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1978-04-13 第84回国会 参議院 文教委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月十三日(木曜日)    午前十時二分開会     —————————————    委員の異動  四月十一日     辞任       補欠選任      田渕 哲也君     和田 春生君  四月十二日     辞任       補欠選任      和田 春生君     田渕 哲也君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         吉田  実君     理 事                 後藤 正夫君                 粕谷 照美君                 小巻 敏雄君     委 員                 岩上 二郎君                 山東 昭子君                 高橋 誉冨君                 内藤誉三郎君                 二木 謙吾君                 勝又 武一君                 久保  亘君                 柏原 ヤス君                 白木義一郎君                 有田 一寿君    政府委員        文化庁次長    吉久 勝美君    事務局側        常任委員会専門        員        瀧  嘉衛君    参考人        日本レコード協        会会長      町尻 量光君        日本レコード協        会専務理事    行方 正一君        日本レコード協        会事務局長    亀井寿三郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○著作権法の一部を改正する法律案内閣提出)     —————————————
  2. 吉田実

    委員長吉田実君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  著作権法の一部を改正する法律案議題といたします。本案に対する趣旨説明はすでに聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  なお、本日は参考人からの意見聴取及びこれに対する質疑にとどめたいと存じます。  本法律案の審査のため、日本レコード協会から会長町尻量光君、専務理事行方正一君、事務局長亀井寿三郎君、以上三名の方々参考人としてお招きいたしております。  この際、参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、お忙しいところ委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございました。  それでは議事の進め方について申し上げます。  ただいま議題といたしております著作権法の一部を改正する法律案について、忌憚のない御意見をお述べ願いたいと存じます。議事の都合上、まず町尻参考人から十分程度意見を述べていただきます。その後、各委員から参考人に対し質疑がございますので、お答えいただきますようお願い申し上げます。それでは町尻参考人お願いいたします。
  3. 町尻量光

    参考人町尻量光君) 私、日本レコード協会会長を務めております町尻と申します。本日この文教委員会審議参考人としてお招きをちょうだいいたしました。皆様方の御指摘に対しまして、私ども関係者、誠意をもってお答えを申し上げるつもりで出席をさしていただいた次第でございます。  ところで、まず最初に、今回レコード保護条約加盟という問題に関連いたしまして、著作権法の一部改正の御審議を諸先生方お願いをしておりまして、かねてからこの保護条約加盟を強く要望しておりました私どもレコード業界代表者といたしまして、先生方に心からお礼を申し上げ、またそれと同時に、しかるべく御審議の上、何とかわれわれの要望に沿いまして、それの通過、可決をよろしくお願い申し上げたいということを最初に申し上げさしていただきます。  ところで、本日いろいろ御質問がおありかと存じますが、これにつきまして、私からレコード業界の概況と申しますか、これについて簡単に御説明をさしていただきたい、こういうふうに存ずる次第でございます。  御承知のように、エジソンが蓄音機、レコードを発明いたしましてちょうど昨年が百年目に当たりました。わが国を初め、世界各国におきましてこの百年を記念いたしまして、いろいろとレコードに関する普及、宣伝という行事が世界的に行われたわけでございます。そういう中で日本におきましてはたしか明治の末年だと存じますが、ただいまの日本コロムビアの前身であります会社外国人の経営ということで、最初日本においてレコード事業を始めたときから今日までの発展を来しておりまして、約六十七、八年に及ぶのではないかと、こう存じます。  本来、私どもレコード事業というものは、御承知のように書籍出版というものは目から入る、いわゆる視覚から入る文化という面において、国民教育、あるいはその他の面において大きく貢献をしておるわけでございまして、私ども事業はこれを耳から、いわゆる聴覚から入る文化一つといたしまして、これを大いに振興さしていくことによりまして、日本並び日本国民文化向上の上に大きく役立てていくことが私どもの使命だと、こう存じております。そういう面におきまして単に歌、音楽というだけでなく、時には演説から、あるいは有名な方々の記録というようなものも手がけまして、幅広く文化向上の上に資するように努力を続けてまいっております。  今日のレコード業界全体の規模と申しますかにつきましては、お手元に配付さしていただきました資料をごらんいただきたいと存じますが、皆様方よく御存じのように、大体レコード会社と申しますと、終戦後しばらくまでは大体五社というレコード会社わが国にあったわけでございます。それがその後いろいろな社会情勢変化、あるいは技術の進歩、さらには音楽のファンの増大ということにこたえまして、今日ではお手元に差し上げましたように、私ども日本レコード協会加盟会社が現在十九社ございます。そのうちの十六社がレコード会社でございまして、あとの三社はいわゆる音楽テープと申しますか、それの専業社ということで加盟をいたしております。それ以外にも未加盟のアウトサイダーと見られる会社が数多くございまして、その幾つかをお手元に差し上げました表に列記してございます。  ここにごらんいただけばおわかりのように、いろいろとこのレコード会社あり方も、はっきり申し上げまして変化をしてまいりまして、いわゆる先ほど申し上げました五社といった時代には、レコード製作からいわゆる工場を持って製造、プレスをするところまで全部レコード会社が行うという形の、いわゆる一貫企業というような形で行われてまいりましたが、戦後先ほど申し上げましたいろいろな情勢、構造の変化から、ただいまでは工場を持たないで、あるいは販売網も直接みずから持たないで、わずかな人数でレコード会社というものが存在するというような形でのレコード会社も数多くふえてきていることもこれ現実でございます。そして、ただいまわれわれレコード協会加盟各社生産高はどんな程度のものかと申しますと、これもお手元に差し上げました表でごらんいただけますように、大体レコードテープと合わせまして生産者価格で約二千億円、大体そのようにお考えをいただきたい、こういうふうに存じます。そしてこれの発展状況も、そこにグラフでいろいろ書いてございますように、戦後十年ほどたちましてからだんだん需要が伸び、いわゆる高度成長時代に伸びまして、非常な伸長率をもちまして発展してきた事実というものがこのグラフでおわかりいただけるかと存じます。ただ、昭和五十二年度についてだけ申し上げますと、レコード生産並びに金額という面におきましてこれを前年比で見ますると、ここに、御承知のような国内景気不況というものの影響もございました関係か、伸び率が従来になく悪く、枚数では前年を下回る九二、三%といったような数字になっておるということで、われわれ業界もこの不況をいかに乗り切るかということがやはりことしの大きな問題になっております。  なお、われわれ業界につきまして問題がたくさんございますが、そのうちで、きょういろいろ御質問もいただくであろうと私予想しておりますが、われわれの当面の問題といたしますと、やはりレコードテープにつきましての海賊版の問題、それから新著作権法によりまして隣接権が認められ、われわれレコード製作者にも二次使用料関係使用団体からいただけるという形になっておりますが、これも請求権だけでございまして差しとめ権というものがないという面もございまして、なかなかこれの交渉にいろいろ骨を折っているという問題が当面大きな問題でございます。  なお、次に大きな問題といたしましては、御承知のように技術革新という時代でございますので、テープレコーダーその他いろいろな録音機器が発達してまいりまして、いわゆるラジオ局の電波からそれを個人録音するという面がございます。これも著作権法によりまして、個人の使用の面においては問題がないとされておりますが、これが若年層、いわゆるレコード購買層に当たります中学生、高校生あたりでお互いにこれを貸し合ったり、あるいはこれがいろいろと営業的な行為というふうな分野に広がってまいりますと、これの影響というものも非常に大きいわけでございまして、これにつきましては、私ども協会音楽著作権協会並びに芸団協と申します実演家団体、この三者で文化庁を通じまして陳情を申し上げまして、ただいま著作権審議会の第五小委員会でいろいろ御検討をいただいておりますが、これなどもわれわれ業界の将来の発達のために大きな問題点と考えられます。  なお、もう一つつけ加えさせていただきますと、これも後ほどお尋ねがあるかと存じますが、物品税の問題でございます。われわれレコードにつきましては物品税がただいま賦課されておりまして、私ども立場から申しますと、先ほども申し上げましたように、聴覚を通じて日本国民のいわゆる音楽文化向上、そして情操教育といったような面に大きく役立つ仕事としてわれわれこれに取っ組んでおるつもりでございますが、これに一五%の物品税が現在かけられております。音楽テープにつきましては、後発商品でありました関係でやや段階的に幾つかのケースがありまして、今日ではレコードと同様に一五%の課税ということになっております。この面につきまして私ども書籍を、あるいは出版というものを取り上げて申し上げるわけではございませんが、やはりそういった面で、視覚聴覚の面での文化事業という面から、書籍の方はこのような物品税がかかっていないわけでございますので、そういう面から申しますと、いわゆる公正な税制という面から考えていただきましても、ぜひレコードにつきましての物品税に対しまして何分の御配慮をいただきたい。はっきり申し上げれば、物品税を撤廃していただきたいという強い希望を持ちまして、長年にわたって各関係方面お願いをしてまいっておりますが、いまだ実現を見るに至っておりません。この件につきましても、われわれレコード産業自体の将来への発展のために、大きな問題としてわれわれは考えておりますことを申し上げる次第でございます。  時間も余りとりますので、ひとまずこの辺で私から総論的な御説明を終わらしていただきまして、後ほど御質問に対してお答えを申し上げたい、こう存ずる次第でございます。失礼をいたしました。
  4. 吉田実

    委員長吉田実君) ありがとうございました。  以上で参考人の御意見の開陳を終わります。  それでは、参考人に対する質疑を行います。質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 久保亘

    久保亘君 私は、最初に、レコード協会事業内容などについてお尋ねしたいと思います。  本日いただきましたレコード協会事業計画によりますと、おおむねその内容を知ることができるのでありますが、レコード協会協会としての主なる仕事、特にレコード著作権保護について、協会の果たしておられる役割りなどについて少し具体的にお話しいただければと思います。
  6. 亀井寿三郎

