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1978-04-26 第84回国会 参議院 本会議 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月二十六日(水曜日)    午前十時三分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第十八号   昭和五十三年四月二十六日    午前十時開議  第一 国務大臣報告に関する件(地方財政法   第三十条の二の規定に基づく地方財政状況   について)  第二 日本国バングラデシュ人民共和国との   間の国際郵便為替の交換に関する約定締結   について承認を求めるの件  第三 日本国とカナダとの間の小包郵便約定の   締結について承認を求めるの件  第四 酒税法及び清酒製造業の安定に関する特   別措置法の一部を改正する法律案内閣提   出、衆議院送付)  第五 簡易生命保険及び郵便年金積立金の運   用に関する法律及び資金運用部資金法の一部   を改正する法律の一部を改正する法律案(内   閣提出衆議院送付)  第六 恩給法等の一部を改正する法律案内閣   提出衆議院送付)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、請暇の件  一、常任委員長辞任の件  一、常任委員長選挙  一、日程第一  一、原子力基本法等の一部を改正する法律案   (趣旨説明)  一、日程第二より第六まで      ―――――・―――――
  2. 安井謙

    議長安井謙君) これより会議を開きます。  この際、お諮りいたします。堀内俊夫君から海外旅行のため来る三十日から八日間、丸谷金保君から海外旅行のため明二十七日から十一日間、喜屋武眞榮君から病気のため二十二日間、野末陳平君から海外旅行のため来る二十八日から十日間、それぞれ請暇申し出がございました。  いずれも許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 安井謙

    議長安井謙君) 御異議ないと認めます。よって、いずれも許可することに決しました。      ―――――・―――――
  4. 安井謙

    議長安井謙君) この際、お諮りいたします。  運輸委員長内田善利君から、常任委員長を辞任いたしたいとの申し出がございました。  これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 安井謙

    議長安井謙君) 御異議ないと認めます。よって、許可することに決しました。      ―――――・―――――
  6. 安井謙

    議長安井謙君) つきましては、この際、欠員となりました運輸委員長選挙を行います。
  7. 原田立

    原田立君 運輸委員長選挙は、その手続を省略し、議長において指名することの動議提出いたします。
  8. 遠藤要

    遠藤要君 私は、ただいまの原田君の動議に賛成いたします。
  9. 安井謙

    議長安井謙君) 原田君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 安井謙

    議長安井謙君) 御異議ないと認めます。  よって、議長は、運輸委員長三木忠雄君を指名いたします。    〔拍手〕      ―――――・―――――
  11. 安井謙

    議長安井謙君) 日程第一 国務大臣報告に関する件(地方財政法第三十条の二の規定に基づく地方財政状況について)  加藤自治大臣から発言を求められております。発言を許します。加藤自治大臣。    〔国務大臣加藤武徳登壇拍手
  12. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 地方財政法第三十条の二の規定に基づいて先般政府国会提出いたしました地方財政状況について、その概要を御説明いたします。  まず、昭和五十一年度地方財政のうち、普通会計決算について申し上げますと、決算規模は、歳入二十九兆五千三十五億円、歳出二十八兆九千七十億円でありまして、これを前年度と比べますと、歳入において二二・三%、歳出において一二・七%それぞれ増加いたしております。  また、決算収支は、二千八百三十三億円の黒字となっており、前年度と比べますと二千二十一億円黒字額増加いたしております。  次に、歳入内容を見ますと、同年度において、景気がジグザグ型ながらも緩やかな回復を示したこと、また、地方財源不足対策が講じられたことにより、地方税地方交付税等一般財源及び地方債は高い伸びを示しております。  歳出内容を見ますと、投資的経費歳出総額に占める割合は前年度より低下しており、他方、義務的経費歳出総額に占める割合は、人件費についてはある程度の抑制が図られたものの、公債費及び扶助費が大幅に増加したため、前年度を上回り、財政硬直化が依然として続いております。  次に、地方公営企業につきましては、昭和五十一年度決算規模は、六兆二千九百九十八億円でありまして、前年度と比べますと六・〇%増加いたしております。収支状況は依然として厳しく、単年度の純損失は一千九百三十四億円、累積欠損は八千九百三十三億円となっております。  今後の地方財政につきましては、厳しい財政状況のもとにおいて、住民に直結する行政の担い手である地方公共団体が、よくその責務を果たし得ますよう地方財政充実強化を図るとともに、財政運営に当たりましては財源重点的配分行政経費節減合理化に徹することにより、財政硬直化を打開し、安定成長下にふさわしい財政運営を確立することが必要であると存じます。  また、現下経済情勢に対処し景気回復を図るとともに、立ちおくれている生活関連社会資本整備し、総合的な地域づくりを進めるため、投資的経費の積極的な拡大とその執行の推進を図ることが当面緊急の課題として強く要請されているところであります。  なお、地方公営企業につきましては、引き続き、経営の合理化推進し、料金水準適正化を図るとともに、負担区分制度の適正な運用を図るよう努力を払う必要があると存じます。  以上、地方財政の概況につきまして、その概要を御報告申し上げた次第でございます。(拍手
  13. 安井謙

