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1978-05-25 第84回国会 参議院 農林水産委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年五月二十五日(木曜日)    午前十時二十五分開会     —————————————    委員の異動  五月十二日     辞任         補欠選任      三治 重信君     柳澤 錬造君  五月十三日     辞任         補欠選任      柳澤 錬造君     三治 重信君  五月二十五日     辞任         補欠選任      北  修二君     衛藤征士郎君      坂元 親男君     金丸 三郎君      村沢  牧君     福間 知之君      丸谷 金保君     片山 甚市君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         鈴木 省吾君     理 事                 青井 政美君                 大島 友治君                 山内 一郎君                 川村 清一君                 相沢 武彦君     委 員                 衛藤征士郎君                 片山 正英君                 金丸 三郎君                久次米健太郎君                 小林 国司君                 田代由紀男君                 野呂田芳成君                 降矢 敬雄君                 片山 甚市君                 坂倉 藤吾君                 福間 知之君                 吉田 正雄君                 原田  立君                 藤原 房雄君                 河田 賢治君                 下田 京子君                 三治 重信君    国務大臣        農 林 大 臣  中川 一郎君    政府委員        農林政務次官   初村滝一郎君        農林大臣官房長  松本 作衛君        農林省構造改善        局長       大場 敏彦君        水産庁長官    森  整治君        水産庁次長    恩田 幸雄君    事務局側        常任委員会専門        員        竹中  譲君    説明員        外務省アジア局        北東アジア課長  佐藤 嘉恭君        厚生省環境衛生        局水道環境部水        道整備課長    山村 勝美君        海上保安庁警備        救難部長     村田 光吉君        建設省河川局開        発課長      堀  和夫君        自治省財政局公        営企業第二課長  田井 順之君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○漁船積荷保険臨時措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  漁船積荷保険臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は先般聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 まず最初に、この漁船積荷保険臨時措置法試験実施から本格実施という前提があったわけでありますが、試験実施の五年間中に、出発に当たって、本格実施を行う前提というものが今日結果的には間に合わなかったということになって、そうしてさらに五年間試験実施延長されるという、こういうまあ趣旨合いになっているわけでありますが、今日までの試験実施期間中に本格実施準備が整わなかったというこの主な原因というのは、一体何が指摘をされるんだろうか。  提案趣旨説明によりますと、二百海里時代を迎えて新しい海洋秩序がおおむね形成をされつつある、こういう説明になっておるわけでありますが、二百海里問題は、もうすでにこの積荷法案試験実施に入るその年の段階に、世界の趨勢としてはその展望はもう明らかになっておった、こういうふうに考えるわけでありますが、その段階で新しい海洋秩序なるものが想定をされて、いわゆる試験実施期間中に準備が行われていなければならなかったのじゃないんだろうか、こういうふうに考えるわけでありますが、その辺の主たる原因について明確にひとつお教えをいただきたい。  これはひとつ大臣いかがでしょうか。法案成立をするという立場、これを承認してきた経過から見まして、この五年間というのは、五年間以内にいわゆる別の法案を、本格実施法案が整理をされて、この試験実施法案というのが消え去ってしまう。これが附則の第二のたてまえであろうと思うのですね。そういう状況から言って、なぜそのとおりいかなかったのか。この辺は大臣見解も含めてお聞きをしたいと、こう思います。
  4. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) これは提案理由で御説明申し上げましたように、五年間でやろうとしておりましたちょうど後半に二百海里の問題が出てまいりまして、特に二百海里では漁船積み荷保険の主たる対象でございます遠洋沖合い漁業減船になったり、あるいは漁場転換等、さらには操業形態変化などが余儀なくされますので、これによって保険設計基礎となる漁業種類別加入隻数であるとか、危険率であるとか、損害率等に大きな変化が生ずることが予想されますために、いまの段階でこれからの保険制度を仕組むということは実態と合わない面が出てきますので、さらに今後の二百海里が定着します期間を待って本格実施に移ることが適切であろう、こういうところから、五年間延長して新しい時代対応した実態に合う保険制度を仕組みたい、こういうことが延長いたしました主たる理由でございます。
  5. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 長官どうでしょうね、事務的なサイドからながめて、いま大臣の御答弁のあったこと、これは要素としては私はわからぬではないんですが、言われておる個々具体的に、じゃあどう変化をしていったのかというふうに調べてまいりますと、必ずしもいま大臣説明されたことが私はすっきりこない面があるんですが、その辺いかがでしょう。
  6. 森整治

    政府委員森整治君) 先生、二百海里が予見されておったではないかということでございますが、確かにそれはそういうことがあったと思うのですが、ただ、一つは、案外早く二百海里の時代が来たということと、それから二百海里という問題は、別にそう抽象的でなく、具体的にいろいろ考えてみますと、やはり北洋のいろいろな減船問題、区域が制限される。それから、ごく最近といいますか、昨年末あたりから南太平洋フォーラム諸国でいろいろ二百海里を次々と制限してくる。そういう中で、実際にたとえばニュージーランドのごときは、むしろ入漁交渉がもっとスムーズにいくと思っておったのがいかないとか、そういういろんな具体的な現象というのが次々に起きてきておりまして、二百海里の実施ということになりますと、非常に形がいろんな場所場所によって違ってくるということが、たまたま去年からことしにかけて、それでちょうどことしこの実施期間が切れるという重要な時期にそういうのにぶつかってしまっている。  ここで、試験実施というのをやめて、本格実施にするということは考えられないわけではないと思います。ただ、その場合は、何というのですか、安全度を非常に高く見なければいけない。そうすると、やっぱり料率も高くならざるを得ない。そうすると、やっぱり入りにくくなる。それからもう一つ、いろいろ漁業種類別にいろいろ事情が、危険率が違っております。そういうことを踏まえていろいろ考えてみますと、ここで無理に本格実施にするよりも、試験実施をさらに延長していただいて、それで正確な保険設計データを得た方が得策ではないだろうかということで、別に取り扱いその他というか、加入者に不便をおかけするということは私どもはないということも考えますと、やはりこの際、安全を見まして試験実施のための延長をお願いした方がよろしいのじゃないかと、こういう判断をいたしておるわけでございます。
  7. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 一応いまのところ、そういう御答弁を受けておきたいと思うんです。必ずしもそれに、私はそのとおりというふうに表明ができません。  そこで、具体的に次々お聞きをしていくことになると思うんですが、ただ、関係者は、早く本格実施をという声が依然として強いわけですね。もともとこの試験実施に至る過程も、答申の中でも明らかなように、本格実施といいますか、この制度自体について大変大きな声があって、それにこたえてこの制度がつくられたといういきさつがあるわけです。  そこで、さらに念のためにお聞きをしたいんですが、今回の提案で五年間の延長ということになりますが、この五年というふうに定めました期間的な何か見通し、そういう根拠というものがあるのかどうかが一つ。  それから二つ目には、今日までの試験実施過程もありましたが、今回さらにこの附則二の関係でありますが、五年以内でも体制が整えば、五年を待たないで実施ができるのかどうか。また、その考え方があるかどうか。この辺は少し明らかにしてもらいたいと思うんです。六年目にならないと本格実施に移さないんだと、こういう考え方ではないと思うんですが、念のためにお伺いします。
  8. 森整治

    政府委員森整治君) 五年というのは、従来の実施期間、まあ大体五年ということで保険とかいろんな事業をやっておりますが、試験的なデータをとる期間は一応五年ということで、従来もほかの保険でも実施をしているわけでございます。  そこで、今後五年たたなければ本格実施にしないのかということでございますが、私どもは、まあ必ずしもそういう五年ということを固執するつもりはございません。今後試験実施をしていく過程におきまして、保険の今後の基礎にすべきデータが整備されたという判断が可能な場合には、その時点で、五年以前でも本格実施に移る用意は持っておるつもりでございます。
  9. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 そこで、試験実施期間中に現行法の第十九条でございますが、たとえば政府漁船保険中央会に対して適当な助言あるいは指導というものについて、これが義務づけられていると言うと大げさでありますが、あるわけであります。当然、この課題は、いま私が質疑をいたしております本格実施体制を整えるためにも、たとえば必要な漁船保険中央会への助言なり指導なりというものがあったんだろうというふうに想定をするわけですが、今日までこの試験実施期間中に行われた助言なりあるいは指導というものが具体的にどのようなものであったのか、こうした関係を少しお述べいただきたいのです。
  10. 森整治

    政府委員森整治君) 試験実施を開始をいたしましてから、いろいろな実は改正が行われているわけであります。その一つ一つがすべてと言っていいと思いますが、いま先生が御指摘になりました漁船保険中央会に対します助言指導内容考えてよろしいのではないかというふうに思っております。  たとえて申しますと、出発出時の対象漁業種類にさらに北洋のかごですとか、サケ・マスのはえなわ、サンマ棒受け網の三漁業が追加をされておりますが、これもその一つでございます。それから、漁船トン数、使用する母船のトン数の下限の引き下げを行っております。小さい船でも入れるというようなこともやっておりますが、それもその一つでございます。それから、さらに重要なことは、損害率なり危険率が最近の傾向として低目に出てきているということからいたしまして、保険料引き下げにつきましてもいろいろ指導を行ったという経過がございます。それから、故の割引制度の導入も行っております。それから、冷凍機の特約の対象漁業を拡大をいたすということも行っておりまして、結局、純粋に漁業保険中央会がこの保険をやるということだけでなしに、やはり国といたしまして、いま申し上げましたような適切なその時期に、あるいはデータに即した対応指導しているというふうに御理解をいただいたらいいのではないかというふうに思っております。
  11. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 次に、提案説明の中にあります二百海里時代における新しい海洋秩序、こういう形になっておりまして、いろんな関係書類等を見せていただいておりますし、とりわけ本年度の漁業白書でありますが、白書等から見ていきましたときに、どうもここで、提案説明で言っております新たな海洋秩序とは具体的にどのようなものなのか、従来とどう違ってくるのかといったことがどうもはっきりしません、率直に申し上げて。ただ、試験実施本格実施に移ることができなかったということが一つと、それから領海十二海里、経済水域二百海里のこの形が具体的に沿岸各国実施をされてきておる、こういう新しい状況変化というのはわかるんですが、それに伴って新たな海洋秩序と言われておるその中身についてよくわからぬわけですので、この辺について、お考えのその新しい海洋秩序というのは何を指すのだろうか、こういったことについて、ひとつ見解を御表明いただきたい。
  12. 森整治

    政府委員森整治君) 二百海里時代に来たと、こうよく言われておるわけでございますが、私どもやっぱりその背景には、ただいま第七会期の会合が終わりました例の第三次の海洋法会議で、いろいろ議論されておりますそういう問題がまとまって成立しているわけではございませんけれども、いろいろ単一草案非公式統合草案ということにいろいろまとめられておりますような、そういう世界各国いろいろ議論をしながらつくり上げようとしているそういうものが、念頭にまずあるのではないかというふうに思っておるわけでございます。  深海の海底の開発の問題でございますとか、いろいろ内陸国地理的不利国扱い等にまだ調教を要する問題もございまして、最終結論は出ておりませんが、一方では、先生指摘のように、その結論を持たずにもうほとんどの海に面する国の約七割近くが、白書で書いてございますように、二百海里をすでに宣言またはもう実施をしているということになりまして、そういうことで、従来の自由に漁業を行えるという時代がすでにもう去りつつある、もう去ってしまったと。そういう意味で、二百海里時代の第二年目に入ったとも言われているわけでございますが、そういうことを念頭に置いておるわけでございまして、ひとつ二百海里丙の生物資源に対しましていろいろ開発なり保存のための排他的権利を有する、また沿岸国生物資源保存のための規制措置の決定が行える、そして、沿岸国がそういうものについて取り締まりを行いまして裁判管轄権を持つというようなことが、海洋法いろいろ会議をバックにいたしましてむしろもう慣例的に確立されつつある。そのことを、新しい二百海里時代秩序と呼んでいるというふうに御理解をいただきたいと思います。
  13. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 どうもよくわからぬのですが、結局いま説明がありました国際海洋法会議、これはいま第七会期になっているわけですが、これのそれぞれの各会期の問題になってきましたのは、いま説明がありましたように、もちろん十二海里、二百海里の問題も含めて、あるいは地下資源の問題あるいは海峡の問題、こうしたことが幾つか論議にはなっておりますが、いわゆる領海十二海里、経済水域二百海里の問題については第一会期出発をしまして、第二会期のときはほとんどこれはもう当然のことなんだというふうになっているのじゃないんですか。  その経過からいきますと、国際海洋法会議の中でその二百海里というものが全体で確認をされないと、新しい二百海里時代がないという認識自体が、私は大変現実性がないというふうに判断をするんですが、そういう立場からいきますと、特に漁業の問題ということで考えてみたときに、日本のこの漁業として今日まで行ってきたいわゆる遠洋関係沖合い関係等考えますと、すでにそのこと自体は、第一会期、第二会期段階で明らかに日本の今日までの漁業形態が新しい対応をしていかなきゃならぬということ自体は、もう予測ができたというよりも決定的だったんだろうというふうに思うんです。なおかつ、今日まだ国際海洋法会議の中で明確な結論が出てない。ただ、各国がそれぞれ自主的にそれらを宣言をしているんだというとらえ方では私は問題があるように思うんですが、その辺はどうなんでしょうね。
  14. 森整治

    政府委員森整治君) 私も先生指摘の問題のとおりに実は申し上げたつもりでございますが、要するに、実際には二百海里の経済水域あるいは漁業専管水域、そういう観念につきましては、もはや国際的な一つのルールとして確立をされたのではないかという御指摘に対しては、私どももそういうふうにまさに考えておるわけでございます。別に、ただ若干のいろいろ議論がまだ残ってはいるけれども、その大まかなことにつきましては、もはや慣習としてもうすでに確立している、こう理解していいと思います。
  15. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 そうしますと、たとえば第一会期というのは四十八年の十二月、第二会期というのは四十九年の六月から八月にかけて行われているわけですね。したがって、いまから数えますとちょうど四年前の段階になるわけです。四年前ということになれば、これはもう日本の今日の経済のテンポその他からいきまして、とっくにその体制なんというのは確立をされておっていいのだろうというふうに常識的に判断をすべきですね。明らかにこれは対応が立ちおくれている、こういうふうに思いますし、ただ日本漁業の今日までのあり方から見て問題なのは、たとえば世界食糧資源とのかかわりの中で、これは日本漁業あり方に対する世界的ないわゆる批判的な見方その他もありますし、同時にまた、そういうような前提に立って、いわゆる公海における乱獲その他というような形で、諸外国にない日本の特殊な条件だけに問題が幾つかある、これがいままでの形だろうと思うのですね。  そうしますと、その漁業あり方に対して世界各国が一斉に日本を注視をしている。これはただ単に漁獲量が多いからということだけではないはずでありまして、そうした問題が、先行きの見通しのもとに新しく日本自体秩序を保持をしていかなければならぬ、そういう秩序の中で新しい漁業を開拓をしていかなければならぬ、ここに基本的な課題があるというふうに私は思うのです。そうした立場からいきますと、この漁業白書なり、あるいは五十三年度にそうした観点でどういうふうに進めようとしていくかということについては、大変私はまだ不十分さを指摘をせざるを得ない、こういうふうにいま率直に言って御指摘を申し上げておきたいというふうに思うわけであります。  それから、これからの動向考えてみましたときに、確かに海洋法会議というのは一つのポイントとしてあります。それから、そういう状況の中で、各国領海あるいは経済水域のいわゆる宣言を行っていく。いまやその動向というのは沿岸世界各国大体百余国、そのうちのおおむね七〇%までがそれらを志向してきている、あるいは志向しようとしている。こういう状況になってまいりますと、個別の各国日本の置かれた立場との調整というものが、これからどんどんどんどん必要になってくるという状態だろうと思うのですね。ある数国あるいは集団で日本対応してきたという今日までの関係というのは、いまの状況からいくと、仮にそれが成立をしても、それに従わない各国というのがやっぱり出てくるという状況になりますから、当然日本とそれぞれの沿岸国各国、個個の国と国との間のいわゆる話し合い、そうして漁業あり方というものを探求をしていかなければならぬ状況に置かれてきているというふうに思うのです。  そういう状況から見ても、私は水産行政水産庁あり方、こうした問題について、立ちおくれを何とか早く回復をしていくという積極的な姿勢というものがもう少し明らかになっていいのじゃないんだろうか、こういうふうに考えるんですが、その辺は、本年のたとえば新たにやっていこうとする事柄とあわせて、少し御説明をいただいておきたいと思います。
  16. 森整治

    政府委員森整治君) まず一つは、今国会でお願いをしております設置法の関連でございます。開発、今後の沿岸の見直し、あるいは沖合い振興ということを考えます場合に、いろいろ水産資源開発なり増養殖を推進していく、そういう意味振興部をつくって新たな時代対応したいということを考えておるわけでございます。  それから、あと試験研究の機関といたしまして例の養殖研究所、それから水産工学研究所の新設をいたしまして、試験研究の充実を図るということを考えてまいりたい。  それからもう一つは、やはり一番最初先生指摘がございましたように、各国の相次ぐ二百海里宣言、また実施ということによりまして、非常に応接にいとまがない事態に立ち至っておるわけでございます。ただいまもたしか二名——たしかと言うのもおかしいですけれども交渉に海外に出ておるということで、入れかわり立ちかわりいろんな各国との交渉をやっておるわけでございます。そういう方面に対しましても機構を充実してまいる。  それから、あと調査船等をいろいろ活用いたしまして、またいろいろ減船になりました船も活用いたしまして、大陸だな周辺のいろいろ調査を行う、あるいは南氷洋のオキアミの開発をやるというようなことで積極的に対応をしておるわけでございますが、今後この機構整備が終わりました暁には、それぞれの部局の内容を充実させていくということが基本的な考えになるのではないか。特に沿岸整備事業あるいは漁港の整備事業あるいは漁村の整備事業、そういうことにつきましても、積極的に公共事業等を導入いたしまして、予算の大幅な増大を図っていくということを来年度から考えてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  17. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 大体わかるんですが、先ほど指摘をいたしましたこれからの見通しの問題として、いわゆる多国共同協定とでも申しますか、数国一つのグループになって、そして漁業に対して日本協定を結んでやっておるという形というのは、これはこれから当分の間崩れていくんだろう。したがって、崩れるという前提に立てば、そこに今日まで共同で参加をしておりました各国と個別にそれぞれ協定を締結をしていかないと、そこの二村海里以内に、あるいは領海内にということになりますか、なかなか入って漁をすることができない、こういう状況になっていくのではないんだろうかという予測は、この辺はどうごらんになっておりますか。
  18. 森整治

    政府委員森整治君) たとえて申しますと、南太平洋フォーラム諸国、これはまさに十二カ国が一つ意思統一をいたしまして、二百海里についての共同歩調をとっていこう、足並みをそろえていこう、こういうことで出てきたわけでございますが、ただ、具体的には一つ一つの国と私ども交渉を始めておるわけでございますが、対応の仕方といたしまして、別にそういう国々が共通の言い方をする、考え方を持っているというふうにはどうもなっておらないようでございます。  で、具体的に、たとえばパプア・ニューギニアとこの前漁業交渉をやり、今度ギルバートとやり、ソロモンとやる、ニュージーランドとやるというような形になっておりますが、それぞれの国の主張ということで、たとえば、これは新しい考え方だと思うのですが、パプア・ニューギニアは、要するに入漁料をまとめて払えばまとめて漁場を提供しましょうということで、一つ一つの船から取らないかわりにまとめて払ってくれ、こういう物の言い方をされまして、いままでの入漁交渉で初めてのケースで、ちょっと私どもそのまとめに非常に苦労をしたわけでございますが、そういうような考え方をとる国も出てきたということからいたしますと、いろんなそれぞれの事情事情によりまして、一つ一つ私は違った形の漁業交渉、それからまた裏といいますか、横なりそれを支援するほかの政策も国によっていろいろ違って出てくるのではないか、また、そういうことでないと入漁交渉はうまくいかないのではないかというふうに思っておるわけで、非常に今後の交渉の多面性といいますか、と同時に、非常にわが方の対応のまた多面性を必要とするのではないだろうかと、こういうふうに考えておるわけであります。
  19. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 中身としてはいま言われていることで、私自身が予測をしていることと余り違わないと思うんですがね。結局、今日まで大西洋マグロ条約だとか、あるいは全米熱帯マグロ条約だとか、こういう集団のところは、そこに関係をする各国というのは、いま長官説明があったように、やっぱり個別の条件がそういう協定協定といいますかね、共通的な問題よりもこれからさらに優先をしてきますから、結果的に、そういう集団的な条約的なものは仮にあったにしても役に立たなくなってくる、具体的には。こういう時代を、ある一定の段階としては迎えていかざるを得ない。それに対応するいわゆる水産庁の姿勢といいますかね、機構というものをやっぱり確立をしていかなければ間に合わないんじゃないのか、こういうふうに基本的に考えておるわけですね。  そうしますと、そういう対応姿勢から今日の水産庁のいわゆる機構等をながめたときに、大変率直に言って問題があり過ぎるのではないんだろうか。前の岡安長官がある論文を出されておるわけですが、その中で、この二百海里時代対応する姿勢の問題として、いわゆるそれぞれの関係各国に、民間と協力をしながらそこに常駐員を派遣をして、そうして研究をしたり情報を集めたりと、こういう形になっています。これは正規に水産庁として派遣をしている人ではないんですよね、今日。その辺は意識的に水産庁として待遇あるいは派遣の目的、こうしたものは明らかになっているんでしょうか。
  20. 森整治