    参考人亀井寿三郎君) お手元にお配り申し上げておりますような細かいことではなくて、概括的に申し上げたいと思います。  まず、文化庁長官から指定を受けております団体として一二次使用料徴収分配業務を行っております。これにつきましては、いま会長が申し上げましたように、大口使用者である放送関係との交渉金額を取り決めながら各社に分配しておりますが、二次使用料業務というのはもう日常的に流れておりますので、金額交渉が大きな問題である以外は、ほとんどいまのところつつがなく行われております。  それから第二に、著作権法あるいは条約を含めました法制問題について、レコード製作者の権益の確立ないし拡大、確保というような問題を扱っております。先般来関係方面お願いしております私的利用の問題、それから今般の御審議いただきます条約加盟の問題、条約にもまだいろいろございますが、とりあえず緊急を要する問題から推進さしていただいております。  それから第三に、不法複製の問題、いわゆる海賊版対策でございます。これにつきましてはかなり業界挙げて精力的に活動しております。この辺につきましても、詳しく申し上げますとまた相当時間がかかりますので、必要であれば海賊問題についてはまた後ほど詳しくお答えさしていただきたいと思っています。  それから、権利行使につきましての調整、あるいは代表としての標準契約の締結というような問題でございます。まず、レコード製作者というのは著作物使用者立場に立ちます。その場合の使用条件につきましては、やはり標準的な条件が設定されることが好ましいということで、一番大口使用しております作詞作曲を管理しております日本音楽著作権協会との間では、楽曲使用契約につきまして標準的な条件レコード協会と折衝し、取りまとめさしていただいております。それからさらに、各社録音物をいろいろな形で複製する、正規の手続をとって複製する、たとえばスライド用テープレコードから録音するというようなケースでございますが、これは各社許諾条件を一応標準化いたしまして、レコード協会窓口になって一括許諾をする。許諾料協会窓口になって徴収をし、各権利者にこれを分配するというような実務的なものも行っております。  それから、世界的にレコードというのはやはり国際性をもって流通するものでありますし、著作物使用条件もそれぞれの国で異なりますと不便な面も出てまいりますので、たとえば外国楽曲、特に欧州の楽曲各国が使う場合、これは国によってその条件が異なるということになりますと大変混乱も起きますし、価格にも影響しますので、BIEMという、これは著作権録音部分についての権利管理団体がございますが、そういうところとの標準契約世界レコード協会と申しますか、使用者側であります世界レコード協会団体権利者側でありますいま申し上げましたBIEMというようなところとの団体交渉を行って、世界的な使用料標準契約を取り決めておりますが、それは一つの例でございますが、そういう国際的な著作権関係業務について、世界レコード協会である、具体的に名前申し上げますとIFPIと申しますインターナショナル・フェデレーション・オブ・プロデューサーズ・オブ・フォノグラムズ・アンド・ビデオグラムズ、そういう国際団体に対して日本としての協力連絡BIEMとの直接の接触はわれわれいたしませんで、日本日本としての契約条件日本音楽著作権協会と結んでおりますが、そういう世界的なレコード製作者としての権利の主張なり、確立なりについての国際的な協力ということも行っております。  それから、文化庁主催例年各地で行われております著作権のための普及講習会、これには毎年講師を派遣いたしまして、主としてレコード製作者としての立場からのいろいろな状況なりを説明をさしていただいております。多少抜けたところもございますけれども、大体現在行っております大きな動きとしては以上でございます。
  7. 久保亘

    久保亘君 いまいろいろと御説明いただきました中で、特に今度の著作権法関係をしますことで少しお尋ねいたしますが、いわゆるレコード海賊版というのはどういうものなのかですね。そしてその海賊版の判別はどういうふうにしてつけられるのか、これは協会として著作権保護という面でいろいろおやりになっているのであればおわかりになるんじゃないかと思いますが、その辺は協会として実態が把握できるような状況にありますでしょうか。
  8. 亀井寿三郎

    参考人亀井寿三郎君) まず海賊版の種類を申し上げたいと思いますが、その前に海賊版の意味でございます。レコードには御承知のように作品が使われております。それからそれを吹き込んでおる実演がございます。さらにそれらを総合して音として固定しているレコード製作者立場がございます。作詞作曲、ときには訳詞、編曲といったような作品に関する権利、これは著作権でございますが、その著作権侵害をしている海賊版、それからそこに吹き込んでおります実演家権利、この実演家権利と申しますのは、そこに固定されている実演を複製する権利、要するにさらに録音するような権利ですね。それからそれを音声として最初に音を固定したレコード製作者権利レコード会社権利でございます。この三つの権利侵害あり方によりましていろんな組み合わせがあるわけです。著作権だけを侵害したもの、あるいは全部の権利侵害したものそれぞれございますが、いまここで主として申し上げるものは、まずレコードそのものから音をとるという海賊版でございます。これはレコード製作者権利も、実演家権利も、著作権者権利も全部侵害しているものでございますね。これは多少現物を持ってまいりましたので、これでごらんいただきたいと思います。ここに似たような柄の、カートリッジテープと申しまして中身はこういうものでございます。カーステレオ用と申しましてこれを挿入しますと、エンドレステープになっておりまして、終わりがなくていつまでも演奏するという、軸に巻きつけてありますテープの内側と外側とをつないでありますので、エンドレスで切れ目なく演奏するというものですね。このカートリッジテープで一番最初に出てまいりましたのが全くそっくりの海賊版、これはまさにレコードから録音したものでございます。図柄のできるだけ違うわかりやすいものをきょう持ってまいりました。もっと全くそっくりで識別の困難なようなものもございます。しさいに見ますと活字の太さ等でこれは比較してみればわかるというものでございます。それからこの種のものでございますが、これは全くみんな同じ物でございます。同じ物というか、権利侵害の仕方としては同じ物でございますが、やはりレコードから無断複製した物で、しかも各社ヒット曲をいろいろ寄せ集めまして、一本のテープに収録し、非常に安い値段で販売していると。前に説明さしていただいたのはレコードから全部そっくりの物。その場合、ちょっと話が戻りますけれども著作権侵害著作権法違反だけではなくて商標権侵害、それから不正競争防止法にも違反するという物件でございます。これは著作権法違反の、いま申しましたレコード製作者実演家、作者の権利侵害しているもので、非常に商品としては魅力的な、各社ヒット曲ばかりおさめておりますので売りやすいというしろものでございます。値段は大体小売り価格千円前後で売られております。
  9. 久保亘

    久保亘君 わかりました。時間が余りありませんのでできるだけひとつ的確に、簡単にお答えいただきたいと思いますが、海賊版大変価格が安いのですか。正規レコード会社が発売されるものと比べると、海賊版というのは価格はどういうふううになっておりますか。
  10. 亀井寿三郎

    参考人亀井寿三郎君) これは非常に安い価格で販売されております。
  11. 久保亘

    久保亘君 結局、海賊版というのは、レコード会社レコードテープをおつくりになりますときの、最初製造までの段階の価格が、製作費が省略されるわけですから非常に安くなってくるだろうと思うんですが、もう一つの問題、いま亀井さんがお話しになりました各社ヒット曲を集めて消費者の側が大変喜ぶような状態で海賊版が出てくるということは、ひとつ消費者の側から見ると問題なのでありまして、レコード協会がなぜそれじゃそういうヒット曲を集めた物を出せないのか。結局、営業政策上、ヒット曲を集めた物を出すとほかの物が売れなくなる。こういうようなことがあるとすれば、消費者の側はそういう海賊版を歓迎するような風潮が出てくるんじゃないかと思うんですね。ヒット曲の聞きたいものばっかり集めたテープレコードが出てくれば、それの方がいいということになりはしないかと思うんで、レコード協会がこの海賊版を防止していく上に、法律上の保護という問題だけじゃなくて、レコード製作の企画上検討すべき問題はないのかどうかという点をちょっといまお話聞いておって考えるんですが、いかがでしょうか。
  12. 亀井寿三郎

    参考人亀井寿三郎君) レコード会社活動というのは、まず他社にはない独特の音源をつくるということが中心になっています。どこの会社からも同じ物が出たんでは、これは企業としても成り立たないわけでございまして、まずその会社固有の非常に魅力的な物をつくり出すように努力しておる。海賊版各社ヒット曲を集めて非常に安く提供されるわけです。要するに目玉商品を安くできるということは、正規レコード会社作家実演家等許諾を受けてといいますか、その会社録音物製造、複製することの許諾を受けまして、しかるべき対価をもちろん払い、企業努力をし、それを高度の設備を使い、非常に優秀な内容のものをつくる。それは相当なリハーサルもし、本番のNGも加えながら、相当投資して、努力をした結果として、その会社音源が得られるわけです。それはもちろんヒットをねらっているわけでございますけれども、全部ヒットすればいまごらんのような海賊版のように非常に魅力的な商品ができるわけでございますけれども、なかなかそこの辺がうまくまいりませんで、売れない物も出るということで、各社としては、やはりこれは企業特性といいますか、商品特性といいますか、そこからやはり嗜好に訴えるものでございますので、なかなか目玉ばかりはつくれないということでございますね。したがって、それをまた団体でどうこうということも非常にむずかしい問題だと思います。
  13. 久保亘

    久保亘君 海賊版が出てまいりました場合に、これを摘発をするということはなかなかむずかしい問題だと思うんです。それで、実際にいま係争中のものなどについても、私も資料をいただいておりますが、これを見ましても被告の側は氏名不詳というような形で争われているようでありまして、なかなかその実態がとらえにくいという面があると思うんですが、特にこの海賊版については親告罪でありますから非常にむずかしいと思うんですが、レコード協会以外のいろいろな団体とか、あるいは警察など取り締まり当局とか、こういうところとの連携というのは、この海賊版の規制について何か問題はありませんか。非常にうまくいっておりますか。
  14. 亀井寿三郎

    参考人亀井寿三郎君) われわれが連絡をとりますのは、まず権利者サイドとしましては、先ほどもちょっと触れました日本音楽著作権協会作品を管理しております、作家権利を管理しております団体でございます。レコード海賊版、それは特に流行性のある、売れ行きのいいものは著作権の生きている楽曲がほとんどでございますから、著作権協会にその都度連絡をとりながら、著作権協会著作権協会としてまたそれを追及するという活動を続けておられるわけです。それから実際に摘発に当たっていただきます警察方々には大変な御苦労をかけているわけでございますが、現実に店頭で発見されても、それが海賊であるかどうかの立証が手間取りますので、と同時に、そのお店が製造者じゃございませんので、直ちにそこで取り押さえるということが困難である。そのために警察の方に御連絡を申し上げても即座には実効ある活動が期しがたい。しかしながらわれわれの方もできるだけ情報を集めまして、ある程度規模の大きなものにつきましては、警察に特に事情を説明して取り上げていただくようにしていただいています。それから、規模の小さいものについて見逃しているということじゃございませんけれども、やはり警察力を発動される場合でも経済性その他のいろんな事情もございましょうから、その辺で一本、二本出たという場合に、すぐ警察に取り締まっていただきたいと言っても、なかなかこれは動きにくいということはわかるわけでございます。ある程度の規模のものにつきましては、警察は非常に積極的に取り扱っていただいているという状況でございます。その辺は私どもの方のお願いを十分聞いていただいて、精力的に動いていただいているものと私ども感謝しております。
  15. 久保亘

    久保亘君 結局、今回の条約法律の改正によって、特に外国との関係において著作権保護ということが問題になってくるわけでありますが、わが国レコード著作権外国において侵害をされるという場合がどれぐらいあるのか。それから、外国著作権を国内において侵害しているものがどれぐらいあるのか。協会が把握されている現状がおわかりでしたらお知らせいただきたい。
  16. 亀井寿三郎

    参考人亀井寿三郎君) まず外国権利侵害しているものというのはほとんど私どもの方には情報として入ってまいりません。それから、日本権利侵害されておるものにつきましては、特に東南アジア地区が海賊のマーケットだと言われておりますが、いまお手元にお配り申し上げましたが、「第一回アジア・レコード製作者会議」というのが先般開かれて、そこで発表された数値がこの表として掲載されております。この正規の品物の数量の約五倍近い海賊のマーケットの中で、日本のものがどの程度含まれているか、侵害されているかということにつきましては、実際にいま数値はつかんでおりません。ただ、昨年の香港の海賊の事件で、一年間で起訴になりました事件の約半分の事件の中に、日本楽曲——楽曲といいますか、日本レコードからの海賊が含まれていたという報告は受けております。実害がちょっと実態として数字にあらわれてきませんのは、海賊が非常に表に出てこずに潜行して行われている、犯人が巧妙に立ち回っているというところもございますので、なかなか統計的には数値が出てまいりません。
  17. 久保亘

    久保亘君 私どもとしてはこの著作権保護ということは当然にこの条約の批准並びに著作権法の改正によって守られなければならないことだと考えておりますが、この海賊版の背景に、もう一つ心配しておりますのは、報道機関の報ずるところなどによれば、暴力団の資金源としてこのレコード海賊版が、あるいはテープ海賊版が出回っているものが多いと、こういうことがあるんでありますが、この辺の事情については協会も何らか把握されている点がおありでしょうか。
  18. 亀井寿三郎