    議長安井謙君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。佐藤三吾君。    〔佐藤三吾君登壇拍手
  14. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 私は、ただいま報告がございました昭和五十一年度地方財政状況について、円高不況のもとでますます危機的様相を深め、国民生活福祉に重大な影響を与えている地方財政の諸問題を中心に、日本社会党を代表し、総理並びに関係大臣質問いたします。  御承知のように、いわゆる地方財政白書は、地方財政実態問題点を調査解明し、制度運営改革に資することを目的として国会提出されているのであります。地方財政計画と一体をなすきわめて重要な報告でありますが、残念ながら、最近の白書は、公表時間、内容とも、こうした目的を十分満たしているとは決して言えないのであります。特に、昭和五十年度末の地方財政危機打開具体策をめぐって国民的関心が高まっていることを考えれば、白書の本来の目的に沿って公表することは政府の重要な課題と言わなければなりません。  こうした立場から今回の白書を見ますと、幾つかの基本的欠陥を有しているばかりか、白書本来の目的から離れて、政府の低福祉・高負担政策宣伝物となっていると言っても決して過言ではないのであります。  すなわち、まず第一の欠陥は、地方財政計画決算との比較分析が全くなされていないことであります。  昭和五十一年度地方財政計画を策定するに当たって、政府は、交付税特別会計における一兆三千百四十一億円の借り入れ、財源対策債一兆二千五百億円の発行という二つ借金政策で、二兆六千二百億円と見込んで財源不足を穴埋めしたわけでありますが、こうした見積もりや政策が正しかったかどうかを判断するための計画決算との比較が欠けているのであります。これでは白書だとはお世辞にも言えません。  二つには、行政水準進展度の指標が全く欠落し、当初の達成すべき行政水準と実施された行政水準との乖離状況が全く示されておりません。こうした内容上の問題に加え、公表時期が遅過ぎることも見逃し得ない問題であります。  一年おくれの決算報告では、現下財政危機に有効に対処し得ないことは明らかであります。報告時期を一層早めるとともに、大蔵省、自治省にすでに自治体から提出済み昭和五十二年度決算見込みをあわせて公表すべきであります。  一般的な税負担引き上げを求めることは不可避だと政府は今回の白書で強調しておりますが、白書本来の目的を満たすことなく、一方的に税負担強化を求めることは決して正しい態度とは言えません。総理並びに自治大臣の率直な見解を明らかにしていただきたいと思います。  次に、私は地方財政計画決算との乖離の問題についてお尋ねいたします。  五十一年度歳入決算額は、当初見込み額二十五兆七千二百六十八億円から二十九兆五千三十五億円となっており、地方財政は、いま御報告のように一見好転したかのように見えますが、問題は、その内容であります。歳入増加額の二七%は実に地方債の増発で賄われ、国・自治体間の財政制度改革による歳入増は一銭もありません。自治体借金使用料、手数料の引き上げによって歳入増がなされているのであります。交付税特別会計借金財源対策債発行を加えれば、この一年間における住民負担増借金は四兆円も増加したわけであり、地方財政の健全な発展とはおよそ無縁な状況と言わなければなりません。  五十三年度末における地方債残高は約三十六兆円にも上ることが見込まれ、地方交付税における基準財政需要額に占める公債費は三・三%にも達していることを思えば、政府借金政策はすでに限界に達し、財政制度改革は不可避であることを今回の白書は物語っていると考えますが、地方税源充実という白書指摘する具体策をお示しいただきたいと存じます。  地方交付税制度についても同様であります。白書は、地方交付税総額安定的確保を図る必要があると指摘しておりますが、五十年度以来の交付税特別会計における借金政策とは根本的に矛盾していると言わざるを得ません。自治大臣並びに総理の明快な答弁をいただきたいと思います。  次に、景気政策地方財政との関連についてお尋ねいたします。  政府は、五十一年度地方財政計画を策定するに当たって、景気回復を優先し、そのため公共事業及び自治体単独事業を大幅に増加したと強調されたことは、よもやお忘れでないと存じます。決算は、こうした政府の言い分が全くごまかしであったことを明らかにしているではありませんか。すなわち、補助事業は、四兆二千二百八億円の計画に対し、四千七百五十七億円増加し、四兆六千九百六十五億円と一一・三%も増大しておりますが、逆に単独事業は、当初の三兆七千六百三十三億円から二兆九千八百三十一億円と、七千八百二億円の、率にして二〇・七%も落ち込んでいるのであります。  政府がどんなに単独事業を重視したとしても、結果は全く逆であり、大型公共事業中心景気対策がいかに景気回復に役立っていないか、この白書は証明していると思います。政府はこうした冷厳な事実に何と答えるのか、率直な答弁をいただきたいと存じます。  五十三年度においても、政府公共事業とあわせて単独事業を五兆六千億予定しておりますが、十分な一般財源を保障することなく、公共事業自治体負担分の九五%を地方債措置する誘導策を講じておりますが、五十三年度においても五十一年度と同様の結果となることは、火を見るよりも明らかであります。政府が本当に七%成長を達成しようとするなら、五十一年度の結果を率直に反省し、単独事業拡大に努力すべきであり、政府具体策を明らかにすべきであります。  具体的には、公共事業を思い切ってカットし、かねてわが党が提案してきたように、自治体臨時雇用創出事業に振り向けるべきであります。  わが党が自治体雇用創出プラン提出して以来、たとえば高知市において、河川水路等しゅんせつ事業等、額にして約二億円の雇用創出事業として提起し、これを実施すれば十分な雇用増を見込むことができるとして、わが党の雇用創出プランに期待を強く寄せております。  急速な円高によって補正予算必至と言われる今日、大幅減税とあわせ、自治体雇用創出事務事業推進し、もっと住民福祉充実単独事業拡大するための補正予算を編成すべきであります。五十一年度白書は、まさにこうした措置必要性を証明しておると考えますが、総理並びに大蔵、自治大臣見解を賜りたいと存じます。  さて、本年度景気回復の名のもとに、公共下水道流域下水道建設が促進されておりますが、政府は、もっぱらつくることのみに目を向け、維持管理の問題については全く無関心であります。具体的に申し上げますと、本年八月供用開始される佐賀市では、維持管理費は一億三千二百万かかるのでありますが、下水道料金は一千八百万、これに地方交付税下水道費二千八百万を加えても、八千六百万の赤字であります。建設部門でも、五十三年度支出が四十二億六千万に対し、国庫二十二億円、受益者負担金二千六百万、市債四億九千二百万でありますから、十五億四千二百万の赤字となり、交付税措置分一億七千万を引いても十四億三千五百万の実質赤字となり、五十六年度までには五十億の赤字が見込まれております。これに対する一般会計からの繰り出しによって佐賀市は再建団体になることが予想されているのであります。下水道整備をすれば財政再建団体増加するというのは矛盾であり、ましてや、政府景気政策のツケばかり回されたのでは自治体はたまったものではありません。下水道建設に対する国庫補助制度改善はもちろんでありますが、維持管理費に対する抜本的な改善を図るべきであると考えます。建設自治大臣のお考えを明らかにしていただきたいと存じます。  最後に、私は沖繩交通方法変更問題についてお尋ねいたします。  本年七月三十日をもって沖繩県交通方法は一斉に本土に右へならえするわけでありますが、交通という県民生活の動脈が一夜にして変更されることは、これまで国民がだれ一人として経験してこなかったことであります。そこには、予測しがたい肉体的、精神的、経済的かつ社会的な損失が生ずるであろうことは想像にかたくありません。ひとり沖繩県民のみがこうむるこうした損失に対し、政府は、まず事前に予測し得る県民損失に対しては完全に補償するとともに、変更後の影響及び損失に対し、国の責任において調査し、補償すべきであると思います。  また、交通方法最後復帰処理事業であることにかんがみ、沖繩県が要求している交通安全教育センター交通災害医療センターなど、変更に伴う事業を実施することはもちろんでありますが、広く全県民の苦痛に報ゆる立場から、長年県民が熱望してきた国立文化センター建設を図るべきであると考えますが、総理並びに沖繩開発庁長官答弁をいただきたいと思います。  以上、私は地方財政の基本的な問題を中心質問してまいりましたが、政府の率直かつ明快な答弁を期待し、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣福田赳夫登壇拍手
  15. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) お答え申し上げます。  五十二年度地方財政の実績から見ますと、五十三年度の膨大な公共事業、また地方単独事業、これは一体消化できるのかと、こういう危惧の念を示されての御質問でございますが、五十三年度予算では、苦しい財源事情でありまするけれども、この膨大な公共事業地方単独事業、これは景気対策上ぜひやってもらいたいと、こういうふうに存じまして、その財源につきましては、これは十分の手当てをしております。したがいまして、これが実行できないというようなことは、これはない、御安心を願いたいと、このように存じます。したがいまして、どうも七%成長と言うが、この面からどうも問題があるんじゃないか、そのようなお話でございますが、七%成長にこの面から亀裂が生ずるというようなことはございません。  それから、臨時雇用創出プラン社会党ではそれを提案しておるが、この方が公共事業中心政府計画よりいいんじゃないかと、こういうようなお話でございますが、考え方としては、雇用、これは社会党政府も同じでございます、これを重視する。ただ、それを実行する方法といたしまして、政府では、雇用も喚起する、しかし同時に、社会施設として後に財産として残る、そういう公共事業を選択しておるわけなんでありまして、私は、政府のこの諸施策、この方が合理的、効果的であると、こういう見解でございます。  自余の問題につきましては関係大臣からお答え申し上げます。(拍手)    〔国務大臣加藤武徳登壇拍手
  16. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 私への御質問の第一点は、地方財政白書の中で報告が欠落しておるではないかと、かような御指摘でございました。地方財政白書は、従来からも地方財政状況決算上の計数に基づきましてできるだけ正確に報告をいたしたいと、かように考えておるのでありますけれども、御指摘のありましたような点につきましては今後の検討課題といたしてまいりたいと、かように考えております。  それから、地方財政白書提出期限を早め、少なくとも地方財政計画提出の時期に提出すべきではないか、また、五十一年度白書の中に五十二年度決算見込みについても含めて報告すべきではないかと、かような御指摘でございました。地方財政白書は、三千三百を超えます地方公共団体からの決算報告に基づいてこれを集計いたしますことは御承知のとおりでございます。で、この結果に基づきまして分析をいたしましたり、また、印刷に相当の日数が必要となります関係上、報告時日を繰り上げますことはきわめて困難だと考えますけれども、なお今後研究いたしてまいりたい。また、五十二年度決算見込みを含めますことは、地方団体の場合は三月に相当補正をいたすものでございますから、大幅な補正をいたします事情もございまして、白書の正確を期する上からきわめて困難だと、かように考えております。  それから三番目は、地方財政計画決算との間の問題点が解明されないで国民に一般的な税負担を求めることはいかがであろうかと、かような御指摘でございました。さきに申しましたように、地方財政計画は、できるだけ地方団体における財政実態に近いものであることが望ましいことは申すまでもないことでございますが、ただ、地方財政計画が現在のような財源不足から脱却をいたしますためには、できるだけ早い機会に、税負担増加を含めまして地方財政制度の根本的な改正をいたしまして、所要一般財源確保に努めてまいりたい、かように考えております。  それから四番目は、地方財政計画決算との乖離についての御指摘でございました。御承知のように、地方財政計画は収入、支出見込みについて策定されるものでございまして、そこで、実際の財政運営の結果であります決算は、歳入歳出におきますある程度の差が生じ、乖離が生ずることはやむを得ない点もございますけれども、しかし、昭和四十九年度以降、この差が、乖離が逐次減少いたしており、財政計画決算の差はできるだけ小さいことが望ましいのでございますから、今後とも地方財政計画の策定に当たりましては、合理化を図り、乖離が少ないように努めてまいりたいと、かように考えております。  それから五番目は、地方交付税率引き上げを行うべきではないか、かような御指摘でございました。現在の国並びに地方財政経済状況は御承知のとおりでございまして、交付税率引き上げは、いわば恒久的な制度でございますけれども、かような変動期におきましては恒久的な制度をとり得なかったのでございますけれども、しかし、所要財源確保いたしまして、三兆五百億円の財源不足を完全に埋め得まして、財政運営に支障がないように努めてまいっているところでございます。  六番目には、単独事業、五十一年度の三兆円の単独事業を見ると、決算地方財政計画との間に相当乖離があるではないか、五十三年度においても五兆円を超える単独事業を予定しているけれども、これで景気浮揚ができるのか、かようなことでございました。地方におきましては、申すまでもなく、七〇%を超えます公共事業を実施をいたすと同時に、また単独事業にも力を入れまして、きめの細かい配慮をいたしながら生活関連施設等整備に当たってまいっておるところでございまして、地方におきましては、推進本部を設けましたり、あるいは事務的な手続等を簡素化する等の方法をとりまして、いろいろ創意工夫をいたしておりまして、完全消化が可能だと、かように考えており、したがって、地方におきましても景気浮揚に大きく貢献し得る、かように信じておるところでございます。  それから、七番目は、社会党が御提案になっております雇用創出プランの採用についての自治大臣所見いかんと、かような御指摘でございました。失業多発地域におきます失業者吸収策は、基本的には公共事業等によって、国の責任において実施することをたてまえといたしておるのでございますけれども、先ほど申しましたように、補完的に単独事業等を大量に消化し得ますような財政対策をとってまいっておるのでございますから、地元におきましても、公共事業の施行につきましても、失業多発地帯重点を置いて考えているのに間違いがございませんし、なおかつ、きめの細かい単独事業等によりまして、失業多発地帯におきまして重点的にこれを配分、施行いたすと、かようなことによりまして雇用創出効果を上げていくべきだと、また上げていきつつある、かように信じております。  最後に、下水道建設につきましての補助金制度維持管理制度についての御意見やお尋ねでございましたけれども、今日の社会資本の立ちおくれの尤なるものが下水道整備であることは申すまでもないことでございますから、地方といたしましても非常に力を入れてやってまいっておりますが、しかし、これに伴う地方負担相当の額でありますことは御指摘のとおりでございます。そこで、建設省ともよく相談をいたしながら事を進めていかなければなりませんけれども、使用料適正化を図ってまいりますとか、あるいは交付税交付金交付等につきまして格別の配慮をいたしてまいりたい、かように考えております。(拍手)    〔国務大臣村山達雄登壇拍手
  17. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 私に対する質問は、いま総理自治大臣からほとんどお答えいただきましたので、重複を避けまして、景気浮揚のために減税はどうかという点についてお答え申し上げたいと思います。  御承知のように、ことしは、限りある財源景気浮揚効果に最もやはり適するものは公共事業であろうということで、それに重点を置かしていただいたわけでございます。あわせまして、住宅対策あるいは投資減税、さらには金利の、公定歩合の思い切った引き下げをいたしまして、そして所期の経済成長を図れると、かように思っておるところでございますので、大幅な減税ということは目下のところ考えていないのでございます。  ただ、現在国会におきまして、与野党間で三千億の減税、戻し税が審議されておることは御承知のとおりでございます。これに結論が出ました場合には、その結論の結果を踏まえまして、財政当局といたしましては適切な処理をいたしたいと、かように考えておるところでございます。  以上。(拍手)    〔国務大臣核内義雄登壇拍手
  18. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 公共下水道建設事業についてのお尋ねでございましたが、この種事業は、現在他の事業に比して遜色のない高率補助を行っており、また、その裏負担や、いわゆる単独事業についても高率地方債手当てするとともに、その元利償還額の半分を地方交付税に算入する等、種々の措置を講じております。また、維持管理費については、使用者使用料による負担のほか、地方交付税によっても手当てがなされております。したがって、地方負担が特に厳しいということはないと存じますが、佐藤議員の御質問佐賀市の事例につきましては、特殊の事情もあると存じますので、行政指導により改善してまいりたいと思います。(拍手)    〔国務大臣稻村左四郎登壇拍手
  19. 稻村佐近四郎

