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1978-03-30 第84回国会 参議院 文教委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年三月三十日(木曜日)    午前十時六分開会     —————————————    委員異動  三月二十九日     辞任         補欠選任      高平 公友君     藤井 丙午君      対馬 孝且君     勝又 武一君      柿沢 弘治君     有田 一寿君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         吉田  実君     理 事                 後藤 正夫君                 世耕 政隆君                 粕谷 照美君                 小巻 敏雄君     委 員                 岩上 二郎君                 山東 昭子君                 高橋 誉冨君                 内藤誉三郎君                 二木 謙吾君                 増田  盛君                 勝又 武一君                 久保  亘君                 松前 達郎君                 柏原 ヤス君                 白木義一郎君                 田渕 哲也君                 有田 一寿君    国務大臣        文 部 大 臣  砂田 重民君    政府委員        文部大臣官房長  宮地 貫一君        文部省初等中等        教育局長     諸澤 正道君        文部省管理局長  三角 哲生君        文化庁長官    犬丸  直君    事務局側        常任委員会専門        員        瀧  嘉衛君    説明員        大蔵省主計局主        計官       的場 順三君        建設省計画局宅        地開発課長    渡辺  尚君        自治大臣官房地        域政策課長    丸山 高満君        自治省財政局地        方債課長     津田  正君        自治省財政局調        整室長      小林  実君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○義務教育学校施設費国庫負担法の一部を改正  する法律案内閣提出衆議院送付) ○著作権法の一部を改正する法律案内閣提出) ○参考人出席要求に関する件     —————————————
  2. 吉田実

    委員長吉田実君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、高平公友君、対馬孝且君及び柿沢弘治君が委員を辞任され、その補欠として、藤井丙午君、勝又武一君及び有田一寿君が選任されました。
  3. 吉田実

    委員長吉田実君) 義務教育学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案趣旨説明はすでに聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 勝又武一

    勝又武一君 ただいま議題に供せられました本案につきまして、特に五ヵ年間の延長という問題でありますので、ここに重点的に御質問を申し上げたいと思いますが、この負担法に関連をいたしまして、急増地以外の一般的な校舎建築関係中心にいたしまして、まず最初に二、三お伺いをしたいと思います。  その意味で、大臣が特に危険老朽校舎の三ヵ年間での解消というスローガン、そして、そのために格段の御努力をなさっていらっしゃいますが、この点について深く敬意を表する次第です。しかし、この点の中で二、三お伺いしたいのですが、例の文部省で御決定耐力度点数という問題がございまして、この問題にかかわりまして、二月九日の災害対策委員会の席上でありましたが、伊豆災害等にかかわりまして私が質問申し上げたときの文部省答弁の中でも、この耐力度点数を四千五百点から五千五百点に引き上げる、同時に、地震多発地帯は六千点まで引き上げるという答弁がございました。  そこで、やや具体的な問題で恐縮でありますが、現在この四千五百点以下の面積校数はどうなっているでしょうか。
  5. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 昨年の十二月に全県から資料をとりまして調べました数字でございますが、小・中学校含めまして四千五百点以下の、いわゆる要改築面積というものが五百四十四万二千平方メートルでございまして、それから四千五百一点から五千五百点までのもの、これはある程度推計的な値も入るのでございますが、約二百七十万平方メートルでございまして、両方合わせまして約八百十四万平方メートル。これにつきまして、市町村が現実に改築を実施しようという計画を有しているものが約六百五十万平方メートルという数字になっておるのでございます。
  6. 勝又武一

    勝又武一君 校数はわかりますか。いまの同じ四千五百点以下、それから四千五百点から五千五百点までということでの。面積はわかりましたが、校数はいかがでしょう。
  7. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 昨年の十二月に、非常に県に努力をしてもらいまして調べましたわけでございますが、これは面積調査でございまして、校数別数字は出ておらないのでございます。
  8. 勝又武一

    勝又武一君 この点は、確かに五十三年度はこの方針でありますが、五十四年度以降ですね。確かに大臣危険校舎を三年で解消するとおっしゃっているんですが、この五十四年度以降も、五十三年度だけの五千五百点でなくて、五千五百点まで、あるいは地震多発地帯寒冷地等六千点、この基準は五十三年度のみだと、こういうのか、五十四年度以降も本年度引き上げと同じようになさるのか。基準はどちらなのか、この点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  9. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 予算措置でございますので、財政当局と種々話し合いました結果、五十三年度については基準点を上げたわけでございます。しかし、私といたしましては、従来、御承知のように危険校舎と取り組みますのに五年計画でやってまいっておりまして、五ヵ年計画でやっておりますと、これは減っていかないわけです。毎年七十万平米ないし八十万平米の危険校舎がまた新たに出てくる事情でございますから、五年計画で減っていかないということから、公共事業中心予算を組むときに、道路がきれいになり、橋がかかり、そのそばで危険な校舎が残っているということは許されることではございませんので、そのことを主張いたしまして、財政当局もそれに理解を示し、三ヵ年計画で五十三年度予算を組んだわけでございます。五千五百点に上げましたのもそういう趣旨で上げたわけでございますから、政府全体としては、五十三年度措置としてやったことでございます。しかし、ただいま私が申し上げましたようなことはもう国民的な関心事でございますから、五十四年度についても同様の措置ができるものという見通しを持っておりますし、がんばる決心でございます。
  10. 勝又武一

    勝又武一君 大蔵省主計官見えていらっしゃいますが、大臣のおっしゃる、五十四年度もがんばると、こういうことですが、大蔵省主計官としてはいかがですか。
  11. 的場順三

    説明員的場順三君) 三ヵ年計画の件と、それから五千五百点にするという話は、五十三年度の話としてお約束をいたした事情がございますけれども、その際に、文部省から三ヵ年の全体計画はこの程度にしたいということと、それから五千五百点、四千五百点等の問題について伺ってはおります。ただ、来年度以降の話につきましては、全体の経済情勢がどうなるか、七%成長以上に達成ができまして、場合によっては公共事業執行をなるべくおくらせるというふうな事態になるかもしれませんし、五十四年度以降のことは、改めて文部省とよく相談をして決めさしていただきたい。現在決めておりますことは五十三年度限りの措置であるというふうに私たちは考えております。
  12. 勝又武一

    勝又武一君 これは大臣にお伺いいたしますが、三ヵ年間で危険老朽校舎解消という意気込みは、先ほど申したとおり、大変敬意を表しておきますが、具体的にこの三ヵ年計画を実現するというプランと言いますか、それを、ひとつ御決意のほどを含めて明示をしていただきたいと思うんです。
  13. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 先ほど管理局長から少し面積等お答えをいたしましたけれども市町村が三ヵ年でこれだけのことをやろうという計画が全部で六百五十二万平米あるわけでございます。従来のような五ヵ年計画でやってまいりますと、毎年七十万ないし八十万平米の新しい危険校舎が出てくるということを計算をいたしますと、追いつかないことになりますので、それは許されることではないと考えて、三ヵ年の計画を五十三年度——五十三年度は五十二年度の二次補正を含めまして十五ヵ月予算で二百三十四万平米、五十四年度で二百十二万平米、五十五年度で二百五万平米、いま申し上げました数字のとおりに、これは実施をいたしますのにそう無理のない数字であろうと思うんです。かつまた、市町村計画をみずから立ててきておられる数字でございますから、これによって三ヵ年計画解消しようとする市町村考え方全部についておこたえができるわけでございますから、こういうテンポでやってまいりますと、五ヵ年計画の時代と全く違う様子が出てまいるわけでございます。なお一層、財政当局のお考えはまさに主計官お答えのとおりでございますけれども公共事業全体の中でやはり教育重要性考えれば、私どもはがんばり得られるものと信じております。
  14. 勝又武一

    勝又武一君 やや技術的で恐縮ですが、地震多発地帯ということを災害対策委員会のときに文部省答弁されましたが、六千点の問題ですね。この地震多発地帯という規定と言いますか、これはどういうことになりますか。
  15. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) いわゆる地震地帯の範囲につきましては、地震予知連絡会におきまして、地震予知観測強化地域というものに指定されておりますところを考えておりまして、具体的に申しますと、指定されておりますのは関東南部及び東海地域に所在する小・中学校ということでございまして、関東南部について申し上げますと、千葉県、東京都、神奈川県の全域、埼玉県、茨城県の一部、それから東海地域としましては静岡県の全域と山梨、長野、岐阜、愛知各県のそれぞれ一部ということになっております。
  16. 勝又武一

    勝又武一君 わかりました。  それから、寒冷地は六千点までの引き上げを考慮する、こういうことでしょうか。それとも、地震多発地帯と同じように当然六千点まで引き上げられるでしょうか。
  17. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 寒冷地と申しますか、寒冷地に相当するものとして現在考えておりますのは、いわゆる豪雪地帯でございまして、過去の積雪の状況等にかんがみまして学校の建物の改築が特に必要であるというふうに認められる場合に、特例的な扱いをするというふうにいたしておるわけでございます。
  18. 勝又武一

    勝又武一君 大変深刻化しています地方財政の危機、この中で先ほど来大臣答弁にありますが、正直言って、現在一校の校舎建築をするのに国庫補助金がございます。しかし、危険校舎の場合の三分の一補助、この場合に、実際問題としては三分の一の補助が本当の意味での三分の一補助になるのかと、こういうことから関連したいわゆる超過負担という問題があります。この問題についての解消についてはどうお考えでしょうか。
  19. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 危険校舎に私取り組みましたときに、現在あります危険校舎面積が、先ほど申し上げましたように五年計画でやってまいりましたことも一因でございましょうが、何か累積されていっているような感じを受けたものでございますから、これだけたくさんある危険校舎をまず量的に解消をすることだ、そういう考え方から、補助率はそのまま据え置きまして、量の解消重点を置いて踏み切ったわけでございます。しかし、危険校舎につきましては、この事業の重要さを自治省十分理解もしてくれましたので、裏負担と申しますか、補助金以外の部分につきましては五%を交付税で、あとの九五%を全額政府資金をもって充当する起債考えてくれました。そしてまた、その起債償還をいたしますときがまいりましたときには、その六五%ほどでございましたか、元利償還自治省交付税で見てくれますので、市町村の実質的な負担というものは二〇%程度に相なろうかと思いますので、危険校舎の建てかえによる超過負担は起こってこない、こういうふうに考えるものでございます。
  20. 勝又武一

    勝又武一君 いまの大臣答弁内容につきましては、別の個所でまた改めてお聞きをいたします。  そこで、事業量消化の問題ですが、過去五ヵ年間の実績を見ますと、たしかその達成率は八六・八%というように私は思います。そこで、文相の三ヵ年計画全面的解消を図るんだと、この意気込みはまさに多とするわけでありますが、こういう達成率関係から言って、事業量消化達成度、この点の見通しはどうでしょうか。
  21. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) お言葉を返すようで大変恐縮でございますが、達成率の八七%弱というのは公立文教施設整備全体の達成率であろうと思います。危険校舎につきましては九七%と五年間でなっているわけでございます。  なお、五十二年度の二次補正段階で、危険校舎を各市町村にひとつ思い切ってやろうという話を持ちかけたわけでございますけれども、率直に申し上げますと、余りたくさんのものが出てまいりませんでした。それは、やはり補助金起債関係がどうなるのか、四千五百点で依然としてとめられてしまっているのか、そこら辺のことが明確でなかったものでございますから、市町村が積極的におなりにならなかったのではないかと思います。その後、そういった全額政府資金を充当する起債が認められるとか、四千五百点を五千五百点に上げるとか、私ども意気込みがだんだん理解をしていただけるようになりまして、先ほどお答えをいたしました三年の計画というものを各市町村が持ってくださるようになったわけでございます。したがいまして、今後の三年間の消化は恐らく私は一〇〇%までいける、同時にまた、鉄筋の古いものにつきましても、従来は大学の工学部等で危険だというお墨つき調査の上で持ってきていただかないと採択をしないというようなことを言っておりましたので、そこら辺にも私は達成率の九七%という数字に影響していると思いますが、危険校舎も五十年以上たちましたものは、そのような調査必要なしで採択をすることに改めましたので、この三年間の計画というものは達成できる、さように考えております。
  22. 勝又武一

    勝又武一君 それでは以上で関連した問題については終わります。  具体的な本法案の内容に入ってまいりますが、最初に、この法律規定をしています指定市町村の数は現在幾つになりますか。
  23. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 児童生徒急増市町村の数でございますが、五十二年度におきまして、小学校が三百九十二市町村中学校につきましては三百二十七市町村、合わせて七百十九市町村でございますが、小学校中学校につきまして重複する市町村がございますので、重複市町村数を除きました実際の市町村数は、合わせて四百四十五市町村でございます。  それから、五十三年度の見込みでございますが、五十三年度につきましては、小・中学校合わせた数字で申し上げますと、八百五十六市町村でございまして、重複分を差し引きました実際の数字は四百四十一市町村でございます。なお、これは五十一年度から指定要件を緩和いたしましたが、その緩和によりまして新たに指定された市町村の数を含めた数字でございます。
  24. 勝又武一

    勝又武一君 次に、この五ヵ年間の延長に伴います整備計画についてお伺いいたしますが、特に提案理由の中に「五十三年度以降においても、なお、児童生徒急増現象が続くものと予想されますので、」とあります。先日、二十三日の私の質問に対しまして大臣は、これからの数年というのは特別の急増事態だ、こういう趣旨答弁もなさっていらっしゃいます。こういう点からいたしまして、文部省として、当然五十三年度から五十七年度に至る五ヵ年間の整備計画というものを具体的にお持ちと思いますけれども、その数字はお持ちでございますか。
  25. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 過去の五ヵ年におきまして、二千七百万平米の計画をもちまして取り組んでまいりましたが、五十二年度までの五ヵ年でその達成率が八七%でございます。計画どおり達成できませんでした大きな理由は、小・中学校等については、ほとんど一〇〇%近い達成をいたしましたけれども、幼稚園が予想どおりに、計画どおりに進まなかった、このようなことと、恐らくオイルパニックに起因をする経済情勢が影響して、八七%でとまったのだと思いますが、次の五十三年度から始まります文部省内部計画といたしましては、三千九百万平米をもって取り組んでまいりたいと思います。そうしてその重点は、急増対策危険校舎解消養護学校の充実、この三つに重点を置いてやってまいりたいと考えておるものでございます。
  26. 勝又武一

    勝又武一君 さっき私がお聞きしました急増地域における五ヵ年間の具体的な面積なり、校数なり、そういう資料をお持ちかということをお聞きしているんです。これは大臣からでなくて局長で結構ですから。
  27. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 急増地域におきます小・中学校校舎屋体の全体計画面積としましては、五十三年度から五十七年度まででございますが、校舎につきまして約千四百万平方メートル、屋内運動場につきまして約百七十万平方メートルというぐあいに押さえておりまして、全国の計画面積の割合で申しますと、校舎が約七八%、屋体が約五〇%でございます。これを私どもといたしましては、各年度に割り振った計画を、補助事業執行する部局といたしまして一応の定めをして、心づもりと申しますか、腹づもりといたしておるわけでございます
  28. 勝又武一

    勝又武一君 少し御要望を申し上げたいんですけれども事務局段階でお聞きをしましたときは、文部省としては五十三年から五十七年までの具体的な数字というのはまだ持ち合わせていないと、こういうことだったんです。そこで私は、急増地市町村協議会資料を入手をいたしまして、そこでいろいろ勉強をいたしました。ですから、もしそうならもっと親切にしていただきたいと思うんです。だから、これはぜひ今後ひとつお気をつけいただくように御要望申し上げます。  私がそういうことをお聞きをしたときに、正直に言いまして、これがやっぱり予算査定にあらわれたんじゃないかという印象を持ったわけです。という意味は、予算要求段階でこの急増地の五ヵ年計画延長に伴う具体的な数字を把握していらっしゃらないので、重点を置いていらっしゃらなかったんではないのか。そのことは結果的に、危険老朽校舎等の大幅な増に対して、この五ヵ年計画に伴う予算増の方はやや査定段階でも予算決定要求よりは減少しておりますね。こういうこともあわせ考えると、正直言って、この点での文部省の熱意が不足していたんじゃないか、こういう印象を受けたんですが、これはげすの勘ぐりですか。
  29. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) ただいま御説明申し上げました五ヵ年計画というものでございますが、これは私どもといたしましては、大臣からも御説明申し上げましたように、一応の文部省としての心づもりと申しますか、腹づもりということで、重点事項等につきまして検討して持っておるものでございますが、ただ先ほど御質問ございましたので一応三百九十万平米という現在のものを御説明申し上げたわけでございますが、これはなお過密や過疎の状況の変化ないしは進行状況と申しますか、こういったものに対応しつつ必要に応じて修正もいたさなければなりませんし、五十三年度予算執行とも並行してなお詰めなければならないいろいろな要素を持っております関係上、これを余りに決まった数字としてちょっと御説明をいたしにくい面もございまして、そういう点で先生に対する御説明に若干歯切れが悪いと申しますか、御親切に対応できなかったということがあったかと存じまして、その点は申しわけなく存ずる次第でございます。  で、御指摘予算額伸びの問題でございますが、急増市町村における小・中学校校舎の新増築事業に対する予算額は、小学校につきましては対前年度比九・六%増、約九百六十六億円でございます。中学校校舎の方にやはり若干近年ウェートがかかってまいっておりまして、これは対前年度比三二・一%増、約三百三十八億円の増となっておりまして、伸び率から見ますと御指摘のとおりでございまして、公立文教施設費全体の平均伸び率を下回ってございますが、私ども予算最終折衝の詰めを行ってまいります過程におきまして、各地方公共団体からの明年度建築計画というものを把握しながらやってまいりまして、そういった各地方公共団体計画そのものに対しましては、これにほぼ見合うことのできる事業量を計上しておるというふうに考えておる次第でございます。
  30. 勝又武一

