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1978-04-26 第84回国会 参議院 物価等対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月二十六日(水曜日)    午後二時開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         斎藤栄三郎君     理 事                 山東 昭子君                 西村 尚治君                 高杉 廸忠君                 渋谷 邦彦君                 木島 則夫君     委 員                 下条進一郎君                 世耕 政隆君                 藤井 裕久君                 真鍋 賢二君                 増田  盛君                 穐山  篤君                 大森  昭君                 桑名 義治君                 小笠原貞子君                 渡辺  武君    国務大臣        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       宮澤 喜一君    政府委員        公正取引委員会        事務局長     戸田 嘉徳君        経済企画庁調整        局長       宮崎  勇君        経済企画庁物価        局長       藤井 直樹君        資源エネルギー        庁公益事業部長  服部 典徳君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君    説明員        農林省畜産局食        肉鶏卵課長    甕   滋君        農林省畜産局衛        生課長      小山 国治君        農林省食品流通        局物価対策室長  廣重 和夫君        郵政省貯金局第        一業務課長    森本 哲夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○当面の物価等対策樹立に関する調査  (国際収支対策に関する件)  (円高に伴う物価対策に関する件)  (電力料金等に関する件)  (牛肉価格に関する件)  (円高物価安定政策への活用及び国民生活へ  の還元に関する決議の件)     —————————————
  2. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) ただいまから物価等対策特別委員会を開会いたします。  当面の物価等対策樹立に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 穐山篤

    穐山篤君 最初に、国際収支対策について伺いたいと思います。  来月総理大臣が渡米をするわけですが、これは日本にとりましても非常に重要な会談だと思います。それと同時に、これはまあアメリカ自身にとりましてもあるいはECにとっても注目すべき会談が行われるというふうに、私はそういうふうに評価をするわけですが、会談をされる中身、いろいろあるだろうと思いますが、その中の重要な柱として、国際収支の問題が政治会談の話題になることは当然だというふうに思うわけです。  二月の統計によりましても、経常収支は百四十一億ドルというふうに発表をされております。三月末あるいは四月末になれば、これどういうことになるかよくわかりませんけれども、いまの貿易交易指数などから判断をいたしまして、なお黒字は大きくなるというふうに見るのが妥当ではないかというふうに考えるわけです。  そこで、四月二十一日に経済対策閣僚会議が、当面の国際収支対策あるいは円高に伴う物価対策というのを発表されたわけですが、一言で申し上げて、七八年度中に日本黒字というものを六十億ドルまで下げるんだと、これが国際的な公約だというふうに見るわけですけれども、ずばり六十億ドルに下げられる自信があるかどうか、あるいは日米会談で具体的にそれを証明する政策があるかどうかという点をまず冒頭にお伺いしたいと思います。
  4. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 昭和五十三年度国際収支関係見通しを立てましたときに、仰せのように経常収支黒字を六十億ドル程度考えたわけでございますが、これは当時から、このような傾向年度のどちらかと言えば後半分にならないと顕著にあらわれないであろうというふうに考えておりました。前半は何といたしましてもそういうトレンドには急にはなるまいと思っておったわけでございますが、たまたま二月の中旬ごろから円高かなり急激に進みましたために、長期的な現象とは反対に、それが輸出促進輸入をおくらせるという逆のいわゆるJカーブを描きました。そういうこともございまして、この六十億ドルというのは、やはり当初考えておったことではございますが、年度の後半になりませんと傾向が出てこないのではないかと考えております。したがいまして、この際といたしましては、従来からやってはおりますけれども緊急輸入等促進をする措置をさらに考える。それからまた、多少長期の問題ではございますが、かねて問題でございますところの対外経済援助あるいは国際機関に対する出資等々も、この際一段と大幅に行う必要があるというようなことを四月二十一日に決定をいたしたわけでございます。  お尋ねの六十億ドルの問題でございますが、私といたしましては年度の後半、遅い夏かあるいは秋の初めごろにはかなりはっきりそういう傾向が出てくるのではないか。すなわち、円高というものが輸出を減らし、幾らかでも輸入をふやすという傾向が出てくるのではないかと考えておりますので、ただいまのところこの目標は達成し得ると考えておるわけでございます。  なお、来るべき福田首相カーター大統領会談におきまして、わが国経済全体について福田首相から説明をされることになろうとは考えておりますけれども、この六十億ドルというような数字の具体的な問題について両国間で非常に突っ込んだ討議が行われる、あるいはこれについて米国側から何か疑問なり注文なりが出される、そのような雰囲気、そのような会談にはなるまいというふうに考えております。
  5. 穐山篤

    穐山篤君 この国際収支の均衡というのは、幾つか多角的にやらなければならないわけですが、まあごく常識的に言えば、輸出輸入関係を照らしてみて、それに焦点を当てて見通しをつけるというのがごく常識だというふうに思うわけです。  そこで、先日出されましたこの対策というのは、どちらかと言えば輸入あるいは輸入をしやすいような政策対策というものが中心になるわけですが、この輸出についての考え方が率直に申し上げてつまびらかにされていないわけです。新聞情報などにはいろいろなことが上っておりますけれども、しかし、それは各大臣がそれぞれの考え方に基づいて自分所管事項だけを述べているようなにおいが非常に強いわけでありまして、政府の統一的な見解として輸出の七八年度におきますあり方について具体的にどういうふうな政策を立てて、実際に貿易をやるのは民間の企業が主でありますので、それに対して具体的に特に輸出の大きな分野についてはこういう政策を立てたい、あるいは立てて具体的にこうやっている、あるいは小さい部分についてはこういうふうに目標を設定をしたというふうなことが、まだ内外にきちんと明らかにされていないわけです。その点私ども非常に不満に思うわけですが、その点についてひとつお答えをいただきたいと思います。
  6. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) わが国からの輸出のうちカラーテレビ鉄鋼等につきましては、すでに日米間等々で取り決めがいろいろな形でできておりますけれども、しかし、それらのものをも含めまして、自動車でございますとか、事務機械でございますとか、光学機械時計類等々、通産大臣におかれましてある程度行政指導をしていただく。その目安といたしましては、数量ベース昭和五十二年度を超えることのないようにという大まかな目安と承っておりますけれども、そういうことで関係業界に呼びかけて、ある程度輸出自主規制を行っていくということが政府方針でございます。造船につきましては、これは運輸大臣の御所管でございますけれども、事実上注文がございませんので大きな問題にはなるまいと思われますが、ただいま申し上げましたような各種の品物につきましては、わが国輸出価格並びに非価格競争力が大変に強うございますので、協定のあるものもございますけれども、それでもやはりなおある程度行政指導を適当とするということで、通産大臣がすでにそのような決定をなされまして行政をやっておられるところでございます。  そのことをこの国際収支対策にわざわざ列記いたしませんでしたのは、ほとんど通産大臣所管品物が事実上全部でございますので、閣僚会議決定を必要としなかったということ。また、これは純粋な行政上の指導でございまして、貿管令等々の発動によるものではございませんので、このような対策に盛り込むことによってかえって外国側にそれを利用されるというようなことを防ぐことの方がいいであろう、こう思いまして、これには列記いたしませんでしたが、ただいま申し上げましたような方針政府は五十三年度に対処をいたしておるわけでございます。
  7. 穐山篤

    穐山篤君 去年の暮れあるいはことしの初めに百十億ドルかなり世間が騒いだわけですね。ところが、その後一月、三月を見てみますと、約三十億ドルふえているわけです。これは理屈の上からいうと、輸出の大きい月であるとか、あるいは駆け込み輸出であるというふうに一般的には言われておりますけれども通関実績を調べてみましても、船舶を除きましてはほとんど、従来とかく問題にされておりました自動車にしろ機械にしろあるいは電機にしろ、世間気持ちとは逆に非常に洪水的な輸出数量の上ではやっているわけですね。そういう実績を踏まえて、輸出については数量ベース規制をするとは言いませんけれども数量ベースで抑えるんだと、こういうふうになっておりますけれども、これは反面輸入相当拡大をしなければ、七八年度輸出数量ベースで抑えるということはもう物理的に不可能だというのが、数字の上からきちんと出ているわけであります。数量ベースで抑えたいという気持ちは十分にわかりますけれども、この六カ月間の輸出あり方考えてみますと、それだけでは、この六十億ドルという一定の国際的な約束事を果たすには少々問題が残っているんじゃないかというふうに私ども判断をするわけです。いきなり私は輸出税というふうなことを申し上げるつもりはありませんけれどもかなり厳しい規制を行っていかなければ、この目標数値を達成することは困難ではないか。各企業を悪く言うつもりはありませんけれども駆け込みとかなんとかというのは日本人にありがちな商売根性なんですね。そういうものを少し節度あるものにしていかなければ、数量規制というのは困難だというふうに考えますけれども、その点いかがですか。
  8. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ことしに入りましてからの三月間、確かにいま穐山委員の言われましたように、相当異常と思われる輸出の増加がございました。一つは、先ほど申し上げましたような円高によりまして、ともかく一日でも早く手取りがより少なくならないうちにというような輸出を急ぐということがございましたし、輸入の方はゆっくりしております方が得でございますから延ばすというようなこと。それから年度末の決算が相当きつうございますから、それに間に合うように通関をさしておきたい。あるいは、一度政府貿管令を使うという報道がなされましたために、そのための実績づくりということもあったかと思います。夏になりますと、アメリカ西海津海運ストライキが行われる心配が強いので早く船積みをしておきたい。いろいろな理由が数えられておりまして、そのどれもが真実であったろうと思われます。  したがって、穐山委員の言われます今後の見通しをどう考えるかでございますが、私どもは、やはり夏遅くあるいは秋早くごろには何と申しましても円がそのときの水準がどうありましょうとも、昨年初めの二百九十円がらみに比べますと相半高くなっておりますから、このことの影響というものはないはずがない。長期的にはこれは影響を及ばさないはずはないとやはり考えますので、そこから輸出の鈍化ということがどうしても起こるであろうと思っておるわけでございます。が、それはそれといたしまして、やはり行政的にも、先ほど申しましたような品目については輸出行政指導をやっていく、両方をあわせまして六十億ドル程度経常収支に抑えていきたい、こう考えておるわけでございます。
  9. 穐山篤

    穐山篤君 それでは、輸入をできるだけ円滑にあるいは促進をするという意味閣僚会議方針が出ているわけですが、この中にも触れられておりますけれども輸入をすることによって日本国民生活十分寄与をするということと同時に、嫌気の回復に十分な機能を果たす、このねらいは当然だと思うわけでありますが、いただきました別紙の資料の中に「単に我が国の経常収支黒字幅縮小に寄与するのみならず、輸入される物資国民経済上重要であること。」ということが述べられているわけです。一般的に言えば、製品輸入あるいは食料品中心にした輸入というふうにだれでも常識的に考えるわけです。しかし、大幅に黒字を減らすということになりますと、かなり巨大な購入をしなければ数字の上では合わないということは当然だと思うわけですね。悪い一例を申し上げるわけですが、たとえばエアバスを十機買うということになりますと、ドルを減らす上では非常に有効な方法だと思うんです。しかし、国内の承知を刺激するあるいは国民生活に直接寄与するという面からいいますと、ほとんどその効果は、ゼロではないとは思いますけれども、余り効果はないというふうに考えるわけです。そういたしますと、それ以外の道で輸入考えなければいけないし、輸入促進をするということになりますと、かなり輸入品というものが限定をされる。業種別にもある程度幅の中に入れられるということが考えられるわけでございます。  いろいろなことを検討されていると思いますけれども、大ざっぱに輸入促進のために、輸入というのをどういう物資あるいはどういう業種のものを予定をして今回のこの対策が立てられたのか、まずその点をお伺いします。
  10. 宮崎勇

    政府委員宮崎勇君) 御案内のように、わが国輸入構造原材料が約八〇%を占めておりまして、一般的に輸入拡大をする場合には、どうしても数量原材料が多くなるわけでございます。ただいまお触れになりました今回の国際収支対策の中における外貨貸し制度につきましては、いま御指摘のようにエアバス等も含まれておりますけれども、それだけに限ったわけではございませんで、この別紙にございますような要件をそろえておりますと、条件に適格なものにつきましては輸入ができるわけでございます。で、ただいまこの輸入促進等に挙げられております対策で、検討対象になっております品目はいろいろございますけれども、これまで融資済みのものといたしましてウラン鉱がございますが、なお検討中のもので鉄鉱のペレットニッケル等希少金属、あるいはただいまのリース用の航空機というようなものが含まれておりますし、さらに今後検討されるであろうと思われるものに銅、亜鉛鉱ですとか、あるいは製品といたしまして発電用機器あるいは医療機器というようなものが対象になろうかと思います。  なお、消費財につきましては、もともと輸入の中に占める割合が低いわけでございますけれども、こういった一般的な輸入拡大によりまして、国民生活基礎資材であるところの、原料がふえるということは、ひいては国民生活の上にも資するものと考えております。
  11. 穐山篤

    穐山篤君 御説明をいただきましたけれども、率直に申し上げて、日本産業構造が抜本的に変わって、それに対応するものを諸外国から輸入するということになるならば、まあある程度その消化は可能だと思うんですけれども産業構造の変革については目新しい変更というのはまだないわけですね。したがって、現状産業構造の中で諸外国から輸入をするわけですから、品物限定をされるのは当然だと思う。ECが売りたいものと日本が買いたいものは実はすれ違いがありますね。それから、アメリカ日本に売りたいものと日本アメリカから買いたいものではかなり品穂別に食い違いがあるわけです。いま御説明があったものを具体的に数字で拾ってみましても、ふえたといいましても、前年対比でそのボリュームというのはせいぜい一〇%から一三%前後のまあ割合としては少ない部分ですよね。あるいは、ドルに画しましても円に直しましてもボリュームとしては小さい範囲のものだというふうに思うわけです。アメリカで売りたいものは、率直に申し上げて農産物中心にして加工品が軸ですね。ECの場合も同じように食料品、チョコレートなどを含めて加工品中心なんです。確かに実績数字で見ましても、ふえていることは当然でありますけれども、諸外国が売りたいものを日本は買いたがらないという状況にあるわけですね。ですから相変わらず交易条件指数というのは、輸出押し出し型にずうっとなっているのは当然だと思うんです。今回福田総理大臣アメリカに行って、注文は背負ってはこないというふうに言われておりましたけれども、やはりアメリカへ行けば、農産物輸入という問題について日本はどうしてくれるんだということを詰められる、これは当然だと思うんですね。また、アメリカ牛肉などを含めて農産物相当輸出をしなければ、アメリカドル防衛という分野からいってみてなかなかむずかしいと思うんです。で、わが国がそういう農産物畜産物を含めて農産品食料品輸入を十分受け入れるだけの具体的な要因があるかどうか、あるいは受け入れ体制があるかどうかというのは、私は相当政治問題になるんじゃないかというふうに考えますけれども、その点いかがですか。
  12. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 御承知のように、わが国はすでにアメリカからかなり農産物輸入をいたしておりますし、このことはアメリカ農業関係者はよく知っておるわけでございます。先般、いわゆる池田ミッションが参りましたときにも、わが国農業と余り競合しませんような形での農水産物輸入が多少現実に可能であったようでございますけれども、大きく申しましてアメリカからさらに農産物をたくさん買うというような体制にはわが国はなっておりません。このことは、先般のストラウス大使来日以来、アメリカ政府も実情としては理解をしておるところでございますので、今回福田総理が訪米をされましたときに、農産物等々の具体的な問題がやかましく議論をされるというような状況には両国の行政府の間ではない。そういう状況ではないと考えておりますが、他方で東京ラウンドがジュネーブで進行いたしておりますので、この場におきましてオーストラリアでありますとか、ニュージーランドでありますとか等々を含めました各国から、農産物についての何かの輸入増大方式を決めようではないかという議論は、これは私は起こってまいると思います。その際には、わが国としてはわが国現状に対処しながら、できるならば何かの方式に合意することが望ましいと思いますけれども、これはさしずめ肉を何千トン、何方トンとかというような話ではございませんので、長期にわたりまして各国の間で東京ラウンドの一部として何かの話が緩い形でまとまるというのであれば、わが国としては可能な限りやはり協調していくべきではないかと考えております。これは日米会談の具体的な課題になるというふうには、ただいま考えておりません。
  13. 穐山篤

    穐山篤君 非常に楽観的であるのは、それは政府政府なりに考えられてのことでしょうが、私どもとしては、その点非常に懸念をしているというふうに申し上げておいた方がいいのではないかというふうに思います。  東京ラウンドのことは後ほど申し上げるといたしまして、なお、アメリカ代表ストラウスを初めとしていろんな人が日本に参りまして、通商問題について協議をしていきました。その中でアメリカ労働代表が、私はもっと強いことを日本に言い残していくのではないかと思いましたけれども、まあわりあいにやわらかい意見を述べて帰ったことを覚えております。それは、たとえば自動車にしてみてもあるいは電機にしてみても、まあ安くていい品物ならばアメリカ人は買うのは当然だと。ただし、そのことによってアメリカ労働者失業率拡大することは困る。そこで日米関係考えてみた場合に、アメリカの本土に組み立て工場なりあるいは部品工場をそれぞれの電機なり自動車が持ってきて、そこでアメリカ労働者を雇用するということになれば、日本にとってもアメリカにとっても非常に有効ではないか。こういうことをCIAの刑会長が言い残していったわけです。私はこれも一つ経済政策ではないかというふうに思いますが、各業界の動向を見ておりますと、やはりコストのことが当然気になりますので、アメリカ部品工場なりあるいは組み立て工場を持っていって、そこでアメリカ労働者を雇用するということについては、きわめて消極的な態度をとっているわけですね。これは、この問題についてどういうふうにお考えになっているのか、あるいはすでに業界との間にその問題について何らかの協議が始まっているのかどうかということについて、あわせてお伺いしたいと思います。
  14. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) カラーテレビにつきましては、すでにアメリカ工場を置いて生産をするということが、かなり以前から行われておるわけでございます。このことは好ましいことであると存じておりますし、まずまずうまくいっておるようでございます。一番問題になっておりますのは、ただいま自動車でございますが、フォルクスワーゲンはすでにペンシルバニアでございましたか、立地をいたしました。また、ホンダのように二輪車ということで進出をするというような考えの会社もございますようであります。さしずめ二輪車としてという意味でございますが。その他の自動車メーカーもいろいろに検討しておるようでございますけれども、労使の慣行の問題であるとか、あるいは州によりましては税制の問題がございます。また、一般的に労働の質ということについてかなり慎重であるようでございます。私、具体的に自分でその方の行政をいたしておりませんので、具体的な計画進行度をこれ以上正確には存じませんが、政府といたしましては、そういう計画が進むのであればそれは結構なことである、いろいろな便宜を供与するという基本的な考えでございます。
  15. 穐山篤

