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1978-03-18 第84回国会 参議院 予算委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年三月十八日(土曜日)    午前十時二分開会     ―――――――――――――    委員の異動  三月十七日     辞任         補欠選任      志苫  裕君    目黒朝次郎君  三月十八日     辞任         補欠選任      林  ゆう君     伊江 朝雄君      八木 一郎君     増岡 康治君      浅野  拡君     福島 茂夫君      柿沢 弘治君     野末 陳平君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         鍋島 直紹君     理 事                 戸塚 進也君                 内藤誉三郎君                 中村 太郎君                 宮田  輝君                 竹田 四郎君                 吉田忠三郎君                 多田 省吾君                 内藤  功君                 栗林 卓司君     委 員                 伊江 朝雄君                 糸山英太郎君                 小澤 太郎君                 亀井 久興君                 亀長 友義君                 熊谷  弘君                 下条進一郎君                 田代由紀男君                 夏目 忠雄君                 成相 善十君                 福島 茂夫君                 増岡 康治君                 望月 邦夫君                 山本 富雄君                 赤桐  操君                 大木 正吾君                 福間 知之君                 藤田  進君                目黒朝次郎君                 安恒 良一君                 太田 淳夫君                 矢原 秀男君                 小巻 敏雄君                 市川 房枝君                 野末 陳平君    国務大臣        大 蔵 大 臣  村山 達雄君        文 部 大 臣  砂田 重民君        農 林 大 臣  中川 一郎君        通商産業大臣   河本 敏夫君        運 輸 大 臣  福永 健司君        郵 政 大 臣  服部 安司君        建 設 大 臣        国 務 大 臣        (国土庁長官)  櫻内 義雄君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)        (北海道開発庁        長官)      加藤 武徳君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)        (沖繩開発庁長        官)      稻村左近四郎君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       宮澤 喜一君    政府委員        内閣総理大臣官        房広報室長        兼内閣官房内閣        広報室長     島村 史郎君        総理府人事局長  秋富 公正君        防衛庁防衛局長  伊藤 圭一君        経済企画庁調整        局長       宮崎  勇君        経済企画庁国民        生活局長     井川  博君        経済企画庁物価        局長       藤井 直樹君        国土庁長官官房        長        河野 正三君        国土庁長官官房        審議官      四柳  修君        国土庁土地局長  山岡 一男君        外務省アジア局        長        中江 要介君        外務省経済局長  手島れい志君        外務省経済協力        局長       武藤 利昭君        外務省条約局長  大森 誠一君        大蔵省主計局長  長岡  實君        大蔵省主税局長  大倉 眞隆君        大蔵省理財局長  田中  敬君        大蔵省銀行局長  徳田 博美君        大蔵省国際金融        局長       旦  弘昌君        国税庁次長    谷口  昇君        文部省初等中等        教育局長     諸澤 正道君        文部省大学局長  佐野文一郎君        文部省社会教育        局長       望月哲太郎君        文部省体育局長  柳川 覺治君        文部省管理局長  三角 哲生君        農林大臣官房長  松本 作衛君        農林省農林経済        局長       今村 宣夫君        農林省構造改善        局長       大場 敏彦君        農林省農蚕園芸        局長       野崎 博之君        農林省畜産局長  杉山 克己君        水産庁長官    森  整治君        通商産業大臣官        房審議官     山口 和男君        通商産業大臣官        房審議官     松村 克之君        通商産業省産業        政策局長     濃野  滋君        資源エネルギー        庁長官      橋本 利一君        資源エネルギー        庁石油部長    古田 徳昌君        資源エネルギー        庁公益事業部長  服部 典徳君        中小企業庁長官  岸田 文武君        運輸省航空局長  高橋 寿夫君        郵政省貯金局長  高仲  優君        郵政省簡易保険        局長       佐藤 昭一君        建設大臣官房長  粟屋 敏信君        建設省計画局長  大富  宏君        建設省住宅局長  救仁郷 斉君        建設省住宅局参        事官       丸山 良仁君        自治省行政局公        務員部長     塩田  章君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君    説明員        外務省欧亜局外        務参事官     加藤 吉弥君    参考人        全国商店街振興        組合連合会理事        長        大島 直市君        日本住宅公団総        裁        澤田  悌君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○昭和五十三年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和五十三年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和五十三年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     ―――――――――――――
  2. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昭和五十三年度一般会計予算  昭和五十三年度特別会計予算  昭和五十三年度政府関係機関予算  以上三案を一括して議題といたします。     ―――――――――――――
  3. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  昭和五十三年度総予算案審査のため、本日の委員会全国商店街振興組合連合会理事長大島直市君及び日本住宅公団総裁澤田悌君参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 御異議ないと認めます。  なお、出席時刻等については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  6. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) それでは、これより大木正吾君の一般質疑を行います。大木君。
  7. 大木正吾

    大木正吾君 けさの朝刊で、実は私はびっくりしたんですけれども、大変な円高ドル安問題が進行しておりまして、緊急対策を飛び越えて、そして輸出規制論というものまでが出ておるわけですが、貿易管理令発動について、村山大蔵大臣宮澤長官、さらに河本通産大臣、三人の御所見をちょうだいいたしたいんです。
  8. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 円の為替相場につきましては、もう大木さん御承知のとおりでございます。やはり相場という問題は最終的には国際収支をあらわすわけでございまして、いろんな原因から来ていることは当然でございますけれども、それだからといって直ちに貿易管理令発動して、そして輸出規制をすべきであるというような考えはいまのところ持っておりません。
  9. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 現在の貿易状態をよく調べてみますと、五十一年度は数量的にも非常に大きく伸びましたけれども、五十二年度の貿易は、金額は大きく伸びておりますが、数量的にはごくわずかしか伸びていない。昨年初めからことしの初め、一月までを見ますと大体五%前後、世界全体の貿易伸びとほとんど変わらない、こういう状態でございます。ただ、円高のためにいろいろその間動きがございまして金額はふえております。二月になりましてから、数量も一二%とぐっと伸びてきたわけでございますが、この背景にはやはりリーズ・アンド・ラグズという、この動きが出ております。それから一番目立っておりますのは自動車でございますが、自動車の一-三月は、相当昨年に比べますと伸びますが、実は昨年の一-三月の自動車伸びというものが非常に少なかったんです。でありますから、一-三月は一年前に比べて伸びますけれども、ことしの一月から暦年を通じての伸びは大体横並びであろう、またそういうふうに持っていきたい、こういうことでいろいろ指導をしておるところでございます。そういう情勢で、ことし全体、五十三年度全体の伸びといたしましては、数量的にはまず横並びであろう、こう思っております。  そういうやさきでございますから、ここで輸出制限などをいたしまして、無理やりに数量を減らすということになりますと、これは国内的には大きなデフレ要因になりますので、やはり緊急輸入とか内需拡大とか、あるいは海外に対する経済協力拡大とか、こういう幾つかの方法で対処すべきものである、輸出規制はすべきものではないし、外国からもそういう要求は出ておりません。
  10. 大木正吾

    大木正吾君 といいますと、現在のところ、輸出貿易管理令発動については政府考えていないということでよろしゅうございますか。
  11. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) もうすでに必要な場合は必要な行政指導もしておりますので、貿管令発動などは考えておりません。
  12. 大木正吾

    大木正吾君 村山大蔵大臣に同じことを聞きます。
  13. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) いま河本通産大臣がおっしゃったようなことでございまして、いまの円高の問題は非常に微妙な段階にございますし、輸出入の状況その他を河本通産大臣からおっしゃったようなことでございます。問題は、やはり輸入をできるだけ促進するということがもう第一でございます。集中豪雨的な輸出についても、これはある程度考えていかにゃならぬ。しかし、全体としてある程度均衡のとれた姿に持っていくということは長期的には当然必要なわけでございます。そういう目的を達する手段としていかなる方法があるかということで、通産省中心にいたしましてわれわれみんな一緒になって頭をひねっているわけでございます。したがいまして、いまの通産省のいろんな指導が功を奏することをわれわれは期待しているわけでございますので、先ほども申し上げましたように、貿易管理令発動、そういったものは考えていない、こういうことでございます。
  14. 大木正吾

    大木正吾君 ロンドン、ブリュッセルなどの外電もそうですけれども、一部の新聞報道ですと、国内の財界の元締めである桜田日経連代表理事も二百二十円台と、こういう話をしておりますですね。そうしますと、二百二十円台ですから二百二十円もそうなんですけれども、間違いなく行くというお考えでしょうか。
  15. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 為替相場は、最終的にはやはり国際収支の実勢によるわけでございまして、ここのところ全面的なドル安、それから最近における輸出の堅調、こういうことに支えられていまの円高傾向が出ていると思うのでございます。しかし、これはあくまでも貿易収支中心とする国際収支中心でございます。で、そういった意味でわれわれは努力しているのでございます。円が最終的にどのようになるかということは、要するに通商関係が決定するわけでございます。だから軽々に幾らになるべきであるかというようなことは、だれしも予測のつかない、また今後の施策にかかる非常に流動的なものだと思っているのでございまして、一部いろんな相場予測をしている人はございますし、中にはその当事者が予測しているという節もございますので、われわれはそういうことについて、いまのところ予断を持っていないわけでございますし、また予断を持つべきでもない、このように考えているわけでございます。
  16. 大木正吾

    大木正吾君 結局、百二十億ドルという年間の経常収支の黒字、同時にいま手持ちドルがふえ続けているわけでしょう。それに対して、通産大臣にも特に伺いたいんですが、緊急輸入、あるいはこれは宮澤長官の方かもしれませんが、内需拡大問題ですね、これについて、もし貿管令発動等をしないとしますれば、具体的にどういうことを考えておるんですか。
  17. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) いわゆる緊急輸入につきましては、常に注意を怠らずに、できることをしてまいらなければならないと思っておりまして、先般も、当面の対策を一応ただいまの段階としてまとめたわけでございますが、内需拡大が、しかし何としても七%程度の成長との関連もありまして、根本でございます。公共事業早期施行等々を含めまして、この月のうちには考えられます促進すべき対策をまとめたいと思っておるわけでございます。が同時に、この通貨の問題というのは、アメリカ側としても、やはり基軸通貨国としていろいろ考えてもらわなければならない問題があると思っておりまして、この点は、機会あるごとに米国側にも私どもの考えを申しておるところでございます。
  18. 大木正吾

    大木正吾君 河本通産大臣に伺いますが、輸入促進政府で決まったと話が出ています四つの項目ですけれども、これについての促進のぐあいはどうなっていますか。
  19. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) いま政府の方で、企画庁が中心になって緊急輸入拡大ということを進めておりますが、幾つかの項目があるんですが、大きくまとめますと三つだろうと思います。  一つは、資源エネルギー備蓄強化ということでございます。わが国は、御案内のような事情で資源エネルギーの面で非常に弱体でございます。これだけの経済力背景にいたしまして、外貨も大変余っておるわけでございますし、この際、資源エネルギー備蓄についてさらに強化をすべきであるという、そういう項目一つあると思います。  それから第二は、製品輸入拡大、こういうことだと思いますが、そのために航空機リース方式とか、あるいはまた航空機輸入とか、そういうことも議論になっておりますし、先般来、池田ミッションアメリカ各地を約二週間ばかり回りまして、製品輸入拡大のために相当な成果も上げております。そのほか、製品輸入拡大のためになお知恵をしぼれば、私は幾つかの問題があろうと思います。製品輸入拡大ということが第二でございます。  それから第三は、やはりわが国といたしましては、経済大国でありながら防衛の分野での負担が非常に少ない。そこで世界経済全体の発展のためにもつと経済協力を積極的に進めるべきである、こういう議論があるわけでございます。特に油の出ない発展途上国、百余りの国々は経済的にも非常に困窮しておる状態でもございますので、そういう国々に対する経済協力拡大開発援助拡大、こういう課題もあろうと思います。  いま申し上げました三つの大きな項目につきまして、さらにこれを細分化いたしまして、細かいいま検討を続けておるところでございます。
  20. 大木正吾

    大木正吾君 資源備蓄問題、製品輸入拡大問題、さらに公共事業の繰り上げ発注問題等は本委員会で何回も聞いたわけなんですが、いま第三点と申されました途上国に対する協力問題につきまして、竹田委員の方から関連質問をさしていただきますのでお願いいたします。
  21. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 関連質疑を許します。竹田四郎君。
  22. 竹田四郎

    竹田四郎君 一つは、いまお述べになったことは相当長期的、中期的な施策であろうと思います。緊急輸入の問題も、去年の十月からこれは問題になっているわけでありますけれども、どうも余り進んでいないというのが実態であろうと思いますし、そういう意味では、去年以来、政府輸出によって景気をリードしていく、こういうことが腹の底にあった、したがって輸出入のバランスをとるという考え方政府の腹の中になかった、こういう政府のいままでやってきた行政上の責任を私は痛感してもらわなくちゃ困ると思うんですが、これは特に大蔵大臣通産大臣に、その責任をどう感じておられるのか、あるいはそういう考え方をこれからどうしていこうとしているのか、この点をひとつお聞きをしたいと思います。  貿管令はしないと言っておりますけれども、まあ前の日銀総裁円高甘受か強制的な抑制かと、こういうふうに言っておられます。いまも河本通産大臣からは、行政指導はしている、こういうふうに言っているわけでありますが、現実にはその効果というものはほとんど出ていない。そして政府経常収支の見通しというのは、二回にわたって、少しぐらい狂っているんじゃなくて大狂いに狂っている。こういうところを見ますと、口では輸出規制行政指導していると、まあ若干あります、テレビとか鉄鋼とか若干ありますけれども、しかし、現実にそうした数字を見れば、口では行政指導をしていると言っているけれども、行政指導を徹底的にやっていないということが明らかであろう、このように思うわけでありますが、その辺は、貿管令は適用しないけれども、輸出入取引法ですか、こうしたものでの自主的な問題があろう、こういうふうに思うんですが、そうした面についてどうお考えになっているのか。  それから過剰ドルの問題でありますが、いま聞いていますと、どうもどれにいたしましても大変中長期的な施策であって、私はそうした施策ではここは乗り切れないし、せっかくわれわれがいま審議している五十二年度の景気浮揚予算というものも、もう現にみんなこれに期待しているんじゃなくて、もっと悲観的なマインドに私はなっていると思うんです。そこで、ドルが余っている国もあれはドルが非常に足りない国もある。特にいまお話がありました非産油途上国等においては大量な債務を持っている、こういう問題もあるわけでありまして、その日本の持っている過剰ドルを、私は、この際、途上国のいろいろな国際機関がございます、そういうところに長期無利子でひとつ提供をする、そうしたことによって緊急的に日本の持っている手持ち外貨をとりあえず減らしていく、そういう間において中長期的な施策を進めていく、そういうような緊急避難的なあり方をとっていかないと、世界に約束した七%成長にいたしましても、あるいは景気浮揚への国民マインドというものもますます冷え切ってしまうんじゃないか。そういう意味緊急対策をここでやはりやっていかなくちゃいけないんじゃないか、こういうふうに思うんですが、それぞれの大臣から御答弁いただきたいと思います。
  23. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) これは中長期対策と、それからいまのさしあたり円高をどうするかというその二つにあると思うのでございます。やはり基本的には中長期の問題でございまして、内需拡大とか、あるいは製品輸入を、緊急輸入を含めて、長期的に持っていくように市場を開放していくような施策、こういったものにつきましてはもうすでにわが政府ではそれを発表しているわけでございます。また、四月一日からは、現行為替管理法あるいは現行貿易管理法のもとにおきまして最大限の自由化の方向を打ち出すつもりでございまして、これは私は中長期的には必ず効いてくるだろう、こう思っておるのでございます。  しかし、さしずめの円高の問題というやつは、これは非常に短期に起きておるわけでございまして、その対策はまたおのずから別でなければならぬわけでございます。先般の公定歩合の改定、これは資本収支に若干のプラスがあるかなと。それからまた短期為替資金規制をいたしました。これも資本収支を通じて若干のプラスがあるかなと、こういうことでございますけれども、やはり何といっても通商関係背景が一番大きな問題でございます。これは先ほど経企庁長官からも御指摘がありましたように、やはりアメリカを含む国際協力、この問題を粘り強くやっていかなければならぬわけでございますので、われわれはもう機会あるごとに、各国、特にアメリカのこの種の問題に対する協力方をお願いいたしておるのでございます。しかし、通商の問題というやつは、日本は御案内のように自由主義経済がたてまえになっておるわけでございまして、そのコントロールにはおのずから限度があることも御理解賜れるだろうと思うわけでございます。そういった意味で、最近における輸出の問題につきましては、いま通産省中心といたしまして集中豪雨的なあるいは急激な輸出については自主規制を求めているところでございます。ですから、自由主義経済下政府としては、あらゆる手を尽くしていまやっておるところでございまして、なかなか急には効果があらわれていないということは相場にあらわれておるわけでございますが、全力を挙げてやっておることだけはひとつ御理解賜りたい、こういうように思うわけでございます。
  24. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 先ほども五十二年度の貿易の動向のアウトラインにつきましてはお話しをいたしましたが、数量的にほとんど伸びていない、五%前後しか伸びていないのに、なぜ価格の面でそんなにふえておるかといいますと、一つはこの円高に対応するために競争力のあるいろんな輸出品、たとえば自動車などは、絶えずこの手取りを減らさないために値上げをしておるわけです、数回にわたって値上げをしてまいりました。そのために円としての収入はふえなくても、ドルとしての数字はふえる、こういうことが一つであります。それからもう一つは、円建てで輸出しておるものがございます。全体の約二割ありますが、これがやはり計算上はドルがふえてくる、こういうことになります。それからもう一つ、赤字でどうしても値上げはできない、しかしながら操業を維持するために出血輸出をしなきゃならぬ、たとえば繊維なんかですね、そういうものは出血輸出を続けておる、この三つのグループに分けられると思います。  そこで、数量全体としては、世界全体の伸びと比べまして決して大きく伸びておるわけじゃございません。ただ円高のために、先ほど申し上げましたように金額が非常に大きくなっておるということでございます。で、もう少し個々の品目について若干申し上げますと、たとえば家電などは五十二年度は前年に比べまして二・四%ぐらい減る見込みでございます。あるいは三%近く減るかもわかりませんが、これはなぜかといいますと、テレビを中心アメリカに対して輸出規制をいたしております。そのために全体として減るわけでございますが、結局、余り強引な輸出規制をしますと、たとえばテレビなどでは、アメリカにおける日本の企業は三社でございましたが、輸出規制をいたしました結果六社にいまふえております。そういうことで、国内の労働問題、雇用問題にも大きな影響が出つつある、こういうことも御参考までに申し上げておきます。強引な輸出規制の結果、こういう状態の業界もあるということでございます。  それから鉄などは、これは数量的には五十二年度は五十一年度に比べまして若干減る予定でございます。五十三年度もさらに若干減ると思います。ただ、アメリカではトリガー価格などの制度ができましたために、金額は相当上がると思うんです。それからヨーロッパなども、いま交渉中でございますが、これも最低価格制ができる気配でございますから、したがって数量的にはむしろ減る傾向ではあるけれども金額的には伸びる、こういう状態でございます。鉄と家電関係は、大体、大物は外国との間におよその話し合いがついて、秩序ある輸出にいま向かいつつある、こういうことでございます。  それから自動車のことにつきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。年度間を通じては大体数量はふえない、このように指導をしてまいるつもりでございます。  ただ、私どもがちょっと心配しておりますのは、やはりここで輸出規制をするのだとか、そういうことがうわさにでも出てまいりますと、リーズ・アンド・ラグズという動きが非常に顕著になりまして、二月以来もうすでにその傾向が出ておりますので、三月にまたその動きが増幅される、こういうことになりますと、これは統計的には一時的に輸出数量がふえる、こういうことを懸念しなければなりません。したがって、政府といたしましては、集中豪雨的な輸出は当然避けなければなりませんし、そのようなことのないように行政指導をいたしますし、さらにまた、全体としての秩序が壊される、そういう場合も強力な行政指導をするつもりでございますが、巷間伝えられるような輸出規制などは、これは日本としてはすべきではありませんし、それから外国からもそういうことは少しも要求されておらぬわけでございます。それからまた、そういうことを外国から要求されていないのに、日本が白旗を掲げて勝手にそんなことをしますと、それが導火線になって、結局は世界全体が保護貿易になる、こういう懸念が多分にございます。でありますから、行政指導によりまして貿易の秩序を取り返していこう、こういう考え方でございます。
  25. 竹田四郎

    竹田四郎君 経企庁長官、もう一つ経済協力について。
  26. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 竹田委員から、非産油の発展途上国等々に対する非常に大きな規模の経済協力のこと、あるいは無償援助を考えるべきではないかという御指摘がございました。これは御指摘になっていらっしゃるところは、私ども、私ばかりでなく政府としても、よくわかっておるわけでございますが、御承知のように、いまの外為会計というものが管理会計でございます。したがってドルを外為会計から引っ張り出すためにそれだけの歳出がなければならないという問題がございます。
  27. 竹田四郎

    竹田四郎君 借りたっていいじゃないか、借りたって。
  28. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) もし借りてもいいということになりますと、それでございましたら、たとえばこの金は国内で使われるわけでございませんから、仮にそのために国債を発行するというようなことは方法論としては考えられるところでございましょうと思います。つまり、そういう国債というのは国内で特別の作用をするわけでございませんから、外為会計の資産にそれが立てばいい、こういうことを背後でお考えでいらっしゃるかもしれないと思います。そういう大きな問題は実は私はあると思うんでございますけれども、政府としてにわかにその決心がなかなかいたしにくいということではないであろうか。たださえこれだけ国債を出しておりますから、なかなか決心のしにくい問題ではなかろうかと考えております。しかし、御立論の恐らく筋道というものは一つ考え方ではないかというふうにお話を承りまして考えますが、政府としてなかなかそこまで決心のしにくい現状ではないかと思っております。
  29. 竹田四郎

    竹田四郎君 ちょっと一言。
  30. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 時間が来ておりますから、簡単に。
  31. 竹田四郎

    竹田四郎君 私伺っておりまして、三大臣とも、まあここは円高に任せると、それ以外にはもう打つ手なしと、こういう感じがしてしようがないと思うんですよ。  確かに一時的にはそれは混乱はあるだろうと思いますけれども、数ヵ月にわたるところのあり方としては、若干の混乱はあっても、やはり日本政府国際収支に対してはっきりとした責任を打ち出すということが将来にわたって大きな影響を与えてくるだろう、それがまた内需拡大へとつながっていく、こういうふうに思うんですが、はなはだ残念ながらいまのお答えの中ではそういう熱意が感じられない。もう一回ひとつ、ここの席でなくて結構でありますけれども、もう一回この問題は真剣に、ただ単に成り行き任せじゃなくて、積極的な手を打つようにひとつ御検討をお願いして、私の関連を終わりたいと思います。
  32. 大木正吾

    大木正吾君 いずれにしましても、いま竹田委員がおっしゃったとおり、まさしく成り行き任せという感がするんですが、たとえばけさの一部の新聞なんですが、河本さん、輸出調整税という話題もあるようですけれども、大蔵省の方との話は幾らかこういう話題はあったんですか。
  33. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 一切ございません。
  34. 大木正吾

    大木正吾君 大蔵大臣に伺いますが、とにかく二百三十円割りは必至だと、そして二百二十円台の声が二十日過ぎには出てくるだろう、こういう話がもっぱらの通説なんですね。しかも自動車あるいは電子あるいは精密関係の機械業界等におきましても、そういったことを見越して相当早目に輸出成約等をしているという話も新聞でちらちら見るんですが、こうなりますと、これはもう本当にどこまで行くかわからぬという、一種の、ドル安といいましても何といいましても、やっぱり貿易構造の混乱という状態かあるいは恐慌という状態か、大変ゆゆしきものだと、こう考えているんですけれども、どこかで歯どめをする考えはないんですか。
  35. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 非常に冷ややかに見れば、あるところまで上がればおのずからそれは均衡を保つものだろうと思うのでございます。それが最終的にどういうところになるか、これは国際収支が決定するわけでございます。しかし、そういうことでありますと急激なる乱高下がございまして、そのことによって不測の不利益をこうむる業種がたくさんあるわけでございますので、日銀がそれぞれなだらかにするために、ある種の介入をやっていること、これはまた日本に限らず世界各国がやっていることは御承知のとおりでございまして、これは各国とも懸命にその乱高下を防ぐためにやっているわけでございます。したがいまして、そういうふうなことをやり、また少しでもいまの体制に反しない範囲で緊急避難的にいろんな手を打っているわけでございます。しかし、この問題は、最終的には各国との協調関係が非常に大事でございますし、それからわが国のまた努力も必要であるわけでございますので、目下、そういう意味で、あらゆる機会を通じまして関係諸国と連絡をとりながら、相互の立場それから世界の立場を考えまして、絶えず緊密な接触を保ちつつあるところでございます。先般の米独のコミュニケというものも、単に米独だけの発意で成ったわけではございませんので、世界各国のやはりこういった動きに対して行われているものと御理解賜りたいのでございます。そしてまた、わが国もできるだけの範囲で努力すべきことはもう当然であろうと思うわけでございます。
  36. 大木正吾

    大木正吾君 非常にこれは御答弁を伺っておりまして、やっぱり国民なり産業界に対する不安感というものはぬぐい切れないと思いますから、この辺の議論につきまして、これ以上突っ込んでもいい答えは返ってきませんからやめておきますが、ただ、内閣としまして、早急にこの種の問題に対して、従来の緊急輸入とか、あるいは公共投資の発注促進とか、そういった面じゃなしに、どこで歯どめをするかという問題については、私は、公にすることは別にしまして、何らかの腹構えというものを決めてもらいたい、こう考えておりますので、そのことをぜひ要望として申し上げておきたいわけです。  そこで、次の質問に関連して入りますが、宮澤長官に伺いますけれども、本年の経済見通し、これは二百四十五円とも言われ二百四十八円という想定とも言われていますが、大体、仮に二百二十円台に突入していきますと、六、七%の――円高ドル安、どっちでもいいんですがね、どっちでもいいんですが、現実にやっぱり経済見通しの狂いが起きてくる、こう考えるんですが、どうでしょうか。
  37. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) まだ年度が始まっておらないいまの段階でございますし、先の推移も明確でございませんから、定量的には申し上げにくうございますけれども、このような一種の不安な状態が続くということでありますれば、これは国民経済全体に対して好ましからざる影響があることは認めざるを得ないと思います。高低もさることながら、先がはっきりしないということが、やはりこれは消費者にとりましても企業家にとりましても、雇用にとってはもとよりでございますけれども、一番実は問題なことでございまして、これはやはり心配をしなければならない事態だと思っております。
  38. 大木正吾

    大木正吾君 六十億ドル経常収支を持ち込むということは、これはもちろんもう放棄せざるを得ないだろうと思うんですが、企画庁とも若干関係あります日本経済研究センターの二日前の発表などを、これは新聞で拝見した限りなんですけれども、民間の設備投資が三%を切るというような数字がちょっと散見したんです。それから民間の在庫を二四・六%と見通しておりましたものが六・四%ぐらいしかいかぬだろうと、こういう数値も見ているんですが、長官、このことは見ていますか。
  39. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいまのお話は、民間企業設備投資を名目で全体では八・八%であるがというあの見通しについて言われましたかと思います。私どもも、製造業につきましては、以前にも申し上げましたが、ほぼ設備投資は三%ぐらいしかないであろうと考えておりまして、あの見通しは民間で出ましたものとしては比較的政府の見通しに近いわけでございますが、それでも政府の方が高うございます、私どもは九・九と考えておりますかち。で、その一番大きな見方の違いは、やはり個人によるところの設備投資、これがこのごろは比率も非常に大きくなっておりますが、これについての見方ではないかと思います。これは私どもも民間においても一番統計的に把握しにくい部分であることは確かでございますが、私どもそれを一〇%以上見ておりますので、このことが見方の分かれになっておるのではないかと考えております。  それから在庫でございますが、せいぜい私どもは五十三年度の在庫の積み増しは八千億円ぐらいではないかと――積み増しの増でございますが、見ておるわけでございますから、数字としては二四・六という大きな数字が出ておりますが、これは金額にいたしますと八千億程度でございます。この在庫の揺れというのは、年によりまして御承知のように非常にまちまちでございまして、たとえば五十年度は五七・六%のマイナスでございますけれども、五十一年度は八一%のプラスというように非常に振れが大きゅうございます。二四・六という数字はそういう意味で大きいと申しますよりは、八千億程度の積み増しというのが五十三年度で大き過ぎるかどうかということを考えてみますと、私は八千億といえば日本の経済で言いますとそう大きな額でございませんから、この点はまあまあではないかというふうに現在考えております。
  40. 大木正吾

    大木正吾君 そうしますと、七%成長について見直しをするお考え方はないですか。
  41. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいまのところございません。と申しますのは、現在の状態を定数的に把握することが困難でございますし、帰趨についても明確でございませんので、見通しをただいま改めるという考えは持っておりません。
  42. 大木正吾

    大木正吾君 関連しまして、まあ新聞記事だとお笑いになるかもしれませんが、ちょっと伺っておきたいんですけれども、民間の三菱研究所その他の方の御発言なり、あるいは発表にもあるんですが、確かに物価が下がっていることはいいと、しかしオーバーキルあるいは卸売物価の下落ということを単純に喜んでいいかどうかという問題についてむしろ批判的な見解があるわけですね、それについてはどうですか。
  43. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 現在、卸売物価が対前年同期比でマイナス一・七になっております。この点は円の上昇ということが一番大きな原因であることは確かでございますけれども、さりながら卸売物価が長いこと前年対比でマイナスであるということは私は正常な姿だとはやはり考えません。
  44. 大木正吾

