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1978-06-06 第84回国会 参議院 農林水産委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年六月六日(火曜日)    午前十時七分開会     —————————————    委員異動  六月五日     辞任         補欠選任      小林 国司君     成相 善十君  六月六日     辞任         補欠選任      成相 善十君     小林 国司君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         鈴木 省吾君     理 事                 青井 政美君                 大島 友治君                 山内 一郎君                 川村 清一君                 相沢 武彦君     委 員                 片山 正英君                 北  修二君                 坂元 親男君                 田代由紀男君                 田原 武雄君                 成相 善十君                 野呂田芳成君                 降矢 敬雄君                 坂倉 藤吾君                 丸谷 金保君                 村沢  牧君                 吉田 正雄君                 原田  立君                 藤原 房雄君                 河田 賢治君                 下田 京子君                 三治 重信君    衆議院議員        農林水産委員長        代理理事     片岡 清一君    国務大臣        農 林 大 臣  中川 一郎君    政府委員        農林政務次官   初村滝一郎君        農林大臣官房長  松本 作衛君        農林省農林経済        局長       今村 宣夫君        農林省構造改善        局長       大場 敏彦君        農林省農蚕園芸        局長       野崎 博之君        農林水産技術会        議事務局長    堀川 春彦君        林野庁長官    藍原 義邦君        林野庁林政部長  石川  弘君    事務局側        常任委員会専門        員        竹中  譲君    説明員        国土庁計画・調        整局計画課長   星野 進保君        大蔵省主計局主        計官       宍倉 宗夫君        林野庁職員部長  相賀 幸雄君        林野庁指導部長  須藤 徹男君        林野庁業務部長  秋山 智英君        通商産業省貿易        局農水課長   篠浦  光君        自治省税務局市        町村税課長    渡辺  功君        会計検査院事務        総局第四局長   阿部 一夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農業者年金基金法の一部を改正する法律案(内  閣提出衆議院送付) ○農林漁業金融公庫法等の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○農産種苗法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○国有林野事業改善特別措置法案内閣提出、衆  議院送付)     —————————————
  2. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、小林国司君が委員辞任され、その補欠として成相善十君が選任されました。     —————————————
  3. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 農業者年金基金法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案に対する質疑は前回終局しておりますので、これより討論に入ります。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  農業者年金基金法の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手
  4. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 全会一致と認めます。よって、本案全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  青井君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。青井君。
  5. 青井政美

    青井政美君 私は、ただいま可決されました農業者年金基金法の一部を改正する法律案に対し、各派共同提案による附帯決議案提出いたします。  案文を朗読いたします。    農業者年金基金法の一部を改正する法律案    に対する附帯決議(案)   政府は、本制度農業者老後生活の安  定、農業経営近代化及び食糧自給力向上に  果す役割の重要性にかんがみ、国庫助成の引上  げ、保険料負担軽減に努める等政策年金とし  ての本制度の一層の整備充実を図り、本制度へ  の加入促進対策を更に強化するとともに、次の  事項の実現に遺憾なきを期すべきである。  一、農業者老齢年金については、年金給付開始   までに、速やかに、給付額の引上げに努め、   農業者老後生活の安定を期すること。  二、本制度年金給付の額の自動改定の時期に   ついては、今後ともその繰上げに努めるこ   と。  三、農業経営に占める主婦地位重要性、農   業の家族経営一体性及び保険料の掛捨て防   止等観点から、遺族年金制度を創設するこ   と及び農業に専従的に従事する主婦等に対し   年金加入への途を開くことについて検討する   こと。  四、農業後継者地位重要性にかんがみ、保   険料軽減対象たる特定後継者について、そ   の要件の緩和に努めること。  五、業務委託費増額等年金末端における   業務体制整備充実に努めること。  以上でございます。  委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  6. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) ただいま青井君から提出されました附帯決議案議題とし、採決を行います。  本附帯決議案賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手
  7. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 全会一致と認めます。よって、青井提出附帯決議案全会一致をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、中川農林大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。中川農林大臣
  8. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処するよう努力してまいりたいと存じます。     —————————————
  9. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 次に、農林漁業金融公庫法等の一部を改正する法律案議題といたします。  本案に対する質疑は前回終局しておりますので、これより討論に入ります。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  農林漁業金融公庫法等の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手
  10. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 全会一致と認めます。よって、本案全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  12. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 次に、農産種苗法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。中川農林大臣
  13. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 農産種苗法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  農産種苗法は、種苗農業生産にとって基礎的な生産資材であり、優良な種苗流通を確保することがきわめて重要であることにかんがみ、保証種苗表示制度、優秀な新品種種苗名称登録制度等により、種苗品質向上を期するとともに、育種振興を図ることを目的として昭和二十二年に制定されたものであります。その後、対象農作物変更等内容とする若干の改正がなされ現在に至っておりますが、その間、種苗検査、優秀な新品種名称登録制度運用等を通じてわが国種苗品質向上育種振興に大きな役割りを果たしてまいりました。  近年、種苗国際交流が盛んになるとともに、植物品種育成者の権利を保護するために国際的な協調体制を確立することの必要性が認識され、植物品種保護に関する国際条約が制定され、諸外国において植物品種保護制度が次々と整備されるようになっておりますが、現在わが国においてこれら諸外国並み植物品種保護制度が整備されていないため、種苗の海外との交流支障を来しております。  また、国内的にも最近の農業情勢に即応した品種育成必要性が各作物を通じて痛感されているところであります。  また、種苗流通につきましても、現行法では、発芽率等一定事項表示が義務づけられておりますが、近年の種苗流通の実情から、品質管理を徹底させることが関係者から強く望まれております。  政府といたしましては、このような課題を解決して品種育成振興種苗品質向上を円滑に進めるために必要な措置を講ずることとし、この法律案提出いたした次第であります。  次にこの法律案の主要な内容について御説明申し上げます。  第一に、農林水産業振興を図る観点から、植物品種育成者保護するための登録対象現行法農作物種苗から樹木キノコ類や海草類を含めた農林水産植物品種に拡大することといたしております。これに伴い、題名を種苗法に改めることといたしております。  第二に、品種育成者保護について、現行法では、優秀な新品種種苗名称登録することとし、登録名称を使用して登録種苗を販売すを場合には、登録を受けた者の許諾を要することとしておりますが、育成者保護の徹底を期するため、近年における育成者保護についての国際的動向にもかんがみ、改正法では、品種そのもの登録することとし、登録品種種苗有償譲渡有償譲渡目的での生産輸入等を業としてする場合には、登録を受けた者の許諾を要することといたしております。  また、現行法による登録有効期間は、三年以上十年以下で農業資材審議会が定める期間とされておりますが、改正法では、通常は十五年、果樹、樹木等の永年性植物は十八年に延長することといたしております。  第三は、種苗流通適正化をさらに推進するため、現行法による表示の規制に加え、新たに種苗自体生産調整保管等基準を定めて公表することとし、種苗業者等による自主的な種苗品質向上を促進することといたしております。  以上のほか、登録品種種苗が二年以上適当に販売されていない場合における裁定の制度従業者等品種育成した場合の使用者との関係等所要規定を整備することといたしております。  以上が、本法案提案理由及び主要な内容であります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  14. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) この際、本案衆議院における修正部分について、衆議院農林水産委員長代理理事片岡清一君から説明を聴取いたします。衆議院議員片岡清一君。
  15. 片岡清一

    衆議院議員片岡清一君) 農産種苗法の一部を改正する法律案に対する衆議院における修正趣旨を簡単に御説明申し上げます。  修正内容は四点でありまして、その趣旨及び内容は、まず第一に、目的規定の中に新品種保護を明確にするための字句を加えたこと。  第二に、改正案においては、現行法種苗業者から検査のために必要な種苗を集取できる旨の規定が削除されておりますが、この規定は、種苗検査の唯一の根拠規定とも解され、削除されたことにより検査弱体化の懸念も持たれますので、この規定を復活させたこと。  第三に、改正案では、優良な品質指定種苗流通を確保するため、農林水産大臣種苗生産調整保管等に関し、種苗業者等が「遵守することが望ましい基準を定め、これを公表する」こととしておりますが、本規定を「遵守すべき基準を定め、これを公表する」ことに改めるとともに、その基準を守らせるための措置として「勧告」及び「公表」の規定を新たに設けたこと。  第四に、品種登録の効力の規定中、品種登録者から譲り受けた種苗等をその数を増加させて転売することが認められるようにも読めますので、その転売が認められないよう規定を明確化したこと、としたことであります。  なお、この修正は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党革新共同及び新自由クラブの共同提案によるものであります。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
  16. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 本案に対する質疑は後日に譲ります。     —————————————
  17. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 次に、国有林野事業改善特別措置法案議題といたします。  本案趣旨説明は前回聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  18. 丸谷金保

    丸谷金保君 本案は、これから二十年にわたる国有林野あり方を決めていく時限立法といいましても大変息の長い時限立法でございまして、それだけに、きわめて重要な問題を多く含んでいるというふうに考えられますが、特にこの中で、これの提案理由の大きな原因になっております現在の国有林野事業経営の悪化という問題につきまして、林野法の各法律あるいは規程等中心に御質問を申し上げたいと存ずる次第でございます。  国有林野事業特別会計法では、その第一条で、「国有林野事業企業的に運営し、その健全な発達に資するため、特別会計設置し、」云々となっております。したがいまして、この法律を見る限り、国有林野事業という特別会計は、あくまでこれは企業会計原則といいますか、企業原則に従って運営されなければならないように解釈されるわけでございます。  過般、衆議院農林水産委員会質疑の中におきましても、各委員質問に答えて大蔵省主計官から再三にわたって会計独立採算制あるいは企業性ということの御答弁がございます。この点について、まず最初に農林大臣、次に大蔵省の方から確認の意味で御答弁をいただきたいと思います。
  19. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 御承知のように、国有林野事業特別会計法第一条第一項に、国有林野事業に関する経理を行うため、一般会計とこれを区分して特別会計設置する旨を明らかにしてございます、その設置目的としては、「事業企業的に運営し、その健全な発展に資するため、」と定めておりまして、これは国が設置する企業特別会計、五現業にほぼ共通する規定でございます。  この「企業的に運営し」の意味については、国有林野事業を独立した国営事業体として設定し、能率的な事業運営を図るために、その会計処理については、金銭収支管理を主たる任務とする消費経済会計である一般会計と異なり、その事業成果を的確に明らかにするよう、一般企業においてとられております会計方式に準ずることを包括的に定めたものと理解している次第でございます。  もちろん、国有林の有する実態的な機能役割りは、御承知のとおり国土保全水源涵養等公益的機能の発揮、木材等林産物の計画的、持続的供給各種事業活動を通ずる地域振興への寄与等にありますが、これらを効率的に実施していくために、ただいま申し上げましたような意味企業的に運営することが必要であり、また、独立採算制であることは、当然の仕組みと考えておる次第でございます。
  20. 宍倉宗夫

    説明員宍倉宗夫君) いま農林大臣からお言葉ございましたように、国有林野特別会計は、制度の発足の趣旨からいたしまして、また、特別会計法規定からいたしましても、企業的に運営して独立採算制基本とする企業会計かと存じております。
  21. 丸谷金保

    丸谷金保君 この法律を読んでいる限り、ただいまの御答弁のようなことになろうかと、かように思うわけであります。しかし、これらの基礎になる国有林野法には第八条で、公用や公共公益事業の用に供する者とか、あるいは地方公共団体というふうなものに売り払い及び貸し付けの場合には第一優先順位にするというふうなことで、これらの処置については林野法はきわめて公共的な色彩の強い法律になっております。  それから、今度は取り扱いの規程の方を見ますと、国有林野経営規程、この中では総則の第二条で「国有林野経営は、森林資源の培養及び森林生産力向上に努めることにより、国土保全その他森林のもつ公益的機能維持増進及び重要な林産物持続的供給を図り、もって公共福祉を増進する」、したがって、ここでは「公益的機能維持増進」が主目的であって、その上で「重要な林産物持続的供給」、こういうふうになっておるわけです。  そうしますと、特別会計法では、あくまで企業性独立採算制ということを強くうたいながら、それらを今度取り扱っていく経営規程の中では公共的機能を最優先させているということになると、末端の現場においてはむしろ規程中心で仕事が動いていきますので、企業採算性独立採算制ということよりも公益的な機能を優先させる、多少損をしても公共優先だと、こういうことになりかねないと思いますし、国有林野法趣旨から言っても、むしろこの規程の方が大変基本法である林野法を生かしているのでないかというようにも考えられますが、この点についての大臣並びに大蔵省の御意見をお聞きしておきたいと思います。
  22. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 当時法案をつくりましたときの林野現状というのは、非常に採算的にもよくて、独立採算制企業的経営ということで、なおかつ、そういった公的な部面も十分消化し得るという仕組みであったと存じます。したがいまして、当時としては何ら支障なかったわけでございますが、最近における経営は、木材価格の低迷や、あるいはいま言った公益的機能国民的要望の強さ等々いろいろなことがあって、企業的に独立採算制が成り立たなくなってきた。  そこで、今回、法をつくりまして、公的なものについては過去も治山事業というようなものについては一般会計からこれを繰り入れるという措置をやり、またその内容改正も行う等の措置をとってまいりましたが、さらに今回、林道、造林といったようなものも、いま御指摘のようなこともありましたので一般会計から繰り入れる措置をとった。同時に、一般会計から入れるだけではなくして、国有林野経営というものについて合理化を含めた改善計画を立てる、こういう過去のいきさつと現状の認識とこれからの対応、こういうことになるのだと存じます。
  23. 宍倉宗夫

    説明員宍倉宗夫君) 公益性企業性との調和という問題は、国有林野事業に限りませんで、たとえば国鉄のように、何といいますか、公共的な企業体組織でやっておる事業につきまして共通した問題かと存じます。  そこで、いま先生お話しのように、公益性を推し進めていきました場合におきましては、損をしても公益中心であるから企業採算とは矛盾するではないかという問題があるわけでございますけれども、実際問題として考えてみますに、片方企業採算を考えながら、片方でそれはどうでもいいということはやっぱりおかしいわけでございまして、法律制度のたてまえからいきますと、両方がやっぱり調和した形で行われなければならないというようなことになっているのではなかろうかと思います。で、国有林で申し上げますれば、たとえば林業基本法の四条にございますけれども、四条には、国有林企業性の確保に必要な考慮を払いながら公益的なものをやっていきなさいと、こういうことになっておるわけでございまして、両方が相矛盾するというものではなくて、事業運営からいきますと、両方調和させた形でやっていくというような趣旨に解するのが妥当ではなかろうかと思います。
  24. 丸谷金保

    丸谷金保君 企業性公益性をどの地点で調和させていくかということは、これは公営企業会計全体の問題としても大変むずかしい問題だと思います。しかし、いま私がここで問題にしているのは、特別会計法という法では、公共性をうたわないで企業性を強くうたっておるんです。しかし、規程では、今度は企業性をうたわないで公益性目的で強く打ち出されている。そうすると、本来、規程というのは法によって出てくるものですから、一貫していなきゃならないのじゃないかと。主計官の方は、衆議院委員会における各委員に対する答弁において、法に基づいて企業性独立採算制ということを強く一つ立脚点として力説しております。記録を持っておりますが、非常にその点では企業性ということ、これは大蔵という立場からもそういうことになるんじゃなかろうかと思いますが、そうすると、この経営規程の方で公益性を強くうたっているということがちょっとおかしくなるんじゃないか。このことについては長官、いかがですか。どういうふうに指導していきます、下に。
  25. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) いま先生指摘になりました企業性の問題と公益性の問題につきましては、大臣あるいは大蔵省から御答弁いただいたとおりでございますが、ただいま先生経営規程のお話をされましたが、経営規程法律流れということを考えてみますと、これは農林省設置法流れであるというふうにわれわれ考えております。それから、会計上の処理の問題として特別会計法がございますけれども、これは会計上の処理あり方としての考え方規定したものでございますし、経営規程は、設置法に基づきます国有林経営することという農林省使命がございます。そういう農林省使命としての国有林経営する場合に、その経営の仕方というものを国有林野経営規程規定してあるわけでございまして、これは農林大臣がその内部命令として定めたものでございます。  そういう観点から、私ども国有林経営をいたします場合に、当然経営規程に基づきましてそれぞれの経営をいたしますけれども、その経営を行うに当たつての会計経理、あるいは考え方という、経営経理の仕方といたしましては、特別会計というような考え方に立ちまして、独立採算特別会計企業会計に基づく経理をいたしておるわけでございまして、さらにもう一歩これを広めますと、先生御存じのとおり、森林林業というものはすべて公益性を持っております。これは国有林に限らず民有林におきましても、当然やはり森林法によりまして、伐採のあり方保安林等々いろいろ規定をしておるわけでございまして、そういう森林そのものにも公益的機能が非常にございます。そういう点で、国有林野事業というものは、国の事業という問題のほかに、やはり森林林業という一つの大きな性格も含んでおる。そういう意味からも、特に林業というものが一般的にも公益性を考えた施業をしなければいけないという問題を含んでおりまして、そういう観点から調和をとった形で今後とも私ども経営してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  26. 丸谷金保

    丸谷金保君 どうも御説明でよくわからないんですが、もう一回読み上げてみますけれど、特別会計法では、「林野事業企業的に運営し、その健全な発達に資するため」に特別会計をつくると、こうなっているわけですよ。と、この「健全な発達」というのは、やっぱり企業的な運営が健全に発達させられなきゃなりませんわね。ここは「及び」でないんですから、法文の読み方として続いていますわね。そうしておいて規程では、「公益的機能維持増進」を図るということが主たる目的——「公共福祉を増進することを目的とする。」、こうなっているわけです。そうすると、これは、国有林野経営規程というのはやはり特別会計の中における事業運営していくためにあるんじゃないんですか。全然別のものですか。どうなんです。いまの御答弁を聞いていると、全く別な流れなんだと、こういうお話でございますけれど、これは全然連動しないというふうにいまの御答弁を解釈してよろしゅうございますか。
  27. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 冒頭私が申し上げましたのは、法律的な流れというものを見ればそういう流れになるということを申し上げたのでございまして、先生指摘になりました国有林野法ございますけれども、これはたとえて言えば国有財産法というものの関連から国有林野法というのが出ておるわけでございまして、そこで、いま御指摘になりました経営規程の問題でございますが、これもお読みになりましたとおり、「国有林野経営は、森林資源の培養及び森林生産力向上に努めることにより、国土保全その他森林のもつ公益的機能維持増進及び重要な林産物持続的供給を図り、もって公共福祉を増進することを目的とする。」と、こう書いてございます。  そういう意味で、こういう形で森林の資源の培養あるいは生産力の向上というものに努めると、そういう努めることによりまして、ここに書いてございますような公益的機能の発揮なり、あるいは林産物持続的供給という福祉の増進が図られるわけでございまして、そういう形で経営をすると同時に、冒頭申し上げましたように、会計処理に当たりましてはその基本原則として企業会計という形でやっていこうということでございまして、国有林野経営規程の方は先ほども申し上げましたけれども国有林というものの歴史的な沿革等々によって形成された国有林というものがございますが、そういうものの使命役割りというものを、先ほど申し上げました農林省設置法に基づいて、農林省内部命令として定めたものというふうにわれわれは考えております。
  28. 丸谷金保

    丸谷金保君 どうもますますわからなくなるんですが、国有財産法の趣旨を生かして国有林野法というものができている、そしてその流れの中で設置法があり、規程があるということでございますか。
  29. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 申し上げますと、三本あると思います。  一番最初に、先生指摘されました国有林野特別会計法というのが一つ会計経理あり方としてある。それから設置法というのがございます。ここで農林省の中の国有林野経営するという問題がございます。そういう設置法に基づきまして、その流れといたしまして、農林大臣内部命令としてこの国有林野経営規程を決めておる。それから三番目として国有林野法がございますけれども、これは国有財産法との関連で国有林野法というものができ上がっておるということ。この三つがございまして、それぞれの法律法律なりの性格としての使命がございますし、いま申し上げましたように、この経営規程特別会計法との関連は、いま申し上げましたような形でわれわれとしては調和を図りながら運営していくのだという考え方でございます。
  30. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうすると、会計法と設置法林野法というこの三本の法律は並列した重みを持った法律だと、上下はないというふうに解釈してよろしゅうございますか。
  31. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) それぞれの法律目的なり使命がございますから、それぞれの使命に合った法律でございまして、当然比較すべきものではございませんけれども、別に上下はございません。
  32. 丸谷金保

    丸谷金保君 大変むずかしい問題でありますけれども、これは現在の措置法の論議の中に入る前に非常に大事な問題だと思うのでさらにお聞きしますが、これらの法律が横並びの法律でそれぞれの法の分野が違うと。しかし、そこに流れるものは、やっぱり国有林という一つの客体を対象にした法律であることだけは間違いないと思うんです。その中で、一方では企業性を非常に強くうたって、一方では公益性を非常に強く打ち出すということになると、これは一体どっちが大事なんだと。私は、国有財産法からこれは全部流れてきているとすれば、ただいまの長官の答弁にありましたように、やはり国有財産法というのは一貫して流れているものは、行政財産にしても普通財産にしても、公益優先という憲法の精神が貫かれていると思うんです。  そうすると、大臣一体どうなんでしょう。企業性公益性というもののウエートは本来どちらに——両方とも大事だなんという答弁じゃ困るんですよ。双方がぶつかる場合にはどっちが行政判断の材料になるんだと、この点について、ひとつ大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  33. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) やはりどちらが大事かというと、林業基本法に言っておる林業の持つ性格、すなわち経営と同時に国土保全という公的使命を持っておりますから、その目的をまず達成することが大事である。それを行うに当たっては特別会計によってその運営をよろしくやれと、こういうことだと存じます。したがって、両方が両々相まつように、公共性を保ちつつ、しかもなおかつ独立採算制が合うように、これは公共企業体の持つすべての、先ほど大蔵省からも御答弁ありましたように、国鉄その他についても単に企業性だけではなくて公共性も持つと、両々相まつように使命されておるのがこういった性格の公的な経営の場合の使命であろうと、こう思うわけでございます。
  34. 丸谷金保

    丸谷金保君 いまの大臣の御答弁で大変明快に、公営企業といえども公共性というものが大事なんだ、その上でさらにそれぞれの企業性というふうなものを十分踏まえながら努力していかなきゃならぬと、こういう順序をお示しいただいたので大変ありがたいと思います。ぜひひとつ、そういう考えで執行に当たっていただきたいと思います。  そこで大蔵省に、ただいまの大臣答弁では、やはり何といっても国有財産法が根源である林野関係の諸法律、書いてあるとなかろうとにかかわらず、前提として公益性公共企業性というものが大事なんだと、その上での独立採算制だというふうに林野特別会計法も解釈せざるを得ないんでないかと思いますが、いかがでしょうか。
  35. 宍倉宗夫

    説明員宍倉宗夫君) 先ほども申し上げましたように、林業基本法では、読み上げますと、「国は、前条第一項」、というのはこれは国の施策が書いてあるわけでございますが、「前条第一項の施策を講ずるに当たっては、国有林野管理及び経営事業について、その企業性の確保に必要な考慮を払いつつ、その適切な運営を通じて当該施策の遂行に資し、」云々と、こういうふうになっておるわけでございます。  いま大臣がおっしゃいましたように、ぎりぎりそれじゃ企業性公益性というものが衝突する場合にどうかという場合に、一般論として、大臣公益性を無視するわけにはいかないのだということをおっしゃったわけでございますが、そのことはそのとおりでございますけれども、この法律にございますように、企業性の確保に必要な考慮を払うということがあくまでも前提になっていようかと思いますので、個々具体的な問題につきましては、それぞれのケース・バイ・ケースによってそれぞれの問題を処理していく。その場合には、この林業基本法に書いてございますように、両方の性格というものをあわせ考えながら、公益的な施策を推進するということも無視しないで、それに注意を十分払いながらやっていくという点が、非常にむずかしい問題ではございますけれども、こうした公共企業体全体の運営をやっていく基本かと思います。
  36. 丸谷金保

    丸谷金保君 その基本の取り方なんですけれども、ウエートの置き方によってこれはずいぶん変わってくるんです。たとえば特別会計、国鉄の例をお出しになりましたけれど、国鉄でも水道でもそうだと思います。特に水道なんかの場合、これはもう企業性を追求していく気になれば、幾ら高くしても水ですから飲まなきゃなりません。しかし、それは公益性があればこそ公的な機関にやらせている企業であって、そうして、これは逆に言いますと、できるだけ安くしていく、できるだけ企業採算というふうなもの、企業性というふうなものを抑えていくところに私は特別会計の持つ大きな国家的な意味があるんだろうと、こういうふうに理解しておるんです。したがいまして、国有林野事業におきましても同じように本来的にはやはり公益性公共性ということを進めるための企業性あるいは独立採算制だと。いまの御答弁だと、独立採算制を確保しながら公益性を考えるべきだと言う。どうもいま大臣のお話だと非常にすらっと入るんですが、大蔵省説明になると途端にその前後が変わるんですが、それはどういうんですか。そこのところをひとつもう一遍大蔵省の方で、大変これは大事なことなんでね。
  37. 宍倉宗夫

    説明員宍倉宗夫君) 先生おっしゃるように非常にむずかしい問題でございますが、私どもの立場といいますか、私どもだけの立場ではないわけでございますが、とにかく先ほどから御答弁ありましたように、国有林野事業特別会計法という法律があるわけでございます。その法律がありまして、その特別会計独立採算でやっていくのだということになっておるわけでございます。したがいまして、企業採算というものはどうでもいいのだということにはならないかと思います。さて片っ方、林野の持ついろいろな公益的な性格があるわけでございますが、これも増進していかなければならない。でございますからして、一番肝心なことは何かと申しますと、国有林野事業を健全な形で運営していけば、おのずからその公益的な性格というものも強く出てくるわけでございまして、両々相まった形で運営していくというのが一番大事なことかと思っております。
  38. 丸谷金保

    丸谷金保君 どうもどうしても企業採算の方が先に来るわけですね。そこで、予算を大蔵で、主計官のところでいろいろ査定をなさるんだろうと思います。そうすると、これは先ほどの御答弁でも国有林野が大変順調に収入を上げていた時代、それからそうでなくなってきたとき、こういうことで考え方を変えていかなきゃならぬという話がございました。  長官にお伺いいたしますけれど、ちょっとこれはよくわからないのでお教え願いたいんですが、無利子の改善資金というのを出しておりますね。これはあれですか、一般会計から出ているんですか、特別会計から出ているんですか。
  39. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 無利子の改善資金は、一般会計の方から出ております。
  40. 丸谷金保

    丸谷金保君 それじゃ大蔵省にお尋ねいたしますが、査定の段階で、たとえばわれわれ執行の段階でこういうことがあります。公共性というか、公益性というふうなことの場合、できるだけ地元から物を買おうと、こういう私自身経験がございます。あんまり違えばそれはだめだけれども、多少の違いなら町の中で調達しようと、この程度の配慮は一般会計の物の考え方公益性という考え方、特に地方公共団体の場合であれば地元というふうなこと、国で言えば同じように多少のことなら関税を設けても国内の物を使っていこうと、こういうことにつながると思います。ただ企業会計で、企業独立採算あるいは企業性というふうなものをまず前段に置いて考えた場合には、それは許されないことである。  したがいまして、われわれも企業会計をいままでやってまいりましたが、原価ただの一般会計で行う場合には、これは多少そういうことの裁量をしていっても間違いじゃないと思います。しかし、特に利益を上げてそれを一般会計に還元しようというような考え方企業会計、こういう場合では一銭でも安いところから買えと、実はこういう指示をしてやってまいったし、それはそれなりに間違いでないと思っております。予算査定の段階では、一体主計官はどちらの判断に立って、企業性中心にして要求に対する査定をなさるのか、公益性を加味した裁量権というふうなものがここに十分入ってもいいという考え方で査定をなさるのか、ひとつ心構えをお知らせいただきたいと思います。
  41. 宍倉宗夫

    説明員宍倉宗夫君) お答えいたします。  先生おっしゃったことと私の考えておりますこととむしろ逆になるかもしれないのですけれども一般会計の場合にはこれは原資が税金でございます。税金のお金というのは、一般国民が本当に血の出る思いで出したお金でございまして、本当にびた一文むだ遣いをしてもらっては困るという気持ちでございまして、先生のおっしゃるのは、一般会計ならば多少高い物を買ってもいいじゃないかというお話でございますが、逆に一般会計の場合には、やっぱりぎりぎり安いところで買ってもらわないと、皆さん国民の税金が一銭でも多くなっては困るというような気持ちでございます。  で、企業特別会計の場合にはそれでは何でも高い物を買っていいのかと言うと、そうでもございませんが、事業をやっておる場合におきましては、これは予算制度上も一般会計よりも弾力的な運営をするというようなたてまえになっております。で、事業運営上、事業執行者がそれぞれの判断を行う場というものは、一般会計の場合よりもかなり幅を広くとってもいいのじゃなかろうかというふうに考えております。たとえば特別会計一般会計とちょうど中間にあるわけでございますけれども、公社の場合なんかでございますと一番端的に出てくるわけでございますけれども事業の予算の執行、そういったものがきわめて弾力的になっております。  したがいまして、先生いまたとえばという御質問でございますが、そういった場合に、その事業の執行者が全体としての採算を考えた上でこれが適当であるということならば、その地元の分を、まあ許容限度はあるかと思いますけれども、優先して購入するということはあり得ることではなかろうかと思います。
  42. 丸谷金保

    丸谷金保君 それで大変よくわかったんですが、あとで実はこのことについては物品購入の段階でもう一遍御質問したいと思いますので、なるほど主計官の方がそういう考えで査定していただけるので、林野会計の物を買うのが私たち見たらどうも相場より高いんじゃないかと思う物を買われているわけですね。よくわかりました。そのことについていずれあなたにまとめてお聞きすると思うのですが、なるほど大変よくわかりましたんで、その点についてはここでひとつおいておきます。  会計検査院が先般来林野会計の監査をして、いろんな意見を出しております。どうもこれはちょっと一方的でないかと思われる面が非常に私たち目につきますので、その点について御質問いたしたいと思います。  会計検査院は、その指摘の中で、民間企業に比べて現況では非常に効率が悪いというふうなことを申しておりますが、これはたとえば民間企業における労働者の労働条件その他というものも割り算の中に加えてはございますか。どうもそれがないんじゃないかと思うので、ちょっとその点についてひとつ。
  43. 阿部一夫

    説明員(阿部一夫君) 昨年、会計検査院長名をもちまして、改善の意見を表記いたしました製品生産事業の実施に関する事項でございますが、先生おっしゃいますように、直接に民間の能率と比較してどうというような見方ではございませんで、本庁で定めております標準林内生産性というものを物差しにして、それに比べて著しく能率が低い。それから、さらにもう一段下がりまして、各営林局署において今年度はこれだけの生産をやろうということで立てております計画量と申しますか、予定量、それに対しても六〇%ぐらいしかいってないという非常に能率の低い事業所が三十数カ所あるので、これは問題ではないかということでいまも申し上げた次第でございます。
  44. 丸谷金保

    丸谷金保君 実は、会計検査院のあの報告が出されて、それが林野庁の国会答弁の中でも随所で使われておるのですよ、にしきの御旗ですか会計検査院でこう言ったと。五月の十日の衆議院の農水の委員会の中でも長官は、「私どもも必ずしも直営が能率的にやっているとは考えておりませんし、昨年会計検査でも御指摘もいただきました。そういう意味で、」云々というふうなことで、ここだけでなくてあちこちにあるんです。そうしますと、会計検査院の指摘というのは大変重要な意味を持ってきます。今度の措置法の段階に至るまでの間、あるいはこれからの林野事業の計画の中で非常に大事な意味を持つ、こう思うんですが、民間企業との効率というふうなことを会計検査院が指摘をされるんであれば、双方調べたんですか、民間企業の方も入って。たとえば、労働基準法に違反した幾多の事案を抱える非常に過酷な労働時間の中でノルマを上げているような民間企業、こういうものを実態お調べになりましたか。
  45. 阿部一夫

    説明員(阿部一夫君) 会計検査院が直接民間の実態を調べるということは、権能もございませんしいたしておりませんが、先ほども申し上げましたように、民間の場合の能率と比べてそれと直接に対比して国有林の製品生産の能率が低いと、そういう言い方ではございませんで、林野庁自身が定めておりますこの標準的な能率、あるいはさらに具体的に営林局署において今年度はこれこれの量の生産はやれるしやりたいというふうに立てた計画に対してもはるかに低いと、そういう事業所が三十数ヵ所あって、これはいかにも能率が低過ぎるではないかという言い方をしているわけでございまして、直接民間との対比というふうな作業をやっているわけではございません。
  46. 丸谷金保

    丸谷金保君 これは効率が高いとか低いとか、いまの赤字の原因がどこにあるかというふうな立場、会計検査院のああいう指摘というのは大変重要な意味を持つし、会計検査院にこういうふうに指摘されたからということがローラーをかけるときに大変都合のいい答弁の材料になるんです。それだけに私は、もう少し慎重な配慮が必要でなかったかなと思うんです。たとえば、これらの調査をしたときに物品購入の方なんか当たってみましたか、どうなんですか。効率の悪い理由一つとして、大蔵省はああいう考えなんですからね。多少高い物でも買っているかもしらぬですよ、そういう点を当たってみましたか。
  47. 阿部一夫

    説明員(阿部一夫君) 会計検査院は国有林野事業特別会計会計全般を調べる責任がございますので、昨年はこの製品生産事業の実施の問題に力を入れて検査をしたわけでございますが、物品の購入等につきましてももちろん悉皆検査ということはできませんが、検査をやっているわけでございます。
  48. 丸谷金保

