何人までの人数を確認する知識を持っておりませんで、聞いたところでは、大体正確じゃないだろうかと、こういうことでございます。
  361. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 それでは、この確認と同時に、この資料でまず(1)の方で申し上げてみたいと思うんですが、この資料の中でわかりますように、国立病院、同療養所の十六年間の全医療機関の中での病床、病院の数、こういうふうに見るわけですが、その国立病院、同療養所の国立医療機関としてのウエートについては、厚生大臣、どういうふうにお考えになりますか。
  362. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) 厚生省立の国立病院、療養所の全病院に対するウエートでございますが、施設の数でまいりますと約一%程度下がっております。またベッドの数でいきますと〇・五%程度下がっていたと考えております。
  363. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 この際、厚生大臣に伺いますが、いまのウエートでもわかりますが、それじゃわが国の医療機関の中で国立療養所、国立病院、この特色と役割りというのは何なんですか。そのまた位置づけ。
  364. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 国立病院は、実は、私どもその位置づけというものについては全国の医療機関の中枢としてモデルにしたいということでやったわけでございます。ところが、そのためにもうずいぶん前になりますが、全部それに応じ得るような資格を持つ立地あるいはその他の条件があるかというと、なかなかそうではございませんので、したがって理想的に考えた国立病院のあり方等から考えまして、国立病院を地方に移譲する法案を国会に御審議願って通過をしたことがございます。しかし、現実問題としてはなかなか地方が引き取りませんで、国立病院の使命、あり方はこうあるべきだと言いますと、それに似つかわしくないような病院等もずいぶんございますものですから、なかなか一概にいま全国のモデルとしてすべての医療施設の中心をなすんだと、こう規定しましても、なかなかそれに合わないような国立病院、軍病院から引き継いだ性格等もございますので、実は舌をかむような施設も大分あるわけでございます、率直に言いまして。しかし、やはり国立病院というのは、全医療制度の中にあって他の範をなすような指導的な治療、医学技術の面におきましても、その他の面におきましてもモデルとなるような使命を果たすべきじゃないかと、これはやっぱり思っておるわけでございます。  国立療養所につきましては、結核対策をやるために急遽戦後の事態においてもアメリカの見返り資金等を使いまして十数カ所も新設をいたしましたり、非常に大急ぎに結核撲滅対策に従事いたしましたために、現在の状況から見ますと、今度は機能を別に考えていかなければいけないような点も大分ございます。したがって国立療養所は最近では難病対策等なり、あるいは重症心身障害児対策等についてできるだけ活用を図って、国民全体の中での特殊な医療需要を賄っていく、民間にはできないようなものを賄っていくという性格になっておる、こういうふうに考えます。
  365. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 御見解を承りましたが、それでは問題点に入りたいと思いますが、この表の(2)と(3)、昭和四十三年を一〇〇とした場合の昭和五十一年度の指数というのがあります。これを見ますと、国立病院では、救急、それから検査、放射線、それから手術件数などが二倍からあるわけです。それにもかかわらず、定員というのを比較してみますと、定員はわずかに一・〇八倍、ほとんど変わってないわけです。しかも、いま大臣が言われたように、難病、大変手数のかかる患者さん、療養所でも難病関係の患者が二・八三倍なんですね、これを見ると。こういうふうに外来なんかも一・五倍ということなんです。また、療養所の定員もこれまた一・一五倍ときわめて低く抑えられてきている。これはもう歴然としています、大臣わかりますね、そのとおりです。  そこで、行政管理庁長官に伺います。何ゆえに仕事に見合った増員がなされないんだろうか、なぜ増員がなされないんだろうか。これでは国の直轄事業としての役割りが私は果たされていないと考えられます。この点について、長官どうでしょう。
  366. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) 国立病院等の定員につきましては、私どもといたしましても、従来からいろいろ配慮しているつもりでございまして、ただいま御審議をいただいております五十三年度予算におきましても、夜間看護体制の問題でございますとか、難病対策の問題でございますとか、そういうものを中心といたしまして合計五百九十七名の純増員、これに沖繩を含めますと六百四名になるわけでございますが、を行っておる次第でございます。  なお、総定員法制定以来十一年間をとってみましても、一般の省庁におきましては二万二千人以上大幅に減っておりますが、国立病院等の定員につきましては、重点的に増員を行ってまいりました結果、この十一年間に六千四百三人、沖繩を含めますと七千七十三人でございますが、かような増員になっておる次第でございます。
  367. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 それでは、なお重ねて行政管理庁長官の方へ伺いますが、私どもが調査をいたしまして、そして入院患者百人当たりの従事者数、これを調査しました。私どもの調査の結果では、総数においては国立病院、療養所というのは最下位なもんですから、都道府県病院と比較をしました場合に、都道府県立病院の六六%で約三分の二であることがわかりました。今日、私的要素のかなり強いと言われる日赤病院の七〇%しか人員がいない。しかも、国立療養所についても、些少の違いはありますが、これにしても低いという事実が出てまいりました。  そこで、仕事はどんどんふえるけれども、いまのようにふえたふえたというけれども、仕事は二倍にも三倍にもふえているわけです。そういうように仕事がふえているにもかかわらず、増員がなされていない。増員若干はあったというんですが、これはいま申し上げましたとおりに、十分な国立医療機関としての役割り、これは果たしていないというふうに私は思いますが、長官どうでしょう。
  368. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) もっぱら私どもの責任でございまして、行政管理庁においては、いまお話がありましたように、非常に総定員法の中で、特にほかの整理をやった財源を見出して国立病院、療養所に割いていただいているわけでございます。ことしなんかは特に苦しかったのですが、荒舩長官の御高配を得て、先ほど言うように七百人近い増員まで認めていただいたわけでございますが、実は百人当たりにしますとお恥ずかしい次第で、おっしゃるように、都道府県立と比べますとうんと少ないし、日赤よりはもっと少ない。一〇〇対六七ぐらいでございますか、それから療養所の方が六〇に満たないわけでございます。これは地域の実情によりましていろんな御要望があって、病棟をふやしたりいろいろするために、また比率が下がってくるというような問題等もありまして、非常に私も頭を痛めておるわけでございます。これは今後とも努力をすると申し上げる以外、あとはもう率直に言っていまは頭を下げざるを得ないわけでございますので、今後とも一生懸命に努力をいたします。
  369. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 それじゃ厚生大臣、私どもの試算では、都道府県立や日赤とはいまのように低いのですけれども、せめてそのぐらいのところまで国立病院を増員すると仮定しますと、私は数千名出てくるんです。医師についても看護婦についても医療従事者その他についても、それぞれ増員がなされなければ、先ほど大臣が言われたような包括医療だとかと需要が増してくる、これに対応できないと思うのですが、私どもの試算では数千名だと思いますが、その点大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  370. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) たとえば、いま御示唆のございました日赤の場合でございますが、全部の病院が一般病院でございまして、しかも比較的大都市に所在する病院でございます。また、日赤の職員の中にはパートタイマー、非常勤等いろいろ臨時の職員も含まれております。そういった関係で正確に直ちに比較することは困難であると思うのでございますけれども、やはり日赤と国立と比べた場合に、御指摘のように数千名の職員の増加は必要になろうかと考えております。
  371. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 行管の長官にお尋ねをいたします。  いま事由は私はいろいろあると思いますが、これは総定員法による定員との絡み合いだと思うんです。それならば、この際、総定員法を撤廃されるか、それが困難であるならば、私はこういう席で適当かどうかわかりませんが、厚生大臣が三月三日衆議院の予算分科会で、わが党の上田卓三委員の質問に対してお答えになっております。これは国立病院等、療養所並びに年金業務を扱う部分については総定員法の枠から外されることが得策ではないかと、こう私も思うし、この点についてはまず長官にお尋ねしますが、この絡み合いだと思いますが、どうなんでしょう。  それから、続いて大臣に、いまの点、確認の意味でひとつ厚生大臣からお答えをいただきたい。
  372. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) お答えします。  全体から見まして、福祉国家ということを考えてみるときに、医療行政で確かにお医者さんだとか看護婦だとか、いろいろな点で足りないだらけだと思うのでございます。したがいまして定員法の問題もあるし、また臨時雇いのような形もありますが、私の考え方は思い切って医療の充実を図っていきたい、こういう考えでございます。したがって、その定員法との絡みがございますが、国立病院の定員外の職員も五十二年の七月一日現在で計算いたしますと、五千四百人ふやしておるわけでございます。それから行政機関の仕事の中には、仕事の性格からして定員内職員が行うことが適当でない臨時的な仕事も大変あります。したがいまして国立病院等の定員外職員もこのような臨時的な仕事を行わせるために思い切った増員をしております。  私は、医療行政は素人でございますが、しかし、大変最近は難病だとかあるいはいろいろなむずかしい病人もありまして、こういうときには医療行政については思い切った増員をしていくことがいいと私は考えております。そういう線に従いまして、行政管理庁は人員を整理するところだけじゃございません、こういうところは、大いに足りない部面はひとつ増員をして、あなたのおっしゃるようにお気に召すようにやっていきたい、こう思っておりますから、どうぞ御支援を願います。