    勝又武一君 どうもこの点は大分不満ですけれども、別の個所でまたお聞きをいたします。  そこで、地方財政とこの補助金関係なり、あるいは市町村負担分の増大、こういう観点から二、三お伺いをしたいと思うんですが、その意味でいまの五十三年から五十七年までのこの急増市町村協議会等が、たとえば五年間で五千三百六十三校——小学校は三千五百四十一校、中学が千八百二十一校、この内訳は新設校が千二百六十六、既設増築が四千九十六、あるいはこの急増団体全体としてどれだけ必要かというようなことを具体的に全部数字を持っているわけですね。ですからこういう点などを考えて次のことをお聞きをしたいわけです。  一つは、当然学校施設整備につきまして国が地方要望にこたえ、逐年補助基準単価引き上げ中心にいたしまして改善措置を講じてきていらっしゃる、このことは十分認めるところです。しかしまだまだ不十分だというように思うわけです。たとえば公立学校実態調査の結果、これは五十一年度決算によりますとまだまだ超過負担発生原因というものを幾つか分析をしているわけですね。そういう中でも、たとえば五十二年度ですか、渡り廊下補助対象に加えた、あるいは補助単価引き上げを行ったと、こういう措置が五十二年度補助事業にどのような効果をもたらしているか、こういう点についても補足的な調査をして、契約時におきます実態を見た結果を見ますと、改善効果がどうあらわれているのか。公立小・中学校校舎が二四・六%から二八・二%、屋内運動場でも四二・三%から六三・三%、こういうふうに依然として多くの超過負担が生じていることが明らかになっているというように考えますけれども、この点はどう分析なさっているでしょうか。
  31. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) いわゆる超過負担の問題につきましては、超過負担というものについてどういうぐあいに考えるかということが前提としてあると思っておりますが、国の義務教育施設費に対する負担の仕組みといたしましては、改めて御説明も要しないかと存じますが、やはり一定の標準をもちまして、その標準に対して補助単価、あるいは補助面積と申しますか、規模と申しますか、それから補助対象種目と申しますか、校舎でございますとか、いま御指摘になりました渡り廊下といったような、そういう種目と申しますか、そういうものを決めまして負担をしておるわけでございまして、その標準に照らしましていたしました負担が、たとえば単価の上で実勢の単価開きがあるといった場合に、これは超過負担というふうにとらまえるべきであろうかというふうに思うわけでございますが、たとえば数量的な開きの例におきまして、個々の市町村がその市町村なりに独自でいろいろとお考えになり、努力をしていただくということは、これはむしろ望ましいことでもございまして、これと一応の標準に基づきます国庫負担との差が出るのは、これはやむを得ないことではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。  超過負担そのものの問題につきましては、先生御存じのように四十九年度関係省庁と合同の調査をいたしまして、かなりそれによりまして開きを縮めてまいったのでございますが、その後は単価の面につきましては年々の物価指数、あるいは労務費等を調査いたしまして、毎年そういった経費の上昇に見合う単価の改定を続けてきておりまして、明年度も六・三%の改善をいたしております。  それから面積につきましては、校舎につきましてまだ若干の実際の実施面積を見ました場合に開きがあったわけでございますが、今回の予算でお願いいたしております平均一六%の改善ということで、そのほとんどをこれによってカバーできるというふうに私どもは見ておるわけでございます。  それから屋内体育館につきましては、先生御指摘のように面積開き校舎の場合よりは大ききいわけでございますが、これは私ども定めております補助基準と申しますか、標準の上からはそれぞれの学級規模に対応いたしまして、球技でございますとか、あるいは体育の指導ができるために必要な面積というものを定めておりますので、その限りにおいては私どもとしては支障はないものと考えておりますが、ただやはり個々の市町村屋内運動場を御計画なさる場合には、単にその学校の使用目的のみならず、その地域の住民に場合によっては利用をしていただくと、それからそういった社会体育面のみに限らず、何らかの集会、市町村として必要な行事等にも利用するというようなこともあわせて考えまして、いわゆる学校施設の基準に相当な部分をまた足し前をしてお建てになるといったような状況も含まれてまいっておるのではないかというふうに認識をしておるのでございます。
  32. 勝又武一

    勝又武一君 こういう状況というのは、一般的なところよりいわゆる急増地域、ここのところの方がもっと深刻だというように思いますけれども、この点についてはどうでしょうか。
  33. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 先生のこういう状況というお話でございますが、たとえば単価の問題としてとらまえました場合に、それほど私どものいわゆる補助単価と実際の状況との開きが、ほかの地域に比べてぐあいの悪い状況であるというふうには見ておらないのでございます。  それから単価につきましては、地域によりまして、いわゆる予算上の補助単価と実行上の単価と変えまして、地域別の補助の実行単価というものを定めて実施しておる次第でございます。
  34. 勝又武一

    勝又武一君 現在最も大変なのは用地の取得ということだと思います。同時に、それが地方財政を圧迫している主要な原因だというように私は考えます。  そこでこの用地の補助は三分の一ということでありますが、実際にこれは基本額の〇・七、つまり七割の三分の一、そこで基本額というのが地価公示額ということですが、この地価公示額というのは、一体いわゆる世間相場といいますか、時価といいますか、取得価額といいますか、そういう現実の価額の何割ぐらいに相当しているというように、この点大蔵省主計官いかがお考えですか、文部省でも結構ですよ。
  35. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 私ども小・中学校の用地購入費に対して補助をいたします場合には、やはり市町村といった公共団体が不動産を購入する場合に、やはり公示価額を基準とするという定めが行われておるものでございますから、そういうやり方をとっておるわけでございます。  それで御質問の実際の価額と国の補助金額との開きの問題でございますが、土地につきましては……
  36. 勝又武一

    勝又武一君 途中ですけれども、地価公示額と時価相場というのはどのくらい開いているかということを聞いているのです、九割なのか、八割なのか。
  37. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 失礼いたしました。  全国の地価公示価額と実際価額との開きというものについていま具体的な資料を私ども持ち合わせておらないのでございますが、私ども補助実績について把握しておりますデータといたしましては、補助は御存じのとおり、地価公示価額ないしは実際の取引価額のいずれか低い方を基準にしていたしておりますが、ですから、それによりまして実行いたしました金額と、それから実際に市町村が購入した土地の本来の取引価額と申しますか比べますと、補助件数の約八〇%が私ども補助単価以内の金額で処理をされておりますので、そんなに実際上現実とかけ離れた仕組みで実施しているというふうには考えていないわけなのでございます。
  38. 勝又武一

    勝又武一君 ちょっと私たち現場といいますか、そういうものとの感覚の違いがどうも感じられるんですけれどもね。というと、こういうように受け取っていいんですか。標準的になっている地価公示額というのは、現実の取得価額と比べると八割以内と言うのは、公示額の方がむしろ高いんだと、こういうことですか、八割以内が納まっているという意味は。そういうことになりますか。
  39. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) ちょっと御説明が不十分だったと思いますが、私どものやり方としましては公示価額、あるいは国土利用計画法に基づく標準価額を基準といたしまして、そうして適当な公示価額、該当する公示価額が近くにないというような場合には不動産の鑑定士、あるいは市町村の鑑定委員会、そういったもので鑑定をしていただくということで、それと実際の価額のいずれか低い方ということでやっておりますが、補助件数の八〇%がその方式の中に入ってくると、こういうことでございまして、ですからちょっと先生の質問に真っ正面からお答えするデータは持っておらないのかもしれないですけれども
  40. 勝又武一

    勝又武一君 この地価公示額というのは公に示すという意味での公示額ですよね。そこで、私などの聞いている現場の状況は、実際の時価相場額の方が、あるいは現実に取得する額の方が高いというふうに私は思いますが、この論争はじゃ別にして、それの七割ですね、それの七割のさらにその三分の一ですね。これには間違いないわけですよね。そうするとどういうことなんでしょうか。これ主計官にお聞きしたいんですけれども、その公示価額の七割の三分の一でしょう。ということは、確かにそれは文部省が三分の一の負担を用地についてはするんだ、するんだとおっしゃいますけれども、これは大臣にもお聞きしたいんですけれどもね、御両名に。この方式だと実際に、先ほどから言っていますように、市町村超過負担というか、持ち出し分というのはずいぶん多くなるはずですよ。同時にまた、いま用地というのはこの急増地、先ほどからそれで言っているんですが、この急増地指定されるような市町村というところは、この地価というのはほかの地域よりははるかに高いところでしょう、現実的に、人口急増地なんですから。そこの地価が安いなんということは余り考えられないわけです。その補助額がいわゆる標準地価公示額の七割で三分の一ですから、この辺はどうなんでしょうか。ぜひひとつこの方式はもっと改めていただくことはできないんでしょうか。もっと端的に言えば、実際の取得価額の私は二割以下になっていると。三分の一、三分の一とおっしゃっているけれども、一八%から一七%程度にしかならないんじゃないかというように思いますけれども、どうでしょうか。ですから、もっと引き上げるべきだ、こういう主張ですが、この方式をお改めになる意思はございませんか。両方にお聞きします。
  41. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 急増市町村小・中学校の用地の取得費に対します国庫補助の制度そのものが、他の補助制度と異なりまして、児童生徒急増市町村以外の一般市町村学校用地を取得する場合には、取得費が補助の対象になっておりません。そういう一般市町村との均衡もやはり勘案しなければなりませんので、そういう考え方から交付率が設定をされておりまして、この交付率は補助制度創設当初からは改善されてまいりました。先生御指摘のように七〇%までこぎつけてまいったわけでございます。この七〇%という交付率は一般市町村の用地取得費を超えて、急増市町村が用地取得費を負担する割合にちょうどこの七〇%は合致をしている、こういうことからこの七割という交付率を、あるいは補助率をいま直ちにこれを改善をいたしましたり、交付率というあり方を廃止をしたりすることは大変困難なことだと考えるんです。ただ、いま管理局長が御説明いたしましたのも、急増市町村の枠の中で大体八割相当の用地取得の実例については、いま管理局長が御説明いたしましたような補助の枠の中におさまっている地価で事が済んでいる。あとの二割が少し実際の取得価額の方が高い、こういう数字が上がってきているわけでございます。
  42. 的場順三

    説明員的場順三君) 大臣の御答弁と同意見でございますけれども、原則として用地の問題につきましては、これは市町村の永久資産でございますので、一般の場合は補助対象にいたしておりません。急増市町村については、特別に急増市町村実態に適応するために三分の一補助という特別な補助制度を設けているというふうに考えております。その中にありまして、他の急増でない市町村とのバランスというものも考える必要があるということで、交付率を七割にさしていただいているということでございます。
  43. 勝又武一

    勝又武一君 これは大臣にさらにお伺いしますが、確かに人口急増地のところの率を私が主張するように上げると、他の一般の市町村はゼロだから、そのバランスがあるですよと、こういうことはよくわかるんです。だったら、私に言わせますと、他の市町村もぜひ用地の取得については考えてくれませんかということを言いたいわけですよ。つまりバランスで言うなら、人口急増地を三分の二ぐらい上げて、一般市町村に三分の一ぐらいの補助をするというような、もっと積極的な姿勢をとるべきじゃないかというように思うんです。  この間熱海へ行きましたら、熱海でそう言うんですよ、熱海はまさに国際都市なんだ。だからこれは一熱海が所在する県の話だけじゃないと思うんですけれども、熱海市だけの話じゃないと思うんですけれども。もう熱海は皆さん御存じのとおりですよ。ああいうところですから、小・中学校の小嵐中学校というのがあるんです。これいまやっているわけですけれども、何が一番困るかと聞いたんですよ。用地費だと言うんですよ。おわかりでしょう。熱海のこんなになった坂のあそこで用地を探すといったら大変なことなんだ。そこで市の教育委員会いわく、何とか用地の問題について一歩前進してくれないか。こういうのが熱海市の実情ですね。それは熱海の温泉場で解決すればいいじゃないかという、これはいまの主計官のお話もありますけれども市町村の所有だからなじまないということになるけれども、私はやっぱりそういう観点からいけば、これは決して熱海だけの問題でなくて、やっぱり一般の用地についてもこの際ひとつ一歩前進したらどうか、バランスをおっしゃるなら。そして一般のひとつ学校の用地は三分の一補助急増地のところは三分の二補助とか、こういう積極的な、前向きに、いまは無理かもしれませんけれども、少しつれない御返事でなくて、一歩前進する、あるいは検討するというお考えはございませんか。
  44. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 文部省を激励していただくような気持ちでただいまの御発言を伺いましたけれども、やはり学校用地というものが償却資産ではなくて永久財産だという、土地というものの性格からいたしまして、どうもいま直ちに一般市町村学校用地取得に補助をするということが大変困難なことでございます。それとの均衡を考えながらの人口急増地域市町村の財政事情を勘案しての特別の措置であるということで御理解をいただきたいと思うわけでございます。人口急増市町村の財政の苦しさというものは、私も人口急増地域出身でございますからよくわかるのでございますけれども、ただいま申し上げましたような学校用地の性格というものが、どうも破れない壁に今日はなっておりますことを御理解をいただきたいと思います。
  45. 勝又武一

    勝又武一君 次に、引き続いて、勝又委員は虫のいいことばっかり言うなということになるかもしれませんが、屋内体育館、この補助二分の一ですね、これひとつ急増地で、校舎の方は三分の二だ、屋内体育館は二分の一だと、これもまあバランスの問題があるんでしょうけど、この際ひとつ一歩進めて、屋内体育館の補助を三分の二に引き上げる、もちろん急増地にかかわりますが、こういうお考えございませんか。
  46. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 校舎につきましての三分の二の特例措置を今回この法律改正案でお願いいたしているわけでございますが、この三分の二といいますものは、ただいま大臣からの御答弁の中にもございましたように、児童生徒急増市町村の非常に大きな財政負担を軽減するためということで、特に法律でお願いしている、いわばまあ臨時の特例的な措置なわけでございます。それで、やはり急増市町村が非常に児童生徒の増に対応するために追われているという、そういう実情から見ましても、何よりも児童生徒を収容する校舎をまず整備したいという、これが最も緊要でございまして、そうして財政負担の面から申しましても、先ほどちょっと全体面積でも申し上げましたように、校舎の分量と申しますか、校舎の整備にかかる負担が非常に大きいわけでございますので、特に校舎を取り上げて五年前にも負担割合の特例を定めていただいたわけでございます。そういう事情が一つございます。  それから、もう一つ別の状況といたしましては、屋内運動場の保有の率と申しますか、保有状況について申し上げますと、これは急増地域の方がその他の一般地域よりも保有状況がよろしい、保有率が高いというような状況がございまして、こういう状況にかんがみますと、私どもといたしましては急増地域も大変大事でございますが、一般地域でこの屋内運動場を整備していくことも非常に重要な課題であると考えておりますので、この屋内運動場につきまして、この急増地域に限って、この校舎と同じように負担率を引き上げるということは、現状では非常に困難であるというふうに考えておるのでございます。
  47. 勝又武一

    勝又武一君 これもやや細かな質問で恐縮でありますが、補助対象外というのがございますね、建物以外の付属する問題でありますが、これにかかわる門とか、さくとか、へい、ガードレール、階段、石垣、こういう類が、私も伊豆の災害に行きまして現地の小・中学校や高等学校を回りまして、伊豆災害のときにもずいぶん感じました。ですから同じように、これは急増地域のところでもそうですけれど、こういう問題についてひとつ補助対象の拡大ということになると思うんですけれど、いかがなんでしょうか。あるいは中学になると、すぐバックネットとか、フェンスとか、具体的な問題になると幾つかこういう点出てくるわけですよ。わりあい、手元にはありますけど、そういう移転、改築事業費の内訳表等を見ますと、それらの比率というのはばかにならない金額になるわけですね。まあこれは部室から何からということになれば大変でしょうけど、やっぱりそういう点についても、経済の下に教育を置かないという大臣の第一声からしても、この際、そういう拡大についてもさらに考えていただけませんか。その検討はいかがでしょうか。
  48. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 従来は校舎の建築本体のみと申しますか、そういう体制でずうっときておったわけでございますが、ただいま例にお挙げになりました門でございますとか、さく、へい、あるいは渡り廊下で壁などついておりません、いわゆる吹き抜けのもの、こういったものにつきましては、従来から地方団体の強い要望もございまして、これは昭和五十二年度から建物と同時にこういったものを整備する場合には、建物の付帯工事ということで負担の対象に含めることにしたのでございます。それで、なおそのほか、たとえば校内放送設備とか、そういった建物と一体的な、配線関係とか、そういうものも入っておるわけでございますが、ただいま御審議いただいておりますこの義務教育施設関係国庫負担事業は、やはり建物の建築費に対する国庫負担をそもそもの目的にしております関係上、まあ物によるわけでございますが、いわゆる設備的なものと申しますか、備品的なもの、建物とは観念上別個というふうに考えられますものにつきましては、現在御審議いただいております制度の体系で補助を行うということ、負担を行うということは困難であるというふうにこれまた考えておるわけでございます。  なお、これは先生に御説明を要するまでもないと存じますが、いま申し上げましたような設備、備品等につきましては、地方交付税の制度の上で財源措置をしていただいておるということでございます。
  49. 勝又武一

    勝又武一君 次の問題に移ります。  この急増地域の中における改築部分と、それからこの危険校舎の部分とのバランスの問題、これが新増築の場合急増地に関しては三分の二。ところが、危険校舎指定の方は三分の一ということがありますね。しかし、これは頭の中ではそう分けられるわけですけど、現地の学校の現実の問題にすると同時に行われるわけですね。また同時に行われる場合が多いわけです。こっちの方は三分の二だ、こっちの方は三分の一だという問題が、現地の学校を回りますと非常に強い要望として、ぜひこの問題については補助を同率にしてもらいたいという要望を強く受けるわけですけれど、私もこの点については全く同感なんですけど、この辺は一体急増地域の中における危険校舎の比率というのはどの程度になってるんでしょうか。同時に、私の言っているような意味のことを御検討なさるお気持ちがおありでしょうか。こういう問題です。
  50. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 木造面積に対しまして、要改築面積が幾らあるかということで、先ほど冒頭に、昨年の十二月の調査で五百六十六万平方メートルということを申し上げましたが、これは木造面積全体三千百九十万平方メートルに対しまして一七・七%、これが全国的な木造建築の中の要改築面積の割合でございます。そのうち、急増地域に所在するものについて申し上げますと、木造全体が約七百三万平方メートルでございまして、そのうちの要改築面積は約百四万平方メートルとなっておりまして、この比率は一四・八%でございますから、まあ全国平均に対しますと、やはり急増地域危険校舎比率は低くなっておるというふうに認識しております。
  51. 勝又武一