    丸谷金保君 実は少し古くなるんですが、それでも十年間は書類保存してあるというので資料の要求をしておきました。これは決算委員会でもちょっと触れたんですが、ツリー・モンキー、あれの詳細、何年度幾ら買ったかということをお願いしておきましたので、あろうかと思いますが。
  49. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) ツリー・モンキーにつきましては、昭和四十一年度から四十四年度にかけまして購入いたしたわけでありますが、これを年度別に局別に申し上げますと、帯広営林局四十一年度二台、四十二年度一台、それから札幌営林局四十三年度一台、函館営林局四十一年度一台、青森営林局四十一年度二台、四十二年度三台、秋田営林局四十一年度七台、四十二年度一台、前橋営林局四十二年度二台、東京営林局四十一年度七台、四十二年度三台、四十四年度一台、長野営林局四十二年度四台、名古屋営林局四十二年度一台、四十四年度一台、大阪営林局四十一年度一台、高知営林局四十一年度二台、四十二年度二台、熊本営林局四十一年度二十二台、四十二年度二台、統計で六十六台となっております。
  50. 丸谷金保

    丸谷金保君 実はこの間帯広営林局長さんに聞いたんですが、あれは滑って使えなくてだめだった、使わなかったという話です。それで私は、そんなことないと、それは使い方が下手だったんじゃないのかということで、うちの山でツリー・モンキーを使っているところへ一緒に行ってもらって、証拠のために二人で撮ってきた写真があります。大臣と長官にひとつ見せてください。使っているところへ局長さんに一緒に行ってもらったんですからね。うちで使えるやつが、帯広営林局では使えないと言うんですよ。特に冬のやつは、労務対策で冬山に仕事があるということもあるので、冬も写してございますので、後で一緒に見ておいていただきたい。  ちょっと一人ついていて、そこに長い棒を持っていますでしょう。  こう少しがらがらがらっと空回りするときには、ちょっと引っ張ってやるとすっとまた上がっていくのです。ところが、ああこれはもうとてもじゃないけれども、これで使えないということでやめちゃった。こうやれば使えますよと、作業を実は見ていただいたのですが、あとはまた別な写真を後でゆっくり拝見してもらうのがその前の方にございますが、それはそれでひとつあれにしておいて、いまお話ございましたように、三年間にわたって非常にたくさん買っておりますね、この各営林署ごとの使用状況はどうでございましたか。
  51. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) まず、購入台数が六十六台になりました理由でございますが、御案内のとおり、国有林におきましては、北は北海道から南は九州までございまして、いろいろの樹種が生育しております。したがいまして、そういういろいろの樹種、かつまた形状も非常に多種多様でございますし、立地条件もさまざまございますので、各地におきまして実験いたしまして、使用の可能性を見きわめようというふうにされたと聞いております。  そこで、このツリー・モンキーの実験における一台当たりの稼働実績でございますが、四十二年度は四十時間、四十三年度は四十九時間、四十四年度は二十四時間となっております。  なお、この実験結果でございますが、重量が、ただいま先生指摘のとおり、四十キロ以上もございまして、傾斜地の運搬にいろいろ支障が出てまいっておる。それからエンジンのトラブルが生じやすい面もございましたし、それから枝打ちをした後に打ち枝というのが残るというようなことでございまして、この問題点が判明したわけであります。  なお、いま先生指摘になりました十勝支庁でお使いのは、伺いますと改良型ということでございまして、私ども、この改良型につきましては、四十九年に名古屋局一台、それから五十一年度に前橋局一台使いまして、いろいろとその後の改良に応じた作業仕組み等を検討しておるという実態でございます。
  52. 丸谷金保

    丸谷金保君 それで、会計検査院にお願いしたいんですが、これはちょっといささか古いのですが、こういうふうな実際使えない物を毎年買っているんですよね。大蔵省の方はいいですよ、これ。先ほどの答弁でよくわかりましたんで、多少むだでも林業会計がもうかっているときには余り主計官としてもうるさいことは言わない、こういうような趣旨ですから、これはもうよくわかるんですが、会計検査院の立場でこういうふうなものというのはどう思います。使えなかったんですよ、一年目ですでに。使えない物をまた買っているんですよ、三年間続けて。  私、これは最初、実は一遍に買ったのだと思ったんです、六十六台。そして各地に配属してだめだったと。それはずいぶんむだ遣いだけれども、まあ仕方がないなと。これは一月十八日の決算で私が質問したことなんです。ところが、後で記録を読んでみたんです。そうしますと、その記録の中で御答弁の方は、四十一年から四十四年にかけて六十六台、六十数台と言っておるが六十数台入れました、こう書いてあるんで、この間読み返してみて、ははあ、これは一遍に買ったんじゃないな、実は御答弁を読み返してみて私気がついたのは、これは何年かに分けて買ったんだなということなんです。一月には私はすんなり、ずいぶんむだ遣いしてけしからぬじゃないかということで決算委員会ではやめたんですが、読み返してみるとこれはとんでもない話で、一遍に買ったんじゃなくて、使えない物を毎年買っているんですよ。  いま御答弁あったように、最近の改良のやつは一台か二台ずつ買ってやっている、これはもう結構だと思います。そうあるべきだと思うんですが、そこで、私たちが買う場合でも、これは前にも話しましたが、リューデスハイムの、ドイツの国有林で使っている現場まで私は行ってまいりました。そして実際に実験してもらって、これはすべすべした木ではなかなかむずかしいけれども、多少表面がぎざのあるような木であれば大丈夫だな、こういうふうに判断したんです。その上で一遍に買ってこないで、一台だけ試験に入れました。そうして三年使ってみて使えるということで、さらにこれはうちの場合は三台くらいあれば大丈夫だということで三台発注しよう、こういうふうなことになっています。  普通、物を買うといったら、そういうことのはずなんですよ。それを、いまの大蔵のようなああいう考えだから、農林省特別会計というのはきわめておおように買われたと思うんですが、買うのは仕方がないんです、予算つけてくれるんですから、査定して。しかし後から、要するに、林野事業の民間、あるいはその経営の問題について会計検査院が指摘なさるなら、そういう物品購入のあり方についてどれだけ一体メスを入れて調べたんですか。そのところをもう少ししっかり聞かしてください。最近でもあるんですか、たくさんそういうのが。
  53. 阿部一夫

    説明員(阿部一夫君) 先生指摘のただいまの四十一年度の購入の件につきましては、何分古いことでございますので詳しいことはわからないのでございますが、物品の購入に対する私ども検査の態度といたしましては、購入する物品が真に必要のある物であるか、そうして購入価格は適当であるかというようないろいろな角度から検査をしなければいけないというふうに考えておりまして、購入をしたけれども実際に使われないというふうな、それはある程度実験的に買って使ってみるという場合は別といたしまして、そうでなくて、購入したのだけれども使えないというような事態はおもしろくない事態だと思いますので、そういうものには注意をして検査をしていかなければならないという気持ちではおります。
  54. 丸谷金保

    丸谷金保君 この問題は、後で経理規程のところでもう一遍購入のあり方、使わない物をどうしてこんなに毎年買ったのかというふうなこと、そういう企業的に独立採算運営しなければならないと言っていながらこういうずさんな購入をしておるということ、まだこれだけでなくて、これは古いものだからわからぬと言うから、今度は新しいのをいま出しますから、検査官の方も、午後もひとついていただきたいと思います。これは、一番最後にまとめてやろうと思って、たくさんあるんです。全国的に調べたものがございますのであれでございますが、それよりもやっぱり法案審議の問題を先に進ましていただきたいと思います。  この法律が発動いたしますと、施業計画なり、いろいろ五カ年ごとに改善計画を立てて進めていく、こういうふうなことにこの特別措置法はなってございます。そうすると、そういう改善計画を立てていく上で非常に大事なことは、山の現況がどうかということがしっかり把握されておりませんと、計画そのものが空文になってしまう可能性があるわけです。実態の把握をきっちりしておかなきゃならない。そうしてその点について、五月の十一日の衆議院の農水委員会で、わが党の島田琢郎委員が不良造林地について質問をいたしております。これに対して、業務部長の秋山説明員からここではこういう答弁があるんですが、大体、全体で一万五千ヘクタールくらいの不良造林地がある、それに対して島田委員は、私はずっと全国の山をいろいろ歩いてみた、そうしてそれらの感触からするとそんなはずがないじゃないか、もっともっとあるんじゃないかということで、保育のあり方というふうなものを中心にして非常に厳しく質問をいたしております。  しかし、これはそういう点がはっきりしないと、この法律が発動しても、改善計画そのものが非常にずさんなものになりかねないという心配を。私は五カ年ごとに改善計画を進めていくという点から強く感じたわけでございます。そこで、一体どういうのはこれは不成林で、どこら辺からは、これはまだそういう一万五千百ヘクタールですか、この中には入っていないのかということの基準、われわれもこれから山を見て歩く場合の基準をひとつお願いいたしたいと思いまして、写真のアルバムをいま大臣の方に届けてございます。それをひとつ部長さん、その写真を見ながら御答弁願いたいと思うんです。  一番最初に、札幌営林署の三百十八ぬ林班、カラマツを三十四年春植えたんです。面積が三・一〇ヘクタール、植えつけ本数が七千八百本、補植が三千七百本、三十五年と三十八年に補値しております。ですから、補植は大変よくやっておるんです。下草も結構刈っております。五年間に七回、余り多い方ではないですが、それでもとにかく下草刈りもやっております。しかし、つる切りや除伐をしていないので、写真で見るような状況です。写真、おわかりですね。これは一体、一万五千百ヘクタールの中に入っている林班ですか、入ってない林班ですか、おたくの方の。
  55. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) ただいま御指摘のございました札幌事業区、三百十八林班ぬ小班は、お話ございましたように、三・一ヘクタールでございます。これは、昭和三十四年春カラマツを植栽したものでございます。現在の林況を見てまいりますと、その写真にもございますが、カラマツが一部やはり悪うございまして、その植栽部のほかに、現在ウライ樺とか樺、その他の優良の天然の広葉樹の稚樹が相当入っておりまして、そのカラマツとそれから優良稚樹合わせますと、大体生立本数二千本程度というふうな報告を受けています。  特に、北海道の地域におきましては、御案内のとおり非常に気象が厳しいところでございますし、特に冬の寒害、雪害、あるいは野鼠、その他の被害等も受けますので、そういう被害を防ぐためには広葉樹と針葉樹を混交させた形での林分が非常によろしいのじゃないかということで、これにつきましては、針葉樹、広葉樹の混交林として取り扱えということで、札幌営林局では計画しております。すでにこれは三十四年の春の植栽で十八年生になっておりますので、私どもこれは改植はせずに今後は手入れをしてまいりたいと、かように考えておるところでありまして、一万五千ヘクタールの中には入っておりません。
  56. 丸谷金保

    丸谷金保君 これは後先になりましたが、駆除の毒えは三回散布しているんです。それから、天然の木が生えてきて大分いい林相になりそうだというお話でございますが、それなら五年間にどうして七回も下草刈りをしたんですか。そうしたら、その間は生えないんでしょう。天然のやつをみんな切っちゃっているわけですね、五年間下草刈りやったんですから。しょうがないからいまのままにしておくということなんですね、いまの言うのは。五年間、天然のやつが生えないように一生懸命刈ったんですよ。そうですわね。
  57. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) この小班につきましては、いま御指摘のとおり、野鼠の駆除は三回いたしておりますし、それから野兎、野ウサギでございますが、これにつきましても三回やっております。なお、補植も三十五年と三十八年、二回やっておりますし、下刈りも五年間にわたりまして八回しておりますが、やはり優良広葉樹は、特にこの気象の厳しい地域でございますので、なるべく残すような指導はしておるというふうに聞いております。
  58. 丸谷金保

    丸谷金保君 部長さんは大変御苦労して答弁なさっておるのですが、下草刈りもやり補植もやって、いいですか、そのカラマツ林が、後から闊葉樹が出てきたから優良闊葉樹は残した方がいいんだと、いつからそういうふうに変わったのですか。これをやっているときは、変わってなかったわけですね。ああいう林相になっちゃったから、そういう答弁よりほかに方法がないというふうにしか私、理解できないのですがね。十七、八年たちますと、一番後ろの方に池田町富岡の造林地があります。その程度になるのですよ、カラマツでも。ひとつ比べて見てごらんなさい。それで広葉樹を残した方がいいということになりますか。林相のはっきりしたのございますでしょう、そこに。たしかそれは三十六年くらいのやつだったと思います、植林。ちょっと大臣、ひとつ勉強のために比べてごらんいただきたい。大臣の責任じゃないと思います。しかし、これからの林業政策のためにひとつごらんをいただいて、大臣も御存じの富岡のそれと、それよりも二年ほど前に植えているいまの札幌営林署の三百十八林班。一番最初にございますが、おわかりいただきましたですね、これだけ違っちゃうのですよ。  それで、会計検査院にお願いしたいのですが、こういうところの現状を見て、あなたらああいう文書を書いたのですか、どうなんです。ちょっと会計検査官、それを見てごらんなさい。なぜそういうことが入ってないのです、あなたたちの報告に。
  59. 阿部一夫

    説明員(阿部一夫君) 先ほど申し上げましたように、会計検査院は国有林野事業特別会計の全般について検査をしなければならない立場におりますので、いろいろな角度から検査をするわけでございますが、実際には、ことしはこういうところに重点を置いて検査をしようというふうなやり方をやりますので、ある事項に重点を置いた年におきましては、ほかの事項についての検査は手薄になるということはやむを得ないわけでございますが、先生おっしゃいますような問題点についても、全然無関心であるということではございません。
  60. 丸谷金保

    丸谷金保君 帳簿の上だけで経営がどうだ、こうだ言わないで、実態を見てひとつやっていただかなければならぬのじゃないかと思うのです、調査する場合に。そうでないと、どうも一方的な、言うなれば林野庁の長官の御答弁がしやすいような報告書になっちゃっているのですよ。こういうところの実態というのは何にも出てこないで、管理の面で非常に粗雑な、いまの業務部長の答弁を聞いてもおわかりになるように、しようがないから天然林も生えてきているので——これは一万五千百ヘクタールに入ってないのです。あんなのが成林の中に入っていて、一万五千百ヘクタールの中に入ってなくて、大臣のところに報告が来るときには、この議会答弁のように、未成林というのは全国で一万五千百ヘクタールですよという資料しか上がっていかないわけです。ところが、そんなものを見て、それだけでああそうかということでこの法案によるところの改善計画ができていったら、これまた十年なり二十年なり後において材積調査したら、そんなにならなかったというふうなことが起こるんです。ですから、そういう点での実態を、ついでですから少したくさんやってみます。これはよくひとつ覚えておいていただきたいんです。  同じく札幌営林署の三百十九林班、二番目の写真に出ているところです。樹種はトドマツで、昭和三十三年の春に植えつけた五・七四ヘクタール、植えつけ本数は二万百本、補植は次の年に二千三百本やっております。下草は七年間に八回刈っております、三十三年から三十九年まで。そのほかに除草剤の駆除もやっております。つる切りもやっております。除伐をやってないんです。これはどうですか。これは前のよりは大分いいですけれども、それにしても写真で見る限りでは……
  61. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) いま御指摘の三百十九林班のは小班かと思いますが、これは面積五・七四ヘクタールでございまして、御指摘のとおり、昭和三十三年の春にトドマツをヘクタール当たり三千五百本植栽したものでございます。五十三年四月一日現在これはこの石狩地区の施業計画というのが昨年全部森林調査いたしまして、ことしからそれを実行に移す対象になっておりますが、調べてみますと、トドマツがヘクタール当たり千九百本でございます。成績といたしまして私ども普通でございますので、いままの方針に基づきまして施業をしてまいりたいと思っています。したがいまして、これも当然もう三十三年植ではございますので、林齢も十九年生でございまして、改植なんかは当然考えませんし、もちろんこのままで今後とも施業をしてまいりたい、かように考えているところであります。
  62. 丸谷金保

    丸谷金保君 それから今度は、苫小牧の五十三は小班の三十五年の秋に植栽したヨーロッパアカマツ、これは根踏みを三十六年にやっておりますし、補植も二回に分けて二万四千本からの補植をやっております。下草も四十二年までに十回刈られております。虫害の防除等もやっておりますが、現況ごらんのとおり大変悪い。これなんかどうなんですか。これはやっぱり一万五千百ヘクタールに入ってないんですか。これはもう非常に悪い。
  63. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) ただいま御指摘の苫小牧事業区の五十三林班のは小班でございますが、これは二十一・三八ヘクタールでございまして、昭和三十五年の秋エゾマツをヘクタール当たり二千本植栽したわけでございますが、御案内のとおり、北海道は非常にネズミの害が多うございまして、ここにおきましても、いまお話しございましたが、根踏みをやったり、あるいは野鼠の駆除を三十六年から四十三年に十一回もやっておりまして、その被害を受けているところでございますが、さらにこの地域につきましては三十七年と四十二年にエゾマツ、それからオウシュウアカマツというようなものを補植をしております。現在この現況、やはり五十三年四月現在調べたのを見ますと、エゾマツがヘクタール当たり六百本、それからオウシュウアカマツ、アカマツ類でございますが、これが五百本で、合わせまして千百本ということになっております。これは非常に現地が厳しいところでございまして、成績は先ほどの札幌の三百十九は小班に比べますと悪うございますが、これは五十四年度以降さらに引き続いてつる切り、除伐等を行いながらその生育を見てまいりたい、かように考えておるところであります。入っておりません。
  64. 丸谷金保

    丸谷金保君 現地厳しいと言いますけれども、この隣に天皇陛下の植えたのがあるんですよ。非常にりっぱなんです。だから、そういうごまかしの答弁をしてもだめよ。現地厳しいはずないでしょう、すぐそばに大変りっぱな手入れをしたやつがあるんですから。御存じでしょう、天皇陛下が記念植林したそのりっぱなのが。あすこは皆さん連れていくから、きっと皆さんよく見ていると思うんですよ、こんなによくなっているというやつを。恐らく業務部長さんも直接現地を見ていると思う。あのすぐそばなんです。現地厳しいというのはどこから言ってきました、非常に悪いところだというのは。札幌からそういう報告ですか。
  65. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) ただいま御指摘の、隣接の七十四林班は小班と申しますのは、これは大正七年に植えられた、いま六十一年生の林分でございまして、御案内のとおり、北海道におきましては非常に造林の歴史というのは浅うございまして、戦前に植えられましたのはわずか十三万ヘクタール弱であります。それに比べまして本州、四国、九州の国有林は、そのときにすでに百二十万ヘクタールぐらい植えられておりまして、造林技術面では非常に浅いと申しますとちょっと何でございますが、技術的にはいろいろ解明しなければならぬというふうな問題が北海道の場合あるかと存じます。  それで、この優良な林分と申しますのは、これは交通、生活環境、土地条件等も非常にいいところでございまして、これを北海道の造林地のモデルにしようということで、古くから先輩たちがおつくりになった山であるというふうに聞いております。この理学性の良好な、礫の多い地帯でございまして、降雨量も千七百ミリメートルぐらいありまして、これは非常に立地条件がいいというふうに聞いております。私どもやはりこういうモデルを今後十分勉強しながらいい山をつくってまいりたいと、かように考えておるところでございます。
  66. 丸谷金保

    丸谷金保君 ちょっと私の質問より先に答弁の方が進んじゃったんですよ、いまのやつは。まだ質問してないやつなんですよ、大正八年のは。これからしようと思ったやつなんで、私のいま聞いたのは、大変厳しいと言われたいまの昭和三十五年植栽した造林地のすぐそばに陛下が記念造林された記念造林地があると言ったんですよ、いま。  大正七年のはこれから質問するんですからね。それがちゃんとりっぱになっているんです。これは昭和三十何年ころに植えたんです。同じころに植えたやつがあるんですが、御存じでしょう。だから、どうして厳しいと言うか、これは札幌の方の局から、大変悪いところだからこんなに悪いんだと言ってきたのか、部長さんの創作で、大変悪いところだから悪いんだというふうに御答弁なすったのか、どっちなんです。というのは、私はその隣に大変いい林相の山があるのを知っていますので聞いたので、質問をよく闘いといてくださいよ。
  67. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) 創作ではございません。札幌営林局の報告でございます。
  68. 丸谷金保

    丸谷金保君 そこで、大正七年の問題に入らしていただきます。  そのまたそばに、大正七年植栽の造林地がございます。写真にも出しておきましたが、大変りっぱな造林地になっております。これは下草刈りにつきましても七回全面積やっておりますし、つる切りも大正十五年、昭和三年、七年、さらに三十二年というふうに四回もやっております。枝打ちも二十五年と二十九年に二回やっています。除伐も昭和八年、二十九年、三十年、間伐も二十六年、三十年、四十年、五十年というふうに四回やっている。要するに、非常に手入れのよく行き届いた山でございますね。そのころから見て林業技術が劣るはずがないと思うんですよ、私は。大正七年に植えたころから見て、現在の林野庁の林業技術というものは向上していると。にもかかわらず、こういうふうなりっぱな植林地にならない理由は何かと。手抜きだと思うんですよ。まず枝切り、枝打ち、そういうふうなことが非常に手抜きされております。  ただいまお伺いいたしますと、一部苫小牧ではつる切りを始めたということで、それは大変結構なことだと思うんですが、そういう面を全体としてきっちり踏まえませんと、国有林の中にもこんなりっぱな山がすぐそばにあるんですから、これだけやはりきちっと大正七年の植林地のようにやられると、そこにある写真のようにりっぱな林相になるわけです。そのためには、いま私が申し上げた程度、それから先行して部長さんが御答弁くださったようにいい山になるわけですわね。だから、これからの改善計画の中でこうした植林地の撫育をどういう角度でおやりになるのか、この基本的な考え方を、ひとつ長官の方がいいかと思いますが、これは長官でなくてもどなたでも結構です。林野庁としての今後の改善計画の中で撫育にかける基本的な姿勢、そういうものをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  69. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) ただいま先生から、いろいろ造林地の指摘がございました。私どもも全国の国有林の造林地がそれぞれ適確な施業のもとにいい造林地になるように努力をしてまいったわけでございますが、確かに部分的には先生の御指摘になったような必ずしも十分でない造林地ができ上がっていることも、私たちも認識いたしております。そういう意味で、先ほど業務部長の方からお答え申し上げましたように、ただいま全国的に一応把握をしてその対応を考えておるわけでございますが、ただいま御審議願っております法案が成立いたしますれば、当然その中で改善計画を立てて、これからの国有林の改善について私どもも適確な山の管理をしていかなければいけないというふうに考えておりますが、御存じのように、国有林経営につきましては、五年置きに大体その地域、地域を区切っておりますけれども、五年順繰りになるような森林施業計画というものを組んでおります。  そういう施業計画を組む場合に、当然造林につきましては的確な視察、調査をいたしまして、その造林地がどういう状況であるということを把握し、その造林地の今後の仕立て方については十分その計画の中で盛り込みまして、その計画に基づいて営林局署が実行していくという体制をとっております。さらには当然営林署がございますし、また担当部もございます。そういうそれぞれの職場におります人間が日常の平常業務として当然山の巡視等々を行っておりますし、そういう中で的確に把握されましたものにつきましては、適確な対応をしていくということが必要であろうというふうに考えておりますし、そういう考え方から私どもといたしましても適切な造林事業の実施の方向につきまして、これからの国有林の基盤の整備の中で十分対応し、今後の改善計画の中でもこの問題については十分明らかにしてまいりたいというふうに考えております。
  70. 丸谷金保

    丸谷金保君 それで、いまの改善計画に開運してもう一つ。  その中に、前に決算委員会でも大臣にはお見せいたしましたけれど、改めて別な角度で御質問申し上げたいと思いますけれど、昭和三十五年植栽の定山渓営林署の件ですが、これも下草刈りや補植その他ずっとやっておりますけれど、現状はもう写真のとおりで見るにたえるようなものじゃないんです。一万五千百ヘクタールというのはこういうのだけを言うんですか。写真がどこかへ行っていると思うんですが、ちょっと大臣ひとつ。——部長さん、これは一万五千百ヘクタールの中に入っているやつですね。
  71. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) これは人工補整林として取り扱うことにしておりますので、入っております。
  72. 丸谷金保

    丸谷金保君 おりますね。
  73. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) はい。
  74. 丸谷金保

    丸谷金保君 大臣、ごらんいただいておわかりになると思うのですが、その程度にならないと、一万五千百ヘクタールの中に植林地としても不良造林として入らないわけですよ。だから、一万五千百ヘクタールというのはそういうのだというふうに御理解をいただかなければならないと。  そうしますと、わが党の島田委員衆議院における質問の中で、そんなばかな、そんな少ないはずがないという、このわれわれと林野庁との違い、こういうものが出てくるわけなんです。もう天然林にしなければ、植林をして補植もし下草刈りも五年もやって、あとつる切りだとか何とかその後の手入れをやらなかったばっかりに濶葉樹がどんどん生えてきて、もう始末におえないから濶葉樹との混交林だと。最初から混交林にするつもりじゃなかったんですから、そういう扱いをしなきゃならないような、金をうんとかけてそういう扱いをしなきゃならないんなら、最初からそうしとけばいいんですよ。そうすると、われわれはもうそんなものは当然不良造林地じゃないかと思うんです。だけど、林野庁では、これは不良造林地にならないわけなんですね。そこら辺の食い違いが、林野改善計画に対するわが党の案と政府提案との違いの大きな原因になってきているのじゃなかろうかと思うんですが、その点について大臣いかがお考えになりますか。いまの段階での感想をひとつ。
  75. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 国有林の実態というものは、経営面でおかしいばかりではなくして、国有林の植栽の現状であるとか、あるいは先ほど御指摘もありました生産体制についても批判のあることは、これは会計検査院から指摘があるばかりでなく、もう多くの皆さんから指摘があります。総じて言うならば、すべてここで出直し的にやらなければならないぐらい大きな課題を持っておるものと存じます。したがいまして、不良造林地と言われるものについてももう一回見直して、この法案ができましたならば、その実態を改めてまた把握をして、そしていかにあるべきかということについて、これから五カ年ごとの計画の中に取り組んでいって批判のない国有林にしなければならないというふうに考えます。過去についていろいろ御批判のあることはわれわれも率直に認めざるを得ない、こう思っておる次第でございます。
  76. 丸谷金保

    丸谷金保君 大変大臣の前向きな御答弁をいただいてありがとうございます。  そこで、赤字のよって来る原因の中で、これはいろいろなものが総合的に来ておると思いますが、一番根本的なのは、私は外材の輸入による市況圧迫、このことを抜きにしては考えられないだろうと思うわけなんです。ただ、いろいろな要素はあります。いろいろな要素はありますけれど、これは何も木材業界に限ったことではないので、農業もそうですし、いろいろな点にこれがあらわれてきているその一つだと思います。その証拠に、民有林だっていま決してよくないんです、木材市況低迷しているから国有林が悪いだけじゃなくて。  ですから、いまのような木材の値段だったらもう木を植えるのはばからしいと、最近民有林の植栽率は下がってきております。そして、その問題についてちょっと関税と需給計画、外材の輸入については、輸入の消費の面を十分見合いながら需給計画を立てて進んでいくという答弁を再三長官からも行われております。この需給計画というのは、通産とは十分打ち合わせをしてつくることになるだろうと思うんですが、この計画はあれですか、今後の計画というのはこの改善計画の中に入ってくるんですか。それとも別に立てるものですか。
  77. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) ただいまお話ございましたように、林業そのものがある意味で停滞ぎみであるというような問題、それから林産業が非常に不振であるという問題、こういう問題の一つの原因として、木材価格が非常に低迷しておるということがその原因になっておるということは御指摘のとおりであろうというふうにわれわれも考えます。  その原因を考えてみますと、やはり日本の現在の木材需要に見合うような供給が国産材ではやり得ない、どうしても相当量のものを外材に、輸入に依存せざるを得ないという実態でございますし、また当分これも続かざるを得ない。さらに、木材につきましては大半のものが自由化されております。そういう関係で外国から木材が入ってくる。そういう関係で、ただいまでは木材の需給関係は緩和基調という形になっておりまして、そういう面からいま申し上げましたような事態になっておるわけでございますが、そのために私どもといたしましても、これからの木材需給というものがやはりその需要に見合った供給である、そういう立場に立って、安定した計画的な輸入がなされるような方途を見出さなければいけないというふうに考えております。  そういう意味から、現在までも需給協議会という場がございまして、そこで木材の需要供給を把握しながらそれを一般的に公表しておったわけでございますけれども、今後はさらにこれをきめの細かいものにいたしまして、需要につきましては、たとえば住宅着工の状況、あるいはその他木材の使用状況というものを把握し、それから供給につきましては国内からどのぐらい産出できるか、それから関係業界がどのくらい輸入計画をしようとしておるか、その辺を把握し、そして実際にそれがどういう状況で行われたかということをチェックいたしまして、その辺のあり方を是正しながら対応していこうというふうに考えておる次第でございまして、これは国有林改善計画とは間接的には関連ございますけれども、直接的には関連しない問題であろうというふうに考えております。
  78. 丸谷金保

    丸谷金保君 先ほどの大蔵省の御答弁によりましても、企業性というものを非常に重要視していかなければならぬ。そうしますと、売り払いをする場合の木材価格というふうなものはきわめて重要な要素を持ってくると思うのです。すると、これは外材の需給計画が国内の国有林の材の売り払い、あるいはこの経営と間接的にしか関係ないなんというのはとんでもない話ですよ。もうもろにかぶっているんでないですか。実際には、これが一番大きないま原因だと思いますよ。私たちも一生懸命になって、それは企業的な山づくりをやろうとする場合の一番大きな問題点というのは実はここいら辺なんです。それを長官はその程度にしか把握してないとすると、はなはだちょっと私は心外なんですが、いかがなものですか。もう一回ひとつ。
  79. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 私が申し上げましたのは、先生指摘になりましたこの法律に基づいて立てます改善計画と直に結びついているものではないのであるけれども、やはり日本の林業というものが先ほど申し上げましたような外材輸入に関連いたしまして、木材価格の全体の需給関係から木材の価格は形成されておる。そういう観点で、国有林が当然売り払います木材についても、その関連から価格というものが形成されて適正な価格で売り払うということになりますから、そういう意味では関連してまいりますけれども改善計画を立てるときに、国有林の販売計画は量的な問題、それから収入の問題、これはあろうと思います。まあ収入の問題を考える場合には、たとえば来年度のような場合には、来年度大体どのくらいな木材価格になるかということを想定して収入を立てますけれども、そういう意味で開運はございますけれども、需給計画というものは日本林業全体、あるいは林産業全体の問題として把握してわれわれとしては対応していきたいということを申し上げたわけでございます。
  80. 丸谷金保

    丸谷金保君 実は、この改善計画の中で五年ごとに山を見直していく、それからその段階で二十年で赤字を解消する、二十年たったときに全部木を売るわけじゃないんですから、そうすると、当然十年、二十年という節目で五年ごとに計算するということは、一つには五年ごとに材積の調査をして、それのあれでしょう、評価がえをしておりますでしょう。それに合わせるという意味だろうというふうに、私この法律を解釈しておったんですが、そういうことは関係ないんですか。どうなんでしょう。
  81. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 先生指摘のような問題もございますし、また御存じのように、国有林の現在経営状況が非常に厳しいという一つの原因の中に、伐採量を減少させていくという問題がございます。これは昭和六十年代につきましては、大体その年代はほとんど伐採量がずっと縮減の形で推移せざるを得ないというふうに考えております。ただ、ただいま植えております造林地、ただいま一部指摘がございましたけれども、私どもこの造林地をできるだけいい造林地になるような努力をいたしまして、昭和七十年代になりますと、こういう造林地が年々成長いたしまして伐期に達してまいります。そうしますと、成長量の増大ということから伐採量がふえてまいります。  そういう関係で、国有林のこれからの改善計画を立てます一番大きな基準になりますのは、やはり何と申しましても、われわれ収穫量と申しておりますけれども、伐採量、どのくらい木を切っていくかということ、これがまず基準になりまして、ここ当分の間は漸減傾向でございますけれども昭和七十年前後になりますとそれが増加傾向に入っていくと。そういう関係で、私どもといたしましては、大体二十年で国有林の財政というものが立ち直るであろうというふうに考えておる次第でございます。
  82. 丸谷金保

    丸谷金保君 冒頭の公益性企業性の問題にも関連してくるんですが、そこまで戻ると大変なので、そこまでバックしないで話を進めるとしましても、そうすると、もう大福帳的な考え方ですか。木を切って植える、金がかかる。切って、切った代金が余れば黒字だ、足りなければ赤字だと。国有林経営というのはそういう基本的な考え方ですか。どうなんでしょう。
  83. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 冒頭申し上げましたように、当然企業会計でございますから損益の計算もいたしております。したがいまして、冒頭申し上げましたように、先生がおっしゃるようなそういう問題がございますと、それとあわせて、一番しかし経営の財政的な基本になりますのは伐採量の問題であるということで先ほど御説明したわけでございまして、当然そういう問題を含めて検討していくということでございます。
  84. 丸谷金保

    丸谷金保君 企業会計ですから、当然一般会計と違って単なる単年度の収支だけでない、複式も加味した会計原理に立ってやっておられますわね。そうしますと、五年、五年の節目で改善計画の改定をしていく場合に、材積の評価をする場合に、木材市況というのは関係ないことになりますか。そんなことならぬでしょう。そうすると、そのときは外材がどれだけ入ってくるというふうなこと、そのことの外圧が木材の価格にどうはね返ってくるかということを想定しないでおいて、改善計画できないじゃないですか。そうすると、当然この法律というのは、外材の輸入というふうな問題を十分踏まえて、それらの関連の上で運営していかなきゃならないことになるんで、別のものだということにならないんじゃないでしょうか。どうなんです、会計法上。
  85. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 改善計画の立て方をどうするかはこれからの問題になるわけでございますが、基本的に申し上げまして、木材価格というものが過去においてはいろいろな変動もございました。しかし、これからの安定経済の中では、安定成長の中では、木材の今後の価格の上昇というものはある意味で推計しながら、やはり算定せざるを得ないだろうというふうには考えております。  どういう推計をするか、これからの検討でございますけれども、そういう推計ということが、やはりある意味ではいま先生がおっしゃったように日本の木材の需給関係から発生するわけではございますが、それはやはり現時点と現在の日本の経済の状況あるいは将来の状況というもの、こういうものを見通しながら考えるわけでございまして、そういう観点から言えば、先生の御指摘のように外材の需給とは非常に関係があるということでございますが、私が冒頭申し上げました需給の問題は、特に短期的な非常に変動が最近多いので、そういう短期的な変動をできるだけ的確に把握して、日本全体の林産業その他の、あるいは木材の価格の大きな暴騰、暴落がないような方途をやはり考えなきゃいけないということで申し上げたわけで、長期的な視点に立てば、いま申し上げたような観点になろうかというふうに考えます。
  86. 丸谷金保

