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1978-03-10 第84回国会 参議院 予算委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年三月十日(金曜日)    午前十時十五分開会     —————————————    委員の異動  三月九日     辞任         補欠選任      橋本  敦君     上田耕一郎君  三月十日     辞任         補欠選任      園田 清充君     田原 武雄君      相沢 武彦君     矢原 秀男君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         鍋島 直紹君     理 事                 戸塚 進也君                 内藤誉三郎君                 中村 太郎君                 宮田  輝君                 竹田 四郎君                 吉田忠三郎君                 多田 省吾君                 内藤  功君                 栗林 卓司君     委 員                 浅野  拡君                 岩動 道行君                 石破 二朗君                 糸山英太郎君                 小澤 太郎君                 亀井 久興君                 亀長 友義君                 熊谷  弘君                 下条進一郎君                 田原 武雄君                 玉置 和郎君                 夏目 忠雄君                 成相 善十君                 林  ゆう君                 真鍋 賢二君                 三善 信二君                 望月 邦夫君                 八木 一郎君                 赤桐  操君                 大木 正吾君                 志苫  裕君                 野田  哲君                 福間 知之君                 藤田  進君                目黒今朝次郎君                 太田 淳夫君                 峯山 昭範君                 矢追 秀彦君                 矢原 秀男君                 上田耕一郎君                 渡辺  武君                 田渕 哲也君                 喜屋武眞榮君                 柿沢 弘治君                 秦   豊君    国務大臣        内閣総理大臣   福田 赳夫君        法 務 大 臣  瀬戸山三男君        外 務 大 臣  園田  直君        大 蔵 大 臣  村山 達雄君        文 部 大 臣  砂田 重民君        厚 生 大 臣  小沢 辰男君        農 林 大 臣  中川 一郎君        通商産業大臣   河本 敏夫君        運 輸 大 臣  福永 健司君        郵 政 大 臣  服部 安司君        労 働 大 臣  藤井 勝志君        建 設 大 臣        国 務 大 臣        (国土庁長官)  櫻内 義雄君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)        (北海道開発庁        長官)      加藤 武徳君        国 務 大 臣        (内閣官房長        官)       安倍晋太郎君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)        (沖繩開発庁長        官)      稻村左近四郎君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       荒舩清十郎君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  金丸  信君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       宮澤 喜一君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       熊谷太三郎君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  山田 久就君        国 務 大 臣  牛場 信彦君    政府委員        内閣法制局長官  真田 秀夫君        内閣法制局第一        部長       茂串  俊君        国防会議事務局        長        久保 卓也君        総理府人事局長  秋富 公正君        警察庁刑事局長  鈴木 貞敏君        警察庁交通局長  杉原  正君        警察庁警備局長  三井  脩君        行政管理庁行政        管理局長     辻  敬一君        行政管理庁行政        監察局長     佐倉  尚君        防衛庁参事官   夏目 晴雄君        防衛庁参事官   番匠 敦彦君        防衛庁長官官房        長        竹岡 勝美君        防衛庁長官官房        防衛審議官    上野 隆史君        防衛庁防衛局長  伊藤 圭一君        防衛庁人事教育        局長       渡邊 伊助君        防衛庁衛生局長  野津  聖君        防衛庁経理局長  原   徹君        防衛庁装備局長  間淵 直三君        経済企画庁調整        局審議官     澤野  潤君        経済企画庁国民        生活局長     井川  博君        経済企画庁総合        計画局長     喜多村治雄君        科学技術庁長官        官房長      半澤 治雄君        科学技術庁研究        調整局長     園山 重道君        科学技術庁原子        力安全局長    牧村 信之君        環境庁水質保全        局長       二瓶  博君        沖繩開発庁総務        局長       亀谷 礼次君        国土庁長官官房        長        河野 正三君        国土庁長官官房        審議官      四柳  修君        国土庁計画・調        整局長      福島 量一君        国土庁土地局長  山岡 一男君        国土庁地方振興        局長       土屋 佳照君        法務大臣官房長  前田  宏君        法務省刑事局長  伊藤 榮樹君        公安調査庁次長  鎌田 好夫君        外務大臣官房長  山崎 敏夫君        外務省アジア局        長        中江 要介君        外務省欧亜局長  宮澤  泰君        外務省経済協力        局長       武藤 利昭君        外務省条約局長  大森 誠一君        外務省国際連合        局長       大川 美雄君        外務省情報文化        局長       加賀美秀夫君        大蔵大臣官房長  佐上 武弘君        大蔵省主計局長  長岡  實君        大蔵省主税局長  大倉 眞隆君        大蔵省国際金融        局長       旦  弘昌君        国税庁長官    磯邊 律男君        文部大臣官房長  宮地 貫一君        文部省初等中等        教育局長     諸澤 正道君        文部省大学局長  佐野文一郎君        文部省体育局長  柳川 覺治君        文化庁長官    犬丸  直君        厚生省公衆衛生        局長       松浦十四郎君        厚生省環境衛生        局長       山中  和君        厚生省医務局長  佐分利輝彦君        厚生省保険局長  八木 哲夫君        農林大臣官房長  松本 作衛君        農林省構造改善        局長       大場 敏彦君        農林省農蚕園芸        局長       野崎 博之君        林野庁長官    藍原 義邦君        水産庁長官    森  整治君        通商産業大臣官        房長       宮本 四郎君        通商産業大臣官        房審議官     島田 春樹君        通商産業大臣官        房審議官     山口 和男君        通商産業省通商        政策局次長    花岡 宗助君        通商産業省立地        公害局長     左近友三郎君        資源エネルギー        庁長官      橋本 利一君        運輸大臣官房長  山上 孝史君        運輸大臣官房審        議官       真島  健君        運輸省鉄道監督        局長       住田 正二君        運輸省航空局長  高橋 寿夫君        運輸省航空局次        長        松本  操君        気象庁長官    有住 直介君        郵政大臣官房電        気通信監理官   江上 貞利君        郵政大臣官房電        気通信監理官   神保 健二君        郵政省貯金局長  高仲  優君        郵政省電波監理        局長       平野 正雄君        郵政省人事局長  守住 有信君        労働大臣官房長  石井 甲二君        労働省労政局長  北川 俊夫君        労働省労働基準        局長       桑原 敬一君        労働省職業安定        局長       細野  正君        建設大臣官房長  粟屋 敏信君        建設省計画局長  大富  宏君        建設省都市局長  小林 幸雄君        建設省河川局長  栂野 康行君        建設省道路局長  浅井新一郎君        建設省住宅局長  救仁郷 斉君        自治大臣官房審        議官       砂子田 隆君        自治省行政局公        務員部長     塩田  章君        自治省財政局長  山本  悟君        自治省税務局長  森岡  敞君        消防庁長官    林  忠雄君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君    説明員        日本専売公社副        総裁       斎藤 欣一君        日本国有鉄道総        裁        高木 文雄君        日本国有鉄道理        事        尾関 雅則君    参考人        新東京国際空港        公団総裁     大塚  茂君        国際交流基金理        事        村田  博君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和五十三年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和五十三年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和五十三年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     —————————————
  2. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昭和五十三年度一般会計予算  昭和五十三年度特別会計予算  昭和五十三年度政府関係機関予算  以上三案を一括して議題といたします。     —————————————
  3. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  昭和五十三年度総予算案審査のため、本日の委員会新東京国際空港公団総裁大塚茂君及び国際交流基金理事村田博君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 御異議ないと認めます。  なお、出席時刻等については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  6. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) それでは、田渕哲也君の総括質疑を行います。田渕君。
  7. 田渕哲也

    田渕哲也君 私は、まず現在の経済不況に対する福田総理政治責任について質問をしたいと思います。  今回の五十三年度予算は、総額三十四兆二千九百五十億円、きわめて膨大な予算となりました。公共事業費は前年度比三四・五%増、しかも国債依存率は実質三七%、こういう予算でありますけれども、福田総理は、この予算をどのように評価されますか、まず質問をしたいと思います。
  8. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) わが国経済は、いま沈滞ぎみでございます。これに活気を与え、上昇過程に転ぜしむる、これは国民もこれを大いに期待しております。国際社会でも、またこれを大変待望いたしておる、そういうことになっておることは御承知のとおりであります。  そこで、それでは日本経済を活況にということを考えてみる場合に、常のごとき景気循環でありますれば、輸出を伸ばす、あるいは設備投資を伸ばす、そういうようなことが考えられますけれども、御承知のような国際環境でありますので、輸出景気上昇を期待することはできない。また、設備投資、これもいまの不況沈滞状態でその本質が設備過剰だと、そこから来ているのだということを考えますと、そういうこともなかなかできない。そうすると、結局、これは非常に財政としては異例措置でございまするけれども、あのような膨大な公債をあえて発行してもこの景気牽引役割りを担当しなければならない、このように考えまして、そういう考え方を基本といたしまして昭和五十三年度予算を編成した、このように御理解願います。
  9. 田渕哲也

    田渕哲也君 私は、現在の状態でこのような予算が必要である、これは認めます。まだ不十分なくらいであります。しかし、私がいまここで問題にしたいのは、昨年の秋の臨後国会におきまして、やはりこの参議院の予算委員会におきまして、わが党の栗林議員質問をいたしました。国債依存率三〇%にこだわるのは間違いではないか、あの時期に栄養剤にたとえて、三十粒ではなくて三十二粒飲んだ方が効果があるならばそうすべきだと、こういう主張をしたのに対しまして、総理は、三十二粒も与えたら副作用が起こるかもわからぬ、このような答えをされたのであります。ところが、今回は三十二粒どころか実質的には三十七粒、副作用どころか、これは中毒します。こういう点から考えて、私は、福田総理から見ればきわめて不本意な予算ではないかと思うのであります。  また、公共投資にしましても、非常に要求を上回る水増しがされておる。げっぷが出るくらいだ、このようなことも言われております。私は、こんな予算というものは本質的にはいい予算ではない。福田総理から見れば、きわめて不本意な予算だと思いますけれども、この点はいかがですか。
  10. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 国債への依存度が三七%になる。これは先々を考えると大変困難な問題を抱えたと、こういうふうに思わざるを得ないのであります。国債は安易な財源調達手段でありますものですから、どうしても歯どめというものがありませんと乱に流れる傾向がある。そこで、いっときは三〇%、これを一つの関門、歯どめといたしまして、それは何とか守り抜きたいという時期もあったんでございまするけれども、ただいま申し上げましたように、景気を回復する、これは内外の期待なんです。しかも、この景気を回復せんとすればどうするか。輸出はだめだ、設備投資もだめだということになれば財政しかない。そこで私は申し上げているんです、臨時異例措置だと。臨時異例措置として、五十三年度におきましてはあのような多額な公債を発行することにしたと、こういうことでありまして、好んでこんな膨大な国債を発行しているわけじゃないんです。非常にむずかしいことになってきたなあと思いながらも、やむを得ずそのようなことをした、このように御理解を願います。
  11. 田渕哲也

    田渕哲也君 私は、本来の福田総理の持論から見れば、全く反した予算を五十三年度で組まざるを得なくなっておる、このこと自体は福田総理政策の破綻を示すもの以外の何物でもない、このように考えるわけであります。  総理はよくこういうことを言われます。今回の予算政策転換ではないんだと、臨時異例措置をとったのだということを言われますけれども、この言い方は、円高というものが降ってわいたような予測しがたい事態である、それに対する緊急避難的な措置をとったのだ、このように聞こえるのでありますけれども、私は、現在のこの異常な円高事態こそ福田内閣政策がもたらした帰結ではなかろうか、このように考えるわけです。この点はいかがですか。
  12. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いま経済のことと財政のこと、これを一緒にお話しになっておられるようでありますが、経済のこととして見た場合に、これは、田渕さん、世界じゅうがいま大変なむずかしい時期なんです、田渕さんもよく御承知だと思います。どこの国を見たってそれはみんな大きな問題を抱えておるわけでありまして、そこへいきますれば、わが日本はまあまあよくいっておる方だと、こういうふうに思うのであります。  そのよくいっている方だというのがどういう形で出てきたかということを考えますとき、それはいろいろ事情はありますけれども、一つは、財政に相当大きな負担をこれまでも課してきた、そこに私は問題があると思うのです。そこへ大変な円高不況というような状態でありますので、収入も減ってくる、そういうことで膨大な赤字を露呈するということになってきておる。これから先々を考えますと、やっぱり景気を回復して自然増収が出くるような状態に持っていくことが必要だと、財政の立場から考えても私は必要だと思うのです。それから同時に歳出、いままで、高度成長体制歳出体制、これにずいぶん努力はしてきておりまするものの、そうこれがはかばかしい状態に動いておらぬ。そういうような点、全部財政歳入歳出面を洗い直しまして、これから財政をよくしていくということも非常に大事な問題になってきておる、このように考えます。
  13. 田渕哲也

    田渕哲也君 福田総理は、円高は全く予測できなかった、これは不明であったと、こういうふうに言われております。それならこの円高原因は一体何か、どのようにお考えでありますか。
  14. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 円高というが、私は、実体は円高というよりはこれはドル安だと、こういうふうに見ておるんです。ドル安現象が世界的に出てきた。その中で円が強い態勢にあるものですから円高という反面現象も出てきておる、こういうことなんですが、結局、私はアメリカの膨大な赤字国際収支赤字、これがこの背景にある、このように思うのです。同時に、赤字アメリカといえば黒字の国があるはずだ、黒字の国は日本でありドイツである。そういうことを考えますと、本質的にはドル安、その背景アメリカ国際収支赤字でございまするけれども、その勢いを助長しているという要因、これは円にあり、またマルクにある、このように見ております。
  15. 田渕哲也

    田渕哲也君 ドル安ということも事実であります。しかし、為替レートというものは相対的なものでありまして、ドル安要素もありますけれども、円高になったわが国要素というものもあるはずであります。それについてどうお考えになりますか。
  16. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ドル下落の状況を昨年からずっと見てみますと、ドイツマルクドルに対しまして一五・四%値上がりをしておるわけです。それからスイスフランは三丁六%値上がりをしておる。それからわが日本は、これは二二・二%値上がりです。ですから、これはずっと見てみますると、円だけが上がっているわけじゃないんで、ドルが安くなってきている。各国の通貨の価値ドルに対比いたしまして上がっている、こういう状態になってきておるわけでありまして、特にことしになってからの状態を見てみますると、円はドルに対しまして〇・五値上がりドイツマルクは三・七%値上がりスイスフランは八・三%値上がり、ほかの国の方が円価値上昇よりははるかに強い状態で出ておるんです。これはつまりドル価値下落である、こう言って差し支えないし、また客観的にそういうふうに世界じゅうが見ておる、こういうことでございます。
  17. 田渕哲也

    田渕哲也君 総理は、故意にわが国円高を招いた原因というものがあるにもかかわらず、避けておられるわけです。これはいまさら言うまでもありません、わが国国際収支黒字がどんどん大きくなっていくことが円高を招いておるわが国側要素であります。  私は、それについて質問をしたいのでありますけれども、そういう背景というものを招いた原因というのはやはり福田内閣政策の失敗にある。一つは短期的な要素考えてみたいと思います。短期的な要素で見た場合には、福田総理は余りにも健全財政主義を固執された。だから昨年において景気対策というものがツーレート、ツーリトル、こういうことが言われておりますけれども、常にタイミングがおくれ、小出しに過ぎた。それがわが国不況を深刻にし、また円高を急激なものにした、こういうことが一般的に言われておるわけであります。これがまず一つの問題。  しかし、私は、もう少しさかのぼって考えてみたいと思うのです。石油ショック以来の自民党内閣政策というものの基本的な誤りがあったのではないか。  福田総理は、石油ショック以来、田中内閣時代には大蔵大臣三木内閣時代には経済企画庁長官、そして現在は総理、それぞれ枢要な地位におられたわけであります。しかも経済担当の枢要な地位を占めてこられた。したがって、この石油ショック以来の日本政治の対応というものは、やはり福田さん、あなたの考え方というものの誤りにあった、このように私は考えておるわけです。どういうことかと言いますと、あなたは高度成長への反省ということはしばしば言われます。しかし、高度成長への反省とは一体何なのか。安定成長というのは、ただ単に成長率を下げればいいというものではないと思うのであります。やはり新しい社会に対する展望というものがなくてはならない。いままでと質的に違った展望が要るんです。それから経済構造変化に対する施策というものが要る。こういう中長期の展望と、それに対応する政策があなたの場合全くなかったと思うのです。  確かにいろいろのことを言われております。福田総理が、この石油ショック以来、特に国会の演説の中で言われた言葉を挙げてみますと、高度成長から安定成長へ、物や金だけではなくて心のゆとりのある社会へ、公正な社会、協調と連帯、成長中心から生活中心へ、こういうことを言われております。私はこれはいずれも非常にりっぱな言葉だと思いますけれども、非常に抽象的であるし、具体的に日本政治というもの、経済というものがどういう方向に行くのかという具体的な絵というものを国民には何にも示されていない。全治三年の重症だということも言われました。あるいはトンネルの出口が見えておるとも言われますけれども、三年の期間の病気が治った後の体はどうなるのか、トンネルを出たところは一体何なのか、雪国なのか桃源郷なのかさっぱりわからない。確かにこの数年間というものは非常に荒波にもまれてきた時代であります。日本丸が転覆しないように船長として一生懸命努力されたことは認めますけれども、とにかく荒波の中で転覆しないように努めてこられただけで、船がどっちの方向に向いて進んでおるのかさっぱりわからない。こういう中長期の展望を欠いておる。ここに一番大きな原因があったと思うのでありますけれども、いかがでしょうか。
  18. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 石油ショック後のわが国経済の動き、これは大変間違ってきておるというような御見解でございますが、これは私は石油ショック後の日本経済のあのショックからの立ち上がり、これはすばらしいと思うのです。とにかく国際収支百三十億ドル赤字を克服して、いまじゃ逆に百何十億ドル黒字になろうとしておる。それがまた国際社会からしかられるというくらいまで来ておる。狂乱物価はどうだ、いまは年間上昇率が消費者物価で四・五%、石油ショック以前の水準に戻っていく。経済成長はどうだというと、何やかやと言われながらも五・三%を五十二年度には達成する。そして五十三年度には七%成長が展望できる。こういうようなことになってきておるので、これは世界じゅうで戦後の日本の第二の奇跡とまで言っているくらい、まあまあよく動いてきておる、こういうふうに私は見ておるんであります。  あんまりよく動き過ぎたものだから、わが国経済体質、これが相対的に世界の中でよくなっちゃった。よくなり過ぎるというか、よくなってきておる。そこで円に対する信頼感、こういうものが出てくる。こういうことなんで、私は円高という現象をそういう過程で出てきている問題でもあるというふうに見ておるのですが、田渕さんが強調されるように、中長期の展望を持たなきゃならぬ、これはもう当然です。私ども政府といたしましても、五十年代前期五カ年計画というものを持っておる。あれを見ながら、あれをお手本としながら、その年その年の予算の編成、経済の計画、見通し、こういうものを立てておる、こういうことでございまして、この激動する世界情勢の中でありまするけれども、決してもうさまよえる船じゃないんです。ちゃんと目標を定めまして、そしてやっておる日本丸であるというふうに御理解願います。
  19. 田渕哲也

    田渕哲也君 石油ショック以来の狂乱物価、あるいはスタグフレーション、こういうものについて総需要抑制政策をとられて鎮静の方向に向かってきた、これは私は評価すべきことだと思います。しかし、その後の日本経済の進み方を見ておりますと、依然として輸出主導型の景気回復をやったわけです。景気回復とまではいきませんけれども、輸出主導型の景気維持ということをやってきておるわけです。このパターンは、高度成長時代、石油ショック以前と全然変わっていない、それが私は現在の貿易収支の大幅な黒字、さらに円高、こういうことに結びついてきておると思うのですね。だから、福田総理は、非常にいいとか、よ過ぎるとか言われますけれども、そういう考え方自体が私は高度成長時代の感覚ではなかろうか、こういう気がするわけであります。  現在、見てみますと、国民の貯蓄、個人貯蓄総額は実に二百兆を超えております。GNPに匹敵するぐらいの貯蓄を持っておるわけです。それから外貨は二百数十億ドル。まあ言うならば非常に金持ちの国になっておる。ところが、実際の国民生活はどうか。円は外に強く内に弱いと言われますけれども、どんどん円高になっておるけれども、これは輸出価格のレートに大体近づいておるというのがいまの状況ではないでしょうか。消費者物価で比べるならば、まだ円はドルに比べて三百二十円程度の価値しかない。一体これは何を意味するのかといいますと、国民は一生懸命努力をして輸出産業というものを育て上げ、少なくとも輸出産業では一ドル二百四十円を切るぐらいの強さになってきておる、全体とは言いませんけれども。輸出価格は大体二百三十何円という結果が出ておるわけです。ところが一方、生活費の方においては、佐々木委員長衆議院の本会議でも指摘しましたけれども、牛肉、農産物、住宅、いずれにおいてもアメリカ国民に比べたら数倍から十数倍程度の負担を日本国民は強いられておるわけです。  私は、いま政府が考えるべきことは、この二百兆の国民の貯蓄、外貨が二百数十億ドルある、これをいかに国民の生活がよくなるために使うか、使えるようにするか、またその政策が行われたらこんなべらぼうな国際収支黒字がたまるわけもない。また、どんどん円高に追い込まれて輸出産業が軒並み苦しくなる、さらに日本経済不況になる、こういう悪循環に陥るはずがないと思うのであります。総理は非常にうまくいっていると言いますけれども、私は全然うまくいっていない。うまくいっているというのは高度成長の発想から見た考え方である、このようにしか思われないのでありますけれども、いかがでしょうか。
  20. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) こういうむずかしい時期でありまするから、相当日本経済にもきずがあり、欠陥があります。ありまするけれども、大局的に見て、日本経済が世界のどの国に比べて劣っておるかというと、私はまあそう遜色はない状態じゃないかということを申し上げておるわけであります。  日本の円は外には強く内には弱いとおっしゃいまするけれども、それは一時、消費者物価それから卸売物価の乖離、こういう時期がありまして、そういうような感じもありましたけれども、昨今におきましては、卸売物価は非常に安定しておる。消費者物価も四・五%の年間上昇率というところまで安定してきておるわけでありまして、円は外にも強いが内にも強いというふうに私は考えております。
  21. 田渕哲也

    田渕哲也君 それから、一つ確認しておきたいのですけれども、中長期計画、五十年代前期の五カ年計画、これができましたけれども、できたのは三木内閣の時代のものであります。私はその後非常に大きな情勢の変化があると思うのですね。円高の問題もそうでしょう。だから、私はここで改めて政府として中期計画というものをつくるべきだと思いますけれども、いかがですか。
  22. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 確かに、いま世界情勢は動いております。わが日本経済を取り、巻く環境条件も変わってきております。おりますけれども、わが国経済を、わが国社会をどういうふうにこれから中期的にやっていくんだという考え方の基本につきましては、これを変えるような事態は出てきておらぬ。つまり、いままでの高度成長路線から安定成長路線に移っていく、そして安定成長路線というもの、そういう基本的な考え方の中でこういうことをやっていくという考え方の内容につきまして修正を要する点は出てきておらぬ。多少、景気回復のずれとか、そういうものはありますよ。ありまするけれども、計画の根幹となる考え方について変化を必要とする、こういうふうには考えておらないのでありまして、したがって五十年代前期五カ年計画、これはしょっちゅう見直しというか点検はしておりまするけれども、これを根っこから全部つくりかえるということにつきましては、これはただいまは考えておりません。
  23. 田渕哲也

    田渕哲也君 私は、ただ単に数字の見直しをするといったことだけではなくて、やはり政治のこれからの根幹となる考え方ですね、こういうものを確立していただきたい。たとえば現在の民間個人貯蓄が二百兆もあること自体、福田総理はきのうの予算委員会の答弁でも、貯蓄が多い方がいいんだ、多くなければ国債も買ってもらえない、こういう発言をされましたけれども、私はこれは非常に問題だと思うのです。高度成長時代は、民間貯蓄額が多くても、それが民間設備投資で使われるわけです。ところが、現在は、需給ギャップが非常に大きい。それから、これからの低成長に向かえば民間貯蓄が大きくても使い道がなくなる。国だっていつまでも国債をむちゃくちゃに出すわけにいかないでしょう。そうすると、この民間貯蓄額が大きいことがデフレになり、そして国際収支黒字を誘発する、だから、これは決していいことではないと思うのです。  問題は、この民間貯蓄というものをどのように国民生活の充実のために有効に使えるようにするか。一つは、住宅というものが私は大きな柱だと思うのですね、これをもっと住宅投資に使えるようにする。現在は土地が高過ぎるから使えないのであります。それからもう一つは、やはり福祉を充実して、もちろん税負担をふやすということも必要でしょう、税負担もふやしながら福祉も充実して、そして国民の貯蓄率を下げていくという方向を考えなくてはならないのではないか、このように政治の転換というものをされなければ私は意味がないと思うのですね。それが高度成長への反省だと思うのです。そういう点から考えた場合に、私は、やはり経済計画の見直しをやるべきだ、このように思うわけですけれども、いかがですか。
  24. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) この一、二年の経済の動きを見ておりますと、前期五カ年計画の際に展望しておったそれよりも経済回復の勢いというものがずれておるということは、これはそのように考えておるわけですが、かといって、これからの中期にわたるところのわが国経済わが国社会をどういうふうにやっていくんだというその考え方の基本を変えなけりゃならぬというような、そういう変化は起きておらぬ、このように見ておるのであります。これから経済は刻々動いてくる、その動きに対応いたしまして、中期計画は妥当であるかどうかということはしょっちゅう点検はしてまいりますよ。点検はしてまいりまするけれども、根こそぎ変えるということはいまは考えておらぬ、こういうことを申し上げておるわけであります。
  25. 田渕哲也

    田渕哲也君 総理がそういうお考えでありますと、私はこれから先非常に心もとない気がするわけでありますけれども、これから予算の論議に入っていきたいと思います。  五十三年度のこの予算についてでありますけれども、その前に、経済見通し、七%成長、経常収支六十億ドル、こういう見通しを出しておられます。しかし、昨今のさらに急激な円高によりましてその見通しも非常にむずかしくなりつつある、こういうふうに言われております。この当面の昨今の円高の及ぼす影響は非常に大きいと思いますけれども、総理は、きのうの新聞で見たのでありますけれども、公定歩合の引き下げ程度ではもうどうにもならぬ、こういうことを発言されておりました。円高に対してですね、公定歩合の引き下げぐらいではもう効果がないだろう。それならば、この円高に対して他にどういう手段を考えておられるのか、これをお伺いしたいと思います。
  26. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 念のため申し上げますが、公定歩合の引き下げだけじゃどうしようもないなんというふうな、そういう発言をしたことはありませんから、誤解のないようにお願い申し上げます。  この円高問題は、結局、根本は円高というよりはドル安なんですから、やっぱりアメリカドル価値安定に精力的に取り組んでいくということが私は非常に大事だと、こういうふうに思うのです。同時に、わが国といたしましても、ドル安の根源であるアメリカ国際収支赤字、これがあのような状態から改善されるように、わが国としてできるものはこれは協力していくということが大事だろう、このように思います。同時に、わが国自体も、それらの努力も含めまして、経常黒字百億をかなり上回るというような状態を是正するというために、本当に真剣な努力をする。その努力をするということがはっきりし、また、そういう傾向が出てくるというようなことになりますれば、これはかなり私は通貨問題に対する影響が大きかろう、こういうふうに思いまするし、アメリカの方ではアメリカが努力を始めたということになりますれば、これもまた大きな影響を持ってくるであろう、このように考えております。
  27. 田渕哲也

    田渕哲也君 確かにアメリカドル防衛の要請も必要であります。それから、いまの円高というものは私は容易には鎮静しない状況だと思うんですけれども、やはり総合的な円高対策というものを立てなければならないと思うのですね。緊急に総合的円高対策というものを政府として確立すべきだ。この点はいかがですか。
  28. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) もう円高対策といいますか、為替に関する問題は非常にデリケートな問題でございまして、これが論議される、それはきわめてデリケートな重要な影響を醸し出すという性格のものなんで、この円高問題に対する対処の仕方、これは真剣にやっておりまするけれども、さあそれが表にどういうふうに出るかということについては私どもは大変慎重な構えをもってやっておるわけであります。そういうことでありますが、しかし、総合的にどういうふうにするんだというその考え方、これは前々から政府においても根本的な考え方を持っておるわけであります。それらを逐次実行し、効果を上げていくということ、これが大事なことであるという認識でございます。改めて総合対策をとるという、そういうことでなくて、もうすでに総合的な考え方があるんだ、このように御理解を願います。
  29. 田渕哲也

    田渕哲也君 たとえば、前に緊急輸入対策をとられて、三十億ドルの目標が、大体、三月末までに十億ドルは何とか輸入できる、大分目標より縮まったわけです。こういうことも私はまずいと思うんですね。新たに緊急輸入対策というものを見直される意図があるかどうか。緊急輸入対策を前に三十億ドルの目標を立てられて結果としては年度末までに十億ドルだと。もう一遍これを見直して緊急輸入対策を立てるべきではないか。
  30. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 緊急輸入対策につきましては、前々から努力しているんです。十億ドルの具体的な施策、これは大体三月中に実現を全部いたす見込みでございます。それから、これはまあ対策という固まったあれじゃないんですが、アイデアとしてアメリカの濃縮ウランをこの際十億ドルばかり買おうじゃないかというような話があったんですが、これはアメリカの都合でなかなかむずかしそうです。それから同じく構想として、石油のタンカー備蓄、これをやろうじゃないかという話があったわけでありますが、これはだんだんと具体化しつつあるわけであります。総合的に緊急輸入対策を見直すという、そういうような処置じゃございませんけれども、それに追加して何か緊急的に輸入できるものはないか。たとえば航空機の輸入ですね、そういうようなものはどうだろうというんで、いま検討に入っております。
  31. 田渕哲也

    田渕哲也君 現在、訪米中の輸入促進使節団ですね、これは向こうへ行って緊急的にどれぐらい買い付けができるものか、その見通しはどうですか。
  32. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) もともとこの訪米ミッションは、アメリカ政財界、それから労働界、各方面と意見を交換して日米の経済交流を深めていこう、こういうことからスタートしたんです。ところが、その後、せっかく相当の人数が行くわけだから、この際製品で買えるものがあればできるだけ買うようにしたらどうだろうかと、こういう話が追加的に出てきたということで、むしろ第二義的な目的の方が大きく言われておるという状態でございます。まだ、どの程度の成果が上がるかということについては、具体的な数字を申し上げる段階ではございませんが、連日各方面と懇談を重ねまして、できるだけの成果を上げるように皆さん努力をしておられるようでございます。
  33. 田渕哲也

    田渕哲也君 それからアメリカドル防衛を要請するというのはきわめて重要なことですけれども、そのために閣僚の派遣ということは考えておられますか。
  34. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ただいま固まった考えはありませんです。
  35. 田渕哲也

