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1978-03-28 第84回国会 参議院 文教委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年三月二十八日(火曜日)    午後一時五分開会     —————————————    委員異動  三月二十三日     辞任         補欠選任      吉田 正雄君     久保  亘君  三月二十八日     辞任         補欠選任      藤井 丙午君     高平 公友君      勝又 武一君     対馬 孝且君      有田 一寿君     柿沢 弘治君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         吉田  実君     理 事                 後藤 正夫君                 世耕 政隆君                 粕谷 照美君                 小巻 敏雄君     委 員                 岩上 二郎君                 山東 昭子君                 高橋 誉冨君                 高平 公友君                 内藤誉三郎君                 久保  亘君                 対馬 孝且君                 松前 達郎君                 宮之原貞光君                 柏原 ヤス君                 田渕 哲也君                 柿沢 弘治君        発  議  者  久保  亘君        発  議  者  粕谷 照美君        発  議  者  小巻 敏雄君        発  議  者  田渕 哲也君    国務大臣        文 部 大 臣  砂田 重民君    政府委員        文部政務次官   近藤 鉄雄君        文部大臣官房長  宮地 貫一君        文部省初等中等        教育局長     諸澤 正道君        文部省大学局長  佐野文一郎君        文部省体育局長  柳川 覺治君        文部省管理局長  三角 哲生君    事務局側        常任委員会専門        員        瀧  嘉衛君    説明員        厚生省公衆衛生        局結核成人病課        長        仲村 英一君     —————————————   本日の会議に付した案件女子教育職員出産に際しての補助教育職員の  確保に関する法律の一部を改正する法律案(第  八十二回国会久保亘君外六名発議)(継続案件) ○日本学校安全会法及び学校保健法の一部を改正  する法律案内閣提出衆議院送付) ○義務教育学校施設費国庫負担法の一部を改正  する法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 吉田実

    委員長吉田実君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  まず委員異動について御報告いたします。  去る二十三日、吉田正雄君が委員辞任され、その補欠として久保亘君が選任されました。  また本日、勝又武一君及び有田一寿君が委員辞任され、その補欠として対馬孝且君及び柿沢弘治君が選任されました。     —————————————
  3. 吉田実

    委員長吉田実君) 女子教育職員出産に際しての補助教育職員確保に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  本案趣旨説明は、第八十二回国会ですでに聴取しておりますので、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。——別に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 吉田実

    委員長吉田実君) 御異議ないと認めます。  本案は、予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から本案に対する意見を聴取いたします。砂田文部大臣
  5. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 意見を求められました女子教育職員出産に際しての補助教育職員確保に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、一般類似事務職員との関連性から見まして困難であると考えられますので、政府としては賛成いたしかねます。
  6. 吉田実

    委員長吉田実君) これより討議に入ります。——別発言がないようでありますから、これより直ちに採決に入ります。  女子教育職員出産に際しての補助教育職員確保に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案賛成の方は挙手を願いします。   〔賛成者挙手
  7. 吉田実

    委員長吉田実君) 全会一致と認めます。よって、本案は原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 吉田実

    委員長吉田実君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  9. 吉田実

    委員長吉田実君) 次に、日本学校安全会法及び学校保健法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案趣旨説明はすでに聴取いたしましたので、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
  10. 粕谷照美

    粕谷照美君 日本社会党は一九五五年、第二十二国会義務教育学校児童及び生徒災害補償法を提出してきた経過から考え、互助共済安全会制度ではなく、学校災害補償制度創設を要求してまいりました。その立場では、基本的に安全会ということではなくて、補償法など救済措置について十分な討議を重ねていきたいと思いますが、これまでに補償の額の面では前進をしてきた部分もあります。また、病院や自宅で一日も早くこの給付を待ちわびていられる方々のことなども考えまして、年度内に成立をさせなければならないという立場から本日の審議に入ります。  衆議院学校災害に関する小委員会討議が行われ、木島小委員長による、一、特別な救済制度創設、二、原則として国及び学校など設置者が費用を負担することなどの報告を受けて、文部省としても予算要求をしてきたというふうに思いますが、この廃疾年金の構想が文部省努力にもかかわらず受け入れられなかったという、この一番の問題点はどこにありますでしょうか。
  11. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) お答えをいたします前にお許しをいただきまして、学校安全会法改正をいたしまして、その内容を充実させますことについて、衆参両院文教委員会の各委員の皆様から、昨年来非常な御指導をちょうだいをいたしまして、ここに安全会法を御審議いただきますことをまず心から先生方に敬意と謝意を表するものでございます。  年金制度導入についての御質問でございますが、文部省といたしましても国会の御意見もございましたので、努力をいたしましたけれども、以下述べますような事情で断念をいたさざるを得なかったわけでございます。年金は将来国民生活水準、物価その他の諸事情の変動に伴いまして、その水準引き上げる場合が想定されますけれども、その財源措置をどのようにするか。その財源を後年度における児童生徒等保護者負担をさせることも適当ではございませんし、またそれを全額公費負担とすることも、他の社会保障制度との均衡上困難であったことがその一つの理由でございます。  次に、高水準年金所得実績のない児童生徒等に設定いたしますことは、労働者障害補償年金とり均衡を失するという点もまた問題点一つでございまして、さらに一般廃疾者に対します社会保障制度におきます位置づけや関連等、検討するべきむずかしい問題がたくさんあったものでございますから、努力をいたしましたものの、年金制度導入に踏み切ることができず、見舞い金の大幅な引き上げによって、廃疾者救済を実効あらしめることとした今回の法改正を提出いたしたわけでございます。
  12. 粕谷照美

    粕谷照美君 全体的な見通しの中で、児童に対する廃疾年金という制度ができないということの判断だろうというふうに思いますが、しかしながら、学校教育というのはどうしても通らなければならない筋道であるという観点からすれば、やっぱり大変な災害を負った児童に対しては、災害によってこうむった被害を補償するという立場は非常に重要なことだというふうに私ども判断をいたしますが、このたびの安全会法改正によって、災害共済給付金に要する経費の一部を国が補償するということになったのは、私たちは大きな前進だというふうに判断をいたしております。しかしながら、前進ではあるけれども全額国庫負担ではないという点では非常な不満を持っておりますが、そこで、給付補助積算、つまり負担の割合というものがここのところでは明確になっておりませんけれども、一体どのような形で国庫補助が計算をされるのかという点についてお伺いをいたします。
  13. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) このたびの安全会給付内容改善に当たりまして、まず第一に保護者負担の増を来さないようにいたしたいという考え方に立ちまして、その面と、それから安全会自体給付事業が、保護者設置者の両々相まった責任において対処をしていくという基本に立ちまして考えを進めていったわけでございまして、具体の内容といたしましては、従来義務教育学校につきましては設置者負担がございましたが、非義務教育学校につきましては、もっぱら保護者負担ということでございましたので、この非義務教育学校につきましても、設置者負担分を一部負担することにするという考え方をとりました。いずれもこの設置者負担の分に対しまして、これを奨励し、またその給付内容改善を実効あらしめる、そのことによりまして、学校教育の積極的かつ円滑な実践に資するという観点から、新たに、初めて給付事業に対します国庫補助予算を計上したということでございます。その場合の大体の考え方といたしまして、義務教育学校につきましては、教育活動中のものにつきまして保護者が三分の一、設置者が三分の二の負担をする。それから非義務教育学校につきましては、保護者が三分の二、設置者が三分の一の負担ということにかんがみまして、これに対する設置者負担分の、義務教育でございますと三分の二の半分を持つというような考え方積算をいたしまして、義務教育学校につきまして十二億の補助金が計上されました。また非義務教育学校につきましては三分の一の三分の一を国が補助するということで、三億円を計上いたしました。さらにこのたび大幅な改善でございますので、特別廃疾見舞い金を十八年以前にさかのぼりまして、現に廃疾の状態にある人たちに対しまして、改めて直近最高額給付を再度支出していくというための経費半額三億円を計上したということで、十八億円の予算が計上されております。
  14. 粕谷照美

    粕谷照美君 そうしますと国が三分の一、設置者が三分の一、これは教育活動中ですけれども、そして保護者が三分の一と、大体同じ率になっているわけですが、これは来年も再来年もこの枠でいくというふうに考えてよろしいのかどうか。そのこととかかわり合いますけれども掛金給付金額大型化に伴って増大していくのではないだろうか。掛金というのは父母負担ですね、保護者負担。それから件数がふえると、やっぱり保護者負担というものが多くなっていくのではないかと、こういう心配があるわけですが、その辺の見通しはどうでしょうか。昭和三十四年の参議院の文教委員会で、この掛金がだんだんふえていくのではないかという国民心配に対する質問をわが党の荒木、豊瀬千葉千代世議員がしておりますが、そのときにこう答えていらっしゃるわけです。  「将来はできる限り憲法趣旨にうたわれているところを体して、漸次父兄負担を軽減していきたい」方針と、憲法趣旨にということは一体どのようなことかといいますと、義務教育無償方針だということがその議事録の中で明らかになっているわけですが、現実には給付拡大保護者掛金増という形で負担拡大になっているわけです。発足当時の死亡は十万円で現在三百万円の給付が行われる。これは三十倍になっているわけです。掛金二十円であったものがいまは三百円で十五倍になっているわけですけれども、この辺のところはどういうふうに判断をしておられますか。
  15. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 父兄負担をふやしたくないということを基本的に考えまして、今回相当大幅な給付改善をいたしましたけれども保護者負担を増額することなしに、今回の改善をどうやら果たすことができたわけでございます。私は学校での安全を確保するほかの努力も当然いたさなければなりませんが、件数がそんなに急にふえるということは考えておりません。むしろ減らしてまいらなければならないと思いますが、将来の問題といたしましては、医療費値上げ等の問題は起こり得る可能性があるわけでございます。そういう場合の見舞い金引き上げを当然行わなければなりませんし、そういった場合におきます父兄負担につきましては、学校設置者負担及び国庫補助との均衡を考えまして、その時点で考慮をしてまいらなければならないと思いますが、できるだけ父兄負担を増額することなしにという基本的な考え方は今後も貫いてまいらなければならないと考えております。
  16. 粕谷照美

    粕谷照美君 大臣がおっしゃったように、保護者負担はできるだけふやさないという方向は私も確認をしました。大変いいと思いますけれども、私は、できるだけふやさない方向ではなくて、もう減額をしていくという、あるいはもうこれで据え置きにするということをやっぱり考えていただきたいというふうに思っております。  では次に移りますけれども給付に対するこの国庫補助というのは、教育活動中は三分の一、来年度は十二億円でありますけれども教育活動外はゼロになっているわけですね。教育活動外というのは登校下校、あるいは寄宿舎中、あるいけ休憩時間と、こういうふうになっておりますが、その登・下校寄宿舎、あるいは休憩時間中というのは、安全会では支給対象になっているわけで、この国の補助をしないという態度はおかしいというふうに思いますが、いかがでしょうか。なぜその差をつけていらっしゃるのか。
  17. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) 御指摘のとおり、学校管理下におけるあらゆる事故に対しまして手厚い救済制度が行われるということを主眼として、安全会制度ができておるわけでございます。したがいまして、休憩時間、あるいは登・下校中の事故につきましても、学校管理下事故といたしまして、それに対する共済給付支給はされております。その点につきましては、若干登・下校中のものにつきましては二分の一とかという扱いを、事故責任関係からいたしておりますが、給付対象にすることにつきましては変わりございません。ただ、このたび国庫補助を考えました際に、他の共済制度との関連もこれございまして、新たに国の国庫補助創設するに当たりましては、特に教育活動中の事故発生をめぐりまして訴訟が提起され、児童生徒の側から教師責任を追及するなどのことによりまして、師弟間の信頼関係の崩壊を招いたり、あるいは事故の将来にわたって発生を懸念する余りに、教育活動が消極的になるということの面が御指摘されておったわけでございまして、このような事態を打開いたしまして、より積極的な教育活動を展開させるという観点に立ちまして、この国庫補助創設実現を期したわけでございます。その観点から、積極的に学校教育活動として取り組むものにつきまして、一応国庫補助設置者負担分義務教育につきましては半額積算したということでございます。決して休憩時間中等における児童生徒活動につきまして、必ずしもこれを軽視しておるということではなくて、この積算でいけば、現在義務教育学校年額百五十円の保護者負担をいただいておるわけでございますが、これも据え置きまして、現在の死亡見舞金三百万円を千二百万円、四倍にする、あるいは廃疾見舞い金四百万円を千五百万円に大幅に改善するということが、保護者の現在の掛金を据え置いて実現できるということもございましたので、このような予算積算になっておるという次第でございます。
  18. 粕谷照美

    粕谷照美君 積算をする方はそれでよろしいかもしれませんけれども、具体的に毎日毎日、一時間一時間、それこそ一秒ごとに動いている子供たちを見る立場からすれば、そのことについてはどうしても納得がいきかねるわけです。具体的に申し上げてみますれば、たとえば校門を出た登校下校というのは、これはもう明確になります。しかし、校門の中にいて一時間日と二時間日の間の休憩時間、三時間日と四時間日の間の休憩時間、これが教育外であるということについてはやっぱり納得いかない。たとえば四時間日が体育の時間である。その時間には飛び箱をやるからあなた方は飛び箱を出しておきなさい。当然準備をします、休憩時間に子供たちは。出してしまえば子供ですからそれ飛ぶわけですね。時間中だけではとてもやっぱり上達をしませんから、休憩の時間なども喜んで動いているわけです。こういうものが教育活動にならないというのはどうなんでしょう、体育局長
  19. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) お答え申し上げますが、決して教育活動外だという観点でとらえておりません。学校管理下における広い意味での休憩時間は、教育活動のやはり意味を持つ休息時間だというようにとらえておりますので、ここにおける事故につきましてはすべて教育活動中の事故と同じ給付扱いをいたしております。ただ、このたびその国庫補助金予算積算に当たりまして、そういうような積算関係をいたしましたものでございまして、決してこれをもって学校教育活動の中で、休憩時間につきましては管理責任を負わないものだというようなことの扱いは絶対しないように心がけていきたいと思っておる次第でございます。したがいまして、私どもはこの辺は余り、その休憩時間等が国庫補助対象になっておりませんということは私どもから余り申さないように、むしろ予算積算の問題でございますので、現在の保護者負担を増額を来さないということで、大幅な改善ということの実現をした背景もございますので、この辺十分慎重な配慮をしてまいりたいと思っておる次第でございます。
  20. 粕谷照美

    粕谷照美君 その辺が一番文部省としては言いたかったところではなかったかというふうに私も考えられます。たとえばこれ全体合わせて二分の一にして十二億円というふうに判断をするか、三分の一で教育内だけで十二億円というふうに判断するかという部分はあろうかというふうに思いますが、今後もその点についての努力をお願いをいたしまして、私はその教育内、教育外についてもう少し具体的な問題を質問していきます。  先日、福島県の川俣高校夏休み中にキャンプボートが転覆して死亡事故起こしたというのがありますけれども、これいまどんな処置になっておりますでしょうか。
  21. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) 御指摘川俣高等学校生徒溺死事故でございますが、これは夏季休校中に生徒が自主的にキャンプを計画いたしまして、教師付き添いを依頼いたしました。それで生徒任意参加で三十九名参加し、付き添い先生が三人生徒からの依頼を受けて善意付き添いをされたということでございます。たまたま七人乗りのボートに十三人が乗船し転覆いたしまして、その結果生徒の二人が死亡したという大変不幸な事件でございます。この事件をめぐりまして一人の保護者の方から損害賠償請求が、引率教師責任を追及するという形で提起されまして、本年二月二十日、福島地裁の一審の判決でこれにつきまして、一つにはキャンプは広い意味教育活動であるという観点、また二つ目には付き添い教師に過失が認められる、三番目に、よって県は損害賠償責任があるので賠償金の支払をするようにという判決がございました。県立高校でございますので、県の賠償責任判決でございますが、これにつきましては三月四日に福島県議会において控訴することが決められまして、三月六日県当局控訴をいたしておるという経緯でございます。
  22. 粕谷照美