    大木正吾君 これは、長官、七%成長を変えないとおっしゃったんですが、ちょっと私幾つかこう図表にしてみたんですけれども、物価の方は確かに下がっているんです。物価と倒産、稼働率の状態を見ていきますと、物価は目標値以上に下がっておりまして結構なことなんですがね、ところが稼働率の場合には、これはまた八五、六%で非常に低い状態が続いているし、企業倒産件数、年間に一万八千件、こういう指標が一つは出てくるわけですね。  同時に、今度は、物価と同じく失業、消費、こういう問題を見ていきますと、物価が確かに下がってはいるんですけれども、失業率が百二十六万、恐らくもっとふえるでしょうけれども、まあ二%から三%、こういうふうにぐうっとまたこれふえてきているわけですね。同時に関連しまして、消費の伸び率が五十二年度で四%前後、五十三年ではまだどうかわかりませんけれども、こういう状態であるし、貿易問題も、いま議論がありましたとおり、とにかく五十年に二百九十九円前後でありましたものが、結局二百九十二円、さらに昨年があの状態で、本年が二百二十円を切る状態貿易のまた出来高といいましょうか、輸出関係を見ていきますと、べらぼうに五十年五百六十億ドルから今年は九百億ドル超になるでしょうけれども、そういった状態で、五十二年度八百五十億ドルぐらいに輸出額がふえているわけですね。  これをずうっとこう見ていきますと、確かにこの前、私、総括質問で大変総理にも失礼なことを申し上げたんですけれども、物価一刀斎という言葉を使って申しわけなかったんですがね、物価が下がったけれども、この指標を見ていく限りは、とにかく倒産、さらには失業ですね、そして輸出の方にどんどんと偏り、そして不況をあらわし、消費を低迷させ、どうにもならないデメリットばかりがふえていましてね、明らかにこの現経済における手法――私たちは一般的に、近代経済学のケインズの理論でいきますと、クリーピング・インフレーションという言葉を聞いてまいりまして、長官ともいつか議論したことがあったと思うんですけれども、大体三%から四%、定期預金の金利の枠内ぐらいの物価上昇ということを頭に置きまして、大体経済は整合的にと、こういう気持ちだったんですけれども、ここ三、四年間の指標をずうっと点検していきますと、私は、この際にこそ思い切ってやっぱり経済見通しについて、一遍決めちまったからもう変えないじゃなしに、少し思い切って変えたらどうかと、こういう感じがするんですけれども、どうでしょうか。
  45. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) いまの状態が一種のオーバーキルではないかという趣旨の御質問は、せんだっても大木委員から承りまして、私はそれはある意味で御指摘ば当たっておると考えます。考えますが、結局、これは石油危機以後過去五年足らずの間にこの事態に対処したわが国の対処の仕方をどう評価するかでございますが、先だって申し上げましたように、私どもとしては、とにかく日本外貨収支で必要な石油は十分買えるということを示したわけでありますし、また狂乱物価もここまでおさめたということ、両方を考えますと、対応としては私は世界の中で一番巧みに対応した方だと考えております。  しかし、そうかといって問題がないわけではなくって、それは先ほど言われましたような雇用の問題でありますし、あるいはまた卸売物価といったような問題、経済活動の沈滞ということになってきておりますから、この事態に対処しなければならないというのが私どもの意識でありまして、このように財政が臨時、異例のことをいたしまして、この経済の立て直しのきっかけをつかもうとしておりますのも、基本的には乗数効果というものを踏まえた物の考え方であるというふうに考えております。で、その結果としてと申しますのは少し早うございますけれども、先ほど稼働率のお話がございましたので、一月の稼働率指数が出ております。今度指数が改まりましたので、五十年が一〇〇になりましたが、十二月よりもまたもう少し上がっております。在庫率の方もまずまずのありさまであります。心配でありますのは、消費が沈滞をしているということ、それから何よりも雇用ということでございますが、これは大木委員は御専門でございますので、大木委員に申し上げるというよりは、むしろ世の中に申し上げる感じで申し上げるんでございますが、一月、二月、三月というのは常に完全失業がこの三ヵ月だけ非常にふえる、季節的な変動の激しい時期でございます。昨年におきましても、十二月から一月の間に二十万人以上完全失業がふえております。そうして四月になりますと、これが二十万人ほど落ちる、こういう時期にちょうど今年も当たっておりますので、ただいま大きな数字が出つつございますが、これは季節的な変動がかなりこの三カ月多いということを、これは御存じでございますので、むしろ世の中にという意味でございますが、御参考まてに申し上げておきます、それでも、しかし、五十三年度を通しまして完全失業は減っていきましても五万ぐらいではないかということは前回も申し上げました。したがって、すべての問題が五十三年度に片づくのではなくて、片づくための一つの転機になる年だと、そういうふうに私どもば考えて、経済運営をいたしてまいりたいと思っておるわけであります。
  46. 大木正吾

    大木正吾君 長官に再度伺いますが、オーバーキルを認められまして、そして日本はよくやった方だという言葉の中にはどうも矛盾が感じられてならないんですが、どうでしょうか。
  47. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) つまり、たとえばわが国が経済運営をあのときに誤りまして、国際収支経常収支が非常な赤字であって必要なエネルギーが買えないというような事態になりますと、これは日本だけで問題が処置できないような種類の問題になるわけでありますけれども、それは確かに行き過ぎましたが、そういう心配はいまお互いにしなくてもいいということ、それから狂乱物価というものは経済の秩序を破壊いたしますし、国民生活をはなはだ脅かしますが、この方もともかく落ちついているということ、すべてがちょうどうまくいきましたらこれはもう満点でございますけれども、残念ながらそういうわけにまいっておらないことは、これはもう確かでございます。  しかし、問題は、われわれの努力いかん、日本としての努力いかんでかなり処理できるというところに来ておるという意味では、対応としては、私はまずまずいい対応であったと考えておりますわけで、だから何にも問題がないというふうに思っておるわけではございません。
  48. 大木正吾

    大木正吾君 福田さんの主としてとられた三木内閣以来の経済政策、流れを私は申し上げているわけで、長官に私はある意味では期待もしているものですから申し上げているわけですが、ただ事実を一つ申し上げますと、西ドイツあるいはアメリカ等の場合には、これは五十一年の大体春から夏にかけてなんですが、日本の場合公定歩合がまだこのときに七・五から八%でございまして、その当時に西ドイツが四%前後であったわけなんですね。この辺はやっぱりオーバーキルに入る寸前といいますかね、経済のかじの取りぐあいというものが、とにかく明治三十八年、きょういらっしゃいませんから余り言いませんけれども、その手法と新しい手法というものは私はやっぱり変わっていいんだろうと思うんですよ。だからこそいま円高ドル安、どっちでもいいんですけれども、国内的に大変な問題が起きている、こう考えておりますので、そのことを認めてもらわぬと先行きが困る、先行きが困るんです。このままでは流れがもう相当変わっていきましょうし、必ずまたあなた御自身の考えでもってかじを切りかえる時期が来ますからね、そう思って私は伺っておるんですから。
  49. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 五十二年の三月、ちょうど一年前でございますが、消費者物価が九・四%でございました。五月も九・三%であったわけでございますから、この段階でもっと早く公定歩合を大きく下げたらよかったであろうとおっしゃいますことは、結果論としては、そういうことに関係なく今日まで物価は下がり続けたかもしれませんので、おっしゃっていらっしゃることは間違いであるとは私もよう申し上げませんけれども、消費者物価がこれだけの高さにございますと、なかなか現在のような政策はとりにくかったのではないだろうか。私が仮に当時政策担当をいたしておりましても、ちょっとやはり消費者物価の九%以上というものは、今日のような政策をこれだけ思い切ってとるということにちゅうちょがあったであろうと思います。  過去四年余りの対応が百点満点でなかったことはもう明らかでありますし、後遺症がいまございますこともそのとおりでありますが、ちょうど薬が効き過ぎないように、ちょうどいいところで薬を上手に盛ることが可能であったではないかとおっしゃれば、私、何もそれに対して反論を申し上げる気はありませんが、まあまあ対応としては及第点ではなかったかと、後遺症はございますけれども、私は思っております。
  50. 大木正吾

    大木正吾君 それは福田内閣の閣僚の一員でございますから、ある意味じゃその程度のお答えしか返ってこないかもしれませんが、私のやっぱり所感では、むしろこれは五十年の暮れから五十一年の初め、このころがやっぱり少し、公定歩合だけじゃありませんけれども、経済動向について、ドイツなりあるいはアメリカなどとの関連も含めて、これはかじの切りかえ、総需要抑制ばっかりやっていた日本というものを少し見直す必要があったんじゃないか。そうしたらいまの二百二十円台にいくような円高問題等についてもある程度はこれは防御できた、こういう感じもするんで申し上げているわけです。  ちょっと話題を変えます。  櫻内さんに伺いますが、民間住宅の問題でございますけれども、実は、私ももう正月から二月ごろにかけまして、またつい最近選挙がありました東京の町田という市が小田急沿線にございまして、大下市長が三選されたんですが、あの町田周辺、ここ五年間でもって実は地価が倍ぐらい、七割ぐらい上がっているんですね。そうして三・三平米の土地が公示価格でもって大体二十四万ぐらい、そうして実際の取引価格でもって四十万ぐらいですね。三十万か三十五万でわりあいにいま安く建てますと、三十坪の土地と大体二十五坪の家を建てまして二千万かかるんです。結局、五百万の借り入れプラス手持ち資金を五百万といたしまして、他の一千万を調達するために民間の市中銀行なりを利用していきますと、大体七分八厘ぐらいの金利になりますから、これを二十年から二十五年の返済ローンでいきましても十万前後――細かな数字は申し上げませんけれども、私、昨晩計算したんですが、かかるわけなんですね。年収三百五十万の大体中級サラリーマンの場合に、とてもこれは東京周辺の場合、東京駅に一時間二十分ぐらいの通勤圏なんですけれども、不可能な状態に近いんですが、このことは御存じでしょうか。
  51. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) ただいまの説明をそのままでまいりますれば、もうおっしゃるとおり一般の勤労者が戸建ての住宅を持つのに非常に至難である、こういうことになります。  ただ、今度は私の方から参考に申し上げますれば、大体ねらいとしては、たとえばマンション購入の場合ですね、価格千三百五十万円で住宅面積を六十・五平米、こう見ていきますと、自己資金三百五十万円、公庫融資七百五十万円、民間ローン二百五十万円、それで住宅取得可能年収を負担率二五%として計算すると、この場合年間所得二百九十七万円で住める。年間償還額が、この場合負担率二五%とした場合、初年度六十一万円、二年度目以降七十四万円ぐらいになるんですね。そのほかにも年収三百六十万円ぐらいの世帯の人で、いまの償還金負担率二五%ぐらいでどの程度のものが持てるかというと、千五百二十八万円ぐらいのマンションが持てる。こういうようなことで、お示しの例示から言えば、大変困難である。しかしまた、いま申し上げるようなマンションであれば、まあまあこの三百万程度あるいは三百六十万円ぐらいの年収の方がマンションが持てる、こんなことでございます。
  52. 大木正吾

    大木正吾君 櫻内さん、政府の住宅政策は持ち家政策中心なんですが、マンション中心という――マンションはこれは民間のマンションの例でしょうか。民間のマンションを含めての持ち家政策でございますか。
  53. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) マンション、これはやはり持ち家政策の私は一環だと思います。それで住宅金融公庫の低利資金を御使用になって買われる場合を申し上げたわけでございます。
  54. 大木正吾

    大木正吾君 きのうの本会議におきまして、櫻内さん、土地問題に関する税制緩和問題に対してお答えがあったんですけれども、これはマンションといい、あるいは土地つきの住宅といい、やっぱり土地が全部絡むわけなんですが、今度の土地税制緩和問題でもって土地は少し市場に出てきましょうか。
  55. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 今度の税制緩和では、民間デベロッパーなどの土地造成に対する意欲は私は出てくると思うんですね。適正価格であるならば重課税されない、こういうことですから、意欲はそれなりに出ると思うんです。  それからまた、今度の予算でお願いをいたしました公共施設整備などについての別枠の三百億の補助事業をやると、いままで民間デベロッパーに開発許可のときに公共施設などについても負担をかけるというのを緩和いたしますから、だから税制とともに、そういう施策も加わりますので、どの程度実際に宅地がふえるかということの推定はなかなかむずかしいと思いまするけれども、この意欲が出る、あるいはそのコスト節約の企業努力もするというようなことで、供給される土地もいままでのようにいろいろ負担をしたものを売るんではないんですから、そういうような点で宅地供給は促進されると思います。
  56. 大木正吾

    大木正吾君 二百三十円を割ったときに株のダウが一遍に五千二百九十何円ですか、村山さん、結局金が大体過剰流動的な傾向を持ちながら、なるべく利殖のいいものにこう流れていくわけですね。そういう関係でこれを見てみますと、株のことも言いたかったんだけれども、私は、櫻内さん、これは土地の供給量がふえるふえないもありましょうが、一番心配していますことは、土地価格が上がる――下がることはないですよ、この場合ね。そして上がり方が少しパーセンテージが下がるという程度で、上がる度合いが減るという程度だと考えているんですけれども、政府の今年度の経済見通し、民間住宅一三・六%という期待でしょう。私はあえて期待と申し上げますが、こういうものとの関係を考えていきますと、土地問題に関しまして税制を緩めるという考え方がいいのか。  宮澤長官に伺いますけれども、これは経済企画庁長官の立場としては言いにくいことかもしれませんが、自民党平河会の新聞記事、私はなるほど自民党もずいぶんりっぱな会があると、こういうふうに感心したのは、土地問題の提言なんでございますけれども、土地問題は、私はまさしくもう持ち切れぬ状態に追い込むか、思い切ってもっと税制をぐんと緩和して供給するか、どっちかしかないと思うんですが、これについて大蔵大臣、櫻内さん、宮澤さんの見解を、土地問題中心にひとつ伺いたいんです。
  57. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 土地問題につきましては、基本的な考え方はいろいろあるだろうと思うのでございます。やはり土地というものを公共的なものとしてやっていくかどうか、いわば所有権と利用権の分離というようなものをうんと進めていくか、これは本当に国民的なコンセンサスを得なければならない私は一番基本的な問題だと思いますが、当面の問題として考えますと、一番大きな問題は、やはりとりあえずは公共負担が一番大きいんじゃないか、現実的な問題といたしましては。ですから人口急増地域につきましては、いろんな公共関連施設につきまして補助率はかさ上げされていることはもう御承知のとおりでございますし、また立てかえ施行をやりまして、市町村にかわって公社なり公団なりがやる、それは年賦で返していくというような施策、あるいは基準財政需要で見ていく、さらには地方債対策政府資金で全額充当するとか。ことしはさらにそのほかに、先ほど建設大臣から申し上げましたように三百億というものを特掲してやっていく。さらには住宅金融公庫の土地資金の枠を拡大するとか、その意に加えて税制をやっているわけでございます。  今日の土地の上昇を見ておりますと、かつてのような四十七年、四十八年、あのころはめちゃめちゃに上がりまして、恐らく土地が非常に割り高になったというのは、あのころの後遺症が完全に残っておる、そこに最大の問題が私はあると思うのでございますが、現在の土地の上がり方を見ておりますと、この間建設省が発表されたのでも二・五%ぐらいだということでございまして、消費者物価の上がりよりも少ないわけでございます。こういう環境のもとに、いまの税制を価格要件だけにしたということは、それなりの私はメリットを持つのではないであろうか。いずれにしてもこの土地問題というやつは、私たちの選挙区では余り問題にならぬのでございまして、ほとんどが三大都市圏の話であるわけでございますので、この辺を中心にして考えていかなければならない。  それで、特に一番大きな問題になっておりますのは、やはりA、B農地が最大の供給源でございます。A、B農地についての税制はことし限り比例税率なのでございますので、来年からは四分の三総合ということになるので、何とかことしそのA、B農地の所有者が土地供給を大いにふやしてくれること、このことに大きく期待をかけておるのでございます。
  58. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 平河会がことしの一月に提言をいたしましたわけでございますが、私、もうすでに政府の一員になっておりましたので、私自身はこの提言に関与をいたさないということは全員が了解をいたしております。ただ、平河会では、従来から土地問題について伝統的な長い数年間の研究をしておりまして、それが現在国土利用計画法といったような形で具体化しておるというふうに私は見ておるわけでございます。  このたびの提言は、要するに三大都市圏等におきまして、これは私有財産はもとより尊重いたさなければならない、これは原則でございますが、その上で利用権の問題について、これを公共の利用に供する人々と、いわゆる権利の上に眠る人々との間に何かの差別を設けるべきではないか、公共の利用に供する場合の奨励策等々を提言をいたしておるわけでございます。で、私自身はそういう考え方をもう一度世の中に問うたということの意味は、私関係しておりませんが、認めておりますが、いまとしましては、国土利用計画法を推進するということで目的を達するのではないかと、ただいまの私の立場からはそう考えております。
  59. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 先ほどの御質問では、宅地供給が促進されるかと、今度の御質問は、地価の上昇を招くんじゃないか、過剰流動性があって土地価格を引き上げるんじゃないかと、私に対してはそういう御質問のようにとれたわけでありますが、この土地税制の改正のねらいとしては、従来の土地譲渡重課税制の中の開発許可等への適合とか公募だとかというような要件はそのまま残しておるわけですね。それから一般の法人の土地取引に対する重課制度ば現行のままであるわけでございます。そういうわけでありまするから、この税制の改正から地価の上昇を招くかどうかということにつきましては、私はそういう事態はないんではないか、こういうふうに見ておるわけであります。  また、もうよく御承知のことであろうと思いますが、国土利用計画法ですね、この土地重課制度をつくったときには、この国土利用計画法がまだなかったと思うんです。この国土利用計画法の適確な運用ということによりまして、その土地が暴騰するというようなときには規制区域の指定というようなこともございますし、また、そういうおそれがある個所については事前調査をするとか、この国土利用計画法の方からいろいろと考えられるわけであります。ですから、今回の改正で適正利益率を国土利用計画法による適正価格によることにいたしましたのも、この法律が非常に有効に働いておる、こういう前提に立っておりまするから、今回の税制改正、あるいは一般の経済状況の変化が土地価格の値上げに今度つながっていくかということにつきましては、いま申し上げたような諸点から私は余り心配をしておらない、こういうことでございます。
  60. 大木正吾

    大木正吾君 いずれにしても、宮澤長官、経済計画の見通し、いま変える考え方はないということをおっしゃっておられるわけですけれども、七%成長が外圧によるものか、あるいは国内的に必要であるか、あるいはどういう経路でできたかについては調整局長から伺っていますからもういいですけれども、私が土地問題で伺っていますことは、内需拡大ということがもしも日本経済に与えられました内外からの研究課題だとしますれば、結局はエネルギー開発問題も確かに大きなウエートを持ちますけれども、いま貯蓄性向はまだまだ相当高いわけですね。そうしますと、景気政策というものは結果的にはやっぱり住宅とか学校とか病院とか、そういった生活面の公共投資に相当ウエートをかけなくちゃならぬ時代が来る、あるいはその時代に入っていると思うのですね。そういう際に、土地問題に対して根本的なコンセンサスを得なくちゃいけない。  それはいま櫻内さんのおっしゃるように大してよけいに上がらぬかもしれませんよ、しれませんが、皆さん方が使っている通産省なりあるいは建設省等のお役人の方々の係長クラスの方々は、おやじが東京におって土地を持っていた方ならば東京に自分の家が建ちますよ。しかし、もしも地方でもって東大を出て、そして就職した場合には、これは私さっきちょっと町田の例を挙げましたけれども、二十三区に住むことはできませんね、まず東京の場合ですね。しかも、首都圏、近畿圏、中部圏、六大都市ですね、日本の人口の半分はそこにあるんですから、村山さん、選挙区と関係ないですからね、これはね。そういうことを含めて、私は土地問題については、今度は非常に小さな改正にすぎませんけれども、日本経済というものを見直す時期が近く来ざるを得ないとも考えていますよ、とすれば、七%を主張された河本さん、宮澤さんのお二人の中身が、私はむしろ生活関連投資の方にウエートを置くというところでもって合意が得られたか、あるいは――それきょう聞きませんけれどもね、これは主張なんですけれども、エネルギーに対する投資期待度が五兆という話もございますけれども、それは結構ですけれども、とにかくやっぱり財政主導型経済を進める場合には、土地問題ということのネックはどうしてもこれはどっかでもって割り切らざるを得ないだろう。  その際に、長官に特にお願いしますが、いま長官ですからいいですけれども、未来総理かもしれませんからね、だからその平河会の提言というものなんか、これは自民党の中でわりあいに進んだ提言なんですから、ああいったものを生かしながら、経済問題の特にこの成長期におくれてきました生活面投資、社会資本投資の最大ネックの土地問題について、私はぜひ今後の問題として政府側といたしましても根本的な検討の角度と方向を変えてもらいたい、こう考えておりますので、これは答弁要りませんけれども、長官がいなくなる時間帯のようでございますから、そのことを申し上げさしていただきました。  質問、別に移ります。  税制問題について、大蔵大臣に伺いますが……
  61. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 宮澤経企長官はよろしゅうございますか。
  62. 大木正吾

    大木正吾君 結構です。
  63. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) じゃ御退席いただいて結構です。
  64. 大木正吾

    大木正吾君 きのうの本会議で、村山さんの方からいろいろ伺った点もございますが、特別措置問題についての本年度の対処の仕方、これについて総括的にもう一遍伺いたいんです。
  65. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 今年度も、前年度、それから一昨年度に引き続きまして、租税特別措置の整理に重点を置いたのでございますが、特に企業関係税制、しかも期限の来ましたものを中心にいたしまして極力整理合理化を行ったのでございます。  整理合理化の面から申しますと、そのようなことでございまして、きのうもお話ししたと思うのでございますが、大体、廃止項目十一、それから縮減二十六ぐらいだと思っております。新たに加えましたも一のが投資税額控除、それから住宅ローンを含めた住宅取得控除の拡大あるいはタックスヘーブンの関係、こういったところでございます。
  66. 大木正吾

    大木正吾君 交際費の非課税問題については、きのうの御答弁でこれは特別措置じゃないとおっしゃったわけなんですけれども、これは外国と比較した場合に、日本の非課税問題によります現状はどういうふうにお考えですか。
  67. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 各国それぞれみんな特別措置をやっておりますけれども、日本は、非常に何といいますか、日本人の頭は細かいと申しますか、軽減の方にしてもまた増徴の方にしましても、ざっと見ますと非常に細かくやっているという感じがいたします。
  68. 大木正吾

    大木正吾君 そういうことじゃなしに、西ドイツの場合等では、交際費を使うときに非常に厳密なチェックがされて使われる、こういう話を私たちは聞いているんですが、どうですか。
  69. 大倉眞隆

    政府委員(大倉眞隆君) お答えいたします。  昨日、本会議で大蔵大臣がお答えいたしましたのは、交際費は販売促進経費という意味で本来は企業の費用である。しかし、その中に社用的支出というようなものがまざっているということもあり、また支出が非常に巨額であるという批判もあり、これを特に本来経費であるものを否認をして課税対象とするという性格のものであるという趣旨を申し上げたわけでございますが、基本的に経費であるという考え方は先進諸国においては同様でございますけれども、やはり個別の経費支出につきまして、これを否認していくという考え方はとられております。ただ、日本のように一般的に枠で決めて否認するという制度は、現在のところは、ないように理解いたしております。  いまおっしゃいました、たとえばドイツでございますと、事業所があるところでない場所での接待施設とか宿泊施設に関しての支出は否認するとか、あるいは、これはいかにもヨーロッパ的でございますが、いわゆるハンティング、シューティングあるいはフィッシングというための支出はだめだとか、あるいはヨットやモーターボートを持っているための支出はだめだとか、そういう個別の経費の態様に応じて否認をするというシステムはそれぞれの国でやはり持っております。
  70. 大木正吾

    大木正吾君 五十一年度、二年度の交際費の非課税見積もりはどれぐらいになりますか。
  71. 大倉眞隆

    政府委員(大倉眞隆君) とっさのお尋ねでもございますので、ただいま調べております。
  72. 大木正吾

    大木正吾君 じゃ後で答えていただきますけれども、その次の問題として、これは特別措置ですが、社会保険医療診療報酬に対する特別措置の問題につきましてですが、大臣は、五十三年度中にこの措置は全面的になくするというふうにお考えですか。
  73. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 御案内のとおりに、自由民主党におきまして現行の社会診療報酬に対する課税の特例措置は五十三年度限りにする、そしてそれに関連する諸般の方策を講じて、そして議員立法をもってこれに対処するということを決定しております。したがいまして、政府もこれと相並行して、この制度につきましては政府も検討いたしまして、そして五十三年度限りでいまの制度は廃止したい、かように考えているところでございます。
  74. 大木正吾

    大木正吾君 村山さん、これは議員立法ということを盛んにきのうもおっしゃっておったのですが、なぜ議員立法……政府提案でできないんですか。
  75. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) これはわが党が決定したことでございますが、私は、本来、この法律が昭和二十九年、政府は当時非常に反対したのでございますが、与野党共同提案によるので一夜にして通ったのでございます。したがいまして議員立法でございますから、やはり議員が発意されて議員立法でやられた方が私は形としてはきわめて穏当なものであろうと思うのでございます。
  76. 大木正吾

    大木正吾君 おかしいですよ、その話は。それは議員立法でできた法律だから議員立法で改正しようということは、一たん国会で議決して法律にしたものはこれはやっぱり政府提案であろうと議員立法でありましょうとも、法律は同じなんですからね。大臣、そこまではっきり五十三年度中になくするとおっしゃるならば、私は政府提案とすべきだと考えますが、再考の余地はありませんか。
  77. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) わが自民党が党議をもって決定しているのでございます。したがいましてこれと協力してやるつもりでございます。
  78. 大木正吾

    大木正吾君 どうもすっきりしないんですけれども、これからどういう立法手順を踏むのか、大臣もその場合にはどういう段取りをされるのか、全く無関係でおられるのか、あるいは予算委員会、大蔵委員会等なり、社会労働委員会の理事の方々が与野党相談するのか、その辺のことは見守っていきますが、結果的に大臣が描かれている最終的な、いま一般論ですけれども七二%という線がございまして、会計検査院の指摘でも大体平均五二%ぐらいかかっている、こういう話があるのでございますけれども、その線にまで持っていく方向でいきましょうか、これは。
  79. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 内容につきましては、今後の検討事項でございますが、この間も会計検査院の調査の結果の発表がございました。これは非常にいろんな意味を含んでいると思うのでございまして、一つは、スケールの大きいいわば病院では七二%どころではなくて、もっと経費率の高いのが相当ある、所得一千万円以上で、こういうことが出ております。われわれも常識的に知っているのは、人を多く使っておるところ、それから医療器械の非常に新鋭なものを入れておる、こういうところでは七二%の経費では足りないで、場合によりますと赤字である病院が多いことをよく知っているのでございます。会計検査院のこの間の報告はその点を一つあらわしておると思います。  第二点でございますけれども、しかし、実額か、あるいは七二%かの選択でございますので、七二%を選択している方は、当然、実額は七二%以下の方が選択されているわけでございます。それを見ますと平均が五二ぐらいになりましたと。しかし、そのばらつきはかなりあるようでございます。この点が第二点としてあの調査は物語っているんではないであろうか。  それから第三点として、どちらにいたしましても、七二%を超えるものも、それから七二%を利用されている人の中にも青色申告者がたくさんあることに注目しているわけでございます。特に七二%以下でありながら七二%を採用しておって、それで青色申告をやっておられる、この方は恐らく自由診療の割合がかなり多いのではなかろうか。したがって自由診療につきましては七二%が働かないから、だから自由診療に対してはっきりした収支計算を出すつもりで恐らく七二%を採用しておられるのであろう。したがって、その人について言えば、社会診療分は計算いたしますと七二%以下になる、だから七二%を適用する。それから自由診療分は出っ放しのところでひとつお願いいたしますと、こういうことで恐らく青色申告を採用されているのであろう。  いずれにいたしましても、以上を通じて見ますと、主として青色申告者を中心とした収支試算の明らかな所得一千万以上のものについて適用しておりますので、その限りにおいてかなり確度は高いと思います。しかし、さっきも言ったように、全部が全部そうかと申しますと、七二%を超えている人もあるし、それから七二%適用者でもかなりばらつきがある、こういうことであろうかと認識しているわけでございます。
  80. 大倉眞隆

    政府委員(大倉眞隆君) おくれまして申しわけございません。  毎年、予算委員会にお出ししております交際費課税によります増収額は、各年度予算ベースでございますが、五十一年度は二千六百七十億円、五十二年度は三千九百六十億円、五十三年度は四千百六十億円という増収を見込んでおります。実績につきまして一番わかっております最近の状態は五十一年度でございます。この年の交際費支出の総額が二兆二千七百三十六億円でございます。このうち損金不算入額、つまり課税対象額になりましたものは七千百五十億円でございまして、支出総額の三一・四%に該当いたします。  なお、これを大法人と中小法人に分けて統計ができておりますが、大法人の支出交際費額は、先ほど申し上げました二兆二千の中で六千七百七十五億円でございまして、これに対して課税対象となりました金額が四千四百四十三億円で六五・六%、つまり支出額の六割五分強が課税対象になっております。それから中小法人の支出額が一兆五千九百六十一億円、そのうち課税対象になりましたものが二千七百七億円で、支出額に対しては一七%が課税対象になっております。この支出額に対する課税対象割合が非常に大きく開きますのは、御承知のとおり一社当たり四百万円の基礎控除というものが中小法人の場合にはかなりきいておるということであろうかと思います。
  81. 大木正吾