    丸谷金保君 それじゃ、いま長官がおっしゃっている各委員会等で御答弁しております需給計画というのは、短期的なものを指して言っておるんですか、長期的なものも含まれているんですか、どっちなんでしょう。
  87. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) いままで国会で御説明いたしましたのは、日本の木材の長期の需給の見通しの問題と、それから短期的な問題と、二つあったと私は思います。したがいまして、長期の需給の見通しにつきましては、現在一応見通しはございますけれども、これについては非常に乖離があるという御指摘を非常に受けました。私どももそう考えておりました。これについては、今後早急にこの検討をしていこうということを一方考えておりますし、それから短期の問題としては、いま申し上げたような形で対応していこうというふうに考えておるわけでございます。
  88. 丸谷金保

    丸谷金保君 通産省お見えになっておりますね。——関税法によりますと、通産大臣はそれぞれの輸入の需給計画を立てて、関係省庁の大臣の同意を得て行うというふうになっておりますが、その点確認をいたしたいと思います。
  89. 篠浦光

    説明員篠浦光君) 関税法は私どもの直接の所管ではございませんで、大蔵省の関係になるわけでございますか、先生いまおっしゃった……
  90. 丸谷金保

    丸谷金保君 外国為替管理法ですか。関税法でなくて、外為法だったですか。
  91. 篠浦光

    説明員篠浦光君) それは恐らく、御指摘のは、輸入割り当て制度に関しての話じゃなかろうかと思うんですが、自由化された物資につきまして関係省庁と、特に輸入の見通し、あるいは計画、そういったものを協議するという制度は特にございませんと記憶しておりますけれども
  92. 丸谷金保

    丸谷金保君 関税法でなくて、外為法だったですか。ちょっといま記憶違いでしたが、そうすると、外材輸入については全くオープンだというふうに理解してよろしゅうございますか、だれがどこから買ってきてもいいんだと。
  93. 篠浦光

    説明員篠浦光君) 自由化物資ということでございますので、どこから買ってもよろしいというたてまえになっておるわけでございます。
  94. 丸谷金保

    丸谷金保君 たてまえはそうだけれど、実態はどうなんでしょう。
  95. 篠浦光

    説明員篠浦光君) 先生御案内のとおり、実態も全くそのとおりでございまして、アメリカから米材、それからソ連から北洋材、それから東南アジア諸国から南洋材というようなかっこうで自由に入れられておるということでございます。
  96. 丸谷金保

    丸谷金保君 実はこの国会答弁の中で、いつも記録を読みながら感じているんですが、御案内のとおりという言葉がたくさん出るんですよ、まくら言葉にですね。これはもう口癖になった人たちはやむを得ないんですが、あなたのようにお若い方は、余りそういうことを口癖にならないようにいまから注意した方がいいですよ。御案内のとおりって、私は案内されたことありますか、あなたに。先生御案内のとおりと言って、何を案内したんです。何にも案内されたこともない。そうでしょう。日本語をもう少しやっぱり、そういってもなかなかあれですが、口癖になっちゃうともうこれはやむを得ませんけれども、いまのうちに——決して私はこれは実態に合った言葉じゃないと思うんです。まくら言葉としてもちょっとおかしいなと思いながら、いつも記録を読んでいるんです。私は何も、先生御案内のとおりとあなたに言われるようなことは何にもないと思うんですが、ちょっと御注意申し上げておきます。  それで、全くオープンだということでよくわかりますが、そうしますと、外材輸入と関税の関係については、大臣はこれはまあ大変むずかしい、むしろ先々にわたって関税をかけないという保証を外国から要求されているんだという国会答弁をなさっておりますね。関税をかけるということは大変むずかしいんだと、外国からはむしろ逆にかけない保証をよこせというふうな話があるくらい大変むずかしい、こういうことのようでございますが、そうしますと、これは輸入の全体について言えることでもあるかと思いますが、特に木材には木引税というのがございます。大分安くなりましたけれども三%です。国内の材には税金かかるんですよ。自治省おいでになっておると思うんですが、国有林の木引税、いま全体の木引税とその中の国有林の支払っている分とを分けて、ひとつ御答弁いただければお願いいたしたいと思います。
  97. 渡辺功

    説明員(渡辺功君) 木材引取税の税額でございますが、最近の決算、これは昭和五十一年度でございますが、二十九億九千六百万円ということになっております。国有林と民間を分けてという御質問でございますが、手元にいま資料を持ちません。ちょっと調べさしていただきたい、こういうふうに思います。
  98. 丸谷金保

    丸谷金保君 林野庁の方では国有林の木引税、おわかりになりませんですか。
  99. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) これは国有林として素材で売ったものと、それから立ち木で売って、これは民間の方がお払いになるわけでございますが、それと合わせまして五十一年で十五億四千三百万というふうに把握いたしております。
  100. 丸谷金保

    丸谷金保君 これは山村の市町村にとっては大変重要な財源で、これを外されたら実は大変なんで、自治省としてもなかなかこれは外せないところだろうと思います。しかし、実態の取引から言いますと、民官全部合わせて約三十億で、半分以上が国有林からです。しかし、材の動きから言うと国有林がいま四割くらいですか、三割何ぼですか、そんなに多くないと思うんですが、それで木引税だけが半分というのは、これはどういうわけなんでしょう。実際の材の動きは、大体三分の一以下くらいだと思うんです。何%でしたかちょっと忘れましたが、半分にもいってない、二〇%か三〇%ぐらいだと思うんですが、それは後で答弁していただくとして、税だけは半分以上払っているんです。こういうことの実態について、自治省としてはどうお考えになりますか。
  101. 渡辺功

    説明員(渡辺功君) ただいま全体の木材の流通量と、それから民有林国有林の税額との関係で御質問でございますが、御趣旨は、この木材引取税というのは非常にむずかしい税金であるので、その辺をどう考えているのだろうかということもあると思います。確かにそういう面もあるのではないか、そういう点も否めないのではないかということも一つございます。しかしながら同時に、御承知のとおり、木材引取税には価格あるいは容積を課税標準とする方法もあり、課税の方法につきましても一律の姿には必ずしもなってございません。そういったことも一つの要因であると思います。それらが合わさりまして以上のような課税実態になる、こういうふうに私どもは理解をいたしております。
  102. 丸谷金保

    丸谷金保君 林野庁、どなたでも結構ですが、大体民間との、いまの木材の取引の大まかな割合はどの程度になっておりますか。
  103. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 国産材のうちの大体三分の一が国有林材でございます。
  104. 丸谷金保

    丸谷金保君 経営の実態を調べる中で、会計検査院の方では、こういう問題は調査いたしましたか、どうでしょうか。
  105. 阿部一夫

    説明員(阿部一夫君) 調査いたしております。
  106. 丸谷金保

    丸谷金保君 いたしておりますか。
  107. 阿部一夫

    説明員(阿部一夫君) はい。
  108. 丸谷金保

    丸谷金保君 このように、実際の引き取りの状況よりも国有林の方が税額が多く出てくるということをどういうふうに判断なさっておりましょうか。
  109. 阿部一夫

    説明員(阿部一夫君) 私ども国有林関係につきましては調べるわけでございますが、民有林関係につきましては私たちの所管でございませんので、全体の中でどうかというような立場からの検討というのはいたしてございません。
  110. 丸谷金保

    丸谷金保君 大臣、これは国有林は非常に正直なんですよ。簡単に言いますと、きちっと出しているわけです。ですから、三分の一であっても半分以上の税をちゃんと出している。そうすると、民間の方では必ずしも課税客体の把握が完全に行われてないということが、この数字から証明されているのです。ちょっと自治省、そうですね。そうでないですか。どうですか、自治省の判断。
  111. 渡辺功

    説明員(渡辺功君) ただいまお話しのような、この課税について課税漏れがあるのではないだろうかというふうな御疑問は当然あり得ると思います。しかしながら、私どもといたしましては、これは恐らく市町村がそれぞれの実態に応じた方法で最もその市町村に適した方法で課税を行っている、課税漏れというようなことがはっきりいたしますれば、必ずこれは課税をするという態度で一貫していると、こういうふうに私どもは理解をいたしております。
  112. 丸谷金保

    丸谷金保君 公益性企業性の問題がまたここでも出てくるのです。というのは、市町村でもこの課税客体を把握することに税金以上に金のかかる場合があるのです。後から調べなきゃなりません。へたをすると人件費も出ない。これは企業性から言ったら、こういう場合はやめたって差し支えないですわね。そんなもの、経費も出ないような税金を集めていられないということになるのですよ。しかし、公平の原理というか、公共の立場で言うと、マイナスになったってやっぱり集めなきゃならないのです。一般会計というのはそういう形のものですわね、この法律がある以上。課税客体の把握、徴収、非常にめんどうなそういう状態もしばしばあります。それでもやらなきゃならない。それでも、なおかつ課税客体の把握が完全にできないというのが現況だと思います。  しかも、一方で、国有林の方ではきちっと正直に出していかなきゃならぬ。大臣、こういうところにも、やっぱり国有林がいわゆる企業の採算性だけでないものを負わされている。採算性と言ったら、この場合やはりごまかす方が悪いのですから、法どおりに払わぬ方が悪いのですからあれですが、国有林というのはきちんとやっていかなきゃならない、民間と違う要素も持っていることの一例として木引税——それじゃ木引税をやめたらいいんじゃないかということになると、これは北海道の山村ちょっと困りますので、やめる場合の問題はやめる場合の問題でまた、三十億くらいですから、自治省の方で別な財源を与えることを考えていただきゃまた別ですが、しかし特に国有林を持っている市町村になると、非常に正直に払ってもらえますから大変ありがたい税で、その点は、そういう山村に偏っていますから、そこではこういう財源がなくなると大変困るので、ならされた形で全国の市町村に三十億配分されるような財源賦与されてもどうにもならないというような問題もございます。しかしそういう点では、民間と国との仕事の中でのこういうところにも違いが出てきているということだけは、大臣ひとつ御理解いただきたい。われわれ実際に徴税やってみてて、そういう矛盾を感じていました。  それで、また外材の問題に戻るんですが、しかしこれは大変むずかしいけれども、これだけ国有林なりの方は余分な経費をかけて国内の材についてやっているわけです。オープンで外国から入ってくるのですから、これはやはり、いまのたとえば課税客体をつかむことの方が税金よりも多くなっても、公平の原則から言ってやらなければならないということと同じように、公平の原則から言ったらどう考えてもおかしい気がするのですが、そう思いませんですか、大臣。外材の方には何もかからないのです、そういうものが。そしてこっちの方だけかかるわけです、国内の三%。どう思いますか。
  113. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 木引税の問題につきましては、十数年前から大きな課題で議論を呼んでおりますが、まだ決着を得ないでおるところでございます。御承知のように、特に外材との関係では、いま御指摘がありましたようにおかしいではないか、やはり外材にかけるか、もしくは国内の木引税を廃止するか、どちらかしないと不公平である、こういうことに整理されるわけでございます。  そこで、外材にそれでは課徴金をかける仕組みはどうかということになってくると、今日の国際情勢から言って、それはなかなか容易でない実態がある。じゃ国内材について木引税を今度はやめるとすれば、これまた御指摘ありましたように、過疎町村にとってはそれぞれ非常に大事な財源になっておりますから、これを廃止するということもなかなか大変だ。そこで、これの代替として自治省から何らかの補てん措置を講じたらどうかということでわれわれもずいぶん努力をいたしたのでございますが、そうなってくると、そういう税金のあったところだけ特別のめんどうを見れば、苦しい町村がほかにあるので、ほかの町村がまた不公平であるという議論が出てくるということで、ぐるりぐるり回ってなかなか解決し得ない実態でございます。  しかし、今日国有林がこういうことになり、また、国有林のみならず民有林についても非常に厳しいときですから、この木引税のあり方については、われわれとしてもできるだけ実態に合うように何らか解決策はないかということで、今後とも努力をしてみたいと思っておりますが、過去のいきさつからいくとなかなかむずかしい。こちら立てればあちら立たずというようなことでなかなか成案を得ない実態であり、御指摘のような問題についてはわれわれの頭の中にも十分入っておることだけははっきり申し上げ、今後も十分努力してまいりたいと存じます。
  114. 丸谷金保

    丸谷金保君 この企業性の問題、まだいろいろな関連のたとえば民有林の融資の制度であるとか、それから水源涵養林の問題であるとか、その他いろいろございます。これはこの法案の中におけるそういう問題、それからヨーロッパとの関連、質問通告した中で少しくそういう問題がまだ残っております。道有林なり民有林なりとの違い、そういうふうな問題も実は残っておりますが、ちょっと午前中にやっておいて後調べていただかなければならない問題がありますので、飛ばして、後先になりますが、経理規程の問題についてひとつ御質問いたしておきます。もしまだ調査できていない面がございましたら、それについてはさらに夕方までにでも調査していただきたいと思います。  実は、たまたま偶然と言えば偶然なんですが、私の九州担任の秘書が福岡県の北九州市におります。九州をフォローしてもらっているんですが、その北九州市の秘書をやってもらっている人のうちからごく近くに、中河内林道というのが最近でき上がったんだそうです。これは福岡県の直方署の所管でございます。これが実は昭和四十八年ころにもうやらなければならないやつがいままで延びちゃったというので、直方署に直接行って、署長さんに会って調べていただきました、どういうわけでこうなったのか。  そうすると、四十八年に約九十万かけて設計をしておるんです。で、それっきりやってなかったんです。今度できたんですが、これは五十一年に設計変更をやっているんですが、設計を二回やっているわけです。どうして設計変更をこういうふうにやったんだというふうにお聞きいたさせましたところ、これは国土利用計画との関連で手直し設計をしなければならなくなったと、そのためにこういうふうにおくれて、五十二年に千百四十メーター工事を行っております。この点について、国土利用計画と林業との関係、国土庁からおいでになっておると思いますが、国土利用計画の中で森林の林道との関係については、どういうふうな国土庁としては規制をいたしておるんですか。
  115. 星野進保

    説明員(星野進保君) 私ども国土利用計画法が四十九年度に成立をいたしまして、いま先生指摘国土利用計画、これは全国計画でございますが、全国計画を五十一年に策定いたしました。それで、これは国土利用計画法の第五条におきまして「国土の利用に関する基本的な事項について全国計画を定めるものとする」ということになっておりまして、全国計画でございますので、平たく申し上げますと、きわめて基本的な事項だけを指摘しております。たとえば御指摘の点に関連いたしまして申し上げますれば、森林については木材生産機能及び国土保全、水源涵養、保健休養林、それから自然環境の保全等の公益的機能を総合的に発揮し得るよう必要な森林の確保と整備を図るという、こういう基本方針だけを示しているわけでございます。  したがいまして、御指摘の具体的案件につきまして、私、具体的な事情を存じませんので、必ずしもお答えを申し上げられるかどうか存じませんが、恐らくこういう国土利用計画との関連という御説明とあらば、こういう基本的な精神を御配慮いただいたということかと私そんたくしております。
  116. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうすると、おたくの方でチェックしたわけじゃないと、こういうことでございますか。
  117. 星野進保

    説明員(星野進保君) そのとおりでございます。
  118. 丸谷金保

    丸谷金保君 林野庁の方にお伺いしたいんですが、これらの設計が行われているのは、全部林業土木コンサルタンツというんですか、これだけかと思ったんですが、熊本営林局の四十七年から四十九年までの実態を調べてみますと、ほとんど七〇%以上委託設計を受けてやっているのは林業土木コンサルタンツとかという法人なんです。さらにその中身を調べてみますと、全部林野庁のOBもしくは移行した方で占められておる。それで、年間相当な金額が行われておる。そして、設計をしておいてやってないんですよね。こういうことが一体どうして行われたのか。私、これ一つかと思ったんです。そうしたら、これ一つでないんです。いっぱいあるというんですよ。栗原君、向こうから電話をかけてきまして、いやいや驚いたわという話なんです。  これらについては、ちょっともう時間がございませんので、ひとつ午後までによく調査して、参考までに〇九六三−五二−二一三一、ここの那須さんという方だとよくわかるそうです。熊本営林局の林道指指導官か何かです。すぐ電話に出るそうです。私、かけようと思いましたけれども、もったいないんで、おたくの方から調べてもらった方がいいと思いましてとっておきましたので、よく調べていただきたい、一体こういうのがどれくらいあるんだということを。国土庁の方に聞いてみると、何も国土庁がチェックしたのじゃないと言うんですけれども、私の秘書がちゃんと身分証明を出して、そうして署長に会って聞いたところが、国土利用計画にひっかかったから変えたんだと、こう言うんですよ。そうでないと言うんですから、一体ここのところどうなっているのか。  それから、同じように林野経理規程の中で、昭和五十一年度でもって軽自動車百七十五台だったか六台だったと思いますが、まとめて買っておるんです。これが林野弘済会とか林何とか弘済会とかという、これもまた全部林野庁から天下った人たちがやっておるところです。ぼくは、林野庁のお役人をやっていた方々が自動車のディーラーのようなこと、おわかりになるのかなと思って実は不思議なんですが、それでもそこから買っているんです。値段も必ずしも安くないんです。百七十何台も買って、それはまあ大蔵の話を聞きましたんで、さもありなんと思いますけれども、それにしてもまとめて買った物にしてはちょっと高過ぎるというふうな状態なんで、これもひとつ夕方までに調べてください。  それから、九州の方ばかりやっていても悪いので、北海道のやつも一つ入れておかなければならぬと思いまして、北海道の方を調べてみましたら、昭和五十二年度に、七月から十月くらいにかけてビニールシート、山へ行ったときに日陰なんかつくったりするのでよく使いますが、これの十メッシュ、これは糸がビニールシートの中に丈夫にするために入っています。これは縦が二本入っていて横が一本のやっと、両方とも一本ずつのやつがありますから、どっちだかわかりません。十メッシュというだけではわからないんですが、われわれのところで買っているのは、大体丈夫な方がいいというんで二本入ったやつを買うんです。だから、大体同じようなものだろうと思うんだ、十メッシュ。それも同じですし、HPシートというんですが、これもよく使っております。型式は、三・六メートルと五・四メートルのものなんです、大きさは。これを札幌営林局が、やっぱりこの林野の弘済会から六枚買っているんです。一枚五万円で合計三十万円。  ところが、中頓別営林署が、同じ物を弘済会から三枚買っているんです。これは今度六万円なんですよ。そして、中頓別はまた別に東京の櫻商会というところから四枚買っている、六万円で。どうしてこれは一万円も違うのかなと。第一、それにしても高過ぎるから、これは零が一つ違うんではないかと私、電話で、これは札幌の秘書と連絡とったんですが、いやいやたくさんあるんだと言うんですよ。北海道あっちこっちいっぱい買ったんだと、これだけじゃないんだと、こういうわけなんです。でもまあとにかく間に合わないからそれだけでいいわということで、きょうまた昼に電話をかけてよく聞くことにしております。幸いに午後にも残してくれたものですから。  それで個数、たとえば、一カートンという買い方を恐らくするはずがないんで、この一個というのは十二枚、一ダースだったとしても高いんです。どうも高いんですよ。私のところでは、二年ほど前ですが、一枚千五百十七円かで買いました。これは農協を通じて買ったんですが、まとめて買ったら安くなるかと言ったら、うんと勉強しているから安くならない、こういうことですね。三枚買っても十枚買っても同じだと言われたので、私記憶あるんですよ。大抵物というのは、まとめて買えば安くなるものですからね。それと同じ物としたらずいぶんおかしいなと。この点もよく調べてひとつ午後の部のときに御答弁願いたいと思います。  時間前にとにかくこれだけ言っておかなきゃなりませんので、以上三点について、ひとつ昼の間に電話で連絡して実情を、私の方の間違いであれば幸いだと思いますが、ひとつ調査をお願いしたいと思います。
  119. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分再開することとし、休憩いたします。    午後零時三十一分休憩      —————・—————    午後一時三十六分開会
  120. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、国有林野事業改善特例措置法案議題とし質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  121. 片山正英

    ○片山正英君 短時間の間で私は質問をいたしたいと思いますが、御承知のとおり、いま林業界あるいは木材界あるいは山村関係、本当に危機になったんじゃないかという言葉を再三われわれは聞きます。林野庁にもそういう話が多々あると思います。私も身近にそういうものを感じます。したがって、そういう人たちが切なる願いを込めてわれわれに問いただしてくる。そういうものを前提として、本当に若干の質問でございますが、いたしたいと思います。  まず、国有林野事業につきましては、私もかつてその管理運営の当事者であったわけでございますので、国有林野の置かれている現状については深い関心を持つとともに、大変心配をしておる一人でもございます。国有林野事業運営については、これまでもたびたびその改善に努力が払われてきたところでございますが、その努力にもかかわらず国有林野事業における財務事情は、特にオイルショック以来収支及び損益の悪化の傾向がございます。また、今後においても木材価格という一つの問題もございますが、その動向のいかんにもよりますが、木材価格必ずしもいまの自由貿易下においては堅調になることはなかなかむずかしい。また一方、森林公益的機能への要請がますます強くなっている現況においては、国有林も相当の伐採の制限をせざるを得ない、非常に伐採を縮小しなければいけない。したがって、収入は伸び悩む、これも国有林の置かれている現状であろうと思います。しかし一方、基盤整備のための造林、林道、そういうものを継続的にやっていかなければならない、これもまた国有林一つ使命であろうと思います。ところが、人件費の支出は非常に硬直化していることもあり、相当長期にわたってこれを打開しなければできないだろうというふうに私も予想されます。  そこで、今回提出されている法案に基づいて、国有林野事業は相当厳しく改善を図っていかなければ、この財政的危機はなかなか脱却できないと、こう私も思っておるわけでございます。そこで私は、大きな二つの問題について林野庁にまず伺っておきたい。  その第一点は、御承知のとおり国有林野使命とは何なんだろうと、ただ収支だけ合えばいいんだという問題でないはずです。国有林というそういう性格である限り、そしてその事業である限り、私は国有林使命が何であるかということを明確にしておかなければならない、こう実は思っております。幸い、たしか四十七年でございましたか、そういう意味も含めて林野庁が学識経験者による林政審議会に諮問をいたしました。その諮問の結果、三つの方向をたしか答申しているわけであります。「公益的機能の発揮」が第一、第二番目が「林産物の計画的、持続的な供給」、第三番目が「地域振興への寄与」、この三つが国有林の大きな使命として答申を林野庁はもらっているはずで、それによって仕事も実行されてきておると思いますが、今後ともこの答申を受けた大原則林野庁の基本方針として貫いていくんだと。私もそう思うんですが、その点まずお伺いをいたしたいと思います。
  122. 石川弘

    政府委員(石川弘君) ただいま御指摘ございましたように、昭和四十七年に国有林事業の改善につきまして林政審議会の答申をいただいております。  当時、国有林使命ということを歴史的な流れの中で検討いたしておりますが、かつて国有林につきましては林産物の持続的、安定的供給、それから国土保全その他の公益的機能の確保、さらには、各種の地元施設等を通じます国有林の地元への貢献というようなもの、さらには、たとえば国有林が非常に大型の事業体でございますので、そういうことから新しい技術を開発、普及して林業のために貢献したということ、さらに、かつての時代では、国有林経営自身が国の財政に寄与したというようなことをかつての使命としてとらえておりましたけれども、いま先生指摘のように、この時点におきまして国有林使命を考えてみますと、まず第一には「水資源のかん養」とか、あるいは「自然環境の保全」といった形での森林の持っております公益的機能を追求をするということと、それからやはり何と申しましても、国内の林産物供給につきまして三分の一程度のシェアを確保いたしておりますし、そういう意味での「林産物の計画的、持続的な供給」をするということ、それからもう一つは、国有林が所在しますところの地域につきまして、産業の面でも、あるいは雇用の面でも、あるいはこれを活用しまして、農林業に対して国有林を活用するというような形を通じます「地域振興への寄与」と、この三つは、この段階におきましても国有林が欠かせない使命だということを答申に述べておりまして、われわれもこの三つのことが国有林経営上欠くべからざる使命と考えております。
  123. 片山正英

    ○片山正英君 お答えいただきましたが、私もそのとおりに思っておりますので、まずもってその点は理解をいたします。  それから第二点は、国有林が確かに現在財政の危機になったということは、伐採の減少等いろいろな問題もあろうと思いますが、また国有林自身が、私もその一人であったかもしれませんが、努力の不足もあったということを素直に反省もいたします。しかし、それにも増して私は経済事情、特にオイルショック以来の経済事情、かつまた木材は自由化そのものでございますから、保護政策は何一つありません中における外材、特に最近における円高、こういう問題によって私は、国有林ばかりじゃなしに民有林自身も、それはひいては山村自体も非常に苦境に陥ってきている。これはひとり国有林ばかりじゃない。私はそう思います。したがって、これは林政全般の重大な問題でもあります。山村全体の重大な問題でもありますので、したがって林政全般今後の運営いかにあるべきか、こういう問題についての基本的な方針といいますか、お考え、それを第二点として伺っておきたいと思います。
  124. 石川弘

    政府委員(石川弘君) 御指摘がございましたように、林業あるいは林産物に関します各種の産業につきましては、戦後木材その他のものがどちらかと申しますと不足型の物資でございまして、御承知のようにどちらかと申しますれば、材価等は一般の卸売物価水準を上回るような姿で経過をしてきたということがございます。経済の高度成長の中で、そういう意味では木材の価格等につきまして比較的順調に推移をしてきたわけでございますが、御指摘のようなドルショックあるいは石油ショックといったようなものの中で経済の発展の形態が変わってまいりました。その間、高度成長期にはどちらかと申しますと不足物資でございますので、自由化その他の姿の中で、むしろ木材をより安定的に供給することによって物価その他に貢献をするという形で行われておりました外材がある程度ボリュームがふえてまいりますし、さらに交易条件等が有利になってまいりまして、最近におきましていろいろ指摘されますように木材の需給関係が比較的緩んでまいります。そういう中で、国内の林業あるいは林産業というものがかなり従来と違った形で対応せざるを得ないという事態になってきたわけでございます。  私ども、そういう中で、やはり基本的に材価あるいは林産物価格を安定させますためには、すでに六五%のシェアを占めております外材につきまして適切な調整を図る必要があるという考え方をとっておりまして、これは御承知のように、いままでのどちらかというと不足型のものを自由に入れるということから、やはりいまのわが国が必要とします木材の需要量に見合ったものを安定的に入れるという方向に行政指導の方向を変えていく必要があるかと思っております。したがいまして、五十三年度から従来年一回つくっておりました木材の短期の需給見通しにつきまして、さらにこれを四半期ごとに細分をいたすことにいたしております。こういう細分をいたしました短期の需給見通し、これは時々刻々の経済事情を反映するわけでございますが、こういうものをもとにいたしまして米材、南洋材等の比較的輸入量の多い木材につきましてどの程度のものを輸入し国内に供給するかということを、これを関係者から届け出を受けまして、これをもとにしました外材の輸入調整ということを徹底をするということを、新たに始めようとしているわけでございます。  そういうことで、国内における木材需給を安定させるということを基本といたしますけれども、やはり何と申しましても、わが国林業がいまや人工林面積が目標に対して七〇%を超えている段階ではございますけれども、まだ育成途上のものが非常に多いわけでございますので、これを安定的に供給できるようにいたしますための林道の開設あるいは造林、これも保育等が非常に重要になってまいりますが、こういうことにも力を注ぎますし、それからよく言われますように、山で働く人たちが安定的に収入ができますために、各種の後継者の育成対策とか、あるいは労務組織等を整備するというような形での林業に従事する方々の施策を拡充するというようなことも必要だと考えております。さらに加えまして、最近の林産業等のいろんな事情もございますので、林産業関係につきまして、これらの構造改善対策等あわせてまいりまして、いまの非常に困難な事情ではございますが、林業、林産業関係の経営が安定するような方向で施策を集中してまいりたいと思っております。
  125. 片山正英

    ○片山正英君 木材の安定、あるいはひいては山村の安定、それにはやはり何らかの形で外材問題に触れて、その適正な輸入ですか、あるいは調整と申しましょうか、そういうものにもう少しきめの細かい四半期計画とか、いまお話しになりましたそういうものを通して一つの安定化を図ろうという、そういう御返事に承ったわけでございますが、私は前回の森林組合のときに長官にちょっとお話し申し上げたんですが、需給調整と申しますか、安定化と申しますか、そういうものを図るために協議会をいまやっているんだと、この協議会を充実するという返事を実はいただいているわけです。  ところが、さっきぼくが意外に思ったのは、きょうはそこまで突っ込んでやるあれはありませんけれども、通産省の方はさもそれは全然——確かに組織的には自由ですから、それは自由でそのとおりの答弁だとも思いますけれども、何かその辺、もうちょっとやっぱり、通産省もメンバーになっておるんでしょう、その協議会のあれに。私はぜひそういう関係官庁、通産省、大蔵省もあるでしょう、それから建設省もあるでしょう。そういう人の意思疎通が本当にいかないがゆえに、何かちょっとちぐはぐな感じを業界が抱いている。そして業界が私に質問をする。したがって、ぜひそういう何かちぐはぐという感じじゃなしに、一体とした安定、一体とした山村の生き方、そういうことを通してのきめの細かい、いま林政部長答弁されたそういう方向をぜひやっていただきたい、こう思います。答弁は要りません。それはぜひお願いします。  それから、そういう前提において、時間もありませんからまとめて二つの質問をしますが、一つは、そういう外材の問題はあるけれども、国内産木材中心、いわゆる国内産木材に依存をしているそういう企業が製材工場にはたくさんございます。そういう国内材に依存している企業というのは、非常に外材のあふりを食って苦労をしております。そういうものの育成の問題と申しますか、安定化と申しますか、これをどのように図っていかれようとするのか、それが第一点。  それからもう一つは、国有林というのは需要量の約十分の一しかいまや占めておらないと思います。国内産の供給力からは、先ほど長官の御答弁のあったとおりに三分の一のウエートしか占めておらない、こういうことではございますけれども、やはり需給調整と申しますか、それなりの需給調整というものが国有林にあってしかるべきじゃないかと思います。それは全国一律にあるわけじゃない。非常に国有林の存在が偏っておるだけに、私はやはり国有林としての需給調整をする、こういう態度が必要じゃないか。需給調整に対する国有林あり方いかん、この二つの点についてお伺いをいたします。
  126. 石川弘

    政府委員(石川弘君) 御指摘の国産材に関連いたします関連産業の振興問題でございますけれども、まず、国産材は御承知のようなわが国の在来工法を前提とした木材の生産あるいは加工をいたしております。木材は、何と申しましても圧倒的に住宅の資材として使われるわけでございますから、国産の木材が在来工法というような姿で極力使用されることが望ましいわけでございます。われわれのいろんな調査によりまして、過去におきましても大変住宅着工が急増をいたしましたときには、実は非木質型の住宅の伸びが高うございますが、住宅建設が比較的安定しております時期におきましては、いわゆる木造型の住宅というものの比重はそれほど大きく落ちていないわけでございます。さらに木造の中でも、御承知のツー・バイ・フォーその他のいわゆる新しい木材の使用の姿の住宅の伸びと在来工法と比べてみますと、かつて想定しましたほど新しい形の木材使用の住宅も伸びていない、これはやはり在来型の住宅に対します国民の需要が大変強いということであろうかと思います。  ただ、御承知のように、在来工法につきましては、大変部材の数が多いとか、いろんな形でコストの引き下げが困難だというようなこともございましたので、御承知の在来工法というものを改善をいたすための各種の施策をやっておりまして、そういう改良型の在来工法住宅というようなものを各地に展示をいたします等のことによって、まずこういう国産の木材が有利に使えるような、そういう需要開発をするのが政策的に必要かと考えております。先ほど申しました在来工法の住宅の流通消費改善対策のほかに、近年、日本住宅・木材技術センターというようなものも発足をさせまして、この種の需要開発なり、あるいはこれを宣伝をするというようなことも進めたいと思っております。  それから、そういう国産材を使っておられます製材業、これはどちらかといいますと中小企業の製材の方々が多いわけでございますが、この方々の体質を強化するというような観点から、御承知の中小企業近代化促進法に基づきます構造改善事業等を実施をいたしておりまして、この種の施策等によりまして、国産材を使います中小林産業が発展しやすいような素地をつくるということを、今後とも進めていきたいと思っております。  それから二番目の点でございますが、国有林が、地域的ではございますが相当のシェアを占めているような地域で、国有林の販売というような行為が、やはりその地域の木材の需給の安定と申しますか、そういうことに寄与すべきではないかという御指摘でございます。大変残念なことではございますが、国有林経営の中で、みずからの原資をもって事業をしなければいかぬというシステムの中で、御承知のように材価が低迷をいたしますと、したがいまして、材価がどちらかというと安い時期にある程度生産を上げざるを得ないというような、経営的に申しますと一つの桎梏となるような事態があったわけでございますけれども国有林事業に関します原資につきまして、御承知のように資金運用部資金の導入となあるいは今回の法案でお願いしておりますような一般会計からの繰り入れ等というような形で、国有林事業に要する経費を外部資金にある程度依存するというような体制も着々とできておりますので、極力国有林経営あるいはその販売というようなものにつきましても、その辺の事情を加味した運営ができるように努力をしてまいりたいと思っております。
  127. 片山正英