    勝又武一君 そこで比率は一四・八%というまあ全体の比率からいけばやや低位になっているということはわかりましたが、それにしても、私がさっき指摘したような矛盾点があると思うのですが、大臣としてこの矛盾点を解消なさるという、こういう検討はいかがでしょう、三分の二と三分の一の問題。
  52. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 新しく急増地域学校施設を建設をする、あるいはクラスをふやす、こういった問題と、それから危険校舎というものとは少し性格が違うと思うのです。危険校舎というものは、長い間その学校を使っていってるうちに、何年ぐらい先にはこれやらなきゃならぬなということが、相当前もって市町村にも識別のつくことでございます。その予定を相当早い時期から市町村ではやっていけることでもございますので、そこら辺のところ、急増地域の新増設と危険校舎の建てかえという問題は、性格的に少し異なると思います。  そういうことから、危険校舎と真剣に取り組みました私といたしましては、ともかくいまある危険校舎面積解消、これに重点を置いて取り組んだわけでございまして、当面三分の一の補助率をさわるということは、そういう意味があってやらなかったわけでございますけれども、同時にそれじゃ危険校舎の建てかえをやりましょうということを積極的に市町村に働きかけるにいたしましても、取り組む市町村危険校舎建てかえの財政力がなくては、これは前へ進みません。しかし自治省でいろいろお考えいただいております当面の危険校舎建てかえのための資金の調達は、起債等によって措置をされますし、その起債も、いわゆる良質起債と申しますか、政府資金によります起債がほとんど充当されますし、その起債償還をいたさなければなりません時期の元利償還もまた見ていただくことでございますので、危険校舎と取り組むために必要な資金は市町村は確保ができる。しかも将来見通しについても、その元利償還を見てもらえるということを計算の上において取り組めるものでございますから、当面の資金需要にはこたえられる。こういう見通しを立てまして、補助率はそのままで三年の計画を立てたわけでございます。そういった新増設と危険校舎建てかえということの性格的な異なりからいたしまして、いま直ちに三分の一の補助率を変更いたしますことは困難でもございますし、また元利償還まで、将来までの計算を立てました場合には、市町村の真実負担をいたします資金というものは、そんなに大きな違いが出てこない。そういう計算が成り立つわけでございます。
  53. 勝又武一

    勝又武一君 次に指定要件の問題に移ります。  現在、増加数と増加率と言いますか、一〇%以上でかつ五百人以上、あるいは五%以上でかつ千人以上、一五%以上でかつ三百人以上という、こういう増加数と増加率というこの指定要件、これについては、たしか昨年度ですか、一度変えられているわけですね、改善をされている。こういう経緯がありますが、引き続いて同じになさるのか、この増加率と増加数については過去三年間の実績によるわけでありますが、これに検討を加えるというお考えはございませんか。
  54. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 御指摘指定要件のいわゆる緩和につきましては、児童生徒数の増加の数自体は少ないけれども、非常に増加の率が高いという、そういう状況が大都市周辺に起こってまいりまして、これについても何らかの措置が必要であるという判断で、土地につきましては五十一年度から、建物につきましては五十二年度から改善を図った次第で、そういう措置をただいましたばかりでございますので、それでこれによって、先ほど読み上げました数字の中に入っておったわけでございますが、昭和五十二年度には小学校に関しまして六十三市町村中学校につきましては五十市町村が該当して入ってまいります。それから明年度の見込みとしましては、小学校につきまして七十一、中学校につきまして四十八の市町村が加わってまいりますので、これでかなり状況に対応する措置になっておると存じますので、ここ当分はこの状況をやはり見てまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  55. 勝又武一

    勝又武一君 そこでお聞きしますが、この過去の三年間の平均ですか、こういう点で一つ問題になりますのは、指定年度によって変わってくる市町村が生まれる。対象から外される年度が生ずる。こういうことがこの方式から生まれる可能性があるわけですね。  で、実際にはどうかと言いますと、指定年度から外れた場合、その指定要件を欠いたために、指定されなかったその年度でも、実際のこの仕事を当該年度からは引っぱずしているわけではない、こういうことが具体的にあると思うのですね。そこで、現在のように指定要件を欠いた年度では外すということですけれども、この点についてはどうなんでしょうか。改善する余地はございませんか。
  56. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 人口の増減につきましての予測は、かなり間際にならないとわからないという場合もあろうかと存じますが、私ども国庫負担の方式といたしまして、いわゆる三年前向き整備という仕組みをつくっておりますので、私どもとしましては、やはり市町村の側において十分にある程度の予測をお立ていただき、計画をお考えいただきまして、私どもの方に連絡なり、御相談をいただきたいというふうに考えるのでございます。そういうやり方によりまして、先生いま御指摘になりましたような、外されてぐあいが悪くなるようなこと、そういうことのないようにかなりできるのではないかというふうに考えますので、前もっていろいろとあらかじめ十分に御計画をいただいて御相談をいただければというふうに考える次第でございます。
  57. 勝又武一

    勝又武一君 もう一点、こういうことはどうなんでしょうか。過去三年間の実績ですね。私など素人考えですけれども、人口急増地というそこの状況を、特に学校という問題ですから、考えれば考えるほど、将来三年から五年の推移といいますか、見通しといいますか、こういうことをそういう場合の一つのデータにする、こういうことは行政上はなじまないのですか、非常に無理なことなんですか、この辺はどうでしょう。
  58. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 勝又先生のただいまの御提案と申しますか、御意見は、こういった事柄に対処するための方法論の一つとして考えられることかと存じますが、ただいま国でいろいろいたしております急増市町村に対応するいろいろな措置につきましては、これはやはり既往三年ということの考え方をとりまして、ほかの制度についても同様にやっております関係上、私どもとしては当面はいまのやり方でやっていかざるを得ないというふうに考えておるのでございます。
  59. 勝又武一

    勝又武一君 大臣にこの点御要望申し上げたいのです。こういう問題だけではないと思うのですが、一つの例だと思うのです。やっぱり現場的な考えで言いますと、そういう人口急増地における学校の建築をどうするかという場合には、特に都市圏など見てもわかりますように、これはもう大臣よくおわかりのことだと思うんですが、なるべくそういう三年、五年の先を見通してやるということはあたりまえだと思うんですね。ところが、行政の方では過去三年間の実績というような、こういうことが私はこれだけでなくて幾つかあると思うんです。こういう点がやはり国会議員御出身の大臣の果たす、そういう意味での発想といいますか、着眼といいましょうか、こういうこともあると思いますので、ぜひこういう点の改善等につきましても、行政当局ペースということでなしに、御検討いただけるところはぜひ御検討いただきたいというように思います。  それから、次の問題に移りますが、先ほどの全額政府資金措置の継続の問題についてです。これはもう私が申し上げるまでもなく、再三大臣からも御答弁がありました、従来の義務教育債にかわる政府の、何というんでしょうか、政府資金で充当されたという問題ですね。いわゆる縁故債がもう大幅に減ってきた、こういう点については私も一面評価をいたします。そういう意味で、五十二年度とられた全額政府資金というこの措置は、五十三年度も継続される、こういうことに聞いておりますけれども、この点もよろしゅうございますか。
  60. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) おっしゃるとおりでございます。五十三年度もその方式でやってまいります。
  61. 勝又武一

    勝又武一君 それでは、引き続き五十四年度以降もこういう方式を継続なさいますか、これ、自治省に。
  62. 津田正

    説明員(津田正君) いまお話ございましたように、五十二年度以来義務教育施設につきましては全額政府資金でございますが、政府資金自体、非常に最近原資の伸びが悪く、また一方におきまして、一般会計の財政事情が厳しいために、財投に依存する傾向が多いわけでございますが、この義務教育につきましては、補助資格基準内のものである限り、今後におきましても、私ども全額政府資金で手当てするように考えていきたい、かように考えております。
  63. 勝又武一

    勝又武一君 自治省の方がいらっしゃいますので、関連しまして、もう一つは、地方債の許可手続の改善策というのは、自治省大蔵省との間で協議されて、具体的な簡素化が決定をした向きの新聞報道等がございますが、これにかかわってお聞きをいたしますが、この中で、特に義務教育国庫負担法に伴います起債に関する事務手続の簡素化、この点についても、新聞報道等のようになされているのかどうか、この簡略化の内容についてお聞かせをいただきたいと思います。
  64. 津田正

    説明員(津田正君) 一昨日、大蔵省と合意をいたしまして、民間資金、それから補助裏債につきましては、従来市町村が財務部、財務局にも起債申請書の写しを提出したり、あるいはヒアリングを行う、あるいは都道府県の地方課と財務部、財務局がいろいろな面での協議を行うというようなことにつきまして、五十三年度以降非常にこれを大幅に簡略化するというような決定を見たわけでございます。そこで、義務教育債でございますが、先ほど申しましたように、補助裏債につきましてはかような考え方でおるわけでございます。端的に申しまして、一般公共事業あるいは公営住宅の建物分、災害復旧、下水道等はこういうような簡略化の一環にするわけでございます。  御質問義務教育につきましては、先生御承知のとおり、たとえば学校用地が非常に手狭である、それなのに教室をふやさなければならない、その場合に、健全建物を取り壊して立体化する、それに対するいわゆる必要面積、保有面積、あるいは補助資格面積というようなもので、若干国庫補助負担事業でありながら、ちょっと特殊なケースでございます。そういう点がございまして、現在、大蔵省とこの義務教育の扱いにつきましては詰めておるような状況でございます。  いずれにしましても、先ほどのような公共事業債と同様な程度の簡略化は、あるいはできないかもわかりませんが、方向といたしましては簡略化する方向で私ども努力してまいりたい、かように考えております。
  65. 勝又武一

    勝又武一君 この起債にかかわりまして大臣にひとつお伺いいたしますが、先ほど言いましたように全額政府資金というのは前進と思います。縁故債が大幅に減ってきている。この点からもそのことは言えると思うんですが、逆に反面考えますと、確かに三分の一の七五%が三分の一の九五%そしてまた交付税の五%、こういう点を考えますと、当面は確かに市町村が資金繰りその他で便利になることは、これはもう明らかです。ところが、やや長期、長い目で考えますと、当然この地方団体の負担というものは、一時的には一般財源の建設時における支出は少なくなりますけれども、多額の借金が残ることは明らかですから、そういう点からいくと、実は将来の地方団体の財政力を考えた場合には、非常にやっぱりこれは一つ問題が残る。地方財政力を弱めるといいますか、そういう点で懸念される向きがあるんですが、こういう点についてはどのようにお考えですか。
  66. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 勝又委員の御質問地方財政の根幹に触れる問題だろうと思うんです。同時にまた地方財政だけではなくて、国の財政、地方財政のあり方の根幹に触れる問題だと思います。どうも私、文部大臣だけの見解をここでお答え申し上げていいかどうか、実は少々疑問に思うわけでございますけれども、確かに義務教育施設だけではなくて、これは県段階におきましては高等学校もあるわけでございます。教育関係全体の地方財政が背負っていかなければなりません地方財政というものは、だんだん多くなってまいっております。同時にまた、いま地方財政が大変な借金をという御指摘でございましたけれども、今日では国もまた膨大な借金をしょっているところでございまして、私は、国の財政、地方財政というものが車の両輪の形で回ってまいりませんと、一切の施策というものの遂行ができません。地方財政の中におきます教育関係費というものは、どれだけの負担になっていくかということも、文部大臣としては十分気を配りながら検討もし配慮もしていく、その努力をしてまいろうと、かように考えております。
  67. 勝又武一

    勝又武一君 時間がなくなってまいりましたので、最後に急増地域におきます高等学校、この関係について最後にお聞きをいたします。  もう御存じのように、小・中におきます義務教育、こういうことでありますから、補助について政府が特別措置を四十八年度から五年間とられた。同時にまた、これから五年間延長される。本法案のとおりであります。このことは全くそのとおりでありますが、全国の児童生徒教育施設に対する差別をなくすといいますか、こういうことから考えてみますと、義務教育だけでなく、高校進学が九三%以上になってきている、こういうことを一つ考えてみても、高校についても文部省がひとついままで以上に考えるときにきているんじゃないか、こういうように思いますけれども、まず第一の問題としてこの点はいかがでしょうか。
  68. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 高等学校の進学率が非常に高まってまいりましたので、高等学校を義務化するべきではないか、また中学卒業生の高校への全入を考えるべきではないかという御議論のあることは承知をいたしておるところでございます。しかし、文部省といたしましては、現時点におきましては高等学校の義務化の制度をとっておりません。現実の問題といたしまして、高等学校に行かないで実社会に出ていく中学生もまだあるというのが現実の姿でございますので、高校義務化までまだ踏み切っておらないことはもう御承知のとおりでございます。ただ、将来の問題としてこれだけの進学率が高等学校に見られますのも、これもまた事実でございますから、文部省といたしましても、あるいは政府全体として当然これから検討をしなければならない問題であると承知をいたしております。
  69. 勝又武一

    勝又武一君 これは文部省からいただいた資料でありますが、急増地におきます児童生徒の推移、これをいただきましたが、これだれが見てもわかりますように、これからの推移を見ますと当然小学校は頭打ちになる、そして中学がふえ、その分が高校がふえていく、これはもう当然のことですね。そして特に高校のふえるこの状況を地域別に見ますと、きわめて首都圏、これがもう圧倒的に多いわけです。過去の五ヵ年間で見ましても、全国で三百十校増のうちで、首都圏四県で九十四校、約三分の一近い増設である点を見ても考えられると思うんです。こういう点から見ましても、高校における問題は準義務教育化、そういう議論、あるいは大臣のおっしゃる中学だけで就職をしていく、高校進学をしない生徒がいる、こういうことだけでは片づかない問題があるんじゃないか。ですから、急増地のこの法案に関連をいたしまして、ぜひ今後の検討として、こういう趣旨から高校関係についても特に、これもくどくなりますが、用地の問題ですね、こういう問題については一歩前進するお考えはないんでしょうか。
  70. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 御承知のように、急増地域の都道府県、高等学校の問題が大変な財政負担になっておりますことは承知をいたしております。急増地域の高等学校につきましては、一般地域と比べて都道府県の財政負担が非常に厳しい、つらい立場に置かれておりますことを理解をいたしました上で、急増地域の高等学校については特別の例といたしまして、建設費の補助を行っておりますことも御承知のとおりでございます。用地につきましては、先ほど義務教育であります小・中学校の場合のことをお話しを申し上げたわけでございますけれども、やはり高校用地もこれが非償却資産でありますということ、いまの時点では義務化はされている高等学校ではないということ、これらからいたしましてやはり地方財政に頼らざるを得ない実情にございます。しかし、高校用地の取得費というものは大変な重要な要素でございますので、おつらいことではありましょうけれども地方財政措置自治省にお願いをしてまいる、当面はこの努力をいたすことで、その限界をひとつ御理解をいただきたいと思うのでございます。
  71. 勝又武一

    勝又武一君 たしかこれは文部省ですか、大蔵省ですか、どちらかわかりませんが、ある資料を見ますと、担当者の言としてということで「非義務教育の非償却資産は、国庫補助になじまないので見送った、」こういう高校の用地費についての補助をやらないという説明個所が見受けられたわけです。この考え方も先ほどの一般の義務教育のところと、それから急増地のところとの用地の関係のバランスの問題ですね、こういうこともあると思うんです。しかし、じゃ用地は一切やらないかと言えば、急増地のところの用地はやっておる、そういうように現実的な対応をされていらっしゃっているわけですよね。ですから、私はさっき主張いたしましたが、一般の方がゼロだから急増地の用地も三分の一だと、そんなら急増地を三分の二にして、一般のところも三分の一に上げたらどうだという主張をいたしました。同じような趣旨で「非義務教育の非償却資産」という言い方は私は余りにもつれないと思いますので、九三%以上という現実の対応の仕方としてぜひひとつ今後前向きに高校の用地等についてもさらに御検討をいただきたいということを重ねて御要望いたしまして質問を終わります。
  72. 白木義一郎

    白木義一郎君 国庫負担法の一部を改正する法律案に関連しまして若干お尋ねをいたします。  最初に、第三次公立文教施設整備五ヵ年計画達成率が先ほど発表になりました。九三%であった。第四次五ヵ年計画では八六・八%、このように達成率が下降している。それについて大臣から若干簡単な御説明伺いましたが、年を追うごとにこの達成率が下降してくるという原因をもう一度御説明をお願いしたいと思います。
  73. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 第四次の文部省が持ちました五ヵ年計画の総事業量が二千七百万平米でございます。それに対する達成度が五十二年度を終わりまして五ヵ年で八七%でございます。しかしながら、事業別に申し上げますと、小学校校舎が九八%、中学校校舎が一〇〇%、中学校屋体が九五%、小中の危険建物が九七%となっております。これらの事業計画どおり達成をできたわけでございます。ところが、設置者の要望が非常に少のうございまして、実施率が計画を下回りました事業の一つに統合がございます。これは計画に比べて六七%にすぎませんでした。それから幼幼園が五八%にとどまってしまいました。こういうことから全体として八七%というような低い率が出てしまったわけでございます。なお、その間四十八年のあのオイルショックがございましたので、経済情勢、一般の公共事業伸び率等勘案をいたしますと、こういうふうな八七%という低い達成率で終わったわけでございます。
  74. 白木義一郎

    白木義一郎君 端的に達成率が下降した原因は、一口に言えばどうしても超過負担であろう、こういうように思うんですが。そこで、小・中学校校舎補助基準面積改善されたと、そのように先ほども伺いいたしましたが、地方自治確立協議会の調査によりますと、地方公共団体の数量差による超過負担小学校校舎で八・四%、中学校校舎では一二・三%となっておりますが、今回の補助基準面積改善によりこの超過負担は完全に解消されることになるのかどうか。つまり基準面積が五十三年度から一六%改善される、先ほど御説明がありましたが、この小学校中学校超過負担の率と比べますと、当然今後は五十三年度からは超過負担解消されると、数字の上では見られるわけですが、その点いかがでしょう。
  75. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 小・中学校校舎の国庫補助基準面積を五十三年度から一六%増、こういう改定をいたしましたので、面積の点から見ますなれば、市町村が建築をいたします建物の実態に即した国庫負担が行えるものと見ております。
  76. 白木義一郎

