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1978-08-30 第84回国会 参議院 物価等対策特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年八月三十日(水曜日)    午後二時開会     —————————————    委員異動  六月十六日     辞任         補欠選任      穐山  篤君     赤桐  操君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         斎藤栄三郎君     理 事                 山東 昭子君                 高杉 廸忠君                 渋谷 邦彦君                 木島 則夫君     委 員                 下条進一郎君                 鈴木 正一君                 世耕 政隆君                 藤井 裕久君                 真鍋 賢二君                 赤桐  操君                 大森  昭君                 桑名 義治君                 渡辺  武君    国務大臣        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       宮澤 喜一君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君    説明員        経済企画庁物価        局長       藤井 直樹君        農林水産省畜産        局食肉鶏卵課長  京谷 昭夫君        農林水産省食品        流通局食品油脂        課長       本田 康二君        通商産業大臣官        房審議官     島田 春樹君        資源エネルギー        庁公益事業部長  豊島  格君        資源エネルギー        庁公益事業部ガ        ス事業課長    内田 禎夫君        運輸省航空局監        理部監督課長   早川  章君        運輸省航空局飛        行場部東京国        際空港課長    松尾 道彦君        郵政大臣官房電        気通信参事官   米沢 允克君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○当面の物価等対策樹立に関する調査  (派遣委員報告)  (円高益差還元問題等に関する件)     —————————————   〔理事山東昭子委員長席に着く〕
  2. 山東昭子

    理事山東昭子君) ただいまから物価等対策特別委員会を開会いたします。  それに先立ち、委員異動について御報告申し上げます。  去る六月十六日、穐山篤君が委員を辞任され、その補欠として赤桐操君が選任されました。     —————————————
  3. 山東昭子

    理事山東昭子君) では、本日は当面の物価等対策樹立に関する調査を議題といたします。  まず、先般本委員会が行いました委員派遣について、派遣委員から報告を聴取いたします。高杉委員
  4. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 派遣委員を代表いたしまして、調査の結果を御報告申し上げます。  八月三日より五日までの当面の物価等対策樹立に関する実情調査のため北海道に派遣されましたが、派遣委員は、斎藤委員長木島理事下条委員藤井委員小笠原委員及び私の六名、対馬委員現地参加でありまして、札幌市及び釧路市を中心とする地域において、北海道の最近の経済状況及び物価消費者行政実情について調査を行ってまいりました。  まず、経済情勢から申し上げます。  北海道は、ことしで開道百十年を迎え、産業基盤生活基盤の整備が進み、道民所得道民生活も逐年向上しておりますが、開発の歴史がまだ浅いこと、面積が広いこと、積雪寒冷地であることなどから、他府県に比べ、社会資本産業構造の立ちおくれや道内地域格差があるなど、いろいろ問題を抱えております。  最近の経済情勢を見ますと、国の公共投資の拡大により、公共事業関係業種生産や住宅の建設が伸びているほか、個人消費が前年水準を上回るなど明るい面が出ておりますが、反面、鉄鋼紙パルプなど主力業主生産が低迷している上に、大幅な転作を実施している稲作農業漁業水域の縮小、漁獲量の削減を強いられている北洋漁業問題などを抱えておりますので、景気雇用情勢をめぐる環境には依然として厳しいものがあります。このため、道当局としては公共事業早期発注中小企業金融強化雇用の促進など景気振興に努めておりますが、国に対しても、構造不況業種対策の速やかな実施、五十四年度予算編成に際しての農畜水産業振興についての支援などを要望しております。  物価は、このような景気情勢を反映いたしましておおむね安定基調を示しており、消費者物価指数は、五十二年度六・六%の上昇で、全国の六・七%とほぼ同程度であり、本年六月の指数も前年同月比上昇率は三%で、全国の三・五%を下回っております。しかし、ブロック別に見ますと、本州からの輸送経費がかかること、生活圏域が広く、人口密度が低いため販売効率が落ちることなどから、北海道は関東、近畿に次いで三番目の物価高の地区となっております。このため、道当局としては生活物資の需給安定や割り高価格の是正、消費生活安定向上等施策に力を入れておりますが、北海道特有物価問題として灯油、プロパン及びセメントなどのいわゆる北海道価格の問題があります。これは、北海道輸送距離が長く、需要量が少ないということで取引慣習から流通経費が上積みされることなどから価格本州より高くなっていることによるものであります。灯油については、昨年十二月、通産省元売各社に対し円高差益還元を指導し、元売仕切り価格引き下げられたため、現在は全国で一番低い価格で推移しておりますが、プロパンガスについては、五十一年五月の標準価格の撤廃後小売価格はじり高で推移し、六月時点における道内小売価格全国との格差は十キログラム当たり二百四十二円に達しております。セメントにつきましても、現在トン当たり四百五十円程度格差があります。このような北海道価格、なかんずく灯油プロパンガスについては、積雪寒冷地である北海道としては米にも匹敵する生活必需品とされておりますので、行政機関において、一日も早くこれを解決できるよう努力すべきものと考えます。特にプロパンガスについては、今後とも元売各社に対する行政指導強化するとともに、基本的には業界の体質にも問題があると思われますので、業界構造改善に一層積極的に取り組む必要があるものと考えます。  次に、消費者行政実情について申し上げます。  経済情勢は依然として厳しく、物価も特別な問題を抱えておりますので、道当局消費者行政にも非常に力を入れておりまして、道民生活安定条例の制定や消費生活安定会議の設置を初めとし、物価モニターによる調査、職員による調査監視など各種の消費者保護施策を講じておりますが、特に最近は、商品サービスについての相談や景品表示法違反事件などの発生がふえておりますので、商品などの苦情を科学的に処理し、その安全を確保するための消費者センター札幌市と十一都市に設置しておりますが、これをさらに拡充整備したいということで、これについての助成を要望しております。  また、消費者運動も盛んでありまして、われわれの今回の調査に当たっても、在道の消費者団体団体懇談会を持ちましたが、消費者団体からは、一、一般消費税の導入は慎重にしてほしい。二、灯油プロパンガス円高差益還元により価格を下げてほしい。三、公共料金決定方法をもっと民主化してほしい。四、消費者被害救済制度を確立してほしい。五、年金生活者寒冷地控除を設けてほしい。など、たくさんの意見要望事項を寄せられました。  また、釧路市では、安定した物価消費者対策を確立するためには生産者側立場をも理解する必要があるとの観点から、魚価問題について漁業生産者団体市場関係者との懇談会を持ちましたが、漁業生産者団体側からは、一、漁業導管水域二百海里の実施により漁獲量が減ったため、昨年は魚価は高騰したが、いまは極端に価格が下がり経営的に苦しんでいる。魚価の安定は、消費者ばかりではなく生産者側でも望んでいるので、現在の魚価安定基金を再検討し、調整保管だけではなく、欠損が出た場合の補てんもできるようにしてほしい。二、輸入水産物円高でふえる傾向にあるが、国内水産業者立場も考え秩序ある輸入をしてほしい。三、魚のとれる時期と需要のある時期が合わず困っているので、今後は流通機構改善も考えてほしい。四、外国船による被害も大きいので、二国間交渉によりこれを解決してほしいなど、たくさんの意見要望事項が述べられました。  また、釧路市長からは、物価の安定のための諸施策とともに、二百海里の実施により深刻な影響を受けている水産都市の恒久的安定を図るため水産基地振興法を制定してほしいという要望がありました。  以上が調査結果の概要でありますが、これを要約いたしますと、  一、北海道経済情勢は、鉄鋼紙パルプなど構造不況業種農業漁業を抱えて依然として厳しい環境にあるので、構造不況業種対策早期実施農漁業振興策を望んでいるということ。  二、物価については、北海道価格の解消、特に灯油プロパンガス安定供給価格引き下げ及び円高差益還元を望む声が強いということ。  三、消費者センターに対する国庫補助強化を望む声が強いということ。  四、漁業者団体は、魚価の安定のため、魚価安定基金の再検討を望んでいるということなどであります。  最後に、今回の調査に御回行いただきまして、御協力をいただいた道当局及び関係各省当局に対し心からお礼を申し上げまして、御報告にかえる次第であります。
  5. 山東昭子

    理事山東昭子君) 御苦労さまでございました。  以上で派遣委員報告は終了いたしました。     —————————————
  6. 山東昭子

    理事山東昭子君) 次に、本委員会が去る四月二十六日に行った決議に対し、経済企画庁長官から、政府のその後の施策実施状況について発言を求められておりますので、これを許します。宮澤経済企画庁長官
  7. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 円高に伴う物価対策につきましては、本委員会の御決議を踏まえ、その推進に努めているところでございます。  御決議後の状況を簡単に申し述べますと、第三次の輸入品価格動向調査の結果を六月に公表いたしましたのを初め、輸入製造たばこ配合飼料価格引き下げ主要輸入消費財等について全国的な調査監視強化するなどの措置がとられております。  さらに、御承知のように電力、ガス料金につきまして、原則として昭和五十四年度末まで据え置くという従来の方針に加え、一時的な措置として料金割引実施決定いたしたところでございます。現在、その具体策について検討を行っておりますのを初め、円高に伴います物価対策につきましては、九月二日の総合経済対策に盛り込むべく、現在鋭意検討を行っているところでございます。     —————————————
  8. 山東昭子

    理事山東昭子君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  9. 大森昭

    大森昭君 円高問題がいま中心課題になっているようでありますが、個別の問題に入る前に、少し基本的な認識について御質問したいのでありますが、通産大臣の談話などを見ましても、異常な円レートで、何としてもこの安定を図ることが急務であるということは異口同音に言われているのでありますが、この問題に対して景気浮揚をしなければいけないとか、あるいは黒字減らしをしなきゃいけないとか、そういうことが言われてもおりますし、きのうの衆議院の物特の中でも、長官が、最近のこの貿易輸入輸出動向がどうなっているとか、あるいは円が不当に過大評価されているのじゃないだろうかとかというようなことを言われておるのでありますが、私は、今日の円高の問題について、貿易収支をどうするとかというような、単にとは言いませんが、そのことも当然円高問題の課題として処置しなきゃならないことは十分知っておりますが、しかし、今日の円高の問題を単にこの貿易収支の問題などの視点でとらえておりますと、果たして日本経済自身が一体どうなるかということに大変危惧を持っております。したがいまして、時間が大変短いのでありますが、今日の円高問題についての基本的な認識について、どのように長官として把握をされておるのか、時間が短いわけでありますけれども、簡単にひとつ御答弁していただきたいと思います。
  10. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 今日のわが国経済の持っております課題は、内外にわたりまして大きく申しまして二つであろうかと存じます。  内におきましては、非常に大きな失業者を抱えております。これをやはり政治としては一番大切な問題として考えなければならないわけでございますが、そのためには長く続きました不況を脱出をいたさなければなりません。そのために、いわゆる七%成長を目指して不況の克服を図らなければならないというのが一つでございます。  対外的には、しかしながら、そのようなわが国経済が非常に大きな貿易黒字を重ねておりまして、それが自由主義国家群から批判もされ、またある意味で脅威を与えておるということでございますので、この解決をも図らなければならない。二つの、場合によりましては相互に矛盾いたすような課題を同時に解決しなければならないということであろうと存じます。  円高という問題がこの間起こってまいりまして、私がただいまの時点で心配しておりますことは、何としても貿易黒字幅を小さくいたさなければなりませんので、かなりの程度輸出規制をいたしております。これは効果をあらわし始めておりまして、四—六月期におきましてすでにわが国輸出は数量で前年同期に対して二・七%ほど減少しておりますし、七月には八%ほど減少いたしました。これには円高も恐らく手伝っておると思いますけれども、この点は対外的な摩擦を回避する意味政府が意識して政策的に行っております努力の結果でございますけれども、同時に、これは七%の成長の足を引っ張る要素になっておりますことも否めません。海外経常余剰が、普通の場合でございますと成長にプラスの要因になるわけでございますけれども、やがてマイナスの要因に、足を引っ張る要因になることは明らかでございます。  そういたしますと、七%の成長を確保するために何らかの意味でこれにかわる内需の振興を図らなければならない、そのような問題であろうかと思います。通貨が安定をいたしておりましたならば、このような問題の解決はもう少し容易であったろうと存じますが、引き続く円高で問題の解決がそれだけ困難になり、見通しのつけ方がむずかしいということであろうと存じます。  今日の円の水準自身は、政府が、いわゆるフロートシステムをとっておりますので、高い低いと申すべきことではございませんけれども、内外の識者のほぼ多数の意見と思われますのは、やがていずれかに落ちつくその時点から考えるならば、恐らくただいまの状況は円が過大評価され、ドルが過小評価されているのではないかというこれが大多数の意見のようでございますが、私も個人的にはさように存じておりますが、しかし、その一つの原因がわが国の非常に大きな貿易黒字であることは否定ができませんので、先ほど申しましたような努力をいたしつつ、しかも七%の国内成長を何とかして確保したい、ここらが問題の所在かと存じます。
  11. 大森昭

    大森昭君 いま長官が言われたように、輸出を制限すれば国内経済成長はどうなるかという、すぐにそういう問題にぶつかりますが、ただ、私はそういう意味で大変むずかしいんだろうと思うんでありますが、仮にきょうの新聞をちょっと見ましても、アメリカ貿易収支が悪化したというだけで再びドル安が拍車かかると、こういうわけですね。そうしますと、アメリカ日本との輸出関係調整をすればというわけにはいかない、もともとアメリカ自身が一体政治がどうなって、経済がどうなって、防衛がどうなっているという問題自身——これは他国のことですからどうこうという意味じゃないんですが、しかし、そういう状態の中でやはり大きく関連をしてドル安の問題が今日あるということを恐らく長官認識されていると思いますが、そういう視点じゃないと、何か国内産業の方を少し抑えて、貿易黒字赤字とんとんぐらいにしておけばいいなんということになりますと、これはまさにいま長官が言われたように、一体日本経済ドルという問題を中心にしてどちらの方に行くかということになりますし、戦後アメリカがかぜ引けば日本もかぜ引くんじゃないかという話がありましたけれども、ですから私はいま、きょう時間が短いわけですし、むずかしい基本的な議論長官とするつもりはないんでありますが、どうも一般的な風潮として、何かドル安の問題をめぐって貿易収支の問題に少し重点を置き過ぎているんではなかろうか、むしろそのことも大事なことでありますけれども、日本経済全体がどういう状態に一体今日置かれておるのか、とりわけいま高杉委員から北海道調査お話がありましたけれども、もう今日の産業構造というのはまさにドル安の問題を迎えて、不況の問題を迎えて、もう一変をしているような状況が各地に私はあるんだと思うんであります。ですから、そういう意味合いで少し円高の問題、ドル安の問題について日本経済自身の問題として本質的にとらえなければいけないだろうし、また短期には長官が言われるように施策をしなければいけないだろうと思いますが、どうかひとつそういう点で少し円高問題についての、そしてまたドル安問題についての今日の置かれておる状況について、慎重なやはり対策を長期的な視点で立てていただきたいことをお願いをいたします。  それから次の問題でありますが、先ほどもいろいろお話がありましたけれども、さきの臨時国会で今日の産業構造変化を求めなければいけないという状況の中で、政府の提案をいたしました特定不況産業安定臨時措置法、与野党でいろいろ練り合わしまして法案成立をしたわけでありますが、一体この法案成立をいたしまして今日どのような措置を行っておるのか、そしてまた同時に、特別の産業の中で明るい改善方法が見出せておるのかどうか。それから不況業種ではありませんが、海外から輸入をしておる原料国内で求めておる原料と競合しておる——たとえば非鉄産業なんか代表的なわけでありますが、そういう国内金属工業なども大変な打撃をいま受けているわけでありますが、そういう問題についてどのような行政措置あるいは対策を立てておるのか、回答していただきたいと思います。
  12. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 前段の問題につきましては、私はまさに御指摘のように考えております。  それから構造不況業法施行状況につきましては、通産省から審議官が見えておりますのでお答えを願いたいと思いますが、なお通産省所管以外では、造船業がこの指定を受けるべく第一次の指定を受けて、これから不況対策に入るところでございます。これは運輸省所管でございますので、私から便宜申し上げておくわけでございますが、なお最後に言われました非鉄金属の山等々、いわゆるこの法律だけでは救えない種類の構造不況業造船もあるいはそれに属するのではないかと存ぜられますが、それからそのような地域に対してどのような対策を講ずべきかということは、今週末の総合経済対策閣僚会議におきまして決定をいたしたいと考えております。
  13. 島田春樹

    説明員島田春樹君) 特定不況産業安定臨時措置法執行状況につきまして、簡単に御報告申し上げます。  この五月十五日に同法が施行されたんでございますが、その後、業種指定安定基本計画策定、それからもう一つの柱になっておりました特定不況産業信用基金設立等、同法に基づく措置につきましては、現在いろいろと実施に移しているところでございます。  で、簡単に実施状況を申し上げますと、業種指定でございますけれども、特定不況産業指定といたしまして、現在次の七業種政令指定しております。すなわち、平電炉、それからアルミ製錬業、それから繊維関係ナイロン長繊維、ポリアクリルニトリル短繊維、それからポリエステル長繊維ポリエステル繊維、それからいま大臣がお答えありました船舶製造業、これは五千総トン以上でございますが、この七業種指定をしているわけでございます。  それから候補業種でございますけれども、特定不況産業候補業種につきましては、関係審議会意見を聞いた上で現在五業種政令指定をしております。すなわち、アンモニア製造業、それから尿素製造業湿式法による燐酸製造業、これはいずれも肥料でございます。それから紡績業合金鉄製造業、以上の五業種政令指定をいたしました。  それから次に、安定基本計画策定状況でございますが、いま申し上げました不況産業指定されました業種につきましては、業種ごと安定基本計画策定を現在急いでおるところでございます。で、すでに平電炉につきましては、所要の手続を経まして基本計画がこの八月の二十八日に策定、公表されております。で、その他の業種につきましても、現在審議会等の場で計画検討を急いでおりますので、できるだけ早くこれを策定、公表いたしたいというふうに考えております。  なお、信用基金設立につきましては、七月の三十一日に設立いたしまして、一応この法律に基づく債務保証に応じ得る体制が整っておるわけでございます。  簡単でございますが、以上御報告いたします。
  14. 大森昭

    大森昭君 そういうことで企業も安定をしたし、労働者も解雇されなかったのかというところの結論を聞きたかったんですけれども、問題は、高度成長から低成長へということで、一〇%以上経済成長もあって、しかしなかなか今日の日本経済はそういう高度成長にはならぬよという話が一般化していて、少し全体として引き締まっているんですが、何か先ほど長官の言われた七%程度成長ということになりますと、数字の上から言いますと高度成長には追いつきませんけれども、まだ日本経済は力があって、悠々たるとは言いませんが、というような認識になりがちなんですけれども、実態は、まさに今日置かれておる状態というのは、中小企業者ももちろんでありますけれども、勤労者全体がもう一体どういうことになるかということで不安が絶えないんですね。ですから、私はそういう意味からいきますと、働いている人たちが、あるいは中小企業皆さん方が今日の経済変化の中である程度自力でもって、あるいは創意を加えながら企業経営もしなければいけないということはわかるのでありますが、特定不況法案でもそうでありますが、何かばたばた現実に目の前に来ないとそういう対策が立たないということでは私はいけないと思います。ですから、いま言われたようなことで措置をされていると思いますが、やはりこれから先果たしてそういう業種というものが一体出てくるのか、それからいま言われたような対応策だけで果たして企業が救えるのかという、もう次の段階をやはり行政機関としては考えていただきませんと、起きた状態を救うということではもう手おくれですね。実際に個々の家庭にしてみれば大変なことなんです、これは。ですから、そういう意味合いで、先ほど長官も言われましたけれども、当面の問題と長期的、あるいは長期と言わなくてもいいんですが、中期的な方策を、野党に言われるんじゃなくして、与党みずからがやはり率先して私は立てていただくことをお願いをしておきます。  具体的な問題に入りますが、きのうは衆議院の物特でいろいろ議論がありましたし、どうもきょうマスコミの報道を見てますと、まあ手厳しい批判各社一斉にされておりますが、しかし、私は正直に申し上げまして、円高還元問題はこれはもう国民的な世論になっているわけですから、むしろ野党の追及が甘いとか甘くないとかという以前に、与党である政府みずからが少し前向きでもって処置をしなかったことが今日一番問題になっているんでありまして、その意味からいきますと、私は、もう少しこういう円高差益還元問題などについても速やかなひとつ取り組みをやっていただきたいと思うんであります。  そこで、料金の、実は決定の問題についてちょっと御質問いたしますが、私の聞いた話では、電気、ガス料金というのは公共料金であって、通産大臣が許可をするということになってますね。したがって、そういう状態の中で電気事業法の十九条に原価主義の原則がうたってあって、料金制度部会というんですか、があるようですね。この料金制度部会でまあ郵便だとか、国鉄料金だとか、あるいはNHKの料金のように幾らとは決めないようでありますが、おおむね料金はかくかくしかじかあるべきだと、原価計算の方法であろうとか、あるいは施設の拡大の設備投資の関係だとか、いろいろあるんでしょう。燃料費が幾らぐらいで買えるんだとか、いろいろあるんでしょう。しかし、いずれにいたしましても公共料金的な意味合いで料金制度部会の中で審議をして、業会が供給規程を作成をして通産省に申請をして、通産大臣が認定をして、公聴会を開いて、それで料金が決定がされるというんですけれども、こういうことになっているんですか。
  15. 豊島格

