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説明員(福井与
明君) 実は、総体の
数字は
委員御指摘のとおりでございますが、
中身をちょっと御
説明さしていただきますと、四十四年以来の件数でございますけれども、実は四十八年以前に
発生いたしましたのが十一件ございます。十一件で十三人
死亡しているわけでございますが、これにつきましては十件を
検挙しておりまして、百五十八人を
検挙しております。したがいまして、四十八年以前の
事件はもうほとんど解決しているわけでございますが、それで年を追うごとにだんだんこう残っておるものが多くなっているという
状況でございますけれども、したがいまして、
捜査の
期間がだんだん長くなっておるという
実態は確かにございます。たとえば五十一年以降は
検挙した
事件がないわけでございますけれども、五十一年からこれまでの間に実はさっき申し上げました
被害者が死にました
内ゲバ事件についての
検挙はあるわけでございます。五十年度の
事件がほとんどでございますが、五十年度の
事件及びそれまでの前の
事件について八人を
検挙しているわけでございます。したがいまして、タイムラグがございまして、古い
事件から古い
事件からこう片づいてきているという
状況はあるわけでございます。
そこで、
捜査期間が非常に長くなっている
状況をちょっと御
説明さしていただきますと、
一つは、
内ゲバの
実行部隊を、
内ゲバをやっておる中革、
革マル、
革労協といった彼らの
組織の中でも、秘匿をしておると申しますか、
警察等には全然顔を知られていない
メンバーを、しかも
公然面の集会、
デモ等には一切出席させないで、こういうものを
組織を持っておるということでございます。ことしの一月一日付の
中核派の
機関誌前進の記事でございますけれども、
公然面を一層強化しつつ、裏側に党をもう
一つ非合法非公然的につくり上げるんだということを言っておりますが、そこで
実態をちょっと申し上げますと、これは昨年の二月十九日に警視庁で
検挙した
事件でございますけれども、全く
偽名で
アパートを借りまして、しかもごく普通のサラリーマンのようなスタイルで少なくとも外見的には注意しながらやっておるという
実態があったわけでございますが、これを突きとめましたので
有印私文書偽造行使で
検挙いたしました。ところが、この
人物は、非常に注意をしながら生活をしつつ、なお
アパートの
管理人さんなり周囲の人にちょっとでも
自分が不審を持たれたというふうに感じますと、すぐさまいままでも
転居をしてきているようでございます。五十年の四月から去年の二月に
検挙された間でございますから二年足らずでございますが、四回かわって、
検挙しました際も五回目の
転居直前でございました。こういう
実態でございますので、なかなか
実行部隊の
メンバーを見つけるのが困難でございますし、やっと捜し当てた際にはすでに
転居をしてしまっているというような
実態が
一つございます。
それから
被害者側なり
関係者の
協力がありませんと
警察の
捜査というものはなかなか伸びないものでございますが、これがまたなかなか得られないということでございます。一番最近の
内ゲバ殺、これは
大阪で起こりました二月十日に
松井章というのが殺された
事案でございますけれども、この
人物は四十九年の十月二十五日にもやはり
中核派に襲われまして重傷を負ったことがあるわけでございますが、こちらとしてはその際に
被害状況を何とか聴取しようとしましたし、その後の警戒についても
申し入れをしたのですが、両方とも一切応じません。そうして、
家族は
大阪の寝屋川に住んでいるわけでございますが、
家族とは全然別個に
偽名で
大阪の
都島区内に
アパートを借りてそこに住んでおると、こういう
状況でございますが、そういう
協力を得られないということでございます。
それから
関係者でございますけれども、これもまたなかなか
内ゲバは何とか解決しろということはどなたもおっしゃるわけですけれども、しかし、
自分とは一切
関係のないところで
捜査をしてくれという風潮が実は残念ながらございます。さっき御
説明いたしました
茨城大の
関係者が
被害者になりました
事件でございますが、二月の二日に
茨城大の
学生部長以下が
茨城県警本部の
本部長のところへ
申し入れに参りました。
茨城大の
学生は
被害者である、なぜ
加害者を取り調べないで
被害者を調べるんだということが
申し入れ内容にあるわけでございますけれども、
捜査の第一から
説明をいたしまして、
事件が起こりました直後の一番大事な時期にどうしても突っ込んだ
捜査を重点的にやらなくちゃならぬということをるる
説明をして引き取ってもらっているような
状況でございまして、残念ながらその点でも
被害者側の
協力はございません。
そういう
状況がございましてなかなか
捜査が難航しておりますが、しかし、二十二件三百十人を
検挙しておることをひとつ何とかお認めいただきたいと思いますが、そういう
努力の結果、彼らとしては
内ゲバに非常に重点を入れておるわけでございますけれども、さっき御
説明いたしましたように
内ゲバそのものが非常にやりにくくなってきておる
状況にあるわけでございます。昨年の
発生は四十一件でございますが、これは前年に比べますと二分の一でございますし、そのまた前の年に比べますと六分の一でございます。
負債者の数も昨年の四十七人という
数字は、その前の
数字に比べますと四分の一でございますし、その前の年に比べますと十二分の一でございます。したがいまして、ストレートに一件一件の
事件の解決というのはなかなか時間がかかるという
事情は今後も容易には公開できないと思いますけれども、国民の理解と
協力とやはり
警察の取り締まりによってトータルの
内ゲバとしては非常にやりにくくなっていると申しますか、抑圧されてきておるというふうには私たちは考えております。