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1978-01-31 第84回国会 参議院 予算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年一月三十一日(火曜日)    午前十時三分開会     —————————————    委員の異動  一月三十日     辞任         補欠選任      上田耕一郎君     山中 郁子君  一月三十一日     辞任         補欠選任      小平 芳平君     峯山 昭範君      山中 郁子君     神谷信之助君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         鍋島 直紹君     理 事                 戸塚 進也君                 内藤誉三郎君                 中村 太郎君                 宮田  輝君                 竹田 四郎君                 吉田忠三郎君                 多田 省吾君                 渡辺  武君                 栗林 卓司君     委 員                 浅野  拡君                 岩動 道行君                 石破 二朗君                 糸山英太郎君                 小澤 太郎君                 亀井 久興君                 亀長 友義君                 下条進一郎君                 園田 清充君                 玉置 和郎君                 夏目 忠雄君                 成相 善十君                 林  ゆう君                 真鍋 賢二君                 三善 信二君                 望月 邦夫君                 八木 一郎君                 山本 富雄君                 赤桐  操君                 大木 正吾君                 志苫  裕君                 野田  哲君                 福間 知之君                 藤田  進君                目黒今朝次郎君                 太田 淳夫君                 峯山 昭範君                 矢追 秀彦君                 矢原 秀男君                 神谷信之助君                 安武 洋子君                 三治 重信君                 下村  泰君                 柿沢 弘治君                 秦   豊君    国務大臣        内閣総理大臣   福田 赳夫君        法 務 大 臣  瀬戸山三男君        外 務 大 臣  園田  直君        大 蔵 大 臣  村山 達雄君        文 部 大 臣  砂田 重民君        厚 生 大 臣  小沢 辰男君        農 林 大 臣  中川 一郎君        通商産業大臣   河本 敏夫君        運 輸 大 臣  福永 健司君        郵 政 大 臣  服部 安司君        労 働 大 臣  藤井 勝志君        建 設 大 臣  櫻内 義雄君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)        (北海道開発庁        長官)      加藤 武徳君        国 務 大 臣        (内閣官房長        官)       安倍晋太郎君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)        (沖繩開発庁長        官)      稻村左近四郎君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       荒舩清十郎君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  金丸  信君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       宮澤 喜一君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       熊谷太三郎君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  山田 久就君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  櫻内 義雄君    政府委員        内閣法制局長官  真田 秀夫君        内閣法制局第一        部長       茂串  俊君        公正取引委員会        委員長      橋口  收君        公正取引委員会        事務局経済部長  妹尾  明君        警察庁刑事局長  鈴木 貞敏君        警察庁交通局長  杉原  正君        防衛庁参事官   夏目 晴雄君        防衛庁長官官房        長        竹岡 勝美君        防衛庁防衛局長  伊藤 圭一君        防衛庁装備局長  間淵 直三君        防衛施設庁長官  亘理  彰君        経済企画庁調整        局長       宮崎  勇君        経済企画庁物価        局長       藤井 直樹君        経済企画庁総合        計画局長     喜多村治雄君        経済企画庁調査        局長       岩田 幸基君        科学技術庁研究        調整局長     園山 重道君        科学技術庁原子        力安全局長    牧村 信之君        沖繩開発庁総務        局長       亀谷 礼次君        国土庁長官官房        長        河野 正三君        国土庁長官官房        審議官      四柳  修君        法務省刑事局長  伊藤 榮樹君        外務省アメリカ        局長       中島敏次郎君        外務省経済局長  手島れい志君        外務省経済協力        局長       武藤 利昭君        外務省条約局長  大森 誠一君        外務省国際連合        局長       大川 美雄君        大蔵大臣官房審        議官       加藤 隆司君        大蔵大臣官房審        議官       海原 公輝君        大蔵省主計局長  長岡  實君        大蔵省主税局長  大倉 眞隆君        大蔵省理財局長  田中  敬君        大蔵省銀行局長  徳田 博美君        大蔵省国際金融        局長       旦  弘昌君        国税庁長官    磯邊 律男君        文部大臣官房長  宮地 貫一君        文部省初等中等        教育局長     諸澤 正道君        文部省管理局長  三角 哲生君        厚生大臣官房会        計課長      持永 和見君        厚生省環境衛生        局長       山中  和君        厚生省医務局長  佐分利輝彦君        厚生省社会局長  上村  一君        厚生省児童家庭        局長       石野 清治君        厚生省保険局長  八木 哲夫君        厚生省年金局長  木暮 保成君        農林大臣官房長  松本 作衛君        農林大臣官房審        議官       角道 謙一君        農林大臣官房予        算課長      田中 宏尚君        農林省農林経済        局長       今村 宣夫君        農林省農蚕園芸        局長       野崎 博之君        農林省畜産局長  杉山 克己君        農林省食品流通        局長       犬伏 孝治君        水産庁長官    森  整治君        通商産業大臣官        房審議官     山口 和男君        通商産業省通商        政策局長     矢野俊比古君        通商産業省通商        政策局次長    花岡 宗助君        通商産業省貿易        局長       西山敬次郎君        通商産業省産業        政策局長     濃野  滋君        通商産業省立地        公害局長     左近友三郎君        通商産業省基礎        産業局長     天谷 直弘君        通商産業省生活        産業局長     藤原 一郎君        資源エネルギー        庁長官      橋本 利一君        運輸省船舶局長  謝敷 宗登君        運輸省船員局長  高橋 英雄君        運輸省鉄道監督        局長       住田 正二君        海上保安庁長官  薗村 泰彦君        気象庁長官    有住 直介君        郵政省貯金局長  高仲  優君        郵政省電波監理        局長       平野 正雄君        労働省労政局長  北川 俊夫君        労働省労働基準        局長       桑原 敬一君        労働省職業安定        局長       細野  正君        労働省職業訓練        局長       岩崎 隆造君        建設大臣官房長  粟屋 敏信君        建設省都市局長  小林 幸雄君        建設省住宅局長  救仁郷 斉君        自治省財政局長  山本  悟君        消防庁長官    林  忠雄君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君    参考人        畜産振興事業団        理事長      太田 康二君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○昭和五十二年度一般会計補正予算(第2号)(内  閣提出、衆議院送付) ○昭和五十二年度特別会計補正予算(特第2号)  (内閣提出衆議院送付) ○昭和五十二年度政府関係機関補正予算(機第2  号)(内閣提出衆議院送付) ○委員派遣承認要求に関する件     —————————————
  2. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昭和五十二年度一般会計補正予算  昭和五十二年度特別会計補正予算  昭和五十二年度政府関係機関補正予算  以上三案を一括して議題といたします。     —————————————
  3. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) この際、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  昭和五十二年度補正予算案審査のため、本日の委員会畜産振興事業団理事長太田康二君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 御異議ないと認めます。  なお、出席時刻等については、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  6. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) それでは、これより質疑を行います。竹田四郎君。
  7. 竹田四郎

    竹田四郎君 五十三年度予算が臨時非常な大型予算が組まれてしまって、財政再建の影が薄れてしまったんですが、これから財政再建をどうするつもりですか、大蔵大臣
  8. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 今度、御案内のようなことで、急速に日本経済をよくするために大型な公共投資をやり、内需を拡大するとともに、対外均衡を回復するためにやったわけですが、それだけにまた公債残高は相当なものになるわけでございます。今後の財政需要あるいは民間資金のあり方を考えるときに、財政健全化という問題が大きな課題になるわけでございますので、五十四年度から五十七年度までの財政収支試算をお示しいたしまして、目標は五十七年度特例公債発行をゼロにするというところに視点を置きまして、そしていろいろの場合を考えまして、大体五つぐらいのケースをお示しして、そして御論議をいただきたいと、かように思っているわけでございます。
  9. 竹田四郎

    竹田四郎君 国債依存度見通しでございますけれども、私がきのう構想を聞いた範囲でありますと、三〇%の依存度を切るというのは実際はむずかしいと、恐らく五十七年度は別でありましょうが、五十六年度までは三〇%依存率は下らないと思いますが、どうですか。
  10. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) おっしゃるように相当の経費の節減あるいは負担増加を求めるにいたしましても、公債依存度三〇%を下るということはなかなか容易なことではないと思います。ケースによって多少のあれはありますが、いつごろどのようになるかということはその五つケースの場合でそれぞれ違うわけでございます。少なくとも五十四年度ではいかなる場合でもなかなかむずかしいであろうということは言い得るだろうと思うのでございます。
  11. 竹田四郎

    竹田四郎君 いずれにしても、増税はその種目が、税目が何であれ避けられないと思いますが、五十七年度までに最低でも五兆円を下らない増税国民は受けなくちゃならないと思うが、どうですか。
  12. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 恐らくそのようなことになるんじゃないかという感じがいたしておるわけでございます。
  13. 竹田四郎

    竹田四郎君 五十七年度における赤字国債残高、私は三十兆円をオーバーするだろうと思いますが、どうですか。
  14. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) これもいろんな場合でかなり違ってくると思いますが、それに近い数字になるかもしれません。
  15. 竹田四郎

    竹田四郎君 五十三年度赤字国債四兆、約五兆円でありますけれども、これを下回る国債発行ができるのは何年度ぐらいになるかといいますと、大体五十五年度でやっと下回って、五十六年度では三兆円ぐらいの赤字国債発行せざるを得ないと思いますが、どうですか。
  16. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) これもいろんな場合が想定できるのでございますが、まあ五十四年、五年はむずかしいんじゃなかろうかと思っているわけでございます。
  17. 竹田四郎

    竹田四郎君 この財政収支試算表構想を聞きますと、これからは結局振替支出、すなわち福祉の問題だとか、給与の問題だとか、その他一般経常支出国民生活に必要なものはうんと削られる、しかし公共支出の方は恐らく一七、八%の大型な伸びでいって、社会のひずみを私はもっと大きくこれがしていく、こういうふうに考えますが、そういうことは絶対ないですか、どうですか。
  18. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) これは経企庁の方の前期経済計画フォローアップによります試算に基づいてこちらは計算しているわけでございますが、もちろん財政の方は一定の経済条件のもとにどのような財政の仕組みを考えるか、これはもう非常に多様な選択はあり得ると思うわけでございます。収支試算におきましては、もちろんそれぞれの場合につきまして一つの型を想定いたしまして御審議を願うわけでございます。一般的に申しまして、福祉の問題につきましては一般経費のうちでやはり相当伸びるとは思いますけれども、従来のような伸び方はなかなかむずかしいという感じがいたすわけでございます。  一方、公共投資の方で申しますと、これは経済企画庁フォローアップの形で大体四条公債でございますから、それをそのまま受け入れるという形になるわけでございますが、従来のような伸びはなかなか考えられないんじゃなかろうか、高度成長時代の、あるいはことしのようなものはなかなか考えられないんじゃなかろうか、かように思っておるわけでございます。
  19. 竹田四郎

    竹田四郎君 ケースB歳出を削減する形でいきますと、私の計算ですと振替支出伸びというのは平均して三%から四%の間ぐらいになってしまうのですが、全く私はこのケースBというのは何のために表示したのかよくわからないんですが、そのケースBという構想はどういう形できたわけですか。
  20. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 経済企画庁の方の一つの今後の歳出見通しがございますけれども、それに対しまして、もう少し歳出削減率を多くしたらどういう形になるか、そういうものが一つケースBで出ているわけでございます。しかし、その場合も振替支出につきましてはケースCの場合に比べてそれほど削っていないということでございます。
  21. 竹田四郎

    竹田四郎君 増税はいつからやるんですか。これは大蔵大臣経企庁長官にお聞きしておきたいと思います。
  22. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) いつからやるという性質のものを示しているわけではございません。五十七年度にゼロになるようにして、そして増税感を余り与えないようになだらかに各年度税収を求めるとすればどういう所要財源が要り、したがって、その年度増税額が結果的に幾らになるか、こういうものを示しているわけでございまして、それだからこのとおりやるということでなくて、むしろ国会における論議の手がかりをお示しして、そして皆さんから大いに御論議願い、国民にも理解していただきまして、その上でわれわれは税調その他の審議参考にいたしまして具体的な増税案、そういったものをその年々の状況に応じて組んでまいりたい、こういう性質試算でございます。
  23. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私どもの方の作業は、昭和五十七年に特例公債をゼロにすることが可能になるような経済情勢はどのようなものであるかということをモデル試算をしたわけでございます。その場合、ある程度国民の広い意味での租税負担というのが、従来予測していたよりも高くならなければこのことは可能でないという結論は出したわけでございますけれども、どういう税をいつの時期からどのようにするというようなことは政策決定の問題でもあり、私ども試算で決められることではございませんので、それは今後の国会並びに政府政策決定の問題であろうと思います。
  24. 竹田四郎

    竹田四郎君 きのうの経審の提言によりますと、五十四年度から増税することを前提としているというのですが、これについてはどういうお考えですか。
  25. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それはこういうふうに御理解を願いたいと思います。私どもモデル計算で、まず前段に申し上げますと、いわゆる租税負担と申しますものは広い意味租税外負担を含んでおります。日銀納付金でありますとか国立病院収入でありますとか国立大学の各校の収入でありますとか等々でございます。この点は前提として申し上げておきます。で、この分が大体二・五ポイントぐらいあるというふうに御承知いただきたいと思います。そういうことを前提にいたしまして五十七年で特例公債をゼロにするための広義の租税負担率がどのぐらいになるであろうかという試算をいたしますと、大体従来計画で五十五年に考えておりました租税負担率よりも二ポイントぐらいは高くなるのではないか、この中には先ほど申しましたことのほかに自然増収も当然のことながら含まれているわけでございますけれども、そのぐらいになるのではないかということをモデルではじき出しております。しかし、そのようなことをただいまの時点から、いつの時期からどのような税目において行うかということは今後の政策決定の問題であると思います。
  26. 竹田四郎

    竹田四郎君 きのうの経審の発表に関連して、この五十四年度増税というものは中期財政試算に見合う日本経済の全体像を示しているということとも関連があるわけですが、これによりますと、大蔵大臣、五十四年度から財政試算でも私は増税していかなくちゃならぬというふうに考えられるんですが、どうですか。
  27. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 政府といたしましては増税計画を示しているわけではございません。ただ、なだらかにするとすればどういう配分になるかということでございますので、そういう竹田委員のような御議論の方もありましょうし、またいろんな意見が出てくると思いますので、それらを参考にいたしまして、われわれはその年の具体的な租税負担増加を決めるときにはそういったことを参考にしながら決めていきたいと思っているわけでございます。ただ、一般的に申しますと、なかなか負担増をやはり求める時期は近いのではないかということだけは言えるだろうと思うのでございます。
  28. 竹田四郎

    竹田四郎君 まあ、かなりの増税をやらなくちゃならぬということになりますと、その前に国民の合意を得るには不公平税制を直していかなくちゃならぬと思いますが、五十三年度予算にはそれは余り出ておりませんけれども、いつやるんですか。
  29. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) いわゆる不公正税制の問題でございますけれども、今度は企業関係に属するものを主として整理統合いたしたわけでございます。後で述べます設備投資減税、これとそれから特別償却のスクラップ・アンド・ビルドの関係を全部入れまして企業関係では平年度約五百億程度の整理合理化を図っているところでございます。  なお、ほかの問題につきましては、例のお医者さんの問題につきましては今度は触れませんでしたけれども、これはいま党におきまして現在の制度は五十三年度分限りの制度にするということで別途検討いたしておりますので、政府もそれに対応いたしまして検討をする予定でございます。
  30. 竹田四郎

    竹田四郎君 総理大臣にお伺いしますけれども、いまの不公平税制の是正、増税問題、一兆円減税の問題、経済再建の問題についての御所見を承っておきます。
  31. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まあ五カ年間にわたる財政試算、これをごらん願うとかなりはっきりすると思うのですが、これからの財政は非常に窮屈です。そういう中で公債政策をどうするか、これが非常に大事な問題になってくる。そういうこととあわせ考えますと、これから五年間、二年目、三年目、四年目、五年目ですね、だから五十四年、五十五年、五十六年、五十七年、そういう時点において、いずれの時点においてかはこれは増税というか、国民負担増加を求めざるを得ないと、こういう姿になってきておるわけであります。そういう際でありますから、私はこの五十三年度、これからの展望に先立つところの五十三年度のこの時点におきましても、やはり五十四年度、五十五年度、それから先の財政ということを踏まえて当たっていかなければならぬだろう、こういうふうに思うわけでありまして、そういう考え方をとりますと、どうも五十三年度において、一兆円減税とかなんとかというようなお話がありまするけれども、なかなかこれはむずかしい話じゃないかなと、私も連帯と協調ですから、野党の党首の皆さんとも話してはおりまするけれども減税だけはこれからのやや中期的な財政を見るときにむずかしい問題じゃないかなと、そんなような感じがいたしております。  それから不公正税制につきましては、いま大蔵大臣が述べましたように、もうそういう問題とは別の問題といたしましても、これは整理していかなければならぬ問題だと、かように考えます。
  32. 竹田四郎

    竹田四郎君 私は、その財政収支試算構想をお聞きしても、どうも経済財政再建の道は五年間ではできないし、はるかに遠い。しかももう少し私は国民生活というものを考えながらの財政でなければ国民的な合意はつかないし、また同時にもう少し細かいものでなければ国民の理解は得られないだろうと思いますが、この点は今後に譲りたいと思います。  きのう野田委員からロッキード裁判の問題が提起をされまして、大久保証人の証言によりますと、大変灰色高官、ここに金が渡っているということが明確になってきておりますけれども、いままでこういうものについて国会で明確にその辺がされておりませんでした。私どもはこれからこれを追及していって、国民の疑惑を晴らさなくちゃならぬと思いますけれども、これにはどうしても証人喚問を国会でしなくちゃならぬと思いますが、これについては福田総裁、どういうふうにお考えですか。
  33. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私は、ロッキード問題はこれはあれほど国民の関心を浴びた問題でありまするから、その全貌を明らかにする、これは非常に大事なことだと、こういうふうに思います。そういうためには、国会がその調査権に基づいてその真相を明らかにするために機能するということ、これはまた裁判、いま行われている裁判と相並んで重要なことではなかろうか、そのように思います。  証人喚問の点につきましては、いま突如としてのお話でもあり、まだそういう話が各党間で話し合われておるというその報告も私は受けておりませんものですから、なお諸般のそういう論議の経過、そういうものを聞いた上、ひとつ自由民主党総裁としての結論は出す、このように御了承願います。
  34. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 以上で竹田君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————
  35. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 次に、矢原秀男君の質疑を行います。矢原君。
  36. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 通告はしておりませんけれども、緊急な問題でございますので、まず最初にロッキードの問題について質問をいたします。  まず第一点は、福田総理、昨日の大久保証言をあなたはどう思われるのかお伺いいたします。
  37. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) あの問題は、昨年もすでに国会において話の出た問題でありますので、改めてこれという感想は持ちませんけれども、とにかく事は、いま裁判に係属中の問題のことでありまするから、それ以上立ち入った所見を述べることは差し控えます。
  38. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 大久保が証言したいわゆる三十ユニット、三千万円を受け取った高官について、いずれも強く金銭の受け取りを否定しております。国民の立場から見た場合に、国民としてはどちらが正しいのかわからないし、大久保証言が正しいとすれば、六氏についてうち四名は起訴されていず、どうしてそうなったのかという疑問がございます。すっきりできないものがあるわけでございます。これでは政治不信を増すばかりでございます。これに対して、重ねて総理にこの点をどう思われるのか伺います。
  39. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 大久保証人がああいう証言をした、こう言うと、とにかく一応あの四人の方、六人と言った方がいいのでしょうか、六人の方に疑惑というものがかかる。ところが六人の方、こう伺っておりますと、そういう金銭の授受はない、こう非常に明快に話しておるわけでありまして、お話しのとおりいずれが真相なりやということは、これは真実は一つなんですから、解明されなければならぬ問題である、こういうふうに思います。そういうことを考えますると、国会の調査権等の場面におきましてそういう問題が解明されますか、あるいは他の方法によってそれが解明されますか、いずれにいたしましても解明されないと、仮に、あの六人の方々が事実でないことを証言をされている、こういうようなことになれば、それらの方々も大変迷惑な話だろうと思いまするし、また実際嫌疑がかかっておる、その嫌疑を晴らさないままでどうやってこれを晴らすのだろうというようなことを、これは一生悶々としなければならぬというようなこと、これも大変なことだろうと思うのですよ。ですから、いずれにいたしましても真実は一つなんですから、その解明はされないよりされた方がいい、こういうふうに思います。
  40. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 以上の点で考えてみましても、国民に真相を明かして政治不信を除く、こういう上からも、またいま総理が言われているような点を考えれば名誉等のこともあるでしょうけれども、いずれも関係者を証人として喚問し、国会で証言をしてもらう必要があるかと思います。そういう点については、これまた重ねて総理の明快な御答弁をお願いしたいと思います。
  41. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは国会で御論議を尽くされまして、その成り行きによりまして、自由民主党から私に党総裁としての意見を求めるということがあるんだろうと思います。その時点において判断いたします。
  42. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 いずれにしても、このロッキード問題が国民に投げかけた大きな政治不信というものは、非常にこれは大きな禍根として残るだろうと思います。  ここで総理に最後に伺いたいわけでございますけれども、総理は昨日、報道によりますと、自宅で記者の方々に六人はかわいそうだと言われたと言っております。私は不見識ではないか、こういうふうに考えるわけでございますが、総理の真意というものを伺いたいと思います。
  43. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 六人の方々、自分たちの無実を主張しておるわけです。それがしかし、立証はされておらない、そういう段階でああいう証言が行われる、こういうことになりますと、これは後々になりましても、これが立証ということは非常にむずかしいんじゃないかと思うのです。そういうことを考えると、まあお気の毒な立場だなあというような感じもするわけです。しかし、これが本当に無実でなくて実があったということになれば、これはもういたし方ない問題でありまするけれども、私はとにかく御本人たちがそうおっしゃっておる、それにもかかわらずああいう証言が行われた、まあ客観的に非常に世間に強い印象を与えるというようなことになって、まあお気の毒な立場だなあと、そういうようなことを申し上げたわけであります。
  44. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 いずれにいたしましても、総理が毅然たる態度で、正しいものは正しい、間違いは間違い、こういう意味合いで、あなたが就任当時から言われました、ロッキード事件は徹底的にやっていくと、国民の前にと、こういうふうに言われたわけでございますので、それを守っていただきたいと思います。  次に移ります。昨日、経済審議会は五十五年度経済の姿について暫定試算をし、五十七年度についても試算をしておりますけれども経企庁ではこれを今後五年間の財政収支試算にどう生かすのか、伺いたいと思います。
  45. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 五十年代前期計画では、本来昭和五十二年ごろからは租税負担をふやしていかないとなかなか特例国債を五十五年にゼロにすることは困難であるということを考えておったわけでございます、当初の計画におきまして。しかしながら、しばしば大蔵大臣国会において説明されますごとく、そのことは財政的には非常に困難で、その時期は五十七年にならざるを得ないであろうと、こういうお見通しでございますから、それであれば五十七年において特例国債をゼロにするための経済情勢、そのような、どのような状況においてそういうことが可能であるかという試算をいたしまして、このフレームのもとに共同して、大蔵省が特例国債を五十七年においてゼロにするための具体的な考え方を展開をされると、そういうことにこの作業を——作業それ自身は五十年前期計画のいわゆる試算ということで、それ自身の意味を持つものでございますけれども、同時にまた特例国債を五十七年にやめるために、そのフレームとして大蔵省もこれを利用されたと、こういう経緯でございます。
  46. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 また、これによりますと、昭和五十七年度には収支差額は十四兆円となりますけれども、建設国債のみでは十兆円前後と思われますが、この差の四兆円前後は増税となるわけでございますか。
  47. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 五十七年におきまして特例国債をゼロにするためには、先ほども申し上げました広い意味での国民租税負担率をある程度ふやしませんと、特例国債をゼロにすることは困難ではないかと、こういうことを私どもの方の作業は物語っております。
  48. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 また、福祉や年金の振替所得は減少させないでいく方針なのかどうか。
  49. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これは厳密に申しますと財政当局からお答えを申し上げるべきことだと思いますけれども、前期計画においての基本的な考え方は、崩さないと、すなわち、ある程度の社会保障の毎年の伸びはやはり考えていくと、こういうたてまえでございます。
  50. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 大蔵大臣、いま経企庁長官から答えていただいた二点、それについて大蔵大臣、答えてください。
  51. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) いま経企庁長官がお答えしたとおり、社会福祉につきましては大体経済企画庁見通した線を、大体それを踏襲するというような案と、それから、もう少し削ってみたらどういうことになるかと、さらにまた切り込んだらどうなるであろうかと、そういう幾つかのケースをつくってお示しすることにしているわけでございます。
  52. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 もう一つの分、増税するのかどうか。
  53. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) したがいまして、ちょうど要増税額と申しますか、それはちょうどその逆になるわけでございます。
  54. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 総理、まあいつまでに経済を安定経済路線に軟着陸をさせるつもりか、また、その後の実質経済成長率をどの程度に見ているのか、伺います。
  55. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 安定という、その意味にもよりますが、大体、今日は非常な企業が過剰設備、過剰雇用の状態。特に設備の過剰状態は非常に深刻なものがありますが、これは今度財政を中心とする諸施策をやりまして、そして来年の三月、つまり五十三年度末の時点におきましては、製造業稼働率において九二%まで持っていくと、こういうことを目指してるんです。そうすると、実際の稼働率といたしますと八三%ぐらいになりますか、そういうことを目指しておるわけですが、そうすると大体まあトンネルの先が見えると、こういう事態だろうと思います。しかし、トンネルを抜けても、これはいろいろ問題がある。いろいろ問題があるその最大の問題は財政問題なんです。財政を一体どういうふうに処理するか、これはもうトンネルを抜けても数年間この財政処理の問題が続いていくだろう、こういうふうに思います。  それから構造不況業種対策、この問題も、これはもう五十三年度いっぱいかかればこれで全部というわけにいきません。なおその先一両年はかかる問題じゃないか、そのように考えます。いろいろそういう問題は後には残りますけれども、まあ大方、経済の安定成長への軟着陸というような意味におきますると、五十三年度をもってバランスはそういう方向へいく。  それから、その先の成長率を一体どう見るかということは、まあ大体実質六%ぐらいと見てるんです。これも前後と言うのがいいか、程度と言うのがいいか、その辺、六%周辺をにらむべきである。これはすなわち、雇用問題を考えて、その程度の成長はしなきゃならぬ、それから資源エネルギー、そういうものを考えますと、やっぱりそんなに高いものはできない、その接点はどうかというと六%程度だと、こういうことでございます。
  56. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 総理大臣、まあ大蔵大臣もそうですけれども、GNPに対する国債残高の割合は何%が適当であるのか、この点をしかと伺いたいと思います。
  57. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) いろんな歯どめの問題がございますけれども、GNPに対する国債残高、こういったものも一つ参考資料にはなると思いますけれども、われわれは、直接から申しますと、やはり特例公債をゼロにするということが先の問題ではなかろうか、それから全体としてその年度公債依存度というようなものをどういうふうにやっているか、その次にGNPに対する公債依存度というような問題も一つ参考資料にはなると思っているわけでございます。
  58. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 大蔵大臣からお答え申し上げたとおりに考えております。
  59. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 最後に一問だけ。  身体障害者の雇用促進の問題でございますけれども、昨年の十月から納付金制度もスタートいたしております。この功罪についてお伺いをしたいと思うわけでございますが、時間も来ておりますから一点だけ伺いますが、納付金の徴収状況が、労働省に伺っておりますと九六%の微収率で九十二億円にも達しております。私は、納付金制度が雇用の阻害要因、また社会的責任の免罪符になっているのではないか、こういうふうに考えるわけでございます。この点について伺います。
  60. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) お答えいたします。  納付金制度は、決して御説のように納付金を納めたから、それで雇用率を法定の線に実現するということをやらなくていいという、そういう趣旨のものではございません。問題は、やはり身体障害者を雇用しておる企業とそうでない企業とのいわゆる負担の平等と、こういう面で一応納付金制度をつくっておるわけでございまして、われわれとしては極力法定雇用率の実現に今後も積極的に行政指導をいたしたいと、このように考えております。
  61. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 時間が来ておりますから簡単に願います。
  62. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 はい。  大企業ほど雇用率が低く、法定雇用率一・五%に対して従業員一千人以上の民間企業では〇・八しかないわけです。そういう中で金融、保険、不動産業というのは〇・四八%です。こういうことを考えますと、日ごろ事業の社会的責任を強調しているこういうふうな事業所の本音というものが、こういう数字の中に出ているわけではないかと思います。こういう意味で、政府といたしましても、これら業種に対してどういう指導をなされようとしているのか伺います。
  63. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) 御指摘の点、そのような現状になっておるわけでございます。特に金融関係でございますけれども、これはやはり従来、各事業所別の雇用率であったわけでありますが、これを改めまして全企業、だから銀行なら銀行全体ということで、したがっていままで雇用率の制約の枠外であったものがその対象になって現在非常に低いと、こういうことでありまして、これは労働省として、前大臣のときからも銀行協会を呼びましてこれが改善対策を積極的に提言をし、銀行側もこれが対策委員会をつくって逐次改善をすると、こういう方向に努力しておりますから、われわれもこの雇用率達成に今後も積極的に行政指導をいたしたいと、このように考えております。
  64. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 以上で矢原君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————
  65. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 次に、安武洋子君の質疑を行います。安武君。
  66. 安武洋子