    説明員(豊島格君) 電気料金の決め方といいますか、基本的な問題については電気事業審議会の料金制度部会等で検討されて現在の方式が決まっておるわけでございます。具体的に、その後電気料金をコストのアップその他で改定しますときには、通常の場合は電気事業者が法十九条によって申請いたしまして、それが一定の手続を経て公聴会にかけられて、その結果、その意見を聞いて通産大臣が認可するというのが通常でございます。  ただ、今回の場合につきましては、御承知のように、こういう急激な為替相場の変動というものを予測されて従来の料金制度といいますか、原価計算方式等が決まっておらないわけでございまして、これにつきましては十分一体どうしたらいいかというのを検討した上で、もとに返ってその上で料金をどう定めるかということになるのが本筋だと思いますが、実はすでに差益も五十四年度まで据え置くことを前提といたしましても出ておるわけで、そういうことに基本論をやっておりましてはなかなか早く差益を還元するというのが間に合わないということもございまして、一応その問題は後に譲るといたしまして、とりあえず、五十三年度に発生する差益の中から還元可能な分を法二十一条によって供給規程によらないで消費者に直接還元すると、こういう方法をとりたいということで方針を決めたわけでございます。
  16. 大森昭

    大森昭君 今回の場合聞いているんじゃないんですよ。今回の場合はもうわかっているんですよ。問題は、今回の場合に、いまあなたが言うようになるたけ早くという大義名分を立てておりますが、今回以前の問題として従来——私が言ったのと、いまあなたが答弁したのと違いますね、違うんでしょう。私の言ったのは、少なくとも業界が供給規程を出す前に、申請があったときにこの料金制度部会というところで骨子を議論をして、供給規程が出て、通産省がそれを審査をして、公聴会を開いてという手順でやっているんですかと私は聞いたわけです。
  17. 豊島格

    説明員(豊島格君) お答えいたします。  料金制度部会に一々かけているということではございません。
  18. 大森昭

    大森昭君 そうすると、業者が供給規程を出しまして、通産省がそれを見ましてそれでいいかどうかと決めるわけですか。
  19. 豊島格

    説明員(豊島格君) 十九条の申請の場合には公聴会にかけます。
  20. 大森昭

    大森昭君 いや、だから業者が供給規程出すんでしょう。そうでしょう。それで、かくかくしかじかで値上げしてもらいたいって出すわけでしょう。いろんな膨大な資料持ってくるでしょう。そうすると、何ですか、これを公聴会にかけるんですか。
  21. 豊島格

    説明員(豊島格君) その申請内容を公聴会にかけて、それで意見を聞いた上で処理しておるというふうに理解しております。
  22. 大森昭

    大森昭君 何言ってるかわからないじゃないですか。
  23. 豊島格

    説明員(豊島格君) 若干はしょりましたので、いけなかったかもわかりませんが、出た内容を閲覧に供しまして、その結果公聴会を開いて意見を聞いてその上で通産省が査定をして決める、こういうことでございます。
  24. 大森昭

    大森昭君 そうすると、供給規程が出たもの、業者からの申請をそのまま公聴会にかけるわけですな。わかる人が答弁してくださいよ。わからない人が答弁したってしょうがないじゃないですか。別に肩書きには関係ないから、わかる人が答弁してください。
  25. 内田禎夫

    説明員(内田禎夫君) 申しわけございません。私、ガス事業課長の内田でございます。  ガスにつきましても同じ手続でございますので、やや細かくなりますので私から御答弁申し上げます。  先生がおっしゃいますとおり、料金の認可申請が事業者から出てまいります。で、事業者は、電気事業法及びガス事業法によりまして申請の内容を一般の閲覧に供することになっております。これを当該申請内容に関心のある方は閲覧でごらんになりまして、で一方、申請を受けた通産省といたしましては、公聴会の日取りを決めまして、それを公聴会の日取りの一定期間前に公示をいたしまして、その公聴会に広く一般の意見を聞くために、関心のある方が公聴会においでになれるように公示をいたします。その公示をごらんになった方が名乗り出られまして、それを整理いたしまして公聴会を開きます。   〔理事山東昭子君退席、理事渋谷邦彦君着席〕 したがいまして、公聴会で出てまいります御意見というのは、会社則が申請をした内容について関心のある方が意見を述べられるわけでございます。通産省は、その公聴会での御意見を十分参考にいたします。で、別途通産省といたしましては、その認可申請の内容についてこれをそれぞれの事業者に詳しく監査等でチェックいたしまして、通産省としてその認可申請が適当であるかどうかということを判断いたしまして、最終的には大臣が認可、不認可を決めるわけでございます。  以上でございます。
  26. 大森昭

    大森昭君 私は質問の予告をしておいたので、急にきょうここでもって意地悪く出しているんじゃないんでありまして、それを誤解されると困るんですが、私は今回の問題も、時間がかかるとかいろんなことをあなた方は言われますが、いま世論の声は一体何か。社会党も公明党も消費者団体もいろいろ還元の額について発表しています。それは政府機関じゃありませんから、会社に乗り込んで会社の経理を握ったわけじゃないから不明確なところがあるかもわかりません。しかし、いま国民全体は円高差益還元額というのは一体本当なんだろうかと、これが世論の声ですよ。そうでしょう。だから私は、もともとはっきりした公共料金という原価の原則を決めておる、事業法に定められておるこの料金決定についてきわめてあいまいな形でやっておって、いま国民全体の大衆の皆さんに差益分は全部吐き出しまして還元をするんですと言ったって、だれが信用しますか。そうでしょう、ですから、少なくとも私は今日まで公共料金というたてまえで、それは確かに郵政省や国鉄やNHKやそういうところの置かれている状態とはまさに違うでしょう、業者ですから。ですけれども、公共的な立場にあるがゆえに電気事業法の第十九条があるのでしょう。そうなってくれば、ある一定の手続を踏みながら料金が決まっているとすれば、あとは、あなた方、直接還元だ、間接還元だ、いろいろなむずかしいことを言いますけれども、その基礎さえ確実に積み重ねて料金が決定されておればそんなにむずかしいことではないだろうし、加えて、料金制度部会というのがあれば、料金にかかわる問題について少数意見もあるだろうし多数意見もあるだろうけれども、これは学者の方だとか、いろいろきょう名簿をもらいましたけれども、こういう方々に集まっていただいて、一体円高還元額というのは社会党がこう言おうと公明党がこう言おうとこれが正しいのだという形ですかっとできるはずなんです。もともとあいまいだから今日のような状態が生まれるのじゃないかということを私は思うがゆえに、今回の問題について二十一条ただし書きでやるということはもう十分承知をしているけれども、なぜ十九条に基づいてできないのか。時間がかかるかからないというよりかむしろ問題は信頼性の問題なんですよ、こういうものの取り扱いというのは。どのくらい時間がかかるのですか、あなた時間がかかる、時間がかかると言うけれども。
  27. 豊島格

    説明員(豊島格君) いま申しましたのは、十九条の規定に基づいて原価を全部洗い直すということにつきまして時間がかかるということだけを申し上げておるわけでございませんで、こういう変動相場の中で一体料金はどうあるべきか、あるいはそういう変動によって出た差損とか差益、いま差益がたくさん出ているわけです。そういうものをどういうふうに反映していったらいいか、こういう問題につきましては、今秋以降、非常にむずかしい問題でございますので、そこで、今後の料金のあり方、原価計算のあり方というものを十分制度部会で検討していただいてその上で抜本的なことは決めたい、しかし、そういう結論を得ない現在においてはとりあえず二十一条で還元をしたいということでございまして、もちろん十九条でやれば原価の洗い直しということでございますが、そのときの原価をどう定めるかということについてもいろいろ議論のあるところでございますので、そのようにさせていただきたい、こう申し上げておるわけでございます。
  28. 大森昭

    大森昭君 そうすると、電気事業法の第十九条があって原価主義の原則が決まっておったけれども、いままではそのとおりやってなかったと、だから、これから国民的な世論の中で、円高還元の問題も起きてくるし、いろいろ公共料金的な立場の中で、料金決定については法律に定まっているような形でやっていきたいと、こういうことですか。
  29. 豊島格

    説明員(豊島格君) 誤解がありますといけませんので、もう一度。  私の言い方が悪かったかと思いますが、従来は原価主義でやっていたことには変わりがないわけです。ただし、従来の料金算定基準あるいは料金制度そのものが、このような激変する通貨のもとといいますか、変動為替制度のもとにおけるようなことを想定しないでやっておった、その結果がこういう差益の出た原因でもございます。かつて石炭の値段が非常に変わったときには、コールクローズということでそれで料金を調整した時代もございますが、それも不適当だということでその後廃止されておりました。OPECの値上げがありましたときにもそういうのを復活したらどうかという議論もありましたけれども、そこでも、それは企業努力によるべきだとかいろいろ議論がありまして、現在、これほど大きな問題が出たのは初めてでございますが、こういう問題について算定をどうやったらいいか、あるいは料金制度そのものをどうしたらいいのか、企業の経営はどうしたらいいのか、こういう新しい事態に即応して基本論を料金制度部会はやっていただきたいということで、従来こういう変動のない時代においては、従来の料金算定基準あるいは料金制度はそれでよかったわけで、それに基づいて原価主義で法に基づいてやっておったということでございまして、現在やるとすれば、くどいようでございますが、別の方法も根本的に知恵を出して工夫してみなくちゃいけないじゃないか、それには審議会の先生方の意見も聞いてやりたい、しかしそれは時間がかかるのでとりあえず二十一条で返す、こういうことでございます。
  30. 大森昭

    大森昭君 どうも納得できません。ちゃんと法律には明記されているわけですわね。「能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものであること。」と。それがあなたの言うのには予測もしなかったとか。予測しようがしまいが、原則がうたわれているわけですよ。これからだってどういう問題が起きるかわかりませんよ。物価がどんどん上がったりなんかするときは——異常な物価高だってあったじゃないですか。そのときは予測しなかったんですか。だけれども料金は上げたじゃないですか。予測するとかしないとかという問題じゃなくて、現実問題としてドルが安くなったわけでしょう。それに対応すればいいのであって、予測するとかしないとかというのはよけいなことなんだ、法律はそういうふうになっていないのだから。ですから、そういう意味からいきますと、あなたの答弁というのは全く私は納得しません。しかし、時間がありませんから次の問題に移ります。  さっき、長官の方から、四月の物特の決議に基づきましてということでお話がありまして、いまいろいろ鋭意検討をするものやら、九月の二日の閣僚会議でいろいろ集約することなども言われましたけれども、私もこの円高に伴う物価対策の関連で政府がどのような対策を立てておるかというようなこともちょっと勉強さしていただきましたけれども、四月の二十一日に、経済閣僚会議円高の問題をめぐっていろいろ申し合わせといいますか、あるいは積極的な推進策といいますか、そういう問題もまとまっているようですし、さらには物価担当官会議というのですか、円高関連物資価格調査監視強化ということで、これまたいろいろなことが申し合わせされております。私は常々考えるのでありますが、大体、閣僚会議決定にいたしましても物価担当者会議決定にいたしましても、書いてあることはいろいろいいことを書いてあるのでありますが、しかし、具体的に決めたらそれに伴う具体的な行動がなければ、電気、ガスの問題、多くの問題が値下がりするわけはないんです。現に値下がりしていないのですよ。ですから、そういう意味からいきますと、物価担当者会議の中でいろいろ申し合わせをした、決めた項目を一体具体的にどうするのか。役所ですから、たとえば、これを決めるに当たって新たな機構をつくらなければいけないのか。新たな機構をつくってこの監視調査をより強化するためには金がかかるかもわからぬ。そうすると財政的な裏づけはどうやって一体行ってこの調査監視をするのかという具体的な問題がなければ、各官庁の、それはもう大蔵省から通産省から農林水産省から自治省から担当官集めて、ああした方がいいじゃないか、こうした方がいいじゃないかと頭の中で議論して、世の中の物価が下がってみたり、円高問題が具体的に国民生活に及ぶなら苦労はないのですよ。私はむしろ、経済閣僚会議でもって一つの方針を決めた、物価担当者会議でもって一つの方針を決めた、一体具体的にその決めたことをどういうふうに行動に移しているのか、具体的にどういうふうにそのことを積極的にやっているのかということをまず聞かなければならない。積極的にやってもまだ下がっていないというのならまたいろいろ工夫の仕方もあるのでありますが、どうもお役人の——と言うと申しわけないのでありますが、こういう閣僚会議決定だ、物価担当者会議の申し合わせだというのはない方がいいぐらいで、あればあるほど、決めたことをやらないというのはなお悪いのでありますから、一体、こういうようにいろいろ申し合わせだとか積極推進策だとか言われておりますが、具体的にどのような行動をしているのですか。
  31. 藤井直樹

    説明員藤井直樹君) ただいまおっしゃった物価担当官会議で最近決めた事項は、輸入価格動向調査監視の問題だろうと思います。これにつきましては、七月末の閣僚会議で方針を決めまして、そしてその後その実施細目を物価担当宮会議の際に検討したわけでございまして、その後決まりました方針に基づきまして全国の都道府県の課長さんに集まっていただきまして、地方における調査監視のやり方等につきまして打ち合わせをいたしまして、一応そういう事務の流れについての体制の整備を行ったわけでございます。で、戻りますけれども、従来やっておりました本省の調査は月一回でございます。月一回というのをこれから毎月やろうということが第一にございます。そしてさらにそのような調査全国地方にわたりましてこれをやるということでございまして、そのために国の出先機関とそれから都道府県と一体となって品目を分担して調査をすると、その際、関係各省に置かれております価格モニターにも参加をしていただくということで全国的にやろうということでございます。そういうことになりますといろいろ準備が要りますので、先ほど申し上げましたような形でやってまいったわけでございまして、現在八月末でございますけれども、もうすでに各都道府県において準備のできたところからこの調査実施しているわけでございます。  それから機構の問題がございましたけれども、本省の調査その他につきまして輸入価格調査チームをつくろうということで、これは大蔵省それから農林水産省、通産省経済企画庁それぞれにチームをつくっております。  それから金——予算の問題でございますが、今回、このような調査をするに当たりまして、企画庁に計上されております国民生活安定特別対策費などから約一億四千万円を追加してその事業に充てるということにしております。
  32. 大森昭

