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1978-04-28 第84回国会 参議院 本会議 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月二十八日(金曜日)    午前十時四分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第十九号   昭和五十三年四月二十八日    午前十時開議  第一 国務大臣報告に関する件(農業基本法   に基づく昭和五十二年度年次報告及び昭和五   十三年度農業施策林業基本法に基づく昭和   五十二年度年次報告及び昭和五十三年度林業   施策並びに沿岸漁業等振興法に基づく昭和五   十二年度年次報告及び昭和五十三年度沿岸漁   業等施策について)  第二 漁業の分野における協力に関する日本国   政府ソヴィエト社会主義共和国連邦政府と   の間の協定及び北西太平洋における千九百七   十八年のさけ・ますの漁獲の手続及び条件に   関する議定書締結について承認を求めるの   件(衆議院送付)  第三 北太平洋公海漁業に関する国際条約を   改正する議定書締結について承認を求める   の件(衆議院送付)  第四 仮登記担保契約に関する法律案内閣提   出)  第五 地方交付税法等の一部を改正する法律案   (内閣提出衆議院送付)  第六 職業訓練法の一部を改正する法律案(内   閣提出、衆議院送付)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、新議員の紹介  一、請暇の件  以下 議事日程のとおり      ——————————
  2. 安井謙

    議長安井謙君) これより会議を開きます。  この際、新たに議席に着かれました議員を御紹介いたします。  議席第七十七番、地方選出議員、京都府選出、  上田稔君。    〔上田稔君起立、拍手〕     —————————————
  3. 安井謙

    議長安井謙君) 議長は、本院規則第三十条により、上田稔君を法務委員に指名いたします。      ——————————
  4. 安井謙

    議長安井謙君) この際、お諮りいたします。  岡田広君から海外旅行のため明二十九日から十日間請暇の申し出がございました。  これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 安井謙

    議長安井謙君) 御異議ないと認めます。よって、許可することに決しました。      ——————————
  6. 安井謙

    議長安井謙君) 日程第一 国務大臣報告に関する件(農業基本法に基づく昭和五十二年度年次報告及び昭和五十三年度農業施策林業基本法に基づく昭和五十二年度年次報告及び昭和五十三年度林業施策並びに沿岸漁業等振興法に基づく昭和五十二年度年次報告及び昭和五十三年度沿岸漁業等施策について)  農林大臣から発言を求められております。発言を許します。中川農林大臣。    〔国務大臣中川一郎登壇拍手
  7. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 農業林業及び漁業の各五十二年度年次報告並び昭和五十三年度において講じようとするそれぞれの施策につきまして、その概要を御説明申し上げます。  第一に、農業について申し上げます。  最近、農業をめぐる諸条件が大きく変化する中で、農業就業人口減少率の著しい鈍化若年男子農業就業者増加農地転用減少等高度成長期とは異なる動向が定着しつつあるように見られます。  農業生産活動は、畜産中心として活発化していますが、農産物需要伸びが鈍っているため、生産増加とともに需給は軟化し、農産物生産者価格上昇率は著しく低くなっております。  一方、米の過剰傾向が強まっており、その消費拡大を図るとともに、水田利用の再編に全力を挙げて取り組まなければならない状況にあります。  農業経営の面について見ますと、基幹男子農業専従者のいる農家等中心に、労働力事情変化に対応して農業労働時間を増加させ、規模拡大経営複合化によって経営発展を図る動きが進んでいます。  このような農業動向の中で、第一に、需要動向に即応した農業生産の再編成農産物の総合的な自給力強化を図ること、第二に、農産物価格の安定に努め、農産物需要を維持増大し、農業従事者所得確保を図ること、第三に、農業経営発展を積極的に支援するとともに、農業生産担い手を育成確保しつつ、農業構造強化を図ることが重要な課題となっております。  以上のような最近の農業動向を踏まえて、昭和五十三年度におきましては、わが国農業体質強化し、総合的な食糧自給力向上を図ることを基本とした総合食糧政策を一層強力に展開することとし、需要動向に即応した農業生産の再編成農産物価格の安定、農業生産中核的担い手の育成、輸入農産物安定確保と備蓄の実施、農村計画的整備流通加工合理化消費者対策の充実、風土、資源に適合した食生活の普及農業技術開発普及等を進めることといたしております。  第二に、林業について申し上げます。  木材需要は、住宅建設等動きを反映して、五十一年には前二カ年における落ち込みから若干回復する動きを示しましたが、五十二年には前年とほぼ同じ水準にとまっております。  戦後おおむね一貫して不足基調で推移してきた木材需給は、経済基調安定成長へと移行しつつある過程で、外材輸入に主導されて緩和基調に変わっており、木材価格は五十一年秋以降横ばいまたは下落傾向にあります。  このような中で、林業経営事情は悪化しており、伐採、造林等林業生産活動停滞的に推移しております。また、製材、合板等木材関連産業の業況も不振を続けております。  さらに、国有林野事業について見ますと、その経営収支は近年急速に悪化しており、国有林野事業に課せられた使命を適切に果たしていく上において憂慮される状況にあります。  このような林業をめぐる厳しい事態がこのままに推移するときは、林業生産活動の一層の停滞森林施業、管理の粗放化、ひいては国土の荒廃を来すことも予想されます。森林林業の果たすべき国民経済上、国民生活上の役割りは今後ますます重要になるものと考えられますので、この際、広い国民的視野に立って適切な対処方向を見出していく必要があります。  このための当面の重要課題としては、第一に、木材需給の安定を図ること、第二に、生産基盤整備担い手確保等を通じて林業林産業に係る事業活動を活発化すること、第三に、国有林野事業改善合理化を図ることであります。  以上のような最近の林業動向を踏まえて、五十三年度におきましては、林道及び造林事業計画的推進林業構造改善林産物需給の安定及び流通加工合理化林業従事者福祉向上国有林野事業経営改善等の各種の施策を進めることといたしております。  第三に、漁業について申し上げます。  五十二年の漁業生産は、二百海里規制のため、スケトウダラ等漁獲減少がありましたが、わが国周辺水域におけるイワシ、サバ、サンマ等が好漁であったため、総生産量ではなお一千万トン台を維持しているものと見られます。  水産物需要は、高度化、多様化しつつ増加を続けてまいりましたが、五十二年前半には、二百海里関連魚種中心魚価が高騰したため、最終消費量減退を示しました。五十二年九月以降は、生産増加消費減退から水産物産地価格は前年を下回る水準となっており、消費者価格も落ち着いた動きに転じております。  漁業経営収益性は、五十一年から五十二年前半を通じ、かなり改善され、石油危機以前の水準へと回復しつつあります。  しかし、今後は、二百海里の国際規制影響魚価上昇の限界から、厳しい環境に立たされるものと見られます。  また、漁業就業人口減少率は最近やや鈍化しておりますがが、依然として高齢化が進んでおります。  このような状況のもとで、水産物安定供給確保漁業振興を図っていくための今後の重要課題は、二百海里時代対処するための水産外交に積極的に取り組むとともに、わが国周辺水域の活用、水産増養殖推進遠洋漁場確保開発水産物高度利用促進等を図るとともに、生産流通を通じ可能な限りコストの低減に努めることであります。  以上のような最近の漁業動向を踏まえて、昭和五十三年度におきましては、わが国周辺水域における沿岸沖合い漁業振興遠洋海域水産資源開発遠洋漁業の新たな展開、水産物価格安定、流通加工合理化及び資源高度利用促進漁業経営の安定、漁業従事者福祉向上等各般施策を強力に展開することといたしております。  以上をもちまして、農業林業及び漁業の各年次報告並びに講じようとするそれぞれの施策概要の説明を終わります。(拍手
  8. 安井謙

    議長安井謙君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。村沢牧君。    〔村沢牧登壇拍手
  9. 村沢牧