    田渕哲也君 この五十三年度予算、それから五十三年度の経済見通し、これとの関連でお伺いをしたいと思いますけれども、この五十三年度の見通しの達成というのはいろいろの要素がありますけれども、まだ非常に不安定な要素が多いと思います。個人消費というものが果たして予想どおり上向いてくるのか、あるいは民間の設備投資、これもいろいろの調査を見ますと、政府の見通しよりは若干下回っておるようであります。それから民間在庫の増加、これも積み増しの行われる時期あるいはその在庫調整の完了する時期、見通しの違い、食い違いというものがあるようであります。非常に不安定要素がまだ多いと思うんですね。だから、私は、いまの時期であの予算で十分だということは必ずしも言えないのではないか、この点について経企庁長官はどう考えられますか。
  36. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 非常に激しく内外が動いております経済の一年間を予測いたすのでございますから、いろいろ不安定要素がございますことはもう田渕委員の言われるとおりでございます。  しかし、ただいま具体的な例として設備投資、在庫、それから消費についてお述べになりました。もともと設備投資については、ことに製造業につきましては、私ども五十三年度単年度内に余り大きな期待はかけられないというふうに考えております。それから在庫につきましても、在庫調整はやがて終わると思っておりますが、それから大きな在庫の積み増しが活発に行われるとも思っておりません。そういうことでございますから、その二つについては私ども余りもともと大きな期待をかけていない。設備投資について申しますならば、非製造業の電力には非常な期待もかけ、またそれだけの見通しがあると存じますけれども、製造業はどうも、ことにいわゆる大企業と称せられるものには大きな期待はもともとかけられない、そういう考えで見通しを立てております。  で、消費でございます。確かにここのところ生産関連の指標は少しずつよくなりつつございますけれども、消費関連の指標は必ずしも思うようになってまいりません。これはやはり消費者が経済の見通しといいますか、むしろ雇用なり時間外手当なりの問題について、御自分あるいは御自分の御主人の将来といいますか、まあまあ一番悪いときは過ぎたなあという感じを持ってもらいませんと、なかなか消費というものは動いてこないのではないか。これはしたがって比較的動きが遅いのだろうと思っておりまして、この点がひとつやはり見通しを左右する大きな要素であると思っております。  しかし、概して、最後のお尋ねのこの御審議願っております五十三年度予算案で七%の成長を達成するに十分と思うかというお尋ねでございましたが、私はまあまあやっていける。これ以上の努力を財政に望むということはもともと無理なことでございますし、まあこの程度の財政、税政、財投でございますと、七%程度のものは考えてもそう無理ではないというふうに私考えております。
  37. 田渕哲也

    田渕哲也君 ただ確信——確かにそうなるという見通しもいまの時点では言えないと思うんですね。不安定要素が非常に多いわけですし、それから円高がどうなるかということもこれは非常に不安定であります。したがって、私は、今度の予算予算としてもできるだけタイムリーに情勢分析をして追加的な手を打つ、必要があれば追加的な手を打つ、こういう態勢が必要だと思うのです。私は去年の場合はやはりそういうタイミングというものが非常に遅かった。だから、この情勢の見直しというものをできるだけ早くして、フィードバックをして新たな手を打つ、そういう態勢を整えておかないと、七%成長も六十億ドルの達成もこれは困難だ、このように思うわけですけれども、いかがですか。
  38. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 経済指標の中には月々に出るものも相当ございまして、もとよりそれは十分に注意して見ておりますが、それでは遅いものもございますので、やはり何と申しますか、マン・ツー・マンとでも申しますか、そういう毎日毎日の動きについて関係各省庁ともできるだけ生の情報を得ることに努めております。で、もし政府の所期しておりますような経済の動き方でなくなりました場合には、これは総理大臣御自身がたびたび御答弁になっていらっしゃいますが、大胆な処置をもちろん考えていかなければならない。ただいまのところ、私自身としては、まず七%程度の成長ができると考えておりますけれども、万一思い違いがございましたときには、そのときどきで迅速に適切な処置をしていかなければならない。そのための毎日毎日のウォッチは十分注意深くいたしてまいるつもりでございます。
  39. 田渕哲也

    田渕哲也君 通常の場合、補正予算を組むとか、追加的なそういう措置をとるのは、大体、九月以降というのが常識的であります。しかし、それでは間に合わないという危険性もあるわけですね。だから、私は、この見直しの時期をもっと前に持ってくるべきではないか、少なくとも六月か七月ごろに見直して、一つの施策というものを考える。もっと前に持ってこないとだめだという気がするわけです。その点はいかがですか。
  40. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私は、先ほど申し上げましたように、御審議中の予算関連の諸施策をもってすれば、七%程度の達成は可能であると考えておりますので、したがいまして見直しということを具体的に考える必要をただいまのところ感じておりません。けれども、日々の動き、月々の動きは十分注意してまいるつもりでございます。御審議いただいております予算の中には、公共事業予備費すら実は組んでおりますので、私は、この予算は政府といたしましては最善のものであると存じますし、また、七%成長とまず整合しておるというふうに私自身はただいま考えております。
  41. 田渕哲也

    田渕哲也君 ただいまのことはよくわかるわけです。ただ、これからの刻々の動きをもう少し早くキャッチして、もし見直すなら、見直す時期というものをもっと早目にすべきではないか。秋になってから見直して、それで補正を組んで減税をやったところで、その効果は遅過ぎると思うんですね。だから、少なくとももう六月ぐらいには一遍見直しをやってみるべきではないか、このように考えるわけですけれども、いかがですか。
  42. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) そういう意味での見直しでございましたら、実は、常時やっておるつもりでございますが、ただいま六月というお話がございました。六月になりますと、昭和五十二年度の最後の四半期でございます一−三月の国民所得の暫定値が出てまいります。それによりまして五・三%が可能であったかなかったかがほぼわかるわけでございますが、仮に一−三月が非常に悪い数字であって五・三%どころではないというようなことになってまいりますと、これはひとつやはり判断をすべき時期ではないかと存じておりますけれども、ただいまのところ、私は、その五・三%についても、大体、ごく最近わかりました十−十二月の趨勢を見ていますと、私どもの想定しております線に乗っておるように思っておりまして、その点については多少自信を深めておるわけでございます。  その延長線上にございます七%についても、したがってそういうことになるわけでございますが、しかし、言われますように、内外とも激変しておる経済でございますから、一つ何かを申し上げたからそれにこだわる、そうして機を失するというようなことは、これはあってはならない。よく戒心をいたしてまいります。
  43. 田渕哲也

    田渕哲也君 必要なときには、大胆な措置を機動的にとるというふうに総理も言われております。たとえば、それは補正予算を組むこともあり得るということだと思いますけれども、問題は、その補正予算の財源の使い方ですね。  いままでの論議ですと、総理は、いまだに減税にはかなり消極的な御意向のように見受けられるわけです。しかし、私は、機敏に手を打ってやるということになると、公共事業をふやすにしても、いまの予算ですら消化できるかどうか疑問が持たれておる。やはり減税ということを全く否定はできないのではないか。減税も含めて考えるということでないとおかしいと思うのでありますけれども、この点はいかがですか。
  44. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 今度の予算に関連する税制改正の法案を出しておりますが、われわれは乏しい財源で何が一番有効であるか、特に即効性のあるものは何であるかという意味で、私は、今度は所得税の減税案を出してないことは御承知のとおりでございます。現在も、いまそのように考えているわけでございます。  ただいま、絶えず見直しをやり、緊急の場合にはそういうことも考えたらどうか、こういうことでございますが、それはもうあらゆる問題を考えてまいることは当然でございます。
  45. 田渕哲也

    田渕哲也君 去年は六・七%の成長を途中で五・三%というふうに見通しを変えました。それから経常収支も、七億ドル赤字を現在では大体百三十億ドルぐらいいくだろう、このように変化をしてきておる。これが国際的にも非常に不信感を与えたことは事実であります。ことしの七%成長は総理は絶対にこれを達成すると言っておられるわけですけれども、途中で下方修正することはないでしょうね、いかがですか。
  46. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これはいまそういうことを考えておりませんです。経済見通しは五十二年、つまり一九七七年、そういう国際経済のむずかしい時期では各国とも非常に違うんです。優等生と言われるドイツ、あれは六%成長と言っておったんですが、二・四%成長でしょう、結果は。アメリカが六%成長と言ったのが五%成長、これを切る、こういうような情勢です。わが国は六・七と言っておったんですが、それを五・三というんですからね、そういう中ではまあまあだというふうに思いますが、ことしは七%成長、これはもうぜひこれを実現をするという考えでございまして、いまこれを下方修正するというような考えは持っておりませんです。
  47. 田渕哲也

    田渕哲也君 ということは、やっぱり七%成長のために今後あらゆる手段をとる、大型補正、減税も含めあらゆる手段をとる、そういう決意と受け取っていいわけですね。
  48. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) あらゆる手段を尽くし、あらゆる努力をする、このように御理解願います。
  49. 田渕哲也

    田渕哲也君 それから、衆議院でこの予算の論議の場合に、公共事業がいいのか減税がいいのか、政府、野党の間で大分論議された点であります。福田総理は、公共投資が絶対にいいんだという説を曲げられなかったわけでありますけれども、また、その論拠は、経済に対する波及効果、これがその論拠であったように思うわけです。私は、この波及効果だけを考えたやり方でいいのだろうか、ちょっと疑問を持つわけであります。  といいますのは、公共投資と減税とを比べた場合に、需要構造、産業構造に与える影響が全く違うわけです。公共事業の場合には、どうしても特定産業あるいは特定地域、特定資源、こういうものに偏ります。ところが、減税の場合には、国民がそれぞれ自分の必要なものに使うわけでありますから、これは非常に多面的な需要が起こる。したがって波及効果は、これを別に考えた場合、公共事業一点張りの場合には、需要構造、産業構造上のひずみというものが出てこないか、これが第一の疑問であります。  それから、第二の疑問は、一の点と関連がありますけれども、資源の適正配分という点を考えた場合に、公共投資の場合はきわめて人為的政治的に決められる、しかも中央集権的である。減税の場合は、これは国民のニーズそのものに沿って使われるわけであります。こういう点がやはり問題ではないか。  それから、仮に公共投資がいいとしても、公共投資というものは長期的計画で立てられるべきであって、場当たり的に予算の積み増しをやってやるようなものではない。長期的というのは、質、量とも——質というのは、大体どういうものにどの程度ウエートを割けばいいかという点が質であります。それから量というのは、長期間見通して、どのような量的配分をすればいいか。この両方の配慮が必要であって、不景気だからというので公共事業の予算を幾らでも積んでいいというものではない。特に五十三年度予算のような場当たり的公共事業の水増しというものはかえって有害である。  どういう点で有害かといいますと、ボトルネック・インフレの原因をつくる、あるいは地価高騰の原因になる、環境破壊をする。あるいは公共事業に従事しておるその企業の人自体が言っておるわけでありますけれども、こんなに仕事がふえるのは結構だけれども、将来が不安で仕方がない。いまはいいけれど、来年はどうなるんだろうか。最近は、公共事業、土木事業といいましても、人が手でやるわけではありません。皆機械を買わぬといかぬ、設備を買わぬといかぬわけですね。そうすると、ことしは出たけれども来年は出ないということになると、これは新たな構造不況業種をつくる以外の何物でもない。  そういう点から見て、私は、総理のいわゆる公共事業一本やり、それから今年度予算の公共事業のあり方、これは非常に疑問を持つわけでありますけれども、いかがですか。
  50. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 公共事業かあるいは減税、恐らくおっしゃる点は所得税減税を予想されておると思いますが、いろいろな角度で検討する必要があると思うのでございます。  一つは、景気浮揚に対する即効性、あるいはそれが普遍的であるかどうか、あるいは産業構造にどういうふうな影響を与えるか、おっしゃる点もございます。それからまた、社会資本の立ちおくれという問題に対してどういうふうに考えていくかという問題がございます。また、現在の租税負担で申しますと、日本の所得税は大体先進国の三分の二でございます。したがいまして、財政収支試算を出しますと、将来、一般的な負担の増加を求めなければならないというときに、赤字公債を出して減税をやることはどんなものであろうか。こういういろんな角度から総合的に判断いたしますと、われわれは、やはりこの際は、公共投資の方がすぐれていると思うのでございます。  おっしゃいましたような、それが普遍的にいかぬじゃないかという点につきましては、公共事業の執行に当たりましてもういろんな配慮を経てやるつもりでございまして、たとえば生活関連の公共投資の方に従来よりもうんと比重を置くとか、あるいは地域的配分につきましても失業率の多いところ、あるいは構造不況業種を持っておるところ、そういった点に配慮してまいるつもりでございまして、いま御指摘のようないろんな問題につきましては、公共事業の実際の施行に当たりまして細心の注意を払ってまいる、かように考えておるわけでございます。
  51. 田渕哲也

    田渕哲也君 運営の面で注意を払われるのは当然でありますし、それはそれでいいと思うんですけれども、私が問題にしておるのはそれじゃなくて、この予算の立て方自体に問題があるということを言っているわけです。  その問題がある予算を運営面でできるだけしわが出ないようにと、それは私は問題の論点が違うわけでありまして、やはりこんなべらぼうに場当たり的に公共事業に積み増しというのは決してよくない。それなら減税も加味した方がはるかにバランスのとれた日本経済の発展のためにはいいんだという主張をしておるわけです。この点はいかがですか。
  52. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) その波及効果の点につきましても少しく見解を異にするわけでございまして、いろんなマクロの計算の例はございますが、新しいマクロ計算によりましても、やはり公共投資の方が即効性においてすぐれておるということが出ております。それに減税による消費でございますけれども、われわれは、去年、実は住民税、それから所得税の政府原案、それから国会で三千億追加したもの全部で七千三百億でございますが、それは一世帯に直しますと月二千円弱になるのでございます。あの当時出しましたのは、六月、七月、八月に戻税をいたしたわけでございますが、そのときの消費性向を見ておりますと、ほとんど変化が見られないのでございます。常識的に言いまして、現在のような状況下で、一世帯——これは恐らく働いておる人が二人ぐらいか一・何人かというところであろうと思うのでございますが、果たしておっしゃるような消費の増が望めるかどうか、これも私は疑問であると思うのでございます。  いろんな点を考えまして、先ほど申しましたような所得税の現在の負担状況、それからいまの公共投資の立ちおくれ、あるいは特例債の問題、さらには将来増税を求めなくちゃならぬときに、この増税という問題は非常に国民の理解を得ることに困難でございます。それらの点を総合的に考えまして、私は公共投資の方がすぐれておる、少なくとも現時点ではそうではないであろうか、このように考えておるわけでございます。
  53. 田渕哲也

    田渕哲也君 波及効果で公共投資がすぐれておるというのは、これは聞いておるわけです。ただ、その点だけ考えておってはいけないのではないか。それから、所得税の負担率が低いというのも当然であります。これは将来見直しをすればいいのであります。どうせ増税しなきゃならないんでしょう。ただ、いまの時点であわてて公共投資をむやみに進んでやるやり方が私は問題があると思う。それなら減税をやっぱり加味すべきだということを言っておるわけであります。  波及効果の面にしても、この経済企画庁自体が出しておる数字でも、初年度で一・三四。これは土地代を別にすれば一・〇七ですよ、二割が土地代だから。それで減税の場合には〇・七二。そんなに政府が言われるほど大きな差はないんです。それならばやはりもう少し、バランスのとれた安定成長社会に入るなら、公共投資をむやみにふやして産業構造のひずみをつくるよりは、減税でバランスのとれた安定的な社会をつくるのが総理のビジョンに沿う道ではないか、こういうふうに言っておるわけです。総理はいかがですか。
  54. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 財政が大変豊かで減税もできるというような状態でありますれば、田渕さんのおっしゃることも一つ考え方かと思うのです。しかし、景気対策財政がこれを担当しなければならぬ。財政は、そういいましても、財源が非常に乏しい。そういう際に何が一番効果的かと、こういうことを考えるのは、これは当然じゃないでしょうか。もう常識的に考えたって、さあ住宅が建ちます、下水道工事が始まります、これが人手を招き物財の需要を喚起する。しかし、反面、今度は減税でやっていくと、皆さんのおっしゃる一兆円にいたしましても一世帯で月三千円。いま一番大事な問題は人手というか雇用の問題でしょう。それにどういうふうにつながっていくんでしょうか。そういうことを考えましても、乏しい財源だ、そういう中でやっぱり公共事業を選択する、これが妥当である、こういうふうに思うのです。  それから、財政論、もう先ほど来皆さんからお話がある。財政がこれから非常にむずかしいというんだが、本当にむずかしい。そういう際に、ここで減税をしちゃって一体いいものでありましょうかというような考え方もあるわけでありまして、あれやこれやと考えまして、公共事業以外に有効な手段はないと、このような結論でございます。
  55. 田渕哲也

    田渕哲也君 私は、基本的に総理考え方というのはやっぱり場当たり主義だと思うのです。これからの社会の産業構造とか、あるいは政治の基本をどこに置くかというビジョンがない。だからいま景気の浮揚だけを考えたら公共投資の方がいいということは言えるでしょう。しかし、どういう社会に持っていくべきかということを考えるべきだ。だから波及効果はいいのはわかっているけれども、それだけを重点的に考えるのは誤りではないか、こういうことを申し上げておるわけです。  余りおわかりにならないようですから、次に進みますけれども、今度のこの予算修正——形式上は修正がなかったわけですが、実質上は衆議院で修正されました。減税三千億、それから低所得者対策四百億、これは余り小さ過ぎて私は意味がないと思うのでありますけれども、総理は、この修正された予算についてどのようにお考えですか。
  56. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) これは与野党の間で、関係委員会の議を経た上で、いまおっしゃったようなものをめどにして、具体案はそれぞれの委員会で決める、こういうことでございます。したがいまして、その委員会でどのようなことが決まってくるのか、それによって対処せざるを得ないと思っておるのでございます。
  57. 田渕哲也

    田渕哲也君 そういうことではなくて、修正された予算というものについてどう評価されているか。よくなったと思っているのか、あれで効果があると思っているのか。その点はどうですか。
  58. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 政府といたしましては、いま提出いたしております予算が最善なものだと思っているわけでございまして、われわれは党から話がありましたときも、賛成いたしかねると、こういうことを申し上げているのでございます。
  59. 田渕哲也

    田渕哲也君 それでは、むしろ改悪されたという評価ですか。改悪されたけれども、国会が通らないから仕方がない。つまり国会通過料という意味ですか、三千億の減税は。総理、いかがですか。
  60. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) まあ言葉の話でございますが、賛成いたしかねるということでございます。しかし、国会でございますから、これは立法府でどうお決めになるか、これは政府は残念ながら領域外でございますので、国会で決まれば、そのときに対処してまいる、このような所存でございます。
  61. 田渕哲也

    田渕哲也君 総理の見解はどうですか。
  62. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私どもは、この修正論議におきましては、これは終始修正に反対である、こういう態度を政府として打ち出しておったわけでありまするが、しかし各党の間で話がそういうふうに進んできた。自由民主党側から政府においてもぜひこれに同調してほしいという話がありましたので、同調することにいたしたわけであります。それがいいことか悪いことか、そういうようなことにつきましては、私からお答えする限りではございませんです。
  63. 田渕哲也

    田渕哲也君 私は、われわれの立場からするならば、せっかく修正されたけれども、あの程度では余り意味がない、このように思うわけです。われわれが要求したのはもっと大幅の修正です。というのは、これはこれからの景気の見通しの上に立って必要だからと思うので減税も要求したわけです。住宅対策も福祉も要求したわけです。それがあの程度の修正ならあんまり意味がないのではないか。  そこで、私どもの主張としましては、やはり今回の修正はあの程度しかできなかったから仕方がないとしても、恐らく補正というものが必要になる。だから先ほどから何遍も申し上げておりますように、これについて真剣に考えてもらいたい。いつものように九月や十月になって補正を組むようなことでは、とても七%の成長は不可能である。だから、その場合には、大幅減税も含めて、思い切った手を打ってもらいたい。特に、昨今の円高の情勢から見ますと、私はますますその必要性がふえてきておると思うのであります。この点についての総理の見解をお伺いしたいと思います。
  64. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いま本予算を御審議願っておる最中でありまして、その際に補正をまた先々やるんですなんというようなことを申し上げる、そういう段階ではない。ただいま補正は考えておりませんです。
  65. 田渕哲也

    田渕哲也君 それから予算編成のあり方についてひとつ注文を申し上げたいのでありますけれども、予算案というものは、一遍できますと、幾ら国会で論議して修正するにしても、その枠というものは限られます。そんながらりと組みかえるような修正はなかなかできない。だから今回の場合も形式上は修正なしというようなことにしたわけですね。この辺にやっぱり問題があるわけです。  予算が決まってからでは国会で修正するとしましても限界というものがある。確かに予算をつくる前に党首会談が持たれておりますけれども、党首会談が持たれたのは十二月の十五日、十六日ですか、つまり政府の方針が決まったときです。それではなくて、もう少し早く党首会談というものを持つべきではないか。また党首会談だけではなくて、予算の編成方針を決める前に、事前に国会の審議というものをやったらどうか。そこで各党の主張、意見というものを出し合えば、私は予算の編成のためにもプラスになると思うのですね。予算というものが、政府で予算の編成方針の大綱をつくって、あとは大蔵官僚と閣僚ベースで積み上げが行われて、数字になってから国会に出てくる。そして修正するとしてもなかなかにっちもさっちも動かない、こういうやり方というものは問題があると思います。特に与野党伯仲になった現状から見れば、予算の編成の方針を決める前に、国会の審議というものをやることが私は非常に有効だ、このように考えるわけですけれども、いかがですか。
  66. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 予算に限らず、重要施策は随時野党の皆さんとも御相談をする、こういうことが私は好ましい、このように考えます。そういうような立場におきまして、五十三年度予算の編成に当たりましても、私自身が各党の党首とお目にかかるとか、あるいは大蔵大臣が各党の政策担当者にお目にかかるとか、事細かな意見の交換をいたしておるわけなんです。  しかし、六党あるんですよ、政党は。六党の政党が、これが相談し合って、一つの結論がまとまるかというと、これは私はとうていまとまることはないと思うのです。やっぱりこれはただ一人の責任者が予算案を編成する、こういうことにならざるを得ない。その際に、前広に皆さんの御意見も承っていくということが精いっぱいであって、まあ政府、各党が相談をいたしまして、そこで一致して予算編成の基本方針ができる、こういうようなことは私は言うべくして行いがたいことである、このように考えます。
  67. 田渕哲也

    田渕哲也君 私は、必ずしも各党が一致して予算の編成方針をつくれとは言っておりません。予算の編成方針をつくるのは政府なんです。ただ、それをつくる前に、国会の論議をやっておけばどうか。各党の意見も聞いておかれれば、それなりの私はそういうものを加味した、どの程度加味するかは政府に権限があることですから全部入れなくともいいと思いますけれども、やっぱり取り入れるべきものは入れられる。だからこれは非常に有効だと思うのですが、いかがですか。
  68. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まあなるべく心持ちはそういうふうにしていきたい、このように思います。ただ、決定は、これは一人の責任者が決めるというほかないのでありまして、幾ら論議いたしましても、予算編成方針が一本にまとまるということは、これは期待しがたいことであるというふうに思います。
  69. 田渕哲也

    田渕哲也君 次に、財政再建ということについてお伺いをしますけれども、大蔵省が財政収支の試算を出されました。これは財政計画でもなく政策選択に触れたものでもない、単なる数字をはじき出しただけだ、このように言われておりますけれども、私がここでお伺いしたいのは、単なるそういうものではなくて、政府として、政策的に財政再建についてどういうプログラムを考えておられるか、この点についてお伺いしたいと思います。
  70. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 今度出しましたのは、仰せのごとく試算でございます。しかし、私は、その試算は試算なりに意味があると思っておるわけでございまして、将来の財政がどのような姿になるか、それがまたいろんなケースを出しておりますけれども、そのケースによりまして経済にどのようにはね返ってくるか、それは多くの人が大体それなりに姿を想像されるところと思っておるのでございます。  それから第二点の、そういうことでなくって、具体的な計画を出せというお話、私は論点としてはごもっともだと思うのでございます。政府におきましても、将来は財政計画のようなものを出したいと思って、鋭意いま検討し勉強しておるところでございます。
  71. 田渕哲也

    田渕哲也君 そうすると、いまのところ、政府は、財政再建への方向というものについて具体的な考え方はないということですね。
  72. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) この試算でおよその方向は大体おわかりいただけるのではないであろうか。ただ、毎年の歳入あるいは税制についてどのような改変を加えるか、これはそのときどきの状況でございますが、大勢としては、まず大体見当はつくのじゃないか、こう思っておるわけでございます。
  73. 田渕哲也

    田渕哲也君 私は、たとえば増税の時期というものが非常に重要だと思うのです。収支試算のCケースでは、もう来年度から増税というようなプログラムになっておりますけれども、私はやっぱり景気との関係を無視できないのではないか。景気対策に減税もせざるを得ないかもわからない。そういう時期に増税なんということは、これはできないことですね。だから景気がどういうような状態になれば増税が可能になると判断しておられるのか、この点はいかがですか。
  74. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) もちろん、増税という問題は、やはり経済を離れてはやれないと思います。やはり経済の状況をよく考えねばならぬと思います。  ただ、一般的に増税をやった場合に、それが景気を悪くするかどうかということは、一律的に決められないと思うのでございまして、どのような増税をどの分野から求め、それを歳出の方でどのように出していくか、それによって恐らく決まるであろうと思うわけでございまして、景気対策上増税すべきではないと一律的には私は言えないのじゃないか。やはり具体的にはそのときどきの情勢に応じて、そうしてもっと具体的に考えていく。あるいは国民的コンセンサスを得る、こういうことが必要ではないか、かように思っているわけでございます。
  75. 田渕哲也

    田渕哲也君 理論的には確かにおっしゃるとおりなんです。増税が所得の再配分につながるわけですから、やり方によってはそれが消費の拡大につながる可能性もあるわけです。ただ、実際問題としては心理的な影響もあるわけですね。だから、私は、簡単に景気が余り悪いときに増税はできないと思うのです。総理も需給ギャップがいま非常に多いということも認められておりますし、トンネルを抜けるのはことしでは抜け切れないだろう、来年ぐらいまでかかるだろうということも言っておられます。少なくともこのトンネルを抜けない間は、私は増税は無理ではないか、このように思いますけれども、総理の見解はいかがですか。
  76. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 財政試算からはいろんな見通しが出てくるわけでございますが、その中で増税を一体いつのタイミングでやるかということになりますと、これはその増税を行う、その行わんとするその時点のもろもろの環境をよく見てやらなきゃならぬ、そのように思いますが、特に大事なことは景気です。景気がまだ安定しないという際に、増税はなかなかむずかしいことであろうかと、このように考えます。
  77. 田渕哲也

    田渕哲也君 それでは総理に確認をしておきたいと思いますけれども、少なくとも政府が財政的に刺激を大幅に与えなくては景気が維持できない、こういう間は増税はしない、このように受け取っていいわけですか。
  78. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) それは相対的な問題じゃないでしょうか。財政は、これから先々といえども、いまわが日本社会資本が非常におくれておる、それの取り戻しをしなきゃならぬという問題がありますから、これは先々を展望いたしましても、社会開発投資はかなりやっていかなければならぬだろう、このように思うわけでありますが、それとは別に景気問題というのがある。景気がよくなりましても、ある程度の社会開発投資は必要だと私は思うのです。景気が停滞しているという際に増税をやるということは、これは妥当ではない、このように考えます。
  79. 田渕哲也

    田渕哲也君 そうすると、少なくとも来年度までトンネルは時間がかかるとすると、五十四年度の増税はあり得ない、このように考えていいわけですか。
  80. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) その辺はデリケートなところなんですね。私は、五十三年度は、これはトンネルの出口が見える年だと、こういうことを申しておるわけでありますが、さあ見えてもこれを抜け切るというわけにはまだいかぬ。多少時間がかかる。その多少という時間がどのくらいかかるか。これが一、二カ月や二、三カ月ということでありますれば、まあ五十四年度全体として景気は安定した年だと、こういうふうに言えまするけれども、それが十カ月も十一カ月もかかる、こういうような見通しでありますれば、安定した景気の年である、こういうふうには言えないわけであります。  そういうことで五十四年度は一体どうするんだ、こういうお話でありまするが、五十四年度の時点におきまして、諸般の情勢を見、特に景気の動き、これを見て、増税問題を判断する、このような考えです。
  81. 田渕哲也

    田渕哲也君 少なくとも景気が安定した時点で考える、このように受け取っていいわけですね。  それで、私は、あんまりいま増税増税ということを言うと、それが逆に心理的に冷やすというおそれもあるから、やはりこれは景気が安定してから考えると、このようにしてもらった方がいいと思うのです。しかし、増税ということが不必要かというと、これは絶対に避けて通れない道だと思うのですね。ただ、これには国民のコンセンサスというものが必要である。国民のコンセンサスを得る道として、私は、一つは、やっぱり行政改革というものをもっとびっしりやってもらいたい。この間の閣議決定はどうも中途半端で、あれはさしあたりということになっているから、第二、第三弾だか出るんだと思いますけれども、この点はどうか。やはり行政改革についてある程度国民に姿勢を示さなければ無理だ。  それから第二は、不公平税制の問題であります。利子配当分離課税、これは五十五年度末で廃止ということを言われました。医師優遇税制もこれは五十三年度末で廃止。少なくともこういうものが廃止されてから増税ということにならなければ順序が逆だろうと思います。  それからもう一つは、増税のメリットですね。これだけ国民に負担をかける、財政赤字を埋めるということも必要ですけれども、同時に、それがどういうふうに国民にはね返ってくるか、福祉はどういうふうな充実の計画があるのか、あるいは住宅環境の整備についてはどのようになるのか、こういうそのメリットについてビジョンを示すことが必要だろう。このように思いますけれども、いかがですか。
  82. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) おっしゃるように、増税を求める前提といたしましては、いわゆる不公平税制と言われるものの是正はぜひやらねばならぬと思っているところでございます。その意味で、いま挙げられましたようなものについては鋭意検討をし、また、大体決まった線でやりたい、こう思っていま努力いたしておるわけでございます。  増税の結果、そのメリットは一体どこにあるか。これはもちろん大事な問題でございまして、先ほども申しましたように、それを一体歳出面でどの方面に出していくか、それが景気との関係でどうなるか、その点について国民的なコンセンサスを得る必要があるだろうと思います。  それからもう一つは、仮に増税を求めないとして、このまま公債が累増していくときに、やはり将来の問題を考えますと、これは後代に負担を残すというだけの問題ではありませんで、やはり民間の資金需要が落ちてきたときには大変な問題になるわけでございますから、ですから、できるだけ早くこの大型の公債依存から脱却するとともに、残高についても縮小していく必要があるであろうと、あれやこれやと八方に気を配りまして、その問題の解決に当たらなければならない、このように思っているのでございます。
  83. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) お答えいたします。  御議論のように、大変厳しい経済情勢でございます。したがいまして思い切った行政のコストダウンをしなければならない。税金のむだ使いにならないようにしなくちゃならない、こういう考えでおります。  したがいまして、昨年末に閣議決定をいたしまして、簡単に申し上げますと、農林省の農林水産省への改称をするというような問題を初めといたしまして、中央省庁の課というようなものを五十一整理をするということにいたしました。それから地方出先機関のうち支所、出張所等約千カ所を整理することに決定をいたしました。国家公務員につきましても、五十二年度を起点といたしまして四年間に二万八千人の整理をする。また定年制の導入ということも決定をいたした次第でございます。  それから、特に特殊法人という問題につきましていろいろ御議論もあるとおりでございますから、現在十四の法人を対象に整理統合をいたしますが、前からのを合わせますと二十一の法人を整理するということにいたした次第でございます。  なお、その特殊法人の役員の退職金が非常に高いというようなことで、二割これを削減するということに決定をしたわけでございます。  なお、審議会は大変多いのでございまして、四十八の審議会を整理統合いたします。  それから、補助金は千四百二十二億という、これももっとよけいやればいいんですが、これでも思い切った千四百二十二億を削減するようにいたしました。  なお、許可、認可事項の整理をいたしまして、これは千二百四十事項にわたって廃止をする、また簡素化するというふうにいたしたわけでございます。  そこで、この方針を逐次実行いたしまして、この国会にも審議会等の一括整理法案を提出いたしまして、実は、御協議願うことになっております。その数は四十七審議会を統廃合するということ。なお許可、認可等を一括整理いたしまして九十六の事項を整理するという法案を提出しております。  また、農林省設置法の改正案を提出いたしまして、営林局の四つを整理するということにいたしました。  なお、行政管理庁といたしましては、地方行政監察局三局を整理いたすことにいたしたわけでございます。  これで十分というわけではございませんが、なかなかこれを整理するという問題になると、大変議員の皆さんもみんなやれやれということでございますが、なかなかまあ総論では皆さんは全部賛成ですが、各論に入りますと、こっちの方をつぶしちゃ困る、これを廃止しちゃ困るというような御意見も非常に多いのでございますが、いずれにいたしましてもひとつ大いに努力いたしまして、なおこの目的が達成できるように、厳しい情勢下、厳しい経済化におきましては何といたしましても行政のコストダウンをするということで一生懸命やっておるわけでございます。どうぞ法案が出ましたら、速やかにひとつ御決定を願うようにお願いを申し上げる次第でございます。
  84. 田渕哲也