    ○安武洋子君 私は、まず最初に、昨日ロッキードの裁判で、元丸紅の大久保利春氏が、いわゆるユニット関係の政治工作資金を二階堂氏、加藤六月氏ら六人に渡したと、こういう事実を証言なさいました。重大な事実でございますので、私は、まず総理に最初にお伺いしたいと思います。  この六人の中の四人は、いわゆる灰色高官と言われながら国会でいずれもシロである、こういううその弁明をなさってこられました。しかも二階堂氏は、党の総務にもなられて、このほどパラグアイなど中南米に政府特使として歴訪もされておられます。これは党のみではなくて、このような人物を政府の特使とされる政府の責任も重大です。また党としても、この六人の中の二階堂氏、加藤六月氏を自民党が昨年の総選挙で公認をされているということは、私はきわめて責任が重いと思います。党として、あるいは政府として、総理はいかがお考えでございましょうか、お伺いいたします。
  67. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 二階堂、加藤、両氏の公認の問題につきましては、これは本人からそういう事実はないと、こういう話も十分確かめた上、これは刑事事件にもなっておらぬ、そういうことで公認をしたわけで、わが自由民主党の内部の問題であります。  それから、こういう事件、これはとにかく国民の大きな関心の的だったわけですから、できる限りこの真相を究明し明らかにする、こういうことが大事なことだろうと、こういうふうに思います。政府におきましては、そのためにできることは、国会の調査権に対しましてできるだけの御協力をするという方針でございます。
  68. 安武洋子

    ○安武洋子君 政府の責任も私はお答えいただくようにお願いいたしております。それをお答えいただきとうございます。  さらに、このロッキードの事件については総理自身は徹底究明を約束なさっていらっしゃるわけです。それが本当なら、今度はこれは東京地裁の証言台において証言をされたことなんです。私は、福田内閣のこの灰色高官の氏名、それから金額、こういうものはすべて国会に公表すべきではないか。総理、それから法務大臣の見解も伺いたいと思います。
  69. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) お答えいたします。  灰色高官ということがよく言われますけれども、法務省並びに検察庁としてはだれが灰色高官であるという考え方でもってやっておるわけではございません。問題は、犯罪事実があるかないかを調査いたしまして、それが犯罪事実ありと捜査の段階で認め、しかも裁判にかけて処罰する必要があるという考えになりますと、裁判に起訴をいたしまして判断を仰ぐ、これだけのことでありまして、それ以上のことをこちらで判断する立場にございません。ただ、この真相の究明について捜査の内容をというお話でありますが、これは従来から国政調査において必要なものはできるだけの御協力を申し上げると、こういう立場で来ておりますけれども、それもやはり憲法なり、あるいは法律で定めてある範囲内でやると、これ以外にないのでありまして、現在裁判が進行中でございますから、裁判に関する記録は、原則といたしましては訴訟法の定めるところによりますと、裁判終結以後でなければ一般には公開してはならないと、かようになっておりますので、その点をどうぞ御理解願いたいと思います。
  70. 安武洋子

    ○安武洋子君 総理大臣政府の責任が抜けております、特使派遣をした政府の責任。
  71. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) それから、二階堂氏をパラグアイに対しまして特使派遣をすると、こういうことでございますが、これは二階堂氏が明快にああいう指摘されるような事実はないと、こういうふうに言っておりまするし、同時にあれだけ検察においても捜査に熱心に取り組んだわけですから、被疑者という立場にもありませんし、二階堂氏が日本パラグアイ交流協会でしたか、そのような性格の団体の会長もされておるということで、特使として派遣をするということにいたしたわけであります。
  72. 安武洋子

    ○安武洋子君 裁判所の証言台で証言したことよりも、個人的に本人が総理に言われたことの方を信用なさるんですか。この人たちは、いままでさんざん国民的な批判を浴びてきた人たちなんです。国会においてもロッキードの事件が政治的にそれから道義的にもういろいろ問題になって追及するということについては、これは自民党自身も賛成をしておると、総理も徹底的に究明をなさると、こういう言明をされてこられているはずなんです。ところが、実際にいままでは裁判中だからということで、それを盾にとっていろいろな理由を挙げて証人喚問なども拒否をなさってこられたわけなんです。ところが、今度裁判所の中の証言台に立って証言があったというふうになると、今度は個人的にはそんなことはないからそれを信用して公認もしたと、特使にもしたと、こういうふうにおっしゃるのは、これは全く国民はそんなことでは納得いたしません。私は、重ねて総理にお伺いいたします。こういうことについてどうお考えでございましょう。
  73. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 大久保さんの証言は、私が新聞で見た限りにおきましては、これは三十ユニットの金があれらの人に渡されたと、こういうんじゃないんですね。そういう分配の計画があったというところまでの証言なんですよ。その先につきましては何らの証言はしておらぬわけでありまして、本件につきましてはまだたださなけりゃならぬという大きな問題が残っておるわけであります。そういう問題がまだ未解決であるという段階において、私は、先ほど党総裁として、また内閣の首班としてこういう措置をとったんだと、こういうことを申し上げているわけです。
  74. 安武洋子

    ○安武洋子君 だからこそ記者団に対して六人の名前が出たのはかわいそうだというふうな御発言にもなると私は思うのです。ロッキードを本当に徹底的に究明なさるおつもりがないというふうに受けとられても私はしょうがないと思うのです。だからこそいま本当に総理がおっしゃるように、ロッキード事件を徹底的に究明すると、こういう立場にお立ちなら、私はここでもう一度証人喚問をして事実を明らかにすべきだと思います。だからこそ私は、ここで大久保氏ら丸紅関係者、それから二階堂氏、加藤氏、全日空関係者、こういう方の証人喚問を要求いたしますけれども、総理はこれに対して御賛成でございましょうか。
  75. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 各党が当該委員会の場において御相談願いたいと、このように思います。それで相談があってそのいきさつを踏まえて、そして私に自由民主党から意見を求められますれば、そのときに私は意見を申し述べる。
  76. 安武洋子

    ○安武洋子君 いま求めているのです。
  77. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いまは申し述べません。
  78. 神谷信之助

    神谷信之助君 関連。
  79. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 関連質疑を許します。神谷信之助君。
  80. 神谷信之助

    神谷信之助君 総理と運輸大臣にお伺いしたいと思います。  昨日の公判廷で大久保証人は、松井氏からお世話になった政治家の方々にお礼をするという話を持ち込み、それに対して大久保氏は何らの疑惑を感じなかった、当然と受け取っているわけであります。本来政治力や行政力の介入があり得ないところの民間航空会社の機種選定、これに一体どんなお世話の仕方があるのか、彼らが一体何をしたのか、この点を国民は知りたいと思っているわけであります。大久保証言では三十ユニット三千万円、これについて証言をする中で、全日空側が六人に配分をする、これが丸紅段階で七人になった、そういう経過も証言をしております。さらに、伊藤証言その他が出てまいりますと、九十ユニットの流れた先も法廷で明らかになるでしょう。十数人に渡ったと言われています。これらの賄賂をもらった諸君が一体どんなお世話をしたのか、そしてこのトライスターの導入をめぐって運輸行政にどういう影響があったのか、私はこの点を政府は明らかにする責任があると思うのです。公判が進むにつれて次々とぼろが出てくる、そういう醜態を重ねてはまさに一層政治不信をかき立てるだけであります。  したがって、総理並びに運輸大臣にお伺いしますが、政府の責任で彼らがどういう世話をしたのか、そしてどういう影響があったのか、このことについて国民の前に一日も早く真相を明らかにし、また政府自身もこの段階で改めて運輸行政について点検をする、こういうことが必要ではないかと思うのですが、この点についての見解を伺いたいと思います。
  81. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) ただいま進行しております事件については、申すまでもなくすでに裁判所等が深く関係して処理している次第でございまして、したがって、現段階において別途ただいま御指摘のようなことはいかがかと思いますが、それはそれとして、お話のごとく機種選定等が航空会社等の自主的な措置によって行われる、これはそのとおりでございまして、まあ参考のためなどで、やはり知識を有する者がある種の協力をするということが絶無とは言いがたいとは思いますけれども、まあ裁判がああいうように進行したのであるから、運輸省もさらに調べろということでございますが、私はこれはあそこまで進行したものは、強力なああいう司法のもとにあって徹底的に究明されることがしかるべきである。だがしかし、われわれはそういうことを回避するとか、これから逃げるようにするとか、そういう意味ではございません。しかるべき協力の必要がある場合はこれはこれですべきものであろうと思います。したがって、ただいまの御質問に対して、新たにわれわれが何らかの措置をとると、こういうことについては私はそのこと自体慎重であらねばならぬと、こういうように考えます。
  82. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ロッキード事件の解明は、もう公判廷に問題が移っておりますから、公判廷の成り行きを関心を持ちながら注目すると、こういうふうにしていきたいと、かように考えます。
  83. 神谷信之助

    神谷信之助君 問題は、公判が係属中だからということで一切の真相の解明に何らの手をかけようとしない、その福田内閣の姿勢が問題だと私は思うのです。現にこれらの政治家に金が渡り、そして渡した方はお世話になった政治家と言っています。だからどういうお世話があったのかはっきりしなきゃなりません。運輸大臣は、逃げる気はないという御答弁でした。私は、逃げる気はないどころか、お世話になったということで政治家に金が渡され、この指摘について、それが事実であるかどうか政府みずからが調査をして国民の前に明らかにする、このことが必要ではないですか。犯罪容疑がある、犯罪要件を構成をした、これは法務省、捜査当局で起訴をするでしょう。しかし時効であったとか、職務権限はなかったということで、お金をもらって一定のお世話もし、いろいろな行為をしたであろう、そういう諸君についてはこれは起訴はできなかった。しかしその金をもらった者が一体どういう行為をして運輸行政にどういう影響を与え、あるいはそれがどういう変更を生んだのか、このことを明らかにする必要があると思うのですよ。このロッキードの問題の追及の中で、当初運輸省は全く関係がないと言い切っていました。しかし国会とマスコミなんかの追及の中で、一定の行政介入を認めざるを得なくなったんです。しかし運輸行政の政策決定には何ら影響がなかったと言っています。それじゃどうしてこういうお世話になった政治家にこれらの巨大な金が流れるのか、このところをはっきりするのが政府の責任であり、政治不信を解消する最大の道ではないかと思うのですが、この点について再度福田総理の見解を求めます。
  84. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 神谷君時間が参っております。
  85. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ロッキード事件という問題が起きたんですから、これを解明することは政府の責任です。だからこそ検察も出動いたしましてああいう捜査をしておるわけなんです。さあ警察が関係できないような問題を、一般の手法でこれは本当に真実はどうかというような調査が一体できますか。捜査権もなくして、それでその真相の調査ができるでしょうか。私は非常に困難だと思う。しかし捜査権が発動されまして、そして犯罪になるのかならないのか、犯罪になるのはどういう点が犯罪になるのかという点は徹底的に解明され、そしていま公判となってこれが進行中であるというので、政府といたしましてはこれはもう全責任を尽くしておるわけです。
  86. 安武洋子

    ○安武洋子君 私は国税庁にお聞きいたします。  国税庁では従来から賄賂課税について検討されておりますけれども、灰色の四人の高官については、法廷の証言の中で金銭の受領、これが明らかになった以上、私は賄賂課税を課すべきではないかと、こういうふうに思うわけです。特に時効が三月十五日に迫っております。結論を急くべきではないかと思いますけれども、御見解お伺いいたします。
  87. 磯邊律男

    政府委員磯邊律男君) お答えいたします。  いわゆる三十ユニットの授受が行われましたのは昭和四十七年であります。したがいましてこの事実を私たちが承知いたしました段階におきましてはすでに三年の除斥期間というものが経過しております。したがいましてただいまのところ、これは三年の除斥期間を適用するものであるとすれば、すでにもう時効になっていると考えております。  ただこの場合に、偽りその他不正の行為ありということで五年の除斥期間を適用すべき問題であるということになれば、これは御指摘のように三月の十五日で時効が来るわけでありますけれども、ただいまのところわれわれとしては、この五年の除斥期間の適用をすべきものであるという積極的な見解はまだとっておりません。
  88. 安武洋子

    ○安武洋子君 実にけしからぬ話で、これは偽りだということがはっきりしているじゃありませんですか。しかももっと早くからこういう事態は全部わかっていたはずなんです。だから、いままでに急いでおやりにならなければならないことを、いまさらそういうふうにおっしゃるのは私はおかしいと思います。この問題についてはぜひ検討を急がれて、早く三月十五日までにおやりになるようにということを私は強く御要求申し上げますが、いかがでしょうか。
  89. 磯邊律男

    政府委員磯邊律男君) ただいま御答弁申し上げましたように、現在のところ五年の除斥期間を適用すべきものではないとわれわれは考えております。
  90. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、私はここで御要求申し上げますが、委員長に私は先ほど証人喚問の件を申し上げました。これをぜひ取り上げていただくように御要求申し上げます。
  91. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 理事会に諮りまして処理いたします。
  92. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、私は次に輸入牛肉の流通をめぐる疑惑についてお伺いをいたします。  輸入牛肉をめぐる疑惑については、昨年来各方面から指摘をされているところです。もっと安い牛肉を食べたい、こういうのが国民の切実な願いなんです。ところが卸値に比べて末端の消費者価格はとても高い。こういうことは、国内で牛を生産されている、こういう人たちにとっても、私は納得のできないことだろうと思うのです。総理は、牛肉の価格安定に努める、こう言われて、農林大臣にも指示をなさいましたし、農林大臣も、五十三年度予算一つの目玉にしたい、このように言われておりますけれども、まず本当になさるお気持ちがおありなのかどうか、私は総理の決意と、そして農林大臣の決意をまずお伺いいたしたいと思います。
  93. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) 御指摘のように、牛肉が国際的にも高いのではないかという一般の声、消費者の声がありますから、何とか安く台所に届くようにと、総理からも御指示がありましたし、私自身もそうやりたいと、こう思って、一つは、生産コストの引き下げというものについて最善を尽くしたい、もう一つは、流通コストが高いのではないかというので、いろいろやっておりますが、中でも目玉商品としては部分肉センターあるいは食肉センターというようなことで、流通の合理化を図って消費者の期待にこたえたい、いろいろありますが、基本的考え方は以上のとおりでございます。
  94. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私は、この牛肉の価格を安くする、これはできることだと、こういうふうに思うのです。またこれを国民が非常に希望しておる、こういうふうに思いますので、中川君が農林大臣になったその最初から、もうとにかくひとつ体を張って値段を下げるということに努力してもらいたい、こういうことを要請しておるわけなんです。この一月十九日からも東京では食肉産地と直結してこれを販売すると、こういう施策なんか始まっておる。これで一割値段が下がるという話ですが、それがうまくいくということになれば、これは各地でやりたいとも思いまするし、また部分肉流通機構、これも今度つくるという予算も提案をしておりまするし、かなり肉の値段を下げるという方向の施策は、今度は進むと思います。
  95. 安武洋子

    ○安武洋子君 私一月十八日の決算委員会でこの輸入牛肉の問題を取り上げまして、具体的な流通経路を挙げで調査を御要求申し上げました。そのとき農林大臣は、過去の疑惑については解明する、今後についても疑惑を受けないようにしていきたいと、こういうことで調査をお約束くださいました。私はどのようにいままで調査をなさったか、その結果をお伺いいたしとうございます。現地まで——神戸でございますが、具体的に挙げましたのは、ここまで足を運んでお調べになったかどうか、そのこともお伺いいたしとうございます。
  96. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) 去る十八日参議院の決算委員会において安武委員から御指摘がございまして、目下調査中でございます。調査の結果としては、輸入商社から事業団、そして事業団から事業者団体へと、この段階までは適正、円滑に行われておるようでございます。その先組合員までの流れ方については、まだ時日もそれほどありませんし、畜産振興事業団並びにもっと県等と連絡をとりながら調査中でございます。
  97. 安武洋子

    ○安武洋子君 現地へ足を運ばれたかどうか聞いていますか。
  98. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 調査はまず直接には事業団が行うべきものと考えておりますので、事業団の方にその指示をいたしたところでございます。事業団におきましては、内部資料に基づきまして直接の販売業者への売り渡しの実績を確認いたしております。ただ、その先神戸の現地におきましてどのように系列傘下のところにこれが売られたかについては、現地からの報告を求めておりますが、まだその報告は上がってまいっておりません。なお、私ども農林省としては、現在の段階では神戸まで直接調査に赴くということはいたしておりません。
  99. 安武洋子

    ○安武洋子君 事業団にお伺いいたします。  事業団の方では現地まで足を運んでお調べになるおつもりございますか。
  100. 太田康二

    参考人太田康二君) お答え申し上げます。  ただいま畜産局長からも御答弁がございましたとおり、私ども農林省とともに現地に行って調査をする必要ありという段階にはお供をして調査をするつもりでおります。
  101. 安武洋子

    ○安武洋子君 大体私が調査をお願いしてから二週間近くたっているわけです。とても遅いです。調査をなさるということですから、本日私はさらに詳しい資料をお示しして、きょう私がお示しする疑惑についても必ず調査をされるように御要求申し上げます。  ここで表をお配りさしていただきます。まず表をごらんいただきとうございます。第一のケース、これは日本食肉市場共同株式会社関係です。昭和五十一年九月です。入港年月日九月二十日、それから船名がありまして、カートン、数量、輸入商社シンガポール産業というふうに全部明記してございます。これシンガポール産業から事業団、日本食肉市場共同KK、神戸中畜、それから平井力氏ということで日畜、で、全量が日本ハムに流れていると、こういう図でございます。これについてお伺いいたします。  まず、九月二十日シンガポール産業分について事業団、これは購入をなさっていらっしゃいますか。そして日本食肉市場共同株式会社に売り渡しておられますか、お伺いいたします。
  102. 太田康二

    参考人太田康二君) お答え申し上げます。  九月二十日のシンガポール産業から畜産事業団が買い入れまして市場共同KKに売り渡したというのは私ども帳簿で確認をいたしております。
  103. 安武洋子

    ○安武洋子君 重ねて事業団にお伺いいたします。  ほかにも私は六つのルートをお示ししております。この六つのルートについてそれぞれ買い入れの月日や買い入れ先、または売り渡し先など間違いがないかどうか、ルートごとにどこまで判明しているか、それを明らかにしていただきとうございます。
  104. 太田康二

    参考人太田康二君) 他の六件につきましても、買い入れ商社、売り渡しの相手方等は私どもも確認をいたしております。ただ、売り渡し先につきましては、現在私どもが確認をできておりますのは、まことに残念ながら、この全肉連の場合には、全肉連から兵庫県肉連に渡った段階までが確認をできておるわけでございます。
  105. 安武洋子

    ○安武洋子君 一つずつルートごとにおっしゃってください。
  106. 太田康二

    参考人太田康二君) それでは、九月二十日のシンガポール産業から買い入れて食肉市場共同KKに売った分でございますが、これにつきましては、市場共同KKから神戸中畜、これは荷受けでございますが、ここまでの確認はいたしておりますが、そこから先についてはなお現在確認を急いでおる段階でございます。  それから二番目の九月十三日の分でございますが、これにつきましては、兵庫県肉連まで全肉連から届いておるというところまでは確認をいたしておりますが、それから先についてはいま確認を急いでおるところでございます。  丸紅の関係はさようなことでございます。  それからその次の……
  107. 安武洋子

    ○安武洋子君 その丸紅関係の次も次もですか。全部ちょっと言ってみてください。
  108. 太田康二

    参考人太田康二君) はい、同様でございます。  それから十月一日、十月六日の日畜から買い入れた分につきましても、全肉連を通じて兵庫県肉連まで渡ったというところまでは私ども確認をいたしております。  それから三番目の全国同和食肉の関係でございますが、これも兵庫同和まで渡っておるということについての確認はたしかできておるはずでございます。
  109. 安武洋子

    ○安武洋子君 シンガポール産業分ですが、これは私の調査によりますと、日本食肉市場から神戸中畜、これは平井力さんということで、日畜−日本ハムに全量流れているわけです。その先というのは、さらにその一部が愛媛県の伊予市のお肉屋さんに流れております。ここに私はその証明書を持ってまいりました。これは愛媛県伊予市のお肉屋さんの証明ですけれども、「輸入肉チルド(肩)函(シンガポール産業株式会社と銘記しあるもの)日本ハムより購入したこと相違ありません。以上」、こういう証明でございます。  そこで私お聞きしとうございます。日本市場共同KKから流れているこの神戸中畜というのはどういう会社なのか、また社長はどなたなのかお答えいただきとうございます。
  110. 太田康二

    参考人太田康二君) 中央卸売市場法に基づく神戸食肉市場の荷受け会社でございまして、社長は平井幸義さんでございます。
  111. 安武洋子

    ○安武洋子君 ではさらに伺います。日畜とはどういう会社なのでございますか。そしてその代表者はどなたなのでございましょう。
  112. 太田康二

    参考人太田康二君) 日畜というのは、食肉の輸出入業務並びに売買業務をやっておる株式会社でございまして、社長は平井幸義さんでございます。
  113. 安武洋子

    ○安武洋子君 では中畜と日畜は社長さんが同じ。この社長さんが同じである荷受け会社である神戸中畜から日畜に売り渡す、一体こういうことができるのかどうか。卸売市場法ではどうなっているか、このことをお伺いいたします。
  114. 太田康二

    参考人太田康二君) 市場共同KKから神戸の中畜に渡りましたものが、中畜がいかなるふうに売ったかということにつきましての、日畜に売ったかどうかについては私どもまだ十分確認ができていないということは、先ほど申し上げたとおりでございまして、通常、市場の場合には買参権を持った者に売るという形で、買参人に売るということになるわけでございまして、私どものたしか調査では、日畜は買参権がないのではないかというふうに理解をいたしております。
  115. 安武洋子

    ○安武洋子君 だから、売り渡すことができるのかどうかと、それは卸売市場法に基づいてはどうなるのかと、こういうことをお伺いいたしとうございます。
  116. 太田康二

    参考人太田康二君) 買参権のない者には売ることはできないというふうに理解をいたしております。
  117. 安武洋子

    ○安武洋子君 それではまさにこのルートは違法でございますね。ここに平井力という名前が入っております。この方は買参人ですけれども、もし買参人が入っていたとしてもこれは御自分の息子さんなんです。しかし、この平井力氏をクッションにしていたというふうにしてもだめなんです。これは御自分が社長の神戸中畜から自分が社長の日畜に流している。平井力さんを通っていないというのはほかの書類で明らかなんです。こういう場合、私は卸売市場法の精神を著しく踏みにじるものではないかというふうに思いますけれども、こういう点、政府の方ではいかがお考えでございましよう。
  118. 犬伏孝治

    政府委員(犬伏孝治君) 卸売市場法に基づきまして、食肉の流通につきましても、その他生鮮食料品についても同様でございますが、荷受け会社であります卸売会社が、市場法に基づいて地方公共団体等の開設者の承認を受けた買参人——買い受け人でございますが、これに適正に品物が流れるように市場法に基づきまして指導監督をいたしております。ただいま御指摘の点につきましては、買参人でない者に市場におきまして売り渡しをすることは認められておりません。ただし、買参人から先にどのように流通するかということにつきましては、これは市場外のことでございまして、ただいまの御指摘の点につきましては、市場外のことでございますと理解いたしますと、これは市場法の問題ではなくって流通の全体の適正化という見地から指導をすべきものというふうに考えております。
  119. 安武洋子