    白木義一郎君 また、この調査では、市町村が実際に建設した面積補助基準面積との差は、屋内運動場の場合は、小学校では一二・八%、中学校では二六・一%と大幅になっておりますが、御承知のとおり市町村負担が年々著しくなっております。このような事態は、市町村が非常にぜいたくというか、デラックスな運動場をつくっているという見方もないではないんですか、補助基準面積が必要以上に少ないため、低いために、それだけの負担が大きくなっている。そこで、先ほど局長さんの御説明の中にもありましたけれども、この屋内運動場補助決定に際して、その施設を開放すべきであるというようなことが、これは当然文部省として推進していかなければならない問題で、私どもも絶えず強調をしている点でありますが、そのために市町村学校開放、運動場開放という前提のもとに設備を整えなければならないというようなことから、施設、設備を整備するために、さらに超過負担を余儀なくされると、こういう面が出てくるのではないか、この点について御説明をお願いいたします。
  77. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 屋内運動場の国庫補助基準面積は、昭和四十九年と五十年度におきまして、学習指導要領に定めております球技などが実際に行えるように面積の改定をいたしました。これは平均改定率が約三〇%になります。また、五十二年度には、寒冷地学校で冬の間も正規の体育活動が屋内運動場で行えるように、これまた改定率約三〇%の面積の改定をしたところでございます。ですから、屋内運動場面積基準については相当な、かなりの改善ができたわけでございますけれども、いま白木委員指摘になりましたデラックス——デラックスという言い方を言っていいかどうかわかりませんが、私は学校教育の範囲の中で必要とする屋内体育館というものの面積基準は、かなり改善をいたしましたけれども、やはり市町村がいろんな、むしろ社会教育の場に屋内運動場を利用をしたり、そういう学校教育以外のことに御利用になる、私はそういうお気持ちに市町村がなられるのはごもっともだと思う。そして、この問題は、またそのために屋内体育場というものが、学校教育という範疇から少しはみ出したものになっている。必ずしも、私はデラックスと言っていいかどうかは疑問に思いますけれども、そういうところに問題が一つあろうかと思うんです。それは、この負担法の問題ではなくて、社会教育でありますとか、その体育運動施設の開放であるとか、そういう別の面からの、私どもがこれからこれは検討しなければならない、そう考えております事態だと考えます。
  78. 白木義一郎

    白木義一郎君 これは、文部省地方団体に対して、学校を開放して子供たちにできるだけ運動場、運動する場を与えると同時に、国民的な体育の向上という意味から学校の施設を開放すべきであるという方向に行ってるわけです。そこで、屋内運動場を建てるときには、文部省の方は、ここを開放させるんですよ、地域住民のためにも使えるようにすべきであるというようなことと重なると、やはり建てるときにはそれだけの準備もしなきゃならない、したがってそれだけ負担がかかるという点も今後十分配慮をしていただかなきゃならないと思います。  そこで、補助基準面積改善をすべきであるということは、できるだけ超過負担を少なくすると同時に、文部大臣が所信表明で、強力に今後体育、スポーツと取り組むという力強い姿勢を示されている以上は、やはりこの基準を広げ、あるいは補助単価の率を、これは先ほど議論されておりましたが、三分の一、二分の一というのは、従来どおりのままで来ているわけです。ここで新文部大臣として所信表明の決意をこういうところにあらわすべきだろうと、こう思うんですが、先ほどいろいろと苦衷の御説明は伺ってるわけですが、やはりこちらとしては決心、決意をお伺いした以上は、何らかの形でこれをあらわしていくべきだと。この、いま上程されてる負担法は従来の引き続きです。これをさらに延長する、これは当然のことですが、新大臣の決意がどっかにあらわれてくるべきであろうと、まあそういう考え方から、この基準面積改善とか、あるいは負担の枠を広げる点について、大臣のお考え伺いたいと思います。
  79. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 基準面積は私は改定をしたばかりでございますし、現実問題として、最近新しく改定された基準面積に基づいて建設されていっております屋内運動場等を見ましても、十分球技が行えるだけの広さは確保し得たと思うんです。ごく最近、近年にこれの改定をしたばかりでございますから、直ちに基準面積の改定に手をつける気持ちは実はございません。  ただ、校舎屋内運動場というものをどう考えていくのか、このことは重要な課題であると思います。確かに国全体が貧しくて、今日は大変な国の財政も地方財政もピンチに立っておりますけれども、いつまでもこんな状態が続いてはならないわけでございますし、やはり屋内運動場というものに対する全国民的な価値観が私は変わってると思う。そういう意味から、校舎というものと屋内運動場というものを、将来の問題としてはやはりワンパッケージで考えていかなきゃならないということは、文部大臣としてこれは取り組まなきゃならない重要な検討課題であると心得ておりますので、ひとつその方向で検討を十分させていただきたい、かように考えるものでございます。
  80. 白木義一郎

    白木義一郎君 教育を適正に行うためには、これにふさわしい環境を整備することは当然のことですが、学校の土地の広さ、運動場、校舎面積にはそれぞれ一定の基準が必要と思われますが、その補助基準はあるものの、はっきりと定められていないように思います。そこで発育盛りの子供たちが教育を受け、スポーツを行い、体位を向上する校舎及び運動場の面積は、一人当たりどの程度があれば最も適正なものと言えるか、文部省の見解をお尋ねしたいと思います。まあ理想論になると思いますが、現実はそうもいかないでしょうけれども、最も恵まれた環境となるとこれだけの面積が必要である、その点お伺いします。
  81. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 小・中学校ということで申し上げますと、これは義務教育でございまして、したがいまして、全国くまなく学校というものがあるわけでございまして、したがいまして、非常に広い、開けた地域に存在するものもありますれば、東京の真ん中にあるといったような学校もございまして、立地の実情がまさに千差万別、異なっておるわけでございまして、したがいまして、そういった小・中学校の用地と申しますか、運動場等について共通の一律の基準といったものを設けることは非常にむずかしい問題であるというふうに考えておりまして、したがいまして一種の理想プランといったものにつきましても、いまここで御説明申し上げられないのでございますが、ただ、児童一人当たりという話になりますと、現在は学校用地の国庫補助基準というのを急増用地の補助の制度の中で用いておりまして、この面積について見ますと、これはいわゆる学校単位の一つの基本的に必要な要素がございますので、学級数に応ずる学校規模ごとに基準面積を定めておりますので、一人当たり面積にしますと、大規模学校では一人当たり面積がおのずから少なくなるというような仕組みになっておりますので、全体の平均の一人当たりということを申し上げることもこれまた困難でございますが、ちなみに十八学級について補助基準で算定をしてみますと、小学校にありましては建物敷地として一人当たり十五・九平方メートル、運動場が十・五平方メートルになります。それから中学校にまいりますと、建物の敷地としては十九・五平方メートル、運動場については十二・九平方メートルということでございまして、合計いたしますと小学校で二十六・四平方メートル、中学校の場合で三十二・四平方メートルといったようなものが一応の目安として持っておるわけでございます。
  82. 白木義一郎

    白木義一郎君 国民の文化的、健康的な生活をするための住宅というのは一世帯一住宅、あるいはさらにその要望が進みまして、一人一室というような方向へ希望されているわけですが、やはり理想的な教育を目指してその環境を整備するという以上は、やはりこの小・中学校児童一人に対してこれだけの基準を目指して努力をしようというような努力目標が必要じゃないかと思います。  次に、政府市町村努力をされているにもかかわらず、教室不足が依然として解消をしていない。で、これはいま論議されました用地の補助、あるいは基準単価基準面積等、それぞれまだまだ力を注ぎ、努力をしていただかなければならないわけですが、そこで補助面積に加えて補助単価についても要望が強いのは当然だろうと思います。で、全国公立学校施設整備期成会では、鉄筋コンクリートづくりの場合、小・中校舎では十万一千三百円、屋内体育館では十万二千六百円、用地については三万五千円を要望しておりましたが、五十三年度予算では、これらがどのぐらいの額に決定されたか、改善率は先ほど六・三%とお伺いしましたが、どのぐらいの額に改善されたか、決定されたか。
  83. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 五十三年度予算案におきましては、小学校校舎鉄筋コンクリート造で一平方メートル当たり九万九千七百円、それから小・中学校屋内運動場につきましては、一平方メートル当たりで十万一千円、また学校用地につきましては、これは二万八千五百円というふうにいたしてございます。なお、これは先ほども若干申し上げましたが、補助事業の実施に当たりましては、地域ごとにその当該地域の建築単価の実情を反映をするように、地域差を設けました補助単価を設定いたしまして実施をいたして、そのことによりましてできるだけ単価面で、実際面と制度面とがずれが大きくならないように配慮をいたしておる次第でございます。
  84. 白木義一郎

    白木義一郎君 局長さんはこの単価ですね、いま発表になりましたけれども、実際にそれだけの建物を建てようとして、果たしてこれだけのいま決定された金額で建つかどうか、現実はどのぐらいにお考えになっているか。
  85. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 私ども実際の結果をはっきり確認いたしておりますのは、昭和五十一年度数字になるのでございますが、その年度小・中学校校舎について申し上げますと、鉄筋コンクリートづくり一平方メートル当たりの実勢単価は、全国平均で申し上げまして、八万八千六百五十四円という数字が出てまいったのでございまして、これは当時の補助単価が八万七千四百円でございますから、約千円ちょっとの差は開いておりますが、まあ、私どもとしてはおおむね実勢にかなり見合った状況であったのではないかというふうに判断しておるわけでございます。
  86. 白木義一郎

    白木義一郎君 全国平均だとそういうことになるかもしれませんが、やはり急増地域とか、密集地とかということになると、とても十万や、二十万で鉄筋コンクリートの校舎が建つはずはない。業者に聞きますと、いま時価四十万から四十五万、民間の建設業者がそのような価格で建設をしていると、そういうことですので、さらに推進をしていただきたいと思います。  次に危険校舎についてちょっとお尋ねいたします。  先ほども説明がありました、従来は四千五百点に線を引いておられたのが、これからは五千五百点という線に引き上げたと。前進ですが、この危険校舎補助率が三分の一という問題ですが、いろいろと大臣説明がありました。自治省に対して裏負担をしてもらうように要請し、話がついた、起債あるいは元利償還等々の手当てをされているように伺いましたが、やはりこの教育という立場から考えますと、どうして危険校舎の建てかえについては、政府補助を三分の一しかしないのか、新築、増築についてはこの法案で向こう五年間は三分の二の補助をすると。いやそれは、やっぱり急に学校が足りなくなって、みんなの友達がなかなか十分勉強できないから、そっちの方を早く学校を建ててあげなきゃならない、だから君たちは少々危険でも、けがしたりするようなことがあってもがまんすべきだというような説明をせざるを得なくなってくると思うんです、これをこのままにおいておくと。こっちは早くやってこっちはまあこの辺で、別途こうやるけれども。そんなことだったら、まずどちらに重点を置くかというようなことになりやしないか。  そこで、有名な私立の小学校ですけれども、オーバーに校舎に突っかい棒をしたりなんかして、そうすると父兄が心配して、こんな危ない校舎で子供を勉強させられない、早く建てかえるべきだ、建てかえるには金がない、じゃあ出してやろうなんていって、毎年新しい児童が入ってくるたんびに寄付を募って、ようやく新しく建てたというようなこともあるように、まず危険校舎の建てかえを再優先すべきじゃないか。それが法律の上にもあらわれていくような考え方、これが一つのやはり教育の責任者としてのあり方ではないか。財政の裏づけ等のやりくりは、もっともっとあらゆる方面からやっていくのは当然ですけれども、このとらえ方ですね、従来の急増地域はより厚くしておいて、危険な危ねえ方はゆっくりでいいじゃないか、君たちはけがしても、つぶされても、向こうの大ぜいの友達のためにがまんすべきじゃないか、なんてことになりかねないわけです。そういうことで、ぜひひとつ新大臣がそういう点も何らか具体的にあらわされ、前進の跡を見るように期待をしているんですが、いかがでしょう。
  87. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 危ない学校でがまんして、そのまま危ないのを承知の上で勉強をしていろというようなことは、これは言えないという決心を私はしたわけなんです。いま白木委員が御指摘になりましたようなことは大人が言えるべき筋合いではないと考えたものですから、一体全国に危険校舎というものはどれだけあるかということを調べました。そして、いままでどういう計画危険校舎と取り組んでいたんだと事務当局に聞きましたら、五年計画でやってきたということでございます。ところが、一年に七十万平米ないし八十万平米の新しい危険校舎ができてくる。そうなりますと、五年計画でこれ取り組んでいたのでは解消にはならないわけでございまして、だんだんふえてくるような状態で、公共事業中心予算ということを言いながら、道路がきれいになり、橋がりっぱに建て直って、そばで危い学校で子供たちが勉強をしているなんという状態は許すべきではないと思ったものでございますから、これは三年計画でやろう、三年計画で思い切って、五十三年度予算と五十二年度の二次補正とを合わせて五十二年度の当初予算の倍ぐらいの仕事を思い切って取り組もう、そういう決心をしたわけでございますけれども、それでは限られた、限界のある財政の中で量の解消を急ぐのか、量をある程度しんぼうしても補助率のことにこだわっていくのか、そういう壁にぶつかったわけでございます。もう率直にそのまま申し上げます。  そして補助をいたしますその市町村裏負担がどうなっているかということを自治省とも相談をし、自治省に現状も伺い自治省に改めてのお願いをいたしまして、ほとんどを政府資金危険校舎改築と取り組む市町村の必要とするその資金の確保ができる、しかも、先ほどもお答えをいたしましたけれども、五%の交付税と、あと全額政府資金による起債で見て、その償還の時期にはその起債を、また元利償還交付税で見る、そういう見通しに立ちますと、実は三分の一の現行の補助率市町村の実質負担が二〇%になります。二分の一の補助率に改めて同じような裏起債措置をいたしますと、市町村負担が一五%になります。その市町村の究極の負担の違いというものは五%でございます。そうであるならば、補助率にこだわって危険校舎解消面積が狭くなってしまって、危険校舎のいまのあり方そのものが改善されないことに終わるのでは意味がない、こう判断をいたしたわけでございまして、補助率の率は三分の一のままで、危険校舎改築するための量を思い切って確保をした、こういうことでございますので、危険校舎解消ということについては、五十三年度予算というものは大前進をしたというふうにひとつ御理解をいただきたいと思うのでございます。
  88. 白木義一郎

    白木義一郎君 ほかの設備だとかそういう点については、いまの大臣説明で前進ということを認めるんですがね。私の言うのは、教育のための環境づくりですから、ですからまず何よりも先に小さい子供の生命に関するような問題については、総力を挙げてやろうという文部省教育の責任者の理念といいますかね、哲学といいますか、それがいままでの教育に不足していて、問題がいまいろんな次元にうみが出るように出てきているわけです。そこで今度の文部大臣は何よりも教育の一番基本になる生命の尊厳という姿勢をこういうところにあらわして、いままではこうだったけれども、この補助率を上げて、さらに最優先的に危険を子供たちから解消すると、こういうお考えをお持ちになっていただきたい、もう一歩前進して。  そこで、お伺いするんですが、まあ率にこだわるわけじゃありませんけれども、離島、それから豪雪地帯、過疎、山村等の危険校舎補助率が三分の二で、その他は三分の一と、こういうことも、そういう不便なところで勉強している子供たち、仲間のお友達はあれで、町で暮らしているあんた方は危ないけどもがまんして、向こうを先にしてあげなさいと。そのために、政府はこっちにはよけい三分の二補助を出します。あんた方のところはちょっとしんぼうしてもらって、けがする場合もあるかもしれないけれども、三分の一でしんぼうすべきだというようなふうにひねくれて私はこの違いを見てるんですが、その点の御説明を。
  89. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) ひねくれないで聞いていただきたいんですが、三分の二の補助率をとっておりますところは、やはり市町村の財政率指数が非常に低いところでございます。財政力の観点から、いま白木委員がおっしゃいましたように、危険校舎の建てかえにおくれがあってはならないということから、特別の補助率を見ているわけでございます。白木先生のお言葉をかりますならば、理念も哲学も私は白木先生と何ら変わるところのないものを持っているつもりでございます。
  90. 白木義一郎

    白木義一郎君 子供たちの危険ということに私こだわるわけですが、ですから、これはもうぐずぐず言うならば文部省が全部やると、危険校舎改築については。そのかわり、多少この急増地区の校舎の不足等は、財布の都合で多少しんぼうしてもらわなきゃならないのだというのならばわかるのですよ。八方美人でいこうとすると、こういうことになるんじゃないかと、そんな気がするんですが、以上、大臣の施策の目標を提案いたしまして私の質問を終わります。ありがとうございました。
  91. 吉田実

    委員長吉田実君) 以上をもちまして午前中の質疑は終了いたします。  一時二十分から再開することとし、休憩いたします。    午後十二時十三分休憩      —————・—————    午後一時二十九分開会
  92. 吉田実