    国務大臣稻村左四郎君) お答えいたします。  沖繩県から要請されておりますいわゆる交通方法変更に伴う特別事業の一環としての道路整備につきましては、実施可能なところから、その緊急度に応じて実施をいたしております。また、交通安全教育センター交通災害医療センターにつきましては、その要請を踏まえて、各関係省庁あるいは県当局と鋭意連絡をとりつつ検討いたしておるところであります。御指摘の文化センターにつきましては、交通変更に伴う特別事業として要請はされておりません。(拍手
  20. 安井謙

    議長安井謙君) これにて質疑は終了いたしました。      ―――――・―――――
  21. 安井謙

    議長安井謙君) この際、日程に追加して、  原子力基本法等の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 安井謙

    議長安井謙君) 御異議ないと認めます。熊谷国務大臣。    〔国務大臣熊谷太三郎君登壇拍手
  23. 熊谷太三郎

    国務大臣(熊谷太三郎君) 原子力基本法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。資源の乏しいわが国におきまして、将来にわたってエネルギーの安定的確保を図ってまいりますためには、原子力発電を中心とする原子力の開発利用を強力に推進してまいりますことが不可欠であります。    〔議長退席、副議長着席〕  このため、政府といたしましては、安全研究の推進、原子力安全局の設置など安全の確保に十分配慮しつつ、鋭意、原子力開発利用の推進に努めてきたところでありますが、必ずしも期待どおりの進展を見せていない状況であります。  このような状況を打開し、今後とも原子力開発利用を円滑に推進していくためには、原子力に対する国民の信頼を確保し、国民の理解と協力を得るために、さらに万全の努力を払うことが必要であります。  このような考えから、原子力行政体制の基本的なあり方につきまして検討いたしますため、内閣総理大臣のもとに原子力行政懇談会を開催し、各界有識者の御意見を伺うとともに、内閣に原子力行政体制改革強化推進連絡会議を設け、鋭意検討を進めてきたところであります。  その結果、原子力の安全の確保に万全を期しつつ、原子力に対する国民の十分な理解と協力を得るためには、安全の確保に関する事項を所掌する原子力安全委員会の設置及び安全規制行政の一貫化を図ることが必要であるとの結論を得ましたので、原子力基本法等の一部を改正する法律案提出いたしました次第であります。  次に、この法律案内容を述べさせていただきます。  第一に、本法律案では、原子炉の設置等に関する安全規制等原子力に係る安全の確保に関する事項を所掌する原子力安全委員会を設置することといたしております。  第二に、本法律案は、行政機関における安全規制行政の一貫化を確保し、その責任体制を明確にする必要があることにかんがみ、実用発電用原子炉については通商産業大臣、実用舶用原子炉については運輸大臣、試験研究用原子炉及び研究開発段階にある原子炉については内閣総理大臣が、それぞれ一貫して原子炉の設置及び運転に関する規制を行うよう改めるとともに、これらの改正に伴う所要整備を行うものであります。  なお、衆議院におきまして、原子力基本法の原子力開発利用の基本方針に「安全の確保」の字句を加えるほか、原子力安全委員会の強化等につきまして所要の修正がなされております。  以上が、原子力基本法等の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手
  24. 加瀬完

    ○副議長(加瀬完君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。松前達郎君。    〔松前達郎君登壇拍手
  25. 松前達郎

