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1978-05-10 第84回国会 参議院 本会議 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年五月十日(水曜日)    午前十時三分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第二十号   昭和五十三年五月十日    午前十時開議  第一 国務大臣報告に関する件(内閣総理大   臣の訪米報告)  第二 特定不況産業安定臨時措置法案内閣提   出、衆議院送付)  第三 国民年金法等の一部を改正する法律案   (内閣提出衆議院送付)  第四 昭和五十二年分所得税特別減税のため   の臨時措置法案衆議院提出)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、鉄道建設審議会委員選挙  以下 議事日程のとおり      ——————————
  2. 安井謙

    議長安井謙君) これより会議を開きます。  この際、欠員中の鉄道建設審議会委員一名の選挙を行います。
  3. 原田立

    原田立君 鉄道建設審議会委員選挙は、その手続を省略し、議長において指名することの動議を提出いたします。
  4. 遠藤要

    遠藤要君 私は、ただいまの原田君の動議に賛成いたします。
  5. 安井謙

    議長安井謙君) 原田君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 安井謙

    議長安井謙君) 御異議ないと認めます。  よって、議長は、鉄道建設審議会委員田代富士男君を指名いたします。      ——————————
  7. 安井謙

    議長安井謙君) 日程第一 国務大臣報告に関する件(内閣総理大臣訪米報告)  内閣総理大臣から発言を求められております。発言を許します。福田内閣総理大臣。    〔国務大臣福田赳夫登壇拍手
  8. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 訪米報告を申し上げます。  さて、私は、カーター大統領との会談のため、四月三十日から五月七日まで米国訪問いたしました。この訪問中、私は、カーター大統領との会談を行ったほか、ワシントンでは、米国議会指導者経済閣僚と懇談しました。また、別途、園田外務大臣バンス国務長官牛場国務大臣ストラウス大使間の個別会談も行われたのであります。さらにニューヨークでは、私は、米財界人と懇談し、また、日本協会外交政策協会共催午さん会に出席いたしまして、日米関係現状及び将来について演説を行いました。これらを通じまして、今回の訪米は、日米友好協力関係の一層の増進に寄与したものと確信いたします。  私の今回の米国訪問は、日米両国が今日の世界に占める地位及び日米関係重要性に照らしまして、両国首脳が少なくとも年一回ぐらいは直接話し合う機会を持ち、現下世界の重要な問題について意見交換し、協議を行うことが望ましいとの基本的考え方に基づいて行われたものであり、差し迫った日米間の懸案ないし個別問題の処理のための交渉、それを行うという性格のものではなかったのであります。いわば日米間の「間断なき対話」の重要な一環であり、今回で十五回目となった日米首脳間の定期協議的な性格を持ったものと申すことができます。  カーター大統領とは、五月三日、ホワイトハウスにおきまして約三時間余にわたり、率直かつ実りの多い意見交換を行いました。会談は、なかんずく、アジアの問題と世界経済情勢中心として行われ、特にこれら二つの分野における日米両国役割り協力のあり方について、じっくりと話し合うことができたのであります。  アジアに関する話し合いにおきましては、私は、カーター大統領に対し、特に世界の平和と安定との関連におけるアジア重要性を強調し、アジア安定確保のための米国理解協力を求めました。これに対しカーター大統領は、米国アジア太平洋地域における立場は不変であり、米国はこの地域に引き続き政治的、軍事的、経済的なプレゼンスを維持する決意を表明したのであります。また、私は、昨年夏の東南アジア諸国歴訪中心とするアジアに対するわが国積極的外交施策について説明するとともに、これとも関連して、わが国としては、経済協力中心としてこれら地域の安定と繁栄寄与する方針であり、開発途上国に対する政府援助を三年間に倍増するとの意向であることを明らかにしました。また、日米両国それぞれの中国、ソ連との関係、及び朝鮮半島の問題につきましても話し合いをいたした次第であります。  現下世界経済情勢につきましては、世界経済が容易ならぬ困難な状態にあり、その安定と拡大のためには、特に日米欧中心とする諸国協調的努力、これが不可欠であることにつき、私と大統領との間で意見一致を見たのであります。そして、この目的のため、日米両国が、それぞれ、また協力して、努力を続けることを確認いたしました。わが国といたしましては、本年度実質経済成長率を七%としてこれを目指し、内需拡大中心とする景気刺激的経済運営を行うことにより、世界経済の安定と拡大寄与する方針であり、特に、現下の最大の問題である過剰な経常黒字の削減のため、長期的かつ短期的両面で所要の措置を講じつつあることを説明いたしました。同時に、わが国のかかる努力成功させるためにも、また、広く世界経済の安定にも、基軸通貨であるドルの安定が不可欠である、このことを特に強調いたしました。これに対し、カーター大統領は、米国としてはドルの信認を維持する決意であり、そのため、インフレの防止、エネルギー対策推進輸出振興策強化努力するとの方針を明らかにいたしております。  また、私とカーター大統領は、保護主義を防遏し、自由貿易体制強化するため、多角的貿易交渉を早期かつ成功裏に妥結させることが肝要であるとのことにつきまして意見一致を見、この目的実現のため、日米両国ともにさらに積極的な役割りを果たすことを確認いたしております。さらに、世界経済の当面する諸問題に有効に対処するため、主要先進諸国協調した行動をとる必要があるとの見地から、七月のボンにおける主要国首脳会議成功が不可欠であり、これを成功させるため、両国協力して努力することを確認いたしております。  また、新エネルギー開発が二十一世紀に向かう人類のビジョンとしてきわめて重要であることにかんがみ、私は、今回の会談におきまして、新エネルギー開発のための日米協力の必要を強調し、特に日米共同してこの問題に具体的に取り組むことを提唱いたしております。  私の今回の米国訪問は、日米双方が「世界のための役割り」、これをいかに推進していくかという問題について、両国首脳の間で親しくひざを交えて話し合ったことに重要な意義があったと思うのであります。  今日の相互依存世界において、国際的な協調と連帯、その必要性はますます強まっております。同時に、わが国国際社会における地位の向上に伴いまして、わが国に対する国際社会期待もまた急速に高まっておるのであります。このような国際環境の中で、国内に見るべき資源を持たないわが日本国といたしまして、自国の生存と発展を確保する道は、進んで世界の平和と繁栄のために協力すること以外にはないと信ずるのであります。私は、このような認識に立ちまして、今後ともわが国の果たすべき「世界のための役割り」の推進のため、積極的に取り組んでまいりたいと信ずる次第でございます。  以上をもって報告を終わります。(拍手
  9. 安井謙

    議長安井謙君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。中西一郎君。    〔中西一郎登壇拍手
  10. 中西一郎