    田渕哲也君 閣議決定には「差し当たり」と書いてありますが、あれは第一次のものと考えていいわけですか。だから第二次、第三次のそういうものが出てくるのかどうか、出るならいつごろになるのか。
  85. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) 第一次決定をいたしまして、なお引き続いて第二次、第三次、あらゆる努力をいたしましてひとつ目的の達成をしてみたいと思っております。しかし、なかなか省庁の統廃合というような問題になりますと、これは大変です。いまさっき申し上げるように、どうしたら不況をなるべく早く克服ができるか、トンネルを早く通り切れるかどうかというような問題につきまして、省庁の統廃合ということになって、これが経済問題に邪魔をしないように、これが支障を来すような、経済の問題に妨害になるというようなことのないように、こういうこともひとつ考えながら慎重にやっていくつもりでございます。御理解を願います。
  86. 田渕哲也

    田渕哲也君 それでは第二次、第三次の案も、方針も出ると見ていいわけですね、あれでもう終わりじゃなくて。
  87. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) おっしゃるとおりでございます。第二次、第三次、進めていくつもりでございます。
  88. 田渕哲也

    田渕哲也君 それから、先ほど主張しましたように、やっぱり増税の地ならしをする、行政改革のある程度めどをつける、それから不公平税制のめどをつける、それから増税と踏み切るのが順序だと思うのです。この順序は守っていただけますか。
  89. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 全力を挙げまして、そのようにいたしたいと思います。
  90. 田渕哲也

    田渕哲也君 そうすると、五十五年度まで利子課税があるわけですから、増税はそれより後ということになりますね。
  91. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) そのようには考えていないのでございます。
  92. 田渕哲也

    田渕哲也君 それじゃ言うことが矛盾しているわけで、やはりその順序は守ってもらいたい。でないと、なかなか増税ということは国民に理解を得られませんよ、不公平税制をそのままにして、片一方で税金をふやせなんて。やはりある程度これははっきりしてからでないとだめだと思いますが、いかがですか。
  93. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 方針が大体決まっておるわけでございますので、国民の方々にもその点を御理解いただきまして、増税が必要であれば、またその点について国民的コンセンサスをぜひお願い申し上げたい、こういうことでございます。
  94. 田渕哲也

    田渕哲也君 少なくともそういう問題にめどがついてからという理解でいいですね。めどがつかない間は増税はやらぬと、よろしいですね。
  95. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) めどの問題でございますが、われわれはいまやる、こう言っているわけでございますから、まあ考えようによってはめどがいまつきかかっている、こういうことだろうと思います。
  96. 田渕哲也

    田渕哲也君 やると言われただけではだめなんで、やる時期とか方法がはっきり確定してからという意味です、めどというのは。
  97. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 具体的に申し上げますと、医師優遇税制につきましては五十三年度限りにいたしまして所要の立法をいたします、こういうことにわが党で決めているわけでございます。利子配当の問題につきましては、田渕さん御承知のように、非常に技術的な問題がございます。用意なくしてやりますと新たなる不公平が出てまいりますし、それから税収の問題から言っても大減収を起こす危険さえあるのでございます。したがってそれらの問題については相当月日がかかる問題でございまして、われわれがいま五十六年度からと言っているのは、もう鋭意そこに努力目標を置いているということを御理解願いたいのでございます。それが実現しない間はと、こういうことになりますと、これは財政は大変な話でございますので、その辺のことはひとつ常識で御理解賜りたいと思うのでございます。
  98. 田渕哲也

    田渕哲也君 それから総理一つお伺いしたいんですが、国債発行の歯どめでいままで三〇%ということを言ってこられましたけれども、これが崩れたわけです。それで衆議院の本会議での答弁では、新たな一つの基準として赤字国債について二四%という線を出されております。これから国債発行の歯どめはどこに置いて運用されますか。
  99. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いまお話がありましたが、今度、一般会計を投資勘定と経常勘定に分けて考えるというふうにいたしたわけであります。当分の間、投資勘定の財源は公債に依存をするということになりますが、この五十三年度における経常勘定における国債依存度ですね、これは実質二四%でございます。これを一つのめどといたしまして、将来、この経常勘定における依存度をだんだんだんだんと下げていく、こういう努力をしたらどうだろうと、いまそんな感じを持っております。
  100. 田渕哲也

    田渕哲也君 私は三〇%の歯どめといい、あるいは特例公債の二四%の歯どめといい、余り合理的だと思わないですね、何となく数字をいいかげんに決めてそれを歯どめとしておるようで。私は、国債発行というものは、もう少しほかの経済要素考えて総合的に検討すべきものではないか、歯どめというものは。たとえば需給ギャップの状況とか、あるいは潜在的な経済の成長力がどうかとか、あるいは民間の貯蓄の超過がどれぐらいあるとか、そういう指標をもとにして歯どめの基準を決めるべきで、その三〇%とか二四%とかと何となく意味のない数字で決められるというのはどうかと思いますが、いかがですか。
  101. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 国債の発行額は、これはその時点における資金の需給、これから見まして国債が消化される、これがもうきわめて重要な前提にならざるを得ないわけであります。ですから、その時点時点でそういう考え方で決めていけばいいようなものでございまするけれども、どうも国債がとにかく五十三年度のように多額に発行される、将来何か一つ展望を持っておりませんと、これはなかなか国民も安心していただけないんじゃないか、そういうことを考えまするときに、形式的な一つの歯どめ、これを設定しておいた方がいいんじゃないか、そのように思うのです。  そういう意味から言いますと、経常勘定における国債依存度が五十三年度は実質二四%でございますから、それを踏み台にいたしまして、毎年毎年経常勘定における国債依存度を下げてくる。そしてなるべく早くいわゆる赤字公債、これはゼロにしちゃおう、こういう考え方をとろうとしておるのであります。
  102. 田渕哲也

    田渕哲也君 あと増税の方法について、いまいろいろ喧伝されているのは一般消費税ということです。  ただ、先ほどちょっとお話にありました所得の再配分、さらにはそれが需要拡大につながるというような考え方からすると、一般消費税はちょっと問題があるのではないか。特に現在のように消費が停滞し、景気回復がおくれておる、あるいは貿易収支の均衡という点から考えても一般消費税はむしろマイナスではないか、この点はいかがですか。
  103. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 政府の税制調査会では、将来の増税の展望といたしまして、所得税の一般的負担増によるか、あるいは一般消費税を導入するか、こういう問題を提起しております。特に一般消費税というものはどんなものであるかわからない、それだけに速やかに政府において具体案をとにかくつくって、それで国民の方々に示して、そしてその反響なり、そういった国民的コンセンサスを得るようにしたらどうか、こういう御提案がございますので、いま検討しているところでございます。  しかし、いまおっしゃった消費税というものをかけると消費が減るじゃないかというお話でございます。これはかけない場合よりもかけた場合の方が消費についていい影響を持たないであろうということは容易に想像がつくところでございます。しかし、それはどのような負担でどのようなものを対象にするか、こういうことにもよりましょうし、そしてまた単にその消費税という、今度一般消費税というところだけではなくて、やはり租税体系全体でもって判断する、これもまた重要だと思うのでございます。  御承知のように、日本は、直接税のウエートがアメリカに次いで高い。いま七〇%ぐらいでございます。ほかのラテン系でございますと逆でございまして、間接税が七〇%。ドイツとか英国あたりは大体直接税が六とかあるいは五、五とか、こういった比率にあるわけでございます。消費税で申しますと、大体、ほかの国に比べて三分の一であるという、こういう見地もまた考えていかねばならぬわけでございまして、消費税を起こすことによる可否、並びに租税体系全体として所得再配分機能なり、あるいは納めやすいか納めやすくないか、こういったあらゆる点を考えて決定すべきものではないかと私は考えておるところでございます。
  104. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 午前の質疑はこの程度にとどめます。  午後一時十五分から委員会を再開し、田渕君の総括質疑を続けます。  これにて休憩いたします。    午前十一時五十五分休憩      —————・—————    午後一時二十六分開会
  105. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 予算委員会を再開いたします。  昭和五十三年度総予算三案を一括して議題とし、午前に引き続き田渕哲也君の総括質疑を行います。田渕君。
  106. 田渕哲也

    田渕哲也君 まず最初に、本日の午前カネミ油症の裁判の判決が出ました。国及び北九州市の責任は問われなかったわけであります。しかし、企業の責任は認め、ただ賠償額が要求の半額程度に減ったという、原告側に対してはかなり厳しい判決であったと思います。国は責任は問われなかったとはいうものの、現在多数の被害者がいまだに苦しんでおるわけであります。これに対して、厚生大臣として今後どのような措置をとられ、救済に対してどのような努力を払われるか、まずお伺いをしたいと思います。
  107. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 国の食品衛生法上の責任はないという判決でございますが、患者さんの救済については私どもその法的な責任にかかわらず、やはり深い同情といろいろな面の配慮のもとに救済に努力をしていかなければならないと考えております。したがって、私ども、従来とも研究班を九大等を中心にして設けましてこの油症のいろいろな研究を促進をさしておりますが、同時に患者の追跡調査等をいたしまして、診断基準の改正等いろいろ努力をいたしております。また、生活に困窮を来すような患者さんがあった場合には、世帯更生資金等の特例措置を講じましてごめんどうを見てあげるというような措置をとっておりますが、今後とも食品衛生関係ではできるだけの施策の充実を図りまして、われわれとして両面から努力をしていきたいと、かように考えております。
  108. 田渕哲也

    田渕哲也君 この問題に関連しまして、現在、商品に対する消費者保護の立場から製造責任者に対して責任を明確化する、このような立法化が経済企画庁で検討されておると、このように伺っておりますけれども、その内容並びに見通しについてお伺いをしたいと思います。
  109. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 政府の消費者保護会議におきまして、すでに総合的な消費者被害救済制度の確立の検討を進めることという決定がございました。それにつきまして、経済企画庁を中心にいろいろ検討いたしておりますが、なかんずく昨年関係各省庁から成ります調査団を欧米に派遣いたしまして、その所見として発表されましたところは、ヨーロッパにおいては、判例によっていわゆる製造物責任というものが相当程度認められるに至っておるので、各国の間でこの法制化についていろいろな議論が行われている。アメリカにおいては、すでに製造物責任というものは一般的に承認されておる結果、今度は製造者がそれを保険するということで、保険料率が非常に高くなってしまっておるというような問題があるといったような所見を調査団が持って帰ったわけでございます。  そういうことも参考にしつついろいろ検討をいたしておりますが、この問題は、結局民法の挙証責任というものの原則をいわばちょうど転換をするということになるわけでございますから、それだけに非常に大きな問題であろうと存じます。社会的なそのようなコンセンサスが成熟をしてまいりませんと、立法だけが先へ進むということもむつかしいのではないかという一面がございます。他方で、しかし、たとえば薬害救済法とでも申しますようなそういう単独法によりまして特定のケースを救うということは、これは考え得ることであるかもしれない。その場合にも民法との関係がございますわけではありますけれども、民法というような大きな法典に触れることなくあるいは何がしかの立法が可能であるかもしれないというふうには考えられますけれども、これはまたしかし所管の大臣のいろいろお考えがおありであろうかと存じます。
  110. 田渕哲也

    田渕哲也君 あと、残り時間も少なくなりましたけれども、住宅対策について政府にただしたいと思います。  私は、現在の住宅の問題こそ高度成長のひずみの典型ではないか、このように考えておるわけです。五十三年度予算で政府が住宅に重点を置かれた、これは非常に結構だと思いますけれども、しかし、余りにも景気浮揚のための場当り的な政策にすぎない、こういう気がするわけであります。  住宅についての状況を見ますと、政府が出されております国民生活白書、これによりましても、首都圏における住宅の建設費と国民の年収、これの比較が出ております。昭和三十五年は住宅を取得する場合に年収の二・五七年分で取得ができた。これが昭和四十八年には実に四・七四倍、五年近く働かなければ住宅が取得できない。さらに、資金を借りるにしましても、この資金調達可能率というのが計算されておりますけれども、三十五年にはこれが一〇四であります。平均的な勤労者ならば借金をすれば住宅が建てられるという範囲でありましたけれども、四十八年はこれが七五、平均的な勤労者は借金をしても住宅を建てることができない、こういう状況になっているわけであります。いわゆる所得と住宅取得額の乖離という現象があるわけでありますけれども、これについて政府はどう考えられるのか。これを解決するためには、少なくとも欧米並みに大体三年前後の年収で住宅が取得できるようにするためには、一方では土地の値段を下げるか、あるいは国民の収入をもっとふやしていくか、いずれかしかないと思いますけれども、大体どういう方策でこの問題を改善されようとするのか、政府に見解をお伺いしたいと思います。
  111. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 具体的に申し上げる方が御理解願えるのじゃないかと思うのでありますが、ことし予定しておる住宅金融公庫を通じての個人住宅につきまして、四十万戸という大幅な増加を考えておるわけでございますが、これにつきまして、お話しのような土地の問題、あるいは建設の上において支障があるのではないかと、こういうことになりまするが、従来の傾向から見まして、住宅金融公庫を通じてやる場合に、五万戸程度の方々が土地の手当てがない、千四百ヘクタールぐらいなものが必要ではないかと、こういうことになります。この程度の対策は現在の宅地供給対策で可能であると思います。それから今回融資枠を五百万円にする、あるいはマンションの場合は七百五十万円にする、また土地につきましても三百五十万円を出す、また、償還につきまして、木造が二十五年、コンクリートなんかの分について三十五年ぐらいの償還にしておる、また、その当該年度は据え置きにするというようないろいろの工夫をした上で、手持ちの預金とそういうようなものを総合して年間所得おおむね三百万円見当の方が住宅が建てられるかどうかということになると、私どもとしては、それは償還が十分可能な範囲でやり得ると、こういうふうに推定をしておるわけでございます。
  112. 田渕哲也

    田渕哲也君 私が申し上げておるのは、高度成長日本経済が発展したにもかかわらず、事住宅に関しては国民はますます貧困化しつつある。なぜなら、住宅取得能力というものが落ちてきておるわけですね。これを改善する道は何かということをお伺いしておるわけです。これは土地の価格を下げるか、収入を急激にふやすか以外、どちらかしかないわけです。どちらの道を政府はとられるのか、この点についてお答えいただきたい。
  113. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 田渕委員は、住宅建設が現在の所得状況からだんだん苦しくなってきておる、だから建築はむずかしいのじゃないかという御前提のようでございまするけれども、最近における土地価格の状況をごらんいただきましても、ここ三年間は他の消費者物価、卸売物価に対比いたしまして相当鎮静しておることは事実でございます。また、住宅建設の資材類につきましても、最近大幅公共事業ということからいろいろ懸念はされておりますけれども、冷え切っておった状況からいたしますと、現在われわれとしてはまず許容でき得る範囲にあると思うのであります。したがって、住宅建設の上にいろいろな悪条件が非常にふえてきておるとは思わないのであります。また、土地全般から見ましても、年間一万ヘクタールぐらいの造成は、五十一年、五十二年の実績を見てもおわかりになると思うのでございまするが、なお未建築でストックになっておる土地の状況というものも相当ございまするから、なかなか土地の取得がむずかしいとは言いながらも、全般的に見てまいりまするならば、まだまだその余裕があるのではないかと、そう住宅建設にむずかしい条件が重なってきておるとは見ないのであります。
  114. 田渕哲也

    田渕哲也君 建設大臣のお答えでありますけれども、私がお伺いしておるのは、政策の基本としての住宅政策をどう考えるか。特に高度成長というもののひずみが住宅において如実にあらわれておるではないか、これの是正についてどう考えるか、やはり土地の価格というものを抜本的に考え直さなくてはならない、そういうこれからの大きな政策大綱について政府の所信をお伺いしたい。これは総理並びに経済企画庁長官にお伺いをしたいと思います。
  115. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) いわゆる三全総等々においてもそういう問題は取り上げられておるわけでございますし、また国土利用計画法におきましてもそれらについて対処を法的にいたしておるところであります。一部に土地の所有権というものはもちろん尊重いたすとして、利用権についてある程度のこれを公共の目的に利用する場合にはそれなりの奨励策を講じる、そうでない場合には一定の——決して罰則ではありませんが、そのような奨励策を講じないといったようなことが可能であるかどうかという議論がございます、これは大都市においてでございますが。しかし、それらの考え方は、基本的には国土利用計画法などにも一部すでに取り入れられておるわけでございまして、私はこういうことを着実に進めていくということが当面妥当な行政ではないかというふうに考えております。
  116. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これから社会経済に対する考え方を相当変えるべきだと、そういうような御所見でございますが、私もそのとおりに考えます。いままでの経済は、やっぱり設備投資、これが景気を推進するというようなことであり、したがって産業優先体別というような状態でありましたが、これからの日本経済日本社会、これはどういう形かというと、そうでなくて、生活優先というか、そういう考え方に立つべきであり、したがって景気を推進するその推進力としての投資、それは生活関連投資、これが中心になっていくべきであると、このように考えております。
  117. 田渕哲也

    田渕哲也君 私は、住宅というのは、特に国の政治の中心として置くべき問題になりつつあるような気がするわけです。日本の平均的住宅というのは、ゆとりのある、生活をエンジョイするための場ではありません、平均的な住宅は。物置き兼ねぐらであります。それをやはり外国のようにゆとりのある生活の場としての住宅を建設する方向に対して政治の力を加えなくてはならない。それで、現在国民の住宅に対する需要はきわめて旺盛なんです。いまの住宅に不満を持っておる人が四四%、建てかえをしたいという人が全体の半分もいる。ところが、なかなかこれが進まないというのは一体なぜか。金がないからか。国民の貯蓄資産は二百三兆もあるわけです。だから、この金を有効に使って国民の豊かな住宅を建設するというのは、これから当面の政治のきわめて壮大なビジョンとなり得る問題ではないか。ただ、これを妨げておるのが地価の高騰です。だから、地価の高騰に対して何らかの手を打つならばこの問題の展望が開けるのではないか、このような観点から質問しておるわけでありますけれども、これについての御所見をお伺いしたいと思います。
  118. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 地価の高騰ということをおっしゃいますが、先ほど申し上げたように、ここ数年の地価の状況というものは、卸価格や消費者価格に比較してちっとも上がっておらないんです。それよりもずっと下回っている。二・六%、一番高くなっているときがですね。だから、地価が高騰高騰という論拠からいろいろおっしゃっても、ちょっと私としては理解しかねるのであります。  それから土地があるかないかということについては、先ほどもお話を申し上げましたように、現在建築をしておらないところの土地というものが相当にあるんです。それから年々どの程度必要かということにつきましては、五十一年、五十二年度実績で大体一万ヘクタール見当の造成ができておる。そして、五十三年もその程度の補給ができるならば需要にこたえられると、こういうことを申し上げておるのでありまして、どこに問題点があるのか。さらには、個人が建てることにつきましては、住宅金融公庫などを通じて五十三年度におきましては大幅に条件緩和をしておる。しかも、本年の一−三月に前倒しで七万四千戸の募集をしたところがすぐそれは応募締め切りをするように相当住宅金庫公庫の個人住宅融資に対する期待がかかっておるわけで、これらの施策を拡充していくことによりましてそう困難性はないと。  ただ、おっしゃるように、現在居住中の方々の中で不満がある。その不満は狭いという不満であります。しかし、その狭いという不満を持っておる方々の中で半数は持ち家なんであります。そういうような状況でございまして、しかも、現在は世帯数に対して住宅の戸数は、まあ大まかで恐縮でございますが、もう百七、八十万戸は戸数はよけいなんです。だから、今後は質の問題になってきておるということを申し上げておきたいと思います。
  119. 田渕哲也

    田渕哲也君 建設大臣の言われるのは当面の動きでありますが、私は長期的に見て、高度成長期をずっと振り返ってみて言っておるわけで、所得が三十五年から現在まで七倍にふえておる。ところが、地価は、全国市街地では十倍、六大都市では住宅地で十三倍になっておるわけです。これがいわゆる所得と土地との乖離という現象になっているわけですね。これは高度成長一つの大きなひずみの典型ではないか。これを改善するために政府は何か考えておるのか、何も考えないのか、この点について総理大臣はどうなんですか。
  120. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) その年度のとり方で非常に上がったというようなことも言えるかと思うのですけれども、石油ショック以降の状況をごらんいただきたいと思うのであります。  それからビジョンを持てということでございまするが、われわれは、昭和六十年に向かって中程度の暮らしの方には三LDKをひとつ目標にしようと、そして六十年度におきましては最低でも三DKを確保しようという五カ年計画を示して、それに沿っての施策を遂行しておるのでありまするから、決してビジョンがないわけではないわけでございます。
  121. 田渕哲也

    田渕哲也君 私が申し上げたいのは、ローンも結構ですけれども、住宅を取得することによって国民は貧乏になっています。なぜかというと、収入の伸びより住宅の価格の伸びが高いから、住宅を取得することによって高度成長の恩恵にかかわらず国民は貧乏になっているんです。この点について政府は何か考えてもらわないといかぬ。  それで、自民党におきましても、宮澤大臣の主宰される平河会は、土地の所有方式とか、そういうものについて改革的な意見を出されておりますが、私は、本当はそういう問題についてそれこそコンセンサスをつくるべき時期に来ておる、抜本的なそういうあり方について考え直すべき時期に来ておると思うのです。しかし、これはかなり一朝一夕にできる問題ではないと思いますが、当面、民社党が主張しております、宅地開発に伴う関連公共設備費の開発費の負担、これは現在都市開発協会の調べでは約五〇%、四八・八%公共施設の関連費の負担が宅地の価格に含まれてきておるわけです。これに対して、少なくともこれは二五%までにとどめて、あとは補助をしなさい、補助の仕方は地方債の発行並びに利子補給、これを組み合わせてやるべきだというのがわが党の主張です。これは具体的な提案です。これをやれば少なくとも二割程度は地価が下がるんです。この点についてはどうなんですか。
  122. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 田渕君、時間が参っております。
  123. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 民社党でそういう御提案をされておることをよく承知しておるわけでございますが、現在宅地造成の上で一番問題は、関連の公共・公益施設であると思うのです。それで、これは国庫補助事業としてやっておりまするが、最近における傾向としては、地方財政の不如意、また国でも同じ傾向があったと思いまするが、民間デベロッパーにそういうようなものを全部かぶせてしまう、したがって土地代が非常に上がってくると、こういうことでありまするから、今回は別枠に公共施設整備のために予算をお願いをしておる、あるいは公益施設についてももしどうしてもむずかしい点があれば国土庁の調整費も使おうと、こういうようなことで、それらのことによりましておおむね五%ないし一五%、これは団地団地によって条件が違いまするから幅がありまするけれども、この負担の割合というものを下げる可能性があるわけであります。現在、公的宅地開発においては四五・五%、民間宅地開発では三二・五%がこの関連公共・公益施設にとられておるわけでございまするが、いまのような施策とともに、なお立てかえ施行制度などもございまするから、それらをやることによりまして五%から一五%下がれば、この民社党の御提案になっているような二五%程度になっていくのであります。したがって、従来衆議院におきましても、民社党の御趣旨をよく踏まえて公共・公益施設については十分考えておるということを申し上げておる次第でございます。
  124. 田渕哲也

    田渕哲也君 時間がありませんのでこれで終わりたいと思いますが、外貨の問題、国際収支が非常に黒字である、内需を拡大せぬといかぬ。私は、この住宅問題についてもう少し政府が真剣に取り組んでいただければ、国民の二百兆の貯蓄を有効に使い、外貨を有効に使い、そして国民のニーズにこたえてゆとりある住宅を建設する、そういう方向に持っていけると思うのです。また、それが私は政治というものではないかと思うのです。だから、ぜひこの土地の問題も含めて真剣に考えていただきたい。この点を要望しまして、時間が来ておりますから質問を終わりたいと思います。
  125. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 以上で田渕君の総括質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————
  126. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 次に、玉置和郎君の総括質疑を行います。玉置君。
  127. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 党を代表しまして総括質疑に立たしていただきましたことを感謝申し上げます。  総理、きょうはのどを痛めておるそうですから、イエスかノーかでいいです。  そこで、ちょっとお聞きしますが、総理は精神身体医学というのを御存じですか。イエスかノーかで結構です。
  128. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 名前は聞いたことはありますけれども、中身は存じません。
  129. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 そんなに答えぬでいいんです、イエスかノーかでいいですから。  そこで、なぜ聞くかといったら、精神身体医学というのは、人間の体はその人の心の持ち方でどのようにでもなるというのが最近の精神身体医学、これはもうアメリカでも日本でもそうなんです。日本の権威は九大の池見酉次郎先生なんです。これは世界的権威です。  そこで、なぜこういうことを聞くかといいますと、最近総理がのどが痛い、のどが痛いと言うでしょう。非常に苦しい。これは私は非常に御心配があるからだと思うんです。それは……(「心の持ち方が悪いんだ」と呼ぶ者あり)そうじゃない、そうじゃない。われわれ与党ではそんなことは言わない。それは、しゃべりたくないという気持ちがあるんです。なぜかといったら、日中問題がある。非常に微妙な日中問題、それを、野党の諸君が、ああでもない、こうでもない、言え言え、言え言えと、こう言う。これは専権事項なんですよ。だから、一国の政治の頂点に立ち、外交の最高責任者である福田内閣総理大臣におかれては、いや、これは言っちゃいかぬ、言っちゃいかぬというその気持ちでのどがやっぱりはれてくるんです。  それと、もう一つは憲法なんです。憲法論議なんです。つまらぬこと言うなあ、こんなことにひっかかっておったら国の方針を誤るなと思いながらも、現憲法の枠内に縛られておる内閣としては、政治の頂点に立つ総理大臣としたら、ああ、ここはやっぱり言わざる方がよろしいというのでだんだんのどが痛くなってくるんですよ。これを精神身体医学と言うんです。われわれみたいに何でもしゃべれる者はちっとものどが痛くならぬのです。これがこうなる。おわかりでございましょうか。  そこで、外務大臣、あなたにお伺いするが、あなたは精神身体医学を知っていますか。
  130. 園田直

    国務大臣園田直君) 知っております。
  131. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 知っていますか。しかし、外務大臣は、わが輩がやらにゃいかぬ、そしてやっぱり状況をつくらにゃいかぬといって、そしてしゃべりたいという気持ちがあるから、ちっとものどが痛まぬ。そこの違いでありまして、どうかひとつ閣僚の諸君も、これから私の言うことについてのどが痛くなるようなことでは本当の政治はできないんですよ。しかし、一国の頂点に立つ内閣総理大臣には余りべらべらしゃべってもらっては困る。のどが痛くなるぐらいでちょうどいいんです。これを前置きして、これから質問に入りたいと思います。  そこで、法制局長官、現憲法は、象徴天皇とそれから国民主権の原則というのは私は両立し得るというような解釈をとっていますが、どうですか。
  132. 真田秀夫

    政府委員(真田秀夫君) 御存じのとおり、憲法は、第一条に、「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。」と明瞭に書いてございます。また、憲法上、天皇は、内閣の助言と承認によりまして形式的あるいは儀礼的な国事行為のみを行って、国政に関与する権能をお持ちになっておりません。こういう点から見まして、おっしゃいますように、天皇の象徴制とそれから国民主権の原則とは決して矛盾するものではなくて、両立し得るというふうに考えます。
  133. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 そうしますと、元号存続は国民主権に反するといってあれは違憲だなんという意見がありますが、私はそういうことは間違っておると、こう思っておりますが、どうですか。
  134. 真田秀夫

    政府委員(真田秀夫君) 元号制度を存置することが憲法に違反するなどとは私も毛頭考えておりません。
  135. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 憲法大臣と言われた金森徳次郎国務大臣、これが第九十一回の臨時帝国議会、いわゆる憲法制定の当時ですね。そのときに、新憲法下においても元号は存続し得るものであり、明治元年の行政官布告第一号は生きているという立場をとっておられますし、いま私はここにこの資料を持ってきております。内閣官房編集の法令全集、これですが、この中の二百八十八ページから二百八十九ページにちゃんとこう載っています。それはどうですか、御存じですか。
  136. 真田秀夫