    大森昭君 藤井さんが言われたやつはここへ私、資料持っているんですがね。円高がいつから起きているかという問題と、それからあなた、毎月一回会議開いてなんて言いますけれども、きょうも横浜の港にどっさりウイスキーでもチョコレートでもみんな入ってきているんですよ。それがもう前からでしょう。きのうやきょうこれ、円高になったんじゃないんですよ、そうでしょう。もう国民的な置かれている状態というのは業を煮やしているわけですよ、正直言って。だから、そういういま私どもが置かれておる状態の中で、それはモニター制度も悪いとは言いません、私は。それから会議をやるのもいいんですが、月に一遍とか、それじゃ国民の目に映る状態というのは、とてもじゃないけれども、いまわれわれが置かれている状態の中で果たしてそれに対応しておる行政機関が一体どうかということを問われているところが今日の最大の問題なんですよ。ですから、どうかひとつそういう意味合いで私は処置をしてもらいたい。  もう時間がありませんから物を言いませんが、大変物価も、大体いろいろ質問しますと、いや卸売価格は下がっていますと、いや消費者物価も大体四・一から五%ですと、本当の話、数字でもって言われれば、どういう形で数字を計算しているかわかりませんが、先ほど北海道お話も出ましたけれども、肉がまさに世界一高いと言われているでしょう。その肉よりかも魚の方がまだ高いんですよ。本当に皆さん方、たまには魚屋へ行って魚を買ってみてくださいよ、そういう現実なんです。ですから私に言わせれば、ある一定の数字の出し方というのはあるでしょう。しかしまさに石油ショックのときに物価は上がったんです。高値安定でいるから今日物価が安定しているという認識を持っていただかないと、平生安かったと、それが余り上がらないで済んでいるというならそれまたいいことでしょうけれども、高値安定で今日あるということで、消費者物価が下がることがあたりまえと、そういう立場でもっていま今日の物価問題をやらなければ……。どうも私は聞いていて、ちょっと正直言って実態とそぐわないし、腹立つんですけれども、うそだと思うんなら本当にメバルでも何でも買いに行ってください、肉より高いんですから。肉が一番高いと言われているけれども、それよりか高いんだから。だから、どうかひとつそういう意味合いで、質問時間ももうこれ切れましたけれども、とにかく今日国民全体が置かれている状態というのは、もう数字の世の中じゃなくて、具体的に物価の問題についても深刻な、下げてもらいたいという気持ちもあるし、円高還元はもう一銭でも多く、とにかく経理を公開してもとにかく金返してもらいたい、もうそういう状態でありますので、どうかひとつ質問はこの程度で終わりますが、もう皆さん方が率先をしてやっていただかなければこれはどうにもなりません。とりわけ自由主義経済だからといっていろんなことを言う人がいますけれども、やはりそれこそ先ほどの通産の部長さんのお話じゃないですけれども、異常な状態なんですから、異常な状態のときには自由経済の原則であってなんという話をしておったんでは、国民は納得できませんよ、これは。異常な状態なら異常な状態のようにやはり行政機関が対処していただくことをお願いをいたしまして、質問を終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  33. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 私は、円高の活用策についての一般的な考え方あるいはまた電気、ガス料金について差益の還元の方法、差益の額、還元原価査定に関する資料及び差益に関する経理の明確化あるいは割引方式か一時金方式か等々について、これから以下御質問を申し上げたいと思います。  まず、経済企画庁の長官並びに関係省庁にお伺いしますけれども、いま大森委員からも指摘されましたように、日本経済というのは、景気回復のおくれと国際収支黒字累増で大幅な円高になっております。この円高というのは、一面においては景気に対してマイナスになっている面がありますが、物価に対しては相当な引き下げ効果があるはずだと考えるわけなんです。しかるに、いま大森委員も指摘しましたように、物価は少しも下がっていない。これは政府円高物価引き下げに役立てる努力というものを怠っているのではないだろうか、こういうふうにいま考えられるわけですが、本当にこの円高というものを物価引き下げに役立てようとするならば、まず政府が許認可権を持っている電気、ガス等大幅な差益を得ている産業の料金を下げさせる、その他の民間の差益を得ている業種にも下げるような行政指導というものを私は積極的にやるべきだと考えるのです。まず、長官のその辺の所見をひとつ伺いたいと思います。
  34. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 八月のただいまごろの時点におきまして、卸売物価は前年、一年前に比べますとマイナス三・五%ぐらいになっておるわけでございます。この点は明らかに円高を反映しておるものと存ぜられます。それが消費者物価にそのまま十分反映しないところにはいろいろ問題が御指摘のようにございますけれども、消費者物価がまずまず四%台程度でおりますことは、この卸売物価の低落傾向と当然無関係ではない、そういう意味ではわが国経済円高から受けております一番大きな部分の利益はそのような物価情勢に反映されておると考えております。  次に、個々の円高差益を生ずべき物資の価格でございますが、私ども先ほど物価局長から申し上げましたが、過去において三回追跡調査をいたしました。今月からは毎月それをいたすわけでございますが、それによりますと、やはり市場経済の原則で競争が十分働いておりますところは、当然これは競争の結果、やむを得ず円高差益消費者還元されるという結果になっておりまして、大きな市場経済でございますから、政府としてはまず競争が自由に行われるような条件を確保していくということが最も有効な方法であろうと存じます。同時に、政府がやはり毎月調査をして、個々の品物についての輸入価格と最終消費者価格との間の乖離を消費者に知ってもらうということは、当然消費者が賢い消費者になり、円高の差益の還元に役立つものと、そういうふうなつもりで追跡調査をいたしております。で、したがいまして、競争の激しい十分行われておりますところはその程度政府のいわば手助けでよろしいかと思いますけれども、一番はなはだしい場合には、政府自身が物資を扱っております場合、これは理由があってそうしておることでございますが、最も競争が起こらない場でございます。ここはもう一番私どもが自分自身で注意をしてまいりませんと、競争がないんでございますから差益の還元が起こりにくうございます。物で申しますと、食管の物資でございますとか、専売公社でございますとかといったようなものはその種類に入るわけでございます。その中間にございますものが公益事業のようなものでございまして、これは半分公的な規制を受け、しかし半分は私企業的な経営をやっておるわけでございますから、こういうところについては、やはりこのたびの電気、ガスの問題にございますように、政府としても積極的に差益の還元が可能であるかどうかということを企業と話し合っていかなければならない。こういうふうにその企業の置かれております性格によりまして政府円高差益還元に対応する態度というものはおのおの違ったものでなければならないというふうに考えております。
  35. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 それでは長官、為替レートが百九十円で推移すると考えます。今年度は二六・五%の切り上げとなる。そうすると、これは物価を五・三五%引き下げる作用をするはずではないだろうか。しかるに物価は下がってない。たとえば、先ほど大森委員も指摘したし、それから今月の東京都の消費者物価指数を見ても、昨年の同月比で四・五%の上昇なんですね。全国でも七月の前年同月比では四・一%の増になっているわけです。いま長官が言われるような差益の還元が可能であるかどうかという点ではなくて、電気、ガスということについては可能であるということでもう進んでいるわけですから、そのほか私が言っているのは、石油製品であるとか、鉄、自動車、建設資材、配合飼料、具体的にはこういうものだって差益を得ている製品というものがあるわけですから、これらについての価格引き下げるという行政指導強化しなきゃならないじゃないか。その点はどうなんでしょうか。
  36. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 円高消費者物価水準との関係でございますけれども、もし仮定の問題といたしまして、わが国の一切の消費財がすべて輸入であるといたしました場合には、これは恐らく輸入価格の低落は、円高は消費財の価格の低落に真っすぐにつながっていくはずでございますが、御承知のように、わが国輸入体系は八割ほどが原材料でございまして、申し上げるまでもない御承知のとおりでございます。のみならず、消費者物価の中で非常に大きなウエートを占めております主食、米、野菜、果物等々は、まずほとんどの部分が国産でございますし、それからサービス料金、これ自身も申すまでもなく大きなウエートを占めておりながらいわゆる為替とは無関係のものでございますので、そのような事情から円高消費者物価に結びつきます結びつきは、わが国の場合には主として原材料、燃料が値下りしたことによる間接的な影響ということにならざるを得ない。これは西独等とかなり事情が違いますことは御承知のとおりでございますので、なかなか円高消費者物価とは結びつきにくい事情にあろうかと存じます。  ただいま御指摘になりましたうちで配合飼料、これはいわば原材料ではございませんけれども、非常にそれに近い形のものでございますから、配合飼料の価格引き下げというのは、過去において——最近もさようでございましたが、かなり何度か行われております。  それから、石油製品でございますが、これは自由経済の部分に入るわけでございますが、まずごらんのように、ガソリンなどは競争の結果もございましてかなり顕著に下がっております。問題があるといたしますとナフサでございますが、これも最近業界同士の話し合いができまして、恐らく二万二、三千円ではないかと思いますが、国際価格にかなり近いところまで下がってまいりました。  鉄につきましては、恐らくこれはかなりの輸出がございますので、原材料の輸入輸出とその関係がどのように消し合うかということでございますが、国内的には鉄の価格は下がってはおらないと存じます。これは実際には操業率が七割何分でございますから、装置産業でございますので、したがいまして単価がどうしても上がるという事情であろうかと、こんなふうに考えております。
  37. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 長官にさらにちょっと伺いますけれども、国民生活局が設けられて、一般消費者の保護に関する基本的な経済政策及び計画の総合調整、これを行うとされておりますね。長官のところに国民生活審議会、これが設置されているわけですけれども、これは具体的にいま幾つか指摘しましたようなことについてその審議会をお開きになって御検討になったことがあるのかどうか伺います。
  38. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいま御指摘のことは主として価格に関する問題でございますので、私どもの役所では価格関係物価安定推進会議の仕事にお願いをしてございまして、そこに部会がございます。そういう部会で御検討を願うということに考えております。
  39. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 これは国民生活にきわめて関係の深い問題ですから、やはり大臣の諮問に応じていくならばということで設置をされているわけですから、だから積極的にやはりお開きになって、あらゆる生活物資についてのそういう御指導をいただかなければならない、こういうふうに思うんです。  それから、長官、近く二日に経済閣僚会議でおやりになりますけれども、いまの御心境として、こういうような円高であるし、差益の還元もしなければならない、こういうような情勢でありますから、これについてはどういうふうにお考えになり、どういうふうな御決意がありますか、伺います。
  40. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 先ほど物価局長から申し上げました輸入物資の価格の追跡調査を毎月行うことになりましたのは、実は以前に開きました経済対策閣僚会議決定に基づくものでございますので、これはすでに決定をいたしてございます。そこで、この土曜日にいたします会議でございますが、まず電気、ガスの料金につきましては、具体的な還元方法につきまして最終決定を事実上いたしたい、形式的には申請が出てそれに対する答えをするわけでございますが、事実上決定をいたしたいと考えております。  それから、従来から何度も問題になっておりますのは牛肉でございます。これは畜産事業団があのような仕組みでございますから、還元の方法がやや間接的にならざるを得ないと存じますが、いわゆる輸入牛肉につきまして、指定販売店がより安価にこれを入手できるような市場の施設でありますとかいうようなものを畜産事業団の課徴金を利用してやっていきたいというのが農林水産大臣のお考え、そういうことを確認いたしてまいりたいと思います。  それから、ナフサにつきましては先ほど申し上げましたので一応処置が済んでおります。  航空運賃と国際電話料金につきましては、これは円高差益の問題ではないわけでございますけれども、いわゆる方向によりまして、つまり日本で買います場合、かけます場合、アメリカで買います場合、かけます場合、相当の格差がございまして、この問題をいかに処置するかということもこの土曜日には議論をいたしてみたいというふうに考えております。
  41. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 次に、電気、ガス関係についてお伺いをいたしたいと思いますが、関係省庁からお答えをいただきたいと思うんですが、先ほど大森委員も指摘をしましたように、わが党の試算によれば、為替差益の額は今年度分は電気については四千五百四十一億円、ガスについては六百七億円が見込まれている。通産省は、きのうの衆議院における物特委員会においても示されましたが、その差益の試算というもののわが党と石油業界それから公明党と、いろいろ数字が挙げられておりますが、過小評価しているんじゃないだろうかと、こういうような気がするんですけれども、この点について確認の意味でお答えをいただきたいと思います。
  42. 豊島格

    説明員(豊島格君) 為替差益の計算方法につきましては、あくまでも理論値でございますので、なかなかすり合わせがむずかしいわけでございますが、一応社会党と私どもが従来申し上げておりましたもの、それから昨日国会で申し上げましたものとの関係について申し上げますと、まあ従来通産省が為替差益と申し上げておりましたのが二千六百五十億ぐらいでございましょうか、社会党が四千五百億ですか、そのぐらいだと思います。一番大きく違っておりましたのは、重油、ナフサ等の国内製品に関する差益というものが入ってなかったということでございます。ただ、私ども昨日千億以上の国内製品のいわゆる間接差益があると、こう申し上げたわけでございますが、その差につきましてはこれはいろいろと突き合わせてみないとわからないわけですが、簡単に申しますと、社会党の計算方式は二百九十八円という料金織り込みのときの為替レートと二百円との差で重油の価格を一点想定してその差の分だけをはじき出しておられると思います。私どもは、実際問題として——これは理論値で実際下がっておるわけではない。と申しますのは、下がっておる数字が現実につかめるわけでない。と申しますのは、五十二年度の国内製品の価格はまだ仮払ということでございまして、決定しておりません。したがって、どのようにして推定するかと申しますと、他の業種等で一月−三月、四月−六月と為替の動きに応じてそれぞれ値決めがされておりまして、今後二百円で推移した場合どのくらいになるだろうかということで計算いたしますと、大体千億を超えるだろうということでございます。  なお、簡単に申しますと申して長くなって恐縮ですが、社会党が計算されておるように、重油価格が為替でそのまま下がっておるということは現実にはないわけでございまして、事実OPECの値上げがあれば重油価格は上がっております。それから値決めも市場、市況によって決まっておりまして、たとえば精製のコストの増分、その辺は差っ引かれて現実に決まっておりますので、これはどちらが正しいという議論をここでするつもりはございませんが、そういうものがカウントされてないというか、考慮されてないのではないかと思っております。なお、直接外貨建てで決済——ちょっと不正確でございますが、大体外貨にスライドしております生だき原油の問題その他につきましては基本的には同じだと思うんですが、OPECの値上がり分、これは料金コストに織り込まれておりませんので、その辺が違っておる、こういうことです。  ちょっと簡単でございましたが、ほか必要があれば補足させていただきます。
  43. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 それじゃさらに伺いますけれども、通産省の方は初めその差益を料金で還元するというようなことは言っていなかったんですね。ところがいまは還元すると、こういうふうに言い出しているんですけれども、これは通産省の自由裁量ということで解釈できるんですか。また、けさの毎日新聞、恐らく豊島部長さんもごらんになったと思いますけれども、ゆとりのある還元をしたい、こう言っているんですよ、あなたがね。これについて率直な感想をひとつ聞かしてください。
  44. 豊島格

    説明員(豊島格君) 二つ御質問があったと思いますが、前者についてお答えさしていただきますと、従来外貨建てでない国内の精製業者から買います重油、ナフサ等につきましては、いわゆる価格にスライド、為替相場にスライドして完全に決まっておるわけじゃない、両当事者のネゴで決まっておるわけでございまして、これは非常に把握しにくい問題であるということが第一点でございます。それからもう一つは、一−三月当時は一応鉄鋼その他決まっておりましたので、あの程度のものには下がるだろうという予測はできました。したがって私どもとしては、一−三月のベースで来年までいくということであれば五百億程度はあるだろうということでございますが、いわゆる狭い意味での差益でございませんので、これはコスト増が実は五十三年、五十四年ございますので、それとの相殺勘定ということで一応カウントしておったわけでございますが、その後も、まあ四—六月も決まるということでございまして、七—九月以降どうなるかということは保証の限りでないわけですが、この際思い切って下がるという見込みを立てて差益を間接的なものも取り上げようということでございますが、従来も全くカウントしてなかったわけじゃなくて、ある程度のものはカウントしておったわけでございます。  それから第二の点でございまして、私の昨日の答弁がいささか不明確といいますか、だったせいか、ゆとりのあるということを申し上げているようにございますが、私が昨日申し上げた点をそのまま言えと言われてもちょっとむずかしいのでございますが、大体申し上げますと、要するに差益につきましては目下検討中でございますので、直接的なものは従来二千六百五十億と、しかしそれから若干の上下はあろうかと思います。それから間接的なものは一千億以上ということで、両方で五十三年度はそれだけ足せば三千七百幾ら以上ということになろうかと思います。ただ、それを全部還元したのでは、五十四年度以降の料金の安定はもとより、五十三年度につきましても資本費の増高等コストの増がございますので経営の安定が得られないということで、そのコスト増は見込まざるを得ないと思います。なお、現在の為替がこのまま二百円以下——ドルについて以下でございますが、進むかどうかという保証もないし、OPECの値上げは必至であるという声も聞かれますので、その辺も全く無視するわけにはいかないということでございますが、そんなにたくさんゆとりをとったんでは下げる原資もなくなるんで、ぎりぎりのところどこまで見ればいいか、場合によっては余り見れないかもわかりませんが、そういうことで考えていく、ただ全部を変えるのではないということを御説明したのがそういうふうになったのでございます。
  45. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 それじゃ具体的にまだ幾つか問題を提起したいと思うんですけれども、御承知のとおりに、七月の三十一日に私ども政府に申し入れをしたことですね、これで、先ほども大森委員の質問に二十一条でというように、二十一条になんでこだわるのかというふうに私は思っているんですけれども、これはやっぱり不当なといいますか、表現が適切でないかもしれませんけれども、どうも自由裁量の範囲かあるいは法の不当な運用である、そういうふうに私は考えるんです。その点についてひとつ考え方をきちんとしておきたい、する必要がありますから、確認の意味でお答えをいただきたいと思います。  それから私は今日の状態というのはまさに電気事業法で言う二十三条、ガス事業法で十八条に言う「社会的経済的事情の変動により著しく不適当となり、公共の利益の増進に支障がある」、こういう事態であると。したがって、政府みずからもこの事態を認めるから還元ということを言ってきたんではないかと、こう思うんですが、その辺確認の意味で、何で二十一条にこだわるのか、その点を確認したいと思います。
  46. 豊島格

    説明員(豊島格君) まあいろいろな考え方もあるわけでございますので、私どももその辺のあたりは慎重にいろいろと検討したわけでございます。二十三条につきましては、経済、社会変動で著しく不適当となったときということでございまして、五十三年の差益だけを見ますと相当あるわけでございますが、五十四年にはコスト要因に消えるという問題もございますし、それをならして考えますと、それほど大きな、もちろん差益は全部返せればそういう価格でございますが、コスト増というのはある。それから、現在の為替相場が百九十円前後でございますが、これは必ず続くという保証もないわけでございまして、まあそれこれ考えますと、必ずしもいま時点で仮にOPECの値上げとか為替変動がないとしても、大体いま二年通じてやりますと、従来の考え方だと二%ぐらいということでございまして、それが大きく不適当になると、このまま続いていったとき不適当になるというほどのことは言い切れないんではないかと。従来の料金値上げ、四十九年、五十一年見ますと、五割とか二割ということであります。その曲安定していたときでも最低七%、六・何%ということがございました。まあ五%以下程度で著しく不適当か、しかも、為替もまた円安になるかもわからぬ。そのときに二十三条発動してはならないということではもちろんございませんが、発動するほどのことかどうかという点が一つ問題点でございました。  まあ、それだけではございませんで、先ほど大森委員の御質問にお答えしたわけでございますが、こういう為替がフラクチュエートしている時代に、一体為替レートをどこで見るのが適当であるか、あるいはどのくらいの期間を見たらいいのかという原価の算定方法につきましても相当議論のあるところでございます。料金制度そのものについても何か為替とスライドした方がいいという意見もあるわけでございまして、そういうことについてやるとすればある程度慎重に考えざるを得ないといいますか、そういう基本論をやった上でやるのが適当ではないかと、こういうふうに考えたわけです。しかし、そうは言っておりましても相当為替の還元の声も強いわけですから、この際臨時的かつ緊急の措置として二十一条でやりたいということにしたわけです。  なお、原価査定そのものを一定の仮定を設けていたしましても、従来の電気料金の値上げ等におきましても、相当公聴会等の手続という形式的なことだけでなく実質審議、原価の問題についてはいろいろと意見もございまして相当時間もかかるということで、結局とりあえず、まあ暫定的な措置として二十一条でやりたい。しかし、やる以上は国民が納得していただけるような線でやりたいということは当然でございまして、納得いくような数字を出して還元したいと思っております。
  47. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 どうもその辺が私どもも納得いかないし、国民も納得いかない点だと思うんですね。あなたね、二十一条というのは「供給規程により難い特別な事情がある場合」と、こうなっているわけでしょう。そうすると、現在までの適用というのは特約料金、まあ夜間休日料金とか震災地料金ぐらいじゃないんですか。だから、二十三条を発動して原価計算をきちんとしなければ、幾ら還元するのか、総括原価というものに基づかなければきちっとしたものが出てこないんじゃないですか。そういう金額がきちんとしない限り、これは私どもも試算しました、公明党さんもやっておられる、通産省もやる、石油業界もやる。数字の食い違いというのがあるのは当然じゃないですか。だからきちんとした総括原価で基本をきちっとしない限り、私どもは正確な数字は出てこない。私どもの数字がもし違っていると言うならば、違っている根拠をはっきりしなさい、そう言いたいんです。
  48. 豊島格

    説明員(豊島格君) まあ私の申し上げ方が悪かったかもわかりませんが、要するに総括原価のはじき方自身についても、これだけフラクチュエートしているときに一体幾らをとったらいいのか、二百円をとって二百円を保証することができるのかという、まあちょっと言い過ぎかもわかりませんが、百九十円をとるということは、国として百九十円から二百円の為替レートがいいと認めることになるわけでございまして、そういう原価のとり方一つとりましてもなかなかむずかしい問題があるということでございまして、したがって、為替の差益の額についてもう少し説明しろということ、はっきりさせたらということでございますが、それは私たちなりにはっきり申し上げている点もあるわけですが、その差益だけじゃなくて、コストのアップというのも計算をしなくちゃいけないわけです。  コストのアップにつきましては、各社会党、公明党、共産党、いろいろ全然触れられておりません。それはいまからの問題でございまして、コストアップにつきましてコストをどう見るか、燃料費以外でございますが、それについてもいろいろと過去の料金改定のときに時間もかかったわけでございまして、まあ時間を惜しむわけではございませんが、いわゆる原価のやりようにつきましても、一体為替を百九十円、二百円でやっていいのかどうかという問題もあるわけでございます。  そこで、この際は急いで返すということに、まあ国民の要望に早くこたえるという意味で二十一条を発動したいということでございまして、決してそれによって電気事業者の差益をといいますか、経理をあいまいにするわけでございませんで、電気事業者の経営につきましては十分監査、監督をいたしておりまして、配当をたとえばむだな配当をするとか、ボーナスを出すとか、むだな支出をするということについては厳に監視をしておりますので、それはもし、いろいろな決算を見て足りない場合もあると思いますが、余る場合もあるかもわからぬ。そこは想定の問題でございます。それは必ず長期的な料金の安定に充てればよろしいという感じを持っております。  なお、一体今後どうするのかという点につきましては、こういう時代におきましての料金算定のあり方、制度のあり方につきまして、この秋以降料金制度部会でとっくり検討をしていただきまして、その結果、来年度以降の料金についてはその方針に基づいてやりたい、いわゆる暫定的にできるだけ早く為替差益を還元したい、こういう趣旨に基づくものでございます。
  49. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 時間がありませんから、私の方で確認の意味お願いをしたいんですけれども、この政府に申し入れました三つの付記事項があります、これ。これを、時間がありませんから繰り返しませんが、こういうことを早急にやっていただけるかどうか、これを確認したいと思うんです。この1、2、3、とありますから、最後のですね。料金を下げることと公開と見解を示すという三つです。
  50. 豊島格

    説明員(豊島格君) 第一の二十三条第一項に基づく命令、申請変更命令を出すという点につきましては、私どもは二十一条の条文に従いまして電気事業者、及びガス事業者の場合は二十条でございますが、その申請を受けて認可するという方針でございます。  第二の原価査定に関する問題につきましては、われわれは料金算定の決定のときに主要な項目についてはすでに公開をしておるわけでございますが、やはり企業の秘密という単なる問題ではなく、燃料費その他につきましていわゆる国際的な取引もあるわけでございますので、非常に具体的な個々の取引の単価までを御説明する、そこまでの公開はなかなかむずかしいと思います。ただ、この問題につきましては、公益事業という重要な使命を帯びておりまして、疑惑があってはならないわけでございますから、納得のいく説明は対外的にできるように十分させる必要があると、われわれもわれわれの監査結果につきましても必要なものは納得いただくようなことは必要だと思います。さらに、一体どこまでそういう企業の内容を外にあらわすかということにつきましては、昨日来も議論があったんですが、電気事業審議会の場で少し検討していただいて、公益事業としてのやっぱり私企業としての独自性といいますか、経営を阻害しない範囲でどこまで出せるかは検討さしていただきたい、このように考えております。  第三の点でございますが、これはたしか駐留軍その他についての電気料金が不当になっているんじゃないかと、こういうお話ではなかったかと思いまして、ちょっと間違っていたら訂正さしていただきたいんですが、これにつきましては、従来からいわゆる公共事業として取り扱っておりまして、まあ対外的ないろいろな経緯から見ても、また現在の立場から見ても、決して不当なものではないというふうに理解いたしております。ちょっと急に、しばらく前なものでございますので、いまの私の記憶でそういうふうにお答えさしていただきます。
  51. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 時間がありませんから最後に、百十一条に「苦情の申出」がありますけれども、これどのぐらいいま来ておりますか。
  52. 豊島格

    説明員(豊島格君) 大変恐縮でございますが、何に関する——あらゆる苦情というふうに考えてよろしゅうございますか、それとも本件絡みということでございますか。
  53. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 これは電気事業法の百十一条ですから、「一般電気事業者の電気の供給又は」と、こう書いてあるその苦情です。かなり来ているはずですけれども、百十一条。
  54. 豊島格

    説明員(豊島格君) 大変準備不足で恐縮ですが、私、現在のところその数をちょっと手元にございませんので、後ほど報告さしていただきたいと思います。
  55. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 来ていることは来ているんでしょう。
  56. 豊島格