    粕谷照美君 具体的に言えば、裁判所の方は、夏休みキャンプ教育計画にのっとって行われた行事であるから教育活動であるというふうに判断をしたと思いますし、県教委の方は、これは教育活動ではないんだというふうに対立をしておるわけですね。それで裁判所判決が出ているわけですから、県教委としては当然その判決に普通であれば従うところですが、認められないということで控訴をしているわけなんです。これは教師にとっても非常に大変な問題なんですね。グリーンスクールだとか、あるいは山登りに連れていくだとか、キャンプに連れていく、海へ連れていくだとかいろいろあるわけなんで、そのたびに、これは教育活動ではないんだ、先生任意の仕事なんだからということでやられたんではかなわないということが一つあろうかというふうに思うわけです。引用するのはおかしいわけですけれども、もしその裁判がなかったとしたならば、普通こういうような問題というのは安全会対象になるものなんでしょうか、どうでしょうか。
  23. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) 本件につきましても死亡見舞い金安全会への請求がございましたが、県教育委員会判断といたしまして、本件学校管理下における教育活動とは考えられないということで、この死亡見舞い金のお支払いは安全会としてはいたしておりません。係争中の問題でございますが、県当局は、このクラスの生徒の自主的な任意参加活動である、それに教師付き添いを依頼されて善意付き添いに当たられたということで、いわゆる夏休み中における自由な活動だという考え方をとっておるようでございます。御指摘のとおり、本件は現に係争中の問題でございますから、これに対しまして文部省として意見、感想を述べることを差し控えたいと思っておりますが、明らかに学校管理下責任持つ教育活動としては、それなりのやはり手続を踏んで、それなり責任関係を確立して実践されるべきものでございますし、そのことの責任の大なることを痛感するわけでございますが、同時に、教師生徒という間に人的な触れ合いにおける善意の世界があろうかと思います。この辺の問題もまた人間形成の上で、あるいは人の世として大変大事なことだというその面のことは、今後とも常に後向きになることのないような世の中というのは大事だなということだけをいま感じておる次第でございます。
  24. 粕谷照美

    粕谷照美君 具体的にこの例についてのお答えはなかなか困難だというふうに思いますので、一般的に、では夏休み中の一応学校でこういうふうなことをやりますという確認をし、そして教育委員会でもって手続をしますね、そういうことであれば、この種の事件安全会給付になっていたでしょうか、どうでしょうか。
  25. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) 夏休み中といえども、いろいろな林間学校、あるいは臨海学校等学校行事活動があるわけでございまして、この面の積極的な教育の推進は大いに期待されるところでございます。あくまでもそれにつきましては、学校教育計画を立てまして、その教育計画の中の一環として行われるというたてまえがございますし、またその教育計画実践に対して責任が持てる態勢において行われることの必要があるわけでございます。そういう道行きを通りまして行われる活動につきましては、一切学校管理下活動として、安全会給付対象として考えていくということが従来の仕方でございますし、今後もその面を堅持してまいりたいというように考えております。
  26. 粕谷照美

    粕谷照美君 いまのことで結構なんですけれども安全会でつくられております一問一答集、質疑応答集があるわけですが、大変問題になった例を挙げておられるわけですけれども、やっぱりそういう原則というようなものはどの辺で指導されておりましょうか。学校安全会でもって、きちっと原則、たとえば夏休み中はこうだとか、あるいは登・下校はこうだというふうなことについての指導は、一体どのような形で行われていますでしょうか。
  27. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) 先ほど申しました学校管理下教育活動というものをなるべく広くとらえていくという観点で、従来ケース・バイ・ケースに応じて判断して扱ってきておるということが実態でございまして、この裁量に当たりまして客観的に覇束し得る尺度を設けることはなかなかむずかしゅうございますが、従来十八年間行ってまいりまして、具体のケーススタディをすでに経ている問題でございますから、この面につきましては今後も従来の実績の上にかんがみて対処していきたい、原則的に安全会による互助共済制度を基本にしながら、それに対して設置者、このたび新たに国の補助金を加えまして、この共済制度改善を図っておる趣旨は、まさに学校管理下におけるあらゆる事故について、できる限り救済の措置が伸べられるようにということを主眼としておりますので、その趣旨で今後とも安全会指導し、安全会の適切な運営がなされるよう期待してまいりたいと思っております。
  28. 粕谷照美

    粕谷照美君 いまのお答えのように、ぜひ運営をしてもらいたい、こういう願いのもとに、もう一つ非常に心配になるのは、国の補助が今度小・中学校教育活動中は三分の一、非義務に当たっては九分の一つくと、こういうふうになって、高額の補助が出るということで、その判定というものが非常に厳しくなりはしないか。いままで互助共済という精神にのっとって、なるべく大ぜいの子供たちを救おうという態度であったのが、何か狭められはしないかという心配、おそれがあるのですが、その辺はいかがですか。
  29. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 御心配の向きの御質問でございますが、安全会制度というものが原則的には保護者の互助共済制度であるということから、学校設置者財源負担が増加をし、国庫負担国庫補助が行われるようになりましても、制度の本質はいささかも変わるものではございませんので、給付についての認定は従来と同様でございますし、その意図いたしますところは、ただいま体育局長が述べましたような精神で、これからも運用がなされてまいります。
  30. 粕谷照美

    粕谷照美君 しかし、いままでの経過の中で、若干問題点になっている点があるというふうに思いますが、これは大臣ではなくて局長の方が十分御存じだというふうに思いますが。
  31. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) 従来安全会が行ってまいりました給付のうちで、高等学校、高等専門学校給付につきましては、生徒が自己の重大な過失によって負傷し、または疾病にかかりまして、その結果廃疾になったという場合におきましては、廃疾見舞い金支給を行わないことができるということになってございました。高等学校、高等専門学校生徒になりますと、自主的、自立的な判断、行動を大事にするという観点がそこに入っておるわけでございまして、しかしながら、その重大な過失の場合に、全然見舞い金支給しないということは必ずしも当を得たことでないという判断がございますので、今回の改正を機会に、この面につきましては改善を加えまして、生徒が自己の重大な過失によって負傷し、疾病にかかった、または死亡したというような不幸な事件のときにも、廃疾見舞い金あるいは死亡見舞い金の一部が支給できるように改善をしていきたいということを現在検討いたしております。
  32. 粕谷照美

    粕谷照美君 高校生、あるいは高専生というのは、小・中学校生徒と違って、一応大人になりかかっている、まあ自立の精神があるということでの解釈だというふうに思いますけれども改善になるわけですね、後退ではないんですね。
  33. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) 先生の御指摘は、従来は死亡の場合に死亡見舞い金が出ておりますが、その辺から見ますと、必ずしも改善でなく、均衡を保つ上では死亡の場合におきましても一部の支給ということもあり得るのではないかということで現在検討をいたしております。
  34. 粕谷照美

    粕谷照美君 そうしますとこうですか、廃疾になったときにはいまでも見舞い金支給しないことがあった、それについては緩和をして支給をするようにしたい、しかし、死亡についてはいままでほとんどといっていいくらい支給をされていた、それについては制限をしたいということになるわけですから、改善じゃなくて改悪ではないですか、どうでしょう。
  35. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) 明らかに本人の重大な過失、あるいは当然注意すべきことの注意を怠ったという場合でございますので、その場合の廃疾につきましても見舞い金を出すという、従来出ておりませんでしたものを出すようにする場合に、それとの均衡上、死亡の場合にも一部の減額はあり得るのではないか、その辺がまた教育の中における一つの姿勢として考えられてしかるべきじゃないかという観点に立って、いま検討をいたしておる次第でございます。ですから、その限りでは先生指摘のとおり、一部後退したというように、あるいは金額的な問題としては出るかと思いますが、全体の、死亡見舞い金も四倍に上げているときでございますから、この辺のことも配慮しながら考えてはどうかなということをいま詰めておるところでございます。
  36. 粕谷照美

    粕谷照美君 そのほかに心臓発作の死亡事故についてもやっぱり何か改悪されるのではないかという心配もありますが、どうでしょう。
  37. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) このたびの給付事業改善に当たりまして一番問題意識を持ったところは、学校においてはいろんな形での多種多様な事故発生する、この事故を十分予防する措置が当然必要でございますが、それにもかかわらず事故発生する、その多種多様な事故に対しまして、それなりに手厚い救済措置を講じたいということにもっぱら観点を置きました。で、その事故学校においてもっぱら本人に素因があるというような、心臓発作等の問題があるわけでございますが、それらの場合におきましても、体操等の運動中に起こる事故、あるいは教室で緊張して勉学に励んでおるときの事故、この間に差をつけるべきでないという考えに立ちまして、むしろいま御指摘の問題につきましては、その事故に対応した手厚い対策ができるように今後考えていきたいという、むしろそういう考え方で取り組んでおるところでございます。
  38. 粕谷照美

    粕谷照美君 それではこの心臓発作の件について、わりと心臓発作が多いんですね、学校安全会給付事例を見ますと。そうすると、体育のような体を動かしているときの心臓発作については一〇〇%見ると、しかし授業中はじっとしているんだから、これは少なくするということを考えなさいという意見が出ていたということはなかったというふうに解釈してよろしいですね。授業中でじっと座っていても、もう神経が緊張している、肉体が緊張している、だから同じに理解をするということでよろしいですか。
  39. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) 従来基準といたしまして「外部衝撃、急激な運動若しくは相当の運動量を伴う運動又は心身に対する負担の累積に起因することが明らかであると認められる疾病のうち特に安全会が認めたもの」、これにつきましては全額見舞い金等が支給されておるわけでございまして、今回この辺をさらに広げたいという考え方で私どもおるわけでございますが、その際に医師の先生方等の御意見の中でも、家庭においても不幸にして心臓発作が起こる、それがたまたま学校におったという場合のケースの問題も実際問題としてはあり得る、すると、それに対してそれまですべて、いま申しました過激な運動、外部の衝撃、そういうときにおける事故と全部同じ扱いにするということはいかがなものかということの御意見が相当ございますので、この辺につきましては、できるならば私ども半額給付というようなことで安全会も各方面の御意見を聞いて検討してまいりたいというように考えております。したがいまして、その辺は従来よりは広げるということの一環の作用として考えておる次第でございます。
  40. 粕谷照美

    粕谷照美君 従来より前進をするということについては、私は大変よろしいことだというふうに思いますけれども、いままで支給されていたものが、国の補助が大幅になったというだけでもし制限をされるというのであったら、やっぱり混乱が起きるのではないか。支給する側から金を出しているんだからという論理はあったとしても、支給をされる側から見れば、おれたちも金を出しているではないか、それ何だと、こういうことになりかねませんから、いま局長、本当にあちらこちらの意見も聞いてとおっしゃいましたけれども、十分な共通の理解が得られるような条件というものをつくっていただいて、一方的に通知で決めるというふうなことがないように、安全会にも言っていただきたいというふうに思います。  次に、設置者負担金についてお伺いいたしますけれども、国立は特別会計で、公立は交付税の単位費用の積算の中で保証されているからそれは構わないわけですけれども、私学について問題はありませんでしょうか。特に私学経営赤字だなどというところもありますので、お伺いいたします。
  41. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 結論的には私学助成の充実につながることだと思うんです。私立高等学校等経常費助成は、所轄庁であります都道府県が私立高等学校などの経常費について助成を行う場合に、その経費の一部を補助するものでございますけれども学校安全会掛金設置者負担分も経常的経費に含まれておるものでございますから、補助対象となっております。この補助金は経常的経費を各費目に分けて、費目ごとに補助を行うという方法ではございません。生徒などの人員に応じて一括して都道府県に対して交付をいたしておりますので、ただいま申し上げましたように、補助対象になっているわけでございます。これの改善ということは、経常費助成全体の充実に一にかかっていると考えますので、この充実のための努力をさらに続けたいと考えております。
  42. 粕谷照美

    粕谷照美君 では、私立の未加入のパーセンテージというのは一体どのくらいになりますでしょうか。さらにまた、国公立学校、小・中、あるいは高校、この未加入の地域、あるいはパーセンテージが小・中では一%というふうになっておりますが、この辺のところはどうでしょうか。そして加入していないでもし重大な事故があった場合に、千二百万円もらえるというのともらえない、支給されるというのと支給されないでは非常に大きな違いがあるわけですし、廃疾になって千五百万円支給されるというのとされないのでもまた大変な違いがあるわけですので、本当にすべての子供たち補償されるような条件、つまり一〇〇%加入の見通しというものはどのように判断をされておりますか。
  43. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) 私立学校安全会への加入率は、現在七一%と若干低くなっております。また、国公立学校の場合は九九%でございますが、なお一%の学校関係が未加入という状態であるということでございますが、私立学校の場合は学校独自に損害保険会社と契約して、保険を掛けているというのが実態のように聞いております。それから、公立学校につきましては、従来加入はしておったわけでございますが、設置者賠償責任が確定いたしました際に、安全会がすでに給付いたしました金額につきまして、返還の請求を新たにいたすわけでございまして、この支払いをめぐりましてトラブルがございまして、加入を取りやめたというような地域もあるわけでございますが、今回、大幅な改善がなされたわけでございますが、これを機会に公立学校につきましても、あるいは・私立学校につきましても、さらに安全会への加入を奨励してまいりまして、全員加入の実を実効あるものに大いにしてまいりたいというように考えておる次第でございます。
  44. 粕谷照美

    粕谷照美君 これもまた事務的なことなんですけれども、医療給付、これが五年間で打ち切りになりますね。そうすると、そのときまでに廃疾が確定していれば、たとえば三年のときにもうこの人は廃疾宣言を医者から受けたという場合には、残った二年間というものは医療給付を受けることができるでしょうか。あるいは五年たってもまだ廃疾ですよという認定をもらわない、もうちょっとだなあなんと思うような場合があるわけです。これは労災なんかでも、むち打ち症の運転手さんなんかは常にそういうことを言っていらっしゃるわけですけれども、そういうときに五年で医療費打ち切りだなんということでなしに、特別の事情があるときにはまだ延ばしていきますよというようなことが考えられないのか、どうでしょうか。
  45. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) 医療を受けておりまして、廃疾の認定というのはその時点で廃疾の状態にあるということで、廃疾見舞い金で今後の廃疾の状態に対する手厚い救済をしていこうということの観点でございますから、廃疾の認定の時点をもって医療給付の方の支給は停止されるわけでございます。  そこで、医療の期間を五年に延長してまいりましたが、さらにこれを延長するかどうかの問題の御指摘があるわけでございますが、実際に五年間の医療の期間を経過いたしますと、その間に廃疾であるかどうかということのほとんどのものが認定できるということでございますので、特に今回廃疾につきましては、重度な廃疾に重点を置きながら二・二倍から三・七倍に及ぶ大幅な見舞い金改善をいたしましたので、この廃疾見舞い金の増額によって対応していく方がむしろ親切であろうということで、あえて医療期間の延長はいたさない考えで、廃疾扱いを適切に対応していくということで対処していく考えを持った次第でございます。
  46. 粕谷照美

    粕谷照美君 しかし、やっぱり五年を超えても支給をさせることができるという余地は残しておかれた方がいいのではないかというふうに私ども判断をいたしますが、後ほどまた御検討いただきたい部分です。  さて、廃疾一時金の問題に入りましたので、この千五百万円あるいは千三百三十万円という、一級、二級、三級、四級、この算定の根拠というのは、一体何に求めておられましたか。
  47. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) 共済制度におきますこの種の目安といたしましては、労働者災害保険の廃疾基準をすべて基準にしておるというのが常例でございますので、これに基づきまして廃疾区分等はいたしておるわけでございますが、今回の増額に当たりましては、重度な廃疾者に対して手厚い対応をしていくということの考えをとりまして、一級から三級までにつきましては、たしか三・七倍でございましたか、それから四級から七級につきましては二・九倍、八級から十四級につきましては二・二倍というような比率で増額をいたしております。これは他の共済給付と比較いたしますと、大変ある面で大きな額でございます。大きな額ではございますが、これは安全会給付保護者互助共済によるという観点、また、これに対する国の補助につきましても、あるいは設置者負担につきましても、学校教育の積極的、かつ円滑な推進を図るというその観点からの施策でございますから、その面で他と比較しましてかなりの額でございますが、そのような教育観点から内容、金額を決めさせていただいておる次第でございます。
  48. 粕谷照美

    粕谷照美君 労働者の労災適用、あるいは労働者関係の廃疾基準をもとにしているというふうにおっしゃっておりましたけれども、私どもがこのことについて審議をしたときには、予防接種による健康被害、これの補償規定というものを原則的に考えておりましたけれども文部省も最初はそういうふうに考えておられたのじゃないですか。逆に言えば、それに比較してやっぱり上積みされている、有利であるというふうに判断してよろしいでしょうか。
  49. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) 御指摘のとおり、今回の大幅な改善に当たりまして、予防接種法が決めております内容を標準とするということの衆議院文教委員会の小委員会委員長報告にも、そのような内容がございましたので、この辺も参考にしながら考えていったわけでございます。ただ、それとの金額も違いまして、必ずしもそれに横並んだということではない形でございますが、参考にしながら取り組んだわけでございます。
  50. 粕谷照美

    粕谷照美君 大臣にお伺いいたしますけれども、いままでに比べれば非常に大型の補償のように一見見られますけれども、ことしは預金金利が引き下げになりますね、貯金しておくと、これはだんだんだんだん目減りをしていくわけです。それからあわせてこの医療費というのは今回また大幅に伸びます。また上がるのではないかという心配を親は持っているわけです。この支給の金額千五百万円というものは、スライドを私たちはさせていくべきであろうというふうに考えますけれども大臣どうですか、その辺の御努力のお考えはいかがですか。
  51. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 今回改善をいたしましたのももう御承知のように予算措置でございます。いまここで制度的に直ちにスライド制に踏み切ることはなかなか困難なことでございますけれども互助共済制度という精神を踏まえまして、これからの検討課題にさせていただきたいと思います。
  52. 粕谷照美