  373. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 衆議院の分科会
  374. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) あれは私は実は個人的な見解として述べましたのですが、私の個人的な見解から言いますと、やはり今後の雇用問題を考えた場合に、福祉、医療の面で相当雇用増を図っていく必要があるんではないか。特に老齢化社会を迎えていきますと、年金の業務につきましては飛躍的に増加をしなければならないような事態にもなります。これはもう当然計数でそういう見込みが立ってくるわけでございます。それから医療関係にいたしましても、まだまだ必要とする人員は先生のいままでの御議論であるわけでございますから、そういう意味一つの個人的な考え、将来の実は方向として申し上げたわけでございまして、その個人的な考えは変わっておりませんが、当面は、政府部内の御理解を得て、国立病院、療養所等についてはできるだけ逐次増員をして充足をしていきたい、かように考えます。
  375. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 ただいま、行政管理庁長官から大変心強い増員についての御見解に私は敬意を表します。同時に、実現へ向けて、ひとつ医療の充実に向けて一層の御指導をいただきたいと思います。  しかし、問題は、現実をこれは厚生大臣もよく知っておられるのですが、国立病院それから療養所には、現在、定員見合い賃金の職員というのが定員外にいるんです。これは昭和五十三年度に六千百二十八人に上っているわけです。この事実、これについて、これはもう定員でなく、身分もきわめて不安定な状態に置かれているわけですから、これは現実の問題です。ですから、せめてこの人たちだけでもまず定員にしてやるんだと、こういう御決断がいまのお言葉からすると御決断いただけるのだろうと思いますが、その辺については長官から再度御決意をいただきたいと思います。
  376. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) 私の考え方を申し上げます。もうきわめて素人ですから病院のことはよくわかりませんが、考え方としては、とにかく日本じゅう病人を治さなくちゃならぬですから、定員法もありますし、定員外のものもありますし、いろいろありますが、御質問のような趣旨でこれもいち早くやらなくちゃならない、こういうふうに考えておるんです。考え方はそうです。  それからなお、数字のことはよくわかりませんから、局長から答弁させます。
  377. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 やってくれればいいんです。
  378. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) 定員管理の問題につきましては、先ほど御指摘のございましたような、いわゆる総定員法で最高限度を定めておりまして、公務員総数の増加を抑えながら、その枠内で合理的な定員の再配置を機動的、弾力的にやっているわけでございまして、私ども、かような考え方あるいはその仕組みは今後とも堅持いたしてまいりたい、かように考えております。  ただ、総定員法の枠内であるからと申しまして、一律に定員削減をやっているわけではございませんし、もちろん必要な増員を抑えているわけではないのでございます。現に、国立病院等の医療職員につきましては定員削減の率をゼロにしている、つまり定員削減をかけていないわけでございます。それから他方、大幅な増員をいたしておりますことは先ほど申し上げたとおりでございまして、今後とも国立病院等の医療職員につきましては、総定員法の枠内におきまして、医療需要に応じて、必要に応じ適切な定員措置を図ってまいりたい、かように考えております。  それからもう一つ、定員外職員についてのお尋ねであったわけでございますが、行政機関の仕事の中には、仕事の性格から見まして、定員内職員が行ってしかるべきものと定員外職員が行ってしかるべきものとがあるわけでございます。国立病院につきましても同様なことでございます。そして定員内職員については定員内職員としての仕事がある、定員外職員については定員外職員としての仕事がある、かようなたてまえになっているわけでございます。国立病院の定員につきまして、従来から手厚く措置をしてまいりましたことは先ほど来御答弁申し上げているとおりでございます。
  379. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 手厚くなってないから、そう言っているのだよ。私は答弁になってないと思うのですよ。  私が言ったのは、現実に六千百二十八人の方が賃金見合い職員にいるから、これは定員にできないのですか、こう言っているんで、できない、できると言ってくれればいいんです、どちらなんですか。
  380. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) ちょっと私から申し上げたいのですが、余りそれを言われますと、せっかくの必要とする人員をそういうような便法でできるだけ確保していかなきゃいけない現場の立場から見まして、この辺のところは余り突き詰めないでいただいて、できるだけそういう形でも増員ができるようにいたした方がいいと思いますので、ひとつ御容赦をいただきたいと思います。
  381. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 厚生大臣、現実にいまもう不都合なことが山積しているわけですね。国立病院の私どもの調査でも、九十四の病院中六十二の病院の実態調査を行いました。その結果では、二万八百七十五名の患者さんに対して三千六十六名の付添人が現にいるわけなんですね。厚生大臣、こういうような矛盾はどうなんですか、人手がないからでしょう。現実に医療がおくれているわけですよ。大臣、そういう遠慮してないで、現実はそういうふうに厳しいんですよ、どうなんですか、一つの例です。
  382. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 付き添い問題は、ちょっといろんな事情が実はあると思うのです。また、どうも各病院、療養所等におきましては、やはり看護業務というものを非常に厳格といいますか厳粛に考えまして、一般的な身の回りの世話、いわば生活の身の回りの世話というものは看護婦さんにやらすことを適当としないという、労働組合とのいろいろな問題等もございますものですから、そういう実態が出てまいりますので、やはり制度として生活に必要な介護というようなものは、普通は、高度の知識、経験を持つ看護婦さんでなくてもいいわけでございます。ただ、これが保険外の負担として患者の家計を圧迫するというような問題は別個また考えていかなきゃいかぬとは思いますけれども、それがあるがゆえに臨時職員について正式な定員に切りかえろということを言われましても、どうも私どもはちょっといま直ちに結構でございますと言えない事情がありますので、この点はひとつ御容赦を願いたいと申し上げているわけです。
  383. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 人事院の方、昭和四十年、人事院の看護婦さんの夜勤の判定が出ましたね、これはもう十三年を経過しているんですけれども、今日なお国立病院、療養所でも、おたくの判定を出された体制については達成されていないんです。これについてはどう人事院では御判断になりますか。
  384. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 看護婦さんの夜勤のあり方等につきまして、いま御指摘になりましたように、行政措置の要求というものがございまして、事柄が大変重要でありますので、人事院といたしましても慎重にこれに取り組みました結果、判定を出しました。これは恐らく先生とっくに御承知のニッパチ関係の勧告というふうに一般に言われておるものでございます。いまお話しになりましたように、この判定はまだ完全には実施はいたされておりません。  ただ、これが出まして以来、各方面に非常に共感を得ましたし、また厚生省当局もこの線に沿って毎年努力をいたされまして、その結果、増員その他の点で一歩二歩の改善措置が着実に進んでまいっておりますことは事実だと思います。この点は皆さん方もお認めいただいておるところではないかと思います。われわれといたしましても、完璧に実施されておるとはいまのところまだ考えておりませんし、またニッパチ自体が最も理想的な形かと言いますと、そういうものとして断言をいたすことにはちゅうちょいたす点には変わりはございませんけれども、これが改善の端緒をつくったことは事実であり、今後ともこれの完全な遂行あるいはその他の勤務条件の改善には人事院といたしましても一層の努力をしてまいるつもりでございます。
  385. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 これまた私どもの調査の結果でありますが、国立病院特別会計決算額という昭和二十四年からずっと五十三年までの私どもの調査をした結果が手元にあります。これは大蔵大臣と厚生大臣に伺うのですが、昭和二十四年は、特別会計の決算額の調査の結果では繰入率として二六%なんです。ところが昭和五十三年、これには繰入率はずっと変遷がありまして八%に減っているわけなんです。それから診療収入と病院経費というものを見てまいりますと、昭和二十四年には八六%のものが昭和五十三年には、途中は省略しますが、九七%になっているのです。この九七%ということは、この経営から見、決算から見れば、一般の国の税金からの繰り入れば低くなっている。病院収入、診療収入というのは国立病院でかせいできている、九七%です、大蔵大臣ね。そうしますと、九七%というと大体自前できているということになりますね。  これは積算には、私どもは整備費は国の財産として残るものであるからこれは別にしたり、看護婦の養成機関というのはこれは医療機関がかせいで支弁する性格じゃないんでこれを除外しまして、多少問題がありますが、こういうような九七%になる。ある意味ではほとんど自前と言って差し支えないくらいに国立病院、療養所が現実の経営を行っているわけですね。そうすれば、何も先ほどのような総定員法で縛っておいて、そうして私は数字的に見て九七%自前でやっているのだから、どんどん増員が必要であれば増員した方が医療の内容充実、そしてこれからのふえるであろう老人対策、特に難病対策等々についての医療、広範にわたる包括医療への道を切り開いていくことができる条件ではないだろうか、こういうふうに考えるのですけれども、大蔵大臣いかがですか。  その次は、いま申し上げましたことで、再度、行政管理庁長官から、いまの自前でやっているのですから、その点についての御見解を承りたいと思います。
  386. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 具体的な数字にわたることでございますので、政府委員から答弁させます。
  387. 長岡實