    穐山篤君 いまの問題になお触れるわけですけれども統計の上でいえば、日本失業率というのは二・四ないし二・五ぐらいだそうです。わりあいに顕在化した失業率としては低いというふうに思いますね。しかし一方、アメリカ失業率あるいはヨーロッパの場合でもそうでありますけれども、六%を超えているわけですね、六・三ないし六・五%。わが国の二・八倍ぐらいの失業率になっているわけです。このアメリカ失業者の問題はアメリカ自身の問題であることには間違いありませんけれども、やはりそれはアメリカ政策が悪いからだというふうにアメリカは言わないと思いますね。当然輸出入の関係あるいは経済成長率のことを取り上げて、カーター大統領福田総理大臣にどういうことをおっしゃるかわかりませんけれども、このアメリカ失業者の問題について日本は大いに関心を持ってくれというふうに注文をされるのは、私は当然だと思うんです。したがって、いまお話がありましたように、わが国業界として、長い時間をかけて検討することは非常になれておりますけれども、決断をして実行に移すということが非常に遅いわけですね。そのことがまた、ひとつの国際的な外圧にもなっているわけです。そういう意味で、まず日本の国益を十分に考えなければならないのは当然だと思いますけれどもアメリカ失業者増大、後ほど申し上げますけれども、インフレという問題は日本に無関係ではない、この認識をきちっと持っていただかないと、かえって国益を防衛することはむずかしいのではないかというふうに、この点は注文として申し上げておきたいというふうに思います。  さて、具体的な輸入促進の問題です。私はきめ細かく聞くつもりはありませんけれども、大ざっぱに申し上げて、今年度はエネルギーその他資源の輸入というものも片方では大きいボリュームとしてありますけれども、その他の分野で、たとえば産業別に言えば機械産業の分野、あるいは第一次産業の分野でというふうに分野別に見てどのくらい輸入量を高めるか、具体的な目標というものをお持ちかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  16. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 四月二十一日に、先ほどお話のありました措置を決定いたしました際に、外貨貸しの制度を長期のものを新設をする。短期のものにつきましても条件の改善を加えたわけでございますが、この二十一日以前の段階におきまして、すでに相当の緊急輸入が成約をしつつございました。私どもとしては、この二十一日の措置を加えますと、かなり輸入があるであろうというふうに見ておるわけでございますが、先ほどから仰せのように、わが国体制が自由経済体制でございますので、政府が自身で計画して輸入をするというような体制になっておりません。したがいまして、ただいまのような産業別の積み上げということをこの緊急輸入分について申し上げることはできませんし、そのような作業をいたしておりません。
  17. 穐山篤

    穐山篤君 そうしますと、ストラウス会談あるいはそれの公表をした際に、その当時は百十億ドル前後だったのですね、それを半分の六十億ドルに下げる。それは見通しとしては七%の成長率で内需を大いに喚起をする。そうなれば計算の上から大ざっぱに言って六十億ドルぐらいに減るだろう、こういう抽象的な見通しで公表された六十億ドルですか。それともかなり両者の間に議論を重ねた結果、ある一定の輸入品目というものを頭の中に想定をしながら、六十億ドルというふうに公表したのか、その点非常に疑問になってきます。いかがでしょうか。
  18. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 五十三年度輸出は八百五十億ドルを見込んでおるわけでございますが、経済見通しの積算の根拠で申しますと、数量的には伸びなしと、ゼロと考えておりまして、価格としてはドル建てで七%程度考えております。輸入の方は七百十五億ドルでございますが、数量として七%ぐらい、価格で五%ぐらいの増ということを見まして、これで差し引き百三十五億ドルでございますが、貿易外収支等を差し引きますので六十億ドルということに見ておるわけでございます。これはマクロの計算でございますが。もとよりこの数字アメリカ側と打ち合わせをしたあるいは議論をしたということでは全くございませんで、ただいま申し上げましたような経済見通しの計算の積算として出てまいった数字でございます。
  19. 穐山篤

    穐山篤君 いまの数字で非常に驚いたわけですが、そうなりますと、たとえば旅行などに使用しますドルというものですね、経常外収支というものの分量というのが非常に大きい感じを受けるわけですね。百何億ドル台から六十億ドル台にする——いまの計算でいきますと、経常外収支というものが七十とか八十という数字にならなければ帳じりが合わないわけですね。そんなに経常外収支というものが目標として設建をされたわけですか。具体的にひとつお伺いします。
  20. 宮崎勇

    政府委員宮崎勇君) ただいま大臣からお答え申し上げました輸出入の数字が、輸出が八百五十億ドル輸入が七百十五億ドルでございますので、貿易外収支が御指摘のようにかなり大きいわけでございまして、貿易外収支の赤字は七十五億ドルを見込んでおります。これは輸入がふえますので、当然運賃の支払いが非常にふえるということと、それから旅行収支がこのところ悪化しておりまして、そういうことを織り込んだ数字でございます。もちろん輸出がふえますので、それに伴って運賃の受取増があったりあるいは投資収益の増加ということがございますが、五十二年度の六十五億ドルに比べまして、約赤字は十億ドル程度大きくなるというような想定でございます。
  21. 穐山篤

    穐山篤君 いま貿易外収支七十五億ドルというふうにお伺いしましたので、計算のしようがありませんけれども、従来の実績からいいますと、非常に大きいというふうに判断をせざるを得ないと思いますね。いずれこれは別の機会に十分確かめておきたいというふうに思います。  一応、積み上げではないけれども、大ざっぱに言って輸出入で差し引き百三十五億ドル貿易外収支七十五億ドルで六十億ドル。計算の上ではぴったりするわけですね。そうしますと、今次国会でも総理大臣が言われておりました成長率七%及び六十億ドル黒字というこの戦略目標については間違いなく自信があると、こういうふうにお考えになっていいんですか。
  22. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 七%程度の成長につきましては、これはわが国の独自の意思で進めます部分が多うございますので、昨今の情勢を見ておりますと、まず達成は十分に可能であるというふうに私は判断いたしております。  それから、経常収支でございますが、これはやはり世界の他の国の動き方に相当影響されますし、円の価値いかんによりましても相当影響を受けますので、いずれにしても傾向があらわれますのは年度後半と当初から見てはおりますけれども、ただいまのところ、したがいまして緊急輸入等をできるだけやってまいりまして、この結果を確保したいと、こう考えておるわけでございます。外的な要因が非常に多うございますから、七%程度わが国自身の経済の成長に比べますと、われわれの左右し得えない条件がよりよけい働くということは事実でございますけれども、ただいま申しましたような考え方によりまして、六十億ドル程度への削減ということを結果として確保いたしたいと考えておるわけでございます。
  23. 穐山篤

    穐山篤君 そこで、重要な政策の柱であります重要物資輸入促進をするために輸出入銀行に外貨貸しをする、これは政策としては一つの方法だろうと思いますが、ここでも私が気になりますのは、重要物資というのは果たしてそれはどういう品物を想定をされているのか。これは一時的に——先ほど私はエアバス問題を取り上げましたけれども、一時的に黒字減らしで必要な資金を外貨貸しさせるということになるのか。それとも、実際に国民生活に必要な食料品あるいはその他の製品輸入というものを具体的に焦点を当てて輸入業者に外貨貸しをするのかというのは非常に判断に苦しむわけです。いつも政策が行き詰まってきますと、この種の問題を提起をしたりあるいは引き続き検討ということがしばしば言われるわけですが、もはやその検討の段階ではないというふうに思います。この輸入促進のための外貨の貸し付けについて、どういう業種あるいはどういう重要物資というものを考えられているのか、お伺いをします。  それから、この中に「有用物資の備蓄」というものがあります。これは国策としては石油の備蓄というものが代表的に挙げられておりますけれども、それ以外にどういう資源のあるいはエネルギーの備蓄というものを当てにして外貨貸しをさせようとしているのか、具体的に品目を挙げて御説明をいただきたいというふうに思うわけであります。この資料の中にも「その他所要の措置を検討する。」と、こうなっておりますが、国民の立場あるいはそれぞれの業界の立場から考えてみましても、政府は一体何を考えているのか、あるいはおれたち業界は何をしたらいいのかということがかいもく見当がつかないわけですね、そういうことについてもっと具体的に明らかにしていただきたいと思うんです。
  24. 宮崎勇

    政府委員宮崎勇君) この輸出入銀行が行います緊急輸入のための外貨貸付制度と申しますのは、言うまでもなく国民の税金を使うわけでございますので、その輸入対象になるものを選ぶに際しましては、大変気をつけなければいけないということは御指摘のとおりでございまして、そのために今回は輸入がこの外貨貸し付けの対象になるかどうかということについて、事業を所管します大臣が推薦をするということが前提になっております。で、その推薦の際に、どういう事情を考慮しなければいけないかということで、先生も御指摘になりましたような、輸入される物資国民経済上重要であるということ、あるいはこれが通常の輸入ではなくてやはり緊急性が認められると、そういうようなものでなければいけないというような要件がありますし、さらに、長期のものにつきましては、それが外貨による長期の固定金利でなければいけないというような要件がございまして、それを考慮した上で慎重に所管大臣が推薦をするということになっております。で、先ほどもちょっと申し上げましたように、輸入される物資は直接的に消費財というケースはまれであろうかと思われますが、重要な基礎資材であります原材料輸入されることによってそれで生産が回復する、あるいは所得が増大するということであれば、ひいては国民生活の上にも役に立つんではないかというふうに考えているわけでございます。  で、検討対象になり得る品目でございますが、従来の輸入促進対策と申しますのは、どちらかと言えば、この物質を入れたらどうだろうかという発想が最初にありまして、そのためにどういう条件をつくるかというような検討の仕方が行われていたわけでございますが、今回はもっと一般的に輸入が行われやすくするために、一般的な門戸を開放すると申しますか、金利を下げる、あるいは一般的な条件を示して、これに応ずるものがあればその対象考えると、こういうことでございます。したがって、現在のところどの品目がどの程度輸入を希望してくるかということについては、模様を児なければいけないというふうに思われますが、さしあたって、先ほど申しましたような鉄鋼ペレットでありますとか、あるいはニッケル等希少金属、あるいは製品では航空機、医療器械その他のものが考えられるというふうに思っております。
  25. 穐山篤

    穐山篤君 迫力のある返事ではありませんけれども、やむを得ないと思います。  それから経済協力の関係で、この中には書いてありませんけれども日本の政治の姿勢にかかわる問題ですからお伺いしますが、幾たびかベトナムの難民が日本に上陸をしたり、あるいは日本に長く逗留できないでアメリカが引き取っていますね、あるいはハワイにも現実に避難をしているわけです。で、この過程の中でおもしろい事件がありましたね。アメリカ日本から米を買って、ハワイに避難をしたベトナム人に米の飯を食わしているわけです。そのことが非常にアメリカの国内世論を刺激をしていることは御存じだと思いますけれども、私はこの事件の際にも非常に遺憾に思いましたのは、わざわざベトナムの難民が、本人の意思かどうか知りませんけれども日本に仮に上陸をした、避難をした。で、いろんな政策はあるでしょうけれども日本がベトナムの難民に無償で長期間にわたって米を供給をしないで、それを見てとったアメリカ日本の米を買いとってハワイで難民に飯を食わしているわけです。現実にいま食わしているわけですね。非常に「経済協力等の推進」というふうにきれいごとが書かれておりますけれども、現実には、いま私が申し上げましたような代表的な問題があるわけです。これは日本経済協力の政治姿勢、あるいは日本の政治のあり方というものを一面では象徴しているような気がしてならないわけです。私は物理的にいろんな困難があることも承知をしますが、なぜこういう際に政府の政治的な決断ができないのか、具体的に御答弁いただきたいと思います。
  26. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) きわめてごもっともな御指摘であると思います。ベトナム難民につきましては、わが国にどうして受け入れないのかということは国際的にかなり議論になっておりますが、御承知のような理由から、わが国としてはこれらの人々を永久的に受け入れるという体制はとっておりません。無論緊急避難の場合にはできるだけのことをいたしてまいりましたけれどもわが国に居住権を与えるという立場はとっておりません。しかし他方で、まさにただいま御指摘のような問題がございますので、国連の難民担当の高等弁務官に対しましては、わが国として資金協力はできるだけやっていく、今後恐らくそれは私はもっとふやすべきであろうと思っておるのでございますけれども。そういう形で、もしただいまのお話が事実アメリカの負担においてわが国から何かを調達して云々ということでありますと、これなどはわが国が国連に拠出しております難民のための基金、その中で行われるぐらいのことはわが国としていたさなければならないことでありまして、これは経済協力というよりは、むしろ人道的な立場からそういたすべきものと考えております。この点は、政府といたしましても、わが国の拠出がなお不十分であるならば十分にふやしていくということは、当然今後ともそういたさなければならない問題でありまして、ただいまのような非難を受けることがないようにいたさなければならないと思っております。
  27. 穐山篤

    穐山篤君 これはこれからしばしばあってはならない問題ですけれども、これが東南アジア全体から、日本は売り込むけれども少しもわれわれを大事にしてくれないという批判を、決定的な致命的な印象を与えた事件だと思うのです。食糧管理政策上いろんな問題があることは承知していますけれども、ハイジャックと同じように法が及ばない、及んではならないという事件だってあっていいと思うわけですね。これは今後あるかどうかわかりませんけれども、十分に配慮をしていただきたいというふうに思います。  それから、私は前回の委員会でも強く指摘をしましたのは、輸入に当たりまして総代理店で契約する輸入と並行輸入との間に大変な乖離がある。それと同時に、並行輸入について幾つか妨害をしている事例があるじゃないかということを申し上げたわけです。最近公正取引委員会が本問題について資料をつくられました。その資料を調べてみますと、並行輸入輸入総代理店が輸入をした日本国内におきます小売価格とは、平均をして二〇%、中には三五%の開きがあるわけです。言いかえてみれば、並行輸入いたしました物品の方が消費者に渡ります小売価格はずっと安いわけです。同じ品物が三割五分ないしは二割価格が違うわけですね。これは、一面で言えば国内産業の振興という立場もあろうと思いますよ。あろうと思いますけれども一つ一つ商品名を国内産業と比べてみましても、並行輸入をできるだけ多くしても、品物によっては国内産業に打撃を与えることにはならないという品物が相当の品種あるわけであります。なぜこういうふうに小売価格の上で二割ないし三割五分も違うのか。それが並行輸入の利点だと思いますけれども、私が一番問題にしたいと思いますのは、ウイスキーの最近の輸入の伸び率を見ましても、あるいはハンドバッグ、ライターその他にいたしましても、かなり抑えられている。これは故意に抑えた部分もあるだろうと思いますし、あるいはそうでない点もあろうと思いますけれども、なぜ政府としては並行輸入というものについてもっと力を入れないのか、これは一般の消費者が常に疑問に思っている点です。私は具体的に数字を持っておりますので、この考え方について、並行輸入をもっと拡大してしかるべきだと思いますけれども、なぜそういうふうに並行輸入促進をされないのか、そのことについて具体的に解明をいただきたいと思います。
  28. 藤井直樹

    政府委員藤井直樹君) 特に輸入消費財につきまして、並行輸入という形で輸入が行われた場合の価格というものは、総代理店契約のルートを通ずるものに比べまして、いまおっしゃったような二割ないし三割安いということが実際実績としてつかまえられているわけでございますが、昨年来、円周対策をどうするかというときに、一般の個別的な物資価格動向の追跡調査をいたしましたけれども、その過程でも、やはりそういう輸入品同士の競争が行われるものについては比較的円高効果が反映しているということも出てまいっております。そういうことでございますので、そういう制度としての並行輸入というものを何とか促進したいということを考えておりまして、そのためには、現在のたてまえとして、公正取引委員会がそういう並行輸入を阻害するような行為について不公正な競争ということでこれを取り締まるということ、これが当面の手段としては最も有効であるということでございますので、昨年来そういう形で対策にも取り上げてやってきたところでございます。今回の円高の差益還元対策、九項目を取り上げておりますけれども、その九番目におきまして、この並行輸入の問題を再びここに取り上げまして、そして今後とも不当に妨げられることのないような厳重な監視をしていくということにいたしているわけでございまして、基本的にこういうような形をとっていくことが製品輸入増大にもつながっていくのだと思っております。
  29. 穐山篤

    穐山篤君 時間の都合で先に入りますが、前回、円高差益の還元ということについて、当委員会で大いに議論がされました。大ざっぱな考え方は示されまして、その後政府が電力あるいはガス、航空運賃あるいは電信電話料金、たばこなどなどについて一定の見解を示されたことについては十分承知をしております。中身についてもう時間がありませんから申し上げることはないと思いますが、さて円高差益の議論をするときに、たとえば航空運賃を取り上げてみまして、航空運賃の設定が円レートで二百九十六円が二百二十円になった。これはその意味では非常に差益があったということが一目瞭然にわかります。  さて、これからの五十三年度に入ってからの問題です。御案内のとおり二百十八円まで上がりましたけれども、最近は二百二十七、八円というところまで、円が安くなったのか、ドルが高くなったのかよくわかりませんけれども、趨勢としては二百十円台から見ますと円が安くなったと、こういうふうに力学的には言うことができると思うんです。さて、五十三年度中に電力にしろガスにしろあるいはその他円高差益を国民に還元をしろと、こういう議論は当然現実にあるわけですが、円の対ドル相場が二百二十円から二百三十円に回復するというふうな流動的なものでありますので、円高の差益というのはどこで抑えるかというのは政治的に非常に重要な問題だと思うんですね。理屈の上からいえば、当然年度当初決めたレートというものに比べて現実のレートがどのくらいか、そこで差益がどのくらい出たということになるだろうと思いますが、昭和五十二年度はともかくとしまして、五十三年度差益の問題を議論するときに、何を根拠、何をベースにして物を考えられているのか、その点をまずお伺いしたいと思います。
  30. 藤井直樹