    ○安武洋子君 いまのお答えはどういうことなんでしょうか。荷受け会社である神戸中畜から、これを輸入商社である日畜に売り渡すことができるのかどうかという私の問いでございます。それのお答えにはなっておりません。
  120. 犬伏孝治

    政府委員(犬伏孝治君) 日畜は買参人でございませんから市場におきましては売り渡しはできません。
  121. 安武洋子

    ○安武洋子君 だから、まさに違法行為が行われているということになるわけですね。ですから、私はここで神戸中央市場輸入牛肉、チルドの売り渡し状況を明らかにしていきたいと思います。  農林省から私はチルドの神戸中畜の会社別売り渡し状況一覧表、これをいただきました。農林省は会社名は発表できないと、こういうことで、A、B、C、Dと、こういう記号で私のところにお届けくださいました。しかし、これを拝見いたしますと、だれが見てもAというのは平井幸義氏が代表者である兵連ミートなんです。というのは、ここのところで買参人資格を取り消されたというふうになっているのは兵連ミートしかないわけですから、兵連ミートだということはもう一目明らかになるわけなんです。で、五十一年八月から五十二年三月までほぼ全量がこの一社に流れているというのは、農林省のお出しになったこの書類で全く明らかなわけなんです。この結果について一体農林省はどうお考えなんでございましょう。
  122. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 資料としてお出しいたしましたのは、兵庫県食肉卸事業協同組合の売却の実績でございます。この団体が扱っておりますのは、いわゆる輸入肉の中でもフローズン——冷凍肉でございます。これは入札でもって売られるものでございます。入札の参加者は市場会社も含めて全体で十九団体、そのほかに指定店というのがあるわけでございます。入札で落としたものは、これはその系統の構成員に対して売却するという形になります。それがどのような形で売られているかということにつきましては、単一の人間に集中しているというような御指摘でございましたが、五十一年の実績を見ますというと九社に売られております。それから五十二年の、これは十二月までの実績でございますが、四つの会社に売られております。
  123. 安武洋子

    ○安武洋子君 御自分のところからお出しになった御資料をお間違いでは困るんです。これはチルドビーフの売り渡し量ということで私の方にお出しでございます。ですからフローズンではございません。チルドが競りにかかっているんですか。
  124. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) お答え申し上げたのは、兵庫県食肉卸事業協同組合の売却分でございます。これはチルドは入っておりません。  それから、チルドの売り方につきましては、これは随契でもって五団体に売り渡しているわけでございます。そのほかに指定店というのがございます。
  125. 安武洋子

    ○安武洋子君 私が聞いておりますのは、「神戸市中央卸売市場食肉市場の輸入牛肉」、おたくがお出しになった資料に基づいて私はお尋ねいたしております。違ったことをお答えにならないでください。
  126. 犬伏孝治

    政府委員(犬伏孝治君) 御質問のございました資料は、卸売市場の中で取引についての点だと思います。その点につきましては、食品流通局の方から提出をいたしましたものでございまして、御質問のございましたように、買参人に対する売り渡しは競りではございませんで随意契約、相対取引ということで行われております。で、その売り渡しの実績につきましては、神戸市から資料の提出を求めまして、その資料を提出をいたしたところでございます。
  127. 安武洋子

    ○安武洋子君 だからこそ私は聞いておりますのです。この資料で明かなように、一社にほとんど集中しているという事態について政府としては一体どうお考えなのかと、そのことをお伺いいたしております。
  128. 犬伏孝治

    政府委員(犬伏孝治君) チルド肉は生鮮物でございまして、商品の特性といたしまして品質の劣化が早いということから、あらかじめ買い受け人の注文をとりまして、それから売り渡しを行うと。で、市場においてこれを行います意味は、市場取引は取引量、それから価格、相手方、これが公になる、そこで公正な取引が行われる、こういう趣旨に基づいて市場において取引が行われておるわけでございます。  で、御指摘の一社にある時期に集中をしておるという実態は、神戸市からの資料によりますとそのとおりでございます。できるだけ買参人をふやして競争が行われるようにすべきものであるというふうに基本的に考えておりますが、商品の特性、それからこれを取り扱う経験等から、結果としてそのようになっております。今後におきましてできるだけ買参人をふやしていくというような形で公正な取引が行われるように指導をしてまいりたい、このように考えております。
  129. 安武洋子

    ○安武洋子君 お答えになっておりません、それでは。私はいままでこういう状態をなぜ放置されてこられたのかと、その政治責任をお伺いいたしております。調査ができないできない。神戸市から資料一つとれば買参人の資料までとれるじゃありませんか。いままでそこまでは調べられない、こうおっしゃっていたのがちゃんと調べられる。なぜこういうことを、これほど疑惑がつのっているのに、もうそして一年たっているのに、こういう不正常な状態を放置されてきたのか、そのことについて総理大臣、一体いかがお考えでございますか。
  130. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) 御指摘いただいたのは十三日前であり、しかも内容がよくわからないということで、安武委員のところにも行きまして、誠心誠意やっておるところでございますから、これから先また一生懸命、間違った点があれば正してまいりますし、これから間違わないように鋭意やってまいりますので、御協力、御理解をお願いいたします。
  131. 安武洋子

    ○安武洋子君 一生懸命やっていただくのは結構なんですけれども、疑惑が出て国民の間でこれほど大騒ぎになっている。それなのにいままでなぜこういうことをおやりにならなかったのか、非常に不正常な状態がある、そういう政府の責任についてはじゃどうお考えなんですか。そのことをはっきりしていただかないと、今後一生懸命やるとおっしゃっても、そういう担保はないじゃありませんか。
  132. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) 畜産振興事業団の牛肉の売り渡しにつきましては、いろいろ御意見もありますので、昨年来、通達を出す等、公平、円滑な売り払いができるように指導しておるところであり、今後も一層そういった気持ちで適正化を期していきたいということでございます。今度の問題についてはもう少し時間をかしていただいて、現実を把握した上で対処したい、こういうことであります。
  133. 安武洋子

    ○安武洋子君 現実を把握しようと思えばわずかの時間でできます。ここにおたくが出されている資料だけでもできるわけです。いまでも神戸の中畜というのは、チルドビーフの販売に当たって買い手人である買参人組合に何にも知らせておりません。五十二年度四月以降も、自分の息子さんとか一番番頭といわれる人たちの分、こういうのを含めますと、依然として平井氏の関係に八二%も流れているというのがお出しいただいた資料から歴然としているわけなんです。たとえこの買参人が相対取引であるとしても、公正に全員参人に知らせる、これが私は原則だと思うのです。買う機会を与えるのがあたりまえだと思うのですけれども、これはどういうふうにお考えでございましょう。
  134. 犬伏孝治

    政府委員(犬伏孝治君) 開設者であります神戸市から報告を求めておりますが、神戸市の報告によりますと、買参人には周知をしておるという報告をもらっております。そのように行われておるというふうに考えておるわけでございます。
  135. 安武洋子

    ○安武洋子君 買参人に行われているといっても、八二%もやはり依然として平井氏関係に流れている、こういう事実があるわけなんです。私は、これは市場法の第三十六条の差別取り扱い禁止に該当すると思いますけれども、こういう事態を早く改めていただかなければならないと思います。こういうふうな不正常な状態というものを放置なさるからこそ、この私がいまお示ししたようなルートのように平井氏関係から全量日本ハムに流れる、こういうふうなことがあるわけなんです。  で、これが愛媛県のお肉屋さんに流れていっておりますけれども、一体、このシンガポール産業から輸入されたチルドを事業団は幾らで買い入れて、幾らで日本食肉市場共同KKにお売り渡しでございますか。
  136. 太田康二

    参考人太田康二君) お答え申し上げます。  シンガポール産業から購入いたしました買い入れ単価は、キログラム当たり七百十円でございまして、これを市場共同KKに三百五十円の調整金を乗せまして千六十円で売っておるわけでございます。
  137. 安武洋子

    ○安武洋子君 いまおっしゃいました千六十円、その価格に神戸中央畜産荷受の二%の手数料、保管料を加える、そうすると千八十五円でございます。そこで千八十五円で平井さんには渡っているということが明らかになります。  ところが、日畜、日本ハム、これを経由した、そして四国のお肉屋さんに売り渡された価格というのは二千三百円です。二倍以上になっているわけです。こういうことから見ても、私は平井氏と日本ハムが非常に不当な利益を上げている、不当な利潤を手に入れているというのは歴然としていると思うのです。平井氏と日本ハムが組んで輸入肉を食い物にしている、こう言われても私は仕方がないと思うのです。こういう事態について、総理大臣、一体先ほどの決意と照らし合わせていかがお考えでございましょうか、お伺いいたします。
  138. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) 御指摘がありましたので、実態をよく調べた上で対処したいと存じます。
  139. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 牛肉の価格を下げるということが大変大事な問題だということを申し上げましたが、そのためには流通、これが非常に重要な問題だという認識でございます。流通の問題につきましても鋭意メスを入れる、このように御承知願います。
  140. 安武洋子

    ○安武洋子君 私は、不当な経路を通って、そしてそこで不当な利潤を上げている、明らかに二倍以上になっている、こういう仕組みになっているということについて、最初の大臣の決意と照らし合わせてどうお考えでございましょうと、そのことをお伺いいたしております。
  141. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) よく調査いたしまして善処いたします。
  142. 安武洋子

    ○安武洋子君 だからこそ、いままで調査をなさらないからこそ、日本ハムの五十一年度の決算、これを見ていただきたいと思うのです。これは税引き利益三十三億円です。五十二年には四十億円、これだけ上げているわけなんです。このような不正な流れ、これは市場を通じてだけのことではないわけです。  たとえば、お渡ししてあります資料をごらんいただいたらわかるように、全肉連を通じたルートの中でも、輸入商社である日畜が事業団に売り渡した全量がまた日畜に戻っていく、そしてハム会社に流れていく。また全同和、これは全国同和食肉事業協同組合連合会、このルートでも、日畜から平井氏の息子さんの経営する日本デリカを通じて林兼産業に流れている。林兼というのは御存じのように大洋漁業の関連会社なんです。こういうことが可能なのは、日畜、これは輸入牛肉の量ではわが国では第二位を占めております、決して零細企業じゃないです、第二位なんです。こういう商社の社長、平井幸義氏のファミリーが輸入牛肉のあらゆる段階、あらゆるところで主要なポストを占めている、だからこそできるのだと、そういうことになっているわけです。私はその図をひとつお示ししたいと思います。  ごらんくださいませ。まず、輸入商社の日畜の社長さん、平井さんですね。それから全国組織で平井さんの主なものは全肉連の副会長さんです。それから市場共同KKの取締役です。県段階では県肉連の会長さんです。荷受会社の社長さんです。そして各単協、卸・小売店、まあ平井ファミリーの関連する会社というのは枚挙にいとまがない。平井さんの肩書きも幾らあるかわからない。ここに書いてありますのはごく主要な部分だけなんです。しかも、その中に幽霊会社とおぼしきものがある。これも後で差し上げますのでよくごらんいただきたいと思いますけれども、これは住所も一緒、電話番号も一緒、こういう幽霊会社まがいのものまでもあるんです。ここにメスを入れない限り、幾ら口で何とおっしゃっても私は牛肉の値段は下がらないし、流通経路は明確にならない、このように思いますが、農林大臣いかがでございますか。
  143. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) わが国の肉の市場は歴史が非常に浅いわけでございます、生鮮食料品、果物等に比べまして。ですから、こういった系統がかなり近代的でないという面は全国的に言われるところだと思います。したがいまして、この問題はこの問題として調査の上対処すると同時に、日本の肉全体について流通系統をしっかりしたものにしたい。革命的な食肉センター、あるいは部分肉センター、あるいは東京での朝市、先ほど総理からお話がありましたように、小売屋さんが直接市場に買いに来る、こういうようないろんな仕組みで消費者にこたえるように、真剣に、個別問題のみならず全体として対処しておるところでございます。
  144. 安武洋子

    ○安武洋子君 部分肉センターをつくるとか、そういう小手先細工だけではだめだということを、私はさっきから幾らも、流通経路も、それから値段がどういうふうに転がる中で上がっていくかもお示ししているわけですよ。  しかも、ひどいのは、日畜から事業団を通って全肉連を通って兵庫県連を通って、全量がまた日畜に戻っていく、こういうひどいのがやられているのが差し上げました図の中にもはっきりしておりましょう。こういうことについて根本的にメスを入れない限りは私は問題は解決しない。しかも、これを支えているのが、幽霊会社まがいのものまでもある平井ファミリーがこういう組織を支えているからだと、ここにメスをお入れになりますかどうかということをお伺いいたしております。
  145. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 全体の肉の流れについてどうこれから適正化を図っていくかというお話でございますし、先ほど来の答弁でも、資料が二通り出ておりました関係からおわかりにくかったかと思います。それらのことから、全体のことについてちょっと御説明さしていただきたいと思います。
  146. 安武洋子

    ○安武洋子君 そんなこと聞いてないですよ。私は、こういうからくりをはっきりさせた上で、ここにメスを入れるかどうかということを聞いているんですよ。
  147. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 要するに、国民に適正な価格で安定的に供給するということのために私ども仕事をしているわけでございます。そこで、その適正化のために昨年の八月に畜産局長通達を出しておるわけでございます。これにたがうようなことがあれば、それは事実関係が明らかになれば、場合によっては売り渡しの制限をするというようなこともこれは考えざるを得ないかと考えております。  それから、先ほど市場の問題についてお尋ねがあったわけでございますが、市場につきましては、これは市場法に基づく規制があるわけでございます。一般的な食肉の輸入肉の流し方につきましては市場を一番中心に考えてはおりますが、それ以外にも、市場だけでは全国を覆い切れませんので、既存の販売ルート、そのために十九団体を指定しているわけでございますし、チルド肉については五団体を指定しているわけでございます。これらを通じて、あらゆる国民に対して円滑に届くようなルートを活用して安くお届けするということを考えているわけでございます。そういった趣旨からすれば、御指摘のようなことが事実としてあるならば、それはいま申し上げましたような立場から十分に調査をした結果を踏まえて処理する必要があろうと考えております。
  148. 安武洋子

    ○安武洋子君 いまのお答えなんですけれども、調査をなさって私が申し上げたことが事実であれば、じゃどういう措置をおとりになりますか。私は正確な資料に基づいていま申し上げました。ですから、このことが根本的にここにメスを入れるということをなさらないと、こういう疑惑は解けないわけなんです。じゃ、こういう事態が明るみに出たときには、一体、どういうふうに措置をなさいますか、農林大臣にお伺いいたします。
  149. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) 実は、いまの資料はいまお見せいただいたんであって、もしそういうことであるならば、昨日でもおとついでも、資料をお願いして質問は何でございましょうかと言ったときに、いやそこでやるからということで、そういうことこそ御協力いただくならば結構でありますが、いまここへ来ていま判断しろと言われましても、物事は慎重を期さなければなりませんから、調査をした上で対処してまいりたいと思う次第でございます。
  150. 安武洋子

    ○安武洋子君 冗談じゃなくって、おたくの方がいろいろと権限もお持ちで、そういうことを調査しなければならない監督権限をお持ちなんです。監督がルーズだからこそこういう事態が起こっている。その政治責任を感じていただかなければならないんです。  さらに申し上げます。こういう事態になるまで放置をしてきたということは重要なんですけれども、さらに昨年の一月に、この疑惑に包まれている平井幸義氏を会長にする兵庫県食肉卸事業協同組合、これを新たに事業団の受け渡し指定団体に加えていらっしゃるんです。さらに、横流しが生じる原因の一つとしては、需要者団体に実績割り当てと、こういうことをなさっていらっしゃいます。だから、こういう枠が既得権化しているというところにも大きな問題があるんです。こういうことを私は改善すべきであると思いますけれども、農林大臣、改善していただけますでしょうか。
  151. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 食肉の流通ルートというのは、ほかの商品と違いましてきわめて複雑な姿をしておるわけでございます。そこで、あらゆるルートを活用して国民に安定的にできるだけ低い価格でもってお届けするということを考えますと、やはり既存のそういう組織を活用する、できるだけフローズンの牛肉につきましても入札参加者の数をふやして、数量も多く流れるようにするということを心がけるわけでございます。そういった点では、何も兵庫県に限らず、適正な資格を持っている者が今後も出てくることは考えられますので、それらに対してはできるだけ門戸を広げるという形でもって対応したいと考えております。
  152. 安武洋子

    ○安武洋子君 買参人の数をふやす前に、いま全部の買参人に公正に公表しなければならない。そのことが抜けているから、こういう不正常な状態で平井ファミリーにほとんどが占められているということも申したはずなんです。そういう姿勢だからこそ、私はいままで疑惑が解明できなかったというふうに思うのです。私はまだ資料を持っております。いま言ったのは実に氷山の一角なんです。そういうことについてどうなんでしょうか、そういう姿勢では、幾ら厳重に調査をなさると言っても私は厳重な調査をしていただけるという確信を持てませんが、もう一度お答え願います。
  153. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) いま御指摘になりました買参人の話は、これは市場での話でございます。兵庫県卸は……
  154. 安武洋子

    ○安武洋子君 あなたが買参人をふやすと言ったんですよ。
  155. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) これは私はチルドの話ではなくて、先ほど先生がおっしゃられました兵庫県卸は、これはフローズン、冷凍肉の話でございます。御一緒になさっていらっしゃるわけでございますけれども……
  156. 安武洋子

    ○安武洋子君 チルドの話をさっきからしてますのですよ、私。
  157. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) ただ兵庫県卸のことを新しく資格を得たということをおっしゃっているわけでございますから。
  158. 安武洋子

    ○安武洋子君 そういうところに与えたということが……
  159. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) いずれにいたしましても、適正な流通が行われるよう厳重に調査をいたします。
  160. 安武洋子

    ○安武洋子君 農林大臣、それから総理大臣のはっきりした決意を私はここで伺っておきたいと思います。
  161. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) 十分調査をいたしまして、消費者に安い肉がいくように最善を尽くしていきたいと存じます。
  162. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 調査をいたしまして善処いたします。
  163. 安武洋子

    ○安武洋子君 だから、私幾らおっしゃっていただいても確信が持てないというのは、もう少し本当にこの事態を重視していただいて、国民の要望にこたえていただきたい、そういうふうに思うわけなんです。  ですから、国会としても、この問題を本当に徹底的に究明するということで、私は、ここで平井幸義氏、それから日本ハムの社長の大社義規氏の証人喚問を要求いたしたいと思います。お取り計らい願います。
  164. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) これも理事会に諮りまして決定をいたします。善処いたします。
  165. 安武洋子

    ○安武洋子君 次に、財政収支試算の件について御質問申し上げます。  新しい財政収支試算の考え方について、要点のみを、時間がございませんので、まず総理にお伺いをさせていただきます。  この試算の考え方によると、五十七年には特例公債発行をゼロにすることを目標にしている、こういうことですけれども、五十五年の赤字公債ゼロを目標とした従来の財政収支試算が実行できなかったように、また新しいこの財政収支試算も同じように実行できないのではないかというふうに思いますけれども、この点いかがでございましょうか。
  166. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これから先々の財政は非常にむずかしい状態です。五十七年度においては赤字公債をゼロにするということを申しておるわけでありますが、それまでの過程につきましてよく御検討くだされば、いかにそれがむずかしい問題であるかということがおわかりになるんじゃないかというふうに思いますが、いずれにいたしましても、もう五十七年と言えばあと五年ですから、その五年の間ぐらいには赤字公債をなくさなきゃならぬと、そういうことで、非常にむずかしい問題がいろいろあるけれども、全力を尽くしてみたい、かように考えております。
  167. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 太田参考人には御多忙中のところ委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。御退席いただいて結構でございます。
  168. 安武洋子

    ○安武洋子君 政府は、一般消費税など新しい大衆課税を行うことを言明されておりますけれども、新しい財政収支試算では、五十四年度から五十七年度の間での増税のおよその規模はどういうふうになると見通していらっしゃいますでしょうか、御答弁をお願いいたします。
  169. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) これはいろんなケースがございまして、一概には申し上げられませんが、かなり大幅な、物によりましては五兆から十兆ぐらいの幅でいろんな案が出ているわけでございます。  一般消費税の問題につきましては、先般、中期答申で政府の税制調査会が検討をしなければならないと、こういう趣旨のことを言っているわけでございまして、まだ決めたわけではございませんが、税収を求める場合の一つの大きな検討課題になろう、かように思っているわけでございます。
  170. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、その際、増税は五十四年度の一回限りと考えてよろしいんでしょうか、あるいは四年間、毎年、増税をなさるんでしょうか、お伺いいたします。
  171. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 試案では、増税のショックというものをできるだけ少なくし、国民経済に与える影響をできるだけ緩和するために年々増税することに、試案としては示してございます。
  172. 安武洋子

    ○安武洋子君 大変なお答えをいただきました。じゃ新しい財政収支試算では、国債費の伸び率というのは大まかに言って何%ぐらいになるんでしょうか、また五十七年度の国債費は何兆円ぐらいの規模になると見込んでおられますのでしょうか、御答弁をいただきとうございます。
  173. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) これも歳出の削減状況とちょうど逆比例になるわけでございます。あるいは増税の規模と逆比例になりまして、そして公債が出るのでございますが、まあ大づかみに申しますと、大体、五十七年度、現在の倍ぐらいになるであろうと、全体といたしまして、公債が。
  174. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、伸び率三〇%ぐらい、それから五十七年度には七、八兆円ぐらいと、こういうふうに見込んでもよろしゅうございますか。
  175. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) これはいろんなケースがありますので一概には申し上げかねるのでございますが、伸び率その他で申し上げますと、それにいたしましても大体まあ国債費が一兆ぐらいずつ伸びていく、こういうかっこうになるわけでございます。
  176. 安武洋子

    ○安武洋子君 五十三年度予算では、大型公共事業などを中心とする投資的経費と、それから社会保障費、文教費などの経常経費、これは分けて考えておりますけれども、新しい試算では、これを区別しているのかどうか、この点をお伺いいたします。
  177. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 財政収支試算でも、その点は厳密に区分して考えているところでございます。
  178. 安武洋子

    ○安武洋子君 その際に、投資的経費と、それを基礎とした建設公債伸び率というのは五つケースで同率と見ているのでしょうか、変化するものと見ているのでしょうか、その点をお伺いいたします。
  179. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) これは経済フォローアップの大体前提によっておりますので、大体同じぐらいだと考えてまず間違いないのでございます、多少違いますけれども
  180. 安武洋子

    ○安武洋子君 国債費が急増しまして、投資的経費はどの場合でも政府は優先されると考えるわけなんです。そうなれば国民は大増税に甘んじなければならない。社会保障などの経常費の圧迫に甘んずることしかないというふうな結果になると思いますけれども、この点についていかがお考えでございましょう。
  181. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 先ほど申しましたように、経済見通しとの整合を考えながら一つ案を立ててございますし、さらにまた、特例公債をゼロにする場合にはそのほかのケースも考えておりまして、さらに歳出をカットした場合にはどのようにそれが租税負担にはね返ってくるか、こういう点もあわせて出しまして、そして御審議をいただくつもりでございます。建設国債の方は資産として残りますし、今後の経済見通しとの整合性がございますので、その点については従来と同じように考えているわけでございまして、まず特例公債をゼロにすることを中心に考えているわけでございます。
  182. 安武洋子

    ○安武洋子君 総理大臣にお伺いいたしますけれども、総理は五十三年度も十一兆円、実質依存率三七・八%、こういう公債発行しようとなさっていらっしゃいます。このような大量の公債発行を続ける結果が、国民に対する大増税、それから福祉切り詰め、こういうふうになることは明らかなんです。でインフレの危険も大変大きいです。総理はこのような事態をもたらした責任を一体どうお考えなのか、そのことを御質問申し上げます。
  183. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 政治をやっていく上において、財政ということは常にその健全性に着目してやっていかなければならぬ、こういうふうに思いますが、まあまずまずわが国は、戦後三十年近く、財政の方はそういう調子でやってこられたわけなんですが、石油ショックによりまして、財政の背景となる経済情勢が急激に変ってきたものですから、その経済の上に立つ財政、これも非常にむずかしいことになってきた。この財政をこのままで放置しておきますと、これは大変なことになりますので、とにかく中期的、長期的な展望に立って何とか財政の健全性を維持し貫き通す、これが政府の責任である、こういうふうに考えております。
  184. 安武洋子

    ○安武洋子君 私は、次に、F4ファントムの墜落事故についてお伺いしたいと思うのです。  事故分科委員会の報告書によりますと、事故の直接原因となったのは、Tサポート三個がトラックに装置されていなかったためだ、こういうふうに言われております。しかも、そのライナーは使用時間で事故のわずか三十四時間前に組み立てられた、こういうことが防衛庁の説明で明らかになっているわけです。警察では、まず、いままでの捜査でどこでどの部隊がいつそのライナーを組み立てたか、これを把握されているのか、この点明らかにしていただきたいと思います。
  185. 鈴木貞敏

    政府委員(鈴木貞敏君) アフターバーナーの組み立ての問題を含めまして、現在、警察としては捜査中でございますので、ここでの発言は控えさせていただきます。
  186. 安武洋子

    ○安武洋子君 いまの点が業務上過失致死罪の成立を明らかにする私はポイントだ、重要なポイントだと思うわけです。政府はこの点をアメリカに明らかにするように求めるお気持ちはございませんですか。総理大臣にお伺いいたします。
  187. 鈴木貞敏

    政府委員(鈴木貞敏君) 警察としましては、この事故の原因究明及び刑事責任の有無、こういった面を含めまして、現在、鋭意捜査中でございます。捜査中でございますので、捜査の進展に応じて慎重に考慮してまいりたい、こう思っております。
  188. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ただいま刑事局長からお答えいたしたとおりに考えております。
  189. 安武洋子

    ○安武洋子君 じゃ聞きますけれども、パイロットはいまどこにいるんですか。
  190. 亘理彰

    政府委員(亘理彰君) お答えいたします。  パイロット等につきましては、事故調査委員会の調査が完了するまでとどめおくようにかねて米側に申し入れておった次第でございますが、事故調査委員会の報告は完結いたしまして、御承知のとおり、すでに合同委員会の承認を得ておるわけでございます。その後、米側からの連絡によりますと、事故調査委員会の調査が終わったので、パイロットは本来の通常の任務に服しておるというふうに連絡を受けております。米本国に異動したという連絡を受けております。
  191. 安武洋子