    政府委員(長岡實君) お答え申し上げます。  確かに、御指摘のとおり国立病院特別会計に対します一般会計からの繰入率が低下をいたしております。いろいろの理由があろうかと思いますけれども、その最大の理由は、たび重なる診療報酬の改定の都度、病院の経営の改善ということに非常に重点を置いて行われてまいりました結果、その収支差の補てんが減ってきておるというのが最大の理由ではなかろうか、かように考えております。
  388. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) 国立病院等の収支の問題と定員管理の問題は、これはおのずから別ではなかろうかと考えております。収支がよいからといいまして直ちに定員管理を別にする方がよいとは必ずしも言えないのではないかと思っております。ただいま定員管理上別の体系をとっておりますいわゆる五現業の場合は、これは法制も別でございますし、国家公務員法の特例もございますので、制度のたてまえが違っておるわけでございます。  いずれにいたしましても、先ほど来申し上げておりますように、国立病院等の特殊性は私どもといたしましても十分認識をいたしておりますので、今後とも医療需要の動向に応じまして適切な定員措置を講じてまいりたい、かように考えております。
  389. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 以上のように、資料で申し上げまして、事実ということですね。  あるいはまた、先ほど来から厚生大臣の御見解もありますが、私は国立病院、同療養所の経営に対する努力というのは大変なものだと思っております。しかし、医療の内容についてはきわめて低医療下に置かれている、これも事実であります。このことは私は現象として非常にまずい、遺憾であると思っております。したがって国立病院、同療養所の医療の内容を充実させていく、あるいは先ほど行政管理庁長官のお言葉のように、医療充実については特段の御配慮をいただける、こういうような御見解も示されましたし、何としてもこれは、厚生大臣、人員の確保にあると思うのですね。どうなんですか、増員をする、医療の体制をそういうふうな需要に対応するのにはどうしたって人員がなけりゃならぬ、こう思うのですが、そうなんでしょう。
  390. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 問題は、実は、国立病院のあり方をこうありたいと思っておる考えと、その病院が所在する地域住民の方の期待とやはり少し乖離がございます。といいますのは、私どもは軍病院を引き継いで、たとえば国立病院のあり方としては近隣のところに三つもこう、別々の市町村ですが、ある場合がありますね。こういうようなものはなるべく整理統合して、そしてりっぱな整備をして国立病院らしい運営をやっていきたいと思いましても、現実に療養所なり病院がどんな小さい町にありましても、その町の住民にとっては非常に大事な医療機関でございますので、どうしてもそういう理想的なあり方でやろうとしてもできないわけでございます。したがって国立病院がまさにこの国立病院たらんとする性格をやめて、一般の病院、地域住民のための医療サービス機関とならざるを得ない場合がございます。  したがって、そうなってきますと、今度は地域住民から考えますと、もう少し増床してくれ、いや病棟をつくれ、外来をもっとという要望が出てまいりますものですから、したがって、どうも国立病院本来のあり方と別の意味でどうしても医療機関である以上サービスしていかなければいけませんものですから、そちらの方が先になるとどうしても人員の方が後になるというような形になり、病院に苦労を願ってがまんをしながら地域住民のサービスに力を注ぐというようなことになってしまいます。  そこで、そういう実態があれば増員したらいいじゃないかと言われますけれども、なかなか定員全体の中でやりくりをしていきますと、従来とも御承知のように相当の力を行管でもいただいてやっておりますけれども、間に合わないという実態がございます。できるだけ今後とも私どもは政府部内におきまして御理解を得て、充実に努めていきます。確かに定員が欲しいことば方々の実態を見ますとございますので、努力をしてまいりたいと思います。
  391. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 これは詳細に一つ一つを挙げれば切りがないので、時間がもう大分経過しておりますから、最後に確認をいたしたいのですが、厚生大臣、今後の国立医療機関が最初申し上げましたとおりに高齢化社会に向けて果たすべき役割りというのは、これは大変な役割りがあると思うのです。たとえば、結核はだんだん減ってくるけれども、脳卒中の三分の一はリハビリでも回復できると大臣も言っておられるわけです。そうすると、国立医療機関の中の療養所の質的転換ですね、医療資源というのはやっぱり大事だと思うのですね、そういう意味の資本だとか資源を活用していく面から見ても、今後の国立の医療機関の役割り、これは大変大きな歴史的な役割りを持つものであると私は思います。したがって医療の内容の充実についても、先ほど行政管理庁長官から非常に前向きの姿勢も示されました。これは質的転換は私は急務であると思うのです。この点はどうですか。
  392. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 御承知のように、疾病構造が変わって、死因の問題を見ましても成人病が最も大事ないま問題になっております。その場合の成人病対策に国立療養所を大いに活用することは私どもとしても今後とも進めていきたいし、同時に、リハビリの問題についても、少なくともそれぞれの県の状況を見まして、必要とする場合には国立病院をリハビリのセンターとして積極的に整備をして活用していきたい、かように考えます。
  393. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 今後の医療の充実に向けて行管長官の御決意も承りました。御見解も承りました。また、厚生大臣から今後の対応についての御見解も承りました。私は、今後の医療の充実に向けて、ますますの充実に向けてひとつ決意を新たにしていただきたい、これを御要請申し上げます。  時間もございませんから、次に中小企業関係でお尋ねをする前に、改めて大臣と行管庁長官の御決意を承りたいと思います。
  394. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) 先ほど申し上げたとおり、医療行政に、文化国家という立場からいたしましても、全力を挙げて御期待に沿うよう努力しなくちゃならない、こう思っております。どうぞ御支援を願います。
  395. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 貴重な御意見を承りましたので、私どもも参考にいたしまして、できるだけ今後努力をいたします。
  396. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 次に、通産大臣にお伺いをいたしたいと思いますが、構造不況下における中小企業の施策についてお尋ねをいたしたいと思います。  まず、長期化している不況の中で、そのしわ寄せを受けているのが中小企業であると思います。これに追い打ちをかけるように最近の二百三十円台という円高相場が輸出産地を中心にした関連中小企業に大きな打撃を与えている、この現状です。すでに円高対策として去る一月末にいわゆる円高中小企業対策法が施行されましたが、これは当時の一ドル二百四十円台という円相場を前提にして作成されたものであると思います。現状のようにさらに円の高騰が続いて二百三十円台を割ると予想されるわけですね。この状態では対策として私は十分であるとは思えません。さらに新しい円高対策を検討する時期に私は来ていると思うんですけれども、通産大臣、まず御見解を承りたいと思います。
  397. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) 仰せのように、中小企業は長い間の不況に続きまして今回の円高、このために非常に大きな影響を受けておるわけでございますが、昨年の年末に通産省といたしましては輸出が二〇%以上の地区合計七十九地区について調査をいたしました。そのときは非常に大きな影響が出ておったわけでありますが、その後、中小企業も、大体二百四十円の水準に落ちつくのではないかということで、それを基礎といたしまして、ずうっと合理化等を進めてまいりまして、ある程度は対応ができるというところまできつつあったわけでございますが、それが再び二百三十円という水準になったものですから、ことしの一月に円高緊急対策のための中小企業の緊急融資制度をつくっていただきましたが、そういう制度がございましてもやはり相当な影響が出ておると思います。そこで、ごく最近の事情をいま急いで調査をしておるところでございます。
  398. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 大臣ね、去る一月下旬以降に輸出産地の状況については新たな調査を通産省ではしてないというふうに聞いているんですが、これはどうなんでしょう。現在の円高による影響についてはもう大変だと思うんですよね。いま大臣は調査をすると言われるんですが、一月以降については調査を実施してないと私聞いているんですが、どうなんですか。
  399. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) 一番最終の調査の判明しておりますのは十二月であります。これは先ほど申し上げましたように、産地産業七十九地区の調査があるわけでありますが、その後しばらく二百四十円という水準が続いておりましたので調査をしておりません。しかし、最近、二百三十円ということになりましたので、数日前にこの実情を調べなければならぬということで最近調査を始めたところでございます。
  400. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 最近、公定歩合が引き下げられて、金利体系の引き下げについて検討されていますね。これとあわせて為替変動緊急融資の金利引き下げ、それから償還期間の延長、担保要件の緩和、既往融資金利の引き下げ、さらには産地振興対策、雇用の安定対策等について、私はもっと積極的に取り組む必要がある、こういうふうに思うんですね。大臣どうなんでしょう。
  401. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) いま幾つかの中小企業の対策についてお述べになりましたが、大体もうすでに全部やっておるわけでございます。ただ、この金利水準につきましては、先般相当引き下げまして五%台ということに円高の緊急融資はしております。相当なこれは決断であったと思いますが、最近なお厳しい事情にございますし、公定歩合も引き下げになりましたので、さらにこの公定歩合の引き下げに応じましてある程度の一層の引き下げが可能でないかということで、いま関係方面で相談をしておるところでございます。
  402. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 現在の不況のうちでも、特に深刻な状況にあるいわゆる構造不況業種を救済するために、構造不況対策法案が国会に提出されておりますわね。これは過剰設備の廃棄を中心とする業界の構造改善を図ることを主な内容にしているんですが、問題点の一つに、この対策は主として大企業を対象にしていることが挙げられると思うんです。構造不況問題というのは、大企業ではなくて、中小企業においてきわめて深刻な現状は大臣御承知のとおりなんです。こうした中小企業の構造不況問題を解消して真に中小企業者の構造改善を推進するために、それじゃ大臣はどういうような施策、対策を講じられようとするんですか。
  403. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) いま国会で御審議をお願いしております構造不況業種対策の緊急立法は、これはいまお述べがございましたように、過剰設備の廃棄をいたしまして構造改善事業をするということが中心になっております。これは大企業だけではありません。やはりその業種が構造不況業種に指定をされますと、大企業はもちろん対象になりますが、その業種に属する中小企業ももちろん対象になります。ただ、しかし、中小企業につきましては前からこの構造改善事業の制度があるわけでございます。非常に有利な制度がございまして、中には構造改善事業のために無利子で十六年間の資金が借りられる、こういう制度もございますし、また業種によりましては二分七厘、十六年と、こういう制度もございます。幾つかの非常に有利な制度を前から発足させておりまして、決して中小企業対策というものを放置しておるわけではございません。
  404. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 これは従来のように小零細企業者の切り捨て、こういうものにならないように、私は構造改善対策というのは大事だと思うのですね。しかし、企業の整理だとか転換といった、私は後ろ向きの対策であってはならないと思うのです。産業の進むべき方向というもの、これはやはり積極的な前向きの対策が私は最も必要であると思うのです。この点はどうなんですか。
  405. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) その点につきましては政府も全く同感でございます。いまいろいろ構造不況業種対策とか中小企業対策とか言いますけれども、ある程度景気がよくなりまして産業全体の操業率が上がりますと、構造不況業種も中小企業対策も大部分は問題は解決するわけでございます。だから何よりも仕事の量をいかに確保するかということが一番の大事な課題でございまして、そのためにはやはり景気対策が一番大事である。でありますから、後ろ向きの対策だけではなくして、やはり前向きの積極的な景気対策、これをあわせて進めていくことがぜひ必要であると痛感をしております。
  406. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 中小企業の倒産対策として伺いますが、これは倒産防止の緊急融資、こういうもので掛金の十倍までの無利子融資が受けられる、中小企業倒産防止法共済制度というものですね。  問題は、本年の四月一日からの発足の予定ですね、しかも、これから六カ月以上加入期間を必要とするわけでしょう。すると当面の緊急課題における倒産防止にならないじゃないですか、はるか先じゃないですか。その辺について私はそういう緊急課題こそやはり前向きの姿勢の中で何らかの措置が必要だと思いますが、大臣どうなんでしょう。
  407. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) この法律は昨年の年末につくっていただきまして、やはり相当十分な準備が必要でございますので、四月一日から発足するということになっておるわけでございます。ただ、相当な時間をかけまして掛金を掛け終わるまでは有効ではないと、こういうことにしますと働きをいたしませんので、そこでスタートの場合には、まとめて掛金を払ってよろしい、こういうことにいたしまして、四月発足と同時に、希望者に対しては直ちに全部の効果が上がるように、そういう仕組みをいま決めまして、実施に移すべく準備をいたしております。
  408. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 私は、倒産防止についても特に大臣に申し上げたいのは、倒産した中小企業の経営内容を見ますと、そのほとんどが政府系金融機関からの融資を受けていない、こういうふうに中小企業で言われているわけですね。で政府系金融機関が優良企業のみを対象にして、倒産しそうな経営の苦しい中小企業に対して融資制度が非常に厳しい、こういうことは現に第一線でやられているわけなんです。これらについては本当の救済にならない、防止にならないですね。この点についてはどうなんでしょう。
  409. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 高杉君、時間が来ました。
  410. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) 政府系の金融機関から資金を借りております中小企業に対しましては、もうすでに不況になりましてから非常に経営が悪化しておりますので、返済猶予、担保の見直し、こういうことについて十分相談をいたしております。すでに昨年一年だけでも返済猶予等について実現をいたしましたのが約四万件あるわけでございます。  いまの御指摘は、それ以外の、政府系の機関から金を借りていない零細企業等がたくさんあるではないか、こういうお話だと思いますが、この政府系の三機関による融資とは別に、小規模企業に対する融資制度というものが数年前にスタートをいたしまして、現在は二百五十万円でありますけれども、これは無保証、無担保で活用できることになっております。この資金の総額は約五千億前後、ここ一、二年ずっと続けておりまして、この資金額で十分でございまして、使い残しも出る、こういう状態でございます。だから中小企業といいましても、いろいろのタイプもありますし、いろんな経営規模の違いもございますので、それぞれのいろんな制度を有効に使っていただきたい、こう思っております。そのために、いま全国各地に経営指導員を約一万名弱置きまして経営相談にあずかっておるのでございますが、積極的に通産省といたしましても経営指導に取り組んでおるところでございます。
  411. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 簡単に願います。
  412. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 中小企業はやむを得ず高利の金融に走って、それが倒産を早める結果になっている事例というのは多くあるわけですね。こうした現状をせっかくつくっても、実際には十分に生かされていない。まさに仏つくって魂入れずの感があるわけです。通産大臣は、ぜひ魂を入れた中小企業の倒産防止や金融措置その他の施策についての実行に私は努力していただきたいと、こう思うんです。所信と決意をお伺いしまして私の質問を終わります。
  413. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) わが国の中小企業は非常に数も多うございまして、その果たしております役割りというものは、生産の面におきましても雇用の面におきましても非常に大きなものがございます。したがいまして、私どもは中小企業政策がうまくいかなければ産業政策全体がうまくいかないんだと、こういう決意のもとに最重点産業政策として取り組んでおるところでございます。今後もその決意、方針をもって貫きたいと考えております。
  414. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 以上で高杉君の一般質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  415. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 次に、山中郁子君の一般質疑を行います。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  416. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 速記を起こして。  山中君。
  417. 山中郁子