    説明員(豊島格君) 失礼しました。  細かいことといいますか、細かいこと大きいこといろいろあると思いますが、来ていることは事実だと思います。
  57. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 時間がありませんから、最後に、長官経済閣僚会議に臨む立場お願いを申し上げたいと思いますが、先ほど北海道調査の派遣報告もいたしましたし、北海道価格というような問題もあります。物価の安定もしかりであります。しかもいま国民が納得をする電気、ガス料金中心に差益の還元という、これほど国民が非常な関心を持っている事項でありますから、ぜひとも長官としてこれが実現については最大のひとつ御努力をいただき、国民が納得できるようなものにしていただきたい、これがお願いであります。  物価等の安定については、先ほど調査報告で申し上げましたとおり、ひとつこれらの実現についても長官の御決意を伺い、質問を終わりたいと思います。
  58. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 前段の点につきましては、御趣旨をよく踏まえまして経済対策閣僚会議に臨みたいと存じます。  なお、いわゆる北海道価格でございますが、これは戦後間もなくから今日まで何度も問題になりつつなかなか解消しない問題で、その都度いろいろ努力を私どもとしてもいたしてまいりました。先ほどの御出張の御報告にも再度御指摘がございました。十分北海道庁、各省庁とも連絡をとりながら、少しでもそういうものの解消に努力をいたしたいと存じます。
  59. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 終わります。
  60. 桑名義治

    ○桑名義治君 経済企画庁の試算によりますと、為替レートが一%下がれば卸売物価は〇・三%弱下がると、それと同時に消費者物価が〇・一強下がると、こういう計算がなされておるわけでございますが、今回、現在の段階を見てみますと、三八%の円高にもかかわらず、物価への反映が非常に不十分であると、こういうのが国民の一致した気持ちではなかろうかと、こういうふうに思うわけでございます。たとえば今月の東京区部の消費者物価指数は、前年同月比を見ましても四・五%、それから五十年に比べれば二四・一%と、こういうような上昇となっているわけでございます。今回、政府は電気とガス料金については据え置く期間を設けたり、あるいは一部還元をすると、こういうことが発表されているわけでございますが、その他の品物についてはどのようにお考えになっているか、基本的な考え方をまず述べていただきたいと思います。
  61. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 一部先ほど御答弁申し上げたことと重複をいたしますが、お許しをいただきまして、わが国の場合、御承知のように輸入の八割ぐらいは原材料でございまして、製品でありますとか主食でありますとか、農産物等々ほとんど、麦は別でございますが、いわゆる輸入は西独等に比べますと少のうございます。したがいまして、円高の差益というものの還元は卸売物価、原材料を通じてそれが消費者物価にはね返ってくるという形でしか起こり得ませんで、その間に確かに流通過程で消えるもの、いろんな事情で競争が阻害されてうまくいかないもの等々ございますけれども、やや時間をかけつつ、しかもある程度は途中で吸収されながらそれが消費者物価にあらわれる、こういうことであろうと思います。基本的には、したがいまして自由な競争が行われるような状況政府としてなお整備をしていくということ及び具体的な、代表的な輸入の消費物資につきましては追跡調査を行って、これを消費者にも公表をして、消費者にいわゆる賢い買い物をしてもらう、これは供給者に対しての一つの警告になるわけでございますが、基本的にはそういうことがよろしいのではないかと思っております。
  62. 桑名義治

    ○桑名義治君 方向づけとしては一応納得できるわけでございますが、しかし、製品の問題にしましてもこれはいろいろ問題があると思うんです。たとえばこれはよく論議になるわけでございますが、めがねのフレームあたりは輸入価格と比べた場合は六倍とか七倍とかいうようなことがしょっちゅう業界の中でも問題になっているというふうに言われているわけでございます。そういった立場から私は考えまして、現在の輸入製品については、これはもう当然一遍総点検をする必要があるのではないかと、こういうふうに思うわけでございますが、その点はどのようにお考えになりますか。
  63. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 過去において三回いたしました中で、大体どのような物を選べばいいかということが経験的にわかってまいりましたので、毎月いまいたしております調査の中でも、フレームなども入れまして大体代表的な、もし必要があれば物価局長から申し上げますが、代表的な品物を相当多く選んで、毎月毎月いたしたいと思っております。
  64. 桑名義治

    ○桑名義治君 たとえばこれは製品ではございませんけれども、水産物資の中でマグロ、タコ、エビ等の水産物でございますが、輸入価格が下落したにもかかわらず、なお依然として値上がりを続けていく、小売価格は値上がりを続けていると。一例を挙げますと、マグロについては第二次調査の結果では輸入価格は一キロ当たり百三十四円値下がりしているにもかかわらず、小売価格は逆に百六十円値上がりしていると。それから第三次調査では輸入価格は一キロ当たり二百六十四円値下がりしているのに、小売価格は逆に三十円値上がりしていると。ただ単なる調査だけではこれは何もならないと思うんですね。調査をしてどこに欠陥があり、どこに不当性があるかという、そういう完全な把握した上でのいわゆる行政指導というものが私は最も適切ではなかろうかと、こういうふうに思うわけでございますが、その点はどのようにお考えですか。
  65. 藤井直樹

    説明員藤井直樹君) 過去三回の調査の中で水産物、マグロ及びタコにつきまして、これが輸入価格が下がっておりまして小売価格が上がっているということで、その調査の結果につきましても私どもその点を指摘したわけでございます。ただ、四月時点調査が第三次調査でございますが、それを六月に発表いたしたわけですが、五月以降水産物のうちのマグロとエビにつきましては下がってきております。だんだんそういう輸入価格の低下というのが、需給緩和という問題ももちろんあるわけでございますけれども、それに反映してきたのではないかと思っております。ただ、エビについてはまだやはり高い状況でございます。そこでこの四月時点調査の際に農林水産省におきましても業界に対してその価格についての状況を見まして指導をいたしておりますし、さらにエビについては最近追跡調査をまた別途やって価格の動きについての実態をつかもうということで、現在もやっております。そういう意味で、調査をしっぱなしということではなくて、調査した品目の内容によりまして個別的に対策を考えていくということでやっております。
  66. 桑名義治

    ○桑名義治君 先ほどめがねのフレームの問題が出ましたが、めがねのフレームがどういう価格に下落してきたか。それから同時に、インスタントコーヒーというのはいまもう日本の国民の中では切っても切れないような関連になっているわけでございますが、第二次調査では輸入価格小売価格ともに上がっている。これは一応了解したとして、今回の調査では、原料のコーヒー豆の円建て輸入価格が昨年の十二月に比べまして二〇・六%下がっているわけですが、小売価格は逆に上がっておるというような結果が出ておるわけでございますが、この二つの点についてはどのようにお考えですか。
  67. 藤井直樹

    説明員藤井直樹君) めがねフレームにつきましては第二次調査の段階までは小売価格は変動いたしておりませんが、第三次調査の段階では、最終小売価格が第二次の段階で三万七千四百九十円でございましたのが第三次調査では三万一千七百円ということで、約五千七百円程度の値下がりがこの調査の結果出てきているわけでございます。このめがねフレームについては、流通の経路等については非常に特殊なものであったわけでございますが、最近いままでの流通ルートでなくて新しいルートがかなり出てきておりまして、これが非常に全体の小売価格に影響を与えてこういうことになっているのではないかと思っておりますが、通産省の方ではことしの流通構造調査といいますか、その調査品目にめがねフレームを選んでさらに調査をされるということでございますし、それから業界の方でも業界として流通の研究に乗り出していくということになっております。  それからインスタントコーヒーにつきましては、輸入価格の方はずうっと上がってきたのが、昨年の秋ピークに達しましてそれから下がってきております。そこで、ことしの四月の第三次調査では、円高の効果もございまして第一次調査時点の五十一年十二月に比べてやや低下するということになっております。一方、製品のコーヒーにつきましては、その以前の原料、すなわちブラジルの霜害の影響から非常に上がったということで、高いコーヒー豆の在庫を抱えていたこともあってそれが反映したわけですけれども、小売価格上昇をしてまいっておりまして、ことしの四月の小売価格は対五十一年の十二月に対しまして約七〇%ほどの上昇になっておると、そういうことでございます。そこで、第二次時点までは原料価格が高騰したということで小売価格が上がったということ、これはある程度理解できるというふうに思っておりましたけれども、この第三次調査の段階になりますと、やや原料輸入価格の方が下がってきているわけでございますので、小売価格についてもそれが反映することを私どもとしては期待しておりましたし、農林水産省におきましても関係業界を指導いたしまして、そして八月にメーカーの方が二三%ないし二五%の引き下げをしたと、そういうことで一応小売価格の方の値下がりが出てきているという状況でございます。
  68. 桑名義治

    ○桑名義治君 そこで、これは長官にお聞きしたいんですが、政府は、来月の二日に経済対策閣僚会議を開きまして差益還元具体策決定するという予定というふうに聞いております。で、総理がそういうふうに指示をしたというふうに聞いておるわけですが、そのときに国際航空運賃、国際電話料金あるいは輸入牛肉、小麦についても云々ということが発表されておりますし、その翌日に宮澤長官は閣議後の記者会見で還元策はむずかしいと、こういうふうに語っておられるわけですが、これは非常に消極的ではなかろうかというふうに私は大変失礼ですけれども感じたわけです。この新聞の記事を見てみますと、「「福田首相からできる限りやるように指示を受けたが、いずれもなかなか容易なことではなく困っている」と述べ、」云々と、こういうふうに新聞の記事としては載っているわけでございます。そういったこの記事の上から考えまして、宮澤長官は少し弱腰じゃなかろうかと、こういうふうに考えるわけでございますが、この点について宮澤長官の御決意のほどをまず伺っておきたいと思います。
  69. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 確かにそういうことを私申しましたので、この報道そのものは正確でございます。で、私が申そうといたしましたのは、電力料金、ガス料金につきましては、先ほどからお聞き及びのとおり、この九月二日に決定をいたしたいと考えております。これは事柄は少なくとも燃料費が下がっておるということできわめて明白でございます。その金額とか程度は別にいたしまして、事柄はきわめて明白で、かつ相当の金額であるということははっきりいたしておりますから問題は明確であると思います。  次に一つ一つ申し上げますと、小麦でございますが、これも小麦に関します限り輸入価格が下がりましたことははっきりいたしておりますが、他方で食管そのものが御承知のように大きな赤字を抱えております。それから農林水産大臣としては小麦の価格と米の価格との相関関係というものを米の消費を奨励するという意味から非常に関心をお持ちにならざるを得ない。小麦がさらに安くなるということは米の消費に差しさわりがあるという見解を持っておられまして、これも一理あることかと私思うものでございますから、これはなかなか簡単なことではない。  それから牛肉でございますが、これが全く自由に行われておりましたら、少なくとも円高差益というものは自由な輸入でございますと起こり得るわけでございますが、畜産事業団が間に入っております。そこでこの還元の方法というのはどうも非常に間接的にならざるを得ない。それはいわゆる指定販売店ができるだけ安く入手できるような市場機構でございますとか、そういうものを畜産事業団が助けてつくっていくというようなかなり迂回した方法にならざるを得ないと。これも時間のかかることであろうと存じます。  航空運賃と国際電電につきましては、これは厳密な意味で差益還元の問題ではないと考えております。問題がないわけではございません、問題はあるのでありますが、いわゆる差益還元の問題ではない。と申しますのは、もう御承知でいらっしゃろうと思いますが、日本航空自身は大体三割ぐらいが外貨収入であり、三割ぐらいが外貨支出であるということで、したがいましてそこからは差益というものがほとんど生じないような、もともとそういう経営をいたしております。強いて言えば、飛行機を買いましたドル債権の返済について差益が起こり得る程度でございます。国際電電はもっと極端でございまして、日本からかけます通話とアメリカからかけます通話、日米間の受けと入りとの量が同じでありますれば、これは日米間の支払い、受け取りは相殺されてなしになります。実際には少し日本から出ております通話が多うございますので、その差額についてであればこれは円高差益ということがあり得るわけでございますが、それは十億円内外のものでございますので、したがって国際電電についても一応世の中が想像されるような円高差益というものはそういう大きなものがあるわけではない。したがって、この二つ円高差益の問題ではございませんで、それと離れて、日本で買った航空運賃、アメリカで買った航空運賃、その二つの間の乖離、日本からかける電話、アメリカから日本にかける電話の料金の乖離、この問題をどうするかという別個の問題でございます。で、前者については、航空運賃につきましては、これはIATAの問題でございますから、運輸省としてはまずアメリカ側に若干の値上げをさせ、日本側が若干の値下げをして両方の乖離をなくそうということをこの秋に向かって努力をしようとしておるわけですが、IATAという合意の場を必要といたしますので、日本政府だけの意思できょうにもあすにもというわけにはまいらない、多少時間がかかるということでございます。  それから国際電電につきましては、これは国際電電自身の経理等から見て、いまの外国通話料金が一般に改定の余地があるかないか。国際電電の宇宙衛星でございますとか、海底ケーブルでございますとかの投資計画との関連で国際電電当局あるいは主務大臣がどうお考えになるかという問題でございますから、したがいまして、この航空運賃と国際電電につきましては問題があるのでございますけれども、円高差益としてこの部分を返せばいいというように問題が簡単でございませんのでかなりの時間がかかる、こういったような意味で私はなかなかすぐにはむずかしいということを申しましたわけでございます。
  70. 桑名義治

    ○桑名義治君 まあいろいろな困難性はあるかもしれませんが、しかし、こういった差益の問題につきましては国民の世論がもう完全に一致していると、吐き出せということに一致しているということは否めない事、実であります。それと同時に、こういった差益問題が出てきた。そこで、私たちはいまここで考えていかなければならない問題は、先ほどからの論議にもありますように、日本の国は原材料並びに——原材料はもうほとんどが輸入でございます。しかしながら、いままでは固定相場をとっておりました。ところが、現在は変動相場をとっています。そういったいわゆる為替の問題を見てみましても形が変わっているわけでございます。そういった立場から今後の経済活動の基礎である通貨、この変動性を採用している以上は何らかの一つのルールをつくるべきではないかというふうに考えるわけでございますが、その点については何かお考えございますか。
  71. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいまの問題は、為替差益の還元に関するルールというふうに承ります。  で、私は繰り返すようでございますが、基本的にはこれはもう明らかに輸入業者あるいはさらにそれを供給する業者は円高差益が何がしかあるということははっきりするわけでございますから、要は自由競争が行われておって、供給君たちの間で競争が行われてそれを吐き出すという形が私はわが国経済から言えば基本ではないかと思っていますので、そういう競争がなるべく行われやすいような状況をつくっていくということが一番大切なルールではないかと考えます。しかし、それは自由競争の行われる企業についてでございまして、先ほどからお話しの電力とかガスになりますと、これはある意味地域独占の企業でございますから、そこで競争ということは非常に行われにくい、あるいは行われない。そういう場合に、円高が生じたときにその料金をどうすべきかということは、今回のことは先ほど通産省から御説明のございましたように早急を要しますので、そういう行政措置をとりますけれども、今後何かルールが要るのではないかということは電気事業審議会を通じて検討をしていただく、通産大臣としてはその御意向のようでございます。
  72. 桑名義治

    ○桑名義治君 これは政府としても積極的な姿勢を示すべきではなかろうかと、こういうふうに思います。と申しますのは、こういったいわゆる公企体につきましては国民の監視の目が非常に強うございますし、それから公共料金の値上げをする場合にも同じことでございますが、大体値上げをするときには早急に値上げをするけれども、下げるときには大変ないわゆる労作業が必要であるし、また大きな運動が必要であるというような現在のこの体制に対して、国民の感情の中に大きないわゆる疑惑を植えつけることにもつながっていくんじゃないかという立場を考えますと、いまから先の行政の場としてスムーズに行政を進めていくためには、そういった一つのルール化というものがどうしても必要であろうと、こういうふうに私は考えるわけでございます。ただ単に電気やガスの問題ではなくて、今後の公共企業体一切に及ぶ一つの大きな問題点に大きくふくれ上がっていくおそれが十二分にあるというふうに私は思うわけでございまして、そういった立場からひとつ強力な御検討を願いたいと、こういうふうに思う次第でございます。その点について大臣の所見を伺っておきます。
  73. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 御指摘の点、ごもっともでございますので検討をさしていただきたいと思います。
  74. 桑名義治

    ○桑名義治君 次に、きのうあるいは先ほどからもいろいろと論議が続けられております電気とガスの問題について少し触れさしていただきたいと思います。  と申しますのは、この新聞でもあるいは通産省からいただいたデータの中にもございますが、五十三年度分のいわゆる差益の問題にしましても非常に大きな数字が出ているわけでございます。で、この問題につきましては、数字は違いますけれども、公明党あるいは社会党、通産省あるいは業界、この大体数字が似通ってきつつあることは事実でございます。しかし、その差益分を見ましてもお互いに四千億円を超えるというような数字が出ているわけでございますし、それから五十二年度につきましても九百二十五億円、あるいは五十一年度につきましても有徳を超えるというような差益分が発生をしているわけでございます。しかし、この今回の五十三年度の試算を見てみますと、大体五十三年度以降は平均二百円の為替レートが推移をした場合ということで試算がなされているわけでございますが、実際に為替の実勢レートというものは百九十円台で大体低迷をしているというのが現在のいわゆる姿でございます。そういった計算をしますと、さらに二百六十億円の為替差益が生ずる計算となるわけでございますが、この点について通産省が試算をしておられます為替差益額の評価は多少過小ではなかろうかというふうに考えるわけでございますが、その点どうでしょうか。
  75. 豊島格

    説明員(豊島格君) 確かに現在の為替レート、きょうは存じませんが大体百九十円前後と、きのうは百九十四円ぐらいまで行ったと思います。したがって、それを前提としますと、十円でまあわれわれの計算ですと三百五十億ですか、それがあと残りの期間ということで二百六十億ということではないかと思うんですが、ただ現在の百九十円というベースにつきましては、私ども通産大臣が常に申し上げておりますように、非常に異常であって、むしろ円の割り高という事態だ、こういう事態は避けなければいけないということで緊急輸入とか景気対策をやっておるわけでございまして、こういう政府挙げて非常に異常であると、もちろん変動相場制でございますので、その相場動向というのも問題だと思いますが、いまの事態では、むしろそういう感覚で現在の経済政策が行われているときでございますので、これをとるということはわれわれとしてはいかがか。むしろ二百円そのものにつきましてもいろいろと議論のあるところでございますが、これはどこかに決めなくては計算ができないということで、一応過去三カ月ぐらいの平均をやりますと大体そのぐらいになるので、この数字を採用したということでございまして、私ども二百円は非常に日本にとっていい為替レートであると、あるいは将来もこれで続くであろうということを想定しておるわけではないわけでございます。
  76. 桑名義治

    ○桑名義治君 では、通産省としては現在の為替レートは幾らが大体適切だというふうにお考えになっていらっしゃるわけですか。  西ドイツあたりのマルクあるいはスイス、こういった通貨の値上がり、これは長年にわたってずうっと上がってきているわけですが、円の場合は急激に上がったということで大きな衝撃を日本経済界に与えたわけでございますが、そういった過去のデータ、西ドイツあるいはスイスあたりと比較した場合にはまだまだ日本の円は高くなるんじゃないかということを予想しても、これが無理な予想ではないというふうに考えるわけですが、そういった立場から通産省としては大体どのくらいが本当の、いわゆるその適正なレートであろうというふうに想定をされているわけですか。
  77. 豊島格

    説明員(豊島格君) 私ども資源エネルギー庁におりまして、直接通産省を代表して為替レートを云々する立場にございませんし、まあ為替レート自身がどれが正しいかということは役所の立場からも仮に担当であってもなかなか申し上げにくいと思いますが、現在、率直に言ってやっぱり二百円を下回るドルといいますか、は異常に高いと、もう少し上のところだろうと私は個人的に考えておりますが、通産省としてという御意見であれば申し上げかねるということでございます。
  78. 桑名義治

    ○桑名義治君 しかし各国の例から見て、いわゆる西ドイツの経済力、日本経済力、そういったいわゆる経済力の比較、それから過去数十年間におけるいわゆる為替レートの動き、そういった立場から見た場合には百九十円、百八十円になっても決しておかしくないわけですね、現実に、そういう立場から見た場合は。だからいまから先の日本の、現在の経済動向等を見ましても、実際に二百円というのはまだまだこれはずうっと割り込んでいくんじゃないかというふうに、上がっていくんじゃないかというふうに私たちは思わざるを得ないわけです。通産省として無理ならば、あなたの私見として伺っておきましょう。
  79. 豊島格

    説明員(豊島格君) 大変不得意な点を御質問いただきましたので何ともお答えできないんですが、為替相場そのものにつきましては、私は過去に外国にいたこともありますし、よく見ておるんですが、何が正しいかということとどうなるかということは全く別の問題でございまして、その辺のところを、そうなるのが正しいということでは決してない。もうちょっと長期的に見なくちゃいけないということで、私自身は、もちろん百九十円をさらに下回るという事態が生じないということはあり得ない、それはあらゆることが生じ得ると思うんですが、正しい姿としては、それは先の先の将来と言えばまた別かと思いますが、当面の問題としては二百円以下にドルがなっているというのはいかにもドルが安い、円が高いという感じは持っております。ただ、どうなるかについてはまことにもってだれも言えないことではないかと思います。
  80. 桑名義治