    委員長吉田実君) ただいまから文教委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、義務教育学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案議題とし質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  93. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 本日は三十日でございますから、本年度はあしたをもって終わりになるわけです。同時に定数改善計画、公立文教施設に関する計画、それぞれの五ヵ年計画はあすをもって終わりを告げるということになるわけですが、私は最後の一年どうしてもがんばってやってもらいたいというところから、昨年の三月の予算委員会の際にも、定数の問題と校舎の問題あわせてずいぶんとがんばっていただくように、海部文部大臣並びに坊大蔵大臣に対して質問を申し上げたわけです。そのときの応答を通じても、今後の公立文教の問題が容易ならざる問題である、と同時にやり遂げなければならぬ問題であるというようなことが明らかにされてきているわけであります。特に、公立文教の今後の課題の中で、過密九県の問題がどのように具体的に越えていき、高めていくことができるのかということが、集中した問題点になることは明らかであります。その際にも、衆参両院の決議による、日本の学校教育の中で重要な学級編制基準四十人を最高限度と押さえる措置をいつからやるのか、このことが軸をなす課題であるというふうに思うわけですけれども、その点について現在のところ非常に消極的な答弁が出ております。これも一応四次計画を終わった人口急増地校舎建設をどのように越えていくかという実力が、国としてどれだけ発揮されるかという問題になると思うんですね。  ひとつ、この法案の審議に入る前に、課題としての、学級編制基準を四十名にしたときに、物的条件としての建設すべき学級数はどれだけふえるのかというような点をひとつ出していただいた上で、私は質問に入っていきたいと思うんですが、その点まずお伺いしておきます。
  94. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 御指摘のとおりに、第四次の定員改正は五十三年度で完結をするわけでございます。その後の問題、そして学級編制基準のただいまの四十五名を今後どう考えていくのかという問題、この問題と施設の方とまさに重要な関連を持ってくるわけでございまして、先生も御承知でございましょうが、毎年、市町村並びに都道府県の協力を得て、施設面につきましては悉皆調査をいたしておりますが、五十三年度におきましてもまたその調査をやるわけでございます。この調査と、第四次の定員改定がどのように過疎地域、過密地帯で実施されているかということの、これまた実質調査を行うことにいたしておりますので、これらの悉皆調査の結果を見ましてからその決断をしなければならないわけでございます。それじゃ一年あくのかということが国会でもしばしば御議論になるわけでございますけれども、事実上、定数の改定を間を一年あくというようなことはできるものではないと私は考えております。第五次の改定、長期計画というものをどういうふうにはめていくのかということは、ただいま申し上げましたような調査に基づいてその計画自体はつくってまいらなければなりませんけれども、それじゃまるまる五十四年はあくのかということになりましたら、それは許されることではない。したがって、私どもといたしましては、施設面での調査、そして第四次の定数改善の実施状態の悉皆調査をできるだけ早く終えまして、第五次の計画とあわせて学級編制基準というものを検討をしょう。そういうことで、ただいまいろんな学級編制基準を、こう変えてみたときにはこういう数字が必要であろうというようなことを、ただいま数字をいろいろはじきまして省内で検討しているところでございます。まだ明確な資料を提出する段階までには至っておりません。
  95. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 私は、いまいろいろ計数をはじいておると、こう言われる中で、毎年基本調査をやっておるわけであり、執行結果も出ておるわけでありますから、そこでいまもし学級編成の最高を四十人とするなら人数の方では四万三千人、それから教室数の方では三万四千教室程度が不足になってくるのだと。それは今日いまから先六、七年間は百五十万人の増を大体九つの過密県で九十何%まで受けとめなければならぬ状況では、両方かぶってくるからこれはなかなか消化困難で、いまのところ少なくとも文部省としてはそれを機械的に打ち出すだけの勇気が出ないというようなことで承知をしておるわけですけれども数字は大体そういう見当になるわけですか、四万三千人と三万四千教室。
  96. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 機械的に算出をすればそうでございますけれども、非常に重要な問題でもあり、たとえばそれだけを算術的に計算するだけでは済まないと思うんです。教員の皆さんの研修機会もふえてくることでございましょうし、それを定数の改善とどうかみ合わしていくかということもまた考えてまいらなければなりません。ですから、そう簡単に機械的な概数だけで私どもは取り組むわけにまいりませんし、もっとしっかりした調査をやりたい、計画を立てたいと考えるものでございますから、省内におきましてただいま真剣に検討している段階でございます。
  97. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 まあ機械的と言い条、いま研修の機会等の問題についてもまだ考える余地があるとかということになれば、これはプラスアルファの措置になる、いまから横滑りする姿で機械的に言えばこういう数字になってくるということですね。  去年の答弁のときにも諸澤局長の方から、よしんば人員の方だけは一応有資格者で何とかなるということで定数をそろえてみたとて、いわば過密県の方で建物の方の受け入れ体制がないからというような話もあったわけですね。しかし、どこまでもいまから悉皆調査をやられる場合には、ただ基本調査あるいはいろんなそれぞれの問題についての実態調査も行われておりますので、その勘定だけでは足りない悉皆調査なんですから、そのためには、何のために悉皆調査をするのか、何を明らかにしようとするのかという点をひとつ明らかにして調査をされる必要があろうかと思いますし、ただ調査のためを目的にしてやるのではないわけでありますから、速やかに行われて、報告をこれまた速やかに発表していただく必要があると思うわけであります。少なくとも基本的な数字を押さえる調査をやったら分析が必要であり、報告のためには討議をした上で方向づけをした報告書が出てくると思います。これについては、目安をどの辺に置かれておるわけですか。
  98. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 今度の教員定数の関係調査は、五十三年五月一日現在を調査日にして調査をいたします。国・公立小学校中学校、高等学校、特殊教育小学校約四万校を対象にいたしておりますが、電子計算機等を使って集計、分析、まとめて資料を作成をいたしますが、これは最終的な結果はできるだけ早く、もうあらゆる手法を駆使をしてできるだけ早くという程度にしか今日なおお答えができない状態でございます。
  99. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 冒頭の御答弁でも、第五次を定めるのは、よしんば来年度、五十四年度まで延びるとしても、改善という措置の進行は一年も休むわけにはいかぬと、その点で四次計画の終わった今年から来年にかけても、速やかに基本調査に基づき、また改めて行われる悉皆調査等の状況ともかかわりながら、何がしかの結論と措置をとりたいと、こういうふうに聞いてきたんですけれども、毎年やっておるこの基本調査で足りない部分、今度特に五次計画を定める前に当たっての悉皆調査というのが、どこまでの期限で行われるかというのに特に関心は集中しておると思うわけです。私は、少なくとも五月一日現在でこれも行われ、過疎地、過密地の実態調査をするというふうなことであれば、各地方自治体も悩み抜いているわけですから、これには督促をされれば速やかに答えてくるというのは可能であろうし、少なくとも報告書が秋——九月段階ぐらいでは上がってくるようにお願いをしなければ困ると思うんですね、どうですか。いままでの答弁では年度中に行いますというような漠然たる答弁なんですね。少なくとも九月ぐらいを目安にやっていただく必要があるんじゃなかろうかと思うんですが。
  100. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 施設面の毎年やっております調査は、これは毎年やっていることでございますが、それと第四次の定員改善のその調査と両方あるわけでございます。定数改正の方の調査は改めての予算措置をいたして、悉皆調査をやるわけでございますから、先ほども申し上げましたように、五月一日現在でこれもやりますが、もうできるだけ早くこの調査結果を得たいと私ども考えておりますけれども、第五次の計画という重要な計画をこの悉皆調査の上に積み上げていかなければなりません。拙速をとりたくないと思うんです。しかし、具体的に五十四年のことはそれじゃどうするかということになれば、このことはいま実は各党にも御相談をいたしているところでございまして、第五次の計画がこれだけの悉皆調査の上に乗せてやる、しかも相当な児童増に対応していかなきゃならないということと、学級編制基準をどうするかという重要な問題が非常にたくさんあるわけでございますから、第五次計画というものをこれまた拙速的にはなかなかむずかしかろう。端的に言えば五十四年度の定数改善のための概算要求と、第五次の長期計画というもののできる時期と、そこのところを十分考えながらやっていかなければならないことでございますので、各党文教関係の方にも御相談をいたしているところでございます。
  101. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 まあ、今年度悉皆調査予算が第五次の前提として、従来の調査とはまた趣を異にして行われるということですから、年度内というのは、これはたてまえの問題なわけですね。それから拙速はとらないと言われるわけですし、基礎的にはしっかり調査をやってもらわなくちゃいかぬと思いますが、これがいつ発表されるのかということ、たとえば中間発表をやるとか、あるいは一定段階でやって、広くこの討議の資にするかというような点では、調査というのはどんなやり方もあるでしょうけれども、概算要求が出そろって九月が来るころにはあわせてこの新しい項目に基づく調査もひとつ上げていただいて、少なくともまた来年になったら、拙速をとらないというようなことで延び延びになってしまいますと、大体五、六年たてばピークが終わると、その後でというようなことになりかねない。少なくともこの点については緊張した状況で早期に分析を終わり、そうしてこの問題についての報告を出していただきたい。それはいろいろ調べることもあるでしょうけれども、基本はわかっておるわけですね。方向はあるわけです。すでにこの点が学級編制基準改善という大きな目標のために行う調査だということも明らかにしておられますが、特に、調査にまだ手をつけてないわけでしょう、調査計画だけあって。調査の要綱なり概要なり、これを速やかに発表していただきたいと思います。これはいつごろになりますか。
  102. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 五月一日現在でやるわけでございますから、予算が成立をいたしまして早々には間に合うように準備をしなければならないと考えております。
  103. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 確かにこの公立文教施設の第四次計画についてもいま終わったところで、先ほどの前質問者に対する答弁でも、これは幼稚園とそれから総合問題とを除いてはかなりの達成率を上げて、まあ九五%から一〇〇%近い数字を上げているというふうに言われるわけですけれども、この急増地における補助とそして自治体の実行と、この問題をしっかりやっておかないと、あとその上に上積みするというようなことは、自治体の方でも受けとめかねるというようなことにまさになりかねない。その点では第五次計画の進行を待たず、いわば計画的には空白になっておるこの年、来年ですね、こういう状況の中でいかに改善の実が上がるかということで、あわせて進行する必要があると思うわけです。その点で急増地についての実態を少しく具体的に取り上げて御質問をしたいと思うわけですが、その前に、まず不足数というのが、教室の必要な建設数というのが大体みんな面積で示されておって、教室数で示されていないわけですね。だから教室数で一遍明らかにしてもらいたいと思うんです。
  104. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 全国のいわゆる社会増地域におきます公立の小学校及び中学校の不足教室数は、普通教室で、これは五十二年五月一日現在の調査でございますが、九千二百五十一教室となっております。特別教室の不足数につきましては、ただいま申し上げましたような意味合いでの普通教室の調査に準ずるような正確な調査結果を持っておりませんが、普通教室の不足数をやや上回るのではないかと、これはそういう見込みでございます。
  105. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 これは急増地だけに関する普通教室なわけですね。——全国ではどういう数になるわけですか。
  106. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 全国での教室数というのはただいま資料ございませんので、いろいろな公表に当たりまして、数字を出すことを一応やってみたいと思いますが、それで数字が得られますれば、お許しがあれば後刻御報告さしていただきたいと思います。
  107. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 公立文教施設は、国民的な課題として特に定数改善とも関連しながら協議をされる際、特に急増地でも非常に困っておりますから、一生懸命取り組んでおっても教室の不足数を発表したがらない傾向が出ておるわけですね。こういう状況の中で、五ヵ年計画等みんな示されておるのが面積ばっかりなんですね。きょうも五十二年度実態調査報告をいただいたわけですけれども、四十九年度のを見ると、少なくとも初めに言われた社会増の不足教室の応急措置増強等で大体教室数を示しておるわけですね。これはこういう時期、国民的な課題としての取り組みの中で、ぜひひとつ面積とあわして全国的な不足教室数と、これらに対する措置状況というのもあわせて示していただきたいと思うわけです。数字がわかってなければ達成率も何もあり得ないわけですから、いま数字を握っていないと言われるわけですけれども、早速にも、これは全国の公立文教建設に関する達成すべき数字をひとつ教室数で示していただきたいと思うんです。これがきちんとしませんと、大体各市町村が取り組んでおる用地取得、そして学校建設、それができる過程ではプレハブというようなものに依拠することもあれば、特別教室を転用して一時しのぎをやると、これらの問題についてさまざまな予算上問題がございますけれども、これで困難だということを一般的にお伺いしても、どのように困難であり、どこを打開すれば解決するのか、要求をしてそして改善をしていくべき具体的な措置は、プレハブ解消についてはどうするのか、特別教室の転用についてはどういう状況なのか、これらがそれぞれ明らかにされる必要があると思うんです。私が居住しておるところは大阪府枚方市と申しますけれども、恐らくこれは全国で最も過密だと思うわけですね。小・中学校の建設も今年度は四校建設をしております。人口も十数年間で倍増して三十万を超えたというような都市であるわけですけれども、四校建設をやって、四月一日の開校日に間に合うのは小学校一校、中学校一校、何とか九月一日にあと二校を開放しよう、これを来年度はたとえば六校とかにテンポアップしていかないと、とうてい賄い切れないわけであります。ところが、これが昭和五十年段階ではゼロ建設にとどまっているんですね。驚くべきことであります。こういうことになると、数字を大体市民に知らせまいとするような傾向も出てくるわけです。これは起債率が二〇%を超すということを非常におそれて予防措置をとったということが一つあるわけです。現地を視察して見ますと、ことし建てれば——まあ市にもそのぐらいの金がないわけじゃありませんから、一つの学校の二階までできておって、その上に接げばいいわけですからね。こういうのをやればいいのを、わざわざその年度を送ることによって起債率を下げようとするようなことで、わざわざプレハブをつくると、こういうことまでやってきているわけですね。こういう点見ますと、ぜひとも急増地の教室数問題、必要数問題は、全体的に見込みをつけて教室数が知らされる必要があると思うわけであります。一昨年になりますか、起債率問題で若干の措置が行われましたので、近隣の高槻市等が二〇%を突破するというような状況が出てきて措置が行われましたので、五十二年、五十三年というのはようやく建設も進む、確かにここにさらに学級編制基準を変えることによって倍増しのような波がかぶってくるということになれば、勘弁してくれというような声も出てくるようになると思うのですね。この点についてひとついまお持ちがなければ各県別、そうして教室別の数字はぜひ発表していただきたいと思います。どうですか。
  108. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 以前から学級数としてのとらまえ方は、いわゆる社会増地域についていたしておりまして、その点は現在も同様なわけでございますが、いま御注意のありました全国ベースでどうなっておるかという点につきましては、御趣旨に沿って検討いたした上で努力をしてみたいと思います。
  109. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 特に定数関係の悉皆調査なんかもやっていく中で、そこらが明らかにならなければ、大蔵大臣や文部大臣が急増中は困難と言われても、その中身が明確じゃないです。どんな困難な問題であっても数字が明らかになり、それに必要な経費が計上されるなら、それのどこに障害があるかという点が明らかになって、そうして年次計画なり、あるいは各省庁に対する問題点なりの所在がはっきりしてくると思う。これが出されないままに四次計画が終わったということが、私は非常に不十分だった点ではなかろうかと思っております。今年からの急増地措置で、たとえば基準面積などの点について改善があったということ、それから老朽の改築の場合に、点数について千点ばかり基準を緩和された措置をとられた。これは現地でも非常に喜んでおりますし、このことによって建設意欲も高まっておると思うんです。ただこのほかに幾つも問題があるわけで逐次改善はされており、門、さく、へいなどはようやく数年前に実った。先ほどは勝又委員の方から渡り廊下の問題なんかも出ておりましたですね。ただ現地で見てみると、用地取得の問題についてはいろんなやり方をして先行取得についてはかなり努力をしてきておるわけですね。たくさんの利息を払うというような点について御配慮をさらに強化してもらわなくちゃならぬ点があろうかと思います。  私の方からここで特にグラウンドの問題ひとつ考えてもらいたいという点をお願いをします。用地取得費でもって、土地の購入費については三分の一を出すんですけれども、たとえばグラウンドというのは土地を買って埋め立てればグラウンドになるわけではないわけですね。この点について整地費というようなものを見る必要があるだろう。それから周囲の整備についても大変なんですね。この点グラウンドについて、今後整地問題についてお考えいただくわけにはいかぬですかな。
  110. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 御指摘のようにグラウンドづくりと申しますか、運動場のいわゆる地面をどういうふうにするかという点があるわけでございますが、その点は現在は国の方の負担の対象にしておらないわけでございます。ただ急増市町村に対する用地の補助を行います際に、いわゆる校舎敷地面積以外の運動場等に当てます部分も同時に購入をする、それについて補助いたします場合には、いわゆるグラウンド部分の整地費、これは補助対象の金額の中に入れておりまして、いわゆる粗造成と申しますか、そこまでの段限をいまは対象にしておると、こういう状況でございます。
  111. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 先般学校安全会の問題で新しく法律もつくったわけですね。グラウンドというのが一つはけがする場所なんですよ、あれはね。東京都の学校では大体グラウンドにアスファルトを敷いたりなんかしておるのが、あれが擦過傷の大変大きな原因になっておって、これに対して新しい敷物を敷いていく等のことをやれば、目に見えて傷害の件数は減るわけですね。それじゃ、こういうようなものは、もともとグラウンドというは屋外でナチュラルなところだということになっておるのか、建物とか施設とかいう概念がなくって全然補助の対象になっていないわけです。ここのところを、粗造成から上がるところまで対象にしていかれれば、——しないところには補助金を払う必要はないんですから、いろんな必要をもってやっていくところに対して、道が開けていくのではなかろうかと。まあ芝生を張っただけでもずいぶんすり傷なんか減ると言われますけれども、こういった問題については、今後の課題として大臣いかがでしょう、実情をひとつ調べていただいて努力をしていただく必要があろうかと思いますが、どうでしょうね。
  112. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 芝は、実は体育局の方で学校のグラウンドのことをいろいろいま勉強、検討をしているところでございまして、どういうグラウンドづくりが一番児童生徒に好ましいかというようなことも、体育関係の団体などに研究をしていただいているところでございます。  ただ、私が考えますのは、何かやわらかいものをグラウンドへ敷いた方がけががなくなる。実は私はそれが好ましいことかどうか迷っているんです。われわれ子供の時分考えましても、ひざっ小僧のすり傷というのはむしろ一つの子供のプライドでもあった。ちょっとけがを足にして、包帯を巻いているのがかっこういいことでもあったわけでして、どういうグラウンドが果たしていいか、体育局がいま申し上げたように検討いたしておりますが、あわせてひとつ研究課題にさせていただきたいと考えます。
  113. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 まあひとつ続いてこれらの問題についてもさまざまな教育上の角度——いろんな補助基準に反映をさせるようにというような観点からも見ていただきたいと思います。  続いてお伺いをするわけですが、老朽校舎関係で四千五百点まで基準が緩和をされたと、さあ腰を上げようかというのが出ておることは確かであります。しかし、これについては条件が付せられておって、基本的に五十三年度内にやってしまえと、まあ延びても次年度の末までに全部金を払ってしまう必要があると、こういうふうになっておりますし、基本的に五十三年度中に支払いが済まない場合には補助対象から外れるということになれば、それで建設が困難になるというようなケースが非常に多いんじゃないでしょうか、どうでしょう、これは。
  114. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 予算執行、いわゆるその全体の予算の中の公共事業執行を急いでいるということとそのことが絡んでいると思いますが、五十三年度事業を全部終わってしまえというようなことを言っているのではございません。一つには、四千五百点から五千五百点へ上げました。しかし、それは制度として確立したものでなくて、予算措置でございますから、地方公共団体市町村の側にいたしますと、五十四年度文部省大蔵省に負けて、また四千五百点に下げるんじゃないかという心配の目で見ておられる方があるんではないだろうかと、私はそう思います。確かに危険校舎のことを、いま小巻委員指摘になりましたように、五千五百点まで上げて、これだけの事業量を確保できたものですから、各市町村危険校舎建てかえ意欲が出てまいりましたのは、好ましい状態であることは事実でございますが、これだけの措置ができましたことも予算措置であればこそできたことでございまして、これがもしも法律で決まっている負担ということになったら、もっと窮屈なことではなかったかと思うんです。そのことと、五十三年度限りの措置だから五十四年度はまた四千五百点に下がるんじゃないかという心配と、これは絡み合っておりますけれども、私どもといたしましては、危険校舎のあり方というものが、これだけ公共事業をやっていく中において、ほかの公共事業と比べて危険な校舎を残しておくわけにはいかぬというのは、もう国民的通念だと考えておりますから、五十四年度も引き続いて、五十三年度で確保いたしました制度を、続いて文部省としては努力をして確保していく、こういう決心をしておりますので、五十四年度事業がまたがりましても、それは市町村でひとつ御心配ないように取り組んでいただきたい、こう考えております。
  115. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 確かに老朽というのはどこまでが老朽なのかということになれば、いまにも倒れそうなところだけが老朽なわけではなかろうと思うのですね。ずいぶんと郡部なり僻地方面に行きますと、映画の撮影に行くのにはよかろうと思うような木造の学校があっても結構使っておる。しかし都市部の中心部で、回りが全部環境改善されたあとが傘張り浪人のようなかっこうで、継ぎはぎになった木造が、危険度の問題は別として、非常に建てかえたいという状況があるわけです。こういうところに限っては、大体市内の中心部なんですね。私もこの視察で、吹田第三小学校というところへ行ってみると、まあこれが評価を受けております状況がすれすれなんですね。ちょうど四千五百点から五千点までぐらいの間にこうまたがっておって、いつできるかわからない。今度やろうという気になっているわけですね。しかしこれから一年間の間にやろうと思いましても、これは過密地でありますから、まず取り壊しを行って、それでそこにかからなくちゃならぬわけであります。更地に建てるわけではないんですね、こういう問題があると。一部取り壊してあとに建てると、その周りの進入路を解決するだけでも、周辺が詰まっておって、そのような地域との協定も必要だというようなことで、トラックもろくろく入らないようなところにありますからね。こういったふうな問題があって、せっかくのどから手が出るほど望んでおったところへ、今年度措置としてやってきたと、こういうことになって、乗ろうと思うんだけれども、条件整わなくてできないんじゃないかという心配が非常にあるわけです。  もう一つは、点数をしさいに全校舎にわたってながめれば、部分的には四千五百点以上の点数がついておるけれども、少しは五千五百点はみ出すところがある。そんなものを保有面積から差し引かれるのではないかとか、いろいろな問題があります。こういう問題についてはどうなんですか。五十三年度中に全部上げてしまわないものは、これは補助金の対象にならないわけなんですか。どこまでやっておけばいいわけなんですか。
  116. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) その御質問は、五十四年度予算がどうなるのかという御質問になってしまうわけですが……
  117. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 いやいまのままであればどういう結果になるのですかね。
  118. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 五十三年度で新しく耐力点を引き上げましたその点数に合致をして、五十三年度から建てかえの仕事に乗っていきますものは、五十三年度に仕事を、全部工事を終わらなくとも、五十四年度にかかりましても同じ扱いだとお考えいただいて結構でございます。
  119. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 ああそうですか。大体しかし、五十三年度末までに四〇%を払い終わっていなきゃだめだということがあるんじゃないですか。その点はどうなんですか。
  120. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) それはそうでございます。五十三年度四〇%とおっしゃるのは、それは設計その他の発注を終わらなければ困ることでございますから、もうおっしゃるとおりでございます。
  121. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 そうすると、次年度までの間に終わる場合には、これはまあ対象として補助金は全部交付されると、そういうことでよろしいわけですか。まあこの点ひとつ、いろいろな問題がありますけれども、できるだけ、せっかくやろうという気になっておる者が、その意に反して落ちたりしないように、弾力的な運用もお願いしたいと思いますし、そのときに点数の基準を緩和をすればこれで対象にかかるというのがずっと顕在化してくるわけです。この問題を、年を越えたからといって、これまた無期延期のような形にしておくというようなことがありませんように、ひとつ文部大臣の一段と努力をお願いをしたいと思うわけであります。その点はどうですか。
  122. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 危険校舎の建てかえを三年計画というものを私が言い出しましたときには、実は市町村のお申し出が少なくて困りました。しかし、いろんな裏負担のこと、点数の緩和等、こういったことをむしろ都道府県を通じて市町村を説得をいたしまして、数多くの市町村から三年計画を立てたものがどんどん出てまいったのでございますから、なお一層、このことは三年計画という決心をいたしましたときから積極的に取り組む決意でございますので、一段の努力をいたします。
  123. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 それじゃ、続いて過疎地にかかわる問題についてお尋ねをするわけですが、先ほど第四次の公立文教施設の進捗状況の中で、全体の計画遂行率を下げたのは幼稚園の問題と統合問題だというふうに言われておるわけなんです。その学校統合が進まなかった、目標に対しておくれてしまったと言われるその具体的な中身についてお伺いをしたいと思います。
  124. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 先ほどの御説明も一応マクロの御説明であるわけでございますが、私どもが当初四十八年以降の五年間の見積りを考えましたその数字に対しまして、現実に各地方公共団体で取り組まれました統合の事業というものが少ないために、したがいまして、この補助金に対する申請も少なくなっていった。でございますので、私どもその後の予算措置につきましてもそういう実態に合わせて対応していった。そういう結果、先ほどの御説明のような状況になったわけでございます。
  125. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 確かに統合問題というのは、しばしば住民の中で摩擦の起こるケースが多いわけです。どういう具体的な根拠で統合の面積をはじかれたのかわかりませんけれども、むしろ五〇%台にとどまったという実態自身が、いわば統合のあり方にかかわるいままでの政策の中にあった問題点を示しておるのではなかろうかと思うんです。大体一〇〇%達成ということであれば、これだけというふうに定められた面積というのは一体どうしてはじかれたものなんですか。
  126. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 学校規模を重視して、余り無理のある学校統合は避けなきゃなりません、当然。そこで、学校統合を行うかどうかにつきましては、小規模校の持つ教育上の利点もまたあることでございますから、財政的な面だけではなくて、総合的な判断を市町村にとっていただかなければなりませんし、通学距離や通学時間のことも考えなきゃなりませんし、また学校というものはそれぞれ歴史を持っておりますから、やはり地域住民の理解と協力がなければやることではない、このようなことを通達等によって指導をしてまいったところでございますが、それだけに市町村といたしましても、当初私ども考えただけの統合は行われなかった。個々の学校について統合すべきか、統合をせずに現敷地で改築をするべきか、こういったふうなことは、こういう通達を踏まえまして、地方自治の観点から学校設置者であります市町村決定することでございますから、文部省といたしましては、今後とも都道府県教育委員会を通じまして、遺憾のないよう市町村を指導してまいることにいたしております。また、いま申し上げましたような通達を出しておりますから、地方自治の観点からなかなか困難な仕事であって、私どもが机の上で計算した数字どおりには統合が行われなかったと、かようなことであろうと考えております。
  127. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 私、一つの具体例として三重県の志摩郡にある安児町というところの統合問題を現地にも行ったり、あるいは資料ももらったりして実情調査をしたわけですけれども、たとえば一〇〇%遂行ということになれば、長年の懸案になっているこの安児町の統合のケースなどもどんどん進めば一〇〇%になる、こういうものであったのではなかろうかと思うわけでありますが、かなり住民とこれを進めようとする行政の側との間には強烈な矛盾があるわけです。ひとつこの件について文部省でも御存じと思うわけですけれども、この文岡中学校というのと東海中学校、安乗中学校、三校を統合するという問題について、ひとつ関係の方から御説明いただけませんですかな。
  128. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 先ほどの御質問にも関連いたしまして、私どもの統合の当初計画数字でございますが、それにつきましてはいま御指摘のような具体的事例を見込んで数字を積み上げたということではございませんで、四十八年度計画を立てました際に、四十七年度の実績がございましたので、それを一応の基礎にして決めた数字でございますので、それが実態とずれを生ずる結果になったと、そういうことでございます。  それで、ただいま御指摘の三重県安児町の中学校統合問題でございますが、私どもがいろいろ聞いておりますのでは、町の計画なりあるいはそれに対する反対意見といったものも聞いておりますが、それらの細かい点は別にいたしまして、町側といたしましてはやはりそういった反対の意見といいますか、反対する方々がおりますので、やはり町民の総意ができるだけ反映できるように物事を進めてまいりたい、そういうことで、現在町内各地で説明会の開催なども行うようにいたしたいということのようでございます。それで、県の教育委員会もやはり同じような方向で、事柄ができるだけ円満に進むように当該の町を指導しておるというふうに承っております。
  129. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 このケースは具体的に私も見せてもらったわけなんですが、文岡中学校という学校は、いわゆる通達に言う適正規模よりも小さくないわけですね、わりあい大きな学校なんですね。それを現在位置から外して他の新しい場所に持っていく。しかも現在あるところは、近鉄が大阪から非常に早く走りますが、賢島の駅におりましてほど遠くない近鉄の開発地帯のいい場所にあるんですね。たとえばそこにホテルなんかができれば風光絶佳というようなところにあるわけです。それが統合地の方が面積が減るわけですね。そしてそこは住民にとっては満足しておって、老朽しておるから建てかえをしてもらいたいという要求があるわけです。ところが、建てかえをするとお金がかかるから、統合の際になら補助金の率がいいからそれに乗らなければ建てかえをやらぬということで、住民要求の建てかえのことを聞かずに、それに統合が乗っておる。驚くべきことには、行く先の方が面積が減って、そこにかなり通学バスに長時間乗らなければならぬ安乗とか東海の方からやってこなければならぬことになっているわけです。  この文岡中学校は何学級現在ある学校か御存じですか。
  130. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 十三学級というふうに私どもは承知しております。
  131. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 たしか、年によって少しく推移はありますけれども標準十八学級ぐらいで私はやってきた学校だというふうに見てきておったのですが、十三学級ですか。十三であるにしても、大体これは適正規模と文部省で認める規模なんじゃないですか。
  132. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 十二ないし十八は適正な標準であるというふうに考えております。
  133. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 これが全学校統合すれば大体どのぐらいの規模になるわけですか、三校統合した場合には。
  134. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 三つの学校を統合すると二十二学級相当の規模になるというふうに承っております。
  135. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 いま適正規模の範国内にある学校を、これは三校統合をやって遠距離通学をこしらえあげて、そしていわば十八学級までという適正規模を超えた学校をわざわざつくるというようなことは通達の趣旨に照らしてみればどういうことになりますか。
  136. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 義務教育学校施設費国庫負担法の施行令に規定をしておるわけでございますが、統合というのは個々具体のケースでいろいろその要因と申しますか、それを必要とする事情が異なっておるわけでございますが、とにかくそういういろいろな意味での必要を満たすために統合するという場合に、この五学級以下の学級数の学校と、それから一応標準とされます十八学級までの学級数の学校とを統合する場合には、十四学級までをこれまた標準的な適正規模というふうにみなすと、法令上はそういう字を使っておりますが、そういう考え方をしようということなっておるわけでございます。
  137. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 あわせて、この問題が出てから後は、住民のいろいろな意見によって一応統合の動きは足踏みというか中断しておりますけれども、一つ深刻な事態は、そういう状況に押されて老朽危険の校舎がそのままに放置されているという問題なんです。これは全国至るところにある問題です。私は福島県なんかにも参りまして、かなりのそういう事情を見てきておるわけですが、実にこの文岡中学校というのは危険率七二・八%、老朽の程度は一番いいところで四五〇〇点、悪いところは三五〇一点という学校なんですね。これを統合が実らない限りは改築をしないという状況に置かれて統合の圧力がかかっておると。しかもその背景になるものが一つの行政誘導として標準的な学校にさせようと、ただしこれは財政上の利益と教育上の問題と両方考えてやれという趣旨が通達には書いてありますし、特にUターン通達と言われる四十八年通達では、住民との合意が強く書かれておるにもかかわらず、実にまあこの点がむしろ弱小自治体の老朽校の改善に対して、いわばこれを阻む役割りを果たしてきておって、統合でなければ改築しない、この例が全国至るところにあるわけであります。この点についてはせっかくUターン通達を出されたのでありますから、この点たとえばこの文岡中学校の例ばかりでなく、全国多数あるこういう学校についてやりやすくなるような、そのまま改築をする意欲がわくようなひとつ政策の強化をお願いをしなければならぬと思うわけです。その点はいかがでしょう。
  138. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 具体例を承って、ああ、そんなところがあるかなあと、私思い知らされた感じですが、やりやすくなるようなということでありましたならば、今回とっております措置もいろいろな条件緩和を行いましたし、補助率こそいままでどおりでございますけれども、その裏づけになりまする裏負担と申しますか、交付税なり政府資金をもっての地方債充当、それによって危険校舎を建てかえるための市町村の必要とする資金確保はできるはずでございます。しかもその起債償還をしなければなりませんときには、交付税に換算して元利償還をまた見ることになっておりますから、将来見通しも立てて、この通達の趣旨も生かして、ひとつ地方自治の本旨に乗って、その市町村にしっかりやってもらいたい、私は深くそういうことを感じました。
  139. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 終わります。
  140. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 義務教育学校施設費国庫負担法におきまして、人口急増地域に対する小・中学校校舎の新築並びに増築、これに対する国の負担割合を引き上げる、こういう措置をいままでとってきたわけであります。さらにこれを五年間延長するということでありますけれども、これは当然必要な措置と思うわけであります。ただ、この制度で十分と言えるのかどうか。いままでの経過から考えてどのように評価されておりますか、文部大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  141. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 小・中学校校舎の新・増築にかかわります補助率は原則二分の一であることは御承知のとおりですが、急増市町村において学校建設費の増大で、市町村財政が大変窮迫をいたしておりますのが実情でございますので、それにかんがみまして、四十八年度の特例措置として三分の二という補助率を創設をいたしまして、市町村財政負担の軽減に対処をしてまいったところでございます。またこれらの小・中学校施設整備とかかわります補助裏の地方負担分につきましても、一部地方交付税で、他の部分については昭和五十二年度から全額政府資金起債が認められたわけでございまして、このまた地方債の後年度におきます元利償還についても、その過半を地方交付税措置されることに相なっております。  このような年度を経るに従って措置改善をしてまいりまして、児童生徒急増市町村におきます円滑な整備の努力に努めてきたところでございますが、おまえそれで満足しているかということでありましたならば、まだまだ今後努力をしなければならないと考えております。
  142. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 このほかにも用地の補助ということもあるわけですから、かなり手厚い措置をとっておると言われれば、そのようにも思うわけでありますけれども、しかし現実の問題として、特にこの人口急増地でいろいろな問題が生じております。私はそのいろいろな矛盾の中で特に大きな点を取り上げてみたいと思いますけれども、特に人口急増地中心としまして現在三百六十五市町村、これは五十年に建設省が調査された数字でありますけれども、三百六十五市町村で宅地開発指導要項というものがつくられております。問題はこの中で義務教育施設に対して開発事業者の負担を定めたものがかなりあるわけであります。大体どの程度あるのか、これは建設省にお伺いをしたいと思いますが。
  143. 渡辺尚