    ○安武洋子君 すでにパイロットは日本にいない。この事故分科委員会というのは、刑事事犯の調査をするところではないはずなんです。だから、刑事事件の捜査はこれから本番のはずなんです。ところが、重要な容疑者であるパイロットが国外に逃げてしまっている。警察は、一体、この被害者である椎葉さんが告訴までなさっていらっしゃるわけですけれども、この事件の捜査をじゃ今後どういうふうにお進めになるんですか。
  192. 鈴木貞敏

    政府委員(鈴木貞敏君) お答えいたします。  椎葉さんからの告訴は、横浜地検になされておるというふうに漏れ聞いております。警察といたしましては、事故分科委員会の調査結果、こういったものも十分参考にしながら、今後とも鋭意捜査を続けてまいる、こういう所存でございます。
  193. 安武洋子

    ○安武洋子君 この問題につきましては、わが党では、一貫してこの責任の所在を明らかにするようにと主張を読けてまいりました。ところが、この事件についての事故分科委員会の報告書といいますのは、パイロット、偵察者は飛行に必要な諸準備、点検、これを規則どおりに行った、こういうふうに述べているわけです。この事故を完全に免罪にしております。また整備士につきましても、ふぐあいを予知し、防止することは期待できなかった、不可抗力だったかのようにやはり述べております、免罪にしているわけなんです。  総理も御存じのように、罪のない二人の幼い子供の命が奪われてしまっているんです。こういう事件がなかったらこの二人の子供たちの未来にどんなに美しい花が咲いたかもしれないわけです。それがこういうほんとに罪のない子供たちの命までも奪われている。七名の重軽傷者も出している。この子供たちのお母さんはいまだに病床で子供の名前を呼び続けている。こういうふうな米軍が起こした事件、この責任がアメリカに全くないと述べている報告書、これに日本側も合意をなさっている、こういうけしからぬこと、私は絶対に許すことはできないと思うのです。国民は納得しないと思うのです。総理は、一体、どういうふうにお考えなんでしょうか。そしてまだ警察もいま業務上過失致死罪の容疑で捜査中なんです。こんなことでいいんでしょうか、総理、お伺いいたします。
  194. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 安武君、時間が来ております。
  195. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 先ほど刑事局長が答弁をいたしましたように、警察といたしましては、事故発生以来、原因の究明に努めておるのでありますし、また、関係者の刑事責任の有無につきましても捜査を継続いたしておるところでございます。  そこで、事故分科委員会との関係でございますが、事故分科委員会にも、政府といたしましても、警察といたしましても委員に参加をいたしていることは事実でございますが、しかし、この分科委員会の結論は刑事責任に関する結論を出したものではないのでありまして、あくまでも原因の究明と、そして今後かような事故を起こさないためにはどうしなきゃならぬかと、このことが中心の分科委員会であったのでございます。が、しかし、分科委員会の結論なるものは、航空機の専門家の方々の意見を基本にしていることは事実なのでありますから、捜査に関しましてもさようなことを参考にはいたしますけれども、しかし、この委員会の結論と捜査は全く別個のものである、かように御理解いただきたいと思うのであります。
  196. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ただいま国家公安委員長からお答えしたことで、ひとつ御理解をお願い申し上げます。
  197. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 簡単に願います。
  198. 安武洋子

    ○安武洋子君 はい。  いまの御答弁を聞いておりますと、いかに一国の総理大臣がアメリカべったりであるか、国民不在の政治をなさっていらっしゃるかという私は御答弁だろうと思うのです。そのことを強く抗議をいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
  199. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 以上で安武君の質疑は終了いたしました。  午前の質疑はこの程度にとどめます。  午後一時から委員会を再開することとし、これにて休憩いたします。    午後零時五分休憩      —————・—————    午後一時二分開会
  200. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 予算委員会を再開いたします。  昭和五十二年度補正予算三案を一括して議題といたします。  これより三治重信君の質疑を行います。
  201. 三治重信

    ○三治重信君 民社党を代表いたしまして、補正予算についての、またそれに関連しての質問を総理大臣並びに関係大臣にしたいと思います。  まず最初に、この円高問題、またそれに関連しての国際経済の動きをいろいろ質疑しまして、わが国のこの予算の景気回復対策が果たしてうまくいく環境にあるかどうか、それの判断資料を得たい、こう存ずる次第でございます。  まず円高問題でございますが、私は、昨年の後半の急激な二〇%の円高攻勢というものは、日本の不況が原因しておって、円高によって不況が出てきたんじゃないと、かようなふうに思うわけでございます。特にこの円高問題は日米の貿易収支の日本の黒字化、これによって円高攻勢をかけられて円のレートがやられる。それはこの前の四十六年のときと今回、昨年も同じ原因である、そういうことについて政府が果たして十分な対策をとるか、これは三度またあってはならぬ、こう思うんですが、それについての対処の仕方を経済企画庁並びに関係大臣にお願いしたい。
  202. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 確かに、円高というものとわが国の経済の動きとはお互いに交互に作用する関係にあると存じます。一方で急激な円高がわが国の国内の経済に非常な大きな影響を与えましたことは、申し上げるまでもないことでございますけれども、同時にまた、円高というものが原材料の輸入等を通じてわが国の経済にプラスの要因を与えておることもまた事実でございます。ただそのプラスの要因の与え方が現在のところまだ十分でないという問題はございますけれども、そういう点はまた事実であろうと思いますし、これからさらにそれがより有効にわが国の経済に作用するように考えていかなければならないと思います。そういう意味で、両様の影響を受けつつあるというふうに考えております。
  203. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) いま経済企画庁長官が申されたとおりでございまして、原因といたしましては、わが国の対外収支の不均衡もございますけれども、また一方において国際経済全体の動き、特にドル安の面も影響していると思います。しかし、経済でございますから一面的にマイナスだけではなくてプラス面もあるわけでございまして、これからその影響がだんだん出てくるのではないかというふうにいま期待しているところでございます。
  204. 三治重信

    ○三治重信君 円高のプラス面もあるということを強調された答弁でございますが、しかし、この二回にわたる円高攻撃を受けたという日本経済体質からはどう判断するか、私は昭和四十年代に入って、日本経済が従来の幾ら努力をしても貿易赤字のところが四十年代に入って黒字基調になってきた、こういう経済構造が黒字基調のときに、やはりまだ赤字経済の輸出一点張りの経済運営をしてきたところに、この円高攻勢が二回も行われた原因であろう。三度目をさらにやられぬための対策について、政府はこの国際経済関係を考え直す必要があるのじゃないか、そのためには日本が黒字国としての経済運営をやると、こういう体制が必要だと思うのですが、それに対する両大臣の御意見をさらに伺いたいと思います。
  205. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 確かに、いま三治委員の言われましたようなことは、過去数年を反省いたしますると、なきにあらずであったというふうに考えます。わが国としては、かつてかなり長い間の赤字に悩みましたし、外貨準備も十分ではない、しかも主たる原材料は輸入をしなければならないという、こういう体制のもとに長いこといろんなことを考え、いろいろな仕組みもやってまいったわけでございます。最近、総理大臣が、わが国の為替管理のやり方について、基本的な考え方の転向をすべきだという指示をされましたけれども、この制度どもやはり一つの例でありまして、情勢が変わったにもかかわらず、なお古い考え方を十分には捨て切れなかったという要素は私は幾つかございますと思います。ことに、そこへいわゆる石油危機がまいりましたので、これだけの石油を日本の輸出でもって買い切れるかどうかという疑問を多くの人がいっとき持ったことがございまして、これでまたなお防衛的な姿勢になった。現実には、日本の工業製品が十分に石油を買い得てなお黒字を残したわけでありますけれども、そのように、ここ四年間に事態は急激に変わってまいりましただけに、今日なお対応が十分でないという点は、御指摘のようにあろうかと存じます。
  206. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 同じことでございますが、少し角度を違えて申し上げますと、日本はこういう国でございますから、貿易あるいは資本取引が自由化する、あるいは世界市場が拡大することは最も日本の利益に合致するわけでございまして、長期的に見ますると、日本はどうしても与えられた地位から言いまして、発展途上国に対して経済協力をしなくちゃならぬという問題がございます。だから基礎収支がやはり長期的には大きな問題だと思いますけれども、何しろ現在のような世界情勢のもとで、非常に雇用の問題が大きな問題になっておりますから、したがって、さしずめは集中豪雨的なことによりまして経常収支が黒字になるということは、それだけ世界に対して非常な緊迫感を与える。またそういう面で言いますと、日本もその点は十分慎まなければならぬことは当然でございますので、いま対外政策を実施いたしまして、そして当面必要とするところの対外均衡を図るということは、目下のところではやはり大きな日本としての対外政策上のポイントではないかと、せっかくそれに努力しているところでございます。
  207. 三治重信

    ○三治重信君 政府のそういういわゆる国際収支の均衡化に努力するという御意見ですが、さらに最近、米国政府の意見として、先進国はOPECが持つ四百億ドルないし五百億ドルの年間の黒字に対して、日本もそれ相応の赤字を持てと、こういうふうに要求しているということを聞いてるんですが、通産大臣、そういうふうに貿易政策上でもOPECの石油をたくさん消費する国は、そういうOPECが持つ黒字に対してある程度の赤字分担をする貿易政策をするお気持ちですか、どうですか。
  208. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) OPECの黒字は一時ほどではありませんが、なお依然として巨額の黒字が続いております。そのOPECの黒字が出ますとどこかで赤字が出ておるわけでありますが、現在は一部は先進国がこれを負担し、一部は油の出ない発展途上国がこれを負担しておると、こういうことになっております。いまのお話は、先進国だけでそれぞれ応分の負担をせよと……
  209. 三治重信

    ○三治重信君 いや、日本負担せいと、貿易を赤字にせいとアメリカが言っているのは本当かということです。
  210. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) そういう議論が一部にあるかもわかりませんが、やはりそれぞれの国で特殊の事情があるわけですから、そういう意見には同調いたしかねます。
  211. 三治重信

    ○三治重信君 ひとつそういう勝手な議論には余り巻き込まれないで毅然とした態度を持ってほしいと思います。  そこで、外務大臣にも加わっていただきますが、この日本の貿易収支の黒字は、貿易の均衡を図るとともに黒字になった場合に——なった場合というよりか黒字を前提と申しますか、先進国としての対外援助、または投資や貸し付け、こういうもので対応をとると、こういうことについて外交上もっと積極的にやって、大蔵大臣との協議を経ながら長期の見通しを立てていく必要がある。大蔵大臣には、ことに黒字というものをため込むということでなくして、やはり国際的にも対外援助は、ことに日本の開発投資について、ひとつもっと柔軟な体制をとる覚悟がございますか。また、そういう長期の計画があれば、それを一遍公開していただきたい。
  212. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 仰せのとおりでございまして、黒字減らしという観点もさることながら、わが国はどうしてもこういう国柄でございますので、世界のためにも、またわが国の将来を考えましても、発展途上国を中心とする各国に経済援助を与えるべき立場にあろうと思うのでございます。したがいまして、政府開発援助でございます、いわゆるODAでございますけれども、これは今年度におきましても外務省と緊密な連絡をとりまして、そして大幅に増額し、大体予算で六千数百億をつけておるのでございます。従来はGNPに対して〇・二八八ということで、〇・三にいかなかったということを言われておったのでございますが、ことしは〇・三まで持っていったわけでございます。  なお、この点については昨年の閣僚会議におきまして、五年以内に倍増したいというようなことを言っているわけでございますので、その線に従いまして今後も努力してまいりたいと、かように思っておるところでございます。
  213. 園田直

    国務大臣園田直君) お答えをいたします。  私の方から言うと、いま大蔵大臣が言われたとおりに、基本的には黒字減らしというよりも、日本の持っておる経済力を世界、特に途上国に貢献をする、こういうことでありまして、黒字減らしということではなくて、貢献するという意味から、国際機関への分担金の増額あるいは途上国の援助がありますけれども、途上国への経済援助は必ずしもそのまま黒字になるかどうか疑問でありまして、マイナスの部面もあればプラスの部面もあるし、経済援助をして一つのプロジェクトができ上がればまた輸出が増大するという点もありますので、これは黒字減らしという点よりも、途上国に貢献をするという点から、この点に努力をしたいと考えております。
  214. 三治重信

    ○三治重信君 言葉は非常にきれいですけれども、やはりこれを実行していかないと、昨年の円高攻勢のような手痛い仕打ちを受ける、こう思うわけでございます。  さらに、今回はそういうことと関連して、この貿易の黒字の過剰問題に対して東京ラウンドの前倒しでいろいろ関税も引き下げる、そうして輸入拡大策をとる、こういうのはやはり理の当然だと思いますが、ただそこに、今回の日本の集中豪雨的な輸出に対して非常な反撃を受けるとともに、今度は逆に日本がこの二割の円高の上にさらに関税を下げる、こういうことになると、品物によっては三割も四割も関税を下げたり、この輸入外国製品と国内の価格との急な差ができる、それに対して集中豪雨的な、大量ということはないと思うのですが、特殊な商品や一定のものについて出る可能性がなきにしもあらずだと思うのですが、そういうものについて、アメリカやヨーロッパがやるセーフガード的なものも日本で同じように主張をしていかなければいかぬと思うのですが、こういうことについてはどういうお考えであるのか。
  215. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 今度の関税の前倒しは、主として選びましたのは関税率が国際的に見て割り高の、日本が高くなっているもの、あるいは国際競争力のあるものを主として選んでいるわけでございます。その中でも中小企業関連のもの、あるいは不況業種に関連するようなものは外してあるわけでございますので、したがって集中豪雨ということはないとは私は思いますけれども、しかし、おっしゃるような点も心配されるわけでございますので、今度の前倒しによるところの関税法の改正におきましては、セーフガードをやはり強化いたしまして、万一そういう集中豪雨的な輸入があったときには、相当の損害があり、そしてまた日本の産業に著しい影響がある、こういう条件のもとには前倒しの分をもとに戻す、こういう措置を立法的に講ずるつもりでございます。
  216. 三治重信

    ○三治重信君 それと直接関連があるかどうか、まだ私も判断しかねるんですが、最近の繊維産業なんかはそういう気配が出てこないかと思うわけでございます。そうしてこの円高について、私は急激な円高が非常に国内産業を圧迫し、また不況をさらに深化さす。一番最初の御答弁のように、円高でも国内の物価抑制には非常に役立ち、今後効果をあらわすと、こういう御説明ですが、これについては深く入りませんけれども、それならそれでその見通しをもっと国民なり——その経済に与える効果というものをしっかり政府は前もって、同時に国民に発表といいますか、納得してもらうような措置をとるべきだと、かように思います。  さてそこで、外貨の関係で、いま二百三十億ドルからの計が——公式統計だと五十一年末までしか出せぬわけですが、もうじき五十二年のも出ると思いますが、この国際貸借の関係から申しますと、日本はまだその純資産は百億ドル程度しか多くなったと言ってもない。で、二百三十億ドルの黒字だ黒字だと、貿易収支が百億ドルも黒字だと、こう言ってみても、この簡単な貸借の表を見てみると、日本は非常な経済大国と言いながらまだ百億ドル内外しかない。こういうことについてどうお考えか。  また、これはなぜかというと、それは為銀が非常に——主としてアメリカからだと思うのですが、たくさんの短期債務を受けている。それが民間の金融機関の短期負債でも、五十一年末で二百八十三億八千七百万円という短期負債、こういうことからいけば、こういう黒字対策の中でも、これは黒字隠しということで大蔵省は遠慮しておられるかもしれぬが、為銀に対して、こういうような過大な金融負債というんですか、借り越しについて、外為関係でそれを貸して返済さすと。そうして、もう少しこの日本の実体経済をあらわに出す国際金融をやってほしいと思うのですが、それに対する御意見と、実際の今後のやり方について答弁してください。
  217. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) おっしゃるように、いま為銀の外貨負債の話が出ましたが、その点は五十一年末しかわかっておりませんが、申し上げますと、おととしの十二月末でございますが、外準は百六十六億でございますが、一方民間部門では約百四十億ぐらいの借り越しになっているわけでございます。したがって、国民経済全体で申しますと、それほど大きな黒字ではないということが言えるわけでございます。  これの原因としては、何と申しましても、従来日本は非常に金利が高うございましたから、やはり為銀としては金利の安いものを借りて、そうして内外の資金需要に応ずるということはございますし、一概にまたそれを阻止するということは国際金融市場から言っていかがなものであろうかと思うのでございますけれども、今日のように日本で外貨がずっとたまってまいりますと、漸次それを円シフトしていくということは好ましいことであろうと、こう思っているわけで、強制するわけにはまいりませんけれども、漸次いろんな制度を動かしまして、その方にいま誘導しつつあるところでございます。
  218. 三治重信

    ○三治重信君 総理にお伺いしますが、最近の新聞、またきょうの新聞にも出ておりますが、七月には先進国首脳会議をドイツが招請するという、その事前の協議のために、総理が四月末ないし五月の初めに訪米してカーター大統領と話をしたい。このときに、まあいろんな事情が書いてありますが、私は、昨年のドル攻勢、この前のニクソンショックのような、日本経済に対する非常に戦闘的な攻撃をかけない約束をする。それからもう一つは、やはりドル防衛をしっかり、やはり国際通貨の中心的なドルなんだから、それについて人のことばかり言わぬで、自分の方のドルもしっかり防衛してほしいという注文をつけてもらいたいと、そういうこともしっかり話してもらいたいと思いますが、どう思いますか。
  219. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) もし日米首脳会談が行われるということになれば、当方よりはいまお話のありましたようなことは、もう当然、これはもう当然です、当然先方に申し上げることになると思います。
  220. 三治重信

    ○三治重信君 第二次補正予算並びに五十三年度の大型十五カ月予算で景気の回復を図ろう、こういうふうになっておりますが、それにしても、この二百四十円という円高攻勢によって、産地の中小企業初め大変な不景気風が吹いております。きょうも、二月から労働省では雇用調整資金の対象の業種を三十何種類も適用して発表すると、こういうような、みんなこの円高の影響での不況業種の指定、しかも雇用調整、ここまでやらされる、こういうことであるわけなんで、日本がアメリカに対して失業を輸出しておると、こういうことだけで一方的に押されなくて、日本も円高攻勢によって大変な失業をこうむっていると、こういうことを当然言うべきであるし、日本経済の実情についてひとつぜひ今後の交渉で主張していただきたいと思いますが、この貿易収支の黒字がなかなかうまくいかぬ場合には、やはり輸出抑制措置をとろうとする考え方が通産大臣にありますか。
  221. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) 日本はあくまで自由貿易の原則を守っていこうというのが基本的な態度であります。したがいまして、五十二年度のような大幅な貿易の黒字は調整をしなければなりませんが、それは輸入拡大によりまして貿易の均衡を図っていこうと、こういう考え方であります。輸出規制をする、あるいは輸出に対して課税をする、そういう考え方によって調整をしようとは思っておりません。ただ、一地区に対して集中豪雨的な輸出が出ますと、これは相手国に対して迷惑をかけますので、そういう場合には業界を指導いたしまして、そういう事態の起こらないようにしなければならぬと考えております。
  222. 三治重信

    ○三治重信君 それからオイルマネーが、四十八年の原油の四倍値上げ以降の累積の黒字による海外投資が、七七年末には千五百五十億ドルも海外投資をされている。その主なものはやはりヨーロッパ、アメリカに投資されている。今後これがどういうふうにいくか。日本の黒字についての対策は先ほど御答弁いただいたんですが、国際経済からいくと、このオイルマネーの動きと、それからそれに反比例して開発途上国においての累積債務というのも、少なくて推計千四百五十億ドルもの赤字があると。その赤字の大きな部分をアメリカの銀行が融資している。こういうことについて手直しが非常に叫ばれているということですが、こういうふうな今後どんどん累積するオイルマネーの海外投資、これが日本に入ってくるか、積極的に取り入れていこうとするか、そういうふうな国際的な、アメリカにかわっての大きなオイルマネーの動き、こういうものについての見通しをお聞かせ願いたい。
  223. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) おっしゃるように、オイルマネーは年々発生しているわけでございまして、大体年間四百二十億ドルぐらい発生し、過去四年ぐらいで千四百——まあ去年を入れますと千七百ぐらいになりそうだ、こういう話でございますが、主としてこれはアメリカ市場それからヨーロッパ市場に行っているわけでございまして、直接わが国に来ているというところは非常に少ないんじゃないかと思っているのでございます。  それから、これが急にどういうふうになるかということでございますが、私は、この情勢は、いまの国際金融情勢で言いますと、これはそんなに動かないんじゃなかろうか。それから、急に引き揚げるということはまず想像しないでいいんじゃないか。これは非常にキャピタルロスが生ずるということがございますので、恐らくこの資金の流れの方向はそんなに変わらないと思っております。  それから発展途上国、特に非産油国の赤字が累積しているということは御案内のとおりでございます。中には、非常に困る場合にはいわゆるその債務の整理をやるわけでございますが、整理の方向は、条件を改定するとか、あるいは従来のものにかえて新しい条件で借りかえを認める、こういうことでやっているわけでございます。で、わが国ももちろんそういう困難な場合には、他の債権国と十分協議しながらできるだけの協力は惜しまないつもりでございます。
  224. 三治重信

    ○三治重信君 いまの二百四十円のレート、今度のこの不況打開について、二百四十円レートで日本の産業構造を改善していくことになろうかと思うのですが、そういう中で、それが非常に無理な調整になるのか、それは大体日本のいまの実力からいくというと、まず妥当なところに持っていける自信があるのか。また、そういうことが見通されないと、この構造改善事業、いわゆるスクラップ・アンド・ビルドの考え方が業種別にも出てこないと思うのですが、この二百円レートと、今後の不況業種または産業構造の改善対策、こういうものについての関連をどう見ておられ、また、どういうふうにしていこうと思われているか、通産大臣と経済企画庁長官にお願いしたい。
  225. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) 現在の円の水準につきましては、御質問の当初に質疑応答がございましたので、多くを申し上げませんが、私は、五十二年の大幅なわが国の黒字、それとアメリカの赤字がその背景だと思っておりますが、それじゃ、どちらがウエートが大であったかというと、やっぱり日本の大幅黒字が円高の直接の原因だったように思います。  そこで、現在の水準が日本経済にとってどうかという問題でありますが、残念ながらこの水準ではほとんど全部の業種が採算割れになっておる。特に中小企業は例外を除きまして致命的な打撃を受けておるわけであります。でありますから、通商産業政策から言いますと、日本経済というものは実力以上に私は評価を受けておるのではないかと思います。なぜ受けたかといいますと、先ほど申し上げましたような急激な大幅黒字、まあこういうことでありますので、ことしの政府の目標といたします内需の拡大によりまして貿易収支がある程度均衡されたならば、円の評価は、私どもはまたある程度改まるのではないかと期待をしておるわけであります。  それはそれといたしまして、事態はきわめて深刻でありますので、構造不況業種に対する緊急対策と、円高で非常に苦しんでおります中小企業に対する緊急対策、この二つは急いでやらなければならない課題でございます。中小企業の方は昨日委員会を通していただいたわけでありますが、構造不況業種につきましてはどのような形で立て直すか、いま各方面と意見を調整中でございまして、できるだけ早く案をまとめたいと考えております。
  226. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 非常にむずかしいお尋ねでございますけれども、いまの円高から、ことに産地産業が非常に輸出の成約に困っておりますということは、一つは水準が確かに高いということでございますけれども、もう一つは、先ほど三治委員の言われましたように、非常にそれが急激に短期間にいまの水準になったという、この両方ではないかと考えますので、ある程度時間をかけてまいりますと、そのショック的な部分は何がしかそれに対して産業側が対応し得る、多少時間をかければそういう部分も皆無ではなかろうというふうに思っております。  まあいずれにしましても、わが国はクリーンフロートの立場は堅持するわけでございますので、どの水準に意識的に相場を持っていこうというようなことは考えるべきではないし、考えておりません。私ども昭和五十三年度見通しを立てますときに、したがいまして見通しを立てました時点におけるレートを一応仮想のものとしていろいろな計算をいたしております。
  227. 三治重信

    ○三治重信君 クリーンフロートというのもいいんですけれども、やはり一定の国力なり、また、日本経済の状態を見てレートの誘導といいますか、それに対する態度をやはり政府として私は持つべきだと思います。  ところがそれに対して、そういう急激な関係上、いまのところ不況対策は行われるけれども、私は化学工業の装置産業とか、それから資本財の生産の産業というものは、設備投資の行われない非常に沈滞した今日では、これはどうしようもない業種がたくさんある。そういう業種に対して、やはり極端な操業圧迫をできぬために、備蓄生産をやらしたらどうかと思うのですけれども、公共事業の影響ではどうしようもない——後でまた造船業については質問しますが、そういう極端に操業度が落ちる装置産業や資本財産業が出てきた場合には、応急的にあらかじめ備蓄生産もやらすと、こういう予防的な対策を計画していただきたいと思うんですが、それに対する御意見を伺いたい。
  228. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) 不況対策としての備蓄ということはただいまは考えておりません。備蓄政策を幾つかの分野で強力に進めておりますが、それは資源エネルギーの面での経済上の安全保障という、そういう観点に立っての備蓄が一つと、それからもう一つは、わが国は資源がありませんので、開発輸入等長期にわたる契約がたくさんございます。特に発展途上国との開発輸入契約等がありまして、わが国の不況のために生産が落ち込みまして、思うように長期契約、開発輸入契約というものを実行できなくなった分野もございます。そのために、発展途上国に対しまして大変迷惑をかけておる分野も出ております。それでは世界経済全体の足を引っ張ることにもなりますし、日本の信用にもかかわりますので、そういう分野では特別の配慮で備蓄をしておるものもございますが、ただいまのところは、不況対策としての備蓄ということは考えませんで、むしろ緊急避難的な対策といたしましては不況カルテル、これによって一時しのがせると。そして抜本的な対策といたしましては構造改善事業、つまり過剰設備のスクラップと、こういう方針が基本的な考え方でなかろうかと思います。
  229. 三治重信