    政府委員森整治君) 水産庁として在外公館に派遣をしているケースが一つございます、要するに形としまして。それ以外に、大日本水産会に私どもから金を出しまして、民間からのいろいろ情報、連絡をとるということで、大日本水産会からいろいろ海外に置きます人を派遣をする、民間駐在員を派遣をするという形をとっておりまして、こちらの、前者の方は、大体水産のわかっておるという人が在外公館に出ているのは五名でございます。多い少ないという御議論はいろいろあると思いますが、ともかく五名が現状でございます。そのほか農林省全体といたしますと三十二人、二十カ国に人を出しておる。そのうち水産の担当者が、担当というか水産の出身者が五名。それから民間の方の駐在員でございますが、五十二年でワシントン、アンカレジ、 ハリファックス、バンクーバー各一人、それから五十三年度にナホトカ、ウエリントンということを予定をしております。そういうことで、逐次その体制を整備するということでございます。  それから、あと機構の問題としまして、さらに今年度海外の担当参事官をもう一名増加をするということで、先生お笑いになっていらっしゃいますけれども、役所の中でそういうポストを新設するということは非常に大変なことでございまして、私ども今後とも大いに努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  21. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 役所でそういうポストを新設するのは大変なことなんですが、それ以上に現場の方は大変なわけですね。これからの流れをながめていきますと、むしろそれはどんどんと積極的にやっていかなきゃならぬ。この辺は、私は農林大臣のきわめて大きな任務じゃないんだろうか。結局、行管との関係だとか大蔵省との関係だとかあるんでしょうけれども、少なくとも世界沿岸各国が百国、そのうちでもうすでに二百海里宣言等をやっておるのが七〇%に達する。しかも、その中で各国別に協定ができているのをながめていきますと、まだわずかですね。まだまだ問題の多いところである。私は、少なくとも、漁獲が多いか少ないかというんではなくて、問題は、それぞれのこれからの新しい宣言をするところとは必ず問題点が発生をしてくることになるんで、それに対応する体制というものは私は水産行政として明確にしていかなきゃならぬと。それは、日本の国の私は大きな今後の役割りだろうと思うんですよね。  で、いままで、協定ということになれば当然外務省が表に出てくることは明らかであります。漁業の問題を外務省に任せておいてそれでいいという話にはなりませんし、さっぱりわからぬということになるんでしょうけれども、そこには必ず、沿岸各国との外交の中心的な問題というのはおおむね、これはニュージーのような例もありますけれども、少なくともこれは漁業が中心になる。そういう前提でこれは交渉が行われていくということに私は想定をするんですね。そうしますと、明らかにその主役たるものは、これは水産庁の今日の重要な柱ではないんだろうか。  確かに、一名本年から配置をしたということは大変な努力だったと思いますが、この辺はもっと国の政策の問題ですから、私は大きくやっぱり論議をしていただいて、この辺の対応はもっと積極的に打ち出して、むしろ大臣が体を張って進めていくべき性格ではないんだろうか。それからすでに国際協定が締結をされたところ、いわゆる条件の整ったところはむしろ問題がなくて、これから条件が整わないところをどう整えていくのか、ここの方に重点が置かれてくることになろうと思いますので、ぜひそうした配慮を大きくしてもらいたいというふうに思いますが、その辺は大臣答弁いただけますか。
  22. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 海洋法、そして二百海里時代を迎えまして、水産外交がきわめて重要になってきた。私も農林大臣になってみて、生産や流通もさることながら、外務大臣になったのかと錯覚するぐらい外国とのおつき合いが多いということでございまして、特に水産関係では外交関系が大事である。最近は、水産のみならず木材においても、あるいは酪農品等においても対外調整というものが非常に多くなってまいりましたが、とりわけ水産はそれぞれの国に対応していかなきゃいけない。しかも、それがまちまちでございまして、ソビエトのように一週間も十日も大臣折衝をやらなきゃ決着がつかないところもありますれば、アメリカのようなところもある、あるいはニュージーのようなところもあれば、いろいろございますので、画一的なことはできませんけれども、それぞれの国に対応した外交というものを強力にしなきゃいかぬ。  そういう意味での人の配備ということについては、これはきわめて重要でございますので、今日までもやってまいりましたが、この上とも財政当局等、あるいは行管等とも相談をしながら強化に努めて万全を期したい、こう思っておるわけでございます。
  23. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 ぜひそれの実現に向かって、最大の御努力をいただきたいと思います。  いま大体日本の水産の主要なところの、たとえば五十一年度アメリカは百三十四万八千トン、あるいはソビエトは協定によって百二十二万九千トンですか、そういう形で大手筋のところは大体決まって定着をしていると思うんですが、南の方との関係等はまだまだこれから対応が具体的になってくる、こういう状況でありますから、特にお願いしたいと思います。  なお、きょうは余り触れませんですけれども、たとえばこの間からもめております竹島の関係だとか、言うなら韓国との関係、北朝鮮との関係あるいは中国との関係、こうした特に近隣各国との問題も大変これは大きな課題であります。具体的な指摘は今日は避けますけれども、ぜひそうした各国とのいわゆる国際的な観点に立ち、しかも日本漁業の今日までの形というものを十分に尊重しながら、それの確保のできるようにお願いをしておきたいというふうに思います。  そこで、一つは試験、実施期間中の加入実績でございますが、加入実績を見ていきますと、計画よりも上回りまして隻数で一二一%、それから契約金額では一二九%、それから純保険料では一〇四%、こうした形で、いずれをとりましても試験実施段階では計画を上回っている、こういう数字になるわけであります。いただきました参考資料も見せていただきましたけれども、こうした状況の中で、言うなら、計画を上回った実績を持つというのは、私は先般農災法の関係も御質問を申し上げましたけれども、これは相当珍しいといいますか、それだけやはりみんなが望んでいるし期待をしている、こういう性格であろうと思うんですね。  計画よりも実績が上回って、また繰り返しになりますけれども、なおかつ本格実施ができない。これは数字的に出てきたものから見ていくと、大変珍しいケースだと思うんですね。計画を下回っておって、データその他も整わないし、さらに取り巻く状況予測がなかなかむずかしい、こういう形なら私は話がわかるんですが、しかし計画をしていたことに対して一応上回っている。上回っておって、状況もこれからの予測が明確につく段階でなおかつ本格実施に移れない、こういうことになりますと、ちょっと腹に落ち込んでこないんですが、その辺はどんなものでしょうか。
  24. 森整治

    政府委員森整治君) 御指摘のように、隻数で一二一%、契約金額で一二九%、純保険料で一〇四%ということで、その面での計画は上回っておるわけでございます。しかし、問題は保険の設計の基礎になります損害率ということで、これは三四〇%からゼロというふうに非常にばらつきが多いといいますか、そういう結果になっておるわけで、これが一つ大きな問題になっておるわけでございます。  そこで、ここで計画を上回っているのだからもう実施してもいいのではないかという御質問の御趣旨のようでございますが、先ほど申しましたように、二百海里時代でいろいろ条件が変わってくる、それが今後の保険設計に当たりますデータに、危険率なり損害率に影響を与えてくるだろうという予測があるということと、それから危険率及び損害率が非常に変動があるということは、保険料の水準をどういうふうに決めるというそれだけの問題ではございませんで、たとえて言いますと、現在の漁業種類別、それからトン数別、トン数の階層別にいろいろ細分化された保険料率を設定をしておるわけです。それの区分をむしろ今後再検討していかなければいけないのではないか。  それから、危険率の変動幅が非常に大きい場合には、場合によりましては現在比例保険といいますか、そういう一割を残して九割を再保険にするという形をとっておりますが、場合によりましては超過保険方式を考えざるを得ない業種あるいはそういうものが出てこやせぬだろうかというようなことがございます。いわゆる、ちょっと細か過ぎますが、再保険方式と言っておりますが、それと、その場合に今度は超過保険的なものになれば、今度は中央会じゃ無理で、やっぱりむしろ国の方がいいのじゃないかとか、そういう問題も出てくるわけでございまして、結局、保険制度の基本になります事項につきまして、やはり十分な調査を行った上で設計をいたしませんと、事がこういう問題でございますから、私どもとしては慎重にその点対応してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  25. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 結局、ざっくばらんに言って、危険率が今日までの実績だけでは十分に定めがたい、こういうことにいまの説明はなろうかと思うんですが、いわゆる補償金額といいますか、今日のそれを保険すべき額が大変多額でありますから、少々利益があったって一発何かあれば一遍に消えてしまうという形は、この保険の性格上明らかなことだと思うのですね。しかし、それだけに、私はこれは大変重要な保険である。また、それだけに、みんなが待ち望んでおる保険である。ところが、そういう保険の性格でありながら、たとえば農業関係保険でいけば国が再保険をしている。ところが、漁業関係についてはこれは中央会がやっている。ここに基本的に問題点があるわけですね。  いま長官説明をされましたように、その保険制度の問題として中央会がやっているやつが、たとえばそういう状況になったら、危険率関係から言っていわゆる国の再保険制度というものを採用しなければならぬ、こういう考え方が一部出たわけですが、なぜむしろそのことを割り切って進めるという形にならないのか、どうも腑に落ちないわけですね。これは農業関係と違って漁業関係の力が弱いからそうなったんでしょうか、ちょっとひとつ御説明いただけませんでしょうか。
  26. 森整治

    政府委員森整治君) これは漁船保険中央会であろうと国でございましょうと、それぞれ利害得失というのがあると思います。ただ、試験実施段階でこの積み荷保険と船主の責任の保険というものを中央会にやらせましたのは、保険組合、こういうものを下部の引き受けにいたしまして、例保険方式をとっておるから、それに見合う保険料の収入でなかなか見合わないものについては国が債務負担行為をいたしまして、いざというときには国が出動をするということで、直接国が引き受けないでも同じ効果が期待できるのではないかということで、恐らく出発当時にいろいろな事情としてそういう設計をしたわけでございます。  今後、いま先ほど私が申しましたように、国が引き受ける方式あるいは中央会でいまのようなやり方をやる、あるいは中央会がやりましてそれをもう一つ保険にかけるというようないろいろな考え方があろうかと思います。これは今後のいろいろ実績を、データを見ながら、それとほかの保険制度となるたけ整合性を保っていく、ほかの保険制度といいますか、いま漁業関係でもやっておりますが、それをなるたけあわせていくやり方を、できれば統一させていきたいという期待なり意見もあるわけでございます。それらをいろいる検討の上で、基礎データができました段階でまた判断をさせていただきたいというふうに思うわけでございます。  当面の問題といたしましては、このままで進めましても別に赤字が出ているというわけではないわけで、むしろスムーズに事業が行われておるというふうに理解をした方がいいのではないだろうかというふうに思います。
  27. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 ぐるぐる回りみたいになるんですけれども、スムーズに行われておるから私は試験実施をさらに延長するということがこれまたおかしくなってくるんだし、それからほかの制度との整合性と言いますが、確かにいわゆる漁船損害保険ですね、それから積み荷それから船主保険——いわゆるPI、この三制度の問題についてはそれはいずれ総合的に統一をしていくという、こういう課題に立っていることは百も承知をしております。それはそういう形は形として、展望性があるんならなぜもっと速やかに行かないんだろうかという、いろいろな調整の必要はありますよ。ありますけれども、なぜもっとすんなりとその辺が出てこないんだろうか、ここに大変私自身としては不思議でならぬところがあるんですね。  こういう保険事業については、もう一つ考え方の問題として、私のこれは考え方が誤りなのかどうなのか、ちょっとお聞かせをいただきたいんですが、いわゆるそういう危険性が大変あるから、しかも一発危険な状態になると大変な損害をこうむることになるから、だからその保険の価値というものが存在をし、それを補償していくということが大変重要な課題なんだということで、このたてまえがあるというふうに私は思うんですね。そうなってまいりますと、そのたてまえの論議と、いま御説明のあることと、やはりどこか食い違っておるような感じがしてならぬのです。間隔を置いて何か私の質問と答弁とがすれ違っておるような感じがしてならぬのですが、その辺どうでしょうか。
  28. 森整治

    政府委員森整治君) 私ども、すれ違った答弁をしているつもりはないのですが、再三私ども申し上げておりますように、確かに先生指摘のように、非常に危険率が高い、事故が非常に価格が高い、そういうことで、事故が多発いたしますとまさに損害を補てんするという保険の需要が非常に大きいということで、保険としての存在意義が非常に大きいということは確かでございまして、また、試験、実施過程でそういうことが如実に出てきておるわけでございますけれども、先ほどから再々申し上げておりますように、ともかく漁場があるいは転換せざるを得ないとか、非常に何といいますか、加入の隻数が変わってくるとか、あるいは無理な操業をせざるを得ないとか、新しい地域へ出漁せざるを得ないとか、こういういろんな事情が出て変わってまいっておるわけでございます。そういうものを、さらにもう少し危険率の変動を、いろいろ漁業の種類別なり、トン数の階層別に今後さらにデータを集積をいたしていきたい。そういう上で先ほどの比例の保険制度がいいのか、超過保険がいいのか、あるいは保険の引き受けの主体としてだれがいいのか、そういうこともその中で見きわめてまいりたいということでございまして、そういう観点から、試験の期間延長ということをいろいろお願いをしておるわけでございます。  まあ最初から申し上げましたように、ある一定の期間データ、それでもうやれということならば、非常に割り増し的に料率を高くしてやるということ、これは民間の保険としては当然そういう形で、需要があればあるだけに、そういう形で入っていくということは当然だと思うのでございますが、むしろ私どもがやっておりますのは、やはり国が突っかい棒をして、国が関与をしながらやっていくということでございますれば、やはりもう少しデータを得た上で実施した方が妥当だということで判断をいたしておるということでございます。その辺のことは、いろいろ御理解をいただけるものと期待をしておるところでございます。
  29. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 やっぱりその後段の国が突っかい棒をしていくという、その姿勢の問題がやはり基本的に私ども考え方が違うのかと思うんですね、いまの御答弁を聞いていますとね。それで、たとえば、いろいろ言われておりますけれども、ポイントとしては漁獲量の問題、それから入漁料の問題、あるいは減船の形、あるいは漁場の転換の問題、あるいは操業海域、漁場の開拓、あるいはまたそうした内容変化に伴って操業日数が延長をされる、こうした新しいといいますか、二百海里時代を迎えた日本対応すべき幾つかの漁業上のポイントがございますね。したがって、それらが、たとえば船主保険だとか、あるいはこの積み荷保険に影響してくる。その影響してくる危険性を政府としてはやはり重視をし突っかい棒はするんだけれども、やや消極的にならざるを得ない、こういう結論じゃないんだろうか、いまのお話を聞いていますとね。もし誤りがあれば御指摘をいただきたいんですが、私、そういうふうに受けとめたんですが、間違いありませんか。
  30. 森整治

    政府委員森整治君) 消極的と言われますとちょっとあれなんでございますが、私ども考え方は、このまんまで非常にばらつきが多くてやるということになると、結局はやっぱり保険料を高くしていって安全性を見ていくという、これは国がやろうとだれがやろうと、保険でございますからそういうことになると思うんですが、それではやはりせっかくいままで保険料も下げて漁民の方々に喜ばれてきた制度でございますから、どうもそういうわけにもまたまいらない。しばらく試験実施ということで、形としてはむしろ弾力的に対応できる、法律でぴしっと決めてこれ一本だと、こういう形でやるということでなしに、いまのようにもう少し弾力的にいろいろ運用で工夫をして見ていくということの対応の仕方の方が、むしろ保険の設計またそれを実施する立場から、またそれの引き受けるといいますか、問題等から見ましても有利なのではないだろうかというふうに判断をいたしておるわけでございます。  再保険の方式をいろいろ検討をすることによりまして、そのやり方いかんではまた国の関与の仕方ももっと大きくなっていくということも考えられるわけでございます。これは、今後のデータを見た上でのやり方なりで考えていきたいというふうに思っておるわけでございます。
  31. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 消極的でないということですから、ぜひそれを態度というか、具体的な施策としてあらわしていただくように、期待を申し上げて次に移っていきたいと思いますが、対象漁業種類が当初の九種類から十二種に拡大をされました。これは大変結構だというふうに評価をしておるわけでありますが、さらにこれからこの対象種類自体を拡大をしていく、こういうお考え方があるのかどうか、こうした点、少し具体的に御説明いただけませんか。
  32. 森整治

    政府委員森整治君) 制度の発足のときには九漁業種類でございましたが、五十一年度に三つ、北洋のかご、サケ・マスはえなわ、サンマ棒受け網漁業を追加をいたしていま十二漁業種類やっております。  そこで、今後も対象漁業種類を拡大していくべきではないかという御質問でございますが、一応カジキ等の流し網漁業、これにつきましては総トン数二十トン以上を考えておりますが、それの追加と、それから現在対象としておりますカツオ釣り漁業の使用する漁船トン数の下限を引き下げる、現在総トン数五十トン以上でございますが、これを二十トンへ引き下げる、そういうことを現在検討中でございます。これにつきましては相当の要望もございますので、できるだけそういう線に沿って対応してまいりたいというふうに考えております。
  33. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 わかりました。さらにこの種類をふやしていただくこと、それから先ほども答弁がありましたしいまもお話がありましたが、ぜひ対象トン数の下限の引き下げですね、これはいま漁船の隻数とトン数別のランクをながめていきますと、この保険に該当しない形の漁船の方が圧倒的に多いですね。ただ、遠洋という形になりますと制限をされることは事実なんですが、たとえば、私どもの三重県内のいわゆる遠洋状況をながめておりますと、いわゆる沿岸漁業に本来なら従事をすべきような小型の船舶でも、二十トン未満のやつでも相当遠くまで行って漁をする、こういう実態として出てきておるわけでございますね。これは零細ですから、むしろ漁業災害の方に保険の種類としてはなるんでしょうが、それらにとりましても、この保険に対する魅力というものは相当あるわけでありまして、ぜひそういうトン数の下限ですね、これの検討については、さらにひとつ調査その他も進めていただいて、なるべくそれらが取り入れられるようにぜひともひとつ検討をお願いをしておきたいと思います。  それから、次に、これも先ほど御答弁がありましたから大体中身としては出ておるわけですから、確認のためにお聞きをしておきますが、いわゆる保険料率の問題ですね。この保険料率の問題は、先ほどの趣旨からいっても、いわゆるこの全体の採算といいますか、の形の中で、ゆとりがあればなるべく保険料をこれは安く抑えていきたい、こういう考え方に立って検討をされておるというふうに拝聴したわけですが、間違いありませんですか。
  34. 森整治

    政府委員森整治君) これは過去の実績といたしましてもそういうことをやっておるわけでございまして、たとえて言いますと、いろいろ調査結果をもとにいたしまして、四十九年には全漁業種類につきまして一〇%保険料率を引き下げる、それから、無事故の割引制を導入する、さらに五十二年には大型、中型のまき網等の四つの漁業種類につきまして一五%の保険料率の引き下げを行う、そういうことで漁業者の負担軽減を図ってきておるわけでございまして、現在の漁船の積み荷保険の収支状況もいいというふうに判断をしていいのだろうと思いますが、そういう状況でございますから、その収支状況をさらに勘案をいたしまして、無事故の割引の制度等を拡充するとか、あるいは漁業者の保険料負担の軽減を図るという方向で今後とも検討をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  35. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 次に、この積み荷保険事業の中で、赤字組合が二つほど出ているようですね。額的にはこの赤字自体は大変少ないものですし、考え方によっては一定のこの経年が、いわゆる年数が経過することによって解消する性格のようにお聞きはしているわけですが、その辺、特に赤字が発生をしたといういわゆるポイント、原因といいますか、この辺は那辺にあったんでしょうか。
  36. 森整治

    政府委員森整治君) 御指摘のように、漁船積み荷保険実施をいたしております組合が四十五ございまして、五十一年度に当期の損失金を計上した組合が一組合、それから、累計収支の方で見てまいりますと、五十一年度末で準備金が全体で一億一千万、一組合当たり三百万ございますが、それが、準備金がマイナスになっている組合が二つございます。その額は大したことはない——大したことはないというのはあれですが、五十万と九十万でございますから比較的少額でございます。  なぜそうなったのかという問題でございますが、結局、引き受けの漁船で、いろいろと他船と衝突したりいたしまして高額に及ぶ事故が発生をしたということが最大の原因ではなかろうかというふうに思っております。  中をよく見てみますと、一つの例は、支払保険金が二千九百万円、約三千万。それからもう一つのケースで言いますと、千七百万ということでございまして、こういう事故がわりに高額に出てくるということはやむを得ないことではないかというふうに思っておりまして、結局、準備金をもってしてもなお支払いに不足を生じている。ただこの問題も、長期的に見れば、保険ですからある期間に事故が発生して、またさらに保険料が入ってくるということになるわけでございます。そういう点から言いますと、そう大きな問題になるわけのものではなかろう。ことに、一割の責任しか持たせておりませんので、そういう意味ではこの程度の赤字、それから数ということであれば、まずまず心配はないのではないだろうかというふうに思っておるわけでございます。
  37. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 おおむねそういうことだろうと思いますが、ただ先ほどもありましたように、この積み荷保険にかかわるいわゆる事故は、件数とそれから要する保険の額とは相当大きな関係があるんじゃないか。だから、一回大事故ができるとそういうケースというのを繰り返し、それが積み重なったときに大変な問題なんですね。したがって、その積み重なったときにそれをきちっと、一時的にそれが出ましても長期の目で見ればなるほどということにはなるんでしょうけれども、ある程度見ていけるような措置というものはさらに検討していかなければいけないのじゃないんだろうかというふうに考えるわけでありまして、これはあえていま御答弁いただこうと思いませんが、これからの検討素材の中に少し盛り込んでおいていただきたいと思うんです。私もその辺もう少し検討しまして、いつかまた改めてその問題は少し提起をしてみたいというふうに考えているのが一つあるんです。そういうことですから、ぜひひとつ含めておいていただきたいと思います。  それから次に、八十二回の国会のときに私自身が質問もいたしましたが、漁業水域法で問題になりました罰金の関係ですね、これに対するてん補あるいは補償、この関係がことしの、五十三年度の漁業に対する施策の予定からいきますと、海外操業漁船損害補償事業という形で開始をされるというふうに、五十三年七月一日実施予定ですね、説明があるわけでありますが、制度上の問題として、それ一つでこれからやろうとされておるのかどうか。  それから、もしこの制度一本だということになりますと、ことしの場合六千三百四十六万七千円という金額が見込まれて準備されているんですね。しかもこの額というのは、積立金のいわゆる二十億の運用益からこれを出そう、こうされておるわけであります。もちろん、積立金がなくなるというふうには私は思いませんですけれども、積立金の運用益ということになりますと、もし運用益がなくなったときに一体これはどうなるんだろうという心配をせざるを得ないわけであります。その辺は、このてん補あるいは補償に対する制度上の問題とあわせてひとつお教えを願いたい。
  38. 森整治