    参考人亀井寿三郎君) 裁判の過程でそういう事実関係が示されている以外は証拠のある情報は得ておりません。ただ、いままで処罰された中には元暴力団団員がいたという実績は聞いております。
  19. 久保亘

    久保亘君 それでは、次にレコード価格について少しお尋ねをしたいと思うんでありますけれども、大体このレコード製作過程というのは、各社多少の違いはありましても、同じような工程を通ってできてくると思うんでありますけれどもレコードテープ製作価格の成り立ちは大体みんな同じようなものでありますか、価格で見た場合。
  20. 行方正一

    参考人行方正一君) 構成的には大体同じような構成になっております。
  21. 久保亘

    久保亘君 じゃ、レコードなどの場合に、価格について独占禁止法の適用対象になっておりませんですね。このことについてはレコード業界としても、独禁法の適用除外になっていることについて、それはしかるべき理由があるものと、こういうふうにお考えでしょうか。
  22. 行方正一

    参考人行方正一君) 先ほど会長から御説明申しましたとおり、私ども商品文化商品であるという考え方でございます。それで、一般の消費者のお買い求めいただくお客様が、いつどこのお店に行かれても同じ価格でお買い求めをちょうだいできるということにつきましては、やはりこういう法の制定によりまして、お客様に一つの安心感を与えているんではないかというふうに私どもは理解しております。
  23. 町尻量光

    参考人町尻量光君) ひとつただいまの説明に補足いたしますが、どこでも同じ価格で売られているというのは、たとえば一人の歌手についてのレコードのことを申し上げておりまして、たとえば一つの例といたしまして、森進一さんという歌手のものがAの町では幾らで、Bの町では非常に安いということではお客様、大衆が非常に不安を感じるのではないか、こういう意味で申し上げたものだと御理解をいただきたいと思います。
  24. 久保亘

    久保亘君 いま会長さんお話になりましたようなことで理解いたしますと、大体ドーナツ盤ならドーナツ盤が、どの会社から出てくるものも、どの歌手のものも、いかなるものもほとんど六百円なら六百円でずっと通して売られる。これは、しかし実際には価格構成の中でのいろんな契約条件なんかが違いまして、実際は価格差が生まれるのが当然ではないかというふうな感じもするんであります。それが全く同一の価格で販売されているというのはどういう理由であるかということと、それから、レコード協会としてはレコードテープ製作原価について、必要があれば公表しても差し支えないとお考えになりますでしょうか。いかがでしょうか。
  25. 行方正一

    参考人行方正一君) お答えいたします。  再三申し上げておりますように、レコードは趣味、嗜好の商品でございます。それで、最近の傾向といたしましてはお客様の嗜好も非常に多様化しておりますし、したがって、生産内容は一口に申しまして多種小量生産商品であるというふうに申し上げることができると思うわけであります。たとえばいまお話がございましたように、ドーナツ盤を例にとりまして御説明いたしますと、大体いま現在レコード各社で一万五千種類のレコードが発売されております。その中には流行歌のものもございますし、民謡、童謡のものもございます。端うた、小うたを含む純邦楽、あるいは愛唱歌、ドキュメンタリーの教養レコード、あるいは効果音であるとか、音楽鑑賞であるとか、いわゆる学校教材のレコード、あるいはジャズ、ポピュラー、クラシックと、様々な分野に分かれているわけでございます。私どもはこの分野をシリーズと呼んでおりますけれども、いろんな分野の中には、採算を度外視して製作をするというようなレコードもたくさんございます。  それで、そういう中で原価の構成を決めるわけでございますから、当然これは、実は諸外国もそうでございますが、やはり一つの慣習といたしまして、これらのレコードを個別的に原価を算出するということはなかなか不可能でございますので、それぞれのいわゆるシリーズによりまして計算を立てまして、原価を計算して、各社とも結果的にそのような同じ価格になっているということでございます。ちなみに童謡はこれは免税の物品税の対象にならないレコードでございますから、一律に六百円、すべてのレコードが六百円ということではございません。童謡の場合ですと当然四百円から五百円というような、やはりそのいろいろな内容によりまして値段はあれでございますけれども、おおむね六百円というふうに結果的になっているということは事実でございますが、諸外国もそうでございますし、一つ業界の慣行としてこういう形になっているということを御理解いただきたいと思います。  それから、二番目の原価の公表についてのことでございますけれども、これにつきましては大変勝手でございますけれども企業秘密の面もございますので、大変申しわけございませんが公表は御勘弁をさしていただきたいと思います。
  26. 久保亘

    久保亘君 いまの問題はまたいずれお尋ねすることもあろうと思いますが、いまお話しになりました、たとえば童謡には物品税が免除されているというようなことに関連して、先ほど会長さんも物品税の撤廃について協会としては非常に強く希望しているというお話でございます。私どももこの物品税レコードに対して課せられるようになった歴史的な経過などを調べてみますと、これは昭和十年代の国策上の目的で政府の財源調達のためにねらい撃ちをされたというような経過もあるようでありますが、今日そのレコード業界自体が、教育文化的な役割りレコードテープが非常に大きく果たしているという観点に立てば、物品税書籍に課せられずにレコードテープに課せられるということについては私どもも少し合理性を欠くのではないかという感じがするんであります。この点については先ほど、いままでずっと要請をしてきたんだけれどもなかなかうまくいかないというお話でございましたが、レコード業界としてこの物品税の撤廃ということについてこれまでどういう運動をやってこられたのか、それからもう一つは、物品税が仮に撤廃されるということになれば、また一面では海賊版の出現をセーブすると、抑制をするということにもつながっていくのではないか、結局安い商品が出にくくなるわけですから。物品税分だけ正規商品値段がダウンするということになれば、そういうことにもなろうかと思うんでありますが、この物品税の問題について、いままで大体レコード協会が掌握されている物品税の年間総額と、それから物品税撤廃についてのこれまでの協会が対処された経過などについて少し御説明をいただきたいと思います。
  27. 亀井寿三郎

    参考人亀井寿三郎君) 協会としての物品税減免の運動は、終戦末期に一一〇%というような非常に禁止的な料率を課せられましたとき以後、今日まで継続して行っております。戦後になりまして一〇〇%、八十%、五十%、三〇%、次第に引き下げていただきまして、昭和二十八年には二〇%に下がりました。この二〇%の時代がかなり長期にわたりますが、その間昭和三十七年レコードの貿易自由化、輸入の自由化が実施されるに先立ちまして、特にアメリカでは日本向けに非常に廉価品、ダンピング品が山と積まれて日本への輸出に用意されているというような状況をキャッチいたしましたので、急遽特別にお願いしてシングル盤、十七センチのあの小さな盤でございます。これだけは一〇%に期限を切って軽減していただいたということもございます。さらに、音楽テープ昭和四十二、三年ごろから市中に出てまいりまして、途端に大蔵省の方にこれが注目されまして課税の対象になりましたので、かなりこちらも生テープとの関係、それから文化的な著作物であるというようなかねてからの理由を申し述べまして、何とかこれを無税にしていただくようにお願いしましたが、結局これもレコード並みに最終的には一五%の課税をされるという結果が出ました。いままで大蔵省の担当の皆さんにも、毎年のように陳情を繰り返してまいりましたが、レコードだけを特別に扱うわけにはいかぬというようなお話もちらっと伺ったり、それから一方では物品税課税業界十六団体物品税懇話会というのを構成いたしまして、もう十五、六年になりますか、毎年のように物品税の軽減をお願いしております。その中でもレコード業界かなり中心的にいままで動いてまいりましたが、そういうほかの業界との提携、連携を持ちながら動いてきたことが逆目に出たのかどうか知りませんが、一連託生の関係が多少うかがわれるわけでございます。レコード著作物であるという点につきましてはほかに例がございませんので、特別な特性としてぜひ御配慮いただきたいというお願いを繰り返してまいっております。  特に、入場税が数年前に大幅に免税点が引き上げられまして三千円という数値を私存じておりますが、レコード三千円というのは余りございませんで、大体高くても二千五百円程度先ほどの童謡の四百円、五百円というような零細なものもございますけれども、入場税の免税点から見ればかなり平均して低いところに価格体系はあると考えます。しかも、入場税の場合は税率が一〇%ということになっている。レコードについては一五%。これは換算すれば小売価格については八・四、五%になりますので、ストレートに比較することは適当でないかもしれませんけれども、とにかくほかのぜいたく品並みにかなり高率になっているというのは事実でございます。  さらに、入場税のついでに申し上げますと、放送もレコードを相当かけて皆さんのお耳に入っていると思います。放送からレコード音楽を聞くという場合、これはもちろんただでございます。NHKには受信料払ってございますけれども音楽を聞くことについての対価というのは特に払っているわけではございません。  それから輸入品に対しましても、これは輸入価格が特に最近円高によりまして安くなってきております。CIF価格に関税を加えたものの一五%で計算されますが、その関税自体も御承知のように目下の東京ラウンドでどうなるか、大変不安に思っておりますが、現在LPにつきましては六十八円という定額性の税率が課税されております。その関税を加えた価格の一五%といいますと、大体国産のレコード物品税に比べまして、輸入品が一とすれば国産品が一・五ぐらいの平均的な数値になると思いますが、かなりここでもハンディをしょっているということであります。もともと洋盤レコード事業というのは、原盤を外国から入手しておりますので、輸入品というのは全く内容的には競合するわけでございます。そこで、そういう価格的なハンディを負うということは非常に企業としても、また日本のマーケットに適応した選曲をし、解説をして、日本的な装いを持って国民に提供している洋盤の文化的な活動の使命からいっても、この格差は非常に困ったものだと考えております。そういったようなことで、いろいろとそういう運動は協会としても続けてきてはおります。
  28. 久保亘

    久保亘君 レコードには大衆娯楽的なものもありますが、純粋に教育文化的なものもたくさん出てくるわけでありますが、この教育用のレコードなどについても、一般の家庭で購入する場合にはやっぱり物品税が課せられておりますか。
  29. 亀井寿三郎

    参考人亀井寿三郎君) 課税されております。
  30. 久保亘

    久保亘君 出版物についてその物品税が免除されておって、レコードテープ教育用のものについても物品税が課税されているというのは、非常に不合理なことでありますし、また、文化国家を目指すわが国の政策上の問題としても問題がありはしないかというふうな感じがするんでありますが、もう少しレコード業界としても、レコードテープの、それから放送、録音機器などの果たしている教育文化的な役割ということについて、物品税の撤廃を目指される場合に、特に強調してやらなければならないことではなかろうかと感じておるわけであります。  それからもう一つは、レコードテープの場合には、特に盲人の方々の場合には、これは教育の面でもまた文化の摂取という面でも、非常に貴重な存在になってくると思うんであります。レコード業界としてはそういう教育用機器としての扱い、それからまた盲人の人たちに対してレコードが活用されていくという面についての特別な配慮とか、対策とか、そういうものを講ぜられておりますでしょうか。
  31. 亀井寿三郎