    山中郁子君 初めに国際児童年について伺います。これは政府で、やれ外務省だとか総理府総務長官だとか厚生省だ、いろいろ言っておりました。それで私の方は責任持って答えてくれということで、外務大臣が答えるということで、しかもそれを、都合があるからトップにやってくれというお話でいたしましたことです。私は、政府がちゃんとした誠意を持って、そしてこうした事態については十分反省をして、国会審議を尊重することを初めに強く申し上げておきたいと思います。  ところで、国際児童年に当たっての政府の基本的な見解をまずお伺いいたします。
  418. 稻村佐近四郎

    国務大臣(稻村左近四郎君) お答えをいたします。  外務省として各国の情報を現在いろいろ集められておるわけであります。その結果、これに対処しよう、こういうことでございまして、総理府といたしましては所管外ということになりますので、今後いろいろな形で各省にまたがっておる等等の関係から、もし総理府が各省の調整機能の役割りを果たせ、こういうことになりましたときにはいろいろ相談を申し上げて、そのような事態にはきわめて明快なお答えができるのではないかと、こういうふうに思っているわけであります。
  419. 山中郁子

    山中郁子君 政府の基本的見解をお伺いしております。そして総務長官は総理大臣のかわりにここへお出になっているんですよ。
  420. 大川美雄

    政府委員(大川美雄君) 国際児童年と申しますのは、御承知のとおり、いまから二十年前に採択されました児童の権利に関する宣言のちょうどその二十周年が来年に当たりますので、その宣言の趣旨を一層徹底させる趣旨で、国連総会の決議によって決められたものでございます。わが国は、世界の児童福祉向上の必要性につきまして各国の認識を深めるという国際児童年の目的にはもちろん賛成でございます。そのための中心的な機関としてユニセフが指名されております。それから、それとは別に国際児童年事務局というものができておりますけれども、その両機関と緊密に協力いたしまして、この児童年に向かってのいろんな準備を進めてまいる所存でございます。
  421. 山中郁子

    山中郁子君 基本的見解をお伺いしているのでありまして、総務長官にぜひとも政府の代表としてお答えをいただかなければなりませんけれども、私は大事な点はお祭り騒ぎとか、あるいはお役所仕事でなくて、これを契機に日本の子供の実情を見直し、そして受験地獄やあるいは子殺し、その他たくさんの問題があります。そういうことをわが国の児童憲章、それから児童福祉法、こうしたものの完全な実現、さらに発展、そういうために位置づけ、努力をすべきだと考えておりますが、御異存はありませんか。総務長官としてだけじゃだめなんですよ。
  422. 稻村佐近四郎

    国務大臣(稻村左近四郎君) 先ほども申し上げましたように、いま外務省で各国の状況をいろいろ調査をされておるわけであります。それを踏まえて御指摘の点に沿うべく努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  423. 山中郁子

    山中郁子君 ユニセフの事務局長のアブダバ・リム女史が来日をされました。各省庁にいろいろなお話があったと存じます。また、三十一回国連総会の決議もございますけれども、これは何を具体的に要請をされているのか、お答えをいただきたい。
  424. 大川美雄

    政府委員(大川美雄君) 一昨年の国連総会におきまして、この国際児童年に関する決議が採択されました。その内容は、まず一九七九年を国際児童年と宣言いたしております。  次に、国際児童年の一般的な目的といたしまして、次のようなことを掲げております。それは第一に、児童のために主張を行い、児童の特別のニーズと申しますか、その児童が必要としているものに対する各国の政策決定者及び各国の国民の認識を高めるように要請すると、高めるための枠組みを提供するということが一つでございます。それからもう一つは、各国内におきましても、国際レベルにおきまして児童のための活動の継続を確保する見地から、児童のための計画が経済社会開発計画の一部分をなすのだと、各国の開発計画の不可欠の一部として児童のためのいろんな計画が進められるべきであるということを認識すべきだと、そのための児童年であるというふうに申しております。  それで、それを受けまして各国に対して何を要請しているかと申しますと、まず第一に、各国政府が児童の福祉向上を目指す努力を永続的に促進することを強く要望する。それから国際児童年のためのいろんな事業を計画いたします国連の児童年事務局の経費として、各国から自発的な拠出を行うよう要請する。それから各国政府に対して、さらに国際児童年の目的を達成するために、その拠出要請に快く応ずるように訴えると、こういうような内容でございます。  それから昨年来日いたしましたリム女史、これは国連の事務総長から特に国際児童年の事務局を担当するために指名されたフィリピンの人でございますけれども、昨年の十二月にたまたま東京で開かれました国連大学の理事会、これは国連大学の理事もしておられますので、それに出席のため来日した人でございますけれども、来日の際に私ども外務省を初め関係各省庁を歴訪いたしまして、この国際児童年というのがどういうものであるか、どういう目的で設けられるものであるかということをつぶさに説明いたしますとともに、その事務局の経費の支出、それから児童年に際します各種活動についてのわが国の協力を要請してまいった次第でございます。
  425. 山中郁子