    政府委員森整治君) 一般に拿捕保険と呼ばれておりますこの特殊保険なり乗組員の給与保険、これにつきましては、先ほど先生指摘の二百海里漁業水域法が成立をいたしましてわが国でも二百海里を設定をする。外国も、先ほど御指摘ございましたように、主な国が漁業水域二百海里というものを設定してくる。そういう国の漁業規則が次々と発令される。そういうことになってきますと、結局わが国もそういう漁業規則等には当然従わなければならない。わが国の漁民も当然そういう形になってくるわけでございまして、この結果、そういう二百海里内の外国の規制措置に違反をいたしました結果拿捕されたというような場合には、国が営む拿捕保険でそういうものを償っていくというわけにはいかなくなってきたということがあるわけでございます。  そこで、従来の特殊保険なり拿捕保険の機能する範囲というのは、そういう意味から申しますと、たとえて言いますと、北方の四島問題等そういう周辺水域でいろいろ漁業を行っておるというようなこと、そういうところでいろいろ問題が起こるということなり、あるいは外国の二百海里の外でいろいろ問題が起こるというような場合に、非常に限定をされた運用をせざるを得なくなってまいったわけでございまして、そういう観点から、今後はそうは言うものの、実態といたしまして、ソ連の二百海里内でいろいろ拿捕等が発生をする、まあいろいろな事情はございますが、そういうものもやはり漁業の経営者から見ますと、何といいますか、経営といたしましては非常な損害を受けるわけでございます。そういうことをカバーしていくという意味で、先生指摘のように、民間の組織によります関係漁業者の互助的な組織、そういう活動といたしまして、これらの拿捕のような、何といいますか、わが国の認めた二百海里内のいろんな事故、そういうものも拿捕なり罰金、そういうような事故を見ていってやろうということで、本年の七月から海外の操業漁船損害補償事業というものを発足をさせるということになって、その準備をいろいろ進めておるわけでございます。  そういうことでございますけれども、それの政府の助成の措置といたしましては、そういう事業を行うそういうものに対します、何といいますか、事務質的なものを政府がめんどうを見ていくということで、先ほどの数千万円の負担を特例会計でするということになっておるわけでございますが、その点につきましては、厳密に言いますと、漁船保険漁業共済保険特別会計、それの漁船特殊保険勘定というのがございます。これは漁船の損害補償法に基づきます特殊保険に関します再保険事業のいろいろ歳入歳出を経理するということになっておるわけでございますが、そこでその中の問題で、歳入は再保険料、借入金、積立金の利子、それから歳出は再保険金と借入金の償還金と利子その他の諸経費を歳出とすることができる、こういう規定になっておるわけでございます。  そこで、この特別会計からは漁船保険事業の健全な発展を図るための費用の支出が当然認められておるわけでございまして、漁船の普通保険勘定からは、検診の技術員の設置費の補助金ですとか、それから漁船保険組合の事務費の補助金等を交付しているわけでございます。  そこで、先ほど私が申し上げました海外の操業の漁船の損害の補償事業というのは、特殊保険の事故に該当する漁船の損害の予防及び防止を目的とするというものでございますから、その事務費を補助するということは、特殊保険事業の健全な発達を期するということに該当する、こういう見解を持っておるわけでございます。したがいまして、漁船の特殊保険勘定から積立金の利子収入の一部を見合いとしてその他の経費を支出できるわけでございます。そういうその他の経費の支出ということで、いま私が申し上げました補助を行いたいということを考えているわけでございます。  この事業そのものが、従来の特殊保険と相反するということでなしに、両立させていく。何といいますか、二百海里の中の事故でも、非常に重大な過失がないというようなものはできるだけカバーしていってあげようということで、二つ両立させながらやっていくわけでございますから、くどいようですが、要するにこの特殊保険をカバーしていくという、またそれを防止していくといいますか、こちらの支払いを助けていく、そういう事業として助成の対象として法律上読める、こういう見解を持って支出を決めておるわけでございます。
  39. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 わかりました。見解はいいんですけれども、具体的にアメリカがいままでの形からいくと一番罰金は多いわけですし、それに続いてソビエトというようなかっこうになっているわけでありまして、いずれにいたしましても、大変微妙なところの問題でありますから、そこに操業する人たちに対する指導はもちろんのことでありますけれども、そうした罰金等に対する補償の態勢というのは——確かに違反を日本政府が認めてそれを援助するなんという話は、国際的にこれはなりません。なりませんからその点は明確にしなければなりませんが、ぜひ安心して操業に精の出せるような、こういう形はぜひともきちっとして踏襲をしていっていただきたい。これが一つであります。  それから、さらに内容に入りますと、いままでの拿捕保険からいきました場合、それは十割、これは今度の制度からいくと七割というふうに聞いているわけですが、その辺はどんなものでしょうか。
  40. 森整治

    政府委員森整治君) 御指摘のように、今回考えております海外操業漁船損害補償事業というのは、二百海里等の施行によりまして損害を受けた漁業者に対しまして、その損害のうちの漁船の船体、漁獲物、漁具の損害、それから抑留中の乗組員の給与、それから罰金、そういうようなものの費用の合計額あるいは救済対象基準額というものを設けております。救済金の支払い限度額のようなものでございますが、それのいずれか低い額の七〇%以内を救済金として支払うということを予定をしておるわけでございまして、この損害額の七割を救済するということにしておりますのは、損害の全額を救済するということにした場合には、漁業者の損害防止のための意欲を阻害するというおそれがある、そういうために救済金は一定の範囲内にとどめまして、残額は漁業者の自己負担とする方が適当であるという判断をしておるわけでございます。  また、もう一つの観点は、救済の割合は損害の額の七割を救済するということで、一応漁業の再生産を確保することができるのではないかと考えたわけでございまして、簡単に申しますと、違反を助長するということにつながらないという措置というふうに御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  41. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 そうしますと、罰金を払わされた人のいわゆるペナルティー料が三割だと、こういう政府見解ですか。それはまた、関係者の意見その他はお聞きになってその問題はお決めになったんでしょうか。これはもうきちっとひとつ御答弁いただきたい。
  42. 森整治

    政府委員森整治君) いろいろな観点ございましょうが、一つ、意見を聞いたかということでございますが、当然これはいろいろ各方面の意見は一応拝聴をいたしておるわけでございますが、端的に言ってしまうと、ペナルティーというふうなことよりも、やはりそういう安易にいろいろ問題を起こしてもらっては困るということと、それからもう一つは、大体の料率の関係といたしましては約一%を考えておるわけです。したがいまして——したがいましてと言うのはおかしいのですが、そう高い金額にはならないように配慮をいたしておるわけでございまして、大体一%を原則として、救済対象基準額が上がりますと、一億ぐらいのそういうような場合には一・二%ぐらいになりますけれども、大体は一%ということでございます。そういう料率の関係考えまして、全額ということは料率面からも若干少し高くなるわけですから、そういうものも一応配慮したと。  もう一回申し上げますと、違反の助長につながらないということが一つと、それから適当な料率を定めるという意味で料率のアップにつながらないという二点から、一応七割という基準を決めておるというふうに御理解をいただきたいと思います。
  43. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 前の漁業水域法で論議をしましたように、罰金を取られるケースというのは、たとえば生活慣習の違い、あるいは漁業慣習の違い、あるいは資源に対する物の見方の違い、こうしたいろいろな問題等がありまして、大変この罰金を取られるケースというのは画一的でない。  そうなってまいりますと、いまのお話では、私、ちょっと問題があるのじゃないんだろうか。いま準備中ということでありますから、むしろ七割なら七割で線を引くのは結構ですけれども、あるいはケースによってはやっぱり一〇〇%補償していくというような形のものが考えられていいのじゃないんだろうかというふうに思いますが、その辺の幅を持ってこの制度を発足をさせる、そういうふうに指導をするという形のものがとれないかどうか、再度お聞きをしたいと思います。
  44. 森整治

    政府委員森整治君) 先生指摘の点は、まあそんなことを申し上げてはあれですが、よくわかるのでございますけれども、とりあえず七割てん補ということでひとつ発足させていただいて、その上で全体の収支状況を見ながら、むしろいま御指摘のような補てん率を改善をしていくというこうに考えたいと思います。
  45. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 やっぱり、一たん発足をしますしそれを改定するというのは大変なことなんですよね。だから、発足をさせるときに、むしろ私どもとしてはゆとりのあるもので発足をさして、それから、やっぱりそこまで必要がないんじゃないかというなら、逆にそれを改定するという考え方に立ったっていいんじゃないですか。いままで全然ケースがなくて、そして新たにつくる制度として七割から出発するというならいいんです、まだ。しかし、今日までいわゆる拿捕保険の中では一〇〇%やってきて、そしてそれが今度のいわゆる十二海里になったというようなことの中で、それが一つの国際的な感覚の中で問題が提起をしてきて、政府が直接介入ができないでこうなったと。だから、これは民間の事業者にそういう形をやらせるんだと、こうなっているわけでありまして、それはそれなりの状況変化はよくわかるんですが、変化がわかるからといって罰金の取られ方が変化するわけじゃないはずですね。  そうなってまいりますと、いままであった形は踏襲をするということを原則にしながら、そして状況を見て、そこまでする必要がないんじゃないかというなら、引き下げたって私はいいだろうと思う。いま言われておる形を逆にすることができないのかどうか、再度お願いしたいと思います。
  46. 森整治

    政府委員森整治君) 私の御説明がちょっと足らなかったのかもしれませんが、料率がアップすると申しましたのは、いろいろありまして、現在の特殊保険、いわゆる拿捕保険の料率の水準を横に置きまして、これよりもあんまり上がらない程度のということでてん補率を見ていくというやり方をしておるわけでございまして、そういう意味で、特殊保険の料率との連続線上で物を考えているというふうな意味もあったわけでございます。  そういう点で、要するに料率があんまり上がらない水準でともかく発足させて、それで事故がそう今後、まあソ連との間でもいろいろ事故の起こらないように、記帳の仕方や何か相当詰めまして、最近はもう非常に減ってきておりますから、そういうものを見ながら、今度はむしろ先生から御指摘のありましたようなてん補率を上げていくということを考えていきたいというふうに思っておるわけでございまして、その点ひとつ御理解を得たいというふうに思います。
  47. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 最後の質問になりますが、漁船損害保険ですね、それから漁船積み荷、それから船主責任、この三つの制度の統一の問題は、先ほども将来にわたって検討していくということで答弁が出ておるわけですから、その精神は了として、なるべく早くその具体的な検討を進めていってもらいたいと思いますが、そこで、漁業補償などいわゆる共済制度の諸制度との統合化の問題も、そこに一つ課題の問題があろうというふうに思うんであります。  そうした立場一つ具体的にお聞きをいたしておきたいことは、五十六年の九月に、いわゆるPIの試験実施期間が終わるわけですね。これと、冒頭御質問を申し上げました五年間延長するけれども本格実施はそれ以前でも条件ができればということと、時期的に大体歩調を合わせると、こういう目標設定ということができるのかどうかが一つであります。  それから、漁業災害補償法によるところのいわゆる共済制度、いわゆる漁獲、養殖、漁具、それからその他特定事業ですね。これの共済事業は、いわゆるいまの三制度あるいは三事業団体の検討とあわせてこれらの統一化とのかかわりは一体どういうふうにお考えなのか、お伺いをしたいわけです。  それからさらに、この共済制度のトータルをながめていきますと、三十九年から五十一年までの十二年間の累計で三億六千四百万円が実は統計的には赤字になっておるけれども、内訳をながめていきますと、五十一年度には二十億九千七百万円の黒と、こういうふうな数字になっていると思うんですが、この数字の状況からながめていって、これは健全に私はやっぱり発展をしている。そこで、総合的な組み合わせ、統一化の問題、そうして漁業関係にかかわるこれは一切のそこで働く人人の補償も含めまして、一つのまとまったものに仕上げていく時期に到達をしてきておるんじゃないだろうかというふうに考えるわけですが、お考えを伺っておきたいと思います。
  48. 森整治

    政府委員森整治君) 御指摘のまず最初の問題でございますが、漁船の船主責任保険試験実施の終了年次が五十六年ということでございます。今後漁船積み荷保険を五年間延長いたしますと、そこへ二年間のずれが生ずるという問題はございます。いずれにいたしましても、両保険——まあ船主の責任保険につきましては、これを延長するというつもりはないわけでございますから、両保険が可及的速やかに本格実施に移されるべきであるということは、それはそのとおりだというふうに思います。したがいまして、全体の総合的な保険制度あり方ということを早急に検討をいたしまして、基礎資料が整備されたものから順次本格実施に移行させていくという考え方でございますが、この二年間のずれはずれとして、先ほど申しましたように、むしろ今後漁船の積み荷保険データが、そこでもし本格的実施が早く実施してもかまわないということであれば、それはその時点で本格実施に移行させるということで考えてまいりたい。したがいまして、もう一つ逆に言いますと、いまからあらかじめその時期をそろえてやろうということを決めない方がいいのではないかというふうに逆に思っておるわけでございまして、したがって、五年間の一応試験実施期間延長ということをお願いしておるわけでございます。  それから、漁船保険なり、漁業共済、それから三制度、それから全水協の事業もございますが、そういう任意共済、そういう事業全体につきましていずれも漁業者が利用をしておる。そういうことのために保険、共済制度を一応統合するということ、あるいは窓口を一本化していくということは、一応抽象的にはそのとおりで必要なことだというふうに考えておるわけでございます。しかし、漁業に関します保険なり共済の制度が、それぞれの制度の仕組みなり国の関与の仕方というものが歴史的にもいろいろ違っておるわけでございます。いま現存をする制度につきまして、これを受け入れます漁協の態勢あるいは漁業者の漁業実態というものにもそれぞれの地域的にもいろいろ差があるということでございます。直ちに一元化なり窓口を一本化するということは、ちょっと困難な状況にあるというふうに思っております。  ただ、四十九年度に、先生御承知のように、学識経験者等によりまして検討会を開催していろいろ検討を進めて、その検討の中間報告ということで、一応現在の保険、共済団体が共同で都道府県の保険共済共同推進センターというものをつくってそれを運営していって、その成果を見ていろいろ判断をしていくということで、たしか五十二年から政府の補助をいたしまして、五県につきましてその推進を一応図る態勢をとったわけでございます。そこで、このセンターにおきまして、保険なり共済の各種の事業共同化して団体事務の合理化を図る、そういう試験事業実施しているわけでございますから、そういう試験事業の成果表見た上で、統合、一元化に対します具体的な方策につきましては、その段階でいろいろさらに検討をしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  49. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 センターの五府県の中に三重県も入れていただいておって大変ありがたいのですが、問題は、三年間ですから、大体政府がいままでデータを集めるのは五年間という話がありまして、これがまた三年たってなおかつ引き続きというようなことじゃなくて、やはり趣旨に従ってこのデータが出てくるように、ぜひもう少し突っ込んだ御指導があっていいんじゃないだろうかということを申し上げておきたいと思います。  それからなお大臣に、いまやはり統一化といいますか、総合的な補償のあり方について農業関係と比較をしましたときに、率直に言って、水産関係については立ちおくれている、そういう感じがしてならぬわけであります。そういう意味合いで、いま長官の御答弁ありましたけれども、さらにその態勢を強化をしていただいて、そして期待にこたえられるようにぜひひとつ御努力をいただきたいと思います。細かな内容はもう申し上げませんが、その基本姿勢の問題について、大臣としてぜひひとつ御見解の表明をいただいておきたい、こう思います。
  50. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) ただいま御指摘もございましたし、また、関係方面ともいま寄り寄り相談中でございますので、前向きで検討し、今日の水産行政の全きを期する一つの柱としてしっかりしたものにしたいと存じます。
  51. 川村清一

    ○川村清一君 坂倉委員から広範囲にわたっていろいろ御質問がなされましたので、私は、それを補足するといった意味で若干の質問をいたしたいと思います。時間もありませんので、答弁は簡潔にひとつお願いいたします。  それで、最初お聞きいたしますことは、実は私、昭和四十一年に提案されました漁船保険法の改正のときと、それから四十八年に提案されました漁船保険法の改正のとき、二回とも当委員会において質問をしておるんでありますが、四十一年のときに漁船保険勘定が非常に裕福で、剰余金がたくさんありまして、十二億円を中央会に交付している。同じく四十八年のときには、さらに三十五億円という膨大な金をこの漁船保険は中央会に交付しておるわけであります。それほど剰余金を持って裕福であった漁船保険組合というものがその後どういうような状態になっておるかということで、水産庁の方に資料をお願いして、いただいて検討してみますというと、四十八年に二十五億円も中央会に交付したその年に、単年度で四十七億六千百万円という損益を出しておる。同じく四十九年も単年度は損益を出しております。五十年度も同じ、五十一年度も同じであって、五十二年の見込みで何とか五千九百万円単年度で黒字を出すといったような見通しのようでございます。そこで、膨大な剰余金を持った、貯金を持った漁船保険組合勘定が、これはだんだん食いつぶしていきまして、四十八年のときには二十億七千万円という金を持っておったんですが、単年度の赤字がどんどん入っておりますので食いつぶしまして、五十一年度には九億一千六百万円まで減りまして、五十二年度見込みでもって九億七千五百万円と、こういうような勘定になっておる模様でございます。  そこで、私のお尋ねしたいことは、そんな裕福な勘定であった漁船保険組合勘定というものが、どうしてこの収支が悪化いたしましてこのような状況になったのか、その原因をひとつ端的に説明していただくとともに、合計で四十七億円も中央会に交付しておるわけでありますから、この漁船組合中央会というものが国から交付されたところのこの四十七億円というものをどんなことに使ってきておるのか、その状況等も、これも簡単で結構ですから、ひとつ御説明をいただきたいと思うわけです。
  52. 森整治

    政府委員森整治君) 御指摘の、四十八年以来非常に当期の損益で赤字を出しておるということについての問題でございますが、四十八年から、それまでは黒字基調であったのが、赤字になっておる。これは四十八年に、いま先生指摘の三十五億中央会に交付したほかに、さらに赤字を出しておるということでございますが、これは一時的な、一つは再保険割合を変更をいたしまして、一時的な支払い超過が出たということが一つ。それから、石油危機という事態が発生をいたしまして、いろいろ諸物価が高騰をいたしまして、その結果分損事故の修理費が上がるというような、そういう要因があったわけでございます。しかし、最近になりまして、こういう物価の鎮静という問題、それから五十二年の漁船強化基準の改定に伴いまして、再保険料を増収するという措置をとった結果、再保険収支は次第に改善に向かっているというふうに判断をいたしておるわけでございます。収支状況としては、これで一応落ちついてくるのではないだろうかという見方をしておるわけでございます。  それから、後段の御質問の十二億を四十一年に出しさらに四十八年には三十五億、計四十七億の交付金を漁船保険中央会に対しまして交付をいたしておるわけでございますが、これにつきましては、一つ漁船に関します損害の発生の予防防止、また調査指導、それから漁船保険の普及宣伝等の事業を行っておるわけでございます。具体的な主な事業項目といたしましては、海難防止の助成事業、それから無事故の漁船に対します報償事業、それから海難防止の対策に対します事業、それから漁船保険の先ほどの加入推進対策事業等でございまして、五カ年間の総事業費が約十三億ということに相なっておるわけでございます。これは先生御承知のように、一応漁船保険保険振興事業ということでやっておるわけでございますが、こういう事業を通じて一つのねらいといたしましては、保険事業の健全な発達のために収支を合わせていくということのために一応実施しているものでございます。
  53. 川村清一