    参考人亀井寿三郎君) いまの教育的な用途、それから盲人用等福祉的な分野での使用ということにつきましては、まず教育的な分野につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたように、非課税の範囲が政令で決められておりまして、童謡、童話、ちょっと詳しくなりますけれども、それから朗読、宣伝文、案内文、通信文。この宣伝文、案内文、通信文なんというのは音楽テープが課税されたときに入ったものでございます。街頭の宣伝放送なんかもございます。それから探訪の記録、それから時事問題その他の社会的事実もしくは科学その他学術に関する記録、報道、演説、解説等ですね、こういったようなものは非課税になっております。それともう一つは、学校教育法によって使われるレコードで、しかもこれは学校が使用するもの、教育レコードということにつきましては、当局のお考えは、学校の先生が教室で授業をするときの説明、いわゆるナレーションまで入ってなければ、教育レコードとは解さないというようなことでいままで取り扱われております。最近、解説書その他にそういう説明があればいいのではないかということで意見を出さしていただきましたが、現在、いまだに学習指導要領に準拠したレコードですら課税されております。それから盲人用等でございますが、これは著作権法の政令で定められた盲人施設は無料でお使いいただくわけでございますが、その他の盲人施設から御要望があれば、非常に名目的な、非常に低廉な料金で許諾を与えて御自由に使っていただくように、レコード協会として各社との間を調整しながらお世話しております。
  32. 久保亘

    久保亘君 時間がなくなりましたので、あと二、三ちょっとお尋ねしたいと思いますが、一つは、いまこうしてレコード保護条約が批准され、著作権法が改正されようとしているわけでありますが、もう一つの問題は、先ほどもお話がありました実演家保護ということについて、すでにローマ条約が締結されているにもかかわらず、この条約の批准がなかなか行われないという状況にあるわけですが、レコード協会としてはこの実演家保護のためのローマ条約についてはどういうお考えをお持ちなのか。それから、このローマ条約日本加盟できないでいるその原因は主としてどこにあるのか、その点をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  33. 亀井寿三郎

    参考人亀井寿三郎君) レコード協会としては、ローマ条約に一日も早く加入していただきたい、入りたいというお願いをかねてから出さしていただいております。  いま実演家のための条約というようなお話がございましたが、レコード製作者保護する条約でもございます。しかも、二次使用料の規定も含まっておりますので、レコード業界としてはぜひともこの条約に一日も早く入りたいと考えております。ところが、まあいろいろと条約加盟についても順番がおありのようでございますし、いろいろと関係方面にも利害関係が出てくるために、御当局としてもなかなかお骨折りの点があると思いますけれども、われわれのレコード業界から申しますと、一番のやはり困難な点は二次使用料問題で、これは現在の国内法では保護されるレコードがいわゆる邦盤、日本レコードだけでございますが、条約に入りますと外国レコード保護する。当然外国レコードを放送局が放送のために使用した場合でも二次使用料を払わなければならない。出費がふえるということで放送側もかねてから、まあ正式な場では伺ったことはございませんけれども、大変な抵抗を示しておられます。まあ放送業界というのは大変な政治力をお持ちだということも伺っておりますけれども、どうもわれわれ政治力が逆にないために、ちょっと抗し切れないというような感じもございまして、あとは政府御当局なり、先生方のお力をぜひ拝借して、何とか一日も早く加入できるようにと念願しております。
  34. 久保亘

    久保亘君 もう一つは、私的使用のための複製について、これはいま世界各国においていろいろ問題のあるところだと思いますが、この問題についていわゆる西ドイツ方式というのが、フランスでもいろいろと論議をされております。わが国でも議論の対象となってきているようでありますが、この私的使用のための複製について、いわゆる著作権保護するというような立場で、協会の御意見があればお聞かせいただきたいと思います。  それから最後に、わが国でもレコードが廃盤になっていきます場合、まあ出版物でいう絶版になりますね。そうした場合に、レコードの古いものなどについてぜひそれを聞きたいという場合になかなかそういう場所がないというようなこともありまして、レコードライブラリーというのか、いわゆる発行されたすべてのレコードテープなどが一つの場所に保存をされる。そして必要な場合にはそこへ行けば聞くことができる。こういうような施設が必要ではないかという意見を述べておられる方もあるようであります。この点について、これはレコード協会だけでおやりになることではないと思いますし、もし必要があれば国の機関等においてもそのようなものを検討すべきではないかという感じがするのでありますが、このレコードを一カ所に保存をしていくということについて、協会がそういう問題について御検討になったことがあるのか、あるいはそういうことが必要であるということになれば、協会としても全面的にそういう施設をつくっていくということについて協力をするという立場にあられるのか、二つの点について最後にお尋ねをしたいと思います。もし、この際レコード協会として政治や行政の面についてぜひこれだけのことは言っておきたいというようなことがおありでしたらあわせて御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  35. 行方正一

    参考人行方正一君) 二つの問題についてお答えするわけでございますけれども、まず後段の問題につきましては、ただいま久保先生からお話の趣旨につきましては、私ども協会といたしましてはそういう考え方を今後前向きにいろいろ検討したいと思うわけでございますけれども、現状といたしましては、いま現在各メーカーから発売されておりますすべてのレコードは、国会図書館にレコード関係は保存してございます。で、国会図書館で、いま先生が御指摘のように、カタログから除かれた廃盤のレコードなどを聞きたい場合には、国会図書館へおいでいただければお聞きいただけるようなチャンスはございます。それを今後業界としてどのようにそういう中で取り上げていくかというのは今後の問題でございますので、何かいい方法があればまた積極的に考えていきたいなあと思っておりますが、一応現状はそういう形の中でそういう御希望の方々の御満足におこたえしているというのが現状でございます。  それでは前段の私的使用の問題につきましてせっかく御質問をいただきましたので、この機会をいただきましてぜひ先生方の御理解をちょうだいしたいというふうに思っておりますので、しばらくお時間をいただきたいと思うわけでございます。  冒頭、会長からこの私的使用の問題につきましては、現在関係団体によりまして文化庁さんの方に一括要望をしているわけでございますが、まあその過程などにつきまして少しくお話し申し上げたいと思うわけであります。  昭和四十六年に現在の著作権法が制定されるに当たりましての審議過程におきまして、私どもがやはり将来を見通した場合、私的使用を認めた場合には、関係権利者に重大な弊害をもたらすことが明らかであるということが予想されましたので、これを禁止してほしいという意見を具申しておったわけでございますけれども、その当時の審議に当たりまして、これはやはりその当時の複製機器の技術の進歩を考慮すれば、これらの機器を利用する私的使用を制限することは実情にそぐわないし、かつ家庭内での複製を禁止しても実益は少ないのではないかというような御意見もございまして、結局改正著作権法の三十条におきまして、私的使用のための複製の自由が認められました、そして今日に至っているわけでございます。  ただそういう決定をされるときに、参議院の文教委員会、あるいは衆議院の文教委員会におかれましては、一つの附帯決議がされているわけでございます。その内容は、「今日の著作物利用手段の開発は、いよいよ急速なものがあり、すでに早急に検討すべきいくつかの新たな課題が予想されるところである。よって、今回改正される著作権制度についても、時宜を失することなく、著作権審議会における検討を経て、このような課題に対処しうる措置をさらに講ずるよう配慮すべきである。」と、いわゆるその当時としては将来に対してそういうことが拡大されることがあるから、その時期にはひとつそういう時期を見計らってやはり配慮すべきじゃないかという附帯決議をいただいて、そして今日まで来ているわけでございます。  それで、私どもといたしましては、四十六年に現在著作権法が施行されまして五年を経過しました五十一年の十月に、関係団体でございます日本著作権協会、あるいは日本芸能家実演団体協議会、私どもレコード協会、この三団体が、果たして録音、録画の実態はどういうふうになっているんだろうというようなことで、東京二十三区の六千人を対象にいたしまして共同に調査をいたしました。その結果、どういうことがわかったかと申しますと、放送または既存の録音物、あるいは録画物が複製する個人録音、録画の行為及び実演の生録音をする実態、そういうようなものは現行著作権法が制定される当時の予想をはるかに上回りまして、これでは速やかにやはりある程度制度を改正していただく時期に来ているのではないかということになりまして、昭和五十二年の三月三十一日に関係団体文化庁の方にそういう要望を御提出申し上げたわけでございます。  その要望の内容につきましては、現在著作権法三十条で私的使用のための複製については認められているけれども、それに追加いたしまして私ども著作権者実演家レコード製作者はいわゆる録音をとるための機械及び機材、この機材と申しますのは要するに録音するときに当然テープを使います、テープに録音するわけでございますから、そのテープを言うわけでございますけれども、そういう機械とテープをつくる製作者から、その機械及びテープを販売する価格に一定率を乗じて得たその保証金をぜひひとつ受け取る権利を持つようにしていただきたいというようなお願いを三団体でいたしたわけでございます。それで実は昨今来お話がございますように、文化庁さんの方ではそれを第五小委員会という形の中で、いま専門委員会をつくっていただきまして御審議をいただいているというのが現状でございます。それでもう少しお時間をいただきたいと思いますが、それでは私どもの調査によってどういう現状がわかったのかということでございます。幾つかの現状がわかりましたので、これも詳しく申しますと時間かかりますので大ざっぱに申し上げておきますと、まず何といいましても非常に私どもが驚きました点は、このテープレコーダーの普及というものが異常に大きいと、その当時の、制定時よりも急速にそういうものがふえているということでございます。経済企画庁の消費者動向調査によりますと、テープレコーダーの世帯普及率は四十一年のときには一八%でございました。それが五十一年には五七%に達しております。これを東京だけにとりますと約六〇%という高率を示しているわけでございます。そしてさらに最近の機械関係をごらんいただければ、いわゆるワンタッチでラジオ放送をテープ録音できるような機能、つまりラジオつきカセットと呼んでおりますが、そういうものの普及が特にヤングを中心に急速に伸びているわけでございます。このラジオつきカセットというのはいわば個人で録音するための機械でございますから、そういうものが急速に伸びているということは、別な面で私どもとしましては事態を深刻に感じているわけでございます。機械の普及ができました、そうしますと当然個人の録音する人口というものが増大してまいります。それではその増大はどのくらいあったんだろうということを調べてみますと、一年間で個人録音の経験者は東京都では約二百九十万人でございます。これは東京都の全人口の二五・三%に当たっております。で、東京の録音経験者の基準を全国に仮に当てはめたといたしますと、何と全国では二千三百万人の人が何らかの形で個人録音の経験者であるということが推定されるわけであります。しかも個人録音の人たちは、先ほど申しましたように若い人たちが非常に多いというようなことで、中学生を中心とした人たちの占める割合は何と七三%の人たちが個人録音をしているということでございます。さらに申し上げますと、御出席先生方も十分御存じだと思いますが、最近ではFM放送の番組は一週間分を詳細に新聞に折り込みの中で紹介しているわけです。あるいは業界誌によりますと、FM放送の欄の中に、今週はこれをとりなさいというような形で積極的にそういうものを奨励している記事がどんどんどんどんふえているということは、ますますこういう個人録音の対象というものがふえるんじゃないかということでございます。で、対象はふえました、それでは量はどうなんだろうということでございますと、量的に申し上げますと、大体一年間に一人平均三十五回、曲数で二百五曲ほどになります。これはその人が一年間に買いますレコードの枚数が八枚でございますから、合計四十七曲でございます。その人が買うレコードの曲数とそれから録音する曲数を比べますと、何と録音する方が四・四倍も多いというようなことでございます。そのほかいろいろございますけれども、ちょっと時間がないようでございますので、また後ほど御質問があれば御説明したいと思うわけでございますけれども、そういういろんな状況がわかりました。そこで私どもはそのようなお願いをしたということでございます。  最後にもう一度私どもの基本的な考え方だけを申し上げておきますが、私どもでは家庭内での録音行為を容易にする機械というものの発達普及を阻止しようなんというつもりはございません。が、家庭内で録音を行う者が容易に機械を利用して録音できるというその利点に対して、利益の還元の見地から何らかの御負担をお願いしたいというのが、私どもお願いしている要望の一番のポイントでございます。時間が後半なくなりましたので不十分になりましたが。
  36. 町尻量光