    大木正吾君 いまの診療報酬問題をやっていても時間がたちますので、次の問題で、これも特別措置でございますけれども、利子配当の分離課税問題について伺いたいんですけれども、これはきのうの本会議の福間、私ども社会党の議員の質問にも入っておりましたし、総括質問の竹田委員の質問から出たんですけれども、東京都の新財源構想研究会、これは東京都議会で大分いじめられておるようですけれども、これを調査しましたところが、五十年の場合に一兆一千八十一億円、国税と地方税含めまして大体それぐらいの税収がある、こういうように一応算定されているわけですが、大臣はごらんになったことありますか。
  82. 大倉眞隆

    政府委員(大倉眞隆君) 東京都の新財源構想研究会でございましたかが出されました第二次の報告は私ども承知いたしております。まだ大臣に詳細を御説明する時間的余裕がなしにおります。  竹田委員が御質問の中でお触れになりましたのは、あの研究会の試算による減収額というのが、政府が正式に国会にお出ししている減収額に比べて非常に大きいじゃないかということを御指摘になったわけです。私ども確かに非常に違いますので、これから研究会にもいろいろ問い合わせてみたいと思っておりますが、私どもがただいま持っております感じでは、一番大きな差は、上積み税率をどう見るかということに帰着するようでございまして、時間の関係でごく簡潔に申し上げますと、どうも東京都の計算は税務統計から出てくる受取利子総額をいわばすべて納税対象として上積み税額を計算しておられるように思います。そうしますと、ああいう大きな金額になると思いますが、やはり現状からは、これは的確な資料はございませんけれども、やっぱりたとえば半分ぐらいは家族名義であろうと推定する方が現実的ではないかとか、あるいは納税者になります場合でも、それは完全に全部が通常の上積み税率を適用するというのはいささか行き過ぎではなかろうかというふうに私どもは考えておりまして、恐らくその辺に一番差があるのではないかと思います。
  83. 大木正吾

    大木正吾君 これはきのうの本会議の答弁でも大臣がおっしゃったのですが、一億一千五百万人にナンバーを振るようなこともしなければというような意味のお話があったのですけれども、住民税、住民票その他を基礎にしながら、まあ架空名義という言い方は悪いんですけれども、現在の税法というものを基礎にしながらも、とにかく捕捉できない分野があったことは、これは大阪のある鉄鋼業者の例がつい最近新聞にも大きく出ましたし、いまの主税局長の答弁、一つのそれは計算の根拠かもしれませんが、やっぱり家族名義ならばまだしも、大阪の例ですと、二十人かなんか架空名義で出ていますね。これについてきのう大臣が本会議で答弁をされたことについて、背番号という問題については物すごい国民のアレルギーがありますからね、そういうのじゃない形でもって捕捉をする方法についてお考えはありませんか。
  84. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) やはり一番むずかしいのは、その金を預けている人の住所、氏名が実在の人間であるのかどうか、これを確かめるのが一番むずかしいわけでございます。預ける先が金融機関でございます。したがいまして、いろんな証憑書類を取るにいたしましても、名義貸しが出てこないという保証はないわけでございますから、この辺のところが一番むずかしいところであろうと思うわけでございます。  これはたしか戦後一回総合をやったときがあると思います、一年間。ちょうど預金利子非課税の直前でございましたけれども、このときはたしかもう大減収だったろうと思います、ちょうど終戦のあの一時。預金利子の課税の歴史は非常に長いわけでございまして、いっときは非課税という時期がございましたし、また五%という時期もありましたし、一〇%というときもございましたし、いろんな経緯を経て今日に至っているわけでございます。たしか総合になった年が一年あったと思いますけれども、そのときの事跡を私はうろ覚えに覚えているのでございますが、まあ大変な形であったなと覚えているのでございます。現在のようにかなり税務のいろんな執行能力が上がってまいりましても、考えてみますと、用意なくしてやりますと、これは新たなる大変な不公平を起こすわけでございますので、皆様方がおっしゃっていることはよくわかるわけでございますので、その趣旨に沿った実効ある方法を検討の上速やかに移したいというのがいまわれわれの態度でございます。
  85. 大木正吾

    大木正吾君 本当にやるわけですね、これは。
  86. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 本当にやりたいと思って、いま検討しているのでございます。
  87. 大木正吾

    大木正吾君 いつをめどにしてやりますか。
  88. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 現在の源泉選択の税率は五十五年分まででございます。したがいまして検討するにいたしましても、やはりそれぐらいはかかるだろうと思うのでございます。したがって五十六年分から何とかやってみたい、こう思っているところでございます。
  89. 大木正吾

    大木正吾君 ぜひこれは今国会会期中に、理事会で御相談願いたいんですが、もし準備をしておられるならば準備の過程で結構ですから、資料の御提出をお願いしておきたい。
  90. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) これは恐らく、まだ主税局と国税庁で打ち合わせし、あるいは銀行は銀行で御検討を頼んでおる段階でございまして、出すに値するような資料がまだできている段階ではないと思いますが、もしあれがありますれば政府委員から答弁さしていただきます。
  91. 大倉眞隆

    政府委員(大倉眞隆君) 先般、衆議院の大蔵委員会で同様の御質問がございまして私からお答えいたしましたのでございますが、ただいまの検討の段階は、私どもと国税庁が部内で総合課税を有効に実現するための方策につきまして部内限りの研究を進めております。昨年の初頭から始めております。並行いたしまして、全国銀行協会の方に総合課税を実施するために銀行としてどういうところまで協力を願えるか、そのためにはどのようなコストがかかり人員がかかるかということを勉強してほしいということをお願いしておりまして、これは先方の部内限りである程度の頻度で研究を進めておられるというふうに私ども聞いております。  で、この先の持って行き方は、できますれば、ことしの夏ごろまでに私どもの部内の検討を一応取りまとめまして、全銀協にもそのタイミングに合わせるようにお願いをいたしまして、両者を突き合わせてすり合わせをしてみたい。で、それぞれが持っております問題点を率直にお互いに相談をし合って、それ以後さらにどういう作業に移ればいいかということの第二段階に移ってまいりたい。その過程におきまして、たとえば検討対象になっておりますのは、インターバンクの名寄せを完全に行うためにはだれがどういうシステムを持つべきか、これは全銀協にお願いするというわけには恐らくまいりませんでしょう。やるといたしますと国税庁サイドでやらなくてはならない問題である。と申しますのは、これは信用組合から何から全部相手でございますから、全銀協がインターバンクの名寄せをするということを頼むのは行き過ぎであろうと思います、率直に申し上げまして。そういうことを私どもの部内では検討を進めております。全銀協としては、いわゆる本店名寄せというものをどの程度のコストをかければどこまでやれて、それがどこまで私どもの方の資料化するための技術的な仕組みが可能かということを勉強してくれております。
  92. 大木正吾

    大木正吾君 大倉さんにお願いしますけれども、ぜひこれは重大な関心のある問題でございますから、その作業をなるべく急いでいただきたいことと、中間でもぜひ大蔵委員会その他関係委員会の方に資料の提示をお願いいたしたいと思います。  次の問題ですが、これは大蔵大臣、サラリーマンの給与所得控除ですけれども、月額六万二千九百十六円、こういうふうな数字になるんですが、大体この見当でいいですか。
  93. 大倉眞隆

    政府委員(大倉眞隆君) まことに申しわけございません、もう一度数字をおっしゃってください。
  94. 大木正吾

    大木正吾君 これは二百一万ですね、という数字をずっと割っていきますと、こうなる。
  95. 大倉眞隆

    政府委員(大倉眞隆君) 課税最低限で二百一万五千円でございますから、月割りに直せば、そういう計算になると思います。
  96. 大木正吾

    大木正吾君 これはちょっとゆうべ当たってみたんですが、ガソリン代とかそれから洗たく代とか、これでずっとやっていきますと、新聞から何からずっと計算していきますと、週刊誌買う人もございますけれども、実際問題として、村山さん、くつ一足、洋服二着は買えないです、一着ですね、大体。これずっと細かくやってみました。これでもって大体十分だと思いますか。  それともう一つ関連して聞きたいんですが、事業主の方々は、いろんな経費を、たとえばきょうは土曜日ですわね。――まあ勉強中で国会などで言うのは申しわけないんですが、きょうドライブに行った営業者、個人事業主の方々のガソリン代は経費でもって落とせますか。
  97. 大倉眞隆

    政府委員(大倉眞隆君) ただいまの御質問にございます、まずサラリーマンの場合が一番むつかしい問題でございまして、その背広は必要経費であるかという問題になかなか各国とも決め手が見出せない。と申しますのは、商店主の方でも背広は着ておられる。どこからどこまでがサラリーマンであるがゆえの必要経費であるのかという点が実は一番むつかしい。同様に、事業所得者の場合には、考え方といたしましては、土曜日で家族を乗せてライトバンに乗って郊外へ行かれた、そのガソリン代は必要経費ではないんだと、考え方はそうでございますが、執行面に非常なむつかしさがあるということもおのずから否定できないと思います。
  98. 大木正吾

    大木正吾君 大体、見当ついたと思うんですけれども、そういう状態でやっぱり不公平感があるんですよ。ことし――時間がありませんのではしょりますが、これは朝日新聞の税理士会長の話なんですが、申告をする方が、住宅新築とか医療費の問題とかそういう関係がございまして、大体三百六十万ぐらいになるだろうと、こういう記事があるんですが、このことを大臣読んでいますか。
  99. 谷口昇

    政府委員(谷口昇君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘の朝日新聞の記事は読んでおりますが、実は、まだ三月十五日に確定申告が終わりましたばかりでございまして、全国的な還付の状況はつまびらかではありませんが、私どもが三月の上旬ごろに還付の状況について二、三の署に当たった感じでは、昨年に比してかなり還付の件数は伸びておる、このように考えております。
  100. 大木正吾

    大木正吾君 書類を五年間保存してある税務署が幾つあるかわかりませんけれども、大体五年間は還付請求の期限が有効ですから、ぜひそういうことをしてもらいたいし、私は最後に大臣に伺いますが、経済見通しなどを根拠にしますと、五十七年には税負担二八%になるんですね。そうしますと、やっぱり国民は、税金を直接ふやしていく、こういう感じに対しては非常にアレルギーなり反感といいますか、税務署をこわがるという傾向がございますので、その前に必要なことは、さっきおっしゃった利子の問題につきましても診療報酬の問題につきましても交際費につきましても大きく取り上げたんですけれども、こういう問題について、あくまでも税負担率を上げるならば、一つは公平という問題が大事なことである。もう一つは、企画庁長官には退席願いましたけれども、貯蓄率は高いんですが、貯蓄率が高いものを、公的に住宅とか学校とか老後とかそういったものに誘導していくということは善政です、いい政治ですよね。この二つはどうしても大事なことですから、最後にひとつ村山大蔵大臣の所感を伺いたい。
  101. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) おっしゃるように、一般的な税負担の増加を求める前に、いわゆる不公平と言われている税制については極力これはもう直すべきことは当然だと思いまして、私たちはそのつもりでやるつもりでございます。  それから第二点の問題でございますが、これは貯蓄と投資の関係でございます。したがいまして貯蓄率が高いときには、その投資をどのように向けていくか。民間がもし非常にあれでございました場合には、それは公共部門に向けるわけでございますけれども、そのときに公債でやるのか、あるいは税でやるのか、そこが非常な大きな問題になるわけでございますし、当然、税負担を上げるということは、まあどこの国に限らず、貯蓄率が高かろうが低かろうが、これはもうやはり抵抗があることはよくわかっているわけでございます。その意味で、今度財政収支試算をお示ししましたのも、あのままでいくとなかなか大変なことになるということを国民の御理解を得るためにお示ししたわけでございまして、将来、そのようなコンセンサスを得た上でやりたいものだ、かように考えているわけでございます。
  102. 大木正吾

    大木正吾君 結局、答えになっていませんけれども、私所見をちょっと述べておきますが、負担率を上げる前に公平のまず地ならしをやることは、これは大事なことですわね、一つはね。同時に、貯蓄性向が高いから税金でぶったくる、こういう考え方があるとしたら大間違いなんでしてね、なぜ貯蓄性向が高いかという問題は住宅、老後、病気の心配、子供の学校の問題でしょう。そういったものを外国では全部財政を媒介にして進んでいるから貯蓄性向が低いわけでしょうが。だから、そういった問題に絡んでやっぱり税、財政問題については慎重にやってもらいたい、こういうことですから、よくひとつ考えてもらいたい。
  103. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 貯蓄率が高いからといって増税をやるわけではございません。
  104. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 以上で大木君の一般質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  105. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 次に、戸塚進也君の一般質疑を行います。戸塚君。
  106. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 午前中、簡単に日中問題、外務省の政府委員にお伺いいたします。  昨日来、また大分日中問題についての動きが進んだというような新聞報道もございます。だが、実際には、事務的な段取り、あるいはまた北京の日本大使館の感触、こういったような点で事務べベースでは一体どんなになっているのか、その実態をお聞かせください。
  107. 中江要介

    政府委員(中江要介君) これは先生も先刻御承知のように、日中平和友好条約交渉といいますのは、もう三年余り前からずっと一貫して続けられてきております交渉でありまして、あくまでも外交チャンネルを通じていままで努力をしてまいったわけでございます。それが昨年の暮れからことしの初めにかけまして、交渉再開の機が熟しつつあるという判断が下せるまでにこぎつけまして、それを踏まえまして、本年に入って北京の佐藤大使と廖承志会長あるいは韓念竜外務次官との間で二回、三回と会談が重ねられて、そして手順、段取りの詰めといいますか、その瀬踏みが行われている。その手順、段取りの瀬踏みは順調に進んでいるというのが現状でございまして、そのことにはいささかの狂いも変更もございません。  昨今、新聞その他で大きく報道されております公明党の矢野書記長の訪中、鄧小平副総理との会談内容、これは昨日も総理がおっしゃっておりますように、中国政府考え方として承ったが、外交チャンネルを通じての外交交渉にとって重要な参考資料となる、そういう観点から検討させていただきたい、こういうことになっておりまして、今回の矢野・鄧小平会談の内容も、いままでの外交チャンネルを通じて私どもが得ております情報判断その他と一緒にいたしまして、総合的に政府として今後の進め方を検討してまいる、こういう段階にまで来ておりまして、したがいまして事務当局としてはどう考えているかという点につきましては、既定方針どおりということでございまして、この手順、段取りの瀬踏みにつきましては順調に進んでおるわけでありますので、それを踏まえて、これからの方針というものは政府全体として御決定いただくことになろうかと、こういう段階でございます。
  108. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 外務大臣が来月訪中されるというような記事が大々的に出ています。外務省当局はそういう事実を御存じですか、そういうことになっているんですか。また仮にもし外相訪中ということがあったとすれば、これは交渉再開ということと重要な関係がある、こういうふうに解してよろしいか、その点伺います。
  109. 中江要介

    政府委員(中江要介君) これは外務大臣も当委員会でも申しておられますように、外務大臣のお気持ちといたしましては、交渉再開あるいは妥結に向かってのいまの外交交渉を一歩進めていくのに、自分の訪中が建設的な役割りを果たし得るということであるならば、いつでも訪中する用意があると、こういうことはおっしゃっておりますが、具体的にいつどうしてどういう状況で行くのかという点については、これは外務大臣御一存でお決めになることではなくて、総理の方の御指示があればということでございまして、総理の方の御指示は、先ほども申し上げましたような総合的な情勢判断のもとで御決心になるわけでございまして、そのときの状況次第で、いわゆる条文に関連する交渉再開とその交渉との兼ね合いで外相訪中がどういう位置づけになるかということは、そのときの状況次第でございまして、事務当局として決まった段取りというものを考えているわけではございませんし、したがいまして時期につきましてもいまのところはこれといった具体的な構想を持ち合わせているわけではございません。
  110. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 昨年の十二月の中旬、私が訪中いたしました際、廖承志中日友好協会会長が、中ソ同盟条約は名存実亡どころじゃなくて、いずれの日にかは引導を渡す日が来る、廃止ということだということを明言されました。それはわが国の新聞でも御承知のとおりで、その内容は外務省の方にもお伝えしてあるはずです。  ところが、その後、そういうことについて――非常に大事です、中ソ同盟条約がどうなるのかは。政府としては、このことについて中国側と確めたり、あるいはまたこの問題についていろいろ話し合いされましたか、また、されなかったらこれは当然するべきじゃありませんか、いかがですか。
  111. 中江要介

    政府委員(中江要介君) まず二つの面があると思います。  一つは、この条約自身が中国とソ連との間の同盟条約でございますので、日本は当事国でない。したがって条約当事国に対してどうこうするということを言える立場にはないということは、これは前提としてございます。第二点として、しかしながら、その条約の中には日本を敵視していると言われる条項がある。これについては日本は全く無関心ではおれない。その点についていろいろの憂慮があるということも事実でございまして、その点につきまして、戸塚先生が訪中されましたときに、廖承志会長がいまのようなことをおっしゃったということは、私どもの北京の大使館の方でもお知らせいただいておりまして、十分私どもも記憶しております。  ただ、この条約は、御承知のように一九五〇年に締結されましたが、そのときは日本はまだ講和を結んでいなかったわけでございまして、この条約が結ばれまして二年後の一九五二年に日本が国際社会に復帰した。その後、さらに一九五六年には、日ソ共同宣言でソ連との間に戦争状態を終結して友好関係を推し進めることになった。さらには、一九七二年には、中国との間で日中共同声明が出されまして、中国との間に平和友好関係を築いていく、こういうふうな日本との関連でも大きく国際情勢が変化しております。のみならず、中ソ両国の間の関係は、御承知のような国境事件以来、中ソ関係というのは非常に冷却化している。そういう客観情勢から見ますと、この条約そのものの実質的な意義というのはもうすでに失われているのではないか。  さらに、そういう実質的意義を失った条約の存在が今回の日中平和友好条約の締結交渉に何らかの障害になっているかというと、それは日中双方とも全くそういう感じを持っていないということはございます。ですけれども、おっしゃいますように、条約は名存で名は存しておるわけですから、それをどういうふうに踏まえるのかという点については、先ほどの廖承志会長の御発言もありますが、日中条約締結交渉の中で、この条約について日本国民に明確に説明できるようなことをしなければならないという態度で臨んでおりますし、それをどういうふうにするかという点は交渉を待って明らかになっていくものであると、そのことは必ず考えてやるということは外務大臣もしばしばおっしゃっておるとおりでございます。
  112. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 あなたは補佐する立場として、われわれは重大な関心を持っていますから、これについては政府間でよく話し合っていただきたいと思います。なお、中国という国は、日本とは違いまして、気の長い国でございますから、日本人みたいにせっかちじゃありませんから、百年でも何年でもじっくりやるということですから、交渉される際に余りとちらないように、ひとつある面では慎重に、しかしまた友好は深める、こういう方向でいっていただきたい。  午前中の最後に、昨日のサンケイ新聞の夕刊、きょうの朝刊に、昨十七日、午前十一時二十七分ごろ、ソ連の空軍機がわが国の領空を侵犯した、こういうことが報道されております。通算六回目だと、年年九月以来のことだということで大きな関心を持っています。さらに、防衛庁は外務省を通じて厳重にソ連に抗議すると聞いておりますが、当然のことであろうと思いますが、そういう手続をしておられるか、あるいはまた、この実態はどうか、防衛庁と外務省から一言ずつ伺って、午前中はこれで終わりたいと思います。
  113. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 昨日、記者団にも公表いたしましたように、午前十一時二十七分から約一分間の間、ソ連のTU95、いわゆるベアと称せられております洋上偵察機が領空侵犯をいたしました。この領空侵犯をいたしました場所といいますのが、いわゆる国際海峡になっております対馬の東海峡でございます。で、いま先生がおっしゃいましたように、これはソ連機による領空侵犯としては六回目でございまして、十二海里に領海が広がりましてからは二度目でございます。で、きのうの場合には、十一時にどうも対馬海峡を通過する状況であるというので、直ちに築城から二機ずつ合計四機の86Fをスクランブルに上げました。これを対馬海峡で視認いたしております。その間、レーダーサイトから、領空侵犯をする危険があるからということで、二度にわたりましてロシア語と英語で国際緊急周波数を使いまして警告を発しましたが、結果的にはかすめ去ったということでございます。  で、侵犯する意図があったかどうかという点になりますと、きわめて十二海里のすれすれのところをかすめて通ったということでございまして、しかも高度は二百メートル程度でございます。で対馬海峡を通過するのは年に七、八回あるわけでございますが、比較的高度を低くいたしまして、注意深く飛んでいるようではありますが、きのうの状況は、あすこを通過いたしまして、中国の沿岸の方に行きまして、午後三時に再び帰っております。で、帰りましたときには国際海峡の上を通過いたしまして、侵犯はございませんでした。しかしながら、そういう事実がございましたので、昨日の段階で直ちに外務省の方に連絡をいたしております。で、これは航空総隊の方から正式にどの時点でいつ侵犯があったということを報告を受けまして、その事実を外務省を通じまして抗議をお願いいたしておるところでございます。ただ、過去五回ございましたが、いずれの場合も抗議をいたしておりますが、その領空侵犯の事実を認め、これが計器の故障であったという回答があったのは礼文島の一回でございまして、そのほかは返事がないというのが実情でございます。
  114. 加藤吉弥

    説明員加藤吉弥君) ただいま防衛庁から御報告がありましたとおり、事件発生直後に防衛庁の方からこの侵犯の事実について通告を受けております。私どもは、目下、その侵犯の事実の詳細を防衛庁とともに検討しておりますが、結論を得次第、できる限り速やかに従来の例にならってソ連側に抗議を申し入れる所存でございます。
  115. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 午前の質疑はこの程度にとどめます。  午後一時から委員会を再開し、戸塚君の質疑を続けます。  これにて休憩いたします。    午後零時五分休憩      ―――――・―――――    午後一時二分開会
  116. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 予算委員会を再開いたします。  昭和五十三年度総予算三案を一括して議題とし、戸塚進也君の一般質疑を続行いたします。戸塚君。
  117. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 農林大臣に当面の農林水産行政一般について伺います。  お米の転作の問題、これはいまやもう非常に重大な課題でありまして、現在末端では市町村長あるいは農協長を初め、懸命にこの国の施策に協力しようと努力しております。また、農民の多くも理解をしつつあります。しかし、中にはこの問題について、将来の農政に対する不安あるいは疑問、不信の声もまた反面あることも事実であります。農林大臣はよく御存じのはずであります。この問題は集中審議もございますから、きょうはここでは大臣に、具体的にこれを実施していくに際して、できるだけ新しく、いろいろいま末端で協議している中で、ひとつこういうことはぜひやってほしい、考えてほしい、これが建設的なことであるならば、できればひとつ実現の方向でいまからでも対策をとっていただきたいし、たとえばまた共同の転作奨励金、こういう場合の調書、これが膨大なもので非常にわかりにくい。こういう点については、やはり農業者の立場に立ってわかりやすいものに改善するとか、あるいはまた市町村長への調整費的なものを出して、市町村長がこれに協力しやすいようにするとか、そういったような幾つかのことを農林大臣は積極的に考えていただきたい、こう考えておりますが、いかがでしょうか。一言で結構です。
  118. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) 転作については御協力いただかなければなりませんし、おかげをもって非常な理解と協力を得られておるものと存じます。その際、御指摘のように書類がめんどうでというようなことがあってはと思いますので、なるべく簡素化していくように最善を尽くしたいと存じます。
  119. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 続いて畜産物の価格安定、これについてはいよいよ三十日、三十一日を目指して審議が始まるわけでありますが、ことしについては前年とはまた環境が違ってきて、比較的安定帯に落ちついているとか飼料が安いとか、いろいろあることはよく理解できます。だが反面において、素牛の問題だとか、あるいはまた債務の――昨年債務整理のことをやっていただきましたが、これについては非常に喜ばれて、なおまた希望も多い。こういつたようなきめ細かな対策、ただ安定価格だけ決めればいいというのじゃなくて、それに伴う輸入問題等についても不安を持っているところでありますから、きめ細かい対策というものが必要じゃないか、こう思いますが、いかがでしょう。
  120. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) 御指摘のとおりでございまして、畜産物をめぐる厳しい情勢もありますが、生産面ではいま非常に安定をしてきておる。特に配合飼料が安いという事情もありまして、まあいい兆し、むしろ加工原料乳などは過剰状態というところまで来ております。そこで、価格はしかるべく法律の定めるところによって決めてまいりますが、むしろ力は、御指摘のように生産対策というものに力を置くべきだと。これは牛を育てる場合でも、あるいは加工原料乳に対しても、乳牛に対してもそういった面で善処してまいりたい、対処してまいりたい。特に負債整理を昨年数百億やりまして、これが生産農家に非常なメリットになっております。とりあえずいまあるものは大体始末したわけでございますが、今後また見直しの時期でもあればですが、いまのところ非常に喜ばれておりますから今後また研究してまいります。
  121. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 続いてミカンでございますが、これはまた輸入問題も絡みまして、国内、ミカンが非常に不安でございます。農業団体のやっているジュース工場等が非常に経営不振である、あるいはまたこの輸入割り当てがあった分を農業団体にできるだけ欲しい、そして調整していきたい、そういう声もあります。これに十分やはり大臣として配慮していただくとともに、来年度以降、五十三年度以降のこのミカンの摘果、いまは知事会等が一生懸命やっておりますが、大臣はひとつ先頭に立って、これらの適切な摘果によって価格も安定する、こういつたような方向への御努力を引き続いて願いたいと思いますが、いかがでございましょう。
  122. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) ことしは特に、ミカンが、ことしがもうすでに昨年になりましたか、生産が過剰で非常に価格の面で苦しんでおる実態でございます。これまた来年、摘果あるいはジュース工場対策等々、生産から加工、流通等々いろいろな施策を講じて、この難局を乗り切るようにいたしたい、こう思っておる次第でございます。
  123. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 大臣、通告はしませんでしたが、近代化資金の問題ですが、最近金利が非常に下がってきておりますね。したがって農業者の間からも、こういう金利情勢なんだから、金融情勢なんだから、ひとつ農業近代化の各融資などの金利を全体的に検討してみてもらったらどうか、こういう声があります。通告がしてございませんでしたから大変恐縮でございましたが、大臣の御所見だけ承っておきたいと思う。
  124. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) 今度かなり公定歩合が下がるということで、金利問題が、むしろ農村金利が高いんじゃないかなんというようなことになりましても大変でございますので、今後の推移を見ながらこれまた検討してみたい、こう思っております。
  125. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 次に、マグロでございます。昨日もマグロが出てまいりましたが、きょうもマグロでございます。非常に石油ショック以来安定資金等でやっていただきましたが、最近はまた輸入問題その他で非常な苦境に立っております。やはり抜本策を早急に講じていただかなけりゃならぬ。あわせてマグロ・カツオ等のかん詰め、これの実は対米輸出が例のドル問題、円高問題から数十万ケースいま滞っておりまして、このままではこの四月から私どもの県などのマグロかん詰めの業界はかん詰めをつくれない、結局つぶれざるを得ない、こういう情勢になっています。何とかこれについては政府でも対策を講じていただきたい。その一環として例の対外援助。幸いにして中近東や東南アジアの方は大変マグロのかん詰めがお好きなようでございますから、ひとつ例の対外援助で考えていただく、こういう方向も含めて大臣並びに外務省の御所見を伺いたい。
  126. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) マグロも昨年の暮れから生産過剰といいますか、輸入の問題とも重なりまして非常に価格が低迷し厳しい情勢にございます。そこで、消費拡大というようなことで、安売りをやったり、チラシ、ビラ等で消費の拡大をやっておりますが、あわせて対外援助の品目にも加えまして、そういった外国への対応もしてまいりたい、こう思っております。
  127. 武藤利昭

    政府委員(武藤利昭君) 私どもが行っております無償協力におきまして、いま相手国から要請があれば、もちろんこのような魚のかん詰めも協力の対象として考えたいと考えております。
  128. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 大臣、わが党の中西一郎議員がフードバンクという構想を提唱しておられますが、御存じでございますね。これは私は大変時宜に合った対策じゃないか。国際機関としてフードバンクを設立し、先進諸国の拠出、たとえば国民所得割に保有外貨割を加味してもよかろう、これによる資金で食糧の備蓄と放出、受け入れ国における見返り資金積み立ての役割りを持たせる。私はこれはいま日本は過剰で困っていると言うが、逆に飢え死にしそうな国もある。そういうことをやはり国際的に調整しながら食糧の備蓄を国際的にやったり、お互いにやはり援助をし合ったりする。日本日本なりの立場の中からこれだけの大きな国になったんですから、そういうおくれた国に対しての、気の毒な国に対しての援助をしてあげることも当然だ。いろんな意味で大変私は高く評価できると思うが、大臣の評価はいかがでしょう。
  129. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) 中西議員の提案になっておりますフードバンク、私も承知いたしております。これは何しろ新しい仕事でございますし、関係国それぞれまた利害いろいろございますので、今後ひとつ研究してみたいと、こう思っております。
  130. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 文部大臣に一言だけ伺います。  最近、お米離れの日本人と言われていますが、これはやはり子供の時代から教育の面から直していかなければいかぬのじゃないか。つまり、学校教育の中で、ひとつたんぼにも入ろう、自分たちの地域の特産にも親しもう。私の町で言えばお茶ですよ、お茶の時期になったら学校の子供たちがみんなでお茶摘みをやる。そういうような実践教育を通じて、ああ農業というのは大事だなあ、そういうことを考え、お米のとうとさ、これをやはり学校教育の中からやっていただくべきじゃないか、こう考えておりますが、いかがですか。
  131. 砂田重民