    政府委員(真田秀夫君) ただいまお示しの文章は私も読んだことがございます。
  137. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 そこで、これは各大臣に聞いていただきたいんですが、護憲だ護憲だといって叫んでおる政党が幾つかあります。ところが、現憲法の中に、条約は遵守せにゃいかぬという国会議員の義務がある。それなのに、国が決めた条約、それに対して、国会を通しながらも、絶対粉砕だとか絶対反対だとか、こう言う。また、憲法の第一章に天皇の条章があります。日本国の象徴であり国民統合の象徴であると、こう言っておる。そして、護憲だと言いながら、天皇制は反対だと、こう言う。しかも、その党がつくっておる人民憲法なるものには、天皇をぼろくそに書いてある。そういうことがまかり通っておる日本の実情について、おかしいと思いませんか、総理。イエスかノーかで結構です。
  138. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 一部の議論には行き過ぎがあると、こういうふうに思います。
  139. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 そこで、これは官房長官に聞いたらいいんだと思いますが、憲法の不備な点に触れてそうして大臣を棒に振った政治家が何人かおりますが、これはだれとだれですか。
  140. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 憲法問題に関して物議を醸してみずから辞任した国務大臣は、二人おります。第二次佐藤内閣のときの倉石農林大臣、第二次田中内閣の際の増原防衛庁長官でございます。
  141. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 西村さんを忘れておると思いますが、とにかく、おかしなことだと思うのです、私は。この国会というのは国権の最高機関であって、法律をつくるという立法を通じて国家の最高意思をつくり出すところなんです。そういうときに、もろもろの法律の根本になる国家基本法であるといわれておる憲法、その不備な点を言って国務大臣がその地位を棒に振らなきゃならぬというようなことは、これはおよそ議会制民主主義をとっておる国としてはおかしなことなんです。それはどう思いますか。イエスかノーでいいですよ。
  142. 真田秀夫

    政府委員(真田秀夫君) 憲法には、国務大臣はもちろん憲法を遵守しなければならないという規定はございます。しかし、別に憲法自身が憲法改正の手続も決めておるわけでございますから、国務大臣である方が憲法を研究なさって、そしてこの点は不備であると、改正の必要があるという意見を吐かれることは、これはもう当然御自由でございまして、そういう改正の御意見をお出しになることと、それから現に効力のある憲法、まだ改正される前の現在の憲法を守るという義務とは、これは全く別な話でございますから、改正論議をやることは一向憲法に触れるものではございません。(発言する者あり)
  143. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 いま不規則発言が盛んですけれども、これが非常に情けない状態日本の国を持っていっておるのです。これはやっぱり少なくとも国会議員であることが前提なんです、現在の国務大臣は。そのときに、憲法論議ができないということになると、これは一体何のための国会かということなんです。その辺から非常に日本の国があいまいになってきた、黒白が弁じがたきになってきた。私は以前の予算委員会でも言いましたが、清朝の末期に大混乱が起こったときに、忠臣曽国藩というのがおった。それが清朝の皇帝に忠言したが、なかなか入れられなかった。そうして、野に下って彼はみずからの生命を断つのですが、そのときに彼が言った言葉は、黒白弁じがたきは亡国の兆しと、こう言った。いま確かにそうですよ。黒白弁じがたきは亡国の兆しである。一番肝心な憲法論議がこの国権の最高機関でやられないというふうなこと。かつて自由民主党ができたときには堂々とやった。これはここに資料がある。改正論議が鳩山総理大臣によって第二十二国会においてやられた。改正をするのが至当であるということを言われた。それから第十九国会、昭和二十九年三月二十四日、教育の中立制のことに触れても緒方副総理がそれをやられた。それからさらに岸総理大臣が、海外派兵問題、こういう問題について憲法改正の必要性というものを言っておられる。そのときには問題にならないで、今日憲法論議に触れてちょっとしたことを言った場合に、大方の国民は、間違ってないことを言われた、りっぱなことを言われたと思っておりながら、国会では、国会の運営がとまる、重要法案の審議がおくれる。その国会運営のためにこういう論議がいつの間にかうたかたのあわのごとく消えていくということは、わが国の将来にとって私はゆゆしき問題だと思う。そうして、憲法九十六条の改正の条項は、いま憲法の問題についてどうのこうのと言った場合にどうなるということはちっとも決めてないで、むしろ改正の手続をちゃんとこうしたらできますよと決めておる。にもかかわらず、いままでのような状態はおかしい。  そこで、私はもう一回聞きますが、総理、これはやっぱり答えてもらわにゃいかぬ、のどが痛いったってこれは大事なことですから。いままでの私の話を聞いていただいて、また法制局長官の答弁を聞いていただいて、いままでのような国会運営、憲法の問題に触れての国会運営のやり方については、遺憾であるのか遺憾でないのか、その点をはっきりしていただきたい。
  144. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 日本国憲法は、その九十九条において、閣僚、公務員に対して憲法遵守義務を明確に打ち出しておるわけであります。一面、改正につきましてまた改正の手続を決めておると、こういうことでありますから、これは両々両立し得る問題だと、こういうふうに考えております。ですから、憲法改正、これを論議してはならぬというようなことであれば、これは私は行き過ぎな議論である。遵守ということと論議するということはもう全く別の問題である、明快にそうお答え申し上げます。
  145. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 そうしますと、重ねて聞きますが、憲法の不備な点について政治家として国会議員として国務大臣として堂々の論陣を張って、そうして国民にその内容についての見解を明らかにするということは、私は政治家の責任だと思っておるんですが、その点についてはどうですか。(発言する者あり)
  146. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まあ議員が議員の立場において憲法改正、これはもう憲法で決められているんです、その手続は。ですから、大いに議論をされる。議論をしたいのをしないでおるということは、私はこれは大変退嬰的な姿勢であると、こういうふうに思います。
  147. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 これは不規則発言に何も耳を傾ける必要もないのですけれども、私の友人たちが言っておるんですが、私はやっぱり鳩山先生、緒方先生、岸先生は偉かったと思っておるのです。池田内閣になって所得倍増で何でも銭金、銭金、銭金、経済中心主義で今日まできている、そうして行き詰まってしまった。いまこそ日本民族の精神的原形とは一体何ぞやというふうな議論が当然出てきてしかるべきである。だから、その意味においては、大先輩でありました鳩山初代自民党総裁  総理、緒方副総理、それから岸総理、こういう者の発言は私は的を射ておったと思うのですが、その点についての感想を聞かしていただきたい。
  148. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 自由民主党ができるとき、すなわち保守大合同ですね、初代の総裁は鳩山さん。そのとき、自由民主党の政策綱領として、六つでしたか、そんな程度でしたか、その中の一つとして自主憲法を制定すると、こういうことを決めたわけでありますが、私は、自主憲法を制定すると、政党がそう考えて総意を打ち出してどこが悪いのかと、こういうような感じがいたしますが、ただ、現実の問題といたしまして憲法改正となると、これは大変なエネルギーが要る。また、それと絡んで、これは国会議員三分の二の提議を必要とすると、こういうようなことがありますから、現実問題としても非常にむずかしい問題ではありまするけれども、考え方として憲法改正を論議してはならない、憲法改正を掲げてはならぬと、このようには考えておりません。自由民主党の自主憲法制定という考え方は、政党としてそう考えた、それを率直に表現したと、こういうふうに考えております。
  149. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 いや、総理、私の聞いた焦点は、鳩山へ緒方、岸、こういった先輩の政治家が国会で堂々と改憲の意思を表明されて、それでちっとも問題になっていない。だから、そのことを私は間違いでなかったと思っておるんですが、その点についていま聞いたんです。だから、それは間違ってなかったのかあったのか、時代は変わったのか、そのことを聞いておるんです。
  150. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは言い回しが問題だろうと、こういうふうに思いますけれども、とにかく憲法には改正の手続まで決めているんですから、改正論をぶって悪いということは私はないと思うのです。政治家たるものは、大いに改正の必要があるというならば、何も包み隠しする必要はありません。堂々とやっていったらいいのじゃないか、そのように思います。
  151. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 そこで、憲法と自衛隊の問題に入ります。  戦後三十年余りたっていますが、地球上で戦争だとか紛争だとかあった件数、その犠牲になった人の数、そういうものを知っておったら答えてください。
  152. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 第二次世界大戦後の紛争の問題でございますが、これはまあ紛争という中に、いわゆる武器をとって抗争した、そしてまた二国間の紛争もございますし、また国内においてそれぞれ背後に大きな力が動いて起こった紛争というものもございます。しかし、そういうものを総括いたしますと、五十七件程度そういった紛争が起こっているというふうに考えております。さらに、その間の死者でございますが、まあいろいろな数え方があるわけでございますが、大きなところで申しますと、朝鮮戦争におきましては、軍人だけで、アメリカあるいは韓国、北朝鮮の軍人合わせまして百万人程度でございますか、さらに、一般の民衆というものはきわめて多くの犠牲者を出しております。ベトナムにおきましても、これはいわゆる軍人で死んだ者が二十万、あるいは傷ついた者を入れますと七十万、さらにそのほかの犠牲者といいますと百万に及んでいるというふうな数が出ておるわけでございます。
  153. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 私の調査では、戦争、紛争、それからテロ、そういうものを入れますと、やっぱり一億前後です。大変な数です、地球上で。そうなりますと、憲法の前文にうたっておる「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」と、この辺の解釈はどうなんですか。
  154. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 第二次大戦が終わりました後、全世界の人々は、今後再び武器を持って戦うことのないようにということの願いを持ったのも事実でございます。しかし、その後の世界の国際情勢の推移あるいは軍事情勢の推移を見ますと、東西対立という現実のものからそのすべてに紛争がなくなったということがないというのが事実でございます。
  155. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 そうすると、この前文は願望をうたっておるのであって、現実とおよそかけ離れておるという事実は、どうですか。これはだれに聞いたらいいんだろう、総理はのど痛いと言うし、これはやっぱり総理だろうね、どうですか。
  156. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いま防衛局長が申し上げたような情勢でございますので、憲法には大変何というか理想主義的なことが書いてあります。ありますけれども、現実は必ずしもそういうふうにいかないという面もあることはこれは否定できない。ですから、願望であるというようなお話でございますが、その憲法の前文、これはまあ願望と言うのがいいか、理想主義的なことと言いますか、そういう願いを込めて書きつづってあると、このように考えます。
  157. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 金丸大臣にお聞きしますが、いまの憲法の制約というか、九条の解釈、私はあの解釈はちっともいいと思いませんが、とにかく解釈を受けて専守防衛となっていますね。専守防衛というのは、日本の国土の領土内、いわゆる領空、領海、それから領土——国土ですね、その中で防衛をするということですね。
  158. 金丸信

    国務大臣(金丸信君) 専守防衛ということは、私は、わが国土、その国土の周辺ということを考えておるわけであります。
  159. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 そうすると、総理ね、専守防衛というのは、この一億一千三百万の人間が住んでおるわが国土の上で戦争が始まるということなんですよ。そうした場合に、二十五万前後かな、定数はもっとおりますが欠けておりますからそんなにおりませんが、そういう日本の国土の上で紛争、戦争が始まったということになれば、これ二十万そこそこの自衛隊だけで本当に国が守れるのか、国民の生命財産が守れるのかという素朴な疑問を国民は持っておる。その点についてどうですか。
  160. 金丸信

    国務大臣(金丸信君) 自衛隊は二十七万、二十七万で日本の防衛ができるのか。そんなことはできるものではないわけでありますが、私は、祖国を守るということであるならば、国民が国を守るというすべての国民が気概がなければ国を守ることはできないと、こう思っておるわけであります。
  161. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 これは、いままで衆参両方を通じて、国権の最高機関の国会の中で、専守防衛というのは、日本の国土の上で戦争が起こって弾丸が飛び交って、そして至るところで炸裂をして、あるいはあらゆる手段を講じた攻撃が始まる、そのときに戦う専門家である自衛隊員だけでとてもじゃないが守れるものじゃないという議論がはっきり出たのは、この国会が初めてですよ。重大なことです、これは。私はそのとおりだと思う。その意味では、金丸長官のいまの発言は私は政治家としてりっぱだと思う。このことで野党の諸君がまたやれ憲法違反だとかヘチマだとか言うかもわからぬ。ちっとも恐れることはない。本当なんです。本当なんだから、この際、専守防衛というのは一体どんなことなのか、専守防衛というのは本当に自衛隊だけでいいのか悪いのか、これからひとつわれわれは率直に腹を割って話を進めてみたいと、こう思うわけです。  そこで、私は国権の発動のない応戦なんというのはないと思うんですよ。憲法で国権の発動たる戦争は永久にこれを放棄すると書いてある。そうしたら、私は朝霞に住んでおるが、朝霞の市長が自衛隊のあの朝霞の基地に敵軍が攻めてきたから市長が先頭に立ってそれ自衛隊の諸君戦えなんと言ったって、自衛隊の諸君は戦うわけがない。少なくとも自衛隊員が敵に向かって応戦をするということになったら、これはりっぱな国権の発動なんだ。それを避けて通って私は国なんか守れるはずはない、そう思いますが、どうですか。
  162. 金丸信

    国務大臣(金丸信君) そのとおりであります。
  163. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 そこで、私は名前は言いませんが、野党の私の尊敬する大先輩、非常に尊敬をしておりますが、たまたま個人的に、先生、どうですか、こんなことをやっておったら不毛の論議で、憲法の字句にひっかかってやれどうのこうのと言って、ちっとも日本の安全は確保されていかない、どうなんですかと。いや、この辺で玉置君、もう戦後三十年もたったんだから、お互い本当に政治家として反省せんならぬなという言葉を聞いたとき、私はどれほどうれしかったか。これが本当の国会であり、日本人たる政治家の姿なんだ。だから、いまの国権の発動のない応戦はないという見解は私は非常にりっぱだと思います。  そこで、もう一つ聞きます。私は朝霞に住んでおるから観閲式に毎年出る。観閲式のときにいろいろ四千数百人が行進をして、最後に戦車が出てくる、装甲車が出てくる。あの大きな戦車が二十台も出てきたら、地響き立ててやってくる。そうして大砲がにょきっと出てきて、それはなかなか勇ましいものです。あれはどう見たって戦力ですよ。あんなものが戦力でないと言うのが大体おかしな話なんで、あれが戦力です。それを憲法の九条の条章の「戦力は、これを保持しない。」なんというそこにひっかかってしまって、ちっとも日本の安全保障の根本を言わない。これが国会ですよ。こんな情けない国会なら、だれが議会制民主主義を国民が信用しますか。自衛隊を肯定しておる者はたくさんおる。八〇%前後おる。そういうときに、あれは戦力でございません、こういうことを言って国会が済まされると思うのかというんです。それだったら、戦力でなかったらあれは何ですか。防衛庁長官、あれは何ですか。
  164. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) いわゆる自衛のための必要な武力ということでありまして、直接侵略に対応する力としての武力でございまして、戦力でないと申し上げておりますのは、憲法九条で持つことを禁じられている戦力ではないというふうに考えているわけでございます。
  165. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 ここで総理、統一見解を出したらいいです。あれは戦う能力です。戦う能力の鉄のかたまりが戦車であるということなんです。実際私は冗談を言うのじゃないのですが、毎年毎年見ておって、しかもあの姿を見ておって非常に残念に思うのは、何のために世界各国の外交官をお招きするのか。大使、公使、武官をお招きしますね。そして、リボンをつけて見ていただく。それは何ですか。日本の国がこれだけ安全保障について力がつきましたよというデモンストレーションじゃないんですか。どうなんです。
  166. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 私どもは、御承知のように、防衛計画に従いまして自衛力というものを整備してまいっております。したがいまして、毎年度の自衛隊記念日に当たりましては、記念日行事の一つとして、われわれが整備してまいりました自衛力というものを国民の皆さんに見ていただいておるわけでございます。
  167. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 あれは、そんなんだったら、私は外国の大使に聞いたら、日本もずいぶん力がついてきましたね、りっぱになりましたね、あれならかなり戦えるでしょうねと言うんですものね。これは英語で言ったんですが。それだけに、外国人の見方は、それは間違っておるんですか。
  168. 金丸信

    国務大臣(金丸信君) 防衛庁はただいま防衛局長が説明したとおりでありますが、外国の武官たちが、あるいは大使、公使が来て見てその感想というものは、主観というものはおのおのあるであろうと思いますが、それが私たちはこうだというような意味合いでやっておるわけじゃないと、こういうふうに御理解をいただきたい。
  169. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 私が尊敬する金丸先生ですらこうなんですよ。だから、国会というものはいかに日本の安全保障について率直な議論ができないかという残念な場所になっている。そして、むしろ、国民が非常の場合にはこの限りなく愛する祖国日本を守るという意志、これを欠落さしておる、国会が。そして、有事の際には一億一千万人が火の玉になって団結をして外敵からの圧力を排しようというこれが防衛の一番基本なんですが、それをだんだんだんだんトーンダウンさしておるのがわが国会だと、私はこう断定をする。総理、どうですか。
  170. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まあ国会の審議を私から御批判をするということは妥当ではないと、このように存じますが、御所見は謹んで拝聴しております。
  171. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 そこで、総理のそういうお気持ちの中に、いままで国会でこういう議論が出たことはないでしょう。これは大事なことなんです。だから、これから私が言うことについて逃げて回ったりした答弁をしたら、私はきょうは先輩の大臣の政治家ですが承知しませんよ。そこで、これからひとつ聞いていきます。  もし総理ね、戦争という状態が始まって、一専守防衛でも何でもいいです、自衛隊がいよいよ立ち上がった。そのとき、一億一千万の国民に、さあおまえたちはどうするんだというふうな指導計画、そういうものをお立てになったことを聞いたことがありますか。
  172. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 私どもといたしましては、有事の際の計画というものは毎年研究しているわけでございますけれども、国民全体にどうこうというようなものは防衛庁としては持っていないわけでございます。
  173. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 宮澤大臣ね、あなたが外務大臣のときだったと思いますが、それで三木総理のときだったと思います。坂田防衛庁長官。そのとき、私は、有事の際に一体どうするんだと聞きましたね。特にシーレーンの問題に触れた。そして、航路帯を、太平洋航路帯にしろ南方航路帯にしろ、もし脅かされたときには一体どうするんだと。運輸大臣は木村睦男さんだったと思いましたが、そのときに、退避航路の決定をしておるのか、それから船団の組み方は一体どうするんだと、それを日米間でどのように守っていただくのかと、それから洋上に引くところのチョップライン、これはどうするんだというふうなことを私は聞いたはずです。総理もそのときお聞きになったと思いますが、そのときに三木さんはちっとも満足な答えは出なかった。ああでないこうでないと言って、ウナギかナマズか知らぬが逃げてしまった。私は非常にいまだに残念に思っているんですが、その後どうなったですか。
  174. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 当時、そういう御質問がありまして政府側がお答えいたしましたのを私は記憶をいたしております。  御指摘の趣旨は、わが国の領土、領海、領空及びその周辺においてわが国が万一のときに防備をするのに支障がないようにあらかじめいわゆるコンティンジェンシー・プランというものを考えておくべきではないかという御指摘であったわけであります。シーレーンについても御指摘がおりまして、そのことは、結局、坂田防衛庁長官が中心になられまして、日米の防衛のための小委員会——安全保障条約に基づきますところの小委員会の設置になりまして、日米防衛協力ということでその後の検討が進んでおるというふうに承知をいたしておりますが、当時玉置委員が御指摘になりました本来の御趣旨まではいろいろな物事が進んでいないのではないか、私はその後閣内を離れましたわけですが、というふうにこれは聞いております。
  175. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 農林大臣、そのとき私は食糧の備蓄の問題を言った。有事の際にどうするんだ、両方のシーレーンを押さえられ、航路帯を押さえられて、多くの食糧を外国から仰がにゃいかぬ日本、それはどうするんだと聞いたことがありますが、たしか河本大臣も通産大臣だったかと思いますが、どなたか忘れましたが、基幹産業を最低限維持するための必要な物資の種類、量、質、そういうものを聞いたことがあると思いますが、その後関係省で準備されたことは話を聞いたことはありますか。なかったら、ないでいいんです。
  176. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) わが国が輸入しております主たる資源、エネルギー、食糧、これは海上輸送で運ばれておるわけでありますが、それと防衛との関係について特に議論したことはございません。
  177. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) 防衛の問題から食糧を議論したことはありませんが、外国が輸出をしなかったときに大変だというようなことで備蓄の問題が議論され、大豆、麦、米なども二百万トンぐらいは備蓄、こういう議論が出てきたと、こう思っております。  ただ、われわれいつも考えますが、食糧を仮に少々持っておりましても、エネルギーが来なくなった場合には——かつての食糧は人力、家畜力、プラウ、ハロー、くわ、かま、こういったもので生産されておりましたが、トラクターを中心にしていますべての耕作がなされておりますから、油が来なくなったときには、備蓄などでとても支えられるものじゃない、生産ができなくなりますから、油断大敵、油が断たれたときには食糧の自給率も全く備蓄程度では支え切れないという実態があろうと存じます。
  178. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 通産大臣にお聞きしますけれども、いま農林大臣がたまたま油の問題言いましたので、私は石油備蓄のやり方について最近非常な疑問を持っておる。それは、五十一の製油所、それから全国的に見まして十カ所ぐらいの石油化学コンビナート、これがあります。タンク群が全部合わしたら一万三千近くになると思いますが、そういうタンクはほとんど埋立地に露出しています。これ見よがしに露出している。仮に敵の戦闘機が領海十二海里から館山に入ってそして東京湾を一周してすうっと伊豆に抜ける、何分かかると思いますか、マッハ二で。
  179. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 私どもが想定いたしまして計算したところでは、館山から入りまして東京の上空に参りまして再び館山を通って出ていく、この時間というものを、まあ一応爆撃をする態勢というのはマッハ一程度でございますので、一で計算をいたしますと、十二分ちょっとぐらいの時間で飛んでまいります。
  180. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 東京は、そう、十二分になるんですよ。和歌山の私の串本のところから入って、それでずうっと大阪の臨海工業地帯から回って、大臣の選挙区の姫路を爆撃して、そして水島をやって、それで日本海へ逃げるのは、大臣、マッハ一でどのくらいかかると思いますか。三十一分なんです。福岡の選挙区はここにはだれもおりませんが、福岡から大分へ出て新居浜をやって抜けるのは十分ですよ、マッハ一で。それでパンパンパンと一発ずつ撃っただけでもうタンクが誘爆してもう火の海です。だから、戦前より非常に危険な状態日本の国があるという認識をまず日本国民全体が持たなきゃならぬのです。だから、一自衛隊が、防衛庁が、ということじゃないんです。このことを考えて、どうかひとつ、河本通産大臣におかれては、石油備蓄の問題について、私は地下備蓄の問題を総務会でやかましく言って、わが党としてはこれから地下備蓄に力を入れるということを決定していただきました。地下備蓄についてお聞きしますが、欧米で石油を地下で備蓄することが盛んに進められているが、やはり有利な点が多いからだと考えるが、日本での地下備蓄の可能性はどうか、またそれを必要とするかどうか、これについてお聞きします。
  181. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) 石油を備蓄する方法といたしましては、大別して三つあるわけです。その一つがいまお述べになりました地下備蓄、それからもう一つは地上にタンクをつくってそれに油を入れる方法でありますが、これは普通に行われておる方法であります。それから洋上備蓄、まあ洋上備蓄には、タンカー方式と、それから単純な洋上備蓄方式、エンジンのないタンク、これをつくって並べて備蓄するという方法、そういう幾つかの方法がございますが、いま地下備蓄をやっておりますのは、アメリカとヨーロッパの数カ国であります。主として岩塩を掘りましたその跡に油を蓄えておるというやり方であります。まあ岩塩坑は水には溶けるんですけれども油には溶けないという特性がございますので、その特性を活用いたしまして進めております。特に最近アメリカは昨年から国家による戦略備蓄を始めておりますが、これは従来の民間備蓄のほかに国家による戦略備蓄を始めまして、一九八五年には、輸入する油の百八十日分、半年分を岩塩坑に備蓄をするという大計画を始めておるわけでございます。ところが、日本は岩塩がありません。しかし、地下備蓄方式ということは非常に大事でございますので、一昨年から予算をつけまして研究を始めております。いま候補地といたしまして約七十カ所を対象に研究をしておるわけでありますが、研究も大分進みましたので、来年ぐらい、実験設備、まあ実証装置と言うんでしょうか、そういうものをつくりまして、そして五十五年から試験的な地下実験方式をやってみようと、こういう準備を進めておるところでございます。候補地は七十カ所ばかりございますが、それは全部にするわけじゃありませんで、場所をしぼりまして先ほど申し上げましたようなスケジュールで進めていきたいと、こう思っております。
  182. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 次にお聞きしますが、世界の国々で核爆発実験は、戦後三十年からたっていますが、どのくらいやられましたか。
  183. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) いろいろな資料によりますと、一九七七年昨年の十二月末までの統計がございます。アメリカが五百八十九回、ソ連が二百三十一回、イギリス二十七回、フランス六十七回、中国二十二回、インド一回でございまして、合計で九百三十七回でございます。
  184. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 いま核爆弾で、米ソ二国で結構ですが、すぐ使えるものはどのぐらいの数がありますか。
  185. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) これは全部の数というものがはっきりいたしません。非常にはっきりいたしておりますのは、大きな戦略核の数というものははっきりいたしておりますけれども、戦術核を含めますと、まあ五万近いというような数字もありますけれども、これは確認できない数字でございます。
  186. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 総理ね、五万発というふうな数字になっておりますと大体三万メガトン以上なんです。そうすると、広島の爆弾の百五十万倍になります。広島の爆弾の百五十万倍ですよ、万倍。これが、四六時中いつ飛ぶかわからぬという核爆発の研究がこれだけ長い間千回近くやられている。核兵器のこの開発はまだどんどん進んでいる。そういう状態のときに、日本でもし核爆発が起こった場合、あるいは核エネルギーを積んだ衛星が落ちた場合、そういうことを想定していろいろと準備をしたことがあるのかないのか。きのうですか中山君も言っていましたが、だれもよう答えなかったですが、これだれに答えてもらったらいいですか。
  187. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) そういうような事態が起きた後の防災の方は災害基本法によって対処するのであります。
  188. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 そうしたら、これが落ちたらだけじゃないんです。これは現実にもう可能性が十分あるんです。カナダのあの原子炉を積んだ衛星を見てみなさい。あれよりもっとすばらしいというか、いい金属を使って、大気圏に入っても溶けない衛星が飛んでおるんだそうですよ、私がこの間教えてもらったんですが。そういうものが日本に落ちないという保証はないですよ。それから中山君がきのう言ったウオーターゲート事件にひっかかっていま監獄に入っておるあの人が書いた手記、真実かどうかわからぬということは言われておりますが、中ソ戦争が起こってよその国の核戦争の影響をもろに日本が受けるとも受けないとも言えない。恐らく受けるであろうという可能性の方が私は高いと思う。そういうときに、いま核内建設大臣が答弁をされましたが、しからば櫻内建設大臣に聞きますが、あなたもしそういうことがあった場合に、災対法に放射能の影響云々とあるし、大型の爆発という問題もどうするんですか。
  189. 金丸信

    国務大臣(金丸信君) あるいは門外漢が答弁するということにもなろうと思うのですが、防衛という問題はわが国においては日本民族の永遠の存続を願うということが防衛の定義であろうと私は考えております。そういうことでございますから、飛行機、あるいはミサイル、あるいは軍艦、そういうものも防衛の一助であろうと思うけれども、民族を守るというお話から言えば、いま玉置議員のおっしゃるようないわゆる民族を滅ぼしてはならぬと、こういうことから考えれば、当然この問題について真剣に考えなくちゃならない。私も防衛庁長官になりましてそういう問題について文献等も見てみますと、あの長崎の核爆弾あるいは広島の核爆弾等の落ちたすぐに政府から依頼された大学の教授があった。その大学教授が調査してあるその文献を見てみますと、長崎においては落下傘についている核爆弾が上から落とされた。最初はこれはどこの飛行機かと思っておったところが、まず防空ごうの外に出て見た日本の陸軍の人たちは、これを見て、あれ爆弾だとこう言って防空ごうへ飛び込んだ。しかし、外でいわゆる学徒動員をしておる学生たちは芋を掘っておった。その人たちは、もろに核爆弾を受けた。そうして兵隊が異常な音とあるいは爆風等によって驚いたが、その人たちは危害がなかった。出てみたところが、立ったまま洋服は燃え、あるいは顔の皮はむける、手の皮はむけるというような悲惨な状況をしながら倒れていたという私は文献を見ました。これは国民、民族防衛という点から考えれば真剣に考えなくちゃならない問題だなと、こういうことをしみじみと感じたわけでありますが、寡聞にしてそれの対策は日本政府にはないと私は思っていますが、今後この問題については真剣に考えなければならぬ、こう私は思うわけであります。
  190. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 大蔵大臣、いま防衛庁長官の言われたことは非常に大事なことで、あのときに、広島もそうですが、防空ごうがこう一本で入ったところ、それからとびらの弱いところは、中におった者はみんな死んだ。ところが、防空ごうがこう入ってこうかぎ型になっておったこっちにおった者はみな助かっておるんです。そこで、アメリカでもソ連でもスウェーデンでもスイスでも、いま世界の三十三カ国がシェルターの問題について真剣にここ二十数年来やっておるんですが、大蔵省でそういうシェルターの問題について予算をつけてやろうかなあという話は考えたことはありますか。
  191. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) これは防衛の問題はきわめて重要な問題でございます。したがいまして、閣内に国防会議が設けられているところでございます。そして、そこで決定したことが予算化してまいるわけでございます。われわれはこの問題を真剣に考えていかなければならない、財政当局もまた国防会議の決定に従って対処してまいりたいと思っております。
  192. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 なぜ大蔵大臣に聞いたかというと、あなたに先にその意向を聞いておかないと、各省が熱心にならぬのですよ。それで、各省があなたの意向がわかり、総理の意向がわかると、よし予算分捕りでひとつこれをやったら取れるなと思って一生懸命になるんですよ。これが日本の情けない状態なんです。最高政策決定ができてそうして予算がぴしっとついていくという方向じゃないんですよ。いつも既成の予算獲得の上に乗った延長路線の話が中心になっていくこういう予算編成のやり方についてぼくは非常に遺憾だと思うから、いまあなたの所見を特に聞いたんです。どうかひとつ、そういう意味で、国防会議でもしっかり御論議をいただいて、そういうことが決定をしたら優先してこの問題はつけてやる。福祉であろうが、食糧問題も大事です。しかし、人間は生きるということが一番大事ですよ。その意味においてしっかりひとつやってもらいたい、こう思います。  そこで聞きますが、いま丸の内に五メガトンの核爆弾が落ちたらどのぐらいの影響があるか、ひとつ言ってください。
  193. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) いま先生が申されました丸の内に落ちたらどういう被害かというのは、実は私どもは検討したことがないわけでございますが、アメリカの原子力委員会におきまして一九六一年に報告が出ております。それから国連におきましてはウ・タント事務総長の報告というのが六七年に出ております。これらの資料によりますと、五メガトンが地上におきまして爆発した場合に、建物の被害等も詳しく出ておりますけれども、人間につきましては、五千メートルの半径の中では一〇〇%の者が死傷する、このうち九八%は死ぬだろうというふうな報告が出ております。さらに、五千メートルから八千メートルの圏内では九〇%の人が死傷するだろう、それからさらに八千メートルから一万三千メートルの圏内におきましては五〇%の人が死傷するだろうというような報告が出ておるわけでございます。
  194. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 それにつけ加えますと、関東一円とその周辺で三千数百万の人々の家が大中小破し、一千万人以上が死傷し、畑や森、森林、動物も全部焼けただれるというのが、これがちょうど当てはめたらそうなる。大変なことですよ。それに対する予見もしなければ対応もないというのは、一体どういうことですか。(発言する者あり)F15だとかP3Cだとか、そんなんで間に合わぬのです、これは。どうします。——いいです、これでいいんです。私は何もそれを責めるのじゃないんです。こういう状態ができていないということが国民に明らかになれば、政府しっかりしてくれと。経済福田さんは経済でもしっかりしてもらわなきゃいかぬが、もっと大事な生命と財産を守る問題についてはいち早く安心できるような体制にしてくれと。厚生大臣に聞いてみたって、医療の救急体制、これができていないし、そしてまた運輸大臣に聞いたってなかなかできていないですよ。これはもうどなたに聞いたってそうなんで、郵政大臣の場合もそうです。自治大臣もそうです。労働大臣もそうです。こんなものもう自信のある者はだれもいない。私も自信がない。しかし、これはやらなきゃならぬからいま言っておるのであって、どうかひとつ、三木さんのときにもお願いした。ぜひひとつこういう問題について閣内に閣僚協議会なり設ける、あるいは民間の有識者がおるんです、心配しておる。そういう人たちを集めて、政府としての、総理の諮問機関でもいい、政府の機関でもいい、超党派でもいい、そういうものを早急につくって検討していただいて、安全を確保するという、そういうことをひとつやっていただきたいと思うが、どうですか。
  195. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 重要な問題でありますので、何とか工夫努力をいたします。
  196. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 そこで、外務大臣、ジュネーブに国際市民防護機構というのがあるのを知っていますか。
  197. 園田直

