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国務大臣(
宮澤喜一君) 確かにそういうことを私申しましたので、この報道そのものは正確でございます。で、私が申そうといたしましたのは、電力料金、
ガス料金につきましては、先ほどからお聞き及びのとおり、この九月二日に
決定をいたしたいと考えております。これは事柄は少なくとも燃料費が下がっておるということできわめて明白でございます。その金額とか
程度は別にいたしまして、事柄はきわめて明白で、かつ相当の金額であるということははっきりいたしておりますから問題は明確であると思います。
次に
一つ一つ申し上げますと、小麦でございますが、これも小麦に関します限り
輸入価格が下がりましたことははっきりいたしておりますが、他方で食管そのものが御承知のように大きな赤字を抱えております。それから農林水産
大臣としては小麦の
価格と米の
価格との相関
関係というものを米の消費を奨励するという
意味から非常に関心をお持ちにならざるを得ない。小麦がさらに安くなるということは米の消費に差しさわりがあるという見解を持っておられまして、これも一理あることかと私思うものでございますから、これはなかなか簡単なことではない。
それから牛肉でございますが、これが全く自由に行われておりましたら、少なくとも
円高差益というものは自由な
輸入でございますと起こり得るわけでございますが、畜産事業団が間に入っております。そこでこの
還元の方法というのはどうも非常に間接的にならざるを得ない。それはいわゆる
指定販売店ができるだけ安く入手できるような市場機構でございますとか、そういうものを畜産事業団が助けてつくっていくというようなかなり迂回した方法にならざるを得ないと。これも時間のかかることであろうと存じます。
航空運賃と国際電電につきましては、これは厳密な
意味で差益
還元の問題ではないと考えております。問題がないわけではございません、問題はあるのでありますが、いわゆる差益
還元の問題ではない。と申しますのは、もう御承知でいらっしゃろうと思いますが、
日本航空自身は大体三割ぐらいが外貨収入であり、三割ぐらいが外貨支出であるということで、したがいましてそこからは差益というものがほとんど生じないような、もともとそういう経営をいたしております。強いて言えば、飛行機を買いました
ドル債権の返済について差益が起こり得る
程度でございます。国際電電はもっと極端でございまして、
日本からかけます通話と
アメリカからかけます通話、日米間の受けと入りとの量が同じでありますれば、これは日米間の支払い、受け取りは相殺されてなしになります。実際には少し
日本から出ております通話が多うございますので、その差額についてであればこれは
円高差益ということがあり得るわけでございますが、それは十億円
内外のものでございますので、したがって国際電電についても一応世の中が想像されるような
円高差益というものはそういう大きなものがあるわけではない。したがって、この
二つは
円高差益の問題ではございませんで、それと離れて、
日本で買った航空運賃、
アメリカで買った航空運賃、その
二つの間の乖離、
日本からかける電話、
アメリカから
日本にかける電話の料金の乖離、この問題をどうするかという別個の問題でございます。で、前者については、航空運賃につきましては、これはIATAの問題でございますから、
運輸省としてはまず
アメリカ側に若干の値上げをさせ、
日本側が若干の値下げをして両方の乖離をなくそうということをこの秋に向かって
努力をしようとしておるわけですが、IATAという合意の場を必要といたしますので、
日本政府だけの意思できょうにもあすにもというわけにはまいらない、多少時間がかかるということでございます。
それから国際電電につきましては、これは国際電電自身の経理等から見て、いまの外国通話料金が一般に改定の余地があるかないか。国際電電の宇宙衛星でございますとか、海底ケーブルでございますとかの投資
計画との関連で国際電電
当局あるいは主務
大臣がどうお考えになるかという問題でございますから、したがいまして、この航空運賃と国際電電につきましては問題があるのでございますけれども、
円高差益としてこの部分を返せばいいというように問題が簡単でございませんのでかなりの時間がかかる、こういったような
意味で私はなかなかすぐにはむずかしいということを申しましたわけでございます。