    ○桑名義治君 大変にむずかしい質問をして申しわけございませんでしたけれども、実際に二百六十円あたりのときには絶対に二百二十円なんというのはないだろうというふうに言われておった。ところが二百二十円を予測したような週刊誌も出てきたわけですけれども、それも全く根拠のないいわゆる算定ではなくて、実際に多少そういういろいろな根拠のある立場からそういうふうなことが言われたわけですが、そうすると一気に二百二十円になり、二百円になり、百八十円台になってしまったというような動きから見た場合、それからドル防衛ということでアメリカが多少動き始めました。一時ドルが盛り返したわけですが、また依然としてドルは下降線をたどり始めたというような情勢から、二百円台というものはこれで計算をすればちょっと安過ぎたんじゃなかろうかというような気がするわけでございます。  そこでこの問題は、実際に御専門じゃなくて、本来ならば大蔵省といろいろ言うのが筋だっただろうと思いますが、業界の説明によりますと、還元額は為替レートが二百二十円から二百円に下がった分の差益と国内で購入する重油の値下がり分を加えた額、これ千五百億だけを原資として残額は五十四年度の料金据え置き原資としているわけでございます。しかしながら、通産省の試算によると五十四年度の為替差益は三千億円というふうになっているわけでございますが、電力会社の収支は単年度でも五十億円の黒字となっているわけでございます。無理して今年度の為替差益を来年度に繰り越す必要はないというふうに思うわけでございますが、この点についてはどのようにお考えですか。
  81. 豊島格

    説明員(豊島格君) まあ幾つかの事柄が混在しておりますのでちょっとブレークダウンして御説明さしていただきたいと思いますが、還元額を二百二十円から以下二百円までということで現在業界が考えておるわけではございません。若干誤解があったかと思いますが、ことしの四月、二百二十円ベースのときに五十四年度まで据え置きということを政府として関係閣僚会議決定していただいたわけでございます。したがって五十四年度まで据え置きということを前提にしてなおかつやれるというのは、それから下、下がった分であろうという一応の考え方はできるわけですが、現在業界として話し合っておりますことは、二百円という為替相場が続くものとして現在差益として計算できるのはどれだけあるか。それに対して五十三年度のコスト増あるいは五十四年度のコスト増等を考えて、五十四年度における若干の変動要因を考えて、五十四年度の料金を据え置けるのにどれだけのものを控除したら五十四年度据え置きが可能であろうかということを前提として計算をしておりまして、千五百億円とか、こういう数字では決してございません。これはいろいろな憶測その他もございまして出たわけでございますが、われわれはこういうことを考えているわけではございません。   〔理事渋谷邦彦君退席、委員長着席〕  それから第二の御質問の点は、ちょっと私……
  82. 桑名義治

    ○桑名義治君 通産省の試算で五十四年度の為替差益が三千億円となっていますね。
  83. 豊島格

    説明員(豊島格君) わかりました。それで五十四年度につきましては、一応われわれの試算では五十億ぐらいの黒ということになっておりますが、実は業界で試算すると相当の、そう大きくはないんですが、大体二百円ベースでいったときの五十四年度の差益というものを使ってもなおかつ赤字という数字が出ておりまして、この辺のところは詰めていかなくちゃいけないと思いますが、五十四年度につきましては、御承知のようにOPECの値上げというものを全く無視するわけにはいかない現状でございますし、為替も二百円そのものが続くかどうか。まあ先生のお話のように百八十円になるというか、百六十円になるというお話もございますが、若干の変動要因もあるので、五十四年度を据え置くためには、据え置く範囲でと言いますと五十三年度で返せるのにはおのずから限界がある。五十四年度のためにたくさんとっておくということでは決してございません。そういう意味で、別に千五百億というこういう小さな数字と——小さいかどうか、主観的に申し上げちゃいけませんが、別の数字を考えておるわけで、五十四年度は何とかしていろいろなことがあっても据え置けるようなバッファーはある程度確保したいという程度意味でございます。
  84. 桑名義治

    ○桑名義治君 通産省の九電力会社の収支見通し計算では、重油の価格を本年三月末の価格で計算をしておるわけでございますが、その後の大幅な重油の値下がり、たとえばC重油は一キロリットル当たり本年三月には二万三千三百円、これが八月の先週末では二万一千五百円と一千八百円、率にして七・七%下がっているわけでございます。また五十二年度の差益を別途積立金として四百四十八億円を繰り越しております。もし五十三年度の大幅な為替差益と五十二年度分の繰り越し分を合わせれば、五十四年度はもちろんのこと、五十五年度も電気料金を据え置けるのではないかというふうに思うわけでございますが、この点はどうでしょうか。
  85. 豊島格

    説明員(豊島格君) 五十五年度の原価がどうなるかということは計算をしておらないわけでございますが、現行料金は大体五十一年、五十二年の原価をはじいてやっておりまして、料金の伸びというのは六%前後と、収入の伸びですね。それに対してコストの伸びというのは大体このところ一〇%ぐらいということでギャップが出るわけです。したがいまして、五十四年度については為替差益として計算する額は五十三年度より大きくなるはずでございます。そういう計算を私どもしております。それにもかかわらずほとんど差益が残らない。五十億という数字が正しいか、もっとふえるかもわかりません。ほとんど残らない。こういう状態でございますので、さらにこれを五十五年度に延ばせば、まあ会社によっての差はあると思いますが、さらにそのコストと収入のギャップは広がるということでございまして、もちろん今後の為替相場の変動等、いろいろなファクターがありますので簡単に即断することはできませんが、どちらかと言うと五十四年度のものを使ってもなかなかむずかしいのが現状ではないか。もちろん可能であればできるだけ延ばすということが必要ですが、五十四年度の据え置きがどちらかと言えばやっとではないかと私どもは思っております。この点については必ずしも正確な計算をしているわけではございません。
  86. 桑名義治

    ○桑名義治君 それからもう一つ、やっぱり議論をしておかなければならない問題があるわけでございますが、それは結局繰越金の問題でございます。  なぜ繰越金の問題をこういうふうに言うかと申しますと、五十二年度の為替差益は九百二十五億円、ところが税を差し引いた後は四百四十八億円、こういうふうになるわけです。実際にこの差益を税で持っていくのが正しいのか、それとも全部それ吐き出してしまうのが正しいのか、そこら辺のいわゆる考え方が一つ出てくるのではないかと思うんです。たとえば五十一年度を見てみますと、九社で百三十九億円という金が出ているわけです。そういう税に引かれるんではなくて満杯でいわゆる還元をするかどうかという問題が一つと、それからもう一つは、五十二年度分の税引きの四百四十八億円と五十一年度分の税引きの九社で百三十九億円、こういった差益分を今後どういうふうに取り扱い、どういうふうに考えていくのかというこういう問題がまだ残っているのではないかと、こういうふうに思うのでございますが、この点についてはどういうふうにお考えでございますか。
  87. 豊島格

    説明員(豊島格君) 税で持っていくのがいいのかどうかということでございまして、これは余り私が申し上げる筋合いのものじゃないかと思いますが、税金で半分持っていかれればそれだけ国の税収がふえるわけでございまして、国の財政が一定の必要額であればそれだけ税を取るのを少なくて済むというこういう理論になるわけで、ある意味では電気を使用する者ということでなくて国民全体に還元されているという見方もできるとは思うんです。ただ、それよりは使っている者に切実なので返せということもあろうかと思いますので、そういう意味でできるだけのものは五十三年度には、まあコスト増とか若干のバッファーを見込んで還元するということでいま作業を進めておるわけです。  なお、五十二年度の差益をどうするかということでございますが、これは五十二年度の決算において一応税を引いてまあ会計処理をされておるわけで、これを取り崩すとなると株主総会を開かなくちゃいけないということが一つと、それから、これはいわゆる利益準備金的なものでございますので、取り崩すとすれば、将来料金を値上げしないために赤字になると、配当ができなくなるときにそれの財源に充てるという方がどちらかと言うとまあ絶対という議論はございませんが素直になると、そういうかっこうで五十四年度以降の料金の引き上げを抑えることに使うのが、五十一年、二年含めてでございますが、より一般的な方法ではないかというふうに考えまして、今回の特別措置、臨時措置では五十二年度の差益、別途積立金につきましては五十四年度以降の料金安定に使うと、こういう考え方をとったわけでございます。
  88. 桑名義治

    ○桑名義治君 そういうふうにお考えになったんでしょうけれども、先ほど申し上げましたように、五十二年度が四百四十八億円、これは税金を引いた後でございますし、五十一年度は九社で百三十九億円、これもやっぱり同じように税を引いた後にこういうふうな差益分が残っているわけでございます。しかし、これはもう会計上の処理は全部終わっておりますので。  で、まあ非常に今後これをどうするかという問題は、吐き出せとかなんとかいう問題は非常にむずかしい問題になるわけですけれども、しかし、こういうことが今後もずっと、この為替レートのの動きによっては、こういう余剰金というものが非常に大きな差になってくるということも当然考えられるわけですね。したがって、いわゆるいまからの——為替レートが非常に大きな変動を示している現今でございますので、二百円なら幾ら、百八十円なら幾ら、百九十円なら幾ら、少なくとも三段階ぐらいの試算は一応すべきではなかろうかというふうに考えるわけです。そうすれば国民の皆さん方もこれはすっきりした姿で受けとめることができるんじゃなかろうかというふうに考えるわけですが、その点はどういうようにお考えですか。
  89. 豊島格

    説明員(豊島格君) 試算といたしましては、いろいろと私どももできると思いますし、して、幾らぐらいあるという計算は一応できるわけでございますし、そうしろとおっしゃればそういうこともやぶさかでございません。現に料金を幾ら割り引くかというときに、どの数字をとるかということで、二百円についてもいろいろ問題があると思いますが、一応の基準としてとったわけで、百八十円その他試算はいたすと、大体われわれとしてはだんだん月がたちますと残りの五十三年が短くなりますのでむずかしいのですが、大体一円でフルに年間にすれば三十四億ぐらいということはかねてお示ししておるわけでございますから、フルに年間二十円下がれば六百八十億円と、それが月割りで幾らということははっきりしております。  それから非常にむずかしいのは、重油、間接的なものでございまして、この点につきましては非常にややこしい計算でございますが、それにつきましては、まあやるとすれば今後——いま計算中でございまして、どういうふうに計算するかということであろうかと思います。  しかし、いずれにしましても今回割り引くものにつきましてはいろいろな数字では困るわけでございまして、一応二百円ということでやってみたいと思っております。
  90. 桑名義治

    ○桑名義治君 私はガス料金あるいは電気料金、こういう料金等につきましては、いままでの戦後の日本経済情勢あるいは物価の情勢から考えまして、上がることはあっても下がることはないという、そういう一つの仮定の中で料金が決められておった、あるいはそういう料金体系になっておった。そこら辺に私は今回の問題のもたもたした大きな原因があるんじゃなかろうかというふうに考えるわけです。こういう変動相場制になった以上は、いまから先は上がることもあるけれども下がることもある。下がるいわゆる対応というものが即刻できるようなそういう体制を固めておかなければならぬというふうに私は考えるわけでございますが、その点どうでしょうか。
  91. 豊島格

    説明員(豊島格君) 先ほど宮澤長官からも御紹介がありましたが、この為替変動制のもとといいますか、経済激動の中で、一体公共料金の代表的な一つでございます電気料金のあり方というものにつきましては、今秋以降の電気事業審議会の料金制度部会で各委員の先生方の御意見をいただいてその結論を十分踏まえてやっていきたいと、こういうふうに考えております。
  92. 桑名義治

    ○桑名義治君 これ通告してなかったんですが、ちょっと石油の問題についてお聞きをしたいんですが、よろしゅうございますか。
  93. 豊島格

    説明員(豊島格君) 先ほどまで石油部長おったのでございますが、実は通告がないんで帰らしていただいて、私ちょっとお答えできないということでございますので、恐縮でございますが。
  94. 桑名義治

    ○桑名義治君 そうですか。では、しゃべるだけにしておきます。  と申しますのは、実は末端のいわゆるスタンド業者の方から最近ガソリンとそれから灯油について値上げをしてくれというふうに連絡があったというんです。たとえば一リッターが七十七円から七十八円で大体福岡県は仕入れておったそうです。ところが八十円以上にしてもらいたいというようないわゆる口頭の通知があったということでございます。それからさらに、最近ガソリンが非常に品不足を来しつつあると。したがいまして、業転はもういますでにゼロだというんですね。お互いにスタンド同士でガソリンはないかないかということで、持っていると思われるスタンドの方にしょっちゅう連絡があるという話があるんです。これはまあどういうことだろうかと思いましてきょうここでぜひ聞いておきたいと、こういうふうに思っておったわけです。それと同時に、灯油につきましても同じように品不足のいま様相を呈してきたと、もちろん消費者までの段階はそこまでいっておりませんが、そういう末端の小売業者、いわゆるスタンドのところにはすでにそういうふうな声があちらこちらから上がってきたと、きょうちょっと電話連絡をしてみましたら、やはり一キロリットル当たり灯油も五百円今回は値上げをしてほしいというようないわゆる連絡が入ったと、こういうふうにきょう私出る前に電話してきたんですが、本人から聞いたんですから間違いないと思いますが、そういうふうに言われております。それと同時に、ここで特に考えなければならない問題は、出光石油が十八リッター、末端価格でございますが、十八リッターに対して二十円程度の値下げができるということを発表されているわけですが、それとほとんど時を同じゅうしてこういうふうな値上げの問題が元売りからスタンドの方に入ってくるということになれば、時期も時期ですし、これは非常に問題じゃなかろうかと、こういうふうに思っているわけでございます。  そこで、そういう業界の方々とこの前も地元で話し合いをしたんですが、九月末までにいわゆる通産省の言っておられるようないわゆる灯油の備蓄が果たして可能であろうかどうか、恐らくいまの状態では不可能ではないか、あるいはまた業界がこういった状態の中でむしろ値上げを策しているんじゃなかろうかというような、そういう声さえも上がってきていることは事実なんです。したがって、この問題についてどういうふうな指導をなさっているのか、あるいはこういった実態を御存じなのか、これをお聞きをしておきたかったと同時に、出光石油が末端価格で十八リッターに対して二十円の値下げをするということに対して、他のいわゆる卸業者もこれに右へならえをするのかどうか、あるいはまた、これがこういった問題に対して政府としてそういうふうな行政指導を今後やっていこうとお考えになっているかどうか、この点について伺っておきたかったわけですが、まあ専門官がおられないということでございますので具体的なお話は無理かとも思いますが、最後の、いわゆる出光石油が末端価格の一かんで二十円の値下げという問題、これに石へならえするような方向に行政指導するというこの問題については、長官でもある程度お答えができるんじゃなかろうかと、こういうふうに思うわけでございますが、この点どうでございますか。
  95. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) この点は、御指摘が行政が指導するかどうかというお尋ねでございますので、やはり通産大臣にかわりまして私がお答えを申し上げるわけにはまいりませんので、お許しをいただきたいと思います。
  96. 桑名義治

    ○桑名義治君 経企庁長官としては、こういうふうな時期でもございますし、いまから寒さに向かうときでもございますので、出光石油、これが差益分の還元が少ないかどうかは別にして、下げるということについては、これは非常に喜ばしいことだと思うんです。したがいまして、そういう方向で通産大臣お話し合いをするかどうかという点を伺っておきたいと思うんですが、どうでしょうか。
  97. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) そういう報道は私も存じておりますけれども、その具体的な背景、内容等々もうひとつ直接に伺っておりませんものでございますから、ちょっと私から何とも申し上げかねます。桑名委員からそのようなお尋ねがございましたことは私から通産大臣にお伝えいたします。
  98. 桑名義治

    ○桑名義治君 では、もう時間が余りございませんので簡単に。  先ほど長官からも簡単な御説明がございましたいわゆる国際航空運賃の問題、国際電信電話料金の問題、この問題について簡単にもう一遍ちょっとお尋ねをしておきたいと思います。  円高によりまして国際航空運賃はまあ非常に不合理になっておることはもう承知の事実でございます。サンフランシスコ−東京が、東京発であるならば十四万八千六百円、それから相手国の発ならば五百二ドルですから、実勢レートから考えますと、百九十二円の計算でしますと九万六千三百八十四円、こういうふうになっているわけでございますが、——運輸省来ておられますか——運輸省はこの問題に対しまして具体的にはどういうふうに処置をしようとお考えになっていらっしゃるわけですか。
  99. 早川章

    説明員(早川章君) 先生御指摘のとおり、現在為替格差といいますか、円高によりましてかなりの方向別の格差が生じておりますことは先生御指摘のとおりでございます。これは、もともとは運賃はドル建て、あるいはドル、あるいはポンドという基礎通貨でいわば同じだったわけでございますけれども、四十八年二月以来の大幅な、いわば為替変動ということで、暫定措置として現地建て通貨で運賃を建てるという制度になっておりまして、現在までそういうことで推移してきているわけでございます。そこで、しかし方向別格差が非常に問題であるということで、昨年の十一月十八日付で日本発運賃の四%の引き下げを行いました。さらに本年六月十九日付、実施は七月一日からということで、米国あるいは欧州関係あるいは東南アジア関係の運賃につきまして一部引き上げ——ドル建ての、あるいは現地通貨建ての運賃の引き上げあるいはサーチャージを課するという形のものを、IATAの協定ができましたので、それを認可いたしまして、そういう形で円建て運賃を引き下げ、現地建て運賃を引き上げるという形で対処いたそうとしたわけでございますが、欧州につきましては、たとえば西独、フランスあるいは英国政府がいずれもこれらを認可いたしましてそういう現地通貨建て運賃の引き上げが実現いたしましたが、米国あるいは韓国、豪州はつきましては、この運賃の引き上げがいまだに認められていない、あるいは却下になっているという状況でございまして、その点、いまだ十分なる方向別格差の是正が行われていない。こういう現地通貨建ての運賃につきましては、今後なお引き続き関係国に働きかけていきたい、こういうことで現在対処しております。
  100. 桑名義治

    ○桑名義治君 で、いま申し上げましたように、東京−サンフランシスコ、この間の格差が余りにもひど過ぎるものですからね。確かにヨーロッパ諸国との話し合いはついたというお話でございますが、アメリカとの話し合いが、もしこれずっと、まあ今後半年なら半年つかないとした場合、これは強行するわけにはいかないわけですか、協定の上からいうと。
  101. 早川章

    説明員(早川章君) 現在、いずれの国の関係もそうでございますが、航空運賃につきましては関係両国の政府の航空当局の認可が要件になっております。したがいまして、日本政府の一方的な措置ではその運賃は発効いたしませんので、その運賃を強行するという形のものは不可能だと思います。
  102. 桑名義治

    ○桑名義治君 そうしますと、そういった値下げ、こちらの円建ての値下げ、ドル建ての値上げと、こういう話し合いを持ち込んでいるようでございますが、現在の段階ではアメリカの感触はどうでしょうかね。絶対にだめだという返事が来ているわけですか。それとももう少し検討さしてくれという返事が来ているわけですか。その点どうでしょうか。
  103. 早川章

    説明員(早川章君) 米国の航空当局——CABでございますが、これは七月二十五日付でそのIATAの協定を却下いたしておるわけです。したがいまして、現在、この七月一日から行おうとした現地通貨建ての運賃の値上げそのものを今後さらにどうこうということは実際不可能である。したがいまして、今後さらにこれはこの秋にIATAの運送会議が開かれまして、今後再度太平洋なり何なりの航空運賃を議論し合う場がございますが、その際どのような新しい協定を成立させ、さらにその協定について米国政府にどのように働きかけていくか、あるいは協定をIATA会議決定するに際しまして、米国政府のいろんな感触をどの程度取り入れ、あるいは向こうの政府の認可のしやすいような形の運賃に持っていくかということが今後の残された課題であるというふうに考えております。
  104. 桑名義治

    ○桑名義治君 米国政府はそういうふうに却下したというふうで、ヨーロッパはこれを認可したということであるならば、ヨーロッパのいわゆる諸国の米国に対する考え方というものはどういう考え方を持っているようですか。
  105. 早川章