    中西一郎君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、ただいま行われました総理訪米報告に関して、総理ほか関係閣僚に対し、若干の質問を行うものでございます。  今回の訪米に関し、カーター大統領との首脳会談は、一回でしかも短時間であったとか、共同声明が出なかったとかの批判が一部に聞かれますが、私は、このような批判は当を得ないものと考えます。  総理は、当初の予定どおり、約三時間半にわたってカーター大統領会談され、大所高所から「世界のための日米役割り」について有意義な意見交換を行われたと承知しております。  さらに総理は、バンス国務長官とも会談されたほか、ブルメンソール財務長官を初めとする米側主要経済閣僚等十一名とは、宿舎ブレアハウスにおいて、朝食をともにしながら、それこそひざを交えて率直な意見交換をされたとも聞いております。それは、あたかも日米合同経済閣僚懇談会のような情景であり、その際、総理より日本経済運営基本方針日米経済関係の将来の見通しについて明快な説明を得たことを米側出席者はきわめて高く評価したと聞くのであります。このような具体的かつ説得力ある説明背景に、総理保護主義の防遏と自由貿易体制の維持について強い決意を表明されたことは、必ずや米側出席者に深い感銘を与えたものと信ずるものであります。  さらに、総理が今回米国議会に赴かれ、上下両院それぞれの実力者と長時間にわたって親しく懇談されたことは画期的であります。まさに、日米関係がその広がりと深さとを加えつつある証左として、これまた高く評価するものであります。  このように、ワシントン滞在の二日間、総理がそれを十二分に活用され、有意義な活動をされたことがうかがわれるのであります。  ここに、福田総理初め関係閣僚及び同行の議員各位に対し、心からその労をねぎらうものであり、この際、総理及び外務大臣より、このような幅広い接触を通じて感得されたところを踏まえた上、今回の訪米成果について率直な御所感を伺いたいと存じます。  わが国経済競争力の強いものと弱いものの混合経済であります。社会資本も立ちおくれていることもあります。したがって、大国意識とかあるいは国際的責任感国民的合意になりにくい点のあることは否定できません。しかし、相互依存関係を抜きにしては生きていけない国際社会の中で、国力の充実してきましたわが国責任は重く、分相応の国際的な寄与に対する諸外国の期待は大きいと言わなければなりません。  総理に伺いますが、この容易でない国際的寄与と取り組む基本的な総理政治姿勢を明らかにしていただきたいのであります。  ストラウス氏は、アメリカ上院財政委員会国際貿易小委員会で、二月一日、日本側が今年中に経常黒字を五、六十億ドルに減らすと言っていることに悲観的であると言っております。そして、二、三年のうちには何とかなるだろうとも言っておるのであります。そして、貿易障壁システム全般についての解決には八年の経過を要しようと証言しておりますが、他方、昨年末来のアメリカのいら立ちと切迫感は一向に静まりそうもありません。  そこで、今回の日米会談における本年の経済成長率七%と経常収支黒字大幅減決意に対するアメリカ側の反応、そしてアメリカインフレ対策エネルギー法案などに取り組むアメリカ姿勢をどういうふうに受けとめられましたか、総理に伺いたいのであります。  次に、牛場大臣から、ストラウス氏が八年かかると言っております貿易障害全体の問題に関連し、多角的貿易交渉、いわゆる東京ラウンドにつきまして相当厳しいものが予想されますが、これについての今後の見通しを明らかにされたいのであります。  次に、牛肉、オレンジあるいは電算機、自動車、テレビなどについて、近い将来追加要求があるのかないのか。農林物資については話は済んでいると伝えられていますが、いかがでございましょうか、牛場大臣にお伺いいたします。  次に、ドル安対策関連して、まず、日本銀行とニューヨーク連邦準備銀行、大蔵省とアメリカの財務局との間で、国際通貨問題についての情報交換強化の合意がなされたのでありますが、このことについての評価と、アメリカ為替市場に対する介入の消極的な態度に関連しまして、クローリングペッグ、すなわち平価小刻み調整制や、あるいはわが国では宮澤構想などが報ぜられていることについての総理所見を伺いたいのであります。  次に、インフレ対策エネルギー法案などについてのアメリカ側の態度は必ずしも明確でないように見え、わが国ばかりが提案をし、言いわけをしているように受け取れるのでございますが、わが国責任を果たさなければならないことは当然としまして、アメリカ側も、安全保障面で貢献しているからといって、経済面で十分に対応しないでいては、アメリカ自身にとっても好ましくないはずであります。今回の会談を踏まえ、今後もアメリカに対して、その経済をどうするかについて言うべきことははっきり言う姿勢をとっていただきたいのであります。総理大臣いかがでございましょうか。  次に、アジアとの関係について伺います。  在韓米軍の撤退が緩和されたり、米韓合同の演習があるなどの反面、アメリカ第七艦隊が頼りにならないのではないかという現状分析もあります。アメリカアジアヘのかかわりはいささかも日本のなすべきことを軽減するものではなく、防衛面でも経済の面でも、むしろ日本の責務をいまよりも加重するものであると考えるのでありますが、外務大臣の御所見を伺いたいのであります。  なお、日中平和友好条約について、カーター大統領が「成功を祈る」と言ったことは、わが国日中交渉にどういう影響を持っているのか、どういう影響を持たせようとするのか、総理所見を伺いたいのであります。  さらに、通産大臣は、昨年の総理訪問のアフターケアのためASEANを訪れ、多くの成果を上げてこられましたが、諸懸案進行状況について、評価を含めて御所見を明らかにしていただきたいのであります。  次に、ASEANの多くの国々は、多くの農村人口を抱えており、急激な近代化導入の波は、ある面では必要であり、ある面では農村を荒廃させ、安定的な社会構造を壊し、自由と民主主義にとって好ましくない政治勢力が浸透するという危険も持っておるのであります。  総理アメリカ議会人との会合において、わが国としては、農業就業人口が急激に減少するようなことは社会の基盤を損なうことになると言明されたことを高く評価するのでございますが、そういう意味で、これらの国々の社会経済発展計画は、何でも実行すればいいというものではなく、社会基盤の安定に留意しながら農村問題と取り組むことがなければ挫折する危険があるのではないでしょうか。わが国政府開発援助が三年間に倍増されるこの機会に、この点について、援助協力を含め、各国共同プロジェクトチームをつくるなど、その方法について考え直しが必要であると考えますが、外務大臣の御所見を伺いたいのであります。  次に、多年続いていることでありますが、ASEANからのタピオカでん粉輸入量は、同じでん粉関連産業の原料であるコーンの輸入量に比して十分の一以下であります。累積債務解消にも役立つのでありますし、国内産でん粉に打撃を与えない制度は現にございます。タピオカでん粉もその制度に乗せて輸入量拡大を図るべきだと考えますが、至急検討することを要望し、農林大臣の御答弁を求めるものであります。  同じ問題についてでありますが、南北問題という見地から外務大臣、そして通商政策見地から通産大臣、それぞれにおいても検討を煩わしたい。御所見をお願いいたします。  次に、発展途上国に対して、青年海外協力隊員が毎年三百人程度、オイスカ青年が毎年三、四十名程度出かけておりますが、この二つを合わせましても、わが国よりも人口の少ない欧米諸国に比べて零が一つ足りない状況であります。日本青年に奉仕の精神が欠けているのか、政府姿勢に欠けるところがあるのか、一億ドル援助をして二億ドルの利益を持ち帰ると言われますプロジェクトに比べますと、予算の規模は小さいけれども、心と心の触れ合いという点で相手国では大きい評価を得ているこれらの青年活動につきまして、政府援助を三年間で倍増するという計画の中で、画期的な量質両面での予算措置を講ずることはいかがでございましょうか。  なお、同じように、予算としてはわずかなことで済むのでありますが、保健衛生について、たとえば保健婦養成機関の設置、運営、必要な器材の購入等について援助をすることも拡充していただきたいのであります。これらについての外務大臣の御答弁を求めるものであります。  次に、安全保障関連して質問いたします。  まず、アジアに対する日米役割りについてでありますが、日米安保自衛隊も要らないという亡国につながる考え方はこれを排撃しなければならないと同時に、日米安保があるから自衛隊は要らないという甘えの精神構造もまた困りものでございます。そういう意味で、ASEANに対する安全はアメリカ経済日本という日米役割り分担は、そのままにはわが国に当てはまるものではなく、わが国はみずからの防衛についてできる限りの自己努力をすることが日米役割り分担の大きな柱であると考えるのでありますが、外務大臣答弁をお願いいたします。  次に、駐留米軍費用の分担についてであります。アメリカ駐留軍側からの要請に十分こたえていないような印象を受け、国民の大多数は恥ずかしい思いをしているのではないかと思うのでありますが、どう対処しているか、総理の御答弁をいただきたいのであります。  次に、エネルギーと食糧の危機について、安全保障見地から質問をいたします。  最近、WAES、CIA、エクソン等報告書によりますと、一九八五年前後に石油不足世界政治経済の大きな混乱要因になりそうであって、その対策が急がれると言われております。危機感をあおるという意味ではありませんが、潜在的危機に対する無関心もこれまた危険であります。政府としてどう取り組もうとしておられるか。  これに関連して、わが領海、領空侵犯に対する備えについての不安などの例を挙げるまでもなく、わが国危機に対応する能力の欠如が憂えられていることを考え合わせ、事前対策、予知、被害の極限、耐乏と収拾、再建という五段階を踏まえた危機管理が必要であるという見地に立って危機管理センターを設置すべきだという識者の意見もあるのですが、総理、いかがでございましょうか。  先ほどアジアの農業について触れました。アジア開発銀行の報告によりますと、一九八五年ごろにはアジア地域で千五百万トンないし四千万トンの食糧不足が起こると予測しております。そのほか、いろいろな問題が重なりますとどうなるか、どういった危機が来るか。それを回避するための努力と同時に、それに対する対応策も考えておかなければならないと思うのであります。  次に、右にも関連いたしますが、わが国から、世界穀物政策について、食糧輸入国安全保障発展途上国飢餓対策あるいは社会経済発展計画への寄与等を柱にして、新たな提案をしてはどうかということに触れたいのであります。  目下小麦協定が進行中であります。この内容につきまして詳しくは触れませんが、対象数量価格等について、当面の利益よりも長期的な安全保障という見地で解決を図ることについて、外務大臣の御答弁をお願いいたします。  さらに、アラスカ原油の輸入問題についてであります。  南方を経由する石油輸入に対して、北太平洋に新たな航路帯を開き、安定供給源を確保することがかねての懸案になっております。第三国の石油をアメリカに入れるのと引きかえにこれを実現することや、アラスカ開発に伴うファイナンスの問題などについて、今回の日米会談で進展があったと思うのですけれども、シュレジンジャー・エネルギー省長官との会談の経緯について総理にお伺いするものであります。  次に、核燃料再処理問題についてであります。  総理は、核融合について協力協定提案し、太陽エネルギーについて、光合成を含む新しいテーマにつきまして共同研究推進したいと述べられ、カーター大統領はこれに賛意を表したと伝えられておりますが、まさに時宜に適した提案であったし、濃縮ウラン前払い輸入の話にも好意的反応が見られたと伝えられておることも評価するのであります。さて、二年後の核燃料の再処理施設の運転につきましては、今回話し合いが行なわれなかったようでありますが、今後どのように対処するのか、総理の所信を伺いたいのであります。  最後に、この日米会談に引き続く七カ国の首脳会議、そして本年度の円滑な経済運営に対処するには、何よりも政局の安定が肝要であろうと考えます。総理も当然、政局の安定についてその責任を果たすべく万全を期せられることと存ずるのでありますが、世上、次期自民党総裁選挙あるいは衆議院解散について取りざたされている折りから、現在これらについてどのようなお考えであるか、胸の中を明らかにしていただきたいのであります。  日米安全保障条約があるからといって、わが国がみずからを守る意思と能力がなければ、恐らく、危機的状態のもとでアメリカ日本援助するのにちゅうちょするであろうことは、内外幾多の歴史の教えるところでございます。  以上を踏まえ、それぞれ明快に御答弁賜りたいのであります。  いま、わが国が、テーブルの上のごちそうを対前年度七%ふやそうと努力をいたしております。そして、外国からもっと物を買いましょうと言っているのであります。これは内外の期待に沿う本のでありますが、さらに七・五%にしろ、補正予算を早く組めという声もあります。政府努力については、たびたびの言明によって、あらゆる施策を展開し、その実現を期しておられることに信頼を寄せますとともに、テーブルを支えている足にも注意してほしいということを含めて質問を続けてまいりました。政府は、議会協力しつつ、世界日本の平和と安定のために、世界の新秩序建設のために適切な政策展開を行い、国民の信頼にこたえることを切望して、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣福田赳夫登壇拍手
  11. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まず、中西さんが、質問を通じまして、私の訪米を正当に評価していただいたことを心からお礼を申し上げます。(拍手)  と申しますのは、いろいろな見方があるものでありまして、いまお話がありましたが、共同声明が出なかったのはこれはおかしいと——何がおかしいんですか。最近の風潮は、もう首脳外交の時代なんです。首脳が行ったり来たりしておる、その都度都度共同声明を出す、これはもう、少し時代おくれと言ってもいいくらいなものなんであります。何か出さなければならない、そういう事情があるというときにこそ共同声明というものは出します。今後もそういう必要があるときは出しますが、そういう必要のないときには出しませんから、そのとおり御理解を願いたいのであります。  また、会談の時間が短かかった、あれはどうもアメリカから軽くあしらわれたんだなんというようなことを言う人もあるんです。ありますけれども、それはそんな短い時間じゃないんです。首脳会談が三時間余りだというのは、これは相当長い時間なんです。わが国にも諸国からたくさん来訪者はある。私は二回会うことがありますよ。ありまするけれども、一回の時間は一時間とか一時間半ですよ。そういうようなことで、決して三時間半に近い時間というものは短い時間ではないということも御理解を願いたいのであります。  今回の訪米は、中西さんが正当に評価してくださったように、まず、世界経済の安定という局面において、私は、大変な大きな影響のある会談であったと、このように見ておるのであります。  世界経済は、あの五年前の石油ショック、これ以来いまだに混沌としておる。そこへもっていって、昨年の首脳会談、あの会談で申し合わせたことがそのとおりに動いてこなかった。ドイツにいたしましても、アメリカにいたしましても、わが国日本にいたしましても、この経済成長、その目標を実現することができなかった。さらにそれにつけ加えまして、アメリカにおける国際収支の大赤字という問題が出てきたわけであります。また、わが日本におきまして、縮減したい縮減したいといったその黒字が、縮減どころか、百四十億ドルを超えるという大黒字に終わってしまった。  このような問題があって、そういうことも背景となって、この通貨不安問題というものが出てきておる。この通貨不安問題というものを、これを放置しておきますと、これは世界は大混乱になりまするし、それがひとり経済混乱じゃない、政情の混乱にまで発展する大変ゆゆしい問題である。そういう局面におきまして、ともかくアメリカ世界第一の経済大国であります。わが日本は、自由社会におきましてアメリカに次ぐ工業力を持ち得る国である。その二つの国が会談をする、そうして意見の調整を行う、これは世界経済の動きに非常に大きな影響があるわけなんであります。両首脳会談におきましてこの問題が真剣に討議され、そうしてアメリカにおきましては、ドルの減価、その根源になるところのインフレの抑制並びに国際収支の改善、これに努力するということを約束し、わが日本といたしましては黒字減らしに最善を尽くすということを約束をする、こういうことに相なりましたことは、これは私は世界のために非常によかった、このように思う次第でございます。  また、わが国といたしましては、何と申しましても、アジアの一国である。アジアに関心を持つことは当然であります。そのアジアに対する日本考え方、これは世界じゅうのどの国よりも私はよく情勢を見ておる国である、このように考えるのでありますが、その日本の国の考え方というものを、全世界にわたって責任を持つという立場にあるアメリカ大統領によく話すということ、これは大変有意義なことだ。それに対しまして、またアメリカ大統領アメリカ大統領としての御所見を述べる、こういうこと、これは私は、アジアの平和、ひいては世界の平和のために大変重要であったと思うのです。  特に私が強調いたしましたのは、私ども日本の国は、オーストラリア、ニュージーランド、これは資源の関係で大変深い関係があるんだ、この国と仲よくしなきゃならぬことは当然だ、しかし、ASEAN国々、この国々も、ベトナムから米軍が撤退して以来不安な状態が続いておったけれども、最近、事実立ち上がり、その傾向が出てきておる、これをわが日本援助して差し上げる、協力して差し上げる、これは私ども日本の国の責任であると心得て、できる限りの協力をしておるが、また、ASEAN国々などと社会体制の全く変わってしまったインドシナ三国との間に対立、緊張があるということは、これはアジアのために不幸なことだ、何とかしてこの両者の間に対立、緊張のないような状態をつくりたいというための努力日本がしておるんだということを、アメリカにもよく申し上げたわけでありますが、アメリカといたしましては、立場は日本と違う、違うが、日本のその立場は非常に貴重な立場じゃないかと言って評価されましたが、そういうふうに、多少日本アメリカというのは、立場はアジアに対して違うところがあるんです。ありながらも、しかし、理解し合って、その共同のそれぞれの努力をするということは非常に貴重なことである、これも私は一つの成果であったと、こういうふうに思うのであります。  また、さらに、私どもは今日のこの世界だけを論じたわけじゃないんです。これから先々の世界に向かって、日本アメリカというものが協力をしたらずいぶん貴重な役割りができるんじゃないかということにつきましても話し合った。特に、これから先々、二十一世紀を展望いたしましてもそうなんでありまするけれども、石油エネルギーにかわるところの新しい資源の開発、これをそのときになってから話し合いをするならする、努力をするといっても間に合いません。いまから用意しなけりゃならぬ問題だ。そのしなけりゃならぬ問題の最も重要であり、貴重な問題は何かと言うと、まあ私が提案をしたんですが、核融合並びに太陽熱エネルギー開発である。この問題で日米協力しようじゃないか、お互いに、場合によったら金を出し合ってもいいじゃないか、こういうような話をし、大統領も積極的な姿勢を示し、恐らくこれが日米間で今後具体化の方向で詰められることになるであろう。私は、これは世界のために、人類のために大変よかったと、このように考えておるのであります。  成果というようなことを申し上げれば、これは数限りありませんから、これはその辺でとめておきますが、中西さんから、七%成長だ、あるいは経常黒字問題だ、こういうことにつきまして、あなたはどういうふうな対応をしたのかというお話でございまするが、私は、この経済問題につきまして、アメリカに対しまして、これはわが国国際社会における経済政策の姿勢はただ一つ、黒字を大幅に縮減することだと、このように申し上げたんです。  そのためにどういう手段をとるかというと、まず第一に、何といっても経済成長を高いものにしなければならない。七%成長というのはそのために設定された。国内にもそういう要請もあるが、国際社会の立場からはそういうことをにらんでの設定だと。それから、輸出につきましてもずいぶん調整をしておる。アメリカの市民は、日本の自動車を自動車をと言って欲しがっております。しかし、それをもう昨年の輸出台数以上にはふやさないという行政指導をするのだと。また、鉄についてはどうだ。鉄は、トリガープライス法の適用が出てくるわけであります。恐らく、量において一割、二割は減るでしょう。あるいはテレビはどうだと言いますれば、一昨年のピーク時に比べまてことしは台数において三割の減少になる見通しである。船はどうだと。これは造船不況でありまして、注文がそうないのでありまするから、これはもう本当に激減をするわけであります。まあ船はさておき、自動車と鉄とテレビ、この三つだけで対米輸出の四三%を占めるわけであります。それがそういう状況なんです。  それから、その他の商品につきましても、円高が影響いたしまして、輸出は非常に抑制されます。そういうことを考えまするときに、わが国の対米輸出、対世界輸出は、数量においてこれはうんと減るんです。減ります、これは。減るが、さてそれが国際収支の面においてどういうふうにあらわれてくるか。輸出の価格の面においてどういうふうにあらわれてくるかとなると、これはあなた、アメリカの問題ですよと。つまり、アメリカインフレで、わが国から買うところの自動車の値段が、テレビの値段が上がるということになれば、それだけドルによって表示された輸出価格というものは多くなるんですから。したがいまして、日本黒字を大幅に縮小するということを考えておりますが、これにつきましては日本としては最大の努力をしておる。しかし、これが本当に数字となって出てきて、どんな形で出てくるかどうかということは、アメリカの問題ですよ。これはアメリカインフレがどうなるの問題ですよということを、大統領にも、また、経済関係の閣僚にも、上下両院に対しても、あるいは財界人に対しても、特に徹底するように申し上げてきたということを特に皆さんに御報告を申し上げる次第でございます。(拍手)  しかし、輸出だけで事は決まるわけじゃないです。輸入の面につきましてもこれは努力をしなきゃならぬ。しかし、努力の結果は、時間のずれがありまして、この二、三カ月の間に顕著な輸入の増加、そういう傾向となっては出てこないでしょう。そのつなぎを一体どうするかということにつきましては、緊急輸入ということを考えておる。その緊急輸入の詳しい内容も話しましたが、アメリカは、それに対しまして、アメリカのできることは最大の協力をする、ウランの問題などにつきましてもいままではかなり消極的であったんですが、積極的な姿勢が示されたということもまたよかったと、こういうふうに考える次第でございます。  また、私は、それとも関連する問題でありまするが、この会談において、ドルの安定、これにつきまして強くアメリカ努力を求めたわけであります。ドル世界基軸通貨である。この基軸通貨であるところのドルが不安定であるということになれば世界は大混乱になります。大混乱になったその結果、世界は非常に政治的にむずかしい局面を迎える。このドルの安定、これがなければアメリカ自体がまたインフレ化する。そういうことを考えまするときに、ドルの安定に最大の努力を尽くしていただきたいし、その背景といたしまして、アメリカエネルギー政策、これをぜひしっかりやってもらいたい。これは、アメリカはある計画を持っておりまして、いま法案を国会に出しておるんですが、なかなかこれは進まないんです。でありまするので、私は、上下両院におきましては、上下両院の皆さん、陳情いたしますと。ぜひひとつアメリカ政府提案しているこのエネルギー法案を速やかに成立さしてもらいたいと申し上げたほどでありまするが、いずれにいたしましても、アメリカといたしましては、ドルの安定に、これは基軸通貨としての立場におきまして今後さらに一層の努力をし、円とドルとの関係におきましてはいろいろいままではいきさつはありましたけれども、今後は、大蔵省・財務省、または日本銀行・連邦準備銀行、この間において毎日毎日電話で連絡して情報の交換をし、対処方式について相談をするということを約束をいたしました。このことをまた御報告申し上げます。  それから、中西さんから中国問題につきまして触れられましたが、私から、中国問題につきましては、双方が満足し得る状態において速やかに日中平和友好条約を締結したいと、そういう方針でその交渉再開のための環境づくりに努力してきた、まあ努力がようやく実りまして、交渉再開も迫ってきたという時点で尖閣列島の問題が起こってきて、大変私は苦慮しておるんだという話をいたしましたところ、大統領は尖閣列島の問題には触れませんでした。そして、中西さんがおっしゃったように、日中平和友好条約成功をお祈りしますと、こういうような短い言葉でありました。その意味は一体どうかという御質問でございますが、その意味大統領に、その「お祈りします」という意味はどうですかとも聞くわけにもまいりませんが、私といたしましては、重大な外交政策の決定に当たりましては、どこの国といえども友好国の意見は聞くんです、しかし、その友好国の意見に拘束されるという考え方は、これは持っておりません。そういう態度はとりません。友好国の意見を聞いて参考にいたしまするけれども、最終的な結論は、国会の皆さん等にも相談いたしまするが、政府責任を持ってこれを決定すると、このように御理解を願いたいのであります。  駐留軍の軍事費の問題につきましてお尋ねがありましたが、これは全然今回の話し合いの中では出ておりませんです。まあしかし、ドルがあれだけ減価するということになると、アメリカの駐留軍費の負担というもの、これは重くなってきます。ですから、アメリカは、ドル問題と関連いたしまして、駐留軍費の問題というものは頭にはある問題かと思います。しかし、大国アメリカですから、そんなことは口に出しませんが、しかし、そうは申しましても、私ども日本といたしましては、口には出されなかったこの問題ではございまするけれども、安保条約、地位協定、それらの範囲内であることはもちろんでありまするけれども、できるだけの配慮はしなけりゃならぬと私は考えておる次第でございます。  それから、二年後の核燃料処理問題の話が出なかったかという話ですが、これは、話は今回は触れておりません。これは三年目以降の問題になるわけでありまするが、INFCEの検討の結果、またこれから先々のわが国の研究開発の結果等を踏まえまして、日米間で円満に話は決まっていくと、このように考える次第でございます。  今後の政局運営について問うと、こういうような最後の御質問でありましたが、わが国は、世界の中でもとにかく重要な役割りを演ずるわが日本であります。世界で恥ずかしくない行動をとらなきゃならぬ。わが国は平和国家でありまするが、それには徹しなきゃなりませんけれども、軍事面においてそういう世界に貢献できないわが国といたしましては、経済その他の部面において世界にできるだけ貢献をし、世界があっての日本だという考え方で、狭い島国根性じゃない、そういう気持ちで政局に当たっていかなければならない、こういうふうに思いますが、最善を尽くしてまいりたいと申し上げたいと思います。(拍手)    〔国務大臣園田直君登壇拍手
  12. 園田直