    山中郁子君 国連決議はさらに非政府機関及び国民が積極的に参加をし、プログラムの作成についても及んでおりますから、私はぜひとも政府からお答えをいただきたいんですが、国内委員会、並びにそれを具体的に取り組む体制はどこの省庁が中心になっていつまでにどういう体制をつくるのか、そのことについて長官からお答えをいただきます。
  426. 稻村佐近四郎

    国務大臣(稻村左近四郎君) お答えいたします。  現在のところ外務省が中心となって、先ほども申し上げたようにいろいろな御報告を受けたり、いろいろ調査を進めておるわけでございまして、どの省がこれを所管するか、どの省がこれの中心になるかということはまだ決定されておりません。
  427. 山中郁子

    山中郁子君 いつごろまでに。
  428. 稻村佐近四郎

    国務大臣(稻村左近四郎君) いつごろまでと言われましても、先ほど来も申し上げたように外務省所管であると、こういうような関係から、しょせん代理ということでありますから、そういう決定づけたことを申し上げることは差し控えたいと、こういうふうに思っております。
  429. 山中郁子

    山中郁子君 じゃ外務省から答弁してもらってください。
  430. 大川美雄

    政府委員(大川美雄君) この国際児童年の際に行われ得る各種行事は、たとえば児童の健康増進のための施策でありますとか、あるいは学校関係の問題でありますとか、乳幼児の問題とかいろいろございまして、直接に外務省が主催して行うようなことは、外務省の任務上からして無理な点がございますので、ただいま外務省としてやっておりますことは、先ほど総務長官から御説明がございましたように、各国がこの児童年行事を控えてどういうようなことを企画しているかについての情報を収集したり、あるいはどういうような体制でもってこれに臨むことにしているのかというような情報を収集していることでございます。で、ことしの一月ごろでございましたけれども、一度外務省が関係ありそうな各省庁を集めまして、こういった国連における各国の動きについて説明を行いました。まだそういった情報を収集し続けている状況でございまして、いずれ各省庁間で協議いたしました結果、どこが一番中心になってこれを具体的に推進するかということがいずれは決まることになろうかと思います。来年の一月からでございますから、できるだけ早くそういった体制が発足することが望ましいことは申し上げるまでもございません。
  431. 山中郁子

    山中郁子君 この問題が最後ですけれども、総務長官、民間団体の知恵や力を結集して、そして実効のある、中身のある児童年の取り組みをするということについてのお約束をいただきたいと思います。
  432. 稻村佐近四郎

    国務大臣(稻村左近四郎君) いま御指摘の、こういう問題は内容のあるものにということ、御指摘のとおりでございまして、できるだけ外務省がいろいろな各国の状態等々の情報収集、これを踏まえてできるだけ御意見に沿うように努力をしてまいりたい、こういうふうに思っております。
  433. 山中郁子

    山中郁子君 次に、私は昨年の横浜市における米軍ファントム機の墜落問題についてただしたいと思います。  事件発生以来もう六ヵ月近くたったわけですけれども、この事故で二人の子供さんが死亡され、そして三人の重傷者が出ましたけれども、その後の被害者の病状はどうなっているのか、お答えをいただきたいと思います。
  434. 亘理彰

    政府委員(亘理彰君) お答えいたします。  九月二十七日の事故で重傷を負われた方が三名おいでになるわけでございますが、   〔委員長退席、理事中村太郎君着席〕 そのうち最も重体の林和枝さんは、現在もなお昭和大学の藤ケ丘病院で引き続き治療を続けておられるところでございます。現在、無菌室に入られて、敗血症を予防するということとあわせて、皮膚移植の手術を実施しておられるというふうに伺っております。なお大変重い病状にあられるわけでございます。  それから、林早苗さんは、現在自衛隊の中央病院に入院していただいて、鋭意やけどの治療に努めておりますが、経過はかなり順調でございまして、リハビリテーションも実施中でございます。比較的早く、御家庭の受け入れ態勢等の問題はございますが、早い時期に退院、以後通院による治療ということも可能ではないかというところまで来ておられるというふうに承知しております。  それから、椎葉悦子さんは昨年の十二月三日に青葉台病院を退院されまして、現在防衛医大病院に月二回ほど通院されまして、やけどの治療をされておると承知しております。  これらの重傷の方々に対しましては、当庁としまして、まだ完全な補償措置に至っておりませんけれども、その部分払いとして療養費その他の支払い、あるいは付き添いの方のお世話等をいたしております。   〔理事中村太郎君退席、委員長着席〕  なお、重体であられる林和枝さんの入院されておる病院につきましては、現在も職員を派遣して、いろいろの連絡等のお世話をいたしておるところでございます。
  435. 山中郁子

    山中郁子君 ぜひ具体的によく知ってもいただかなければいけないんですけれども、いま御報告がありました、私も一二週間ほど前にお見舞いに伺いまして、御主人の林さんからいろいろお話を伺ってきました。奥さんには大変容体が悪いのでお目にかかれません。それで、全身やけどで特に背中がひどくてたん白質が流出する、皮膚ができない、そういう状態で、たまたま私がお伺いした日の翌日、御主人が自分の皮膚を切り取って皮膚移植をすると。それが成功しなければ生命の安全がまだ保証されない、命にかかわると、こういう状態です。妹さんにつきましても、手が第二関節から二本全部とれてしまって、そしてこれが皆くっついちゃって、これを切り離す手術を再びするというような状態を訴えておられました。椎葉さんの奥さんも、いま大変軽いような状況の御報告がありましたけれども、精神不安定その他の問題も含めて大変後遺症が残っております。何としても私はこの悲惨な犠牲者の回復のために、政府がもう全力を挙げて責任を果たしていただかなければいけないとまず思いますけれども、そのための全面的な努力をお約束いただきたいと思います。防衛庁長官いかがでしょうか。
  436. 金丸信

    国務大臣(金丸信君) 厚木の事故につきましては、まことに申しわけない事故でありまして、ことに私は林さんの子供であります三歳になる裕一郎さん、また一歳の康弘さんというお坊ちゃん、お二人を亡くしたそのお母さんは重病でおられて、子供の死んだのも知らないという話も聞いておりまして、非常にお気の毒だと、心から一日も早く、せめていま重病のお母さんだけでも治ってもらいたいという、そういうために防衛庁といたしましても、ただいま施設庁長官からお話をいたしましたように、最大の努力をしてできるだけの補償もして、補償それ自体がすべてそれで終わりということでなく、物心両面の温かい思いやりをもって、この問題を処理していかなくちゃならないという基本精神でいたしますので、いまおっしゃられることにつきましては十分お約束をいたします。
  437. 山中郁子

    山中郁子君 もう一つ問題は補償の問題です。それで、まだ補償交渉その他はこれからの問題になりますけれども、いままでの例を見ましても、それから現在林さんの問題についても、余りにも施設庁の言っている評価額は、動産、不動産の問題なんかも含めてだと思いますが、それと被害者の主張とかけ離れているという問題があります。これはやはり全面的な被害者の要求に十分こたえられるように誠意を持って努力をされたいと、このこともあわせてお約束をいただきたいと思います。防衛庁長官
  438. 金丸信

    国務大臣(金丸信君) 誠意を持っていたしますことは先ほど申し上げたとおりでありますが、余り私はまだその内容を聞いておりません。しかし、いままでのルールもあることであるし、慣例もあることでありますから、それも全然無視するわけにはいきませんが、誠意を持ってこれに対処することをお約束いたします。
  439. 山中郁子

    山中郁子君 ルールなどにこだわらないで、ぜひ努力をしていただきたい。  それから、あわせて林さんがいま一番ほしいものは奥さんの体力保持のためのプラズマネートというお薬なんですけれども、これが病院への割り当てが少なくて大変困っている、ぜひとも何とかしてほしいと訴えられました。厚生省にお願いをしてありますけれども、どのような措置がとられますでしょうか、お答えをいただきたいと思います。
  440. 古市圭治

    説明員(古市圭治君) お話のプラズマネートにつきましては、三月十八日に話をこちらの方に伺いましたので、早速林さんの主治医と連絡をとりました。その結果、主治医より二十一日までは病院の在庫で間に合うということでございましたので、二十二日以降分といたしまして三十本をとりあえず用意してもらいたい、こういうことでございました。これを早速メーカーに伝えまして供給の手配をしたところでございます。現在もう届いているということでございます。
  441. 山中郁子

    山中郁子君 その他治療上の要求もよく聞いて対処していただきたいと思います。  そこで、旧安保条約締結以降、現在までに起こった米軍による事故件数、死亡者数をそれぞれ公務中、公務外に分けてお示しをいただきたい。
  442. 亘理彰