    村沢牧君 私は、日本社会党を代表して、ただいま報告のありました農業白書林業白書漁業白書関連をし、総理並びに関係大臣質問をいたします。  白書が分析しておりますように、五十二年度農業生産一般に豊作となっていますが、農業所得上昇は著しく鈍化をし、国民食糧消費停滞農産物輸入増加によって、日本農業はまさに底をついております。  わが国林業は、不況によって木材需要停滞をする中で、外材輸入増加して、国内林産物収益性は著しく低下し、単に木材生産という面だけでなくて、国土保全の面からも憂慮すべき状態にあります。  二百海里元年と言われた昨年は、北洋漁場等で一千隻に及ぶ減船、八千人に上る漁業離職者関連産業への広範な影響など、日本漁業は新しい試練の場に立たされていると白書は指摘をしております。  このように、農林漁業を取り巻く情勢は非常に厳しくなり、農漁民生産意欲を失いつつあります。このような情勢になったことは、政府経済見通しの誤り、円高不況後手後手に回っている国際社会への対応、流通行政の不在などの影響農林漁業の上に急速に広まっている結果であります。福田総理は、こうした現状をいかに反省し、今後いかに改善していこうとされますか。  第一次産業は、他産業と異なり、経済情勢変化に対応してその生産構造を速やかに転換することのできない体質を持っていますので、先進諸国は積極的な保護政策をとっております。  わが国は、一般会計予算に見られますように、農林予算の総予算に占める率は年々減少し、昭和五十一年から一〇形を割っています。これは明らかに農林漁業軽視のあらわれでありますが、農林漁業再建に対する政府財政方針をお聞きします。  福田総理は、最近、七彩経済成長達成に強気の姿勢をとっていますが、私は、七彩経済成長は大変困難だというふうに思います。よしんば一歩譲って、七%成長したなら農林漁業生産はどのように発展をしますか。また、農林漁業生産がどのように伸びることによって七彩経済成長に寄与いたしますか。経済企画庁経済指標によれば、七%成長しても、農林漁業生産指数は前年度より伸びが悪く、五十年対比九七・八%で、ますます悪くなることを示しております。この経済見通しの中で、また今後の経済運営の中で、第一次産業をどのように位置づけ、また、どのように発展を図っていこうとされるか、総理並びに経済企画庁長官答弁を求めます。  わが国農産物輸入は、国内生産量減退傾向とは対照的に、増加の一途をたどっております。農産物輸入金額は、四十五年には二十億ドルに満たなかったものが、五十一年には約九十八億ドルというように、六年間に五倍も上昇しています このように、農産物輸入増加わが国農林業危機を一段と強めているのであります。政府は常に、国内で足らない農産物輸入すると言っていますが、農業白書は、農産物輸入拡大余地はないと、内部告発を行っています。しかし、現実には、本年一月の日米通商交渉に見られるように、農畜産物輸入枠拡大して、農民をますます苦しめておるのであります。  こうしたことが続いてきた結果、わが国穀物自給率は三七%、木材自給率は三四・九%、過去最低の自給率であり、先進諸国と比べても最も低いのであります。食糧安定供給は、経済合理主義国際分業論によって外国農産物に依存するのではなくて、国内自給率を高めることが国家発展原則であります。食糧自給に対する政府基本的な方針をお聞きします。  福田総理は、明後日、日米首脳会議のために訪米するのでありますが、国民はこの首脳会議に多大の関心と懸念を抱いているのであります。ということは、さき日米通商協議以降においても、アメリカ高官によるわが国輸入市場拡大の要請が続いているからであります。  そこで、お聞きをする第一点は、この会議の意義と、話し合いの基本テーマについてであります。この会議共同声明もしないと言っておりますので、首脳会議に臨む総理の責任として、国会の場で披瀝をしてください。  第二点は、この会議をきっかけに、アメリカ農畜産物輸入拡大を迫る動きを示しておりますが、わが国では、すでにできるだけのことはやってきたので、これ以上農畜産物輸入拡大には応ずる余地はないと私は思います。黒字減らし犠牲日本農業農民にこれ以上負わしてはならないというふうに思います。訪米に当たって、福田総理の決意と真摯な御答弁を期待いたします。  牛場対外経済担当大臣、あなたは最近、食糧自給を見直して輸入の比重を多くすべきだというような示唆を与えていることがたびたびマスコミで報道されていますが、日本農業現状発展方向をどのように認識されていますか。  わが国貿易収支の不均衡は是正しなければなりませんけれども、農産物について見るならば、五十一年度輸入額約九十八億ドルに対し、農産物輸出額はわずかに三億六千万ドルにすぎず、輸入国のシェアは、アメリカが三八・一%、オーストラリアが一三・一%、これら二国のみで農産物輸入の五一・三%を占めていますが、あなたは、この二国及びECをも含めて、農産物とその加工品輸入についていかなる見解を持っておられますか、明快な答弁を求めます。  さきごろ、一部学者による政策構想フォーラム牛肉自由化提言していますが、この提言は余りに非現実的であり、現状でこんなことをすればわが国肉牛生産は成り立たなくなってしまいます。  また、政府の一部には、牛肉輸入を計画的に拡大していく安定輸入拡大方式なるものを考えているようでありますけれども、何を根拠に輸入量を決めますか。政府は、表面では自給度高め不足分輸入すると言っておりますが、現実には、この原則を崩しているではありませんか。中川農林大臣、あなたは、こうした提言や考えに対していかなる見解を持っていますか。牛肉輸入拡大をせざるを得ないというふうに思っていますか。担当大臣として明快なる見解を示してください。  白書は、今後は農産物価格の引き上げは期待をかけることができないことを強調しました。農畜産物価格についても抑制していく方向を裏づけています。安い農産物を供給して需要拡大し、農業所得を高めようとするものでありますが、減速経済構造政策が行き詰まっている現在、農業所得農民意欲を高めるためには、価格を保障すること以外にはないのではありませんか。特に、農畜産物自給率向上は、確固たる価格政策があってこそ可能であります。  重要農産物については、生産費所得が保障される価格政策を打ち出すことが日本農業発展させる道であるというふうに考えますが、農林大臣見解をお聞きします。  漁業白書は、昨年の水産物市場入荷量は前年とほぼ同じだと言っております。しかし、魚価が暴騰したことについては何らの分析もしておりません。昨年四月から八月にかけて魚価が前年対比二〇%を超える上昇を示したことは、二百海里不安に便乗して一部水産会社が魚転がし、魚隠しをやって価格をつり上げた結果であることは明らかであります。このような企業の悪徳ぶりを許せないことはもちろんでありますけれども、こうしたことを見逃している、また指導力のない水産行政も追及されなければなりません。水産物安定供給に対する農林大臣経済企画庁長官所信をお聞きします。  白書は、米の生産調整必要性を強調しておりますけれども、農民の受けとめ方については全然分析しておりません。新生産調整は現在農家に配分されているわけでありますけれども、転作を本気にやろうとしても条件が整わず、農民は大変に苦しんでいるのであります。この生産調整は、農民犠牲を押しつけ、生産意欲減退させ、ひいては農業生産をますます低下させることになります。米の生産を調整して農業の再編成をするためには、転作作物の米に匹敵する価格田畑転換基盤整備等整備されなければなりませんが、これらの諸条件整備されていない現在、いま行われている生産調整を再検討し、強制割り当てを中止して自主申告制にすべきであります。また、割り当て達成分を翌年度に積み上げる制度は廃止すべきであります。農林大臣の謙虚な反省と所信を伺います。  二百海里時代到来は、わが国漁業にとって大変厳しいものがあります。先ごろの日ソ漁業交渉において、漁獲量は、昨年六万二千トンであったものが、本年は四万二千五百トンとなり、三割程度の減船を余儀なくされました。数量だけでなく、資源維持環境整備が重要視され、遡河性のサケ・マスは母川国に帰属をする。沖どりについては制限するということが世界の大勢になっているのであります。交渉に当たった中川農林大臣の努力は認めるといたしましても、資源維持について、また二百海里という新しい時代について、政府認識は甘かったのではないでしょうか。いまでも甘いのではないでしょうか。  また、漁業協力費十七億六千万円の取り扱い、共補償の見込みのない減船補償減船に伴う失業対策関連産業対策についても伺っておきます。  最後に、今日までわが国漁業を支えてきた遠洋漁業が縮小をされ、水産物確保のための沖合い沿岸漁業のウエートが増大してきていますが、この沿岸漁業はきわめて脆弱な体質を持っております。遠洋漁業は縮小され、沖合い沿岸漁業は弱体というわが国漁業振興のために抜本的な施策を講ずる必要に迫られておりますが、二百海里時代をどのように認識し、わが国漁業発展をどのように図っていこうとされますか、総理並びに農林大臣質問いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣福田赳夫登壇拍手
  10. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) お答え申し上げます。  農林漁業現状をどういうふうに見るか、また、どのように対処するかと、こういうお尋ねでございますが、現象的、具体的に見ますと、一つは米の生産過剰という問題があると思うのです。それからもう一つは、二百海里時代到来と、こういう問題がある。しかし、総体的、全体的、また長期的に見るときには、これはやはり食糧問題というのは世界政治の大問題になってきておる。人口はいま四十億人、これが二十一世紀初頭には倍の八十億にはなろうというふうに見られておる。さて、それに対しまして、食糧がこれに追いつけるか、これは世界じゅうの人がいま心配をしておるわけであります。そういう中で、自給度の非常に低いわが日本、これの立場を考えますると、まあ私は、食糧問題、特に農林漁業問題に対するこの考え方を思い直しをしなければならない、そういう時期に来ておる、このように考えるわけでありまして、それには一体どういうふうに対処をしていくんだ、こういう問題になりまするけれども、これはやはりいままでずっと農村人口が減り続けてきておる、もうこの辺で歯どめをかけなきゃならぬ、こういうふうに考えるわけでおります。そういうためには、やはり工業中心とする経済発展時代であったこの三十数年、これの流れを大きく転換をいたしまして、やはり私は、工業農業もみんな肩を並べて均衡的に成長発展する、その安定成長経済路線、こういうものを確立しなけりゃならぬ、こういうふうに考えておるわけでありまして、私は、これからも農村漁村、これを尊重する、これを大事に育て上げるというたてまえを持ちまして、財政経済、あらゆる施策運営に当たってまいりたい、このように考える次第でございます。  さらに、私が明後日出発いたしまして日米会談を行う、こういうことにいたしまして、基本的な考え方はどうだと、こういうお話でございますが、私は、日本という国は、政治的に見ましても、あるいは安全保障という見地から見ましても、あるいは経済的に見ましても、これは世界のどの国にも増して大事な特殊な関係にあるのはアメリカである、このように考えるのであります。その日本アメリカ首脳が、少なくとも年に一回ぐらい会談をいたしまして、そうして世界の問題、両国間の問題につきまして、そして忌憚なき意見交換を行う、これはもうどうしてもなくてはならぬことである、そのように考え、そしてカーター大統領会談を申し入れましたところ、初めカーター大統領は、日本の大事な総理大臣と会うのに、私の日程の立て込んでおる五月の上旬、こういうことでなくて、六月にしてくれぬかなという話もありましたけれども、私は国会を非常に尊重しております。そういう立場から、連休というか、そういう時期に当たりまするこの五月上旬にしてくれぬかということを特にお願いをし、また同時に、この七月には先進国首脳会談が行われる、それに対する余裕期間を見るときには、どうしても五月上旬がよかろう、こういうことを申し入れましたところ、大統領も快諾をいたしまして、そのような会談になった次第でございます。  今回の会談につきましては、私は日米間で語り合うべき多くの二国間問題は持ちません。世界問題——特に世界の問題と言いますると、世界でいま何が一番政治的に問題になっておるかというと、これは経済の問題だ。いま、五年前の石油ショックで、発展途上国、特に石油を産出しない発展途上国の困窮は目に余るものがあるのです。これに協力しなければならぬ立場にあるところの先進工業国、その多くはまだあの打撃から脱却し切れない。この状態を放置しておきますると、だんだんと世界経済的に非常に混乱状態になってくる。経済的混乱が高じてまいりますれば、これは国々に社会的な混乱が起こってくる。その結果が一体どうなるかということは歴史がよく示しております。そういうこの歴史の示すところの悲劇、これを繰り返してはならぬというのが世界政治の大問題である。そういう環境世界政治の中で、わが日本アメリカというのは大事な立場にあるのです。アメリカ世界第一の経済大国である。わが日本自由社会において第二の工業力を持っている国である。この二つの国がどういう考え方をとるかで、世界経済動き、したがって世界政治動きが変わってくるのです。そういうことを踏まえまして、私は、このカーター大統領との間に、これから世界経済を一体どういうふうに安定させるか、また、特に差し迫りましたこの日米首脳会談をいかに成功させるかということについて篤と意見交換をいたしてみたい、このように考えておる次第でございます。  また、政治の問題もないわけじゃない。あるいはアジアの問題がある。あるいは中東の問題がある。いろいろな問題がありまするけれども、特にアジアわが国といたしましては非常に関心のある立場にある。同時に、アメリカもまたアジアから目を離しておりません。このアジア政治をどうするか、また、わが国が非常に関係の深い中東政治をどうするか、こういう問題について、まあその他の問題もありまするけれども、両国意見交換をするということは世界政治のために非常に大事なことである、このような認識を持ちまして行ってまいりたいと、このように思うわけでありまして、よろしくお願いをいたします。(拍手)    〔国務大臣中川一郎登壇拍手
  11. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 農産物輸入に対する政府姿勢ということでございますが、私どもは、わが国農業はあくまでも食糧自給度向上ということに主眼を置いておるものでありまして、その不足分外国から安定的に入れる、そして国民食糧確保していくということを基本に置いているものでありまして、決して外国農産物を優先するようなことは考えておりません。したがいまして、牛肉につきましても、長期的に見ますと国際的には需給の逼迫という心配もありますので、今後とも国内生産振興を図り、そして自給度を高めるとともに、輸入につきましては、国内生産では不足する分だけを限って輸入するように対処してまいりたいと考えておる次第でございます。  次に、農産物価格についての御指摘がございましたが、農産物価格は、農産物ごとの需給流通、加工事情等の特性に応じた価格支持の仕組みと、これに即した算定方式が定められておりますので、価格決定に当たりましては、これら農産物ごとの特性や価格支持の仕組みを考慮せずに、ただ一律に所得補償方式を採用することは種々の問題がありますので適当でないと考えておる次第でございます。  次に、水産物価格安定についてお話がございましたが、昨年の魚価の高騰は、基本的には五十一年秋からの多獲性魚等の不漁等、あるいはまた日ソ交渉の長期化によって影響されたものと思いますが、この過程で業界に先行き不安感を生じまして、一部に価格形成面で行き過ぎと見られた現象もあったことは否めないところでございます。しかしながら、水産物価格は昨年の秋以降鎮静化しており、昨年のような異常な事態は生じないと見ておりますが、今後も十分その点については指導、監督に努めまして、国民の期待にこたえたいと存じております。  次に、米の生産調整について御指摘がございましたが、水田利用編成の対策の円滑な実施は、何よりも農家を初め関係機関の理解と協力によって行うものでありまして、これは強制によってやるものではなくて、現在進めておりますが、大方の皆さんの理解と協力を得て円滑に進められておるものと存じます。  また、罰則について御指摘がありました。すなわち、未達成部分を翌年に持ち越す調整は、あくまでも実施をした方と実施をしない方との不公正を生じないようにという最小限度の公平確保の措置でありまして、ぜひとも御理解をいただきたいと存ずる次第でございます。  次に、日ソ交渉についてのお話がありました。今回の交渉におきまして痛切に感じましたことは、ソビエト側は資源論を持ち出したことでございます。この点につきましては、長期的に見て種々大事なことを示唆したものと思い、わが国におきましても、沿岸漁業を初め、漁業資源確保について最善を尽くしてまいりたいと考えておる次第であります。  次に、漁業協力費についてお話がございましたが、これは、サケ・マスを漁獲するに当たりまして、資源確保するために必要な協力を行うために協力することになった十七億六千万円でございまして、原則的には民間団体が負担することになっておりますけれども、その対応につきましては、政府といたしましてもできるだけの協力をいたしたいと存じておる次第でございます。  なお、休船、減船に伴う救済対策についてでございましたが、残念ながら、本年も三割前後のサケ・マス漁船の減船をせざるを得ない状況でございます。昨年も二割以上の減船補償をいたしておりますので、これにならい、さらに今年は共補償という非常に厳しい状況も重なっておりますので、これらを勘案いたしまして十分の対策を講じたい、そしてまた、減船に伴う離職者に対しましても、昨年いろいろの法的措置を講じておりますが、これらをきめ細かく行いまして不安なからしめたいと存じておる次第でございます。  最後に、二百海里時代を迎えまして、今後のわが国漁業振興についての御指摘がございましたが、今後とも、二百海里時代を迎えまして、遠洋漁業の既得権の確保に努めるため水産外交を強力に進めるとともに、基本的には、わが国周辺水域資源を積極的に見直し、その高度利用を進めていく必要があります。このため、沿岸漁整備開発のための事業あるいは増養殖事業の拡充等に努めてまいりたいと考えております。  また、魚の消費につきましては、利用、加工等を通じまして、資源を有効に利用するという点についても配慮してまいらなければならない、このように考えておる次第でございます。  以上で答弁を終わります。(拍手)    〔国務大臣宮澤喜一君登壇拍手
  12. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 国民所得の計算をいたします場合に、御承知のように、最終需要の項目を積み上げまして総支出を推計する方法をとっておりますために、業種別の寄与率というのを実は推計いたしておりませんで、お答えが申し上げられないわけでございますけれども、別の観点から見ますと、五十三年度の農林水産業生産指数は、五十二年度に比べまして二・二%程度減少するという計算をいたしております。これは、主として五十二年度が米が豊作でございましたが、五十三年度に平年作を見込んでおるということから、それが一番大きな原因でこのようになっておると考えております。  それからもう一つ、魚転がしの点について物価行政からのお尋ねがございました。どうも二百海里ということが喧伝されましたために、魚は高くなっても仕方がないという、ややそれを許容するような雰囲気が生産側にも消費者側にもあったのではないかというふうに思われます。そこで、先般そのあたりの追跡調査をいたしましたところが、輸入価格が下落しておるにもかかわらず小売価格が逆に上昇しておるというような幾つかの魚類の場合が出てまいりましたので、このことは公表をいたしました。それによって、消費者側も必ずしもこの二百海里云々ということで高くなるのが当然だということではないということを知っていただいたと思いますし、また、農林大臣に対しまして所要の行政指導をお願いいたしたような次第でございます。(拍手)    〔国務大臣牛場信彦君登壇拍手
  13. 牛場信彦