    国務大臣(砂田重民君) 新しく改定をいたしました学習指導要領の中で、小中学校を通じまして理科なり社会なりの科目の中で十分そのことを重視して取り入れているところでございます。そのほかに特別活動や農業など選択教材を決めておりまして、地域の、実情に応じていま御指摘になりました体験的実習がやれる、そういう農業に親しませるような教育の機会を新しい学習指導要領で十分に明記をしてございます。
  132. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 それでは農林大臣、ひとつこの国際園芸博という楽しい話題、これは実は欧米、特にヨーロッパでは各種の花、世界じゅうから集めですばらしい実は博覧会をやっておる。これはJETROでも国は補助金を出している。そういうことですから、ちょっと実態を通産当局から簡単に。
  133. 山口和男

    政府委員(山口和男君) 国際園芸博覧会に日本が出展いたしました最近の例としましては二件ございまして、一九七三年にハンブルクで四月から十月まで行われておるのがございまして、全体の規模は百四十エーカー、参加国四十カ国、日本はJETROの予算約千四百万円を使用いたしまして出展をいたしております。ジャパンデーとかガーデンパーティーを開きまして非常に好評を博したと言われております。それからもう一つの例は、その翌年、一九七四年にウィーンでございまして、四月からやはり十月まで五十六ヘクタール、うち日本庭園が七百五十平方メートル。参加国は三十余カ国でございまして、このときには日本は、日本とオーストリアの友好の永遠のシンボルとして桜の苗木百本を寄贈するとか、茶会とか花火のタベとか開いて協力いたしております。
  134. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 農林大臣、お聞きのとおりですが、花よりだんごという言葉がありまして、いままで日本人はだんごばかりよかった。しかし、これからはやはり花を愛する、国土をきれいにする、花を愛して国際的なコンセンサスを得るように努力する、こういうような意味で非常に私はこれは大事なことじゃないか。将来この国際園芸博を日本へ誘致する。非常にまあ各地域で熱心に実はやっている方も研究している方もあるんです。どうでしょう、具体的にもしこういうことが盛り上がってきたら、大臣としては積極的に前向きに検討していただけますか。
  135. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) いままでこういう御指摘や要望がありませんでしたが、まことに斬新的な、すさんだいまの日本の中に花を見て、園芸を見て楽しむ、心のゆとりを取り戻すチャンスにもなろうかと思いますので、十分ひとつ研究して実現ができるようにできればと思っております。今後ともまた御助力のほどをお願い申し上げます。
  136. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 通産大臣、これはやはりJETROの関係もございますので、通産大臣としても御関心を持っていただけますでしょうか。
  137. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 私は大変結構だと思います。博覧会は、こういう種類の博覧会ももちろん大事ですが、いろいろな博覧会を私はもっと積極的にやった方がいいと思います。
  138. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 農林大臣、ありがとうございました。  次に、経済企画庁長官がいらっしゃいましたので、円高対策につきまして若干お伺いいたします。  私はいよいよクライマックスに達してきたと思います。ドル安だとばかり言っては通れないことになったと思う。たまたま昨日わが党の大平幹事長も、ここまで来ると固定相場制への復帰ということも考えられるなあということを示唆した旨の新聞もありましたが、これは幹事長が言った言わないではなく、私も実はそんな気がする。国際的にはむずかしいかもしらぬが、これについては長官どうお考えですか。
  139. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 率直に申し上げますと、固定相場制に戻るためにはやはり基軸になる通貨がしっかりしていなければならないと考えるわけでございます。各国との間のインフレ率とか成長率とかいうものがある程度そろっておりまして、そうして固定相場の軸になります通貨というものが安定をしているということでありませんと、固定相場というのは御承知のように相当の剛構造でございますから、ただいまのような変動相場のような柔構造でございませんから、この剛構造を準備なしに、そういう条件が整わずにいたしますと、これに対するアタックというものに対して非常に剛構造的な反応しかできないという非常な激しいやりとりになってしまう危険が絶えずあると思いますので、私としてはいま固定相場というところまで考えるのはやはり無理ではないか。しかし、いろいろお尋ねがこれからございますと思いますので、それによってお答え申し上げたいと思いますが、もう少し柔軟な形で何かが考えられないかというふうに思います。
  140. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 企画庁長官、私も実は長官と最後の部分は全く同じなんでございます。何か考えられないか。そこで当面、やはり長官は経済界の御意見も十分聞いていらっしゃると思うが、私は今度は本当の官民一体でこれに当たらなければいかぬと思う。したがって、私はこの際経済界と政府が合同対策本部ぐらいつくってこれに当たるというくらいのそういうやはり提唱も長官はなさっていただきたいし、正式な形で経済界が今度の問題について、自主規制の問題も含めてどのように考え、どのように対処するかということを、やはりもっと頻々にひとつ会合されていかれるということも大事ではないかと思うが、いかがでしょうか。
  141. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それはおっしゃるとおりでございまして、私どもできるだけそれに努めておりますし、また経済界で日々いろいろな議論が行われておりますこともできるだけ気をつけて拝聴をし、あるいは拝見をしておるつもりでございます。これは輸出規制というようなことになりますと、けさほど通産大臣が実質上いろいろ行政の上では話し合いをしておるんだと言っておられましたが、通産当局もまたそういう努力をしておられることはそのとおりであろうと思います。改めて会議ということもさることながら、できるだけいま言われましたようなことは私も注意して聞き、または見ておるつもりでございます。
  142. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 これは経企庁長官、ローザ体制の早急な実現への努力ということも、これはここまで来ると非常に大事だなあと、私は腹にこたえて感ずるのでございますが、そんなことも含めて、私はやはりこの関係の首脳会議をこの際、総理、大統領でなくてもいいけれども、関係首脳会議を日本でも招集されて、ひとつどうするかということを協議されるぐらいの、そのくらいの長官はひとつリーダーシップをとっていただきたいが、いかがでしょう。
  143. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいまの段階で入り用なことは、この問題は、わが国にとりましてはただ通貨の問題ではありませんで、経済全体、国民生活全体にこれほど関係をしておる問題でございますけれども、その実情についてアメリカ側に十分な認識があるかどうかということがまず問題であろうと思います。つまり、余り長くなってはいけませんが、ドルが減価をしておるということをわれわれは円との関係において、あるいはマルクの関係において考えますけれども、米国自身は為替ということにはもともと関心の低い国でございますが、その中でもやはり米国の主たる貿易先であるカナダでありますとか南米諸国でありますとかいう関係では、ドルは円あるいはマルクに対するような状況になっておりませんから、そういうことだけ考えましても、やはり受け取り方がわれわれが受け取っておるようなほど深刻ではないと思われる節がございますので、したがって、これは日本にとっては非常に大きな問題であるということをよくアメリカの政治の指導者にわかってもらわなければならない。これは通貨というような非常に専門的な問題ではわが国にとってはございませんで、もっと大きな問題であるということを、そういう努力をわれわれ政府一体になってしていく必要があるということを感じておりますし、またしつつあるつもりでございます。  それから、ローザ構想でございますが、これは固定相場に比べればはるかにやわらかい構想になりますが、どうもいまのところそのローザ構想と伝えられるものでも、私はまだ少しかた過ぎるのではないだろうか。たとえば、たとえばでございますが、主要の幾つかの通貨の間である程度そのときそのときのターゲットというものを考えていくと、これは当然長いこと一定であればそれにこしたことはございませんけれども、ある程度動き得るとしましても、そういうことについての合意でもありますれば、非常な大きなとっぴな変動というものは防げるはずでございますけれども、これが一番私はやわらかい形ではないかと思います。しかし、そういうための国際的な合意というのには、やはりかなり時間をかけなければならないであろう。これは私限りの考えでございますけれども、いろいろな機会を見て、各国がどういうふうにそれについて考えるかというようなことは、私なりに議論をしてみたいなあと従来から、ことに最近思っておるところでございます。
  144. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 これは非常に新しい御構想で、私は大変いい御答弁だったと思います。そこで長官、そういうことをやはり具体的にしていくために、私はやはり総理とも御相談なさって、長官なりあるいは牛場大臣なり、ともかく主要国へ行ってこられるなり、何かのやはり接触を早急にされるべきじゃないか、こんなふうに思いますが、いかがでしょうか。
  145. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これは本来は大蔵大臣の御所管の問題でございますから、大蔵大臣の御意向もよく伺わなければなりませんので、それで先ほど私限りというようなことを申し上げたわけでございますが、そういうような考え方について、いろいろな機会に各閣僚がやはり接触をされますから、外国の首脳部と自由に話をしていかれる中から何か生まれてくれば、それが一番いいのではないか、のんべんだらりとしておれる問題ではございませんけれども、さりとてきょう、あすというわけにいくわけでもございませんので、私自身も、これから自分が予定しておりますそういう機会が二、三ヵ月のうちに幾つかございますので、そういう機会を利用して、各国の首脳がどう考えておるかを自由討議をしてみたいと、私なりにしてみたいと思っております。
  146. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 大蔵大臣、ただいままでの私と長官のやりとりをお聞きになってどんな御感想をお持ちか。それと、日銀の総裁はきょうは見えてませんが、監督をする大臣として、日銀がやはり介入すべきじゃありませんかね。どうも新聞等を見ると余り介入してないような雰囲気もありますが、いかがでしょう。
  147. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 先ほど宮澤長官が言ったことについては全く同感でございます。できるだけ機会を持ちまして相互の理解を深めていかねばならぬ。方向についても全く同感でございます。  日銀が余り機能していないんじゃないか、私は大いに機能していると思っておるのでございます。しかし、物にはやはり限界があるということでございます。
  148. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 私の認識が浅かったことをおわびいたします。  続いてデノミのことについて伺いますが、経済企画庁長官からデノミの御所見を余り伺っておりませんので、私は非常に注目しておりました。企画庁長官、いかがお考えですか。
  149. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) この問題は、総理が御発言になりますときに、常に三つの条件が熟していなければならないと言っておられます。その一つ、国内経済の安定というものがもうごらんのような状況でございますので、戸塚委員の御所見は存じ上げておりますけれども、いまの問題ではないというふうに私としては考えております。
  150. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 いまの問題ではないが、近い将来はあり得ると私は思っております。  そこで大蔵大臣、また政府委員でも結構ですが、高額紙幣五万円札の発行について具体的にもう検討しなきゃならぬという時期が私は二、三年以内には必ず来ると、こう思っておるが、私の認識は違いますか。
  151. 田中敬

    政府委員(田中敬君) 高額紙幣の問題につきましては、それを出すか出さないかというめどは、その時々におきますその際の最高額紙幣の流通高に占める構成比がどれくらいの大きさになったかというのが一つの客観的な指標ではございますけれども、別途、実際に通貨を使っておる国民が本当に高額紙幣を必要としているかしていないかという、その流通の実態の問題もございます。前者の構成比の問題でございますけれども、先般もこの委員会でお答え申し上げましたとおりに、かつて千円券、一万円券、五千円券というようなものが出ましたときは、大体その構成比が八五を超しておる段階でございます。ただいま一万円札の構成比が八一%ぐらいで、ここのところ通貨の発行高がそう伸びておらないこともございまして、八一、二%で横ばいで推移をいたしております。今後この推移がどうなりますかというのも一つの指標でございますと同時に、ただいま申し上げましたように、国民が本当に五万円というものを必要とするかしないか、私どもは、いまいろいろ証券類等についてペーパープライスと言われておりますけれども、一万円札の問題につきましては、現にそれを扱っております日銀におきまして、あるいは銀行におきましても、お札の枚数を数えるのに非常に手間取っているというようなことは聞いておりませんので、現状ではまだ必要ではないというふうに考えております。
  152. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 大蔵大臣大蔵大臣がデミノ調査をやっておるというお話がございましたね。私は調査室を堂々とつくったらいいと思うのです。ところが、行革があってなかなかむずかしいということならデミノ調査班でもいい。何となくこそこそやっているようなふうに思うから皆さんかえっておかしいんで、オープンにして調査をする、私はそのくらいは必要だと思うが、調査室またば調査班、いかがでしょう。
  153. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) これも総理がしばしば言っているように、デノミは今日の問題ではないのでございます。したがって、いつの日かそのデノミ宣言をやった後でつくっても十分間に合うと思っております。
  154. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 私ば少し見解が違いますので、まあ私の考えとして申し上げておきます。  次に建設大臣公共事業の大量発注がございます。大臣は二月十六日の衆議院の予算委員会で、場合によって物が不足した、物が上がったといったら国民生活安定緊急措置法という伝家の宝刀を抜いてでもあえて物価の安定とか物不足に対処するという御所信でしたが、最近やっぱり資材が上がってきています。中には一部もうなくなった、不足だと言っている声も聞きます。やはり大臣、ひとついまの御心境、二月十六日よりさらにもう少し強い心境で、この大量の公共事業に対して、物が不足する、値上がりする、不当な利得を得る者がいる、そういうことがないようにきちっとすると、もう一度御答弁を願いたい。
  155. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 戸塚委員のおっしゃるとおりでございますが、大体必要な資材類をわれわれも冷静に受けとめて見なきゃいかぬと思うのですね。そこで、たとえば小形棒鋼は上がっております。しかし、その上がっておる状況は、五十一年の上半期当時の価格ではないかと思うのです。それからセメントが二月に上がっておりまするが、その上げ幅はそう心配すべきものではない。それから、その他のものは大体横ばい状況にあるわけでございます。資材が上がれば上がっただけ事業量の目減りがすることは当然でありまするから、建設省としては、全国の地建におきまして連絡会議を持って、地域的に時期的に問題の起こらないように相努めておるわけでございまするし、また政府としては、大蔵大臣を長とする推進本部におきまして対応しておるわけでございまするので、この国民生活安定緊急措置法は、こういうものはもう発動せずして済むのが一番いいのでありまして、警戒をしながらもベストを尽くしておって、現在ではまずその必要はまだない、こういうふうに見ておる次第でございます。
  156. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 大臣、しかし私はいま抜くんじゃなくて、そのくらいの意気込みをひとつさらに二月十六日以上に持っていただいてがんばってほしいと、こういう意味なんですが、いかがでしょうか。
  157. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 先ほどの御答弁の冒頭に戸塚委員のおっしゃることを肯定しておるわけでございまして、そういう気持ちは持って進みたいと思います。
  158. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 大変失礼しました。  それでは、大規模店舗法の問題についてお伺いいたします。  私は、下条委員からも敷衍されましたが、最近の大型店舗の無秩序な進出ということを非常に実は憂慮しております。自由主義経済体制を崩壊に導くような重大な問題だ、こう思っております。  そこで参考人にお尋ねいたしますが、最近の大型店のいわゆる集中豪雨的な出店の状況、さらにそれに対しての小売商業者の現状、ごく簡単に、一分か二分でお願いします。
  159. 大島直市

    参考人大島直市君) それではお答えを申し上げます。  最近、私どもの商店街が非常に困っておる一番の問題、それは大型店の進出であります。私どもの傘下にありますいわゆる商店街というところに参加しております組合員、六十万の組合員は、いま本当に大型店の突然の進出、数多く次から次へ出てくる問題に困っておるわけであります。ほかでもありませんけれども、大店舗法をでかしていただいた四年前にこうしたいわゆる許可制で、届け出制ではなしに許可制でやっておいていただけたらこういう問題はなかったのではないか、こういうふうに過去を振り返っていま申し上げたいと思っておりますが、本当に私ども小売商は大型店が出ることによって、そして長い間その町で近代化だ、合理化だといって街路灯を建てたり、アーケードを建てたりという形で町を維持してまいりましたが、もはやそれもできないような現状にまで追い込まれておるところが大変多いわけであります。したがって、私どもは努力に努力を重ねておりましても、これだけどこへいつ何が出てくるかわからぬ現況でありましては何とも手の打ちようがない。また役所へ始終お願いを申し上げておりまして、役所から御指導いただいております大型店と小売店との共同、いわゆるどう言いますか、共存共栄はできないかというようなお話で始終御指導いただいておりますが、地域へ戻ってみますると、大型店は小売屋と共存共栄のできるような考え方は毛頭持っておるような形勢は絶対に出てきません。私どもからいろいろと話し合いを持って出ましても、金のなくて小さなものと、そして大きな土地を買って自動車が何十台入るところをつくって、そうして品物を並べてお客さんに来てくださいというものと、どうして共存共栄ができるのだと、具体的にはそういうふうな話が先日も私どもの商店街のパネルディスカッションで、大型店のある社長が出てきての発言であります。これは大型店が各地でときどき研修会をやって意見調整をし、同一意見を持って臨んでおるのだと、小売屋さんは消費者のためにもつと自分たちで努力すればなんだが、われわれとしては共存共栄の道はないんだというようなこともはっきり言っておりますが、現実に商店街の実情を申し上げますと、自分の家で親と子と一緒になって店を守ってきたのが、とても食っていけないようになったから息子はどこかへ勤めに行け、また別のところへあれせよと、こういう形でいま商店街は非常に困っております。  せっかくの機会でありますので、今度の国会で大店舗法の改正をお取り上げいただけるよう、この機会にお願い申し上げておきます。
  160. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 通産大臣、お聞きのとおりなんです。先日も下条委員大臣は懇切にお答えいただいておりましたが、昨年の国会でも法改正すべきという決議が出ております。政府としては、今国会に大店法の改正強化、この提出の御意思がございますか。
  161. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 大店法ができましてから四年半ばかりたちます。この四年半の間に幾つ予測しない新しい事態が次から次へ起こってまいりまして、小売店業界は相当混乱をいたしておりますので、わが国の小売問題をどうすべきかということにつきまして、総合的にいま最終の判断をしておるところでございます。小売商業に関する法律につきましては、この大店法と商調法がございますが、これを総合的に国民経済全体の立場からどう判断すべきかということについていま作業中でございまして、できるだけ早く結論を得たいと考えております。
  162. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 私は法改正を早急に国会へ提出すべし、再度要望いたしておきます。  続いて、この審議の間に駆け込んでくるんです。どんどんどんどん、いまの間にやっておかなきゃ損だというので、大型店がどんどんやってきて三条申請などを受け付けろ、受け付けろ。私は、やはり政府としてはそういう駆け込み的なものについては断固とした毅然たる態度をとるべきだ。そして小売関係者百六十万の擁護も考えるべきだし、無秩序なおかしな競争にさせるべきでない、こう考えています。大臣もその現状をお考えいただいて、伺うところによりますと、近々関係チェーンストア協会その他に通達を出される、こういうお話を承っておりますが、私はあえて各通産局長に対しても断固たる措置をとるべきである。こういうときに駆け込んでくるものについては受け付けるべきでない、こういう規制をすべきだと思うが、通達のことについてのお考えを承りたい。
  163. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) いまお話しのように、駆け込み申請が大分続いておりますので、このまま放置しておくわけにはまいりません。そこで、一週間ばかり前に関係業界それから地方の通産局に通達を出しました。
  164. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 政府委員に承りますが、その通達の要旨を簡単に。
  165. 山口和男

    政府委員(山口和男君) 三月十三日付で、百貨店協本会、チェーンストア協会、ショツピンクセンター、セルフサービス協会、大型店四団体に対しまして、最近の出店計画が全国的に増加しており、地元中小小売商業とのあつれきも起こっている事例も多い。また法律改正を検討しておる段階であるので、この状況下でいわゆる駆け込み的な店舗の新増設が増加し、さらに事態を混乱させることが懸念されるので、出店に際しては地元関係者と十分な話し合いを行うと同時に、駆け込み新増設というのは厳に自粛するようにという強い要請をいたしまして、同様のことを地方通産局にも伝達してございます。
  166. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 中小企業庁長官、お聞きのとおりです。あなたには産政局でないから権限がないけれども、あなたのところへみんな来るのですよ、すべての問題についての悩みが。ひとついまの通達もあったのですから、同じ通産内部なんですからね、そういう零細業者の気持ちを伝えて、しかとひとつ、駆け込み的なものについては許さない、こういうことをやってほしい。長官どうですか、一言だけ。
  167. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) 私どもも経緯は十分承知をいたしております。今後産業政策局とよく連絡をとりながら事態の解決に努力をいたしたいと思います。
  168. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 建設大臣に、実は先国会で長谷川前大臣に建築基準法の関係で、実は大店法――審議している間に建物だけできちゃうのです。建築基準法の判こは知事がぽんと押しますから、法律に合っているというので。あるいは都市計画の方で、工場の煙がもこもこ出ているところへ、工場が移転した跡へ大規模店舗がぽんと出てくるんです。だから、せっかく町が一生懸命都市計画税を取って都市計画をやって商店街をつくっても、全然違うところへ出てきて、商店街は、借金して商店街をつくってもおじゃんになっちゃうんです。こういう都市計画法とか建築基準法について、この大規模店舗法とあわせてこの際見直して、そうしてやはり秩序ある町、その中の商業、こういうふうなことをお考えになることが必要じゃないか。現にドイツあたりでは、きちんとそういう都市計画法のもとにおいてのそのような大型店などはいけないという規制もきちんとしております。大臣いかがでしょうか、前国会では前大臣は、できるだけ前向きに検討をすると御答弁がありましたが、実情を把握されていかがでございましょうか。
  169. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 建築基準法でいまのような問題を規制するということについてはなかなか問題があると思うのですね。そこで、都市計画法による特別用途地区というのがございまして、これによりますと、地方公共団体の条例でそういう地区を定めて規制をすることができる。仙台市におきましてそのような条例をつくっておるわけでございまするが、まあやりようはあると思いまするけれども、やはり、ずばりと規制をするということになれば、大規模小売店舗法について私どもも通産省と連絡を密にして協議をいたしまして、規制の措置をできるようにすべきではないか、こう思います。
  170. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 大臣、最後の部分が大変ありがたかったんです。どうぞ通産省とか建設省のかきねを越えて、この大規模店舗法のときに合理的な法改正ができるように御協力をお願いいたします。  参考人、ありがとうございました。結構です。
  171. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 大島参考人にはまことにありがとうございました。御退席いただいて結構でございます。
  172. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 国土庁長官、地震立法について非常な御努力をいただいて感謝しております。今国会には、今月末には地震立法が提出されることを非常に高く評価をいたします。しかし、全国知事会等の意見を聞きますと、実はあの災害が起こったときに自衛隊さんがいなかったら、恐らく伊豆でもいまのような復旧はできなかったと思うのです。もう自衛隊さんは神様のようなものです。この方々が、地震が三時間後に起こるかもしれない、このときにはやはり事前に出動をして、そういう救済、救援に当たったりいろいろな活動をする。私はこれは非常に大事なことだと思うが、現法律では知事の要請。私は警察法にありますように、特別なやはり総理大臣に権限を与えて、少なくとも地震のときだけについては、特別立法の中で自衛隊の事前出動を総理大臣の権限で、特別警報等で出動を命ずることができる。やはりそのくらいは入れるべきだと思うが、この点まず防衛庁、そうなったときはどうですか。
  173. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) ただいま国土庁の方から法案についての提示を受けておりまして、いろいろ協議をいたしておりますが、いま先生がおっしゃいましたように、警戒の段階でいわゆる政府としての準備体制をとれということについては、私どもといたしましてはそれをお受けして準備をするということは可能だと考えております。
  174. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 つまり、総理大臣権限ということになったとしても、これは喜んで出かけてくださると、こういうことですな。
  175. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 御承知のように、災害派遣というのは災害が起きてから出る場合がございます。この場合には、従来のように現地の状況をよく知っておられる知事さんあたりからの要請の方が的確に必要な場所に行けるという感じがいたしますけれども、ある地域についての準備を始めるということになりますと、私どもの方といたしましては、従来のように起きてからやるよりは、そういった警戒警報が出た段階でやっておいた方が迅速に行動ができますので、そういうことは適当であるというふうに考えております。
  176. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 長官、お聞きのとおりでございます。そこで、長官に時間の関係で一括してお願いいたしますが、もう一点、地震の場合の基本計画というものをつくって、いわゆる強化地域、そういう特別な地域に当たったところについては、地震に備えてこうこうこういう事業をいたしましようじゃないかということを、ひとつ各省の枠を取っ払ってつくる。で、その中に入っていたものに対して、順次必要なものから取り出してきて事業化していく。補助率も柿沢委員のおっしゃったように本当は上げて特別にしてもらいたいが、大蔵大臣がただ紙に書いておくというだけで非常に意味があるのよというお話でございましたから、それを信じて、何もそれを何分の一にしてくれとか申しません。しかし、そういう基本計画をつくって、その中から順次必要なものを引き出してやる。補助率等については政令で定める、このくらいのことは、いまの事前出動の問題と二つ含めてこの地震立法の柱にしてほしい。仏つくって魂入れずになっては困る、こういう非常に強い声があります。国土庁長官、いかがでございましょうか。
  177. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) まず自衛隊の事前派遣につきましては、先ほど来御質問の御趣旨に沿ったように関係省庁で詰めてまいりたい、こう思っております。  それから、強化地域の指定後にいろいろと事前措置をとるわけでございます。観測体制の整備あるいは地震防災強化計画を策定して避難地、避難路、消防用施設等の整備を実施するというようなことをいたすわけでございますが、この強化地域の指定後、事業内容の確定等を待ちまして所要経費及び財源の見込みが明らかになった段階で関係省庁と十分検討をしてまいりたい、こう思います。
  178. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 長官から前向きな御答弁で感謝いたします。ぜひそういう方向でひとつ立法の準備を急いでいただきたいと思います。国土庁長官ありがとうございました。  次に、持越鉱山鉱滓対策で、その後鉱滓の最終的な中外鉱の資金手当てが完全にできたかどうか。またこの事故を契機にして、この種のことを防ぐようにどのような全国的な通達なり指導をしたか、簡単に伺います。
  179. 松村克之

    政府委員(松村克之君) お答えいたします。  持越鉱山の堆積場の応急補強工事でございますが、これにつきましてはそれに必要な資金についてその確保に努めているところでございますが、すでにその一部につきましては金属鉱業事業団の融資を決定いたしたところでございます。  また、今後の対策といたしまして、全国の堆積場の総合的な対策といたしましては、現在学識経験者から成る事故調査委員会において調査が行われているところでございまして、その結果を見て必要があれば建設基準の見直し等を含め、今後の堆積場につきまして対策を確立してまいりたいと思っております。  なお、それまでの間全国の堆積場について総点検を実施する等、必要と考えられる対策につきましては事故調査委員会の結論を待たずに現在実施をしているところでございます。
  180. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 通産大臣、ありがとうございました。  それでは自治大臣にひとつお伺いいたします。最近公務員の定年制の問題につきましては、御承知のような経過で現在人事院等でいろいろ意見を取りまとめ中と承っております。そこで、それにかんがみまして、地方公務員の給与あるいは退職金あるいは定年制、この問題についてでございますが、まず退職金等は、私のこれは勝手な計算でございますが、国家公務員の場合は大体最高の位におられた局長さんクラスで長くお勤めになっておやめになって三千万、東京都の場合は大体六千万くらいというふうに聞いています。また年齢的にも、東京都の職員の方の中には一般の方で八十歳を超えている方が大分いらっしゃる、こういうふうに伺っていますが、実態はどうなっておりますか、自治省の政府委員から。
  181. 塩田章

    政府委員(塩田章君) お答えいたします。  昭和五十二年の四月一日現在におきます東京都の一般職員総数二十二万五百二十六人でございますが、このうち六十歳以上の方が三千三百五十六人、七十歳代は三百九十八人、八十歳代はゼロとなっておりまして、全体に占める割合で申しますと六十歳代で一・五%、七十歳代で〇・二%ということになっております。
  182. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 八十歳代はないわけですね。
  183. 塩田章

    政府委員(塩田章君) はい。
  184. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 じゃ、私はそれは取り消します。退職金はどうです。
  185. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 東京都の退職金でございますが、御承知のように退職の場合、自己都合の退職と勧奨とございまして、自己都合の退職の場合は、東京都の場合も国の場合もほとんど違いはございませんが、勧奨退職になりますとかなりの差が出ておるようでございます。具体的に申し上げますと、たとえば十年で退職します場合に国の職員に比べまして一・五倍の率になるというような形になっております。これは支給率の問題でございます。そのほか東京都の場合、問題になりますのは役付加算というのがございまして、いまお話がございました五千万とか六千万とかいう場合は、役付の加算を受けた場合にそれに該当するケースがございまして、たとえば部長等の職にある期間は支給率を幾ら増すとか、あるいは課長職にある場合は幾ら増すとかいうふうに加算率を設けておる、そのために高くなると、こういうことでございます。
  186. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 声は小さかったが大体事実は認められた。自治大臣、こういう状況です。これは一つのケースですから、また地方自治は地方自治として自治権が確立されているんですから、私はここでこれをどうしろ、これはいけないから削れとか、そんなことは申しません。しかし、余りにも国の公務員と格差があり過ぎるということは問題だ、また国民の多くの批判が、いま公務員の勤務態度とか行革とかいろいろ言われておりますよ。中小企業じゃボーナスももらえない、どんどん小売業者は倒産だ、こういう状態ですから、やはり余りにも目に余ることについては、自治大臣として国家公務員に大体常識的に準ずるような、そういう御指導をすべきだと思うが、いかがでしょう。
  187. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 地方団体の中には、国家公務員と比較をいたしまして給与がずいぶん高い団体もございますし、ただいままた、東京都の場合の御質問がございましたが、退職金等につきまして相当差がありますのが事実でございますけれども、しかし大部分の団体はそうではないのでございます。そこで、地方公務員の給与なり休暇は国家公務員と権衡を得ておらなければならぬのでございまして、私どもは極力国家公務員と権衡を得ますように、さような指導を今後も強めてまいりたいと、かように考えているところであります。
  188. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 やはり国よりもベースが低い人もありますから、そういう人もやっぱりある程度の対策考えてやることは当然だと思います。自治大臣、ありがとうございました。  さて総務長官、国家公務員の勤務規律、これはやはり厳正でなければならぬことは当然ですが、あわせて窓口業務など、国民と接したときに少しはにこにこして、やあいらっしゃいませと、電話の応対一つをとっても、ちょうど長官のように丁寧ににこにこしている、やはりそういう公務員の指導が大事じゃありませんか。いま行革の問題なんか言われているでしょう。これを公務員の方にもっと徹底して、国民から愛される公務員になろう、あいさつ運動をやろう、長官が先頭に立ってやる、一番いいじゃありませんか。長官おはようというようなことから始まって、ひとつみんな会ったらあいさつしよう、そういったような基本的なところから始まって、国民に愛される本当に有能な公務員として育っていく、この人間づくりはいかがでしょう、長官
  189. 稻村佐近四郎