    政府委員(亘理彰君) 講和条約の発効いたしました二十七年から、これは資料関係で五十二年の十一月末までということでお許しいただきたいと思いますが、その間の当庁で承知しております米軍関係の事故は、公務上の事故が三万六千七十五件、これによる死亡者数が四百八十六人でございます。それから公務外の事故がこの二十五年間で十一万三百十八件、これによる死亡者数は四百七十名ということでございます。この事故件数が大変多いのでございますが、この大部分、約八割は車両事故でございまして、この中の大半、九割以上は追突とか接触等の比較的軽い物損事故が多いわけでございます。そのほか航空機事故、船舶事故その他でございますが、航空機事故につきましても、不時着あるいは緊急着陸あるいは部品の落下事故その他のものを含んだ件数でございます。
  443. 山中郁子

    山中郁子君 いまの数字は返還前の沖繩での事故は入っておりますでしょうか。
  444. 亘理彰

    政府委員(亘理彰君) 入っておりません。
  445. 山中郁子

    山中郁子君 入るとこれよりも数字が多くなるということですが、それに該当する件数、死亡者数はいまお示しいただけますか。
  446. 亘理彰

    政府委員(亘理彰君) ただいまその数字を承知しておりません。できる限り調べてみたいと思いますが、現在承知しておりません。
  447. 山中郁子

    山中郁子君 その点、後ほど御報告をいただくということでよろしいでしょうか。
  448. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 後で報告しますか。
  449. 亘理彰

    政府委員(亘理彰君) 日本側に施政権のない時代の記録でございますので、米側の資料が完備されておるかどうかということによるわけでございますので、米側に問い合わせまして、できるだけ情報を得まして御報告をできる限りいたしたいと思います。
  450. 山中郁子

    山中郁子君 公務中のもので犯罪の疑いがあると判断して、日本側が米側に通告したのは何件ありますか。法務省にお伺いすることになりますかね。
  451. 伊藤榮樹

    政府委員(伊藤榮樹君) 犯罪発生の通告の関係は警察の一線でやっておられると思いますので、私どもの方にはただいまの御質問にぴったり当たる数字はございません。
  452. 山中郁子

    山中郁子君 じゃ警察庁でもいいですよ。
  453. 鈴木貞敏

    政府委員(鈴木貞敏君) いまの通告の件につきましては、警察としてもいままでのそういう具体的件数その他ございません。ただ、先ほど来防衛施設庁の方からございましたように、在日米軍関係の刑法犯、これにつきましての検挙につきましては、公務内外の別はございませんけれども、一応統計的には把握しております。
  454. 山中郁子

    山中郁子君 政府として犯罪の疑いがあると判断して米国に通告した件数がどちらでもわからないというのはどういうことですか。法務大臣でも国家公安委員長でも結構ですからお答えいただきたい。
  455. 伊藤榮樹

    政府委員(伊藤榮樹君) 公務の内外を問わずという前提でお尋ねをいただきますと、毎日いわゆるルーチンワークのような形で米軍人の起こしました犯罪が処理されておりますので、記録を一々当たってみませんと、統計があらかじめ用意されておりませんので、大変な量になりますので困難でございます。ただ、公務中のものにつきましての統計は比較的調査が容易であろうと思います。  公務中の米軍関係者による犯罪のうち、米軍軍属の人が犯しましたものにつきましては、おおむね米側が第一次裁判権を行使いたしませんので、日本側で裁判をいたしております。それから米軍人そのものの公務中の犯罪で、わが方が米側に対して第一次裁判権の放棄を要請したりいたしました上、わが方で裁判権を行使したものはございません。
  456. 山中郁子

    山中郁子君 第一次裁判権を米側に放棄要請したものが一つもないということですか。
  457. 伊藤榮樹

    政府委員(伊藤榮樹君) これまでございません。第一次裁判権がどちらに帰するかということが問題になりまして、日米合同委員会で議論した結果、日本側に第一次裁判権ありという結論になりましたものは一、二ございますけれども、御質問のように、わが方から第一次裁判権の放棄を要請したことは従来ございません。
  458. 山中郁子

    山中郁子君 では、日本で犯罪の疑いがあると判断したものであっても、そのすべては米側が裁判権を行使したことになると思いますけれども、実際に裁判を行ったものは何件あるんですか、アメリカが、米軍がね。
  459. 伊藤榮樹

    政府委員(伊藤榮樹君) 地位協定上、公務中の犯罪につきましては米側に第一次裁判権がございます。そこで、わが国の刑罰法令に触れると疑うに足りる嫌疑のある事案が発生いたしますと、警察当局等から犯罪発生通知をいたしておるわけでございます。それに対しては例外なく米側が第一次裁判権を行使するという態度を示してきておりまして、米側で処理がなされておるはずでございます。で、米側で軍事裁判にかけましたものについては、毎月その数字についての通報が来ております。  なお、統一軍法上の秩序維持の関係の懲戒処分になりましたものにつきまして従来報告が滞っておりましたが、最近これも通知を受けるように協議を整えたところでございます。で、その数字につきましては何分非常に膨大でございますので、公務中のものについてだけに限って申し上げますと、いわゆる事故の事件が多うございまして、それらにつきましては、米側では、いわゆる刑事裁判、軍事裁判というものは一般的にいって余りやっていないように見受けられます。
  460. 山中郁子

    山中郁子君 余りやっていないじゃなくて、あなたの方で通知を受けることになっているわけでしょう。何件受けたんですか、答弁してください。
  461. 伊藤榮樹

    政府委員(伊藤榮樹君) 現在記録が残っておる限りにおきましては、米側で軍事裁判に付したものはゼロのようでございます。
  462. 山中郁子

    山中郁子君 裁判権をそれでは行使した結果、懲戒も含まりますけれども、処罰されたのは何件あるんですか。
  463. 伊藤榮樹

    政府委員(伊藤榮樹君) 先般来、懲戒処分の結果についていろいろ御質問があった経緯にかんがみまして、米軍当局に問い合わせてみたわけでございますが、懲戒処分の記録が、当該軍人の、まあ身柄という言い方は変かもしれませんが、身柄とともに部隊が変わりますと引き継がれておると、そういう関係で現在のところ調査ができない、こういう米側の回答を得ております。  そこで、そういう事態ではまことに困るということで申し入れまして、先般刑事裁判権分科委員会の委員長同士で話し合いまして、今後は米側もそれぞれの部隊からそれぞれの地方検察庁に対して懲戒処分の結果についても通報すると、こういう約束を得ておりますが、遺憾ながら従前のことについては以上のような経緯で判明いたしませんので、私どもも申しわけなく思っておる次第であります。
  464. 山中郁子

    山中郁子君 法務大臣、三十年近くなる期間おたくの方は何にも結局はやってなかったんです。公務上だけでも四百八十六人の人が死んでたり殺されたりしてるんですよ。その結果について、何にも国として後追いもしなければ報告もしないのは一体これはどういうことですか。ちゃんと合意事項にやるようになっているじゃないですか。
  465. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 私もいま事務当局説明を聞きまして意外に思います。率直に申し上げます。今後は厳重にその結果を報告してもらうように交渉したいと思います。
  466. 山中郁子

    山中郁子君 事故犯罪十四万六千件、公務上は三万六千七十五件、四百八十六人の人が死んでいる。これが安保条約下の日本国民の実態なんです。被害を受けている。ですから、このことについては、いまこれからはとおっしゃいましたけれども、いままでのことも全部責任を持ってお調べになって報告をしていただきたい。お約束をいただきたいと思います。
  467. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 可能な限りさようにしたいと思います。
  468. 山中郁子

    山中郁子君 可能なはずです。可能でなければ外交交渉を通じてアメリカにきちんとそのことを要求する。外務省から見解を伺います。
  469. 伊藤榮樹

    政府委員(伊藤榮樹君) 日米合同委員会の刑事裁判権分科委員会のテーマでございますので、御趣旨を体して、さらに強力に申し入れたいと思います。
  470. 山中郁子

    山中郁子君 公安委員長並びに法務大臣に伺いますが、椎葉さんからこのファントム墜落問題で告訴がされています。どのような処置をとられるおつもりなのか。  それからまた、アメリカに対して一次裁判権の放棄要請はなさるのか。二つお答えいただきます。
  471. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) この事件には操縦士のミラー大尉というのが告訴をされております。この事件は警察庁の方で調査をいたしておりますが、警察庁の調査ができまして、検察の方に通報があり、この上で協力して、犯罪ありと認めればこれを捜査すると、かような事態になるわけでございますが、いまのところ犯罪ありということで現在通報を受けておりません。そこで、裁判権の問題でありますが、そういう事態を過ぎまして、これが重大な犯罪であると、重大な過失に基づく重要な犯罪であると、こういう事態になりますれば裁判権の放棄を求める考えでありますけれども、いまのところいずれにするかということの判断の資料がないというのが現状でございます。
  472. 山中郁子

    山中郁子君 警察庁、公安委員長
  473. 加藤武徳

    国務大臣(加藤武徳君) 事故が公務中であります場合には、御承知の地位協定によりまして、第一次裁判権は米軍側にあるのでありますけれども、しかし捜査権はわが方にあると、かように判断をいたしまして、今日もなお調査を継続中であります。
  474. 山中郁子