    国務大臣(園田直君) 重複を避けてお答えをいたします。  第一は、アジア防衛アメリカ経済日本という御質問でありますが、これは私が言い出した言葉でありまして、総理大統領との会談、私とバンス国務長官との会談においても、こういう問題が出るごとに、総理も私も、日本は特異の憲法を持っておる、この憲法があるから手を出せないのではなくて、われわれは、この憲法こそは、人類の先覚者として、力で物事を解決しない、平和を目指すという誇りある憲法であるから、したがって軍事面においては協力はできません、経済面においてできるだけの協力はいたしますと、こういうことを主張しているわけであります。  また、日本防衛につきましても、会談では一切出ません。上院、下院の懇談中、陸軍大佐上がりの上院議員がおられまして、この方が、日本は自分の自主防衛をもっとやれと言われただけでありまして、その後の記者会見でいろいろ言っておられるようでありますけれども、まあまあ日本でもいろいろあるわけでありますから、あの程度は何らわれわれが考慮すべき問題ではございません。  したがいまして、アジア国々は、ビルマも含んで、自国の安全ということに非常に関心があるわけでありますから、これについてはアメリカ協力をわれわれは期待する、経済面についてはわれわれは一層ASEANの復興、繁栄努力をする、こういうことであります。  日中問題については、総理が言われたとおりでありまして、いやしくも一国の外交をするに当たって、他国から何か言われたからといって、進めるとか、とどまるということはあってはならぬことでありまして、これは既定の方針どおりでありますが、外務大臣として言えば、国内で親子からがたがた言われるときに、他人からしっかりやれと言われれば、心うれしきものでございます。今後余り長引きますと、それぞれよその国からやれとかやるなとか言われると、いかにも日本がよその国の意見を聞いてやっているような印象を国民が持ちますから、そういうことがないように、一日も早くこれが進みますように格別の御援助をお願いする次第であります。  次に、ASEAN国々に対する経済援助の問題でありますが、これは御指摘のとおりであります。第一は、量をふやさなければならぬ。そこで総理は、五カ年間に倍増という計画を立てておられましたが、三年間にこれを倍増するという量的な拡大を図られたわけであります。  なお、この協力につきましては、御指摘のとおり、大きな工場、プロジェクトを誘致をして一挙に何かやろうという考え方は、これは双方反省すべきことでありまして、むしろ、農村あるいは海岸の漁村と、その国の社会基盤を安定させることが大事でありまするから、農村、漁村あるいは一般国民の生活繁栄のためにわれわれは相談をして、こういう方面にもっと努力をする必要があると考えております。  なお、青年技術協力隊は御指摘のとおりでありまして、これはきわめて高い評価を受けておりますから、これはさらに増大する必要があると考えておるわけであります。  大体以上でお答えを終わります。(拍手)    〔国務大臣牛場信彦君登壇拍手
  13. 牛場信彦

    国務大臣(牛場信彦君) 多角的貿易交渉東京ラウンド等につきましての御質問にお答えいたします。  ただいま東京ラウンド関係の主要国、つまり日本アメリカと、それからECでございますが、この間におきましては大体これを七月中に妥結させようということになっておりまして、この間アメリカに参りましたときにも、日米間におきましてぜひひとつこれを七月半ばのボンにおきまする首脳会談のときに大体妥結したという形でもって報告をいたしたいということで意見一致しておる次第でございます。  私は、帰りにまたヨーロッパへ回りまして、HCの連中とも話してまいりましたが、ECの方でもきわめて積極的な考えを持っておりまして、これはぜひひとつ実現しなきゃならないことだと思っておるのでございます。  現在、各国とも、交渉成果拡大均衡を目指して努力しているところでございまして、拡大均衡と申します意味は、たとえば関税の引き下げにつきましては八年間に四〇%下げるという目標を達成しよう、あるいはできたらそれ以上やろうということで努力しているところでございまして、日本は、御承知のとおり、いま非常な貿易収支並びに経常収支におきまして黒字を持っておりますので、そういうこともございまして、先進国のみならず、開発途上国の方からもいろいろ強い期待と希望とが寄せられていることは事実でございます。こういうことは、しかし、日米間というような両国間の問題ではございませんで、多角的貿易交渉の一環としての希望でございます。そのうちには、もちろん日本としましてなかなか受諾困難なものもございますけれども、しかし、現在の立場から申しまして、ぜひ多角的貿易交渉東京ラウンド成功させねばならぬと考えておりますので、今後とも一層の努力をしてまいりたいと考えているところでございます。(拍手)    〔国務大臣河本敏夫君登壇拍手
  14. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) まず、ASEAN問題でございますが、わが国ASEANに対する政策は、昨年の八月、福田総理がマニラで演説をされまして、いわゆる福田三原則というものがございますから、これが基本的な対応策になっております。私の今回のASEAN訪問は、この路線を促進、拡大をすると、こういう使命を帯びまして参ったわけでございます。そして、話し合いをいたしました内容は、双方の基本的な経済政策、それから貿易問題、投資問題、経済協力問題、エネルギー問題、こういう問題につきまして話し合いをいたしました。また、各プロジェクトごとにこれをどう具体化していくかということにつきまして話し合いをいたしましたが、大部分のものは目鼻がついてまいりましたけれども、一部は懸案として残っております。今後解決していかなければならぬと考えます。  なお、今回の訪問を通じて痛感をいたしましたことは、第一に、ASEAN諸国とは間断のない対話の継続が必要である、こういうことを痛感をいたしました。第二点は、単に経済だけではなく、文化、教育、社会、こういう幅広い分野での対話及び協力が必要である、こういうことを痛感をいたした次第でございます。  次に、ASEANとの貿易についての基本的な考えいかん、こういうことでございますが、ASEANとの間には貿易上幾つかの問題がございますが、大略を申し上げますと、日本からのASEAN諸国への輸出は五カ国で約九十億ドルでございます。それから輸入の方は約七十億ドルになっておりますが、そのうち石油関係等のエネルギーが約四十億ドルを占めております。したがいまして、先方の言い分は、エネルギー以外の分野でのASEANからの日本に対する輸出を拡大をしてもらいたい、こういう強い要請がございます。しかしながら、これらの問題を解決するためには二国間だけの話し合いではなかなかむずかしい問題もございます。やはり多国間交渉、ガット、MTNの交渉の場で解決しなければならぬ問題が幾つかあろうと存じます。いずれにいたしましても、この二つのルートを通じまして先方の意向を十分くみ入れまして、貿易関係を前進させることは必要であると痛感をいたします。  それから次の御質問は、石油不足への対応策でありますが、いま御指摘がございましたように、現在の石油の需給関係は非常に安定をいたしております。むしろだぶついておるというのが現状でございます。しかしながら、こういう状態は当然長く続くものではございませんで、一九八五年以降には石油危機が来るであろう、こういうことはいま世界の常識になりつつあるわけでございまして、世界各国とも、それに対応すべく熱心にそれぞれの具体策をいま進めております。わが国といたしましては、石油に対する依存をできるだけ減らしていくということ、そのために、節約ということも大事でありますが、同時に、自主開発、それから備蓄の強化、それから、どうすればわが国が今後石油世界各国から安定的に供給を受けることが可能であるか、こういう問題もやはり対策が必要でございます。それから、同時に、石油にかわるべき代替エネルギーといたしましては、直ちに大きく役立つものは原子力とLNGと石炭でありますが、これに対してどう対応するかということ、それから将来の大きな課題としての新エネルギー開発、こういうものがございますが、こういう幾つかの政策を総合的に進めてまいりまして、エネルギー分野での不安が生じないように万全の策を立てる必要があろうかと存じます。(拍手)    〔国務大臣中川一郎君登壇拍手
  15. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) タピオカでん粉の輸入について御指摘、お尋ねがございましたが、御承知のように、でん粉の輸入は、わが国におけるカンショでん粉、すなわち九州地帯の大事な作物、また北海道におけるバレイショでん粉、北海道の大事な作物、に直接影響をいたしますので、今日までもこの両作物については保護を図ってまいったところでございます。したがいまして、トウモロコシでん粉につきましては、関税割当制度の運用によりまして抱き合わせ販売、こういうことをやってまいりましたし、御指摘のタピオカでん粉等、でん粉そのものの輸入につきましては割当制度でその運用を適正にやってきたつもりでございますが、今後前向きでという御指摘もございますが、この点につきましては、今後の生産事情あるいは需要の動向等を勘案いたしまして、慎重に検討してみたいと存じます。(拍手)     —————————————
  16. 安井謙