    粕谷照美君 精神にかんがみというふうにおっしゃいましたが、検討課題というのは上げていく方向だというふうに理解してよろしいでしょうか。
  53. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 改善を検討するのでございますから、どうぞそれで御理解がいただけると思います。
  54. 粕谷照美

    粕谷照美君 改善という意味では改悪でないと判断をいたしまして、ぜひ努力文部省としてもやっていただきたいことをお願いいたします。  さて、この千五百万円、あるいは千三百三十万、あるいは死亡の千二百万というお金が一時的に支給をされますね。死亡の場合はこれは別ですけれども廃疾の場合には子供たちをこれから生活をさせていかなければならない親の立場から考えてみますと、これは収入というふうに判定をされるので、千五百万円収入があった場合のこの税金なんていうことは非常に気になるわけです。それからたとえば預金をしておりましても、この預金の利子に対してさらに税金がかかるわけなんで、この辺のところの特別な措置というものがないものでしょうか。それから、さらに私ども年金支給をされたいというふうに要望をしてまいりましたけれども、一時金ということになりますと、やや気になる部分もあるわけで、この辺の特別な措置などというのも、資料などこう見ますと、文部省ではすでに保険会社と契約をしたというようなことも載っておりますが、具体的にどの辺まで進んでおるのでしょう。
  55. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) 日本学校安全会法第四十条の規定によりまして、公課の禁止に関する規定がございます。「租税その他の公課は、災害共済給付として支給を受ける給付金を標準として、課することができない。」という規定がございますので、見舞い金につきましては、課税問題はその限りでは起こらないというように考えます。ただ、そこから得る果実等につきましては、これは別途所得税問題が発生するということでございます。そこでいま御指摘廃疾見舞い金が、多額の見舞い金が出るわけでございまして、これはこの見舞い金廃疾児童生徒に有効に生かされていくということの面が最も大事なことでございますので、これにつきましては当事者からの受託を受けまして、日本学校安全会がこれを信託銀行との間に信託関係の代行をいたしまして、その面から実質年金に相当するような運用がなされるということを取り進めることも意義あることであろうということで、この面の受託業務につきましては、安全会の付帯業務として、このことを取り組んでいくという考え方で、現在安全会におきまして関係方面と折衝をいたしておりまして、大体その方向安全会がお手伝いできるということの受託を当事者から受けまして、これを信託いたしまして、年金的な運用、支給を図るようにしていくということのおよそのいまめどは、方向は出ておりますので、さらに具体の問題を詰めてまいりまして実効あらしめてまいりたいというように安全会で取り組んでおります。
  56. 粕谷照美

    粕谷照美君 そうするといまの件については、手続としてはそのような形で毎月お金が支給をされるという方向がとれそうだと、これは大変喜ばしいことですけれども、預けたお金に対してやっぱり税金はつくんですか、どうなんでしょうか。
  57. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) その果実の利子につきましては所得の一環とみなされまして、その所得に応じまして税金がかかるわけでございますが、その当人が他に収入がないということであれば、それなりの基礎控除その他のこともございますので、そう多額の税金にはならぬというように見込まれておる次第でございます。
  58. 粕谷照美

    粕谷照美君 これはその契約を結ぶか、あるいは一括してもらうかというのは御当人の判断でございますが、その判断が的確に行われるように、このような制度がありますということをきちんとお話ができるような体制というものをぜひとっていただきたい。知らなかったがために、後でさあさあなどということのないように、十分な手配というものをお願いをしたいというふうに考えます。  さて、その次に、もっと具体的な問題になりますが、私は先日横浜に行きましたら、養護教諭の先生からもう実に具体的にいろいろなお話を伺いました。その中で歯の事故というのが大変痛いと。ほかの事故ですと親が扶養者になっていますから、国民保険にしても、健康保険にしても、共済組合にしても医療費が出るわけですね。そしてそのほかにところによっては互助制度なんていうのをやっておりますから、保険で出た。自分で持ち出した分については互助会の方からもらってきてもう一円もかからぬほかに、安全会の分が出てきて、これは親の小遣いになったなんて笑い話も出ているわけですけれども、しかし、歯についてはこれなかなか出てとないんですね。先日も子供が押した、押した子供が実は母子家庭の子供で、押されて歯を痛めた子供が歯医者さんの子供、お手の物ですから親御さんは歯を治療したわけですけれども、その治療費が一本五万円なんだそうです。二本で十万円だから出しなさいと、こう言ったというんです。それで養護教諭の先生は、お金持ちの歯医者さんから母子家庭でお金のない人のところに十万円出せと言われて、私も本当に困ったというようなお話をしておりました。さて、安全会でいえば三本以上の歯について支給をされるということになっているわけですけれども、二本だったらブリッジをかけて何とか適用させるということが、いままでも行われているというふうに思いますが、二本が四本に計算されるんですか。もし二本が四本に計算されるのであれば、一本だって両端にブリッジをかければ三本というふうに計算されて支給をされるということがあるんじゃないですか。大体大人と違いまして、子供ですからね、一本やられたということは手痛いことだと思いますが、その辺の検討というのはどうでしょう。
  59. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) 現在、廃疾の十四級につきましては、三本以上の歯に歯科補綴を加えたものというのは、十四級の廃疾に該当するということになっております。これも先ほどお答え申しましたとおり労働者災害補償保険制度にならっておるところでございます。この辺につきまして、先生いま御指摘のような問題があるわけでございまして、この面につきましては、二本の場合はブリッジをあれして三本に対応するというような運用を安全会でもいたしてまいってきておるわけでございますが、この面につきましては今回廃疾の十四級のところが三十三万円に増額いたしております。その辺のこととの関連もありまして、この辺の実態との対応の問題は、いろいろな意味で御指摘のような問題があろうかと思いますので、これは安全会の方でも種々具体の問題について対応した運用につきまして、研究したいということを申しておりますので、私どももいま直ちに一本でも二本のブリッジで三本にするということをいたしますとお答えしかねますが、この面は今後の実態に即したやはり運用の問題として研究を十分さしていただきたいと思います。
  60. 粕谷照美

    粕谷照美君 弾力的な運用を、研究をされるというそのことを私は期待をしまして、ぜひ努力をしていただきたいというふうに思います。  それでまた、本当にもう事故というのは思いがけないようなことばっかり起きて、判断に困るようなことがたくさんあるわけですけれども、たとえば、小学校を卒業して中学校に入学をする。三月の二十五日に学校を卒業した、もう学校の手を離れた。そして四月の五日あるいは四日、この日に中学校に入学する。その間は全く宙ぶらりんになるわけですね。ところがこの間にいろいろなことがある。いま小学校でもなかなかクラブ活動が盛んですから、そこのところに遊びに行く。具体的に掛金は三月分ちゃんと払っているわけですから、その間に起きた後輩のクラブ活動の中で活動していた分についての事故ぐらいは、めんどう見てもらってもいいではないか、こういう要望がたくさん出されておりますけれども、この辺についてもいますぐやりますということのお答えはいただけないかというふうに思いますが、やっぱり先ほどの歯一本の問題と絡み合わせまして御検討いただけますでしょうか。
  61. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) 御指摘の点でございますが、一般的には中学校における教育をすべて修了した者に対して修了証書が授与されるということでございますので、卒業式終了後さらに学校の方で御指導される、そういうことは、学校指導を受けるということはないというのが実態であろうと思いますが、いまのような御指摘の点につきましては、一方で、卒業証書を授与した後にわりあいにいろいろな意味の不祥事故が起こるということもございますので、この辺のことも一方に置きながら、具体の事例につきましてはそれなりに検討をさしていただきたいというようにお答え申し上げる次第でございます。
  62. 粕谷照美

    粕谷照美君 次は、運営審議委員の問題なんですけれども、今度非常に運営審議委員も民主化をされたというふうに私どもは考えています。大変、給付の枠なんかも拡大をされてきておりますが、それでもやっぱりまだまだわれわれの意見が十分に反映をしていないという、こういう批判もあることは事実でございます。ところで、この運審については、現場の教師意見を集約をする立場にある人たち、具体的に公立学校共済組合で言えば、中央にも組合の代表というのが入っております。別に共済組合だけではなくて各種の問題については入っているわけですが、その辺のところを考えることができますでしょうか。実は、やっぱり横浜へ行ったときの養護教員の先生のお話だったんですけれども、最近、保護者に対する気がねというのがもう本当に何というか神経質になり過ぎているくらいだと。特に、学校責任者であります校長先生が大変父母に気がねをいたしまして、その気がねをした分が一体どこに返ってくるかというと、先生方のところに返ってくる。それで、けがをした子供を自宅に送り届けるということはそれは当然のことだというふうに思います。大変なことですから、いろいろな実情も説明をしたり、また学校側の手落ちがあれば、そのことについておわびもしたりするのは当然だというふうに思いますけれども、ところが、そのことだけで終わらないで、その次から、今度医者にその子供たちが治療のために通院をするというようなときに、必ず送り迎えをしなさいというんで、車を持っていらっしゃる先生なんかは、そこに子供を乗せて病院まで毎日送り届けをすると。その間の授業なんというのはほっぽらかしになってしまうわけですから。こういうことなども安全会なんかは一体だれが意見を出しているかと言えば、そういうことで苦しんでいらっしゃる方々の意見が出ていくというよりは、うちの方ではこういうような問題についてこうやって事故処理をいたしましたという管理者の立場の方々の御意見がたくさん入っているように思われてなりません。そしてまた、父母の掛金というものは非常に多くなっているわけですから、この親の代表なんというのも入っているのかいないのか、その辺の実情について御報告ください。
  63. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) 安全会の運営審議会につきましては、安全会の業務の民主的な運営を図るため、安全会の業務の執行に関し重要事項を審議する機関となっております。したがいまして、その委員は、安全会の業務の運営に関係する者といたしまして、学校側からは校長先生、あるいは養護教諭の研究会の代表の方、あるいは幼稚園関係の代表の方等、あるいは教育長協議会等の方に御参加をいただいておりますし、また安全会の業務の運営に必要な学識経験を有する者ということ、そういう観点に立ちまして、それぞれ保健会その他の団体の学識経験のある役員の方に、学校医等の方を含めまして御参加をいただいて、文部大臣が任命をいたしておる次第でございます。十分保護者の御意向と同時に、それぞれ学校教育の場においての問題につきましては、この運営審議会の席上いろんな形での御意見をいただいておりまして、それに基づきまして安全会としては従来それなりに適切な対応をしてきたのではないかというように感じておる次第でございます。なお、PTAの関係からも委員にお加わりをいただいておりますし、今後とも保護者の代表を加えるなどの問題については、十分適切な構成なりをさらに検討、対処をしてまいりたいと思っておりますが、実際になかなか、学校教師に当然絡む問題でございますが、直接には児童生徒事故救済の問題でございますので、その辺にあるいは限界があろうかと思いますが、別途審査会等も新たに設けたいというようなことも考えておりますので、それらとも絡みまして、それぞれ教育の場における実態及びそれに基づく貴重な御意見が反映するような仕組みを全体の中でさらに検討さしていただきたいと思います。
  64. 粕谷照美

    粕谷照美君 そのことで結構ですけれども、それは各県段階においても当然そういうことですが、一番批判が大きいのはその中央運審についてですから、いまのお答えは中央運審というふうに理解をいたしまして、ぜひ一人一人の教師の現場の意見が反映するような立場の方を入れていただくように努力をしていただきたいと思います。  で、最近はこういう事故に対する訴訟というのがもう各種各方面から行われていますね。たとえば、先日、子供会主催で山へ行った。そこで事故が起きたというので、ボランティアの方が刑事責任を問われていますが、もうこれじゃボランティアとてもじゃないですけれどもやっていかれないというふうに言われております。で、その全国子供会連合の人たちは、もうこれからこういうボランティアは素人の人がやるんじゃなくて、できるだけ先生にやってもらうようにしようなんというような話をしていますけれども先生はもう学校の仕事だけでも大変なのに、こんな子供会まで一々また指導者みたいな形で出ていったら、非常にもう過労になるばっかりですし、逆に言えば、この子供会主催のボランティアというのは教師にとっては正規の教育活動でありませんから、もし教師自身が事故が起きた場合にはどうなるのかというふうなことも考えなければなりません。あるいは最近、そういうことを心配いたしまして、PTAあたりで補償制度というものを保険会社と契約を結んで、一人三百円なんという、われわれこの安全会掛金三百円は高い高いなんて言いますけれども、PTAでもさらに三百円出せというふうなことを、やらなければ事故が事実起きるわけですから何としてもやらなきゃならない。あの文部省方針に従って学校開放が行われていますね。この学校開放で、それを利用する人たちはこういうスポーツ傷害保険を掛けている団体に限るというようなことがありますけれども、その他にも、スポーツクラブに加入する人たちは、もしアキレス腱を切ったらどうするか、仕事を休んだらこのような補償が出てくると、きわめて保険盛りになっていると思います。一連のこういうような問題を研究をしていく気持ちはありませんでしょうか。あるいはまた、学校教師にしても、いま甲子園で野球が行われておりますけれども、甲子園野球ばっかりじゃなくて、スキーだとか、山岳だとか、もうさまざまある。そういうところで一体どこが一切の補償をみるのかというふうなことをきちんと判断しなければ、うっかり養護教員の先生も手助けにも行けないというような状態が出てまいりますので、総合的な研究が必要だというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  65. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) いろんな教育活動が非常に多種多様でございますのと、スポーツ活動中に起きます事故に対する救済制度として、財団法人スポーツ安全協会の傷害保険制度がございまして、その加入者が年々増加をしておりまして、ことしは五百万人を超えるような状況になってまいりました。そのほかにもいま粕谷委員指摘のPTAや、子供会などによる互助共済見舞い金制度などがいろいろあるわけでございます。これらはやはりそれぞれ異った動機を持って、またそれなりの沿革を経て設けられたもので、ある程度の歴史的な経過もあることでございますので、直ちにこれを統合するということはむずかしいと考えられます。しかし、重複する点はまさにあるわけでございますので、関係者の意見も聞きまして合理的な仕組みについて検討を進めてまいりたい、かように思うものでございます。
  66. 粕谷照美

    粕谷照美君 あわせまして、この事務の簡素化なんですけれども、この事務手続というのが本当に大変なんですね。それで、その事務の簡素化というものをどのようにお考えになっておりましょうか。  もう一つ事務の簡素化なんですが、受け入れる側の事務の簡素化と同時に、提出する方の事務の簡素化というのは、これがまた大事なんで、その辺のところの検討はどのようになっておりますでしょうか。
  67. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) 御指摘給付の、特に請求事務につきましての簡素化につきまして、書式その他できる限り簡略になるよう従来とも安全会としても努めてきたところでございます。いま安全会給付内容を見ますと、約三割に近い医療給付が挫傷、いわゆるすり傷でございますね、それのための医療給付ということでございます。私どもの育った感じからすると、すり傷、かすり傷は、この傷をいとしんできた、そういう経験からすると、そういうものに一切合財医療給付ということ、これは改めて教育論としてどうかという問題も少し起こってきていると思っておりますので、この辺につきましても、各方面の先生方の御意見も聞きながら、学校は常に次代の子供たちが活力を持って生活する場でございまして、その中で起きた、裂傷は別としても、普通のすり傷は、昔は親と子でこれを大事にしながら、身体髪膚これを父母に受くという教育にまでつながったわけでございますから、この辺のことも含めまして、私はこの簡素化の問題は、こういう面の内容も含めて、本当に先生方の御意向を聞きながらもう少し詰めていきたいというように——とんだところに脱線しまして恐縮でございますが、確かにこの給付事務につきまして大変な学校のお世話をいただいておりますので、この簡素化の問題につきましては、さらに積極的な安全会の取り組みを指導してまいりたいと思っておるところでございます。
  68. 粕谷照美

    粕谷照美君 身体髪膚は別といたしましても、ネコはちょっと傷をするとなめて治すと言いますけれども、本当にすり傷程度の申請というものは非常に多いんですか、事実上はどんなですか。あんなのもうヨーチンで——あるいは養護教員じゃなくて、中学校あたりになりますと保健委員というのが各クラスから出ていまして、休み時間部屋に詰めているわけです。そういう子供たちが大体チンキなどをつけることで治しているんではないかというふうに思いますが、事実はそうではないんですか。
  69. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) いろいろの実態がございますが、いま医療給付対象の最低額が五百円ということになっておりまして、その面もございますが、手がかかる面もありまして、すぐお医者さんに行って包帯をしてもらうと、まあ包帯というのはある面でかっこうよさもありますし、そういったところが事実としてそう少ないとは言い切れないということで、私もこの面をもう少し詳細にあれして、これはまさに先生方の、教師の方々の御意見を十分聞きながら、この面はさらに詰めていきたいというように感じていることの一つでございます。
  70. 粕谷照美