    国務大臣園田直君) そのとおりであります。
  198. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 そのとおりだと言うけれども、何をするところか知っていますか。——いいです、局長、いいです。
  199. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 答弁はいいですか。
  200. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 それでいいんです。わからぬでいいんです。これから勉強してもらえばいいんです。そんなもの責める必要は何もない。ただ、世界で三十数カ国がもうすでに加盟しておるんです。こういう放射能の影響、こういう爆発の影響から国民の生命と財産を守るというのは、体制のいかんにかかわらず、社会主義国家も自由主義国家も、みんなこのジュネーブの国際市民防護機構に入っておるんです。それだけに、外務大臣、私からお願いしておきますが、早急にこれに入って国際的な協議の中でこの体制を進めていきたいと、こう考えておりますので、よろしく……。
  201. 園田直

    国務大臣園田直君) わかりました。
  202. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 それに入ってくれますね。——次に外交に入ります。  尖閣列島ですけれども、尖閣列島については、ここに中華人民共和国の出した、これは中国語でティアオユイタイシイチェンジェンシャンと読むんですが、「釣魚台事件真相」という本がある。これは北京の印刷社が出したものです。紙もこんなに悪いでしょう。先進国ではこんな紙は使わぬですよ。これは発展途上国の使う紙だ。まあそれは私の理屈だから結構ですけれども、これにはちゃんとこう書いておるんです。これは歴史から何から全部書いてあるんですが、百二十九ページに、一九七一年四月三十日です。「近ごろ日本佐藤反動政府と米帝が結託して、わが領土である釣魚島」——向こうは尖閣列島と言っていない、釣漁島と言っていますが、「を占有する罪悪計画を推進している。これはまさに日本帝国主義がわが神聖なる領土台湾省を再び占拠する陰謀のためにとった重要なるステップである。」と。これは人民日報、新華社です。それでまたその次ですが、百二十二ページから百三十三ページ、百三十四ページに、これも新華社の北京の三十日発、それで人民日報に一九七一年の五月一日に載ったやつです。社説に載っているんです。「最近日本の反動派が沖繩返還のトリックを演出している。このトリックは釣魚島を返還区域内に入れたことである。佐藤、愛知の輩は、中国人民の警告にもかかわらず、引き続き、釣魚島が日本の領土で、いかなる国とも領土権問題を話し合う必要はないと叫んでいる。中国人民は日米反動派の公然たるわが領土の侵略計画の罪悪活動に対し甚大なる憤慨を表し、かつ強烈な抗議を申し入れる。」と、こういうふうにずうっと書いておるんです。そして、ここに、これを見てもらったらわかりますが、写真が載っていますが、一九七一年の一月二十九日、一九七一年の四月三日、そして一九七一年の四月十日、これはワシントンの当時の中華民国大使館に中共系の留学生が大挙して押しかけて火炎びんを投げたり何かしておるんです。それの状況なんです。写真がちゃんと載っておる。だから、彼らは、尖閣列島の歴史をここにちゃんと書いておる。これは一番初めここに書いておるのは何年かといったら、一五三四年の中国の当時の印刷物、活字です。一五三四年の中国の文献なんです。そして、尖閣列島と琉球との国境線もここに明確にしておるんです。だからこそデモをかけるんですよ。尖閣列島はおれのものだということをはっきり書いておるんです。  そうして今度、この地図は台湾省の地図です。中華民国の小学校、中学校、高等学校、大学で使っている地図なんです。これには、尖閣列島は台湾省宜蘭県の頭城鎮——頭城鎮というのは町です、頭城鎮の行政区域内にあるとちゃんと書いておる。色も塗っておる。黄色になっておる。日本の色になっていないでしょう。見てみなさい、これを。ここからここです。  そうして、まだそれならいいけれども、日本の平凡社の「小百科事典」、ここにこんなふうに書いておる。七百八十七ページに「尖閣列島」として、「西表島の北方約百六十キロに点在する無人の小島群。」云々と書いて、最後に「中国は同列島の領有権を主張している。」と書いてある。  日本の信用ある平凡社の百科事典にそういうものが載っている。中華民国、やはり主権国家ですよ、これがこういうふうにして小、中、高から大学までの地図をこうして使わしている。それから中華人民共和国の公的な印刷機関の新華印刷です、その中に写真入りでこう書いている。そうして歴史をずっと書いているんです。「歴史背景」とここに書いてある。尖閣列島はそれでも日本のものだと言い張ることは私は当然だと思いますが、こういう問題を残して何で日中平和友好条約に交渉に入らにゃいかぬですか。この問題こそ先に解決すべきじゃないですか。それでないと竹島の二の舞をしますよ。  それと同時に、こういう領土問題をはっきりしないで日中平和友好条約をやったならば、前から言っておるように、北方領土の交渉は未来永劫ソ連はやらない。それをよく考えてやってもらわにゃいかぬです。尖閣列島の帰属の問題についてあなたが北京に乗り込んでいって、尖閣列島は自来中華人民共和国のものではございません、あなたの言うとおり日本のものでございますという一札を取ってくる、そういうことであるなら私は交渉に入ることは結構です。それだけにこれはゆゆしき問題だ、どうですか。
  203. 中江要介

    政府委員(中江要介君) 事実につきまして御説明さしていただきますのは、いまいろいろの資料を御指摘になりましたけれども、私どもの持っております資料によりますと、台湾も中華人民共和国もこの尖閣諸島の周辺に石油があるかもしれないという報告がエカフェ——当時のエカフェ、いまのESCAPでございますが、そこから報告が出ましてから、いろいろ地図その他の発言ぶりが変わってきておるという経緯がございまして、歴史的に見ましても国際法的に見ましてもこの尖閣諸島が日本の固有の領土であるということについては一点の疑いもないという立場を堅持していることは御承知のとおりでございまして、一、二例を引用さしていただきますと、一九五八年、つまりエカフェの報告の出る直前でございますが、一九五八年の北京の地図出版社というところが発行しました「世界地図集」、これによりますと、日本の領域の中に尖閣群島という名前をつけて入った地図をすでに当時出しておる。つまり一九五八年当時は中国も尖閣諸島を日本の領土としてはっきり認めた地図を出しているということがございますし、台湾の方でも一九七〇年の「国民中学地理教科書」、七一年の同じく「国民中学地理教科書」、この中でははっきりと尖閣諸島が日本の領土であるという前提の地図を出しているということがございますので、いま先生が御指摘になりましたような出版物、地図その他は、その後石油の話が出てからだんだん変わったものじゃないかと推測するほかはないということでございまして、にもかかわらずそういうものが出まして、それが公の立場で明らかになっておることを私どもが承知するたびごとに中国に対しましても問題を指摘してわが国の立場を説明しておる。たとえば一九七六年六月の「中国画報」、あるいは中国のある公の建物の中にあります地図、そういったものの中に誤り記載がある場合には私どもは逐一中国政府に問題点を指摘していると、こういう実情でございます。
  204. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 外務大臣ね、きのう私もそういうことを中江君から聞いたから、きのう宜蘭県の頭城鎮の県長の李鳳鳴というのに電話をかけた、国際電話を。そうしたら、この尖閣列島は私のところは宜蘭県の頭城鎮の行政区域内ですと。そして、毎月一、二回私たちの方からもそこに人を派して調べさしておりますという一きのうの三時ですよ、私がここから行って電話かけたのは。この事実をどうします。
  205. 中江要介

    政府委員(中江要介君) いま御指摘の具体的な事実は私自身は承知しておりませんけれども、一九七二年に日中共同声明が出ましてから、日本国といたしましては、中華人民共和国政府の言い分というものが公的な立場であるという前提で対処しているということは申し上げることはできます。
  206. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 それでは、大臣ね、こういうことなんですよ。そんなら、北京が——これは政府機関の印刷です——出したものは間違いでありますと、それであなた方がいろいろなことを歴史的な背景なんて書いておりますが、それは中江君の言う方が正しいのでございまして、そのことについては今後一切文句は言いませんということの一札は取れますか取れないですか、どうですか。
  207. 園田直

    国務大臣園田直君) 事実の経過並びに事実はいま局長からお答えをしたとおりでございます。尖閣列島の領有権について問題はなかったわけでありますが、石油が出るということから、まず台湾の方から自分の方であると言い出し、追っかけて中華人民共和国は自分のものだと言ったのが実情の経緯でございます。  そこで、この尖閣列島はわが方がただいま施政権は行使をいたしておりまして、わが方の領土であることは、これは事実においては毫も間違いありません。いま出された資料というものも間違いであって、中江局長の言ったとおりであると思います。  そこで、問題は、今度の友好条約とこの尖閣列島の関係でございますが、今度結ぶ条約は平和条約ではなくて平和友好条約でありますから、領土の問題はこの条約の中に入らぬわけであります。しかし、その尖閣列島が、わが方が領有しておるが、中華人民共和国は自分のものであると言い張っておるわけでありますから、これはいつの日にか向こうからいろいろ言い出されたら、現にわが方で領有をしておる、歴史的な事実はこうであるという機会をつくるべきであって、今度の友好条約の際にむしろこちらが自分のものだとちゃんとした明々白々たる事実を持ち出して、これに文句はありませんかと、こういうことは決して得策ではないと、私はこのように考えております。
  208. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 それは外務大臣の答えは間違っています。こういうことをしっかりさせないでやったために竹島がいまあなたが御苦労なさっておるんですよ。国民の多くは、いま平凡社の百科事典にもそう書いておるんです。こういうふうな国民的疑惑をほうっておいて日中平和友好条約を結ぶという論理は私は納得できない。少なくとも自民党員の中にでも、これは多くの国民の中にでも、党員の中にでも、北方領土と絡ましてこの尖閣列島の帰属の問題はあなた方がそこまではっきり言われるんなら、当然、中華人民共和国の政府の首脳に対して、日本の歴史的事実はこうですと、あなた方がこの写真を出そうとも、香港の総領事館に大挙して一千人押しかけようと、二百人押しかけようと、事実が写真に載っておる、そういうことはあなたたちは間違ったことをしたんだということを言うか言わぬか別にしても、尖閣列島の帰属については日本のものですということについての向こうの言質をとるということは当然じゃないですか。あたりまえのことじゃないですか。それを言ったらどうのこうのと言うんだったら、それはやらぬ方がいいです、そんなものは。この一つの事実をおいでおいでも日中平和友好条約をやるということについては私は非常に遺憾だ。もう一回見解を問います。
  209. 園田直

    国務大臣園田直君) 筋道を通してお答えしたはずでありますが、平和友好条約と尖閣列島の帰属の問題は別個の問題でありますから、平和友好条約の場所で私はこの問題を持ち出すつもりはございません。しかし、その問題は、場所を変え時を変えて適当な時期にこれをやるべきであることは御意見のとおりであります。
  210. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 それは見解が違うんです。この際、見解を明らかにしておきますが、日本の平和友好というのはピースフルですよ、平和的ということなんです。中華人民共和国の言っている平和というのは、チャンホーです、講和です。その辺が違うんです。領土の問題が含んでおるんです。だからこそ台湾解放のことをやかましく言うんですよ。ここに私は持ってきておるこれはあなたもよく知っている九月二十九日の共同声明です。この二項の中にこうなっている。「日本国政府は、中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であることを承認する。」と。それで第三に、「台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。」と。それに対して日本はその立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言云々と、こうあるんですね。ここに一番彼らは力点を入れておったんです。それと覇権です、ソ連に対する覇権。それは、中国というのは、私は大平さんともやったんですが、中国というような国はありますか。あったら答えてください。中国という国はどこにあるんです。——ないんですよ。中国というのは一地名なんです。支那ということなんです。チャイナということなんです。私は十七歳で北京に渡って北京の学校へ入った。北京の駅におりたとき先輩は一番先に何と言ったかといったら、「玉置君、この北京へ来たら、支那と言うなよ、支那人と言うなよ、チョンクオと言え、チョンクオレンと言え」と言った。その中国というのは、モンゴルも含み、いまの中国大陸も含み、いまの台湾省全域も含んだのが中国なんです。だからこそ、ここで大平外務大臣のことを言いますが、大平外務大臣は、四十八年四月九日の参議院予算委員会の第二分科会で、「私は、中国に二つの政府があるということを否定しないわけであるわけでございます。」と私の質問に対して答えておるんです。だから、中華人民共和国というのは、中国の唯一の合法政府であることを承認さしておいて、次に、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であると、非常にうまい表現を使っておるんです。私は、和親友好条約ならちっともやってもいいと思うんです。われわれは、中華民国——台湾との関係を実務的に切らないで、そしてそれは非常に地政的にも日米安保の台湾条項の中にも大事だと言う。そういうことを言うのであったら、台湾との関係は外交関係は切れても継続するというあなたの意思でもあり、福田内閣の意思であり、自民党政府の意思でもある。それは言いかえれば国家の意思である。そういうことであるならば、この領土の問題について一番はっきりさせなきゃならぬのは、向こうは平和条約なんだ、講和条約なんだ。あのときに、これはもう名前を言いませんが、いま外務省の幹部であるある方の話を聞いてみてもわかるが、力点を入れたのは、日本が中華民国との間に結んだ日華平和条約で戦争状態が終結した、もう一回謝ることはないということで激論をされたことはお聞きだと思います。お聞きでしょう。そのために難航したんですよ、あの共同声明が。そうした結果、周恩来さんが中心になって中国人一流の考え方で入れたのは、ここに書いている「不正常な状態は、この共同声明が発出される日に終了する。」というこの名文句なんです。だから、領土の問題はこれで解決したわけじゃないんです。だから、さっき言う尖閣列島の問題も解決したわけじゃないんです。それだけにぼくは尖閣列島の問題に固執するんですよ。わかりますか。私は一日華議員懇の幹部だからといってそんなことを言っているのじゃないんです。  いつも言うように、日独伊三国軍事同盟を結んだときに、あのときの日本状態考えてみなさい。そうして、いま総理や外務大臣に私は言いたいのは、参議院の町村大先輩です。岸先生もそうです。灘尾先生もそうです。昔、不幸な第二次大戦に突っ込んでいったときいわゆる優秀な官僚であった皆さん方は、一様にあの当時の状態を非常に残念がっておるわけです。先日、町村先生に聞いた。当時宮内大臣が湯淺倉平さんだった。昭和八年の二月十五日、松岡洋右外務大臣が国際連盟に行って、そうして日本が国際連盟を脱退するということを決意をしている。当時の天皇陛下は、そのためにこの松岡洋右さんを呼んで陪食の栄誉を与えた。そうしたときに、松岡さんは、得々として国際連盟脱退の話をされた。陛下は途中で渋面をつくられた。しかし一言も言われない。引き下がった宮内大臣が町村さんを呼んだ。秘書課長来いと。行ったら、真っ青になって身をふるわせながら、国の滅ぼす者は松岡洋右、平沼騏一郎、近衛文麿、こう言って涙を流さんばかりにして町村さんに教えたという。いま、三国軍事同盟のときのあの新聞の状態を見てみなさい。何でもかんでも三国軍事同盟。いまの新聞を見てみなさい。一緒じゃないですか。ただ、非常にいいことは、国民が冷静です。尖閣列島一つの問題をとっても国民は冷静です。そのときにそういう——ささやかなことだとは私は言わさない。国民の声です。尖閣列島の帰属の問題一つにしても、しっかりした態度を持って、それを解決した上で平和友好条約に臨まれることを私は希望します。答弁は要らない。  それで、私はこれを最後にもうあと時間がなくなったから言いますが、お願いしておきます、総理に。外交じゃない。それは、私はたまたま社団法人全日本きものコンサルタント協会の会長をやっておるんですよ。社団法人というのは、御承知のように、内閣決定で一業種一法人です。菅原通済さんが会長だった。私がいま押しつけられて会長をやっている。それから私は超党派の和装振興議員連盟の幹事長をやっている。そういう立場でいろいろ相談した結果、どうも天皇陛下が着物を着られぬのはどうしたんだろうという議論があった。皇后様は着物を着られるというようなことで、いろいろ調べてみたら、明治天皇が西欧に追いつき追い越せで、そして着物は今後着ないで洋服で通そうということで服装改正令というのが出たんだそうです。そういうことから天皇様はずっとそのとおりやっておられた。
  211. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 時間が参っております。
  212. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 もう終わります。  ところが、ここで、戦後になってその法律がなくなって、皇后様は和服を召された。世界各国から来た人々はワンダフルと言う。天皇様にお着物を着ていただくわけにいかないだろうかというささやかな私たちの国民的願望です。それに引きかえて、何とかいうあの作詞家、永六輔か、天着連なんて不届きなことをやっておる。そういうことを考えたら、憲法第一章に象徴天皇です。それだけに天皇様にどうかひとつ着物を着ていただいて、ゆったりした気持ちで晩年をお過ごし願えないだろうか、外国主賓のときには和服を召されていただけないだろうかという願望をひとつ総理からもお伝え願いたい、こう思います。  以上です。
  213. 園田直

    国務大臣園田直君) 答弁は要らないという友情は感ずるわけでありますが、外務大臣として、大事なところでありますから、三言だけ言わしていただきたいと思います。  一つ、尖閣列島の問題は国民にとって非常に大事な問題であることは御意見のとおりであります。ただ、尖閣列島は向こうに不法占拠されておるのではなくて、こちらが施政権を行使しておる。そして、こちらに帰属するものであるということが現実であるが、向こうから横やりを入れられていると、こういう状態。そこで、これはちゃんといつの日にかしなきゃなりませんが、これは時と場所が要ると、こういうことを言っているわけであります。  それからもう一つは、日中友好条約は、経緯はどうありましょうとも、日本と中国が共同声明を出し、そして世界にこれを宣明した問題でありますから、日中友好条約の問題はやはりこの共同声明の線に従っていかなきゃならぬということを御理解を願いたい。  もう一つは、松岡さんの話が出ましたが、あれは三国同盟を結んで力と力をもって争い、戦争に突入したわけでありまして、いまわれわれが進めようとしておる友好条約は、戦争に突入してはならぬという平和と繁栄を目的として進んでおることを御理解を願いたいと存じます。
  214. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 そんなことを言うんなら、またやらにゃいかぬですよ。いや、本当に。そんなことをあなた言いっ放しにするんなら、私は言わにゃいかぬ。私らはそういう見解をとらないんです。三国軍事同盟だってそうですよ。あのときだれが第二次世界戦争を引き起こすというふうなことを考えてやったんですか。そのことがソ連の脅威を排除することができる、アメリカの脅威を排除することができるということでやったんじゃないですか。
  215. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 玉置君……
  216. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 それが結局ああいう結果になったということを憂えておるんですよ。
  217. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 玉置君、時間ですから。
  218. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 だから、あなたの見解と私は違う。それはおかしい。それだから——それは時間を守れというのだったらあっちの方が守りなさいよ。委員長、少なくとも国会議員の権威をあなた確保しなさい。
  219. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 答弁は時間外です。
  220. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 いや、それは時間内です。含めて時間内です。終わり。
  221. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 以上で玉置君の総括質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————
  222. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 次に、目黒今朝次郎君の総括質疑を行います。目黒君。
  223. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 いま玉置委員の大分熱烈なことがありましたから、がらっと趣を変えまして、まず、その平和を確立するために国際人権規約という問題がいま国会に提案されようとしておるわけでありますが、この国際人権規約の背景と問題点を外務大臣から御答弁願いたいと、こう思います。
  224. 園田直

    国務大臣園田直君) 国際人権条約批准の問題は、ようやく与党の御理解をいただき、各官庁との調整も終わりましたが、いよいよ最後の詰めをやっておる段階でございまして、今国会にぜひ批准をしていただくよういま鋭意努力をしておるところでございます。でございますから、いま詰めの段階でございますから、内容についてはもうしばらく御報告することを差し控えたいと存じます。
  225. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 マスコミや新聞に発表されておる程度の問題点でもいいですから御発表願いたいと、こう思うのです。
  226. 大川美雄

    政府委員(大川美雄君) 報道されております幾つかの問題、あのとおりでございます。論議されております問題としては多々ございますが、いま大臣が申し上げましたとおり、関係省庁間で最後の詰めをいたしておりますし、いまの段階で最終的な政府としての方針を申し上げることは、できれば御勘弁いただきたいと思います。
  227. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 具体的に何と何と何ですか。三つ保留だというのでしょう。
  228. 大川美雄

    政府委員(大川美雄君) 新聞には幾つかの問題点が報道されております。報道されている問題点だけとは限りません。いろいろの問題がいままでしに議論の対象にされて検討されてまいりまして、そのいずれについても最終的にこういう方針で臨むのだというところまで現在の時点で申し上げることは御遠慮さしていただいた方がよろしいかと思いますので、御理解いただきたいと思います。
  229. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 衆議院の段階では今次国会に出すと、こう答弁しておるんですから、今次国会に提案するとすれば、タイムリミットとしてこの段階で説明するのが当然じゃないですか、どうですか。
  230. 大川美雄

    政府委員(大川美雄君) 私どもといたしましては、いろいろの省庁が関連いたしております問題でございますし、それから内閣法制局に持ち込んでの国会提出前の審査という過程にもまだ入っておりませんので、実はその段階が過ぎませんとはっきりしたことを申し上げることはちょっといまの時点でむずかしい次第でございます。その点をできれば御理解賜りたいと思います。
  231. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 それでは聞きますが、聞くところによりますと公務員のスト権、それから高等学校の無償の問題、それから有給休暇の保障の問題、この三点が大きな問題だということについて間違いありませんか。
  232. 大川美雄

    政府委員(大川美雄君) いまお挙げになりましたような点が問題になっていることは間違いございません。
  233. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 国際人権規約は三段階ありまして、その三段階の冒頭に労働者のスト権、団結権があるわけでありますが、その最も大事な団結権を阻害してはこの人権規約を批准する意味がないではないですか。どうですか労働大臣。
  234. 藤井勝志

    国務大臣(藤井勝志君) 国際人権規約の重要性については、労働省としても十分認識をいたしておるわけでございまして、この問題は外務省が中心で現在検討をされておる最中でございまして、われわれといたしましては外務省と十分連絡をして、国内法との整合性も考慮しながら、いずれ御相談があったらわれわれの意思表示をしたいと、このように考えておるわけでございます。
  235. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 じゃAとBとCになっているんですが、Aの八条、それからBの二十二条はどういう条文になっていますか。
  236. 北川俊夫

    政府委員(北川俊夫君) A規約の第八条の(d)項は「同盟罷業をする権利。ただし、この権利は、各国の法律に従って行使されるものとする。」、そういう条文でございます。B規約の二十二条の一項は、「すべての者は、結社の自由に対する権利を有し、この権利は、自己の利益の保護のため労働組合を結成し、及びこれに加入する権利を含む。」と、こういう内容でございます。
  237. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 この点から見ると、八十七号条約を批准した国はやはりたてまえとしては人権規約を批准するんだと、そういうことを義務づけていると、こういうふうに解釈されますが、いかがですか。
  238. 北川俊夫

    政府委員(北川俊夫君) ILO八十七号条約は結社の自由に関する条約でございまして、争議権に関しては何ら触れておりません。したがいまして、先生御指摘のB規約の二十二条に関連しましては八十七号条約と同趣旨でございます。ただ、A規約の八条の(d)項の同盟罷業につきましては別個の問題であると、こう考えております。
  239. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 何はともあれ政府がはっきりしないことですから、これ以上質問できないですが、新聞によると、公共企業体等基本問題会議にかけておるので、その関係で労働省が逃げていると、こういう新聞の論説ですが、先ほどの答弁と食い違うんですが、いかがですか、労働大臣。
  240. 藤井勝志

    国務大臣(藤井勝志君) お尋ねの問題は決して労働省がよけて通っているという、こういうことではございません。ただ、公共企業体等のスト権の問題は、御案内のごとく昭和五十一年九月でございましたか、この問題を扱う機関として公共企業体等基本問題会議、これが開催をされまして、ずっと数回の会合をやり、すでに各専門部会を設けて問題をしぼりまして、この五月ないし六月にはこれが結論を出す、こういうことになっておりますから、その結論を踏まえて、労働省としては見解を整え、外務省と相談をして、できるだけ整合性を保てる範囲において決着をつけなければならぬと、このように考えておるわけでございます。
  241. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 総理、まあ世界第二の先進国と言っておりますし、この国際人権規約はA、Bを含めてもう大多数の先進国が批准している。スト権の問題についてはいま労働大臣が言っていますが、公労協のスト権の問題、公務員のスト権問題は、もう企業体等基本問題会議がどっちを向こうと、高度な政治問題であって、もうあなたの判断以外にこの出どころはないという点を歴史が示しているんですよ。したがって、この世界人権規約の批准に当たって、あなた自身がもう決断すべきじゃないか、そしてその方向に政治を引っ張っていく、そして労使関係を安定させるという決断の時期だと、こう思うのですが、あなた自身はいかがですか。
  242. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 世界人権規約につきましては、政府はもうこれを批准する、そしてこれに加盟する、こういうことが妥当であろうという考え方のもとにいま事前のいろんな調整をしておるわけです。その調整の中で、まあ大事な問題はいろいろありますけれども、いま御指摘のスト権をどうするか、こういう問題もあるわけですが、よく皆さんの意見等も聞いて、そして結論を得たいと、このように考えます。
  243. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 私は、あなたが判断しなければまた三年前、五年前と同じようなことが繰り返されると、こう思うのです。労働者を非難する前にやっぱり国際的な労働者の基本的人権、ILOが何回か言った結社の自由委員会の勧告、そういうものをやっぱり受けてあなた自身が判断するということが最もこの問題の私は道だと、こう思うのですが、そういう全体を見て、さっきの玉置先生のあれじゃありませんが、そういうハンドルのやり方を誤ると、ああいう玉置先生のような戦争論になるんでありますから、戦争論になる前に、ぴちっとあなたの政治性を発揮すれば、私は本当に世界は平和になると、労働者は仲よくなると、こう思うのですが、いかがですか。
  244. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いずれにいたしましても、これは非常に重大な問題でございますので、よく検討をいたしまして、そしてとにかく人権規約は本国会に批准できるようにしたい、このように考えております。
  245. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 積極的な前向きを要請します。  もう一つお伺いしますが、A規約の六、七、八、九、十、十三、B規約の十二、十三、これは批准されれば国内法を全部直すんですか。
  246. 大川美雄

    政府委員(大川美雄君) A規約は御存じのとおりだろうと思いますが……
  247. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 いや、言ってくれなきゃ。六条と七条と八条と九条、ずっと。国内法の関係。
  248. 大川美雄

    政府委員(大川美雄君) 批准の時点で直ちに国内法が条約の内容に合致していなくてもよろしいんでございまして、批准の時点では、今後条約の内容に向かって国内法改正を漸進的に進めていくということになっておりますので……
  249. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 そんなことわかっているんだ。六条、七条、八条、十条、どうだと言うんだ。
  250. 大川美雄

    政府委員(大川美雄君) いまのところ直ちに国内法の改正ということは考えておりません。
  251. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 国内法に抵触するやつを変えなければ、これは空手形じゃないですか。空手形でしょう、これは。
  252. 大川美雄

    政府委員(大川美雄君) ただいま申し上げましたように、この規約の第二条で、この規約の締約国になった国は批准をいたしました時点から漸進的に規約の内容を実現していく努力を重ねていくということになっておりますので……
  253. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 そんな事務論じゃないよ、政治論だよ政治論。外務大臣なんだ、外務大臣。
  254. 大川美雄

    政府委員(大川美雄君) 批准の時点ではその必要は必ずしもないと考えております。
  255. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 大臣、そんな事務論じゃないよ。国内法のこれを検討しなければ批准した意味がないでしょう。
  256. 園田直

    国務大臣園田直君) いまそういうことで詰めている段階でございます。
  257. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 そうすると、スト権も含めて、こういう問題が詰まらないから態度表明できないのですか。詰まっているけれどもスト権という問題があるから態度を表明できない、どちらなんですか。
  258. 園田直

    国務大臣園田直君) いませっかく最後の詰めをやっているところでありますから、詰めましたら御批判を受けることにいたします。
  259. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 そうすると、マスコミにいろいろ発表されている問題は、結局あれは空手形であって、何らかの意図でアドバルーンを揚げているという、政治的アドバルーンだと、こんなふうに見るしかないんじゃないですか。本当に批准をする気があるんなら、こういう問題を十分詰めてこの国会に出すんでしょう。出すならば当然詰めていいはずだと、こう思うのですが、どうですか、改めて。
  260. 園田直

    国務大臣園田直君) そういうことも含めて詰めておる段階でございまして、国内法が批准と同時に間に合うか間に合わぬか、これは今後の問題でございます。
  261. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 きわめて不誠意きわまることで、私は納得できません。  では人権規約Bの第六条はどういうようになっていますか。
  262. 大川美雄

    政府委員(大川美雄君) B規約の第六条につきましては、国内法の改正等を特に必要とは考えておりません。
  263. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 ちょっと読んでください、どう変わっているか。
  264. 大川美雄

    政府委員(大川美雄君) あるいは私の勘違いだったかもしれませんけれども、B規約の六条についてお尋ね……
  265. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 Bの市民的及び政治的権利に関する国際規約、これはBと言っているでしょう、役所はね。それの三部の六条。
  266. 大川美雄