    説明員(渡辺尚君) 御指摘のように、五十年六月の段階で三百六十五市町村が指導要綱を制定しておったわけでございますが、その全体について、その内容の詳細につきましては把握をしておらないわけでございます。ただ、かなり多くの要綱が義務教育設備について開発者に何らかの負担を求めているというように推測されるわけでございます。
  144. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私は特にこの義務教育施設の負担を開発者に持たせる、それは、さらにひいては宅地購入者の負担となっておるわけでありまして、これが法的に見ても非常に疑義があると思うんです。憲法二十六条には義務教育は無償とするということがうたってあります。さらに教育基本法の第四条には、国・公立の義務教育については授業料を徴収しない、こういうことがうたってあるわけでありますけれども、この憲法による義務教育の無償ということがどの範囲まで無償にすればいいのか。これは過去の最高裁の判例もありますし、いろいろ議論のされておるところでありますけれども、いわゆる無償とすべきものの範囲、それから有償でもやむを得ないと思われる範囲、こういう点について文部大臣はどのようにお考えになっておりますか。
  145. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 憲法に定めます義務教育の無償の意義につきましては、御指摘のとおりに最高裁の判例にもありますとおり、授業料を徴収しない、こう解されておるわけでございます。教科書、学用品その他の教育に必要な一切の費用をすべて無償としなければならないというものではないという解釈がございます。しかしながら、憲法と、いまこれも田渕委員指摘教育基本法で言うところの教育の機会均等をより広く実現するために、授業料を徴収しないという以外に法律を定めまして、教科書の無償措置を講じてきたものでございます。そうして、その無償の範囲というものは、私はやはり国力の進展に応じて改善をしていくべき筋合いのものであると考えておりまして、この国力の進展に応じて無償の範囲の拡大に努力をいたさなければならないのが文部省の責務であると考えます。
  146. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 そうすると、現状において大体この範囲のものは無償であるべきである、この範囲のものは有償でも差し支えない、それはどの辺でその線を引かれるお考えですか。
  147. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) それは憲法を受けての教育基本法、さらに教育基本法を受けてのいま御審議願っております国庫負担等、法律で定めた範囲でございます。
  148. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 昭和四十九年に都道府県の教育長協議会がまとめた報告書があるわけです。これは特に学用品に類するもので有償であるべきもの、無償であるべきものの一応の線引きを考えておるわけです。で、公費負担とすべき経費としては、学級、学年、学校単位で共用または備えつけとするものの経費、その他管理、指導のために要する経費、こういうものは公費負担にすべきである。それから私費負担とする経費は児童生徒個人の所有物にかかわる経費、たとえばランドセルとか鉛筆とか、ノートとか、こういうものは私費負担こういう基本的な考え方をあらわしておるわけですけれども、これについては大臣はどうお考えになりますか。
  149. 諸澤正道

    政府委員(諸澤正道君) ただいま大臣からお答え申し上げましたように、一般論で言えばやはり国の財政状況なり、国民の生活水準なり、そういうものの変遷に応じ決めていき、逐次公費の範囲を拡大すべきものと考えますけれども、いまおっしゃいましたように、教育長協議会の方でプロジェクトチームをつくってそのような検討をされたようでありますが、一般的に申しますならば、おっしゃるように個人の所有に帰するような学用品等は個人負担とし、父兄負担とし、学校で共同に使うなり、あるいは学校に備えつけておくような設備のようなもの、あるいは教材のようなものは国あるいは地方公共団体負担として、公費の負担として整備していくことが現段階としては妥当である、こういうふうに考えるわけでございます。
  150. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私は、授業料無償だというふうに、これは最高裁の判例、あるいは教育基本法でうたっておるわけですけれども、この授業料というものの概念は何か。これは恐らくその学校の施設に要する費用並びに先生の給料、その他の経費、そういったものは授業料に相当すると思うんですね。だから授業料を無償とするということは学校の施設についてもこれは無償でなくてはならない、それから先生の給料についてもこれは無償でなくてはならない、こういう趣旨だと思いますけれども、いかがですか。
  151. 諸澤正道