    粕谷照美君 では一応そちらの方の質問はこれで終わりまして、次は学校保健法改正部分に入っていきたいと考えます。  衆議院の附帯決議におきましても、学校における安全管理の実施に当たっては、物的なそして人的な諸条件の整備に努力しなければならない、こういうふうに書いてあります。私どももまさにそうだと思いますけれども、余りまたきちんと法律でいろいろな解釈をされるものがつくられてしまいますと、またそれをめぐって十分徹底しなければ混乱が起きるのではないかという心配もあります。それで第二条、この「学校においては」、あるいは第三条の二、これも「学校においては」と、こうありますけれども、文部大臣、この「学校においては」というのは、だれを指すのでしょうか。
  71. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) 「学校においては」かかるべき状態にあることというような書き方があるわけでございまして、またこうすべきであるということがあるわけで、この場合は、学校設置者であるそれぞれの都道府県あるいは市町村、その管理機関であります教育委員会、と同時に学校それ自体、両々含めた意味で「学校においては」という表現が使われております。したがいまして「学校においては」このような状態に常にあるべきであるという場合におきましては、学校自体がその努力をすべきと同時に、学校設置者である市町村の管理機関の教育委員会がまたその状態を実現するための努力をすべきことがうたわれているというように言えると思います。
  72. 粕谷照美

    粕谷照美君 私どもはこれは「学校においては」ではなくて、この項の具体的な言葉としては、学校設置者においては、というふうに改めるべきであるという判断をいたします。本来その施設の整備あるいは修理というものは自治体の任務であるわけです。特に施設整備の点検、これは非常に専門的な知識も必要になってきますし、時間も非常に必要になってくるわけです。そういう意味では、まだまだ人的な条件も整ってない。人的な条件を整えてこういうことがやられないうちに、そちらの方が決まってないうちに、こちらの方の法律だけが先行するということであっては、現場の教師が大変だという判断をしているんですが、その辺はどのようにお考えですか。
  73. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) 「学校においては」ということをあえて改正しなくても、当然に学校設置者責任がそこに内包されておる問題でございます。およそ学校の安全管理の問題、あるいは安全点検につきましては、それぞれ諸条件の整備に当たる設置者立場での責任、役割り、また実際に学校を運営していく運営の実施責任としての学校の役割りということがあるわけでございます。その責任が両々相まって実効あるものになっていくということでございますので、その面を内容といたしまして、このような表現になっておるというように御理解を賜りたいと思います。
  74. 粕谷照美

    粕谷照美君 いまの御答弁は、学校設置者においては、と改めることができないという判断に立っての説明だというふうに理解をいたしますが、それでは逆に言えば、「学校においては」というのは、両者が含まれているのだということを確認してよろしいわけですね。そういう意味確認をしたいと思います。
  75. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) はい。
  76. 粕谷照美

    粕谷照美君 ではその次に移りますけれども、時間がありませんから。就学時の健康診断ですけれども、この就学時の健康診断というのは、いま学校の任務のようになっておりますが、明確にこの法律では市町村の教育委員会の任務であるというふうに書いてあるわけですが、この辺の判断はいかがお考えでしょうか。
  77. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) 御指摘のとおり、就学時の健康診断は、学校保健法に基づきまして市町村教育委員会が実施することとなっております。市町村教育委員会は、この所管に属する学校の教職員に、これを委任いたしまして実施させる場合もかなり多いと聞いておりますが、最終的な責任は当然に教育委員会がその責任者として実施すべきものであるというように承知しておる次第でございます。
  78. 粕谷照美

    粕谷照美君 私もそのように承知をしておいていただかなければ困りますけれども、現実には、当然学校の仕事だという態度でもって委任をしている。そうではなくて、もっと現場の中にはどのような問題があるのかという態度でもって、いろいろと話し合いを進めながらりっぱな就学前の健康診断ができるように指導をしていかなければならないというふうに考えております。  さて、そのことも絡まってくるんですけれども、先日の予算委員会のときに、私は障害児の健康診断、入学の問題も含めて質問をいたしましたが、この健康診断というのは十二月に決まって、一月中にやるということになっているわけですね。そうして二月前までに入学の期日を通知するということになっているわけですけれども、非常に期間が短い。大変学校の中では忙しいときにこういうことをやらなきゃならないというので非常に大変だという部分一つありますが、それは別にそのことがいやだというんじゃありませんけれども、特に障害児の問題についてはその期間が短過ぎるために、十分に学校を選ぶための指導、そしてそれを納得させるためのいろいろな話し合いの期間が足りないという報告がありますけれども、この辺についてはどういうふうにお考えになっておられますか。
  79. 諸澤正道

    政府委員(諸澤正道君) いま御指摘のように、いまの学校教育法の施行令では、翌年の四月に小学校へ入る子供について十二月の末までに学齢簿を一斉につくって、普通の小学校へ入る子供さんは一月の末までにどこの学校へ行きなさいという通知を出し、それから特殊学校へ行くような子供さんについては、都道府県の教育委員会に学齢簿を送ると、都道府県の教育委員会は学齢簿の送付を受けると、どこの学校へ行くかということを決めるということで、普通の子供さんはよろしいんですけれども、障害児の場合はその一ヵ月の間に大体進路指導をしなければいけないという問題がございますんで、私どもでは来年の養護学校の義務制までには、この期日をどのくらい前の年の十二月以前に繰り下げられるか、いま検討をいたしておりますけれども、できるだけ余裕を持たせるように期日の規定を、つまり政令を直したいというふうに考えて検討いたしております。
  80. 粕谷照美