    参考人町尻量光君) 先ほど久保先生から最後に、国あるいは行政に対して何か希望はないかというようなお話がございましたので、これについて簡単に触れさしていただきたいと思います。  先ほど来申し上げましたように、私どもとしましては、やはり物品税の免税というものをひとつぜひ実現できるように格別の御配慮をいただきたいということが一つの問題でございます。  それからもう一つは、先ほど来何遍か御説明いただきましたように海賊版の問題。この海賊版退治に対しましてわれわれ関係者はいろいろ著作権の思想の普及というものをあらゆる面で図ってはおります。そして問題の海賊版を告発し、裁判に持っていくということにより、これを新聞その他で結果を発表し、こういう行為はいけないんだということを知らしめるような努力もしておるわけでございますが、やはりこれが親告罪でありまして、非常に時間もかかります。そういう面で、できますればこの海賊版を所持することによって、一つの何か問題がはっきりできるというような点も法律的にお考えをいただくようなことができましたらありがたいことであると、こういうふうに存じております。  最後にもう一つ、私かねがね協会長としても感じておりますんですが、先ほど来お手元に差し上げました資料でおわかりのように、日本の場合には、外国から見ました日本レコード市場というものが非常に有力な市場という目で見られる。現実にアメリカに次いで世界第二の市場と言われております。ただ、これもはっきり申し上げまして、人口比から見ますると世界で十三番目の順位でございまして、まだまだ実際には私は世界第二の市場ではないと自分では思っております。そしてまた、これも考えようによりますと、日本語でという言葉の問題点がございまして、日本レコード外国へ今度は輸出されて出ていくという数は、先ほど来御説明がありましたように非常に少ないものでございます。私はやはりこれをただ片貿易でなくて、もっといわゆる両面交通にすべきであるということをかねがね考えておりまして、われわれメーカー自体も大いに努力をすべきだと思いますが、どうかこういつた面におきましても、国あるいは行政の面におきましても何分のお力添えをいただきまして、それがいわゆる両面交通として日本レコードがもっともっと外国にも出るように、そして国際的なレコード市場として実力を備えた第二の市場になるように、あるいは第一の市場になるように努力をいたしたいと、こう思っておりますので、この辺に対しましても何分の御尽力いただければありがたい、こう思う次第でございます。  以上お答え申し上げます。
  37. 久保亘

    久保亘君 どうもありがとうございました。
  38. 白木義一郎

    白木義一郎君 初めに、いただいた資料の中で、「第一回アジア・レコード製作者会議」の要点のパンフレットをいただいたわけですが、亀井事務局長さんの名前が載っておりますが、参加になられたんでしょうか。
  39. 亀井寿三郎

    参考人亀井寿三郎君) 私参加いたしました。
  40. 白木義一郎

    白木義一郎君 これを拝見しますと、大変この会議は盛大といいますか、かつ深刻な会議のように拝見をしたわけです。特にこの第二日目の第三部「海賊による被害と対策」、この部会の模様は大変深刻な、しかも白熱した議論が交換をされたように拝見するわけですが、わが国の特にレコード協会立場から、この会議の模様あるいは要点、あるいは協会の皆さん方としてどのような参考意見を持ち帰られたかというようなことについて、詳しく御説明いただきたいと思います。
  41. 亀井寿三郎

    参考人亀井寿三郎君) 御指摘のように大変白熱した空気で議論がなされました。日本の場合は、同じアジア地域にはございますが、先進国グループに一応入っているように考えられました。といいますのは、もっぱらやはり東南アジア諸国での海賊の問題、この表にもございますように、大変な海賊の量が生産され出回っているわけでございます。私、協会としてというよりは、出席した私として感じましたことは、国を挙げてそれぞれがこれに対処しているという姿勢がうかがわれました。特に地元のフィリピンの場合は、開催国として当然のことではありましょうが、政府側もかなり出席されておりますし、それから海賊に対する国の方針も、ここにありますようにかなり明確に表現されております。ここでは外務大臣の代理人の方がお出になりましたけれども、その方の御報告によりますと、外務大臣としてレコード保護条約加入の案に承認のサインをしている、もう済ませたというような御発表がありました。あとは手続の問題が残っているようでございます。それから、マルコス大統領並びに夫人も大変文化面に対して強い関心を持っておられることもいろいろと情報の中に出てまいりましたが、特にこの期間の中で、いわゆる著作権法に相当する大統領命令の改正にサインをしたというふうなことは大変印象的でございました。フィリピンの姿勢がかなり強く出てまいりましたので、ついでに申し上げますが、フィリピンとしては、音楽の振興、向上にはレコード産業の保護が絶対必要であるという考え方が一つ柱になっていたようでございます。ここにもございますように、タレントの輸出、開発というような表現が盛んに出てまいります。これはつまり音楽の振興、普及ということでございまして、海賊によってレコード産業が育たないということは、音楽イコールレコード産業によって創作され普及するものだという認識が基本になっているようでございます。この点は私どもの方も日常的に音楽が中心の事業でございますので認識はいたしてはおりましたものの、このように海賊の横行している地域では、音楽文化の振興、普及の大きな妨げになっているんだなということを非常に痛感いたしました。ただ単にレコード製作者権利を守るということではなくて、広く国の音楽文化普及を妨げている、むしろ開発を妨げているという観点で、この海賊問題をフィリピンとして取り上げられ、会場を提供されたものというふうに受け取ってまいりました。それから近隣の各国におきましても、役所の方もお見えになっておりましたし、作家もお見えになっておりました。各国ともかなり現状の改善に努力をされているなという感じを受けてまいりました。以上でございます。
  42. 白木義一郎

    白木義一郎君 そこで、この資料によりますと、ゴルチコフ米国レコード工業会会長が議長となり、「悪いのは海賊たちだけではない。対策を実行しない我々も悪いのだ」と述べたようですね。で、「まず辛棒強く対決する、有効な法律を制定する、販売店が取扱わない、消費者教育する、必要な文献資料関係先に提出し理解協力を求める、海賊製造人だけでなく販売店も処罰する、刑罰を重くする等々である。そのためには金を使え、然らざれば一層損をする。国家、地域、産業、タレント、音楽家たちの損害を防ぐためにも、国のイメージダウンを防ぐためにも……」、大演説だと思うんですが、いずれもわが国レコード製作者の皆さん方に大変関係の深い問題が提起されているわけですが、そこで、いまこの議長の提起した問題点について、わが国ではこれからどのように対処をされていく対策を立てられているか、その点をお伺いします。
  43. 亀井寿三郎

    参考人亀井寿三郎君) このRIAAのゴルチコフ会長の指摘された意見に従って申し上げたいと思います。  まず「辛棒強く対決する」、これはもうきわめて基本的なことでございまして、浜の真砂のごとく海賊は絶えないなんというような表現もあるくらいに、私ども毎年のように告訴を行い、有罪判決をいただいておりますが、今後ともこれが絶滅を期するということで努力してまいる方針でございます。これは先ほど事業計画の中にもうたわれてございます。  それから「有効な法律を制定する」、これは法律体系の違いもございますので、私ども素人がこういう案をという意見を申し上げるのは適当ではないかと思いますけれども現実に店頭に山と積まれている海賊を目前にしながら、手も足も出ないという状況実態でございます。もちろん、その立証の作業、それから情を知って販売しているのかどうかというような確認も必要になっているわけでございますが、何とかもう少し即効性を持った対処の方法がないものかなと。先ほど会長からも申し上げましたような所持罪のようなものでございますね。香港ではこれは英国法のもとで、香港の政令によってかなり厳しく法律制度ができているわけでございますが、所持罪という扱いが行われているそうです。で、販売のために所持している側がこれが正規の品物であるという立証をしない限り海賊扱いにされるというようなことで、大変効果的な制度がございますが、日本も何とかそれに相当するような法制をつくっていただけないものかとかねがね考えております。さらに香港の例でございますが専従の政府の職員がおられまして、ことしもさらにその定員を増加したというようなことがございます。大変うらやましく考えております。  それから「販売店が取扱わない」、これは正規のお店に対しましては、繰り返しレコード協会並びに著作権協会あたりとの合同により、いろいろPRをし啓蒙をしてまいりましたので、一般の小売屋さん、レコード店、正規のお店は、現状では認識を深め取り扱うことはまず皆無に近い状態でございます。ただ音楽テープの販売ルートというのが、レコード楽器の専門店じゃございません、いわゆるガソリンスタンドだとか、自動車用品、部品だとかという形態のお店が多いものですから、たまにそこでは先ほどのお話のようにちょっと識別困難な現物もたまには仕入れてしまうということがございます。その場合には発見次第われわれとしては内容証明で警告を出しまして、仕入れ元、仕入れ本数、売却本数、在庫本数等の照会をいたしますと、大体相手も理解してくれまして、一回限りでやめるという事例が非常に多く残っております。  それから「消費者教育する、」これはレコードテープには無断で録音をしてはいけませんという意味が書いてございますが、われわれの力だけでこの思想を普及するということはとうてい追いつかないことでございますので、これはぜひ国の力を中心にわれわれが協力さしていただきながら、消費者に認識を持ってもらうというふうに考えておりますし、現実にそういう形で動かしていただいております。  それから、「必要な文献資料関係先に提出し理解協力を求める、」これにつきましては、特に日本の場合余り海賊の事件が従来ございませんでしたので、警察御当局も、それから検察庁も、裁判所も、この著作権法に対しての詳しい知識を持っていらっしゃる方が少ないものですから、われわれのサイドからいろいろと資料を出さしていただいております。  それから「海賊製造人だけでなく販売店も処罰する、」これは先ほど申し上げましたので、われわれの希望としてそういう考え方を持っているということでございます。  それから「刑罰を重くする、」これもぜひお願いしたいなとわれわれは希望しております。三十万円三年以下、洋盤の複製については十万円一年以下というようなことでございますが、初犯は大体執行猶予がついてしまって、余り実効はないということで、いままでの判決の中で、一番長いのが一年六カ月だったと記憶しておりますが、それも執行猶予つきということでございました。  そろから金を使うこと、まさにこれは防衛的な支出でございまして、いまこの海賊のために金を使わなければ大変な海賊マーケットになってしまうであろうということは容易に想像できることでございます。毎年相当な額をレコード業界としても投入いたしまして、海賊退治をしておりますが、それゆえに日本の場合は現状でまずまずおさまっていると、これをわれわれが行動を起こさなければ、大変な海賊品がはんらんするであろうということは、東南アジア諸国の実態を見ても容易に想像がつくことでございます。まあ幸いにわれわれの努力、それから日本の法制によりまして、海賊を何とか出るたびに押さえていると、ただしこれは次々とやはり絶え間なく、今後とも海賊行為は散発的にも出てくると思いますので、これは本当に最初申し上げましたように、しんぼう強く、しかもむだには思うけれども、やはり相当な額を投資して対処していかなきゃならぬというふうに、われわれ日本業界としては考えておりますし、現実に実行しております。
  44. 白木義一郎

    白木義一郎君 そこで「技術的処置による海賊版識別法を考案した」と、その発表があったというふうに載っておりますが、この点どんなような内容でしょう。
  45. 亀井寿三郎