    ○川村清一君 四十八年に、三十五億円を中央会に交付したその年に、単年度で四十七億も赤字を出しておる。そして、年々単年度赤字を出していって、ようやく五十二年度見込みで黒字に転化すると。それから、貯金も四十八年で二十億を持っておったのが、単年度赤字を出していますからだんだん減っていって、そして五十一年には九億に減ってしまったと。五十二年で、これは見込みなんですが、九億七千万円の黒字の見込みと。非常に財政が悪化してきておるということは、せんじ詰めれば四十八年に三十五億も中央会に交付したその時点における、いわゆる先行きの見通しというものが非常にまずかったんではないかと。いろいろ理由があると思いますが、弁解する言葉もあろうと思いますが、結果的に言えば、こう言われてもしようのないことなんですから、あえてこの責任は追及いたしませんが、見通しが悪かったと思います。しかし、もう過ぎ去ったことですから、これからはそんなことがないように、これが全部赤字になってしまったならば、今度は漁船が損害を受けても、漁船の損害を補てんしてやる保険金も支払えないというようなことになりましたならば、加入している漁業者に対して大変な迷惑をかけるということになるわけでありますから、そういうようなことが今後ないように、十分ひとつ注意しておっていただきたいということだけ申し上げておきます。  次に、この法律の一部改正する法律案提案されました。結局、この漁船積み荷保険というもの、これを審議するときも私質問したんでありますが、どうしてこれを五年間延期しなければならないのか。延期する理由提案理由にあるわけで、大臣説明されておるわけであります。それはつまり、二百海里時代に入ってきていろいろ漁業状況が変わったと。漁業形態も変わったと。この操業形態変化というものが、保険料率算定の基礎となる危険率等に大きな変動をもたらすと予想される、こういうことです。ということは、危険率が大きくなるだろうということを考えられて、結局保険設計がなかなかできない、料率の決定もできないからもう五カ年この試験実施を延期するという、こういう御趣旨なんです。で、私の立場から言えば、いまの形でやるならば危険率は大きくならぬ。  大きくならぬということはどういうことかと言うと、なるという理由があるとすれば、二百海里時代に入りましたので減船やそういうことでいわゆる漁業操業隻数が減ってきた。操業隻数が減ったということは組合加入者が減ったということですから、そういう意味においての危険率はこれは高くなるかもしれないけれども、しかし損害というものを考えてみるというと、これは後でも申し上げますが、いただいた資料を見るというと、試験実施しているいわゆる加入船というもののトン数はみんなほとんどが五十トン以上ですよ。専門家の初村政務次官もそこにいらっしゃいますが、あなたの持っていらっしゃるまき網漁船なんというものはずいぶん遠くの海まで行っているわけですよ。しかし、船が大きくなっていまは造船技術が進歩しまして、そうしてその船の中には最新の装備が完全になされておるんですから、しけなんかに遭って簡単に船が遭難して沈没するなんてことはそうそうないわけですよ。そういう要素を考えてみれば、危険率が大きくなるとは私は考えられない。  これは、水産庁からいただいたこの資料を見ましても、詳しくは言う時間がないから簡単にしますが、四十八年から五十一年にかけての平均危険率というものは〇・一五二です。そして五十一年の、五十一年と言えば大臣御承知のように、五十一年から二百海里時代に入ったわけですから、この二百海里時代に入った五十一年の危険率というものは〇・〇二九です。こういうことになっている。四十八年は〇・四一四、四十九年は〇・一二九、五十年は〇・二二三、五十一年は〇・〇二九、四十八年から五十一年の平均危険率は〇・一五二。五十一年は〇・〇二九。この数字が示しておるように、危険率が大きくなるとは私は考えられない。提案理由危険率の変動、変動ということは大きくなるということを予想されたと思うんです。それで本格実施に踏み切るのが早い、そこでもう五年間試験実施するんだと、こういうことなんです。そこの点が私には納得できないので、よくそこをひとつ説明してください。
  54. 森整治

    政府委員森整治君) 私ども考えておりますのは、今後二百海里時代ということでいろいろ漁場の転換がある、それから特定の漁場に集中な操業をせざるを得ないというようなこと、これらは全部一応危険率に関連する問題であろう。それから漁獲の対象物が変わってくる、積み荷の価格が変わってくるということがございましょう。それから操業日数がいろいろ変化をしてくる。そういうことでこれは危険率に影響してくるのと、いろいろ仕込み品が変わってくることによって価格が変わってくるのではないかということ。それから操業の隻数が制限をされる。これは先ほど先生から御指摘もございましたが、減船あるいは母集団の変化ということにつながってくる、あるいは漁獲量が規制される。そういうことによりまして、操業の密度が強化される。今度のサケ・マスみたいに、非常に厳しい状況になっておる問題も当然操業に影響してこないかという不安を持っておるわけでございまして、これはまた危険率につながってくるのではないか。それから操業海域が縮小される、これも濃密な操業を強いられるということで危険率が増大をするのではないか。  こういうようなことから、一応、先生の従来とそう変わりはせぬのではないかという御指摘でございますが、そういうことについて不安なり心配がある。そこで、危険率が変わる変わらないということもさることながら、何といいますか、非常にばらつきがひどいということを問題にしているわけでございます。  御指摘のように、漁業の種類別、それからトン数別ということでいろいろ考えておるわけでございますが、そういうことで、先ほど言いましたように、いろいろな基礎的なデータに今後変動が出てくるのではないだろうかということを申し上げたわけでございます。  そこでもう一つ、このデータを見ていただくのに大変あれなんですが、五十一年というのは、これは後でいろいろ注の方で書き込んだと思いますが、中間集計でございまして、要するに五十二年の三月三十一日までに引き受けを行ったものということになるわけでございます。それの中間の集計ということでございまして、具体的には五十二年の三月三十一日現在で支払ったものという——支払うべきものはあるかもしれませんが、まず支払ったものをここで整理をしておるということで、ちょっと先生資料をごらんになるのに説明不足で大変申しわけなかったわけでございますが、そういう問題がございます。したがいまして——したがいましてと言うよりも、二百海里時代というのが去年から実際に始まった。ことしが二年目で、むしろこれからのいろいろ事故というものをもっと正確に把握したいというのが、私どもの本旨でございます。
  55. 川村清一

    ○川村清一君 これからよく把握したいと、それを基礎データにして保険設計をしていく、料率を決めていくということはわかります。しかし、私は私の意見として申し上げたんで、それは絶対いけないということを申し上げているわけではないんです。私がいただいたデータの上に立って私の意見を述べているのであって、しかも、いただいたデータの中に「漁船保険中央会に対し、漁船積荷再保険金の支払資金補助のため、国庫債務負担行為を計上している。」とある。そうして、四十八年度分一億三千万円、四十九年度分一億九千四百万円、五十年度分二億四千六百万円、それから五十一年度分三億一千三百万円、五十二年度分三億八千百万円と、こう書いてある。ところが、今度は支払い金額。四十八年からずっと五十一年度までの「引受」と「支払」と出ておりますが、どの年度の支払い金額を見ても、国庫債務負担行為額をオーバーしているという年は一年しかない、あとは全部これ以下にあるわけです。この中にあるわけです。  そうすると、大体国庫債務負担行為というものを決められるに当たっては、この年度においてどのくらいの損害がありどのくらいの支払いをしなければならないかという、そういう設計の上に立ってこの債務負担行為金額というものを決めていると思う。ところが、どの年度を見てもこれ以下であるということは、あなた方が予想しておるよりも実際の損害は少ないと、こういうことなんですから、この点をひとつ考慮して、いただきたい。  さらに、あなたは、いま五十二年度末でもって支払ったと言っている。ところが、五十二年度末というのは五十一年だ。しかも、これを見ますと、「引受漁業種類」というところを見ますというと、一から十二までありまして、これはマグロはえなわ漁業遠洋底びき、北洋はえなわ、大中型まき網、沖合い底びき、カツオ釣り、中小型サケ・マス、以西底びき、イカ釣り、北洋かご、サケ・マスはえなわ、サンマ棒受け、南方の漁業もありますがほとんどが北方の漁業であって、北方の漁業は御案内のようにこれは昨年は三月まで操業しておりますが、四、五と休んで六月から操業しておるんで、操業日数もずっと少ないわけですよ。したがって、五十一年度そんなに損害が出ているわけがない。  しかも、中川農林大臣が大変苦労されてことしも日ソ交渉をやって決められてきましたが、隻数がずっと減ってしまって、そして操業水域がずっと規制されてしまった。そこで、いま長官のおっしゃった密度が濃くなったということはこれはあるでしょう。特に太平洋小型なんかは、いわゆる九・九九型というやつが実質的には二十トンも三十トンもでかいやつをつくって、これが以東に入れなくて以西へ入っていますから、したがって、あの海域はぐじゃぐじゃと込み入っていることば私もよく理解できますが、そういうことはできますが 全般的に考えて 私はそんな危険率が大きくなるというふうには考えない。  そこで、結論的に申しますが、これは坂倉委員も先ほどるる質問されておったんですが、積み荷保険が五年間延びたことによってこれは五十八年まで延びるわけですよ。一方、船主責任保険、これも私は前からこれを早く実施すべきであるということを言ってきましたが、これがようやく五十一年の十月一日から試験実施に入りまして、五年たってこれは五十六年ですよ。そうすると、この先に出た積み荷が五十八年だ、本格実施に入るのは。あと五年間また延ばせば別ですが、あと延ばさないで本格実施に入れば、先に走った積み荷保険の方が五十八年ですよ。ところが、後からスタートした船主責任の方は五十六年に早くこれは実施されると。  先ほど長官は、船主責任保険の方はもう延ばす気持ちはないということをおっしゃったから、だからこれは後からスタートしたけれども先に走り出すわけですよ。そうすると、先にスタートした積み荷の方が後になってしまう。これはひとつ問題ですから、まあ仕方ありませんが、できれば、五年法律が延びたけれども、大体予想はつくわけですから、その船主責任の方が五十六年に発足するわけですから、そのときにまた法律改正すると、いま十年間ということにしましても、五年間延ばしても、これは延ばすことができれば縮めることもできるはずだから、これを縮めて五十六年に一緒に発足できるように何とか鋭意努力してもらいたいということを、私はここで申し上げるわけです。  前々から私申し上げているんですが、水産庁は、この漁船と積み荷と船主責任を離していることがおかしいんですよ。そうでしょう。水産庁長官だからよくこれは御理解いただけると思うんですが、船が事故を起こしたと、仮にこれが沈没したと、沈没したらそれは船体だけじゃありませんよ。船体とそれからその船に積んでおった積み荷と、もう一つあるんだ。必ずそれに乗っている人だって損害を受けるんです、これは。ですから船と積み荷と人、もっともこの人の方は、労災であるとか船員保険であるとかということでこれは損害補てんされますけれども、しかし、その船を持っておるところの船主というものは、それ以外に人的な賠償であるとか物的な賠償であるとか、これは損害賠償をしなければならない。  でありますから、これを別々に分けていることがそもそもおかしいんであって、同時にこれは走らなければならないものだ。ところが、一つの歴史的な経過があって、漁船の方は先に走っていった。これはいいですよ。次に積み荷が走っていった。そうして、ようやく船主責任の方も走っていったと。ところが、さっきも申し上げましたように、今度は後から走った船主の方が先になって、積み荷の方が後になるなんということはぶざまですから、何とか法律を改正してこれは一緒に走るようなことに検討していただきたいと私は思うんですが、この点はひとつ大臣の御見解をいただきたいと思うわけです。
  56. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 御指摘のとおりでございまして、故意に遅くしたわけでもありませんので、データが不足であるという判断実施をいたしました場合に現実と違っておってはという判断からでございますので、早急に資料を集めましてできるだけ早く、五年だから五十八年というかたくななことではなくて前向きでやってみたいと、こう思っております。
  57. 川村清一

    ○川村清一君 ぜひこれからの試験実施を緻密にやっていって、そしてデータをそろえて、そして保険設計をきちっとつくられて、そうして船主と一緒に出発されることを強く私はここで要望をしておきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  それからもう一点、漁船組合のことでお尋ねしますが、漁船組合も非常に財政状態がばらつきがあるわけです。それは今度は保険料率、それから付加保険料率に大きく影響してくるわけであります。それの一番の大きな原因は何かと言うと、その組合ごとに加入している隻数が非常にばらついておるということ。たとえば、これは大臣御承知のように、北海道には漁船組合というのは八つあるわけです。八つを申し上げますと、南後志、それから根釧——根室、釧路ですね、それから小樽湾、宗谷、留萌、それから日高、胆振、十勝の日振勝、それから道南、北見、八つの漁船組合があるわけですが、その隻数を見ますというと、何といっても根室、釧路は断然多くて八千二百二十六隻、道南は、これは小さな船ですけれども、あの道南にはコンブやイカ釣りのたくさん船がありまして、ここは八千三百六十七隻、日振勝は四千七百二十五隻、少ないところへいきますと南後志はわずか六百三隻、留萌の組合は六百九十三隻、このように組合の加盟隻数が非常にばらつきがある。  そういう関係で、付加保険料の平均料率というものが南後志は一・三五%、ところが根釧はわずか〇・三一、それから少ない留萌は〇・八〇。船の隻数の多い組合は、これは保険ですからその保険料率が下がってくるわけです。これは全国的に見てもそうなんです。たとえば東北地方はこれは漁業が盛んですから、たとえば岩手は〇・二七、宮城は〇・一六、しかし同じ東北であっても秋田や山形は余り漁業が盛んでありませんので、秋田は〇・八七、山形は〇・七四、大阪になりますと一・二六、岡山は〇・九三、広島は一・二六、こういうように、漁業地帯で漁船組合に加盟しておっても隻数の少ない組合、これは掛金が非常に高くなるわけです。  そこで、私が前々から言っていることは、県に一つのところはこれは合わせろったってめんどうでしょうけれども、これはなかなかできることではございませんが、たとえば北海道のようなところは八つの組合があるわけですから、これを統合合併することができないかどうか。たとえば漁業協同組合には合併促進法があり、農業協同組合にも合併促進法があるように、合併してそうして隻数を多くすることによって結局は加入する漁業者の負担が軽くなると、私はそう考えるんです。  そこで、そういう方向に向けて検討を強めてもらえないのかどうか。これは私は初めて言っているのじゃなくて、もう十年前からこういうことを言っているわけですが、しかし依然として変わらない。もちろん、これは何ぼ水産庁指導しても、たとえば漁業協同組合の合併であってもこれはなかなか容易でないことは十分わかります。漁業権をめぐっていろいろ組合間の争いがあって、合併がなかなかできない。だから、いまなお道南あたりには小さな組合がたくさんあるわけですが、こういうような上に立って、漁船組合なら合併しても大した問題はないと思うんですが、この辺はどういうふうなものか御検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  58. 森整治

    政府委員森整治君) 御指摘のように、非常に付加保険料につきまして、先生いま御指摘のとおりいろいろばらつきがあるわけでございます。そういうことで、それはその原因先生指摘されましたけれども、私どももそのとおりだと思っておるわけでございます。  そこで、そういう弱小の漁船組合は統合した方がいいのではないか。これも一般論としては私ども全く先生の御指摘のとおりに考えておるわけでございますが、しかしながら、具体的な話になりますと、地域の漁業の事情なり対象漁船の特殊性といったようなもの、そういうことから、いろいろ保険事業の運営を適切に図るという点から、統合によります功もありましょうが、罪といいますか、ごたごたというような問題もあるわけでございます。当然いま先生がおっしゃいましたような考え方につきましては、私どももそういう線でひとつ努力はしたいというふうに思っておりますが、いろいろ個別の事情というものをそれぞれ整理をしていかないと、かえってトラブルが起こるわけでございますから、そういうことも避けながらひとつ統合ということをなるたけ、組合の漁業者の負担ということを考えますと、当然その方が妥当であろうというふうに思いますので、できる限りその線で指導はしてまいりたいというふうに思います。
  59. 川村清一

    ○川村清一君 一般論としてわかるけれども実際はなかなか困難だと、困難はもう承知で言っているわけでありますが、全部北海道の八つを一つにせいなんていうことを私は言っているのでないのであって、たとえばこの南後志が六百三、留萌が六百九十三、この留萌の六百九十三を宗谷と合わせるとか、これは南後志の六百三というものを、小樽湾というのがあるんだから小樽湾に合併するとか、こういうような措置、私は素人考えだってこれは合併させても非常に合理的だと思うんですね。こういうことも実際問題としてなかなか困難だなんて言っておったら、できっこないですよ。  漁業協同組合の合併だとか、農業協同組合の合併なんてできっこないですから、特に漁業協同組合の合併なんていうのは、小さな弱小組合であっても、その前浜のいわゆる漁業権を持っているわけですから、これはなかなか合併はむずかしいですよ。ところが、漁船保険は別段漁業権を持ってどうとかいうわけじゃないですからできないことはないと思いますが、ひとつ検討してください。絶対できませんなんて言わないで、合理的にすることはいいことなんだから、私も絶対せいなんて言わない。することが好ましいと思うので、それが漁業者のために決して不利益にならない、むしろ利益になるという、こういう観点に立って申し上げているのですから、かたくなにならないで、ひとつぜひ検討していただきたいということだけ申し上げます。  それから、時間がありませんからもう一点お尋ねしますが、漁業災害補償にはいわゆる漁済があるわけです。漁業共済というものがある。そして漁船は、漁船と積み荷と船主責任保険と、こうある。農業の方は、先ほども坂倉さんがおっしゃっておりましたが、農業災害補償法というこの法律の中にみんな入っているわけなんだ。全部入っているわけだ。家畜共済も入っていれば、畑作共済も入っていれば、果樹共済も入っておれば、皆入っておるわけです。ところが漁業は、いわゆる漁業共済というものと、それから漁船保険漁船積み荷保険、それから漁船船主保険、しかしこれはそれぞれ保険設計が違いますから勘定が別であるという、これは農業共済だって勘定は別になっている。しかし、この中に全部入っているわけです。で、これは歴史的な経過、その走り出した年次が皆違いますので、違う、こうなっていることもわかるんだけれども、みんなそろったら一つに入れることができないかということ。  それからもう一つ、これも私の年来の主張なんですが、漁業共済というものは、その共済の事業の性格上からいって赤字が必至なんです、これは。これが黒字になるということは、これはなかなか容易なことでないんですよ。なぜかと言えば漁獲共済、そして養殖共済、漁具共済、特定養殖共済、特に養殖共済のようにハマチの公害とか、ああいう災害を受けたりして、どうしてもこれは赤字になります。したがって、いただいた資料を見ましても、漁業共済の方は総合収支でもって五億六千万ほどの黒字を出しておりますが、漁済連の再共済の方の収支はこれは赤字で、六千四百万円の赤字を出しておる。特に養殖共済などはこれはもう赤字が非常に大きいと、こういうようなこと。これは赤字を出してけしからぬということでなくて、赤字が出るようなこういう事業の性格なんですよ。  そこで、これをまず勘定が違うから漁船の方で金が余っておったらこっちの方に回せということもなかなか困難だとは思いますけれども、何とか一本の仕組みの中に入れて、そうしてたとえば漁業共済というのは、漁獲にしたって養殖にしたって、全く沿岸漁業者なんです。ところが積み荷なんかは、これは今後ずっと下限を下げてもらわなければ沿岸には何にもこれは関係ないことになりますけれども、しかしいま試験されておるのはほとんどが五十トン以上、そして中に二、三、二十トン未満というものがある程度なんですから、ですから、こちらの方は私は赤字が出ることが非常に少ないのではないかと思うんです、将来にわたって。赤字が少ないということは料率を下げろということなんですが、料率をやっぱり下げてもらわなければならぬけれども、それではこれは漁済に比べては勘定が裕福な勘定になると私は思うんです。ですから、沿岸漁民のために、共済の方に何とかもっと余ったような金があればこう回してもらえるようなそういう仕組みをつくるように検討してもらえないかどうかというのが、長年私の主張しておることなんですが、この辺どうですか。水産庁長官、検討してみる気はございませんか。そういうような、私の言っていることがとっぴですかな。
  60. 森整治

    政府委員森整治君) いまとっさの御質問でございまして、ちょっとお話そのものにつきましては非常に何かいいような感じはするのでございますが、ただ特別会計という制度をとっておるのと、基金という制度をとっておるのと、その相互の金の融通のし合い方ということになるように思いますから、制度的なというよりも、法律的な何か枠が非常にあって、相互の彼此流用を考えていくというには、ちょっと運用だけでは無理なような感じがいたします。  なお、せっかくの御意見でございますので、私ども趣旨につきましては非常に結構なお話でございますから、前向きにひとつどういうことを考えたらよろしいか、もう少し検討をさせていただきたいというふうに思います。
  61. 川村清一

    ○川村清一君 とっぴな御意見だとか、初めて聞いたとかということをおっしゃらないで、先ほど申し上げましたように、私は、昭和四十一年のときにもやっておるし、四十八年にもやっておるし、同じようなことをこれは三回も言っておるわけですから、会議録に載っているんですがね。水産庁長官までごらんになるということはこれはなかなかだと思いますが、一体、事務当局の若い職員の方々は少し会議録でも読まれて、そして、この法律の改正案というのは何回も出ておるわけですから、前に審議したときにはどういう質問があった、前の審議のときにはどういう質問があったというぐらいお読みになって、ああこういうことをやっておったな、そうするとまたあれをやるんじゃないかぐらい考えられまして、そして上司の方に、こういう質問が出るかもしれないぞといったようなことを、ひとつ話ししておいていただきたいと思いますな。こっちは言いっぱなしで、会議録にせっかく載っておったって、一向読んだこともないということじゃ非常に困るんで、その点は少しちゃんとしていただきたいと思います。  そして、最後ですが、漁船保険の不正受給というものは、そういう事件は最近ありませんか。昔はよくあったものですわ。ちょうど火災保険で、自分で放火して家を燃やしてしまって火災保険を受けるみたいに、船の底に穴あけて船を沈没させて、そして不正に保険金をとるなんという事件が昔はちょいちょいあったものですが、最近はそういうことはございませんか。そういうことがあったら大変ですから、ないように十分指導してもらいたいということを申し上げて、そして御答弁をいただいて、私の、質問を終わります。
  62. 森整治

    政府委員森整治君) 私、最近そういう事故が特にあるというふうには聞いておりません。そういう問題につきましては必ず現地調査を行う、それから調査に当たっては各保険組合なり中央会、水産庁、相互に連絡をとって調査を実施する、場合によっては海上保安部とも情報交換を行う、いろいろそういうようなことで、不正防止につきましては御指摘をまつまでもなく、十分指導に努めてまいりたいというふうに考えております。
  63. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 本案に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時五十分再開することとし、休憩いたします。    午後零時五十四分休憩      —————・—————    午後二時一分開会
  64. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、漁船積荷保険臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  65. 下田京子