    粕谷照美君 いまお話がありましたように、本当にこの健診は短時間に大ぜいで、しかも一般健診なもんですから障害の発見指導なんというのは非常に困難なわけですね。そういう意味ではぜひ政令を直していただくという、そのことを早急に実施をしていただきたいと思いますし、障害児は初めからそういうことではというんであきらめて健診に来ないという実情もありますので、今度の健診のときからはそれが実効あるように努力をしていただきたい。  まあ以上、いろいろな細かな質問をいたしまして、部分的なことを確認をしてまいりましたけれども文部省の今回の予算の中で幾つか挙げられる目玉と言われるこの項目の中に、私はこの安全会給付拡大というのが入っていると思います。非常に御努力をされたということについては高く評価をいたしますけれども、今後ますますこの安全会が本当に一人一人の子供たちを大事にして、そして学校で教職員が安心していい教育ができるようになるための御努力についての大臣の決意をお伺いいたしまして質問を終わります。
  81. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) ここまでの改善ができましたことを本当にうれしく思っておりますが、なお一層の改善を目指しまして、また、同時に運用面でも喜ばれる制度にしてまいるように努力を続けてまいります。  一言付言をいたしますけれども、この問題につきまして衆参両院文教委員会先生方に的確な御指導をいただきましたことを心から感謝を申し上げてお答えといたします。
  82. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 衆議院文教委員会学校災害に関する小委員会の審議を契機として、今回提案されているように日本学校安全会給付内容が大幅に充実した、これは大きな前進であると私は率直に評価いたしたいと思います。しかし、学校災害に対する対応策として、安全会の充実だけでは不十分でございます。損害賠償請求の訴訟が今後も起こるということは十分考えられます。引き続き学校災害に対する補償のあり方について抜本的な改革を図っていく必要があると考えております。  具体的には学校災害補償制度創設が日本弁護士連合会や日本教育法学会からも提案されております。文部省としてはこうした制度創設について、その実現可能性、それを研究していらっしゃるか、またその意義や必要性について国民や関係省庁の理解を求めるとか、こういうことについて実現に向かって努力すべきではないかと思います。そういう点、文部大臣はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  83. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 学校事故発生の態様は大変複雑で多様でございます。その原因や責任の所在の面から見ましても、学校側に責任のある場合や、あるいはまた不可抗力的と見られますような事故のほかに、子供の不注意でございますとか、心臓疾患など明らかに子供の側に原因があるという事故もまた少なくない実情でございます。  このような学校事故の実態から見まして、学校で起こりましたすべての事故対象として、いわゆるいま先生指摘のございました無過失責任主義による全額公費負担、このような補償制度創設をいま直ちにいたしますことは、現行の法体系上困難であると考えざるを得ないわけでございます。  また、仮に御要望のような制度を設けることにいたしました場合、給付水準や、事故発生の態様などの面で制約を受けざるを得ないことになりまして、ある意味での大方の要望を満たすことがかえってできなくなるというデメリットの面もまた出てくるわけでございます。事後の認定をめぐって新たな問題もまた生じさせるおそれもございます。かえって本来の目的にそぐわないことにもなりかねないわけでございますので、適切であるとは簡単に割り切れないものがございます。  また、日弁連や教育法学会の試案というものを承知をいたしておりますけれども、過失責任主義を原則といたしますわが国の法体系にとりましては、日本の法体系全体の中での例外的なものということに相なりますので、検討するべき問題点が余りにも多くございまして、これをそのまま採用することは大変困難なことでございます。なお、引き続いてこの問題が日本全体の法体系の中でどれだけうまい措置がとれていけるかという勉強は続けてさせていただきたいと考えております。
  84. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 安全会の問題について幾つかお尋ねいたします。  まず廃疾見舞い金の等級認定基準、これについてですが、これは労働者災害補償保険法の認定基準をそのまま使用しております。この労働者災害補償保険法の認定基準というのは、労働の可能性がどれだけ制限されたかという観点から定められたものと考えますが、それに対して児童生徒廃疾の基準というのは少し違っていると思います。子供の発育、発達の可能性がどれだけ奪われたかという見地から定めるべきではないか。廃疾の等級認定基準を見直す必要があると私は考えます。  例をとって申し上げますと、視力障害についても、労働者災害補償保険法の認定基準では、めがねをかけて矯正した視力で認定する。めがねをかけて見えればそれでいい。しかし、子供災害を受けてめがねをかけるようになった場合は、やはりそういう点では非常に負担がかかっていると思います。また、運動機能障害の一つをとってみても、関節の機能障害によって正座できなくても、障害の認定にならずに等級に入らない。座れなくたって働けるんだからいいだろうというのが労働者災害補償保険法の認定基準の考え方ですが、子供の場合私は正座できないという、そういう姿で育っていくということは大変なことじゃないか、それを同じ基準として見ている。私はこうした矛盾を非常に感ずるわけなんですが、廃疾の等級認定基準を文部省は見直す必要があるとお考えになっているのかどうか、これは将来そうした基準を変えていくような方向にいくかどうかをお聞きしておきたいと思います。
  85. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) この問題につきましては、各種の共済制度が一応労働者災害補償保険制度にならって対応しておるということでございます。したがいまして、その面で具体の児童生徒学校教育活動の場というような状態の中での事故、そういうものに対応する問題につきましては、具体のケースに応じて若干運用の上で扱いを対応しておるというケースがあるわけでございますが、御指摘の点は先ほど粕谷先生からも歯の問題等でも御指摘があった点でございまして、安全会はまだ若い段階でございますけれども、十八年の経験を経ておりますし、また今回さらに手厚い救済措置ということを主眼に置いて取り組んでおる問題でございますから、御趣旨の点につきましては十分な研究、勉強をしていくようにしてまいりたいというように考えております。
  86. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 先ほども出ました医療費の支給期間が五年というふうになっておりますが、これを原則は五年としても、特別の場合は五年を延長して認めていくべきだと、私も強く主張したいのです。これは実際五年で大体認定できるというふうに文部省は言い切っていらっしゃいますけれども、実際はそうじゃありません。私の知っている方でもそうじゃない人がたくさんいるわけなんですね。ですから、ただし書きでもいいから五年の期間を延長するようにしていただきたい。五年を過ぎてから医療費が非常にかかる、負担が重くなるということもあるわけなんですね。そういう点をぜひただし書きでいいから認められるようにしていただきたいと、重ねて私からもお願してその点お答えいただきたいと思います。
  87. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) 安全会災害共済給付の契約は、各年度ごとに行うことといたしております。したがいまして、共済掛金の額の算定に当たりましては、原則として当該年度の給付に見合う額になるようにしているものでございます。しかし、負傷や疾病の治療につきましては、治療するまでに相当の期間がかかるということの実態がございますので、逐次その期間を延長いたしまして、ちょうど昭和四十七年度から医療費の支給期間を同一傷病につき五年間とするようにしてまいりました。療養期間が五年を超えるような場合には、その大部分廃疾見舞い金給付対象となるので、今回の給付改善廃疾見舞い金の額を大幅に引き上げましたことによりまして、廃疾になった後において突発的に症状が悪化すること等に伴う治療につきましても、この廃疾見舞い金でその医療費の負担は十分当面できるのではないかという考え方を持ちまして、特に今回支給期間の延長をする必要はないという考えをとっておるわけでございますが、なお、この面につきましては将来にわたってこの面の実態等も十分勘案しながら、対応していくべき課題ではあると考えております。
  88. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 不服申し立て制度についてお尋ねいたしますが、請求が認められなかった場合、あるいは父母が決定された給付額や疾病等級の認定に不服があった場合、それを受けて公正に審査する制度が必要であると思います。少なくとも父母の疑問については書類を公開する、——実際は見せないらしいんですね。こうした苦情や相談に応ずる機関を設けるべきではないか、こう思いますが、いかがでしょうか。
  89. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) 安全会給付の決定は、いわゆる行政処分に対応するのではございませんから、通常、行政行為につきまして不服審査のための不服審査機関を必要とするというような意味の、法律上に位置づけられた審査機関は必要ないというように考えておりますが、御指摘のような事実上の問題といたしまして、その審査の公正かつ適正を期していくということは、常に大事なことでございますので、このたびの改善を機に、安全会の中にしかるべき審査会を、学識経験者等を含めまして審査会を構成いたしまして、その審査の厳正かつ公正を期してまいりたい、その面で対応していきたいというように考えておる次第でございます。
  90. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 次に、国庫補助金についてお尋ねいたします。国庫補助金十八億のうち、非義務教育学校分三億円、この中に幼稚園分は入っていますが、保育園分は含まれていない。これはどういうわけだろうか、非常におかしいと思うんです。保育所も安全会の加入対象であり、百五十万人も加入して、加入率では幼稚園よりも多い、約八九%が加入しておりますが、同じ幼児教育の一環としての保育所−保育時間か違うというだけだと思うんです。こういう保育所を国庫補助金対象にしてないというのはおかしいと思います。どういうわけか。また、今後これはどうするつもりかという点についてお聞きしたいと思います。
  91. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) このたび新たに国が安全会災害共済給付に係る経費につきまして、国庫補助の措置をとりましたのは、その趣旨とするところが学校教育活動の積極的かつ円滑な運営に資するという観点から、この面の実現を図ったものでございます。したがいまして、児童福祉施設である保育所につきまして、幼稚園とその教育内容が類似し、またそれに相当するものが行われておるわけでございますが、直接的には目的、性格が学校教育ということとまあ直接一致しておらないということもございますし、厚生省の所管の問題でもございますし、このたび補助金を計上する予算積算におきましては、保育所が一応はずれておるというのは御指摘のとおりでございます。なおこの面につきましては、厚生省あるいは大蔵省とも今後さらに御相談していくべき課題であろうというように承知いたしております。
  92. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 これはいずれば保育所も加入対象になると、補助金を与えるようにするという方向ではあるわけですね。
  93. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) 幼稚園教育との対応の問題でございますが、保育所に対する助成策につきましてどのような措置をしていくかは、これは所管官庁の厚生省と関連する問題でございますので、よくその上で検討さしていただきたいと思います。ですからここで将来にわたってそういう方向へいくと私ども責任でちょっと言い切れない問題でございますので、厚生省と十分連絡とりながら検討さしていただきたいと思います。
  94. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 文部省と厚生省が、幼稚園と保育園との問題についてはいろいろ懇談をするということで、そういう懇談会もし始めたわけですね。ですからそういうところにやはり話題として出していただける、この点どうですか。
  95. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 幼稚園と保育所のあり方についていろんな御議論のある時期でもございますし、行管からの勧告を受けて両省で懇談会も持っております。いまの柏原先生指摘の点は、この懇談会にかける筋合いのものかどうかちょっと私も疑問に思いますけれども、確かに学校安全会の運営について、幼稚園には補助が行っているけれども、保育所はそうなっていない。厚生省行政とはいうものの、これはやはり重要なことでございますから、厚生省とよく一緒に検討させていただきたいと思います。
  96. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 ぜひお願いしたいと思います。  次に、学校管理下という適用の範囲についてお尋ねいたしますが、給付対象になる学校管理下の中に、学校長の承認または了解のもとに実施したPTA主催の行事、あるいは教師個人の行事をも含めるよう適用を拡大すべきだと思っております。施行令の第三条二項三号の後段に「その他校長の指示又は承認に基づいて学校にあるとき。」とございますし、この適用によって現場における教育が少しでもよくなる方向であるならば検討すべきではないか、こういうふうに思っておりますが、この点はいかがでしょうか。
  97. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) 学校管理下における事故に相当するものにつきまして、共済の制度が施行されるわけでございます。これにつきましては、御指摘のとおり施行令におきましてその一応の範囲が決められておるわけでございます。その場合に、やはり学校教育計画として計画されたものであって、それに対して学校指導関係が明確にされておる。またそのことが具体には教師の具体的な指導活動実践されるというような関係におけるものが基本でございますので、そういう観点に立ちまして、それぞれ該当するものの認定を比較的緩やかな観点に立っていたしておるわけでございまして、したがいまして、本来ならば学校の必ずしも管理下と言えない登・下校につきまして、これはむしろ親の監護責任の範囲ではございますが、これにつきましても学校への登校ということの面から、一応の対象に考えるということを考えておりますので、いま御指摘の点につきましては、それぞれ学校が具体の教育計画として立てられたその計画の内容によって決まると思いますので、先生生徒の間の個人的な善意の関係で行われる自由な活動までについて、すべてこういう管理下の作用として取り上げていくことは、逆にその面の積極性を欠く問題の誘発にもなろうかと思いますので、具体のケースに応じて対応できるよう十分配慮してまいりたいと思っております。
  98. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 学童保育が学校施設内で行われている場合に、そこでの事故についてはその学校に所属する児童だけと、こうなっておりますが、他の学校児童についても適用を検討すべきだと、こう思いますが、どうでしょうか。
  99. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) たとえば、いま小学校では原則として対外競技等は当該学校内でということでございますが、最近スポーツの振興、子供たちを丈夫に育てる体育の大いに普及振興の観点からも、隣接の小学校との間に対外試合等が行われるというような問題がございます。あるいは中学校になりますと県内大会もございます。この種の対外競技等につきましては、これは学校が計画して児童生徒を参加させる、またそれには教師が公務として付き添いされるという計画で進められるものでございますから、このものにつきましては、安全会の認定に当たりましては、仮に不幸な事故があれば、当然に学校管理下における事故と、そういう扱いをいたしておるわけでございます。ただ、それ以外に学校開放等の観点から、学校の施設設備がいわゆるスクールエクステンションの観点から利用されておる、そこのところでの事故がたまたま児童であった、生徒であったというだけで、それは直ちに学校管理下の作用としての責任は持つことはできませんので、この面につきましては、先ほど来御指摘のスポーツ安全協会、あるいはクラブ活動等の損害保険等でこれに対応するという策が一方講じられておるということでございます。ですからいま御指摘の点につきましては、他の学校生徒がその学校活動しておる、それが他の学校教育活動として計画されたものであるという認定があれば、当然学校管理下の作用であるというふうに考えております。
  100. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 もう一度確認しておきたいんですが、学童保育が学校の施設の中で行われた場合ですね、そしてそこで事故があった、その学校に所属する児童だったらば適用されるんですけれども、ほかの学校児童だったらば適用されないわけですが、それは適用するように検討できないんですかとお聞きしているんですけれども。できないというのか、検討してみるというのか、そこだけでいいんですけれども
  101. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) いまの問題につきましては、具体には当該学校の学童が当該学校で保育されているというような形の場合には、これを学校安全会法対象に見ておるということでございまして、いま先生指摘の、そこによその学校生徒を預かっているというような形の問題につきましては、これはある面から見ますと、たまたまその学校子供であったから給付対象になっている。同じ義務教育学校の者はその場所で起こった事故について全然救済し得ないということは、あるいは御指摘のとおり問題のバランスを欠く問題でございますので、よくこの面につきましては安全会の方で研究さしていただきたいと思う次第でございます。
  102. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 その点もひとつよろしくお願いいたします。  次に、医療費の給付拡大についてお尋ねいたします。  保険外医療費、たとえば差額ベッド料、付添看護婦料、移送料、めがねの破損などについてできるだけかかっただけの実費、全額を給付するように配慮すべきだと思います。少なくとも一定の基準を設けて、個人負担の軽減を図るべきであると、こう思っております。例として予防接種健康被害救済制度というのがございますが、その中では医療費の給付のほかに入院、通院の日数に応じて医療手当が支給されておりますので、これらも参考にして検討してみてはどうかと、こういうふうに思っておりますが、この点はいかがでしょうか。
  103. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 安全会は互助共済制度でございますけれども、やはり公的な制度でございます。そこで医療費の算定は健康保険で認める額を用いております。そこの点の御指摘でございましたけれども安全会制度で医療保険制度を混乱させるわけにはまいりません。それらの改善はやはり保険制度の方の改善から事を起こしてもらわなければならないことだと考えます。しかし、療養に要します費用が五千円以上の場合には、療養に伴って要します費用として一割を加算することといたしておりますので、長期入院者等にはかなりの加算額が支給されることになっております点はひとつ御理解をいただきたいと思います。
  104. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 次に、業務運営体制についてお伺いいたします。  学校災害が年々増加し、各学校における安全会給付に関する事務量というのが非常にふえてまいりました。こうした事務は大部分が養護教諭にしわ寄せされている。養護教諭本来の職務に支障を来たしつつあると聞いております。こういう点で改善の余地はないのか、お考えになっているかどうかという点、お尋ねいたします。
  105. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) 学校安全会給付状況が現在およそ百人の児童生徒につきまして年間四件程度の給付になっております。したがいまして、児童生徒数の多い学校においては、御指摘のとおりかなりの件数に及ぶものと推測されるわけでございます。これらのすべてが養護教諭にしわ寄せされているということはないと思いますが、しかし養護教諭本来の職務の遂行に支障を来たすというようなことは、御指摘のとおり遺憾の面もあるわけでございますので、今後学校事務の適切な配分につきまして指導をしてまいりたいというように考えておる次第でございます。
  106. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 その改善一つとして、業務の簡素化のための提出書類の整理統合、簡略化、これはできると思います。非常に提出の書類が多い。先ほどからもいろいろと御意見が出ていたようでございますが、それに対して文部省お答えは、何となくまだきめ細かく具体的にここのところをこうこうしようというような、そうした姿勢がないように思います。まあなるべくけがをしても薬をちょっとつけて、それで済ましちゃいなさいというようにちょっとさっき感じたわけですね。確かに災害を簡単に始末して、書類で請求しなければ一番それは簡単なことですけれども、わずか五百円とか千円ぐらいの程度のお金を請求するのにも非常な書類を書くのに手間がかかっている。こういうようなものはどうしても簡素化しなければならないし、できると思うんですね。それで私もこの書類をいろいろ見てみたんですが、たとえば「災害報告書」というのがここにございます。この内容についても記入の項目をもっと簡素化できないのかしらと、もう見ただけでうんざりするようなことがずーっと並んでいるわけです。またこれ一枚だけじゃなくて、それにもう一枚「医療等の状況」というのをまたこれつけるんでしょう。そして一ヵ月超えた場合には、この「災害継続報告書」というのを「医療等の状況」というのにつけてこう出すわけですよね。こういうようなものはもっと簡単にできると思うんですね。たとえばこちらの方に「災害継続報告書」というのを添えるわけでしょう。これを添えないで、これ一枚で「医療等の状況」というところにまとめられると思うんですね。それは専門家の方がやっていらっしゃるんですけれども、わりあいと事務というのはこういうふうに何枚も何枚もやると、とても徹底していいような錯覚になるんですね。二枚も三枚も四枚もふやした方がなおいいみたいな、そういう事務にこる人がいるんですよね。いかにも自分は真剣にやっているような錯覚になっている。書かされている方はもうやり切れないわけです。これはもっと近代的に合理的に、もうコンピューター時代なんですからね、もっと簡単にスマートな書類にできると思うんですね。もうこれじゃ明治時代ですよ。そのほか学校災害の医療給付の場合、これ以外に学校行事計画書、通学経路略図、転医証明書なんというものをもうべたべた出すわけでしょう。こういうものは省略できないか、こういうふうに思うわけです。どうでしょう。
  107. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) 御指摘災害給付請求に対しましての報告書等で御指摘のように、災害発生の場所あるいは災害発生の状態につきまして、詳細な記入をしていただくようにいたしております。これはこのことによりまして、学校管理下における事故がどのような状態において、どのような態様において、どのような学校責任関係において発生したものであるかということを、これによって承知するということにやはり主眼を置いております。もっと簡単に、およそ学校における事故であるということで、医療にかかれば医療機関の方から請求がくるというふうなことであれば、学校の事務はきわめて簡略化するわけでございますが、それは学校管理下事故認定につきましては、また改めての申請を必要とするということがございますので、詳細の事項をもって記載するようにいたしております。ただ、これが先ほど申しましたようなささいなものと、死亡事故のようなものと、それぞれみんな対応するような書類になっております。この辺のところは今後さらにいままでの経験にかんがみて、工夫を要するところは多分にあろうと思いますので、安全会でこの面の簡素化につきましては従来とも努力しておるわけでございますが、先生指摘の点につきましては、さらに一層の研究をしていくようにとり進めてまいりたいと思います。
  108. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 次に医療機関への協力要請について申し上げたいと思います。この「医療等の状況」という証明書類の記入ですね、これは手数料は徴収しないということになっているわけですね。これをもっと強く協力要請すべきではないかと思うわけです。これを書いてもらうと七百円とか、多いところでは千五百円も取っているようなんです。こうしたことをなくすために、この余白のところに趣旨をもっと明確に印刷しておいたらどうかしらと、こう思います。手数料は取らないんですということをここへ印刷して書いておいたらいいと思うのです。ほかのことは書いてありますから、ここへついでに書けると思うのですね。それで養護の先生が、子供から七百円払って書いてもらってきたということを聞いて、これは払わなくてもいいのよと言って、医療機関の方へまた言って手数料を戻してもらって、そして子供に渡しているというようなところもあるわけなんですね。ですから、ここにそういうややこしいことのないように印刷しておいてはどうか。またそれができなければ医療機関に周知徹底する。手数料は取らないように、またそれによって煩わしくならないようにしていただきたいと思うのです。これはどうでしょうか。
  109. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) この手数料の問題につきましては、当然には手数料を請求されるのが常態でございます。ただ、安全会設立の際、日本医師会の御厚意で、医師会長名で全国の医師会会員に対しまして、安全会給付にかかるところの明細書の作成に当たりましては、手数料は徴収しないようにという通達が出されました。それによりましてほとんどが支払わないで善意による扱いを得ておるわけでございます。したがいまして、この医療機関の出されます明細書に、これは安全会のものはただであるというように、あの中に入れるのは少し問題があろうかと思います。むしろこれは安全会給付にかかる医療の明細書であるというようなことがどこかに明確になるというようなことで、むしろそちらの側から検討すべきことであろうと、いまお聞きして感じた次第でございまして、この面もその趣旨の徹底の仕方につきまして、さらに今後普及を図る必要があろうと思う問題の一つでございますので、その観点から研究をさしていただきたいと思います。
  110. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 ひとつその点よろしくお願いいたします。  それから養護教諭に関連して、保健室の電話についてお尋ねいたします。  現在、保健室に学校の外につながる電話がどの程度設置されているか。文部省ではこれを調査はしていらっしゃらないと思います。ところが養護の先生がぜひこの保健室に電話をつけてほしいと。これは内線はついているんですけれども学校外につながる電話ですね、これを欲しいということを強く要望しているわけなんです。私も実際にこれは必要だなあと痛感いたしました。子供災害に遭ったときに医療機関は外部です。そこへすぐ連絡をすると、また父兄に連絡をすると。その養護教諭の先生じゃなければその状況とかそれに対する手の打ち方などはできない場合が多いわけですね。それを子供をそこに置いたまんま、端から端まで行って、それで事務室や職員室の電話をかけて、それで連絡している。こういうことが事実あるわけなんですね。ですから、この保健室の電話、学校外につながる電話をぜひつけていただきたい。ある調査によりますと、六十七校で外線があるのがたった八校、一二%。全然ないというのが五校、内線が五十四校、約八〇%です。ぜひ、これはできると思いますので、するように文部省の方から言っていただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  111. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) まさに学校の運営の、それ自体の問題でもございますので、どの程度まで文部省から物が言えるものか、なかなかむずかしい問題でございますが、私どもも養護教諭の方々の責任を果たす、職務遂行の上の必要性の問題といたしまして関心を持ってまいりたいというように考えております。
  112. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 これは今度の法律で、そういう安全に関する問題は特に取り上げられているわけですね。いままでは保健だけであったけれども、今度は安全計画というものが大きく取り上げられているのですから、やっぱり現場の養護の教諭の先生が、やはり法律がこういうふうに改まると、実際いままで要望しても要望しても実現できなかったことが、やはり具体的になるんだなあというふうになっていかないと、りっぱな法律が出ても現場はちっともよくなってないというのじゃまずいと思うのです。ですから文部省でどの程度そういうことを言っていいものかなんて言ってないで、いいことなんですから私はどんどん言うべきだと思いますよ。それに対して押さえつけだなんて、日教組のことはずいぶん押さえつけるけれども、こういうことはどんどん言うべきじゃないでしょうかね、文部省として。一言お願いいたします。
  113. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) 養護教諭の方々の研修、講習の機会もございますし、主管課長会議等でも主体的な問題の案件につきましての研究もされておりますので、それらの機会を通しまして、この面につきまして事情をお聞きし、また先生の御指摘の点の実現につきまして考えてまいりたいと思っております。
  114. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 その点もひとつよろしくお願いします。  次に、新しく実施を予定しております特別廃疾見舞い金、これについてお尋ねいたしますが、これはどういう条件でいつごろ実施するか。この点についてお聞きいたします。  まず対象児童生徒はどの範囲なのか。過去に事故のあったとき、安全会に加入していた児童生徒に対して、すべてを対象としているかという点を一点お願いします。
  115. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) このたびの給付事業改善に当たりまして、かなり大幅な画期的な改善がなされまして、従来の給付内容との間にいささか均衡の上で問題を生じておりますし、また具体に、現に廃疾等になっておられる方々の救済制度につきまして、温かい手を伸べるということがこのたびの改善につきまして先生方からも御指摘を受けた問題でございましたので、この面につきましてどのような策を講ずるかということが一つの課題でございました。  そこで、具体に当たりましてはこの法律が施行され、また予算が執行できる状態になりましたならば、直ちにその時点、四月一日になお廃疾の状態にある方、重度な廃疾の状態にある方、一級から三級でございますが。それに該当する方々の認定を直ちに申請を待って始めたいと思っております。それは対象といたしましては安全会創設されました時点から、安全会給付対象となられた方々すべてでございまして、その中にはあるいは必ずしも廃疾の程度が軽度な程度であった人もあろうかと思いますが、現に、現在時点においては一級ないし三級に認定されるというような方であれば、その方に対しても特別廃疾見舞い金支給していくということで考えてまいりたい。したがいまして、十八年前にさかのぼりまして、四月一日の時点でなおかつ廃疾の状態におられるという方をすべて対象としてこの認定を行ってまいりたいというように考えておる次第でございます。
  116. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 訴訟などで賠償をもらった場合はどうなるのか、その額の多少によっても変わるのか、この点はいかがでしょうか。
  117. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) この特別の廃疾見舞金につきましては、額は従来の支給しておりました直近の最高額を支給してまいりたいというように考えまして、したがいまして、廃疾一級の者につきましては四百万円の見舞金を支給することにいたしておりますが、したがいまして、それまでの間に損害賠償請求事件がございまして、設置者損害賠償が確定して支給されておるという案件の者につきましては、その部分対象外にしていくということが当然のことであろうというように感じておる次第でございます。
  118. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 もう一点、認定時は第四級だったが、その後重くなって現在認定すれば三級以上になっている、こういうような場合はどうなるんでしょうか。
  119. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) 御指摘のとおり、そのような考え方に立って処理してまいりたいと思っておりますが、実際にその辺のところの具体のケースについてどのような形で上がってくるか、具体の問題としてはなかなか問題があろうかと思いますが、私ども対応としてはいま先生指摘のような観点に立って、現に廃疾の状態にあられるというそこのところに価値判断を置きまして対処してまいりたいと思っております。
  120. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 もう一点、所得制限などは考えていらっしゃいますか。
  121. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) この給付は基本において互助共済制度との関連もございますので、特に所得等による制限の枠はかけないというように考えております。
  122. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 最後にもう一点、一級、二級、三級の廃疾見舞金を受け取った後に死亡した者に対しては、どういうふうに扱われますのでしょうか。
  123. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) 現在その方は具体には安全会の加入者ではございませんので、死亡の場合に特段の措置を別途考えてはおりません。
  124. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 次に安全確保災害防止、この点についてお尋ねいたします。  学校保健法の中に安全管理規程を入れて安全を確保しようという趣旨のようですが、教職員の注意義務だけで安全を確保しようとすることは私は片手落ちである、こういうふうに考えます。施設とか設備の改善、人的にいわゆる教職員の定数上の配慮にも責任を持って取り組むべきであると考えますが、いかがでしょうか。ただ教職員の注意義務を強くしたというような片手落ちのままではならないと思います。
  125. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) 御指摘の点につきましては、先ほども指摘ございましたとおり、まさに学校設置者また学校の実際の教育運営に当たられる方々一丸となって安全の管理、安全の徹底を期するという責任を明確にしていこうということでございますので、これにつきましてはそれぞれ設置者においては設置者の果たすべき役割り、また学校における注意義務の徹底等が両々相まって、常に安全でかつ活力のあふれた学校教育実践に結びつくようにすべきことであるということで、従来この面につきましては、御指摘のとおり学校保健計画におきましても安全計画を実際に立てまして、取り進められてきたところでございますが、今日安全教育の重要性が叫ばれているときでもございますので、学校教育の一方で積極的な体育、スポーツの振興等とともに、常に安全に注意を向けていくということの教育の重要性の観点から、均衡を保つ面でこのたび改正をさせていただいたということでございますので、一方的に教師の注意義務だけを押しつけるという趣旨では決してございませんで、御懸念の御注意の点につきましては十分心得て今後対応してまいりたいと思います。
  126. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 そこで、具体的に申し上げたいんですが、児童生徒の負傷発生の場所を見ますと、校庭、運動場が非常に多いわけなんです。この校庭、運動場について狭過ぎるということが言えると思います。現在、義務教育小・中学校のそれの広さ、これは一人当たり平均どのくらいになっておりますでしょうか。
  127. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) 申しわけございませんが、現在手元にその資料を持っておりませんので、後ほど調べまして御報告申し上げたいと思います。
  128. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 ところで、校庭や運動場の面積の基準があるのかしらと思って調べてみました。高等学校や幼稚園にはそれらしいものはありましたが、肝心の義務教育小・中学校にはありません。学校教育法施行規則に小学校については第十六条、中学校は第五十一条に設置基準は別にこれを定めると、こういうふうにしてあるだけです。定めてはないんです。これは速やかに設置基準を定めて、その最低の広さは確保できるような配慮を今後はすべきじゃないか、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
  129. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 大変重要な問題だと思います。小・中学校の設置基準等につきましては、安全を守るという観点からも、従来は建築基準法等に頼ってやってまいったわけでございますが、衆議院でも御指摘のあったところでございまして、検討をさせていただくことにいたします。
  130. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 その点もひとつよろしくお願い申し上げます。  最後に、通学中を除いた学校管理下死亡の死因別の状況を見ますと、心臓性疾患が圧倒的に多いわけです。まあ一人一人の児童生徒の健康状態を適切に把握すべきだと、しっかりした健康管理を行うということもこの災害防止の重要なポイントであると思います。それには健康検査の内容を充実すべきだ、検査の体制を確立すべきであると考えております。たとえば心臓の場合も一次検査は問診、聴診だけです。これは心電図をとる必要があるのではないか。また、検査体制にしてみても、二時間ぐらいに五百人も六百人もの児童生徒を診るといったこんな体制では、適切な診断は私はおぼつかないと思います。こうした健康管理をしっかり行うということが、やはり今後災害防止の大事な点であると思いますので、検討すべきであると、こういうふうに思っております。この点、いかがでしょうか。
  131. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) 健康診断の診断項目につきましては、そのときどきに力点を置くべき項目がございますので、常に専門の先生方の御意見を賜りまして、その内容改善に努めているところでございますし、特に最近側彎症問題等の課題も出てきております。また、御指摘の心臓及び腎臓疾患の問題につきましては、その診療体制をどのように学校から地域、また最終的には治療機関に結びつく二次、三次の検査体制はどうあったらいいかということは、個々の学校、また学校医の先生だけでは対応し切れない大事な課題でございますので、現にこの診療体制をどのようなネットワークで取り入れるのか、この辺の具体の解決を図るべきだということで、モデル県を六県選びまして、この心臓、腎臓等の診療体制の整備を進めてまいりたいというように考えております。また、来年度予算でスポーツ医事、あるいはスポーツ診断と申しますか、その面の要素は、やはり育っていく子供たちにその面からのアプローチが必要であろう、そのことが、学校先生方が多くの子供を抱えて指導されるに当たって、そこにできる限り運動処方というような指導が渡っていく、そのことが大事であろうというように感じておりまして、そのためのスポーツ医事相談事業ということを、いま予算を来年度計上さしていただきまして、これも学校保健会にお願いいたしまして、医師の先生方、それと体育先生方が机を同じゅうして、将来にわたっては健康診断が、健康体力診断的な方向に実っていくというようなことの研究もしていただくということの新たな予算も計上さしていただいております。いま御指摘の点につきましては、多数の児童生徒が毎日教育活動していく大事な学校の場でございますから、従来以上にその面のきめの細かい診断項目が必要であろうというふうに私ども感じて、鋭意努力中でございます。
  132. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 最初に、学校保健法の一部改正、八条関係に関連をして、厚生省にお伺いをしておきたいわけであります。  現在、結核の発生状況というのは、一体どういう状況になっているのか。登録された者、新規の者、それぞれお答えを願いたい。また、各地域における一般住民の検診の受診率、これはどういう状態にあるのか、このことをお伺いしておきたい。
  133. 仲村英一