    ○三治重信君 不況カルテルで対処できるならばいいんですが、不況カルテルやってもこれは大変な失業が出る、企業で抱えられない、こういうふうな事態に対処するための対策をひとつ考えていただきたい。業種別にでも考えておいて、もしもそういう場合にとってそういう大量の失業に対する対処の仕方というものを準備をする構想を研究していただきたい。これを一つお願いをしておきます。  そして自由圏に対しては、したがって日本の輸出が集中豪雨的だと、またえらい黒字だといって大変な均衡を強要されておるんですが、共産圏の問題については一つも出てこないわけですが、外務大臣はソ連、中共へもいろいろこれから接触されて活躍される意図が十分ですが、共産圏への輸出、これに対して私は二つの問題があると思うのですが、輸出をやるけれども、非常に買いたたかれると言っちゃ語弊があるかもしらぬけれども、一定の外貨で非常に安く買う。アメリカは安く売っちゃいかぬ、高く売れと、こう言う。共産圏はもうとことん安く買おうと、こういうふうな意図が私は見えていると思うのです。それに対する対策。それから、共産圏は、ソ連にしても中共にしてもやはりアウタルキー政策、いわゆる経済計画は最大限自給自足、アウタルキー経済をやる、こういうことだと思うのですが、こういうものに対する貿易拡大と、この二つに対してどういうふうに日本は対処して貿易の拡大を図ろうとされるか、関係大臣にお答え願いたいと思います。
  230. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) 一つは、最近、共産圏貿易も大分拡大をされております。いま往復で八十数億ドルになっておりまして、ずいぶんふえておるわけでありますが、いまお述べになりましたように相手は国家貿易だから、日本もそれに対応する対抗措置を何か考えられないかということでありますけれども、わが国は御案内のように自由貿易を堅持しておるわけでありますから、窓口を一本にしまして共産圏貿易をやるということは、これはいかがなものかと考えます。ただ、しかし、相手国との間に経済協力関係全体を促進する、あるいはまた貿易関係全体を促進するという形におきまして、たとえば日ソ間でもそういう問題を議論するための二国間の組織がございますし、あるいは東欧においてもございます。あるいは中国関係でもございます。だから、そういう話し合いは全体として強力に進めながら、貿易そのものはやはり個々に進めていく、こういう考え方でございます。
  231. 三治重信

    ○三治重信君 海外資源の開発投資を政府も意欲的にやるという御意見ですから、これに対してはやはり人材養成、ことに石油開発においても原子力開発にしても人材の投資、非常に養成が必要だと思うのです。また、さらに、海外の技術援助、経済協力にしても、私は、今後の大学卒業生の就職難を考えると、万単位のこういう人たちの海外への技術協力なり海外投資への協力と、こういうことで海外派遣あるいは海外の常駐的な人材をたくさん養成していくべきだと思うのですが、こういうプロジェクトについて、ひとつぜひ外務大臣、それから労働大臣も積極的に考えていただきたいと思うのですが、どういうお考えをお持ちですか。
  232. 園田直

    国務大臣園田直君) 御意見のとおりでございまして、各地でもそのようなものを非常に望んでいるわけであります。したがいまして文化交流あるいは開発、技術協力、こういう面でそれぞれ日本の若い人々、それから中堅クラスの技術、こういう者を養成をして協力することを考えていくべきときであると考えております。
  233. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) 労働省といたしましても、すでに外務省ないし国際協力事業団と連絡を密にいたしまして、開発途上国の要請にこたえて、すでに職業指導センターに専門員を派遣する、そういったこと、並びに今後も技術指導について要請を受けて積極的に対応していきたい、このように考えております。
  234. 三治重信

    ○三治重信君 こういう世界情勢が非常に転換をする、また今後どういうふうに世界が変わり、日本がそれに対して生き延びていく対策をとるべきか、こういうものについて考えてみましたが、四十八年にはもう早く総合研究開発機構法という、一つのいわゆる半官半民の研究機関、いわゆる頭脳集団をつくろう、こういう構想で法律ができていることはわかりました。これがいろいろ当時の環境から言って世界の経済社会、ことに国内的な資源の問題だけに限られているようですが、私は、むしろ経済を考える場合には政治、さらに政治は軍事に結びついている、こういうことから言って、そう狭く限らないで、もっと広く、当時と情勢が変わったんだから、新しい観点でこういう頭脳集団、シンクタンクを拡大し、日本がいわゆる知識集約産業として——産業とまではいかなくても、こういう時代にひとつ新しく考え直す必要を感ずるんですが、それに対するお考えをお聞きしたい。
  235. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) その研究開発機構が発足いたしまして、今日までエネルギー政策等についての研究の成果などをいろいろいたしておりますが、その後、経済界の変動がございましたりいたしまして、当初考えましたような規模にまでまだ発展をいたしておりません。もう少し景気の回復を待ちつつ充実をいたしてまいりたいと考えておりますが、ただ、最後にちょっとお触れになりましたいわゆる軍事関係の研究は、この開発機構は設立の趣旨等から言いまして、一応、そこまでは手は伸ばさないということに考えておりまして、そういうことになりますと、やはり民間の研究機関とかあるいはまた別途の構想で進まなければならないかと存じます。
  236. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 三治君、時間が参りました。
  237. 三治重信

    ○三治重信君 はい、一つだけ。最後に一つ、例として特定不況業種の造船業について運輸大臣にお伺いしたいんですが、造船業は公共事業ではどうにもならぬ問題だと思うんです。これに対して非常にいまの受注からいくと、今年には三〇%の操業率になる。こういうふうになると、大変に半分の三万七、八千の失業を出さなくちゃならぬ。こういう構造不況業種の特殊性の場合においては、やはり海運業とのスクラップ・アンド・ビルドを前もって発注をさせる、また政府の船の発注をさせる、こういうふうにして救う考えがないか。さらに、この特定不況産業の臨時措置法で通産が考えられておるんですが、これにこの造船業が入って特別な対策を立てようとしているかどうか、一つこれだけお願いします。
  238. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) 先ほどから三治さんのお話を伺いつつ、私も幾つか考えているのでありますが、いまお挙げになりましたようなことについては積極的に取り組んでいきたいと思います。通産省で考えております法案の中にも、いまお挙げになったものも入れていくようにしたい、こういうように思います。海運業との関連においての示唆されたことについても、大いに参考にしていきたいと思います。  私、ここで一つ申し上げたいのは、世界一の造船国日本がいまあえぎにあえいでおります。これをどうしても助けなきゃならない、盛んにしなきゃならない。外国から注文を受けている船が大部分であるようなことにかんがみまして、そういうのが減ったとか一部キャンセルがあるとかというような状況でございますから、何とかして新需要の開拓等も考えなきゃいけない。造船業が必ずしも造船だけで生きていくというようなことでは行き詰まると思います。  そこで、私は、よく御存じのように、アマゾンの奥地へ引っぱっていくあの製紙プラントにいたしましても、丸ビルの五、六倍ぐらいの大きさで、あんなところへ資材を持っていって建てるといったって建たないが、ああいうものを引っぱっていくということになっておりますが、それのもっとでかいやつを、たとえば油の貯蔵等にいたしましても、洋上タンクをつくる。いま長崎県の方で話が出ておりますものは、六百万キロリッターぐらいのものをつくろう。これはもとより世界一であり、世界で初めてのことでございます。できることを私は確信をしておりますが、そのことのためには地元ともいろいろ話ししていかなければならない。こういうことを考えると、まだまだ新分野もあると思います。こういう新分野を開拓していって、日本の造船業の永遠の繁栄を図っていかなきゃならない。それを強く申し上げておきたいと思います。
  239. 三治重信

    ○三治重信君 どうもありがとうございました。(拍手)
  240. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 以上で三治君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  241. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 次に、下村泰君の質疑を行います。下村君。
  242. 下村泰

    ○下村泰君 近年、社会福祉とかあるいは人間尊重ということがよく言われるようになってまいりました。そのこと自体は大変結構なんですが、しかし、本当の意味での福祉が展開されているかという点になりますと、大変疑問になってまいります。  本日は、障害者の社会参加のための生活環境づくりといった点について質問をさせていただきたいと思います。  まず、総理に伺いますが、この間、総理の施政方針演説の中に、「現在及び将来にわたる国民生活の基礎となる」その他もろもろの項目が挙がりまして「地域の生活環境の充実には特に注意を払いました。」というお言葉がございました。ところが、今日の都市では、障害者の要求を阻害するようなモータリゼーション化社会となり、車中心の町づくりがなされております。そして、陸橋でありますとか、歩道橋でありますとか、あるいは地下鉄等、何一つとっても障害者にとっては大きな壁となっております。こういう町に出にくい状況が障害者のためにつくられているようにしか思えないんです。心身障害者対策基本法第二十二条第二項にも、「国及び地方公共団体は、心身障害者による交通施設その他の公共的施設の利用の便宜を図るため、施設の構造、設備の整備等について適切な配慮がなされるよう」に「施策を講じなければならない。」と規定してございます。従来、体にハンディのある人が社会に出て行動するあるいは活躍するということに対して、ともすると行政は冷淡で、むしろ一般社会からの接触を少なくするといった方向での行政がなされているようにしか思えないのですが、こういうことに対する総理のお考えはいかがでございましょうか。
  243. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) わが国は、どちらかと言うと、近代文化ですね、そういう立場から言うと、出足が遅かったものですから、とにかく整わぬ部面というものが相当多いわけです。社会保障と言っても、そういう言葉はこれは戦前もあったですよ。しかし、実質的に社会保障政策が行われたかというと、ほとんどそういうものはこの当時はなくて、戦後に実体はスタートしたと、こう言ってもいいくらいなものですから、戦後三十年を超す年月が経ましたけれども、われわれの生活関係の環境整備、これは私は決して誇り得る状態じゃないと思うのです。物によりましては、発展途上国というか、後進国体制だと言ってもいいくらいなんですよ。それをとにかく着実に整備していくということがこれからの大きな課題であると、このように考え、五十三年度予算でもずいぶんいま御関心を持っておられるところの身体障害者の関係とかその他の福祉問題にも意を用いましたけれども、これはもう五十三年度で終わるわけにはいきません。五十三年度で一挙にやるわけにもいかぬ。これは粘り強く時間をかけて、そして生活環境、社会全体の福祉を目指して整備を進めなきゃならぬと、このように考えます。
  244. 下村泰

    ○下村泰君 いま、総理が、素直に、日本の国の福祉行政はむしろ後進国並みであるというふうにお認めになりました。私は大変結構なことだと思います。ひょっとしたら総理のことですから強気に何かおっしゃるのじゃないかと思いましたけれども、御自分でお認めになったということは大変にこれはプラスだと思います。  総理の諮問機関であります中央心身障害者対策協議会が昭和四十七年の十二月に出した答申の中でも、障害者の社会環境整備の必要性、またその方向を示唆しておりますし、四十八年には、国会においても、参議院社会労働委員会は、「障害者の住みよい生活環境と都市づくりを推進すること。」を決議しておるわけでございます。そのための町づくりはどのように進んでいるか、またその状況をどう把握されておりましょうか、これは厚生大臣でいらっしゃいますか。
  245. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) いまお挙げになりました対策協議会で四十七年に言われましてから、直ちに私どもは身体障害者の福祉モデル都市というものを四十八年から進めまして、全国に五十三都市を指定をいたしまして、この都市の行う事業として、おっしゃいましたような道路交通の安全施設の整備だとか、あるいは公共施設の構造設備の改造とか、あるいは公共施設、公園等に車いすを配備することとか、それから移動浴槽車とか、あるいはリフトつきのバスだとか、電話相談網の整備をやったり、あるいは身体障害者用の公衆便所の整備をやりましたりしまして進めてまいりました。なお、その後も、今度、先生が非常に去年強調されましたいわゆる身体障害者用の福祉バスを三十台設置することに三十都市二十万以上の市を選びましてやることにいたしましたり、あるいはまた、身体障害者の住宅整備資金の貸付事業といたしまして財投資金を県に流しまして、これは相当大きな予算でありますが、九億円も確保するようにいたしたわけでございますし、あるいは国立病院・療養所の身体障害者設備関係予算といたしまして、玄関あるいはスロープ、そういうようないろいろ利用しやすいような生活環境を整える、こういうことも、病院九十五カ所、療養所百四十七カ所やることにいたしました。あるいは、地域活動の中で手話の奉仕員だとか、あるいはまた点訳の奉仕員の養成をどんどん進めたり、あるいは盲人のガイドヘルパーというような制度等も今度五十三年度予算に計上いたしましたりいたしてございますし、なお一般の道路やあるいは住宅等につきましては、建設大臣の方で相当きめ細かい御配慮をしていただいておるわけでございます。
  246. 下村泰

    ○下村泰君 いま厚生大臣の方からお話がございましたが、このモデル都市なんですけれども、必ずしも人口二十万以上の都市だけにハンディをしょった方々がおるわけじゃないんです。それが五十年でこれは打ち切りでございますね。これはどうして打ち切りになったんですか。
  247. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 一応五十年までに五十三の都市にモデル都市としてやってみましたので、それを今度は一般の他の都市にも普及するようにだんだんなってきて、先ほど言いましたような建設大臣の方で非常に努力をしてきていただいておりますから、一応モデル的に実施したものの使命は終わったと、こういうことでございまして、決して他の都市は必要ないと、こういう判断をしているわけじゃございません。
  248. 下村泰

    ○下村泰君 そうしますと、大臣、つまり、モデル都市というものを一応指定して形ができた、これでこれが有効に使用できるならば、あるいはそれが環境づくりとしてすばらしいものであるということになれば、そのほかの都市にもこれを利用していく、モデルとしてこれを使っていくと、つまり継続事業としても続けられると、こういうことになりますか。
  249. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) モデル都市事業を指定いたしましたその事業を継続しているわけじゃなくて、モデル都市の整備は一応終わりましたから、これを今度は他の都市にもあるいは町村にも普及するように、できるだけ今度一般行政の方でそれを普及するような予算措置をとっておると、こういうことでございまして、これは建設省でもいろいろ地方の要望によってはどんどん実施をするように、先ほど言いましたモデル都市の事業の中身については今度は一般的に普及を図っていると、こういうことでございます。
  250. 下村泰

    ○下村泰君 いま大臣のおっしゃいました地域活動促進費というものでございますけれども、五十一年度が一億一千万、五十二年度が一億四千万、来年度は一億九千六百万、約二億円を足らずの予算です。この予算をメニュー化して各県の希望でいま大臣が申しました十二項目、これに配分して実施しますと、身体障害者地域活動事業はある県では五十万円程度にしかならない。そうしますと、五十万円じゃパンフレットをつくったらおしまいになっちゃう。これじゃいわゆるわれわれの仲間で言うところの屁の突っ張りにもならぬということになるのですけれども、もう少し予算というものは何とかならないものなんでしょうか。
  251. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 確かに一億九千六百万ではそういうような数字になるわけでございますが、これは御承知のようにボランティア活動等もございましたりいろいろございますし、なお、いまの奉仕員の制度については、そのほかにも、たとえばホームヘルパー制度等の活用等もございますものですから、まあ不十分ではあると思っております。十分ではないと思っておりますが、できるだけ逐年改善をしていきたいと、かように考えておるわけであります。
  252. 下村泰

    ○下村泰君 とにかく、どちらかと申しますと、健常者のみにやはり重点が置かれていて、障害者の方には余り重点が置かれない施策というものが目立つような気がするんです。たとえば都市環境づくりでございますけれども、都市環境づくりに対して国の方からある一定のこういう基準というものが出されていません。そのために、地方自治体の方が、自分たちの手で自分たちのものをつくろうというような意識が大変最近高まっております。たとえば山形県の上山というところがございますが、これは温泉地帯として有名なんですが、昨年伴淳三郎とともどもに「あゆみの箱」でチャリティーショーを行いました。そのときに市庁舎へ参りましたら、すばらしい市庁舎だ。身障者の利用が非常に多くなった。それはなぜかと言いますと、身障者向けのようにつくってある。至れり尽くせりでした。十八億円の総額で四億四千三百万円を国から借金している。ここの人口が幾らかと言ったら三万八千なんです。国が指定した二十万以上の都市よりも三万八千しかない人口の都市がこれだけのものをつくっておる。こういう現状を、大臣、どういうふうにお考えになりますか。
  253. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) おっしゃるように、福祉のいろいろな事業というのは大体県なり市町村が主体になってやっておるものですから、やはりそういう重点的に福祉対策をやる市町村と、一般的に国の指導によってやっている市町村とは、大分開きがあると思います。私は、お説の例のような市町村がどんどんふえていくことを祈念をいたしておりますので、今後も指導にできるだけ努力をいたしたいと思います。
  254. 下村泰

    ○下村泰君 先ほどの総理のお言葉じゃありませんけれども、どちらかというと、いまのところ民間のあらゆる慈善団体の方が大きな力を動かしていて、肝心の政府の方は余り大きな力がないような感じを受けるんです。たとえば、アメリカでは、一九五九年ケネディの時代にこういう建築物に取り組んでおります。イギリスにおいても一九六三年に身体障害者に対しての配慮がなければ新しい公共建築物の計画を許可しないという決定がなされているそうです。このほか、基準が設けられている国は、カナダ、フィンランド、オーストラリア、ベルギー、ノルウェー、あるいはポーランド、スウェーデン等があると聞いております。そういった、どうなんでしょうか、基準というのを統一するという考えはわが国にはございませんでしょうか、総理。建設大臣でも結構でございます。
  255. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) お尋ねの問題で、一つには、官庁営繕関係で身障者のことを配慮して建築をやるべきだと思うのですね。現在でも、その点につきましては、まあ不十分ではございますが、身障者用の便所を設けるとか、あるいは身障者の都合のいいようにできるだけ自動ドアを取りつけるとか、あるいはスロープをつくるとかいうことにつきましては、これは指示をいたしておるところでございます。これを何かもう少し法制化でもしたらばという御趣旨のように受け取れましたけれども、現状のところ、そのほかにも気がついた点があればできるだけ身障者のことをも考えた官庁営繕に努めると、こういう方針で、まあ法的措置まではいかがかと思っておる次第でございます。
  256. 下村泰

    ○下村泰君 そうしますと、建設大臣にお伺いしますが、そういうことの行政指導その他の注意を喚起するというようなことはなさっていただけるわけでございますか。
  257. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) ただいま御説明申し上げたとおり、そういう指導はいたしておるわけであります。したがいまして、今後こういうことが身障者のためになるんだというようなものがあれば、それを採用していくにやぶさかではありません。
  258. 下村泰

    ○下村泰君 こういうふうにいろいろの設備でございますとか施策が行われましても、いま一番足りないのは福祉の心ではないかと思うのです。思いやりの心がないと、幾ら設備ができても、幾らお金を投資しても、それは生きてこないと思います。そういう意味で国鉄の関係者の方に伺います。  皆様方のお手元にあるいは配付されていると思いますが、豊橋市の向山町南中畑に住んでいる伊藤晴通君という青年がおります。三十一歳になります。この万は重症心身障害者でございまして、歯の治療が名古屋ではできないのです。わざわざ東京まで来ないと治療ができないのです。そのために新幹線を利用しているのですが、その中にこういう文がございます。中身だけ申し上げます。   せんじつ はのちりょうのため しんかんせんひかりにのったとき ぼくは とてもいやなおもいをしました。   こくてつのにんきのないのは ここだなっておもいました。「なにも」 れんらくうけてない!」などという ふしんせつなしゃしょうさん。たいどとまなーのわるさに がっかりとどうじにふゆかいでした。しょうがいしゃになれていないせいもあるでしょうが……。   せんせい なにかきかいがあったら こんなこえもあることをいってください。おねがいします。たまにのるしんかんせんです。たのしくのりたかったです。   このてがみあしでうってあるので まちがいがあります。ごめんなさい。  手が使えません。したがいまして、足の指でこのはがきを打ってきたわけです。こういうことで、運賃値上げとかそういうときには、やれサービスの向上とかなんとか言うのですが、こういうところにサービスの心が全然ないんですわ。国鉄側の方は、これをどういうふうにお受け取りになりますか。
  259. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) 下村さんのいまのお話は、私も心を打たれつつ伺ったわけでございますが、この種のことに気をつけて、誘導ブロック、トイレの改良、車両の改良等をある程度やってきてはいるところでございますが、現実にいま御指摘のようなことがあったとすれば、これはもう非常に遺憾なことでございます。私はさらに改めて国鉄当局に対しましてお話の趣旨を体して善処したいと思うわけでございますが、国鉄の接客態度等は、まさに御指摘のごとく心のこもったものにさせたいと私は重々思います。赤字の王様なんて思われているのでなくして、国民から愛される国鉄、国民から信頼される国鉄にしなけりゃならない、こう思います。  そこで、御存じではございましょうが、最近、「身体のご不自由な方の『ひかり号』利用のご案内」というようなのを張り出しまして、事前に申し出ていただけば——もうちょっと詳しく書いてありますが、駅の係員が御案内等もいたしますと、こういうようなことにいたしておりますが、せっかくこういうのを張り出しても、いまあなたが言われるようなことがあっては大変でございます。  もう一度申し上げます。強く私は国鉄等関係者にそのことを申すつもりでございます。
  260. 下村泰

    ○下村泰君 そういういわゆる七号車の方にそういう設備があったにしても、前に連絡を受けないからやってやれないとか、そんなばかな話はないと思うのですよ。だれでも常時乗って安心のできるのが国鉄の要素ではないかと思います。  厚生大臣、精神薄弱の人々が社会的に自立を図るための施策はどのように進められているか、伺いたいのですが、その前に、昭和三十三年度の厚生白書があります。ここに精神薄弱児に対してこういう見解がある。「このような精神薄弱児は、そのまま放置すれば非社会的あるいは反社会的な行為をとるようになりがちであるので、とくに社会生活への適応性を与え、将来独立自活し得るような知識技能を授けることが必要である。」こういう考え方が、先ほど総理のおっしゃった後進国的な発想じゃないかと思うのです。どういうふうな状況になっていましょうか、精神薄弱児の社会的に自立を図るための就職問題というのは。
  261. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 大分古い時代の厚生白書で、確かにおっしゃるようにそういうような考え方で対策をやってはいかないわけでございまして、まさに先生のおっしゃるような精神でひとつこの対策を考えていかなけりゃいかぬと考えます。ただいままでには、御承知と思いますが、精薄の方々を入所させまして自活に必要な訓練を行う施設がございますが、これは授産施設でございます。これが、昨年の八月の統計によりますと、全国で百三十四カ所ございまして、六千九百九十三人にこの授産施設を利用していただいております。  それからなお、精薄の方々の職業指導等を行って自立の道をつけていただくというために、事業経営者に職親制度というのをつくってございまして、一人の方を預かっていただくと、たとえば月に六千円を——今度五十三年度予算でありますけれども、手当としてその事業所にやるというような制度をつくりましたり、あるいはまた、入所以外にも通ってそうした自立の方途を見つけ出していただくという必要もございますので、精神薄弱者の方々の通所の授産施設というものについても私どもとして整備をいたしてございまして、ことし五十二年度が十五カ所でございましたが、来年は一挙に三十カ所に倍増したいと、こう思っておるところでございます。  また、雇用されておられましてせっかく職場を持っておられる精薄の方々が、そのまま社会生活を朝と夜ということになりますと、場合によってまだ生活の自立ができない方もございますものですから、この方々のための寮を持ちまして、これは五十二年度で——来年はもっとふやそうと思っておりますが——五十九カ所、いま約六十カ所ばかりございます。これには、指導員つきの寮ということで指導員を置きまして、二年間ぐらい訓練をしてあげるということで措置をいたしておるのもございます。  しかし、いずれにいたしましても、精薄と重度の心身障害者の施設は、授産施設を含めまして、やはりいまの社会福祉施設の中ではまだまだ不足をしていると思っておりますので、今後これらの施設に重点を置いてわれわれとしては努力をしていきたい、かように考えております。
  262. 下村泰

    ○下村泰君 なお、昭和五十四年度から心身障害児に対する義務教育が実施されることとなっておりますが、心身障害児施設に入所している児童についてはどのように配慮していくのか、お聞かせ願いたいと思います。
  263. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 文部省において、五十四年から養護学校の義務教育を全部完全実施しようという計画で進めていただいております。施設に入っている方々も、たとえば指導員がついてその養護学校に通わすなり、あるいはまた、場合によりますと、遠隔地の場合はできませんので、養護学校に御連絡を申し上げて先生に来ていただくなり、そういうことをできるだけ普及いたしまして、施設に入っている方々も教育に支障のないようにいたしたいということで、完全ではありませんが努力をいたしたいと考えております。
  264. 下村泰

    ○下村泰君 その場合、施設の職員の方々の心配は、ただ学問を教えるということでなくて、施設の方々はもう誠心誠意献身的にそのお子さんたちのめんどうを見ている状態なんです。果たして通学をした場合にそれだけのめんどうを見られましょうか、一般の先生方に。
  265. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 下村君、時間が来ました。
  266. 下村泰

    ○下村泰君 はい。
  267. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) おっしゃる点もわかるのでございますが、できるだけやっぱり一般の方と同じような、閉鎖された収容施設だけで訓練といいますか教育をしないで、やはり養護学校の方が望ましいことは望ましいと思うのでございまして、まあしかしその人の態様によりますので、それは施設の方で十分よく本人本人の態様を考えまして善処をさすように指導したい、かように考えます。
  268. 下村泰

    ○下村泰君 一つだけ総理に聞かせてください、あるいは文部大臣がお答えになっても結構でございますが。総理が、国家百年の計によって人づくりを重視しているとおっしゃっております。この人づくりというところが大変問題でございます。先ほどから申し上げますとおり、幾ら施設をつくっても、福祉の心がなかったら何の役にも立ちません。総理のお考えと、それから文部大臣の、どういうふうにこれからのお子さんたちを指導していくか。いま荒廃しています、教育が。人がだんだん荒れているだけです、いま。ですから、どういうふうに文部大臣がお考えになっているのか、そして総理とあわせてお答えを願いたいと思います。
  269. 砂田重民