    ○下田京子君 午前中他の委員から全般的なことについては御質問がありましたが、特にその中で三点にわたって、積荷法のこの改正、五年間延長ということで御質問申し上げます。  その第一が、赤字発生組合に対する問題ですけれども、先ほどの長官の御答弁でも、また衆議院の委員会での御答弁にもありましたけれど、現在四十組合中二組合が赤字だと、その赤字を出しているところは福島県、徳島県と聞いております。さらにまた、その赤字の額はといえば五十万、九十万で、長官のお話ですと大した額ではないというふうなことですけれども、これが今後の二百海里というふうな状況の中でどういうふうに変わっていくか、また福島県のように、ことしの三月時点で三十四隻という非常に加入隻数が小さいようなところ、こういったところで大きく赤字がふくれ上がるというふうなことがないとは断言できない状況は御認識かと思うんですが、このことについて具体的にお尋ねしたいわけなんですが、険の約款、この第三条ですね、「漁船積荷保険の再保険金額は、指定組合の保険契約に係る契約金額の百分の九十とする。」、これらを検討し、変更する考えがおありなのか。  あるいはまたその絡みですけれども漁船損害補償法第百十六条及び同法施行令附則第十九条の規定に基づき、特定の危険区分を指定する件ということでもって、この場合には特定八組合について昭和四十八年十月一日から農林大臣の告示で行っているものですが、九十五というふうな再保険の割合を決めているわけです。こういった絡みでもって検討されるのかどうか、お尋ねいたします。
  66. 森整治

    政府委員森整治君) いま御指摘のように、二組合が赤字を出しておるわけでございます。この問題は、現在、御指摘のように、九割再保険に比例保険で掛けておるということで、これは約款上そういうことになっておるわけでございますが、そこで、ずっとその組合が赤字になるというふうにはわれわれいろいろ事故の原因等から見まして考えておらないわけです。一つは、たしか燃料パイプの亀裂で、北洋はえなわの刺し網、タラはえなわの船がそういう事故で漁獲物の損害を生じたということでございますし、徳島の関係では、他船と衝突をして漁獲物に損害を生じたということでございますから、今後現在の料率というものが長期的に見れば一応ならされるというふうに考えておるわけでございます。しばらく模様を見て、この事態を、今後の赤字の状況を、収支状況をさらに注意してまいりたいというふうに思っております。  そこで、もし——もしでございますが、ある組合で非常に事故が多発するというような事態が実際に起こってくるということがあるといたしますと、その原因をしばらくよく調査いたしませんとこれは問題でございますけれども、再保険方式が今後そういう場合にいいのかどうかというもちろん検討の課題になるわけでございます。現在のところ一対九の比例保険、九割も上げてしまうということで、したがって赤字の額も少ないということになっておるわけでございますから、これでいけるのではないかと思っておりますが、もちろん御指摘のように、さらに赤字がふえるということであれば、検討することについてやぶさかでございません。
  67. 下田京子

    ○下田京子君 答弁は簡潔にお願いします。  いまのことでは、一方では赤字が出る心配はないだろうと申しながらも、しかし、赤字が出るということも予想して、いま私が申し上げたような再保険あり方等についても検討するというふうな御答弁と受けとめてよろしいでしょうか。  それと絡みなんですが、第二番目に、対象漁種の拡大あるいはトン数制限の緩和ということについても、これは具体的には大目流し網や、あるいはカツオ漁船についてのトン数をもっと、現在五十トンのものを二十トンにするとか検討されているとお話を聞いておりますが、これを検討するということは、具体的にそろそろ来年度予算の資料を整える時期だと思うのですが、概算要求として盛り込むおつもりかどうか、そのことをお尋ねしたいわけです。
  68. 森整治

    政府委員森整治君) 御指摘対象漁業種類につきましては、カジキ等流し網漁業、一応二十トン以上の追加と、それから現在対象としておりますカツオ釣り漁業トン数の下限の引き下げ、五十トンから二十トンに下げるということにつきまして検討いたしたい。具体的に申しますと、今年度調査をいたしまして、それに基づきまして来年度実施の方向で検討を行いたいということでございます。
  69. 下田京子

    ○下田京子君 来年度実施の方向で検討を行うということは、もちろん概算要求として出していきたいということかと理解いたします。  三番目なんですが、五年間のさらに試験実施延長ということですが、できれば資料等が整えば、五年待たなくとも早急にというふうなことからお尋ねするわけなんですが、本格実施に移った場合の制度ですね、現在は中央会に再保険を任せている。聞くところによれば、本格実施になったら国がやろうというふうなお話も承っているわけなんですが、その辺の御見解はどういうところでしょう。
  70. 森整治

    政府委員森整治君) 本格実施をする場合の元請の保険者につきましては、従来どおり漁船保険組合ということが適当であろう。それから再保険をする再保険者につきましては、一つは国が再保険をするということ。それから二番目の案としましては、試験実施で現在やっておりますとおりに漁船保険の中央会が再保険を行うという案。それから三番目に、保険中央会がさらに再保険を国に行う。漁船中央会が再保険を行いまして国が再々保険と言った方が正確でございますが、そういう案が考えられておるわけでございます。  いずれも一長一短ございますし、また先ほど申し上げましたように、再保険の方式といたしまして比例方式がいいか超過がよろしいかというような問題もありますが、そういうものとの関連で国なり中央会なりという考え方、あるいは再々保険ということになろうかと思いますが、いずれにいたしましても、試験実施期間が終了いたしますまで、また本格実施をいたしますまでに、いろいろ御意見ございますから、漁船に関します保険事業全体の組織、体系のあり方とも関連をさせながら、また漁船保険中央会の今後の位置づけも考えた上で、どういう再保険の方式がよろしいか検討をしてまいりたいというふうに思っております。
  71. 下田京子

    ○下田京子君 大臣にいまの三点も含めてお尋ねしたいんですが、すでに二百海里時代になって第二年目になっているわけですから、資料が整わないというのはわかりますけれども、速やかに資料収集あるいはいろいろなことを予想して本格実施に移れるように、いろいろな再保険あり方だとか、関係団体との話し合いだとか、何よりも漁民の皆さんの利益をまず守っていくという立場から本格実施に向けて御努力いただきたい、その決意をいただきたいわけです。
  72. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 午前中も答弁申し上げましたが、五年間の試験実施ではございますけれども、なるべく早く基礎資料を整え、関係方面とも話し合いの上、できるだけ早くこれが本格実施ができますように、五十八年まで期限は延長になっておりますが、五十八年やるということではなく、できるだけ早く漁民の期待にこたえたいということでございます。
  73. 下田京子

    ○下田京子君 次に、今度の法案がさらに五年間の試験実施延長をと出されてきたその大きな理由が、漁業をめぐる国際的な環境問題というのがその中心であるわけです。その絡みで、すでに他の委員の方からもいろいろありましたけれども、ひとつ韓国漁船の操業問題に絡んでのお尋ねをいたします。  これは御承知だと思うんですけれども、去る四月の三日、北海道の漁民の皆さん方が東京の全共連のビルに集まりまして、もう会場いっぱいに日韓政府協定を急いでほしい、韓国漁船の操業旧制をしてほしい、被害の救済対策の確立をと、こう言われておったと思います。特にこのことについては、もう片や韓国は二百海里云々ということでもってどんどん勝手にやられているわけですけれども、北海道の沿岸の漁民の皆さん方は大変困っているわけです。こういうふうな状況の中で、二十三日、二十四日と日韓双方の民間団体でのいま話し合いが進められているということを聞いておるわけなんですが、まず操業ルールの問題だとか補償の問題だとかあるわけですけれども、一番北海道の漁民の皆さんも日本としても大事なところである水域問題、これらは日韓民間漁業協議会の中でどういうふうな形で議論になっているのかどうか、そのことをずばりお尋ねしたいわけですが、大臣いかがでしょう。
  74. 森整治

    政府委員森整治君) 問題は三つございまして、御指摘のように操業水域の問題と操業のルールの問題、それから被害処理の問題、三点ございます。第二、第三の問題について、ただいま民間相互にいろいろ話し合いが行われておりまして、一日延長されましたが、恐らくきょうじゅうにはまとまるのではないだろうかというふうに推測をいたしておりますが、一番最初の御指摘の操業の水域の問題につきましては水産庁同士の話がなかなかつかない、したがいまして、民間の話もこれもつかないという状況でございまして、先般、政務次官が韓国に参りました際に、改めて外交ルートを通じてでもこの話を続けたい、整理して話し合いをしたいということで相手方に申し入れをした次第でございます。今後、いろいろむずかしい問題ではございますけれども、私どもとしましては、積極的にこの問題の解決に向かって努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  75. 下田京子

    ○下田京子君 いまのお話ですと、二十三、二十四ですか、二日間の予定が延びたのは、どうもやはり水域問題が絡んでいるんじゃないかということを言われているそのことをお認めのようなお話だったかと思うんですが、これは民間レベルの話し合いでありますけれども、その辺のことをどういうふうに聞き及んでおりますか、また見通しはどうですか。大臣、いかがでしょう。
  76. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 先ほど水産庁長官から答弁申し上げましたように、北海道沖の韓国問題は三つございまして、被害補償の問題と、それから操業ルールを守ってもらいたいということと、操業水域について、これは十二海里外のいわゆる公海、日本と韓国との場合では公海でございますが、わが国も操業規制をいたしておりますから、それとの関連のこの三つの問題がございます。  それで、昨日来、きょうまたやっておりますのは、規制の問題と補償の問題でございます。ルールといまの補償の問題については、まずまず話し合いがつくのではなかろうかなあという感じでございます。ただ操業水域になりますと、向こうも公海であるからということで簡単には引けないということになっておりまして、これはまだ局間の話し合いに移っておらないわけです。政府間で外交ルートででもやろうか、そうなってまいりますと、また西の方でわが国が今度はダメージを受ける。そういうようなこともあって非常にむずかしい問題ではありますが、これは政府としても、北海道の漁民が苦しんでいる実態でございますので、何とかひとつうまい解決はないかなあ、初村政務次官にも行ってもらったり、いろいろいま手を尽くしているところでございまして、ルールと被害補償についてはまずまず話はつきますが、水域につきましては、これからまた最善を尽くして漁民の期待にこたえたいと、鋭意やっておるところでございます。
  77. 下田京子

    ○下田京子君 ただいまの大臣の御答弁ですと、ただいま日韓の民間漁業協議会が開かれている、そのお話し合いの中ではルール問題、補償問題についてはおよそまとまるという方向に来ている、ただ水域問題については、どうもこれはなかなか民間ベースでということでは問題なので、そこは日本としても引けないところで、政府間として責任を持ってやっていきたいというふうに理解したわけなんですが、それでよろしいですね。——大臣にいまお尋ねしました。
  78. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) もう一回ちょっと簡単に言ってください。
  79. 下田京子

    ○下田京子君 簡単に言えば、いま民間で話していますルール、補償はもういい、大体まとまりそうだ、水域問題は民間ということにもならないから、これは政府で責任持ってやっていきますというふうに受けとめたわけですが、よろしいか。
  80. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 金額の方も何ぼ何ぼということはもちろん決まりませんが、今後にまで残るところはありますが、今回は今回で話し合いがつくだろうと、こういうふうに見ております。  それから、操業の区域についてはまだ民間におろす段階になっておりませんので、政府間でこれから責任を持って、できるできないは別として鋭意責任ある立場で努力したいと、こういうわけでございます。
  81. 下田京子

    ○下田京子君 基本的なこととしては努力をしたいという御答弁をいただいたわけですが、いまの大臣のお話の中で、言葉だけをつかんでどうこうじゃないんですが、できるできないは別としてということでは、これは問題だと思います。やっぱりできる方向でもって御努力されておるわけでしょうし、そうしていただかないことにはこれは大変な問題であるわけで、そのかみ合いで政務次官は韓国まで行ってこられたわけで、補償、ルールは別として、水域問題はどうだったかというその辺の感触も含めて、今後見通しあるかどうか、その点に限って御答弁いただければよろしいんですが。
  82. 初村滝一郎

    政府委員(初村滝一郎君) 水域問題は、御承知のとおり、大臣から答弁がありましたとおり、公海ということを韓国は原則に立てるわけなんです。わが方はオッターラインという規制区域をやっておるわけです。その中に向こうさんは、韓国の漁船が入ってくる。それをいま民間関係でもやらせるのだけれども、なかなか民間で片がつかない。そこで、私は韓国に行って、実はオッターラインの操業の禁止の問題については外交ルートを通じてやるかもわからないと、やる用意もありますからそのときはひとつ協力を願いたいという申し入れをしたわけなんです。ところが向こうの大臣は、日本が外交ルートでやるならば仕方がないが、できるだけいま民間団体との協議等もあるのでそれで詰めて、できぬときには仕方があるまい、外交ルートを受けて立とうという感触を受けました。  したがって、現在のままであれば、これはやっぱり早急な円満な解決はむずかしいのじゃないかという私は感じで受け取っております。そこで、さっきも言ったとおりに、外交ルートに乗せて話した方が早いのじゃないかという感じを受けました。
  83. 下田京子

    ○下田京子君 この問題はいまに始まったことでなくて、前鈴木農林大臣のときにも、非常に希望の持てるような確信のある御答弁を繰り返しいただいているわけなんです。しかし、それでいまのお話聞きますと、また非常に大変見通しの一方では暗い感触のような御答弁なんですが、これは日本政府の姿勢というものが非常に大事だと思いますんで、その辺はいろいろありますでしょうけれども、本当に操業の秩序確立して民間任せにしないで政府間でやらなければもうどうにもならないというところに来ているわけですから、さらに引き続き努力をいただきたいということをお願いしておきたいと思います。  続いて、これまた韓国絡みの問題なんですけれども、いま大きな問題になっておりますいわゆる竹島の問題、この竹島周辺でのイカ漁をされている漁民の皆さん方が、特に島根あるいは鳥取ですね、もう何度も政府の方にも御要望があると思いますし、聞けば独自に両県の県会議員さんたち、外務省を通じてでも韓国に飛ぼうかというお話もあったと。だけれども、どこからそういう指示が飛んだか定かではないんですけれども、きょうあたりの地元紙に、地元紙というのは島根や鳥取の新聞によりますと、状況が好転してきているというふうなことでしばし待てという報道が出されているわけですね。こういう状況を新聞やいろいろでは聞き伝えているんですけれども、実際現況がどういうふうな状況になっているのか、まず現況を説明いただきたいんですが、まず農林省さん。
  84. 森整治

    政府委員森整治君) 当初、イカの漁況が非常に竹島周辺でようございまして、三月、四月が禁漁でございます。五月にちょうどイカの解禁がありまして竹島に漁場が形成される。そこで、日本漁船が相当数集まりまして、八日ごろそれが問題になった。そこで、直接向こうの警備艇が出まして退去を要請をし、日本漁船は全部十二海里の外に出たということでございます。その後そういう状況で、イカ、カニかごの漁業が一時中止をされたということでございます。  そこで、私どもといたしましては、外務省を通じていろいろ抗議をし、また大臣自身もいろいろ折衝に当たられまして、ただいまのところ事態は好転をしておるというふうに判断をいたしておるわけでございますが、基本的な解決ということには、今後さらに努力をしていく必要があるというふうに判断をいたしております。したがいまして、当面のイカ釣りの漁業につきましては、恐らく例年の例でございますと六月の中旬まで、あるいは上旬ぐらいまでの時期でございます。この間のイカ釣りの漁業は何としてでも確保したいということで、鋭意努力をしておるという状況でございます。
  85. 下田京子

    ○下田京子君 ただいまの長官の御答弁の中には幾つかの問題がまとめられてお話しされたかと思うんで、さらに具体的にお尋ねしたいんですが、その第一点が、韓国側からの退去命令が出された、そして十二海里の外にイカ漁民等が退去したということなんですが、具体的にお聞きしますが、退去命令がいつどういう形で出されたのか、それからそのときの双方の状況はどうだったのか、まず水産庁の方でつかんでいることをお尋ねします。
  86. 森整治

    政府委員森整治君) 私どもが承知しておりますのは、五月の八日から韓国の警備艇による退去要求があった。それから、外交ルートを通じてもそういう話はございました。ただ、私どもの方で退去をさせたことはございません。それから、漁船の方は、大体五月の十日の夕刻には全操業船が一応十二海里の外へ自主的に出た模様というふうに、私ども判断をいたしておるわけでございます。
  87. 下田京子

    ○下田京子君 さらに具体的にお聞きしたいんですが、五月八日警備艇を通じて、それから外交ルートを通じてということですが、当時竹島周辺には警備艇はどのぐらいおったんでしょうか。それから、外交ルートを通じてというのは、どういう形で出てきたものでしょうか。
  88. 森整治

    政府委員森整治君) 前者については、韓国の警備艇の動向につきましては、われわれ、鳥取の漁業の無線局がございますが、そこを通じて得た情報でございまして、何隻どういう行動をしたかということはつまびらかに私どもはしておりません。  それから後段の、韓国側から領海内に日本漁船が入っているから退去をしてほしいという要請がございましたのは、韓国のソウルにあります日本の大使館に対しまして韓国政府からそういう申し出があった、それに対してわが方は直ちに逆に抗議をしたというのが実情でございます。
  89. 下田京子

    ○下田京子君 保安庁の方おいででしょうか。——具体的に保安庁の方にお尋ねしたいんですが、当時の模様、これは当然警備に出ておられたと思うので、もう少し具体的な状況がおわかりかと思うんで、当時の模様をお知らせいただきたいと思います。
  90. 村田光吉

    説明員(村田光吉君) 日本海におきましては、巡視船による日本漁船の海難救助等のための通常のパトロールは実施いたしております。竹島問題につきましては、常々外交経路を通じて平和的に解決を図るという基本方針をとっておりますので、特に当時竹島付近をパトロールしておったということではございません。その当時の状況は、いま先ほど水産庁長官がおっしゃったようなことを、われわれは五月の九日に水産庁と外務省から連絡いただいたわけでございます。  以上でございます。
  91. 下田京子

    ○下田京子君 海上パトロールの保安庁が、外務省と水産庁から御報告をいただいて初めてわかったということですか。となると、一体通常のパトロールというのはどういう形で、何をなされているわけですか。
  92. 村田光吉

    説明員(村田光吉君) 日本海といいましても、御存じのように非常に広い海域でございまして、日本海——北は津軽海峡から対馬海峡にまで……
  93. 下田京子

    ○下田京子君 常識的なお話で結構ですから、竹島問題。
  94. 村田光吉

    説明員(村田光吉君) 巡視船は常にパトロールをいたしてはおりますが、先ほど申し上げましたように、竹島に主眼を置いたパトロールは当時は実施しておりませんでした。
  95. 下田京子

    ○下田京子君 現在はどういう状況でしょうか。
  96. 村田光吉

    説明員(村田光吉君) 現在は、裏日本を担当いたしております第八管区海上保安本部でございますが、ここの所属船艇約五隻を投入いたしまして、隠岐島の北方海域に常時二ないし三隻の巡視船を配備いたしております。
  97. 下田京子

    ○下田京子君 重大な問題だと思うんですね。なぜかと言うと、竹島周辺でいままでイカ漁を続けてきたわけですよね。そして、これは一年間に多いときで、たとえば島根の場合ですけれども、大変イカが不漁だと言われていた昨年だけでも一億七千四百万円から収益を上げている。過去には三億五千万円も上げているというふうな状況であるわけなんです。それだけやっていて、退去を命じられて、自主的であるけれどもとにかくいまやれないわけですね。自主的に退去したということになりますと、そこは危険で、安全操業が不可能だと判断したから皆さん退去しているわけでしょう。そういう状況の中で、パトロール艇がどういうふうな形でその退去した漁船との関係でパトロールを続けられているのかということを、もうちょっと詳しく教えていただきたいわけなんです。
  98. 村田光吉

    説明員(村田光吉君) 竹島問題については、先ほども繰り返して申し上げておりますように、巡視船による現場の交渉等によって問題を解決するというふうには考えておりませんので、われわれは不測の事態に備えまして、巡視船には御存じのようにレーダーというのがございます。このレーダーで監視できる範囲のエリアに常に行動をとっております。
  99. 下田京子

    ○下田京子君 それでは水産庁にまたお尋ねしたいんですが、先ほどイカ、カニかご、これは一時中止されたというふうな御答弁あったと思うんですが、一時中止ということになると、それとの絡みで、現在は好転してきていると新聞報道をお認めの御答弁があったかと思うんですが、これは逆に言えば、十二海里内で竹島周辺で操業可能な状況が出てきたということのそういう判断でよろしいでしょうか。
  100. 森整治

    政府委員森整治君) まあ一応私が申し上げました事態が好転をしておるということは、そういう言葉の範囲でひとつ御理解をいただいた方が私の答弁としては適当なのではないかというふうに思います。
  101. 下田京子

    ○下田京子君 もう一点、いまの答弁との絡みなんですけれども、当面は大丈夫だろうと、大変微妙な御答弁をいただいておるわけなんですが、その辺はどう解釈すればよろしいんでしょう。
  102. 森整治

    政府委員森整治君) 先ほどから非常に回りくどい御答弁を申し上げておりまして大変恐縮でございますが、ともかくこういうふうに理解を私どもしておるわけでございます。ともかくイカの漁期でございまして、この漁期を失しますと、話がどうなろうとともかく漁はうまくいかない。当面の乗り切りを当面の策として考えざるを得ない、そのラインで私ども関係各省とも一致して努力をしておる最中でございます。そういう事態としては、事態は好転をしておるということを申し上げておるわけでございます。
  103. 下田京子