    ○松前達郎君 私は、日本社会党を代表して、ただいま提案されました原子力基本法の一部を改正する法律案について、総理並びに関係閣僚に質問を行うものであります。  エネルギー資源に乏しいわが国にとって、今日の生活レベルを維持し、もしくは向上させようとするとき、エネルギーの確保は最も重要な課題であることは言うまでもありません。  本来、原子力基本法が制定された経過は、昭和三十年十二月、日本社会党と自由民主党の共同提案で、しかも全議員の名前をもって提出されたものと理解をいたしておりますが、その原子力基本法に盛り込まれている原子力開発及び利用に関する基本的精神は、平和・民主・自主・公開の四原則であったはずであります。  当時、提案理由説明の中で、原子力基本法の制定に当たり強く強調された点は、第一に、核兵器へと発展させない平和利用であるべきであり、第二に、国民の協力を得ることであり、第三には、長期計画の中でわが国の個性を生かさなければならないことであったと思います。特に原子力発電の場合、わが国においては、核燃料に天然ウランを用い、減速材に重水あるいは黒鉛を使用するタイプの原子力発電方式が適当であるとし、さらに、燃料を国外から輸入せざるを得ない点などをあわせ考え、原子力利用は自主性を失わぬよう努力しなければならないと述べておるのであります力  ここで注目しなければならないことは、その後わが国は、小型で建設期間が短く、しかも建設費が安いアメリカの原子炉を続々と輸入し、いまや日本の原子力発電はアメリカのGE社とウエスチングハウス社の原子炉で独占された形となり、しかも、これらの原子炉は欠陥が多く、いまだに稼働率がきわめて低い現状であります。これに反し、皮肉にも、先ほど申し上げました天然ウランを用い、黒鉛を減速材とするわが国最初の発電用原子炉「東海」は、出力はやや小さいが、今日もなお最も高い稼働率で正常な運転を続けていることであります。  提案理由の第四は、わが国の有能な学者の協力のもとに原子力開発を行うということであり、中立の立場から平和利用を推進しようと説明しているのであります。  これら原子力基本法の原則を踏まえて今日に至るまでの原子力開発を見ますと、平和利用の面では、原子力開発は核拡散防止に関する論議を生んで国際的な問題へと進展し、また一方では、放射性物質の持つ脅威が生活への大きな危惧をもたらすものとして問題を提起し、特に安全性に関する問題がクローズアップされてきたのであります。したがって、今日における原子力開発は、平和・自主・民主・公開の四原則と同時に、安全でなければならないことは言うまでもありません。  まず、総理にお伺いいたしますが、原子力開発に当たり、基本的な原則について、まさか考え方が変わっておられるとは思いませんが、総理のお考えと方針をお聞かせいただきたいのであります。  原子力開発は、平和・民主・自主・公開・安全の五つの原則に基づいて行われるべきであると述べましたが、私は、今日までのわが国の原子力開発は、目先の経済効果のみを追求し、手っ取り早い国外からの技術導入や原子炉輸入に走り、余りにも企業ペースで進められてきた感を抱くものであります。また、民主、公開の原則にしましても、特に安全に関し地域社会や国民の理解と信頼を得るための積極的な努力が足りなかったことと、公開の原則の基本的問題である原子炉事故にいたしましても、たとえば美浜の一号炉の燃料棒破損事故を四年間も隠蔽するような事態を引き起こしたのでありまして、必ずしも民主・公開の原則をわきまえての行政であったとは言えないのであります。このような今日までの行政に対し、総理並びに科学技術庁長官、通産大臣に大きな反省を求めるものであります。  また一方、今日までの原子力行政は、原子力開発をばらばらに進めてきた感を抱かざるを得ないのであります。原子力開発に当たっては、行政と専門が車の両輪のように一つの軸で回ってこそ初めてその効果が発揮できることは言うまでもありません。しかし、いままでの行政においては、行政はひたすらに規制と問題処理に専念し、専門家はただ専門的な立場から意見を具申するのみで、その実態に立ち入って検討することが少なかった点が問題であります。しかもその上、発電用原子炉の導入に関する意思決定が業界の力で行われてきて、わが国の原子力行政は全く主導権を確立できなかったのであります。したがって、その結果として、原子力行政に当たっての責任が不明確となり、行き詰まりを感じさせるようになったのは当然であります。私は、これらの諸問題の解決には、まさに人的環境と科学技術的環境がかみ合って相乗的な効果を生み出すよう検討改善が行われるべきだと考えますが、いかがでしょうか。総理の御見解をお聞かせいただきたいと思います。  また、ただ単に専門家や担当者を行政面で異動、再配置するのみでは、原子力開発における安全性の問題は解決しないと思いますが、いかがでしょうか。  原子力安全委員会の機構が果たして相乗的効果を生み出すことができるでありましょうか。問題提起は原子力委員会が行い、データは企業が提出するといった、そういった状況がどのように改善されるというのでありましょうか、科学技術庁長官の見解をお伺いいたします。  また、うたい文句の原子力安全委員会によるダブルチェックにいたしましても、行政の隠れみのになりはしないか。ただ行政をいじったのみで果たして実効が上がるものかどうか、大変疑わしい面があるのであります。このような機構の中で、専門的な立場から自由な検討と実態との対話、すなわち、机上の論議だけではなく、現場との接触の中での検討がどのように保証されるのでありましょうか。この点について科学技術庁長官及び通産大臣にお伺いいたします。  原子力安全委員会がダブルチェックの機能を十分発揮し、国民の信頼にこたえられるかどうか、また、今後の原子力行政の中でどのような力を持つことになるかは、先ほど述べました人的環境のいかんによって大きく左右されるものと考えます。安全委員会が行政の隠れみの的存在にならないようにするための委員の選出に関し政府の考えを伺うと同時に、先般衆議院において修正された点につき、通産大臣並びに科学技術庁長官の見解をお伺いします。  私は、このたびの原子力基本法等の一部を改正する動きは、原子力船「むつ」の初歩的な放射線漏れが引き金になったと考えますが、「むつ」についても、安全性につき国民のコンセンサスを得ないままに、ただ母港や修理港をたらい回しにしても問題解決にはなりません。「むつ」問題にしても、小型原子炉に関する基本的な技術開発と総合的な検討が行われなかったために生じた問題であり、長期的な計画のもとに自主的に開発が行われ、十分な基礎技術の上に立ってつくり上げられたものであれば、このような事故は起きなかったでありましよう。  原子力発電も、わが国の発電用原子炉の稼働率がきわめて低く、その原因の大部分が基礎技術や条件設定などが未完成である点にあると考えられる今日、私は、発電用原子炉はいまだ開発の段階にあると考えます。しかるに、本法案では、通産省、運輸省が原子炉設置に関し許可認可及び必要な命令権を持つことになるのでありますが、政府は、発電用原子炉はすでに開発段階を終え、商用炉として完成され、十分な機能と安全性が確立しているものと判断されているのかどうか、これについて通産大臣見解を承りたいと思います。  わが国の原子炉に関する技術が未熟である現状のままで通産省、運輸省が許可認可をすることは、自動車で言えば欠陥車が堂々と町を走り回ることになるのであります。原子力開発は、西ドイツの例にもあるように、自主技術確立のため一歩一歩慎重に積み重ねる必要があるものであって、ただ、がむしゃらに促進すればよいというものではないと思います。行政的な取り扱いを変えたり、印象だけは目玉的な安全委員会を設置しても、必ずしもそれだけで安全が確保できるものではないと考えますが、この点について総理並びに科学技術庁長官の所信を伺います。  私は、将来のエネルギー対策の一つとして原子力エネルギーを対象として考えることを否定するものではありませんが、その原子力エネルギーの利用にしても、総合的なエネルギー政策が立てられてのことであります。見方によっては、原子力発電は、ごく短期間に急成長する場合、発電のみを考えるとコストの点では確かに有利ではありますが、総合的なエネルギー消費の面から見ると必ずしも有利ではなく、かえってエネルギー収支赤字になる場合があるといった見方がございます。わが国に例をとってみますと、たとえば、昭和五十一年の原子力発電の総出力は七百二十六万キロワットであり、これに対し、原子力発電所建設に投入したエネルギーは約五百六十億キロワットアワー、核燃料の精製等のコストは五ヵ年で約三十六億キロワットアワー、産出したエネルギーは六年間で約七百億キロワットアワーであるので、差し引きしますと、エネルギー収支は、たかだか百億キロワットアワー程度にしかならないというのであります。これは、わが国最初の東海原子力発電所が一基で昭和五十二年まで動いて生産してきたエネルギー約百八億キロワットアワーと同程度しか生産できなかったことになるのであります。このような関係にあるので、現在の不安定な原子炉を急速に建設すると、長期的にはエネルギー収支はかえってマイナスになる場合が起こり得るのであります。  次に、通産大臣にお伺いします。  昭和五十三年度の石油輸入量は昭和五十二年のわずか〇・八%増であり、きわめて低い増加率を示しております。産業構造の転換を強いられる中で、かつてのエネルギー需給見通しは大きく修正されるような状態となりつつあります。昭和五十二年六月の総合エネルギー調査会のエネルギー需給見通しを再検討し、総合的にエネルギー政策を立て直す必要があると考えますが、いかがでしょうか。  高度経済成長時代のように、エネルギーの大量消費によって成長が行われた時代は終わり、成長率が示す数字の割りにはエネルギー消費が増加しない時代となったと思います。今後、新しいエネルギー開発と省エネルギーに新しい技術革新が必要な時代となったと考えますが、本法案を見ますと、総理がかつて提唱され実現できなかった行政改革として、本来国が積極的に行うべき技術革新のかなめとしての行政機関を次第に弱体化していくような時代逆行的な感じさえ抱くのですが、この点について総理はどうお考えでしょうか。  日本社会党は、かつてエネルギー政策として、エネルギー研究開発とエネルギー供給計画、省エネルギー政策を提唱いたしましたが、政府は、これに対し、昭和五十年になってエネルギー節約に関する法案を提出すると約束したはずであります。いますぐできる省エネルギー関係法案を作成提出し、省エネルギーに関する研究開発を抜本的に推進する用意があるかどうか、総理にお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣福田赳夫登壇拍手
  26. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 原子力政策を進めるに当たりましては、基本法の平和・自主・民主・公開の原則のほかに、安全がきわめて重要と思うが所見いかん、このような御質問でございますが、原子力開発に当たりましては、平和利用に徹し、自主・民主・公開の原則を堅持するとともに、安全を確保することがきわめて重要であることはお説のとおりでございます。衆議院で原子力基本法の基本方針に「安全の確保」が加えられた、私は、大変この修正は時宜を得たものである、妥当なものであると、そのように考えております。原子力安全委員会の設置を機会に、これが再確認されたということだろうと理解しております。今後とも、この修正の趣旨を体しまして、原子力の安全の確保に万全を尽くしてまいる、これが私の見解でございます。  それから、原子力安全委員会の委員の人選を含め、十分安全確保が図られるように運用することを約束せよというお話でございますが、このことは、はっきりお約束を申し上げます。そのようにいたします。  また、同委員会のダブルチェックなどに当たりまして、安全の確保が十分に図られるよう、その運用に万全を期してまいる考えであるということを申し添えます。  なお、行政機構、エネルギー政策を強力に進めるための行政機構、これが十分でない、弱体である、このようなお話でありますが、エネルギー政策はこれから長期にわたりましてわが国といたしましては本当に大事な問題になってくると、そのように考えておるのであります。その大事な問題に取り組む行政機構、これがどういう形であるべきかということにつきましては、私もずいぶんこれは腐心をいたしておるということでございまするけれども、これはなお、お説のとおりに私は考え方としては考えておりますので、それをどういうふうに具体化するか、私も十分検討してまいりたいというふうに考えております。  自余の問題につきましては所管大臣からお答え申し上げます。(拍手)    〔国務大臣熊谷太三郎君登壇拍手
  27. 熊谷太三郎