    国務大臣(砂田重民君) 小中学校の道徳の学習指導要領の中で、特に小学校におきましては、弱いあるいは不幸な人をいたわるということ、中学校におきましては、人を愛するという気持ちのどれほど尊いかということ、そういうことを道徳の教育の中で取り入れているわけでございますけれども、道徳の学科の中だけではなくて、一切の学校教育活動を通じましてこういう気持ちを植えつけていこう、そういう取り組み方をいたしているところでございます。先般私も大田区の城南養護学校に行ってまいりました。いま、先ほど御心配でございましたけれども、養護学校の先生たちも、施設で働いておられる方々と毫も変わりません。血の通った教育、世話をしております。これをひとつ御報告いたしまして、御安心をいただきたいと思います。積極的にこの問題と取り組んでまいります。
  270. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私は、国づくり、これは物の側面だけで考えるわけにいかぬ、これは人の心という問題があると、こういうことをかねがね強調しているんですが、その心というのは、いま下村さんのおっしゃる福祉の心と言いますがそういう気の毒な人に対しましては、気の毒だなあ、かわいそうだなあと、こう素直に思えるような情操、それを含めての豊かな情操、これを身につけ、また、高い知識水準、これを身につけなきゃいかぬ。国際性、国際感覚、これも身につけなきゃいかぬ。そして同時に健康に恵まれているというそういう人材教育、これをやらなけりゃいかぬだろうと、こういうふうに思います。私は、ぜひ人間の豊かな情操というものの涵養、これに努めていきたいと、かように考えています。
  271. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 以上で下村君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————
  272. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 次に、柿沢弘治君の質疑を行います。柿沢君。
  273. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 昨年十月二十四日の本委員会で、福田総理及び坊前大蔵大臣は、私の質問に対して、五十三年度公債依存度三〇%は何としても守りたいと明言をしておられます。議事録を持ってきておりますが、そのときに、私は、来年初めの本予算委員会で、どちらが正しかったか、決着をつけましょうと申し上げております。政府側の見通しが誤っていたこと、及びその責任を痛感する旨の御発言をまず総理からいただきたいと思います。
  274. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 何と申しましても、昨年は経済の年だと、こういうふうにずっと申し上げてきたのですが、経済の年だというのは、もう安定成長、そこへ軟着陸をする年にしたいというわけであったが、それが同じ経済の年であるにしても波乱重畳の経済の年に終わっちゃったので、非常に残念に思っております。私の責任は、まあ一年ぐらいそういう目標の実現が延びたと、こういうふうに思いますが、これをぜひ五十三年度中にはやってのけると、このことだと思います。
  275. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 それでは具体的に伺いますが、ただいま審議の対象となっております五十二年度の第二次補正予算、これは公共事業の追加三千六百六十四億、中小企業対策百二十五億、決算調整資金繰り入れ二千億などの歳出の追加がありますが、それ以上に重要なのは、五十二年度予算の性格に大きな影響を与えることになります租税収入の減額八千六十億円を計上していることだと思います。これだけで公債依存度はすでに三二%以上になり、五十二年度途中ですでに三〇%を大幅に上回っていたことになります。総理が昨年本予算委員会で三〇%を死守すると繰り返し公言——公言か公約か知りませんけれども、していた時期に、すでに三〇%の基礎は崩されていたということになりますが、五十二年度予算の編成について誤りがあったとお考えになりませんでしょうか。
  276. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 五十二年度予算はまあ大体適切な予算であったと、こういうふうに思います。しかし、経済の動き、これは先ほど申し上げたとおり、全く私としては予想しなかった事態になって、まことに残念であると、このように考えております。
  277. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 総理は経済の動きに責任を押しつけておられます、円高の影響等々。しかし、減収の中身を少し洗ってみますと、法人税の減収が三千二百七十億円、源泉所得税が四千二百四十億円などですが、この源泉所得税の四千二百四十億円のうち、給与所得分の減収額が幾らになっているか、そして当初見積もり額が幾らか、減収率が何%になっているか、教えていただきたいと思います。
  278. 大倉眞隆

    政府委員(大倉眞隆君) お答えいたします。  源泉所得税の減収見込み額は四千二百四十億円でございますが、そのうち給与分は二千六十億円と推計いたしております。  ただいまのお尋ねは、当初幾らに見ておったかということでございまして、五十二年度当初予算は三兆九千六百八十億、これは第一次補正で特別減税分を減額しておりますが、これは一年限りの臨時の措置でございますから、当初予算の見積もりとしては三兆九千六百八十億の方をお使いいただければと思います。したがいまして、約五%の減という計算になっております。
  279. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 いま主税局長からお話がありましたように、今度の補正予算で五%の減収を見積もっております。しかし、その基礎になっている政府経済見通しの中の雇用者所得を見ますと、当初見通しと今回の改定との比較をしますと、一三・三%を一二・一%にわずか一・二%落としているにすぎません。つまり、所得が一%しか落ちていないのに、税収が五%も落ちている。所得弾性値が大幅に変わったということは考えられないと思います。そうすると、やはり当初見積もりに何としても三〇%を守るための税収の過大計上があったと考えざるを得ないと思いますが、いかがでしょうか。
  280. 大倉眞隆

    政府委員(大倉眞隆君) お答えいたします。  雇用者所得の当初見積もりが一一三・三、改定見積もりが一一二・一というのは、御指摘のとおりでございます。雇用も若干下方修正されておりますので、一人当たり雇用者所得では、当初が一一一・六、改定見積もりが一一〇・六でございまして、おっしゃるとおり一%ポイント方の下方修正であります。これに対して税収の減が大き過ぎるではないかという御指摘でございます。その点につきましては、柿沢委員よく御承知のように、見積もりをつくりますときには、一番新しい実績をもとにいたしまして、あとは政府見通しに乗ってはじいていくわけでございますが、五十二年度当初の予算を見積もりましたときには、そこまでにわかっております実績に、ただいまおっしゃいました雇用者所得の伸びを掛けまして、さらに弾性値を掛けて推計をしていくわけでございますが、その用いるべき弾性値というのはそこまでの実績でわかっているものを使うということでやるわけでございます。と申しますのは、弾性値というのは非常にやはり上下に動くものでございまして、一番新しい実績から結果的に出てきておる弾性値を使うという以外に推計方法はなかなかないわけでございますが、その意味で、五十二年度当初予算で使っておりました弾性値は、その当時わかっておりました五十一年の実績見込みで結果的に出ておりました弾性値が二・〇三でございましたので、二・〇という弾性値を用いているわけでございます。ところで、補正予算を見積もりました段階では、いわば上半期の実績がすでに出ておりました。雇用者所得の方は四月から九月までの企画庁の速報が出ておりまして、これとそこまでの税収との間をつなぎますその意味での結果的な弾性値を計算いたしてみますと、これが一・六ということになっておりまして、したがいまして、補正で計上いたしますときには、年度後半も一・六のまま推移するといういわば従来の考え方を踏襲した見積もりの仕方をしておりますので、減収幅が相対的に大きく出ておりますのは、その大きな原因の一つは、この弾性値が五十一年実績を見込みの基礎にした場合と五十二年の前半を基礎にした場合とで下方に下がってきておるということにあるわけでございます。
  281. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 当初予算では二・〇三というお話がありました。最近で二を越えた弾性値で給与所得の見通しをはじいた例はございますか。
  282. 大倉眞隆

    政府委員(大倉眞隆君) 先ほど申し上げましたように年によって非常にに動くわけでございますが、従来は二あるいは二を超えている年の方が多うございます。ただ、最近で申しますと、五十年度は、これは実績でございますが、一・七三という弾性値の年がごく最近にございます。
  283. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 先ほど申しましたように、今度の補正予算の性格は、いわば当初予算のそうした上げ底的な性格、公債依存度三〇%を形式的に守るための税収のかさ上げ、それが底が割れた、公債依存度三〇%へのいわば葬送行進曲と言わざるを得ないと思います。その意味で、やはり当初から三〇%というような無理な見通しにこだわらずに、積極的な財政政策を私たちは講じていただきたかったというふうに思うわけでございます。その点について、総理、いかがお考えでございましょうか。
  284. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 公債はその扱いを非常に慎重にしなきゃならぬ。ですから、公債政策をやっていく場合には、歯どめということを重要視しなければならぬわけで、去年、またことし、五十一年、五十二年、この両年度におきましては依存度三〇%というのが一つのめどだったわけです。ですから、このめどについては極力これを達成したいと、こういうふうに思っておりましたが、ことしの五十二年度の下半期の経済状態を見ると、とてもこれはそういう財政の姿で乗り切れるものじゃないと、こういうことで三〇%の枠を外し、そして財政が主導的役割りをもって経済の回復に当たると、こういう考え方を打ち出したわけでございます。
  285. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 経済情勢でございますから、そのときそのときで変わってくる、それはよくわかりますが、すべての責任を経済情勢に押しつけられるのではなくて、やはり、判断、その上に立った決断というものが必要ではないかと思います。いまの答弁を伺っておりましても、どうもナメクジのようにぬるぬる逃げていかれてしまいまして、後に不快なぬめりだけが残るということでは政治不信が高まってまいります。その点をぜひ御認識をいただきたいと思います。  それでは、五十二年度、五十三年度の成長率の問題に移ります。  GNP二百兆円の半分以上の百二十兆円を占める個人消費の動向、これが景気を大きく左右すると思います。昨年十一月の家計調査、そして、きょう出ておりますが、最近の雇用情勢を見ますと、消費支出、可処分所得の伸びが大幅に鈍化していると思います。下期の個人消費は停滞をするのではないかと思いますが、企画庁長官のお見込みはいかがでございますか。
  286. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 五十二年度経済見通しを何度か改めておりますけれども、消費はその都度実は見通しを下方修正しておるわけでございますから、消費の動向というものが当初見通しておったほど高まらないということは、私は柿沢委員のおっしゃるとおりであると思います。  そこで、最近の十一月の家計調査をおっしゃったと思いますが、勤労者世帯の方はさして悪くございませんけれども、いわゆる自営世帯と申しますか、営業などしておられるところの世帯の伸びは、やはり思ったほどよくございません。しかし、農村はそんなに悪くないということでございます。総じて、いまのところ、今年のただいまの時点で消費がかなり盛んになりつつあるという徴候はちょっと見られませんで、暖冬異変ということも昨年の末まであったわけでございますけれども、ともかく表にあらわれましたところでは、消費者の将来に対する見通しが回復しつつあるという徴候はどうも指標ではいまのところ見られないというのが本当のところだろうと思います。
  287. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 いま、企画庁長官から、消費が回復する見込みは見られない、なかなかむずかしいという率直な御意見がございました。しかし、政府の五十二年度見込みを見ますと、実質の消費を年度間で三・九と見込んでおりますが、これはかなり下期に回復をするという前提だと思いますが、いかがでございましょうか。
  288. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これから三月ございますので、このたびの政府のいわゆる財政を中心といたしました予算でありますとか、それを反映したと思われますが鉱工業生産あるいは出荷の状況、在庫のまあちょっとジグザグでございますけれどもかなり動きが見えておるというようなことから、下期は全体としては上期よりは幾らかいいのではないだろうか。なお、実質につきましては、デフレーターが多少有利に働くという点もあろうと思います。
  289. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 私たちも民間のエコノミストの皆さんとはじいてみました。政府は、消費の伸びを名目一一・四、実質三・九というふうに見込んでおりますが、私たちが計算すると、どうも、名目一〇、実質で三%強しか出てこないというのが実情でございます。それで、五十二年度のGNPをはじきますと、政府見通しのような実質の五・三はどうも実現不可能だと考えざるを得ない。五%程度もしくは若干下回るのじゃないだろうかというのが私どもの現在の判断でございます。そうなりますと、五十三年度の七%成長の達成というのが大変困難になってまいります。  大変単純なグラフでございますが、こんなものを書いてまいりました。五十二年度の下期がもし政府見通しのとおり上がらない場合には、これはもう御存じのとおりですが、五十二年度から五十三年度へのげたが少なくなる、発射台が低くなるために、急カーブをとって上がらないと七%成長ができない。政府見通しどおり五二年度が成長したとしても、五十三年度年度で七%を達成するには年率では八の実質成長率が必要でございます。それがげたが低くなりますと、年率九・五%もしくは一〇%近い成長が必要だということになります。ですから、年度平均の七が問題なのではなくて、むしろこの成長カーブが大変問題だ。それが実質八とか九・五とかいうような大きな高い成長が五十三年度経済で見込めるだろうかと、その点について疑問に思うわけですが、こうした上・下期別もしくは四半期別の見通しに基づく七%達成の可能性について御意見をいただければ幸いでございます。
  290. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいま、私が、消費が思うほど十分に動いてきていないということを申し上げたわけでございますけれども、これはまあ数字で申しますと一ポイントとか一ポイント半とかいう、それがしかしGNPの中では五〇%以上でございますので、統計的に判断いたします限り実は非常にわずかなところの議論は申し上げ、また御質問があっておるわけです。ですから、私ども、総体として五十二年度の五・三%がむずかしくなるようなほど消費が落ち始めているというふうには考えておりませんで、非常に急激な変化は他の経済の要素に比べますと出ていないという程度のことを申し上げております。先ほど申し上げましたような理由から、なおあと三カ月の間にかなりこの点は、ただいま統計であらわれておりますおくれなどを考えますと、年度が終わりましたところでは大体見通しのところへいくのではないか。それにいたしましても、一ポイントとか一ポイント半の柿沢委員と私どもの論点はその程度の違いでございますので、それで、もし五十二年度の五・三が非常に低くなると申しますときは、来年度の発射台が低くなる、げたの問題があるということは、お示しのとおりです。とおりですが、私どもは五・三ぐらいのことは大体いけるのではないかというふうにいま考えております。  それから四半期別に示せるかとおっしゃいましたけれども、御承知のように私どものGNPの見積もりは将来に向かっては四半期別の計算をいたしておりません。それで、過ぎましたところはわかっておりまして、すなわち五十二年度につきましては五・三のうち上の二つの四半期で三・〇いっておるわけでございますから、下の二つの四半期で二・三ほどいきますと大体五・三になる。五十三年度につきましては、もともと四半期ごとの計算をいたしておりませんので、申し上げることができません。
  291. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 五十三年度の需要項目別の議論についても、設備投資、在庫投資、それから政府支出についてはすでに議論が尽くされておりますので、経済の半分以上を占める個人消費に限りますが、名目の一一・九、実質の五・三、これはことしの一一・四、三・九に比べてさらに上回る個人消費の伸びを予想しております。その基礎となる雇用、労働時間、賃金、いずれもことしよりもある意味ではペシミスティックだと思うのですが、直接担当しておられる労働大臣のお立場からその辺の見通しを伺いたいと思います。
  292. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) お答えいたします。  雇用情勢は大変厳しい状態がずっとここ五十二年以来続いておりまして、現在のところ、完全失業者百十万台でございまして、この失業率は二%台がずっと続いておりますし、有効求人倍率〇・五一%——これは十一月でありましたが、今月はちょっと改善をされまして、〇・五四%、これは暖冬でありまして季節労働者が職を求めて出る必要がきわめて少なくなったということが改善されたわけで、製造企業あたりは依然として雇用情勢は厳しいと、こういうことでございますから、そこで、御指摘の意味は、労働時間の問題、こういった問題を、やはり雇用の労働需給関係、こういった均衡を図る面においても労働福祉の向上という面から言っても前向きで検討せなきゃならない。ちょうど去年の十一月下旬でありますけれども、中央労働基準審議会の公労使の一致した建議が私の手元へ出されまして、「労働時間対策の進め方について」というので提言がございました。私はこの提言の趣旨を踏まえて、今後長期的にも雇用情勢を考える場合に大いに積極的に進めていかなければならぬと、このように思います。
  293. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 来年の消費の伸びは、そういう意味で五十三年の春闘の状況に大きく左右されると思います。政府は雇用者所得の伸びを一一・〇%、五十二年度が一一・二ですから、ことしとほぼ同じに見込んでおりますが、これは春闘相場も大体ことしと同じと考えていると見てよろしゅうございますか。
  294. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) ただいま御指摘の雇用者所得、これは必ずしも春闘とは直接結びつかないわけでございまして、春闘の問題は、もうすでに私から申し上げるまでもなく、労使の自主的な解決、特に昨今の厳しい経済情勢を踏まえて労使が円満な話し合いの結論を出していただくことを期待いたしておりまして、われわれとしては景気回復を一日も急がなきゃならぬ。景気回復、物価の安定、そしてこの雇用の確保という、こういう環境の整備については全力を尽くしたい。ただ、春闘の問題については、あくまで政府は介入しない、労使の自主的解決、これを期待しておるわけでございます。
  295. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 経済見通しをおつくりの立場から、企画庁長官、その点はいかがでございますか。
  296. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) いま労働大臣が半ば御説明になりましたが、いわゆる春闘の対象になりますのは所定内の賃金でございます。それ以外に所定外のものがございますし、なお特別給与がございます。それからもう少し広い意味で退職金、あるいはいわゆる役員の給与等が含まれておりまして、全体を一〇〇といたしますと、大体春闘の直接の対象になりますのは五四、五程度でございます。しかし、それがまあペースメーカーになりますことは事実でございますから、無関係とは申しませんけれども、いわゆる雇用者所得の中で所得と言われる部分は春闘の関係はカバレージは大体半分ちょっとである。そのほかに、広い意味の雇用者所得は、個人所得は御承知のように自営の所得、それから個人の財産所得——家賃とか利子とかいうものでございます——がございますから、それ全体が消費を左右するわけでございます。  そういうわけで、春闘そのものをどう見るかということは、これは私どもの申し上げるべきことでございませんが、いろいろな経済情勢、あるいは労使のいろいろな御主張からいって、非常に大きな賃上げがことし突如決定されるだろうと考える理由はどうも見当たらないように思いますので、その辺、私ども、大きなものはどうも現実的には見られないのではないかと思っております。ただ、これが全体の五十三年度のいわゆる個人消費ということとのかかわり合いで申しますと、私ども五十三年度の終わりの稼働率指数は、御承知のようにかなり現在よりは改善された九二程度を見ておるわけでございますし、在庫の調整も相当進んでおると思われますし、また消費者物価が落ちつきの基調であるということもございますので、これは消費者には恐らくかなりいい影響を与えると思います。したがいまして、名目で五十二年度で見ましたよりは多少高い——非常に高くはございませんけれども、多少高いものを五十三年度に個人消費として見ることは相当なことではなかろうかと考えております。
  297. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 春闘の数字そのものを生では言えないというお話は理解はできますけれども、しかし、それは半分だとしても、それがベースになって所定外賃金の額、率が決まってくるというふうに考えますと、雇用者所得の伸びをことしとほぼ同じに見でいるというのは、春闘の率がたとえばことしは八・八、来年は二%近く下がるだろうと言われているのに比べて、過大ではないかと思います。  それから所得の伸びが一一%なのに個人消費を一一・九と上回っているということは、結局個人消費性向をかなり上げている。四十七年の水準近くまで、オイルショック前まで上げているというふうに予想されるわけですけれども、そうした消費性向が上がるという根拠はないのではないでしょうか。いかがでございましょう。
  298. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) そんなに高いところまでは上げておりません。五十二年度よりは多少高目を見ておりますけれども、それは一ポイントにも及ばない程度のことで、それが先ほど私が言葉で申し上げました、つまり、稼働率指数が上がるということは、ある程度の時間外所得等も見れるということでございますし、さらに消費者の消費の心理にそういう経済の立ち直りということは何がしかいい影響を与えるであろう。非常に大きな程度ではないと思いますけれども、五十二年度に比べまして仮に消費性向を一ポイント内外のものを見ることは、私はそんなに見通しとしては妥当を欠いたものであるというふうには考えないのでございます。
  299. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 時間がありませんのでなかなか論戦ができないのですけれども、私ども七%成長は容易ではないというのは、この全体の半分を占める個人消費がどうしてもちょっと政府見通しも甘いというふうにも考えられますのでむずかしいというふうに考えます。その意味からも、公共投資政策だけでなくて、減税を勇断をもって実施をしていただくということが必要だと考えますけれども、その点について、総理、もう何度もお答えになっておりますので飽きておられるかもしれませんが、御意見をいただけたらと思います。
  300. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 減税問題につきましては、これから先々の財政見通し、これを御検討願うわけでありますが、なかなか容易なものじゃない。せめて五十七年度ぐらいには赤字公債をやめたいと、こういうふうに思うのですが、並み並みならざる努力を要するわけです。そういう際に、五十三年度において減税をやっちゃう、これはもう非常にむずかしいことじゃないか。これは党首会談におきましても河野代表に対しましてなかなかむずかしいんです、御勘弁願いたいと、こういうふうにお願いをしておる次第でございます。
  301. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 国民に夢を与えることは結構ですけれども、幻を売る政治では困ると思います。打ち上げてはおろし、打ち上げてはおろしということでなく、勇断をもって実行していただきたいと思います。  それでは、二つ最後に伺いますが、一つは、文部大臣に、学校建築費の一%を芸術的装飾等に充てるという提案をしております。画一的でなくても結構ですが、モデル的に一つでも二つでもやっていただくというお考えはございませんか。日本のアンドレ・マルローにぜひなっていただきたいというふうにお願いをするわけでございます。
  302. 砂田重民

    国務大臣(砂田重民君) 大変魅力のある御提案でございます。福田総理の小学生時代、私の小学生時代、まだ日本の貧しかった時代の小学校というものは、学校の校舎などにつきましても、がんじょうなものであって勉強さえできればいい、そういう機能を果たせばいいということで、どなたも疑義をはさまなかった時代であったかと思いますが、いまはもうそうではありません。やはり将来の青少年というもの、これから日本の担い手は、文化性豊かな人間をわれわれは期待をするのでありますから、御提案のような趣旨の学校ができてまいりますことが望ましいわけでございます。実はそういう学校がもうすでに各所にできてまいっております。校庭に面して大きな壁画を持った小学校でありますとか、あるいは浜松大学の付属病院でありますとか、筑波大の学生寮でありますとか、外観につきましても大変美的なものができてまいっておりますので、一%乗せるとかなんとかそういう予算的な措置はありませんけれども、そういう実例を見ながら、学校を建設いたします地方公共団体とも相談をいたしまして、十分の検討をさせていただきたいと、かように存じます。
  303. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 時間が来ております。
  304. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 時間がありませんので、最後に総理にお願いをしておきます。  総理は、正月にデノミの発言をされました。この真意は何度も本会議でも御発言がありますので、私どもは事態が整ったらデノミは実施した方がよいのではないかと考えておりますことをつけ加えます。デノミについてまで幻になるようでは、百分の一か千分の一か知りませんけれども、切り下げになるのは通貨ではなくて、福田内閣の評価になってしまう。福田内閣のデノミネーションにならないようにぜひお願いをつけ加えて、質問を終わります。(拍手)
  305. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 以上で柿沢君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  306. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 次に、秦豊君の質疑を行います。秦君。
  307. 秦豊

    ○秦豊君 折あしくかぜの声ですけれども、どなたも御容赦を願いたいと思います。  解散問題についてあなたに一つ提案があります。インフレにせよ、デフレにせよ、それから脱出しようという場合に、マインド、心理的な要因というのが非常に大きいことは賛同されると思います。それは政府に対する信頼とか期待を含めてそういう言い方ができると思う。そこで、福田総理、あなたが本当に不況の脱出にあなたの政治生命をかけるというぐらいの迫力に満ちているならば、なるべく早く国民皆さんに対して、この一年は解散なんか考えるゆとりはない、毛頭ないと、少なくともこの一年はあらゆる力を経済危機の突破克服に集中するんだというあなたの決意を披瀝するというふうなことがあってみれば、最近とかく不評がちのあなた方を見る、あるいは総理を見る目がかなり変わってくるのじゃありませんか。いかがでしょう。
  308. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) そのことはもう私はしょっちゅう言っていることです。いま私は不況打開にかけているんだと、解散なんて考えている暇はないと、それにエネルギーを消耗するということは国家的でないと、こういうことを言っているんです。しかと御了承のほどを願います。
  309. 秦豊

    ○秦豊君 まだまだ足りません。ことさらに解散なんかするゆとりはないんだ、集中するんだというあなたの決意が大きな波及効果を生むんですよ。答弁は物足らない。重ねてお願いしたい。
  310. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) どこが物足りないのか存じませんが、いま私は不況打開にかけている、そういう段階で解散というようなことをしたらこれはもう大変国家的でないことになると、そのような認識でございます。
  311. 秦豊

    ○秦豊君 防衛庁、一月十六日と十七日にハワイで第十回の日米安全保障問題の協議が行われた。議題は何であったのか、日米双方の出席メンバーはいかに、また何が取り決められたのか、長官からお願いしたい。
  312. 金丸信

    国務大臣(金丸信君) 日米安全保障条約を基調にいたしましていわゆる安全保障の諸問題について討議をしたと、議題はなくてフリートーキングで話をしたということでありますが、非常に有益な話し合いをしたようでございます。また、西太平洋の軍事情勢等についても話し合いをいたしたということでありますし、また、私は、事務レベルで事務次官が参りましたので、F15あるいはF14に対するどちらがいいとか悪いという国内の議論も踏まえまして、それも十二分にアメリカの国防総省等の考え方を聞いてくるようにという話もいたしたわけでありまして、また、その詳細につきましては、政府委員から答弁をさせます。
  313. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 事務レベルの会議でございますので、今回の会議におきまして決定したというようなことはございませんでした。したがいまして、公表しないということで話が進められたようでございますが、当方日本側から出席いたしましたのは、外務省の高島外務審議官、中島アメリカ局長、防衛庁からは丸山事務次官、松永統合幕僚会議事務局第五幕僚室長、さらにアメリカのマンスフィールド駐日大使、それから国防省からマクギファート次官補、アブラモウイッツ次官補代理、ブラズウェル統合参謀本部第五部長、ウィズナー太平洋軍司令官、ラビング在日米軍司令官が出席いたしております。  話し合われた内容でございますが、自由に率直な意見の交換を行うということで特定の議題はなかったわけでございますが、日本を含む西太平洋におきます最近の軍事情勢につきまして、アメリカ側も考え方を述べ、わが方からも説明をしたということが一つございます。さらにまた、アメリカがこの地域においてどのような体制をとっているかという説明がございました。さらに、在日米軍の施設区域、これは御承知のように日米安保協議委員会におきまして統合あるいは返還等につきまして以前に決定を見ておりますが、それの進捗状況等のレビューが行われたというような内容でございます。
  314. 秦豊

    ○秦豊君 それでは、日米共同防衛ですね、防衛分担をめぐる項目についてはどの程度の話し合いがなされたか。
  315. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 先生がいま言われております防衛分担というのが意味するところが、私ども——アメリカ局長、私と現在米側とやっております日米防衛協力小委員会の内容であるといたしますと、これはいま部会で作業をしている段階でございますので、そのことについての話し合いというのは行われていないわけでございます。
  316. 秦豊