    ○下田京子君 領土問題、いわゆる領土と領海、いろいろあるわけですけれども、そういう重大なところで本当に安全に、私はいまここで申し上げたいのは、十二海里内でもいままで続けられていたような漁が今後も続けられるというそのために、しかも五、六月が最盛期ですから、そういう立場から農林省としては大臣を先頭にして外務省とも、あるいは直接韓国とも交渉をして、とにかく漁民が安全に操業できるような方向では解決をしたいというその基本的な御姿勢はおありだと思うんですが、その点、大臣にお尋ねいたします。
  104. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 全くそのとおりでございまして、少なくとも漁民の皆さんが期待するような方向に努力をし、そういうふうにうまく好転するものと確信をいたしております。具体的なことについては申し上げない方がいいのではないかと、こう思います。いずれにしても、責任ある者としては、漁民の従来の権益が確保されるように最善を尽くしており、好転するものと考えております。
  105. 下田京子

    ○下田京子君 外務省の方にお尋ねいたしますが、共産党の渡辺武議員それから寺前巖両議員が去る十八日政府に申し入れをしたことは御承知のとおりかと思います。そのときに私どもとしては、韓国政府が不法な占拠をしております竹島について、これを直ちにやめてわが国の領土と領海から軍隊あるいは艦隊を撤去させて、今回のような行為が二度とされないように抗議を厳重にすべきである、こう申し伝えたはずであります。そのときには、早速大臣の方からも、文書でそういう指示もしたいというふうなお話もあったと承っているわけなんですが、その後どのような形で抗議し、あるいはその推移がどうなっているか、お尋ねしたいわけです。
  106. 佐藤嘉恭

    説明員(佐藤嘉恭君) 先ほど来、水産庁長官から御答弁のございましたことを若干補足いたします。  御指摘の両議員の御来訪があったことは事実でございますが、その際私どもが申し上げましたことは二点ございます。  第一点は、先ほどもお話がございましたように、八日の午後韓国外務部アジア局審議官から私どもの大使館の古川公使に七日の夜から八日にかけて竹島周辺に本邦漁船二十数そうが停船ないし操業していることについて、領海侵犯である、その点について抗議をしたいと当該漁船の退去を申し入れてきたわけでございます。それに対して私どもの在韓国古川公使より、竹島は歴史的にも国際法上も日本の固有の領土である、したがって日本の領土である竹島周辺に日本漁船が存在していても何ら不思議はない、韓国が抗議するということに対しては、竹島が日本の固有の領土であることを改めて指摘して逆に抗議をしたいという応酬をしたわけでございます。つまり、その申し入れの席におきまして、口頭をもって直ちに韓国側の抗議をそのまま先方にお返ししたというのが、八日の抗議の大要であったわけでございます。その後私ども水産庁からいろいろ情報もいただいておりますが、これに対して文書で抗議をするということにつきましては、いろいろ具体的な事実関係というものをはっきりさせた上でありませんと明確な抗議にはなり得ないわけでございますので、その点ただいま作業をしているところでございます。
  107. 下田京子

    ○下田京子君 時間になりましたので、これはいま抗議の文書づくりの作業を続けているところだということでございますけれども、もう八日の時点でも直ちに抗議をということで、同席していた北東アジア課長に対して指示もしている。それがいまおくれているわけですね。一方、竹島周辺でのイカ漁民の皆さん方が、水産庁長官非常に微妙な言い回しでありますけれども、好転に向いていると、大臣も安全に十二海里内竹島周辺で漁が続けられるように進めたいと、こう言われておりますんで、ぜひいま私が申し上げたいのは、韓国のこの不当な領海侵犯に対して厳重に抗議をすること、同時に、何よりも漁民の皆さん方が一日も早く安全操業が再開されますことを両関係省庁努力いただきたいことを重ねて訴えて、私の質問を終わります。
  108. 原田立

    ○原田立君 今回のこの法律は臨時措置法であり、諸情勢の変化に応ずるための五年間の延長であります。この五年間において二百海里時代漁業変化対応できる保険制度確立を図るとしておりますが、提案理由説明もこの点をるる述べているわけでありますが、その説明によりますと、具体的に沖合い遠洋漁業は、減船などどのような操業形態をとらなければならないと考えておられるのか、その点をお聞きしたい。
  109. 森整治

    政府委員森整治君) まあ、漁種によっていろいろ違いがございます。しかし、全般的に見ますと、二百海里の水域が相次いで、五十二年に入りまして米国が水域の設定をした、それから続きましてメキシコ、カナダ、EC、北欧諸国、ソ連、連鎖反応のように次々と経済水域を設定し、わが国も水域を設定するということに相なってきたわけでございますが、こういうことによりまして、たとえて言えば、たとえばカツオ・マグロ、あるいはまあ減船ということでございますから、遠洋底びき漁業を申し上げますと、北転船が米国の水域内における漁獲割り当ての削減、あるいはソ連水域における隻数、漁獲量の削減ということで五十七隻の減船を余儀なくされました。そのほかに南氷洋へのオキアミへ十隻、いろいろ海山がございますが、そういうところの調査に六隻、計十六隻の漁場転換が行われておるわけでございます。  従来から、たとえば冬場はカムチャツカ半島で操業をして、夏場はベーリング海で操業をするという操業のパターンが全然崩れまして、新しい対応をしておるというようなことがございます。そのほかにもいろいろ、それぞれの漁種によりまして、先ほど申しましたカツオ・マグロになりますと、端的に申しまして、ニュージーランドへの入漁が御承知のように三月いっぱいで切れまして、ニュージーの周辺におりましたカツオ・マグロ船が東西に少し散るというような形になって、集団でいろいろ操業しておるのが、その集団の操業のパターンが崩れていく、そういうようなことで、非常に従来の実績と違う操業形態というのが、いろんな各漁種ごとによりまして違いますが、そういう具体的な変化が出てきているということを申し上げたいわけでございます。
  110. 原田立

    ○原田立君 さきの日ソ漁業交渉の結果、操業海域の縮小が明確となり、関係漁業者の方々に与える影響は多大な打撃となっておりますが、本年四月以降には、いまもお話のあった南太平洋諸国での二百海里漁業水域の実施も当然考えられるし、さあそうなった場合、その場合の影響をどのように見通し予測をしておられるか、操業パターンの変化、あるいは減船などの関係を明確にしていただきたいと思います。
  111. 森整治

    政府委員森整治君) 操業形態変化というものがどういうふうに保険の方へ影響してくるだろうかということでございますが——まあただいまの御質問の趣旨をちょっと取り違えたかもしれませんが、南太平洋におきます操業の変化がどうなっておるかと、こういう御質問と理解してお答えをいたしますが、当面はニュージーランドにおきますトロール漁業、それから建てはえなわ漁業、それからイカ釣り漁業、それからカツオ・マグロ漁業は、大体十六万トン五十一年で漁獲を上げておりましたが、三月末をもちまして、漁業入漁の交渉が行われないままに漁場を去らざるを得なかったということになっておるわけでございます。その他、たとえて申しますと、南太平洋ではソロモンの諸島でも二百海里が引かれまして、これから今後交渉を行わなければ入漁できない、それからパプア・ニューギニアにつきましては、ことしの四月というのを一カ月延期してもらいまして、五月には一応交渉がまとまりまして入漁ができるようになった。それから、ギルバートにつきましては、ただいま入漁の交渉を行っておりまして、これは引き続き交渉がまとまれば操業は可能であろうということになっておるわけでございます。オーストラリアにつきましては、ただいま法案が出ております。  その暫定的な措置としては、ただいま一応入漁して操業が可能な状況になっておるということでございまして、南太平洋十二カ国いろいろございますが、それぞれの対応によりまして今後入漁を続けていく。ことに、いま当面の大きな問題はニュージーランドでございます。ニュージーランドにつきましては、ともかく一応好転の兆しが見えてまいりまして、できるだけ早く入漁交渉に入るべく、いろいろ最善の努力をしたいというふうに考えておる次第でございます。
  112. 原田立

    ○原田立君 積み荷保険の加入対象となっている漁船は、千六百ないし千七百そうにしかすぎないように聞いております。漁船は約一万そうに対して加入実績は上がっていないが、この実態水産庁としてはどのように判断しておられるのか。
  113. 森整治

    政府委員森整治君) 加入実績につきましては、一応計画と実績、加入の計画を立てて漁船の積み荷保険実施しておるわけですが、加入率につきましては、加入計画に対しまして平均といたしますと一二一%ということになっておるわけです。  恐らく先生がいま御指摘のは全体に対してのお話ではないかと思いますが、これは無動力船の隻数を入れますと非常に隻数が多くなる。ただ、実際この積み荷保険対象にいたしておりますのは、遠洋なり沖合い漁業ということで、やっぱり動力船である一定のトン数のものがほとんどでございますので、その辺の加入率からいきますと、わりに高い水準を維持しているというふうに考えております。
  114. 原田立

    ○原田立君 先ほどの加入実績は、何か一二一%だなんてそんな話があったようですけれども、そういうことですか。ちょっとおかしいんじゃないですか。
  115. 森整治

    政府委員森整治君) 私が申し上げましたのは、この保険を設計する場合の計画に対します実績でございまして、具体的に申しますと、四十八年が加入の計画が八百二十九でございます。実績が八百三十二。四十九年が加入計画が一千十九、それに対しまして加入実績が千四百六十三。五十年が千二百六十九に対して千五百三十二。五十一年が千四百二十二に対して千六百八十七。これを全体を平均いたしますと、率としては計画よりも実績は一二一%、二一%上回っておるということを申し上げたわけでございます。
  116. 原田立

    ○原田立君 全体の漁船は幾らに見ているんですか。
  117. 森整治

    政府委員森整治君) 五十一年度の加入対象といいますか、恐らくこの数字の方がいまの御指摘で言いますと九千九百二十隻です。それに対しまして、先ほどの私申しました千六百八十七が加入をいたしておりますから、そういう意味から、この数字から見ますと、加入率は一七%ということに相なります。
  118. 原田立

    ○原田立君 そこのところを言っているんですよ、余りごまかさないで答弁してくださいよ。九千九百二十でしょう、加入対象が。それに実際入っているのは千六百八十七でしょう。私が一番最初質問したのから見れば、似通った数字なんですよ。それを一二一%いっているからいいじゃないかというような言い方答弁は、はなはだ不謹慎だと思うんですね。だから、結局は加入実績は余り上がってないということが実態なんでしょう。そういうことではいけないから、もっと加入実績を上げるように努力しなさいと私は質問しているんです。どうですか。
  119. 森整治

    政府委員森整治君) その加入資格といいますか、加入の対象となり得るのは確かに九千ございますけれども、これを全部、要するに保険需要というのがどこまであるかということで、お入りにならないという方もある。そこで、保険設計として、先ほど大変おしかりを受けましたけれども、計画上どのくらいを見込むかということでいま設計をしているわけでございます。そこで、もちろん先生のおっしゃるように、保険の法則から言えばたくさん加入してもらってプールした方がより安全、要するに大数の法則が働くということでそのとおりでございますけれども、いろいろな需要がどこまであるかということになりますと、できるだけ今後努力はいたしたいと思いますけれども、遺憾ながらただいまの一七%という数字に相なっておるということは事実でございます。
  120. 原田立

    ○原田立君 要するに、九千九百二十そうの対象に対して千六百八十七、一七%では余りいいとは思わないんでしょう、水産庁は。それが一つなんです。  それから、もっとふやさなきゃいけないと考えているんでしょう。その点はいかがですか。
  121. 森整治

    政府委員森整治君) 御指摘のとおりでございます。
  122. 原田立

    ○原田立君 それはせっかく努力を願いたいと思います。  次に、試験実施延長について伺いますが、関係漁業者の方々の立場から考えれば、一日も早い本格実施が要求されることは当然であり、本筋であると思うのであります。しかし、二百海里時代対応できる内容データを必要とすることから、さらに五カ年間の延長になったということでありますが、母集団も少なく、加入隻数も少ないことからも、果たして満足のいくデータの収集ができるかどうか心配をしているわけでありますけれども、この点についての見解はいかがですか。
  123. 森整治

    政府委員森整治君) 先ほどからいろいろ御答弁を申し上げておりますが、試験実施期間は一応五年ということで御提案を申し上げておるわけでございますが、五年間程度の試験実施を行えば必要なデータの収集が可能であるということから五年間の延長をお願いをしておりますが、五年を待たずとも合理的な保険制度の設計が可能となるという場合には、速やかに本格実施に移行するということにいたしたいと大臣から御答弁を申し上げているとおりでございます。
  124. 原田立

    ○原田立君 非常に不満足な答弁ですけれども、まあいいでしょう。  次に、加入対象漁業種類についてでありますが、これも他の委員からいろいろと質問されておりますが、当初は九漁業種であったのが現在は十二漁業種類になっておるのでありますが、やはりデータの充実あるいは公平を期す上からも加入実績のアップを図るよう努力すべきであると思うんですが、その点はどのように考えておられますか。
  125. 森整治

    政府委員森整治君) もちろん、御指摘のように、加入率を上げることによりまして保険の設計をより安全に持っていくということは、これは試験実施の基本でございますから、われわれも大いに努力をしたい。そのためには、いろいろ御要望もございますような方向で、いろいろ漁業の種類もふやす方向で考えてまいりたいと思いますし、トン数引き下げにつきましても、そういう需要のあるところにつきましては、積極的にそういうものを調査の上、追加をしていくということを考えてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  126. 原田立

    ○原田立君 加入率のアップが必要であることは当然でありますけれども、新規に加入の要望があった場合どう対処されるのか、また、いまも話のあった下限のトン数の拡大は一体どうなのか。伝えられるところによると、先ほどの答弁では二十トン以上ということですね。ところが、実際には十九・八トンとか十九・九トンとか、こういうような船が大分多いんじゃないでしょうか、実際に。要するに二十トン未満の船が非常に多いんじゃないのか。だから、下限の決め方というのももう少し一考すべき要がありはしないかどうか、その点はいかがですか。
  127. 森整治

    政府委員森整治君) 一般論からしますと、積み荷保険は、比較的わりに大型で漁獲物をたくさん積んでおるというのが一応保険の需要が強いというふうに判断をいたしておるわけでございますが、先ほど先生指摘のカジキ等の流し網については、現在は二十トン以上のカジキ等の流し網を追加をするべく調査をいたしまして、一応加入の対象数は三百隻ございますが、そういうものを対象にする方向で検討をしてまいりたいということが一つと、それからカツオ釣り漁業漁船トン数、これを五十トンから二十トンに引き下げるということで、約六十隻ぐらいあるようでございますが、こういうものも対象にするように、現在調査の上、追加を検討をいたしておるというわけでございます。
  128. 原田立

    ○原田立君 カジキとカツオとこの二種類を新規漁業種類として挙げると、こういうわけですか。
  129. 森整治

    政府委員森整治君) カジキにつきましては御指摘のとおりでございまして、カツオ釣り漁業は従来入っておりまして、これはトン数を下げることによってさらに六十隻の加入対象がふえてくる、こういうことでございます。
  130. 原田立

    ○原田立君 加入を希望している漁業種類は何と何ですか。
  131. 森整治

    政府委員森整治君) 現在考えておりますのはその二つでございまして、これはやっぱりいろいろ保険需要を調査をいたしまして、この二つに焦点を合わしてきておるということでございます。従来からも、九種類から、先ほど先生指摘のように、十二種類、三種類追加してまいりましたけれども、これもいろいろ調査の上、希望をとりながら対象漁業をふやしてきたというのが従来の経過でございます。
  132. 原田立

    ○原田立君 適用下限トン数の二十トン未満は一体どのぐらいありますか、隻数。
  133. 森整治

    政府委員森整治君) 全体の数字につきましてはちょっといま手持ちの数字がございませんが、いままで私どもが調査している限りでは、二十トン未満の希望というのは余りないというふうに判断をいたしております。
  134. 原田立

    ○原田立君 あなたの判断を聞いているんじゃなくて、数は幾らかということを聞いているんですよ。資料がなければ後でまた教えてください。  五十一年から試験実施している船主責任保険——PI保険がありますが、このPI保険と積み荷保険とはともに加入対象が大中型漁船が中心となっていることからも、きわめて密接な関連にあると思うんであります。一般的に考えても、きわめて密接な関係にある積み荷保険とPI保険との本格実施は、同時にスタートさせることが自然であり理想だと思うんでありますけれども、その点はどうなんですか。
  135. 森整治

    政府委員森整治君) 考え方としては御指摘のとおりだと思います。  ただ、漁船の船主責任保険は、五十六年に一応試験が終わる。漁船の積み荷保険はさらに延長いたしますと、五年ということに考えますと五十八年。二年間のずれが出てくるわけでございますが、この両保険の性格からいたしまして、必ずしも時期を同じゅうして試験を終わらなければならないという条件にはないと思います。逆に、できれば一緒に実施した方がいいという考え方も当然ございますから、できるだけ早く積み荷保険データの整備を急ぎまして、できればできるだけ早くこの方も本格実施に移していくべきであろうというふうに思うわけでございます。  それから、先ほどの全体の漁船数でございますが、四十万隻中二十トン未満というのは約三十四万隻ということに相なっております。
  136. 原田立

    ○原田立君 PI保険は積み荷保険同様、その加入対象は大中型漁船が中心となっているのはただいま申し上げたとおりでありますが、二百海里時代の到来による影響も積み荷保険同様と考えるわけであります。果たして、このPI保険試験実施期間の五年間で本格実施移行が十分なのかどうか。  さらには、PI、積み荷両保険の同時本格実施を理想とする上からの考えとして、試験実施期間に二年間の差があるが、ただいまも申し上げたように、同時施行は考えてしかるべきであるし、ただいまの答弁では、できるだけ早く調査して同時に本格実施にしたいというような答弁だったけれども、さらに重ねてお伺いします。
  137. 森整治

    政府委員森整治君) 漁船の船主の責任保険につきましては、第三者といいますか、船主のいろいろな責任に対します保険でございますから、二百海里の問題によりましてそう影響をこの制度自身は余り受けないのではないだろうか、こういう判断をいたしております。したがいまして、五十六年をもって本格実施に現在のところ移行させる方針で調査を進めておるわけでございます。  で、漁船の積み荷保険の方につきましては、先般来いろいろ御説明を申し上げておりますように、さらに五年を延長をお願いをしておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、二年間のこのずれを、あらかじめいまから終点を五十六年に合わせて試験をするということではございませんけれども、二年間のそこのずれはずれといたしまして、可及的速やかにデータの整備を急いで、いま先生が御指摘のような岡方合わせて実施できるように努力はしてみたいというふうに思っております。
  138. 原田立

    ○原田立君 長官、余り変な言い方をすると水産庁の姿勢が疑問視されますから、努力はしてみたいなんて言わないで、しっかり努力するとはっきり言いなさいよ。そうでないと誤解されますよ。まあ一生懸命やるということで理解しましょう。  五十三年度は保険料率の改定の年に当たっておりますが、漁船保険特別会計は四十八年以降毎年赤字を計上しておりますが、このように漁船保険特別会計が赤字基調になった原因、すなわち事故の増大傾向は一体どこにその原因があると考えているのか、見解をお伺いしたい。
  139. 森整治

    政府委員森整治君) 大きな原因は、一つは再保険割合を変えまして、それに伴いまして一時的な支払い超過が四十八年に発生した、それまでは黒字でございますが、四十八年度以降赤字になっている、その大きな四十八年度の変わり目の現象はそういうことが一つでございます。  それから二番目は、石油危機によりまして物価高騰、そのために分損事故の修理費が増高をしたということが要因であるというふうに考えておりまして、その後物価の鎮静、それから五十二年に漁船の評価基準を改定いたしまして、これに伴います再保険料の増収ということを図りまして、再保険収支は一応改善に向かっているというふうに理解をいたしております。
  140. 原田立

    ○原田立君 私は、料率アップは絶対に避けなければならないと、こう思うのでありますけれども見通しはどうですか。
  141. 森整治

    政府委員森整治君) 料率につきましては、現在据え置きで来ておりまして、御指摘のように、私どももできるだけそういう事態の起こらないよう十分今後とも注意をしてまいりたいというふうに思っております。
  142. 原田立

    ○原田立君 赤字基調に伴うもう一つの心配は、赤字傾向がそのまま料率の引き上げにつながるのではないかという不安でありますが、五十三年度はちょうど料率改定の年に当たることからも、どのように改定しようと考えているのか、その方針はいかがですか。
  143. 森整治

    政府委員森整治君) 本年の四月からの改定時期に当たっておりますが、これは料率は据え置きをいたしたわけでございます。今後の方向といたしましては、割り増し、割引という制度を少し運用として活用をしてまいりたいということで、そういうことで微調整をしながら、なるたけ料率は動かしたくないということで進んでまいりたいと思います。
  144. 原田立

    ○原田立君 二百海里時代の到来により、わが国の漁船拿捕事件が急増の傾向にあるわけでありますが、ここ一、二年の拿捕件数、罰金の実態はどのようになっていますか。
  145. 森整治

    政府委員森整治君) 漁船の拿捕件数につきましては、五十年が六十九件、五十一年が五十八件、五十二年は二百十五件ということになっておりまして、五十二年で急増いたしましたのは、米ソの二百海里の漁業水域の設定に伴いまして漁業規制が強化されたというふうに理解をいたしております。  それから、これらの拿捕の処分状況を見ますと、罰金の処分が急増をしております。五十二年は前年の二十四件というのに対しまして、百七十一件ということになっております。これは、数字の見方につきましてはいろいろ問題がございますが、傾向としてどうかということになりますと、二百海里に入ってから急にふえたということの数字になっておるわけでございます。  罰金につきましては、五十年が三十件、五十一年が二十四件、五十二年が百七十一件ということになっております。  金額につきましては、五十年が四億三千九百万円、五十一年が七億八千五百万、五十二年は四億九百万ということでございまして、件数としては多うございますが金額としては少ないというのが……
  146. 原田立