    国務大臣(稻村左近四郎君) 御指摘の点はそのとおりだと思います。  国家公務員は、御承知のように国民全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、かつ職務の遂行に当たっては全力を挙げてこれに専念しなければならないと思っております。特に常時国民に接触する窓口業務に携わる職員につきましては、親切、丁寧に対処すると、従来から各省において周知徹底を行っておるところでございますが、いま御指摘の点については指導、教育をするよう各省に連絡を申し上げたいと、こういうふうに思っております。
  190. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 長官、期待してます。  あわせて、先日も糸山委員から御指摘がありましたが、婦人の日制定について長官は非常に御関心があった。あれからすぐ何か行動されたと聞きますが、私は三百六十五日、うちに帰れば婦人の日だと思っていますからなんですが、中にはそうでない人もおりますからやはり婦人の日は大事なことでしょう。具体的にこれは推進をされるお気持ちがあるか、具体的にどうあれ以後動かれたか、ちょっと御構想を伺いたい。
  191. 稻村佐近四郎

    国務大臣(稻村左近四郎君) 御指摘の婦人の祝日に関してでございますが、いろいろ賛否両論ございまして、また各政党の中にもいろいろな意見がございますので、とりあえず外国の状態、それから国民の世論の状態を把握する、そして各党の意見に対処するように、広報室を通じてどういう形で調査をするかということで検討を命じておるわけであります。
  192. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 運輸大臣にお尋ねをいたします。  成田開港について、先日大臣は、非常に悲壮な決意で、そしてずいぶん努力された方もあるんだと言われ、大変私は胸を打たれました。御苦労さんでした。しっかりひとつ成田が順調にいくように祈っています。しかし、成田空港ばかりが国際空港じゃない。将来やはり日本列島を考えたら、次は関西であるとか、いろいろやはり総合的に考えていかなければいけません。次ばどういう御構想をお持ちですか。また、全体的にどうあるべきでしょうか。
  193. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) まず、御鞭撻についてお礼を申し上げます。  国際空港につきましては、現在御承知のように羽田がああいうようにして仕事をやっており、近く成田がまた開港すると、こういうことでございますが、関西につきましては、大阪空港の現状等にかんがみまして、関西に公害のないりっぱな空港を海洋上に設けようと、こういうことで、いま諸般の手順を進めておるわけでございます。  現在、日本で外国の飛行機が入ってくるのは七つあるわけでございますが、これからの日本考え日本の地理的な条件を考えますとき、そしてまた日本の経済事情等を考えますとき、これは将来はもっとふやさなければならない、こういうことを考えておりますが、さて、どことどことをそういうようにするかというようなことにつきましては、これからのいろいろの事情等とあわせ考えなければなりません。さような次第で、順次これも進めてまいりますが、余り早くにどことどことにすると言うことは、また騒ぎを起こさせることにもなりかねない、この辺は気をつけてやっていきたいと思いますが、いずれにいたしましても、将来の動向を見きわめつつ、日本はそういうことに余りおくれをとらないような措置を講ずる、この必要があろうかと存じます。
  194. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 運輸省の政府委員に伺います。  昨年、タイのエア・サイアムが倒産しました。それによって羽田空港にも実は債務を残しておるはずであります。多くの旅行関係者が実はたくさんの債権といいますか、持ったまま泣き寝入りになったと思います。この実態、簡単にその数字とどんな状況であるか、またその原因。私は、なぜそういう声が余り上がってこないかと言えば、実は契約がダンピングだった、そういうことから、実はその関係者の人たちも余り大きい声じゃ言えぬわい、こう言っておる、私はそれが実態だと思うけれども、そこにも大きな問題があると思う。どうですか。
  195. 高橋寿夫

    政府委員(高橋寿夫君) お答えします。  タイ国と日本の間に航空会社がタイ航空とエア・サイアムの二つございました。タイ航空の方がいわゆるナショナルキャリアでございます。もう一つのエア・サイアムという会社が入っていたわけでございますが、ただいま先生御指摘のように、一昨年の十二月に運航を休止をいたしました。そして、一時再開いたしましたけれども、ついに昨年の一月以来運休をいたしておりまして、その後二月にタイ国政府から事業経営免許を取り消されまして今日に至っております。その結果、現在エア・サイアム関係の債務では国に対する着陸料等の債務、これが一億二千百六万円。それから国内航空企業グラウンドサービス等の関係の債務一億九千六百七十五万円、旅行業者の関係が一億八千万円、ホテル機内食企業等に関して一億三百二十万円と一般旅客が一億一千九百六十五万円、合計いたしますと七億を超しまする債務が事実上焦げついております。私どもは国の債務につきましては債権管理法に基づく督促等をいたしております。また一般民間債務につきましても、これを全部含みまして外交ルートを通じましてタイ国政府に厳重抗議いたしましたけれども、タイ国政府の返事は大変つれのうございまして、この会社は取り消してしまった、もうタイ国政府もどうにも手が伸びない、倒産しているんだからということでございますので、この点はこれからなおフォローするつもりでございますが、いまのところ手がなかなか出しにくい状況になっております。  こういったことの原因はいろいろあると思いますけれども、いま先生が御指摘になりました運賃ダンピングその他の問題がないかという点につきましては、私どもは運賃ダンピングということにつきましても監査をいたしますと、ときどきそういった例が出てくるというところから、運賃ダンピングの事実が散見されることを否定いたしません。まあこのエア・サイアムの倒産の直接の原因がそうかどうかは別といたしまして、かなり安売り等によりまする企業体力の減耗はあったと思います。  そこで、やはり安全でかついいサービスを旅行者に提供するという航空企業の本旨に立ち戻りまして、適正な料金を取るということが基本でございますので、これからも個々に乗り入れ航空会社に対する監督を強化するとともに、こういう会社の団体であるIATA等を通じまして内部規律を高めるという点についても合わせて配慮をいたしまして、こういったことが二度と起こらないように監督を強化していくつもりでございます。
  196. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 大臣、お聞きのとおりなんです。航空会社が実はいまお互いに大変なダンピングなんです。十人寄れば幾らになるとか、三十人ならこうだ。ところが一人で行くとべらぼうに高いんですよ。だものですからああいったようないろんな問題が起こってくるんですね。そこで、いまアメリカあたりではかなり個人で行っても安いやつが出てきましたね。個人でもかなり安いんですよ。ところが日本はなかなかそれをやらない。だからああいうダンピングが起こる。そこで私は、個人で切符を買っても日本からもかなり安く外国へ行けるんだと、そのかわり変な不当なダンピングしたりなんかやめなさい。やはりそういう指導大臣はなさるべきじゃないでしょうか、いかがでしょう。
  197. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) 戸塚説まことに妥当であると私は思うわけでございますが、そこで、そういうような考え方からすでに日本航空等においてもある種の条件によってそういうことをしてはどうかという提案をすでにいたしております。まあこういうことにつきましては諸外国といろいろ相談はさせなきやなりません。太平洋路線につきましてはその話がやや進行しているやに聞き及んでおるのでございます。これらのものを促進し、太平洋路線ができれば、さらにその他のところについてもそういうことが促進されるように指導をしてまいりたいと考えております。
  198. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 それでは、最後に文部大臣と総務長官に二つ伺って終わります。  まず文部大臣、文部大臣は海外留学生の問題等に非常に御熱心だ、青少年育成等の問題についても非常に新しい見解を持っていらっしゃる、大変私ども期待しています。青年団体の育成は非常に大事な問題です。予算の面ももちろんこれからもふやさにゃいけませんが、同時に精神的な指導とか、やはり青少年と大臣が交わる、そのことによって新しい大臣の感覚で青少年の健全育成に努めることは大事なことだと思います。御所見を承りたい。
  199. 砂田重民

    国務大臣(砂田重民君) 大変基本的な御質問でございますが、青少年の団体活動あるいは青年学級に戸塚委員が力を入れておられますことももちろん重要でございますが、基本的に私が考えますのは、大人と青少年の間の断絶の問題でございます。やはり私は青少年教育ということを考えますと、まず大人がもっと青少年を信頼してかかるという、もう一遍原点に返る必要があると思うのです。それはやはり青少年の今日の実態を理解しなければなりません。  私の一ゼネレーション前の方は、小学校へ通うのでも一里、二里の山道を雪の中を一生懸命通ったもんだ、そういう苦労をいまの若い連中は知らないからというふうなことを言われますけれども、そんなものではない。ごく近く高校野球が始まりますけれども、大人の目に入る野球はテレビを通じて大変楽しい試合しか見えません。そうではないんで、甲子園へは出れないもっと数多くの、大変数の多い青少年たちがどれだけ苦しい練習をぶっ倒れるまでやっているか、そういうスポーツを通じて昔の方が学校へ通うために苦労なさったような、苦しさに耐えるということ、人間の連帯感というものがどれだけ大事なものであるかということも、青少年たちはスポーツを通じて体得をしてきているんです。  戸塚委員は御承知でございましょうが、アメリカのポール・サイモンというシンガーソングライターが書いた「明日に架ける橋」という歌が全国の、世界じゅうの青少年の愛唱歌です。友情を歌った歌です。こういう歌から日本の青少年も友情のとうとさというものを承知をしている。ついこの間来たボブ・ディランが歌ったアイラ・へ-ズのバラードという歌から、戦争というものが勝った国にも敗けた国にもどんなむなしいものであったかということも、平和を守らなければいけないということも、そういう一つの教材から青少年たちは体得していっている。三遊亭円楽がテレビのアチャラカ番組をおりて地方巡業をやって歩いている。高校生、大学生がどれだけ詰めかけておりますか。彼らが円楽の話を聞いて打たれているのは、江戸時代の人情話の自己犠牲です。青少年たちがそう言っている。こういうふうに今日の青少年が人格完成を目指そうと目指すまいと、意識しようとしまいが、そのために身につける教材とも言うべき事柄は大人の私たちには考えられないぐらい幅の広い面から受けている、そのことをまず大人が理解をすることだ、これが私は青少年教育の今日の基本の問題であるというふうに考えております。
  200. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 では、少し時間が余りますが、きょうは土曜日でございまして、皆さん早くお帰りになりたいでしょうから、最後に名古屋オリンピックの問題、不況ばかりでない、こういう夢もあるんだ、このことを文部大臣と総務長官に承って質問を終わります。  実は一九八八年、これを目指して名古屋、愛知県が非常に熱心に誘致準備を進めておられる。現在まだ決定ではないけれども、すでに県や市の職員を体協に派遣して準備室をつくって熱心にやっている。市長さんもアンケートまでやっている。県知事も全面的に推したいと言っている。こういう態勢です。一九八一年には正式に立候補しなければならぬし、それまでには根回しをしてほぼもらえるかどうかやらなきゃいかぬ。私ばやっぱり東京オリンピックに続いて名古屋オリンピックは夢があると思うのです。御所管の文部大臣として、ぜひこれには手をかしてやってもらいたい。国も積極的に考えてもらいたい。  同時に、総務長官、あなたはすべてのことについてのお務めの役でございまして、あなたにお願いしたことは婦人の日もオリンピックも必ず実現すると思いますから、文部大臣の御答弁によって前向きならばそれを推していただけるかどうか、承って終わります。
  201. 砂田重民

    国務大臣(砂田重民君) オリンピック憲章によりますと、オリンピックの競技大会の主催者は国ではなくて都市でございます。ですから、いま直ちに国がどうこうということも言える時期ではございません。まだオリンピック競技大会は名古屋で開きたいということの御意向を公式には政府は承っておらない時期でございます。八八年を目指されれば八一年立候補ですから、その前に政府の了解とJOCの承認を取りつけなければなりません。ですから、公式に名古屋市から政府にお話がございましたときに、スポーツ振興の観点からあるいは財政上の観点からその時期に検討をいたしたい、これが公式な政府の見解でございます。  一つつけ加えますと、スポーツ担当大臣といたしましてはきわめて魅力のあるお考えでございまして、いま戸塚委員が御発言になりましたような御準備中のようでございますけれども、どうぞしっかり御準備をやっていただきたいという気持ちが本音としてスポーツ担当大臣にはございます。
  202. 稻村佐近四郎

    国務大臣(稻村左近四郎君) お答えいたします。  まあできるだけ明るい話題というかニュース、これは大変大事なことでありまして、先ほどの婦人の祝日に関しましても、また実のところ、一月の末から五十一日間ASEAN諸国を回ってまいりました若い青年がきょう帰ってまいりまして、大変に話題が豊富でありまして、これも一つの明るいニュースであったと、こういうふうに私は受けとめております。そういう意味から、いま御指摘の点につきましても、私は青少年対策を担当いたしておりますので、国務大臣という立場からも文部大臣の御意見をひとつできるだけバックアップいたしまして、実現の方向に努力をいたしたい、こういうふうに考えております。
  203. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 終わります。(拍手)
  204. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 以上で戸塚君の一般質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  205. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 次に、赤桐操君の一般質疑を行ないます。赤桐君。
  206. 赤桐操

    赤桐操君 まず最初に、三大都市圏におけるミニ開発の状況について建設大臣から伺いたいと思います。
  207. 大富宏

    政府委員(大富宏君) お答えいたします。  ミニ開発といいますのは、都市計画法上の開発許可が千平方メートル以上になってございますので、千平方メートル以下の、開発許可をとらないで開発するのを大体ミニ開発と称しているわけでございます。  私どもの統計によりますと、年々、千平方メートル以上のいわゆる開発許可の中で占めるところの一ヘクタール以下の開発許可のシェアというものがだんだん多くなってきつつある現象でございます。ことに三大都市圏についてはこれが非常に多うございまして、たとえば昨年の東京都の土地白書のデータ、発表した報告を見ましても、これは二十三区の例でございますけれども、百平方メートル以下の土地取引というのが二十三区については約四〇%を占めているというようなデータの発表があったわけでございますが、非常にミニ開発と称せられるような開発が多くなっているというのは事実でございます。
  208. 赤桐操

    赤桐操君 二天都市圏における資料の御提出をいただきたいと思います。後で結構です。  次に、ミニ開発と並びまして、最近の現象といたしまして、公的建設の場合にも民間におけるところの団地の中におきましても、いわゆる空き家というものが大変増大をいたしております。そこで、きょうは総裁もおいでになっておりますので公団総裁に伺いたいと思います。  住宅公団が一番空き家の問題で御苦労をいただいておりますが、五十二年度末、大体見通しがついたと思いますが、空き家の数はどのくらいの見込みであるか伺いたいと思います。
  209. 澤田悌

    参考人澤田悌君) ただいまいわゆる空き家、未入居住宅と保守管理を合わせましてごく最近では三万九千戸でございます。これがその後いろいろ解消に努力いたしましたが、これは継続して仕掛かり品のもたくさんある事態でございますので、急に減少するというわけにはなかなかまいりませんけれども、これ以上大幅に増加するという勢いはようようとまったのではないかと考えられます。それで、この年度末にどのぐらいになるか。やはりこれは四万戸を若干超すことば避けられないのじゃないかと思いますが、それが非常に大幅にふえるということはないといま見込んでおる次第でございます。
  210. 赤桐操

    赤桐操君 これは建設省側に続いて伺いたいと思いますが、こうした公的建設すなわち住宅公団のようなものでもかなりな空き家がございますが、一般の建て売りの中で、特に公的、民間を問わずデベロッパーがやっておりまする中で、建てたけれども売れないという戸数がかなりあると思うのですね。金融公庫の融資つき住宅等でも、せっかく割り当てがあってその枠に基づいて建設したけれども売れない、こういう状況を建設省が把握しておられれば、御答弁願いたいと思います。
  211. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) 総合的なそういった売れ残りあるいは空き家の調査というものは全国べースでは行っておりません。ただ、本年十月に住宅統計調査を行います。したがいまして、それで全国的なはっきりした数字は出るのじゃないかと思います。しかし、私どもいろいろな情報で総合しておりますと、大都市におきますいわゆる民間の分譲住宅でございますが、この中でマンションは非常に売れ行きが強気でございます。現在、昨年全国で約九万戸、全国と申しましても大体大都市でございますが建っておりますが、これは非常に売れ行きは好調でございます。ただ、郊外の足の便の悪いところに建てられました二戸建て住宅等には相当空き家があるというようなことを聞いております。
  212. 赤桐操

    赤桐操君 郵政大臣が大分御都合がおありのようでありますので、この辺で伺っておきたいと思います。  これから進めていく資金対策上の問題に基本的にかかわりがありますので、まず最初に伺っておきたいと思いますが、ことしは一般会計の伸びが大変大きいわりあいには財投が余り伸びなかったように私は思うのですね。特にその中心的な比重を持っておりまする郵政関係から入っておりまする資金運用部の貯金の積立金、これが期待するほど伸びていなかったように思うのであります。例年はかなり大きな伸びを示しておりましたけれども、どうも五十二年度末までの状態ではよくなかったように思う。この辺の事情はどういうものであるか伺っておきたいと思います。
  213. 服部安司

    国務大臣服部安司君) お答えいたします。  昭和五十三年二月現在について申し上げますと、まず郵便貯金の純増加額は四兆八千八百二十九億円でございまして、前年度同期実績に対して一二〇%となっております。この増加額に元加利子を加えた総増加額は六兆八千八百四十億円で、前年度同期実績に対して一二一%となっておりまして、厳しい経済環境のもとではまずまずの増加を示したものと考えております。  しかしながら、四月から九月の上半期の増加額は二兆七千五百三十九億円で、対前年度同期比の一三六%であるのに対し、下半期は二兆一千二百九十億円で、対前年度同期比で一〇五%となっておりまして、年度後半は、赤桐先生の御指摘のとおりに、やや低調でございます。これは本年度上半期に二度にわたって貯金金利の引き下げが行われたことは御承知のとおりでありまして、この駆け込み預入があったこと、及びその反動で今度は逆に、先ほど来御説明申し上げておりますとおりに、下半期に影響していることのほか、十二月期のボーナスの支給額の伸び悩みもかなり原因のウエートを占めたのではなかろうか、かように考えている次第でございます。
  214. 赤桐操

    赤桐操君 重ねて伺いたいと思うのですが、進学ローン問題についていろいろ郵政省を挙げて努力をいたしておるようでありますが、結果的には何か郵政省自体が下請みたいな形で終わっているようでありますが、これは進学ローン自体、その問題だけのことではなくて、これからの貯金事業、いわゆる奨励事務全体の中でどういう影響を持つものであるかどうか、このことを伺っておきたいと思います。
  215. 服部安司

    国務大臣服部安司君) お答えいたします。  もう率直に申し上げて御指摘のとおりだと、私はこれはもう全面的に御意見を認めたいと思います。  ただ、ここに二つの見方がありまして、一つは郵便貯金業務とは一体何ぞやと、こうなりますると、やはり国家財投の原資を集める機関である、こう割り切った考え方をするならば、こういう制度を考えるところに一つの大きな問題があったのではなかろうかと、私は私なりにそういう理解をいたしております。いま一つの見方は、これはまあ大蔵大臣も横におられるし、たくさんおられるので言いにくいんですが、そう言っちゃおれないのでもう率直に申し上げますると、これが金融体系の中でという今度は立場から見ますると、やっぱり最後まで執拗にがんばった大蔵省もさることながらと、私は結果的にほめてやりたいと思う、よくがんばったと。しかしもう一つ、これは一体金融なのかどうかということをこれまた私なりに考えますると、私はまあ最後まで金融でないと、これは。一年に一度、それは四月にいわゆる親心で学校に上げてやりたい、よくできるから上げてやりたいが家庭経済の事情で一時的な出費に大変だという人に機会均等を与えるための施策であって、今度は大変先ほど御質問のとおりに国家財投原資に協力していただいている方々に年に一度のサービス行為だ、こういう理解を持つ。これまた私が最後まで抵抗したとおりに、大蔵省の考え方に反発したいという非常に複雑な状況下のもとに、これはもう大臣折衝に持ち込んだことは赤桐先生御承知のとおりでありまするが、結果論でありまするが、私はもうこれでよかったという考えを持っています。  それはなぜかと申しますると、その当時、いろんな批判もありました。私もずいぶん酷な批判も受けましたけれども、十二分ではございませんでしたが、かなり国民の側から見ると広範に進学ローンを利用する機会が開かれた。郵政省が考えたいわゆる進学ローンというものに対して大蔵省の立場で金融体系の中から反対意見が出た。議会の中でもいろんな意見がございましたが、一応、国民金融公庫という形ができて、ここから奨学資金の供給を受けて、農協も漁協も信金も、まあ都銀はちょっと利子が高いから庶民大衆にどうかと思いまするが、国民金融公庫も、いわゆる言い出しっぺの郵政省の進学ローンも、これはかなり広範に国民の利用する立場から言うならば、役所のなわ張り立場から言うならばいろいろ異論がありますが、われわれ国会議員は国民のサイドに立って物事を考えねばならないわけでありまするから、私は利用する側には大きなメリットがある、かように考えて、最終的に大臣折衝で解決を見たわけでございます。  これから、この運用に当たって、先般最後のいわゆる郵便貯金法の改正に当たってよう詰めたわけでありまするが、これも金利の問題もかなり話し合って下げまして、また、わが郵政省で取り扱わせていただくいわゆる預金利子もかなり優遇していただける話し合いがつき、五十四万円まで定められた期間に貯金をしていただきますると、今度はその五十四万円をお借りしていただくということについてもかなり話し合いがスムーズにいきました。私は、しかもこの郵便局の窓口で、正直、下請業務の実態でありますが、利用者にとれば安易に手近なところで、しかも詐欺行為、横領行為でなければ希望者全員にお借りしていただくわけでありまするから、非常に効果を上げるものである、かように考えている次第でございます。
  216. 赤桐操

    赤桐操君 そこで、私は大蔵大臣に伺いたいと思うのでありますが、世界のこの種の金を扱う機関で吸収一方の機関というのは余りないと思うのですね。わが国においても大体これはいわゆる奨励業務と称する仕事の中で、郵便局のように吸収するだけで、後は全部大蔵省資金運用部資金に吸収されてしまう。こういう機関というものは余り私はないと思うのですよ。銀行はもちろん金を融資することを前提として取引が行われているし、したがって募集やいわゆる奨励事務全体から見ていっても、それはそれなりのやはり私はきわめて自然な方法で金を吸収していくことができると思うのです。  しかし、郵便局の場合には、そういうものがないわけですから、かなりの私は、一般機関はもちろんのこと、ここに働く従業員の人たちも言うに言われない大変な苦労が裏づけられてくる。そういう状況の中で、利用者との間の中からほうはいとしてわき起こったたまたまこの教育の問題に関する進学ローン、これでひとつ貯金事業なら貯金事業、郵便局なら郵便局そのものをよりひとつ利用者との間に身近なものにしていきたい、こういうように私は願うのが事業で働く人の当然の考えだと思うのですね。しかし、残念ながら、今回の問題についてば、結果的にはまあ一応扱うことになりましたけれども、ここに働く人たちの生きがいというもの、そういうまた発想等は残念ながら認められなかったと思うのですね。ここがやっぱり私は大蔵省資金運用部資金、財投という形で動いていく、この金の動かし方の基本姿勢といいますか、こうしたものが実はこの中に問われているんじゃないだいうか、こう思うのです。  資金運用部資金というのは、従来のままの私は大蔵省の考え方で通ってきていると思うのです。これはやはり私はこういつた新しい進学ローンみたいなものができてくる、こういうものを契機として庶民大衆の金が庶民大衆に非常に円満な形で還元をされ、使われていく、はだに感ずる身近なところで動いていく。こういう形がつくり上げられていくべき段階に来ているんではないだろうか、こういうふうに実は私は考えるのですが、大臣のお考えはいかがでございますか。
  217. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 郵便貯金のわが国における歴史は古く、非常に沿革のあるものでございます。そして現在、財政投融資において基幹的な役割りをなしておりまして、しかもその資金の使い方は、ほとんどいまで申しますと大体住宅関係、中小企業関係、その他民間の金融機関では手が及ばないところへ全部使われているのでございまして、郵便貯金は実にその大宗をなすものでございます。その意味で、私は、郵便貯金のいま果たしている役割りを大きく評価するものでございます。  ただ、御承知のように、また郵便貯金の利子が非課税であるというのは、世界各国でも私はわが日本だけであることもよく御承知いただきたいと思うのでございます。そういう意味におきまして、その金融機間というのは、いま過去の経過もございますけれども、やはり大衆預金を確実に預かって、それを運用するというところにございまして、したがって原則としては与信業務を行わないたてまえになっているわけでございます。  で、今度、先ほど郵政大臣がおっしゃいましたように、進学ローンを機といたしまして、まあ実は私言いますと、いいところでおさまったと思うんでございますが、今度郵貯の関係は、赤桐さんのようにわかっている人は、あれは下請というようなことをおっしゃいますけれども、審査事務だけをやるわけでございまして、借りる方から言えば郵便局限りで手軽に借りられ、また積み立てる方も郵便局限り、それから申し込みも借りるのもすべて郵便局限りでございますから、だから一般の方にとっては郵便局は全部決定しておる。要するに審査義務というものは、これはもち屋はもち屋でございますから、それぞれ審査義務を持っているのが裏の方でやっておる、できるだけ早く迅速にやるということでございますので、しかし、それに伴いまして公庫自体の融資の方も五十万円つくわけになったわけでございます。また、それに刺激されて民間の金融機関も進学ローンを始めるわけでございますから、服部さんの方で進学ローンということを持ち出したことは、結果におきまして大いにこの種の金融の疎通を図る結果になって、まあちょうどいいところにおさまったんじゃなかろうかと、私はそのように思っております。
  218. 赤桐操

    赤桐操君 この問題は、また後でひとついろいろと大蔵大臣と討論いたしたいと思いますので、先へ譲りたいと思います。  それでは、ひとつもとに戻しまして、住宅問題にまた再び返りたいと思います。  いま、公団の総裁、さらにはまた建設省側からのお話のようなわけで、大変空き家住宅なり、あるいはまた建設しても売れないという住宅がたくさん出てきておるということが明らかになっております。政府は、今回、第三次の五カ年計画で八百六十万戸を建設する、ことしは百六十五万戸をそのうち遂げたい、こういうことでいろいろ政策的に取り組んでおられるわけでありますが、わが国の住宅実態というものは、先般も政府自体が明らかにしておりますが、戸数の面では大体もう充足してきている、あとは量から質に転換をする時代に入ってきているんだということを大変いろいろな面で高らかに実はうたい上げてきていると思います。  そうした状況であるにもかかわらず、一番、私は、この質の低下をもたらしつつあるミニ開発、これが実は多くの庶民大衆の皆さん方から非常に身近なものとして飛ぶように売れている。そうして、一方こうした低水準のものではなくて、公団の住宅にしても今日相当の高水準のものにきている。一戸建ての団地におけるものについては、大きい団地になればなるほどりっぱなものになってきている。そうしたかなり高水準のものになってきておるにもかかわらず、それが全部国民の方からはそっぽを向かれる、国民はこうした政策から離れてきている、いまの低水準の、ミニ開発の方に志向してきている、この現象ですね、これはやはり私は大変重大な問題だと思うのでありますが、このことについて、第二次五カ年計画をお進めになり、いま第三次五カ年計画に入り、そして特にことしは一般公共投資と並んで、過日の総理の御答弁にもありましたとおり、住宅問題に最重要課題の一つとして取り組むんだと、こういう実は姿勢が示されておるわけでありますが、そうした政策を遂行しようとしている政府自体の立場から、この現象をどのように受けとめておられるか、どういうように御説明をなされるか、この点、ひとつ建設大臣にお願いいたしたいと思うのです。
  219. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) ミニ開発に対しての関心が強いというのは、土地つきの一戸建ての建物である、その点にあると私は思います。で、このミニ開発のそれでは欠陥はどうかと、こう言えば、十分な公共施設もなく、防災上からいっても問題があるという状況ではないかと思うのであります。したがって、このミニ開発につきまして、そういうおそれのないように計画的な開発の方に誘導していく必要があるんではないか。また、ミニ開発の起こりますゆえんのものは、都市計画法によって千平米以上のものが許可制になっておる、その以下のものは許可の必要がないというようなことから、許可制のものについてはその際公共公益施設についての条件なんかが出ますが、以下のものはそういう点が避けていかれるというようなことで、都市開発上あるいは防災上どうかと思われるような状況になってきておりまするから、したがってこの許可基準の千平米というのをもう少し下げることをも考える必要があるんではないか、それよりも、いまのような欠点のあることのないように、計画的な開発のできるように指導すべきではないかと、このように見ておる次第でございます。
  220. 赤桐操