    議長安井謙君) 浜本万三君。    〔浜本万三君登壇拍手
  17. 浜本万三

    ○浜本万三君 私は、日本社会党を代表して、福田総理訪米報告に対して、総理並びに関係大臣に若干の質問を行うものであります。  国民は、総理が昨年に引き続き、ことしも訪米するとの報道に接し、経済に行き詰まり、日中は決断できず、成田開港に失敗した福田さんが、一体何のためにアメリカに行くのかという疑問を一様に提起しておりました。いま総理大臣から報告を聞いて、国民の疑問と不安がまさしく的中したものと思います。本当に何のためにアメリカに行ったのか、全く無意味訪問であり、深い失望を痛感した次第であります。  福田総理は、カーター大統領との会談後の記者会見で、大統領の心境について、「友あり遠方より来る、また楽しからずや」とコメントされたようですが、アメリカ大統領が果たしてそうした気持ちだったか、はなはだ疑問と言わざるを得ません。忙しい日程の中に無理やりに割り込まれた大統領にとっては迷惑であったことは確かであります。「窮鳥ふところに入れば猟師もこれを撃たず」との心境で迎えたものと推察されるのであります。  しかし、今回の会談共同声明すら出されなかったことは、日米首脳会談として異例なことであります。気にくわないでしょうが、あえて聞くわけですが、なぜ共同声明を出さなかったのか、出さなかったのはどちらの国の主張であったのか、明らかにしてもらいたいと思います。  私は、今回、昨年の福田総理訪米の際の共同声明会談記事を読み返してみました。当時は、福田新政権発足後であっただけに、カーター新政権にとっても期待の念があり、大統領発言日本に対する注文も迫力であったように思います。それに対し、今回の米国側の態度発言は、問題に真剣に取り組んでいる姿がどうしても見られず、全くおざなりに終始したと言って過言ではありません。こうした失態を招来したのは、そもそも福田総理訪米自体が何ら国民の真の要求に基づいて計画されたものでないという必然の結果ではないでしょうか。「経済の福田」であると自称しながら、その経済政策はことごとく失敗し、日中関係の前進も、その支持基盤からの反乱に遭って決断することができない。政権獲得後一年有余にして何ら見るべき成果を上げていない。これでは秋の自民党総裁選に不利であるとの総理側近の派閥的打算に基づくものであることは、有識者のひとしく指摘している点であります。それは、帰国途中の記者会見での発言が大平幹事長との総裁選問題が中心であったということにも象徴されていることを指摘しなければなりません。  そこで、お聞きしたい第一点は、国民の支持が二〇%程度に低下した総理が、一国を代表して語るどんな資格があり、どんな内容を持って訪米されたかという点であります。昨年の日米共同声明合意した事項を実行していく過程で国民の支持を失ったわけですから、合意事項そのものが誤っていたのか、合意事項の推進方法が誤っていたのか、いずれかであろうと思います。そこで、総理はどういう認識のもとに訪米されたのか、率直に伺いたいと思います。  第二は、アジア太平洋地域でのアメリカの政治的、軍事的、経済的プレゼンスを確認したという点であります。これは、在韓米軍、その他地域の米軍の撤退に反対する立場であり、緊張緩和、平和共存の拡大、民族自決、自主、自立の方向に反するものであります。日本国憲法の定める恒久平和主義をみずから踏みにじるものと思いますが、どうでしょうか。  同時に、現在日本と中華人民共和国との間に進められております日中平和友好条約に盛り込まれようとしている覇権反対の態度にも反するものと思いますが、いかがでしょうか。  今回の会談に際して、アメリカ側総理中心に論じようとしたことに対し、福田総理は、軍事的、政治的側面の論議を引き出そうとしたと伝えられていますが、ベトナムにおいて失敗したアメリカが、国全体として今日反省期に入っておる歴史的段階を無視して、再びアメリカの軍事的行動を求めるがごときは、覇権確保の動きと言わなければなりません。ベトナム参戦の愚を再び繰り返すなと発言すべきであって、アジアにおけるアメリカの覇権確保の行動を是認するようなことがあってはならないと考えます。その点、しかと総理の真の意味を伺いたいと思います。  日中平和友好条約に対し、「御成功を祈る」という言葉を引き出し、喜んでいる態度は漫画的ですらあると思います。むしろ、日本としては、アメリカの中国人民に対する軍事的占領を意味する米台関係について一刻も早く清算をするよう呼びかけるべきものでありまして、これが反覇権の具体的な意味であると考えますが、総理所見を伺いたいと思います。  日中平和友好条約の締結は、国益と世界平和に貢献するものです。条約締結交渉を即刻開始すべきであると思いますが、政府の決断と具体的な日程について、総理並びに外務大臣にお尋ねをいたしたいと思います。  また、近く国連の軍縮特別総会が開かれます。原爆被爆原体験の中から、非核三原則を国是として原水爆廃絶を悲願とする日本国民として、この国連軍縮総会に向かってそのエネルギーを集中すべきときであると考えます。総理国民の悲願をみずからの心とするならば、核問題をエネルギー問題としてカーター大統領と語るという姿勢でなく、この国連軍縮総会に積極的に出席して、核廃絶への具体策を提起すべきであると思いますが、総理所見を伺いたいと思います。  第三に伺いたい点は、防衛分担金の増額や防衛力増強についてであります。  福田総理アメリカアジアでの行動を、アジアの平和、日本の安全のため支持するという立場をとったことは、アメリカ軍の基地の存在は日本のためという論拠を補強し、アメリカ人にとってみれば、その費用を貸本に持てと言うのは当然であります。日本社会党は、日米安保条約や自衛隊の増強はアメリカの反共政策に役立つものであり、日本を戦争に巻き込む要素を大きくするだけだと考えていますが、いまその根本論はさておきまして、仮に政府・官民党が言うように、安保条約が日本の安全に役立つとしても、その負担として、基地の提供、その他十分過ぎるほど日本は負担をしておるのであります。この不況のさなか、これまで以上の分担金の増額や兵器の購入、軍備拡大は、国民感情として許すことができないと思います。アメリカ政府からの公式の要請はないとの官房長官談話が発表されておりますが、いつも後から何か出る現在までの状況を考えますと、これはさらに聞いておきたいと思うのですが、本当に非公式の要請もなかったのでしょうか、正直に答えてほしいと思います。  また、アメリカ議会筋からの発言も伝えられ、その中には、日本の憲法を軽視したり内政干渉めいたものもあったようであります。福田総理としては、これらに対しどのように答え、日本の立場を説明してこられたのか、はっきり答弁をお願いしたい。  また、分担金増額要請は、仮に今後あるとしても拒否するということを、ここで言明されたいと思います。  また、分担金増額の防衛手段として憲法を利用し、一方では、今国会の答弁に見られるように、憲法上からも核兵器まで持てるという反動解釈は、今後厳に慎むように警告をいたしたいと思います。  次に、朝鮮半島の問題についてお尋ねをいたします。  昨年の共同声明において、朝鮮半島における緊張を緩和するため引き続き努力することが意見一致を見たと言われております。南北間の対話の速やかな再開を強く希望したとも述べられておりますが、私は、日本政府がその後こうした点について努力したという事実を不幸にして知らないのであります。日本政府として、どんなことをアメリカに話したのですか。アメリカ側は、国交のない朝鮮民主主義人民共和国との間に、ルーマニア大統領、チトー・ユーゴスラビア大統領を通じて、事態の解決にそれなりに努力をしております。向こうから話すべき内容があったのではないかということを推察しますが、どこまで話し合いが進んでおるのか、その内容を承知されたならば、明らかにしていただきたいと思います。  また、福田総理は、記者会見の際、カーター大統領がこの問題を韓国抜きで話し合うことは一切しないと答えたと得んと話していましたが、カーター大統領発言や行動が、アメリカの利害を考慮する上とはいえ、一応民族自決の原則の上に立った考え方であるのに対し、福田総理発言は、韓国の朴政権の利益を代弁しているとの印象がどうしてもぬぐえないのであります。カーター大統領は金大中氏の釈放のため努力し、また、議会は韓国政権の意向に逆らってまで米韓の腐敗的癒着を是正しようとしていますが、日本政府は、主権を侵害された金大中事件の原状回復を放棄し、竹島の占拠を容認し、日韓黒い霧の疑惑をそのまま放置するなど、韓国の朴政権を絶対視する考え方をとっております。これでは、反共を理由に国内弾圧をしておる政権を説得できないし、また、朝鮮民主主義人民共和国との間に友好関係を築く何らの手がかりも見出せないと思います。これを機会に、朝鮮半島において一つの民族が二つに分かれておる事態を解決し、自主的に、平和裏に統一されるよう努力するため、特定の政権に固執することなく、両国に対して等距離外交の姿勢に転換すべきだと考えますが、福田総理考え方を伺いたいと思います。  また、本日、わが党の飛鳥田委員長以下たくさんの方々が訪朝いたしました。率直な話し合いをすることになっていますが、帰国後、委員長の報告を率直に聞かれまして、今後の朝鮮問題に真剣に対応する決意があるか、お伺いしたいと思います。  次に、日米間にある貿易及び国際収支の不均衡に関連してお尋ねをいたします。  御承知のとおり、昨年初め、景気回復の足取りの遅いことに着目をいたしまして、わが党を初め各野党は、内需を拡大するため二兆円の減税政策を主張したのでありますが、福田総理は、勤倹貯蓄、輸出拡大の政策に狂奔いたしました。アメリカ側は、従前からある日米間の貿易や国際収支の不均衡について大きな懸念を抱いており、昨年の共同声明におきましても、「相互に受け入れうる公正な解決がえられるよう、両国政瞬間で今後とも緊密な協議と協力を行う」としたのは、その不安を一応は抑えて、将来の発言の足がかりを確保することにしたものと言えましょう。ところが、福田総理は一向に政策態度を改めませんでした。このことは、国内景気の回復をおくらしたばかりでなく、アメリカの強力な反発を呼び起こし、矢継ぎ早なドルの対円相場引き下げ、対米輸出に対する規制、農産物の輸入制限撤廃などを呼び起こしたのであります。外圧があるまで政策を転換せず、外圧があると恥も外聞もなく、くるりと転換するというのが自民党のこれまでの伝統的な政策の特徴ですが、それを如実に示したものと言えます。今回の訪米において米国から具体的な要求はなかったとされていますが、それだけに、お約束なさいました七%の成長及び黒字幅縮小の重みは大きいものと考えなければなりません。  そこで、関連する事項を幾つか具体的にお聞きいたします。  昨年度経済成長率見通しは五・三%と推測されています。この成長を支えた要因は、前半においては自動車を中心とする輸出増であり、後半においては、息切れぎみであった公共投資を十五カ月予算等により補強したのが影響したものだと思います。  ところで、最近、五十三年度の七%成長を支える要因が一つ一つ崩れていることを心配いたしております。それは、最近、特に春闘の低額妥結、失業者の増大、預金金利の引き下げ等であります。個人消費支出の伸び一一・九%の実現は不可能と言うべきではないのでしょうか。公共事業費の伸び率は大きいとはいえ、一般会計予算の増加額は一兆一千六百億円、補正後の数字と比較をしますと、四千六百五十億円にすぎないのであります。乗数効果があるとはいえ、基礎産業部門の稼働率が極端に低い現在、成長率への影響は多くは望めないと思います。七彩成長の起爆剤たり得るものがほかに本当にあるのでしょうか。この点は特に率直にお答えを願いたいと思います。  次に、黒字の縮小について伺います。  八十億ドル黒字幅縮小の見通しを示したようでありますが、仮に七彩の経済成長実現するといたしましても、基礎産業の伸びはなく、知識集約的産業の伸びによるものと考えられますが、その場合、輸入増は微々たるものにすぎないはずであります。したがって、八十億ドル黒字幅縮小の実現を図ろうとすれば、勢い輸出減に頼らざるを得ません。仮に八十億ドルのうち六十億ドルを輸出減によるものとすれば、その国内経済に対する影響は、直接的なものだけで一兆三千億円ないし一兆四千億円と見込まれています。この全額は今年度予算の公共事業費の増加額を上回るものであり、それだけで今年度予算における景気対策は吹っ飛んでしまうではございませんか。こうした国内需要への悪影響を減ずるためには、補正予算の早期提出が必要であり、また、その内容としては景気回復に即効性のある減税を中心とすべきであると考えますが、政府として、補正予算の提出時期等につきまして明確な御答弁をいただきたいと思います。  経済問題の最後に、関税貿易一般協定の東京ラウンドの七月決定の問題について、アメリカ側は、首脳会議前にこの問題について決着をつけたいという態度であると伝えられていますが、これに対してどのように対処されるのか、政府の具体策についてお伺いをいたしたいと思います。  最後に、カーター大統領夫妻の訪日要請についてお尋ねをいたします。  アメリカ大統領の来日は、両国の親善関係を強めるためであれば国民はこぞって歓迎するでありましょう。しかし、過去にそうであったように、軍事的あるいは政治的なねらいを込めて招待とかあるいは来日されるということでありますと、問題は別にならざるを得ません。招待の目的は一体何なのでしょうか。また、一つの問題は、招待の主人公はどなたかということでございます。アメリカの国務省周辺は年内の訪日はないと申しております。国民の支持を大きく失った総理大臣が、その時点で主人公を務められることになるとお考えなのでしょうか。  また他方では、総理の帰国を契機に、にわかに九月解散説が流布されておるようでございます。この際、解散問題について総理の真意を明らかにしていただきたいと思うのでございます。  以上諸点につきまして明確な御答弁を求めまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)    〔国務大臣福田赳夫登壇拍手
  18. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 先ほど共同声明を出さなかった理由は申し上げたんですが、またお尋ねがある。首脳外交の時代でありますので、首脳が気軽に行ったり来たりする。その都度共同声明というのは、当節、はやりにはなっておりませんから、その辺を御理解を願いたいのであります。  何の目的のための訪米かと、こういうお話でございますが、これは先ほど私の冒頭の報告で申し上げて明確になっておりますが、日米という両国は、これは特殊の関係の国であります。その両国首脳が年に少なくとも一回ぐらいは会って、そして諸般の問題について話し合っておくということは、相互に非常に私は力強い参考になることであろうと、このように思うので、どうもいまさら何のために行ったんだなんて聞かれると答弁に戸惑うくらいでございます。  また、私が党内的な私の地位を高めるために行ったんじゃないかなんていうようなお話もされましたが、私はそんなけちな考え方は持っておりませんから、これもまともにひとつ御理解のほどをお願い申し上げたいと思うのであります。  それから、日中条約を一体これからどんなふうに進めるのだと、こういうようなお話でございますが、これは、私は考え方はもうずいぶん前から申し上げておるとおり、少しも変わりません。日中双方が満足し得る状態において速やかにこれを締結したい。それで、しかしなかなか環境が熟さない。その環境の成熟のための準備をしてきたのですが、先般御承知のような不幸な事件が起こった。そこで、私も苦慮いたしておるわけでありまするが、それにもかかわりまぜず、私は、私の考え方は変えることをいたしておりません。いままで北京における大使館の職員、また中国政府の職員との接触、これがありましたが、もう少し上の段階の接触、そういうふうに持っていきたいと、こういうふうに考え、逐次私の所信に向かってこの問題を進めてまいりたいと、さように考えておる次第でございます。  その時期は、一体段取りはどうだというお話でございますが、それはまだ確定はいたさない段階でございます。  また、アメリカへ行ってアメリカ大統領その他から米軍の駐留費についての分担金の増額を求められたのではないか、このようなお話がありましたが、これはもう率直に申し上げます。何の要請も出ておりませんのでございます。しかし、いま、先ほど申し上げましたが、ドルが減価した。アメリカの駐留軍費問題は、アメリカとしては頭痛の種であろうと思います。ですから、そういう注文は出ておりませんけれども、私どもは、日本政府といたしましては、安保条約、地位協定、これの範囲内においてはできるだけの配慮をするということが日米安保条約の一方の当事者としての立場であろうと、そのように考えておる次第でございます。  それから、米議会におきましてある上院議員が憲法発言——日本の憲法を改正すべしとの発言をしたというお話ですが、これは、私は全然そういうことは聞いておりません。これは何かの誤解でありましょうと思います。あるいは、私との会談の席でなくて、別の場所でそんなことを言ったのかとも思われますけれども、一々人の国の議員の言動を私は問題にはいたしません。  それから、アジアに対しアメリカの軍事的、経済的プレゼンスを求めるという、そういう私の態度に対しまして御批判がございましたけれども、私は、アジアの一国といたしまして、アジアの安定ということを真剣に考えておるのであります。アジアの安定を考えるときに、いろいろな角度からその方途を講じなけりゃならぬ。軍事的な意味におきまして、わが日本は何ら尽くすことはできないんです。そういう立場の日本といたしますと、これは経済協力、これはもうもとよりわが国の貢献の主軸でなければなりませんけれども、軍事的な協力というものはできません。そういう際に、アメリカがこの地域責任を持つという態度をとってもらうということは、私は、アジアの一国としてわが日本のとるべき態度の当然のことであると、そのようにいま考えておるわけでございます。現に、わが国アジアの一国でありまするけれども、わが国日米安全保障条約を結んでおりまして、わが国の安全の一半をアメリカに依存をしておる、こういう状況であることを御理解願いたいのであります。  国連総会に私自身が出席したらどうだ、こういう御所見でございますが、これは、私にも私の政治日程がいろいろあります。また、私自身がニューヨークまで出ていっての利害得失の問題もあるんです。いろいろ検討いたしまして結論を得ますが、私が行かない場合におきましては、園田外務大臣が私にかわってニューヨークに参ることにいたします。  次に、朝鮮問題についてのお尋ねでございますが、私が、カーター大統領は朝鮮半島の問題は韓国頭越しではいたさない、こういうことを新聞記者に申し上げたんです。それをもって私が韓国の代弁をしたんだというような、私には全く理解のできない御発言でございますけれども、何も代弁ではございません。私は率直、素直にカーター大統領の言葉を伝えた、これにとどまるものであるということを、しかと御了知願いたいのであります。  また、南北朝鮮、これに対して等距離でなければならぬという御所見でございますが、そういうわけにはこれはまいらぬ。大韓民国とはわが国は国交を樹立をいたしておるのであります。朝鮮民主主義人民共和国との間には国交を持たないのでありますが、国交のある国とない国と、その国に同じ立場で接触するというわけにはまいりません。ただ、飛鳥田委員長が北鮮を訪問されるそうでございますが、お帰りになりましたら、お話は承り、施政の参考にいたしたい、このように考える次第でございます。  それから、経済問題に触れられまして、福田政策が失敗した失敗したと、こういうお話でございますが、いま経済面といってもいろいろあるんです。経済成長の側面もあります。あるいは国際収支の側面もあります。あるいは物価の側面もあります。まあそこいらが大事な問題点でありまするけれども、物価を見てごらんなさい。世界一安定したわが日本の物価状態ですよ。これは、何といたしましても、あの石油ショック以来のわが国のとった、わが自由民主党政府のとった経済政策が成功したと、こういうことであります。これはもう世界じゅうが認めておることなんです。認めてないのは、国内の一部の人がそういうことを言うんです。(拍手わが国国際収支、これも非常によ過ぎるんです、これは。その背景には物価の安定ということもありますが、よ過ぎては困るんです。過ぎたるは及ばざるがごとし、そういうこともありまするけれども、その是.正につきましては、先ほど来るる申し上げておりまするとおり、努力してこれが黒字の縮減に努めてまいりたい、このように考えておる次第でございます。  まあ、そういう失敗だ失敗だという前提に立ちまして補正予算を早く組めというようなお話でございますが、いま私どもの見るところでは、経済はかなり順調な動きをしておる、このように見ておるのであります。公共投資の拡大の効果はかなり出てきております。また、在庫調整も順調に進展をいたしておるのであります。生産、出荷、この動きもしっかりいたしておる、こういうような状態であります。私は、まあ何といたしましても、実質七%成長、これはもうぜひ実現をしたい、こういうふうに考えておりますが、まあこれは、その動きに変調が出てくるというようなことになりますれば、そのときそのとき最も適切と思われるところの手段を追加するという考えであります。いま直ちに補正予算を編成するという考え方は持っておりません。  それから、いわゆるガットの東京ラウンド交渉、これはどうか、その状況はどうなっておるかというお話でありますが、今回の日米会談でも出たのですが、これは保護貿易体制を防遏する、これが頭を持ち上げるということを抑える、それにはもう非常にこれは大事な手法と目されておるのでありまして、大体七月のボンにおける首脳会談、その時点ごろまでに大筋、つまり実質的な妥結に持っていきたいと、こういうふうに考えております。これは日米欧、これが中心になって推進しなければなりませんけれども、そのような合意日米欧の間に出ておるのであります。そして、その関係各国はみんないま、オファーという、自分の国の考え方を出しておりますが、それに対しまして、お互いにこれを批判し合っておる、批評し合っておるというのが現状でございますが、私は、いずれ七月のころまでにはそれらのやりとりが決着いたしまして大筋の結論が出ると、こういうふうに考えております。  大統領を招待する意味はどうかというお話でございますが、とにかく日本の国、またアメリカの国、これはもう特別の緊密な国であります。その国の大統領日本に来られて朝野の人々に会う、また日本の風物に接する、そして日本に対する理解を深めるということは、大変これは日米のために、また世界のためにもいいことだと、こういうふうに思う次第でございまして、何ら他意はないのであります。  それに関連いたしまして、その招待者は一体その時点ではどうなるんだ、総辞職、解散の時期はどうなるんだというようなお尋ねでございますが、そのようなことは、いまは一切考えておりません。私は、世界の政治を一体どうするんだ、日本経済をどうするんだと、頭がいっぱいでございます。(拍手)    〔国務大臣園田直君登壇拍手
  19. 園田直