    国務大臣(熊谷太三郎君) いろいろお尋ねがございましたが、一つの点は、今日までのわが国の原子力開発が国外からの技術導入やあるいは原子炉輸入に頼っていて、非常に自主の原則が十分確立していないのではないか、これについてどう反省をしているかというような点かと存じますが、いろいろの関係もありまして、従来は残念ながら十分自主の原則が確立していたとは必ずしも言えなかったかと存じますが、この点につきましては、着々とその自主の態勢を固めてきておりまして、たとえば軽水炉の国産を進めてまいりますとか、あるいは純自主技術とも言うべき新型転換炉あるいは高速増殖炉の開発も進めてきているところでありますし、核燃料サイクルの確立に関しましてきわめて重要な濃縮の問題でありますとか、あるいは再処理の問題等につきましても、自主的な研究開発を着々進めているところであります。  それから、一つには、これまでの原子力行政におきまして、事故を隠したりなどして、必ずしもこれまた民主・公開の原則が貫かれていない点があったのではないか、これについても十分反省せよということでございまして、あるいはそういう点につきまして、これまた万全ではなかった点もあったと考えますが、こういう点につきましても今後十分反省いたしまして、そういう点がないように努めてまいりたいと、このように考えております。  それから、原子力の開発に当たっては、行政と専門を車の両輪として初めて効果が上がると考えるが、その点がなお不十分ではないかというお考えでございまして、この点につきましても、今後とも十分そういう点を配慮いたしまして、円滑な推進を図ってまいりたいと、このように考えておるわけであります。  それから、原子力安全委員会によりますダブルチェックにおいては、ただ机上の論議だけではなしに、よく現場とも接触できる十分な検討が必要ではないか、そういう点が果たして保証されているかどうかというような御趣旨の御発言かと存じましたが、これにつきましては、まず現場から必要な報告を求めまして、十分検討いたしますとともに、必要な場合には現場の協力を得まして、直接現場にも参って、いろいろ必要な調査を行うということにいたしているわけでございます。  それから、安公委員会の委員の選出につきましては、先ほど総理大臣からもお答えをいたしましたように、十分完璧な人選をいたしまして万全を期してまいりたいと、このように考えているわけであります。  それから、「むつ」の問題に関しましていろいろな御指摘がございましたが、これに関しましてのいろいろな批判に対しましては十分反省しているわけでありまして、必要ないろいろな検討を行ってきているところであります。  それから、見かけだけで力を持たない原子力安全委員会ができても果たして安全が確保できるかどうかというような御所見も承りましたが、しかし、この原子力安全委員会の人選につきましては、ただいまも申し上げましたように完璧な人選をいたす考えでありますとともに、この原子力問題につきましては何よりも安全が第一であるということは今日の世論としてすでに確立していると考えているわけであります。このような世論を背景にいたしまして、原子力安全委員会の決定が十分一般から支持できない、あるいは行政官庁がその規制に服しないということはあり得ないと考えておりますが、さらにわれわれ科学技術庁といたしましては、原子力の安全、原子力行政の総合的な官庁といたしまして、こういう点につきまして、さらにわれわれといたしましても原子力安全委員会の決定が十分権威を持って実行できるように協力してまいりたい。これによりましてその安全が十分確保できると考えているわけであります。  それから、原子力発電につきまして、稼働率の低下その他のいろいろな問題から、十分経済面の確保ができないのではないかというようなお話もございましたが、今日までの段階におきまして、原子力発電が経済的に非常に赤字であるというような見解はまだ出ていないのでございます。  そのほか、いろいろ原子力行政に関する御要請、御要望等がありましたが、十分その点につきましては御発言の趣旨を体しまして善処してまいりたいと考えるわけでございます。(拍手)    〔国務大臣河本敏夫君登壇拍手
  28. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) ダブルチェックの問題でございますが、科学技術庁の長官からもお答えがございましたので、簡単に申し上げますと、原子力安全委員会は普通の諮問委員会よりも強い権能が与えられております。行政府に対する意見の尊重義務、勧告権、こういう権能がございまして、私どもは、この観点からもダブルチェックは完全にできると、このように理解をいたしております。  それから次の御質問は、発電用の原子炉はすでに商用炉として完成されたものかどうか、安全性の面からどうかと、こういうお話でございますが、世界の発電用の原子炉の現状から見まして、私どもは、安全性は十分確保されておると、このように考えております。  それから、原子力発電のエネルギー収支について御質問がございましたが、つまり、原子力発電を建設する場合に建設のためのエネルギーが要るわけでありますが、それと建設された後の発電から得られるエネルギーとのバランスはいかんと、こういう御質問でございますが、この問題につきましては、一時学者の間ではやかましい議論になっておりましたが、いまのところは一応結末がついておりまして、建設中に使われるエネルギーよりも、発電所が完成をいたしまして運転期間中に生み出される総エネルギーの方がはるかに大きいと、こういうことになっております。  それから、五十三年度の石油輸入量の問題でございますが、これが非常に少ないではないか、だから現在の総合エネルギー政策変更する必要がないかと、こういうお話でございますが、確かに、五十三年度の石油輸入量は予定よりも相当減っております。これは、昨年来新しいLNGの輸入が始まったということが一つと、原子力発電が幾つか稼働に入ったということがその理由でございますが、しかし、中長期的に見ました場合にはおおむね計画の線をいっておりまして、現在のところ、変更する考えはございません。  なお、省エネルギー法案につきましては、目下関係各省で意見を調整中でございまして、調整がつき次第、今国会提出をいたしたいと考えております。(拍手)     ―――――――――――――
  29. 加瀬完