    ○片山正英君 大体林政部長の答弁で満足でございます。ただ、あえて申し上げますと、確かにいま民間の中で国有林ももちろん、民有林も含めて、在来工法によるいわゆる木材需要というのが主体であったわけです。柱材が中心で、大体日本の木材需要というのは展開をしているわけです。それを民有林がつくり、国有林もまたそれをいまや人工造林の拡大の中においてやっておる。それがたとえばツー・バイ・フォーであるとか、壁を中心とする、これは木材は木材であっても、基本的には私は違う。そこに非常に不安感を持ってくる。だから、ツー・バイ・フォーで何軒、百軒建って、それが何か建設省の指導の中で建った、在来工法はいかぬ、こういうような話が出るものですから、これはどうしたんだという不安感が非常に強くなり、われわれにその解決を迫ってくる。これは当然だと思います。  そういう意味で、いま林政部長のお答えはそのとおりだと思いますので、そういう点をもう少し木林需要というものを、内容をもっときめ細かく、そしていま日本がつくっている材がなるほどあてはまるんだというふうな、いわゆる需要供給体制ということをぜひ確立していただきたい。その中の製材工場も、当然それに依存するものがありますが、そういう一貫したやつをぜひやっていただきたい。  それからもう一つ、御答弁をいただいたのでいいのですが、国有林というのが需給調整はする、その中で矛盾点が一つある、林政部長がおっしゃいました。私もかねがね林野庁におってそう思って、自分自身で解決しようと思いながらできないでしまった。しかし、私のときは大変景気のいいときだったものですから、そういうものをことさら取り上げずともスムーズにいったという幸運があったわけなんです。ところが、いま不景気のどん底ですから、いやでも応でもここは解決しなければならないように追い込まれているのが現状だと思います、林野庁は。  というのは、先ほど部長さんおっしゃったように、景気が悪くなると収入が上がらぬ。収入が上がらぬから、景気が悪いのに木材を売り出さなくちゃいかぬ。ますます景気は悪くなる。需給が過剰なときに売り出す。景気がよくなってしまうと、今度は値段が上がりますから、収入は問題にならない、もう売らぬでもいいんだ、木材屋さんとしてはもっともっと欲しいのだが、国有林としてはもう特別会計だからいいんだ、こういうことで売らなくてもいいという、こういう経済の流れと逆な現象を国有林がやらざるを得ないというこの矛盾、これは単年度収支という一つの大きな原則があるから、きょう一朝一夕にはそれは解決つかないという問題もありましょう。御苦労の多い点もありましょう。しかし、やはり大きな需給調整、本当の流れに矛盾したことをやることは、やっぱりこれは国有林としてやるべきじゃないじゃないかと、先ほど言った三つの大方針にも私はもとるんじゃないだろうかと、こう思いますだけに、これは速急にはいかぬと思いますが、ぜひこの点、大変厳しい経済情勢ではなおさらやりにくいわけですが、それだけに民間の期待するところも大きいわけですから、これはぜひ今後とも引き続き御検討をいただきたい。この二点だけは私が心からお願いを申し上げます。答弁は要りません。  それから、もう一つお伺いしたいのは、公益的機能の中ではたくさんあります。一つは、水資源の確保という、崩壊を防止するという、いわゆる治山事業。それから私は、いま国有林に期待されるのはレクリエーションの場、保健休養の場として国有林公益性の面で期待している、これが非常にぼくは国民の要望として高まっておると思います。私も、大分前ですが、全国をあちこち歩きますと、国有林治山事業がおくれていますよという切なる要請を受けます。そこで、前の五カ年計画それから現五カ年計画、それをちょっと私も調べてみますと、なるほど必ずしもよくない。建設省と比べますと、建設省の治水事業というのは、第四次の五カ年計画、これは四十七年から五十一年まででございますが、計画率に対して九一%達成した。ところが、農林省の方は八四%しか達していない。ところが、民有林になると、その八四%の中でも八八%大体いっている。建設省に近くなる。ところが国有林が七二%しかいってない、平均が八四だと、こういうことで、何か計画に対して山の方が少しおろそかになっているのじゃないかという地元の指摘に対して、数字上はこれは仕方ないが、うなずかざるを得ない、こういうことがあります。  その中で、御承知のとおり、いま新潟の妙高高原における国有林の山地崩壊等のあれも発生した。あれやこれやいろいろな国有林に関連する治山問題が、やはり今後の大きな公益事業一つとしてクローズアップしてくる。しかし、いま言ったように、非常に国有林事業が苦しいという諸情勢にあることもよくわかるわけですが、しからばこの五カ年計画、いますでにお立てになっている五カ年計画、これはこの実施について私はちょっと心配をするんですが、その実施についてどのように林野庁はお考えになっておられるのか。心配するなと、こういうふうなことであるのか、その点を、いま確かに実績的には、ことにオイルショック以来林野庁が苦しくなりましたからよくわかるんですが、しかし、この情勢はそう簡単に解消するとも思えませんので、十カ年の計画の中でプラン整合をやるわけですが、この五カ年計画の実施見通しということについて、どのようにお考えですか、ひとつお伺いいたしたいと思います。
  128. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) ただいま第五次の治山事業を実行していまして、本年度は第二年目に当たるわけでございますが、この第五次の治山事業五カ年計画におきましては、全体の計画額は、第四次の五カ年計画に比べまして一・八倍の規模で実施しておりまして、その計画額が一兆三百億円でございます。  そこで、この全体の計画の中で、それではいまお話のございました国有林野治山事業はどうかと申しますと、二千億円に相当する事業を見込んでおるところでございます。五十二年並びに五十三年の両年度におきまして、私ども五百九十四億円の事業を計画し、進めておるところでございまして、これは全体の額の三〇%に相当する額でございます。したがいまして、一応計画におきまして進捗率を考えておりますのが二八%ございますので、現段階では、それを上回った形で進めておるというのが実態でございます。  そこで、ただいま先生指摘ございましたが、国有林野の財政事情もございまして、治山事業の実施問題につきまして、計画的に進めるためには財政的にどうかというふうな問題もあるわけでございますが、これにつきましては従来から一般会計からの繰り入れでございますが、従来三分の二につきまして一般会計から導入しておったわけでございますが、五十三年におきましては、さらに民有林の後進地域差額方式等を導入いたしまして、これまで厳密に申しますと六三・三%でございましたが、五十三年度からは六八・六%にこれを拡大いたしまして、その確実な実行を期したいと考えておるところでございます。  なお、本年度、五十三年度におきましてこの事業を実行するに当たりましては、最近におきますところの集中豪雨その他によりましていろいろと激甚な災害が出ておる面もございますので、特に重点的に山地、荒廃地あるいは地すべり地等の復旧治山、それから予防治山、それから地すべりの防止の事業ということを特に重点的にいま進めておるところでございます。  なお、ただいま御指摘のございました五月十八日の妙高高原の土砂災害の復旧でございますが、これにつきましては、直ちに専門家を現地に派遣いたしまして今後の対策に当たらせておるわけでありますが、私どもといたしましては、できるだけ早くかつ積極的にその復旧に取り組みたいということで現在計画をしておる次第でございます。
  129. 片山正英

    ○片山正英君 大変力強い話ですが、一般に言うと、やっぱりもうかるものなら事業がしやすいけれども、ただ支出一方というのはなかなか財政が苦しくなるとできないんじゃないですかと、こういうのが一般の世論の質問です。ですから、それを払拭するようなひとつ建設省のやっとも並び称する進捗度だけはぜひひとつやっていただきたい、お願いを申し上げます。  それから、時間がありませんから、さらに次に進みます。  この改善特別措置法、七十二年度まで収支均衡を図るための「基本的条件の整備」を六十二年までに完了する、こういうふうになっておりますが、「基本的条件の整備」というのは、その内容はどういうものですか、お伺いいたします。
  130. 石川弘

    政府委員(石川弘君) 国有林が、経営体といたしまして整備をしなければならない要因が幾つかございます。まず、生産をいたしますようないわゆる造林とか、あるいは伐採その他のそういう事業運営の基礎となりますような事業の基盤ということが一つあろうかと思います。それから、経営体でございますから、これを管理運営をいたします組織、そのようなものがまた整備されたものでなければいけないわけでございますが、そういう組織の整備ということがあろうかと思います。そういう組織というものをさらに内部的に分解をいたしますと、どのような要因がどのような形で、あるいはこれは意欲も含めて申し上げれば、どのような形で生産あるいは管理に従事するかと、そういうようなものを挙げまして、国有林経営の必要な基盤と考えているわけでございます。
  131. 片山正英

    ○片山正英君 いまのお話の中で、事業の基盤という表現をされました。事業の基盤の中に、私は先ほどは治山事業を申し上げたんですが、林道等そういうものが当然含まれていると思います。と申しますのは、どの企業でも時代のこれだけの流れの激しい中で、将来に備えての基盤整備と申しますか、あるいは構造の改善と申しますか、構造改善——民有林でもやっておる、農地でもやっておる、農業でもやっておる、皆すべて将来に向かっての体質の改善、構造の改善をやっておる。ところがどうも、私も反省してきたんですけれども、ひとり国有林だけがやはり余りにも当面の収支というところにこだわり過ぎたという言葉を言っちゃまずいんですけれども、そういうきらいがあり過ぎて、どうも将来に対する基盤整備というものが足りなかったんじゃないだろうか、これを私も率直に反省するわけです。  そこで、この七十二年までには収支均衡を図るというのには、その基本である林道網の問題が大きな私は山を改善する柱である、こう思います。したがって、そういう意味の林道を含めたいわゆる国有林としての構造改善、こういうものをこの立法によって果たすんだと、こういうふうに考えてよろしゅうございますか、もう一度お伺いいたします。
  132. 石川弘

    政府委員(石川弘君) もちろん、林道は木材生産の大変重要な基盤でございます。そういう整備されました林道網を持ちました人工林というものは、将来においても非常に強いと申しますか、コストの面でも有利な生産ができるわけでございまして、一度林道網を整備いたしますれば、その後における伐採はもちろん、次の植栽等につきましても大変コストの安い生産をできるわけでございますので、今回の改善計画の中でも、造林及び林道の整備に関するような事項につきましてもこの計画に加えていただくというようなことにもなっておりますし、そういうものの中で、そういう林道網等も完全に整備をいたします考え方を明記をしていくつもりでございます。
  133. 片山正英

    ○片山正英君 それから、言葉の解釈なんですが、ちょっと私もよくわからなかったんですが、七十二年度までに収支均衡を図るために六十二年度までに完了するという意味は、六十二年度までに具体的に言うと林道整備はやってしまうんだと、こう解釈するんですか、それとも七十二年度までにそれを延ばしてやっぱり解決すると、こういう意味なんですか。その辺、ちょっと何かよくわかりませんのでお伺いします。
  134. 石川弘

    政府委員(石川弘君) 七十二年を目標にいたしておりますのは、国有林のその時点におきます主要な生産物でございます戦後の造林地が伐採に入ります時期がほぼこの時期になろうかと、そういう意味で、時間をその七十二年度のあたりにまでかしていただきませんと収支均衡の目的が立たないわけでございます。その前六十二年度までに基本的条件の整備をしたいと申しておりますのは、そういう必要な投資につきまして極力早い時期に投入をいたしまして、そういうことによって整備されましたる森林が七十二年度において収支均衡ができるような活動ができるようにという趣旨でございます。  ただ、林道をそれじゃ六十二年までに全部敷設するかどうかということになりますと、これは将来の経営計画に必要な林道網をその改善計画の中でもちろん考え方は決めてまいりますけれども、整備をしていくということでございますので、改善計画をつくってそういう必要投資をしていく、その後に一切のそういう投資がないというわけじゃございませんので、この改善計画の中で行われます投資につきましては六十二年までに完了をしたいと、もちろんその後において相当長期にわたって国有林経営をいたしますわけでございますから、さらにその後において必要な林道投資その他の投資も十分あるわけでございます。そこで、回しことを繰り返すようでございますが、改善計画に基づいて必要とするような投資につきましては、六十二年に完了することを目途に計画をつくってまいりたいということでございます。
  135. 片山正英

    ○片山正英君 時間もありませんから余りやりとりもしませんで、最後にもう一つだけお伺いをして終了いたします。  国有林は、いまの環境整備あるいはいろいろな制約から伐採が減ってくる。したがって造林も減ってくる、したがって全体の事業量が減る。そういうことになりますと、山村そのものは、国有林にいろいろ雇用の場その他で依存しただけに、相当私は打撃を受ける。ことに国有林のど真ん中においては、ほかに頼るところがない。それじゃ民有林だ、外材だというわけにもいかない。そういう事態を今後どのように立て直すかというのが、私は国有林が自分の体質を改善するとともに、それに関与しておる市町村を含むそういう山村をどうするのかということも、あわせ考えていただかなければならない問題じゃないだろうか、こう実は思います。  そこで、私はそういう伐採その他は減少しても、やり方によってはいろいろできるんじゃないかと。やり方によっては私はやり侮るんじゃないか。したがって、地元住民の生活の安定と申しますか、あるいは雇用の場を確保するといいますか、あるいは大きく言えば山村の振興と申しますか、そういうために国有林はどのようにお考えなのか、その辺まずお伺いして、あと私はこういうことを考えたいということを最後につけ加えてお願いを申し上げたいんですが、まずその点をちょっとお伺いをいたします。
  136. 石川弘

    政府委員(石川弘君) 国有林に大変依存をいたしておりますような山林地域につきましては、いま御指摘のように、国有林の各種の経済活動が若干縮減的に推移します間に、たとえば雇用の問題とか、あるいは木材を販売するとか加工するという問題について若干の減少を来すような場合も十分あり得ると思います。しかし、これは国有林が健全な経営になりまして、その地域において必要な雇用なり、あるいは木材の加工流通ということをやっていくために必要なプロセスでございますので、それをある程度はやむを得ないとは思いますけれども、いま先生指摘のように雇用あるいは木材の加工とか販売ということだけではございませんで、国有林の利用につきましては、御承知のように各種の供用林野のような制度だとか、あるいは構造改善というようなもののためのいわゆる国有林の活用の問題とか、あるいは国有林を貸し付けするとか、いろんな形での国有林の地元協力ということはあるわけでございます。特に、そういうどちらかと申しますと現金収入を確保するというような手段につきましては、国有林もかなりの貢献をいたしている面もございますので、そういうものにつきましては、極力今後におきましても地元との協力体制が維持できますような方針で図ってまいりたいと思います。  ただ、一書ちょっと程度を変えて申し上げますと、国有林地域におけるこの種の施策が、往々にして国有林という制度のみを通じて行われていたという弊害もないわけではございません。農林省は、国有林というものを通じませんでも、農山村に対していろんな助成なり援助の手段を持っておるわけでございますので、国有林ももちろん行うべきことは行いますけれども、各種の山村に対する一般施策というものをそういう地域には極力集中をするというような方向で、地域全体の繁栄に寄与できるように運営してまいりたいと思っております。
  137. 片山正英

    ○片山正英君 私も同感ですが、具体的に申しますと、まず国有林は不要存置林野の売り払いをいまやっております。これも当然必要でありますが、やっぱり不要存置林野というものの見直しを地元の立場になってもう一遍再検討する。大きな言葉で言うと再検討という言葉になりますが、もう一遍見直してもいいのじゃないか、これが第一点。  それから、土地の活用問題が御答弁の中にありましたが、私は山村というのは一つだけの企業じゃ成り立たぬ。林業だけで山村はおやりなさい、これは成り立たぬ。やはり農業がある、畜産がある。ところが、農業のサイドだけとると、やはり平地の方が合理性がある。山村の方が合理性がない。経済的にかかります。じゃ農業だけですればもう山村の農業はやめちゃえと、こういうことになると、万一、ただその一方だけの合理性だけを追求して、そうすると山村全体が私は成り立たない問題に発展すると。だから、山村というのは農業、畜産、林業、相混然一体となって安定を図る、そういう角度の中で私は国有林というものの土地活用というものはやはり相当考えていくべきなんだろう、こういうふうに理解をしておる。したがって、そういうふうにひとつ御指導をいただきたい。  それからもう一つは、地元対策というのが明治以来行われてきておる。たとえば薪炭材を地元には安く売りますよと、供用林野という制度をつくって放牧でも自由におやんなさいよと、こう言っておる。ところが、実際問題としては、その活用はほとんど有効にされておらない。いま薪炭材をもらったってどうしようもないでしょう、山村の人は。そういう時代の変化が、いかに地元にうまくやってあげましょうと言っても、制度的にはもう大分ずれた制度になっておる。そういう制度をやはりもう一遍この際見直していただく、このこともこういう法律の発足の際にやはり相関連して、国民自身も健全になるとともに、山村全体も健全になるというそういう姿の中で再検討していただきたい、こう思うわけであります。その他いっぱい事例がございますけれども、時間も私はなるべく簡素化したいと、こう思っておりますが、その点だけを最後に御意見をお聞かせいただいて、私の質問を終了いたします。
  138. 石川弘

    政府委員(石川弘君) 御指摘のように、山村におきまして、林業とか、あるいは農業とか、畜産業というような狭い意味での縦割りをいたしますと、施策の完全な整合性が保てないと思っておりまして、ここ数年の予算編成等におきましても農林地一体開発の予算とか、あるいは入会林野の整備につきましても、入会林地を畜産的に使うというようなことも林野庁の予算に入れるとか、いろんな姿を使いまして、そういう山村に住んで生活をなさっている方々の広範な経済活動ができやすいようにという施策をとっておりまして、国有林の各種の活用についてもそのような基本的な姿勢でやってまいりたいと思っております。  それから、各種の国有林に対します、どちらかといいますと古い形での利用形態、御承知のように落ち葉を取るとか、あるいは下草を取るとか、あるいは薪炭材を取るというようなものは、現時点では余り需要がないと申しますか、そういう旧慣がありましても、利用なさる方々にとっては余り中身のないものになろうかと思います。逆に、たとえば最近でございますと、シイタケ原木というようなものは大変不足をいたしまして、こういうものに対する依存が大きいというようなこともございますので、私どもも現に地元の方々が求めていらっしゃるようなものと、そういう共用林野その他の制度を結びつきがしやすいように検討もいたしておりますし、その種の積極的なお申し出があるようなものについては、それなりの対応なしたいと思っております。
  139. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 今国会で農林省提出法案十本の中で、森林組合法、そして組合合併助成法、そしていま審議されております国有林野事業改善特別措置法というように、三本も森林関係の法案が出てきているわけでございます。特に、この国有林野事業改善特別措置法案は、国土保全のための森林資源をいかに守るか、また政府関係の事業として莫大な赤字を抱えている国鉄、健保、米、さらには国債、そして国有林とありますけれども、この国有林事業の収支均衡を二十年間の間に必ず達成するんだと、赤字を解消するんだということで、大変重要な法案になってきているわけで、このように、一国会の中でこのような重要な森林関係の法案提出されることはそうない事例でして、そういった点からも、今国会は特に林業国会と名づけてもいいんじゃないかということで、私ども委員としては精力的な審議を行いたいということで取り組んできたわけでございます。  この国有林野事業改善特別措置法について、私ども基本的な考え方を要約しますと、国有林経営のこれまでの粗雑さ、それから未熟さに対する反省とか、あるいはまた機構整備の基本方向というものをあいまいにしたまま、国有林経営悪化の責任というものを、一般会計からの資金繰り入れというような場当たり的な機構整備でやるならば、保健休養林等非常に最近要望が強いわけですが、こういった国民のサービスの低下等によってあがなおうというようなもし安易な考えであるということであれば、根本的な解決にはならないんじゃないだろうか。また、そればかりか、国有林が国民経済、また国民生活の上に果たすべき役割りというものを今後も十分に発揮することは非常に困難ではないのか、こういう疑問を率直に持つわけでございます。  そういった観点から、慎重に審議を行わなきゃならないということでありますが、この終盤国会に入って与野党対決の法案である日韓大陸だな法案もいま大詰めに来ておりまして、この絡みから、この国有林野事業改善特別措置法案も、果たしてこれが可決されるかどうか非常に微妙な段階になってきている。こういうこともありまして、いまこの法案と同時に農林省設置法の一部改正案が内閣委員会にかかっているわけですが、そういったことで、午後からは大臣、それから林野庁長官も向こうへおいでになっている。  大臣おいでになるということは前から聞いていましたので、それは私ども了解したのですが、長官も向こうへいらっしゃっているので、政務次官と林政部長さんとでしんぼうしなきゃならぬということなんですが、私どもは非常に関係者の方たちから、この法案の行方について御心配もあるし、そういった点から少しでも審議を促進させたいという観点から、大臣林野庁長官いらっしゃらないところで、わが党の持ち時間二百五分のうち百五十分を審議しようというわけなんです。本意ではございませんが、審議促進の上から協力する意味で御質問を申し上げますので、どうか政務次官にしても、また答弁の部長にしましても、熱意と誠意を持って御答弁いただきたいことを、前もってお願いをしておきたいと思います。  まず最初に、基本的なことからお伺いしますが、国有林野事業、国民共同の財産である国有林経営管理を通じまして、木材資源の供給という国民の皆さんに対する要請、これを果たす。また一方では、国土保全といった公益的な機能というものも可能な限り対応していく、こういう責任を持っているんだろうと私は理解しておるのですが、世評では、国有林野あり方について大別して二つの意見があるようでございます。  その一つは、国有林は自然環境保全や自然保護、こういったことに徹するべきであって、木材生産は従属的に考えるべきだ、こういう意見と、もう一つは、森林公益的機能の尊重も必要だけれども、木材生産という経済的機能も重要だと。こういう考え方に分かれておりますが、まず最初にはっきりしておきたいことは、農林省としてこの国有林の存在意義といいますか、いかにあるべきか。また国有林使命といいますか、これについて基本的な考え方を御説明をいただきたいと思います。   〔委員長退席、理事青井政美君着席〕
  140. 石川弘

    政府委員(石川弘君) 国有林国有の状態で国土の約二割でございますが保有をいたしておりますことの意義につきましては、非常に狭隘な国土の中の、しかも大変急峻な地形の奥地山岳林を中心にいたしまして国有林がこれを保持をいたしておりまして、それによりまして国土保全とか、あるいは水資源の涵養あるいは保健休養の場の提供といったような事柄を国みずからが果たすということが一つの意義であろうかと思います。たとえば保安林で申しますと、全国の保安林の半分は国有林が占めております。あるいは自然公園というような公園の面積の中の四割が、これまた国有林でございます。このような形で国有林がみずからそういう、比較的これは地域的には北の方に偏っているわけではございますが、中央山脈を中心としましたような山岳林を持ちまして、公益的機能の維持をするということが重要な意義の一つかと思います。  もう一つは、先生も御指摘のような用材の安定供給、まあ林業企業体として最大のものになるわけでございますが、国産材の供給の約三分の一は国有林が供給いたしております。これを持続的、安定的に供給するということが、やはり重要な使命になっているかと思います。  もう一つの点は、国有林は大変広範な地域に広がっておりまして、全国の市町村の約半分の市町村に国有林が所在をいたしております。特に、そういう奥地の山村におきましては、国有林というものは相当の広がりを占めておりますので、その地域での各種の産業活動なり、あるいは雇用の場の提供といったことを通じまして、国有林がそういう地元の方々に寄与するという、そういうような役割りを果たしておりますので、今後ともそういう使命を達成していく必要があろうかと思っております。
  141. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 質問に入る前にちょっと委員長に申し上げたいんですけれども、この委員会野党側は委員十三名なんですね。いま野党は七名、半数以上は来て審議に参加しているんですが、与党さんの方は十二名の委員さんがいらっしゃるわけなんですが、現在四名、理事一名を含めて四名です。われわれ先ほど言いましたように、大臣、それから林野庁長官いらっしゃらないけれども、非常に国会運営上終盤へ入って微妙な段階に来ているということで、これがもしか通らなければ、予算関連の法案で非常に関係者の皆さんに御迷惑がかかると思うんで、わが党としてはできる限り無事に誕生させたいという、審議促進に協力しているんですが、この間にこういう状態では、やっぱり審議するにしても非常にじくじたる問題がありますんで、ちょっと休憩をさしていただいた方がよろしいんじゃないかと。(「休憩」と呼ぶ者あり)野党側は全部賛成でございますので、しばらく休憩をさしていただきたい。せめて半数ぐらいはひとつ。
  142. 青井政美

    ○理事(青井政美君) 速記をとめてください。   〔速記中止〕   〔理事青井政美君退席、委員長着席〕
  143. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 速記を起こしてください。
  144. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 国有林は、先ほども申し上げましたとおり、国民の共同の財産でもあり、公益的な機能も重要ですし、また、資源的価値も非常に大きいものがあるわけですが、この国有林が全国各地歩いても非常に荒廃しているという声をよく聞くわけですね。特別なところを除いて大体こう見渡して、いいところは県有林とか民有林、荒廃しているところは国有林と、見ただけでわかるんだと。国有林でいいところは本当に特別のところだけ、こういうようなことなんですけれども、こういうように国有林が非常に荒廃しているという事実について、現象について、どういうような御見解を持たれていますか。
  145. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) 国有林の存在意義あるいは使命はただいま林政部長から申し上げましたが、そういう使命を達成するに当たりましては、まずもちましてこの国有林におきますところの森林施業、取り扱い方でございますが、森林施業を適切に行わなきゃならぬということだろうと思います。  そこで、私ども現在この森林施業を進めるに当たりましては、先生先ほど御指摘ございましたが、その森林の持っております公益的機能並びに木材生産機能と、こういう両方機能を総合的に高度に発揮できるような森林内容にしていくということがやはりその目標でございます。そこで、そういう目標をとらえまして、この国有林を取り巻きますところの自然的な、あるいは社会的な条件を十分踏まえまして、健全な森林を維持造成してまいるということで進めておるわけであります。その基本になりますものはこれは造林でございますので、健全な森林をつくるべく合理的な造林事業の実行に努めておるところでございます。一そこで、現在のこの国有林の造林地の現状でございますが、大部分の造林地につきましては良好に生育していると見ているわけでありますが、一部におきまして植えつけ後におきまして気象の害、寒風害だとか、あるいは雪害だとか、あるいは凍害とかいうふうなそういう気象の害、それから野ネズミとか野ウサギというふうなそういう動物の害とか、さらには雑草の異常な繁茂というようなことによりましてまたもう一度植え直す、改植と呼んでおりますが、植え直すようなそういう措置を必要とする造林地の発生も一部には出ておりまして、これらにつきましては、原因を究明いたしまして、現地の実態に即しまして適切な措置をとっておるところでございます。  昭和五十二年四月一日現在におきまして、生育のよくない不十分な人工造林面積がございますが、約一万五千百ヘクタール私ども全国であると認識しております。また、できるだけ早く保育をしなければならないというふうな人工林が約三万ヘクタール存在しております。この中で、先ほど触れましたその生育が不十分で今後改めて植え直す改植とか、あるいは人工を加えますところの人工補整林というような形で進めるところとか、その他いろいろの方法を正式な造林につきましては取り扱いをいたしたいと考えておりますし、また早期に保育をしなけりゃならぬものにつきましては、効率的な保育をしたいということで計画的に進めておるところでございます。
  146. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 国土の荒廃は人心の荒廃を招くという言葉がありますけれども、やはり森林国有林の荒廃というものは、それに携わっている方たちの精神的なあり方というものも、非常に大きく影響しているんじゃないかというように厳しい見方をする人たちの声もあるわけでして、そういう点はまた後から触れたいと思いますけれども、そういった点も非常に重要な点だと思うんです。  それからもう一つは、国民共有の財産である森林資源というものを培養していくためには、単にそれに関係する人たちだけに責任をおっかぶせるんでなくて、国民全体が子孫のため残す財産であるということで、国民すべてがこの森林を大事にしよう、また関心を持とう、またそういう資源培養のためには必要な経済的負担も協力するんだというようなところまでこの森林資源重要性、また、特に国有林をよくするための協力というか、関心を持つというか、そういうことをもっともっと国民全体に啓発をしなければならぬと思うんですね。これは私、林業白書のときに総理にも御質問したんだけれども、明確な答弁がなかった。その点、ひとつ政務次官、今後この森林資源の培養について国民全体に対する啓発をもっとすべきだと思うんだけれども、ひとつ御見解を述べてください。
  147. 初村滝一郎

    政府委員(初村滝一郎君) 林業国有林が国民にとって公的役割りなり、あるいはまた環境その他を考えた場合に必要であるということは、これはもう言うをまたないわけであります。ところが、最近に至って、日本の林業そのものが国民に最も関係のある木材としての使用率が非常に低い、それはやはり日本の林業が幼齢である、そういう面から、そういうような十分な国民に供給その他もできないであろうということは聞かされておるわけであります。今後そういう面を、国有林事業そのものを労使一体となって育成して、国民の要望にこたえていく必要があるというふうに考えておるわけであります。  したがって、そういう面のいろいろな事業に対する予算の裏づけ等もちゃんとして、期待にこたえたいという考え方であります。
  148. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 これは、林業森林公益的機能というのは一体としてとらえる必要があるんじゃないか、こういう識者の意見があるんですが、現在、森林法の中で保安林というものは十一種類決められています。一般林は企業性、経済性を主体にし、それから保安林の方は公共福祉公益的機能を発揮させると、こういうように縦分けをしておりますが、保安林のみに規制を加えて一般林の方を経済性の追求のみに重点を置いているだけでは、林業そのものが破壊してしまうんではないかと、こういうふうに感ずるわけです。保安林に期待する機能は、林業を保続的に進めるためにも必要なことばかりじゃないか。ですから、極端なことを言えば、水源涵養林とか土砂扞止林なんというのは別につくらなくても、本当に森林資源というものを維持する、培養するというときには、こういった機能というのは当然一般林だろうと保安林だろうと、森林であれば当然持つべき機能なんだと、こういうとらまえ方、これが必要だと思うんですね。森林の生態系のメカニズムというも、のをもっとよく知らないと、日本に適切な森林というのは育たなくなるんじゃないかと、こういう警告もございます。  そこで、伐採してもまたそこに森林が再生するようにしていかなければならない。林野庁としても、大規模な伐採というものはだんだん今度部分的に小さく伐採していくというふうに方向を変えられていまして、そういう点はいいんですけれども森林の荒廃とこの公益的機能、それから経済性の追求、この辺の絡みといいますか、この辺はどういうようにお考えになって今後国有林の資源の保持ということに、保続的な林業というか、こういうものを進められていくのか、その点のひとつ御見解を承っておきます。
  149. 石川弘

    政府委員(石川弘君) いま御指摘のように、森林そのものには、本来的に経済林として育成をいたしましても水資源の涵養に役立つとか、あるいは空気の浄化に役立つというような機能はございます。そこで、制度的には、保安林は外部的に、何と申しますか、伐採その他の森林施業を外から制約をするということで制度をつくってございまして、普通林につきましても、御承知の四十九年改正で林地開発規制等設けておりますのは、やはり普通林にもそのような公益的機能があるという前提をとりまして、これは森林が持っております内部的な一種の制約と申しますか、森林を持っています者がやはり森林森林外にいたしますときには、それなりの規制をするという形が現在の森林法の体系でございます。  いま御指摘のように、そういう保安林につきましても、たとえば水源涵養保安林等につきましては、一番成長力が高いような状態のときに最も保水力があるということで、保安林自身を小伐区で伐採をいたしますれば、水資源涵養にも役立ちながら木材生産機能もできるという形をとっておりますので、私どもとすれば、やはり森林全体につきましてそのような最も、何と申しますか、活力のあります森林をつくっていくというのを第一義的に考えておりまして、その中で保安林につきましては特に詳細な規制をする、そのかわりに保安林につきましては、外部から規制されましたことの反対給付といたしまして税制面とか、あるいはその他の補償面でいろんな手当てをしているという姿になるわけでございます。国有林で申し上げますと、そういう意味では先ほど申しました全国の保安林の半分が国有林に存在するわけでございまして、大変重要な位置づけをしておるわけでございますが、これが保安林としていろんな施業制限を受けてまいりますと、なかなか経済的な活動をします場合に容易ではない事態もあるわけでございます。  今回、実はこの法案でお願いしております造林に対する援助につきましても、保安林の造林について国費を入れるという考え方をいたしておりますのも、実は保安林としての機能を維持しながら国有林経営もやっていけるようにというような趣旨もございまして、国有林としましてはこのような保安林をやはり相当程度持ちながら、しかも木材生産機能の面でもある程度寄与をしていきたい。そのために、御承知の四十八年に新しい森林施業という考え方をいたしておりまして、そこにおきましては、いわゆる従来の大面積の皆伐というようなことを改めまして伐区を縮減するとか、あるいは伐区の間に残存します林地帯を残すというようないろんな細かな手法を使いまして、極力森林としての何といいますか、そういう公益的機能も維持しながら、しかも木材生産に寄与できるようにという考え方で今後も運営をいたしていくつもりでございます。
  150. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 林野の行政マンの皆さん方の考え方は、一般林の林業というのは経済行為が主たるために規制が加えづらい。ですから、保安林にして公共福祉の看板があれば規制をしやすくなるというような考え方が、どうしてもあるんでないかと思うのですね。この山、それからこの森林の場合は一体どういうふうに扱えばいいかというのは、現場に精通している現地の人たちが一番よくわかっているわけですから、その人たちの意見で決めていくというようにするのが、一番大事じゃないかと思うんですね。現状では、その地域の森林生態系がどうかということは余り問題でなくて、本省の方で企画し、そうして通達を出す、その通達にあわせて地方の方は、帳面づらを合わせて個所を決めていくというようなことがなきにしもあらずだと思うんですね。  ですから、たとえば伐採の済んだところを水源涵養林に指定してしまうとか、それから本当は土砂扞止林の方がこの地域には適しているのだという現場の判断があっても、員数合わせのために、割り当てで来ているんだからということで水源涵養林にしてしまうというようなことも全くないわけではないようなんですね。ですから、この現在の指定施業要件というのは本当に適切なものかどうかということを、林野庁としてもう一遍再検討すべきじゃないかと思うんですが、その点についてはどんな考えを持っていますか。
  151. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) 森林計画制度について若干御説明申し上げたいと存じますが、現在全国の国有林民有林も含めまして、森林法に基づきまして全国の森林計画というのをつくっております。これで森林基本的な取り扱い方につきまして方針を定めておりますが、さらにこの下部の計画といたしまして、国有林におきましては国有林経営基本計画、さらにその下に地域の施業計画というものがございます。これは全国に国有林が七百七十五万ヘクタールございますが、その五分の一ずつ、具体的な先生いま御指摘ございましたその森林の生態系も十分踏まえまして、森林の取り扱い方につきまして細かく十カ年の計画をつくるわけでございますが、それを五年ごとにつくりかえております。  したがいまして、これは単に林野からの指示ということではなくして、現地におきますところの森林の実態に即しましてこの施業計画をつくりまして、それに基づきまして森林の施業をしておるところであります。また、民有林におきましてもただいま申しました全国の森林計画に即しまして地域の森林計画というのを、これは大体各県五つの地域に分かれまして、五分の一ずつやはり地域の森林計画をつくりまして具体的な森林の取り扱い方を決めておりますので、そういう面におきましては、十分その地域の立地条件に即しました具体的な計画が立てられるというふうに理解しております。  なお、保安林の施業要件につきましては、指導部長の方から御説明申し上げます。
  152. 須藤徹男