    国務大臣(園田直君) ほとんど総理がお答えになりましたので……。  共同声明について御理解を願いたいことは、共同声明とは、二国間に案件があり、しかも相当の意見の食い違い等があった後、後日の証のために出すのが共同声明でありまして、今日、すべての首脳会議では、二国間の問題よりも、世界をどう動かすか、その世界の中でどうやるかということが主な案件であるのが今日の首脳会議の動向であります。したがって、共同声明等を出してこれに束縛されるよりも、総理大統領が率直に腹を割って忌憚なく論ぜられることが適当であると思い、共同声明は出さないという方針でまいったわけでありますから、御了解を願いたいと思います。  今月末の軍縮総会には、重要な総会でありますから総理がお出ましを願うよう準備はいたしておりますが、もし不都合の場合には外務大臣が出席をいたします。その際、日本は特別の国でありますから、軍縮総会において、被爆洗礼を受けた唯一の国民であり、しかも非核三原則を持ち、誇りある憲法を持っておる日本国の立場を明瞭に世界じゅうに訴え、終局の核廃絶を訴えることは当然であると考えますから、そのような演説をしたいと考えております。  次に、防衛分担金は、総理がおっしゃったとおり、これはもう全然私的にも公的にも出ません。ただ、上院議員の一人が、日本防衛はGNP一と言っておるが〇・九しかないじゃないか、もっとやったらどうだ、こういう質問があっただけでありまして、これについては私の方から使いを差し向けていろいろ説明したら納得されたわけでありますが、ある新聞がインタビューした場合に、ああいうふうに言われたもののようでありまして、ごく一人の議員の私見でありますから、大してこれを気にすることはないと、このように考えております。(拍手)    〔国務大臣宮澤喜一君登壇拍手
  20. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) ただいまの段階で、本年度の実質七%程度の成長をどう考えるかというお尋ねでございました。  このところ、生産も出荷もかなり好調でございまして、連続した毎月上昇を続けております。したがいまして、いっとき問題になりました在庫調整も、私どもの予想どおりの時期に一巡をしたものと考えておるわけでございます。問題は、まさに仰せのように消費の動向でございますが、私ども、消費は家計調査による全国世帯の資料を一番確かなものと考えておるわけでございますが、これが実はかなり統計的におくれておりまして、ただいま二月のところまでしかわかっておりません。それによりますと、昨年の十、十一月は、その前の年の同期同月に対してマイナスでございました。この一月、二月になりまして、かなり大きなプラスが出てきておりますので、ただいまのところは堅調だと考えておるわけでございます。他方でしかし、仰せのような春闘の問題もございました。ただ、私どもそれに対しましては、物価がかなり落ちついておりますので、これは消費者にとってはプラスの材料であると考えますし、景気自体が最悪の段階をどうも過ぎたらしいということが、雇用とか所得面でも消費者にはかなりいい影響を与えるのではないかと思っておりますので、注意を要しますが、消費もどうやら考えていたよりは堅調にいくのではないかというふうに思っておるわけでございすす。したがいまして、ただいまの段階で、七%程度の成長はまずまず軌道に乗っておると判断をいたしております。  なお、その前提になりました昭和五十二年度の五・三%、仰せのとおり、これが前提になっておるわけでありますが、五十二年度につきましては、第四・四半期、ことしの一−三月の国民所得統計が六月になりませんとわかりません。しかし、私の感じでは、ぴちっと五・三%、少なくとも五%の大台に乗せたことは間違いないだろうと見ておりますので、したがいまして、七彩の基礎になりました五十二年度の成長はまずまず政府見通しとそんなに狂った動きはしていないというふうに考えておるわけでございます。(拍手)    〔国務大臣河本敏夫君登壇拍手
  21. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) 貿易問題についてお話がございましたので、お答えをいたします。  まず、日本は貿易立国でありまして、自由貿易の原則をたてまえといたしております。自由貿易の原則による拡大均衡がその基礎の考え方でございます。しかるに、現在は遺憾ながら輸出に制限をしておりまして、これは自由貿易の原則に反するではないかと、こういう声が一部の国から出ております。これは、現在の大幅な黒字を至急に調整をしなければなりませんので、一時的な対策といたしまして、輸出の制限、緊急輸入の拡大、こういうことをやっておりますが、いずれこれらの努力は近く効果を上げるものと考えております。そして、ある程度の貿易収支の均衡が達成され次第、現在の輸出に対する制限は解除したいと考えております。また、この貿易問題を根本的に解決するためには、やはり産業構造の転換が必要であると考えます。今後の産業構造の転換はいかにあるべきかということにつきまして、近く産業構造審議会から答申をいただくことにいたしております。(拍手)    〔国務大臣牛場信彦君登壇拍手
  22. 牛場信彦

    国務大臣(牛場信彦君) 東京ラウンドにつきましては総理から御答弁がございましたが、ちょっとつけ加えさしていただきますれば、今度の交渉は、これは関税の引き下げ等によって貿易の拡大を図るということのほかに、ガットの全体の機構を現代化しまして強化すると、こういう非常に重要な目的を持っておりまして、また、これが非常に時間をとります上、ますます各地でもって保護貿易的な動きが盛んになってまいりますので、できるだけ早く妥結したい。そこで、日本アメリカとECと、期せずして七月の首脳会議の前ぐらいに大体見通しをつけようじゃないかということになったわけでございまして、もう余り時間もございませんので、これからいよいよ最終的かつ一番大事な交渉段階に入る次第でございます。現在のところ、わが国に対しましては、先ほど申しましたが、いろいろな要望が寄せられております。先進国のみならず、ことにASEANとか、そういう発展途上国の方からも要望がございまして、そのうちには、われわれとしましてなかなか困難な問題もございますけれども、わが方の立場からいたしますれば、できるだけひとつ努力をして、この東京ラウンド成功さしたいという考えで努力をいたしてまいりたいと思っております。(拍手)         ─────────────
  23. 安井謙

    議長安井謙君) 矢追秀彦君。    〔矢追秀彦君登壇拍手
  24. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 私は、公明党を代表して、総理訪米報告に対しまして、総理並びに関係閣僚に対し若干の質問を行うものであります。  総理は、今回の訪米に際し、「世界の中の日米役割り」という格調高いテーマを掲げて会談に臨みました。そして、その成果を、会談は大成功であった、世界のために有意義であったと自画自賛をされております。しかし、新聞の見出しを幾つか拾ってみても、「宿題先送りの日米会談」、    〔議長退席、副議長着席〕 「難問、通商、通貨は先送り」、「実り薄かった日米会談」と書かれているように、通貨、通商、防衛など、日米間で山積している深刻な問題については掘り下げた議論はほとんど行われず、したがって共同声明すら出せない、単なる日米首脳テーマ会談と成り下がってしまったのであります。このことは、いままでの総理の御答弁から見ても明らかであります。このことをまず指摘をしておきたいと思います。  以下、順次質問を進めてまいります。  質問の第一は、通貨問題についてであります。  私は、しばしば本院予算委員会で、円高ドル安は米国に大きな責任がある、すなわち、エネルギー法案の未成立や、戦略、民間備蓄のため大量の原油輸入によるドルたれ流し、インフレによるドル価値の低下などを指摘してまいりました。私は、総理に強く、米側に対しドル防衛を要請すべきであると、しばしば主張してまいりました。この間、米国は一向にドル防衛に対し積極的な姿勢を見せず、それどころか、対日貿易収支の赤字を盾に投機攻勢に出て、円は一本調子で上がり続け、ついに一ドル二百二十五円にまでなってしまい、日本の輸出関連業種の多くが大打撃を受けていることは御承知のとおりであります。米国基軸通貨国としての責任すら放棄してしまったかと疑いたくなるような現状であります。今回の首脳会談こそ、ドル防衛米国に迫る絶好のチャンスであったにもかかわらず、どうして総理カーター大統領から積極的なドル防衛の具体策を聞き出すことができなかったのですか。もし聞き出せたと言うならば、テーマではなく、具体的な内容をお答えいただきたい。私は、総理のいままでの御答弁でははなはだ不満であります。  昨日の本院大蔵委員会における総理の御答弁によりますと、日銀と米国の連銀、そして大蔵省と米財務省との間に毎日連絡をとると、こういう約束を取りつけられたという答弁がございましたが、これだけを決めたのでは、はなはだ私は不満足であります。  また総理は、予算委員会での、宮澤構想と言われるいわゆる緩やかなローザ構想についての私の質問の際に、総理は固定相場制論者であることを明言されましたが、今回はこの点についてはお触れになっておりません。しからば、いかにして日米間の通貨の安定をさせるのか、米国と西独との間に取り交わされているような合意のようなものが今回はできなかったのか、この点についてお伺いをしたい。また、この際、宮澤経済企画庁長官の御所見もあわせてお伺いをしておきたいのであります。  質問の第二は、通商問題についてであります。  洪水輸出とも言われる自動車、テレビ、鉄鋼などの輸出に対して台頭している米国の保護貿易主義、また、農産物を初め電算機、フィルムなどにおける米国製品の輸入拡大要請、これら日米間の貿易摩擦は、いま解決せねば将来必ず禍根となることは間違いありません。この点について両首脳の間でどのような議論があったのか、また、今後の対米貿易について、総理通産大臣、対外経済相はどのような見通し対策を持っておられるのか、お伺いをしたい。  次に、日本側が主張してきた七彩成長、経常収支黒字六十億ドルへの圧縮は、年度初めであり、米側にも反論の材料はなかったため、日本側の主張を聞くだけに終わったと言われております。そして、本年後半になってもわが国の対外収支の基調が変わらなければ保護貿易立法に訴えざるを得ないという動きが米国にあります。もし、この国際公約をほごにするようなことがあれば、米国のみならず、EC初め世界じゅうから再び集中砲火を浴び、急激な円高、そして日本製品の締め出しという報復手段がとられることは火を見るより明らかであります。  総理、言葉より実行であります。総理は前科がございます。昨年は総理の国際公約の実現は果たされませんでした。輸出重点型の重化学工業の構造や国際競争力の予想外の強さから判断して、今後、産業構造の転換を初め、どのような施策をもって国際公約を実現するのか、具体的にお答えをいただきたい。  また、今回の会談は、七月にボンで行われる先進国首脳会議の準備会談とも言われております。この会談に臨むには、まず日米東京ラウンド合意を取りつけていきたいというのが政府方針のようでありますが、これについてはどのような進展があったのか、御報告願いたい。さらに、サミットに臨む政府の基本的な方針について具体的にお伺いをしたいのであります。  質問の第三は、核、安保、アジア問題についてであります。  カーター大統領の核政策についてどの程度の話し合いをされたのか。特に私は、日本の国是である非核三原則と平和憲法について米国理解ははなはだ乏しいと指摘せざるを得ません。その理由としては、昨年のウラン再処理工場問題に対する米側の態度、依然として原子力空母ミッドウェーの寄港を初めとする米軍の核持ち込みの疑いが晴れないこと、さらに今回、米国議会を代表する幹部であるロング財政委員長の日本国憲法の改悪発言という危険きわまりない動きなどが挙げられます。総理は、このような米側の態度に対してどのような反論と主張をされ、日本の政策を理解させてきたのか、お伺いをしたい。ロング発言については聞いていないと言われます。また、アメリカの人がどう言ったか私は関知しない、そのような御答弁をされておりますが、それでは納得できません。このような動きが米国議会にあるということは、アメリカ国民にかなりこのような日本国憲法を改悪せよという動きがあると見なければなりません。したがって、これからでも何らかのコメントをすべきであると私は思います。  また、カーター大統領は、SALT交渉を一方で進めながら、一方において新しい殺戮兵器である中性子爆弾を製造し、それを中止しようとしておりません。また、新しいRRR爆弾の研究開発も進められていると聞きます。大変な矛盾であります。平和国家日本総理として、米国に核軍縮を迫り、中性子爆弾などについても製造の中止を要請すべきであったと思います。また、どうして、国連軍縮特別総会への出席を国会であれだけ約束をしながら、どうもいまの御答弁では総理は行かれないような感じがしてなりませんが、核軍縮への総理の意欲を疑わざるを得ません。これらの点について、しかとお答えをいただきたいのであります。  さらに、アジア重要性がますます高まる中で、日本への防衛分担米国は強く迫り、このことから再軍備への要請が厳しくなってくることを私は心から憂うものであります。この点について首脳会談ではどのような議論が闘わされたのか、米国アジア軍事体制にますます日本が組み込まれる心配はないのか、お伺いしたい。  また、日中平和友好条約締結について米国の了解を取りつけた以上、直ちに交渉再開、条約締結へと行動を起こすべきであると思うが、具体的な日程方針をはっきりとこの際伺っておきたいのであります。  質問の第四は、新エネルギー開発のための日米協力についてであります。  総理は、ニューヨークでの演説の中で、核融合と、そして太陽熱エネルギーの共同開発を目指す科学技術協力共同基金の創設を主張されていますが、いままでの御答弁では具体的なものはないように理解せざるを得ません。ただ単なるアドバルーンのように思われます。カーター大統領とはどの程度の話し合いをされたのか、特に核融合開発についてカーター大統領が賛意を表したとするならば、大統領の対日核政策は以前より変更されたやに私は見えますが、今後の具体的な方針をお伺いしたい。  また、けさの新聞では、この核融合開発についてダブレット3の改造計画に共同出資の計画が決まったと伝えられていますが、共同開発は双方とも完全な平和利用の立場を貫けるかどうか、あわせてお答えをいただきたい。  質問の第五は、今後の経済運営についてであります。  最近の経済指標は、在庫調整が進み、生産活動にやや明るさが見えるなど、不況の底離れ傾向を認めるにやぶさかではありません。しかし、個人消費、設備投資などは依然低迷しており、まだら模様のさざ波景気であり、順調な景気回復軌道に乗ったとは言えません。言うなればカンフル注射に支えられた状態であり、五十一年、五十二年の景気回復パターンと非常によく似ております。前回は、公共投資から民間需要へのバトンタッチがうまくいかず、息切れ、中だるみの失敗を繰り返しました。こういった昨年の動きから見ても、経済の自律回復力はなお弱く、五十三年度後半に対しての不安は取り除かれておりません。また、ことしに入ってから政府のやや誇大広告ぎみの景気回復宣言の陰で、総理府発表の五十三年三月の完全失業者は、ここ二十年来最悪の百四十万人に達し、また、有効求人倍率の悪化傾向も改善されておりません。企業倒産は月千五百件台が依然として続いており、造船業界は言うに及ばず、構造不況業種の経営はますます困難になっております。さらに、最近の不況の底離れ傾向も、実は企業の極端な減量経営、生産調整、不況カルテル、価格カルテルなどの、いわば縮小均衡の上に成り立っており、これまでのわが国の景気循環過程とは大変違ってきております。このような私の経済現状認識を、総理経済企画庁長官はどう考えられるのか。今後、大幅減税の実施による個人消費の拡大や民間住宅建設の促進策、生活基盤整備のための公共事業の拡大など、適切な対策の用意があるのかどうか、具体的にお伺いをしたい。  次に、総理が以前からしばしば言われてきた安定成長路線への軟着陸の持論はいかなるものなのでしょうか。縮小均衡を言うのか、また、雇用安定や構造不況業種対策はどうするのか、総理の明確なビジョンをこの際お伺いをしておきたいのであります。  最後に、国民は、生活の安定と福祉の向上、そして世界の平和を強く願っています。総理は、この国民の切なる願いにこたえるべく、政治生命をかけてその任に当たってもらいたい、このことを強く要望して、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣福田赳夫登壇拍手
  25. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) お答え申し上げます。  今回の訪米につきまして、共同声明が出世なかったんだと、会談時間が区切られたんだというような、またまたのお話でございますが、出世なかったんじゃないんです、出さなかったんです。これが、最近の風潮というか、その方がスマートであると、こういうことになっておるわけであります。同時に、会談時間が区切られたんだというようなお話ですが、そうじゃないです。率直に会談の模様を申し上げますと、大体会談の時間が来たようだ——そこでカーター大統領が時計を見たですよ。時計を見まして、「福田さん、まだ二つばかり言いたいことがあるんだが、お許し願えますか」と、こういうようなことであった。決して、値切られた、会談時間が時間を見ながら区切られたんだというようなことでなかったということを、これは申し添えておきます。  ドル防衛につきましては、矢追さんが、かねてこれを日本としては主張すべしということ、これはよく私も承知しております。私はそのような主張を展開をいたしてきたわけであります。ドルの価値が安定されること、これが世界政治のためにいかに重要であるか、これは私といたしましては精いっぱいの言葉を尽くしまして、大統領にも、また閣僚たちにも申し上げたわけでありまして、一体これができなかったら世界が大混乱になってくる。また、いま石油の問題が、その需給の状況から見まして安定しておるんです。その値段が安定しております。しかし、ドルがさらにさらに減価するというようなことになったら一体どうなるのか、また石油価格の暴騰という事態が恐れられるじゃないか、そういうことになったら世界はもう大変な混乱になる、もう、アメリカドル、これはまさに世界基軸通貨であるが、通貨面において基軸であるばかりじゃない、政治面においてもこれは基軸的役割りを持っておるんだと、ぜひひとつ価値維持につきましては努力されたい、ということを言葉をきわめて強調いたしたわけでありますが、大統領におきましても、またその周辺におきましても、最大の努力をするという決意であり、最近また、皆さんがよく御承知のように、アメリカのこの問題に対する態度は変わりつつあります。その初期の段階におきましては、確かにアメリカはおかしいと、非常に私は不満を持っておったんです。そのことも率直に申し上げました。しかし、私は、最近のアメリカドルに対する動きというものは大変改善されてきておる、そしてインフレの阻止、また石油法案の通過、こういうことに全力を挙げておるということを確認をいたし、いささか安心をいたしておる次第でございます。  また、日米間の通貨問題につきまして、ドイツと日本とやり方が違うじゃないかというようなお話ですが、これはもうもとよりで、違うべきものなんです。ドイツは、これは何といっても、ドルに次いで大きな、ポンドとともに国際通貨でありますが、わが日本の円はまだそこまで行ってないんです、残念ながら。そういうこともありますが、それにいたしましても、アメリカでは円・ドル関係には非常に配意をいたし、もうすでに日本アメリカの間にもスワップ協定があるんです。ドイツとの間にもスワップ協定がありましたが、そのスワップの金が切れたものですから、そのスワップの額を増額をするということがありましたけれども、わが日本アメリカとの間のスワップ協定、これはまだ額を増額する必要はないわけでございます。毎日毎日とにかく日本の大蔵省、アメリカの財務省、また日本銀行、アメリカ連邦準備銀行が連絡をとるというようなことですから、これは非常に円の問題につきましても関心を持ち、神経質になっておると、このように御理解願いたいのであります。  それから貿易問題でありますが、これは先ほど来るる申し上げたわけでございます。細かい問題は具体的に牛場・ストラウス会談で決まり、これは共同声明でもこれを発表しておるわけでございまするけれども、これからどういうふうな姿勢で取り組むかということにつきましては、十分私はアメリカ当局と今回話し合ってきたわけでありますが、当面、牛場・ストラウス会談で決められたあの線をお互いに忠実に実行する、それからまた、大きな立場からは七月の首脳会談成功させるということであり、そのために相当精力的な努力をお互いに要する問題は、これはMTN、東京ラウンド交渉成功させるための努力であろうと、こういうふうに存じ、その点について意見一致を見ておるわけであります。  また、先進国首脳会談に臨む方針についてどんなことであったかというお話ですが、それは、先進国では、インフレのない成長、それからエネルギー問題、当面のエネルギー問題、また貿易上の諸問題、国際通貨問題、また、工業国と開発途上国との間の調整の問題、これらの問題について結論を得ようじゃないかということになったわけでありまして、特に保護貿易主義、これは断じて許してはならないということで、両者の意見一致を見た次第でございます。  国連総会に私が出席すべきであると、こういうお話でございますが、これは先ほど申し上げたとおりでありまして、目下その検討中である。私が行かない場合には園田外務大臣が行くと、このように御理解を願います。  それから、日中平和友好条約交渉、これを急げというお話であります。特に、アメリカの了承ができたんだから急げというお話ですが、私は先ほど申し上げたが、アメリカがいいと言ったからやるんだと、そんな考え方は持っておりませんから、その辺は誤解ないようにお願いしたいのであります。  それから、核の問題、これは私は、大統領に対しましても、また閣僚に対しましても、もう強く主張したんです。アメリカ大統領の言うところの核廃絶、核不拡散、この方針について理解を持つ国はわが日本以上の国はあるまいというくらい、わが日本はこの大統領の核政策を支持している。しかし、だからといって核を平和的に利用するというこの問題を阻害してはならない、この二つ考え方は両立し得るはずである、との両立の方向に向かって両者はいろいろ研究、工夫をしようじゃないかということを提案し、先方もそのとおりにいたしましょうということに相なっておるのであります。  また、経済問題に触れられまして、七%成長、経常黒字の大幅縮減の実現、これはなかなかむずかしいんじゃないかというようなお話でございますが、先ほどから申し上げておりまするとおり、七%成長、これは、いまのところはとにかくその路線で日本経済が動いておる。ただ、異変があるという際には、しばしば申し上げているんですが、その時点において最善と思われる方法を追加すると、このような方針でございます。いまそういう措置をとる必要はない。  それから、六十億ドル黒字というのは、これは予算編成に際して政策運営の指標として書いてある数字でありまして、これは国外に別に六十億ということを発表する、そういう趣旨じゃございません。今度の会談の過程におきましても、六十億ドルというのは一切私は申し上げておりません。日本としてはこれだけの努力をします、先ほど申し上げたとおりの努力をするわけなんです、輸出においても、輸入においても。しかも、この円高の影響というものもあるわけなんです。かなり様子は変わってくるんですが、その変わってきた結果、黒字の数字がどうなるかということは、アメリカインフレがこれは決めるんですから、その点は篤と理解をしてもらうように努力をいたしてまいった次第でございます。  最後に、安定成長というのは一体どういう考え方かと。これはもう私が何回も申し上げたわけでありますが、これは、いろんな角度から見ましてつり合った姿で経済発展する、つまり、山あり谷ありというような、そういう行き方もよくない、それから、社会各層に格差が出てくるというような状態もよくない、とにかく均衡のとれた社会実現をするための経済政策、こういうことになるわけであります。石油資源なんかが非常にむずかしい時代になってきた。その時代になればなるほどそのような考え方が求められておると、このように考え、その路線をこの経済運営では推し進めてまいりたいと、このように考えております。(拍手)    〔国務大臣宮澤喜一君登壇拍手
  26. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) ドル基軸通貨であるということ、そしてアメリカには基軸通貨国としての責任があるという点について、かねて、アメリカの大衆はもとより、指導者の認識が不十分であるということは、私も矢追議員が言われますと同じように感じておりました。ことに、このことは昨年の九月、十月ごろの時期には非常に強く私ども感じたところでございます。その間、わが国は、昨年の秋と、ことしの二月中旬からと、二度非常な円高に見舞われたわけでございますが、そのような相手国が非常に迷惑を受けているということについて、アメリカに十分の認識なり意識がないということが問題であったと私は思っておりました。したがいまして、この点については矢追議員も委員会においてしばしばお尋ねでございましたし、そのようなことを申し上げておりました。  先ほど総理のお答えもございましたが、幸いにして、その後アメリカとしてもかなりこの点は、少なくとも指導者はわかってきたように思いますし、今回また総理から強くそのことをお話しになったことでございますので、ある程度この問題についての認識ははっきりしてきたと思っておるわけでございます。  ただ、今日の状況において、いわゆる固定相場ということは可能であるとは思えませんので、したがって、フロートというものを成功させるのにはお互いの共通の努力が必要だというような物の考え方を、この七月のボンの先進国首脳会議を通じて、そのような認識がもっともっと出てくることを私としては希望いたしますし、また、そういうふうに動いていくのではないかと思っておるわけでございます。  それから七%成長の問題は、先ほどすでに御説明を申し上げました。その部分は省略いたしますが、矢追議員の御指摘は、この辺まではうまくいったのは昨年もそうであったので、この辺からこれがうまく民間の経済活動に結びつかない、そういうパターンが昨年もあったではないかとおっしゃっておられるわけであります。で、私どもは、在庫調整などが一巡しているということ等々から、昨年のようなことにはなるまいと思ってはおりますけれども、しかし、そういうパターンが確かに昨年ございましたから、前車の轍を踏むなよという御注意は、まことに時宜にかなった御指摘であると思います。したがって、よく注意をいたしまして、もし軌道が外れそうなときには、この政府努力の腰が折れないような措置を迅速にいたさなければならないというふうに思います。が、幸い、公共事業予備費を初め、いろいろな手段も予算が持っております。ただいまのととろ、そういうことは必要であるとは存じませんけれども、しかし、もしそのようなことが徴候として見えますときには、機を失せずにその措置をとらなければならない。御指摘の点は十分注意をいたしてまいります。(拍手)    〔国務大臣河本敏夫君登壇拍手
  27. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) 日米貿易の不均衡をどうするかということでございます。これまで何回かお話がございましたが、整理するという意味において重ねて若干申し上げてみたいと思います。  現在、非常に大きな日本側黒字が出ておりますが、基本的にはこれをある程度調整するという考え方でございます。  まず、一番の基本の考え方は、内需の拡大によりまして輸入力を増大をしていくという、これが一番の基本でございますが、これには若干の時間が必要だと思います。そこで、東京ラウンドでいま市場の開放措置について相談をいたしておりますが、私どもといたしましては、このガット東京ラウンド予定どおり七月には成功することを強く期待をいたしております。  それから、先般日本から買い付けミッションが行きまして、相当額の予約をいたしました。これを至急に具体化するという課題がございます。これを予定どおり進めてまいりたいと思います。  それから、昨年の九月から日米両国の間に貿易円滑化委員会というものをつくりまして、両国の貿易をどうすれば円滑に進めることができるかということについて適宜会合を開いておりますが、この制度を、この仕組みをもっと活発に活用してまいりたいと存じております。なお、このほか、アメリカ側日本に対する輸出、これに対してわれわれといたしましても一層の努力期待をいたすものでございます。  それから同時に、大変残念な話でありますけれども、当分の間、主要な品目について数量が激増しないように行政指導をしております。これはしばらくの間続けてまいるつもりでございます。  以上、いろいろ考えられることがございますが、そういうものを総合的に並行して進めながら、現在の大幅な不均衡というものを至急に是正していきたいと考えておる次第でございます。    〔国務大臣牛場信彦君登壇拍手
  28. 牛場信彦