    政府委員(大川美雄君) 第一項「すべての人は、生存する固有の権利を有する。この権利は、法によって保護されなければならない。何人も、ほしいままにその生命を奪われない。」第二項
  267. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 いいです。  条約局長、いまこの関係は現行法と変わりはないと言ったんですが、私は一つこの件で聞きたいんですが、前の予算委員会でもその前の法務委員会でも、法務大臣ね、水本事件の問題提起を私はしたんです。その際に、歯型と指紋、その問題で大分議論されたのですが、いま私、玉置さんにひやかされてちょっと席へ行ったのは、鑑定書を忘れてきたんですがね、その鑑定書によると、市川署の指紋と裁判所に出ている指紋は別な指紋だという鑑定書を二月の十七日に私はもらったんです。ですからそういう点で、これらの問題についてはもう一回告発して、あなたの方で責任を持ってこの問題について再検討する必要があると、こう私は人権の問題から考えるのですが、いかがですか。
  268. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) ただいまの水本事件につきましては、現在東京地方裁判所で慎重な審理が行われまして、裁判所の決定を待つ段階でございますので、それを見守りたいと存じます。
  269. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 私が言ったのは、問題を提起したのはあなた方ですから、あなた方の見解がどうですかというのですよ。何も裁判所の判断を聞いているんじゃないんです。あなた方の見解がどうですかと聞いているんです。
  270. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) いわゆる水死体として浮かびました人が水本であるかどうかということは裁判所がいま公正に決めようとしておる段階でございます。私どもは裁判所の判断を信頼しながら見守っておる状態でございます。
  271. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 そうすると、鑑定書、歯型の違い、そういうものを自分たちがわかっておって、あえて裁判所に判定を求めると、そういう姿勢ですか。
  272. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) 若干申し上げますと、水本被告人に係る事件の控訴を被告人死亡という理由で棄却するかどうかという判断を現在裁判所がやっておりまして、裁判所が主導権を持ってあらゆる資料を集めまして、慎重審理の結果、いままさに判断を下す段階になっておるわけでございまして、私どもからその裁判所の判断についてとやかく申す立場には全くございません。
  273. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 前回の予算委員会並びに法務委員会で私が要求した資料も出さないし、いまのような逃げ答弁をしているし、私は不満です。きょうは時間がありませんから、この問題はさらに検察側のやり方については承服できないということを言って、法務委員会でさらに突っ込む、あるいは一般質問で突っ込むということだけは宣言しておきます。  次に、厚生大臣にお伺いしますが、私は救急医療について、国または国の所属機関が積極的にやるということについて、国会に来てから約三年間追い続けてまいりました。それで昨年の四月七日の予算委員会で当時の渡辺厚生大臣が、来年の予算委員会では二度と繰り返さないようにきちっとやりますということをこの委員会でお約束したはずなんです。ですから、厚生大臣なりそれから各主管大臣はおのおのこの一年間の、この前の四月七日の経緯に沿って、経過と結論をまずお示し願いたいと、こう思います。
  274. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) まず国立でございますが、厚生省の国立病院は一カ所ふえまして八十二カ所が八十三カ所になっております。また国立大学の方では二カ所ふやす御予定になっております。そのような関係から、国立でございますと全部で八十六カ所が救急告示を受けております。また三公社はまだ告示を受けておりませんけれども、労働福祉事業団では五病院が告示をお受けになっております。そのほか都道府県、市町村それから日赤、厚生連、済生会等いわゆる公的でございますけれども、こういったものは六百七十四カ所ということで、七百六十五カ所になっております。ちなみに、これが五十年の十二月の末の段階では七百五十病院でございました。
  275. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 各省。文部大臣、郵政大臣……。
  276. 砂田重民

    国務大臣(砂田重民君) 昨年の御質問の後、ふえてまいりましたのは、私立におきましては川崎医科大学病院が告示を受けました。国立大学につきましては、五十二年度予算で救急部を新設をいたしました九州大学及び長崎大学におきまして、現在県知事あてに救急告示の申し出をしているところでございます。  五十三年度予算につきまして新たに弘前大学及び熊本大学に救急部を新設をいたしますのとともに、既設の筑波大学及び大阪大学の救急部の人員増強を行いまして、すでに告示を受けております大阪大学につきましては救急医療の充実を図り、他の三大学につきましては準備が整い次第、それぞれ県知事に救急告示を受けるように指導をいたしているところでございます。
  277. 服部安司

    国務大臣(服部安司君) 逓信病院は、御承知のとおりに郵政省設置法によりまして職員及び家族の健康保持のための機関として設置されているものでございます。したがいまして施設、定員等の面も、このような病院設置の趣旨、目的に沿って職員、家族の診療に最低限必要な範囲で措置しているところでございます。またその診療の実態も、全国で郵政、電電合わせまして三十二の病院で年間五百八十万人という多数の患者を取り扱っておりまして、当直医が大部分一名であり、救急医療を行い得る医師、たとえば外科医が常時配置されていないなど救急医療としての態応ができない状況であります。また逓信病院は診療対象を限定された職域病院であるため、医療費の支払いについて保険扱いの対象は郵政省共済組合員に限らざるを得ない面もこれあり、この点も一般の救急病院としては問題があろうかと存じます。  このように、法的にも実態的にも種々問題がありますので、逓信病院が制度として救急病院の指定を受けることは非常に困難な状態であると考えております。しかしながら、国会でも種々御指摘がございましたし、また厚生大臣からも強く御要請もあります点を十分考慮いたしまして、先般、全国の病院長会議を招集いたしましていろいろと検討をいたしましたが、運用の面でどのような形で救急医療体制に協力するかという点もあわせて真剣に検討させましたが、残念ながら協力はできないという結論が出ましたので、御報告申し上げます。したがって、五十三年度においては救急部用の予算要求はいたしておりません。
  278. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 大蔵省所管の病院は印刷局、造幣局の六病院でありますが、このほか日本専売公社に二病院ございます。このうち救急病院に指定されたものは印刷局東京病院であります。救急病院に指定されていないものについて見ますと、専売公社の二病院、これは東京と京都でございますが、現在職域医療機関でありますが、一般の人が利用し得るよう、保険医療機関として指定を受けるべく積極的に働きかけを行っておりますが、まだ付近の既存医療機関の合意を得るに至っていないわけでございます。その他の病院はおのおのの機関の職員の診療を目的として開設させたものでありまして、その規模、設置場所等は、設立の趣旨に見合ったものでございます。したがって一般の患者を受け入れることは困難でありますが、現実には、近隣の住民に急患等が発生した場合には可能な限りその診療に当たっている状況でございます。
  279. 加藤武徳

    国務大臣(加藤武徳君) 自治体病院につきましては、先ほど厚生省が公的病院という表現で六百七十四から七百六十五にふえたと、かような説明がございましたが、その中に自治体病院は四百四十六から四百五十七に増加いたしておると、これが含まれている数字であります。
  280. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) 私どもの所管の病院等につきましては、地域の事情もそれぞれあることではございますが、概して、救急病院に指定された方が地域の医療に協力すること等も含めて適切であろうと、こういうふうに考えておりますが、なお若干技術的な面等で改良を要すること等もございますので、よく厚生省とも連絡をさせまして、お話のような方向へ進ませたいと考えております。
  281. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 三分の二は去年の答弁と同じ、三分の一は幾らか前向き、こういうことです。  もう一回各省関係大臣並びに厚生大臣も読んでもらいたいんですが、いま郵政大臣が言ったようなことはもう去年一年前で議論済み。そういうことを踏まえながら設備の面、要員の面、看護婦の面、医療維持費の面、各病院ごとに全部点検して、どのくらい金がかかって、どういう問題があるかと全部整理をして、そして厚生大臣としてまとめて大蔵省と折衝する。この問題は何年ぐらいでできる、この問題は何年ぐらいでできると、こういう年次計画を含めて私に提案すべきだと言ったのが去年の四月七日なんです。ほとんどその点は零点。ですから私は要請します。もう一年かかっていますから、この国会中に去年の四月七日に当時の渡辺大臣が約束したことをぜひ厚生省でまとめてもらって私に提案してもらいたい。それを見てから改めて議論をする。きょうはとりあえずここで打ちどめと、こう思いますが、そういう資料提案をできますか。
  282. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) ただいま各省大臣からそれぞれ特殊性等の問題の御説明がありましたわけでございますが、できるだけ協力をしてもらうように、またいまおっしゃいましたような、どこに問題点があるか至急まとめてみたいと思います。  ただ、三公社五現業の病院は非常に閉鎖的な、内部の職員のための厚生施設の色彩が非常に強いものでございますから、一般にこれを開放することになりますと、診療報酬等の問題でいろいろ問題がございますので、私どもとしては、救急医療体制は民間病院、それから国公立病院を中心にいたしまして、できるだけこの救急医療に間に合うような体制を早急にとりたいと、かように考えております。
  283. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 そういう筋論はもう卒業しているんですよ。われわれが植物人間とか、たらい回しの議論をしますと、民間のお医者さん、医師会と議論をしますと、国が積極姿勢をとらないでなぜわれわれ民間だけに医師法を盾にとって云々するんだというふうに来るんですから、やっぱり国が範を示すべきだというところに視点を置いて、職域病院であろうとも、それはわれわれを含めて議論するとして、やっぱり国が前向きに取り組むという姿勢を確認しないと、民間の皆さんにお願いしますと言うのは私は酷だと、こう思うのです。ですから去年の四月七日の約束どおり、この国会中に、できれば総括質問の終わる段階でみな総洗いして、設備と人間とその他を含めて、年次計画を含めて私に御提示願いたい。改めて要請します。
  284. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 先ほど郵政大臣が答弁しましたように、郵政省の現業病院はなかなか無理な点もありますし、国鉄病院、専売公社の病院あるいは林野庁の小さな特殊の病院等については無理の点もございますが、その他の点についてできるだけいま委員のおっしゃるような資料をまとめまして御報告をいたします。
  285. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 滝の川はどうなるの、滝の川の印刷はちゃんと職域病院でもやっているんですよ。
  286. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) できるものとできないものがありますことは、先ほど各省大臣がそれぞれ申し上げた点もございますので、私どもとして、厚生省の立場で一般医療機関並みにできるだけ協力すべきものと考えられる施設すべてについてひとつ資料をまとめて御提出をいたします。  郵政省の、いま大臣から御報告がありましたような、全く職員だけの施設ということになりますと、これはなかなか困難な点もございますので、この点はひとつ御了承をいただきたいと思うわけでございます。
  287. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 去年の小宮山大臣より答弁が後退しているんですがね。私は、同じ職域病院でやっている例もあるんですから、同じ条件下で。やっぱり前向きに取り組んで出してもらうということで、ひとつそれを含めて要請いたして、資料の提示を求めてからまた議論します。いいですか郵政大臣、去年の答弁より後退していますよ。
  288. 服部安司

    国務大臣(服部安司君) 先ほども御説明申し上げましたとおりに、前小宮山大臣が検討を約しましたので、私はそれを引き継ぎ、全国の病院長を集めてこの救急医療体制についての協議をいたしました結果、責任を持つ院長各位が、先ほど御説明申し上げたような内容でとうてい応じられないということでございますので、私がここでまた検討を約しますると、また来年同じことを繰り返さねばならないということに相なりますので、この点ははっきりと申し上げておきます。ただし人道上の問題もありまするから、私は今日、その節も、その病院の周辺でいわゆる病人が発生した場合にはできる限りの措置を講ずるように要請いたしましたところ、これは了解ができておりますので、われわれ郵政省といたしましては、これ以上のいわゆるお引き受けはとうてい困難であるということをはっきり申し上げておきます。
  289. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 国の助成もあることだから、そういうよその病院も前向きにやろうというときに、逓信病院だけそういうからに閉じこもる必要ないでしょう。やっぱりオープンにして議論してくれるというぐらいになることを要請しますが、それ以上言わないだろうから別な段階で追及します。厚生大臣、お願いします。  次は基準看護の問題について、伺います。  三十三年八月二十五日、それから三十三年六月三十日厚生省告示百七十八号、それから五十三年一月二十八日保険局長の通達、この三つの通達があるんですが、ちょっとこれを説明してください。
  290. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) お答え申し上げます。  三十三年の局長通達でございますけれども、基準看護につきまして、保険医療機関におきまして看護婦あるいは准看護婦が、自身であるいは看護助手に協力させて患者の病状に応じて一切の看護を行うという場合に基準看護として認める、したがって、患者の負担による付添看護が行われておるものであってはならないということを通達で出しております。それから最近、診療報酬の改定に伴いまして、先般、基準看護につきまして、基準看護病院におきましては付き添いを行わないということをさらに通達した次第でございます。
  291. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 この基準看護病院については、付き添いをさせてはならない、あるいは付添料を取ってはならないということを意味しているわけですね。
  292. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) そのとおりでございます。
  293. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 じゃ、五十人の患者で重病人がその一割、それで特二類、二・五人に一人、こういう場合に、ニッパチ体制を含めてどんなかっこうになるか。これは事務局に計算をお願いしておったのですが、ちょっと参考までに教えてください。
  294. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) まず五十人の患者を収容している特二類病棟における必要看護要員数は二十名でございまして、このうち有資格看護職員は十六名でございます。婦長を除く有資格看護職員で二人夜勤をすれば、一人月八回の夜勤となります。また五十人の患者のうち、絶えず観察を必要とする五人の重症患者がおりまして、この五人の患者それぞれに有資格者の夜勤とは別に、三交代、月八日夜勤で助手をつけるという仮定で助手の必要数を計算してみますと、三十八人が必要となるという計算に一応なります。   〔委員長退席、理事内藤誉三郎君着席〕
  295. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 すると付添看護条件で一番いい条件、二・五人に一人、これでもニッパチ体制で二十人でいっぱいいっぱい、あとの三十八人は重患につく手がないんですね。五名の重患につけばさらに三十八人が要ると。そうすると全体で五十八人いなければ、本当にいま前段で言った三つの通達を満足させる条件がない。それは現実にこの通達はあっても通達はなきがごとしだと、こういうことになるわけですが、厚生大臣いかがですか。
  296. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) おっしゃるように、そういう仮定を置いて計算をいたしますと、いま後段で申し上げた五十ベッドの場合にさらに三十数人の追加が必要だと。そうすると、合計もう一対一以上の看護要員が要ると、こういう計算になるわけでございますが、それは一つの仮定を置いた場合でございまして、現実には、御承知のように四つの分類で私どもは看護要員を保険で定めているわけでございます。で、看護助手というものを含めた上でのいろいろ基準要員ということになっておるわけでございますが、本来なら看護婦という正式の職員によって医療の場合の看護をやるのが正しいわけでございますので、そう考えますと、なかなかこれは、いま一対一の関係を看護要員に望むということはなかなか困難でございます。そこで基準の見直しにつきまして、中医協等でいろいろ要望も出ておるわけでございますので、私どもはこの特二類あるいは特一類あるいは一般の一類、二類ということについての基準の見直しを中医協の方とも相談をしながら再検討しようということになっておりますので、この結果、中医協の審議を踏まえまして対処していきたいと考えておるわけでございます。  なお、看護婦さんの方では、看護助手についての採用を非常に強く看護婦の資質の向上の面から見て反対をいたしておる向きもございますので、なかなか容易でない。両者それぞれ見解が違うわけでございます。またこの付き添いの問題は、私どもとして正当の理由なく患者の負担で付き添いを病院が求めるということはいかぬと言っているわけでございまして、患者さんが特に希望されて付き添いをつけることについては、これは私ども基準看護病院といえども基準看護を取り消しするような措置はとらない、こういう態度でございます。
  297. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 全く大臣ね、そういうきれいごと言うけれども、医療一一〇番で聞いていますと、大臣の言うことが本当にそらぞらしく聞こえるんですよ。もう基準看護方式は、本当に付添料なり差額ベッドで苦しめる最大の私はガンだと思うのですよ。ここに私は資料をもらっていますが、東京のある奥さん。付添料が毎日五千九百六十円、差額ベッド三千五百円、一カ月四十万から五十万。いままで入院して二千万を使ったけれども、これ以上まだかかる、もうお父さんと一緒にあの世に行こうかと。これはやっぱり本命は差額ベッドの関係と同時に基準看護ですよ。ですから、こういう重病人はやっぱり一対一、植物人間も一対一と、こういうふうにやっぱり特例をつくって実態に合うようにしてやらないとこれは社会問題ですよ。そんなきれいごとじゃいけません。どうですか。
  298. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 常時看護を必要とする態勢の方には、今度医療費の改定によってこの措置をいたしてございますし、そういう場合は今後なくなるように私どもは強く指導をしたり、あるいは必要ならば点数等についてもさらに将来配慮していきたいと考えますので、おっしゃるように、私はやはり家計の非常な負担を、不安を与えるような医療体制だけは何とかひとつ早く解決をしたいと思っておりますので、今後ともなお一層の努力をいたします。
  299. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 文部大臣、私は先月の二十三日、大阪大学に行ったんですが、大阪大学というあのりっぱな大学が基準看護の指定をとるために、担架で運ばなければならない重病人を、去年の六月から十月までのたった三カ月半に三百二十二人の入院患者を無理無理百五十八人に減らして、そして基準の申請をしているんですよ。わざわざ病院の重病患者を退院させて、それで採算を合わせると。それは厚生大臣、文部大臣、筋道を合わすための策動ですよ。天下の大阪病院がこんなことをやっているんですよ。これでいいですか。
  300. 砂田重民

    国務大臣(砂田重民君) 御指摘の点、私は実態を聞き及んでおりませんので、調査の上後刻御回答申し上げたいと思います。
  301. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 これはちゃんときのう政府委員に言っていますよ。文部大臣、きのう大阪大学の問題を言いますと言ってあります。大阪大学は言いますと言っていますから、きのう。大阪大学に照会してくださいよ、ちゃんとわかっているから。これは病院長も看護婦も確認していますからね、看護婦長も。大阪病院問題。
  302. 砂田重民

    国務大臣(砂田重民君) まことに恐縮でございますが、後ほどお答えをいたします。
  303. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 じゃ、保留します。  関連質問で農林大臣から説明があったんですが、ひとつ大臣、これちょっと見てください、農林大臣。  いま大臣に見せましたが、林野の仲間の皆さんが去年の春から夏にかけ、休みを使って全国の山の現状を点検したはずなんです。二十何冊、こんなにあるんですが、大臣は北海道ですから札幌の例を申しますが、それは三千名の組合員がかかって各営林署林班ごとに内容別に全部チェックしたものですが、それは相当専門的にやっているということをお認めになりますか。
  304. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) ただいま拝見したわけでございますから、まだ理解は十分できておりませんけれども、厚さからいっても相当なものだと存じます。
  305. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 それで、私も去年の十一月の十九日から二十日、その分厚い全国を全部歩くわけにまいりませんから、国道筋から大体三十キロから五十キロの山奥をずっと歩いてまいりまして、札幌営林局の林野部長ですか林政部長ですか、それから現地の方々も立ち会って点検したんですが、山荒らしの現状については大体九五%ぐらい間違いないということを確認しているんですが、いかがですか。
  306. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) 御指摘のとおりだろうと存じます。
  307. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 それで枯れた山ですね、枯れた山に木を植えるということになると相当の人力と苗木が要るということをわれわれは計算をしてみたんです。ところが実際に計算をしてみますと、いまのやつは造林ですが、自然林を含めると大体十万人程度の雇用が必要だと、そういうことが計算上出てきたわけなんです。ですから、私たちは農林大臣にひとつ山に投資をする意味で、この際思い切って北海道の枯れた山に苗木を植え、そして緑の山に戻すと。そういうための思い切った英断をひとつお願いしたい、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  308. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) 北海道について申し上げますならば、民有林より問題は国有林でございます。国有林が日本の営林局の中でも一番赤字であり、一番経営が悪く、その原因は何であるかというと経営そのものも悪い。あるいは木材が安い等々の理由もありますが、労使関係その他機構の複雑化等、反省しなければならない点がたくさんございますので、今回国有林野を中心にいたしまして、改善のための法案あるいは一般会計からの繰り入れ、同時に営林局の機構の改革というのもお願いしておりますのもまさにそのためでございます。
  309. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 北海道の国有林の木を切り過ぎるんじゃないんですか。昭和三十年から五十年の資料をもらったのですが、成長率と切り率の率を見ますと、国有林は一・八二、民有林は〇・七九。民有林は十分余裕を持って成長を見ながら切ると。国有林はもう問答無用で成長率の倍近くの木を切ってしまったというところに北海道の問題があるんじゃないですか。これは資料あります。余り木を切り過ぎた、北海道は。
  310. 藍原義邦

    政府委員(藍原義邦君) お答えいたします。  北海道の場合、先生御存じのように昭和の二十年代の終わりに大台風がございまして相当な面積が伐採されました。風倒で伐採せざるを得ないという形になりました。そういう関連がございまして、北海道の造林につきましては皆伐方式を従来とってきたわけでございますけれども、その後造林地を進めるにしたがいまして、森林の成長というものはふえてまいりますので、私どもといたしましては、そういう従来の天然の森林から人工の森林にするということで蓄積をふやすという努力をしながら伐採量を決めておる次第でございます。
  311. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 はげ山なんだから木を植えなくちゃしようがないでしょう。どうするんですか、木を植えないですか。はげ山に木を植えないんですか、木を切っちゃって。
  312. 藍原義邦

    政府委員(藍原義邦君) ただいま申し上げましたように伐採跡地には的確に造林を進めておりますが、個所によりましては、北海道は御存じのとおり非常に気象の激しいところでございますし、気候関係あるいはウサギ、ネズミ等の害によりまして被害が出、確かに一部適地を間違った点もございますが、そういう点で、ただいま全面的に北海道の国有林の造林地につきましては当局側でも点検をし、洗い直しをいたしまして、優良な造林地になるような努力を進めている最中でございます。
  313. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 だからはげ山に木を植えるために、営林局とか営林署の皆さんが、金と時間と物さえくれれば山はきれいになりますと、そう言っているんですよ。そういって山をきれいになぜできないんですか。
  314. 藍原義邦

    政府委員(藍原義邦君) 私どもいま先生がおっしゃいましたように、山に十分に人をかけ金を入れてきれいにするように努力はいたしております。しかしながら、先生御存じのように、ただいま大臣からもお話がございましたが、北海道につきましては最近事業量がずっと減っております。したがいまして、私どもとしては、現在の下がる事業量等をにらみ合わせながら的確な人員、的確な金額、予算によりまして山をよりよくするように造林を積極的に進めておる最中でございます。
  315. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 総理大臣、これはやっぱり山に木を植えないと物にならないんです。北海道全部をあれだけ点検して、大体十万人ぐらい要すれば、本当にはげ山がきれいになると、そして今後もどんどん使えると、外国から外材を輸入しなくてもやれると、そういう可能性があるし、片や二十万の失業者が北海道におるこういうときに、やっぱり思い切って山に投資するという点は、雇用の面からも治山治水の面からもいいんじゃないか。現に現地の方は金と人と物さえもらえばきれいになりますと、こう言っているんです。どうですか。
  316. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 検討いたすことにいたします。
  317. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 労働大臣、雇用対策としてどうですか。あんたは雇用対策の専門だから。
  318. 藤井勝志

    国務大臣(藤井勝志君) いまの問題に関連してですね。
  319. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 北海道の二十万人の雇用対策、治山治水どうですか。
  320. 藤井勝志

    国務大臣(藤井勝志君) 北海道という地区には、やはり季範的な関係で非常に問題があるわけでございまして、特に季節労働者に対するきめの細かい手当てをいたしておるわけでございまして、いまのお話の造林の問題は一つのお考えでございましょうけれども、やっぱり営林署が中心でやっていただかなきゃならぬ問題でありますから、われわれとしては雇用の拡大に対してプラスになるようなことはできるだけひとつ前進をしていただきたいと、このような考えを持っております。
  321. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 労働大臣、おたくの資料では労働力を一番吸収できるのは災害関係、次は治山治水、農林関係と、去年おととしの資料で、そういう百万事業当たりの有効労働力という点はやっぱり治山治水が一番多いんですよ。ですから積極的に、労働大臣だから林野庁に任せますというふうなことでなくて、どうするれば現に失業している方々を吸収できるかと、そういう積極性を労働大臣はやっぱり示してほしいと。北海道の労働組合の皆さんもそういう視点で私は北海道は北海道なりに議論していると思うのですよ。だから、それをやっぱり地域の問題として吸い上げるというぐらいの積極性は私はぜひ労働大臣にとってもらいたいと、こう思うのですね。
  322. 藤井勝志