    政府委員(諸澤正道君) 授業料というのは要するにその教育を受ける代価ですから、それを具体的に幾らかというふうに決めることは行政当局の一般諸公共料金等との均衡を考えて判断すべきことでありまして、観念的に言いますならば、おっしゃるように代価を取るということは、それにふさわしいだけの施設設備を準備して教育をするということでありますから、父兄負担をそういった施設設備の整備というようなところまで負担させることは妥当ではないというふうに考えられます。
  152. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 そうしますと、私は先ほどの宅地開発指導要綱の問題点というのは、やはり義務教育の施設について、たとえば用地を無償提供させるとか、あるいは東京都の八王子市においては用地のみならず、校舎建設分担金というのを取っております。一世帯当たり小学校で十万円、中学校で五万円、こういう基準を決めておりますし、さらに教員住宅用地及び住宅を確保して無償譲渡する、こういう規定があるわけです。私はこれは憲法の趣旨から言うと非常におかしな問題だと思いますが、いかがですか。
  153. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 国といたしましては義務教育学校施設費国庫負担法、ただいま御審議をいただいておりますこの法律に基づきまして、義務教育学校の設置者である地方公共団体に対して、その経費の一部を負担することによって、従来からこれらの施設整備促進に努めてまいったところでございますが、御指摘のように義務教育施設の整備に関して設置者であります市町村が、土地開発者からの協力を受けていることが現実問題としてあるようでございます。これは地方公共団体の財政運営のあり方の問題でありまして、そのこと自体が憲法並びに教育基本法に直接関係するものではない、このように考えております。教育基本法におきましては教育行政は教育目的を遂行するために必要な諸条件の整備確立、これを目標として行わなければならないものとしておりますが、これは教育行政のあり方についての基本的な考え方を示したものと私ども理解をしているわけでございまして、具体的に学校施設の整備をどのような形で進めるかは、本来設置者である地方公共団体が、その財政運営のあり方の問題として、地方行財政関係法令に従って措置するべきものと、かように考えておるものでございます。
  154. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 宅地開発指導要綱というものはもちろん法的な強制力も持っておりませんし、法的な裏づけもないものでありますから、これがたとえば条例化されるとか、そういうことになるとどうなりますか。これは憲法や教育基本法の精神から言うと、ちょっと矛盾が出てくるのではないかと思いますが、この点はいかがですか。
  155. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) やはりいま大臣から申し上げましたように、教育行政担当の文部省といたしましては、いま御審議いただいております法律に基づきまして、国もできるだけ地方公共団体の行います施設の建設に協力をしていこうと、こういうふうに構えておるわけでございますが、御指摘の宅地開発要綱の問題は、これまたただいま大臣から申されましたように、地方公共団体がいろいろ全体に当該団体の運営上財政面の運営をどういうぐあいに持っていくかという、そちら側のいわば問題でございまして、やはりこれは地方行財政関係の体系で、本来望ましいあり方はどうあるべきかということは考えていかなければならない問題ではないかというふうに思うわけでございます。  現状では、先生御承知のように、地方財政法の昭和三十五年の法律改正におきまして、直接的には「市町村の職員の給与に要する経費」、それから「市町村立の小学校及び中学校の建物の維持及び修繕に要する経費」、これを住民に「その負担を転嫁してはならない」、こういうふうに定められておるわけでございます。これが定められました時点で、文部省といたしましても、この状況につきまして、各都道府県の教育委員会に次官名で通達を出しまして、この趣旨が徹底されるように求めておりまして、なおあわせて、この法律改正で直接対象とされた経費はこれであるけれども、したがって、新築、増築、改築等に要する費用は直接含まれておらないけれども、この政令で定める以外の経費であっても、この政令の趣旨に沿っていろいろな意味努力をしてほしいという要望をその際にあわせて行っておる次第でございます。
  156. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 この問題は、私は地方財政法から見た場合、まず第一は第四条の五、「割当的寄附金等の禁止」。もちろん寄付であるならば、これは構わないんじゃないかと思うのです。たとえ義務教育の施設であろうが、寄付をするのは構わない。しかしこれは非常に割り当て的寄付に等しい。その町に入って住もうと思えれば、その宅地の中にそういう部分の費用を当然含まれた価格で買わなければ住めないということは、これは割り当て的寄付に相当すると思いますね。だから、地方財政法第四条の五に違反しておると思います。  それからいま御指摘のあったのは二十七条の四でありますけれども、これの一つ前に二十七条の三というのがありまして、これは「都道府県が住民にその負担を転嫁してはならない経費」、その中には、「都道府県立の高等学校の施設の建設事業費について、住民に対し、直接であると間接であるとを問わず、その負担を転嫁してはならない。」こういう規定がありまして、その後に二十七条の四があって、「市町村は、法令の規定に基づき当該市町村負担に属するものとされている経費が政令で定めるものについて」住民に「転嫁してはならない。」そしてそれを受けて政令があるわけです。ところが、この政令の中には、「市町村の職員の給与に要する経費」、それから「市町村立の小学校及び中学校の建物の維持及び修繕に要する経費」、これにはいわゆる新築、増築は含まれていないわけです。これは法律から見てちょっとおかしいと思うのですね。義務教育でない高等学校において、これは住民に対して転嫁してはならぬということを地方財政法でうたっておるわけです。二十七条の四のそれを受けた政令の中で維持、修繕だけ書いて、新築、増築について触れていないというのは、ちょっとこれ妙な気がするわけですけれども、さらに考えてみると、小学校中学校の建築費というものは、これは義務教育ですから、義務教育無償というあの精神から、教育基本法の授業料を徴収しないという精神から言うと当然これは含まれておる。授業料を取らないというのは、授業料という名前で取らなくても、学校の基本的な経費の負担を求めていいんだというなら、授業料を取らないという趣旨は全く意味をなさないわけです。だから、当然小・中学校においても、その建設費は負担を転嫁してはいけないという趣旨だと解釈すべきだと思うのですけれども、この点はいかがですか。
  157. 小林実

    説明員(小林実君) 宅地開発指導要綱に基づく開発者負担金の問題でございますが、この問題につきましては、基本的には宅地開発が行われますと、それに伴いまして地元地方団体が一時的に財政負担を多く負わなければいけないという状況が出てまいるわけでございます。また御承知のような財政状況でございまして、地方財政全般につきまして非常に苦しい状況でございまして、多くの地方団体でこういう要綱がつくられてきておるわけでございます。私どもといたしましては、ある程度はやむを得ないものというふうに考えておるわけでございます。  御質問の点でございますが、たくさんの団体でやっておりますし、その運用につきましても、その詳細を承知しておりませんが、一般的にはこの地方団体と事業者との間で相互に協議を行って協力を得ているというお金でございますので、直ちに四条の五の違反にはならないと、こういうふうに私ども考えておるわけでございます。  それから、二十七条の四の問題でございますが、規定の上では、御指摘のとおり、維持、修繕に要する経費につきまして転嫁を禁止しているわけでございまして、建物につきましても、もとより私どもも好ましいというふうには考えておらないわけでございます。規定そのものにおきましては、建物は入っていないわけでございまして、これも直ちに地方財政法違反だと、こういうふうには私ども考えておらないわけでございます。しかし、決して望ましいというふうに考えているわけではございませんので、特に義務教育施設につきましては、国、地方団体が負担するという考えに立って財政措置をしなければいけないということで、先ほど来文部省の方からもお話がございますような特例措置が講じられておりますし、それに伴う地方団体の負担につきましては、地方債、交付税措置しているわけでございます。今後ともこれらの財政措置を充実してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  158. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私は、そういう解釈は余りにも形式的に法律を解釈した論議だと思うのですね。最高裁のいわゆる無償なのは授業料でいいという判決は、教科書を無償にしろという訴えに対して下された判決なんです。学校の施設の負担について直接触れた問題じゃないわけです。だから、あの判決を例にとって、授業料さえ無料なら何でもほかは負担さしていいんだということに直ちに結びつかないのではないか。  それからもう一つは、この地方財政法のいまの二十七条の三と四の関係を見ましても、高等学校は明らかに建設費を負担させてはならないというふうに明記されております。それからあとの二十七条の四は政令にゆだねられているわけですね。だから、私はそういうふうな解釈をもしされるなら、その政令自体に非常に問題があると思うのですね。私は政令でそういうことを除外しておるのは、これは明らかに——教育基本法で義務教育の授業料は無償だと、こういうことをうたっているということは、設備費、建設費の負担をさしてはならないということを含んでいるから、政令でわざわざうたう必要がなかったのではないか。だから当然私は、高等学校はいかぬけれども小学校中学校は建設費を住民に転嫁してもいいんだという解釈にはならないと思うんですね。だから、言うなら法律の文章だけつかまえて形式的に解釈をして、小・中学校の住民に負担転嫁を黙認しているというのは、私は法の精神から言うと非常におかしな問題だと思うんです。この点はいかがでしょう。
  159. 小林実

    説明員(小林実君) 確かに、義務教育施設につきましては御指摘の点もあるかと思いますが、私どもはあくまでも協力基金の問題につきましては、相互の合意に基づいて提供されているものというふうに考えておるわけでございまして、趣旨といたしましては、御指摘のとおり、決していいものというふうには考えていないわけでございます。なお、実際の運用につきましては、なかなかつかみ切れないわけでございます。  それから特に問題でございますのは、最近の地方団体の開発指導要綱をつくる基本的な姿勢でございますが、人口お断りということで、もう人口入ってきてもらっては困るんですと、こういう考え方を強調される団体も多いわけでございまして、そういう点から、なかなかむずかしい問題なわけでございます。この点につきましては、ただいま建設省と私の方で宅地開発指導要綱につきましては調査をしておりますので、その実態をつかんだ上で、さらに関係省庁等と協議をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  160. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 合意に基づいてということを言われますけれども、これは宅地開発指導要綱だから、形式的には合意に基づいてというかっこうをとります。しかし、実際はこれを承認しなきゃ開発できないんですよ。だから、これは決して合意に基づいて任意の寄付と同じに解釈をするのは私は間違いだと思うんです。それまた余りにも形式主義的な見方であると思うんですね。だから、どこから見てもこの問題は私は憲法並びに教育基本法の精神に違反しておると思うんです。形式的にどういう言い逃れをされるかわかりませんけれども、そういう矛盾点を含んでおると思いますね。  それから、確かに人口急増地は、宅地がどんどんふえるということは、市町村にとっての負担が非常に重くなることは事実であります。そこで、行政管理庁が宅地開発に関する行政監察結果に基づく勧告というのを昭和四十三年七月に出しております。この中で、事業者が負担をすべきもの、あるいは国、地方公共団体負担をすべきもの、あるいは受益者、原因者分を事業者が負担すべきもの、この三つに分けて勧告をしておるわけですね。その中でも義務教育施設、都市計画道路は、これは国、地方公共団体負担しなさいと言っておるわけです。この勧告の精神から見ても、これは全くおかしいわけですね、この点はどうですか。
  161. 渡辺尚

    説明員(渡辺尚君) いまお話ございましたように、私どもといたしましては、根幹的な関連公共公益施設、こういったものにつきましては、市街化区域内におきましては、原則として管理者が持つということが基本であるというふうに考えておるわけでございます。ただ、現実の姿としまして、宅地開発のテンポに対しまして、なかなか市街地の整備のテンポが追いついていかないというような実態もございますし、また三大都市圏等の人口急増市町村、財政事情が宅地開発に伴って非常に負担が大きくなるというようなこともあって、やむを得ず指導要綱というような形で負担を求めているというふうに考えております。
  162. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 最初の問題に戻りますけれども、文部大臣からもいろいろ御説明がありましたけど、私はこういう事態が起こっておるということ自体、この義務教育学校施設費国庫負担法、この制度で十分とは言えない。その一つの証拠があらわれておると思うんですね。それをまた、そろいうことに目をつぶって、このまま同じようなものを五年間継続していいのかどうか。もっとそういうことを改革できるような措置をこの際講じなければならないんじゃないかと思うわけです。その点は文部大臣はどう考えておられますか。
  163. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 土地開発要綱に基づいて開発事業者が言われるように、合意の上でのそのような協力金と申しますか、そういうものが受け渡しされているという御説明があります限り、私どもといたしましては、このことが直接教育基本法に触れるという断定は下せないわけでございます。また、行政管理庁から昭和四十三年度に勧告を受けまして、その勧告を受けました後、文部省としては、住宅団地の建設等が行われる児童生徒急増市町村における義務教育施設整備のための財源を充実させることが、まず主要であるという考え方の上に立って、四十六年度に用地の取得というものを選別をし、四十八年度からは整備費の負担割合を三分の二に改める特例措置を講じ、今回さらにその特例措置を五年間延長するための法律案の御審議をお願いをしておるわけでございます。  それから、改善に向かっての努力は続けてまいったわけでございますし、また補助裏の地方負担分につきましても、政府資金によります起債でありますとか、それの元利償還を見るとか、それぞれの措置がとられているわけでございまして、冒頭に申し上げましたように、それで十分かということでありますならば、教育基本法の精神からしてもまだまだ努力は続けなければならないということを十分認識をいたすものでございます。
  164. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 国としてはいろんなことをやったと言われますけれども、これは国と地方公共団体との関係のことでありまして、私が問題にしておるのは、国民と地方公共団体並びに国のことなんです。国として地方公共団体に対して補助をこれだけつけるようにしたとか、あるいはその裏負担について地方交付税で見るようにしたとか言われましても、実際国民に義務教育施設の負担というものがかかってきておる。それを改善しなければ何にもならないわけでしょう。だから国としてこれだけのことをやれば、地方公共団体は、そんなことをしなくとも済むというなら私はわかりますよ。国としていろんなことをやられたって、いまだに宅地開発要綱というものがあって、宅地が開発されるプロジェクトの中の大部分は、義務教育施設について用地を提供させられたり、あるいは学校校舎の建築費の負担をさせられたりしておるわけですよ。これを改めなければ私は何にもならないと思うのですね。だから国はここまでやっているから、あとは地方公共団体の問題だと言われるかもわかりませんけれども、私はそれならば、宅地開発要綱についても、自治省として、あるいは建設省としても、もっと厳しくチェックされて指導してもらいたいと思いますね。でなければ私は幾らこんなりっぱな法律があっても何にもならないのじゃないかと思うのですよ。この点はいかがでしょう。
  165. 渡辺尚

    説明員(渡辺尚君) 先ほど申し上げましたような実情であるわけでございますけれども、われわれといたしましては、そういった実態を踏まえまして、まず国の公共事業として、できるだけ優先的に採択していくとか、それから建てかえ施工制度をやっていく、あるいは補助率引き上げる、さらにかさ上げの地方債につきまして利子補給をするとか、さらに五十三年度につきましては三百億円というものを計上いたしまして、公共施設については別枠の補助をするというようなことをやってきておるわけでございます。で、いま御指摘の点につきましては、問題はやはりいろんな実態を踏まえまして、行き過ぎの点だろうというふうに考えます。先ほど自治省の方からもございましたように、現在共同で調査をしております。その結果を踏まえまして、関係省庁とも協議をしながら、その是正に努めてまいりたいというふうに考えております。
  166. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 調査の結果はいつごろ出ますか。
  167. 丸山高満

    説明員(丸山高満君) 現在各府県を通じまして、市町村の方から集めておりますが、まだ一部の団体から出てまいりませんので、いましばらく時間をおかしいただきたいと思います。
  168. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 大体いつごろですか。
  169. 丸山高満

    説明員(丸山高満君) これは相手様のあることでございますので、はっきりお約束いたしかねますが、恐らくその後の集計作業によりますと、六月以降ぐらいになるのではなかろうかと考えております。
  170. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 じゃ、終わります。
  171. 有田一寿

    有田一寿君 私は、きょう審議いたしております、この義務教育学校施設費国庫負担法の一部改正そのものについては触れませんが、これの延長線上にある高等学校の施設のことについてお尋ねしたいと思います。  最初に、小学校生徒がピークになるのはいつか、中学校の場合はいつかということをお尋ねしたいと思います。
  172. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 小学校児童数の見込み数でございますが、今後ピークになる年は昭和五十六年でございまして、中学校につきましては六十一年でございます。
  173. 有田一寿

    有田一寿君 高等学校生徒がピークに達するのは何年になりますか。——結構です。実はおたくの事務の方から伺っている数字がありますから、多分同じだと思いますから、時間節約のために私の方から申し上げますが、多分六十五年だと思いますが、いま私が調べたのと一年違うようですから、六十四年とあるいはおたくの方に載っているかもわかりませんが。
  174. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 六十五年です。
  175. 有田一寿

    有田一寿君 そういたしますと、進学率の上から見まして、五十五年ですでに全国平均で九五・七%に多分なるだろう。で、九八%以上の進学率になっているところが、もうすでに東京、山梨、和歌山、香川、高知等、そのほかにあるいは抜かしたのがあるかもわかりませんが、そういうところはすでに九八%になります。それが六十五年ということになりますと、これが下がるか上がるか、どういうふうに見通していらっしゃるか。おわかりであれば伺いたいんですが。
  176. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 高等学校につきましては、小・中学校と違いまして、先生いま御指摘のように、進学率の推移というものが生徒数の見込み数と密接に関連してくるわけでございますが、これを各都道府県でもいろいろな手法で推計をしようといたしておりますが、現在までやはりある程度の推計ができておりますのが五十六年まででございまして、それもやはりいろいろな意味での社会的な移動でございますとか、それから社会経済状況の変化でございますとか、そういった関係もございまして、その推計も率直に申し上げまして、非常に確実で自信のある推計というふうにも言いがたいものであるというふうに理解しております。
  177. 有田一寿