    赤桐操君 それでは、ひとつ私は角度を変えてお尋ねしたいと思いますが、いま平均労働者の収入実態から見て受け入れ可能な住居費というのはどのくらいにお考えでございましょうか、大臣
  221. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) 住居費と申しますか、たとえば持ち家を持ちます場合の償還金というような立場で申しますと、私どもは、大体二五%程度が適当ではないかというように考えております。そういったことから、平均的な勤労者の平均所得、これは推計でございますが、五十三年度あたりは大体三百五十万ぐらいになるんじゃないかと思っていますが、それで負担率二五%にいたしまして、公庫融資等も活用して民間ローンも借りるというような形で試算いたしますと、大体千五百万ぐらいになるんではないかというように考えております。
  222. 赤桐操

    赤桐操君 率直に申し上げて、私は、一般の平均労働者の無理のない現在の支払い可能な限界というものはせいぜい月々の支払い費用四万から五万、さらに自己調達で賄い得る範囲というものは私どもの経験からいたしましてもせいぜい二百万から三百万、これが頭金の限界であろうと私は思うのですね。  こういう状態を超えて、実は、いま一戸建て住宅や、あるいはまた月々払い込みの金額から見てもかなり高額な公団住宅、こういうものが今日存在するようになっているから、実際問題としては、そこに手が届かないというのが実態ではないかと思うのです。公団住宅も大体七万から八万、さらにまた千五百万の二月建て住宅といたしましても、月の支払いが七万五、六千円から八万近くなる、ボーナスでもう十七、八万円くらいは払わなきゃならぬ、こういうことになってまいりますると、これはやはりなかなか大変なものになる。千五百万円ということになりますと、いろんなものを集めましても、一千万円くらいは何とか金ができても、頭金五百万ということは実際問題として私はこれはかなり無理があるんではないか。したがって、こうした公団の場合においても一戸建て住宅の場合においても、いずれもこれは労働者にしてみれば高ねの花だ、こういうことが私は一言にして言えるんではないか。  しかし、狭隘であり、かなり過密である、そういう状況の中で、どうしてもそれだけの金をどうせ払うんだったならば、いっそのこと一千万円ぐらいのミニ開発でもいいから入ろうと、これがせめても私は庶民の逃げ込んでいく一つの路線、方向ではないんだろうか。こういう中でいわゆる、ミニ開発というものが非常に大きくいま伸びてきている、こういうように私は理解するんですが、建設大臣、いかがでございますか。
  223. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) ただいまのお話のような傾向もあるかと思いまするが、先ほど住宅局長がお答え申し上げましたように、千三、四百万あるいは千五百万程度の住宅につきましては、現在の住宅金融公庫の五分五厘の融資で五百万が建物、土地三百五十万――八百五十万と、それに頭金とさらに民間のローンを入れてまいりますると、年間所得三百万前後の方が二五%の負担の割合でいけるのでありまするから、だから必ずしもミニ開発へ飛びついていくということではないと。その証拠には、住宅金融公庫の本年度の貸し出しの募集の状況を見ても、古い条件で募集をいたしましても、一週間でもう締め切るような状況にある。今回の予算措置後におきましては、われわれとして四十万戸の計画ではおりまするが、これらの募集を何回かに分けていたす考えでございまするが、恐らく応募者は相当数であって短時日に締め切るような状況になるんではないか、こういうふうに見ておりまするから、必ずしもいまの政府のとっておる住宅政策がミニ開発を慫慂しているんだと、そういうことは言い切れないんではないかと思うのであります。
  224. 赤桐操

    赤桐操君 ただ、そういう大臣の御説明では残念ながらこの問題の解決にはならないように私は思うのです。現実に残ってきておるんですから、この問題の解決ではないと思うのですね。  それから、さらに建設省は二千二百万円のモデルを一つつくっておりますが、大体、私はいま市街化区域等でつくっていけばそのくらいのものになると思いますけれども、これは率直に申し上げて、こういう形で進んでいけば住宅というのは高値安定という方向に落ちつかざるを得ない、そして住宅問題の中にいわゆる社会的不公正がどんどん増大していくように実は思うのでありますけれども、この問題について私は大臣の所見をひとつ伺っておきたいと思うのです。  いままで日本の国におきましては、この種の住宅問題というのは個人的な努力ですべて解決するべきものだと、こういう実は基本的な一つの流れがございまして、その中でやってきたと思うのでありますけれども、いまの段階では私はもうそういう状況ではないように思う。住宅そのものを産業として見るのか、あるいは福祉としての政策面からとらえるのか、こういうことで実は問われてきているのが現状ではないだろうか、こう思うのですが、いかがですか。
  225. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) いま政府のとっておる住宅政策は、低所得者層に対しては公営住宅、それでこれには二分の一ないし三分の二の助成をしておる。それから中堅所得者に対しては公団住宅、現在大体六百億を超える助成をしておると思うんですね。そしてそのわれわれの一応現段階の目標としては、昭和六十年には中堅所得者には三LDKの家を、また低所得者についても三DKを確保するようにということでまいってきておるわけでございまするから、しかも現在の公営、公団住宅の状況というものは、先ほどから御質問で明らかなように、相当空き家がある、未利用がある。これは何を意味するかということになれば、よく言われる高い、遠い、狭いに該当して社会、経済の情勢にそぐわなくなってきておる。そういうようなことで、今回、大変皆さんの御批判を受けておるが、公営・公団の方はこの戸数を減らす、しかし、公団などにつきましては現在その空き家になっておるもの、未利用になっておるものをニーズに合うようなものに変えていくというような措置もとりつつあるわけでございます。それで、持ち家志向というものが非常に強いということが先ほど住宅金融公庫の例で申し上げたようなわけでございまするから、ただいまの御批判というものは私としてはちょっと受けとめがたいと思います。
  226. 赤桐操

    赤桐操君 それでは、先へ進めたいと思います。  ここで昭和二十五年以降、個人住宅、分譲住宅別に住宅金融公庫が扱われた実績についておわかりでしたら、お示し願いたいと思います。
  227. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) いま手元に資料があるはずでございますが、ちょっとお時間をおかしいただきたいと思います。
  228. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) じゃ後で答弁願います。
  229. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) はい。
  230. 赤桐操

    赤桐操君 私の手元にある資料で申し上げておきたいと思いますが、二十五年から五十二年までの間に扱ったところの個人住宅の総戸数は二百六十一万七千三百三十九戸となっていますね。それから分譲が五十六万四千五百八十五戸ということになっております。で、ことし、さらに個人住宅が四十万戸、分譲住宅が四万七千戸、その他合計五十五万戸、これが加わることになるわけでありますが、この比率を見ていただくとわかりますが、結局は個人住宅が主なんですね。いわゆる団地としてつくり上げていって、そこへ金融公庫の融資つき住宅を建てて供給をしていく、こういう割合は全体から見て非常に比率が低いわけでございます。圧倒的に個人住宅への貸し付けになっております。この個人住宅への年々増大していくこの状態、特に、これは平均で大体言っておるわけでありますが、最近におけるところの状態を見ると、もっとこの割合が低下してきているように思うのであります。個人住宅の方が増大をしているわけでありますが、これは一体どういうようなふうに理解をすべきなのか、伺いたいと思います。
  231. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) ちょっと細かい御説明になろうかと思いますが、個人住宅と分譲住宅とございます。しかし、個人住宅の中には必ずしも――個人の方々が自分で家を土地の上にお建てになるというもののほかに、計画建て売り、あるいは一般建て売りというような、あるいはマンション購入といったような、計画的な建て売りをお買いになるものも含まれております。で、一般的な傾向といたしましては、最近、当然これから家を持ちたいという方は土地と一緒にお求めになるというような方が非常にふえておりまして、全般的な傾向といたしましては、着工統計等でもはっきり出ておりますが、自分で家をお建てになる方の着工はほとんど伸び悩んでおりまして、非常に分譲住宅というものが伸びてきております。したがいまして、いまの御指摘の個人住宅の中でございましても、最近では計画建て売りとかあるいは一般建て売りというような、あるいはマンション購入といったようなもので計画的に分譲住宅をお買いになるという方の比率がだんだん最近ふえてきておりますし、今後ともそういったものに対して力を入れていくべきではないかというようにわれわれは考えております。
  232. 赤桐操

    赤桐操君 いまいろいろと千平方メートル以下のいわゆる団地の開発といいますか、こうしたものに対するいわゆるミニ開発の原因となっておりまするものを検討してみると、これはやはりいろいろの手法があるようでありまして、何人かの人たちを選定して、中小企業の業者の方々がこれを実際には開発するわけでありますが、事実、そこには個人の土地として転換をし個人のものになっている場合には、当然これは金融公庫の対象になるわけでありますから、その場合においては、当然基準法にかなうものであれば建設ができるわけであります。私は、そこに大体ミニ開発の大きな抜け穴があるのだろうと、こう思うのです。言うなればそういう方向へこれが進められていくということになると重大な問題になるだろう。現実にその形が、先ほど計画局長の御説明にもありましたが、かなり顕著になってきていると、こういうように実は考えるわけであります。要するに、その辺のところに、住宅建設の戸数は確かに金融公庫を通じて実績を上げたようにはなっているけれども、そうした問題点が逆に広がってきているということについてはこれはどうなのかと、こういうことです。
  233. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) 先生御指摘のように、住宅金融公庫の融資の中でも、先ほど私が御説明申し上げましたいわゆる建て売り、――マンション購入はこれは別でございますが、一般建て売り、計画建て売り、分譲住宅、こういったものはいわゆる住宅金融公庫の建設基準といったものでそういったミニ開発的なものは排除するように建設基準を定めております。ただ、先生御指摘のように、個人の形のままみたいな形でミニ開発に個人としてお申し込みになるというような抜け道は、これはよく調べてみますと確かにあるようでございます。しかし、これはまあどこまで実務的に、そういう本当の個人の方でお建てになるというのとミニ開発の抜け穴みたいなもので、実務的にこれが区別できるかどうかということは、これはかなりむずかしい問題ではないかと思いますが、先生御指摘のように、これは前向きに対処いたしたいというように考えております。
  234. 赤桐操

    赤桐操君 金融公庫の運営につきましても、これは金融公庫自体の問題だけじゃないんでありますが、やっぱり政策的な広い意味考えるときには、あるところに対しては非常に規制のやかましい中で団地の開発が行われていく、一方においてはいま言ったような形で抜け穴が存在をしている、こういう状況の中でこのアンバランスがだんだん広がってくるということについては、これは私は政策上の大きな問題だろうと思うわけであります。このことをこれからの問題点として大きく対処をされるように、大臣のひとつお考えをただしておきたいと思います。
  235. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) ただいまの御指摘のような傾向につきましては、私もできるだけそれは避けていかなければならないものだと思います。
  236. 赤桐操

    赤桐操君 それでは、公共住宅問題に入っていきたいと思います。  公共住宅の中で、何といっても政府の政策の最大の実施部隊としては住宅公団でございます。先般総裁においでをいただきまして若干伺いましたが、時間の関係でお伺いできませんでしたので、公団のおやりになっておられます代表的なもの一、二について御説明を願いたいと思います。まず千葉県における八千代市の村上団地についての概要はこの前伺いましたが、標準的なものについての家賃の構成、それからまた用地費等の内訳、こうしたものについて御説明をいただきたいと思います。
  237. 澤田悌

    参考人澤田悌君) 村上団地は、過般戸数等について若干触れましたけれども、御承知のように、全体で四千七百戸の団地でございます。家賃の構成、代表的な規模の三DKの住宅でその家賃の内訳を申し上げますと、大体これは四万四千九百円から四万六千八百円にわたっておる、同じ三DKでもいろいろございますが。そのうち七十年償却という平均でその構成内容を見てみますと、償却費が約五〇%、それから地代相当額が一四・五%ぐらいになります。修繕費がまた同じぐらい一四・九%。さらに管理事務費、損害保険料、公租公課等が二〇%程度になりましょう。そのような内訳になっておるわけでございますが、それに問題は関連公共施設に対する費用でございます。これは戸当たりどのぐらいになっておるかと申しますと、村上団地の場合は幸い公団全体の平均に比べますと若干低いのでありますけれども、それでも二月当たり百十七万円見当の負担になるわけでございまして、その中で大きいのはやはり道路、上水道、公園、下水道というようなものでございます。  なおお尋ねがあれば関連したことを申し上げたいと思いますが、一応以上を申し上げておきます。
  238. 赤桐操

    赤桐操君 それで、ここでは空き家はなおどのくらいありますか。
  239. 澤田悌

    参考人澤田悌君) 先ほど申し上げましたように、全体戸数四千七百二十三戸でございますが、現在までに管理開始いたしました戸数が二千七百七十二戸でございます。それで、その二千七百七十二戸のうちこの一月末現在で二千三十三戸ほど入居済みでございまして、募集しましたが空き家になっておりますのが七百三十九戸あるわけでございます。それで、その四千七百二十三戸から二千七百七十二戸管理開始戸数を引きました千九百五十二戸というのは、まだ募集をいたさない保守管理中のものでございます。その中で大体分譲住宅はあと三百五十戸ほど残っておりますが、これはもう間もなく片づく、少なくとも年内には済むであろうと考えますが、問題は賃貸の方でございまして、募集したがまだ残っておるという七百三十戸ほどの中で三百六十戸ほどは二DKを中心とする賃貸でございます。これがなかなかさばけない。それから保守管理の千九百五十一戸の中でも二DKが非常に大きい部分を占めておる。これが今後問題として残っておる。この打開に私どももいまいろいろと苦心をいたしておるところでございます。
  240. 赤桐操

    赤桐操君 この空き家の原因はいろいろあるかもしれませんが、大変八千代の村上団地というのは東京への通勤も便利であるように思うのであります。いろんな条件もいいところだと思うのですが、何が原因で端的に申し上げるならこれだけ空き家ができているのか、思い切ってどういう処置をとればこの空き家は解消すると思いますか。
  241. 澤田悌

    参考人澤田悌君) 各地に未入居問題を抱えておりまして、それぞれの原因について私どもも真剣に検討いたしておるのでありますが、この村上団地につきましては、ただいまも申し上げましたように、そう特別に遠いというのでもない、価格も特別高いというのでもない。と同時に、ただいま申し上げましたように、その三DKなり三LDKというようなのはわりあいさばけているのでありまして、残っておりまする主力はやはり二DKでございます。どうもいろいろ考えますと、この村上団地がまだ空き家が残っておるということの中心の原因は狭いというところにあったんではなかろうか。極端に狭い場合、一DKというのもございますが、これはまたそれで需要があって、さばけているのであります。二DK中心に、ただいまの保守管理の中心も二DKでありまして、これが今度募集を開始するときには相当頭の痛い問題なんです。ですから、この二DK中心の問題をどうするか。たとえば二戸を一戸に合わせるとか、賃貸を分譲に変えてみるとか、いろんなことが考えられますが、それに要する費用と、それから時間をかけてさばけるのを待つのと、いろいろな要素をかみ合わせ勘案いたしまして結論を出したいと思って現在苦心をいたしておるところで、これがもう率直なところでございます。
  242. 赤桐操

    赤桐操君 この村上団地だけてなくて、空き家が三万九千もあるわけでありますが、その空き家の大半は私はかなり値段が高いということなんだと思うのですね、実際問題としては。これは総裁、余りはっきりおっしゃらないけれども、高遠狭の中で一番問題になるのは。やっぱりふところとの関係ですよ。安ければ大体は入りますよ。そういう面から見ていって、七万五千というこの村上団地の三DKのやつを見ましても、これは入るのには相当の所得を必要とする。二DKについてもかなり値段が高い。三DKの方はかなり家族を持っている高額所得者が入れるかもしれませんが、二DKの方は、残念ながらそれだけの家賃を払うのにはもうちょっと家族構成を見なければできないようなそういうレベルじゃないかと思うのですね。だから私は、そういう意味でこの家賃の問題ということが最終的には帰着してくる大きな問題だ。だからプール制の問題なんかを考えていろいろと公団も先般来苦労されたと思うのでありますが、要するに、私はこの家賃の引き下げに本格的に取り組まない限り本当の意味における大衆的な住宅はでき上がっていかない、こう思うのですが、総裁はいかがお考えになりますか。
  243. 澤田悌

    参考人澤田悌君) 先ほどは現状の数の比較から、どうも中心は狭いところにありはしないかと申し上げましたけれども、高いという問題がないというわけではございません。これで仮に家賃がある程度低かったらその狭いのもがまんしてさばけるということでありまして、よく世間で言われますいわゆる高遠狭という三拍子をそろえないように、二つぐらいはいい方にそろえるということがあればかなりさばけると思いますので、家賃をこの際どうするか、いろいろなほかの原因とあわせて、家賃を引き下げて提供する、こういう努力を私どももいたしておるわけでございまして、関連公共施設の費用について先ほど申し上げましたが、そういうものに対する御配慮をいろいろと政府にお願いしておるような次第でございます。
  244. 赤桐操

    赤桐操君 そこで大蔵大臣に伺いたいと思うのでありますが、結局私は、これからの公団問題の解決だけではなくて住宅問題の基本をなすものは、やはり関連公共の問題と金利の問題だと思うのですね。それで、パーセンテージから見ましても金利は実に半分に至っておりますし、それから関連公共に至っては六〇%に及んでおる。大きくなれば大きくなるほど団地の中では関連公共公益施設というのは高くなってきている、こういう形が出てきておる。したがって、私はこれを解決する方法というものはまず金利の問題を取り上げて考えてみたいと思いますが、先般の大蔵大臣の御答弁では、五%の公団に対する貸し付けは安いと、こう言われたと思うのでありますが、私は大体ヨーロッパにおける先進諸国との関係を見ますると高いと思うのです。また公定歩合等の問題、これをいま対比するわけじゃありません、長いものでありますからそれはわかりますが、いずれにいたしましても五%でもって将来長くこれを償還していく、それが基礎になっていくということはちょっと高過ぎると思うのですね。やはり公定歩合程度のものに思い切って引き下げることはできないのか、こうなれば私は家賃の面に大きくはね返ってくると思うのですが、いかがですか。
  245. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 金利はいま四・五%とそれから五%の二種類でございます。財投の方の受け入れ原資は、御承知のように六・五%でございます。すなわち二%ないし一・五%抑えているわけでございます。住宅金融公庫の貸し付け金利が五・五%でございます。それから一般の民間住宅で借りておられる方は七・九二ぐらいじゃないかと思うのでございます。そういたしますと、全部が公団公庫に入るというわけではございませんので、そこにはおのずから限度があるわけでございます。そういうバランス感から言いますと、私たちはかなり勉強しているのではないだろうか、大体住宅公庫で言いますと、平均でございますけれども年に金利関係だけでわれわれは二十一万ぐらい補助しているという関係になりますので、住宅取得控除、いろいろなことを民間の方でやっておりますけれども、それらのバランスを考えると問題はほかにあるような気がしてならぬのでございます。金利はいまのところそういうわけでございますので、まあこの辺じゃなかろうかなという率直な感じがしております。
  246. 赤桐操

    赤桐操君 私は昨年の秋に西欧の各国を回りまして、各国のそれぞれ政府関係筋ともお話をしてまいりました。西ドイツにおけるところの建設次官、さらにまたノイエハイマート等の理事長、副理事長、あるいはまたH・L・M等のフランスにおける政府関係者等ともお会いいたしましたが、やはり金利の面は相当見ておりますね。それで金利で補助するという方式もあるようでありますが、一般会計財源から相当思い切った融資もしていると、こういう形でもって、それも連邦政府と州政府が挙げてやっているという状況です。私は、やはりこの基本姿勢がいまこそとられなければならぬ時期に来ているのじゃないか、こういうふうに考えますので、五%問題についてはひとつ再検討を願いたい、見直しをひとつお願いいたしたい、こう考えるわけです。  それから、もう一つ大きな問題は関連公共施設費でありますが、これはこの予算委員会で、国会が始まりましてから非常に大きな問題としてそれぞれの議員の方々からお話があった問題だと思うのです。問題はどうこれに具体的な措置をするかということになると思うのですね。私は少なくとも何かの形にこれを置きかえてやらない限りは解決する道がないだろうと思うのです。  いま私が申し上げているのは公団だけではなくて、民間の金融公庫融資つき住宅、団地の造成に伴う問題等を含めての話でありますが、この公団の割合というものは、民間における二月建て住宅の場合も団地の場合も大体同じであります。大体五〇%、有効宅地面積は四七、八%ぐらいが現状だろうと思います。だからほとんどそれで金を食ってしまう。したがって、これを何らかの形で置きかえる以外ない。それをどうするか、ここに私は新しい公共投資の対象が出てきていると思うのです。なるほど本四架橋も一つの大きな問題でしょう。あるいは新幹線、こうしたものもそれぞれの時代において役割りを果たしてきたと思うのです。  しかし、たとえば千葉県におけるところの例で申し上げれば、千葉の八十キロの沿岸に四千五百万坪の埋め立てが行われて、これがほとんど終了している。ここに約一千社を超える企業が進出した。ここの企業がこれだけの工場を建設するには、企業に金を貸しただけでできたとは思わないんです。やはり産業基盤を政府みずからがつくり上げたからこれはできたと思うのです。同じだと思うのです。しかも、ここに働く労働者には、残念ながら、いわゆる住宅を建設するに必要な基盤づくりは受益者負担で全部かぶせられることになる。これはやはり非常に矛盾していると思うのです。同じように、やはり私はこうしたものに対しても本格的に考えなきゃならない時期が来ていると思うわけです。個人の努力で住宅問題が解決する時代ならいざ知らず、もうこれからはそうはいかない。こうなってくると、ここに本格的に私は物の発想の転換を求められてきているんじゃないか。それは公共投資の対象として、この住宅建設なり生活基盤のいわゆる基本的な投資を考えていくと、こういう形にひとつ考えたらどうかと思うのですが、大蔵大臣いかがですか。
  247. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) いま赤桐委員がおっしゃった点がいま一番大きな問題だと思うわけでございます。  考えてみますと、三十八年から三十九年ころ、これは各地が企業誘致をしておった時代でございます。そしてその固定資産税をまけるとか言ってさんざんやったわけでございます。それが少し過ぎまして、しかし企業が行きましても、初めは固定資産税が入るとか、やがてはそれが住民税とか所得税、法人税が入るとかということでございますけれども、急にふえてまいりますと公共負担の方がよけいになるものでございますし、かたがたまた、前から住んでいる人たちにしてみれば環境が悪くなるというようなことで、このごろは、いわゆる人口急増地域においては、そういった関連公共公益施設のふえるものについてば非常に困っているわけでございまして、その意味で、デベロッパーあるいは公団、公庫等に対しましていろんな土地負担を求めてくる。それが五〇%であるとか四〇%とか言われているわけでございます。この問題に対しましては、おっしゃるように、できるだけ対処してまいらなければならぬことは当然でございます。  私は、基本的には公共事業の中で、やはりそういう関連公共施設のようなものを優先採択していただく、これが私は本来、公共事業の中の個所づけはありますけれども、その中で、それぞれの所管省で、あるいは公共事業主の中でそれを選ぶのが一番いいのでございますけれども、なかなかそういうわけにいかないものでございますから、補完的の意味で、たとえば義務教育の施設につきましても、消防署につきましても、あるいは高等学校につきましても、高率の補助をやって、できるだけそういうことはやめてもらうとか、あるいは地方財政におきまして基準財政需要をふやすとか、あるいは起債において全額政府資金をつけるか、いろいろな苦労をいたしていることはもう御承知のとおりでございます。  また、公団あるいは公営・公社につきましては、立てかえ施行をやりまして、月賦でもって地方自治団体が返せる道も開いているわけでございます。ことしは、そのほかに三百億というものを特にそういうものだけのためにつけているというようなわけでございます。今後われわれが公共事業をつけます際に、そういう関連施設の方を優先的に採択してもらうように、どうしても行政指導が必要ではないであろうか。そういういろいろな補足的なものはありますけれども、公共事業本体の中でそういうものに優先採択していく、関連施設の方をやっていくというのがどうも本筋じゃなかろうか、そのような感じがいたしているわけでございまして、今後関係当局と密接な連絡をとって、おっしゃるような方向で進んでまいりたいと思っているわけでございます。
  248. 赤桐操

    赤桐操君 これは大変重大な問題でございまして、私もきょうは本格的に大蔵大臣に求めたいと思って来ておるわけでありますが、これは民間の各業界からも私どもの方へは参っております。それから供給公社等の公的機関からもこのことは訴えられております。それで、公的、民間を問わずこれはいまの最大の問題になっているんですよ。したがって、本格的にこれをお取り組みいただくという形にここでひとつ意思表示をしていただくわけにはいかないですか。これをやらなければこれからの住宅問題の解決はできないと思うのですよ。
  249. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) おっしゃる方向で関係各省と連絡をとりまして、できるだけその方向に、優先採択の方向で研究してみたいと思います。
  250. 赤桐操

    赤桐操君 大分応援をいただいているそうでありますが、ひとつ大臣、これは本格的に取り組んでいただきたいと思います。それで、公的、民間を問わないこれは共通の問題でして、このことをひとつ重ねて私はお願いをいたしておきたいと思います。それから、金利の問題でもう一つ伺いたいと思うのですが、金融公庫の融資つき住宅にいたしましても、また公団の方の融資にいたしましても、五%ないし五・五%、大変適当な数字だと、こういうお考えのようでありますが、資金運用部資金の中を見ますと、政策金融として二・五%ないし三・五%というのが出ているのですよ。私は、少なくともいま住宅問題に関する融資というものが政策的な金融であるとお考えになるならば、政策金融としてこれを思い切った腹を決めるべきだと思うのです。ここまで割り切れば三・五%、公定歩合まで引き下げることは私は可能だと思うのですが、いかがですか。
  251. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 四・五ないし五%というのはまさしく政策金利でございます。ただ、私が申し上げていることは、住宅公庫の五・五もこれも政策金利でございます。それから民間の方にも非常に無理をさしまして、そして七・九二ぐらいのところをまた出さしているわけでございまして、銀行としては非常に手数のかかるところ、これもまた私は、銀行としては、いまのあれから申せば勉強しているものであろうと思うのでございます。特にまだ自分の家がつくれないで民間の賃貸で家賃を払っておる、そういった人たちを考えますと、やはりおのずからそこに限度があるのではなかろうかと、こう申し上げているのでございます、住宅政策全体を通じまして。そうして西ドイツの例も私は詳しくは知りませんが、大変なあの高度成長期に、国、州を挙げて住宅政策をやったことはよく承知しております。そうしてまた、西独自身が日本よりは金利がはるかに低いことも御承知のとおりでございます。だから、まあ振り返ってみますと、ドイツの一番やりましたのは、高度成長時代にあれを使ったのでございます。われわれはそういうことの反省の上に立ちまして、遅まきながらできる限りの政策金融を実施しているわけでございます。今後公定歩合が下がりますと、やがていろんな金利に影響を及ぼしてくると思います。そういった意味で、今後とも、いまの四・五、五・五というのを、どういうふうになりますか、これは結局、財投の原資が幾らになるかというところとの兼ね合いで決まってくるわけでございますが、その辺、いまおっしゃった点も含めまして、十分な努力をしてみたいと、かように考えているわけでございます。
  252. 赤桐操

    赤桐操君 大体、さっきの建設省側の答弁では一千五百万円を例として住宅の一つの例が出ておりましたけれども、一千五百万円で買える住宅というのは首都圏の近郊ではもうないですよ。これからは少なくともそんなものではないはずです。だから二千二百万円という数字をモデルにしたんだろうと思うのです。これは残念ながら市民の手には届かないのです。これが届く住宅にするのには、私が指摘した二点を解決する以外に手がないんですが、大臣いかがですか、もう一遍重ねてひとつ私はお尋ねしたい。
  253. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 繰り返しになりますけれども、現在、公団の一戸当たりの年間の金利による援助額というのは二十一万円に及んでいるわけでございます。その点はひとつよく頭の中に置いていただきたいと思うのでございます。それで、そういったことがございますので、全体のバランスを考えながら、金利水準の低下が今後期待されますので、その範囲で御趣旨に沿ってできるだけの努力をしてみたいと、これがいまの私の考えでございます。
  254. 赤桐操

    赤桐操君 この住宅が福祉政策としてのメインになるのか、あるいはまた産業政策の中の従来のような考え方でいくのか、この基本的な姿勢の私は転換点だと思うのです。そういう意味で、従来の高度成長時代ならいざ知らず、この低成長時代に転換した段階においては、これは残念ながら私はもう庶民の手に届くものにはならないと思う。これを解決するためにひとついまの二点を解決すると、こういうことで取り組んでいただきたいと思います。
  255. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 答弁は要りませんか。
  256. 赤桐操

    赤桐操君 いいです。  それでは、時間がなくなりましたので次に移りたいと思いますが、総理は、公的住宅の建設についてどうかという私の質問に対しましては、土地が余りないということを言われたのですが、ここで伺いたいと思うのは、宅地開発公団というのができておりますね。これは一体いまどういう役割りを果たしていただいておるのか、その状況をひとつ御説明いただきたいと思うのです。
  257. 大富宏