    国務大臣(藤井勝志君) すでに御承知のこともございますけれども、特に北海道については通年雇用制度、積雪寒冷地帯に対する雇用促進の助成の制度、こういったことをやっておるわけでございますけれども、特に雇用対策全般といたしましては、やはり新しい雇用をつくり出すという、こういったこともあわせて行わなきゃならぬ現在の日本経済の変化に対応する必要がございますし、そういう意味から、実は労働省といたしましては、特に中高年齢層の雇用対策として新しく一月にわれわれが打ち出したのは、中高年齢層を雇い入れる事業主に対して助成をすると、こういう制度も出しておりますし、また公共事業を積極的にやる今度の予算においては、いわゆる失業者の吸収率制度、こういったものを必要によっては地区を指定してこれに受け入れをしてもらうと、地方自治団体とも密接な連絡をとってやると、こういう対策をいたしておるわけでございます。
  323. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 総理大臣、労働者側は休みを返上して、こつこつと山を点検してこうしようああしようと、山もきれいになる、そして仲間も失業者も救えると、そういう積極的な問題を具体的に持ってくると木で鼻をくくったような答弁をしていると、それでは私は本当の雇用対策にならぬと思うのです。そういう本当に労働者が自分で点検してやろうということについては、よし、じゃ農林大臣も山に行って歩いてみて、本当にそうかどうかということをひとつ自分も歩いて考えてみようというぐらいの私は血の通った雇用対策でなければ何にもならぬ。きょうは三月十日、救世軍の慈善給食車のカレーが今晩また新宿に来ると、ああいう新宿におる方々は角榮はよかったと、「たけお」はだめだと、これは三木武夫と福田赳夫。角榮は仕事をくれるけれども「たけお」は仕事をくれないと言って、しょうちゅうを飲みながらぐずぐずぐずぐず言っている。私もしょうちゅうが好きだから一杯しょうちゅうを飲んでつき合ってみたんです。やっぱり労働者は、あるいは働く者にはもう少し人間味のある私は対策をやってほしいと、せっかくあれだけ持ってきたんですから親身になって雇用対策を考えるという、やっぱり私は人間性を回復してほしいという点で総理にもう一回その点を聞きます。
  324. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 公共事業を中心とする五十三年度予算、これをいま御審議を願っておるわけです。これはお話しのように雇用対策を非常に重視しているわけなんです。この予算によって雇用を盛り上げ、また需要を喚起し、そうしてみんなが働きかつ景気全体としても良好に転ずると、こういうふうなことをねらっているわけなんですが、いま御指摘の造林問題、これは私は初めて聞く話でありまして、ここでどうするということは申し上げかねますが、検討をいたします。
  325. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 それじゃ国鉄の問題を中心にした交通関係でちょっとお伺いします。  私は、新しい交通体系のあり方について、当時の運輸大臣に大分提案しておるわけですが、提案している問題点について運輸大臣は引き継ぎを受けているかどうか聞きます。
  326. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) 私は一々その詳細についてよく聞いてはおりませんが、これからせいぜい承りますし、また私の方で調査をいたしまして、すでにお聞きしていることについては善処したいと思います。
  327. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 これは総理大臣や通産大臣にも聞いてもらいたいのですが、物の輸送、流通機構を考える際に、   〔理事内藤誉三郎君退席、委員長着席〕 運輸省は縦割りは結構なんだけれども、自動車、道路、鉄道、航空、海運、おのおの縦割りなものですから、競争は結構なんですけれども、結局共食いでダンピングして、自分自身がタコの足を食っているということが行われている。ですから、もう少し計画的に、政策誘導的に交通体系の整備なり、あるいは運営のあり方ということをやるべきじゃないか。たとえば苫小牧で開発をやると鉄、セメントが大分移動をするが、そういう際に、国の金で助成しながらやるんですから、やっぱり国鉄は幾ら、あるいは自動車は幾ら——私はこの前三分の一、三分の一と言ったんですが、そういうふうな政策誘導的な流通の移動ということについてもう少し前向きに検討する方法があるんじゃないかと、私はそう思って提案したんですが、そういうことについてぜひ総理大臣の考えなどもこの際聞いてみたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  328. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 運輸行政を縦割りでやるか、あるいは横割りでいくか、こういうことにつきましてはいろいろ議論がありまして、昨年十二月に決めました行政機構の改革、あれでも横割り的な考え方を運輸省については取り入れようかという検討もしてみたんです。しかし、これはなかなかむずかしい問題でありまして結論は出ておりませんが、なおこの利害得失につきましては十分検討いたしまして、そして総合交通体系、そういう考え方のもとに一つ一つの交通政策が進められるというふうにはぜひいたしたいと、そのように考えます。
  329. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 この際、参考までに通産大臣と建設大臣の意見を聞いてみたいのです。この点いかがですか、いまの問題。
  330. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 最初にどういう傾向かということをちょっと申し上げておきます。  昭和五十年度の貨物輸送は約三千六百億トンキロでありまして、この輸送機関別分担率は内航海運が五一%、自動車が三六%、鉄道が二二%となっておりまして、四十五年度、これは三千五百億トンキロでございますが、これと比較すると内航海運が八%ふえて、自動車は三%減、鉄道は五%減と、こういうような傾向をたどっておるわけであります。  そこで、建設省としてこれをどう判断するか、交通機関の持つ機動性、確実性、経済性等の諸特性を利用者が総合的に判断して、その選択をしておるものと思うのですね。だからこれを人為的に鉄道の方にこれだけふやしたらいいというように持っていっても、なかなかそれはむずかしい問題ではないかと思うのであります。  なお、昨年十一月の三全総の計画を決めましたときにも、これらの傾向を取り入れて、昭和六十年度から六十五年度の分担率を海運五四ないし五五、自動車は三八ないし三六、鉄道七%程度ということで、どうも鉄道を特にふやすということについては傾向上いかがかと思うのであります。
  331. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) 物の生産と輸送はこれはもう表裏一体の関係にありまして、重要な産業政策でございます。したがいまして、政府部内でも絶えず研究をいたしておりますが、引き続いて研究を重ねたいと思います。
  332. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 これは短時間で議論するのはあれですから、私は前の田村運輸大臣に一つの提案として出しておりますから、たとえば財源の裏づけの問題、いま建設大臣が言った問題なり通産大臣が言った問題などについても私は議論したことがあるんです。トラックの過当競争をどうするかという問題になると、私は私なりに持論がある。それから、きょうは進みませんが、そういう提案について財源の裏づけを含めて、運輸大臣なり通産、建設も含めて具体的にもう少し議論をしてもらって、そして今後の議論にプラスになるような本当の意味の総合交通体系というものをどうするかということについて、ひとつ前向きの議論をお願いしたいと思うのですが、担当大臣いかがですか。
  333. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) いろんな輸送機関にそれぞれの性能、特性を発揮して効率的な成果を上げさせるということが大変大事でございますが、そのことはある程度の競争は生むけれども、同時にまた、これらが大いに協力し合う、連携し合うというようなことも必要でございまして、先ほど縦割りだからというようなお話がございまして、黙って伺いましたし、大変参考にもなりますが、縦割りだからいいということも中にはございますので、そこらを縦横しかるべく調整をいたしまして、ただいま目黒さんがおっしゃった、いろんなことを気をつけていま大いにやれというお話でございます、大いにやらせていただくことにいたします。
  334. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 大いに議論します。  出たついでに国鉄総裁にお伺いしたいんですが、昨年の公共企業体等基本問題会議で構造的な三点を挙げて意見を開陳しておられますが、それをちょっとこの段階でお示し願いたいと、こう思うのです。
  335. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 昨年の十月の三十一日に基本問題について国鉄としての考え方を述べよという機会がございましたので、そのときに私から懇談会で申し上げたわけでございますが、その内容といたしましては、私どもだけではどうにもならないものがだんだん出てきております。仮に構造的なものという言葉を使っておりますが、そうした欠損負担あるいは過去からの重荷と思われる点がいろいろあるわけでございまして、その点については今後国の助成を求める以外にやりようがないということで、ぜひともわれわれとしては援助をしていただきたいということをお願いしておるわけで、そのことを申したわけでございます。その内容はいろいろございますけれども、現在考えられます大きなものはいわゆる地方交通線から生じますところのいろいろな負担が一つ。第二番目は過去債務による負担が一つ。三番目は、戦争中のあるいは戦後、私どもが国の機関として国策遂行上かなり無理をして人の採用に当たりました結果生じました要員構成のひずみによる負担といったようなものが、いま最も顕著に何とかしていただきたい問題として感じられるわけでございます。  まだほかにもいろいろありますけれども、特に顕著なものとして現在その内容をさらに分析の上でいろいろとお願いしなきゃならぬものとしてこの三つのことを当時申し上げたわけでございます。
  336. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 金額がわかれば。
  337. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 地方交通線から生ずる負担は、五十一年度の決算で私どもの一つの分類によりまして見ました数字が一年間で二千三百六億円でございます。これは五十一年度には百七十二億円の助成金をいただきましたが、なおかつ二千三百六億円でございます。  それから、過去債務によります利子負担は二千百八十四億円でございます。これは五十一年度に払います利子総額が五千四百四十一億円でございますけれども、いろいろと補助金をいただきました結果、最終的に国鉄負担となっておるものが二千百八十四億円でございます。  それから、構造的な人員構成のひずみによる負担というものの中身といたしましては、現在ここのところへまいりまして非常に大ぜいの諸君が定年になってやめるということになりました。一定の基準を超える退職手当について援助をしていただくという方式を五十三年度からお願いいたしておりますが、その一定の基準を超える退職手当の金額というのは、五十三年度におきましては五百八十二億円でございます。なお、この五百八十二億円の支払いについて利子がかかりませんように補助していただくという金額として、予算には三十八億円が計上されております。  それから、年金はこれはまだいまの段階はかなり重い負担あるいは国鉄自体として相当な特別の負担を、普通の社会保険の場合と違う追加費用負担をいたしておりまして、どうにかこうにか収支とんとんということでございますけれども、初めて五十一年度の決算において年金会計上八十九億円の収支不足を出したという現状でございまして、金額的にはまだどういうふうなものを異常な負担と見るべきか今後の検討を要する部面でございます。
  338. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 そうすると、運輸大臣、去年も大分運輸委員会で議論したんですがね。今回のこの予算の編成でいま言われた三つの件、それから去年の十二月二十九日閣議了解したいわゆる国鉄再建との関連、この問題についてどういうふうな絡みになっておるんですか。
  339. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) 国鉄は、いまも出ましたように大変赤字があると、だがしかし一方において世界各国から非常な信頼も受けていろいろ教えてくれというようなことを言われていると、こういうようなことをいろいろ総合的に考えて、どうしてもここで再建をしていかなければならない。いまお話しがありましたような閣議了解その他で五十三年度、五十四年度を中心にしてここのところで何とか再建計画を大きく前進させなけりゃならぬと、こういうわけでそういうことにいたしますが、いずれにしてもかなり膨大なものでありますだけに何といってもやろうと思うと金がかかるというようなことで、いまのやり方ですと金をかけりゃすぐ利子でもっと赤字がふえるというような話ばっかりでございますので、何とかして本当に再建になるような方策を講じなきゃならないと、そういうことのために、国鉄会計というものはいままでのままじゃいかぬじゃないか、何か特殊の考え方で臨まなければならないんじゃないかということ等も考慮に入れまして、再建計画を前進せしめるべくいま一生懸命にやっていると、そういう状態のさなかにあるということを申し上げたいと思います。
  340. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 大蔵大臣、去年議論して、今回は政府出資ぐらいは少しは大蔵省もめんどうを見てくれるだろうなと、こう期待しておったんですが、政府出資はゼロと、こういうことになりますと、構造的欠陥を政府の責任で見ると閣議了解事項に書いても、一体いつまでかかるんだろうか一と、自転車操業でますます苦しくなってしまうという気がするんですが、大蔵大臣自身として本当にこの閣議了解事項、いま言った欠陥の三点について真剣に取り組む気があるのかどうか、その決意のほどをぜひ聞かしてもらいたいと、こう思うのです。
  341. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 私も以前運輸省の政務次官をやらしていただいておりまして、国鉄の財政の困難性はよく承知しております。昨年の秋の国会で、与野党が一緒になりまして知恵を出していただきました。それを基本といたしまして閣議決定を見たところでございます。問題は、まさに非常にむずかしい問題でございます。先ほど建設大臣が言いましたように、かつてのような、国鉄がいわば独占時代が去っておるということは一つの大きな理由でございます。それからまた、いま運輸大臣が申しましたように、国鉄の持っておる技術、恐らく世界最高水準であると私も思っているのでございます。このようなものをいかようにしてりっぱに生かしていくか、それが閣議決定で決められたわけでございますけれども、五十三年、五十四年と一つの検討期間として問題点を指摘しているところでございます。その一つは、この前、国会から認めていただきました運賃の特例の関係をいかに生かすかと、こういう問題でございまして、受益者に対しましてもある程度の適正なる負担増を求めざるを得ない。同時にまた、国鉄みずからも努力をいたしまして、いろんな合理化の道を歩かなければならない。そしてまた、国もまたそういう状況にありますから必要なものは援助すると、こういうことで、ことしはいわばその暫定的なものとして予算を組ましていただいたわけでございますけれども、大蔵省といたしましても運輸当局、国鉄当局と十分協議をいたしましてことしの予算を組ましていただきましたが、本格的なものは当然これからの検討をまって、それから抜本的な問題にメスを入れると、こういう段階になるのだろうと思います。私も真剣に取り組んでまいりたいと、かように思っております。
  342. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 じゃ、そういう点を、絵にかいたもちにならないようにひとつぜひお願いしたいと思うのです。  たまたま、これは暗いニュースばかりじゃなくて、このごろ国鉄の技術という問題で海外からいろんな照会や要請が来ているという点を、交通新聞なりあるいは読売新聞の二月十四日の日中の経済協定、協力と、こういう関係で来ているんですが、これらの現状は国鉄なり運輸省なりで結構ですから、どんな状況かを教えてもらいたいと思うのです。
  343. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) 現在世界三十数カ国から百何件かについていろいろ技術協力してくれとか、教えてくれとかという、この中にはアメリカとかニュージーランドとか、言うなれば相当レベルの高いと言われている国々等も入っております。いま目黒さんのお話しの中国からもお話がございまして、国鉄から人を派遣をいたしましていろいろやってきたようでございまして、余り詳しいことを申し上げるのもいかがかと思いますが、これらの点については前向きに対処をいたしまして、ぜひ中国の希望にも沿いたいと、こういうように思っております。このことにつきましては、単にこちらから出向きまして指導するということばかりでなくて、向こうから相当数いま日本へ来て実地にいろいろ教わっている連中もあるようでございます。これらの面についても、ますます積極的に取り組んでいく必要があろうと思います。こういうことをいろいろやることによって、わが国の国鉄もある意味において生まれ変わりの手術をすることにもなろうと、こういうふうに考えておる次第でございまして、必要がございますれば、いま進行中のプロジェクト等についても、一一申し上げてもいいんですが、どうもお顔つきからすると目黒さんの方がよく御存じのようでございますから。
  344. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 私の所属の動労も去年の六月二十九日、文革後初めて鉄道交流団を招きまして、新幹線を見せたり、ヤードを見せたり、大分技術協力を身をもって実践をして、国鉄の持っている技術というものについては相当期待を持って帰ったという経過もありますし、それから何か自民党の増田先生がことしの一月中国に行った際にも、向こうの新幹線の問題について先生に話があったということも聞いておりますので、時たまたま華国鋒体制で経済再建十カ年計画という段階でありますから、私は総理に見解を聞きますが、こういう機会ですから、やはり積極的に中国との技術交流、政府間ベースによる技術交流、技術交換、あるいは貿易ということを含めて、やはり明るい話題をひとつ投げかけてはどうかということについて、総理の積極的な決断なりあるいは後押しをお願いしたいと、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  345. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 日中交流につきましては、例の共同声明ができましてからかなり順調に進んでおるわけですが、先般経済界のミッションが北京に参りまして、そして日中貿易協定を締結しておるわけであります。これなんか画期的なものであります。貿易協定ではありまするけれども、もちろん技術協力、そういうものも関連をする、こういうことになる。大変結構なことだと、こういうふうに思いますので、政府はそういう企画を支援をするということ、その他日中関係の緊密化につきましてはできるだけの努力をいたしたいと、このように考えております。
  346. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 これは総裁がおるから聞くんですが、総裁の方でも積極的にこの問題に取り組む意思があるんですか。
  347. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) かねがね中国から技術者といいますか、専門家の方が見えまして、いろいろ私どもの新しい輸送手段等について勉強に来ておられます。で、うちの現場の諸君の話を聞きますと、非常に熱心であるということでございまして、大変いろいろ勉強をしておられるようでございます。昨年の秋には、私どもの技術の最高責任者である技師長が向こうへ参りまして、向こう側といろいろ意見を交換をいたしました。今後とも先方からいわば研修生を受け入れる、あるいはまた、こちらからもなるべく頻繁に出向くということの基本的な意見交換をして帰ってきておるわけでございます。私どもも、経営全体としては先ほど来御指摘のように大変赤字でございますけれども、しかし、技術を世界の皆さんから評価していただけることは職員の士気を非常に高めることにもなりますので、直接の経営問題とは関係ございませんけれども、そういう機会をとらえて、われわれの持っております技術を評価していただくという機会を持つことは大賛成でございますので、政府の御方針に従いながら、私どもとしましても積極的に協力態勢を進めていきたいというふうに考えております。
  348. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 ひとつそれはお願いします。  それからもう一つですが、これは沖繩に鉄道を敷くという話が出まして、沖繩県の国有鉄道導入調査委員会、これが五十一年の二月、大分いまの私鉄とかモノレールを含めて研究した報告書を県に出しておるんですよ。私もなかなかまだ自信がないんですけれども、さっきの北海道の山と同じように、沖繩の雇用問題を考えると、なかなか名案がない。若い労働者は、関西に来て三年ぐらいいるとまた帰ってしまう、そういう習性もありましてなかなか大変だと思うのですが、沖繩に鉄道を敷くという問題についても、雇用問題なりその他も含めて、交通問題がやっぱり私は壁にぶつかっている、自動車運送が。そういうことも含めて、積極的に沖繩の鉄道の問題ということについてこの報告書を検討して、何とか物になるように努力してほしい、こういうことについて、これは総理と運輸大臣に一応見解だけ聞かしておいてもらいたい、こう思うのです。
  349. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) 沖繩の交通手段ということについては、必ずしも内地と同じような考えではいかぬと思います。したがって、島も多いというようなこと等も考え、本土との関係等も考えて、航空には特に重点を置かなければならないが、同時に、いま御指摘のような考え方もあろうと思います。沖繩に対してわが国がどうあるべきかということについては、十分心得ているつもりでございます。いまお示しの案等につきましては、大いに勉強さしていただく、検討させていただきたいと思います。
  350. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ただいま運輸大臣から申し上げたとおりに心得ております。
  351. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 ひとつ前向きに御検討方をお願いします。  それから、最後に成田の問題ですが、まあ成田の問題は、警官隊を七千名動員していろいろ議論があったことについてはもう触れません。ただ、公団総裁にお伺いしますが、あれだけ大騒ぎをして、そして国鉄にもあれだけの負担をかけて油を運んだらタンクが漏っておって云々と、成田の市長さんから消防法の十二条の警告を受けるなんということは、頭隠してしり隠さず、こういうことになると思うのですが、一体これはどういうことなんですか。
  352. 大塚茂

    参考人大塚茂君) いろいろ御心配をおかけいたしまして恐縮でございますが、最初油の取りおろしをいたします際に、多少作業員の不習熟の点から、空気抜きから油が漏れたという事故が最初二回ばかり起こりました。その後慎重にやりまして、その後は起こらずに現在に至っておるわけでございます。作業を慎重にやれば問題ないわけでございますが、しかしその後列車が増加した場合等も考えまして、空気抜き等について若干の、場合によっては手直しをしたらということで現在検討中でございますが、これで開港に支障を来すというようなことには絶対ならぬ予定でございます。
  353. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 その輸送に、七千名だか三千名の警官隊はいつまで必要なんですか。
  354. 大塚茂

    参考人大塚茂君) これもまことに残念な状態でございますが、開港の最初は不測の事態も予想されますので、いろいろ警備当局にお願いをいたしております。まあ空港が開港されまして、全国民もまた地元の方々も成田空港の必要性といいますか、国民生活あるいは地元との関係というものを現実に御認識をいただくに従ってそうした必要はだんだんなくなっていくものというふうに私どもは確信をいたしております。
  355. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 おたくの計画によると、二年か三年後に飽和状態になっちゃって、どんなに無理をしても七年後にはもう一回成田空港を見直ししないとだめだ、羽田に戻ってしまうんじゃないか、こういう成田空港見直し論がいまあるんですが、どうですかこれは。
  356. 大塚茂

    参考人大塚茂君) 成田空港は、いろいろ議論がございますけれども、新しい技術を取り入れた近代的な施設でございまして、二年や三年で行き詰まるというようなことは絶対ございません。
  357. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 時間がありませんから、ここに数字持っているんですが、後ほどその行き詰まらないという計画と、現行の資料を提示できますか。
  358. 大塚茂

    参考人大塚茂君) これは御要求に応じまして後刻差し上げたいというふうに思います。
  359. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 パイプラインの見通しはどうなんですか。
  360. 大塚茂

    参考人大塚茂君) 目下地元の市町村とお話し合い中でございますが、できるだけ早く御納得をいただきまして着工さしていただいて、三年内に完成をさせるようにいたしたいということで努力中でございます。
  361. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 前回のパイプラインと今回のパイプラインの違いはどこですか。
  362. 大塚茂

    参考人大塚茂君) 現在の埋設してございますのは、パイプライン事業法が施行になる前のものでございますので、その後パイプライン事業法が施行になり、技術基準等の省令が決まりまして、安全のための施設等に若干やはり手直しをしなきゃならぬという点がございます。したがって現在のものよりは今後のものがはるかに安全性の高いものになるということでございます。
  363. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 前回と今回の鉄道輸送の三者に対する安全論争の比較表を出してください、時間がありませんから。出しますか。
  364. 大塚茂

    参考人大塚茂君) それでは後刻差し上げたいと思います。
  365. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 総理、三千名、七千名の警官隊を動員して、いつまで続くか知らぬけれども、これで予定どおり開港できたとしても、いろんな今後の問題に尾を引くと思うのですが、これらの問題について、総理として、成田の皆さん、関係者の皆さん、国民の皆さんにどういう姿勢でどういうところに御了解なり協力願って本当に国際空港として完備するものにするか、そういう展望について決意を述べてもらいたい、こう思うのです。
  366. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ただいま国際空港であります羽田空港ですね、これが御承知のような大変な過密の状態でありまして、あそこで一朝何か事故が起きるということになりましたら、それは一波万波大変な惨事になっていくだろう、このように見られておるわけであります。そういう状態を目の前にしながら、もう十一年前に開港の方針を決定した、その成田空港が、七千億余りの金を投じてしかもぐずぐずしているという状態は、私は政府といたしまして国民に責任を尽くすゆえんではない、このように考えておるわけであります。今月末に開港の目標を決めておりますので、これは万難を排して実行いたします。
  367. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 大塚空港公団総裁まことにありがとうございました。御退席をいただいて結構でございます。  それから、先ほどの文部省側の質問に対する答弁を申し上げます。  目黒君時間が来ております。
  368. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 大阪大学の付属病院当局に確認をいたしましたけれども、現時点における付属病院の担送患者数は百八十三名でございます。一カ月前の時点でやはり百八十四名程度おります。さらに五十一年度を通じまして、平均百七十人前後の担送患者数でございます。大学当局は、基準看護実施のために意図的に担送患者数を減少したということは決してないというふうに報告をいたしております。  なお、看護婦の負担の問題の改善のために、病院当局は看護関係の施設設備の充実を図り、あるいは三十名前後のパートの看護助手を採用するというような改善措置を講じているところでございます。  なお、御指摘でございますので、さらにこの担送患者数の問題については私どもで調査をさしていただきます。
  369. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 私の確かめてきた数と大分違いますから、現場の院長さんと看護婦長さんが、おたくにはそういう答弁する。私は行って、現実に確認して間違いありませんと、こう言っているんですから、いまの回答については了解できません。だから改めてまた追及します。
  370. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 文部省は改めて調査をしていただきます。
  371. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 最後に総理、身体障害者の問題をやろうと思ったのですが、時間がありませんので。ただ衆議院で楠代表が公述しておるんで、あの公述の内容について総理とそれから厚生大臣申しわけないけれども、総理と厚生大臣の見解をお聞かせ願って、そして後一般質問でさらに細部を詰めていきたいと思いますから、総理と厚生大臣の見解をひとつ聞かしてもらって終わりたいと思います。
  372. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 参考人の御意見は私ども傾聴いたしております。したがって身体障害者のあの御趣旨は一般のものとそう区別しないで、たとえば教育についてもその他雇用の促進につきましても、できるだけ政府は努力をすべきだと、こういう御意見と承りますので、御趣旨を十分尊重いたしまして、今後とも努力をしてまいります。
  373. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 厚生大臣の答弁のとおり心得ております。
  374. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 では時間も参りましたので、ついでに文部大臣、いまの楠さんの関係で文部大臣、それから身体障害者住宅で建設大臣、それから赤堀問題で法務大臣、この三大臣の見解を聞きたいと思います。
  375. 砂田重民

    国務大臣(砂田重民君) 衆議院におきます楠参考人の御意見は十分に拝聴をいたしました。十分このことを意に体して、義務化に万全の準備を進めてまいります。
  376. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 先般もこの委員会でお答えをいたしましたが、建設省としては身障者のために道路の上で工夫できることはできるだけ取り入れてまいりたい、検討さしていただきます。
  377. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) いま赤堀問題というお話でございましたが、御質疑はなかったと思いますけれども……。
  378. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 いやこの前の公述人。
  379. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) それについてお答えいたします。  赤堀問題、目黒さん御承知のとおり、四回目の再審の請求を東京高等裁判所にしております。そこでもし新しい無実を証明するような証拠がありますれば、再審の場で、裁判所の場で十分検討するわけでございますから、その裁判の模様を見守りたい。これが私どもの態度でございます。
  380. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 簡単にしてください。
  381. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 いまの答弁と来年の身障者の義務教育の関係で、衆議院であなたが答弁したことで、従来の指導通達と抵触する点は、大臣の答弁が優先して、直すと、こういうことを確認して結構ですか。
  382. 砂田重民

    国務大臣(砂田重民君) 原則は原則、レアケースに対処することはレアケースとして対処をいたしますことは、文部大臣が衆議院で答弁いたしましたとおりでございます。
  383. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 以上で目黒君の総括質疑は終了をいたしました。(拍手)     —————————————
  384. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 次に、宮田輝君の総括質疑を行います。宮田君。
  385. 宮田輝

    ○宮田輝君 総理、閣僚の皆さん、連日御苦労さまでございます。もうしばらくでございますので御協力をいただきたいと思います。  きょうは三月十日であります。明治の方は明治の方で感懐がございましょう。私ども戦中派といたしましては、特に東京に住んでおりました者は、東京の下町が大空襲で焼け野原にされたという日でございます。それから三十三年たったわけでございますが、総理もおっしゃっておりましたように、一生懸命働き抜いて、やけにもならずこの国の再建に取り組んできた日本人が、世界がうらやむようなこういう国づくりをしてきたわけでございます。平和であるということは本当にありがたいことだと思います。総理は平和と繁栄とおっしゃっております。これはなかなか容易なことではないと思うのですね。今度の予算につきましても、国民は祈るような気持ちで景気の回復を大きく期待しているわけでございます。石油ショックから五年目という長い不況が続いております。伺いますと産業界の米と言われます鉄鋼も、不況のためにこの三月末には、わが国全体の高炉六十五本のうち二十本の火が消えると、こういうことでございます。新聞報道によりますと製鉄会社がウナギ屋さんを開業したという話も出ております。中小企業はなおさら厳しいわけでございますね。  当面の最大の政策課題は何としても不況の克服によって、戦後三十年にわたって築き上げてきた社会経済の安定を図るということ。それから国際社会の摩擦の解消、協調関係の発展促進である。こんなふうに思うわけでございますが、これまた容易でないことは申し上げるまでもございません。  政府は今度の予算で、公共事業を中心に景気回復を図っているわけでございますが、それは考えてみますと、エネルギーの消費拡大ということでもあるわけでございます。片一方に省エネルギー政策というものがございます。この調整をどういうふうに考えていらっしゃるのか。日本は資源のない国であることを忘れることはできないわけでございます。そこで資源の節約、省エネルギーを、これからの安定成長といい、低成長といいますけれども、これからの経済成長の構図にどう位置づけるというふうにお考えでしょうか。わかりやすく簡単に御答弁をお願いいたします。
  386. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 省エネルギー政策ですね。これはわが国といたしましては、これからの国の運営の一つの大きな柱としてこれを推し進めなければならぬ立場にあるわけです。ところが、いまは景気の方が思わしくない。そこで景気政策景気政策と言うのですが、景気政策をとるということは、まあ一般的に申し上げまして、これはエネルギーをよけい使う結果になってくるわけなんです。私はこの二つの問題を国民に申し上げる。これは非常にわかりにくいんです。わかりにくうございますが、割り切って考えますれば景気は直さなきゃいかぬ、しかし景気を直すその中におきましても、資源エネルギーは最大限にこれを活用する。そういう考え方をとらなければならぬ。これからの世界情勢、こういうものにつきましては国民に本当に理解してもらって、そして景気問題が軌道に乗ったという段階におきましては、省エネルギー、省資源政策、そういう考え方、これを相当強力に打ち出さなきゃならぬということを、もういまこの段階におきましても御理解を願わなきゃならぬと、そのように考えております。
  387. 宮田輝

    ○宮田輝君 つまり、わかりやすく総理初め政府の方々は国民にしょっちゅうひとつ話をしていただきたいと思うのです。わからないと協力しようにも協力しようがない、こういうことでございますね。いずれにいたしましても、私どもは健康で文化的な生活を営みたい、こういう願望を持っております。その健康な生活を続けるためには、やはり生活環境というようなものはこれは整えておかなければならないと思うのです。日本はお米があり余るほどとれるようないい国にもなりました。周りは美しい海です。しかし、ところによっては大分汚れてもきてしまったわけでございますね。二百海里の問題で漁業の皆さんが近海漁業に転換しようとしても、水質汚濁のためにむずかしいという事例も見られます。  で、東京の多摩川にあります四カ所の取水場のうち最下流の取水場は閉鎖されました。これは水質が落ちたからと言われておりますけれども、人口の多い都市などでは生活排水による水質の汚濁が私は問題だと思うのでございます。環境庁、この対策はいかがでございますか。
  388. 山田久就

    国務大臣(山田久就君) 人口の集中しております都市の水域、ここでは御指摘のように生活排水、これが水質汚濁の非常に大きな原因をなしておる。そこでわれわれとしては、従来から下水道整備を中心にいたしまして、その生活排水対策をやっていることは御承知のとおりであります。現在は第四次五カ年計画というもので下水道、それから屎尿処理施設というもの、いずれもこれは建設省と厚生省の主管でございまするけれども、われわれもそれに協力、要望いたしまして、その充実に一生懸命努めております。浄化槽の維持管理の徹底というようなこともいまあわせて非常に力を入れているところでございます。
  389. 宮田輝

    ○宮田輝君 釣りをしていたはずの多摩川が、場所によっては家庭から出ると思われます洗たくの水でしょうか、白い泡が飛んでいるというようなのも実際の状態でございます。下水道にずいぶん力を入れているということもよくわかりますが、いま全国でたしか二四、五%でございましょうか、普及率が。これもこれからさらにやらなければならないと思うのです。しかし、地方財政の問題もあり、また投資効率の問題もあろうかと思います。いま環境庁長官がおっしゃいました屎尿浄化槽の維持管理の徹底、これはもちろん大事なことなんですけれども、それでは雑排水、いわゆる台所からの水であるとか洗たくの水であるとか、こういうものは一体野放しでいいんでしょうか。環境庁は調査研究をなさっていらっしゃいますか。
  390. 山田久就

    国務大臣(山田久就君) 御指摘のように、雑排水というものが水質の汚濁負荷量に非常な負担をかけていることは御承知のとおりでございます。したがいまして、いまこれに対してどうするか、屎尿処理とそれから雑排水、これを一緒にしての処理対策等について有効な対策を講ずるべく調査研究を熱心に進めておる現状でございます。
  391. 宮田輝

    ○宮田輝君 つまり、川をあるいは海をきれいにすると何かながめがよくなるというようなことだけではもちろんないわけでございます。これは食糧である魚資源を守るということにもつながるわけでございますので、より前向きにどうかひとつ真剣に取り組んでいただきたい。要望しておきます。  総理、去年の五月の総理府の国民生活に関するアンケート調査によりますと、今後の生活では心の豊かさを求めていきたいという方が四一%、物の豊かさというのが四〇%、わずかに結果として心が上になってきております。資源有限と、それから不況のこういう時代こそ心が見直されているというあらわれかとも思うわけでございます。  総理の一月二十一日の施政方針演説で、新しい時代は、もと来た道、成長至上主義の社会では断じてない。成長の高さよりも、その質をとうとぶ社会、活力を秘めながらも静かで均衡のとれた社会である。それは、国の流れの大きな変化であり、転換である。重要なことは、この変化と転換に、国家はもとより、地方公共団体も、企業も、家庭も、正しい対応の姿勢を示すことである。日本の未来は、まさに、その対応ができるかできないか、そのいかんにかかっていると言っても過言ではない。こう述べておられるわけでございますけれども、もと来た道でないだけに、私ども国民は正しい対応の姿勢をどうしても知りたいわけでございます。いささか具体的に示していただきたいと思うのです。
  392. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) もと来た道でなくて新しい道、これはどんな道であるかということは、いまの御質問にお答えするとすれば、昭和五十年代前期五カ年計画というのがあるんです。これに考え方、それの粗筋を取り入れてあるわけでありますが、その要旨を申し上げますと、いま宮田さんがお読みくださった私の演説のような要旨になると、こういうことでございます。
  393. 宮田輝

    ○宮田輝君 大変むずかしい名文でございますので、さらに吟味をさしていただきたいと思いますけれども、これなんかもようくかみ砕いてわかるように説明をしていただけると国民としては大変ありがたいことでございますので、今後ともひとつわかる政治をお示しをいただきたいと思うのでございます。  二番目に私は、いろいろございます昨今ですけれども、つい先日もありました地震、これは私どもが防ごうと思っても防ぐことができない。せいぜい予知をして備えを強くするというようなことかもわかりません。で、地震の中で特に情報についてお伺いしたいと思うのでございます。  その前に、この間の地震の場合にも民間でこういう雲が出たから地震があるんじゃないかというようなことが新聞に載った事例もございます。昔からナマズの話もよく語られる日本でございますけれども、政府が、たとえば民間研究者への補助であるとか民間への協力体制があるとすれば、どういうことをやってらっしゃるのか、これは科学技術庁長官にお伺いしたいと思います。
  394. 熊谷太三郎

    国務大臣熊谷太三郎君) まだ余り十分な体制も整っていないかと存じますが、具体的な点について政府委員から御答弁いたさせます。
  395. 園山重道

    政府委員(園山重道君) お答えいたします。  先生御指摘のように、民間の御協力によりましていろいろ地震予知に有効に活用していくということは非常に大事なことと考えております。中国あたりでも、動物の挙動でありますとか、あるいは井戸水の水位の変化というようなことがとられておりますが、まだ日本におきましてはきわめて基礎的な段階でございますけれども、私ども科学技術庁の方といたしましては、まず地下水の観測データの収集ということにつきまして民間の方々の御協力を得たいということで、具体的には、私どもに計上されております特別研究促進調整費というのがございますが、これによりまして、神奈川県の温泉研究所に委託をいたしまして、民間の方々の御協力を得て井戸水の水位変化と地震の関係がどうなるかということの研究を開始したところでございます。  なお、動物の挙動等につきましても、文部省におかれて御研究が進められていると、こう伺っております。
  396. 宮田輝

    ○宮田輝君 文部省でも研究されているということですから、これはまた時間のあるときに伺うことにいたしまして、そういう民間の研究が仮に相当実用になるということになりましたら、これは気象庁どうなさいますか。
  397. 有住直介

    政府委員(有住直介君) お答え申し上げます。  やはり気象庁で利用いたします時点、これは非常に業務的にきちっとできるということでないと使えないわけでございます。ですから、客観的な手法が確立いたしまして、かくかくの事実があればこういう理由によってかくかくの結果になるんだというようなことが客観的に決められて、それでそういう手法が確立いたしますと、私どもはそれは業務に取り入れてそういうものも利用する。しかし、いまお話がございました民間でもいろいろやっておられますし、最近は気象庁にもいろいろ御報告いただいているものもございますが、それらの中には、まだとても客観的な手法として使えるものではないので、私どもとしては、一応たとえばミミズの問題だとかナマズの挙動の問題とか、そういうものにつきましては謙虚な態度で情報を受け取って、それをすべて記録いたしまして、将来の研究が進んでいった場合に利用できればそういうものは利用したい、そういうふうな態度でおるわけでございます。
  398. 宮田輝