    説明員(仲村英一君) ただいまお尋ねの結核の蔓延状況でございますが、御承知のように、結核というのは非常にわが国では減ってまいりまして、昭和二十八年ごろは活動性の患者の数で申し上げますと二百九十万人ぐらいおりましたが、昭和五十一年には三十九万人と非常に減少しております。それから死亡でございますが、結核による死亡にいたしましても、昭和四十年は、これは歴史的に最高だった年でございますが、約十五万人の方が亡くなっておりましたが、現在昭和五十一年の数字では、一万人を切りまして九千九百人ぐらいということで、大変減ってきております。そういう蔓延状況でございました。もう一つのお尋ねの一般住民の受診率でございますが、これは御承知のように、十五歳以上はそれぞれの実施責任者が決まっておりますが、いわゆる一般住民という方たちは市町村長の責任で健康診断を行っております。この受診率は、五十一年で約三七・五%という数字が私どもの把握しておる数字でございます。
  134. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 いまのお答えの中で、現状がはつきりしていないわけですけれども、現在、厚生省の方へ問い合わせたところ、登録されておる者が三十九万人、そのうち感染性の者が五万九千人。そして一九七七年の新規発生の者が九万七千人、そのうちで感染性の者が二万七千人、高年齢の者が多いというふうに聞いているんですが、そういう状況ですか。
  135. 仲村英一

    説明員(仲村英一君) ただいまおっしゃった数字は、私どもの統計で持っております数字と同様でございまして、御指摘のように、結核というのは昔は女工哀史等ございましたように、非常に青壮年の病気でございましたが、現在は老人の病気だというふうに言ってもいいぐらい、罹患状況は高年齢に推移してございます。
  136. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 確かに、国民病としての結核に対するこの克服のための行政と、国民一致した努力というのは実を結んでいるというふうに私も考えるわけであります。しかし、そうだからといって、もうこれは結核は恐るるに足りないというようなことで手を抜いてよいかといえば、なかなかそういうものではない。現在、感染性の者が六万。こういうのは少し状況を怠るとたちまちに集団感染を生み出し、危ない状態にある。まあこの病気に関しては、アメリカなどでは検診について全体としてやめるような方向が出ておるけれども、教職員については、いやしくも教職員が感染源になって、児童生徒の中に問題が出てくるようなことがあってはならぬというので、これはなおアメリカのような状況においても継続をされているというふうに聞いているわけであります。  昭和四十九年にこの法改正がございましたが、その際に特に厚生省では努力をすべき重点として、附帯決議についていろいろ受けとめておられるかと思うわけですが、その経過はどうなっておりますか。
  137. 仲村英一

    説明員(仲村英一君) 法律改正いたしましたのは四十九年でございますが、この内容は、厚生大臣の諮問機関でございます結核予防審議会の答申に基づいてなされたわけでございますが、今後の結核の重点は、ただいまおっしゃられましたような危険の非常に高いグループ——ハイ・リスク・グループと言っておりますが、そういう人たちを特に重点で追っかけていくといいますか、患者を発見して管理していく、こういう方向で結核対策を進めているところでございます。
  138. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 先ほどお尋ねした点でまだ答弁をしてもらっておらぬわけですが、一般の各地域の住民の検診というのは一〇〇%いっておるわけですか、どうなんですか。
  139. 仲村英一

    説明員(仲村英一君) 先ほどお答えしたつもりでございましたが、一般住民の受診率は五十一年の私どもの試算では三七・五%でございます。
  140. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 三七%が受診しておるということになれば、少なくとも六三%は受診をしていないということであります。この結核予防法の改正の際には、特に附帯決議が付せられて、各地域における一般住民、とりわけ多発地域の住民、老人及び零細企業従業員に対する定期検診の受診率の向上を図り、あわせて家族の定期外検診を強化し拡充すること。二番目に、幼少年層の結核発生の予防のため、その合理的な方策をさらに検討することというようなことが掲げられておるわけです。そのわりにしては全体の検診の受診率というものは不十分というふうな答弁を聞くわけですが、どうですか。
  141. 仲村英一