    ○秦豊君 そのハワイ会談で、防衛庁の丸山次官が、航空自衛隊パイロットのいわゆる戦技訓練をアメリカで行いたいという申し入れをし、アメリカが基本的な了解を与えたという報道があるが、事実関係はそのとおりですか。
  317. 夏目晴雄

    政府委員夏目晴雄君) そのようなお話が議題になったことはなかったと聞いております。
  318. 秦豊

    ○秦豊君 まるで新聞が誤報をしたというふうに言わぬでもらいたい。いやしくも防衛庁の事務次官が提案をし、基本的に了解をしたという報道なんだから、根拠がある。  じゃ、空幕の方でそういう戦技訓練のアメリカ版の案は練っているのかいないのか、それを明らかにしてもらいたい。
  319. 夏目晴雄

    政府委員夏目晴雄君) 現在、御承知のように、航空自衛隊の教育訓練の環境、たとえば訓練空域が非常に制約されているとか、あるいは夜間の飛行訓練が制約を受けているとかというふうないろいろな制約がございます。そういうことによりまして、航空機による教育訓練を十分に実施し得ない状況でございますので、われわれとしましても、どういう方法でこの訓練、練度を向上させるかについていろいろ検討はしております。いま御提案のあったアメリカに行って訓練するというようなことも、きわめて白紙的に事務的に検討していることは事実でございます。
  320. 秦豊

    ○秦豊君 議題でなくても申し入れしたという事実はあるんでしょう。
  321. 夏目晴雄

    政府委員夏目晴雄君) そういう申し入れがあったということは聞いておりません。
  322. 秦豊

    ○秦豊君 これは丸山次官に後ほど確かめたいと思いますが、しかし、少なくとも、これはもし実現をすれば、継続的に日本の航空自衛隊のある戦力が海外に出ると、こういう出来事に結びつくわけです。あるいは西独方式のように向こうに施設をつくる、こうなると、現行の自衛隊法ですね、防衛庁設置法、さらには憲法との関連が出てまいると私は思っているんだが、防衛庁サイドの見解と法制局のを伺っておきたい。(発言する者あり)
  323. 真田秀夫

    政府委員(真田秀夫君) 自衛隊は結局日本の独立と平和を守る自衛の組織なんですから、訓練をすることが必要なんで、防衛庁設置法にも「必要な教育訓練を行うこと。」という項目は明文で書いてございます。  問題は、アメリカへ部隊を派遣してそこで訓練をすることが法律上問題はないのかと、こういう御質問だろうと思いますけれども、従来自衛隊がいわゆる海外派兵をしてはいけないということがしばしば問題になりました。海外派兵ということは厳密な法律用語ではございませんけれども、従来国会で御議論になったときのそのお互いの理解の上では、それは憲法第九条との関係で、自衛隊の部隊が武力を行使する目的をもって外国の領土、領空、領海に派遣されること、それが海外派兵であって、それは憲法九条の解釈上、自衛のために必要な最小限度の行動を越えると、したがってそういうことはできないというふうに従来一貫して御説明申し上げ、また御納得も得ておったと思うのです。今回は、いま仮定の問題でございますけれども、なるほど自衛隊のある部隊をアメリカにかなりの期間仮に派遣するとしましても、それは武力を行使するということではなくて、教育訓練を行うというものでございますから、それは、たとえて言えば、海上自衛隊が、正式には何と言うのか知りませんが、遠洋航海に行って公海で訓練もする、場合によっては外国の領海内でも訓練をやることもあるのだろうと思うのですが、一向それは憲法上も法律上も問題になるような性質のものではないと、それと同じことではないだろうかというふうに考えるわけでございます。
  324. 秦豊

    ○秦豊君 しかし、いずれにせよ防衛庁設置法と自衛隊法の改正は必要ですね、もしそうなれば、長官。(発言する者あり)
  325. 真田秀夫

    政府委員(真田秀夫君) 先ほど申しましたように、防衛庁設置法に「必要な教育訓練を行うこと。」というのが書いてございまして、特に国内においてのみ行うというふうに限定をしているわけでございませんので、まあ仮定の問題ですが、先ほど申しましたようなアメリカへ派遣して訓練を行うというような事態が仮に起こったとしても、そのために法律を改正する必要があるとは私は考えておりません。
  326. 秦豊

    ○秦豊君 それはあなた間違っているんでね、やじに押されているからそうなるんだが、部隊の編成、配置は、これは設置法で決まっているわけだから、それが変われば法律を変えなければいかぬ。当然でしょう。
  327. 夏目晴雄

    政府委員夏目晴雄君) 先ほどの、パイロット教育をアメリカに行ってやるかどうかにつきましては、いままだ検討の緒についたばかりでございまして、具体的にどうするかということが決まったわけではございませんけれども、現在、自衛隊におきましては、御承知のように、わが方にない訓練体制あるいは訓練施設を利用するために、アメリカのそういった施設を利用するために、ナイキ、ホークの年次射撃を実施しておりますし、また、海上自衛隊においても、毎年ハワイにおける対潜設備を利用して対潜訓練を行っているというふうな事実がございます。以上のようなことと同じようなものであれば、われわれとしては当然防衛庁設置法の第五条の範囲内でできるというふうに解釈しております。
  328. 秦豊

    ○秦豊君 だから、だんだん出てくるんだが、あなた方はやりたいんでしょう。できれば来年度からでもやりたいんですか。
  329. 夏目晴雄

    政府委員夏目晴雄君) われわれとしては、航空自衛隊の訓練環境について、いまの現在われわれが抱えております制約を何とか克服したいということで事務的に検討しているわけでございまして、いつからどういう形でやるかということについては、全くまだ申し上げられるような具体案はあるわけではございません。
  330. 秦豊

    ○秦豊君 ちょっと詰めましょう。  じゃ、関連しまして、現在防衛庁が行っている日米の共同訓練、これから行おうとする共同訓練、この方向と内容を明らかにしてもらいたい。(発言する者あり)
  331. 夏目晴雄

    政府委員夏目晴雄君) いわゆる日米共同訓練と申しますのは、自衛隊と米軍とが同一の訓練項目につきまして日米双方の戦術技量の向上を目的として行っているわけでございますが、海上自衛隊におきましては、そうした共同訓練というものを昭和三十年以来いままで約七十数回行っております。
  332. 秦豊

    ○秦豊君 すでにF15が予算化を見つつあるわけだけれども、防衛庁が国防会議にF15については一体どんな説明をなしたのか、明らかにしてもらいたい。
  333. 金丸信

    国務大臣(金丸信君) 現有の戦闘機が消耗するということでありまして、消耗といいますか減耗するということであります。減耗するということは防衛上欠落を生ずるということでありますから、これを補充するということで、また近代化されなければならないというような考え方の中でこの戦闘機を国防会議で慎重審議をいたしたわけでありますが、いわゆるF15戦闘機は要撃的な性能を有しておるといういわば専守防衛にはふさわしい戦闘機であるということ。また、爆撃装置あるいは給油装置を存置するということにつきましては、爆撃装置につきましてはいわゆる対地攻撃は限定的なものであるということ、いわゆる敵国を脅かしたりあるいは誤解を生じることのないというような考え方、また、給油装置を存置するということは、いわゆる一九八〇年を踏まえまして、航空機というものはほかの兵器よりまことに目覚ましい日進月歩の進展をしておる、そういう意味で給油装置を装置することも誤解やあるいは脅威を与えないという考え方、慎重審議した結果こう決定いたしたわけでございます。
  334. 秦豊

    ○秦豊君 それが肝心な要点ですか。そんな雑駁なことで国防会議が、いやしくも権威ありとされている国防会議が、納得をされたんですか。もっと答弁を補足してください、特に性能諸元などを含めて。
  335. 金丸信

    国務大臣(金丸信君) なお詳細は政府委員から答弁させます。(発言する者あり)
  336. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 国防会議におきましては、十二月に入りましてから四回開いていただきました。防衛庁の方から、新しい戦闘機、それからP3Cの必要性というものを御説明いたしましたが、いま大臣から御説明いたしましたように、要点といたしましては、現在持っております戦闘機あるいは対潜哨戒機の勢力を不安なく維持しながら近代化していくという点が一つございます。それからこれらの航空機が装備された時点におきますいわゆる軍事技術の進歩に伴うこれに対応できる性能を持ったものであるという点の御説明でございます。F15につきましては、そういった観点から、防衛庁が整備しなければならないと考えている必要性の問題、それから過去どういう検討を経て14、15、16の中からこれを選んだかという御説明、さらに、防衛庁がこれからどういうテンポでこれをF15というものに切りかえていくかという御説明、さらにはまた、国会等でいろいろ御論議されておりますので、爆撃装置の問題、それから給油装置の問題、さらには最近問題になりましたアメリカにおきますF15とF14のあのDACTの問題、こういった点について詳細に御説明をいたしまして御判断をいただいたわけでございます。
  337. 秦豊

    ○秦豊君 じゃ、FXの性能諸元についてもかなり明らかにしたわけですね。
  338. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) FXの性能諸元につきましては、一九八〇年代中期以降に予想されます軍事技術の趨勢に伴う脅威として可能性のある性能に対応するためにはどういう性能を持ったものが必要であるか、これに対してF14、15、16というものはそれぞれどのような性能を持っているのか、あるいはまた、価格の面から費用対効果の面、あるいは防空効率を上げる面からこれらの三つの飛行機を選定する過程において私どもが検討した結果について御報告いたしました。
  339. 秦豊

    ○秦豊君 防衛局長の言われるF15というのは、いわゆるF15Aという機種ですか。
  340. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) F15Aに日本側で使うためのデータリンク等がついたものでございます。
  341. 秦豊

    ○秦豊君 去年の内閣委員会では、私に対して、F15Aではなくて、機内燃料をふやしたPEP二〇〇〇の改修を終えたF15PEP二〇〇〇だということを言われているんだが、かなり大きな食い違いになりますよ、それは。
  342. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) PEP二〇〇〇の改修を終えたものでございまして、これを現在Aと呼んでおりまして、複座型のをBと呼んでいるというふうになってまいっているわけでございます。
  343. 秦豊

    ○秦豊君 その答弁は間違いありませんか。
  344. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) お答えいたします。  PEP二〇〇〇を改修したものもF15Aでございまして、古い改修してないものも15Aの中にはございます。
  345. 秦豊

    ○秦豊君 ちょっと確認します、これは大事な点だから。  国防会議で総理などに説明したのは、古いF15A、総重量二十五トン四百。実際にあなた方が買うのは、新しいF15、総重量三十トン八四五、重い戦闘機、これじゃないんですか。
  346. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) 私どもが国防会議で説明いたしましたものは、PEP二〇〇〇を施したもの、総重量と申しますか、全備重量二十五トンでございます。
  347. 秦豊

    ○秦豊君 あなた方はジェーンの空軍年鑑を金科玉条にされておるが、それで見ると二十五トンなんです。実際には三十トンを超えているんです。この点も確認しておきたい、これは重大な問題だから。国防会議には軽い戦闘機を付託し、実際には重い、重装備の可能なものを導入する。これは大きな間違い。まかり間違ったらペテンになりますよ。
  348. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) わが国の標準兵装では二十五トンでございまして、設計上は三十一トン弱ということになっておるわけでございます。
  349. 秦豊

    ○秦豊君 じゃ、しかと、改修を終えた最新型三十一トン弱が基準になっているわけですね。間違いないですね、それは。
  350. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) 先生御承知のように、設計上の三十一トンというのは三十一トンまで積めるということでございまして、私どもの導入しようとしておるものは標準兵装で二十五トンのものでございます。
  351. 秦豊

    ○秦豊君 じゃ、どっちなんですか。二十五トンのものを導入するんですか。あなたは三十一トンとさっき言ったんだが、どっちなんです。
  352. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) 設計上は三十一トン弱でございますが、私どもの標準兵装では二十五トンでございます。
  353. 秦豊

    ○秦豊君 装備局長、あなたも素人じゃないんだから、これはキャパシティーの最大が三十一トン、F4ファントムより重装備ができる戦闘機なんですよ、これは。だから、大事な問題だから確認しておるんだ。もう一遍……。(発言する者あり)
  354. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) 設計上は三十一トン積めることになっております。しかし、この場合は、大型の落下増槽をつけた場合のことでございます。
  355. 秦豊

    ○秦豊君 あなた方は、ファントムより今度のF15は攻撃能力は小さいんだと、こう言うためにそういう言い方をしている。実際には三十一トン、ファントムより四・四トンもたくさん積めるんだ。違いますか。
  356. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) 先生おっしゃるとおりに、設計上は三十一トンまで積めることになっております。
  357. 秦豊

    ○秦豊君 これは重要なんですよ、あなた。栗栖統幕議長とか他国へ脅威を与えにゃいかぬという長官好みの戦闘爆撃機なんですよ。決してファントムより弱くない。国防会議への説明は、したがって、重大な点において間違っていると私は言いたいんだが、もう一遍重ねて防衛庁側の答弁を求めたい。(「ファントムより弱くなったら、あんた、買うことないじゃないか」と呼ぶ者あり)——正直なやじだと思う。少なくとも防衛庁よりは正直だと思う。
  358. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) 設計上は、たびたび申し上げますように三十一トンまで積めるわけでございますが、私どもの標準兵装では大型の落下増槽は積まないわけでございますから、二十五トンということでございます。
  359. 秦豊

    ○秦豊君 それは強弁にすぎない。運用をし、作戦をしたら、必ずぎりぎり積みたくなる。そうですよ、あなた。もう一遍。
  360. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) 私どもは大型増槽を積む意図はございません。したがいまして二十五トンでございます。
  361. 秦豊

    ○秦豊君 やじに励まされておるようだが。  では、防衛庁はファントムより攻撃能力は小さいと言っているが、それを具体的に理由を個条で挙げてもらいたい。
  362. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 私が昨日御説明申し上げましたのは、ファントムと比較して小さいというようなことで申し上げたわけではございませんで、御承知のように、ファントムという飛行機が出現した当時の世界の軍事技術の趨勢、その中におきましては要撃機能とそれから爆撃機能というものは同等に重視してつくられた飛行機でございます。したがいまして、あの当時の国会の御論議にもございましたように、核爆弾を積み、あるいは遠くから射撃できる誘導弾を積み、しかもピンポイソト——一点に集中して撃つということが可能である、こういったことについての御議論があったわけでございます。私どもは、確かにファントムというのはそういう飛行機であり、また、あれを採用いたしました日本以外の各国では、そういった爆撃能力といいますか、攻撃能力、そういったものも重視して採用いたしておるわけでございます。  ところが、このF15という飛行機の機能を見てみますると、要撃機能におきましては、上昇性能あるいは加速性能といった点、空中におきます飛行性能においては格段にすぐれているわけでございます。しかし、それに比べまして、攻撃機能というのは、現在、今後五年後に持つ飛行機といたしましては、ファントムを採用したときにそれぞれの飛行機が持っていた機能の中の要撃機能と爆撃機能と比較すると、きわめて限定的なものであるというふうな判断をいたしておるわけでございまして、直接的に比べてどちらが大きいかということは申し上げているつもりはないわけでございますが、決定的に違う点は、ファントムには核爆弾を積むということができたということ、それからブルパップという対地誘導弾を積むことができたということ、こういったものを積む機能というものはF15にはないということを申し上げたわけでございます。
  363. 秦豊

    ○秦豊君 F15を運用の場合に、空中給油はすべてアメリカ側に頼むと、この体制でいいんですね。
  364. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 私どもは、F15を装備する時点におきましては、どうしても警戒待機——CAPオペレーションというものが必要になるであろうと思っております。したがいまして、有事におきましてはF15自体が持っている航続距離の中でCAPオペレーションを当然行うと思っております。しかしながら、少ない機数を有効に使う場合、あるいはまた、近くにあります航空基地が破壊されて利用できないような場合、そういう場合には空中給油機能というものを利用いたしましてそういったオペレーションもしなければならないと思っております。その際には米軍の協力を得たいということでございまして、現在の防衛庁の計画の中に給油機を持つということは考えていないわけでございます。
  365. 秦豊

    ○秦豊君 じゃアメリカ側の了解はすでに得ているわけですね、しかるべきレベルで。
  366. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) この空中給油をやるについて、いま事務的にその了解をとるとか、そういう手続はまだ経ておりません。
  367. 秦豊

    ○秦豊君 あなた方にすれば、ずさんだと思うが。  じゃ空中給油を要請する場合に、だれがだれに対して行うのか。
  368. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) これは有事の際のことでございますので、当然、最高指揮官である総理の御了解を得て、防衛庁長官が決心するものと考えております。
  369. 秦豊

    ○秦豊君 有事のためには訓練が必要、だから防衛庁長官がだれに要請するんだ、その際の作戦指揮権はどちら側が持つんですか。
  370. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 作戦指揮権というのは、当然、アメリカと日本と別々に持つわけでございます。そういったことが必要になった場合には、アメリカはその給油機に対して日本に協力しろという命令が出るでございましょう。また、日本の航空自衛隊に対しては給油について米側の協力を得ろということの命令が下されると思います。
  371. 秦豊

    ○秦豊君 金丸さん、丸山次官からDACTの結果はどのようにお聞きになりましたか。
  372. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) DACTにつきましては、先生も御承知のように、私どもあの新聞報道がなされた時点から米側といろいろ連絡をとって、事実について聞いております。このことにつきましては、ほかの委員会でも御説明いたしましたように、その勝敗を決めるというものではなく、F4からF15のパイロットの転換教育の過程において行ったものであるということが明らかになりました。さらに、大臣の御命令を受けまして丸山次官がアメリカに行きましたときに、国防総省の国防次官補代理から丸山次官あての文書をもらってまいりました。その中にこのDACTというものはどういう目的であるのか、あるいはDACTをやるときのアメリカの海軍と空軍との規約、そういった詳しい文書を持って帰ってまいりました。その中に書いてありますのは、やはり異なった機種に対する対応の仕方、戦術の訓練、これが最終の目標であるということが書いてございます。  そこで非常に私ども明らかになりましたのは、他の機種との訓練をやる場合に、おまえはきょうは守備側に回れ、攻撃側に回っちゃいけないというような指示を受けまして行きまして、非常に不利な状況においても常にその守備態勢を維持する、そういった訓練をやるとか、きょうは攻撃側に回れというようなことで攻撃を主としてやるとか、そういったことでございまして、自由にその訓練をやっておって守備態勢から直ちに攻撃態勢に変化して、相手に対して優位を保てとか、そういうふうにはなっていないようでございまして、訓練科目が決まっておりまして、その間においてその戦術を演練するという目的のために行われているということが非常にはっきりしたわけでございます。
  373. 秦豊

    ○秦豊君 確かにあなた勝敗は決めないが、ちゃんと判定はするんですよね、一回一回。で海軍のノーフォーク基地とか、空軍のラングレー基地にはコンピューターシステムにちゃんと記録が残っている。それを見て金丸さんに報告したんでしょうね。
  374. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) それは今回はラングレー基地などには行っておりませんから、それを見たということはないと思います。国防総省に参りましたときに向こうから詳しく説明を聞いたということでございます。
  375. 秦豊

    ○秦豊君 時間が切迫しているから、総理、日中問題をあなたに聞いておきたいんだが、あなたのこの日中問題の演説は、本会議場では「交渉の機はようやく熟しつつある」とあったんだが、原文がたしかあったはずですね。どうなっていたんですか、あれは。
  376. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 原文はそのくだりがなかったわけであります。そのくだりを私がつけ加えた、こういうことでございます。
  377. 秦豊

    ○秦豊君 それはあなたの思い違いじゃありませんか。締結の機が熟しつつあるのを交渉に変えたんじゃありませんか。思い浮かべてください。
  378. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) その細かいことは余り私も覚えておりませんけれども、とにかくそのくだりは私がつけ加えたんだ、こういうふうに御承知願います。
  379. 秦豊

    ○秦豊君 細かくない。重要なポイントの一つですよ。あなたはわざわざ締結を交渉に変えられたんですよ。  園田さん、あなた実力大臣なんだから、外務省内の掌握は十分でしょうな。肝心なところは大臣室じゃなくて世田谷区野沢へ直行、あなたはつんぼさじき。そういうことはないでしょうな、日中問題。
  380. 園田直

    国務大臣園田直君) 全くございません。
  381. 秦豊

    ○秦豊君 いま外務省内で何か一種慎重論が台頭しているんじゃありませんか。
  382. 園田直

    国務大臣園田直君) それも全くございません。
  383. 秦豊

    ○秦豊君 総理、あなた、覇権について正面からまともに取り組むということにはためらいと抵抗がおありですか。
  384. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いわゆる覇権条項は日中共同声明で決められておるわけでありますから、これに対して何らの抵抗を感じません。
  385. 秦豊

    ○秦豊君 じゃ、たとえば国連憲章の中の幾つかの条項にそれを仮託するというふうな迂遠な方法はとらない、直面するというふうに理解していいですね。
  386. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これからできる日中平和友好条約、それの中身につきましてはいまここでは申し上げかねる、ひとつお許し願いたいと思います。
  387. 秦豊

    ○秦豊君 じゃ判断としては、総合判断としては、もうブレーキ、阻害要因は全くない、ひたすら前を目指すのみ、こういう時期ですね。
  388. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 日中双方とも、私は、この条約の締結を歓迎しているというふうに認識しております。残るのは、当面、その交渉をいかなるタイミングで、いかなる段取りで始めるか、こういうことになっておると、その辺まだ、それから先になりますと、ちょっと私もここで申し上げるということはいかがであろうかと、かように考えます。
  389. 秦豊

    ○秦豊君 日ソの善隣友好条約の内容はごらんになりましたか。
  390. 園田直

    国務大臣園田直君) 日ソの善隣友好条約のソ連の案は、私とグロムイコ外務大臣と会談中に、私が領土を解決をして平和条約と、こう主張をして議論をしたときに突如と出されたわけでありまして、私は一切の問題は領土問題を解決して平和条約、それから善隣友好、こういうことになっておるからこの条約は受け付けるわけにはいかぬ、検討しない、こう言ってありますから、これは一切検討いたしておりません。総理には後刻報告するつもりでおります。
  391. 秦豊

    ○秦豊君 いや、検討云々を聞いたわけじゃない。見たか見ないかを聞いている。
  392. 園田直

    国務大臣園田直君) 私は見ましたが、私も総理もかぜでございましたので、総理のお許しを得て、モスコー、中近東については総理の時間を見て詳細会談録をもって報告する準備をいたしております。
  393. 秦豊

    ○秦豊君 やがてある特定のマスコミがリークされると思うのだが、その中に、仮に日ソの善隣を阻害する要因があれば日ソ両国は直ちに協議するというふうな項目があるとすれば、それはブレーキの一つになりますか、なり得ますか。
  394. 園田直

    国務大臣園田直君) どのような条件もどのような文句も一切条件になりません。わが方は、一貫して、領土一括返還、そして平和条約、これが終始変わらざる不動の主張でございます。
  395. 秦豊

    ○秦豊君 二月じゅうに佐藤大使がまた帰ってくる。あなたが行くとしても、その後になりますね。
  396. 園田直

    国務大臣園田直君) 佐藤大使が帰ってくる予定はいまのところございません。
  397. 秦豊

    ○秦豊君 やがてアジア局長もかわるでしょう。  台湾にある日本の既得権益ですね、それから資産がどれぐらいあるんですか。平和友好条約の締結との関連はどうですか。
  398. 園田直

    国務大臣園田直君) 台湾には、日本国民の台湾に対する残置財産については、過去において台湾と日本との間に問題の解決のための特別取り決め作成の話し合いが行われないまま、日中国交正常化をやったわけであります。そこで、これはサンフランシスコ条約第四条によって出てくる問題でありますけれども、いまのところ、これは台湾とは国交が切れたことになっておるわけでありますから、台湾との間に話し合いをするわけにはいかない。一方、中国とは、施政権が及んでおりませんから、これも話にならない。しかし、この問題は日中平和条約の締結とは何ら関係がない問題で、日本政府として個々に調査し、処置をしなければならぬ問題であると考えております。
  399. 秦豊

    ○秦豊君 宮澤長官、いまの円相場は安定と見られますか。つかの間の小康と見るべきですか。
  400. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 申し上げるまでもないことでございますが、政府はクリーンフロートという立場をとっております。すなわち、相場は市場に任せようということでございますから、私どもがいまの相場のあり方について意見を申しますことはその原則に反すると思いますので、差し控えさしていただきます。
  401. 秦豊

    ○秦豊君 東京ラウンドに対する政府側の基本的な見解をまとめて伺っておきたい。
  402. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 東京ラウンドに当たりましては、まず、工業製品について、わが国はできるだけ関税率を引き下げることから最大の利益を受ける一つの国であると存じますので、積極的に取り組むべきだと思います。そうして場合によりましてはディーパーカットといったようなことも進んで提言をいたすべきではないかと考えております。  それから農産物につきましては、これはわが国は、ECと同様に、わが国なりのむずかしい問題を持っておりますから、工業製品のようないわゆるフォーミュラによりませんで、各国の間で多角的にやりとりをいたすべきであろう。われわれとしてどうしても守らなければならないものは、これは日本だけではございませんから、ECにも同じ事情がございますから、最小のものはやはり守っていかなければならない。これはやむを得ないことではないかと思います。  いわゆる非関税障壁につきましては、各国とおのおの譲り合って等量程度の改善を行うということではなかろうかと思います。  最後に、セーフガードにつきましては、われわれの立場を最終的には決定をいたしておりませんけれども、ガットの基本精神に反しないようなもので、しかも現行の規定を有効に改める方途があればあえて反対をしないということであるべきではないかと私自身は考えております。
  403. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 秦君、時間が参りました。
  404. 秦豊