    国務大臣(牛場信彦君) 各大臣からそれぞれ御答弁がありましたので、私の申すことはほとんどないんでございますが、日米の貿易の不均衡ということは、そう長い間のことではないんでございまして、一九七五年にはこれは十七億ドルだったわけでございます。ところが、七六年に五十三億ドル、七七年に八十一億ドルと非常にふえたわけでございまして、これは明らかに日米間の景気のすれ違いということが大きな原因になっておるわけでございます。七五年にはアメリカはマイナス成長だったものが、七六年には一挙に六%成長になりまして、七七年も引き続き大体五彩程度の順調な成長を続けてまいった。日本の方はどうも余り景気がよくないということで、こういう現象が起こった。これに引き続きまして円高の現象がありまして、円高に伴って起こるリーズ・アンド・ラグズという現象が、われわれが考えていたよりよほど強かったということじゃないかと思うのであります。したがいまして、この二つの点が直ってまいれば——直るということは、つまり日本内需拡大による景気振興と、それからアメリカ努力、主としてアメリカ努力によるドルの安定ということが実現しますれば、こういう傾向というのは、あるいは非常に早くまた変わってくるんじゃないかという期待も持てるんではないかと考えておるのであります。  それから、アメリカ保護主義につきましていろいろ御心配があると思いますが、カーター政府というものがあくまで自由主義で行くという信念を持っております。ことにこれは大統領の非常に強い信念であるということは、これは私ども今回参ってもまた確認してまいったところでございまして、アメリカ保護主義と申しますのは、結局議会方面、それから労働組合あたりが震源地であるということなんでございまして、これに対して大統領は極力防戦に努めておるというのが現状だと申していいと思うのであります。したがいまして、われわれの態度としましては、そういう大統領努力をできるだけ助けるような措置をとっていくということが必要だと思うのであります。もちろん、これにはアメリカ自身努力が必要である。これはもう総理アメリカ側に指摘されましたとおり、石油の輸入の削減でありますとか、それからインフレ対策、それから輸出振興、これはもうぜひやってもらわなけりゃならないことでありますが、わが方としましては、とにかくまず東京ラウンド、いわゆる多角的な貿易交渉、これを成功させるという点におきましてアメリカ協力してこれを進める。これがまあ一番、私の考えといたしましては、現在のアメリカの中における保護主義の台頭を抑えるに有効な手段であると考えておりまして、そのように努力してまいりたいと思っております。(拍手)    〔国務大臣園田直君登壇拍手
  29. 園田直

    国務大臣(園田直君) 簡単にお答えをいたします。  まず、非核三原則、それから平和憲法の精神については、各種会談及びニューヨークの演説等、折に触れて総理はこれを主張し、周知徹底を図っておられました。  次に、ロング委員長の発言問題でありますが、これはグレン議員のことでありまして、しばしば申し上げるとおり、防衛費あるいは日本防衛についての発言ではなくて、日本自体の国防費と申しますか、自衛隊の費用の予算がGNPの一%にいってないじゃないか、足らぬじゃないかと、こういう発言があったわけでありますが、その後私どもは、特に注意をいたしまして、係官を差し向けて、間違いがありてはならぬと思い、日本防衛費の予算の問題及び米軍駐留費の問題についても詳しく説明をして理解を求めておきました。ドイツと日本と比べて、駐留費は、兵力はドイツが二倍、日本の方は半分、にもかかわらず、出している分掛金というのは日本はこの半分以上に匹敵することをやっておる。しかも、この駐留費は簡単に政府間でできるものではなくて、これは、日米合同委員会で協議をし、その協議の結果、決められた地位協定の中でやるべきことであって、この地位協定は国会の承認を必要とする。そこで、そのように簡単にはまいらぬわけであります。こういう説明をしておいたわけでありますが、その後、新聞記者のインタビューにおいては相当強く言われたようでありますが、あれはわれわれには何にもございません。  なお、いろいろな御質問の中に、日本がだんだん防衛費をふやしていって再軍備するということを心配して、アメリカはそういう話はなかったか——全然ございません。これは、ASEANにおける福田総理の三原則——軍事大国にはならぬ、軍事脅威を与えない、これは強く、それぞれの国もありますが、米国も支持しているところでありまして、日本アジアの安定のために、まず自分の防衛だけは自分でやれ、こういうことは言いますけれども、それ以上に、軍備を拡大をして軍事大国になるということは、ASEAN国々アメリカの国もそれは望んでおらぬわけでありまして、そういうものを持たしたら何をやるかわからぬという心配の方がまだ多いわけでありますから、この点は特にお答えを申しておきます。
  30. 加瀬完

    ○副議長(加瀬完君) 答弁の補足があります。福田内閣総理大臣。    〔国務大臣福田赳夫登壇
  31. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 核融合のことで答弁漏れがありましたのでお答え申し上げますが、私、カーター大統領に対しまして、これは日本といたしますと、世界の平和維持、もとより日本といたしますと、軍事、軍備なんというもののない世界を望んでおるんだ、しかし、そういう時代がすぐ来るとも限らない、当分の間、軍事力というものが世界の秩序を維持するという大きな役割りをなすわけでありますけれども、わが日本は残念ながらその面で協力することはできない、他の面で何とか協力をしたいということを考えておるんだ、その一つが対外経済協力という問題である、特にアジア諸国についての問題は重点を置いて考えてまいりたいということを申し、それからもう一つは、まあ当面の問題というよりは、長い人類のエネルギーの問題、この問題について協力したらどうだろうと。アメリカは幸い強大な経済力を持っておるし、また技術能力も持っておる。わが日本アメリカに次いで強い経済力と、また強い技術力を持つようになってきた。この両国が共同する、そうしてその協力のもとに、石油時代がむずかしくなる、そういう時代の新しいエネルギー開発ということに協力をするということになれば、これは本当に世界人類のためにいいことをしたなと言って評価されるようなことになるんじゃないかという話をしたんです。カーター大統領は本当にひざを乗り出してきましたよ。そういうお考えですかと、こういうことで。  それから私、東京に帰りまして、そして向こうの反応を聞いておりますと、確かに、大統領は周辺に対しまして、この問題の検討を指示しておるようであります。この問題は、そういうアイデアを交換をしたという程度のものでありまして、まだ具体化はされておりません。おりませんけれども、これはいずれだんだんと大きな両国間の問題、また、両国ばかりじゃない、一緒にやろうという国が大変出てくるかもしらぬ。国際社会において非常に大きな問題になってくるということであろうということを申し上げてお答えといたします。(拍手
  32. 加瀬完

    ○副議長(加瀬完君) 河本通商産業大臣。    〔国務大臣河本敏夫君登壇拍手
  33. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) エネルギー問題について私からも補足をいたします。  現在の政府の基本的なエネルギー政策は、当分の間は石油中心に進めておるわけでございますが、この石油に対する政策といたしましては、開発、節約、備蓄が中心でございます。しかしながら、昭和六十年——一九八五年ごろには石油が相当危機が来るのではないかと、こういう予測もございます。そこで、それにかわるべきものといたしましてLNGあるいは原子力、石炭、こういうものを重視して進めておりますが、特に原子力発電のうち、高速増殖炉の開発につきましては、いま日本といたしましては全力を挙げておるところでございます。しかしながら、いずれにいたしましても、これらは無限のエネルギーというわけにはまいりませんので、やはり人類にとりまして無限のエネルギー開発することが必要でございます。無限のエネルギーとは何ぞやと言いますと、それがすなわち核融合開発であり、さらにまた太陽エネルギー開発でございます。現在、日本といたしましてもこれらの開発に対しましては相当な投資を毎年いたしております。特に太陽エネルギーにつきましては、昭和六十年を目標といたしまして、小規模ではありますけれども、太陽エネルギー発電というものをつくり上げたいということでいま準備を進めております。  いずれにいたしましても、この二つの目標に対しまして、今回カーター大統領福田総理との間に、日米協力してこれを二十一世紀の最大の課題として取り組んでいこうではないかと、こういう合意ができたということは、これは非常に高く評価すべき点だと思います。日本といたしましては、この線に沿って、どう具体化するかということについて至急詰める必要があろうかと存じます。(拍手)     —————————————
  34. 加瀬完