    山中郁子君 警察の捜査については後ほど触れますが、施設庁にその前に伺います。  事故分科委員会の報告書が出ましたけれども、これには横田管制塔の事故機に対する誘導措置が墜落の要因でないとして免罪していると、そういう表現になっていると私は理解をいたします。事故機は離陸直後から横田管制塔に入るわけですから、櫛田管制のとった具体的な措置、それを示す記録が明らかにされていないのは大変理解に苦しみます。なぜですか。
  475. 亘理彰

    政府委員(亘理彰君) 横田管制塔の事故機との交信記録は、事故分科委員会における検討の際に、調査結果をまとめる資料として使われておるところでございます。
  476. 山中郁子

    山中郁子君 じゃ何をお使いになったんですか。何と何を。
  477. 亘理彰

    政府委員(亘理彰君) 何と何とおっしゃる意味はよくわかりませんけれども、緊急事態が発生しましてから脱出に至る間の事実関係の確認のために使われておるわけでございます。
  478. 山中郁子

    山中郁子君 じゃ具体的にお伺いしますけれども、パイロットと管制塔との交信記録、レーダーフィルムによる飛行の航跡の記録、緊急周波数――SOSですね、これの受信の記録、そうしたものはそれぞれお調べになったわけですか。報告書には何にもそういうことに触れてないですよ。
  479. 亘理彰

    政府委員(亘理彰君) 今度まとめられました、かつ発表されました報告書は、十二月二十日にまとまりました米側の第一次調査結果に基づきまして、これを日本側で所持しておりました資料、と申しますのは目撃者の証言あるいはフィルム等でございますが、さらに、それらのほかに米側の調査結果の裏づけとなる資料提出を求めまして、日本側の技術者を含めて確認したところでございます。その作業の一環として交信記録等は用いられておるわけでございますが、いまお話しの中で、レーダーフィルムとおっしゃったのは存在しないように聞いておりますが、そのほかのところについては、事故分科委員会で調査結果の取りまとめの過程で活用されておると承知しております。
  480. 山中郁子

    山中郁子君 レーダーフィルムの航跡の記録がないはずはありません。そうしたものが、それでは出されて調査をなすったにもかかわらず、報告書にはどうしてそのことが書いてないんですか。そのことが書いてなければ、パイロットがいつ脱出して、飛行機がいつ地面に激突したか、その間のパイロットの責任の有無もわからなくなる。そこが一番肝心なところじゃないですか。
  481. 亘理彰

    政府委員(亘理彰君) 事故の発生の事実関係については報告にかなり詳細に記述されておると存じます。ただ、この脱出の時刻あるいは衝突しました時刻の正確な秒単位の時間を判定するに足るだけの十分な証明が得られなかったということで、報告書に記載されたような内容になっているわけでございますが、事故分科委員会の日本側委員は、技術者の新羅先生、海法先生あるいは防衛庁の技術研究本部の技術者等々を交えまして、専門的、技術的な見地から十分の検討をして報告書をまとめたところでございます。
  482. 山中郁子

    山中郁子君 飛行機事故ですから秒単位が決定的な問題になるんですよ。それで、先ほどSOSの受信装置はあると、調べたとおっしゃいました。それでしたら、ちゃんとしたその時間がわかるはずでしょう。
  483. 亘理彰

    政府委員(亘理彰君) エマージェンシーの発生、緊急の事態の発生の連絡は、パイロットから横田に届きましたのは十三時十八分台から十九分台ということでございますが、これは記録に残っておりませんので正確な時間はわかりません。  なお、脱出いたしますと、脱出した途端に緊急周波数で電波が送られるような装置がございまして、これが記録されておるわけでございますけれども、実は昨年の十月の十七日に衆議院の予算委員会で中間報告いたしました段階で、緊急脱出をいたしまして自動的に発信される、緊急を報ずる電波が十九分十二秒ということを申し上げたわけでございますが、その後事故分科委員会において精細に調査をいたしましたところ、これはそういう単位で事故分科委員会の報告として発表するだけの十分な確証が得られなかったわけでございます。したがいまして、脱出時刻につきましても、報告では十九分ごろに脱出措置を開始した、こういうことになっているわけでございますが、ただ、私ども、この事故分科委員会の検討の過程で承知しておりますところによりますと、イジェクションシートと申しますが、脱出いたしまして電波が鳴り始めたのは十九分〇九秒ごろからだと、それ以後ずっと衝突まで継続してその緊急周波数の電波は続いておったというふうに承知しております。
  484. 山中郁子

    山中郁子君 だから、衝突の時間は受信装置があるからわかるんでしょう。それにこの報告書にそのことが書いてないんですよ。書いてないからパイロットの責任については追及できなくて、パイロットに責任がないかのようになっているんです。どうしてそれがわからないんですか。報告してないんですか。
  485. 亘理彰

    政府委員(亘理彰君) 初めに申し上げますが、事故分科委員会は、あくまで究極の目標は同種事故の再発防止ということでございまして、刑事あるいは民事の責任にかかわる調査機関ということではないわけでございます。  そこで、この事実関係については、できる限り事故分科委員会としても今後の再発防止の資料にもなるということで調査いたしたわけでございますが、墜落時刻につきましては、報告書では御承知のとおり十三時十九分から二十分の間ということになっておりまして、秒単位の正確な時間は書かれておりません。ただ、検討の過程におきましていろいろ私どもが承知しておるところでは、当日米海軍のヘリコプター、スペースMというのが飛んでおりまして、そのスペース14から厚木タワーに連絡がございました時間がわかっております。それは、飛行機がたったいま落ちたというその送信がありましたのが十九分の二十五秒から二十七秒の間であるということがわかっております。そして、いま直行してその上空にいるという送信がその後にあったわけでございますが、そういう経緯からしまして、墜落時刻は十九分三十秒よりやや前であったのではないかという推定もできるわけでございますが、正確なる秒単位の時間、墜落時刻につきましては、以上の程度のデータでございますので、報告書では記載されなかったというふうに承知しております。
  486. 山中郁子

    山中郁子君 それでは、合同委員会に事故分科委員会が出した本報告にはそういうことは記載されているわけですか。
  487. 亘理彰

    政府委員(亘理彰君) 発表されました内容は、事故分科委員会から合同委員会に報告された内容と実質的には同じものでございまして、合同委員会に報告されました内容そのものにおいても、いま私が申し上げましたようなことは記載されてはおらないわけでございます。
  488. 山中郁子

    山中郁子君 重ねてお伺いしますけれども、この報告書は事故分科委員会が日米合同委員会に提出したそのものですか。全文ですか。
  489. 亘理彰

    政府委員(亘理彰君) 事故分科委員会から合同委員会に報告されましたものは英文でございますが、それを日本文でその合同委員会の了解されたところに即して翻訳を当庁でいたしたものでございまして、同一であるとお受け取りいただいて結構だと思います。
  490. 山中郁子

    山中郁子君 その原文を、資料として本報告提出をしていただきたいと思います。いままでの説明からも、それはそのまま全部翻訳されているものじゃないということは明らかなんです。施設庁の説明もそうですから。そのことば委員長においてお計らいをいただきたいと思います。資料要求です。
  491. 亘理彰

    政府委員(亘理彰君) 合同委員会の合意内容そのものは公表されないのが原則でございます。ただ、その内容においては、発表されましたものが合同委員会の報告と変わるところはございませんので、何ら隠されているものはございません。
  492. 山中郁子

    山中郁子君 出すか出さないかをお伺いしています。ぜひ委員長、その資料提出するようお計らいいただきたいと思います。
  493. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 出せないですか、出せますか。委員長として伺います。
  494. 亘理彰

    政府委員(亘理彰君) 私どもは、事故分科委員会のいわば事務方を担当したわけでございますが、その英文のものを出すかどうかということはこれは私どもの権限だけでできないわけでございますので、よく検討さしていただきますが、繰り返し申し上げますが、従来の三十年代の事故報告とは違いまして、ごらんのとおりの詳細な内容になっていて、内容的にも何ら、秘匿したとか、おっしゃるような点はないことは御信頼いただきたいと思います。
  495. 山中郁子

    山中郁子君 そのものじゃないんです。
  496. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) どうも明確なる答弁がないようですから、理事会に諮って決定をいたします。
  497. 山中郁子

    山中郁子君 先ほど捜査中というお話が公安委員長、警察関係からありました。具体的にどういう捜査をしているんでしょうか。私は、かなめのところは、一つはパイロットから直接事情聴取をしているのか、厚木、岩国の整備士から直接事情聴取をしているのか、横田管制から直接事情聴取をしているのか、そこがかなめだと思いますけれども、その点はいかがですか。
  498. 亘理彰

    政府委員(亘理彰君) 先ほど申し上げましたように、事故分科委員会において、横田タワーの交信記録等は提出を受けてそれを検討の資料といたしておりますが、それからまたパイロットの証言あるいは整備員の証言は入手しておるわけでございますけれども、直接パイロットあるいは整備員に当たって尋問する、あるいは横田管制塔の係官に接触するということはいたしておりません。
  499. 山中郁子