    政府委員藤井直樹君) たとえば民間物資についての追跡調査をいたしますとき、これから第三次調査をやろうと思っておりますが、その際の基準となる為替レートにつきましては、やはりその時点までの何カ月間かの平均をとった方がいいのではないかと思っております。また、個別に政府関与物資等についての取り扱いを具体的に決める際にも、その時点から何カ月間か、その価格、為替レートの推移いかんによりますけれども、そういう形で過去の実績というものを、直前の数カ月の実績というものを取り上げて判断するのがいいのではないかと思います。
  31. 穐山篤

    穐山篤君 そこで、この資料にもあるわけですけれども、前回電力とガスにつきまして、差益が八千億円とかという数字が具体的に述べられました。しかし、現実にはそれに伴う経費もあるので、差し引きガスで百三十億あるいは電力で九百億というふうに数字が加除訂正をされているわけですね。  さて、この閥も議論があったわけですけれども、非常に経費の部分が多いんじゃないかという、そのことについてみんな疑点を持ったわけです。一応日本の国内消費者物価指数は鎮静はしているわけでありますけれども、今回、ガスにしましても電力にしましても、御案内のとおり賃上げが行われ、あるいは配当がびっくりするほど行われているわけですね。そういうものは今度は経費でまたどんどんどんどん落としていくことになるわけです。そうしますと、現実に差益というものはたくさんあるという国民の印象からしますと、経費が非常にかかりまして五十三年度は差益を還元するどころではないと、どちらかと言えば値上げをしてもらいたい方だというふうな居直りがもうすでに始まっているわけですね。これは非常に国民感情に合わない理屈なんですが、その点はどういうふうにお考えになっておりますか。
  32. 藤井直樹

    政府委員藤井直樹君) 電力、ガスにつきましては、五十二年度までの分につきましては円高差益そのものとして数字を出しておりまして、それが九電力で九百二十五億円、ガスで百六十億円ということになっております。そこで、五十三年度に入りますと原価計算期間が切れますので、そういう意味円高差益が一方で出て、他方で経費の増加があるということで収支の問題が出てくるわけでございますが、現在のところでは、年度を通じて二百二十円というレートを前提といたしまして、電力で二千二百億円、ガスで三百四十億円となるわけでございます。これに対しまして経費がどのくらいかということについての具体的な数字はなかなかむずかしいんでございますが、一応今回の対策の添付資料で出しましたところでは、人件費とか修繕豊、さらには資本費が非常に増加いたしますので、年率にして八ないし一〇%ぐらいの増加があろうと。一方料金収入も伸びますが、こちらの方は年率六ないし七%ぐらいのものではなかろうかということで、大ざっぱな推定をいたしておるところでございます。  この数字が高いのか低いのかということになりますが、私どもとしては、現在の据え置きという方針をとった場合には、五十三年度の実行上その経費等も明らかになるわけでございますので、そういう適正な経費というものをもとにして、五十三年度円高差益と経費の関係でどのくらいのメリットが出たかということを把握して、それを来たるべき時期におきます経費増大の財源に充てて料金の長期安定を図ろうということを考えているわけでございます。
  33. 穐山篤

    穐山篤君 時間ありませんので、経企庁関係は以上で終わりたいと思います。  次に、郵便貯金金利の問題について、これは国民生活、物価との関係で非常に重要な点でありますので、若干お伺いします。  時間ありませんからはしょって申し上げますが、実はきのうから金利が下がりましたんですね、〇・七五下がった。実は二十五日というのは、御案内のとおり民間の場合には月給日であります。その月給日には銀行ないしは郵便局の利用率というのは非常に高いというのは御案内のとおりだと思うんですが、なぜ二十五日から金利を下げたのか、具体的な根拠があったら示してもらいたい。
  34. 森本哲夫

    説明員(森本哲夫君) 三月十六日に公定歩合が下げられまして、その後民間の預金金利も引き下げが決定されると、こういった状況の中で、郵便貯金の金利をどうすべきか、郵政省といたしましても非常に苦慮してまいっておったわけでございますが、一方郵便貯金の残高がもう三十七兆円という大きな額になり、わが国個人貯蓄の中でも非常に大きなウエートを占める、そういった状況の中で、郵便貯金の金利についてもこの際お諮りをしなきゃならぬということで、三月三十日に郵政審議会に諮問をいたした次第でございますが、去る四月の十八日でございますが、審議会としては改定やむなしと、こういう答申をいただいた次第でございます。私どもといたしましてもこの答申の趣旨を体しまして、事務手続、これには政令の制定、公布、あるいは郵便局への準備、いろいろな諸般の準備がございますので、できる限り速やかに実施をいたす、そしてそれが四月の二十五日に相なったと、こういう次第でございます。
  35. 穐山篤

    穐山篤君 私のお伺いしているのは、月給日の二十五日からなぜ実施したのか、わかりやすいように説明してもらいたいと。なぜ二十六日か二十八日というふうにしなかったのか。
  36. 森本哲夫

    説明員(森本哲夫君) 確かに御指摘のとおり、二十日以降民間の勤労者の給料日が相前後して月末にかけてあることは御指摘のとおりでございますが、広く国民利用者一般に利用されておる郵便貯金といたしまして、どの日が金利改定に最適かということはなかなかむずかしい問題でございまして、ただいま申し上げましたように、審議会の答申を得るという手続を経て、その自後の所定の手続を踏んだ結果二十五日に相なったと、こういう次第でございまして、御指摘の問題なかなか非常にむずかしい問題であろうと思う次第でございます。
  37. 穐山篤

    穐山篤君 理論的根拠なんというものはないと思うんですよ。答申を受けてやるということになると思うんですが、ただ郵政省が郵便貯金法あるいはこの法律の第十二条というものをどういうふうに理解をしているかという、その理解度の問題が私は結局最終的に利率なりあるいは実施期日に具体的にあらわれているんじゃないか。そういう意味では過去に、五十年代に入って四回郵便貯金の利率を下げたわけですが、公定歩合が下がった、郵政大臣が郵政審議会にかける、答申をもらって実施をする。この五十年代に入って四回の歴史を調べてみますと、大体一カ月以上、まあ一カ月ぐらいみんな時間がかかっているわけですね。で、前回も——前回もというのは昨年の九月もかなり厳しい国会の中の議論があったわけです。にもかかわらず、今回、まあ急いだとは言いませんけれども、貯金シフトなそのことを考えてやられたわけですけれども、それにしてみては郵便貯金法なり、第十二条の利子の条項について、郵政省は国民の側に顔を向けていないというふうに言わざるを得ないというふうに思うわけです。  さて、少し理屈めいたことをお伺いしますが、今回〇・七五、まあ全部〇・七五ではありませんけれども、〇・七二あるいは〇・七〇というのはあるわけですけれども、金利を下げたことによって物価にどういう影響を与えるとお考えになっているのか。あるいは、現在物価の状況はまだ新しいのは出ておりませんけれども、消費者物価指数四・何%というのはまあ出ているわけですね。で、物価の状況考えてみて、今回の平均〇・七五の下げというのはどういう相関関係を持っているのか、その点お伺いします。
  38. 森本哲夫

    説明員(森本哲夫君) 物価と郵便貯金の金利との相関というお尋ねでございますが、御指摘のとおり、郵便貯金は個人貯蓄の一部をお預かりしておるという次第でございまして、お尋ねの点については、私どもとしては的確にお答えできかねる立場にあるわけでございますが、ただ、私どもといたしましても、この十二条の定めるところというのは、預金者の利益並びに民間金融機関の金利水準との均衡をよくあわせ考え対処すべし、こういう法律の定めでございます。民間金融機関が、三月の二十二日にすでに長期性の定期預金が〇・七五%、通貨性と申しますか、流通性の預金が〇・五%下げておる、こういう状況にかんがみまして、私どもの預金金利をどうすべきか、あるいはまた、郵便貯金の金利がわが国の財投原資の主要な原資になっております。その金利がどういう影響を住宅建設あるいは中小企業対策国民生活に密着する部分影響を与えるか、いろんな点を総合勘案いたしまして、御指摘のとおりの金利改定を諮問いたした、こういう次第でございます。
  39. 穐山篤

    穐山篤君 いまもまあ言われておりますように、財投資金の、たとえばことしの場合見ておりましても、財政投融資十四兆九千八百億円、この間国会で決まったわけですけれども、そのうち郵便貯金というのは六兆七千億円、計算でいきますと四五・二%という大きい分野を占めているだけに、まあ重要な郵便貯金だというふうに思うわけですね。  この法律の十二条を読みましても、まず郵便貯金というものを考えてあるいは国民生活考えて利子を決める。それからあわせてその銀行における金利というものも参酌しなきゃならないと。どちらかというと前段の方が主であって、後段のまあ市中銀行におきます金利というものは副に条文上は明確になっているわけですね。ですから、少なくとも郵政省が物を考える場合については、郵便貯金をどう保護していくか、あるいは育成をしていくかというところが中心でなければならないというふうに思うわけです。  ところが、過去の公定歩合が下がり、預貯金金利が下がり、郵便貯金の利子を下げたときに初めていろんな郵便貯金についての新しい制度が生まれてきているわけですね。そういう大きな事件と言っちゃ語弊がありますが、大幅な公地歩合の引き下げだとか預貯金金利の引き下げが行われないときには、何ら政策的なものが出ていないで、こういうものが起きると初めて進学ローンをどうするとか、あるいは今度新しく新設をされたのがあるわけですけれども、定期の郵便貯金六カ月を新設するというふうに、何かなければ何もしないという、そういう体質を郵便貯金は持っているわけです。これは、郵便貯金を預かる郵政省としては非常に私は問題じゃないかというふうに考えます。時間がありませんから私ははしょりますけれども、いままではどうもそういうふうに追随をしていた。あるいは、世間から騒がれたから新しい積み立てなりあるいは定期なりその他の制度を考える。まあ後手後手の政策できたわけですね。非常に世間は郵便貯金に対しまして、政府のやり方に大変な注文をつけているわけです。  そこで、二つお伺いをするわけですが、まあこれから消費者物価指数がどういうふうになるかはよくわかりません。あるいは景気が冷え切ったままでいるかどうかわかりませんので、公定歩合がなお一層下がるかあるいはこれで打ちどめになるかもわかりませんから、予測はできませんけれども、一例として申し上げます。まあこれから多少ずつ景気が回復をするあるいは内需が拡大をしてくる、いろんな刺激がある、アメリカのインフレの影響を受けるというようなことがあって、仮にこれから消費者物価が上がるというふうなことがあったときに、郵便貯金はその金利を郵政大臣の責任において上げるために、金利を上げるために郵政審議会に諮問をするような積極的な姿勢を示されるかどうか。公定歩合を上げるとかあるいは市中銀行の金利を上げるということは片方はありませんけれども、郵便貯金だけはそういうふうな積極的な姿勢を示されるかどうかということが第一の質問です。  それから第二の質問は、いまも指摘をしましたように、公定歩合や預貯金金利が下がる都度に、文句言われて幾つかの新しい制度をつくったわけですが、それじゃあ非常に消極的ですね。これから積極的に郵便貯金について新しい商品を創造していく、新しい商品を考えるということがあってしかるべきだと思いますけれども、その分野はどういうものを研究をされているのか、具体的にお考えがあれば、その二つをひとつお伺いをしたいと思います。
  40. 森本哲夫

    説明員(森本哲夫君) 第一点のお尋ねでございますが、今後の経済状況の中での郵便貯金の金利、これは、先ほども先生御指摘ございました郵便貯金法十二条の規定に従って郵政省として対処すべき問題だと考えております。非常に問題が大きな基本的な問題でございますので、具体的にどうだということについてはお答えができかねるわけでございますが。  第二点のお尋ねでございます、既往いろんな新しいサービスを提起してまいりましたのは、これは多少お見かけが利下げと絡んだように見えておるようでございますが、必ずしもそうじゃございませんで、かねがね提唱しておったり準備しておったことが、郵政審議会の議論の中で強く要請がある、あるいはこういうものの実現を条件としてやむなしと、こういった経緯がありまして、そういうふうに見えておるわけでございますが、こういった利下げの折だけではもちろん御指摘のとおりなくて、こうした預金者サービスというものは考えてまいらなけりゃならないことだと考えております。現在郵政省でも、今後の貯金の基本的なあり方についてどう考えるべきか等につきましては、研究会を組織いたしまして検討しておるところでございますが、また、重ねてせんだっての郵政審議会におきましても、この際、基本的に郵便貯金の頭金者保護の立場に立って郵便貯金の基本的なあり方を見直すべしである、あるいはまた、最高限度のあり方、とりわけ老人あるいは退職者等高齢者に対する施策を考えるべきである。いろいろな御指摘を受けておりますので、こうした諸問題を十分踏まえまして、できる限り早期にいろいろ預金者に対するサービスというものは強化してまいらなけりゃならぬ、かように考えている次第でございます。
  41. 桑名義治

    ○桑名義治君 私は、まず最初に経済成長率について、福田総理はたびたび七%程度というような御発言があるわけでございますが、昨年の経済見通しが六・七%で、結果的には五・三%に落ちついたわけでございますが、その達成できなかった主なる原因は、いろいろ総合してまとめて発言の中身を考えますと、それは、いわゆるこれほど円高になるということを予想し得なかったというような事柄になるわけでございますが、ことしも同じような事柄になるのではないかという心配があるわけでございます。先ほど大臣は、七%程度経済成長は必ず遂げるという意味の御発言があったわけでございますが、確かに最近の景気情勢を見てみますと、いわゆる公共投資の進捗に伴いまして、関連業界の一部には明るい面が出ているということは、これは否定できない事実だろうと思います。その反面に、個人消費や設備投資などの最終需要というものが依然として低迷しているということも、これも否定でき得ない事実ではなかろうかと思うのであります。それと同時にまた、去年の景気見通しを狂わした円高というものは、昨年よりもまだまだ強い円高が進んでいるわけでございます。過日、四月の十日に国民経済研究協会が発表をしたいわゆる試算でございますが、一応一ドルが二百二十円台における今年度経済見通しによれば、いわゆる一兆円の公共投資と一兆円の所得税の減税を内容とする二兆円程度の補正予算を前提としても五・三%、これは昨年の十二月の試算の四・七%よりも上回っておるわけでございますが、また山一証券の研究所でも、現在のような公共投資一辺倒の政策では五・三%の実質成長率しか期待できないと、こういう発表をしているわけです。この五・三%におきましても、昨年の試算よりも〇・三%上回っているというのが実情でございますが、果たしてそういった権威ある研究機関が試算をしております五・三%、これいみじくも同じような成長率になっているわけでございますが、政府の言ういわゆる七%程度の成長が果たして達成できるであろうかと、こういう疑問は依然として私たちには消えないわけであります。そういった意味で、二兆円程度の所得減税あるいは補正予算というものが必要ではなかろうかと、こういうふうに考えるわけでございますが、果たして七%程度の成長はやはり心配がないと、こういうふうに大臣はお考えでございますか。
  42. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 率直に申しまして、私は七%程度の成長の可能性はきわめて高い、十分に可能であるというふうに考えております。これは昨年の十二月に目標を設定いたしたわけでございますけれども、その後今日までのわが国経済の歩みは、大体私どもが予想したように動いておるように見受けられます。すなわち、在庫調整は一部のものを除きましてはほぼ一巡したと思われます。そういたしますと、予算も早く御承認をいただきましたので、以前準備をいたしておりました関係もございまして、公共投資がもう直ちにスタートし得る状況になっております。在庫調整一巡いたしましたところで公共投資が出てまいりますので、最初は確かに部分的な景気回復になるわけでございますが、期待されました波及効果がまず十分に起こるであろうと考えておりますので、七%程度の成長は十分に可能であろうと考えております。  御指摘の設備投資につきましては、まだまだ稼働率が低いわが国の製造業の現状でございますので、製造業について大きな設備投資の伸びがあるということは、当初より期待をいたしておりません。電力につきましては期待をいたしておりますが、これは順調に本年度の設備投資にかかったようでございますし、金額も私どもが予想いたしておりました三兆一千億円程度、ほぼ間違いがないような計画でスタートをいたしております。  消費がややおくれておりまして、これは統計のおくれも一つございますのですが、ことに昨年のおしまいごろ、前年同月に対しまして十月がマイナス〇・五、十一月がマイナス一・五と、はなはだ芳しくない数字でございました。その後十二月がプラス〇・七、一月がプラス二・八、二月がプラス三・七と、ここまでしか統計は出ておりません。まあ一、二月の統計で見ますと、これはかなりいい線へ戻ってきたというふうに見ております。これからの帰趨をまだ見定めるほどしっかりはいたしておりませんけれども、まずまずここらもただいまのところで見る限り順調な線に入ってきておりますので、あれこれ総合いたしますと、七%程度の成長は十分に可能であるという判断をただいまとしてはいたしております。
  43. 桑名義治