    ○副議長(加瀬完君) 中野明君。    〔中野明君登壇拍手
  30. 中野明

    ○中野明君 私は、公明党を代表して、ただいま趣旨説明のありました原子力基本法の一部改正案に対して、総理並びに関係大臣質問をいたします。  エネルギーが人間生活に不可欠であり、エネルギーなくして人間の生存はもはや考えられなくなっておることは、ひとしく認めるところでございます。農業の機械化が進むにつれて、石油を離れて人類の生存に不可欠な食糧生産はあり得ないとさえ考えられる現状もその一例であります。  このような中で、石油危機の到来が憂慮されています。昨年、米国政府が発表したホワイトハウス・レポート、カーター大統領のエネルギー教書、CIAレポート、さらに国際原子力機関の報告書等々、一九八五年から九〇年ごろに石油生産がピークになることを警告いたしております。しかし、一方では、石油危機はつくられた危機であって、今世紀中には危機はあり得ないとの意見も出されております。政府は、石油危機の見通しをどう考えておられるのか、またその認識について総理見解を伺っておきたいと思います。  石油ショック以来、石油輸入量の伸びも低くなっておりますが、これは省エネルギーの推進の結果ではなく、長期不況による生産活動の低下のためであり、エネルギー原単位はむしろ上昇いたしております。総理は、景気回復のため内需拡大必要性を説き、一方においては資源有限時代を迎えて、省エネルギー、省資源の必要性を主張しております。この二つは相反する要素を持ち、内需拡大はエネルギー消費増大につながり、省エネルギー、省資源の推進景気回復に逆行するのであります。この問題について総理はいかなる理念を持って対処されるのか、伺っておきたいと思います。  私は、内需拡大と省エネルギー、省資源とを同時に達成するためには、エネルギー多消費型の産業構造の改革を進め、エネルギー原単位を低下させる努力をしていかなければならないと考えます。しかし、現実には、輸送部門においても、エネルギーを多量に消費する自動車輸送の比率は年々増大をいたしております。省エネルギー、省資源は一向に進んでおりません。総理は、この省エネルギー、省資源への産業構造の転換についてどのような考えを持っておられるか、お伺いをしたいのであります。  また、いわゆる、先ほども質問に出ておりました省エネルギー法案、いまだに国会提出されておりません。これについて再度、通産大臣の所見をお伺いしたいのであります。  次に、石油危機を目前に控え、石油にかわるべきエネルギーとしてどのようなものを考えておるのか、お伺いをいたします。  原子力発電はエネルギー消費の約三〇%を占める電力のみしか代替できず、またウラン燃料も石油同様有限であることを考えましたときに、中期的、長期的エネルギー対策についてどう考えておられるのか、総理の考えを伺っておきたいと思います。  特に、当面の問題として石油代替エネルギーの第一に考えられている原子力発電所の建設が各地において地元住民の反対に遭い、大きな困難を迎えております。昨日、伊方訴訟の判決が出されましたが、この伊方判決だけで一切原子力発電は安全であるという専断的見解は持つべきではないと思うのであります。民主・公開の原則に立てば、一片の判決をもってすべてを律することはまことに危険であります。私は、安全性についての不信は払拭されていないと考えておりますが、総理のこの判決に対する考え方をお聞きしたいと思います。  さらに、東海第二、福島第二の原発設置についても地元から反対の訴訟が出されておりますが、立地問題と安全性に対する政府の基本方針を通産大臣に伺っておきたいと思います。  私は安全運転の実績を示すことが住民の理解と協力を得る第一の道と考えますが、原子力発電所の稼働率をとってみても、昭和五十二年度設備利用率四一・八%が示すとおり、向上するどころか、年々低下をいたしております。そこで、これらの原因と対策及び今後の稼働率の見通しについて通産大臣見解を伺いたいのであります。  次に、本改正案の内容についてでありますが、わが党が発表した「新しい時代に対応するエネルギー政策」の中で指摘をしておりますように、現在の原子力委員会は、政府の開発優先に追従するおそれが十分にあるため、委員会を「規制」と「開発」の二つの委員会に分割するとともに、安全規制を担当する委員会は、本来なら国家行政組織法上の三条機関とすべきほど強力な権限と機能を持たせるべきであります。このような見地から改正案を見ますと、従来の原子力委員会を、開発を担当する原子力委員会と、安全を担当する原子力安全委員会に分けることや、規制行政を一貫化して責任体制の明確化を図った上、安全委員会がダブルチェックを行う等、一歩前進と評価し得るところもありますが、なおかつ次のような問題が生じてきます。  まず第一は、原子力委員会と原子力安全委員会の対等性の問題であります。  本来、両委員会はそれぞれ開発あるいは安全規制の立場で対等に運営されるべきものでありますが、一方の委員長は科学技術庁長官たる国務大臣であり、他方は委員の互選により委員長を定めることとなっており、両委員会の対等性に強い疑問を提起される向きもありますが、この点について大臣見解をお伺いいたします。  第二は、安全規制の一貫化についてであります。  従来、発電用原子力炉の安全審査は原子力委員会が行ってきたのでありますが、安全規制の一貫化によって、一次審査を通産省が担当、安全委員会がダブルチェックをすることになっております。主務官庁が責任を持つという、責任の所在を明確にしている点は評価できますが、原子力発電所を建設するときは、電力会社の所管官庁が安全審査をすることになります。その際、仮にも国民に官民癒着の疑念を持たせるようなことがあれば、原子力の開発はさらに困難となってしまうのであります。いまだ国民の不安が払拭されていない現在、通産省がよほど姿勢を正さない限り、また、原子力安全委員会のダブルチェックが基本設計のみでなく詳細設計以降にも及ばない限り、かえって国民の不安を増すことになりはしないかと心配いたしておりますが、いかがでございましょうか。  第三は、原子力安全委員会のダブルチェックの方法制度の問題であります。  安全委員会がダブルチェックをする構想は結構でありますが、基本設計段階以降の規制について、具体的にどのようにチェックを進めていくのかをお伺いいたしたいと思います。  また、書類審査のみでなく、立入検査その他の規定が明確でないので、国民が納得するような十分なダブルチェックが行えないのではないかという懸念もありますが、いかがでございましょう。  第四は、安全委員会の下部組織についてであります。  安全委員会の下部組織である原子炉安全専門審査会の専門委員は非常勤になっていますが、これでは審査が片手間仕事になるという不安を国民に与えるおそれがあります。この点についてどう考えているのか、今後改善されるものか、伺いたいのであります。  第五は、安全委員会のスタッフの問題であります。  専任の事務局に調査室を設け、十一人程度の職員を置くことになっていますが、この程度の人数、予算で果たして完全な安全審査が期待できるのか、心もとない気がしますが、どのように考えているのでしょうか。  第六番目、公開ヒヤリングを実施するというように言われていますが、この公開ヒヤリングを具体的にどのように運営しようとしておられるかを伺いたいと思います。  以上の問題について担当大臣の明快な答弁を求めるものであります。  最後に、米国の核エネルギー政策のあり方がわが国の原子力平和利用に大きな制限を加えることにならないかが憂慮されております。近く訪米され、カーター大統領と懇談されるとのことですが、特にエネルギー問題についてはカーター大統領に何を要求しようとしておられるのか、総理にお伺いをいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣福田赳夫登壇拍手
  31. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) お答えを申し上げます。  一九九〇年ごろになりますと再び石油危機が来るとの説がある、他方、この危機はつくられた危機であると、こういうような説もあるが、総理おまえはどういうふうに考えるかと、こういうことでありますが、まあ、石油のように地下資源でありまして、そうしてこれを掘削する、そうして消耗されてしまうと、私は、こういう状態がそう未来永劫続き得るとは考えません。このような状態がどこまで続くか、いわゆる石油の寿命、これにつきましてはいろいろ見方がありますが、それは、石油掘削、そのコスト、つまり石油の開発の経済性、これをどういうふうに見るかによってかなり違ってくる問題である、そのように考えておりますが、いずれにいたしましても、まあ新しい二十一世紀、その上半世紀、この世紀においてはそういう問題が起きてくると、こういうふうに思うのです。そうしますと、現在掘削可能な経済性を持って掘削されるこの石油資源、これは非常に貴重なものになる、その貴重なものをそうやすやすと掘って消耗してしまうということはいかがであろうかという産油国の心理状態というものは想像にかたくないのであります。そういうことを考えますと、掘削の限界が来るその前に、早く、増産限界、もっと掘ろう掘ろうというような、そういうことについての限界がやってくるに違いないと、こういうふうに私は思います。また、これが世界の大体の通説というか、一般的考え方になっておるわけであります。そのような増産限界がいかなる時点で来るかということにつきましては、いろいろ分かれておりまするけれども、あと十年前後の時期にはそういう時期が来るのではあるまいかと言われておるのであります。とにかくそういう説が有力になっておりますので、わが国といたしましては、そういう展望を踏んまえましてエネルギー対策を進めていかなきゃならぬ、このように考えております。  それから、省エネルギー政策と内需拡大政策、これは相矛盾をするのじゃないか、これはどういうふうに考えていくのかとおっしゃいますが、これは非常に重大な問題と私は受けとめておるのであります。つまり、これから先々を展望しますと、何といっても資源・エネルギー有限時代である、資源・エネルギーを大事に効率よく使うという政策を強力に進めなきゃならぬ、そういうことでございまするけれども、しかし、当面、今日の最大の問題は、これは景気浮揚することである、そういうことを考えまするときに、私は、政策運営上非常に、これは何というか、むずかしい立場にあるわけであります。さあ資源節約、効率化だというようなことを余り強調しますと当面の景気対策に支障がある、そういうことでございますが、しかし、静かによく考えてみれば、これは資源節約と言いまするけれども、決してわれわれが生活の態様を低めようとか、あるいは産業の発展、それを抑えていこうとか、そういうことを考えておるわけでもなく、また、考えるべきことじゃないのであります。産業の開発は進める、また、国民生活の向上、これを進める、進めるが、できるだけ少ないエネルギーをこのために用いて、そうしてつまりエネルギーをそういうために最大限効率的に使うということであろうと、こういうふうに思うのでありまして、効率使用と節約と、限界が非常にむずかしいものですから、そこで悩ましいのでございますけれども、そういうふうに割り切って国民に訴えるほかはなかろうかと、そのように考えております。景気が軌道に乗りますれば、声を大にしてエネルギー、 エネルギーと言うつもりでございます。  米国の核不拡散政策がわが国の原子力利用に与える影響が非常に大きい、今回の訪米でカーター大統領にこの点について何を注文するつもりかと、こういうようなお話でございますが、これはアメリカの大統領の言う核不拡散政策、私はこれは全面的に賛成でございます。しかし大事なことは、これはわが国の立場ばかりじゃありません、世界全体を踏んまえての立場でございまするけれども、だからといって、核拡散の心配のない核の平和利用、これを阻害してはならぬと、このようにかたく考えておりますので、その点は、今回訪米した場合に、カーター大統領に対しましても強く意見を申し上げておくつもりでございます。  最後に、伊方判決に対する私の見解を問われましたが、神聖な裁判所の御判断でありまするから、これは厳粛に受けとめる、そういう気持ちでございますが、今日までの国の主張を認めていただいたことは評価しておりまするけれども、今後もその内容を慎重に検討したいと考えております。しかし、こういう判決が出たからといって、安全の問題、これを安心するというような、そんな考え方は持っておりません。いよいよ思いを新たにいたしまして安全問題を強力に進める、このような考え方であります。(拍手)    〔国務大臣河本敏夫君登壇拍手
  32. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) 省エネルギー法案の問題でございますが、これは先ほども申し上げましたように、現在、関係各省間の調整を急いでおるところでございます。エネルギー政策を進めていきます上におきまして、開発と節約、さらに備蓄、これが三本柱でございますので、できるだけ早くまとめまして、今国会に省エネルギー法案を提出をいたしまして御審議を仰ぎたいと思っております。  それから、原子力発電の立地安全問題でございますが、これは、原子力発電を進めます上におきまして一番必要なことは安全性をどう確保するかということと、それから環境の保全、その観点に立ちまして住民との対話を十分続けると、こういうことだと思います。この基本原則の上に立ちまして今後の政策を進めてまいりたいと存じます。  次は、原子力発電の稼働率いかんと、この御質問でございますが、五十二年度は稼働率が非常に落ち込んでおります。これは、定期検査中に配管のひび割れ、それから蒸気発生器の細管の漏洩――細い管でございますが、この細管の漏洩等のトラブルが発見されまして、その処理に非常に時間がかかったためでございますが、今後は原子力機器等の品質管理を強化してまいりたいと存じます。  そして、五十二年度の稼働率は、時間稼働率で四六・六%、それから設備利用率では四一・八%になっておりましたが、これを五十三年度は、時間稼働率では六五%、それから設備利用率では五五%まで向上させたいと考えております。  なお、最後に、原子力発電を進める上において通産省の姿勢を正せと、こういう御注意がございましたが、先ほど来申し上げますように、安全性の問題と環境の問題に対しては十分配慮を払いながら住民の方々の御理解を得たいと考えております。(拍手)    〔国務大臣熊谷太三郎君登壇拍手
  33. 熊谷太三郎