    説明員(早川章君) これは戦後ずっとでございますけれども、米国は常に自国の航空企業が非常に強大でございまして、競争をしても全く負けることがないという背景から、常に低運賃と申しますか、あるいは運賃自由、輸送力の自由という方針で一貫して対処しております。それに対しまして、英国以下欧州諸国は、常にアメリカの航空企業の勢力をなるべく何とか抑え込んで、自国の航空企業の権益を確保できるようにもっていくというのが一貫した政策でございましたけれども、最近におきましては、大西洋の航空運賃というのはチャーターの導入その他によりましてかなり低下いたしております。そういうところで逆にイギリス側の航空企業等がかなり割り安な運賃をもって大西洋に乗り込むというような事態もございまして、ある程度自由化というものを進めていきながら、その間、アメリカ国内のポイントと申しますか、地点に乗り入れ権を取っていくというような方向を目指す国も一、二出てきているというふうに見ております。
  106. 桑名義治

    ○桑名義治君 協定があるものですから、非常にむずかしい問題だろうと思いますが、今後とも、どう考えましてもこのバランスはちょっとおかしいと思うんですね、努力を続けていっていただきたいと思います。  それから国際電信電話の料金の問題についても同じことが言えると思うんですが、とにかく三分間で、こちらからかける場合には三千二百四十円、米国からこちらにかける場合には実勢ドル百九十円とすれば千七百十円、半額に近い格差ができているわけでして、これも航空料金と同じように当然是正していかなければならない問題だと思うんですが、いまどういうふうな経過になっていますか。
  107. 米沢允克

    説明員(米沢允克君) ただいまお話しの電話料金の格差でございますが、これは通貨変動に伴いまして、日本アメリカだけでなく、世界各国において通貨の強い国と通貨が弱い国との間でこういう格差の問題が生じてきております。この問題につきましてもいろいろ検討を重ねているわけでありますが、先ほども長官からのお話ございましたように、この通貨変動によってKDD——国際電信電話株式会社が差益を享受する、差益を得るというふうな形にはなっていない仕組みになっているところがございます。したがいまして、この通貨変動に伴う格差を埋めるために、一方で値下げするためには片一方でまた値上げをして収入を得る道というのがまたあればともかく、それを下げますためには大きな減収をかぶらなければならないといったような問題が一つございます。  それからもう一点、この通貨変動の強い国——強い国と申しますのは、通貨の強い国と弱い国というのが近隣で起こったり、あるいは遠いところの方が通貨が強くて、近いところが通貨が弱かったりいろいろ出てまいります。その通貨変動に伴ってその値が変わってくるわけでありますが、為替レートを掛けて出しますと日本円との比較がいろいろ出るわけでありますが、それに応じて料金を決めてまいりますと、近隣諸国で差ができるとか、あるいは遠い国が近い国より安い料金になるといった料金体系のアンバランスといったような問題も生じてくるわけであります。  こういった問題から、ただいま世界各国あるいは日本がこういうふうな問題で非常に議論が行われているわけでございますが、これに手を打って格差をなくしていくという問題についてはなかなか困難な問題となっているわけでございます。そういった問題を踏まえまして、いまなおこれらの問題について検討を重ねているというわけでございます。
  108. 桑名義治

    ○桑名義治君 では、もう時間もなくなりましたので簡単に申し上げますが、いわゆる国際通信料金については、かける場所によって料金がもう非常に、こんなに格差がある、二倍に近い格差があるということは、結局固定相場制の三百六十円の時代からそのままにしておったところに私は一番問題があるんじゃなかろうかというふうに考えるわけですが、当然そのとき、こういう協定の中身を変えるという話し合いをする一つの時期ではなかったか。そのときに放置しておったためにこのような結果が出てきたんじゃなかろうかというふうに考えざるを得ないわけです。だからその点、どういうふうな対応をしてきたか、お聞かせ願いたいと思います。  これで終わりたいと思います。
  109. 米沢允克

    説明員(米沢允克君) 電話の料金につきましては、これは御承知のとおり、まず金フランを単位としまして事業者間で協定をいたしまして、その金フランをもとにいたしまして——この金フランで協定した料金は事業者間の決済に使われる料金として使われております。で、各国が利用者からこの料金を徴収するに当たりましては、これは先生先ほどおっしゃられましたように、金に対して通貨の価値がリンクしておった時代、固定しておった時代にはきわめてバランスがとれておったわけでございます。しかし現在、通貨と金との間のリンクが切れる、あるいはバランスがとれなくなるという状況になってまいりますと、各国の間におきましてお客様からいただく、支払いを受ける料金は各国が国内法令によって定めるというふうな形になってまいりまして、各国がおのおの自国の事情、いろいろ収支状況とかあるいは物価とか、そういったものを考えながら決めていっている状況が出てきているわけでございます。  日本の場合には、公衆電気通信法に基づきまして金フランを、その換算割合を掛けて、日本の通貨にいたしてきているわけでございますが、いま申し上げましたように、金フランと各国の通貨とのリンクというものが切れてきた、それに対してかわるものは何かということが、これはきわめて非常にむずかしい問題になってきております。そして各国がこの同じような価格にするにつきましては、おのおの各国の事情が異なっている。さらにまた、各国は自分のお客様から自国において取る料金については国内問題であるという認識をきわめて強く持っております。したがいまして、現在のように通貨の価値が従来の固定相場制度から非常に変わってきている状況下において、各国間でこういった体制を、通貨の価値が金でリンクするようなそういう一つの価値にリンクするような協力体制をとっていくということは、いま非常にむずかしい時期でございます。したがいまして、これは私どもの努力が足りる足りないということ以上に、なおこういった問題にはよく検討を加えてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  110. 渡辺武

    ○渡辺武君 私は最初に電力、ガスの為替差益還元の問題について伺いたいと思うんです。  政府が今回やっと重い腰を上げて差益の還元に踏み切ったということについては、私は、やはり世論の厳しい追及の成果がそういう形であらわれたんじゃないかというふうに考えております。前国会で私、この物価特別委員会及びその他の委員会でもこの問題を中心的に取り上げて、いわば論争の口火を切った一人として、政府の今回の態度を、当然のことではありますが若干遅きに失したという印象を持たざるを得ないわけです。しかし、今回の政府のとられた措置は私はきわめて不十分な措置だというふうに考えざるを得ません。私自身が不満だけでなくて、私は国民の大多数の方も不満を持っていらっしゃると思う。これからその二、三点について的をしぼって伺いたいと思うんです。  まず第一点は、五十三年度の為替差益とそれからいわゆる間接差益、これについての還元は一応決められたようですが、五十二年度についてこれは触れないということになっているわけですね。きのう、衆議院物価特別委員会業界の代表が、その五十二年度は手を触れないということの理由については若干述べております。また、先ほどあなたの方からも御答弁があったようですが、もう一回、なぜ五十二年度分は手を触れないのか、その理由についておっしゃっていただきたいと思うのです。
  111. 豊島格

    説明員(豊島格君) 今回の措置は、五十四年度まで現行料金を据え置くという前提、それから政府景気対策黒字減らしに電力会社としても緊急輸入面あるいは設備投資面に協力するということを前提にして、それでなおかつ余る分を返す、余裕分を返すというのが基本方針でございます。したがいまして、五十二年度分についてどうするかということでございますが、まあ五十四年度以降の料金、特に五十四年度の料金を据え置くということにいたしますと、現在二百円ベースで推移した場合にほとんど五十四年については余り利益がないという、差益を含めても、差益が出てもなおかつ余り余裕がないということでございまして、五十四年度以降においてはOPECの値上げというのもほぼ必至だという見通しもあります。二百円そのもののレートが保証されておるわけでもないわけでございまして、ある程度のそれに備えることも要るわけでありまして、そういうものが要るということを前提としまして、五十二年度の円高差益につきましてはそれに備えさせるのがいいのじゃないか。かたがた、五十二年度の差益につきましてはすでに決算済みのものでございまして、一定の処理をしておりまして、これはむしろ今後の電気料金を上げなくちゃいけない場合に赤字が出ると、そこでその補てんに充てるということの方がより会計上も素直であろうかと。これは絶対という問題でありませんが、両者を勘案しまして、これについては五十四年度の料金据え置きの原資としてとっておいたと、こういうことでございます。
  112. 渡辺武

    ○渡辺武君 前国会で私がこの為替差益還元すべきだということを厳しく申し上げたときに、同じような理屈でもう非常にかたくなな態度をとっておられたわけです。ところが、世論の批判もあって五十三年度だけは還元するということになったと思うんですね。私は、やっぱりそういうかたくなな態度で五十二年度分も手をつけないということが間違っているというふうに思わざるを得ないんです。たとえば、別途積立金で将来赤字が出たときに料金を上げないように、あるいはまた株の配当が確保できるようにと、こういうことをさっきもおっしゃったんですが、そのもし赤字が出たときに株の配当を確保しようと、そのための積み立てだというようなことでは国民納得できませんよ、それは。ほんの一部の株主にその配当を保証するというようなことで当然国民に還元すべきものをこれをもう還元しないでおくと、けしからぬことですよ。それだけじゃないんです。私申し上げたいのは、この為替差益を除いてもいま電力各社は大きな利益を上げているんですよ。その点をひとつ考えてもらいたいと思う。つまり、将来の赤字に備えてということであれば、彼らがもうすでに上げて、蓄積しているさまざまの利益、これをやはり十分に充てられるんじゃないかというふうに思います。  それで、私簡単に幾つかの指標を申し上げますけれども、たとえばこれは全部の電力会社をとってもいいんですが、代表的な大手三社ですね、これの五十二年度の経常利益どのくらいになっておるかと言いますと、東京電力の場合は千四百七十九億円、中部電力が九百一億円、関西電力が八百六十三億円、非常に大きいんです。で、この中から為替差益を仮に除いて計算してみますと、東京電力は千八十九億円、為替差益のほかに利益を出しておる。中部電力は七百四十一億円、関西電力が六百三十三億円と、こういうことなんです。これに、これはまあ私どもが計算した数字ですけれども、いわゆる間接差益ですね、国内の石油会社から買い付けたものから出ている利益、差益ですね。これが東京電力の場合百三十七億円、中部電力の場合九十七億円、関西電力の場合五十六億円、これ両方足しますと相当のものが出ておると考えざるを得ない。足さなくてもいいです、いいですけれども、考えてみますと、相当の経常利益を上げている。  それで、この経常利益がこんなにたくさん出ていることから、毎期決算ごとに次の期に繰り越す繰り越し利益、これが急増しているんですよ。たとえば東京電力の場合ですと、五十一年の九月期決算のときは四十二億百万円の繰り越し利益がありました。五十二年の三月期には百十三億一千九百万円、五十二年の九月期の決算では二百三十九億六千九百万円、五十三年の三月期の決算では二百五十三億七千九百万円の繰り越し利益が出ている。つまり現在の料金に定めたときから電力各社が非常に莫大な経常利益を上げて、毎期決算ごとに次期に繰り越す利益、これが急増しているという実態が明確に出ているわけです。しかも、今回別途積立金を積み立てたということでしょう。東京電力は百六十億円、中部電力は七十五億円、関西電力は約九十億円と、こういう数字になろうかと思うのですね。  私、為替差益を除いてもなおかつ電力各社がこれだけの利益を上げ、そうしてまた、次期繰り越し金も非常に大きいと、この次期繰り越し金その他の中には為替差益も入っていますよ。入っているんだが、一番最初申しましたように、為替差益を除いてもなおかつ経常利益が大きいということが非常に大きな問題になると思うので、そこで、東京電力の場合、二年前の料金改定時の予想原価と、それから各社がその後有価証券報告書で報告している実績、これを比べてみたんです。比べて見ますと、当時の予想よりもそれぞれかなりコストが低下しているんですね。一番大きいのは、これは燃料費です。東京電力の場合千百八十五億九千七百万円の燃料費が当時の予想よりも下回っているという状況です。しかも、発電量が当時の予想よりも非常にふえているわけです、予想外に。だから、この燃料費の予想よりも下回っているというのは為替差益だけのことじゃないというふうに私どもは考えざるを得ないのです、非常に大きいですよ。  それから、もう一つ特に大きいものだけ時間がないから申しますと、他社から購入する電力料金、これが当時の予想よりも約三百億円ばかりこれも下回っている。それから、支払い利息ですね、金利がずっと引き下げられましたので、これが二百五十六億二千六百万円も下回っておる、こういうことです。それから、その他の経費も百四十七億ばかり低下している。それから、見落すことのできないのは人件費。労働者の賃上げをずっと抑えて、不況不況だと言って、それで五十四億一千百万円も当時の予想よりも黒字を出している、黒字というとおかしいが、費用を下回らしているという状況です。  ですから、私は為替差益が出たからこれを別途積立金にしておいて将来赤字が出たときの備えにするという理屈は通らぬと思うのですね。ほかのいろいろな諸費用、これも現在の料金を前提として考えてみれば、過去すでに当時の予想よりもかなり下回って、そうして、その間の差額、これ大きく出ているわけですから、その点を考えなければならぬと思うのですね。こういう点についてどう思いますか。
  113. 豊島格

    説明員(豊島格君) ただいま御指摘の点、私よく調べてみたいと思いますが、確かにいろいろな事情、差益以外の問題で、たとえば燃料費が下がっているという点もあろうかと思います。たとえば、買い付けの油の種類がわりとサルファの高いもので済んだとか、あるいは昨年、一昨年と非常に涼しかったの夏のピーク時にたく分というのは非常に老朽な発電所を使わずに済んだとか、そういうものがあるということで、いろいろとあろうかと思います。ただ、電気事業の場合につきましては、御承知のように、現在新しく設備増強で入ってきます発電所、送電設備等は、現在すでに料金に織り込まれております古いといいますか、石油ショック前のものに比べて大体三倍か四倍になるということで、そういう資本費も増高していくわけでございまして、五十三年につきましてはそういうのを為替差益で賄ってもなお余りがあるということですが、五十四年以降につきましてはそれで相当食われてしまうという実態もこれは御了解いただけるものではないかと思います。それから、経理そのものにつきましては十分の監督をしておるわけで、人件費が予想より下回っているじゃないかと。これはいろいろよしあし御議論両方分かれると思いますが、決してむだ遣いをするといいますか、不必要な支出はいろいろと抑えられておる。配当につきましては、御指摘のように一割配当を据え置くためにどうこうというのは問題外であるという御指摘もございましたが、電気事業、現在三兆を超える設備投資、繰り上げ発注も入れれば五兆になるということで非常な投資をしておりまして、これは電気の安定供給という点からもぜひ必要なものでございますから、そのために実際問題としまして調達資金はほとんど外部資金から借りると、そのために自己資本の増強もしなくちゃいけないということになりますとある程度の安定配当は維持せざるを得ないと、こういう状態にあるわけでございまして、そういうことを総合的に勘案しますと、料金安定のためにこの五十二年度のものを使うということ自身が、われわれとしてはそういうのが好ましいという判断をしたわけでございます。
  114. 渡辺武

    ○渡辺武君 それじゃ説明にならぬですよ。為替差益の中から税金で取られた分の残りは別途積立金としてとっておくんだと。これは将来コストアップその他で赤字が出たときのいわば予備として置いておくんだと、こうおっしゃるから、そのほかにだってたくさんのもうけを出しているじゃないかということを申し上げておる。まあ誤解を受けないために一言お断りしておきますけれども、私ども予想よりも人件費が少なかったと、だからその分使えと言っているわけじゃないんです、人件費に関しては。やっぱり労働者は職場で苦労して働いているわけですから、こういう事態で労働者の賃金は正当に上げるべきだということは考えます。しかし、金利の引き下げによって予想外に金融費用の余剰が出ているというような点やらそのほかの問題については、やっぱりこれは能率的な経営のもとで出てきた適正な利潤というものとはちょっと考えられないようなものが為替差益も含めて出ているわけですから、こういうものについてはやはり国民に対する還元という点を当然考えなきゃならぬ。それで別途積立金、これは株主総会開けば、別に使途が限定されているわけじゃないんだから国民に還元するということだって私は可能だと思う。すでに会計処理がついているからできませんというようなことは理屈にならぬですよ。あなたはさっきこのコスト等々について一度検討してみるとおっしゃっておったが、ひとつ検討して、そうして五十二年度のこの為替差益及び間接差益についても国民に還元するという方向をぜひ打ち出してほしいと思う。この点、お願いしたい。
  115. 豊島格

    説明員(豊島格君) 五十二年度分についても通産大臣常に申し上げておることですが、為替差益は全面的に還元するということは常に申し上げておるわけでございまして、還元の仕方についてどのような形で還元するかということは、料金をできるだけ安定的に据え置くということも還元一つであるという御趣旨、それから、あるいは直接料金割り引きをすることも還元の方法であるということでございまして、五十三年の差益につきましてはできるだけ——コスト増もありますが、できるだけ還元をすると。五十三年度中に暫定で還元すると。五十二年度のものにつきましては五十四年度以降の料金の安定に資するということで、還元をしないということは一言も申し上げておらないわけです。  なお、こういう経済変動の激しい時期でございますので、五十四年度以降の料金をどうするかということにつきましては、当面五十三年度に還元したからといって、五十四年度の料金が上がらないだけの手当ては最小限いたしますが、しかし、今後の為替変動その他がありましたときにどうするかということは、先ほど来申し上げておりますように、電気事業審議会の料金部会で決めていただく、その結論を待って最もふさわしい方法で決めたい、こういうふうに考えております。還元というのはいろいろな方法があるということで、これは議論のあるところだと思いますが、直接還元は五十三年度のものをするということでやりたいと、こういう考えでございます。
  116. 渡辺武

    ○渡辺武君 それは逃げ口上というものですよ。いままでだって料金据え置きの形で還元しますと言って、それが国民の厳しい批判にさらされて五十三年度については還元しますと、こういうことを言っているわけでしょう。同じ議論をやったってだめですよ。だれも納得しません。大もうけにもうけている電力会社に別途積立金の形で為替差益をなぜ残しておくのか。これに間接差益も加えて当然五十三年度と同じように国民に還元しろと。当然のことじゃないですか。もう一回検討してください。
  117. 豊島格

    説明員(豊島格君) 御趣旨はよくわかりました。ただ、またお答え申し上げるのもいかがかと思いますが、五十二年度、五十三年度について差益が出るけども、料金据え置きの形でという事態は大体二百二十円ぐらいの時期であったと思います。したがって、その二百二十円程度では五十四年度においてはある程度赤が出るので、五十三年度の利益をもって埋めるということで据え置きが一番いいんじゃないか、若干の幅はありますが、そういうことですが、その後の異常な二百円割れということで、そういう据え置いてもなおかつ還元できるという事態になりましたので還元をするということに踏み切ったわけでございまして、還元するからにはできるだけ国民の納得が得られるようにしたいという方針には変わりはございません。まあ先生のおっしゃったことと私とのそれは議論の中でございまして、どれが絶対に正しいとか、いろいろとそれは、先生の言われるのは先生が正しいという御議論をしていただいているんだと思いますが、われわれにはわれわれなりの考えがあるわけでございます。御趣旨はよく、われわれはわからぬわけではないのでございますが、そういう方針を決めておるということを申し上げておるわけです。
  118. 渡辺武

    ○渡辺武君 非常に不満足ですよ。そのあなた方の立場が間違っていたということはすでに明らかになっているわけで、五十三年度分について還元するということでそれがあらわれているわけだから、いつまでもそれに固執するというのは正しくないと思う。時間がないから次に移りますけれども……。  それから、今度の還元のやり方ですが、大口電力を使っている大企業に対しても一律に差益を返すんだと、こういうことを言っているわけですね。そうすると、為替差益のうちの何%くらいが大口電力使用者に行くわけですか。
  119. 豊島格

    説明員(豊島格君) 方法論としては最終的に決まっておりませんが、現在考えられて検討されておる一番可能性の高いものについて申し上げますと、キロワットアワー料金に応じて割り引く、返還するということに原則としてなっております。したがって、大口——これは若干説明を加えますと、いわゆる配電設備とか送電設備とかそういうものの費用は下がってないわけで、為替差益は燃料費でございます。燃料費に応じた料金というのはキロワットアワー料金いわゆる契約料金とかそういうDCではないわけです。そういうふうになると。したがって、大口電力のキロワットアワー、大口電力はその大口電力キロワットアワー、電灯はそのキロワットアワーに応じるということです。ただ若干ここまで申し上げるのは不適当かと思いますが、やや電灯につきましては需要端に持っていくまでロスが多いので、従来その分だけが高くなっておるわけですから、いろいろ計算をしておりますが、やや電灯の方が料金のアワー当たりとしてはやや高目に還元されるのではないかと思いますけれども、これは計算の方法によりますので、目下大体平均して返されるというふうにお考えいただいていいんじゃないかと思います。
  120. 渡辺武

    ○渡辺武君 時間がないから結論だけ端的に言ってくださいよ。  大口電力利用者に還元すべき為替差益の中の何十%くらいが還元されるのかと、こういうことを言っている。
  121. 豊島格

    説明員(豊島格君) 五十二年度実績ですと、キロワットアワーで四六%が大口電力でございますので、大体そのくらいが大口電力へ回るのではないかと思います。
  122. 渡辺武