    説明員(須藤徹男君) ただいま先生のお話の施業要件というのは恐らく保安林の施業要件だろうと思うのですが、実は現在のこの保安林の配備計画の中で、従来不十分な施業要件につきましては逐次改定をするという方向でやっておりますので、先生の御指摘のとおり現在進めておるということでございます。
  153. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 さきに衆議院の農水委員会で、全国の人工造林地の二〇%、約四十万ヘクタールが不良造林地じゃないかと、こういう質問があって、林野庁長官は生育が非常に悪いところが約一万五千ヘクタール、早期保育をしなけりゃならないのが約三万ヘクタール。まあいまも部長お答えになりましたけれども、数字的にいきますと相当これは開きがあるんですね。質問される方はある程度の根拠のある資料をもとにして約四十万ヘクタールが不良造林地ということで言われたと思うんですけれども、この大幅な違いというものを農林省としてはどういうふうに判断されますか。
  154. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) 造林地の実態把握でございますが、私ただいま御説明申し上げましたとおり、国有林におきましては毎年五分の一ずつの地域につきまして地域の施業計画というものをつくっておりますが、その段階で細部の林小班まで全部当たりまして、それを踏まえまして計画をつくりまして事業実行に移しているというような、そういう順序を踏んでおるわけであります。そういうこのいま申しました地域の施業計画を編成と私ども呼んでおりますが、そういう計画をつくる段階での実態調査、それから経常の経営管理の段階で、私ども現地の実態に即しました効率的な森林施業をやるべく努力しているわけでございまして、先ほど申し上げました数字はそういう現地における調査を踏まえました数字でございまして、営林局署の組織を通じて把握したものでございますので、私どもなりの技術的に妥当なものというふうに考えておるところでございます。
  155. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 妥当だと考えているとおっしゃるんですが、一万五千ヘクタールと三万ヘクタールについて、農林省側がこれは不良造林地だと判断する基準というか、目安といいますか、そういうものは決めているんでしょうかね。何か明文化されたものがあるんですか。あったらその基準、明文化されたものをちょっと説明してください。
  156. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) 生育の不十分な造林地、それから早期に保育を必要とする造林地につきましては、これから申し上げますような考え方に立っておるわけであります。  まず、生育の不十分な造林地でございますが、これは大きく分けまして四つの分類ができると思います。まず第一には、先ほどちょっと触れましたが、改めてもう一度植え直すというふうな、私ども改植と呼んでおりますが、改植の対象とする造林地でございますが、まずたとえば三千本とか三千本植栽というようなことで杉を植えますが、そういうヘクタール当たりの植栽本数を現在植えられてありますところの人工林について調査いたしまして、それが平均的な林分の二分の一以下ということでありますが、林齢以下の林分の場合には、特に植えつけ本数の半分以下のようなそういう状態になった林地におきまして、その現在の植栽木の生育状況、それから現在その林地の置かれている条件というようなことを判断いたしまして、その後その林地内に優良な天然性の幼樹が入ってきた場合におきましては、それを含めまして、今後成林ができないというふうなところで、しかもそういう成林が期待できないと見込まれる中におきまして、改稿によりましてもう一度成林することが可能であるというふうに見きわめました造林地につきましては、これは改稿の対象にしようと考えております。  で、やはり今後の管理を必要といたしますので、その場合の改植する場合の単位というのは、地域によって若干異なりますが、〇・五ヘクタールないし一ヘクタール以上の単位で改植を実行してまいりたいと、かように考えております。それが第一点でございます。  それから第二点でございますが、植栽をいたしましてから後天然木がそこに入ってまいりまして、人工林とその天然木を今後あわせて成林させまして、混交林として今後持っていく方が諸般の情勢から技術的によろしいというのを、これを天然林へ誘導するということで考えております。  それから、次に第三点でございますが、その人工造林地に一部天然木が入ってきておりますが、今後、植栽木の間に間隙がございまして、その間にさらに植え込みをする、あるいは天然生の優良樹種を導入するために地表面をかき起こすというふうなそういう作業をいたしまして、あるいは人工林に準ずるような保育をすることによりまして森林が造成されるようなものにつきましては、人工補整林と私ども呼んでおりますけれども、そういう人工補整林に誘導しようというふうに考えている、そういうものがございます。  それから第四でございますが、現段階では人工補正した方がいいのか、あるいは天然林に誘導した方がいいのか、観察を若干要するようなものにつきましては、しばらく観察をする林分というようなことで、以上四つの分類に分けまして、この成績の不十分な造林地を現地で調べております。それから次に、三万ヘクタールがございますということを申し上げております早期に保育を必要とする造林地の考え方でございますが、これはその植栽地への広葉樹が現在多くて、できるだけ早く被圧されないように、植栽木の生育をさせようとして考えておりますのが、この早期に保育を必要とする造林というものの考え方でございます。以上でございます。
  157. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 そうしますと、改植その他人工林以外に持っていくというのが一万五千ヘクタール、それから早期保育を要する、これが三万ヘクタール、この両者合わせて不成績造林地というわけで四万五千ヘクタールになるわけですが、これはどういった調査でこういう数字を把握されておるわけですか。
  158. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) 造林地の状況につきましては、先ほども説明申し上げましたが、平常の林業経営管理の段階での調査と、もう一つは、先ほど触れましたように、地域の施業計画を作成する段階で、毎年全国の国有林の五分の一ずつを具体的に調査しておりますので、そういう調査を通じましてとらまえた数字でございます。
  159. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 それから改植地として七千六百ヘクタールですか、こういう数字が上がっているんですが、これはどういった内容なんですか。
  160. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) 改植地として考えております面積は七千六百ヘクタールでございますが、ただいま申し上げましたとおり、植栽された造林地におきまして、現在の状況が植えつけ時の植栽本数の半分以下であるというようなところでございまして、しかもその土地条件それから林木の生育状況から見まして、優良の天然稚幼樹を含めましても成林ができないというふうに見られるところで、なおかつ、今後全部切りまして植えかえるわけでございますから、改植した場合にそれによって成林が可能であるというふうに期待できる地日域を対象として考えておるところでございます。
  161. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 植林の不成績造林地といま話がありました改植地を合わせたものが、一般に目につくいわゆる不良造林地というように思えるんですが、これを全部合わせても五万二千六百ヘクタールという数字になるんでして、不良造林地は四十万ヘクタールあるんだという主張とは、まだまだ数字的には大きな開きがあるわけですね。全国の状況をいろいろ聞き合わせても、やはり政府が言っているよりはもっともっと実際の不良造林地というのはあるのではないかと、こういう気がするんですが、午前中も丸谷委員質疑に対して大臣は、全国の不良造林地地帯を再度調査し直して正確なものにするという御答弁がありましたが、一体どれぐらいの期間にこの再調査をして、きちっとした正確な数字というものを公表されるおつもりですか。
  162. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) 私ども、造林地の実態調査はただいま申し上げましたような基準に基づきまして、現場の営林署、監督事務所、さらには施業計画の編成の段階で十分押さえてやっておりますので、まずは私どもつかまえた数字について早急に対処すると同時に、今後やはり事業実行の段階でその実態を踏まえまして対処してまいりたいと、かように考えておるところでございます。
  163. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 政務次官、大臣から午前中に答弁あったんだし、これは早急に鋭意取り組むように、ひとつ御決意をお聞かせ願います。
  164. 初村滝一郎

    政府委員(初村滝一郎君) いま部長から答弁があったとおりに、政府としては大体現場の営林署なり、あるいは担当事務所とよく連絡をとって、そこの職員等とよく連絡をとって、早急にできるように調査いたしたいと思います。
  165. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 国有林野事業改善特別措置法案の中身について順次お尋ねしていきたいと思いますが、第二条の「改善計画」の第二項の一「国有林野事業運営についての基本方針」、これはどういうものか、内容をひとつ具体的に御説明いただきたいと思います。
  166. 石川弘

    政府委員(石川弘君) この計画の内容でございますが、これはこの法文にございますように、関係行政機関の長と協議いたしまして林政審議会の御意見も伺って決めてまいるわけでございますが、私どもが現在この「運営についての基本方針」の中で検討いたしております事項を申し上げますと、国有林野事業使命とそれから今日の国有林野事業運営の状況に対処しまして自主的な改善努力をすることと、それからそれに対する財政措置必要性ということがまず第一に掲げられるかと思います。さらには、国有林野事業使命の根幹と考えられます国有林森林資源の整備の目標等につきまして、この基本方針の中で定めることを現在検討をいたしているわけでございます。
  167. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 国有林それから民有林問わず、日本の森林全体が経営不振なんですが、これはそれぞれの委員からも取り上げられましたように、この原因の一端は結局外材の輸入量の増大にあるわけでして、現在わが国の国産材と外材の使用料を比較しますと、国産材が三に対して外材は七というようなこういう開きがあるわけですね。こういうように外材依存度が高まった原因について、どのように判断されていますか。
  168. 石川弘

    政府委員(石川弘君) 経済が大変成長いたしました時期に木材の需要が大変多くなってまいりましたけれどもわが国は御承知のような森林の面積の非常に大きい国ではございますが、国民一人当たりの森林資源としては決して豊かな国ではございませんで、まして御承知のような国内の資源自身が育成過程にあったわけでございますので、その段階ではやはり国内の旺盛な需要に対応いたしまして安定的に木材を供給するという面から申しますと、外材に頼らざるを得なかった時代でございます。  この時代は、むしろどちらかと申しますと、先ほども申しましたように材価が比較的安定をいたしておりましたので、どちらかというと足らざるものを入れるという姿で、いわゆる関税障壁等も余りない形で入ってきたわけでございますが、経済の成長が停滞ないし安定化をいたしました段階で、これは将来のことを申しますと木材自身もやはり不足型の資源だとは思いますが、このしばらくの時期はどちらかといいますと、世界の貿易の中でも木材がいわゆる供給過剰型に推移をしている。ただこれも非常に微妙でございまして、御承知のように、四十八年にはアメリカが日本の輸入は大変ふえ過ぎるということで貿易制限をして抑えるようにというようなこともございましたし、南方諸国でも御承知のような丸太輸出の制限の動き等もあるわけでございますが、このしばらく中期的に見ますと、木材がどちらかといいますと日本の国にとっては供給過剰に推移するような事態になったわけでございます。  私ども、やはりそういう意味では事態が相当変わってきておりますので、従来のようにただ入ってくるものを黙視するというわけにはまいりませんので、先ほど申しましたようなやはり外材の秩序ある輸入というものを、かなりきめ細かな政策的な対象にせざるを得ない。四半期別の需給計画をつくりますとか、あるいはそれに即応しました輸入に対する報告をさせまして、これに対する行政指導を強化するというようなこともこのあらわれでございます。  やはりかなりの将来的展望をいたしますれば、このような、たとえば丸太で申しますと、世界の貿易の半分を日本が買っているわけでございますから、こういう供給過剰とは言いながら、これが要するにいつまでも来るものという前提はとれませんので、国内における森林資源の整備はもちろんでございますし、こういう貿易が安定的に行い得るようないわゆる貿易のある程度の安定化のための努力と申しますか、そういうことは今後も続けていかなければならないと思いますが、御質問もございましたようなこういう過剰になった事態といいますのは、やはりどちらかと申しますと、高度成長期に国内で供給する体制が整っていなかったと、これに対してその不足分を補ったということの結果としまして、やはり相当量のボリュームを外材に頼る、まあこれは資源的には頼らざるを得ないわけですが、それに対する何と申しますか、コントロールというようなことに苦干の問題があったのではなかろうかと考えております。
  169. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 外材依存度がだんだんこう高まったままで推移するということは、わが国林業経営にとってマイナスだと思うんですけれども、現在のこの木材需要量とか国内の経済情勢から判断して、今後もこういった国産材と外材の関係というのは大体同じような傾向で推移するんじゃないかというように思うわけですが、そういったことで外材に対する明確な対策というものを立てなきゃならないと思うんです。衆議院の農水でこの外材の問題に対する政府側の答弁として、遠い将来国内産材で六十数%は賄うと、しかし、戦前戦後の過伐で、その人工造林したものが現在育成段階であるのでやむなく外材に頼らざるを得ないのだということなんですけれども、ただ漠然と遠い将来というだけでは困るわけで、もう少し明確な見通しといいますか、大体これぐらいの時期までには六十数%まで抑えるんだと、持っていくんだと、こういうようなはっきりした見通しというものを農林省としてはお立てになっているんでしょうか。
  170. 石川弘

    政府委員(石川弘君) その六〇%程度の自給率をというお答えをいたしましたのは、現在の「重要な林産物の需要及び供給に関する長期の見通し」でございまして、これによりますれば、昭和九十六年度におきます需要に対しまして、国産材の供給可能量が六二%になるという一つの見通し数字がございます。これは厳密に申し上げますと、いわゆる価格とかそういうものが織り込まれた形での自給問題ではございませんで、そのとき必要となるであろう木材の需要に対して、国内に供給しようと思えば供給可能な森林資源としてそれだけのものが育っているというような感じの自給率でございます。したがいまして、価格面での競争力とかそういうようなことをいろいろ考えました場合には、さらに国内の林業施策を徹底をいたしまして、そういう外材との関係に勝ち得るような林業をつくっていかなきゃいかぬというその政策的課題が残っておりますけれども、資源的な見通しとして、九十六年における国内における需要量に対して、六二%程度のものを国内の山から持ち出すような山につくられているということが正確かと思います。  ただ、これにつきましては、先日から御指摘がありますように、この自給見通し等を作成しました時点が比較的国の経済成長の高かった時代での見通しでございますので、その後の経済情勢の変動等も織り込んで、ある程度のこの物の考え方について検討を要するということが残っておることを、付言をしておきたいと思います。
  171. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 そうすると、前に立てた見通しと、経済情勢が変化してきているのであれですか、もう一回何らかの時点でこの六二%の見通しの変更というものをおやりになるんでしょうか。
  172. 石川弘

    政府委員(石川弘君) これは私どもで現在検討中のことでございますけれども、先ほども申し上げましたように、自給見通し、森林資源基本計画等を作成しました時期が、四十八年という比較的経済の成長が高い時代にそういう高い成長を想定しておりましたものでございます。したがいまして、最近における経済成長が鈍化した中では需要等の見方を改定する必要があるのじゃないかということは、十分これは論議すべきことだと考えておりますので、ただ、この問題はかなり長い期間を想定した計画でございますので、単に朝令暮改というような形でも問題がございますので、それを現在慎重に検討いたしておりますが、方向としては、そのような検討を当然すべきものということになっております。
  173. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 それから、林野庁長官衆議院農水委員会で御答弁になっているんですが、日本の森林は一応造成過程で、将来超長期的に自給率を高めようということで造林地の拡大を図っている。全国で大体千三百万ヘクタール弱の造林地を日本につくろうとしており、いまは約七割近くまで達し、九百万ヘクタール強の造林地ができるんだと、こういうふうにおっしゃっているんですけれども林業基本法ができてからでも人工造林面積というのは五六%程度まで落ち込んでいるわけなんですが、この点は長官の答弁と絡めて考えてどういうふうに判断されますか。
  174. 須藤徹男

    説明員(須藤徹男君) 林業基本法が制定されました昭和三十九年当時は、御承知のとおり、わが国の高度経済成長期でございました。木材需要量がどんどん増大しておったという時代でございまして、天然林あるいは人工林ともに伐採が急速に進行したのでございます。これに対応しまして当然造林面積も急速な伸びを示しておりまして、ただいま先生が御指摘になりましたように、目標人工面積、国有林民有林合わせまして千三百万ヘクタールに対しまして、現在九日三十万ヘクタールの人工造林地ができておるのでございます。しかしながら、先ほど来お話が出ておりますように、減速経済の移行に伴いまして、お話ございましたように、造林面積が減少傾向にあるということでございまして、計画と実績とを対比いたしてみますと、全国森林計画の平均五カ年の造林量に対しまして、四十八年度から五十二年度までの五カ年間の実績は七一%というような状況になっておるのでございます。  したがいまして、今後この残されました三百万ヘクタール余の造林を達成していくためには相当な努力が必要でございますし、また、この先進地域におきましてはほとんど拡大造林が進みまして人工造林化が進んでおるということでございまして、むしろ残された拡大造林の対象地域は旧薪炭林が大部分でございますし、また非常にこれは奥地化、分散化いたしておりますし、また現在の木材市況等から、薪炭林の原木がなかなか売りづらいというような状況下にございます。したがいまして、造林はしたいけれども伐採が進行しない、つまり木がなかなかはけていきませんので造林が進まないというような現状にございます。  そこで、今後、先ほど申し上げましたように、いろいろな手だてを考えまして、外材対策ももちろんそうでございますけれども、これらの造林未済地に対して今後どうしていくかと、特に最近は広葉樹に対する見直し等の議論も出ておりますし、また自然保護あるいは環境保全上広葉樹林を残すべきだというような議論も出てきておりますので、こういう点も踏まえながら、今後のこれらの地域に対する造林すべきところについては、積極的に造林が進むような手だてを十分整えていって努力をしていきたいということでございます。
  175. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 人工造林をたくさん行っていってその自給率を高めるということは非常に大事なことなんですが、往々にして計画を立ててもうまくいかない場合が出てくるんです。いろいろ御説明ありましたように、いまいろんな状況が出てくると思うんですけれども、その原因の一つに、いわゆる労働効率が悪いといった面もあるんじゃないかと思いますけれども、この点についてはどういうようにお考えですか。
  176. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) 国有林民有林を含めました林業生産の経済性の問題につきましては、先ほど来お話が出ておりますが、まず第一点には、伐期に達しない若い幼齢の人工林が非常に多いというふうな、そういう資源的な制約の問題が第一点としてございます。それから、第二点といたしましては、林道等の生産基盤の整備がおくれているという問題がございます。第三点には、わが国のこれは民有林関係でございますが、経営規模が非常に零細性であるというふうなことも挙げられるかと存じます。第四点といたしましては、住宅建設などの木材需要の伸び悩みの問題もございます。さらに、これに関連いたしまして第五点といたしましては、先ほど先生指摘ございましたが、外材輸入に主導されました需給の緩和と材価の低迷の問題がございます。それから、第六点といたしましては、木材の関連産業の長期に及ぶ業況の不況問題も要因として挙げられると思いますが、御指摘の労働効率の停滞もやはりその一因であるかというふうに考えられる次第でございます。  そこで、この労働効率を上げるという問題につきましては、林業の特性から申しまして非常にむずかしい面もございますが、今度国有林に問題をしぼりまして、この最近の製品生産あるいは造林事業生産性という問題を見てまいりますと、昭和四十七年をピークにいたしまして、その後残念ながら停滞傾向にございます。  そこで、この生産性が低下しております要因はいろいろあるわけでございますが、要因別に三、四点申し上げますと、まず第一点は、先ほど林政部長が申し上げましたが、昭和四十八年以降森林の持っております公益的機能を重視した森林施業の取り扱いということから、伐採するに当たりまして個所を分散するとか、あるいは小面積にするとか、そういうふうなことがやはり第一の理由として挙げられます。それから、第二点といたしましては、造林事業におきまして、国有林におきましては従来出来高でやっておった面がございますが、これが少なくなったというのも挙げられます。それから第三点は、地域によりましてこの労働安全衛生あるいは賃金の支払い形態等の労働条件をめぐる労使間の紛争による能率の低下も否めない事実でございます。それから第四点といたしましては、振動障害の認定者の増加に伴いまして、これの対応並びに予防に対処するための対策等いろいろとしてまいっておりますが、たとえば手工具によりますところの伐倒だとか、あるいは刈り払いというようなものがございまして、生産性の低下を、米しておるところであります。  そこで、私どもといたしましては、やはり先生指摘のように、これからの林業生産をより向上させるために、やはり労働効率というものを高めてまいらなければならぬわけでございますので、そういう面から、まず第一には、現場の作業管理と申しますか、進行管理というのを適切にするというふうな問題も当然第一に挙げられるかと存じますが、第二点といたしましては、伐採から運搬しまして搬出すると、さらに造林するという、そういうふうな作業管理工程、作業工程と申しますか、そういう方法を改善するというふうな問題もあろうかと思います。  それから、さらに私ども特に考えていかなきゃならぬと思いますが、これは職務意欲の向上の問題でございます。先ほど先生指摘ございましたが、やはり山を愛するというふうなことをまずベースにいたしまして、積極的にやはり自分の職務に専念するというふうなそういう意欲向上の問題もございますし、それから間接費の節減問題等も十分進めまして、生産性の向上に努めてまいるというふうに考えておるところでございます。
  177. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 一つは、大型の機械を何でもかんでも持ち込んで、山に合わせて機械を持ち込むんでなくて、機械を買っちゃってその機械があんまり効率を発揮しないという面もあるでしょうし、それから採算を度外視した荒っぽい伐採の仕方、そういう点も問題だと思うんです。  これはまたあとから指摘したいと思いますが、次に、改善計画の二項にある国有林野事業の能率化に関する事項なんですが、これは具体的にどういうことをやっていこうとするのか。まず御説明いただきたい。
  178. 石川弘

    政府委員(石川弘君) これも先ほど申し上げましたように、法の制定をしていただきました上で林政審議会等の意見を聞いて定めるわけでございますが、現在私どもがこの事項の中で考えておりますことを申し上げますと、まず立木販売と素材販売の選択のあり方の問題、これは立木でいくか、あるいは素材にするかということは一つの大きな企業経営の分かれ目でございますので、こういうことが一つ問題になろうかと思います。それから、企業的な能率性に即しました現場作業の遂行の仕方の問題ということがあろうかと思います。さらに、新しい技術の開発導入等によります生産性の向上の問題、それから、これは若干逆にお聞きになるかと思いますが、従来ややもすれば労働安全衛生等についてやりました結果がマイナスに出まして、結果的には効率を下げたということもございますので、こういう機械の導入等のような生産性の向上の場合に、労働安全衛生の確保の問題もあわせて考えておくべきではなかろうかと思っております。  それから、事業を行います人の問題といたしまして、職務意欲の向上の問題とか、あるいは基幹作業員制度等も発足いたしておりまして、優秀な労務、今後国有林の基幹となりますような優秀労務をどのように確保するかというような考え方の問題、それからもう一つ国有林事業に関連をいたしまして各種の関連事業もございますが、このようなものが企業の能率性の面でどのようなことに将来発展していくかという関連事業についての見通しと、以上申し上げましたようなことを、この事業運営の能率化に関する事項の中で定めてはどうかということで検討をいたしております。
  179. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 関連事業の問題なんですが、この法案提出する前、関連事業の見直しはされたんでしょうか。
  180. 石川弘

    政府委員(石川弘君) たとえば、例の御承知国有林野を使いまして畜産の牧場経営といいますか、肉用牛の実験事業等をやっておりますが、これは、実はこれの今回の法案に考えております時点の前というと適切じゃないかもしれませんが、五十三年度予算の際には、これはいわゆる国有林野経営事業の実験を一応終了しておりますので、こういうものは別途畜産の視野からやっていただいたらどうかというようなことを検討いたしておりますが、こういうものも含めまして、関連事業あり方ということを考えていきたいと思っております。
  181. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 関連事業の問題については、また別なときにしたいと思います。  そこで、生産向上のためには優秀な機械の開発導入ということが当然必要なことだと思いますが、特に白ろう病の原因であるチェーンソー、これは早急に技術開発をして、一日も早く白ろう病を絶滅していくということが大事なんですけれども、このリモートコントロールチェーンソーとか、自走式伐倒機、それから玉切り装置、ヤーディングクレーン、こういった機械の開発の状況なんですが、実用化という点についてはいつぐらいの時点から図れるのか、目安がもうついていましょうか。
  182. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) 国有林野事業におきましては、従来からただいま先生指摘生産性の向上の問題、さらには安全性の確保という側面から、新しい合理的機械の開発導入ということを進めてまいっておるわけでありますが、特に最近は、振動障害の防止という点に重点を置いてやってまいっております。  そこで、まず第一に、木を切りまして、それを集材機で持ってまいりまして、盤台というところで一定の利用の長さに玉切りをする工程がございますが、その段階で自動式にこの玉切り、ほとんど振動、機械にさわらないで自動式に玉切りできる機械というのを昭和五十年からもうすでに導入をしております。  それから、現在開発が終わりまして、逐次導入をしようとしております機械といたしましては、いま先生指摘の、リモートコントロールによるところのチェーンソーでございますが、これにつきましては年度内には導入可能でございます。  それから、自走式玉切り機と申しまして、これはさっき申しました玉切る機械自身が自力で動いてまいりまして玉切る機械でございますが、グラブルソーというふうに呼んでおりますが、このグラブルソーにつきましても、もうすでに導入可能な段階にまいっております。  それから、やはり自走式で木を伐倒する機械だとか、あるいは自走式で材木を運搬する集材機、材を集める機械、これはヤーディングクレーンと呼んでおりますが、こういうものにつきましては、現在ここ数年で開発すべく目下努力している最中でございます。
  183. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 この開発の方を一層促進されるように努力してください。  それから、販売面の充実もこれまた欠かせることのできない重要な部門だと思うんですが、いただいた資料の中にあります生産向上のための販売地点の合理的な選択、こういうふうに書かれていますけれども、具体的に言うとどういうことなんでしょうか。
  184. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) 素材をいま丸太にしました材でございますが、それを販売するに当たりましては、まず第一に需要者側の意向ということをもちろん尊重しなければなりませんし、それから輸送する事情とかその材の種類、これが貴重材であるとか、高い一般材であるとか、あるいはパルプ材であるとかいうふうな、そういう丸太の種類によったり、あるいは貯木場、丸太をためておくところでございますが、はい積みにしてそこで売り払うわけでございますが、丸太を選別をいたしまして売った方がより有利に売れるというふうな、そういう選別条件というふうなものを勘案しまして、これは収入と経費の見合いにおきまして最も合理的な販売地点を選ぶことにしておりまして、具体的に申し上げますと、パルプ材等のどちらかというと価格の安いものと申しますか、運搬に案外コストのかかりますようなそういうものは、生産現場に近い地点でこれを売り払うようにしておりますし、選別、仕分けをいたしましてメリットのある一般材とか高品質材というようなものは、町土場の方まで運搬いたしまして販売するというふうな方法で対処しているところでございます。
  185. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 国有林野の場合の販売行為というのは、どうしても会計法に絡めて、要するに縛られるわけですね。事業法にはなじまないようなんだけれども、いろいろ規制があるわけですね。それで、事業主体が価格の決定をみずからできないという点は非常にやりづらいだろうと思うんですけれども、市場機能発達していればみずからの意思で価格決定ができるはずだと思うんですが、この辺の販売価格の決定についてはどのようなお考えですか。
  186. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) 現在、国有林わが国木材需要量に占める割合は一割でございまして、そういう意味では非常に何といいますか、シェアが低うございます。それで私どもの価格決定は、その地域の木材市況をベースにいたしまして算定をしておるところでございます。
  187. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 それから、これは管理業務の簡素化とも絡む問題なんですが、販売業務というのを署から切り離して販売センターとか販売ステーションというものをつくってやった方がいいのだという意見もあるんですが、これについてはどんなお考えをお持ちですか。
  188. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) 販売方法の改善につきましては、昭和四十七年の林政審答申以来改善しているところでありまして、販売するブロックというようなものを全国百十一のブロックに分けまして、なるべく集中的に販売するというような方法をとっております。いま先生指摘の販売センター、そのような問題につきましては、私ども今後の課題として検討しておるところでございます。
  189. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 これはぜひ早期に検討して、もし効率が上がるもんでしたら、これは実施に踏み切るべき問題だろうと思います。  それから、話は飛びますけれども、いただいた資料の中の損益の収支を見ますと、非常に赤字が出ている年度が多くなってきておりまして、特に四十五年度以降はほとんど赤字なんですが、この原因については林野庁の当局としてはどういうようにとらまえていますか。
  190. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) 国有林野事業の赤字問題につきましては、私ども損益計算上の赤字の問題と、それからもう一つは、現金収支上の資金不足という両側面からとらえておるわけでございます。損益計算上の発生の原因につきましては、収支面におきまして先ほど来お話出ておりますが、森林の持っております公益的機能整備充実という問題やら、それから現在の森林資源の賦存の状況という関係から伐採量に限界があるというようなことやら、それから先ほど来話がございますが、木材の需要構造の変化に伴いまして、最近材価が低迷しているというような問題もございます。費用面では、管理部門が現在高度成長期のときの管理部門そのままで、努力はしてまいっておりますが、まだ相対的には若干肥大しているというような面もございまして、人件費が非常に増大化し固定化しているというような問題、それから今後森林の公益的な機能を整備向上するという面から、やはり今後経費が増高してくるというような問題がございます。  そういう面から、損益計算上どうしても赤字が出てきておるというふうな実態でございますし、また、現金収支の面から見てまいりますと、ただいま触れましたような資源の実態の中で、今後さらに森林資源整備充実するための林道あるいは造林といった投資活動をさらに進めていかなければならぬというようなことから赤字が出ておると考えております。そんな関係でございまして、今後やはり国有林野事業を積極的に進めていく上におきましては、一般会計等からの所要の財源措置をお願いしなければならぬというふうに考えておるところでございます。
  191. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 その中でも特に北海道の場合は、四十八年を除いて四十年から五十二年まで毎年すべて赤字なんですが、これについて原因はどういうふうに考えますか。
  192. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) 理由が幾つかございますが、第一点といたしましては、北海道で生産される材の問題がまずあるかと存じます。北海道で生産されます材の主なものはエゾマツとかトドマツというふうな材でございまして、この需要範囲が北海道に主として限られておるというようなことやら、ソ連材と競合状態にあるというようなことでございまして、杉に比べますと大体七〇%ぐらいの価格でございまして、そういう面で非常に水準が低いという面がございます。それから、優良広葉樹もございますけれども、これは量的に少ないという面がありまして、総体的に見ますと北海道で生産される木材の材価水準というのは低いというふうに見られるわけでございます。  それから、第二点の問題でございますが、昭和二十九年に洞爺丸台風がございまして、あれによりまして二千万立方メートルを超えるような非常に大きな被害木の発生がございました。この風倒木の跡地処理の問題が非常に長期にわたりまして、それとの関連性で組織、要員というのがやはり膨張したことは事実でございます。その後事業量が縮減してまいっておりますが、その調整が必ずしも十分でないというふうな面から、この北海道の国有林野事業につきましては、先ほど私が申し上げました自然条件の厳しさというようなものを含めまして、やはり何と申しますか、赤字になっておるというふうに申し上げる次第でございます。
  193. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 まあ北海道の場合は、収支だけでなくて、伐採量それから人工造林地、素材の生産量それから造林の地ごしらえ、下刈り、苗木の生産量、すべての項目で全部減少しているわけなんですが、ここ年々後退していく状況を見ていますと、非常に北海道の林業の前途というものが心配になるんですが、これについて今後の対策ですね、北海道林業振興に対する対策として、今回この法案を出すに当たってどういった検討をし、またどういった点に特に力を入れて今後臨もうとされるのか、この際明らかにしておいてください。
  194. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) ただいま申し上げましたとおり、北海道につきましては、台風以降におきまして事業量が減少しておることは事実でございます。それに対しまして組織、人員等も相対的に肥大化している面もございますので、現在の事業量に見合った形での組織、要員その他を検討していかなきゃならぬと思っております。もちろんしかしながら、森林資源を造成するということはきわめて重要でございますので、そういうところにはゆるがせすることなく進めてまいりますが、全体的にはただいま申し上げましたように、組織機構等が相対的に肥大している部分については、今後検討してまいらにゃならぬというふうに考えております。
  195. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 非常に北海道の場合は自然環境が厳しいのでなかなか材が育たないという点はありますが、基本的な考え方として、要するに貴重な予算を何かむだにつぎ込んでいるという感じなのか。それとも、将来の培養のためにいまこのお金をつぎ込まなきゃならない、当然の北海道の林業発展のためにはやらなきゃならないんだと、こういう考え方なのか。その点、ちょっと基本的なことですから明らかにしてください。
  196. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) 森林資源を維持培養するというのは私ども森林施業の基本でございますので、そういう点については抜かりなく十分対処してまいらにゃならぬと思っておりますが、国有林野事業でございますので、やはり企業的、企業性というものを確保するということを十分踏まえてやはり事業を実行していかなければならぬ、かように考えております。
  197. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 数字的にいきますと、五十二年度で現金収入で八百十六億円の支出超過、損益で八百六十七億円。五十三年度の見通しも現金収入一千十億円の支出超過、損益七百五十九億円と、膨大なこういう金額が上っておるようですが、このように構造的な赤字経営に陥っているわけですけれども、これらの理由として労賃その他のコストの上昇に対して材価が木材需給構造の変化等を反映して低迷しているということや、先ほどからお話ありますように、自然保護等の公益的機能の維持や資源保存状況が非常に悪くて伐採量が減少していると、また今後もその傾向が当分続くんじゃないかと思われますし、それから振動障害等の問題のために生産性が若干落ちぎみであると、こういったいろんな要因が挙げられるんですけれども、このほかに、作業能率を向上させればある程度生産性を上げることができて、また国有林の発展にも多少とも寄与できるんではないのか、こういう議論もあるんですが、この作業能率の向上という点についてどういう見通しをお持ちですか。
  198. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) 国有林野事業の実行に当たりましては、先ほど来申し上げておりますとおり、四十七年の林政審の答申以来この経営改善に努力しておるわけでありますが、先生指摘の作業能率というものをこれは上げませんとやはり経営が改善されませんので、私ども現在国で雇用しております直接雇用の事業実行につきましては、管理部門の肥大化の問題だとか、あるいは事業運営の非弾力性な面もございますので、これらにつきましては率直に反省いたしまして、この現場におきますところの作業管理の改善の問題だとか、あるいは作業仕組みを改善するとか、職務意欲を向上させるというふうないろいろな方法を講じながらこの能率の向上に努力してまいりたいと、かように考えておるところでございます。
  199. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 大事な点は、特に現場の作業管理の充実という点だろうと思うんですが、先ほども労働効率が今後とも問題であるという点は指摘をいたしたんですが、この現場の作業管理向上について具体的にどういう対策を今後されるのか、もう少し詳しく説明していただきたい点と、それからもう一つ続けて、いただいた資料の中に、製品生産それから造林等の各種作業の一元的管理を行う実行組織の段階的実施を図ると、こうありますけれども、この部分について具体的にひとつ説明を加えてください。
  200. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) まず、作業能率の向上を図るという面におきましては、先ほどちょっと触れました作業方法を改善するというふうな技術的側面の開発改良が当然必要でございますが、そのほかに森林の施業と申しますと、木を伐採し、運搬し、跡地を造林して保育していくというふうな一連の作業があるわけでございますが、この個々の作業、もちろんこれは能率性を向上することが必要でございますが、やはりそれらの作業全体を有機的に関連づけなきゃならないと思っております。  たとえば、例で申しますと、今後はやはり森林の持っております公益的な機能を充実するという面等から考えてまいりますと、択伐作業というものがふえてまいりますが、択伐作業で木を伐採するに当たりましては、すでにその下に生えております幼稚樹を大事にしながら伐採するというふうな、そういう関連を十分とった形で作業をするというふうなことで、全般的に、何といいますか、トータルといたしましての作業能率が上がるような知恵のしぼり方が、まず第一に必要だと考えております。  それからもう一つは、技術管理の徹底の問題がございますが、いま触れましたように、個別技術という問題ではそれなりに努力していますが、やはりトータルとしての森林施業をする場合の技術管理というものについて、さらに徹底をしていかなきゃならぬという面も考えておりますと同時に、これらの事業を実行するに当たりまして、技能習熟者と申しますか、教育訓練、研修訓練というものをさらに積極的に進めまして、これらの作業に対応できるような体制をつくることも、これは今後必要なことではなかろうかというふうに考えておるところでございます。  そこで、御質問の第二点になりますが、作業管理の一元化という、一元的な管理という問題でございますが、先ほど触れましたように、国有林野事業の現場における作業と申しますのは、伐採し、丸太を生産いたしまして、さらに植えつけ、保育というふうなそういう一つ流れがあるわけでございますが、特にこれから新しい森林施業ということで、有機的関連性を持った形での森林の取り扱い方ということを考えていかなきゃならぬと思いますし、それから今後さらに事務規模が縮減するというふうなこともございますので、通年雇用というふうな面から、いろいろの事業を組み合わせるというふうなことも知恵をしぼらなきゃならぬ一つの問題かと考えております。  そういうふうなことやら、あるいは効率的に事業をするために仕事に従事する職員が移動する、流動化と呼んでおりますが、流動化をより積極的に進めていくというような方法も必要かと思います。そういうことから考えてまいりますと、やはり一元的にいろいろな作業をするというふうな、そういう組織というものが今後必要ではなかろうかと思っておりますが、ただこの問題は、一遍にそこへ持っていくというのはなかなか現体制からもいろいろ問題がございますので、十分検討しながら段階的にそういう方向へ持ってまいりたいということで現在検討しているところでございます。
  201. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 作業組み合わせも必要であるというただいま御説明なんですが、そうしますと簡単に言えば、たとえばチェーンソーを二時間行ったら他の作業を行って、またほかの作業もやっていくというようにしながら、振動障害というものを防ぎながら作業能率を上げていく、こういうお考えなんだというふうに判断してよろしいわけですか。  それからまた、この方針はそう一遍にはむずかしい、段階的におやりになるというんですが、特に障害になるようなものはないのかどうか、その辺のところはどうなんですか。
  202. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) チェーンソーの例を先生指摘でございましたが、大きく分けまして製品生産事業と造林事業の間での調整というような問題もあるかと存じます。  それから、二点目のお話でございますが、やはりこれから実行していくに当たりましては、スムーズに逐次仕事になじむような方法を進めていかなきゃならぬと、いろんな面でそういう配慮を踏まえて実行してまいることが必要かと考えております。
  203. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 機構の問題ですが、ヨーロッパの方なんか非常に現場機構というのはこじんまりまとまっていて、日本の場合は最近の傾向はだんだん分業化されて専門化してきている、そういったことで、労働力にむらがどうしても出がちなんだというようなことを言う方もいらっしゃいますが、ヨーロッパでも西ドイツの場合は造林から育林、それから伐採、これに従事している人たちは一通り何でもこなせる、また営林署長のような立場の人たちがみずから作業衣を着て現場を飛んで歩いている、こういうことも聞いておりますので、こういう点、やはり鋭意今後取り組んでいく重要な問題であろうと思います。そして、これを段階的にやるに当たって、特に当局としては組合の皆さん方とのお話し合いということになるのだろうと思うんですが、非常にこの組合の皆さん方とのお話し合いの問題はむずかしい問題であろうと、こう私ども推測いたします。この国有林野の置かれている立場をよくお考えになって、ぜひ政府もそれから組合も、ともにこのいろんなむずかしい点を話し合いで一つ一つ積み上げながら生産性を上げるために努力して、一日も早くこの経営改善を行っていただきたいと、こう私どもは心から願っているわけなんです。  私の聞いたところでは、ある組合では職場闘争の戦術の一つとして、超過勤務の拒否であるとか、あるいは同一係であっても自分が分担している以外の業務はできない、それから同一機種であっても通常乗務している以外の機種には乗務をしない、それから集材作業などで通常の構成人員が一人でも欠けて乗務した場合は集材作業は行わないといったことを、方針としてとっているところもあるんだというように聞くんですが、私は何も組合の活動、闘争について阻害したり云々する、評価する気持ちは毛頭ありませんけれども国有林経営というものが不振続きであるし、また郵便預金や国民の税金から国有林の赤字を埋めようということで、今回一般会計からの繰り入れもあるわけですから、政府、組合ともこれまでのいきさついろいろあってむずかしいということは十分われわれとしても理解できるんですけれども、ぜひ林野庁としてもこの辺の対策について十分の配慮と、また粘り強い交渉、また誠意を持っての話し合いというものをしていくべきじゃないかと思いますが、これについての心構え、対応といいますか、それについてひとつお聞かせいただきたいと思います。
  204. 相賀幸雄