    有田一寿君 ただ、ここに一つ資料があるんですが、これは五十年度にいろんな資料を使って推計をされた。これによりますと、五十六年に高等学校生徒の数が四百八十七万七千。ところが、それから四年後の六十年になりますと五百四十六万四千と、まあ大きくは狂わないこれは推計であろうと私は思うわけですよ。さらに、これが五十六年になるときどうなるか、これはわかりません。けれども、私が申し上げたいのは、すでに五十五年で九八%になるところが相当出る。まして六十年になると人数にして六十万人ぐらいこれはふえるという数字が推計されるわけですが、そうなりますと、六十五年になれば、これよりもはるかに進学率が落ちて、就学人口が減少するということは考えにくいのではなかろうか。そうなると、これは一種の義務教育的な配慮が、ある程度文部省としてはなされなければならないのじゃないか。これは義務教育にするとかしないとかいうことは、これはただいまの建物、校地の負担、自家負担——国家補助ですね、等のことを考えれば、それは義務教育だとは言えないけれども、この制度、内容の扱い方については、これは、やはりある意味義務教育的な考えを持ち込まなければだめなのではなかろうか。その場合、じゃ、何を言っているんだと言えば、結局、義務教育的ということはこれだけばらつきのある、よくできる子供、ついていけない子供等をほとんど全員収容するわけですね。しかも九八%ということ、あとの二%というのは、これは大体統計上から見れば何らかの意味の身体不自由児、これが二%ですから、ほとんど一〇〇%が高等学校に進むというふうに考えなければならない。そうなれば高等学校だから、言いかえれば義務教育ではないからということで逃げられない。だから、いまから文部当局としては、これに対する準備をなさらなければ間に合わないんじゃないか。あるいは、もしなさっておるとすれば、それについてお聞きしたいんですが、まず、この養護高等学校、あるいは能力別学級編制等によって、それぞれよくできる子供が足踏みをしないように、ついていけない子供は少しでもついていけるようにするためには、これだけの、九八%近くの者が一つの学校の中に一つのクラスの中にはめ込まれれば、これは完全な指導は絶対にできない。しかも四十五人に一人という定員ではできない。そうなれば、ますますいまのばらつきというものはひどくなる。それが非行化に走ったり、いろんな好ましからざる結果を生んでくるんではなかろうか。ところが、父兄の心理としては養護高等学校に行くということは、ある意味の差別を感ずるからいやだ、一般の生徒と同じく同じ学校に、できれば同じクラスに入れてくれと言う。しかし、そこのところをどういうふうに考えて処理なさっていくおつもりなのかをまず伺いたいと思います。文部大臣
  178. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 高等学校生徒が非常に急激に伸びていくという事態、御指摘のとおりでございます。また、これに対応いたしますことがこれからの文部行政の上での最大の重要課題と申しても差し支えございません。ただ、当面の問題といたしましては、各都道府県の教育委員会が生徒数の増等を、先行きを予測をいたしまして、勘案をして検討いたしました資料に基づきますと、昭和五十一年度から五十五年度までに三百九十校の新設が必要である、こういう見込みを各都道府県教育委員会がそれぞれの府県の実情を踏まえて数字を出しているわけでございまして、文部省といたしましてはこれが可能になるように、まず施設の面からの対応策をとっておるところでございます。五十三年度予算におきましても補助金の相当な大幅の増額を見まして、五十三年度で七十五校の増を計画をいたし、それに対応するだけの予算措置をいたしているところでございます。一方、ただいまの有田委員の御指摘の中には、高等学校内容の問題をお触れになりました。まさに重要な問題でございまして、私どもといたしましては、いま義務的というお言葉をお使いになりましたけれども、高等学校義務教育化してしまうというところまではまだ文部省としても踏み切れないものがございます。依然として中学校を卒業して実社会に出ていく生徒が、数は少ないと言いながら、現実問題としてあること等もございまして、ただ義務的に将来なっていくだろう、こういう御指摘につきましてはまさにそのとおりでございますとお答えをいたさなければなりません。そうなってまいりますと、やはり教育の機会均等という問題と、能力に応じてという問題が、小・中学校は別として、高等学校になりました場合には非常に重要な問題になってくるわけでございます。養護高等学校の整備、また養護教育に熟練をした教員の養成にも努めなければなりませんし、いま御指摘になりました能力別学級を別につくるかということも、これはよほど慎重な検討結果をまたなければなりませんけれども、御指摘のございました非常にできる子をどうするのか、学力についていけない——学力についていけないと言うよりは、高等学校が九八%にも達するような進学率になってまいりましたら、学力についていけないというどころではなくて、学校という組織になじまない子供もまた入学をすることになるわけでございますから、能力別学級をつくればそれでいいという簡単なものではなかろう。それらのことを踏まえまして、もう率直に申し上げますならば、学制の問題も頭に置きながら、ただいまそれの検討をいたしておるところでございます。そして、その内容を、当面取り組めることはやらなければなりませんから、御承知のように小・中学校の学習指導要領の改定を終えまして、ただいま高等学校の学習指導要領の改定と取り組んでいるところでございますけれども小・中学校の学習指導要領を改定されましたものがそうでありますように、高等学校におきましても低学年ではやはりいま一度基本、基礎というものに重点を置いた学習指導要領にしたい、そして中・高学年におきまして、いろんな多様化されてまいりましょう子供たちの適性、能力にこたえられるような高等学校、そのような学習指導要領の改定にいま着手をしておるところでございます。そうもう長いことなく結論が出せるかと思いますが、教育のその中身、内容につきましては学習指導要領の改定をいまやっているところと。将来の見通しに立っては、いま先生御指摘のような点を十分踏まえながら、積極的にできるだけ早く結論を出すような検討をしなければならない、こういう決意をいたしておるものでございます。
  179. 有田一寿

    有田一寿君 いろいろ質問があれこれして恐縮ですが、いまおっしゃった三百九十校、あれは知事会の方では四百十五校ということで出ておったと思います。もちろんそれは多少水増しというか、甘く考えて知事会の方では出した面もありましょうから、三百九十校が実質的な数字であろうと思います。仮にそうだとした場合に、五十一年から五十五年までに三百九十校ということになります。三分の一の補助ですね、校舎屋内運動場、それと寄宿舎、あわせてそれの三分の一。だから今度の予算で仮に二百億を出しておられると思いますが、そうなれば六百億ですね。その場合に、用地費とその他の建物、言いかえれば補助の対象になる建物との比率、これはどういうふうになっておりますか。一校当たりについて言っても結構ですし、全体の数字でも結構でございますが、お尋ねいたします。
  180. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 高校の一校当たりの建設費でございますが、これは申すまでもなく、地域によりまして、あるいは学校規模によりまして、相当に差が出てくるわけでございますが、仮に二十四学級規模の学校について、一応所定の単価を用いまして試算をしてまいりますと、単価には建物やプールにつきましては予算単価がございますが、用地につきましては実績の平均を仮に用いてみて試算をいたしておりますが、そういたしますと、建物の建築費につきましては約八億八千万円程度になりまして、それから土地の取得費につきましては約十二億六千万円、プールにつきましては二千五百万円というようなことで、合計約二十一億六千七百万円程度を必要とするというような数字を試算することができるわけでございます。
  181. 有田一寿

    有田一寿君 そういうことであろうと思いますが、結局この義務教育学校の場合も急増地域について補助率を五年間延長するということ、高等学校について見ても、この前の委員会のときも論議になりました東京、中京地区、近畿地区というような三圏が人口急増地区であって、そこに七五%が集中している。三百九十校の中の恐らく七、八〇%はその三つの圏であろうと思うわけです。それで結局地方財政については国と地方財政とのかかわり合いであって、その中にいろんな種類のものがありますし、それは小・中学校から高等学校から、その他のいろいろありますが、要は地方財政が窮迫している、だから教育面がそれによって抑えられ、阻害されては困るということで、それを抜き出してそれぞれ補助しているということだろうと思うので、私はこの三つの圏の急増率というものは、今後ともそう下がることはないだろう。そうなると、もう財政が追いつけばいいが、追いつかない場合に、結局高等学校というものは二部授業をするか、建物を高層化するか、用地を、国有地を優先的に払い下げるか、あるいは起債枠を特別枠を設けて大きくするか、何らかの手当てをしなければ、結局高等学校義務教育でないだけに逆にしわ寄せを受けてくるであろうと。そうなると、高等学校が実質上は義務教育でないと言いながら、もう九八%、九九%ということは完全に一〇〇%ですから、これはやはり義務教育的な考えでお互いに対処していかなければ、悔いを長く残すであろうということを強く感ずるから申し上げたわけでございます。  いま指導要領のお話が出ましたが、乱暴な言い方ですけれども、どういうことで高等学校の指導要領の改定がなされるか、出てみなければわかりませんけれども、ただ、私の推測ではそれぞれ御相談なさっておられる方々は学者がわりに入っていますよね、学者が。そうすると、学者は英語、数学をそれぞれ御担当ですから、自分の担当している学科については、あえて私をして言わしめれば学科、英語というか、そういうものが出てくるわけですね。現にいままでのずっと改定を見ているとどうしてもそうなる。自分の学科だけは、数学だけは、英語だけは、これはいい意味もあるんですけれども、一生懸命なるがために結果ああしたものが程度の高いものになって出てくる。私は、現在の数学は、高等学校のいまの生徒理解してついていけるのは一〇%であろうと思うんです。これは決して極端な数字ではないと思いますが、これは考えてみたらゆゆしきことでありまして、基礎がわからなければ先がわからないという数学、それが一〇%から多くても一五%しか大体ついていけないということは、私は大変無責任ではないかという気もいたしますと同時に、この数学というものについて、自分が数学に弱かったからそういう同情論を吐くわけではないんですけれども、それは教育学上でいう形式陶冶、言いかえりゃ何をやっても頭の訓練をするのだという、そのこと自体は実社会で役に立たないけれども、それはそれでよしという考え方がございますね。実質陶冶に対して形式陶冶、この面からいえばわからなくてもいいと、頭の訓練になったんだという考え方も一部の学者にあるようですけれども、私はそういう無責任なことは高等学校段階考えるべきではない。言いかえれば、数学というものはむずかし過ぎる、もっと程度を落としていいんじゃないか。第一、それほど数学をした者が実社会に出た場合に、それを何も活用をすることもありませんし、私どもがいま、うちの孫の算数を見て、これ小学校の五年、今度六年ですが、これでさえ私恥ずかしながらようわからないのですよ。まして中学になりますとわからない。高等学校になったら、余り見てもおりませんけれども、類推しても間違いないが、チンプンカンプンだろうと思うんですよ、これはやっぱりよほど下げていただくということの方が私は適当ではなかろうかという気持ちだけを申し上げてこれ以上くどくなるから申し上げません。  そして、御質問するのはあとわずかな時間ですけれども、先般この委員会でも、本会議でも申し上げました学校建築物を新たにつくるときは、その建築費の外側に一%程度を加えて、その校舎建築に芸術的装飾を施したらどうであろうかということを申し上げましたが、この前はフランスの例だけを私は申し上げましたが、西ドイツ、それからイタリア、それからアメリカ等について多分法例その他例があるわけでございますから、それをお尋ねしたいんですが、おわかりでしたらお尋ねしたい。
  182. 犬丸直

    政府委員(犬丸直君) フランスの例につきましては先般の先生の御指摘もございまして少し詳しく調べたわけでございますが、申しわけありませんが、ドイツ、イタリア、アメリカの例につきましてはまだよく調べておりませんので、これから調べたいと思います。
  183. 有田一寿

    有田一寿君 結局いま申し上げたような国々も、フランスのアンドレマルローがつくった法律には及びませんけれども、大体それに近いようなことでやられておるようでございます。別に他の国がやったから、やらないからということではなくて、私は、やはりそういうことが今後必要だろうと、そして、十年、二十年、そういう建物の芸術的装飾に触れる間に、無言のうちに子供、あるいは出入りする父兄、一般の人々等がこれで文化的な雰囲気になじんでくるようになると、これが島国根性だと言われる日本人の未来にとっては必要なことではないか。口では言ってもなかなか博物館に見に行け、美術館に見に行けと言ってもなかなか限られた人しか行けません。それから、特に田舎におればなおさらのことですから、そういうことで、日本の場合は学校というものが地域社会の中心になって今日まで長い間来ました。今後とも何といっても学校中心であろう。だから、その学校建築物をつくるときは必ずそこに芸術的装飾を施す。この芸術的装飾というのはどういうことが考えられるかということで、この前文部大臣からもちょっと御示唆がありましたが、私は狭く考えることは少しもないと思うんです。それは郷土出身の画家のよい絵でもよし、伝統的な古い絵でもよし、それから彫刻でもようございますし、文部省の、文化庁の階にありますね、あれ五重の塔のミニチュアですか、ああいうものをガラスに入れて壁面にはめ込んだものでもこれはずいぶん勉強になると思いますし、それから、りっぱなつぼでもよし、あるいは草木染めのような伝統工芸品でも結構ですし、もっと極端に言えば、伝統的な京だるのようなたるでもいいと思うんです。だから、そういうものを余り狭く考えずに、天井にはめ込む、あるいは壁面にする、三角コーナーに飾る、いろいろな手法はあると思いますから、要は一%程度、大した金額でありませんから、五千億であれば五十億程度予算をそのときつけさえすれば、これを十年、十五年続けていけば、私は全国至るところの学校、あるいはひいては公共建築物、鉄道の駅だとか、空港だとか、あるいは一般の体育館、文化会館、市民会館等もそういうことになっていけば、本当に私は生まれ変わったような日本の雰囲気が生まれてくるのではなかろうかというふうに考える。それには学校がまず先に手をつける必要があろう。それは国立の大学、あるいは都道府県に責任のある高等学校、あるいは小・中学校等が実行に移るとか、どの一角からかこれをお願いをしていきたいと思うわけでございまして、えらいもうしつこくこういう問題ばかりを言うようでどうかと思いますけれども、何としてでも御一緒にやりたいという悲願でございますので、ここでもう一回文部大臣の御所見を伺いたいんです。
  184. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 以前にも有田先生からその御提案をいただきました。私は非常に興味のある、魅力のある御提案だと思いましたので、文化庁の長官にフランスの実例等の調査をしていただいているところでございます。まだ私も国会にほとんどかん詰め状態でございますので、余り勉強する時間がないのですが、フランスのやっております実例を日本語に訳したものをわずかの時間でちょっとのぞくんですが、いろいろな問題がやはりあると思うんです。おっしゃるような趣旨学校はだんだんふえてまいってきております。いろんな壁画を学校の外側に使った小学校でありますとか、中学校でありますとか、あるいは内部にアイヌ模様を取り入れた装飾を施した学校でありますとか、カラータイルを使った学校でありますとか、有田焼を使ってみたり、いろんな陶磁器を使ったり、そういう学校がだんだんふえてまいっておりますことは大変好ましいことだと思うんですが、芸術的装飾——何が芸術かということも非常にむずかしいことだと思います。端的に申し上げますが、日本の建築学界、日本の美術界の中ででも相当な議論をこれは巻き起こすだろうと思います。しかし大変魅力のある御提案でございますので、積極的にひとつ検討させていただきたいと思いますが、いろんな、むずかしい難点があることもひとつ有田先生にも御理解をいただいて御支援をいただきたいところでございます。さらにひとつ付言いたしますならば、やはり有田先生や私どもが子供の時分から育ちました環境というものは、国自体がまだ貧しいときでございます。校舎も丈夫であればよいというような時代に建てられた校舎で勉強してまいりました。政府部内でこういったことを法制化するとか、予算として的確に確立していくとか——これはもう内緒のことでありますけれども財政当局の皆さんが有田先生ほど文化性豊かな人ばかりとはまだ残念ながらなっておりません。そこらの説得もなかなか骨の折れることでございますけれども、少なくとも三十年先の日本の総理大臣は、先進七ヵ国会議へ行っても見劣りのしない総理大臣でありたい、そうい、う子供たちを育ててまいりますのが私どもの責務でございますから、文化性豊かな日本国民に育っていくように、この問題につきましてもひとつ積極的に検討をさせていただきたいと存じます。
  185. 有田一寿

    有田一寿君 御熱意はよくわかりました。それで、いろいろな難点が財政的にも、あるいは何を美術的と言い芸術的と言うかという問題についても、これはそれぞれの建築とか美術の分野でもセクショナリズム的なものがあると思います。しかし、いずれの国においても、そういうものを初めて法制化して実行していくという場合は、相当な論議を乗り越え、それから抵抗、エゴイズムを乗り越えて実施に移されておるわけであります。日本の場合も同様に、いろいろな面での我田引水的な議論も起こってくると思いますけれども、そういうことを言っておるとこれは切りがないわけでありまして、やはり絵であろうと、また同じ絵といっても、西洋の絵の場合、あるいは日本画の場合等、いろいろその立場立場での論議はあっても、いずれにしても何らかそこで審議機関をつくって、それで、うちの学校の場合、あるいはうちの公共建築物の場合はこれにしようということをやっぱり決めて、一%ぐらいですからやっていって、どうせそれが未来永劫に五十年も百年もそれが続くかどうか、建物自体もわからないんですから、どうせかえる機会もあるわけですから、そういうことであんまり神経質に考えずに、やはり私は実行に移ることが一番大事で、あとはみんなの議論を受けて逐次変わっていってもいいが、一番悪いのは何もやらないことが一番悪いというふうに考えたわけですね。  まあ十分おわかりのことをあえて私もくどく申し上げたわけですけれども、どうかそういうことで、遠からざる将来実現に移るようにお願いをして質問を終わります。  ありがとうございました。
  186. 吉田実

    委員長吉田実君) ほかに御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  187. 吉田実

    委員長吉田実君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。——別に御発言もないようでございますから、これより直ちに採決に入ります。  義務教育学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  188. 吉田実

    委員長吉田実君) 全会一致と認めます。よって、本案は原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  189. 吉田実

    委員長吉田実君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたします。     —————————————
  190. 吉田実

    委員長吉田実君) 次に、著作権法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。砂田文部大臣
  191. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) このたび、政府から提出いたしました著作権法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、許諾を得ないレコードの複製からのレコード製作者の保護に関する条約の締結に伴い必要となる国内法の整備を図ることを目的とするものであります。  許諾を得ないレコードの複製からのレコード製作者の保護に関する条約は、いわゆるレコードの海賊版に対する国際的防止措置を講ずることを目的として、一九七一年に、ユネスコ及び世界知的所有権機関が中心となって作成されたものでありますが、わが国においても国内レコード製作者が海賊版レコードの横行により被害をこうむっている実態、主要先進国がすでにこの条約を締結していること等にかんがみ、この条約を締結することは意義あることと考え、今国会において別途その締結について御承認をお願いしているところであります。  この条約の締結によりわが国が負うこととなります義務は、他の締約国国民であるレコード製作者が製作したレコードを、その無断複製物の作成または当該無断複製物の輸入もしくは頒布から保護することでありますが、今回の著作権法の一部改正の趣旨は、この条約上の保護義務を果たすために必要な規定の整備を行うことにあります。  著作権法は、すでに国内のレコード製作者を、その製作したレコードの無断複製または無断複製レコードの輸入もしくは頒布から保護しているところでありますが、今回の条約の締結のために、この著作権法による保護を受けるレコードの範囲を拡大し、条約によりわが国が保護の義務を負うレコードを追加することが、この法律案の主たる内容であります。  このほか、この条約が定めるレコード製作者の保護の内容著作権法によるレコード製作者の保護の内容との間に若干の相違があるため、これを整備することといたしております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成くださるようお願いいたします。
  192. 吉田実

    委員長吉田実君) 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。     —————————————
  193. 吉田実

    委員長吉田実君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  著作権法の一部を改正する法律案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  194. 吉田実

    委員長吉田実君) 御異議ないと認めます。  なお、日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  195. 吉田実

    委員長吉田実君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十七分散会