    ○桑名義治君 依然として政府としては七%程度の成長が望めるというお話でございますが、これがわが国経済の特徴といたしまして、個人消費というものが伸びなければ、なかなかこの成長率は望めない、非常にその比重が大きいということは、これはもう定説になっているわけでございますし、また現実でもございます。そういった立場から考えまして、いま三月で前年との比較で三・七%の伸びを一応示しているというお話でございますが、現在、春闘の真っ最中でございますが、この春闘の回答と賃金ベースの上界率を見てみますと、これは非常に厳しい内容になっております。こういった賃金、春闘の内容が、このような低率で抑えられた場合に、果たして個人消費がいま考えておるほどに伸びるだろうかということには非常な疑問を抱くわけです。それと同町に、やはり設備投資、これが伸びなければ最終的にはいわゆる経済成長率を押し上げることはできないんじゃなかろうか、こういう懸念を依然として持つわけでございますが、その二点について、どういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  44. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは御指摘のようにやはり設備投資が出てまいりませんと、本当の実のある経済成長というのはなかなかむずかしい、おっしゃるとおりだと思っております。私どもこの五十三年度という年はまず財政が主導をいたしまして、景気の克服についての民間経済の信用を回復をして、そしてやがて五十四年度にはあるいは五十五年度にはというふうに民間主導型に戻していきたいのでございますけれども、残念ながらこの五十三年度年度ではまだまだ稼働率がそこまでまいりませんので、設備投資を呼び起こすまでには至らないであろうと。これは残念でございますが、もともとどうもそれは期待できないということに考えておりまして、電力は別でございますが、製造業についてはそのように考えております。五十四年度には幾らかそういうところへいけると思いますが、一足飛びには五十三年度中には行きかねるのではないかと思っております。  消費の方は、確かにこの春闘のいかんに無関係ではもうございませんけれども、やはり消費者の気持ちといたしましては、まず経済が最悪の事態を過ぎたという感じが、まあ自分自身の雇用、あるいはうちのお父さんももうまず首になることはなさそうだと、あるいは残業手当が少しずつ出てきたというようなところあたりの心理が大事なのではなかろうかと見ておりまして、したがって、経済全体の景況が少しよくなったということの後でありませんと、落ちついた消費というものは期待できないので、一番後回しになるだろうとは考えておりますが、そういうふうな経済の動きには大体持っていけそうだと考えておりますし、それから、物価が安定しておるということがやはり消費者には非常にプラスの材料でございますから、それも手伝いまして、春闘は確かに厳しゅうございますけれども政府の見ております程度の消費は可能ではないかというふうに思っております。
  45. 桑名義治

    ○桑名義治君 物価が安定をしつつあるというお話でございますが、確かに物価は一応安定をしつつあるのはこれは事実でございますが、しかし、現在のような円高の中、こういう経済の客観情勢の中から見た場合には、まだまだ物価は高いという実感が国民の感情の中にはあるんじゃないか、感覚の中にはあるんじゃないかということは、これは否定し得ない事実だろうと思います。だからといって、また確かにうちの父ちゃんの会社はもうこれで大丈夫だろうという感覚を持てる会社と、まだまだ危ないぞという会社と、業種が非常に大きく分かれているわけですね。そういった両極端の中に置かれた国民の感情というものはどこを見るかというと、どうしてもやはり悪い方、最悪の場合、最悪の場合を見ていく、これがやっぱり現在のような経済情勢下に置かれた国民の経済を見る感情ではなかろうかと、こういうふうに思うわけです。そういった立場から考えますと、この個人消費というものはまだまだ非常に不安定要素が充満していると、こう言わざるを得ないのではないかと、こういうふうに思うわけですが、そういった立場から河本通産大臣は、いわゆる追加対策として九月ではもう遅いというような発言をなさっておるわけでございますが、大蔵省としては追加対策というもの、いわゆる補正予算というものは必要ないと、現時点ではまだ必要ないというような意味の発言が表に出ているようでございます。こういった立場を踏まえて、宮澤長官はどういうふうにお考えでございますか、この点について。
  46. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 確かに消費の中には、まさに桑名委員がおっしゃいましたように、構造不況業極等々これから問題を含んでおります部分がございます。経済全体が成長を始めましても、それに無関係にその不況が続く業種がございますので、これは確かに用心してまいらなければならない部分でございます。それは御指摘のとおりだと思います。  それから、七%程度の成長との関係で補正予算が必要かどうかということでございますが、私はただいまのところその必要はないのではないか。たとえば経済協力でございますとかなんとかいうこととの関連でならば、これはまた別途の考え方があるかもしれませんと思いますが、景気対策といたしましては、私はただいま補正ということを具体的に考えておりませんし、考える時期でもない。ただ、大切なことは、総理がたびたび述べておられますように、もし政府のこの考え方に何かのそごが出た場合には臨機の措置はいつでも迅速にとるということは、これは国民にも知っていただきますことが将来に対する不安要因をなくすことになると思いますので、これは総理の言われたとおりと思っております。
  47. 桑名義治

    ○桑名義治君 経済成長率の問題はこの程度で、次に進みたいと思いますが……。  次に、いわゆる円高に伴う物価対策について概括的に伺っておきたいと思います。  今回政府から「主要な政府関係物資等の円高差益の発生状況及びその取扱いについて」こういういわゆる物価対策の内容が示されているわけでございます。そこで、今回のいわゆる円高総合対策は、これからの一連の国際会議、いわゆる五月の日米首脳会議、それから七月の先進国首脳会議、これに向けての日本国際収支黒字解消やあるいは円高問題に取り組む姿勢を示すためのものであるというふうに言われているわけでございますが、まあこれまでの対策と比べてみますと、三百億ドルを超す日本の外貨準備高を積極的に活用しようとしていること、また円高に伴ういわゆる物価対策でも、これまで問題とされていた政府関与物資について数的説明を加えた資料を付した、まあこういうふうに見られるわけでございますが、まず今回の対策のねらいとそれから考え方について、宮澤長官からまず概括的な御説明を願いたいと思います。
  48. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいまのお尋ねは、四月二十一日に決定いたしました対策全体についての考え方というふうに承りました。  かねて、すでに過去におきましても、いわゆる緊急輸入等対策あるいは予算が成立いたしました場合の重点的な施策について、経済対策閣僚会議で何度か決定をいたしてまいりましたが、この四月二十一日に改めて決定いたしましたことの意味は、一つは外為会計が非常にたくさんのドルを持っておるわけでございますけれども、これがなかなか国民経済にすぐ結びついて使われにくい。中には、したがって第二外為会計論というようなものもございまして、何かの形でこの外為会計をすぐ使えるようなことにすべきではないかという議論政府部内にございました。しかし、この外為会計からそれを新しい会計へ移しますためには、そのための財政措置を必要といたします。膨大な財政措置を必要といたしますから、それは当面可能ではないということになりまして、それならば外為会計の金をどうやったら簡便に使い得るかということをいろいろ考えました結果、それは輸銀を通じて外貨のまま貸し付けるという方法が一番手数も要りませんし、円資金の問題も起こらない、これが一番いいのではないかということになりまして、すでに小さなスケールでその制度を以前から始めたわけでございますが、これをやってまいりますと、もう少し大きなスケールで——と申しますのは、一つは短期につきましても金利等々の条件の改善、それから改めて十年というふうな長期についても考えるべきではないかということで、新しい制度を発足させたというのが今回の施策の第一点の意味合いでございます。すなわち、これによりまして、長年問題でありました外為会計の外貨が、緊急の目的とは申しますものの、有利な低利でしかも短期、長期、利用者の必要に従って直接に利用できる、こういうことにいたしました点が第一点でございます。ただいまの公定歩合等々から判断いたしまして、いまは金利が低うございますけれども、先々のことは必ずしもわからないという不安要因がございますから、その場合には金利を固定するということもあわせて決定をいたしたわけでございます。これが一つでございます。  もう一つは、わが国経済は市場経済でございますから、輸入はほとんどが民間によって行われますけれども、場合によって政府自身が、ごく例外的ではありますけれども、外貨を使って物を買うということもございますわけで、その点も一、二つけ加えてございます。  それから第三の大きな柱は、従来経常収支の問題として、ことに昨年の九月以降日米間では、これはどうも理屈は余り私は感心いたしませんでしたけれども、まあ経常収支の問題ということで議論が集中をしてまいったわけですが、もともとから申せば、わが国はある程度貿易黒字をかせぎまして、そして南北問題等にいわゆる経済協力の形で対処するというのが本来あるべき姿でございますので、そのような問題として経済協力の推進を取り上げたわけでございます。すなわち、それは二国間の経済協力の問題もございますし、多国間あるいは国際機関を通じての経済協力の問題もございます。そういう形で、これは経常収支と申しますよりは資本収支に関係をいたすわけでありますけれども、この問題はやはり基本の問題として取り上げる必要があると考えまして、これによりまして、従来とかく消極的になろうとしておりましたわが国の対外経済協力の姿勢を、かなり改めるという意味合いを含んだ決定でございます。場合によりまして、この方の関係から将来補正ということを考え得るかもしれませんが、それは、当面とにかく成立しております予算の執行を急ぐことによりましてかなりの目的を達し得る。  大体、この国際収支に伴う対策は以上の諸点でございますが、さらに、この円高の問題につきましては、従来から円高の利益が国民にどのように還元されておるかということにつきまして、私どもで追跡調査を二回いたしまして、その結果、自由化が行われ自由競争が行われておる分野ほど円筒の還元が早いということがわかっております。政府が直接、間接に関与しております物資、サービスにつきましては、その関与の理由は別途あるといたしましても、それだけ競争が弱いということは疑いがございませんので、それについてどれだけの円高還元が可能であるか、可能でないとするならばそれはなぜであるかという点を、これは国民にも知っていただく必要がございますので、その両方の観点からこの円高に伴う物価対策決定いたしたわけでございます。  なお、市場経済関係いたします部分につきましては、再度追跡調査を行うということもあわせて決定をいたしております。
  49. 桑名義治

    ○桑名義治君 最近バーンズ氏が、そろそろこのドルについては過大評価の範囲に入ったのかというふうに言っているわけでございますが、一時二百二十円を割るのではないかという勢いがあったのが、最近は二百二十八円から七円というところで大体落ちついた形になっているわけでございますが、経企庁としては今後の為替相場についてどういう見通しを持っておられるのか、あるいは適正なレートを一体幾らと見ておられるのか、ちょっとお尋ねしておきたいと思います。
  50. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) このたびの円高は、二月の中旬から始まったわけでございましたが、その経緯を見ておりますと、ある段階からかなり相場的な要素がきつく出ておったと判断をいたしておりました。したがって、そうである限りは、これはもうあるところで値ごろ感が出てくるに違いないということを国会でも申し上げたわけでございますが、結果としてはそんなことになったようでございます。したがいまして、ここのところちょっと反落をしておるということでございます。全体としては私はそんな見方をしておるわけでございますけれども、ただ、相場的な様相になってまいりますと、何が実勢かということは実際事柄の性質上申し上げにくいことに——これはわからないと申しますか、実勢ということの意味が実ははっきりしなくなるわけでございますので、どうもこれは申し上げにくうございます。  それから少し先の問題でございましたら、私どもはこれだけ円が高くなったということはやはり長期的には輸出というものが鈍化をする、輸入というものが幾らかでも促進されるという時期が夏遅くごろには少なくとも参るのではないか。そういたしますと、今度はそれがまた円の価値に、相場に作用をする、そういう形になるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  51. 桑名義治

    ○桑名義治君 適正なレートはどの程度かということは非常に言いにくいということで、数字は示されなかったわけでございますが、そこで、今回のこのいわゆる対策の中で、外貨貸し制度についていろいろ付言されておるわけでございますが、これまでの例を見てみますと、電力会社がウラン購入用に八千万ドル借りたことがある程度で、利用者はさっぱりということだということでございますが、今回も金利を安くしたり、あるいは利用先の候補として航空機のリースだとかあるいは希少金属、それから鉄鋼の原材料の備蓄輸入、それから便宜置籍船の買い戻し、ウランの濃縮サービス費用の前払い、こういったものが候補に上がっているようでございますが、果たして実現性があるのかどうかという、この点については疑問に思うわけでございます。この問題について、宮澤長官はこれによって四十億ドル黒字減らしができると、こういうふうに発言なさっているようでございますが、この点についての所見を伺っておきたいと思います。
  52. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) この四月二十一日の制度ができます前の段階で、小さな規模で輸銀の外貨貸しが行われておりました。この利用がさっぱりであるということがときどき言われておったわけでございますけれども、実は、個別案件でございますから輸銀も発表をいたしておらなかったわけでございますけれども、実際には旧制度の段階でほぼ二十億ドルぐらいの申し込みがございまして、あるものは輸銀が許可をいたしましたし、あるものは審査中でございました。これはそういうふうには報道されておりませんといいますか、個別案件でございますから発表もいたしておりませんでしたのですが、そういう程度の利用はあったわけでございます。なお続いてまいります話の中で、輸銀として、当時の現行制度の枠組みではどうもさばきにくいというようなケースが幾つか出てまいりましたこともありまして、今度長短の制度の改善をいたしたということでございます。  で、今回の決定がどのぐらいの追加輸入を呼ぶかということは、もう少し様子を見ておりませんとわかりにくうございますが、少なくとも輸銀が従来の枠組みではちょっと扱いかねるといったようなものは、今度は扱えるということになりますし、それからこの十年間固定金利で五分ないし六分というのは、私はかなりいい金利であるというふうに思っておりますが、その辺を事業家の方々がどのように判断されるか、これにかなりかかっておると思います。私は四十億ドルプラス何がしはほぼ確保し得たと思っておりますけれども、利用の状況をもう少し見ておりませんと、それ以上確たることが申し上げにくいと思います。
  53. 桑名義治

    ○桑名義治君 この問題につきましては、三つの問題があるんじゃないかと思うんです。たとえば航空機のリースの問題でございますが、半永久的にこのリースが成功したといたしますと、このリース料が入ってくるわけですね。そうすると、いわゆる航空機の購入とリース料でこれがとんとんになってしまう、あるいはリース料を上回るというような事態が起こるんではなかろうかという問題と、それから便宜置籍船、これはもともとが日本の船でございますし、それをもう一遍買い戻すというところが国際間でどういうような反響を及ぼすであろうか、こういった問題を含んでおるというのが一つと、それからもう一つは、いまも言われましたが十年間の固定金利、これが固定された場合に外為会計に差損が生ずるといった問題も起きるのではないか、こういうふうに思うわけでございますが、この二点についてはどのようにお考えですか。
  54. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 航空機のリースは、たとえばリース料が入ってくるではないか、おっしゃるとおりだと思います。が、そういう意味ではある観点からの投資になるということかと思いますが、当面ドル減らしをするとすれば、金をどぶへ捨てるわけにはやはりまいりませんので、そのようなことがおくれてリース料の収入になってやがて出てくるということはやむを得ないのではないかと思います。  それから、便宜置籍船の方は、これはもともといろいろな理由から置籍をしたわけでございますので、これを買い戻すということであれば、それ自身は国際的に問題を起こすことはないであろうと思っております。  それから、この固定金利の問題でございますが、実はその辺の問題がありまして政府部内でかなり難航をいたしましたのでございますが、場合によりまして輸銀に差損を生ずることがあるかもしれないと思っております。これはやってみないとわかりませんが、そういうことあるべしということは、私どもある程度あり得ることとして考えております。
  55. 桑名義治

    ○桑名義治君 円高によるいわゆる物価の問題でございますが、円高と物価指数との関係について伺っておきたいと思いますが、経企庁の物価局が試算した資料によりますと、円相場が一%高くなれば卸売物価は〇・一%強、それから消費者物価は〇・三%弱下がるというふうに言われておるわけでございますが、国内物価はそれほど実質的には下がっていないというのが現実であり、実感であろうと思います。そこで卸売物価は二月の指数は前年同月比で一・七%のマイナスになっており、円筒が反映をしておりますけれども、消費者物価は三月の東京都区部の指数は前年同月比で四・八%、季節商品を除けば五・七%高くなっている。これに対して、円の対ドルレートは昨年の二月とことしの二月を比較しても二三%も円高になっている。円高は消費者物価に少しも反映されていないではないか、こういうふうに感ずるわけです。この原因は複雑と言われておりますけれども、いわゆる日本の流通機構や流通マージン、こういったところに問題があるので、こういったところを改善をしなければならないというのは、もうこれは一般化した常識でございますが、この問題についてどういうふうにお考えですか。
  56. 藤井直樹

    政府委員藤井直樹君) WPIにつきましては、卸売物価につきましては、三月末で対前年マイナス一・八%でございますが、このうち円高によって直接出てきた効果を計算いたしますと、約二・四%下がっているということでございまして、やはり円高効果かなり大きく効いているのではないかと思います。特に輸入原材料を見ますと一三%程度下がっておりますし、そういうものを使って出てまいりました製品ということで見ますと、消費財等で見ますと、前年度に対して一%程度の上昇にとどまっております。この工業製品といいますのが消費者物価にも波及いたしまして、消費者物価の、いわゆる商品の価格になってくるわけでございますが、全体として東京都区部で見ました三月の数字が四・八%対前年同月比上昇ということになっておりますが、このうち、いわゆる商品だけでいいますと、その対前年同月比は三%台であります。こういう状況になったことは従来なかったわけでございまして、私どもとしてはやはり卸売物価に出てまいりましたものが消費者物価の商品にも波及してきているのではないかと判断をいたしております。  それからもう一つ、それにしても目に見えないのではないかという御指摘があるわけですが、実は消費者物価の指数の中に、輸入品のウエートというものが占めます割合は一%程度でございまして、輸入品がストレートに消費者物価に反映するようなかっこうになっていないということもあるかと思いますが、そういう形でございますので、どうしても卸売物価から波及してくるものだけをやっぱり考えていかなければならないというのが、現在の指数の取り扱い上から見てそういう判断をせざるを得ないわけでございますが、全体としてやはり多少のタイムラグはありますけれども、消費者物価の段階にまで及んできているというふうに考えております。
  57. 桑名義治