    説明員(相賀幸雄君) 国有林野事業の健全な発展を期するためには、効率的な業務運営を図ることが急務であるという認識に立ちまして、従来からその確保に努めてまいったわけでございますが、一部におきましてただいま先生から御指摘がございましたような事実があったことにつきましては、まことに遺憾でございますが、これにつきましては、随次そのような実態に即しまして関係労働組合にも通告いたしまして、是正に努めているところでございます。今後御指摘のようなことのないように、全職員が一体となりまして現下の厳しい諸情勢を克服し、国民の負託にこたえ得るような効率的な業務運営を図るよう、今後一層努力をしてまいりたいと考えておるわけでございますが、さらにこれにつきましても、先生からも御指摘ございましたように、労働組合に対しましても国有林野事業現状を十分認識して対処するよう私どもも従来からも求めているところでございますが、今後もさらにその方向で一層の努力を進めてまいりたい、かように考えております。
  205. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 いまの問題に関連しまして、労働協約について若干お尋ねしておきたいと思いますが、この労働協約については本庁に基本的なものがあって、その本庁の基本的な協約に基づいて各営林署で個別に組合と労働協約を結んでいるんだというふうに聞いているんですが、この辺の事情についてはどうでしょうか。また、営林署それぞれによって協約の内容というものは大分差があるんだということも聞いておりますが、この辺いかがですか。
  206. 相賀幸雄

    説明員(相賀幸雄君) 国有林野事業におきまして、林野庁と二つの組合との間におきましての取り決めに基づきまして、営林局、それから営林署段階とこれに対応する労働組合の下部組織とそれぞれ交渉権限を配分しておるわけでございます。すなわち、林野本庁におきましては制度基準等のいわゆる基本的な事項について協約をいたしておりますし、営林局、営林署の段階では、それぞれ上部の段階で締結された協約の実施に関する事項、それからそれぞれの機関の長の権限で処理できる事項、さらには、労働基本法上要諦される事項等について、現地の実態に即した労働協約を締結するということになっておるわけでございます。それで労働協約は、林野庁、それから局段階では可能な限り細部事項にまでわたって締結する方針でございまして、営林署段階におきましては、事業実行に専念できるよう努めているところでございます。  さらに、営林署によって若干差があるのではないかという御指摘でございますが、これは営林局署の長は、ただいまも申し上げましたように、林野庁とそれから労働組合の間において締結いたしております団体交渉に関する労働協約ということに基づいて、それぞれの権限に属する事項について上部機関の労働協約等に抵触しない範囲で現地の実態に即して労働協約を締結しておるわけでございますが、その内容が違法、不当とならないように、またあるいは局署間の均衡を失しないように、私ども常に指導しておるわけでございます。
  207. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 林野庁には、全国の営林署ごとの労働協約というのは全部そろえてあるんでしょうか。
  208. 相賀幸雄

    説明員(相賀幸雄君) ただいま申し上げましたように二つの組合ございますので、それぞれ数は違うわけでございますけれども、五十二年度中に締結いたしました協約等について調査いたしましたところ、一営林署の平均数値で申し上げますと、対全林野では四・五件、それから対日林労では一・二件、かようになっております。
  209. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 二つの組合があることは私も承知しておりますが、いままで労働協約を全部集めてその平均化を図るというような検討をしたことはなかったんでしょうか。
  210. 相賀幸雄

    説明員(相賀幸雄君) 先ほども申し上げましたように、署間、局間の調整を図りましてそこにアンバランスのないような指導はいたしておりますが、特別に本庁にあれしてというようなことについての深い検討は進めてはおりませんです。
  211. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 組合の皆さん方にも現状の理解を深めていただいて、生産性の向上に協力できるところは大いに協力していただかなきゃならないし、また政府政府で、行政の怠慢があったんではないかという点もやはり厳しく指摘をされている点もあるわけですから、やはり政府それから労組とも置かれている立場、責任をしっかり感じていただくようにお願いをしておきたいと思うんです。  それから、次に「改善計画」の三、項「国有林野事業経営管理適正化に関する事項」というのがございますが、これは具体的に何をするのか明らかにしてください。
  212. 石川弘

    政府委員(石川弘君) これも審議会等にお諮りをしながら定めていくことではございますが、現在考えておりますことは、国有林は相当大きな事務量を持っておりますが、その事務の処理に関します改善合理化に関する事項、それから国有林事業規模が相当変わってまいっておりますので、その事業の規模に対応しました要員規模の適正化の問題、それからそのような事務あるいは要員規模と見合いました組織、機構の整備、改善の問題等を取り上げたいと考えております。
  213. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 その中で要員数の問題なんですが、勧奨退職制度について、この際内容説明しておいてください。
  214. 相賀幸雄

    説明員(相賀幸雄君) 高齢職員の退職制度の問題でございますが、従来国有林野事業におきましては、高齢職員の退職が円滑に進まない事情がございまして、経営の基盤にもかかわる問題としてゆるがせにできない事態になっておったわけでございます。したがいまして、昭和五十年の七月に労働組合に対しまして高齢職員の勧奨退職制度について提案を行いまして、公共企業体等労働委員会の労も煩わしまして、昭和五十二年十二月の二十三日に最終の合意に達しまして、その制度の運用をいま現在図っておるわけでございますが、その内容の概略を申し上げますと、勧奨退職年齢は五十九歳でございまして、ただ五十四年度までにつきましては、経過的に六十歳としておるわけでございます。それで、勧奨に応じて退職をなさる方につきましては優遇措置を講じておるわけでございまして、その内容につきましては、まず退職手当法の勧奨の扱いをする、それから退職時に特別昇給をいたします。こういう優遇措置を講じております。  それから、勧奨を拒絶されて退職をなさらないという方につきましては、退職手当法上の勧奨扱いはいたしません。それから、退職時の特別昇給もいたしません。それから、翌年度以降の定期昇給もいたしません。それから、ベースアップにつきましても一定の制限の範囲内しかベースアップもいたしません。こういうような制度で運用をいたしております。  なお、基幹作業職員等いわゆる定員外の職員につきましても、本年の三月三十一日にいま申し上げましたような定員内職員の取り扱いに準じた内容で協約を結びまして、現在それの実施をしておる段階でございます。
  215. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 近年、人件費その他コストが上昇して、それが赤字につながっているということで今度の制度ができたのだということなんですが、計画として何年度までにどれだけの人員に勧奨制度を適用したいのだというような計画はあるんですか。
  216. 石川弘

    政府委員(石川弘君) 実は、高齢者の退職の問題につきましては、いま職員部長から御説明いたしました勧奨年齢に達しました者につきましては、極力私どもの希望といたしましては一〇〇%この制度で退職を願うということを考えておるわけでございますが、それではどのような要員規模を将来想定するかということでございますが、このことにつきましては、まず国有林の主要な事業量がどのように推移するかということでございますが、これは私どもの想定をいたしております計画によりますと、かつては最高二千三百万立方の伐採をいたしておったわけでございますが、現在御承知のように千五百万立方台でございます。最も伐採量が縮小いたします六十年代の前半から後半にかけましては、千三百五十万立方台の伐採量に縮減をしていく、もちろんそういうことのうらはらとなります造林、これはやるべきことを当然やるわけでございますが、この種の事業量も縮減的に推移せざるを得ないわけでございます。そういう事業量にまず見合いますような事業規模を想定いたしまして、そういう事業規模のものを運営いたします間接管理部門が、これは事務の合理化とかいろいろなことがございます。そういうことも含めまして、要員規模を将来にわたって設定をいたしたいと思っておるわけでございますが、この種の要素をすべてまだとめておりませんので、そういう要員規模というものをとめました段階——要員規模と申しますか、事業規模あるいは事務量の合理化というようなことを定めます段階で、将来における要員規模というのを設定をしてまいりたいと考えております。  ただ、これは私ども申し上げておりますのは、いわゆる強制退職といったような手法を使っての要員規模の縮減ではございませんで、先ほどから御説明をいたしております高齢者の退職の促進とそれにかわるべきものとして新規の職員を採用するわけでございますが、この採用の人員をこういう改善計画が推進されます段階におきましてはある程度縮減もやむを得ない、そういう形で適正な要員規模へ持っていきたいと考えておりまして、現在その種の考え方の上で作業をいたしておる段階でございます。   〔委員長退席、理事山内一郎君着席〕
  217. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 いまお話の出た新規採用についてなんですけれども、勧奨退職制度はつくったが新規採用の計画はうまくいかないとなると何にもならなくなると思うんですが、この新規採用の計画は何らかの形で整っているんでしょうか。
  218. 石川弘

    政府委員(石川弘君) 新規採用につきましては、かつてたとえば四十年代でございますと、やはり五百人を超えますような新規採用をやった時代がございますが、要員管理を適正にしてまいります段階で相当縮減をしてまいりまして、たとえば最も少ない四十八年度は百名を割るというような新規採用でございました。しかし、これはやはり要員管理の中で規模縮減はするわけでございますが、国有林管理経営しますためのどうしても必要な要員を養成するという必要もございますので、現在若干数字を申しますと上昇させておりますけれども、たとえば五十二年で申しますと百五十九名というような採用管理をいたしております。  先ほど申しました全体の要員規模を想定します段階で、私ども今後における新規採用を定めてまいるわけでございますが、これは私どもとすれば将来の国有林の担い手の中心となる人たちでございますから、必要な要員規模を確保したいわけでございますが、これはあくまでやはり高齢者退職その他が円滑にいきまして、要員規模の全体の調整がとれるという見通しをつけた上でなければ要員をふやしてまいるという過程に入れませんので、ここ数年の高齢者退職の推進その他の見通しをつけながら、適正な管理規模にまで推移することを前提といたしまして、新規の採用人員の数を決めていきたいと思っております。
  219. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 国有林野に従事している職員の方たちの業務内容についてなんですが、資料の中から数字を見ますと、昭和五十二年度で全職員数六万七千八十四人、これに対して定員内職員の方が三万五千九百三十五名、常勤作業員が九十六名ということで、いわゆるホワイトカラーと言われる事務職員が三万六千三十一人ということで、全職員の半数以上を占めていることになるわけですね。現場で作業している作業員の数より多いというような形なんですが、これは林野に限っての特殊な形なのか、それともほかの公共企業体に比べてどういうふうなことが言えると思いますか。
  220. 石川弘

    政府委員(石川弘君) 国有林の定員内外という分け方につきましては、御承知のように、定員の中にもたとえば機械要員のような者が一部含まれておりまして、いわゆる事務職と、それからいわゆる技能と申しますか、現場職員という区分と必ずしも一致しない面があるわけでございます。ただ、一般論といたしまして、過去におきまして先ほど申しましたかなり伐採、造林等が進んでおりました時代の要員規模、特に定員内におきます事務職の要員規模と、現在伐採量、造林量といった国有林の主要事業量がかなり縮減した段階での事務職員と申しますか、そういう間接管理部門の要員規模が余り縮減されていないということはこれは事実でございまして、私どもこのような間接管理部門につきまして、極力事務の簡素化その他を通じまして要員規模を合理的なものまで持っていきたいと考えております。
  221. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 俗に、山は見て歩くだけでよくなるんだという言葉があるぐらいです。山は手を入れれば入れるほどよくなるわけですが、最初に不良造林地の問題で質問いたしましたけれども、この問題も現場の作業がもっと能率的に行われればある程度効果も上がることだし、現場へ出られる方よりも机に座って仕事をされる方の方が多いということのまま推移をするとなると、果たしてどんなものかというような点もやはり感じられる方が非常に多いのではないかと思うんですが、この点はどういうような改善を図るお考えですか。
  222. 石川弘

    政府委員(石川弘君) いま御指摘がございましたように、たとえば国有林経営改善のための林政審議会の御審議をいただきました際にも、過去におきます営林署におけるような組織機構と、それから現状における営林署の組織機構とを比較して御論議があったことを記憶いたしておりますが、その時点におきましては、どちらかというと、いわゆる内業的な分野が非常に少なかったという御指摘がございました。ただ、その後の経過を見ますと、かつては大きな行政事務でございませんでしたたとえば労働の安全の問題とか、あるいは雇用の安定化の問題とか、いろいろな過去の——過去と申しますか、かつての古い時代におきます林業のいわゆる内業と外業の関係と違った形で、いわゆる内業的業務もふえてまいったことも事実ではございますが、ただそのような事務はむしろ合理化と申しますか、各種の機械化その他ができるような事務も相当あるわけでございます。  そういう意味で、私ども先ほど申しましたいわゆる国有林における間接管理部門の相対的肥大化ということは、やはり反省すべきものと考えておりますので、先生指摘のございますように、国有林におります人が現場にそれだけ張りついて現場の仕事ができ、しかもその背後にあります管理部門が決して重荷にならないようにということを考えて、今後の要員規模の調整を図りたいと考えております。
  223. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 先ほども触れましたけれども、日本とヨーロッパの近代的林業経営を比較すると、機構整備についてやはり大きな開きがあるんだということを言われる方がいらっしゃるわけでして、どうしても日本の場合は管理業務に従事する人が多くて、施業員がそれに比べてわりあい少ない。特に営林署の場合も庶務、経理、それから経営、それから施業、伐採関係ですね、こういった係別に分けてみましても、庶務、経理関係に非常に人数をたくさん必要とするというのは、これまでの行き方が財産管理的なものが主体なためにどうしても人が必要であると。それからまた、販売手続にも手間取って時間を食うという点にも、こういった形にならざるを得なかったのではないかと。  それに比べて担当区なんか、主任さんお一人で何千町歩も受け持っている地域もあると。これじゃ、どうしても現場を歩きたいと思ってもなかなか歩き切れない。また、行って木が生育しやすいように草を切るということを心がけても、なかなかそう全部回り切れないしできないというようなことがあって、どうしてももっともっとよく保育されるべき国有林が、そういった点がおくれているのだという点もあろうかと思うんです。  それから、営林署支局、局の機構で、同じように管理業務が重複されて行っている、そういうふうなところをもっともっと改善すべきじゃないかということも、これは前々から言われた点だと思うんですが、そういった点も、今後改善に当たってはどういう点に力を入れようとされておりますか。
  224. 石川弘

    政府委員(石川弘君) ただいま御指摘になりましたとおり考えておりまして、たとえば四十七年の林政審答申の際におきましても、担当区、現場と申しますか、山を直接管理するようなところから手を抜くのではなくて、むしろそういうところを充実させながらいわゆる間接的な管理部門というところの荷をなるべく軽くしていく。こういう事業につきましては、いま御指摘のありましたように、ある種の機械化とか、ある種の合理化ということがやりやすい分野でございますので、そういうところに極力焦点を合わせまして、今後の国有林の組織なり機構なりを組み立てていきたいと考えております。
  225. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 国有林野の機構の整備のためには一体どういう管理機構が最もふさわしいんだと、またどういう現場機構にすれば国有林野の再建ができるんだという、ここからやはりスタートしなければいけないと思うんですね。政府は今回の法案提出に当たって、この機構整備の問題、根本的な検討を十分加えられて出されたんでしょうか。それとも、非常にむずかしい問題が横たわっておるのでということで、余り抜本的な検討までいかないまま提出をされたんですか。
  226. 石川弘

    政府委員(石川弘君) 経営組織のあり方につきましては、四十七年の林政審答申におきましても大変重要な議題でございました。国有林の場合は、どちらかと申しますと、発生的に申しましても、本庁があってそれから現場組織ができてきたというような組織ではございませんで、現場の営林署、大営林署とかいろいろ名前は変わっておりますけれども、現場管理機構としての営林署、これは農林省の支分部局として位置づけられていたわけでございますが、そういう営林署において現場の仕事をすると、それを統括するものとして営林局があるという、そういう形に組まれていたわけでございます。  私ども、やはり営林署あるいはその上部団体でございます営林局というのは、国有林の現場管理にふさわしいような組織として考えておるわけでございまして、その場合、再度申し上げますけれども、かつてのこの種の組織が事業に大変何と申しますか、事業というものの中で特に現場作業部分というものを当時はいわゆる直用という形式を余りとっておりませんものでしたから、そういうものに対する管理というものに比較的手をかけないでもいい組織であったわけでございますが、戦後におきます国有林経営の中で相当大きな直営の組織を中に入れてきますと同時に、そういうものの管理組織として管理部門も相当大きくなってきた。さらには、いろんな形での財産管理的業務とか、いま御指摘がありましたようなそういうこともふえてまいりまして、かつてよく例に引かれました、比較的小規模な営林署で緻密な管理をするというようなたとえば西ドイツの方式に比べまして、比較的大規模な組織の営林署の組織にだんだん変わってきたわけでございます。  しかし、私どもやはり今後の経営改善を考えていきます場合に、現場組織というもの、事業を実行いたします組織としては、営林署というものを中心に考えていかなきゃならないわけでございますけれども、その中でいわゆる公務員でありますところの現場の人々を管理するということにどちらかというと主眼を置いたような事業分野、まあ私どもはこれを間接管理部門と言っているわけでございますが、そういう部門は極力合理化を進めていっていいのではないか。たとえば、給与計算とかいろいろな形でも相当の多くの実は労力を費しているわけでございますが、この種のものに対しては相当な合理化をし得るところではないか。そういうようなところで極力荷を軽くいたしまして、先ほど御指摘のあったようなよい山をつくっていきますためにいろいろとしなければいけないような仕事のところに人が振り向けられるようにする、そういうようなことを基本に考えまして、この四十七年の答申のとき以来経営組織のあり方を考えたわけでございます。  ただ、この種の組織の改廃という問題につきましては、やはり地元でいろいろと御心配の向きもございますので、その辺の地域の実情も十分勘案しながら、私どもとすれば決して重荷にならないような形での現場組織というものを整備していきたいということを基本にして、今後ともやっていくつもりでございます。
  227. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 結局、この国有林野の持つ使命を達成するためにはどういう管理機構また現場機構が必要なんだというところに力点を置いて、やはり関係者の皆さんとも十分話し合いをしながら、できるところからだんだん改善していくということでやる以外になかろうかと思います。単に赤字だから統廃合するとか、あるいは行政管理観点から機構をいじくるというだけではこれは本末転倒でして、国有林使命は達成できないと思います。  そういう点をひとつ十分に配慮されながら、難事業だと思いますが、これから取り組んでいただきたいということを最後に申し述べまして、時間が来ましたので、私の質問を終わりたいと思います。
  228. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 国有林野事業改善特別措置法案について、同僚委員から前半基本的な問題についていろいろお話がございましたので、私は時間はわずかでございますが、一、二点この法案に関連することとしてお聞きをしておきたいと思うのであります。  先ほど相沢委員からもお話しございましたように、今回の国会では林野関係の法案が非常に多うございまして、私も前に森林法のことにつきまして、公益的な機能という問題や山村振興、こういうこと等につきまして、与えられた時間ですから意も尽くせない面もございましたが、いささかいろいろ御提言を申し上げて今日まで来たわけでありますが、そういうことを一々繰り返していますと時間もございませんから、それらのことを踏まえまして、きょうは国有林野の問題ということでございますので、この法案に即した面でお伺いをしたいと思います。  最初に、いまさら国有林重要性ということを述べ立てるまでもないだろうと思うのでありますが、現在の実態ということで二、三お聞きしたいのでありますけれども国有林の造林ですね、現在ここ数年どういうふうに推移しておるかということと、それからさらにそれにつけ加えまして、改植率はどういうふうに推移しておるか、これの最近の様子をちょっと御説明いただきたいと思うんです。
  229. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) 私ども国有林の持ちます使命を達成するためには、やはりそれに見合ったりっぱな森林施業を行いまして、   〔理事山内一郎君退席、委員長着席〕 森林の持っております公益的機能と経済性機能を総合的かつ高度に発揮できるようなそういう考え方を重点にいたしまして、造林事業を進めてまいっておるところでございます。この造林事業の進め方といたしましては、このもとになりますものが経営基本計画でございまして、この経営基本計画に基づきまして各地域の施業計画というものをつくりまして、その計画に基づきまして森林施業を適正に実施してまいっておるところでございます。  で、昭和五十二年四月一日現在で、人工林の面積は二百三万ヘクタールに現在なっております。この皆伐いたしまして跡地を新植するに当たりましては、もちろんりっぱな造林地をつくるということでありますが、と同時に、特に気象状態その他厳しい林地も多数ございますので、そういうところにつきましては、天然性の優良な広葉樹というものを生かしながら抵抗力の強い林分に仕立てるように、かつまた、林分の生産力が上がりますような形にいろいろの造林事業を実施しておるところであります。  それから、伐採に当たりましても、特に四十八年度以降新しい施業方法というのを取り入れまして伐採個所の面積も狭くいたしましたし、あるいは分散するというふうなことも考えておりまして、成林に十分注意を払うと同時に、森林自体の生態系というものを配慮しながら実行してまいっております。  そこで、必要に応じましては尾根節その他のところに保護樹帯というものを設けまして、幼稚樹が育つにいい場をつくるために、周辺にそういう保護をする樹帯を設けるということをいたして努力しているわけでありますが、全国七百五十万ヘクタールの国有林がございますので、そういう努力はしますが、やはり植栽後におきまして気象害とか、あるいは動物の害とか、雑草等の影響等もございまして、若干の先ほど御説明申し上げましたとおり生育の不十分な造林地が一万五千ヘクタール、それから早急に手入れをしなければならぬ林地が三万ヘクタール等ございますが、これらにつきましては、原因を究明いたしながら鋭意その成林に努力してまいりたい、かように考えておるところであります。  そこで、事業量の推移でございますが、先ほど申し上げましたとおり、四十八年以降新しい施業方法を導入いたしまして亜高山地帯、北海道で申しますと海抜六百メートル以上でありますし、それから本州等におきまして千メートル以上でありますが、そういう亜高山地帯等はもちろんこれは択伐更新方式を取り入れておりますし、それから皆伐面積も分散縮小するというような形をとっておる関係もございまして、新植、保育の事業量は、新柄の量は若干落ちてまいっております。  最近の事情を申し上げますと、昭和五十年には五万四千ヘクタール、それから五十一年には四万五千ヘクタールでございます。それから、保育の方は、これは造林地が多うございますのでずっと横ばいでございまして、下刈りにつきまして五十年は四十一万一千、それから五十一年が三十九万八千、それからつる切りは五十年が五万三千、五十一年が五万一千、それから除伐は五十年が九万八千、五十一年が九万五千というふうな実績でございます。  それから、改植でございますが、昭和三十年から五十一年までに二十二年間でございますが、この間におきまして新植いたしました総面積は百四十六万八千ヘクタールでございますが、この期間におきまして、ただいま申し上げましたようないろいろな事由で、もう一度改めて植え直しまして成林を期したいということで実行いたしましたのが、九万二千ヘクタールございます。  以上でございます。
  230. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 山づくりの基本はやっぱり造林にあるということで、造林の重要性ということで今日までどれだけ力を入れてきたか、そういうことでお伺いしたわけでありますが、ずっと推移を見ましても、前置きや、またこういうことをした、ああいうことをしたということはいっぱい並んでおりますけれども、実際的に進みぐあいは、林野会計自体大変だということもありますけれども、十分に進んでいるとは決して言えないだろうと思います。この法案が通りますと、今度は十年間にわたりまして改善計画を立てて進めるということになるわけでしょうけれども国有林全体について造林というものについての進め方、これは改善計画の中で今度は保安林等についての造林については、国でも一般会計からめんどうを見ましょうという、林道についても見ましょうというわけでありますから、これは国有林野事業会計そのものの改善ということかもしれませんけれども、そのためには、やっぱり造林だって少なくていいということじゃ決してないでしょうから、当然改善計画との関係が出てくるだろうと思うんですけれども、この辺はどうなりますか。
  231. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) 御審議いただいています法案の中に、特に五十三年度におきましては、造林の中で重要な保安林の新植経費等につきましては、これは一般会計から導入をしていただきまして、りっぱな森林をつくってまいりたいと、かように考えておるところでございます。今後も経営改善の進展を見ながら、毎年度の予算編成におきまして必要な予算を検討していただきまして、造林事業に積極的に投入してまいりたいと、かように考えておるところでございます。
  232. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 いま、今度のこの法案が通りますと、国有林全体としての造林計画についても前向きといいますか、積極的にといういまお話がありましたね。特に今度、一般会計では保安林に対しての造林の経費、こういうものも見ようというわけですから、保安林については特にまた力を入れた計画というか、そういうものが進められるだろうと、こういうふうに私どもは思うんですけれども、そういうふうに考えてよろしいですか。
  233. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) 保安林は、特に森林の持っております公益的機能の側面を重視した森林でございますので、やはりそれなりに十分りっぱな森林をつくっていかなきゃならぬというふうに考えております。  そこで、五十一年度には約一万七万ヘクタールの造林を行ったわけでありますが、私ども今後も保安林の内容につきましては十分整備してまいりたいと、かように考えておるところでございます。
  234. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 まあ長々申し上げるまでもなく、この保安林の重要性というのは、先ほど来も午前中からずっと引き続き質疑の中にもございましたように、その重要性にかんがみて、当然これはこの計画の中で進めていかなければならないだろうと思います。さっきのいろんな説明の中にもございましたけれども、造林はしますけれども、やっぱり途中で育たないものが相当ある。これは地質とか土地条件、気象条件とかいろんなことがあるんだろうと思いますけれども、営林署としましては、この造林に対しまして枯損被害というのは一体どのぐらいに見ているのか。これは全国を調べてということになるとなかなかむずかしいことなんでしょうけれども、そういうものはある程度はじき出して、林野庁としてもこの造林に対しての枯損被害、枯損率といいますか、見ているんだと思うんですけれども、どうでしょう。
  235. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) 造林事業におきましては、いろいろな被害等が、やはり天然に依存している面がございますので出てまいりますが、普通、造林事業におきましては、新植した翌年には大体一割程度補植するというのが、一応何といいますか、造林の方針書に決められておりまして、そういう補強をしながら進めてまいりたいと思っております。しかしながら、さらに推移してまいりまして、将来成林するためには改植しなきゃならぬという面におきましては、先ほど触れましたように、改稿という方法でこれに対応し、かつまた有用天然林と混交させましてこの森林をつくっていった方がよりベターだという判断に立ちました場合にはそういう方法をとると、やはり現地、実態に即しまして、いろいろのやはり森林造成の手段を考えているところでございます。
  236. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 本年度の予算の中では保安林の造林については大体十九億ですか、十八億八千九百万、幹線林道開設については二十一億三千二百万ということですが、まあいずれにしましても、やっぱりいろんなそういう外的条件が、環境条件がいろいろあるんでしょうから、そういうものを十分に配慮して、有効な造林ですね、これが進められなきゃならぬだろうと、こう思うわけです。  そこで、具体的なあれについてちょっと申し上げますけれども、札幌営林局の石狩町にあります防風保安林ですね。これはうちのすぐそばだからよく知っているんですけれども、四十八年から五十一年にかけて、ずっと七万本ですか植栽をなさったようですけれども、これは非常に枯損被害が多いですね。これはちょっとどういう現状になっているか、それでまた、その被害を受けた原因というのは一体どういうふうに当局では見ているのか、そこら辺ちょっと御説明ください。
  237. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) ただいま御指摘の札幌営林署管内の防風保安林でございますが、これは大正年間からずっと計画的に造林をしてまいっておりまして、現在五百三ヘクタールにつきましては、保安林の造成が完了しているわけでありますが、全体では五百四十八ヘクタールでございますが、最後に残りました部分が、これが先生もいつもごらんいただいているわけでございますが、いわゆる未成熟な泥炭地帯でございまして、非常に地下水が高いところでございますし、さらに寒風を受けるというようなことでございまして、この森林造成が非常にむずかしい部分でございます。この部分につきましては、排水溝を設けましてその地下水の水位を下げるとか、それから植える樹種につきましても、ヤチダモだとかドロノキだとかシラカバとかハルニレとかいろいろの木を考えながら、過去からのいろいろな実績を踏まえながらやっておるわけでありますが、一番むずかしい最後の段階の地域にきたためになかなか困難な面がございます。  それで、昭和四十八年以降でございますが、四年間に十九ヘクタール植えたわけでございますが、そのうち一九%、これは本数で全体では七万本でございますが、一万三千本ほど植えかえまして、さらにまた、これにつきましては補植しまして、排水等の措置を講じながら実行をしているわけでございますが、この地帯につきましては、従来のやってまいりましたところに比べますと、まあ非常に未成熟な泥炭地であって、しかも地下水が非常に高いというふうなことで、森林造成するには非常にむずかしい面がございます。しかしながら、これはもう防風保安林でございまして、やはり地域周辺の農地の保全のためには、かつまた生活環境のためには非常に重要な保安林でございますので、さらにまたいろいろの技術を駆使いたしまして、何とか成林に持ち込みたいということで現在努力している最中でございます。
  238. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 まあ資料はそっちからいただきましたからあれですけれども、これは地元へ行きましても全体でやっぱり六割は被害を受けておるという。何もここだけのことで、私はこの国有林全部を評価しようとかなんとかということでは決してないんですけれどもね、これはたまたまこういう身近なところにあったということで気がついたわけなんですけれども、大正時代からずっと植えてきて最後に悪いところが残ったんで、土質の悪い泥炭地でうまくいかなかったんですよという、そういう話のようですけれども、しかし、大正時代から見ると今日では技術はずっと向上しているわけですからね。いい面のことを言わないで、泥炭地で悪いところで、悪いところが残ったからという、そういう悪いところだけ並べたってだめなんで、これは確かに防風林とか、それからグリーンベルトとかいろんな役割りがあって、地元の住民の方々も非常に関心を持って見ていらっしゃるわけですけれども、まあもともとこれは排水が悪いとか風が強いとか土壌が悪いということはもうわかり切っていることです。  ここからそう遠くないところで道でやっているところで、やっぱり樹木品種とか、それからやっぱりこういうものは植物全体との相関関係みたいなものがあって、いきなり木を植えたってだめなんで、いろんな手だてがあるんでしょう。まあ道の方でやっているのは、これはすぐそばではないかもしれませんけれども、やっぱりそういういろんなことを考えながらやって、ある程度枯損率というのは非常に低く押さえている。国のやったのは非常に六割を超すようなこういう状況で、作業自体本当にそういう悪い条件の中でやるんですから、それ相応に総合的な研究といいますか、検討した上でやったのかどうかという非常に疑問を持っているんですよ。あなた方は植えたものがどうなったという結果だけで論ずるかもしれませんけれども、植えるまでにはそういう悪い条件に植えるんですから、悪い条件であればあるほど、その中で生き抜くためには樹種の選定から土壌のことにつきましても、また木のことだけじゃなくて、木がほかの植物とのいろんな相関関係もあるでしょう。そういうこと等も考え合わせた上でこれはなさるべきであって、まあずっとやってきたんだけれども、最後悪いところが残りまして、悪いところだからしようがないんだなんというのは、それは説明にならないんじゃないですか。  そういう国有林全体について、非常に厳しい環境の中にある。それであればあるほど、やっぱりこういう造林ということにつきましても効率的な進め方をしなけりゃいかぬし、またそれだけのスタッフやまた研究、機械やいろんなものがそろっているはずなんですけれども、そういうことから見ますと、泥炭地でございますとか、寒風がどうだとか、地下水がどうだとかという、そういうことだけで、こういう大きな被害を受けたということの説明にはならぬだろうと私は思うんですよ。これは普通の民間企業とか、国でないところだったらこれは大変なことですね、実際は。そういう点で、こういう造林に対しての植栽事業そのものについても、もう少し真剣に取り組んでいただきませんと、貴重な国費を投じてやるんですからいけないんじゃないかと思うんですよ。このことだけで私はおしなべて全部批判したりなんかはするわけじゃ決してないんですけれども、そこらあたり十分に検討して、今後この枯損率の状況の中から何とかひとつ改善をして、今後こういうことのないようにしていこうということでどうですか、検討したりなんかしたんですか。
  239. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) 私ども造林の重要性につきましては、先生指摘のとおりきわめて重要でございますので、強くいまの点につきましては、自分としても反省いたしまして対処してまいりたいと思います。  なお、この地域の保安につきましては、さらにいろいろ新しい技術等も導入して今後やっていくべく、試験場の応援等も得ながら現在検討しておりますので、何といたしましても、当初計画どおりにこれが成林になり得るように、今後努力してまいりたいと考えております。
  240. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 こういう国有林野の皆さん方の担当の分野だけがあるところに定まっているんじゃなくて、道の公有林もございますし、また町有林もありますし、それぞれの民間の方々がなさっているというそういうものもあって、比較相対してやっぱり国のやっていることはどうも真剣に取り組んでいるとは言えないというこういう批判が、いろんなところで見て、そういうことが非常に多いんじゃないでしょうか。それであったんでは、一般会計から今度は繰り入れてやろうということですから、いままではいままでといたしましても、これからはそういう批判を浴びないように、やっぱり十分な検討の上に立ってなさなきゃならぬ。これは地下水が出るとか、出たといったって、そんなことはわかっているはずですから、それでどうかということを十分検討して、六割も枯損率があるというんだったらこれは大変な見込み違いであって、こんなことをいままでやっていたのかということになると、これはちょっと問題だと思うんですよ。  土質の悪いことも、私どもいま十分わかっていますけれども、これだけ技術の発達したいろんな研究の進んだ中での今日でありますから、大正時代と違うわけですから、この点ひとつ十分に調査といいますか、現状をひとつ認識した上で、これは一つの事柄でございますけれども、今後の国有林会計の全体の運用のあり方について、午前中から厳しいいろんな討議があったんですけれども、これらのものを踏まえて、もう少しひとつ引き締めてやってもらいたいと思うのです。  これは林野庁長官とか大臣いたら厳しく言いたいところだけれども、皆さんに言ってもしょうがないが、ひとつ政務次官、今後一般会計からもひとつめんどう見ようということで、公益債とかいろんなことの上からやろうというわけですから、ぜひひとつしっかりした心構えで今後の運用については進めてもらいたいと思う。具体的なことについては、先ほど同僚委員からもいろいろありましたから、まずその心構えをひとつしっかり披瀝してもらいたいと思うのですけれども、どうでしょう。
  241. 初村滝一郎