    山中郁子君 警察に伺います。
  500. 鈴木貞敏

    政府委員(鈴木貞敏君) 警察といたしましては、事故発生以来、神奈川県警でございますけれども鋭意この関係についての捜査を現在継続中でございます。したがってこの事故は、航空機の事故一般がそうでございますけれども、非常に技術的、専門的な分野でございまして、そういう意味で警察としても幅広く各種の角度から慎重に現在捜査中であるということを報告しております。
  501. 山中郁子

    山中郁子君 直接事情聴取したのかという質問です。
  502. 鈴木貞敏

    政府委員(鈴木貞敏君) いま仰せの整備員あるいは搭乗員あるいは管制官からの直接の事情聴取はしておりません。ただ、米側からそれぞれ関係者の供述書のコピー、こういったものも入手して捜査資料に役立てているというふうなことでございます。
  503. 山中郁子

    山中郁子君 なぜ直接事情聴取をしないんですか。
  504. 鈴木貞敏

    政府委員(鈴木貞敏君) この事件につきましては、やはり捜査につきまして当方と米側、これの相互の協力、これがやはり非常に大切でございます。そういう意味で現在もそれぞれ協力関係にありまして、各種の資料等の提供も受けているわけでございますけれども、今後の捜査の状況その他を慎重に検討いたしまして、そういう面についてもまた神奈川県警で判断していくと、こういう方向でございます。
  505. 山中郁子

    山中郁子君 じゃ米軍が協力をしないということのようですね。  エンジンの組み立て段階での、ミスということが事故分科委員会の報告の中で読み取れるんですけれども、これはいつどこでの作業で直接責任者はだれか、それはアメリカ本国で行われた作業か、日本国内で行われたのか、明らかにしていただきたいと思います。
  506. 亘理彰

    政府委員(亘理彰君) エンジンのアフターバーナーの部分の組み立てミスということでございますが、これは米本国における中間段階の作業において生じたものというふうに報告されております。中間段階と申しますのは、部隊で行う整備と補給処で行う整備との中間的な整備部隊における整備ということでありまして、これは米本国のその種の部隊において行われた作業の過程の問題であると承知しておりますが、その時日、具体的な場所等については承知しておりません。
  507. 山中郁子

    山中郁子君 どうしてわからないんですか。調べないんですか。
  508. 亘理彰

    政府委員(亘理彰君) 当然米側にはその点もただしたわけでございますが、回答は得られなかったわけでございます。ただ、この米本国の中間整備段階においてのミスだということは米側は言っておりますし、それから、その事故の機械的な原因については日本側の技術者もこれを確認いたしておるわけでございますので、事故分科委員会といたしましては報告書をできるだけ早くまとめるという関係もあって、その点については米側の回答が得られませんでしたけれども、事故報告書を取りまとめたというふうに承知しております。
  509. 山中郁子

    山中郁子君 じゃ、これから調べる意思がおありになるんですね、アメリカに要求して。
  510. 亘理彰

    政府委員(亘理彰君) 事故分科委員会の作業は完結しておりまして、事故分科委員会としてはその種のことを引き続いて行う意思はございません。
  511. 山中郁子

    山中郁子君 原因が結局最終的に究明されないままにもうやる気がないということは、防衛庁長官、どういうことですか。施設庁の大臣、政治的責任を果たす大臣として御答弁を伺います。
  512. 亘理彰

    政府委員(亘理彰君) 先ほどもお答え申し上げましたように事故分科委員会は事故の再発防止、そのための原因究明ということが主眼でございまして、そのためにそれに必要なデータは得られたということで事故分科委員会の報告がまとまったわけでございます。なお、その後に刑事責任等の問題が残ることは御指摘のとおりだと思いますが、これは事故分科委員の任務の外の問題でございます。
  513. 山中郁子

    山中郁子君 防衛庁長官にお願いします。
  514. 金丸信

    国務大臣(金丸信君) 亘理施設庁長官の言っているとおりであります。
  515. 山中郁子

    山中郁子君 そうすると警察はどうなすっているんですか。神奈川県警の刑事部長アメリカ資料を出すように折衝すると言っておられたのはもう一月二十四日の段階です。内容は出たのでしょうか。なぜ結論がおくれているんでしょうか。
  516. 鈴木貞敏

    政府委員(鈴木貞敏君) 事故分科委員会で事故の原因とされておりますアフターバーナー、この関係の問題、また本国における組みつけの段階での問題、こういった点につきましては神奈川県警から米軍の方に現在照会をいたしておるというふうな段階でございます。
  517. 山中郁子

    山中郁子君 照会していつごろ返事がもらえると思っていらしゃるんですか。一月二十四日にもう照会しているでしょう。二ヵ月たっていますよ。
  518. 鈴木貞敏

    政府委員(鈴木貞敏君) ともかく神奈川県警の方では米軍側の方に照会を強力に申し入れているというふうな段階でございます。
  519. 山中郁子

    山中郁子君 あなたたちは捜査中捜査中とおっしゃるけれども、一体何を捜査しているんですか。法務大臣、公安委員長、何を調査しているんですか、具体的に。
  520. 加藤武徳

    国務大臣(加藤武徳君) 事故分科委員会の結論は航空関係専門家意見でございますから、これもまた有力な捜査の手がかりでございまして、真相究明に鋭意各面に手を回しまして努力をいたしているところであります。
  521. 山中郁子

    山中郁子君 運輸省に伺いますけれども、民間機の事故の場合にはどういう仕組みで捜査をなさって――捜査は警察の関係だとしても、どういうふうになりますか。
  522. 増岡廣行

    説明員増岡廣行君) お答え申し上げます。民間機の日本国内における事故につきましては、昭和四十九年の初めに航空事故調査委員会というものが設置されまして、また事故調査委員会設置法という法律に基づいて業務を行っておりますが、いまの御質問に直接のお答えになるかどうかよくわかりませんけれども、事故の原因究明のための調査を行うということと、それから調査結果に基づいて事故防止のための施策について運輸大臣に勧告する、あるいは関係の行政機関に建議するというのが主たる委員会の仕事になっております。  それで、いまの御質問と若干関係あることで、実際に事故調査をどうするかということにつきましても、法律で実は調査のやり方というものの原則が決まっているわけでございますが、簡単に申し上げますと、国際民間航空条約というものがございます。ICAO条約と俗に呼んでおりますが、これの規定、それから同条約の附属書に定められた標準、方式、手続に準拠して事故調査を行うということで、当委員会のいわば権限といたしましては、そのために必要があるときは航空事故の関係者から報告を徴する、あるいは現場の物件を検査しあるいは関係者に質問をする、それから必要な物件の留置と申しますか、そこにとめ置く、そういったような権限が認められているわけでございます。
  523. 山中郁子

    山中郁子君 御承知だと思いますけれども、パイロットや関係者から直接事情聴取をしないでこうした捜査なり調査なりするということはあり得ないわけです。そうでしょう、公安委員長
  524. 加藤武徳

    国務大臣(加藤武徳君) 国内の事故と異なりまして、米軍の事故でございますし、なお警察は捜査権を持ってはおりますものの、たとえば施設区域等についての制約もございますし、また押収、検索あるいは差し押さえ等の制約もあるのでありますけれども、さような制約の中におきましても警察といたしましては最大の努力をいたしておりますので、御了承願いたいと思います。
  525. 山中郁子

    山中郁子君 民間機の場合にはいま御説明もありました。もっと詳しく言うならば三日も四日もパイロットの人たちがかん詰めにされて、警察からも事故調査委員会からもいろいろいろいろ追及されるという状態があるんです。それにもかかわらず、米軍機の場合には本人から事情聴取一つしないで、事故分科委員会の報告書が出たからといってパイロットを帰した。そうでしょう、この前そういうふうに答弁なさいましたね。全然違うじゃありませんか。じゃ民間機の場合だってステートメントとか何かよこして、それで捜査ができるわけですか。事故は同じですよ、人が死ぬのも同じです。
  526. 鈴木貞敏

    政府委員(鈴木貞敏君) 参考人あるいは被疑者それぞれの取り調べというふうなものは、それぞれのケースケースにおいて段階があろうかと思います。したがって、いまの段階で直接取り調べないのはどうかという御質疑の点につきましては、先ほど来お答えいたしましたように、米軍側からそれぞれ供述書の写しも来ておるというふうなことでございますし、またきわめて技術的な問題であるだけに多角的に警察は現在鋭意捜査を続けておるということでございまして、そういう中でひとつ慎重に判断してまいりたいと、こう思っております。
  527. 山中郁子

    山中郁子君 それじゃ横田管制からもステートメントはとってあるんでしょうか。
  528. 鈴木貞敏

    政府委員(鈴木貞敏君) 横田管制関係の状況につきましても、コピーを入手いたしております。
  529. 山中郁子

    山中郁子君 それでは、先ほどから米軍だから米軍だからというふうにおっしゃっています。私はこのことがあるから、外務大臣答弁をいただきたいということで、御出席をお約束してくださいました。だけれども、どうしても政府の都合できょうは外務大臣が来られないとおっしゃるので、これ以降の質問については留保をいたします。
  530. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 山中君の質疑は都合によりこれを留保し、後日行うことといたします。     ―――――――――――――
  531. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) この際、参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  来る三月二十七日及び二十八日の両日の集中審議に際し、参考人の出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  532. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 御異議ないと認めます。  なお、参考人の人選及び出席日時等については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  533. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  明日は午前十時から公聴会を開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十八分散会