    政府委員(大富宏君) お答えいたします。  御承知のように、宅地開発公団は五十年の九月に設立されたわけでございますけれども、翌年の四月に、日本住宅公団から引き継ぎました竜ケ崎ニュータウン事業、面積が六百七十ヘクタールでございますが、計画人口で七万五千のプロジェクトでございます。これにつきまして、五十二年の九月に区画整理事業につきまして大臣の許可を得まして、現在すでに事業実施に入っておるわけでございます。昭和五十六年度にはこの造成宅地の分譲を開始いたしますように目下鋭意事業の進捗を図っているところでございます。  さらに、千葉県が昭和四十四年から、都市計画法に基づきますところの新住宅市街地開発を大臣の認可を受けましてやっておる千葉ニュータウン事業、これは面積が約三千ヘクタールぐらいでございまして、計画人口が三十四万人という、多摩ニュータウン級の大プロジェクトでございますが、これにつきまして、事業の一層の促進を図るために、同時にこれを共同で開発しようという話し合いが千葉県と持たれておりまして、去る三月一日をもちまして共同施行者として宅地開発公団が参画することになりました。さらにあわせまして、現在、千葉県営鉄道、県が鉄道経営をすることになっておりましたけれども、この北千葉線の一部につきましても千葉県から宅地開発公団が譲渡を受けまして事業を行うことにし、基本的な協定が千葉県と宅地開発公団の間で締結されまして、現在必要な手続を進めている段階でございます。このようにいたしまして、竜ケ崎及び北千葉ニュータウンはすでに事業入っておるわけでございまして、五十三年度におきましては、施行面積三千三百ヘクタールというものを目途にいたしまして、事業費五百二十一億円で事業を進めている段階でございます。  さらに、そのほかにも関西あるいは関東方面におきまして、次々に現在調査をいたしましてプロジェクトを具体化するように努力している次第でございます。
  258. 赤桐操

    赤桐操君 そのほかにはどこをやっておりますか。
  259. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 現在具体的に事業に着手いたしておりますのはその二カ所でございまして、そのほか近々プロジェクトとして実現する個所を、先ほど申し上げましたように関西地区、関東地区においていま鋭意調査中でございます。
  260. 赤桐操

    赤桐操君 そうすると、当分その二つ以外には仕事がないと、こういうことになるわけですね。これはいつできたのでしたかな、ちょっと伺いたいと思います。
  261. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 五十年九月の設立でございます。
  262. 赤桐操

    赤桐操君 大分時間が経過しておるわけでありますが、これからの見通しを聞きましても、そういう状況であれば、一番宅地の問題が出てきて、いま大きな政府の政策としても住宅問題に取り組む時期が来ておるにもかかわらず、どうも当初の立法措置がとられてスタートを切った目的とは違うような形で動いているように思うのでありますが、この点いかがですか。
  263. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 計画的な宅地開発、良好な市街地の形成を図りつつ宅地供給を図ろうという趣旨で設立されたものでございますが、御案内のとおり、宅地開発というのは大変用地買収、造成から完成までの懐妊期間の長い事業でございますので、私どもこの設立する段階におきましては、昭和六十年段階に宅地開発公団は少なくとも三万ヘクタール程度のものを着手したいという計画で進んでいるわけでございまして、お示しいたしましたように、現実にいま事業に着手しているのは二ヵ所ではございますけれども、現在次々に次の開発場所を物色調査いたしている段階でございます。
  264. 赤桐操

    赤桐操君 この宅開公団というのは期待するようなものでなかったと私は思うのです。一坪十万円の土地を皆さんに提供します、こういうキャッチフレーズでスタートを切ったあの当時のことを私たちも思い起こすのでありますが、どうもいささか期待外れのものであった、こう思うのですが、大臣、この宅開公団の運営についてこれからどういうようにお考えになっておりますか。
  265. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 赤桐君、時間が来ました。
  266. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 御承知のように、住宅公団にも宅地開発の部門がございますので、行管の方のご指摘もございまして、これらを統合いたしまして宅地開発公団の方で一元的に運用するようにして効果を上げたらばどうか、こういう方向にあるわけでございまするが、それとともに、現在行われつつある宅地開発を促進するとともに、関西、関東で一地区ずつ予定されておるところも大体見当がついておりますので、それらの事業も進めていく。こういうことで、ひとまず、それでも満足するような状況とは私も思いませんが、段階を踏みながら今後の宅地需要に応じてまいりたいと思います。
  267. 赤桐操

    赤桐操君 最後に一つ
  268. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 簡単に願います。
  269. 赤桐操

    赤桐操君 いろいろとお尋ねしてまいりましたが、どうも総体的に見て、やはりわが国の住宅政策については一つの大きなまとまった体系化されたものがない、こういうように言えると思うのであります。  そこで教育にいたしますれば教育基本法がありまするし、公害の問題にいたしましても公害基本法がある。こういう形でもってそれぞれ今日まで大きな政策ができ上がってきている。それぞれの分野には必ず基本法が先行いたしております。住宅の問題についてはメインとして取り扱う、これは総理の言明でありますが、この機会にひとつ住宅基本法をつくり上げて、このもとに総合的な体系化をした政策化をすると、こういうようにすべきだと思いますが、いかがでございますか。
  270. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 御承知のような、昭和五十年八月に住宅宅地審議会が、「今後の住宅政策の基本的体系についての答申」の中で、住宅基本法を検討する必要があるという御指摘をいただいておるわけであります。その後ずっと検討を進めてまいっておるわけでありますが、中でも最も問題でありますのが住居費負担問題であると思います。これにつきましては、昭和五十一年五月に住宅宅地審議会に対して、「現行家賃制度をいかに改善すべきか」という諮問をしておりまして、現在住宅部会に小委員会を設けて検討をしておる最中でございます。遠からずその答申が得られると思うのでありまして、その答申に伴いまして法案の策定作業を進めたいと、こういう考え方に立っております。
  271. 赤桐操

    赤桐操君 そうしますと、大臣、いつごろ提案の見通しになりますか。
  272. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) いま一応私どもの期待として、答申は秋ごろに出るのではないかと、こういう期待感でおるわけでございまするが、それが明確になっておらない状況のもとで、いまいつごろということを申し上げかねますが、秋以降の早い時期に、答申があり次第具体的に検討いたしたいと、こういうふうに考えます。
  273. 赤桐操

    赤桐操君 終わります。(拍手)
  274. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 以上で赤桐君の一般質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  275. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 次に、小巻敏雄君の一般質疑を行います。小巻君。
  276. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 総理府総務長官にお伺いをいたします。  旧従軍看護婦問題について、先般の衆議予算委員会において、わが党の山原君からの質問に対し、「今国会中に」という答弁を寄せられておるわけでありますが、この答弁以後、関係者、旧従軍看護婦から喜びの声と大きな反響、期待の声が寄せられております。中には、えり元に青酸カリ一グラムを入れてフィリピンをさまよったというような思い出を明らかにして、そうして期待をするというようなものがございます。速やかに具体的な内容を明らかにしていただきたいわけでございます。現在の進行の状況について御答弁をいただきます。
  277. 稻村佐近四郎

    国務大臣(稻村左近四郎君) お答えいたします。  この前もお答えいたしましたように、日赤の旧従軍看護婦の方々につきまして恩給法の適用というのは制度のたてまえ上まことに困難であると、こういうふうに考えておりますが、いまお説のように、長い間、本当に長い間言葉に言いあらわすことのできない御苦労をされておられる方々でございますので、何かの方法で解決はしなければならぬということで各省庁協議を重ねております。そういう意味で、この前もお答えいたしましたように、今国会中には必ずその方向を決定づけるということを申し上げておきたいと、こういうふうに思っております。
  278. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 速やかに結論が出ますように、格段の努力をお願いをいたします。  続いて、文部大臣に御質問を申し上げます。  国立大学、公立大学の共通一次テストの実施がいよいよ来年に迫って、高校生の間には深刻な不安が広がっておるわけであります。文部大臣はこの不安の内容をどう見ておられるのか、これに対してどういう解決策を持っておられるのか、まずお伺いをいたします。
  279. 砂田重民

    国務大臣(砂田重民君) 共通第一次学力試験の実施に関しまして、高校側、父兄、そして来年度の受験生等から、主としてまず共通第一次学力試験の実施時期の問題、一次の受験科目数の問題、二次試験の科目数の問題、それからいわゆる足切りと呼ばれます二段階選抜の問題、一期、二期の一元化の問題、こういった問題に対しまして、いろいろ御意見や御要望や、また御心配が出てきているところでございます。受験生の不安や疑問もおおむねこのような点でございますので、制度の変更に伴います志望校選択のむずかしさもまた受験生がいま大変迷っておられる点でございます。  これらのうち、第一次の学力試験の実施時期につきましては、高校側の非常に強い御要請がございましたので、これに応じまして、当初予定の十二月下旬を一月中旬に繰り下げることにいたしました。今後とも実施の経験を踏みながらさらに研究を続けてまいりたいと考えているところでございます。  また、第二次試験の科目数、二段階選抜の問題につきましては、国立大学協会におきましても改善の努力をこれは要する、そういう自覚がございまして、そういう確認を大学協会でしておられまして、実施の経験を経て改善が行われる。さらに五十四年度の第一次のこのテストが行われますまでにも改善が行われるというふうに期待をいたしておりますし、文部省もさような指導をしてまいります。  受験生が自分の得点の相対的位置を判断をしやすくいたしますために試験結果を公表いたしますが、その公表の仕方につきましてもなお検討をただいま続けているところでございます。  また、科目数や一期、二期の一元化につきましては、その趣旨が十分理解されていない点があると思われます。最近の世論調査等、アンケート等を見ましても、十分理解されていないために不安を与えているということを私も反省をしているところでございまして、このたびの入試改善の趣旨が関係者に十分理解されますように一層の努力は必要であることを痛感いたしております。  そして、この共通第一次学力試験というものを取り入れました国公立大学の新しい選抜方式につきましては、従来文部省と入試センターで、高等学校関係者等に対しましてブロック別説明会や全国的会合を数度持ちまして、また広報、資料等の配布をやってまいりましたけれども、まだ十分だとは言えない。十分だと言えないので不安を与えていると考えますので、大体受験生が四十万ないし四十五、六万と考えますけれども、八十万部ぐらいの資料を準備いたしまして、全受験生に、また父兄に、さらにこれはもう受験生、父兄だけではない、政府全体の問題でございますから、広く国民各層にも御理解いただきますために、総理府に対しましても、政府全体としての広報ができますように総理府への依頼をしているところでございます。非常に大幅なPR作戦をこれから展開いたしまして、こういう不安を取り除く努力に努める所存でございます。
  280. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 深刻な不安の事実を大臣みずからもお認めになって、いわば国を代表して今日までの対策の不十分さを反映をするというふうに言われた上で、特に未知の不安に対しては八十万の資料準備と、こう言われるわけですね。しかし、おそいですよ。特に新聞の調査等でも明らかになっている不安というのは、知らないところから来るのではなくて、知れば知るほど不安が激化をするというような状況にあるのが明らかに実態であります。すでに一年前、四月二十一日に入試センターの法律を審議するに当たって予想されておったことばかりです。採択されたその際の全会一致の参議院における附帯決議の六項目というのを大臣は御存じですか。
  281. 砂田重民

    国務大臣(砂田重民君) 承知をいたしております。  また、全く新しい制度をスタートするのでございますから、どうしてもこういう改革をいたしますときに不安を与えますことはある程度いたし方ないことであるかとも思いますけれども、いま御指摘の新聞調査を見ましても、現在の試験制度でそのままいいと考えておられる方もまたきわめて少数でございます。参議院の附帯決議の六項目を承知いたしておりますので、その参議院文教委員会におきます附帯決議を踏まえて改善に努めておりますところでございます。
  282. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 決議の第一項目には足切りの問題を挙げておるわけであります。この足切りという問題は、これは大変な問題であって、この点について触れてはおられるわけですけれども、もう年度もかわろうか、本番も間近という状況になって、まだ受け入れ側の大学の状況が定かでない。この点について結果は現在どうなっているのか、どうするのか、もう一遍言ってもらいたいと思うのです。
  283. 砂田重民

    国務大臣(砂田重民君) 二段階選抜につきましては、ただいまのところ半数程度の大学が何らかの形でこれを実施する方向を固めております。しかし、これらの大学では、第二次試験におきましても、実技検査、面接、小論文の実施等によりまして新しい入学者の選抜を意欲的に実施をしようという面もみられます。また、何さま双方にとって初めてのことでございます。志願者の動向が判然としないために、大学側には迷いのあることも事実でございまして、当面の措置として、二段階選抜を実施をしよう、そういう考えの大学もございますけれども、今後志願者の動向がだんだん安定してまいりましたならば、かなりの大学、またかなりの学部で、これらいわゆる足切りを実施しないで済むようなことになると私どもは考えてもおりますし、さようの指導を続けてまいることにいたしております。
  284. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 一期、二期の一本化の問題、これも非常に大きな問題のあるところで、一発勝負に対して高校の関係者は一斉に敗者復活戦はないのかというような声が法案審議のときから上がっておったわけです。その上で、決議は、第二志望を生かすというような努力を指摘をしておるわけです。これに対してはどうなりますか。
  285. 砂田重民

    国務大臣(砂田重民君) これも参議院の文教委員会の御決議にあった重要な一項目でございまして、一期、二期の一元化が受験生に与える影響を緩和する意味におきまして、各大学は第二次募集を行うことができるように制度としてはその道はもうすでに開いてございます。昭和五十四年度の第一回目の選抜につきましては、ただいまのところは十一大学が予定をいたしております。他にも実施の方向でただいま検討しております大学も相当数あると聞いておりますので、今後も各大学のその方向への実施に期待をいたしておるところでございますし、文部省としては第二次の募集というものをできるだけ数多くの大学が実施してくれますように指導を強めてまいります。
  286. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 足切りをやるのは半分に及ぶ様子である。第二志望問題についても定かでない。この未知なのは、受験生にとって未知なのじゃなくて、大臣にとって未知なんじゃないですか。これが速やかに明らかにならなければ、附帯決議の条項が聞きおく程度の状態で推移していくなら、法律を定めた所期の目的自身の足元が危なくなってくる。こうなれば、共同利用センターを設置することには賛成をしても、受験をそのまま認めていくことに対して賛成しがたくなってくると、こういうような状態があらわれてくるわけであります。  特に私はここで問題にしたいと思うのは、受験生の関心の中心になり、大臣もすでに触れられた、受験生にとっての結果の通知の問題であります。どうしてずばりと取った点数の結果を本人に知らせないのですか。
  287. 砂田重民

    国務大臣(砂田重民君) 非常に重要な第一回目の五十四年度の一次入試の新しい制度でございますから、もう全力を尽くして準備にかかっているところでございますけれども、第一次の学力試験の成績につきましては、公表してほしいという意見が確かにございます。しかし、成績を公表することによっていわば大学のランクづけが行いやすくなる、そういう結果もまた生まれます。そしてまた、単に大学の難易別による誤った進学指導がそれによって利用されるおそれもまた出てまいります。また、高校側につきましても、各高校としてのランクづけというものが歴然とこの段階ではしてくるという新しい弊害、デメリット――非常に大きな幾つかのデメリット、弊害も考えられるものでございますから、この点についてはより慎重な検討が必要であろうと考えておるわけでございまして、一人一人への成績の通知というものは当面公表いたさない、かように五十四年度の第一次の試験においてはそういう決断をいたしたわけでございますが、しかし、受験生が自己評価をしなければならない、そのための正解例、科目別の平均点等――平均点と最下位点と最高点、先般の試行テストではそういう発表をいたしましたけれども、これだけではいかにも受験生には自分の結果の判断がしにくいということはよくわかることでございますので、受験生が自己採点をいたしますのに自分の得点の相対的位置を判断するために行うものでございますから、得点の広がりをあらわすような標準偏差値でありますとか、あるいは成績分布、何点から何点ぐらいのところに何十%というようなそういう成績分布、こういうものを最低点、平均点、最高点だけではなくて、受験生が自己判断しやすい材料の提供を何とかしたい、こういうことでただいま入試センターそして各大学において間に合うように改善をしようということで取り組んでいるところでございます。
  288. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 自己採点をやれというのは非常に殺生な話だと思うわけですね。受験の最中に、後で自分の採点まで予想しながら受験ができるものか。昔から自己採点したのは高く評価するに決まっておるのですよ。碁打ちが碁を復元するのでも、五、六段にならぬとできぬです。しかも、これがかなりに行われたとしても、一点のところに五十万からの受験者でずらっと同点が並んでいるのですから、やっぱり知らせてもらわなければ、第二次志望を選択する資料と言い得るほどのものはできない。まさに選ぶ側の論理だけが通っておって、受ける側の考えというものは置き去りになっていると言わなければならぬと思うのです。それに、そこに標準偏差と分布をもらったところで足切りの問題が重なってきて、もう受けようと思っている学校ではすでに切られておる。それでも受験しなければならぬ。こういう無残な試験というものはほかにないと思うのですね。これは特に選抜試験でないんです。どうして教育的な理由で試験そのものと生徒の関係で点数を知らせることができないのか。先ほどお挙げになった理由だけですか。
  289. 砂田重民

    国務大臣(砂田重民君) 先ほどお答えしたような理由によって、一人一人にこれを通知するというようなことはやめたわけでございます。自己採点をすることが非常に無残なような御指摘でございますけれども、先般の試行テストの結果から考えましても、受験生たちはそのこと自体を余りにも無残な扱いではないかという批判はいたしておりません。みずからの答案用紙を持って帰りまして正解例に当てはめて、ただ、自分がどの辺に位置するかということが、平均点、最低点、最高点だけの発表では非常に判断がむずかしいということを受験生たちは申しているわけでございます。来年第一次のテストを受けます高校二年から今度三年に上がります生徒たちは、自分たちでその点は自己採点ができる、そういうふうに判断をしておるものと私も判断をいたすものでございます。
  290. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 それは故意に現実を見ないものだと言わなければなりません。調査の結果でも、本人だけにわかるようにすれば、大学序列だとかそういうことに必ずしも波及しないのでありますから、本人だけに知らせてくれという要求がどのくらい強いか。これは読売の調査等でも歴然とあらわれているところであって、それは大臣が満足しておるかのように言われるのは正しくないと思います。特に個人だけにあるいは学校に知らせてどうしてオーバーな大学の格差、序列がつくというようなことになるのでしょう。本当に大臣はそう思われるのですかね。
  291. 砂田重民

    国務大臣(砂田重民君) 私はそういうふうに考えます。そして、ずいぶん長年の間準備を積み重ねてまいりましたことはもう委員も御存じのとおりでございますけれども、何といっても第一回目の試行テストでございますから、五十四年度についてはただいまのやり方で、また、受験生そして高校側などの御要望を入れながらできるだけの改善をして対処をしよう、最善の努力を尽くしていく決意でございます。
  292. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 切実な要求にこたえなければ、代理のものにそれを求めるのが原則なんですから、発表しなければ、受験会社が結構大体似通ったものをいろいろな方法で模擬テストその他でやってこれが繁盛することになるのであります。これは禁酒法下で密造がはやったのと同じことだ。本当にこの点では、どうしたって本人に知らせるというのがもし大学側が自分の都合の懸念だけから遮断しておるのであるなら、これは許されることではない。英断をもって、ひとつ指導監督権もお持ちの文部大臣、ここのところを受験生の立場でよく考えていただきたいと思うのです。検討をしていただきたい。どうですか。
  293. 砂田重民

    国務大臣(砂田重民君) 確かに、長期的な視野に立って考えれば、検討しなければならない一項目であることは間違いございません。
  294. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 この問題については、たまたま本日の朝日新聞もこれを社説で取り上げまして、大学側のあるいは大臣が言われるような勝手な言い方に対しては、受験生の立場で物を考えろということと、そして格差、序列の問題はそれ自身として対応していくならもっと大学側に努力をする余地があるんだということも記述をしておるわけです。遠い将来には考えようというのがいまの大臣の答弁だったと思うのですけれども、この問題が重要な問題だということはお認めになりますか。
  295. 砂田重民

    国務大臣(砂田重民君) 一生懸命取り組んでおりますだけに、きわめて重要な問題であるという認識は持っております。
  296. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 重ねて申しますけれども、受験生が自分の得点を明確に知ることができなければ、二次試験を受ける大学の選択にも困るのであります。その上に足切りが行われていれば、もう自分の落ちた学校の受験に行くのであります。そういうことを考えてみても、足切り問題、あわせて本人に対する通知問題は、英断をもって進められたい。いまの大臣の答弁は、将来的には考慮の対象だというふうに言われたというふうに受け取るわけですけれども、直ちに次の試験のときから実行するのに間に合うような準備を要求いたします。  続いてお伺いをしますが、昨年十二月に行った試行テストについてであります。本番並みの試行テスト、とれに対する分析結果報告というものにまだ接しておりませんけれども、いつそれをやるのですか。
  297. 砂田重民

    国務大臣(砂田重民君) あの結果につきましては、すでに志願者数、受験者数及び科目別の平均点等は公表をいたしましたけれども、さらに試験問題の評価等につきましては現在大学入試センターの共通第一次学力試験等連絡協議会試験問題部会で検討を加えておりますときでございますので、また、受験生に対します注意事項等、また、先ほどから申し上げましたような各様の問題についての徹底を図らなきゃなりませんので、また、その他試験実施上の細部の点等につきまして大学入試センターにおいてこれもあわせて検討が行われておりますので、御質問の試験問題の評価等もあわせましてその検討結果は入試センターからことしの七月ごろを目途として公表することにいたしております。
  298. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 本番に準ずるテストというのをクリスマスのころやって、七月ごろ分析結果を出すというのは、これまたこの試行テストがやる側の試行であるだけで、この結果を知らせて、そうして高校関係者、受験生とともに第一回目の実施をやろうという姿勢が全くないと言わざるを得ないのであります。この問題についても、実行の結果をよく研究をして、そうして数年たったら国会に報告をしてもらいたいというような決議もやっておるところで、当然注目しておるのでありますから、速やかに全面的なこれに対する検討を行って、当然実施第一回の前には行われるべきだ、こういう点についても非常に問題だと思います。何が問題点で何が改善すべき問題か、これがわからないところに今日の不安があるのであります。どうですか、その点では。
  299. 砂田重民

    国務大臣(砂田重民君) 御指摘のとおり、非常に大きな各種各様の問題があることは事実でございますけれども、従来のような大学の入学試験の制度をそのままにしておくことだけは断じて許されることではございません。したがって、いろいろな受験生の不安、高校側の御意向、またこれらを踏まえての参議院の文教委員会での御決議があったことでございますから、この御決議の趣旨を十分体しまして最善の努力を尽くしてまいりまして、適当な時期に国会に御報告をいたしますことはもう当然のこととして承知をいたしておるものでございます。
  300. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 少なくとも、受験する側は、新しい体制の方がベターだとは感じていないのでありますから、ずいぶんと慎重にお考えを願う必要があると思います。附帯決議では、そのことを考えて、高校関係者との連絡を密にせよということを言っておるわけでありますが、この体制はいかがですか。
  301. 砂田重民

    国務大臣(砂田重民君) これは附帯決議を受けましてすでに連絡協議会を設けまして、大学側、そして高校側、入試センターともに連絡協議会を設けてもう数度の協議を行っております。この実施時期をずらせましたのも高校側の御要望を大学側が受けた、かように御理解をいただきたいと思います。
  302. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 今日、連絡会の中心課題は何になっていますか。
  303. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 連絡協議会には部会が二つ設けられておりまして、総合部会と試験問題の関係の部会でございます。総合部会の方は、これは入試センターの運営のあり方を含めまして共通入試の全般の問題について現在検討をしているわけでございます。試験問題の部会の方は、現在は、先般行われました試行テストの試験問題についての評価の作業をお進めになっております。
  304. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 組織図を見ますと、連絡協議会というものは、聞きおく機関になっておりまして、この運営について世論が反映できる組織とは言いがたいような批判を私は持っておるわけであります。特にこの連絡会の体制で運営問題が十分に審議できますか。
  305. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) センターの内部組織である評議会だとかあるいは運営協議委員会の中に高等学校側を参加させるかどうかという問題が一つあるわけでございますが、これは大学入試センターの性格が、御案内のように、大学側が実施をする入試の事務のうち、共同処理を必要とするもの、あるいは共同処理になじむものにつきましてそれを実施をしていこうという、そういう機構でございますから、センターの機構としてはやはり大学の関係者をもって組織をしていくということが適当であろうというふうに考えております。  ただ、先ほど申し上げました総合部会の活動というのは、もちろんセンターの運営の全般について協議をしていくことができるわけでございますし、またそういった気持ちでセンターも運営をしておりますので、それを通じて高等学校側の意見を吸い上げていくことは十分に可能であると思います。
  306. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 いまの局長の答弁は、この附帯決議の中で言うセンターの運営について、関係者の世論が反映できる組織というのをやれると言っているのか、やれないと言っているのか、どっちなんですか。
  307. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 連絡協議会の総合部会あるいは試験問題の部会を通じて附帯決議に御指摘の点は十分に対応できると考えております。
  308. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 今後、それじゃ運営にその機関をもって反映させていくということですね、そうですね。
  309. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) そのとおりでございます。  先ほど大臣からお答え申し上げましたように、入試時期の実施の繰り下げの問題につきましても、この連絡協議会における協議が十分に行われていたわけでございます。
  310. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 ところで、入試センターの責任は今日の時点では非常に重大だと考えなければならないのでありますが、ここに配置されておる教官の数は何人ですか。
  311. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 現在は、定員二十八名中、所長が一人、教官が三人、その他の職員が二十四名でございます。五十三年度は四十名の増員を計画しておりますが、そのうち、教官が二名、その他の職員が三十八名でございます。
  312. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 大学は教授会を中心に運営をされていくのであります。共同利用研究所といっても、ここには、教授会に当たる決定機関がなければ権威のあるものにはなりません。それが五人でどうして国民要求にこたえることができるか。終局的に教官の数は何人にされ、それはいつ実現するのですか。
  313. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 現在のところ、四十名の増員のうち、二名の教官の増員を含んだ教官の数五名ということで運営をしてまいるわけでございます。もちろん、試験問題の作成等については、多数の国立大学の教官を委嘱いたしまして、それらの教官によって事が進められていくわけでございますけれども、当面はこれをもって進めていきたい。もちろん入試センターの体制それ自体は今後さらに充実をしていかなければなりませんし、そのことは考えておりますが、現時点ではこの五名で対応をしていくと申し上げることができると思います。
  314. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 大臣、お聞きのとおりでございますから、この点についてははなはだ不備な体制だと言わざるを得ないと思います。せっかく努力をいただきたいと思います。
  315. 砂田重民

    国務大臣(砂田重民君) この学力試験は、全国の国公立大学の共同の事業でございますので、センターを中心としつつ、全国の国公立大学の教職員の協力のもとに実施をしてまいらなければなりません。この協力体制をとることにもまた私は努力をしなきゃいかぬと考えておりますので、入試センターそのものの体制の強化、そしていま申し上げた全国の国公私立の大学の協力体制の強化、これに努力を続けてまいります。
  316. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 続いて、大臣に私立大学問題についてお伺いをするわけです。  ことしは、高校、大学とも私立の受験は大変であります。そうして入学試験は激烈であります。幸い入学できても、多額の納付金で二重苦の中にあえいでおる。そういうのにかてて加えて、松本歯科大問題、昭和大学歯学部問題、そうして共立薬科大学問題などがある。文部省の通達にもかかわらず、入学前に強制寄付を取っていると言われておりますが、その事実を確認しており、是正をされておりますかどうですか。
  317. 砂田重民

    国務大臣(砂田重民君) いま御指摘の大学のすべてにつきまして必ずしも十分な実情を把握を残念ながらいたしておりませんけれども、これらの大学が補欠合格者から寄付金あるいは特別な学納金を徴収しておりますことは、御指摘のとおりでございます。その徴収額や徴収の方法はいろいろな態様があるようでございますけれども、大学の施設設備の整備等のために、財政上の必要を入学者に一律に課さずに、入試の成績を考えて正規合格者と補欠合格者とで差をつけるという考えがあるようでございまして、こういう考え方からこのような措置をとったケースが多く見受けられるものでございます。
  318. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 いま挙げたもの以外に通達違反のような状況は把握をしておられますか。
  319. 三角哲生