    参考人亀井寿三郎君) この技術的処置の説明は詳しくは伺っておりませんが、大体アメリカの場合にはそっくり物が多いようでございます。そっくり物でない場合でも、最終的にはまさにこれは本物の音がここに録音されているという立証がいずれにしても必要になってくるわけでございます。中身が本物であるかどうかということの立証作業を容易にするために、一つ音楽の途中である信号を入れておく、あるいは特別な高い周波数の部分だけ、非常に聴感には感じない程度のものをカットしておく、これを機器的には発見できるというような操作を加えまして、レコードをつくっておく、それが海賊された場合にはその音を機器的に、機械的に検出しますと、その特定な信号が出る、あるいはカットされているということが発見できるようにというのが一つの方法。それからもう一つのレーベルに特殊な金属を使って印刷をしておくというようなことをおっしゃっていましたが、これにつきましては、私どもの方もまだ十分に研究しておりませんので、ちょっといまお答えできないのは残念でございますが、転写すること自体を防ぐということではなくて、その録音されたものが本物の音源からとったものであるかどうかということの立証のための一つの手だてというふうに理解しております。ですから余りわれわれの実態から見ると有効な方法はいまのところまだないというふうに感じております。
  46. 白木義一郎

    白木義一郎君 われわれの、今度は消費者立場から、言うまでもなく皆さん方から言うと海賊ですが、われわれの方から言うとまことに海賊歓迎なわけです。安くて、しかも自分の好みに応じたものが安く手に入ると、これを海賊版というふうに呼んでいるわけですが、私もその私的利用をちょいちょいさせていただいておりまして、車の中で聞いたりするには、やはり限定された時間の中で自分の好きな音楽を聞きたいということになりますと、ピックアップして私的利用をさしていただくという点も十分おわかりのことと思いますが、やはり消費者立場に立ちますと歓迎ということでございますので、その点今後業界の積極的な対策が必要じゃないか、このように思います。  それから、先ほどこの著作権法の問題について、補償金制度についてお触れになりましたけれども、いろいろお考えになったことと思いますが、将来話し合いがつきまして、一定の補償金を三団体が受けられるようになったとした場合に、この補償金の使用といいますか、活用といいますか、むずかしい問題が大変あると思うんです。その点は現在までのところどの程度研究をなさっていらっしゃるか、よろしければ御説明願いたい。
  47. 行方正一

    参考人行方正一君) 実は先ほど申しましたように、これは現在第五小委員会の中で審議中でございますので、そういう具体的な問題についてはまだ全然入っておりません。したがって、今後その小委員会の中で御検討いただくことではないかということでございます。現在のところ、全然まだそういう問題は具体的に決まっておりません。
  48. 白木義一郎

    白木義一郎君 レコード協会としてこういう補償金制度的なことを考えている、推進していきたいとおっしゃるからには、やはりそれから先のことも十分説得力を持った御説明をなさるべきだと思うんですが、いま残念ながら全く考えてないというような——委員会で取り上げられてないという意味でしょうか。
  49. 行方正一

    参考人行方正一君) そうです。
  50. 白木義一郎

    白木義一郎君 皆さんの方の立場でどんな御意見を持っていらっしゃるか。
  51. 行方正一

    参考人行方正一君) この問題は私どもだけじゃなくて、三団体で共同提案している問題でございますので、実はその補償金の問題につきましての御意見委員会としてはそこまで具体的な審議にまだ入っておりませんものですから、その経過においてやはり決まってくる問題だと思いますので、いまここでは余りそういうものについての具体的な発言は避けさしていただきたいと思います。
  52. 白木義一郎

    白木義一郎君 次に、実演レコード等の著作隣接権の存続期間が二十年ということになっておりますが、映画では公表後五十年、写真等では公表後五十年、その他の著作物については著作者の死後五十年と、こうなっておりますが、これらと比べてみますと、この実演レコード等の隣接権の存続期間がちょっと比較しますと短いように思うんですが、この点はレコード協会側はどのような御意向をお持ちでしょうか。
  53. 亀井寿三郎

    参考人亀井寿三郎君) 御指摘のように、まさにわれわれとしては大変短過ぎると考えておりまして、かねがね、新法施行に先立って、それまで三十年間という規定がございました。少なくともその三十年間を維持するようにというお願いをしてまいりましたが、国際的なレベルというような理由もあったようでございまして、二十年になりましたことは大変残念に考えております。いま世の中で二十年といいますと、非常に短期間で、二十年前のレコードをいま想像いたしますと、まあ昭和三十二年のものはもうすでに今日二十年になっておりますですね。かなり皆さんの御存じの歌がおありだと思います。いまここで具体的に申しますと、あああれは期間が切れたんでいいんだなというようなことに誤解されるといけませんので申し上げません。経過的措置がございますから、旧法時代につくられたものは多少長くはなってまいりますけれども。それと、かつてのものは作詞作曲がその会社の専属作家によってつくられた、いわゆる専属作品が使われておりますので、そう簡単に無断で複製するということには現状なっておりませんので、現時点ではまず余り問題は起きておりませんが、近い将来必ずこれは大きな問題になってくるであろうと考えております。で、欧州等にもその辺照会いたしましたが、これは業界の道義的処置として、お互いそれぞれの会社の持っている音源については尊重し合いながら、保護期間が切れたからといって直ちに自由に他社のものを録音し、それを市販していくということはやめようではないかというような配慮が業界の中にあるようでございます。しかし、業界のあくまでもそういう自主規制というのはこれは歯どめございませんので、立法措置によってぜひこれはできるだけ長く保護していただきたいと考えております。
  54. 白木義一郎

    白木義一郎君 どうもありがとうございました。
  55. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 先ほどから幾つ問題点がすでに出ておりますので、私はまずレコード協会日本の芸術、文化水準の向上の中で果たされる抱負なりについてまずお伺いをしておきたいと思うわけであります。特に二次使用料等を含む今日の問題の中で、芸術家の方々、あるいは実演家方々作家方々にお目にかかりますと、なかなか多数の方々が厳しい苦しい生活をしていらっしゃるわけであります。こういう状況の中で、何としても日本の芸術、文化の水準を向上させようと思えば、皆さん方がこれは著作家実演家と力を合わせて、そうしてお互いに保障し合いながらやっていかなければならぬと思いますし、その中で特に二次使用料の問題、あるいは隣接権条約に対する加盟問題等は、そういった観点でも大きな役割りを果たすもんだというふうに考えておるわけですが、いかがでしょうか。
  56. 亀井寿三郎

    参考人亀井寿三郎君) ちょっと御趣旨がよく理解しにくいんでございますけれども、申しわけございません。
  57. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 そうですね、具体的にそれじゃお伺いしましょうかな。  二次使用料の問題について、芸団協の方で調査結果を発表しておるわけですけれども、二次使用料文化庁指定の受取団体は、日本レコード協会と芸団協になっておるわけですね。こういう状況でどのくらいの金額を二次使用料として受け取っておられるわけですか、NHK、民放それぞれから。
  58. 亀井寿三郎

    参考人亀井寿三郎君) 申し上げます。五十二年度の金額がようやく三月中に合意されました。日本民間放送連盟からそれぞれの団体に対して六千三百万円、芸団協とレコード協会同額でございます。それからNHK——日本放送協会から二千六百万円、それぞれの団体に支払われる契約ができました。これは実は五十二年度からは何か根拠のある算式で金額を取り決めたいというわれわれ両団体の希望によって、先方も協議に応じてくれたわけでございますが、この提案をしてから二年数カ月たちましたにもかかわらず、何ら対案が出てこなかったということで、大変われわれとしては残念に思い、遺憾に思っているわけでございます。その間に時日が経過しまして、五十二年度も経過してしまうということもありまして、この際条件によっては——ということは、今後精力的にそういう合理的な根拠のある算定方式を協議すると、五十三年度中には何とかその実現を図りたいというような条件を示しまして、一応暫定の金額を協議し、合意したわけでございます。この金額自体は、前年の実績に比べまして、それぞれの使用者から見れば相当な大幅な増額というふうにおっしゃっておりますが、五十一年度につきましては、民放は四千五百万円、NHKは二千万円、それぞれ四〇%なり三〇%のアップ率になってきておるわけでございます。アップ率自体から見れば使用者側の誠意はある程度理解できますが、もともと金額そのものが非常に低いということでございます。まあ、百円が千円になってもアップ率は十倍になって、——十倍ということたけ見れば、非常に大変な努力には思われますが、もとの数が低いというところをやはり使用者の方も理解していただき、何とか今後の増額をお願いしたい。ところが御承知のように、ただ二次使用料を受け取る権利ということでございまして、先方は支払う義務があり、われわれの方は受け取る権利だけがあって、それ以上の権利は何もございません。もちろん禁止権もございません、許諾権ももちろんございませんので、あくまでもこれは話し合いによる。話し合いで解決つかない場合は、文化庁お願いするというような手続はございますけれども、なるべくそういうお手を煩わさずに、当事者間で協議を進めてまいりたいと考えております。現在の額につきましては、引き続きわれわれは満足いく金額ではないと考えております。
  59. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 何か、一分間当たりで勘定すると、NHKが五円とか、民放が十円とかいうような数字が挙がっているわけですけれども、この基礎の数字は今日は改善をされておるわけなんですか、どうなんでしょうね。
  60. 亀井寿三郎

    参考人亀井寿三郎君) 実は、私どもの方で放送の番組内容をモニターいたしまして、保護される邦盤のレコードが、民放、NHKでどの程度使われているかを時間的に把握いたしました。これは、ちょっといま数値を引っぱり出しにくいわけですけれども、その時間で受け取る使用料を割ったものがいまの数値でございまして、実態調査をした上での数値でございますから、かなり信頼できるものと考えております。
  61. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 芸団協のニュースで見ますと、調査された結果、NHKの場合ですね、番組の二六・三%が音楽放送であって、そのうちで八〇%がレコードの再使用になっておる、そういうことが書かれておるわけですけれども、これで、外国盤は野放しですけれども日本盤については使用料を払う、これが一分間当たりの単価にすると、NHKで五円五十銭、民放で九円六十銭というような金額が挙がっておるわけですが、前年四千五百万円であったものが五十二年度には六千三百万円に是正されたというのは、こういう単価について改定されたとか、トータルでつかみでやられたとか、その辺はどうなっているんですか。
  62. 亀井寿三郎

    参考人亀井寿三郎君) トータルのつかみで増額になったものでございます。
  63. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 ヨーロッパあたりでの再使用料、これについてはどのくらい支払いをしておるものなんでしょうね。
  64. 亀井寿三郎

    参考人亀井寿三郎君) これは多少われわれのデータの入手が十分いきませんで、古い数値になってしまいますけれども、その時点で日本の比較をしていただけばまた適当かと思いますが、いま手元にございますのが一九七三年の数値でございます。ドイツが、これは当時の円換算でございますが、十六億七千二百万円、スウェーデンが四億七百万円、イギリスが三億六千四百万円、フランスが三億九千三百万円といったような数値をわれわれは手元に入手しております。当時の日本では、NHKが千四百十万円、民放連が五千三十万円、合計で六千四百四十万円という数値でございます。
  65. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 恐らく同様数字を時間で割って作業をされたのかと思うわけですが、芸団協の挙げておる数字では、大体民放の九円六十銭に対して、スウェーデンの標準的なものが一分当たり千四百円に当たっておるというようなことを記述をしておりまして、非常に格差、落差が大きいというようなことを挙げておりますが、その辺が数字としては、レコード協会でも掌握されておるものと大体合致しておるわけですか。
  66. 亀井寿三郎