    説明員(仲村英一君) 御指摘の点、もっともな部分があるわけでございますが、先ほど先生おっしゃいましたように、国民全体の中に結核はこわくないんだという意識を持つ方があるもので、そういう点で一般住民の受診率というものが、非常に過去に比べますと少しずつ低下をしてきておるという実態がございます。したがいまして私ども、これは実施責任者は市町村長でございますが、保健所等を通じましてさらに一般住民の受診率を向上するようにということを指導しておるところでございます。
  142. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 この法改正の際にも、これは社労で審議をされましたが、わが党の沓脱委員が専門家としての立場も含めて、いやしくもこの病気というのは油断をすれば決して軽視できない病気ですよということを討論の中で念を押しながら、こわくない病気だというような国民の安易な対応がもし生まれるなら危険があるから、特に厚生省には一層の充実をした行政的な措置をお願いしておったと思うわけです。その点については、なおかつやはり危険に対して十分とは言えない点があると、一層の努力を願いたいと思うわけであります。  続いて、文部省の方にお伺いをするわけであります。昭和四十九年以来、各学校についての取り扱いも、それまでに比べて検診ではいわば間引き検診になったわけであります。その状況以降、学校において集団感染というような事実が起こったことがあるのかないのかと、あればどういう状況であるかと、これをお伺いしたいと思います。
  143. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 弱年者につきましては、この病気のエックス線の被曝によります健康への影響を配慮する必要がございますので、中学校以下ではエックス線による検診を小学校第一学年と、中学校第二学年の二回にしたわけでございます。しかし学校保健法が四十八年に改正されましてから、健康診断の実施に当たりまして保健調査を行うなど、健康状態の思わしくない者、または家庭等に結核患者が発生いたしました場合には、学校医によります応分の発見のための努力が実るように、そういう指導をしてまいっているところでございますが、昨年、いま御指摘のございました具体例が埼玉に一件発生をいたしました。それに対します措置もいたしましたので、事務当局の方からお答えをいたします。
  144. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) 一部新聞にも報道されましたが、埼玉県の志木のある中学校で開放性の結核の発生がございました。五月に中学の二年生二百余人にツベルクリン反応の検査をいたしましたところ、八十一人の三九・七%がツベルクリン反応の結果強陽性の認定がございました。さらにこれを、陽性者に対しましてエックス線の間接撮影をいたしました結果、一人の者に、男の生徒でございますが、病巣があることが判明いたしました。そこで、六月十六日にこの者に対しまして診療所で精密検査をしていただきまして、その結果開放性の結核という診断がございました。父親が開放性の結核であったというような環境にございまして。それで、この者は直ちに翌日入院をいたしまして、ことしの四月にたしか復学をするというような経緯でございますが、七月の二十二日に保護者に集まっていただきまして、八十三名の生徒に対しまして発病予防薬の内服薬を、また、これの説明会をいたしております。その後強陽性が増加しているかどうかということを見るために、二年生の中程度の陽性以下の生徒百六十九人につきまして、ツベルクリンの反応をさらにいたしまして、その結果強陽性の者が十五名あるということですので、またこれに予防薬の内服薬を与したというようなことでございます。十月十七日に七百六十五名につきましてエックス線の間接撮影を行いましたが、その際は別に発病者はいなかったということでございます。学校といたしましては、学校内を消毒するとともに、日常の健康観察の充実等、学校における保健管理体制の強化を図っておるという件が昨年一つございましたが、その他一部、名古屋市立の長良中学校におきまして二名の結核の発見があったということでございます。これは四百八十六人中の二名というような、そういう現象もあるようでございます。
  145. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 なくなったと思った結核が、やっぱり一つの感染源があって、そして一定期間濃厚に接触しておれば、意外と大きな集団感染をもたらすものだという一つの警告がやっぱりここにあるんじゃなかろうかと私は思うわけであります。特に昭和四十九年から、まあいわば今日の状況なら大丈夫だと、BCGの効果もかなり長続きするものだというので、こう間引きをされておるわけですが、結果論的になりますけれども、私埼玉の現地の人にも事情を少し聞いてみたわけですけれども、事後の措置は、従来からの緊張して取り組んだ経験もまだ強く残っておりますから、かなり妥当に行われておるとしても、旧体制のままだったらもう少し早く発見されたんじゃなかろうかとか、やっぱりうっかりしておると恐ろしいものだということが言われておるわけであります。少なくとも今回の措置については、この原則を深く心に体して運用を進めていただきたいと。特に大臣に対してはこの問題について、四十九年以来、小さいながら長良中学の問題と、それから埼玉県のこの集団感染問題、志木市の市立中学ですね、こういうものが出ておると、この点についていやしくも逆行をして、また蔓延するというようなことがないようにひとつ十分な体制でやっていただきたいと思うわけであります。大臣の所感を聞いておきたいと思います。
  146. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 大変結核に感染している特に若い人たちが減ったからといって、油断のできることではございません。小・中学校でのX線検診というものは、先ほど申し上げましたようなことになっておりますけれども、結核菌によります感染や、結核発病のおそれのある者、すなわちツベルクリン反応の強い陽性を示す者等につきましては、小学校の第四学年、中学校の第一学年、及び中学校の第三学年においてもX線検査をやる、こういう特例的な健康診断を実施することにいたしておりますので、ひとつ十分の注意を払って対処をしてまいりたいと存じます。
  147. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 安全会法の問題に入るわけであります。少なくとも今回積まれた国庫補助予算を、速やかに四月一日以降気の毒な被災者の方々のところへ恩恵を及ぼしたいという立場から御質問をするわけでありますが、同時に、多発する実態と被災者の状況を見ますなら、今回の措置がなお引き続く努力によって改善をしなければならぬものだということは、この際明らかにする必要があると思うわけであります。何としても、これ百万件に近い病院送りです。こういうものが先ほどからも出ておりますが、例外的にはとにかくとして、ヨーチンやメンソレータムや仁丹を飲まして治るようなのを、こういうものにしておるとはとうてい思えないわけであります。実態を見れば、むしろまだ隠れた問題もたくさんあると言っていいと思うわけであります。  私は和歌山県の海南市で起こった事件にタッチをしたことがあるわけであります。これは昭和五十一年七月二十七日に、この海南市立三中で、まあKさんとしておきましょうか、この女性徒が自習時間に馬乗りというのをやっておったら、はっとしたはずみで首に足が当たって、花のつぼみといいますかね、中学一年生のかわいらしい女の子なんですけれども、第四頸椎損傷ですね、下半身完全麻痺ですね、今日に至るまで病院に入ったなりであります。お母さんはつきっ切りで看護をしておると。まあ、入った病院にそのままいますが、たまたま差額ベッドで一日五千円というわけですね。負担能力があるからと言えば言うものの、一年間に二百五十万円支払っているんですね。現在安全会から医療費は受け取っておりますが、等級の決定はまだだというふうに聞いております。まあ、お見舞いもしましたし、学校意見も聞いた。これは、本人にとってみればこれでお嫁に行くことを断念しなければならぬというような状況であり、上半身は確かですからようやく物を食べ、口はきけるわけであります。しかし、もうはなやいだ将来を描くことは許されぬと。話をすればすぐに父親の目からでも涙がこぼれてくるというような状況であります。裁判に訴えていないですね。先生方も一生懸命やっておりますけれども、どうしても身近かなものに恨みが向かうですな、もう少し何かやり方があったんじゃないかと。そう言いながら、また資力もありますから裁判やろうと思えばやる力もあるでしょうけれども学校のことを考えて耐えているというわけです。こういう人に対して今度改善をされたこの安全会法でどれだけ補償することができるか。これは大体一級認定がされて、五年後打ち切りの際に千五百万円と、こういうことになるわけであります。いまはうちがお医者さんですから家庭は悪くないんですけれども、父親に生涯頼るわけにはいかぬと思うわけですね。こういう状況の際に、やっぱり年金制であるのと、こういう場合に打ち切り見舞金であるのとの差というのは歴然と出てくるんじゃないでしょうか。年金制で文部省は概算要求をされたものによれば、どういう補償をするわけですか、端的に答えていただきたい。
  148. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) 当初文部省予算要求いたしました際は、一級から七級までの重度な……
  149. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 一級の場合答えてもらえますか。
  150. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) 十八歳未満の者でありますと、一級の場合の年金としては六十六万円の年金支給する。十八歳以上の者である場合は百八十一万二千円の年金支給ということを当初要求の段階では考えました。
  151. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 十六歳になれば百八十一万二千円支給をするという概算要求をされたわけでありますが、千五百万円、現時点では金額は若干大きいように見えても、これはこの年金と比較しても八年分ぐらいに当たっておるだけであります。少なくとも、障害補償というものを考えた場合には、この見舞金制度というのは年金に比べて明らかな劣りを示しておると。またこれ、退院をした後には家庭崩壊状況が出るような問題が非常に目に見えて多いわけであります。病院にいる間はそれなりに成り立っておっても、母親はそこへ縛られるでしょうし、働くこともできなくなるというような問題もあります。こういったふうな点で、これは文部大臣にお伺いするわけですが、これらの問題を考えて概算要求の際には年金制を要求されたと思うわけですけれども、なぜこれを通すことができなかったのか。将来はこの点についてどういうふうにお考えかというような点を聞いておきたいと思います。
  152. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 先ほどお答えいたしましたことと重複いたしますけれども年金制度導入を私ども努力をいたしたわけでございまして、やはりどうしてもできないいろんな壁に阻まれまして、見舞金の大幅な引き上げということで、今回の改正案を御審議願っておるわけでございますが、その一つ問題点は、年金というものは将来国民生活水準、物価その他のいろいろな事情の変動に伴いまして、水準を当然引き上げなければならないことを想定をいたさなきゃなりません。その財源措置をどういうふうにするのか、その財源を後年度における児童生徒等保護者負担させることもそれは適当ではない、また、それを全額公費負担とすることも他の社会保障制度との均衡上困難である、こういうことが一つの問題でございます。さらに、高水準年金所得実績のない児童生徒等に設定をいたしますことは労働者の障害補償年金との均衡を失することになるという現実の問題もまたございます。その次には一般廃疾者に対します社会保障制度におきます位置づけや関連等、こういった検討するべきたくさんの問題がその壁になってしまいまして、努力をいたしましたけれども年金という制度導入することができなかったわけでございます。
  153. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 衆議院で取り組みが行われた中で、いま挙げられたような問題は討論の中で当然皆提示された上で、各党は一致をし、文部省は決意をして予算要求をした。そして、明らかに制度としてはやっぱりより劣る制度で、現時点では前進でありますけれども、妥結をせざるを得なかったということでありますから、ぜひとも大臣、これは今後の課題として残っておるという意識を離れることなくお持ちいただきたい。文部省にとって一つの負債と言っちゃなんですけれども、肩に負った課題であるというふうに私は考えていただくようにお願いをしたいわけですが、どうですか。
  154. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 年金という制度と、それから今回のような見舞い金の大幅な引き上げというやり方と比べてみました場合に、年金という制度にもしも踏み切りました場合には、それはそれなりにこの学校安全会が行っております給付内容を、こういう形に改善をするべしという各種各様の御要望に逆にこたえられない面もまた出てくるわけでございます。財源措置等を考えますときには、現実的にはそういう問題にもまたぶつかることでございますので、それらも踏まえながら、また一般的に申しますならば、社会保障の分野でどうこれが対応できるかということも踏まえながらの将来の検討課題としてまいりたいと考えております。
  155. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 一たん解決した問題がもう一遍、大蔵省の力というものもあるでしょうけれども、後に戻っているというふうに私は言わざるを得ないと思うわけです。さらに今度の措置の中で、過去の人たちですね、措置を終わった人たちについて後追いとして四百万円の上積みというようなのも今回踏み切られたですね。いい措置だと思うわけですけれども、これは一体、前に少額ながら受け取って、今度さらに四百万円の上積みの措置をもらって、これらのことは将来もまた一定時期に考え得るものなのかどうなのか。その点はどうでしょう。
  156. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 先ほど体育局長お答えをいたしましたとおりに、予算が成立いたしました後、できるだけ早い時期に綿密な調査をいたしまして、たとえば弾力的に運用をしたいと思いますから、事故のあったときには四級であっても、現在がもう三級であれば、それは三級の措置をするというような運営をいたしまして、特別廃疾見舞い金支給をいたすわけでございますから、いわば悉皆調査のような形でこれをやりますので、将来にわたってということは考えておりません。
  157. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 この点についても明らかに年金制の実施と、そうして今回の見舞い金の増額の措置との優劣が非常に明白になるところでございますから、今後とも問題が具体化していった中では、検討を要する課題ではなかろうか。私も今回の法案に賛成するという決意をするためには、これが具体的な措置として、周知の、各県にある方々ですね、これに対して具体的適用をすればどうなるのかというのを逐一当たってみたわけであります。これは現に長い苦しみの中にある人のところへ、かなりの前進した額が落ちるわけですから、早急実施はしなければならぬ。それだからと言って、この救済の手の及ばない人たちについてこれで足れりとするようなことがないように、と言うのは、この際進み始めた歯車というのは、まあここで一服だということでなくて、一層進めなければならぬと考えるわけであります。  先ほど差額ベッドの問題についてもございましたが、いま挙げた和歌山の海南のケースでも、病院に連れていくときにはもうあれこれ言っておられませんから、緊急の措置として差額ベッドに入院をするというような例があるので、一律一概に差額ベッドは認めないというようなのに対して、弾力的運用が現実にできないのか。これはよく検討すれば弾力的運用をする、また若干の規則の手直しをするというようなことはなし得ることじゃないでしょうか。どうですか。
  158. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) どうも健康保険の制度そのものをこの法律の弾力的運営で、いまある現実の制度を崩すということは、これは大変むずかしいことでございます。ただ、先ほどから小巻委員が御指摘の点、私ども政府全体として予算を決定をいたしまして、その予算の裏づけをもって今回の法改正御審議を願っておりますので、予算編成の段階の議論をすることは大変私どもとしてはむずかしいことでございまして、出しました法案、また政府として決意をして御審議いただいております予算案として、ひとつ御審議をお願いをしたいのでございますが、将来二度とこういうことをやらないというような冷たいことをということでございましたけれども、その将来というのが小巻委員いつの時点を御指摘になっているか、私もちょっと判断いたしかねますけれども、今回のような措置は、できるだけそのこぼれがないように綿密な調査の上で特別廃疾見舞い金支給をいたしたいと考えておりますので、今回限りという言い方をこの法案ではしているわけでございます。ただ、学校安全会法が行ってまいりますこれからの事業、その他いろんな大きな変化が出てまいりましたときには、それはそれでそのときに当然考えなければならない責任をまた文部省が持つわけでございますから、どうぞひとつそういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  159. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 少なくとも予算は毎年決めるものでありますから、ことしの予算審議、今年の予算の実行と、しかしまた来年もあるわけであります。課題は継続をしておるということではないでしょうか。  それから、文部省の概算要求の中では、みんなが問題にしておる医療給付の五年打ち切りの問題ですね。この問題についても特に大臣が必要と認めたものについては、支給期間を延長する場合があるということが付されておったわけですけれども、この点はどうなんですか。
  160. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) 医療期間の延長につきまして、当初特別の必要ある場合につきましては救済の措置がとれるようにということで、予算要求段階で取り組んだわけでございますが、四十七年に現在の五年ということに延長してまいりまして、その上に立ちましてほとんどのものが五年の医療期間を経た後では、なお必要のある場合は廃疾の状態の認定に該当するものであろうということの上に立ちまして、廃疾見舞い金の大幅な改善をいたしたこともございますので、これで対応していこうということで、このたび医療期間の延長につきましては見送ったという経緯でございます。
  161. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 ほとんどのものが対応できるという前提のもとに、要求の際には特に必要あると認めたものはと、具体的になければ問題はないわけでありますが、こういうことを一たん出しておいて、それで現在ではもう文部省として要求を放棄するようなふうに言われるのは、これもう姿勢の後退ではなかろうかと思うんです。文部省の一たん上げた要求は、これはまあ力関係もありますから、みんな通るとは言えないわけでありますけれども、今後とも要求として堅持されてしかるべきじゃなかろうかと思うんですが、どうですか。
  162. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) この辺の問題につきましては、今後の実態の認識の上に立って、適切な対応をしていくべき課題であろうというふうに考えております。
  163. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 今度の措置は、従来から見れば、国が見舞い金に対して財源を準備をするという点で飛躍的に前進をしたということでありますが、この額が設置者と父母と、それから国の出すものはそれぞれ何%ぐらいの関係になっておるわけですか。
  164. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) 財源構成でございますが、義務教育学校につきましては、国が二〇%、設置者が四〇%、保護者が四〇%、非義務教育学校につきましては、国が九%、設置者が一八%、保護者が七三%でございます。従前は、義務教育につきましては、設置者が五〇、保護者が五〇、非義務につきましては、保護者が一〇〇ということでございましたが、それが先ほど申しました来年度からはこのような割合になるわけでございます。
  165. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 成熟した段階では、国の負担もやはり三者構成なら三分の一とか、あるいは半額とかですね。これはやっぱり目指さなければならぬのではないでしょうか。なかったときと比較して、りっぱにできたというところで歩みをとめてはならぬと思うわけですね。これは一般的な一つの課題でありますけれども、この点、負担率的なものと、これは私学の補助金の場合にでも半額と言っておって、五年かかっても、十年かかってもなかなか達しないというような現実があります。しかしながら、この際にはやっぱり目標を堅持して進んでおるわけであります。この点では、負担率というような点で十分だと、将来課題としても、そういうふうにお考えになるわけですか、どうでしょう。
  166. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) こういう制度でございますから、やはり将来を考えますと医療費の値上がりも考えなきゃなりませんし、そうすればまた給付水準の改定も考えなければなりません。その時期にやはり国なり、設置者なり、保護者なりの負担率につきましても、その時点で当然考えなければならないと思いますし、そういう変更をするときには、私ども改善を目指して考えるということは当然のことでございます。
  167. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 やっぱり国民がすべて期待しておるところは、初年度においてこういう状況で確定をされた、これはまあ毎年毎年というのは大蔵省も渋い顔するでしょうし、奮闘を要するところだと思いますけれども、少なくとも文部省としては、現になおこの問題があるために、どうかすれば体育活動、クラブ活動が萎靡沈滞をすると、学校長としてはクラブの付き添いでも自分の責任で行ってくれと、事故なく戻ってきたら判を押してやるというような状況があるわけですね。こういうふうな教育にあるまじき状況で対応しなければ、生徒の要請にこたえられないと。こういう現実を、これを克服していくためには、引き続きぜひとも文部省の目標として国庫負担引き上げと。この国民の声を代弁をする運動のひとつ先頭に立っていただくというような決意をお伺いをしたいわけであります。いまの答弁をそういうふうに受け取ってよろしいわけですな。
  168. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 渋い顔は見慣れておりますので、余り渋い顔は気にしないで奮闘をいたします。
  169. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 ではここで、やや二、三の具体的な問題についてお伺いをしたいわけであります。  現在、安全会の仕事が学校と父母を結ぶ毛細管のところまでどういうふうに及んでいるか。その一部の問題については、さきの柏原委員の方からも質問があったわけであります。現在安全会が医療給付見舞い金等の計算から支払いについて、事務機構というのは安全会自身ではどういうふうにやっておるんですか。県段階までしかないんじゃないですか。
  170. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) 安全会の組織といたしましては、御指摘のとおり、各県に安全会の支部が置かれていまして、その支部において本部との間に書類の行き来をいたしまして処理するということでございます。
  171. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 支部というのは各県にあると、その下にはもうネットはないというわけですね。やっぱりこういったふうな点は、この際ひとつ改善について努力をしていただかなければならぬと思うわけです。先ほどからもありましたように、実際問題として高校では事務職員が比較的人数がおりまして、いわば行政事務ですから、間違いなく事務なんですから、さっき示されたようなこういう紙にものを記入するというようなことは、教育活動の概念の中に入るものじゃありません。現実に高校では事務職員が取り扱っておる。ところが、小・中学校では間違いなくこれ全部養護教諭の肩にかかっておるわけであります。そうして、これが父母と病院と学校の間を往復をし、あれらの書面を記述をしてやっておるわけであります。この中では養護教諭の仕事というのは大変忙しい仕事ですからね。その学校の千人を超える子供たちに対してそれぞれ責任を持ち、本当に大変な状況ですね。一日に何十件というような処置が出てくるような例も珍しいことではありません。そこにこういう仕事がかかっておる、こういうことであります。業務内容としても、養護教諭の教諭職に果たしてふさわしいかどうかという問題があります。まして配置されてないところであれば、初めからしまいまで教諭がやっておりますけれども、少なくとも、これは市町村の窓口にこの事務機構というものが網羅されるべきではなかろうか。大きな問題が起これば、市ではわざわざ条例をつくったり、あるいは議会の中で一件ずつ決議をして、給付金の支払い等をやらなければならぬと、その市の窓口であります。ところがその設置者である市を回避するごとく、安全会のネットが学校に直結しておる、こういう問題点についてはいかがですか。
  172. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) 御指摘学校安全会の事務の処理の問題でございますが、現在各県の教育委員会の中に支部を置かせていただいておりまして、支部長に教育長が当たって支部の運営をいたしております。これをさらに市町村まで、末端までということについての御指摘でございますが、いま安全会の運営につきまして、十数億の国庫補助をいたしておるわけでございますが、特殊法人も含めまして、定員のむしろ削減の方向にあるときでございますだけに、なかなかこの面の拡充につきましては、実際問題として大変困難だというように感じる次第でございます。   〔委員長退席、理事世耕政隆君着席〕  なお、学校の具体に起こりました事故につきましては、学校管理下の問題でございますし、またこれに対する共済制度の実施は学校教育の積極的かつ円滑な実施運営に関するものでございますので、学校事務には多様な事務が多々あるというように感じますが、その一つといたしまして、これが負担過重のみでなく、円滑に実施されるようなむしろ学校の事務体制、あるいは養護教諭の配置増というような問題で、この面の問題を解決していただくようにしていくのが筋ではないかというように現在感じておる次第でございます。
  173. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 やっぱりこういう要求を実現していく責任官庁である文部省の方で、定員削減の最中に新しく取り組む安全会であるとはいえ、そういう問題の指導はいたしかねますというようなことを言われますと、これは先の見込みがなくなってくるわけです。もう一つ、たとえば養護教諭の増配と言われますけれども、そうすると、体育局長は養護教諭がそういう事務をやるのがあたりまえと思っているんですか。
  174. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) 養護教諭の本務は養護をつかさどるという職務でございますし、必ずしもこの事務が養護教諭プロパーの事務として考えてしかるべきだというようには申しておるわけではございませんが、およそ職務にはそれぞれその職務に付帯する各種の仕事があるわけでございまして、そういう面で付帯する仕事として、いま具体の問題としては養護教諭の方々に処理していただいておるというのが実態であろうかと思います。この辺の事務の均衡、配分につきましては、あるいは事務職員の適正配置の問題等とも一連からむ問題でございますので、この面の配分の適正化につきましてはなお研究もし、適切な指導もしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  175. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 やっぱり高等学校で養護教諭にやらせずに、事務職員にやらせておるところを見ても、それは学校ではやりますけれども、目の前に子供がいるわけですから。やっぱりそこに甘えて、将来計画として、問題として意識をして改善をするという姿勢かなければ、ぼくはこれは間違っていると思うわけですね。大臣、ひとついま指摘をいたしました市町村の窓口に、少なくとも市教委レベルのところまで、市と言えばたくさんの義務制の学校抱えているわけですよ。これらのところについて一つ窓口を設けるというような点については考慮すべき課題だと思うわけですが、その点について御見解を聞いておきたいと思います。   〔理事世耕政隆君退席、委員長着席〕
  176. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 安全会が市町村段階まで、どう申しますか、安全会の組織として手足を持つかどうか、非常にむずかしい問題であろうと思います。ただ、現実の問題として養護教諭に大変な御努力、御苦労をおかけしておりますことはよく認識をいたしましたので、この問題、そして小巻委員指摘の、確かに学校での事務と申して差し支えないと思うんですが、そういったことを学校の中でどういう形でこの事務をそれぞれ分担して持っていただくかをひとつ前向きに検討させていただきたいと思います。
  177. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 学校に職務の必要がある以上は、教育委員会もそれに応じた責任があるでしょうし、安全会として配置をするということにこだわらずに、教育委員会の中にこれらの窓口を設けるというようなことも考えられようかと思いますし、その点についてはいまの大臣答弁は前向きで考えたいということだと思いますから進みたいと思うのです。それでよろしいですね、大臣
  178. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 結構です。
  179. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 それから、次に申請の問題があるわけです。多くの場合はうるわしくいっているわけですね、学校から申請をすると。しかし、間々学校ではこういう問題は余り表に出したがらないと。これは教育の場として特別な性格もあるでしょうけれども、こういう状況の中から、親として申請を直接教育委員会あてやりたいという希望はこれは存在するわけです。この点はいまの制度ではどうなっているんでしょう。親の直接申請権の問題であります。
  180. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) 現在は学校を通して要求が出される、請求されるようにいたしております。直接当事者から出される場合もございますが、具体の災害報告書をまた改めて学校からいただくということになります。この学校管理下事故である認定の上に立っての共済でございますから、給付でございますから、やはり教育実践の場であります学校を経由しないで物の処理ができないという問題がございますので、改めて当事者から直接請求があった場合の方がむしろ事務として煩瑣になるんじゃないかというようなこともあるようでございまして、現在の形の上でできる限り御指摘の事務の簡素化という問題に努力してまいりたいという考え方でございます。     —————————————
  181. 吉田実