    政府委員(三角哲生君) いまお挙げになりましたもの以外の学校についての事例につきましては、確認をいたしておりません。
  320. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 私は大阪で長らく暮らしてきたわけです。私の地元の大阪でも寄付金を強制しておる大学は一つ二つとは言えないわけであります。よるべない気持ちの受験生、父母は、出身高校の教師、高校教師にずいぶんと訴えておりますよ。それが通じて私の耳にも入ってくるわけです。たとえば大阪経済法科大学では、いま言われた補欠合格者の入学の条件として三十五万円ないし四十五万円の金を要求しておる。しかも、これは新聞にも記載されたところですが、募集要項には一向そういうことは書いてない。また、追手門学院大学でも同様な例があって二十万ないし六十万という特別寄付金を取っておる。いずれも募集要項には何ら明記されていないで、裏金として取られておるわけであります。この点どうですか。
  321. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 大阪経済法科大学、追手門学院大学において、御指摘のように補欠合格者から特別な寄付金を徴収をしているということは、一応私どもも承知をしております。一応事情聴取をいたしております。
  322. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 これが要項に掲載していない入学金であることということと、これを条件にして合否を決定しているというふうに把握しておられますか。
  323. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 御指摘のように、この二つの大学は学生募集要項の中に補欠合格者から審付金を徴収する旨の記載が全くございません。また、私どもはこれがいわゆる入学の条件として徴収されている寄付金ではないという説明を受けているわけでございますが、その実態において補欠合格者が仮に成績順に決定されているとしても、やはり入学時の寄付金の納付が条件になっているのではないかと思われる節がありますので、さらに事情を聴取したいと思っております。
  324. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 事柄が明らかになったら、どういう措置をしますか。
  325. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 入学時に学生から徴収するものにつきましては、すべて学生募集要項に明記をしろということが私どもの基本的な方針でございますから、その点が一つ。それからもう一つ、いわゆる入学の条件となるような寄付金は徴収をしてはいけないということがもう一つございます。その二つについて大学側に改善の措置を求めるつもりでございます。
  326. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 改善とは、具体的にどういうことですか。
  327. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 大学側の対応がもちろんあるわけでございますけれども、少なくとも来年度からはそのような事態をやめていただくということでございます。
  328. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 ことし取ったものはそれでよいということですか。
  329. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 補欠の合格者から特別の寄付金を徴収するという事態は、私は全体をつかんでいるわけではございませんけれども、全国の大学でかなり広範に行われていることであろうと思います。問題は、その徴収される金額、その徴収の方法あるいは態様、そういった点においていわゆる入試の公正を害するものがないかどうかという点にかかると思います。補欠の合格者から寄付金を徴収するということは、事柄としては望ましいことではございませんし、それをやはり改善をしていく、漸次廃止の方向へ持っていく方向が望ましいとは思いますけれども、やはりいま申し上げましたような学生募集要項との関係であるとか、そういった点を十分に確かめ、さらに大学側の改善の方針というものも聞きながら対応していかなきゃならないと思います。ことし、これらの大学で徴収されたものについても、直ちにそれを返還をすべきであるとまでは、私どもは現在の調査の状況からしては判断をしていないわけでございます。
  330. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 当然不正に強要して取ったものが明らかになれば返還をされるべきである、これは決まった話なんじゃないでしょうか。どうして返す必要がないんです。
  331. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 現在の時点では、これらの大学で徴収された金額というものが、いわゆる寄付金の納入を条件として、それが納入できるかどうかで合格、不合格が左右されるというような状況で入試の公正を著しく害する、そういう態様で徴収されているかどうかについてなお検討の余地があろうかと思うからでございます。
  332. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 寄付金を条件として入学許可をやっているということが明らかになった場合にはどうしますか。
  333. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 先ほどもお答え申しましたように、補欠の合格者から特別な寄付金あるいは学生納付金を徴収することにつきましては、やはりその補欠の決定の仕方、あるいは学納金の額、徴収方法、そういったことを全体として考える必要があり、一概に言えない面があると思います。したがって、これらの大学の場合にも、その補欠の入学者からの寄付金の徴収というのが、その寄付金の納入ができないということのゆえをもって入学できないというような状況であったのかどうかについては、さらに私どもは確認をする必要があると思います。
  334. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 一概に言えないというのは、返すべきものと返さぬでもいいものとケースが分かれるということだと思うのですが、明白になった場合には返すというふうに聞くのが当然かと思いますが、どうですか。
  335. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) やはり私は寄付金の金額の問題があると思います。それが非常に高額なものであれば、これは実質的にまさに入学の条件となるものでございます。しかし、いわゆる入学試験の成績によって大学の整備のための資金を徴収する、その額に差を設けようということで従来から行われてきた補欠合格者からの寄付金の徴収ということにつきましては、先ほども申しましたように、現時点でそれを一概にすべて通達に反するものであるというふうには言えないというふうに思うからでございます。
  336. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 どういうものが返納すべきものなんですか。
  337. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) やはり高額の寄付金というものを納めなければ入学できないというような形で入学者の選抜が行われておる、あるいは補欠の合格者の決定も成績とは関係なしに金額でもって決まっていくというようなことであれば、それは明らかに通達に反するものでございます。
  338. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 私のところに寄せられた「補欠合格通知書」がありますが、歴然としております。大阪経済法科大学であります。「あなたは、昭和五十三年一月二十二日に実施した入学試験に補欠合格したので通知します。」「諸般の事情を考慮し、金四十五万円の協力金を条件として入学を許可する。」と、こういう露骨なものがあります。どうですか。
  339. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 御指摘のいまちょうだいしました資料に、「金四十五万円の協力金を条件として入学を許可する。」というふうに書かれているこの記載は、きわめて不適切だと思います。
  340. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 したがって、返すのが当然だと、こうなるのじゃないでしょうか。
  341. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 先ほど来申し上げておりますように、こういう文言で徴収をしている補欠合格者からの寄付金というものをどのように考えるかということであろうかと思います、これは、非常に高額なものを入学の許可の条件として寄付金の徴収という形で求める、そしてそれが入学の可否を左右しているという状況とはいささか趣を異にするわけでございます。そういった点から、この四十五万円というものについて、直ちに通達に違反をしあるいは法的に不正なものであるとして大学側に返還を求めるべきものであるかどうかについては、なお判断を差し控えさせていただきたいと思います。
  342. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 四十五万円は、たかの知れた金だから取ってもいいと言われたんですか。
  343. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 決してそういう趣旨で申し上げているものではございません。先ほど来申し上げておりますように、全国の私立大学では、補欠の合格者から、ある額の入学時の寄付金を徴収するということが従来から広く行われてきた実態がございます。そのことについては、事柄を改善をしていかなきゃいかぬと、学生募集要項に明記をさせる、あるいはそういった補欠から徴収をするというふうなことを漸次改めていかなければならないというふうに考えますけれども、この大学の例をもって直ちに不法なものであると言い得るかどうかについては、先ほど来申し上げましたように、直ちにそういうふうには言えないのではないかと考えるわけでございます。
  344. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 大臣にお伺いしますが、聞かれたとおりであります。これでは通達は死文になってしまうのじゃないでしょうか。どうでしょう、大臣の御意見を聞きましょう。
  345. 砂田重民

    国務大臣(砂田重民君) 補欠であろうと否とを問わずに、入学者選抜が寄付金を納入できるかどうかで合格、不合格が決定をするということは断じて許すべきではありません。いまいろいろ御指摘がございましたが、文部省といたしましては、従来から寄付金の納入を条件として入学許可を行うことのないように指導をしてきたことでございますから、今後ともこの方向で指導強化してまいりますが、補欠合格者から特別な学納金を徴収することにつきましては、募集要項に明記されていたかどうか、あるいは金額の問題、あるいはそれが入試成績順であったかどうか、こういったふうなことをいま少し検討をしてみなければならないかと思いますので、御指摘のありました大学につきまして調査をいたしました上で最終的な考え方を出したいと、かように考えます。
  346. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 入学の条件として使用されたことが明らかになれば、これは不公正なものだと、こう言われたわけですな。
  347. 砂田重民

    国務大臣(砂田重民君) 入学の条件ともされていたり、あるいはそれが入学試験の成績順と全く突拍子もなく外れて行われていたり、こういうことは許すべきではないと申し上げたわけでございまして、それらの点について現実問題としての調査をいたしました上で結論を出させていただきたいと考えます。
  348. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 ここに大阪のかなりの評価をされておる大学としての近畿大学も同様なことをやっておる具体的なものを持っておるわけですが、御承知ですか。
  349. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 近畿大学の場合には、学生募集要項に、各学部とも若干名の補欠入学許可を行うことがあるということ、そして、その場合に学園運営整備充実資金を徴収するということが明記をされております。したがって、先ほど御指摘の大学とは違って、学生募集要項にそれが明記をされているという点で先ほど来御指摘の大学とは性質を異にするものかと思います。
  350. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 その場合に、任意のものだということも記載しなければならぬとしておるのじゃないですか。その点はどうですか。
  351. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) この近畿大学で徴収をしておりますものは、寄付金というよりも、むしろ入学時の学生納付金という形で徴収されているものだと思います。そして、学生納付金の徴収につきまして、いわゆる成績によって差を設けるということが行われるその一態様として補欠からは別に取るということをやっているのだと思います。このことは、先ほど来申し上げておりますように、私どもは望ましいことだとは思いません。補欠であっても、正規の合格者であっても、その入学時に要する学納金に差があるというのはいかがかと思われます。もちろん、学納金について成績の優秀な者についてその納入を免除するというふうなことは逆にむしろ望ましいことかもしれませんけれども、補欠であるから、正規の合格者であるからということのゆえをもって取り扱いに差があるということは望ましくはないと思っております。
  352. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 実態をよくお調べいただく必要があると思いますが、これも、補欠合格の通知とともに、「合格者のご父兄にご協力を仰ぐことになっておりますので、授業料等の入学手続と同時にご納付くだされたく、」であって、これが手続が行われなければ入学が許可されないのですから、とうとうあきらめたという泣きの手紙がずいぶん来ていますよ。こういう事情も調べてくださいよ。
  353. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 御指摘のように、この大学の場合には、補欠入学許可を行う場合には整備充実資金を徴収することが明記されておりますので、この学納金の納入ということなしには補欠の入学ということが行われないという実態があると考えます。
  354. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 続いて、障害児教育問題について大臣にお伺いをします。  五十四年度からの養護学校義務化、これの意義ははかり知れないものがあると思うわけですが、大臣はすでに所信表明で準備に遺憾なきを期すと言っておられますが、この点について御説明をいただきたい。
  355. 砂田重民

    国務大臣(砂田重民君) 養護学校教育の対象となるすべての精神薄弱者、肢体不自由者及び病弱者を就学させますために、昭和四十七年度から五十三年度まで、本年までですが、二百四十三校の養護学校を設置する計画をいたしてまいりまして、逐次その準備を進めてまいりました。五十二年度まで計画二百三校に対しまして百八十九校が設置をされます。若干おくれていることは事実でございます。この計画ではなお五十四校の設置が必要となりますけれども、義務化を目前に控えておりますので、各県において既設校の学校規模、収容定員の充足率、適正配置等の実態を考慮いたしまして検討をいたしました結果、昭和五十三年度当初、すなわちことしの四月までです、ことしの四月までに六十校完成する、こういうことで長期計画を目的どおりに準備を整えまして五十四年度の義務化に備えたい、かように考えているものでございます。
  356. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 今年じゅうに建てなければならぬ学校の数は、いま言われた分も合わせて残り五十四校になると思うのですが、どうですか。
  357. 砂田重民

    国務大臣(砂田重民君) 五十四校でございます。
  358. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 かつてそれだけの学校が一年間につくられたことはないのでありますから、十分に力を入れて受け入れていただきたいと思います。  ところで、一面では、いままで猶予、免除といって就学対象から外されておった子供たちがことごとく入学することができるという喜びがある一方、障害児を持つ父母の中に、義務化されれば子供が遠くであろうと何であろうと養護学校に無理やりに入れられる、機械的判別をされて行政的強制で入れられるのではないかという不安が非常に広がっておることも事実であります。これに対してどういうふうに処置をされていますか。
  359. 砂田重民

    国務大臣(砂田重民君) 養護学校の義務化という問題は、やはり二つの義務があると私どもは考えております。一つは、就学させる義務、そして受け入れる側の養護学校を設置をしなければならない義務、この二つの義務があることを原則的に考えるわけでございますけれども、いま御指摘のございました無理やりにというお話でありましたが、やはりその就学につきましては都道府県並びに全市町村をカバーするだけの就学指導委員会を講じてまいっておりますので、この就学指導委員会にはお医者さんであるとかあるいは児童心理学の専門家であるとかこういった方々に入っていただいてつくっております指導委員会でございますので、こういうところでお母さん方の御意見も伺い、受け入れてもらう学校側の意見も聞き、その上で適切な判断をいたしまして、このお子さんはやはり養護学校に進むのがお子さんのためにしあわせであろう、このお子さんの障害の種類、程度からいえばこれは特殊学校に進むべきものであろう、そういうことを御両親との間の対話の中から結論づけていって、その就学指導委員会の意見を十分に聞きました上で教育委員会が決定をしていく、かようなことを考えているわけでございます。
  360. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 機械的判別はしないということと、十分納得がいくところまで事前から相談をすると、こう言われているわけですか。
  361. 砂田重民

    国務大臣(砂田重民君) いろいろなケースが私はあると思うのです。障害の種類、障害の程度、これを文章で書きあらわすのは非常にむずかしいことでございます。以前に昭和三十年代にも通達が出ておりますが、原則を教育委員会等に御理解いただくための通達だったわけでございますが、実際問題として、それぞれのお子さんの態様に応じてその障害を持っておられる子供さんの幸せはどこへ進むのが一番いいかということを専門家等の判断の中から決めてかかるべきもの――冒頭に申し上げましたが、養護学校の義務化というものは二つの義務があると申し上げましたけれども、その原則を貫きながらも、ケース・バイ・ケースの例外もまた出てこようかと考えます。
  362. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 二つの義務のうちの設置義務の方は、いままでは少なくとも果たしてこられなかったわけですね。その時点に出された通達がありますが、この判別についての通達をひとつここで読み上げてもらいたいと思うのですけれども。
  363. 諸澤正道

    政府委員(諸澤正道君) 御指摘の通達というのは、昭和三十七年の六月に学校教育法の一部を直しまして、盲、聾養護学校の対象となる子供の障害の程度というものを政令に規定をいたしましたが、その規定に伴いましてさらにそれを補足する意味での通達を出しました。その通達と……
  364. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 「執務ハンドブック」に載っているのでいいんです。
  365. 諸澤正道

    政府委員(諸澤正道君) ただいまの通達を受けまして、文部省の関係課でその執務のためのハンドブックを出しておりますが、その中に、いまのくだりのところで、一問一答の形式で、「市町村教育委員会で盲者と判定された児童は盲学校へ就学しないと就学義務を履行することにならないでしょうか。また、精神薄弱者が、小学校の特殊学級へ入級する場合はどうですか。」と、こういう質問に対しまして、「本問の場合、これらの学校教育法等の規定および」いま申し上げた「政令の解釈からすれば、障害の程度が学校教育法施行令第二二条の二で定める程度の盲者(および聾者)は盲学校(聾学校)へ就学する義務を負うことになり、小学校、中学校へ就学しても就学義務を履行したことにならない。」と、こういうような、その点でございましょうか。
  366. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 そこで、盲、聾の場合に書かれたことは、今度は義務教育化に伴って障害児教育、養護学校にも適用されることになるわけですか。
  367. 諸澤正道

    政府委員(諸澤正道君) 学校教育法が二十二年にできまして、その後学年進行によりまして、その後学年進行によりまして盲者、聾者につきましては盲学校または聾学校へ就学する義務を持つことになったわけでございますが、昭和五十四年度からは養護学校の教育の対象者となるものにつきましても養護学校に就学する義務を持つと、こういうことになったわけでございます。
  368. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 そのとおりに読めば、いま近所の学校の学級に入っておる子供が、この義務化とともに、養護学校というのは各府県に一つくらいしかないんですから、いきなりぱっと転学をさせられるということになりませんか。
  369. 諸澤正道

    政府委員(諸澤正道君) 学校教育法の規定を読みますれば、やはり盲者、聾者、それから養護学校対象の精薄者、病虚弱者といったような子供さんは、それぞれ対応する学校へ就学する義務があると、こういうふうなのがたてまえであり、また、法律はそれを予定しているというふうに読むべきだろうと思います。  ただ、今回の養護学校の義務化というのは、いま御指摘のように、学年進行でやるのではなくして、小学校一年から中学校三年まで一斉に義務化をされるわけであります。そこで、法律の適用といたしましては、この一人一人のそれじゃ子供について五十四年からどうするかという判断になりますれば、それはその一人一人の子供の教育上の必要ということを考えて、それに対し合理的な理由があるならば、本来、養護学校の教育の対象となる子供さんであっても、例外的に普通の学校へ通わせても、それは直ちに法律違反ということにはならぬのではないか、こういうふうに私どもは考えております。
  370. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 機械的に言えば、あなた方のお出しになった通達によって、重度と中度はどうするとか、軽度のものはどれとか、物差しがつくってある。この物差しを機械的には適用しないで、地元の判別委員会が弾力的な適用をすることによって具体的に運用をしていくと、こういうふうに言われているわけですか。
  371. 砂田重民

    国務大臣(砂田重民君) やはり一応その障害の種類、程度、養護学校へ進んでいただく子供さん、そういう尺度だけは文部省としては決めなければなりません。その尺度を決めたのが通達にもなり、またそのハンドブックの活字になったかと思います。しかし、先生のお話は、原則論とそれから例外が起こっているのにどうするのかという例外論のこれは議論になるわけでございます。具体的なことを例示的に言いますと、近くに養護学校がない、三十キロも四十キロも先まで。いまはせっかく普通学校に通っている障害を持っておるお子さんを無理やり切り離してその養護学校に行けと強制するのかと言われれば、そんなことは扱うわけではありませんとはっきりとお答えができるわけでございまして、そのためにこそ就学指導委員会を設けまして、専門家の方々に入っていただいて、ケース・バイ・ケースの判断をいたすわけでございます。原則的には初中局長がお答えをいたしましたように就学の義務がございますけれども、例外的にはそういう方もまたあることでありますから、どこまでもお子様の幸せの立場に立って判断をしていくべきものと、さように考えるものでございます。そうして、いままで普通の学校が受け入れていた、そういうことで皆さんが御了解いただくことであるならば、そのまま普通学校に通っていただいて、特殊学校に行かなかったから義務教育を終了したとは言わないというふうなことは決して申さないことにいたしております。
  372. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 ケース・バイ・ケースと言われますけれども、通達の中には判別基準表というのがあって、聴力なら何デシベルとか、それから知能指数はIQによってちゃんと区別けしておるじゃありませんか。その点どうなんです。
  373. 砂田重民

    国務大臣(砂田重民君) 先生がハンドブックでごらんになりましたのは原則を通達いたしたものでございまして、事実上の取り扱いについては当然来年度五十四年度から義務化が現に始まるわけでございますから、いろいろな細部の点についての通達はこれから行うものでございます。
  374. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 措置をしたあとは原則的に従来の通達どおりという線でいくけれども、措置に当たっては機械的にあの通達の中にあらわれておる判別の基準ですね、これらを適用する、機械論を行制の強制でいきなり押しつけてくるというようなことはやらない、こういうことを言われているわけですか。
  375. 砂田重民

    国務大臣(砂田重民君) やはり障害を持っておられるお子さんのその障害の種類、程度というものの一応の尺度は、義務化をいたしますにその尺度というものは当然示さなければなりません。その尺度を示したわけでございます。ですから、私が先ほどから申し上げておりますように、個々のケースとしてはその尺度どおりに機械的に行わない場合も起こりうる。その場合はどこまでもお子様の将来の幸せという立場に立って就学指導委員会等で御判断をやっていただこうと、かように考えておるものでございます。
  376. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 いまの答弁であれば、各地の現に不安を持っておる親の声は容易に解消しないのではないかと心配をするわけであります。運用において十分に弾力的に具体的にやるというふうにその点言われるのかどうか、もう一遍念を押しておきます。
  377. 砂田重民

    国務大臣(砂田重民君) どうもその原則論といろいろなレアケースの個々の場合の議論になっているように思われるのですが、原則は原則として私どもはやはり法律を遵守してまいらなければなりませんけれども、いま御心配のような、先ほど私が一つだけでございますけれども例示的に申し上げました、国会でもいろいろ御議論のあることでございますから、やはりそれはケース・バイ・ケースで個々の問題を判断をしていく、かように御理解をいただきたいと思います。
  378. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 この問題は前からあった問題ですね。すでに昭和四十四年の辻村さんの出した報告の中でも、現在は特殊学級、特殊学校、そして普通学校、あるいは猶予、免除というふうに分野分けをやって、そして決めたらそこに奨励をするというのを中心にしてやっておるけれども、こういう状況を速やかに改めて、運用上弾力的にやらないとだめだということを書いておるわけですね。この点について局長ひとつ答えてもらいたいと思うのです。
  379. 諸澤正道

    政府委員(諸澤正道君) 養護学校の教育のうちでも、特に精神薄弱者を対象とする教育につきましては、どういう場所でどういう教育をしたらいいかという教育的なあるいは医学的なそういう見地の研究というものも、わが国でも私の承知しておりますところではかなりまだ未開拓の分野があるわけでございます。そこで、たとえば自閉症の子供さんの教育なんかにしましても、これを一般の子供と一緒に教育した方が自閉症の症状を治す上でむしろ効果的だというような議論もございますし、いやそうじゃないんだという議論も聞くわけでございます。そこで、民間の私立の幼稚園や小学校などではそういういわば混合教育というようなものについて先導的に実施をして、そして相当効果を上げておるというところもあるわけでございます。  ただいま御指摘のように、辻村先生の座長になられました会議におきましてもそういう点を指摘されておりますので、私どもはもちろんそういうことを念頭にしながら、たとえば普通学校における特殊学級の子供の教育ということにつきましては、特殊学級の子供を隔離分離するのではなく、ときどき普通の子供と一緒に交流して教育をさせるということを奨励もし、また実際にやっておるわけでございまして、そういういろいろな教育の方法はもちろん念頭にございますけれども、しかし、現実に最近のように非常に重度障害の子供さん等につきまして考えました場合、これは一般的な混合教育がいいとかいう議論だけではいかない現実面がございますので、これはやはり特殊学校、養護学校におきましてそういう方の教育をするということでまいりたいと思うわけでございます。しかしながら、その養護学校の教育につきましても、現在県立の養護学校等の実態を見ますと、やはり必要に応じては普通の学校の子供と交流をさせるというようなこともやっておるわけでありまして、教育の方法としては御指摘のような点は十分配慮しなければいけないと思うわけでありますが、本来的な養護学校、特殊学級、普通学校というこのあり方につきましては、私どもは当分いまのままで考えていった方が現実的ではなかろうかと、こういうふうに思うわけでございます。
  380. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 三十七年、三十八年通達は、まだ義務制が固まらず、学校を固定化して一番できない子は対象外として排除し、そして判定をされた者については行政の手で就学奨励という固定をした取り扱いを進めてきておった、これを弾力的運用に改める必要があるというふうに指摘をされ、すでに東京都等では非常に進んだ前進を示してきておるのであります。この点は、局長、お認めになるでしょう。
  381. 諸澤正道

    政府委員(諸澤正道君) 法律の制度として障害の非常に重い子供さんは就学の猶予ないし免除という制度があるわけでございまして、現実昭和四十年の初めころはこの猶予、免除者が約二万一、二千ございました。ところが、五十年度ではこれが一万三千となりまして、五十一年度では一万二千弱でございます。この傾向は年々少なくなってきておるわけでありまして、義務制実施後も御指摘のように障害の程度のかなり重い方でも教育の機会を受けられる者はできるだけ養護学校教育の対象にしたい、こういうことでやってまいりたいと思います。
  382. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 問題なのは、この通達を額面どおり実施していくならば、いまでも二万人猶予、免除してもかまわぬということになっておるわけですね。通達のたてまえはそうでしょう。
  383. 諸澤正道

    政府委員(諸澤正道君) 三十七年の通達で、いま御指摘のものにつきましては、猶予、免除の部分について、「盲学校、聾学校または養護学校における教育にたえることができないと認められる者については、その障害の性質および程度に応じて就学の猶予または免除を考慮すること。」とございますが、これはいま申しましたように一方的にあなたの障害の程度なり性質がこうだから猶予なり免除の手続をしなさいということを奨励する趣旨ではさらさらございませんし、今後もそういうことでないように十分指導をしてまいりたいと、こう思うわけでございます。
  384. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 就学猶予、免除をしてもよい者と教育対象から除外してもよい者というものの程度はどのように定めておりますか。
  385. 諸澤正道

    政府委員(諸澤正道君) 猶予、免除につきましては、学校教育法の規定でも、就学にたえないおそれのある者という規定になっておったかと思うのですけれども、いまの通達におきましては、具体的にそれを症状を挙げまして、前段で「白痴、重症痴愚、重症の脳性小児まひ、現在進行中の精神疾患、脳疾患その他これらと同程度の高度の障害を有するかまたは二つ以上の障害を有し総合するとその程度が高度になるものなど」云々「教育にたえることができないと認められる者」と、こういうふうになっておるわけでございますので、要するに、現在われわれが示度障害あるいは重複障害と言われる子供のうちでも特に障害の程度が重くて就学にたえないと認められる者、こういうものを対象とするようにと、こう指導しておるわけでございます。
  386. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 いま言われたとおりに記述としてあるわけですね。重度の子供、白痴というふうに表現して、これは学校条件が整っていなくて受け入れるところがなければ、全面介護が必要であれば受け入れなくてもいいと。それから痴愚というふうに表現されておる中度の子でも、親の了承という名のもとに困難なものは就学対象から外していいとなっておったわけです。いま東京では重度まで受け入れておりますから、それでは従来なら対象から外されたような子が学校教育を受けて発達をしています。  私はここに調布の養護学校の七歳の子供の記録を持っておりますけれども、この子供は間違いなく昔の体制だったらこれは猶予、免除で学校教育から切り離された子供です。動き回って、走り回って、情緒障害で知能指数は測定不能、そして、言葉は、オウム返しの言葉だけで、二語分はできなかったわけですね。ミカンだけは言えてもミカンちょうだいは言えなかった子供、これを受け入れてやっていますが、入ったときにかいた絵というのは、ただ力わざで、こういうことですね、色をつけるだけです、そして、ちゃっちゃっちゃっと言いながらかくわけですね。これが六カ月の教育で秋になりますと、ミカン、ミカンと言いながらミカンの絵をかいている。大臣、これは、ミカンに見えるでしょう。色もオレンジ色で、真ん中に点も打ってある。丸をかくということは教育学上はこれは大変な発達なんですね。こういう子供を、いま、除外してもいいし入れてもいいという状況になっているのが三十七年通達なんですね。これは、すでに義務化が進んだ現在の段階で東京で大阪で京都で到達している水準よりはるかにおくれた通達内容です。そして、文部省の方では、あるべき姿は非常にすぐれたものをお出しになるわけですね。しかし、それを保証させるための通達については前どおりです。これはたてまえはあっても実施は昔どおりでも許しておくということになりませんか。見直しの必要があると文部大臣はお考えになりませんか。
  387. 砂田重民

    国務大臣(砂田重民君) 私はこう考えるんです。障害を持っているお子さんで、医学的措置が続いている、通学をさせるようなことをすればそれは生命の危険もある、そういうお子さんを無理に就学させるべきでは絶対にない。ですけれども、いま御指摘のようなお子さんは、今度就学指導委員会というものが相当充実された専門家の方々で組織をそれぞれされておりますから、そういう方は当然通学をするべきだという判断がなされる、またなされるべきだ、さように考えもいたしますし、また、どうしても通学が無理だということであれば、訪問指導ということもより拡充強化をしてまいることにいたしておりますから、一遍その通達というものを私にも再検討をさせていただきたいと、かように考えるものでございます。
  388. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 さすがは文部大臣、りっぱに今日の問題意識を持っておられると思います。少なくとも中度で現実的にはどこの学校でも受け入れておるような、これを受け入れない就学指導委員会があっても認めるというような通達は、義務化の今日にふさわしくない。問題意識を持たれたのでありますから鋭意検討してもらいたいと思います。  それから弾力的運用につきましても、これは物差しもないのに主観的弾力運用をやったら、いいところは一層よくなるでしょうけれども、大変なことになる。この物差しについて、いま申し上げましたような基準の点はどうしても見直しが必要だし、実は文部省では見直しを開始しておられるのではありませんか。私は「発達診断尺度表」というのを現地の方から入手をしておるわけでありますけれども、これはすでに養護学校に行くのか普通学校特殊学級でやるのかというのは非常に微妙でもあり、問題もあり、ラフないままでの基準だけでお任せしておったのでは不十分だというので、特に開始をしておられるのじゃありませんか。いかがですか、この点について局長。これはあなたのところから出したものでしょう。
  389. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 小巻君、時間が来ております。
  390. 諸澤正道

    政府委員(諸澤正道君) おっしゃるように、この政令の基準というのは、かなり抽象的に、精神発達の遅滞の程度が中くらいとか、そういうような表現ですから、これをできるだけ現実の尺度としますためには、ここにありますように、たとえば用便であるとか、衣服の着脱であるとか、あるいは食事であるとか、日常の基本的な動作であるとか、そういうものがどの程度できるかできないかというようなことを一つの目盛りにして、もう少し具体的な尺度をつくりたいということで私どももただいま検討いたしておりますので、できるだけそういうものを充実してまいりたい、かように思うわけであります。
  391. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 大臣、お聞きのとおりでございますので、今日は物差しから今日にふさわしく早く検討される時が来ておるのであります。今日の文部大臣の見識ある答弁を多として、今後の努力を期待いたします。  あわせて、大蔵大臣にもずっと状況を聞いていただいたわけです。少なくともこれらの問題はすべて人であります。第四次計画が終わって、当然来年からは第五次計画の定員計画に入る。いやしくもこれに二十年続いて絶え間なくやってきた定員計画を一年すき間をあけるという初めての大臣に砂田文部大臣はなってはならぬと思うのですけれども、その点どうですか。
  392. 砂田重民

    国務大臣(砂田重民君) 一つ私から強調をぜひさせていただきたいと思いますことは、今日の養護学校というものが昔の養護学校とはもう様子が変わってきているということでございます。安全を守るための施設、いろいろな器材、また、先生方も、本当に頭の下がるような情熱を持って取り組んでおられる姿、もう養護学校へ行くことが不幸だというふうなお考えはぜひともこれはひとつ捨てていただきたい。ですから、冒頭に申し上げましたように、義務化というものの原則は原則として踏まえてまいりますけれども、やはりケース・バイ・ケースでお子様の立場に立っての真の幸せを願っての就学指導を努めてまいります。
  393. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 これについて定数措置がいずれ必要になってくると思いますが、文部大臣の意を受けて大蔵大臣の感想を聞いて終わりたいと思います。
  394. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) ことしは、かねて標準定数法によるところのいわば積滞を含めまして全部解決したところでございます。教育の問題は非常に重要な問題でございます。また、これは私の個人的の感想でございますが、教育をよくするということはその社会はどんな社会であるか、それによって恐らくまた教育問題に大きく反映する問題であろうと思うわけでございまして、やはり教育問題、それからまたそれを受ける社会の問題、両方が協力してやるべきことと存じ、きょうのいろいろな応答を非常に感銘深く伺ったわけでございます。
  395. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 終わります。(拍手)
  396. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 以上で小巻君の一般質疑は終了いたしました。  次回は明後二十日午前十時から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十七分散会