    国務大臣(牛場信彦君) 日本農業現状発展方向について私がどういう考えを持っているかというお話でございました。私、もちろん農政につきましてはまだまだ勉強をしなきゃならないので、その点は御了承願いたいと思いますが、大体におきまして、私は、今回の農業白書の申しておることに同感でございます。ことに、農産物の総合的な自給力強化を図るということと、それから国際的な調整ということが農業の分野においても必要でございますから、わが国基本的な農業政策に支障を来さない範囲におきまして輸入ということも考えていく、そして同時にまた、消費者の価格の安定も図っていくということは基本的に私は正しいことと考えておる次第でございます。  それからまた、具体的な問題といたしまして、日本農産物輸入につきまして、対外経済調整ということを主眼に考えるわけでございますが、これはきわめて緊急な課題でもございまして、決してそれが農業の分野におきまして総合食糧政策推進及び農家経営の安定に支障を及ぼさないことを基本として考えてまいるということであると存じます。  それからまた、農業につきましては、日本よりもよほど恵まれた状況にある国におきましても保護が行われておることはもう申すまでもないことでございまして、わが国のような非常に自然に恵まれない国におきまして農業について合理的な保護をしていくということは、これは当然のことだと存じます。これにつきましては、私ども対外折衝の際に常に強調してまいっておるところでございます。  アメリカとの関係におきまして、アメリカからの農産物輸入が非常に大きい、このことは、日本が彼らにとりましては安定的な市場であり、かつ、アメリカ日本にとりまして安定供給の先であるという点におきまして、両国の利害がきわめて一致しておることでございまして、日米の間の非常に強いきずなとなっておると考えるのであります。  この輸入問題につきましては、さらに、先ほど中川農林大臣からも非常に明確な御意見が示されたわけでございますが、私どもといたしましては、安定的な輸入先を求めるということも、日本の総合的食糧政策、農業政策の点におきましては非常に大事なことと考えておりまして、自給率向上はもちろんでありますけれども、それと同時に安定的な供給先を求めてまいる、こういう観点から、今後の対外経済折衝に当たって努力してまいりたいと考えております。(拍手
  14. 安井謙