    ○桑名義治君 いろいろ説明がございましたけれども、現実にいわゆる輸入品等の品物を見ましても、そんなに円が高くなった割りに物価が下がっていないというのは、これはもう実感としてあるわけですね、現実に。だから、そういった意味でいわゆる流通機構あるいは流通マージン、この日本の現在の機構を解決しなければならないということが盛んに言われているわけです。  そこで、西ドイツはマルクを物価安定策に積極的に活用して成功して、現在のような物価安定をもたらしている、こういうふうに言われているわけでございますが、そういった意味からも、現在の日本経済情勢の中で、いまこそ日本の流通機構やら流通マージンに大きく改善をやっていく時期であろう、こういうふうに思うわけでございますが、この点についてはどういうふうに取り組み、どういうふうに考えられておられますか。
  58. 藤井直樹

    政府委員藤井直樹君) 流通問題というのは、従来からも指摘されていたことでございますが、今回の輸入品価格の追跡調査をしてみた段階におきましても、やはり競争原理が働いているそういう商品についての円高効果の反映というものは、非常にはっきり出てきているわけでございます。そういう意味で、当面、輸入品の問題として見ますと、現在だんだんふえてきております並行輸入というものを当面促進していくということが必要ではないか。そういうことで、今回の対策でも、さらにその並行輸入促進を取り上げているわけでございますが、もっと長い目で見ますと、やはり各品目につきまして、その業種業態に応じて流通の問題に本格的に取り組んでいかなければならないと思うわけでございますが、たとえば輸入品価格調査の中でよく問題になりますめがねフレーム等につきましては、業界の方で、こういう調査を受けまして流通問題を検討するという機運も出てきているわけでございます。私どもとしても少し腰を落ちつけて、じっくりとその流通機構の改善の問題も勉強していきたいと思っております。
  59. 桑名義治

    ○桑名義治君 確かにめがねフレームの問題等については、いわゆる輸入価格の七倍になんなんとするというふうにも言われておりますし、あるいはパリ製のいわゆるファッション製品ですね、これは価格があって価格がないようなものだと。これはパリではこれだけの値段だけれども日本に持ってくればどのくらいで売れるだろうか、このくらいなら大丈夫だろうというような、いわゆる目安で売っているというようなことを業界の方から聞く場合もあるわけですが、そんなことは一例ではございますけれども、それよりもまだまだ生活に直接関連のあるような品物輸入品、これがいわゆる流通の段階で差益が全部消えてしまうという、こういう現在の日本の流通機構は当然これは改革していかなければならない。将来にわたる大きな問題でもあるし、現在はそれを改革するには最も大きなチャンスではなかろうか、こういうふうに思うわけですね。そういった意味からこの問題を取り上げたわけでございますが、この問題について大臣の御所見をちょっと伺っておきたいと思います。
  60. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) この問題は私も長いこといろいろ考えておる問題でございますけれども、やはりかつてわが国の有効求人倍率が一を超しまして二・幾つというような時代にございましたときには、かなりここで流通の複雑さというものが整理できるであろう、つまり全体的に人不足という状態の中で期待をいたしておりました。その後石油危機になりまして、いまは〇・五というような状態になってしまいました。したがって、これはわが国の長い間のやはり社会の仕組みでございますから、もう少し広い意味で景気が立ち直ってまいって、そうして雇用の改善が行われる。それは第一次産業の中におきましても——何も流通だけが第三次産業ではございません。医療でありますとか教育でありますとか社会福祉関係であるとかいう新しいこの職種というものは、教育訓練によりましては十分ニーズがあると思っておりますので、そういう形の中で流通問題の解決を図っていくということがやはりどうも本当の姿ではないだろうか。現実に流通面で多くの人が生活をしております限りは、その人たちが行くべきやはり職場というものをつくっていかなければ、問題の解決はなかなかむずかしいので、そういう意味でも経済全体の回復、雇用全体の状況の改善ということがどうも先決なのではないかと思っております。もちろん、かと申しまして、物価の関係から申しますと、いわゆる何々回しというような、一カ所をぐるじる同じ品物が回ってマークアップをしていくというようなことは何とか直したいものでございます。そういう行政努力は続けてまいりますが、やはり基本的には雇用状態の全体的な回復というものとあわせて考えなければならないと思っております。
  61. 桑名義治

    ○桑名義治君 この問題は非常に昔から論議をされておりますし、また、今後もこれは論議を続けていかなければならない問題だろうと思いますが、非常にむずかしい問題でございますので、なかなか即答はできないと思いますが、鋭意この問題については将来にわたって研究と努力を続けていただきたいと思います。  では、そこで、先ほど御答弁がございましたが、御答弁の中に、第三回目の追跡調査をやる、こういうようなお話でございましたが、その時期はいつで、どういう方法でなさるおつもりでございますか。
  62. 藤井直樹

    政府委員藤井直樹君) 時期といたしましては、六月末までに公表をできるようにしたいと思っております。  で、対象品目とかその他の問題につきましては、関係各省と現在お話し合いをしておるところでございます。
  63. 桑名義治

    ○桑名義治君 最後の方がちょっと……。
  64. 藤井直樹

    政府委員藤井直樹君) 対象品目とか、それから調査の方法その他につきましては、関係省と現在話し合いをしているところでございます。
  65. 桑名義治

    ○桑名義治君 六月末までに終了させるのですか。それとも時期を決める、そして対象品目を決めるということですか。どっちですか。
  66. 藤井直樹

    政府委員藤井直樹君) 六月末までに公表するということでございます。
  67. 桑名義治

    ○桑名義治君 前回の追跡調査では、マグロ、エビ、タコ、このいわゆる水産三品というものが輸入価格の一キロ当たり百十六円の値下がりをしている。ところが卸売価格は百七円の値下がりだと。ところが小売価格は逆に上がっていたということで、キロ当たり百六十円の値上がりということだったわけですが、これは問題になって、いわゆる二百海里時代に便乗した業者の行き過ぎた結果がこういう結果をもたらし、魚離れといいますか、その原因をつくってしまったと、こういうふうに思うわけですが、このときの調査結果を踏まえて、経企庁としては農林省にどのような改善策を求めたわけですか。
  68. 藤井直樹

    政府委員藤井直樹君) 第二次調査もそうでございますが、各省と共同して調査を行っております。その過程で、円高効果が反映していない品目として水産物三品目があったわけでございますが、調査の結果が判明した後におきまして、農林省ともお話し合いをしまして、農林省におきましても業界に対して価格の引き下げの指導を行ってきております。また、こういう状況でございますので、ひとつ水産物特別販売事業というものをやろうじゃないかということでございまして、輸入の冷凍魚を加えまして市価の二割引きの安値販売を行うということで、生産者それから卸売業者、小売業者の協力を得まして、三月中旬以来しばしばやっているところでございますが、今後とも価格の動向を見まして適切な対応をしていきたいと思っております。
  69. 桑名義治

    ○桑名義治君 石油についても前回のいわゆる追跡調査が行われたわけでございますが、そのときの原油の輸入価格が五十一年の十二月から五十二年の十二月までキロリットル当たり二千三百十一円、約一〇%下がっている。ところが、小売価格はガソリンでわずか二%、灯油は一%、ナフサは卸売物価が横ばい、C重油については逆に〇・五%値上がりしてしまったと、こういうような結果がやっぱりこれ問題になったわけですが、魚にしましても、石油にしましても、追跡調査をした。ところが、その内容、実態、こういうような実態がわかったわけですが、行政指導をしたと言って、しかしその行政指導が実際にどの程度効果を及ぼしたかということになってきますと、大きな疑問が残るわけです、常に国民の中には。だから問題は、こういう行政調査をやって、いわゆるネックはどこにあったのか、そのネックを公表し、さらにそこにメスを入れるという方向で考えなければ、調査をしても、ただ単なる行政指導に終わってしまった、そういう結果に終わってしまうのではないかと、こういうふうに思うわけですが、その点はどのようにお考えですか。
  70. 藤井直樹

    政府委員藤井直樹君) 石油製品調査を行ったときに、全般としてやはり石油製品円高効果を反映して値下げ傾向にあるのではないかという判断をしたわけでございますが、その後の実態を見ますと、さらにその値下げの進展が見られるところでございます。石油につきましては、特に灯油につきまして、昨年の末に通産省において円高効果の反映について特に配慮するようにという指導をしているわけでございますが、石油以外のものも含めまして、全体として円高調査をいたしました結果、十分に反映してないと思われるようなものにつきましては、やはり個別の品目につきまして、それぞれの実態に即してその反映を図っていこうということでございまして、たとえば水産物につきましては先ほど申し上げましたようなことをやっておりますし、めがねフレーム等につきましては業界の方にそういう動きも出ておりますと同時に、通産省におきましても、五十三年度には流通の実態調査対象品目に加えて、本格的にその流通の実態等を調べるということにいたしているわけでございますので、私どもはこの調査の結果をただ発表するというだけじゃなくて、その結果を十分検討いたしまして、いろいろの施策に反映させたいと考えております。
  71. 桑名義治

    ○桑名義治君 いずれにしましても、その調査の結果が、実際に国民の目に感ずるほどの結果が出てないわけですね、そこに問題があるわけです。  で、電力、ガスの問題にちょっと移っていきたいと思うんですが、この表によりますと、九電力の中で五十二年度は九百二十五億円のいわゆる差益が出た、それからガス大手三社で百六十億円と、こういう試算表が出ておるわけですが、五十一年度の差益も百三十九億円出ているという御答弁が衆議院で行われているわけですが、この数字でよろしゅうございますか。
  72. 服部典徳

    政府委員(服部典徳君) 五十一年度につきましても、五十二年度の為替差益を計算いたしましたのと同様の計算をいたしますと、御指摘のように、百三十九億の為替差益が出ているということでございます。
  73. 桑名義治

    ○桑名義治君 そうしますと、実際には五十二年度分というふうに試算されておりますけれども、これもやはり五十一年度の百三十九億円を加えて、そして一千六十四億円というふうにここで発表するというのがこれは妥当ではなかっただろうか、こういうふうに思うわけですし、さらに、ここで私たちが一番不思議に思うことは、五十二年度までのいわゆる借入金ですね、これが約七兆円あるわけですが、この金利負担の減の分、これは大体どのぐらいになるわけですか。
  74. 服部典徳

    政府委員(服部典徳君) 五十二年度につきまして、金利の軽減分を試算をいたしますと、約三百億という数字になります。
  75. 桑名義治

    ○桑名義治君 そうしますと、これにさらに三百億円——一千三百六十四億円と、こういうのが実際は実態ではなかろうかというふうに思われるわけです。こうやって計算してまいりますと、少なくともおたくの方で試算して出されておる平均使用料が四十円、百七十五キロワットアワーで。月の場合これは平均四十円というふうになっておりますが、これは平均すると大体四十七円から四十八円ぐらいになるんじゃないですか。
  76. 服部典徳

    政府委員(服部典徳君) 私どもといたしましては、為替差益ということで試算いたしまして、その結果、平均的な家庭においてそれを還元するとすればどれだけ負担が軽くなるかという試算をいたしました。で、四十円という数字を出しているわけですが、その他のコストの変動、いま御指摘のございましたように金利は下がる方に働いておりますし、その他の要素でもやはり上がり下がりということもございますので、それは全体としてコストがどうなっておるかということを判断しないと、幾らまで負担が軽くできるかということは断定的には言えないと、かように考えます。
  77. 桑名義治

    ○桑名義治君 そこで、この前からいろいろ論議になっておるわけでございますが、この差益分を還元せよといった論議がたびたび行われておるわけでございます。これは国民の感情としてもそういうふうに思いますし、そういった還元することによる心理的効果、これは非常に大きなものがあるのじゃないかというふうに考えられるわけでございますが、依然として五十四年度までは据え置くというような御答弁に終始しておるわけです。この心理的効果ということは、先ほどからも大臣の御答弁の中にもちらちらと散見できるわけでございますが、この点については、通産省としてはどういうふうに考えているわけですか。
  78. 服部典徳

    政府委員(服部典徳君) 為替差益をやはり還元をすると、その還元の仕方として、値下げを強く国民の声として要望があるということは私ども承知いたしておりますし、引き下げが可能かどうかという観点で、いろいろと私どもとしても検討をいたしたつもりでございます。その結果といたしまして、引き下げました場合に、今後の原価の高騰要因というのをいろいろと勘案いたしますと、引き下げました結果非常に料金が不安定になるということで、私ども一つの試算によりますと、為替差益がかなり出たという前提で考えましても、五十三年度は為替差益でコスト増を消せるといたしましても、五十四年度にはかなりの赤字が生ずるという試算結果にもなっておりますし、そういうところをにらみ合わせますと、やはり料金の安定ということを考えますと、いまここでにわかに引き下げるということでなくて、できるだけ長く現在の料金水準をもたせると、その方がベターであるという判断に達したわけでございます。
  79. 桑名義治

    ○桑名義治君 先ほど申し上げましたように、五十一年度の差益分、五十二年度の差益分、それからいわゆる金利負担減、これを入れますと、千三百億から千四百億になんなんとする。それから五十三年度は約二千二百億のまた差益が出る、こういうふうに言われているわけですし、五十三年度分の一兆七千億円の借入金が言われておるわけでございますが、この金利負担減を考えますと、これは膨大な数になるわけですね。そういった事柄が表面上にあらわれて国民はどう思うか、これは非常に心理的に大きな影響を与えるということは当然なことだと思うのですよ。そこら辺の計算がないと私は適切な行政ではないと、こういうふうに言わざるを得ないと思う。  そこで、もう一つ不思議なことは、確かにガス会社にしましても、電力会社にしましても、それぞれの電力会社によってずいぶん差益分が違うわけです。一部値上げのときに、中国電力だけが特別に下げたいというようなときもありました。この差益分の特別に大きい電力会社、それから小さい、北海道のような本当の少々というところがアンバランスになっている。どうして平均的に物事を考えていかなければならないのかという、この一つの疑問点がどうしても消えないわけです。  恐らくこういう一覧表がわかれば、東京都の人は、東京電力はずいぶんもうかっているのだから、したがって、東京電力はもう値下げしてもいいじゃないかと。しかも東京都は全体から見た場合には非常にいわゆる消費物価も高いんです、よその地域から見た場合には。少なくとも電力やガス等についてはこれはもうかっているのだから、ここだけは地域におろしてもいいじゃないか、下げてもいいじゃないか、こういう論理も成り立つわけですが、どうして平均的に、五十四年度までは値上げをしないというふうに平均的に物事を考えていかなければならないわけですか。
  80. 服部典徳

    政府委員(服部典徳君) 確かにいま御指摘のございましたように、五十二年度の為替差益九百二十五億というのを会社別に見ますと、東京電力の約三百九十億、関西電力が二百三十億……
  81. 桑名義治

    ○桑名義治君 もう時間がないですから、知っていますから、資料がありますから。
  82. 服部典徳

    政府委員(服部典徳君) そういう会社に非常に大きく為替差益が出ておりますし、また北海道についてはほとんど為替差益が出てないという状態でございますが、これも料金収入の比率で申しますと、全体の比率は一・六%ということでございますし、そのばらつきも最高が三・三〇、北海道の方はほとんどゼロという範囲でございまして、あとはそれほどのばらつきがないというふうに判断いたします。ただ、北海道電力につきましては為替差益がほとんどないという理由から、まあほかの会社は五十四年度いっぱいまで、為替レートの大幅な変更あるいはOPECの値上げ等の著しい経済情勢の変動ということがございません場合には五十四年度まで据え置くということでございますが、北海道の場合には五十三年度いっぱい据え置き、五十四年度については五十三年度の推移を見てさらに判断するというふうに、そこでは北海道電力だけ特別の取り扱いになっているわけでございます。
  83. 桑名義治

    ○桑名義治君 だから、私が言っているのはそういうことを聞いているわけじゃないんですよ。特別に差益の出ているところは下げてもいいじゃないか。北海道は少々ですからこれは別にしたということはわかるわけですよ。だけども、こういうふうな特別のところは特別に下げてもいいではないかと、どうして一律的に物事を判断して考えなければならないのですかと、これを言っているわけです。  それと同町に、いま石油というものは、世界の情勢を見た場合に少しは過剰ぎみでしょう。そういった立場から考えた場合に、当分の間は、これはOPECの値上げという点は見通しとしては考えられないというのが実際の見方ではないだろうかと思うんですね。それとこの円高傾向というもの、為替レートの問題も、ある一定限度これから特別に円が安くなるということはこれはちょっと考えられない。どんなに考えられても二百六十円でとまるのじゃないかというのが、そういう説を言う人もいま出てきているわけですが、そういう立場から考えた場合に、これは莫大な資金を積み立てていくことになるわけです。たとえば石油会社あるいは一部の電力会社等は特別のボーナスを出したとか、あるいは石油会社については、私、スタンドを経営している連中をたくさん知っておりますが、会社から直でやっているスタンド等は、いま修繕すべきところは全部修繕せよ、建て直すべきところは全部建て直せと、社宅の修繕個所は全部申請せよと、こういう要求が会社から出ているわけです、現実に。そうしないと経費で落とせないものですから。余りにも膨大な利益を生み出したために、これは何とかいわゆる利益隠しをしなければならぬという実態が、現実に末端にいくともう出ているわけですよ。そういったことを耳にし、そういったことを月にして、国民の皆さん方がこういった問題に対して大きな疑問を抱くのは私は当然のことだと思うのですよ。  だから、これは政府主導型の物資ですから、したがって、先ほどのお話じゃないけれども政府が関与しない品物については値下げをしている。競争をやっている品物については値下げしている。政府が関与しているものについては全然値下げがなされない。こういう実態を見たときに、国民が何と思いますか、日本行政を。そこら辺に大きな、先ほどから申し上げておりますけれども、いわゆる心理的効果というものがこれはもう非常に大事になってくるわけですね。その点についてはどういうふうにお考えですか。常澄便宜どうですか。
  84. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) その点は確かに考えの分かれるところであろうと思います。主管大臣判断されましたのは、もうお答えの繰り返しになりますので商略にいたしますけれども、やはり今後の発電コストというものがどうしても上がる、供給予備率はある程度確保しておかなければならない、そういう場合に、やはり留保しておいた方が将来の安定的な価格、供給により寄与し得るであろう。まとめると大きな額でありますけれども、これを還元いたしますと三十円、あるいはいろいろ見方によってでも数十円より上へはいかない、標準世帯の毎月の上電力料はほぼ二千円でございますから。そうしますと、いかにも国民経済的にはやはり分けてしまうということは賢明な方法ではないという判断所管大臣としてされた。私もそれはごもっともだというふうに考えたわけでございます。ここは、しかし見方によって桑名委員のようなお考えもこれはあり得ることだと思いますが、私どもとしては、将来の発電コストが落ちついている、あるいは下がるということでございましたら違った考えを持ったかもしれませんが、そうではないように確実に思われますもので、こういう決定をいたしたわけでございます。
  85. 桑名義治