    ○副議長(加瀬完君) 上田耕一郎君。    〔上田耕一郎君登壇拍手
  35. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 私は、日本共産党を代表して、総理訪米報告について質問いたします。  この三十年近い期間に十数回も行われた日米首脳会談は、参勤交代という別名にふさわしい対米従属外交の場となってきました。今回も例外ではありません。日本側が軍事、経済二つの分野で、危険な重荷を背負って帰国した疑惑はますます深くなっております。  第一は、アジアの平和と日本の安全に関する問題であります。  総理は、会談で、アメリカアジアにおけるプレゼンスを要望したとのことです。その際、あなたは、アジア離れに対する東南アジア諸国の不安に口をかりたようですが、問題が在韓米地上軍撤退を焦点としている以上、実はこれは韓国の朴政権の代弁を行ったものではなかったのですか。しかも、朝鮮の自主的平和的統一や、台湾問題の解決を妨げているものは何かを見ても、あのベトナム侵略戦争、なかんずく安保条約下の日本の現実を見ても、アジアの平和を脅かし、諸民族の自決権に介入している元凶は、まさに米軍のプレゼンスではありませんか。一体総理は、アメリカアジアに対する介入と干渉の永久化、米軍の日本駐留という屈辱的事態の永久化を望んでいるのですか。  この点でさらに重大な問題は、あなたが、「世界のための日米」といった流行歌めいたスローガンを口にしつつ、このアメリカの干渉計画に対する積極的な加担と危険な分担をも約束してきたのではないかという疑惑です。なぜなら、福田総理は、ニューヨーク演説でも、日米安保条約を初めて日米両国間の全面的な提携関係を象徴するものとして特徴づけたからであります。  また、総理が歓迎を表明したブレジンスキー大統領補佐官の四月二十七日の演説は、むき出しに次のように述べているからです。いわく、自衛能力を着実に向上させつつある日本との同盟関係は、東アジアにおける米国の立場を安定させるいかりの役目を果たし、太平洋地域でのわれわれの戦略的、政治的影響力の範囲を拡大していると。安保の全面的提携とはどのような軍事分担拡大意味するのか。安保条約第二条のことだなどという逃げ口上はやめて、総理の真意を伺いたい。  ブレジンスキー演説は、朝鮮などへの迅速な再展開に使える世界的な即応戦力の創設を初めて明らかにしましたが、その説明が、いずれかの場であったのでしょうか。十万から十五万人というこの新機動部隊構想とも密接に関連しますが、朝鮮有事の際の日本の基地の使用や日米共同作戦について協議が行われたのかどうか、あった場合、その内容は何だったのか。  議題から取り下げられたという米軍駐留費分担問題は、では実務レベルでどのような協議が進んでいるのか。総理並びに外相に、これらの問題の真相を明らかにされるよう私は強く求めるものであります。  さらに、新聞報道によると、日本側は日中条約推進の根拠の一つとして、中国が再び安保反対となれば、国内で安保条約の安定がなくなることを挙げたと言います。このような説明は国会では一度も行われておりません。国権の最高機関には隠したまま、アメリカ側に真意を述べるとは重大問題であります。その責任総理に問うとともに、改めて、日中平和友好条約日米安保条約との関係について責任ある答弁を求めます。  さて、総理アメリカで、軍事大国にはならないという決意を表明しました。それならば、なぜ福田内閣は、今国会で、現憲法下で防衛的なら核兵器もCBR兵器も持てるとか、自衛力の限界は相対的だなどと強調し始めたのですか。なぜ爆撃照準装置付F15を採用し、日米防衛協力小委員会で日米共同作戦のガイドラインづくりを進め、核空母ミッドウェーを海上自衛隊が護衛する対潜合同訓練まで行うのですか。対米従属の軍事大国化に向かう大またの一歩一歩以外の何物でもありません。私は、日本が再び軍事大国にならない保障は、憲法の平和条項の完全実施と、非核三原則の法制化にあり、より根本的には、日米安保条約廃棄と、いかなる軍事同盟にも入らない非同盟中立化にあることを強調するものであります。  第二は、経済問題をめぐる日米関係についてであります。  ニューヨーク演説で総理が歓迎を表明したもう一つの演説で、二月二日、マンスフィールド駐日米大使は、一月の牛場・ストラウス共同声明について、アメリカにとって成果と呼び、日本がとった措置を率直にも「真の犠牲」、「大きな政治的リスクを伴うもの」と評価しています。総理は、今回の会談で、さらに新たな真の犠牲を引き受けてきたのではありませんか。  まず、円高・ドル安問題であります。  出発前の記者会見で、総理は、通貨不安の最大の根源は米国国際収支の大赤字だと述べましたが、牛場・ストラウス共同声明でただ一つ約束された石油輸入削減さえ、まだ実現していないではありませんか。しかるに、総理アメリカ方針評価しただけで、赤字解消に真に必要な対策を毅然として要求しなかったのは、どういう理由ですか。アメリカ国内にも、海外に流出した過剰ドルを保有金などで回収せよという見解があります。総理は、アメリカ側が示した今回の対策程度で本当に実効が上がると考えているのですか。  一方、福田総理は、日本の対米黒字減らし達成を改めて確約し、ホワイトハウスはこれを最大の成果と見ています。その具体的な中身は、七%成長達成の再約束であり、対米輸出制限と新たな緊急輸入等々であり、これらは国民が求める円高打開の方向を踏みにじるものにほかなりません。  特に米側の市場開放要求は重大であります。ストラウス代表は、閣僚朝食会や牛場対外経済相との会談で、牛肉やオレンジを中心とする農産物、コンピューターの輸入増加、関心品目の関税大幅引き下げなどを迫ったと報道されています。五月末にロサンゼルスで開かれる日米貿易交渉で、こうした要求にどう対処するつもりなのですか。わが国の残存輸入制限品目は、二十七品目中二十二品目が農産物であり、これを外せば、日本農業への重大な打撃は必至です。訪米報告に言う保護主義の防遏とは、これ以上の農産物自由化を進めることなのか、総理の明確な答弁を求めます。  最後に、七月の先進国首脳会議の問題ですが、たとえばアメリカドルたれ流しには、各国とも抗議や改善要求を出しております。日本政府が、そうした態度さえとらず、卑屈な日米協力なるものをとり続ける限り、この会議もまた日本国民に、より大きな犠牲が転嫁される機会になることを予言せざるを得ません。この会議に臨む政府方針についてお答えいただきたい。  いま国民が求めているものは、福田内閣が推し進めているのとは正反対のもの、すなわち、真に平和と安全を目指す自主外交と、平等互恵の経済外交、国民本位の円高不況克服政策であることを強調して、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣福田赳夫登壇拍手
  36. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) お答え申し上げます。  上田さんの御質問の中での御意見を通じて、こう私感じるんですが、どうも、私ども首脳が海外へ行って会談をする、そうすると、みやげは何だ、引き受けてきた荷物は何だと、そういう感じがまだふんぷんとするわけでございますが、もうこれはそんな時代じゃないんです。わが日本アメリカとの間に対等の立場で、世界のためにこの平和と繁栄を論じておるわけでありまして、決して何かみやげを持っていく、何か荷物を押しつけられてくる、そんなような小さなスケールの会談ではなかったということを冒頭まず申し上げておきたいのであります。(拍手)  具体的には、私のアジアにおけるアメリカのプレゼンス要望、これは、東南アジア諸国アメリカアジア離れ不安を口実といたしまして、在韓米地上軍撤退をめぐる朴政権、その立場を代弁したんじゃないか、こういうようなお話でございますが、まあいろいろ見方はあるもんだなあという感じがいたしますが、朴政権の代弁者では私はありませんから、はっきり御理解のほどをお願い申し上げたいのであります。  なお、日中条約推進の根拠の一つとして安保の安定を挙げたと言われておるが、国会でかかる説明がなかったが、おかしいじゃないかというようなお話ですが、今回の会談におきまして、安保条約と日中問題の関連の話というのは一切出ておりませんから、何かのお聞き違いであろうかと思います。日米安保条約と日中問題は、これは両者の間に何らの関係もございません。  それから、軍事大国にならないということを言いながら、防衛的な意味である限り、核兵器だとか、CBR兵器を持てるという行き方はおかしいじゃないか、矛盾しているじゃないかというお話でございますが、これはもう何回も説明しているのです。憲法の解釈と政策の運用というものを混同しているお話である、こういうことなんであります。政府は、憲法解釈といたしまして、自衛のための必要最小限度の範囲内の実力を保持することは、憲法第九条第二項によって禁止されておるところではありません。右の限度の範囲内にとどまる限りにおきましては、その保有する兵器が核兵器であろうが何であろうが、それを禁じておるというものではない。これは解釈の問題でございますよ、解釈の問題であります。しかし、政府方針の問題といたしましては、非核三原則、これを最高の国是、これくらいに考えておるわけでありまして、もうこの辺で、憲法解釈論と政策論を混同するという、そういう見方は終わりとしていただきたいと、このように考えるのであります。  また、アメリカに対しまして、ドル防衛に対しまして私の要請が足りなかったというような御指摘でございますが、先ほど来るる申し上げておるとおり、ドル世界基軸通貨である、のみならず、これがまた世界の安定の中心になっておる、このドルに不安があるということは、これは世界経済のため、世界の支払い安定のため、また一政治情勢のために大変なことなんだと、その責任を痛感してアメリカドルの安定に努力されたいということ、これはくどくどと言ってきておるのですから、はっきりひとつ御理解のほどをお願い申し上げたいと思うのであります。  また、残存輸入制限品目に関連いたしまして、日本農業の問題に対してどういうふうに応答してきたかというお尋ねでございますが、このことは、これは牛場・ストラウス会談でもうずっとやってきたことであり、私は今回の話では触れておりません。おりませんけれども、国会議員との会談の際、もう少し日本の国はアメリカの農作物を買ってほしいというような要望があったんです。それは事実でございます。それに対して私は、ずいぶんアメリカの農作物を買っておるんです、だんだん、そのためもあって日本の農家は減ってきて、いまや農業人口は全人口の二%しかない、しかし、この一一%という農業人口は健全な日本社会を支えておるところの柱なんだと、これをこれ以上私は減らしたくないと、こういう気持ちであるということをよく理解してもらいたいという話をしたんですが、そうしましたら、何も言わずにうなずいておったということを御報告申し上げたいのであります。  それから、ボンの先進国首脳会談に臨む基本的な態度はどうだと。これはもう先ほどるる申し上げましたので、省略いたします。  以上で全部お答えをいたした次第でございます。(拍手)    〔国務大臣園田直君登壇
  37. 園田直

    国務大臣(園田直君) お答えをいたします。  米国アジアに対する関心を有することはアジア諸国に対する介入、干渉ではないかと、こういうことでありますが、われわれは、アジアの安定と平和のためには米国協力を必要とし、日米関係日本経済外交の基軸であると考えておるわけであります。  ブレジンスキーが四月の二十七日に演説したその中に、「日本は北東のいかりである」、この「いかり」という言葉は、北東アジア太平洋地域の平和と安定のために日本はきわめて大事な要素であると、こういうように解釈をいたします。  なお、朝鮮半島有事の際にこれに即応する話はあったか——全然ございません。とちらも聞いてもおりません。話は出ませんでした。  次に、防衛分担金の問題はどこまで話が出ているのか——これも全然出ておりません。私が説明したのは、分担金の問題は合同委員会で話して、それができたら地位協定に持ち込まれるべきであって、その地位協定の枠というものは国会の承認が要るという大筋を話しただけでありまして、分掛金をふやせとか、どの程度どうやるか、こういう話は事務的にも話題になっておりませんし、全然進んでないことであります。  日中と安保条約。日中は日本と中国の問題であり、安保条約は日本アメリカの問題であります。全然関係はありません。ただし、中国は安保体制に理解を示すと言っておられるようでございます。  以上でございます。    〔国務大臣牛場信彦君登壇
  38. 牛場信彦

    国務大臣(牛場信彦君) アメリカからの農畜産物等の輸入などの問題につきましてお答え申し上げます。  この問題は、日米間に関する限りは、少なくとも今年度につきましては、先ほどの日米共同声明解決しているところでございまして、それ以上に追加の要求がアメリカから出てきたことはございませんし、私もストラウス氏にはしょっちゅうそういうことは困るということは申しておるわけでございます。そこで、五月の末に、これはまだはっきりしておらないんでございますけれども、もしストラウス氏とロサンゼルスで会うということになりますれば、そのときにはちょうど東京ラウンド交渉が白熱化しているときでございまして、非常にむずかしい段階にかかっておると思うのでございます。現在日本に対しましては、アメリカのみならず、EC、それから特に発展途上国の方からいろいろな期待と要望等が出ているわけでございまして、それをどうさばくかということが問題でございますが、われわれといたしましては、その中にはわれわれとして非常に困難なものがある、これはもう当然のことでございますけれども、それ以外のものにつきましては、先ほどから申しておりますように、東京ラウンド交渉成功のためにできるだけの努力をしてまいりたいと思っておる次第でございます。(拍手)     —————————————
  39. 加瀬完