    議長安井謙君) 村沢牧君。    〔村沢牧登壇拍手
  15. 村沢牧

    村沢牧君 私は、若干質問時間を残してありますので、総理並びに関係大臣に再質問いたします。  まず、総理質問いたしますが、総理は私の質問に答えておらない。全く不満足であります。  私がお聞きをしたのは、今日農林漁業、水産業がこれだけ停滞をしたのは、いままでのわが国経済政策なり、いろいろな方針が誤っていたんではないか、これをいかに反省をして、農林業発展するような財政政策を立て得るのか、そのことについてはっきりしてくださいと言ったわけなんです。  それからまた同時に、七%経済成長したならば日本農業はどのように発展をするのか、あるいは日本農業がどのように発展をすることによって七彩成長に寄与するのか、そのことについても質問をしたわけであります。  さらにまた、訪米に当たっては、私は世界動きや、あるいはまた総理の言ったようなことを聞いたんではないんです。お聞きをしたのは、何を基準にして、何をテーマにしてこの話し合いをするのか、そのテーマについてであります。同時にまた、この日米会談を契機といたしまして、農産物輸入の自由化が非常に大きな動きとなっておりますし、多くの国民は、農民は、そのことをまた心配しているんです。農産物輸入自由化に対してはどのような態度をとってこられるのか、明快な答弁お願いします。  さらにまた、もう一点、この会談におきましては、アメリカも新しい機軸を打ち出す、つまり、アメリカ側からは日米の新しい節にしたいというふうに伝えられておりますが、新しい節とは一体どのように変わっていくのか、そのことについても答弁お願いします。  最後にもう一つ、宮澤経済企画庁長官、それから牛場対外担当大臣にお伺いします。  あなた方は、今日まで牛肉輸入に対して、報道されているところによると、宮澤経済企画庁長官は、計画的に輸入拡大方式をとらなければならない、あるいは牛場さんは、政策フォーラムによる不足払いがいいではないか——こんなことが報道されているんです。牛場担当大臣は、いまの答弁では、白書には全く同感である、そういう答弁でありました。それならば、白書農産物輸入拡大余地はないというふうにはっきり言っているわけですけれども、農産物輸入をこれからは検討しないかどうか、明快な答弁お願いいたしまして、私の再質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣福田赳夫登壇拍手
  16. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私が、日本農業政策について、また農業動向についてどういう反省をしておるか、こういうようなお尋ねでございますが、私は前から安定成長ということを唱えておるんです。安定成長という意味はどういうことかと言うと、これはいろいろありますが、その一つは、工業農業もその所得が肩を並べて均衡のとれた形で伸びていくんだ、こういうことであります。しかし、日本経済全体としての発展過程におきまして工業がずっと先に伸びた、それに比べますと農業所得がかなり立ちおくれたということに、またなっております。それが自然また農業人口減少、こういうことになってあらわれてきたんだろうと、こういうふうに思います。しかし、世界情勢、先ほど申し上げました、そういうことを考えるとき、わが国農業、これは考え方転換しなけりゃならぬ、そういう時期に来ておるのでありまして、そういうためには、この日本経済全体の成長の速度をかなり下げる、そして、農業もあるいは工業も肩を並べて同じ所得の増進に均てんするという状態にしなけりゃならぬと、こういうふうに思いますが、やっと皆さんの御理解を得て、安定成長ということについての認識が得られるようなことになってまいりましたので、まあ実質六%成長、これを目指しまして今後の施策を進めてまいりたい、このように考えております。さしあたり昭和五十三年度におきましては、これはまあ少し高くて七%成長になりますが、まあ六%成長、そういうことを考えてまいります際には、大体、各界各層の均衡ある発展ということは実現できるんじゃないかと、このように考えております。  それから、七彩成長したら農業は一体どういうふうになるのかと、こういうお話でございますが、やはり七%成長ということになれば、これは国民の購買力がふえるんですから、農作物に対しましてもいい影響があるわけであります。また、雇用という問題、出かぜぎだ何だ、ずいぶん苦労される農家が多いわけでありますが、そういう問題につきましてもかなり私はいい効果を持つであろうと、このように考えておる次第でございまして、何といたしましてもこの七彩周辺の成長、これは実現をいたしたい、このように考えております。  日米会談につきまして何か私が話の焦点を申し上げなかったというお話でありますが、これは明快に申し上げた。日米間につきましては、個別の問題はそうありません、しかし世界経済をどうするかということについて話し合おうと、これははっきり申し上げておるはずです。また、政治問題につきましては、アジアの問題、あるいは中東の問題その他日米関心のある諸問題等につきまして、世界の平和をどうするか、世界の繁栄、発展をどうするかと、そういう問題が非常に大きなこの会談中心議題であるということは、もう明確に申し上げたわけでありますから、誤解のないようにおとりのほどをお願いを申し上げたいと思います。  また、農業立場をどうするかというお話でございますが、そういう個別の問題は、もう牛場・ストラウス会談で話ももう決着がつき、そして共同声明にもなっておるわけでありまして、そういう話が大統領と首相の会談の話の短い時間の間で出るであろうというふうには私は考えておりません。  また、これから農業に臨む新機軸、そういうことについてどういうふうに考えておるかということでございますが、私は、日米のこの両国関係というものは、もうひとり日米両国の間だけの関係じゃなくなったと思うのです。これはもう世界影響のある日米両国であるというふうに思いますので、これからの日米関係というものは、これは世界のための日米関係であると、こういうふうにとらえてまいりたいと、このように考えております。(拍手)    〔国務大臣宮澤喜一君登壇拍手
  17. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 牛肉の問題につきましては、生産者と同じぐらい消費者も非常な関心を持っておることは御承知のとおりでございますが、ただ、そういう場合に、輸入をしさえすればいいんだというような簡単なことは、私全く考えておりません。原則としては、やはり国内生産の維持、拡大というものを前提にして考えていかなければならないと思っております。  このたびの東京ラウンドでは、十五年前のケネディラウンドでもさようでございましたから、生産国から何かの問題提起があるであろうということは想像できますけれども、その場合にも、やはりただいまのような原則に立ってわが国としては対処をいたすべきものだと考えております。(拍手)    〔国務大臣牛場信彦君登壇拍手
  18. 牛場信彦