    ○桑名義治君 いずれにしましても、この物価の問題は非常にその心理的効果なり、あるいは電気、ガスの料金が、大量に使っている会社等についてはコストダウンになるわけです。それは結果的にいわゆる会社の経営内容をよくするということにつながる。経営内容がよくなれば、またこれは直接の消費にもつながり得るという論理になるわけでございますけれども、直接的にはそういうふうにうまくいかないかもしれませんが、そういった意味からも、この問題はまだまだもう一度検討に値する問題ではなかろうかと、こういうふうに思います。  それから、運輸省に来ていただいておりましたが、時間がなくなりまして、申しわけございませんが、質問の時間が来ましたので、これで終わらしていただきます。
  86. 渡辺武

    ○渡辺武君 いまも問題になっておりましたけれども円高に伴う為替差益、これを物価値下げという形で国民に還元すべきだという世論、ほぼ一致していると思うんです。ところが、二十一日に発表されました経済対策閣僚会議の「国際収支対策及び円筒に伴う物価対策について」という文書、その中で特に「円高に伴う物価対策」という一項があって、九点について言及しているわけですけれども、私初めから、恐らくこの閣議の決定事項というのは内容のない政治的文書になるだろうというふうに、失礼ですが思っておりました。しかし、国民の中には期待をしていた方もおられるだろうと思うんです。そういう方はこれを見てずいぶん落胆しているんじゃないかと思うんですね。と申しますのは、値下げをするというふうにはっきり出ているのは、これは外国たばこ、それから国際航空運賃、国際電信電話料金、こういうところぐらいのもので、特に政府が関与している物価ですね、いま問題になっておりました電気、ガス、それから輸入小麦、輸入牛肉というようなものについては値下げをするということが言われていないんですね。むしろ据え置きという方向が強く打ち出されているというのが特徴だと思うんです。一体政府は、国民が強く要望している為替差益の国民への還元、物価引き下げということを本気で考えているだろうかという気が非常に強くするわけです。物価掛当大臣としての経済企画庁長官は、この程度のもので満足していらっしゃるのかどうか、まずこれを伺いたいと思います。
  87. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私ども経済が基本的に自由経済がいいというふうに考えてまいっておりますけれども、何かの事由によってそれが可能でない、あるいはそれが好ましくないと考えられる物あるいはサービスについては政府所管、直接間接の介入のもとにあるということでございます。でございますから、本来ここではなかなか自由競争によるメリットは出てこない、そういう性格のものであると思います。で、一つ一つについて検討いたしました結果、なおしかし円筒差益が還元できると主務大臣考えられましたものは幾らかでも還元しよう、それから、それはむしろそれよりはそれにかえて据え置き等々の方法が好ましいと考えましたものについてはそのようにいたしました。ですから、本来の自由経済の原則の例外として政府所管をしあるいは関与をするということは、何らか別途の理由があってのことでございますから、それだけやはり自由に為替が上がっただけ還元が行われないという、本来的に何かそういう理由が少しずつある、そういう性格のものであろうというふうに私は全体の問題を理解しておりますので、その中で、しかしできるものはやろうではないかというのが今回の結論でございました。
  88. 渡辺武

    ○渡辺武君 政府が関与するというのは何かの別途の理由があるからだというふうにおっしゃったけれども、その別途の理由の中の最大のものは、国民生活に非常に深い関係があるということを私は指摘せざるを得ないと思うのです。そういうことですね。ですから、政府がまず先頭に立って、その国民生活関係の深い物資価格について為替差益を消費者に還元すると、料金の引き下げをやるということをはっきり打ち出すことが、為替差益の国民への還元ということを実施していく上でも一つの大きなかぎになるんじゃないかと思うんですね。そうだと思うんです。先ほどのお話を伺っておりますと、五十三年度はずいぶん為替差益も出るだろう。しかし、五十四年度になるとコストが上がって——電力ですよ、ガスもそうですが。コストが上がって、そうして赤字になるおそれがある。だから、この際は公共料金の安定という見地から据え置いた方がいいんだという御趣旨の御答弁がありました。将来上がるかもわからない、だから下げられるものを下げないでおくという理屈がもし押し通るなら、これはほかの為替差益が出ている一切の物資についても同じ論理が適用できると思います。そういうことを政府がやっていて、どうして輸入物資について為替差益を還元するために値下げをやれというような行政指導ができますか。どうでしょう、大臣
  89. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) いままさに言われましたほかのものについても同じ論理が適用できるはずだとおっしゃいますことが、それがそうでないのが私は自由経済のいいところだと思っているわけです。だれも自分の供給するものを好んで下げたいと思っている者はいないはずでありまして、自由競争があるから下げざるを得ない、それが私は自由経済のメリットだと見ておるわけです。ところで、これらの物資がそういう市場経済に任せられないということについてはそれなりの理由があると申し上げましたのは、まさに先ほど覆われましたように、国民生活を守ることが本当ではないかとおっしゃいました。それは国民経済というふうに考え……
  90. 渡辺武

    ○渡辺武君 国民生活です。
  91. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) はい。私は国民経済というふうに考えるべきではないかと思いますのは、国民生活と言われますと、消費者だけの立場ということに聞こえやすうございますけれども、たとえて申しますと、牛肉には牛肉の生産者の立場がございます。それから、小麦で申しますと食管の問題としての米の生産者の問題がございますから、それらはやはり国民経済全体としては消費者だけの立場からは決め得ない複雑な問題がある。よかれあしかれございますために、こういう政府の直接間接の介入を必要としておるわけであると存じますので。たばこにつきましても同じでございます。たばこの耕作者というような立場がある。ですから、そういうことになりますから、消費者だけに還元されればそれでいいというわけにはまいらないという理由のために、こういう自由経済の例外を設けておるというふうに私は全体を理解しておるわけでございます。
  92. 渡辺武

    ○渡辺武君 電力やガスはどうですか。
  93. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 仮に電力やガスを全く自由企業にした場合に、その方が国民経済全体にいいかどうかという問題でございます。これはかつて議論に、終戦後もまた議論になりましたけれども、ただいまのような九電力という形がやはり一番いいというふうに政府判断をしたわけでございます。
  94. 渡辺武

    ○渡辺武君 いや、そういうこと伺っているんじゃないんです。その国民生活と言わないで国民経済と言った方がいいんだという、この例証として小麦や肉の例を挙げられたから、電力やガスはどうなんですかということを伺ったんです。しかし、これはやりとりしておりましても、長官の口からは料金の据え置きが妥当だといういわば口実しか聞くことができないだろうというふうに思いますので、質問を次に移したいと思うんです。  この政府の試算によりますと、電力九社の円高為替差益、五十二年度が千二百五十五億円だと、OPECの値上げ分を差し引いて九百二十五億円というふうに出ているわけですが、私はこれは電力各社が直接に輸入した石油の分、そこから出ている為替差益を計算したにすぎないと思うんですね。それで国内で調達した原油ですね、これも使っていると思うんです。大体総使用量の中のどのくらいを国内で調達しておりますか。
  95. 服部典徳

    政府委員(服部典徳君) 数量的に約半分ということでございます。
  96. 渡辺武

    ○渡辺武君 私があなたの方からもらった資料ですと、五二%だと、輸入物は四八%だと、こういうことになっておりますね。うなずいておられるからそのとおりだと思いますが。  この国内で調達した分ですね、これは為替差益とはちょっと言いがたいけれども、円が高くなって輸入原油そのものが値下がりしたということと結びついて、やはり当初予想していたよりも安く購入できているんじゃないかという感じがいたします。五十一年の電気料金の改定のときの予想はどのくらいであって、現在どのくらいの値段になっているのか、一キロリットルについておっしゃっていただきたい。
  97. 服部典徳

    政府委員(服部典徳君) 五十一年度の料金改定の際に、重油等につきましては、五十年十二月に告示されました標準価格をベースに査定をいたしたわけでございます。五十一年度の実際の重油価格でございますが、九電力平均でキロリットル当たり二万七千四百円という数字になっております。  なお、国内におきます重油の取引の関係でございますが、五十二年度につきましては、従来から電力業界は鉄鋼、石油化学等の需要業界の交渉がまとまってから交渉に入るということでございまして、五十二年度価格はまだ決定を見てないということでございます。
  98. 渡辺武

    ○渡辺武君 その二万七千四百円というのは、C重油の平均ですか、平均価格ですか。私、手に持っているものは、五十年十二月一日付の通産省の告示で一キロリットル二万九千七百円と、二万一千九百円と、二つ標準価格が出ておりますけれども
  99. 服部典徳

    政府委員(服部典徳君) ただいま申し上げました二万七千四百円と申しますのは、電力各社の五十一年度の燃料の購入ベースにおきます平均価格でございます。
  100. 渡辺武

    ○渡辺武君 いや、五十一年度に料金を改定したでしょう、電気料金を。そのときのコスト計算やっているはずですね。そのときにどのくらいの値段を見込んでいたのかと、そういうこと聞いている。
  101. 服部典徳

    政府委員(服部典徳君) 先ほども申しましたように、五十年の十二月の標準価格をベースにして算定をいたしました。その標準価格でございますが、いま御指摘のございましたようにS分が三%の場合には二万一千九百円、それから〇・三%の場合には二万九千七百円と、こういう数字でございます。
  102. 渡辺武

    ○渡辺武君 昨年のC重油の値段の動きを見てみますと、若干の変動はありますけれども、しかしいま言ったように、まだ決まっていないんだという御答弁がありました。決まっていないとしますと、ことしに入ってから一キロリットル当たり全油種について二千円の引き下げやっているわけですよ。私はこの点、とにかく石油各社が不十分ではあろうとも円高差益還元という意味も含めて、需給関係という事情もあったけれども、二千円も下げているという事実ははっきりあなた方に指摘しておきたい。なぜかといいますと、同じ円高差益をべらぼうに抱え込んでいる電力各社が、石油は下げているのに自分たちは下げない。こんなべらぼうな話はないですよ、実際のところ。けしからぬと思うのです。いずれにしても一キロリットルについて二千円下がっている。これで考えてみますと、恐らくことしじゅうのC重油の価格ですね、これは五十一年の料金改定のときに基準にした、さっきおっしゃったC重油で硫黄分の含有率〇・三%、これは二万九千七百円、それから含有率三%、これは二万一千九百円、これに比べるとはるかに安い重油を使うということになって、この面からの利益も非常に大きいと思います、メリットも。大体大まかに計算して、五二%で計算するとどのくらいになりますか。
  103. 服部典徳

    政府委員(服部典徳君) 重油価格が仮に五十二年度下期千円下がったという前提で計算をいたしますと、九上宿力合計で約百五十億円のメリットが生ずるということでございます。
  104. 渡辺武

    ○渡辺武君 二千円下がっているんだからね。だからその二倍ぐらいにはなるというふうに見ても私は差し支えないと思うんですね。大変なもんですよ。  それから、もう一点伺いたいんですけれども、公定歩合が去年からことしにかけて三回引き下げられている。この金利食組分の軽減分ですね、これは九電力について大体どのくらいか。それから東京電力についてどのくらいになるか。
  105. 服部典徳

    政府委員(服部典徳君) 五十二年度の金利の低下分を試算をいたしますと、九電力会社につきまして約三百億円のメリットが生じているということでございます。東京電力はいまちょっと手元にございません。
  106. 渡辺武

    ○渡辺武君 いいです。  ですからね、その為替差益が出ているというだけでなくて、企業努力以外の、要因によって大変なメリットが出ているわけですね。これは企業努力でもってかせぎ出したものじゃないのです。ところが五十三年度、五十四年度の料金は据え置きだということになりますと、この企業努力以外の、いわば生まれてくる利益というのは、そっくりそのまま電力各社のふところに入っちゃう、こういうことになるわけですね。  そこで、私、伺いたいんです。電気事業法の第十九条二項の一にこういうことを書いてありますね、「料金が能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものであること。」これは通産大臣の認可の要件としての一番最初にうたわれている言葉ですね。一体こんなべらぼうなもうけが転がり込んで、「適正な利潤」というふうに言えるかどうか。これこのままにしておいてそっくり電力各社に渡すということになれば、電気事業法第十九条の二項の一に違反することになりゃせぬかというふうに思いますけれども、この点どうですか。この法のたてまえからいったって当然料金の引き下げということはやらなきゃならぬと思うんです。どうですか。
  107. 服部典徳

    政府委員(服部典徳君) 電気事業法十九条の規定は、料金改定の際の基準でございます。その一号は、確かに御指摘のように「能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものである」というふうに規定をされておるわけでございます。この場合の「適正な利潤」というのは、事業の合理的な遂行を行う場合に必要な資金を調達することが可能な程度の、いわば適正な配当等を維持するための利潤というふうに私どもとしては解釈をいたしておるわけでございますが、先ほど来申し上げておりますように、今度の電力会社の収支というのを見ます場合に、コストの方が資本費の高騰等の理由によりまして八ないし一〇%程度どうしても上昇せざるを得ない。一方、収入の方は需要見通しのもとに算定をいたしますと、大体六%程度しか伸びないんではないかというふうに算定されておりまして、その面で今後の収支というのはかなり苦しくなってくる。御案内のように、五十一年の料金改定というものは、ことしの三月までの原価計算期間でございまして、その間の原価をはじいて料金を決めているわけでございます。今後のコストアップというのは現在の料金には織り込まれてないというシステムでございますので、料金改定に当たりましては向こう二年なりあるいは三年なりの期間をとりまして、その期間における収支というのをはじくことになっております。その結果、先ほど申し上げましたように、厳密な計算ではございませんが、私どもの試算によりますと、先行きはかなり収支が苦しくなるという見通しでございますので、現在の差益相当分あるいは金利の引き下げ等のメリットにつきましても、料金安定のために役立てるように使うべきである、こういうふうに判断をいたしたわけでございます。
  108. 渡辺武

    ○渡辺武君 先のことはOPECが値上げするかどうか等々のことが言いたいところでしょうけれども、そういうことは、これはあなたの言うことが本当なのかうそなのか全然わからぬですよ、それは。その問題改めて私問題にしたいと思いますが、私の伺っているのは、つまり十九条の二の一ですね、「適正な利潤」いま言ったような莫大な為替差益がある、金利の引き下げで約三百億円の負担が軽減された。国内から買う重油の値段も当初予定よりもはるかに下げられておるというような実情ですね。そういうもうけ、これを含めたもうけが一体ここにいう「適正な利潤」というふうに言えるかどうかということを伺っているんです。いいですか、わかったでしょう。  それで、あわせて伺いたいんですけれども、この料金改定時に報酬率八%ということになっておりましたね、この八%というものの内容は一体どういうことなのか。それから何に対しての八%なのか、それもお答えいただきたいし、現在はこの報酬率というものは一体何%になっているのか、五十三年度は。これも伺いたい。
  109. 服部典徳

    政府委員(服部典徳君) 「適正な利潤」というお尋ねでございますが、「適正な利潤」の言葉の解釈は先ほど申し上げたとおりでございますけれども、それが一体どの程度までいったら「適正な利潤」という概念を超えるかどうかというのは、やはり料金収入と申しますか、総括原価と申しますか、それに対する比率ということで考える必要があるんではないかというふうに判断をいたしております。  それから報酬率の関係でございますが、事業報酬率につきましては、料金改定の際に資産に対する八%ということで算定をいたしております。これは電気事業審議会の料金制度部会におきまして、従来積み上げ方式と申しますか、利息でございますとか配当でございますとか、そういった資金を積み上げて計算をいたしておったわけでございますが、三十三年の部会の報告によりまして、むしろ経営努力を促進するという意味から、資産に対して八%という事業報酬率を計上する方が適当であろうという答申をいただきまして、その線に沿って料金改定をやっているということでございます。
  110. 渡辺武

    ○渡辺武君 五十三年度はどのくらいですか。
  111. 服部典徳

    政府委員(服部典徳君) 五十三年度は、料金改定の申請がもちろん出ておりませんので、私どもとしては別段資産の査定もいたしておりませんし、また、それに事業報酬率を掛けたら一体幾らになるかという計算もいたしておりません。
  112. 渡辺武

    ○渡辺武君 そんな計算もしないで料金据え置きを決める。大体けしからぬですよ、むちゃくちゃですわ。  もう一点、なおこの問題について聞きますけれども、さっきあなたは「適正な利潤」というのは能率的な経常をやる中で出てくる利潤なんだと、こういうことをおっしゃいましたね。為替差益だとか金利負担分の軽減だとか、それから国内の重油購入価格の値下がり、それによって出てくるものはそれとはまた別の利潤でしょう、どうですか。そういうものが莫大なものが出ているんです。そうしますと、料金の決定に当たってのまず守らなきゃならない第一条として、電気事業法がはっきり明確にうたっているその立場からしても「適正な原価に適正な利潤を加えるものであること。」というその立場からしても、当然これは料金の引き下げということをやらなきゃ法違反になるじゃないですか、どうですか。
  113. 服部典徳

    政府委員(服部典徳君) 料金の決定方式でございますが、先ほどもお答えいたしましたように、原価計算期間というものを設けまして、現在は、五十一年の場合には二年間の原価計算期間ということで……
  114. 渡辺武