    政府委員(初村滝一郎君) いま午前中からもいろいろお話があって、特にただいまの問題を聞いておりますと、六〇%が枯れてしまっちゃってもう何にもならない。それで私は考えるのに、なぜ植えてから時期的に点検をしなかったのかと、素人ながら考えるわけです。できたことは仕方がないといたしましても、今後こういうことのないよう、二度と繰り返さないように、新しく生れた技術等を提供して、それが完全に所期の目的を達成するように、私どもとしてもそれぞれの部局に強く要請をしていきたいと思います。
  242. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 ここに写真もあって、何がどうなっているということを詳しくお話しすればいろいろとあるのですけれども、時間もありませんから、政務次官力強く今後やるということだから、しっかり頼みます。  で、これは一般論として、寒冷地の植栽というのは非常にむずかしのじゃないかと思います。積雪寒冷——寒いということと、それから雪があるということ、それから土質のことから何からいろんな条件が伴うわけで、その中で寒さという、土壌の酸性度が強いとか、そういうことももちろんございましょうが、私ども各地を回りまして国道筋、それから街路樹やいろんなものを見まして、案外枯れているというのが多いのが目につくわけですけれども、そういうことからいろんな方々とお話し合いしますと、苗木というものにやっぱり問題があるんじゃないかということを痛感するんですね。一つは多肥型、そしてまた温暖型といいますか、そういうところで苗木をつくって、これは品種は確かに寒冷地のものかもしれません。しかし、それを育てるとき、苗木が暖かいところで肥料をたくさんやって、そういう条件で育てた苗木を厳しい環境条件のところへ持っていって、果たしてそれが厳しい環境条件の中で育つかという。  ですから、樹種だけで、木の種類だけで、また外見ですね、どのぐらいに大きく成長したからいいだろうというような、こういうことだけでは見られないんではないか。やっぱり苗木のときから厳しい状況の中で育てて三年、四年経過をした、そういうものが植えられる、これだと、そういう中で育ってきているわけですからきちっと育つだろうと思うのですが、暖かいところで本当は五年かかるものを二年か三年で成長さした、そういう苗木を寒い厳しい状況の中へ持っていって植えるということだと、これはなかなか育たないのではないか。育たないというよりも、やっぱりいろんな枯れる原因になるんじゃないか。最近はもういろんな技術が発達いたしまして、こういうことについても非常に進んでいるわけですけれども、それだけに、この苗木の状態、そしてまた、その苗木に対してどういうふうに見るかということが、これまた一つの問題だろうと思います。ですから、こういう外見的なものではなくして、その苗木が本当に厳しい自然環境の中で育ちいくかどうか、そういう活力があるかどうか、生命力があるかどうかというもので見ませんと、どういう木の種類でどれだけの大きさになったからこれでいいんだということにはならないんじゃないかと思うのです。  こういうことで、もちろんそういうことだけじゃなくて、土壌のことからいろんな問題あるでしょう。まあしかし、もっと根本的な問題についてメスを入れてこれをやらないと、二度手間、三度手間、こういうことでせっかく造林しながらそれが生かされないということになるんじゃないか。私ども山奥へ入って一々一本一本見て歩いたわけじゃ決してないんですけれども、車で、列車で見る国道筋に植えているものとか、また私の目に入るものの中から物によってはやっぱり枯れているものが多い。そういうものも非常に目につく。みんながみんなでは決してないんですけれども。そういうことで最近、これは種苗法や何かとまた関係するのかもしれませんけれども、苗木のときの状況というものについては、農林省でもそういうことは十分に勘案してやっているんだろうと思いますけれど、そういう積雪寒冷というところに対しての配慮というのはどういうふうに考えていらっしゃるのか。その辺、ちょっとお聞きしたいと思うんですけれど、どうですか。
  243. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) 先生指摘のとおり、やはりその地域の条件に合った、たとえば同じ杉でも合った系統のものを植えなきゃならぬというのは、もうこれは基本だと思います。  杉で例を申し上げますと、雪の多い多雪地方の杉と、それからまた表日本系の杉と、あるいは九州の杉と、それぞれ先生おっしゃいましたように特徴がございます。それで、これらにつきましては、林業種苗法におきまして苗木の配布区域というのが決まっておりますが、これは造林対象地の自然条件とか造林樹種の特性ということを踏まえまして決めていますが、さらにその中で、国有林におきましては、需給圏と申しまして、その配布区域の中でさらにまた苗木を流通させる範囲というのを決めております。その場合には、いま御指摘のございました、その樹種の中でも雪に強いとか、あるいは成長が早いとか、いろいろなその特性を踏まえて現地の立地条件に合うようなものを選び、かつまた、その中で健全な苗木ということを前提にしてこの区域を決めているわけでございます。  で、具体的にこの苗木需給圏というのを設定するに当たりましては、いま申しましたように、この植物生育学的な観点に立ちまして、その造林地の気象状況とか、それから立地条件に合う苗木の区域というのはどの辺であるかというようなことやら、それから事業実行上の需給調整の範囲というものを考えながら、しかも、民間におきましてもこの造林地の自然条件に合った段階でやっぱり流通しているという面がございますので、そういうふうなものを考えながら需給圏を決めまして、その中で適当とする物を選んで植栽しているということでございます。
  244. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 時間がありませんからこれで終わりますけれども、一応そういうことにはなっておるんですが、やはり成長の早いといいますか、そういう安易な方向にどうしてもいく。それからまた厳密に言うと、国でやる場合にはそうかもしれませんけれども、どっちかというと温暖な方のやつが、北海道ということになるとまた別かもしれませんけれども、たとえば関東で育ったものが東北近辺——余り北の方まではいかないかもしれませんけども、そういうことで、やっぱりその土地に適したものであるかどうかということになると、考えさせられるようなものも私ども二、三聞いておるわけですけれども、いずれにしましても、そういう土地に適したものを十分勘案してお進めになると。  これは、国有林については、国の事業としてはもちろんのことでありますけれども、また何も林野庁だけじゃなくて、道路公団とかそういうところでも苗木や何か使うわけですから、そういうところについても、当然緑化推進という観点から言いますと、新しい品種なり、その土地に適したものということでいろんな品種の改良やまた研究というものが進められているようでありますけれども、また積雪寒冷のところでも常緑広葉樹のようなものも育つんだということも、農林省なんかでいろいろ研究なさっているようだし、民間でもいろんな話を私ども聞いておりますけれども、チョウセンヒメツゲなんか非常に寒いところでも強いんだなんという話も聞いておりますけれども、いずれにしましても、そういうことを十分勘案した、植えたものの枯損率が余りにも高いなんというこういうことのないような今後の造林計画そしてまたその推進、こういうことによって国有林事業会計というものが少しでも改善されるような最大の努力を進めるべきだと、私はこのことを一つだけ強く強調して、私の質問を終わりたいと思うんですけども、政務次官、最後に一言だけどうぞ。
  245. 初村滝一郎

    政府委員(初村滝一郎君) いま先生の強い要望等もこれあり、できるだけ期待に沿うように、心を引き締めて国有林野事業の発展に寄与したいと思います。
  246. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 午後五時三十分に再開することとし、休憩いたします。    午後四時五十七分休憩      —————・—————    午後五時三十六分開会
  247. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、国有林野事業改善特別措置法案議題とし質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  248. 丸谷金保

    丸谷金保君 先ほどの質疑の中で、種苗の配布区域というのは別に定めているというふうなお話がございましたが、主として北海道の寒冷地の問題を取り上げて御質問なさっておったと思うんですけれども、それに対してそういういま御答弁が部長の方からございました。それで、急いでいま法案を見たんですが、配布区域を決めている中には、先ほどの質問したような寒冷地とか、そういうふうなところの樹種が入っていないようなんですが、これはどうなんですか、ちょっと気になるので伺いたい。
  249. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) ちょっと調べてすぐ御報告いたします。
  250. 丸谷金保

    丸谷金保君 いや、調べなくてもここに農林大臣の指定する種苗の配布区域を定める件というのがあるんです。これは、杉とヒノキとアカマツとクロマツなんですよ。しかし、藤原委員質問の要旨を聞いておりますと、特に寒冷地の問題が盛んに出ておったと思ったんですが、そうすると、いや、そういう種苗の配布区域もあるんでと部長御答弁なさったのは、ちょっとおかしいのじゃないかと思うんです。
  251. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) わかりました。お答えします。  先ほどお話の中で私が申し上げましたのは、杉につきましては、豪雪地帯——雪の話が出たものですから、豪雪地帯の杉ですね、これは裏日本系の杉と表日本系の杉、それから九州の杉と、それぞれ性格が違うということで、寒冷地の杉を例にして申し上げた次第でございます。
  252. 丸谷金保

    丸谷金保君 それは答弁の方ではそういうふうに言っていましたけれども、藤原委員の方は、むしろそういうものよりも、もっと北海道の非常に厳しい自然条件の中で、現地でやはりつくらなければならない苗木というふうなものがあるんじゃないかということが中心の問題だったと思ったが、何かそこのところですりかえられたような、いずれこれは会議録を見て、ちょっといま法律調べて見たらそういうのが入ってないんで、ちょっと気になりましたのですが、入っていませんですね、エゾマツとかトドマツとか。
  253. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) エゾマツ、トドマツは北海道だけしかございません。それから、クロマツにつきましては第一区は北海道一円、青森、秋田、山形、福島、新潟というふうに決めていますので、エゾマツ、トドマツは北海道だけでございますので、決めておりません。
  254. 丸谷金保

    丸谷金保君 午前中に御質問申し上げました国有林の赤字の原因をつくっている大きな要素の、非常に物を高く買い過ぎているんじゃないかということについて、御調査できましたならば御答弁をお願いいたします。
  255. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) 最初に、直方営林署の中河内林道の件につきまして申し上げます。  御指摘の中河内林道は、昭和四十八年に御指摘のとおり千百六十七メートル設計いたしまして、四十九年度に工事を予定していた次第でございます。実は、この地域は北九州の国定公園、それから鳥獣保護区の特別保護地区、それから水源涵養保安林並びに北九州の自然休養林等、いろいろ制度上の施業制限を受けている地区でございまして、自然保護の要請の強い地域でございます。で、制度的にはこの段階でそれぞれすべて手続は終わっておったわけでございますが、やはりこういう地域でございますので、設計終了後におきまして、再度これを地域の住民の皆さん方に一層の御理解と御協力をいただこうと、また地方の公共団体に必要な同意を得るべく協議をいたしたところでございますが、その段階でルート変更をしてほしい旨が出されてまいりました。  そこで、その後これらの関係団体と環境保全上の切り取り、あるいは土捨て場の関係の問題、それから国定公園内の遊歩道との関係、それから国道、県道とのどういうふうに交差するかという関係、それから私有地の中をどういうふうに通過するかと、通過できる可能性というような点から、いろいろと他のルゴトの選択につきまして検討を行ったわけでありますが、最終的には当初のルートについて、特に林道とこの国定公園内の遊歩道との交差をやめてほしいという話がございまして、そういうことで一応話し合いがつきましたものですから、四十九年、たまたまこの年に森林法の一部改正がございまして、林地の開発行為の規制が出てまいったものですから、その趣旨も踏まえまして必要な設計変更をいたし、五十一年度に設計変更を行いまして、五十二年度に着工した経緯がございます。
  256. 丸谷金保

    丸谷金保君 いまそういうお話なんですが、実は国土利用計画との絡みですと、国土利用計画法というのは四十九年に策定されたんで、まあ予測できなかったということで設計変更その他ということはわかるんです。それから工事がやれなくなったと。しかし、そうでなくて、いまのお話の問題というのは、すでに設計する段階において調整をつけておかなければならないようなものばっかりじゃないんですか。後になって出きたというものは、いまの御答弁を聞いていても、ないでしょう。開発との問題にしても、国土庁の方のお話によりますと、まだ福岡県はそういう国土利用計画のそういう計画案ができていないから、それとのぶつかり合いということはあり得ないと言っているんです。いいですか。だから、そのことはないんですからね。  そうすると、ほかの問題はもうすでに全部先にわかっていることです。にもかかわらず、とにかく設計の方だけぼんぼんぼんぼんと出してやれと、設計だけやらして、これもこの一カ所だけでないらしいんですね、たくさんあるようです。そうして林業土木コンサルタンツという、林野庁の人たちが退職していったり、あるいは途中から行ったりしてつくったそういうところに、ぼんぼんぽんと、とにかく工事できるかできないかわからぬけれども、設計だけやらして設計料払ったと、こういうのがどうも実態のように思うんです。  たとえば、遊歩道との問題もいま出てきていますけれど、遊歩道というのはあれは県道ですね、県が工事しているようです、あの公園内の遊歩道。それからきのう行ってみますと、その林道のところへさくがしてあって、林道の方へ入れないようになっているというふうな話です。林道の方はだれでもが入っていけるようにはなっていないと、こういうような話をちょっと聞いたんですが、そうすれば遊歩道とクロスするということもないんじゃないですか、そういう方法をとれば、そのときから。どうもちょっといまの御答弁で納得いかないので、もう一度ひとつ。
  257. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) 当初この設計する段階におきましては、先ほど御説明申し上げましたとおり、各種の法律によりますところの制限がございますので、そういうふうな制度的な措置はそれぞれこの段階で解決を見たわけでありますが、さらに具体的にこの設計書ができた段階で、もう一度関係地方公共団体に必要な同意の意見書をいただくという手続がございます。その段階において出てまいったというふうに伺ってまいりました。
  258. 丸谷金保

    丸谷金保君 大体、そういうものは、設計屋さんに委託してこうやれという前に、地方公共団体との詰めというのは普通行われるんですよね。大体こういうことでどうだと、よかろうと。それは全くその前にはそれじゃ相談していなかったんでしょうか、どうなんでしょう。
  259. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) 国定公園関係につきましては、昭和四十八年五月九日、福岡県知事協議済みでございますし、それから特別鳥獣保護地区につきましては、四十八年九月二十八日環境庁長官協議済みでございまして、この国定公園段階では福岡県ともこの段階で協議は一応終わっておりますので、県におきましては、当初のいわゆる正確な設計図の前の段階で一応了承をいただいておったというふうに聞いております。
  260. 丸谷金保

    丸谷金保君 ということは、先ほどの答弁を訂正しますということですか、いまのおっしゃっていることは。
  261. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) 私最初に、所定の手続を得まして、このいろいろ法律上の制限につきましては了承を得たというふうに申し上げたつもりでございます、一番最初に。
  262. 丸谷金保

    丸谷金保君 あの設計後に、いろいろそういうところとの詰めをしなければならなくなったのでというふうにおっしゃったんですよ、最初。
  263. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) 第一回目の答弁のときに、まず法令に基づく制限については所定の手続を得たというふうに申し上げまして、引き続いて、さらに今度設計終了後におきまして一層の理解と協力を求めると同時に、この関係地方公共団体から必要な意見書をいただくということで出した段階で、このルートの変更の申し出があったというふうに申し上げたつもりでございます。
  264. 丸谷金保

    丸谷金保君 こういう事例、熊本の営林局の中でどのくらいあるんですか。たとえば四十七、四十八年に、設計はしたけれども工事をやらなかったというのは、そして後からもう一回設計をやり直したというのは。
  265. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) 熊本営林局におきまして、昭和四十七年から四十九年度にかけまして設計を外注いたしました路線は、百四十四路線ございます。うち、設計後におきまして自然保護問題の発生、民有地の通過の難航のために開設工事を見送らざるを得なかった林道は五路線、六千五百メーターと聞いております。
  266. 丸谷金保

    丸谷金保君 それは、そうすると、もう一度設計をし直して、ほとんど工事をやっているわけですね。そのときにはあれですか、どこに委託しているんですか。局内でやっているんですか、どうなんですか。
  267. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) ただいま申し上げました五路線につきましては、ただいま申し上げましたような自然保護問題の発生、それから民有地通過問題の難航のために、開設工事を見送らざるを得なかった林道でございますので、再設計は委託しておりません。中止をいたした林道でございます。
  268. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうすると、それは設計料だけは払ったけれどやらなかったということでございますね。
  269. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) そうでございます。
  270. 丸谷金保

    丸谷金保君 金額にしてどれくらいでございますか。
  271. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) ただいま御説明申し上げました五路線につきましては、四百二十五万円でございます。
  272. 丸谷金保

    丸谷金保君 会計検査院おいでになっておりますか。——こういうむだ遣いについて、国有林野の赤字の原因というのが何か労働条件とかそういうふうな、あるいは効率が上がらないというふうなことに大きくウエートをかけた検査院の報告のように読ましていただいたんですが、こういうふうな問題についてはどうなんですか、こういうむだ遣いが林野庁の関係でほかにもあると思うんです、これは氷山の一角で。こういうのは会計検査院としては、こういうのもあるから赤字になるんだというような、ひとつ調査して、報告書を出していただくわけにいきませんか。
  273. 阿部一夫

    説明員(阿部一夫君) 一般論といたしましては、設計をやったのだけれども設計をやっただけで工事ができなかったとか、あるいは一たん設計をやったけれども後で設計変更をしなければならなくなったというような事態は、好ましくないということだと思いますが、ただ、当初設計をやるときに、大体工事ができるだろうという見通しのもとにやったのだけれども、いろいろな事情が起こって工事ができないとか、あるいは設計変更せざるを得なかったという場合と、当初の調査と申しますか、見通しがずさんと申しますか、甘かったためにそういうふうになったという場合と、大きく分けて二つに分かれるかと思うのでございますが、結果として、こういう姿になったものが全部悪いというふうには一概に申せないわけで、一つ一つにつきまして、一検査におきまして、その辺の事情を個別によく聞いてみる必要があると思います。先生おっしゃったような立場から、今後の検査はそういう点に目を向けてやってまいりたいと思います。
  274. 丸谷金保

    丸谷金保君 それじゃもう一つ、次の問題。
  275. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) 昭和五十一年度に熊本営林局で林野弘済会から百七十八台の軽自動車購入の件でございますが、御指摘の軽自動車の購入は、五十一年度に熊本営林局と林野弘済会の熊本支部の間で締結されました購入契約に従って行われたものでございますが、その購入価格につきましては、当時の市販の価格に比較いたしまして低く定められていると承知しております。特に問題はないと考えております。  なお、一般の軽自動車の購入の権限につきましては、営林局長に委任しております。その実行に当たりましては、買い入れ先の選定、価格の設定等につきまして、適切に行われるように指導しておるところでありますが、今後さらに適切な運用に努力してまいりたいと考えております。
  276. 丸谷金保

    丸谷金保君 通常、物品の購入の場合に、トンネルがあるほど値段は高くなるし、取り扱い手数料というのはふえるのが常識なんです。どうしてそういうものを弘済会を通して買わなければならないのか、ちょっと理解に苦しむ点もございますが、高くないというなら結構でございます。私たちの考えとしては、そういうところをわざわざなぜ通さなければならないのか、通せばきっと高くなるはずだと。高くないということでございますから、それはまた、さらに私の方でも詰めて調査をしてみたいと、かように考えております。  その点は一応それで終わりたいと思いますが、それからビニールのシートの関係、いかがでございますか。
  277. 秋山智英

    説明員(秋山智英君) ビニールシートの件につきましては、早速調査しておりますが、そのような事情があるようでございますが、具体的な事情につきまして、若干時間をいただきまして別途御報告申し上げたいと存じます。  いずれにいたしましても、非常に厳しい状況下でございますので、この国有林野の厳しい現状を踏まえまして、御指摘を受けるようなことのないように、今後厳しく注意してまいりたいと考えております。
  278. 丸谷金保

    丸谷金保君 まだ調査不十分だということでございますから、それはそれでやむを得ないかとも思うのですが、ただしかし、きょう実は私も昼に速達をもらったのです。それによりますと、たしか私のときに買ったと思いまして、それは実は池田の農協から、パンフレットないかと言ったら、あるというので送ってもらったのですが、大体規格品ですから皆やや似ているのですけれども、三・六の四・五、このクラスのもので三千四百三十グラム、三キロちょっとのものですが、千五百円、それから少し大きくなりまして、五・五と五・四になっても二千四百三十円、こういうような値段が入ってきているのです。ですから、これはちょっとけた違いか何かどうも不審に思いますので、一つは、札幌と中頓別でもって一万円も違うのはどういうわけかなと、こういうことが一つございますし、中頓別では四枚と三枚というふうに分けて別々に買っておると、こういうことも、わずかばかりのものを買うのに妙な話だなあと、いろいろどうも腑に落ちませんので、ひとつよく御調査をいただいて、八日の日に、川村先生の御質問の時間のときにでも御答弁いただければ、関連して再質問することをひとつ留保して、この問題は一応きょうはおいておきたいと、かように存じます。  それで、法案の方に戻りますが、赤字の原因というのは、ですからどうも論議の中で何か労働組合の直用とか、そういうことが非常に大きな原因だと、効率が上がらぬ原因だということが論議されておるようで、請負にすればもっとよくいくんだというふうなことが論議されているようでございますが、しかし私は、問題をそういうところに何かすりかえてしまっては、この改善特別措置法というものを本当に生かすことが、とんでもない方向に曲がっていってしまうんではないかということを非常に心配しておるんです。たとえばこの法案の四条では「資金事情の許す限り、特別の配慮をする」となっておりますね。この「特別の配慮」というのは一体どういうことなのか。大蔵おいでになっておると思うんですけれども、実は先般の衆議院の中で大蔵の主計官の方は、「特別の配慮」ということとはおよそ意味の違うように出ているんですね。これじゃなかなか「特別の配慮」ということにならないんじゃないかと思います。  宍倉主計官説明によりますと、これは新盛委員質問に対して、「財政投融資のお金を国有林特会に貸すということは、先生指摘のとおり、返す当てのないお金は貸さないというのが金融の原則でございます。」、それはそうでしょうね。「したがいまして、貸すというからには返してもらう担保といいますか、保証がなくては困るわけであります。今回この特別措置法案審議いただいておりますのも、その保証が必要だからであります。」、要するに、この法案を承認していただければ改善計画をつくって、返す当てのある、そういう担保があるということで大蔵省としても資金運用部のお金を貸す立場をとる、担保をとって返す当てが全くできてその上で貸すなら、これは別に「特別の配慮」でも何でもないんじゃないですか。普通の銀行が金を貸すのと同じ考えのような答弁なんで、この「特別の配慮」というのは一体どうなのかなと。この点について、ひとつ大蔵の方で一体「特別の配慮」を本当にしてくれるつもりがあるのかどうか、御答弁願いたいと思うんですが。
  279. 宍倉宗夫

    説明員宍倉宗夫君) いま先生お読みになりました速記録でございますが、保証といいますか、担保と申しましたけれども、実際問題としてこの国有林野事業特別会計の財産につきまして、抵当権をつけるとかなんとかいう通常の意味の担保の意味で申し上げているわけではございません。したがいまして、資金運用部がお金を貸すといたしましても、通常の意味での担保というのはないわけでございます。で、資金運用部の方といたしましても資金的にはいろいろな需要がたくさんございますし、原資も限られているわけでございますからしてなかなか大変だと。しかし、この法律ができまして、この法律に沿った改善計画を推進していく意味におきまして国有林の再建に御協力申し上げるには最大限の努力をいたしましょう、こういう意味合いが「特別の配慮」ということでございます。
  280. 丸谷金保

    丸谷金保君 民有林につきましては、いま金融制度としては二十年据え置き、十年元利均等償還、年三分五厘という融資の道がございますね。せめてやっぱりこの程度の配慮はする予定なんでしょうか。また、この点については大臣、その程度は何としてもさせようというお考えがあるのかどうか。大臣、無理ですか。
  281. 石川弘

    政府委員(石川弘君) 先生指摘民有林に対します資金は、御承知のように、農林漁業金融公庫からの造林融資等でございます。これは、農林漁業金融公庫につきましては財投資金を原資といたしますほか、かつては出資がございますし、現在は補給金がございまして、そういう補給金等によりまして薄められた資金で三分五厘の長期融資をいたしておるわけでございます。特別会計につきましては財投から直接借りるわけでございまして、これにつきましては、御承知のような最優遇金利の、現在で申しますと六・〇五%の金利で資金を受け入れているわけでございます。これは、資金運用部がこの種の政府機関に貸しております最優遇金利でございまして、これをこの特別会計に受け入れるということで、この四条にございます「資金事情の許す限り、特別の配慮」をもって受け入れるということでございます。  ただ、先生この点は御理解いただきたいのは、これは資金の貸し付けだけではございませんで、今回の法案によりまして、いわゆる造林につきまして補助に相当します一般会計の繰り入れを行う、林道につきましても所要のものについて繰り入れを行うということでございますから、この資金はあの造林の場合の三分五厘というのはまさしくいわゆる融資単独の事業でございます。で、国有林の場合には、この種の融資とそれから一般会計の繰り入れ等を組みまして原資とするというわけでございます。
  282. 丸谷金保