    国務大臣(牛場信彦君) 農業白書につきましては、私の読み違いでなければ、輸入拡大余地は余り大きくないと、ごう言っているわけでございまして、余り大きくないという意味は、恐らく世界日本に対する期待と申しますか、日本がもっと買ってくれるはずだという期待に比べれば日本輸入できる余地というものは大きくないんだと、こういうことだと存じます。したがいまして、そういうことは私も対外折衝の場合に常に申しておるわけなんでございます。  それから、不足払いにつきまして私が何か賛成しておったとかというようなお話でございましたが、これはそうじやないんでございまして、ただ、世界にはいろいろな制度がございまして、もちろん一番端的に量的輸入制限をやっている国もございますけれども、たとえばECのように可変課徴金で農業の保護をやっているところもある。また、かつてのイギリスのように、不足払い制度を主としてやっておったところもございます。そういうものをいろいろ考えてみたらどうかということを申したわけなんでございます。  それからまた、現在のところ、対外折衝に当たりましては、常に、日本の現在の法律は変えられないんだということは申しております。したがいまして、その範囲内で政府のやれることというのはおのずから非常に限られておるんだということも常に申しておる次第でございまして、これは相手方におきましてもだんだん理解を得ておるところだと存じております。(拍手)     —————————————
  19. 安井謙