    参考人亀井寿三郎君) レコード協会と芸団協と両方で、両団体協力してデータを取りまとめています。結果的には同じ数値をわれわれ持っております。  いまのスウェーデンの場合、ちょっと千四百円とおっしゃいましたが、われわれの数値では千六百円になっておりまして、大体日本の八十倍、デンマークの場合は一分当たり二千円です、日本の約百倍、一分当たりに換算いたしますと、そういう倍率になってまいりますですね。
  67. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 大体これが西独の十五分の一とか、その他の諸国の三分の一とか、五分の一とかいうふうに聞いておったのですけれども、計算方法によっては数十分の一というような金額になってくる。とりあえずはこのNHK、民放の関係では、どの辺までもっていこうと思っておられるわけですか。
  68. 亀井寿三郎

    参考人亀井寿三郎君) 私どもが提案しております方式は、一分当たりということではなくて、実は放送局収入の何%という方式をお願いしております。これはなぜかと申しますと、日本の場合、放送の規模が非常に大きいし、レコード使用頻度が非常に高い。特にラジオにつきましては、一々曲単位で掛けていく、乗じていくということは非常に能率も悪いので、定率制で提案しております。ただ、テレビの方は比較的レコードそのものを使うというケースは非常に少ないようでございますので、一曲幾らという提案をしておりますが、これも実際に先方の都合もいろいろございましょうから、テレビ、ラジオ含めて何%という方法を選ぶということも一応話し合いの中で考えていきたいと思っております。
  69. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 いわゆるブランケット方式ということを目指してやられておるわけですが、この点も、諸外国等での方式は大体どういうふうなことをやっておるか。この方式でやっておるわけですか。
  70. 亀井寿三郎

    参考人亀井寿三郎君) いろいろございますけれども、定率制——収入の何%という定率制と、それから使用実態にリンクした一曲当たり幾らというシステムと、各国さまざまでございますけれども、大体大きな国は定率制が多いようでございますね。
  71. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 いわゆるブランケット方式をとっておるということですか。
  72. 亀井寿三郎

    参考人亀井寿三郎君) ブランケットでございますね。やはり一曲で計算する煩わしさといいますか、手間暇をある程度かけないで、もう少し合理的にという考え方が基礎になっているのではないかと思います。
  73. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 昭和四十五年の著作権法改定に伴って、四十六年に暫定契約を結ばれたとき以来、放送局側でもこの方式に移行するというのも大体了解をして、移行過程として今日まで推移してきたというふうに承知をしておるんですが、どうなんでしょう。
  74. 亀井寿三郎

    参考人亀井寿三郎君) 昭和四十六年の新法施行当時は、新法法案審議過程段階で、著作権制度審議会の意見として、使用者側に急激な負担にならないように配慮すべきであるという御意見がございましたので、われわれの方も従来のいわゆる丸めた数値でございますが、つかみ金をベースにして、余り高率にならない率をかけて三年間ほど経過いたしました。しかし、三年経過した後は、一応使用者側もそれなりの準備体制を整えていただいているものとわれわれも理解しておりましたし、そろそろもう少し増額してもよろしいんじゃないかという考えで増額をお願いしたわけでございますが、これもやはりつかみ金ではなくて、ある程度根拠のある数値をという方向にお互いがやはり合意して、何か根拠のある方式を考えようではないか、その点だけは使用者側も十分承知しているはずでございます。ですから、その方式の検討をできるだけ早くに行うべきであるということも、文化庁長官にも中に入っていただきまして、お互い話し合いながら実は今日の交渉、われわれの方の提案に至ったわけでございます。
  75. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 何といっても放送局の方が実力者といいますか、急激な変化が来ないようにというのは、まさか百年はかからないでしょうけれども、三年たってもまだ出発点のときに近いような態度で終始をしておると。私はこの点がやっぱり一つ日本文化、芸術の向上の大きい目で見れば障害になっているんじゃなかろうかというふうにも思うわけであります。特に、使いやすいからというので、海賊同様に隣接権条約を批准しないで外国レコードは使いほうだいと。こうやっておればそれだけ分日本の芸術家の出演のチャンスが失われ、そうして、その限りにおいて受け取るべき収入も低下をして、そういう状況の中で結局いわばその場当たりの芸術創作が行われる。やっぱりこの点きっちり保護していく最大の責任があるのは、社会的な今日のこの状況から見て、ぼくは放送の側にあるだろうと、こう思っているわけですね。その点で、そういう向きからの宣伝が比較的行われていないで、利益の問題で、利益の対立する団体のどっちが損するか得するかという問題に見えるような姿で行われている。特に、海賊版の問題もその問題に大きく関係があって、やっぱり受益者としての市民も、海賊版によって利益を得るというようなことでは、最終的に文化向上の足を引っ張ることになるんじゃなかろうかと私はそう思うわけですけれども、この点について大きく作家、それから実演家ですね、そうして放送局に比べればより創作活動に密接をしておられるレコード協会の大きな協力があってしかるべきだろうと思うわけですが、その点はいかがでしょうね。
  76. 亀井寿三郎

    参考人亀井寿三郎君) 全くお説のとおりと私ども考えておりますし、その努力をしているわけでございます。ひとつ今後ともよろしく御指導いただきたいと思います。
  77. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 あわせてこの問題は大きくテレビの録画どりでも、次第次第に下請のプロダクションがたくさん出てまいりまして、合理化が非常に進んで、そういうことから映画をつぶしたように、次第に全領域に及んでくるというような、これらに対する全体的な文化の本格的レベルアップの問題として、今後ともぜひとも努力奮闘をしていただきたいということを御要望申し上げまして、その件は終わっておきたいと思うわけであります。  それからもう一つは、法三十条で保護をしておるプライベートユースの問題ですね。この点については文化庁著作権審議会で協議をしておるということなんですけれども、いまどういう状況にあって、めどと見通しはどういうふうに立てておられるわけですか。
  78. 行方正一

    参考人行方正一君) これは私の方からお答えするのかどうかあれですけれども、私もその委員でございますのでお答えいたしますが、大体昨年の十月でございましたか——から始めまして、いま五回くらいを、大体月一回くらいのペースでやっておりまして、伺いますと一年半くらいの間に結論を出したいというような、大体の方向性を持って現在審議中のように承っております。
  79. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 いずれこれに続いて隣接権条約加盟問題、これらも進めなければならぬと思うんですが、先ほどから偽作と申しますか、贋作と申しますか見ておりますと、吉永小百合が香港で中国語で歌を歌うというような想像もつかないようなものがありまして、「愛■入骨」などというのを見てびっくりをしておるわけでありますけれども、こういったふうなものが、ネガティブな意味でも、私は日本文化の輸出というような意味は持ち得ないと思うわけであります、そういう点では速やかに隣接権条約の批准が必要だろうと思うわけです。その点については今後どういうふうに運動を進められ、ぼくらとしては何をお手伝いすればいいのかと、こういう点についてお伺いをして終わりたいと思います。
  80. 亀井寿三郎

    参考人亀井寿三郎君) 隣接権条約加入につきましては、先ほどちょっと触れさしていただきましたけれども世界レコード協会がロンドンにございます。IFPIでございますが、ここが各国と緊密な連絡をとりながら加入の促進活動を行っております。日本レコード協会がIFPIの支部の立場を同時に持っておりますので、非常な緊密な連絡をとりながら、一日も早く加入するように芸団協と緊密な連絡をとりながら今後とも進めてまいりたいと思います。芸団協さんの方に入っておりますいろんなデータなどももっぱらIFPIから提供されたものが——もっぱらと申しますとちょっと言い過ぎでございますけれども、かなりの部分レコード産業側から提供させていただいておりますので、その緊密な関係は今後とも持続しながら進めてまいりたいと思っております。
  81. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 どうもありがとうございました。
  82. 有田一寿

    ○有田一寿君 昨年の四月だったと思いますが、本委員会海賊版のこと並びにテレビ、ラジオ、レコード等からの私的複製の問題について文化庁長官以下に質疑をしたわけでございますが、そのときの考えは三点あったわけでございまして、現在も変わるところはございません。  第一点は、文化的構利というものに対して権利意識がやはり大事だが、現在日本では薄い。物を取ればこれはもう刑法で盗難とはっきり規定されますし、また罪の意識がありますけれども、目に見えない、あるいは耳に聞こえない無形の文化財を取ることについては犯罪と認めないというような意識、これがいわゆる文化的な感覚だと思うのですが、この文化的感覚が薄いということ。  それで二番目には、五十一年の十月に調査をしたその結果を見ますと、大変な数に上ってみんな私的複製を行っている。それが青少年だ。ということは、私的複製は認められているけれども、それをお金で売ったり、広範に流したりしてはいけないということは大体高校生等は知っているわけで、知っておりながらこれをとるということはだんだん法律に対する感覚が麻痺してくる、これは教育上ゆゆしき問題だというのが二番目でございました。  それから三番目は、営々と努力した著作物に対して、簡単に成果だけを利用するということは、レコード会社、あるいは実演家作詞作曲家等の権利をこれは明らかに侵害している。これは防がなければならぬという、以上三点からの質疑をいたしたわけでございます。詳細のことはもう繰り返しません。その現在の問題の周辺にあるようなことを二、三お聞きしてみたいわけです。  いまの私的複製の問題については先ほど参考人の方から御説明がありましたが、金額にしてみると、いわゆるレコードに換算してみると私的複製をやっていると思われるものが一兆二千七百億という数字が上がっておりますが、先ほどレコードの年間売り上げが二千億ということであれば、その数倍のものが海賊版で横行しているというふうに考えてもいいのじゃないかと思うわけです。  第一番目にお伺いしたいのは、海賊版をこれだけ多く流通させるについての経営主体というもの、これは法人税を納めてきちっとした企業でやっておるのかどうか、あるいはそういう名前等はおわかりでしょうか、それをお聞きしたいと思います。
  83. 亀井寿三郎

    参考人亀井寿三郎君) 事件として出てきております海賊版の主体者は、全くいわゆるもぐりでございます。したがって、脱税は当然のことでございます。それから、非常に小規模で——小規模といいますか、たとえば、雑誌等で広告をして頒布しますというふうな小規模の海賊はございますが、これは広告するくらいですからはっきり所在はつかめます。それから、主体といいますか、その会社がたとえばレコード業界のマイナーメーカーである場合もございました。一般には正体不明の事業者が多いということでございます。
  84. 有田一寿

    ○有田一寿君 早く言えば脱法、脱税をやっているわけで、金額から言えば、ざっと考えてみても、法人税の脱税だけでも、これは大蔵省当局に言うべきことてすけれども、数千億——五、六千億の脱税だと私は思っているわけです。  それはそれとして、レコード協会側からは言いにくいことのようでありますから、一言私の方から誘導的に、御返事がなければ私のひとり言ということで申し上げますが、実は、レコード企業というものは隣接権はありますけれども著作権レコード会社が保有するものではない。それは現在では、もちろん作家各個人が持つわけですね。しかしそれはプロダクションが管理しているのが多い。ところが、テレビ局が出版局を持っている。言いかえれば俗にパブリッシャーと申しますが、民間で競争しているいわゆるパブリッシャーというものに比べて、テレビ局の音楽出版社というものは強いというのがこれは常識だと思うのです。それはやっぱり、テレビに出してもらいたいというのは、タレントのみならずレコード会社も強い希望を持っていますから。そこに預ければテレビ出演の機会が与えられるということであれば、やっぱり預ける。もしくは、そのテレビ局の出版部門が子会社になっておるようですから、別会社なんですけれども、そこが作家に依頼してつくって、その出版社が保有する。それをレコード会社が吹き込むということになった場合は、レコード会社はそこに何がしの印税を払っておると思うのですがね。いやただだと、そういうことはないと思うのですが。そういうことはありますか。(笑声)
  85. 町尻量光