    丸谷金保君 実はそこで企業性の問題がまた出てくるんですが、私たちもこういう問題ではずいぶん研究しました。一体どっちが得なんだろうか、補助造林と融資造林と。補助造林だと四割、苗木代、その他下ごしらえいろんなことで五割くらいになります。それを借りて残りを町費を持ち出してやるのと、それから融資の場合だと全額融資になります。どっちが得だろうかと。二十年後から払い出すということになると、私たちは補助金をもらうよりも企業会計の原理からいうと融資造林の方が得だと、こういうふうな実は結論になったんです。  その理由は、いまの国家会計あるいはこれは特に企業会計特別会計の中でも単年度単年度で勝負していくというよりはむしろ長い年月で問題を見つめなければならない。特に、林業などは、そのうちで最たるものだと思います。そういう場合に、財政投資をしていっても、それが長期にわたれば決してそのことが将来の企業会計のマイナ久にならないというふうに考えたからなんです。で、それを実態の数字の中で御説明申し上げます。  昭和三十二年の、これは池田町の例でございますが、ヘクタール当たりの造林費が一万四千五百十八円、これは私が町長になった年でございます。十年たって四十二年には六万八千九百五十二円、五十二年には二十一万三千百六十八円、まさにこの間に造林費だけでも十倍以上になっているんです。そうすると、半分借りて半分自前でやるよりは、全額借りても二十年後に払うんならいま造林した方が得だというのが当時の考え方で、補助造林を融資造林に全部切りかえたんです。結果はやっぱりそれでよかったと思っています、こんなに上がってきたんですから。三十二年の一万四千五百十八円なんていうのは、二十年で三分五厘ですと倍にはならないんですから、これはもうずっと得ですよね。だれが考えたってわかるんですよ。同じように下刈りは、昭和三十二年にヘクタール当たり三千七百十二円、四十二年は一万五千五群二十円、それから五十二年には三万九千九百九十八円でやっております。これも十倍になっております。それから除伐、これは三十二年にはまだ除伐ないんです。ですから数字は出せません。四十二年には一万二千百円なんです、除伐の経費が。五十二年には四万二千円になっております。  そうしますと、国有林野事業特別会計というような息の長い会計の場合、いま言った四十億もの繰り出し金、これなら融資で特別の配慮してもらって、二十年据え置きの十年均等償還くらいのそういう民間ベースと同じような制度をつくれば、これから二十年あんまり木を切らないでつぎ込み投資でも、私はいまの日本の国家財政の中で山を守っていくことは不可能でないと思うんです。大臣、ひとつここのところよくお考えいただきたい。  私は、この二十年間山には植えっ放しです。切ってないんです。財政投資する方だけです。そしてどんどんそれの借金はふえました。しかし、それにしても物価の上昇、そういうふうなものから比べれば、早く造林して、手間もかけて、山に人夫賃から何からうんとかけてきれいにしておく方が最終的には得だというふうに、この数字は物語っているんです。こんなに上がってきているんですから。これからだって、どんなにインフレがおさまったって、ある程度の物価上昇というふうなものを考えた場合に、国有林野会計経理あるいは会計の資産の見方というふうなものも、四十八年から急激に外圧でもって木材の市況が下がったし、切る木も少なくなったから、だから赤字になったんだなどというふうな視点でなく、もっと長期の物差しの中で政策立案をしていく道はあるんじゃないか、こういうことを一点ぜひお考えいただきたいと思います。  問題を、何か労使関係のようなことにすりかえる以前の問題として、非常に本質的な、日本の経済が五年なり十年を節目にして必ず物価が上がっていっている、こういうことも、少なくとも企業として特別会計を考える場合には、そろばんの中に入れなきゃならないものなんです。私たちも入れてきたんです。ところが、ずっと国会の論議を聞いておりましたり、あるいは記録を読んで見ましても、そういう視点が全く忘れられているんじゃないか。会計検査院の方ではあのような報告を出す場合に、一体そういう二十年なり三十年なり後における、いま山にかけたものが将来返すときにどれだけ物価の上昇率の中で楽な金を返すことになるかというような計算をいたしましたか、ちょっとお聞きしたいと思うんです。
  283. 阿部一夫

    説明員(阿部一夫君) 先生おっしゃいましたような観点というのも、検査一つの重要な立場だと思うわけでございますが、将来の物価上昇率というようなものを考慮に入れて計算するということは非常にむずかしい作業でございますので、的確な計算ができるならばそういうこともやってみたいという気持ちはございますが、なかなかこの将来の予測というものを織り込んだ計算というのが、われわれとしては出しにくいというのが実情でございます。
  284. 丸谷金保

    丸谷金保君 そういうものが出しにくかったら、あんなにしきの御旗になるような形の国有林経営分析などを軽々と会計検査院はすべきでないんですよ。私はそう思うんです。当然二十年たったら、いまここに出てきているような数字になってくるんですよ。少なくとも企業会計というのは、特に林野事業、山というふうなものについては、そういう長期の見方が必要なんです。長期の見方の上での経営分析をしないで、そういうものは予測できないんだからというふうなことで、大変だ大変だということだけが先行しちゃったら、そのことこそ国土保全企業性と同時に公共性を要求される国有林使命がああいう報告によって大変なことになると、実は私はやっぱり国益を守っていかなきゃならないという立場で非常に心配するんです、そういう論議のすりかえが。このことは大蔵にもひとつ考えていただきたいと思います。単年度の赤字、十年や二十年金が入ってこないだっていいじゃないですか、かけていったものよりも物価は上がっていくんですから。  そうすれば、必ずそれは、山に精いっぱいお金をかけても長い物差しで見た場合に必ずプラスになって返ってくる。それはいつの時代かわかりません。三十年なり五十年なり先のことであっても、国の政策というのはそういう長い物差しで見なかったら大変なことになるんです。そういう点を今度の法律の中で十分勘案した上で、融資についての特別な配慮をひとつ大蔵としても考えていただきたいし、それから農林大臣にお願いしますが、一年や二年の木代金よりも経費の方がよけいかかるというふうなことを心配なさらないで、どんと山にひとつ金を持ってきてつぎ込むことを考えていただきたいと思います。それは小さな町ですが、私はやってきたのでそれを言うんですよ。そういうことがだめだということになると、われわれ何のためにやってきたかなと思う。  しかも、林野庁はそういうことを市町村には非常にやれということで、撫育でも何でも補助金もくれるし、いろんなことでもって奨励しているんですよ。奨励していることを、きょう午前中にも言ったようなぐあいに御自分の方ではおやりにならない、そんなに金かけられない、金がない、赤字だと。これはもう本末を転倒していると思うんです。幸いにその点で農林大臣は、たとえば直用の問題にしても山間地域における労働者というもの、これは単に請負なら何でもいいということにならないと、直用というふうなものを十分考えていかなきゃならないということで、大臣におなりになる前から見ると、非常に深い林野に対する、何といいますか理解が進んでおりますので、大変その点では私も答弁の記録を見ながら心強く思っておりますので、どうかひとつ大臣、そういう点、国民の共有の財産である山、そんな三年や五年、お金が足りなかろうがどうしようが、どんどんとお金をつぎ込むんだと、持ち前のファイトでがんばっていただきたいと思いますが、ひとつ大臣の御決意を伺いたい。
  285. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 補助金よりは融資のしっかりした民有林にやった方がいいという議論、これは確かに過去の高度経済成長のような場合には相当効果があることだろうと思うのです。しかし、今後それほどの高度経済成長が国際的に見てできるか。これは資源の問題から言っても、国際的経済の動きから見ても、もう安定成長に移らなければならないし、移る必然性があるということも一つ考えなければならないと存じます。  それから、民有林との関係において、もっともっと金を入れてみればいいではないかという趣旨のお話でございますが、民有林と比較する場合に、民有林はいずれにしても土地というものを、森林というものを買い求めたという、そこに大きな負担がある。あるいは買い求めなくて親からもらったにしても、そこに相続税というものの大きな負担の中に森林を所有した。それから、利益のあるときには相当の所得税も取られておるという、非常に厳しさがあります。国有林についてはそういったものは一切なく、かつての国有林、土地から森林から含めて経営をしたという民有林との間において大きな大きなハンディキャップがある。利益が上がったときにも、所得税として特に取り上げたというわけでもない。こういう民有林と比較するときには、国有林が非常に甘い条件にあるということも、十分考えなければならない大事なポイントだと私は思う。そこで、単純に民有林にこういう制度があるからこれをやれ、一般会計から入っているのだからこれをやれという議論は、そう直接的になじまないものであろうと私は思う。  それから、会計検査院に、労働組合が悪いからということが全部であるかのごとく言っていると言うけれども、私は労働組合が悪いんじゃなくて、直用というものも直営というものも請負というものもいろいろありますが、よりよきものでなければならぬということに原則を置かなきゃならぬと思うのです。物の購入についても、どこにでも間違いがあるがごとく、林野庁にも間違いがありますけれども、それがあるから労働組合が皆正しいのだということも直結に過ぎると。やはり正すべきは、購入の問題についても正すべきは正していかなければなりませんし、国が出すべきものも公正なものを出していかなければいけません。あらゆるものについて反省しなければなりませんが、直用、直営というものをこれはだめだと否定するのではなくして、よりよきものにしていくと、標準生産性から言って倍もかかっているようなことがあるというようなことがあれば、これは反省してもらわなければいかぬ。  こういうことで、民有林との比較においても、比較すべきは比較しなければならないし、また、国有林の持つメリットというものも謙虚に考えなければならない。あらゆるものを反省し合って、そして大事な大事な国土保全ということと国民に木材を供給するという、しかも環境を保全していかなきゃならない、あるいは数万の林野労働組合を中心にして働いておる人間がおることでございますから、かつての石炭のごとく、あるいは最近における国鉄のごとく、民営に移すような議論の出てこないようにお互いにここで反省して、将来に向かってしっかりした山づくりであり、しっかりした働く皆さんとともに生きていかれる職場というものを求めていく、こういうことに基本を置いてこの法案を出したところであり、今後も法案運営なり扱いなりについてはそういった姿勢で取り組んでいきたい。あれが悪いこれが悪いと言うのじゃなくて、悪いところはみんな反省し合う、こういうことでいきたいと存ずる次第でございます。
  286. 丸谷金保

    丸谷金保君 民有林の非常に御苦労なところもありますけれども、また一面では、民有林は里山が多いから国有林ほどに経費もかからないという面もありますし、それからまた、保安林等については圧倒的に国有林が多いと思う。これは双方にそれぞれあると思うんです。ですから、同じ制度にしなければならないということでなくて、山を守っていくという志の上で、余り目先の損得だけに拘泥したような森林行政をやらないようにお願いをしたいと、こういう意味で申し上げました。  申し上げたついでにもう一つ大臣にあれなんですが、過般の国会で、営林局の廃止その他については地元は賛成なんだということを言われましたね。もしくはそんなに反対してないと言ったのかもしれませんが、廃止というふうな問題につきまして。これは新聞の報道が誤っていれば別ですけれども、新聞の報道にはそういうふうに出ておりました。地元はやはり営林局や営林署の統廃合については少なくとも賛成ではないということを、これはやはり北海道の一員としてどうしても言っておかなきゃならない。第一、大臣の出身の広尾の町長と町議会から、私は、反対してくれという陳情書をもらっているんです。そのほか労働組合の請願だったら、それはもうみんなつくったものだからと言われるだろうと思ったので、きょうは町議会とか町村のあれたくさんあるんですよ、北海道の。ですから、ひとつその認識だけは、北海道を挙げて地元はやはり営林局の、あるいは営林署の統廃合には反対だというふうに認識を新たにしていただきたいことをお願いいたしまして、あと御答弁をいただいて終わりにしたいと思います。
  287. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 私とても、営林局がそのままであった方が、地元の一員であるだけに望ましいことだと思うわけなのです。しかし、これからの林野行政を考えるときには、やはり長期的に見るならば、正すべきは正すというか、あるべき姿にすべきはこの際仕方なかろうという気持ちで、私自身は自分の気持ちにむちを当てながらこの法案提出いたしたわけでございます。  私に対していろんな非難のあることも、よく承知はいたしております。ただ、幸か不幸か、私のところへ町村長なり議長なりが、正式なり非公式なりを問わず、これはやめてもらいたいという言葉は一つもなかったと。残念ながら、むしろ逆に、営林局はやはりこの際厳しくやるべきだという意見は相当あったと。しかし、機関を通じて町村なりにおいて議決をされてそういうことになったことは、林野庁にも陳情書その他が来ておりますから承知はいたしておりますが、こういった機関を廃止するに当たって、これほどおとなしい動きというものもごく珍しいのではないか、労働組合その他については相当ありますが。  ただし、営林局の廃止、統合については、これは慎重を期しませんと過疎の問題に通じるし、地域経済に大きく影響いたしますから、これは十分配慮いたさなければなりませんが、帯広、釧路あるいは函館、旭川等が営林局から支局になったからといって、地域経済にそれほど大きな影響を与えないという観点もありまして、こういった行政改革の場合には大変な強い反対がありますが、やはり国有林現状を認識してか、それほど強い影響はなかったということだけは、私自分自身の実感として承知しておる。  したがいまして、営林署の廃止に当たりましては、私がいつも申し上げますように、地元の皆さん方や労働組合の皆さん方が十分納得がいく最善の努力をしなければこれはでき得るものではない、こういう認識を持っておりまして、北海道におきましても、営林局と営林署が一緒に連動するものだというようなお気持ちから各町村が相当強かったと。しかし、連動するものではない。設置法において営林局は処理するものであり、営林署は国有林野改善の法律との関連において時間をかけてゆっくりやるものであって、直接関係はないということも御説明いたしまして、大体御納得いただいたのではないかなあ、こう思っております。  そういうわけで、私とても丸谷委員ともどもにあの辺で行政をやってきた一人でございますから、帯広が営林局があった方がいい、残してほしいなあという、地元の議員としては、地元の一人としては人にもまさるほどそういう気持ちがありますけれども、まあ将来に向かってよくするためには心を鬼にしてやらざるを得ないかなあと。私とても、地元の皆さんから、特に御納得の余りいただかない方からは、あれはひどいやつだ、地元のことをばっさりやりやがって、地元をよくするかと思ったら悪くしやがってという批判のあることも十分承知いたしておりますが、長期的な国有林野あり方と、また林野に働く皆様方が長期にしっかりした職場が確保できるためには、やむを得ない汗を流さにゃいかぬところだなあ、こういう気持ちでやっておりますので、どうか私の苦しいところもひとつぜひとも御認識をいただきたいと存ずる次第でございます。
  288. 村沢牧

    ○村沢牧君 本日の私の質問の持ち時間は三十分しかありません。したがって、総括的な質問をいたしますが、いままで同僚委員から質問のあったことについてはなるべく避けたいというように思いますが、基本的な問題については重なる点もあることを、まず了解願いたいというように思います。  国有林経営は、伐採量が減ったり木材価格が低迷をしたり、さらに諸経費が増加をする中で大変悪くなっていることは事実でありますが、この経営の健全化のために特別立法が提案されたわけだというように述べておるわけであります。国有林は、申すまでもありませんけれども、木材を供給する経済的な機能と、国土保全を図る公益的機能の二つを持っており、同時に、所在地域の経済社会の発展に貢献をするという役割りを持っているわけであります。企業的な立場で経営の健全化を図るということの必要性は申すまでもありませんし、企業性は追求しなければならないというふうに思います。この点については、丸谷委員からいままで強く指摘をされたところであります。そうだからといって乱伐をしたり、経費を節約することだけに重点を置いて、造林だとか保育などの手を抜いたり、そうすることによって財政のつじつまを合わせるようなことがあっては私はならないというふうに思うのであります。そのことは、当面、財政の健全化を図ったといたしましても、長期的展望を持つこの林業におきましては、つまり、山が荒れてしまっては国有林の果たす役割りがなくなってしまうわけであります。  そこで、この改善計画の第一項には、国有林野事業運営についての基本方針が掲げられておるわけでありますけれども、その基本方針というのは、国有林会計の採算だけを考えたものであってはならない。つまり、国家百年の大計の上に立って国づくりとしてとらえる、あるいは活力ある山をつくる、真に国有林の名にふさわしい模範的な施業を行うこと、このことを私は基本としなければならないというふうに思うのでありますけれども、この点について、大臣の見解をまずひとつお聞きをしたいんです。
  289. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 国有林野特別会計でやっておりますから、独立採算制であらなければならないということは、配慮はしなければなりませんけれども、やっぱり第一義的には、国有林野の持つ使命を果たすということだと思います。  国有林野の持つ使命とは何かというと、いまお話がありましたように、第一番目は木材の供給ということでもありましょうが、やはり国土保全、環境の維持あるいは向上、そして地域経済社会の発展に寄与する、こういうことが国有林野事業目的でございますから、単なる会計だけでもってこの事業目的が達成されないというようなことになってはならない、ということを配慮していかなければならない。ただ、国有林の持つ使命がこのように大きいのだから、幾ら財政がどうなってもかまわないというものではなくして、やっぱり資金会計なりというものが健全でありますように、これまた最善の努力をしなければならぬ、両面を持ったものだろう、こう思って国有林に対処し今度の改善計画を立てたと、こういうわけでございます。
  290. 村沢牧

    ○村沢牧君 企業性公益性の両面を持っていることは申すまでもないわけでありますが、その国有林が公益的、社会的な役割りを果たすためには、たとえば造林であるとか、保育であるとか、治山であるとか、あるいは森林管理など、直ちに収入に結びついてこない事業も公益という面から見ればますます重要になってくるわけであります。そしてまた、計画的、持続的な木材供給機能を充実していくためには、伐採童の伸びは当面余り期待ができない、こういう答弁も聞いているわけであります。  この場合、公益的機能を強く要請する国有林の仕事としては、ある時期においては投資の効率は低い面もあったといたしましても、長期的な展望に立って一般会計から金をつぎ込む、このこともやっぱりやらなければならない仕事であるというふうに思います。こういうふうにして新たな森林施策を続けていくならば、やがて国有林は木材供給機能とともに国土保全をする、あるいは自然環境を保全をするという、こういう機能を高めてくるでありましょうし、また、そうなければならないというふうに私は思うのであります。  この際必要なことは、一般会計から、大臣のように、無制限につぎ込むというわけじゃありませんけれども一般会計からどの程度の資金を繰り入れるかということがこれは焦点になるというふうに思うわけでありますけれども、そのことの必要性は私は後ほど申し上げるといたしましても、ただ一般会計から金を今度の措置法が通ることによってつぎ込むから、それと引きかえに人減らしが行われるのではないか、あるいは営林署が廃止をされるのではないかというような心配も一部にはあるわけでありますけれども、つまりこの改善計画は機構改革が重点になる、このようなことがあっては将来国有林の担い手も減少してまいりますし、健全な山づくりはできないというふうに思うのであります。  そこで、出された法律と、特に改善計画国有林のいわゆる機構改革、合理化、この関係はどうなりますか、その点についてお答えしてください。
  291. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) ただいま先生から改善に関しての組織の問題との関連を御指摘があったわけでございますが、先ほど大臣からお話ございましたように、私ども国有林をこれから改善するためにはいろいろなことを、やはり悪いものは直し、そして合理的になるものについては合理的な方法にしていかなければいけないというふうに考えております。その一環といたしまして、組織の一部改正を考えておるわけでございますが、それがただいま御審議いただいております農林省設置法の一部を改正する法律案、この中に盛られておるものでございます。これにつきましては、北海道の五営林局の再編成をいたしまして、札幌営林局を北海道営林局にいたしまして、残りを四営林支局にするという考え方でございます。それから、営林署につきましては、一応政府の行政改革の方針といたしましては大体一割ぐらいの削減をすべきであるという行政改革の方針がございますが、これは経営改善の今後の進展とにらみ合わせながら、私どもとしても所要の整理統合をしていかなければいけないだろうというようには考えております。  それから、担当区事業所等でございますけれども、あるいは営林局署の内部組織でございますが、こういう問題につきましては、それぞれ事業量あるいは事務量、こういうものをその動向に十分対応するような組織でなければいけないというふうに考えておりますので、事業量、事務量に見合ったような所要の改善合理化を行っていきたいというように考えております。  組織、機構の改善合理化という問題につきましては、これは直ちにそれが収入あるいは支出に直接大きく影響するものではございませんけれども、やはりただいま国有林が一番大きくいろいろ言われておりますのは、管理部門が肥大化しているではないかという声が非常に多うございます。これは、国有林野がかつて非常に伐採が多かった時代と同じような管理部門をいまだに抱えておるという問題がございます。そういう面から、やはり私どもはいま申し上げましたような形でそういう要員その他につきましては、それに現在の事業量に見合ったようなものに今後縮減していくということを考えながら、改善合理化の一環として、やはり組織につきましてもいま申し上げましたような形で対応していきたいというふうに考えておりますが、それに伴いまして、山におきます仕事のあり方あるいは地元に対するサービスあるいは行政上の問題、こういう問題につきましてはそれぞれ低下を来したり、山に対します仕事が手抜かりになることがないように、この辺は十分対応してまいりたいというふうに思っております。  以上、組織の問題につきましてはいま申し上げましたようなとおりでございますけれども、こういう形で改善合理化につきましては、組織の問題として対応してまいりたいと考えておる次第でございます。
  292. 村沢牧

    ○村沢牧君 国有林に働く人たちの人員の関係はどうですか。
  293. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 国有林に働きます人員につきましては、大きく分けまして、定員内の職員と定員外の職員とおります。ただいま定員内が約三万六千、定員外が約三万二千おりますけれども、やはり先ほど申し上げましたように、これからの国有林の伐採量を中心にいたします事業童が縮減する傾向の中におきましては、それに見合ったやはり要員でなければいけないというふうに考えております。しかしながら、私どもといたしましても、現在在職しております職員を直ちにそれなりに仕事から離すということではなくて、高齢者の退職の促進あるいは新規採用の抑制、こういう形で漸次若返りを図りながら人員の削減を図っていきたいというふうに考えております。これにつきましては、労働組合との間で昨年募れ退職勧奨制度というものをお互いにつくりまして、この制度に従いまして私どもは対応していきたいというふうに考えております。  それから、作業員の問題でございますが、作業員につきましては御存じのとおり、これも昨年募れに作業員をできるだけ重点的な雇用で対応していこうという考え方から、常勤制度というものをつくりまして、今後は通年して働いていただける基幹作業員を中心にして国有林の仕事をしていきたいというふうに考えております。そのためにも、やはり通年してできる場所ということになりますと、御存じのように、冬の造林というのはなかなかできない地域が多うございます。したがって、なかなか通年化というのには苦労する面もありますけれども、やれる範囲の努力をいたしまして通年化を図り、そしてなおかつ、事業量に見合った形で作業員のあり方についても今後定員内と同じような考え方で対応してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  294. 村沢牧

    ○村沢牧君 機構についてもそれから人員についても、事業量に見合った改革をしていくという答弁があったわけでありますけれども、私は後日また指摘をいたしますけれども、なるほど国有林現状から伐採量は余り伸びないとしても、国有林には手を入れなければならない課題がたくさんあるわけなんです。これから新しい施業をしていくために、そうしたいろいろの手落ちの面を十分やっていくということになれば、必ず仕事も伸びてまいりますし、そのためには人間も必要になってくるわけでありまして、とても人間を減らすなんということは考えられないというふうに思うんでありますけれども事業に見合った整理をするということは、先ほど来言われておりますような、ただ伐採の量だとか収入だけに見合ったこの機構改革あるいは整理をしていくんですか。
  295. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 私が申し上げましたのは国有林事業量でございますけれども、これの中心をまずなしますものはやはり伐採量であろうと。ですから、この伐採量というものを基本的な中心にいたしまして、そのほかにそれに伴っての造林もございますし、それから林道もございますし、治山もございます。そういうものもございますけれども、代表的なものとして伐採量を申し上げたわけでございまして、決して伐採量だけで人間を決めるわけでもございませんし、また収入の額だけで人間を決めるわけではございません。国有林全体の事業量に見合った形で定員内職員はどういう形でいくか、あるいは作業員については通年雇用の中でどういう形でいくか、そういう考え方に立ちまして、今後の計画を検討してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  296. 村沢牧

    ○村沢牧君 私は、次回の委員会でもって、まだ国有林として十分手を入れなきゃならない数々の問題を指摘をいたしますが、そういう場合に皆さん方が納得をすれば、やっぱり人間を減らさなくてふやしていかなければならない、そういうことも出てくるというふうに思いますけれども、そのように仕事がふえてくれば人員を少なくするなんということは考えることはできないというふうに思うんですけれども、その点はどうですか。
  297. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) ただいま先生、仕事がふえれば人をふやさなきゃいけないだろうというお話でございました。一般的に言えば、仕事がふえれば人がふえるというふうにわれわれも考えます。しかしながら、国有林が現在抱えておる人間というものを見ますと、これはまず中心になります伐採量だけを見ましても、過去一番大きく切った時点の三分の二程度の人員を抱えておるわけでございます。伐採量が三分の二程度になりまして、人員についてはほぼ同じような定員内の人間を抱えておるという事態でございます。したがいまして私どもといたしましては、これからいろいろ仕事があろうとは思いますけれども中心になります伐採量がここ十年程度どうしても縮減してくるということになりますと、中心的な事業についてはどうしても縮減せざるを得ないというふうに考えます。そういう意味から、今後国有林のやはり人員につきましては、いま先生が御指摘のようないろいろな問題でふえるということはまあまあ考えられないのではなかろうかというふうに思っています。
  298. 村沢牧

    ○村沢牧君 人間がこれからふえなければ仕事ができない、そのことについてはまた後日指摘をいたします。  そこで、関連をして営林署のやっぱり整理についても聞いておきたいんですけども、先ほど大臣からこの見解について答弁があったわけです。大臣の見解を非常に私は了とするわけでございますけども、申すまでもありませんけれども、営林署は地元との関係が非常に強いわけなんです。国有林は、今日まで、地元との協力関係によって仕事もしてきた面も無視することはできないというふうに思うんです。国有林が地元に貢献をしたし、また地元は国有林に貢献をいたしておるわけであります。したがって、言われるようにこの改善計画、あるいはまた機構改革によって、当面、本年度は九つの営林局のうち一署ずつ整理統合するというようなことが言われておりまして、これについてはかなりの地元には反対もあるし、私どものところへも存続してもらいたいという陳情も多く参っているわけであります。  そこで、九つの営林局のうち画一的に一つずつ減らしていくんだというこの発想は一体何によるものでありますか。また、営林署を将来どういうふうに持っていこうという構想、将来展望についてはどのように考えておられますか。
  299. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 営林署につきましては、本年度、一応本州の各営林局一営林署という形で、九営林署の統廃合を考えておりますけれども、その考え方といたしましては、やはり営林署が現在全国に三百五十一ございます。七百五十万余の国有林管理経営する場合の三百五十一の営林署ということにつきましては、一般的には多過ぎるという私どもも批判を受けております。しかしながら、どこを具体的に統廃合するかという問題になりますと、なかなかむずかしい問題があるというふうにわれわれ理解いたしておりまして、そういう観点から、本年一営林局一署と決めましたのも、今後、先ほども申し上げましたけれども、営林署につきましては、おおむね一割程度の営林署を経営改善の進展とにらみ合わせながら整理統合していきたいというふうに考えておりますが、さしずめそれだけの考え方の中で、一応各営林局に該当するものはあるのであろうという考え方から、本年度については、本州の各営林局一つずつというふうに考えた次第でございます。
  300. 村沢牧

    ○村沢牧君 大臣にさらに確認をしておきたいんです。  先ほど大臣答弁のあったところでありますけれども、営林署の整理統合ということは大変私は大きな問題であり、簡単にできる問題ではないというふうに思うんです。地元からは、先ほど申しましたように、存続をしてもらいたいという非常に強い要望があるわけです。長官は、本年度整理統合するというようないま答弁があったわけでありますけれども、そんな簡単にできる問題ではないというふうに思うんですけれども、この点について改めて大臣に確認をしておきたいと思います。
  301. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 営林署の約一割の統廃合につきましては、これは今日の林野行政を行う上においてむしろそうあるべきであるということと、もう一つは、林野のみならず行政機構の簡素化、合理化、特に、国家機構が複雑であり、もっと行政経費を減らしなさいというのが国民的願望でございます。そこで、各省庁それぞれ出先機関の統廃合を行っております。行政機構改革の一環としても意義づけたいということで、取り組んでおるわけでございます。そこで、とりあえずは九つの営林局の一署について努力してもらいたい、やってみたいということでやっております。  しかしながら、営林署というのは、先ほどからお話がありましたように、地域経済あるいは地域社会等に非常に密接に関係を持っておりますから、地元の納得を得るのには相当の努力が必要である、なかなか言いにくいことであるということも言えると思います。しかしながら、何とかできるだけの努力を払ってやっていきたいと思いますが、だからと言って、しゃにむに国家権力をもって、地元の大方の納得が得られないままに強行するというようなわけにはまいらない。われわれの言い分も、十分努力をして、そして納得をしてもらうように最善の努力を払ってこれを仕上げていきたい、こう思っております。  すべては今後の努力にかかり、また理解と協力を求め得るかどうか、こういうことであろうと思いますが、むずかしいからと言って、それじゃこれはやめましたというような性格のものでもまたこれはない。ひとつ、最善の努力をさせていただきたいと存じます。
  302. 村沢牧

    ○村沢牧君 大臣答弁衆議院におきましても、それから先ほどの答弁でもよく聞いておるんですけれども、ともかく地元と非常に密接な関連を持っておりますから、地元の意向を十分踏まえて考えていただきたい、考えるべきだということを改めて要望しておきます。  それから、先ほど私は、国有林会計にやっぱり一般会計から金をつぎ込む必要性について触れたわけでありますけれども、それに関連をして、林野庁は昭和四十七年に「森林公益的機能計量化調査 みどりの効用調査」というのを行ったわけです。その後、こうした調査はやっておらないわけでありますけれども、この四十七年の結果を見ても、森林の公益的な機能評価はその当時で十二兆八千二百億円である。これを今日の物価指数に換算をすれば、二十兆円以上の価格であるとも言われておるわけです。  したがって、森林が国民生活に果たす役割りは非常に大きいわけでありますけれども、これに対して私は、この林業に対して国の予算はきわめて少ないというふうに思うんであります。本年度の農林省関係の予算は、国の予算総額の三十四兆二千九百五十億のわずか九%程度、それからその中の林業関係予算は、これまた農林省予算の九%ぐらいであって、二千八百六十五億六千余万円であります。この数字が示すように、きわめて少ないわけであります。公益的機能が国民的な要請である中におきまして、公益的な機能と経済的機能を高めていくこと、これは民有林も含めてですけれども、この林業関係予算がこんなことでいいのかという私は非常に疑問を持つわけでありますけれども、担当大臣としてはどのように考えられますか。
  303. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 林業予算が過去においてもかなりの地位は占めておりましたものの、御指摘のように緑の効用から言っても、あるいは他のものに比べても少ないという批判のあることもよく承知いたしております。そこで、この国会は林業国会と言われるように、最近の林業を取り巻く情勢が木材自給の問題、価格の問題あるいはまた公益機能の一層の国民的要請、こういったことにこたえまして、法律制度仕組みも真剣にやると同時に、予算の面におきましても、いま言ったように国有林の治山関係の質の改善を図ると同時に、林道、造林に対しても一般会計から入れる、こういう仕組み等々、林業の見直し予算ではあるとは思いますが、何分にも予算は継続性、一遍にできませんので、ことしを契機にして、今後前向きで今日の情勢に対処し得るように最善を尽くしてまいりたいと存じます。  同じく水産も、これまた二百海里の時代を迎えて前向きでやらなければならない。農業の方も、いろいろまた厳しい情勢もあるということで、一次産業すべて、林業のみならず水産、一般の農業あるいは果樹、畜産、どれを見ても非常に厳しいところでありますので、それらが一体となって国民の期待にこたえるように真剣に努力をしてみたいものだと、こう決意して取り組んでおるところでございます。
  304. 村沢牧

    ○村沢牧君 次の問題へ入りますけれども政府は四十八年の二月に「重要な林産物の需要及び供給に関する長期の見通し」を閣議決定をして、五十六年、六十六年、九十六年までの見通しを立てたわけであります。私は、過日森林組合法の審議の際にもこの見通しについて指摘をして、大変この見通しが狂ってきておる、この見通しは見直すべきではないかという指摘をしたわけなんですけれども、これについて、その当時大臣ちょうど留守で臨時大臣がおったわけですけれども、私はそういう見解を持っておりますけれども大臣はどのように考えておられますか。
  305. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 現在の長期的見通しは、昭和四十八年の二月に十年後及び二十年後についてそれぞれ見通したものでありますが、最近における森林を取り巻く情勢が非常に変わってきておりますので、今後こういった問題については若干時間はかかりますけれども、ひとつ見直して現在に合う将来展望をつくってみたいものだと、こう思っておる次第でございます。
  306. 村沢牧

    ○村沢牧君 この長期見通しと森林法、それから林業基本法に基づいて、農林省は本年三月全国森林計画を発表しておるわけであります。この計画は、五十三年から六十八年までの十五年間の計画であるわけでありますけれども、これに基づいて林野庁は国有林経営基本計画をこれまた明らかにしているわけであります。長期見通しといい、あるいはいままでの森林計画といい、農林省のこの計画は非常に実情とそぐわないものになっておるわけでございますけれども、特に経営基本計画の中でいままでの計画と実績はどういうふうになっておりますか。その中でも伐採だとか造林、治山、林道、これらについてその計画と実績についてお伺いをするとともに、本年度立てた計画、これを達成するための方針についても伺っておきたいというふうに思います。
  307. 須藤徹男

    説明員(須藤徹男君) お答えいたします。  昭和四十八年に策定いたしました経営基本計画は、当時決められました国有林野における新たな森林施業の実施を前提として、昭和四十八年度から六十二年度までの十五ヵ年間について計画したものでございます。この計画は、昭和四十九年の森林法改正に伴いまして、昭和四十九年に、森林の土地の保全に関する事項を加えまして、さらに昭和五十一年に、全国を二十九のブロックに分けまして計画するブロック別計画と、森林の有する機能を木材生産機能、水資源涵養機能、山地災害防止機能、並びに保健保全機能に区分して整備する計画を追加して計画を改定したのでございます。  これらの計画と、昭和四十八年度から昭和五十一年度までの実績を四カ年の年平均で対比してみますと、まず伐採量につきましては、計画量が千五百七十万立方メートルに対しまして、実行量は千五百三十三万立方メートルということでございまして、約九八%になっておるのでございます。  また、人工造林面積につきましては、計画量が五万五千ヘクタールに対しまして、実行量は六万一千ヘクタールでございまして、実行率は一一一%ということに相なっておるのでございます。  また、林道開設延長につきましては、計画量が千四百八十五キロメートルに対しまして、実行量は千百八十五キロメートルということで、実行率は約八〇%に相なっておるわけでございます。  以上のほか、森林施業に関する基準でございますとか、森林の土地の保全に関する事項、さらには治山事業森林レクリエーション事業等についての計画をいたしておりますが、それはほぼ的確に計画どおり実行しておるという状況でございます。
  308. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後七時二分散会      —————・—————