    議長安井謙君) 相沢武彦君。    〔相沢武彦君登壇拍手
  20. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 私は、公明党を代表して、ただいま報告のありました農・林・漁業の三白書に対し、総理並びに関係大臣質問をいたします。  最初に、農政に対する政府基本姿勢についてお尋ねいたします。  五十三年産米から、政府水田利用再編対策ということで、百七十万トン、三十九万一千ヘクタールの稲作転換が行われることになっております。過去には、これ以上の量の生産調整が行われたことがありましたが、その半分ぐらいは休耕を予定していたことから見まして、今回の稲作転換は、実質的に転作を主体とする措置としては最も規模が大きく、新たに水田面積の一三%程度が削減されることになります。わが国農業生産は過剰と不足が併存しており、それも、米やミカンの過剰、麦や大豆、飼料などの不足と、きわめて極端な形であらわれています。このようなゆがんだ形に日本農業が形成されたことは、やはり政府・与党の責任と言わざるを得ません。この点について、これまでの農政に対する反省も含め、総理基本的な御見解をお聞きしたいのであります。  次に、農業白書の指摘した問題点について質問いたします。  本年の農業白書が指摘した主な問題点は、第一に、農業生産需要に即して整えつつ総合的な自給力を高めること、第二に、農産物価格を安定すること、第三に、農業経営規模拡大を図ることの三点であります。いずれもまことにもっともな指摘であります。しかし、問題は、これらのいずれもがはかばかしく進んでいない現状であります。しかも、これらの課題は相互に関連し合っているため、その進行を相互に足を引っ張り合っているという関係にあると言えます。したがって、農政のかなめは、この三つの課題をいかに整合させるかにあると考えます。私は、やはり農業経営規模拡大中心的な課題になると思います。規模拡大については、政府もいろいろ手を打っていますが、効果的な決め手に欠けていることが問題であります。この点について政府は抜本的な対策を打ち出す用意があるかどうか、お尋ねしたい。  農業白書が指摘しているもう一つの重要な問題は、国際収支の黒字基調国としてわが国が果たすべき役割りに、輸入拡大ということがあります。その一環として、農水産物についても関税障壁等の緩和、輸入割当品目の縮小及び輸入枠拡大等を迫られておりますが、白書は、わが国農産物輸入余力はきわめて少ないとしております。この点には、なお国民のコンセンサスを要する問題が残っていると思いますが、政府内部でも、農林省と通産、外務両省の間にぎすぎすしたものがあるように見えます。直接影響をこうむる農業者の間では、農業わが国の重化学工業部門の犠牲になっているという見方がきわめて強いことは当然であると言わねばなりません。そこで政府は、これらの事情を踏まえて、農水産物の自由化と国際競争力の付与について、今後いかなる方針で臨み、農業者を初め国民の納得を得ようとするのか、その所信を明らかにしていただきたいのであります。  農業生産の総合的な自給力を高めるためには、農業生産基盤を強化することが必要であることは言うまでもありません。政府は、これまで土地改良長期計画をつくって対応はしていますが、これを事業量で見ると、まだまだお粗末の一言に尽きます。補助率の引き上げ、採択要件の緩和等の問題を含め、事業量を伸ばすためにいかに努力をするか、農林大臣見解を具体的に承りたいのであります。  次に、林業問題について伺います。  わが国林業生産活動は、いまや低迷の一途をたどり、森林の持つ公益的機能も喪失する重大な危機に直面しています。不況木材価格の低迷が林業不振の原因に挙げられていますが、経営及び就業意欲を失い、山林を離れた林業就業者は、この二十年間に三十数万人にも及んでいます。これらの問題は山村の過疎化と相互に関係し、森林の荒廃を招き、いまや国土の保全と森林資源の重大な危機を迎えるに至っております。総理、自民党政権下の重化学工業優先の産業政策の犠牲になってきた林野行政を、国家百年の大計に立って立て直す意欲がおありでしょうか。森林の荒廃の防ぎ手としての林業労働者をいかに確保されようとお考えですか。都市優先の考え方を改め、森林国民生活が相互依存の関係で成り立っているという基本的な考えに立って、林業振興、山村振興対策と国民認識、世論づくりを強力におやりになる考えはないか、御所見を求めたいのであります。  また、木材価格の問題については、森林組合系統などは木材価格の下値支えの制度を要求しています。政府はこれに積極的に取り組むかどうか。  さらに、衰退を続ける林業振興するためには、薪炭林地帯や入会林野などに対してどう具体的に対応するかが重要なポイントになると思いますが、いかがでしょう。  また、県行造林については、農林漁業金融公庫からの融資枠を一層拡大する必要があると思いますが、政府見解を明快に示していただきたいのであります。  次に、漁業白書についてお尋ねいたします。  白書の指摘をまつまでもなく、昨年のわが国漁業をめぐる最大の問題は、二百海里問題でありました。  わが国は、北洋漁場で大幅な撤退を余儀なくされるなど、きわめて厳しい事態に直面し、この結果、わが国周辺の漁場を見直して、漁獲量の多くをそこに依存せざるを得ない状況に追い込まれたのであります。そこで、私は、この限られた海域を永続的に、しかも高度に利用していく観点に立って、次の二点についてお尋ねいたします。  第一は、重要漁業資源の維持管理についてであります。  現在、漁業法、水産資源保護法、都道府県漁業調整規則等、漁業資源の維持管理に関する法制がありますが、今日まで乱獲を防止し得なかったことは、法制の内容、その運用のあり方に大きな問題があったと言わざるを得ません。政府はこの点をいかに反省されているのか。また、法制の適正な運用のためには、その前提として資源調査の充実が急務でありますが、これらに対する農林大臣の御見解を承りたい。  第二は、増養殖技術の開発についてであります。  自然の再生産力に見合った漁獲とともに、今後は、減少の著しい有用資源等を人為的に自然に付加し、あるいは管理する増養殖が、限られた漁場を高度に利用するためには不可欠となります。しかし、現在増養殖の技術開発で企業化水準にあるものは、ほとんど漁民の長年にわたる試行錯誤的な努力や、地方水産試験場の研究によるものであります。国は、今国会に提出した農林省設置法改正によって、養殖研究所及び水産工学研究所の設置を試みられるようでありますが、私は、その対応の遅さを嘆かざるを得ないのであります。  現在、二百海里対策の中心として、漁民の期待のもとに進められている沿岸漁整備開発事業も、技術開発が伴わないため、事業の拡大が阻まれている面すら見受けられるのであります。国は、漁場の高度利用の前提条件である増養殖関係の調査研究、あるいは技術開発関係予算及び人員の飛躍的拡充に努力すべきでありますが、農林大臣の決意をお聞きしたい。  最後に、今回の日ソ漁業協力協定交渉の結果について伺いたい。  北洋漁業の基幹とも言うべきサケ・マス漁業は、今回の交渉で、漁獲割り当て量は大幅に削減され、禁止区域は拡大されるなど、きわめて厳しい規制を加えられ、大幅な減船を余儀なくされるなど、関係業界や地域社会経済は深刻な事態を迎えております。総理は、この事態をどのように受けとめているのか、また、ソ連を初めとする諸外国との水産外交の重要性をどう認識し、今後取り組まれるのかを承りまして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣福田赳夫登壇拍手
  21. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) お答え申し上げます。  わが国農業では、過剰の部門と不足の部門が併存をする、このゆがんだ形をどういうふうに是正するかと、こういうお話でございますが、確かに、米やミカンなど、すでに生産能力が需要をかなり上回っている部面があるかと思うと、重要な食糧であるところの麦、大豆、これが大変に自給力が低い、こういう関係になっておるわけでありますが、これらの問題をよくにらんで、これからの農業政策はやっていかなけりゃならぬだろう、こういうふうに思うのです。ですから、特に米、これは大変な供給過剰になっておるわけであります。これを、さて過剰の米をどういうふうに処理するかといっても、処理する方法がないんです。そういうことを考えまするときに、これはいま皆さんに御協力お願いしておるんですが、減反政策、これ以外にもう道はない、そういう方向を進めております。また、ミカンにつきましても、生産者の御協力を願って需給調整に気をつけていただくというようにいたしておりますが、そういう間におきまして、そういう需給の調整という部面につきましては、政府といえども大いにこれを援助、助成をいたしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。御指摘の点はごもっともな点で、そういうような考え方でその他の農作物につきましても対処してまいる、こういう考えでございます。  それから、森林が荒廃しておる、そのための基本的な考え方はどうかというお話でございますが、確かに、国土の保全という意味合い、また環境問題、また水資源というような立場、こういう考え方から見まして、森林、特に国有林行政が非常に大事になってきたということは、これは私は全く御所見どおりに考えておるわけであります。これに対してどういうふうに対処するかということになりますれば、これは長期計画を立てて、いまこの問題をただいま申し上げましたような認識に立って処理しておるということは御承知のとおりでございますが、まあ特に山々が大変荒廃をしてきた、ふるさとの山はうるわしきかなというような山でだんだんなくなりかけておるんですよ。しかし、そういう山々にしなけりゃならぬ、こういうふうに考えて一生懸命取り組んでまいりたい、このように考えております。  また、今回の日ソ漁業交渉について感想はいかがであるかと、こういうようなお尋ねでございますが、今回の漁業協定締結交渉は、国際漁業をめぐる影響がますます厳しくなりつつあるので、そういう中で行われましたきわめて厳しい交渉であったことは、これは御承知のとおりであります。  漁業協力中心とする日ソ漁業関係の今後の発展の基礎と枠組みにつきましては、今度は合意ができたわけでありまするが、まあこれは、せめてものことであったというふうに評価しておりまするけれども、しかし、漁獲量、また漁区、これなんかにつきまして、私どもが思ったよりも厳しい結果になったということは残念に存じておる次第でございます。政府といたしましては、もとより海洋漁業資源の保存増大のための規制措置を遵守する、これはもうもちろんでありまするけれども、わが国の伝統的な漁業の維持継続につきましては今後とも努力をしてまいると同時に、やっぱりこれからの大きな漁業政策の目標は二百海里内の漁業整備拡大である、このように考えておりまするので、その面につきましては格段の努力をしてまいりたい、このように考える次第でございます。(拍手)    〔国務大臣中川一郎登壇拍手
  22. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 当面する農政についてお尋ねがございましたが、お答え申し上げます。  第一番目には、農業経営規模の拡大に努力せよということでございます。われわれも賛成でございまして、一生懸命やっておるつもりでございます。すなわち、農地等の取得資金の融資枠等を強化いたしまして、可能な限り所有権によりまして規模拡大促進する、同時にまた、借地による規模の拡大ということも農政上重要な課題だと推進いたしておるところであります。このような観点から、賃貸借の規制の緩和ということもやると同時に、農用地利用増進事業の実施によりまして、借地による規模拡大推進を図っておるところでございます。今後とも、五十二年度から実施しております地域農政特別対策事業や、あるいは今年から新たに発足いたします新農業構造改善業等を通じまして、農業経営改善意欲的な農家を通じまして農地利用の集積に努めて、規模拡大に寄与いたしたいと考えております。  次に、農産物の自由化あるいは輸入枠拡大について御指摘がございましたが、各国とも農政上これは保護をしなければならないということで、わが国でもかなりの非自由化品目を持っておりますけれども、この点については、わが国の持つ特殊な農業にもかんがみまして、これ以上自由化はできないと、こういう方針のもとに対外折衝をいたしておるところでございます。ただ、輸入枠につきましては、先ほど申し上げましたように、まず自給度向上に努め、なおかつ不足のものについては、消費者、国民に安定的に食糧確保するという観点から調整を図っていきたいと、こういうことでございます。  次に、農業基盤が立ちおくれているということでございますが、確かに、四、五年前の例の景気対策といいますか、公共事業を頭打ちいたした時代が数年ございました。これに右へならえいたしまして、農業基盤も非常に立ちおくれが目立ったのでございます。しかし、昨年あたりからかなり伸びておりますし、ことしも他の公共事業費に増して増大を図っておりますので、量的な立ちおくれをぜひとも取り戻したいということで鋭意努めておるところであり、そのほか、補助率あるいは採択基準の緩和等につきましても、それぞれ配慮して、現場の期待にこたえたいと存じております。  次に、木材価格の下支え制度等についての御指摘がありましたが、現在におきましては、木材についてはその価格がいかようなものであるかということの価格支持の値段の把握がむずかしい等もありまして、価格政策をとることはいかがかと存じますけれども、今後外材の秩序ある輸入等によりまして、できるだけ価格についての配慮によってこの問題に対処していきたいと存じております。  また、旧薪炭林についての御指摘もございましたが、地域の実情に応じまして、拡大造林の積極的推進、農林業を通じる一体的かつ有効な土地の開発利用の促進、特用林産物生産振興等を推進し、そういった旧薪炭林の利用の高度化を図ってまいりたいと存じます。  入会林野についても御指摘がございましたが、これは入会林野近代化法に基づきまして、それぞれ適切に進めてまいりたいと存じます。  また、農林漁業金融公庫の造林資金について、これを強化せよということでございましたが、これにつきましても最善を尽くしてまいりたいと存じます。  また、漁業関係につきましては、資源の問題について御指摘がございました。確かに今回訪ソいたしまして、資源の問題はきわめて大事であるということをさらに一層痛感いたしました。中でも技術問題について御指摘がございました。沿整事業をやるに当たりましても、やはり基礎的技術の研究が必要であるということでございますので、今後前庭をよくする事業を進めるとともに、水産研究所等を通じて従来もやってまいりましたが、今回、農林省設置法の改正もお願いいたしまして、水産工学研究所を設置いたしまして、研究体制も十分やってまいりたいと意を新たにいたしておるところでございます。  以上、農林水産の当面する問題についてお答え申し上げましたが、非常に厳しいところでありますので、あらゆる施策について最善を尽くし、農民、漁民、林業家、国民の皆様の期待にこたえたいと存じます。(拍手
  23. 安井謙