    委員長吉田実君) この際、委員異動について御報告いたします。  ただいま藤井丙午君が委員辞任され、その補欠として高平公友君が選任されました。     —————————————
  182. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 簡素化ということはいいことなんですけれども、いまの答弁あれこれ言われましたが、親の直接の申請権はあるわけですね。その点はっきりしてください。
  183. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) 現在の手続といたしましては、学校を経由して学校から請求の書類が出されるということでございますが、究極において安全会給付対象といたしましては、保護者でございますので、保護者の方にそういう直接請求する権限が全然ないとは言い切れない問題でございます。具体にそういうケースも若干あるようでございます。
  184. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 ケースがあると言われるのは、親が教委あてに申請を直接出せば、これは有効なわけですね。
  185. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) ある手続が瑕疵なく有効に成立するためには、それだけの所要の書類等の要件を具備する必要がございます。その場合に、この給付請求につきましては、学校が記載する災害報告書を具備するべきことを要件といたしておりますので、それがない形で出てきましたものにつきましては、仮の請求はあったといたしましても、それだけで請求としての手続が完了しているということにはならないという結果になると思います。
  186. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 手続は簡素な方がよいわけでありますが、やっぱり親の申請権を理論的にはお認めになって、そうして教委あて直接に申請をすることを認めておきながら、一方で学校を——まあ学校を普通経由してやって問題なければ、それで一番いいわけですよ。しかし、一方でその申請書に校長の印がなければといいますか、添付書類がたければ申請が成立しないというふうに言われるのは、やっぱり運用上混乱があると思うわけですよ。もちろん単独で親から申請したものもいずれ学林に返って、それに関する書類を学校で出す意思が初めなかったとしても、求められてその後やっていけばいいわけですから、その点ではひとつたてまえどおり親の申請権が有効にやっぱり働くようにしてもらいたいと思うわけであります。いいですね。
  187. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) 具体の問題といたしましては、設置者安全会に対して請求をするという手続を現在とっておるわけでございまして、それは設置者において事務を処理しておるという形になっております。したがいまして、被害者の保護者において究極の請求をすることができるわけでございますが、その場合は、学校での事故の態様につきましての事情を聴取をした上で、それについてはやはり校長の確認行為が要りますから、校長の印鑑を必要とする。そうすると、そういうものがすべて添付されておれば、それで設置者を通して直接安全会の方に請求がなせるということで、その間保護者と必ずしも学校との間のそれほどの接触なくして、市町村の設置者扱いにおいて処理できるという案件もあろうかと思います、事件の概要によりましては。
  188. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 いま言われたとおり、それではすっとやるとすれば、直接設置者である市町村教育委員会、ここに親から申請があった場合には、安全会設置者請求をする前に、あわせて学校から関係書類を取ると、こういうことでやっていくと。したがって、直接請求をすれば請求の事実は運用されていくと、こういうことでよろしいわけですね。  では次に行きます。  これについて苦情問題はない方がいいわけですけれども、ままあるわけです。実際には表に出ない問題というのもかなりたくさんあります。もしこの問題をいろいろ苦情として出そうと思うときは、一たんどこかへ転居しないとできないというので、私は大阪府の枚方というところへ住んでおりますけれども、ここで一つ問題を取り上げるために、東京に転居して問題にした実態の例もあるわけです。これは苦情処理の機関についてもていをなしていないということがあるし、こういうことはない方がよいのでありますけれども、こういう機関についてはお考えはありませんか。
  189. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) 安全会給付事業は、やはり互助共済観点に立ちまして、また学校教育対象といたします児童生徒を公の教育責任において、また親の監護責任と両々相まって、心身ともに健全な子供に育て上げるという、その・教育の成果を十分発揮させるための一つの条件整備でございます。そういう観点からの共済の給付でございますから、この共済の安全会給付につきましては、できる限り学校管理下事故すべてに及ぶような配慮でなしてきておる問題でございますから、したがって、この給付請求することが即学校責任を追及するという問題ではございません。また教師責任を追及するという問題と結びつく問題ではございません。したがいまして、一般的にいま御指摘のような問題につきましては、およそ通常のケースでは考えなくていいんじゃないかという面がございまして、事故が起これば学校が積極的にその管理下事故として安全会の方に請求するという形の仕組みで、いままで——形式は設置者になりますか、そういう取り組みをしてきておるわけでございますので、これらのいま御指摘の点につきましても、そういう観点に立って十分な、円滑な運用がなされるように取り組んでいくべきであろうというように考えております。
  190. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 円滑な運用というのは人情だけで  いかぬ場合もありまして、しかるべきやっぱり整った機構なり、制度があってその目的が遂げられるということですから、教育の場でありますけれども、実際の被災者の立場学校立場をよく反映できて、意思が疎通するようにと、そうやれば無用の紛争が避けられるということにもなるでしょうから、その点については十分お考えおきを願いたいと思うわけです。  最後に、この適用の谷間と申しますか、そういう問題が劇的にあらわれてきておる埼玉県の事例があるわけであります。埼玉県の大宮市の大宮北中学の卒業生で、大宮北高校に入学をした田畑政伸君という生徒ですけれども、これが四月一日に母校の中学へ行って体操のコーチをやっておって災害に遭ったという事件があるわけです。この生徒は将来チャンピオンというふうな非常に嘱望される体操の選手だったわけですけれども、マット訓練をやって、一回半ひねりをやったら、不幸なことには第三頸椎の挫傷ということで、四肢が麻痺して大変な状況になった。今日ようやく付き添いで徒歩というような状況でありますけれども、これに対して救済の方法はないのかという声が高いわけです。これは一体どういう状況で処理をされるものか。
  191. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) いま御指摘の件につきましては詳細事情を聴取しておりませんが、一般安全会学校管理下事故に対して給付対象といたしておりますので、いまその生徒が母校に参りましてコーチをしたという場合は、むしろ生徒としての活動ではなくてコーチとしての活動になります。この辺の問題につきまして、そのコーチの委嘱がどういう形でなされておったのかどいうような事実認定を必要とするかと思います。たとえば教育委員会から指導委員として委嘱されておったというような人の立場におきましては、非常勤の公務員としての立場がございますので、その方が指導中に起こった事故につきましては、市町村条例によりまして公務災害の適用を受けるという問題もあるわけでございまして、なお、一般にスポーツの指導に当たられる場合、その場合に起こった事故等につきましては、スポーツ安全協会の損害保険等、あるいは市町会や町村会が行っております損害保険その他の保険で対象にするというのが通例かと思いますが、本件につきましてはなお案件につきまして事実関係を十分聴取してまいりたいと思っております。
  192. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 いま、母校である中学校に、ちょうど学籍を離れた翌日行ってやったコーチと、そのコーチの内容が具体的に教育活動としてどういう位置づけができるかというような点を調査中と答弁があったわけですが、そうすると、その点で教育活動として位置づけができれば救済の道が少なくとも安全会として成り立つのかどうか、その点をお伺いしておきます。
  193. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) いまお聞きした範囲では、なかなか、学校計画に基づく活動として母校に教育指導に行ったと、教育指導は実際にはその生徒教育活動として学校が計画したものであるという認定はほとんど不可能と思います、卒業後でもございますので。したがいまして、いまの問題、詳細に事情を聞かなければわかりませんが、現在お聞きした範囲の問題としては、学校管理下教育活動における事故として、これを安全会給付対象にすることはほとんど不可能だと、非常に困難であろうというように感じます。
  194. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 私が聞いておるこの問題は、この子はもし三月三十一日に母校へ行っておったのであれば、それはまあどういう認定をされるかは別として、安全会対象者として検討されたことになるわけですね、中学校在籍であれば。ところが、四月一日であったために、中学校在籍でないというのが一つですね。そうして大宮北高等学校に進学しておるのですけれども、ここは四月十日以後学籍を確認するのであって、まだ大宮北高校の生徒でないと、だからこれは門前払いの形で、高校でもなければ中学生でもないというところで、どんな歯車にもかからないという状況に置かれているというふうに聞いているんですけれども、その点はどうでしょうね。
  195. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) すでに中学校生徒としての身分はございません。したがいまして、その中学生としての管理下活動という認定はいまの状態であるといたしかねるということで、安全会給付対象にすることは困難であろう、こういうように感じられます。
  196. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 高校の安全会では検討の対象たり得るわけですが、どうですか、その点は。
  197. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) そのものが高校における教育計画として計画された教育活動だという認定がいたしかねますので、また高校の立場での安全会の認定も困難であろうというように感じます。
  198. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 それは内容的に審査をした結果ドロップするであろうといいますか、除外されるであろうという答弁になっているんですけれども、それは高校の安全会のメンバーとしては確認されるわけですか、対象メンバーとしては。
  199. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) 高等学校の入学関係は入学式の際と申しますか、入学の手続が完了して、公の学校の利用関係が設定されたときからその身分関係に具体に入るということが言えるのではないかと思います。したがいまして、その入学の時期がいつであるかということが問題になろうかと思います。したがいまして、通常の場合四月一日ではまだ当該学校の高等学校生徒というような認定は恐らく学校の方でもできないのではないかという感じがいたします。
  200. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 やっぱりこの場合に、四月一日から入学式のある四月九日までは天下の素浪人とでも申しますかな、どこの学校にも属していないものだと、こういうことになっておるわけであります。たとえば定期の学割とか、そういうものは通学定期なんかでは措置をしておるわけですけれども、ここのところにこのケースの持つ普遍的な問題点があると思うんです。少なくとも入学した一日から九日までは家の中に蟄居せよというようなのが安全上の唯一の対策だということになっています。しかし、一方で安全会というのは共済制度であって、父母負担設置者負担掛金をもって運営をされる組織であります。これは四月一日以降三月三十一日までこれを限度として掛金を徴収するようになっているんじゃないですか。
  201. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) 掛金の額は年額で定めております。それは所要財源につきましては年間を通して発生する事故、これに要する給付経費積算いたしまして、そこから割り出した額でございます。したがいまして、通常の場合入学関係に入りました間に起こっておる事故につきましての所要経費積算から、掛金を計上しておるということの状態でございます。
  202. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 これはたまたま中学へ行った場合の事故ですけれども、こういう選手ですから当該学校入学を許可をされて、入学式前にその学校へ行って部活動の中に一緒に入って練習をすることもあり得るだろうと思うのですね、そういう場合でもこれは除外されるということですから、これはひとつ研究していただいて、少なくとも年間を通じて会員である者は、四月一日にこの入学した学校の資格を取得したものとして、入学しなければ別ですけれども、十日に入学をしたらさかのぼって認定することも可能なような、いろんなことを検討しておく必要があるんじゃなかろうか。少なくともこういうショッキングな事件については、設置者、あるいは当該大宮市では放置しておくことはできませんから、これを契機にして市で児童災害見舞金条例というのをつくられて、五十万円未満の限度額において、この市の施設、市の主催行事の中における事故に対してはこれを支給することができるようにというような、独自の取り組みを進められておると聞いております。これは恐らく文部大臣もよい取り組みだというふうに見られるだろうと思うのです。また、あわせてこの中で、たとえ私立であっても幼稚園、保育所、高校、ここで起こる事故については、市の施設、市主催行事と同様に準じて取り扱おうというような、大変現に起こる問題について即応したよい取り組みがなされております。こういう趣旨は生かして、こういう問題については谷間の問題ですから、何がしかのケースを考慮をされる、一例を挙げれば文部大臣が政令で定めるなり何なりして、認定をすることができるようにするとか、ひとつ格段の工夫を願いたいと思うわけであります。いかがですか。  それをもって質問を終わります。
  203. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) 具体の例として御指摘でございます。小巻委員のお話の範囲で考えてみますと、都道府県なり市町村なりがいろんな手段を人情的に講じている。しかし、そのことと学校安全会事業とを直接結びつけて学校安全会の方でもというふうな割り切り方は、なかなかこれはむずかしいところだと思います。ただ、その具体の例としては、確かに人情的にはかわいそうなお子さんだと思いますし、中学校を卒業して高等学校にまだ入学式が済んでないから、高等学校生徒ではまだない。確かにそこは間があくわけでもございます。ただ、小巻委員指摘の具体の例を詳細私承知いたしておりませんので、そのコーチという状態がどうであったか、他の社会保障の制度でどうこれが救済ができるか等を含めて調査をさせていただきたいと思います。
  204. 吉田実

    委員長吉田実君) 他に御発言もなければ質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  205. 吉田実

    委員長吉田実君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。——別に御発言もないようでございますからこれより直ちに採決に入ります。  日本学校安全会法及び学校保健法の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手
  206. 吉田実

    委員長吉田実君) 全会一致と認めます。よって、本案は原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
  207. 後藤正夫

    ○後藤正夫君 私は、ただいま可決されました日本学校安全会法及び学校保健法の一部を改正する法律案に対し、各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。    日本学校安全会法及び学校保健法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、学校教育の積極的かつ円滑な実施に資するため、特に廃疾者に対する給付に配慮しつつ今後とも安全会給付事業改善充実に努めるとともに、学校における安全管理の実施に当たつては、物的、人的諸条件の整備に努力すること。   右決議する。  以上でございます。委員各位の御賛同をお願いいたします。
  208. 吉田実

    委員長吉田実君) ただいま後藤君から提案されました附帯決議案を議題とし採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手
  209. 吉田実

    委員長吉田実君) 全会一致と認めます。よって、後藤君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、砂田文部大臣から発言を求められておりますので、これを許します。砂田文部大臣
  210. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) ただいま御決議がありました事項につきましては、今後御趣旨に留意し、十分検討してまいりたいと存じます。
  211. 吉田実

    委員長吉田実君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  212. 吉田実

    委員長吉田実君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  213. 吉田実

    委員長吉田実君) 次に、義務教育学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。砂田文部大臣
  214. 砂田重民

    国務大臣砂田重民君) このたび政府から提出いたしました義務教育学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  義務教育学校施設費国庫負担法は、公立義務教育学校施設の整備に対する国の負担制度について定めているものであり、政府は、昭和三十三年制定以来、この制度のもとに、鋭意、公立義務教育学校施設の整備に努めてまいりました。  昭和四十八年度には、大都市周辺地域における児童生徒の急増現象にかんがみ、児童または生徒が急増している地域にある公立の小学校または中学校の校舎の新築または増築に要する経費について、昭和五十二年度まで国の負担割合を引き上げ、これらの学校の整備を促進するとともに、関連市町村の財政負担の軽減にも資することとしたところであります。しかしながら、昭和五十三年度以降においても、なお、児童生徒の急増現象が続くものと予想されますので、今回、所要の改正を行い、もって児童または生徒が急増している地域にある公立の小学校または中学校の施設整備を円滑に進めようとするものであります。  次に法律案内容について御説明いたします。  まず第一に、児童または生徒が急増している地域にある公立の小学校または中学校の施設の整備を促進するため、引き続き、昭和五十七年度までこれらの学校の校舎の新築または増築に要する経費に係る国の負担割合を三分の二に引き上げる措置を講ずることといたしております。  第二に、この法律の施行期日は昭和五十三年四月一日といたしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ十分御審議の上、速やかに御賛成くださるようお願いいたします。
  215. 吉田実

    委員長吉田実君) 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十四分散会      —————・—————