    ○渡辺武君 だから、そういう形ですと、つまり電力会社の為替差益が今度は同じような大口電力使っている大企業の手に移るだけであって、これは国民への還元とは言いがたいんですよ。半分くらいは大企業に行っちゃうということでしょう。国民と企業ということを分けてみれば、大企業間で電力会社が出した為替差益を分け取りするというにすぎないんです。  私どもは、これはそういうことではなくて、いま長期の不況円高のもとで苦しんでいる一般の国民、これの家庭用電力、それから中小企業などの使う小口電力、それから農事用電力の拡大、それから地方自治体が使っている、公営企業の使う電力——その他のものも考えていますが、こういうものについて集中的に還元すべきだということを主張している。そうすれば大企業還元される為替差益も一般国民に潤ってくる。いまの経済情勢からすれば、まさに国民の個人消費支出、これを拡大することがいまの景気回復の一番重要な道だと、これは多くの人たちがすでにその点を指摘し始めてきている、私どもは前から指摘しているけれども。そういう方向に沿って当然やるべきじゃないですか、どうですか。
  123. 豊島格

    説明員(豊島格君) この点については、私どももできるだけ公平に返すといいますか、料金原価では予想してなかった利益が出たわけですけれども、仮に料金原価の際にこういう為替レートであれば、いま割り引いたような料金が適用されたはずであるということで、それなりに応じて返すということが最も公平じゃないかというふうに考えております。  なお、大口電力については大企業間のふところであるということでございますが、電力を使っておる中には不況産業も相当あるわけでございまして、そういう不況産業にも返るわけでございまして、その辺料金で原価を大幅に崩して特定のものだけに返すということについてはそれなりの問題があるんじゃないかと、そもそも料金を決めるときにこの程度の為替レートであればこれだけ安かったであろうと、まあ取り過ぎていたという表現がいいのかどうかわかりません、それを返すというのが一番素直な方法じゃないかと思って、こういうふうにやる方針であるわけでございます。
  124. 渡辺武

    ○渡辺武君 あなた方の方針を改めて聞いているんじゃないんです。そういう方針を知っているから、改めたらどうだということを伺っているんですよ。あなた方は公平の原則、公平の原則と言うけれども、電気事業法とガス事業法の料金の問題についての規定は全く同じですわな。ところが、同じ法に基づいて料金を設定しておきながら、電気事業の場合にはいわゆる個別原価方式なるものを唱えて、そうして大口電力には比較的安い料金で、一般家庭には高い料金で電力を売っている。これはあなた方が勝手に大企業の利益を守るために個別原価方式なるものを唱えてやっているにすぎない。あなた方自身が料金体系の中に不公平を持ち込んでいるんだ。ガス事業法の場合には電気事業法と同じ料金設定についての法律の条文でありながら、大口のガス利用者と一般家庭との間に料金上の区別ないですよ。あなた方自身が不公平、不平等を電気料金体系の中に持ち込んでいるんだ。この際それを改めるという意味も含めて、いまの為替差益をいま私が申し上げたような分野、特別な構造不況業種を含めて結構ですよ、そういうところに還元すべきだと思う。集中豪雨的な輸出だと世界から指弾をされている自動車や家庭電器、そういうようなところに為替差益を還元する理由がどこにありますか。ばかばかしいことですよ。どうですか。
  125. 豊島格

    説明員(豊島格君) 現在の電灯電力料金の個別原価の問題につきましては、いろいろと先生も御議論があるんではないかと思いますが、一応原価主義に基づきまして公平になされていると私は信じております。したがいまして、為替レートの変動に応じて返す場合には、その原価に大体見合って返すのが一応公平でないかということをわれわれは考えております。もちろん先生のおっしゃるように特定のところへ政策的にやるという考え方が全くとり得ないかどうかということについては、これは考え方の問題でございますので、私ども批判を差し控えさしていただきますが、しかし、いずれにしましても為替レートが下がって原価が下がったということであれば、それに対応して下げるのは最も素直なやり方であるという考え方を私どもはとっておるわけですし、とっておるのが間違っているという御批判なんだと思いますが、私はそれが一番適当であると、素直であると、このように考えます。
  126. 渡辺武

    ○渡辺武君 さっぱり説明になっていないですね。ただ自分たちの方針をしゃにむに説明しているというにすぎない。こんなことじゃだれも納得しませんよ。きょうは時間がないから、機会を改めてこの問題については議論したいと思います。  それで次に移りますが、先ほどから聞いていますと、将来のコストアップ、将来のコストアップと盛んに言われる。五十二年度の為替差益の還元についても、そのことを理由にして電力会社に取っておこうと、こういうことでしょう。将来について一体どういうことになるのか、これについては、私は、しっかり各電力会社の原価も公表して、公聴会などを開いて、現行の料金が正しいかどうかということを改めてやっぱり検討すべきだというふうに思います。とにかく二年前に設定した料金、これがもう現実に合わないということは、莫大な為替差益がすでに生まれ、また為替差益以外の要因からも大きな黒字が生まれているということを見ても非常に明確ですよ。為替差益、間接差益については、大きな国民の世論であなた方も五十三年度については返さざるを得ないという状態になった。しかし、その他の要因でも黒字が生まれているというこの条件、これは依然として残されている。また為替差益についても、毎日毎日現在の料金のもとで為替差益が生まれているでしょう。この料金を今後どうするかということについては改めて国民に問うべきだと私は思う。二十三条にはそういうことができることになっているわけでしょう。通産大臣がその点についての検討を命ずることがちゃんとできるわけですから、あなた方の権限でそのくらいのことはやるべきだと思う。為替差益のいまの還元、これはこれでおやりなさいよ。現在の料金が正しいかどうか、これは依然として国民の疑惑のもとにあるわけだ。これについて正々堂々と国民の前に原価を公表して、公聴会も開いて、国民の検討をまつべきだと思う。その用意がありますか。
  127. 豊島格

    説明員(豊島格君) 今回の措置は臨時的、緊急的ということで、とりあえず五十二年度につきまして返せるだけのものは返すということで決めたわけでございますが、おっしゃるように、こういう予想もしなかった為替変動がありまして、こういう差益問題も生じたわけでございます。今後も必ずしも下がるだけではなくて上がる、もっと下がるか、その辺はいろいろ議論があるところだと思いますが、それにどういうふうにしたら適正な料金ができるか、皆さんの納得でき得る料金がはじけるかということにつきましては抜本的に考えたいということで、先ほど来たびたび申し上げておりますが、電気事業審議会の料金制度部会で検討をして、その結果を待って最も適切かつ合理的な方針を打ち出していきたい。もちろんそれで電気料金規程を見直すとかなんとかということになれば、当然公聴会も開くことになると思いますが、いずれにしても、そういう抜本策は今後何といいますか、じっくりと言っては、余りおくれてもいけませんが、できるだけ早い結論を得るよう今秋以降開いてどうしたらいいのかということを真剣に研究したいと思っておる次第でございます。
  128. 渡辺武

    ○渡辺武君 それでは、時間がないから、あと端的に少し伺いたいと思います。  経済企画庁長官、伺いたいんですが、経済企画庁で、「輸入品品目別価格動向調査」というのが出されていますね。これはもうことしだけじゃなくて、去年、おととしもやりましたかな、ずっと調べておられるんですがね。きのうの衆議院物価特別委員会政府その他の答弁聞きますと、この電力、ガスの為替差益の還元のほかに、国際航空運賃とか、灯油とか、プロパンとか、こういうものも検討項目として具体的に挙がったわけですね。そのほかの品目について、長官としてはどういうものが為替差益還元という見地から検討する必要がある品目なのか、それを伺いたいです。
  129. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 本来、わが国経済は市場経済を基調にいたしておりますから、したがいまして自由な競争が行われております限り、輸入価格が安くなりましたら、それは何かの形で競争を通じて消費者還元されていくはずであります。政府としては、そのような競争条件が間違いなく市場経済に働きますようにすることが第一の務めであると思います。しかし、現実には、消費者自身もどれだけ輸入価格が下がったかということを知り得ない場合が多うございます。それで、今月から毎月いたしますが、品物を選びまして、輸入価格と現実の小売価格とを比較いたしまして、そして消費者もはっきり輸入価格が、原価がどれであるということを知り、それによって競争が十分に行われるようにする、そのことが一番大事なことだと思っております。
  130. 渡辺武

    ○渡辺武君 いまごろそんな御答弁を聞くのは残念ですね。電力やガスの為替差益還元の問題についても、やはり物価担当大臣である長官がまずイニシアをとってやっていただいたら国民も納得したろうと思うんですけれども、あの当時の長官の御答弁も、いまの通産省の答弁とほとんど変わらなかったですね。本当に残念ですよ。やはりこの際もっとやはり国民の要望にこたえてイニシアをとってほしいと思うんですね。  私は、この経済企画庁の動向調査の中でも、一応動向だけは調べているというインスタントコーヒー、これについてちょっと伺っておきたいんですが、七五年の七月のブラジルの霜の害で国際価格が急騰したと。そうして、それに応じて国内のインスタントコーヒーのメーカーがその後五回もメーカーの蔵出し価格を引き上げた。それにつれて小売価格も急騰してきたという実態があることはすでに御存じだと思うんです。  私、農林水産省に伺いたいんです。この国際価格ですね、これは昨年の六月をいわばピークとして七月以降ずっと輸入コストが下がっているんですね。ところが、メーカーの方は、まさに七月蔵出し価格を最高値につけて、その後一年と一カ月にわたってことしの七月までずっとこの価格を維持してきている。一方では、まさに輸入コストがずっと下がって、これは円高もありますが、同時にコーヒー豆の国際価格の低下もある。その両々相まって急激に低下している。一方は出し値を据え置きのままと、蔵出し価格を。これで国際価格の値下がりと円高差益ですね、これがメーカーに大半入っているんではないかというふうに思いますけれども、その点計算してありますか。
  131. 本田康二

    説明員(本田康二君) コーヒー豆の輸入価格につきましては、五十二年六月をピークにいたしまして下降に転じたものです。昨年末ごろまでは比較的高い値段で推移してきておりまして、五十三年に入ってから国際相場あるいは為替レートを反映いたしまして低落の傾向が顕著になってきたというふうに私どもは理解しております。一方メーカー出し値でございますが、昨年七月以降本年七月まで一年間据え置かれてきたことは事実でございます。そのことにつきましては、メーカーが価格の高騰時でございますが、これは昨年中でございますが、価格の高騰時の輸入豆の在庫が相当量あったということが第一でございます。  それから第二は、労賃その他を初めとする諸経費の上昇があったことも原因しておりまして、さらに価格が高くなったためにインスタントコーヒーの消費が減退いたしまして、したがいまして、五十一年と五十二年の生産量でもかなり五十二年がダウンをしたというようなこともございます。したがいまして、そのようなことがいろいろ原因となりまして、メーカーといたしましては引き下げに至らなかったものであるというふうに理解しております。  農林水産省といたしましては、輸入価格が低下傾向に転じたことから、メーカーに対しまして適正なメーカー出し値とするようこれまでにも指導を行ってきたところでございます。その結果、今年八月に六週間分の流通在庫を含めて約二三%の値下げが行われたということでございます。私どもは、その値下げにつきましておおむね妥当な引き下げが行われたというふうに理解をしております。
  132. 渡辺武

    ○渡辺武君 その程度認識しか持っていないということじゃやはり国民の批判の的になりますよ。私ども、これは時間がないから詳しい計算方法などは省きますけれども、その国際価格が昨年の六月をピークにして七月からずっと下がっていると、さっきあなたもおっしゃったように、ことしになってから特に低下が激しい。しかし、その間一年有余にわたってメーカーの出し値は据え置きのままだ。あなた、高いときにうんと買ってあるんだと、こういうことをおっしゃったけれども、私調べてみました。なるほど多少輸入量ふえています。しかし年間二、三万トンふえただけですよ。一カ月の輸入量約一万トンくらいですから、まあ二、三カ月分が入っただけであって、一年以上も蔵出し価格を据え置くというようなことはこれは不当なことですよ。当然ここにはやはり輸入価格が下がっているのにもかかわらず、出し値を下げないことから生まれる特別な差益というものが出ているはずだ。私ども計算してみましたら、五十二年の七月から五十三年の三月まで大体七十二億円くらいの益が出ている。これは為替差益と同時にこの値下がり分ですね。これを無視して高い価格を設定してきたということからくるもうけです。それから、いま八月に至って若干この出し値を下げたというふうにおっしゃいましたが、その下げ方が問題ですよ、十分でないです。ですからその点について、もう時間がないので結論だけ申し上げて残念なんですけれども、私ども計算しますと、ことしの四月から輸入しているものについて三カ月くらいかかりますからね、こっちへ到着して製品になるものですね。ですから、四月ごろから入ってきているものから計算してみますと、三十八億九千百万円の利益が出ている、国際価格の値下がりと為替差益だけでですよ。そういう計算になります。  私は、やはりいまこれほど為替差益の国民への還元ということが国民から強く要望されている時期に、農林水産省としては——これは後で計算方法や何か申しますから、おいでいただけば——調査していただいて値下げの指導をしてほしいと思う。この点どうですか。
  133. 本田康二

    説明員(本田康二君) 私どもが一応メーカーに対して指導をしてまいりました点につきまして、詳しい数字等はここで申し上げるのも何かと思いますが、一応五十一年末の在庫量がどのぐらいあるかということを推定いたしまして、その間五十二年度中にどのぐらい輸入したか、あるいはインスタントのコーヒーがどのぐらい生産されたか、それに対して原料豆の使用量がどのぐらいであったか、そういうものを勘案いたしまして五十二年末の在庫量というものを試算したわけでございまして、それによりますと五十二年末の在庫量というのが五カ月少々まだあるということでございまして、したがいまして八月一日から六週間さかのぼりますと、六月中にその流通在庫分も含めて引き下げるということでございますので、時期的には私どもの考え方ではほぼ妥当な時期ではないかというふうに時期の問題としては考えさしていただいているというのが一つでございます。  それからさらに、二三%の分についてでございますが、これにつきましては、私どもといたしましては一番輸入価格の高かった時期に比べまして、五十三年六月時点輸入コスト価格、これはCIF価格に物品税と輸入諸掛かりを加えたものでございますが、これが四五%原料として低下してきているということでございます。そういたしますと、それがメーカー出し値にどのぐらい響くかということで、私どもインスタントコーヒーは私企業において生産されておりますので、その詳しい企業秘密等に属することを強制的にとる権限ございません。そういう意味でいろいろ推定をいたしまして、たとえば原料豆コストの比率が全体に対しておよそ五〇ないし六〇ぐらいだと、これは価格とかその他いろいろ他のコストとの相関もございますので、必ずしも一定の比率はなかなか出ないところでございますが、私どもの推定では、その程度というふうに考えますと、五〇%であれば大体二二・五%ぐらい下がるだろうという形で、あるいは六〇%であれば二七%近いものになると、そういうこととさらに他のコスト等も考え合わせまして、二三%についてはほぼ妥当なものではないかというふうに理解さしていただいておるわけでございます。
  134. 渡辺武

    ○渡辺武君 委員長、この資料を提出してくれるようにちょっとお願いしたいと思います。
  135. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) では、どうぞひとつ資料を提出してください。よろしゅうございますね。
  136. 本田康二

    説明員(本田康二君) はい。
  137. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) では渡辺さん、それで終わりです。
  138. 木島則夫

    木島則夫君 大変長官の制約されたお時間も限られているようでございますから、簡潔にひとつお答えをいただきたいと思います。  差益の還元についての議論は、電力、ガス料金だけではなくてやはり農産物とか畜産物にも展開をされなければならないと思います。小麦しかり、牛肉しかりでございます。しかし、その一つ一つについてここで議論を展開する時間がございませんので、私はしつつこくももう一度牛肉についてお尋ねをいたしたいと思います。  牛肉については、円高差益のメリットだけを取り上げてみますと、なるほど海外の牛肉市況の値上がりで、大した額ではございませんが、国内価格と国際価格との差というものは依然として大きく開いておりますし、先般私が申し上げているように、たとえ国際市況が下落をしようが、円高メリットが起ころうが、それは論議の余地に置かれている現在の制度そのものが消費者の大きな不満を買っているというのが現状でございます。私も今日の農政が、農家が置かれている状況というものはよくわかっております。その経過的措置も一応わかっている。そのことを前提にはいたしますけれど、さっきから申し上げているように、余りにも消費者の意向というものが届かないいまの状況長官はどういうふうにごらんになるか。せんだっての委員会で、学者グループが提言をいたしましたその提言についての感想を求めましたところ、長官はそれには関心があるというようなお答えも寄せてくださいました。いま、その政策フォーラムをここで議論するのではございません。それは別といたしましても、円高差益のメリットがこれほど云々をされている中で、牛肉についての長官の関心がさらに前進をされたか、高まったとすればどういうふうに高まりを見せたか、長官の率直な感想をいただきたいと思います。
  139. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 農林水産省として国内の畜産農家を保護したいと考えられることは、私はもっともなことだと思います。いつぞやの提言等におきましてもその点はそれを尊重しつつ、輸入差益によるところの金を国内生産者の利益に使っていく、幸いにして、恐らく国内の消費は年年ふえていくであろうから、国内だけで賄えないものはある程度輸入をふやしていく、そういう発想であったと思いますので、これでございますと農林水産省が考えておられることと基本的に背馳をすることはないのではないかというふうに思いまして、私は関心があると申し上げました。この辺のことは、農林水産大臣がその後もいろいろにお考えのようでございます。さしずめは円高差益をいわゆる指定店等がより安く肉を購入できるように市場の改善等に使っていってはどうかということをお考えのようで、これも結構なことでございますが、なお、基本的にこの問題を農林水産大臣にも引き続いてお考えいただきたいと思っておるわけでございます。
  140. 木島則夫

    木島則夫君 ことしの八月からチルドビーフの随意契約制度が指名競争入札制度に変わりました。これは確かに現在の枠の中では私は一歩前進だと思いますけれど、これを行っても必ずしも国内の肉が安くなるという保証につながっていないところに、実はコップの中の操作としか思えない、大変私は歯がゆさを感ずるわけでございます。しかも、これによって調整金が従来の六百円よりもさらに高くなったとも言われておりまして、今年度の調整金は総額五百億円にも達するんじゃないだろうかと、こういうふうに言われておりますけれど、この従来の調整金の使い道も消費者を含めた国民の合意を得ていないというのが実感のようでございます。  そこで、私は具体的にお尋ねをしたいのでございますけれど、この調整金の使い道は、従来、生産の合理化あるいは流通の近代化対策に向けられてまいりましたけれど、これらは本来は一般会計予算から支出をすべき性格のものじゃないんだろうか、私はこういうふうに考えますけれど、いかがでしょうか。
  141. 京谷昭夫

    説明員(京谷昭夫君) まず、いまお尋ねございました畜産振興事業団の牛肉輸入に伴う差益額の問題でございますが、御指摘のとおり、五十二年度の状況を申し上げますと三百九十三億円という差益額が発生しております。それから五十三年度の状況でございますが、まだ年度途中でございまするし、また最近の買い入れ状況を見ますと、産地価格上昇等がございまして、その額がいかような程度になるかということについては現時点では申しかねる状況にあることをひとつ御了承いただきたいと思います。  それから、畜産振興事業団の牛肉の輸入に伴いまして発生をいたしました差益金の使用の仕方につきましては、御承知のとおり、別途一般会計からの畜産関係対策に要する経費が計上されておるわけでございますが、これとの関係につきましては、私どもといたしまして一般会計で対象にいたします事業は、公共性の高い基盤の整備と申しますか、そういった仕事、あるいは全体的な施策の整備のために必要な経費は一般会計で支弁をしていく、それから畜産振興事業団の差益金につきましては、年々によりまして変動する性質のものでもございまするし、そういった点を勘案をいたしまして、一般会計事業の補完的な仕事、あるいは一般会計で対応しがたい緊急性の高い仕事、あるいは一般会計による支弁になじみがたい必要性の高い対象事業を指定対象事業として決定をいたしまして使っておるわけでございますが、いずれにいたしましても、御指摘のとおり、この使い道につきまして消費者の利益に直接関連をした部面に十分配慮していくべきであるという御意見、私どもといたしましても徐々にそういった改善をしておりまして、五十二年度、五十三年度におきましても御趣旨を体しましていろいろ新たな消費者に関連性の高い仕事を考えて実行をしたい、かように考えておるわけでございます。
  142. 木島則夫