    議長安井謙君) これにて質疑は終了いたしました。      ——————————
  24. 安井謙

    議長安井謙君) 日程第二 漁業の分野における協力に関する日本国政府ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定及び北西太平洋における千九百七十八年のさけ・ますの漁獲の手続及び条件に関する議定書締結について承認を求めるの件  日程第三 北太平洋公海漁業に関する国際条約を改正する議定書締結について承認を求めるの件   (いずれも衆議院送付)  以上両件を一括して議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。外務委員長安孫子藤吉君。    〔安孫子藤吉君登壇拍手
  25. 安孫子藤吉

    ○安孫子藤吉君 ただいま議題となりました条約二件につきまして、外務委員会における審議の経過と結果を御報告いたします。  まず、日ソ間の漁業協力協定及びサケ・マスに関する議定書は、北西太平洋公海漁業に関する現行の日ソ漁業条約がソ連の廃棄通告によりまして明四月二十九日に失効することとなることに伴い、新たにサケ・マス漁業の取り扱いを含む日ソ漁業関係の枠組みを定めようとするものであります。  このうち、協定は、両国漁業の分野における互恵的協力発展させるため、漁獲技術、増養殖技術の改善等の協力促進、日ソ漁業委員会の設置等について定めるほか、北西太平洋の距岸二百海里外の水域における遡河性魚類を含む漁業資源の保存及び合理的利用についての具体的措置は、毎年両政府間で決定することとしております。  また、議定書は、ソ連の距岸二百海里外の水域におけるわが国の本年のサケ・マス漁獲量を四万二千五百トン、三千二百八十万尾としたほか、操業水域、漁期、取り締まり、裁判管轄権等について定めております。  次に、日米加三国間の北太平洋公海漁業条約の改正議定書は、米国及びカナダが距岸二百海里の水域に漁業管理権を設定したことに伴い、現行条約に改正を加えようとするものでありまして、北太平洋漁業国際委員会の維持、従来の自発的抑止水域よりも拡大されたわが国サケ漁業の操業禁止水域の設定、操業水域における規則措置、取り締まり、裁判管轄権等について定めております。  委員会におきましては、両条約に対する評価、二百海里時代におけるわが国漁業のあり方、来年以降のサケ・マス沖取りの見通し、日ソ間の漁業協力減船に伴う救済措置等について熱心なる質疑が行われましたが、詳細は会議録によって御承知を願います。  昨二十七日、質疑を終え、別に討論もなく、採決の結果、両件はいずれも全会一致をもって承認すべきものと決定をいたしました。  以上御報告いたします。(拍手
  26. 安井謙

    議長安井謙君) これより両件を一括して採決をいたします。  両件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  27. 安井謙

    議長安井謙君) 総員起立と認めます。よって、両件は全会一致をもって承認することに決しました。      ——————————
  28. 安井謙

    議長安井謙君) 日程第四 仮登記担保契約に関する法律案内閣提出)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。法務委員長中尾辰義君。    〔中尾辰義君登壇拍手
  29. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 ただいま議題となりました法律案について、法務委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。  本法律案は、金銭債務を担保するため、その不履行があるときは、債権者が目的不動産の所有権を取得するための代物弁済の予約など、仮登記担保契約に関して特則を定め、債務者の保護を図るとともに、関係人の利害を調整しようとするものであります。  すなわち、第一は、債権者は、あらかじめ債務者に清算金の見積額を通知し、その通知が債務者に到達してから二カ月の期間が経過しなければその所有権を取得することができないものとし、その期間が経過したときに債権債務関係の清算をすべきものとすること、第二は、債務者に支払うべき清算金について通知を受けた後順位担保権者は、債務者の清算金に物上代位し、また、清算金に不満があるときは、競売手続において、仮登記担保権者を含め各債権者の利害を調整すること、以上の法律関係は、不動産の所有権以外の登記、登録制度のある財産権についての代物弁済の予約等についても準用することとし、その他、債務者に受け戻し権を認め、差し押さえを原因とする清算金の弁済供託など、関係人の利害調整に関する規定を設けるほか、国税徴収法等の関係法律の整理を行うこと等がその内容であります。  委員会におきましては、仮登記担保の実情、清算金見積額の通知と清算期間の趣旨、清算期間と所有権移転登記との関係、受け戻し権の行使及びいわゆるサラ金業者の規制と円滑な法運用のための広報施策等について質疑が行われましたが、詳細は会議録に譲ります。  質疑を終わり、討論には別に発言もなく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告をいたします。(拍手
  30. 安井謙

    議長安井謙君) これより採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  31. 安井謙

    議長安井謙君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決されました。      ——————————
  32. 安井謙

    議長安井謙君) 日程第五 地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。地方行政委員長金井元彦君。    〔金井元彦君登壇拍手
  33. 金井元彦

    ○金井元彦君 ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案について、地方行政委員会における審査の経過及び結果を御報告いたします。  本法律案は、まず、地方交付税の総額の確保に資するため、当分の間、交付税及び譲与税配付金特別会計における借入金純増加額の二分の一に相当する額を臨時地方特例交付金として、後年度、一般会計から同特別会計に繰り入れることを法定するとともに、昭和五十三年度の地方交付税の総額の特例を設けるほか、普通交付税の算定に用いる単位費用を改正し、さらに、公営企業金融公庫の融資対象に臨時地方道整備業等を追加する等の措置を講じようとするものであります。  委員会におきましては、参考人より意見を聴取する等、慎重に審査を行い、その間、地方行財政制度の基本的改正の時期、地方財政収支試算と財源対策、今回の改正と地方交付税法第六条の三第二項の解釈等について質疑がありましたが、その詳細は会議録によって御承知を願います。  質疑を終わりましたところ、志苫委員より、日本社会党、公明党、日本共産党、民社党を代表し、地方交付税率の八%引き上げ、臨時地方特例交付金の増額、投資的費用に係る単位費用の改正等を内容とする修正案が提出されました。  本修正案は予算を伴うものであり、加藤自治大臣から、政府としては賛成いたしかねるとの意見が述べられております。  討論に入りましたところ、日本社会党を代表して佐藤委員、公明党を代表して上林委員、日本共産党を代表して神谷委員、民社党を代表して向井委員より、それぞれ修正案に賛成、原案に反対の意見が、また、自由民主党・自由国民会議を代表して夏目委員より、修正案に反対、原案に賛成の意見が述べられました。  討論を終わり、採決の結果、修正案は賛成少数をもって否決され、本案は賛成多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告いたします。(拍手
  34. 安井謙