    ○副議長(加瀬完君) 柄谷道一君。    〔柄谷道一君登壇拍手
  40. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 私は、民社党を代表して、日米首脳会談に関する総理報告に対し、総理及び関係大臣に質問します。  今回の日米首脳会談は、間断なき対話に意義があるとしても、両国間の貿易不均衡問題のみならず、国際経済関係の変化に対応する諸問題について、両国がいかに取り組むか、あるいはアジアの安定と発展に対する日本寄与アメリカアジア政策に関する意見の調整など、重要かつ慎重な課題について、具体的政策展開の面で合意することにこそ真の意義があったと信じます。  しかし、会談はきわめて短時間で終わり、しかも共同声明すら出されず、既定の政策路線の追認、再確認にとどまっており、ただいまの報告もまことに空疎であって、この時期一体何のために、という率直な疑問と失望を抱いているのが国民大方の受けとめ方であります。アジアの安定と発展に対し、日米両国がどのように協力し合い、どのように役割を分担し合うかという課題について具体的方針が示されることは、日本国民のみならず、アジア諸国民の注目するところでありましたが、この期待は裏切られました。会談成功したと認識されている根拠と、これらの期待に対しどのようにこたえようとするのか、総理の明確な回答を、まず求めたいのであります。  次に、総理アメリカに対し、七%経済成長の達成と対米黒字の縮小に強力な手を打つ決意を表明し、アメリカからドル防衛強化を確認したと述べていますが、問題はそれだけで解決されるものでなく、要は、今後いかなる方法でそれらを実現するかということこそが重要であります。こうした観点に立って、以下四点について総理及び関係大臣の見解をただします。  その第一は、補正予算の編成についてであります。  五十三年度予算の規模と内容や、現在の政府施策をもってして、七%成長が困難であろうことは経済専門家が挙げて指摘しているところであります。そのため、一日も早く予算の大型補正を行うことを手始めに、あらゆる手段を動員して対処する必要があることは総理も認められるところであると信じます。過去数年の経験から学ぶべきことは、同じ補正予算を編成しても、九月以降にずれ込んだ場合、その効果は著しく減殺されてしまうことであります。この失敗を繰り返さないためにも、補正予算の編成は早ければ早いほどその効果が大きいことを知るべきであり、ツーレイト、ツースモールの批判を再び受けてはなりません。あなたはしばしば、臨機応変、大胆に対処すると表明されていますが、いつ、どのような規模の補正予算を編成する心づもりなのか、また、その内容は従来のような公共投資中心の考えか、われわれの要求している大幅減税と福祉拡充を柱とした消費購買力を高めることに主点を置くものであるのか、国内外に公約した経済成長目標達成について国民の確信が得られるよう率直な方針を明らかにしていただきたい。  第二は、保護貿易主義の防止、経常収支の黒字減らしの確認に対する具体的方針に関してであります。  わが国の輸出入構造の是正について、政府は、ガイドラインの設定など輸出の自粛規制によりその均衡を図らんとするのか、あるいは現在の輸出規模に見合った輸入構造をつくり出そうとしているのか、総理の基本的な方針を明らかにしてもらいたい。前者に重点を置く場合、政府昭和四十年代半ばからの経済屈折期にその見通しと対応を誤り、産業構造、輸出構造の改革を怠ってきた現実と、今後その改革になお相当の期間を要することを思えば、急激な規制を行なおうとすると、現在の七〇%台という低い操業率を維持することすら困難となり、産業の危機と雇用不安を一層深める結果となりましよう。また、後者の場合、政府がいまとろうとしている緊急輸入対策は、あくまでも輸入の先取りにすぎず、一時的な効果は期待できても、輸入の基調そのものを変えるものではないことを指摘せざるを得ません。緊急対策の限界と問題点を踏まえると、内需を振興するとともに、日本経済の体質を過度の輸出依存型から内需指向型へ変えていく構造改革対策を重点的に促進することが喫緊な課題であります。また、日本農業も、今後世界食糧危機に対する戦略との関係でどう位置づけ、国際競争に対応した合理化、近代化を計画的に拡充するかの方策が確立されなければなりません。総理にはその確信がありますか。通産大臣からもその具体的方針を明らかにしていただきたい。  第三に、ドル防衛政策について質問します。  世界経済の停滞という逆風のもとで生き抜かなければならないわが国にとって、昨年九月以降の急激な円高・ドル安は長期不況からの脱出を一層困難なものにしました。ドルの安定と国際通貨制度問題について、首脳会談に先立ってメキシコ市で開かれたIMF暫定委員会では、為替監視の強化によって変動相場制度を維持しようとするアメリカと、この制度自体を再検討すべきだとする日本との間に見解の相違が見られましたが、首脳会談でそうした基本政策の調整がなされた形跡は見られません。アメリカの基調は依然としてビナイン・ネグレクトの姿勢が変わっていません。今日までの予算委員会で、SDRの見直しとその役割り強化、ローザ債の発行、大平自民党幹事長の固定相場制への復帰論、宮澤経企庁長官のターゲット・ゾーンの設定など、多くの論議が行われてきましたが、七月の先進国首脳会談を控えて、総理及び大蔵大臣は、今回の合意を踏まえ、今後どのような方策をアメリカに求めていくのか、また、アメリカ国内のインフレ対策に何を求めていくのか、その方針を明らかにしていただきたい。  第四に、国際経済協力のあり方についてただします。  現在の世界的不況は、先進国だけの経済協調だけでは解決されるものではありません。発展途上国経済水準の大幅引き上げは今後世界経済発展に不可欠でありましょう。したがって、政府の対外経済援助を先進工業国の平均水準である〇・三三%まで早急に引き上げ、次いで国際的目標である〇・七彩の達成を目指す努力をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。  以上、時間の関係もあり、かつ安全保障アジア情勢については衆議院でわが党の代表がただしたところでもありますので、私は質問経済問題の四点にしぼりましたが、これらの経済成長も通貨の安定も、雇用を創出し安定するという目標を実現する手段であることを指摘したいと思います。雇用の創出と安定は、単に労働行政の範囲にとどまらず、中期展望に立った継続的経済成長を柱として、対外経済、財政、産業、地域開発社会保障、時間短縮、教育、環境などの総合的、複合的な政策展開が不可欠であります。現代総合研究集団は、さきに「雇用創造の基本戦略のための緊急提言」を行い、その中で、現在の縦割り行政の欠陥を指摘し、内閣に有力な国務大臣中心とした雇用戦略推進本部の設置を提唱していますが、これに対する総理の考えと雇用問題に対処する基本方針を伺います。  最後に、総理内外に宣明した経済成長七%と貿易収支の改善及び通貨の安定について、その達成が可能か否かについては、総理の決断を欠く政治姿勢に照らし、与党の中にもこれを危ぶむ者が多いと聞いております。総理決意とともに、これが達成されない場合、どのような政治責任をとるおつもりなのか、その所信をただして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣福田赳夫登壇拍手
  41. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) またまた何のための訪米かと、こういうことでございますが、これは当初の報告でも申し上げたとおり、特定の問題がなくとも、特定の決着をつけなければならぬ問題がなくとも、日米首脳というものは少なくとも年に一回は会談をすべきものであると、私はそうかたく考えておるわけでありまして、場所は東京であっても、ワシントンであっても、ハワイであっても構いません。来年もやるつもりです。再来年もやるつもりです。いつでもやるつもりでございますから、ひとつそのように御理解を願いたいのであります。  ただ、今度の訪問では、時あたかもアジアがベトナム後大変不安定な状態にあった、一時。それがいまは改善されつつある、そういう時期でありますので、アジア問題というものが論議をされる。それから世界経済危機のときでございまするから、これをもうとにかく世界第一の経済大国であるアメリカ、第二の工業国である日本、これがどういうふうに意見を調整するかということは、これはもう本当に重要なことだと思う、そういうようなこと。さらに、先ほども申し上げましたが、いま当面のことばかりじゃない、もう二十一世紀までにらんで、核の問題までひとつ日米協力しようじゃないかというような話し合いをしたこと。そういうようなことを考えますと、成功であったかどうかというようなお話ですが、成功であったか不成功であったか、これは御判断にゆだねますけれども、成果は大いにあったと、このように考えております。  それから、補正予算が当面必要じゃないかというお話でありますが、これは、先ほども申し上げましたが、いま、経済の動きというものは、私の見るところでは順調だと思うのです。七%成長に向かって動いておる、そのように考えますが、将来、この路線に狂いが来る、こういうようなことがあれば、その時点において、どういう対策が最も適当であるかということを見定め、選択いたしまして、追加措置といたす、そのように考えておる次第でございます。したがいまして、いま、その追加措置の内容がどういうものであるかということはその時点で判断すべき問題でありまして、いま申し上げるわけにはまいりませんであります。  それからさらに、わが国黒字アメリカの赤字、国際収支調整、それをどういうふうにするかというお話でありますが、これも、もうくどくどと申し上げたところでございますが、中心は、何といっても私は内需の拡大に置きたいと思うのです。そうして輸入をふやす。そうして、国内で商品が売れるようになりまするから、輸出圧力が減ってくる。これが中軸でなけりゃならぬというふうに思いますけれども、それだけでは十分でないので、いろんな措置を考えておるということは先ほど何回も申し上げたとおりでございまして、それで確信を持てるかというお話でございまするが、もちろん確信を持ってその政策を進めておる、こういうことでございます。  また、ドル安に対してどういう考え方を持ち、また、どういう要請をいたしておるかというお話でございますが、これもしばしば申し上げましたとおり、アメリカインフレ、これを何とか是正してもらいたい、それからさらに、エネルギーの消費、これにつきまして、いま国会に法案が出ておりまするけれども、その通過を図るなど、あらゆる努力をしてもらいたい、こういうことを要請しております。  雇用の問題を強調されました。これは当面の経済政策のねらいどころでございます。雇用情勢がどうなるかということをにらんで、いま、七%成長その他の施策を進めておる次第でございます。  また、七彩成長に失敗したら、また、通貨、黒字問題の処理に失敗したらその責任をどうするかというお話でございますが、そういう、失敗したらというような仮定のことは考えておりません。これは、何が何でも、国内の経済成長、また、黒字処置、これは成功させ、内外期待にこたえてまいりたいという決意であることをもってお答えといたします。(拍手)    〔国務大臣村山達雄君登壇拍手
  42. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) お答え申し上げます。  もう総理が全部お答えいただきましたので、私からは、いわゆるサーベーランスについての日本アメリカの対立があったようなお話でございますが、そうではないということだけ申し上げておきます。  いわゆるサーベーランスにつきましては、第二次IMF協定の中に盛られておるわけでございます。ただ、そのやり方といたしまして、アメリカは、一つの案として、今度新しくできます評議会、つまり総務会の代議機関のようなものでございますが、そういう決議機関にやらしてはどうであろうかということを一つの案として申したのでございます。それに対しまして日本の方は、それは決議機関でやるということになりますと多分に政治的になる。したがって、こういう経済問題でございますから、やはり事務当局がやるということの方からスタートしてはいかがなものであろうか、それに関連して、従来の固定為替相場から変動為替相場に移ったことを振り返ってみて、その功罪をひとつ総会にまとめて報告してもらえば、サーベーランスのあり方についても示唆するところがあるかもしれぬと、こういう意見を申し上げたわけでございまして、サーベーランスそのものに対して両者の対立があったわけではないということだけ申し上げておきます。(拍手)    〔国務大臣河本敏夫君登壇拍手
  43. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) 貿易問題についてのお話でございますが、一つは、緊急輸入は一時的なものであって、この効果は永続しないではないかと、こういうお話でございます。緊急輸入の内容を申し上げますと、一つは、製品輸入の拡大でございます。特に大型の機械等の輸入拡大であります。それから第二は、資源エネルギーの備蓄の強化であります。この内容は、石油とかウランあるいは非鉄金属、希少金属、それから基礎物資のうちのペレット、こういうものが対象になっております。でありますから、この政策はやはり私はある程度持続する必要があろうと考えております。一時的に、ある程度の成果を上げなければなりませんが、成果が上がったからそれでやめてしまうというものではなく、ある程度の持続が必要であろうと考えております。  それから、わが国産業構造を内需指向型に転換をすべきではないかと、こういうお話でございまして、そのお考えには私どもも全く賛成でございます。そういう方向に産業構造の転換を図るべく、いま産業構造審議会に諮問をいたしておりまして、近く結論が出る予定でございますが、それを受けまして具体的な対策を進めてまいりたいと存じております。ただしかし、この内需指向型の産業構造の転換といいましても、それだけでわが国の深刻な雇用問題が解決できるものではございません。何分にもたくさんの学校卒業生が毎年社会に出てまいりまして、しかも、そのうち百万人前後の者が就職を希望しております。毎年のことでありますので、よほどこの雇用問題には慎重な対応策が必要でございまして、まずやはりこの内需の拡大ということは何よりも大事でございますが、貿易の拡大均衡、このことも当然考えていかなければなりません。それから同時に、経済協力拡大わが国経済の余力を挙げて世界全体の経済協力のために、また経済発展のためにこれを振り向けていくということ、こういう幾つかの政策が必要であると考えております。(拍手
  44. 加瀬完

    ○副議長(加瀬完君) これにて質疑は終了いたしました。      ——————————
  45. 加瀬完

    ○副議長(加瀬完君) 日程第二 特定不況産業安定臨時措置法案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。商工委員長楠正俊君。     —————————————    〔楠正俊君登壇拍手
  46. 楠正俊

    ○楠正俊君 ただいま議題となりました特定不況産業安定臨時措置法案につきまして、商工委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  本法案は、いわゆる構造不況業種の置かれている深刻な現状にかんがみ、その不況事態を招いている共通かつ基本的な原因である過剰設備について、その処理を促進するための措置を講じようとするものでありまして、主な内容としては、特定不況産業の指定、特定不況産業ごとの安定基本計画の作成、設備処理などに係るカルテル実施の指示及び設備処理資金の借り入れに係る債務保証業務を行う特定不況産業信用基金の設立等の措置が定められております。  なお、衆議院において、本案の目的に、「雇用の安定及び関連中小企業の経営の安定に配慮すること」を加え、これに伴って必要となる措置を定めるため、所要の規定を整備する等の修正が行われております。  委員会におきましては、二日間にわたって参考人の意見を聴取するとともに、社会労働、農林水産、運輸の三委員会と連合審査会を開催する等、きわめて慎重かつ熱心な審査を重ねてまいりましたが、質疑の詳細については会議録に譲ります。  質疑を終わり、討論なく、採決の結果、本法案は多数をもって衆議院送付案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本法案に対し、対馬理事より、自由民主党・自由国民会議日本社会党、公明党、民社党及び新自由クラブの五派共同提案に係る、構造不況業種における雇用対策関連中小企業の経営安定対策の確立など九項目にわたる附帯決議案が提出され、多数をもってこれを本委員会の決議とすることに決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  47. 加瀬完

    ○副議長(加瀬完君) これより採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  48. 加瀬完

    ○副議長(加瀬完君) 過半数と認めます。よって、本案は可決されました。      ——————————
  49. 加瀬完

    ○副議長(加瀬完君) 日程第三 国民年金法等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。社会労働委員長和田静夫君。     —————————————    〔和田静夫君登壇拍手
  50. 和田静夫

    ○和田静夫君 ただいま議題となりました国民年金法等の一部を改正する法律案につきまして、社会労働委員会の審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本法律案は、国民年金法のほか、関連する七法律を改正しようとするものであります。  その主な内容は、第一に、国民年金については、老齢、障害、母子、準母子の各福祉年金の額をそれぞれ引き上げるとともに、保険料の額を昭和五十四年四月分及び昭和五十五年四月分から段階的に引き上げるものとすること、第二に、いわゆる無年金者対策として、過去に国民年金の保険料を滞納している期間がある者について特例納付を実施すること、第三に、厚生年金及び船員保険について、在職老齢年金の支給制限の緩和などを行うとともに、寡婦加算額を引き上げること、第四に、昭和五十三年度における年金額のスライドの実施時期を繰り上げて、厚生年金及び船員保険は六月から、国民年金は七月からとすること、第五に、児童扶養手当、特別児童扶養手当及び福祉手当の額をそれぞれ引き上げること、第六に、児童手当の額を引き上げるほか、新たに児童の健全育成及び資質の向上に資する施設をすることができるようにすることなどであります。  委員会におきましては、所得保障の理念と制度の抜本改正、女性の年金権の確立、年金の併給調整、在職老齢年金の支給制限の緩和と高齢者雇用対策、物価スライドの実施時期と事務処理体制の整備、無年金者対策、児童手当の充実策などの諸問題について質疑が行われましたが、その詳細は会議録により御承知願います。  質疑を終わり、討論はなく、採決の結果、本法律案は原案どおり全会一致で可決いたしました。  なお、本案に対し、公的年金制度の抜本的改善、特例納付に当たっての低所得者対策の確立、物価スライド制のあり方の検討と年金業務処理体制の強化、児童手当の長期的展望に立った改善などを内容とする附帯決議を全会一致でつけることに決しました。  以上報告いたします。(拍手
  51. 加瀬完

    ○副議長(加瀬完君) これより採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  52. 加瀬完

    ○副議長(加瀬完君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決されました。      ——————————
  53. 加瀬完

    ○副議長(加瀬完君) 日程第四 昭和五十二年分所得税特別減税のための臨時措置法案衆議院提出)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長嶋崎均君。    〔嶋崎均君登壇拍手
  54. 嶋崎均

    ○嶋崎均君 ただいま議題となりました昭和五十二年分所得税特別減税のための臨時措置法案につきまして、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、衆議院大蔵委員長提出によるものでありまして、最近における社会経済情勢に顧み、中小所得者の所得税負担を軽減する等のため、一年限りの特例措置として、昭和五十二年分の所得税を減額し、これを昭和五十三年において還付する措置を講じようとするものであります。  減税による還付額は、昭和五十二年分所得税額を限度とし、本人六千円、控除対象配偶者または扶養親族一人につき三千円を加算することとしております。  なお、特別減税による国税の減収額は約三千億円と見込まれております。  委員会におきましては、質疑、討論なく、採決の結果、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  55. 加瀬完

    ○副議長(加瀬完君) これより採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  56. 加瀬完

    ○副議長(加瀬完君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決されました。  本日は、これにて散会いたします。    午後一時二十分散会