    国務大臣(熊谷太三郎君) 一つは、原子力安全委員長は国務大臣でないから、その権能が十分発揮されないのではないかというお尋ねでございましたが、御承知のように、原子力安全委員長も原子力委員長と同様に、それぞれ独立の権能を持っておられるわけでありますから、そういう心配はないと考えております。    〔副議長退席、議長着席〕  それから、事業開発官庁が第一次審査を行う場合に、いろいろ事業開発に傾くのではないかという懸念をされる方もありというふうなお話でございますが、ただいま通産大臣も言明されましたとおりでありまして、今日、原子力発電所の開発につきましては、何よりも安全を第一に考えるということは、これはもう厳たる常識でありますから、このような常識は事業開発に直接当たられる官庁とされましても十分配意されまして、そういう審査を行うこととなると思いますので、そういう心配はないと考えているわけでございます。  それから、ダブルチェックは具体的にどのような方法で行うかというお尋ねでございましたが、これは、行政官庁が安全審査報告書をつくりまして、それを原子力安全委員会において審査する、そういう仕組みになるかと思うわけであります。  それから、基本設計以降について原子力安全委員会はどのようなチェックを行うかということでございますが、これは衆議院の修正にもありましたが、その精神を体しまして、各段階において必要に応じて十分なチェックを行っていくものと考えます。  それから、原子力安全委員会は立入検査等を行うということが法文上明らかにされておらないので、これで十分な審査ができるかどうかという御疑念かと存じましたが、明文にはありませんけれども、安全委員会が安全審査を行いますためには、現場調査を含めまして十分関係者から協力を求めることができるようになっておりますので、その点、御安心のできるようなダブルチェックが行われるものと確信いたしております。  それから、委員が非常勤の方が多いので、これでは十分の審査ができないではないかというような御疑念かと存じますが、現在の状況で全部常勤を求めるということは非常に困難でございますが、十分事務局がこれを補佐いたしまして、円滑かつ完全にその職責が貫き得るようなやり方をやっていきたいと考えているわけであります。  それから、安全委員会のスタッフとして十一名の事務局では非常に少ないではないかというふうな御心配でございまして、必ずしも十分ではないかとも存じますが、今後必要に応じましてこれを充実してまいる考えがあるということを申し上げておきます。  それから、公開ヒヤリングの具体的な方法について御発言がございましたが、これは御承知かと思いますが、二段階においていたすことになっておりまして、第一段階におきましては電調審の前に通産省が行いますし、第二段階におきましては、安全委員会のダブルチェック前に公開ヒヤリングを実施するわけでございます。そこで、この公開ヒヤリングの内容をいたしまして現在考えておりますことは、地元等の利害関係者を主として中心といたしまして、いわゆる対話方式によってこれを行ってまいりたい、このような考えでございます。  以上御答弁申し上げます。(拍手
  34. 安井謙

    議長安井謙君) これにて質疑は終了いたしました。      ―――――・―――――
  35. 安井謙

    議長安井謙君) 日程第二 日本国バングラデシュ人民共和国との間の国際郵便為替の交換に関する約定締結について承認を求めるの件  日程第三 日本国とカナダとの間の小包郵便約定締結について承認を求めるの件  以上両件を一括して議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。外務委員長安孫子藤吉君。     ―――――――――――――    〔安孫子藤吉君登壇拍手
  36. 安孫子藤吉

    ○安孫子藤吉君 ただいま議題となりました条約二件につきまして、外務委員会における審議の経過と結果を御報告いたします。  まず、バングラデシュとの郵便為替約定は、わが国とバングラデシュとの間で郵便為替を直接交換するため、交換の方式、表示通貨、料金等について定めたものであります。  次に、カナダとの小包郵便約定は、わが国とカナダとの間で小包郵便を直接交換するために締結している現行の日加小包郵便約定を全面的に改正し、小包郵便物の取り扱い等に関して万国郵便連合の小包郵便約定との間に生じている差異をなくそうとするものであります。  委員会における質疑の詳細は会議録によって御承知を願います。  昨二十五日、質疑を終え、別に討論もなく、採決の結果、両件はいずれも全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  以上御報告いたします。(拍手
  37. 安井謙

    議長安井謙君) これより両件を一括して採決いたします。  両件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  38. 安井謙

    議長安井謙君) 総員起立と認めます。よって、両件は全会一致をもって承認することに決しました。      ―――――・―――――
  39. 安井謙

    議長安井謙君) 日程第四 酒税法及び清酒製造業の安定に関する特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長嶋崎均君。  以上であるときは、当該酒類については、その    〔嶋崎均君登壇拍手
  40. 嶋崎均

    ○嶋崎均君 ただいま議題となりました法律案につきまして、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、最近における財政事情等に顧み、今次税制改正の一環として、酒税について税負担増加を求めるとともに、清酒製造業の経営基盤の一層の安定化、近代化に資するため、日本酒造組合中央会の事業範囲を拡大する等、所要措置を講じようとするものであります。  すなわち、酒税法の改正では、酒類に対する従量税率を、ビール、果実酒、ウイスキー等については二四・三%程度引き上げ、清酒等については、原料米の値上がり、消費の態様等の事情を勘案して、清酒特級一七・五%、清酒一級六・九%等の引き上げ率とし、清酒二級、しょうちゅう乙類等は現行税率を据え置くなど、所要の調整を行うこととしております。  委員会におきましては、清酒製造業の原料事情及び業態の特異性、円高及び関税引き下げ効果による輸入酒の国内市場への影響、諸外国における酒類に対する税制と付加価値税との調整の実態、従価税率を据え置く理由、酒類の表示問題等について質疑が行われたほか、参考人から意見を聴取いたしましたが、その詳細は会議録に譲ります。  質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して穐山篤委員より、公明党を代表して塩出啓典委員より、日本共産党を代表して佐藤昭夫委員より、民社党を代表して中村利次委員よりそれぞれ反対、自由民主党・自由国民会議を代表して細川護煕委員より賛成する旨の意見が述べられました。  討論を終わり、採決の結果、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本案に対し、清酒製造業の原料事情の特殊性、業態の特異性に留意しつつ、その指導育成に努めること、酒税の改定が小売価格の不当な値上げにつながらないよう十分に指導すること等五項目にわたり、各派共同提案に係る附帯決議が付されました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  41. 安井謙