    議長安井謙君) これより採決をいたします。  表決は記名投票をもって行います。本案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名を点呼〕    〔投票執行〕
  35. 安井謙

    議長安井謙君) 投票漏れはございませんか。——投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。    〔投票箱閉鎖〕
  36. 安井謙

    議長安井謙君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  37. 安井謙

    議長安井謙君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数        二百二十三票   白色票          百二十二票   青色票            百一票  よって、本案は可決されました。(拍手)      ——————————   〔参照〕  賛成者(白色票)氏名      百二十二名       安孫子藤吉君    青井 政美君       浅野  拡君    井上 吉夫君       伊江 朝雄君    岩動 道行君       石破 二朗君    石本  茂君       糸山英太郎君    岩上 二郎君       岩崎 純三君    上田  稔君       上原 正吉君    植木 光教君       江藤  智君    衛藤征士郎君       遠藤  要君    遠藤 政夫君       小澤 太郎君    大石 武一君       大島 友治君    大鷹 淑子君       大谷藤之助君    岡田  広君       長田 裕二君    加藤 武徳君       梶木 又三君    片山 正英君       金井 元彦君    金丸 三郎君       上條 勝久君    亀井 久興君       亀長 友義君    河本嘉久蔵君       木村 睦男君    北  修二君       久次米健太郎君    楠  正俊君       熊谷太三郎君    熊谷  弘君       源田  実君    小林 国司君       古賀雷四郎君    後藤 正夫君       郡  祐一君    佐々木 満君       佐藤 信二君    斎藤栄三郎君       斎藤 十朗君    坂野 重信君       坂元 親男君    山東 昭子君       志村 愛子君    嶋崎  均君       下条進一郎君    新谷寅三郎君       菅野 儀作君    鈴木 正一君       鈴木 省吾君    世耕 政隆君       園田 清充君    田代由紀男君       田原 武雄君    高橋 圭三君       高橋 誉冨君    高平 公友君       竹内  潔君    玉置 和郎君       塚田十一郎君    土屋 義彦君       寺下 岩蔵君    戸塚 進也君       徳永 正利君    内藤誉三郎君       中西 一郎君    中村 啓一君       中村 太郎君    中村 禎二君       中山 太郎君    永野 嚴雄君       夏目 忠雄君    鍋島 直紹君       成相 善十君    西村 尚治君       野呂田芳成君    長谷 川信君       秦野  章君    初村滝一郎君       鳩山威一郎君    林  寛子君       林   ゆう君    原 文兵衛君       桧垣徳太郎君    平井 卓志君       福岡日出麿君    福島 茂夫君       藤井 裕久君    藤川 一秋君       藤田 正明君    二木 謙吾君       降矢 敬雄君    細川 護煕君       堀内 俊夫君    堀江 正夫君       真鍋 賢二君    前田 勲男君       増岡 康治君    増田  盛君       町村 金五君    丸茂 重貞君       三善 信二君    宮田  輝君       最上  進君    望月 邦夫君       森下  泰君    八木 一郎君       安田 隆明君    山崎 竜男君       山内 一郎君    山本 富雄君       吉田  実君    河野 謙三君     —————————————  反対者(青色票)氏名      百一名       阿具根 登君    赤桐  操君       茜ケ久保重光君    秋山 長造君       穐山  篤君    案納  勝君       上田  哲君    小野  明君       大塚  喬君    大森  昭君       粕谷 照美君    片岡 勝治君       片山 甚市君    勝又 武一君       川村 清一君    久保  亘君       栗原 俊夫君    小谷  守君       小柳  勇君    小山 一平君       佐藤 三吾君    坂倉 藤吾君       志苫  裕君    瀬谷 英行君       田中寿美子君    高杉 廸忠君       竹田 四郎君    対馬 孝且君       戸叶  武君    野口 忠夫君       野田  哲君    広田 幸一君       福間 知之君    藤田  進君       松前 達郎君    宮之原貞光君       村沢  牧君    村田 秀三君       目黒今朝次郎君    森下 昭司君       矢田部 理君    安恒 良一君       安永 英雄君    山崎  昇君       吉田 正雄君    和田 静夫君       阿部 憲一君    相沢 武彦君       和泉 照雄君    太田 淳夫君       柏原 ヤス君    上林繁次郎君       黒柳  明君    桑名 義治君       小平 芳平君    塩出 啓典君       渋谷 邦彦君    白木義一郎君       鈴木 一弘君    田代富士男君       多田 省吾君    中尾 辰義君       中野  明君    二宮 文造君       馬場  富君    原田  立君       藤原 房雄君    三木 忠雄君       宮崎 正義君    矢追 秀彦君       市川 正一君    上田耕一郎君       小笠原貞子君    神谷信之助君       河田 賢治君    沓脱タケ子君       小巻 敏雄君    佐藤 昭夫君       下田 京子君    立木  洋君       内藤  功君    橋本  敦君       安武 洋子君    山中 郁子君       渡辺  武君    柄谷 道一君       木島 則夫君    田渕 哲也君       藤井 恒男君    向井 長年君       柳澤 錬造君    青島 幸男君       市川 房枝君    下村  泰君       柿澤 弘治君    野末 陳平君       森田 重郎君    江田 五月君       田  英夫君    秦   豊君       加瀬  完君      ─────・─────
  38. 安井謙

    議長安井謙君) 日程第六 職業訓練法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。社会労働委員長和田静夫君。    〔和田静夫君登壇拍手
  39. 和田静夫

    ○和田静夫君 ただいま議題となりました職業訓練法の一部を改正する法律案につきまして、社会労働委員会の審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本法律案の主な内容は、第一に、職業訓練及び技能検定の基本理念は生涯訓練、生涯技能評価を目標に行われるべきであることを明らかにするとともに、労働者は養成訓練、向上訓練、能力開発訓練等多様な職業訓練を受けることができるようにすること、第二に、国及び都道府県が行う職業訓練を機動的に実施するため、必要に応じ、他の適切な施設に訓練を委託するものとすること、第三に、現行の専修職業訓練校及び高等職業訓練校を職業訓練校に統一して質的向上を図るほか、現在雇用促進事業団が設置している高等職業訓練校については、技能開発センターまたは職業訓練短期大学校へ転換させることとし、離転職者及び中高年齢者に対する職業訓練の拡充並びに施設の整備を図ること、第四に、国及び都道府県は、事業主等に対し、認定職業訓練以外の職業訓練についても援助及び助成などを行うものとすること、第五に、現行の職業訓練法人中央会及び中央技能検定協会、都道府県の職業訓練法人連合会及び技能検定協会をそれぞれ統合強化し、中央及び地方の職業能力開発協会を設立することなどであります。  委員会におきましては、最近の雇用失業情勢と雇用創出の具体策、産業構造の転換に対応した職業訓練、中高年齢離転職者及び心身障害者の職業訓練と雇用機会の確保、資格付与と技能検定制度のあり方などの諸問題について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。  質疑を終わり、討論はなく、採決の結果、本法律案は全会一致で原案どおり可決すべきものと決しました。  なお、本法律案に対し、職業訓練の入校時期、訓練期間等の弾力化、中高年齢離転職者、心身障害者等の職業訓練の充実、認定職業訓練に対する助成の強化、生涯職業訓練体制の確立、推進などを内容とする附帯決議を全会一致でつけるととに決しました。  以上報告いたします。(拍手
  40. 安井謙

    議長安井謙君) これより採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  41. 安井謙

    議長安井謙君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決されました。  本日は、これにて散会いたします。    午前十一時四十七分散会