    ○渡辺武君 それは知っているよ。端的に答えてください。
  115. 服部典徳

    政府委員(服部典徳君) 先行きの原価につきまして算定をし、御指摘のあったように事業報酬につきましても計算をいたしまして、その結果料金をはじくという方式をとっておるわけでございます。
  116. 渡辺武

    ○渡辺武君 ちゃんと答えなさいよ。この為替差益だとか金利負担の軽減分による出てきているもうけだとか、それから国内産の重油が当初予定よりも値下がりしてそこでもうけが出ていると、こういうものについて、これがこの法にいう「適正な利潤」と蓄えるのかどうか。はっきり言いなさいよ、イエスかノーかで。
  117. 服部典徳

    政府委員(服部典徳君) 現在の料金水準、「適正な利潤」の範囲を超えて、現在の料金水準が不適当ということになれば、命令を出しまして料金改定ということもあり得るわけでございますが、先ほど来申し上げておりますように……
  118. 渡辺武

    ○渡辺武君 何言っているんだよ、「適正な利潤」かどうかということを聞いているのだから、イエスかノーかで答えなさいよ。
  119. 服部典徳

    政府委員(服部典徳君) 適正でない利潤とは考えておりません。
  120. 渡辺武

    ○渡辺武君 それじゃあなたのさっきの説明と食い違うじゃないか。能率的な経営の中から出てくる利潤が「適正な利潤」ですと、そう説明したじゃないか。為替差益が何で「適正な利潤」と言えるの。はっきり言いなさいよ。何言っているの。
  121. 服部典徳

    政府委員(服部典徳君) 先ほどもお答えいたしましたように、十九条二項一号の「能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものであること。」というのは、料金改定の際に考えるべき基準ということで規定をされているわけでございまして、先ほどお答えいたしましたように、適正でない利潤が出ているということになりますと、もう一度料金改定をやり、かつただいまの規定に即してどうなるかという判断をするというのが法律のたてまえになっております。したがって、命令を出して料金改定をすべきかどうかという判断一つ必要になるわけでございますが、その際には、先ほども申しましたように、行先きのコストアップというのをどう見込むかということによってその判断が違ってくると、こういうことでございます。
  122. 渡辺武

    ○渡辺武君 その判断の根拠を、いま質疑の中で明らかにしようと思ってあなたにいろいろ聞いているんです。はっきり言いなさいよ。この為替差益だとか金利引き下げに伴う金利軽減分、これはもうけになるんだ。それから国内産の重油を買った、当初の五十一年の料金改定時の予想よりもはるかに安い値段になっている、それだけもうけが出ているわけでしょう。これをこの法にいう「適正な利潤」と言えるのか言えないのか、はっきり言いなさいよ。
  123. 服部典徳

    政府委員(服部典徳君) たびたびのお答えで恐縮でございますけれども、十九条二項一号というものは、料金改定の際の基準でございます。認可申請が出てまいりました場合に「適正な利潤」というのをどう判断するか。それは先ほど申しましたように投下資産の八%、こういうことで「適正な利潤」をはじくと、こういうことでございます。
  124. 渡辺武

    ○渡辺武君 その現行の料金は、これは五十一年の料金改定のときに二年間の原価計算期間ということで認可したものでしょう。まさにこの五十三年の三月の末でこの期間は切れたわけです。そうでしょう。そこで改めて料金をどうするかという問題がいま起こっているわけです。折しも為替差益がたくさん出ている、国民は料金の引き下げを要求しているという時期に、あなた方は二年間の料金の据え置きという決定をした。値上げでもなければ値下げでもない、据え置きなんだけれども、しかし料金についての決定であることは明らかだ。そういう時期なんです。だからこそ、いま私は問題にしているんですよ。そうでしょう。そういう時期だから、為替差益等々、いま私が申し上げたのは「適正な利潤」と言えるのかどうかということを聞いているの。わかったかね。答えてください。
  125. 服部典徳

    政府委員(服部典徳君) 「適正な利潤」であるかどうかという判断は、料金改定の際に判断をするということでございまして、五十二年度末に利益が、まだ決算が出てまいりませんけれども、決算が出ました際に利益が出て、それが「適正な利潤」かどうかという判断は、法律上はそれは要求されていないわけでございます。法律上要求されておりますのは、そういう利潤を生む料金体系というのが適切であるかどうか、適切でない場合には大臣から命令を出して適切な料金に直す、こういう制度が設けられておるわけでございます。
  126. 渡辺武

    ○渡辺武君 それは全く答弁をそらそうとして答弁しているようなもんですね。そうでしょう。五十一年の料金の認可のときは原価計算期間二年と言って、その期間はもう過ぎているの。新たなる料金についての決定を下さざるを得ない時期にきているんですよ。据え置きであろうと値下げであろうと値上げであろうと、料金についての決定が下されなければならない時期にきているということは明らかなことです。そうでしょう。その時期であればこそ、これが「適正な利潤」と言えるのかどうか。われわれは「適正な利潤」と言えないからこそ十九条の二の一に基づいて当然これは引き下げるべきだと言っている。どうですか。
  127. 服部典徳

    政府委員(服部典徳君) どうも私の御説明が悪いのか御理解いただけないようでございますが、十九条の二項の一号というのは、料金改定の際の基準でございます。料金改定を行うという際に、その基準に従いまして「適正な利潤」というのを幾らに算定するかということで、算定のための基準でございまして、それが不適正だからすぐ引き下げというふうに法律的なたてまえはなっているわけではございません。
  128. 渡辺武

    ○渡辺武君 法律的なたてまえは「適正な原価に適正な利潤を加えたものであること。」と、これが料金決定の第一の原則だと、こういうことになっているわけですね。そうでしょう。あなたうなずいているからそのとおりだと思うんだ。ところが、いまや「適正な利潤」でない膨大な利潤が電力各社のふところに入りつつある、現に入っている。だからこそ新たなる料金の決定をやるべきだ、引き下げをやるべきだ、これは国民の当然の主張です。合法的な主張ですよ。また、あなた方の義務としてもやらなければならないことだと思う。  時間が来たんで、いずれ改めてこの問題はやりたいと思いますが、この問題に関連して、私伺いたいと思うんです。  前回の料金の改定のときは、ここに私持っておりますけれども、これは関西電力のやつです。電気供給規程変更認可申請書、こんな分厚いものが出て、そして値上げをしなければならない理由を細々と述べて、それからいろいろこの計算をしているわけですね。原価がこのくらいかかります等々、細かい計算をして、その上で公聴会を開いてそして決めたわけですよ。大臣が認可したわけですね。当初の値上げ申請の値上げ率を若干抑えて認可したわけです。ところで今回、この五十一年度の認可、原価計算期間二年をまさに過ぎた、新たなる料金の決定をやるべき時期にきている。同じように、電力各社からこういう据え置きなら据え置きにしてほしいという申請書を出さして、公聴会を開いて、そして国民の声をよく聞いた上で、通産大臣が認可するということが私は当然のことだと思う。これは経済企画庁長官どうですか、これが当然だと私は思いますが。
  129. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 法律の運用が私によくわかっておりませんけれども、料金変更の申請が出てまいりません限り、別にそういう行為をしなくてもいいという法律のたてまえではないかと私思っておりますが、よく法律の志向は存じません。
  130. 服部典徳

    政府委員(服部典徳君) 補足して御説明いたさせていただきますが、通常の場合には、いま長官からお答えいただいたように、料金を国の方から積極的に直すということはないわけでございますが、特に著しく現存の料金水準が不適当じゃないか、この場合には電気事業法の二十三条によりまして、「公共の利益の増進に支障がある」と認めた場合に、通産大臣は電気事業者に対して、供給規程の「変更の認可を申請すべきことを命ずることができる。」と、こういう制度がございます。先ほどもちょっと御答弁申しましたように、この「著しく不適当」に該当するかどうかという問題があるわけでございます。
  131. 渡辺武

    ○渡辺武君 「著しく不適当」なのに、なぜやらないの。
  132. 服部典徳

    政府委員(服部典徳君) 先ほどもお答えしましたように、料金改定、仮に現在の時点で考えますと、今後のコストアップと、それから為替差益というものとの関係がどうなるかという問題でございまして、私どもの試算によりますと、五十三年度は為替差益である程度の黒が出るという見通しでございますが、五十四年度にはそれが赤になるという計算でございまして、この前提条件といたしましては、為替レートが二百二十円そのまま、それからOPECの値上げなしという前提で計算いたしまして、いま申し上げたような結果でございますので、そういう収支の見通し考えますと、著しく現在の料金水準が不適当という判断はとれないということでございます。
  133. 渡辺武

    ○渡辺武君 あなた方が「著しく不適当」だと判断できないというその根拠資料、これ出してほしいと思う。前回はこんなに分厚く電力各社が資料を出した。今回のやつを見てみますと、ちょうどあなたが言ったようなまことに簡略きわまりない。こんなことで一体経済企画庁長官これ承知したのかいなと、ぼくは長官は頭がいいのかねと思ったね。恐らく国民だれ見ても、将来コストがこのぐらいになりますというようなことを言われたって、本覇かうそかわからぬですよ。少なくともこの申請書あるいはこの申請について、あなた方は認可のときに、料金改定の基準というのを発表してそして率を下げて認可したわけです。それに匹敵するくらいの詳しいものを出してほしい。これは資料要求します。あなたがいま説明した、コストが何%上がって云々云々というやつです。その根拠資料、詳しい数字を出してほしい。これ委員長ひとつお願いします。
  134. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) どうですか。
  135. 服部典徳

    政府委員(服部典徳君) 詳しい資料ということになりますと、たとえば資産の監査でございますとか、一々のチェックを全部行うということでかなりな時日がかかります。料金改定の際にも約半年ぐらいの期間がかかるわけでございます。そのぐらいの期間をかけて資産の洗い直し、あるいは修繕費の支出が適当であるかどうかというのを一々の経費を洗いまして、その結果、査定作業というのが完了いたしまして、会社側の言い分に対して査定が行われる、こういうことでございまして、実は大づかみの見通しによりまして、それほどの黒字というのが将来見込まれないという見通しでございますので、それだけの膨大な作業というのは実は現在までやらなかったということでございますし、現在以上の情勢の変化がない限りは、それだけの膨大な作業をやるのが適当かどうかというふうに私としては考えております。
  136. 渡辺武

    ○渡辺武君 それじゃ、十分な検討もしないで、据え置きだという結論だけ出したのですか。人をばかにしなさんなと言いたくなるね、実際。国民は、何回も言いますが、企業努力以外の要因によって電力各社が膨大な為替差益をふところに入れている、これは不当だから料金改定をやって値下げをするべきだ。これは国民の一般的世論ですよ。それなのにもかかわらず、ろくに調べもしないで何です、これは。この間の閣議の説明資料「主要な政府関係物資等の円高差益の発生状況及びその取扱いについて」これの第三番目に、修繕費等々総費用の増加率年率八から一〇%だ云々云々というようなことが書いてある。いいかげんなことを言っているとしか考えられないじゃないですか。こんなこと承知できますか。資料を出してほしい。委員長もう一回言って下さい。
  137. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) 渡辺さん、理事懇でこの問題をよく協議したいと思いますから、ちょっとお預けいただけますか。
  138. 渡辺武

    ○渡辺武君 はい、わかりました。
  139. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) 服部さん、それでよろしゅうございますか。——じゃこの問題はこれで。
  140. 渡辺武

    ○渡辺武君 それから、もう一点伺いたい。  この電気事業法の百八条に、こういう料金についての「処分をしようとするときは、公聴会を開き、広く一般の意見をきかなければならない。」こういうことになっている。あなたはさっき料金の改定と言ったけれども、法の条文からいえば改定なんという言葉はないんです。「処分をしようとするときは、公聴会を開き、広く一般の意見をきかなければならない。」と、百八条です。よく読んでごらんなさい。この中には、十九条第一項「供給規程」この問題についての処分をする、こういうことになっている。さっきも言いましたように、五十一年の料金改定の原価計算期間は二年間でもう過ぎた。したがって、いま新たなる処分をしなければならない時期に来ている。そうしてあなた方は料金二年間据え置きだという処分をした。ところが法律には、そういう処分をするときには公聴会を開いて広く一般の意見を聞かなければならないとはっきり明示している。通産省が法律違反やっていいですか。ちゃんとした資料を発表して、公聴会を開き広く一般の意見を聞くべきだと思う。この点どうですか。
  141. 服部典徳

    政府委員(服部典徳君) 御指摘のございました電気事業法第百八条でございますが、これは供給規程に関して申しますと、通産大臣が供給規程の処分をする場合に公聴会を開いて広く一般の意見を聞く、こういう規定でございまして、その際の根拠条文でございます十九条の規定というのは、供給規程を定めた場合に、一般、電気事業者は通産大臣の認可を受けなければいかぬという、認可の行為も法律的には処分という言葉でくくりまして、それで、その際に公聴会を開かなければならないというシステムになっておりまして、私どもとしては、この間の据え置き指導というものは、あくまでも行政上の行為でございまして、法律上の処分ではない、したがって公聴会は必要はないという法律の解釈でございます。
  142. 渡辺武

    ○渡辺武君 私、納得できません。なお、この問題については日を改めて追及したいと思いますが、時間が来たので、これで終わっておきます。
  143. 木島則夫

    ○木島則夫君 アメリカやオーストラリアなど海外諸国はもちろんでありますけれども、国内の消費者からも批判の高い牛肉政策につきましては、民間の研究グループである「政策構想フォーラム」が過日提言をいたしております。その骨子は、牛肉輸入を自由化する。そのかわり関税や課徴金を弾力的に操作をして国内の生産者の保護をするとともに、数年後には牛肉の値段を豚肉の水準まで引き下げると。なかなか大胆な提言でございます。もちろん問題がないわけではありませんで、農林省も新聞紙上などで反論を行っていることは事実でございます。ここでは、フォーラムの提言について逐条的に審議をしようとは思っておりません。大事なことは、フォーラムが提言をした問題意識でございます。フォーラムの問題意識は、牛肉輸入数量制限をこのまま続けますと、諸外国からの輸入制限を招いて、わが国の国際協力、協調の姿勢に疑いがかけられ、上長期的には日本経済的安全保障を脅かしかねない、こういうことであります。平たく言いますと、牛肉輸入制覇量を若干ふやす程度でお茶を濁している現在の政府の姿勢というものがいつまでも許されるはずはない。これは貿易黒字対策上あるいは国内の物価対策上、現行のシステムは何らかの形で抜本的に改正が行われなければならないという、こういう煮詰まった状況に来ているという問題意識の提示、ここに私は意義があると思うわけであります。  そこで政府は、こういった提言——この種の提言は何も今回初めて出されたわけではありません。いままでもたびたびあった。この提言に対して、こういう提言がなされる背景と事態をどのように御認識になっているか。持ち時間が非常に少ないですから、ひとつ簡潔に要点だけをおっしゃっていただきたいと思います。
  144. 甕滋

    説明員(甕滋君) ただいま先生から御指摘の政策フォーラムの御提言につきましては、私どもも拝見をいたしました。牛肉の小売価格の引き下げ、それから生ずるところの需要の増加、それから生ずるところの輸入の増加、そういったことを通じまして国内生産と諸外国との調和を図っていこう、こういう御趣旨であろうと思いまして、一つの御意見であろうと考えております。  私どもも、そういう牛肉を安くし輸入を安定的に行うといった点については十分念頭に置きまして、一方、牛肉長期的に国際需給上足りない物資である、国民に対して長期的に安定的な供給を確保していくというために、各種の生産振興対策を講ずる必要があるというふうにも考えておりまして、輸入につきましては、国内生産では足りない分を調和的に輸入いたしまして価格の安定、需給の安定を図っていこうという方針で努力をしておるわけでございます。  そういった考え方のもとに、牛肉の値下げにつきましては現在鋭意諸対策を講じておりまして、五十三年度の安定価格につきましてもこれを据え置く。据え置かれた安定価格のもとで小売価格をなお一層引き下げるということで、いろいろ諸対策を講じておる次第でございます。諸外国との関係につきましても、これを円滑にしていくために、輸出国等と牛肉の生産事情あるいは需給事情等につきまして広く情報交換を行っておりまして、安定した関係の形成のために最大の努力を払っている次第でございます。
  145. 木島則夫

    ○木島則夫君 これは経済企画庁長官にもお伺いしたいんでありますけれど、こういうフォーラムの提言というものは提言としてよくわかるけれど、しかし日本の現実、これまでの経過というものを勘案をすると、なかなかむずかしくて抜本的改正などというものはとてもできるものではないというとらえ方なのか。しかし、そうは言っても、日本が置かれている立場からこれは何としてでもやらなければならないんだという、そういう意識をお持ちでございましょうか。長官これ簡潔にひとつお聞かせをいただきたい。
  146. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) この「政策構造フォーラム」の提案は私も読みまして関心を持っております。私の感じは、やはりこういういろいろな提言があって、世論がこの問題を議論をして、そういう世論の動きに従ってだんだんやはり新しい考え方が出てくるという意味を持っておるのではないか。提案そのもので、たとえば不足払いということがあるわけでございますけれども、不足払いというようなことが技術的に可能であるかないかなんというあたりが比較的大事なとこなんであろうと思います。いままでやっておらないので、一応なかなかむずかしいという反論がすぐにはあるんだろうと思いますけれども、それをしかし何か工夫はないのかというようなこと等々、いろいろこれをめぐってまだ世間にも議論が起こりましょうし、私どもの間でも検討していってみたいと、私はそういうふうな受けとり方をしております。
  147. 木島則夫