    ○原田立君 四億二百万ですか。
  147. 森整治

    政府委員森整治君) 四億九百万です。
  148. 原田立

    ○原田立君 二百海里時代の到来に伴い外国政府による拿捕、罰金の徴収等のケースがますます増大することが予想される上、罰金も高額の傾向にあるわけでありますが、このようなトラブルはできるだけ避けなければならないし漁業問題以前のこととして、このようなトラブル発生の防止策を強力に図る必要があると思うんですが、どのような対策で臨むんですか。
  149. 森整治

    政府委員森整治君) この件につきましては、いろいろトラブルが出ます罰金の原因になります違反につきまして、たとえて申しますと、ソ連との昨年の違反事件が非常に多うございます。そこで、昨年のたしか十二月と思いますが、このいろいろ違反と、問題と思われますいろいろ記帳の問題等々につきまして相当両国で詰めまして、具体的に記載方法が誤っているからというようなことで大分問題が起きた例があったわけでございます。そういうことを全部突き合わせをして詰めて整理をいたしまして、その後この種の事件というのはほとんど影を消してきているというのが実態でございます。  ただ、いろいろな問題が起こるというのも、たとえて申しますと、この前、着底トロール問題というのが出てまいりましたけれども、両国でいろいろ交渉をいたしましたその思い違いみたいなケースもまだ出てくるようでございます。この点は、実際には取り締まりにつきまして両国で現場同士でも最近はいろいろ連絡をし合っております。そういうことで、両方思い違いのないような、そういうようなことを今後お互いによく連絡、情報交換をしながらそういうことを未然に防止していきたい。また現に、現在そういうことでいろいろ問題になるケースが非常に激減をしていると、私ども理解をしておるわけでございます。
  150. 原田立

    ○原田立君 努力しているようでありますけれども、記帳の問題、あるいは思い違いの点もあったというようなことなんですが、いまのお話では現場同士での連絡をとってやっているということですけれども、さあ実際事故の起きた現場でそんなことを話し合っていてもうまくいかないと思うんですよ。その事前の指導、それから先方との交渉、これらは政府がもっと責任を持って着実に行うべきではないかと思うんでありますけれども、その点はどうですか。
  151. 森整治

    政府委員森整治君) もちろん、そういうことで努力をしておるわけでございまして、最近起こりました着底トロールの問題も、ソ連の監視船の方からわが方の監視船の方へ連絡がありまして、それは逆におかしいということを今度はモスクワの大使館を通じましてソ連の漁業省といろいろ話し合いを行った。たまたま大臣もソ連に行っておられる時期でございまして、非常にタイミングとしては、いい悪いは別にいたしまして、かけ合いは非常にスムーズにいったわけでございます。こういうことも一つの大いなる参考として、今後もいろいろ努力してまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  152. 原田立

    ○原田立君 わが国も領海十二海里、漁業水域二百海里の制定、施行した関係上、条約違反などの理由で拿捕された場合、その損害補てんができないことから、本年七月から民間組織による損害の防止及び軽減を図る等の目的で事業が発足する予定となっているようでありますが、しかし、限度額あるいは補てん率をどの程度に定めるかなど最終的な詰めに問題が集中していると聞いております。だれも条約違反など犯すつもりでやる人はいないのは当然のことでありますが、不幸にも違反にかかった場合の補償は、一〇〇%の救済をする等の基本的姿勢に立っての補償事業考えるべきだと思うんであります。いままでの拿捕保険の場合は全額補償であったはずでありますので、それらを踏まえて一〇〇%の救済、全額救済というようにすべきではないかと思うが、どうですか。
  153. 森整治

    政府委員森整治君) 御指摘の点は、拿捕保険にかわりまして、二百海里の設定等によりまして相互にこういうことを認め合う、そこでそういう場合に起こるいろいろ拿捕等の損害についても何か民間の方法で適当な補償を、共済制度考えたらいいのではないかということでできました海外操業漁船の損害補償事業につきましての御指摘と思います。この事業につきましては、ただいまのところ、全額という御指摘でございますが、一応、損害のうちの漁船船体、漁獲物、漁具の損害、抑留された場合の組合員の給与、罰金等の費用につきまして、その七〇%の範囲内で救済金を支払うということをただいま考えておるわけでございます。確かに一〇〇%という考え方もあると思いますが、一つは、違反の助長につながらないようにということ、それからもう一つは、もっと現在の特殊保険の料率をにらみまして、大体いま考えておりますのは、共済対象基準額の一%を一応積み立てにする、掛金にするということを考えておるわけでございますが、そういう掛金の水準が現在の特殊保険の料率の水準よりも余り高くならないということをめどにいたしておりますので、そういう関係もございまして、てん補率が一応七割程度ということで発足をいたしたいというふうに思っておるわけでございます。  ただ、先生が御指摘のように、一〇〇%見てやったらどうかということにつきましては、今後のこの保険の収支、保険ではないのですが、共済の収支状況等を見ながら、補てん率の引き上げについては今後の課題とさせていただきたいというふうに思うわけでございます。
  154. 原田立

    ○原田立君 大臣、いま長官は今後の補てん率を上げるように努力すると、こういうことなんですが、私は、かつての拿捕保険などは一〇〇%の救済をしておったんだから、当然拿捕事件等に遭ったものは一〇〇%にすべきではないか、こういう意見を申し上げているわけであります。ただ努力するだけではなしに、もう少し具体的なめどといいましょうか、そこら辺のところをお伺いしたい。
  155. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 従来が一〇〇%でありましたから、して差し上げたい気持ちはいっぱいでありますが、やっぱり料率との関係があるようでございますので、その辺今後の推移を見まして、できるだけひとつ前向きで研究してみたいと存じます。
  156. 原田立

    ○原田立君 この制度における問題として、救済の対象から外れる漁船が出るのではないかということを心配するのであります。たとえば漁船損害補償制度に基づいての漁船保険に加入していないもの、あるいはトン数制限などが考えられるわけでありますが、この点はどういうふうに対処されますか。
  157. 森整治

    政府委員森整治君) まあ千トン以上は対象にしないとかいうことは、これは全体の制度考え方でございますので、やむを得ない措置ではなかろうかというふうに思いますが、ただ、漁船保険に入っているとか入っていないとかいうこととは関連づけないで、これはこれなりの制度として進めてまいりたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
  158. 原田立

    ○原田立君 加入の有無にかかわらず運用していきたい、こういうわけですね。
  159. 森整治

    政府委員森整治君) そのとおりでございます。
  160. 原田立

    ○原田立君 政府は、この海外操業漁船損害補償事業に対して事務経費という名目で約六千三百五十万円程度の定額補助を五十三年度から行うことになっておりますが、将来の方向としては、この補償事業は国の事業としてやる、こういうふうに考えてよろしいですか。
  161. 森整治

    政府委員森整治君) むしろ、二百海里というのをお互いに協定を結んで認め合う、そうすると、そういう中でそれぞれの国がいろいろ規制措置を講じておるわけでございまして、政府として認めたようなそういう規制措置にひっかかったからそこを救済していく、こういうことになるわけで、そこでその特殊保険なり拿捕保険というのが、どうも国が行っている保険でそういうものをカバーするのがおかしいのじゃないかということになってきているわけでございますから、逆に申しますと、むしろこれは民間の共済、相互の扶助の精神によって相互に救済をしていこうというところにこの制度の特色があると思います。したがいまして、今後とも、そういう考え方でございますから、漁業者の過失の程度にはいろいろ差はあろうと思いますが、そういう相互共済の制度として進めてまいりたい、それを国の方でいろいろ理屈をつけまして——理屈をつけましてと言うのはおかしゅうございますが、特殊保険のいろいろ防止になるという観点から、特別会計の利益金から事務費の助成を図ってまいるという仕組みをとったわけでございます。
  162. 原田立

    ○原田立君 二百海里時代の到来により保険制度あるいは共済制度に及ぼす影響は大きく、特に遠洋沖合い漁業への影響の高いことも当然であります。今後とも二百海里漁業水域の設定国はますます増加する一方であると思うんでありますが、このような世界的傾向の中での保険制度、あるいは共済制度への影響の見通しと、その対策はどう考えていますか。
  163. 森整治

    政府委員森整治君) 漁業に関します保険、共済制度でございますが、まあ漁船保険、それから漁業共済、それから全水共の共済事業というのがあるわけでございまして、それぞれに及ぼす二百海里の影響ということになりますが、先般来申し上げていますように、いろいろ遠洋沖合い漁業におきまして、減船なり漁場の転換なり漁業操業の密度が変わってくるということに伴いまして、いろいろ変化が出てまいるわけでございまして、漁船の事故の発生の度合い、態様が変化してくるというふうに思っておるわけでございます。このためにいろいろ海難の防止のための対策を強化するとか、危険率に変動が見られた場合には保険料率の改定を機動的に行うというようなことで対応をしていく必要があるだろうというふうに思います。また、ただいま御審議をいただいております漁船の積み荷保険におきましても、いろいろ危険率変化があると予想されるわけでございまして、当面五年間の延長をお願いをするということを申し上げておるわけでございます。  それから、漁業共済でございますが、二百海里の到来によりまして直接の影響はむしろ少ない、受ける影響は少なかろうというふうに思っておりますが、漁獲共済におきましては、遠洋沖合い漁業につきまして取り扱いをしておる関係上、若干の影響は考えられないわけではなかろう。ただ、全体から申しますと、二戸海里の影響の少ない沿岸漁業をむしろ対象にしておる、中心にしておるわけでございますから、これはこれなりのひとついろいろな制度の改善、充実を図っていく必要があるだろうと思います。  それから、全国水産業協同組合共済会、いわゆる全水共が行っております火災共済、厚生共済、自動車共済、いわゆる漁業者の生活面での災害による損害を補てんをしていくというものでございますから、二百海里ということの影響は特にないというふうに考えてよろしいのではないか。それから、乗組員の厚生共済等につきましては、一応減船等によります被共済者が減少するということも考えられますので、事業の運営には今後十分注意はしていかなければならないというふうに思っておるわけでございます。
  164. 原田立

    ○原田立君 この問題は、先ほどもちょっと質問があったと思うんでありますが、わが国の保険、共済制度は三つの系統から成っておりますが、この三制度は漁協段階までおりていくと、その契約などについては窓口が一本化されているのが現状であります。また、漁業共済と任意共済も、都道府県段階においては窓口は実質的に一本化されております。そのために事務の合理化が図られ、当然に事務経費の節減が可能となってくるわけでありますが、この点については昭和四十年ごろから一本化への強い意見、要望が出されているにもかかわらず、十年以上の年月を経過しなお現状のままということは、ちょっと非常に不可解な感じがするわけでありますが、その点はいかがですか。
  165. 森整治

    政府委員森整治君) 保険、共済事業につきまして、まあ御指摘のように、末端で漁業者が利用をする上で便宜を図るためには、保険、共済制度の統合なり窓口が一本化されるということが望ましいということは御指摘のとおりだと思います。これに関しましては、確かに御指摘のように従来からいろいろ御意見がございまして、その問題につきまして特に四十九年度、関係団体の役員、学識経験者という者から成ります検討会を開催をいたしまして検討を進め、それの中間報告というものに基づいて、ただいま都道府県保険共済共同推進センターというものを政府の補助のもとに発足をいたしまして、その運営を行っておるわけでございます。  そういうことで、とりあえずいろいろ保険なり共済の各種事業共同化しまして団体事務の合理化を図る、あるいは漁業に関する災害補償方策の総合的な検討を行う、そのための試験事業として実施をしているというわけでございますが、いろいろな現在ございます保険、共済制度につきましては、それぞれの生い立ちもございまして、制度の仕組み、あるいは国の関与の仕方等々も異なっておるわけでございまして、これをまた、窓口を一つにするということで考えましても、漁協の体制あるいは漁業者の漁業実態にも差がある、こういうことから、直ちに統合、一元化または窓口の一本化を図るということは、現実ではなかなか困難な問題があるわけでございます。しかし、先般来申し上げておりますように、そういう都道府県保険共済共同推進センターというものの運営を通じまして、これらの事業の成果を考えてみた上で、また、この事業の成果を待って、具体的な方策については今後検討してまいるという姿勢で臨んでおる次第でございます。
  166. 原田立

    ○原田立君 法案については大体質問を終わりました。  ところで、実はちょっとほかの問題に移りたいと思うんであります。新聞紙上で、あるいはテレビ等で御承知のように、北九州並びに福岡等におきまして、雨が降らないゆえに渇水状態で、ついこの間までは九時間断水であったのがもう現在では十五時間断水というような、そんな状態にまで追い込められているというのが現状であります。で、これは非常に地元民の人たちは心配をいたしておるわけでありますが、まず農業関係で、この渇水状態、今後の農家の方々が仕事をする上において非常に心配なさるであろうと、こう思うんでありますが、これについてはいかが手配なさっておられるか、その点をお伺いしたい。
  167. 大場敏彦

    政府委員(大場敏彦君) いまお話がありましたように、北九州地方で水不足が起きているということで、農業関係では、水稲の中でも早期秘ですね、わせの作付に影響が出てきている、こういった状況であります。   〔委員長退席、理事山内一郎君着席〕 まあ、福岡県、佐賀県、長崎県、こういったところで干害状況が約七百ヘクタールというようなところが問題になって、水稲のわせの作付を見合わせているというような状況であります。  そこで、これに対応いたしまして、農業サイドにおきましてはどういうことをもって対処しているかということでございますが、地元の県におきましては、当面の対応策といたしまして水稲の早期種、わせを普通種にかえて対応すると。大体先生御存じのとおり、作付がわせの場合では五月の上中旬でありますが、普通種の場合には一月ばかりおくれるということでありますから、どうしてもわせができない場合には一月おくれたかっこうで普通種に切りかえて作付するように、そういったことが当面の指導の重点であります。  それから、今後雨がさらに降らないということで用水不足がさらに深刻になるというようなことでありますれば、当然被害ということの発生が憂慮されますから、そういった場合には揚水機——ポンプを設置すると。これは全国の農政局に国有のポンプを設置しております。これは九州の農政局にも設置しておりますが、そういったものを無料貸し付けする、そういったかっこうで応急対処するということもありますし、あるいはこれは地域地域の実態に応じて具体的に小河川をせきどめしてそうして用水障害というものに対応する、そういった臨機応変の対策を実施して被害を最小限にとどめていきたい。こういったことで私どもとしては今後対策を考えていく、こういった状況でございます。
  168. 原田立

    ○原田立君 建設省来ていますか。——福岡市周辺にはたしか六つぐらいダムがあって、それにあと試験的に寺内ダムですか、これは現在この一月にでき上がったというようなことを聞いておりますけれども、これは農業用水に関して利用するように聞いておりますけれども、そこら辺の関係、現状はどうですか。
  169. 堀和夫

    説明員(堀和夫君) お答えいたします。  福岡市周辺には、域内に瑞梅寺ダム等のダム群とそれから筑後川水系でございますが、建設省所管では寺内ダムがあるわけでございます。それで域内のダムについては、瑞梅寺ダムについてはまだ水はあるわけでございますが、南畑ダムにつきましてはかなりもう水がなくなってきております。筑後川水系の寺内ダムにつきましては、現在試験湛水中でございまして、全体としては約九百万立方メートルで、うち水道分としては二百万立方メートルの水があるわけでございますが、何分現在試験湛水中でございますので、これが直ちに本操作に入るということにつきましては、ダムの管理規程等につきまして関係県と現在早急な詰めを行っておる段階でございます。
  170. 原田立

    ○原田立君 あとあそこには合所ダムなどの建設等が言われておりますけれども、それらの進捗状況はどうですか。
  171. 堀和夫

    説明員(堀和夫君) お答えいたします。  建設省所管では、筑後川の水資源開発の大宗は現在筑後大堰の問題でございます。筑後大堰につきましては、せき本体の着工を行うべく現在鋭意準備を進めておるわけでございます。それから、これに伴いまして既設ダムで下筌、松原というダムがあるわけでございますが、このダムが今度六月十一日から洪水調節に備えるということで水位を下げるわけでございます。このときにかなりの水が、現在の水位よりもかなりの水を放流いたしますので、この辺が水対策として有効に役立つのではないかと、そんなふうに思っております。当面、筑後大堰の推進でございます。
  172. 原田立

    ○原田立君 局長、合所ダムの方の状況はどうですか。
  173. 大場敏彦

    政府委員(大場敏彦君) いま私承知しておりませんので、ちょっと時間の余裕をいただきたいと思います。
  174. 原田立

    ○原田立君 厚生省いますか。——福岡の状況はいまも申し上げたように、ついこの間まで九時間断水であったのが、現在は十五時間断水というようなことになって非常に心配されているわけであります。いろいろ多方面にわたって波紋を投げかけているわけでありますけれども、これらをごらんになって、具体的には市の方でおやりになるんだろうとは思いますけれども、手だては一体どんなふうになっていますか。
  175. 山村勝美

    説明員(山村勝美君) お答えいたします。  ただいま御指摘のように、十五瞬間断水、つまり九時間給水ということで、実質水量的に見ますと二五%制限という、七五%給水に本日から入ったわけでございます。水道の場合、河川に依存して水源を確保いたしておるわけでございますが、  一般的にそういった渇水期におきましても水道施設は対応できなければならないというのが基本でございまして、そういう基本線に沿って鋭意水源開発等を進めておるわけでございますが、福岡地域につきましても、先ほど御指摘のように、五つの近郊のダムと筑後川からの導水に水源を求めまして、鋭意水源開発を進めておる段階にあるわけでございます。したがいまして、第一義的には特に現在進行中の筑後川からの導水ということを第一義的に進めていく必要があるというふうに考えております。  当面、渇水が起きておるわけでございますが、こういった渇水時の対策につきましては、四十九年に渇水対策要綱といいますか、そういったものを指導通達いたしておりまして、生活用水でございますので、健康にもかかわる問題であるという認識のもとに、極力減断水を回避するということを基本としながら、そういった河川等の水門条件、渇水情報の把握でありますとか、そういった予測に基づきます給水制限計画を的確につくって、区域全体に均衡のとれた給水ができるような配水操作をするとか、それから減断水をいたしますので、汚水を吸引するというおそれがありますので、衛生対策に万全を期すとか、さらに現在いろいろ水源を持っておるわけでありますが、これらを有効に、有機的に使うことによって有効利用を図るといった水源確保対策、さらに広報活動による市民の理解協力、特に節水協力等につきまして指導しておるところでございまして、今回もこれらの対策につきまして、県市に対して最大の努力を払うよう指導いたしておるところでございます。  また、今後とも、県とよく連絡をとりながらこの線に沿って指導してまいりたいというふうに考えております。
  176. 原田立

    ○原田立君 福岡導水の工事の進捗状況はどうですか。
  177. 山村勝美

    説明員(山村勝美君) ちょっと詳細な数字を持っておりませんが、たしか記憶では、五十五年までには終わるという予定で順調に進んでおるというふうに理解いたしております。
  178. 原田立

    ○原田立君 なるべく早く促進するように努力願いたいと思います。五十三年度完了の計画予定になっていると聞いておったんですけれども、ただいまのお話では五十五年というんで、ちょっと二年の差がついているんですが、その点、はてなと思うんですけれども、その点はどうですか。
  179. 山村勝美

    説明員(山村勝美君) 御案内のとおり、水源開発にはいろいろ利害が絡みまして非常にむずかしい問題がございます。そういう事情で、筑後川につきましても全体としておくれてきたという実情でございます。
  180. 原田立

    ○原田立君 予算面では五十二年度二十五億、五十三年度五十三億円というように計上されているやに聞いておりますけれども、これは実際に実行額は幾らになっていますか。
  181. 山村勝美

    説明員(山村勝美君) ちょっとただいま数字を持ち合わせておりませんが、大体計画どおりいっておるのではないかというふうに記憶をいたしております。
  182. 原田立

    ○原田立君 計画どおりいってないんですよ。ですからもっと、いまあなたの話の中にもあったように、鋭意地元と協議しているということだけれども、なおひとつ、誠心誠意話し合いを進めて実行されるようにしてもらいたいと思うんです。  まあ、いずれにしましても、いまここにちょっとした書き物がありますけれども、ここで藤原さんという人が、とにかく雨次第ですと言うんですよね。雨次第はわかっていますけれども、百万都市が雨次第なんていまごろの段階で言われたんじゃ話にならない。だけれども、実際五十ぶりの異常事態であるからどうしようもないんだなというような感じを私持つわけでありますけれども、行政というのは、こういうような不測の事態に至ってもきちっと手当てするのが仕事ではなかろうかと思うんです。とにかく雨次第ですなんてこんな返事では、無責任のそしりを免れない。厚生省としては、もっともっと内容充実のためにしっかり努力願いたいと思うんですけれども、いかかですか。
  183. 山村勝美

    説明員(山村勝美君) 御指摘のとおりでございまして、私どもの、先ほど申し上げましたとおり、水道施設の整備の基本方針といたしましても、少なくとも過去の統計から見ての最大渇水期に対しても対応できるというものを準備すべきであるという方針で進めておりました。たまたま筑後川の場合、日本有数といいますか、水の足りない地域で、全体として不安定な状況にあったところへ、筑後川の方は少しおくれたということで、基本的に不安定であったということが大きく災いしたというふうに理解をいたしておりまして、御指摘のように、現在進行中の導水事業につきまして、できるだけ早期に完成するよう配慮してまいりたいというふうに考えております。
  184. 原田立

    ○原田立君 筑後川の取水事業が一切完了した段階でも、昭和六十年になると公称施設能力を一日の最大給水量が上回り、今日の水がれの実態と同じことになる、そういう心配があるわけでありますが、昭和六十年以降の取水計画をいまから万全を期す必要があると思うんですけれども、そういう見通しは立てておられますか。
  185. 山村勝美