    議長安井謙君) これより採決をいたします。  表決は記名投票をもって行います。本案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名を点呼〕    〔投票執行〕
  42. 安井謙

    議長安井謙君) 投票漏れはございませんか。――投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。    〔投票箱閉鎖〕
  43. 安井謙

    議長安井謙君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  44. 安井謙

    議長安井謙君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数        二百十五票   白色票         百二十三票   青色票          九十二票  よって、本案は可決されました。(拍手)      ―――――・―――――   〔参照〕  賛成者(白色票)氏名      百二十三名       安孫子藤吉君    青井 政美君       浅野  拡君    井上 吉夫君       伊江 朝雄君    岩動 道行君       石破 二朗君    石本  茂君       糸山英太郎君    岩上 二郎君       岩崎 純三君    上原 正吉君       植木 光教君    江藤  智君       衛藤征士郎君    遠藤  要君       遠藤 政夫君    小澤 太郎君       大石 武一君    大島 友治君       大鷹 淑子君    大谷藤之助君       岡田  広君    長田 裕二君       加藤 武徳君    梶木 又三君       片山 正英君    金井 元彦君       金丸 三郎君    上條 勝久君       亀井 久興君    河本嘉久蔵君       木村 睦男君    北  修二君       久次米健太郎君    楠  正俊君       熊谷太三郎君    熊谷  弘君       源田  実君    小林 国司君       古賀雷四郎君    後藤 正夫君       郡  祐一君    佐々木 満君       佐藤 信二君    斎藤栄三郎君       斎藤 十朗君    坂野 重信君       坂元 親男君    山東 昭子君       志村 愛子君    嶋崎  均君       下条進一郎君    新谷寅三郎君       菅野 儀作君    鈴木 正一君       鈴木 省吾君    世耕 政隆君       園田 清充君    田代由紀男君       田原 武雄君    高橋 圭三君       高橋 誉冨君    高平 公友君       竹内  潔君    塚田十一郎君       土屋 義彦君    寺下 岩蔵君       戸塚 進也君    徳永 正利君       内藤誉三郎君    中西 一郎君       中村 啓一君    中村 太郎君       中村 禎二君    中山 太郎君       永野 嚴雄君    夏目 忠雄君       鍋島 直紹君    成相 善十君       西村 尚治君    野呂田芳成君       長谷 川信君    秦野  章君       初村滝一郎君    鳩山威一郎君       林  寛子君    林  ゆう君       原 文兵衛君    桧垣徳太郎君       平井 卓志君    福岡日出麿君       福島 茂夫君    藤井 裕久君       藤川 一秋君    藤田 正明君       二木 謙吾君    降矢 敬義君       降矢 敬雄君    細川 護煕君       堀内 俊夫君    堀江 正夫君       真鍋 賢二君    前田 勲男君       増岡 康治君    増田  盛君       町村 金五君    丸茂 重貞君       三善 信二君    宮田  輝君       最上  進君    望月 邦夫君       森下  泰君    八木 一郎君       安田 隆明君    山崎 竜男君       山内 一郎君    山本 富雄君       吉田  実君    市川 房枝君       有田 一寿君    柿澤 弘治君       森田 重郎君     ―――――――――――――  反対者(青色票)氏名      九十二名       阿具根 登君    赤桐  操君       茜ケ久保重光君    秋山 長造君       穐山  篤君    上田  哲君       小野  明君    大木 正吾君       大塚  喬君    大森  昭君       粕谷 照美君    片岡 勝治君       片山 甚市君    勝又 武一君       川村 清一君    久保  亘君       栗原 俊夫君    小谷  守君       小柳  勇君    小山 一平君       佐藤 三吾君    坂倉 藤吾君       田中寿美子君    高杉 廸忠君       竹田 四郎君    対馬 孝且君       寺田 熊雄君    戸叶  武君       野口 忠夫君    浜本 万三君       福間 知之君    藤田  進君       松前 達郎君    村沢  牧君       村田 秀三君    目黒今朝次郎君       安恒 良一君    安永 英雄君       山崎  昇君    吉田忠三郎君       吉田 正雄君    和田 静夫君       阿部 憲一君    相沢 武彦君       和泉 照雄君    太田 淳夫君       柏原 ヤス君    上林繁次郎君       黒柳  明君    桑名 義治君       小平 芳平君    塩出 啓典君       渋谷 邦彦君    鈴木 一弘君       多田 省吾君    中尾 辰義君       中野  明君    二宮 文造君       馬場  富君    原田  立君       藤原 房雄君    三木 忠雄君       峯山 昭範君    宮崎 正義君       矢原 秀男君    市川 正一君       小笠原貞子君    神谷信之助君       河田 賢治君    沓脱タケ子君       小巻 敏雄君    佐藤 昭夫君       立木  洋君    内藤  功君       橋本  敦君    安武 洋子君       山中 郁子君    渡辺  武君       井上  計君    木島 則夫君       栗林 卓司君    三治 重信君       田渕 哲也君    中村 利次君       藤井 恒男君    柳澤 錬造君       青島 幸男君    下村  泰君       野末 陳平君    江田 五月君       秦   豊君    加瀬  完君      ―――――・―――――
  45. 安井謙

    議長安井謙君) 日程第五 簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律及び資金運用部資金法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。逓信委員長栗原俊夫君。     ―――――――――――――    〔栗原俊夫君登壇拍手
  46. 栗原俊夫

    ○栗原俊夫君 ただいま議題となりました法律案について、逓信委員会における審査の経過並びに結果を御報告いたします。  本案は、簡易生命保険等の加入者の利益の増進を図るため、簡易生命保険等の積立金の金融債への運用範囲を現在発行が認められているすべての金融債に拡大するとともに、資金運用部に預託された簡保資金のうち一定の要件を満たすものに付される利子の利率については、現在年六%と固定されておりますものを弾力化し、年五・九%の利率に、約定期間七年以上の預託金に付される特別利子の利率と同率の利率を加算したものに改めること、などを内容とするものであります。  委員会におきましては、簡易生命保険事業における特別会計余裕金の郵政省による自主運用問題、資金運用利回りの向上策、加入者福祉施設運営のあり方、その他各般の問題について熱心な質疑が行われましたが、詳細は会議録に譲ります。  質疑を終え、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本案に対し、委員会は全会一致をもって二項目にわたる附帯決議を付することといたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  47. 安井謙

    議長安井謙君) これより採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  48. 安井謙

    議長安井謙君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決されました。      ―――――・―――――
  49. 安井謙

    議長安井謙君) 日程第六 恩給法等の一部を改正する法律案内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長塚田十一郎君。    〔塚田十一郎君登壇拍手
  50. 塚田十一郎

    ○塚田十一郎君 ただいま議題となりました恩給法等の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  本法律案は、現行の恩給年額を、昭和五十二年度における国家公務員給与の改善を基礎として、本年四月分以降、五・九%ないし七・一二%増額するとともに、普通恩給等の最低保障額の引き上げ、老齢者等の恩給年額についての特例の改善、旧軍人等の加算恩給の減算率の緩和、普通恩給と併給される傷病年金等の減額制の廃止、断続実在職年三年以上の旧軍人等に対する一時金の支給等を行うほか、所要措置を講じようとするものであります。  なお、本法律案につきましては、衆議院において、施行期日について所要の修正が行われております。  委員会におきましては、恩給の性格、恩給の改定実施時期の繰り上げ、最低保障額及び扶助料の給付水準の引き上げ、日赤救護看護婦等の救済措置、恩給に対する所得税法上の取り扱いの改善、恩給等の財源の今後の見通し等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。  質疑を終わり、別に討論もなく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本法律案に対し、林理事より、恩給受給者の処遇改善に関する各党共同提案に係る附帯決議案が提出され、全会一致をもって当委員会の決議とすることに決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  51. 安井謙

    議長安井謙君) これより採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  52. 安井謙

    議長安井謙君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決されました。  本日は、これにて散会いたします。    午前十一時五十七分散会