    ○木島則夫君 国内のたとえば農林省サイドから見ますと、なかなか牛肉輸入の自由化といっても受け入れ体制が不十分で器がまだ整っていないという見方、しかし、外から見ますと、一体日本はやる気があるのかないのか疑問であると、こういう問題をひっくるめて、つまり農産物輸入の問題をひっくるめて、オーストラリアの人とかアメリカの人とお茶を飲んでお話をしますと、真っ先にあいさつがわりに言うことは、牛肉はどうして買わないんだと、牛肉に代弁されてくるところに実は問題があるわけであります。  そこで、四月二十一日の経済対策閣僚会議におきまして円高対策というものをお決めになったが、この中で牛肉の項目につきましては、円高に伴う物価対策として流通機構の改善策が取り上げられていると、これだけというのは語弊がありますけれど、こういった流通対策のみに限られているようであります。それは牛肉値下げルートの新設、これは共同仕入れというふうに受けとっていいと思います。国産牛肉の特別販売事業、これはたとえば生協等の産直販売を拡大をしていくということにつながると思います。もう一つ部分肉センターの設置。この三つでございます。このうち部分肉流通センターについては、現在はもちろん未着工でありますけれど、いつどのような形でどんな構想をお持ちなのか、これも詳しく御説明をいただくと、それだけで十分や二十分たつと思いますから、これごく要点だけを、骨子だけを聞かしていただきたい。
  148. 甕滋

    説明員(甕滋君) 現在の部分肉の流通の実態につきましては、ほとんど市場買いで、物流としても数多くの錯綜したルートによっておるわけでございます。価格形成の状況もしたがって目に見えない姿となっております。今回の部分肉センターの考え方は、こういった部分肉流通につきまして、供給側と需要側が集まって需給の実勢に応じた取引を行う場を新しく設けまして、物の流れについて太いパイプにすると同時に、価格形成面でも公開かつ適正な形成の場にしようという構想でございます。  具体的内容につきましては、現在最終的な詰めを行い、さしあたり五十三年度、五十四年度の二カ年をかけまして、まず東京を中心とした広域流通圏につきまして一カ所設置をすると、最終的には全国で三カ所といったことに相なろうかと思いますけれども、全国の産地におきます食肉センターとのネットワークにおきまして、部分肉流通の簡明かつ適正なルートを開きたいという取り運びをいたしておるわけでございます。
  149. 木島則夫

    ○木島則夫君 かけ声だけに終わらないで、ひとつ実効性の上がるものにしていただきたいと思うんですね。政府もいままで牛肉の流通対策をいろんな面で講じられてきたわけでございますけれど、私が見る限りにおいて必ずしも——指定販売店とかいろいろ実効が上がっているところもあります。ありますけれど、必ずしも全般的に言って実効が上がっているとは言えない。  たとえばフードウィークについて、私はいろんな末端の方々から御批判なり事情を伺うんです。このフードウイークというのは、趣意書によりますと、五%以上の値下げを三日以上実施し、その対象は主としてスーパー、百貨店、小売、レストラン業者、こういうことに内容がなっております。これは春と秋の二回行っておりますけれど、主催者はフードウイーク中央実行委員会、財団法人食品産業センター、ここが主催者であります。そして、後援は農林省と経済企画庁であります。これは御承知のとおり。  で、いま言ったフードウイーク中央実行委員会あるいは食品産業センター、こういう主催者からフードウィークの呼びかけが、たとえば日本サービスチェーン協会に来たといたします。ここから加盟のレストランに連絡が来るわけですね。このように末端のレストランなどに連絡が来てから、いざ申し込みをしようと思っても期日が迫っていて申し込みをちゅうちょをしてしまう、ためらうようなことがしばしばあるということであります。せっかく連絡が来ても、申し込んでも期間がない。期間がないということはどういうことかというと、計画的な仕入れというものができない。やっぱり肉を買うには、安くて質のいい肉を買うには、相当前から準備をしなければこれは計画仕入れなんというものはできるわけがない。したがって、手持ちのものを五%から一〇%の範囲で値引きをして、それでお茶を濁す——ということは語弊があるかと思いますけれど、その場を過ごしてしまうということが往々にしてあったということであります。ですから、せっかくそのフードウィークといういい企画がありながら、いざ実行の段階になりますと、実施の面前でないといま言ったように連絡がなされないとか、おざなりにならざるを得ない。したがって、参加店の盛り上がりがない。加盟店の御主人などは、広告代理店のひとりよがりとまで言っていますね。後援が農林省と経済企画庁であります。長官、よく聞いておいてください。やる気があって受け入れようという末端の方々はたくさんいるんです。しかし、もう一つそこに赤い血が流れてない。つまり官僚的なところが多々あるということになるんでしょうかね、こういうことを言っておりました。  たとえばこういうポスターを掲げるわけですね。フードウイークが暮秋二回あります。これは恋の分ですね、三月の一日から十四日。何回もこういうフードウイークに参加をしている経験のある人は、直前に連絡をされるものだから大体勘が働きまして、春は三月だったら大体一日から十四日ぐらいだろうといって、その部分だけポスターの白地をつくっておいて、後で日時を入れるようなことまで実は考えざるを得ない。一体これはどこに原因があるんだろうか、木島さん、きょうは物特で尋ねてくださいと、こういうことであります。どこに原因がありますか。予算が直前でないと配分されないとか、決まらないとか——末端ではいろんな声があります。ひとつきょうはその辺解明していただけませんか。
  150. 廣重和夫

    説明員廣重和夫君) 御指摘のフードウイーク事業につきましては、食料品の生産、製造、業者が協力いたしまして、特定の期間を定めて、食生活展と、それとあと御指摘ございましたような食料品の特別販売という、二つの柱を中心にいたしまして運営をされているわけでございますが、本年三月をもちましてすでに八回目を数えておりまして、私ども業界それなりに十分理解していただいていると思っておりますが、過去におきましてポスター等の配布が非常におくれまして、参加されようとする方々から参加の準備に支障があったというような御指摘もございました。原因がどこかということは、突き詰めるとまあ事務段階でいろいろおくれがきているということだろうと思いますが、私どもとしては最大限の努力をして、それなりにまあできるだけ早く指示はしているつもりでございますが、残念ながらポスター等の配布で一時おくれたことがあるというのは事実でございます。したがいまして、先生の御指摘の趣旨を体しまして、今後は準備等に支障がないように最善の努力をしたいと思っております。
  151. 木島則夫

    ○木島則夫君 せっかくフードウイークというものをやりましてね、やはり肉をたくさん食べていただきたい、いいものを安くという趣旨は私もまことに結構なんですよ。これ大いに結構。で、下では持ち受けてる業者がたくさんいるわけですね、結構だ、結構だと言って。しかし、もう一つパイプがうまくつながらないんだと。さっき私はお金の面はどうなっているかという御依頼を受けたんですけど、この辺はどうなっているんですか。農林省、そういう援助をしているんですか。
  152. 廣重和夫

    説明員廣重和夫君) 政府の助成といたしましては、経済企画庁に計上されております国民生活安定特別対策費、これを移しがえして実施いたしておるわけでございます。具体的な援助内容といたしましては、広告宣伝とか、食生活展の会場設営費だとか、そういうものが主体になっております。
  153. 木島則夫

    ○木島則夫君 経済企画庁長官にこういう細かいことをお尋ねをするのはどうかと思いますけれど、しかし、こういう細かいことが積み重なって流通段階での改善が行われていくわけですね。いかがですか、いまのやりとりをお聞きになっていて。まあ農林省としてはこれから万遺漏ないようにやると。これで万事決着とは私は思いません。なかなか思うようにいかない段階がある。長官いかがですか。
  154. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 結局やはりお役所仕事であるんだろうと思います。  私は、実はフードウイークというのがそんなに皆さんからうまく歓迎されているということを、申しわけありませんが存じませんでして、どうもまあ毎日がフードウイークでなきゃいけないのに、ウイークだけではどうかなというような気持ちを正直持っておりましたんですが、もしそうでありましたら、今度私自身御批判のないようにりっぱにひとつやるように自分で督励いたします。
  155. 木島則夫

    ○木島則夫君 本当に大変率直なお答えをいただいてうれしいですね。これフードウイークでなくて、フード何ですかね——月間とか。長官ね、本当にこれ少し進めてください。交通安全運動だって券と秋に十口ずつあるわけでございましょう。ですから、どうですか、これ経済企画庁後援ですよ。ウイークじゃなくて、どうでしょうか、月間ぐらい設けていただいたらいかがですか。どうですか、長官。
  156. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) しかし、少なくともそういうウイークでやっておりますことが、木島委員の言われますように、それほど関心を持っていただいておりますとしますと、これはちょっと私の認識が悪うございましたんで、お役所仕事になりませんように、今度はもうよく自分で見まして、広告宣伝等々もおくれませんようにいたさせます。
  157. 木島則夫

    ○木島則夫君 ある業者の方なんかは、こういうことがもっともっと徹底しますと、一般の方々が肉についての御認識をいただいて、それが肉の問題を解決をする世論として高まっていくんだから大変結構なことなんだと。だけど、もしフードウイークをただやったという実績を残して、ある日あるときモデル店を選んで、そこに行ったらフードウイークがうまくいっていたという報告が長官なり農林大臣に行われて事が済んでしまうとしたら、これは問題であると。私は、そういう意味で前向きにひとつこの問題をとらえていただきたいと思うわけであります。  さて次に、政府円高対策輸入促進とか経済協力の推進、あるいは円高に伴う物価対策の三つを決めておりますが、牛肉についてはやっぱり流通対策のみではこれはさびしいと思います。「政策構想フォーラム」の問題意識にありますように、大洋州諸国との貿易関係を良好に保ち、あるいは国際協力・協調の姿勢を貫くために、内外に批判の多いこの牛肉輸入制限を再検討していただきまして、国内の畜産農家が困らない形での輸入をもっともっと考えていってはどうだろうかということでございます。  先般、民社党の井上議員が予算委員会で御質問を申し上げたんでありますけれど、たとえば特別枠の学校給食用牛肉輸入ですね、現在この数量は年間児童一人当たり百五十グラムと言われております。年間ですよ、一人当たり百五十グラム。したがって、週に一回百五十グラムの牛肉を、これは無理に食べていただくわけにはいかないんでありますけれど、食べたといたしますと、年間七万七千トンの需要が見込まれる。しかも国内の生産農家あるいは肉屋さんへの影響は少ない、ぜひ検討をしていただきたいという趣旨のことを御質問をしております。私も重ねてこれは要望をしておきたいと思います。  ただ、お断りをしておきますけれど、ミカンが余ったから学校給食に、ミルクが余ったから、マグロがとれ過ぎたから学校給食にというような形での、学校給食に短絡をするやり方は私は反対であります。しかし、このいわゆる輸入牛肉につきましてはちょっと趣を異にしているというふうに私は思いますし、二百海里の設定によって日本人の魚類たん白も減少をしている折から、やはり私は一考していただけないだろうかという背景を踏まえて御要望を申し上げたいと思います。いかがですか。
  158. 甕滋

    説明員(甕滋君) ただいまお話ございましたように、学校給食のために輸入牛肉を特別枠で輸入をしております。これは、一般需給に対応いたします一般枠と別に、昭和五十年度の下期から——当時たしか千トンであったかと思いますが、スタートいたしまして、その後年々ふえております。五十二年度につきましては、ベースとしては二千二百トンということになっております。これは学童数その他給食率、まあ一定の考え方のもとに数量を割り当てておるわけでございますけれども、まあ御趣旨のような点も踏まえ、しかし、実際に実行いたしますのは学校給食会でございまして、各地域の要望を取りまとめまして、私どもの方にも要望という形で上がってまいりますので、それらを勘案いたしまして、今後適切な措置を決定していきたいと考えております。
  159. 木島則夫

    ○木島則夫君 最近、オーストラリアは牛の生体輸出に非常に関心を持っているようであります。たとえばクィーンズランド州長官のピーターソン氏は、国内の反対を抑えてでも生体輸出を実施したい意向と聞いております。子牛と飼料を輸出をし、日本の農家が飼育をするという構想が具体化をされているようでありますけれど、こういう構想に対してはどんなふうに政府は受けとめていらっしゃいますか。
  160. 甕滋

    説明員(甕滋君) まあ生きた牛の輸入につきましては、昭和四十六年から自由化をされております。牛肉について輸入割り当て制度がとられていることとも関連いたしまして、関税につきましては現在種畜以外の生牛については、成牛一頭当たり七万五千円、子牛の場合には四万五千円というふうに決められております。で、豪州の特にクイーンズランド州でございますが、生体で輸出したいという希望がある旨は私どもも聞いております。その場合、私どもの耳に入っておりますのは、特に子牛について輸出したいというふうに聞いておりますが、子牛につきましては、現在、国内需給から申しましてもある一定数の子牛は輸入をむしろ促進する必要があるということで、御承知の関税割り当て制度で、年間六千頭の枠が設けられております。  で、それはまあ国内の生産との調整を図るといった趣旨で、農業団体に割り当てを行うということで、今日までも円滑な輸入が行われております。そういったものの中で、ただいまお話しの件についても取り扱われていくものもあるいはあろうかと思いますけれども、実際に豪州側、供給側の事情、それからやはり畜種が全く違いますとか、飼育方法が違いますとか、いろいろむずかしい問題がある点も事実でございまして、受け入れ側の条件、これも見きわめながら、そういった中で取り扱われていくものかどうか、その辺は関係団体の意向等を含めて児守ってまいりたいと考えております。
  161. 木島則夫

    ○木島則夫君 また、牛の生体輸入は自由化はされておりますけれども、検疫所の処理機能が非常に、何というのですか、小さいために、結果的には輸入制限をしているという批判も実は聞くわけでございます。ですから、この辺の問題もあわせて考えていただかないとうまくいかないということで、これはお答えは結構であります。——どうですか、もう少し検疫関係の処理能力をふやすお考えはありませんか。
  162. 小山国治

    説明員(小山国治君) 外国から輸入されます牛の検疫は、動物検疫所がこれを担当しております。現在全国に二十一カ所の動物検疫所がございまして検疫を実施いたしておりますけれども、それらのうち九カ所に動物を収容する係留施設を持っております。これらの施設で検疫をいたします能力と申しますか、年間係留換算で一万二千頭の処理ができるように仕組んでおります。  一方、最近におきます動物の輸入状況は、種苗につきましてはおおむね横ばいの状況でございますけれども輸入後直ちに屠殺されます屠畜場直行牛の輸入数量は、昭和五十年に九百四頭、昭和五十一年に二千三百六十六頭、さらに、昭和五十二年には五千三百三十一頭というように増加しております。それで、動物検疫所の収容能力の関係から、屠畜場直行牛につきまして、必ずしも輸入者の希望どおりに輸入できなかったといったような事例もあるやに承知しております。しかしながら、動物検疫施設の拡充につきましては、動物の輸入希望が今後とも動物検疫所の収容能力を上回るものかどうか、その辺を十分に見定めまして、そして今後の対策検討していきたいというふうに考えております。
  163. 木島則夫

    ○木島則夫君 これで最後にします。  四月の二十日の記者クラブでの牛場対外経済相の講演において、農業保護の見直しについて触れている点が注目されるわけでございます。「農産品の自給自足ができない日本は海外からの安定的な食糧輸入に頼らざるを得ないので、自給率を高め輸入を抑えるような保護政策は改める必要がある」こういうふうに言われておりまして、農産品輸入枠の拡大は「東京ラウンドのワク内で検討する」と、これは新聞紙上で拝見をしております。牛場さんがこういうふうに言われていることと、農林省のお考えとはどうでしょうか。あるいは経済企画庁長官——もう時間が短うございますからひとつ簡潔に、牛場対外経済相のこういう発言についてはどういうふうに受け取られているか。
  164. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 牛場さんがそう言われましたかどうか、確かめておりませんけれども、私は多少違った感触を実は持っております。先ほどお話のございました牛肉の問題などは、国際問題でもございますけれども、私はそれと同じぐらい実は国内の問題であると考えていまして、それで大切な問題だと思っております。先ほど御紹介のありました政策フォーラムの意見に私がどうして関心を持つと申し上げたかと言いますと、この考え方は、国内牛肉生産を維持拡大するという考え方に立っておりますので、この点は農林省の考え方と私は軌を一にすると思いますし、私もそれはやっぱりそう考えていくべきであろう。その方途も、ここで二千五百億円ぐらいのものは関税過徴金等で不足払いができると言っているわけでございますが、その考えが違っているのか、計算が違っているのか、どこに欠陥があるのかというようなことは、少し検討してみる私は余地があるというそういう考えでございますが、基本は、やはり国内の牛肉生産を維持拡大するというところは、それを基本に考えなければならないのではないかと思っております。  それから、東京ラウンド云々でございますけれども、これは農産物全体が工業製品のような方式、フォーミュラによる交渉ができませんので、何か全体で合意し得るような緩いやり方はないもんだろうかという問題が、ケネディラウンドのときにも出ましたぐらいですから、今度も必ず出てまいると思いますので、それについては農林大臣、牛場大臣、私どもよく協議をして、準備をしてまいりたいと思っております。
  165. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) この際、高杉君から発言を求められておりますので、これを許します。高杉君。
  166. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 私は、自由民主党・自由国民会議日本社会党、公明党、日本共産党及び民社党の五党共同提案に係る円高物価安定政策への活用及び国民生活への還元に関する決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     円高物価安定政策への活用及び国民生活への還元に関する決議案   本委員会は、昨年来日本経済における為替相場の円高問題の重要性にかんがみ、これを自由討議あるいは質疑の中心的問題として取り上げてきたところであるが、円高物価安定政策への活用及び国民生活への還元はまだ不十分である。   よつて政府は、今後とも円高物価安定政策への活用及び国民生活への還元について一層の努力を行い、具体的な施策に反映すべきである。   右決議する。  以上でございます。何とぞ皆様の御賛成をお願いをいたします。
  167. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) ただいまの高杉君提出の決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  168. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、宮澤経済企画庁長官から発電を求められておりますので、これを許します。宮澤経済企画庁長官。
  169. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 政府といたしましても、円高効果を物価に反映させることは、当面の物価対策の重要な課題であると考えているところでございますが、ただいまの御決議の御趣旨を尊重し、これまでの御審議の結果をも踏まえまして、今後とも円高効果の物価への反映のためには全力を尽くしてまいる所存でございます。
  170. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) 本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十八分散会