    説明員(山村勝美君) 御指摘のように、確かに六十年以降の水につきましては、まだ十分な手当てがなされておりません。御案内のとおり、筑後川流域水系につきましては、水資源開発公団事堂として国レベルでいろいろ開発を進めていくということで取り組んでおりまして、関係各省と相談しながら早期に次の手当てができるように配慮してまいりたいと思います。
  186. 原田立

    ○原田立君 自治省来ていますか。——今回のようなことについて自治省としても非常に心配はしているだろうと思うんでありますけれども、福岡市あるいは福岡県に対する指導助言、それらは一体どういうふうになっていますか。
  187. 田井順之

    説明員(田井順之君) 現在起こっております渇水の状態に対しましては、積極的に有効な対応策を講じていくということはなかなかむずかしいわけでございますけれども、厚生省の方からお答えがありましたような考え方に、私どもも全面的に歩調を合わせて協力していきたいと思っております。  当面の対策としましては、消極的になるかもしれませんけれども、節水に努めながら給水調整などを適切にやっていくというような形になろうと思いますが、本木的には何といいましても、こういった事態に対しても十分対応できるような水源の確保なり施設の整備を進めなければいけないということだと思っております。私どもは、水道事業の建設を促進するための資金手当てなどを中心にした財政面を主として担当さしていただいておるわけでありますけれども、十分な資金の確保に努め、資金の良質化を図りながら、あるいは起債の条件の改善に努める、そういったような形で建設を促進するような立場をとって協力してまいりたい、このように思っております。
  188. 原田立

    ○原田立君 筑後大堰の当初計画では、工期を四十八年度着工、五十五年度完了になっているが、進行状況はどのように進んでおりますか。  また、五十五年工事完了の見通しと、こういうふうに言われておりますけれども、その点の見通しはどうですか。
  189. 堀和夫

    説明員(堀和夫君) お答えいたします。  筑後大堰につきましては、五十五年度完成を目途に現在本体着工にかかるべく、鋭意関係方面とその詰めを行っているところでございます。予算的には建設費でございまして、河道の護岸とか、そういうものについては御理解を得ましてかかれる状態になっているわけでございますが、せき本体の着工を円滑に行うべく、現在、水資源公団事業でございますので、水資源公団をして鋭意交渉を行わしているというところでございます。
  190. 原田立

    ○原田立君 筑後大堰の工事に関する予算として五十二年度十八億、五十三年度五十億円の予算が計上されているわけでありますが、地元住民との合憲に達しないため工事は全然進んでいないと、こう聞いているわけでありますけれども実態はどうなっていますか。
  191. 堀和夫

    説明員(堀和夫君) せきの基本的な構造とか、そういうものについてはすべて詰めが終わっておるわけでございます。で、最終的な問題といたしまして、今年に入りましてから鋭意地元関係者と現在詰めを行っておる段階でございまして、御理解と御協力を得べく、積極的にいま交渉を行っておるところでございます。
  192. 原田立

    ○原田立君 厚生省に聞きますけれども、十五時間断水なんて非常に異常だと思うんですよね。自治省は、先ほど厚生省の言うように消極的ではあるけれども節水に努めてやりたいと言う。現実にはそうでしかないと思うのだけれども、そういうような消極的な姿勢ばかりではならないと思うんですよ。当面の急場をしのぐために、節水と、他にまだ手を打つことは考えておりませんか。
  193. 山村勝美

    説明員(山村勝美君) 先ほども渇水の対策について若干具体的に申し上げたところでありますが、やはり市民が平均してがまんをするような給水計画をとっていくということも必要であろうと思います。先ほど十五時間断水——確かにいつひねっても出るべき水が、十五時間も断水するということはまことに異常な状態でございますが、残りの九時間で相当な水の備蓄等ができるわけでございます。九時間のうちで、使用量推計といたしましては、平常使うであろう量の七五%は水が出るという状態でございますので、もちろん不便はあるわけでございますが、生活に困窮する、困るというような事態ではないというふうに考えております、もちろん満足しているわけではございませんが。そのほか水道水源が幾つかあるわけでございまして、それを相互融通するということも、水源、水量を円滑に回転していくという意味で有効に水が使えるわけでございますので、そういうきめの細かい操作をしながら、できるだけ給水を確保していくという努力を指導しておるところでございます。
  194. 原田立

    ○原田立君 この新聞に出ているんですけれども、「寺内ダムが使えたら…」「福岡市〃のどから手〃 水資源公団「まだ試験貯水中で」」云々と、こういうふうなのが報道されているんですけれども、ここら辺はどうなんですか。
  195. 堀和夫

    説明員(堀和夫君) 先ほど先生からのお尋ねのように、寺内ダムの状況は現在試験湛水の段階でございます。それで、この水を私どもといたしましては現在協議を行いまして、管理段階に早急に入るべくいま努力をしておりますが、現在の湛水が直ちに渇水補給になるではないかと、使うべきではないかという先生の御指摘に対しまして、私どもといたしましては、今後の渇水状況の推移並びに寺内とあわせて操作いたすこととされております江川ダムの運用を見守った上で、関係者と十分調整を図って必要な措置が講ぜられるよう努めてまいりたいと、そういうふうに思っております。
  196. 原田立

    ○原田立君 どうかひとつ建設省も厚生省も、いま申し上げたような異常な事態でありますし、非常に関係者は憂慮いたしている問題でありますので、ひとつ積極的にこの解決のために努力願いたいと思います。雨降り次第だなんて、そんなような消極的な発言ではなしに、もっと積極的な施策を強く講じられたいと思います。終わります。
  197. 三治重信

    三治重信君 漁船積荷保険臨時措置法の一部を改正する法律案の審議でございますが、試験期間延長ということで、その理由が、二百海里の沿岸漁業のいわゆる非常な変化ということでございまして、この点について農林省当局がいわゆる水産の操業地域の、または操業の方法についていまいろいろ大変な変化が出てくるんじゃないか。そうすると、いままで試験実施をしたけれども、その経験数値が必ずしも本格実施に使えないおそれがある、だから、さらに五年間延長してほしいと、この理由もまた業界の方もそういうことのようですから、われわれはそれについて賛同を惜しむものではないことをまず前提にして、御質問をしたいと思います。  それで、この試験実施機構とそれから今後の問題点でございますが、この漁船保険組合が漁業協同組合を通じて保険料を取り保険金を支払う、それを漁船保険中央会が再保険をすると。これは従来の漁船保険組合の業務にこの積み荷保険を上積みしてといいますか、この機構でそのままやらしていくと、こういうことに理解していいわけですか。
  198. 森整治

    政府委員森整治君) 末端の元請が漁船保険組合ということでございまして、それが元請をいたしまして、その九割を漁船保険組合中央会に再保険をするということで、再保険を行う組織が漁船保険は国の特別会計で行っておりますけれども、この場合には漁船組合中央会が行っておる。この形は、船主の責任保険もただいま試験実施中でございますが、この場合においても保険組合中央会が再保険を受け持って現在試験実施をしておるわけでございます。このやり方は変えないで、五年間さらに二百海里のデータを、従来のデータをさらに整備して本格実施に移行したらどうであろうかということで御提案を申し上げておるところでございます。
  199. 三治重信

    三治重信君 いや、それですから、この漁船保険組合によって従来やっている漁船保険も、それから今度さらに延長していくやつ、これも現在こういう機構でやっているわけなんですが、この積み荷保険漁船保険組合で現在一緒にやっているということだから、将来本格実施の方も一緒にやると。ただこれを試験実施だからこの保険組合に任しているんだが、実施する場合にはまた別だと、別に組合をつくったりなんかして本格実施のときにはやるのかと、こういうことなんです。だから、試験実施だからこの漁船保険組合を使ってやっているんだけれども本格実施になれば別の組合をまたつくってやるのか。  さらに、いろいろ何といいますか、資料を見ると、漁業関係保険を統一したらどうかという意見も出ているということなんですが、それはもう少し後にするにしても、いまの試験実施機構と、さらにこういう漁船保険、積み荷保険それから船主責任保険と、こういうものが本格実施にたった場合でも一緒にやるのか。または、これは試験実施だからこういうことをやっているんだけれども本格実施の場合にはそれぞれ別々の機構をつくってやるんだと、こういうことなのか。
  200. 森整治

    政府委員森整治君) 御指摘の問題については、元請の保険者につきましては、これまでの経緯から本格実施する場合にも漁船保険組合が適当ではなかろうかというふうに考えております。したがいまして、漁船保険それから漁船の積み荷保険、それから漁船船主責任保険、いずれも元請につきましては漁船保険組合が当たっていくのが適当ではないかというふうに考えております。   〔理事山内一郎君退席、委員長着席〕
  201. 三治重信

    三治重信君 それで、こういうような漁船漁業の災害補償について、農林省の方で漁業に関する災害補償制度検討会というものがつくられているということなんですが、これは円滑に今度のこの試験実施をやるための検討会であったのか、またはそれでそれは任務は終わったのか、さらにこれを今後とも本格実施、あるいはこの漁業関係の補償制度について総合的な結論を出すための検討会、勉強会にしているのか。
  202. 森整治

    政府委員森整治君) 御指摘の問題につきましては、四十九年から水産庁関係団体の役員と学識経験者による検討会を開催して検討を進めまして、その中間報告が出ておりますが、このことは、現在漁業に関します保険制度あるいは共済の制度が三つございます。大きく分けまして一つ漁船保険、いまいろいろ御審議いただいているような保険、それから漁業共済制度というのがございます。で、これは共済組合ができておりまして、これが漁業共済をやっておるわけでございますが、それと、それからもう一つ、全国水産業協同組合共済会というのがございまして、これがいわゆる例の農協の共済事業みたいなのを一本でやっておるわけでございます。直接一本でやっておるわけでございます。  そういうこの三つの制度がございまして、これも三団体、別に団体が三つになるわけですが、これを統合、一元化すべきではないか。また、少なくとも保険、共済の窓口の一本化なりを図るべきではないだろうか、こういう意見がございまして、考え方につきましては、漁業者が利用する制度でございますから三つともまとめてしまえばいいという、こういう御意見でございまして、これに対しまして、その扱いをどうするかということを中心に検討会を設けた次第でございます。  この検討会では、統合化については、方向についてはそのとおりであると、ただ、それまでの過程に一挙に行くわけにもいかぬから、いろいろ実験の事業などを行って、その成果を見て統合していったらいかがなものであろうかという中間報告が出ておるわけでございます。     —————————————
  203. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、北修二君、坂元親男君、丸谷金保君、村沢牧君が委員辞任され、その補欠として、衛藤征士郎君、金丸三郎君、片山甚市君福間知之君が選任されました。     —————————————
  204. 三治重信

    三治重信君 それで、その窓口の一本化というのについてちょっともう一つお伺いしておきますが、まあ全水共の共済会でやっておられるのは、むしろ陸の関係といいますか、火災とか生命保険とか、漁業の補償といういわゆる産業保険とはちょっと違うと思うんで、そこまで全部広げるというのはどうかと思うんですけれども、この漁業共済組合というのはここに出ている漁業協同組合と地域なり設立の範囲が全然違っているんですか。大体この窓口一本と言っているけれども、もう漁業共済組合の方もその基本は漁業協同組合の単位ごとにできているんじゃないですか。そうすると、この二つは、窓口の一体化というのはほとんどいま現にできているんじゃないですか。
  205. 森整治

    政府委員森整治君) 漁業共済組合は大体県単位ということで、漁業協同組合の窓口といいますか、委託といいますか、そこを通じていろいろ事業を行っておるわけでございます。漁船組合におきましても、大体漁業協同組合に委託をして末端の事業は行っているということでございます。
  206. 三治重信

    三治重信君 わかりました。そうすると、大体において、そう特別な改革機運が出ているということでもなさそうでございます。  それで、一つこの制度の問題が出たから意見だけを申しておきますけれども、こういう保険という手段を通じて災害と申しますか、危険を補償するのと、それから、ことに漁業共済のように漁獲の自然災害に対する補償というものと性質は大分違うと思うんだけれども、いわゆる漁業というものに対する特別な補償、はからざる危険に対する補償をしていくという線においてはそう違わないのだと思うんですが、こういうものを何というのですか、各県単位に組合でそこに責任を持たしてやっていく、こういうことはやはり新しいいろいろの政策を、漁業補償なり漁業の発展のために、また、今度のように二百海里で非常に環境が変わっていくという場合に、農林省が余り地域的な線にとらわれると、どうも進歩、改善の将来足を引っ張られることになりはせぬかということが一つ。  それから、ここに出ておりますように、組合の単位としては現地の漁船保険組合が北海道は特別八組合、その他県単位では四十。そうすると、あとはカツオ・マグロ漁船保険組合とか、北海道機船漁業組合というのは機種による組合、これが二種類の保険組合でやっている、こういうことなんですが、私はもっと、農林行政が地域の市町村単位とか、県単位とか、これで全部積み上げ方式の線になっている。これは従来の慣行でこういうふうになっていると思うんですけれども、こういう保険という手法を入れて、近代的な経済制度を取り入れてやっていく場合に、こういう地域的なものに余りとらわれていくと、安易だけれども、やはり経済的な手段とすると、補償でありながら、保険でありながら補助金を単に出していくということに陥りやすいんじゃないか、こういうふうに第二点は思うわけです。  したがって、私は府県や、単位をもう少し別の角度で保険という将来生かされると申しますか、そういう制度に再検討してほしい。この検討会をやられる場合に、やはり全国一本でやって、漁船保険組合というのが独立的なものにならぬようにやっていくことやいろいろなことを、検討会でも少し考えていただくことが私は必要じゃないかと思うのですが、皆さん方農林省の方は、保険のやり方の組織というものについて、今後やはり全国一本化ということもひとつぜひ重要な検討の項目の中に入れて、本格実施までに検討をしていただきたいと思いますが、その点について学者やほかの専門家の意見も十分検討会で聞いて、もう中間報告が出たから検討会は終わりなんですか、そういうことについて御意見を伺います。
  207. 森整治

    政府委員森整治君) 御指摘の点に関しましては、先ほど来、今後の保険の全体の体系の問題に触れる重要な問題でございますから、今後、現存お願いをしている積み荷保険延長事業本格実施する場合には、それぞれの元請は一応いまの保険組合を考えておるわけでございますが、そういうこと、それから再保険者、それが国がいいのか漁船保険の中央会がいいのか、いまやっておりますが、それはやっぱり再保険の方式にも関連をいたすことです。比例保険がいいか超過保険がいいか、これも今後の実績の出方等による問題も含まれると思いますが、いずれにいたしましても、いま御指摘の問題につきましては、窓口等につき統合なり一元化あるいは団体の統合なり一元化、そういう要望があるわけでございますが、これらも含めまして当然今後の検討の課題にしてまいりたい。そのために当面いま検討が行われているというわけではございませんけれども、もちろんそういう組織全体の体系にまたがる問題につきましては、さらにそういうような機会を設けて十分検討をさせていただきたいというふうに思います。
  208. 三治重信

    三治重信君 それから、今度の試験実施をさらに五年間延長する理由に二百海里漁業操業時代に入ったと。これは漁業界にとっては大変な変化だろうと思うんです。その中で予想されるのが一つ、いままでは三海里の外は公海で自由だから拿捕されるとかなんとかいうものは予想されなかった、いわゆる自然災害で転覆とか故障とかいうことを補償すればいいわけですから。これからは二百海里はおれのものだといって、準領土的ななわ張りができてしまう。そこへ、こういろんな二国間協定なり国際協定なりで日本漁船が入っていく。しかし、どういう理由で拿捕されたり抑留されたり、またそういうことによって積み荷が腐ったり没収されたりという大変な事態が予想されないでもないと思うんですが、こういうのは今度の本格実施までに、そういう二百海里に対していわゆる国の公権力によっての拿捕とか没収とか、こういうものについての補償というものはこの中では考えて入れていこうとされているのか。そういうものは、まあこれは特別のことだから考えていかないんだと、また別に考えると、こういうことなんですか。
  209. 森整治

    政府委員森整治君) 漁船の積み荷保険においては、そういう事故は対象外として考えておりまして、むしろ特殊保険としての事業としてそういう事業があったわけでございますが、二百海里ということを公に認め合うということになってまいりますと、その二百海里内のいろいろな取り締まり規制、そういうものに伴いまして拿捕なり罰金の事故が出てくるという、そういう保険事故につきましては、別にむしろ民間の相互共済という制度をつくりまして、海外操業漁船の損害補償という名目で、漁船保険中央会が中心になりまして相互に掛金を掛けましてそういう事故に備える。まあ漁船の船体なり漁獲物なり漁具の損害、あるいは乗組員の給与、罰金そういう費用の七〇%の範囲内で救済金を支払うという制度を、七月から発足するということで予定をいたしておるわけでございます。このために、国が必要な事務費を助成をする、約六千三百万円を補助金として定額で交付するということを予定をして、その設計に入っておるわけでございます。
  210. 三治重信

    三治重信君 それからもう一つは、二百海里になってくると、これから日本の船が自分の責任といいますか、漁業協定で、日ソ漁業協定や日米加漁業協定のようにその中で漁獲ができる協定ができればそれでいいわけですが、それが十分でない場合には、先日新聞にもちょっと出ていたように、Aという国の二百海里で今後日本漁船が操業する。それはひとつその国の魚としてとって、そしてとったものは日本が後また買いつけると、こういうようなことも予想される。  そういう場合には何といいますか、とったものが一応一種の下請といいますか、請負事業として日本漁船がAという国の二百海里で魚をとった、そのとったものを今度は日本の会社なり業者がその魚を買うと。その中に、二百海里の中で転覆したとか、魚が腐ったとかいう場合のやつも、この拿捕、没収の方で考えた場合、そういうようなのは一般の自然災害しか——拿捕、没収というものはないわけだから、その国の下請というのですか、請負事業として漁業をやって、その水揚げを日本も別に買うのだから、そこに拿捕、没収というものはないわけだから、そういうやつはこの保険で、日本漁船がそういう漁獲に行った場合にはこの保険の中に入るのか、入らないのか。そういうことがまだ実現できぬからわからぬということか、検討はしているという問題か。その点を御説明願いたい。
  211. 森整治

    政府委員森整治君) 御指摘の問題につきましては、ただいま実際に話がいろいろ進められておりますのは、むしろ言葉としましては共同漁労と言った方が適当な問題であろうというふうに、共同事業ということも使っておりますけれども、要するにソ連の二百海里の中でソ連船も出る、日本船も出る。そこへ母船が行く場合もありますし、いずれにせよ両方で操業して、向こうでとれたものはこっちで買う、こっちでとったものは一定の入漁料を払って日本へいずれにせよ持ち帰る、こういうことでございます。そういうことでございますから、日本漁船がその責任においていろいろ操業をすることには間違いございません。  対象のこの漁船積み荷保険対象漁業というものに該当する限りにおきましては、当然その適用はあるというふうに解していいのではないかと。今後いろいろ出てまいります一応例示として挙げられたと思いますが、今後のケースとして、その契約の内容なりによりまして実際に日本漁船の操業の形態をよく見まして、引き受けの対象にすべきかどうかということは議論をしたいと思います。いま御指摘の問題については、私はそういうふうに考えてよろしいのではないだろうかというふうに思います。
  212. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  漁船積荷保険臨時措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  213. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  川村清一君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。川村君。
  214. 川村清一

    ○川村清一君 私は、ただいま可決されました漁船積荷保険臨時措置法の一部を改正する法律案に対し、各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。    漁船積荷保険臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   わが国の漁業をめぐる情勢は、二百海里時代の到来に伴い、北洋漁場において大幅な減船を余儀なくされるなど、極めて厳しいものがある。   このような情勢に対処して、中小漁業経営の安定を図るため、漁業関係保険、共済制度の整備強化を促進する必要性が、急速に増大している。   よつて、政府は、本法の施行に当たり、次の事項の実現に万全を期すべきである。  一、本制度試験実施延長は、新たな漁業情勢に対処するのに不可欠な資料の収集整備等のため、やむを得ず行われる措置であることにかんがみ、現在試験実施中の漁船船主責任保険制度と本制度との関連性にも配慮しつつ、可及的速やかに本格実施に移行すること。  二、本制度保険料率については、保険収支の実態に照らし、漁業者の保険料負担軽減の方向で検討すること。  三、加入対象漁船トン数の下限については、漁業災害補償制度との関連を考慮しつつ、引下げに努めるとともに、新たに加入を希望する漁業種類についても、これを追加する方向で検討すること。  四、現在試験実施中の漁船船主責任保険制度については、二百海里時代の新たな漁業情勢の下における資料の収集整備に努め、可及的速やかな本格実施への移行に遺憾なきを期すること。  五、本制度漁船船主責任保険制度及び漁船保険制度が、相互に密接な関連を有することにかんがみ、本制度及び漁船船主責任保険制度本格実施に当たつては、漁船保険中央会あり方を含め、三制度全体の体系について十分な検討を行うこと。  六、漁業関係保険、共済制度の統合、一元化については、保険共済事務共同化試験事業の成果を踏まえて更に検討すること。  七、北洋等における漁業操業の安全を確保するため、漁業者に対する必要な指導の徹底に努めるとともに、拿捕等に対する措置につき遺憾なきを期すること。   右決議する。  以上でございます。  委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  215. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) ただいま川村君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  216. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 全会一致と認めます。よって、川村君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、中川農林大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。中川農林大臣
  217. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) ただいま決まりました附帯決議につきましては、政府としても最善を尽くしてまいりたいと存じます。
  218. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  219. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十三分散会      —————・—————