    参考人町尻量光君) ただいまの御質問にそのままお答えできるかどうか存じませんが、レコード製作というものが、御承知かと存じますが、録音機器技術革新の面、あるいはその他、特に終戦後アメリカの占領時代があったというようなことから、アメリカ等の諸国のいわゆる分業システムというような形が日本に大分取り入れられまして、ここに従来の、一番最初に私が申し上げました、レコード五社時代という、いわゆる製作から工場まで一貫した企業体というものから、違った形のレコード会社というものが生まれてきたということが現実でございます。そしてそこに、いま御質問のございましたように、いわゆるプロダクションとか音楽出版社——音楽出版社と申しましても、それはいわゆる著作権を預かりまして、そしてそれでプロダクション的な業務をやっていくというような形のあれで、いわゆる一般の出版社とはちょっと違いますが、そういう存在が非常に大きくなってきた。したがって、先ほど差し上げました現状の協会加盟レコード会社の中にも、御承知だと存じますが、工場まで持った一貫した企業体というものは七社ぐらいございまして、あとは工場は所有をしないで、いわゆる製作と販売をやるというようなレコード会社もございますし、また販売の方もよその会社業務を委託するというような形のレコード会社もあるというようなことで、レコード会社のいわゆる構成地図は非常に大きく変わってまいりました。そこに御質問のございましたように、いわゆるレコード会社の自主的な製作分野という分野が、いわゆる分業制度で、外の音楽出版社なり、プロダクションの方で製作するというようなものを、レコード会社が購入するというような形でのレコード製作の面が広がってきているということをお答え申し上げる次第でございます。
  86. 有田一寿

    ○有田一寿君 それ以上のことはちょっとお答えしにくいと思いますので、次に移ります。  先ほどの三十年から二十年になった隣接権のことですけれどもレコード会社の場合は、歌手は専属制度を大体とっておると思いますが、作家の場合は、昔はみんな作詞家も作曲家も戦前は専属が多かったが、現在は専属でないフリーの作家が多いということになりますと、先ほど亀井参考人が言われた、作家が専属であるから二十年たってもまだ厳しくそれを履行されることはないということは、今後の趨勢から考えたらそういうことが言いにくいのではないでしょうかね、どうでしょうか。
  87. 亀井寿三郎

    参考人亀井寿三郎君) 昭和四十六年に新たに施行された新著作権法では、専属作品レコード発行後三年たちますとだれでも自由に使えると、もちろん対価を払うわけですけれども、という六十九条という規定がございまして、今後は従来のように作品をその会社が独占的に使用し、あるいは管理するということはできなくなってくると、これははっきりしております。
  88. 有田一寿

    ○有田一寿君 次に、先ほどの私的複製にもう一度戻りますけれども、テレビあるいはラジオ レコード等からとる私的複製もありますけれども、このごろやっておるものの中に言いかえればサントラ盤と称しまして、サウンドトラック盤、たとえばキャンディーズだとか、いろいろ非常に人気のある歌手が大劇場で公演をする。そうすると、そのときにカセットテープを持ち込んでおけば、いわゆる臨場感のあるそのままのものがそのテープにとれる。そうすると、これは東京におるからとれるので、九州とか北海道におる者はとれない。そうすると、とったものは非常に価値を生ずる。これをリプリントして向こうの友だちなり希望者に渡してやるということになれば、これは一本五百円であっても、千円であっても、あるいは一万円であっても安いということになると思うんです。それを個人がやる間はまあまあこれは大したことはないんですけれども、ちょっと頭のいい連中が五、六人語らって企業体でこれをやるということになると、もう一種の海賊版ですけれども、これはなかなかとめようがなく広がっていくというふうに思うわけですが、そういうふうのおそれは感じませんですか。
  89. 亀井寿三郎

    参考人亀井寿三郎君) まさにそのとおりだと考えております。
  90. 有田一寿

    ○有田一寿君 それから、洋盤のギャラ、言いかえれば、製品を輸入するのではなくて、こちらで洋盤を生産する場合に、向こうに払う洋盤のいわゆる契約がありますね、ギャラ、それは大体平均どれぐらいになってますか。
  91. 町尻量光

    参考人町尻量光君) ただいまの御質問でございますが、先ほど来お手元にお配りしましたようなことで、外国盤を扱っている会社と扱っていない会社もございます。で、特に資本の自由ということから、いわゆる外資系が五十%の合弁会社という形でやっております会社もございますし、また中には、いわゆる原盤提携契約というような契約を結びまして、外国会社から原盤を取り入れまして、それから日本国内においてプレス製造して販売しているという会社の二つの形式がございますので、若干違うかと思いますが、私の聞いておりますところでは、大体向こうの会社へ払う印税と、それからアーチストが、いろいろ%は違うようでございますが、一五%から二〇%近い数字というふうに私は聞いております。
  92. 有田一寿

    ○有田一寿君 その一五%から仮に二〇%を払うというと、この一五−二〇というのは大変な数字でありまして、これをなしに海賊版というものがこちらでつくられていくということになれば相当なものであります。それは二千円のものであっても四百円を向こうに払うということは、もうこれは大変なものでありまして、その意味ででも海賊版と簡単に言いますし、それから消費者立場から言えば、なるほど安いものが、聞きたいものが聞けるから、まあ一見大変便利なようでありますけれども、これは営々とした努力の成果をただで使う、これは業者が使うんですけれども、その恩恵を消費者が受けることを喜ぶという気持ちになっていきますと、これは私はもう自由社会は成り立たなくなる、ちょっと大げさですけれども、そういう感じさえするわけでありまして。ぜひとも海賊版についてはあらゆる力を出し合って防ぐという必要があろうかと思います。  それから、西ドイツの例が先ほども出ておりましたけれども、これも昨年私も文化庁の方には質問したわけでありますが、これはソフトメーカーと、ハードの、言いかえれば機器をつくるメーカーとの問題であろう。それで、レコード関係者はぜひとも三%なり五%ですね、機器メーカーもしくはテープメーカーがそれを払って保証してもらいたいという気持ちはありましょうが、ハード、言いかえれば機器メーカーの方から言うと、われわれが音楽普及させるのに大きな力があったではないか、このプレーヤーはわれわれがつくって普及させたからこそ音楽もまた普及したのではないか、共存共栄の関係にあるはずだからその五%というのは聞こえないという声もあると思いますし、またそういう声も一部出ております。が、そこら辺について機器メーカーの方と話し合いをなさったことはございますか。
  93. 行方正一

    参考人行方正一君) まだございません。
  94. 有田一寿

    ○有田一寿君 これはどの方式がいいということは一概に言えませんけれども、西ドイツ方式は有力なる一つの方法であると思うんです。それで、機器メーカーの方もだんだんその声が強くなってくるということはもうよく承知しておりますから、私は話し合いに応じると思うわけです。ですから、どうか一遍話し合いをなさる必要があろうと、あるいはどこかを仲介人にしてでもなさったらいかがであろうかと思います。  最後に一つお聞きしておきますが、実演家の問題なんですけれども外国に行って歌を歌う場合にはユニオンに加盟してでないと歌えません。相当な額を取られる。日本に外人が来て歌を歌う場合はそういう制約がない。一部あると言えばありますけれども、フィフティー・フィフティーの関係になっていない。これはいろんなことがございましょうが、実演家団体の方も一つのユニオンのようにして、外団から来て歌う場合はそこに何がし納めてもらって、それを積み立てて養老年金にするとか、会館つくるとか、いろんなことを考えられそうに思うんですが、いかがでしょうか。
  95. 行方正一

    参考人行方正一君) 前段の問題でございますが、機器メーカーとの話し合いをすべきだということにつきましては先生のおっしゃるとおりでございます。私どもは西ドイツ方式というものは大いに参考にすべき一つの方法であるということは理解しておりますけれども、これが絶対的なものであるということではございません。そういう意味で、先生がおっしゃられますように、時期を見ましてそういう機械メーカーの方々とのお話し合いも十分させていただくというふうにしていきたいなあというふうに考えてはおります。
  96. 亀井寿三郎

    参考人亀井寿三郎君) 先生の後段の御意見、御質問でございますが、日本にもそういうユニオンを設けて、外国から来て日本で演奏する場合についての対処を講じたらいかがかということでございますが、われわれはレコード製作者でございますので、立場は違いますけれども実演家の方の皆さんの方でそういう方向にいま考えながら動いているというふうに漏れ聞いております。日本団体の全国組織の芸団協、御承知だと思いますが、全国日本芸能実演家団体協議会ですが、その中にも労働組合組織を持った実演家団体がございます。現に職能労組の日本演奏家協会、日演協と称しておりますが、こことは、レコード協会毎年最低演奏料金の協定などを掲げて値上げを攻められてきておりますけれども、そういう関係団体の皆さん方はやはり世界の組織のミュージシャン団体と緊密な連絡をとりながら、いろいろとお考えのようでございますね。  私が存じ上げている範囲でございます。ちょっと当事者でございませんので、その程度で。
  97. 有田一寿

    ○有田一寿君 まだ二、三分あるようですから、これを最後にいたしますが、このレコードが生まれるまでのことですけれども先ほども議論があっておりましたが、専属歌手というものが一つレコード会社に少なくとも百人以上、多いところはもうそれよりはるかに多いいわゆる専属の歌手を抱えておって、ヒットしている歌手というのは各社二、三人ぐらいのものであろうと思うわけですが、一両の機関車で何十台かを引っ張っているようなことで、レコードの売り上げ枚数にしても、大体——これは各社いろいろ企業秘密もありましょうけれども、四千数百枚がペイラインだと思うので、ところが実際には五百枚か千枚か二千枚しか売れないレコードというのがずいぶんたくさんある、というよりも大部分だと思うんですが、それをこなして、その赤字を抱えてヒットした曲が、いわゆるカバーした上で利益を出していかなきゃならぬということでありまして、それから新しい機械を導入しなきゃならないとか、それから印税はだんだん上がっていくとか、それからプロダクションは大きくなっていく、それから多くの歌手を専属にしている、それでパブリッシャーは向こうにあるというようなこと、これがだんだんだんだん積もって、それに海賊版に追い打ちをかけられて、私は昨年のレコードの売り上げは前年度比一〇%近くダウンしたという現実になっていると思うのでありまして、これから先もやはり伸び率というものは非常に鈍化していく、それには背景にいろんなそういうものがあると。だからやはり一つの製品ができるまでの間の水面下にあるいろんな努力と、それに払われる経費というものを考えたならば、その成果だけをつまみ食いするということは、これが文化商品であるからなおさら、形に見えないからなおさら私はやっぱり悪質な犯罪だというふうに思うわけでありまして、この点はレコード協会の方も今後ともひとつ真剣に、それぞれの関係方面に実情を理解してもらう、陳情努力はしてもらいたいし、私の方もできる限りそういうことに向かって努力をしていきたいと思うわけであります。  以上で私の質問を終わらしていただきます。ありがとうございました。
  98. 吉田実

    委員長吉田実君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人方々に一言御礼を申し上げます。  本日は長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。  本案に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。   午後零時四十六分散会      —————・—————