    ○宮田輝君 いろいろなそういう研究の成果というのが予知に結びつくということは望ましいことかと思いますので、さらにしっかりやっていただきたいと、こう思うのでございます。予知が進んでも地震がこないというわけではございませんで、この予知ということは大変大事なことになります。  で、いま現在の場合、仮に地震が起こりそうだ、もちろんある程度大きな地震ということになるんでしょうけれども、前もって情報を出すという場合には、どういうふうに私どもに伝わってくるんでしょうか。これは国土庁でしょうか。東海地域の場合とその他の場合とあろうかと思いますが、御答弁をお願いいたします。
  399. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 現状では、情報程度のものが、気象業務法に伴ってその情報が伝達されてくる、こういう仕組みだと思うので、国土庁としては災害を担当する官庁としてそういう事態を把握いたしますが、情報を出すということについては気象庁の方にその権限といいましょうか、材料、いろんなものの収集というものが気象庁の方で行われることだと思います。
  400. 宮田輝

    ○宮田輝君 ということは、いまは気象庁が気象業務法によってやっているというふうに理解してよろしいわけでございますか。
  401. 熊谷太三郎

    国務大臣熊谷太三郎君) ただいま建設大臣からお答えになりましたことは、地震予知推進本部の決定に基づきまして諸情報を気象庁に集めまして連絡する。先般の伊豆地震の際は、静岡県並びに報道機関、その他に一応一時間ほど前に予報、予知をされたわけでございます。
  402. 宮田輝

    ○宮田輝君 つまり、この間の昭和五十三年一月十四日十時五十分気象庁観測部発表という伊豆大島近海群発地震についての情報がございます。これは私は、日本で初めて出た地震の予知情報ではないかと思うのでございます。これはどの範囲にどういうふうに知らされたのか。  それから内容の文言の意味でございますね。たとえば、「規模がやや大きく、」とか、「小被害がありました。」とか、「多少の被害を伴うおそれがありますので、いちおうご注意ください。」とか、この文言が大変私は大事なことになると思うのですが、これは受けとめられる住民の皆さん、つまり私ども国民と、それから送り出す方と約束事でもすでにございますか。
  403. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) 地震につきましては、初めのころは私の所管なんです。いまほかの大臣からいろいろお話がございましたが、あちこちにわたるわけでございますが、いま宮田さんがお話しのような段階のところは私の方の所管でございますが、したがって、今度気象庁でその種のことをやったんでございますが、あんまりあちこちはやってないんです。後で詳しく申し上げる必要があれば申し上げますが、わりあいに狭い範囲なんです。私も聞いたのでありますが、当日私は日曜日でたしか鳥取に行っておりまして、そんなことで少しおくれて聞いたのでありますけれども、あのことにつきましては関係方面からいいことをやってくれたと、おかげで被害が少なかったと実はほめられたのでございますが、数日後にまた似たことがあって、それをある県で——わかっておりますがある県と言わせていただきます。その前のことを見習って多少詳細にこうであろうという予想みたいなものがくっついて出たので、そのとおりいかなかったのでおしかりを受けたと、こういうようなこと等があるんでございますが、何しろいまお話しのように地震なんというのは急にきて、そんなところでわかりにくい言葉がまじった情報ですと、これはどういう意味かなと思っているうちに対策がおくれるというようなこと等にもなりますので、まだこれから御意見等もありましょうが、言葉等については余りむずかしいことでなくて、わかりやすことでやるのがよかろうと、素人の運輸大臣は心からそう思うわけであります。
  404. 宮田輝

    ○宮田輝君 いや、素人どころではございません。りっぱな大臣でいらっしゃいますけれども、おっしゃるように言葉なんかも、ことにいざというときに字引を見て判断するなんということは大変むずかしかろうと思うわけでございます。地域の方々によっては、すでに刷った物なんかが配られていて、それによって体得されているという方も多いようでございますけれども、その用語もぜひひとつわかりやすいものを用いていただきたいと思うんです。マグニチュードなんて言われたって多くの方はおわかりにならないんじゃないか。文部省では中学三年でちゃんと教えているというそうでございますけれども、ちょっと古過ぎる方が多いかもわかりません。それから震度と言ったって、これもずいぶんむずかしく考えればむずかしいことでもございましょう。新聞に大きく数日前の地震のときに震央というのが書いてありました。地震の中央の央の字です。これなんかもむずかしいことではないかと思いますので、なるべく冷静に行動ができるようにわかりやすい情報をお願いしたい。  で、いま運輸大臣はいろんなところにまたがっていてむずかしいようなお話がございましたが、これがまた問題だと思うのでございます。ぜひひとつすっきりさしていただきたい。政府の体制を整えるということ、それから国民の基礎知識によります動作というのが災害を相当防ぐことができるのではないかということも考えられるわけでございます。  それから、判定会というのがございますが、これはどういうときに開かれますか。
  405. 有住直介

    政府委員(有住直介君) お答え申し上げます。  先ほどの話に各大臣からもお話がございましたのでございますけれども、それに関連しまして、もしお許しいただければちょっと補足させていただきたいと思うのでございます。実は東海地域とそれ以外についてちょっと若干違いがございまして、東海地域に関しましては近い将来大規模な地震が起こる可能性があるということで、総理府にございます地震予知推進本部というところでいろいろ検討された結果、予知連絡会の下部機関といたしましていま先生からお話ございました東海地域判定会というようなのがつくられました。  それで、この東海地域判定会に対しまして気象庁といたしましては、先ほども大臣からお話ございました情報の集中が気象庁に行われております。その東海地域に対する情報を気象庁の特徴と申しますか、二十四時間のオールワッチという作業をやっておる関係から、これを常時監視しておりまして、そのデータの中でこれはという異常がございましたときにその判定会を招集していただきます。委員長の萩原先生にお願いしてございますが、直ちに御連絡いたしまして判定会が開かれて、そういう異常現象が東海地域に起こるかもしれないと恐れられている東海地震、大地震と関連があるものかないものか、その判定をお願いしていただいて、その結果が出ますと、それを気象庁が直ちに各方面に、報道関係にお知らせし、また委員長から関係の防災機関等に御連絡すると、そういうことになっているわけでございます。  それで、先ほどの補足でございますけれども、東海地域以外に関しましては、大臣からもお話ございましたように、地震の情報という形で御連絡すると、まだ予知という技術が確立されておりませんものですから。しかしながら、私どもが現象を見た上で、現状の地震等そういうものを踏まえた上でこれは国民にお知らせしなければならないのではないかという場合には、その必要性があれば直ちにお知らせすると、それが先ほどもございました業務法の十一条というものでございます。そういう二種類に分けてやっております。
  406. 宮田輝

    ○宮田輝君 先ほどの地震情報というのは、つまり予知連からのではなくて気象業務法に基づく地震の情報であると、こういうことでございますね。受け手といたしましては、どっちにしても早くわかればわかった方がいいわけなんです。  そこで、その判定会が開かれるというのは相当条件が整った場合である。つまり、相当大型の危険を及ぼすであろうと思われる地震が起きそうだというときに判定会が開かれるというふうにいま伺ったわけでございますが、そうすると、判定会、が開かれるというニュースが出たということは、すでにもう地震が、大きな地震が来るというふうに受け取って私は自然ではないかと思うのでございますね。政府はこの判定会が開かれるというような情報、それをどんなふうに発表なさるのか。あるいは報道機関と話し合っていらっしゃるのかもしれません。実情をお知らせいただきたいと思います。
  407. 有住直介

    政府委員(有住直介君) 簡単にお答え申し上げます。  この地震情報につきましては、この地震情報をどこそこに伝えたらいいかということは取り決めが気象庁の中でしてございまして、関係の方とも御相談してございますので、そこに直ちにお知らせする。また、この判定会に関連いたしました情報にいたしましても、ただいまはそれに準じて直ちに行おうという姿勢でおるわけでございます。  ただ、これからの問題といたしまして、非常に大規模な地震であるから社会的ないろいろ影響が大きいということもございまして、さらば報道関係その他に対してどういうふうなタイミングでやったらいいかというようなことにつきましては、これは報道関係の方々と寄り寄り協議をいたしておる段階でございますが、これも私どもとしては早急にやりたいと思っております。ただ、これが取り決まらないから情報が出なかったというんでは困りますので、私どもとしてはあすにでもそういうことがあります場合には、ただいまの地震情報を連絡する取り決めという、のがありますので、それで直ちにお知らせしようと考えております。
  408. 宮田輝

    ○宮田輝君 そうしますと、判定会が開かれたというニュースが出たといたします。そうしたら関係機関はどういう対応をなさいますか。たとえば新幹線あるいはコンビナートあるいは高速道路、順々にひとつ簡単にお願いいたします。
  409. 尾関雅則

    説明員(尾関雅則君) たとえば新幹線と最初にお話がございましたので、現在までに考えておることを申し上げたいと思います。  というのは、どういう形でどれほどの確からしさで情報がいただけるかということが現在余り定かでございませんので……
  410. 宮田輝

    ○宮田輝君 判定会が開かれたとき。
  411. 尾関雅則

    説明員(尾関雅則君) 判定会が開かれまして具体的に情報をいただいたら、そのときに列車を徐行させるとか、あるいは非常に内容によりましてはとめなきゃいけないというようなことも含みまして、直ちに対策本部をつくって連絡を密にしながら対処していくというふうに現在は考えております。
  412. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 高速道路の関係は、判定会から警報を受けて緊急に対応しなければならないときには、管理局の交通管制室から各管理事務所、サービスエリア及び巡回中の道路パトロール車に一斉指令で情報を流し、料金所、サービスエリアの駐車場でドライバーに伝達する等、いろいろと用意をしておるわけであります。
  413. 左近友三郎

    政府委員左近友三郎君) コンビナートの例について御説明申し上げます。  コンビナートにつきましては、石油コンビナート等災害防止法というのがございまして、そこで平生から事業所ごとに、まさかというときに備えまして非常通報設備だとか防災組織、それから防災のやり方というものを決めるようになっております。したがいまして、そういう通報がございましたならば、あらかじめ決まっております規程に従いまして行動を開始するという準備をいたしたいというふうに考えております。
  414. 宮田輝

    ○宮田輝君 何か大丈夫なのかなという感じが率直なところするわけでございまして、むずかしい点は多いんだろうと思いますけれども、どうかひとつ遺漏のないように、法律の用意もあるのかもしれませんけれども、いまだってやってくるかもわからないということでございますので、万全を期していただきたい。お願いを申し上げておきます。  情報について、いろいろあるんでございますけれども、先ほども自衛隊のここで論議がございました、災害のときに一番頼りになるのがまた自衛隊ということも国民の間に定着していることではないかと思うのでございますね。あの東海地域ですか、大島近海地震のときも情報の面でも大活躍をされているわけでございます。それは自衛隊の映像電送隊の活躍でございます。この映像電送隊というのを簡単に御説明ください。
  415. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 映像の電送システムと思しますのは、ヘリコプターに撮像といいますか、撮影の器材を積んでおきまして、これをUHFで撮映したものを基地通信隊を通じまして東部方面隊、それから移動の車両に積みました受信装置によりまして前進本部にそれぞれ送ることができます。同時にまた、これはビデオにとっておきまして、災害の状況をビデオとしてとることができるわけでございます。
  416. 宮田輝

    ○宮田輝君 救援活動などにそういう情報というのは非常に大事なものだと思うのです。道路が寸断される、どこからも入っていけない、その模様がどうなっているのか、あるいは電話線も切れてしまう。そういうときに空からこれを写すと、そして判断をすると、どこへ飛んでいくということにもつながるわけで、これは大事なことなんでございますが、その情報が自衛隊の中だけで使われているんだとしたら、これがまた惜しいことではないかと思うのでございます。この空からの中継をそのまま国の災害対策本部を初め関係機関に送り込んで、救援活動の資料とするとか、あるいはまた、報道機関の協力を得て災害地の状況を早く正確に伝えるために役立てていただけないものであろうかと、こういう気持ちがいたします。
  417. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 私どももそういう方向でできるだけ努力をしたいと思っておりますが、この到達距離が基地通信の場合で五十キロでございます。それから、移動の場合で二十キロでございますので、ビデオに撮りましたものをなるべく早くそういった関係方面に送りたいと考えております。  同時に、また私どもが持っておりますのは、もう一つRFという偵察機を持っております。先生も御承知だと思いますけれども、あの新潟地震がありましたときには全く通信がとだえました。あのときにもつと古い飛行機でございましたが、ちょうど訓練をしておりましてそれを直ちに撮りまして、一時に起きました地震の災害の状況を総理官邸に四時過ぎに報告をいたしまして、対策を立てていただいたという経験もございます。
  418. 宮田輝

    ○宮田輝君 いま、その東部方面隊、東京にワンセットしかないと、こういうことでございますけれども、こういういいものは所きらわずやってくる災害でございますので、全国に十三師団あるわけでございますか、各師団に早急に私は完備すべきものではないかと、こんなふうに思うわけでございます。自衛隊が平和のために貢献するということが大事なことでございますし、また防衛庁には技術研究本部というのがあって、これはまた民間のためにもいろいろ役立っているという話も聞いております。これはうわさでございますからはっきりいたしませんけれども、インスタントラーメンのそも初めは、この防衛庁の技術研究本部から出たんだという話もございます。これは乾燥食糧の研究という中にそんなことがあったということも聞いておりますので、今後とも民間のためにどうかひとつ一生懸命やっていただきたい。と同時に、この災害については日ごろの訓練ということがきわめて大事なことであろうと思います。各方面で訓練にもさらにひとつ精力的に取り組んでいただきたいと思うのです。訓練というと九月一日だけみたいな感じさえするこの日本でございますけれども、十分に予告をした上で、いろんな機関が相携えて民間と一緒になってやるということが大事なことではないかと思うのです。  地震にいたしましても、もしも東京のような人口密集の大都市が襲われたとしたら、これは一体どうなるのか。さっきもちょっと情報のときにも伺いましたけれども、とにかく防災とか避難場所としてのオープンスペースを広げなければならないと思えるわけでございます。都市公園の整備というのもきわめて重要なものでございますが、この基本方針をお聞かせください。
  419. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 四十六年の五月に中央防災会議で大都市震災対策推進要綱というのが決定をされておるわけでございます。その決定に基づきまして、現に都市の防災化あるいは防災体制の強化、さらにはきょうお取り上げになりました地震予知の推進につきまして、鋭意努力をしてまいっておるわけでございます。  なお、この推進要綱によりまして、震災に対する知識の普及とか防災意識の高揚など、警防にも相努めておるわけでございます。  また、先般の地震の経験にかんがみまして、現在地震立法を、特別立法を検討中で近く御提案、御審議を願おうと、こういうことでございます。
  420. 宮田輝

    ○宮田輝君 現在、一人三・四平方メートルの公園を持っている日本というふうに理解しているわけでございますけれども、各国と比較してずいぶん少ない、狭いようにも思えます。天皇陛下御在位五十周年記念の事業の一つとして、昭和記念公園の計画がございまして、ことしは事業化されるということでございますけれども、調査の結果と今後のスケジュールをお知らせください。
  421. 小林幸雄

    政府委員(小林幸雄君) お答え申し上げます。  記念公園は二つございまして、一つは国が設置するものでございます。いま一つは地方公共団体が設置するものでございます。それで国が設置するものにつきましては、豊かな緑と大震災時における防災機能の確保ということをメインテーマといたしまして、建設省といたしましては、立川の基地跡地を有力な候補地として国有財産中央審議会の審議をお願いした上で来年度から整備に着手したいと、かように考えておる次第でございます。そこで、この公園整備のための調査は五十二年度から着手したわけでございますが、その中で特に基本計画の策定につきましては、各界の有識者の方々から御意見をちょうだいしたいというふうに考えておる次第でございます。  なおまた、地方公共団体が設置する記念公園でございますが、これは特に都市の防災避難の観点から、全国で十一カ所を指定しておりまして、昭和五十二年度から整備に着手しております。事業費は五十二年度約三十五億円でございますが、明年度も重点的にこれを進捗さしていきたいと、かように考えておる次第でございます。
  422. 宮田輝

    ○宮田輝君 これはその一年だけで済むというものではございませんし、早くつくっていただかないとお役に立つということもまた遅くなってしまうわけでございますので、急いでやってほしいと思います。  この間、この地震の被災地となりました静岡県河津町にいるある人が伝えてきてくれたんでございますが、御参考までにちょっと御紹介申し上げます。   地震多発地域なので前から慣れていた。   日頃たいした訓練はしていない。   小冊子が届いており、時々読み、注意もしていたが、まさか、こんな大きな地震が来るとは思わなかった。   当日、十四日午前十時半頃、東京の娘から「ラジオで聞いた」と心配の電話があった。その後も電話はつながっており、連絡はとれた。   午前中に小さい地震があった。お昼のニュースでは「これ以上大きいものはない」と言っていたが、その直後に大きな地震が起きた。   新聞を見ると、事前の情報があったそうだが、それは役場へは来ていたが、我々には来なかった。   本震時、部屋のタンスが倒れた。   家は高いところにあり、横は川だが、がけが崩れ、プレハブの家が傾いた。   すぐ外へ出た。口伝えで「プロパンをとめろ」とあったので、傾いた家へ入り、とめた。付近はガスのにおいが相当流れていた。   土曜日で主人が居たので助かった。子供は学校におり、学校で避難誘導された。   十八日の余震情報パニックは「何時間後に地震がある」と聞いた。前の姉の家は鉄筋コンクリートで、ずっとそこに避難していた。   事前の予知情報は、あればあった方が良いが、安心だと言われたあと、どかんとくれば困る。  こういうことを私のところに寄せてきた方がございます。御参考までに。  いずれにしても、これは一生懸命取り組んでいただかなければならない大事なことではないかと思います。  さて、きょうも私は昼、そばをいただいてきたんでございますが、このてんぷらそばなんかも、よく言われておりますけれども、そばは七二・六%外国のものでございますね。そのてんぷらの方ですけれども、エビが六七%、油が八七%、小麦粉は昔からこれはメリケン粉というぐらいのものでして九七・一%外国から買っているわけでございます。つまり、てんぷらそば一つ食べても、もう世界じゅうの方に御厄介になっている、こういうような、言うところの国際社会になってきたわけでございます。お互いさま、ない物を融通し合うということも当然大事なことでございますし、経済協力も大事です。文化交流もまた一層努めなければならないと思うわけでございます。  経済協力でございますけれども、五十三年度の経済協力事業費というのが六千三百五十四億円で、総理経済協力予算国民総生産費の〇・三%より落とすなと、こういう指示によって〇・三〇四%を確保したと、これは結構なことでございました。ところが、五十一年度は四千五百八億円、GNP比〇・二七%の事業費ですけれども、実際の執行額は三千二百七十七億円ということでございますね。これはどういうことなんでしょうか。わかりやすく御説明ください。
  423. 園田直

    国務大臣園田直君) 経済協力の方には御承知のとおりに有償と無償とありまして、有償の方はその年に使うことになっておりますが、無償の方は計画その他で二年がかりになっておりますから、数字の上から言えば使い残したというかっこうになっておるわけでありますが、ほとんど使っておるわけであります。
  424. 宮田輝

    ○宮田輝君 ずっとこうずれてくると、そうすると毎年毎年それだけずれてくるということで、ほとんど使っているというふうに承っていいのかどうかと思うのです。よく言われますのは、窓口が一本化されることが望ましいのではないかと、こういうことなんですが、この点いかがでしょうか。
  425. 園田直

    国務大臣園田直君) 経済協力では、いろいろ検討し改正すべき点が多々あるわけでありますが、一番大きな問題は、向こうから話が出て要望があってからこれが実施されるまでの時間がほど遠くて、忘れたころにこれが実行できるということになっております。そこで、この点はいろいろ障害があるわけでありますが、ただいまの通産それから外務省それから大蔵省、経済企画庁というふうに、それぞれ検討すべき役所が分かれているところも一つの問題でありますから、その点は今後十分しながら、各省と連絡をしてスピードアップをしたいと考えております。
  426. 宮田輝

    ○宮田輝君 経済協力も大事でございます。そして文化の国際交流活動でございますが、大臣から基本理念を……。
  427. 園田直

    国務大臣園田直君) 日本外交は力の背景がありませんので、経済と技術の協力が日本外交の主なる武器になるわけでありますが、その経済、技術の協力のもとになるものは文化交流でございます。文化は国境なし、そしてお互いが文化交流をやっているうちに個人と個人のつながりが出てくる、こういうことで、文化交流についてはもっともっと重点を置いて深くやらなければならないと考えております。
  428. 宮田輝

    ○宮田輝君 もっともっとやらなければならないと大臣がおっしゃいますので、ぜひお願いをしたいと申し上げておきます。  国際交流基金についてお伺いいたします。各国の文化交流機関の予算を見ると、ここでもまた日本は少ないですね。五十三年度は国際交流基金に政府の出資金が五十億円、累計で四百億円となっておりまして、運用利子が約三十一億九千万円、補助金が十三億五千万円という予算ですけれども、各国の予算を見ますと、アメリカが四十九年ですが六百三十四億円、西ドイツが五十年で三百三十九億円、イギリスが五十年二百四十一億円、五十一年には日本は三十八億円です。五十三年度はちょっとふえているようでございますが、政府出資金のこの五十億円というものは、これから毎年もっとふやしていくお考えでございましょうか。
  429. 園田直

    国務大臣園田直君) そのとおりでございます。
  430. 宮田輝

    ○宮田輝君 福田総理は、昭和四十七年当時は外務大臣でいらしたはずでございますが、第六十八国会で、ことしは五十億円で出発するが、数年中には千億財団というところまで持っていきたい、こう述べておられるわけでございます。現在約四百億円でございますが、いかがでございますか。
  431. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 数年中にはもう千億に持っていきたい、なるべく早くそうしたいと思っているんです。ただ、財政がいま非常に左前だものですから、それが早急に実現しませんが、念願といたしましてはそう考えております。
  432. 宮田輝

    ○宮田輝君 基金の方にお伺いをいたします。総理のお話もございます。がんばっていくというお話でございますけれども、いまの資本金がたしか四百億六百十万円でございますか、その六百十万円というのは民間の出資金というふうに承知しているわけでございますが、どうもこれが期待していたほど集まらない。企業収益の沈滞ということもございましょうけれども、どうも出資金というのは損金で落とせないという点もあろうかと思うわけでございますね。で、基金といたしましてはどういうふうにさらにこれから活発に活動するためにやっていきたいとお考えか。その資金の問題あるいはこの出資金、寄付金。寄付金には特定の場合とそれから一般というのがあるそうでございますが、お考えをお述べいただきたいと思います。
  433. 村田博

    参考人村田博君) ただいま先生の御指摘のとおり、現在四百億六百十万円という端数になっておりますが、この六百十万円というのは民間の出資金でございまして、実は基金が発足いたしますときに約八千万円ばかりの民間寄付がございました。その後、逐年民間寄付の募集につきましては私ども及ばずながら努力いたしておるんでございますけれども、最近までの実情は必ずしも当初考えておりましたほど伸びません。したがいまして、やはりいまの現状では政府の出資金を逐年ふやしていただくということに期待いたしておりますが、同時にわれわれの努力は——この国際交流基金というのはやはり国民外交の一つの典型として運営されるものである、そういうたてまえからいたしますと、やはり民間の寄付金も積極的に導入いたしたいと、こういう気持ちで国の方の御努力をお願いいたしますと同時に、民間の寄付金も今後ともふやしていきたいと、このように考えております。
  434. 宮田輝

    ○宮田輝君 大分事業もやっておられます。催し物の中にも海外公演事業というようなこともございまして、日本の郷土芸能の紹介なんかにも努めていただいているわけでございますが、プロのたとえば舞踊団というような方々だけじゃなくて、農業をやりながら一生懸命その地域の文化を担って今日まで続けてきている、そういう一般の方々の出演というようなことは考えられないものでしょうか。民間使節としてお出かけになっている組もございます。素朴であるだけに、かの地に参りましての影響力も私は根強いんじゃないかと、こう思うわけでございます。そういう窓口にはなっていただけないものでしょうか。
  435. 村田博

    参考人村田博君) 私どもといたしましても、民族芸能というのは日本の大衆の伝統的な体質を伝えるものでございますので、積極的にこの海外への紹介を図っていきたいと思っております。  ただ、先生御指摘のようにプロの劇団もございますけれども、今後はひとつ各地の特色のあるローカルカラーの濃い芸能を積極的に紹介してまいりたい。年間二、三件やっておりますので、ただいまの先生の御指摘の点も含めまして、今後とも十分検討してまいりたいと思います。
  436. 宮田輝

    ○宮田輝君 強く御期待申し上げております。  大体、その広報を含めた海外広報文化事業予算というのも、また予算で申しわけないんですけれども、国際比較ではアメリカが七百七十八億円、日本が七十二億円というような状況でございます。予算がすべてでないということはよくわかっておりますけれども、見直す時期ではないかと思うのでございます。  それから、直接外国の方の耳に届くというのが私は日本からも出しております国際放送ではないかと思うのです。これも大事な役目を担っているわけでございますけれども、郵政大臣、国際放送について政府の考え方を。
  437. 服部安司

    国務大臣(服部安司君) わが国の国際放送は、わが国の産業、文化等の事情を紹介し、わが国に対する正しい認識を培うことによって、国際親善の増進及び外国との経済交流の発展に資するとともに、加えて海外同邦に適切な情報を提供する上で大きな役割りを果たしておりますが、最近の国際情勢等を考えますと、国際放送の役割りはますます重要なものとなってきております。郵政省といたしましては、先進国の国際放送の実情をも考慮し、また国際放送の充実のために今後さらに努力を続けていくわけでありまするが、本年度は、御承知のとおりに郵政省予算は伸び率は七%でございまするが、この国際放送の経費は二四・五%の伸びでございまして、かなり成果を上げることができるものと考えております。  さらに加えて、御承知のとおりに、現代は交流をいたしまして、番組の交換をいたしまして、三十二カ国、三十三機関、それからラジオは五十六カ国、百四十五機関との交流を図って、今後なお一層の努力を積み重ねて効果を上げてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  438. 宮田輝

    ○宮田輝君 郵政大臣が一生懸命やっていらっしゃる、これは大事なことでもございますし、敬意を表するものでございます。四十年ぐらいの歴史のある日本の国際放送でございますが、いま延べ時間で三十七時間、二十一種類の言葉を使って全世界に東京から放送しているわけでございますが、肝心なことは、放送をしても聞いてもらえないような状況では、これは残念なことなんでございます。  で、各国の国際放送を見ますと、中継基地というのがほかの地域に置いてあるところがございます。中国の場合もアフリカあたりで相当強力な電波を受け取ることができるということを聞きますと、どこかにあるんではないか、発表されていないのでわかりませんけれども、そんな感じさえいたします。日本の場合もそういう中継基地というのが、特にヨーロッパあたりは受信状況がよくないとすれば、考えられてもいいんではないかと思うわけでございます。郵政大臣いかがでしょうか。
  439. 服部安司

    国務大臣(服部安司君) 御指摘どおりに、せっかく関係機関の協力を得て努力をいたしましても、十二分に受信のできない地域のあることも率直に認めております。それと本年度は、大蔵省当局とも緊密な連携をとりまして、予算をちょうだいいたしまして、ポルトガルに中継基地を借用いたしまして、これを試行いたしまして今後その対策を立ててまいりたい、かように考えている次第でございます。
  440. 宮田輝

    ○宮田輝君 せっかく出しておる放送がどうかちゃんと聞いてもらえるように、一段とひとつ御努力をお願い申し上げるものでございます。受信状況の改善が緊急に望まれるところでございます。国際放送を充実してほしいという願いから郵政大臣にいろいろ申し上げたわけでございます。御努力には感謝を申し上げております。  最後に、言葉についていささかお伺いをしたいわけでございます。  いま日本人論というのがずいぶん盛んでございますが、同時にこの言葉、話し言葉にもずいぶん関心が高まってきているようでございます。言葉が乱れていると言う方もおいでになりますし、いや、ほうっておけばいいんだと言う方もおいでになります。両方とも正しいのかもわかりません。文化庁で出しております言葉シリーズの敬語編というのが官公庁出版物のベストセラーになっているということも伺っております。私は、いま学校を卒業して会社なんかに入った方がすぐ会社で言葉遣いを教わるということをよく耳にするのでございます。してみると、学校教育の中で、また先生を養成する中で、日本の話し言葉、言葉遣いについてはどうしていらっしゃるのか、ちょっとお伺いをしたい。  それから国語審議会というものがございますが、ここで当用漢字を一生懸命研究していらっしゃる。あるいはかな遣いについても研究成果が発表されている。結構なことでございます。国語研究所というのも一生懸命やっておられますけれども、果たして話し言葉について総理はどういう御関心をお持ちでございましょうか、まず文部大臣からお伺いしたいと思います。
  441. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 村田国際交流基金理事、ありがとうございます。御退席くださって結構です。
  442. 砂田重民

    国務大臣(砂田重民君) 日本語、言葉というものは日本人の思想、文化の進展の一番基礎になる重要なことでございますので、小中学校で言葉を教えてまいりますのも、聞く、話す、読む、書く、こういった活動を通じまして、生活に必要な国語を正確に理解して、そして表現をする、そういう角度から言葉を大切にすることを指導いたしておりますが、この中身につきましては、先生御指摘の国語審議会等でいま漢字の検討をしていただいておりますが、大変長年やっていただいて、その途中で敬語の問題、話し言葉の問題等の建言をいただいておりますので、こういうものを取り入れて教育内容に使っているわけでございます。それはやはり児童生徒たちに教えます先生たちの研修にもこれを利用をいたしておるところでございます。また抑揚でございますとか、発音でありますとか、強弱というようなことは、たとえばNHKの「日本語発音アクセント辞典」というような貴重な文献もございまして、これを十二分に活用をしながら発音や抑揚等の指導をしているところでございます。ただ、おっしゃるように言葉が大変乱れてまいりまして——方言は方言として悪いことではないのです。教育の内容でも方言は方言として共通語との違いを明確に教育、指導をするということに努めておるわけでございまして、なおただいま申し上げましたような国語審議会、漢字と送りがなの問題を長年やっておりますけれども、来年の三月でこの漢字の問題がひとまず済みますので、それが終わりましたならば日本語、話し言葉、そういうものを国語審議会で取り組んでいただく予定にいたしております。
  443. 宮田輝

    ○宮田輝君 言葉を大切にしたいと、そういう意味で文部大臣が非常に力を入れていらっしゃる。この次にはということがうかがわれましたので、ぜひひとつ言葉を大切にするという意味で一生懸命お願いをいたします。心と物のバランスのとれた、言ってみれば心豊かな国づくりをお互いさましたいと考えているものでございます。  言葉の問題を含めまして、最後に総理から私どもが目指しますこれからの人間社会についての御高説を承って、質問を終えたいと思います。
  444. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 国語といいますか、言葉の問題についての所見につきましては、文部大臣からお答えをいたしたとおりでありますが、やっぱりもうこれからの日本社会というものは、物、金、これに偏り過ぎておる。やはり美しい心、豊かな情操、そういうものを重視した国づくりに取りかからなければならぬだろうと、このように思うわけであります。まあ時間も来たようでありますので長広舌はやめますけれども、そのような基本的な考え方をもってひとつやっていくということは、はっきり申し上げさしていただきます。
  445. 宮田輝

    ○宮田輝君 ありがとうございました。(拍手)
  446. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 以上で宮田君の質疑は終了いたしました。  明日は午前十時から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時八分散会