    木島則夫君 たとえば輸入されるチルドビーフを食べるのは全国民なんですね。私は全国民が食べていると思いますよ。調整金の還元というか、その使われ方についてはいまお話がございました。確かに一般会計から出るものについてはより公共的な、公共性の高いものにというお話ですけれど、私いま調整金の使い道、つまり使途、その対象になっている生産の合理化とか流通の近代化とか、こういうものというのはとっても私は公共性が高いと思いますね、これとても。だからその辺はきちっと割り切りまして、もっと調整金というものが消費者に向けられるようなはっきりしたあり方というものをいま示すべきじゃないでしょうか。なるほど、先ほど長官もおっしゃっておったように、指定販売店制度を拡充をする。これとても全国に二千二百か三百でしょう。しかも、大都市に限られていますよ。これはいま全国的な規模で指定販売店が行われているわけではありませんね。牛肉の安売りデーといったって、悪いけど一月に一回あるかないかですね。これでは消費者側にとってはお茶を濁されているのと同じであって、何か釈然としない。したがって、もう一度聞きますけれど、その調整金というものが対象とするものをやっぱりもう少し消費者全体に拡大をしていくと、勇敢に踏み切るお考えありませんか。
  143. 京谷昭夫

    説明員(京谷昭夫君) 差益金についての重ねてのお尋ねでございますが、私どもといたしましても、先ほど長官からお話し申し上げましたように、指定店制度の適切な運用につきましては昨年度から鋭意努めておるところでございまするし、また、消費者に直接関連する仕事につきましては、御案内のとおり、ただいま御指摘もございましたが、国産牛肉の値下げを促進するためのたとえば値下げルート新設事業であるとか、あるいは生活協同組合等によります特別販売事業といったような施策を拡充をしておるわけでございます。  五十三年度に入りましてもいろいろまた検討はしておりますが、新規の仕事といたしまして、産地と消費地との間のいわゆる直結をいたしました産直方式によります食肉販売体制の整備ということとか、あるいは消費改善に役立つための消費者団体等による消費改善普及事業といったような新しい仕事をこの差益事業の対象として取り上げておるわけでございまして、今後ともそういった方向で十分検討いたしまして拡充を図っていきたいと、かように考えておるわけでございます。
  144. 木島則夫

    木島則夫君 こういう細かい議論詰めておりますと、もうぼくは時間がありませんからね。  ではずばり私提言をしたい。調整金を直接生産者に交付をしましてその安定価格帯の引き下げを図る方策を講じていただきたい。むずかしいことかもしれない。いままでの経過措置があることも私はよく承知をしております。いかがですか。
  145. 京谷昭夫

    説明員(京谷昭夫君) この差益金の使い方の一つの方法としましてただいまのお話あったわけでございますが、実は先ほど御指摘のございました不足払いの問題と非常に似通った問題がございまして、生産者に対しましてこの調整金を直接交付するというふうな仕組みを考える場合には、いろいろ複雑な流通ルートを経て出てきております肉牛と申しますか、牛肉と申しますか、それの末端での交付対象たる農家をどういうふうな形で押さえていくかという技術的な問題が非常にございます。あるいはまた、この交付金の財源になります差益の額が年々の産地の状況等によりまして非常に変動をいたしまして、その変動のたびにその安定価格帯の安定価格そのものをまた直さにゃいかぬというふうな問題がございまして、せっかくのお話でございますが、なかなか直ちに御提案のような方途で差益の使途を考えるということには踏み切りがたい状況にありますことをひとつ御理解いただきたいと思います。
  146. 木島則夫

    木島則夫君 つまり流通が非常に複雑なんでだれにその調整金をあるいは不足分を渡していいか大変むずかしいからというお話ですけれど、私、これは詰めればできないことはないと思います。真剣に検討してもらいたい。というのは、現在の安定価格帯制度を導入するに際しまして農林省内部では不足払い制度を導入するかどうか過去に議論があった。このことも私は承知をしております。それは飼料穀物の高騰、これは四十七年からでしたね。それからオイルショックによる需要減退が重なりまして、昭和四十九年に畜産危機が生じたことはもう御承知のとおりです。このため、昭和五十年の五月から緊急避難的な措置として現在の安定価格帯制度が導入をされたわけですね。当時輸入増に対処するために不足払い制度を導入するかどうか議論をされていたところにあのパニックが起こって、緊急避難的に現在の制度をとったということで、この制度が絶対的なものであって恒久的なものでなければならないということは一切私は言えないと思います。したがって、当時あなた方が検討したそのことを即刻いま検討される意思はないかどうか。やっぱり円高の差益の問題がこれだけあなた議論されているときに、制度は制度です、流通機構が複雑ですからどこに不足分を持っていっていいかわかりませんと言っている状況じゃないと思うんですよ。いかがですか、もう一回それ検討し直していただきたいと思うな、私は。
  147. 京谷昭夫

    説明員(京谷昭夫君) 不足払いの問題につきまして、現在私どもが持っております牛肉価格安定制度、昭和五十年に論議されて成立をしたわけでございますが、その過程でこの不足払いの方式につきまして内部的な論議がありましたこと、御指摘のとおりでございます。実はその時点におきましても、先般のフォーラムで提言された不足払いについて、すでに私どもが申し上げておるような問題点の認識がございまして、それを克服するための結論というものが得られない。つまり、むずかしいという結論のもとに実は現在の制度が発足をしたというふうに理解をしております。  すでに、繰り返しになろうかと思いますが、先ほど調整金の問題でお話申し上げましたように、非常に流通経路が複雑であると、あるいは差額金そのものが非常に変動的であるというふうな問題もございまするし、私どもといたしましては、現在持っております価格安定制度を基本にいたしまして、当面の需給の安定なりあるいは価格安定にできるだけの努力をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  148. 木島則夫

    木島則夫君 消費者行政のお立場に立つ長官といたしまして、その不足払い制度を含めて、現在の制度からもう一歩なり二歩なり前進する、そういう制度はいますぐ検討に値すると、やらなければならないというお気持ちでしょうか。企画庁あたりから音頭をとっていただいて、どうですか、少し推進をしていただけませんかね。いまのままだったら円高差益の問題なんか論議する枠の外にあるんですよ。いかがですか。
  149. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいま農林水産省からお話もございましたように、物の考え方として、それが間違っているとか不適当であるとかいうことではなくて、いかにしてそれを間違いなく行政に乗せられるかというところに私は問題があるのではないかと思っておりますので、これはいろいろ専門の方々に検討していただくしかない問題だろうと思います。現状は、やはり国民が十分に満足して納得をしている制度のようには思われません。何かの改善が入り用であろうと思いますが、そのことは農林水産大臣も御存じでいらっしゃって、いろいろに御検討をしていただくように私からもお願いをしておるところでございます。
  150. 木島則夫

    木島則夫君 もう少しこの問題やりたいんですけれど、電力、ガスがもう時間がなくなりました。  端的に伺いますけれど、電力、ガスの還元につきましては、政府が五十三年度に限って消費者に直接的な還元をする方向がまとまったわけでございますけれど、これはあくまで五十四年度までの——あるいは以降と言ってもいいと思います——の電力料金の安定、据え置きが前提にならなければならないと思います。当初通産省は、電力事業の置かれた環境をよくよく考えるならば、差益は設備投資等の面に回すことを主張してこられたはずです。しかし、最近になって、従来の方針は踏襲することを含みとされながらも、料金の直接的還元の方向に大きく傾いてまいりました。まあ、その辺の経過的措置について御説明を願うともう時間がないからいいです。私も、これは党では五十三年度は還元すべし、直接的な方法によって、となっておりますけれど、私も実は個人的に釈然としない面がある。七、八年もすれば停電が起こる。電源立地、電源環境、置かれている電気事業、大変厳しいですよ。こういうものを考えたときに、将来的視野に立ってものを考えなければならないという部面が私の中に大きく横たわっていることも事実でございます。  それはそれといたしまして、還元の額や方法についてはこれからの詰めを待つはずでございますけれど、たとえば各戸百円から二百円の還元がどのような政策的な効果をもたらすか。さらに、各電力会社によっては差益の高は異なるわけでございまして、平均的値下げというものは実施できず、地域格差が出てまいります。円高差益というものは日本国民が額に汗して生じたものでありますから、私はできるだけこれを一億国民に公平に還元をするという意味で、どうも現在検討されている方法はちょっと不公平な感を否めない。それと、余りにも今日的視野に立ち過ぎていないかということ、そして政府の従来おとりになってきた経済政策の中で今日のこの措置がどういう意味を持つのか。私はもちろん大きな効果はあると思います、心理的にも。他物価への波及、いろいろあると思います。あると思いますけれど、それは政府の強力な行政指導がなければできない。だから、これだけでは政策的効果というものが薄いと見るならば、これは最後の結論ですけれど、そこにプラス減税というものがミックスされて初めて政策的効果が出てくるんじゃないだろうかと私は思うわけでありますが、結論だけで結構です、通産省、企画庁長官お願いをいたします。
  151. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) おっしゃいますように、将来の発電コストが上がってくることは明らかでございますから、この際電力会社としてできるだけの先行投資をしてもらうこと、これが一つでございます。それから少なくとも五十四年度は八電力については据え置きをしてもらいたい、これが二つでございます。この二つのことが実現するということを前提に、しかも二百二十円以後円がかなり上がりましたので、その部分について還元をしようというのが通産大臣の御方針で、私は前の二つの条件が具備しておりますので賛成をいたしました。  このことの考え方でございますが、私は法律的にむずかしい表現を離れまして申し上げますならば、一定のコストがかかると思ったものが、燃料代が安くなった、したがってその分だけはいわばもらい過ぎになっておる。もらい過ぎになったものは払った人に返すのが本当ではないか、私はごくごくそういうきわめて常識的な理解が正しいのではないかと思っております。したがって、このこと自身が特に政策的にどういう効果を持つかということは、実はそんなに考える必要のないほど単純明快なこととして理解してよろしいのではないかと思っていますし、また金額等々から申しまして、これが国民経済の、あるいは国民経済計算に計量できるほどの大きな影響があるものと思っておりません。したがいまして、このことと減税をするしないということは関係がないというふうに考えております。
  152. 木島則夫

    木島則夫君 最後にもう一言。そうすると返すことが、つまり返すことに意味があるんだと、それは政策的効果につながらなくとも返すことに意味があるんだと。そして減税と直接結びつかないという確認をさしていただきます。そうでございますか。
  153. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 主管大臣がどうお考えであるか存じませんが、私はこれはもらい過ぎの部分は払った人に返すと、しごく簡単なことでありまして、それ以上のものでは別段ない。
  154. 木島則夫

    木島則夫君 従来の政府施策との関連。
  155. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは先ほど申しましたように、二つの条件が具備いたしましたことと、さらにその後円高が進んだということでございます。
  156. 木島則夫

    木島則夫君 景気対策との関係です。
  157. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それでございますから、このこと自身が景気対策にそんな大きな意味を持つほどの金額ではないというふうに私は存じますので、したがいまして、これがあるがゆえに減税がああである、こうであるといったほどの意味合いはないと思っております。   〔委員長退席、理事高杉廸忠君着席〕
  158. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 大臣が五十分までだということ、よく存じておりますから、簡単に質問しますから、簡単にお答えいただきたいと思います。  去年の八月三十日にこの委員会を開きました。この一年間を回顧してみると、小売物価が大体四・五%上がっている。これで大臣は御満足でしょうか。
  159. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 卸売物価が現時点でマイナス三・五でございますので、それから見ますともう少し小売物価に反映されてもいいという感じは持っております。
  160. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 それでは、民間の自由企業価格はどんどん下がっているのに、公益事業及び統制物資が下がらない。特に、食料品価格が下がらない。この点にメスを入れていただいて、もっと食料品価格の安定に御努力あってしかるべきだと思いますが、いかがなものでしょう。
  161. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 政府が直接管理いたしておりますもの、あるいは公益事業のように特殊の法律によって監督いたしております社会。これらは競争が行われにくい社会でございますので、よほど政府自身が注意をいたしませんと、円高還元ということがむずかしい。いろいろ理由がございましてむずかしゅうございますが、政府として、特に自由競争がないだけに注意をいたさなければならない分野だと思います。
  162. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 いかがでしょう。今回の政府の一連の措置によって小売物価はどの程度下がるとお思いでしょうか。もしくは卸でも結構ですが。
  163. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 一連の措置と……。
  164. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 この間うちから電力とかガスを下げるということを言っておられますね。さらに航空運賃も下げるようにと、きのう衆議院で言っておられますが、こういう措置によってという意味です。
  165. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 電力とガスと、下げ幅がまだ決定いたしておりませんので申し上げかねますが、〇・〇何%程度ではないかと存じます。〇・一には至らないものと存じます。
  166. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 航空運賃は具体的に言うとどの程度下げられるでしょうか。為替レートから言うと三五%も円高になっているわけですから相当大幅に下げることが期待できると思いますが。
  167. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これは先ほど運輸省から御説明を申し上げましたが、実はIATAにこの秋に持ち出す問題でございまして、その後にまたアメリカ政府及びわが政府がそれについての賛否を言う立場にあるわけでございますので、ただいま運輸省でも確たる、これほどということを申し上げ得ない。そういう、これから多数会議、それから両国間の承認といったような問題を含んでおりますので、ただいま申し上げられない程度状態ではないかと存じます。
  168. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 大臣にはこれで結構です。ありがとうございました。  運輸省にお伺いいたしますが、第一は、もっと航空機会社の経営の合理化を指導なすったらどうかということです。具体的に申しますと、飛行機に乗るたびごとに不愉快に思うのは身体検査です。ハイジャック防止だというけれども、あんなに大ぜいの人を配置してやらなければならぬものだろうか。むしろ一つの提案として言いたいことは、たとえば飛行機にたびたび乗る人に、希望者があったら免許を出して、たとえば斎藤に、おまえはこういう免許持っていると、こういうことにしたら、そのパス見せるだけで通れるようにしたらあんなよけいな人間をむだに置いておく必要ないだろう。実に不愉快千万ですよ、人の体にさわって。かつては音が鳴ったときだけさわったが、いまは音が鳴らなくともさわる。実にいんぎん無礼、傲慢な態度だと思う。要するに航空機会社は余裕があるからああいうばかなことをやっているんだとしか考えられない。これが第一点。  第二点は、航空機会社は縁故の者に対して無料パスを出す。ただで女房や子供を旅行させる。そんなむだなことをしてわれわれの料金が使われていることは許しがたいと思います。  この二点について。
  169. 早川章

    説明員(早川章君) お答え申し上げます。  まず、全般的に申しまして経営の合理化と申しますか、そういうものを推進せよということでございまして、私どもも常日ごろそういう方向で航空会社にはいろいろ物を申しております。たとえば日本航空について具体的に申し上げますと、日本航空は本年度、五十二年度にやっと復配をいたしましたが、その前、四十九、五十、五十一年度いずれも赤字といいますか、無配でございまして、その間パイロット等の組合の方は相当程度の給料値上げ等の要求がございましたのをかなり泣いていただいたというような経緯もございまして、航空会社は航空会社なりにかなり一生懸命合理化の努力をいたしておると考えております。  いま先生の御指摘のボデーチェックの件でございますが、これはハイジャック防止という非常に保安上セキュリティーと申しますか、そういう関係から非常に御迷惑のかかることではございますがお願いをいたして、これはたとえば仮に今度の政府の方針等によりますと、ハイジャックが起こった場合に超法規的措置をとらないというようなことで、いわばその乗っておられるお客様の生命自身にかかわることでございますので、大変御不便とは思いますがお願いをしていることで、実は、たとえば外交官の特権とかいうような問題とかいろいろございまして、さわること、タッチ、ボデーチェックをすることについてもいろいろ御不満があるところでございますが、これは国際的にいろんなやり方ございますけれども、荷物の一一に至るまで見せていただく、あるいはボデーチェックさしていただくということで何とか御勘弁いただく、万が一その網を抜けて何か凶器が入ったり過激派の人が入ったりすれば、その飛行機自体のみならず関係の方に非常に御迷惑がかかるということでやむを得ずやっていることで、航空会社も決してむだにといいますか、やっているわけではないということで、ぜひこれは御理解をいただきたいと思っているわけでございます。  で、パス等の問題がございますが、パスが万一偽造される、あるいは写真を張りかえられる、紛失するというような問題もございまして、現在のところ、国際的にもそういうパス制度という形のものは通用していないということでございます。  それからもう一つございましたパスの、これはもう一つ別の職員のパスあるいは家族のパスでございますけれども、日本航空等はいずれも一種の福利厚生対策としてそういうものの発行をいたしていることは事実でございます。職員の勤続年限というものを加味いたしました点数制でやっておりますが、これも実は予約はできない。飛行機があいているときに空席があれば乗せる。それからもし空席があって乗ることが認められた場合でも、その後お客が来ればそれはおりるということでやっておることでございまして、国際的にもある程度どこの国でもそういう形で厚生福利をやっておりまして、乱用にわたる、あるいはそれで座席を予約する等のことがないようには今後とも十分指導いたしますが、制度そのものについては、一種の航空会社に勤めるということの魅力ということで、決して航空会社の利益に影響を及ぼすことでないということを御理解いただきまして、御了承いただきたいと思います。
  170. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 最後に。  あなたの話は全く飛行機会社の弁護論以外の何物でもないのであって、ぼくは現にこの八月に十二の国を歩いてきましたよ。あんな日本航空がやっているような、日本の航空会社がやっているような野蛮でいんぎん無礼な検査は一つも受けてませんよ。(「日本航空だけじゃないよ」と呼ぶ者あり)日本航空だけじゃない。とにかく、あなたは実際通ったことありますか。ぼくはきのうも釜石に行って、一週のうち三回か四回飛行機に乗るんだけれども、まことに不愉快だ。もっと御自分で通ってごらんなさい、運輸省の役人じゃなしに、一人間として通ってごらんなさい。それでなおかついまのようなあなたは答弁できるかどうか。他日を期してもう一回やりましょう、この問題を。  それから、無料パスは営業に悪影響ないなんて言っているが、とんでもない話で、それはもっと運賃引き下げの方向で大衆に還元すべきであって、あんな女房や子供まで割り引きしたり、ただでやるようなことがほかの世界で許されますか。よその国でやっているから日本でやっているなんていったって、よその国でやっていることで悪いことは直したらいいじゃないですか。それを知らぬ顔していてやっているのはいけませんよ、それは。高級官僚、将来天下りのために擁護していると言われても仕方がないじゃないですか。どうぞひとつもう一回答弁を願います。
  171. 早川章

    説明員(早川章君) 先生の方の御指摘のことは、私どももよくわからないわけではございません。航空会社にもよくそういうことで御指摘になっていることは伝えて、改善できる点は改善させるように努めたいと思っております。
  172. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 私はこの間成田へ行って驚いた。荷物を取るのにちょうど一時間かかりましたよ。ぼくは新しい施設をつくったからもっと荷物が滑らかに出るのかと思ったところが、一度にばっと来て一時間かかっているんだ。ところが、それに対して弁解がきょうきまして、言うまいかと思ったけれども、言ってあげなきゃ直らぬと思うから申し上げますが、あれをもしもぼくが航空当局ならあんなばかなことはしませんね。みそもくそも一緒に出しちゃうんだよ。それだから五、六百個のものをみんな二つのラインで出てきているでしょう。なぜもっと合理的にやらないんですか。飛行機でA、B、C、D、E、Fとなっているんなら、Aラインはここだ、Bラインはここだ、Cラインはここだと、こうお出しになればすぐ探せるものを、全部一緒に出すものだから一時間もかかる。私のそばに乗っておったファーストクラスの朝鮮の婦人ですが、泣き出しましたよ、それは。わからないもの。あんなことをしておいて航空事業の近代化なんというのは聞いておかしいですよ。ちょうど荷物取るのに一時間です。サンフランシスコから成田まで九時間。一時間荷物取るのに時間がかかっているんだ。こんなばかなことで一体いいんでしょうかね。
  173. 松尾道彦

    説明員(松尾道彦君) 施設につきまして大変先生に御迷惑をおかけいたしまして申しわけございませんが、施設関係につきまして、実は公団側の施設をつくったわけでございますが、実際の運用は航空会社に委託しまして、実際のターンテーブルの使用はそのときの税関の御承認を受けましてどのテーブルを使うかということを考えておりまして、できるだけ旅客の利便を考えまして実行いたしておりますけれども、今後とも十分その趣旨を航空会社あるいは公団、税関の方の協力を得まして合理化を図ってまいりたいと、かように考えております。
  174. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 どうも通り一遍の説明で全く満足できません。私は九月五日からまたアメリカへ行くんだが、帰ってきてまた同じようなことをやられたのじゃたまったものじゃないね、これは。ぼくなんか文句言えるからいいけれども、文句の言えない人たちが大ぜいいるということを考えた方がいいですよ。あなた方のように特権階級でさっと通れる人とは違うんだから、大衆は。それを一時間も待たしておいて今後善処しますと、その善処の方法をまた期待して待っていますよ。善処できなかったらまだ何回でも繰り返すことを申し上げておいて終えます。   〔理事高杉廸忠君退席、委員長着席〕
  175. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) 本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。   午後五時五十八分散会