    ○秦豊君 はい、これで終わります。  西独では国民がマルク高の恩恵を分かち合っている。日本はほど遠い。経済企画庁はこの数カ月間輸入商品の追跡調査をされたと思うんだが、それを西独、日本の対比で念のために伺っておきたい。絶好の資料だと思います、国民皆さんが判断される。  それから最後に、これは大蔵省に伺っておきたいんですが、IMFの金取引に関する紳士協定がきょうで切れますね。アメリカは更改しない。アメリカはソビエトとの対ソ取引などでは金約款ではないが金の裏づけを考えつつある。法案は通った。それで日本政府は三月末で金取引の自由化をすでに決めていますね。そこで、質問は、福田総理の周辺は、黒字減らしの一環としても、いま九億一千万ドルしかないわが国の金の保有、これを一挙にふやして、たとえば十億ドルの大台以上の金を国際市場から買うことをあるいは考えておられるのではないか。その場合、直接じゃなくて三菱商事などを窓口とした案を練っておられますか。それだけを伺って、さきの資料とあわせて質問を終わりたいと思います。
  405. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 長く申し上げることも御迷惑かと存じますので簡単に申し上げますが、西独とわが国と比べまして、まず第一にかなり顕著に違いますのは、わが国は工業製品の輸入は大体二割見当でございますが、西独は五割を超えておりますので、したがいまして、マルク高あるいは円高というものが西独の場合には最終商品に非常に簡単に反映しやすい、わが国の場合には反映しにくいという問題がございます。  次に、わが国の場合には、したがいまして、まず円高は原材料というところに比較的早く反映をいたします。で、それに大きく依存いたしております消費物資は、したがって、比較的消費者物価にそれが反映されやすい、たとえば灯油でありますとかあるいは電力、ガス料金のごとき。消費物資ではございませんが、配合飼料などもその例でございます。それ以外のものは、やはり原材料の価格下落を通じてそれが最終商品にはね返ってくるという迂回した道をとらざるを得ませんので、西独のように早く消費者物価に反映しないという問題がございます。  それからもう一つは、西独の場合には、マルク高がかなり長い間に起こっておりますので、それが浸透する時間があったと思われますが、わが国の場合にはかなり急激に起こっておりますから、十分に浸透していないという事情もあろうと思います。また、それから、これは物価のことではございませんが、マルク高の場合には、西ドイツの人々は近隣の国に参りまして、マルク高を利用して最終商品を買うことが比較的容易に、御承知のように、できますが、わが国の場合には、そういう近隣の工業国、しかも交通費をほとんど使わずにというような状況にございません、といったようないろいろ事情の違いはございます。が、私どもとしては、もう少し円高というものが消費者物価、最終消費財にまで反映していかなければならないと思って追跡調査をいたしております。八月に一遍いたしまして、ただいま間もなく十二月分が完了いたしますので、やがてその結果をお目にかけることができると思います。  それにいたしましても、西独の物の価格とわが国の物の価格と、為替高による影響をどのぐらいおのおの受けておるかを比較するような資料を政府としては実は持っておりませんで、若干の民間の資料は幾つかの品物について参考のために私ども持っておりますので、お役に立つようでございましたらお目にかけることにいたします。
  406. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) お話しのように、アウトサイドアレンジメントがきょうをもって失効いたします。それから現行のIMF協定、これが間もなく新協定に移ろうとしているわけでございます。また、アメリカでは金約款法が通っております。これらのいずれのあれを見ましても、金廃化の方向がはっきりしたということに国際的に自信を持っているからだと私は考えているのでございます。  ところで、日本の外貨準備の中で金は、おっしゃるように、九億一千万ドル程度でございまして、非常に僅少でございます。しかし、また一方におきまして、金が準備資産として持っておる根強い価値というものもまた事実の問題でございます。将来の方向としては、金廃貨の方向に向かっていることは間違いございません。そういった中で、日本が金に対して一体どうするかということは、日本がこれだけ大きな国力を持っているだけに、きわめて微妙な問題であると思いますので、われわれはこれから慎重に対処してまいるということをいま申し上げられるのが精いっぱいのところでございます。
  407. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 以上で秦君の質疑は終了いたしました。(拍手)  これにて質疑通告者の発言はすべて終了いたしました。昭和五十二年度補正予算三案に対する質疑は終局したものと認めます。     —————————————
  408. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) それでは、これより補正予算三案に対する討論に入ります。  討論の通告がございますので、順次これを許します。なお、御発言の際は賛否を明らかにしてお述べ願います。野田哲君。
  409. 野田哲

    ○野田哲君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました政府提出の昭和五十二年度一般会計補正予算(第2号)、昭和五十二年度特別会計補正予算(特第2号)、昭和五十二年度政府関係機関補正予算(機第2号)の三案に反対の意思を表明し、討論を行います。  反対の第一の理由は、福田内閣は、今日の経済危機を招来した経済政策の失敗に対する政治責任の認識が全くと言っていいほど欠落していることであります。  福田内閣は、昭和五十二年度において六・七%の経済成長と貿易収支の大幅な黒字の削減を公約し、国際的にもロンドンにおける先進国首脳会議においてそのことを公約をしたのであります。ところが、五十二年度経済成長は大きく目標を下回って、五・三%という低率で終わろうとしており、貿易収支についても国際的に大きな不信を招く状態となっております。この一年間の福田内閣の経済政策は常にその判断を誤り、その対策が後手後手に回ったことに対する反省がいささかも表明されておりません。その無責任な政治姿勢こそまず責められなければならないところであります。今日この時期に、このような内容を持った第二次補正予算案を提出しなければならなかったことこそ福田内閣の経済政策の失敗を端的に示しているものと言わざるを得ません。  第二点は、今日の第二次補正予算案の内容を検討すれば明らかなように、政府が景気浮揚のためとか、十五カ月予算で切れ目のない運用によって経済の成長を図ると強弁しても、実質的な追加分は三千数百億円程度しかないのであり、その実体は、政府経済見通しの誤りによる八千数百億円の税収の落ち込みを補てんするための一兆百九十億円の赤字国債の増発が中心となっているものであります。昨年十月の臨時国会の第一次補正で赤字国債を減額して、その後わずか三カ月後にまたそれを同額程度追加するという無定見を私たちは容認することはできません。  第三点は、今回、新たに提案されている決算調整資金制度の問題であります。この制度は、財政の単年度主義と財政民主主義の原則を大きく損なうものであり、赤字決算の責任を回避しようとするもので、将来に大きな問題を残す内容を持っていると言わなければなりません。  第四点は、今次補正予算が依然として公共事業中心となっていることであります。政府が本年度に予定している公共事業は、昭和五十三年度に予定している公共事業費とともに、現に消化不良を起こす状況にあることはすでに明らかであります。今日、緊急を要する政策は、何をおいても中小零細企業の倒産防止、失業者の増大の防止と雇用の拡大など、国民生活の安定策でなければなりません。そのような対策が置き去りにされていることに大きな問題点を感ずるものであります。  第五は、国債に対する依存度がついにリミットとされていた三〇%を超え、昭和五十三年度分を含めると、五十三年度末で国債残高が四十四兆円となり、財政に大きな破綻を示そうとしていることであります。この事態は、政府財政当局の経済政策、財政政策の判断とそれに対する対応策の重大な誤りであり、これまた将来に大きな問題を残すものであります。  以上の諸点から、本補正予算案に反対の意思を表明して、討論を終わります。(拍手)
  410. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 次に、戸塚進也君。
  411. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、ただいま議題となりました昭和五十二年度一般会計補正予算外二件に対し、賛成の意見を申し述べたいと存じます。  賛成の第一の理由は、十五カ月予算という考え方のもとに、公共事業の拡大を図った点であります。  わが国経済は、戦後最大、長期にわたる景気不振に陥っているのみならず、経常収支の大幅黒字は海外から貿易通貨政策に対する厳しい批判を招くに至っております。今日、わが国経済財政政策に求められているものは、景気の着実な回復、雇用不安の解消、経常収支の均衡を図ることにあることは申すまでもないことであります。  石油ショック以後、今日までの不況の原因が、高度経済成長から低成長経済への移行という過程の中で生じた構造不況による需給ギャップにあり、その解消のため、わが党政府では、これまで公共投資を中心とする財政支出や金利水準の引き下げなど、各般の財政金融政策を強力に実施して、景気回復のための需要創出効果の拡大に努めてきたことは御承知のとおりでありますが、昨年十月以降の急激な世界的な円高の影響をまともに受けて、せっかく景気回復基調にあったわが国経済が、構造不況業種や中小企業の経営悪化、雇用不安の増幅、国際収支の大幅黒字を抱えることとなり、景気の足を引っ張るという予期せぬ事態に際会したのであります。  申すまでもなく、経済発展の原動力は民間の経済活動にあります。このためには、まずもって民需を拡大しなければなりません。財政がその主導的役割りを果たすことは当然であり、景気に対し効果のある公共事業の事業規模を拡大することは適切な措置であると思います。私は、政府が八千億円という歳入不足の事態の中で、あえて三〇%を上回る公債を増発し、今回、年度間の切れ目のない公共事業の円滑な執行を図るため十五カ月予算を編成して、五十三年度に向かっての持続的な景気回復という国民的命題に真っ正面からこたえようとする努力はまことに適切な措置と考え、多とするものであります。  第二は、公債依存度が三〇%を超え、三四%となった問題であります。  第二次大戦前の非常事態のときでも三〇%以下であったことを思えば、確かにこの第二次補正後の公債依存度が異常に高いことは事実であります。今回、当年度八千六十億円の税収不足が生じ、この補てん及び第二次補正の追加資金に対処するため、建設公債三千四百七十億円、特例公債一兆百九十億円が追加発行されることとなったのでありますが、今日のわが国の経済情勢ではやむを得ない措置であると存じます。ただ、建設公債は将来における国民の公的資産を造成するものでありますが、特例公債は完全な借金であり、将来世代の負担増をもたらすだけに、財政健全化のために、その依存からできるだけ速やかに脱却するよう財政収支再建に格段の努力を期待いたしたいのであります。  第三は、地方財政の赤字に対し国の責任において補てん措置がなされている点であります。  国とともに、地方財政も、四年続きの巨額の赤字が生じております。今回、国税三税の歳入見込み合算額の減収に伴い、地方交付税交付金が減額されることとなるのでありますが、地方行政が住民生活に直結するという重大な使命にかんがみ、その不足分を立法措置を講じて地方財政の運営に支障を生じないよう国において補てん措置を講じていることは、これまたまことに適切な措置であると思うのであります。  以上、今回の補正予算歳出追加は、公共事業三千六百六十四億円を初め、円高、構造不況による中小企業に対する信用補完制度の強化を図るため中小企業信用保険公庫に対する出資金の増額、並びに予見しがたい税収の減少等によって決算上の不足が生ずる場合に対処するための決算調整資金二千億円の計上が行われており、これらの措置は、体質の弱い中小企業に対する救済措置であり、また、今後の経済情勢の推移に適応した予算であることが十分うかがえ、賛意を表するものであります。  最後に、当面の重要施設に関し、この際、政府のとるべき措置について若干要望いたします。  第一は、景気回復のかぎは公共事業の円滑な執行の成否にかかっております。政府は、公共事業の年度内消化のため、その設計、発注、施行管理等について万全の体制をとるとともに、原材料等建設資材の完全確保及び資材価格の高騰防止のための対応に遺憾なきよう十分措置されたいのであります。  第二は、雇用対策についてでありますが、政府では、これまで雇用政策の思い切った拡大措置や、特定不況業種離職者臨時措置法等により緊急対策を講ぜられているのでありますが、今後も恒常的な失業不安が続くことが予測されることにかんがみ、雇用の新分野を積極的に開拓することは当然ながら、特に不況の谷間で、しかも既存の救済措置の対象とならない不況業種の指定以外のものについても、きめ細かい雇用対策を推進されるよう望みたいのであります。  第三は、百貨店、スーパー等の大型店舗の無秩序な進出は、この不況下で経営の苦しい中小零細小売業者にとって一層の打撃となり、各地で紛争が発生しておりますので、両者の公正な競争秩序の維持を図るため、政府は、大店法の規制強化のため、速やかに見直しを行うとともに、それまでの間、適正な行政指導により調整を図ることを要望いたします。  第四は、農産物の自由化についてでありますが、この問題については、日米経済交渉で一応決着がつきましたが、将来、東京ラウンド等再燃の懸念なしとしません。要は日本農業擁護の方針を貫くことであります。また、米の減反調整政策を今後実行するためには、関係農民の理解と協力が十分得られるよう万全の策をとられることを望むものであります。  最後に、先日の伊豆大島近海地震の被害は予想をはるかに越え、二週間以上を経過する現在も、主要国道や鉄道は通行不能で、関係住民の日常生活は困窮いたし、その早期復旧を望んでおります。自衛隊を初め関係各方面の臨機応変の救援活動には深く感謝いたしておりますが、とりあえず応急措置として、激甚災の指定及びシアン流出対策を速やかに行うとともに、将来の抜本的な防災体制の確立のため、地震特別立法の制定を早急に検討すべきであると思います。  以上、当面の緊急施策に関し政府に強く要望して、私の賛成討論を終わります。(拍手)
  412. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 次に、渡辺武君。
  413. 渡辺武

    ○渡辺武君 私は、日本共産党を代表して、昭和五十二年度第二次補正予算案に反対の討論を行います。  反対の理由の第一は、この補正予算案が公共事業中心の予算であり、とりわけ道路、東北新幹線、電気通信施設など大企業本位の大型プロジェクトを骨格とした予算であるからであります。  政府は、不況克服のためには、これらの大型公共事業を中心として、いわゆる十五カ月予算のもとに切れ目のない執行を図ることが必要で、その第一歩がこの補正予算だと言っております。しかし、すでに景気回復に失敗したことが二度にわたる補正予算の編成という事実によっても証明されている昭和五十二年度当初予算の延長線上のものにほかならない今度の補正予算が、景気対策の上でも確実な効果を持つものでないことは明らかであります。いまこそ長い間高度成長政策の犠牲とされてきた国民生活の改善と生活密着型の公共投資とを重点とした予算を編成し、経済のひずみを是正しつつ景気の回復を図るべきであります。  反対の理由の第二は、現在、不況と円高ショックによる中小企業の倒産の激増、大企業を含めての減量政策を名とする首切り、失業の増大など、国民生活が深刻な事態に直面しているにもかかわらず、この補正予算がその救済に役立つものとなっていないところにあります。補正予算は、政府系中小企業金融公庫などに若干の出資をふやしていますが、全く不十分にすぎません。また、大企業の大量解雇を規制する法的措置も、離職者に対する各種の改善措置の予算的裏づけも、この補正予算では行われていないのであります。  反対の第三の理由は、この補正予算が、赤字公債一兆百九十億円、建設公債三千四百七十億円、合計一兆三千六百六十億円もの公債発行によって財源を賄っていることであります。五十二年度予算公債依存度は、これで実に三四%となります。さらに、特別会計においても、また国鉄、電電公社などの政府関係機関においても、何が何でも景気回復のための投資を推し進めるために借入金を急増させ、地方財政にも実情を無視した公共事業押しつけによって借入金を激増させるという予算となっております。まさに冒険財政であり、将来のインフレと大増税と公共料金引き上げの原因を累増さしている予算と言わなければなりません。  反対の理由の第四は、決算調整資金二千億円の予算繰り入れを行おうとしていることであります。  将来の赤字決算を予定して一般会計の歳入をあらかじめ留保しておくというこの制度は、財政の多年度にわたる調整を行うものであり、財政法の原則である会計年度の独立、健全財政主義の理念を踏みにじり、とめどない放漫財政に道を開くものであります。また、予算についての国会審議権を制限し、財政についての議会主義の原理を侵害するものと言わなければなりません。このような予算案には、たとえ緊急避難などの口実をつけようとも、とうてい賛成することのできないことは当然であります。  以上が、この補正予算案に反対する理由であります。(拍手)
  414. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 次に、太田淳夫君。
  415. 太田淳夫

    太田淳夫君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました昭和五十二年度第二次補正予算三案に賛成の討論を行います。  わが党が本補正三案に賛成するのは、わが国経済の現状が、三月危機を云々されたり、昭和初期の大不況時と比較して論じられることなどでわかるように、今日財政による追加救済策を講ずることが緊急の課題で、ただいたずらに時を過ごしては不況がどろ沼化し、縮小均衡経済に転落しかねないからにほかなりません。たとえ、その責任が福田内閣にあるとしても、経営難や倒産に追い込まれている多くの中小企業、または失業、就職難にあえぐ多数の人々のことを考えると、この緊急事態にこたえることは政治に課せられた責務であり、五十二年度第二次補正は緊急避難的措置として認めざるを得ないのであります。  五十二年度のわが国経済が直面しておる深刻な不況は、本年度の実質経済成長率が二回の補正措置を講じてもなお当初の六・七%から五・三%に下方修正を余儀なくされました。また内需の各項目も、個人消費支出は名目一三・七%から一一・四%、民間設備投資は一二・三%から四分の一の三・〇%、民間住宅も一六・五%から半分以下の七・五%にそれぞれ伸び率の切り下げ修正となっております。その他の指標も、生産の低迷、稼働率の停滞、企業倒産の増加、有効求人倍率の逐月低下等々によって、いまや国民は先行き不安に神経を使い果たし、企業は減量経営に走り、家計は生活防衛に疲れ切っているというのが実情であります。  こうした状態で、景気回復の目途はいまだ立たず、暗く不安な不況のトンネルの出口も見つかってはおりません。まさに不況克服は国の内外からの要請であり、五十二、五十三年の両年度を通じる最大の政治課題であり、この課題解決のためには、五十二年度で残された第四・四半期の景気がこれ以上落ち込むことは絶対に回避しなければならないのであります。なぜなら、この期の経済活動が不活発に終わるようなことになりますと、五十三年度経済成長の発射台が低くなり、国内の不況摩擦の解決は不可能となり、わが国経済は長期にわたり不況と低成長との悪循環に落ち込むことになりかねないからであります。こうした不幸な道を回避するためにも、本年度の景気のこれ以上の後退は絶対に起こしてはなりません。この見地から、わが党は、本年度内における財政による景気刺激の追加措置は緊急にしてやむを得ないものと判断しております。  わが党は、以上のように、非常時、異例との状況判断に立って、次善の策として補正予算に賛成するわけですが、それが直ちに福田内閣の経済政策や運営を是認することではないことは言うまでもありません。したがって、この際、福田内閣の経済運営の誤りを厳しく指摘し、強く反省を求める次第であります。  さきに述べたとおり、政府は、本年度当初経済見通しの大幅修正に追い込まれ、経済運営で大きなそごを来しております。福田内閣は、その原因を九月末からの円レートの急騰にすべてを押しつけ、外的要因による避けがたい事態で、かつ不本意の結果と逃げております。しかし、私どもにしてみれば、かねて懸念をし警戒をしてきた事態であります。すなわち、五十二年度当初予算で、国内需要の拡大、ことに個人消費を喚起するための減税社会保障関係予算等の不十分であることを指摘し、さらに昨年六月の時点で、景気回復のための補正予算編成の必要を要求したにもかかわらず、これを無視して、十月になってようやく事態の深刻さに気がついて、第一次補正を中心とした景気対策をとるに至ったやり方で、対策が後手後手に回った上に、小出しで効果が小さかったことは周知の事実であります。  こうした政府経済運営の失敗が、不況を深刻化させ、経済諸指標の下方修正を余儀なくさせ、さらに内需喚起を怠ったことなどが輸出に吐け口を求める悪循環を招き、円高攻勢を受け、国内不況と円高不況のダブルパンチに見舞われるに至ったことは、篤と反省を願いたいのであります。  福田総理は、五十二年度経済の年とみずから訴え、国民経済のわかる総理のイメージで期待を持たせながら、実際は経済政策不在で、経済悪化の年にしてしまった上に、景気回復時期も、梅雨明け、八月ごろ、総合景気対策で決定打と、次々に後ずさりして、政治不信を高めるばかりか、諸外国の対日不信を増幅させた責任は重大と言わねばなりません。  次に、私どもは、本第二次補正予算に大きな問題点のあることを承知しております。公共事業の追加三千六百六十億円に対し、租税印紙収入の減収八千六十億円、赤字国債の追加発行一兆百九十億円、さらに第一次補正で特例国債一千百二十億円の減額等の経過を見れば、本補正を景気浮揚のための十五ヵ月予算との政府の宣伝にくみすることはできず、実体は歳入見積もり間違いの補てん補正と言わざるを得ません。  また、補正予算に突如計上された決算調整資金についても、財政法の根本理念である財政民主主義、健全財政主義等々の観点から疑問を持たざるを得ないのでありますが、本法案に対する態度は、審議の段階で別途明らかにするつもりであります。  しかしながら、私どもは、そうした問題を知りつつも、さきにるる述べたように、失業、倒産がさらに激増しかねない今日の経済危機を前にして、一人でも一件でも失業や倒産が減ってほしいと願って、不十分とはいえ、本補正を速やかに成立させ、五十三年度には不況のトンネルを抜け、景気浮揚を実現させるという道を選択することこそが国会の期待にこたえるものと確信しております。  政府は、来年度実質経済成長率七%を揚げながら、不況対策が公共事業拡大一本やり、一点集中方式をとっている。この危険性はすでに指摘されているとおりであります。今日の不況克服には、高度成長期と異なり、手段、方法の多様化が不可欠であり、特に個人消費支出の喚起、拡大に力を注がなくては達成不可能なことは五十二年度で証明済みであります。この意味からも、福祉予算の拡充及び所得減税等の実施を中心に、五十三年度予算の修正に前向きに応ずることを強く要求して、私の賛成討論を終わります。(拍手)
  416. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 次に、栗林卓司君。
  417. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 私は、民社党を代表して、昭和五十二年度第二次補正予算三案に対して、賛成の討論を行います。  民社党は、昨年来、内外の経済情勢に照らして、現在総理の言われる臨時異例の措置を直ちに実施する必要性を力説してまいりました。しかし、政府は三〇%の公債依存率にかたくなに固執し、その結果は、施策のおくれとなって円高を招来し、わが国経済を未曽有の危機に直面させるに至りました。そうして当然の結果として、巨額の歳入欠陥が発生し、まさに追い詰められた形で、今年度財政公債依存度は三〇%を突破するに至りました。もっと早く硬直した政策態度を転換していたら、これほど惨めな結果にならなかったと思います。まことに無残きわまりない今年度財政の結末だと言わざるを得ません。政府の深刻な反省を強く求めておきます。  ところで、現在、いわゆる十五カ月予算について、内外の率直な評価は、七%の成長目標の達成が困難だとするものがほとんどであります。その理由として共通しているものは、日本経済の著しい疲弊、なかんずく先行きに対する不安の深さであります。  従来、高度成長期の例に従えば、今回の大幅な財政支出は、必ずや民間設備投資を活発化し、持続的好況に結びつくものでありました。しかし、現在はどうかと言えば、ことしは一九七八年でありますから、あと二、三年で一九八〇年代に到達いたします。原油を中心としたエネルギー需給が供給不足の事態に陥ることも予測されている年代であります。では、その一九八〇年代の初頭に、わが国はどの程度の成長率が国際的に見て許容されるのか、この肝心な点が現在わかっておりません。五%程度との意見もあるのであります。もしそのとおりだとしたら、いま論じられている昭和五十三年度七%という成長率目標にいかなる意味があるのか。七%成長の向こうに、引き続く高水準の成長が期待し得た高度経済成長期のころとは基本的に事情が異なるはずであります。数年後の成長率が最大で五%程度のものしか見込めないとしたら、目先の七%成長をいかに宣伝しようと、それは民間設備投資にとって、また個人消費にとって、何ら魅力のある数字ではありません。  振り返ってみると、日米通商交渉の経緯もあって、七%という数字に過度の興味と関心が集中してまいりました。しかし、現在の緊急課題は、一九八〇年代に至るまでの残された期間に、資源エネルギー問題に対応し得る経済社会体制を確立すること、そのためにあらゆる分野で構造改革を推進することであります。そのためには、雇用問題の解決、産業構造の円滑な転換、あるいは行財政の早期改革のためにも、ある期間、高水準の経済成長が不可欠であります。いま問われている七%成長とは、そのための目標と理解すべきであります。  では、どれぐらいの期間持続することが必要なのか、そしてまた可能なのか、政府は答えを出さなければなりません。すなわち十五カ月なのか、さらに一年を加えた二十七カ月なのか、あるいは三十九カ月なのかであります。そしてこの見通しと、この期間内に政府が行う具体的計画の提示なしには、先行き不安が深い今日、当面の七%成長すら達成が不可能と言わざるを得ません。しかし、この補正予算に関する限り、十五カ月予算であろうと、二十七カ月の広がりで考えようと、その取っかかりの部分である事実に違いはありません。その実施を急ぐべきであります。  以上をもって、賛成の討論を終わります。(拍手)
  418. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) ここで委員長から申し上げます。  次に、柿沢君の討論通告が出ておりますが、これについては理事会で協議いたしましたところ、意見の一致をみるに至りませんでした。そして委員長に一任されております。委員長といたしましては、今回は柿沢君の討論を許します。柿沢君。
  419. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 私は、新自由クラブを代表して、ただいま議題となりました昭和五十二年度補正予算三案に賛成の討論を行おうとするものであります。  賛成の理由は、先ほどの質問で申し上げましたように、本補正予算には、当初予算の見込み違いの修正という後ろ向きの性格があることも事実でありますが、同時に、追加的景気対策、中小企業対策が含まれており、景況の動向が政府見通しにかかわらず依然として低迷し、雇用、生産、企業収益等に好転が見られない現状を見ると、早急にその対応を行う必要があると考えられるからであります。  政府のこれまでの対応が正直に言って後手に回り、心ずしも適切な姿勢が示されなかったことはまことに遺憾であります。われわれは、年度当初から、公債依存度三〇%にこだわらず、積極的な財政政策を講ずべきことを主張してまいりました。さきの第一次補正予算審議に際しても、すでに生じていた円高の状況を踏まえて、公債依存度三〇%にこだわったこれらの措置では不十分であり、早急に第二次補正予算を組むべきであると提案をし、十月末には、当時の園田官房長官に申し入れをしてきた次第であります。  今後は、補正予算の成立後、その、実行に遺憾なきを期し、景気対策に万全を期すことを政府に要望いたしまして、昭和五十二年度補正予算三案に対する賛成の討論を終わります。(拍手)
  420. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 以上をもちまして討論の通告者の発言はすべて終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  昭和五十二年度一般会計補正予算昭和五十二年度特別会計補正予算昭和五十二年度政府関係機関補正予算、以上三案を問題に供します。三案に賛成の方の起立を願います。   〔賛成者起立〕
  421. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 賛成多数と認めます。よって、三案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。(拍手)  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  422. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  423. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) この際、委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。  昭和五十三年度一般会計予算外二案の審査のため、委員派遣を行うことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  424. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 御異議ないと認めます。  つきましては、派遣委員、派遣地、派遣期間等の決定は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  425. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  これにて散会いたします。    午後四時十三分散会